◎区長(山本亨) 議長
○議長(
田中邦友)
山本区長 〔区長
山本亨登壇〕
◎区長(山本亨) ただいまの
財政白書と
基本計画中間改定に関するご質問にお答えします。 まず、
財政白書で推計した今後5年間の財政収支及びその状況を踏まえた財政運営・
行財政改革についてです。 ご指摘のとおり、
財政白書における財政推計では、今後の財政状況は大変厳しくなると見込んでいます。これらを踏まえ、これまで以上に行政として担うべき事業の選択と集中を図り、
行政サービスや組織のあり方、業務の見直しなど、抜本的な
行財政改革に取り組み、効率的・効果的な区政運営を行い、強固な
財政基盤を構築していきます。 次に、本区の人口増加については当面続く見込みですが、近い将来、減少局面を迎えることが予測されます。また、高齢化の一層の進展などにより、人口構成も変化していきます。そこで、それぞれの状況に応じて
行財政改革を着実に実施しながら、適切な
行政サービスを提供し、誰もが安心して暮らし続けられる
まちづくりを推進します。 次に、
基本計画の改定に向けて、
財政白書における本区の課題に対し、どのように対応していくのかについてです。 将来における歳入環境が不透明な中、公共施設の更新需要や
社会保障関連経費の増加など、対応すべき課題は山積しています。こうした状況を踏まえ、
基本計画の改定に当たっては、社会情勢の変化に的確に対応することに加え、すみだらしい共に支え合う
まちづくりの推進や、本区の更なる発展につながる産業振興の取組など、本区の目指す将来像の実現に向けた施策を重点化していくことが重要であると考えます。
◆5番(
坂井ユカコ) 議長
○議長(
田中邦友)
坂井ユカコ議員 〔5番
坂井ユカコ登壇〕
◆5番(
坂井ユカコ) 3点目は、台風19号を受けての
災害対策見直しと強化について伺います。 開かれた議会を目指し、去る11月16日、墨田区
議会自由民主党として初めて、
会派所属議員12名による
議会報告会を開催しました。区民の関心事を幾つか報告したところ、参加者の皆様から寄せられた質問は台風19号に端を発した災害対策に集中、その内容の全ては区の対応を疑問視する声でした。 あのとき区民の皆様が感じた不安や怒りを思うと、二度と同じ思いをさせてはいけないと改めて痛感をしています。我が会派は、次こそは過ちを繰り返さない体制をつくることが区民の皆様に対する責務であると、本区の災害対策の見直しと強化について、これからも議論を続けていく所存です。
情報発信体制の不備や職員数の絶対的不足、
避難所開設基準や開設時期など、挙げると切りがありませんが、中でも、本来行政が行うべき区民の皆様の不安や心配を取り除き、安心していただくという行為を怠ったことは極めて重大です。この点に関しては猛省すべきと考えます。また、現場で職務に当たられた職員の皆さんも悔しかったと思います。 まずは、墨田区の首長である
山本区長に、このたびの台風19号における不十分な対応に対する率直なお気持ちと、最大の課題は何であったと捉えているのか、ご所見を伺います。 区では、このたび浮かび上がった課題への改善策として、今すぐできること、来年やること、長期で計画的に検討・改善していくことなど、どのように整理をしているのか、どのくらいの期間をめどに課題をクリアすることを考えているのか伺います。 また、1月17日には、職員を対象に訓練を行うと聞いています。この訓練において、台風19号対策を教訓にした具体的な対応が行われるのか、どのような形で実施することを考えているのか伺います。 台風19号直後に、ある防災拠点で訓練が実施され、避難所運営ゲームが行われましたが、「避難所はホテルではありません。何もない状態から、そこに居合わせた皆さんでつくっていくものです」という区防災課主査の呼び掛けがありました。 終了後の総括では、参加者から、「今日集まった人たちで避難所を開設できるとは限らない。その場にいる誰もが順序立てて準備をすることができる、初動に特化したマニュアルを作るべきである」、また、「学校の作りを理解している教職員さんやPTAなど保護者さんにも避難所運営の手順を知る機会をつくるべきである」という意見が多くありました。 防災拠点は、学校ごとに、教室など間取りや使うことのできる部屋も、その広さも違います。各学校専用の避難所開設マニュアルを用意することにより、そこに居合わせた方がどなたでも避難所運営、避難所の設営準備に参加することができます。 一部自治体で実施されている「初動に特化した避難所開設マニュアル」に、防災拠点の特徴を付加することで、本区の防災力は向上すると考えますが、区長のご所見を伺います。 ただし、これには学校の協力が不可欠となります。先日、墨田区防災士ネットワークのスタディツアーで赴かれた仙台市では、学校長がリーダーとなり、教職員、地域の皆さんと一緒に防災拠点を取りまとめている事例を勉強されてこられたと伺っています。 各災害拠点における避難所運営マニュアル作り等においては、校内を熟知した学校長及び教職員も参画して進めて行くべきと考えますが、区長のご所見を伺います。 教育長には、台風19号を受け、学校ではどのように考えているのか、またどのような参画が可能かお聞かせください。
◎区長(山本亨) 議長
○議長(
田中邦友)
山本区長 〔区長
山本亨登壇〕
◎区長(山本亨) ただいまの台風第19号を受けての災害対策の見直しと強化に関するご質問にお答えします。 まず、台風第19号の対応に関する私自身の率直な気持ちと、最大の課題についての捉え方です。 今回の区の対応については、
情報発信体制や避難場所の開設、職員の参集体制等、多くの課題が明らかとなりました。私としても、区民の皆さんに不安な思いをさせたことについて率直に反省し、議会からのご意見も踏まえ、一つ一つの課題を速やかに改善するよう職員に指示したところです。今回の教訓を十分に生かし、万全な体制で今後の災害対応に臨みます。 今回の課題については、短期的、中期的な対応策を整理・検討した上で、年内を目途に議会の皆さんへ報告します。その上で、台風到来期までには区民の安全・安心を十分に確保できるよう、可能な限りの準備を進めていきます。 次に、来年1月17日に実施予定の職員災害対応訓練についてです。 これまでの訓練は大地震を想定して実施してきましたが、今回は現在検討中の対応策を取り入れ、台風による風水害への対応を主眼とした訓練を実施します。具体的には、気象状況等の推移に基づいた職員参集、避難所開設、避難情報等を決定する災害対策本部運営訓練のほか、ホームページ、SNS等を活用した情報発信訓練、地域防災活動拠点会議との連携を含む避難所開設訓練等を行います。 次に、地域防災活動拠点ごとの避難所開設マニュアルの整備についてです。 避難所の適時・適切な開設については重要な課題であったと認識しているため、他の自治体における避難所開設に資するツールの作成、活用事例を十分に参考としながら、マニュアルの整備について、地域防災活動拠点会議の場も活用し、検討していきます。 また、
当該マニュアルの整備や実際の避難所開設・運営については、避難所となる小・中学校の施設管理者や教職員の参画・協力が重要であると認識しています。今後、
教育委員会とも十分に連携し、体制等の整備を図ります。
◎教育長(加藤裕之) 議長
○議長(
田中邦友) 加藤教育長 〔教育長 加藤裕之登壇〕
◎教育長(加藤裕之)
自由民主党・坂井議員のご質問にお答えします。 台風第19号を受けての学校の考え方と、どのような参画が可能かについてです。 学校の考え方については、学校は災害時の救済拠点として、被災者を受け入れる避難所となることから、大変重要であると考えます。避難所が開設された際には、今回のような教職員の勤務時間外の対応も含め、校内を熟知した教職員等の参加が重要であると考えております。 学校の参画については、現在、校長をはじめ教職員は、町会・自治会及び関係行政機関や区職員とともに、地域防災活動拠点会議に参加して、地域の防災対策に取り組んでいます。 台風第19号を受けて、改めて避難所運営マニュアルの整備への参画をはじめ、避難所の開設や運営への参加方法について、関係部局と連携しながら検討していきます。
◆5番(
坂井ユカコ) 議長
○議長(
田中邦友)
坂井ユカコ議員 〔5番
坂井ユカコ登壇〕
◆5番(
坂井ユカコ) 4点目は、(仮称)産業観光マスタープラン策定についてです。 産業と観光の融合を視野に、「(仮称)墨田区産業観光マスタープラン」という区の行政計画が令和2年度末に策定される方向が示されています。 まず、本計画の考え方についてですが、これまでも商業、工業、観光を融合させた産業施策は区の基本的な取組姿勢であり、産業と観光の融合は既に重要な施策に位置付けられています。これらをなぜ、今になって一つの行政計画にまとめることにしたのでしょうか。 一方で、産業と観光は不可分な関係ではありますが、おのおのは独立した産業であります。(仮称)産業観光マスタープランの中で、おのおのの産業計画がどのように表現され、どこが相互に関わっていくのか伺います。 また、策定の背景にあるこれまでの産業・観光の課題を何と捉え、解決のため、これまでどのような施策展開を行ってきたのか。そこから分かったことはどのようなもので、今後、(仮称)産業観光マスタープランの中でどのように解決しようと考えているのか伺います。 本区は、全国に先駆け中小企業振興基本条例を制定し、区内産業の多様な業種の集積を生かし、新たな発想や技術により、景気の変動に左右されない、下請加工型からの脱却を目指してきました。このことは
山本区長も常々おっしゃってこられましたし、実際に本区はこれまで意欲ある事業者を支援する産業支援に取り組んできたものと理解しています。 このたび、産業振興マスタープランでは、計画年度途中で観光と一緒になります。まずは、策定前にこれまで計画した施策の成果を評価する必要がありますが、この点について伺います。 区の標榜する「下請脱却ができた事業者」、また、「自社の最終製品を製造した事業者」は何社あったのか、販路拡大支援により実際に販路は拡大されたのか、経営状況がどのように改善されたのかなど、実態の調査と検証が必要です。 (仮称)産業観光マスタープラン策定へ向け、調査方法など課題はあるものの、施策効果をより正確に把握するためにも、一定の指標と、それに対する結果について評価をすべきと考えます。また、今後、そのための仕組みづくりを行うことを求めますが、この点について区長のご所見を伺います。 産業融合としての産業と観光についても触れておきます。 異なった産業の垣根をなくし、一つの業界の成長が他方にも及ぶ補完関係をつくるのが産業融合です。このたびの(仮称)産業観光マスタープランには、本区の産業における課題や弱点を観光によって補完することができ、本区の産業における強みで観光施策を強化できるような、より踏み込んだ力強い施策が掲げられることが求められます。 産業融合の観点を含めて、本区のこれからの産業・観光施策に対してどのような考え方を持って進めていかれるおつもりなのか、区長のご所見を伺います。 この際、本区の企業誘致についても伺います。 旧錦糸土木事務所については、その立地条件から、企業誘致など産業に資する活用が効果的であると私たちは考えています。 先の決算特別委員会では、優良企業の区外流出が議論となりました。区長には、待てば海路の日和ありという姿勢ではなく、是非能動的に優良企業を誘致していただきたいと思います。 この件について、区長が考える方向性や考え方などがあればお聞かせください。
