平成30年 第4回 定例会-11月30日-03号平成30年 第4回 定例会
平成三十年 第四回定例会 江戸川区議会会議録 第十六号
第四回定例会 第三日
一 開会日時 平成三十年十一月三十日(金曜日)午後一時
二 出席議員(四十三人)
一番 岩田将和 君
二番 中津川将照君
三番 小野塚礼佳君
四番 神尾昭央 君
五番 本西光枝 君
六番 伊藤ひとみ君
七番 栗原佑卓 君
八番 野﨑 信 君
九番 牧野けんじ君
十番 桝 秀行 君
十一番 笹本ひさし君
日程第一、一般質問。
前回に引き続き、一般質問を行います。
順次質問を許します。七番、栗原佑卓君。
〔七番 栗原佑卓君登壇〕
◆七番(栗原佑卓 君) 私は平成三十年第四回定例会に当たり、本区の当面する諸課題についてお伺いいたします。前日からの質問と一部重複する部分もございますが、通告に従いまして、そのままご質問をさせていただきます。区長及び教育長の前向きなご答弁を期待いたします。
今、国政では、来年度の税制改正に向けた議論が本格化しております。議論を見ますと、税の地方偏在是正の美名のもと、東京都から独自財源を奪う地方法人課税の一部国税化が進められようとしております。試算によれば、江戸川区への影響額は約五十七億円にも上ります。
また、ふるさと納税制度は本来の趣旨から外れ、過度な返礼品競争となったことが問題となり、今一度、制度の本来の形に立ち返るべく法改正が進められようとしております。ふるさと納税では、江戸川区の逸失額は約十一億一千万円に上りました。こうした国政での動きには、都市部と地方との関係性や、あるべき地方創生について考えさせられます。都市部と地方は対立するのではなく、相互理解を果たし、お互いに支え合い、発展し合う形が地方創生のあるべき形のようにも思います。
一つの方法としましては、
東京オリンピック・パラリンピックや、つい先日決まった大阪万博などの国際大イベントを通じて、オールジャパンで一つのことに取り組むこともよいかもしれません。一方で、それぞれの自治体が自治体同士の友好を地道に深めていくことも、都市部と地方の相互理解に重要なことと思います。
それでは、順次質問に入らせていただきます。はじめに、友好都市である鶴岡市との更なる連携について、三点お伺いいたします。
太平洋戦争中に戦火を逃れるため、江戸川区の学童は家庭を遠く離れて山形県鶴岡市とその周辺で疎開生活を送りました。戦後に東京に帰って成人してからも、鶴岡の豊かな土地柄や温かい人々の心を忘れなかった方々が鶴岡市との交流を始め、友情の輪が広がり始めました。そして、この友情の輪を区民・市民全体に広げ、平和の尊さを語り継ぐために、一九八一年に江戸川区と鶴岡市は友好都市の盟約を結びました。その友好都市盟約から三十七年の月日が経ち、江戸川区と鶴岡市は区内で開催される多くの催しや行事に鶴岡市民が参加したり、区民が鶴岡市を訪問するなど、芸術・文化・産業など、様々な分野で区民・市民による交流が盛んに行われております。
また、先月には、本区にある
都立葛西海浜公園が重要な湿地帯として、東京都内で初めてラムサール条約に登録されました。先週末にセレモニーも行われたところでありますが、鶴岡市にある大山上池と下池もラムサール条約に登録されております。鶴岡市の西部に位置する高館山の山塊にある大小二つの農業用ため池であり、今月には
ラムサール条約登録湿地の十周年記念式典も鶴岡市では行われ、本区と共有する点も増えました。その大山上池・下池の近くには、鶴岡市の自然学習交流館が建設されており、自然と触れ合いながら、生き物の様子や役割について学ぶ場となっております。
大山下池のほとりに、自然を愛する、人が集まる場所であってほしいとの願いが込められ、鶴岡市自然学習交流館は「ほとりあ」と名づけられております。「ほとりあ」は、飛来する鳥類の飛行経路を妨げないよう下池の隣接する都沢湿地の北側に建っており、館内からは周囲の山並みの眺望や野鳥の観察ができるようになっています。例えば、本区もラムサール条約に登録された葛西海浜公園の近くにこのような自然学習交流館を建設するなど、野鳥等との触れ合いや学習の場を広げていく取組みを進めることはいかがでしょうか。
また、鶴岡市は農業が盛んであり、とりわけ「つや姫」や「はえぬき」といった鶴岡産米は有名です。本区の学校給食でも平成十三年から鶴岡産「はえぬき」の納品が始まっており、それ以降、平成二十四年まで本区の学校給食のお米として鶴岡産米を納入する学校は増えました。また、JA鶴岡盟友の方々が友好都市盟約を結ぶ本区の小学校へ出向いて、米づくりについて教える出前授業も行っております。本区の小学生が、米づくりの過程などを学習し、知識を深めてもらうと共に、食に対する大切さを認識してもらう機会となっており、今年度には小学校十五校で開催されました。加えてJA鶴岡は、本区の福祉施設へ鶴岡産米やメロンの贈呈を行っており、平成二十七年度からの四カ年で区内十六カ所の
特別養護老人施設を訪問しております。
しかしながら、このように鶴岡市との交流が図られている一方で、平成二十五年度以降、本区の学校給食におけるJA鶴岡からの鶴岡産米の納入は減少の一途をたどっております。平成二十九年度はピークである平成二十四年度に比べて半分ほどにまで落ち込んでおります。様々な形で本区に貢献し、友好都市盟約を結ぶ鶴岡市との連携を深めるためにも、JA鶴岡からの鶴岡産米を以前のような形で学校給食に納入し数量を増やしていくことが望ましいと考えますが、いかがでしょうか。また、クリーンパレスやタワーホールといった本区の文化施設にも、鶴岡産米を使うことを検討することはいかがでしょうか。
さらに、鶴岡市は林業における視点も欠かせません。東北地方でも最大の面積を持ち、その約七割が豊かな森林に包まれていることから、鶴岡市は市民と森林との新しい関係をつくり、森林があることで生活が豊かになる「森林文化都市」を目指しております。適正な森林保全に向けた
環境循環システムを構築することなどを定めた「鶴岡の森再生計画」のもと、民間住宅や公共施設への木材利用が活発化しております。とりわけ公共施設においては燃えにくい建造物の観点から、
鉄筋コンクリート造が主流でありましたが、内装や外装の一部を木質化し、木材の分離発注を行うなどして、公共施設の木質化を進めております。二年ほど前には、天皇陛下が訪れた鼠ヶ関小学校などの学校をはじめ、児童館や文化会館などの公共施設は一部木造の建設になっております。
環境負荷の低減や森林の整備・保全を図るために、各地方で公共建築物における地域材の利活用が進んでおりますが、本区においても公共施設、とりわけ木材が用いられた学校施設というのは自然を感じることもでき、子どもたちの学習環境にとっても魅力的であると考えます。現在でも学校で鶴岡産木材が取り入れられてはおりますが、豊富な森林を有する鶴岡市の地域材を、今後に建設を予定する学校施設に対して、より積極的に用いてはいかがでしょうか。教育長のご所見をお伺いいたします。
次に、福祉施策の推進について、お伺いいたします。
本区では、子ども・熟年者・障害者など地域に暮らす全ての人々が、地域・暮らし・生きがいを共に創り、高め合うことができる「地域共生社会」の実現を目指し、身近な地域の福祉拠点として、現在区内八カ所に「なごみの家」を開設しております。また、平成三十年四月からは集合住宅助け合い
活動相談支援事業を開始しています。これは、マンションや団地などの集合住宅に住む方の高齢化に伴い、住民同士の見守りや身近な生活支援などの助け合い活動を計画している方や管理組合などに対し、講習会や相談を通じて助け合い活動の立ち上げを支援するものです。地域力を活かした本区ならではの取組みであり、こうした住民による支え合いは、地域との関わりが希薄化する現代社会に求められているものです。
また、増大する社会保障費を抑制していくためには、健康を維持することが大切であり、それを実現するための手立てが介護予防になります。予防的な観点から、
健康サポートセンターが日常の健康生活・口腔ケア・認知症予防などについてのアドバイスや実習を行うため、講師を派遣する出前健康講座などは、町会・自治会を通して大いに機能しているように見受けられます。また、町会の会館などで茶話会や体操をして過ごす「
地域ミニデイサービス活動」の輪は広がりを見せております。
そして、もう一つの重要な介護予防事業を担っているのは熟年相談室です。ケアマネジャーや社会福祉士、保健師などの専門職が、介護や認知症といった熟年者の方やその家族からのあらゆる相談を受け、支援を行う熟年相談室は本区に二十七カ所存在しており、各地区で介護相談のきめ細やかな対応を行っております。
こうした取組みによって着実に福祉施策が展開されておりますが、まだ課題として残るものも多くあります。介護人材不足は全国的にも叫ばれており、介護人材の不足は深刻な問題となっております。介護関連職種の有効求人倍率はますます上昇を続けており、依然として事態は改善されていません。介護人材の参入促進はもとより、定着を図るための施策をこれまで以上に強力に推進しなければ、自宅や施設等で適切な介護サービスを受けることができない要介護者を増加させるだけではなく、介護保険制度の崩壊にもつながりかねないといった見解は、国も示しているところです。
本区では、
介護福祉士育成給付金として、
介護福祉士養成施設の学生等が卒業後、区内の介護事業所に五年間継続して就職することを条件に給付金を支給する制度があります。平成二十九年度では四十二件の実績も上がっていますが、本区も依然として人材不足の状況にあります。そこで本区の介護人材確保策の更なる取組みについて、いかがお考えでしょうか。また、増加する社会保障費を抑制するため、介護予防の更なる取組みを図っていくことについて、区長のご所見をお伺いいたします。
三点目に、公共交通の整備についてお伺いいたします。二〇二〇年に開催される
東京オリンピック・パラリンピックに向けて、カヌー・スラローム会場となる
葛西臨海公園地域は活性化が検討されております。葛西臨海公園内にあるブルーマリンは親子で楽しめるカフェをコンセプトとして、ハワイアンをテーマにした開放的で明るいレストランを平成三十一年三月中旬にリニューアルオープンさせる予定となっています。また、公園内にあるクリスタルビューも海辺で楽しめるカフェとバーべキューをコンセプトとした、リゾートをテーマに公園を楽しむ拠点となるレストランを目指してリニューアルオープンする予定となっています。このほかに本区内の名産品や特産品の取り扱いを強化し、東京都と連携を図って、公園全体の魅力向上と区内産業の活性化を図ることが望まれます。
こうした葛西臨海公園と
オリンピック会場一帯の活性化と合わせて課題となるのが、区内の南北間交通の交通利便性になります。環状七号線に沿って、江戸川区・葛飾区・足立区を地下鉄や
地上系システム等で結ぶメトロセブン構想も実現に向け取り組まれているところでありますが、壮大な計画であるが故にまだまだ年月を要するところです。
区内の南北方向の移動はバスに頼っている状況であり、
バス交通システムの工夫・活用という観点から平成二十一年四月からシャトルバスが導入されています。シャトルバスの導入によって、今までの複数回の乗り継ぎによる時間的・経済的な負担が軽減され、昨年度までに利用者数は延べ一千八百万人を超えました。また、平成三十年一月からは、新小岩駅東北広場から葛西駅を通り、
東京ディズニーランドまでの新規バス路線の運行が始まり、一日十八便が運行をしております。このように南北間の交通網は強化されておりますが、オリンピック・
パラリンピック開催時に向けて区内全体の活性化を考慮すると、更なる利便性の向上を検討していく必要があると考えますが、更なる強化については、いかがお考えでしょうか。
また、バス路線のある主要な道路から離れており、バス停まで遠く不便な地域も存在しています。特に、バス停から三百メートル圏外の地域は、バスの利用に関して極めて不便な状況です。そうした地域を解消していくために
コミュニティバスの導入も検討の余地があります。
コミュニティバスの導入に際しては、運行ルートや頻度、利用対象者等について綿密に調査を行い、地域に適合したものを設定することが重要です。実際に導入した場合に近い形で社会実験を行い、実験後に行うアンケート等の意向調査への協力者を増やすためにも、早い段階から情報を提供して幅広く周知する必要があります。積極的なPR活動や啓蒙活動を行い、より多くの人にバスの存在、有効性等を認知し利用してもらうことが求められます。採算性の問題も当然出てくるわけでありますけれども、それ以外に区内交通の利便性を高めて、多くの世代の人的移動が図られることで収益を超えた効果があると思っております。このような様々な社会実験や各種調査を行って、導入効果を分析し明らかにしていくことで、
コミュニティバス導入の合意形成が図られていくかと思いますが、
コミュニティバス導入については、今回ご要望という形で申し上げたいと思います。
次に、区内産業の更なる発展についてお伺いいたします。平成二十九年七月に、地域の特性を活用した事業の生み出す経済的波及効果に着目し、これを最大化しようとする地方公共団体の取組みを支援するものとして、国は
地域未来投資促進法を施行しました。本区では、
地域未来投資促進法に基づいて、「東京都江戸川区基本計画」を東京都と共同で策定し、平成三十年十月末に国から同意を得ました。
本区は、機械器具製造業・金属製品製造業などの産業が集積しており、ものづくり分野での成長が見込まれます。ものづくり分野を推進するため、支援制度の充実、事業継続支援の展開など、積極的に製品開発に取り組む中核的な企業を中心に成長を支援し、当該企業が推進する事業を
地域経済牽引事業と位置付けます。こうした
地域経済牽引事業を支援することで、企業間連携や様々な支援策を通じて周辺企業の底上げを図ることができます。これにより、質の高い雇用を創出し、地域内に波及して好循環を生む状況を目指していくことが、「東京都江戸川区基本計画」で定められました。
事業者が策定する
地域経済牽引事業計画が東京都から承認されれば、事業者は課税の特例をはじめ、国による各種支援措置が受けられるようになります。しかしながら、この事業に承認されるための要件は、「一億一千五百四万円を超える高い付加価値を創出すること」など、ハードルの高いものであり、まさに地域経済を牽引する事業でなければ承認されません。当該要件をクリアする企業も限られるところではありますが、こうした事業を計画できる企業というのを創出していく必要があります。
