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2004-11-26 平成16年第4回定例会(第13号) 名簿
2004-11-26 平成16年第4回定例会(第13号) 本文

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  1. 江東区議会 2004-11-26
    2004-11-26 平成16年第4回定例会(第13号) 本文


    取得元: 江東区議会公式サイト
    最終取得日: 2021-10-04
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1    午後1時03分開議 ◯副議長(小出功君) 地方自治法第106条第1項の規定により、議長の職務を執ります。  ただいまから、去る11月25日に引き続き会議を開きます。  まず、本日の会議録署名員をご指名いたします。9番板津道也君、32番菊池幸江君の両君にお願いいたします。  16番数藤武司君から、本日欠席の届け出がありましたので、ご報告いたします。   ────────────────────○──────────────────    ◎ 理事者に対する一般質問 2 ◯副議長(小出功君) 11月25日に引き続き、一般質問を行います。  本日の質問者は、12番大家弘道君、36番斉藤久也君、6番佐竹敏子君、35番鈴木清次君、26番中沢正夫君、31番大嵩崎かおり君、21番中村まさ子君、29番松江恒治君の8名ですので、これを順次お許しいたします。  12番大家弘道君。    (12番大家弘道君登壇) 3 ◯12番(大家弘道君) 新生クラブの大家です。私からは、大綱3点にわたって質問いたします。区長並びに関係理事者の明快なるご答弁をお願いいたします。  質問に先立ち、このたびの新潟県中越地震で犠牲になられた皆様に深く哀悼の意を表しますとともに、被災者の皆様、また、いまだに避難所生活を余儀なくされている皆様に、心からお見舞い申し上げます。そして、被災地が一刻も早く復興を遂げることを切に願うものであります。  さて、質問の第1点目は、教育改革の分野について、特に、子どもたちに非行や犯罪を起こさせないためにはどうしたらよいのかという観点から質問いたします。  今の時代は、子どもたちが引き起こす非行、犯罪が非常に増加しており、本区での「不良行為少年年次別補導人員の推移」でも、ここ3年間急増し、昨年は3,180人に上っています。また、最近の傾向として、長崎県の同級生による小6少女殺害事件のように、犯罪の低年齢化とともに、生命をも脅かす凶悪な犯罪が増加しています。これに対して、各自治体の教育委員会は「生命の尊重」を掲げ、道徳教育の授業をふやすなどしていますが、本区として今後ふえ続ける少年の非行や犯罪に対して、教育の立場からどのように対策をしていくお考えなのか、ご所見をお伺いいたします。  次に、本区では中学校全校にスクールカウンセラーを配置し、小学校でも、教育センターから臨床心理士を派遣するなど、児童・生徒の心のケアの充実を図るとともに、昨年にはブリッジスクールを開設し、不登校や集団への不適応児童・生徒の対策をしておりますが、徐々にその効果を上げていることは高く評価しております。  しかしながら、以上のことは、あくまでも子どもたちに何か問題が起きてから対処するという、いわば「対症療法」の域を出ていません。最近では、医学界を初めとして、さまざまな分野で、問題が発生する前に予防するということが重要視されてきております。本区としても、児童・生徒が問題行動を起こす前に予防できる対策を早急に検討すべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。  次に、今日では、人間関係の学習や経験不足から、集団生活に適応できない、自分の意見をはっきり言えない、逆に、人の話が聞けないなど、良好な人間関係を築くためのスキルが欠如してしまっている子どもたちが非常に多くなっております。このような自分をうまく表現できない子どもたちが、いわゆる「切れる」という状態になりやすく、何かのストレスに遭遇したときに問題行動を起こし、昨今の凶悪事件に発展してしまう大きな原因にもなっています。  この10月にも、東大阪市で、16歳から20年間引きこもっていた36歳の男性が両親を殺害するという事件が起きましたが、この事件もその一例だと思います。
     また、最近はパソコンやゲームの普及から、個室に閉じこもり、人とのかかわりを持てずにうつ状態になっている子どもや大人がふえています。さらには、小学校低学年で異性に興味を持つなど早熟な子もいれば、前述の36歳の男性のように、いつまでも未成熟な人もいて、思春期が個人によって大きく差が生じており、心の教育を小学校低学年から始めなければならないという指摘がされております。  こうした社会情勢の中、教育現場では、教師には児童・生徒に人間関係や集団生活の方法、考え方を教える技術を持つことが強く求められております。  本区教育センターで発行した平成15年版「教育相談」の中での昭和女子大学心理学科山崎洋史助教授の寄稿論文には、「学級における予防・開発的カウンセリングの導入とその方法」ということで、集団カウンセリングの必要性が述べられています。  私は、本年9月の行政視察で、岡山県御津町の株式会社が経営する「朝日塾中学校」に同僚議員とともに行ってまいりました。この朝日塾中学校では、道徳教育の時間はなく、全国で初めて「ディスカッション科」を新設し、生徒のコミュニケーション能力の育成を図っています。この教科で、自己の意見を持って他者に説明し、他者の意見を聞いて理解できる生徒を育て、道徳や総合学習はこの教科で学習することになっています。私は、朝日塾中学校が「ディスカッション」という形でカリキュラム化していることに大変感動いたしました。  また、先日、テレビでも放映された文京区立明化小学校では、国語科の「話すこと・聞くこと」での授業や始業前10分間の時間を利用して、コミュニケーション能力を育成する独特な試みを昨年から行っています。  本区では自己表現能力を高めることなど、各学校独自で試行錯誤してやっておられると聞いております。本区としても、時代の要請でもある子どもたちコミュニケーション能力を養い、自分の意見が言えるとともに、他者の意見を聞くことができ、そして、人間関係や集団生活がスムーズにできるスキルを持った子どもたちの育成をするために、小学校、中学校のレベルに応じた形でカリキュラムを構築するなど、対策を講じるべきと考えますが、ご見解をお伺いいたします。  次に、最近、「パフォーマンス学」という分野が大変注目を集めております。日本では、日大芸術学部佐藤綾子教授が第一人者で、パフォーマンスを「日常生活における個の善性表現」と定義し、どのような場所でも相手を理解し、相手にも自分を理解してもらって、よい人間関係をつくることがすべての生きる作業の基本条件になるというコンセプトのもとに、大人から子どもに至るまで、良好な人間関係を構築するための教育システムを展開しています。私も佐藤教授のセミナーを受講し、現在、勉強中の身であります。  パフォーマンス学では、話すという「言語表現」のほかに、話す調子、発声、顔の表情、しぐさ、姿勢といった「非言語表現」「周辺言語」という部分までもトータルに高めようとします。また、話を聞く側にも「聞き手責任」といって、聞く姿勢はどうあるべきか、コミュニケーションをする双方の力を高めようとするものです。さきに登場した、本区のスーパーバイザーである昭和女子大学の山崎助教授も、佐藤綾子教授主催のセミナーで教鞭をとるなど、パフォーマンス学を取り入れた自己表現及びコミュニケーション能力の育成法を強く推奨しておられます。  本区として、コミュニケーション能力を高めるために体系化されたパフォーマンス学による教育システムを、モデル的に小学校、中学校で取り入れることを選択肢の一つとして、ぜひご検討いただきたいと思いますが、本区のご見解をお伺いいたします。  質問の第2点目は、防災対策の、特に震災対策を中心に質問いたします。  本年は、10個もの台風が日本に上陸し、各地に甚大な被害をもたらしました。また、浅間山の噴火による農作物の被害、そして、このたびの新潟県中越地震と、自然災害に大変多く見舞われています。  本区としても、改めて防災対策に万全を期さなければならないと思いますが、このたびの新潟県中越地震を振り返り、新たに浮き彫りになった課題がありましたら、それは何かお聞かせください。そして、その課題に対する対策はどうすべきと考えておられるのか、お聞かせください。  次に、新潟県中越地震における被災地へ各自治体からさまざまな支援物資が送られ、本区としても、地震発生から2日後の10月25日に支援物資を職員の方々がお届けしており、迅速な対応を高く評価しているところです。ただ、地震発生直後から、各支援団体から次から次へと救援物資が送られたことはよいのですが、現地で本当に必要なものは何か、どこに持っていけばよいのかをよく把握できていなかったことが指摘されています。  そこで、本区で震災などに見舞われ、対外的な支援が必要になったときに、支援者からの連絡など、対外的に連絡がしっかりとれる通信手段と担当がきちんと整備されている必要があると思いますが、本区のお考えをお聞かせください。  次に、新潟県中越地震では、届いた援助物資を車両からおろしたり、保管したり、保管した物資を各地に配達することがスムーズにできませんでした。そこで、本区として、被災した際に救援物資をどこに保管するのか、そして、届いた物資を移動したり、配達する人手を早急に、どのように確保するのかなど、システムを構築しておかなければならないと思いますが、本区としてのお考えをお聞かせください。  次に、被災地では、ボランティアによる援助が必要不可欠になっており、政府は、地震や台風などの被害を受けた自治体が全国のボランティアの意向などを迅速に把握するための災害ボランティアの登録・仲介システムを立ち上げる方針を決めました。  本区でも、地震や台風で被災した際、各地区の要望に応じたボランティアを適切かつ迅速に配置することが求められていると思います。そこで、ボランティアセンターはどこに配置されるのか、救援物資をどこに受け入れるのかなど、具体的に詰められている必要があると思いますが、本区のご見解をお聞かせください。  次に、震災に見舞われた場合、家庭電話も携帯電話もしばらくの間、不通になってしまいます。このような場合、肉親などの安否をどう確認したらよいのか大きな問題になってきます。また、地域の情報をリアルタイムに伝える手段として、新潟県中越地震では、地域の放送局や新聞社のホームページ上に設けられた掲示板などが活躍しております。  昨今は携帯電話でもネットからさまざまな情報が得られるようになっており、ネット通信やメールなどのパケット通信は、災害時でも通信制限を受けません。本区としても、いつでも、どんなときでも、手軽に情報のやりとりができる携帯サイトを早急に立ち上げ、災害や安否の情報提供や収集ができるように、ネット環境を整備するべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。  次に、私は、先般の平成15年度決算審査特別委員会で、防災対策について幾つか質問をいたしました。その中に、地域のアマチュア無線局と日ごろから協定を結んで、災害時の情報収集、連絡体制の強化を図ることを提案いたしました。  アマチュア無線も、移動局のためのハンディ機器や車載用の機器が大変充実しております。阪神・淡路大震災の際には、電話回線が寸断されたためにアマチュア無線設備が大変役に立ちました。このときは、通信機メーカーから200台の機器の寄贈を受け、対策本部に基地局を立ち上げ、各避難所との通信を行ったそうです。また、日ごろから通信を楽しんでいる個人局もボランティアとしてお手伝いをするなどの活躍を果たしました。  このたびの新潟県中越地震でも、アマチュア無線連盟新潟県支部が、災害対策本部に対し協力を申し出ていたそうです。  本区としても、区内在住の無線局に広報などで呼びかけるなどして、災害時の専門ボランティアとして協定を結ぶことなど考えてもらいたいと思いますが、再度、ご所見をお伺いいたします。  次に、救援物資の備蓄についてお聞きします。  このたびの新潟県中越地震では、道路が土砂崩れや陥没したことで孤立する集落も多く出ました。本区では、臨海部のように、軟弱地盤上に整備された地区も多く、陥没によって道路が通行不能になったり、また、橋梁の倒壊によって孤立する地区も発生する可能性は大きいと考えます。このような孤立した地域には、ボランティアも来ることができず、救援物資が空輸されたり、船によって供給されるまでは自主的に被災者相互で助け合わなければならない状況が発生すると考えられます。  孤立した地域に限らず、23区だけでも800万人もの人口を抱える首都東京に、阪神・淡路や新潟中越並みの地震が発生した場合、全国からのボランティアだけに頼ることもできない状態は十分考えられるところです。本区としては、商店街連合会などと非常時での食料供給などの協定を交わしておりますが、それでも多くの被災者の腹を満たし続けることは難しいのではないでしょうか。  また、このたびの新潟県中越地震でも、食料や水の不足のほか、仮設トイレや毛布、生理用品の不足など、多くの不足が浮き彫りになりました。また、車の中で過ごし続けることによるエコノミークラス症候群の問題が新たに発生し、その対策に弾力ストッキングというものが有効だという専門家の見解も出てきました。  そのようなことも参考に、本区として、被災住民が援助の手が差し伸べられるまで自活できるだけの救援物資を、内容的にも、量的にもしっかり整え、備蓄することを急ぐべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。  質問の第3点目は、豊洲新市場について伺います。  東京都は本年7月に、「豊洲新市場基本計画」を策定し、計画の内容を明らかにしてきました。本区はこれまで、市場移転については、都から説明を受けるというだけのスタンスだったのが、急転直下、受け入れを表明したことは、豊洲を初めとする地元住民にとっては、はなはだ首をかしげているところです。  しかしながら、新市場の移転が本格的に計画段階へとなった現在は、移転を前提として計画がよりよい形で推し進められることを切に願うものです。  そこで、幾つか質問いたします。  地元住民は、豊洲及び周辺の開発による急速な都市環境の変化の中で、市場に出入りする関係車両による交通渋滞をとても懸念しております。市場が移転される豊洲六丁目の半島には、第二晴海通り、環状2号線及び補助315号線が整備され、将来の交通量の緩和策が図られておりますが、本区として、市場移転に伴う交通渋滞について、どのような見解を持たれているのかお伺いいたします。  また、本区の姿勢として、地域住民の心配にかんがみ、東京都にしっかりとした交通渋滞の対策を打ち立てるよう要望することが重要だと思いますが、いかがでしょうか。  次に、新市場に出入りする関係車両の場外での路上駐車の問題について伺います。  現在、豊洲周辺には、築地市場に出入りする大型の冷凍トラックなどが搬入・搬出の待機のため、夜間、大量に路上駐車するという実態があります。都は築地市場の駐車場不足を教訓に、豊洲新市場は築地の約1.5倍の敷地面積を確保し、駐車場も場内に十分に整備するとともに、宿泊施設や入浴施設、食堂、コンビニまでも設置して、運転手が車両ともども場内で待機できるだけの施設を整備することで、車両が場外にあふれ出ないようにすると言っています。  しかしながら、市場に出入りする車両は、市場内ですべての荷物の出し入れをするばかりでなく、場外でもトラック同士で一部の荷物のやりとりをするケースも多々あると聞いております。現在の築地市場場外においても、このような取引が多くなされており、豊洲新市場に移転した際にも、同様な形での積み荷のやりとりはあると考えられます。このような場合には、直接市場に関係のない業者は市場の使用料を払わずに、場外で荷物のやりとりをしようとすることも考えられ、結果として、市場周辺地域に車両が路上待機するというケースが出てくると予想されます。  地域住民は、夜間、住宅近くでアイドリングする冷凍車の騒音にこれまでも大変迷惑をこうむってきました。本区としては、このようなケースが豊洲新市場でも起きないように、関係業者の指導も踏まえ、都にしっかりと対策を講じるよう要望するべきだと考えますが、ご見解をお伺いいたします。  次に、新市場が計画されている豊洲六丁目は、北に晴海開発計画、東に豊洲二・三丁目開発、五丁目再開発、南に臨海副都心地区、お台場と、将来は大変貌を遂げる地区に囲まれた、いわば「へそ」の位置に当たります。豊洲六丁目の半島は、将来においては、都市環境においても、景観上の観点から見ても、大変重要な位置関係にある地区であり、都の景観重点地区にも指定されております。  また、築地市場では、多年にわたって蓄積された場外市場が、築地独特の町並みと景観を醸しており、一般客のニーズを満たしておりました。豊洲新市場は、この場外市場の移転は考えられてなく、卸や流通業者といった、一般消費者とは無縁の部門にとって便利なだけであるという声も聞かれます。千客万来の施設計画も市場機能との兼ね合いから、何通りか案が提示されていますが、果たして計画どおりに一般客が安定継続的に訪れる施設になるのかどうか、豊洲二丁目にできる大型モール、有明、青海、お台場に蓄積が進んでいるショッピングやサービス施設に対し、場外市場を伴わない新市場に、単なる物流基地になってしまう市場なら来てほしくない、湾岸線の外に行ってほしいなどの声は根強くあります。  この12月には、国として景観法が施行され、町並みなどをきれいに整えたいと考える地方行政を、法的強制力で後押しできる体制が整います。本区としては、景観条例が整備されており、今後、新市場が大変貌を遂げる周辺地域の都市環境と溶け合い、さらに、景観構成にもマッチしたものとなるように努力していただきたいと同時に、新市場が単なる物流基地に成り下がるのではなく、日本や世界に名声がとどろくような市場づくりができるように、全庁的に取り組み、東京都並びにタウンマネジメント周辺開発同士の整合性を図ろうとしている各開発者等に働きかける必要があると思いますが、本区の取り組みとして、今後どのようになされるお考えか、ご所見をお伺いいたします。  以上で私の質問を終わります。  ご清聴ありがとうございました。(拍手)    (区長室橋昭君登壇) 4 ◯区長(室橋昭君) 大家弘道議員の質問に対して、私からは、防災対策についての質問にお答えをいたします。  首都圏を直撃した、たび重なる台風による被害や、新潟県中越地方での広範囲な地震による被害の発生は、改めて自然災害の持つ危険性と総合的な防災対策の重要性を認識した次第であります。  ご質問の1点目でございますが、今回の地震は、強い余震が何回も被災地を襲いました。そのため、倒壊の危険から帰宅ができず、避難所のスペースが不足したり、また、道路やライフラインの復旧作業が中断するなど、従来とは異なる事態が生じたところであります。  これらを教訓として受けとめ、直下型地震の危険を持つ本区の地域防災計画や訓練計画に反映させてまいる所存でございます。  次に、対外的な支援における連絡体制についてでございますが、東京都との間に整備されている防災行政無線を活用し、災害時は支援物資のリストなど、必要な情報を収集、伝達いたします。また、災害時優先電話回線が確保されており、電話回線のふくそう時にも通信が可能となっております。  支援物資の受領や配分については、災害応急活動態勢の中で情報物資班が担当することになっております。  次に、支援物資の保管、配達方法でございますが、本庁舎を含め、11カ所の集積地に食料品や生活必需品を集積し、防災倉庫や避難所に配送いたします。本区と協定を結んでおりますトラック協会深川・城東支部、赤帽組合城東支部と連携し、物資輸送班がこれに当たるものでございます。  次に、ボランティアセンターについてでございますが、今回の地震でも、被災現場や避難所でのボランティアの活動は際立っております。本区においては、災害時の一般ボランティアの登録や活動は保健福祉部が、協定団体である社会福祉協議会と協力し、実施するものであります。その活動拠点として、「高齢者総合福祉センター」を指定しておりますが、このほかに、都の広域ボランティア拠点として「現代美術館」「辰巳国際水泳場」が指定されており、必要に応じて情報交換や派遣依頼など、効率的な運営に努めてまいります。  しかしながら、今回の中越地震を踏まえ、新たに、物資の集積場所のあり方やボランティアに関しては、活動方法、ルールなど、より細かな実践的な対応も図る必要があると認識したところでございます。  次に、情報網の環境整備についてでございますが、家族や知人への安否確認で、一般家庭電話や携帯電話が規制され、通話しづらい状態が続いたことは、ご指摘のとおりでございます。本区では、防災センターの建設にあわせ、災害情報システムを構築しているところであり、インターネットの活用もその一部として組み入れております。具体的には、防災専用のサーバーを独自に設置し、災害情報や安否情報の収集、伝達が可能となるシステムを構築いたします。  次に、アマチュア無線局についてでございますが、これまでの災害発生時にも情報収集等の一つの手段として活用されたことが報じられており、現在、特別区においては、5区が協定を締結しております。災害時には、一刻も早い正確な情報を得ることが必要であり、今後、関係団体との協定締結も含め、その活用方法について研究してまいりたいと存じます。  次に、救援物資の備蓄についてでございますが、大規模災害時における食料等の救援物資は、災害救助法の適用により、東京都から支給されることになっておりますが、緊急の場合に対処するため、本区では平成9年発表の被害想定に基づいた計画を立て、区内19カ所の防災倉庫や、拠点避難所である小学校等の備蓄倉庫33カ所に備蓄しております。