◎区長(山本亨) 議長
○議長(
田中邦友)
山本区長 〔区長
山本亨登壇〕
◎区長(山本亨) ただいまの(仮称)墨田区産業観光マスタープランの策定に関するご質問にお答えします。 現行の墨田区産業振興マスタープランは、平成25年に10年先を見据えた計画として策定しました。しかし、東京スカイツリー開業から7年を経た現在、人口構造や産業構造、観光客の動向、加速するデジタル革新など、劇的なスピードで社会は変化してきています。 そこで、産業振興も観光振興も
まちづくりにつながる施策であることから、区民が実感できる活性化のビジョンを示し、相乗効果を生むように施策を進めるため、産業と観光を一体化した改定プランとします。 次に、これらのプランがどのように表現され、どこが相互に関わるのかについてです。 プランの内容は、地域の方々にも分かりやすいものとするために、産業振興を通じたまちのビジョンを示し、その実現のための方向性と手段、区の役割、地域や企業・大学との連携の姿など、誰もがイメージしやすいものとして表現していきます。 各分野のプランが確実に効果を発揮し、更に相乗効果を生み出せるように組み立てていきます。例えば、ものづくりや北斎をテーマとしたMICEの積極的な誘導などの具体的な施策を検討しています。 次に、これまでの産業・観光の課題と対応、そしてその取組の成果を生かし、今後どう解決していくかについてです。 本区は、ものづくりが核となって商業など他の産業を牽引し、住工商一体、職住近接の産業のまちとして文化が育まれてきたことから、その支援に力を入れてきました。しかし、グローバル化やインターネット社会の進展、働き方の変化により、これからはより広域な産業ネットワークを意識した施策展開を図り、地域の活性化につなげていく必要があると考えています。 観光面においては、東京スカイツリー開業を機にまち歩き観光を積極的に進め、インバウンドの観光客は確実に増えましたが、一方で地域での実感はいまだ薄いという現状を見据え、データを踏まえた取組が求められていると受け止めています。 このことから、地域ブランド戦略や3M運動など、ものづくりのまちのブランディングを再構築し、発信を強化していくとともに、本区を中心とした広域的な施策を展開していきたいと考えています。 観光施策については、来街者を地域が理解し、受け容れ、まちおこしにつながるような事業を中心に展開したいと考えています。 プランの策定に当たっては、地域の実情をデータ等で分析した上で事業を見直し、これからの社会潮流を見据えた課題に基づき、産業観光
まちづくりという視点で働き続けたいまちの方向性を示し、施策を検討していきます。 これまでの施策の評価については可能な限り数値化していきますが、人材育成事業におけるフロンティアすみだ塾の卒塾生の声といった定性的な指標や、新ものづくり創出拠点の整備を契機としたベンチャー企業やクリエイター集積の芽生えなど、検証に一定の時間が必要なものもあると考えます。 こうした観点も踏まえ、本区のあるべき将来像の実現に向けた戦略と主要施策を重点に、成果を検証する指標を設定していきます。その主要施策をチェックすることで、全事業がビジョンの実現にどのように寄与しているのかという視点から、常に見直しと修正を行うこととし、そのためのPDCAサイクルを構築していきます。 次に、産業と観光の融合の考え方についてです。 これまで、東京スカイツリー開業を機に、産業と観光の融合という観点で、事業者向けの商品から顧客向けの商品づくりと、販路拡大を中心とする事業を展開してきましたが、ご指摘のとおり、観光事業などは裾野が広く、他の産業分野と相互に関連し、相乗効果をもたらし得るものです。 この点を踏まえ、商品づくりだけにとどまることなく、ビジネスを通じた観光需要の喚起や地域と連携した資源の獲得、新たな産業群の創出など、産業と観光の融合の次のステージをプランの中で示し、効果的・効率的に施策を展開していきます。 次に、優良企業の呼び込みについてです。 今後の産業振興の方向性の一つとして、本区の産業に新たな風を吹き込むために、ベンチャー企業の集積と区内企業との連携を促進することが考えられます。 これからの社会の課題解決に取り組んでいく意欲的なベンチャー企業などと連携することで、本区の新たなものづくりを発信することや、
子どもたちの将来に夢を与えることにもつながると考えていますので、その可能性を検討していきます。
◆5番(
坂井ユカコ) 議長
○議長(
田中邦友)
坂井ユカコ議員 〔5番
坂井ユカコ登壇〕
◆5番(
坂井ユカコ) 5点目は、大学のある
まちづくりについて伺います。 先般、11月1日の決算特別委員会中に、文部科学省、大学設置・学校法人審議会の答申について情報提供がなされました。学校法人電子学園・情報経営イノベーション専門職大学が正式に設置認可され、2020年4月の開学が決定しました。 校舎の建築など着々と進む準備に、大学を契機とした教育、産業、商業等における地域との連携、活性化に期待も膨らみますが、本区が真に大学のあるまちとなれるか否かは今後の施策次第であり、大学誘致を本区の発展に必ず結び付けることが我々の責務です。そのことを肝に銘じて、質問を続けてまいります。 先の平成30年度決算特別委員会で我が会派の
福田はるみ議員が、現在改修が進む千葉大学デザイン・建築スクールについて質問した際、校舎1階、2階部分は区民に開かれた場所とする方向性が示されました。具体的にはどのようになるとよいと考えているのか、活用方法について伺います。 これまで本区は、さまざまな産学官・産学官金等、連携を実施してきましたが、それは大学のないまちの施策です。来春からは、大学が本区に実在することを確実に生かした、大学のあるまちにしか実現できない取組が始まってまいります。 これまでにない大学との関わりを創造していくためには何が重要と考えているのか、大学を舞台にした区民との連携をどのように進めていくのか、春の開学以降、具体的にどのようなことを考えていて、何が始まるのか伺います。 教育長には、2大学の開学によって、すみだの
子どもたちにどのような変化が起きると考え、大学のあるまちの
子どもたちと教育をどのように結び付けていくのか、方向性と具体的な計画等は進んでいるのか伺います。 この際、将来活用用地についても触れておきます。 これまで我が会派から繰り返し質問していますが、将来活用用地としてまだ空いている一つ分のスペースについて、子育てひろばの工事の終了までが一つのめどなどと聞いておりますが、この点も是非スピード感を持って次の方向性を示していただきたいと思います。最短でどの程度となるのか、また現在の動きを伺います。 この質問の最後に、区長には、就任以降紆余曲折を経ながらも、悲願がいよいよ実現する思いと、本区のブランドバリューを高める力となる大学をどのように生かしていこうとお考えなのか、2大学が開学して以降の将来へ向けて、どのような
まちづくりを進めていこうと考えているのか、改めて伺います。
◎区長(山本亨) 議長
○議長(
田中邦友)
山本区長 〔区長
山本亨登壇〕
◎区長(山本亨) ただいまの大学のある
まちづくりに関するご質問にお答えします。 まず、千葉大学デザイン・建築スクールの1階、2階の活用方法についてです。 開設準備が着々と進む両大学を、教育・産業・福祉などの行政施策の推進や地域の活性化につなげることが重要です。 当該スペースは、地域に開かれた空間にすべく、大学側と協議しており、学生や区民、企業や関係団体などが活動、交流でき、地域の方々がものづくりに触れたり体感できる場にしたいと考えています。 次に、大学を舞台にした区民との連携についてです。 私は、技術や知識が集積する大学が本区に開学することにより、多種多様な連携・交流を促進することにつなげ、大学の知見をさまざまな施策に生かしたいと考えています。具体的には、教育分野におけるプログラミングや英語教育などとの連携、区内さまざまな場で進む
まちづくりとの連携、産業分野における先端技術やものづくりとの連携支援、データ活用が重要となる医療や福祉分野への知見の活用など、今後大学との協議を進め、実行に移していきます。 次に、将来活用用地の現況と今後のスケジュールについてです。 現時点で公表できるものはありませんが、先行する二つの大学との相乗効果を期待できる大学等の誘致を目指し、できる限り早い時期に一定の方向性が出せるよう、スピード感を持って取り組みます。 次に、大学の開学以降の
まちづくりの進め方についてです。 情報経営イノベーション専門職大学の設置が認可され、間もなく旧
中小企業センターの大規模改修工事も始まります。私としても、大学のある
まちづくりを進める中で、さまざまな区政の課題解決や地域の活性化を図り、区民が誘致の効果を実感でき、更に新たな可能性が広がるよう取り組んでいきます。 また、今後、両大学が地域に根付き、世代を超えた交流が生まれる知の拠点として、地域の
まちづくりをともに担う官・民・学による共同運営組織「アーバンデザインセンター」の考え方を取り入れた施策についても検討し、大学のある
まちづくりを一層推進していきたいと考えています。
◎教育長(加藤裕之) 議長
○議長(
田中邦友) 加藤教育長 〔教育長 加藤裕之登壇〕
◎教育長(加藤裕之) 次に、2大学の開学によって
子どもたちに起きる変化についてです。 区内に2校の大学が開学し、
子どもたちが日常的に勉強にいそしむ大学生を目にし、触れ合う機会を持つことで、
子どもたちには将来に対する夢や希望を抱き、学習することへの意欲が一層高まるなどの変化が期待できます。 次に、
子どもたちと教育を結び付けていく方向性や計画についてです。 方向性については、各大学との連携により、それぞれの大学が有する教育資源や高い専門性を有する方々に区立学校での教育活動や教員の研修等に協力してもらえることは、本区の
教育課題の解決や学力向上に大変有意義ですので、積極的に進めていく考えです。 計画については、例えばICTに関わる専門性の高い情報経営イノベーション専門職大学との連携では、大学が所有する学習プログラムや情報機器などの活用のほか、学校に大学教員や学生などを講師として招き、プログラミング教育の充実を図るなどを想定しています。 千葉大学については、新キャンパスにおいて展開される教育活動や教育施設の状況なども踏まえながら、どのような連携が可能であるかを検討していきます。 また、教育に関心のある学生には、児童・生徒への個別指導に携わってもらうなど、学習支援人材としての活躍の場を、さまざまに設定していくことも検討していきます。 今後、大学、区長部局とも調整を図りながら、学校教育における効果的な成果が得られるような具体的な計画を検討していきます。
◆5番(
坂井ユカコ) 議長
○議長(
田中邦友)
坂井ユカコ議員 〔5番
坂井ユカコ登壇〕
◆5番(
