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平成 9年第 2回定例会−06月13日-04号
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  1. 熊本市議会 1997-06-13
    平成 9年第 2回定例会−06月13日-04号


    取得元: 熊本市議会公式サイト
    最終取得日: 2022-11-22
    平成 9年第 2回定例会−06月13日-04号平成 9年第 2回定例会   平成九年六月十三日(金曜)   議 事 日 程 第四号   平成九年六月十三日(金曜)午前十時 開議   第 一 質 問   第 二 平成八年議第二一五号 平成七年度熊本市各会計(公営企業会計を除く)決算について                 午前十時 三分 開議 ○主海偉佐雄 議長  ただいまより本日の会議を開きます。      ───────────────── ○主海偉佐雄 議長  日程第一「質問」を行います。順次発言を許します。税所史熙議員。        〔十二番 税所史熙議員 登壇 拍手〕 ◆税所史熙 議員  おはようございます。  自由民主党熊本市議団の税所史熙でございます。登壇の機会を与えていただきました先輩並びに同僚議員に対し心より御礼を申し上げます。  それでは、質問通告に従いまして早速質問に入らせていただきますので、三角市長を初め執行部各位の明快なる御答弁をお願いいたします。  まず最初に、六十五万市民の生命と財産を守らなければならない責務から、本市の危機管理体制についてお尋ねをいたします。  御案内のとおり、五月二十日に、既に四月一日より稼働していた本市の消防司令管制システムの運用開始式が行われました。事業費二十五億円を投じたこのシテスムは衛星通信回線を活用しており、消防庁との間で映像の交信もでき、開始式では、消防庁長官から、災害に強いまちづくりに期待するとの祝辞をいただいたとのことであります。  このシステム導入により、消防署から三キロ離れた火災の場合、出火から放水開始まで約三分三十秒短縮、救急救助なら通報から現場到着まで約二分短縮でき、災害に強いまちづくりがまた一歩前進をいたしました。  本市においては、このほか、公園への備蓄倉庫や耐震性貯水槽の設置、総合防災公園建設計画、ソフト面では、中核市や九州各市、尼崎市との災害時相互応援協定の締結など、防災対策に積極的に取り組まれております。ハード、ソフト両面での充実した対応に心より敬意を表する次第であります。
     さて、去る三月二十六日、鹿児島地方にマグニチュード六・三という大きな地震が発生、以来余震と思われる揺れが頻発しておりましたそのさなか、五月十三日には、鹿児島県薩摩地方を震源とするマグニチュード六・二という大きな地震が再び九州を襲ったのです。川内市では阪神大震災以降最大という震度六弱を記録し、二十八人もの負傷者とガス爆発や家屋倒壊などの大きな被害をもたらしました。  これら群発地震の発生で、いや応なく一昨年の阪神大震災の惨状が思い出され、鹿児島地方だけでなく熊本市民も不安な日々を過ごしておりました。  このような折、昭和六十三年以来という震災対策基礎調査がまとまり、先般開催されました防災会議でその概要が報告をされました。  それによりますと、長陽村から益城町、嘉島町付近を走る布田川断層帯でマグニチュード七・二の直下型大地震が午後六時に発生した場合、市域の大部分で震度六弱の揺れが予測され、六千百七十五棟もの建物が全壊、死者七百八十一人、負傷者三千九百四十八人という甚大な被害が見込まれるというのです。ライフラインについても、ガス管二千八十五カ所、上水道一千五百八十一カ所、電話線百十九カ所もの被害が予測されております。  この調査をもとに本市地域防災計画の震災対策を見直すとのことでありますが、もし先般川内市で発生したような地震が本市で発生したらと考えますと、この予測がにわかに現実味を帯びてまいります。  そのような中、私は、市職員の危機管理意識の向上を示す一つの事例を耳にいたしました。これは先ほど触れました五月十三日の地震の際のことでありますが、このとき熊本市でも震度三の揺れを観測いたしました。  その日、折悪しく、本市で九州市長会理事会が開催されていたところであり、会議に出席していた九州各市の方々は、自分の市はどのような状況かと、会議中も気が気でなかったのではないかと推察いたします。  そこで本市では、地震発生直後から、被害状況や余震の速報などの情報を取りまとめ、逐次会場に報告し、非常に喜ばれたと聞いております。この的確な対応は、三角市長の危機管理に対する取り組みが実を結んだものと高く評価するものであります。  今後もさらに積極的な施策の展開を期待しておりますが、地震だけでなく、そろそろ梅雨や台風といった風水害に見舞われる季節も近づいてまいりました。  また、自然災害のみならず、福井の重油流出事故、あるいは先ごろようやく解決をしたペルーの日本大使館人質事件など、危機管理と一言で言いましても、全く予想もつかない危機が実際に起こるのを、私たちは立て続けに目の当たりにしております。  例えば、今は休火山として鳴りを潜めている金峰山も、これまで大丈夫だったのだからこれからも大丈夫だなどと思い込み、たかをくくっていると、万一噴火した場合に的確な対応ができず、かえって人災とも言うべき大変な被害もたらすと考えられます。  そこでお尋ねをいたします。  万一阪神大震災規模の大地震、六・二六規模の大水害、金峰山の噴火などの大規模災害が発生しても、即座に的確な対応ができるように、庁内体制及び関係機関とのネットワークは確立されているのでしょうか。ありとあらゆる事態を想定し、本市の危機管理体制を万全とするため、さらなる体制の充実強化が必要であると考えますが、三角市長のお考えをお聞かせ願いたいと思います。        〔三角保之市長 登壇〕 ◎三角保之 市長  本市の危機管理体制についての質問でございました。  その前に、税所議員から消防指令管制システム等々についてるるお話がございまして、この消防指令管制システム、議会で多額な予算をつけていただいたわけでありますが、四月一日からその運転を開始して模様を見ておるところでありますけれども、議員お述べになったように大変な効果が上がっておるところでございまして、災害場所あるいは通報箇所等々も即座にキャッチできまして、市民の皆さん方に大変安心をしていただける装置だったろうと思っておるところでございます。  どうか、この管制システム、今運用いたしておるところでございますが、多くの市民の皆様方にお出かけいただき、目で確かめていただいて、なお一層御安心をしていただけるなら大変幸いかというふうに存じておるところであります。  また去る六月六日に実施いたしました総合防災訓練におきましては、国、県、自衛隊、警察など二十一の機関、人員約一千四百人の御参加をいただき、所期の成果を上げることができましたことを御報告申し上げますとともに、多くの議員の皆様方、そしてまた市民の皆様方にごらんをいただいたことに対しまして心から御礼を申し上げたいと存じます。  さて私は、災害に強いまちづくりを市政の重要課題の一つに掲げて施策の展開を図っておりますが、阪神・淡路大震災の教訓、島根県沖の日本海における重油流出事故、さらには、今なお余震が続く鹿児島県北西部における地震の発生などを考えますとき、その対応に誤りのないようにしなければならないと改めて感じる次第であります。  そして、本市防災行政の進むべき方向は、行政と市民が協力して被害発生を最小限に抑えることができるシステムづくりをしていくことにあると考えておるところであります。  そこで、御質問の第一点、庁内体制についてでございますが、本市では、過去の災害歴から、水害に対する体制は完全とは言えないまでもほぼ整っているのではないかと考えておりますが、地震についてはかなり不安がございましたので、本市地域防災計画を見直すとともに、本年一月十七日早朝には管理職職員約四百七十名を対象に、大規模地震の発生を想定した参集訓練を初めて実施いたしました。その結果、地震発生後おおむね一時間で体制を整えることができることが実証されたわけであります。  今後、参集訓練参加対象者を拡大するとともに、抜き打ち実施等を行い、その習熟度を高めてまいりたいと考えております。  次に、御質問の第二点、関係機関とのネットワークについては、災害発生時の情報収集や応急対策等を円滑に遂行するために、日常的かつ実務的な連携、協調が不可欠であるという認識に立ち、総務局に防災担当の責任者を置き、その任に充て、平素から関係機関との協調を図ってきたところでございます。その成果もあって、国、県、自衛隊、警察、ライフライン関係等、防災にかかわる二十一の関係機関、団体に参画をいただくとともに、庁内の関係課十二を構成メンバーとする熊本市防災関係機関連絡協議会が昨年十一月に発足をいたしました。  この協議会におきましては、既に二度研修会が開催されるなど活発な活動がなされており、さきの総合防災訓練におきましても、昨年二月十日に起きました北海道の豊浜トンネル事故を念頭に置き、より現実に近い訓練を行うことを目的として、震災合同対処訓練を実施したところでございます。  この訓練は、救命救助を第一に考えた災害現場における効率的な活動手順を事前に協議するとともに、関係機関相互の連携を深める訓練として初めて試みたものでございます。私は、この合同訓練が、今後の防災対策の充実に大きな役割を果たすものと期待を寄せているところでございます。  なお、今回の総合防災訓練には、自主防災クラブ及び防災ボランティアの皆様にも、避難誘導や初期消火活動、さらに担架搬送や炊き出し訓練に初めて御参加をいただきましたことは大変ありがたく、同時に非常に心強く感じた次第でございます。  いずれにいたしましても、一日も早く安全で健やかなまち、災害に強いまちを実現できますよう、議員各位並びに市民の皆様の御理解と御協力をいただきながら、ハード、ソフトの両面にわたる危機管理体制の充実に向け積極的に取り組んでまいりたいと考えております。        〔十七番 税所史熙議員 登壇〕 ◆税所史熙 議員  ありがとうございました。  三角市長の危機管理に対する姿勢をお聞きし、市民の一人として非常に安心をいたしました。今後ともさらに危機管理体制を強化され、対応のまずさから天災が人災と言われることのないよう、万全の体制で整備をしていただきたいと思います。  また、自然災害だけでなく、神戸市須磨区の土師淳君事件のような凶悪犯罪、大きくは朝鮮半島の有事をも想定した危機管理も考えられます。  さらに、熊本市民は一〇〇%地下水を命の水として頼っておるわけであります。もし地下水が枯渇してしまうようなことがあれば、六十五万市民の生命にかかわる大きな危機であります。このような危機管理をも視野に入れて対応していただきたいと思います。このことについては常任委員会の方で論議するといたしまして、次の質問に移ります。  去る六月四日に発表されました行政改革推進プログラムについてお尋ねをいたします。  このプログラムは、熊本市が初めて取り組む行政改革の具体的な実施計画であり、大綱に掲げる目標の経費五十億円の改善と、市民百人当たり一人の職員数を通した心の通ったわかりやすい市役所の実現のために、検討に検討を重ね、九十九項目に及ぶ個々具体的なスケジュールを策定されたことは、市民はもとより我々議会としても大いに評価するものであります。  ここに示されているように、個々具体的な目標を掲げるということは、市民と行政の双方にとって行革の推進状況が検証しやすいということであり、市民の理解と協力のもと、職員の身を切るような努力なくしては到底実現ができないのであります。  このプログラムをもとに、いよいよ本年度から本市行政改革が具体的に動き出しますが、単に平成十二年度の完結にとどめることなく、さらに将来に向かって推し進めていかなければならないものと考えているところであり、そのためにも、行革元年と言われる平成九年度の取り組みが殊のほか重要であります。  平成九年度はどのように取り組んでいかれるのか、企画調整局長にお尋ねをいたします。        〔松村紀代一企画調整局長 登壇〕 ◎松村紀代一 企画調整局長  お答えをいたします。  今回、行政改革の基本的な取り組みの方向、内容、実施スケジュールなどについて具体的に定めた行政改革推進プログラムを策定したところでございますが、その平成九年度の取り組みについてお答えを申し上げます。  まず五十億円の経費改善につきましては、市財政に大きな比重を占める市税、国民健康保険料国民年金保険料などについて徴収率アップの推進チームを編成し、その向上を図ることといたしております。  また、職員の時間外勤務の縮減として、八年度にノー残業デーの導入を行ったところでございますが、今後とも引き続き時間外勤務体制の見直しに全力を注ぎ、平成九年度は総額九億七千万余の経費の改善に努めてまいりたいと考えております。  次に、市民百人当たり職員一人につきましては、目標であります組織数の一〇%、二十課の整理統合に向けて、具体的には、当初の目的を達成したもの、相互に深く関連した事業を統合することにより効率的展開が可能なもの、あるいは施設の民営化により整理できるもの、その他、事業の見直しにより存置の必要性が薄れたものなどの視点をもとに組織の整理統合を進めてまいりたいと考えております。  また、適正な人員配置を目指し、外郭団体派遣職員のさらなる引き上げや、庶務の一元化などに取り組み、全体として職員数の抑制を図ってまいる所存でございます。  さらに、具体的に取り組む項目の中で複数の課に関連いたします、例えば先ほど申し上げました税などの徴収率の向上のほか、文化施設、体育施設のネットワークボランティア育成支援など十チームを近々発足させ、統一的な見直しを進めるとともに、一方では市民の視点に立った事務事業の総点検を推進するため、近く全課を対象としたスクラップ・アンド・ビルド運動に着手をいたすことといたしております。  なお、あわせて、職員の一層の意識の改革を図るため、管理職特別研修などについても新たに取り組むことといたしております。  以上、本年度は、本市行政改革の本格的実行に移りますいわば行革元年と位置づけ、それぞれの項目について具体的な対応を図ってまいる所存であります。よろしく御理解、御支援、御指導のほどをお願い申し上げます。        〔十二番 税所史熙議員 登壇〕 ◆税所史熙 議員  行政改革は、とりもなおさず職員の意識改革であります。改革の理念を職員一人一人が自覚し、心の通ったわかりやすい市役所の実現に向けて取り組んでいただきますようお願いをいたします。  次に、男子世界ハンドボール選手権大会及び国民体育大会についてお尋ねをいたします。  皆様御存じのとおり、去る五月十七日から六月一日までの十六日間にわたり、一九九七年男子世界ハンドボール選手権大会が、十五回目にして初めてヨーロッパを飛び出し、アジアの我が熊本で開催をされました。  当初は、ハンドボールという競技が日本ではマイナーであること、準備期間が不十分だったこと、大会自体の全国的な認知度が低かったことなどから、地元民の反応はいま一つで、開会直前になっても、いささか市民総参加の機運に欠けているように見受けられ、大会は大丈夫だろうかと心配したのは私だけではないと思います。このため、大会に総額二十億円以上の大金を投じることに対し一部では批判の声もあったようであります。  誘致運動を展開していたころから、党を挙げて全面的に応援をしていただけに、大会の成否そのものが心配でありました。そのころ、前議長でありました我が党の荒木議員が、大会を盛り上げるために我々議員も率先して前売り券を購入しようと提案され、各自が記念入場券を購入したほどでありました。  ところが、いざ始まってみると、メーン会場のパークドーム熊本を初め、熊本、八代、山鹿の三市の会場も連日超満員の大盛況で、特に全日本チームの対戦や決勝リーグのゲームでは、当日券を求めて長蛇の列ができるなど、予想をはるかに上回る大人気でありました。  結局、私どもの心配は杞憂に終わり、総入場者数は当初の目標の二倍の二十万人を超え、大会グッズも完売と、うれしい誤算となりました。記念入場券をもう幾つか買っておけばよかったと、同志議員と話したことでもありましたが、後の祭りでありました。  ともかく、これで熊本の魅力を世界に強烈にアピールできたことは疑いようもなく、ハンドボール自体の普及、振興にも大きく寄与したと確信しております。  この大会を検証してみますと、もともとハンドボールは、パワーとスピード感あふれる非常におもしろいスポーツである上、世界のトッププレイヤーによるすばらしいわざ、実力伯仲の熱戦、全日本チームの活躍等が大成功の一因であったのはもちろんであります。  しかしそれにも増して、チームごとに企業や地域のサポーターを決めたことや、試合以外にも選手たちと地域との心温まる交流が各地で行われたこと、学校単位で子供たちと触れ合ったことなど、地方都市の魅力を生かしたソフト面での対応により、選手、市民の双方から好評を博したことが最大の要因ではなかったかと思います。また、約一千五百人というこれまでにない多数のボランティアが活躍したこともこの大会の大きな特徴でもあります。  このように、選手たちとの交流やボランティアの経験により、市民のホスピタリティー(もてなしの心)が大きく向上したことも、この大会の隠れた成果ではなかったかと考えております。  そこでお尋ねをします。  今回の男子世界ハンドボール選手権大会を振り返り、どのように総括、評価するのか。そして、この大会の成功のノウハウを二年後の未来国体に生かし、市民総参加の国体とするために、どのように取り組んでいかれるのか、企画調整局長の答弁をお願いいたします。        〔松村紀代一企画調整局長 登壇〕 ◎松村紀代一 企画調整局長  議員の御質問にお答えをいたします前に、まずもって、男子世界ハンドボール選手権大会を無事終了することができましたが、開催に当たりまして、御支援、御協力を賜りました議員各位に心から改めて御礼申し上げます。ありがとうございました。  また、今大会を陰で支えていただきました多数のボランティアの皆さんや市民の皆様に対しましても、この場をおかりしまして心から感謝を申し上げる次第でございます。  今大会は、ヨーロッパ以外で初めての開催ということもあり、大会前には、集客や機運の盛り上がりを心配いたしていたところでございます。そのため、集客対策といたしまして県内の小中高校生の観戦をお願いいたしましたほか、企業や各種競技団体による応援態勢をお願いいたしましたことが効を奏し、連日の白熱した試合と相まって、各会場とも超満員を記録し、過去の世界選手権大会の入場者をはるかに上回る二十万七千人の入場者を数えたのは御案内のとおりでございます。  このほか、世界への熊本発信、さらには学校や地域との交流の輪が広がったという無形の効果を考え合わせますと、大会は成功であったと評価をいただけるのではないかと思っておる次第でございます。  しかしながら、大会運営の個々の面におきましては、例えば選手、役員の受け入れ体制、会場までの交通アクセス、誘導案内等について幾つかの課題が指摘されたのも事実でございます。今後これらのことも含めて総合的に検証いたしますが、今回の経験が国際会議やイベント開催に当たっての貴重なノウハウになるものと考えております。  次に、今回のハンドボール大会のノウハウを生かし、市民総参加の国体にするための取り組みについてでございますが、申すまでもなく国体は、全国から選手、役員だけでも四万を超す人々が集うわけでございます。我が国最大のスポーツイベントであり、その受け入れの中心をなす本市の対応が本大会の成功のかぎを握っていると言っても過言ではないと思っております。  大会を成功に導くために最も大切なことは、今回の世界ハンドで見られたような選手と地域との心温まる交流や企業の支援、さらには多くのボランティアの方々による支援といった市民一人一人の温かい歓迎の心、つまり熊本ならではホスピタリティーだと認識をいたしております。  今後、世界ハンドで培われたさまざまな競技運営の経験を大切にしながら、自治会、婦人会等の地域団体を初め、小中学校、企業といった各種団体との連携を深めるとともに、市民ボランティアの育成を図り、市民総参加の国体にしてまいりたいと考えておりますので、よろしく御指導のほどをお願い申し上げます。        〔十二番 税所史熙議員 登壇〕 ◆税所史熙 議員  ありがとうございました。  今回の男子世界ハンドボール選手権大会の成功は、県市民にとっても大きな自信につながったことと確信をいたします。  今後は心機一転、未来国体、さらには高校総体の準備に重点を置くことになるかと思いますが、私も協力を惜しまない所存でありますので、国体に向けて全力を傾注していただきますようお願いいたします。  次に、本市の経済振興策についてお尋ねいたします。  我が国の経済状況は、依然として先行き不透明感はぬぐえないものの、緩やかながら回復の兆しを見せております。九三年を谷とする今回の景気拡大は、五月で何と四十三カ月目に入り、高度成長期の岩戸景気を抜いて戦後三番目の長期景気拡大となりました。  ただ、バブルの後遺症を引きずった今回の景気拡大は、年平均の実質成長率が二・二%と、これまでの好景気の時期と比較して例のない低い数字を示しており、景気拡大とは言いながら回復の実感に乏しいものとなっております。  また、我が国の昨年度の企業倒産は、負債総額九兆一千八百九十六億円、前年度比九・二%増と過去最悪の状況であります。  一方、熊本県内の昨年度の企業倒産は十年ぶりに二百件を突破し、負債総額も過去最悪の六百九十二億円と大変厳しい状況にあります。  いずれにいたしましても、生活者の実感としては、景気拡大もかなり低い水準での拡大であり、依然として経済の沈滞感は払拭できないのが現実であります。こうした中、唯一気を吐いているのが福岡市であります。  経済の国際化が進み、今や一国だけで完結する経済はあり得ないと言われる現在、特に成長著しいアジアにいち早く目を向け、地の利を生かしてアジアの拠点としての都市づくりを積極的に推進している福岡市は、現在最もポテンシャルの高い都市として全国的に注目されているところであります。  その福岡市で、先月五月十一日から十三日までアジア開発銀行、通称ADBの総会が開催されました。ADB総会は、世界各国の蔵相や国内外の金融機関の首脳が一堂に会する国際会議で、公式行事のほか、連日金融機関のパーティーや昼食会が開かれ、内外のビジネスマンがまちじゅうを走り回っていたそうであります。ADB総会により、九州の経済力を、そしてアジアへの玄関口としての福岡を内外に強く印象づけ、福岡の経済は今後さらに活発化すると考えられます。  一方、先ほども述べましたように、先般熊本で開催された男子世界ハンドボール選手権大会は二十万人以上の観客を動員、予想をはるかに上回る大成功をおさめ、経済波及効果も、まだ計算途中ではありますが、約六十億円もの大きなものになると聞いております。また、この大会により熊本の魅力を世界に発信できたため、長期的にも非常に大きな効果をもたらすのではないかと考えております。  さらに、ボランティア活動や選手との交流を通して市民に培われたもてなしの心は、これからの観光都市熊本としても必要不可欠なものであります。これを一過性のものに終わらせないためにも、継続的に市民参加の場を提供する必要があると感じております。  熊本の経済はまだまだ底力があります。多少のリスクを冒しても、外からの刺激を受けることで真の力を発揮することができると思います。そのためにも、今回の男子世界ハンドボール選手権大会の成功を機に、先ほど触れましたADB総会のような経済会議や、アジア大会、ユニバーシアードのようなスポーツ大会等々、国際的なイベントを積極的に誘致し、本市経済の活性化のカンフル剤としていただければと考えております。  また、本市の建設業界は、今のところ未来国体に向けたインフラ整備のため、ある程度の需要には恵まれているものの、国の財政構造改革会議では公共事業を七%抑制する方向で論議が進み、本市でも住宅建設戸数を削減するなど、国体特需後の新たな需要の可能性を考えますと、決して明るい見通しとは言えません。建設業に携わっている人々は皆、国体が終わったら我々は仕事がなかばいという不安の声を口々にささやき合っています。公共事業の抑制は、建設業関連のみならず、ようやく薄日の差しかけた本市全体の景気にまで水を差すことにもなりかねません。  そこで、三角市長にお尋ねをします。  本市の現在の経済状況についてどのように受けとめておられるのか、また今後の経済活性化にどのように取り組んでいかれるのか、三角市長のお考えをお聞かせください。        〔三角保之市長 登壇〕 ◎三角保之 市長  税所議員にお答えをいたします。  現在の経済状況は、議員御指摘のとおり、各産業において回復の動きを見せてはいるものの、そのテンポは緩やかであり、回復の実感に乏しいものであります。  その背景には、バブル崩壊による深刻な景気後退の影響に加え、アジア諸国の著しい追い上げがあり、近年、激しい国際的競争が到来しているものと認識をいたしております。  今日、経済活動がグローバル化する中にあって、当然、地域経済といえどもその例外ではなく、今後二十一世紀に向けてこの地球的大競争時代にどう対応していくかを真剣に考えていく必要があると考えております。  このような中、本市といたしましては、食品工業団地の建設やお城まつりの開催など、商工業、農業、観光を初めとした主要産業の活性化に努める一方で、例えば国際経済社会への対応策として、ファズや海外貿易ミッションの派遣等を通じた海外経済交流を進めるとともに、医療、福祉や環境、情報など新規成長市場を念頭に置き、起業家を総合的にバックアップする施策を実施しておるところであります。  さらに、議員の提案にもございましたが、各種の世界的なイベントや会議を誘致する国際コンベンションの振興も、これからは大変重要な地域経済の活性化策の一つと考えております。幸いにして米国の姉妹都市サンアントニオ市は、今後コンベンションで生きていくというふうな状況でございまして、その学ぶところは大変大なるものがあるわけであります。そういうところも参考にさせていただきながら、国際コンベンション活動を続けていかなければならないと考えております。  ところで、国は、先般、財政構造改革会議の最終報告を受けて公共事業の圧縮の方針を打ち出しておりますが、仮にこれが一律に運用されますと、インフラ整備に大きな地域間格差が生じてまいります。しかしながら、道路や港などは申すまでもなく経済活動を支える重要な基盤であり、今後、市長会などを通じて、新幹線や高規格幹線道路網など、各種の公共事業の確保には万全を期していきたいと思っておるところであります。  いずれにいたしましても、私が目指しております「人情味あふれる豊かなまちづくり」を進める上でも、確固とした本市の経済基盤づくりは必要不可欠なものであります。  現在、産業界を初め、学界、行政の代表の方々とともに二十一世紀に向けた具体的な経済振興施策を検討いたしており、この会議からは本年秋にも提言を受ける予定であります。  今後これらを踏まえながら、地域経済の活性策にさらに積極的に取り組みたいと考えておりますので、議員各位の御支援を賜りますようお願いを申し上げます。        〔十二番 税所史熙議員 登壇〕