また、家庭や事業所におきましても、最低3日間の飲料水や食料を備蓄するよう区報、ホームページ防災パンフレットで周知を図っているところでございます。  今後、東京都の被害想定の見直しを見据えながら、その時期にあわせ、数値や内容の見直しを図ってまいりたいと存じます。  なお、その他のご質問につきましては、所管部長から答弁いたさせます。    (学校教育部長高橋三喜男君登壇) 5 ◯学校教育部長(高橋三喜男君) 私からは、子どもの非行や犯罪に対する予防対策についてお答えいたします。  ご指摘のとおり、青少年による犯罪の増加や低年齢化、規範意識やモラルの低下は区教委としても重く受けとめております。  各学校においては、道徳教育を初め、あらゆる教育活動を通して生命の大切さや思いやりの心を育てる指導の充実に努めております。幼稚園におきましては、幼児期における道徳性の芽生えを育てるため、保護者を交えた研修会を実施し、幼稚園と家庭とが連携した幼児教育を進めております。小学校や中学校においても、総合的な学習の時間や特別活動等において、地域の方々との交流や体験活動を通して、他とのかかわり方や豊かな心を育てる指導の充実を図っております。今後も、幼児、児童・生徒の健全育成の充実を目指して、継続的に取り組んでまいりたいと考えております。  また、教育相談室の臨床心理士や教育相談員、中学校すべてに配置されているスクールカウンセラー等が保護者や子どもたちの心のケアについて支援をしております。特に、多様化している児童・生徒の個々の状況に応じた効果的な支援を行うために、今年度より教育相談室では、小児精神科医による医学的な見地からのカウンセリングを実施しております。  児童・生徒の問題行動等の予防につきましては、児童・生徒のシグナルに対する「早期発見」と「早期対応」が大切であると考えております。そのために、小学校、中学校での問題行動等の状況把握や課題の共有化、課題解決の方策を図ることをねらいとして、月に1回、生活指導主任連絡会を開催し、小中連携して予防的措置を講じております。また、小学校においては、適応相談担当者連絡会を年3回開催し、関係諸機関との連携のもと、学校不適応等の早期対応に努めております。  各学校と関係諸機関との連携につきましては、健全育成連絡協議会において、学校、警察、少年センター、児童相談所、適応相談室、区教委が児童・生徒の健全育成上の現状と課題について、情報交換や課題の共有化を図り、連携した対応に取り組んでおります。  また、今年度よりSSN(スクーリング・サポート・ネットワーク)事業により、教育相談室、適応相談室、適応指導教室が月に1回、不登校児童・生徒の現状、相談状況について情報提供を行い、相互の連携を深めた相談及び指導のあり方を検討し、対応しております。  次に、コミュニケーション能力の育成についてお答えいたします。  ご指摘のように、核家族化など少子化が進む社会の中で、子どもたちコミュニケーション能力を育て、社会性を身につけさせることは大切なことであると認識しております。小学校、中学校では、学習指導要領や各学校が編成した教育課程に基づいて、児童・生徒の表現力や社会性を培う教育活動を展開しております。例えば、国語では「話す」「聞く」の基本的な力を身につけること、社会科、総合的な学習の時間や特別活動等では、地域での体験活動や地域の方々との触れ合いを通して、他とかかわる力やコミュニケーション能力の育成を図っております。また、区教委では、教師を対象に、体験活動を高めるための研修会を実施し、教師の指導力の充実に生かしております。  今後も、各校が地域の教育資源を生かしながら、児童・生徒が体験的に社会性を身につけられるよう、各校のプログラム開発を含め、支援してまいりたいと考えております。  また、パフォーマンス学を取り入れた教育についてでありますが、一部の小学校では、俳優を招いて「顔の表情」や「話す調子」「非言語表現」について学び、コミュニケーション能力を高める取り組みを行っております。  パフォーマンス学は、よりよい自己表現の仕方を身につけ、体験を通して人とのかかわり方を学ぶ点で有効な技法であると考えております。各校において学級活動や総合的な学習の時間等でパフォーマンス学の技法も含め、コミュニケーション能力を高めるさまざまな教育活動を実施し、児童・生徒の社会性や他とかかわる力の向上を図っていくよう努めてまいります。    (政策経営部長佐藤哲章君登壇) 6 ◯政策経営部長(佐藤哲章君) 次に、中央卸売市場の豊洲移転計画についてのご質問にお答えをいたします。  まず初めに、急転直下の受け入れ表明とのご指摘についてであります。市場の移転につきましては、昨日の米沢議員の質問にお答えした部分と重なるものもあると思いますが、さきの清掃港湾・臨海部対策特別委員会の中でお答えしたとおり、市場というものは、本区にとって決して歓迎すると言えるようなものではない。しかし、江東区としてはつらい面はあるけれども、それが都民的な立場に立ったとき、豊洲移転しかないとすれば、これは受け入れを前提に協議するのは当然であると考えております。  今回の受け入れ表明は、決して市場の豊洲移転を無条件に認めるものではなく、むしろ、東京都に対してさまざまな注文をつけていくに当たり、機を逸することなく対応するための選択であり、従前からの区の姿勢に変わりないことをご理解いただきたいと存じます。  そうした区のスタンスをもとに、ご質問にお答えをいたします。  まず、市場移転に伴い、豊洲六丁目周辺環境に与える交通渋滞の問題、そして、市場周辺の路上駐車に対する問題についてであります。  これら2点につきましては、都の策定いたしました計画でも、環状2号線を初めとする道路交通網整備や、新市場については、その内に十分な駐車スペースを確保するなど、一定の方策は示されているところであります。  しかしながら、ご指摘のとおり、地域住民の方々からすると、本当に交通対策は万全なのか、周辺環境が悪化することはないのか等々、まだまだ不安な面があるであろうと考えております。  本区といたしましては、今回、「豊洲新市場建設計画に係る環境配慮書に対する意見」を東京都の方に提出しております。その中で、交通に対しては、本区通過の交通量の具体的な提示や渋滞解消に向けてのさらなる調査を要望しております。また、市場周辺の違法駐車やアイドリングに対する対応策の提示も求めているところであります。  さらに、今後、庁内に「築地市場豊洲移転整備に係る検討会」を設置し、市場移転に対して横断的に対応する体制をとり、市場本体のハード部分にとどまらず、周辺環境に対するソフト面での対応についても要望を行っていく所存であります。  次に、豊洲市場に対する景観上の対応であります。  ご案内のとおり、周辺では、既に豊洲二・三丁目の開発が行われており、また、今後、市場に隣接する六丁目の地区でも開発が予定されております。新しく豊洲にできる市場については、景観構成も重要な要素となっております。  したがいまして、計画推進に際しましては、これらの地区と調和をとり、また、ご指摘のとおり、単なる物流基地でなく、まさに千客万来のにぎわい創出が可能となるような施設整備が必要となると考えております。  これにつきましては、市場施設そのものに景観の配慮を求めることはもとより、ハード・ソフト両面にわたり、周辺地域との調和など、十分な配慮をするよう強く求めてまいります。     ─────────────────────────────────── 7 ◯副議長(小出功君) 36番斉藤久也君。    (36番斉藤久也君登壇) 8 ◯36番(斉藤久也君) 私は、以下3点について質問をいたします。  第1に、「水彩都市・江東」についてであります。  昨日、米沢議員からも同様の質問が一部ありましたが、江東区は平成2年に「江東区基本構想」を策定し、区の将来像を「江東・伝統と未来を結ぶ下町」として掲げ、さらに、平成3年度には、この基本構想実現のための施策の体系を「江東区長期基本計画」としてまとめたところであります。  これらの計画体系を着実に推進し、まちづくりに取り組んでいくためには、新しい発想や手法の導入で区のイメージアップを図ることによって、「新しい江東をつくる」という機運を醸成する必要性を考え、スリーアップKOTO21運動として、イメージ、サービス、カルチャーの3分野の向上を図るとして、CIの手法を導入して事業に取り組んできたところであります。  この間に、経済状況の変化、少子高齢化、そして、特別区制度改革など、区民や区政を取り巻く社会環境は大きく変化し、このことを受けて、平成11年に「心豊かな生活と文化を創造するまち」「ともに支えあい安心して健やかに暮らすまち」「快適な生活を支える調和と魅力のあるまち」の3つのまちづくりの基本目標として、21世紀初頭の江東区の将来像を「伝統と未来が息づく水彩都市・江東」とする新たな基本構想を定め、まちづくりに取り組んできているところでありますが、そこで伺います。  まず、「水彩都市・江東」が将来像として設定された時期から、工場等の移転、民間マンションの急増や臨海部の開発などにより、江東区は大きく変貌を遂げてきましたが、都立公園も木場、亀戸・大島、そして臨海部において整備が進み、この目的に大きく寄与してきたと思われます。このような他動的な変化の中で、「水彩都市・江東」に対するこれまでの評価と、区独自の今後の取り組みについて伺います。  江東区の周辺区の中には、町のほとんどが水彩都市と実感できる状況であるにもかかわらず、江東区のようなキャッチフレーズを表に出しておらず、着々と水彩都市づくりに努力しているところもあり、嬉々として、子どもたちも清流の中での水遊び、親子連れで、広々とした公園での触れ合い等、余りにも江東区との違いが大きく、当区として早急に工夫すべき点が多いのではないかと考えます。  当区はうたい文句として「水とみどりを生かしたまちづくり」として、親水空間を創出する、緑化の推進、水辺空間と緑化との連携による水とみどりのネットワーク、区民との協働によるまちづくりを掲げておりますが、取り組みは不十分であり、さらなる推進が必要と考えているが、どうでしょうか。  主要事業として、水辺・潮風の散歩道等の整備、親水公園の改修等、自然とのつき合い事業を行っておりますが、大胆な施設の改造と重点化によって、魅力ある「水彩都市・江東」をつくるべきであり、その一つに、水の浄化対策がありますが、内部河川や運河について、いまだ十分でなく、江東区から東京都に強く要望すべきと思いますが、いかがでしょうか。  また、水彩の「彩」の部分である樹木、草花や施設等の維持管理が行き届いてなく、この状態では、潤いある美しい町が実現していかない。早急に維持管理上の対策を検討し、施設の手入れの充実を図るべきと思いますが、いかがでしょうか。  さらに、地域性、環境の面から難しい点もありますが、総体的に江東区を見渡した限り、大島、亀戸等旧市街地では、ほんの一部しか「水彩都市・江東」と実感できるものがなく、さらなる積極的対応を考え、さすが「水彩都市・江東区」と言われるようなまちづくりをすべきと思いますが、いかがでしょうか、お聞かせ願います。  次に、江東区行財政の今後についてであります。
     室橋区長の就任当初よりバブルの崩壊が始まり、今日まで並々ならぬ行財政改革を実施し、その業績を上げてきたことについては高く評価するものであります。すなわち、定員適正化計画を上回る改革、いわゆる職員の大幅削減、可能な限りの民間委託、行政評価システムの着実な実行により、総括的かつ組織的に目的達成に努力してきたところであります。  しかしながら、最近のマンション建設ラッシュ等による急激な人口増加のために、区の人口は41万5,000人を超え、今後もその勢いは続くものと思われます。一部地域においては、条例によりマンション建設を一時中止し、公共施設との調整を図っておりますが、人口がこれだけ増加しているにもかかわらず、それに見合った区民税が上昇しているとは言えず、今後に大きな問題を残すことになりかねないと考えるものであります。  また、平成15年度の特別区民税決算額を平成15年4月1日の人口1人当たりで換算すると、江東区では5万9,400円、港区では江東区の4倍に当たる23万9,200円となり、23区間の格差は顕著であります。  これから急速な少子高齢化の時代に移り、財源上、その対応が追いつかないことが表面化し、さらに問題視されている国・都の動向いかんによっては、まさにお手上げ状態になる可能性をも含んでいるものと思われます。  そこで伺いますが、第1点目として、区民税の恒久的減税の廃止が云々されておりますが、その場合、江東区及び区民にどのような影響があるのか、また、その対応についてお答えをいただきたい。  今まで11年度より15年度までの5年間で、江東区に約160億円の影響が出ており、そのために地方特例交付金、たばこ税の移譲、減税補てん債等によりおおむね補てんされてきたところでありますが、これらは財調の算定とも関連してくると思いますが、これが廃止された場合の影響はどのようになるのかお伺いをいたします。  次に、大詰めを迎えた三位一体改革論が連日、新聞紙上をにぎわしておりますが、区は現在、その影響・動向をどのように予測しているのか伺います。  先日、本区議会において、税源移譲の先行実施、国庫補助負担金の廃止・削減については、地域の実態を踏まえて見直し、義務教育費や生活保護費などの国庫負担は国が責任を持って補償するため存続し、地方公共団体への負担転嫁は行わない、三位一体改革については、その全体像と行程表を早急に明らかにし、地方自治体に支障を来さないよう対処すること、との意見書を出したところであります。  区は、現在までにどのような取り組みをされたのかお伺いをいたします。  また、三位一体改革による16年度の区の影響額は、既に補助金の削減12億円、税源移譲6億円で、差し引き6億円の減になっておりますが、政府の一部担当大臣からは、約3兆円の税源移譲、一律10%の住民税の比例税率化を考えているようであります。これが仮に実行されると、住民税の増加は見込まれますが、補助金の削減、例えば、生活保護費の補助廃止・削減等、内容いかんによると思いますが、地方自治体にとっては、大変厳しいものとなると思います。  そこで問題は、住民税の滞納の増加も考えられ、現在、区も徴収に努力しておりますが、その額はどうか。さらに積極的にどう対応するのか伺います。  さらに、17年度までに決着をつけるとなっている財調主要5課題の状況についてでありますが、昨日、この件について区議会で決議をしたところでありますが、都は新たな考え方を提案しているようです。それは、東京都における大都市行政という表現で、詳細は今後の検討ということですが、従来以上に都の役割の重要性等を強調したものと推量できます。これは石原知事の普段の言動に沿った内容と思われますが、私は、地方自治法の考え方を逸脱していないか、ますます都区間の主張の乖離が拡大するのではないかと憂慮するものであります。いかがでしょうか。  さらに、区民にとって、今後、必要欠くべからざる事業があると思います。区長は大変厳しい状況の中で、積極的に今後取り組んでいく事業はどのようなものか、これから財調制度が大きく変貌すると予測されますが、それはどのようなことが考えられるのか。まだ途中の段階ではございますが、23区はもちろん、特に財政的に弱い立場にある本区にとって、地方分権の立場を考慮に入れたお考えを伺います。  最後に、大地震に対する対策であります。  ここ数年来、阪神大震災を初め、今回の新潟県中越地震に至るまで、数多くの中小の地震が全国的に発生し、大きな人的、物質的な被害をもたらしたところであります。  東京都は阪神大震災以降、直下型地震に備えて被害想定をする中で、木造住宅の多い墨田区、台東区、江東区などの下町地区のほとんどについて、「危険度が高い」としております。また、都では、震度7クラスの直下型地震発生の場合、全体の死傷者の数を7,200人と想定しておりますが、防災危機管理ジャーナリスト渡辺実氏は、「都は少なめに算出している。数万から数十万には達する」と分析しております。  かつて、下町は1855年の安政江戸地震の震源地であったとも言われ、東北大学名誉教授で地震予知連絡会の大竹正和氏は、「江東区の下にプレートの境目がある。周期から見てもそろそろだ」と予言をしております。また、渡辺氏は、下町を襲う新関東大地震について、「家屋が倒れたら逃げられない」と指摘するとともに、1981年以前に建てられた家は、自治体の無料耐震チェックを受けるべきだと警告をしております。  下町のように狭い道路はパニックに陥りやすく、東京には深夜を除き450万台の車が走っております。これは多くの車による大渋滞での避難のおくれ、道路の地割れ、さらには、ガス管の破裂等による通行不能状態が想定できると言われております。  こうした中で、当区では、新潟県中越地震の教訓を踏まえた大地震への備えを万全にするとともに、区民の地震に対する不安を払拭することが重要であると考えます。  そこで質問をいたします。  第1に、最近、各地で発生している大地震を踏まえ、地方都市と江東区との違いを考え、防災センターのあり方を再検討すべきであると思いますが、いかがでしょうか。  第2に、昭和56年以前に建築された木造住宅は、前回、平成8年から10年の3カ年にかけて耐震診断を区で実施しましたが、診断のみでなく、補強工事を必要とするものについて、新たな種々の助成を必要と考えますが、いかがでしょうか。  第3に、耐震工事の助成は、区内中小企業の支援に結びつくと思いますが、この点についてもお答えを願いたいと思います。  以上をもって、私の質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手)    (区長室橋昭君登壇) 9 ◯区長(室橋昭君) 斉藤久也議員の質問に対して、私からは、今後の本区の行財政運営についてのご質問にお答えをいたします。  恒久的減税の廃止に関するお尋ねでございますが、平成11年度から景気対策として導入された恒久的減税について、政府税制調査会は、住民税15%、最高4万円を限度として割り引く定率減税を段階的に廃止すべきものといたしております。  恒久的減税全体の影響額は、現在、本区におきましては、約33億円でございますが、そのうち廃止が論議されている定率減税部分では、約23億円の税収増が見込まれる反面、区民にとりましては、納税義務者1人当たり年間1万円程度の負担増となるものであります。区といたしましては、今後の景気動向、区の行財政環境を的確に把握し、区民福祉の向上について対応を図っていく所存であります。  また、財調算定との関連では、増税分は、ご指摘のとおり、基準財政収入額の増として算定される一方、恒久的減税の減収策になっている地方特例交付金及び減税補てん債がそれに見合って減額算定され、総体として大きな変化はないものと考えております。  次に、三位一体改革についてのお尋ねでございます。  本年8月に地方六団体がまとめた総額3兆2,000億円の補助金削減案に対する政府案の取りまとめが先日行われました。その内容は極めて抽象的であり、見通しは依然として明らかではございません。最終的には、年末の国の予算原案の中で具体化されるものと考えており、地方分権推進の観点からの結論が出されることを期待しております。  なお、区として特別区長会を通じて、三位一体改革に関する全体像の早期提示と基幹税による税源移譲の実現等を国に対し要望しておるところでございます。  次に、住民税の滞納に関するご質問にお答えをいたしますが、滞納繰り越しは平成10年度のピーク時には38億円以上あったものの、区税等収納対策本部を設置して策定したさまざまな行動計画の実行により、平成16年度においては27億円余と、ピーク時の7割以下に圧縮したところでございます。  住民税比例税率化が実施された場合は、一部区民の税負担が重くなることが想定されますが、滞納の増加を招かないよう、今後とも従前から行ってきた滞納処分について、一層の充実に努めるとともに、新たな差し押さえ財産を開拓する等の強化策を講じてまいります。  次に、都区財調協議に関するお尋ねでございます。  ご指摘のように、東京都は検討会の中で、従来からの都知事の主張に沿った「大都市行政の役割」という新しい概念を提示してまいりました。しかし、都区財調協議の目的は、自治法改正の趣旨に沿った都区の役割分担に基づく財源配分の確定でございます。  いたずらに都の行政範囲を広げるかのような主張は、ますます都区間の乖離を招くおそれがございますので、特別区側の主張には道理があると考えておりますので、大都市事務を法の原則に従って整理するための取り組みを各区並びに議会と一体となって取り組んでまいりたいと存じます。  次に、今後積極的に取り組んでいく事業についてのお尋ねでございますが、厳しい行財政環境の中でも、特に少子化対策の充実は最重要課題であると認識いたしております。もちろん、その他、高齢化、教育、防災など多くの課題があり、そのため、長期基本計画改定作業に現在、取り組んでおるところでございます。  また、これからの財調制度についてでございますが、税財政制度改革の中では、調整三税のあり方も議論され、変貌を遂げる可能性もございます。しかし、地方分権の確立のためには、区が担うべき事務と責任に見合った財源が保障されなければならず、区長会においても今後の財調制度のあり方を研究中でありますが、あくまでも区民福祉向上の立場に立った取り組みを進めてまいります。  なお、その他のご質問につきましては、所管部長から答弁をいたさせます。    (土木部長大塚將夫君登壇) 10 ◯土木部長(大塚將夫君) 私から、「水彩都市・江東」についてのご質問にお答えいたします。  まず、「水彩都市・江東」に対する評価と今後の見通しについてであります。  本区の魅力的な資源の一つに水辺があります。面積約40平方キロメートルのうち、水面は10%を占め、33の河川と運河は、それぞれ個性的な景観をつくっております。  