坂井ユカコ) 6点目は、ポーランドとの文化交流について伺います。 去る11月15日、ポーランド・クラクフにある日本美術・技術博物館マンガ(通称マンガ館)とすみだ北斎美術館との友好協力協定の調印式が行われました。パヴェウ・ミレフスキ駐日ポーランド共和国大使は、「今年は令和新時代の始まりと同時に、我が国と日本の文化交流という新世紀の始まりである」と祝辞を述べられました。 ポーランド・マンガ館とすみだ北斎美術館については、平成30年第2回定例会で我が会派・加藤拓議員の質問を契機に、昨年11月11日の独立記念日には、すみだ北斎美術館で「ポーランド独立回復100周年記念コンサート」が開催されるなど、交流を深め、このたびの協定調印に至りました。併せて、地元選出の松島みどり衆議院議員の役割も大変大きかったと理解しています。 フランス・パリ市7区との交流では、7月に文化交流事業の一環として、パリ市7区に本区の文化芸術団体が赴き、展示が行われ、また区長ご自身もパリ市7区に表敬訪問を予定されていると伺いました。どうか、世界に名立たる画人、葛飾北斎を通じた国際文化交流を積極的に進めていただきたいと思います。 このたびの友好協力協定調印を契機に、まずはポーランドとの文化交流を区長自ら積極的に行っていただきたいと考えますが、区長のお考えをお聞かせください。
◎区長(山本亨) 議長
○議長(
田中邦友)
山本区長 〔区長
山本亨登壇〕
◎区長(山本亨) ただいまのポーランドとの文化交流に関するご質問にお答えします。 すみだ北斎美術館とポーランド・マンガ館は、日本・ポーランド国交樹立100周年の節目である本年11月15日に友好協力協定を締結することができました。これも、ご案内の皆様をはじめ、さまざまな方々のお力添えによるものと、感謝をいたします。 本協定は、本年2月に北斎美術館の学芸員がマンガ館を訪問し、お互いの理解と交流を深め、締結に至った経緯があります。北斎生誕260年に合わせ、来年12月にマンガ館で「北斎と妖怪」をテーマにした企画展のお話をいただいており、私もできる限りの協力をしていきたいと考えています。 昨年、北斎美術館で音楽交流を行った実績もあり、こうした具体的な事業を通して、両館が今後とも交流を深めながら、墨田区とポーランドの文化交流を積極的に進めていきたいと考えています。
◆5番(
坂井ユカコ) 議長
○議長(
田中邦友)
坂井ユカコ議員 〔5番
坂井ユカコ登壇〕
◆5番(
坂井ユカコ) 7点目は、教育長に区立幼稚園について伺います。 近年、区立幼稚園の定員割れが目立っています。私立幼稚園に定員割れは発生していないため、本区政策による保育定員の拡充というよりも、我々は保育ニーズ、幼児教育のニーズの変化が背景にあると分析しています。 とはいえ、このまま定員割れが続くようなら、何らかの対策が求められます。教育プログラムの充実や預かり保育の実施、認定こども園への移行など、付加価値を高めるための取組を行う用意があるのか、教育長に伺います。 併せて、小学校校舎と合築されている園については、将来的な人口増による小学生徒の増加も視野に、教室不足解消のため、場合によっては集約や統廃合など、そのあり方を検討することも必要と考えますが、教育長のお考えを伺います。
◎教育長(加藤裕之) 議長
○議長(
田中邦友) 加藤教育長 〔教育長 加藤裕之登壇〕
◎教育長(加藤裕之) ただいまの区立幼稚園に関するご質問にお答えします。 まず、区立幼稚園の定員割れ対策ですが、既存の園舎や教職員等を活用しながら、預かり保育の実施を検討するとともに、教育プログラムの充実を図ることにより、定員確保につなげていきたいと考えております。 認定こども園への移行については、所要の教職員及び調理員等の確保や受入教室、給食室の施設状況及び私立幼稚園との関係等の課題について検討してまいります。 最後に、区立幼稚園の統廃合の検討についてです。 1クラスの園児数が数人に減少するなど、園児数が極端に低下した場合や、全園の定員充足率の平均が連続して60%以下の場合には、統廃合を含めて引き続き検討していきます。その際、小学校に合築されている園は、将来の教室不足に備え、小学校の普通教室への転換も検討してまいります。 以上で、
自由民主党、坂井議員の私へのご質問に対する答弁を終わります。
◆5番(
坂井ユカコ) 議長
○議長(
田中邦友)
坂井ユカコ議員 〔5番
坂井ユカコ登壇〕
◆5番(
坂井ユカコ) 最後に、重度障害者グループホームについて伺います。 先般、区民福祉委員会委員と肢体不自由児者父母の会の皆様との意見交換が行われ、保護者の皆様から切実な思いを伺いました。重度障害者グループホーム建設については、早く建てればよいというものではなく、当事者が第二の人生を自分らしく生きるための終の棲家として中身をよく吟味することが重要であると、保護者の皆様の思いを伺い、その意を強くしました。 区長におかれては、どうか利用する当事者の思い、保護者の思いを反映でき、希望に沿う努力をお願いいたします。区長の強いご答弁を求めまして、私からの質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
◎区長(山本亨) 議長
○議長(
田中邦友)
山本区長 〔区長
山本亨登壇〕
◎区長(山本亨) ただいまの重度障害者グループホームの建設に関するご質問にお答えします。 先日の意見交換会での内容は、私も報告を受けており、議会の皆さんと肢体不自由児者父母の会の方々との大変有意義な意見交換がなされたと感じています。 グループホームの利用を希望される方、またご家族の方の意見や思いを丁寧に聞きながら、一人ひとりが地域の中で安心して暮らせるよう、しっかりと検討を重ね、施設整備を進めていく所存です。 以上で、
自由民主党、坂井議員のご質問に対する答弁を終わります。
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○議長(
田中邦友) 16番、はねだ福代議員
◆16番(はねだ福代) 議長、16番
○議長(
田中邦友) 16番、はねだ福代議員 〔16番 はねだ福代登壇〕(拍手)
◆16番(はねだ福代) 公明党のはねだ福代でございます。 質問に入る前に、度重なる台風被害において、お亡くなりになられた方々に心からご冥福をお祈りするとともに、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げ、一日も早い復旧・復興をお祈りいたします。 それでは、会派を代表して、大綱5点にわたり
山本区長に質問させていただきます。明確かつ前向きなご答弁をお願いいたします。 初めに、大規模災害における地域防災力向上と避難場所確保の実効性について伺います。 東日本各地に甚大な被害をもたらした台風19号。強風や記録的豪雨、河川の氾濫等により、上陸前から史上最強と言われた台風でしたが、墨田区の対応不足、訓練不足が露呈し、多くの区民が不信感を募らす結果となりました。 我が会派は
山本区長に対し、10月11日午後、各学校における自主避難所の開設や台風上陸前の防災無線などの迅速な活用など、3点にわたって緊急申入れを行いました。また、災害対策特別委員会及び決算特別委員会でさまざまな課題を抽出し、その対案を示すとともに、専門的見地からのアドバイスもいただき、11月11日、改めて
山本区長に対し、情報発信、避難所対策、水防訓練等についての緊急提言を行いました。 まず、公明党の緊急申入れを受け、どのような検討が行われたのか時間軸で示すとともに、緊急提言に対してはどのような対応を考えているのか、現時点での区長の見解を伺います。 昨今、地球環境の変化で災害は連続して起こり、災害リスクの激甚性、広域性、複合性、長期性なども指摘されています。そこで、新たな視点から災害対応力強化のため、地域力の重要性や避難場所確保の実効性についてお伺いいたします。 第1に、地区防災計画作成のための支援について伺います。 2011年の東日本大震災では、事前の地域の取組によって被害に明らかな差が生じ、このような教訓から2014年4月1日、災害対策基本法が改正され、「地区防災計画制度」が創設されました。 この制度は、既存の地域防災計画とは異なり、地区ごとに住民が主体となって地域の災害リスクを把握し、その対処法を検討した上でつくっていくもので、計画策定段階から大変意義のあるものと考えます。 わが区では、地域活動拠点会議を開催していますが、更に実効性のあるものにするため、既存の取組である拠点会議を地区防災計画の策定につなげるよう推進していくべきと考えます。地区の特性をよく知っている住民自身が計画をつくり上げることによって、おのずとそこに潜んでいる課題が見える化し、解決方法を提案することができます。まさに住民側からのボトムアップの計画が地区防災計画なのです。 こうした地区防災計画に対する区長の見解と、地域活動拠点会議の位置付けについて、所見を伺います。 地区防災計画は、共助の仕組みを強くするため、住民の自発的な行動によって作成するものであり、公助の限界が懸念される今、計画策定を後押ししていくことは区の責務であると言えます。まずはモデル地区を選定し、先進事例の取組を通し推進を図るべきと考えます。区長の所見を伺います。 内閣府が、地区防災計画を推進する自治体ネットワークの活用として地区防'zを立ち上げ、自治体職員間での経験共有の円滑化により策定を推進するという取組を始めています。支援する行政として、こうした取組に積極的に職員を派遣すべきと考えますが、区長の見解を伺います。 さらに、内閣府の地区防災計画ガイドラインでは、計画策定に当たっては専門家のアドバイスの重要性が示されています。本区においても、初期の段階からの防災アドバイザー派遣を視野に入れた展開を図るべきです。併せて区長の所見を伺います。 次に、避難所における避難所開設キットの導入について伺います。 このキットは、避難所開設の前段階から開設後の初期段階までの行動手順書で、発災当初の混乱の中、人員不足などが想定される状況下において、参集した誰もが円滑に実働できることを目指すためのキットです。2016年熊本地震での避難所開設の混乱を教訓に、熊本大学の竹内裕希子准教授が中心となって開発されました。 熊本県では県内の全市町村に配備され、その後、導入する自治体も増えています。それぞれの避難所ごとにカスタマイズできることで、効率的な避難所開設が可能となり、既に導入している文京区では、平成30年度末に全ての避難所に避難所開設キットを配備し、開設キットを使用した訓練も実施しています。さらに、他自治体でも活用できるようにと、区のホームページ上に表示しています。 本区でも是非導入し、これを使って避難所開設訓練を行うなど、地域防災力向上につながる取組を実施すべきではないでしょうか。区長の所見を伺います。 次に、防災アプリのリニューアルについて伺います。 防災アプリは、帰宅困難者対策として開発されたため、台風19号の災害対応においては墨田区防災アプリが機能せず、確かな情報を伝達することができませんでした。 災害時の情報を的確に素早く伝える手段である防災アプリですが、今後フル活用されるためには、機能の充実を図っていくことが望まれます。 福岡市では、本年9月から地震や豪雨の発生時に、避難時の注意点や現在地から近くの避難所を案内するサービスのデモ運用を始め、家族への連絡機能も付けて、来春から本格的に運用を開始するそうです。大変重要な情報ツールとなることから、本区としても活用すべきと考えます。区長の所見を伺うとともに、効果的なSNSの活用推進について見解を求めます。 この質問の最後に、避難場所確保の実効性について伺います。 大規模水害においては、江東5区の連携で広域避難を基本に検討が進められています。今回、早い段階で鉄道の計画運休が決まり、5区として広域避難は実施しないと決定されました。