事業環境の整備策として、
区内中小製造事業者が操業環境の向上を目的とした取組みを行うに当たり、必要な経費を助成するものづくり産業の
操業環境整備支援があります。また、今年度からは後継者の育成や老朽設備の更新など、中小企業者が抱える諸問題を解決するため、信用金庫や中小企業診断士、区が連携して支援する「六〇一〇金
士公連携プログラム」が行われています。こうした整備策が効果としてあらわれることを期待するとともに、
地域経済牽引事業によって好循環をもたらし、波及効果を受ける企業をどのようにして増やしていくのかも考慮していく必要があります。
こうした波及効果も含め、地域経済を活性化するための取組みについて、区長のご所見をお伺いいたします。
また、現在では製造・建設・運輸・技術サービス分野の人手不足が非常に顕著であり、東京都と江戸川区、ハローワーク等が取り組んでいる採用関連について、積極的な広報活動が求められております。区内企業の採用関連施策を更に推進していくために、どのような取組みを進めていくのか、区長のご所見をお伺いいたします。
以上で私の第一回目の質問を終わります。
○議長(藤澤進一 君) 多田区長。
〔区長 多田正見君登壇〕
◎区長(多田正見 君) 様々なご意見を交えましてご質問をいただきました。お答えをしてまいりたいと思います。
まず、鶴岡市との友好関係でありますけれども、お話にございましたように、昭和五十六年に友好都市の盟約を結びまして三十七年が経ちました。この間に様々な交流が行われまして、私どもも、そのことにつきましては、大変この友好都市を鶴岡市と結べたことがありがたいことであったなということをしばしば感ずることがございます。お互いにそのいいところをいただきながら、ともに交流を深めながら、自らの地域の発展に資していこうという、こういうことで取り組んでいるわけでございます。
いろいろ具体的なお話もいただきましたけれども、特に自然のつまり環境を活かした交流ということにつきましては、鶴岡市もいろいろ私どもに働きかけもしてくださっておりますし、私たちもそのような形で、子どもたちの交流をはじめとしていろいろ取り組んできているところであります。
ラムサール条約のお話もありましたが、鶴岡市も、もちろんそういう地域がございますし、私どもにも、今回そういうことになりましたので、お互いこうしたことを共有しようということで、これからまた新たな交流を始めることができるかなというふうに思っているところでありまして、ぜひこうした機会に新しい局面での交流を考えていきたいなというふうに思っております。
それから、鶴岡でとれるお米です。大変おいしいお米でございまして、これまでも学校給食で使っておりますけれども、これからもこうしたことは引き続き続けていきたいと思いますし、一方で木材です。木材も豊富に生産されるところでありますから、こうしたことも江戸川区の学校、あるいは公共施設で使うことができれば、さらに違った意味のお互いの利点を活かした交流ができるなというふうに思っておりますので、このことにつきましても、さらに進めていきたいと思います。
現状につきまして、ちょっとお話をさせていただきますが、お米の問題と、それから木材の問題につきましては、既に進めておりますので、これは教育長からお答えをさせていただきます。
それから、次の問題で介護人材の確保と介護予防の取組みでありますけれども、大変重要なことでございまして、これからやっぱりいろいろ人材不足ということも想定されますので、こうしたことに積極的に取り組むことは必要なことでございます。また介護保険のつまり介護予防です。介護予防につきましても、様々に事業展開をしておりますけれども、こうしたことにつきましても、さらに対象者が増えるということもありますので、積極化していきたいと思っておりますが、これは福祉部長から具体的にご説明をしたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
公共交通の整備、それから南北交通における今後の取組みということにつきましても、様々な課題がございまして、都市開発部長からご答弁をさせていただきます。
コミュニティバスにつきましても、併せて昨日話題になりましたけれども、都市開発部長からお答えをさせていただきたいと思っております。
それから、地域産業の活性化ということについてでありますが、大変重要なことでございまして、区内企業に勤めております方は二十一万人ということになります。従いまして、区内産業が元気であることが、区民の多くの方々に直接生活ということの面でいけば関わるわけでございますので、区内企業が元気であることが、私たちの何よりの願望でありますので、こうしたことにつきまして、今、国が出しております、様々な施策もございますけれども、これ先般行われました料理飲食業を中心といたします「食」の祭典でありますとか、あるいはものづくり産業のときめきフェアなどもありましたけれども、こうしたことを見てまいりますと、区内企業の取組みということが非常に積極的でありますし、また力強いものがございます。こうしたことも合わせまして、これからも大いに育成をしていきたいと考えておりまして、ここにつきましては、生活振興部長からお答えをさせていただきますので、よろしくお願いをいたします。
以上でございます。
○議長(藤澤進一 君) 斉藤教育長。
◎教育長(斉藤猛 君) 鶴岡産米の購入の促進についてです。お話のとおり、JA鶴岡の皆様には、区内の小学校、あるいは特別養護老人ホームで大変お世話になっております。JA鶴岡から直接購入するお米の総量なのですけれども、米飯給食全体、金額ベースになりますが、二九・二%ということでございまして、ただこの数字はお話のとおり、年々減少しているところでございます。
ただ一方で、区内の小売店で鶴岡産のお米が買えるようになっておりまして、二十九年度の実績なのですけれども、JA鶴岡からと区内の小売店から合わせた鶴岡産米の購入量は、米飯給食全体の六九・三%、約七割ということで、以前よりも増加をしている傾向にございます。金額が一般のお米よりも少し高いという側面はあるのですけれども、今後も鶴岡産米の購入をしていきたいというふうに思っております。
続いて、学校施設での木材の導入についてでございます。学校施設の木材導入については、今後も積極的にさらに進めていきたいというふうに思っております。校舎に木材を使用することによりまして、「あたたかみ」と「うるおい」のある学習環境が創出できます。また、室内の湿度を調整する効果によりまして、インフルエンザのまん延が抑制されるという効果もあります。既に改築校では内装の木質化を進めております。延べ床面積の三七%は木材を既に利用をしております。また、環境面も考慮しまして、地産材の利用も取り組んでいるところでございます。東京都全体では多摩産材の利用推進という方針があるのですけれども、江戸川区ではさらに鶴岡産や城里産の木材の使用、これは天井や壁などの内装材に使用しております。まだまだ低い割合ではございますが、今後さらに学校改築時の木材の使用を進めてまいります。その中で、鶴岡産などの国産材の活用も図っていきたいというふうに考えております。
以上です。
○議長(藤澤進一 君) 福祉部長。
◎福祉部長(岡村昭雄 君) 私のほうから介護人材の件と介護予防の件、二点についてお答えさせていただきます。
議員おっしゃるとおり、介護人材のことは江戸川だけではなくて全国的に大きな課題だというふうに捉えております。国のほうでは、介護人材、介護の分野と全産業で見ると、九万円近くのそれぞれお給料の違い、差があるということでございまして、こういったところを改善するということで、来年十月の消費税の導入に合わせて一千億のお金を使いまして処遇改善をしていこうということで議論をされております。私どもとしてはこれがやっぱり一番大きな介護人材の確保につながるものだと思っておりますので、しっかり見ていきたいというふうに思っております。
そうは言いましても、江戸川区としてできることもやらせていただこうということで、今、取り組みさせていただいておりまして、介護福祉士の育成給付金であったりとか、介護職員の初任者研修等の助成金、こういったもの。議員もお話いただいておりますけれども、私どものほうで取り組ませていただいて、一定の、生徒さんに、こういったものをお使いいただいているところでございます。
今年度から新たな取組みといたしまして、介護事業者の皆さん、小さいところがたくさんございます。介護人材をどう集めていいかわからないというお声も結構ございます。そもそもハローワークに行ったほうがいいのか、行かないほうがいいのか。そういったこともなかなか小さいところですとお持ちでないものですから、どうやって介護の人材を集めていくのか、地域の方にどう声をかけて集めていったらいいのか、そういったことをセミナーという形で、私どものほうで設定させていただいて、それぞれの皆さんの取組みを強化していただこうと思っております。そういった形で介護人材のほうは取り組ませていただこうと思っております。
二点目の介護予防でございます。六十五歳以上の人口が、今もうすぐ十五万人に近くなろうとしてございます。平成二十六年にはもうすぐ十四万人と言っていたのでございますけれども、これが増えておりまして、私どもの介護予防をさせていただく対象者としては、こういった方々が対象なのかなというふうに思っております。当然、その中に介護認定を受けている方もいますし、中では介護予防ということで実際に認定を受けていただいている方もいまして、当然それは介護保険の中でやらせていただいております。先だってから総合事業という取組みもさせていただいておりますけれども、この十五万人に近い方々については、やはり江戸川区、これまでリズム運動ですとか、シルバー人材センターですとか、いろいろな取組みをさせていただいております。そういった生きがい施策、そういったものが介護予防に本当につながるというふうに思ってございますので、そういったものを取組みをさせていただくと同時に、江戸川区内にいろいろな資源がございます。おまつりに熟年者の方に来ていただく、そういった介護が必要にならないためにいろいろな活動するわけでないのですけれども、いろいろな地域の中で生きがいを持っていただく、そういったことがすなわち介護予防につながっていくのかなと思っておりますので、これまでの江戸川区の取組みを、ますます地域の力も借りながら取り組みさせていただこうというふうに思っているところでございます。
以上でございます。
○議長(藤澤進一 君) 都市開発部長。
◎都市開発部長(町山衛 君) 私のほうから、区内の南北交通における今後の取組みということで、オリンピック・
パラリンピック開催に向けて南北交通の強化は重要な課題と認識しております。
現在、区内の南北交通の主力でございますが、平成十九年実証運行を開始したシャトルセブン、こちらは三十年十月、先月でございますが、十月までに利用者数が一千九百四十万人と好評を得ているところでございます。また、今年の一月、ディズニーリゾート線としまして、環七を並行して行くのですが、シャトルセブンと並行しながら走る、こちらも主力の路線でございます。
利便性向上の第一歩としまして、運行当初より停車していなかったディズニーリゾート線の南行き、こちらの一之江駅停車に向けても今年の六月に警視庁との現地の実査を行いまして、止めるべく課題の整理が始まったところでございます。一之江駅の停車に向けても、今、動き出しているところでございます。また、今後も区内の南北交通の利便性向上のために、シャトルセブンなどの増便についても、バス事業者へ要請を行ってまいりたいと考えております。
それともう一点、
コミュニティバスの導入についての要望でございますが、こちらのほうは実現に向けて取り組んでいきたいと考えております。
以上です。
○議長(藤澤進一 君) 生活振興部長。
◎生活振興部長(髙原伸文 君) 私からは、地域産業の活性化についてのお尋ね、お答えをさせていただきます。
まず、活性化をするための具体的な取組みということでございますけれども、従来から中小企業の競争力、経営基盤の強化ということを目指しまして、例えば、今、区長からもありましたけれども、「食」文化の祭典ですとか、それからときめき産業フェアですとか、こうした販路の開拓支援等、イベントの中で行ってまいりましたり、あるいはあっせん融資、それから利子補給、それからお話にもありましたとおり、今後、事業承継、大変大きな問題でございますので、「六〇一〇金
士公連携プログラム」等々の施策がございますが、こちらにつきましては引き続き力を入れさせていただくということが一つ。
それから、やはりご質問にありましたけれども、
地域未来投資促進法の関係でございますが、江戸川区の場合はものづくり産業が集積をしている地域ということもあります。その中に技術力が高い中核的な企業というのもございますので、こちらを核に据えた形で、それで成長を支援して、ひいてはその周辺にいらっしゃる周辺企業のほうも同時に底上げを図っていけたらいいなというようなことがありまして、現に江戸川区の場合は経済産業省から選定されている地域未来牽引企業という企業に当たるところがございますものですから、今回、基本計画というものを策定をさせていただきまして、こちらのほうの取組みをさせていただくということでございます。従来型の施策も展開をさせていただきますし、また、今回新たな計画に基づく施策のほうも展開させていただくということで、併せて区内産業の活性化、今後も取り組んでまいりたいというふうに思ってございます。
それからもう一つ、人手不足の解消の件でございますけれども、やはり組織、企業は人ということでございますので、企業の中での人手不足問題、ご指摘のとおり大変これは大きな課題だなというふうに思っているところでございます。
区として独自に採用等支援の施策を展開をしてまいりましたし、また関係機関、例えば東京商工会議所さんですとか、それから学校です、高等学校、それから都立の葛西工業高等学校、こうしたところと連携を保ちながら人材確保に資する施策のほうも実施をしてきたところでございます。