これらの水辺は、西側を流れる隅田川、江戸時代に開削された内部河川、明治・大正時代につくられた荒川、そして、戦後の埋め立てでつくられた運河と、400年にもわたって形成されてまいりました。  これらの水辺空間は、高潮対策事業、江東内部河川事業の進展とともに大きく改善されてまいりました。これまで8つの親水公園と13キロメートルにも及ぶ水辺とみどりのネットワークが完成しており、「水彩都市・江東」の一翼を担っていると考えております。  これからの見通しでございますが、まだ開放されていない水辺空間の整備や、地域開発と連携した水とみどりのネットワークづくりを通じて、「水彩都市・江東」のまちづくりに努めてまいります。  次に、水と緑の潤いある都市空間の形成について、さらなる推進が必要であるとのご指摘についてであります。  平成元年と対比して、都立公園を含め、公園面積は約2倍に、水辺・潮風の散歩道は2.8倍にふえました。今後も河川改修や運河の内部護岸整備、そして区画整理や民間開発にあわせ、水辺・潮風の散歩道の開放や公開空地の創出、緑化指導等により、親水空間の形成と緑化に努め、潤いある都市空間づくりを進めてまいります。  さらに、水彩フェスティバルを共催するなど、みどりのボランティアやNPO団体との連携により、水辺に親しめるまちづくりに努めてまいります。  次に、河川と運河の水質についてのお尋ねにお答えいたします。  江東内部河川の水は、そのほとんどが隅田川から流入しており、水質改善に伴い、生息している魚の数も増加しております。しかし、より一層の水質改善を図るため、隅田川に大量に放流されている下水道処理水の高度処理化、下水道の雨水吐きの改善、水生生物が育ちやすい多自然型の護岸の整備などを東京都に要望していくとともに、都が行っている内部河川の水面清掃についても、一層の強化を求めてまいります。  次に、維持管理の充実についてお答えいたします。  区内の公園、親水公園や散歩道は、数多くの樹木や草花が生育し、安らぎの感じられる空間になってきたものと考えております。今後とも、適切な樹木の剪定や清掃に努め、さらに、ボランティアの協力により、四季や花のにぎわいの演出にも努めていく所存であります。  最後に、旧市街地、とりわけ亀戸・大島地区での水彩都市づくりについてお答えいたします。  この地域においては、旧中川の再整備がほぼ概成し、小名木川と北十間川の親水河川化にやっと着手したところでございます。本区としては、東京都に護岸整備の一層の促進を働きかけるとともに、これらの河川での水辺の散歩道の整備に努めてまいる所存であります。    (総務部長鈴木重臣君登壇) 11 ◯総務部長(鈴木重臣君) 私からは、大地震への対策についてのご質問にお答えをいたします。  まず、防災センターのあり方とその再検討についてであります。  平成15年度より建設が開始されました防災センターは、本区災害対策の拠点施設と考えております。整備に当たっては、防災センター建設にあわせて、災害情報システムの構築と防災無線のデジタル化による再整備を行い、早期に的確な情報収集や初動態勢を確立し、災害対策本部の円滑な活動を支援するものでございます。  このたびの新潟県中越地震では、避難勧告等、迅速かつ的確な住民へのアナウンスの重要性と、各地の避難所への的確な物資輸送の指示等、住民へのきめ細かな対応が必要であると認識した次第であります。  防災無線と災害情報システムを連携し、被害状況や避難所の情報をいち早く収集し、本部からの指示が迅速かつ的確にできるシステムを構築いたします。  設備機器の耐震対策を初め、システム構築に当たっては、今回の新潟県各自治体の取り組んだインターネットによる安否情報や支援要請等についても参考にするなど、柔軟に取り入れてまいります。  また、電話回線の不通や停電などが随所に発生いたしましたが、防災センターと避難所である小学校などとは、無線のデジタル化により、音声のみならず、ショートメールや画像データなど、さまざまな情報交換を容易に行えるよう整備をいたします。  防災センターは、警察・消防等の防災関係機関、災害協力隊、あるいは災害時の協力団体等の総合的な地域力を生かし、江東区の災害に立ち向かう拠点として力を発揮するものと考えております。  次に、ご質問の木造住宅について、診断のみではなく補強工事に対する新たな助成についてでありますけれども、このことについては、過去の例によりますと、耐震診断の結果から、耐震補強工事や建て替えにつながらなかった事例が多い状況にありました。  しかし、今回の新潟県中越地震の教訓や、さらには、さきに政府中央防災会議の専門調査会が震度分布図を発表しており、これらの状況から本区においても、地震対策の見直しが必要となりますので、ご提案については、その中での一つの検討すべき課題としてまいります。  次に、耐震工事の助成が区内中小企業の支援に結びつくのではというお尋ねでございます。  平成13年度の事業所統計によりますと、本区内の建設業は1,394事業所あり、そのうち従業員数が30人未満の小規模事業所は1,287事業所、92.3%となっております。  個人の木造住宅の改修の多くが、これら中小建設業者に発注されると予想されることから、耐震工事の助成が、間接的に区内建設業者の支援につながる可能性はございますけれども、現在のところ、耐震補強工事の助成を行っている他の自治体の件数、工事金額など、その実績から見ますと、その効果は限定的なものにとどまるのではないかと考えております。     ─────────────────────────────────── 12 ◯副議長(小出功君) 6番佐竹敏子君。    (6番佐竹敏子君登壇) 13 ◯6番(佐竹敏子君) 公明党の佐竹敏子でございます。大綱4点について質問します。どうぞよろしくお願いします。  質問に先立ちまして、新潟県中越地震により亡くなられた方へのご冥福をお祈りするとともに、被災された皆様に対し、一日も早い復興をお祈りいたします。  質問の第1点目は、青少年の文化芸術活動の充実について伺います。  先日、ティアラこうとうで行われた、地域振興会主催の「元気の出るコンサート」を鑑賞させていただきました。区内中学校の生徒80人が、プロのオーケストラである「東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団」と同じ舞台に立ち、演奏を行ったもので、出演した中学生の生き生きとした姿と、その演奏のすばらしさに感動を覚えました。  私は、青少年が一流の文化・芸術にじかに触れ、感動体験を得、創造活動に参加することにより、感受性豊かな人間性がはぐくまれるものと信じております。  また、本年夏には、青森市の国際芸術センターを視察してまいりました。同センターでは、毎年2回、定期的に国内外のアーティストを招聘し、一定期間滞在しながら創作活動を行う「アーティスト・イン・レジデンス」を中心とした事業展開を行っておりました。市民によるアーティストの制作補助やワークショップを通じて自分で制作体験をするなど、アートを媒体としたアーティストと市民との交流活動の輪が広がっており、毎回、斬新な内容の展覧会を開催しております。  また、海外のアーティストと子どもたちの言葉を超えての交流も自然にできたとのことでした。「芸術品を買うより、アーティストを買え」との館長の言葉が心に残りました。  文化芸術振興基本法第23条において、青少年が行う文化芸術活動の充実を図るため、青少年を対象とした公演等の支援、青少年による文化芸術活動への支援の必要性がうたわれております。  「地域文化の創造と発展」を標榜する本区として、未来の担い手である青少年に向けた文化芸術活動の支援は、大変重要なことと考えます。  そこで伺います。全国屈指の充実した文化施設であるティアラこうとうと、芸術提携団体である東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団、東京シティ・バレエ団を有する本区として、これらの文化的資源を有効に活用した、青少年への文化芸術活動支援策をさらに進めていくべきであると考えますが、本区の具体的な展望を伺います。  また、子どもたちの豊かな心をはぐくむためには、教科の学習や道徳教育のほかに、本物の文化や芸術に触れることが大切であると考えます。各学校では、音楽会や展覧会などの行事が行われているようですが、その子どもたちに、さらに広い世界のすばらしい文化に触れさせることは、私たち大人の務めでもあります。その意味でも、文化や芸術に触れる事業は、今後、予算の獲得も含め、さらに充実させていくべきであると考えますが、教育委員会の見解をお聞かせください。  次に、今後の姉妹都市の提携について伺います。  現在、本区としては、カナダのサレー市と姉妹都市交流を結んでおります。このきっかけは、1983年、江東区文化センターで開催したカナダ展や、87年から本区中学生短期留学を実施したことにあり、89年、平成元年に姉妹都市の提携調印に至り、以来、相互に隔年ごとに公式訪問団の派遣を初め、サレー市中学生のホームステイ受け入れ、産業関係者の訪問団派遣、最近では、第三大島小学校とサリバン小学校とのインターネットによる交流と相互訪問等々、実施されております。  サレー市は、地域一帯、古くから輝く森林と平原や河川と岸辺に囲まれた美しいところで、農林水産業を中心にし、製材所の発祥地でもあることから、本区の新木場との共通項もあり、また、緑と水、空気と太陽に恵まれた住宅地には、若い世代の家族の移住が増大し、人口は10年間で4倍増になったと聞いております。今後もサレー市との交流が深まっていくことを期待します。  さて、私たちの住むこの地球、世界は科学技術の発達などによりボーダーレス時代、インターネットにより世界の各国との交流時代に入ったと言ってよいと思います。そこで、今後における姉妹都市について、基本的な考え方と方向性について伺います。  第1に、提携に当たっては、本区の特色の大きな柱の一つである水彩都市の、類似する都市とするなど、コンセプトを確立すべきと考えますが、いかがでしょうか。  第2に、21世紀は東南アジア・アフリカの時代と言われています。この視点から、本区の特色と合った都市と、区民レベルでの交流から始まり、行政側が何らかのサポートをすることによって、姉妹都市に発展させていくことも一つの方法ではないでしょうか。さまざまな国との相互理解が世界の平和と繁栄につながっていくことになると思います。  第3に、区民にアンケート調査をする等、意見を聞き、今後10年ぐらいのスパンで、治安の件も含め、着実に、また慎重に、ある場合は積極的に多くの国との交流を図っていくべきではないでしょうか。  3点目に、「こうとう区報」による区民への情報提供のあり方について伺います。  現在、「こうとう区報」は14万2,000部前後を新聞折り込みで配布され、9,400部を駅・コンビニ等に設置する方法でカバーしております。本来、区は区報を通じて区内全世帯の区民に、区の重要な情報を平等に提供する義務があると思いますが、残念ながら、新聞を講読していない世帯では、区民が主体的に区報をとりに行かない限り、区報は手に入りません。  そこで初めに伺います。区はこの情報格差については、どのように認識しているのでしょうか。  次に、本年7月現在の本区の世帯数は19万1,256世帯であり、民間の調査では、本区の新聞契約数は約14万600件となっています。この契約数は、多くの企業や店舗が含まれており、また、日経と一般紙といった数紙の契約をしている一般世帯もあります。区内の日経講読数は、今月現在、約1万7,500部であり、9割が企業の契約と言われることを考えると、新聞折り込みによる配布率は、全世帯の60~65%程度になります。駅・コンビニの9,400部を加えても十分とは言えません。高齢者の方々より、「毎日の新聞は読めなくなってきた、ましてやインターネットはできない、だけど、せめても区報を読みたい」との声を聞きます。区民全体に平等に区報を配布するためにも、もう一度検討する必要があると思いますが、本区の考えを伺います。  最後に、青少年健全育成対策について伺います。  我が子には犯罪の被害者にも加害者にもなってもらいたくない、親であればだれでも願うことだと思います。しかし、子どもたちの中には、万引き・置き引き等、全く犯罪意識なく、スリルを楽しむゲーム感覚で行う。また、先日、奈良市で発生した幼児誘拐殺人のように、犯罪の凶悪化、複雑化等々、未来を思うとき、不安感、危機を感じ、だれもがこの状態は改善されるべきと思うのではないでしょうか。  昨年、東京都は「子どもを犯罪に巻き込まないための方策を提言する会」を設置。対策は早い段階から行うことが必要とし、66の具体策を盛り込んだ緊急提言を提出。本年第1回定例都議会で、青少年健全育成条例が改正されました。さらに、今月2日、都青少年問題協議会では、インターネット、携帯電話からの有害情報に対する効果的な対策等、少年をめぐる喫緊の課題に対処するため、17年度第1回定例会でも条例改正へとの動きもあるようです。  そこで、私は、未来を担う子どもたちに、心身ともに健康で幸せな人生をとの思いで質問します。
     私たちの子どものころは、家に帰ればおじいちゃん、おばあちゃんがいて、外に出れば近所のおじさん、おばさん、商店街の人と、子どもたちには多くの声かけや温かいまなざしでの見守りがありました。しかし、少子・核家族化、家庭のホテル化と言われるように、家族同士のコミュニケーションの希薄化により、対人関係の未発達につながり、共感性やコミュニケーション能力が欠け、モラルやマナーの低下になっていると言われています。その対策の一つとして、子どもたちの居場所づくりが挙げられます。本区の子どもたちの居場所づくりの現状と今後の取り組みについて伺います。  私は、本年2月に開設された宇都宮市の青少年の居場所「いずみ村」を視察してきました。小学校高学年から高校生までのだれもが自由に出入りし、気軽に集い、友達づくり、読書、インターネット、遊びなどができる場所で、看板づくりを初め、準備の段階からルールづくり、運営、村長、副村長もすべて子どもたちで行われます。大学生や地域の大人で構成するサポーターが活動の支援を行い、場所は町のコミュニティセンターを利用し、水・金以外の土・日・祝日含め、午後3時から7時までオープン、それ以外は地域の人たちが集う施設です。子どもたちが元気に挨拶をしながら集まってくる姿が印象的でした。  そこで、本区でも子どもたちの意見を取り入れた居場所づくりを考えてはどうでしょうか。また、事業の見直しによる空き施設を利用し、地域、商店街の協力をいただいて、枠組みのない、だれでも気軽に立ち寄ることができるコミュニティ施設にし、世代間交流のできる子どもの居場所にしてはと考えますが、いかがでしょうか。  次に、「おやじの会」について伺います。  子どもの学校行事に参加し、保護者同士の交流により、子どもの様子、学校の状況がわかり、子どもへのかかわり方にもプラスになると思います。しかし、実際、子どもを持つ年齢の男性は仕事が忙しく、なかなか時間がとれないのも事実です。父親同士が時間をつくり、子どもの教育に参加することは、子どもを非行に陥らせないための大きな力となります。「おやじの会」の拡充が大事と考えますが、本区の現状と考えを伺います。  また、スクールカウンセラー等の専門性を生かしたソーシャルスキルトレーニングの試みを新たな取り組みとされた学校もありますが、予防教育の観点から、本区の考えを伺います。  また、非行など問題行動が起きたとき、本人はもちろんのこと、保護者へのサポートも重要です。本区では、臨床心理士と教育相談員、合計8名で相談に当たっていますが、人数的に十分でなく、さらなる拡充をと考えます。  さらに、自分ではどうしたらいいかわからない心の奥の寂しさや葛藤を一緒に考えてくれるようなメンタルフレンドや、体験ほど強く心を揺さぶるものはないと言われるように、実際に立ち直った経験のある人にも協力をいただくことも考えてはいかがでしょうか。  次に、犯罪に遭わないために、本区では防犯ブザーを全生徒に配布し、セーフティー教室も実施されています。私も地元の小学校に参加し、担当警察官の「子どもを守りたい」との思いに感動しました。後日、実際に大きな声で叫ぶことができ、被害を未然に防げたという話も伺いました。CAPシステム導入の検討とともに、セーフティー教室がより多くの保護者や地域の人たちに参加してもらえる工夫をし、3年かけて全校終了するのではなく、早い時期に行うべきと考えますが、いかがでしょうか。  また、学校においては、防犯マニュアルの策定とともに、子どもたちが安心して安全に通学ができるように、通学路の総点検と通学安全マップの作成が必要と考えますが、本区の考えを伺います。  さらに、地域においては、PTAや地域の皆さんによるパトロールとともに、「子どもSOSの家」「子ども110番の家」があります。協力者への補償の件は17年度予算で検討されるとのことですが、5年以上たった今、日中、男性がいない地域では企業の事務所等にも協力をいただくなど、見直しをし、マニュアルの作成も必要と考えますが、いかがでしょうか。  最後に、少年非行等に対する中学生の意見発表会に参加して、代表の子どもたちが「いじめについて」「命の大切さ」等の題で、このネット社会の中で思いやりの心、対話、マナーを守ることの大切さ、何よりも悪いことは悪いと言い切れる勇気が大切と発表している子どもたちを見て、胸が熱く、光を見たような気がしました。子どもは皆健全に伸びる力、自立していく力を持っています。その力を大きく育て、表現できる発表の場を多く持てるよう、また、今回の文集も400部の配布と伺いましたが、もっと多くの人に読んでもらえたらと思います。子どもの意見に耳を傾け、マイナス面だけでなく、プラス面を大きくアピールしていく世の中になることを願い、私の質問を終わります。  ご清聴ありがとうございました。(拍手)    (区長室橋昭君登壇) 14 ◯区長(室橋昭君) 佐竹敏子議員の質問のうち、私からは、「こうとう区報」による区民への情報提供のあり方についての質問にお答えをいたします。  現在、本区では、ホームページやケーブルテレビ、各種出版物等を通じて、さまざまな情報を発信いたしておりますが、これら広報活動の中でも「こうとう区報」は最大の行政情報媒体であるという認識を持っております。最近の広聴はがきや広聴メール等におきましても、区報を見た上で投書する区民が増加しているなど、今後、区報の役割はますます高まってくるものと考えております。  情報格差についてのご質問でございますが、区政情報の周知徹底、あるいは区民の区政への参画機会の一環といった面からも、区民に対し、公平・平等を基本に配布すべきものと考えており、それには全戸配布がベストな方法と言えるところであります。  しかしながら、全戸配布の場合、経費が現在の倍近くかかることに加え、全国のパソコン普及率が80%近くまで達している今日、ホームページ等を利用し区政情報を入手している方が増加している点にも十分考慮する必要があろうかと考えているところでございます。  一方、現在実施している新聞折り込みによる配布につきましては、ただいま申し上げましたパソコンの普及率と相まって、新聞購読率が低下し、区報の配布率も下がっていることも事実でございます。また、高齢者人口約6万8,000人、高齢化率も17%強に達している本区の状況も理解しているところでございます。  そこで、新聞折り込みの不足を補うための駅や公共施設、コンビニでの広報スタンドによる配布を充実させるため、比較的区民が足を運ぶことが多い病院や診療所、郵便局を初め26の事業所に広報スタンドを今年度新たに設置するなど、高齢者の方々からの要望にできる限りの対応を講じているところでもございます。  確かに、現行の配布方法では、区民が主体的に区報をとりに行かなければならないといった問題はありますけれども、外出不可能な高齢者や障害者のご家庭には別途、区から区報を郵送しているところでもあります。  区といたしましては、一人でも多くの方に区報を読んでいただけるよう、今後とも配慮してまいりますが、全戸配布につきましては、財政上の問題やマンパワーの確保等、諸課題があり、直ちに実施することは困難でありますが、他自治体の状況把握にも努めながら研究を続けてまいりたいと考えております。ご理解を賜りたいと存じます。  なお、その他のご質問につきましては、所管部長から答弁いたさせます。    (学校教育部長高橋三喜男君登壇) 15 ◯学校教育部長(高橋三喜男君) 私からは、青少年の文化芸術活動の充実についてのご質問にお答えいたします。  本区は、ハード面では、ティアラこうとうを初めとした区民の文化芸術活動の施設が充実しており、また、ソフト面においては、芸術提携2団体により、質の高い文化芸術活動の創造と発信を行っております。これらのハード・ソフト両面の豊富なメニューを有効活用することは、ご指摘の文化芸術振興基本法の趣旨の実現のためにも、極めて大きな意義を有するものと考えております。  そこで、お尋ねの1点目、充実した文化施設と芸術提携団体を有効に活用した青少年への文化芸術活動支援策については、地域振興会において、提携団体の協力によるジュニアバレエ教室、オーケストラの練習見学会、地元出身プロバイオリニストによる学校でのミニコンサートなど、将来の本区を担う子どもたちに質の高い芸術に直接触れる機会を提供してきております。  「元気の出るコンサート」は、中学校吹奏楽部の指導・育成を効果的に進めるとともに、音楽を愛する中学生の情操教育の一助を担っているもので、参加した中学生の芸術的技術向上意欲は大変高まっているところであります。  こうした青少年の芸術活動欲求を継続的に支援するため、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団の協力を得て、青少年を主体に編成する「ジュニアオーケストラ」の結成に向け、現在、準備を進めており、さらに、提携団体やホール出演アーティストによる学校でのミニコンサートやワークショップなどを計画しているところであります。