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平成13年第 4回定例会-12月12日-04号
平成13年第 4回定例会-12月12日-04号

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  1. 熊本市議会 2001-12-12
    平成13年第 4回定例会-12月12日-04号


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    平成13年第 4回定例会-12月12日-04号平成13年第 4回定例会  平成13年12月12日(水曜) ┌─────────────────────────────────────┐ │ 議 事 日 程 第4号                         │ │ 平成13年12月12日(水曜)午前10時開議              │ │ 第  1 質問                             │ └─────────────────────────────────────┘                            午前10時01分 開議 ○白石正 議長  ただいまより本日の会議を開きます。       ──────────────────────────── ○白石正 議長  日程第1「質問」を行います。  順次発言を許します。上村恵一議員。          〔38番 上村恵一議員 登壇 拍手〕 ◆上村恵一 議員  皆様、おはようございます。  くまもと21市議団の上村恵一でございます。本日は先輩並びに同僚議員の皆様方の御配慮によりまして、登壇の機会をいただくことができましたことに対しまして感謝とお礼を申し上げますとともに、三角市長を初め、執行部の皆さん方には市政の発展を図る立場からの御答弁をよろしくお願いいたします。  ところで、本年は新世紀への期待と希望を乗せて21世紀への歴史的な第一歩を踏み出しました。しかし、これまでの1年近くを顧みますと、皇太子御夫妻に敬宮愛子様の御誕生やアメリカの大リーグにおけるイチロー選手などの活躍に見られるホットなニュースはありましたものの、アメリカにおける同時多発事件とそれに伴う報復行為や中東戦争、さらに国内においては、失業者の増大など、総体的には平和と生活に対する危機を痛感させられた1年だったような思いをいたしているところでございます。  目前に迫った来るべき新しい年が人類共通の願いであります平和の中で、豊かな生活を営むことができる、その基盤づくりに向けての記念すべき1年になりますことを祈願しながら質問を続けてまいります。  雇用対策について。  7月に過去最悪の5%台に達した完全失業率は、その後とどまることなく9月に5.3 %、10月には 5.4%の高水準のもとに推移し、本格的な高失業の時代を迎えることになっています。
     完全失業率の今後の動向については、IT不況やアメリカの同時テロ事件に加え、小泉内閣が進める聖域なき構造改革が本格化し、企業のリストラが加速することになれば、失業率は右肩上がりに上昇し、2002年度末には6%台になることが確実視されています。  5%を超える高失業者の影響は、国、地方の税収の伸びに大きなブレーキがかけられ、さらに消費低迷、自殺の多発化、高校生を中心とした学費の長期滞納など21世紀を担う子供の教育を含め、多方面にわたって実害を与えることになっています。  また、犯罪件数も急増し、驚いたことには、全国刑務所の収容率が35年ぶりに 100%を上回る状況になっていることです。  このように、完全失業率の上昇は、社会の活力や日常生活が損なわれるばかりでなく、人の心もむしばまれることになっています。  憲法には教育、勤労、納税の権利や義務が付与されています。この中でも安定した雇用制度のもとで、憲法27条の勤労の義務が果たされなければ、教育や納税の権利と義務は経済的な理由によって果たすことはできなくなります。  御案内のように、バブル経済の崩壊後、雇用問題についてはリストラによって人員削減をしない企業は社会的責任を果たしていないかのような見方をされてきた経緯があります。しかし、ここに来てこれまでの見方に変化の兆しが見え始めています。  塩川財務大臣はマスコミを通して、利益の追求も大事だが、企業の雇用に対する社会的責任を果たしてもらうよう政府として警鐘を鳴らしていくことが大切ではないかという発言がなされています。  このコメントの背景には、雇用なくして正常な社会の樹立を期待することはできないという失業者の増大によって衰退を続ける社会の現状を見据えての悲壮感に満ちた叫びだと思われます。  また、雇用対策に対するマスコミの報道にも変化が生じています。これまで、マスコミの報道については、特に公的部門についての採用は財政再建や行政改革に逆行する立場から否定的な見解がなされてきました。  しかし、今日の憂慮すべき雇用の実態やこれから本番を迎える国民の痛みを救うためには、税金の使い方を見直し、公的サービスが不足している部門については人材を投入すべきだとの姿勢を示されるようになっています。  このような状況を踏まえ、本市としても改めて雇用の取り組みに対する認識を高め、要は、即効性のある雇用対策を講じていくことが強く求められています。  そこでお尋ねいたしますが、初めに、来春就職を希望している高校生の就職内定率が30%台の低率になっているなど、未曾有の雇用環境を踏まえ、決意を込めての雇用対策に対する三角市長の御所見をお伺いいたします。  次に、70万人の雇用創出を目指して99年度から本年度にかけて実施されている国の緊急地域雇用対策厚生労働省の試算によると、現在目標の40%程度の厳しい実態になっています。  また、国と連動した本市の雇用対策は約2カ年で、延べ人員では約4万 6,000人になっていますが、雇用人員においては 615人にすぎず、大量の失業者を抱える現状からして、雇用の受け皿としての役割を十分果たし得ない状態になっています。しかも、再就職までのつなぎ的な雇用支援にすぎず、雇用対策に対する抜本的な見直しが求められています。  こうした中で、宮崎県の場合は、追跡調査の結果、緊急地域雇用対策を通した雇用者の50%以上が保育士や運転手などとして正式に再就職ができていることが明らかにされ、注目を集めています。同県は、この状況については、各市町村に対して再雇用に結びつくような雇用対策を講じるよう指導した結果であることが指摘されています。  そこで、2点目の質問は、引き続いて行われる緊急地域雇用対策が可能な限り再雇用を視野に入れた取り組みになるよう県などとの関係機関と協議を行い、対応していくべきではないかと思われますが、緊急地域雇用対策に対する基本的なお考えについてお尋ねします。  3点目は、近年ミスマッチによる失業が徐々に増加し、ことし7月には 3.9%に達し、需要不足による失業率を上回る状態になっています。それだけに、職業訓練や自己啓発事業などの充実を図り、円滑な労働移動の受け皿づくりが求められています。  そこで、本市におけるミスマッチ対策についてお尋ねいたします。          〔三角保之市長 登壇〕 ◎三角保之 市長  雇用問題についてお答えいたします。  現在の雇用情勢につきましては、議員も述べられたとおり、長引く景気低迷や規制緩和の進展、また国際経済競争の激化等により、企業の倒産、リストラに伴う解雇など悪化の一途をたどり、全国の失業率が過去最悪を記録するなど極めて厳しい状況にあります。  私といたしましても、この雇用問題は、現下の社会経済情勢のもとで最も緊急かつ重要な課題と認識をしており、先般、全国市長会においても雇用のセーフティーネットの充実など、雇用、就業対策の推進について要望を国に対して行ったところであります。  また、今議会におきましても緊急、臨時的な雇用を図るための補正予算をお願いしているところであります。  本市といたしましては、今後とも実効性のある雇用対策といたしまして、就職面接会の開催、就職相談機能の強化、再就職のための能力開発訓練の実施など、雇用の安定、拡大に向けた市独自の施策をさらに充実してまいりますとともに、中長期的には雇用の場の創出となる企業誘致や新規創業等の支援に力を傾注してまいりたいと考えております。  いずれにいたしましても、雇用の問題は国、県と一体的に進めていくことが重要であり、今後とも関係機関とさらに連携を密にして対応していきたいと考えております。          〔三嶋輝男経済振興局長 登壇〕 ◎三嶋輝男 経済振興局長  緊急地域雇用対策事業の実施に当たっての考え方及び雇用のミスマッチについてお答えいたします。  国におきましては、平成16年度末を実施期間とした新たな緊急地域雇用創出特別交付金が創設されたところでございます。この交付金事業は、6カ月以内の雇用を原則とはしておりますが、実施に当たりましては御指摘のとおり、一時的な就労で終わるのではなく、次の就労につながるような事業に展開していくことが重要であると認識しております。  本市の場合、この基金事業を活用して、IT技術者養成訓練や中高年を対象としたパソコン訓練を実施しておりますが、この訓練を受講された方の約半数の方々が何らかの仕事についておられます。  私どもといたしましては、失業者が急増している今、1人でも多くの再雇用を図るため、先進地の事例調査等も行いながら、この交付金事業のさらなる活用を進めてまいりたいと思っております。  次に、雇用のミスマッチ対策についてのお尋ねでございます。  このミスマッチは、年齢、賃金等の労働条件、職種等によって発生するものとされております。職種別に県内の求職者数と求人数を平成13年9月で比較してみますと、例えば事務職では、10人の求職者に対し求人数3人、労務職では求人数7人となっております。  一方、公安職で見ますと10人の求職者に対し求人数31人、サービス職では求人数15人となっており、就職が非常に困難な職種もありますが、他方で人手不足の職種もあり、雇用のミスマッチがあることを示しております。  本市では、この雇用のミスマッチ解消のため、職業能力の開発訓練、就職面接会の開催や高校の進路指導の先生と企業との意見交換会などを行っておりますが、今後ともさらに、企業のニーズに合った職業訓練講座の設置、年齢層に応じた就職面接会や高校生に対する就職啓発セミナーの開催等、内容の充実を図り、雇用の安定に努めてまいりたいと考えております。          〔38番 上村恵一議員 登壇〕 ◆上村恵一 議員  ただいま三角市長の方から、現在対応されている雇用対策の内容について御紹介をいただきました。その中で、全国の市長会を通して国に対する要請も行われているようでありますが、今後の市長会におかれましては、今日の深刻な雇用環境を少しでも改善するため、今自治体として雇用問題については何をやるべきなのか、またどんなことができるのかということに対して、さらに詰めた協議を行っていただき、雇用創出に対する実現の道をさらに模索していただきたいと思います。  また、国と連動した緊急地域雇用対策事業については、雇用の受け皿として、また家庭の生計を支える面においてもいささか寂しい雇用対策になっています。  そこで、答弁の中で触れられておりましたように、1人でも多くの雇用創出を図るため、先ほど宮崎県のことを御紹介いたしましたけれども、先進地の調査などを行い、より有効的な緊急地域雇用対策事業に対する取り組みを、雇用のミスマッチ対策などとあわせて行っていただきますように要請をいたしまして、次の質問に移ります。  総合学習について。  公立の小中学校については平成14年度から新学習指導要領が導入され、総合的な学習の時間が完全実施されることになります。21世紀を生きる子供に生きる力をはぐくむことを指標とした総合学習は、これまでの知識習得を中心とした詰め込み的学習を180 度転換させるもので、いわば新指導要領の目玉として注目されています。  総合学習のねらいは、①みずから課題を見つけ、みずから学び、みずから考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力を育てること。②学び方や物の考え方を身につけ、問題の解決や探究活動に主体的、創造的に取り組む態度を育成し、自己の生き方を考えることができるようにすることが示されています。  また、総合学習のねらいを踏まえた学習活動については、例えば国際理解、情報、環境、福祉、健康などの横断的かつ総合的な課題、児童の興味、関心に基づく課題などについて地域や学校の特色に応じた課題などについて、学校の実態に応じた学習活動を行うことが提示されています。  さらに、学習活動の展開に当たっては、自然体験やボランティア活動などの社会体験、観察、実験、見学や調査、発表や討論、物づくりや生産活動の体験的な学習とともに、問題解決的な学習を積極的に取り入れることが指摘されています。  また、学習活動を展開するための手法については、グループ学習や異年齢集団による学習などの多様な学習形態。地域の人々の協力も得ながら、全教師が一体となって指導に当たるなどの指導体制を確保し、地域の教材や学習環境を積極的に活用できるよう、工夫することが提言されています。  このような総合学習の指針に基づき、本市の小中学校においては、本格実施を前に、平成12年度から移行期間としての総合学習が取り入れられています。  教師の戸惑いや試行錯誤の中で試行されているこれまでの取り組みを通して、ともすれば、閉鎖的になりがちだった学校と地域との結びつきが深まり、さらに体験活動などによって、子供たちが自主的に学ぶ姿勢や考える力がだんだんと養成されるなどの成果があらわれているようです。  しかし、新年度から本格的に実施される総合学習を円滑に推進するためには、幾つかの課題が解決されることを教育現場は望んでいます。  そこで、特徴的な課題を紹介しますと、まず総合学習は、教科書を使って進める従来の授業とは全く異なる学習で、テーマの設定を初め、何でも自由にできる反面、何をやっていいのかと悩みを漏らす教師も少なくないようです。  そこで、教師の力量が問われる総合学習に必要とされる研修時間を確保するためには、教育現場にできる限りゆとりを与えるための対応が求められています。  総合学習の成否を左右するのは地域とのかかわりづくりだと言われています。それだけに、日常における学校と地域との連携を築く中で、学校支援ボランティアなどの人材確保に努力することが必要とされています。  しかし、現状においては校外学習に出かける場合、安全対策の面からも必要な引率の体制さえ十分確保できない教育現場も少なくないようであります。そこで、引率時における事故対策など、人材確保に向けての条件づくりなどが必要であります。  また、学習のテーマについては、地域や学校の特色に応じた課題などの中からピックアップし設定されることになっています。この点に関しては、各学校とも自由なテーマの設定ができるだけに、その一方においては偏りがちになることが予想されます。  そこで、特に同地域の小中学校については、系統的で子供の発達に応じたテーマを設定するための学校間における連携の場づくりを重視する必要があるものと思われます。  本格実施を目前に控え、予算措置も大きな課題の一つになっています。教育現場においては、教材費を初め、講師に対する謝礼、ボランティアの引率時における交通費など予算措置に対する強い要望の声が高まっています。  そこで、子供に確かな知性をはぐくみ、豊かな人間性を醸成し、たくましい心身の健康を培って自己の生き方を考え、これからの社会を渡っていける力、つまり生きる力をはぐくむことを目的にした総合学習を円滑に展開させる立場からお尋ねいたします。  1点目は、試行的に行われている総合学習に対する教育現場の現状についてお尋ねします。  2点目は、円滑に総合学習を展開させるためには、先ほど指摘しました4つの課題についても重ねてお尋ねします。  さらに、3点目は、学習内容が学校の裁量に任せられた総合学習は、教材の準備を初め、地域や企業、施設関係者との協議など、教師に対する負担が重くのしかかっているようです。そこで、加配などの措置が必要であると考えます。  以上のような条件整備について教育長の御見解をお伺いいたします。          〔田尻紘教育長 登壇〕 ◎田尻紘 教育長  上村議員にお答えいたします。  お尋ねの総合的な学習の時間につきましては、地域の自然や施設などを生かし、環境問題への取り組み老人ホームの訪問を通した福祉の学習など、各学校が実態に応じた学習を展開しております。子供たちが地域に目を向け、社会問題に関心を持つなどの変化が見られるようになり、趣旨に沿った生きる力を培う授業実践が進められつつあると受けとめております。  1点目の研修時間の確保につきましては、教師の力量が求められ、教師自身の自覚が高まる中で、各学校の職員研修の時間をフルに活用しております。本年度は9割程度の学校が総合的な学習の時間を研究テーマに掲げ、年間を通して計画的な研修を行っておりますが、さらに十分な時間を確保し、内容の充実が図られるよう配慮してまいりたいと思います。  