田辺市議会 2005-09-20
平成17年 9月定例会(第3号 9月20日)
平成17年 9月定例会(第3号 9月20日) 田辺市議会9月定例会会議録
平成17年9月20日(火曜日)
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平成17年9月20日(火)午前10時開議
第 1 一般質問
第 2 3定議案第 32号 工事請負契約の締結について
第 3 3定議案第 33号 工事請負契約の締結について
第 4 3定議案第 34号 工事請負契約の締結について
第 5 3定議案第 35号 工事請負契約の締結について
第 6 3定議案第 36号 平成17年度田辺市
一般会計補正予算(第4号)
第 7 3定議案第 37号 平成16年度田辺市
一般会計歳入歳出決算について
第 8 3定議案第 38号 平成16年度田辺市
国民健康保険事業特別会計歳入歳出
決算について
第 9 3定議案第 39号 平成16年度田辺市
分譲宅地造成事業特別会計歳入歳出
決算について
第10 3定議案第 40号 平成16年度田辺市
簡易水道事業特別会計歳入歳出決算
について
第11 3定議案第 41号 平成16年度田辺市
交通災害共済事業特別会計歳入歳出
決算について
助 役 森 章 二 君
収入役 福 田 安 雄 君
教育長 愛 須 恒 藏 君
水道事業管理者 大 江 潔 史 君
政策調整部長 山 崎 清 弘 君
企画部長 庄 堂 琢 磨 君
男女共同参画推進室長 藤 畑 静 代 君
総務部長 岡 本 美 彦 君
市民部長 川 端 清 司 君
保健福祉部長 中 瀬 政 男 君
環境部長 池 田 正 弘 君
商工観光部長 福 井 量 規 君
商工観光部理事 松 本 純 一 君
観光振興課参事 後 藤 昇 君
農林水産部長 溝 口 博 一 君
農政課長 古久保 敏 雄 君
森林局長 重 根 誠 治 君
建設部長 橘 長 弘 君
土木課参事 小 倉 伸 治 君
龍神行政局長 久 保 三七男 君
中辺路行政局長 岡 上 達 君
消防長 津 田 正 視 君
教育総務部長 杉 原 莊 司 君
学校教育課長 撫 養 明 美 君
生涯学習部長 衣 田 秀 雄 君
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〇出席事務局職員
議会事務局長 井 口 富 夫
議会事務局次長 梅 田 敏 文
議会事務局主任 中 田 信 男
議会事務局主査 笠 松 実 加
議会事務局主査 岡 内 伸 午
議会事務局主査 藤 田 勝 久
議会事務局主査 山 下 幸 恵
開 議
○議長(吉本忠義君) 定足数がありますので、ただいまからお手元に配付の日程により、平成17年第3回
田辺市議会定例会3日目の会議を開きます。
(午前10時01分)
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◎諸般の報告
○議長(吉本忠義君) この場合、事務局長をして諸般の報告をいたさせます。
議会事務局長、井口富夫君。
(議会事務局長 井口富夫君 登壇)
○議会事務局長(井口富夫君) 報告申し上げます。
本日付、田総第292号の2をもって市長から本定例会の追加議案として、3定議案第32号 工事請負契約の締結についてなど議案93件の送付がありました。いずれもお手元に配付しております。
以上であります。
(議会事務局長 井口富夫君 降壇)
○議長(吉本忠義君) それでは日程に入ります。
◎日程第1 一般質問
○議長(吉本忠義君) 日程第1 一般質問を行います。
12番、松下泰子君の登壇を許可いたします。
(12番 松下泰子君 登壇)
○12番(松下泰子君) おはようございます。12番議員、松下泰子です。
それでは、通告に従いまして、三つの質問をさせていただきます。
初めに、新規就農についてから質問いたします。私は、平成15年の9月議会で、市民農園について質問いたしましたが、そのとき、就農支援の情報相談窓口を市のホームページに掲載してはどうかという提案をしました。今回は、もう一歩進めて、新規就農についてお伺いしたいと思います。
このことにつきましては、合併時の「市町村建設計画」にも明記されておりますように、過疎化・高齢化の進む地域の維持や活性化に有形無形の効果を生み出す施策として、「第一次産業を核とした
定住促進プロジェクト」が、
新市創設プロジェクトの三本柱の一つとして挙げられております。近年、農的生活を志向する人が増え、定年帰農や田舎暮らしにあこがれてIターン・Jターン・Uターンをして、農業に従事する人が増加しています。
農的生活とは、農業生活とも農村生活とも違う概念で、自然にやさしい生き方、生態系を守る生き方、生命を大切にする生き方、自然体で過ごす生き方を表します。これまでの自然破壊、環境悪化、人間中心主義などのものや金に価値を置く物質主義を見直し、自然と人間の共生や食料や環境の保全を重視し、真の豊かさを追求するライフスタイルを意味します。
また、高度経済成長の時代が終えんし、都市化社会の行き詰まりがだれの目にも明らかになってきたことから、若者の目も工業から農業へと変化が見られます。今や大学の農学部の入学希望者が増え、入学の難易度も工業部を上回るか、それに匹敵するようになっているそうです。また、都市部出身の女性の農業志向も高まり、農業大学や農学部の女性の占める割合が大幅に増加しているようです。ひと昔前までは、3Kと言われ、嫁さんも来ないと言われた農業に、今、大きな時代の変化、意識の変化が起きていると言われています。
私自身は、農業の経験はありませんが、田辺の地を選んで移転して来られた方々の生き方、考え方について聞くことがあります。そういった方々が、田辺に引っ越してくるまでの苦労や定住に当たっての問題点などの意見を参考に、定住促進の支援策を考えていきたいと思います。
初めに、前回質問いたしましたときの答弁では、旧田辺市における遊休農地について調査した結果、115カ所、面積で約8.8ヘクタールあることを確認し、農地の貸し借りの促進をもって解消を図りたいとのことでしたが、その後の解消への進捗状況はいかがでしょうか。
合併後、農地も一気に増えたわけですが、現状把握として耕作放棄地、遊休農地はどれぐらいあるのか、調査されているのでしょうか。また、農業従事者の高齢化や後継者がいないということをよく耳にしますが、今後の見込みを含めた後継者の状況は把握しているのでしょうか。一つ目の質問をいたします。
次に、耕作放棄地の解消や今後の後継者不足を解消するために、農業を希望する人たちに門戸を開いていくことが大事であるということは言うまでもありません。しかし、新規就農者、特にIターン者が地域に根づくまでにはさまざまな問題があります。農地所有者側にとりましては、一度貸したら取られてしまうのではないかという不安、全く知らない人に貸したり、売ったりすることの不安、本当にちゃんと耕してくれるのだろうかという不安、近隣の農家とのかかわりなどが挙げられます。
新規就農者にとりましては、農地と住宅の情報、農業技術や経営管理の研修、資金の確保など、どれをとりましても簡単にいくものでなく、時間もかかります。特に当地方での問題点は、農業だけで生活していけるのか、何をして生活の糧にするのかが大事になってきます。
そういうことを踏まえ、市町村建設計画の中にある「緑の雇用事業、
後継者育成事業等を活用した第一次産業への就業支援」や「UJIターンに関する総合的な情報発信」、また空き家や遊休農地等を斡旋するなど、移住者の生産活動や生活を総合的に支援する地域主導による受け入れ体制の整備を早く、積極的に押し進めていく必要があるのではないでしょうか。
そのためには、まずこれらの機能を持った拠点が必要です。県下には、御坊市に「和歌山県
就農支援センター」と古座川町に「和歌山県
ふるさと定住センター」という県の二つの施設があり、田辺地域の農家とも連携を図っているようです。
そして、那智勝浦町には、町が運営している
新規就農者技術修得施設「籠ふるさと塾」があります。ここは、平成7年に廃校になった小学校校舎を約9,000万円かけて改修し、家族用滞在施設2部屋、単身用滞在施設4部屋、研修室、コミュニティルーム、調理室、浴室を持った体験型宿泊拠点に生まれ変わりました。
そこでは、随時2泊3日の農業体験や5日間の定住体験、また1週間から1年間の農林業の基礎を身につける実習など、その目的に合った利用が可能になっています。この色川地域では、20年ほど前から、都会から移り住む人たちが少しずつ増え、平成17年4月現在では、51家族、子供を含め138人にのぼっています。
このように那智勝浦町でも、県の施設でも、実績を積んでいますが、田辺・西牟婁地方には、こういった拠点施設がありません。確かに、上野地区には「出船入舟」という長期滞在型施設が1戸あり、地域の人たちも尽力されておりますが、もっとさまざまな人たちのニーズに合った体験施設が必要ではないでしょうか。
そこでは、農業委員さんたちに空き家や遊休農地の情報や仲介へのご協力をいただきながら、地域で農業体験ができる農家の登録や農業サポーターなど、民間との協働のもと、定住促進につながる
就農支援センターのような拠点が、田辺市に必要であると思いますが、当局はどのようにお考えでしょうか。
3番目に、2番目で質問いたしました支援体制の一環ではありますが、定住への受け皿づくりとして、空き家を改修する補助金制度を創出できないかということです。今回、私は定住促進のための支援策を考えながら、Iターンで田辺に移住されている人たちに「第一次産業を核とした定住促進」に関するアンケートを行いました。
このアンケート方法につきましては、短期間であったため、地域的な偏りや十分対象者の把握ができなかった面もありましたが、19人の方に回答していただき、意図していたことは得られたと思っています。なお、旧龍神村では20年以上前から芸術村構想に取り組み、実績を上げておられますが、今回のアンケートでは、第一次産業を核とした定住促進としておりますので、その方々は入っておりません。
その回答では、移住の経緯として、知人、友人の紹介によりが最も多く、半数以上の10人であり、他に緑の雇用が2人、役場に相談が3人、その他業者等が2人でした。ほとんどが家族で引っ越してきて、移住後10年以上が11家族、5年から9年が2家族、5年以下が6家族でした。移住目的は、異口同音に自給自足的生活ができる自然環境のある田舎で暮らしたいということでした。
現在の職業に関しては、専業農業や兼業農家は4件、林業6件、その他としてパン製造業、飲食業、製炭業、公務員等々でした。困ったことは、家探し、土地探し、仕事探しでした。あったらいいと思う支援は、土地・家の情報やあっせん、家の改修費や店の開業に対する補助。農機具や設備投資への補助金などでした。
新規定住に関して行政に望むことは、全国的な
就農支援センター等との連携や情報交換、地域の実情に合った法律の規制緩和、行政と現地のきめの細かい対応、新規定住者たちのネットワークづくり、害獣対策、移住前に先住のIターンの人たちとの交流の場、地元農家の意識改革等々でした。
以上のように、初めに申し上げました市町村建設計画で挙げておりますような支援体制を必要としていることは明らかでした。ほかにも全国的には、営農開始に際して必要な機械や施設の装備に要する経費の補助や生活費の助成、家賃の補助などがありますが、若い夫婦が十分な資金がなく、生活していくためには、まず家が必要です。しかし、住める家にするためには、最低トイレや水周りの改修が必要となります。せっかくある家を再利用し、人に入ってきてもらうために、ぜひ貸し家や売り家の改修費等のための補助金制度を新たにつくっていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
長くなりましたが、一つ目の質問を終わります。
二つ目に、男女共同参画についてお伺いいたします。この男女共同参画という言葉は、長くて覚えにくい言葉でしたが、最近は市民権を得てきたと言えます。それは、ここ10年間の田辺市における積極的な取組の結果であると思います。
田辺市では、平成8年に第三次田辺市総合計画の中に、男女共同参画社会の形成に向けた施策を体系づけたことに始まり、平成9年に、田辺女性センターが教育委員会の中に設置されました。平成11年には、全庁的な取組として、「男女共同参画プラン」が策定されました。同年6月には、21世紀の最重要課題として、「男女共同参画社会基本法」が制定され、我が国の方向性が明確に打ち出されました。
しかし、今までの男性中心社会から男性も女性も、性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮できる社会を築くためには、意識改革をはじめ社会制度等の見直しなど大変難しい課題が山積している状況です。
平成14年に人権推進課の中に男女共同参画推進室ができ、いよいよ男女共同参画社会の実現のために、市の体制は整えられました。そして、その同じ年,田辺女性センターで学んだ女性たちが中心になって、女性議員が44年間に一人もいなかった田辺市議会に私を送り出してくれました。その女性たちの政策決定の場に女性が必要であるという思い、また今まで声に出せなかった女性たちの思いを代弁し、社会を変えていくために、私は全力でこの男女共同参画の推進に取り組んでいきたいと思っております。
新市となりましても、この男女共同参画への取組は、市長の選挙公約の中にも挙げられておりましたが、一層積極的に推進されることを期待しております。そこで、初めに市長は、今後の男女共同参画への方向性や取組をどうお考えなのか、お伺いしたいと思います。
二つ目に、田辺市における男女共同参画への取組は、今、簡単に申し上げましたように、約10年がたち、男女共同参画プランができて5年が過ぎました。私は、議員になってからこの間、最重要課題として男女共同参画の推進について何度も質問し、確実に前進してきたことをうれしく思っております。
しかし、今一歩、もう少しの結果を期待するところでもあります。合併により市域も大変広大になったわけですから、今後、各地域におけるきめの細かい啓発活動が必要になると思われます。そのためには、民間の推進員さんとともに研修や啓発の場を広げていってもらいたいと考えます。
具体的に申し上げますと、プランの中にあります男女共同参画の根幹である習慣やしきたり・社会通念に残る性別役割分業の点検と見直しや女性の人権を尊重する意識啓発の推進などの講演会・講座・イベントなどを各地域で開催する必要があると考えます。
また、第2次実施計画は、15年から16年度においてでありますが、重点課題として次の4項目が挙げられていました。「女性に対するあらゆる暴力の根絶」、「男女共同参画センター拠点機能の充実」、「審議会等の女性登用率30%(女性ゼロの審議会をなくす)目標」、「市役所の男女共同参画の推進」は、旧田辺市において徐々にではありますが、確実に進んできていることは先ほども申し上げました。
しかし、16年度までの結果報告書を見ますと、審議会の女性の登用率、女性ゼロの審議会をなくすという目標が遅々としていることは、以前にも一般質問しましたが、大きな改善は見られていないところです。
88審議会のうち女性ゼロの審議会が34もあり、女性の割合は19.8%にとどまっています。同じように、国、県でも30%の目標を掲げていますが、16年度では国の審議会等における女性の割合は28.2%、和歌山県では28.4%まで来ていますので、田辺市との差は10%近くもあります。合併後、17年度の審議会の結果はまだのようですが、昨年度を下回ることが予想されています。
このままでは、目標達成はますます厳しくなってきます。達成のためには、男女共同参画社会基本法に積極的改善措置が認められておりますので、何らかのてこ入れが必要であると考えます。
つまり、充て職による推薦が多い審議会では、女性委員の割合が少ないのですから、一部公募委員にすることや、女性の学識経験者の枠を設けるなどの工夫が必要ではないでしょうか。審議会以外でも、女性の公民館長は33人中1人、龍神におられるそうですが、農業委員は39人中2人、龍神と大塔だけです。町内会長では219人中たった3人といったぐあいです。このほかにも課題はまだまだ山積していますが、合併後の具体的な施策をどのようにお考えなのかお聞かせください。
三つ目に、第2次実施計画の重点的な課題の中に、市役所の男女共同参画の推進が挙げられていますが、特に今回は職員の採用・登用について質問いたします。お手元の参考資料をごらんください。田辺市における職員の男女別動向について表にしてみました。初めに、年度別職員数を平成5年から今年にかけて、合併後の最新の職員数まで表にしています。そして、男性と女性の割合の推移を折れ線グラフにしております。これを見ますと、予想に反して女性職員の割合は、少しずつではありますが、減少しております。