    ◆税所史熙 議員  ありがとうございました。  三角市長の経済活性化に取り組む決意をお伺いし、意を強くしたところであります。  さて、現在本市で推進されている経済振興のビッグプロジェクトとして、熊本ファズ事業と食品工業団地建設事業があります。しかしながら、熊本ファズ事業は、インポートマート建設の凍結など事業の大幅なおくれが見込まれ、他の指定地域の状況を見ても非常に厳しく、実現は困難との見方もあります。  また、この秋開業予定の食品工業団地「フードパル熊本」も、まだ用地の半分近くが未入居となっているなど非常に先行き不透明な状況にあります。両事業とも、第三セクターあるいは協同組合事業という運営形態のため、本市としては他力本願の形となり、ややもすれば計画が共倒れする危険性も懸念されるところであります。両事業の成否は本市経済の進展を大きく左右するものでありますので、今後もさらに積極的に対応していかれますよう重ねてお願いをいたします。  経済問題の終わりに、ここで、先般自民党市議団において、経済発展を続けているベトナム社会主義共和国の経済視察を終えた御報告を一言述べさせていただきます。  会派の海外研修の一環として先月五月七日から十一日までの五日間の日程で視察をいたしました。訪問しましたベトナムでは、長年の内外紛争により衰退した国家、経済などを立て直すべく、一九八六年からドイモイという改革路線、すなわち社会主義型市場経済の導入が進められております。ベトナム語で刷新を意味するとのことですが、特に、軍縮や行政改革を断行することにより、市場経済と対外開放を中心とした経済再建に主眼が置かれているものであります。  一九九〇年以降その効果が出てきており、外国資本との合弁事業も日増しにふえ、ホテル、レストランなどの建設が相次いでいるとともに、就労人口の割合も、主要産業であります農業から工業、建設業など第二次産業へと徐々に移行をしております。GNPも大幅に上昇し、日々発展を続けるベトナムの中で、私たちが視察した商都であるホーチミン市は、特に外国からの投資が最も多く、実際に訪問して、経済発展を続けるまちのエネルギーを実感することができました。それとともに、勤勉性、自国愛の強い国民性から、近い将来、東南アジアの諸国と肩を並べるほどに発展するであろうと確信をいたしました。  このようなことは、実際に現地を訪れてみないとわからないものでありますが、議員の一人として世界の情勢を自分の目で確かめ、本市の国際的発展に寄与するためにも、今後もさらに海外視察を続ける必要があると確信したところであります。  続きまして、一昨日の牛嶋議員の質問と一部重複する部分もあろうかと思いますが、本市の観光対策についてお尋ねをいたします。  昨年大分自動車道、玖珠−湯布院インターチェンジ間が開通し、九州クロスハイウエー時代が到来をいたしました。この横断道路の完成により、九州各県を初め、全国から物資や人の流れが活発となり、九州経済の活性化に大きな影響を与えております。  この九州横断自動車道が完成する前には、大分県から福岡都市圏へ人や物が流出するストロー現象が起こるのではないかと地元経済界では懸念されておりました。しかし、最近日銀のまとめたところによれば、大分県内で回収した現金が開通前よりも増加しているという逆ストロー現象が起きていることが判明をいたしました。これは、自動車道の開通により、福岡県や九州各県から大分県を訪れた観光客がふえたのが原因だということであります。  また、二年前の九州縦貫自動車道の全面開通により、鹿児島、宮崎は観光客がふえるとともに、鹿児島では企業誘致にも効果があらわれていると新聞に報じられていました。  一方、本市の状況を見ますと、熊本県の観光客は増加しているものの、熊本市圏の観光客は減少しております。この原因として、高速道路が開通したことにより通過型観光客がふえたためではないかと言われております。  さらに追い打ちをかけるように、これまで熊本の唯一の外国路線として海外からの観光客の誘致に大きく貢献してきたソウル線が、経営の悪化を理由に六月一日から運休されました。福岡、鹿児島への路線が継続されたまま、熊本への海外からの観光客の直接誘致が閉ざされたことは、熊本が完全に中抜きされた状態になったわけで、海外から九州の観光はねらわれているという話を聞き、今後の外国人の熊本誘致にとって非常に痛手となるものと考えられます。  また、ベトナム社会主義共和国を視察したときに、地元の人々に九州のことについて尋ねると、長崎、福岡は知っているが、ほとんどの人が熊本は知らないということでありました。  私は、このような状況を考えた場合、今までのような対応では観光客の誘致など図れないと思うのであります。この際、観光施策そのものを根本的に見直す必要があるのではないかと思うのであります。  例えば一口に観光と言っても、見る観光とは何か。買い物をする、そしてお土産を買う、そのような観光とは何か。体験をする、何かをする観光とは何か。テーマパークなどの施設で遊ぶ観光とは何か。そして食べる観光とは何かとさまざまなものが考えられますが、今後はこのようなテーマごとに根本的に発想の転換をして、本市の観光行政を展開しなければならないと思うのであります。  そこで、お尋ねをいたします。  高速道路の開通、九州各地の大型テーマパークの出現などにより、本市観光を取り巻く状況は大きくさま変わりをしておりますが、今後観光振興にどのように取り組んでいかれるのか、また、食品工業団地の観光利用とあわせて、経済振興局長の答弁をお願いいたします。        〔坂田憲一経済振興局長 登壇〕 ◎坂田憲一 経済振興局長  観光振興対策につきまして税所議員にお答えいたします。  近年、週休二日制の普及や自由時間の増大、あるいは人々の生活の視点等が余暇活動に置かれていることなど、観光を取り巻く環境は著しく変化いたしております。特にパッケージツアーの低価格化による海外旅行の増加、これに伴う国内観光の伸び悩みといった状況もございます。  また、九州においても縦と横の九州自動車道の全面開通や高速交通網の整備により九州内の往来が容易になったこと、また福岡に代表される都市観光や、各地におけるテーマパークの隆盛等、現在の主な観光動向を形づくる若い女性やファミリー層などの嗜好に合った新しい魅力ある観光地の出現でルートの多極化が進み、本市にとって極めて厳しい現状下でございます。  このような状況の中で、本市では多様化する観光ニーズに対応すべく施策を展開しておりますが、議員御提案のテーマごとに絞り込んだ観光宣伝を活発に展開することはまことに時宜を得ているものと思います。  したがいまして、本市といたしましては最大の観光資源でございます熊本城を本物の歴史テーマパークとして位置づけ、あるいは整備復元を図りながら、まず、日本文壇を代表する夏目漱石や小泉八雲などの文学足跡、清冽な地下水がわく水前寺や江津湖、それに漱石に名づけられた「森の都」に象徴される豊かな自然等々、こういったもののルートの見直しの強化を含め、あらゆる方法でのPRの強化を図りたいと思っております。  さらに、現在建設中の食品工業団地は、今までにない食文化の発信基地、食をテーマとした日本で初めての生活者との交流型団地でございます。観光の大きな比重を占めるグルメや体験観光の大きな柱としてこれを位置づけ宣伝することも必要かと思います。さらに、既存の観光地と連携させることで本市観光の活性化につなげていきたいと考えております。  さらに、国際観光振興策につきましては、これは牛嶋議員もお述べになりましたように、従来の台湾、韓国、香港地域での観光宣伝強化はもちろんのことでございますが、近年開発著しい東南アジア諸国につきましても、国際観光振興会を通じながらいろんな情報の収集、あるいは提供、さらにはインターネットを利用した情報の発信などを行いながら熊本の観光事情を訴え、誘致に精力的に向かっていきたいと思っております。        〔十二番 税所史熙議員 登壇〕 ◆税所史熙 議員  ありがとうございました。  社会経済情勢が刻一刻と変化する中、人々の志向も多様化しております。このような動きを的確に見きわめ、一歩先を行く観光行政を推進していただきたいと思います。  次に、市電の利用者拡大へ向けた取り組みについてお尋ねをいたします。  市電についてはこれまでも本会議や委員会でもたびたび取り上げられ、さまざまな論議がなされております。三月議会でも、交通の専門家であります佐々木議員より高度な質問がいろんな角度からなされたばかりであります。現在の市電の改革、改善等に関しては公営企業委員会で論ずるとして、利用者拡大へ向けた取り組みについてお尋ねをいたします。  大気汚染など環境に対する負荷が小さく、定時性にすぐれ、しかも低床で高齢者にも利用しやすい路面電車が再びクローズアップされてまいりました。  ヨーロッパやアメリカでは早い時期から公共交通の果たす役割が再認識されており、フランスのグルノーブルでは、一たん廃止した路面電車を復活させると同時に、パーク・アンド・ライドと組み合わせた交通システムを実現しております。  日本でも、衰退していた路面電車が最近になって見直されており、五月末には、全国の行政やまちづくり団体を集めた路面電車サミット'97が岡山市で開催され、時代にふさわしい路面電車システムの創造と発展に向け積極的に活動を展開するなどとするサミット宣言が採択をされました。  また、会場では、今秋国内で初めて超低床電車を導入する熊本市交通局の行徳事業管理者が、導入意義や目的を報告されたということであります。  一方、熊本においても、平成七年十月に設置された専門家や交通事業者などをメンバーとする熊本都市圏公共交通検討専門委員会の検討最終結果が本年三月に報告されました。この中で今後の市電のあり方も示されており、既存市電のグレードアップ化のほか、新交通システムの導入の検討の中で、路線の延長、もしくは市電のガイドウエーバス、ライトレールへの置きかえなどが示されております。  しかし一方で、ガイドウエーバスは環境面でやや難があり、ライトレールは国内での実績がなく、技術基準や法制度の問題が存在するという課題も指摘されております。  そこで私は、これらの案の中で、利用者を拡大する上では市電の路線延長が最も有効ではないかと考えるのであります。  全国的な事例で申しますと、例えば、大勢の人が集まる東京の後楽園や千葉にある幕張メッセ、また大規模開発が行われた東京の臨海副都心などへは定時性のある公共交通である電車や地下鉄が引かれ、貴重な移動手段として広く利用されております。  そこで私は、市電を、東は健軍電停から現在建設中のグランメッセ熊本を通ってパークドームまで、また西は田崎橋電停から国体プールを通って熊本新港まで延長してはどうかと思うのであります。  来年四月の開設を目指し建設が進んでいるグランメッセ熊本の近くには熊本空港インターの建設も進められており、完成すれば、市内に最も近いインターとして熊本経済に及ぼす影響は大きいものがあると予想され、健軍市街地からインター周辺までの地域が発展することは明らかであります。  一方、熊本新港は平成五年に開港した本市待望の外港であり、国内外への物流窓口として、本市経済の発展に大きな役割を担っていくとともに、流通の一大拠点となるものと思われます。インフラ整備も進んでおり、特に、近見沖新線が国道五十七号東バイパスと結ばれれば、高速道路のインターや空港との流通ルートが確立され、さらなる発展も期待できるのであります。  近い将来には、これら経済拠点、流通拠点へ向けた郊外化も考えられることから、利用者の拡大を図るためには、この地域への市電の延長は有効な方法だと思うのであります。  この実現のためには、膨大な事業費を初めいろんな課題があるとは承知をしておりますが、建設省の補助制度も新設されたことですし、この問題を一歩前進すべき時期に来ていると考えておりますが、都市整備局長の答弁をお願いいたします。        〔田尻紘都市整備局長 登壇〕 ◎田尻紘 都市整備局長  税所議員にお答えをいたします。  交通混雑の解消や地球環境保全のために、自動車交通を抑制し、路面電車を初めとした公共交通機関の利用促進を図っていくことが、欧米を初めとして世界の大きな流れとなってきていることは議員御案内のとおりでございます。  熊本都市圏における市電、バス等公共交通の将来のあるべき姿につきましては、熊本都市圏公共交通検討専門委員会の中で、当面の対策として、市電をグレードアップしていくこと、将来の新しい交通システムとしては、市電を延伸して活用するタイプ、もしくは市電をライトレールかガイドウエーバスに置きかえて高速化するタイプが有効であるとされたところであります。  ただいま、議員から市電延伸についての御提案をいただいたところでありますが、その実現に当たってはさまざまな解決すべき課題はありますものの、熊本都市圏における拠点施設間を有機的に連結させる東西軸としての機能を果たすものと考えられます。  現在、欧米において路面電車が見直されつつある状況を踏まえて、国においても新たな補助制度を創設するなど積極的に取り組む動きが見られるため、その動向を見きわめていきたいと考えております。  いずれにしましても、二十一世紀に向けたまちづくりを進める上で、公共交通の果たすべき役割はますます重要となることから、本市においても、我が国では初めてノンステップの超低床電車を本年秋口には営業運転の予定であり、またプリペイドカードの導入を行うなど、今後とも幅広く市電、バスの活性化に力を入れていく所存でありますので、議員各位のますますの御指導、御協力をお願い申し上げます。        〔十二番 税所史熙議員 登壇〕 ◆税所史熙 議員  ただいま都市整備局長から答弁をいただきましたけれども、市電の問題はまさに本市の将来の都市づくりそのものの問題であると考えております。それゆえに、市電の路線延長を実現するためにはさまざまな問題があり、超えるべきハードルは高くて多いわけでありますが、私はあえて市電の路線延長をお願いしているところであります。  本市を東西に結ぶ市電の路線周辺、例えば中心部においては手取本町や上通A地区の再開発が進んでおり、その中心市街地再開発の中を市電がどう通過していくべきか、また熊本駅周辺では新幹線問題とも関連して駅周辺整備が喫緊の課題となっており、熊本駅前広場の整備の中で、駅と市電との結節をどう円滑に結びつけていくか等々、市電の延長は単に東西の問題にとどまらず、本市全体の都市計画の問題としてクローズアップされてくるのであります。  三角市長は定例的に県市の協議をしておられると聞いておりますが、ただいま申し上げましたように、市電の問題や新幹線整備、駅周辺整備等、本市の重要な都市問題については知事とのトップ会談で取り上げ、実現に向けて御尽力をいただきますよう期待をいたしまして次の質問に入らせていただきます。  地下水問題についてお尋ねをいたします。  昨年は、本市の地下水保全にとって大変意義のある年であったように思います。まず、地下水保全都市宣言二十周年の節目の年でありました。私は、平成七年の第四回定例会において二十周年記念行事の開催を提案しましたが、平成八年十一月二十九日に、八景水谷公園の水の科学館において記念式典が行われ、市民の皆様とともに宣言の趣旨を再確認したところであります。  また、県市共同で熊本地域地下水総合保全管理計画が策定され、量と質の面から地下水保全の方向性が示されたところであります。  さらには、地下水を市民共有の財産として位置づけ、地下水の大口利用者を公表することになりました。このことにより、市民一人一人が熊本の地下水の重要性をさらに強く認識することになったと高く評価をしております。  今後、この地下水保全都市宣言二十周年を節目として、新たな地下水保全への取り組みが求められている中にあって、さらに本年度からは、不用になった浄化槽を活用して雨水の利用を促進する事業や、汚染浄化のための予備調査の実施など、新たな事業も展開されることになっております。執行部のより一層の努力と、行政と市民、事業者の三者が一体となった取り組み、あるいは県や周辺市町村との広域的な連携をさらに深めた取り組みを大いに期待するものであります。  さて、地下水の量と質についてはさまざまな問題がありますが、本日は私がかねてから懸念しております身近な問題二点についてお尋ねをいたします。  まず一点目は、地下水の量の保全に関し、自噴する井戸の適正な利用についてであります。  通常の井戸では地下水をくみ上げるために動力ポンプが必要ですが、地下水の圧力が高い地区では動力ポンプがなくても自噴いたします。自噴した地下水が何らかの形で活用されていれば問題はありませんが、大部分は垂れ流しの状態で、実際利用されているのはごく一部にすぎません。自然にわき出る水、いわゆる湧水は水辺環境保全の上からも貴重な存在であることは言うまでもありません。  しかし、我々が人為的に掘った井戸から地下水が自噴し、その地下水が何ら利用されずむだに捨てられていることは、地下水保全が極めて重要な課題となっている今日、大きな問題ではないかと思うのであります。  こういった自噴井戸は秋田、沼山津地区や画図地区、田迎地区などに数多く存在するようであります。むだに捨てられる地下水の総量は本市全体では膨大な量になると推定をされます。自噴井戸の数を仮に一千本としますと、少なくとも年間二千万立方もの貴重な地下水が無為に流れ出していることになります。この量が市水道局の給水量の二割以上の量に当たることを考えますと、事の重大さを改めて認識させられるのであります。  平成五年から六年にかけて、県市協同で行われた熊本地域地下水総合調査によりますと、地下水保全対策を何も講じなかった場合には、平成二十二年には、熊本地域の主要な涵養域であります白川中流域で地下水位が五メートルも低下すると予測しております。  このまま地下水位の低下が進みますと、自然が与えてくれた貴重でかけがえのない、熊本地域の水がめとも言うべき地下水帯水層が空洞化し、最後には永久に貯水能力がなくなると言われております。万一このような事態になれば、後世に大きな禍根を残すことになり、これを避けるためには、たとえ小さなことであっても、取り得る手段をすべて講じるべきではないかと思うのであります。  したがって、これまで進めてこられた涵養対策や水利用合理化対策などと並行して、自噴井戸の垂れ流しをとめて、地下水が適正に利用されるよう種々の対策に早急に取り組む必要があると思います。  また、本議会の中でも、地下水を保全するための協力金の問題が取り上げられております。協力金についてはさまざまな角度から検討がなされているようでありますが、このような課題があるからこそ自噴井戸に対してもきちんとした対応が必要ではないかと思うのであります。  そこで、自噴井戸の実態を把握しておられるのかどうか、また今後どういう対策をとられるのか、お尋ねをいたします。  二つ目の懸念は、地下水の質に関連し、使用しなくなった井戸から汚染物質が地下へ浸透しているのではないかということであります。  聞くところによりますと、古い掘り抜き井戸がごみ捨て場になっている例や、洪水のときに埋め戻しをしていない井戸から濁流が渦を巻いて吸い込まれる例などがあり、地下水質の保全の観点から早急に改善すべき問題であります。  一度汚染された地下水がなかなか浄化されないのは、高平台地区や東野地区の汚染の例から見ても明らかであります。汚染の可能性のあるものは徹底的に排除することが地下水汚染を未然に防ぐことにつながるのだと思います。  そこで、地下水汚染を防ぐため、使用しなくなった井戸に対して、どのような対策を考えておられるのか、お尋ねをいたします。  以上、環境保全局長の御答弁をお願いいたします。        〔澤田幸男環境保全局長 登壇〕 ◎澤田幸男 環境保全局長  税所議員にお答えいたします。  議員の御提案もあり、昨年、地下水保全都市宣言二十周年の記念行事を開催させていただきました。私どもは、この二十周年を節目として地下水保全への取り組みにさらなる決意を新たにしたところでございます。地下水保全都市宣言を決議されました市議会に対しまして改めて深く敬意を表するものでございます。  初めに、自噴井戸の実態把握についての御質問でございますが、熊本市地下水保全条例に基づいて届け出がなされております約三百八十本の井戸につきましては、設置の場所、使用用途、くみ上げ量などについて既に実態を把握しているところでございます。  しかしながら、自噴井戸全体につきましては、現在のところ完全な把握ができていないのが現状でございます。御指摘のありました秋田、画図、田迎地区を初めといたしました実態調査と、このような井戸で自噴停止が可能かどうかのモデル実験にも着手してみたいと考えております。  今後、これらの実態調査や実験結果を踏まえまして、自噴井戸の適正な利用の推進を図りますとともに、さらに、新しく掘削される井戸に対しましては、自噴水量をコントロールできる構造とするための技術的な施工マニュアル等も策定したいと考えております。  また、地下水採取事業者で構成します熊本地域地下水保全活用協議会に対しましても、止水バルブの取りつけによる地下水の適正利用を働きかけてまいりたいと考えております。  次に、使用しなくなった井戸の埋め戻し指導についてでございますが、熊本市地下水保全条例に基づいて把握している井戸に対しましては、汚染物質が浸透しない構造とするように今も指導しているところでございます。特に汚染物質を使用する事業所に対しましては、今後実態を調査し、汚染の未然防止の観点から指導を強化してまいりたいと考えます。  また、市民の皆様に対しましても、井戸の廃止に当たっては適切な埋め戻しがなされますよう広報啓発に努めるとともに、使用されなくなりました井戸の実態把握につきましても順次取り組んでまいりたいと考えております。        〔十二番 税所史熙議員 登壇〕 ◆税所史熙 議員  ただいま環境保全局長から、さまざまな角度から取り組んでいかれるという御答弁をいただき意を強くしたところであります。  使用されなくなった井戸の実態把握については、広範囲であることから完全な把握となると困難な面もあろうと思いますが、着実な取り組みをお願いしたいと思います。  次に、新設インター周辺の道路整備、都市計画道路新外秋津線の第二空港線との交差点整備、桜木小学校分離新設校の通学路等の整備についてお尋ねをすることにしておりましたが、藤山議員より関連する質問がありましたので、この地域の問題について要望をいたしたいと思います。  以前私がお願いをしました都市計画道路新外秋津線の花立商店街は、その後道路環境整備事業に取り組んでいただき、大変美しくなった、大変広く感じると、地元では大変感謝をしております。まずは心から御礼を申し上げる次第であります。  さて、この桜木小の分離新設校が開校しますと、現在の桜木校区の自治会も二つに分かれ、子供を中心とする生活道路の流れも変化をいたします。さらに、グランメッセ熊本やインターチェンジも完成しますと、この地域は大きくさま変わりすると思います。  そのような中で、新設校区では今まで以上に通学路が狭くなったり、家から遠くなる児童もおり、児童が安全に、そして最短距離で通える通学路の整備と新しい公園整備に対する強い要望がございます。  さらに、現在の桜木校区にも地域の集会場さえないわけでありますので、二つに分かれた校区にはいろんな要望があると思います。まだ正式に両校の自治会の整備ができておりません。自治会ができましたらお願いに上がりますので、そのときは積極的に取り組んでいただきますよう、よろしくお願いをいたします。  私は、議席をいただいてから六年、登壇のたびに健軍地区の諸問題を取り上げてまいりました。  道路網の整備、鴬川流域、桜木小周辺の治水対策、東野中、桜木小のマンモス校の解消、六嘉県道を中心とした秋津レークタウン周辺の整備、桜堤に包まれる秋津川の環境整備、建設予定地のない桜木校区の集会場の設置、花立商店街の道路環境整備等々、このうち整備完了のもの、未整備のもの、協議中のもの、いろいろありますが、この六年の間、健軍商店街には、アーケードはでき、商店街の支援施設であります文化センターはでき、そして夢にまで見た健軍地下駐車場の計画は進み、矢継ぎ早に次から次へとまちづくりに取り組んでいただきました。残念ながら地下駐車場はできませんでしたが、まちづくりは着々と進んでいるようであります。  前田尻市長は、健軍を新都心として位置づけをし、その発展に全力を尽くすという決意をいただいておりました。その後東部地区を取り巻く環境は、空港インターの建設や周辺のパークドームやグランメッセ熊本の建設など大きくさま変わりをしてきております。今後は健軍地区を中心とした東部地域全体の整備構想を策定し、その構想に沿ってまちづくりをしていかなければならないと思う次第であります。  ここで、私のまちづくり構想を少し述べさせていただきたいと思います。  まず、何と申しましても、健軍電停を中心とする高次都市機能集積ゾーンであります。そして、下江津湖から秋津川のほとりを取り込んだ自然環境、歴史ゾーンであります。そして桜木を中心とした閑静な高級住宅ゾーンであります。  高次都市機能集積ゾーンの中核施設として、市電を動物園前の坂道から健軍終点まで地下化し、大津、菊陽、西原、木山、そして嘉島、御船、甲佐等、周辺市町村との交通結節点となる地下交通ターミナルをつくり、デパート、専門店などが入った再開発ビルを建設するのです。そうすれば、先ほどお尋ねした市電延長との相乗効果により広域拠点性を備えた商業地域が実現するのであります。そうなると、現在の第二高校のある官公庁街を含めた高次都市機能を備えた健軍地域が誕生すると考えます。  自然環境歴史ゾーンは、下江津湖から東部浄化センターの広場を整備し、さらに秋津川のほとりを散策しながら、熊本市民の貴重な水源であります秋田地区に親水公園をつくり、福井市との姉妹都市締結で脚光を浴びた横井小楠記念館、四時軒があるという歴史と自然が一つのストーリーとなって展開されるのであります。
