熊本県には、10の2次医療圏があり、基本的には今回の
新型コロナウイルス感染症の直接対応や感染患者の収容等についても、それぞれの医療圏が主体となって行うことになっております。
熊本市は、熊本地震後に策定された県の
地域医療構想により、上益城郡域を吸収する形で
熊本上益城医療圏と再編されました。その豊富な医療資源を生かし、医療圏域の中心的な役割を担っております。また、九州各県におおむね1つしかない第
一種感染症指定医療機関を持ち、今回の
コロナ禍の中で最前線に立つ都市の1つとして大きな役割を担っております。そのような背景の中、8月4日には熊本市は、
感染リスクレベルを最高段階のレベル4特別警報に初めて引き上げました。第1波の収束でつかの間の平穏を感じていた中に、予想以上に早い第2波の到来に、多くの市民の方々がショックと不安を感じました。
熊本市のレベル4の判断基準は、市内でリンクなし感染者4名以上、
新規感染者5名以上と定められています。
リスクレベルを判断するに当たって、感染症の
専門家会議においては、検査体制や
医療提供体制の整備は進められているものの、
新規感染者の急増でこれらに負担がかかり始めているような状況から、現時点では、熊本県、熊本市共にレベル4に引き上げることが妥当であるとしています。
リスクレベルの引上げには、定められた基準の数値と共に、医療体制の負担のかかりよう、いわゆる
医療逼迫度が決め手になったと感じています。
また、8月7日には政府の
有識者会議、
新型コロナウイルス感染症対策分科会が感染状況を4段階で評価するための6つの指標を発表しました。その中で、最初に掲げられた指標が病床の
逼迫度合いです。その内容は、最大限確保できる病床全体の占有率と同じく
重症者用病床の占有率が50%以上になると
感染爆発段階のステージ4、そのレベルになるというものです。分科会の会長は、ステージ4のボタンを押すときは、
緊急事態宣言を出す時期とまで述べられております。これらの専門家の意見を聞いただけでも、これからの
感染リスクレベルの判断や社会の行動指標を提示する際に、医療の逼迫度を明確に判断することがより重要になってくることを表しております。
私たちはコロナに相対するときに、これまでと異なった生活様式への戸惑いや不自由さ、経済活動の停滞による収入減少の不安、家族や自分自身が感染したときの恐怖、自分たちの置かれた環境に多くの不安を感じております。そして、何を最も大切にすべきかを思い悩みますが、最悪の場合でも最善の治療を行ってくれる医療の現場を守ることがコロナとの闘い、またその先にある
ポストコロナの時代を生き抜くのに重要なことではないでしょうか。
そこで、熊本市の医療圏における
コロナ対策と医療の逼迫度について4点お尋ねします。
1点目は、医療の逼迫度をより理解し共有するための情報提供についてです。
多くの
コロナ関係の報道や情報がもたらされていますが、医療の逼迫度について具体的に表すものは、
コロナ治療に使える病床の数や、そのうち何床を使っている、それを示す占有率しかありません。しかし、実際の現場は、単に空き病床があり、入院の受入れができればいいというものではありません。患者の重症度に応じて対応する人員体制や医療機器など、医療資源が充足しているのかが重要になります。
そこで、次のような指標を示していただきたいと思っています。
1、
重症度ごとの
確保病床数とその占有率、2、感染症の専門医や
コロナ専用病棟に従事している医師や看護師の人員体制及び勤務時間数、3、N95マスクほか
医療用感染防止資器材の備蓄状況、4、
人工呼吸器の確保台数と占有率、5、最重症者に使用する
人工心肺ECMOの確保台数、占有率及び対応可能な
臨床工学技士の人員体制です。このような具体的に医療現場の実情を知ることができる情報を、
医療機関名称は非公表のまま、総数のみを知らせていただきたいと思います。
熊本市の医療圏が
コロナ治療にどれほどの力を備えているのか、あるいはその備えがどれだけ乏しくなっているのか、市民やかかりつけの開業医の方々ももっと正確に知っておきたいのではないでしょうか。それを知ることで、さらに予防や新しい生活様式のルールに積極的に取り組むきっかけになると思います。
2点目は、
感染症指定医療機関や
受入れ協力医療機関の連携についてです。
第1波の際は、陽性患者の収容は帰国者・
接触者外来を経て
感染症指定医療機関に入院となり、病床の占有率が高まってきたら、行政機関の調整により
協力医療機関への転院という流れであったと思います。さらに、一定期間の隔離や無症状の場合は
医療機関以外の
宿泊療養施設への移動も準備されていました。しかし、感染が蔓延する中で手探りの中の
仕組み作りであったため、
医療機関の連携や調整がスムーズに進まなかったこともあったように聞いております。
今後、さらに患者が増えてきた場合でも、治療を受け持つ
指定医療機関や
協力医療機関の体制が疲弊し逼迫しないようにしなければなりません。特に、
指定医療機関は
PCR検査の結果が陽性になった場合に、最初に搬送されてきます。そのため、
クラスターなどで患者が一気に集中した場合は、現場が逼迫しやすくなります。また、第2波の特徴として、患者の8割が軽症や無症状であるとの報告もあります。医療の逼迫を避けるため、
宿泊療養施設の有効な活用が大きなポイントになるように思います。これらを十分考慮して、
指定医療機関と
協力医療機関の連携がスムーズにいくよう行政がしっかりと力を出していただきたいと思います。
第1波の際の課題点や反省を踏まえての現在の状況と今後の
連携調整方法についてお聞きします。
3点目は、
医療機関における感染症の専門家の充足についてです。
医療機関では、院内感染を防ぐため、日常的な消毒、滅菌等の感染対策を行うことが必須となっております。これは感染症の指定病院であるかにかかわらず
医療機関としての責務でもあり、その
医療機関を評価するポイントにもなっています。しかし一方では、感染症の専門資格を持つ医療者はまだ少数で、今後、
コロナウイルスと共存し、さらに新種のウイルスが発見される可能性もある中で、感染症の専門家の存在は、熊本市の医療圏にとっても重要なものだと思います。
ICD(インフェクション コントロール ドクター)、
感染制御認定薬剤師、
感染管理認定看護師、
感染制御認定微生物検査技師、ECMOを操作できる
臨床工学技士などの
感染症対策の専門資格を持つ
医療従事者が熊本市の医療圏に何人いるのかは把握しているのでしょうか。また、これらの専門家を充足していくために、個人や
医療機関の思いに頼るだけではなく、医療政策を受け持つ行政としてどのような支援策があるか、そのお考え、方針についてもお聞きします。
最後に、
指定医療機関や
協力医療機関の収益悪化に対する財政支援についてお聞きします。
コロナ禍において、多くの方々がコロナと闘う
医療従事者への感謝の気持ちを表してくれました。
医療機関に勤めていた私も自分のことのようにうれしく感じておりました。しかし、コロナとの闘いは相手がウイルスだけではなく、病院経営の急激な収益悪化という大きな問題を抱えています。最近になって、この問題についても報道などでも伝えられるようになりました。
指定医療機関や
協力医療機関では、ほかの入院患者や
医療従事者への院内感染を防ぐため、病室の隔離や一般病床の縮小が必要となっています。その結果、通常より相当数の入院病床が使えなくなっております。そのため、
入院予定日の延期や手術の延期、中止を余儀なくされています。
厚生労働省は、4月から
コロナウイルスに対応した診療報酬を増額しましたが、これは重症者を中心とした改定であったため、中等症や軽症者の診療報酬には大した恩恵がなかったようです。今後も、
コロナ患者の受入れが続く限り、
指定医療機関や
協力医療機関の経営の悪化は、自らの経営努力だけでは到底埋め合わせることはできません。必要な
マンパワーについても人件費の削減などが行われ、職員の
モチベーション低下で医療者の離職を引き起こしてしまいます。まさに内部からの医療崩壊を起こしかねません。
熊本市では、医療政策を担う行政として、このような状況を何とか回避しなければなりません。まずは
コロナ対応によって収支不足となった
指定医療機関と
協力医療機関に対して、その実質的な
収支不足分を完全に補填するよう強く国に働きかけをしていただきたいと思います。もし国の支援が不足する事態となったときは、
地方創生臨時交付金など一連の
コロナ関連予算を組み替えてでも支援を行っていただきたいと思います。
以上、1点目から3点目までを
健康福祉局長に、4点目を市長に御答弁をお願いいたします。
〔
石櫃仁美健康福祉局長 登壇〕
◎石櫃仁美
健康福祉局長 3点のお尋ねにつきまして順次お答えいたします。
1点目の医療の逼迫度に関する各種情報の提供につきましては、市民の皆様に
新型コロナウイルス感染症を取り巻く状況を正しく御理解していただくため、議員お示しの例示も参考としながら、医療の逼迫度について、できる限り分かりやすい形での情報提供に努めてまいります。
次に、
感染症指定医療機関と
受入れ協力医療機関との連携につきましては、4月の県市
合同専門家会議におきまして調整本部が設置され、
感染症指定医療機関から
受入れ協力医療機関への調整が開始されました。
現在は、県の調整本部を中心として、
感染症指定医療機関と
受入れ協力医療機関の連携強化が進められており、本市としても、県の調整本部に職員を派遣するなど、県との協力体制を強化しているところでございます。加えまして、県が設置いたします
宿泊療養施設での軽症者の受入れも開始しており、本市も協働して運営に当たっております。このような取組により、重症、
中等症患者の病床が逼迫することがないよう病床確保に努めているところでございます。
最後に、現在把握しています
感染症専門家の充足についてでございますが、市内の
医療機関におきまして、ICDが130人、
感染制御認定薬剤師が6人、
感染管理認定看護師が16人、
感染制御認定微生物検査技師が3人、診療等に従事されているところでございます。しかしながら、より高度で専門的な知識を有し、感染症の治療で中心となる
感染症専門医は市内に12名しかいらっしゃらず、その育成は喫緊の課題でありますことから、
