〔1番議員登壇〕
8 ◎【1番岩田祐樹議員】 それでは、発言通告に基づきまして一般質問に入らせていただきたいと思います。自民党の岩田祐樹でございます。よろしくお願いします。
昨今の時代背景の中、本市を取り巻く環境も著しく変化してまいりました。このたびの一般質問では、この4年間の振り返りと、今後さらに時代の変化が大きくなることを見据えたこれからの市政運営について、順次お尋ねをしていきたいと思います。
初めに、就労者対策及び企業支援についてお聞きいたします。
有効求人倍率が44年ぶりの高水準を記録するなど労働需給が逼迫する中、従業員の離職や採用難など、人手不足による収益悪化で倒産する企業が全国で急増しております。2018年上半期は、前年同期比4割増のハイペースで慢性的な人材不足が続く道路貨物運送や、介護、木造建築工事などの業種を中心に倒産ラッシュの様相を見せております。特に地方では、急激な人口減少や雇用のミスマッチもあり、人手不足に回復の兆しは見えない状況の中、現状の打開は中小企業だけでは難しく、社会を挙げて対策を講じるしか解決策はないとまで言われ始めております。
厚生労働省のまとめでは、国内の有効求人倍率は、2017年度、1.54倍に達し、44年ぶりの高水準を記録しております。2018年度に入っても、4月においては1.59倍、5月、1.6倍、6月、1.62倍、7月、1.63倍と上昇を続け、企業の人手不足感が高まる一方であり、帝国データバンクが7月に全国の企業9,979社を対象に実施したアンケートでは、正社員の人手不足を訴えた企業は前年同期比5.5ポイント増で、過去最高の50.9%に上り、あわせて非正社員についても前年同期比3.6ポイント増の33%が不足していると回答し、人手不足が人件費の増加や事業遂行の妨げとなり、収益を悪化させる例も急増しております。また、2018年上半期に人手不足による収益悪化などを要因に倒産した事業者を調べたところ、前年同期を21件上回る70件に達することがわかりました。
このような状況の中、国においては、労働環境の改善は、企業だけでなく、今や国全体にかかわる課題と捉え、2016年9月、内閣官房に働き方改革実現推進室を設置し、働き方改革の取り組みを提唱しました。働き方改革とは何なのか確認をしたいと思います。一言で言えば、一億総活躍社会を実現するための改革と言えます。一億総活躍社会とは、少子高齢化が進む中でも、50年後も人口1億人を維持し、職場、家庭、地域で誰しもが活躍できる社会の実現であります。なぜ今このタイミングで一億総活躍社会を目標に掲げたのか。背景には生産年齢人口の減少が総人口の減少を上回るペースで減少していることが挙げられます。
言いかえると、労働力の主体となる生産年齢人口が、国において想定していた以上のペースで減少が進行しているということになります。現在の
人口増加減少率のままでは、我が国の総人口は2050年には9,000万人前後、2105年には4,500万人まで減少する見込みで、実際の働き手となる労働力人口では、第2次ベビーブームに生まれた団塊ジュニアが労働力として加わった24年前がピークと言われております。平成7年には8,000万人を超えておりましたけれども、それ以降は減少の一途をたどっております。国立社会保障・
人口問題研究所が発表した数値によれば、生産年齢人口は2013年には8,000万人いたものが、2027年には7,000万人、2051年には5,000万人を割り、2060年では4,418万人となる見込みと予想されており、このままでは国全体の生産力の低下、また、国力の低下は避けられないとして、内閣が本格的に働き方改革に乗り出したものでございます。
このような時代背景の中、本市においては、近年の状況をどのように捉え、課題認識しているのか。また、それらを踏まえ、どのような施策展開を行い課題解決に取り組まれてこられたのかお尋ねをいたします。
あわせて課題解決に向けた施策展開を行った結果、その施策効果についてきちんと検証がなされているのかをお尋ねいたします。
次に、教育・子育て支援についてお尋ねいたします。
まずは、教育行政についてでありますけれども、2016年7月29日、文部科学省は、次世代の
学校指導体制強化のためのタスクフォースの検討結果の最終まとめを発表いたしました。これは、学校教育現場の現状を踏まえた上で、次世代の学校における教員のあり方、学習指導のあり方などの方針をまとめたものであり、この内容が今後の学校教育の一つの指針となることが予想されておりますので、この次世代の
学校指導体制強化のためのタスクフォースから、今後の学校教育について順次考えていきたいと思います。
日本の学校教育のあり方は、諸外国と大きく異なる部分がございます。それは、教職員の子どもへの携わり方に関してでございます。諸外国では、教職員の業務は授業に特化しておりますけれども、日本では、教職員が授業はもとより生活指導や部活動指導までを一体的に行っております。このように日本の学校教育には子どもたちひとりひとりを総合的に把握しながら指導するという特徴がございます。現在の
日本型学校教育は、幼いうちに身につけるべき資質や人格、能力を育むための場として、学校が現在まで発展してきた姿だと言えるのではないでしょうか。このような
日本型学校教育は国際的にも評価が高く、海外でも参考にされております。
しかしながら、一方で、日本の学校教育現場では、今後取り組まなければならない課題も少なくございません。子どもを取り巻く環境といたしましては、例えば現在不登校やいじめ、校内暴力や貧困、児童虐待など、子どもを取り巻く課題は複雑化、また多様化しております。地域によっては、過疎化の進行による児童数の減少、ひとり親家庭の増加による家庭内での孤立化、地域とのつながりの希薄化といった問題もございます。
加えて、教職員を取り巻く課題といたしましては、さきに述べた
日本型学校教育はすぐれた点が多い反面、それは現場の教職員の大きな負担の上に成り立っているという現状がございます。例えば始業前や放課後、休日の部活動指導や生活指導など、文字どおり朝から晩まで、休日返上で業務に当たっておられる教職員がたくさんおります。また、子どもたちが抱える課題が複雑化、多様化していることも、教職員にとっては頭を悩ませる問題となっております。このような教職員を取り巻く労働環境、また労働条件に関する項目も今後しっかりと改善していかなければならない課題でもあると思います。
また、あわせて時代の変化に伴う課題といたしましては、グローバル化や人工知能の飛躍的な進歩によって加速度的に変化する社会に応じた教育も、次世代の学校においては非常に重要だと考えます。より広い視野を持ち、予測が難しい社会の中で生き抜く力をつけるための実践的教育が必要になると言えるのではないかと思います。このように次世代の学校教育においては引き続き解決すべき課題、また新たに取り組むべき課題がたくさんあります。このような教育現場を取り巻く環境について、本市では、近年の状況をどのように捉え、いかなる施策展開を行い、おのおのの課題解決に取り組んでいく考えなのかお尋ねをいたします。
とりわけ子どもの心の育成には一定規模の集団が必要であると考えますので、学校施設の適正配置の問題は決して避けて通れない問題であると捉えております。所管する担当部長はいかがお考えなのかお聞かせください。
次に、子育て支援のうち、家庭教育の向上についての支援状況についてお尋ねをいたします。過日の市議会第3回定例会の一般質問でも取り上げさせていただきましたが、家庭教育は全ての教育の出発点であり、教育的重要性はもとより、人格形成においても極めて重要なファクターの1つであります。家族の触れ合いを通じて、子どもが基本的な生活習慣や生活能力、人に対する信頼感、豊かな情操、他人に対する思いやり、基本的倫理観、自尊心や自立心、社会的なマナーなどを身につけていく上で重要な役割を果たしております。例えばいつも家族で、おはよう、ただいま、おやすみなどの挨拶を習慣的に行う。早寝早起きを心がけている。朝御飯は家族一緒に食べる。学校での出来事などについて子どもとよく話をする。テレビやゲームの時間などのルールを親子で話し合って決めているなど、こうした日常生活における何げない会話や習慣こそが、子どもと親とのきずなを深め、子どもと親や祖父母、きょうだいという家族を大切に思いやる感情が育まれていくことで、家庭を通じて心が磨かれていくものであり、家庭は子どもたちが最も身近に接する社会の最小単位であり、常に子どもの心のよりどころとなるものと考えます。
家庭教育は全ての教育の出発点であり、子どもの教育の第一義的責任は親が有するものであり、尊重されなければなりません。しかしながら、子どもは家庭の中だけで育つわけでもございません。学校や地域のさまざまな人たちとかかわり、見守られながら成長していきます。かつては親以外にも多くの大人が子どもに接することで、それらが全体として家庭教育を担ったり、親同士や地域の人々とのつながりによって、親として学び、育ち合うことで、子どもたちを地域の子どもとしてしっかりと見守り育てるなど、地域において子育てや家庭教育を支える仕組みが我が国にはございました。昨今では、都市化や核家族化、少子化、雇用環境の変化などにより、こうした地縁的なつながりや人との関係が希薄化し、親が身近な人から子育ての仕方を学ぶ機会が減少し、子育ての悩みなどを気軽に相談できる人がそばにいないといったような親や家庭を取り巻く状況、子育てを支える環境も大きくさま変わりしております。
また、仕事と子育ての両立の難しさなど、さまざまな要因を背景として、家庭の孤立化や、忙しくて時間的、また精神的ゆとりを持てない状況、さらには児童虐待など、家庭をめぐる問題も深刻化してきております。こうした状況は決して個々の家庭だけの問題ではございません。家庭教育はこれからの未来を支える子どもたちへの大切な贈り物でございます。そして、子どもを育てることは未来の日本を支える人材を育てるという重要な営みでもございます。
保護者の方々の頑張りに対して、地域社会や学校、行政、企業等も力を合わせ、子育て家庭の支えとなり、社会全体で子育てや家庭教育を応援していくことが大切であると思います。本市においては、近年の状況をどのように捉え、どのような施策展開を行い、課題解決に取り組んでこられたのかお尋ねするとともに、各事業効果についてもしっかりと検証しているのか、あわせてお尋ねをいたします。
また、それぞれの施策展開の中でも、平成20年度から保護者が家庭で、社会のマナーや基本的な生活習慣、学習習慣を子どもに身につけさせる家庭教育を周知啓発するためのリーフレットを作成し配付しております。八王子市の家庭教育8か条のリーフレットの取り組み状況についての進捗がございますればお聞かせください。
次に、都市基盤整備のあり方についてお尋ねをいたします。
前回の
市議会議員選挙で初当選をさせていただいて以降、約4年間の歳月が経過いたしました。その間、折に触れ地域のまちづくりの実情に触れることができました。道路整備については、東京における都市計画道路の整備方針において、4つの基本目標を踏まえ、初めに、都内にある未着手の都市計画道路を対象に将来
都市計画道路ネットワークの検証を実施するとあり、検証により必要性が確認された都市計画道路を対象として、平成28年度からの10年間で優先的に整備する路線として優先整備路線を選定し、第四次事業化計画の策定を行い、早期の整備を目指し、事業進捗を進めていくこととしております。
都では、将来
都市計画道路ネットワークの検証における考え方として、都市計画道路の整備に関して設定した4つの基本目標をもとに、都市計画道路の果たすさまざまな役割や機能を考慮し、目標実現に向けて今後も必要な都市計画道路とはどのようなものなのか検討するため15の検証項目を設け、その必要性の有無を検討するとして、今後皆様からの意見などを踏まえ、東京における都市計画道路の整備方針を策定してまいりますとあり、現在決定されている都市計画道路の計画上の課題、また、建築許可の基準、新たな計画など、都市計画道路の整備に関するさまざまな検討も行うと言われております。
都市計画道路は、私たちの生活や都市活動を支える最も基本的な都市基盤の1つでありますが、計画決定時には、当然将来的な必要性を見込んで計画されたものであります。中には計画決定後数十年単位という長時間を経たにもかかわらず事業化に至っていない計画も少なからずございます。都市計画を立案しそれを実現していくには長い歳月が必要でございますけれども、一方で、現実の社会は急激に変化しており、今後もさらに大きく変貌していくことが予想されます。このため、たとえ十分に検討して立案された計画であっても、種々の経緯によってある程度期間が経過した後にも実現していないものに関しては、新たな視点を加えた計画の見直しも必要であろうかと思いますので、こちらについては市を通じてしっかりと都に要望していきたいと思います。
また、まちづくりの観点では、市域の広い本市では、市内を大きく6つの地区に区分しておりますが、その地域特性や地域課題については違いが大きく、一様にいかないという本市特有の課題についても学ばせていただきました。今後旭町・明神町地区の再開発、医療刑務所跡地の活用、マルベリーブリッジの延伸、東京婦人補導院の跡地利用、
川口物流拠点整備事業や
北西部幹線道路整備、また、
八王子南バイパスの整備などの大型事業が控える中、八王子の顔とも言える中心市街地の活性化事業やにぎわいの創出の取り組みをはじめ、さまざまな事業が展開されております。
とりわけ中核市に移行後、都から権限移譲された事務権限を活用し取り組みが始まった
市街化調整区域における沿道集落の活力向上の取り組みでは、地元住民が主体となり、現在では
NPO法人小津倶楽部が設立され、地域の活力向上に向けた事業がさまざま展開され、週末には各地から多くの人が訪れています。まだまだ課題解決しなければならない要素はございますけれども、一定の効果が見受けられるまで進展しました。本取り組みは、地元住民と行政が新たな枠組みの中において協働で成功へと歩み始めた一例として、今後のまちづくりにおいて重要な意味を持つものと確信しております。
また、この間
土地利用計画課では、取り組み開始当時の守屋課長から竹内課長、さらには中里課長へと、担当課長が変化してきましたが、各課長のリーダーシップのもと、休日を返上してまでも担当職員が足しげく地元に入り、必ず成功させたいという強い信念のもと御努力いただいたたまものであり、頭が下がる思いでございます。市域が広いこともありますけれども、このようにそれぞれの地域で抱えている課題や解決策には大きく違いもありますので、市域の広い本市の特性を鑑み、まちづくりの推進に当たっては地域差を生じさせないような予算の均等性及び平準化が必要であると思います。
そこでお尋ねをいたしますけれども、本市のまちづくりの考え方について、それぞれの地域をどのように捉えているのかお聞かせください。
また、地域に対して地域差を生じさせない取り組みとして、どのような考えのもと地域ごとの特性をどのように捉え、具体的な
まちづくり業務に反映させているのかお聞かせください。
次に、廃棄物行政の進め方、また考え方についてお尋ねをいたします。
本市では、平成16年10月に家庭系ごみの有料化を実施し、平成19年3月には
循環型都市八王子プラン「ごみゼロ社会への挑戦」を策定し、
循環型都市八王子の実現に向けたさまざまな取り組みを推進してきました。平成22年9月には、館清掃工場を停止することができ、市内における3清掃工場体制から2清掃工場体制へと、より効率的、経済的なごみ処理体制へ移行されました。平成22年10月には、不燃ごみの減量や
二ツ塚最終処分場の延命化を図るため、
プラスチック資源化センターを整備し、
容器包装プラスチックとペットボトルの資源化拡大に取り組んだ結果、平成23年度の集計では、平成18年度と比較して、ごみ量では約1万6,200トンを、また、
埋め立て処分量では約4,350トンを削減することができ、最終処分場の延命化に寄与することとなったことを受け、平成25年に八王子市
ごみ処理基本計画、
循環型都市八王子プランを策定いたしました。
本計画は、基本構想・基本計画である
八王子ビジョン2022及び八王子市環境基本計画では、ともに資源、エネルギーの有効利用と循環型のまちづくりを目標と定めていることから、
ごみ処理基本計画策定指針に基づき、計画期間は平成25年度から平成34年度までの10年間とし、10年後の将来を見据えて、市民及び事業者と市がみずからの行動を継続的に取り組むための具体的な行動計画を示しており、5年後の平成29年度を中間目標年度としていたことから、本年7月に見直しが行われました。
中間見直しを行う以前の計画の中では、従前の取り組みの結果から現状を評価し、それに対する重点課題として、1つ、さらなるごみの減量、資源化に向けた細やかな対応、2つ、可燃ごみに含まれる生ごみの減量、資源化の促進、3つ、長期的視野に立ったごみ処理体制の確立の3項目を指定し、課題解決に向けた新たな計画の実行が始まりました。本計画が策定され中間見直しの時期を今日迎えたわけでありますけれども、この5年間でどのような施策展開を行い、どのような成果が得られたのか、施策効果の検証結果についてもお聞かせください。
以上で1回目の質問を終わります。
9 ◎【伊藤裕司議長】 産業振興部長。
10 ◎【
廣瀬勉産業振興部長】 私からは、就労対策に関する3点の質問についてお答えさせていただきます。
まず、人手不足対策に関する認識でございますけれども、本市でも有効求人倍率は上昇傾向にございまして、中小企業における
労働力不足対策は大変重要な課題であると認識をしております。
次に、これまでの施策展開でございますが、企業の魅力を発信するウエブサイトの運営や、はち