それからあと、もう一方で、最近では、生産性向上という側面で、例えば、先端設備を導入すれば、それだけ人手をカバーできるというような考え方。例えば、IoTの導入ですとか、こうしたものもありますので、そちらのほうの導入促進のほうも奨励をしていきたいというふうに思ってございまして、こちらのほうも相まった形で人手不足問題のほうにも積極的に対応してまいりたいというふうに思ってございます。
以上です。
○議長(藤澤進一 君) 栗原佑卓君。
◆七番(栗原佑卓 君) 各項目につきまして、大変ご丁寧なご答弁をいただきまして、ありがとうございました。
鶴岡市との更なる連携についてなのですけれども、先日、会派で鶴岡市の視察に行ってまいりまして、豊かな自然というのを、鶴岡市というのは豊かな自然を有するのだということを肌で感じてきました。そうしたこともございまして、今回、このテーマでご質問をさせていただきました。
自然学習交流館の設置につきましては、既存の鳥類園内ですとか、また場所があるようでございますけれども、できた施設というのが以前より、ちょっと時間が経っておりますので、また新しい形でつくっていただければと思っておりますし、先日、ラムサール条約の登録イベントの際にも、子どもたちも葛西海浜公園にたくさん来ておりましたので、子どもたちが自然と触れ合える場所というのを提供するということは、とても学習に役立つと思っております。ですので、ぜひとも「ほとりあ」のような実際に多くの子どもたちが足を運ぶような魅力のある学習交流館の整備というのを検討していただきたいというように思っております。
また、鶴岡産米の納入に関しましては、JA鶴岡の方々が様々な形で江戸川区に来て、学校であったり福祉施設に貢献をしていただいております。先ほど教育長からご答弁をいただきましたけれども、鶴岡のお米というのは、鶴岡産米は増えているというのもあるのですが、やはりJA鶴岡の方に様々な形でご貢献をいただいておりますので、JA鶴岡からの鶴岡産米の納入も前向きに検討していただきたいというように思っております。また、学校以外の施設、文化施設ですとか福祉施設にも納入が促進されるとよいのではないかというふうに考えております。
また、地域材、鶴岡の木材に関しましても、木材が用いられた学校施設というのは、環境に優しいですし暖かいということもございます。一方では、一方の供給側も自然のサイクルとして、木を刈って、そして植えて、育てて、そしてまた刈ると、そういう木材の資源の好循環ができますと、より鶴岡のほうの土地柄もより良いということでしたので、ぜひとも、東京のほうでは先ほど多摩産材を進めているということでございますけれども、友好都市の関係を重視していただきまして、鶴岡産材を前向きに進めていただきたいと、取り入れていただきたいというように思っております。また学校施設に限らず、これから建設を予定しております公共施設、例えば、松島四丁目では今度コミュニティ会館の開設というのを予定していると思うのですが、こうした松島四丁目のコミュニティ会館にも使用していただきますように要望させていただきます。
次に、介護人材の確保と介護予防についてでありますけれども、現在、国におきましては、外国人の人材の受け入れを推進しておりまして、外国人が介護福祉士の国家試験を受験するに当たりまして、受験時間の延長ですとか英語等の多言語によります受験を可能とするなど、資格を取得する際の配慮を進めているということでございます。本区では、担い手の研修ですとか事業者側のセミナーといった支援もございますし、先ほど部長からご答弁もいただいたような、様々な支援があると思いますけれども、離職の防止というのが、介護現場では大変大きな問題となっておりますので、こうした問題について、しっかりと前に進めていただきたいということを改めてご要望をさせていただきたいと思います。
また、介護予防につきましては、フレイル対策など新たな試みも行われておりますけれども、本区の地域力を活かした取組み、地域包括ケアシステムの一環といたしまして、区民の方が予防への意識を高めていくと、そういうような啓発をさらに進めていただきたいというように思っております。
公共交通の整備についてでございますけれども、
コミュニティバスの導入に関しましては、今回ご要望という形にとどめさせていただきました。先ほど部長のご答弁から、実現に向けて取り組んでまいりますというお言葉をいただきましたので、前に進んでいくのかなというふうに捉えさせていただきました。
南北間交通でありますけれども、メトロセブンにつきましては、今後江戸川と葛飾と足立区の三区側で、地上系の課題整理をこれからされるというようでございますし、現在のシャトルバスでの働きというのを引き続き強化していっていただきたいと思います。
最後に、地域産業の活性化についてでありますけれども、国のほうでは、
地域未来投資促進法という法律が昨年の七月に施行されておりますけれども、本区の基本計画というのは先月末に承認されて、これから始動していく施策だというふうに思っております。ですので、やはり地域牽引事業によって効果がもたらされる企業というのをいかにつくっていくか。こういう地域牽引企業が引っ張っていって、それによって好循環を得る企業というのをいかに増やしていくのか。そういう好循環をもたらしていくという視点が大切になってくるというふうに思っております。この取組みによって、本区の地域が活性化されていくことと、そのために必要な環境整備を引き続き整えていただきますように、ご要望をさせていただきまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○議長(藤澤進一 君) 次に十六番、太田公弘君。
〔十六番 太田公弘君登壇〕
◆十六番(太田公弘 君) 私は、平成三十年第四回区議会定例会に当たり、通告に従い順次質問をいたします。区長、教育長の前向きな答弁を期待いたします。
最初に、地区防災計画の推進についてお聞きします。我が国は毎年各地で大規模な自然災害が発生しています。本年も西日本豪雨や大阪府北部地震、台風二十一号や北海道胆振東部地震などの自然災害が発生し、多くの人命や財産などが失われています。大規模な自然災害による被害は、広い範囲に甚大な被害を及ぼすとともに、復旧には長い年月と多大な努力が必要となります。このため日頃から災害が起こり得ることに留意し、国、地方、関係機関及び個人が防災・減災のための対策や訓練を重ね、防災に努めていくことが人命及び財産を守るために重要なことになります。
従来、防災計画は国レベルの総合的、長期的な計画である防災基本計画と、地方レベルの都道府県及び市区町村の地域防災計画を定め、それぞれのレベルで防災活動を実施してきました。しかし、東日本大震災において、自助・共助・公助がしっかりとかみ合わないと、大規模広域災害において対策がうまく働かないことが強く認識され、その教訓を踏まえて、平成二十五年の災害対策基本法の改正では、自助及び共助に関する規定がいくつか追加されました。
その際、地域コミュニティにおいて共助による防災活動を推進する観点から、市区町村内の一定の地区の居住者及び事業者が行う自発的な防災活動に関する地区防災計画制度が平成二十六年四月に施行されました。防災・減災対策も地域の実情に応じて細かく手を打たなければ命を守ることはできないという現実があります。例えば、高齢者など災害時要配慮者を守るには、その具体的な対応を各地域の地区防災計画に盛り込んでいくことが重要であります。地区防災計画制度が施行される直前の平成二十六年三月、内閣府が「地区防災計画ガイドライン」を発表し、その後各地域において、様々な取組みが開始されました。
本区の地域防災に対する自主的な取組みは、環境をよくする運動などを通して防災マップの作成や防災訓練、避難所開設訓練などの実施で地域に対し着実に防災意識を向上させる取組みであり、高く評価するところです。しかしながら、本区の地区防災計画の策定については、いまだ策定済みが一町会、検討中が一町会となっており、策定に向けた更なる取組みを促進していくべきと思います。
この「地区防災計画」の制度が災害対策基本法に盛り込まれて以来、我が会派の同僚議員が本会議において、二度にわたり推進に向けて質問を重ねてまいりました。そこで、本区の現状を踏まえ、改めて地区防災計画の策定に向けて二点お聞きします。
一点目は、地区防災計画策定の作業や日常の防災活動を通して地域を守る共同体意識や連帯意識が生まれ、新たなコミュニティの形成につながり、防災意識の向上が図れると考えます。改めて地区防災計画を策定する意義や重要性などを周知すべきと考えますが、区長のご所見をお聞かせください。
二点目は、「地区防災計画ガイドライン」が発表されて四年七カ月が経過しました。そこで、住民が主体的に地区防災計画を策定していくために、今後どのような支援を行っていくのか、その取組みについて区長のご所見をお聞かせください。
次に、内水面の氾濫対策についてお伺いいたします。
本年七月の西日本豪雨は停滞した梅雨前線に台風七号がもたらした暖かく湿った空気が大量に流れ込んだことが原因になり、引き続いて日本列島を襲った災害級の猛暑は太平洋高気圧とチベット高気圧に覆われたことが原因とされています。いずれも地球温暖化が最も大きな原因と言われます。今後、豪雨や猛暑も更に頻度が増え、降水量や最高気温の記録を更新し続けることは予想されているところです。
本区においては、平成二十六年九月十日、猛烈な雨を短時間に降らすいわゆるゲリラ豪雨が発生し、時間雨量九十四・五ミリという観測史上記録的な大雨が降りました。被害は床上浸水二十二件、床下浸水二十九件が発生、三十二の公共施設でも雨漏りや下水の逆流などが発生いたしました。本区における戦後の水害の歴史を振り返ると、昭和二十二年のカスリーン台風による洪水では、利根川の決壊により多くの人命、財産が失われました。一方、過去六回の内水氾濫では、浸水八万八千四百五十二世帯、約三十五万七千人以上が被災されています。
水害の中でも圧倒的に多いのが台風等による内水氾濫であり、近年、頻度が増え続けています。今後も対策の強化が必要だと思います。これまでの取組みとして、雨水桝の清掃や土のうステーションの整備、東京都の貯留管の埋設やポンプ場による排水、地下施設入り口の止水板の設置など総合的な対策が一定の効果を上げてきました。しかし、頻度が増す豪雨への対策としては、現状のいくつかの見直しと新たな対策の検討が欠かせません。
区内で、浸水の被害を受けるのは、一般的に玄関先が道路面と同じ高さの住宅で、従前から浸水の恐れがある時は土のうを活用してまいりましたが、土のうが床下の空気穴を塞いだり、土のうをそのまま玄関に積んでいたりして、住宅の機能上や環境衛生上の問題は常に残ります。本区では、土のうを使って浸水を防ぐことが基本ですが、特に高齢の方にとっては持ち運んで設置するのは困難な場合もあり、その中で、止水板については、最近では非力な方でも簡単に設置できる機能や漏水ゼロの機能を有するようになっています。そこで、二点お伺いいたします。
一点目は、浸水被害に苦しむ区民の生命と財産を守るため、見直しを含め、今後の内水氾濫対策の具体的な取組みについて、区長のご所見をお聞かせください。
二点目は、本区では土のうを使って浸水を防ぐことが基本ですが、最新の技術とアイデアで開発された止水板の活用も是非とも推進すべきと考えますが、区長のご所見をお聞かせください。
次に、食品ロス削減に向け、更なる推進についてお伺いいたします。
一方で、これだけAEDの設置が進んでいる昨今も、いざ緊急事態が発生した場合に、どこにAEDが設置されているか把握できている者はごく僅かです。ましてや地の利がない土地で緊急事態に遭遇した場合には、AEDの設置場所を即座に特定することは困難です。そこで現在地から最も近くにあるAEDの位置を検索できるシステムを構築することができれば、この問題は解決できるのではないかと考えます。これだけスマートフォンやタブレットなどのIT機器が普及している時代ですので、システムさえ構築してしまえば、すぐに活用の道が開けるものと想像いたします。AEDの設置場所を即座に検索できる体制の構築を提案いたしますが、この点について区長のご所見をお伺いいたします。
次に、江戸川区民まつりの模擬店について質問します。毎年十月に江戸川区最大のイベントである江戸川区民まつりが都立篠崎公園で開催されています。今年も去る十月七日に開催され、主催者発表で五十五万人の来場者がありました。この区民まつりの歴史は古く、第一回は昭和五十三年に開催され、今年で四十一回目となります。区民まつりの会場は大きく分けて七つの広場で構成されており、各広場にコンセプトがあります。ハッピィ広場、フレンド広場、ハートフル広場、フレッシュ広場、ふれあい広場、ふぁ~夢ぱーく、ライフアップ広場の七つです。私も十年以上にわたり参加をさせていただいておりますが、催し物が目白押しで毎年楽しみにしています。
区民まつりには、江戸川区において、福祉の増進並びにコミュニティ形成のために活動している団体や地域の活性化のために尽力している団体が模擬店の形式で出店をしています。これらの団体は、毎年同じ広場で、同じように模擬店を出しています。そのこと自体は問題ないと感じていますが、既存の団体以外の新規参入も認めるべきであると感じています。せっかく多くの人が集まるイベントであるのですから、より多くの方に出店の機会をつくるべきです。そうすることで、今以上に多くの方が楽しめるイベントになるものと考えます。
ただし、これまで長年にわたり出店してきた団体を排除してまで、それを実現したいとは思いません。そこで、例えば、全体の模擬店の中で十カ所程度、特別枠を設定して、毎年抽選で出店団体を決定したり、七つの各広場で一カ所は毎年入れ替わり制にするなど、やり方は様々考えられます。江戸川区民まつりを更に楽しいイベントにするために、出店団体の新規参入枠の設定をすべきであると考えますが、どのようにお考えなのか、区長のご所見をお聞かせください。
次に、町会・自治会の法人化について質問します。
江戸川区では、現在二百七十七の町会・自治会が存在しています。これから大規模災害が予測される中で、町会や自治会といった地域コミュニティは区民の皆様の一番身近で自主的な組織と言えます。少子高齢化が進み、熟年者の親睦や子ども会活動などを通じて、地域で助け合う仲間をつくることはとても大切なことであると感じています。