2点目は、校外学習における指導者や協力者の十分な確保についてでございます。  各学校では、学校独自に人材バンクを設け、地域や保護者の方々にボランティアとして御協力いただいているとの報告を受け、力強く思っております。  本年度は、1校当たり年間平均40人程度、多いところでは年間 100人を超えるボランティアに御協力いただき、児童・生徒の安全確保や授業充実に努めております。  3点目の小中学校の連携につきましては、昨年度から本市が主催します校長会や総合的な学習の時間担当者会、研究部長会などの教職員の研修会において、中学校区ごとに情報交換を行い、系統的で子供たちの発達に応じたテーマの設定を図っておりますが、さらに、小中連携を強化してまいりたいと思います。  4点目は、予算措置についてでございます。  本市では、本年度から、教材費としての学校配当予算ボランティアを対象とした傷害保険の措置を講じたところでございます。謝礼につきましては、ボランティアとして御協力いただいていることから、児童・生徒のお礼状や手づくり作品贈呈学習発表会への招待等でお礼の気持ちをお伝えしております。ボランティアの交通費につきましては今後研究してまいりたいと思います。  最後に、加配措置についてでございます。  現在のところ、総合的な学習の時間のための加配教員の制度はありません。しかし、今年度から文部科学省は5年間で新たに2万 7,000人程度のTT等の加配教職員を配置し、よりきめ細かな指導ができる体制づくりを進めております。  このような加配教職員も活用しながら、より充実した総合的な学習の時間のための研修や指導体制の工夫など条件整備に努めてまいりたいと考えております。          〔38番 上村恵一議員 登壇〕 ◆上村恵一 議員  ただいま教育長の方から総合学習を円滑に展開するための条件づくりについて、非常に積極的な御答弁をいただきまして、ありがとうございました。  そこで、学校や子供たち、さらに地域や教師が変わっていくかもしれない。そのような期待感を集めて、新年度から実施される総合学習は幾つかの点について注目されています。  その1つは、教師と子供の関係が教える側と学ぶ側の関係から、子供たち自身が課題を見つけ、考えの中から答弁を探す主体的な学習が追求されることです。  2つ目は、従来の学校教育は、全国一律の国の指針によって行われてきました。しかし、総合学習は教科の枠にとらわれず、それぞれの学校で創意工夫して特色ある教育を推進するという教育のいわば地方分権にも等しいものであります。  3つ目は、学校と地域との関係が総合学習を通して開かれた学校づくりのきっかけになることが期待できることです。  4つ目に、子供が地域の施設や企業に出かけ、社会体験などを行う中で、地域の人々との多様な触れ合いが生み出され、これまでの学校中心に偏った子供たちの生活を見直す機会として期待されるということであります。  総合学習は、これまでの効率的に多くの知識を身につけることを重視した学校教育が、子供の成長や社会に多くの弊害をもたらしているその現状を踏まえて実施されることになったものでありますが、一方においては学力の低下が懸念されることも事実であります。  しかし、子供に生きる力をはぐくむことを基調にした総合学習がその目的を達成されることによって、子供たちはみずからの意欲や努力によって学力の向上に向かって挑戦していくものと期待をいたしているところでございます。  質問の中で指摘いたしましたように、当分の間は不安や手探りの状態が続くものと思われますが、地域社会と学校との連携によって、総合的な学習の時間が円滑に展開できますように切望して、次の質問に移ります。  あと教育問題2つ続けて質問いたしますので、よろしくお願いいたします。  学校図書館について。  これまで、図書が並ぶだけの本の倉庫と酷評されてきた学校図書館が、平成11年度から開始された図書購入費の大幅な増額や、平成12年度に実現された全小中学校に対する学校図書司書の配置などによって大きく生まれ変わろうとしています。  さらに、教育委員会においては、学校図書館充実に向けての事業が計画されており、この事業が促進されることによって、教育課程の展開に寄与するとともに、児童または生徒の健全な教養を育成するという学校図書館本来の目的が達成できるものと大いに期待を寄せているところであります。  教育委員会は、子供一人一人が輝く学校図書館を目指してという指標のもとに学校の図書資源の共有化に取り組んでおられます。この事業は、市教育センターネットワークサーバーを置き、小中学校全校と必由館、千原台高校教育センターの図書館などを光ケーブルで結び、各機関が所有する蔵書を一元化するプランで、平成15年度の完成を目標に、本年度から蔵書データの電算化などの事業が開始されています。  この事業が完了することによって、学校図書館の蔵書だけを単純に計算しても約80万のデータベースが構築されることになり、どこの学校の図書館からも自由に検索できるようになるばかりでなく、必要な資料を相互に貸し出せるようになります。  また、この事業の一環として、学校図書館へ基本的には4台のパソコンを設置することが目指されていますが、これが実現されますと、そのうちの1台が貸し出し、返却などの蔵書の管理用として使用され、あとの3台は子供たちが自由に使えるマシンとして活用することが検討されています。  このように、文部科学省が進める学校図書館資源共有型モデル地域事業などによって、学習情報センター読書センターとしての機能が拡充される中で、一方においては図書館の施設整備や図書司書の勤務条件など、言うなれば図書館運営の根幹に対する改善が求められています。  まず、図書館のスペースについては、一部の新設校以外のほとんどは一教室の状態で、手狭な館内には所狭しと蔵書、机、いすなどが並べられています。このため、児童・生徒が来館し、調べ学習などを行う場合、館内や廊下に腹ばいになって書き物をしている光景を見かけることもあるようです。  現在、年次計画によって行われている標準蔵書数達成に向けての取り組みが進み、さらに総合学習本格実施などによって、図書館活用の機会が多くなれば館内はますます窮屈な状態になることは明らかであります。  次に、三角市長の英断によって、小中学校の全校に図書司書が配置された平成12年度以降、今や学校図書館子供たちにとっては教養の場であるとともに、安らぎの場として活力に満ちあふれています。  しかし、図書司書の勤務時間は1日5時間のため、朝と夕方の図書館業務にとっては一番重要な時間帯を中心に図書司書が不在をしなければならない状態に直面することになっています。  また、3期の休みの期間は雇用されないことになっていますが、蔵書の整理を初め、子供たちが登校しないときにしかできない業務も山ほどあり、このような現状を踏まえてより有効な図書館の活用を図る立場から、学校図書司書の勤務時間を適切に見直しをする必要があります。  さらに、学校図書司書の研修については月に1回程度実施されているようでありますが、ほとんど情報交換などの自己研修が中心となっているようであります。  そこで、円滑な図書館の運営を遂行する立場から、講師などによる専門性を身につけることができるような実務的研修を企画することを検討することも必要だと思われます。  そこでお尋ねいたしますが、先進的な取り組みとして本年度から実施されている学校図書館資源共有型モデル地域事業などによって学校図書館に対する利用価値はより一層高まっていくことが期待されています。  そこで、これから学校図書館をより有効かつ適切に活用するためには、学校の教育計画や具体的な授業の場の中で学校図書館の利用の位置づけを明確にすることが必要だと思われます。そのためにも、計画的、系統的な図書館利用指導計画の作成とそれに基づく指導が重要だと考えます。  そこで、教育委員会の立場から、教育現場に対してどのような御指導をされるお考えであるのかお尋ねします。
     次に、学校図書館が積極的に活用されるのに伴い、その受け皿づくりに欠かせないのが先ほど述べました館内スペースの拡充を初め、図書司書の勤務時間の見直しや図書司書に専門性を身につけるなどの実務的な研修を実施していくことが緊急の課題になっていますが、以上の点につきましては後ほど教育長の御見解をお伺いすることにいたします。  続けてもう一点、私学助成について。  熊本私立学校教職員組合連合会の調査によると、親のリストラや収入減などによって私立学校の学費の長期滞納を余儀なくされている県内の生徒は、1校当たり25.7人で、全国平均の約2倍になっていることが明らかにされ、長引く不況が子供の教育に影響していることが浮き彫りにされています。  調査によると、県内では3カ月以上の学費を滞納している生徒は約 260人で、中には退学を余儀なくされた生徒も10名近くに達しています。現在、ほとんどの私学校においては滞納が3カ月を超えると出校停止、さらに半年を超えたら除籍勧告などの処分規程が取り入れられているようでありますが、滞納によって卒業できないのは忍びないとの気持ちから10数万円の授業料を個人で肩がわりする担任教師も目につくようなことが伝えられています。  また、保護者に対するアンケート調査によると、子供がアルバイトを始めるようになったなど、家計の厳しい実態を訴える切実な声が多数を占めているようであります。  私学の学費は公立の3倍以上は高く、これから長引く不況が家計を一段と直撃するようになれば、長期滞納者はさらに増加することになり、子供の授業にも大きな影響を与えることは必至とされています。  このような現状を踏まえ、少しでも保護者負担の軽減を図り、退学を回避させる立場から、本市の私学助成に対する対応についてお伺いいたします。          〔田尻紘教育長 登壇〕 ◎田尻紘 教育長  学校図書館についてお答えいたします。  まず、計画的、系統的な図書館利用指導計画の作成と計画に基づく指導についてでございます。  学校図書館の利用指導につきましては、各学校で図書館経営案を作成した上で、学級活動や国語等の授業において、学級担任を中心に利用指導が行われているところでございます。  また、教育委員会におきましても、学校図書館運営の手引書を作成し、本年2月の研修会で説明の上、各学校に配布し、小学校の低、中、高学年における具体的な利用指導の内容を示すなど、各学校で系統的、計画的な利用指導を行うよう促しているところでございます。  今後とも一層の学校図書館の利用指導の推進、充実が図られますよう積極的に各学校を指導してまいりたいと考えております。  次に、学校図書館の館内スペースの拡充、図書司書の勤務時間の見直し、実務的研修実施についてでございます。  館内スペースの拡充につきましては、現在、小学校17校、中学校2校が余裕教室を転用しまして、第2図書館として利用しております。図書室のスペースや蔵書数、余裕教室などの状況がおのおのの学校で異なっておりますので、これらの実情と学校の意向を踏まえながら、今後とも大規模改造事業などの機会をとらえて対応していきたいと考えております。  次に、図書司書の勤務時間につきましては、司書を全校配置いたします際に、児童・生徒の利用実態に基づき、1日5時間に設定をし、学校ごとの実情によって、勤務の開始、終了時間を定めているところでございます。学校図書館法改正に伴い今後司書教諭の配置が予定もされており、その状況も見きわめていく必要もありますので、当面は現行の勤務時間で対応してまいりたいと考えております。  なお、夏休み期間中などの学校図書館のあり方につきましては、開館の必要性、司書業務の実態、さらには開かれた学校づくりの観点から検討を進めてまいりたいと考えております。  図書司書の実務的な研修の実施につきましては、本年度は講師を招いての本の修理、製本やコンピューターの実技研修、図書館主任との連携を図る合同研修、読書活動推進のための講演会など10数回の研修会を実施いたしております。  こうした多様な研修の実施によりまして、司書の専門的な能力も向上しつつありますが、さらに実務的な研修にも力を入れてまいりたいと考えております。  いずれにいたしましても、教育委員会といたしましては、引き続き司書研修の強化を初め、蔵書の充実、パソコンなど情報機器類の整備に努めまして、学校図書館学習情報センターとして有効に活用できるように取り組んでまいりたいと考えております。  最後に、私学助成についてお答えいたします。  議員御案内のように、我が国の私学助成は私立学校振興助成法に基づき、運営経費の一部について、大学は国が、高校等は国庫補助を受けて都道府県が、それぞれ助成する制度が基本となっております。  本市におきましては、教職員の研修経費の助成といたしまして、市内の高校、大学、幼稚園に対して、私立学校補助金を交付するとともに、高校の体育活動の活性化のための補助制度も設けているところでございます。  議員お尋ねの経済の実態を踏まえての私学助成の対応についてでございますが、助成の拡充につきましては、御指摘の点を踏まえ、さまざまな機会をとらえて積極的に国、県に要望してまいりたいと考えております。          〔38番 上村恵一議員 登壇〕 ◆上村恵一 議員  学校図書館に対しての御答弁をいただきました。  学校図書館につきましては、これまでのおくれを取り戻すための基盤整備が着々と行われていることに対し大いに評価をいたしているところでございます。特に、読書は情報と心のかけ橋に着眼し、先進的な取り組みとして行われている学校図書館資源共有型モデル事業は、子供の読書離れを防ぎ、21世紀を担うかけがえのない人づくりに一石を投じることができるものと期待をいたしているところでございます。  そこで、各教育現場がばらつきのないよう組成されていく学校図書館の活用を計画的かつ系統的に行っていくように、学校図書館運営の手引書の配布などを通して指導を推進するのとともに、館内スペースの拡充については機会をとらえて対応したいとの答弁をいただきました。  また、図書司書の勤務時間の適正化の中で、当面夏休み期間などにおける図書館のあり方については、開かれた学校づくりの観点から検討するということでありますので、図書業務の実態や児童・生徒のニーズを踏まえた中での前向きの結論を出していただきますように要請をいたしておきます。  また、図書司書の勤務については総合学習本格実施や、先ほど御紹介いたしましたモデル事業の完成によって利用者の増加はもとより、他の学校施設などとの連携やかかわりが一層必要とされることは明らかでありますので、勤務時間の適正化に対する前向きの御検討を今後お願いいたしておきます。  さらに、図書司書の研修については、専門的な知識を必要とする業務でありますので、専門性を身につけるためのより実務的な研修を計画されますように要請をいたしておきます。  いずれにいたしましても、これで学校図書館の質問については通算4回になるわけでございますけれども、質問の都度、非常に充実した環境をつくり上げていっていただいております市長、教育長初め、関係者の皆さんに厚くお礼を申し上げたいと思います。  続いて、私学助成についてでありますけれども、要は、子供の教育にかかわる重大な問題であります。退学などの異常事態を生み出すことによって、子供自身はもとより社会にとっても大きな影響を受けることになります。  質問に対する答弁は、国や県に積極的に要望していくということでありますので、三角市長におかれましても私学の実態を踏まえられまして、「よかひとづくり」のためにも機会をとらえて、私学助成に対する対応をお願いしたいと思います。  なお、教育委員会からいただいた資料によりますと、市立3校の授業料減免の推移ということで、授業料に対する減免措置制度がありますけれども、それによりますと、平成9年度が80人、平成10年度が88人、11年度も88人、昨年は93名、それからことしは11月29日現在で 106名となっております。市立3校、必由館高校、千原台高校、ビジネス専門学校、この市立3校の生徒にも不況の影響がもろにのしかかっていることがひしひしと感じられるところでございます。  続きまして、C型肝炎対策について。  C型肝炎はC型肝炎ウイルスの感染によって起きる肝臓の病気で、今や結核に次ぐ第2の国民病と言われています。感染者は昭和20年代に急増し、現在では新規の感染はほとんどないものの、全国で感染者は 200万人以上いるものと推計されています。  肝炎にかかると肝臓の細胞が壊れて肝臓の働きが悪くなり、徐々に病気が進展し、感染後二、三十年かけて肝硬変から肝がんへと進むケースが多く見られ、年間 200万人に上る肝がんの死亡者のうち、その7割以上がC型肝炎ウイルスの感染に起因したものであると言われています。  C型肝炎ウイルスは、かつては輸血や血液に汚染された医療器具などによって感染したケースがありましたが、現在では覚せい剤使用時の注射の回し打ちや入れ墨の針、ピアスの共用などによる感染の実例が伝えられています。  C型肝炎ウイルスが発見され、チェックできるようになったのは平成元年で、それ以前は感染のおそれが常にあったということになります。  