同様に管理職につきましても、私が議員になった14年には、女性の課長が2人でしたが、保育所園長が課長級に昇格することによって、一挙に15年度には13人になりました。その後、合併後の人事異動で2人増えて15人になりました。しかし、管理職数が大幅に増えておりますので、女性の割合としては減っている結果となっております。このように採用や登用における割合の減少傾向を当局はどう受けとめておられるのでしょうか。
確かに女性の職域の拡大や女性の管理職への登用については、努力されていることは認めますが、結果的には進展しているとは言えません。採用につきましては、今年度、田辺市消防本部におきまして、救急救命士の資格を持つ女性が採用され、第1号の女性消防吏員が誕生しましたことは、大きな進展であったと評価しております。また、男性の保育士第2号が誕生したことや、男性が初めて育児休暇を取られたことも評価できることであります。
しかし、国が推進の目標としております社会のあらゆる分野において、2020年までに指導的地位に女性が占める割合が、少なくとも30%になることを期待し、政府は民間に先行して、積極的に女性の登用等に取り組んでおりますことを考えますと、我が自治体は、遅々としているように感じます。総務省作成の「男女共同参画基本計画に関する施策の評価等について」の報告で、地方公共団体に対し、女性地方公務員の採用、登用、職域拡大等に積極的に取り組むように要請が通知され、周知を図っている状況を挙げています。
これは平成16年4月に、女性国家公務員の採用・登用の拡大等について、各省庁人事担当課長会議に申合せ事項を地方公共団体にも要請しているところです。もちろん採用につきましては、公務員法に定める平等取扱の原則や成績主義の原則を前提としつつ、男女共同参画社会基本法に定める積極的改善措置により、女性の採用を計画的に拡大していくことを目指すものです。
このように、採用において女性が増え、女性職員数が底上げされたもとで、勤務環境の整備とともに、女性の能力を育成し、管理職への登用を計画的に図っていただきたいと考えますが、今後の取組をどのようにお考えでしょうか。お伺いいたします。
最後、三つ目の中高一貫教育校についてお伺いいたします。昨年8月26日に発表されました「県立高等学校再編計画」の中に、中高一貫教育校として、平成18年度から県立中学校が田辺高校に併設されることになりました。
そして、先月28日に初の説明会が開かれ、多くの保護者や先生方の関心を集めておりました。名前も田辺中学校と決まり、2学級80人を募集することや田辺高校の自然科学科に接続することなどの概要は、ほぼ決まったようです。しかし、募集要綱は、来月9日に開かれる説明会で配布されるということで、当地方で初めての中高一貫校であるにもかかわらず、あまりに情報が少なく、入試まであまり時間がないということで、進学を視野に入れている保護者たちは混乱ともいえるほどの焦りを感じているようです。
私は、昨年、この計画が発表されてすぐの9月議会で、この問題について質問をいたしました。併設型中高一貫校設置を歓迎しているという教育長に、私は一握りの子供の特性や能力を伸ばすために、すべての小学生を受験競争に巻き込んでいいものか、今後の不登校やいじめの原因にならないかと危惧していることを申し上げました。
そして、この中高一貫校について、どのようなシステムで、どのようなメリット、デメリットがあるのか等々、保護者間で周知され、議論する場が必要ではないかとも申し上げました。そのときの答弁では、「1、小学校での進路指導をどうするのか。2、中学校の学級編成制にどう影響するのか。3、中学校教育にどう影響するのかを分析、研究し、その対応を考える」とおっしゃいました。
私は、今でもこの公立の中高一貫教育校の設置に、決して賛成の立場ではありませんが、現実、来春から始まることが決定し、動き出しているのであるなら、市教育委員会として責任ある対応を早く行うべきではないかと考えます。しかし、8月28日に、県からの説明会が行われるまで、教育委員会は状況がわからないとして、全く対応がなされていなかったのではないでしょうか。
来春に入試を控えた子供たちは、今の時点でも、学校からまだ何の明確な情報も与えられず、保護者の戸惑いに右往左往しているのではないでしょうか。市内の進学塾では、今春より公立中学校受験講座が開設され、準備に取り組んでいるようですが、やはり、当地で初めての中学入試とはどういうものなのか、多くの保護者の関心事であるようです。
説明会でも、適性検査に質問が集中したようですが、2年前から始まっている向陽中学校と同じような形式であるということで、私も向陽中学校のホームページから適正検査の問題を見てみました。
それは、教科ごとに分かれているのではなく、基礎的な計算問題や暗記ものは全くなく、理科系・数学系を混ぜ合わせた応用問題や文章問題によって、原理や自然現象を考えさせた上で、表現能力を試すような記述式の問題です。同じような形式で45分間のテストが2コマあります。そして、ある文章を読んで、感じたことを600字程度にまとめて書く作文45分間があり、1日目は3時間の適性検査になっています。2日目は面接のみとなっています。
ある塾の先生も言っておられましたが、小学校の教育内容だけで対応できる問題ではないことは明らかです。つまり、中高一貫校とは、トップレベルの小学生だけをとろうとしている意図はうかがえます。一方、中高合わせて6年間通してのカリキュラムであることから、原則として中途での進路変更は難しいという反面、高校入試がないため、ゆとりを持って専門教育を受けられるというメリットもあります。こういう選択を、小学校6年生の生徒がみずからできるだけの進路指導をどのように行うのでしょうか。また、今までと違った何らかの学習指導は行うのでしょうか。
さらに、高校進学のとき行うような学校間での受験者の把握や指導は行うのでしょうか。このように、小学校における進路指導とは、どのようなものなのか、できるだけ早く保護者に伝える必要があると思いますが、いかがでしょうか
二つ目に、従来の田辺市立中学校への影響についてですが、「分析・研究する」と、昨年は答弁されておりましたが、その結果はいかがだったのでしょうか。
保護者の間では、トップレベルの子供たちが抜けた後の中学校で学習意欲が沸くのか危惧する声も聞かれます。学級編制にも当然、影響があるのですが、小規模中学校では大きな痛手が予想されています。そこで、中学校への影響をどのように考え、今後どのように対応していくのか、お聞かせください。
以上、1回目の質問を終わります。
(12番 松下泰子君 降壇)
○議長(吉本忠義君) 12番、松下泰子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
市長、真砂充敏君。
(市長 真砂充敏君 登壇)
○市長(真砂充敏君) 松下議員の2点目、男女共同参画のご質問についてお答え申し上げます。あと2点の質問につきましては、担当部長並びに教育長から答弁させていただきます。
まず、男女共同参画についての1点目、市長は、新市における男女共同参画をどのように推進するのかについてでございますが、男女共同参画に関する施策につきましては、我が国では、日本国憲法に個人の尊重、法のもとの平等がうたわれており、男女平等の実現に向けてさまざまな取組が、国際連合など国際社会における取組とも連動しつつ着実に進められ、平成11年には男女共同参画社会基本法が制定されました。
基本法の前文には、「少子高齢化の進展、国内経済活動の成熟化など、我が国の社会経済情勢の急速な変化に対応していく上で、男女が互いにその人権を尊重しつつ責任も分かち合い、性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会の実現は、緊要な課題となっている」とうたわれ、男女共同参画社会の実現を21世紀の我が国社会を決定する重要課題と位置づけております。
男女共同参画に関する施策につきましては、合併前の5市町村でそれぞれ取り組んできたところでございますが、旧田辺市における施策につきましては、平成4年に女性施策を進めていくための担当部署を総務部総務課に設置し、平成8年には、10年間の田辺市のまちづくりの指針となる第三次田辺市総合計画の中に、男女共同参画社会の形成を明確に位置づけ、平成11年には、市が取り組む施策を体系的にまとめた田辺市男女共同参画プランを制定いたしました。
平成14年7月には、人権推進課で担当してきた男女共同参画社会づくりに関する施策の推進に係る総括業務と生涯学習課で担当してきた女性センターを中心とする教育啓発業務を一本化して、男女共同参画推進室を設置し、時代の要請にこたえられる体制の強化を図ってまいりました。
新市における男女共同参画の推進につきましては、5市町村の歩んできた経過もよく踏まえ、田辺市男女共同参画懇話会をはじめ、広く市民の皆様方からご意見をお聞きし、男女共同参画社会基本法にのっとって推進してまいりたいと考えております。
新しい田辺市のまちづくりに向けて、男女共同参画の推進における今までの活動の灯を絶やすことなく、社会状況等を見ながら地道ではございますが、一歩一歩歩んでまいりたいと思っております。
続きまして、2点目の課題解決のための今後の具体的な施策はについてですが、田辺市における男女共同参画に関する施策につきましては、平成11年に策定した田辺市男女共同参画プランをより効果的、計画的に推進するため、平成12年度に第1次実施計画を、そして平成15年度にその成果と反省を踏まえ、第2次実施計画を策定し、全庁的な取組を進めてまいりました。
第2次実施計画において、優先的かつ着実に取り組むべき施策として、田辺市男女共同参画懇話会からの提言も踏まえまして、4点の重点的な課題を挙げております。
1点目は、女性に対するあらゆる暴力の根絶。2点目は、男女共同参画センター拠点機能の充実。3点目は、審議会等の女性登用率30%を目標。4点目は、市役所の男女共同参画の推進の4点でございます。
議員のご質問にございます課題解決についてでございますが、1点目の女性に対するあらゆる暴力の根絶については、暴力の根絶に向けた市民への啓発活動として、田辺市男女共同参画懇話会からの提言を受けて、ドメスティック・バイオレンス、夫、恋人からの暴力、DVについての啓発ポスターを相談員たちと一緒に作成し、配布し、DVについての認識を深める取組をしてまいりました。
また、女性電話相談窓口を開設して、女性が抱えているさまざまな悩みに電話で相談に応じておりますが、特にDVにつきましては、年々相談の件数が増えている状況にございますので、今後ともDV被害者支援に向けては、関係機関等とのネットワークの充実と啓発に向けてなお一層の努力をしてまいる所存でございます。
2点目の男女共同参画センター拠点機能の充実については、男女共同参画に敏感な視点を持つ市民活動の拠点として、情報収集・提供、学習支援、活動支援、相談事業を行っております。団体間のネットワークのかなめである田辺市男女共同参画連絡会では、合併後、市内全域に向けて各種団体等に入会の呼びかけを行っております。市民と行政が一体となって取り組むパートナーシップが必要であることから、男女共同参画連絡会とも連携を図りながら、センター拠点機能の充実に向けて取り組みをしてまいりたいと考えております。
3点目の審議会等への女性登用率30%を目標については、平成15年から16年度、これは第2次実施計画の期間ですが、終了時の審議会等への女性委員の割合につきましては、19.8%でございます。目標の30%には及んでおりませんが、平成12年から14年度、これは第1次実施計画からの終了時なんですけれども、18.3%でしたので、少しずつ伸びてきております。また、女性委員のいる審議会等の割合につきましては、61.4%と第1次実施計画終了時の60.7%より、これも少し伸びております。
新市における審議会等の女性委員登用状況につきましては、まだ集計はできていませんが、合併後に新しく設立された田辺市地域審議会などを見てみますと、委員数40名のうち女性委員12名で、女性の割合が30%になっている審議会等も出てきております。審議会等に女性を登用することは、女性の意見を市政に反映させるためにも、また、女性自身の自己開発や人材の発掘、育成のためにも重要なことであります。それにはまず、女性がゼロという審議会をなくしていくよう、女性が政策方針決定の場に参画できるような環境の整備や女性自身の意識の変革を促すための啓発に力を入れていきたいと思っております。
4点目の市役所の男女共同参画の推進については、市政のすべての分野にわたるものであることから、全職員が男女共同参画の視点を持っていることが大切です。庁内における男女共同参画施策を総合的かつ効果的に推進するため、助役を本部長とし、部長、課長、関係各係長からなる田辺市男女平等施策推進本部を設置し、推進体制の充実を図っております。
市職員すべてが職場の課題として、そして一人の人間として、男女共同参画の視点を持って、市の施策やサービスに取り組めるよう、今後とも職員の意識の醸成を図ってまいりたいと思っております。
合併後における田辺市の取組を申し上げますと、まず、今年度は合併に伴って、市域が拡大したこともあり、新市の住民を対象に、男女共同参画に関する意識調査を実施し、市民の皆様方の意識を把握したいと考えております。
そして、次の段階といたしましては、この意識調査の結果を踏まえながら、新市の田辺市男女共同参画プランの策定等に向けて取り組んでまいりたいと考えております。いずれにいたしましても、新市における取組につきましては、男女共同参画施策の重要事項を審議する田辺市男女共同参画懇話会をはじめ、多くの市民の皆様方のご意見をお聞きしながら、みんなが住みよい田辺市を目指して進めてまいりたいと考えております。今後とも皆様方のご指導、ご協力をお願い申し上げます。
次に、3点目の女性地方公務員の採用・登用による積極的な取組をしてはどうかということでありますけれども、先ほどから議員からも資料においてご紹介がありましたが、全職員に占める女性の割合につきましては、上富田消防署及び中辺路大塔消防署の受託や市町村合併などによる影響が大きいものと考えられます。採用者数の男女別の割合につきましては、各年度の採用職種区分の違いはありますが、平成13年度から平成17年度までの過去5年間の採用者数は115人で、そのうち女性は48人で、約42%となっております。
なお、平成17年度の採用者15人の内訳は、男性8人、女性7人となっていますが、議員からご紹介がありましたように、消防職で初めて女性の救急救命士を採用し、また、保育士でも5人のうち男性1人を採用いたしました。
一方、受験者につきましても、消防職へ女性、保育士へ男性というように、職種による男女の区別なく受験されるようになってきました。いずれにいたしましても、市職員の採用につきましては、原則として不特定多数を対象とした公募による競争試験の方法により、受験成績、その他の能力の実証に基づいて行わなければならないという、地方公務員法の成績主義の原則に基づき、実施をしているところであります。個人の能力や適性を基準に、今後も幅広い範囲から有能な人材を確保できるよう努めてまいりたいと考えております。
次に、女性の登用についてでありますが、平成17年8月現在におきまして、全職員数988人のうち男性726人、73%、女性262人、27%となっています。また、課長級以上は147人で、そのうち女性は事務職の課長2人、保育所長11人、幼稚園長2人の15人で、管理職に占める女性の割合は約10%となっています。
今回、8月の人事異動では、年功序列にとらわれることなく、意欲と能力のある若手を積極的に登用することとし、その中で課長及び係長へ、従来よりも年齢の若い女性を登用いたしました。このことにより、事務職の課長が1人から2人になりましたが、まだ、全体としては少ないという思いはあります。
しかし、能力のある女性が、確実に能力を発揮し、各職場でリーダーシップを発揮しているのも事実であります。今後とも女性の職場について、積極的に拡大し、多様な経験による人材育成の促進を進めるとともに、働きやすい職場環境づくりに努めてまいりますが、人事配置や役職への登用につきましては、個人の勤務成績や意欲、能力などを適正に評価して実施してまいりたいと考えておりますので、ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。
以上でございます。
(市長 真砂充敏君 降壇)
○議長(吉本忠義君) 続いて、教育長、愛須恒藏君。
(教育長 愛須恒藏君 登壇)
○教育長(愛須恒藏君) 松下議員ご質問の中高一貫教育について、お答えいたします。