一方で、町会・自治会の会館の土地・建物の登記が、長年培った信頼関係をもとにして会長名義や役員の共同所有となっている場合が少なくありません。その人間関係が引き継がれている間は問題が表面化することはありませんが、当該名義人が死亡したり転居したりした場合、相続が発生して財産上のトラブルに発展することがあります。私も実際に、町会長の個人名義の建物を町会会館として善意で利用させてもらっていたが、その町会長が亡くなってしまった際に、相続人から町会会館の返却を求められたという事例を聞いたことがあります。このような紛争を防止するためにも、町会・自治会にも法人格を認めることが有益であると考えます。既に法人格を取得している町会・自治会もあると聞いていますが、どのような状況であるのか、現状をお伺いいたします。
平成三年の地方自治法改正により、町会・自治会など、いわゆる地縁団体も認可を受けることで法人格を取得できるようになりました。しかし、保有財産目録の作成、構成員名簿の作成、総会の開催など手続きに相当な手間がかかり、思うように法人化が進んでいない現状があるように感じています。町会・自治会の構成員も徐々に高齢化している実態を踏まえると、相続等による無用な紛争を避けるためにも、江戸川区として町会・自治会の法人格取得をさらに推し進めるべきであると考えます。今後の展望など、町会・自治会の法人化の推進に向けた区長のお考えをお聞かせください。
最後に、地域の課題として信号機の設置について質問をいたします。私の地元である春江町三丁目、瑞江斎場の北側に江戸川区立椿中央会館という地区会館があります。この会館の前には、椿通りを渡るための横断歩道が設置されています。しかし、ここに信号機はなく、地域の住民は左右を入念に確認した上で横断歩道を渡るように心掛けています。当該箇所は、京葉道路から瑞江駅方面に向かう通りでもあり、道路幅も広くゆとりがあることから、スピードを上げて走行する自動車が多い場所です。加えて、当該横断歩道の箇所で道路がカーブしているため、見通しが悪く、自動車の運転者も歩行者もお互いの存在に気付くことが遅れる場合があります。今のところ、大きな交通事故はないですが、地域では危険な横断歩道として、信号機の設置を望む声が以前から出ています。
一方、信号機の設置については警視庁の管轄であるため、江戸川区の独自の判断で設置することはできません。また、当該地域のすぐ近くでは瑞江駅西部地区の道路整備事業が進行中であり、近くの瑞江斎場前の交差点の整備もこれからです。したがって、これらの事業の進捗と併せて検討することとなるものと想像いたします。地域の信号機設置の要望について、今後どのように手続きを進めていくのか、区長のご所見をお伺いいたします。
以上をもちまして、私の第一回目の質問を終わります。
○議長(藤澤進一 君) 多田区長。
〔区長 多田正見君登壇〕
◎区長(多田正見 君) ご提案を含めまして四点にわたるご質問をいただきました。お答えをしてまいります。
第一点目のAEDの問題でありますけれども、昨今、大分普及をいたしまして、多くの方々の命が救われる場面が多くなっておりますが、大変うれしいことでございます。区内にも多く設置されてきておりますが、その現状と、それを知り得るシステム、どこにあるかということを知るシステムができないものかというご質問でございます。これにつきましては、担当しております健康部長からお答えをいたしますので、よろしくお願いいたします。
次に、区民まつりの模擬店の出店の問題でありますけれども、大変多くの出店がありまして、場所がなくなってきているということが事実でございます。場所には限りがありますものですから、なかなか難しい問題でありますけれども、何らかの工夫があれば、それも進めていければというふうに思いますが、この点につきましては、担当しております生活振興部長からお答えをいたします。よろしくお願いいたします。
併せて、町会・自治会の法人化の問題でございますが、これも仰せのとおりでございまして、権利関係を明確にするという意味において、こうした制度が最近できておりますけれども、このことも併せまして、生活振興部長からお答えをいたします。
椿中央会館の前の信号機の設置のことでございますけれども、このことにつきましては具体的な問題でございますので、土木部長からご説明をさせていただきます。よろしくお願いをいたします。
以上でございます。
○議長(藤澤進一 君) 健康部長。
◎健康部長(森淳子 君) 私からはAEDについてお答えさせていただきます。
その設置状況と周知方法についてですけれども、設置状況といいますのは、今、全国的にAEDの設置場所は、日本救急医療財団というところが集約する仕組みになっておりまして、そこのホームページから区内の設置状況は把握しているところでございます。今現在、区内には、区立、それから民間のものも含めて九百九十八カ所、すみません。三十年九月現在で九百九十八カ所、約千カ所ございます。ちなみに、区立施設ですけれども、設置すべき本庁舎、事務所、学校、区民施設、図書館、スポーツ施設等、原則配備しているところでございまして、その状況については、区のホームページのほうから、マップで周知しているところでございます。
議員さんがおっしゃられるように、どこでこういうことが起こるかわからないから、今、その場所が自分で検索、スマホとかの検索システムで検索できるといいのではないかというご提案でございますけれども、これは区内だけではないですよね。皆さん区民の方も区外にも行かれますし、全国的にそういうものがあるといいなというところでございますけれども、これは広域的な仕組みとして、先ほど集約している財団は一部配信サービス等を使って実現しているところでございまして、そこが取り組むべきが一番いいのではないかというふうに考えてございます。
○議長(藤澤進一 君) 生活振興部長。
◎生活振興部長(髙原伸文 君) 私からは区民まつりの模擬店のことと、それから町会・自治会の法人化について、お答えをさせていただきます。
まず、区民まつりの模擬店に新規の参入枠をというお申し出でございますけれども、そもそも区民まつり、ご案内かと思いますけれども、毎回大勢の区民ボランティアの方たちの心意気によって運営されております。区民が主役ということでの手づくりのおまつりだということについてはご理解をいただいているかと思います。
模擬店につきましても、議員さんも、地域福祉の増進、それからコミュニティ形成のために活動されている諸団体ということで、具体的には町会・自治会でありましたり、子ども会連合会でありましたり、それから青少年の育成の地区委員会でありましたり、あるいはサークル連合会でありましたり、各種のスポーツ団体というところの皆様にお手伝いをいただいているというところでございます。
区長から申し上げたとおり、場所がないのは本当にこれ事実でございまして、会場的には非常に運営上いっぱいということでございます。そういうような現状というのがあります。それから、繰り返しになりますけれども、申し上げたような模擬店出店に当たっては、こうした団体の出店を基本としているというような考え方のもとで、私どもとしては、特に新規参入枠ということを設けることなく、一件一件お申し出があれば丁寧に対応してまいりたいというふうに思っているところでございます。
それから、町会・自治会の法人化でございますけれども、まず法人化の状況ということで申し上げさせていただきます。ご質問にもございましたけれども、今現在の町会・自治会数につきましては区内に二百七十七ございます。現時点で認可地縁団体として法人格を取得しているところが三十二町会・自治会ございます。また、現在、財産等を保有しているため、お申し出をいただいて相談中というところも一件あるところでございます。
それからもう一つ、町会・自治会につきましては、法人格を取得する必然性というのは、やはり資産、財産を保有しておるというところでございまして、そこのところにつきましては、地域活動を安定化させるですとか、それから個人名義で、例えば相続の際のトラブルを回避するとか、そうしたことからしましても、やはりこの制度を利用していただきまして認可を受けていただくということは、誠に望ましいことだというふうに思ってございます。
でありますから、その法人格取得が必要な町会・自治会につきましては、私どものほうも、きっちりこういう制度だということについての周知を継続させていただいておりますし、また、申請の手続きにつきましても、一定程度やはりお時間のかかる、手間のかかることでございますけれども、これもできる限りの支援を適切にさせていただきながら、必要な町会・自治会さんには取得をしていただくことを奨励をしておるというところでございますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
○議長(藤澤進一 君) 土木部長。
◎土木部長(立原直正 君) 私からは椿中央会館前の横断歩道に信号機の設置をというご要望につきまして、お答えをさせていただきます。
信号機設置のご要望から設置までの一般的な流れを、まずご説明させていただきますが、地域の皆様から、様々な機会、例えば通学路の点検時ですとか、また町会の皆さんとの交通安全の活動時、さらには残念ながら交通事故が起こってしまったというような、そういった際に、様々な機会で地域の方からご要望をいただきます。私ども道路管理者としての区として、現場のほうを詳細に確認をいたします。道路の幅ですとか、見通しですとか、交通量ですとかということになります。そうした諸元を整理した上で交通管理者である警察と具体的に協議、また現場で立ち会いをする実査というようなことを行うのが流れになります。
その際、信号につきましては、先ほどもご質問がございましたとおり、具体的には交通管理者、警察側のほうの最終的な設置判断というふうになりますので、その条件として、例えば車の交通量は一定以上あること。また近接する信号機との離隔距離が一定以上あること。さらには歩行者の方が信号待ちをするに当たって安全に滞留できるようなスペースがあることといったような幾つかの条件がございますが、そうしたことを協議の上、最終的に交通管理者のほうが判断をし、また設置するとなれば、信号機をどこに立てるかというようなことを、地先の方とよくご相談をしながらというようなことが流れになります。そうしたことで、信号の個々箇所ごとに具体は警察のほうと相談をしているというような状況でございます。ということから、本件につきましても、所轄である小松川警察のほうとよく協議、調整はしてまいりたいと思っております。
なお、この信号の設置うんぬんということに関わらず、様々交通安全についてのご要望をいただきますので、区といたしましては、ドライバーに注意喚起をするような交差点を赤く塗るですとか、例えばスピードを抑制するための狭さくと言いますけれども、路面標示ですとか、啓発看板の設置ですとか、様々交通安全対策に努めておるところでございます。
以上です。
○議長(藤澤進一 君) 神尾昭央君。
◆四番(神尾昭央 君) それぞれご答弁をいただきまして、ありがとうございました。お答えいただいた内容に対して、幾つか私の思いも含め、述べさせていただきます。
まず、AEDの推進についてですが、江戸川区内にも相当数のAEDが設置されているということがわかりました。千台近くあるということで、非常にたくさんあるなということを率直に感じております。私はAEDの推進のポイントは三つあるというふうに考えておりまして、一つ目は、AEDとは何かという、まず根本的な理解の部分です。二つ目は、それをどうやって使うのかという操作方法の理解。三つ目は、どこにあるのかという設置場所の認識です。このうち一つ目、二つ目の部分は、ある程度理解が進んでいるのかなというふうに感じておりますが、一方で、三つ目の、どこにあるのかということは、まだまだ不十分であるのではないかということを思っております。
先ほど、部長の答弁の中にありました、日本救急医療財団が全国AEDマップというものを作成しておりまして、これはインターネットを介して、ある程度AEDの位置を検索できるようになっております。区として独自に検索システムをつくるということよりは、こういったシステムを準用するような形で運営していく方法がよいのかなというふうにも私は感じております。
一方、設置場所についてですが、例えば、学校や公共施設の場合、夜間や休日は閉館してしまう、閉まってしまうわけであります。これはある意味では致命的とも言えます。AEDが必要な時間帯は必ずしも平日の昼間に限定されているわけではないので、いざAEDが必要なときに、それを設置している場所に入ることができないということでは困るわけです。これを解決する一つの策は、建物の外部にAEDを設置するという方法があるのですが、この場合、いたずらされたり持ち去られたりというリスクがあるので、余りお勧めはできないかなと思います。
そうすると、二十四時間営業の店舗に設置するということが一つ現実的な方法として考えられるかと思います。例えば、コンビニエンスストアは基本的に年中無休で二十四時間営業でございますので、さらに加えて常時店員がいるのでAEDの適切な管理も同時に行えます。区民の皆様の意識としても、コンビニ、イコールAEDという発想が定着すれば、いざというときにAEDの調達の時間も比較的短時間で済むのではないかと思います。実際に全国の幾つかの自治体では、コンビニにAEDを設置しているというケースもあるようです。
ただ、江戸川区もそうですが、都内の場合はコンビニの数が余りに多いので、ここに全部AEDをつけるとなったら、ものすごい予算規模になってしまうと思いますので、私もそこまでは本当にできるかどうかというのは、まだまだ議論の余地があるというふうに思っています。
私の質問通告の中で、設置場所や周知方法ということを挙げておりますので、その関連で、夜間や休日に閉館してしまって入れない施設の場合にどういった対応をしていくか、そういった点でお考えがあればお聞かせいただきたいなというふうに思います。