こうした実態の中で、専門家の間においては、以前から非加熱製剤投与者の肝炎ウイルスによる感染の危険性が指摘されており、その当時から患者団体も輸血経験者の肝炎検査などへの対応を当時の厚生省に求めてきた経緯からして、国がもっと早くからC型肝炎対策に手を尽くしていればという思いは相当強いものがあります。  このようにC型肝炎対策を求める社会的な動きに対して、厚生労働省はことし3月非加熱製剤を使ったと見られる全国約 800の医療機関名を公表し、特に大量出血を伴う治療を受けた患者に肝炎ウイルスの検査が呼びかけられています。  しかし、国が取り組みをした今回の検査はごく一部の患者に限られています。このため、いまだにC型肝炎ウイルスの感染者の実態が把握されていない現状を重視し、本格的な治療を行うために必要な検査体制の強化が求められている中で、患者団体は、国に対して40歳以上の国民を対象に検査の早期実施を要請しています。  このようにC型肝炎対策は、今や急を要する緊急課題として国、地方ともども本格的な対応が迫られています。  そこで質問の第1点目は、本市におけるC型肝炎ウイルス感染者の実態とその対応状況についてお尋ねします。  2点目は、C型肝炎の治療対策についての質問であります。  その中で、治療については現在、肝炎の鎮静化を図ることによって肝硬変、肝がんの進行を抑制するため、インターフェロンと呼ばれる薬品を注射で体内に投与する手法が最も用いられているようであります。インターフェロンの投与は一定の効果が期待できる反面、個人差にもよるようでありますが、副作用を伴うため、治療をためらう患者もいるようです。  このような実態の中で、苦痛な思いに浸っている患者や家族に希望を与えるためにも、身体にできる限り負担をかけずに効果的な治療法を生み出すことが期待されています。  そこで、医学界などの動きを含め、新たな治療法に対する見通しについてお尋ねします。  質問の3点目は、肝炎の進行や肝がんの発生を防ぐためには、患者団体からも強く要請されている感染者の実態を把握するため、検査体制の充実を図り、早期治療に努めることが必要であります。  そこで、本市の今後の対応についてお尋ねします。          〔福島靖正健康福祉局長 登壇〕 ◎福島靖正 健康福祉局長  上村議員にお答えいたします。  C型肝炎についての3点のお尋ねでございます。  まず、第1点目の感染者の実態とその対応状況でございます。  本市における感染者数の明確なデータはございませんが、議員御指摘のとおり、我が国では約 200万人に上る感染者が存在すると言われておりまして、このことから推計いたしますと、本市ではおよそ1万人程度の方がいらっしゃるのではないかと考えられます。  また、本市における患者数の実態も詳細には把握できませんけれども、平成13年5月の国民健康保険の疾病分類別件数で見ますと、肝臓がんの件数が 241件、肝硬変が342 件、ウイルス性肝炎が 1,039件となっておりまして、このうち肝臓がんと肝硬変につきましては、市民病院の診療実績から考えますと、その7割がC型肝炎に由来すると考えられているところでございます。  本市における対応といたしましては、ことし6月から10月までHIV抗体検査時に希望者に対しましてC型肝炎の抗体検査をあわせて実施してまいりました。また11月からは、保健所における一般健康診断時に希望に応じましてC型肝炎の抗体検査を受け付けております。          〔議長退席、副議長着席〕  第2点目の新しい治療方法の見通しでございます。  議員御指摘のとおり、現在インターフェロン療法が主に行われているところでございますが、本年11月21日に厚生労働省中央薬事審議会の承認を得た新しい薬がございます。12月7日から保険適用となりました抗ウイルス薬のイバベリンでございますが、これをインターフェロンと併用することで、完治率がインターフェロン単独使用時の約30%から約50%に向上すると言われております。  また、現在米国におきまして、従来のインターフェロンを改良したペグインターフェロンを用いました患者の負担が軽く、より強力な治療法が実施されておりまして、これが近年中に我が国でも承認されるんではなかろうかと考えられます。  3点目の検査体制の今後の対応でございます。  旧厚生省に設置されました肝炎対策に関する有識者会議の報告書がことしの3月にまとめられておりまして、この中で、国民一人一人がC型肝炎ウイルス感染の有無をまず確認すること、その結果に基づき必要な相談指導や医療を受けること、健康診断等において実施されるスクリーニング検査がその重要なきっかけとなること等が指摘されております。  国は、この報告書を受け、来年度から新たなC型肝炎対策を計画しているところでございまして、本市ではこうした国の動向を踏まえ、適切に対応してまいりたいと考えております。          〔38番 上村恵一議員 登壇〕 ◆上村恵一 議員  C型肝炎対策について、健康福祉局長の御答弁をいただきました。C型肝炎対策につきましては、全国で 200万人以上、本市についてはおよそ1万人の市民が感染していると言われておりますけれども、しかしこれは、あくまでも推測的な数字でありまして、まだ多くのC型ウイルスの感染者が潜在しているものと思われます。したがいまして、当面の取り組みにおきまして重視していかなければなりませんことは、検査体制の強化を図り、検査後、必要な場合には早期の治療に当たることだと思います。  先ほど局長の答弁の中にも触れられておりましたように、本市においては、ことしの6月から一定の期間、HIV抗体検査時に希望者を対象にしてC型肝炎の抗体検査が行われているようであります。こうした中で、国におきましては、早ければ平成14年度から老人保健事業の基本検査にC型肝炎の検査を導入する方向で取り組みがなされているようでありますので、これが実現されますと早期発見、早期治療が期待できるようになります。  また、治療については、新薬剤の有効性、安全性が確認され、一部については使用可能とされたようでありますので、患者や家族にとりましては、これまで以上に回復に向けての希望を与えることができるものと思います。  本市におかれましては、検査や治療体制が充実されていく中でC型肝炎対策に対する取り組みをさらに強化していただきたいと思います。  実はきょう、車でこちらの方に出向きますときにNHKのラジオニュースを聞きましたところ、先ほど紹介いたしました国の老人保健事業の中での基本検査が40歳から70歳の年齢の中で行われるようになるということがニュースで流れていました。そして、その後治療が必要な患者については一定の医療援助も検討されているということであります。  実は、質問の中にはこの医療援助を考えていたわけでございます。インターフェロンが1本五、六万円もするということでありましたので、医療援助を、国民的な病気だというようなこともありまして入れましたけれども、ちょっとやりとりの段階で無理なようでございましたので、医療援助については省いたわけですけれども、私の気持ちが国の方にいち早く届いたようでございまして、医療援助についても検討されているようでございます。C型肝炎についての対応について今後の努力をお願いいたします。  次は、総合都市交通計画の推進について。  学識経験者、経済界、交通事業者、行政などで構成されている熊本都市圏総合都市交通協議会は、平成32年を目標年次にした21世紀の熊本都市圏にふさわしい総合的な交通体系を策定するため、昭和48年、昭和59年に続いて平成9年に3回目のパーソントリップ調査が実施されています。  パーソントリップ調査は、いつ、何の目的で、どこからどこへ、どのような交通手段のもとに人が動いたのかを把握することを目的としたものであります。  それによりますと、平成32年の熊本都市圏の人口は、調査時の平成9年と比較すると1.17倍の 115万人、人の動きは1.21倍、移動に伴う車の利用は1.29倍になることが推計されています。  また、調査結果の特徴としては、前回調査の昭和59年と平成9年を比較した場合、通勤や業務時を中心に車の利用が16ポイント高い59.3%に達しているのに対し、市電やバスの公共交通機関は 2.7ポイント低い 4.8%で、車依存の交通手段が大幅に増加することになっています。  この原因は、免許保有率の増加によって車の利用が高まり、特に路線バスが交通渋滞などの影響によって定時運行ができなくなっていることや、公共交通機関の利便性を高めるために必要な交通網の整備が不十分なことなどが考えられます。  ちなみに、本市における交通渋滞のワースト3は、浄行寺交差点の最大通過時間24分、上熊本交差点18分、神水及び田井島北交差点の17分となっています。また、国土交通省の調査によると、全国での交通渋滞による年間の損失額は12兆円で、国民1人当たりに換算すると9万 5,000円になることが報告されています。  今回実施されたパーソントリップ調査の結果、車依存の交通手段がこれまで以上増加することになれば、渋滞がもたらす経済的損失、排気ガスなどによる環境問題、中心市街地の空洞化など多方面にわたって多くの弊害が生じることを踏まえ、公共交通機関を基軸にした人や環境にやさしい都市交通網の整備を行うための提案がなされています。  それによりますと、目指すべきまちづくりの方向として、圏域の一体的発展、にぎわいのある都心、熊本駅周辺に新たな都市空間、交流拠点の形成、周辺地域における生活拠点となるまちの形成、公共交通機関の利用しやすいまちづくり、移動しやすいネットワークの形成が示されています。  また、総合的な交通体系の方向として、多くの人が利用できる利便性の高い公共交通、九州新幹線熊本駅などの交流拠点へのアクセス向上、九州の拠点性を高め、都市の骨格を形成する交通体系、移動しやすく豊かな町並みを形成し、人や都市環境にやさしい道路、身近な交通手段として重要な徒歩、自転車、交通手段の連携と交通需要の適正化が提案されています。  今回の提案については、これらのまちづくりと交通体系の方向性が一体的にとらわれているのが大きな特徴になっており、公共交通を生かしたまちの再生や都市機能の拡充に大きなインパクトを与えるものとして高く評価をいたしているところでございます。  しかし、本市におけるこれまでの交通問題に対する取り組みを見る限りにおいては、果たしていつごろ、どれだけの事業が実現されるのかということに対して危惧を抱いている一人でもあります。  他都市の状況によりますと、福井市においては昨年6月、都市活性化の企画案を策定するまちづくり福井が中心となって、路面電車とまちづくりを考えるフォーラムを開催し、その議論などの過程で市民の理解が深まり、早くもことしの10月にはトランジットモールの社会実験が行われています。  また、岡山市では、増加する車の抑制と店舗の減少に悩む中心商店街の活性化を図るため、昨年2月、学識や行政、民間などで構成する検討委員会の提言を受けた路面電車の軌道を道路端に寄せるサイドリザベーション方式の延伸計画が進められています。  これまで、本市においては、熊本広域都市圏創造会議などを通して、鉄軌道の高度利用など、公共交通網の整備に対する提言が示され、大方の市民の賛同は得られているものと思われます。  また、さきに本市で開催された第5回電車サミットにおいては、車中心のシステムを見直し、路面電車を基軸に、バスや徒歩、自転車などの環境にやさしい公共交通手段を絡ませたLRTの必要性がアピールされ、公共交通を生かしたまちの再生に大きな刺激を与えることになっています。  交通対策はおくれをとればとるほど事業面においても支障を来すことになります。今回、熊本都市圏総合都市交通計画協議会からの提案が絵にかいたもちに終わることのないよう、市民、行政、議会が一体となって実現に向けてのハードルをクリアしていかなければならないと思います。  そこで初めに、今回の総合都市計画に対する提案を受け、三角市長には、これからの都市交通問題の取り組みに対する考えについてお伺いいたします。  2点目は、具体的取り組みについてどのような事業計画によって進めていかれるお考えであるのかお尋ねします。  3点目は、提案の中で、計画の推進に当たっては交通事業者や住民、企業、行政の三者が連携を図り、役割と責任を果たし合うことが指摘されています。  そこで、三者の連携や役割、責任に対する啓発などについてはどのように対応していかれるのかお尋ねします。  4点目に、交通の分散化を図るために時差出勤に対する提案がなされています。この件に関しては以前に議会でも取り上げられ、検討課題にされていたようでありますが、そこで、これまでの検討を踏まえて、時差出勤に対するお考えについてお尋ねします。  2点目、3点目、4点目については関係局長の御答弁をお願いします。          〔三角保之市長 登壇〕 ◎三角保之 市長  私の方には今後の都市交通問題についての取り組みということでございましたので、お答えいたします。  私は、かねがねまちづくりに当たっては、人にやさしく、地球にやさしくあらねばならないと考えており、さきに策定いたしました新たな総合計画におきましても、そのことを基本理念として掲げているところであります。  そして、将来の都市交通問題に対する取り組みといたしましては、だれもが円滑に移動できる交通体系を整備するために、効率的な道路網の整備、公共交通機関の機能強化、広域交通の整備促進などを柱とした施策体系を考えているところであります。  とりわけ、公共交通機関の機能強化充実は、地球環境の保全にもつながる重要な施策であり、全国に先駆けまして超低床電車の導入を初めとした路面電車の活性化に精力的に取り組んでいるところであります。
     また、平成12年度からは本市がオムニバスタウンの指定を受け、その一環として先月の23日から都心循環バスの本格導入を行うなど、バス交通の活性化事業にも取り組んでいるところであります。  本年5月に提案された総合都市交通体系のマスタープランの内容を見ますと、既存公共交通機関の利便性向上策として新たな基幹公共交通ネットワークの整備といった公共交通網の提案があり、そして2環状11放射を骨格とし、人や環境にやさしい道路網の提案もあり、さらには時差出勤などの交通需要マネジメント施策も提案されております。  これは、先ほど述べました本市の新総合計画における総合交通体系の確立とも基本的には合致するものであり、本市といたしましては、このマスタープランを今後の交通体系の整備の指針と位置づけているところでございます。  今後は、現在御議論いただいております都市活性化対策特別委員会での御意向も踏まえつつ、この提案の実現に向け、国、県等の関係機関と力を合わせながら、さらなる努力を重ねてまいりたいと考えております。          〔中原謙吉都市整備局長 登壇〕 ◎中原謙吉 都市整備局長  総合都市交通の推進について3点のお尋ねにお答えいたします。  まず第1点目の、都市交通問題に対する具体的取り組みについてでございます。  このことにつきましては、昨日坂田議員へお答え申し上げたとおりでございまして、提案のありました各施策を平成14年度中に各交通事業者や国、県、市で構成いたします熊本都市圏交通円滑化総合対策部会におきまして、広く市民の皆様からの御意見をいただくパブリックコメント方式を採用し、意見を計画に反映しつつ、効率的、計画的に推進していくための施策の優先順位づけを行ってまいりたいと考えております。  次に第2点目の、交通事業者、住民、企業、行政の連携と啓発についてでございます。  この計画の実施に当たりましては、それぞれ役割を担うことが必要であると考えております。  そこで、交通事業者は利用者が利用しやすい交通体系の整備に努めていただきまして、また市民の皆様や企業におかれましては、環境負荷の低減に積極的に参加するといった意識のもとに、過度に自動車に依存した日常生活や交通行動を見直していただきたいと考えております。  そして、行政といたしましては、交通問題の解決に向けた積極的な取り組みの推進やさまざまな情報の発信に努めまして、先導的な役割を果たしていくべきであると考えております。  したがいまして、交通事業者、住民、企業、行政とが一体となった取り組みが肝要であると認識いたしております。  3点目の時差出勤についてでございます。  この問題につきましては、これまで幾たびか議会でも取り上げられましたテーマでございますが、これを全庁的に実施するのか一部でやるのか、あるいはまたそれに伴います開庁、閉庁時間のずれに対する市民の皆様の了解など、さまざまな課題もございまして、いまだ実施に至っていないのが実情でございます。  今回のマスタープランの提案におきましても、時差出勤は、パーク・アンド・ライドや自動車の相乗りなどといったソフト面の施策の一つとして提案をされております。したがいまして、このことにつきましても、さきに述べました熊本都市圏交通円滑化総合対策部会におきまして今後の取り組みを検討することとなっておりますので、その動向を見守りながら対処してまいりたいと考えております。          