熊本大学病院に寄附講座を設置し、
感染症専門医を育成し、
新興感染症に対応できる
医療提供体制の充実に取り組んでまいりたいと考えております。
〔
大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長
新型コロナウイルス感染症流行の長期化に伴う
受入れ病床の確保や
受診控え等により、
感染症指定医療機関を初め、
受入れ協力医療機関の経営状況に影響を及ぼしていることは十分認識しておりまして、直近の
ヒアリング調査でも、各
医療機関における4月以降の医業収入の昨年比では、平均で約13%の減収となっているところです。
このような中、国においては
新型コロナウイルス感染症患者を受け入れる
医療機関に対する支援として、診療報酬の引上げを初め、重症、中等症に係る
空床確保補助額の増額や
医療従事者等への慰労金の支給など
支援メニューの拡充もされているところではありますが、さらなる支援が必要と考えておりまして、
空床確保補助額の増額など、
受入れ医療機関への財政支援について国に繰り返し要望を行ってまいりました。
先般、国においては、患者を受け入れる
医療機関の安定経営を確保するため、さらなる支援方針を示されたところであり、その具体的な施策を注視しながら、
医療機関をしっかりと守るため、国に対し引き続き手厚い支援を求めてまいりたいと考えております。
〔15番
山内勝志議員 登壇〕
◆山内勝志 議員 御答弁ありがとうございました。
1点目の
医療逼迫度をより理解し、共有するための情報提供については、まず行政機関が医療現場の実情をより正確に把握することが重要です。その上で、市民の皆さんとも、また開業医の先生方とも今の医療の
逼迫度合いを共有できるような情報提供の在り方を工夫していただきたいと思います。
2点目の
指定医療機関と
協力医療機関の連携についてですが、この課題が
コロナ対策においても、また医療逼迫を防ぐ上においても大変重要であると思います。陽性患者の
初期受入れや
入院患者増加による定員調整などで各
医療機関が混乱し疲弊しないように、調整の役割をしっかり機能させていただきたいと思います。特に、熊本市は、豊富な医療資源を抱え、
熊本上益城医療圏のみならず、熊本県の体制の中で大きな力と役割を担っています。熊本市としても、さらにリーダーシップを発揮していただくようお願いいたします。
3点目の
医療機関における
感染症専門家の充足については、
熊本大学病院にも寄附講座を作るという具体的な取組が行われているとのことです。大変よい取組だと思います。さらに、そのほかの職種についても認定を取得するまでの研修等の費用を助成するなど、行政のできる支援策について、感染対策の専門家を増やし、感染症に強い都市を目指していただきたいと思います。
4点目の
指定医療機関や
協力医療機関への財政支援についてですが、現在の厳しい経営状況は既に十分把握されていることと思います。国においても慰労金の支給や診療報酬の引上げなど幾つかのメニューを実行していますが、現実にはこれらのメニューではコロナによる収益悪化をカバーすることは到底できません。
指定医療機関や
協力医療機関への財政支援は、あくまで国の責任の下に行われるべきです。引き続き、強い要請をお願いいたします。万が一それが十分な支援でなかったときは、市の独自措置を検討していただきますよう重ねてお願いいたします。
それでは、引き続き、
コロナ関連の質問をさせていただきます。
コロナ禍で見えた課題と解決策について、
介護福祉現場のことと
保健所機能について、2点お聞きします。
1点目は、介護や福祉の現場における
コロナ対策についてです。
春先の感染初期には、施設、通所、訪問等の全ての介護福祉の事業所でマスクや消毒薬等の
感染防止資器材の絶対数が不足し、混乱と不安の中で利用者の対応に当たられました。第1波の際は、本市において
介護福祉事業所の感染の伝播はありませんでしたが、事業者の方からは、たまたま起きなかっただけとの声も聞かれました。しかし、今回の第2波では、県内の
介護老人保健施設で
クラスターが発生するなど、介護福祉の現場は、発症者や
濃厚接触者がいつ出てもおかしくないと危機感を強めています。
介護福祉の現場では、利用者と
介護従事者が一対になっており、感染者一人だけが療養すればよいということではありません。
介護従事者は多くの利用者を担当していますし、利用者側も複数の
介護従事者と接しています。お互いの関連性が網の目のように複雑に絡み合っているため、一人の感染が多くの濃厚接触を生むということになります。また、利用者の介護や看護は日常の生活の一部であり、いっときも止めることができず、すぐに次の
介護従事者を決めなければなりません。
このような複雑な事態を抱えているのに、現場の実情は深刻な
働き手不足に悩まされており、どこかの事業所が休業する場合に、代わりがすぐ見つかるような状況ではありません。また、あらかじめ応援体制を作っておこうと思っても、
コロナ禍の中で日常の運営に忙殺され、お互いに話し合う機会さえ作れないのではないでしょうか。
そこで行政が調整役を担う必要があります。
事業者同士に相互支援の
仕組み作りを任せっきりにするのではなく、第三の調整役として現状を俯瞰的に見回して、応援が必要な事業所、反対に応援が可能な事業所を把握して、事前に
相互支援システムを提案すべきだと考えます。
愛媛県と松山市では、事前に応援協力ができる法人を募集し、応援者の名簿まで作っているそうです。さらには、応援を出した事業所をさらに後方支援する体制まで考えられているようです。応援登録した事業所には、マスクや手袋、消毒薬の支給はもちろんのこと、必要な旅費、宿泊費、危険手当を県市から補助しているようです。このような事前の取組やリスクを回避する
相互支援システムを作ることが熊本市でも必要だと思います。本市の現状と今後の方針についてお聞きします。
また、現在の熊本市の介護行政では、主に
介護保険制度の運営維持を中心に所管する
介護保険課と高齢者の全般的な課題を担う
高齢福祉課があります。今回の
コロナ禍の混乱の中で感じたのは、
介護福祉現場で起こっている不安を解消するために統括的な指揮をする部署がどこなのか、今後の
感染リスクや
災害リスクに備えるシステムを作っていく部門はどこなのかが分かりにくいと感じました。現在の組織の中に新たな部署を作るか、既存の組織の人数を増やし、業務の再編等を考えるべきだと思いますが、お考えをお聞かせください。
2点目は、
保健所機能の強化と検査体制についてです。
まず、
コロナ対策における
保健所職員の皆さんの奮闘に敬意を表します。決して十分ではない職員数で、急激に高まった業務量と行政機関の責任に対する負担感は計り知れないものであったと思います。
昨年の9月議会の私の一般質問で、ラグビーとハンドボールの
国際大会2つを開催するに当たっての
外国人旅行者の
感染症対策について質問いたしました。その際のお答えとしては、チラシやガイドブックの配布で啓発に努めるという程度で、決して感染対策が万全と言えるものではありませんでした。とはいっても、私自身も含め、その半年後に新種のウイルスが国を越えて日本に入り、
爆発的感染を起こすとは正直思っていませんでした。
1980年前後にエボラ出血熱やエイズが、2000年以降にSARSや高
病原性鳥インフルエンザなどの
新興感染症が世界を震撼させた過去があったにもかかわらず、
感染症対策の反省と備えは、流行が収束し時間が経過していくに伴って薄れていくものだと感じています。また、我が国の保健行政でも、感染症に対する危機感が徐々に薄れると同時に、
生活習慣病の予防へと軸足が移り始めました。
感染症対策を担う
公衆衛生行政も、国が進める全国の保健所の統廃合や行革による
公務員削減により、その機能は縮小していきました。
熊本市も例外ではなく、従来2つの保健所と3つの
保健センターで
公衆衛生体制を担ってきたものが、現在は1つの
保健所体制となっています。そのような中、突然に急激に押し寄せるパンデミックの波に
保健衛生行政は大混乱となりました。特に新種のウイルスに対峙するには余りにも情報も知識も経験もなく、初動においても国の方針を待つしか方策がなかったのが実情ではないでしょうか。その後、有識者による
専門家会議が立ち上がり、情報の分析と対応方針の提示をしていただきましたが、初動の段階から一定の方針や対策が立てられるよう、熊本市の組織の中に
感染症対策に詳しい人材が必要であったと思います。早急に
感染症対策を担える
公衆衛生医師を採用し、より統括的な判断ができる体制を構築していただきたいと思います。
また、本来感染予防を受け持つ保健師も、
生活習慣病対策のほか、児童虐待、高齢者障がい者の孤立、
メンタルヘルス対策と担当する分野が増え、さらに災害時の
被災者支援をも担っています。今回の
コロナ禍で急遽
感染症対策に引き戻され、戸惑いも大きいと思います。地域の感染防止に目を届かせることが
感染症蔓延の防止に有効ではありますが、現在の体制のままでは多くの保健師が疲弊してしまいます。いま一度、保健師の体制を見直し、職員の増加や職域の分担を考えていただきたいと思います。
加えて、
コロナ対策で大変重要な役割を持つ
PCR検査を実施する部署が
環境局所管であることに少し違和感を持っております。
コロナ禍の初期段階で
PCR検査の立ち後れが全国の保健所で課題になりました。本市においても例外ではなく、さらに異なる部局間での情報のやりとりであったことも、その混乱の要因になったのではないでしょうか。
今後の国の方針では、
PCR検査のさらなる拡充や保健所の体制強化、
積極的疫学調査の強化などが示されています。ますます
PCR検査体制や保健所の体制が重要視されてきます。そのような中で、検査の迅速化や大量検査に備える規模等を考えた場合、現在のまま環境局と検査体制を共有する体制のままでよいのか、保健所内に独立した検査体制を作った方がよいのか、
PCR検査の実施体制も含め、今後の方針についてお尋ねします。
以上2点について、
健康福祉局長に御答弁をお願いします。
〔
石櫃仁美健康福祉局長 登壇〕
◎石櫃仁美
健康福祉局長 1点目の
介護福祉現場における
コロナ対策についてのお尋ねにお答えいたします。