     またさらに、閑静な桜木の高級住宅街を背に路面電車が走る秋津路と、このようなまちができると東部地区に広域拠点性の高い新都心ができ上がります。中心部への一極集中による弊害が顕在化している本市の都市づくりに大いに寄与するものと考えております。  そこで、この地域に将来の姿を明確にした地域開発ビジョンを策定し、その実現を図らなければならないと決意を新たにしております。新都心健軍のまちがすばらしいまちになっていく夢を見ながら、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)      ───────────────── ○主海偉佐雄 議長  この際、議事の都合により休憩いたします。  午後二時に再開いたします。               午前十一時二十八分 休憩               ────────────               午後 二時  三分 再開 ○主海偉佐雄 議長  休憩前に引き続き会議を開きます。      ───────────────── ○主海偉佐雄 議長  質問を続行いたします。下川寛議員。        〔十四番 下川寛議員 登壇 拍手〕 ◆下川寛 議員  平成クラブの下川寛でございます。まずもって、本日登壇の機会を与えていただきました先輩並びに同僚議員に心から感謝申し上げながら質問を進めてまいりたいと思いますが、恒例によりまして、質問の前に若干本日の私の質問のテーマをお話しをさせていただきたいと思うわけでございます。  インターナショナル、グローバル、こういった言葉をよく耳にされることかと思います。国際化ということが言われて久しいわけでございますが、一九六〇年に端を発しましたこの国際化というもの、近年若干趣を異にしてまいりまして、国際化のスピードが急速に進展をしてまいった。それだけではなく、さまざまなシステムがいろんな形で急速な展開を見せておるわけでございます。  ボーダーレス化、脱国境化という動きが近年非常に強くなってまいりまして、大きな国のシステムだけではなく、中小企業や個人といったところまでグローバル化をしてまいっているわけでございます。  これまで社会の中で言われていた国際化とかインターナショナルという言葉は、いわば国対国、自国と海外というような感覚が非常に強かったわけですけれども、近年言われておりますこのグローバルというものは、文字どおり地球全体での一体化でありまして、地球規模での思考行動を考えるというような意味になってきておるのではないでしょうか。  インターナショナルな行動ということと比べてみますと、インターナショナルは単に外国へ向かった行動ということでございまして、グローバルで考えた場合は、すべての国が一つであるということは言うまでもないことではないかと思います。  このグローバル化時代、この時代において最も大切なものは何か、それはローカルであろうと。つまり自分たちの住んでいる地域、足元であり、地元ではないかと考えます。ここで言うローカルとは田舎という意味ではなくて、その地域という意味でありまして、例えば東京でもニューヨークでも一つのローカルたり得るわけでございます。  そういったグローバルとなりまして、愛国心という意味は別にしまして、国という意味が薄れてきますと、ローカルというものが非常に意味を増して大切になってくるわけでございますが、このローカルを大切にしてしっかりと地域を固めながら世界をまたにかける、そういう思考行動が現在求められているのではないかと思います。  そこで、こういう時代に何かキーワードはないかということで、今社会の方でも考えていらっしゃるわけですけれども、一つ、グローバルとローカルを合成したグローカルという言葉が今後のキーワードとして最近叫ばれております。そこで私も、このグローカルということをキーワードとして私たちのまち熊本、私たちの地域をしっかり考えるというこのまちづくりを主体に今回質問を進めさせていただきたいと思うわけでございます。  これまで、私、質問の中で必ず福祉をやって、教育をやって、それからまちづくりをやるというスタンスで進んできたわけでございますけれども、教育民生の常任委員会に籍を置きましたので、そちらの問題については常任委員会の方でやらせていただきたいと思っております。  そういうことを話しながら質問通告に沿って質問に入っていくわけでございますが、前回からお話ししております、特にまちづくりでございますので、他都市の状況を調査してとか、そういう横並びの発想を避けていただいて、当然ながら議会用語も避けた明確で簡潔なる答弁をお願いいたしまして質問に入っていきたいと思います。  まず、まちづくりの基礎に関する事項としまして、一点目に、その基礎でありますマスタープランについてお尋ねをしたいと思うわけでございます。  先ほど申しましたグローカル化の時代のために、このローカル、私たちの地域をしっかりと固めるのに何が必要かということを考えました折に、やはりまちづくりの指針であり目標であり、また市民から見ますと夢であるマスタープラン、そして都市計画、そういったものが必要ではないかと認識を新たにするところでございますが、本市においてはどうでありましょうか。  九一年に策定をされました現在のマスタープランはバブル経済の真っ盛りに策定をされたものでございます。現在社会情勢が大きく変わって、経済状況、また財政状況が非常に厳しい状況にある中、果たしてこの九一年という時代に策定されたマスタープランでいいのかということを考え直してみました。  現在までこのマスタープランによりまして五千五百億円ほどの事業費が使われております。さらにこのマスタープランをすべて実行するためにはあと五千億円ほどのお金が要るということで聞いておるわけでございますけれども、これだけのお金が今の財政状況の中で支出ができるのか、しかも今のマスタープランを考えた場合に、明確な数値目標というものが入っていないわけでございます。バブル時代という右上がりの経済成長期にはそれでもよかったのでしょうが、現在都市の効率的経営というものが叫ばれる時代にあって、非常にそぐわないものになっているのではないかという危惧を抱いているところでございます。  マスタープランに関しましていろいろ庁内を調査してみますと、本市の職員の方も一部ではその不整合性を認識していらっしゃるようですが、このマスタープランの抜本的な見直しは毎年のローリングで行うと、そして三年後の新規マスタープランで基本的にすべてのことを変えていくというようなお話をお伺いいたしました。しかし、この三年間という大事な時期、ローリングで調整できる範囲を既に超えているのではないかと思うわけでございます。  本市では、このマスタープランのほかに国の政策によりますゴールドプランがあり、行革大綱ができ、都市計画マスタープランも現在策定中でございます。何かばらばらで進行しているなという感がぬぐえないわけでございますが、それらをすべて総合した一本のしっかりした新規のマスタープランが早急に必要なのではないかと思うわけでございます。ゴールドプランも見直しの時期を既に過ぎておりますが、このゴールドプランについても、一部で物議を醸しました財政的裏づけがないという大きな問題を抱えていたわけでございます。  そして今策定中である都市計画マスタープランにつきましても、財政の裏づけをとるようにはなっておりません。これでは今からの時代、本当に乗り切れるのかという不安はますます渦を巻いてくるわけでございます。  新規マスタープランをつくるに当たって私なりにいろんな条件を考えてみましたが、現状分析と情勢の予測をしっかりと行い、スクラップ・アンド・ビルドを旨とする。また、必要なものとその数値を市民のニーズに照らして確実に盛り込んでいただく。歳入と歳出のしっかりした予測に基づいた財政的裏づけを盛り込む。市民が取り組みに協力しやすいように理由と夢を盛り込む。また、まちづくりの基礎となる都市計画、特に都市拡大要件である交通体系を重点として盛り込んでいただく。  今申し上げました五点を条件として新規マスタープランを策定するべきではないかと強く思うわけでございます。  これまで市長諮問機関のたくさんの提言や意見もございました。しかし、提言や意見があるだけで、聞かれるだけで生かされてないという声も聞かれるわけでございます。また、それが生かされたときには、行政の常として年月がたち過ぎていて役に立たないものになってきておる場合もあるわけでございます。  事例を考えてみますと、ファッションタウン構想なるものがことしから策定をされて進んでおるわけですけれども、数年前、熊本に洋服関係のアンテナショップが非常に多かった。これでファッションタウンを推進したらという構想がございましたが、ことしでき上がったときには既にアンテナショップのかなりの数は撤退をしまして、本当に役に立つのかというのが疑問視される向きもあるわけでございます。  こういう事例にもありますように、市民生活の待ったなしの状態、それに即こたえていくために、できれば本年度、可能ならば来年度、そういう早い時期にマスタープランをしっかりとつくって、これからのまちづくりの指針を進めていきたいと強く思うわけでございますが、市長にお考えを賜りたいと存じます。        〔三角保之市長 登壇〕 ◎三角保之 市長  下川議員に総合計画についてお答えを申し上げます。  質問に入られる前に、下川議員の考え方をお聞きをいたしたわけでありますけれども、確かにいわゆるローカル、田舎のローカルじゃないローカルというふうなことを中心に、私どももメッシュのきいたまちづくりというふうなことを頭に置きながら現在進めておるところでございます。お考えの趣旨、よくわきまえさせていただきましたので、今の総合計画に照らし合わせてお答えをさせていただきたいと存じます。  既に現行の計画は、お話がありましたように七年目を迎えておるわけでございまして、主要事業の中には、事業のあり方や規模等の面で、社会ニーズと若干開きを見せている部分もあることは事実であります。  また、現在策定を進めております都市計画マスタープランを初め、二十一世紀で展開いたします重要施策に、総合計画で新たな都市づくりの基本姿勢と目標を示していかなければならないことを考え合わせますと、次期総合計画を策定する段階を迎えているという認識をいたしておるところであります。  御案内のとおり、今日の我が国は、急激な高齢化、少子化、国際化の進展、あるいは危機的な財政状況のもと、国、地方を問わず、さまざまな分野で改革が進められており、その中で、行財政構造、あるいは国と地方の役割分担までもが大きく変わろうとしているわけであります。  このようなことから、本市の将来の都市づくりの根幹をなす保健福祉、環境、教育あるいは社会基盤整備などの事業計画の策定に当たりましても、制度や財源などに現在のところ不透明な面も多いため、これからの改革の推移と進捗をいましばらく見据える必要もあると考えております。  いずれにいたしましても、現行の計画期間が三年余りを残す時期を迎えた今、次期総合計画策定に向けた新たな取り組みを進めていかなければならないわけであり、今年度から将来の人口推計を初めとする基礎調査などの策定準備を開始したところであります。  前回のマスタープラン策定におきましても、準備期間から合わせますと三年かかっているというふうにお伺いをしたわけでございまして、そうなりますと、順当にいっても基本計画の十年間が過ぎてしまうわけであります。一応その当時の基本構想を二十一世紀の前半というふうに定めてあったようであります。基本計画を十年間と、そして実施計画を一年ごとに見きわめを変えておったわけでありますけれども、いずれにいたしましても、議会の承認事項でもあることでございますので、議会の御協力を賜りながら、できるだけ早い機会に現在の社会情勢に合った基本計画を策定をしていきたいというふうに思っております。  今後、新しい総合計画の策定に際しましては、議員御指摘の都市構造や財源の裏づけといったことにも十分に配慮して、まちづくりに市民が夢を抱く計画にしてまいりたいと考えている次第でありますので、御支援、御協力を賜りますようお願いを申し上げます。        〔二十四番 下川寛議員 登壇〕 ◆下川寛 議員  ただいま市長さんからお考えを賜ったわけでございます。夢を抱ける企画というのは本当に大賛成でございます。  ただ、申し上げましたように、前回も三年かかっておるということでございますけれども、時間がかかっては本当に社会と整合性のとれない、意味のないものになってくるわけでございまして、一日も早い策定をお願いをいたしたいと思います。  策定に当たりましては、いろんな不透明で見切れない部分もあるわけでしょうけれども、それをいつまでも見据えている、また、見切る間に社会もどんどん進んでいくわけでございまして、いち早く策定をして、その後細かい部分をローリングで補うというような手法も考えられるのではないかと思うわけでございます。とにかく一日も早い策定を心からお願いをいたしたいと思います。  それでは続いて、まちづくりの基礎に関する事項ということで三点ほどお尋ねをいたしたいと思うわけでございます。  まず、その一点目としまして、まちづくりの基礎ということを考えたときに、阻害する要因は何かということを考えてみますと、排水接続の同意ということが挙げられるのではないかと思います。浄化槽で例を見ますと、八年度に一千三百五十二基の設置の申請がございまして、うち九百十八基が同意書の添付を必要といたしておりました。  ここで、私も一市民でございますので、素朴な疑問なのですが、浄化槽は環境基準を満たした処理水が排水となって排出をされるわけでございまして、どうしてそれに同意が必要なのかなということを考えるわけでございます。  また、単に浄化槽設置ということではなく、都市計画法の開発行為の方で見てみますと、計画法の二十九条の申請の事前に、都市計画法の三十二条で、関係所有者と言いますか、関係管理者の同意が必要という規定があるわけでございます。法の規制により開発行為の場合はきちんとした利用計画も立ててあるわけでございますけれども、そういうきちんとした利用計画を事前に法律で審査しながら、さらにまたそこの排水を接続する同意が必要になるのかというのも同じく素朴な疑問があるわけでございます。  ただ、この三十二条の協議の場合におきましては、いろんな事務の取り扱いに関する定めによりまして同意書が必要とされている部分もあるようでございますが、そこの中で定めをしてございます利害関係人と協議をするようになっているわけでございます。一般的には土地改良区、いろいろなものが考えられるわけでございますが、どうしても農地関係の利害関係人というのが多いようでございます。  市街化調整区域で開発を行う場合は別としましても、市街化区域の中で開発行為を行う際にそういった農業関係の利害関係人、確かに現実的にはいらっしゃいます。しかし、都市計画法を例にとってみますと、市街化区域の中で農地関係の利害関係人があるわけはないのです。都市計画法では市街化区域には農用地があってはならないという定めがあるわけでございまして、非常にこれは法には矛盾するのではないかというふうに素朴に思うわけでございます。  一般的な法解釈では、こういった申請に対する排水接続の同意書は法的要件ではないとされている部分もあるわけでございまして、どうも私の調査したところによりますと、単に国有財産部局長、いわゆる県知事が紛争の未然防止という立場から証明をさせているだけではないかというような気もいたします。  このようなことから考えますと、浄化槽の設置への排水接続の同意、また開発行為への同意書の添付というのは不要であるということを強く思うわけでございますし、また、先日発行されました行政改革推進プログラムにおいても、各種申請手続の簡素化ということがうたわれているわけでございます。  同意書の添付ということが定めのある部分としましても、一般的な考えとしましては、協議をしましたよという協議経過の報告書というものでも足りるのではないかと思いますが、このことに関しましての御所見を関係局長にお伺いをいたしたいと思います。  続いて二点目としまして、道路の問題についてお尋ねをいたします。  道路の整備、改良ということはやはりまちづくりの基礎ではないかと思うわけです。熊本市道を見てみますと、そういったまちづくりという観点から見ましたときに、道路の権原を持っているものは非常に少ないということに気がつくわけでございます。本来国有財産である里道の上に市道の認定をかぶせましても、道路法の九十条で譲与を受けて権原を取得する必要があるわけですけれども、そういった手続もなかなかできていない。  権原を持たないということがどういうことかということで考えてみますと、例えばいざというときにその道路を改良したりつけかえをしたり、必要によっては廃止をしたりする、そういうときに自分が所有権者でなければ自由にその道路をいじることができなくて、まちづくりの大きな阻害要因になるということがあるわけでございます。  また、そういった公共用地という部分から離れて私有地で熊本市道にかかる分を見てみましても、俗に未登記という言い方をされているわけですけれども、その未登記が市内に数万筆ある。何で数万筆かといいますと、実数がつかめないというわけでございます。  本来は本市の財産規則で財産台帳の整備ということが義務づけられているわけでございまして、財産台帳があれば未登記数がどれだけあって、その土地はだれが持って、どういう経緯で所有権が移転しているんだというのがわかるはずでございますけれども、なぜか道路管理者だけが財産台帳を持っておりません。  委員会の中などでも都度都度指摘をしてまいりましたけれども、なぜいまだに財産台帳の整備がなされないのか強く疑問に思うわけでございます。どうなっているのか、これをお教えいただけたらと思います。  また、その未登記を確認するためにと言いますか、道路の区域を確認するために道路台帳整備というのが進められているわけでございます。この道路台帳整備地区ではわりかし未登記の数というのが明確に出てきているわけでございますけれども、国有財産以外に熊本市道になっている部分で九千八百件道路敷に入っているということで、敷地の寄附の意思表示をいただいておりますが、その九千八百件、当然熊本市に登記する必要があるわけです。ただ現在のところ、調べてみますと、それが熊本市に登記されたのは約二〇%の二千件弱でございます。七千八百件が未登記として私有地のまま熊本市道敷に残っているわけでございます。  無理もないことかと思いますが、これを処理している職員はたったの三名、嘱託が三名、六名しかいないわけです。六名でこの九千八百件、残りの七千八百件をまた扱っていくわけですけれども、道路台帳整備地区は事業が進展するに伴いましてますます未登記というものがふえていく。それに当たってたったの六名では処理できないのが当たり前ではないかと思うわけでございます。  処理できずに積み残していった場合どうなるかと言いますと、名義人が亡くなられた場合、相続人が発生しまして、名義人は熊本市にあげると意思を表示されていたとしても、相続人のうちの一人がやりたくないと言われた場合は登記が不可能になるわけでございます。また、相続の登記というのは非常にややこしい分もございまして、だんだん登記が不可能な部分として熊本市道の中に個人の所有権が積み残しになっていくと、結局は道路の権原を持てずに道路をつけかえることもいじることもやりにくくなって、まちづくりを阻害していくという弊害が出るわけでございます。  今の個人所有地でちょうどいい例があるのでここで御紹介をしたいと思います。  池田二丁目に道路が通っておる部分がございまして、登記簿を調べてみますと、登記簿の表題、本来の所有者を示すところではない部分に四十人名前だけが載っておる、住所も何もない四十人の名前だけです。で、明治時代のかなり古いものですから、ほとんどが亡くなられておるだろう、これの相続人さんを追っていったら恐らく四百人から五百人、現実に登記問題は不可能になっておりますが、これがまた時間がかかれば、四百人の方が死亡されれば、子供さんが二人いらっしゃっても、それからまた八百人、だんだんネズミ算式にふえてくるわけでございます。早急にこの未登記を解消する必要があると思うわけでございますが、どのようにお考えでしょうか。担当職員を増員するか、民間に委託して本当にさっさと処理していただきたいものだと思うわけでございます。  この未登記につきましても、寄附をしたいということで意思表示をしていただける分についてはまだ処理のしようもあるのですけれども、購入してくれと言われた場合、私の頭の中だけで考えましても数百億のお金がかかるのではないかと、今の財政状況の中で買うことは到底不可能でございます。  そこで、私もいろんな方法を日夜考えておりましたが、一つの案を思いつきましたので、その案を提示しながらお考えを賜りたいと思うわけでございます。  時効取得という便利なシステムがございます。善意で不法占有しておっても十年たてば自分のものになる、悪意で占有しても二十年たてば自分のものになるというわけでございます。  例えば、地元の話で恐縮でございますけれども、京塚地区、昭和四十八年にそれまでの複雑な土地の権利関係の事情が整理をされまして、地主さん方と正式な和解書が締結をされております。その和解書の中で、道路敷地は市に寄附しますということがしっかり明記をされているわけでございますけれども、いまだに用地の処理が終わっておりませんで、個人名が残っております。  例えば今のような事例を考えますと、既に二十数年を経過して時効取得の対象地ではないかと思うわけでございます。そういった時効取得ができるところについては、そういう手法を適用してどんどん未登記を処理していけるのではないかと思うわけでございますけれども、費用がかかるお話でございます。  そこで、費用がかかることへの対策もあわせて考えてみました。この時効取得申請にかかる費用、それをどこから捻出するかと言いますと、熊本市の市道敷はたくさんの不法占有を受けております。例えば健軍町で、道路がそこにあるということを認められた上で道路上を全くお店にしていらっしゃる例、これは現地に立ち会いに行きますと、そこが道路敷ということを認められておりますので、屋根の上に道路境界の印を御本人さんも市も納得した上でつけて帰ってくるという事例もございます。  また、別のことを考えてみますと、高江町あたりでは、道路を一本丸々お店にしていらっしゃって、本人さんは御存じなかった。道路を占有してますよというお話をすると、それならきちんとした整理をしたいので払い下げてもらえないだろうかと、そのとき改めておっしゃったというふうな事例もございます。  そういうところから思いついたわけでございますけれども、そういう不法占有物件を、どうせ道路として使われていないわけですから、この際御希望があれば払い下げをして、その払い下げでいただいた対価をこういった未登記の処理の財源に使っていただいたらどうかと思うわけでございます。  いろんな勝手な言い分でございますが、御所見をぜひ賜れたらと思いますし、また、さらにせっかく道路の話をしましたので、もう一点心配な事項をお尋ねをしたいと思うわけでございます。  市道に認定をする場合、皆さんよく御存じのように内規がございまして、道路の幅、それから物件の撤去、そして敷地を寄附をいただくというような条件がつくわけでございます。ただここにちょっと心配になる落とし穴がありまして、道路の幅を四メーター確保していただいたときに、例えばそこにブロック塀があったと、現在はこれを壊していただいて四メーターきちんと空地を確保した上で敷地の寄附をもらっているわけです。  ところが、現地はでき上がってから申請をいただくのですけれども、私たち議会にはそれを採択する権利と同時に否決する権利も一応あるわけです。これは道路法の規定で議会の議決を得ることというのが市道の認定条件になっているわけなのですけれども、もし、現地ができておってすべての条件を市民の方のお金で整えていただいた後に何らかの事情があって否決をした場合、その場合の費用の支払いはどうなるのか。市役所がさせておいて、なりませんでしたから、それは払い損ですねということで納得がいただけるのかという点を非常に心配をしております。大事な財産である土地をただでいただいておいて、お金を払わせて、さらに何にもできませんでしたということが果たして通用するのかということを感じるわけですが、あわせてお考えをお聞かせいただきたいと思います。  また、この項の最後として、地籍調査の推進についてお尋ねをしたいと思います。  土地の境界の確定、結局財産を明確にするということはまちづくりのやはり基礎ではないかと思うわけです。国におきましても、国土の利用の高度化に資するため国土調査法が設けられまして、全国でも二千強の市町村で実施をされまして、うちの八百七十三市町村は既に完了しております。  本市でも、全国でもまれな、絶対に解消不可能だと言われた字図混乱地区を抱えまして、地籍調査を推進したわけですけれども、地籍調査でその字図混乱地区が解消したばかりか、既に今や市域の面積にして三割、筆数にして半数を完了しております。