〔38番 上村恵一議員 登壇〕 ◆上村恵一 議員  ただいま三角市長の方から熊本都市圏総合都市計画協議会から提示された総合都市交通体系のマスタープランを今後の交通体系整備の指針として位置づけを行い、都市交通問題の解決に向けて努力をしていきたいという、大変力強い決意をいただき、これまでおくれをとってきた本市交通体系の整備に弾みがつくものと意を強くしているところでございます。  なお、提案の中で指摘され、三角市長の答弁の中でも触れられていた交通需要マネジメントの取り組みについては平成11年第4回定例会の質問で取り上げましたが、交通コーディネーターの育成と車の総量を抑制することなどを目的としたこの取り組みが、他都市に先駆けて実現できますように期待をいたしております。  また、時差出勤については、まだ具体的な検討がなされていないようでありますけれども、恐らく10年ばかり前の提案ということにもなるわけでありますので、とにかく実施の範囲や市民に対するコンセンサスの課題について掘り下げた協議を速やかに行っていただく中で結論を出していただきたいと思います。  都市圏交通問題については、これから熊本都市圏円滑化総合対策部会での意見などを踏まえて具体的な事業計画の策定が行われることになっております。交通問題については、いろいろと努力はいただいておりますけれども、抜本的に交通渋滞を解消するために公共交通機関の利便性を高めるための体系づくりというのが非常に遅いペースで対応されておりますので、先ほど他都市の例を挙げたわけでございますけれども、ピッチを上げてのひとつこの事業に対する取り組みを期待いたしておきます。  次に、中小企業に対する金融支援について。  帝国データバンクの調査によると、10月における全国の負債額 1,000万円以上の企業倒産件数は前年度比11.7%増の 1,911件で、約17年ぶりに 1,900件を超え、単月ベースとしては戦後3番目に高い倒産件数になっています。  倒産の原因は、販売や輸出不振などの不況型倒産が全体の76%を占め、デフレ下で業績が急激に悪化する中で企業の大量淘汰が進行している現状が浮き彫りになっています。  また、倒産の特徴として、業歴30年以上のいわゆるしにせ企業の倒産が全体の約24%を占めることになっていることからして、今後どこの企業が倒産しても決しておかしくない事態の中で、大変厳しい経営を強いられるということができます。  一方、本市におけることし1月から10月までの負債総額 1,000万以上の倒産件数は建設業や卸小売業を中心に79件と、昨年1年間の倒産件数 100件に迫っており、負債金額についても約 384億円と、昨年1年間の金額約 182億円を既に超える状況になっています。  今後、景気の低迷が長期化し、さらに不良債権問題を抱え、体力が低下している銀行が取引先の企業に対する貸し渋りが強化されるようなことになれば、さらに倒産件数の増加は必至とされています。  現在、大量の失業者を抱え、企業誘致やベンチャー企業の育成などの取り組みを通して雇用の受け皿づくりが行われています。こうした中で、例えば平均30人の従業員が働く中小企業が年間 100カ所倒産することになれば、 3,000人に上る失業者を生み出すことになります。したがって、雇用対策の面からも倒産を防ぐ立場から、融資制度の活用を有効にして企業に対する支援策を強化していく必要がございます。  そこで、お尋ねしますが、初めに、企業に対する金融支援の現状についてお伺いいたします。  次に、今後企業の経営環境はさらに悪化することが予想されており、融資に対するニーズは高まっていくものと思われます。そこで、現行の制度融資の枠などの状況に応じた見直しや、銀行のように貸し渋りという事態が生じないよう企業の救済という立場からの対応を強く要請いたしまして、御答弁をお願いします。          〔三嶋輝男経済振興局長 登壇〕 ◎三嶋輝男 経済振興局長  中小企業に対する金融支援策についてお答えいたします。  深刻かつ長期化する景気低迷により昨今の中小企業を取り巻く金融環境は一段と厳しさを増しております。  お尋ねの中小企業に対する制度融資の状況につきましては、現在11制度のもと、経営の安定化に努めており、ここ数年の動きとしては件数、金額ともに増加傾向にあり、平成13年度の状況は10月末現在で、融資件数 979件、融資金額約42億円となっております。  これを前年同期と比べますと、件数では6%の増、金額はほぼ前年同様で推移しており、金融機関の貸し出しが前年を下回る状況で推移する中、現在の景気の状況に果たす制度融資の役割の重さを認識しているところでございます。  次に、制度融資につきましては、これまでも担保力、信用力の弱い中小企業の資金調達の円滑化を図るため、金利や限度額の見直し、保証人条件の緩和等、中小企業の立場に立った制度の運用に努めてきたところであり、議員お尋ねの融資枠の見直しや貸し渋りの御懸念等につきましても、今後も、中小企業者の要望や、また県信用保証協会等、関係機関とも協議しながら対応していきたいと考えております。  本市としましては、地域経済活力の源である中小企業の経営の安定化は、雇用の側面からも極めて重要な課題であり、今後とも中小企業経営の厳しい現状に即した親身な対応による適正な融資制度の運用に努めてまいりたいと考えております。          〔38番 上村恵一議員 登壇〕 ◆上村恵一 議員  本市の企業の90%以上は御案内のように中小企業によって占められている現状からいたしますと、中小企業の地域経済に与える貢献度は、雇用、消費あるいはまた税収などの多方面にわたっているということができます。  政府による11月の月例経済報告によりますと、失業率の上昇や消費低迷によって景気は一段と悪化していることが明らかにされました。このような非常事態の中で、中小企業はまさに生き残りをかけての厳しい経営が強いられていくことになるわけでございます。銀行の貸し渋りが強化される中で、制度融資に対する期待はさらに強まるものと思われます。  どうか答弁の中で触れられておりますように、中小企業経営の厳しい現状に即した親身な対応による適切な制度融資の運用に努めていただきますようお願いいたしまして、その他の項の質問に移らせていただきます。  最後になりますけれども、質問の1点目は、大江跡地の利用についてでございます。  御案内のように、交通局の老朽化した電車の車両基地を現在の大江から上熊本へ移転させるための建設工事が平成14年秋の完成を目指して行われており、その後、局本体の移動計画もされているようであります。  そこで、局移転後の跡地利用については、これまで議会でも再三取り上げられてきましたが、私自身も熊本保健所を含めた保健福祉の総合施設や同地域が本市人口の中心地であることを踏まえ、周辺地域の活性化を図るため、民間施設なども視野に入れながら検討していただくよう要請してきました。  そこで、その後関係部局におかれましては鋭意検討がなされてきたものと思いますので、検討の結果や今後の取り組みの方向についてお尋ねいたします。  続きまして、要望3点、続けて申し上げます。  その1点目は、緊急課題として九州新幹線鹿児島ルートの建設や熊本駅周辺の整備事業に伴い、春日、横手保育園が事業計画の区域にかかり移転問題に直面しています。しかし現在までのところ、2カ園とも代替地の見通しがつかないまま立ち往生の状態になっているようであります。  移転までのタイムリミットが平成16年度末になっていますので、少なくとも代替地の確保は本年度内をめどにつけておかなければ、後の対応が厳しくなるものと思います。限られた区域内での代替地の確保は大変だと思いますが、保護者の不安を払拭し、新たな保育ニーズに対応するためにも両園の移動、建設に対する積極的な対応を強く要請しておきます。  要望の2点目は、市立産院の機能拡充に対する取り組みであります。  この問題については、産院改善検討委員会から、平成7年、3年間にわたる調査や検討の結果が報告書として提出されています。  それによりますと、病児保育や子育て支援を初め、新たな福祉の機能を備えるなど、検討に向けての選択肢が示されています。しかし、その後における検討の場は設置されておらず今日を迎えることになっています。  厳しい経済環境が続く中で、児童福祉施設としての産院の役割は大変大きなものがございます。速やかに産院のあるべき姿に向けての検討の場を設置していただきますように要請をいたしておきます。  3点目の要望は、教育現場への養護教諭の複数配置に対する要望でございます。  公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律などの一部改正によって、平成13年度から養護教諭の配置基準が文部科学省によって改善されることになりました。  それによりますと、小学校は児童数 851人以上と、中学校の生徒数 801人以上の学校には2名の養護教諭が配置されることになりました。その結果、本市においては、本年度現在で小学校10校、中学校8校が2人配置の該当校になっています。  この改善措置を受けて、本市においては、平成13年度に小学校3校、中学校2校に配置されています。  そこで、残りの該当校についても早い機会に配置が実現できますように御努力のほどをよろしくお願いいたしておきます。  以上、質問と要望ということで申し上げましたけれども、質問の1点目については企画財政局長にお願いします。          〔齊藤聰企画財政局長 登壇〕 ◎齊藤聰 企画財政局長  交通局大江用地の利用について上村議員にお答え申し上げます。  本用地につきましては、市議会等の御意見あるいは公共施設の現状等を踏まえ、市民サービスの向上とまちの活性化につながるような利用について、庁内関係課によるプロジェクトを設け現在検討を重ねているところでございます。  この中で、市民サービス向上を図るための公共施設としましては、手狭となっております市保健所、中央保健福祉センターの移設に加えて、老朽化が著しい中央公民館を中心に現在考えているところでございます。  また、まちの活性化につながる利用といたしましては、公共施設との関連はもとより、電車通りに面した交通利便性や中心市街地に近い地理的条件を生かし、例えば業務、商業、文化といった角度から調査をしているところでございます。  その整備手法といたしましては、用地全体を一括して活用することも考えられますが、まずは用地の半分程度を利用いたしまして、早急な建てかえを要する公共施設を先行整備し、残った部分につきましては、民間活力の導入等も含め、まちの活性化に寄与するような利用方向を探ってまいりたいと考えております。  いずれにいたしましても、広く御意見をお伺いしながら、できるだけ早い時期に課題を整理し、整備スケジュールなどを取りまとめてまいりたいと存じます。          〔38番 上村恵一議員 登壇〕 ◆上村恵一 議員  交通局跡地の利用計画につきましては、長年の課題とされていた熊本保健所を初め、(仮称)保健福祉センターの建設に現実味を帯びてきたということができると思います。公共交通機関の利便性を生かした当地への建設構想は、特に交通弱者の多い施設利用者にとってはまさに地の利を得た計画だと思います。  また、生涯学習の拠点となる中央公民館を併設される構想のようでありますが、これが実現されますと、今から施設利用者の喜ぶ姿が目に見えるようであります。  さらに、残地については民間活力の導入も含めて、周辺地域の活性化にインパクトを与えるような利用法を検討していきたいということでございますので、これからの計画、構想が早い時期に実現できますように期待をいたしております。  また、要望につきましても、本市の重要課題として親身に受けとめていただき、これからの対応をよろしくお願いいたしておきます。  以上で私の質問を終了するわけでございますけれども、長時間にわたってのおつき合いまことにありがとうございました。そして、傍聴者の皆様方も御多忙の折、傍聴においでいただきまして、まことにありがとうございました。そしてまた、三角市長初め関係執行部の皆様方には誠意ある御答弁をいただき、ありがとうございました。  今後の市政運営については、さらにひとつ市政発展に向けてさらなる努力を続けていただきますことを最後に申し添えまして、質問を終わらせていただきたいと思います。御清聴ありがとうございました。(拍手)       ──────────────────────────── ○岡田健士 副議長  この際、議事の都合により休憩いたします。  午後2時に再開いたします。                            午前11時35分 休憩                            ───────────                            午後 2時01分 再開 ○白石正 議長  休憩前に引き続き会議を開きます。       ──────────────────────────── ○白石正 議長  質問を続行いたします。藤岡照代議員。          〔10番 藤岡照代議員 登壇 拍手〕 ◆藤岡照代 議員  公明党の藤岡照代でございます。どうかよろしくお願いいたします。  平成13年第4回定例会におきまして質問の機会をいただきまして、先輩議員、同僚議員の皆様に心から感謝と御礼を申し上げます。  本日は、宮本武蔵についての文化芸術やDV、ごみ袋についても質問をする予定でございましたが、先輩議員と重複をしましたので、通告の内容を一部変更いたしまして質問をさせていただきます。  三角市長並びに執行部の皆様の明快なる御答弁をよろしくお願いいたします。  まず、行財政改革についてお伺いいたします。  先日、ふと目にしました雑誌「潮」に歴史に学ぶ人間学と題しまして、作家童門冬二氏による8代将軍徳川吉宗のことが掲載されておりました。これによりますと、吉宗は、表面はソフトで人当たりはよいが、実はしたたかな改革者であったというのであります。  江戸城内では吉宗の紀州藩での思い切った改革が知られており、吉宗が将軍になるとこの江戸城でもきっと厳しい改革が行われるに違いないと、江戸城は戦々恐々となったそうであります。しかしながら、表立った人事刷新もなく、城内の人々はほっと胸をなでおろしたものの、その後の吉宗の思い切った改革は歴史が示しているとおりであります。  この時代は、元禄の好景気が終わり、一挙に不景気に陥ったところであり、今風に言えば元禄バブルが崩壊した時代でした。したがって、幕府の財政も赤字の連続であり、吉宗は傾いた幕府財政の再建を期待されていたのです。  そこで、吉宗が行った最初の改革とは、目安箱を各地域に設置し、みずから読むことでありました。  その目安箱に入れられた投書から災害時における代替食の必要性など、当時の社会では現場でしか考えつかないようなアイデアが数多く寄せられ、吉宗はその庶民の知恵に感動し、これをヒントにさまざまな改革に取り組み、その後の寛政の改革、天保の改革と続く、いわゆる江戸時代の三大改革の先駆けとなる享保の改革をなし得たのであります。  このような吉宗の改革の精神は、現代においても立派に当てはまると思います。今、テロ、狂牛病、 5.4%という過去最悪の高い失業率等々、日本社会全体が先行きへの大きな不安と危機感に覆われています。この厳しい状況を乗り越えるために、小泉内閣は聖域なき構造改革を掲げ、改革を断行する姿勢を見せておられます。  しかしながら、多くの国民は、その改革がどのような方向に進むのか、いまだに明らかになっていないと感じているのではないでしょうか。  公明党では、この改革の方向、つまりこれから日本が進むべき道としては、物質的な豊かさだけではなく、人間が人間らしく暮らせる心豊かな社会を築くことであり、このためのキーワードは「共生」であると考えております。  生命、生活、共存を最大限に尊重し、人間主義を掲げる中道政治の党として、国民のための改革断行であれば、どんな苦労も惜しまない覚悟であると、我が神崎代表も述べられているところでございます。  また公明党は、結党以来、現場第一主義を基本として、一貫して市民の目線に立った政策を実現してまいりました。物事は上から見ると3割しか見えないが、下から見ると7割が見えると言われております。吉宗の例が示すとおり、改革には現場の市民の目線を欠いたのでは成功するはずがありません。  そこで、本市の改革についてお尋ねいたします。  三角市長におかれましては、市政懇談会の開催や市民交流サロンの設置など、これまで市民との双方向の対話を重視され、市政運営を進めてこられました。このことは私どもの現場第一主義と相通ずるものがあり、大いに賛同するものでございます。  そのような中、本市行政を取り巻く今日の極めて厳しい現状を踏まえ、平成8年9月に行政改革大綱を策定され、平成12年10月からはその改定を行い、第2次の行政改革に取り組んでおられるところであります。