おうじ若者奨励金制度によります企業の若手人材確保を支援しているほか、就職した新入社員を対象とした合同研修を実施することで、早期離職の防止を図ってまいりました。また、国や東京都と連携して就職面接会などを実施することで、若者に限らず働く意欲のある女性やシニア世代と企業とのマッチングを図っております。
最後に、各事業の効果検証になりますけれども、景気動向や社会情勢によりまして、雇用環境に変化はございますが、採用実績などを見ると、限られた範囲にはなりますが、成果を上げているものと認識しているところでございます。
11 ◎【伊藤裕司議長】 学校教育部長。
12 ◎【
設樂恵学校教育部長】 私からは、学校教育に関する2点の御質問についてお答えをさせていただきます。
まず初めに、教育現場の状況と施策展開についてですが、御指摘のとおり、教育現場を取り巻く状況は著しく変化をしてきており、取り組むべき課題は多岐にわたっていると認識をしております。これらの課題につきましては、今後策定する第3次
教育振興基本計画の検討において整理をし、施策展開の充実を図ってまいります。
次に、学校の適正配置についてですが、平成29年3月改訂の新学習指導要領に掲げられております主体的、対話的で深い学びを推進するに当たりましては、多様な意見を聞き、自己の考えを広げ深めることが求められております。そのことからも、適正配置の推進は児童・生徒が一定の集団の中で切磋琢磨する環境を確保する上で極めて重要であると考えております。
さらに学校は、避難所のほか地域コミュニティの核としての役割も担っております。地域の子どもは地域で育てるという考えのもと、地域の拠点となるような学校施設の再編に取り組んでまいります。
13 ◎【伊藤裕司議長】 生涯学習スポーツ部長。
14 ◎【瀬尾和子生涯学習スポーツ部長】 私には、家庭教育の関係で大きく2点の質問をいただきました。
まず、家庭を取り巻く状況に対する現状認識と施策展開、効果検証につきましてですが、家庭を取り巻く状況につきましては、核家族化、さらにひとり親世帯の割合が増加傾向といった世帯構造の変化や、地域社会の変化に伴い子育てについて悩み、不安を抱える方がふえる一方、そうした方が身近に相談できる相手が少ない状況であると認識をしています。そうした時代背景にあっては、家庭教育の大切さを周知、啓発していくことは大切だと考えており、家庭教育啓発リーフレットを配付し、周知、啓発をするとともに、保護者の心理的負担の軽減を図るため家庭教育支援講座を開催する事業展開をしているところでございます。また、事業展開に対する効果測定といたしましては、毎年度点検評価を実施し、事業がより効果的、有効的となるように事業内容を見直しながら進めています。
続きまして、家庭教育啓発リーフレットについてですが、平成20年度に作成後、平成27年度までは小中学校で配付をしていましたが、平成28年度からは市内幼稚園、保育所に、平成30年度からは民生児童委員、青少年育成指導員、青少年対策地区委員会のほか、保健福祉センターでも配付を拡充し、周知、啓発をしています。また、現在リーフレットの見直しを行っており、平成31年度当初から配付できるよう準備を進めております。見直し後のリーフレットは、さらに広く伝わるよう周知、啓発方法を工夫してまいります。
15 ◎【伊藤裕司議長】 都市計画部長。
16 ◎【守屋和洋都市計画部長】 私には、都市基盤整備のあり方について2点の質問をいただいております。
まず、本市のまちづくりにおいて、地域をどのように捉えているかとの御質問ですが、都市づくりビジョン八王子では、基本構想・基本計画に示された6地域区分に従い、八王子らしい魅力豊かな地域資源を生かし、人々を引きつける民・産・学・公、協創の都市づくりを基本理念として、地域ごとの特色を生かしたまちづくりを進めることとしております。具体的には、地域ごとの都市づくりの現状と課題を踏まえ、向こう10年の都市基盤整備の方針を示すなど、地域の特色に配慮した内容とさせていただいております。
次に、地域ごとの特色をどう捉え、どのようにまちづくりの業務に取り組んでいるかとの御質問ですが、都市計画マスタープラン等の上位計画の策定段階から、人口分布や土地利用など、地域ごとのデータについて分析を行い、計画に反映するとともに、ワークショップ等を通じて地域住民の皆様の御意見を取り入れるなど、地域の特性を踏まえたまちづくりの実現に向けて取り組んでおります。また、事業実施段階においては、地域住民の皆さんに対する説明会を実施するなど対応を図っております。
17 ◎【伊藤裕司議長】 資源循環部長。
18 ◎【原田親一資源循環部長】 私からは、廃棄物行政に関する2点の御質問についてお答えいたします。
まず、この5年間の施策展開と成果についての御質問でございますが、現在の
ごみ処理基本計画の目標である
埋め立て処分量ゼロに向けて、市民、事業者への個別訪問による減量、分別啓発、ダンボールコンポストの普及促進、戸吹不燃物処理センターの手選別ラインの導入など、ごみの減量、資源化の取り組みを実施してまいりました。その成果といたしまして、平成29年度におけるごみの排出量は15万9,795トンとなっており、
ごみ処理基本計画の初年度である平成25年度との比較では約7%、1万2,000トンの削減を実現しております。また、環境省が例年発表しているリデュース、リサイクル部門のランキングにおきましても、全国に誇れる実績を上げております。
次に、施策効果の検証結果についての御質問でございます。ごみの組成分析などから施策効果を検証した結果、家庭系可燃ごみのうち、生ごみが約4割含まれていることがわかっております。そこで、新たな
ごみ処理基本計画においては、期限切れや食べ残しなどによる食品ロスへの関心を高めるための普及啓発を行うなど、家庭や飲食店での食品ロス対策を効果的に推進していく予定であります。また、ごみの中には、いまだに多くの資源物などが含まれていることから、新たな資源化手法として、剪定枝及び靴やかばんの資源化を図るとともに、現場力を活用したきめ細かな啓発活動を実施することで、既存の資源化策を適切に推進し、さらなるごみの減量、資源化を図ってまいります。
19 ◎【伊藤裕司議長】 第1番、岩田祐樹議員。
〔1番議員登壇〕
20 ◎【1番岩田祐樹議員】 それぞれにるる御答弁いただきましてありがとうございます。それでは、2回目の質問に入らせていただきます。
まず、就労者対策及び企業支援についてでございます。現在の本市における取り組み状況については、先ほど御答弁いただいた事柄以外にも、雇用、就業対策が講じられておりますけれども、その効果については、先ほどの答弁にもございましたけれども、残念ながら限定的でもあり、抜本的な解決には至っていないというのが実情かと思いますので、引き続きの御努力をお願いしたいと思います。
現在の我が国では、人手不足倒産という言葉すら生まれております。人手不足倒産とは、文字どおり労働者数が足りないことが原因で倒産につながることを指しております。経営には、人、物、金の3つが必要とされております。その人が不足することで経営が立ち行かなくなり倒産してしまうのが人手不足倒産であり、2017年1月から10月の人手不足関連倒産は実に269件で、中でも求人難型が2.2倍にふえていることからも、会社の業績がよくても人材不足により業務を遂行できずに倒産に追い込まれてしまう人手不足倒産はますます深刻味を帯びてきております。人手不足倒産の要因は、生産年齢人口の減少、また、労働内容と賃金の不つり合い、あわせて必要なスキルを有する人材の絶対数が不足していることが指摘されております。
国においても、人材不足解消に向け働き方改革の取り組みに加え、外国人労働者の受け入れを拡大するための出入国管理法も労働力確保につながる観点から受け入れを拡大するため、改正案が今まさに国会にて審議されているところでございます。現在までの出入国管理法では、我が国における外国人労働者の受け入れについては、国内労働者の就業機会を減少させるおそれがあることや、労働市場の二重構造化を生じさせることを抑制する等の観点から、単純労働については一定の制限が設けられており、これらを改正する必要があることから、国会において審議し始めたものであり、言いかえるならば、それほどまでに現在の我が国における人材不足が深刻さを増している状況を示唆しているものでございます。
この人材不足の問題については、市内中小企業でもより一層深刻度合いを強め、いずれかのタイミングで外国人労働者を受け入れなければ経営が立ち行かなくなる企業が散見されることと思います。しかしながら、いざ外国人労働者を雇用する際には、パスポートや中長期在留するものであることを証明する在留カード、就労活動を証明する就労資格証明書、在留資格の活動外で就労活動を行う許可を受けていることの資格外活動許可証などの書類提示を求め、就労資格や滞在期間、在留資格が更新されているかなどをしっかりと確認する必要があることや、居住先の確保など、中小企業にとっては極めてハードルが高いのも実情でございます。
現在の我が国における状況を鑑みると、近い将来、必ず本市においてもこれら諸問題について議論する必要に迫られるものと考えられることからも、今後の本市の就労者施策や企業支援施策の中には、以下の考え方を盛り込んでいただきたく御提案を申し上げます。人手不足倒産に陥らせないための取り組みとして、まず1つ目は、公契約における労働時の労務単価の適正な反映を可能とするための契約積算額の精度を上げる取り組み。2つ目として、適正な設計及び積算を実現するための専門職や技能職の確保及び育成でございます。最後に3つ目として、外国人労働者の受け入れをサポートし、居住先の確保支援や事務手続支援のためのアドバイザーの育成でございます。ぜひ御検討いただきますようお願いを申し上げたいと思います。
この項目の最後にお尋ねいたします。さまざまな取り組みをしていただいておりますけれども、企業が特に求めている若者については、いまだ大企業や区部にある企業への就労意欲が強い傾向があるように思われます。国において外国人労働者の受け入れについても議論されている中、市として
労働力不足対策にどのような方針で取り組んでいくのかお示しください。
また、外国人労働者を円滑に受け入れるためには、居住の安定も一つの重要な要素となりますけれども、外国人の住宅確保の支援について、これまでどのような取り組みをしてきたのかお答えください。
あわせて今後は外国人労働者の受け入れに際し、市内空き家を活用しての居住地確保も、空き家対策の観点からも有効と思いますが、それらを可能にするためには行政が介在し、企業を支援していく必要があるのではないかと思います。その点についてはどのようにお考えなのか、あわせてお示しください。
次に、教育・子育て支援について、2回目の質問をさせていただきます。
現在の児童・生徒を取り巻く環境は、時代の移り変わりとともに大きく変化してきていると感じております。現代社会における教育現場の実情や家庭教育の重要性について学ばせていただき感じたことは、現在の教育現場においては、時代の変化に伴い教員に課せられる業務が増加しており、教員の不足と相まって、その職務の多忙さが顕著となっている点や、家庭の教育力の低下を早期に改善しなければならず、次世代の学校教育が目標とする姿、その実現への構想とは、現在の学校教育のいいところと、今後対応すべき課題をまとめ、指針として示されたのが今般の次世代の
学校指導体制強化のためのタスクフォースでございます。
その中で取り上げられているのは、今まで以上に子どもひとりひとりと向き合い、個に応じた重点的な学習指導を行う。特別な配慮が必要な子ども、これは不登校や家庭に問題を抱えている児童や、また外国人児童など、それぞれの状況に応じて個の能力を最大限に引き出す。地域とともにある学校を目指し、学校と地域が一体となって教育を行うといった内容であり、その実現に向けた構想として、学習指導要領改訂に伴う社会に開かれた教育課程の実現や、子どもたちひとりひとりの状況に対応した教育、さらには次世代の学校地域創生プランが検討されております。学校教育は時代や社会情勢によって変化していくものであり、学校教育はこれからの時代にマッチした形に最適化されていく必要性があるのではないかと思います。
加えて教育現場の環境改善を図る上で重要な取り組みが、学校の適正配置であります。学校とは地域の核であり、地元にとっては重要な施設でもございますけれども、私はそれ以上に子どもたちの学びやとしての機能を充実させる点において、積極果敢に学校の適正配置に努めていただきたいと考えます。学校施設を再編することで得られるメリットとして、1つ目は、教員の人材不足解消に寄与する点でございます。2つ目として、教員の配置転換を行うことで、児童に対しよりきめ細かな対応が可能となり、教育力の向上が図られることによる学力向上の効果、そして3つ目は、子どもは子どもの社会の中で育つものであり、小規模校の人間関係では学び切れない集団生活から学ぶ主体性や協調性の向上が見込まれる点であります。
文部科学省の適正配置に関する見解中にも、今後さらなる少子化が急速に進むことが予想される中にあって、全国的に学校の小規模化がさらに進んでいくものと見込まれ、そうした中で将来にわたって義務教育の機会均等、教育水準の維持向上を図り、子どもが生きる力を育むことができる学校教育を保障する観点から、学校の適正配置のあり方について検討することが必要であると付議されております。また、学校の適正配置を行ったとしても、その分の教員を他の学校に振り向けることは困難だという御意見もあろうかと思いますけれども、私は、これこそ地元の市議会議員がしっかりと声を上げ、都議会議員と力を合わせ都に対し要望活動を行い、まさに政治の力で子どもたちのために改革をすべきと考えます。
学校の適正配置や家庭における教育力の強化を踏まえ、今後の本市の教育行政について、安間教育長の考えをお示しください。
さらに市長にお尋ねをいたします。学校の適正配置に当たっては、教育的な視点での重要性はもとより、まちづくりを考えていく上でも重要な要素になってくるものと考えますが、石森市長の御意見をお聞かせください。
また、家庭の教育力向上の取り組みについてもお尋ねをいたしますけれども、現行の生涯学習プランの計画期間は平成31年度までとなっております。そのため、今年度の後半から平成31年度にプランの見直しが行われることと思います。国においては、今年度、
教育振興基本計画が見直され、第3期がスタートしており、その計画においても家庭教育力を向上する施策として、地域全体で家庭教育を支える仕組みづくりを取り入れた計画に改訂されております。
そこでお尋ねをいたしますが、本市としては今後どのように取り組んでいくのかお聞かせください。
次に、都市基盤整備のあり方について、2回目の質問をさせていただきます。
先ほどの質問では、主に市域の広い本市の特性を鑑み、各地域に対する市の見解について確認をさせていただきました。現在までの地域ごとの予算の執行状況は偏在が見受けられる印象があります。広い市域の本市でありますから、私が言うまでもございませんが、各地域の抱える課題が均等に解決されるためにも、可能な限りの予算配分の均衡を願うところでもあります。地域ごとの予算配分は無理としても、現在のまちづくりの進め方が特定の職員に依存したマンパワーによる要素が見受けられますので、継続的に事業を推し進めるためにも、地域ごとのまちづくり担当課の新設や、課内での地域担当班の配置など、地域特性や実情をよりきめ細かく把握し施策を展開できるような取り組みが必要ではないかと考えます。
本市における今後のまちづくりについてお尋ねをいたします。今後のまちづくりの基本的な方針として、今こそ未来にわたって真に必要な事業への選択と集中が求められるのではないでしょうか。既存の都市計画の精査を行い、凍結や計画の破棄も視野に入れるなど、大胆な見直しも必要であろうかと思います。地方都市では、現在の時流に合わせた都市計画道路の見直しや変更などもされていると聞くところでもあり、金科玉条のごとく1度決めたら変更できないものとして都市計画を扱うのではなく、地域特性に合わせた柔軟な見直しも必要と考えますし、今、まさに実施する時期を迎えていると思います。
現在、市では立地適正化計画の検討を行っていると聞いておりますけれども、その中である程度事業の選択と集中という話が出てくることと思います。地域ごとの特性を踏まえ、各地域で優先して着手すべき事業を明確にして、各地域に暮らす市民が明るい展望を描けるようなまちづくりの将来像をぜひとも提示していただきたいと思います。
そこでお尋ねをいたしますが、未来への必要な投資として事業の大胆な選択と集中が必要ではないかと思いますけれども、担当部長のお考えをお聞かせください。
この項目の最後の質問として、駒沢副市長にお尋ねいたします。本市は歴史のある中心市街地やニュータウンなどのいわゆる都会から、北西部地域のように穏やかな時間の流れる農山村地域も有しているなど、成熟した都市としてのポテンシャルを持っていると思っており、私は誇りに感じております。反面、それらを生かし切れていないことに大変歯がゆさを感じております。我がまち八王子は、まだまだ都市としての魅力を多く秘めており、都市間競争など恐るるに足りないと私は感じております。まちづくりがよりスピーディに進めば八王子はよくなるものと考えますけれども、今後どのように取り組まれていくのか、駒沢副市長のお考えをお聞かせください。
最後に、廃棄物行政の進め方、今後の考え方について質問をさせていただきます。
1回目の質問では、主に有料化後から、八王子市
ごみ処理基本計画、
循環型都市八王子プランを策定までの廃棄物行政の移り変わりを確認させていただきましたけれども、2回目の質問では、今後の廃棄物行政の考え方そのものに着目し、提案も交えながら御質問をさせていただきたいと思います。