介護事業所におきましては、
新型コロナウイルス感染者等が発生した場合の対応について、国や県からの通知に基づき情報提供を行うとともに、適宜相談に対応いたしております。
在宅の利用者に対して
介護サービスを提供している事業所で感染者等が発生した場合には、サービスの縮小、停止が想定されることから、事前の備えとして、利用者の身体状況や
家庭環境等を整理し、緊急時の対応のトリアージを行っておくよう通知いたしております。
その中で、サービスの提供が不可欠な利用者に対しまして、
感染防止策を徹底した上で
介護サービスを提供することとなりますが、その際に必要となるマスクやガウン等の
衛生防護用品につきましては、必要に応じて本市から提供を行うことといたしております。
また、
高齢者施設において感染者等が発生した場合につきましては、熊本県において、応援職員として協力できる方を事前に
人材バンクに登録する仕組みを構築し、現在、
高齢者施設に対して登録の依頼を行っているところでございます。今後、
人材バンクに登録された職員の派遣につきましては、本市で行っていくこととしております。
次に、
感染リスクや
災害リスクに備える部署についてお答えいたします。
今般の
新型コロナウイルス感染症への対応や災害時におきましては、迅速な対応と業務の専門性に応じた個別具体的な対応が不可欠でございます。こうした専門性は、日常的に業務に携わることによって得られる経験や知識により培われることから、平常時の業務体制の充実や職員の人材育成が重要であると考えております。
これまでも、災害時においては組織間の連携の下、適切な対応を図ってきたところでございますが、今後も様々な事態が生じる可能性もあることから、さらなる組織間の連携強化を図るとともに、担当職員の危機管理意識の高揚と対応力の向上にも努めてまいります。
2点目の
保健所体制の強化と検査体制についてお答えいたします。
まず、
保健所体制の強化でございますが、
公衆衛生医師や保健師につきましては、
公衆衛生行政における重要な役割を担うと認識しており、それぞれ専門的な役割を果たせるよう、引き続き人材育成等を行ってまいります。
次に、検査体制の強化についてお答えいたします。
検査体制につきましては、当初は環境総合センターのみで実施してきたところでございますが、4月からは民間検査機関等の活用、また7月からは熊本市医師会と連携し、PCRセンターの設置など検査機関を増やしますとともに、環境総合センターの体制強化や検査機器の整備など検査体制の強化に取り組んでまいりました。
現在、環境総合センターでは、
クラスターの発生や、
医療機関や
高齢者施設など重症化のリスクの高い方が多い施設において感染者が確認された場合の集中的な検査や緊急検査を行うなど、機能分化を図っているところでございます。
これまでも環境総合センターと十分連携を図りながら検査を実施してきたところでございまして、引き続き、民間検査機関等と役割を分担し、迅速かつ効率的に検査を実施することで、市民の皆様に御安心いただける検査体制の確保に取り組んでまいります。
〔15番
山内勝志議員 登壇〕
◆山内勝志 議員 御答弁ありがとうございました。
1点目の介護福祉の現場における
コロナ対策は、個々の生活の事情が異なることや従事者不足で事業者相互の応援体制を築くことが難しいとは思いますが、行政が事業者の間に入ってマネジメントすることが大変望まれております。事業者へのタイムリーな情報提供、相談体制の強化、応援
人材バンク事業の充実などとともに、しっかりと対応していただきたいと思っております。
また、
感染リスクや
災害リスクに対処する体制については、日常業務に忙殺される現在の体制ではなかなか困難な部分もあると思います。想定以上のリスクにもしっかり役割を果たせるように、組織の在り方や人員体制の強化について、いま一度十分な御検討をお願いいたします。
2点目の
保健所機能の強化と検査体制についてですが、感染対策の仕切り役として欠かせない
公衆衛生医師、市中の感染を未然に防ぐ役割を担う保健師、共に
保健所機能を強化するためには、しっかりとした人員体制を築くことが重要です。
公衆衛生医師の充足と保健師の増員について、関係部局と十分な御協議を行っていただきたいと思います。
検査体制については、今後の流行のスピード、大規模
クラスター発生、予防的検査の増加など、想定の範囲を大きく捉えて準備を進めていただきたいと思います。
それでは、次に、がんと闘う人々、がんサバイバーへの支援について2点質問させていただきます。
1点目は、がん治療と仕事の両立のための休業補償制度等についてです。
先日、2019年の日本人の平均寿命が発表され、男女共に昨年に引き続きの伸びとなりました。医学の進歩や社会環境の整備、保健予防の強化など多くの専門家の努力と高齢者自身を含めた国民の健康に対する意識の高さの結果であると思います。
また、毎年死亡率の1位となる悪性新生物、いわゆるがんの治療においても、オプジーボのような画期的新薬の登場で治療成績も向上しています。一昔前は不治の病と言われていたがんも、医療技術の進歩で長期生存が可能となってきました。
一方で、がんと闘うがんサバイバーには多くの問題が残されています。副作用などの身体的な問題、がん再発に対する精神的な問題、治療費などの経済的な問題、働きながら治療する際の周囲の理解など、様々な問題に直面し、がんと診断されたときから生涯にわたってこれらの問題と向き合うことになります。
そういった問題をがんサバイバー本人だけでなく、その周囲の人々や社会全体を巻き込んで、みんなで協力して乗り越えていこうという考え方が出てきました。国の策定した第3期がん対策推進基本計画にも反映され、例えば、仕事と治療の両立をサポートする体制の構築など、分野別施策の項目の中にがんとの共生が掲げられています。特に、治療方法の進歩により、病院の外来に通院しながら化学療法を受けるなど、働きながら治療を受けることもできるようになりました。
厚生労働省が行った調査では、病気を抱える労働者の93%の人が就労の継続を希望しています。一方で、15%の人が配置転換や雇用形態が変わり、14%の人が退職しているなど、現実は大変厳しい状況です。
また、仕事と治療を両立させるために必要なことを聞いたアンケートでは、1位が体調や治療の状況に応じた柔軟な勤務形態で48%、2位が治療、通院目的の休暇休業制度が欲しいで45%という結果でした。しかし、事業所によっては治療のための休暇制度がないところ、あったとしても有給での日数が限られているところなどがほとんどではないでしょうか。年単位で治療を続けるようながんサバイバーにとっては、無休で治療を続けるか、やむなく退職を選ぶことになってしまいます。
そこで、がんや難病の治療のため、休暇休業制度をもっと普及するための制度を導入する事業者に対して、休暇日数に応じた休業補償制度の導入を検討していただきたいと思います。
コロナ禍で自宅待機となった労働者への休業補償制度のように、事業者側の負担を軽減することで、がんサバイバーの方に安心感を与えられるのではないかと考えます。
また、治療に係る費用は、健康保険を使ったとしても、治療の内容によっては自己負担額が相当大きくなります。健康保険の高額療養費制度を利用したとしても、高い場合には月に8万円程度の出費となります。しかも月単位で連続した治療であれば、その額をその都度用意することになり、家計に与える影響は大変大きなものとなります。がん、難病の治療費用に対する貸付制度の導入についても併せて御検討をお願いします。
2点目は、熊本版マギーズセンターの創設についてお聞きします。
聞き慣れない名前だと思いますが、東京都江東区にマギーズ東京という施設があります。この施設は、がんにかかった人とその家族や友人など、がんに影響を受ける人々が迷ったり悩んだり孤立感を感じたときに気軽に訪れ、話をし、サポートを受けられるNPO法人の施設です。
がんの告知を受けるとき、多くの方が病院の狭い外来診察室で、医師からのつらくショッキングな話を聞かされます。頭の中が真っ白になって、主治医の説明の何分の1も頭に入らず、その後の治療方針のことを尋ねられても、先生にお任せしますと答えるのが精いっぱいだったと、そう言われる方が多いように思います。病院の外来では、次々に患者が待っているため、長く話をすることもできず、ほんの数分で自分のこれからの一生がかかった話が終わってしまう、それが現実ではないでしょうか。
マギーズ東京ができたのは、イギリスで同じように狭い診察室で告知を受けたマギー・ジェンクスさんという女性の方が、自分のがんと向き合い、対話したり質問したりする場所が病院にはない、それならば自分で創ると創設されたイギリスマギーズセンターを参考にして作られたものです。
趣旨に賛同する企業から土地を無償で借り受け、設計は建築士の厚意に頼り、建設費用はクラウドファンディングで募りました。運営についても企業や個人の寄附で賄っています。病院とは離れた場所にあり、庭やキッチンがあって、ゆっくりと落ち着ける雰囲気となっています。そこで、がん専門看護師や心理療法士など専門知識がある人たちに、気兼ねなくじっくりとこれからの自分の人生を話せる居場所となっています。
がんについて相談する場所としては、がん拠点病院などにあるがん相談支援センター等がありますが、そこでもしっかりとした相談ができるとは思いますが、病院の職員の方に病院内で本音をぶつけるのはなかなかできない、もしマギーズセンターのようなところがあれば、そこで話したいと思う方は多いのではないでしょうか。
創始者のマギーさんの話を一部紹介いたします。
病院は医学的な治療をしてくれる。病院の仕事はそこで終わる。ところが、私たち患者は、治療が終わった後も後遺症を抱えたまま家に帰って生活しなければならない。副作用もあるだろうし、治療を受けたことによる長期的な影響を引きずって生きる。人によっては子供が欲しかったのに持てなくなるかもしれない。仕事を変えなければならなくなるかもしれない。そんな将来への不安を抱えて、患者は家に帰る。病院には、将来自分がどうなるのかということを患者が考える時間も場所もないとのことです。