     今、市民は、三角市長に、21世紀の吉宗として行財政改革への強いリーダーシップを期待しております。  そこで、三角市長にお尋ねいたします。  今後、この改定された行政改革プログラムに基づき、さらなる改革に取り組まれるものと存じますが、その改革はやはり市民の目線を基本として進めていかなければならないと考えますが、いかがでしょうか。今後の行政改革に対する市長の御所見と決意のほどをお聞かせください。          〔三角保之市長 登壇〕 ◎三角保之 市長  ただいま藤岡議員には、昨年の大河ドラマの主人公である8代将軍徳川吉宗を例にとって、行財政改革への取り組みについて温かい御激励や大変貴重な御意見をいただいたところでございますが、行財政改革の取り組みに際しましては、市民の目線を基本とすべきであるという考え方には私も全く同感でございます。  その点、本市の行革大綱は、市民の各界各層の代表者から成る行政改革推進委員会からいただきました提言、つまり市民の声に十分耳を傾けながら市民の視点に立った行政サービスの質の向上と効率化に努め、市民に信頼される行政を目指すという考え方を基本に策定しておるところでございます。  この大綱に基づき、平成8年から第1次行革、さらには昨年10月からは第2次行革に取り組んでいるところでございます。また、これまでの取り組みを総括してみますと、第1次行革から2次行革初年度の昨年度末までの実績は、いずれも計画目標を上回る成果を上げているところでございまして、これも議員各位の御理解と御協力のたまものであると感謝申し上げる次第であります。  さらに、現在推進中の第2次行革におきましても、地方分権など新しい時代における行財政運営システムの確立に取り組むこと、第5次総合計画との整合性を保つこと、中期財政計画に基づき財政の健全化を推進することなどを新しい課題としながら、同時に、市民と行政とのパートナーシップの確立に努めることとし、引き続き、事務事業の全般にわたって市民の視野に立った見直しを進めることといたしております。  そして、このような行政改革を進めることこそが市民の皆様の信頼を得るために不可欠であり、また21世紀の熊本市を幸せが実感できるまちづくりにすることへつながる道であると認識をいたします。これまで以上に積極的に取り組んでまいりたいと存じます。  吉宗の例の中で、吉宗の改革が江戸城に入りましてから急激に行われなかったというふうなお話がございましたけれども、行政改革あるいは市民信頼という点の改革に、すぐやるべき問題あるいは少し時を置きながらじっくり考えてやる問題、あるいは10年、20年先に成果が出てくるという問題、いろいろあるかと思います。私は、吉宗のいろいろな伝記を読ませていただきますと、大変理にかなったすばらしい改革の取り組みだなと思っておりまして、私どもも、いろいろな改革を推進した人がおりますけれども、その中でも割とまねるべき改革じゃなかったかなというふうな思いをいたしておるところでございます。  今後も頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします。          〔10番 藤岡照代議員 登壇〕 ◆藤岡照代 議員  いろいろな角度からの理にかなった大変力強い御答弁ありがとうございました。  きのうの新聞報道にも、地方財政が大変厳しい状況にあることが出ておりました。本市においても同様であります。市長におかれましては、市民の目線で必要な改革を進め、すべての市民が幸せを実感できるまちづくりに邁進していただきたいと思います。  では、次の教育問題について質問させていただきます。  21世紀の新しい国づくりは教育からと言われておりますが、国であれ、社会であれ、それを構成するのは人間であり、その人間を育てるのが教育であります。  しかし、その人間を育てる教育現場において、いじめや不登校、引きこもり、学校崩壊、自殺、凶悪犯罪などさまざまな問題が深刻化しております。  国においては、文部科学省の各種審議会の答申により、教育の領域における個人重視の原則やより開かれた教育システムの確立など、教育の自由化、総合化を目指す提言が打ち出されております。  その中で、私はまず不登校の問題についてお尋ねしたいと思います。  この不登校問題については、何よりも学校復帰対策に予算がつぎ込まれており、しかもふえていく方向にあります。このことは、不登校がその子供の性格や親の育て方などによる個人的問題というより、子供、若者の学校離れという社会的、時代的問題であると認識されていることを示しているのではないでしょうか。  まず、その背景には、急速に変わっていく社会経済システムに対し、制度として旧態依然たる学校とのギャップがあります。今や集団より個が、集中より分散が求められる時代になっており、教育制度についても時代に適した新しい制度が必要とされているのです。  ここで、不登校の子供たちは、一定の学習意欲はあるものの、不登校によって学習機会が大幅に制約されるので、進学率が低く、また中学校卒業後に進学したケースのうち、38%が高校中退、大学や短大への進学率は調査対象全体の13%でしかなく、50%近い一般の進学率を大きく下回っている現状があります。  この調査の結果から、不登校の子供たちの学ぶ権利を保障するために、個性尊重の教育を実践するフリースクール、コミュニティースクール、チャータースクール、チャレンジスクール、単位制高校など、子供たちの個性や能力を十分に引き出せる多様なタイプの学校の設置が推進されようとしています。  ホームスクールについては、昨年の7月、日本ホームスクール支援協会が発足し、フリースクールについてもことしの2月、1都1府10県から29校のフリースクールなどが参画した全国組織フリースクール全国ネットワークが発足しております。  こうした中、我が党ではことし5月、第2次教育改革提案の中で、多様な教育機会の提供が必要との観点から、新しいタイプの学校としてフリースクールなどを設置できるよう学校設置基準の緩和を提案しています。  そこで、学校には行けないけれども勉強はしたいという子供たちの学習意欲を生かせる支援策が必要であると思いますが、いかがでしょうか。  また、定時制、通信制高校の県民集会に参加してまいりました。現在の定時制は、不登校であった生徒や全日制からの転・編入生などさまざまな課題を抱える生徒たちが入学をしておりました。彼らはみずからの居場所を見つけながら精いっぱい頑張っていました。中学時代にほとんど学校へ行けなかった生徒が定時制では無欠席で過ごすといった状況もあるそうです。生徒たちは自分を待ってくれる場所や人がいる、先生の温かい顔があると、不登校や学力低下など、精神的に傷ついた子供たちが生き生きと定時制で学ぶ喜びを語ってくれました。  私は参加して本当によかったなという思いとともに、学校や地域社会で定時制、通信制高校のあり方をもっと認識し、対応するべきではないかと思いました。中学校卒業後の進路指導におきましても、定時制や通信制高校も視野に入れたところで説明会を充実し、拡大をしていただきたいと思います。  次に、問題を抱えた子供を持つ親のサポート体制についてでございます。  子育て中の親たちはさまざまな悩みや疑問にぶつかります。健康や病気の問題、不登校や問題行動などなど。そこで、親のサポート体制として、このようなさまざまな相談に対応できる体制が必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。  以上、るる述べてまいりましたが、不登校児への支援策はさまざまな角度から考えられると思います。そこで、親へのサポートも含めた不登校児への支援の現状と今後の取り組みについて、教育長にお伺いいたします。  続きまして、今後の教育行政のあり方として、学校と家庭と地域社会との連携が重要視され、開かれた学校づくりが大きな課題となっておりますが、学校評議員制度についてお伺いいたします。  保護者や地域の人々の意見を聞いて学校運営を進めるために、本年度から学校評議員制度がスタートしております。これまで、意思の形成や決定について、制度として学校と保護者などの間には接点がなかったわけですが、今回、制度化された学校評議員制度は、学校と保護者の関係を大きく変える力を持っているように思います。  つまり、学校と地域との対話が制度化されたということで、これは大きな進展であります。なぜなら、対話することにより、お互いがわかり合えることができるからです。  例えば、話は飛びますが、今回のテロ問題についてある識者の方は、世界の多くの人たちと対話してきた経験から断言できることは、宗教は違ってもわかり合える部分は必ずある、大事なのは憎悪と暴力の連鎖を断ち切ることである、そのためには、ともかく対話に徹することが根本である、対話こそが21世紀の目指すべき第一義的な課題であると語っておられました。  これまで、学校から一方的になされた意思決定に保護者は黙って従うのみでした。しかしながら、今や学校の意思は公的意思(行政)、専門的意思、外部意思(保護者の意思)の三者の関係の中で形成すべきであるというのが世論になりつつあります。そのためには、まず三者が一堂に会し話し合うことで、三者の意思がまじり合い、よりよいアイデアが生まれます。また、さまざまな問題に対して、より確かですぐれた処理や解決ができるのではないでしょうか。  そこでお尋ねいたします。  熊本市は、この学校評議員制度をどのように推進していかれるのでしょうか。現在、試行期間を1年として施行されておりますが、その実情もお示しください。  次に、学校現場で、子供たちに最も身近で、最も強く影響を与えるものとして、教員のあり方についてもお尋ねします。  教育の基本が人格と人格の触発にあることを考えますと、言うまでもなく教員の使命は重大であります。にもかかわらず、昨今、教員によるあるまじき事件が続発しており、教員のモラルの著しい低下が深刻な問題となっております。学校への信頼回復と教員の資質向上のために早急に対策を講じる必要があります。  そのための施策として、孤立している教員のためのカウンセリングや相談体制の充実、地域と教員の交流を促進し、触発し合えるような場の提供、さまざまな経験を持つ社会人や専門家など、教員以外の人たちを活用することによって学校現場に刺激を与え、活性化を図ることなどが重要であると思われます。  そこで、お伺いいたしますが、このような施策に対して、教育委員会としてはどのように取り組んでおられるのでしょうか。教育長の御所見をお聞かせください。          〔田尻紘教育長 登壇〕 ◎田尻紘 教育長  教育に関する3点について、藤岡議員にお答えいたします。  1点目の不登校児の支援策について。  新しいタイプの学校など、視点を変えた取り組みを紹介しながらのお尋ねでございますが、本市の取り組みについてお答えいたします。  まず、不登校の本市の現状を申し上げますと、平成12年度、30日以上欠席した不登校の児童・生徒は 661人で、前年度より45名増加しております。その態様は、学校には何とか登校できるが教室には入れない子、あるいは登校したいができない子などさまざまなものがございます。  このため学校では、担任による家庭訪問はもちろん、スクールカウンセラーや心の教室相談員、あるいはスクールアドバイザーなど、子供一人一人の実情に沿って指導を行っているところでございます。  一方、教育センターでは、大学生によるメンタルフレンドや適応指導教室を開設して、児童・生徒や保護者の相談に乗り、学校復帰への支援を行っております。また、保護者に対するサポート体制としましては、学校や教育センターを中心に相談員が相談に乗り、ケースによっては他の専門機関と連携をとったり、相談機関を紹介したりして問題解決を図っているところでございます。  不登校になったきっかけあるいは不登校が続く現状には、家庭に起因するもの、学校生活に起因するもの、友達関係などさまざまであります。今後とも状況に応じた支援策を講じることはもちろんでございますが、不登校児を出さないことが最善の策でございますので、そのために教育委員会としまして、一人一人の子供の性格や生活実態をよく見きわめながら、学校復帰に向けて全力を挙げて取り組み子供たちにとって学校が楽しく、安心できる場となるよう努めてまいる所存でございます。  なお、不登校児の進路指導につきましても、これまで進路についての説明が十分でなかった部分もあったかと思われますので、高校説明会の見直しや家庭訪問の充実を図り、生徒の状況に応じた進路情報の提供に努めてまいりたいと思っております。  また、受験に際しまして不登校生徒が不利益をこうむることがないよう十分に配慮し、今後とも、生徒一人一人の希望や願いを大切にして、個に応じた進路指導の充実に努めてまいりたいと存じます。  次に、2点目の学校評議員制度についてでございます。  これからの学校運営は何よりも地域社会の信頼と協力を得ることが求められており、そのためには、地域社会への説明責任を果たすとともに、保護者や地域住民の意向を把握、反映させながら、その期待にこたえていかなければならないと考えております。  議員御指摘のように、本市ではくまもと子ども輝きプランに掲げ、学校評議員制度を小学校19校、中学校6校で今年度から試行しております。  今年度は各学校7名程度、総勢 169名の方々を委嘱いたしました。人選に当たりましては、教育や青少年育成に理解と見識があり、学校運営に積極的支援と協力が得られると思われる方々から選んでおります。  その結果、具体的には、地域住民や各種団体長等の地域関係者が4割、PTA役員等の保護者関係者が3割、地域で活躍をされている企業関係者2割、その他1割となっております。  現在、授業や学校行事を公開しながら、学校経営方針、学校安全管理、行事等について学校評議員の方々から御意見をいただき学校運営に反映させているところでございます。今後は、本年度の試行結果を見ながら、このような学校評議員制度を拡大していきたいと考えております。  最後に、3点目の教職員のあり方についてお答えいたします。  最近の教職員の不祥事は、教育に携わる者にとりましてまことに残念きわまりなく、教員の資質向上と学校への信頼回復のために、改めて手だてを講じていかなければならんとの思いを強くいたしております。  まず、教員のためのカウンセリングや相談体制につきましては、現在、教育センターに教職員の心の健康相談の窓口を設置して、教員の悩み相談に応じているほか、地域ごとには、学期ごとの幼、小、中連携の日、また授業研究会や担当者会などを通じて情報交換を行い、支え合う教員集団づくりに努めております。  次に、地域と教員間の交流につきましては、現在、初任者や13年目研修においてそれぞれの地域で4日ないし5日間の社会体験研修を実施しております。  今後は、くまもと子ども輝きプランにも示しておりますように、3年間で全教職員の3分の1程度が社会体験研修を経験し、地域との交流促進を図り、教職員の視野を広め、教育活動に生かせるような資質や能力の向上に努めてまいりたいと思っております。  次に、社会人や専門家の活用につきましては、本年度は小学校で約9割、中学校で6割の学校が総合的な学習の時間や、社会科、生活科の学習の中で社会人や専門家の協力、支援をいただいております。いろいろな分野で活躍をしている人と触れ合うことは、児童・生徒はもちろん、教員にとりましても自分の生き方を考えるよい機会となっておりますので、今後とも開かれた学校づくりという意味からも、社会人や専門家の活用、充実に努めてまいりたいと思っております。  いずれにいたしましても、今日ほど教師の資質が問われているときはなく、そのため、何よりも大切なことは、各学校で個々の教員が相互に支援し、切磋琢磨できるような人間関係を日ごろから醸成して、教師としての意欲と情熱と使命感を持ち続ける環境にあることであろうと考えます。教育委員会としましても、今後とも教員の資質の向上に鋭意努力してまいりたいと思います。          〔10番 藤岡照代議員 登壇〕 ◆藤岡照代 議員  ありがとうございました。  不登校の児童・生徒への対応は学校復帰が基本となっております。しかし、いじめや教師への不信、学校アレルギーを起こすシックスクールもふえており、こうした学校側の問題が解決しないままで学校復帰だけを促しても問題の解決にはつながらないと思います。  今、中学や高校の卒業生の中には、進学も就職もしない若者がふえる傾向にあります。学歴偏重社会は正さなければなりませんが、知識は必要であります。学ぶ権利の保障、適切な進路指導、親のサポート体制づくりが大事でありますので、具体的な取り組みを期待しております。  また、いじめの反対語は友達をたくさんつくることだそうです。先生たち自身も孤立をしないで、横のつながりや、仲のよいことが最も大事な要素だと思いますので、子供たちの心身ともにすこやかな成長のために、学校、家庭、地域が一体となって開かれた学校づくりに、また総合学習に積極的に取り組んでいただきたいと思います。  では続きまして、環境問題に移らせていただきます。  21世紀を迎えた今、地球環境との共存は私たち人類にとって最も重要な課題であります。この地球は子供たちから預かったものというケニアのことわざもあります。