まさに時代は大量生産大量消費の終焉を迎え、廃棄物に対する市民の意識についても、時代の変化に合わせて、捨てる時代からリユース、またリサイクルの時代に移行しました。基礎自治体が担う一般廃棄物も基本は自区内処理が原則でありましたが、ごみ処理にかかるダイオキシン類の排出削減対策について、環境省より、平成9年にごみ処理に係るダイオキシン類発生防止等ガイドラインが策定され、新ガイドラインに基づきごみ処理に伴うダイオキシン類の排出削減を図るため、各都道府県においては別添の内容を踏まえたごみ処理の広域化について検討し、広域化計画を策定するとともに、本計画に基づいて貴管下市町村を指導されたい旨の通達を受けたことから、広域処理の考え方が広まり始めました。
今後の廃棄物行政については、廃棄物処理にはお金がかかるという認識から、お金を生み出す廃棄物処理へと発想の転換をすることで、自区内処理の原則の誤解を解き、広域連携を進めることによって新たな廃棄物行政が創出されるものと私は思います。具体的には、今や東京の西の玄関口になった本市の西部地区に位置する圏央道八王子西インターチェンジの整備効果を最大限に活用し、その取り組みとして、八王子エコタウン構想を立ち上げ、現在は新日鐵住金の君津製鉄所に助燃剤として売却している、市民より収集したプラスチック類の処分について、最新鋭の環境負荷の低い高効率発電の焼却施設を建設し、自区内処理はもとより、広域連携を深め、近隣自治体から受託をすることを目指す。
あわせて啓蒙活動を続けていた木質バイオマス発電施設を建設することで、モデル事業として取り組みが開始された剪定枝や、市域の約4割を占める森林をより積極的に管理をしていくことにより発生する間伐材の受け入れを行うことによって、木材の利用についても新たな利用価値が見出されることで、さらなる利用促進が促され、林業の復活も見えてきます。これらの取り組みによって処理費用を受託し、かつ売電することで電力収入を稼ぐことが可能となり、自主財源の大幅確保や地域の活性化にもつながることが予測されます。まさに発想の転換を進め、廃棄物行政に対する意識改革を抜本的に行うことで廃棄物行政の将来が大きく変化していくものと考えますが、これからの廃棄物行政をどのような方針のもと進めていくのか、最後に駒沢副市長のお考えをお示しいただいて、私の一般質問を終わりたいと思います。
21 ◎【伊藤裕司議長】 産業振興部長。
22 ◎【
廣瀬勉産業振興部長】 労働力不足に対する今後の取り組み方針についてでございます。企業での若手の人材確保につきましては、学園都市としての本市の特性を生かし、引き続き学生を中心とした若者に多くの市内企業を知っていただく取り組みを進めることで、若者の市内企業への就職意欲の向上を促してまいります。
また、外国人材の受け入れに関しましては、国による法整備の状況を注視しながら、本市としてどうすれば効果的に取り組むことができるかを検討してまいります。
23 ◎【伊藤裕司議長】 まちなみ整備部長。
24 ◎【坂倉進まちなみ整備部長】 外国人の住宅確保につきまして、2点の御質問をいただきました。
初めに、外国人の住宅確保のこれまでの支援についてでございますけれども、本市では、外国人を含む住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への入居を支援するため、平成28年2月に、市不動産関係団体、居住支援団体等が構成団体となって居住支援協議会を設立いたしました。その居住支援協議会の取り組みとして、住宅確保要配慮者の入居相談に積極的に応じる不動産店の情報提供や個別相談などを実施し、住宅の確保を支援しているところでございます。
次に、外国人労働者を受け入れるための住宅確保の支援についてでございますが、御質問者の御発言のように、現在国において出入国管理法の一部改正について議論が進められているところでございます。法案成立後、引き続き政省令などの改正が行われ、具体的に受け入れる方法などが明らかになってくると考えておりますので、このような国の動向を注視しつつ、空き家対策の一つの方策としても関連機関と連携し地域の意見も踏まえて市として取り入れるべき政策について調査研究をしてまいります。
25 ◎【伊藤裕司議長】 生涯学習スポーツ部長。
26 ◎【瀬尾和子生涯学習スポーツ部長】 今後の家庭教育に関する取り組みについてですが、家庭教育啓発リーフレットの見直しのほか、現在実施している家庭教育支援講座の開催に加え、保護者同士や学校をつなぎ、家庭教育を支援できる人材を養成するための講座を新たに開催してまいりたいと考えております。
また、生涯学習プランにつきましては、国の第3期
教育振興基本計画において、家庭教育力を向上する施策として、地域全体で家庭教育を支える仕組みづくりを取り入れているということも踏まえまして、改訂にも取り組んでまいります。
27 ◎【伊藤裕司議長】 都市計画部長。
28 ◎【守屋和洋都市計画部長】 未来への必要な投資として、事業の大胆な選択と集中が必要なのではないかとの御質問ですが、御指摘のとおり、長期的な視点でまちづくりを考える上では、持続可能な都市経営を行うための事業の選択と集中は必要なものと考えております。現在策定中の立地適正化計画においては、既存ストックを生かしながら、長期的な視点で市民の価値観やライフスタイルの多様化に対応した集約型まちづくりの考え方を示していきたいと考えております。
29 ◎【伊藤裕司議長】 安間教育長。
〔教育長登壇〕
30 ◎【安間英潮教育長】 今後の教育行政についてでございますが、市民の皆様が八王子に住んでよかったと感じていただけるように、スポーツや文化、生涯学習の振興に努めてまいります。学校教育においては、地域とともにある学校づくりを再重点目標に掲げ、本市の子どもたちに思いやりや感謝の心をはじめ学力の基礎となる自己肯定感、地域への愛着や誇り、地域の一員としての自己有用感を育み、子どもたちが未来の八王子を担う人材に成長するような教育の実現を目指してまいります。
31 ◎【伊藤裕司議長】 駒沢副市長。
〔副市長登壇〕
32 ◎【駒沢広行副市長】 今後のまちづくりについての取り組みについてのお尋ねをいただきました。本市では、これまでも都市基盤の整備につきましては、地域の特性を勘案し、時代の要請に応える視点を持って進めることで地域の発展に寄与してまいりました。今後、これまで築き上げた都市のポテンシャルを最大限に活用し、地域の歴史や風土に配慮しながら、社会の変化に適応した都市基盤整備を進め、持続可能なまちづくりに取り組んでまいります。
続きまして、今後の廃棄物行政の考えについてでありますが、近年廃棄物を取り巻く環境が大きく変化する中、今後の廃棄物行政のあり方を多角的に検討する必要があるものと考えております。ごみの広域化につきましては、持続可能な適正処理の確保に向けた安定かつ効率的な施設整備と運営が求められることから、引き続き中長期的な視点でさまざまな議論を行ってまいります。今後とも自然と調和した安全で快適な暮らしを次世代に確実に引き継ぐためにも、3Rを推進し、さらなるごみの減量、資源化に取り組んでまいります。
33 ◎【伊藤裕司議長】 石森市長。
〔市長登壇〕
34 ◎【石森孝志市長】 それでは、第1番、岩田祐樹議員の質問にお答えをいたします。
まちづくりと学校の適正配置について、私の考えとの質問でございますが、学校施設につきましては、公共施設全体の6割を占めておりますので、今後のまちづくりは学校施設を中心に進めていく必要があると考えております。既に地域においては高齢化が進み、地域を取り巻く環境が大きく変化している現状を踏まえ、本年3月に改訂いたしました基本計画では、中学校区を中心としたまちづくりを進めるとしたところであります。そのためには、十分時間をかけ、市と地域はもとより、地域での合意形成が欠かせないことから、まずは話し合いのもととなる市の方針をお示しする準備を進めてまいります。
35 ◎【伊藤裕司議長】 次は、第18番、市川克宏議員。
〔18番議員発言席へ移動〕
36 ◎【18番市川克宏議員】 日本共産党八王子市議会議員団の市川克宏でございます。
このたびの市内中学校生徒の事故に対して、心から哀悼の意を表したいと思います。
それでは、発言通告に基づきまして一般質問を行います。
初めに、子どもの健やかな成長を保障し、いじめのない学校づくりについて伺いたいと思います。
今回の事故の概略ですが、昨年8月、当該生徒が以前通っていた中学校で、部活動を休んだことを部活動の上級生からSNSで非難され不登校となりました。9月に部活動の顧問から上級生に謝罪をさせましたが、その後も不登校が続きました。ことし4月に別の中学校に転校したものの、不登校は続き、8月に自殺を図り、その後死亡したというものです。いじめを許さないまち八王子条例が施行されて1年と7ヵ月、いじめの防止等に関する基本的な方針を策定しほぼ1年、また、昨年3月23日には、私ども会派として、本市のいじめ防止等の取り組みをよりよく前進させ、本市の子どもたちをいじめの苦しみから開放することを願う立場から、いじめのない学校と社会をつくっていくためにと、こうした提言もさせていただいたところでもございました。本市が一丸となっていじめをなくし、そして、子どもたちが安心して人間らしく生きられ成長する学校、そして、まちづくりへと努力してきたさなかに起きた今回の事故は大変残念で仕方がありません。
そこで、教育長にお伺いをいたします。今回の事故の対応とその原因についてどのように御認識をされているのか伺いたいと思います。
37 ◎【伊藤裕司議長】 安間教育長。
38 ◎【安間英潮教育長】 いじめと不登校が相互に関連をし複合的であった今回の事案につきまして、当該生徒の不登校状態をいじめを起因とする重大事態として認知しなかったことが原因であり、学校の対応には課題があったと認識をしております。教育委員会としてもっと何かできることがあったという後悔と痛恨のきわみであります。
39 ◎【伊藤裕司議長】 第18番、市川克宏議員。
40 ◎【18番市川克宏議員】 ただいま御答弁もありましたように、もっと何かしてあげられることがなかったか、これは本当にみんなの思いだと思います。もっと早く初期対応と、いち早くもっと気づける人が一人でもいたら、とうとい命を救うことができたのではないかと思います。一昨日、28日には、いじめ問題対策委員会及び調査部会が開催されました。今後教育委員会をはじめ八王子市がどのように取り組んでいくのかが大きく問われてまいります。今回の事故における反省点や課題に対して、今後どのように取り組んでいくのか、改めて教育長のお考えをお伺いしたいと思います。
41 ◎【伊藤裕司議長】 安間教育長。
42 ◎【安間英潮教育長】 学校はいじめの認知件数が多かったり、前年に比べて増加をしたりすると、きちんといじめに対応していないのではないか、そのように見られることを恐れる傾向があります。教育委員会として、いじめの認知件数が高ければ学校のいじめに対する感度が高いという基本的な考え方を十分に徹底できておりませんでした。今後は第三者の調査により学校の対応の課題、改善策などを御協議いただき、その知見を生かすことはもちろんのこと、その調査結果を待たずとも、今現在できる改善策については、やれることから取り組んでまいります。
43 ◎【伊藤裕司議長】 第18番、市川克宏議員。
44 ◎【18番市川克宏議員】 御答弁にもありましたように、いじめの認知件数の増加、また、学校でいじめが生じることは、当然どこにでもあり得ることだと思います。しかし、それをいち早く認知をし、そして、どのように学校、または教師たち、御家庭や地域などでその課題に対して取り組んでいくのか。いじめの増加件数がふえることが恥ずかしいことではない、このことは文教経済委員会におきましても、教育委員会の側とそういったことも議論されております。そうしたことを恐れる傾向にあると今御答弁もありましたけれども、学校現場の中でもその対応についてどう対応していったらいいのか。まだまだ試行錯誤的なところもあるのかと、そのような感想も持っているところでもございます。
今月19日の文教経済委員会におきまして、いじめに対する取り組みが学校間において感度の差があるのではないか、それが初期対応のおくれになったのではないか、こんな議論が交わされたと思います。先ほども教育長からも、いじめ件数の高さがいじめに対する感度が高いと理解され得ない傾向、そして、課題がある、このことを御答弁いただきました。
そこで伺いたいと思います。学校間、そして、教職員間において、いじめに対する初期対応をはじめ、いじめに対する取り組みの感度の差があっては本来ならないと私は思います。こうした感度の差をなくすために、今後どのような取り組みをしていくのか、教育委員会のお考えをお示しいただきたいと思います。
45 ◎【伊藤裕司議長】 指導担当部長。
46 ◎【斉藤郁央指導担当部長】 いじめの問題につきましては、教職員が情報を共有し、組織的に対応していくことが必要です。しかし、今回の事案では、当該生徒の部活動におけるSNS上のトラブルがいじめと認知されず、一部の教員にしか情報が共有されなかったため対応が組織的なものとはなっていませんでした。これは、当該の学校だけではなく、多くの学校に共通した課題だと認識しております。今後は課題の解決に向けた取り組みを着実に進めることが大切だと考えております。
具体的には、教職員のいじめに対する感度を高め、ひとりひとりの児童・生徒に寄り添い、いじめの芽を積極的に見つける取り組みを進めるとともに、そのいじめの芽が大きくならないような初期対応を確実に行うよう働きかけてまいります。さらに平成31年度の教育課程届には、いじめ、不登校、SNS、それぞれへの対応の具体策を全校に明記させるとともに、より一層指導主事が緊密に学校訪問等を行い、児童・生徒ひとりひとりへの対応状況を把握することを徹底してまいります。
47 ◎【伊藤裕司議長】 第18番、市川克宏議員。
48 ◎【18番市川克宏議員】 ただいま御答弁いただきましたように、情報の共有、それに組織的に対応していくといった課題は何も今回の事案に限らず、多くの学校に共通した課題であるといったことも今御答弁もいただきました。そのためにも学校と学校の間、教職員同士の中でのいじめに対する取り組みの感度差を解消するための信頼関係、もちろん学校と教育委員会との信頼関係も大事ではありますが、チームワークの構築を図っていくこと、これが大きな鍵を握るのではないか、このように感じております。
さらに子どものいじめ、またはいじめられる関係をいち早く認知していくには、教師と子どもの関係の壁を低くする。何でも話せる関係になっていく必要があると思います。子ども自身の内面の表現を丸ごと理解し捉えるには、教職員と児童・生徒との信頼関係を日常的に、そして粘り強くつくり上げていくことにあります。何か事が起きてから緊急に対策をとっても効果を生まないのは、日常的な信頼関係が育まれていないからでもあるわけです。教師の仕事は、授業を行い、そして、学力をつけること、そして、学習を励ます、子どもの生活も励ましていく。そして、子どもが今何に喜んで、何に悲しんで生活をしているのか。そのことを身近に感じる先生の関係をつくることなど、多方面に及んでおります。指導担当部長から、いじめに対する初期対応をはじめ関係者など一部の教員の対応になっていたことも明らかにされました。
そこでお伺いをいたします。教職員間で児童・生徒のいじめの情報をどのように共有しているのか、現在市の取り組みと今後の課題についての御見解をお聞かせいただきたいと思います。
49 ◎【伊藤裕司議長】 指導担当部長。
50 ◎【斉藤郁央指導担当部長】 学校では、各学年の教員が日々児童・生徒の様子やささいな変化について注意深く見守っております。児童・生徒に気になる様子があるという前提で、各学年の教員が日常の打ち合わせや学年会等の機会に情報交換をします。その後担当の教員が生活指導部会や学校いじめ対策委員会に報告し対応策を検討するということになります。報告された情報や対応策は、朝や夕方の打ち合わせや生活指導全体会等の場で全ての教員が共有できるようになっております。しかし、今回の事案に見られるように、このような学校の情報共有の機能が十分に働いていなかったということがわかり、この点に課題があったと認識しているところでございます。
51 ◎【伊藤裕司議長】 第18番、市川克宏議員。
52 ◎【18番市川克宏議員】 児童・生徒の気になる様子がある。これを前提に、生活指導部会をはじめ全ての教員が情報を共有できる仕組みがある、このような御答弁もありましたが、しかし、まだまだ機能が十分に働いていない、このことも明らかにされました。課題は明確であるわけでもあります。今後こうした課題をどう改善をしていくのか。これはすぐにでも取り組んでいくべき課題であると思います。その解消の1つとしても、今国会でも議論もされておりますけれども、やはり教員の多忙化といった課題については欠かせない問題だと思っております。
認知件数の増加が個々の児童・生徒への丁寧な対応へとなるわけですから、さらに多忙化がふえていくこともあります。そのことで学校現場の中で感度の差が広がってしまう。このような悪循環にならないような取り組み、そして、対応が市教委にも今後求められていると思います。また、今後の第三者委員会での議論や、また調査結果とともに、教育委員会としてもできることは、教育長の答弁をはじめ何でもやっていくんだ、こうした立場でもありますので、引き続きこの立場で全力でこの課題にも取り組んでいっていただきたい、このように思います。