今後も、地域振興会及び提携団体との連携を密にして、青少年の文化芸術活動の支援充実に努めてまいりたいと考えております。  次に、学校教育において、子どもたちに本物の文化や芸術に触れさせる事業を充実させることについてでありますが、本区においては、その観点から、昭和41年度から小学校5年生及び中学校2年生を対象に、交響楽団の生の演奏に触れる音楽鑑賞教室を実施しております。  この事業は、都財政の厳しい状況の影響を受けておりますが、本区として、子どもたちの豊かな心をはぐくむためには、本物の文化や芸術に触れることが必要であると考えており、教養教育のためにも、引き続き必要な財源の確保等、その充実に努めてまいる所存であります。    (区民部長平松宏章君登壇) 16 ◯区民部長(平松宏章君) 私からは、今後の姉妹都市の提携についてのご質問にお答えします。  近年、在住・在勤の外国人が急増し、日本国民の海外への留学や旅行の増加、あるいはインターネットの普及により外国人との交流の機会が一段と増加し、世界が身近なものとなってきております。この状況の中で、各自治体、あるいは民間での国際交流は多様化し、教育、文化、スポーツ等を通じた友好親善事業が積極的に展開されてきております。  こういった状況を踏まえ、本区においても、平成元年4月にカナダ・サレー市と姉妹都市提携を行い、既に15年を経過しております。この間、各3回の相互公式訪問、3人の職員派遣研修、文化団体、産業関係者の訪問のほか、姉妹都市提携をきっかけとした民間レベルの交流が進んでいるのはご案内のとおりであります。  今後の国際交流に当たっては、おっしゃるとおり、ボーダーレスの時代であり、同じ地球の仲間として触れ合いを強めていくことが第一と考えております。  そこで、ご質問の今後の新たな姉妹都市提携に当たっては、コンセプトを確立すべきとのことでありますが、コンセプトの確立は、姉妹都市提携のポイントになるものであり、ご指摘の水彩都市、本区共通の風土、行政課題、産業構造等や往来しやすく、治安がよいことなどのほか、双方の経済交流が成り立つ等のメリットが認められる場合などをコンセプトとしてとらえ、今後の提携の際に考慮していきたいと考えております。  次に、区民レベルの交流を行政がサポートすることについてでありますが、本区の外国人登録を見ますと、その数は1万3,000人を超えており、ほぼ9割がアジア国籍で、今後、この方面での進展も期待されるところであります。  新たな姉妹都市提携に当たっては、行政サイドからのものではなく、区民における提携への実績や機運の高まりが不可欠と考えており、住民が中心となった民間レベルの交流を行政が援助する形の中で、姉妹都市に結びつけていくことも必要であると考えております。  区では現在、「江東区国際友好連絡会」と連携し、「国際交流友好のひろば」や「国際交流のつどい」といった交流事業を実施しているところであります。  今後、国際化の中で、新しい姉妹都市提携については、ご指摘のように、区内における民間レベルの交流状況や区民要望の把握に努め、多くの国を視野に、提携のメリット、交流の深まり等を見きわめながら対応してまいりたいと考えております。    (生涯学習部長矢野純二君登壇) 17 ◯生涯学習部長(矢野純二君) 私からは、青少年健全育成対策についての質問にお答えいたします。  まず初めに、子どもたちの居場所づくりの現状ですが、青少年センターでは、昨年から1階ロビーを利用者の意見を取り入れた居場所にレイアウト変更したほか、今年度より青少年自身の企画案をもとに「青少年講座」を実施しております。また、世代間交流についても、当センターのほか、福祉・子ども関連施設などでも大人との交流行事を実施しておりますが、さらに、空きスペースの活用や宇都宮市の例も参考に、青少年のニーズに合った居場所づくりの充実に努めてまいります。  次に、「おやじの会」は、都内で350団体を超えており、本区でも10団体が結成されて、いずれも父親としての特色を生かした地域活動を通じて、家庭教育向上と非行の抑止に多大な効果が期待できることから、今後も会の結成を促進するとともに、連携を密にしてまいりたいと存じます。  次に、セーフティー教室については、現在、学校が主体になって警察と連携しながら進めておりますが、ご指摘にもある子どもたちの安全を守るために短期間での開催が必要と認識しており、来年度には、保護者や地域住民の参加を得て、早期の全校実施をめどに努力してまいります。  さらに、CAPについては、学校の実情に応じてPTAと連携した指導の一部として取り入れている学校もありますので、今後ともセーフティー教室の内容充実を踏まえて検討してまいりたいと存じます。  また、ソーシャルスキルトレーニングについては、体験を通じ、対人関係を学ぶ有効な技法であり、ご指摘を踏まえ、コミュニケーション能力を高めるため、学級活動や総合的な学習の時間などで、この技法を含めたさまざまな教育活動により、児童・生徒の社会性や他とのかかわり方のさらなる向上に努めてまいりたいと存じます。  次に、問題行動におけるサポートについては、ご質問にある臨床心理士や教育相談員のほか、全中学校配置のスクールカウンセラーにより、相談機能を生かした心のケアに努めておりますが、さらに、適応相談室やブリッジスクールとも連携を深め、個に応じた適切な対応に努めてまいります。  次に、学校内防犯マニュアルは、従前より各学校で作成しておりますが、並行して通学路などの安全確保のため、「子ども110番の家」を企業や事務所を含め、区内全域に働きかけをしてまいります。  その際、シール表示による犯罪の抑止型に加えて、対応マニュアルや安全情報を加えた110番の家所在マップの作成により総点検時の活用など、より実効性のある対応重視型へ見直していく所存であります。  次に、生徒自身の考えや意見を発表する機会は大切なことであり、各学校では総合的学習や各教科の授業で、これらの表現力を高める指導を行っておりますが、さらに多くの人たちが生徒の声に耳を傾ける機会を充実してまいりたいと存じます。     ─────────────────────────────────── 18 ◯副議長(小出功君) 35番鈴木清次君。    (35番鈴木清次君登壇) 19 ◯35番(鈴木清次君) 私は、区民にとって身近な問題を3点ほどお伺いいたしますので、関係理事者の明快なご答弁をお願いいたします。  1点目は、本区交通網の整備促進についてお伺いいたします。  充実した交通網の存在は、区民の生活を支え、また、経済活動の基盤ともなり、本区の発展に必要不可欠のものであります。本区では、地下鉄網の整備促進やバス交通網の整備充実強化を図るため、多年にわたり、国や都並びに関係事業者との協議調整など、強力に推進してまいりました。  その結果、現在では、地下鉄は都営10、12号線、東京メトロは東西線、半蔵門線、有楽町線が整備され、都バスは36路線が区内を縦横に運行しており、他区からは23区の中でも交通網が整備され、恵まれた便利な区と言われております。  しかしながら、本区の現状を見ますと、いまだ多くの問題があると考えられます。  まず、南北交通でありますが、ご案内のように、LRT事業は長期的構想と後退し、また、多年にわたり促進運動を展開してまいりました地下鉄8号線も検討課題にとどまっているのが現状であります。したがって、既成市街地から臨海部への交通アクセスは、現状では、ないのも同様であります。南北交通の実現は、本区の長年の悲願であり、これらの構想路線、計画路線の早期実現に向けて、引き続き、たゆまぬ努力を続けることを、まずお願いしておきたいと思います。  そこでお伺いをいたします。  1点目は、既成市街地と臨海副都心を直結するバス路線の整備についてであります。LRT事業や地下鉄8号線など、軌道系の交通機関が整備されるまでの間、南北交通の手段といたしましては、バス路線の整備が現実的であり、その整備が望まれておりますが、現状ではこれも不十分であります。臨海副都心へのアクセスで考えますと、現在では門前仲町からの1路線のほかは、亀戸からの路線が土曜・休日に運行されている以外は皆無であります。また、深川、城東の既成市街地全域から臨海副都心を直結で結ぶ路線は1本もなく、区民の多くの方々から、近年、大江戸温泉を初め、数多くの観光スポットや有明スポーツ施設などでにぎわいを見せている本区臨海部市街地に行ってみたくても、交通機関が全くなく、時間がかかり不便だという声が多く聞こえます。早急に既成市街地全域から本区臨海部市街地を直接結ぶバス路線の整備は急務と考えておりますが、いかがでしょうか。お伺いいたします。  次に、2点目は、区内都バス路線の増車についてであります。現在の都バスの実情は、全体的に朝夕のラッシュ時間を除きますと運行回数が少なく、特に、地下鉄と並行して運行している路線は、間引き運転で、路線によっては昼間でも1時間に1本しか運行していない路線もあり、区民の生活の足としては、これでは不十分であると考えます。増便について、強く東京都に働きかけをすべきだと思いますが、ご意見をお聞かせ願いたいと思います。  3点目は、区内を巡回するコミュニティバスの運行についてであります。高齢化社会を迎え、高齢者が住みなれた地域の中で安心して暮らしていくためには、生活の足として公共交通機関の確保が不可欠であります。高齢者が気軽に利用できる交通機関としては、やはり利便性からいってバスに勝るものはありません。しかしながら、高齢者の視点で見ますと、バス停まで相当な距離を歩かなければならない不便地域が区内に多く見受けられます。また、目的とする病院や公共施設などに向かうバス路線がない場合もあります。区内各所に存在する交通不便地域の解消や高齢者の移動手段の利便性確保のために、区内地域を巡回するコミュニティバスを運行する必要があると考えますが、この点についてもお伺いをいたします。  次に、本区の緑化対策についてお伺いいたします。  本区は長い歴史の中で、人為的、あるいは自然要因により、大気汚染、六価クロム、悪臭やごみ問題等により環境が著しく悪化し、マスコミ等によりその状況を全国的に報道され、江東区は人の住むには不適なところであると好ましくない印象を与え、本区のイメージダウンにもつながり、区民にとっては非常に迷惑な一時期がありました。  しかしながら、その後、議会と行政は一体となり、区のイメージアップを図るために、環境豊かなまちづくりに向け全力投球をし、水とみどりのネットワークを進めてまいりました。潤いと安らぎのある環境を確保するために、施策の一環として緑化対策に積極的に取り組み、「みどりの条例」などを制定し、強力に緑化事業を推進してまいりました。すなわち、公園の新設、街路樹やグリーンベルトの設置、河川を利用した親水公園の設置、公共施設への緑化導入、民有地の緑化推進指導、みどりの実態調査などなど、意欲的に緑化に取り組んでまいりました。その結果、現在では、区民1人当たりの公園面積が9.2平米になったことは高く評価をしております。  しかしながら、緑被率、すなわち草地を含んだ緑の割合においては15%程度で、23区中13番目に位置しております。これを樹木被覆率、すなわち樹木のみの割合にいたしますと、6%と順位をさらに下げ、23区中18位となっております。  また、近年のマンションなどの集合住宅の開発は、工場・倉庫用地や空地において進められており、この部分の平均緑被率は18%と、区全体の緑被率より高いことから、開発により緑の減少が懸念されるところであります。  一方、都立公園や児童遊園を含めた公園の面積は、10年前と比べて1.2倍にふえておりますが、その増加率は伸びが落ち込んでいる状況であります。  本区は、平成5年度以来、「江東区緑化基本計画」を策定し、「歴史と伝統を継承する緑」「水辺に輝く豊かな緑」「生命感あふれる緑」「地域、場所に応じた緑」「区民が緑を愛し、育む心を育てる」を5つの基本目標を定め、また、緑の将来像として、景観やデザインに配慮した江東区らしさを演出し、加えて、自然性の高い町へ高める緑を形成していくことを推進してまいりました。それから10年以上経過し、現状は果たして計画どおり目標が達成されているのでしょうか。  そこで、以上述べましたことを踏まえてお伺いいたします。  1点目は、緑化被率のレベルアップについてであります。緑の割合を向上させることは長期にわたるものであり、また、広い行政地域を持つ本区では、当然のことながら、区の施策のみでは目標は達成できません。区民や事業者、国や都などの各分野の理解と協力が必要であることは論をまたないところでありますが、緑化の主な施策の内容と今後の見通しについてお伺いをいたします。  2点目は、緑化推進の質の向上についてであります。これからの緑化推進事業に当たっては、緑のデザインの重要性を加味することが大事だと思います。現在までに、既に植樹されているものについては、その目的に合致した形との整合性をどうするのか。また、区の行政範囲はもちろんのこと、そうでない範囲のものについても、考え方をお聞かせ願いたいと思います。  3点目は、近年の臨海部の開発は目覚ましいものがありますが、その中で、都市再生機構の再開発事業や東京都の区画整理事業は突出しております。臨海部の緑化については、江東区の意向に沿ったものにしていただく方策は考えておられるのかどうか。植樹面積、樹木の種類、本数、植樹の場所等の問題はいかがでしょうか、お伺いをいたします。  4点目は、今後の緑化計画についてであります。さきに述べましたとおり、マンション等の開発や臨海部の開発により変貌を遂げつつある状況の中で、今後の緑化が必要な場所も多くあると考えられますが、必要な場所は何カ所ぐらいあるのか。あるとすれば、その植樹、植栽の計画をお示し願いたいと思います。  最後に、本区教育の諸課題について質問をいたします。  戦後、教育の根幹である教育基本法が昭和22年に制定されて以来、半世紀余りが経過いたしました。この間、我が国は目覚ましい経済発展を遂げ、科学技術も急速に進歩いたしました。しかし、一方では、近年、青少年の規範意識や道徳心、自律心の低下や耐性の欠如が指摘されております。また、学校教育におきましても、いじめや不登校、学級崩壊、生徒に対するジェンダーフリー化、過激な性教育など、さまざまな課題が山積し、我が国の存立基盤を揺るがせかねない状況であり、教育改革は緊急を要する課題と言わざるを得ません。  「人間尊重の教育」や「豊かな人間性をはぐくむ教育」の推進は、教育目標を達成するための基本方針であります。本区におきましても、平成14年度からスタートした完全学校週5日制に伴って、新しい時代に適応した教育環境を整備するため、学校選択制の導入や二学期制の試行など、さまざまな教育改革のための施策を進めてこられましたことは可といたしておりますが、しかし、一方では、そういった改革を進めている現状においてさえ、解決が急がれる新たな課題が生じてきていることもまた事実であります。  そこで、私は、学校教育にかかわりまして、3点についてお伺いいたします。  まず1点目は、学校週5日制についてであります。平成14年4月に学校週5日制が導入されて以来、2年が経過いたしましたが、今、保護者を初めとして教育現場、区民からは、子どもたちの「学力の低下」を不安視する声が増大しているということであります。土曜日に授業が実施されていた当時と比較いたしますと、年間の総授業時数は、中学校を例にいたしますと、1,050時間から980時間と、約70時間ほど削減されております。小学校においても同程度の削減と聞いております。また、昨年度からは約204日あった授業日数も、今年度からは休日の増加等の関係で199日と、200日を割っている状況となっております。  「ゆとりとは何もしないで過ごすことではない」、当然でありますが、それは大人は理解できても、子どもたちにはわかりません。自らゆとりの時間を学習やスポーツ活動など、有効に生かすことができず、逆に、家に引きこもりがちの孤独な子どもたちがふえており、非行に向かう原因にもなりかねません。保護者が心配の余り「勉強しなさい」と言っても、土曜日は学校が休みだから勉強しなくてもよい日だと考えており、学力低下の要因の一つにもなっているのではないかと考えられます。  また、こういった緩みこそが子どもたちの問題行動の温床となっていくことも危惧されます。区教委は、こういった保護者や区民の不安をどう受けとめ、どう対応を考えていこうとされているのか、学校週5日制との影響をあわせてお伺いをいたしておきます。  次に、2点目は、土曜日を学力向上のための補習日として充てる考えはないかということであります。学習の中心は学校の授業でありますが、どんなによい授業でも、学習内容が定着していなければ意味がありません。そのためには、子どもたちに予習、復習をしっかり習慣づけることが必要だと考えます。  ちなみに、江戸川区では「サタディ・プロジェクト」を立ち上げ、今よりワンランク上の学力を身につけさせるため、土曜日の午前中を補習の時間として、日ごろの学習において定着できていない学習内容を中心に、学ぶ意欲の向上を目指しております。  授業だけではついていけない子どもたちからすれば、貴重な機会の提供であり、やる気のある子どもたちにとっては、さらに学力を向上させる機会ともなるものとして評価できるものではないでしょうか。本区においても、同様の対策を考え、検討されてもよいのではないかと思いますが、いかがでしょう。お伺いいたします。  次に、3点目として、二学期制についてお伺いいたします。昨年7月に公表されました検討委員会の中間報告を見ますと、「授業時数の確保」や「評価の充実」「長期休業日の充実」など、メリットが考えられるとしておりますが、しかし、多くの区民にとっては、今なぜ二学期制なのかが明確でなく、むしろ冷やかな疑問を持っている方が多いのではないでしょうか。中間報告でもデメリットとして指摘されている「通知表や定期テストの回数の減少で、子どもたちの学習意欲がさらに低下するのではないだろうか」また、「高校入試への不安」といったことの方がより関心が高いのではないでしょうか。  今後、検討委員会を中心として最終報告がまとめられるものと思いますが、受益者である子どもや保護者の不安の解消、現場の学校の理解が得られなければ、二学期制の導入はかえってデメリットになるのではないかと思います。区教委はこういった区民の不安を真摯に受けとめ、慎重にも慎重を期し、議会はもとより学校、特に子を持つ親である保護者へ十分に説明し、深い理解を得ながら検討すべきだと考えます。お伺いいたします。  また、今年度より墨田区や足立区、さらには横浜市や千葉市なども二学期制を導入したと聞いておりますが、先行的に導入した自治体の動向も踏まえつつ、本区にとって二学期制の導入に当たっては、何よりも大事なのは、一にも二にも、子どもたちにとって本当に二学期制の導入が有効であるのかどうかを見極めながら検討を進めるべきだと考えます。区教委のお考えをお伺いいたします。  以上で質問を終わります。  ご清聴ありがとうございました。(拍手)    (区長室橋昭君登壇) 20 ◯区長(室橋昭君) 鈴木清次議員の質問に対して、私からは、本区交通網の整備促進についての質問にお答えをいたします。  まず、南北交通の充実は、本区の発展を考える上で重要な課題であると認識しており、LRT構想並びに地下鉄8号線計画につきましては、今後とも、ご指摘のとおり、その実現に向けて精力的に取り組まなければならないと考えております。  そこで、既成市街地と臨海副都心を直結するバス路線についてでございますが、当面の南北交通実現の手段として、整備充実が必要なことはご指摘のとおりと考えております。  平成16年4月には、それまで平日は朝夕のみの運行であった亀戸と新木場を結ぶ路線が全日運行となり、また、17年3月からは、門前仲町から深川車庫までの路線が国際展示場まで延伸され、門前仲町と臨海副都心を結ぶ路線は2路線となる予定であります。  このように、一定の進展はありますけれども、本区既成市街地と臨海副都心との連絡は、依然として不十分であると考えております。  このため、本区といたしましては、議会のご協力もいただきながら、東京都交通局に対してバス路線の充実を引き続き強く働きかけてまいる所存でございます。  次に、区内都バスの増車についてお答えをいたします。