特に、ゼロメートル地帯で木密地域が集積する本区において、暴風雨による避難勧告に対応するためには、垂直避難先の確保が現状急務であることは間違いありません。まず、現存する区の避難所のほか、都有施設の避難所活用について、東京都に対し協力を求めるべきです。 区内には、都立高校をはじめ、都立リハビリテーション病院、江戸東京博物館などの都有施設があります。区長が率先して都に対し協力を要請すべきと考えますが、区長の所見を伺います。 平成25年には、大規模水害が発生した際の区民の緊急避難場所として、時間的な余裕がない場合には都営住宅を緊急避難先とする都営住宅への緊急避難に関する覚書が締結されています。更に実効性を高めるために、避難勧告に関する緊急避難先として、3階以上にある団地集会所の開放について自治会に協力を要請するなど、協定についても前向きに検討すべきと考えます。 実際に、10月12日、区内の都営住宅では、集会所を自主的に開放してくださったところもあると聞いています。こうした情報が事前に周知されることで、避難時の安全性が高まります。具体的な運用も含め、早期の対応を要望いたします。区長のご所見をお伺いいたします。 大規模災害が起きたとき、どこに逃げるのか、どこに避難するのか、安全な場所はどこなのか、特に支援が必要な方にとっては、その行き先すら見つからないという大きな課題が浮き彫りとなりました。避難所確保の実効性を推進するには、福祉避難所機能についても具体性を持って支援の内容、方法及び費用負担など、指定されている福祉避難所との協定を更に進めるべき時です。 先日、区民福祉委員会と肢体不自由児者父母の会との意見交換会でも、福祉避難所の整備を求めるご要望がありました。災害時の運営体制について、今後の方針を明確に示していくことを強く要望いたします。区長の所見を求めます。
◎区長(山本亨) 議長
○副議長(加納進)
山本区長 〔区長
山本亨登壇〕
◎区長(山本亨) ただいまの公明党はねだ議員の、大規模災害における地域防災力向上と避難場所確保の実効性に関するご質問にお答えします。 まず、10月11日午後にいただいた緊急申入れについてですが、直ちに危機管理担当において対応を検討し、区役所庁舎以外の中学校3カ所を含む自主避難場所の開設等を決定するため、同日16時に災害対策本部を設置し、本部指令を発しました。また、11月11日の緊急提言については、台風対応に係るさまざまな課題と改善提案をいただきました。 まずは、災害対策マニュアルの広報文のひな型について見直すとともに、災害時用ホームページへの迅速な切換えができるよう、職員の情報共有や訓練を行い、防災課と広報広聴担当が一体となって広報活動ができるような仕組みを構築していきます。 さらに、水害時の対応マニュアルの策定や避難情報の発令手順の習得等、緊急提言の内容を踏まえ、現在具体的な対応策を検討中であり、今後特別委員会でご報告します。 次に、地区防災計画作成のための支援についてです。 いざというときに、地域コミュニティごとに効果的な防災活動を実施できるようにするために、地区防災計画をはじめとする避難計画等の作成は意義があるものと考えます。そのため、地域防災活動拠点会議を核とした共助の更なる支援という視点から、コミュニティ・タイムライン等の他自治体の先進事例も参考にし、効果的な取組を検討します。なお、その際には、モデル地区を選定し、実施していくことも必要と考えます。また、行政による効果的な支援という視点から、地区防'zへの職員派遣や、防災士との連携等による防災アドバイザーの活用は有意義であると考えます。 避難所開設キットの導入については、災害時における適時・適切な避難所開設に資するツールであると考えますので、地域防災活動拠点会議の場も活用し、検討します。 次に、防災アプリのリニューアルについては、帰宅困難者だけでなく、広く区民の皆さんにも有効に活用していただけるように、福岡市の事例等、先進的な取組を参考としながら、SNSのより効果的な活用も含め、必要な情報発信を強化するため、機能の拡充等を検討します。 次に、避難場所確保の実効性についてです。 都有施設の避難所活用に係る都への協力要請ですが、現在、台風第19号の対応に関する課題について、都が各区にヒアリングを行っていますので、水害時の避難場所としての活用を要請します。 また、都営住宅の集会所の開放については、緊急避難のための措置として、東京都住宅政策本部等と協議していきます。 次に、福祉避難所の災害時の運営体制等についてですが、福祉避難所の拡充に向けて事業者と協議を進めているほか、今年度から福祉避難所予定施設の事業者との連絡会を開催しており、その中で実効性のある運営体制等について検討を進めます。
◆16番(はねだ福代) 議長
○副議長(加納進) はねだ福代議員 〔16番 はねだ福代登壇〕
◆16番(はねだ福代) 次に、フレイル健診の導入についてお伺いいたします。 厚生労働省は、来年度から75歳以上の後期高齢者を対象に、新たにフレイル健診を始めることを決めました。フレイルとは、虚弱を意味する英語フレイルティをもとにした造語で、筋力などの身体機能が低下し、心身ともに弱ってきた状態であり、介護が必要となる前の段階を言います。日本老年医学会が2014年に提唱しました。 なぜ、フレイル対策に力を入れるのか。日本では急速に高齢化が進んでおり、総人口に占める65歳以上の割合が世界第1位となっています。一方、健康寿命との乖離が指摘されており、平均寿命が男性81歳、女性87歳であるのに対し、健康寿命は約10年短いのが現状です。 こうした背景を踏まえ、現在65歳以上の高齢者の11.5%、全国で約350万人がフレイルに当てはまると推計されていますが、この段階で栄養摂取や運動をすることで重症化を防ぎ、健康な状態を取り戻せると言われ、要介護になる人を減らすなど介護予防の効果が期待されるのです。ひいては、健康な状態で長生きする健康寿命の延伸につながるとの考えからです。 一方、これまでも高齢者が対象の市区町村の健診があり、さまざまな介護予防にも取り組んできた中で、何が違うのかといえば、健康状態を把握し、主に運動機能の回復に重点を置いてきた従来の介護予防に対し、フレイル健診では、食生活や運動の習慣、物忘れの有無などを尋ねる質問票を作成し、生活習慣や社会的な活動状況なども調べ、より多角的に心身の衰えの原因を探るのが特徴であると言えます。 特に重要なのは、健診結果を基に適切な改善指導を行うことであり、保健事業だけでなく、介護予防事業との一体的な実施が必要になるということです。具体的には、フレイルの特性を踏まえた15項目の質問票の回答結果に基づき健康状態を評価することにより、保健師が体力に応じたウオーキングや筋力トレーニングなどの運動を助言する、管理栄養士が肉や魚などのたんぱく質を摂取しやすい献立を提案するなど、個々のお年寄りの状況に合わせた、きめ細やかなアドバイスが欠かせません。 健診を実施するには、必要となる医療専門職の人員確保も課題となります。そこで、墨田区に暮らす高齢者が健やかに暮らせる期間が少しでも長くなるように、今回のフレイル健診導入に当たり、区長にお伺いいたします。 第1に、フレイル健診の導入に合わせ、これまで広域連合が所管していた75歳以上の高齢者の健康データを区が利用できるようになります。事業実施に当たっては、KDBシステムを活用して高齢者一人ひとりの健診・医療・介護情報を把握するとともに、本区における健康課題を整理、分析をし、明確な目標を設定しデータヘルス計画に盛り込み、成果について確実なエビデンスを得るための仕組みづくりが重要であると考えますが、区長のご所見を伺います。 第2に、フレイル健診導入には、高齢者の社会参加も含めた一体的な取組が必要になります。そこで、事業全体のコーディネートやデータ分析、運動や栄養指導、社会参加につながる通いの場への積極的な関与等を行うため、区民部をはじめ福祉保健部、保健衛生担当などの関係所管が密接に連携して取り組むことが大事であり、医療専門職の配置とともに実行部隊が必要となりますが、区はどのような体制整備をされるのか、区長のご所見を伺います。 第3に、フレイル健診の質問の中には「お茶、汁物などでむせることがありますか」との項目があるように、フレイル予防では口腔ケアの重要性も言われています。口腔機能低下が進行すると、咀嚼機能不全、摂食嚥下障害が常態化し、全体的な健康が損なわれるようになります。 また、歯磨きや歯茎のマッサージといった口腔ケアを定期的に行うことで、誤嚥性肺炎を大幅に減少させることに成功している九州の特別養護老人ホームの例が示すように、医療費の削減につながるとの報告もあります。このたびの導入を機に、本区においても体系的に口腔ケアに取り組む必要性を感じます。 そこで、現行の75歳と79歳で行われている高齢者の歯科健診については、空白期間をつくることなく、高齢者の口腔機能についての診査を毎年行うことにより、早期にオーラルフレイルを発見し、フレイル対策につなげるため、毎年受診できるように拡充すべきと考えます。 この際、財源が必要になりますが、現在の後期高齢者医療特別会計だけではなく、フレイル予防の観点から、高齢者福祉や介護予防などの関係所管から拠出できないかとの提案です。区長のご所見を伺い、この質問を終えます。
◎区長(山本亨) 議長
○副議長(加納進)
山本区長 〔区長
山本亨登壇〕
◎区長(山本亨) ただいまのフレイル健診の導入に関するご質問にお答えします。 まず、高齢者の健診・医療・介護情報の活用とエビデンスを得るための仕組みづくりについてです。 令和2年4月から、市区町村は後期高齢者医療の保険者である広域連合から委託を受けて、高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施を行うこととなりました。 これらの事業を進めるに当たっては、国保データベース(KDB)システムが保有する特定健診等のデータを有効に活用し、本区の高齢者の健康上の課題を分析した上で、高齢者一人ひとりに合った働きかけを行い、健康寿命の延伸を進めていくことが重要であると考えています。 後期高齢者医療に関するデータヘルス計画の変更については、課題分析や目標設定も含め、今後、保険者である東京都後期高齢者医療広域連合により、高齢者のフレイル予防を取り入れたものに改定されるものと考えます。 本区としても、広域連合との意見交換を通じてフレイルに関する課題の共有を図るとともに、KDBシステム等のデータに基づく調査を実施することにより、エビデンスを得た上で事業を立案し、実施と評価・検証を積み重ねながら、効果的な事業を目指していきます。来年度については、エビデンスを得るための調査に着手していきます。 次に、関係所管の連携による体制づくりについてです。 事業実施の際には、ご指摘のとおり関係部署の連携が必要であり、専門職の活用も含め、効果的な体制について検討していきます。 次に、フレイル予防における口腔ケアについてです。 後期高齢者の歯科健診については、広域連合の補助金を活用した事業として、平成30年10月から開始しました。 口腔フレイル予防については、高齢者の健康維持の対策として有意義であると考えていますが、現時点で通年ベースでの実績も含め分析が必要であると考えています。 口腔フレイル予防を実効性のあるものとするため、どの段階での対応が効果的かを検証し、事業拡充については検討していきます。 なお、事業実施に必要な財源については、各保険制度における費用負担の原則を考慮しつつ対応していきます。