次に、区民まつりの模擬店についてですが、スペースがないということでございましたが、正直その理由では納得ができません。模擬店のテントの平均的なサイズというと、大体横が五・四メートル、奥が三・六メートルとか、そのぐらいのサイズかなというふうに思うのですが、その大きさのものをあれだけ広い篠崎公園の中で、各広場に一つも増設ができないというのは、とてもそうは思えません。区民まつりで出店したいという要望は、恐らく行政側にも少なからず届いているのではないかと思いますので、こうした声に対して、単純にスペースがないから難しいのだという回答では、なかなか納得できないのではないかなと思います。そこをどうにか工夫してスペースをつくっていくという努力をされるのも、行政サービスの一環なのではないでしょうか。区長も少しその点に触れておりまして、工夫ができることであればやっていきたいという答弁もございましたので、今後の取組みにその点は期待をいたします。
次に、町会・自治会の法人化についてですが、推進に向けて努力をしてくださっているようでございました。私の所属している椿町会はいち早く法人格を取得しておりますので、その意味では安心して町会活動をすることができています。法人化した際の当時の町会長にお話を伺ったことがあるのですが、書類にはんこを押してもらったりという、そういった苦労がすごくあったということを伺いました。ただ、今になって振り返ると、あのとき頑張って法人格を取得しておいてよかったということもおっしゃっておりました。
二百七十七ある町会の三十二が現在法人格を取得しているということでございましたが、単純に割合でいくと一〇%強なので、少ないなというのを数字上、私は感じましたが、先ほどの部長のご答弁では、全ての町会・自治会が法人格取得が必要なわけではないということでございましたので、これが多いのか少ないのかというのは、この場ではすぐに判断できる数字ではないかもしれませんが、先ほどお伝えした事例のように、相続問題に派生していくと、権利関係が複雑となり、解決が非常に難しくなりますので、それを未然に防ぐためにも町会・自治会の法人化ということを、引き続き推し進めていただきたいというふうにお願いをいたします。
最後に、椿中央会館前の横断歩道の信号機の設置についてですが、どのような手続きで進めていくかということはよくわかりました。質問の中でも触れたように、瑞江駅の西部地区の道路整備事業が進行中であるため、やはりここが完成しないと椿中央会館前の交通量がどのように変化していくかということもわからないと思います。ただ、以前から交通事故のリスクのある大変危険な場所であるというふうに地域では言われておりますので、重大な事故が起こる前に何とか改善ができますように、引き続きの取組みを要望いたします。
幾つか要望と質問をさせていただきましたが、第二質問でお聞きしたいのは、AEDの設置場所について、夜間や休日に閉館してしまって入れない施設がある場合の考え方、この一点でございます。よろしくお願いいたします。
○議長(藤澤進一 君) 健康部長。
◎健康部長(森淳子 君) AEDの深夜帯の対応についてでございますけれども、AEDの設置場所につきましては、厚労省のほうからガイドラインというものが出てございます。まず設置が推奨される施設としまして、人が集まることで心停止発生リスクが高まり、また発生リスクがある活動がなされていて、発生の目撃頻度が高く救助されやすい施設ということで、先ほど言いましたように、駅とかスポーツ施設とか大型商業施設とか公共施設などに配置されております。
それともう一つ、設置が考慮される施設としまして、ここにコンビニエンスストアがあるのですが、救急サービスの提供に時間が要するなどの地域の実情、そのような実情があること、田舎だと思うのですけれども、そういう大きな施設がないような、人も余りいないようなところ、そのようなところは目安としやすいので考慮してもいいだろうというようなガイドラインが出ております。
ですので、深夜帯ということでコンビニエンスストアということですけれども、そこにあることが悪いことではないというふうに思いますけれども、このAEDというのは、やはり設置があるということと、それを使って助けてくれる人が、目撃してその活動ができる人がある程度の人数いるということが考えられると思います。やはり深夜帯というと、そういう人も少なくなると思いますので、考え方としましては、救急体制を踏まえて、その必要性を研究していくことが大切であるというふうに考えております。
以上です。
○議長(藤澤進一 君) 神尾昭央君。
◆四番(神尾昭央 君) ご答弁ありがとうございました。日中の時間帯で人が集まるところに、まず設置をしていってということであろうかなというふうに感じました。既に数としてはたくさんついておりますので、あとはいかにこれを上手に使っていけるかという体制づくりが大切なのかなというふうに思いますので、引き続きご尽力をお願いいたします。
今回は地域の課題を中心に質問をさせていただきました。我々区議会議員は地域の代表として選挙で選出をしていただいております。質問の内容も、日頃、私が地域活動の中でいただいた区民の皆様の声であります。いずれも重要な課題でありますので、これからも真摯に向き合って取り組んでいただきますようにお願いを申し上げます。
以上で私の質問を終わります。
○議長(藤澤進一 君) 暫時休憩します。
午後三時九分休憩
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午後三時三十分再開
○副議長(伊藤照子 君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
一般質問を続行します。九番、牧野けんじ君。
〔九番 牧野けんじ君登壇〕
◆九番(牧野けんじ 君) 通告に従い、二つのテーマで質問をいたします。
一点目は、LGBT、性的マイノリティと人権の課題についてです。この課題で、七月に、ある国会議員が月刊誌に寄稿した内容が大きな問題となっています。この寄稿は「『LGBT』支援の度が過ぎる」と題し、「LGBTのカップルのために税金を使うことに賛同が得られるのか。彼ら彼女らは子どもをつくらない、つまり生産性がない」などというものでした。そもそも事実誤認が多く、当事者の尊厳を傷つける言語道断の暴言であったということは言うまでもありません。差別的扱いを受けているLGBT、性的マイノリティの権利保障が急務となっている時に、逆に差別や偏見をあおるような主張を、与党の国会議員が公然と展開していたことは重大です。当事者や支援者の団体からなるLGBT法連合会が、「困難を抱えている当事者の置かれている状況を全く考慮していない。侮辱的、屈辱的ともとれる内容であり、当事者の権利を侵害する」と抗議声明を出したのは当然のことです。この議員の「子どもをつくらない者は生産性がない」という非難は、直接的にはLGBTに向けられたものです。しかし、LGBTに限らず子どもがいない人、産めない人、産まなかった人、産もうと思わない人、その全ての人々が非難の対象となり得るという点でも人権と尊厳に関わる大問題です。
「すべて国民は、個人として尊重される」とした、憲法十三条の精神を真っ向から否定し、少数者、マイノリティの排除につながる、この主張に対してどのように受けとめるか。この主張がLGBT当事者への行政からの支援に否定的な見解を示したものである点からも、地方自治体の首長の受けとめは重要です。
一方、都議会では、十月にLGBTなど性的少数者への差別を禁止する東京都の人権尊重条例が賛成多数で可決、成立しました。この都条例は、都道府県として初めて、性的指向、性自認を理由とする差別禁止を明確に規定したものとなり、啓発とともに教育が位置付けられた点でも重要です。いわゆるパートナーシップ制度は、今年に入って福岡市や大阪市で開始されています。東京二十三区でも、中野区が八月から開始し、豊島区でも新年度から実施の見通しです。本区でも七月に同性パートナーを持つオランダ大使館の参事官を招いた区内当事者グループ主催のシンポジウムが開催され、区はこの催しを後援しました。当日区長、そして区議会からも議長をはじめ多数の議員が参加したことは、区内の当事者に前向きなメッセージとなったと思います。
こうした本区の取組みをさらに前向きに進めるという立場から、具体的に提案いたします。まずはすぐにでもできる取組みとして、当事者の相談先を、より分かりやすく明確に案内することです。現在、区の公式サイトでは、「人権」というページが設けられ、LGBTを含む人権課題と、法務省などの相談窓口のリンクが貼られています。しかし、リンク先には、総合的な窓口や「女性」「子ども」「外国人」などの専用ダイヤルの表記はありますが、LGBTについては表記がありません。例えば、本区の総合相談会や自殺対策の「ゲートキーパー手帳」などに相談先として示されている「よりそいホットライン」には、LGBTの専用回線があり、二十四時間対応となっています。今後、こうした適切な相談先の周知が重要と考えます。また、同様に、今できる取組みとして、当事者の交流の場である「コミュニティスペース」の実施も有効と考えます。安心して交流できる、正確な知識を得られる場所として重要であるだけでなく、行政が主催し、場も提供する、そのこと自体が当事者へのポジティブなメッセージとなります。
最後に、パートナーシップ制度の実施、このことを強く求めたいと思います。
現在、全国では九つの自治体が制度を実施しており、導入の具体的検討に入っている自治体も多く存在します。一方で、差別と偏見が今なお根強い現状において、この制度に対する当事者自身の考え方も様々にあります。しかし、制度を使うかどうかは、異性間の婚姻と同様に自由です。この点で、現状、同性パートナーには選択肢がなく、選ぶ権利が奪われています。ここには明らかな不平等があります。だからこそ、当事者からの強い要望があります。国の動きを待つのではなく、今こそ住民に最も近い地方自治体の役割を果たし、制度の導入に大きく踏み出していただきたいと思います。
江戸川区として、区民の目に見える形の施策、メッセージとなる取組みこそ必要です。今後の更なる施策に期待して、三点質問いたします。
第一に、国会議員による「LGBTは生産性がない」などという主張について、区長の見解をお示しください。第二に、LGBTの課題に十分対応できる相談先を、区の公式サイトや広報などに分かりやすく明示し、広く周知すべきと考えますが、いかがでしょうか。また、当事者が安心して交流できる場として、「コミュニティスペース」の取組みを行政と当事者団体との協働で実施してはいかがでしょうか。第三に、著しい不平等を解消し、区の明快なメッセージを示すことにもなるパートナーシップ制度を実施すべきと考えますが、いかがでしょうか。
次に、スーパー堤防とまちづくり事業について、質問します。
最初に、北小岩一丁目東部地区の事業について、昨日の東京新聞に「地中にコンクリ片 住民に伝えず除去」という記事が掲載されました。内容は、昨年の地盤強度不足発覚後の対策工事中に、複数の宅地地盤で合計百四十八立方メートルのコンクリート片が地中から発見されていたというものです。コンクリート片は、既に除去されていますが、この事実が、議会はもちろん、地権者の皆さんにすら知らされずに今日に至っているということで、新聞にも大きく取り上げられました。
一旦、堤防の盛土工事が終わった。ところが、一部で地盤強度の不足が見つかり、対策の改良工事が必要となった。その対策工事をした宅地で、このコンクリ片が見つかっています。対策工事が行われたのは、七十五の宅地のうち、三分の一に当たる二十六の宅地だけです。つまり、対策工事が行われなかった残る四十九の宅地では、同様のコンクリ片が埋まっているかどうか、そのことも不明のままということです。仮に、そうしたコンクリ片がまだ残されていた場合、新聞記事でも指摘しているような地震時の影響はないのかなど疑問は尽きません。
そして、最大の問題は、この事実が一年以上にわたって公にされてこなかったことです。この地区では、事業が本格化した二〇一四年以降、ほぼ毎年想定していなかった埋設物が地中から見つかっています。その際には、住民や議会に説明がありました。それが、今回の件については、何らの報告もありません。
この一連の問題について、まずはその経過を全て明らかにすることを強く求めるものです。
次に、上篠崎一丁目北部地区についてです。この地区では、九月の「まちづくり懇談会」で、今後のスケジュールの大幅な延期が住民に説明されました。
その理由の一つに挙げているのが、地区計画の策定です。その範囲を決めるのはこれからですが、四方を幹線道路や鉄道に囲まれた北小岩一丁目とは違い、この地区で区画整理地域だけを地区計画の範囲とすることはあり得ないと考えます。
一連の事業区域とは離れた所に、いわゆる「飛び換地」があり、少なくとも、そこまでの間の区画整理対象となっていない区域も含めたエリアは、地区計画の対象となるはずです。
先の議会では、参加対象が区画整理区域の権利者だけに限られる「まちづくり懇談会」でこの地区計画について話し合うとの答弁がありました。もし、そのように進めるのだとすれば、区画整理区域の内か外かで住民が地区計画の説明を受ける時期に差が出てしまうのではないでしょうか。地区計画の範囲はいつ示すのか、現時点での見通しはあるのでしょうか。
最後に、国交省で八月から九月にかけて開かれた「宅地利用に供する高規格堤防の整備に関する検討会」についてです。
この検討会は、北小岩での地盤強度不足問題を受けて設置されたことは明瞭であり、上篠崎の「盛土をしない飛び換地も強度確保のため事前の地盤改良をするか」という点を意識した議論もされており、実質的には、今後江戸川区でどのように事業を進めるかを検討する内容となっています。
既に、「とりまとめ(案)」が示されていますが、この中では、「国と共同事業者との協議と合意」という記述が繰り返され、極めて曖昧な内容です。検討の中で、委員からは、北小岩での地盤対策を指して「オーバースペック(やり過ぎ)。それをやれば住民は安心するだろうが、国費を使う公共事業だから公平性が大事」など、国からの出費を抑えることを強く意識した発言も飛び出すなど、問題だらけの検討と言わざるを得ません。また、施工管理を北小岩で地耐力不足を招いた「プレロード工法」で今後も行おうとしていることも重大です。前議会で、区は内容を詳細に把握していないようでしたが、その後、国の方針をどのように受けとめたのでしょうか。