非常に画期的なことでございまして、方式も全国から注目を集めておりまして、国土庁を含め既に二百七十九の研修来庁者も本市にあっております。  ただ、これも七年がかりでやっとここまでこぎつけたということで、いろんなことを考えますと、一日も早く、市民の財産を含め行政の財産もすべて確定、完了する必要があると思うわけでございますが、この地籍調査は、単に境界が確定して財産を保全できるということだけではございませんで、いろいろ調べてみますと、福祉行政や防災行政にもこの情報を生かすことができているわけです。  防災の観点で例を申し上げますと、先日神戸市を調査しました折に、災害復興時に区画整理を行おうとして頓挫していると。境界が確定をしていないために換地の確定ができないわけでございます。今鹿児島の方でも地震が発生しておりまして、いつ本市も地震に見舞われるかわかりません。  私常々、災害復興時に、住みなれた場所に、住みなれた家に戻るために特例措置が必要なのではないかなと思って考えておったわけでございますけれども、やはり、いろんな現行制度の中、都市計画法、建築基準法その他を考えますと、特例の適用というのは難しいわけでしょうけれども、境界が確定して区画整理を実施することができれば、例えば上に積み上げた立体的な区画整理も含めていろんな手法が考えられると思います。この土地の境界を確定しておくことが最大の復興対策ではないかという専門家の意見もあるわけです。  また、地籍調査のときには当然権利者の方の予備調査を行うわけですけれども、その予備調査のデータがそのまま災害弱者のデータベースとなるように、既に本市の地籍調査課でも整備をされております。  地籍調査でそのほかのことも考えてみますと、道路の境界も早く確定をしますので、今熊本市道を改良する際に寄附をいただいても、なかなか境界が確定せずに分筆ができないで市道に取れないという事例もあっているわけでございますけれども、そういった隘路も簡単に解消するのではないかと思うわけでございます。  国の方は、このすばらしい地籍調査に関しまして補助をどれだけでもつけるというような話をしていらっしゃるそうでございます。あとは、単費負担分だけの問題になるわけでございますけれども、この単費負担分というのが地籍調査の推進を阻害している一つの要因ではないかと考えているわけでございます。  この地籍調査の単費、それでの事業費を若干試算してみますと、平方キロ当たり六千五百万円程度と、大きいか小さいかという話は譲りますけれども、このくらいの金額であるならば、費用対効果を考えると、もっと推進をするべきなのではないでしょうか。  平方キロ当たり六千五百万という費用はかかりますけれども、この費用は税収にて取り戻せるという試算もございます。例えば道路台帳整備地区、先ほど申し上げましたけれども、通常は六五%程度しか境界は確定しません。しかし、地籍調査地区に限って見ますと一〇〇%近いものがあります。道路の区域が確定すると交付税がそれに伴って増額になるわけでございます。  また地籍調査地区の一部範囲で私なりに試算をしてみました。固定資産評価を比べてみますと、ある地区で固定資産の評価替えのない時期を取り上げて試算したわけなのですが、その地区は地籍調査以前面積が二・六四平方キロありました。地籍調査後は二・七一平方キロに公簿上の面積がふえたわけでございます。そして地目も整理をされた。税収の評価に関しましては、現況地目ということでそれまでもかかっているわけでございますけれども、現実の地目が整理されて、中を積み上げてみますと、固定資産の評価額が三十億円増加をしているわけです。三十億円評価が増額すれば、それによる増収というのはかなり大きいものになるわけでございまして、こういうことから考えますと、ほとんど現実のお金の持ち出しなしに境界は確定できて地籍調査を推進できるわけでございます。  もっともっとこういう制度を活用して推進をするべきであると思うわけですけれども、この問題は担当の局長さんというよりも、財産を総括的に扱われる局長さん、それに予算も管轄しておられますので、総務局長さんにお考えをお伺いしたいと思います。        〔齊藤聰建設局長 登壇〕 ◎齊藤聰 建設局長  私からは排水問題と道路問題についてお答えをいたします。  まずお尋ねの排水接続同意書の取り扱いにつきましては、都市計画法に基づく開発行為の同意と、一般的な国有財産の使用許可に同意を必要とする場合の二通りがございます。  まず、開発行為の同意に関しましては、建設省国有財産部局長である県知事の委任を受けて私ども市が事務を行っておりますが、その取り扱いについては、県の定める取扱準則、この中で、利害関係人の同意書が添付書類として必要とされているものでございます。また、一般的な国有財産の使用許可に際しましては、国の定める国有財産取扱規則の中で、同じく同意が必要とされているところでございます。  したがいまして、本市といたしましては、国の定める規則や県の準則等に従って事務を行っているものであり、同意書の添付について、私ども独自に判断できるものではないとの考えでございます。今後、部局長であります県知事の意向等を十分踏まえつつ事務処理を行ってまいりたいと存じます。  次に、市道管理についての六点についてお答えをいたします。  まず、道路財産台帳についてでございますが、御案内のとおり、本市では昭和五十三年から道路台帳整備事業に着手し、平成八年度末で市道延長に対し七六%強を対象地区としてその整備に努めてきたところでございます。  この事業の目的は、道路の境界を明確にすること、並びに道路敷地内の未登記物件を整理することを主眼といたしておりまして、道路の財産台帳の作成を前提としたものではありませんが、この事業完結後の次の段階である財産台帳の作成が極めて容易になるものと考えております。
     なお、道路台帳を作成した際の関係調書によって、道路の現況や性格などがかなり把握できるものになっておりますので、当面はこの調書を整理、工夫することで財産管理に活用をしていきたいと考えております。  次に、未登記分の処理についてでありますが、道路敷地内の登記による権原取得は道路の管理を行う上で不可欠のものと考えております。このため、専従職員及び嘱託職員により登記事務を進めると同時に、公共嘱託協会へも委託を行うなど努力をいたしているところでございますが、相続手続の困難性、境界確定に時間を要することなどにより進捗が思わしくないのが現状でありますが、今後もさらにその進捗を図っていきたいと考えております。  また、部落有財産の登記については、登記簿上、表題部のみの記載が多く、道路部分の登記には現地の状況や財産管理の実態などを考慮しながら進めてまいりたいと存じます。  さらに、時効取得の問題につきましては、相手側の理解と協力を得ることを前提に、関係する法令等に照らしながら検討をしていきたいというふうに考えております。  不法占有物件につきましては、道路として存続させるかどうかの検討も含め、関係する地権者や地元の了解など、条件整備の可能性を見きわめながら対処をしたいと存じております。  最後の新規認定の御要望に対しましては、本市の採択基準に合うことを前提に、関係者の方々に十分な説明を行い、理解が得られるよう努めてまいりたいと存じます。        〔澤田幸男環境保全局長 登壇〕 ◎澤田幸男 環境保全局長  下川議員に、浄化槽設置時の同意書についてお答え申し上げます。  浄化槽設置時の放流同意につきましては、昭和六十三年に厚生、建設両省から通知が出て、浄化槽設置届け出の際に放流同意書の添付を義務づけることが違法であると明記され、これを受けまして、県から保健所、土木事務所、土地改良区へと同様の通知がなされております。  本市は、この通知に基づきまして、昭和六十三年に要綱を改正し、浄化槽設置届出書の添付書類から外しましたが、一部水利権者からの強い要請もございまして、指導事項として残してきたところでございますが、その結果として、ほぼ義務づけに近い状態となり今日に至っております。  本市のようなケースが全国的にも数都市残っているため、本年四月に、またさらに厚生、建設両省から添付を義務づけないよう改めて通知が出されました。  したがって本市では、浄化槽設置届出時の放流同意を指導にとどめて、同意書添付の義務づけについては、この通知を真摯に受けとめながら、市民の立場に立って、市全体の総合的見地によりまして、関係部局とただいま協議を重ねているところでございます。        〔野田晃之総務局長 登壇〕 ◎野田晃之 総務局長  地籍調査事業につきまして私の方からお答えを申し上げます。  地籍調査事業は、地図混乱地域の解消はもとより、市民財産及び公共財産の保全に寄与し、ひいては本市のまちづくりや土地利用の高度化にも資する重要な事業であると認識いたしております。  このような認識に基づき、これまで厳しい財政状況の中、本事業の推進を図るため、国庫補助の動向を慎重に見きわめながら、歳出全体の事業間バランス等を考慮しつつ予算の事務査定を行ってきたところでございます。  議員の御指摘にもございましたが、本事業の道路を初めとする財産管理上の効果、あるいは固定資産税等に与える効果等も十分踏まえながら、今後とも引き続き、関連部局と協議し対処してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。        〔十四番 下川寛議員 登壇〕 ◆下川寛 議員  道路の問題につきましては、道路財産台帳は暫定のものでもいいから一日も早く整備をして、未登記処理に役立てていただきたいものであると思いますので、よろしくお願いをいたします。  また、未登記の処理につきましては、どう考えても、例えば業者へ委託するとしましても、委託費と処理する人間が足りないのではないかという感じがいたします。その辺のところを増員していただいて、一日も早い処理をお願いいたしたいと思います。  また時効取得の問題につきましては、どの土地も一律ということでは考えられない問題が確かにあるのではないかと思いますし、ただ、相手の理解ということを本当に求める必要があるのかというのは感じるわけでございます。ケース・バイ・ケースで、有効になるところにはきちんと適用しながら進めていただきたいと思います。  また市道の認定に関する問題につきましては、その辺の、私が申し上げました心配点というのをよく十二分に御説明をされた上で、問題のないように事業を進めていただくことをお願いいたしたいと思います。  また、地籍調査の事業、非常に有効なものでございます。有効性を御認識の上、強力なる推進をお願いいたします。関係部局との協議ということでございましたが、担当の市民生活局長さんにも御理解の上推進をよろしくお願いいたしたいと思います。  それから、排水接続の問題でございますけれども、開発行為関連、その他国有財産に関するものにつきましては、部局長の権限に属していると、確かに本市で手の出ない部分ではあるのだろうなと思います。ただ本来、この部分がまちづくりを最も妨げている部分であるということをよく御認識の上、先ほど申し上げました法の矛盾点、それから答弁の中でありました違法性ということを主張しながら、市民の立場に立って、ぜひ廃止ということで、部局長さんに強力に働きかけていっていただきたいと強く要望いたします。  また、浄化槽の問題に係る部分、この部分については義務づけないという通知が来ているようでございますが、本当にそれを真摯に受けとめて、市民の立場に立ってされるという御答弁をいただきました。その答弁の中から読み取りますと、やめる方向で関係部局さんと協議をされているというふうに解釈をいたしたわけでございます。やめる方向でされているのであれば非常にありがたいことでありまして、まちづくりを阻害している、市民に要らない負担をかけている申請を軽減するという意味からも、一日も早いその方向での協議成立をお願いいたすわけでございます。  また、そういうやめる方向でという協議が調いました場合、私ども市民は、直接の窓口は都市整備局建築指導課の方になるわけでございます。その窓口となられる都市整備局長さんには、今の御答弁と同様の解釈をとっておられるものと私の方でも解釈をしておりますが、やめるという協議成立がなりました暁には、速やかに添付を廃止していただきたいと強くお願いをいたしておきたいと思います。うなずかれましたので、そのとおりだと思っておりますが……。  今申し上げました話は答弁から読み取った私の解釈でございます。ただ、今申し上げましたので、この解釈にもし執行部の方で御異議があるならば、私が次に質問しまして、その次立ってくるまでにぜひ御異議を唱えていただきたいということをお願いいたしておきます。  では次に、まちづくりの予備軍たる人づくりということに関しましてお尋ねを進めてまいりたいと思いますが、まずケーブルテレビの活用でございます。  ちょっと予定時間より超過をしておりますので、急ぎながら進めてまいりたいと思います。  インターネットというものが非常に発達をしてまいりまして、いながらにして世界じゅうの情報が取れると。いろんな議論の中で、インターネットについて誤解がある場合もあるわけでございまして、発信して、それがたれ流しでどこにでも入れるというわけじゃなくて、あくまでそれを取りに行った人が情報が取れるというものであるわけでございますけれども、そういうことの解消のために、プッシュ型のインターネット情報サービスというのも始まりまして、欲しい情報が自動的に入るような時代になってまいりました。プロパイダーという接続業者も乱立をして、接続環境も非常に整っているわけでございますけれども、こういった、どんな地域にいても、すべて世界じゅうの情報が手に入るという意味からしますと、絶好のインフラではないかと思うわけでございます。  ただ、今接続しましても、非常に速度が遅くていらいらする、また時間がかかって情報がなかなか取り出せないというような現場の声もあるわけでございますけれども、そのためにISDNというのも普及してきまして、六四六四一二八とよく宣伝があっておりますけれども、もっと速い回線も実はあるわけでございます。その速いと言われるISDNで例えば八分かかる十メガというサイズのデータを三秒で見ることができる。実はそれが何かと言いますとCATV、ケーブルテレビなわけでございます。ケーブルテレビの事業者は全国で二百あるわけですけれども、現在加入者が全国的に非常に伸び悩んでおるそうでございます。  ただ、そこの加入促進の切り札として、このインターネットへの接続業務というのが注目をされておりまして、この三月で既に十九局が免許を取得して、四十局程度が申請を今計画されておるそうでございます。このインターネットの普及によります情報伝達の高度化というのは都市の発展に必ず必要なものであると思いますし、人づくり、それから本市も出資しておりますケーブルテレビの経営安定ということにもつながるのではないかと思うわけでございます。  例えば、武蔵野三鷹ケーブルテレビというのがございますけれども、ここは既にこのサービスを始めておりまして、十時間つないだ人が三千三百円、ISDNよりも速いスピードで十時間つなげば七千百円と、ちょっと高いかなというふうに見えるわけですけれども、電話料金がかからない。普通につなげば、大体十時間つなげば三千円程度払って、それから電話料金を払うということを考えると、トータルではそう割高にはならないわけでございます。実際、市民の方に話をしてみますと、こういうサービスが始まればぜひ契約したいという声も多く聞くわけでございます。  先ほど申しましたように、ケーブルテレビには本市も出資をしておりますし、御厨助役も非常勤取締役として籍を置いていらっしゃいます。既に本市のインターネットも、このケーブルテレビさんの専用線を使っているだけなので、免許の関係がどうかわかりませんが、一般に開放するだけであるのではないかと思うわけです。ぜひこのサービスを開設するように働きかけをしていただきたいと思うわけでございますが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。  また、その通信ネットということに関連して、人づくりへの利用ということで、一つ御提案を交えながらお尋ねをしたいと思うわけですけれども、今確かにネットワークが発達をしておりまして、ポケベルそして携帯電話を利用した携帯情報端末、PDAというのが非常にメディアを賑わわせておるわけでございます。電話回線を利用していろんなことができるようになっておりまして、私も乗りおくれないように使っているわけなのですけれども、本市も乗りおくれないように、ホームページでいろんな情報を発信しております。  ただ、いかんせん、情報量が少ないというのは都度都度指摘をされておるところでございまして、リンクと言いますが、そこからどこにでも人のページに飛べるという機能を使って、例えば地元経済界のバーチャルモール(仮想商店街)に訪れた人にすぐ行けるようにリンクを張っていただいて、熊本市の特産品を通信販売ででも買っていただくとか、熊本市の情報と他都市のデータが比較できるようにリンクを張っていただくとか、そういう意味での一層の充実が必要であると思うわけでございます。  ただ、そういった充実も非常に必要であると思いますけれども、今の現実の社会を見てみますと、そのインターネットにアクセスできる環境がどこまで整っているかというのは、ある面では疑問であるわけです。やはり一般家庭では、コンピューターを置いて電話回線につなぐよりも、普通の電話機、これが唯一のマルチメディアへの道具ではないかと思うわけです。  そこで、この電話をもっと活用してはどうかという案を考えてみました。今いろんなことを調べてみますと、単なるこれまでの電話としての使い方だけではなくて、情報ネットワークを駆使した電話というシステムができ上がっております。一般の電話から相手と話すのではなくて、特定のネットワーク上の掲示板と、例えばどの分野の掲示板のどこに話すということを決めて話すわけですけれども、話した人は相手の都合を考えずに、留守番電話とも違う、特定の分野だけのところに自分の声で書き込みができるわけです。聞く方は自分の都合のいい時間に、特定のパスワードを使って、自分の必要な分野だけを聞き取るというようなシステムであるわけですけれども、これならば、特定の機器を利用しないために幅広い年齢層と、どんな環境の方にでも御利用いただけるのではないかと思うわけです。  広聴という方面にも使えますでしょうし、人づくりという観点からこのシステムを考えてみますと、いじめ対策にも利用できるのではないかと思うわけです。いじめは言うまでもなく、成長期に精神的外傷を残しまして、将来の成長に大きなつめ跡を残すわけなのですが、一番の問題は発見の難しさではなかろうかと、対策を講じても、これだけはどうしようもない部分があるわけです。  例えば、先生がどんなに子供に対して注意をしていても、先生方も忙しい、なかなか子供も先生に話さない。その話さないということを責任を感じる必要はないわけでして、思春期の子供というのは精神的に自立しようという意識が本能的に働くわけですから、親にも先生にも相談せずに、友達とつながり合ってその居場所を確保しようとしているわけです。  ところが、いじめられてその居場所のない子供がどこに居場所を見つけるか、避難信号を出すかというと、やはり相談所または自分の信頼できるところということになるわけでしょうけれども、今の日本の子供たちを見てみますと、相手があると話しにくいというどうしようもない現実を抱えている部分も見受けられるわけです。  例えば、本市の無料電話相談にしても四百件程度の無言電話がある。すべてがいたずらではないという保障はありませんけれども、相手がいたために電話を切ってしまったという実例があるのではないでしょうか。  たまたま先日テレビを見ていましたら、ベル友というのがはやっておりまして、ポケットベルのメッセージ送信を利用して、顔も見たこともない、名前も知らない相手にそのメッセージだけで話し合いをするわけですが、その子たちにインタビューがあっておりますと、相手のことを知らないから、しがらみがなくて、相手のことを気遣う必要もなくて、言いたいことを言えるのだというような話があっておりました。  それでは、今のシステムを利用すればあくまで一方通行です。相手がどんな人がとるかもわからない、顔も名前も知らないということで、一方通行のシステムを気軽に利用できるのではないでしょうか。少なくともいじめの発見という意味から見ると、一つの手だてとして使えるのではないかと思います。  ただ、このシステムもお金がかかるなら御紹介いたしませんけれども、一人当たり二百円程度で構築をできると、非常にわずかな予算なわけです。いじめだけではなく、広報や広聴、その他すべてのことにわたって使えるシステムなわけですが、こういう新システムの導入についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。        〔松村紀代一企画調整局長 登壇〕 ◎松村紀代一 企画調整局長  二点、私の方から御答弁申し上げます。  まず、ケーブルテレビの活用についてでございますが、ケーブルテレビ網を活用したインターネットサービスは、一般の家庭に安価で高速なサービスを提供することが可能であり、マルチメディア時代のインフラの一つとして大変有望視されております。  本市におきましても、昨年度、郵政省の補助を活用し、熊本ケーブルネットワーク株式会社内にシステムを構築したところでございますが、これが契機となって、社内でもインターネットに関する研究会が発足をいたしております。  しかしながら、会社の本格的なインターネット事業への進出につきましては、何よりも会社の意向を尊重する必要がありますので、市といたしましては、今後、議員の貴重な御意見をお伝えするとともに、全体的な支援のあり方を検討する中で、適切な助言を行ってまいりたいと存じます。        〔議長退席、副議長着席〕  二点目の通信ネットを活用した人づくりについてでございますが、今日、インターネット利用者が急増し、ネットワーク社会が到来したと言われておりますが、議員御指摘のとおり、機器の操作性や普及率ではまだまだ電話やファクスなどの従来のメディアには遠く及ばない面があろうかと存じます。  そこで、どこの家庭にもある電話を活用したシステムを構築してはどうかという御提案でございますが、現在進めております情報化の計画づくりにおいて、関係部署の意向も反映させながら、使いやすい機器の導入、あるいは広く普及しておりますメディアの活用について十分に考慮してまいりたいと考えております。  また、本市のホームページにつきましては、現在、基礎的なコンテンツが中心となっており、今後なお一層の充実が必要と認識をしておりますので、関係課との連携はもとより、市民や事業者との協力も図りながら、魅力あるホームページづくりに努めてまいりたいと考えております。        〔十四番 下川寛議員 登壇〕 ◆下川寛 議員  ケーブルテレビさんの方には、市民の声もぜひ伝えていっていただきたいものだと思いますので、よろしくお願いいたします。  またホームページは、先ほど申しましたように、経済界やデータベースと連携して充実をしていっていただきたいと思います。  それから、御紹介しました新しいシステムについては、本当に金のかからないシステムでございます。よく考えていっていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。  また、先ほど排水について質問しました折に念を押しておきましたけれども、どなたからも執行部側からは私の解釈に異議がございませんでした。発言のないときは賛成であるという会議の一般原則もあるわけでございます。よって、私の解釈は正しかったということが認められたのではないかなと思っております。廃止の方向で協議をしていただくということで、大変市民の立場からもありがたいものだと思っておりますので、改めてお礼を申し上げて確認をさせていただきたいと思います。  それでは、まちづくりの基礎の人づくりについてあと二点だけお尋ねをしたいと思うわけですけれども、当然、人づくりと言えば子育ての問題があるわけでございます。  近年、多々母親の嬰児殺しや育児ノイローゼによる悲報をよく報道で目にするわけでございますけれども、現在核家族化が進んで、これまでのようにじいちゃん、ばあちゃんからの育児情報というのが非常に不足をしているわけでございます。子供も人間であっていろんな個人差があるわけなんですけれども、現在の若い人たちはマニュアル世代ということが言われまして、何かマニュアル、指針がないと不安になるわけでございます。そういったことで育児書に頼るわけですけれども、育児書はその性格上、一般的なことしかやはり書けない部分があります。その、ただ一般的なことがある育児書に頼り過ぎて画一的になってしまって個性のない子供を量産していくという弊害も出ておりますが、マニュアルに頼り過ぎて、マニュアルどおりの発達をしない子供に異様な不安を抱くという弊害も一方で引き起こしております。  その証拠に、本市の育児相談の三分の一は発達相談という部分が占めておるわけでございますけれども、現在保健婦さんの家庭訪問指導と保健センターとか子ども文化会館での育児相談というのをメーンにいろんな相談事業を展開しております。ただ、このうち子ども文化会館は教育施設でございまして、子育て支援での育児相談ということを前面に押し出すのは非常におかしいのではないかと、教育的価値という側面から外れているのではないかという感もいたすわけでございます。  また、保健婦さんの家庭訪問指導については、回数も非常に少ないと言いますか、増員が要望されていたにもかかわらず平成三年から四名しか増員になっておりません。ただ、家庭訪問指導に当たる保健婦さんは一名減員になっているということで、七十九の小学校区数に対して六十三名しかいない。これではやはり満足な訪問指導もできないわけでございます。  そして、現在本市にもいろんなところから引っ越してこられた方が数多く住んでおられるわけですけれども、例えば保健センターとかそういった窓口のある場所に行って相談をしたいと、しかし場所もわからない、いつ相談があっているかわからないという声もよく耳にするわけでございます。  