来春開校が予定されています県立田辺中学校につきましては、議員ご指摘のとおり、進学先の選択肢が増えて大変よいと歓迎の声や、小学校から受験競争が激化するのではないかという不安の声等、田辺市のみならず周辺市町村の保護者の関心が非常に高く、8月28日に実施されました第1回目の説明会には、学校職員も含めて約400名の方が参加されたと聞いております。そのような状況のもとで、田辺市教育委員会といたしましては、和歌山市等、先進地の対応について調査して、参考になることについては、各学校へ指導してまいりたいと考えております。
さて、議員ご質問の大きな1点目、小学校での進路指導はどのように行うのかについて、お答えいたします。まず、小学校における進路指導につきましては、これまで私立の中学校や一昨年開校されました和歌山県立向陽中学校等への進学を希望する者に対する、いわゆる受検対応の進路指導は、市内の小学校では行っておりませんでした。しかし、自己の生き方や将来の夢、自分の持つ夢を実現するには、どのようにすべきかについては、従来より道徳や特別活動等の時間を中心に指導を行っておりました。
また、本年度からは、中学校を中心に、和歌山県教育委員会と各市町村教育委員会が連携して、キャリア教育実践プロジェクトが実施されることになりましたので、田辺市教育委員会は、幼稚園から小中学校、さらに高等学校も見通した発達段階に応じたキャリア教育を実践するよう、各学校へ指示したところであります。
キャリア教育といいますのは、勤労観、職業観というものを養っていくということを目標としておりまして、例えば、小学校6年生になりますと、いろいろとあるんですけれども、進路に関する項目のところの能力を養うというところでは、6年生では、将来の自分の希望というふうなものを考えるようにする。そして、将来の自分のあこがれる職業を決めて、そのために今どうすることが大事かというふうなことを考える、こういうふうな教育でございます。
言いかえれば、一つの進路指導になるわけなんですが、こういうようなサンプルをつくりまして、各学校に渡して、これで学校の計画をつくっていくように指示しているところでございます。どこまでできているかは、現在まだ把握してございません。
さて、来春開校の県立田辺中学校に対する進路指導につきましては、募集人員が2クラスで80名ということや、行われる教育の内容や特色、入学者募集要項について、先月末に県教育委員会から説明を受けたところで、その中で、入学に関する手続はすべて保護者と県立田辺中学校との間で進められることがわかりました。
そこで、教育委員会は、進学希望者に、10月9日に実施される第2回説明会への出席を呼びかけるよう、各学校へ指導するとともに、学校は児童や保護者の相談にきめ細かく対応するよう指導しております。10月9日のところで、学校がどのような教育をするということ、願書の出し方、その他すべてが説明されることになっております。
次に、入学者選考の際に実施される適性検査について、各学校の授業で十分対応できるのか。受検予定者に対する特別な指導を行うのかということについて、お答えいたします。
県教育委員会の説明では、適性検査の出題範囲は、学習指導要領に示された内容を理解していれば、十分に解答できる内容であるとされております。したがいまして、学習指導要領の内容定着をその基本とする各学校の授業を受けて、理解していれば十分対応できるものと考えております。
松下議員が、先ほど向陽中学校の入試の検査の例題をお話されておりましたけれども、今、我々が学校の中でやる教育は、暗記型やなしに、そのような総合的な力をどう使っていけるかという、そういう力を養っておりまして、今、各学校の問題は大体そういう問題をつくって、子供の力が、本当に今求められている力がついているかということをやっておりますので、そう変わった問題ではありません。ですから、優秀な者だけを選ぶための問題傾向というふうなことではございません。一般的にそうなっていることをご理解いただきたいと思います。
また、各学校が教育課程に位置づけて、全児童を対象に実施する発展的な学習指導や補充的な学習等の個に応じた指導については、その取組の充実を図りたいと考えておりますのが、受検予定者を対象とする特別の教育指導については、教育委員会としては、その必要を感じておりません。
次に、中学校の学級数にも影響が考えられる。受検状況や合格者の状況の把握をどのように行うつもりなのかについてお答えします。先ほども申し上げましたとおり、入学に関する手続は、すべて保護者と県立中学校間で進められ、県教育委員会から各学校、あるいは教育委員会に対して、小学校別受検者数の報告はありません。
しかし、合格者については、県立田辺中学校が発行する入学予定証明書の写しを田辺市教育委員会へ提出することになっており、それにより2月上旬には、各中学校の入学予定者の数が確定するため、新年度の学級数及び教員数確定へ影響を及ぼすことはないと考えております。
また、学校別の受検者数の把握につきましては、教育委員会は、現時点では報告を求めることは考えておりません。しかし、中学校が12月に入りますと、新年度の教育計画構想を立てますので、そのときに教員が減るのか、学級が減るのかというふうなことが必要になってきますから、そのときに中学校がどうしても予定者数を知りたいと、志願者数を知りたいというふうなことになってくれば、一度その時点では考えてみたいとは思っております。現在は調査することは考えておりません。
次に、議員ご質問の大きな2点目、中学校教育への影響をどう考えるかについてお答えします。まず、学級数の問題につきましては、さきにお答えいたしましたとおりで、事前の把握ができますので、問題はないと考えております。
次に、学校全体としての学力レベルの問題についてでありますが、県立田辺中学校の教育内容の特色から見て、理数系に興味、関心のある子供が、校区の中学校へ進学する数が減ることが予想されますが、総合的な学力の格差に通じるとは考えておりません。しかし、希望どおり、県立田辺中学校へ進学できず、校区の田辺市立中学校に入学してきた生徒に、その学校で学ぶ喜びをどう感じさせていくかについて、心準備をしていくことが重要であると考えております。
いずれにいたしましても、県立中学校が市内に設置されるに当たっては、議員からご指摘いただきましたさまざまな影響が考えられますし、実際に開校されたときには、新たな課題が出てくることも予想されます。しかしながら、田辺市教育委員会といたしましては、県立田辺中学校の開校を本市における教育の活性化の一つの機会ととらえ、田辺市立中学校においては、子供や保護者のニーズに合う教育を創意工夫し、県立田辺中学校では取り組むことが難しいと思われる保護者、地域と連携した特色ある教育の充実に努めて、県立田辺中学校に勝るとも劣らない学校づくりに努めなければならないと考えております。
以上でございます。(教育長 愛須恒藏君 降壇)
○議長(吉本忠義君) 続いて、農林水産部長、溝口博一君。
(農林水産部長 溝口博一君 登壇)
○農林水産部長(溝口博一君) 議員のご質問にお答えいたします。
まず、新市における耕作放棄地や後継者の現況でありますが、旧田辺市におきましては、農業委員さんのご協力によりまして、平成15年に市内の水田の耕作放棄地を対象といたしましては、実態調査を実施いたしております。
この結果、115カ所、面積で8.8ヘクタールの耕作放棄地が確認されておりますが、その後、新たな調査は実施しておりません。旧4町村におきましても、まだ調査には至っておりませんが、農業委員さんのご協力により、近隣の方々に貸借、あるいは売買を進めていただいておるところでございます。ちなみに平成16年の和歌山県農林水産統計年報によりますと、新市の耕作放棄地は104.5ヘクタールでございまして、全体の農地面積が3,545ヘクタールでございますので、2.9%に当たります。
農業委員会の意向といたしましては、遊休農地の解消には、農業者間の貸し借りの促進によって解消を図りたいとのことでありまして、農地本来の姿でもって、耕作放棄地を減らしていく方向で進めております。なお、このような農地を利用して、紀南農協が取り組みされているふれあい農園が、土に親しみ、生きがいづくりの一環として好評と聞いております。
後継者の状況でございますが、把握に至っておりませんが、平成16年の統計年報では、年齢別農業家族人口の割合を見ますと、旧田辺市では、65歳未満が7,351人でございまして、これが72.9%、65歳以上が2,737人で27.1%でございます。対しまして、旧町村の合計農家人口は、65歳未満が2,524人で57.9%、65歳以上が1,835人で42.1%になります。
旧田辺市では、梅、みかん等の基幹作物を有していることで、後継者が育成されていると思いますが、基幹作物のない地域で、後継者の育成というのは大変難しいものがございます。いずれにいたしましても、後継者をいかにして育成するかを重要課題として、行政、あるいは農協と共に検討を重ねてまいりたいと考えております。新市農業委員会も発足したところでありまして、今後の実態調査等につきましては、協議、検討を重ねていきたいと考えております。
ご質問の2点目でございますが、新規就農者やIターン者への支援についてでございます。まず、市町村建設計画の空き家や遊休農地あっせんの件でございますが、空き家の物件や遊休農地があっても、都会で暮らしている家族が、盆やお正月に帰省して、その空き家を利用するといったことや、あるいは会社を定年後に、その遊休農地を耕作したいといった、それぞれの事情があります。今後、関係機関及び団体と連携して、新市全体の空き家や遊休農地の現況調査とともに、その物件の貸借の意向調査を実施しまして、あっせんに取り組むよう検討してまいります。
次に、中辺路や龍神の旧町村におけるIターン者の定住事例でございますが、この定住者は林業技術者として就職している、または何らかの農林作物に対する生産、あるいは調理、加工等の技術を持っている者、もしくはその技術を取得するまで、または農作物を収穫できるまで退職金とか、年金で生活ができる状況であるということ。さらには、芸術等の職を持っていることなど、他の職で生活し、農地で材料を調達するというケース、あるいは自給自足で農業を営んでいるケースなど、そのほとんどの定住者は、いわゆる農業経営者ではございません。このため、Iターン者が新たに農業につくには、農地であるとか、あるいはそれのための資金、あるいは技術、かなりの年数がかかるということなどで、生活力が必要でありまして、かなりの資金力を持ったやる気のあるIターン者を就農支援することが肝要と考えております。
次に、
就農支援センターの件でございますが、議員ご指摘のとおり、県が御坊市に和歌山県
就農支援センター、古座川町に和歌山県
ふるさと定住センターを設置しております。昨年開設しました県就農センター、これは御坊市でございますが、数日の農業体験研修や月5日間で8カ月の技術取得研修及び1カ月20日コースと6カ月コースの農家実践研修がありまして、昨年度延べ146名が受講いたしまして、20名が就農しているということでございます。
また、平成14年に開設いたしました県
ふるさと定住センター、これは古座川町でございますが、日帰り研修のコースで20名と、2泊3日のコースで10名、4泊5日のコースで10名及び1泊2日の有機農業体験コースで20名が、毎年中山間地域への定住のために、農林業就労研修が受けられますが、開設以来、3カ年で100名が受講されたと聞いております。
田辺西牟婁地域に、就農、定住を希望する者につきましても、2カ所の支援センターで自由に研修を受けられる状況でありますので、議員ご提案の本市独自の支援センターの整備につきましては、今一度希望者の同行を見きわめたいと考えております。
3点目の新規就農者への借家改修費等の補助金制度導入の件でございますが、現在、本市では、定住促進住宅が60戸、それから緑の雇用促進住宅が24戸、新世紀山村モデル住宅が9戸、単身用のフォレスト館が6戸ございまして、新規就農者やIターン者の定住促進のために住宅を提供しております。
Iターン者の中辺路、龍神等への定住事例を見ましても、Iターン者の住宅等への補助はしていないのが現状でございまして、今後におきましても、空き家のあっせんは行う予定はありませんが、借家改修費等の補助金制度を導入するということについては大変難しいものがあるのではないかと考えております。
いずれにいたしましても、市町村建設計画にありますように、今後において、第一次産業を核とした
定住促進プロジェクトを強化していきたいと考えております。
以上でございます。
(農林水産部長 溝口博一君 降壇)
○議長(吉本忠義君) 12番、松下泰子君。
質問時間が迫っていますので、簡潔に願います。
(12番 松下泰子君 登壇)
○12番(松下泰子君) ご答弁ありがとうございました。時間もあまりないようなので簡単にいきます。
新規就農につきましては、拠点施設もまだ何とも言えないということですし、改修費に関しての補助金は難しいということで、なかなかここの部分では新たな施策の方は見出せないようですが、市町村建設計画の方は、本当に着実に早く進めていっていただきたいと思います。そこでいろんな具体策も出てくるかと思うのですが、まず進めていくこと。あっせんの方も早く進めていっていただきたい。それを待っている方もおられますので、今後の取組を期待しております。
新市では、自然豊かな山、川、海を生かした観光や第一次産業を核とした「新ふるさと創り」に取り組もうとしているところでありますから、この拠点づくりのことにも、また尽力していただければと考えております。
そして、もう一つつけ加えまして、これは全く畑違いの教育委員会への要望ですが、先ほど教育長からも説明がありましたキャリア教育実践プロジェクトということに関しましても、この職場体験の中にぜひ農林漁業の体験も積極的に取り入れていってほしいと思います。ふるさとのよさを知るためにも、子供たちの職業選択の一つとして、地元にもこんな働く場があるということを認識してもらい、将来の後継者として育ってほしいと思っています。よそから来る人たちにもまして、地元に残る子供たちを増やす努力も必要であると考えますので、よろしくお願いいたします。
2番目の男女共同参画につきましては、市長よりお答えいただきましたが、新市におきましても、市長のもと、男女共同参画社会基本法にのっとって推進していただけるということですが、答弁がどうも通り一遍のお答えだったようにも感じます。今は、男女共同参画の時代ですから、このたびの市長選でも、どの市長候補も男女共同参画の実現についての公約は、選挙戦のとき挙げられておりました。これは単なる女性票を集める言葉ではなく、21世紀、将来の日本を形成していく上では、どうしてもこの男女共同参画社会の実現が不可欠であるということは認識しておられることと思いますが、重ねまして、市長にお願いしておきたいことは、今までの取組より決して、決して後退することのないようにだけお願いしておきます。
最後に、教育長より中高一貫校に向けての進路指導についてお答えいただきましたが、受験対応指導ということは、特には行わないようでありますが、今、説明があったようなことをできるだけ早く保護者の方に伝えていただく、周知していただくということをしないと、子供ももちろんそうですが、保護者の動揺といいますか、どうしようというところ、どこまで学校の方が関与してくれるのだろうかという、そういう懸念というか、心配事が先に今の状態では立っておりますので、来月の説明会をというまでもなく、先に保護者への対応について、説明会に行ってくださいということを含めて、今の市の教育委員会の対応を明確に伝えていっていただきたいと思います。
私は、小学生を受験競争に巻き込む、こういう中高一貫にどうしても賛成ということはできないのでありますが、現実問題として、来春から入試を迎える子供たちに不安を与えることのないよう、また今後、不登校・いじめ・非行などが増えることのないようにだけ、細心に注意を払って、対応していただきたいとお願い申し上げて、私の質問は終わります。
ありがとうございました。
(12番 松下泰子君 降壇)
○議長(吉本忠義君) 以上で、12番、松下泰子君の一般質問は終了いたしました。
休 憩
○議長(吉本忠義君) この場合、午後1時まで休憩いたします。
(午前11時12分)
────────────────
再 開
○議長(吉本忠義君) それでは、休憩前に引き続き会議を開きます。
(午後 1時00分)
○議長(吉本忠義君) 続いて、15番、大倉勝行君の登壇を許可いたします。
(15番 大倉勝行君 登壇)
○15番(大倉勝行君) こんにちは、15番議員の大倉でございます。質問に入ります前に、その他の欄で議長のお許しを得まして、子供の権利条約というのをつけ加えさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