◆16番(はねだ福代) 議長
○副議長(加納進) はねだ福代議員 〔16番 はねだ福代登壇〕
◆16番(はねだ福代) 次に、障害者支援施設整備についてお伺いいたします。 障害者施策については、この16年あまり、障害者の自立を目指すといった側面から、制度改正や法整備が進められてきました。平成15年に、それまでの措置制度から支援費制度が導入され、その後、障害者自立支援法、障害者総合支援法へと移行される中で、その複雑さもあってか、私ども議員も施策について理解が足りていないところがあり、率直に反省しなければいけないと思っています。 特に、障害者の方々に対し必要なサービスが適切に届けられているかといった観点からこれまでの取組を見直してみると、足らざる部分があったと判断せざるを得ません。それは、障害者支援施設の整備です。 障害者支援施設とは、障害者総合支援法第5条第11項に、「障害者につき、施設入所支援を行うとともに、施設入所支援以外の施設障害福祉サービスを行う施設をいう」とあります。いわゆる入所施設のことで、併せて生活介護や自立訓練、短期入所などのサービスを提供する複合施設のことです。言うまでもなく、墨田区には一つもありません。
基本計画にも障害福祉計画にも盛り込まれたことがありませんので、区として整備する意思がないことは明らかであり、その理由として、障害者の自立を促進するため「施設から地域へ」との国の方針のもと、グループホームの整備を進めるとのことですが、そもそも施設から地域へとの論理は、施設が整備されている自治体が言うことであり、本区が整備しない理由とするのは適切ではありません。 実際、この5年だけを見ても、23区内では新宿区、文京区、世田谷区、杉並区、練馬区、足立区、葛飾区が整備し、江東区は今まさに整備事業者を公募しております。これにより、23区で障害者支援施設がないのは千代田区、北区、荒川区、そして墨田区の4区になります。 では、障害者支援施設を利用せざるを得ない墨田区の重度心身障害者が区外、都外のどの地域の施設に入所しているか確認したところ、現時点で知的障害者は北海道から四国、九州まで1都20道県、88カ所の施設に174名、身体障害者は関東及び長野県の1都6県、19カ所の施設に27名の方が入所されていることが分かりました。定期的に様子を伺うため施設を訪問する職員の苦労は、大変なものと想像されます。 そこで、まず本題に入る前に確認しておきますが、毎年のように全国各地で発生する風水害や地震など災害時の安否確認、被害があったときの対応、家族との連絡体制など、これだけ全国に点在する施設に入所している方々にどのような体制で対応しているのかお伺いいたします。 この点は、障害者だけではなく、区外、都外の養護老人ホームに入所している高齢者や無料低額宿泊所などに入所している生活保護受給者等も含め答弁を求めます。 障害者支援施設の整備に関しては、平成19年10月の決算特別委員会で、前区長がエポックメーキングとなる発言をしております。すなわち、私は一緒に仕事をさせていただいたことはありませんが、長年障害者団体の顧問をされた、他会派ですが、私も尊敬申し上げる先輩議員が、当時の障害者福祉課長が同行し、知的・身体障害者の相談員の研修として実施された足立区の障害者支援施設の見学会に触れ、墨田区においても早急に同様な入所施設を整備するよう求めたところ、前区長は、「財政的な面も含め管理運営ができる法人が墨田区にはないので、今後の課題として、公で設置した上で社会福祉法人に運営を任せるといった受け皿づくりが先決である」との趣旨の答弁をされています。 この答弁で、障害者団体の方々も議員も期待したのですが、今後の課題としてと発言してから12年経過したにもかかわらず課題解決に至らず、いつの間にか入所施設という表現がグループホームに置きかえられ、今日に至っています。 多額の財源を要することから、十分な財政検証が必要ですが、来年度の
基本計画の見直しの中で、財政推計を含め、今後の障害者支援施設整備のあり方について十分に検討するよう求めるものです。区長のご所見をお伺いいたします。
◎区長(山本亨) 議長
○副議長(加納進)
山本区長 〔区長
山本亨登壇〕
◎区長(山本亨) ただいまの障害者支援施設の整備に関するご質問にお答えします。 まず、施設入所者の災害時の安否確認についてです。 現在、障害者や高齢者、生活保護受給者の方々が入所している施設が被災地域にあった際には、職員が施設へ問い合わせ、ご本人の安否と被害状況等を確認しています。 今後、施設に被害が及ぶ状況が発生した際には、当該施設やご家族と連絡をとりつつ、他の施設への転所も視野に対応することとしています。 次に、障害者支援施設の整備についてです。 区としては、地域で安心して暮らせるよう、墨田区
基本計画に「重度障害者グループホーム整備支援事業」を位置付けて施策を進めており、障害者の高齢化や重度化とともに、親亡き後を見据えた施策が重要であると考えています。 今後、障害者支援施設の整備については、
基本計画の中間改定の中で、財政面や利用者の意向、受け皿となる法人の現状、また、国や都が入所施設から地域生活への移行を推進していること等、さまざまな課題を整理し、ご意見を伺いながら、総合的な観点から検討していきます。
◆16番(はねだ福代) 議長
○副議長(加納進) はねだ福代議員 〔16番 はねだ福代登壇〕
◆16番(はねだ福代) 次に、新たな介護人材確保の取組について伺います。 墨田区雇用問題連絡協議会が発表した有効求人倍率の動向の中に、「保安・介護・建設・サービス・保育の職業で人手不足問題が恒常化。人手不足の職種に若年者層の入職が少ないこともその要因の一つ」との記述がありました。 介護人材の不足が叫ばれている中、国も事業者や介護従事者に対する報酬をアップするなどの対応をしています。しかし、毎月介護関係のボランティアに行っている方からは、「配置転換かもしれないが、3カ月ぐらい経つと担当者が替わっていた」との話も聞きました。介護事業者が求める人材に対し、現場で働く方との感覚に乖離があるのではないかと感じました。 2025年には、人口の約20%が後期高齢者になる超高齢化社会が到来し、医療と介護の連携体制が向上してくるのは間違いないことと思われます。働き方改革も叫ばれる中で、今まで以上に資質も含めた介護人材の確保は喫緊の課題であると思います。 そこで、区長に何点か質問いたします。 1点目は、新たな介護人材確保のために、厚生労働省が昨年度から進めている「介護入門的研修」を墨田区が実施した点です。これについては評価をいたしますが、たまたま私の知人も参加をしており、同年代の方が大半だったことや、参加者もやや少ないのではないかとの話を聞きました。「せっかく良い研修をしても、人が集まらなければ、内容が良いだけにもったいない」と言っている方もいたそうです。 国に先駆け実施した江東区に実績を確認したところ、平成29年度が修了者149人中、介護関係就労者22人、30年度が140人中20人となっており、約15%の人しか就労に結び付いていない現状があります。毎回3日間の研修で、墨田区の半分の日程ですら、この結果となっています。中には介護の勉強をしたいと思って研修を受ける方もいると思われますが、介護の仕事を積極的に目指し、次の初任者研修への入口としてもよい事業だと思うので、周知徹底を図った上で、引き続きよりよい推進をしていただきたいと思いますが、区長のご所見を伺います。 2点目は、この入門的研修を受ける方は、専門職を目指す方とともに、日常生活支援総合事業の担い手として有償ボランティア的な働き方を考えている方もいると思われます。少しの空き時間を利用して、高齢者の支援もしつつ、専門職の方の本来の業務がスムーズに行われるようになることが求められていると思います。 そうした中、ある民間事業者が介護ベンチャーを立ち上げました。今、介護現場では、介護以外の業務が負担になっており、それを解決するために、資格や経験はないが介護現場で働きたい人をオンラインで結び、すき間時間を利用して働けることが特徴になっているそうです。「スケッター」との名称で、事前登録者は400人を超え、登録者の7割は30代以下の若い層が多く、異業種で働く方の副業の一環として捉えられているようです。働き方改革が求められる中、このようなすきまワーカーと呼ばれる人材が福祉分野に入っていただくことは大切なことだと思われます。 そこで、区としても介護事業者などに対しさまざまな情報提供をして、労使双方がウィン・ウィンになる対策に取り組んでいただきたいと思いますが、区長のご所見を伺います。 3点目は、第8期介護保険事業計画の取組について伺います。 第7期は来年度をもって期間が終了しますが、第8期に向けて介護事業者や利用者へのニーズ調査が行われると仄聞しています。第7期の計画を見ても、介護サービスの質の向上の項目には、サービス人材の確保・育成、介護サービス事業者への支援などがうたわれています。 さらに、年々介護保険サービスの見込み量や第1号被保険者の介護保険料は増加の一途をたどっています。したがって、第8期の介護保険事業計画の中に、先に述べた新たな介護人材確保の方策を取り入れるとともに、利用者と事業者相互の理解を深めるために、それぞれのニーズを具体的に見える化すること、そして介護予防に力を入れ、高齢者が住み慣れた地域で、生き生きと暮らせる生活を確保するため、フレイル予防、健康寿命延伸の取組に力を入れるよう希望しますが、区長のご所見を伺います。
◎区長(山本亨) 議長
○副議長(加納進)
山本区長 〔区長
山本亨登壇〕
◎区長(山本亨) ただいまの新たな介護人材確保の取組についてお答えします。 1点目は、介護入門的研修の周知です。 ご指摘のとおり、介護業界における有効求人倍率が他業種に比べて高いことから、介護事業所の人材確保は厳しい状況にあると認識しています。 区ではこれまで、介護人材確保の取組として、介護のおしごと合同説明会をはじめ、介護のおしごと就職面接会を開催しており、平成30年度では両事業において、参加者32人中8人の方の採用につながっています。 今年度からは、介護の入門的研修を実施し、22人の方が受講され、その多くが就労を希望していますので、介護事業所へのマッチングを丁寧に行っていきます。 今後は、今回の実施結果を検証し、事業周知や受講者開拓を図りながら、より効果的な事業実施に努めていきます。 2点目の仕事を求める方と介護事業者の双方にとって有益な取組の推進についてです。 介護の入門的研修の実施に当たっては、事前に介護事業者へ事業説明を行い、既に十数名の求人票を提出してもらっています。求人票には、都合のよい日時の就労を可とするものがあり、研修受講者の中にも曜日や時間を限定した働き方を望む方がいます。そこで、きめ細かな情報提供を行いながら、こうしたニーズをマッチングさせ、すきまワーカーに対応する取組も進めていきます。 次に、第8期介護保険事業計画における新たな介護人材確保方策についてです。 区では既に、介護の入門的研修など新たな介護人材確保方策に取り組むとともに、介護の仕事に就いた方がスキルアップできるよう、介護職員初任者研修費用や介護職員実務者研修費用等の助成を進めています。 第8期計画の策定においても、サービス利用者や事業者への調査結果を踏まえて、それぞれのニーズを明確にした上で、より効果的な施策を検討し、介護人材の確保に努めていきます。 こうした取組を進めながら、介護予防やフレイル予防等を通じ、健康寿命の延伸に力を入れていきます。