大都会でも同じような問題を抱えているのでしょうが、例えば東京の武蔵野市、また名古屋市あたりでは、子育てコミュニティーというのが設置をされております。子育て経験の豊富な市民の方の民家を家ぐるみ借り上げて、小規模の相談所として、自分の家から近いところで気軽に相談ができる場というのを提供してあるわけでございまして、本市にもこういう類似の施設が必要ではないかと思うわけでございます。  本市に似合ったシステムということで、自分なりにどういったものが適切かというのを考えてみましたが、幼稚園の午後の空き教室を活用したらどうかと思うわけです。幼稚園の場合、各地域に点在をしておりまして、また、近所の子供さんが通っていたりしてなじみもあるわけでございます。そしてそこにいらっしゃる先生方はある意味では経験に基づく子供を見てきたプロでございますし、公共性もございます。  前回の私の質問の折にも事例を出して幼稚園のことについてお話ししたことがございますけれども、非常に経営も厳しい状況にある中、私学助成とかのいろんな方法で子供たちのためにお金を出してあるわけですけれども、単なる助成金ではなくて、そういった事業に協力をしていただきながら事業費として経営の安定の一助を図っていただく、そうすれば、現在の幼児教育の根幹をなしている幼稚園というものももっとしっかりしてくるのではないかと思うわけでございます。そして、母親たちの立場から見れば、本当に身近なところで気軽に相談ができる、非常に有効であると思うわけでございますけれども、このようなことに対するお考えを賜ることができればと思います。  また、人づくりという意味からちょっと外れるかもしれませんけれども、創業者の支援についてお尋ねをいたします。  ベンチャーキャピタルという言葉がありまして、アメリカではもう既に一般的なこととなっておりますけれども、日本でも最近注目を集めておりまして、例えばパソコンソフト関連の企業、メディアが発達しておりまして、大都会に立地しなくても今や世界をまたにかけた商売ができるような時代になってきております。  例えば徳島にジャストシステムというソフトの会社がございまして、世界的な企業にのし上がっております。また、福井に福井鋲螺という本当に小さな中小企業があるのですけれども、ここは鋲について世界一のシェアを誇っております。そういう地方においても世界的な企業ができる素地が社会的に整ってきたわけでございますけれども、このような企業があれば地域の経済に与える影響が大きいことは言うまでもないことでございます。  そこで、本市でも今年度新規創業者支援事業というのを始められておりますけれども、セミナーとアドバイスを主体にされておりまして、ベンチャー企業の場合で考えてみますと、ベンチャー企業の創設者と言いますと、独創的なアイデアとその手法が売り物であるために、既存の専門家と言われる方、失礼な言い方になるかもしれませんが、既存の感覚にとらわれたアドバイスではかえってベンチャー企業の芽を摘んでしまうのではないかという懸念もあるわけです。  私たちも実際経済人でございますが、自分がベンチャー企業になった立場で何が欲しいのかということを考えてみますと、やはり一番は資金、二番目は場所、三番目にいろんなその後の会社運営での相談ということになってくるのではないかと思います。  その資金に関する融資制度にしましても、本市で調査をしてみますと、既存の融資制度を活用ということを計画で上げてあるわけですけれども、既存の融資制度を考えてみますと、市内に必ず居住をしていることというのが条件になるわけでございます。市内の人がこれから起こそうとした場合はいいのですが、では、全国の人が熊本に来てそこで新しい企業を起こしていただく、優秀な人材をよそから集めるという立場でこれを見た場合には非常な阻害点になってしまうわけでございます。  全国でも今いろんな支援策が考えられておりますが、北九州、今ここはメタルカラー都市宣言というのをやって、非常に元気のある都市でございますが、五百万円の助成と四千五百万円の低利融資、工場施設の低廉な家賃での貸し付けと研究開発室を使用させると、非常にベンチャー企業にとってはおいしい条件があるわけでございます。  こういったおいしい条件がある中で、また、全国同率に同じような動きをする中で魅力ある政策をつくって、よその地域の頭脳を、またお金を熊本に持ってきて、熊本で雇用を生み出し、そして税収を後ほどは落としていただくと、地場の産業に対する影響を考えれば非常に有効な手段ではないかと思うわけでございます。  ぜひ既存のものと違った新しい枠での政策というものを考えていただきたいと思いますし、場所の提供という意味では、インキュベーション団地、そういったものの集積施設をいち早く土地の安い間につくって誘致する環境を整えてはいかがかと思うわけでございますが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。        〔後藤勝介教育長 登壇〕 ◎後藤勝介 教育長  私の方からは、幼稚園の空き教室を活用した子育て相談についてお答えを申し上げたいと思います。  ただいまいろいろとお触れになりましたように、最近子育てをめぐるさまざまな問題が生じております中で、子育てに関する相談体制の確立が望まれてきております。本市におきましても平成八年度から文部省が行っております地域に開かれた幼稚園づくり推進モデル市町村の指定を受けまして、熊本市立の幼稚園で子育て相談、子育て触れ合い広場、未就園児体験入園、教育講演会などの事業を実施しておりますが、平成九年度は熊本市立の幼稚園に加えまして一部の私立幼稚園もその対象となる予定でございます。このモデル事業の取り組みの中で、子育て相談のあり方などについて研究をしてまいりたいと考えております。  また、ことしの一月に文部省から教育改革プログラムの骨子が出されましたが、その中に、地域に開かれた幼稚園のあり方などについて検討し、平成九年秋をめどに結論を得ると記載されております。  今後、今取り組んでおりますモデル事業や、さらに国の動向を踏まえまして、幼稚園での子育て相談の体制づくりを検討してまいりたいと考えております。        〔坂田憲一経済振興局長 登壇〕 ◎坂田憲一 経済振興局長  下川議員にお答えをいたします。  議員御案内のように、現在ベンチャービジネスが先進国では大変な注目を浴びておりまして、またブームにもなっております。新しい企業の誕生というものは、雇用を促進し、所得を向上させていく上からも必要不可欠なことであると思います。これは我が国の経済においても同様で、とりわけ地場経済にとりましては大変有益なことであると認識をいたしております。  そこで、経済振興局といたしましては、実は平成八年度、起業家に関する調査を実施いたしましたところ、議員御指摘のように、資金面での援助を求める声が最も多かったわけでございます。次に、経営面や技術面での専門家のアドバイスが望まれているという、こういう結果を得たところでございます。  この資金面での支援でございますけれども、現在、ベンチャー企業に対する直接あるいは間接投資については、既に国、県、または民間金融機関等におきましてかなり整備をされているのが現状でございます。  したがって、本市ではことしより、経営のノウハウや製品開発後のマーケティングなどに対する専門的な見地から、総合的なコンサルティングを行う制度をスタートさせたところでございます。  また現在、産、学、行政の代表者から成る産業創造会議を設け、起業家を含めた産業変革に対する具体的な施策を協議しておるところでございます。そういった輪の中で、例えば議員御提案の起業家支援施設、それからハード面の整備とともに、資金面での支援も検討しながら起業家環境を整え、地域経済の活性化に努力をしてまいりたいと考えております。        〔十四番 下川寛議員 登壇〕 ◆下川寛 議員  育児相談につきましては本年の秋に結論を得るということでございましたが、もうすぐでございます。結論が出た後は年度内あたりで素早い対応をお願いをいたしたいと思います。  また、起業家支援につきましては、産業創造会議ですか、より有効な策を考えていっていただきたいものだと思いますが、ただ、産、経、学、いろんな分野から入っていらっしゃいますが、これはやはり経済人の分野でございますので、経済人の感性というものを重視しながら有効なものにしていっていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。  それでは、歴史と文化を生かしたまちづくりということで、四点まとめてお尋ねを進めていきたいと思います。  そういう観点から見ますと、まず祭りということをちょっと考えてみたわけなんですけれども、現在本市の祭りとして熊本春の植木市を初めとしてほぼ毎月実施をされておるわけでございます。ただ一般の感覚の祭りというのがその中でも三つございますが、いずれも八、九、十、そういった時期に集中をしているわけでございます。  祭りというものは観光行政というものにも貢献をしていると思うわけでございますけれども、これによる観光客の入り込みというのは、やはりバブル崩壊以降年々減少しておりまして、この祭りというものを観光により一層活用していったらどうかと思うわけでございます。  そういう観点からこの祭りの開催が八、九、十と集中しておりますので、時期を分散してはどうかと思うわけでございます。藤崎宮秋季例大祭、これにつきましては、これが正月だという市民の方もいらっしゃいまして、他県の方にも非常に人気があるわけでございますが、完全に民間のお祭りでもあり、また、いろんな歴史上のことからこれを動かすことはまずできないわけでございます。  火の国まつりは昭和二十四年に始まりまして、途中ばってん祭にちょっとかわっておりますけれども、当時星子市長の「里帰りした者が参加できる祭り」ということで現在の時期に来たということを聞いておりますし、花火大会もその風物詩として定着をしております。  そういうことから考えますと、十月のお城まつり、これあたりが、歴史も浅いと言ったら大変失礼な言い方になりますけれども、開催してまだ定着をしているとは言えない時期でございますし、また、その十月という開催時期は全国的な文化祭の時期でもありまして、観光ということに対してより効果のある春にこれを移したらどうかと思うわけでございます。ばってん祭の時期であったでしょうか、私の記憶ではお城の桜の花の散るところで、武蔵小次郎の対決という剣道大会があっておったわけですけれども、お城という雰囲気、桜という雰囲気、そのシチュエーションは抜群のものがございました。  全国、桜のあるお城では大概桜まつりとかで春に開催されておるわけですけれども、熊本城では夜間開園だけで特段の祭りというものはないようにも思うわけでございます。そしてまた、十月は修学旅行のシーズンでもございまして、特段のイベントをしなくても観光客もまた多く集めやすいような時期でありますので、ぜひこういった春にひとつ考えていただきたいものだと思うわけでございます。  また、お城まつりの話に触れましたので、中身についてちょっと御提案がございますが、子供たちにもお城というそれらしい雰囲気の中で歴史に触れさせる絶好の機会がこのお城まつりではないかと思うわけです。ただ、昨年の企画の中では、時習館と呼ばれておりました、子供たちにその雰囲気、また歴史を学習させる場というのが一回の開催で非常に少なかったわけでございます。いろんなところでふやしたらどうかという議論があっておったわけでございますが、ことしはそれも増設されまして、学習効果ということが大変に考えられておりまして、喜ばしいことではないかと思っております。  そのほかにも本年は子供向けのマル・バツ式の歴史クイズというのが計画されているようですが、これを一歩進めたらどうかと思うわけです。例えば、こういう表現が適切かどうかはわかりませんが、郷土史検定制度、そういったマル・バツクイズだけではなくて、それを試験にし立てて、合格した子供には郷土史検定の認定証を発行する。遊びながら資格がとれるというだけではなくて、非常にそれをもらった子供は喜びと自信を持って今後郷土史に触れ、また、郷土を愛する心を培ってくれるのではないかと思うわけでございます。
     また、子供たちだけではなく大人の方にもこれを広げて実施する、例えば一級二級とか級を設けてもいいのではないかと思います。そうすれば生涯教育の一環にもなりますでしょうし、今各地の公民館で開催していらっしゃいます郷土史講座というものの最終形として生きてくる部分があるのではないかと思います。御意見をお伺いできればと思います。  それから、観光という分野でお尋ねをいたしますが、経済基盤、本市の場合考えてみました折に、やはり観光で食うというのが一番ではないかと思います。既存の工場をいろいろ誘致して、やはり環境問題について心配をするというよりも、よそからのお金を持ってきて熊本に落としていただく、そういう方が一番熊本市の状況には合っているのではないかと思うわけでございますが、今月もそういう意味から修学旅行宣伝隊というのが東北の方に向かわれるそうでございますし、努力も本市の方でもしていらっしゃいます。  ただ、今の本市のPRというのは本当にうまく機能しているのか、旅行を実際に組んでいただく全国のエージェントさんとうまいぐあいに組んでいただくようなすり合わせができているのかというと、やはりいろんな手法において疑問の声も聞こえてくるわけでございます。うまくPRをして人を呼び込むということには、今の時代、やはり先ほどから申しておりますようにメディアの活用が一番大事なのではないかと。  では、そのメディアは何か、例えばテレビ、NHKさんで言えば大河ドラマや堂々日本史、民放で言えば年末大みそかの長時間ドラマあたりではないでしょうか。先ほど育児相談のところでも申し上げましたけれども、現代はマニュアルの時代であってそれによるブームの時代です。人々はそのブームに乗って旅行しますし、エージェントの方もそのブームで旅行の企画を組まれると。ブームが起これば人はそれに伴って動くというような風潮がございます。今申し上げたドラマや番組で取り上げられた地域は必ずブームが起こって観光客がふえているという実情があるわけでございます。  じゃあ、そのドラマになる素材はどうかと言いますと、現在の本市はドラマづくりには事欠かないだけの素材を持っているわけでございます。例えば熊本城だけをとってみましても、加藤清正や西南戦争というのもございまして、以前の市長の提案理由説明の折にも、脚本家の方とお話しをされた折には、加藤清正は生存年数が足りないのでちょっとどうかというお話があったというのを記憶いたしておりますけれども、加藤清正に限って申し上げてみれば、中世の激動の時代を秀吉の側近として過ごして、歴史を変えたとも言えるでしょう秀吉を福島正則とともに陰で支え、秀吉よりある意味では多くの武将とのかかわりを持っている側面もあるわけです。  また、黒田如水と結託をした九州独立、九州統一というような動きもありまして、その後も、秀吉亡き後の秀頼を熊本に迎えようとしたと、そういう節も見受けられるばかりではなく、近世城の基礎を築き、熊本、名古屋という名城だけでなく、江戸城の一部も普請したと、その行動は本当に大きく日本史にかかわっているわけでございます。題材には事欠きません。西南戦争にいっても熊本城の攻防で多くの謎も語られておりまして、先日も大分の方で資料が出ておりましたけれども、興味のある歴史ドラマ向きなのではないでしょうか。  そのほかにも、神風連の乱、日本赤十字の誕生、幾つもの番組ができるだけの素材を熊本市は抱えているわけでございます。もし、NHKさんなどで放送になれば、その土地のエピソードや隠れた観光地というのも事細かに番組の合間に紹介をしていただくわけでございまして、これまでPRのできなかった細かな観光地についても一気にPRができて、必ず観光客が増加するものであると確信するわけでございますが、このようなメディアの活用について市長はどのように取り組まれるのか、お考えをお伺いいたしたいと思います。  また、今申し上げましたことが完了して、観光客が来るという前提で受け皿となる施設の整備についてお尋ねをしたいと思いますが、受け皿となる施設、今のブームではテーマパークが挙げられております。ただ、テーマパークの築造には金もかかりますし、このブームというものはいつまで続くかわからないものがございます。  そういったことで考えてみますと、やはり熊本城、本物の歴史資産としての整備をこの熊本城にしてはどうかと思うわけでございます。熊本城は五百億円の価値があるテーマパークであるという説もございますが、観光で使えなくなったとしても、テーマパークと違い、熊本城の場合は市民の資産として市民の心の中に、私らの心の中に残るわけでございます。現在熊本城の復元・整備計画というのが策定中でございますが、どのような形になるのかお教えをいただきたいと思います。  ただ、熊本城は時代によりその形態が非常に変容を遂げたお城でございまして、城の向きも東向きであったものが西側に変わった。また、時代に伴って櫓類もお宮の位置も変化をしているわけでございます。ただ、熊本城は本当に近世城のはしりでございまして、最終形よりも築城当時の姿の方が重要なのではないかと私は思うわけです。  西南戦争のときも、築城当時の理論が正しかったというのは谷干城の攻防で証明をされているわけなんですが、今のいろんな議論の中である城域の復元というのも確かに重要ではあろうかと思います。しかし、現在の城域の中でなくなっているものというものも数多くあるわけでございまして、例えば平左衛門櫓、飯田丸三重櫓、本丸御殿、たくさんのものが今の城域の中にも復元されずにいるわけでございます。  特に本丸御殿は紹君の間という、秀頼を迎えようとしたのではないかという部屋も抱え、歴史の機微も感じさせますし、西側からお城に入りますとここの地下通路を通るということで、お城のからめ手であった西側の防御面とかいろんな説があって意義深いものであるのではないかと思います。このようなものの復元の方が最優先であると強く感じるわけでございます。  また、天守閣についても、今いろんな陳列がされておりますけれども、もともとは畳敷きであったはずですし、天守閣最上階にも座敷があったはずなんです。展示物についてもよろいなどが、専門家の人に言わせますと、あれは肥後のものではないというようなお話もありまして、そういうものも含めて見直しを図る必要もあると思いますし、天守閣を含めた現在の城域の復元というのを最優先として、築城当時のものとして復元していただきたいと考えるわけでございますが、お考えをお聞かせいただければと思います。  また、お城の復元という意味から三の丸について若干考えさせていただきましたが、復元ということからすれば、この三の丸あたりは豊後街道が通って新町の木戸へ通じていた一帯でございます。当時の流れを考えましても、ここを有効活用して新町の方へつなげていって、同時にまちづくりをすれば非常に有効活用ができるのではないかと思います。  先日、私どもの会派で伊勢市の方を視察に行きまして、そのときにおかげ横丁というのを見たわけなのですけれども、伊勢神宮のすぐ横に民間企業が巨費を投じて、伊勢神宮さんのおかげでできたという日常の買い物の場所、またそれが観光の場所になるようなものをつくっていらっしゃるわけでございます。そういったものをつくったらどうかなと思って、経済界の方とも御相談をしましたところ、やはり中心商店街と反対側に相反するものができるのはまずかろうと、そしてそこまで歩いて行くのが、それだけの引きつける魅力があるのかという御指摘をいただきまして、違う方向性もまた検討していってみましたが、今の熊本城資料館という構想もある中で、やはり郷土資料館が適当なのではないかなというふうに考えた次第です。  私も、これまでの議会の中で郷土史資料館の御提案をさせていただきましたけれども、川尻地区で考えておりました。ところが、それを例えば三の丸に持ってくれば、お城というリンク、それから先日熊本城活性化シンポジウムというのがあっておりましたが、その中で、歴史の宝庫であり滞留型観光を考えてほしい、アジア向けのハイテクテーマパークを考えてほしいという御指摘があっておりました。その郷土史資料館を三の丸につくって、その立地の中でハイテクを組み合わせたテーマパーク的なものをつくってはどうかなと考えるわけでございます。  そして、それは単なる観光客向けのテーマパークではなくて、あくまで歴史資産の継承の場でありまして、市民の体験学習の場であることは言うまでもないわけでございますけれども、埋蔵文化財から、例えば明治村的施設、いろんな歴史文化財を集め、それに例えば先ほどのインターネットとかの情報発信の場を組み合わせて総合的な施設としてはどうかなと思うわけでございます。  ただ単に、こういったテーマパークをつくれと言っても、本当に費用が悩みになるわけでございますけれども、いろんな、三の丸を調査する中で、本市の内部を調査しておりましたら、民間企業からの提案をたまたま発見をいたしました。その民間企業からの提案の内容は、先ほど私が申し上げたものとほとんど同じであったわけなんですが、既にスポンサーがついておりまして、本市では三の丸の土地をお貸しするだけでいいと、非常においしい条件で提案があっておったわけでございます。その提案を採用する可否についてはこれからの議論があるものだと思いますが、そういった民間からの活力、お金を活用して、観光向け、市民の体験学習の場向け、それから歴史的資産の継承向けということで活用されてはいかがかと思うわけでございますので、お考えをお聞かせいただきたいと思います。        〔三角保之市長 登壇〕 ◎三角保之 市長  議員御案内のとおり、現代社会において、テレビを中心としたメディアの効果、効用というものは絶大なものがあり、社会に及ぼす影響力が大きいことは皆様御承知のとおりであります。  映像でその地方の風土、風物、歴史が全国に紹介、物語化されると、知名度とともに訪れる人々も途端に増加し、PR経費、経済効果などを換算すれば莫大な金額になると言われております。  今根強い歴史ブームの中にあって、テレビの大型時代劇、歴史探訪、人物シリーズ編などは安定した高視聴率番組であり、各局とも定番と言えるほど力を注いでいるジャンルであると伺っております。  議員御指摘の大型テレビドラマを通じた熊本の歴史紹介については過去にも何本か放映されましたが、残念ながらいずれも熊本が中心的素材にはなり得ませんでした。NHK大河ドラマ「翔ぶが如く」あるいは「宮本武蔵」についても熊本の紹介部分は期待するほど多くなかったのが現実であります。  そこで、熊本を舞台とした大型ドラマ、人物シリーズ編、特別番組等の制作、放映を現在関係放送局に働きかけているところでございます。  先般、東京のNHKに参りまして、番組編成局の要人の方々にお会いして、お願いと熱意を訴えてまいりました。また、歴史ドラマ脚本家の第一人者であるジェームス三木さんにも何度もお会いし、脚本面でのお願いもしているところでありますが、ジェームス三木さんいわく、このNHK大河ドラマは年間を通じて約五十本制作をしなければならないと。そういうボリュームがあるわけでございまして、一番の条件というのは、日本の歴史を動かした人物、またそれに近い人物、人間像、生きざま、ドラマ性があること、あるいは主人公の周りに補佐官あるいは異性など話題性のある史実があることなどであります。そしてまた、先ほど申しました五十本というボリュームの中で、長生きをした人じゃないといかんというふうな条件が、非常に難しいという話をしておられました。  中世の日本の歴史を動かした中央舞台からはほど遠い地方の素材では、全国的に通用するにはなかなか難しい要素もあるようであります。しかし、脚本家のジェームス三木さんに言わせると、主人公とその事柄に現代に通じる何かのテーマがあれば、脚色次第でドラマに仕立てることができると。  下川議員御案内のように、我が熊本には豊富な歴史と、歴史にまつわる人物が数多く存在をしております。事柄で申し上げますと、熊本城築城、阿部一族、神風連の乱、西南戦争、日本赤十字の発祥など。人物で申し上げますと、佐々成政、加藤清正、細川忠利、重賢、横井小楠、ジェーンズ、谷干城、谷村計介、鳩野宗巴、上田休──上田休というのは上田久兵衛という人物でありまして、京都留守居役ということで、大変おもしろい人物だそうであります。石光真清などが数えられるわけであります。  先刻、ジェームス三木に九州市長会の講師として熊本に来ていただいたときに、非常に横井小楠に興味を持たれまして、四時軒にもちょっとそのとき足を運んでいただいたわけでありますけれども、この横井小楠には一つ大きな欠点があると彼が言っておりました。その大きな欠点というのは大酒飲みだそうであります。大きな欠点が一つないとドラマにならないそうでありまして、議席におられる方はなりそうな方ばかりでありますけれども……。(笑声)  このような豊富な素材を、大衆メディアを活用し全国に紹介することができたらなと思っているところであります。幸い放送各局も大変協力的にいろいろお話をさせていただいておるところでございますが、議員各位におかれましても、いろいろなつてを通じて、そういう意味で、素材を見つけ、そしてまた放送局へのおつなぎ等々につきましても期待をいたしておるところでございますので、よろしく御協力をお願い申し上げたいと存じます。        〔松村紀代一企画調整局長 登壇〕 ◎松村紀代一 企画調整局長  四点、私の方から御答弁申し上げます。  昨年は秋に実施をいたしましたお城まつりを春に移してはとの御質問でございますが、お城まつりにつきましては、御案内のとおり、天下の名城熊本城を舞台に、先人が築きはぐくんできた豊かな歴史文化の継承と、地域の個性を生かした文化の振興を図ることにより、観光の活性化と伝統を感じることができる新たなまちづくりを目指して開催をいたしておるわけでございます。  そこで、まつりの開催期間でございますが、昨年は十月十二日から二十七日までの十六日間、本年は十月十八日から十一月三日までの十七日間の日程を考えておるところでございます。  