将来の世代に生き生きとした豊かな地球をバトンタッチするため、私たちは今すぐできることから取り組み始めなければなりません。  そのような中、三角市長におかれましては、1期目早々に環境保全都市宣言をされるなど、就任以来、一貫して環境問題には先進的な取り組みを展開してこられました。  また、昨年9月議会において、友好姉妹都市を中心とした国際環境都市会議の開催を表明されましたが、既に姉妹都市以外の都市にも参加を呼びかけ始められるなど、来年秋の開催に向け準備も本格化しているとお聞きしております。  市の立場から、地球環境保全に率先して取り組まれるその姿勢に深く敬意を表明するものであり、先例のない本市独自の国際会議などで準備や運営等大変かとは思いますが、大いに期待をしており、大成功となることを心から念願するものです。  ところで、この会議は、都市における地球環境保全をテーマとしていますが、私は本市の環境特性を生かしたものも必要ではないかと思っておりましたので、先日拝見した会議の基本計画で、エネルギーと水をテーマとすることとなっており、安心いたしました。  特に水の管理については、近い将来地球規模での水不足が懸念される中で、本市の地下水保全への取り組みが重要な事例になるとの認識から選定されたものであり、まさに本市の特性を生かした国際貢献につながるのではないかと考えております。  そこで、この国際環境都市会議について2点お尋ねをしたいと思います。  まず、本会議への市民や事業者のかかわり方についてであります。  申し上げるまでもなく、環境問題は行政だけでなく市民も事業者も共通の課題であり、それぞれの立場から、あるいは三者が連携、協力し合って取り組むことが必要であると思います。ごみの減量、リサイクル問題、家庭や工場の雑排水による河川や海の汚染問題等々しかりであります。  そのような意味から、今回の国際会議も、行政、市民、事業者の三者が主体的にかかわる会議にしなければならないと思いますが、いかがでしょうか。  次に、会議を大成功に導くためには全市的な盛り上がりが必要であると考えます。しかし、環境都市会議の開催については市民への周知がまだほとんどなされていないのではないかと感じております。  そこで、市民や事業者への周知、広報について、どのように進めていかれるのでしょうか。  以上2点について環境保全局長にお尋ねいたします。          〔大橋道雄環境保全局長 登壇〕 ◎大橋道雄 環境保全局長  藤岡議員にお答えいたします。  1点目の、国際環境都市会議への市民、事業者のかかわり方についてでございます。  この会議は、友好姉妹都市を初めといたしまして、国内外の各都市が国際的なパートナーシップを形成することによりまして、都市の環境問題の解決を図ることを目的として開催するものでございます。  会議の成功には、行政のみならず市民、事業者などさまざまな方々との連携、協力が最も重要であろうかと考えております。したがいまして、行政間の会議とは別に、友好姉妹都市の環境NGOや事業者の方々の参加を得まして、市民、事業者が主体となります会議も予定いたしております。  現在、環境NGOを中心にいたしまして、具体的な内容につきまして御検討をいただいておるところでございます。  また、将来を担う子供たちにも環境保全への関心を高めてもらえるように、小中学生によります交流会議などの開催も予定いたしております。  このようなことから、会議の運営組織として市民や民間団体、事業者、行政などから成ります実行委員会を来年度早々には発足できるように現在準備を進めているところでございます。  2点目の、会議開催についての市民の方々への周知でございます。本格的な方法につきましては、来年度の実行委員会発足後になろうかと思いますが、まずは来年の1月に、市民の方々を対象といたしまして、地球環境フォーラムをプレイベントとして開催いたしまして、本会議の意義や内容につきまして広報するよう考えております。  さらには、多様な広告媒体の活用はもとよりでございますが、出前講座や環境学習会などを通しまして、市民の実践活動を推進します中で、この本会議の機運も盛り上げてまいりたいと考えております。  議員各位におかれましては、一層の御理解と御協力を賜りますようにお願い申し上げます。          〔10番 藤岡照代議員 登壇〕 ◆藤岡照代 議員  ありがとうございました。  できるだけ幅広いパートナーシップのもと、市民総参加による環境会議となるよう努め、本会議を通して多様なパートナーシップがさらに広がることを期待しております。  また、国際環境都市会議は来年10月27日から4日間の開催であるとのことですが、この時期は毎年お城まつりが開催される期間でもあり、さらに来年は、ハイデルベルク市友好都市締結10周年記念事業や全国菓子博覧会、市現代美術館のオープンなども予定されていると聞いております。  市内はイベント一色の感があり、会場や宿泊施設の対応だけでもさぞかし大変だろうと思いますが、この時期を国内外からの訪問客に熊本市をPRする最大の機会ととらえて、三角市長2期目の総仕上げの意味においても、本会議に全庁的に取り組み、万全の体制で臨んでいただきたいと思うものであります。
     では次に、男女共同参画社会の構築についてお尋ねいたします。  質問に入ります前に一言お礼を申し上げたいと思います。11月に開催されました第3回女性議員サミット・イン・くまもとに対しましては、市当局より多方面にわたり御支援をいただきありがとうございました。また、三角市長におかれましても大変お忙しい中、開会式並びに懇親会に出席をいただき、力強いごあいさつをいただきましたこと、心より御礼を申し上げます。おかげをもちまして大盛会の中、「くまもと宣言」を採択し、無事サミットを終了することができました。この場をおかりいたしまして御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。  さて国においては、本年1月の省庁再編に伴い、男女共同参画会議が設置され、21世紀の男女共同参画社会の構築に向けてさまざまな施策が進められておりますが、そのような中、先般なされた政策提言において、男女の個性と能力を十分に発揮できる男女共同参画社会の構築が21世紀の社会に求められる大きな課題であると指摘されております。  そこでまず、選択的夫婦別姓制度についてお尋ねいたします。  皆様御存じのとおり日本では夫婦同姓が明治時代から続いており、政府が選択的夫婦別姓制度の導入のために、5年間をかけて民法改正案をまとめてから既に6年経過いたしましたが、いまだ実現をしておりません。  制度に対する反対意見も強く、せっかくまとめた民法改正案を国会に提出できずに21世紀を迎えてしまったというわけです。反対派の中には、夫婦別姓を導入すると家族制度の崩壊を招くという意見も強くありました。  しかし、ことし8月内閣府の行った世論調査の結果によりますと、夫婦別姓を容認するという容認派が65%となっており、反対派30%を大きく上回っております。今なお反対派の意見としては、同じ姓を名乗るという習慣が家族のきずなを深めており、夫婦別姓を導入すれば家族の一体感が弱まり、家族の崩壊につながるということでしょうか。  しかし、選択的夫婦別姓は夫婦別姓を法的に認めるものであり、決してそれを強制する制度ではありません。夫婦同姓を継続する一方で、別姓を希望する人たちのために選択肢を広げるものなのです。  近年、女性の社会進出が進むにつれ、女性が結婚により改姓を余儀なくされることにより不都合や不利益を受けるケースがふえており、働く女性のみならず専業主婦からも選択的夫婦別姓を望む声も上がっております。  しかしながら、制度実現にいまだ至らないということで、公明党は早期導入に意欲を示し、衆議院で神崎代表が、参議院では浜四津代表代行がそれぞれ質問をし、去る6月20日には政策提言を発表しました。  独自の民法改正案を衆議院に提出し、さらに10月30日には浜四津代行を初めとする与党女性国会議員有志が森山法務大臣に対し、民法改正案を早急に今臨時国会に提出するよう要請をいたしました。  個人の多様な生き方を可能にする許容度の高い社会の構築が時代の要請となっていることを考えますと、選択的夫婦別姓の導入は喫緊の課題と言えます。世論調査の結果から、森山法務大臣も制度導入の機は十分に熟していると述べておりますが、このことについて御所見をお伺いしたいと思います。  男女共同参画社会の形成という視点から選択的夫婦別姓制度についてどのようにお考えでしょうか。また、市役所内での取り組み状況はいかがでしょうか。市民生活局長にお尋ねいたします。  次に、仕事と子育ての両立支援についてお尋ねいたします。  さきの6月に政府の男女共同参画会議、仕事と子育ての両立支援に関する専門調査会の検討結果として、両立ライフへの職場改革や待機児童ゼロ作戦、最小のコストで最良、最大のサービス、多様で良質な保育サービスを、必要な地域すべてに放課後児童対策を、地域こぞって子育てをの5項目の施策を平成13年から14年度に開始し、遅くとも平成16年度までには実施するよう提案がなされております。  そこで、この中で、仕事と子育ての両立ライフへの職場改革についてお尋ねいたします。  先般、厚生労働省が仕事と育児、介護を両立できる制度を導入している企業を表彰するファミリーフレンドリー企業として、本市においても市内のあるデパートが受賞されておりました。  地域で両立支援のための施策を推進していくとき、実感するのは、事業者、企業への指導の難しさだと言われており、企業の意識改革が男女共同参画社会づくりの大きなかぎになっていると思われます。  まずは、育児休業制度と出産休暇の十分な活用が必要であり、さきの提案でも、とりわけ男性の育児休業取得を奨励するとともに、父親の出産休暇の全員取得を目指すとなっておりますが、日本社会ではまだまだ子を守れば首が飛ぶ、リストラ覚悟でなければ男性は育児休業をとれないのが現実であります。しかも、日本のパパの出産休暇は5日間に対し、フランスでは14日間あるそうです。  こうした現実を変革していくには、企業であれ、社会であれ、やはり意思決定の場に女性が参画することが不可欠であり、男女共同参画社会を実現しないと企業にとっても不利益となり、ひいては日本社会にとってもマイナスであるという考え方が社会的にも強まっております。経済合理性の上からも男女共同参画社会の実現が大変重要ではないでしょうか。  そこで、社会経済状況が一段と厳しい中ではありますが、市内の企業における育児休業制度の導入状況など、ファミリーフレンドリー企業の現状、並びに仕事と子育ての両立支援対策への本市の取り組みの状況と今後の課題についてお伺いいたします。          〔村上智彦市民生活局長 登壇〕 ◎村上智彦 市民生活局長  藤岡議員にお答えします。  男女共同参画社会の形成の視点からの選択的夫婦別姓制度についてでございます。  議員御承知のとおり、国は、男女共同参画基本計画の中で、男女平等等の見地から選択的夫婦別姓制度の導入について、国民の意識の動向を踏まえつつ引き続き検討を重ねているところでございます。この問題については今後国の方で論議を重ねられると思いますので、それを見守りたいと考えております。  また、旧姓使用の状況は、平成13年4月1日、熊本市職員旧姓使用取扱要綱を制定し、職員が婚姻、養子縁組などによって戸籍上の姓を改めた後も、職場において引き続き婚姻等の前の姓を使用できるようにしたところでございます。現在10名の職員が旧姓を使用しています。          〔議長退席、副議長着席〕  次に、仕事と子育ての両立支援についてでございます。  育児休業制度の導入状況ですが、県が平成11年度に県内 1,200事業所を対象に実施した調査によりますと、制度の規定を設けている事業所は68.8%、取得者がいた事業所は44.3%となっており、平成7年4月から全事業所に義務化されましたが、まだ3割の事業所が導入していない状況となっております。  また、ファミリーフレンドリー企業の現状につきましては、本市には3つの事業所が国の表彰を受けております。今後、市内の企業に対し、女性の登用、育児、介護休暇制度などの継続的な実態調査などの取り組みを進めることとしております。この調査結果の公表などを通して、企業に対する啓発につながればと考えております。          〔10番 藤岡照代議員 登壇〕 ◆藤岡照代 議員  続きまして、男女共同参画社会から見た男性問題についてお尋ねいたします。  先日、福岡市の女性センターで、男として生きていくことのつらさ、男ゆえの問題を語り合い、問い直そうという「男のフェスティバル」が開催され、私も非常に関心を持ち、参加をしてまいりました。  今まで男女共同参画社会を考えるとき、社会的に不利な立場に立たされてきた女性の視点に立って見ることが多かったのですが、新たな男性問題に気づかされました。  このフェスティバルは1996年から毎年1回全国で開催されているもので、九州で開催されたのは今回が初めてでした。いわゆる九州男児として男性を特別視する土地柄もあったのか、関心も高かったようですが、熊本の男性はいかがでしょうか。  職場でも、家庭でも、地域でも、男性は女性以上に性による固定的な生き方にとらわれているように思います。強さにこだわり弱音を言えない、感情を抑えるため自分の気持ちをうまく伝えられない男性も多く、また学校でも優しい男の子は元気がない子と評価されてしまうこともあります。今、男性の自殺者が増加傾向にありますが、仕事人間が仕事社会の重圧に押しつぶされてしまっているのではないでしょうか。  そうした中で、自分とは違う生き方をしている男性に関心も持ち始めた男性たちの交流が芽生えてきたのではないでしょうか。交流がほかの人のつらさ、厳しさを聞き、共感することによって、自分の痛みも安らぎ、次の一歩へ踏み出せるきっかけとなるのです。  1990年ころから急速に動きが広がり、各種の市民活動を通して、自分らしい生き方を模索してきた男性たちによってメンズリブ研究会活動がスタートし、語らいの場、情報発信の場として、大阪にメンズセンターが開設されたのです。そして、時代の変化に戸惑う男性をサポートする電話相談、男の悩みホットラインが立ち上げられました。  現在、各地の自治体で男性問題に関する講座が開催され、講座の修了生たちが自主グループを結成して活動を続けるなどの動きも見られるようになっております。  そこでお尋ねいたしますが、まず、本市における男性相談窓口の設置や男性講座の開催状況はいかがでしょうか。また、男性にとって、職場以外のネットワークの必要性を強く感じますが、どのような対応をなされているのでしょうか。  次に、男性の生き方のバランスといいますか、職場、家庭、地域での男性の役割についてでございます。  先ほど御紹介をしましたメンズリブ研究会を立ち上げられました大阪大学の伊藤教授は、家事、育児時間を保障することは人間の権利であり、男性たちは利害関係のない人とつき合う権利を奪われ、家庭、地域で人間らしい生活を放棄してきたのではないでしょうか。家事をする男性の方がストレスも少なく、健康度が高いというデータもあります。男性もいろいろな時間を持った方がいいのですと話されています。  伊藤先生は随分以前から、やがて男性問題が論議される時代が始まるだろうと予測をされておりました。当時、国際社会でようやく男女共同参画の意識が広まりつつあった時期でしたが、予想どおり、今女性問題を考えていく中で、過労死に至るほど長時間労働に追われ、男性の人間性が失われていることが問い始められたのです。  今後、男性も職業人としてだけでなく、地域社会でしっかりと生きる市民として、職場、家庭、地域という3つの生活領域での義務、役割を果たすことが求められております。  そこで、地域における男性の市民活動への参加を促進するためにも、今後は草の根的な広報、啓発活動を通して意識を浸透させることが必要であると思います。  男女共同参画社会の実現は、男性も女性も人間としての尊厳をどのように確立していくかということに尽きると思います。  そのような中、市におかれましては、男女共同参画社会を実現するためには、全市民の意識の高揚が必要であるとの観点から、より市民に近いところで、同じ市民による啓発活動が重要であるとの認識に立って、地域における推進役として、男女共同参画地域推進員制度を新年度からスタートされると伺っております。この事業は、将来的には全小学校区にくまなく配置する計画とも伺っております。  そこで、お伺いします。  この男女共同参画地域推進員制度は、初年度はどのような形でスタートをされるのでしょうか。現在どのぐらいの規模で初年度からスタートできるのか、対象者の人選方法や推薦のための研修など、どのようにされるのでしょうか。  また、次年度以降はどのようになるのでしょうか、その概要をお示しください。  そこで提案ですが、ぜひともこの推進員の人選に当たっては男女共同の趣旨から考えて男女同数がいいのではないかと考えますが、いかがでしょうか。お考えをお聞かせください。          