     現在、区内には31のバス路線が縦横に走り、区民の日常生活を支える基盤となっております。しかしながら、一部の路線を除くと、日中の閑散時には、多くの路線で運行本数が少なくなっているのが現状でございます。  バスは地域の生活の足であり、区民生活への影響を配慮した本数の設定が不可欠であると考えます。このため、増便につきまして、議会とも協力して、今後とも強く東京都交通局に要求してまいりたいと存じております。  次に、区内を巡回するコミュニティバス運行についてお答えをいたしますが、バス交通は地域内のきめ細かな公共交通のネットワークを担っており、とりわけ高齢者にとりましては、身近な生活の足でございます。コミュニティバスは、このバス交通ネットワークが不十分な地域において、高齢者や障害者などの交通弱者の生活を支援するために運行するものでございます。  しかし、その事業効果を考えますと、運行する地域の交通不便の度合いが他の地域より高く、一定の利用者が継続的に望める路線に限定して検討していくことが必要と考えております。  そこで、現在、区民意識調査で交通不便の度合いが他の地域に比べて突出して高い豊洲出張所管内について、運行を検討しているところでございます。その他の地域につきましては、今後の検討課題といたしたいと存じます。  なお、その他のご質問につきましては、所管部長から答弁いたさせますので、よろしくお願いをいたします。    (土木部長大塚將夫君登壇) 21 ◯土木部長(大塚將夫君) 私からは、緑化対策についての質問にお答えいたします。  本区の緑の水準は、高潮堤防や下水道の整備と生活環境の改善に伴い、また、工場転出と良好な住環境の形成と並行して向上してまいりました。さらに、内部河川の親水公園化や防災拠点の整備、臨海部の発展により、江東区内の公園面積は、昭和60年代の200ヘクタールから現在370ヘクタールを上回るまでになりました。今後とも潤いのある都市空間をつくるため、区民や事業者と連携して、水とみどりのネットワークの充実に努めてまいります。  そこで、お尋ねの1点目、緑被率の向上についてお答えいたします。  公共空間における緑被率の向上のため、区画整理事業や再開発事業により生み出される公園や、内部河川、運河の耐震護岸整備にあわせて、水辺の散歩道、潮風の散歩道の緑化を図ってまいりたいと考えております。  さらに、民間事業者による宅地や業務用地の開発に当たっては、みどりの条例による緑化指導を通じ、緑化拡大に努めてまいります。  次に、緑化の質の向上についてであります。古い公園や昭和50年代に整備した親水公園においては、樹木が大きく育ち、緑化に貢献しておりますが、反面で、樹木による日陰の拡大や見通しが悪くなっている地域もございます。  今後、開園30年前後を目途に親水公園のリニューアル化を図るとともに、樹木に見合った剪定管理やボランティアを活用した花壇管理の充実などを進めていく所存であります。  さらに、民間開発に当たっては、緑化計画や管理計画についてアドバイスを行うとともに、景観専門委員会における緑化デザインの助言と指導により、よりよい景観形成に努めてまいりたいと考えております。  次に、臨海部の開発に伴う緑化対策についてであります。  臨海地域においては、都市景観条例に基づく臨海景観基本軸の整備計画、及び景観づくり基準に基づいた公園・緑地の整備を指導しているところであります。  公園や緑地の創出、道路整備時における街路樹の植栽、また、公開空地における緑化などを開発者に要請し、緑被率の拡大や樹木の有効な配置など、潤いある地域づくりを誘導してまいりたいと考えております。  最後に、今後の緑化計画や施策の展望についてであります。  地球温暖化、ヒートアイランド現象が顕在化し、緑が本来持っている安らぎや気象の緩和などの機能から、緑の重要性が高まってきております。そこで、地上部のみならず、建築物の屋上や壁面に緑化を拡大すべく、昨年よりみどりの条例の強化を図ってまいりました。  また、本年度に都市公園法が改正され、人口地盤を活用した立体公園制度が創設されております。本区といたしましては、さまざまな制度と機会を活用し、緑化の充実、緑被率の向上を図り、緑豊かなまちづくりに努めてまいる所存であります。    (学校教育部長高橋三喜男君登壇) 22 ◯学校教育部長(高橋三喜男君) 私からは、本区における教育諸課題についてのご質問にお答えをいたします。  まず、学校週5日制についてでありますが、平成14年度から導入された完全学校週5日制は国際的な潮流でもあり、社会全体の労働時間短縮の流れと、それに伴った家庭、社会教育の充実といった社会的背景があったと認識しております。ただ、その後の「学力低下論」の広まりとともに、ゆとり教育批判として学校週5日制への反対意見が多く見られるようになったことは、ご指摘のとおりであります。  しかしながら、従前の詰め込み教育と知識偏重の偏差値教育の反省の上に立って、「土曜・日曜は子どもたちを家庭、地域に帰し、地域で子どもを育てる」という趣旨は、今後も尊重すべき基本的な方向であると考えております。  そこで、区教委としても、学校週5日制の中で、子どもたちの学力向上をどう図っていくのか、最重要課題としてとらえております。現在、その対策として二学期制の検討のほか、習熟度別授業や少人数授業などに取り組んでおりますが、今後とも、ゆとりが緩みとならないよう、しっかりと対策を進めてまいります。  次に、土曜日を学力向上のための補習日とすることについてでありますが、確かに、学ぶ意欲の向上や学習の習慣づけという観点からは、意義あることであります。しかしながら、本区では現在、土曜日に、変化の激しい時代を生き抜くため、地域を主体にしたウィークエンドスクールを実施しておりますので、その整合性と、また、土曜日には正規の授業が組めないことから、子どもたちの自由参加とならざるを得ず、参加する子どもと参加できない子どもの格差が助長されるとの問題点も一方で指摘されております。  したがいまして、区教委といたしましては、今後の学力向上の方策として、土曜日を活用する手法も視野に入れながら、現時点では、夏休み等の長期休業中における補充教室の充実・拡大を初めとして、小中英語連携事業や学力向上の先進校の研究発表、先進的な授業の公開等、江東区としての学びプロジェクトを検討いたしております。また、学校と家庭がどう連携を図れるのか、これまでの手法を抜本的に見直し、区全体として学力向上に取り組んでいく考えであります。  次に、二学期制についてですが、区教委としては、現在の学校週5日制や、今の、いわゆる絶対評価のもとでは、二学期制の方がメリットがあると認識いたしております。しかしながら、歴史的に定着した制度を変える大きな変革でありますので、二学期制の課題や不安を真摯に受けとめるとともに、議会を初め、保護者、地域の理解のもとに進める必要があることは、ご指摘のとおりであります。  そこで、区教委としても、これまでモデル校4校の検証を行う一方で、この11月から区内9会場で、保護者、地域の方々に対する説明会を開催しております。この中で、参加者からは「評価の意味がよくわかった」「夏休みの過ごし方を見直す時期である」という声があった反面、「まだメリットが明確ではなく慎重に検討してほしい」等、さまざまなご意見をいただいております。  今後、これらのご意見を参考とさせていただき、議会とも相談しながら、江東区の子どもたちにとって有効なものとなるよう、二学期制のあり方について検討してまいりたいと存じます。   ────────────────────○────────────────── 23 ◯副議長(小出功君) おはかりいたします。  議事進行上の都合により、暫時休憩いたしたいと存じますが、ご異議ありませんか。    (「異議なし」と呼ぶ者あり) 24 ◯副議長(小出功君) ご異議がないものと認めまして、暫時休憩いたします。    午後3時07分休憩   ────────────────────○──────────────────    午後3時32分開議 25 ◯副議長(小出功君) 休憩前に引き続き会議を開きます。   ────────────────────○──────────────────    ◎ 会議時間延長の件 26 ◯副議長(小出功君) この際、本日の会議時間を延長いたしておきます。   ────────────────────○────────────────── 27 ◯副議長(小出功君) 一般質問を続けます。  26番中沢正夫君。    (26番中沢正夫君登壇) 28 ◯26番(中沢正夫君) 私は、自民党議員として、大綱3点にわたり質問いたしますので、区長を初め、理事者の明快な答弁を期待いたします。  このたび、三宅島の島民が帰島するに当たり、商店を先行して開店させ、住民の本格的帰島に備えたことからもわかるように、商店は住民の生活にはなくてはならない、極めて重要な存在であると思います。  そこで、質問の第1点目は、商店街の振興策についてお尋ねします。  本区の商店街を取り巻く環境は、バブル経済崩壊後、10年以上にわたる不況やデフレ、大規模店舗の進出、さらには、消費者の購買行動の変化などに加えて、商店街自身の問題である経営者の高齢化や後継者不足など、厳しさを増しております。  このような状況の中で、人口が増加しているのにもかかわらず、商店街の利用者は減少傾向にあり、かつては地域住民の買い物の場、交流、にぎわいの場であった地域商店街が衰退傾向にあることは、地域の活力の低下につながるものと憂慮しているところであります。  この間、区において、商店街振興策として「新・元気を出せ商店街事業」によるイベント助成や環境整備事業、今年度の新規事業である防犯カメラの設置助成、商店街連合会に対する共通商品券発行助成などの対策を講じてきたことは、室橋区長の地域商店街活性化に対する積極的な姿勢のあらわれだと高く評価をしているところでございますが、今後、商店街の活気を取り戻すためには、何よりも商店街自身のやる気が必要であります。  都内各地の商店街では、先ほど述べましたような周辺環境の変化に積極的に立ち向かい、成功している例が多く見られます。一例を挙げますと、世田谷区の下高井戸商店街では、高齢者や帰宅時間が遅い人などのために、商品の宅配サービスを行い、大変好評であるとのことであります。また、練馬区の栄町本通り商店街では、空き店舗を利用して、子育て支援施設を設置し、子連れの買い物客の利便性を高めるなど、各地の商店街で消費者の要望に合った、さまざまな取り組みが成功しております。  そこで、本区におきましても、商店街のやる気を喚起するとともに、これらの創意と工夫に満ちた取り組みに対する支援を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。  次に、観光と商業の連携による商店街活性化についてお尋ねします。  江東区では、亀戸天神や富岡八幡宮などの名所・旧跡、深川江戸資料館や中川船番所資料館などの文化施設、さらには、臨海副都心の観光スポットなどの観光資源に多くの観光客が訪れており、これらの観光客が新たな消費需要をもたらすものと考えられます。  そこで、本区商業活性化の一つの手段として、まず、観光客の増加を図ることが必要であります。特に、年間4,000万人を超える臨海副都心の来街者を、既成市街地の観光地に誘致することは効果的であると考えられます。  さらに、観光客の消費活動を商店街の活性化につなげるためには、観光客の求める店舗や商品をそろえるとともに、これらの情報を的確に観光客に提供するなど、観光と商業の連携を図る必要があります。  本来、これらの活動は、観光協会や地域商工業者など、民間の主体的な活動によることが望ましいことは承知しておりますが、現在の本区中小商業の置かれた厳しい状況を踏まえて、区として観光を生かした商店街の活性化を図るべきと考えますが、いかがでしょうか。区の考え方をお伺いいたします。  次に、都市型水害の対策について。  ことしは台風の当たり年で、10個が日本列島に上陸して、記録を更新しました。当区においては、平成12年の集中豪雨以来の大雨を台風22号がもたらしました。下水道施設の能力である50ミリを超える54ミリから69ミリの豪雨が降り、区内全域で道路冠水、20件以上の床上浸水、また多数の床下浸水が発生し、豪雨に対する都市の脆弱さを見せつけられました。  昭和24年のキティ台風の大災害に対処するための高潮対策事業、地下水くみ上げ規制による地盤沈下の沈静化、江東内部河川の耐震護岸化や水位低下等により、高潮や河川の氾濫に起因した大水害は発生しなくなりました。しかし、下水道施設の排水能力を上回る雨水による内水氾濫の危険性を、台風22号で再度認識したわけであります。  一方、東京都は、平成12年に東海地方を襲った時間雨量114ミリの集中豪雨が東京地方に降ったと仮定してシミュレーションを行い、江東区の大半が水浸しとなり、水深2メートルを超える地域も出現すると予想しております。加えて、地球温暖化や都市でのヒートアイランド化は、局地的な集中豪雨発生の手助けをしていると言えます。記録的な真夏日の日数や台風上陸数の更新など、日本を取り巻く異常気象は水害の危険性の拡大につながっていると感じております。  そこでお伺いいたします。  江東区は、明治時代末期から発生した地盤沈下により、区内の3割弱がゼロメートル以下の地域であります。さらに、大潮時の水位より低い地域は5割を占めております。この江東デルタ地帯は、高潮堤防と下水道という人為的な施設によって守られていることについては、新住民もふえて認識も薄くなっている感があります。幸いなことに、新潟のように、河川の決壊する事例は、昭和33年の台風以来、起きておりません。そこで、区は改めて区民に対し、豪雨被害についての注意を促す必要があると考えますが、その方法について考えをお尋ねします。  第2に、下水道施設は、時間当たりの降雨50ミリに対応するよう整備されておりますが、22号や23号台風では、下水道施設に飲み切れず、道路冠水や床下・床上浸水が発生しました。都市型集中豪雨がより発生する中で、東京都に下水道網の新たな再構築を求めていくべきと考えておりますが、これらの下水道整備の方向性と区の役割についてお伺いいたします。  第3に、水防対策として、ますの清掃や土のうの配布など、浸水対策に対して努めていることは認めますが、しかし、遊水機能が低下している都市の中で、雨水の浸透や貯留といった水涵養の仕組みづくりや復活も必要となっております。これらの対策をどのように展開していく考えなのかお尋ねします。  第4に、水防対策は、区役所のみでは対応できないものであります。国を初めとする東京都や消防庁との役割分担、そして、地域の消防団などとの連携が重要と考えております。組織間の調整は、縄張りや意思の疎通が図りづらい側面があると感じておりますが、その対応をお聞かせください。  最後になりますが、水防対策は、行政のみでは対応ができません。区民の協力のもと、「自らのまちは自ら守る」ことが大切であると考えております。台風時における事前協力要請や、区民の実施すべき事項について、区の考えをお伺いいたします。  次に、都市防災とまちづくりについてお伺いいたします。  10月23日午後5時56分ごろ、直下型の激しい揺れが発生した新潟県中越地震は、震度の規模をあらわすマグニチュードは6.8で、震源地の新潟県川口町は震度の階級が最高となる7を記録し、1995年1月の阪神・淡路大震災以来の大惨事となったことは、ご承知のとおりであります。  本区において、いち早く被災地へ救援物資等の対応をしたことは、大変よかったと思います。  さて、新潟県中越地震の余震活動は順調に衰退しているとはいえ、被災地の住宅被害調査を進めている新潟県は、小千谷市や川口町などの危険度判定結果の集計を完了し、その結果が発表され、全体の約45%が立入禁止の「危険」、または立入注意の「要注意」と判定され、住宅被害の深刻さを改めて裏づけたものとなっております。連日報道されている災害情報に、だれしもが「果たして自分の住んでいる地域は大丈夫か」との思いを強く感じたことと思います。  そこで、本区の都市防災とまちづくりについての取り組みについて伺います。  江東区のまちづくりの中で、土地区画整理事業は大きな役割を担ってきました。大きく分けるとしたら、深川地区の震災復興事業、城東地区の戦災復興事業と、それに続く都市改造事業によって、本区の中心的な市街地は整備されてきました。  しかし、その事業の中で、取り残された地域が幾つかあります。特に、亀戸地区の三丁目及び五丁目地区では、整備されないまま、現在でも消防車も入れない狭い道路や、小規模敷地に密集した木造住宅が建設されており、防災上、非常に危険な地域であります。  さきの阪神・淡路大震災による甚大な被害の教訓から、特に整備強化の必要性がとなえられている木造住宅密集地域に対し、防災性の向上を図る制度・施策が次々と出され、強化されていると聞いております。  私は、区民が安全で安心して暮せるためには、地震対策の基本である木造住宅密集地域の解消は、早急に対応すべき重要な課題であると考えますが、区の考え方を伺います。  次に、防災を視野に入れた生活道路、公園等の公共施設の整備について伺います。  新潟県中越地震により、道路の被災による一般車両の通行どめが続いている関越自動車道が全線で通行できるようになりました。上越新幹線の復旧にまだめどが立たない中、新潟と東京を結ぶもう一つの大動脈が通じたことは、復旧活動が大きく進むと期待を寄せるものであります。  先ほど申し上げましたが、亀戸地域の一部では、災害時に区民が歩いて安全に避難地に到達できる避難路や生活物資・復旧物資の輸送路である緊急輸送道路、消防自動車の進入ができない狭い道路が多くあります。  災害時の避難路の改善、災害路の拡幅整備、公園やポケットパーク等、防災を視野に入れたまちづくりを推進すべきと考えますが、いかがでしょうか。  最後に、本区の防災まちづくりについてでありますが、本区は、江東デルタ地帯に位置し、軟弱な地盤に加え、ゼロメートル地帯と言われる地盤の低い地域が多くございます。安全・安心な町の実現に向け、地域社会のあらゆるところで防災を心がけていくこと、まちづくりにおいて被害を出さない、最小限にとどめる市街地を実現していくべきと考えますが、区の考えをお伺いいたします。  以上で質問を終わります。  ご清聴ありがとうございました。(拍手)    (区長室橋昭君登壇) 29 ◯区長(室橋昭君) 中沢正夫議員の質問のうち、私からは、商店街の振興策についてお答えをいたします。  本区商店街の現状は、東京都が行った商店街実態調査の結果によりますと、人口が増加しているにもかかわらず、商店街への来客数は減少傾向にあり、商店街は衰退傾向にあるものと言われております。  このような状況を踏まえまして、区におきましては、「新・元気を出せ商店街事業」によるイベント助成や活性化総合支援事業による環境整備事業、防犯カメラの設置助成、装飾灯の電気料助成などの商店街振興策を実施してきたところであります。  また、個別の商店街のほか、商店街連合会に対しても共通商品券の発行やイベントの支援を行ってきたほか、新たにハッピーセカンド事業を開始するなど、地域商業の活性化を図っているところでございます。  そこで、商店街のやる気を喚起して活性化を図るべきとのご提案でございます。都内各地で商店街による宅配サービスや空き店舗を活用した子育て支援、環境問題への取り組みなどが成功しておりますが、これらは商店街の積極的な取り組みが実を結んだものでございます。区といたしましても、商店街の主体的な活動を最大限支援する考えであり、商店街の要望につきましては、毎年積極的に事業化を図っており、「深川発祥」のシャトルバス運行など、好評をいただいている事業もございます。  商店街の「やる気」につきましては、商店街活性化の重要な要素と認識しており、地域商業活性化事業により、若手経営者の育成を行うほか、商店街連合会の会合などにおいて、その喚起を図っているところでございますが、ご提案の趣旨を踏まえ、今後とも商店街に対し、働きかけを行ってまいりたいと存じます。  次に、観光と商業の連携による商店街活性化についてお答えをいたします。  本区には多くの観光資源があり、毎年多くの観光客が訪れております。このような観光客の消費活動を地域商店街の売り上げに結びつけることは、中小商業の活性化につながるものと考えます。  そこで、観光客の増加を図るとともに、観光と商業の連携が必要であるとのご質問でございます。  区におきましては、観光と商業の連携による地域商業の活性化を図るため、この4月から経済課に商業観光係を設置し、観光事業の充実を検討してまいりました。その結果、観光客を増加するためには、観光PRや交通アクセスの確保、さらには、観光地としての魅力のアップが必要であると考えており、具体的には、さきの補正予算で地域商業観光マップや観光パネルの作成などのPR事業を開始したところでございます。さらに、臨海副都心の観光客を既成市街地に誘導する方策や、新たな観光イベントの実施等を検討していきたいと考えているところでございます。  また、観光客の消費活動を実際の商店街の需要とするためには、観光客にとって魅力のある店舗や商品をつくり、その情報を観光客に提供する必要がございます。そこで、民間による店舗や商品の開発を支援するとともに、地域商業観光マップによるPRなどを通じ、観光と商業の連携による地域商業の活性化を図ってまいりたいと考えております。  なお、その他のご質問につきましては、所管部長から答弁いたさせます。