この日程と時期につきましては、昨年実施いたしました関連イベントの引き続きの開催や、熊本城周辺の美術館、博物館など各施設との総合的な連携を考慮いたしておるわけでございます。下川議員のお説とはちょっと食い違うかもわかりませんが、加えて一年で一番天気が安定いたしております秋の観光シーズン、芸術文化の秋に設定をいたしたものでございます。  これまでも開催の時期につきましては、春のイベント等も含めていろいろな御意見もございますが、今後の検討課題とさせていただき、現在計画を進めておりますお城まつりにつきましては、昨年より回を重ねながら、市民の文化の秋の祭りとして定着をさせたいと考えておりますので、御理解を賜りますようよろしくお願い申し上げます。        〔副議長退席、議長着席〕  次に、郷土史検定制度を設け、試験を実施して認定証を発行したらどうかという御提案でございますが、今回の祭りにおきましても、催し物の一つに、昨年に引き続きまして平成時習館という熊本城に関連する歴史講座を予定しておりますが、昨年は多くの方々の御参加があったわけでございます。  また今年度は、親子で楽しめる催しや、子供が熊本城や郷土の歴史に興味を抱く催しも予定しておりますので、このような催しを契機として、御提案であります検定制度と結びつかないか、教育委員会等とも十分協議をしながら研究、検討してまいりたいと存じます。  それから、熊本城の再現及び郷土史資料館のお尋ねでございますが、まず、熊本城復元・整備計画については昨日鈴木議員の御質問にも考え方を申し上げましたが、どのような形になるのかとのお尋ねでございますが、これは、約九十八ヘクタールにも及ぶ熊本城全域を対象として、中長期的展望に立ったあるべき姿を描き、その具体的な整備方針を定めようとしているものでございます。  そこで、その内容につきましても、この広大な全城域を一元的に整備しようとするものではなく、熊本城本来の姿をもとに五つのゾーンに分け、それぞれの特性に応じた復元、整備の方向を検討いたしているものでございます。  またさらに、事業効果や事業の難易度等を勘案し、短期、中期、長期に分けたビジョンを描いており、特にその短期計画におきましては、昨今の財政事情等も考慮しながら、年次計画レベルまで検討を行っているところでございます。  櫓類の城建造物の復元に関しましても、観光ルートや市民開放等の観点から、優先順位の精査をいたしているところでございます。天守閣につきましても、新たな観点を加えた展示のあり方などについて検討をいたしております。  第二点目の、郷土史資料館についての御提案でございますが、昨年教育委員会に調査委員会が設けられ、施設の機能、運営形態などについて協議がされているところでございます。熊本城復元・整備計画の中でも、総合的な見地から、今後、教育委員会との連携を図りながら、議員御提案の民間活用の手法等を含め、そのあるべき姿を詰めていきたいと考えております。        〔十四番 下川寛議員 登壇〕 ◆下川寛 議員  大河ドラマにつきましては、市長の方からもいろんな人物の御紹介、それから条件のお話をいただいたわけなのですけれども、私、加藤清正にこだわるわけではありませんけれども、先ほどの市長の条件にちょっと照らして考えてみますと、加藤清正の場合、秀吉の正妻ねね──北の政所とも親戚でございますし、そういった面でも生かせるのではないかと思います。  また九州統一の動きでは、中央を震憾させ、中央政治に大きくかかわったさまざまな動きの中で、東京にも二カ所銅像がありますし、名古屋にも一カ所銅像があります。また生誕地にはお宮がつくられておるなど、中央にも深くかかわった人物であると思いますので、そういった面もPRしながら、できれば素材的に生かしていただけたらいいのじゃないかと思います。  ただ、市長の大河ドラマへの行動と熱意のほど、よくわかりましたので、その熱意と人脈の広さで、ぜひ実現を図っていただきたいものだと思います。  また、お城まつりにつきましては秋に定着させるという意向は十分にわかりました。ただ、春の時期が非常に寂しいので、ぜひ春にも何か一つ考えていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  また、お城の再現につきまして、ゾーンに分けて検討されているということですけれども、やはり、すべてがかかわり合って一体となってできているのが城ではないかと思うわけです。ゾーンに分けて別々のコンセプトで考えるよりも、やはり一体で再現、そういったものを考えていただきたいと思います。  また、資料館につきまして、現在、本市から出る埋蔵物の保管、また貴重な埋蔵物の展示場所というものも非常に少ないわけでありまして、そういった状況もあわせて考えていただきながら、公設民営とも違う新しい運営のノウハウということも考え合わせて検討していっていただければと思います。  発想を転換したまちづくりとその他について、一気にちょっとお尋ねを、はしょりながらさせていただきたいと思うわけでございますが、時間がちょっと押しておりますので、御答弁の方もなるだけ簡潔、迅速にということで御協力をお願いいたしたいと思います。  まず一点目に、下水道の建設廃土についてお尋ねをいたしますが、公共下水道、まちづくりのために築造をされているわけでございます。非常にコストがかかっておりますけれども、やむを得ない部分もございまして、効率よく建設をすることが一番大事なのではないかと思うわけでございます。  効率よくということで、コスト面から考えてみまして、廃土の処理について一部提案がございます。下水道推進工法でやる場合には、現在産業廃棄物に指定をされております廃土が出てくるわけでございますけれども、現在熊本市では、若干の薬液を含むため産業廃棄物として管理型処分をされております。  ただ先日、東京都を建設委員会で視察をいたしました折に、推進工法で出ました廃土をすぐその横のプラントで処理をされておりました。そこで水と汚泥に分類をしまして、水の方は河川へ、汚泥の方はそのまま埋め立て再利用されていたわけでございます。産廃にも当たりませんので、聞いてみますと、建設省のOKもとれていると。さらに費用を聞いてみますと、そのプラントの建設費が三千万であるというような話を伺ったわけでございます。  現在本市では、八年度二千七百立方メーターの汚泥を六千七百万円かけて県内業者で産廃処理をしていらっしゃいます。仮に東京と同程度の三千万のプラントをつくったとしても、一年でもとをとって、二年目から完全に得をする計算になるわけです。  そういった目でいろんなことを見てみますと、沖縄で近年使用されている新しい薬品を応用した事例があるわけなのですけれども、ごく少量で瞬時に水と汚泥に分離をするという薬品が使われておりまして、当然上澄み液、水の方は環境基準をクリアしておりまして、そのまま海に放流をされておるわけでございます。  そういったものを利用したプラントが幾らぐらいでできるかなということでお尋ねをしてみましたら、一千万円程度ではなかろうかと。本市の下水道から出る汚泥量ならばそれくらいでできますよというようなお話もありました。  こういう新技術を活用していけば、下水道の汚泥が効率的に処分できるだけではなくて、管理型で埋立処分をしている現在の汚泥が管理型埋立地をつくるのが不可能な状況の中で、環境問題にも配慮する中で、非常に効率的な建設ができるのではないかと思うわけでございます。  また、下水道関係の職員の方は、その産廃処分ということに関していろんな精神的負担も受けていらっしゃるというようなお話も聞いておりますので、こういった新技術を導入して効率的な建設を図るべきではないかと思うわけでございますが、御所見を賜りたいと思います。  また、ごみの問題でお尋ねをいたしますが、本市は平成六年度、東部環境工場が稼働いたしまして、ごみの計画的処理のレベルに達したわけでございます。ただ、西部環境工場は確かに老朽化をしておりまして、能力が低下をいたしております。本年度から三カ年で七十六億円という総予算で大規模改修をするような計画が上がっておりますが、これだけ金をかけても本来の能力は回復しないというふうに聞いておりまして、加えて、ここで疑問にずっと思っておりましたのは、やはり改修でございますので、旧来のシステムで今後も稼働するわけでございます。発電効率のアップもこの改修では図られないというようなことでございますけれども、このごみの分野、環境ビジネスとして現在最も注目をされ研究が進んでいる分野でございますので、新技術がかなり登場しております。  例えば熱分解溶融炉──次世代のごみ焼却炉と言われまして、ごみを高熱で蒸し焼きにしましてガスと固形物に分解して溶融炉で溶かしてスラグにすると、当然灰の原料化や金属の再利用、そして排ガスの抑制ということを一基で処理できるすばらしい技術でございます。もう既に五社が技術開発で先行しておりまして、この四月には完全に実用化、商業化のベースに乗ったというふうにお伺いをしております。  また、スーパーごみ発電も実用化をされておりますし、都市ごみを八分の一程度に圧縮して保存して、運搬しやすい燃料に変えるRDF技術、ダイオキシンの削減効果も高い流動床式焼却炉、まだ実用化されておりませんけれども分別プラント、こういった新しい技術がどんどん出てきているわけでございますが、ここにおいて考えましたときに、西部環境工場の七十六億円のうち六十二億円程度は債務負担行為でありまして、まだ支出もされておらずに、今なら間に合うのかなということで考えてみました。  旧来の技術での延命化にこれだけのお金を使って、旧来の技術のものがそれだけ長い間稼働すると。大事なことかもしれませんが、その予算で新しいものを建設してはどうかと思うわけです。改修をしなければ平成十四年には新工場の建設の必要があるというふうにお伺いをいたしましたが、この七十六億円をその間とっておいて、この五年の間に計画をして新しいものをつくってはどうなのでしょうか。これが効率的なまちづくりと言えるのではないかと思うわけです。  ただ、このお話は、本来は本年度の予算が通る前にするべきであったかと思いますが、当時は私の勉強不足もあり、また、そういった新技術も本当に実用化レベルまで達していなかったということでやむを得ないと思っておりましたが、本年に入りまして実用化をされたと。それならば、発想を転換して新技術の方に乗りかえるべきではないかなと思うわけでございます。御所見を賜りたいと思います。  また、消防指令管制システムについて若干お尋ねをいたしますが、この消防指令管制システム、稼働したのは既に御承知のとおりでございまして、八分消防体制の確立、救急車の到着が二分程度早くなるということで、火災も一棟にとどまる、救命率は五〇%に向上するということで、市民の生命と財産を守るという見地からしますと、こういうことに関する投資は全然惜しくないという感もいたします。  しかし、せっかくこれだけ投資したシステムを生かすために、もう少し今後整備を進めていってはどうかという点を数点お伺いをいたしたいと思うわけですが、例えば、その通信方式、救急の方はデュプレックスで総合通信で行われておりますけれども、消防の方は単信、緊急時の割り込みを考えますと非常に評価する点なのですけれども、ただ、方式がアナログでやられております。アナログは災害時に情報がだれでも聞けるというメリットがあるわけなのですけれども、弊害として、その情報がだれでも聞けるだけに現場に先回りされることがある。また、いろいろ現場で個人の秘密を話す際に、だれでも一般の受信機を持てば聞くことができるわけです。警察は同様の理由でいち早くデジタル通信の方に切りかえていらっしゃいますが、これはデジタルに切りかえた方がより有効なのではないかと思うわけでございます。  また、無線の中継局、小萩山と河内山に現在つくってありますが、以前のシステムのとき、私も不感地帯の解消ということでお尋ねをしたことがございました。この不感地帯を解消すべく非常に有効な場所に建設をされたものと思っておりますが、まだこれでも、私の想像では、不感とまではいかなくても若干の難聴地帯もあるのではないかと思います。今後、活用面で、不感地帯、難聴地帯があれば即刻中継局を増設していただきたいものだと思うわけでございます。  また、今度のシステムの稼働によりまして、消防救急車両にナビゲーションが搭載をされて、現着への時間の短縮が図られております。現在のところVICSには対応していないと。市内にもVICSシステムが道路上には設置されていないわけでございますが、VICSで渋滞情報が入れば現着の短縮ということにさらに有効なシステムでございますし、また以前、交差点のすぐ間際まで渋滞している道路に消防車が曲がられて、渋滞がわからなかったために、曲がったら渋滞していて、よけるために横の電柱に衝突をされたというような事故もあっておりますけれども、そういった事故防止の観点からも役に立つわけでございます。このVICSが本市に導入された場合は対応できるのかというところが非常に気になるところでございます。  また近年、PHSを腕時計の中にしこんで、二十四時間脈拍をここで監視しながら、脈拍の異常時には自動送信するというようなシステムが実用化をされております。今後、介護対象者が急増する高齢化時代のケアシステムとしまして非常に注目をされておるわけでございますけれども、そういった新技術とのリンクがこの指令管制システムで可能なのか。  以上、数点にわたりましたけれども、市民の生命と財産の安全を図るために常に見直す必要があるという観点からお考えをお伺いできればと思います。  それから、この項の最後としまして、熊本港とその周辺の関連についてお尋ねをいたしたいと思うわけでございます。  港のない都市は大きな発展はしないということは古来から言われていたわけでございまして、先ほど申し上げました加藤清正も、熊本と八代、二つしかない町のために川尻と高瀬と中津という三カ所の港を置いて都市の発展を図ったところでございます。熊本港、現在建設整備中でございますけれども、非常に状況が厳しいということは各種の報道でお伺いをしております。  ただ、熊本港自体は本当はポテンシャルの非常に高い港でありますが、この港が当初の構想どおりに建設をされていれば、このような問題点は自動的に解決していたのではないかと思うわけでございます。  実施計画で着手された時点で、当初構想とのずれが生じまして、規模が縮小されておったばかりにこういった問題が出てきたと。もう既にこの港は商業港としての可能性を捨てて建設されているという市民の声もあるわけでございます。時期的にも、三池港が地域振興のてこ入れで整備が図られ、八代港が急ピッチで整備を進められております。  私個人としては、今までに港建設にかけた費用をむだにしないためにも、用途を変更すべきという持論を常に持っておりますけれども、今経済界の方では非常に頑張っていらっしゃいますので、それで状況が変わることもあるかもしれません。  そういったことから、私もこの持論はしばらく胸の中に潜めたいと思いますし、また、港湾管理者は県の方でございますので、直接やりとりのできないことをここで論じてもどうかと思いますので、港はこのまま静かに見守っていきたいなというふうに思っております。ただ、一昨年でしたか、私がお話し申し上げました熊本の総合的観光構想の中で、やはり有明海沿岸地域というのは非常に熊本の観光の核をなす部分ではないかなと思うわけでございます。  そういう目で熊本港の周辺を見てみましたら、河内地区で非常におもしろい場所を発見しました。海に突き出た無番地で、国の補助を受けた県の所管になっている土地でございますけれども、十四ヘクタールの用地がありまして、聞くところによりますと、ここを整備した場合に、公共施設の用地、つまり道路などは買わなくていいけど、建物の用地だけ買ってくれないかというようなお話もあるそうでございます。  立地を見てみますと、例えばマリーナとか東洋のフィッシャーマンズワーフというふうな、以前発表しました構想にぴったりの適地ではないかと思うわけです。たまたま市内、または福岡などの近県でレジャーボートを持つ人たちに聞き取り調査をしてみますと、そういった場所にマリーナができるなら、自分の船は必ずそこに移動するというような反応が一〇〇%返ってまいりました。  交通関係のアクセスにしても、湾岸道路構想がある中で、南北の交通アクセスが非常によくなっていく中、また玄界灘におきましては国際空港ができれば、レジャーボートのエリアではなくなるという話もある中で、非常に注目をされる場所ではないかと思うわけでございます。  先ほどの資料館の話ではありませんけれども、同時に民間のデベロッパーやいろんな会社の方に打診をしてみますと、そういう場所ならぜひやりたい、自分のところが開発してマリーナをつくりたいのだというようなお話もいただいたわけでございます。  ただ、やはり一番いいのは、行政が手をかけて、行政がそういった民間の活力を利用しながら、一体となって観光、また市民の憩いの場として使っていくのが一番いいのではないかなと思いますし、河内地区のことを東部に住む私が論じるのはおかしいのですけれども、河内地区の水産業、最近衰退をしておりまして、後継者も非常に厳しい状況であるというふうにもお伺いしております。西部地区発展の起爆財となる以上に、雇用も創出し、観光の基盤となり、また市民の憩いの場となると。しかも民間活力を採用すれば本市の手出しのお金はほとんどないと。いいことずくめの条件であるのではないかなと思います。  観光客を誘致するという面から見ましても、例えば九州北部にあります三大テーマパーク、そういったところは連絡協議会をつくられて、相互に連絡調整を図って、観光客をお互いで対流させていらっしゃいます。熊本に観光客が来る余地がなくなってくる可能性もあるわけです。そういった中で、ここに観光客への起爆財をつくるということは、本市経済にも非常に有効ではないかと。ちょっと違う熊本というのを内外にアピールできる絶好の機会ではないかと思うわけでございますが、こういった建設に対するお考えをお聞かせいただければと思います。  また最後に、その他の項で、登録商標と言いますか、本市のマークについてお伺いをしたいと思います。  現在、市の中にもマーク、非常にあふれているわけでございますが、昭和三十四年の商標法の施行からいろんなマークがあふれてきたのではないかと思います。  このマークを企業面で見ますと、イメージアップとか、企業のアイデンティティーの構築ということに非常に意義があるということで盛んに活用されているわけでございますけれども、先日東京からのお客さんを案内しておりましたら、熊本市さんはすばらしいと。何がですかと聞いたら、マンホールの肥後ツバキのマークを非常に褒められまして、熊本市はこういうところにも花のマークを使って文化を非常に大切にしていらっしゃるのですねというような、思ってもみなかったところでお褒めの言葉をいただいたことがございます。  そういった例から考えますと、やはりまちづくりということへのアイデンティティーの構築と市民への意識づけのために、そのマークの活用が有効ではないのかと思うわけですけれども、ばらばらでこれが使われては全く意味のないものになってしまうこともあります。ロゴを含めて新しい本市の統一マークを考えてはどうかと思うわけです。  きょう、質問の冒頭でお話ししました都市の短期的指針がマスタープランならば、本当の長期の基本姿勢をあらわすのがこのマークであるというとらえ方はいかがだろうかと思うわけです。  二十一世紀の到来を目の前にして、本市の二十一世紀の新しいまちづくりの姿勢をマークにあらわして、市民へのモチベートとして、新しい官民一体となった協力体制の一助となると確信をするものでございます。いわばまちづくりへのZ旗と言うべきこのマークにつきまして制定してはどうかと思うわけですが、お考えを賜れればと思います。        〔田尻紘都市整備局長 登壇〕 ◎田尻紘 都市整備局長  下水道建設に伴います廃土の処理について下川議員にお答えをいたします。  財政構造改革に伴い、公共事業の見直しやコスト縮減策などが国レベルで論議されている中での議員からの貴重な提言を含めての御質問であります。  本市の下水道事業は、おかげさまで平成八年度末の普及率は七一・五%となっておりまして、整備区域も中心部から周辺部へ移っております。このために、下水道幹線管渠も大口径から小口径の管渠となり、建設時に発生します廃土も年ごとに減少傾向にあります。  この廃土処分は環境問題と深いかかわりもあり、議員の御提案の中にもありますように、建設廃土の処理としてプラントで脱水する方法と薬品を投入して固化する方法などあり、各自治体で処理基準等の違いがあることから、それぞれ処理方法の採用が異なっているようでございます。  本市は管理型処分を採用しておりますが、本年一月に熊本県建設副産物対策連絡協議会が設立されておりますので、その協議会での検討経過及び意見などを参考にしながら、今後事業を推進していく上で、経済的で安全な方法を総合的に比較検討してまいりたいと考えております。        〔澤田幸男環境保全局長 登壇〕 ◎澤田幸男 環境保全局長  本年から整備を行います西部環境工場は、焼却施設の宿命といたしまして一日二十四時間のフル運転をやっております。そのため高温や腐食性ガスにさらされておりまして、建設から十二年目を迎えております今日では設備の老朽化が特に進んでおります。  今回の整備に当たりましては、新しく建てかえた場合の整備費用等も含め、さまざまな角度から検討してまいりましたが、総合的に判断しまして、経済的にも有利な延命化対策を講ずることで、さきの議会で御承認をいただいたところでございますので、今後、現在の施設をできる限り延命化しながら、将来、新しい施設を建設する際には、議員御提案の熱分解溶融炉を初めといたします環境にやさしい新技術の導入も視野に入れまして検討を進めてまいりたいと考えております。        〔野村功消防局長 登壇〕 ◎野村功 消防局長  消防司令管制システムについて下川議員にお答えをしたいと思います。  その前に、長い間の懸案事項でありました消防司令管制システムにつきましては、去る五月二十日に運用を開始することができました。これもひとえに議員各位の御理解と御支援のたまものであり、この席をおかりいたしまして心より厚く御礼を申し上げますとともに、このシステムの機能を生かした円滑な運用を行うことでさらに市民の安全確保に全力を傾注してまいりたいと考えております。