◆16番(はねだ福代) 議長
○副議長(加納進) はねだ福代議員 〔16番 はねだ福代登壇〕
◆16番(はねだ福代) 最後に、まちおこし・
まちづくりにおける「地上機器のラッピング」の活用について質問いたします。 現在、北十間川・隅田公園観光回遊路整備事業が行われていますが、これが完了すると、浅草と東京スカイツリーを結ぶ観光客の導線が変わることが想定され、水辺のにぎわいが期待されるところですが、一方で吾妻橋や業平橋周辺の商店街、個店からは、人通りの減少を危惧する声が出ております。当然のことと思います。商店街や個々の店舗の一層の奮起を期待するところですが、限度もあります。また、単発のイベントだけでは、恒常的な活性化は望めません。 そこで、単に商店街だけではなく、地域全体でまちおこし・
まちづくりを進めていくきっかけとなるスイッチとして、電線地中化後に設置される地上機器を活用したらどうかと提案いたします。 地上機器は通常、薄い緑色の単色で、殺風景な存在として歩道上に設置されていますが、近年、これを地域資源として活用する例が出ております。有名な例としては、高円寺駅周辺で平成27年度に実施した「まちなかアートデザインコンテスト」があります。阿波おどりをテーマにデザインを公募し、最終的に30点を選出し、高円寺駅周辺の地上機器にラッピングをしております。今もそのまま保存されており、目を引く存在として景観向上に寄与しております。 また、江東区の門前仲町地区では、区、地元商店街とバンダイナムコグループ、東京電力傘下企業が連携し、期間限定で地上機器に加え電柱のラッピングも活用した「理由あって、門前仲町!」という実証実験を行い、好評だったと聞いております。本区においても、オリンピック・パラリンピックの機運醸成のため、国技館通り沿いの地上機器2基にあしたのジョーのデザインをラッピングしております。 このように、何もしなければ歩行者にとってはないほうがよいとも思える存在を地域資源として活用することは、有意義と考えます。幸い、吾妻橋を起点に浅草通り及びタワービュー通りは電線地中化が完了しておりますので、まずはこの地域から検討してみてはいかがでしょうか。 ただし、重要なのは、何をテーマにデザインを決めるかということです。私は、冒頭申し上げたとおり、
まちづくり・まちおこしを進めるためのスイッチにするべきだと考えています。あくまで、地域を巻き込んで、子どもも含めた多くの地域住民に関わっていただくことが成功の鍵になると思われます。つまり、転入して間もない方々も含め、シビックプライドを醸成するような取組へ発展させていくためのきっかけに、是非この地上機器のラッピングを活用するべきだと考えます。区長のご所見をお伺いいたします。 以上で、私の代表質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
◎区長(山本亨) 議長
○副議長(加納進)
山本区長 〔区長
山本亨登壇〕
◎区長(山本亨) ただいまのまちおこし・
まちづくりにおける「地上機器のラッピング」の活用に関するご質問にお答えします。 電線の地中化は景観の向上につながりますが、これに伴い設置される地上機器は、ご指摘のように、その活用次第では
まちづくりの有効なツールともなります。その際、まずは、商業活性化を通じた
まちづくりの観点から、地域への働きかけが可能ではないかと考えます。 ご提案の浅草通りやタワービュー通り近辺には、観光客も多く、商店街や学校も点在していることから、
子どもたちも巻き込んで地上機器のラッピングを活用することにより、シビックプライドを醸成し、
まちづくりにつなげていけるか、商店街も含め、地域に働きかけてみたいと考えます。 以上で、公明党・はねだ議員のご質問に対する答弁を終わります。
-----------------------------------
○副議長(加納進) 議事の都合により、暫時休憩いたします。 午後2時58分休憩
----------------------------------- 午後3時15分再開
○議長(
田中邦友) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 一般質問を続けます。 12番、
あさの清美議員
◆12番(
あさの清美) 議長、12番
○議長(
田中邦友) 12番、
あさの清美議員 〔12番
あさの清美登壇〕(拍手)
◆12番(
あさの清美) 日本共産党の
あさの清美でございます。会派を代表して、来年度の
予算編成などについて
山本区長並びに加藤教育長に質問をいたします。 質問の第1は、区の来年度
予算編成についてです。 まず、基本的な考え方について伺います。 この10月1日から、消費税率10%が強行されました。消費税は、所得の低い人ほど負担が重くなる不公平税制であり、区民の暮らしと営業に重くのしかかっています。「毎日、閉店間際のスーパーで割引になったお総菜を買っている」、「朝晩寒くなってきたけれども、冬物衣類を購入しようか悩んでいる」、「キャッシュレスのポイント還元は、カード会社の手数料や対応レジ導入の費用が掛かるので、やるつもりはない」などの声が聞かれます。 墨田区の中小商店のキャッシュレス決済の導入率は約2割にとどまっており、プレミアム商品券の申込みも対象者の約3割にすぎません。 消費税増税は社会保障の財源のためと言いますが、法人税や所得税の減税の穴埋めに使われてしまったのが実態です。我が党は、消費税の廃止を目指しつつ、緊急に5%に引き下げることを提案しています。 先の決算特別委員会の資料を見ると、区内の商店数は2009年の4,944件から2016年には4,197件へ、7年間で747件、15%も減っています。工場数に至っては、2012年の2,802件から2016年には2,154件と、わずか4年間で648件、23%も減っています。 また、昨年度の国民健康保険料の滞納者数は1万1,825世帯で、4世帯に1世帯が滞納しており、差押えを受けた世帯も872世帯に増加しています。特別養護老人ホームの待機者数も428人となっています。 我が党は決算特別委員会において「区民の暮らしに寄り添う姿勢が見えない」と決算の認定に反対しましたが、来年度の
予算編成では、区民の生活実態を直視し、貧困対策や負担軽減策に取り組むこと、区民にとって一番身近な区政が悪政の防波堤として暮らしを守る役割を果たすことを強く求めます。区長の見解を問うものです。 次に、具体的な暮らしを守る対策について伺います。 まず、国保料の引下げについてです。 墨田区の滞納世帯の約8割、差押えを受けている世帯の約4割は、保険料が20万円未満という所得の低い方々です。さらに、国保には均等割という、他の健康保険にはない仕組みがあり、特に子どもが複数いる多子世帯にとって耐えがたい負担となっています。 ところが、来年度の国保料も1人当たりの医療費が増加傾向にある中で、区長会は公費繰入れを縮小しようとしており、このままでは大幅値上げとなってしまいます。 23区の統一保険料を決める協議の場で、保険料の引下げや多子世帯の均等割の減免を行うよう強く働きかけるべきです。また、統一保険料の中で実現しなかったときには、区独自にでも国保料を引き下げる努力をすべきです。区長の見解をお伺いします。 次に、後期高齢者医療保険料の引下げについてです。 後期高齢者医療保険料も国保料と同様に、区民にとって耐えがたい負担となっています。ところが、今年10月から特例軽減が廃止・縮小され、所得の低い方々の保険料が2倍から3倍にはね上がり、その影響は本区では45%の方々に及びます。さらに、来年度の保険料については、都広域連合の試算では、現行の負担軽減策をとっても平均で5,741円もの値上げとなっています。年金の削減など高齢者の所得が減っている中で、これ以上の値上げは絶対にやるべきではありません。 保険料を引き下げるため、都広域連合が十分な対策を行うよう強く働きかけるとともに、区としても負担軽減策を実施するよう求めます。区長の見解をお伺いします。 次に、介護保険制度の改善及び区独自の負担軽減策についてです。 現在の介護保険制度の枠組みでは、介護給付費の一定割合、今期でいえば23%を65歳以上の高齢者に負担させるものとなっています。しかし、この枠組みでは、介護サービスを充実させれば保険料が引き上がり、保険料を引き下げようとすれば介護サービスを抑制することになります。 安心して利用できる介護保険制度にするには、この枠組みを改めることがどうしても必要です。さらに、約2割にまで落ち込んだ国庫負担の割合を直ちに3割へ、将来的には5割まで増やす必要があります。 このような介護保険制度の改善を国に強く働きかけるべきです。区長の見解をお伺いします。 また、介護サービスに対して、区独自の上乗せ・横出しを行うこと、介護保険料に対して、一般会計からの繰入れも行い、負担軽減を図ることが求められます。 一般会計からの繰入れについては、国も自治体の判断で可能だとしており、ペナルティも科していません。区としても独自の負担軽減策を実施するよう要求し、区長の見解を問うものです。 次に、補聴器助成の拡充についてです。 高齢者の方が加齢により難聴になると、家の中でも社会的にも孤立しやすく、ひきこもりになりがちです。認知症につながることも指摘されています。 そこで、2013年第1回定例会で我が党の高柳区議が、区内での補聴器利用の実態を把握し、区民一人ひとりが利用しやすい仕組みづくりを進め、購入費に対する助成制度をつくることを提案しました。 その後、区は2015年度から助成制度を立ち上げましたが、2018年までの3年半で184人の方が利用しています。しかし、補聴器が必要な方はもっともっと多いと思います。 区の助成限度額は2万円ですが、この間、助成を受けた人たちが購入した補聴器の金額は平均で12万5,000円前後と、6倍もの開きがあります。さらに、区の助成制度は片耳しか対象にしていませんが、少し騒がしい場所では両耳に装填していないとほとんど聞き取れないと言われています。 区は、今年度から都の助成制度を活用しますが、そうすると、経費の2分の1は都の負担となります。仮に、両耳を対象にして限度額を2倍以上に引き上げたとしても、区の負担額はそれほど増えないと考えます。 この機会に、補聴器の助成制度を拡充するよう強く求めて、区長の見解を問うものです。 次に、住宅施策の充実についてです。 2007年に策定された住宅セーフティネット法に基づき、区の住宅マスタープランにも住宅セーフティネットの充実が掲げられましたが、ほとんど実績は上がりませんでした。また、2017年に施行された改正住宅セーフティネット法は、住宅困窮者に対して、民間賃貸住宅の空き家などを活用して一定の家賃補助や居住支援を行うものです。区は、この制度を活用して、今年度から「すまい安心ネットワーク事業」を立ち上げましたが、肝心な住宅の登録が1件もない状況です。 このように、住宅セーフティネットと言われる事業の実績が上がっていないのは、住宅の確保は自己責任とされ、住宅困窮者に対して住宅を保障するという立場に立っていないことです。そのために、実態に見合った制度設計になっていないことです。区として、国の制度への上乗せ・横出しを行い、実態に見合った制度に改善を図るべきです。区長の見解をお伺いします。 また、この制度による住宅提供だけでは、住宅困窮者対策としては不十分であり、区として独自の取組が必要です。公営住宅に申し込んだけれども倍率が高すぎて入居できなかった方、立ち退きなどで家賃が高くなった方、介護が必要になり住宅を移らなければならなくなった方、民間住宅で重い負担となっている更新料の助成など、家賃助成制度を創設することを改めて要求します。「住まいは人権」との立場で、住宅施策を抜本的に拡充することを求め、区長の見解を問うものです。 次に、中小企業支援策の強化・産業観光費の拡充についてです。 区の一般会計に占める産業観光費の割合は年々低下しており、2018年度にはわずか1.3%にまで落ち込んでいます。これは、中小企業振興基本条例が制定された以降の40年間で過去最低です。 他区と比較しても、2018年度の決算で一般会計に占める割合を見ると、荒川区は2.6%、葛飾区は2.4%で、墨田区は1%以上も低くなっています。