次に、子どもの過度な競争によるストレスをなくすために、いじめの原因は何か、子どもたちの世界で何が起こっているのか、子どもたちに何が起きているのか、どんな新しい特徴があらわれているのか、こうした子どもを中心に据えた議論、いじめの原因を探っていくことが必要だと思っております。今日の子どものいじめの問題は、命にかかわる深刻な事態も生じており、多くの人が心を痛めております。いじめをなくし、子どもたちが安心して人間らしく生きられ、成長する学校、社会をつくることは急務であります。しかし、国が定めましたいじめ防止対策推進法は、国会質疑の中で、子どもにいじめを行ってはならないと行動を命令していることや、懲戒または出席停止を強調する厳罰主義、規範意識を養うことが強調されている点などで問題が指摘をされました。
そこで、伺います。いじめ防止対策推進法の問題点のこうした指摘に対して、市はどのようなお考えなのかお聞かせいただきたいと思います。
53 ◎【伊藤裕司議長】 総合経営部長。
54 ◎【小山等総合経営部長】 学校でいじめが起こった際、校長や教員が教育上必要と認めたときは、発達途中の子どもに対して、いじめは絶対にいけないと教える意味で適切に指導を行うことは必要な措置と考えます。また、家庭において、将来社会の一員となっていく子どもに対して規範意識を養うことも必要と考えます。そのことが自分の子どもがいじめの場面に遭遇した際にどのように行動するべきかを考えるよい機会になるものと考えております。
55 ◎【伊藤裕司議長】 第18番、市川克宏議員。
56 ◎【18番市川克宏議員】 本市の条例をはじめ、いじめ防止等に関する基本的な方針を改めて読ませていただきましたが、全体を通じて感じるのは、いじめがいかに許されないものか、こうした強いメッセージは非常に感じます。いじめをやってはいけないと教える上で、ルールやマナー、いわゆる規範意識を教えることは大事でありますし、また、我々大人が見本になるということも大事であることについては私もそう思います。しかし、今御答弁を聞いて感じるのは、では、どうしていじめが起きるのか。こうした本質的な課題には迫り切れていないという点であります。
競争と管理の教育の中で、子どもたちは大きなストレスを抱えております。伸び伸びと育つべき多くの子どもたちがいら立ちをため、強い孤独感に包まれております。東京都教職員研修センターの研究では、いじめた子は自尊感情が低いことが明らかになっています。いじめ問題の根本的解決を図るためには、なぜここまでいじめが深刻になったのかを考え、社会や教育のあり方の問題と捉えて、各分野でその改革に着手することが求められております。
国連子どもの権利委員会が日本政府に3回にわたる勧告を出しているように、いじめの原因は過度な競争主義による子どもたちの強いストレスにあること、それは国も認めているわけです。また、国立教育政策研究所のいじめ追跡調査において、競争的価値観こそが子どもたちにストレスを与える原因であるという分析も明らかにしております。いじめという友達を傷つけてしまう行動、そして、自分にも深い心の傷を残す行動へと子どもたちを駆り立ててしまう原因である競争的な教育制度に対してこそ対策を講じるべきではないでしょうか。市のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
57 ◎【伊藤裕司議長】 総合経営部長。
58 ◎【小山等総合経営部長】 児童の権利に関する条約に基づき、国が国連へ提出した報告書に対する子どもの権利委員会の審査において、極端に競争的な環境による悪影響を回避するため、教育制度を見直す勧告等がなされていること、また、そのことがいじめや不登校などを助長している可能性があるとの意見が出されていることは承知をしているところです。そういう中で近年学校教育の改革が進められてきているものと理解をしているところでございます。
59 ◎【伊藤裕司議長】 第18番、市川克宏議員。
60 ◎【18番市川克宏議員】 過度な競争による子どものストレスが教育制度や環境に悪影響を与えていることは認められているというふうに今の御答弁でも感じております。しかし、国のいじめ防止対策推進法及び本市の条例は、いじめを心理的、物理的に影響を与える行為であって、当該行為の対象となった子どもが心身の苦痛を感じているものと定義するにとどまっております。本市の基本的な方針で、唯一いじめの理解として、いじめの要因や背景は本人の状況、児童・生徒の関係性、家庭、学校、さらには社会の状況などさまざまです、このように述べているにすぎません。全ての子どもたちが生き生きと学んで、それぞれの能力を豊かに伸ばし、自己肯定感、自己達成感を育む教育、いじめのない学校、まちづくりを進めるに当たり、こうした現状の分析では現在不十分である、このことを申し上げたいと思います。
次に、いじめを許さないまち八王子条例についてお伺いをいたします。いじめを防止するために何よりも重視すべきは、子どもの命と人権を守る立場から、子どもがいじめられずに安全に生きる権利を持っていることを明記し、それを保障することです。条例全体に貫かれているいじめられた子を守るという視点だけではなく、いじめが全ての子どもにとって解決を迫られている問題だという立場を示すことが重要だと考えます。いじめが行われたときに、いじめを受けた子ばかりではなくて、回りの子どもたちの人格形成においても深刻な被害をもたらすからです。子どもの人権を保障する国際的基準でもある子どもの権利条約に基づく行政の立場を明確にしていただきたい、このように思いますが、市の御見解を伺います。
61 ◎【伊藤裕司議長】 総合経営部長。
62 ◎【小山等総合経営部長】 子どもがいじめに遭わずに安心して生きていくことができるといった思いは条例の前文と第3条の基本理念にうたっております。また、現在の条例は、いじめ防止対策推進法にのっとって策定したものであり、法の附則第2条で、施行後3年をめどとして法の施行状況等を勘案、検討し、その結果に基づいて必要な措置を講じられるものとされていることから、今後国の検討結果等を踏まえ、本市としても必要に応じて条例の改正を検討していく考えでございます。
63 ◎【伊藤裕司議長】 第18番、市川克宏議員。
64 ◎【18番市川克宏議員】 子どもの権利条約は、子どもは権利の主体であると同時に周りに支えられながら育っていく存在としております。いじめをなくしていくために、子どもの健やかな成長を育んでいくためにも、主人公である子どもを大人とともに社会を構成するパートナーとして位置づけ、社会の一員として、そして、未来の社会の担い手として、本条例の具体的な取り組みに子どもの権利条約の精神を十分生かしていただきたいと思っております。
次に、条例第4条、市長の責務として、救済制度も周知が必要な事項とされております。しかし、具体的な救済制度は条文を見る限り明らかにはされてはおりません。いじめを受けたことで余儀なくされた経済的負担の軽減、または家族を含む精神上の苦痛への軽減、その他救済のため必要な施策を講じることも必要ではないかと考えますが、市の御見解を伺います。
65 ◎【伊藤裕司議長】 総合経営部長。
66 ◎【小山等総合経営部長】 議員がおっしゃるとおり、条例には具体的な救済制度は明らかにしておりませんが、条例施行とあわせて総合経営部に設置いたしました子どものいじめ相談電話で相談を受けた際には、いじめを受けた子どもの心に寄り添い、精神的な負担が軽減される方策を本人や保護者と一緒に考え、話し合っております。また、相談者の了解をとった上で、学校や教育委員会と連携しながら、さまざまな対応をとっております。
67 ◎【伊藤裕司議長】 第18番、市川克宏議員。
68 ◎【18番市川克宏議員】 いじめが子どもの心身に影響を及ぼすことを十分に考慮していただき、いじめを受けた子ども、いじめをした子ども自身が人間的に立ち直れるように支えていく体制を学校や教育委員会と連携し引き続きこの点でも強化をしていっていただきたいと思います。
次に、条例第14条、いじめ防止の取り組みを推進するため人材の確保、その他必要な措置に努める条項についてお伺いをいたします。教員の働き方改革として、変形労働時間制が国会で議論されておりますが、現場の教員からは、長時間労働をさらにひどくしかねないという懸念の声が上がっております。また、マスコミ調査でも、7割の教員が、いじめ対応の時間が足りないと答え、学校現場では、過労死ラインまで働いても、肝心の子どもと遊んだり授業準備をする時間が十分に確保できないという事態が広がっております。
「いじめを生む教室」を書いた評論家の荻上チキさんは、いじめが起きやすい不機嫌な教室と子どものストレスが少ない御機嫌な教室があり、学校の環境を変えていくことでいじめは少なくなる、このようなことを述べております。この分岐点は、教員が子どもを言うとおりにさせるなどのコントロールをするか、または子どもの自主性、尊重性を生かしコントロールをしない。子どもたちをありのままに生かせるような授業をつくっていくのか、教室をつくっていくのか、こうしたことも紹介がされております。
教員がよく子どもの話を聞いて、子どもが安心して自分を出せる教室は居心地もよく、逆に体罰であったり、人前での恫喝など、理不尽な指導や、自由度が低い、発言権がないといった教室ほど子どものストレスは増大をしていくわけです。いじめが起きやすい不機嫌な教室があるときに、周りの大人にできることは、何が子どもにストレスを与えているのかを見つけ、教室の環境に目を向けることでいじめを予防できると主張をしております。子どもに与えるストレスを見つけ、学校の環境を改善するといったこうした指摘に注目をいたしました。
本条例におきましても、いじめ防止の取り組みを進めるに当たり、人材の確保、その他必要な措置に努める規定は大変重要な規定だと思います。本条例に市長が必要な財政上の措置をとることを明記し、より一層いじめ防止に取り組む姿勢を示していただきたいと思いますが、市側の見解を伺いたいと思います。
69 ◎【伊藤裕司議長】 総合経営部長。
70 ◎【小山等総合経営部長】 おっしゃられるように、条例に財政上の措置について明記はしておりません。御質問者もおっしゃられたとおり、人材の確保、その他必要な措置を講ずるという条文は規定しておりまして、これに基づき当然いじめ防止等のために必要な人材の確保には、市と教育委員会で連携して取り組んでおります。スクールカウンセラーの配置の拡充等について、教育長会を通して東京都へ要望していることもその1つであると考えております。
71 ◎【伊藤裕司議長】 第18番、市川克宏議員。
72 ◎【18番市川克宏議員】 現在の条例の検証、または見直しといった課題は、施行後3年をめどとして、また国の方針の今後の展開なども含めて、順次検討、勘案していくといったことではございましたが、私からも幾つか提案をさせていただきました趣旨は、おおむね市側の施策運営に当たっても反映しているように感じております。子どもの健やかな成長に携わり、いじめが起こらない環境づくりを引き続き強めていただく努力をしていただきたいと思います。
最後に、いじめのない学校づくりの主人公として、子どもの主体性をいかに生かしていくか、こうしたことについてお伺いをしたいと思います。いじめをなくすためには、子どもたち自身のいじめをやめよう、こうした声が一番の力になると思います。子どもたちの自主性や主体性を尊重するさまざまな教育活動を通して、子どもたちが達成感を味わい信頼関係を確かなものにすることができた、こうした報告もさまざま行われており、市教育委員会の審議の中でもその重要性を認める答弁をしております。教育実践の中で、互いに思いやりを持ち、みずからいじめのない学校生活、その他の日常生活をできるよう培われることが大事だと思います。それを保障するのが学校であり、教職員、そして、私ども大人の責任であると思います。
そこでお伺いをいたします。学校におけるいじめ防止に向けた教育実践に本市はどのように取り組んできたのか。また、今後のお考えをお示しいただきたいと思います。
73 ◎【伊藤裕司議長】 指導担当部長。
74 ◎【斉藤郁央指導担当部長】 各学校では、いじめ防止に関する授業を年間指導計画に位置づけて計画的に実践しております。教育委員会といたしましては、平成30年5月に、授業での活用に加え、学校と家庭がコミュニケーションを図ることができるいじめの防止等のためのリーフレットを作成、配付いたしました。授業でのリーフレットの活用を通して、児童・生徒がいじめの防止等についてみずから考え、話し合い、行動できるようになることを狙いとしています。
また、人権教育に実績のある教員を構成員といたしました本市の人権教育推進委員会では、このリーフレットを活用した特別の教科、道徳の授業を小中学校それぞれで実践し、研究成果を各学校へ配信する予定となっております。今後はこのリーフレットの活用事例を収集し、改善、拡充することに加え、今後の学校の教育活動全体を通しまして、いじめは絶対に許されない行為であることを理解させる教育実践の一層の充実を図ってまいりたいと考えております。
75 ◎【伊藤裕司議長】 第18番、市川克宏議員。
76 ◎【18番市川克宏議員】 ただいま御答弁ありましたように、児童・生徒がいじめをやめようといったことをみずから考え、そして、話し合い、行動できるようにする。こうした教育実践を現在も行っており、また、こうした取り組みを進めていこう、こういった趣旨の御答弁ではありましたけれども、そこは本当に私も同感なんですが、今後ともその点を強めていただきたい、このように思うんです。市教育委員会をはじめ、いじめをなくしてほしいという思いはみんなの思いでもあります。だからこそ、いじめというものは許されるものでもないし、いじめは本当になくしたい、あってはならないという我々の思い、強いメッセージは児童・生徒、子どもたちにも強く伝わっているのではないかと、この間の市側の取り組みでも思っているところなんです。
しかし、学校現場の主人公である児童・生徒の皆さんが、いじめはだめだということはそうだと思っている。だけれども、自分たちが本当に心からそれを理解し腑に落ちるまでそれができているのか。また、学校現場や子どもたちのつき合いの中で、それを本当に実践していくことができていくのかということはこれからの大きな課題になるのではないか、このように思うんです。ですから、いじめは絶対に許されない行為だというメッセージを発信することはもちろん大事です。同時に、子どもたちにもっと主体性を持った、心から思っていくような、そんな教育実践を進めていっていただきたい、このように御答弁を聞いて感じたところでもあります。
ここで、ある地域で起きたいじめに対する教育実践を若干ではございますが紹介したいと思います。小学校3年生から5年にわたり、中学校にわたってですが、いじめに遭ってきた生徒がこの世を終わりにしたいと、自殺の前に遺書を書きました。しかし、書きつづりながら、誰かにこの作文を読んでほしいという気持ちに変わり、信頼できる唯一の先生にこの手紙、作文を渡したそうです。その先生は担任ではありませんでしたが、一読して、この作文を子どもたちに返していく、子どもたちの前で読み合うことにしたそうです。
その際に、本人の同意を得て、さらに担任の先生をはじめ学年の先生たちと話し合い、学校現場で、先生たちの間でも、子どもたちの間でも、この問題を話し合える環境づくりに努力していたという話でございます。1人の自殺を思っている子どものことを学年の先生たちや生徒が真剣に話し合い、作文を子どもたちと読み合っていこうということにはとても大きな勇気が必要だったと思います。教師と当事者の子どもたちと一緒になって問題を話し合い、また、その行動が保護者の関心を呼び起こしました。
後日談として、その生徒は生徒会役員選挙の候補者に推薦をされ、仲間と一緒に、いじめのない愛のある学校に、こういうスローガンを呼びかけ、結果として、ほんのわずかではありましたが、落選をしました。けれども、当該生徒はいじめのない学校をつくることに多くの仲間ができたことで納得することができた。元気にこれからも頑張っていこう、こうしたことになったという話でございます。子どもたち自身がいじめのない学校、こう呼びかける主体となって、そして、一緒につくっていこうという運動をつくり上げていく。子どもたち自身が仲間とともに声を上げて、いじめをなくすために訴え始めたことに大きな意義を感じたところでもあります。
先ほども申し上げましたが、いじめのない学校、まちをつくろうという願いは多くの市民の思いでもあります。いじめは許されるものではありません。大人が、いじめはだめだというメッセージを発信するとともに、繰り返しにはなりますけれども、主人公である子どもたちからの自発的な行動と結びついて、初めてそこで大きな力になり、本市が目指すいじめのないまちへと、八王子へとつながっていくものだと感じております。いじめの根絶のためのさまざまな取り組みをしている関係者や、そして市民の皆さんとともに、子どもたちの健やかな成長を保障し、いじめのない学校づくりのために、学校が子どもたちにとって夢と希望を持って通える場所となるよう引き続き努力していく決意を申し上げて、このテーマの質問を終わります。
次に、人権尊重の社会の実現について伺いたいと思います。
本市は、国籍、民族、そして、文化の違いを互いに認め合い、助け合い、生かしながら、ともに暮らす多文化共生のまちづくりを基本理念とした八王子市多文化共生推進プランに基づき、外国人市民も安心して暮らせるまちの実現に向けた外国人市民に対するコミュニケーション支援や、生活支援の充実、国際感覚豊かな市民を育むまちの実現に向けて、多文化共生意識の啓発と国際理解、国際交流の推進に取り組んでいくこととしております。また、このたび東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に伴う外国人観光客の増加や、外国人留学生をはじめとする本市在住外国人の増加などに対する取り組みの強化を目的として改定をされました。
そこで、本市のこれまでの取り組みの現状と評価及び課題について伺いたいと思います。
77 ◎【伊藤裕司議長】 市民活動推進部長。