     それでは、議員御質問の第一点でございます消防無線のデジタル化についてでございますが、現在、全国の消防機関が共通に使用しております消防無線につきましては、電波法によりまして百五十メガヘルツ帯のアナログ波と規定をされております。  議員御指摘のとおり、デジタル波につきましては、通信の秘密が守られると同時にチャンネルも数多く使用されるなど、多くの利点がございます。しかし、国内で発生する大規模災害に全国規模で編成されております緊急消防援助隊など、消防の広域的な応援体制を考慮いたしますと、全国一斉に消防無線のデジタル化の整備が必要となるわけでございます。したがいまして、消防無線のデジタル化につきましては、国の動向も踏まえながら、将来の検討課題として進めてまいりたいと考えております。  第二点目の消防無線の中継局についてでございますが、消防司令管制システムを整備する中で、多重無線中継局の設置場所につきましては、事前に小萩山ほか十カ所の地点で消防無線の感度テストを実施し、その結果から判断しまして、条件の整った小萩山と河内山の二カ所に中継局を建設させていただいたところでございます。そのため、本市におきましては消防無線の不感地帯はほぼ解消いたしました。しかしながら、無線を運用する上では、山陰やビル陰など、場所によっては多少交信が困難となるところもありますので、円滑な通信体制をさらに推進するため、今後も引き続き所要の対策を講じてまいりたいと考えております。  第三点のVICS(道路交通情報通信システム)についてお答えを申し上げます。  現在、熊本県下ではこのシステムは整備をされておりません。したがいまして、先般運用開始いたしました消防司令管制システムでは、消防車両等に支援情報として提供することは不可能でございます。今後、本市に導入された場合は、消防、救急車両にVICSの受信装置を装備することで、より迅速な災害活動ができるものと考えますので、さらに調査研究を進めてまいりたいと考えております。  第四点目のPHSを利用したケアシステムにつきましては、近年、著しい情報通信技術の発達により、福祉分野におきましても、コンピューターと通信機器がリンクした監視、介護システムや各種のセキュリティーシステムなどが開発をされております。  このため、消防局におきましては、福祉消防の観点から、時代のニーズに応じた高齢者ケアシステムを初めとするニューメディアと消防司令管制システムとのリンクも考慮し、市民の安全確保に努めてまいりたいと考えております。        〔坂田憲一経済振興局長 登壇〕 ◎坂田憲一 経済振興局長  下川議員に熊本港と周辺のリゾート開発につきましてお答えをいたします。  本市におきましては、さきに実施いたしました金峰山・有明海沿岸観光開発基本計画調査におきまして、金峰山から有明海沿岸にかけての豊かな自然と、それぞれの中ではぐくまれた伝統文化を貴重な観光資源として生かし、自然環境に十分配慮しながら、本市の新たな観光拠点となるよう総合的な開発の検討が行われております。整備方針の一つとしてウオーターフロントの整備推進等が掲げられております。  本市には二十二キロに及ぶ海岸線はあるものの、観光面においては海とのかかわりは薄く、近年の観光ニーズである自然との触れ合いを求めるという観点や、今後の海洋性レクリエーションの普及、さらには当該地域の活性化においても有明海を活用したシーフロントの開発は有意義なものと考えております。  議員御提案の場所は十四・四ヘクタールにも及ぶ広大な面積を有しており、金峰山から二の岳、三の岳へと連なる山地の西斜面を背景に海岸線に広がる埋立地でございます。前面には有明海特有の干潟が広がり、遠くには雲仙を望む地で、現在、県事業として護岸工事とともに埋め立てもほぼ完了している状況でございます。  この埋立地の活用につきましては、当地域にはこのような広大な土地が少なく、かけがえのないものであります。したがって、観光面のみならず市全体としての幅広い活用が考えられるわけでございますが、何分現状が県有地でございますので、県との協議をしていかなければならないわけでございます。そういう中で活用を考えていきたいと思っております。        〔松村紀代一企画調整局長 登壇〕 ◎松村紀代一 企画調整局長  お答えをいたします。  新しい熊本のまちづくりに向けて、それを象徴する新たな本市のマークを考えてはとの御提案でございますが、本市が現在使用いたしております市章は、昭和四十四年に、市制八十周年を記念して、全国から募集を行い制定したものでございます。以来、二十八年間にわたり広く市民の皆様に親しまれてきたものであります。  この市章は、「市民の調和を基に、たくましく発展する熊本の姿を太い円で示した」というもので、この理念は現在においても十分通用するものであると考えております。  しかしながらこの間、本市も大きく発展し、全国十四番目に位置いたします中核市へと変貌を遂げ、さらなる発展に向けて新たなる展開を図っているわけでございます。また一方、市民の皆様の市という存在に対する意識も時代の変化とともに大きく変化してきているものと思います。  二十一世紀を目前にして、国も地方も大きな変革の中にあるわけでありますが、今後迎えるであろう市政の節目において、市民の皆様の御意見を伺いながら、御提案の件については研究をさせていただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。        〔十四番 下川寛議員 登壇〕 ◆下川寛 議員  大変時間が遅くなりまして本当に申しわけなく思っております。あと四分しか持ち時間がないそうでございます。ただ一言だけ、ちょっと今の答弁の中で言わせてください。  ごみの焼却場の問題なんですけれども、今の答弁の中では、さまざまな角度から検討して延命化に決定というふうに答弁をいただいております。ただ、私の調査では、その検討された時点は七年度でございます。今技術は日進月歩じゃなくて秒進分歩というぐらいに進んでいるわけでございますけれども、七年度の時点で事業化に、まだ将来の課題だとされた事業でも今はもう実用化をされておるわけでございます。そういうことがわかったからこそ私はここで見直してはどうかという声を上げたわけでございますけれども、ちょっと御理解いただけなかった点もありますので、一個だけ事例をお話しをさせていだきたいと思います。  例えば、十年乗った車がある。車検とってがたが来たので、お金をかけてあと五年乗りましょう。しかし、この車は技術が古いので燃費も悪いし排ガスも汚い。環境に与える影響が大きい。ここにもうちょっと修理にかけるお金を足せば買える新車があります。その新車は現在の技術でつくってあるので、排ガスもきれいですし燃費もいいです。環境問題に優しいですと。自分がよっぽどその古い車が好きなら別ですけれども、古いものを大事に乗るのがいいと言っても、それだけ環境に対する問題でも何でも違うならば、私だったら新車を買います。  市民の方にお話ししても、そこで古い技術に七十六億円かけて延命化するのがいいのかというのを問いかけたときにはやはり疑問の声が上がります。本当にむだ金ではないのかという声もあるぐらいです。この声を真摯に受けとめて市の方では行動するべきではないでしょうか。  この話をきっかけとして今後市民に疑問視されない行動をしていただくように強く望むわけでございますけれども、本来、こういう問題は動議を出して討論したい気分でございました。ただ、そこまでしないでも頭のいい執行部の皆さんのことですから、誠意ある対応を今後とっていただけるものと信頼をしておりますので、そういった行動を、本当に市民から誤解を受けないという意味で、一度決めたことにはしがみつかない、技術が変われば、状況が変われば常に身軽に対応できるというような形で今後の対応をとっていただくように強くお願いをいたしておきます。  本日は、三分のランプがついておりまして、本当に時間超過して申しわけございません。  最後に気が楽になったところでいろんなジョークも言いたかったのですけれども、その時間もなくなりまして、本当に、先場所似ていると言われておりました貴乃花も不調でございましたので、私のしゃべりも不調でございましたけれども、本日答弁いただいたことの誠意ある検討と研究という中で、いただいたことは誠意ある対応をお願いいたしまして、長時間の御清聴に感謝しながら質問を終了させていただきたいと思います。(拍手)      ───────────────── ○主海偉佐雄 議長  この際、あらかじめ本日の会議時間を延長いたします。      ───────────────── ○主海偉佐雄 議長  次に、日程第二 平成八年議第二一五号「平成七年度熊本市各会計(公営企業会計を除く)決算について」を議題といたします。  平成七年度一般並びに特別会計決算特別委員長の報告を求めます。        〔平成七年度一般並びに特別会計決算特別委員長 奧田光弘議員 登壇〕 ◎奧田光弘 議員  平成八年議第二一五号「平成七年度熊本市各会計(公営企業会計を除く)決算について」の審査の経過並びに結果について御報告いたします。  本決算は平成八年第四回定例会において当委員会に付託を受け、慎重なる審査を行いましたが、審査の過程で特に問題となった点、並びに改善検討方が要望された事項等について審査の順序に従いその概略を申し上げます。  初めに教育委員会関係では、まず委員より、一般会計に占める教育費の割合が年々低下している原因についてただされたのに対し、昭和四十年代以降、公共投資によって経済の活性化が図られた時代は、教育委員会においてもハード面の整備が進められ、教育費も増加した経緯があるが、近年は公共事業の減少に伴い教育費も減る傾向にある。しかし、当時建設された校舎等の中には老朽化したものもあり、地震対策も含め施設整備を進めなければならないと考えている。教育費の総額さえふやせばよいというものではないと思うので、事業の種類や内容を精査しつつ効果的な運営に取り組んでいきたいとの答弁がありました。  次に学校需用費について委員より、類似都市と比較してみると本市は特に低いのではないか。一部では備品やトイレットペーパー等が不足しているところも出ていると聞くが、どのようになっているのかとただされたのに対して、需用費については各市で計上の方法が違うため直接の比較はできないが、ここ数年は一校当たり約四百万円を配当しており、類似都市の中で特に低いとは言えないと思う。また、生徒数が減少してきているので、一人当たりの単価は物価上昇程度は伸びているとの答弁がありましたが、この件については委員より、 一、需用費の不足に限らず学校現場の声が教育委員会に伝わらないという声も聞くので、改善を検討してもらいたい。 一、学級費等の保護者の負担についてはできるだけ抑えてもらいたい。 との要望が述べられました。  次に教職員の研修のあり方について委員より、今の先生たちは、授業はもとより、地域活動、出張等非常に多忙である。その中で各種の研修会が開催され、その出席のために児童・生徒がしわ寄せを受けていると聞く。先生の資質の向上のための研修であるので、教育委員会としても研修制度を体系化し、開催の一本化やブロックごとの開催、教育センターの活用等、効率的な運営に努め、研修が惰性で行われるようなことのないよう、本来の目的を達成すべく検討してもらいたいと思うがどうかとただされたのに対し、研修の機会をふやすことで先生の資質の向上ができればと考えてはいるものの、指摘のように先生が現場を離れることで子供がしわ寄せを受けることや、文部省も研修会等を現在の三分の一にする考えであることも考慮し、できるだけ研修については一本化していくよう検討していきたい。また、研修内容については、教育の原点である子供との触れ合いを重視して、人間味のある教師づくりを目指し再検討していきたいとの答弁がありましたが、さらに委員より、先生は学校で働く労働者であることも考慮して、教育委員会に現場の声が上がってくるような職場環境づくりにも努めてもらいたいとの要望が述べられました。  次に、教育費受託事業収入における約一千八百六十万円の収入未済額の内容についてただされたのに対し、この未収額は埋蔵文化財の発掘調査に係る費用の工事施工主負担分のうち平成元年度以降に発生した六件分であり、うち平成七年度分は一件である。この対策として、平成六年度以降は基本的に調査の前に半額の支払いを求めているが、残り半額の未収を防ぐためにも平成九年度からは事前に全額の支払いを求めていくよう考えている。また、未収分の中には代表者が行方不明になっているもの等、回収が困難なケースもあるが、相手方には年に三、四回督促し、分割払い等の方法も提示し、収納率の向上に努めているとの答弁がありました。  次に、監査報告書の中で、一部の課において財産の取得や契約事務などに不適切なものが見られたとの指摘がなされているが、具体的にはどのような内容だったのかと説明が求められたのに対し、監査事務局より、第一点は、施設課において中学校舎建築の際に、学校建設公社により建設された建物を一般会計に譲渡する方法をとっているが、建設公社での建設価格と議案の取得価格に差が認められたこと、第二点は、学校給食共同調理場において消耗品を購入する際、契約予定価格が設定されておらず、相手方の見積額によって購入していたことであるとの説明がありましたが、この件に関してはさらに教育委員会より、学校建設の問題については、一般会計への譲渡の際に、総額の中で国の補助がある部分については一括の買い取りを、単独事業となる部分については次年度以降の延べ払いをし、議案には当該年度支出分である補助事業の基準額のみを記載し、総額を記載していなかったものである。また、学校給食調理場の問題は、現場で使いやすい洗剤の種類を選べるよう、それまでは指摘の購入方法をとっていたが、平成八年度より改善している旨の答弁がありました。この点については委員より、現在は特に行政について、いろいろな意味で市民の目が向けられており、殊に今回は議案に係るミスであって、重大な問題であり真摯に反省するとともに、今後はえりを正し、適正な事務処理に専念してもらいたいとの要望が述べられました。  このほか委員より、 一、教育委員会では、いじめ対策や各種相談事業、先生の研修事業など、さまざまな事業に取り組んでいるが、決算状況報告書の説明が不十分であるため、事業の経過や結果、効果がわかりにくい。また、新規事業や新しくできた施設での初年度の実績などの内容についても十分な記載がなされていないので、全局を通じて記載の方法について再検討してもらいたい。 一、徳富記念園や横井小楠記念館といった各種記念館等については、維持管理費の捻出のため入場を有料化することや、観光部とのタイアップによる入場者の増加対策等に取り組んでもらいたい。 一、最近の子供は体力が低下してきており、骨折などの事故の発生件数は年々ふえているので、学校、家庭、社会が三位一体となった対策を講じてもらいたい。 一、各小学校に車いす用スロープ等の障害児用設備、並びに児童が必要に応じていつでも使えるような温水シャワー設備の設置を検討してもらいたい。 等の意見要望が述べられました。  次に、市民生活局関係では、まず独居老人の問題について委員より、近年の高齢化社会の中で、本市においても独居老人がふえており、その対応について考えていかねばならないのではないか。また、特に孤独死についての実態は把握しているのかとただされたのに対し、本市における独居老人数は、平成七年国勢調査によると約一万三千人であり、その対応策として、病気や非常時の連絡用に緊急通報システムを設置し、毎年百台ずつ増設しているところである。このほか、本人の申請に基づいて、定期的に電話連絡を行うサービスや、週に三回ほど乳酸菌飲料を配付し安否の確認をしている。また一部地域では、給食の配付や民生委員の訪問等を実施しているところもあるが、中には他人の干渉を嫌う老人もあって、すべての独居老人の安否の確認は困難な面もあるので、今後とも、行政と地域の両輪でこの問題に対応していきたい。また、熊本県全体の高齢者の孤独死の数については、警察の資料をもらってはいるが、市内における実態については、今後調査をしていきたいとの答弁がありましたが、さらに委員より、市としての孤独死の実態をとらえていない体制が問題であると思うので、地域や警察と連携し、真剣に取り組んでもらいたいとの要望が述べられました。  次に委員より、国民健康保険会計において、人間ドックに対する補助金に約一千万円の不用額が生じているが、このことは、市の医師会の推薦のあった医療機関でしか人間ドックを受診できないことが原因の一つに挙げられるのではないかと思う。また、医療機関が指定推薦の申請をしても認められず、推薦の基準が不明瞭であるとの話も聞くが、どのようになっているのかとただされたのに対して、現在、市内二十八カ所が受診機関となっており、市民病院等数カ所を除き医師会の推薦により指定された機関となっている。これは従来、各医療機関の協力のもとに事業を実施してきたため医師会に推薦をお願いしているという経緯もあるが、指摘のように、指定医療機関としての推薦に不明瞭な点があるようであれば医師会に申し入れを行っていきたいとの答弁がありました。  次に、高齢者、障害者等に交付されているさくらカードについて委員より、非常に便利になったと喜ばれている一方、従来の特別回数券のうち、介護者分として交付されていたものがなくなったため、介護が必要な人の外出が減少したのではないか。また、その影響として、通院の機会が奪われたことにより、老人医療費、重度障害者医療費給付費等の支出が見込みを下回っているとは考えられないかとただされたのに対し、平成八年度からさくらカードの交付を行っているが、これは従来の特別回数券とは違い、額の制限なく利用ができるため、介護者分の費用補助がなくなったとはいえ実質的な利用価値は高くなっており、老人医療費等の支出が見込みを下回った原因になっているとは考えていない。また介護者については、従来どおり身体障害者手帳の提示によって半額となる制度があるため、この制度を利用してもらいたいとの答弁がありました。  次に委員より、市民生活局においては超過負担が増加傾向にあり、その原因は各事業の実施単価と補助単価の差にあると思うが、中でも保育所管理運営経費において補助単価の決定方法はどのようになっているのかとただされたのに対して、保育所においては措置費の約八割を人件費が占めているが、人件費の補助単価は勤続七、八年の職員を標準として算出されており、六十歳定年の公立保育所では大半の職員がこの年齢域を超えてしまい、補助単価では支出を賄えない状況である。このことは全国的な問題であるので、全国市長会を通じて国にも陳情を行っているところであるとの答弁がありましたが、委員より、地方分権の意味からも、今後なお一層国への要望を続けてもらいたいとの意見が述べられました。  次に委員より、国民健康保険料の平成七年度の一般収納率が九〇%を下回り、この結果、国からの普通調整交付金は一〇%の減額となる見込みであるため収納率の向上が急務となっている。一方、低所得世帯の中には納付が非常に困難なケースもあり、適切な対応が望まれるが、このような実態をどうとらえているのかとただされたのに対し、国民健康保険料については、支払う能力があると思われる高所得世帯にも多くの滞納があり、いかに収納率を引き上げるかに腐心しているところだが、低所得世帯で保険料の支払いが非常に困難な場合には条例、要綱に基づき減免を行っている。平成七年度の減免申請件数は三百七件、金額にして一千七百三十万円であり、さらに平成八年度は増加すると見込んでいるとの答弁がありましたが、さらに委員より、高所得世帯の中にも滞納が多くあるということでもあり、今後滞納世帯の状況をどう分析し、どのように徴収していくつもりなのかとただされたのに対しては、現年度の滞納世帯は約一万六千世帯あり、そのうち、分割納付を行っている世帯が大半であるが、景気の低迷等による会社の倒産、失業、借金及び病気療養による支払い困難な世帯、その他所在不明等が滞納の主な要因と分析される。収納率向上の対策として、高額滞納者のリストをつくり、日曜日や夜間の訪問徴収を実施しており、また電話、文書による催告、市民センターでの納付相談の機会も設けている。このほか課内にプロジェクトを組織しており、納付組織の育成等、今後具体的な策を講じていきたいと考えているとの答弁がありました。この件に関しては、さらに委員より、本市の行政改革の徴収率引き上げ目標の二%を実現できるよう努力をしてもらいたいが、同時に低所得世帯の減免にも力を入れて取り組んでもらいたいとの要望が述べられました。  次に委員より、交通災害共済事業において、人口に対する加入率が二五・三%から二三・八%へと減少している理由がただされたのに対して、交通災害共済事業は、当初未発達であった交通事故保険制度を補完する目的で発足した事業であり、現在は民間保険制度の発達に伴い本来の目的は薄れてきていると考えるが、高齢者や子供等交通弱者にとってはなお役に立っている面もあるため事業の継続が望まれている。しかし今後、加入率が二〇%を割るようであれば、民間委託や見舞金額の改定、あるいは事業の廃止も含め検討していく必要があると考えている旨の答弁がありましたが、委員より、今後さらなる高齢化社会を迎えつつある中、この制度の推進は必要と思うので、給付内容等の充実を行い、加入率の向上に取り組んでもらいたいとの要望が述べられました。  このほか委員より、平成八年に出された市民意識調査報告では、交通安全の面や道路の渋滞等、本市の交通環境問題を不満とする結果が報告されているが、今後、県や警察とも連携をとって危険箇所の発見や信号の設置等に努め、安全で快適な住環境づくりに取り組んでもらいたいとの意見が述べられました。  次に保健衛生委員会関係では、まず結核対策費について委員より、三月に減額補正したにもかかわらず、なおかなりの不用額が出ているのはなぜかとただされたのに対し、結核対策費は間接撮影受診者数が当初見込みを大幅に下回ったため、委託料に不用額を生じたことや、また、年度途中の法改正により、これまで結核予防法が優先適用されていたものが保険適用となったことに伴い、扶助費にも相応の不用額が生じたものであるとの答弁がありましたが、さらに委員より、 一、一人でも多くの人が受診されるよう広報活動等を積極的に行い、受診者数の目標達成に努めてもらいたい。 一、結核の発生は減少しているものの、昭和期に比べると減少率が小さくなっている。減少率の引き上げにも一層の努力をしてもらいたい。 一、結核の検診については、市民が利用しやすい時間帯や場所についても工夫してもらいたい。 等の意見要望が述べられました。  次に委員より、公衆浴場に対する補助金において不用額がかなり生じているのは、昨今、各家庭にふろが普及し、公衆浴場が減少しているためのものであり、制度を見直す時期に来ているのではないかとただされたのに対して、公衆浴場では、実際、補助金を受けて営業を続けるよりやめてしまう業者が多いのが実情であり、平成七年度には四業者が廃業しているとの答弁がありましたが、この件に関してはさらに委員より、このような補助金のあり方についての監査委員の見解が求められたのに対しては、監査委員より、公衆浴場の需要は確かに減ってきてはいるものの、依然、家庭にふろのないところもあり、この補助金は容易に廃止できる性格のものではないと考える旨の意見が述べられ、引き続き委員より、 一、現在も必要と認められる制度であるならば、金額や助成の方法についても改善し、惰性で交付するのではなく効率的な運営に努めてもらいたい。 一、予算も毎年画一的に確保するのでなく、補助金交付の希望を調査した上で計上するようにしてもらいたい。 旨、それぞれ要望が述べられました。  次に、母子保健対策費に不用額が生じた理由と、B型肝炎母子感染防止事業の実施状況についてそれぞれただされたのに対して、母子保健対策事業において医療費の請求が医療機関から毎月あるべきところ、年度末分の一部の請求がおくれたため不用額が生じたものであり、今後は先方との連絡を密にし、このような事態を回避したい。また、B型肝炎母子感染防止事業は、妊婦がB型肝炎に感染している場合、胎児にも感染しているケースが多いため、生まれた子供の検査を行い、必要な場合ワクチンの投与を行う事業であり、市としては妊婦の九割に対し実施しているが、個別に受診している場合もあるので、全体数の把握はできていないとの答弁があり、さらに委員より、全体数の把握を含め受診率の引き上げにも一層努めてもらいたいとの要望が述べられました。  次にインフルエンザの予防接種について委員より、昨年はインフルエンザにより全国で約三百人もの高齢者が亡くなっているが、本市の実情はどうか。また、各高齢者施設での予防接種の状況はどのようになっているかとただされたのに対し、インフルエンザによる高齢者の死亡は本市では一件が報告されている。また、予防接種者数は昨年十二月末現在約一万五千人で、このうち高齢者の割合は一〇ないし一三%と考えられるが、副作用の問題もあり接種を強制できないので、大部分の自治体では任意の予防接種として実施しており、本市でも期限を設けて実施している。また、各高齢者施設において、今後接種についての啓発を図っていきたいとの答弁がありました。  この点に関連して委員より、 一、高齢者はウイルス等に対する抵抗力が弱いため、各高齢者施設の個室化等、感染の防止について検討してもらいたい。 一、インフルエンザの対策は予防接種に尽きるとは思うが、このほか流行の早期発見等、幅広く対処できる環境を整備してもらいたい。 との意見要望がそれぞれ述べられました。  次に動物管理センターについて委員より、近年は飼い犬の登録件数や、狂犬病の予防注射の件数はふえ、野犬の捕獲頭数は減少する等、動物管理センターの果たす役割も以前とは変わってきているのではないかとただされたのに対して、センターの業務の内容としては、捕獲二割、指導八割といった比重で運営していきたいと考えており、自治体や学校での指導、捕獲した動物の市民への譲渡等にも力を入れていきたい旨の答弁がありましたが、この点に関して委員より、犬や猫の飼育が高齢者や不登校児のメンタルケアに役に立っているケースもあるので、捕獲後は直ちに処分をするのではなく、広く市民に引き取りを呼びかけ、できる限り育てていく方向での対応を検討してもらいたいとの要望が述べられました。  次に委員より、保健衛生総務費と保健所費については、昭和六十年度と比べてそれぞれ四%、二一%の増加にとどまっているが、この間の一般会計は約二倍の予算規模になっている。このように予算が伸びていない理由は何かとただされたのに対して、これらの予算は総務管理経費であり、大きく伸びることがない上に、人員が減少しているため微増にとどまっているが、地域保健法の施行にあわせ福祉との連携に取り組んでいく必要もあるので、職員増を要求しているところであるとの答弁がありましたが、委員より、 一、高齢者の孤独死は昨年県全体で百九件もあり、増加の傾向にあるので、この点からも福祉や消防との連携を進めてもらいたい。 一、保健所は研修のための費用が少ないと聞くが、最先端の技術研修を受ける必要があることを考慮して研修の機会をふやすよう検討してもらたい。 との要望が述べられました。  次に地下水保全について委員より、熊本地域地下水総合保全管理計画に基づく開発行為の指導要綱はいつごろ策定されるのかとただされたのに対して、現在県において鋭意取り組まれているところであるが、国の環境アセスメント法案の動向をにらみながらの取り組みということから時間がかかっているようだ。本市としても早急な策定を要望していきたいとの答弁があり、さらにこの点に関しては委員より、白川上流の地下水涵養域の農地は市街化が進み、このまま開発が続けば涵養能力を失ってしまうことも予想されるが、この点についてどのように考えているかとただされたのに対し、指摘のとおり農地の持つ地下水涵養量は大きいので、熊本地域地下水保全活用協議会においても、地下水涵養に果たす農地の役割についてのシンポジウム等を開くなど、涵養域の住民の理解を得ながら地下水保全に取り組んでいるところであるとの答弁がありましたが、さらに委員より、熊本地域に水を供給できる多目的ダムの建設には一千億円からの資金が必要と聞いており、本市も応分の負担を強いられるので、このような支出を避けるためにも地下水の保全、涵養に努めてもらいたいとの要望が述べられました。  このほか委員より、 一、将来的には墓園の不足が予想されるが、新規の墓園整備の進捗状況はどのようになっているのか。 一、国立病院における看護婦二交代制の導入により、看護婦や患者の負担が増すことも考えられるが、市としてはどのように認識しているか、また市立病院では導入の予定はあるのか。 と、それぞれただされたのに対して、 一、桃尾墓園については平成八年度新たに二百区画を貸し付けており、九年度にも同じく二百区画を貸し付けられるよう準備しているところである。 二、看護婦二交代制の導入についてはメリット、デメリットがあり、当該病院に対し実情を聴取するとともに、患者や看護婦にとってどうであるのか、現場で十分に話し合ってもらうよう申し入れをしてきたところである。また、今のところ市立病院では二交代制の導入は検討していない。 との答弁がそれぞれありました。  次に経済委員会関係では、まず委員より、都市農業技術センターに関する調査費は毎年計上されているのに事業の進展が見られない理由は何か。また、計画の中では県の農業研究センターとどのように連携していくのかとただされたのに対して、都市農業技術センターについては、これまで適地の調査を行い、一般的な基本計画に基づき試算をしたところ、用地費を含め約百億円もの建設資金が必要と判明したため、施設用地以外の土地は借用して運営する計画も考えているところであり、できる限り補助対象事業として整備できるよう考えていきたい。