現在、上篠崎での地盤対策について、区は「しっかりとした地盤の土地を皆様にお渡しする」などの説明を繰り返し、国にもそのことを求めていると言いますが、国が求めに応じず、それらの費用負担を区に求めてきた場合、区はどのように対応するのでしょうか。決算委員会では、区からは支出しない旨の発言がありましたが、そうなれば事業は頓挫するのではないですか。
大きな住民負担、犠牲を伴うやり方で事業が進まないことは、いよいよ明白となっています。無謀で、矛盾だらけのスーパー堤防事業は中止するしかないという立場から、三点質問いたします。
第一に、北小岩一丁目東部地区で、二〇一七年に地中からコンクリート片が見つかっていた問題について、この事実をなぜこれまで公にしてこなかったのか、その理由をお示しください。また、対策工事が行われなかった宅地の地中にも、こうしたコンクリ片が埋まっているのではないか。住民への説明はどうするのか。この問題についての区の見解を明確にお示しください。
第二に、上篠崎一丁目北部地区の地区計画について、その範囲が決まるのはいつごろになるのか、見通しをお示しください。
第三に、この間の国交省の検討会の「とりまとめ(案)」について、北小岩で地盤強度不足を招いたプレロード工法で今後も進めるという国の姿勢を区は容認するのですか。また、地盤対策の費用負担で、これまでにない負担を求められた場合、区はどう対応するのですか。
それぞれ区の見解をお示しください。
以上で、第一回目の質問といたします。
○副議長(伊藤照子 君) 多田区長。
〔区長 多田正見君登壇〕
◎区長(多田正見 君) お答えをしてまいります。国会議員の例の発言でありますけれども、大変多くの人々から問題が提起されたわけであります。そのこと自体やはり問題のある発言であったというふうに思っております。
その他のことにつきましては、総務部長からお答えをいたします。
スーパー堤防に関わるご質問につきましては、土木部長からお答えをいたします。
○副議長(伊藤照子 君) 弓場総務部長。
◎総務部長(弓場宏之 君) LGBTの件につきまして、残りの部分についてお答えさせていただきます。
まず、相談先の分かりやすい周知というところでございますが、先ほど、私どもの区のホームページのお話もございましたけども、確かに、私どものほうでも、今現在のホームページの内容が、人権のところに関わりまして、あるいはLGBTのところに関わりまして、完成されたものではないという認識はしておりますので、今後、相談先、区民の方が分かりやすいような、そういったところを少し拡充して、今後、すぐにできるかどうかというところはいろいろ研究させていただいてというところではありますが、ホームページの拡充等をしながら、分かりやすい周知をしていきたいというふうに考えておるところであります。
また、コミュニティスペースの件でございますが、こちらのほうは、現時点では、区がそういったものを設置するということは考えてはおりません。しかしながら、区内ではLGBT団体が自主的にワークショップの開催等を区民施設等を使いまして、行っていただいております。先ほどお話のありました区民主体のシンポジウムもそういったものでありますが、こうした活動を尊重させていただきまして、区民の理解をますます深めていくということに区としても取り組んでいきたい、応援していきたいというふうに思っておるところでございます。
それから、三番目でございますが、パートナーシップ制度のことでございますが、これは昨日もご質問にお答えさせていただきまして、お答えしたところでありますので、多少重複するところがございますが、お許しいただきたいと思います。
まず、基本的には、昨日区長から答弁させていただいたとおり、最も大事なことは当事者が不利益を受けないことだということでありまして、それに向けて、今区の中でいろいろな検討を行っているということでございます。
一つには、区の職員用の対応ガイドラインを今策定しているというところで、年度内の発行を予定しているということ。あと、各事業の対象者として、同性パートナーの取り扱いをどうするのかということに関しまして、それぞれの部署で事業の調査をしておるというところでございます。手続上、パートナー関係の確認が必要となるような場合に備えまして、庁内でもそういった情報を共有するなどの仕組みを検討していきたいというふうに考えているところでございます。
以上であります。
○副議長(伊藤照子 君) 立原土木部長。
◎土木部長(立原直正 君) 私からは、スーパー堤防とまちづくり事業に関しまして、お答えをさせていただきます。
まず、北小岩一丁目東部地区におきましてのコンクリート殻ということでの新聞報道のご質問がございましたが、このコンクリート殻につきましては、国が適切に撤去対応をしたということで、地中障害物の有無にかかわらず、高規格堤防の機能上問題はないということで、国から報告を受けているところでございます。区としても、特段の問題はないというふうに考えております。
二点目の上篠崎一丁目北部地区の地区計画に関するご質問でございますが、地区計画の範囲、内容等ということでございますけれども、既定の都市計画、具体的には区画整理すべき地域ですとか、都市計画道路、これらの既定の都市計画などを踏まえまして、地域住民の皆さんとしっかりとお話し合いをし、ご理解のもとに協働で進めていきたいと考えております。そのために、地元町会の皆様とご相談に入ろうという準備を進めておるところでございます。良好な住環境の形成につながるまちづくり、これにしっかりと努めていきたいと思っておりまして、地域の皆さんとのお話し合い、おおむね一年程度の時間がかかろうかと思いますが、お話し合いをしていきたいというふうに考えております。
続きまして、三点目、国交省の検討会についてということでございますけれども、そもそも高規格堤防の整備は国が責任を持ってやるべきことでございまして、その内容については適正な設計、施工、品質管理のもとに必要な宅地性能を確保する、これが担保されるということが必要であろうかと考えております。
そうしたことから、国は検討会で様々な検討をしているということでございますが、その検討内容を踏まえまして、具体的には上篠崎地区におきましては、高規格堤防の盛土、また宅地性能を確保する、これらの地盤対策をしっかりと行っていくというようなことを示しているところでございます。
そうしたことから、あと費用負担のお話もございましたが、当然ですけれども、高規格堤防、国が責任を持ってということでございますので、費用負担はもとより、国としての役割をしっかりと果たしていただくよう、改めて申し入れをしているところでございます。
以上でございます。
○副議長(伊藤照子 君) 牧野けんじ君。
◆九番(牧野けんじ 君) お答えいただきました。再質問を含めて、意見を述べたいと思います。
まず、LGBTの課題についてでありますが、区長から国会議員の発言についていろいろなところから問題であるという指摘があったということで見解をお示しいただいたのですが、区長として、もう少し具体的にどこが問題があったと考えているのか、そのあたりを区長ご自身の見解という部分ももう少しお示しをしていただきたいということで、もう一度お聞きしたいと思います。
それから、ホームページで相談先の周知ということで、「よりそいホットライン」のことを提案いたしました。先ほど申し上げましたとおり、総合相談会だとか、そういう同じ江戸川区が行っている施策の中では、既に案内をされているようなそうしたポピュラーな相談先でもありますので、すぐにできるかはわからないということでしたけれども、ぜひ早い段階で実現をしていただきたいというふうに申し上げます。
それから、コミュニティスペースということで、現時点では区としては考えていないということですけども、当事者のグループの集まりを区として後援するだとか、そういうやり方もぜひ検討していただきたいというふうに思います。
それで、パートナーシップ制度についてですけども、ここまで私も三年前に初めてこのことを提案いたしました。江戸川区でもこの間、進んできていると、前向きに進んできているということは皆さんとも共有をしたいところです。
ただ、昨日から答弁をお聞きしておりますと、不利益がないようにと、そのことはとても重要なことなのですけども、やはり婚姻に準ずるというような、そうしたもともと制度として要望されていたというところで、異性間の婚姻であれば、入籍をすればおめでとうと祝福されるものであります。社会に認められるという、そうした性格を持っているという婚姻に対して、役所の中で関係を証明できるようにということで検討というのは、ちょっと当事者の気持ちとも少し違ってくるのかなというような気がしています。当事者からは、当事者が気持ちよく使える、そして安心して使える制度としてほしいというようなご要望もいただいておりますので、こうした当事者の方の意見を今後どのように受け入れて、検討するのか、当事者からしっかりと意見を、こういう案を考えているという段階から意見を聞くということを考えておられるのか、このことを再質問いたします。
それから、スーパー堤防についてですが、この北小岩でのコンクリート片ですね。この問題は国が適切に撤去したというのですけども、昨日国会で実はこの件についてやりとりがありました。そこで国交省は、対策工、改良工事に支障になる部分については撤去をしたと、こういう答弁の仕方なのですね。対策工事に支障があったところは除去したということですから、これが果たして適切に撤去されたと言えるのかどうか、このことは到底この説明では受けとめられないというのが住民の皆さんからしても、そういう気持ちではないかというふうに思います。
区として、私の質問で、説明はどうするのかということもお聞きしました。新聞にもああいう形で報道されていますので、説明を区としても、説明することが、過去、先ほど挙げましたけども、毎年のように埋設物が見つかって、そのときはちゃんと報告をして、住民に対して説明会を開いたケースもあるではないですか。ヒューム管というのですかね、あれが見つかった時に、住民に対しても説明会を行っている。それとの整合性ですよね。今回は、一年以上経ってから見つかっているということですから、これは説明不可欠だと思うのです。この点で今後どのようにお考えになっているのか、これをお示しください。
それから、地区計画についてですが、地元町会と相談に入ろうとしているところだと。おおむね一年ぐらいをかけて話し合うというようなことでしたけども、これは大体いつごろのタイミングから始めて一年ということなのか、これをお示しいただければというふうに思います。
それから、国の検討会についてであります。国が責任を持ってやるというのは当然のことであるのですけども、ただ質問の中でも触れたのですが、オーバースペックだとか、こういう言い方をしている、ほかにも照応の原則という土地区画整理の考え方を持ち出して、行政裁量の逸脱や濫用がないように、こういう言い方もして、つまりやっぱりやり過ぎないようにと、お金をかけ過ぎないようにということが、検討会で議事録を見ると、こういう話が交わされているわけですね。
やはり、つまり国がなるべくならお金を出したくないと言っている。飛び換地の問題が上篠崎である。こういう点で国に責任を果たしてもらうというだけでは、質問の中でも国がじゃあお金を出さないとなったらどうするのですかということも聞いているのですね。このあたりについて、やっぱり再答弁をいただきたいというふうに思います。
以上です。
○副議長(伊藤照子 君) 多田区長。
◎区長(多田正見 君) 人権ということについてどう考えているかということに疑念を抱かれるような発言であったのではないかと思っております。
○副議長(伊藤照子 君) 弓場総務部長。
◎総務部長(弓場宏之 君) 当事者の意見をどう聞くのかということでございますが、今現在も先ほどもお話にございましたシンポジウムみたいなところに関わっていただいている江戸川区のLGBTコミュニティ江戸川を主催なさっている区民の方であるとか、そういった方々も私どものほうに時折寄っていただきまして、こういったことについて議論をいろいろさせていただいているところであります。
そういった機会を一つ一つ捉えながら皆様の、もちろん当事者の方のお気持ち等も踏まえながら、より良い仕組みになっていくようにというふうに考えておるところでございます。
以上です。
○副議長(伊藤照子 君) 立原土木部長。
◎土木部長(立原直正 君) ご質問にお答えさせていただきます。まず、コンクリート殻の件に関しましての説明を改めてするのかというようなご質問だったと思いますが、先ほど申し上げましたとおり、特段問題であると考えておりませんので、説明会等を開くというようなことは今のところは考えておりません。なお、現地においては、ご承知のとおり約五十軒ほどの建物のほうも再建を全てされておりまして、その再建途上におきましても、特段お話はいただいておりませんものですから、そうした点をつけ加えさせていただきます。なお、当然でございますけども、地権者の方からお問い合わせ等あれば、それはしっかりと対応はさせていただくつもりではおります。なお、昨日の報道以降、現時点におきましては、特段のお問い合わせ等はございません。
それから、地区計画でございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、準備を進めておりまして、年が明けましてから、およそそこから一年ぐらいというようなことで考えております。
また、国の検討会の内容についてということでございますが、先ほど議員からご質問がありましたとおり、検討途上におきましては様々委員の方がいろいろなことで検討なさっていると、私も議事録で確認をしておりますけれども、いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたとおり、高規格堤防の整備そのものは国の責務でありますので、それに関しまして費用負担というものは、当然国が負うべきものというふうに考えております。
以上です。
○副議長(伊藤照子 君) 牧野けんじ君。