78 ◎【小浦晴実市民活動推進部長】 多文化共生推進プランの取り組みの現状と評価、課題についてでございますが、市では、プランに基づきまして、外国人市民に対する支援の一環として、外国人サポートデスクを設置し、年間1,000件を超える相談を受けているほか、教育や医療、福祉など、さまざまな分野で生活支援を行っているところでございます。また、国際交流フェスティバルなどの国際交流に関する事業を通じて、市民の多文化共生意識の啓発に取り組んでおり、市と八王子国際協会が実施する事業の参加者は年間8,000人を超えるなど、プランに基づく施策を推進できているものと考えております。
一方、平成28年度でございますが、市政モニターアンケートでは、外国人市民がふえていくことに何となく不安を感じると回答した市民の割合が30%を占めるなど、外国人との共生に対する意識の啓発が課題であるというふうに考えております。
79 ◎【伊藤裕司議長】 第18番、市川克宏議員。
80 ◎【18番市川克宏議員】 国では、現在人手不足解消を理由に、外国人労働者の受け入れを拡大するための出入国管理法改正案が議論されております。しかし、外国人技能実習生や留学生が安価な労働力として、さらに低賃金と過酷な労働を強いられ、人権侵害が蔓延している問題も指摘をされ、国が掲げる多文化共生の理念に逆行する動きに懸念の声が出ているところでもあります。本市においては、多文化共生推進プランに基づく施策の手応えも感じつつも、現状では外国人市民にとって、教育や労働、医療、就労など、多くの生活場面において、言語の壁や生活習慣、文化の違いなどによって生じるさまざまな問題があること、また、外国人市民アンケートでは、入居差別を受けたことがあるという回答もあり、多文化共生への意識啓発のおくれも指摘されているところでもあります。
こうした課題に対して市の御認識、そして、今後の取り組みの方向性を伺いたいと思います。
81 ◎【伊藤裕司議長】 市民活動推進部長。
82 ◎【小浦晴実市民活動推進部長】 生活習慣や文化の違いはあるものの、国籍や民族、文化の違いによる外国人への差別は認められるものではないというふうに考えております。法改正の動きもございますが、これまでも実施してきたとおり、外国人市民への生活支援や日本人市民への多文化共生意識の啓発などに取り組み、外国人も日本人も安心して暮らせる多文化共生のまちづくりも今後も進めていきたいというふうに考えております。
83 ◎【伊藤裕司議長】 第18番、市川克宏議員。
84 ◎【18番市川克宏議員】 人権尊重の社会の実現に向けて、国内でもさまざまな分野でこうして動きが強まっております。狛江市では、職員へのセクハラ行為で前市長が辞職に追い込まれ、市民の行政不信を招いた事態を踏まえ、市政運営の基本となる人権尊重条例の制定を目指す考えを示しております。また、国際労働機関、ILOの総会は、6月に職場の暴力とハラスメントをなくすため、拘束力を持った条約をつくる方針を決め、来年の総会での制定を目指しております。日本においては、パワーハラスメントを禁止する法律がなく、セクハラは男女雇用均等法で事業主に防止措置が義務づけられているだけであります。条約ができれば、職場の暴力とハラスメントに関する初の国際労働基準となり、我が国を含めた加盟国には基準を意識した取り組みが求められております。
また、エッセイストの小島慶子さん、少子化ジャーナリストの白河桃子さん、「なくそう!SOGIハラ」実行委員会代表の松中権さんが、セクハラ、パワハラ、ネットでの中傷など、日本におけるあらゆるハラスメントをなくすためのプロジェクトを発足させ、1万2,000人規模のハラスメント実態調査を実施し、近く公表する動きも始まっております。個人の尊厳、そして、人権を大事にする取り組みが国内外で広く広がり始めております。本市におきましても、第2回定例会におきまして、同性パートナーシップの公的承認に関する請願が全会一致で可決をし、具体化の動きも始まっております。
次に、差別と偏見のない社会へと、ヘイトスピーチについて伺いたいと思います。
韓国籍と日本籍を持つ男子生徒へのネット上での差別的中傷を書き込む事例や、また、朝鮮学校を高校無償化の対象から除外するといった事案、差別的な落書きが発生している自治体など、差別と偏見のない社会の取り組みが今非常に求められている状況にあると思います。ヘイトスピーチとは、特定の人種または民族に対する差別扇動行為であります。また、ヘイトの対象となるのは、在日コリアン、アイヌなど、人数の上で日本社会では少人数である人たちであったり、または生活保護受給者のようなパワーという点で社会的に弱い立場の人たちも対象となる問題でもあります。
そこで、初めにヘイトスピーチに対する市の御認識を伺いたいと思います。
85 ◎【伊藤裕司議長】 総務部長。
86 ◎【平本博美総務部長】 ヘイトスピーチにつきましては、特定の個人や集団、団体などの人種、宗教、民俗文化、性別など、差別的な意図を持って攻撃する言動であり、人権侵害につながるものと認識をしております。
87 ◎【伊藤裕司議長】 第18番、市川克宏議員。
88 ◎【18番市川克宏議員】 ヘイトスピーチは人権侵害につながるものであるとの御認識であります。また、こうした差別主義者というグループは、社会的少数者や弱者が特権や利権を持っている、自分たちよりも得をしているという主張をするところに大きな問題があるわけです。実際にそんなことはないわけです。
そこで、ヘイトスピーチに関する本市における調査、または具体的な相談や事例といったものがあるのかお聞きしたいと思います。
89 ◎【伊藤裕司議長】 総務部長。
90 ◎【平本博美総務部長】 市としましては、ヘイトスピーチに関して、特に調査は行っておりません。また、現在のところ、市民の皆様からの具体的な相談もない状況でありまして、特に把握している事例、事案はございません。
91 ◎【伊藤裕司議長】 第18番、市川克宏議員。
92 ◎【18番市川克宏議員】 幸い本市にはそうした事例がない、または相談もないといったことはよかったとは思うわけなんですが、しかし、昨年の都議会議員選挙では、差別、扇動、あおるような動きもあったと、このように私も記憶をしております。本市においても、いつ、こうした動きがあってもおかしくないと思うんです。精神科医の香山リカさんが京都府で子育て応援行事で企画していた講演が右翼団体の関係者から妨害があり、講演を急遽中止されていた。こんな事案も報道されております。
そもそも言論の萎縮をするものであり、表現の自由さえも奪いかねないといった事態が京都府で起きたわけでございますが、こうした事例は香山リカさんの講演だけでも既に3件以上に及んでいるといった報道もされているわけです。これに対して、一部の右翼団体などといった関係者から、講演をやめろ、暴力沙汰が起きるかもしれないといった対応に対して、市側や行政や関係者、職員がどういった対応をとっていくのかというのは今後大きく問われていく問題ではないかというふうに感じているところでもあります。それだけに日常不断に私どもがヘイトスピーチをはじめ人権侵害を許さない取り組みが必要ではないかと思うんです。
岸和田市では、ホームページ上で、ヘイトスピーチ解消法を掲載し、啓発を図っております。正しい理解と啓発、また歴史認識、職員の研修、または学校、地域など、幅広い意味での取り組みが大事ではないかと考えますが、市の御認識を伺いたいと思います。
93 ◎【伊藤裕司議長】 総務部長。
94 ◎【平本博美総務部長】 人権侵害につながるような差別的言動のないひとりひとりの人権が尊重される社会の実現に向けて、人権週間なども捉えまして、啓発活動を行い、職員をはじめ市民の皆様の理解を深めていく取り組みが大事であると考えております。
95 ◎【伊藤裕司議長】 第18番、市川克宏議員。
96 ◎【18番市川克宏議員】 さきの都議会第3回定例会では、東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例、いわゆる人権条例が議論され、10月15日に公布施行され、都道府県では初ということもあり、全国からも注目を受けております。2016年5月に国会で成立したヘイトスピーチ対策法は、国や自治体にヘイトスピーチ根絶への取り組みを求めたものの、禁止条項や罰則規定がないという理念法であります。
一方で、2017年11月に川崎市が全国で初めてヘイトスピーチを事前規制するガイドラインを策定し、ことし3月から実施をされております。ヘイトスピーチを行う団体が公園や公民館など公共施設を利用するおそれがある場合、市は使用を許可しないことができる。ガイドラインは不当な差別的言動のおそれが客観的な事実に照らして具体的に認められることを確認した場合、関係者への聞き取りや過去の言動などを調査し、他の利用者に著しく迷惑を及ぼす危険が客観的な事実に照らして明白な場合に該当するかどうかを判断し、第三者機関の意見聴取後に最終判断をすることとなっております。ヘイトスピーチを根絶するには、差別意識や人権侵害を生み出さない社会をつくり上げていくことが非常に重要であります。
そこで伺いますが、国や、または川崎市のこうした取り組みや動きに対して、本市はどのように受けとめているのか、御認識をお聞かせいただきたいと思います。
97 ◎【伊藤裕司議長】 総務部長。
98 ◎【平本博美総務部長】 国や川崎市の動きについては認識をしております。また、東京都におきましても、10月に東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例が公布施行されており、この中で外国人に対する不当な差別的言動の解消に向けた取り組みの推進が規定されているところでございます。今後も引き続き国や東京都をはじめ他市の動向も注視をしてまいります。
99 ◎【伊藤裕司議長】 第18番、市川克宏議員。
100 ◎【18番市川克宏議員】 主張の対立や、また見解の相違が生じるというのは人が集まれば当然であります。しかし、なぜそこにヘイトスピーチが絡むのかが問題であるわけです。誰かを敵に見立てること、また、社会を分断させるという主張や空気は、攻撃の矛先を外国住民だけにとどまらず、例えば震災被災者、または被曝者、公害病認定患者など、さまざまな分野に広がっている実態もあるわけです。わかりやすい敵を発見しては、それに食いついて回るような暗い情念が各地でも起きていることは事実としてあります。ヘイトスピーチは人を壊す。さらに地域を壊します。さらには社会を壊すものでもあります。私たちがこれからもこの社会で生きていくためには、こうした差別や偏見、ヘイトスピーチと戦っていかなければならないと感じます。
質問の最後に、市長にお伺いをいたします。
八王子ビジョン2022において、平和の大切さやとうとさが継承され、ひとりひとりの人権が尊重されるとともに、社会の一員としてあらゆることに参加でき、誰もが安心して暮らせるとしております。人権尊重の意識の醸成を行うこととしております。そこで市長に改めてお伺いをいたしますが、ヘイトスピーチに対する市長のお考え、また人権擁護推進についての御見解をお聞かせいただきたいと思います。
101 ◎【伊藤裕司議長】 石森市長。
102 ◎【石森孝志市長】 ヘイトスピーチにつきましては、特定の民族や国籍の人々を地域社会から排除することを扇動する不当な差別的言動でございまして、許されるものではないと認識をしております。今後もひとりひとりの人権が尊重され、誰もが安心して暮らすことができる社会の実現を目指し、人権擁護の取り組みをより一層推進してまいります。
103 ◎【伊藤裕司議長】 第18番、市川克宏議員。
104 ◎【18番市川克宏議員】 繰り返しになりますが、ヘイトスピーチの根絶をはじめ、人権が尊重される社会にするには、差別意識や人権侵害を生み出さない社会をつくり上げていく不断の努力が必要であります。基本的人権は侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与えられ、さらに国民は法のもとに平等であって、人種、信条、性別、社会的身分、または門地により、政治的、経済的または社会的関係において差別されないことは日本国憲法上明確に規定をされているわけであります。引き続き憲法に基づく精神で人権尊重の社会の実現に向けて取り組んでいただきますことを申し上げて、私の一般質問を終わります。
105 ◎【伊藤裕司議長】 次は、第2番、西山賢議員。
〔2番議員登壇〕
106 ◎【2番西山賢議員】 自民党新政会の西山賢でございます。発言通告に従いまして一般質問させていただきます。
今回のテーマは、大きく分けて2つ、1つ目は、浅川北岸地域のまちづくりについて、そして2つ目は、本市の観光についてであります。
それでは、まず初めに、浅川北岸地域のまちづくりについて質問をさせていただきます。浅川北岸地域のまちづくりにつきましては、過去におきましても一般質問させていただきましたが、当時からの進捗も含めまして確認をしていきたいと思います。
まずは、土地区画整理事業ですが、浅川北岸地域では2つの区画整理事業を抱えております。1つは、中野山王地区となります中野中央土地区画整理事業、もう1つが、中野上町地区となります中野西土地区画整理事業です。両地区を土地区画整理事業として実施する理由は、戦前から多くの方が居住する地域であることから、狭い道路に密集した木造住宅と、さらには公共施設などの未整備なども重なり、住環境の悪化を招いているため、これらの改善を図ることを目的としております。
特に近年の数多く発生する自然災害を目の当たりにいたしますと、災害がきっかけで密集した木造住宅内に火災が発生したと仮定をするならば、先日の消防庁八王子署楢原出張所が落成し身近な消防のかなめとなり、地域の皆さんの安心につながるとしても、その消防車が現場まで満足に入れないのであれば、悲惨な状況となることを容易に想像することができ、地域住民の皆さんも常に不安な日々を過ごしているとともに、このような声を聞くことも少なくございません。
この土地区画整理事業のテーマで、初めて平成27年第4回定例会で一般質問したときの答弁では、鋭意努力をするという回答をいただき、その後も、翌年再び一般質問した平成28年第4回定例会の一般質問からも2年が経過をいたしました。改めてそれぞれの進捗率をお聞かせいただきたいと思います。
また、この土地区画整理事業は、東京都都市づくり公社が委託を受けて進めていると伺っております。平成28年第4回定例会一般質問では、東京都都市づくり公社の技術力を生かし、効率的な方法で整備工事を進めると答弁をいただきましたが、それぞれいつから東京都都市づくり公社へ委託をしたのか、これまでの委託事務費の総額と、委託をしてから現在までのその仕事ぶりは市が想定をしていたとおりに進んでいるのかお伺いしたいと思います。
続いて都市計画道路について御質問をいたします。浅川北岸地域のまちづくりにおきまして、都市計画道路を含む主要3路線について質問いたします。
まずは、八王子都市計画道路3・4・54号環状線です。これは、地元では中野中央通りという愛称で呼ばれております。この路線は、首都直下地震等対処要領において、大規模救出救助活動拠点に指定されており、避難路、輸送路の確保など防災機能の強化路線となっております。
また、八王子都市計画道路3・4・61号線は、地元では、かすみ学園通りという愛称で呼ばれておりますが、この道路は平成29年10月の台風第21号の被害となりました美山-川口間を結ぶ戸沢峠の通行どめにより、多くの市民が実感をしましたが、本市における交通の弱点でもある北南を抜ける道路の少なさが交通のボトルネックとなっているものを解消するための補助幹線道路の1つとして、北南間の交通機能の向上をさせることが期待されております。
続きまして、八王子都市計画道路3・5・53号台町五日市線となります秋川街道ですが、八王子市役所北交差点よりも西側につきましては、南多摩西部事務所により整備が進められ、東に道路の拡幅が進んでいることがわかりますが、東側となる萩原橋までの区間におきましては、一部用地の確保は進んでいるようですが、その後の動きが一切見受けられません。秋川街道は震災等の災害時に避難や救急、消防活動、また救急物資の輸送の大動脈となる幹線道路として重要視される一般緊急輸送道路と、さらに重要性の高い特定緊急輸送道路が混在している路線となります。まさにこの八王子市役所北交差点を境に、整備の進んでいる西側が一般緊急輸送道路に対し、整備進捗が見受けられない東側が特定緊急輸送道路に指定されていることを考えれば、この状況のままでいることは災害時の本市の防災機能を低下させてしまい、早急な改善が必要であると考えます。改めてこの3路線の現時点の進捗状況と今後の予定をお聞かせいただきたいと思います。
続きまして、都有地・国有地の用地活用について御質問をいたします。
市内には多くの公有地が存在しておりますが、浅川北岸地域も例外なく多くの用地が点在しております。点在する用地の中には、広大な面積を持つ都有地、国有地の存在もありますので、過去の一般質問の答弁も考慮した上で、確認のための質問をしていきたいと思います。
まずは、子安町の医療刑務所と同様に、法務省管轄である中野町にあります東京婦人補導院、八王子少年鑑別所についてお伺いいたします。この施設は、昭和53年2月に設置され現在に至りますが、昭島市の国際法務総合センターに移転する施設の1つとして位置づけられているため、跡地となる用地活用につきましては、地元としても大変注目をしております。本市としては、平成26年度、跡地活用の方向性を定め、甲の原体育館の隣地であることから、まずは生涯学習スポーツ部が具体的な活用検討をする方向で決まり、平成28年度から平成30年度にかけて、八王子市スポーツ推進審議会でもこの用地活用について議論し、報告書をまとめております。一方、地元もこれまで2度の要望書の提出をはじめ、市側との意見交換会も数回実施し、地域としての声を市側に伝えてまいりました。