中小企業センターの廃止に象徴されるように、本区のものづくり支援が大きく後退しているのは明らかです。 来年度
予算編成においては、中小企業支援策の再構築を図り、産業観光費を大幅に引き上げることを強く求めます。区長の見解をお伺いします。 また、建設産業は地域経済の中心に位置付けられ、防災対策でも重要な役割が期待されています。ところが、この建設業の担い手が減少しており、特に10代、20代の大工さんなど、技能労働者が激減していると言われています。 我が党は、区の産業施策の中に建設業を位置付け、支援策等を検討し実施することを求めてきましたが、昨年度の決算には該当する事業はありませんでした。来年度予算案の中に具体的な事業を盛り込むよう改めて要求し、区長の見解を問うものです。 次に、就学援助の拡充についてです。 就学援助の受給者が年々減っており、小学生では2年連続で20%を割り込んでいます。決算額を見ても、ここ十数年で一番多かった2010年度と比較すると、小学校、中学校を合わせて約8,000万円も減少しています。これは、十数年のスパンで見ると、所得基準の引下げが大きく影響しており、教育費の負担軽減、義務教育の無償化の観点からも改善が必要です。 世田谷区では、生活保護基準の1.24倍から1.4倍に改善するとともに、給食費については生保基準の2.06倍まで引き上げました。これにより、約4割の家庭で給食費が無料になったと言われています。 本区としても、給食費について就学援助基準を生活保護基準の2倍以上に引き上げるなど、就学援助の拡充を図るべきです。教育長の見解を求めて、第1の質問を終わります。
◎区長(山本亨) 議長
○議長(
田中邦友)
山本区長 〔区長
山本亨登壇〕
◎区長(山本亨) ただいまの日本共産党・あさの議員の来年度
予算編成に関するご質問にお答えします。 まず、区民の生活実態に対する私の認識と来年度
予算編成の基本的な考え方についてです。 10月の内閣府の月例経済報告によると、「景気は輸出を中心に弱さが長引いているものの、緩やかに回復している。」とされており、「国全体としては、通商問題をめぐる緊張や中国経済の先行き、また、
令和元年台風第19号など相次ぐ自然災害が経済に与える影響に留意する必要はあるものの、景気は回復基調にある」とされています。しかしながら、区内中小企業を取り巻く経済環境は厳しい状況が続いており、区民の生活実態も厳しいものであると認識しています。 このような中で、区政の役割とは、区民の皆さんが安全で安心な生活を送ることができ、このまちに生まれてよかった、住んでよかったと感じるまちをつくることだと考えます。そのためにも、中小零細事業者への支援や区民福祉の向上を図っていくことが重要であると考えています。 次に、国保料引下げについてです。 国民健康保険については、平成30年度の制度改革後においても、被保険者の年齢構成が高く、所得水準が低い中で、1人当たりの医療費が増え続けているという構造的課題があると認識しており、低所得者に対して、保険料の軽減となる所得基準の見直しなども含め、均等割の軽減措置を講じ、配慮しています。 制度に係る課題に対しては、区長会を通して子どもの均等割軽減等の制度の見直しをはじめ、保険者への財政支援や被保険者の保険料負担軽減策の拡充など、更なる公費負担を国に要望しているところです。 また、来年度の保険料率については、23区統一保険料方式の枠組みの中で慎重に議論を重ねていきたいと考えています。 なお、国民健康保険の子どもの均等割軽減等のさまざまな課題については、23区一体で対応することが重要であり、現時点で区独自の負担軽減策を講じることは考えていません。 次に、後期高齢者医療保険料の引下げについてです。 ご質問にある均等割の軽減特例の見直しについては、制度発足から10年以上が経過した中で、国民健康保険の軽減割合が最大7割であることや、世代間等の公平を図るため応能負担を求める観点から、国費の投入が廃止され、本年10月から段階的に本則の7割軽減とするものです。その際には、低所得者に対して年金生活者支援金の給付や介護保険料の軽減を実施するなど、本区の9割、8.5割減額の対象者にも、一定の対策を講じた上で見直すものですので、ご理解をお願いします。 また、保険料率の増加については、1人当たりの医療費が上昇傾向にあることなどから、一定のご負担をいただくことはご理解いただきたいと考えています。 なお、広域連合に対しては、都内62区市町村とともに引き続き特別対策を講じることや、剰余金の活用について働きかけていきたいと考えており、区独自の負担軽減策を行う考えはありません。 次に、介護保険制度の改善及び区独自の負担軽減策についてです。 介護給付費に係る国庫負担については、区長会から国へ「介護保険制度の充実」と題して、被保険者の保険料負担を軽減するため、国の法定負担分である25%を確実に交付し、各保険者間の所得格差に対する財政措置は調整交付金とは別枠で対応することを要望しています。また、介護給付費に係る区の負担については、法令の定めにより行っていますので、一般会計からの法定外の繰入れを行う考えはありません。 なお、低所得者に対しては、区・都・国の公費投入による料率を引き下げる保険料軽減強化を行うとともに、一定の要件に当てはまる方へ区独自の保険料軽減策を講じています。 次に、補聴器助成の拡充についてです。 現在、本区の高齢者補聴器購入助成事業を都の包括補助の対象に含めるよう、事前協議を行っています。今後、都の動向を注視していきますが、高齢者の軽・中程度の難聴対策としては、現在の助成水準で対応していきたいと考えています。 次に、住宅施策の充実についてです。 区では、住宅確保要配慮者への取組は必要であると考えており、すみだすまい安心ネットワーク事業を通じて居住支援に取り組んでいます。 現状の国事業の登録制度等には課題があり、専用住宅の登録が進んでいない状況ですが、引き続き国等に対する制度の改善要望等に努めていきます。 なお、国事業が定着するまでの間は、区単独の住宅あっせん事業による対応を強化していきますので、現時点で国制度に対する上乗せ・横出しを行う考えには至っていません。 また、区では「暮らし続けたいまち」の実現に向け、さまざまな住宅施策を展開していますが、更新料の助成を含む入居者への直接的な家賃助成等については、特定個人に対する長期的な公費支出となり、公平性の観点から課題があるため、実施する考えはありません。 次に、中小企業支援策の強化・産業観光費の拡充についてです。 現在、産業振興マスタープランの前倒し改定に着手しており、社会状況の変化や現行事業の総括を踏まえた上で、産業分野と観光分野とが相乗効果を生み出せるような施策体系に再構築する検討をしています。次年度の
予算編成の中で、事業効果の最大化を見据え、産業観光関連予算を適切に配分していきます。 次に、建設産業に対する支援策の実施についてです。 建設産業も製造業等の他の業種と同様に重視しており、具体的には後継者育成や人材採用、事業承継、融資など、さまざまな制度が利用できる環境を整えています。 今後も区内産業全体の活性化に向け、本区ならではの視点を盛り込んだ施策を積極的に展開していきます。
◎教育長(加藤裕之) 議長
○議長(
田中邦友) 加藤教育長 〔教育長 加藤裕之登壇〕
◎教育長(加藤裕之) ただいまの日本共産党・あさの議員のご質問にお答えします。 就学援助の給食費について、就学援助基準を生活保護基準の2倍以上へ引き上げることについてです。 現在、本区では第68次生活保護基準の1.2倍を援助基準に設定していますが、就学援助基準の設定は自治体の判断となっており、多くの区が1.2倍の援助基準を設定していることから、現在の基準は妥当と考えております。 なお、区独自にメガネ購入費と運動着費について支援を行っています。 今後とも、国や都、他の自治体の動向等を注視しながら総合的に判断し、所要の支援を行っていきます。 以上で、日本共産党・あさの議員の私へのご質問に対する答弁を終わります。
◆12番(
あさの清美) 議長
○議長(
田中邦友)
あさの清美議員 〔12番
あさの清美登壇〕
◆12番(
あさの清美) 質問の第2は、台風・水害対策の抜本的な強化についてです。 台風19号に対する区の対応について、不満や批判の声がたくさん寄せられています。区は、自主避難を勧告した理由について、雨や風による被害が心配な方のためであり、荒川の氾濫は起きないと判断していたと後になって説明しています。ところが、実際に避難した人の多くは、荒川の氾濫などによる浸水を心配されたのではないでしょうか。 このような区の判断を含めた情報は、避難勧告と併せて提供する必要があります。そして、区民がどのような行動をとったらいいのか、その判断基準となるような明確な情報提供を、その時々の状況に応じて迅速に行うことが必要です。 また、防災無線のスピーカーがほとんど聞き取れなかった問題は、早急に改善すべきです。我が党は、防災ラジオか簡易な受信機を安価であっせんすること、希望する高齢者や障害者、低所得者には無料で配布するよう求めています。静岡市があっせんしている防災ラジオは、文字情報も配信され、耳の不自由な方も利用できます。 区が言うスマートフォンの活用などもありますが、「インターネットの環境やスマホがないため、情報がほとんど入らなかった」との声もあります。一人ひとりの区民に対し、区が直接、確実に情報を届けられる仕組みを構築することが重要です。区長の積極的な対応を求めて、見解を問うものです。 次に、避難方法及び避難場所の整備についてです。 「台風や風水害のための避難場所が1階の体育館でよいのか」、「今回の事態を見ても、江東5区で250万人が避難するのは現実的ではない」などのご意見が寄せられています。現行の避難場所は、東京湾北部地震の被害想定を基に計画されたものであり、洪水被害を想定したものではありません。最近の全国の台風や洪水被害の教訓から学んで、大地震による避難場所とは別に再整備すべきです。 防災備蓄品についても、小型ボートや発電機など、洪水の際には何が必要になるのか、再検討して整備すべきです。 さらに、荒川の氾濫による江東5区の広域避難に対して、江東区長は見直しを求める考えを示しています。台風19号では、鉄道の計画運休が相次ぎ、このような状況では移動手段も確保できません。 区としても、広域避難だけでなく、区内において1週間から2週間は滞在可能な避難場所の確保を真剣に検討すべきです。 