マギーズセンターのような理想的な施設でも、公費を使って建設し維持していくのは難しいとは思いますが、行政が企業への賛同をお願いしたり、クラウドファンディングで建設費用を捻出したり、趣旨に賛同する個人の寄附を募るなど、NPO法人等のがん支援団体と一緒になって、公費を使わず1つの理想を形にすることにチャレンジすることはできないのでしょうか。
以上、
健康福祉局長に御答弁をお願いいたします。
〔
石櫃仁美健康福祉局長 登壇〕
◎石櫃仁美
健康福祉局長 2点のお尋ねについて順次お答えいたします。
がん治療と仕事の両立等に向けた支援は、がんと共に生きる人々にとって切実な問題であり、非常に重要であると考えております。
現在、ハローワークや熊本産業保健総合支援センターが中心となり、がん治療と仕事の両立に関する相談を受けており、本市におきましても、がん経験者が電話で様々な相談に応じるがん相談ホットラインを設置し、がん患者に対する相談支援等を行っているところであり、この相談内容やがん患者の方々、関係団体の御意見を踏まえながら、必要な支援について検討してまいります。
〔議長退席、副議長着席〕
次に、熊本版マギーズセンターの創設についてでございますが、市内には、市や
医療機関などが開催しているがんサロンやがん経験者が直接相談に応じる県設置のがんピアおしゃべり相談室などの場所がございます。がんサロンやおしゃべり相談室は、マギーズセンターのように、がん患者やその御家族が安心して不安や悩み事を話し合うことのできる場として提供しております。
引き続き、がん患者の皆様方の不安や悩みに寄り添い、耳を傾けることのできる場所について、関係機関とも連携しながら研究してまいりたいと考えております。
〔15番
山内勝志議員 登壇〕
◆山内勝志 議員 御答弁ありがとうございました。
1点目のがん治療と仕事の両立のための休業補償制度についてですが、御答弁にあるように、がんサバイバーの方々にとっては切実な問題です。また、全ての人ががんと闘う可能性がある今の時代では、休業補償や貸付制度は決して特別な取組ではありません。引き続き、御検討いただきますようお願いいたします。
2点目の熊本版マギーズセンターについてですが、このような施設があれば、多くのがん患者さんや家族が喜び、救いとなるということは皆さん共感していただけると思います。
この質問で聞きたかったもう一つのことは、税金を使わなくても多くの方々の賛同の輪を広げ、クラウドファンディングなどのツールを利用して、新しい物事を創り上げる、そんなことを行政が主導してもよいと思ったからです。特に熊本市は、熊本城一口城主や市電緑のじゅうたんサポーター等の前進的な企画の実績があります。どのような障害があるのかないのか、予算編成や事業企画の際にぜひ一度考えてみていただきたいと思います。
次は、
コロナ禍をきっかけにした東京一極集中の見直しに伴う地方移住策について質問いたします。
総務省が発表した5月の人口移動報告では、東京都からの転出者が転入者を1,000人以上上回る転出超過になりました。続いていた東京への人口流入がストップする結果となりました。
コロナウイルスの感染拡大は、企業の在宅テレワークや遠隔地リモートワークの導入を加速化させ、都会を離れて仕事をするという選択肢を生み出しました。これまで潜在的に地方移住を希望する人たちの背中を押したのではないでしょうか。
そもそも、東京、名古屋、関西の三大都市圏に日本人の人口の52%が集中しており、これらの都市部はコロナの急激な感染拡大を招く幾つかの要因を持っていました。実際に、人の移動の制限やそれに伴う経済活動の停滞を招き、改めて人口集中のリスクというものを顕在化させました。
このような事態を背景に、政府の骨太方針でも、
ポストコロナを見据えて東京一極集中の見直しを掲げています。骨太方針では、首都圏で地方移住への関心が高まっているこの機を捉え、東京一極集中の流れを大きく変えるとまで言い切っています。地方に大きなチャンスが来たと言ってもよいでしょう。
ここで、建設機械大手の小松製作所の取組を御紹介いたします。
小松製作所は、2001年以降、本社機能の一部を徐々に地方に移転しています。調達本部を創業地の小松市に移転させたのを皮切りに、研修センター、オペレーションセンター、人事部、こういった本社機能を地方に移転させています。それまではほかの企業と一緒で、本社機能を東京に一極集中させ、社員採用も東京一極採用していました。
東京集中を社員の生活面から見てみると、都市部の住居費が高額なため、遠いところに住み、通勤に多くの時間をかける。生活コストが高いため、残業代を稼ぐため長時間労働となる。それらの結果、東京圏に流入し続ける若者の未婚化や晩婚化が進むことになりました。少子化の原因の一部を自分の会社が作り出していることに当時のトップが憂慮し、本社機能を創業地の小松市など地方へ移転することに踏み切ったのです。
この結果、石川県での雇用も移転した部門で150名増加し、小松市にある研修センターには、海外からを含めた小松製作所の自社社員が年間3万人訪れているそうです。雇用対策だけでなく、宿泊や飲食店への経済効果も年間7億円に上ると小松製作所のほうで試算をしておられます。
中でも、最も興味を引く報告は、30歳以上の女性社員の既婚率と子供の数です。既婚率では、東京圏域の事業所ではおおよそ50%に対して、石川圏域の事業所では80%を上回ったそうです。子供の数では、東京圏域の事業所では平均0.9人ですが、石川圏域の事業所では平均1.9人という結果だったそうです。これらの数字を見ても、小松製作所が行った本社機能の移転策が少子化対策として効果を上げていたことが分かります。
今回の
コロナ禍をきっかけにした東京都市圏などからの地方への人の流れは、決して一過性のものにはならないと思います。それは国の重要方針にもはっきりと書かれており、地方からすれば、この流れをしっかりつかむことは、移住定住対策だけでなく、企業立地等の経済対策、さらには少子化対策にも寄与するものと言えます。
熊本市には、豊富な自然と豊かな水、おいしい食べ物があり、政令市にふさわしいにぎやかさも持ち合わせています。街の中心にある壮大な熊本城を見ながら、歴史ある城下町の風情の中でリモートワークができる、まさに地方移住にぴったりの都市です。小松製作所のような会社の機能移転やIT企業、スタートアップ企業に丸ごと移住してもらうために、オフィス環境の整備支援、移住される社員の生活支援や子育て支援などにもオール熊本市で推進していただきたいと思います。
また、企業が求める人材を輩出するために、本年3月に答申された市立高等学校等の改革についての中で示されたAIやIoTなどの専門性の高い先端技術分野について、市立高校とビジネス専門学校のトータル5年間を使った学習を行うという提言を実際に進めていただきたいと思います。そして、地方移住した企業と地元が輩出した優秀な人材をマッチングさせるところまで考えていただきたいと思います。
感染防止のため、県境を越えた移動自体が制限される現状のため、すぐに具体的な活動はできないとは思いますが、骨太方針にも明記されるような、この大きな地方回帰の流れを見据え、本市の移住定住、企業誘致の今後の方針と支援策について、経済観光局長にお尋ねします。
〔田上聖子経済観光局長 登壇〕
◎田上聖子 経済観光局長 移住定住、企業誘致の今後の方針と支援策についてお答えいたします。
首都圏における地方移住や企業の進出機運につきましては、本市移住情報サイトの月平均検索ユーザー数が昨年度比約2.4倍に増加していることや、今年8月に東京に本社を置く東証一部上場企業がオフィス分散化の観点から研究開発拠点を本市に移転させたことなどから、機運の高まりを実感しているところでございます。
国においても東京一極集中の見直しを柱の1つとする骨太の方針2020が示されており、今後は、首都圏から地方への流れを的確に捉え、リスク分散や柔軟な働き方へのシフトを図る首都圏の企業と人とをセットで本市に呼び込むことを方針としたいと考えております。
そのためにも、テレワークなど柔軟な働き方に対応した環境整備や企業誘致に当たっての家族の移住を含めた支援策を検討するとともに、企業が求める地元高校などの優秀な人材と企業とのマッチング支援に取り組むなど、本市への確実な移住定住並びに企業誘致を進めてまいります。
〔15番
山内勝志議員 登壇〕
◆山内勝志 議員 御答弁ありがとうございました。
今後の方針として、首都圏の企業と人をセットで呼び込むとのことです。実際に、研究開発拠点の本市移転が実現するなど、経済部門では既に動いていただいているようです。
コロナ禍をきっかけにした都会から地方へ向かう人の流れは、都市の活性化だけでなく、我が国の重要課題である少子化対策にもプラスになります。今回の大きなチャンスをしっかり捉えるために、今後の企業誘致はオール熊本市の体制で臨んでいただきたいと思います。企業の移転支援策は経済観光局が、企業と一緒に移住される従業員家族への子育て支援は健康福祉局が、企業が求める優秀な人材の輩出には教育委員会が担うなど、それぞれの部局が本市の地方移住方針に一体となって取り組むような仕掛けをぜひ検討していただきたいと思います。
それでは、次に、動植物園のマスタープランと専門的人材の育成についてお聞きします。
動植物園は1929年に開園し、現地移転や都市緑化動物園植物園との一体化を経て、現在に至ります。熊本地震では大きな被害を受け、2年8か月にわたり休園を余儀なくされました。休園中には被災した子供たちのために、35か所でふれあい移動動物園を開催し、多くの市民の共感を呼び、まさに愛される動植物園の姿を見せてくれました。
今回、動植物園では、開園100周年となる2029年に向けて、中長期的な施設整備と運営方針を定めた熊本市動植物園マスタープランを策定しています。
そこで、動植物園のマスタープランから3点お尋ねします。
1点目は、マスタープランの目標と成果指標についてですが、プランには収支状況の改善の必要性とともに、現在の74万人の来園者を2029年までに85万人に増やす成果指標を設定してあります。成果指標はこの1点のみです。全国にある動物園が旭川市の旭山動物園のような集客力のある動物園を参考にしています。集客力のアップは、安定した施設運営をするための必須の課題であることは当然ですが、計画の進捗や達成度を計る成果指標がこれだけでは、この先の10年間が集客数や収支状況のみを優先して進んでいくのではないかと不安があります。