以上の経緯を含め、生涯学習スポーツ部として現在当該用地の活用についてどのような検討状況にあるのかお聞かせいただきたいと思います。
また、現在把握している移転時期等のスケジュールもあわせてお聞かせください。
浅川北岸地域には都営中野団地の建て替え工事が進められておりますが、最後の棟もいよいよ工事用の防音フェンスも取り外された状態となりました。このように動きが出てきますと、周辺住民も、従来からあるこの都営中野団地の行方が気になるという声も聞くところです。
そこで、都営中野団地について、本市が知り得る状況と今後のスケジュールについてお聞かせいただきたいと思います。
続きまして、2つ目のテーマとなる観光について質問をいたします。
観光につきましては、平成29年第2回定例会の一般質問において、インバウンド戦略のテーマで質問をさせていただき、その際に、外国人にも魅力を感じさせる本市の観光資源の発掘を学園都市である本市に多く通学する留学生の協力を得て意見を求めてほしいと要望させていただきました。これにつきましては、つい先日となる平成30年11月27日に、実際に大学コンソーシアム八王子主催による留学生座談会を実施していただき、意見を伺う機会を設けたと伺いました。取り組みを進めていただいたことに感謝をいたしますが、本市八王子市に対して、留学生の皆さんからどのような意見が出たのかお聞かせいただきたいと思います。
さて、2年連続観光をテーマに着目した一般質問をするには理由があります。世界観光機関によりますと、全世界の旅行者は増加傾向が続いておりまして、2015年にはおよそ12億人と言われ、こうした傾向は今後も長期にわたって継続することが見込まれており、2020年には約13億人、2030年には約18億人まで増加することが予測されております。さらに、そのうち特に増加する割合が高いのはアジア、太平洋地域で、全体の旅行者に占める割合は2010年の22%から2030年には30%まで拡大することが見込まれております。
この傾向は我が国にも当てはまり、ここ10年を見ても約3.3倍へと増加をしております。この情勢に、国土交通省、観光庁も注目をしておりまして、平成31年度観光庁関係の予算概算要求によりますと、前年度の275億5,000万円に対し2.68倍の739億6,800万円と増額をし、将来予測をしている外国人観光客、インバウンドに対して観光先進国として積極的に展開しようとしております。日本政府観光局によりますと、2017年の訪日外国人観光客は2,800万人を超え、2018年10月末現在で既に2,600万人を超えているデータを見れば、年末には3,000万人の声も聞こえてきそうであります。
観光庁では、2020年の外国人観光客には4,000万人の目標を掲げ、2030年には6,000万人を目標に向けたプロモーションを展開していくとしております。なぜこのように官公庁である国をはじめ、前回の質問で取り上げた東京都が力を入れようとしているとしているのでしょうか。それは、観光が消費の成熟化した国々において重要な成長産業になっており、地域の資源を生かせる貴重な産業として注目をされているからであります。つまり、我が国にとって国内資源を生かすことのできる大きなビジネスになると見ているからです。
それでは、本市の観光における経済規模はどのぐらいあるのか。前回の質問に引き続き確認したいと思います。本市の主な産業の経済規模をそれぞれお聞かせいただきたいと思います。
また、本市では観光に対する位置づけをどのようにとっているのか、あわせてお聞かせください。
また、観光庁や東京都がこれだけ注目している外国人観光客、インバウンドの誘致について、本市の意気込み、やる気をお伺いいたしまして、1回目の質問を終わりにいたします。
107 ◎【伊藤裕司議長】 会議時間も長くなりましたので、暫時休憩します。
〔午後零時05分休憩〕
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〔午後1時00分再開〕
108 ◎【村松徹副議長】 休憩前に引き続き会議を開きます。
一般質問を続行します。
第2番、西山賢議員の第1回目の質問に対する答弁を求めます。
都市整備担当部長。
109 ◎【村野弘幸都市整備担当部長】 3点の御質問をいただきました。
まず、中野中央地区、中野西地区の区画整理事業について、それぞれの進捗状況でございますが、平成29年度までの建物移転は、中野中央地区では189棟の移転が完了し、進捗率は45.5%でございます。また、中野西地区は75棟の移転が完了し、進捗率は4.2%でございます。
続きまして、東京都都市づくり公社への委託につきましては、平成24年度の工事補償の一部委託後からは6年が経過しており、委託事務費総額は平成29年度までに、中野中央地区が約2億5,200万円、中野西地区が約2億5,100万円でございます。
その委託の成果でございますが、中野中央地区は東側の整備を進めるとともに、次の展開を踏まえまして、西側地域の仮換地案を作成いたしました。また、中野西地区は国道16号線の東側の整備とともに、大規模工事であった清水川の暗渠化を行い、さらに用地取得など国道拡幅事業に協力し整備が完了したことが挙げられます。しかしながら、中野中央地区に比べ中野西地区の進捗率が低いことは明らかであるため、東京都都市づくり公社の技術力をさらに発揮し、権利者との調整を図りながら事業の進捗を早めていくものと考えております。
次に、都市計画道路3・5・53号線、通称名、秋川街道でございますが、こちらの状況と今後の予定でございます。中野西地区内の秋川街道は土地区画整理事業で整備すると位置づけられております。秋川街道は重要な路線であると認識しており、中野西地区においても優先的に整備を進めていくものと考えております。
110 ◎【村松徹副議長】 道路交通部長。
111 ◎【佐久間寛道路交通部長】 私からは、都市計画道路3・4・54号線及び都市計画道路3・4・61号線の進捗状況と今後の予定についてお答えをいたします。
3・4・54号線1工区につきましては、平成26年度から用地買収を始め、現時点で約3,730平米を買収し、用地買収率は約44%となっております。また、3・4・61号線につきましては、平成29年度から用地買収を始め、現時点で約900平米を買収し、用地買収率は約22%となっており、それぞれ1年間で10%ほどの進捗となっております。
今後の予定につきましては、3・4・54号線は防災上も重要な幹線道路であること、また、3・4・61号線はまちづくりの骨格を形成する重要な路線であることから、両路線ともに鋭意用地買収を進め、早期開通に向け事業進捗を図っていきたいと考えております。
112 ◎【村松徹副議長】 生涯学習スポーツ部長。
113 ◎【瀬尾和子生涯学習スポーツ部長】 東京婦人補導院、八王子少年鑑別所移転後用地の活用についての検討状況について御質問をいただきました。御紹介のあったスポーツ推進審議会の議論では、当該用地活用に向けての甲の原体育館を取り巻く本市各種計画や体育館運営における役割、活用の基本的な考え方、活用案、留意点と幅広く御議論をいただきました。また、地域の方々の思いも伺っているところでございます。スポーツ施設の現場を預かる事業所管としましては、それらの状況を踏まえ、審議会からいただいた議論のまとめを尊重いたしまして、今後さらに課題整理や実現性精査など、検討を進めてまいる考えです。
114 ◎【村松徹副議長】 都市計画部長。
115 ◎【守屋和洋都市計画部長】 私には、都有地、国有地について2点の質問をいただいております。
東京婦人補導院、八王子少年鑑別所の移転時期等のスケジュールについてですが、現在のところ、平成31年1月に移転先施設が完成し、4月に移転予定と聞いております。その後につきましては、時期は未定ですが、土地建物等の財産が法務省から財務省へ所管替えされ、用地処分手続が始まる流れとなっております。
次に、都営中野団地の建て替えのスケジュールについての御質問ですが、平成30年度に最終建設予定の2棟が竣工した後は、団地の高層化に伴い生み出される創出用地の予定地において、老朽化した建物の撤去をさらに進めていくこととなります。全9棟の建物のうち、既に南側の4棟が取り壊されており、平成30年度予定されている居住者の転居が完了すれば、翌平成31年度には3棟を除去し、その後残る2棟の解体に着手する予定となっております。この街区の建築物の撤去が全て完了すれば、建て替え計画も一つの区切りになるものと思われます。
116 ◎【村松徹副議長】 産業振興部長。
117 ◎【
廣瀬勉産業振興部長】 私からは、観光に関する3点の質問に答弁させていただきます。
まず、留学生の座談会での意見についてでございますけれども、市内で開催されている陶器市や古本市など、日本人の日常が味わえる場所や、茶道などの日本文化に触れる体験は魅力的であり、また、高尾山と温泉は知人に勧めたい観光資源であるといった意見、あるいは留学生への情報発信については、写真を活用したPR活動が有効であるとの提案を含め多くの御意見をいただいたところでございます。
次に、主な産業の経済規模と観光に対する位置づけでございます。平成28年に公表された経済センサスによりますと、主な産業の経済規模といたしまして、物づくり産業は4,406億円、商業1兆3,811億円、農業13億円、宿泊業や飲食業841億円となっており、また、平成28年観光統計調査による推計では、経済波及効果を加えた観光消費額は932億円となっております。観光産業は地域での買い物や飲食による消費、雇用創出など、関連業種への裾野が広く、今後増加する外国人観光客が取り込めれば、本市にとっての成長産業になると認識をしております。
最後に、外国人観光客の誘致についての取り組み姿勢でございますが、外国人観光客をはじめとする観光客の誘致は、買い物、飲食、宿泊など、市内での消費により地域経済に大きな影響を与える重要な施策であると認識をしており、今後につきましても、本市ならではの観光資源を生かしたさらなる外国人観光客の誘致を図ってまいります。
118 ◎【村松徹副議長】 第2番、西山賢議員。
〔2番議員登壇〕
119 ◎【2番西山賢議員】 それぞれ御答弁をいただきました。
土地区画整理事業につきましては、中野中央地区並びに中野西地区の委託を受けている東京都都市づくり公社において、専門の機関であるからこそ、委託事務費以上の仕事に期待をしております。その上でお願いがございます。地元の方と話をしておりますと、情報がほとんど入らずに不安に思っている方が非常に多いということであります。そこで、定期的な住民説明、経過説明を心がけるように徹底していただきたいと思いますので、改めて要望させていただきます。
都市計画道路につきましては、現在浅川北岸地域で事業中の3・4・54号線、3・4・61号線は、第四次事業化計画の優先整備路線に位置づけられており、両路線とも重要な都市計画道路となっております。
3・4・54号環状線は、中心市街地から放射線に伸びる国道16号、20号、陣馬街道、秋川街道などを連絡する市内唯一の環状線であります。整備効果としては、市街地へ流入する自動車交通を分散することが期待され、また、狭隘な道路に流入する自動車交通を抑制することで地域の安全性の向上を図ることができます。特に本事業区間の現道であります市立第十小学校の通学路でありますが、現状として自動車交通量が多く歩道がないために本事業は通学時の安全確保にも寄与するものであります。
また、3・4・61号線は、国道20号線から国道411号線を結び、本市の西部地域のまちづくりの骨格を形成するとともに、拠点間の連携強化や渋滞箇所の解消を行う役割を担う路線として、3・4・54号線とあわせて八王子市交通マスタープランにも位置づけられております。この2路線が開通することで、地域間交通ネットワークの形成が図られることから、地域住民からも早期開通を期待されておりますので、さらなる事業進捗を図っていただくことを強く要望いたします。
また、秋川街道につきましては、特定緊急輸送道路として、国道20号から市役所をつなぐ道路として、鶴巻橋と萩原橋、そして、八王子警察の前の通りと、この秋川街道を使い、環状線のように利用する目的で使用されていると思われます。この環状線の一部が建物倒壊等で使用できない状態では、本市の防災機能として市役所、警察署機能は著しく損なわれます。早期整備を改めて強く要望いたします。
都有地、国有地の用地活用につきましては、東京婦人補導院、八王子少年鑑別所のスケジュールもいよいよ具体的に見えてまいりました。改めて閉鎖的な施設が長年その場にあることを考えていただき、迷惑をかけてきた地域の住民にぜひ寄り添っていただくことを要望させていただきます。
それでは、土地区画整理事業におきます中野中央地区と西地区の現状はわかりましたので、今後のスケジュールをお聞かせいただきたいと思います。まずは、中野中央地区の整備につきましてお示しをいただけるようお願いいたします。
また、西地区におきましては、国道16号拡幅工事が完了しなかったために、地元住民に整備を待ってほしいという説明をしていた経緯もあると聞いておりますが、平成30年1月14日に、この国道16号の開通式もとり行われ、ここで歩道の整備もおおむね完了したことを考えますと、何一つ遠慮するものはなくなったわけであります。これまで長きにわたり我慢をしていた地域住民の期待は非常に高いものとなっております。中野西地区におきます今後のスケジュールもあわせてお聞かせいただきたいと思います。
都有地、国有地の用地活用についてですが、都営中野団地も平成30年度に予定されている居住者が新たな建物へと移転が完了すれば、平成31年に3棟の除却、その後残り2棟の解体もすると答弁をいただきました。そうなりますと、やはり地元とすればその後のこの用地がどのようになるのかが気になるところであります。都営中野団地跡地の用地活用について、現在どのように検討しているのかお聞かせいただきたいと思います。
続きまして、観光についての2回目の質問に移ります。
1回目の質問で、本市の観光における経済規模、経済波及効果を加えますと932億円と非常に高いウエートであり、やはり注目すべき産業であることを改めて理解をしたところでございます。さて、本市は歴史あるまちといたしまして、さまざまな観光資源を持っていることは誰もが理解するところであります。その中で、本市には観光課と八王子観光コンベンション協会とが観光を牽引する機関として存在しますが、その役割とそれぞれの立ち位置についてどのようになっているのかお聞かせいただきたいと思います。
また、近年、観光庁はさまざまな地方自治体や団体に対して、観光の政策の一環で地域の稼ぐ力を引き出すとともに、地域への誇りと愛着を醸成する観光地経営の視点に立った観光地域づくりのかじ取りとして、多様な関係者と協働しながら、明確なコンセプトに基づいた観光地域づくりを実現するための戦略を作成するとともに、戦略を着実に実施するための調整機能を備えた法人であります日本版DMOの設置を求めておりますが、本市はこの日本版DMOに対してどのように捉えているのかお伺いをしたいと思います。
ところで、本市におきます観光の評価、この評価の物差しは何とお考えになるのかお聞かせいただきたいと思います。この物差しでございますが、私の印象としては、地方自治体の多くの観光課や観光協会と呼ばれる機関等の考え方は、メディア等の媒体への露出度、また、イベントの参加人数をその評価の物差しにしているのではと考えます。果たしてそれは正解でしょうか。1回目の質問時に、観光は国内資源を生かすことのできるビジネスと述べました。これからの成果指標は、地域が稼ぐことのできる観光をその評価の物差しにしていかなければならないと考えます。
観光以外にも、地域が稼げる可能性はあるのではという意見もあるかもしれません。では、地域が稼ぐためには何が考えられるでしょう。例えば本市でも、企業立地支援条例等を活用しながら、工場誘致や企業誘致を行っております。平成16年度からスタートし、平成29年度までに純増の33企業を含む109件の実績があり、現時点では一定程度の成果があると言えます。しかし、この手法は今後立地をする用地の問題や、経済のグローバル化により国際分業が進むことで工場誘致はなかなか難しくなると考えなければなりません。仮に工場誘致ができたとしても、生産の多くはロボットを活用してオートメーション化され、雇用も従来のような安易な予測もできません。また、農業や林業などもありますが、地域が稼ぐ事業として、第1次産業ではありますが、大きな事業収入を稼ぐということに対しては厳しい状況であり、後継者不足も問題となっていることから、補助金等を導入しても新たな税収アップにつながるかは、何らかの劇的な策をとっていかない限り難しいかもしれません。
そして次に、先に安全・安心なまちづくりについて聞きますけれども、先日、私の家の近くに野生の鹿が出没しました。追い払い駆除隊の皆さんがおっしゃるには、大体3歳から4歳ぐらいで、角がちょこっと出たぐらいの鹿でしたけれども、大体見当で60キロぐらいの鹿です。本当の住宅地に鹿が出たんです。普通のお宅のガレージのところから鹿が入って、庭ですとんと休んで、回りが草だらけでしたから草を食べて、結局半日ぐらいいたんですけれども、どうしてそのうちの方が鹿が来たかわかったかというと、隣のうちの人から電話があって、今、うちの前を鹿が通ってお宅のガレージへ入っていったという電話があって、鹿がいるということがわかって、騒ぎになったんです。