◆九番(牧野けんじ 君) すみません、区長に再答弁いただきましたけども、人権への意識を疑うというような発言がありましたけども、そのようなつもりは全くこちらはありませんので、そのことは申し上げておきます。
スーパー堤防のほうですけども、このコンクリート片の問題、公表しなかったことで、やはり不安を与えていると思います。公表していれば、ここまでの新聞沙汰にまでなるようなことはなかったということです。無謀で見通しのないスーパー堤防の事業からは一刻も早く撤退をすると、中止をするということを求めて……。
○副議長(伊藤照子 君) 発言時間がなくなりました。
この際、議事の都合により、あらかじめ会議時間を延長します。
次に、十番、桝 秀行君。
〔十番 桝 秀行君登壇〕
◆十番(桝秀行 君) 通告に従い、順次質問してまいります。
はじめに、地域企業との連携についてお尋ねいたします。企業には、自社の業務に限らず、様々な場面で地域課題の解決に取り組むなど、地域発展の一翼を担う側面もあります。このような観点からも、自治体にとって企業との接し方が重要な意義を持つことは言うまでもありません。しかしながら、多くの自治体では、企業との接し方に特段の指針を定めることなく、その都度状況に応じた対応がなされているのが現状と言えます。
本区における企業との接し方と言えば、主に産業振興課が中心となり、中小企業支援策や商店街振興策等が実施されてきましたが、その施策の対象となる企業は区内産業全体の特徴とも言える中小企業が目立っています。
そもそも自治体と企業は、地域の発展や福祉の充実に目を向けた目標を共有し、信頼関係のもと、普段から協力体制を整えていくことがお互いに求められていると言えるでしょう。それを実現するためには、自治体として企業との接し方に明確なビジョンを持つことが重要であると考えられるのです。
お隣の千葉県では、現在でも企業誘致事業に力を入れるなど、地域において企業との連携を日頃から模索しています。その取組内容は多岐にわたり、それぞれの事業は実効性が高いものが多く、誘致実現に向けた大変な情熱を感じさせるものがあります。これは地域における企業の重要性を理解し、企業との接し方にビジョンを持っているからこそできる取組みです。
また、千葉県野田市では、江戸時代から醤油作りで栄えたキッコーマンが多くの雇用を創出するなどの地域貢献に加え、現在では地域の中核となる株式会社としての病院を運営するなど、自治体と企業の連携に成功しています。
お隣の浦安市でも、スターツグループが住宅事業はもとより、市との連携によってホテルや医療機関を展開するなど、さらにその事業の幅を広げ、最近では大型ショッピング施設のリノベーション事業に乗り出し、開発事業を加速させています。これも自治体と地域企業による連携が地域課題の解消や発展に成功した例と言えるでしょう。
一方で、平成二十四年に全国千七百九十一の自治体を対象に実施された三菱総研のアンケート調査によると、多くの自治体から、「責任分担や公平性の担保が難しい」、あるいは、「連携対象となる企業が見つからない」など、様々な要因により官民連携が実現できていない旨の回答も得られています。
ここでお尋ねします。江戸川区には江戸川区の事情と、企業には企業の事情がそれぞれにありますが、両者が協力体制を構築することが地域の発展に寄与することは間違いありません。区では、企業との連携の在り方をどのように考えているのか、その基本的な姿勢をお聞かせください。
次に、小・中学校の改築事業についてお尋ねします。
私は、この入札制度が導入されて以来、根拠条例の総則に明記されている「区民の福祉の増進及び地域社会の健全な発展に寄与する」という目的までは共有しながらも、実際に運用されている制度には多くの問題が生じていることから、この制度に対し、これまでに指摘と改善を促す発言を繰り返してきました。
ここで、制度導入から八年が経過する中でこれまでに生じた問題点を振り返ってみます。
改築工事の途中で請負企業が倒産した例や小学校二校の設備工事で談合と疑われるような応札結果、また新築校舎の耐震強度を損ねる違法工事、あるいは一者応札が相次ぎ公共調達審査会から「好ましくない」など否定的な見解が示されるなど、数々の結果が制度の欠陥を露呈してきたと言えます。
また、このような問題に限らず、区内業者が単体で本体工事を落札した例はこれまでに工事が行われた十校のうち三校しかありません。そのほかはジョイントベンチャー制度のもと、区内業者が大手業者との共同体によって落札しています。単体で応札できていないという近年の結果だけを見ても、区内業者を優先とした制度の限界を示していることが分かります。つまり、いくら区が区内業者を優先としたところで、学校改築という大規模工事を請け負える区内業者はほとんどいないということを物語っているのです。
加えて、これまでに受注した三校のうち、二校は同じ会社であり、残りのもう一校を落札した企業は工事途中に倒産しています。これは、工事が行われた十校のうち、区内業者単体で工事を受注し、今後も応札の可能性があるのは実質的に一社のみということになります。このように、業者の数が少ないということからも、今後も区内業者が単独で応札する可能性は極めて低いと言えるのです。
これまで、このような観点から何度も質問をしてきましたが、区は「単独ではなく、JV共同体としての落札も業者の育成につながる」と答弁されています。しかし、実態は本当にそうでしょうか。JVや下請けという形で工事に参加することが育成につながっているのでしょうか。今日に至るまで、具体的な育成の成果が示される答弁はありませんでした。
ここで、改めてお尋ねします。私は、かねてからこの入札制度を区外業者にも積極的に開放すべきと訴えてきました。それは言うまでもなく、企業は競争の原理にさらされてこそ成長するものという前提があるからです。それでも、区内業者を優先する制度が育成につながると主張されるのであれば、この八年間に区内業者はどの程度育成されてきたのかを示すべきであり、検証されるべきです。具体的な数字があれば、育成の根拠と合わせてお示しください。
最後に、公共施設と寄付の関係についてお尋ねします。現在、本区では二十年間で二千億円という大型の公共事業として、小中学校の改築工事が進められていますが、このほかにも本庁舎移転計画をはじめ、様々な公共施設が更新の時期を迎えるなど、区内の公共施設整備の需要は高まってきていると言えます。もちろん、この整備に掛かる費用は、区の財政負担を考慮すれば少しでも抑えたいと考えるのは当然のことです。
そこで、一つ提案です。改築を予定する小中学校や公共施設の整備において、その周辺住民や卒業生から寄付を募る制度を設けてはどうかというものです。現在でも区には毎年多額の寄付が寄せられていますが、寄付者はその寄付金の使途を詳細に限定しているものばかりではないと聞いています。ここでの提案は、寄付の対象を当該施設の整備に限定した上で募る方法です。
他の自治体の例ですが、神奈川県茅ケ崎市では、「子どもたちに快適な学習環境を。小中学校普通教室空調設備設置事業」と称し、使途を明示する方法によって寄付金を募り、市のホームページ上で公開しています。
また、お隣の江東区では、高層マンションで暮らす住民の学校需要に対応するため、ファミリー世帯を対象に寄付金を制度化し、マンション建設時に公共施設整備協力金と称して一戸当たり百二十五万円を建設会社から受け取っています。実に、百世帯のマンションが建設されると、区に一億二千五百万円の寄付が寄せられる計算です。この寄付制度は、条例で義務化したものではなく、要綱として任意に募っているものです。にもかかわらず、新規に建設されたマンションでは一〇〇%の確率で寄付が寄せられているそうです。この額は、毎年十億円を超え、寄席られた寄付金は学校建設に限らず、保育所の整備などにも使われているとのことです。
他区の例を見ても、寄付を募るにも様々な形があることが分かります。江東区のマンション建設時における寄付の募り方は、税の受益者負担という考え方にも似ていますが、これも一つの寄付を募る手段と言えるのです。
一方、多方面で言われてきたことですが、我が国の寄付に対する意識は欧米に比べて決して高い水準にあるとは言えません。それでも全国には、税金に頼らず、寄付によって建設されてきた公共施設はたくさんあります。もちろん、施設整備費用の全額を寄付に頼るものではありませんが、やり方さえ工夫すれば寄付の額が多くなり、多くなればなるほど自治体の財政負担を軽減することにつながるわけです。
寄付は、募らなくても善意によって集まるかもしれません。しかし、寄付を大々的に募れば、さらに集まりやすくなり、限定した使途を明示すれば、その額も増えるということが他の自治体の取組みからも分かります。
本区でも、新川千本桜の事業に多額の寄付金が集まったことは周知の事実ですが、これこそ寄付の使途を明確にしたものであり、こうした寄付の在り方を制度化し、公共施設整備に向けて更に展開してみてはいかがかというのが私の提案です。区の見解をお聞かせください。
以上で、私の一回目の質問を終わります。
○副議長(伊藤照子 君) 多田区長。
〔区長 多田正見君登壇〕
◎区長(多田正見 君) お答えをしてまいります。この企業と行政の関わりをどう考えるかということでありますが、私どもとしては、これまで江戸川区行政の中でしっかりした企業との連携をもとにいたしまして、共に優れた地域の創造のためにお互い力を出し合うということで努力をしてきたと、そういうふうに思っております。これは不変のことでございまして、これからもその姿勢で臨んでまいりたいと、そのように思っております。
それから、区内企業育成ということについて、成果はどうであったのかということでありますけれども、これまで多くの事業を発注をいたしまして、そのことを適正に成果を挙げてくださったということ自体が育成であったというふうに思っております。
それから、次にこの寄付の問題につきましては、私の頭がちょっと理解力が不足しているかもわかりませんが、どういうことをおっしゃっているのか、よく理解ができません。
○副議長(伊藤照子 君) 桝 秀行君。
◆十番(桝秀行 君) 企業との連携のあり方ということなのですけど、これまでやってこられたということですけど、本当に地元の企業というのは、先ほど例に挙げさせていただいたとおり、自治体と手を取り合ってやっていくということが本当に地元の発展にも寄与していることだと思うのです。ちょっと時間がないので、すみません、一つ飛ばして、今、税金の寄付を募って公共施設ということが区長に伝わらなかったということなのですけど、江東区の例が一番わかりやすい例で、建物を建築する時に、基本的にもうその時点で寄付を、高層マンションが増えれば、学校需要が増えるわけですから、そこで寄付を事前にもう制度化をしていくという仕組みを江東区は導入されています。その寄付金を学校建設に充てているということですから、その分の金額が税負担が抑えられるということなのですよね。こういう制度をいろいろな角度から検討できると思うのですけど、江戸川区でも導入できないかというのが質問の趣旨でした。伝わったでしょうか。もう一度区長、伝わったらお答えをいただきたいと思います。
○副議長(伊藤照子 君) 多田区長。
◎区長(多田正見 君) そのような制度は、開発行為の中でどういう負担を負っていただくかということは制度的にございます。それを寄付という形に置きかえるということが私には理解ができないと、そういうことでございます。
○副議長(伊藤照子 君) 桝 秀行君。
◆十番(桝秀行 君) 区長が理解ができないということはわかりました。ただ、ほかの自治体でも実際にやっていることは確かなわけですから、区の財政が寄付によって軽減されることは間違いないわけなので、ぜひ選択肢の一つとしてはとどめていただきたいなということを思います。
それから、小・中学校の改築事業、これはもうかねてからずっと言ってきたわけなのですが、私は決して区内業者が憎たらしいわけでも何でもなく、仲よくさせていただいている業者も幾つかございます。ただ、やっぱり長い目で見れば、競争力をつけることが企業にとって成長するということですので、今までにただ単に仕事を受注してきたことが育成につながっているという答弁でしたけど、企業が仕事を受注すれば育成につながるという理論は、ちょっとやっぱり乱暴というか、雑な感じがします。やはり、新しい制度として、区内業者を優先するという、ちょっと大きい動きが当時あって、これを制度化したわけですから、新しい制度がどういう効果を生み出しているかというのは検証されるべきだと思うのです。それがうまく行っているか、うまく行っていないか、私は検証してくださいと言っているだけですから、ただ仕事をとっているから、それが必ず育成につながっているというのは、やや乱暴な気がします。あと二年すれば、もうこの制度導入から十年を迎えるわけですから、やはりその検証の仕組みというものは、これからもつくっていただきたいということをお願いをして、私の質問を終わります。
○副議長(伊藤照子 君) 次に、五番、本西光枝君。
〔五番 本西光枝君登壇〕
◆五番(本西光枝 君) 通告に基づき質問してまいります。まず、子どもの権利についてです。
二〇二〇年には江戸川区にも児童相談所が開設されます。その目的は、子どもに関する家庭その他からの相談に応じ、子どもが有する問題、真のニーズ、置かれた環境の状況を的確に捉え、個々の子どもや家庭に最も効果的な援助を行い、子どもの福祉を図り、その権利を擁護することです。
本区では、全ての子どもたちの健やかな成長を願い、住民に一番身近な基礎自治体が行う児童相談所として、迅速できめ細やかな対応を関係機関や地域と連携して進めるため、職員も百三十名程度を見込み、万全を期して臨んでいるところです。
また現在、児童女性課に成長支援係も新設し、様々な子どもを対象とした事業を進めています。「一六五五勉強カフェ」は「育つ権利」、「KODOMOごはん便」や「おうち食堂」は「生きる権利」に沿ったもので、いずれも子ども自身に支援が届く事業だと考えます。これら子どもの権利は、一九八九年に国連で採択された「子どもの権利条約」の四つの柱、命が守られ、個性を尊重される「生きる権利」、学ぶこと、遊ぶことができる「育つ権利」、自分の意見や考えを表すことができ、尊重される「参加する権利」、そして困ったとき、つらいときに支援を受けることができる「守られる権利」が定められており、日本も一九九四年に批准しています。しかし、その後、権利条約の内容はなかなか日本社会に浸透せず、国連・子どもの権利委員会から三度も日本政府への是正勧告がなされるという残念な状況が続いてきました。