一般質問に何人か出るのでありますけれども、よく資料をいっぱい持ってきたら、私はあいつ勉強してないなと、行き当たりばったりでやるんではないかと思うんですけれども、今日は資料をいっぱい持ってきましたんで、どうなるか何か変な緊張があるわけですけれども、一生懸命やりますので、どうぞよろしくお願いをいたしたいと思います。
まず最初に、梅の立ち枯れ農地を被害農家と共に市長さんが視察したと聞きました。被害者の生の声を聞き、現場を直に見てどのように感じたのかをお聞きしたいと思います。
被害者の農家代表と同じ車に同乗して話を聞きながら、被害農地を視察されたと聞きました。大体同乗したのはこの人だろうなという感じがしましたので、その人に電話をしていろいろどうでしたかというのを聞かせていただいたら、その農家の代表者の人たちは、大変喜んで、市長に対して期待をしていたのであります。そして、被害者の人たちの話を聞いてどのように感じたのかというのを簡単にお願いしたいと思います。
私の気持ちはどのようなことかと申しますと、市長は今までの他の人たちの説明をたくさん受けてきたと思うのであります。市の職員さんとか、あるいは農協の職員さんたちの説明を受けてきたと思うのですけれども、その人たちとの違いはあったのかなと思います。そして、何か新しい発見はあったのか、今までと違う思いはあったのか、その辺を少し感じたところがあれば、お願いをしたいと思います。それは、以上でございます。
続きまして、本題でございます。2番目に移らせていただきます。
平成18年度から田辺市の中学校の教科書が全部変わるのでありますけれども、特に中学校の社会科歴史・公民の教科書が東京書籍の教科書に決まったということを聞かせていただきました。社会科は私は大変興味がありまして、歴史・公民の教科書が東京書籍に決まったということに対して、市長にお伺いをしたいと思います。市長は、このことを支持をしますかということであります。
田辺市の教育委員会の委員は、市長が任命権者であります。それはご存じのとおりであります。そして、議会がそれを認めたわけであります。その田辺市教育委員会が、田辺市中学校社会科歴史・公民の教科書に東京書籍を選んだということに、その任命権者である市長は、このことを支持をしますかということを明確にお答えいただきたいと、そのように思います。
2番目にいきたいと思います。田辺市教育委員会の会議の内容を聞かせていただきたいと思います。と言いますのは、私は前議会、その前の議会、その前の議会というのは、旧田辺市だったのですけれども、その旧田辺市のときに、私何回となくこの一般質問の場で教育長にお願いをしていたわけであります。
周辺の当時は町村ですけども、今は周辺の4町と比べまして、あまりにも生徒の数が違います。田辺市が7割、他町は3割、現在そのような状況であります。責任の重さが違うわけであります。その責任の重さにかんがみ、田辺市教育委員会にて、私は特に社会科歴史・公民教科書を本当に今の田辺の教育委員会で選んでいただきたいと言ってきたのです。田辺市の教育委員会が一番自信のある、子供に対して一番いいなという教科書を選んで、最初にその案を持っていただきたいと、そのように話をさせていただきました。
それは先ほど申し上げましたように、あまりに子供の人数の違いと、そしてその中での責任の重さが違うからであります。と言いますのも、これは教科書の共同採択というのでありますけれども、全国で私はこの教科書を採択したいと思ったのですけれども、共同採択ですから、自分の意見を押し殺して、残念ながらほかの地区の教科書を採択したという例があります。そして、そのことに国がかんがみまして、市の段階では、申し出てくれれば、単独採択してもいいですよというお触れが、通達が田辺市に来ているはずであります。
私は、これだけ人数が違うのでありますから、責任の重さを考えていただきまして、自分らの意見を持って、共同採択の委員会に行っていただき、そこで自分たちの意見を主張していただきたいとお願いをしていました。田辺市教育委員会では、そのような話をされたのでありますか。
そして、もしその中で選んでいたならば、その教科書はどこの教科書だったのかを教えていただきたい。私は理解力があるのではないかなと思ったのでありますけれども、理解力がないのでありますので、もしそういうことがあれば、そのことをお聞かせ願いたいと思います。
そして、田辺市の教育委員会と周辺の町の教育長が集まりまして、西牟婁地区教科書用図書採択協議会というのをするわけであります。田辺市から3名、そして他町から4名です。これは教育長ですね、田辺市からは1人が教育長、そしてもうあと2人は、教育委員だということを聞いております。計7名で採択協議会なるものを組織しまして教科書の選定をやります。それは歴史だけじゃなしに、数学、国語も全部あるわけであります。
その会議録を読ませていただきました。私の注目するところは、社会科の歴史と公民でありますので、これだけの分をコピーをとらせていただいたのであります。何回も目を通させていただきました。大変驚きました。私の頭では本当に理解できないことがたくさんありました。その中の大きいのが2点あったわけであります。それを聞かせていただきたいと思います。
1点は、歴史教科書が学習指導要領に準拠しているかという評価点、評価する観点というものが、その中で示されているわけです。皆様方の資料の第1番目です。歴史教科書が学習指導要領に準拠しているかの評価であります。そして、この評価基準にして、FTという評価の丸、三角があります。私が疑問に思うのは、この中に書かれている文言です。評価の1から15までの文言の中に少し理解できないところがあります。そして、この丸、三角であります。多分Fは扶桑社ですね。そしてTは今回採択された東京書籍だと思います。でもこれはきちんと確かめたわけではないのですけれども、そうだという話を聞いています。
この丸、三角もわからんのですけれども、この15の項目がまた私には理解できない。それが一つ目で、もう一つは、会議の中のこの7人の委員さんたちの発言ですね。これが私が本当に理解できないことであります。先にいきますと、その発言で、この7人の委員さんたち、理解している人たちもいるのですけど、理解していない委員さんが多いのです。多分教育長であります。不思議だなと思うのであります。田辺の教育長じゃないと思うのですけれども、学習指導要領が念頭にないような発言があるのです。読んだことがあるのだろうかと思うのがあります。
例えば、一人の人がこういうふうに言っています。「社会科学を考える上で、ファンタジーと対物を基に考えることは混合されていて心配である」。このファンタジーというのは、神話ということです。この人はちょくちょくテレビでもこの間このことを言っていたのですけれども、社会科学を考える、格好いいのですけれども、ファンタジーと対物、神話と現実の歴史とを考えると混同されるんじゃないか。つまり、神話を事実にあった歴史と思わへんかということを彼は心配しているのです。
しかし、私は、その人は学習指導要領を読んだのかなと思うわけであります。私もこの間から、教育長に、教科書は学習指導要領と、そして東京書籍と扶桑社を並べて、そしてどっちが学習指導要領にいかに準拠して、一番近い存在で物事を書いているかというのを考えてくださいっていうことを何回も何回もお願いしたわけでありますけれども、うちの教育長は、それは理解していただいていると思うのですけれども、この中に、きちんと書いているのです。神話の取り扱いで、考古学の成果を活用するとともに、神話・伝承などを学習云々って書いて、留意することって、これは読みませんけれども、12ページに内容の取り扱いの3のオというところにきちんと書かれているのです。この人はきちっと読んでいないと、そのように思います。
ほかに協議会の議事録を見ると、本当に学習指導要領を突き合わせて考えてくれていたのかなというのがあるわけなんです。こういう形でしているのですけど、もう一つ意見を言いますと、扶桑社以外の教科書は自虐的であるのか、支配、非支配ということから見ると、扶桑社のものは支配側の見方が強いように思う。江戸時代はよい時代であったかのように記されている。それだけでいいのか疑問である。一つの考えであろうが、それが大変強いように思う。
そもそも教科書の中に、支配、非支配という観点で歴史を見るというのがおかしいのである。この支配、非支配、それは階級闘争史観といって、マルクス、レーニンの考え方であります。そういうことで教科書をつくられたら困るし、そういう観点で教科書を見られたら、そもそもそれが出発的にあるから、我々もおかしいと言っているのであるから、そういうことを堂々と言っている。こんなこと非支配、支配って教科書には一つも載ってない。
戦争については、事実は事実としてきちんと押さえるべきだ。戦争の話は一つも書いてない。事実は事実で書いたらいい。その戦争を階級闘争史観に置きかえて日本の歴史を見ようとするから、そもそもおかしいのであります。そういう協議会の会議録を見ますと、本当に論点が全く離れているなという形でありまして、本当に信じられない、そのように思います。
そして、本題に戻るわけでありますけれども、これは大変だな、評価する観点の1から5の項目があります。丸と三角と書いてあるのですけれども、その丸、三角についても、1から15、全く私には理解できない。だれがこういうことをしたのかなというのがあります。学習指導要領には、社会科には大きな目標と、そしてその目標に対して内容があって、その内容に対して、その内容の取り扱いという、一つの3段階になって書いているわけなんです。詳しく、ときには本当に具体的に書いております。
それで、なぜ1から3番目の基礎的、基本的内容に精選されているかという項目があるのかなということであります。この観点と1番、2番、3番ですね、全く理解ができないのであります。私はこんなことは学習指導要領には書いてあるのかなと、書いてないのではないかなと最初は思いました。指導要領には、目標、内容、内容の取り扱いが大変具体的に詳細に書いているのです。古代、中世、近世、近現、古代には国家が形成されていく過程のあらましを大和朝廷による統一として子供たちに理解させようというふうに書いているのであります。ちょっと飛ばしてますけれども、その中でも、一揆につては網羅的に取り扱いをしないようにということも書かれておりました。
そして、私読んでみましたら、調べましたら、この学習指導要領の総則、総則というものはどういうものかといいますと、一番初めの国語、社会、全体を子供たちに教えるにはどうしたらいいかという総則の中に、教育課程変遷の一般方針という中で、各学校はこういうことを努めなければいけないというところがあるわけです、大きな題で、それは全体の教育の中です。こんな大きなことが教科書の採点の評価に当てはまるのかなと思いました。
それでもう簡単にいきますけれども、1、2、3項目は、教育活動の全般の方式であって、教科書のあり方を示すものではないと私は思います。どの記述をもって、1、2、3番目を丸、三角と教科書の中で判断できたのか、その具体的なところをひとつお願いしたいと思います。
それで、これは質問やない、言っときますけど、9番の小・中・高の関連が考慮されているか。大体皆さんわかるんですけれども、小学校、中学校の関連が考慮されたらいいけども、高校の関連ってわかりますか。高校の関連が考慮される理由がないですよ。そういうことを一つ言っておきまして、次に移りたいと思います。
学習指導要領に基づき、扶桑社の教科書に対して、東京書籍の方がすばらしい、すぐれていると感じた部分を歴史、公民と分けて、数カ所ずつ具体的に例を挙げて教えてほしいということをお願いします。
そして、この教科書を選定するときに、いろんなことが言われました。戦争を賛美する教科書、そして戦争に道を開く教科書といって大変な反対運動があったわけであります。そして、これは今年のじゃないですけど、3年前の話なんですけど、戦争ができる国を目指す、つくる会の教科書の平和を学べる教科書をと書いてます。そういった衣笠中学校分会、我々のとこなんですけれども、東陽中学校分会、上芳養中学校分会、職場代表丸谷寛さん、森田さん、中ひとみさん、先生方の話やと思うんですけれども、こういう反対運動がたくさんあったのです。
全国でもすごい運動をしていました。特に東京、杉並区、鎌倉、これらのところはすごい運動が起こったわけです。一昨日、松浦という女性の杉並区議会議員に会う機会がありまして、直に話を聞いたのでありますけれども、半年ほど前から、区庁舎前、そして杉並区にはたくさん駅があるそうですけれども、駅前でマイク、ギターを持って歌いながらチラシを配っていたそうです。多くは杉並区以外の外人部隊ですね、ほかの人たちであったそうであります。
ずっと半年ほど前からやっていたので、彼女たちもこれではだめだと、1週間前からマイクを持ちながら、いろんなところでビラを配っていたそうであります。最初は反対のビラだと思って相手にしてもらえなかったそうであります。しかし、1日1日と日がたつにつれて、頑張れと。最初は、このビラが反対のビラだと思っていたのでありますけど、頑張れと声をかけてくれるのが1日1日と多くなったそうであります。
事実は、杉並区は扶桑社の教科書を選定したのであります。そのときに、その委員会は公開の委員会だったのです、5人の。傍聴もできたそうであります。その中の一つの話です。女性の教育委員が、戦争に道を開ける、戦争賛美の教科書を使ってはだめだという趣旨のことを発言されたそうであります。その発言に対して、ほかの教育委員が、「具体的にその場所を教えてください。その場所はどこなんですか」って扶桑社の教科書を持っていったら、何もそれを指摘できなかったというのが現実なんです。
そこで、たくさんチラシもありました。いろんな運動も田辺市にもありましたし、そして全国で一円にありました。そこで私は、教育委員会に聞きたいと思います。戦争を賛美する教科書、戦争に道を開く教科書と扶桑社の教科書を一部の日本人、そして韓国人、中国人が声高に叫んでいたが、扶桑社の教科書の内容の中にそのような部分があったか、あったと感じたならば、そのような部分を具体的に教えていただきたいと、そのように思います。
その次にいきます。学習指導要領に基づき、東京書籍と扶桑社を相対的に国旗、国家、そして拉致、歴史上の人物を取り上げて検証をしてみたいと思います。
まず最初に、拉致の問題でちょっとやってみたいなと思います。学習指導要領の公民の目標の1と3、人権の尊重、個人の尊厳といういろいろな文言の欄が現実にあるわけであります。拉致を書けとは書いてないのです。東京書籍は、世界の平和のためにというタイトルの一部として、欄外にタラップをおりる拉致被害者の写真と短い説明があります。人権じゅうりんとも国家主権の侵害とも書いていない。単なる外交問題として取り扱っているわけであります。
この文であります。東京書籍の公民の小さいこれが1カ所です。拉致問題は何だといいますと、単なる外交問題ではありません。深刻なる人権じゅうりんであり、国家主権の侵害の問題であるわけであります。扶桑社以外の公民の教科書は、人権、人権、人権、まさに人権の教科書のようになっているのですけれども、じゃあ人権のことになったら、この拉致の問題を一つも扱っていない。拉致とは、深刻なる人権じゅうりんであり、国家主権の侵害の問題である。
拉致事件の問題の本質は何なのかと言いますと、人権、国家主権、これらを政治、外交問題で終わっていることが拉致問題の問題ではないか、そのように思います。東京書籍は、ほんまに10センチ、10センチの1カ所だけであります。扶桑社は、教科書の中に3カ所あります。本文にもあるわけであります。本質を大変とらえています。右書きの写真、横田めぐみさんの捜索願いとタラップをおりる拉致被害者、人権をめぐる国家的な問題点という見出しで、本文に深刻な人権侵害として記述がしてあります。
それで3番目に、課題学習の11、主権が侵害されるとはどんな場面であるか調べてみようの一部に、日本人拉致の問題が取り上げられています。
結局、全8社のうち、人権及び国家主権の侵害として大きく取り上げているのは扶桑社だけであります。人権、人権、全部の教科書が人権の教科書であるかのような、ほかの教科書でありますが、今現在進行形で、本当の人権問題を取り上げているのは、この扶桑社だけであります。
それで次に、人物であります。これも皆様方に参考資料としてあります。学習指導要領の目標2、国家・社会及び文化の発展や人々の生活の向上に尽くした歴史上の人物と現在に伝わる文化遺産をその時代や地域との関連において理解させ、尊重する態度を育てるという、比較の2に書いてあるのを読んでおいてください。
どう見ても、どんなに考えても、人物の構成がおかしい。そして、やっぱりこの人物構成の中に、先ほど言いましたように、人物はどういうものかというと、支配者、非支配者の関係を一番あらわしているのです。歴史上の我々の人物でも何でもないわけです。国家に対する、そして政権に対する反対した人間を大事に扱っているわけであります。