一義的には、市がおっしゃるように、警察の範疇なんだと思いますけれども、現実問題、警察の皆さんも来ていただきましたけれども、鹿の扱いであるとか、捕まえ方であるとか、習性だとか、そんなことは熟知をされていないので、どうしても農林課や追い払い駆除隊の皆さんのお力をかりるようになるんだと思います。住宅街ですから、銃器類を使用することもできませんし、麻酔銃の対応もなかなか難しい。非常に難しい案件でした。みんなで取り囲んで、何とか捕まえる努力をしましたけれども、結果として、鹿は逃げてしまいました。
これから大型野生獣の市街地対策を考える必要があるんだと思います。たまたま今回出たのは京王高尾線の沿道でしたけれども、その何日か前には、今回出た鹿よりも非常に大きい、百何十キロという鹿が京王線にはねられて、本市の農林課にその後始末の依頼があったとそういう報告も受けています。珍しいことではなくて、これから時々出てしまうのではないかという危惧をしております。60キロの鹿が買い物に行った人のそばを走ったり、もしくはぶつかったりしたら、必ずけがをしますし、これがイノシシなんかだと、イノシシも非常に興奮をして、この間、九州のほうで通行人を襲っている映像がテレビに出ていましたけれども、そんなことも起きないとも限りませんので、これからそういうことにも対応ができるように、農林課に専門性の高い職員をこれからも養成をしていってほしいと思いますし、次代へそのスキルをつなげていってほしいと思いますので、本市の見解をお尋ねします。
最後に、子育てについてお尋ねします。
一言で子育てしやすいまちづくりといっても、子育て世代の皆さんの要望は多岐にわたって、その中でも、先ほどの回答でございましたけれども、親子で安心して遊べる公園の需要が高いとの御報告でございました。富士森の児童公園のような公園、南部のほうにはつくっていただく公園の名前まで出ましたけれども、北部もどの公園か早く決めて、ぜひ次の準備をしていただきたいと思います。
子育て世代の皆様であれば、必ず何回かは動物園に行ったことがあると思います。東京都には代表的なもので、上野動物園、多摩動物公園、井の頭自然文化園などがございます。これは都が設置をしているかなり大規模な動物園でございますけれども、また、本市に近い羽村市動物公園はそのコンパクトさや平坦な形状もあって人気が高い、そのように聞いておりますし、私も子育て中には何回か羽村市動物公園にも子どもたちを連れてお邪魔をしました。
そして、余り知られていませんけれども、東京都内で自治体が設置をしている子ども動物園という名前だったり小動物園という名前だったり自然動物園という名前だったり、そういう動物園が幾つかございます。板橋区にはこども動物園が、江戸川区には自然動物園となぎさポニーランド、篠崎ポニーランドそういうのがありますし、町田市にはリス園がございます。そこで多くの児童・生徒が暮らすこの八王子では、何とか子ども動物園をつくっていただけないか、そんな要望をしたいと思います。お隣の日野市に多摩動物公園がありますから、ライオンや虎のような猛獣ではなくて、ヤギや羊、ウサギやモルモット、またオウムなどの鳥類や、私は個人的にはアルパカやポニーやカピパラも欲しいと思いますけれども、そういう愛玩系の動物を集めた子ども動物園みたいなものをぜひ本市におつくりいただけないか、そんな思いでございます。
私は大学生のときに、多摩動物公園で、東京動物園ボランティアーズという団体に入っておりまして、何が役目かというと、動物園の中で動物園に来たお子さんにモルモットやウサギの抱き方を教えるというボランティアをやっていたんですけれども、小さい子どもたちが、こんなにモルモットは温かいんだとか、ウサギをぎゅっとつかもうとする子がいるから、ぎゅっとつかんではだめだよと、命の大切さを教えたりですとか、そんなことをやっていて、小さいとき、幼児期にそういうことを子どもに経験させることは非常に大事なことだなと、そんなことも思っておりますので、ぜひ前向きに御検討いただきたいと思います。
その動物園をおつくりいただけるのであれば、管理運営には地元企業の皆さんのお力をかりたり、元気で子どもと動物が好きな高齢者の皆さんのお力をかりたり、町田リス園のように障害をお持ちの皆さんにそこを就労場所として位置づけていただいて働いていただけるならば、市の費用負担は最小限に抑えられ、子どもたちに大きな効果を与えることができると思います。ぜひ本市に子ども動物園設置に向けた研究を始めていただきたいと思います。市長に聞きたいところですけれども、担当部署に本市の見解をお尋ねして、私の一般質問を終わります。
150 ◎【村松徹副議長】 まちなみ整備部長。
151 ◎【坂倉進まちなみ整備部長】 高齢者が安心して暮らせる住宅についてでございます。現在実施している空き家の実態調査におきまして、所有者の利活用の意向を伺う中で、福祉サービス事業者が利用することへの考え方についても把握に努めております。今後、その結果を踏まえどのような施策を組み合わせることで高齢者が安心して暮らせる住宅を確保できるか、福祉部門とも連携して研究をしてまいります。
152 ◎【村松徹副議長】 産業振興部長。
153 ◎【
廣瀬勉産業振興部長】 獣害対策の後継者の養成でございますけれども、野生銃やわなに関する知識につきましては、これまで農林課で実施してきた実績がございますが、組織としてのこれらの知識を十分蓄積できていない面もあると感じているところでございます。これらの知識や経験を組織として蓄積し継承できるようしっかりとマネジメントをして、後継者の育成に取り組んでまいります。
154 ◎【村松徹副議長】 子ども家庭部長。
155 ◎【豊田聡子ども家庭部長】 子ども向けの動物園に関する御質問でございますが、子どもたちが動物と触れ合うことは心の安定や情緒発達によい効果をもたらすものというふうに考えております。子育てしやすいまちづくりを進めるに当たり、子どもが自然や動物に触れる機会に恵まれるようさまざまな方策を考えていきたいというふうに考えております。
156 ◎【村松徹副議長】 次は、第30番、鳴海有理議員。
〔30番議員登壇〕
157 ◎【30番鳴海有理議員】 生活者ネットワークの鳴海有理です。それでは、通告に基づきまして一般質問を行います。
1つ目のテーマとしまして、生物多様性の主流化に向けてということで質問をしていきます。
これまで生物多様性地域戦略の策定に向けては、議会の中で何度も取り上げさせていただきました。市は環境基本計画の中間見直しに合わせて議論を進めるという方向性を打ち出しておりますが、ここで改めて取り上げるという意味は、ただ戦略をつくることだけが目的ではなく、より実効性のあるものにしていくため、さまざまな視点での議論が必要だからです。
ことしの予算等審査特別委員会総括質疑でも、地域戦略の意義についてお伺いいたしました。答弁では、「生物の多様性に対するさまざまな危機を回避し、持続的な利用を可能にすることを目的としておりまして、地域の課題解決にもつながるものであると認識しております。また、公園や道路、河川といったハード面はもとより」、「産業や観光、歴史・文化、教育といったソフト面も含めまして、幅広い分野に対して横断的にかかわるものであると考えております」と当時の環境部長がお答えになっています。
また、市長にお考えをお伺いした際の答弁では、「地域戦略は、気候や植生あるいは歴史・文化、観光など、本市の地域特性に大きく依存する独自のものとなりますので、関連する所管で情報や課題を共有しながら、さまざまな視点から幅広く議論を深めていくことが重要である」とお答えになっておりました。そこで、今回はこれまで質問をしてきた環境部としての取り組みだけでなく、他の視点からも、生物多様性の意義とその取り組みについてどのように考えているか深める機会にしていきたいと思います。
そこで、改めて生物多様性についておさらいをしますと、地球上の生物の種類、およそ3,000万種あると言われております。日本には知られているだけで9万種ほど、まだ知られていないものも含めると30万種ほどいると言われております。地球上の1%ほどの生物が日本という小さな島国の中に生息をしているということになります。その中で、高尾山の植物は1,300種で日本一です。昆虫も5,000種、鳥類も日本の4分の1の種が高尾山で見られるというほどの生態系がここ八王子に集中をしているのです。
しかし、4分に1種、今こうしている間にも生物が絶滅しています。4分間に1種類という猛スピードで生物の種が絶滅している。恐竜絶滅時代よりもはるかに早いスピードです。ミレニアム生態系評価というものによると、人類がここ数百年で絶滅の速度を1,000倍に加速させているとのことです。大量絶滅時代なのです。もし何もしなければ、2050年には2000年時点の自然地域の約1割が消失するとも言われております。
こちらは日本の状況を示しております。絶滅の危機にさらされている日本の野生動物、野生植物の割合です。哺乳類では、全体の23.3%が絶滅の危機にさらされている。鳥類では13.1%、爬虫類では31.6%、植物では全体の24.1%、これが日本の状況です。4種類に1種は絶滅の危機にさらされているという状況、環境省のレッドリストの掲載種数も年々ふえており、現在3,675種、20年前から比べると1,000種ほどもふえております。多様な自然環境の中で、それぞれに適応して進化した個性を得た生物が互いにつながり合い支え合って暮らしている中で、どんな小さな生物であっても、1種類絶滅することで回りの生態系に与える影響は大変大きなものです。
このことに危機感を持った日本は、1993年に生物多様性条約を批准し、1995年、2002年、2007年の3度にわたり国家戦略を策定してきました。2008年に生物多様性基本法が施行され、国家戦略が法律でも義務づけられてきました。それに基づき策定されたのが、生物多様性国家戦略2010であり、生物多様性の保全と持続可能な利用を進めるための基本的な計画として、2010年3月16日に閣議決定されました。計画のミッション、短期目標は、2020年までに、回復力があり、また必要なサービスを引き続き提供できる生態系を確保するため、生物多様性の損失をとめるための効果的かつ緊急の行動を実施する。そのための20の個別目標が、2010年、愛知県名古屋市で開催されたCOP10において、これ以上生物多様性が失われないようにするための具体的な行動目標である愛知目標として制定されました。
愛知目標は、2020年を目標とし、さらにその達成に向けた国別目標があります。生物多様性の保全に向けたこれらの取り組みは持続可能な開発目標、SDGsの根底でもあります。しかし、全国的にこの取り組みが進んでいるかといえば、そうではありません。東京都をはじめ都道府県レベルでは、ほとんどの地域が地域戦略を策定しているものの、余り周知されておらず、主流化されるというにはまだまだ遠い状況にあります。
私たちの暮らしは生物多様性がもたらすたくさんの恵みによって支えられています。これを生態系サービスと言います。水、食べ物など、さまざまな資源を供給してくれる供給サービス、自然災害の防止や暮らしの安全性につながる調整サービス、豊かな自然や景観、食文化やレクリエーションなど楽しみをもたらし、癒やしや精神的な充実を与える文化的サービス、また、光合成による酸素の生成、土壌形成など、全ての生命の存立の基盤になる基盤サービスという4種類に分類されます。生態系サービスの上に成り立っている暮らしだということをそれぞれの分野で認識し、保全に向けた行動が必要であります。そのための地域戦略であり、市も動き出そうとしているところです。しっかりと行動に結びつくように幾つかお伺いします。
市も答弁してきたように、生態系サービスは文化、歴史、伝統と密接に結びついています。愛知目標の18には、伝統的知識の継承とあります。国別目標の中にも伝統的生活文化の知恵や資源利用、技術の再評価、継承、活用の促進などと示されております。例えばえぐいという感覚、えぐみという言葉、感覚を知らない子がふえているそうです。スーパーにそろっているおいしい野菜、甘いフルーツしか食べたことない子どもにとって、山菜などを食べたときに感じるえぐいという感覚を味わったことがありません。少し昔は、例えば近くの山で山菜をとって食べた。えぐくて食べられなかったという体験が当たり前のようにありました。それが環境の変化によってなくなっていく。同時に食文化、それにまつわる道具、言葉もだんだんと失われていきます。生態系サービスを守るということと、文化や伝統を守るということはつながっているのです。
そこで、文化行政、博物館行政の観点からお伺いいたします。八王子市では、旧稲荷山小で都立高尾自然科学博物館から譲り受けた資料を管理しておりますし、市史編さんにおいても、収集、調査したものなど、自然環境や各地域の文化に関する資料なども数多くそろえております。専門の学芸員や、市内には専門家の方々も多くいらっしゃいます。今後もこれらの活用、学芸員の役割は大変重要だと考えております。自然科学につながる文化、伝統、自然の歴史などの情報収集、調査研究、情報発信などについてどのように考えているのかお答えください。
また、これから新郷土資料館の建設も予定されております。また、高尾599ミュージアムとの連携など、博物館の果たす役割は大変大きいものと考えます。郷土の文化と生態系のつながりについて、郷土資料館の取り組みの中でもぜひ取り入れていただきたいと思いますが、どのようにお考えでしょうか、お答えください。
次に、観光ともつなげて考えてまいります。生態系と生物多様性の経済学、TEEBというプロジェクトがあり、その報告書を環境省が紹介しております。TEEBの説明を読むと、生態系サービス、イコール自然の恵みを経済的に評価し、自然の重要性の認識に役立てようというものです。全ての人々が自然の価値を認識し、みずからの意思決定や行動に反映させる社会を目指し、自然の価値を経済的に可視化することの有効性を訴えていますとあります。森林が水を供給するだけではなく、洪水など自然災害を軽減する働き、自然を楽しむというレクリエーションや観光としての価値など、さまざまな価値と経済効果をもたらしている。これを評価していこうということを求められているのです。
例えば当時私は都市環境委員会で視察に行きましたが、兵庫県豊岡市では、人とコウノトリが共生する豊かな自然環境の創造を目指し、平成15年以降、農薬や化学肥料を使わないコウノトリ育む農法を進められ、農家には10アール当たり4万円が支払われてきましたが、そのコウノトリ米はより高値で買い取られ、結果としてコウノトリ関係の観光による経済効果、最大10億円以上とされております。生物多様性の保全の経済的価値を認識して取り組んだ結果、大きな経済効果を生んだというわかりやすい事例の1つであります。
高尾山に多くの登山者が集まるのも、世界一豊かな生態系が存在しているからであり、それがどれだけの価値なのか認識をする必要があります。逆に人が歩きやすいようコンクリートで舗装したり、富士山が見えるように木を切ったり整備することで生態系がどれだけ失われたかも検証する必要があります。高尾山だけでなく、八王子城跡や滝山城跡など、八王子が市内外にアピールできる魅力ある場所と言えば、自然環境が豊かなところばかりです。観光施策の観点から、生態系の価値をしっかりと評価していただきたいと思います。その場所の生態系サービスの価値を評価することで、さらに市の魅力を発信することができ、後世に引き継いでいけると考えますが、市はどのようなお考えかお聞かせください。
それと同時に、観光客に対してやさまざまなイベント関係など、生態系への配慮、啓発など、どのように取り組んでいくのかもお伺いをいたします。
次に、実態調査についてです。私は、2015年の第2回定例会から、この生物多様性をテーマに質問をしてまいりました。当時環境部長は、策定するに当たりまして、自然条件である地形、水系、植生に関する調査でございますとか、動植物の分布状況、生育状況の調査でございますとか、それから、緑地の類型等の分析、もろもろ調査手法については行うこともあろうというふうに考えていますので、今後検討していきたいという答弁をされております。これからいよいよ生物多様性地域戦略策定をスタートするに当たり、どのような実態把握を行っていくのか、既存の調査資料の活用にとどまるのか、また、改めて実態調査を行うのか、市の考えをお聞かせください。
以上で1回目の質問を終わります。
〔30番議員発言席へ移動〕
158 ◎【村松徹副議長】 生涯学習スポーツ部長。
159 ◎【瀬尾和子生涯学習スポーツ部長】 2点の御質問をいただきました。
自然科学に関する資料の活用や情報発信についてですが、旧稲荷山小学校では、市民を対象に自然観察会を開催しており、周辺の里山などで散策を行っています。開催に当たっては、本市の学芸員のほか、ボランティアで構成された実行委員会に協力をいただき、人々が暮らしてきた里山の自然を通じて、冬越しをする生物たちの姿や、植物が種を飛ばし仲間をふやす方法などの自然の仕組みについて参加者に説明をしながら体験をしてもらっています。
続きまして、郷土資料館における歴史、文化が自然と結びついていることを踏まえての取り組みという御質問でございますが、郷土資料館では、自然の恵みである木の実を使った原始古代の生活体験講座などを通し、人々の暮らしや文化が自然の上に成り立ってきたということについて理解を深めていただいているところです。歴史文化とは、文化財とそれにかかわる自然環境や景観など、さまざまな要素が一体となったものと捉えておりますので、今後も継続してまいります。
160 ◎【村松徹副議長】 産業振興部長。
161 ◎【
廣瀬勉産業振興部長】 私からは、2点の質問についてお答えさせていただきます。
まず、観光に関する生態系サービスの経済的評価についてでございますけれども、生物多様性や生態系サービスなどの自然の恵みについて、経済的価値を評価することは簡単ではなく、その手法はまだ確立されていないと認識をしております。本市の観光においても、先人が大切に守り育んできた自然や史跡などの資産を活用しておりますので、これらの観光資源が失われることのないようにこれからも維持していくことが必要であると考えております。