       (土木部長大塚將夫君登壇) 30 ◯土木部長(大塚將夫君) 私から、都市型水害対策についてのお尋ねにお答えいたします。  本年、日本に上陸した台風は10個、そのうち本区に影響を及ぼした台風は2個でありました。台風22号では、雨水排水能力を上回る豪雨により、区内各所で道路冠水や床上・床下浸水の被害が起こり、改めて総合的な水害防止対策の必要性を認識したところであります。  そこで、お尋ねの1点目、台風や集中豪雨の危険性について、区民への周知を促す手法についてであります。  都は隅田川と江東内部河川流域の各区の浸水予想図を発表いたしました。本区といたしましては、この予想図をもとに、区民の皆さんが浸水の危険性を的確に認識し、豪雨時に迅速かつ適切な対応ができるよう、浸水ハザードマップ作成と配布を図る所存であります。  とりわけ、本区の特性である海抜ゼロメートル以下の地盤が広範にあることや、高潮堤防で守られている状況についても、区民に周知するよう工夫してまいりたいと考えております。  次に、これからの下水道整備の方向性と区の役割についてであります。  都は集中豪雨などの浸水被害を軽減させるため、雨水整備クイックプランを改定いたしました。このプランは、前期5カ年の事業を引き継ぐとともに、新たに浸水被害を受けている地区を追加し、被害の早期軽減に取り組むものであります。議会と連携し、引き続きクイックプランの早期実現を都に働きかけてまいります。  さらに、23区の区長で構成する「特別区下水道事業促進連絡会」を通じ、浸水対策等の促進を図るべく、国への要請行動を続けていく所存であります。  次に、雨水の浸透や貯留などの雨水流出抑制策についてであります。  ご提案の雨水浸透については、歩道の透水性舗装の拡大に努めるとともに、車道部分においては、保水性舗装の採択についての検討を行っております。  また、雨水貯留につきましては、都の雨水貯留事業が円滑に進むよう支援してまいります。  次に、水防関係団体との連携についてお答えいたします。  本区は、住民に直結する基礎的な水防管理団体として、浸水被害の軽減を図るため、江東区水防計画を策定しております。この計画をより充実させ、国や都などと役割分担や連携を図ってまいります。  また、関係機関や消防団が参加する江東区水防連絡会、深川・城東両消防署と合同で実施する水防演習、さらに、国や都の水防連絡会を活用し、各機関との意思の疎通や技術の向上に努めてまいります。  地域の消防団に対しては、その総括を行う消防署と連携をとり、台風情報や浸水状況の情報共有を図り、水防活動が効果的に実施できるよう、協力体制のより一層の強化に努めていく所存であります。  最後になりますが、区民や事業者との協働についてであります。  区職員のみでは、災害に十分に対応することは不可能であります。常日ごろから広報紙による水害の備えの訴え、水防訓練参加の機会拡大など、区民のより一層の防災意識涵養に努める所存であります。  さらに、水害が予想される場合には、防災用行政無線や広報車による伝達、そして、地域のケーブルテレビやFM放送を活用して、多角的に区民への情報の提供をしてまいります。  一方、区民の皆さんには、各家庭での道路冠水への備えや公道上の雨水ますの清掃、土のうの引き取りなどをお願いしてまいりたいと考えております。    (都市整備部長諏訪豊君登壇) 31 ◯都市整備部長(諏訪豊君) 私から、都市防災とまちづくりについてのご質問にお答えいたします。  10月23日に発生した新潟県中越地震は、最高で震度7を記録し、大きな被害を受けております。改めて本区の防災まちづくりについても、その教訓を生かし進めなければならないと考えております。  ご質問の防災都市づくりについてでありますが、本区はこれまでも防災まちづくり事業として、都と協力し、亀大小や木場公園などの防災拠点整備事業を推進し、また、延焼防止を目的とする幹線道路の不燃化促進事業、木造家屋の密集する北砂地区を対象とした防災生活圏促進事業、災害時の避難路を確保する細街路拡幅整備事業など、さまざまな事業を推進してまいりました。  特に、亀戸地区につきましては、避難場所の確保として亀戸中央公園の完成、亀戸九丁目地区の再開発事業の推進、さらに、蔵前橋通り、明治通りについては不燃化促進事業を行い、燃え広がりのないとされる不燃化率は70%に達しております。また、市街地の住宅密集地においても、細街路拡幅整備事業などで、一部道路は拡幅されております。  しかしながら、ご指摘の地区の木造住宅密集地域解消は必要な課題と考えておりますが、事業推進に当たっては、長い年月を要するとともに、国等の補助制度はあるものの、補助基準、条件を満たす必要がございます。また、地権者等地元住民の熱意と合意が重要であります。したがいまして、今後、地元の方々と相談してまいりたいと存じます。  次に、防災を視野に入れた生活道路、公園等の公共施設についてでございますが、生活道路の整備、特に木造住宅密集地域では狭小敷地が多いことから、地権者の協力を得ることが難しく、狭隘道路解消が困難な状況にありますが、引き続き細街路拡幅事業などを活用し、努力してまいりたいと思います。  公園、緑道及びポケットパークにつきましても、今後の改修等に当たって、防災面も十分視野に入れ、整備してまいりたいと存じます。  次に、本区のまちづくりについてでありますが、本区は江東デルタ地帯に位置し、その上、軟弱な地盤の上にゼロメートル地帯であり、災害に弱い地域であります。また、最近の政府中央防災会議専門委員会が発表した「震災分布表」によると、甚大な被害が予測されます。  本区は、さきにお答えしましたが、これまでも防災対策を最重要課題として推進してまいりました。これからも、災害時の被害を最小限にとどめるよう防災まちづくりを推進し、ご指摘の安全・安心なまちづくりの実現に向けて努力してまいります。     ─────────────────────────────────── 32 ◯副議長(小出功君) 31番大嵩崎かおり君。    (31番大嵩崎かおり君登壇) 33 ◯31番(大嵩崎かおり君) 日本共産党を代表し、大綱3点について質問を行います。  区長並びに関係理事者の誠実な答弁を求めます。  まず最初に、防災対策について伺います。  先ごろ、内閣府の中央防災会議が首都圏直下型地震の震度分布図を公表しました。それによると、都心東部でマグニチュード6.9の地震が発生した場合、江東区では震度7の揺れに襲われると予想されています。関東大震災から80年、首都圏でも、いつ大地震が起きても不思議はない状況と言われており、被害を最小限にとどめ、区民の生命を守るための予防対策の強化が早急に求められています。我が党はこの間、繰り返し小中学校や公共施設の耐震化、住宅の耐震補強工事への補助など、予防対策の実施を求めてまいりましたが、本区の取り組みは大きくおくれていると言わざるを得ません。そこで、改めて、この間の震災の教訓も踏まえ、本区の震災対策の強化について提案し、見解を伺います。  まず、公共施設の耐震補強です。本区の地域防災計画では、小中学校だけでなく、公共施設も避難所に指定されています。ところが、総合区民センターや児童館など指定された区の公共施設45カ所のうち16カ所が56年以前の旧耐震基準のもので、耐震性に疑問があります。少なくとも、避難所に指定されている公共施設については、直ちに耐震診断を行い、補強工事を実施すべきだと思いますが、伺います。  また、新潟中越地震では、救援がおくれた大きな原因に、道路の損壊がありました。本区は橋梁によって地域と地域がつながっており、避難路の確保や救援活動を行う上で、橋梁の耐震化は重要な課題です。ところが、区道橋の耐震化は85橋中26橋、30%にとどまっています。年度ごとの計画数を大幅にふやし、直ちに完了させるとともに、国道や都道橋についても耐震化の早期実施を求めるべきだと思いますが、伺います。  次に、木造住宅の耐震補強です。阪神・淡路大震災では、亡くなった方の圧倒的多数が耐震基準を満たしていない木造住宅の倒壊によるもので、倒壊した家屋から火災が発生し道路をふさぐなど、救助活動も困難を極めました。江東区でも木造密集地が数多くありますが、住宅の耐震化を個人の責任だけに任せておくべきではありません。  静岡県では、無料の耐震診断と50万円の補助を実施、都内でも新宿区が同様の制度を実施しています。本区でも、無料の耐震診断と補強工事への補助、無利子融資などを実施し、木造住宅の耐震化を促進すべきだと思いますが、伺います。  また、都に対しても、補助制度の創設を行うよう求めるべきだと思いますが、伺います。  次に、被害想定の見直しです。本区の防災計画の被害想定は、平成7年の国勢調査をもとにつくられていますが、当時と比べ、人口、世帯数ともに急増しています。また、木造密集地域が依然残され、建物の老朽化が進んでいること、企業の本社ビルなどの移転により昼間人口もふえていることから、実際の被害との間には相当の乖離が生じるのではないでしょうか。東京都待ちにならずに、本区被害想定を見直すとともに、避難所の数、食料や毛布など、備蓄物資をふやすこと、また、備蓄倉庫の設けられていない避難所については、近隣の公園に防災備蓄倉庫を設置するなど、見直しを行うべきだと思いますが、伺います。  次に、水害対策について伺います。  我が党は、さきの第3回定例会の代表質問で、豪雨災害への対策を区長に求めたところですが、その後発生した台風22号、23号は、本区に大きな被害をもたらし、水害対策が緊急に求められていることを裏づけるものとなりました。台風22号では、区内で1時間最大69ミリの雨を記録、各所で道路の冠水、床上浸水25世帯、床下浸水が17世帯発生しました。事業所への浸水も66件あり、機械や資材への被害や、腰の高さまで達した水に車がつかり使用できなくなるなど、中小業者の営業にも深刻な影響を及ぼしました。  22号に続き23号でも被害に遭った木場六丁目では、20~30ミリの雨が降っただけでも、そのたびに浸水被害に遭ってきました。住民は「これはもはや人災だ」と、行政の対応のおくれに怒りをあらわにしています。  今回の浸水被害が発生した地域の原因を調査するとともに、雨ますの増設、貯留槽の設置など、被害を繰り返す地域の緊急対策を直ちに行うべきです。また、木場六丁目では、首都高やフジクラ電線の駐車場からも降った雨水が流れ込み、被害を大きくしています。大規模な敷地を持つ企業に対し、雨水貯留槽や敷地内の透水性舗装など、雨水の流出抑制対策を義務づける条例を直ちにつくるべきではないでしょうか。見解を伺います。  第2に、介護保険制度について伺います。  来年2月の法案提出を目指して、厚生労働省内の見直し作業が進められていますが、この間、明らかになっている内容は、「介護費用の増加を極力抑える」という立場から、国民への負担増とサービスの抑制を強く打ち出すものとなっています。  厚生労働省は、要支援、要介護1が最もふえていることを挙げ、これら軽度者の家事援助や福祉用具の利用が高齢者の心身の機能低下を招いているから、それらを見直して、予防重視に転換するとしています。  予防介護については、我が党もこの間、リハビリや老人福祉センター事業の拡充など、充実を求めてきましたが、政府が今、進めようとしているのはサービスの抑制です。江東区では、介護認定を受けている人の約半数が要支援、要介護1ですが、私たちの調査でも、多くが独居、または老老世帯で、本来ならもっと高い介護度なのに、必死で生活して、要支援、要介護度1になっているケースも多いのが実態です。この方たちがホームヘルプサービスなど、生活支援が受けられなくなれば、「孤立化」「引きこもり」に逆戻りとなりかねません。「予防介護の充実」を口実とした軽度者への生活支援サービスの抑制を行うべきではないと思いますが、区の見解を伺います。  また、「施設志向」が強いことを理由に、特別養護老人ホームなど施設での部屋代と光熱費、食費など、いわゆるホテルコストをすべての入所者から徴収しようとしています。厚生労働省は、月額3万円を超える負担増となる試算を出しています。江東区でも、住宅や家族の状況から、やむなく施設介護を望む人も多いのが実態で、在宅で最後まで安心して暮らせる体制が整っていないのに、負担だけを求めるものです。政府に対し、施設利用者の負担増をやめ、特別養護老人ホームなど、施設建設の補助を拡充するよう求めるとともに、区としても、責任を持って施設整備を行うよう求めますが、見解を伺います。  このほか、20歳からの保険料徴収や利用料を現行1割から2割、3割へと引き上げることなど、いずれも国民への負担増を検討しています。  この間、多くの高齢者が高い保険料や利用料に苦しみ、要介護者の利用限度額に対する利用率は、全国で4割、江東区でも5割にとどまるなど、負担の心配から利用を抑制するという実態も生まれています。また、施設不足から全国で33万人、江東区でも現在、1,544人もの人が特別養護老人ホームに入れずにいます。さらに、ヘルパーの過酷な労働実態も明らかになっています。  こうした問題の最大の原因は、介護報酬が上がれば利用料負担が上がり、自治体がサービスを豊かにしようと思えば保険料を上げざるを得ないという仕組みにあります。これを解決するためには、国の負担割合を大幅に引き上げることがどうしても必要です。政府に対し、国庫負担を現在の25%から当面30%へと引き上げるよう求めるべきだと思いますが、伺います。  さらに、低所得者への減免制度の確立も重要です。低所得者への負担が重いことは、制度開始以前から指摘され、だからこそ国も制度開始以前からホームヘルプサービスを受けていた低所得者の利用料を軽減する特別措置を実施してきました。また、東京都も独自に利用料の軽減対策を実施しています。  ところが、この軽減対策の期限は、いずれも来年3月末までとなっています。制度見直しに当たって、国として保険料、利用料の低所得者への減額・免除制度をつくることを求めるとともに、国と都に対し、来年度以降も軽減対策を継続するよう求めるべきです。  また、仮に、国や東京都が継続しない場合、区の独自施策として実施すべきだと思いますが、見解を伺います。  第3に、住宅問題について伺います。  初めに、辰巳団地の居住環境の整備についてです。住宅戸数3,300戸の辰巳団地は、建設されてから36年がたち、入居者の高齢化が年々進んでいます。団地のほとんどが5階建てでエレベーターが設置されていないため、階段の上りおりが本当に大変です。夫が車いすで生活しているという5階に住むある世帯では、病院に通うため、1階までおりるのに妻が夫の体を支えながら、30分近くもかかるそうです。多くの高齢者からエレベーターを設置してほしいとの声が出されています。  また、住宅の老朽化も深刻です。私たちの調査でも、ベランダの手すりなど、鉄部のペンキがはげてさび、布団も干せない状況や、腐食が進み、手すりそのものが落下するおそれのある危険箇所もありました。さらに、外壁のコンクリートが落下する事故もありましたが、都は周辺の落ちそうなところをたたき落としただけで、修繕は全く行いませんでした。  東京都は住民からのエレベーター設置や大規模修繕の要望に対し、「建て替え対象団地」になっているため実施できないと回答しています。しかし、平成5年には住民説明会を行うところまできていた団地の再生計画は、現在、全く進んでいない状況です。いまだ建て替え時期も明確にされていない上、仮に建て替え時期がすぐに決まっても、全部完了するまでには10年近くもかかってしまいます。建て替えまで修繕せずにこのまま放置するのは、住民の安全を保てないだけでなく、健康で文化的な生活を営む権利を侵害するものと言わざるを得ません。区として東京都に対し、エレベーターの設置や大規模修繕など、居住環境の改善を直ちに行うよう求めるべきです。  また、建て替え計画についても、早期に明らかにするよう求めるべきだと思いますが、あわせて伺います。  この間、石原都政のもと、住宅政策は大きく後退させられてきました。長引く不況で、都営住宅への入居を希望する人が増加しているのに、新規建設計画はゼロ、建て替えも年度の計画戸数は大幅に縮小させられました。ことしの都営住宅の申し込みは、一般向けで約37倍、高齢者住宅は約122倍でした。「何回申し込んでもなかなか当たらない」と相談が寄せられます。また、入居者の収入基準の引き下げと収入基準を超えた世帯の明け渡し強化は、若い共働き世帯の退去を進め、高齢化と相まって、コミュニティ活動にも大きな支障を来している団地もあります。さらに、応能応益制の導入による家賃の大幅値上げや、低所得者の減免制度の縮小も行われました。  東京都は「都市再生」で、再開発事業などには何百億円もの都民の税金をつぎ込んでいますが、新しく誕生するのは超高層タワーの分譲マンションや賃貸住宅であり、長期の住宅ローンや高い家賃を払い続けなければなりません。だれもが安心して住み続けるためにも、大型再開発に税金をつぎ込むのではなく、都営住宅など低廉な公共住宅の整備こそ行うべきです。東京都に対し、都営住宅の新規建設を行うよう求めるとともに、区としても、借り上げ住宅の確保を行うべきだと思いますが、あわせて伺います。  政府は来年、公営住宅法の改悪を行おうとしています。公営住宅の建設の縮小や収入基準のさらなる引き下げ、資産査定や期限つき入居制度の導入などで居住者の退去を進めるなど、国民の願いに逆行するものです。政府に対し、公営住宅法の改悪を行わないよう強く求めるべきだと思いますが、見解を伺い、私の質問を終わります。  ご清聴ありがとうございました。(拍手)    (区長室橋昭君登壇) 34 ◯区長(室橋昭君) 大嵩崎かおり議員の質問に対し、私からは、災害時に避難所となる公共施設の耐震化についてお答えをいたします。  本区の避難計画は、拠点避難所となる小学校及び中学校への収容を第一に考え、災害の規模に応じて、その他の公共施設も安全を確認した上で、順次開設することにいたしております。この点から、小中学校の耐震化は、本区災害対策の上からも、早期に実施するものでございます。  他の公共施設に対する耐震補強については、学校耐震化を先行させた後の課題と考えております。  次に、橋梁の耐震化でございますが、現在、本区が管理する橋梁は85橋ございますが、これまでに26橋については、耐震補強を完了しております。  今後につきましては、平成17年度から21年度までの5カ年で32橋の耐震補強を予定しております。このうち、啓開道路上の橋梁28橋は19年度末にすべて整備を終わるよう準備しており、また、残った橋梁につきましても、早期完了を目途に、計画的に整備を進めてまいります。  なお、国道及び都道上の耐震性の低い橋梁につきましては、早急に対応するよう、それぞれの管理者に要望してまいります。  次に、ご質問の木造住宅の無料耐震診断、その耐震工事費の補助等や都に対する要望につきましては、新潟県中越地震等の状況から、今後、区において地震対策の見直しが必要となりますので、その中の一つの課題として考えております。  次に、被害想定の見直しについてのご質問にお答えをいたします。  本区の被害想定は、平成9年に東京都防災会議地震部会の報告による区部直下地震が基本となっております。この間、江東区の人口も41万人を超え、増加傾向にあり、避難計画や備蓄計画など、検討する必要性は認識をいたしております。  しかしながら、現在、中央防災会議では、首都直下地震対策専門調査会を昨年に立ち上げ、直下地震に対する被害想定を検討中であります。また、東京都もこの国の想定を待ち、新たな被害想定を検討していく方針でございます。  したがいまして、本区におきましても、東京都の被害想定の見直しを見据えながら、防災計画や備蓄計画等、内容の見直しを図ってまいります。  次に、水害対策についてでございますが、東京都は、浸水被害を軽減させるため、雨水整備クイックプランを改定し、雨水排水能力の増強、雨水貯留などに取り組んでおります。本区といたしましても、事業が円滑に進むよう、側面から支援するとともに、雨水ますの増設、透水性舗装の拡大、そして、土のうの事前配布などを着実に実行し、浸水被害の低減に努めていきたいと考えております。  最後に、企業への雨水流出抑制対策の義務づけについてでございますが、企業・法人などが所有する大規模敷地から雨水が流れ出て、道路冠水した例がございます。今回の場合は、計画排水能力を上回る降雨と土地利用形態の変化により雨水の流出が高まったことが原因であると思われます。雨水の流出を抑制する方策としての貯留による流出抑制策などについては、今後の研究課題と考えております。  なお、その他のご質問につきましては、所管部長から答弁をいたさせます。    (保健福祉部長岡部正道君登壇) 35 ◯保健福祉部長(岡部正道君) 私からは、介護保険制度の見直しについてのご質問にお答えいたします。  まず、軽度者へのサービス抑制についてのお尋ねでございます。  急激な高齢化に備え、制度全体を予防重視型システムへと転換していくことは、制度の持続可能性を高める観点から、また、自立支援という基本理念に照らしても重要なことであります。  軽度の要介護者を対象とする「新予防給付」については、サービス内容やご質問の対象者の選定方法など、国が検討を進めているところでありますが、本区といたしましては、その給付に当たっては、画一的な適用とすることなく、適切なアセスメントが重要であると認識いたしております。したがって、ホームヘルプサービスなどの生活支援サービスの利用についても一律に制限すべきでなく、個々の高齢者の実態に応じた対応が必要であると考えております。  次に、介護施設利用者への負担増と今後の施設整備についてであります。  制度の持続可能性を高める観点から、介護給付の効率化、重点化が必要とされ、施設給付の見直しが検討されておりますのは、ご指摘のとおりであります。これは、在宅では居住費用と食費が全額自己負担を原則としているのに対し、施設では保険給付の対象となっており、利用者負担の不均衡の是正などから見直しを検討する必要があるとするものであります。  本区といたしましては、国の制度として、財政措置を含め総合的かつ統一的な低所得者対策が講じられることを前提に、これらの制度内の不均衡は是正していくべきものと認識いたしております。  また、施設整備につきましては、現行の整備計画に従い、着実に進めてまいりたいと考えております。  次に、国庫負担の引き上げについてであります。  介護保険制度の安定的かつ円滑な運営のためには、保険者たる地方自治体が堅固な財政基盤を有することが肝要であります。このたびの見直しに当たっても、平成15年10月及び本年4月と11月の3度にわたり、全国市長会を通じ、国の介護給付費負担金については、各保険者に25%を確実に配分し、現行の調整交付金とは別枠化すること、財政安定化基金の原資については、国及び都道府県の負担とすることなどを強く要請いたしております。  次に、減免制度についてのお尋ねでございます。  保険料、利用料の減免制度などの低所得者対策は、国の制度として財政措置を含めて恒久的な対策が講じられるべきであると認識いたしております。この点につきましても、全国市長会を通じ、国に要請しているところであります。また、介護保険法施行時の激変緩和策として実施された国の特別対策につきましても、制度化を図るよう、都を通じ申し入れております。  さらに、区独自の減免制度を創設してはとのご提案であります。低所得者対策につきましては、国の制度として対策が講じられるべきものであり、本区独自の減免制度を創設する考えはございません。    (都市整備部長諏訪豊君登壇) 36 ◯都市整備部長(諏訪豊君) 住宅問題についてのご質問にお答えいたします。  最初に、辰巳団地の居住環境の改善についてでありますが、高齢者対策として、エレベーター設置や大規模修繕につきましては、当団地が建て替えの対象となっているため、費用対効果の観点から設置は予定していないとのことでございます。  また、階段の上りおりが困難な方につきましては、「住宅変更の制度」を利用しており、今後も希望される方には、この制度により対応していくとのことでございます。