次にいきたいと思います。国旗・国歌です。国旗・国歌はどういうものかといいますと、皆さんもうご存じやと思うのですけれども、これは国対国の平和と、そしてやっぱり相手の主権を尊重し、日本も尊重して平和な国歌をつくろうよということであります。それは確実に学習指導要領にも明記されているわけなんです。これはそういう問題で、資料にも渡させていただきました。
そして、東京書籍にはどういうことを書いているかといったら、ここに書いているように、1999年にはじめて法律で日章旗、国歌が君が代と定められたというのだけの説明であります。国旗・国歌の意思と態度というのはほとんど子供たちにはわからないです。じゃあその前はどうだったのかというと、認められてなかったという、関連法で認められていたわけなんです。だから、こういう書き方をして、誤解を与えるように、誤解を与えるように書いているのが、今の東京書籍だと、そのように思います。そういうことであります。
そして、3番目に移りたいと思います。これは議長からお許しをいただいた子供の権利条約の話であります。大変気分が悪い。子供の権利条約って、子供たちがつくったという形で、田辺市にできたり、和歌山県全部で書いています。中の規律で、私は、テニス部に入りたい、私はサッカー部に入りたい。サッカーには男しか入れないよ、それは差別であるというような項目があるわけなんです。そういう文言はないんです。子供の権利条約に。
よく似たようなそういうことを主張できる文言はあるんですけど、それを回り回って、そして小さな穴をこじ開けるような感じで、無理やりそういう話をしてるんです。帰ってからまた後でこれを言いますけど、一つだけ教育委員会に聞きたいと思います。
聞いたのは、サッカー部に女の子も入れるそうであります、田辺市は。しかし、サッカー部に男だけでしたら、それは差別であるんか。そして、子供たちに、また別に勉強、勉強と言ったらあかん、子供たちにも遊ぶ権利があるよというニュアンスが書かれています。それもそういう権利条約がどこかなと思ったら、こういうニュアンスでも何でもないのです。子供の権利条約は、あの開発途上国で、子供たちが戦争に駆り出されたり、教育も受けなくて働かされたり、そういう子供たちを保護しようというのが、大前提の国連の条約なんです。それを無理やり日本に押しつけて、お父さんの話を聞くな、そして、男女差別をあおるような書き方をしています。そして、最後に、これは子供たちが小学校6年生から高校1年生たちでつくりました。
うそつけと、私はここで言ってもいいわけ、この正式な場所で言ってもいい。あの文章、あの書き方は、それだけの判断できる子供たちがつくったもんではないですね。これは指導を確実にしてます。一度私も子供の権利条約を読ませていただいたのですけれども、あの条約をねじ曲げて、ねじ曲げて、小さな穴を無理やり押し開けたような条約で、そして全国の小・中学校に配って、そしてこの間もエレベーターの前の人権推進室の前で、また配っている。この間、田辺市はやめてくれと言ったものをまだまたこういうふうにして配っている。このことでひとつお伺いしたいんですけれども、そのことは差別なんかどうかということをひとつ明快に答えていただきたいなと思います。
(15番 大倉勝行君 降壇)
○議長(吉本忠義君) 15番 大倉勝行君の質問に対する当局の答弁を求めます。
市長、真砂充敏君。
(市長 真砂充敏君 登壇)
○市長(真砂充敏君) 議員ご質問の1点目、梅の立ち枯れ問題のご質問にお答えします。
梅生育不良につきましては、8月18日に、被害農家の方々と一緒に現地を回り、直接説明を聞くとともに、市に対するご意見や要望を伺い、短い時間ではありましたが、認識を深めさせていただいたところであります。
現地の視察では、芳養、稲成地区の最近立ち枯れが急激に広がっている園地や上芳養、秋津川地区では、早くからの立ち枯れ発生により、全滅になり既に廃園となってしまった園地、また、近年完成した農地造成の現場などで、農家役員から説明を受け、改めて立ち枯れの被害の甚大さと深刻さを痛感するとともに、生活を支える梅の重要性と梅栽培にかける農家の皆さんの強い熱意を感じたところであります。
また、懇談会の場におきまして、梅枯れ対策期成連盟、田辺うめ対策協議会、紀南農協の農家の役員さん方からは、梅生育不良の20年近くに及ぶ経緯や立枯れによって大幅な減収となったが、山間地域では、生活を支えるのは梅しかない。また、原因としては、現場で真剣に取り組んできたが、栽培管理では納得がいかない。なぜ原因を御坊火力発電所と考えてきたのか、その根拠などについてさまざなご意見を伺ったところであります。
さらに、今後の取組の中で、市に対する要望としましては、発電所排煙と梅枯れとの因果関係を追求するための研究の継続や関西電力へのばいじん提供の働きかけ、また、今後も農家と懇談の場を持つことなどについて要望をいただきました。市としましては、農家の立場に立ってこの問題に取り組むという考えから、関西電力へのばいじん提供については、先月8日に、紀南農協の組合長と共に関西電力和歌山支店長に面会し、要望するとともに、県庁農林水産部にも協力要請をしてまいったところであります。
ばいじん提供の実現までには、研究の化学的妥当性等の課題は残されておりますが、市としましては、田辺うめ対策協議会を中心に、原因解明の研究と対策の取組を進めるとともに、今後も機会をとらえ、農家の皆さん方と話し合いの場を持ちながら、梅生育不良が解決に向けて前進するよう、一層の努力を重ねてまいりたいと考えております。
次に、議員ご質問の平成18年度から使用する中学校社会科歴史・公民教科書が東京書籍の教科書に選定されたことに関し、市長は支持するのかについてのご質問にお答えいたします。議員ご承知のように、教科書採択は、当地方五つの市町で構成する西牟婁地区教科用図書採択協議会が、教科書検定に合格したものの中から最も適していると考えられる教科書を選定し、選定された教科書を各教育委員会が承認して決定するものであります。
さて、今回の教科書採択は、次の手順で採択されたと、教育委員会より報告を受けています。まず、5市町の教師の中から、各教科の専門的知識が深く、指導がすぐれていると思われる者に、研究調査員を委嘱し、研究調査をしてもらったこと。
次に、5市町の中からPTA代表、学校長代表、学識経験者等に、教科書用図書選定審議委員を委嘱し、その選定審議会に研究調査結果を報告して、意見を聞いたところ、選定審議委員は研究調査員が推薦する教科書を支持したということ。
最後に、教育長などで構成する採択協議会は、前二者の意見や諸資料を参考に協議して、採択教科書を選定し、各市町教育委員会がそれを承認して採択したとのことでした。教育に関係する人々の代表が、十分研究協議して選ばれた教科書ですので、私は各学校において採択された教科書を有効に活用して、教育の充実を図られるように期待をしているところであります。
以上です。
(市長 真砂充敏君 降壇)
○議長(吉本忠義君) 続いて、教育長、愛須恒藏君。
(教育長 愛須恒藏君 登壇)
○教育長(愛須恒藏君) 教科書問題に関する教育委員会へのご質問にお答えします。
まず最初に、田辺市教育委員会としての案をもって採択協議会に臨んだのか、案があったら、どの教科書を選んでいたのかということについてお答えします。
田辺市教育委員会では、採択協議会に臨むに当たり、教科用図書採択基本方針を次のように定めました。1、田辺西牟婁地方採択協議会研究調査員の研究調査結果を尊重する。2、田辺西牟婁地方採択協議会選定審議委員の意見を尊重する。3、県教育委員会の通達と調査資料を尊重する。4、学校や教科書展示会に出された意見を参考にする。5、市民等の意見を参考にする。6、以上5点の上に立って、採択協議会委員に教科書選定を一任する。7、採択協議会で選ばれた教科用図書を田辺市教育委員会が承認して決定するの7点であります。
したがいまして、研究調査員の調査結果や選定審議委員の意見などを十分尊重し、採択協議会で検討協議の上、選定することが重要であると考えていましたので、具体的な案をもって採択協議会には臨んでおりません。
次に、質問にあったかどうかわかりませんけれども、3点目の採択協議会の内容についてのご質問のうち、1点目の教科書採択を決定した部分の議事録はないのか。どのような話し合いをして、どう決定したのかについてお答えします。
研究調査員の研究調査結果報告を受け、続いて選定審議委員の意見を聞いた上で、各委員が意見交換し、協議の煮詰まったと思われる段階で、会長が意見多数と思われる教科書の会社名を提示し、それをもとに協議の上、選定いたしました。その部分の詳細な記録はとってございません。
次に、学習指導要領に準拠しているかどうかを見る15項目をどのように決めたのかということですが、県教育委員会の教科書採択基準に関する通達の第一に、中学校学習指導要領一部改正の趣旨及び各教科の目標や内容を十分踏まえることと示されていましたので、これに従いまして、社会科改訂の趣旨の中に内容の厳選に努めるとともに、学び方を学び、学習の充実を図り、みずから学び、みずから考える力を育成することが重要であると記されており、また、網羅的で知識偏重の学習にならないこと。基礎的・基本的な内容に厳選すること。学び方や調べ方の学習、作業的・体験的な学習や問題解決的な学習など、生徒の主体的な学習を一層重視すること等が示されていること。そして、学習指導要領の目標及び内容の中から、大事と思われる事項を選んで3点のバランスを考えて採択協議会で、この15項目を決めたところでございます。
続いて、丸、三角の評価をつけているところについてのご質問でございますけれども、これにつきましては、15項目につき、一たん各教育委員会に持ち帰り、試験的に扶桑社と現在使用しています東京書籍の2社について評価して持ち寄りました。それをもとに採択協議会で研究協議をしましたが、意見がさまざまでまとまらず、その場の空気から、会長が案として提示した資料がそれでありますが、これにつきましても多くの意見が出て一致できませんでした。
そればかりではなく、このような分析をすれば、全教科、全会社の教科書を分析する必要が生じ、莫大な労力を必要として、時間的に余裕がないこと等勘案し、文部科学省の教科書検定に合格したものは、学習指導要領の許容範囲であるものと判断して、採択することにしました。
したがいまして、その資料は完成されたものでなく、教科書採択資料として使える公正な資料にならないと判断し、途中で分析を中止して、教科書採択時には資料として使いませんでしたので、ご理解いただきたいと思います。
次に、戦争を賛美する教科書、戦争に道を開く教科書と、扶桑社の教科書を一部の日本人、韓国人、中国人が声高く叫んでいたが、扶桑社の教科書の内容の中にそのような部分があったのか、あったと感じたなら、その部分を具体的に示してもらいたいということについてですが、採択協議会では、そのようなことは協議題にはあがりませんでした。私自身も、その教科書について、戦争を賛美したり、戦争に道を開く教科書であるというような考えは持っていません。
次に、学習指導要領に基づき、東京書籍と扶桑社がそれぞれ国旗・国歌、拉致、歴史の人物についてどのように取り上げているのか、それについて教育長はどう思うのかというようなご質問であったかと思います。答弁して書いていますことが、多少質問とは違いますので、それらについて私の考え方をご説明申し上げます。
まず、国旗・国歌のことにつきましては、両者とも法律で定められていることや国同士協力の上で大切であると説明していますが、学習指導要領では、その意義の理解や尊重する態度の育成を求められている点から考えると、扶桑社の方が使用しやすいのではないかと考えます。
次に、人物の扱いでございますけれども、人数の多い、少ないについては長短があり、一概に評価はできませんが、扶桑社ほど多いと、授業時数の確保が厳しい実態から考えて、一人ひとりの人物のついて、時代背景の中でその人物の活躍を考えさせる指導が難しく、知識偏重の授業に陥りやすいという、そういう意見もございます。
また、大石内蔵助を例に挙げますと、武士道と忠義の概念という見出しで、読み物コラムで1ページにわたって取り上げられていますが、内容が難しく、抽象的で中学2年生の内容にしては、ちょっと内容が深入りしているのではないかという、そういう意見もございます。
拉致問題につきましては、歴史では、両者同じ程度の扱いをしていますが、公民では東京書籍は、世界の平和のための学習の中で、日朝関係と拉致問題の現状を説明し、扶桑社は我が国の防衛と課題の学習の中で、東京書籍と同じような説明をし、さらに冷戦後の我が国の役割を学習した後、課題学習として、主権が侵害されるとはどんな場合かということで、拉致問題を考えさせようとしております。拉致の問題については、外交上の問題もございます。人権問題も含めて考えるようにすることの方がいいのではないかと、このように私は考えております。
最後に、ご質問にはございませんでしたけれども、どうして東京書籍を選んだのかというご質問でございますけれども、それは研究調査員が推薦する教科書であり、選定審議委員は、研究調査員の推薦する教科書に賛同されましたし、教科書の編集も総合的に判断して、5人の教育委員の判断から、東京書籍がいいのではないかということで採択したところでございます。
採択した教科書については、学校では、教科書の足りないところがあれば補いながら、充実した学習をするよう指導してまいりたいと思いますので、ご理解賜りますようお願いいたします。
議員からご質問いただきました和歌山県人権啓発センターが作成しましたパンフレットに掲載されている女の子が「サッカー部に入りたいが、男の子しか入れないのよね」と問いかけたのに対して、男の子が、「サッカーは男がするもんだろう。女がやりたいなんて変じゃん」と答えている会話の場面の事例に「差別の禁止」と見出しをつけていることは、適切でないと考えるがどうかについてお答えいたします。
現在、田辺市内の中学校の部活動は、どの部も男女の性別による入部制限はしておりません。また、この対応は全国的な流れとなっています。その理由は、性別による制限を加えることは、男女平等の精神に反するからであります。したがいまして、ここでは2人の男女生徒のような考えを持つことは、男女差別につながりますということを学ばせるために、差別の禁止という見出しをつけたものと推測しますが、見出しとしては、男女の平等とするのも一例ではないかと考えます。
よって、差別の禁止という表現は間違いであると断定できませんが、パンフレットに掲載する内容や表現については、十分吟味することが大切であると考えます。先ほどもお話がありましたが、このパンフレットは中学校1年生から高校1年生までの生徒がつくったもので、説明不足等でところどころ誤解を招くところがあるように思います。県下の子供の人権啓発に使用するものですから、細やかな配慮があればなと思います。
以上でございます。
(教育長 愛須恒藏君 降壇)
○議長(吉本忠義君) 15番、大倉勝行君。
(15番 大倉勝行君 登壇)
○15番(大倉勝行君) お答えいただきまして、ありがとうございます。
今の子供の権利条約、こういうもんなんですね。そして私たちがつくりました、うそつけという話ですけどね。その差別の禁止という欄があります。おおむね今、教育長が言われたのです。じゃあ本文の12条はどういうことかといいますと、ちょっと読んでみます。
「児童又はその父母若しくは法定保護者の人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的、種族的若しくは社会的出身、財産、心身障害、出生又は他の地位にかかわらず、いかなる差別もなしにこの条約に定める権利を尊重し、及び確保する」って、これが原文なんですよ。この12条はこういうふうになってるんですね。すべての子供は権利を平等に持っています。国の違いや男や女、障害のあるなし、金持ちかどうか、言葉の違い、これらの意見を持つか、どの宗教を信じるか、そういうので差別されません。それで、サッカーの話になってきてるんです。だから、本来の条約は、決して日本の子供たちに当てはまる話でも何でもないわけなんです。それでプライバシーが守られる。これは第16条にあるんですけど、それはメール見たら悪い、手紙見たら悪いという話で、プライバシーは守るんだよって、そして遊ぶ権利があるんだよって、これがおかしいですね。
これはどういう発想から出ているかといったら、お父さんに反抗してもいいんだよということ、お母さんに反抗してもいい、親に反抗しなさいよということなんです。休み、遊ぶ権利がある、そういうことをわかりやすくして、ただ、虐待していることもあって、時代にマッチしていることもありますけれども、現実にここに書かれていることは、本来の児童の国連で定めた子供の権利条約を日本は批准したんですけども、それから大変逸脱した内容になっていて、そして子供がこの部分をこのように書きかえる能力が、そこまであると思いますか。