また、避難方法についても、災害弱者の方をはじめとして、一人ひとりの区民がどう避難したらよいのか明確な提案を行い、その内容を周知徹底するとともに、避難訓練なども実施すべきです。区長はどのように対応されるのか、答弁を求めます。 次に、荒川等の氾濫・決壊に対する万全な対策についてです。 区は、荒川の氾濫は起きないと判断していたと言いますが、実際には氾濫の危険が迫っていたと指摘されています。 朝日新聞は、「あの日、荒川は東京を守った」との連載を載せ、上流のダムが満水に近づき、緊急放流を決断したが、台風が通過すると雨が弱まったため回避されたこと、2004年に完成した東京ドーム31個分の貯水力を持つ遊水地がフル稼働できたこと、岩淵水門で氾濫危険水位まで53センチに迫ったとき、海が干潮を迎えたため一気に水位が下がったことなど、奇跡的な偶然が重なり、東京は守られたとしています。 今の異常気象のもとでは、台風19号より巨大なスーパー台風がいつ来てもおかしくありません。荒川土手の強化や貯水力の一層の向上など、具体的な提案を行い、絶対に氾濫や決壊を起こさない万全の対策を講じるよう国に強く働きかけるべきと考えます。区長の見解をお伺いします。 また、ゲリラ豪雨などの浸水対策では、下水道の排水能力を向上させることが必要です。東京都は、1時間に75ミリの雨を処理できる下水管の整備を繁華街など一部では進めています。ところが墨田区では、50ミリの雨に対しても下水本管の処理能力が疑問視されています。 さらに、荒川の決壊による浸水があった場合には、1週間から2週間以上は水が引かないと言われています。一日も早く水をなくす対策が急がれます。区として調査研究を進め、国や都とともに対策を図るべきです。 また、各家庭での浸水対策についても、さまざまな止水方法や備えの啓発を強め、土のうステーションの拡充や止水板の配備などを進めてほしいと考えます。区長の見解をお伺いします。
◎区長(山本亨) 議長
○議長(
田中邦友)
山本区長 〔区長
山本亨登壇〕
◎区長(山本亨) ただいまの台風・水害対策の抜本的な強化に関するご質問にお答えします。 今回の台風第19号の対応で得た教訓の中でも、
情報発信体制の再構築は重要な課題であると認識しており、現在、早急に改善策の検討を進めています。 防災行政無線が聞き取りにくかった等の課題に対しては、区民の声を聞きながら検証した上で、まずは区の既存の情報発信ツールを十分に活用し、適時・適切に情報発信できる体制づくりを進めていきます。 次に、避難方法及び避難場所の整備についてです。 現在、区が指定している学校等の避難所は、食料や防災資器材等を備蓄しており、水害時の避難場所の役割が果たせると認識しています。加えて、垂直避難の対応として、一時避難施設の拡充や区内都有施設の活用要請等の取組を進めます。 また、防災備蓄品については、今回の台風対応での使用実態を踏まえ、配備状況等について改めて検証します。 次に、荒川氾濫に伴う広域避難についてですが、区内にとどまった場合、最大で2週間以上は水が引かず、ライフラインの復旧までには更に長期間にわたることが想定されます。そのため、緊急避難措置としての垂直避難対策を進める一方で、広域避難の方策についても検討していく必要があると考えます。 区民に対する避難方法の提案や周知については、課題であると認識しています。現在、要配慮者避難支援プランの改定作業に着手しており、住民防災組織、消防団、防災士ネットワーク協議会等と連携しながら、支援体制の強化を図ります。 また、区民の皆さんが適切な避難行動をとれるよう、地域防災活動拠点会議や各種訓練等の場を活用し、避難行動の周知や災害時に適時・適切に情報発信できる体制を構築していきます。 次に、荒川等の氾濫・決壊に対する万全な対策についてです。 荒川は国が管理しており、荒川水系河川整備計画に基づく堤防のかさ上げや拡幅、洪水時の水位上昇を抑えるために流量を低減させる荒川第二・第三調節池の整備、水門の耐震補強などのハード整備が行われています。 一方、国は平成27年12月に、施設では防ぎ切れない大洪水は必ず発生するとの考えのもと、水防災意識社会再構築ビジョンを策定、公表しています。このビジョンは、住民が自らリスクを察知し、主体的に避難できるよう、住民目線のソフト対策へ転換することと、洪水氾濫を未然に防ぐ対策に加え、氾濫が発生した場合にも被害を軽減する危機管理型ハード対策を導入することを中心としたものです。 荒川放水路は、昭和5年の完成以降、決壊していませんが、ビジョンにある対策をより一層推進するよう、機会を捉えて国に要請していきます。 次に、雨水の排水能力の向上及び浸水対策についてです。 都は、老朽化した下水道管の再構築や幹線整備、貯留地整備等により、雨水排水能力の向上を図るとともに、河川の水門や排水機場の電気設備等を高い位置へ移設することや、開口部の水密化等により機能を保持することなどの耐水対策を実施しています。一方、各家庭などが局地的集中豪雨による家屋浸水に事前に備えることも重要と考えます。 区では、区民等の自主的な減災活動に資するため、土のうステーションを設置しており、このたびの台風第19号の際の状況を検証し、土のうの保管量や補充、配布方法の見直しを進めています。 併せて、土のうの代替となるビニール袋に水を入れた水のうや、止水板等の自助の備えの周知にも努めていきます。
◆12番(
あさの清美) 議長
○議長(
田中邦友)
あさの清美議員 〔12番
あさの清美登壇〕
◆12番(
あさの清美) 質問の第3は、
まちづくり問題についてです。 去る18日、明るい革新すみだ区政をつくる会の主催で、区の新都市計画マスタープランを題材にして、墨田の
まちづくりを考えるシンポジウムが開かれました。私も参加して、大事だと感じた点について質問します。 第1に、区の適正人口をどう考えるかという問題です。 区は、人口が27万4,000人を超え、税収も増えていることをバラ色に描いていますが、デメリットにもしっかりと目を向ける必要があるのではないでしょうか。 1974年に区が策定した再開発基本構想では、夜間人口の抑制を掲げ、「近い将来において予測される大地震の被害を最小限に食い止めるためにも、本区の人口密度はできる限り低めに抑えることが必要である」と指摘し、「再開発によって建設された住宅は、地元限定入居を中心とする」とまで述べています。更に人口が増えれば、保育園や学校、公共施設などの整備も必要になり、将来的には福祉などの行政課題が生まれるとしています。 当時の人口は25万1,000人であり、1960年の33万1,843人から急激に減少している中での指摘です。そして、この計画では、1985年の人口規模を25万人と想定し、その後の計画でも25万人が目標として掲げられてきました。基礎的自治体としては、医療・介護の地域ネットワークを構築できることも重要です。 区長は、本区の適正人口は何人ぐらいと考えているのか。根拠も示して、明確な答弁を求めます。 第2に、再開発事業を見直して、区民の福祉や暮らしを充実することについてです。 区は
財政白書において、今後6年間で120億円不足するため、一層の
行財政改革が必要だとしています。区の
基本計画では、北十間川・隅田公園観光回遊路整備事業に10億3,700万円、スカイツリー駅周辺整備事業に17億4,900万円、曳舟駅周辺整備事業に17億4,100万円、東武線の立体化事業に289億8,400万円、新保健センター整備事業に70億2,400万円を計上しています。これに大学誘致のための旧
中小企業センターの大規模改修費29億円を加えると434億3,500万円にもなり、120億円の赤字の大きな要因となっています。 シンポジウムでは、このような再開発事業や箱物を見直して、区民の福祉や暮らしを充実してほしいとの声が次々に出されました。 また、本区に来る観光客の8割が東武鉄道関係の施設に行っていることが指摘されました。現在の再開発事業でも、そのほとんどが東武関連です。東武グループは、このエリアの所有不動産の活用などで利益拡大を図るとしています。 このような再開発事業については見直しを行い、事業費を削減するとともに、区民福祉の増進につながる事業にしていくこと、東武鉄道に対して、その利益の一部を還元させ、区民と区財政の負担軽減を図ることが求められます。区長の見解を問うものです。 第三に、住民が主人公の
まちづくりについてです。 シンポジウムの討論では、鐘ヶ淵周辺地区の都市計画で、住民の反対で取りやめになったはずの土地の高度利用を誘導する大規模再開発事業が明記されていることが問題になりました。また、区内の道路拡幅事業で、東京都が4件に対し土地収用法に基づく強制的な手法をとったことに厳しく批判する声が出されました。 一方で、革新都政時代の白鬚防災団地の再開発では、計画策定段階から住民が参加し、徹底した情報公開と民主的運営のもと、移転補償などの審査会にも住民代表が参加するなど、住民本位の
まちづくりが行われたことが強調されました。 今後の区の
まちづくりについては、住民が主人公の立場を貫くことを要求し、区長の見解をお伺いします。
◎区長(山本亨) 議長
○議長(
田中邦友)
山本区長 〔区長
山本亨登壇〕
◎区長(山本亨) ただいまの
まちづくり問題に関するご質問にお答えします。 まず、区の適正人口についてです。 昭和49年に公表された墨田区再開発基本構想では、“「広場と青空の東京構想」における江東地区再開発の目標”の中で、「都市改造が完成し、防災、公害問題が解決されるまでは、地区内の人口を現在以上に増加させない。」との記載があります。今から45年前に指摘された生活環境の改善を図るために策定したもので、その後、不燃化、耐震化の促進、木造住宅密集地域の解消等に取り組んでおり、地域の安全性は着実に向上しています。 一方、この半世紀間を経て、我が国は人口減少時代を迎えています。本区の人口は、現在、増加傾向にありますが、近い将来には人口減少の局面を迎えることが予測されることから、人口推計を適切に行う必要はあるものの、総人口の増減に着目した適正人口を設定する意義は、当時と比べて薄れてきていると考えます。 次に、再開発事業を見直して、区民の福祉や暮らしを充実させることについてです。 現在、区内で展開している東武伊勢崎線連続立体化交差事業や、北十間川・隅田公園観光回遊路整備事業をはじめとした各種の
まちづくり事業については、地域経営を進めていく上で、また、区民の暮らしを充実させる上でも大変重要であると考えており、今後も区民、区内事業者と連携・協力し、
まちづくりを進めていきます。 また、東武鉄道に対する利益の一部を地元に還元することについては、区が強制できるものではありませんが、今後も区の立場を明確にし、地域住民の住環境の向上や地元商店の活性化など、区民の福祉増進に向けたさまざまな役割を果たしていただくよう働きかけていきたいと考えています。 次に、住民が主人公の
まちづくりについてです。 おおむね20年後のすみだの将来を見据え、今年3月に改定した墨田区都市計画マスタープランにおいては、「協治(ガバナンス)を基本理念とした
まちづくり」を大きな柱の一つとしています。 その中で、これまでの
まちづくり分野における地域住民や団体の主体的な取組事例や実績等を紹介していますが、今後もより一層、住民や事業者、区などの多様な主体が連携・協力しながら、魅力と活力ある
まちづくりを推進していきます。
◆12番(
あさの清美) 議長