次に、生態系サービスに対する取り組み姿勢でございますけれども、観光課では、高尾599ミュージアムにおきまして、高尾山の豊かな生態系についての展示や体験イベントなどを行っております。今後も高尾山にお越しになる多くの方々に生態系の重要性を啓発するとともに、国定公園を所管する東京都が作成しております東京都自然公園利用ルールなどの周知について、東京都などの管理主体とも連携、協力を図りながら、観光資源としての活用を進めてまいります。
162 ◎【村松徹副議長】 環境部長。
163 ◎【佐藤宏環境部長】 生物多様性地域戦略の策定に当たって生物調査を行う必要性についての認識についてお尋ねです。生物多様性地域戦略を策定する際には、市史編さんにおける調査結果や、平成25年度から平成26年度にかけて行った自然環境評価の際に実施した生物調査結果をはじめ、既存調査資料は最大限活用することになると考えます。しかし、地域戦略の策定時において、この調査だけでは不足する部分、また、最新の情報など、必要に応じて追加の調査を実施することになると考えております。
164 ◎【村松徹副議長】 第30番、鳴海有理議員。
165 ◎【30番鳴海有理議員】 それぞれお答えいただきました。
伝統文化の継承というところでは、現在もさまざま自然環境とのつながりについて、啓発や取り組みを行っているというお答えでした。もともと東京都の高尾自然科学博物館だった高尾599ミュージアムが博物館ではなくなったことは非常に残念なことではありますが、今後も自然環境につながる調査研究、資料収集などが進められて、伝統文化とともに継承される取り組みが一層進んでいくことを期待したいと思います。
また、観光の視点からもお答えいただきました。生態系の評価というところでは、まだ簡単ではない、手法が確立していないというお答えではありましたけれども、先ほど紹介しました豊岡市のコウノトリ育む農法というような、そこまではっきりとした経済効果、数字を出すことは難しいかと思いますけれども、高尾山だけではなく、八王子市内にある自然環境で観光としてアピールしているところも、今実態がどうなっているのかというような調査も含めて、その環境の観点から評価をしていくという視点を持っていただきたいと思います。また、啓発についても、高尾山のところでのお話はありましたけれども、そのほかについても、これからイベントをする際、また、市内外から人を集めて多くの方が自然の中に入っていく際も、生態系への配慮ができているかどうかをしっかりとチェックしていただきたいと思います。
今回の質問に当たりまして、今お答えしていただいたように、生涯学習の観点や観光課の担当の方、また、今回質問はありませんでしたけれども、防災課の担当の方とも事前に生物多様性の観点でお話しさせていただきましたけれども、特にこれまでそういった視点で進められてきた施策というのはありませんでした。愛知目標の生物多様性を主流化するという目標には、庁内だけでもまだまだこれからだということがわかります。
これから議論を進めていくに当たり、より実効性があるものとして主流化させていくためには、策定した結果よりも、マルチステークホルダー、全ての利害関係者が一体となってスタートして進めていくプロセスが重要だと考えております。当然民間企業や市民の協力も不可欠です。まずは庁内の機運を高めていくために、策定の前段階として、庁内勉強会など、生物多様性とは何なのか、生態系サービスとは何なのかという認識の共有の場をつくっていく、まずそこから始める必要があると思いますけれども、どのようにお考えでしょうか。
166 ◎【村松徹副議長】 環境部長。
167 ◎【佐藤宏環境部長】 生物多様性地域戦略につきましては、庁内のみならず市民の皆様にも深くかかわる内容になると考えております。このため利害関係者を含め広く議論を行う必要が生じるというふうに考えています。また、実効性のある戦略を策定するためには、事前の情報共有についても非常に重要であるというふうに認識しております。
168 ◎【村松徹副議長】 第30番、鳴海有理議員。
169 ◎【30番鳴海有理議員】 重要性は感じていらっしゃるということですので、ぜひ事前に庁内勉強会から始めるというような形でスタートしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
その次に、生態系の実態調査についても先ほどお答えいただきましたが、既存の調査資料を最大限利用しながら、追加の調査も考えているというようなお答えでありました。既存の資料というところで部長からも今お答えがありました自然環境評価の報告書について少し確認をしておきます。予算審議の際にも、この評価報告書の扱いについてお伺いしたところ、改めて検討する必要があるというお答えでした。しかし、その前から報告書の内容は公表するとしていたにもかかわらず、これまで動きがなかったのはどのような理由でしょうか。また、今後の取り扱いについてどのように検討されたのかお伺いします。
170 ◎【村松徹副議長】 環境部長。
171 ◎【佐藤宏環境部長】 自然環境評価の結果公表につきましては、平成29年に都市緑地法、都市公園法、生産緑地法が改正され、緑を取り巻く社会状況が変化しており、また、本市の状況としても、環境基本計画やみどりの基本計画の改定がございます。みどりの基本計画を検討する中では、評価結果をいかに活用するか、本市の緑のあり方をどうするかなど、総合的な視点で検討することが不可欠です。このため、より大きな視点で市内の緑全般を捉え直す必要があることから、再度検討することといたしました。
172 ◎【村松徹副議長】 第30番、鳴海有理議員。
173 ◎【30番鳴海有理議員】 これまで動きがなかったのは、法改正が理由だというようなお話でした。この評価結果、また既に集められた資料については、盗掘のリスク回避などは必要だとは思いますけれども、今後地域戦略の議論を進めていく上では、共有しなければならない非常に重要な情報だと考えています。評価結果、またこれから追加調査をするのかもしれませんが、追加調査の結果、また、市史編さんの際に調査された資料、こういった情報をしっかりと市民の中で共有し、議論に役立てていただきたいと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
174 ◎【村松徹副議長】 環境部長。
175 ◎【佐藤宏環境部長】 市民協働で生物多様性の保全を進めるためには、調査結果等の情報の公開は必要なことだと認識しております。しかし、個人情報や希少種情報など、公表できない情報もあることから、これらを勘案し公表の可否を判断していきたいと考えております。
176 ◎【村松徹副議長】 第30番、鳴海有理議員。
177 ◎【30番鳴海有理議員】 ぜひよろしくお願いいたします。
この後、次のテーマの川町の残土の持ち込み計画についてお伺いしていくわけですが、今お話ししてきた生物多様性のテーマとも全く別物ではありません。これから生態系を守っていく調査、戦略をつくる議論を全庁的に進めていこうということについては今確認をしたとおりです。一方で、天合峰の里山開発を進めたり、また、大沢川の源流域を残土で埋め立てるような事業を容認する、そんな矛盾があってはいけないと考えております。これからそういった矛盾するような条例や制度、補助金などがあれば見直す必要も出てきます。
市街化調整区域の保全に向けた適正な土地利用に関する条例についてお伺いいたします。条例のタイトルのとおりであれば、保全に向けてしっかりと開発の歯どめになる条例として機能しなければなりません。しかし、川町の開発区域については、夏には蛍が乱舞するような生態系豊かで大変すぐれた自然環境でありながら、また、先ほどの自然環境評価でも評価されているにもかかわらず、ここは緑の環境保全ゾーンとは判断されず土地利用が可能だと認められてしまいました。それで手続が進行してしまっております。果たしてこういった条例は自然保護の観点で意味があるのか。これまで条例がその機能を果たしてきているのか。その効果はどうだったのかお答えください。
178 ◎【村松徹副議長】 都市計画部長。
179 ◎【守屋和洋都市計画部長】 本条例は、本来ならば法規制の及ばない資材置場や駐車場など、10種の土地利用について、最大で60%以上の緑地を事業区域内に担保するよう指導しております。このような非常に厳しい条件により、事業者の中には事前の行政指導の段階において土地利用を諦める事例も多く、緑の喪失を未然に防ぐ効果もあることから、本条例は自然環境及び営農環境の保全にしっかり機能しているものと認識しております。
180 ◎【村松徹副議長】 第30番、鳴海有理議員。
181 ◎【30番鳴海有理議員】 事前に土地利用を諦めるような事例も出てきているというようなことで、一定の効果は果たしている、歯どめになっているだろうというような評価でした。しかしながら、川町の環境の調査をしておきながら、なぜ保全ゾーンと判定できなかったのかと、やはりそこに疑問が残ります。その点については非常に残念でなりません。そこには条例の不備があると言わざるを得ないのではないでしょうか。このまま開発されてしまえば、大量の生態系サービスが失われてしまいます。そして、生態系としての多様性、また、種の多様性、遺伝子の多様性、それぞれ奪われてしまう結果を招いてしまいます。今後こうした矛盾点を再整理していかなければならないと思いますが、もう一度お伺いします。このゾーン判定のあり方も含めて、どのようにこの効果を評価していますでしょうか。
182 ◎【村松徹副議長】 都市計画部長。
183 ◎【守屋和洋都市計画部長】 市長が特別に認める場合ということで認めるところが条項にありますが、こちらについては緑化条例に基づく緑地保全地区とか、東京都の自然保護条例に基づく緑地保全地区など、緑の環境保全ゾーンに該当するというようなところが自然環境の重要性が認められたという場合に該当しますので、今のところそれ以外については緑の環境保全ゾーンに指定するという考えはございません。
184 ◎【村松徹副議長】 第30番、鳴海有理議員。
185 ◎【30番鳴海有理議員】 それ以外はという話なんですけれども、では、川町の具体的な事例について、詳細にお伺いしていきたいと思います。
次のテーマに参りますけれども、川町の谷埋め残土持ち込み計画、いわゆる仮称、スポーツパーク建設事業についてのお話です。前回の定例会でも鈴木勇次議員が取り上げておりまして、そのときの9月の答弁では、この事業は宅地開発指導要綱に基づく公共施設管理に関する事前協議及び都市計画法に基づく同意協議の手続までは完了しており、都市計画法の開発許可申請までには至っていないというお答えでした。また、それとは別に東京都の今取り上げました東京における自然の保護と回復に関する条例の開発許可については現在手続中ということで、確認しますけれども、手続の状況はその後進んでいるのか、どのようになっているのか、まずお伺いします。
また、
市街化調整区域の保全に向けた適正な土地利用に関する条例、今歯どめになっているとおっしゃっていた条例に基づく手続については、この事業に対してはどこまで進んでいるのか御説明ください。
186 ◎【村松徹副議長】 開発・建築担当部長。
187 ◎【中邑仁志開発・建築担当部長】 まず、都市計画法の手続につきましては、まだ許可の申請まで至っていない状況には変わりありません。今回の
市街化調整区域の保全条例と言わせていただきますが、この条例の手続につきましては、土地利用計画の届け出、これを受け付けてございます。現在その内容を確認しているところでございまして、基準への適合確認を経た後に適合証の交付ということになります。
188 ◎【村松徹副議長】 第30番、鳴海有理議員。
189 ◎【30番鳴海有理議員】 前回のときと変わっておりませんけれども、都市計画法の手続については申請には至っていない。条例に基づく手続については内容を確認中ということで、今それが進行段階だというお話です。条例に基づきこれまで事業者に対して指導してきた内容を明文化した条例のガイドラインが昨年8月1日に施行されています。このときは既に事業者の届け出が出ていた時期であります。届け出が出て事前協議が始まっていたのですが、この事業に関しても、この8月1日に施行されたガイドラインの内容で確認をしているという認識でよろしいでしょうか。
190 ◎【村松徹副議長】 開発・建築担当部長。
191 ◎【中邑仁志開発・建築担当部長】 今御紹介いただきましたとおり、ガイドラインにつきましては、当該の条例を運用していく中で、これまで口頭によって指導していたものを明文化して、適切に指導できるようにしたものでございます。このようなことから、この事業につきましても、ガイドラインと同等の内容で引き続き指導していくという考えでございます。
192 ◎【村松徹副議長】 第30番、鳴海有理議員。
193 ◎【30番鳴海有理議員】 では、そのガイドラインにのっとった内容で指導しているということを確認させていただきましたので、少し細かくなりますけれども、もう少しガイドラインの内容を見ていきたいと思います。3番には、「盛土をするための土砂は、事業区域内で発生する土砂を使用すること。やむを得ず、事業区域外から土砂を搬入する場合は、公共公益性が認められる事業であること。また、盛土をする際には、土質試験等を行い、物理的・科学的性質が現場条件に適した土質材料を使用するとともに、風水害等に対し安全性が担保された形状とすること」、このように書かれております。この事業は表向きにはスポーツパーク建設として進められているため、公共公益性が認められる事業ということであるとすると、事業区域外からの土砂搬入も認められることになります。
では、その土質の風水害への安全性が担保されているのかどうか、これについては今確認はされているのでしょうか、お答えください。
194 ◎【村松徹副議長】 開発・建築担当部長。
195 ◎【中邑仁志開発・建築担当部長】 搬入土の土質試験、また盛土の安全性、こちらは、あわせまして詳細な計画が固まります都市計画法の開発許可申請、この段階において詳細な確認を行いまして、適正な材料で適正な施工が行われるよう審査を行ってまいります。
196 ◎【村松徹副議長】 第30番、鳴海有理議員。
197 ◎【30番鳴海有理議員】 開発許可申請の段階でということです。7月に開かれた東京都の環境審議会の中でも、同じようにこの土質の安全性や風水害に対する安全性について問われておりました。そのとき出された資料では、全く確認できず、事業者も応えられないため、大変疑問視されております。ここは源流域なので、有害物質が土の中に含まれた状態で持ち込まれてしまうと、たとえ低い濃度でも、これが下流域一帯に影響を及ぼす可能性があるという指摘もあります。また、UCRとの契約で土砂が搬入されても、汚染された土壌も洗浄され流通してしまう危険性があるというような厳しい指摘もございました。大雨が降った場合の排水についても確認ができない。詳細な水の動きのシミュレーションを出すようにとも言われております。都の審議会で議論されているこのような内容というのは、本来市が厳しくチェックしなければいけないものです。しかし、今の事業者の出された計画では、その段階にも全く達していないということだと思っております。
資金計画についても、このガイドラインに書かれておりますので確認をいたしますが、施設の運営方法、運営体制及び資金計画が適切に担保されていることとあります。今これについては八王子市としてはこのガイドラインの内容は確認できているのでしょうか。
198 ◎【村松徹副議長】 開発・建築担当部長。
199 ◎【中邑仁志開発・建築担当部長】 資金計画等につきましても、土質等と同様に開発許可申請が提出されまして詳細が固まった段階で、この条例の内容も含めて厳格に審査を行うということでございます。その段階で、発生土等の収益等の問題についても厳しくチェックをしていく、そういう考えでございます。
200 ◎【村松徹副議長】 第30番、鳴海有理議員。
201 ◎【30番鳴海有理議員】 これもまだ確認段階にはないというようなお答えでした。申請が提出された段階でということでありますが、開発許可申請が出されてからのチェックでは遅いと思っております。今都の審議会に提出されている資料には、こういった残土処分の費用について全く触れられておりません。工事費についても全く示されていないという問題については、前回の定例会で鈴木議員も取り上げておりましたけれども、答弁は変わっていないというような状況です。土砂の受け入れを事業資金とすることは認められないとこれまで市も答弁で述べていましたように、事業者は資金計画を示せない、示したら通らない、こういう状況にあると考えます。
今都市計画法の開発許可申請の手続の段階が来れば確認できるというお話がありましたけれども、もう一度確認させていただきます。開発許可申請の手続と、条例に基づく手続というのは別で進行しているものと考えます。開発許可が申請が出るかどうかではなくて、条例に基づいた手続として、この資金面や土砂の風水害の安全性についてしっかりと確認ができるということでしょうか。確認をさせていただきます。
202 ◎【村松徹副議長】 開発・建築担当部長。
203 ◎【中邑仁志開発・建築担当部長】 条例の中でうたっておりますガイドラインに示しているような条項も、そのほかに基準として示している部分についても、都市計画法の技術基準と重複するところも多数ございます。この2つの法令については、並行して審査をしていくべきというふうに考えておりますので、この2つについては、同じタイミングで審査してまいります。