プランでは、愛され続ける水辺の動植物園へをコンセプトに、4つのテーマを設定しています。特に、テーマ1の驚きと新たな発見!いきものミュージアムには、動植物園が、環境教育、種の保存、調査研究の3つの役割を担うことが書かれています。まさに動物と植物の博物館でありたいという気持ちの表れだろうと思います。
動植物園は、これまでの長い間、子供たちが目を輝かせて、動物や温室の植物を観察し、発見し、触れ合う学習の場でした。また、動物飼育においては多くの動物たちの繁殖を成功させ、種の保存についてもしっかり役割を果たしてきました。私は、動植物園が博物館と同じような役割と責任を持つ教育施設であると思います。マスタープランを推進するに当たっての動植物園の使命、目標とプランにある唯一の成果指標の進捗管理の考え方についてお聞きします。
2点目は、専門的人材の確保と育成等についてお聞きします。
プランを見ると、1つ欠けていることに気づきます。役割や責任をしっかり果たすためには、それらを担う人材の確保と育成が欠かせません。動物の飼育や健康管理、病気の対応には専門知識と危機管理も含めた経験を持つ職員が必要です。植物の栽培、管理にも植物の専門家が必要です。プランには、飼育員の確保、獣医師の体制、造園や園芸などの植物の専門家の確保、さらには調査研究や展示企画を主導する学芸員の採用など、特に専門的な職種についての記載がありません。
開園100周年に向けて、またそれ以降の一定期間についても、マスタープランには人員体制や教育育成方針など具体的な見通しが必要です。特に、飼育は現在業務職職員が担っていますが、この職種の採用が途絶えて長くなります。職員の高齢化も進み、そのうち退職者の補充もできなくなります。飼育の専門職の新設も考えなくてはならない時期が来ています。動植物園に必要な専門的な人材の育成と飼育の専門職種の新設についてお尋ねします。
3点目は、植物園ゾーンのこれからの運営方針についてです。
2022年春に開催される全国都市緑化くまもとフェアに合わせて、植物園ゾーンを中心に大規模な整備が行われます。施設の整備と共に、樹木の整理や移植、郷土の花の展示や肥後六花コーナーの設置も行われます。この大規模整備を機会に、植物園ゾーンは大きく変わることになりますが、フェアが終わった後の運営方針はどうなるのでしょうか。江津湖と隣接している地の利を生かした熊本ならではの植物園の風景が見られるとは思いますが、市民の憩いの場としての植物園になるのか、様々なテーマを持った植物の展示が中心になるのか、緑化フェア以降の植物園ゾーンの運営方針についてお尋ねします。
1点目と3点目、2点目の人材育成方針については経済観光局長に、2点目の飼育の専門職の新設については総務局長に御答弁をお願いいたします。
〔田上聖子経済観光局長 登壇〕
◎田上聖子 経済観光局長 動植物園のマスタープランと専門的人材の育成に関する3点のお尋ねにお答えいたします。
動植物園マスタープランでは、愛され続ける水辺の動植物園へをコンセプトに、4つのテーマを目標として掲げ、その実現に向けて取り組むこととしております。
成果指標につきましては、より多くの方に来園していただくことは、安定した施設運営のみならず、テーマに掲げる重要な目標である種の保存・調査研究の推進、自然環境教育の推進にも寄与すると考え、客観的な数字として把握できる来園者数を成果指標としたところでございます。
動植物園の使命は、4つのテーマに掲げた具体的な取組を着実に実行していくことであり、そのことが結果として、成果指標である来園者数の増加につながるものと考えております。そのため、計画の進捗管理につきましては、来園者数の把握分析はもとより、テーマごとに設定している個々の取組につきましても、有識者等の意見も踏まえて評価、検証を行い、改善に取り組んでまいります。
次に、専門的人材の育成につきましては、動植物園の生態に関する専門的な知識はもとより、科学的に思考する力や提案力、対話力などを備えた職員育成を目指しております。今後、本計画の着実な実施に向け、必要な職種別の人員配置につきましては、関係局と協議してまいりたいと考えております。
最後に、植物園ゾーンのこれからの運営方針についてのお尋ねでございます。
全国都市緑化くまもとフェア終了後も、市民はもちろんのこと県外の方の憩いの場として活用し、また、園の重要な目標である種の保存や環境教育の場としても活用するとともに、四季を実感できる特色のある種の展示を行うことで、植物の魅力を積極的に発信していきたいと考えております。
〔深水政彦総務局長 登壇〕
◎深水政彦 総務局長 私からは、動物飼育の専門職についてお答えいたします。
動植物園における動物の飼育業務につきましては、現在、業務職員が従事しているところであり、その業務の特殊性を踏まえた人員配置が必要であると考えております。
そこで、飼育業務に従事する職員については、経験を蓄積させるため、配属期間を長めにするとともに、当該業務を希望する職員を配置する等、職員自身の熱意や適性も考慮した人事配置を行っているところでございます。
今後も引き続き、これらの取組を行いながら、新たな専門職の必要性について、動植物園の今後の在り方と併せて検討を行ってまいりたいと考えております。
〔15番
山内勝志議員 登壇〕
◆山内勝志 議員 御答弁ありがとうございました。
開園100周年に向けた計画の推進では、御答弁にありましたよう種の保存、環境教育、調査研究といった動植物園が本来持つ重要な使命を常に念頭に置いて、来園者が楽しんで学習できるような展示方法や企画などに工夫を加えていただきたいと思います。
また、必要な専門職種の配置は、使命、目的を果たすためには大変重要な課題となります。先を見越した中長期的な計画を立てておく必要があると思います。飼育の専門職の創設も含め、関係部署と十分協議を進めていただきたいと思います。
植物園ゾーンのこれからの運営方針では、市民の憩いの場として、また郷土の草花の展示等を通した教育施設として、2つの役割を受け持つとのことでした。江津湖湖畔の美しい風景を生かして、多くの方々が訪れ楽しめるよう魅力のある植物園を作っていただきたいと思います。
それでは、最後に、
ポストコロナ時代の新しい生活様式を実践すべき市役所について2点お聞きします。
今回の
コロナ禍は、人々の生活を大きく一変させ、これからの生活様式も全く新しいものに変わっていくでしょう。昨年までのオフィスの様子やコンサートや演劇会場での人が集まる日常の映像を見ますと、これから先、このような場面を再び見ることができるのか大変不安になります。マスク着用やソーシャルディスタンスを取ることは、風邪やインフルエンザなどの予防、病気の予防にも役立ちますので、自分の体調や季節に合わせた習慣となればよいとは思いますが、今後進められます
ポストコロナ時代の新しい生活様式になじむまでに、私たちもある程度の覚悟が必要であると思います。
質問の1点目、
コロナ対策や豪雨災害援助を通して考える市役所の新しい役割と職員体制についてです。
今年に入ってからの突然の感染症襲来は、市役所の日常を一変させ、熊本地震を経験し災害対策への備えが手厚い熊本市でも、大きな混乱が起きました。職員も疲弊し、感染対策を所管する職員の中には、月の残業時間が230時間を超える職員もいました。頂いた資料を集計すると、各部局とも前年の同時期と比べ軒並み残業時間が増加しており、最も増えたのは健康福祉局の26%増でした。これから先、今の
コロナウイルスだけでなく、コロナの変異や新種のウイルスの蔓延も想定される状況で、感染対策はもはや特定の部署の仕事ではなく、市役所全体の日常的な役割となります。
また、毎年のように起こる自然災害も大きな脅威です。熊本市内の災害対処だけでなく、県内外で起きた自然災害にも復旧支援を行ってきました。7月の県南の豪雨災害では、初動の段階から保健師や水道局職員、消防職員らが現地に赴き、その後も複数の消防隊や医療チームのほか、市役所各局から延べ5,000人を超える職員が被災地の応援に行っています。近年の日本の災害発生の状況を見れば、このような事態は、残念ながら毎年のように起きる可能性があると思います。感染症の蔓延防止を含めた災害対策や他都市への災害支援が、新たな役割、新たな市役所の日常となれば、ただでさえ行革で削減されてきた職員数では到底足りません。
職員の数の上限を定めている職員定数は、8年前の政令市移行時に比べ、仕事量が増えているにもかかわらず、市長事務部局においては90人の定数減となっています。また、現在の市長事務部局の定数が3,742人であるのに対し、実際の職員数が3,712人と、定数と実人数の差である余裕人員は30人足らずです。消防職員に至っては定数810人に実際数が807人で、余裕人員はたったの3人です。これでは、この先市役所が担う新たな役割に対しても、国が示す
ポストコロナ時代の新たな日常にも、対応できないのではないでしょうか。
新たな役割や年々増加する業務に対して、
ポストコロナ時代を迎える市民をしっかり支える市役所となるためにも、必要な部署への職員の増員と将来を見据えた職員定数の見直しが必要と考えますが、どのようにお考えでしょうか。
2点目は、ソーシャルディスタンスが取れず、今のままでは感染の危険が高い過密職場の解消についてです。
市役所本庁と各区役所の過密状態を知るために、総務局に資料をお願いいたしました。中央区役所を含めた本庁舎と東西南北の区役所の全フロアのうち、本庁の地下、5階、14階を除く24フロアで、執務室の1人当たりの広さを出してもらいました。結果は、6平米未満が13フロア、6から7平米未満が6フロア、7平米以上が5フロアというものでした。最も狭かったのは本庁2階の3.8平米です。オフィスとして適正な広さというのは様々な基準があるとは思いますが、最も狭いフロアに実際に行くと、デスクトップパソコンが1台おけるくらいの一人のスペースで、4人、5人の方が横並びにびっしり座って仕事をしているところもありました。普通の場所でも、人が歩くとき、椅子を引いてもらわなければ真っ直ぐ歩けないような状態です。また、奥に行けば、部署のエリアをパーティションで仕切ってあるため、迷路のようになっています。もし火災や大きな地震が起きれば大混乱になり、大変危険な状態と言ってもよいでしょう。