日本の児童福祉法に、子どもの権利条約の内容が盛り込まれたのは、批准から二十二年もたった二〇一六年のことでした。全ての児童は、児童の権利に関する条約の精神にのっとり、適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され、保護されること、その心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉を等しく保障される権利を有するとしています。さらに、社会のあらゆる分野において、児童の年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮され、心身共に健やかに育成されるよう努めるといった児童の福祉を保障するための原理が明確化されました。
この法律を根拠とする児童相談所は、基本理念として「子どもの権利」を据えた基で運営が進められるべきと考えますが、改めて区長のお考えをお尋ねします。
また、江戸川区の全ての計画の上位にある長期計画以下、基本計画、実施計画、子ども・子育て支援事業計画などを確認したところ、保護者や大人を主語として捉えた子育ての観点からの支援であり、子どもの視点に立った「子どもの権利」がうたわれていません。
児童相談所開設に向け、常に述べられている子どもの最善の利益とは大人だけが守るべきものと考えるのではなく、子ども自身の声や意見を聴くことこそが重要ではないでしょうか。私たち大人がいくら手を広げて「大丈夫だよ」と言っても、信頼関係がなければ子どもたちは心を開いて話してくれません。そのためには、日頃から子どもたちの声を聴く姿勢が必要です。
大人が一方的に制度をつくり上げ、そこに子どもをはめ込むのではなく、子どもの意見を聴き、「子どもの最善の利益」を中心において、子どもと一緒にシステムをつくっていくことが大切だという国連勧告を、この機会に改めて認識することが重要であると考えます。
そうした子どもたちにとっての最善を求める姿勢は、教育の場などでの子ども自身への周知はもちろんのこと、全ての区民にわかるように示すことが大切だと考えます。そこで伺います。
江戸川区の全ての市民の心に「子どもの権利」が刻まれ、子どもたち自身が「子どもの権利」を知り、「助けを求めていいんだ」、「話してもいいんだ」と思えるよう、本区の姿勢を示していくために、「子どもの権利条例」の制定を求めます。区長のお考えをお聞かせください。
次に、障害者が地域で暮らすことについて伺います。障害者に関する施策は二〇〇三年四月に身体障害者、知的障害者、障害児に対する支援費制度の導入で大きく転換しました。それまでの措置制度から、障害者の「自己決定や自己選択」に基づいたサービスの利用が保障されることとなりました。改正が重ねられると共に、一昨年には障害者差別解消法も施行されたところです。
しかし、障害者が地域で暮らすことは容易ではありません。生まれもっての障害の場合、多くは家庭で成長していきますが、障害児を育てる家庭への支援が十分になければ、家族も限界を感じ、子どもを手放さざるを得ない状況に追い込まれるケースもあります。
障害児施設で暮らす子どもたちは、親の支援を受けることが難しい上に、差別や排除などで傷つき、大人に自分の思いを伝えることを諦め、やがて成人するとそのまま障害者施設に移っていきます。
現在、施設に暮らす障害者は、二〇一七年九月末で四百十一名いますが、江戸川区内の施設定員は六十六名のため、住み慣れた地域ではなく、遠くは北海道などの施設で暮らしています。受け入れ場所がなかなか決まらず、短期入所を繰り返し、転々とされている方もいらっしゃいます。
一方、国の基本方針は、二〇二〇年度までに二〇一六年度末時点の福祉施設の入所者数の九%以上をグループホームや一般住宅などでの地域生活へと移行することにしています。
そのためには、障害者が施設を出て暮らすことを選択できるように住宅を借りやすくし、障害福祉サービスなどがきちんと提供されること、またグループホームも今以上に増やしていくことが必要です。
これらを早急に整えていかなければ、地域で安心して自分らしく暮らすことを諦める、もしくは施設で暮らすという選択しかなくなる状況が生じかねません。この点についての区長のお考えをお聞かせください。
「障害者の住まいに関する調査研究報告書」がこの三月に杉並区から出されました。東京二十三区の障害者グループホームを運営する法人に行ったアンケート結果からは、グループホームの開設において、「土地・建物を確保するための情報の入手」がとても困難と挙げています。次に、「職員の継続的な確保」、「土地・建物が障害者グループホームに適しているかのチェック」と続きます。とても困難、やや困難と合わせると、「土日祝日の支援体制の確保」、「職員の継続的な確保」、「職員の採用や研修方法についての情報の入手」などが挙がっていました。また、グループホームから民間賃貸住宅の移行に際しては、不動産会社や家主の理解などの課題もあります。
実際に、江戸川区内でグループホームを立ち上げた方にお聞きしたところ、相談窓口がないため、先行する事業所を手あたり次第訪ねて情報を集めたそうです。法人立ち上げのノウハウ、事業計画書の作成のほか、不動産会社や家主の理解を得ることにも苦労がありましたし、グループホームに必要な建築基準法や消防法についての知識、補助金のことなど幅広い専門的アドバイスが必要だということでした。
本区では、二〇一六年度にグループホームコーディネーターを置き、グループホームの地域ネットワークを構築し、質の高い生活の場を提供することに取り組んでいるところです。
より一層のグループホームの整備促進をしていくためには、まず相談を行う際の窓口、次に開設を支援するための情報の提供と専門機関の紹介などのコーディネート機能、そして、適切な時期に適切な方法で障害当事者及び家族・親族と、土地・建物オーナー、運営法人の三者をマッチングさせる機能が必要です。
これらの機能を持つ相談窓口の設置についてのお考えをお聞かせください。
最後に、グループホームは、日中は就労事業所や勤め先などに行き、夕方帰ってくる住まいです。障害者の重度化や高齢化により、就労事業所などの通所が難しい障害者のための住まいが地域に必要だと考えます。二〇一八年度の報酬改定により、重度障害者に対応できるグループホームの類型ができました。二十四時間支援が必要な方が地域で暮らせる選択肢の一つとなると考えます。
区として整備をしていくことが必要だと考えますが、いかがでしょうか。
以上で、私の一回目の質問を終わります。
○副議長(伊藤照子 君) 多田区長。
〔区長 多田正見君登壇〕
◎区長(多田正見 君) お答えをしてまいります。子どもの権利に関するお話につきましては、おっしゃっていることは余りに当然のことでありまして、何の異論もありませんので、そのとおりだというふうに思っております。江戸川区政がこれにたがう政策を行っているということはいささかも思っておりません。
それから、条例があってもなくても、こうしたことは基本的な我々の理念でございまして、これをしっかりと我々は心に銘じて、施策を進めていくと、そういうことであると思っております。
それから、障害者の問題についてでありますけれども、障害者がこの先いろいろどういう社会の中で、どういうふうな生活の安定を得ることができるかということについて、地域の支えということに期待をしようという、それは当然の方向だと私は思います。ですけど、今のお話を伺っておりますと、それはでき得ないことではないかというような疑念を持っておられるように聞こえますが、それはもう全くそういうことではなくして、これはやる気の問題でありますから、やるべきことはしっかりやるということを、やり通すという信念があれば、これは不可能ではないというふうに思っておりますので、そうした社会の構築を目指して、お互いに努力をすべきだと、そういうふうに思っております。
以上です。
○副議長(伊藤照子 君) 本西光枝君。
◆五番(本西光枝 君) 子どもの権利についてですが、江戸川区ももちろん子どもの権利を大切にして取り組んでいるということは、私たちもそのようには考えております。これから、児童相談所をつくっていくというところにおいて、例えば安心して過ごせるはずの家庭が虐待などの事情で子どもにとって居場所ではなくなり、やっとの思いで家を逃げ出す子どもがいたりします。昼間は何とか過ごせますが、夜の街をさまようしかなく、性産業へと取り込まれてしまうこともあります。非行と見える子どもたちの行動の背景を想像し、なぜそうせざるを得ないのかということに思いをはせ、子どもの声を聴き、その力を信じることを一番に置いた児童相談所の運営をしていただきたいと考えております。
そして、児童相談所の条例には、ぜひとも「子どもの権利」を明記をしていただきたいと思います。「子どもの権利条例」なのですけども、「子どもの権利条約」は国が批准したということでありまして、子どもの権利についての条例をつくるということは、江戸川区は子どもの権利を基本理念として持っていますという保障になります。行政部局のトップや担当者が変わっても、それは生き続けるものです。議決事項である子どもの権利に関する条例をつくることが必要だと考えますが、その点についてもう一度お聞きしたいと思います。
また、障害者のほうですが、しっかりとやるというやる気の問題ということだったのですが、障害者、重度障害者にも対応できるグループホームについても民間任せではなく、区が責任を持って整えていくことが必要だと思いますし、そのほか障害者の地域での暮らしの問題を的確に捉えていくには、当事者参加が前提である障害者自立支援協議会の活用をしていくことだと思うのです。現在の自立支援協議会はなかなか個別のテーマに関して、踏み込んだ議論ができていません。障害福祉サービスを担っている各事業者が自主的に組織した連絡会も含め、重要な課題に対して、具体的な解決策を議論することを目的とした部会を設置していくことが望まれます。喫緊の課題である住まいの確保についても、それをテーマとした部会を発足させ、相談窓口の開設も含めた議論を進めるべきと考えます。その点についてのお考えを伺います。
○副議長(伊藤照子 君) 多田区長。
◎区長(多田正見 君) 条例の問題でありますけれども、条例がなければ、その基本的な権利に対して、あかしを持てないということではそれは非常に情けないことなので、それだけに頼るということは考えておりません。
○副議長(伊藤照子 君) 岡村福祉部長。
◎福祉部長(岡村昭雄 君) 今、お話しいただきましたグループホームの相談窓口、住居の相談窓口ということでございますけれども、江戸川区のコーディネーターのほうは、あらゆる相談を今受けてもらっています。グループホームですね。昨年二十九年度だと八百件ほどのご相談をいただいて、家主さんとのマッチングであったりとか、開設の支援であったり、専門的な指導・助言もさせていただいていますので、そういった中でグループホームの支援というのはさせていただこうかと思っております。新たな類型のグループホームにつきましては、確かに重度の方を受け入れられるような報酬体系ということでございますので、グループホームコーディネーターと一緒になって、事業者の皆さんの意見を聞きながら、整備は、ほかのグループホームと同じように整備に努めていきたいというふうに思っております。
〔「議長、答弁漏れ」と呼ぶ者あり〕
○副議長(伊藤照子 君) 手を挙げてお願いします。本西光枝君。
◆五番(本西光枝 君) 今質問したのは、地域自立支援協議会のほうに部会を設置してというところをお聞きしたのですが、そちらについてもう一度お考えをお聞かせください。
○副議長(伊藤照子 君) 岡村福祉部長。
◎福祉部長(岡村昭雄 君) 自立支援協議会のほうの部会のお話でございますが、以前にもそういうお話がございまして、私どもは部会をつくるような形で、試しにちょっとやってみましょうということでやらせていただきましたが、ちょっとうまく回りませんでした。その時にはうまくいきませんでした。今、それぞれの事業所の皆さんから我々いろいろとご意見を聞かせていただきながらやっておりますし、ケースについてはそれぞれ日々ご意見をいただく中で対応させていただいていると思っておりますので、今の段階で部会が必要というのは、また自立支援協議会の皆さんとも相談させていただいてというふうに思っております。
以上でございます。
○副議長(伊藤照子 君) 本西光枝君。
◆五番(本西光枝 君) 「子どもの権利条例」は区民との約束になりますので、その保障のためにもぜひ「子どもの権利条例」をつくっていただくよう、強く要望します。
そして、障害者のほうなのですけど、グループホームコーディネーターの専門、今あるところのグループホームコーディネーターは福祉分野の専門家でありますので、建築関係などの専門家ではありませんので、そういったこともきちんとお考えいただきたいと思います。
そして、自立支援協議会、前にやったときはうまくいかなかったということだったのですけども、ぜひとも部会を設置をし、障害者の住まいについて議論をすること、そして障害者を含む住宅確保要配慮者の支援を実施することを目的としている居住支援……。
○副議長(伊藤照子 君) 発言時間がなくなりますので、終わってください。
以上で、一般質問を終結します。
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△日程第二 陳 情
○副議長(伊藤照子 君) 日程第二、陳情。
ただいままでに受理した陳情は、お手元に配付した文書表のとおり、それぞれ関係委員会に付託します。
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○副議長(伊藤照子 君) 以上で本日の日程は全て終了しました。
なお、明日十二月一日から十一日までは常任委員会における議案審査、議事の都合及び休日のため休会し、次回は十二日午後一時から本会議を開きます。
本日は以上で散会します。
午後四時三十三分散会...