それを和歌山県はそういうふうに書いているのです。それで子供たちに意見があって私たちがつくりましたと書いて、それで小学生、中学生に配っている。それが問題だと言っているわけなんです。だからその点を教えてください。それで、そう考えたら、こういう変なものは田辺市に置かないようにしていただきたいなと、そのように思いますので、要望しておきます。
それで今、教育長からいろいろとありました。皆さん、4年前の教科書はどういうものだったかというのをですね、3年前に扶桑社が出てきまして、7社あったんですけども、ころりと変わったんです。1社だけ変わらなかったのがあります、日本書籍新社という会社なんです。それは今までどおりの、今までどおりというのはどういうものかというたら、学習指導要領というのはきちんと先ほども見せましたけど、あったんですけれども、そうじゃなくて、別の概念で学習指導要領で教科書をつくろうというんじゃなしに、別の概念でつくってる、ここらのとこは皆さんご存じかどうかわからないですけど、ここにウラ検定というのがあります。
ウラ検定というのはどういうものかといいますと、こういうものです。日本には教科書の検定があるんですけれども、それではだめだと、もっともっと彼らの言ういい教科書を選定しなきゃいけないという形で、大阪市同和教育研究協議会というのが、ウラ検定、こういうのをしなさいよと。検定で合格してるんだけども、それではだめです、もっともっとしなさいというのがあって、45項目のチェック機関、どういうものがあるかいいましょうか。
神話、皇室中心の解釈に改正されたと明記せよ。古事記や風土記が皇室中心に解釈された、つくり直されたと明記せよ。アイヌ人の抵抗については記述せよ。忠実に前の教科書は守っているのです。シャクシャイン、教育出版は合格ですよ。明治の開放令は、天皇中心の新たな身分制度の確立であると記述。明治の開放令は、明治維新は、天皇中心の新たな身分制度の確立であると記述せよと書いている。日本の朝鮮侵略政策の流れを途切れなく記述せよ。15年戦争を侵略戦争と位置づけ、特に南京大虐殺を明記せよ。戦後補償の問題は未解決の政府の課題として記述せよ、教科書にですよ。前のやつはそれに忠実に教科書をつくっていたのです。
そこで、日本の心ある人たちはおかしいと。こういうことを子供たちに習わせたのでは、とんでもない話だと。歴史のあれであり、そして政府とか、国家に対して反逆をしなければいけないという教科書はとてもおかしい。7社がすべてそうであって、とても見れる状態でなかった。我々のときと全然違う教科書、宮沢さんが中国で謝ったときに、近隣諸国条項を入れたときから、どんどんどんどんひどくなったんです。そして、裏にはウラ検定として、そんなことを明記しなければ教科書は売れないよ。そのときに、教科書を選定しているのは、一部の学校の先生です。今の言われるような調査員の先生たちが立候補したり、そして自分たちのやりやすいとこにどんどんもったのです。調査員が選んだからって、調査員をだれに選ぶかで教科書は変わるんですから、東京書籍を選んだという人は、東京書籍を選びたいと思う人が調査員になったから選んだのであるわけなんです。私が調査員ならそんなもの選ばないです、当たり前の話であるんです。
だから、私は選ぶ一番の責任者は教育委員会にあると明記されているんですから、教育委員会でやってくださいよということをきっちり何回も何回も言っているのであります。結局、大変な教科書ができ上がりました。そして、これではだめだと、つくる会というのがあって、そして扶桑社の教科書ができ上がったのであります。それと同時に、3年前に1社、日本書籍を残して、少しもとに戻ってきたのです。それが今の教科書であるのです。日本書籍は、これで自分たちが売れると思い、そのままにしておりました。それを今回、和歌山県田辺中学校の公民の歴史に日本書籍新社が入っているという事実が今あるのです。
和歌山県の教育委員会は、向陽、橋本、田辺とあるのでありますけれども、どういうものを選んでいるか、皆ばらばらです。向陽は歴史は日本書籍新社です。そして公民が東京書籍です。橋本は大阪書籍、大阪書籍です。田辺高校は、清水書院と日本書籍なんです。
東京は、教育委員会で決めました。そして、松山の中高一貫校は、県の教育委員会できちんと決めまして、全部扶桑社になっております。和歌山県の教育委員会は、学校任せにしてばらばらです。ばらばらでも、たった1社であっても、これがとれるんです。先ほど言ったじゃないですか。2クラス80人ですか、でも1社だけでも日本書籍新社はとってるんです。現実に、田辺高校の公民の歴史は、日本書籍新社である。そして、これは多分ですけれども、その社会科の先生に丸投げをしているというのが、これは事実だと私自身はそう思います。
こういう歴史があります。だから、これらのことをして、教科書というのはこういう歴史があるのです。だから、私たちは、日本人として本当に普通に誇りを持てる教科書をつくっていただきたいな。そしたら、戦争に道を開く教科書だ。普通に学習指導要領にのっとって調べれば、必ず右も左もない、ど真ん中をいこうってつくったのが扶桑社なんですよ。私たちにしても不満な点はたくさんあります。
しかし、学習指導要領に細かく具体的なことがきちんと載っているのです。そして、本をこうして並べてやったならば、その方向はだれでもわかっている。それがきちんと具体的に載っているのですから。しかし、今回は東京書籍を選びました。全国の心ある者は、東京書籍のこういう形で比較本が載っています。そして、今の東京書籍もあとの7社も、やっぱりウラ検定の意向をそのまま階級史観、闘争史観に準拠して本づくりをやっているというのを我々は理解しなければいけない。
我々の子供、田辺市の子供をあの革命の教師に育てるのか否かというのが、この今教科書選びの原点であるのです。だから、我々はもっと真剣になってやらなければいけない。本当に田辺市の教育委員会の先生方で選んでいただいたならば、私はこういうことは起こらないと思います。先生たちが調査員に丸投げをしたから、こういう話になっているのであって、調査員がそっちの方向だったらそう決まりますよ。
それで、先ほども言わせていただいたのですけれども、その中での会議録が出てますから、一回読んでみてください。学習指導要領の中身のどうのこうのという話は全然載ってないのであります。そのときに載っているのは、戦争の真実です。戦争の真実って、戦争があったことは事実であります。そんなこと隠している教科書でも何でもないのです。まだ言いたいことは何ぼでもあるんですけれども。
そして、私は今聞かせていただいた、指導要領に基づき、扶桑社の教科書に対して東京書籍の方がすばらしい、すぐれていると感じたところ、比べてみて選んだのですから、すばらしいと感じているところを歴史、公民に分けて数カ所でいいですから教えてください。私は1カ所でいいと思いますよ。この指導要領にこう書かれています。それについて、東京書籍はこう、扶桑社はこう書かれています。だから東京書籍の方がすばらしいんですよという、一つもなかったじゃないですか。
選定員が選んだ、そして協議会で多数決でそういうふうに選んだ。つまり総合的に何やわからんけど、ホワンとした感じで、何やわからんけれども、そっちの方がええんやないかなというふうにして選んだということです。具体的なところは一つもなかったと思います。
それで、先ほどの3点ですけれども、歴史の人物は難しい。これだけ教えられない。歴史のあの辺、近代史のとこ教えてないやないですか。歴史の人物でそこが難しくなる、すみからすみまで教えなくていいんですよ。教えたいところだけ教えたらいいのであって、難しいというのだったら、そのように教えるのが教師の役目であります。
歴史とは人物であるのです。その時代、時代に、我々の先輩の時代に苦しいこともあった、国家としての危機もあったときに、そのときにどれだけ真剣に、一生懸命に、我々後輩のために残そうと思って頑張って、汗と涙と血を流したか、それが我々日本人の歴史であるはずであります。それの歴史に、我々日本人の人物たちがいるはずなんですよ。それを韓国人を連れてきたり、わけのわからない人物を連れてきたり、それがおかしいと言っているのです。歴史というのは、人物のその時代時代の働きであるように思います。
一度東京書籍と扶桑社と見てください。この東京書籍にある人間で、まことわからんのがおるやないですか。柳宗悦、ビゴー、ビゴーというのは日本人をばかにした絵描きですよ。そういうものを載せて、何で日本をばかにした教科書を我々の子供たちに与えて、いつまでもいつまでも、60年たった今まで、日本人は悪かったと、そのように教え続けているのか、私にはなかなか理解できません。
私は、この問題は、1時間半でありますから、聞いてないことたくさんあります。そして、そこまでも時間的にあれやから、質問そこまでやめてくれという話ももらってますので、この問題は毎議会やらせていただきたいと思います。
ですから、今議会でこれで終わりますけれども、最後に一言だけ、教育長、選定委員会の決定は、丸投げではなかったのか。選定委員会の委員はどのようにして選んだのか、その中で、人物の差しかえはあったのかなかったのか、それを質問いたします。
2回目の質問を終わります
(15番 大倉勝行君 降壇)
○議長(吉本忠義君) 15番、大倉勝行君の再質問に対する当局の答弁を求めます。
教育長、愛須恒藏君。
(教育長 愛須恒藏君 登壇)
○教育長(愛須恒藏君) 大倉議員から出されました資料の一番最初のところに、人物が東京書籍と扶桑社を比較して載っているわけでございますけれども,扶桑社の方に載っているものの8割、9割は、東京書籍の中にも載っているわけでございますが、少し詳しくなっているかどうか、下のところに書いていますから、詳しく書いているものを取り出しての比較だと思います。
これにつきましては、扶桑社の方は、その時代をリードした、指導されたそういう立場にあった人を大体中心に書かれております。左側の方は、歴史へのアクセスとして、そういう時代に指導者の方も普通の文の中に入っているのですけれども、指導者と違う立場の人々はこういう動きもあったんだよという方向へアクセスするという、そういう趣旨で載せられているように私は思うのです。どちらがいい悪いということを言っているのではございません。
大体これずっと見られたら、右側の人々の共通する点と左側の方で共通する点があろかと思います。そういうところは、歴史の教科書を採択するところのいろいろ意見がございまして、一致することが非常に難しいところもあることは事実でございます。
それから、選定調査員ですけれども、これは先ほど市長の方からおっしゃってくれておりましたけれども、この地方で社会なら社会、理科なら理科、これは龍神、本宮も含めまして、全体の中で一番その教科について知識が深く、しかも毎日の授業が偏りがなく公平にやっておられると、こういうふうに思うものを各教育委員会から推薦してもらって、その中でみんなでこの人物がいいんちがうんかということで精査して、その上で決めたわけでございます。
ですから、調査した人々は偏りのない、しかもその道に詳しいという人を選んだところでございますが、他の人から見れば、そうではないとおっしゃられるかもわかりませんが、5人の教育長が一致できた人物でございます。なお、この教育委員会が研究調査員の出てきたことをそのままうのみにしてしまったのかということでございますけれども、一応この東京書籍を総合的に評価したという理由は、きちんとまとめてはいるわけでございます。
その一部をちょっと読ませていただきますと、写真は非常に鮮明で明るく、メリハリのある構成である。また単元の初めに写真を入れ、導入、興味、関心を持たせられるように工夫をしている。1時間見開き2ページの構成で、単元ごとに学習課題を明確にしている。また、本文や資料を使って、基礎的・基本的な内容の確実な定着が図れるように工夫している。歴史スキルアップは、歴史資料の見方や調べ学習の際の手法を示し、基礎的技能を修得できるようになっている。各章末にまとめのページがあり、学習内容が定着するよう発問になっている。
発展的な学習については、深めよう、発展学習及び個に応じた指導ができるような構成になっている。分量が適正で、内容が精選されていること。多様な視点で学習を深めるためのコラムが設けられていること。生徒が学べるように工夫していること。文字が小さくないので、読みやすいとか、いろいろそういう総合的な面で選定審議委員で選びましたし、そういう点を田辺市では、各教育委員が共通理解をして、最終、東京書籍というふうに決めたところであります。
さきの段階で説明がちょっと抜かった点については、おわびいたします。
以上でございます。
(教育長 愛須恒藏君 降壇)
○議長(吉本忠義君) 15番、大倉勝行君。
(15番 大倉勝行君 登壇)
○15番(大倉勝行君) 東京書籍に選定したということですけれども、選定基準がないのにもかかわらず、総合的に他の基準は使っていないと、じゃあどんな基準でやったのかなと、そのように思います。先生らの話でこうやという、そこにも基準も何もなかったんですね。だから、学習指導要領に準拠したという基準が、全く明確でないと思うんですね。
私も時間ないので、これで終わるわけでありますけれども、全部の教科書には、教育指導要領には、大和朝廷を教えなさいと。あとのものは大和朝廷とは書いてないのです。そこには理由があります。やっぱり今の資料の中にもあるのですけれども、それは一つの皇室とか、天皇をいやしめようという気持ちですね。きちんと大和朝廷について書けといったら、大和朝廷について書いたらいいのです。
それはどういうことかというと、やっぱり私は、綿々とした今までの教育界の階級史観にのっとった教科書をつくっているから、そういうふうになるのだなと思います。日本は、子供たちに教えるのは、やっぱりきちんとしたど真ん中の教科書でなければいけないと思います。そして、教育長も話されたというのでありますけれども、ここらのところ先ほど言わなかったですけれども、どういうことを書いてあるかと言えば、「現在も他国へ戦争は許されないことであり、以前の戦争は外国へ行っているということから見ても、自虐的とは言えないのではないか」、こういう話を教科書選定の中で話すること自体おかしいのであります。
そして、今まで東京書籍の教科書を使ってきて、学校現場から不都合という意見は聞いていないし、継続使用して不都合ではないように思う。これがそれらの会議の内容ですよ。本当にこれだけ我々一生懸命一般質問でして、そして読む力もないこの頭で学習指導要領も1ページ、1ページめくってきて、そして何とか先生、教育委員会で決めてくださいと、それが国の方針ですしというのにもかかわらず、丸投げをしている現在を見たら、本当に情けなく思います。
最後に一言、私はこの決定は支持することは全くできないということを明言しておきまして、私の一般質問を終了させていただきます。
ご清聴ありがとうございました。(15番 大倉勝行君 降壇)
○議長(吉本忠義君) 以上で、15番、大倉勝行君の一般質問は終了いたしました。
休 憩
○議長(吉本忠義君) この場合、午後2時40分まで休憩いたします。
再開の際は、議案書を持参願います。
(午後 2時24分)
────────────────
再 開
○議長(吉本忠義君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
(午後 2時40分)
○議長(吉本忠義君) 続いて、7番、安達克典君の登壇を許可いたします。
(7番 安達克典君 登壇)
○7番(安達克典君) それでは、通告に従いまして一般質問を行わせていただきます。
まず、1点目、農林業の振興についてであります。森林は美しく豊かな国づくりの基礎であり、国土の保全、水源涵養、自然環境の保全、地球温暖化の防止、林産物の供給等の多面的な機能を有しています。森林に対する住民の多様な要請にこたえるためには、森林の適正な整備・保全、林業の持続的かつ健全な発展、林産物の供給・利用の確保を図ることが必要であります。
一方、林業の採算性は大幅に低下し、停滞してきているため、林業生産活動を支える山間部地域の活性化が必要であります。昭和45年、龍神村において、村、森林組合、林業研究グループ等6団体による「龍神林業開発会議」が創設されました。地域住民の各機関団体が同じテーブルにつき意思統一を図り、「苗木づくりから住宅産業まで林業の輪を広げよう」という目標が掲げられました。以後、優良材生産を目指した山づくり、素材市場の開設、林業後継者対策、地元材による公共施設の木造・木質化、加工流通部門の拡充などを目標に向けたさまざまな取組が行われてきました。