このような密状態で、マスクを取って昼食を取れば、日常どんなに注意をしても感染を避けることはできません。万が一、このような職場で感染者が出たら、窓口に来られた市民の方も巻き込んだ大きな
クラスターになる可能性もあります。
コロナの第1波の中、5月に実施した職員の在宅勤務は、密を避けることを目的として始まりました。当時は様々な課題がありましたが、通信環境を整え、端末を整備するなどして、本格的なテレワークが始まろうとしています。しかし、テレワークが進んだとしても、高レベルの個人情報を持つ基幹システムなどは在宅での閲覧はできないとのことです。ほかにも窓口対応など、公務の中にはテレワークではカバーできない仕事がたくさんあります。テレワークを進め、日ごと交代で出勤することでスペースを作るとしても、それができる職場は限られるのではないでしょうか。やはり過密職場を解消するには、別の場所にオフィスを探すしかないと思います。
コロナ禍が長引く現状では早急に過密職場の解消が必要です。市役所の業務停止を招かないためにも、暫定的な対策でもよいので、知恵を出して実行していただきたいと思います。例えば、旧市民病院の管理棟のように、市が所有するもので十分な空きスペースがあり、オフィスに転用できる施設を探して、移転可能な部署を当分の間分散してはどうでしょうか。
本庁機能職場であれば市民の方に不便をおかけすることも少ないと思います。また、ほかの課との連携や文書決裁等の内部業務でも、テレワークが可能な環境にあれば全く問題はないはずです。市職員のコロナ感染を防ぐため、来庁される市民の方への二次感染を防ぐため、市役所の閉鎖という最悪の事態を避けるため、過密職場の解消策を早急に具体化するようお願いいたします。
1点目は総務局長に、2点目につきましては市長に御答弁をお願いいたします。
〔深水政彦総務局長 登壇〕
◎深水政彦 総務局長 私からは、職員体制等に関するお尋ねにお答えいたします。
職員定数につきましては、これまでも本市を取り巻く社会情勢や政策課題等を踏まえ、必要に応じて見直しを行ってきたところでございます。
また、人員配置に当たりましては、民間活力の活用を初め、事務事業の見直しや業務の効率化を図りながら、本市の重要施策を初め、
新型コロナウイルス感染症の関連業務や災害対応等、その時々に注力すべき分野へ重点的に配置を行っております。
今後も、時代のニーズや新たな行政課題に柔軟かつ的確に対応するため、必要な体制整備を図ってまいりたいと考えております。
〔
大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 議員御指摘のとおり、市役所の現状の執務環境については、一部の職場において過密な状況となっており、ソーシャルディスタンスの確保など
新型コロナウイルス感染症の予防対策の観点からも課題があると認識しております。
これまでもマスク着用や一斉換気などの感染予防策の取組のほか、勤務時間の繰上げ繰下げや在宅勤務などのリモートワークにより、職場の過密状態を避けるための対策を講じてきたところです。これらを引き続き実施するとともに、議員御提案の旧市民病院の管理棟などの市有施設の活用やリモートワークを初めとした働き方改革によるスペースの創出など、総合的に検討しながら過密職場の解消に努めてまいります。
〔15番
山内勝志議員 登壇〕
◆山内勝志 議員 御答弁ありがとうございました。
1点目の必要な部署への職員の増員と職員定数の見直しについては、今のコロナ禍や近年の災害の発生状況を踏まえて考えれば、市民の生活を支える公務職場は最後のとりででもあり、その強化は最優先事項であると思います。
御答弁では、必要な体制整備を図るとのことです。現状の体制が本当に最良のものか、しっかりと把握分析し、既存の職員定数の見直しも含め、職員の増員による体制強化を真剣に検討していただきたいと思います。
2点目の過密職場の解消については、これから冬に向けて、インフルエンザとコロナのダブル流行期に入るおそれもあります。現在の過密職場の状況は、実際に現場に入ってみると、感染対策としてとても耐えられるものではないと思います。来庁される市民と現場で働く職員のため、テレワークと併せて早急に具体的な解消策の検討をお願いいたします。
これで私が用意しておりました質問は終わりました。
コロナ禍の中、資料要請から本日の答弁まで真摯に御対応いただきました市長初め執行部の皆様に感謝を申し上げます。
また、本日傍聴においでいただきました皆様、インターネット中継で視聴いただきました皆様、ありがとうございました。
これから
ポストコロナ時代に入り、さらに多くの課題が出てくるとは思いますが、私も市民の皆様と市の執行部の皆様と一緒になって頑張ってまいります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
────────────────────────────
○上田芳裕 副議長 この際、議事の都合により休憩いたします。
午後2時に再開いたします。
午前11時20分 休憩
───────────
午後 2時00分 再開
○紫垣正仁 議長 休憩前に引き続き会議を開きます。
〔田中俊実政策局長 登壇〕
◎田中俊実 政策局長 地域版ハザードマップは、地域における防災意識の向上と迅速な避難行動の促進を目的としまして平成25年から作成に着手しました。自主防災クラブや校区防災連絡会が各区役所と連携しまして、自らがまち歩きを行い、地域における危険箇所や避難所、避難ルートなどを共同作業で地図に落とし込み、地域独自のハザードマップを作成するものであります。
完成したマップは、印刷物として地域の全世帯に配布しておりまして、同時に、このマップを市のホームページ上に掲載しまして、市民の皆様がマップの様々な情報を共有できる仕組みとなっております。
現在の作成状況につきましては、全自治会914町内中、394町内が作成を完了しております。
〔田中隆臣都市建設局長 登壇〕
◎田中隆臣 都市建設局長 地域版ハザードマップに掲載されている、防災に関して気になる箇所への対応についてお答えいたします。
対応の状況としましては、各区土木センターにより現地を確認した上で、緊急性が高く、早急な対応が可能な箇所から、順次対策を実施しているところでございます。
また、注意を要する箇所を市民の皆様に認知していただくことが減災にもつながりますことから、区役所と連携し、地域版ハザードマップを広く市民に周知しますとともに、今後とも地域の実情に応じた安全対策に取り組んでまいります。
〔7番 吉田健一議員 登壇〕
◆吉田健一 議員 地域版ハザードマップの作成段階や作成後において、簡易的な改善はされているようです。しかし、通常の土木センターで要望しなければならないものについては、各自治会や町内会から要望書を提出しなければ動いてもらえないのが現状です。この後の質問でも窓口業務についても触れますが、市民からすれば、防災担当であれ土木担当であれ、行政職員であるということは一緒です。御協力いただいて地域版ハザードマップを作成したこと自体が要望書を提出したものと同じ重みであるものと認識し、御答弁いただいたとおり、少しでも手間を取らせず、危険箇所の整備に取り組んでいただきますようお願いいたします。
次に、避難所について質問させていただきます。
今回の豪雨災害の被災から、平時での準備、そして防災意識の向上など、具体的な観点から触れてまいりました。特に熊本地震の体験者として、これまでも、そしてこれからも防災意識の重要性を高め続けている熊本市民、なかんずく、地域コミュニティに尽力する各種地域団体の存在は大きいものです。
地元東区尾ノ上小学校校区で、私自身、議員となった現在、尾ノ上校区自治協議会の顧問を初め、7月からは校区社会福祉協議会の会長にも就任し、地域発展、地域貢献に微力ながら努めているところです。そのような中、かねてから防災連絡協議会の皆様による防災訓練、備蓄倉庫の確認を計画されておられましたので、感染防止に努めながら、先月実施いたしました。
運営マニュアルにのっとり尾ノ上校区内の2つの指定避難所である尾ノ上小学校と錦ヶ丘中学校に分かれ、避難経路や備蓄物資の期限、運動場内の駐車方法、体育館スペースの区分け等々、詳細にわたり有事を見越した確認を徹底しました。そこで感じたことは、やはり皆さんの意識の中で、避難所イコール体育館のイメージが根強いことです。自治会長や町内会長などは、普通教室のエアコン設置により教室内への避難が可能となった認識はありましたが、そのほかの方々は、まだ体育館が避難所の中心施設のような認識でおられました。
そこで伺いたいと思いますが、昨年の6月の第2回定例会で、初めての一般質問の際に、体育館へのエアコン設置について大西市長に質問しましたが、構造上の問題や設置費用、維持管理等に必要な予算を理由に難色を示されました。しかし、その後他都市では、大阪府を初め埼玉県三郷市など、学校体育館のエアコン設置が進んでおります。特に大阪府では、国の緊急防災減災事業債を活用し、170校の体育館のうち既に20校の整備が完了、今年度も28校の完備が予定されています。
災害避難所の重要拠点であり、避難所として有事発生の際は、地域住民が一番に目指すのは体育館です。前回の質問に引き続き、小中学校の体育館へのエアコン設置はできないでしょうか。
続けて質問します。先ほど御紹介した防災訓練中にあった地域住民の要望から質問させていただきます。
防災訓練の最後は、先ほど述べたように、体育館だけでなく、エアコンの設置された普通教室にも避難できることになったことから、教室の利用方法について確認いたしました。校長室を窓口とし、1階玄関より近い教室から、救護室や障がい者用、高齢者と車椅子利用者、また乳児のお子さんを持つ親御さん用など、部屋ごとに利用方法を決めていきました。その確認の中で、訓練に参加する皆様から御要望がありました。
それは、特活室という畳の敷いてある余裕教室へのエアコン設置依頼でした。畳が敷いてあることで一番使い勝手のいい教室ですが、使おうにもエアコンが設置されていないことを理由に諦めることとなり、なぜこんな一番使い勝手のいい、優先的に使える部屋、和室にエアコンが設置されていないんだとの御指摘のお声を頂戴しました。普通教室と一部の特別教室に対してエアコン設置が完了されたことは喜ばしいのですが、やはり熱中症対策に限らず、災害時の避難所環境の改善という意味でも、余裕教室のエアコンが必要ではないかと思います。