〔村上智彦市民生活局長 登壇〕 ◎村上智彦 市民生活局長  男女共同参画社会から見た男性問題についてお答えします。  議員御案内のとおり、男性社会を女性の視点から切り崩す政策の展開のみならず、男性の側からも男性社会を見詰め直し、男性をも縛っている役割分担意識の改革も必要と認識しております。  これまで本市では、男性のさまざまな生き方や思いを語り合うセミナー、生活自立のためのセミナー、男性市民グループの支援、講演会の開催など、男性の固定的役割分担意識の問い直しに向けた施策を実施してきたところでございます。  今後は、男性の自己表現トレーニング講座、同じ悩みを持つ男性の井戸端会議的に気軽に集まる機会と場の提供、専門家による相談も必要と考えており検討してまいりたいと考えております。  次に、お尋ねの男女共同参画地域推進員制度につきましては、現在構想を温めている途中であり、今後内容を詰めていかなければならないと考えておりますが、現時点の考えは、まちづくり委員会研究会が設置されている52校区からスタートさせ、地域のまちづくりと協力して進めることができればと考えております。  研修については、総合女性センターのセミナー等を中心にカリキュラムを組み、地域での実践活動へつなぐ研修内容にしていきたいと考えております。  また、御提案の推進員の人選に当たっては、男女の一方に偏らないように努めてまいりたいと考えております。  このほか議員御指摘の男性の市民活動への参加促進についても、この活動の中で考えることとしております。          〔10番 藤岡照代議員 登壇〕 ◆藤岡照代 議員  ありがとうございました。  晩婚化、非婚化とともに少子高齢化が進む中、今後の夫婦のあり方は、ともに働き、ともに家事、育児を担うべきであると思います。  そしてその前提として、男も女も働き過ぎないような社会経済システムへの転換が必要ではないでしょうか。男らしさから自由に生きるということは、すなわち男も人間らしく生きるということです。  しかし、自分らしく生きることとわがままとを混同してはいけません。男性が男らしさに縛られることなく、また女性を抑圧することなく生き生きと生きることができる社会を目指していかなければならないと思います。  次に、健康福祉に関する問題についてお尋ねいたします。  まず、最近急増し、深刻な社会問題となっている引きこもりについてお尋ねをしていきたいと思います。  最近、引きこもりという言葉をテレビのニュースなどで頻繁に耳にいたします。ある犯罪報道において、その青年が引きこもりであったという表現がなされたことから、引きこもりが何か特別な状態を指しているかのような誤解を招いたのではないでしょうか。  最近では、引きこもりの息子を抱えて必死に対応してきた父親がついに息子を殺害、みずからも自殺をするという最悪の結末を迎えたケースがありました。本人のみならず、家族の精神的な苦痛は察して余りあるものがございます。  ここで、引きこもりとは、家族との交流もなく、社会参加もせずに、自宅に引きこもっている状態を言いますが、厚生労働省では社会的引きこもりを、精神疾患以外で6カ月以上自宅に引きこもり、社会参加をしていない状態が続いている人と定義をしています。  また、引きこもりの相談機関である保健所などの指針によりますと、引きこもりがだれにでも起き得る事態である、怠けや反抗ではない、過保護や放任など過去の家族の問題が原因と決めつけないこと、対処の仕方次第で解決できる問題であるとの援助の原則を明確にいたしました。  せっかく家族が相談に訪れても、窓口で本人を連れてきてくださいと断られるケースも多く、引きこもりの実態が把握されないまま相談がたらい回しにされてきた現状もあります。当然ながら、引きこもりの本人を相談窓口に連れてくることなど困難なのであります。  厚生労働省がことし5月に発表した相談状況調査によると引きこもりに関する相談件数は 6,000件以上にも上り、引きこもりの期間が10年以上の例も 7.7%もあるなど、深刻な実態が明らかになりました。  引きこもりのきっかけとして不登校や人間関係の悩みなどから、何らかの挫折体験により、学校や勤務先に行けなくなる。そして、そのまま長期間自宅、自室に閉じこもって社会参加をしない状態になるのです。  男性に多く、性格的には周囲の意向に敏感で、まじめで素直で手がかからない子供だった例が多いそうです。本人は引きこもりながらも社会に出なければとわかっているのに出られず、強い自己嫌悪に苦しみます。  そば目には無気力で怠けているように見えますが、自尊心が傷つき、世間体が気になり、強い劣等感や焦りを感じているのです。また、自分一人では負い切れなくなった苦しさを暴力をもって訴えたり、反社会的行為に及ぶこともあります。  冒頭の事件にも関連いたしますが、家族だけでは解決できず、対応し切れないものがあるのです。  神奈川県川崎市ではさきの厚生労働省の調査結果をもとに、市内に推計で約 8,000人いると思われる引きこもり者に対し、実態把握のために専門相談窓口の設置の必要性を求められ、本年10月社会的引きこもりに対する緊急支援体制をスタートさせ、市のリハビリテーション医療センターに社会的引きこもり緊急対策部門を開設されました。  そこで、お尋ねいたします。  本市における引きこもりの実態はどのようになっているのでしょうか。本市での専門相談窓口の設置など対応状況についてお伺いいたします。  ところで、10月28日に「引きこもりからの旅立ち」というセミナーが開催されました。引きこもりの子を持つ親同士が交流し、心置きなく話し合いができ、専門的な情報交換の場となりました。問題を自分だけで抱え込まず、語り合うことで、精神的な負担は随分と軽くなります。  また、ネットワークを広げ、サークル活動を通して訪問サポートをしていく体制づくりや居場所づくりなどが必要ではないかとの意見が出ておりました。  悩んでいるのは自分一人ではないという実感と、この出会いの場で安心感がわき、対人不信、対人恐怖症から開放されるような若者の居場所づくりが、次のステップとして必要であると体験者が訴えておられました。  全国に80万件とも言われる引きこもりの問題は、社会のあり方の問題でもあります。引きこもりの子供を持つ全国親の会の代表が、今の日本は物質文明に偏り過ぎて、若者が生きる目的や意欲を持ちにくい。次の世代を担う若者のために、今大人たちの生き方が問われているのではないかと強調しておられました。  今後の対策として、親同士が少人数で悩みを相談し合ったり、情報交換できる場や人とつき合うきっかけをつくるための訪問サポート体制の整備や、いつでも通えるフリースペースのような場所の確保、また親から独立して住めるグループホームの設置などについて、ぜひ検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。  引きこもりから回復した若者がそこの職員として働く就労の場になれば、もっと望ましいのではないかと思います。  次に、地域福祉権利擁護事業、成年後見制度についてお尋ねいたします。  介護保険制度がスタートしてはや1年8カ月が過ぎました。介護認定方法の問題点やサービス受給における矛盾点など、必ずしも十分とは言いがたい面が見受けられますが、制度については厚生労働省がおおむね順調というように、何とか定着の方向へ推移しているようです。  しかし、多くの高齢者は契約の説明を聞いてもよく理解できず、介護支援専門員に対して「あなたにすべてお任せします」と言われる高齢者がほとんどで、つまりはよい事業者に当たるかどうか運任せというのでは余りにも無防備であります。  本年4月に和歌山市で発生した事件は、特異な例ではありますが、担当していた方の預貯金をねらった犯罪であり、衝撃が走ったことを思い出します。介護される側にとってはヘルパーやケアマネジャーに資産の内容まで知られることとなります。関係者は高齢者の権利擁護の立場からもこうした事件が起きないよう、介護整備は急務だと思います。  現在、痴呆症など財産管理に不安定な高齢者が支援を受ける仕組みとして、弁護士らを後見人に選んで財産管理を託す成年後見制度や社会福祉協議会などの生活支援員が金銭管理を代行する地域福祉権利擁護事業があります。  実は、私の知人もひとり暮らしで介護の必要な方の世話を親身にされております。しかし、金銭の管理に対しては非常に苦心をされております。何らかの手を打ってあげれば解決できない問題ではないと思います。  この問題については、平成11年第3回定例会でも取り上げさせていただきましたが、その後の推進状況はいかがでしょうか。  次に、介護保険制度下における自立支援へのケアプランの作成について2点お尋ねいたします。  介護サービスを利用するためのケアプラン、介護サービスの計画のよしあしは高齢者を介護する家族の生活までをも左右します。しかし、介護保険制度のスタート当初にふなれな中で作成をされた不十分なケアプランもあるのではないでしょうか。  ケアプランのよしあしの目安として、問題容認型か問題解決型かに判断するポイントはあると思われます。介護サービスを受けることで、要介護が要支援となるよう、あるいは本人も介護者も負担軽減となっているのか、自立支援につながるという重要な趣旨のもとに介護が実施をされているのか、大きな課題であると思います。  介護保険の重要な目的であったはずの自立支援という側面がないがしろにされているのではないかとの指摘もございますが、いかがでしょうか。  また、高齢者の方々にとっては、単に介護保険のサービスを充実すればよいというものではないと思います。  最近、健康寿命といったことが言われるようになりましたが、日常生活に介護を必要としない心身ともに自立をした活動的な状態で生存できる期間ができるだけ長く続くようにすることがもう一つの視点ではないかと思います。  高齢の方々が元気に健やかに暮らしていけるために、元気なうちに何らかの手を打っておくことが必要であります。これは、高齢者自身がみずからのこととして自立して日ごろから健康づくりを行うこともあるでしょうが、行政が健康づくりや要介護とならないための対策を行うことが大事ではないでしょうか。
     特に、体調を壊している、体が弱ってきたなど、要介護の一歩手前の方々への対応は早期発見、早期対応のためにも必要であると思います。  そこでお尋ねいたしますが、介護サービスを受けないで済むように介護の予防プランをつくって高齢者の自立を支援していく考えはございませんでしょうか。健康福祉局長にお伺いいたします。  少々長くなりますけれども、もう1点お伺いさせていただきます。  次に、雇用促進に向けた職業紹介事業の展開として、一方、少子化対策として親に対する子育て支援サービスを充実するために、若い母親を支援する子育てヘルパー制度の創設についてでございます。  厚生労働省は、乳幼児支援一時預かり事業の一つとして、出産後間もないため家事や育児が困難な核家族家庭に対して、訪問して身の回りの世話や育児を行うことを目的として、平成12年度から産褥期ヘルパー派遣事業を市町村を実施主体として行っております。  既に事業を実施している自治体もあり、一例を御紹介させていただきますと、大阪府八尾市では、出産直後の女性を支援するためにヘルパー派遣事業をスタートさせています。これは、子供を安心して産み育てる環境づくりとして、出産直後の女性にとって負担となる買い物、洗濯、掃除などの家事を代行するものですが、現在の社会状況の中で、両親も共働きであるとか、あるいは遠隔地であるため産後に身内が手伝いに行きたくても行けない場合が多く、大事な産褥期を安心して過ごせるよう支援するものであります。  具体的には、事前登録制となっており、妊娠5カ月以降に申し込みをして、ヘルパー派遣期間は退院後、1カ月以内で10日間を限度に、利用時間は平日の午前9時から午後5時までの間で、1日当たり2時間利用できます。利用料金は1回当たり 1,640円ですが、生活保護世帯や市民税非課税世帯は全額免除されます。本市でもぜひ、この子育てヘルパー制度を創設していただきたいと思います。  また、育児に対する相談、助言など精神的なケアのために保健婦の派遣も大事であると思いますが、ヘルパー派遣事業の創設とあわせてどのような見解をお持ちでしょうか、お聞かせ願いたいと思います。          〔福島靖正健康福祉局長 登壇〕 ◎福島靖正 健康福祉局長  まず、引きこもりについてのお尋ねにお答えいたします。  本市における引きこもりの実態と対応状況でございます。  保健所、保健福祉センターにおける平成12年度の引きこもりに関する相談件数は19件ございまして、そのうち、いわゆる社会的引きこもりに該当するものが5件でございました。  専門の相談窓口は特には設置しておりませんが、保健所、保健福祉センターの日常の相談業務の中で相談を受け、御家族の希望があれば保健所の精神科医や保健福祉センターの嘱託の精神科医が専門的に対応をいたしております。  また、必要に応じ訪問診察、訪問指導を行い、場合によっては熊本県精神保健福祉センターを初め、関係機関との連携を図っております。  御家族に対しましては、県精神保健福祉センターで実施しております引きこもりのための家族教室を紹介しており、この家族教室では、開催当初から熊本市保健所の精神科医も講師を務めております。この家族教室での家族の御相談に保健所精神科医、保健婦等が面接、訪問で対応することもございます。  また、市民への普及啓発のため、保健所でこれまで養成してまいりました精神福祉ボランティアの方々を対象に、引きこもりについての理解を深めていただくための勉強会を平成13年7月、9月の2回開催いたしております。  今後の対策につきましては、家族への支援を第一に考え、引きこもりについても保健所、保健福祉センターが相談窓口になっていることの周知を図る必要があると考えております。  さらに、訪問診察、訪問指導を通して家族、本人の支援に努めてまいりたいと思います。議員から御提言をいただきましたいろいろな取り組みについては、今後さらに研究を進めてまいりたいと存じます。  次に、地域福祉権利擁護事業でございます。  利用状況についてまず御報告申し上げます。  延べ相談件数で平成11年度 137件、12年度 296件、13年度は半年間で 122件となっており、平成12年度の介護保険スタート後、利用件数も伸び、現在14人の方が日常の金銭管理等を行う財産管理サービスを利用されております。  この事業は、今後増加する痴呆性高齢者などの権利を擁護する重要なサービスであり、在宅介護支援センター等の関係機関や関係団体を通して、その周知に努めてまいりたいと考えております。  次に、自立支援のためのケアプラン作成に関する2つの御質問にお答えいたします。  まず、介護サービス計画、いわゆるケアプランにつきましては、生活の質の維持向上のために必要なサービスを最適に組み合わせるものでございまして、介護を要するに至った高齢者等の方々が介護サービスをみずから選択することを支援するものでございます。  今後とも、サービス担当者会議の積極的な活用等を通してケアプランの向上を図り、御提案のように本人や御家族の方々を支援してまいりたいと考えております。  一方、高齢者の自立支援を目的とした介護予防プランの作成についてでございます。  今後ますます介護予防事業の重要性が高まってくるものと思われ、本市におきましても、高齢者ができるだけ自立した生活が送れるよう、各種事業を実施しているところでございます。  高齢者が介護状態に陥ることなく、健康で生き生きとした生活を送れるよう支援していくためには、今後、高齢者の身体や精神状況、さらには家族構成や居住環境等、さまざまな要件を総合的に勘案した介護予防プランを作成することが必要と考えております。  その作成につきましては、具体的には対象者をどうするか、あるいはプランの内容、実態調査の方法、プランを作成する者の方の知識、技術向上のための研修をどうするか等の問題もございますが、局内関係課で実施に向けて検討を進めてまいります。  最後に、出産直後の女性を支援する子育てヘルパー制度の創設等についての御質問でございます。  現在、本市における出産後の母親のサポートについては、保健福祉センターの保健婦が家庭訪問を行い、母体の管理や育児等への相談、指導を実施するとともに、熊本市助産婦会に業務委託を行い、助産婦による同様のサポートを実施し、産後の育児不安や育児の負担感の軽減に努めているところでございます。  議員御案内の出産直後の子育てヘルパー制度につきましては、厚生労働省が平成12年度から創設したものでありますが、本市において平成11年度に実施いたしました子育て意識実態調査や現在作成中の新母子保健福祉計画の議論の中では、出産直後の自宅での家事、育児援助に対しては、必ずしも市民のニーズは明確には出ていないところでございます。  一方、現在、シルバー人材センターでは同様の事業を実施し、また財団法人21世紀職業財団熊本事務所においては類似したサービスの提供が行われていると聞いております。  本事業につきましては、既存の事業の見直しや、現在作業を進めております母子保健計画の見直しの中で、お母さん方のニーズ把握やあるいは県の動向も踏まえて、さらに研究を続けてまいりたいと考えております。          