しかしながら、先日行われました龍神村森林組合の原木市場での平均単価が、過去488回の中で最も低い価格をつけました。このことが生産をする林家、素材を取り扱う森林組合自体の危機的な状況を象徴しています。今、やるべきことは何か、やはり環境林としての森林整備の促進をおいてほかにはないと思います。
新市における除間伐対策、特に田辺市が持つ市有林は民有林の手本となるべく保育間伐を促進し、林内整備を進めることが必要と思われます。市有林の長期計画について、担当の森林局のお考えをお聞きします。
また、除間伐、枝打ちを推進していく上で、林道の整備は重要であります。尾根筋に道ができ、そこから作業道がつけられ、これにより「グラップル・プロセッサー」といった高性能機械による搬出が可能となり、作業工程の合理化が図られます。新市の建設計画にも搭載されております林道基盤整備事業と作業道の推進について、担当課のお考えをお聞きします。
次に、当地域の森林は、急峻な地形の上、集中豪雨にも見舞われやすい気象等、山地災害や森林被害等が発生しやすい状況下にあります。このため、被害箇所の早期復旧をはじめ、治山施設の整備を行い、災害を未然に防止し、安全で安心できる豊かな暮らしを実現できるよう、災害に強い森林づくりを一層推進していく必要があると考えられます。
現在、中辺路、龍神においても、治山堰堤に間伐材が使用され、施工されています。これは見た目にもとてもよいし、環境にもやさしい、今後も間伐材が有効利用できないか県にも働きかけ、積極的な災害対策に取り組むべきと考えます。
もう1点、田辺湾内へ間伐材を利用した魚礁が設置できないか。その効果、影響を踏まえた上で、今後の取組をお聞きします。
次に、地域材利用の推進についてであります。地域材利用の推進については、ターゲットを明確にし、供給体制、整備の方向を定めることが大切ではないでしょうか。また、近年、消費者側には、地域材や健康に配慮した木材を利用したいという意識が芽生えつつあります。それを具体的な需要につなげることが重要であると考えますが、新市としての利用促進についてお尋ねします。
次に、近年、サル、イノシシによる鳥獣等による農林産物への被害が急増し、特に高齢化や過疎化が進む中山間地帯での被害が大きく、過疎化を一層促すことにもなりかねない状況です。農業側から見ても、農業所得の減少になり、農業生産の意欲の減退、耕作放棄地の増加等、地域農業への振興に大きな影響を及ぼしています。さらには、地域住民への生活そのものへの不安も広がっています。鳥獣害対策は、総合的な取組が必要です。
農林水産省が、都道府県を通じてまとめている鳥獣による農作物の被害面積は、2001年のこれはデータなんですけれども、被害面積のトップはシカで、全国で約4万ヘクタール、全体の7万2,000ヘクタールのほぼ半分を占めています。2位がイノシシで、1万7,400ヘクタール、これが24.1%、3位のサルが4,300ヘクタール、7.1%と続いています。また、鳥獣類による被害、同じ2001年のデータを見ますと、鳥類で96億4,700万円、獣類による被害120億6,800万円、合計217億1,500万円にも及んでいます。
各地では、これまで創意工夫を凝らした対策がとられてきました。農地をトタン板などで柵をつくって囲い込む対策が多く、そのほかの対策としては、電気柵や防護ネットの設置、また猟友会による有害駆除等が行われてきましたが、鳥獣害対策は、絶対的な決め手や秘策がないのが実情ではないでしょうか。
私も兼業農家の家に生まれ、農家の苦労を肌に感じながら育ってまいりました。暑い日も汗をかきながら、精魂込めてつくった農作物を一夜にして荒らされた現場を何度も見てまいりました。高齢化が進む山間部では、車に乗っていつでも買い物に行ける人ばかりではありません。その野菜を毎日の食材にし、また、都会にいる子や孫に送り、「その喜ぶ声が聞きたいんや」、そんな方々の悩みを少しでも解消できないか、被害を聞くたびにいろいろと考えさせられます。
また、ヒノキの幼木は、集中的な被害を受けています。ヒノキの葉はエサに、また成長途中の木は、シカの角研ぎに使われ、樹皮がはがされ、立枯れをしてしまう、そんな状況であります。今、行政が取り組むべきことは何か、お聞きします。
このように農林業を取り巻く環境は非常に厳しく、林業が業とならない状況にあります。今こそ林家への新しい情報を提供するためにも、普及活動が大切であると考えます。過去には、龍神にも林業改良普及員が県から配置され、活動されていたようでありますが、私が龍神に帰ってきた平成10年には、その姿はありませんでした。今後の市としての普及活動についてお聞きします。
続きまして、大きな2項目、道路網の整備についてであります。国道371号の整備促進についてお尋ねします。本宮から中辺路へは311号が整備され、中辺路から龍神へは県道が整備され、旧美山村を経由し、金屋・吉備へのルートが、今や紀南、また紀伊半島の第2ルートと言っても過言ではないくらい交通量が増加しています。物流社会におけるこの道の役割は、大変重要であると考えます。
しかし、もしこの中辺路から龍神における県道で災害が発生した場合、深刻な問題に発展すると考えられます。この点から見ても、現在、新市建設計画に基づき整備中である龍神と中辺路を結ぶ国道371号は大変重要になってくるはずです。また、観光面から見ても、高野熊野を結ぶルートとして重要な路線であります。現在、工事が進められている中辺路工区の現状と今後の工事の見通しについて、また、現在、工事が休止されている龍神工区について、これからの見通しはどのようになっているのかをお聞きします。
次に、県道、市道の整備についてであります。県道龍神十津川線は、地域住民の生活道路であり、また、木材の搬出、現在工事が進められている林道小又川・丹生ノ川線、虎ケ峰坂泰線の大型工事車両の進入路として、そして、現在県内外から多くの方々から注目されている丹生ヤマセミ温泉へのアクセス道路として重要な路線です。この路線は幅員が大変狭く、乗用車同士が出会った場合でも、交わせない箇所が多いのが現状です。安全面から見ても、拡幅、改良が急がれます。その進捗状況についてお聞きします。
また、龍神においては、橋梁の幅が狭いため、救急車をはじめとする緊急車両が進入できない地域があります。新市の均衡ある発展という観点から見て、今後どのような対策をとっていくのかお聞きします。
次に、新しい観光戦略についてであります。高野熊野が「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録され、多くの観光客がこの地域を訪れているところではありますが、ある大手保険会社が、関東、関西で1,740人にアンケートをとったデータを見てみると、関西の世界遺産に対する認知度は、関西で70%、関東では50%、そのうち訪問したという人が、関西では、この熊野に対して28%、関東では12%、今後訪れたいという人は全体の65%でした。
また、政府が進めるビジットジャパンキャンペーンでは、現在、日本を訪れる外国人旅行者、年間500万人を2010年には、1,000万人に目標を定め、受入れの推進を行っているようです。
来る2007年には、関西国際空港の2本目の滑走路が完成し、供用が開始される予定です。まさに観光の面から見れば、関西に追い風が吹いてきていると思います。しかし、関空が幾らよくなっても、関空が最終の目的地ではありません。今までのように、各観光地単位でのPR活動も大事ですが、大きな器で周りとの連携を深め、魅力ある観光地づくりを進めていかなければならないと考えております。新市における各観光協会との連携はどうようになっているのか。また、その上での各周辺町との情報交換の強化をどのように行っていくのかお聞きします。
また、森林を活用した観光という観点から、県が推進する「熊野健康村構想」ではなく、現在、林野庁が推進している森林セラピー基地についてお聞きします。この林野庁が、全国各地に推進している森林セラピー基地の候補地31カ所の中に、和歌山県は現在含まれておりません。今後、候補地として名乗りを上げるのかどうかお聞きします。
次に、新市においての観光マップの整理はどのようになっていますか。また、今後増加が予想される外国人旅行者への対応について、英語等外国語での観光マップも重要なものになってくると思われますが、この取組についてお聞きします。
最後に、その他として、今動き出している映画の撮影取組について、担当課の取組についてお聞きします。
以上、新市建設計画に基づきまして、一般質問をいたしました。市長、担当課の実現へ向けた前向きな答弁をよろしくお願いいたします。
(7番 安達克典君 降壇)
○議長(吉本忠義君) 7番、安達克典君の質問に対する当局の答弁を求めます。
市長、真砂充敏君。
(市長 真砂充敏君 登壇)
○市長(真砂充敏君) 安達議員からいただきましたご質問のうち、3点目の新しい観光戦略につきましては、私から答弁をさせていただき、その他の質問につきましては、それぞれ担当部長より答弁をいたさせます。
さて、合併により、ますます新田辺市は、世界遺産に登録された熊野古道を核とした観光産業の振興や観光客の誘致を図るとともに、第一次、二次、三次産業間の連携と協力、提携を進めることが重要であると考えております。そのことは、とりもなおさず安達議員ご質問の1点目、新市においての連携体制と情報交換の強化にもつながっていくのではないかと思います。
現在、田辺市には、旧市町村ごとに観光協会があり、それぞれの特性を生かした独自の活動を続けております。6月議会の宮本議員の一般質問でもお答えさせていただきましたが、情報発信や宣伝活動などスケールメリットを生かせる部分の事業につきましては、連携していく必要がありますので、観光協会の連絡協議会を立ち上げるべく準備を進めてまいりました。
そして、去る9月12日に、各観光協会長、副会長の皆様にお集まりをいただき、田辺市観光協会連絡協議会を正式に発足いたしました。本協議会では、新市の広域観光事業の連絡調整を行うとともに、広域観光パンフレット作成や観光キャラバンなど、広域対応の必要な事業に行政と一体となって積極的にかかわっていただくことになっております。
また、他市町村との連携につきましては、旧市町村でかかわってまいりました熊野エリア観光推進協議会や高野龍神スカイライン観光推進協議会など、各種協議会等を通して、特に世界遺産登録の熊野古道関係では、ほぼ紀伊半島全域が連携範囲となりました。観光事業を推進するに当たっては、このことは非常に重要なことであり、それぞれの事業内容により、関係市町村と協働歩調をとりながら、事業の推進を図ってまいります。
続きまして、2点目の森林を活用した観光でありますが、新市は面積1,026平方キロメートルのうち9割近くが森林であり、この森林を活用した観光地づくりは大事であると考えております。例えば、昨年世界遺産登録された熊野古道、1,000メートルの高地でありながら、高野龍神スカイライン沿いにある関係で、手軽に散策できる護摩壇山、原生林が数多く残る大塔山、市街地近くにあり国民休養地に指定されておりますひき岩群等々は、本市の観光政策の上でも重要であります。ご指摘いただきました森林セラピー基地事業につきましては、事業内容等について、国、県とも連携を密にしながら、調査の上検討してまいりたいと考えております。
次に、新市においての観光マップの整備についてでありますが、合併に当たり、本年3月に新市の観光を網羅したパンフレットを作成したところであります。ご指摘の外国語によるパンフレットにつきましては、一部の観光協会では作成しているものの、新市共通のパンフレット等については作成されていないのが現状でありますが、国において推進していますビジットジャパンキャンペーン事業による外国人の誘客活動や熊野古道の世界遺産登録、関西国際空港の滑走路整備等により、外国の観光客増加が予想できることから、先ごろ発足いたしました観光協会連絡協議会において検討していただき、外国人を対象としたパンフレットの作成に、できるだけ早く着手してまいりたいと考えております。
4点目の今動き出している映画撮影への取組につきましては、現在、地元実行委員会が中心となり対応を行っていただいておりますが、映画撮影を側面から支援するフィルムコミッションも結成をみたところであります。また、和歌山県が中心となって新たなシネマーケティング事業として、田辺市を舞台とした撮影も予定されているところであります。このことは、田辺市を全国に発信する大変よい機会であるとともに、観光のPRの面でも大きなメリットがあると思われますので、積極的に協力してまいります。
さらに、今回の撮影だけにとどまらず、今後も豊富な地域資源を有する当地をアピールし、映画やCMのロケ地の誘致につなげられるよう関係団体と共に取り組んでまいる所存であります。
以上でございます。
(市長 真砂充敏君 降壇)
○議長(吉本忠義君) 続いて、森林局長、重根誠治君。
(森林局長 重根誠治君 登壇)
○森林局長(重根誠治君) それでは、安達議員からのご質問の農林業の振興についてお答えします。
確かに、議員言われますとおり、森林は木材生産はもとより国土保全、水資源の涵養、教育、レクリエーションの場の提供、地球環境の保全等さまざまな機能を持っております。本市の民有林面積の約70%は、ヒノキ、スギなどの人工林でありますが、これら人工林については、適切な森林整備を行うことにより、森林の持つ多面的機能がより発揮されますので、間伐事業をはじめとしまして、森林整備を積極的に図ることが重要であると考えております。そのため、国・県補助事業を活用して、その推進を図っていきます。
市といたしましても、木材価格の低迷の中、林家の負担を軽減する必要のあることから、補助対象事業費の15%を上乗せして補助するための市単独事業をさきの6月議会において議決いただいたところです。
次に、市有林についてでありますが、このたびの合併により、本市は約2,000ヘクタールの広大な市有林を有することとなりました。今年度の市有林の整備につきましては、間伐、下刈り、作業道の開設を行うこととしております。今後の市有林の経営、管理については、これまで旧市町村ごとの経営方針の違いもあったことから、新たに組織されました市有林経営委員会で調査、審議されることとなりますが、計画的な施業を行い、模範となるような森林づくりに取り組んでいく必要があると考えております。
また、木材価格の低迷が続く状況の中、森林整備とあわせて、木材の有効利用を図るためには、木材の搬出コストの低減を図る必要があり、林道及び作業道の林内路網の整備を進めることが重要であります。林道基盤整備事業につきましては、新市建設計画に基づいた事業推進に向けて、補助事業の積極的な導入を図り推進していきたいと考えております。
さらに、作業道の開設につきましては、市単独事業により、メートル当たり2,000円の補助を行うほか、国及び県におきましても、補助制度がございますので、予算の効率的な執行を行い、基盤の整備を図っていきたいと思います。
間伐材の用途開発についてでありますが、建築材や土木資材のほか、これまでも県営治山事業による堰堤工事の資材等利用が進められてきておりますが、議員ご提案の魚礁としての利用についても、その効果、影響などについて、関係課と共に検討してまいりたいと思います。治山事業につきましては、木を生かし、景観に配慮した工法等を県に対して強く要望してまいりたいと考えております。
次に、地域材の利用促進についてでありますが、まず、木のよさを知っていただくことが重要でありますことから、これまでも学校などの公共施設の木造化、木質化を積極的に行ってきたところであります。本年度におきましても、龍神地区において、新世紀山村居住モデル推進事業により、地域材を利用したアトリエ付住宅3棟を昨年、一昨年に引き続き建設を行うほか、教育関係では、上秋津小学校、請川小学校及び大塔中学校の建築に当たり、できる限りの木材を使うように設計されております。
公営住宅では、鮎川地区に津呂団地8棟を木造で建築されることとなっております。今後とも関係課と協議を行い、国・県補助事業等を活用しながら、公共施設の木造化、木質化に努めてまいりたいと考えております。
次に、獣害対策に係るご質問ですが、ご承知のとおり、野生鳥獣による農作物や林産物への被害が増加しており、重大な課題と受けとめております。それぞれの地域でさまざまな対策を講じているところですが、決定的な対策となっていないのが現状であります。
市における鳥獣害の対策といたしましては、猟友会会員といった狩猟免許所持者の銃器、箱穴などによる有害鳥獣捕獲とフェンスやネットを設置する防護柵による防除が主な対策であります。しかしながら、これらの対策でも、100%といったものではありませんが、有効な手だてであることは実証されております。
農地については、農家がみずから守ることが重要であると考えており、まず、農地を鳥獣のえさ場にしないことや、農地周辺の草刈りなどといった適正な管理を行い、鳥獣が農地に近づきにくく、環境づくりをすることが大切であり、さらに防護柵の設置を行い、防除することが重要です。