事前にエアコンが設置されていない余裕教室がどの程度あるのかを調査したところ、小学校で112室、中学校で51室あることが分かりました。さらに、同じ畳を敷いている和室を確認したところ、小学校中学校合わせて5校に、それぞれ1部屋ずつあることが分かりました。全ての余裕教室にエアコン設置というと、各学校の使用状況もありますので課題があると思いますが、一番災害時に利用しやすい和室だけでも設置に向けた検討はできないでしょうか。
体育館へのエアコン設置並びに余裕教室、特に和室へのエアコン設置、2点について大西市長に御答弁を求めます。
〔
大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 本市では、教育環境の改善の観点から、昨年度までに全ての小中学校の普通教室及び小学校の家庭科室を除く全ての特別教室において、エアコンの設置を完了いたしました。
全国の小中学校の体育館におけるエアコンの設置率については、令和元年9月現在3.2%となっており、前年より1ポイント余り増加している状況です。昨年度もお答えいたしましたとおり、エアコンの設置につきましては、避難所として利用する場合など重要であると認識していますものの、体育館への設置につきましては、建物構造や費用対効果、維持管理の面等で課題も多いと考えております。
今後、大規模な災害が発生した場合には、エアコンが設置された教室等を有効に活用するとともに、避難が長期化するような場合には、リース等による設置にて対応したいと考えております。また、和室等余裕教室へのエアコンの設置につきましては、各学校の学習への利用状況を踏まえながら検討してまいりたいと考えております。
〔7番 吉田健一議員 登壇〕
◆吉田健一 議員 前回同様、体育館へのエアコン設置は難しいようですが、他都市の状況や近年続く猛暑日を鑑みれば、必要性は高くなるものと感じます。また、災害時、そして平時の両面から、今後、密を避ける対応策という点からも検討していただけるよう要望しておきます。
一方で、和室などの余裕教室については、設置について検討していただけるとの御答弁をいただきました。この質問は、地元校区自治会の役員会でも要望としている案件であり、防災対策に必死に取り組む地域住民からの切なる願いであります。ぜひ一日も早く設置に向けて動いていただきますようお願いいたします。
以上が、令和2年7月豪雨災害を受けての質問でした。様々な提案、要望を行いましたが、災害は待ってくれません。いつ来るかも分かりません。この
コロナ禍でも、対策と同時並行で新しい生活様式と併せながら、最重要課題として取り組んでいただきますようお願いいたします。
次に、コロナ感染対策及び支援について伺ってまいります。
現在も第2波と言われる感染拡大が広がる中、大西市長初め、全庁挙げてさらなる支援策を日々模索されていることと思います。一方で、コロナ感染拡大防止には、行政だけでなく、各家庭、個々人の意識やモラルも求められており、市民も様々な点に配慮しながら工夫や我慢を続けています。
ここで、東京都足立区が行っている支援を基に伺います。
新型
コロナウイルスに感染して自宅療養する区民を支援しようと、自宅療養セットの支給を始めました。それは食品やティッシュペーパーなどの日用品に加え、マスクなど生活必需品を、週に一度計2回、自宅まで区職員が車で配達に回っているという内容です。安心して治してもらえるようにお世話したいと足立区職員が考案されました。手をかけずに済む食品を調達、区の備蓄品からマスクや消毒液、トイレットペーパーなども準備、配布先からは、とても助かった、ほっとできましたなどの声が届いているそうです。
また、同様の支援策を東京都墨田区でも行っております。東京の事例ですので、感染者数そして規模など、本市の状況とは違いますが、コロナ感染者を抱える行政としては、同じ思いに立つ必要性はあるのではと考えます。
そこで現在、本市での感染者は、指定病院へ入院し、感染者家族もすぐに
濃厚接触者として
PCR検査など対応しますが、陰性の場合、通常の生活に戻ります。しかし、世間の目や感染者への対応、近隣住民や学校、職場などへの配慮が求められ、通常の生活ではなくなります。そういった気苦労が続く感染者家族に寄り添える、先ほど紹介した支援物資の提供ができないかと考えますが、いかがでしょうか。
続けて、コロナ感染で大変な思いをされる子供たちに向けた支援についても伺います。
島根県松江市にある私立高校のサッカー部で感染が判明し、その部員が生活している寮で
クラスターが発生したのは皆様も御存じのとおりです。私も、県外の高校にスポーツ特待生として進学し寮生活をした全く同じ身として、大変考えさせられるニュースでした。
県外に行く理由は、主に専門技術を学べる学科のある高校へ進学、もしくはスポーツの強豪校に行くパターンです。後者である私と同じ境遇の子供たちのほとんどは、毎日、勉強はもちろんのこと、朝から晩まで練習に励んでいます。その中で唯一の楽しみは、1年の中で盆と正月にまとまった休みが与えられ、その期間を利用して実家に帰れる帰省期間です。体を休め、自分の好きなことに没頭するのはもちろんですが、久しぶりに地元の友人や親戚との楽しい時間を過ごします。その高校生はもちろんですが、本人以上に楽しみにされているのは、1年で数日しか我が子に会えない親御さんにとっても、唯一成長を確認できる最も楽しみな数日間でもあります。
しかし、その唯一の楽しみな時間も、コロナという人を分断させる感染症の猛威により、帰りたくても帰れない、帰らせたいけれども帰らせられない、このようなケースが出ているようです。こういった生徒の皆さん、また心配が尽きない親御さんのためにも、心温まる支援、配慮はできないかと思う次第です。
現在、熊本市内の高校に県外から来ている生徒を初め、逆に熊本市内から県外へ進学し、帰省できない高校生または中学生を中心に、手を差し伸べていただけないでしょうか。例えば、先ほど足立区を例に挙げたように、食品や日用品を提供するのに併せ、その中に熊本にちなんだ食料品やグッズを提供できないかと考えます。熊本に来てくれた、またはふるさと熊本を忘れないように、未来ある子供たちへ、
コロナ禍でも頑張れとエールを送りたいと願います。
そこで2点伺います。
1点目に、感染した家族への支援として、足立区などで行っているような支援物資の提供ができないでしょうか。
2点目に、県外から熊本市内へ、または熊本市から県外へ、進学して寮生活などを続けている中高生へ、支援物資を届けることはできないでしょうか。
それぞれ、関係局長にお伺いいたします。
〔
石櫃仁美健康福祉局長 登壇〕
◎石櫃仁美
健康福祉局長 まず、1点目の感染者家族への支援物資の提供についてでございますが、新型
コロナウイルスの感染が確認された際には、速やかに
積極的疫学調査を実施し、全ての
濃厚接触者を対象に
PCR検査を行っているところであり、検査結果が陰性となった場合でも、患者の感染可能期間の最終接触日から14日間の健康観察をお願いしております。その間は自宅待機となり、不要不急の外出を控え、食料や日用品などの購入につきましては親族など支援者への依頼をお願いしているものの、支援者がいない場合は、マスクの着用や手指衛生など感染予防を徹底し、短時間で済ませるよう指導を行っております。
〔議長退席、副議長着席〕
このようなことから、現在のところ、支援物資の提供は行っておりませんが、
濃厚接触者となられた御家族については、健康状態を初め生活面についても聞き取りを行い、支援者を初め、職場や学校、関係機関とも連携し必要な対応を行っております。また、誤った情報による不当な差別や偏見など、患者を初め御家族や職場など関係者に対する人権侵害の防止につきましても、これまであらゆる機会を捉え啓発を行っているところでございます。
これまでも様々な不安を抱える患者や御家族へは丁寧に対応を行っており、今後も寄り添った対応に努めてまいります。
次に、2点目についてでございますが、
新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、県外から本市へ、または本市から県外へ進学し、寮生活を続けている中学生高校生への支援物資に関する要望や相談は、これまで寄せられてはおりません。中高生の不安や様々な悩みについては、日頃から子ども・若者総合相談センターやこころの健康センター等で相談に応じているところでありまして、引き続き、教育委員会や関係機関と連携し対応してまいります。
〔遠藤洋路教育長 登壇〕
◎遠藤洋路 教育長 県外から市内または市内から県外へ進学した中高生に対する支援物資の提供についてお答えいたします。
県外から進学している生徒が在籍する市立高校に、
新型コロナウイルス感染症に起因する困り事や必要な支援について確認しましたが、今のところ、具体的な要望は聞かれなかったところです。
議員御提案の県外から本市へ、または本市から県外へ進学した生徒については、引き続き情報の把握に努め、支援のニーズがあるようでしたら、内容に応じて関係機関と連携しながら対応に努めてまいります。
〔7番 吉田健一議員 登壇〕
◆吉田健一 議員 答弁の中で、これまでに支援物資に関する要望は寄せられていない、聞いていない、ニーズがあれば対応するというような表現でした。事実確認は大切ですが、先ほど述べたように、コロナに感染しないようにと気苦労している方々や未成年の子供たちがはっきり、支援物資をくださいと要望が言えるでしょうか。東京都足立区での取組を御紹介したように、区職員自ら安心してもらえるようにお世話がしたいとの自発的な取組です。答弁にあるように、市民に寄り添った丁寧な対応をぜひお願いしたいと思います。
続きまして、
コロナ禍での経済対策についてお伺いいたします。
先ほども触れましたが、国そして各自治体、ましてや世界各国の首脳、要人が
コロナ対策と経済の両輪をいかにリンクさせるかに、感染状況や医療体制、経済界からの意見に挟まれ、苦労もひとしおかと思います。
本市においても