     次に、建て替え計画についてでありますが、都においては、平成5年度以降もさまざまな検討をしているとのことであります。いまだ具体化しておりませんので、さきの秋田議員のご質問にもお答えしましたとおり、区としても建て替えの必要性は認識しており、都に対して要望してまいりたいと存じます。  次に、公営住宅の増設についてでありますが、区営住宅及び都営住宅の入居を希望する区民がふえ、応募の倍率が高くなっているなどの状況にあることは承知しております。  ご質問の都営住宅建設につきましては、都は厳しい財政事情の中で、老朽化した都営住宅のスーパーリフォーム事業や住宅改善事業などを計画的に実施しており、新たな建設計画の予定はないとのことでございます。  区営住宅につきましては、現在、区営住宅10団地498戸、区内の都営住宅は、23区でも足立区に次いで多い区になっており、約2万1,000戸整備されております。また、高齢者住宅は、借り上げ住宅を含め、3団地106戸、都営シルバーピア、7団地183戸、計10団地289戸の整備を図ってきたところであり、加えて、厳しい財政状況の中で、区営住宅の建設は困難と考えております。  なお、引き続き、都営住宅の建て替え時などにシルバーピアの建設を求めてまいります。  次に、公営住宅法の改正についてでありますが、新聞等の報道によりますと、国土交通省では、公営住宅など地方公共団体が管理する賃貸住宅の入居基準を全面的に見直す方針を固めたとしております。その内容は、低所得者、中堅所得者、高齢者向けの住宅を別々に管理する仕組みを廃止し、入居基準を統一し、収入や年齢に応じた新しい家賃体系をつくり、空き家が出た場合などに柔軟に入居者を調整できるようにするものであり、早ければ来年の通常国会に新法案として提出する方針であると伝えております。国への要望につきましては、当面、推移を見守りたいと存じます。    (31番大嵩崎かおり君登壇) 37 ◯31番(大嵩崎かおり君)(再) 1点、再質問させていただきます。  辰巳団地の大規模修繕についてですけれども、今のご答弁ですと、都の方が費用対効果からやっていないということだというご答弁でしたけれども、しかし、実際、本当に住民の安全すら守れないような状況があるわけですから、区はきちんとやっぱりこのところを認識して、言うべきことを言う、住民の立場から言うべきことを言うというのがやっぱり区の役割だと思うんですね。なぜこれをやらないのか、なぜそれすらできないのか、その辺をもう一度ご答弁いただきたいと思います。    (発言する者あり) 38 ◯副議長(小出功君) ご静粛に願います。    (都市整備部長諏訪豊君登壇) 39 ◯都市整備部長(諏訪豊君) それでは、再度のご質問にお答えいたします。  東京都は費用対効果の観点から設置は予定していないということであり、その対応につきましては、高齢者等の対応のエレベーターにつきましては、住宅変更の制度を考えているという形でございますので、区としては、推移を見守っていきたいと考えてございます。  以上でございます。     ─────────────────────────────────── 40 ◯副議長(小出功君) 21番中村まさ子君。    (21番中村まさ子君登壇) 41 ◯21番(中村まさ子君) 市民の声・江東の中村まさ子です。以下、4点にわたり質問をいたします。  まず、入札制度改革について。  ことし、公共事業の契約をめぐって、目黒区では区長の自殺と契約課長の逮捕、荒川区では区長と助役の逮捕という衝撃的な事件がありました。国や自治体を問わず、公共事業に関する贈収賄事件や談合事件が起こるたびに関係法の改正や新法の制定、入札制度改革が行われてきました。2000年には、いわゆる「入札契約適正化法」、2002年には「官製談合防止法」が成立しています。しかし、依然としてそれらの事件は後を絶たない状況です。この2つの法律には対応する刑法上の罰則規定がないことが、実効性の薄い理由と言われています。  しかし、自治体の中には、独自の入札制度改革に取り組み、談合防止や自治体の政策実現に成果を上げているところもふえてきました。よく知られているのが神奈川県横須賀市の取り組みです。横須賀市は人口約42万人、江東区とほぼ同規模の自治体です。入札の透明性、公平性を実現するため、指名競争入札を全廃し、一般競争入札に変え、電子入札の導入などを行いました。その結果、5年で平均落札率は95.7%から84.8%になり、年間10件前後あった談合情報もゼロになったということです。  また、落札差金が大幅にふえ、その分を関連工事の前倒しや追加工事として地元業者に発注したり、あるいは、福祉事業などの財源に充てたりしています。安値落札による工事の質の低下防止や丸投げ防止のためには、工事検査体制の強化、「不良業者」の半年間の指名停止などで対応しています。現在はさらに改革を進め、変動型最低制限価格制度を導入し、市場価格を反映しやすい仕組みになっているということです。  江東区は入札制度について、どのような取り組みをしてきたのか、以下、何点かお伺いをいたします。  初めに、区の入札に関して、時々談合情報があることが、企画総務委員会などで報告されてきました。談合情報に対してどのような対応をとってきたのか、どのような談合防止策をとっているのかお示しください。  談合を行いやすくする理由として、「指名競争入札」の制度がその一つに挙げられています。横須賀市では一般競争入札に制度変更し、その手段としての電子入札が透明性、公平性の確保に大変効果的であることが証明されました。また、当初「一般競争入札」は郵便入札によって行われ、のち電子入札に移行しましたが、劇的に入札事務が効率化、迅速化できたそうです。横須賀市の職員の言葉をかりれば「電子入札が稼働してからは天国」ということです。  江東区では郵便入札が試行されていますが、電子入札に向けて、さらに積極的に進めていく必要があると思います。区の考えをお聞かせください。  次に、江東区のここ数年の落札率とその評価をお示しください。落札差金については、年度によって多少がありますが、江東区では執行残として処理しています。昨年度の落札差金はどれくらいでしょうか。今後、入札改革が進めば、落札差金が増加することが予想されますが、その使い方について、単に不用額とせず、江東区としての方針を立て、ルール化することも検討してはいかがでしょうか。  次に、総合評価型入札について伺います。  現在の入札制度は、価格という単一の要素で落札者を決定していますが、そのことが談合やダンピングを生みやすくなっています。総合評価型入札は、価格と価格以外の要素を総合的に評価し、発注者にとって最も有利なものを落札者とする入札方法です。1999年、当時の自治省が地方自治法施行令を改正し、「価格その他の条件が最も有利なものを落札者とする」として、総合評価型入札が認められるようになりました。  そのメリットの第1は「談合防止効果」です。業者が価格以外の幾つかの要素を一々調整して落札者を決めるのは、大変煩雑になり、事実上、談合は困難になります。むやみな低価格競争の抑止効果も期待できるでしょう。  総合評価型入札のさらなる意義として、自治体の実現すべき政策を入札条件に盛り込む、いわゆる「政策入札」が挙げられます。自治体は住民福祉や環境、男女共同参画、公正労働などを入札の評価基準に組み込むことで、入札を政策実現の手段とすることができます。これらの社会的価値に配慮する企業に有利に働くようなシステムにすれば、企業に対して、これらの価値を追求するよう促す効果が期待できます。  現在、江東区は長期基本計画の改定作業中です。9月28日号の区報「江東区長期基本計画特集号」を見ますと、例えば、施策8、9として「男女平等意識の確立、男女共同参画の促進」があります。その施策実現に関する指標として「男女が平等だと思う区民の割合」は、昨年度わずか12.4%です。これを21年度には40%にすることが目標になっています。  男女平等施策を進め、現在の状況を改善するのは江東区の責務であります。そのため、政策入札を導入する意義は大いにあると思いますが、いかがでしょうか。具体的には、男女の雇用状況、育児休業や介護休業の取得状況、セクシュアルハラスメントに対する対策などを事業者に報告させることなどが考えられます。  また、施策16では、「高齢者や障害者の自立」があります。障害者の法定雇用率を達成しているかどうかが指標となるでしょう。現在は残念ながら、法定雇用率未達成の企業がまだ多く存在しています。入札の仕組みに障害者雇用促進の要素を入れることで、福祉政策の充実が図れます。加えて、次世代育成支援対策推進法に盛り込まれている「母子家庭の就業支援」のため、母子家庭の母親の雇用率などを評価基準とすることも可能だと思います。  さらに、施策31、32では「資源循環型社会の形成」「環境保全のためのパートナーシップの形成」を挙げています。その実現のために、入札時にISO14001の取得、グリーン購入法に基づく「グリーン調達」「グリーン配送」などを考慮することは、十分検討の価値があることではないでしょうか。  公正労働については、まだ明確な基準がありませんが、生活できる賃金、雇用の継続、労働安全、労働福祉などが含まれると考えられます。  目黒区、荒川区の事件をよそごとに終わらせず、「公契約条例」を制定して、総合評価型入札を導入する契機とすべきではないかと思い、質問いたしました。前向きの答弁を期待いたします。  次に、「生活賃金」、リビングウェッジについて伺います。  生活賃金運動は今から10年前、アメリカのボルティモア市から始まりました。市の公園の仕事をしていた労働者が、貧困層に食事を配る列に並ぶのを見ていた市民が、「あの人は1日8時間働いているのになぜ並んでいるのか」と疑問を持ったのがこの運動のきっかけでした。「1日8時間きちんと働いたら、生活貧困ラインを上回る賃金を」という声がボルティモア市の市民、教会、労働組合から上がり、生活賃金条例がつくられました。  現在、生活賃金条例はアメリカの120の都市に広がっているそうです。この運動は、自治体が直接雇用するパートだけでなく、自治体とサービス提供契約を結ぶ企業、補助金を受け取る企業や事業体、NPO、自治体が開発、建設する施設で営業する企業に対し、生活賃金の支払いを条例に基づいて求めています。つまり、税金が投入される企業は、労働者にきちんと生活できる賃金を支払わなければならないということが決められたのです。  翻って、日本では労働者の賃金の低下が続き、一方、自治体では、さまざまな形で公共サービスの外部委託が進められています。現在、労働者の賃金は「最低賃金法」で決められています。東京の最低賃金は、この10月から1時間710円ですから、1日8時間、1カ月に21日間働いても11万9,000円ほどの収入にしかなりません。例えば、60歳代の男性、単身者の生活保護費は、住宅扶助を入れて13万3,230円、30歳代の夫婦と小学生の子ども1人の家庭の生活保護費は23万9,480円です。最低賃金では、労働基準いっぱいに働いても生活保護費にも届かないのです。自治体の委託、発注する仕事が、暮していけない低賃金労働や不安定雇用を拡大してしまうことは許されません。せめて自治体が事業者と委託契約を結ぶときや、補助金を出すに際しては、労働者に生活保護費並みの水準の賃金を保障するよう、何らかの取り組みをすべきではないでしょうか。  賃金が保障されることで、労働者の購買力がふえ、地域経済の活性化にも寄与します。また、税金を財源とする社会福祉費用の削減が見込まれます。そのコストは少額で済み、アメリカの例では、条例の対象になる総事業費の1%にすぎないという報告がありました。アウトソーシングを進める意義にもかなうのではないでしょうか。生活賃金条例を検討すべき社会経済状況だと思いますが、区の考えを伺います。  最後に、指定管理者条例について伺います。  今定例会に「指定管理者の指定手続に関する条例」が提出されています。いわゆる通則条例としての内容です。この条例をもとに、今後は個別の条例が制定されることになりますが、以下、この条例に関して、何点かお伺いいたします。  第6条は「募集によらない指定管理者の候補者の選定」について決めています。これは区の出資団体、公共団体などに限定して選定するということですが、制度の透明性、公平性を担保するためには、その団体が選定された合理的で具体的な理由がなければなりません。区は区民、ほかの事業者、議会へ十分な説明責任を果たしてください。  また、指定管理者選定委員会は、行政内部のメンバーだけで構成するのではなく、外部の人を入れること、その選定の過程や内容の公開、利害関係者の排除などが必要と思いますが、いかがでしょうか。  第12条では、「指定の取り消し」について定めています。指定を取り消すのは「指定管理者の責めに帰すべき事由」があった場合ですが、これは倒産など決定的な問題があった場合と考えられます。しかし、個別条例では、それに限らず、事業内容に即した具体的な取り消し事由を定めることも検討すべきではないでしょうか。  情報公開については、今回「情報公開条例の一部改正」をして、指定管理者をその実施機関に加えました。適正な扱いだと思います。ただ、課題も残ります。例えば、清掃や警備などの業務を指定管理者から再委託することは法では規制されていませんが、再委託先まで自治体がコントロールすることは困難です。自治体側は事業報告書のチェックや指定管理者に対する調査・指示などの監督権限の中で、業務以外のその事業体の情報についても、常に注意を払うことが求められます。再委託先の情報公開について、その対応を伺います。  最後に、個別条例のあり方についてです。  施設ごとの個別条例をつくるに当たって、部局ごとの縦割り意識を払拭して、区が実現すべき社会的価値の認識を組織横断的に共有する必要があります。政策入札と同様、男女共同参画や福祉、環境、公正労働などの条件を条例に盛り込むことができれば、江東区という自治体の姿勢が明確になるでしょう。区の条例策定に当たっての方針をお聞かせください。  以上で質問を終わらせていただきます。  ご清聴ありがとうございました。(拍手)    (区長室橋昭君登壇) 42 ◯区長(室橋昭君) 中村まさ子議員の質問に対して、私からは、入札制度改革についてお答えをいたします。  今日、自治体の契約につきましては、公正性、経済性、透明性が強く求められております。他区の不祥事が報道されておりますが、行政に取り組むに当たりまして、区民の信頼は不可欠であり、事件を他山の石として、一層襟を正す必要があると考えております。  初めに、談合に関するお尋ねでございますが、件数は少ないながら、談合情報が区に寄せられております。談合情報については、その情報の信憑性などを検討し、関係者から事実関係について事情聴取を実施し、疑念が深まった場合は、公正取引委員会に通報することにしておりますが、現在のところ、そこまでに至った事例はございません。  また、契約締結後に不正が明らかになった場合は契約を解除し、損害賠償を請求することにいたしております。その他談合がしづらい対策として、予定価格の事前公表や顔を合わせない郵便入札を試行しているところでございます。また、指名競争入札について、これまでいろいろとご意見をいただいておりますが、多くの自治体で活用されており、競争性、経済性も見込まれ、現在でも有効な仕組みであると考えております。  来年度からは共同運営による電子入札が始まりますので、業者側のインターネット環境を考慮しながら電子入札を実施する考えであり、多様な入札制度とあわせて、入札方法の改善に引き続き努めてまいります。  次に、落札率でありますが、平成14年度では87.5%、15年度では88.4%、16年度では、10月現在で92.6%、また、前年度の差金は工事件数が多かったこともあり、10億1,000万円余であります。落札率は工事の種別によりばらつきがありますが、おおむね競争性は確保されていると考えております。落札差金につきましては、これまでと同様に、当該年度に必要な工事等に一部は充当し、残額は次年度予算において有効活用を図ってまいります。  なお、その他のご質問につきましては、所管部長から答弁をいたさせます。    (総務部長鈴木重臣君登壇) 43 ◯総務部長(鈴木重臣君) 次に、総合評価型入札についてお答えをいたします。  地方自治法施行令の改正により、これまで入札価格のみが評価の対象であったものが、価格以外の要素を加えた、発注者に最も有利なものを落札者とする道が開かれたのは、ご指摘のとおりであります。  ただ、この方式を採用する場合は、その他の要素について、事前に基準を公表するとともに、発注者側は、入札金額と合わせてこれを審査し、順位づけをして総合評価により落札者を決定することになります。その他の条件をいかに設定し、評価していくか、その基準づくりが必要となります。これまでは大型のPFI事業など一部に導入されておりますけれども、一般の工事、物品の調達では、導入が進んでいないのが実情であります。  また、男女共同参画の促進や環境に配慮した事業活動など、価格以外の、いわゆる社会的な価値を反映させた政策入札についても、評価項目、評価基準、そしてウエートづけをどのようにするかが課題であり、企業の社会的責任と自由な経済活動の確保など、基準づくりには多くの議論が想定されます。ISOや障害者の法定雇用率など、比較的多くの人が理解できる基準がある一方、人権の問題など要請される目標の抽象性が高い場合は、指標にすることが難しい場合も考えられます。  政策入札を導入することにより、談合防止やダンピング防止が期待され、また、区の政策を促進させる役割を担わせることも可能な一方、評価基準の合意形成に多くの時間を要することでもあり、これらを導入するのは今後の検討課題と考えております。  次に、生活資金条例についてでございますけれども、労働者の賃金については、各国でさまざまな方法により決められている歴史がございます。アメリカのボルティモアで始まりましたリビングウェッジについても、地域の歴史や文化、産業構造や社会経済状況の変化などにより導入された考え方と受けとめております。  一方、我が国では、労働基準法や最低賃金法など関係法令に基づき、労使双方の話し合いにより労働条件が決められているのが実情かと存じます。区が発注する公共サービスの外部委託につきましては、多様化する区民ニーズにこたえていくため、民間活力の活用とサービス充実の観点から、アウトソーシングを進めているところでございますけれども、発注に当たっては、所要経費を的確に積算し、適正価格をもって契約をしているところであります。また、工事や製造の請負契約におきましても、同様の考え方により発注しており、ダンピングによる履行上の問題については、最低制限価格をもって対処しております。その他、物品等の調達においては、原材料費、人件費、流通経費などを含んだ製品価格を契約の基礎としているところであります。  区の契約は当然のことながら、相手方との合意に基づき締結しているところであります。これまで条件とされていなかった賃金問題である「労働者の一定水準の賃金を保障すること」を契約上の条件とすることはさまざまな問題が予想され、このことを公契約に導入するには社会的なコンセンサスが必要と考えます。  厳しい経済環境の中、働く者が生活できる賃金の保障は大切な事柄ではありますけれども、労働者保護の問題は労働行政全般の中で広域的に取り組むべき課題であると認識しております。    (政策経営部長佐藤哲章君登壇) 44 ◯政策経営部長(佐藤哲章君) 次に、公の施設の指定管理者に関する通則条例についてのご質問にお答えをいたします。  公の施設の指定管理者につきましては、条例で指定手続、管理の基準及び業務の範囲を定めることとなっております。  条例整備の方法としては、個別の施設設置条例ごとに、指定手続等必要事項を規定する方法と、共通する事項を通則条例で定め、その他は個別の施設設置条例で定める方法があります。本区では、指定管理者制度への移行に当たり、公正な指定手続や条例改正手続の煩雑さなどを考慮し、各施設に共通する指定手続や個人情報の保護などを通則条例として制定することとし、本定例会に提案をいたしております。  まず、募集によらない指定管理者の選定についてであります。公の施設の性格や機能等を考慮し、地域等の活力を積極的に活用することにより効果的な管理ができる場合は、募集によらずに出資法人等を管理者に選定できることとしております。しかし、この規定を適用する場合においても、選定委員会における選定基準による評価を実施し、区民や議会等に合理的な選定理由を説明してまいりたいと考えております。  次に、選定委員会についてですが、選定手続の公正性や透明性を確保するために設置をすることにしております。選定委員会の内容については、現在検討をしているところですが、施設によっては外部の専門知識を持った者も選定手続に加わることができる規定を設けるとともに、選定過程や結果の情報開示をすることを考えております。  次に、指定の取り消しについてであります。通則条例では、指定管理者が指示に従わないとき、その他指定管理者の責めに帰すべき事由により管理を継続することができないと認めるときには指定を取り消すことができるとしております。具体的な取り消し事由としては、施設の設置目的や協定書の内容に反する行為があった場合や、指定管理者が社会一般の信用を失ったときなどが想定されますが、いずれの場合も、通則条例の規定で対応できるものと考えております。  次に、情報公開についてであります。情報公開条例を改正し、指定管理者が管理をする施設に関する文書等についても、公文書開示の規定を適用することにしております。指定管理者が清掃、警備等の業務を第三者に委託した場合、これらの業務についても、情報公開の対象となるものであり、指定管理者を指定した実施機関は、指定管理者に対する報告の聴取や調査等を適切に実施し、業務内容を把握する必要があると考えております。  次に、個別条例のあり方についてであります。個別条例では、施設の管理基準のほか、業務の範囲等を規定することとしております。個別の施設の選定に当たっては、通則条例で定める基準をもとに、施設の設置目的等を効果的に達成できるような具体的な選定基準を設定し、募集の際に示すことを考えております。     ─────────────────────────────────── 45 ◯副議長(小出功君) 29番松江恒治君。    (29番松江恒治君登壇) 46 ◯29番(松江恒治君) 質問の機会を得ましたので、大綱3点について伺います。  質問の前に、新潟県中越地震で亡くなられた方々に対し、心よりご冥福をお祈りするとともに、今なお、不自由な避難所生活を余儀なくされている方々に、心よりお見舞いを申し上げます。  質問の第1に、本区の災害対策について伺います。  この点に関しては、同僚議員から質問がありましたが、私の立場で何点か伺います。  いつ起こるかわからない自然災害から区民の生命、財産を守ることは区政最大の課題であり、そのため、本区も各種の災害対策に取り組んでまいりました。  ことしは異常気象の影響か、多くの台風が日本に上陸し、その数は、きょうまでで10個に及び、多くの被害をもたらしました。特に22号、23号は本区にも床上・床下浸水、道路冠水、倒木等の被害を及ぼしました。あわせて、床上浸水26世帯、床下浸水90世帯、道路冠水については、区内全域にわたるとの報告を受けており、特に亀戸地域の京葉道路の冠水では、動けなくなった自動車を地元住民が移動している場面がテレビニュースで放映されました。ここ数年、台風に限らず、ゲリラ的豪雨による浸水・冠水箇所はおおよそ特定されており、早急に対策を講じるべきです。東京都は現在、新クイックプランを打ち出し、豪雨対策に取り組んでおります。強力に都に働きかけ、一日も早い区内からの被害地域一掃を図るべきと思いますので、状況をお聞かせください。  また、台風23号が接近した10月20日、夕方2回、固定系防災行政無線から暴風雨に対しての予防対策の喚起を促す放送がありました。このこと自体は大変に結構なことでありますが、強い雨や風の影響で区民には十分に伝わらず、逆に不安感をあおってしまった事実があり、改善が必要です。こうしたことへの対応とあわせて、今回の台風被害について、どのような総括をしたか伺います。  次に、10月23日夕刻、新潟県川口町で震度7を観測する大きな地震が発生し、甚大な被害をもたらしただけでなく、今なお続く余震で、多くの被災者は恐怖と不安で眠れない日々を送っております。  そこで、本区の防災対策について伺います。  本区では、地域防災計画を策定し、毎年修正を加えながら、計画の推進に努めております。本年もその時期が来ているわけですが、平成7年の阪神・淡路大震災、先ごろの新潟県中越地震の被害状況を踏まえ、具体的な数値目標を盛り込んで、新たな「地域防災計画」を策定し、減災対策に取り組むべきと考えます。このことに対する区の考えをお聞かせください。  次に、災害時に犠牲となる方の多くが高齢者、障害者、子どもであり、今後は区内に在住する外国人も対象になると思われます。しかしながら、最近では、災害弱者は経済的にも弱者であると言われています。こうした方への居住環境の改善を含めた生活支援も必要です。荒川区では、近隣が協力して、災害弱者をおぶって避難する「おんぶ隊」を結成したとの報道がありました。本区にあっても、災害協力隊と連携をとり、災害弱者を守る体制を組む時期に来ていると思います。毎年実施している江東区総合防災訓練のメニューに加える考えはないか伺います。  現在、江東区では、大地震で火災が発生した場合の避難場所として12カ所が指定されており、各所にその案内板が設置されております。しかし、それらの多くは設置場所や表示内容で機能を十分に発揮しているとは思えません。また、一時集合場所にはその案内板すらありません。私どもが地方へ行ったときなど、意識をしなくとも避難場所の案内板が目に入ってきます。新住民が多い本区としては、この点についても再考の余地があると思います。  さきの新潟県中越地震の際、小千谷市と長岡市では、指定された避難場所が住民に知らされていなかったり、避難所そのものが被災したり、余震の恐怖から車への自主避難が多いなどが主な要因で避難所の4割が利用されず、避難所のあり方にも課題を残しました。住まいを一歩出て周辺を歩いたり、通勤・通学の途中で、また、日ごろ利用する区民施設へ行ったときなど、ここが避難場所で、ここが一時集合場所であるということがわかるような表示方法や案内板にすべきであります。区の改善策を伺います。  いずれにしても、災害対策は行政の限りない努力と住民のさらなる意識の向上が一体となって被害を最小限にできるものであります。防災センターの完成を間近に控えた今、これまでの種々の教訓を生かし、課題に真正面から取り組み、41万区民の生命と財産を守るべきであります。区のさらなる努力に期待をいたします。  次に、本区をさらにイメージアップすることについて伺います。  本区は区民の意見を区政に反映させる方法の一つとして、昭和48年から隔年で江東区政世論調査を実施しております。当時の調査結果では、区からの転出意向が33%を超えていましたが、ことし1月に発表された世論調査では、転出意向が5%台に減少する一方、定住意向は85.2%と平成元年以降、80%台半ばの高い水準を維持しており、まさに隔世の感があると言ってよいと思います。  これは、区と議会が区民福祉を最優先に取り組みつくり上げてきた「まちづくり」としての結果が実を結んだもので、例えば、古くは区と議会が一致団結して闘った、いわゆる夢の島のごみ戦争を初め、最近では、急増するマンション問題等への対応が今日の江東区を形成しているのであります。
     かつては水害で悩まされた中小河川の親水化、交通アクセスの整備、買い物の便利さ、公共施設の整備など、下町のよさを継承する一方、進化を続ける臨海・ベイエリアが高いポテンシャルを持つなど、これからの江東区づくりへの意欲を大いに秘めている我が町であると思います。この点についての現状認識と今後の課題について、まず伺います。  そこで、本区をさらにイメージアップするために、観光の面から何点か伺います。  本年2月、東京都は17名の委員から成る臨海地区観光まちづくり検討会による「臨海地区観光まちづくり基本構想」を発表しました。これによると、策定の経緯、位置づけ、定義、現状と課題、また理念とコンセプトなど、具体的に施策の展開を示しており、本区においても、現在策定中の「江東区長期基本計画」の中で、観光事業についても検討が進められると聞いております。都の検討会には、区の職員が委員として出席をしておりますが、臨海地区の8割を占める本区内に詳細な検討が加えられました。区はこの検討結果をどのように評価しているか、伺います。  次に、本区観光事業推進の基本的な考え方について伺います。  本区には、年間4,200万人にも上る臨海副都心への来訪者を初め、深川江戸資料館や芭蕉記念館などの観光文化施設や清澄庭園などの名所・旧跡に毎年多くの観光客が訪れています。そして、これらの観光客は、新たな消費者として本区の地域産業活性化の資源としても大いに注目すべきであります。観光を生かして区内産業の活性化を図るためには、既成市街地の観光客をふやすことがまず必要であり、さらに、観光客の満足度を高め、リピーターとしていくことにより、その効果の持続が可能になると思います。また、そのためには、観光客が地元商店街で実際の消費活動を行うことが必要であり、区は今後の観光事業を推進していく上で、これらの点についてどのように考えているのか、お尋ねします。  また、既成市街地の観光客をふやす一環として、臨海副都心への来訪者を誘導することは極めて有効な手段であると考えます。そのためには、何といっても交通アクセスの確保が肝要であります。私は、本年第1回定例会で、広く区民に親しまれている「のらくろ」を本区のイメージキャラクターとして起用してはどうかと質問をいたしました。地域振興会を中心に、本年12月に漫画家のやなせたかし氏を迎え、森下文化センターを中心に地元商店街とともにイベントを開催すると聞いております。こうしたイベントのアピールと集客にも、既成市街地と臨海部を結ぶ足の確保は欠かせません。この点についての考えを伺います。  次に、新たな魅力づくりとしての本区らしい名産品や土産品づくりへの支援をどうするか、また、こうした地元の努力をPRする情報をどのようなもので、どう提供していくかについても伺います。  観光とは「光を観る」と書きます。これは、まさにライトアップと言ってよいでしょう。本区で制定した「まちなみ景観」や「まちなみ保存」の施設などへのライトアップも進めるべきと考えますが、この点についても考えをお聞かせください。  さらに、人材の確保、活用の観点からの観光ガイドの育成をどのように進めていくかについてもお伺いいたします。  最後に、食を通じた教育による子どもの健全育成について伺います。  さまざまな経験や教育指導を通し食物に関する知識と選択をする力を習得し、健全な食生活を営む力を育てるいわゆる「食育」は、食の安全確保だけではなく、心身の健康を維持し、生涯にわたり、健康で質の高い食生活を送るための基礎となるものであり、特に子どもたちへの食育は、心身の健やかな発達や豊かな人間性の育成という観点からも大切な教育です。  最近とみに、食事の価値観やライフスタイルの変化等により、子どもの食事は簡便化と欧米化が進んでいます。日本全体でも、伝統的な日本型の食生活が減少し、動物性脂肪の多い欧米型の食生活に移行しており、厚生労働省の国民栄養調査結果でも、米類の消費が減少していると指摘しています。  子どもの食生活においても、当然、こうした大人社会の影響を受けており、生活習慣病の若年化傾向も、これら食生活の変化による一つのあらわれと思います。  文部科学省の継続的な調査によると、子どもの身長の伸びが著しい反面、肥満や肥満傾向が増加し、運動能力の落ち込みが大きいこと、また、東京都の調査においても、運動を積極的にする子どもとしない子どもの二極化が進んでいること等が報告されています。  そこで、本区の子どもたちの健康診断での生活習慣病の実態や、スポーツテストの結果を踏まえた体力の傾向はどのようになっているのか、伺います。  次に、学校給食における食育指導について伺います。  昭和29年に制定された学校給食法は、本年で50年になります。同法は児童・生徒の健康増進を図るとともに、正しい食生活を身につけ、食事という生きた教材を通して、正しい食事のあり方や好ましい人間関係を体得することをねらいとして施行され、給食は学校教育の一環として位置づけられています。  かつて、日本人は、はしの上げおろしからしつけが始められ、一家そろっての食事は人間教育の重要な場でした。手をかけ、知恵を駆使した料理、自然の恵みに感謝した食べ物を大切にする心、皆で分け合う会食の楽しみ、他人に不快感を与えない食事作法等、それが日本人としての家庭教育であり、食教育でした。しかし、現在は、核家族化によりひとりで食事をとったり、大人がいない食卓で食事をする子どもたちが多くなってきております。  21世紀はコミュニケーション能力が最も望まれる時代と言われています。国際的なリーダーを対象とした調査でも、「21世紀を生きる子どもたちは、コミュニケーション能力を養うことが知力や体力を高めることと同じぐらい重要である」と提言しています。  食べさせるだけの給食ではなく、おいしい食を媒体に文化や伝統が伝えられ、心を開き、会話がはずむ食環境が必要です。  本区においても、学校給食指導の中で、食育の取り組みを実践している学校もあると聞いております。未来を担う子どもたちが豊かな人間性をはぐくみ、生きる力を身につけていくために、本年を新たな契機として学校給食における食育指導のあり方と位置づけを明確にして、食育の推進に積極的に取り組んでいくべきと考えます。区のご所見を伺い、私の質問を終わります。  ご清聴ありがとうございました。(拍手)    (区長室橋昭君登壇) 47 ◯区長(室橋昭君) 松江恒治議員の質問に対し、私からは、本区の災害対策についてお答えをいたします。  台風22号では、下水道施設の能力を超える69ミリの豪雨が降り、各所で道路冠水や床上・床下浸水が発生いたしました。また、台風23号においては38ミリの雨により、一部の道路冠水と床下浸水が起こっております。  しかしながら、平成12年の集中豪雨で大きな被害が出た地域では、雨水整備クイックプランの実施により浸水被害は大幅に軽減いたしました。  今後におきましては、引き続き東京都に対して、下水道クイックプランの強力な推進と、今回、浸水被害が生じた地区の追加を要請してまいりたいと考えております。  また、区民への周知方法については、今回、防災無線を初めて使用したところ、区民の方々から聞きづらい等、多くの問い合わせがありました。今後は区民への周知については、早めの防災無線の活用や他の伝達手段も含め、対応してまいります。  次に、震災対策についてですが、本区の防災計画が前提とする被害想定は、平成9年8月に東京都防災会議が発表したものであり、区部直下を震源とする地震が起きた場合を想定したものであります。  折しも今月の17日、中央防災会議は首都直下地震の「震度分布図」を発表いたしました。今後、東京都の被害想定ないし防災計画の見直しを見据えながら、本区防災計画の一層の充実を図ってまいりたいと存じます。  次に、いわゆる災害弱者への対策であります。  本区が行っている災害協力隊ごとに作成する「地区別防災カルテ」事業については、今年度より未作成の各災害協力隊への働きかけを強め、17年度からは区の主要事業として、より一層推進してまいります。さらに、各災害協力隊が外国人を含めた災害弱者に対し、これまで以上に自主防災訓練への参加を呼びかけるとともに、本区の総合防災訓練の一環として、災害弱者の救出訓練などをメニューに加えることも検討してまいります。  また、居住環境の改善や支援につきましては、このたびの地震を踏まえ、今後、地震対策の見直しが必要となりますので、その中の課題としてまいりたいと存じます。  次に、避難場所標識板の見直しについてのお尋ねでございますが、避難場所標識板は、区内12カ所の避難場所に東京都が59基を設置しており、都と区の役割分担で、区はその維持改修を担っております。本年度は標識板の避難マークを国際的に統一された表示により、近隣区に先駆けて実施いたします。なお、このマークは蛍光化を図り、夜間でも確認することが可能となります。  平成15年度の区政モニターアンケートによりますと、自分の地域の避難場所、または自分の地域が地区内残留地区であることを知っている方は約75%で、区民の関心の高さを感じております。  ご指摘の新住民や外国人への対策ですが、ホームページなど、広報活動での周知を行っておりますが、今後は定期的に地域の広報板などを利用して、一時集合場所など地域の防災情報の周知を検討してまいります。  いずれにいたしましても、今回の新潟県中越地震を教訓として、さまざまな課題に対し、本区の災害対策に生かしてまいりたいと存じます。  なお、その他のご質問につきましては、所管部長から答弁いたさせます。    (政策経営部長佐藤哲章君登壇) 48 ◯政策経営部長(佐藤哲章君) 次に、本区のさらなるイメージアップについてのご質問にお答えをいたします。  まず、区民の定住意向についてであります。  改めて、この間の江東区政を振り返りますと、行政と議会の一致協力のもと、区政各般におけるハード・ソフト両面にわたる発展は目覚ましいものがあり、それら江東区のまちづくりの成果は今日、区民の高い定住意向の継続と40万都市の実現にあらわれたものと考えております。  長期基本計画の折り返し地点に立って、気持ちを新たに、40万都市にふさわしい自治体運営を目指し、さらなる区民サービスの向上と本区のイメージアップに努めてまいりたいと存じます。  また、本区のイメージアップを考える上で、今後、さらなる取り組みを進めていくべき課題の一つが、ご指摘の観光施策かと存じます。  そこでまず、東京都が策定した「臨海地区観光まちづくり基本構想」に対する評価でありますが、都として「臨海副都心地区」を観光施策の柱と位置づけたことは、一定の評価をしてもよいと考えます。また、「江東区」の観光振興という視点が不足している点は否めないものの、観光活性化について、地元企業が中心となり構想を策定していくという手法は、本区の各地域における観光活性化の手本になるものと考えております。  次に、本区観光施策の基本的な考え方についてであります。  本区には、臨海副都心を初め、多くの観光資源があり、毎年、多くの観光客が訪れております。このような観光客の消費活動を本区中小商工業の活性化につなげるため、本年度より経済課に商業観光係を設置し、観光事業の推進を検討してまいりました。  その基本的な考え方としては、まず、既成市街地の観光客そのものをふやすこと、観光客の満足度を高めることが必要であるとの観点から、「交通アクセスの確保」「新たな魅力の創出」「観光情報のPR」「観光振興の基盤整備」の4点を基本目標に掲げ、事業を展開することとしております。  臨海部と既成市街地の交通アクセスの確保につきましては、臨海副都心への来訪者を既成市街地へ誘導する手段と考えられることから、既存の公共交通機関との役割分担を含めて検討していきたいと考えております。  また、新たな魅力づくりとしては、地域の特色を生かした商品の開発支援や水辺を活用したイベントなどを考えているところであります。  さらに、これらのPRにつきましても、従前からの観光イラストマップに加え、さきの補正予算で地域商業観光マップの作成補助や観光パネルの作成を開始したところでありますが、今後、さらにイベント情報のPRやテーマ別マップの作成など、総合的な観光施策を検討してまいりたいと考えております。  次に、「まちなみ景観」などのライトアップにつきましては、施設選定などの課題がございますので、ご提案の趣旨を踏まえ検討させていただきたいと存じます。  また、観光ガイドの育成につきましては、現在、文化財ガイドの要請を検討しておりますので、その事業化後は観光施策との連携を図ってまいりたいと考えております。    (学校教育部長高橋三喜男君登壇) 49 ◯学校教育部長(高橋三喜男君) 私からは、食育を通した子どもたちの健全育成についてお答えをいたします。  まず、本区の児童・生徒の生活習慣病の実態につきましては、生活習慣病予防検診の結果から見ますと、最近の5カ年はほぼ横ばいの状況と言えます。  肥満傾向については、軽度肥満から高度肥満までを含めた割合では、おおむね小学校4年生では15~17%の間、中学校1年生では、13~15%の間を推移しております。また、高コレステロールについても、小学校4年生は19~21%、中学校1年生は11~13%の間を推移しております。数値の算出方法が全国とは異なるため単純な比較はできませんが、傾向としては国と同様であると考えております。  続いて、本区の児童・生徒の体力の現状につきましては、全国や東京都の傾向と同様に二極化傾向を示していると言えます。今年度も各中学校の運動部活動が都大会、関東大会、全国大会に多数出場し、好成績をおさめておりますが、体力テストから区全体の傾向を見ると、平均値は東京都とほぼ同程度、全国と比べると、やや下回る傾向にあります。  体力向上の取り組みにおいては、去る10月に、体育科の研究協力校として、臨海小学校が2年間の研究成果を400名を超える参観者に対し発表いたしました。また、FC東京普及部との連携により、小学校十数校に対し、プロサッカーコーチの派遣を依頼し、子どもたちがすぐれた技術に触れたり、教師が効果的な指導法を学んだりする機会としております。  各学校では、教育活動全体を通して運動に親しむ資質や能力を育てるとともに、休日の過ごし方を各家庭に啓発し、運動習慣の定着に努めているところであります。  次に、学校給食における食育指導についてお答えをいたします。  ご指摘のとおり、豊かな心とたくましい体をはぐくむためには、その基盤となる食育が重要であることは、教育委員会も強く認識しているところであり、平成12年度には、いち早く指導資料を作成し、啓発に取り組んでまいりました。  各学校におきましては、生活科や家庭科、保健体育科、学校活動に加え、総合的な学習の時間において教科等の学習内容、そして、今日的な健康課題として取り組む学校がふえてきております。  具体的には、担任と栄養職員のチームティーチングによる食生活の見直しや効果的な食事のとり方等の基本的な栄養指導や、米づくり、みそづくりなど、原料の栽培から調理、会食まで行う体験的活動や、食育アドバイザー講習といった先進的な取り組みも行われております。  また、日々の給食の時間の充実として、ランチルームを活用した交流給食や地域の高齢者を招く招待給食等、人とかかわりながら楽しく食事をする機会の設定や季節の食材の使用、週3回の米飯給食、行事や伝統にかかわるメニューづくりなど、さまざまな工夫がなされております。  教育委員会といたしましても、ご質問の趣旨を踏まえ、特色ある取り組みの紹介や指導資料の積極的な活用等を通し、今後も食育の重要性について、学校や保護者への啓発を図るとともに、一層の充実に向けて取り組んでまいる考えであります。 50 ◯副議長(小出功君) 以上をもって、一般質問を終了いたします。   ────────────────────○────────────────── 51 ◯副議長(小出功君) おはかりいたします。  明11月27日から12月12日までは委員会審査のため休会し、来る12月13日午後1時から継続本会議を開会いたしたいと存じますが、ご異議ありませんか。    (「異議なし」と呼ぶ者あり) 52 ◯副議長(小出功君) ご異議がないものと認めまして、さよう決定いたします。  ただいまご着席の方には改めてご通知いたしませんから、ご承知の上、ご参集を願います。  本日は、これをもって散会いたします。    午後5時27分散会                                         ( 了 ) Copyright (c) Koto City Assembly Minutes, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...