また、農地の形状等により、防護柵が有効に活用できない箇所については、銃器等による有害鳥獣捕獲の対策が必要ですが、猟友会会員の高齢化や減少といったこともあり、今後は積極的に農家の狩猟免許取得を推進していきたいと考えます。
いずれにしましても、有害鳥獣対策につきましては、防護柵と捕獲を対策の柱とし、防護柵設置につきましては、国や県などの補助事業の導入と旧町村部については、市単独事業の活用を推進するとともに、本年度から2期目といたしまして実施しております中山間地域直接支払交付金事業による防護柵設置の取組活動の推進など、防護対策を積極的に進めてまいりたいと考えています。
次に、林家への普及活動につきまして、林業施策や技術の普及、不在村森林所有者への啓発等が必要不可欠であり、今後におきましても、県の林業改良指導員、森林組合、市町村等により総合的に行っていきたいと考えております。
本市においては、合併により8万3,000ヘクタール余りの広大な民有林を有することとなり、これらの森林所有者への情報発信の重要性はますます増加しておりますが、地域林業の担い手であります森林組合が、市内に4組合存在することとなりましたので、まずはこれら森林組合の連携体制を構築する必要があると考え、意見交換のための懇談会等を開催しているところであります。
広域的な組織化につきましては、当紀南地域には、紀南流域林業活性化センターがございます。当センターは、紀南流域の林業、木材産業関係者が広く集まり、森林経営・基盤整備、需要拡大等の課題について検討を行う機関であり、今後も地域林業の発展の観点から、これら関係者と共に活動してまいりたいと考えております。
以上です。
(森林局長 重根誠治君 降壇)
○議長(吉本忠義君) 続いて、建設部長、橘長弘君。
(建設部長 橘 長弘君 登壇)
○建設部長(橘 長弘君) それでは、議員質問の2番目の道路網の整備につきまして、私の方からお答え申し上げます。
まず、1点目の国道371号の整備促進につきましてでございますが、議員ご承知のとおり、国道371号の中辺路町から龍神村に至る区間の整備につきましては、県が事業主体となり施工されておりまして、現在、中辺路町側では、二川の小学校から温川、大氏橋までの中辺路工区と龍神側では、宮前大橋から笠塔トンネルまでの龍神工区が計画施工されております。
県によりますと、中辺路工区につきましては、計画区画延長約3.3キロメートル、総事業費は47億2,000万円で、平成3年度から平成22年度までの事業としまして、これまでに延長2.8キロメートル、橋梁6橋及びトンネル2カ所のうち、橋梁5橋及びトンネル1カ所が完成しておりまして、残る橋梁1橋につきましても、今年度中の完成予定とのことであります。
中辺路工区の完成年度は、平成22年度となっておりますが、市といたしましては、早期完成に向けて、未改良の道路部分90メートル及びトンネル1カ所の合わせて0.5キロメートルの施工を県に要望してまいりたいと考えております。
また、龍神工区につきましては、計画区間延長約3キロメートル、総事業費は60億円として、平成元年に着工されまして、これまでに45億円をかけて約2.3キロメートルが改良されており、そのうち宮前大橋から市道蓑の谷線の取りつけまでの約1.2キロメートルが供用済みでございます。残る工事区間の橋梁3橋を含む延長660メートル、事業費にしまして約15億円の部分につきましては、平成15年9月の和歌山県公共事業再評価委員会による工事休止の答申を受けて、平成16年度から工事が休止されている状況にございます。
その委員会での工事休止の理由でございますが、和歌山県内陸部を縦貫する第二県土軸のうち龍神と中辺路を結ぶ道路としては、県道龍神中辺路線が定着しつつあり、国道371号の広域ネットワークとしての需要が低下しているためということであります。県の今後の方針としては、龍神工区につきましては、今後、生活道路や孤立集落対策としての必要性を再検討していきたいということであり、いずれにいたしましても、議員ご指摘のとおり、中辺路町と龍神村を結ぶ国道371号は、災害時における代替道路ともなる道路であり、また観光面からも重要な路線であることは十分に認識いたしております。
しかしながら、現在、龍神地域では、県事業として、国道425号福井バイパス工事が急ピッチで進められていますので、市といたしましては、これらの進捗状況をかんがみながら、しかるべく時期に、県当局に対し、国道371号の龍神工区の事業再開に向けて働きかけを行ってまいりたいと考えております。
次に、2点目の県道、市道の整備促進についてでございますが、議員ご質問の県道龍神十津川線の三ツ又口からヤマセミ温泉に至る3.8キロメートルの区間につきましては、区間中ほどの1.3キロメートルは既に拡幅整備済みでございますが、残る両端側の合わせて2.5キロメートルが未改良となってございます。当路線は、県において小規模道路改良事業として、年々改良整備が進められているところでありますが、改良区間が急峻な地形上、相当な事業費用が必要なことから、長期的な事業になることが考えられます。
しかし、県道龍神十津川線は、地域住民の日常生活に欠かせない生活道路であり、またヤマセミ温泉へのアクセス道路として重要な路線であることから、市といたしましては、県当局に対し、早期の改良整備に向けて要望をしてまいりたいと考えております。
次に、ご質問の市道の狭隘区間の改良整備についてでございますが、龍神村においては、ご指摘のとおり、幅員の狭い橋梁が数カ所あります。救急車や消防車が進入できない地区がございます。しかしながら、橋梁の拡幅整備、または対岸道路の整備を行うにいたしましても、技術面や財政面で非常に厳しい点がございます。
また、市内には、道路幅員が狭いことなどから、緊急自動車が進入できない地区も他にございます。消防本部では、その対策といたしまして、狭隘地区の現状把握を行い、適切な対応をしておりますので、ご理解を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
以上でございます。
(建設部長 橘 長弘君 降壇)
○議長(吉本忠義君) 7番、安達克典君。
(7番 安達克典君 登壇)
○7番(安達克典君) すべての質問に対し、現状を踏まえたご答弁をいただき、ありがとうございました。
今回の私の一般質問のキーワードは「道」でありました。国道・県道・市道・林道・作業道と、すべてが私たちの日常生活に欠かすことのできない重要な役割を果たすものであります。
今後も、新市建設計画に基づき、防災面、地域の発展のための「地元住民の強い願い」と強く受けとめていただき、特に国道371号は、高野・熊野を結ぶ平成の熊野道路として早期完成を目指し、国、県への積極的な働きかけをお願いいたします。
以上で、私の一般質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。
(7番 安達克典君 降壇)
○議長(吉本忠義君) 以上で、7番、安達克典君の一般質問は終了いたしました。
◎日程第2 3定議案第32号 工事請負契約の締結についてから日程第94 3定議案第124号 平成17年度本宮町四村川財産区
特別会計歳入歳出決算についてまで一括上程
○議長(吉本忠義君) 続いて、日程第2 3定議案第32号 工事請負契約の締結についてから、日程第94 3定議案第124号 平成17年度本宮町四村川財産区
特別会計歳入歳出決算についてまで、以上93件を一括上程いたします。
ただいま上程いたしました議案93件は、本日市長から提出のあったものであります。
提出者の説明を求めます。
市長、真砂充敏君。
(市長 真砂充敏君 登壇)
○市長(真砂充敏君) ただいま上程されました議案は、予算に関するもの1件、決算に関するもの88件、その他4件でございまして、その概要についてご説明申し上げます。
まず、議案第32号 工事請負契約の締結についてから、議案第35号 工事請負契約の締結についてまでは、近野簡易水道施設整備工事請負契約、真砂簡易水道施設整備工事請負契約、下湯川簡易水道施設整備工事(2工区)請負契約及び湯ノ又・上広井原簡易水道施設整備工事請負契約の締結について、それぞれ議決をお願いするものであります。
議案第36号 平成17年度田辺市
一般会計補正予算(第4号)につきましては、去る9月6日から7日にかけての台風14号により被災した農林施設、公共土木施設及び水産施設の災害復旧費等でございまして、補正に要する財源といたしましては、国庫支出金、諸収入、市債等をもって充てることにしております。
3定議案第37号 平成16年度田辺市
一般会計歳入歳出決算についてから、議案第83号 平成16年度本宮町四村川財産区
特別会計歳入歳出決算についてまで、平成16年度の各種会計決算47件、議案第84号 平成17年度田辺市
一般会計歳入歳出決算についてから、議案第124号 平成17年度本宮町四村川財産区
特別会計歳入歳出決算についてまで、平成17年度4月分の1カ月間の各種会計決算41件、合計88件につきまして、いずれも合併前の5市町村の決算について、地方自治法施行令及び地方公営企業法の規定により議会の認定をお願いするものであります。
なお、お手元に決算書及び監査委員の意見書とともに、主な施策の成果に関する報告書を提出いたしております。
以上、提案いたしました議案についてご説明申し上げましたが、詳細につきましては、関係部課長から説明いたさせますので、よろしくご審議の上、ご賛同賜りますようお願いいたします。(市長 真砂充敏君 降壇)
○議長(吉本忠義君) 続いて、補足説明を求めます。
総務部長、岡本美彦君。
(総務部長 岡本美彦君 登壇)
○総務部長(岡本美彦君) それでは、議案書に基づきまして、補足説明をさせていただきます。
まず、1ページをお願いいたします。
3定議案第32号 工事請負契約の締結については、近野簡易水道施設整備工事請負契約の締結について、田辺市議会の議決に付さなければならない契約及び財産の取得又は処分に関する条例第2条の規定により議会の議決をお願いするものです。
工事名は、近野簡易水道施設整備工事。契約の方法は、指名競争入札。被指名者数は、6共同企業体。入札年月日は、平成17年9月15日。契約金額は、2億3,835万円。請負人は、大阪市福島区福島6丁目2番6号 安藤・中垣特定建設工事共同企業体
代表者安藤建設株式会社大阪支店 執行役員支店長 野村俊明氏です。
なお、工事概要等につきましては、別冊参考資料の1ページをご参照願います。
2ページをお願いいたします。
3定議案第33号 工事請負契約の締結については、真砂簡易水道施設整備工事請負契約の締結について、田辺市議会の議決に付さなければならない契約及び財産の取得又は処分に関する条例第2条の規定により議会の議決をお願いするものです。
工事名は、真砂簡易水道施設整備工事。契約の方法は、指名競争入札。被指名者数は、6共同企業体。入札年月日は、平成17年9月15日。契約金額は、2億139万円。請負人は、和歌山市西汀丁26番地 ピーエス三菱・松本組特定建設工事共同企業体代表者株式会社ピーエス三菱和歌山営業所 所長 加瀬正克氏です。
なお、工事概要等につきましては、別冊参考資料の2ページをご参照願います。
3ページをお願いいたします。
3定議案第34号 工事請負契約の締結については、下湯川簡易水道施設整備工事(2工区)請負契約の締結について、田辺市議会の議決に付さなければならない契約及び財産の取得又は処分に関する条例第2条の規定により議会の議決をお願いするものです。
工事名は、下湯川簡易水道施設整備工事(2工区)。契約の方法は、指名競争入札。被指名者数は、8社。入札年月日は、平成17年9月15日。契約金額は、1億5,802万5,000円。請負人は、大阪市中央区北浜2丁目2番22号 栗田工業株式会社大阪支社 取締役大阪支社長 高橋則夫氏です。
なお、工事概要等につきましては、別冊参考資料の3ページをご参照願います。
続いて、4ページをお願いします。
3定議案第35号 工事請負契約の締結については、湯ノ又・上広井原簡易水道施設整備工事請負契約の締結について、田辺市議会の議決に付さなければならない契約及び財産の取得又は処分に関する条例第2条の規定により議会の議決をお願いするものです。
工事名は、湯ノ又・上広井原簡易水道施設整備工事。契約の方法は、指名競争入札。被指名者数は、10共同企業体。入札年月日は、平成17年9月15日。契約金額は、2億2,785万円。請負人は、和歌山市黒田35番地2 扶桑・共栄特定建設工事共同企業体代表者 扶桑建設工業株式会社和歌山営業所 所長 岩尾将治氏です。
なお、工事概要等につきましては、別冊参考資料の4ページをご参照願います。
次に、5ページをお願いします。
3定議案第36号 平成17年度田辺市の
一般会計補正予算(第4号)は、次に定めるところによる。
第1条 歳入歳出予算の総額に歳入歳出それぞれ9,815万2,000円を追加し、歳入歳出予算の総額を歳入歳出それぞれ441億6,759万1,000円とするもので、地方債の補正につきましては、7ページをご参照願います。
補正予算の内容につきましては、歳出の11ページからご説明いたしますが、去る9月6日から7日にかけての台風14号により被災した施設の復旧費用で、工事請負費につきましては工事明細を15ページに、別冊参考資料の5ページから18ページに事業箇所を掲載しておりますのでご参照願います。
それでは、11ページをお願いいたします。
林業土木費、治山事業費につきましては、崩落した法面について被害の拡大を防止するための工事費を補正するもので、次の土木管理費、土木総務費につきましては、公共土木施設災害復旧費へ人件費の更正を行うものです。
12ページをお願いいたします。
農林施設災害復旧費、現年度耕地災害復旧事業費につきましては、農道3件、農地3件、次の災害応急復旧費につきましては、農道2件、林道37件、水路1件、続いて現年度林業施設災害復旧費につきましては、林道2件の復旧費用を補正するものです。
次の公共土木施設災害復旧費、現年度公共土木災害復旧事業費につきましては、13ページにわたりますが、道路1件について災害対策工法を検討するための測量・調査・設計委託料及び道路2件、河川3件の復旧費用を、続いて災害応急復旧費につきましては、道路2件、河川2件の復旧費用を補正するものです。
また、次の水産施設災害復旧費、災害応急復旧費につきましては、芳養漁港の防波堤、井原海岸の消波ブロック等の復旧費用を補正するものです。
補正に要する財源といたしましては、国庫支出金、諸収入、市債等を充てております。
次に、旧田辺市、旧龍神村、旧中辺路町、旧大塔村及び旧本宮町の平成16年度及び平成17年度の各種会計決算についてであります。
16ページをお願いいたします。
3定議案第37号 平成16年度田辺市
一般会計歳入歳出決算についてから、62ページの3定議案第83号 平成16年度本宮町四村川財産区
特別会計歳入歳出決算についてまでは、5市町村における平成16年度の各種会計決算47件、63ページの3定議案第84号 平成17年度田辺市
一般会計歳入歳出決算についてから、103ページの3定議案第124号 平成17年度本宮町四村川財産区
特別会計歳入歳出決算についてまでは、5市町村における平成17年度4月1カ月間の各種会計決算41件、合計88件につきましては、いずれも地方自治法施行令第5条第3項の規定及び地方公営企業法第30条第4項の規定により議会の認定をお願いするものです。
お手元に、5市町村の平成16年度及び平成17年度の各会計歳入歳出決算書並びに各会計歳入歳出決算等審査意見書とともに、平成16年度の主な施策の成果、平成17年度の決算状況の報告書を提出しております。
以上をもちまして、補足説明を終わらせていただきます。
よろしくご審議の上、ご賛同賜りますようお願い申し上げます。(総務部長 岡本美彦君 降壇)
○議長(吉本忠義君) 以上をもって、提出者の説明が終了いたしました。
お諮りいたします。
ただいま議題となっております93件については、既に提出されている他の議案と同様に、後日審議願うことにいたします。
これに異議ありませんか。
(「異議なし」の声あり)
○議長(吉本忠義君) 異議なしと認めます。
よって、さよう決しました。
お諮りいたします。
本日の会議はこの辺にとどめ延会し、明9月21日午前10時から再開いたします。
これに異議ありませんか。
(「異議なし」の声あり)
○議長(吉本忠義君) 異議なしと認めます。
よって、さよう決しました。
延 会
○議長(吉本忠義君) それでは、本日はこれをもって延会いたします。
(午後 3時33分)
地方自治法第123条第2項の規定により署名する。
平成17年9月20日
議 長 吉 本 忠 義
議 員 安 達 克 典
議 員 谷 口 和 樹
議 員 鈴 木 太 雄...