〔10番 藤岡照代議員 登壇〕 ◆藤岡照代 議員  ありがとうございました。  社会的引きこもりについては、表面化している問題はまだ氷山の一角であります。だれにでも起こり得ると指摘されているとおり、いずれもっと大きな問題となってくることは間違いないのではないでしょうか。  現在、相談窓口を保健所に開設して取り組んでおられるとのことですけれども、熊本でも親の会が結成されましたので、今後、居場所づくりなど一つ一つの課題に積極的に取り組んでいただきたいと要望いたしておきます。  また、介護保険につきましては、本来の目的である自立支援と予防が大切であります。介護予防プランの作成に向けて、来年度はしっかりと研究、検討されるとのこと。1年間の研究、検討を終えて15年春には介護予防プランが作成されるものと期待をしておりますので、どうかよろしくお願いいたします。  続きまして、少々長くなりますけれども、子育て支援についてお尋ねいたしたいと思います。  子育て中のお母さんを支援する公明党の子育て支援21の提案が反映されて、つどいの広場事業が厚生労働省の来年度予算概算要求に盛り込まれ、全国的に展開される運びとなりました。  つどいの広場事業は、育児に不安や悩みを抱える親などが気楽に集える場を身近な地域に提供することにより、とかく孤立しがちな子育て中のお母さんを地域社会の中で応援しようというものであります。  公共施設や商店街の空き店舗や学校の空き教室など、既存の施設のスペースを活用し、親子同士の自由な交流の場として開放するとともに、子育てについての相談に応じたり、子育てに関する情報の提供などを行う場であります。  本市におかれましては、つどいの広場事業にぜひ取り組んでいただきますよう、要望しておきます。  ところで、本市ではこれまで地域子育て支援センターを3カ所設置され、子育て中の親子を対象に育児相談やサークル活動などを実施しておられます。また、来年4月には、本荘保育園の改築にあわせ、少子化対策臨時特例交付金を活用し建設をされている総合子育て支援センターがオープンするとのことであり、子育て支援の拠点施設として多くの市民が期待を寄せているところであります。  さらに、現在、本市では総合女性センターの中にファミリーサポートセンターが設置されておりますが、先日視察に参りました市川市のメディアパーク市川では、中央図書館を初め、教育センターや子ども館などを複合した施設で、ファミリーサポートセンターも併設され、総合的な子育て交流の場として、とても身近に感じることができました。  そこで、本市においても、先ほど申し上げましたつどいの広場を兼ねたファミリーサポートセンターを生活に身近な場所、東西南北にそれぞれ設置するとか、あるいは総合子育て支援センターにファミリーサポートセンターを併設することによって、子育て中のお母さん方が気軽に利用できる場がさらに広がり、子育て支援のさらなる手助けができるのではないかと思うのであります。  そこでお尋ねいたしますが、今後の子育て支援を進めていく上で、ファミリーサポートセンターの複数箇所への拡充が必要であると思いますが、いかがでしょうか。  また、今後の整備計画についてもお示しください。  さらに、来年オープンする総合子育て支援センターの中にファミリーサポートセンターを設置できないのでしょうか。  最後に、今後の子育て支援にどう取り組んでいかれるのかも御見解をお聞かせください。  続きまして、子供たちの食生活の問題について少々お尋ねしたいと思います。  近年、学校で朝礼中に倒れる生徒がふえており、自律神経の失調と言われております。子供が朝礼中に倒れる原因としては、朝食を食べていないことや睡眠不足などが考えられると思いますが、単に、子供だけではなくて、子供を取り巻く社会や家庭の生活のリズムの変化が子供たちの心身に大きく影響していると思われます。  家庭の状況はさまざまですが、大人の都合に子供を巻き込んで育てているのではないかという指摘もあります。小学校高学年になると塾通いのため帰宅も遅くなり、また夕飯を家庭でとらずにコンビニで済ませる子供もふえているそうです。睡眠不足で朝起きられないと食欲もわかず、悪循環になっているようです。  中学生になるともっと顕著にあらわれてきます。高校生になると男女とも見かけを気にして食事をとらない無理なダイエットをするようにもなります。食費を削ってでも携帯電話の方にお小遣いを使うのが今の傾向です。  これでは、成長期に必要な栄養も不足し、情緒的にもイライラしてくるのも当然である、いわゆるキレるという原因の一つは食生活にあると識者により指摘されております。  また、学校に登校してきた小学生に眠いとか気持ちが悪い、だるいなどといった不定愁訴もふえております。大部分は保健室で一眠りすると気分がよくなるそうです。つまり、不定愁訴の子供たちの多くに睡眠不足が見受けられるのです。  子供たちが心身ともにたくましく成長するには、生活のリズムの確立が必要です。成長期の子供たちだからこそ早寝早起きが大切になります。  基本的な生活習慣を身につけさせることは親のしつけの基本だとは思いますが、学校現場での実情はいかがでしょうか。子供たちの健やかな成長を願うものとして、早急に何らかの手を打って、解決の方向を見つけていただきたいと思いますが、本市の対応状況について教育長にお尋ねいたします。  また、子供たちの食生活に関しては、朝食抜きや無理なダイエットの問題と同時に、子供たちが大人と同じように安易に高カロリー、高脂肪の食事をとっている場合もあるのではないでしょうか。  欧米型や都市型の生活様式は、大人だけではなくて子供たちの健康にも大きな影響を与えていると思われます。子供たちの糖尿病や高血圧、肥満などの生活習慣病もふえており、文部科学省の学校保健統計によりますと、全国調査の結果でも、通常成人に多い二型の糖尿病が今子供たちにふえていることが指摘されております。この糖尿病は、動物性脂肪が多く、カロリーが高過ぎる食事と運動不足が最大の原因と言われております。  また、厚生労働省の国民栄養調査によると、20歳未満の血中コレステロール値は日本がアメリカを上回っており、今後さらに小児から10代の糖尿病の増加が懸念されると指摘されております。その対策として、食事の改善と身体活動をふやすことが治療の根本であるとされております。  そこで、健康福祉局長にお伺いしますが、この問題についてどのような認識をされているのでしょうか。  以上、関係局長に御答弁をお願いいたします。          〔村上智彦市民生活局長 登壇〕 ◎村上智彦 市民生活局長  藤岡議員にお答えします。  ファミリーサポートセンターは、議員御案内のとおり、地域における子育ての相互援助活動でございます。これまでも事業の拡大に向けてさまざまな取り組みを行ってまいりました。これからもより効果的、効率的な活動につないでいくためには、地域の中で気軽に利用できる子育ての相談や情報の提供など、利用者のニーズに沿った身近な制度にしていくことが必要であると認識しております。  議員御提案の生活に身近な場所へのファミリーサポートセンターの拡充は、いわゆる地域社会全体で子育てができるような体制づくりが必要であると考えております。関係部門と協議しながら、14年度から調査研究に取り組みたいと考えております。          〔福島靖正健康福祉局長 登壇〕 ◎福島靖正 健康福祉局長  まず、ファミリーサポートセンターの(仮称)総合子育て支援センターへの設置についてでございます。  育児中のお母さん方への情報発信の観点から、相乗効果が発揮できるよう関係部局と協議してまいりたいと考えております。  次に、子育て支援に関する今後の取り組みについてでございます。  子育て支援は、保育を初めとする福祉分野のみならず、母子保健などの保健衛生分野、雇用の問題あるいは教育問題等々非常に多岐にわたっております。このようなことから、本市では平成9年度に「くまもと市こどもプラン」を策定し、現在このプランに基づいて鋭意取り組んでいるところでございます。  健康福祉局所管分野で申し上げますと、まず、保育分野におきましては、待機児童の解消や延長保育などの特別保育事業の充実、保育所の地域開放の推進等に取り組むとともに、保健分野では、乳幼児健診や育児相談を初め、地域の育児サークルの支援、育成等に努めてきたところでございます。  少子高齢化社会が進む中で、子育て支援の問題は極めて重要なテーマであると認識しており、今後さらに関係部局が連携を密にし、一体となって施策の充実に努めてまいりたいと考えているところでございます。  次に、子供の食生活に関する御質問のうち、健康福祉局に関する部分についてでございます。  我が国において、人口の急速な高齢化とともに、生活習慣病及びこれに起因する痴呆、寝たきり等の要介護状態等になる方の増加は非常に深刻な問題になっているところでございます。  子供の食生活の問題は、単に子供に時期の問題としてのみとらえるのではなく、生涯を通じた健康を考える上で非常に重要な問題であると認識をしております。  現在、本市におきましては、生活習慣を改善し、健康寿命の延伸を図るため、健康くまもと21の策定を行っているところでございますけれども、この策定に当たりまして、市民1万人アンケートを実施いたしました。  この結果を見ますと、幼年期から10代までの健康問題として、保護者の夜型生活による食事の時間の不規則化や朝食の欠食、あるいは甘味食品の多量摂取につながる間食等が挙がっております。また、年齢が進むにつれてテレビゲームの時間が長くなっており、中高生自身、運動不足が将来の健康を阻害すると考えているようでございます。さらには、人間関係や勉強によるストレス等が多くなっております。  このように、10代までのうちに成人後の生活習慣病の土壌が既にでき上がっているように思われます。  これらの結果からわかりますように、この時期の生活習慣をいかに健康的なものとして形成していくかが非常に重要であると考えております。今後策定されます健康くまもと21に基づきまして、関係部局はもとより、関係機関、団体等と連携をとりながら本市の健康づくりを推進してまいりたいと考えております。          〔田尻紘教育長 登壇〕 ◎田尻紘 教育長  子供の食生活についてお答えいたします。  子供たちが心身ともに健康でたくましく育つためには、食事や運動、そして睡眠等の基本的な生活習慣をどのように確立するかということが大変重要であると認識しております。  最近の本市の調査結果によれば、朝食につきましては、毎日きちんと食べる子供の割合は小学生で90%、中学生で84%であり、学年が進むにつれて朝食をとらない子供の割合が増加いたしております。また、就寝時刻が午前0時を過ぎる子供が小学6年生では10%を超え、社会情勢や家庭生活の変化に伴い生活リズムが夜型社会に応じたものになってきていることがうかがえます。  したがって、学校においては、家庭と連携をとりながら、個々の実態に応じた健康的なライフスタイルを確立するための指導が必要であり、教育委員会としましては、本市教育の取り組みの方向の一つに、健康で安全な生活習慣の育成を掲げ、学校教育活動全体で取り組むこととしております。  特に、円滑な学校教育を行うためには就学前に基本的な生活習慣は最低限身につけて就学してもらいたいとの思いから、本年度より就学前子育ての手引書ピカピカ1年生ガイドをつくり、来年度入学予定の全保護者及び関係機関、団体に配布し、理解と協力を求めております。  なお、食に関する指導につきましては、学校栄養職員の専門性を生かした教科や特別活動等における教育活動を行う体制づくりに努めているところでございます。          〔10番 藤岡照代議員 登壇〕 ◆藤岡照代 議員  ファミリーサポートセンターの市内での数カ所での設置の必要性の認識は一致いたしました。14年度には関係部局との協議を進めるとのことですので、地域の子育て支援センターや総合子育て支援センター内にファミリーサポートセンターを一日も早く併設をしていただきたいと強く願うものであります。  また、総合的な子育てに対する相談窓口の設置や情報誌の作成などの必要があると思いますので、今後検討をしていただきたいと要望いたしておきます。  さらに、子供の食生活につきましては、子供のときからの食生活、基本的な生活習慣がひいては成人病につながってまいりますので、市民の方々の健康を保持、増進するためにも早期発見、早期予防が何よりも大事でありますので、認識を深めていただきたいために今回取り上げさせていただきました。  本日の私の質問はいろいろ重なったところを除きましたので、早く終わらせていただきます。一般質問の3日目の午後ということで、少々お疲れであったかと思いますが、最後まで傍聴していただき、また傍聴席の皆様並びに議員の皆様にも深く感謝申し上げますとともに、今後もお互いストレスと健康に留意されますことを御祈念いたしまして、私の質問を終了させていただきます。ありがとうございました。(拍手)       ──────────────────────────── ○岡田健士 副議長  本日の日程はこれをもって終了いたしました。  次会は明13日(木曜日)定刻に開きます。       ──────────────────────────── ○岡田健士 副議長  では、本日はこれをもって散会いたします。                            午後 3時41分 散会
    〇本日の会議に付した事件 一、議事日程のとおり 平成13年12月12日 出席議員 48名       1番   白 石   正        2番   岡 田 健 士       3番   原     亨        4番   津 田 征士郎       5番   鷲 山 法 雲        6番   上 野 美恵子       7番   村 上   博        8番   小 山 久 子       9番   日和田 よしこ       10番   藤 岡 照 代      11番   坂 田 誠 二       12番   竹 原 孝 昭      13番   藤 山 英 美       14番   田 中 誠 一      15番   下 川   寛       16番   重 松 孝 文      17番   中 松 健 児       18番   家 入 安 弘      19番   佐々木 俊 和       20番   鈴 木   弘      21番   牛 嶋   弘       22番   古 川 泰 三      23番   税 所 史 熙       25番   田 尻 将 博      26番   田 尻 清 輝       27番   北 口 和 皇      28番   田 辺 正 信       29番   大 江 政 久      30番   島 田 俊 六       31番   江 藤 正 行      32番   荒 木 哲 美       33番   主 海 偉佐雄      34番   落 水 清 弘       35番   奧 田 光 弘      36番   鈴 木 昌 彦       37番   益 田 牧 子      38番   上 村 恵 一       39番   磯 道 文 徳      40番   西   泰 史       41番   中 村 徳 生      43番   嶋 田 幾 雄       44番   竹 本   勇      47番   矢 野 昭 三       48番   島 永 慶 孝      50番   大 石 文 夫       51番   紫 垣 正 良      52番   西 村 建 治       53番   亀 井 省 治 欠席議員 3名      45番   田 尻 武 男       46番   宮 原 政 一      49番   村 山 義 雄 説明のため出席した者   市長       三 角 保 之    助役       後 藤 勝 介   収入役      岩 本 洋 一    総務局長     古 川   康   企画財政局長   齊 藤   聰    市民生活局長   村 上 智 彦   健康福祉局長   福 島 靖 正    環境保全局長   大 橋 道 雄   経済振興局長   三 嶋 輝 男    都市整備局長   中 原 謙 吉   建設局長     吉 崎 新 起    消防局長     道 越   賢   交通事業管理者  市 原 敏 郎    水道事業管理者  森 高 聖 之   教育委員会委員長 笠   美 雄    教育長      田 尻   紘   人事委員会事務局長瀬 口 芳 生    代表監査委員   野 田 晃 之   市長室長     源   寧 生    財務部長     谷 口 博 通 職務のため出席した事務局職員   事務局長     友 枝 佑 二    事務局次長    松 本   豊   議事課長     山 田 利 博    議事課長補佐   木 村 建 仁...