緊急事態宣言解除後に合わせ、旅を通じて経済を応援しようと宿泊施設への支援として、熊本市プレミアム宿泊クーポンを実施、6月15日から8月31日までの販売で計1万6,795枚の販売となり、発表当初から、待っていましたと言わんばかりに問合せが殺到し、人気宿は即完売するなど、利用者を初め、宿泊施設を営む皆さんにも喜んでいただけたものと思います。
一方で、注目が高かった分、高齢者の方々から、クーポンを利用するのにネット以外の利用はできないかとのお声もありました。
新型コロナウイルス感染症拡大防止対策として、対面販売を控えることや感染状況を見極めながらのスピード感が求められた事業でしたので、ネットを活用されたことは理解できますが、高齢者も含め、誰もが平等に利用しやすいものにとも考えます。
多少の課題はありましたが、このような経済支援策を、もちろん今後もコロナ感染状況を見極めながらではありますが、実施していただきたいと思います。
しかし、1点気になることがありましたので、伺います。
今回の熊本市プレミアム宿泊クーポンは、
新型コロナウイルス感染症により甚大な影響を受けた事業者への支援策として実施されたと思います。ホテル、旅館業についてはよかったのですが、民泊事業者については対象となっておりませんでした。その理由と、今後、民泊事業者を対象とすることへのお考えをお聞かせください。
経済観光局長にお尋ねします。
〔田上聖子経済観光局長 登壇〕
◎田上聖子 経済観光局長 民泊事業者への支援につきましてお答えいたします。
熊本市プレミアム宿泊クーポンは、新型
コロナウイルスの影響により大きく落ち込んだ宿泊需要の早期回復及び宿泊事業者への支援を目的とし、本事業に参加登録した市内106施設を対象に実施したものでございます。
対象施設の要件は、旅館業法に基づき、旅館、ホテル、簡易宿所として熊本市の許可を得て営業を行う宿泊施設といたしました。一方、住宅宿泊事業法に基づく都道府県知事への届出により、戸建て住宅やマンションなどを活用して旅行者等に宿泊サービスを提供する施設、いわゆる民泊は、宿泊を主たる業として営業しているとは判断できないと考え、今回のクーポン施設の対象外としたものでございます。
しかしながら、民泊事業者から支援の御要望を頂いていることに加え、新しい生活様式による旅行形態や旅行者の多様なニーズの変化に対応していくため、今後の支援策の実施に当たっては、民泊施設につきましても制度の対象とする方向で検討してまいります。
〔7番 吉田健一議員 登壇〕
◆吉田健一 議員 今答弁がありましたとおり、今後の支援策実施に当たっては、民泊施設も対象としていただけるとのことですので、市民の皆様が民泊施設をどんどん御利用いただけることを願います。
今回、民泊について伺ったのは、一般社団法人民泊観光協会、JAMTAの熊本県の会長とお会いし、切実な訴えを基に取り上げさせていただきました。
熊本市内で民泊業を営む皆様は、昨年のラグビーワールドカップ、女子ハンドボール世界選手権など、国内旅行者を初め、インバウンドに向けた準備を整えていらっしゃいました。特に、熊本県からは、宿泊地の確保ということで宿泊提供の依頼もあり、それにお応えしようとリフォームを施し、借金までされているほどです。そのような中、本市の熊本市プレミアム宿泊クーポンが発表されましたが、民泊は対象とならず、反面、国が出したGoToキャンペーンは民泊を対象としたということもあり、なぜという疑念の表れでした。また、熊本県との情報共有に課題があるなどの経緯もありましたので、公明党の県議会議員を通じて県の担当局へ確認、今後は民泊事業者の情報提供にも協力する旨の確認が取れました。
先ほど述べましたとおり、コロナの感染状況を十分に見極めつつ、支援策実施を初め、コロナ抑制後についても県市の連携を強化し、民泊業者はもちろんのこと、ホテル、旅館業も併せ、長い目で見た支援の実施を求めておきます。
続きまして、コロナの影響による就職支援についてお伺いいたします。
コロナ感染発生当初より、党員、支持者の皆様、地元企業や個人の皆様から御用聞きを行ってまいりました。また、前回の第2回定例会一般質問の場でも、我が会派伊藤議員からありましたとおり、公明党青年局が中心となり、新型
コロナウイルス緊急インターネットアンケートの実施も行い、その結果でも、やはり失業や収入の減少の声は大きく、最終的に公明党国会議員青年委員会を通じて、安倍首相並びに菅官房長官へもこの声を形にし、緊急提言として提出しているところです。
そこで他都市でも、この現状を打破しようと対策に打って出ています。
札幌市では、6月より、座学研修や職場実習及び職業訓練への誘導により、再就職を支援するさっぽろ雇用セーフティプロジェクト業務をスタート。座学研修5日間と職場実習最大14日間を経て、最短約1か月で就職まで支援します。さらに、その研修期間中も札幌市の最低賃金時給861円を基に、最大にして約13万円の研修給付金も支給されるなど、手厚い支援を行っているものです。
また、福井県では10月より、建設業、運輸業、土木建築サービス業、老人福祉介護事業、障害者福祉事業などの担い手不足が深刻な業種に対する求職者促進と併せ、その人手不足業に正社員として就職した場合に30万円の奨励金を支給予定です。
これと同じく、コロナでの失業と介護分野の人手不足の解決を併せて支援し、奨励金を支給する、熊本市介護分野緊急就職支援事業が8月からスタートしました。また、福井県の奨励金と違う点は、人材確保の継続を盛り込んだ取組として、就職後、3か月後、6か月後の都度5万円を3回に分けて、合計15万円にする離職防止と継続を促す仕組みとなっています。
超高齢化社会を迎えた日本としても、介護職の人材の確保と継続は一刻を争う国家的課題です。その解決策としても大変有効な支援策と評価しています。しかし、先ほど述べたように、再就職の支援を求める方々の多くは、介護職以外の業種を希望しており介護分野以外にも人材不足に悩む業界は幾つもあります。
そこで経済観光局長にお伺いします。
福井県の奨励金制度のように、介護分野だけでなく、人手不足業と言われる業界にも対象を拡大するなど、支援制度の拡充や新制度の創設はできないでしょうか。また、奨励金はなくとも、業種を限らずコロナの影響による失業者や収入減少で悩む市民と人材を求める企業との再就職マッチング支援窓口の創設はできないでしょうか。
答弁を求めます。
〔田上聖子経済観光局長 登壇〕
◎田上聖子 経済観光局長 就職支援制度の拡充と再就職支援窓口の創設についてお答えいたします。
慢性的に人手不足である介護分野は、ハローワーク熊本の4月の有効求人倍率でも3.14倍と高く、業種ごとの求人数も1,514人と最も多いことに加え、身体的接触による
感染リスクが高く、さらなる離職が懸念されるため、緊急的に支援を行っているものでございます。
一方で、介護以外の福祉、建設、運輸、警備業などでも有効求人倍率が2倍前後と高い状態にありますが、先ほど申し上げたとおり、介護分野の特性から緊急的に支援を行っているものであり、業種の拡充については慎重に検討してまいりたいと考えております。
次に、感染症の影響により失業された方や収入が減少された方に対しましては、オンライン合同就職説明会を初め、企業間出向や副業のマッチング支援に取り組んでおり、また、就職支援窓口といたしましては、中央区と東区役所内に労働局と連携いたしましたハローワークサテライトを設置しております。現在、窓口のさらなる増設に向けて国とも協議を進めているところであり、今後も国や県など関係機関と連携を図りながら、再就職支援に取り組んでまいります。
〔7番 吉田健一議員 登壇〕
◆吉田健一 議員 再就職の支援を求めるほとんどの方は、コロナの影響を優先的に配慮した紹介事業を求めています。
先日発表された2020年4月から6月期の実質GDP、国内総生産は前期比年率で28.1%減と、戦後最悪の落ち込みと言われております。しかし、前期比でいえば7.9%減であり、他国に比べれば低い状況です。さらに言えば、リーマンショックのときと違い、意図して経済を止めた影響です。
そこで、大事なのはやはり雇用です。完全失業率は2.9%となりましたが、それでもリーマンショック後の5.5%よりは低く、まさにこれからの失業を抑える政策が重要と感じる次第です。そういった意味でも、雇用を維持することができ、ワクチンの一日も早い提供が実現できたならば、経済の回復は期待できるものと信じているところです。ぜひ
コロナ対策と経済対策、そして他業種も含めた雇用の確保の充実を重ねてお願いいたします。
コロナ対策支援の項目で、最後の質問をさせていただきます。
数点、
コロナ関連で要望を含めた提案をさせていただきましたが、大西市長初め、本市としてもこの第3回定例会に合わせ、今回、国からの支援金、
新型コロナウイルス感染症対応
地方創生臨時交付金の活用について議案を上げられておられます。様々な角度から意見を出し合い、考慮、思案されたものかと思います。具体的な中身については所管委員会の場で議論してまいりますが、他都市も、今回の臨時交付金について最大限に効果が出るようにと検討に苦慮されています。
そこで、このような全国の自治体が臨時交付金を活用した新しい生活様式の実現に向けた動きを支援しようと、内閣府が地域未来構想20オープンラボを設置しました。これは、各自治体の取り組みたい政策とそれを応援したいとする民間の専門機関、さらには各府省の専門官がコラボして、臨時交付金の実施事業を練り上げるために設置された部署です。
先ほど言いましたとおり、現在、国から提示済みの本市への臨時交付金の全額を活用するとなっていますが、この地域未来構想20オープンラボは、今後のまち・ひと・しごと創生の地方版の総合戦略を進めるマッチングとしても重要なコラボツールです。政令市を初めとする全国の自治体が登録しておりますが、本市はいまだ登録されておりません。7月31日の締切りは過ぎておりますが、随時登録可能です。答弁の常套句であり、比較しなければならない行政の立場としても、これこそ、他都市の状況を確認できるツールではないでしょうか。
そこで、政策局長にお尋ねします。
特に、これから冬場を迎え、インフルエンザの流行時期とも重なります。インフルエンザとコロナの見極めが大変難しいものです。今後、あらゆる対策案を考えるためにも地域未来構想20オープンラボに登録されるのか、お伺いいたします。
〔田中俊実政策局長 登壇〕