また、県の施設は、研究のための施設は整っているが、県全体を対象としており、即本市に対応できるものではないため、農業技術センターは、県の研究センターと農家との間の中間的施設として地域に合った効果的な運営を目指したいと考えているとの答弁がありましたが、さらに委員より、新しい施設は実験や研究のためのみでなく、人が集まるイベントもできる公園のようなものを考えてもらいたいとの要望が述べられました。  次に委員より、市民農園の利用状況がただされたのに対して、市民農園は市民に大変好評で、これまで七カ所だった農園を平成九年には九カ所にふやしているが、契約もほぼ満杯となっているため、さらに土地を貸してもらえる地権者を探しているところであり、既存の市民農園に影響のないよう地域性にも配慮していきたいとの答弁がありましたが、委員より、市民農園の募集方法は、地域づくりも視野に入れ地域ごとに募集していく方法を考えてみてはどうかとの意見が述べられました。  次に委員より、農業後継者海外派遣研修事業の実績についてただされたのに対し、この事業は平成四年から実施しており、全国から募集される参加者の中に本市の農業後継者を五名ずつ参加させているものであり、参加経費七十万円程度のうち四十八万円を助成している。参加者は帰国後、後継者大会等で研修の内容を発表したり、地域農業のリーダーとして活躍しているとの答弁がありましたが、委員より、このような事業に対する助成については、国や県に対しても働きかけをしてもらいたいとの意見が述べられました。  次に中小企業団体等に対する補助金について委員より、各団体で補助額にかなり差があるのはなぜか。また、各団体からの決算報告は正しくなされているかとただされたのに対して、各団体への補助額については、各地域の歴史があり統一された額ではないが、団体の規模や取り組みの内容に応じて決定された経緯がある。また、実績報告や次年度の予算、事業計画等について毎年書類を提出してもらっているとの答弁がありましたが、委員より、各団体への補助金については、地域活性化の起爆剤となるように効果的な交付を行うよう心がけてもらいたいとの要望が述べられました。  次に委員より、全国的に二千を超える農業法人が設立されているが、本市での状況はどうか。また農業後継者育成対策として先進的な取り組みをしている農業法人への派遣等も検討してはどうかとただされたのに対して、農業経営者の間においても、経営管理という意識がようやく高まってきているが、本市ではまだ数個の法人にとどまっている。若い世代の農業後継者は法人化のメリットを十分認識していると思われるので、今後は、企業的農家育成にも取り組んでいきたいと考えている。また現在は、農業後継者育成対策として、法人設立のための経営管理研修やパソコン研修の機会も設けているとの答弁がありました。  次に委員より、テレトピア構想に基づき設置されている熊本情報案内システム「キングス」の利用状況についてただされたのに対して、キングスは県下全域に百十五台の端末が設置されており、うち十六台を熊本市で設置しているが、会社としての採算はほぼ達成していると聞いているとの答弁がありましたが、この点については委員より、 一、開発当時は他都市に先駆けたシステムであったと思うが、今となっては時代おくれの感もあるので、今後の運営のあり方を十分検討してもらいたい。 一、キングスよりも高速で多機能なメディアも登場しているので、この業務の存続についての議論を行うと同時に、本市独自の情報化計画を作成すべきではないか。 との意見が述べられました。  次に熊本港背後地整備推進事業について委員より、現在の進捗状況と構想実現の可能性についてただされたのに対し、熊本港背後地については、構想では第一に水面の広がる貴重な環境を残していくことや、数カ所の拠点を定めて開発を進めることが考えられているが、今後は近見沖新線沿線の整備、水産技術センターの整備等が考えられており、その優先順位等については地元の意見を聞きながら、平成二十五年ごろまでの完成を目指していきたいとの答弁がありましたが、さらに委員より、インフラ整備のおくれから、熊本ファズの整備がおくれそうであるが、地元経済の活性化の起爆剤として、経済界との協力のもと、ぜひ実現させてもらいたいと思うが、見通しはどうかとただされたのに対しては、平成七年より熊本ファズ株式会社で物流センター等の事業に取り組んでいるが、道路整備が完成しなければ実施設計ができないため、現在事業がストップしているのが実情である。しかし、今後もさらに研究を重ね事業実施へとつなげていきたいとの答弁がありました。  この点については他の委員より、ここ数年で経済情勢は大きく変化しつつあり、その動向を見きわめながら地元の経済を導くのが行政の役割であり、そのための研究も推進していく必要があると思うとの意見が述べられました。  次に委員より、ニューメディアコミュニティー構想の事業内容と経過についてただされたのに対して、ニューメディアコミュニティー構想は高度な通信処理能力等を育て地域経済の活性化を図る目的で通産省が打ち出した計画に基づき、株式会社流通情報センターを核に、主に情報システムの開発を行うことを事業としているものであり、流通情報センターでは、現在システムの開発や運用、公共システムの開発とコンサルタント業務を実施している。経営状況は平成九年までは自立経営ができないため補助金を支出するが、平成十年度以降については採算がとれるよう改善計画を立てているところであるとの答弁がありましたが、委員より、第三セクターとはいえ基本的には株式会社であり、単に補助金で赤字を補てんしていくことは許されないと思うが、赤字解消のため何らかの手段を講じているのかとただされたのに対して、第三セクターといえども採算を考えていくべきとの観点から、現在は公共事業の受注も得られるように取り組んでおり、市民病院の電算システム開発等にも着手しているところであるとの答弁がなされました。これに対して、さらに委員より、卸売業者ら三百四十社程度にオンラインサービスで経営情報を提供しているとのことであるが、この程度の実績では地域経済に大きく寄与しているとは言えないので、今後はさらに独自の経営方針を打ち出すよう検討してもらいたいとの要望が述べられました。  次に中小企業勤労者福祉共済事業について委員より、現在の各種給付事業の金額や貸付金の額は少ないように思えるが、他都市と比較してどうかとただされたのに対して、当事業への加入者は一千五百事業所一万八千人となっている。他都市と比較しても制度内容が劣るとは考えていないが、今後掛金を三百円から五百円に引き上げ、さらに制度の充実を図りたいと考えている。また一部都市ではこれを財団化しているところがあり、本市でもその検討をしていきたいと考えているとの答弁がなされましたが、この点に関しては委員より、制度の充実のため単に掛金を引き上げることは避けるべきであり、むしろもっと魅力ある給付内容や制度を設けることで加入者をふやすよう検討を行うべきであるとの意見が述べられました。  次に委員より、監査報告書の中で、産業局では財産管理について、中小企業局においては契約事務及び財産管理について不適切なものが見られたと指摘されているが、具体的にどのような内容なのかとただされたのに対して、監査事務局より、産業局においては、寄贈を受けた土地に囲いやさくの設置を行わず保全の措置がとられていなかったものであり、中小企業局においては、委託契約書が交わされる前に業務が実施されており、各局とも指摘の後に適正に処理を完了しているとの説明がありましたが、この点については委員より、財産管理については、新規取得したものだけでなく、既存の財産についても適切な管理がなされているか改めて確認してもらいたい。また契約事務のミスに関しては、ともすれば業者との癒着と思われても仕方のないことであり、課税ミス等いろいろな事務処理ミスが指摘されている中で、さらにえりを正して適正な処理に努めてもらいたいとの要望が述べられました。  次に委員より、平成七年度の観光客数が減少している中で、近畿地方からの観光客が三・二%と低くなっている原因と今後の対策についてただされたのに対し、近畿圏の観光客の誘致については、大阪事務所と連携をとりポイントを絞って観光客誘致に努めたいとの答弁がありました。  このほか委員より、
    一、商工振興資金貸付事業では、貸し付けの審査段階において、市が受理した貸付申請が熊本県信用保証協会で許可されないケースがあるように聞くが、本来、市において資金融資をする事業であることから、審査を主体的に行うよう努めてもらいたい。 一、産業文化会館の収入減は入居店舗の空きに起因していると思われるので、テナントにとっても入居しやすく魅力ある産業文化会館となるよう工夫してもらいたい。 と、それぞれ意見要望が述べられました。  次に建設委員会関係では委員より、建築指導業務において、違反建築物取扱件数が増加していることに関し、改善指導の状況と改善率がただされたのに対して、違反のうち最も多いのは建築確認の申請をせず着工するケースであるが、着工後であっても建物が建築基準法に違反していない場合には追認する方法もとっているため、改善率は約六〇ないし七〇%となっている。このほか中心後退に関するルール違反等も見られ、建築基準法に規定される道路については法的に後退を強制できるものの、それ以外の道路については強制力がなく、地権者の協力を求めるにとどまっている。また、中心後退を行うには時間がかかるため、改善については完全とは言いがたいとの答弁がありました。  さらに中心後退に関連しては他の委員より、ある地域では、住民がこれまで道路中心後退をしないままになっているところがある。さらには、その土地に接する道路には数カ月にわたり、その間に工事があっている様子が見られないのに工事中の看板が立てられていたという事例があっているが、このような事実を見ると、道路中心後退の指導が公平に行われていないように思う。今後は厳正、公平な指導を行うよう強く指摘をしたいとの意見が述べられました。  次に委員より、道路や公園整備事業における国庫補助の割合についてただされたのに対して、道路整備については電線の地中化工事や道路新設改良工事等に補助がなされており、補助率は以前から二分の一となっている。また公園整備については、近隣公園や地区公園等のうち用地取得費は三分の一、施設整備費は二分の一の補助率となっており、補助率は以前と比べて高くなってきている。また一部には総事業費のすべてが補助対象となっているものもあるとの答弁がありました。  次に委員より、国道三号線植木バイパスと地域高規格熊本環状道路の建設促進期成会にそれぞれ負担金が出されているが、負担金の額の積算基準はどのようになっているのか。また、県が執行する道路事業への市の負担率はどのようになっているのかとただされたのに対し、建設促進期成会への負担金は大部分を直接道路が通過する自治体が距離に応じて負担しており、残りを渋滞の緩和等で利益を受ける周辺自治体が負担している。また、市域内の県道の新設または改築の費用の一部である本市の工事負担金は、従前は県の単独事業で二〇%、補助事業で一〇%であったが、他都市の状況及び本市の財政事情等を踏まえ、県に対して負担率の低減措置を強く要望したところ、平成元年度から県の単独事業は一五%に、補助事業は七・五%にそれぞれ引き下げられているとの答弁がありましたが、この点についてはさらに他の委員より、県事業負担金は年々ふえつつある上、中核市になったことにより県補助金が打ち切られた事業もあること等を踏まえて、もう一度負担額を見直すとともに、県の中央部に位置している本市の整備が進められることは県全体にも大きく寄与することも考慮して、県に対して相当の負担をお願いしてもらいたいとの要望が述べられました。  次に委員より、白川公園改修に伴う地下駐車場の併設についての取り組みがただされたのに対し、白川公園再整備検討委員会を組織し検討を重ねているところであるが、地下駐車場の整備計画が具体的にできていないため、現在のところ公園の三分の二以上を広場にするなど、地下駐車場の工事が実施されたときに支障のないよう配慮しながら取り組んでいるとの答弁がありましたが、さらに委員より、白川公園に駐車場を併設することで市街地中心部への自動車の乗り入れを減らすことが都市計画上も重要であり、このような論議がなされなければならないと考えるがどうかとただされたのに対しては、パーソントリップ調査等の結果と都市計画を効率的に結びつけて駐車場の建設計画を進めていきたいとの答弁がありました。  次に委員より、都市圏交通計画検討調査経費として四千五百万円、治水総合計画策定事業として五千八百万円がそれぞれ支出されているが、事業の取り組みについてはどうなっているのかとただされたのに対し、都市圏交通計画検討調査事業は国や県との共同事業であり、各道路管理者が連携し、市域内十七路線を集中的に整備していくことにより渋滞等を回避することを目的に推進されており、具体的には現在、三路線の道路整備に係る予備調査を行っている。また、治水総合計画策定事業については、都市型水害を回避するため市域の河川流域の解析をしており、平成九年度には結果を取りまとめる予定であるが、計画の実施には多額の予算や期間を必要とするので、今後も長期、短期の計画を立てながら実施していきたいとの答弁がありましたが、これに対して委員より、多くの費用をかけて調査するのだから、あくまでも事業の実現を目指して取り組んでもらいたいとの要望が述べられました。  次に委員より、電線地中化事業において六百六十万円の収入減額が生じている理由は何かとただされたのに対して、電線地中化事業の開始当初は電力会社の円高差益還元を目的としていたため、電線管理者が工事費の約六割を負担していたが、その後、差益分の還元は終わったものの、地中化促進のために平成七年度に電線管理者の負担を軽減する法律ができたことにより、現在は市と電線管理者の協議の上で算定方法を定めている。しかし、平成七年度は年度末まで協議が決着しなかったため今回の収入減額となったものであるとの答弁がありました。  次に、監査報告書の中で、契約事務処理と積算基準の運用等について不適切なものがあったとの指摘がなされているが、どのような内容かと説明が求められたのに対して、監査事務局より、契約事務において、都市整備局で資材購入に当たって随意契約をしているもののうち、合見積もりができる場合には競争入札を検討すべきと考えられる事項があったものと、公園設備の点検整備を競争入札にせずに設備を設置した業者に委託契約していたものがあった。また積算基準の運用については、資材購入に当たり電算に誤った購入条件を入力したため、工事現場に不適切な資材が搬入され、再購入を余儀なくされたものがあった。いずれについても、指摘の後、適切な措置がとられ改善されているとの説明がありましたが、この件に関しては、さらに委員より、電算システムの運用に係るミスということだが、人間のミスをできるだけ防ぐようなシステムの構築と第三者による再確認の徹底が不可欠と考えられるので、早急に実施してもらいたい。また、工事の積算には熟練した技術が必要であり、職員の能力向上とチェック体制の確立を検討してもらいたいとの意見が述べられました。  このほか委員より、特別会計において貸付金の回収が滞っているものがあるので、収納率を上げるためなお一層の努力をしてもらいたいとの要望が述べられました。  次に総務委員会関係については、まず職員研修の内容について説明を聴取した後、委員より、 一、職員提案により提出された事務改善案はどのように処理されているのか。 二、行政課題研究研修は一過性の単発的研修としてでなく、一つのテーマについて継続して取り組めるような支援体制はとれないのか。 三、新規採用職員の多くは学校卒業後、社会を経験せずに入庁しているので、民間企業で実地体験をすることの意義は大きいと思うがどうか。 と、それぞれただされたのに対して、 一、職員提案により提出された案は、職員提案審査委員会において評価の上、優秀なものについては表彰し、さらに実施に向け検討を行うこととしており、現に実施されているものもある。 二、行政課題研究研修は現在研修としては単発で行っているが、終了後も任意にグループなどをつくり実践してもらうことを目標としており、そのための費用負担も一部実施している。今後も自主研究等を支援していく方向で考えたい。 三、新規採用職員については以前民間企業へ派遣した経緯はあるが、現在は老人ホーム等社会福祉施設での体験研修を行っている。しかし、今後も民間企業への派遣を必要に応じて検討していきたいと考えている。 と、それぞれ答弁がありました。  職員研修に関しては、このほか委員より、 一、熊本市は第三次産業人口の占める割合が多く、民間企業は市民サービスについて多くのノウハウを蓄積しているので、若い職員に限らず中堅職員についても市民サービスの感覚を体で覚える場をぜひ設けてもらいたい。 一、地方自治法や地方公務員法は公務員の知識として基本的な部分であり、特に近年は地方分権が論議されているところでもあり、あらゆる機会に研修が実施できるようその充実を図ってもらいたい。 一、多様な通信教育を行っているにもかかわらず履修者が少ないのは、職員の自己研さん意識が低いことに原因があると思われるので、ぜひ意識の改革に取り組んでもらいたい。また、資格取得者に対する手当の支給についても検討してもらいたい。 一、研修の履修状況が職員の評定に反映できるような評価方法についても研究してもらいたい。 等の意見要望が述べられました。  次に超過負担について委員より、その範囲はどの程度までなら妥当と考えているか。また、国に対する補助基準額の引き上げ等の働きかけは行っているのかとただされたのに対して、超過負担は国の補助基準額を超えて地方がその特殊性を加味して措置を行った場合、あるいは補助基準額そのものが国側で低く設定されている場合などに生じてくると考えられるが、どこまでが妥当であるというラインは設けていない。その完全な解消は難しいと思うが、できるだけ減らしていくことが重要であるため、全国市長会等を通じて国に対して働きかけており、今後とも努力を続けていきたいとの答弁がありました。  この件に関しては、このほか委員より、 一、基本的に基準額に沿って事業を行うというルールがなければ豪華な施設ができ、一時的には評価はよくとも、やがて財政的には厳しくなっていくということを再確認してもらいたい。 一、公共投資の地域活性化に果たす役割を認識し、超過負担を含め、つぎ込んだ財源はできる限り地元経済に還元されるよう配慮してもらいたい。 との意見がそれぞれ述べられました。  次に委員より、平成七年度も各事業において多少の不用額が生じている中で、交際費には不用額が生じていないが、交際費の会計処理並びに支出の内訳はどうなっているのかとただされたのに対して、交際費の支出方法は、平成八年度までは各課長の請求に基づき四半期ごとに一括して支出していたが、平成九年度から変更を行い、資金前渡の後精算をするように改めた。また、支出額や使途については、現段階での明示は難しいとの答弁がありましたが、さらに、委員より、交際費についても適正な執行がなされているか議会として審査を行うべきと考えているが、執行額や使途を非公開としている理由は何かとただされたのに対して、交際費についても他の予算と同様、議会の議決に基づき認められた範囲内での執行を行っているところである。また、現在情報公開の制定について検討委員会の審議がなされている段階でもあり、現時点では公開は難しいとの答弁がありました。この点については他の委員より、交際費については以前から論議をしているところであるが、その予算額は他の諸経費が高騰している中でここ数年据え置かれているのも事実である。また、使途については公開、非公開の両論があり、議会としても今後も真剣に論議していかなければならないと考えるとの意見が述べられました。  次に地方交付税について委員より、国の方針は補助事業を減らし、地方単独事業への交付税算入で財政措置を行っていく傾向にあるが、今後の単独事業の実施についてはどのような考えを持っているのか。また、交付税算入はルールどおりの額で交付されているのかとただされたのに対して、地方単独事業の割合がふえているのは事実であり、将来の財政運営を見据えながら交付税算入措置のある事業に力を入れていかねばならないと考えるが、現在の本市の財政状況を考慮すると、当分の間は地方単独事業の伸びを抑制する方向で考えている。また、平成七年度の公債費償還額のうち交付税算入額は約五十二億円で、ルールどおりであると考えているとの答弁がありました。  このほか委員より、 一、負担金補助金については、過去の経緯にとらわれ惰性で交付し続けることのないよう改めて交付の目的、期間の見直しを行い、効果的に運用されるよう努めてもらいたい。 一、旅費の一部には通信機器の活用で不用額を生じている事例があるが、今後とも必要不可欠なものを除き節約に努めてもらいたい。 一、監査報告書の指摘事項を見ると、全般的に担当者の不注意と管理職の統括の不行き届きに起因したミスが多く、防げないものではないと考える。いま一度慎重な事務の遂行を促し、注意を喚起してもらいたい。 との意見要望が述べられました。  かくして本決算について採決いたしました結果、賛成多数により認定すべきものと決定いたしました。  これをもちまして平成七年度一般並びに特別会計決算特別委員長の報告を終わります。 ○主海偉佐雄 議長  特別委員長の報告は終わりました。  これより質疑を行います。  本件に対し質疑はありませんか。        (「なし」と呼ぶ者あり) ○主海偉佐雄 議長  質疑なしと認めます。  それでは、これより討論を行います。  重松孝文議員より討論の通告が提出されておりますので、発言を許します。重松孝文議員。        〔七番 重松孝文議員 登壇〕 ◆重松孝文 議員  日本共産党の重松孝文です。  議第二一五号一九九五年度一般並びに特別会計決算について認定できない理由を述べて、討論を行います。  まず第一に、財政運営に関してであります。  監査委員の意見書は、本市の財政状況はここ数年の悪化傾向に歯どめがかかったものではなく、依然として厳しい状況にあると言わざるを得ないと指摘をしております。  九五年度の市債残高は二千七百二十九億円に達し、一般会計歳出総額の一一〇%となり、一九八九年(平成元年)度と比べ、六年間で約二・一倍と急増しております。債務負担行為額も四百六十九億円に達し、同じく約二・一倍になっております。市民一人当たりについて、市債と債務負担行為の合計を類似都市平均と比較すると約一・四倍に達しております。中核市の中でも際立って大きな借金を抱えていることになります。しかも、ため込んでいた土地開発基金、財政調整基金、減債基金を数年間で約三百億円も取り崩したにもかかわらずこの事態であります。積立金取り崩しの割合も中核市の中で断トツの第一位であります。  なぜこのように短期間で市債が異常に膨張したのでしょうか。はっきりさせる必要があります。最大の要因は、普通建設事業における地方単独事業の異常なほどの拡大であります。もちろん、国が自主的、主体的な活力ある地域づくりとか、生活関連社会資本の整備とか、景気対策のためなどと称して、補助金は出さずに、全国的に国の借金を地方に振り向けるべく推進したものではありますが、本市は安易にそれに乗って、財政体力も顧みず、他の類似都市以上に集中投資した結果であります。  補助事業と単独事業の比率を年度ごとに見てみますと、九二年度は一・八倍、九三年度は一・九倍、九四年度には二・八倍になり、さらに九五年度には開発公社の清算もありましたので三・五倍となっております。これまでたびたび指摘しましたように、その中には明らかなむだや必要以上の投資と思われるものが少なくありません。それでは、その結果、他都市以上に市民所得や市税は伸びたでありましょうか。その根拠を示す指標を見つけることは困難であります。賃金水準も市民所得も依然として中核市の中で最下位ではありませんか。公共投資が効果的に地元企業や市民の懐を直接温めるような対策を講じていないからでもあります。  しかも、国は地方単独事業に伴う起債の元利償還は地方交付税で措置するので、どんどん借金をしなさいと指導してきました。公債費比率が二〇%を超えてもいいように、起債制限比率という新たな起債許可基準まで設け、借金促進の通達まで出してまいりました。しかし、地方交付税は基準財政需要額と基準財政収入額の差額であり、財源枠も決まっており、果たして政府が言うように交付税措置がきちんとなされているのかどうか確かめようもない仕組みとなっているのです。  事実、本市の場合、単独事業の元利償還額は、九三年度三十八億円、九四年度四十六億円、九五年度には五十三億円と年々増大しているのに、地方交付税は一九九二年から九五年にかけて、三百十億円ないし三百二十億円台とほぼ横ばいで推移をしております。交付税措置というのは明らかにごまかしと言わなければなりません。  それだけでなく、県事業負担金の急増、補助金カット、超過負担なども財政圧迫の大きな要因となっており、国、県の市町村いじめも重大であります。  したがって、一九九五年度において三角市長が最も力を入れなければならなかったのは、この破綻と行き詰まりがはっきりしてきた本市財政について、国、県との関係も含め、財政悪化した真の原因と責任を明確にすることでなければなりませんでした。ところが、社会資本整備のために必要であったとか、景気対策のために役に立ったなどとあいまいにしたまま、再び駅周辺初め拠点開発事業に重点を置くために、国や県に人材まで当てにする自主性のない道を歩み始めました。  その結果、本来メスを入れるべきところにメスが入らずに、お金がないといって受益者負担の枠を際限なく広げ、市民への負担転嫁という方向に向いてしまっていることであります。九七年度当初予算における全国一の公共料金引き上げラッシュ、それでも足りずに、行政改革の名による駐輪場有料化、ごみ収集有料化、下水道事業の企業化による使用料大幅引き上げ、敬老祝い金の見直し等々の推進プログラムを見れば明らかであります。  国は財政構造改革の名で、大増税と医療、年金を初め社会保障に大なたを振るい、地方自治体と国民に未曾有の負担を押しつけ、一方、自治体は行革の名で住民に負担を押しつける。市民は踏んだりけったりではありませんか。地方財政法第二条の二は「国は、地方財政の自主的な且つ健全な運営を助長することに努め、いやしくもその自律性をそこない、又は地方公共団体に負担を転嫁するような施策を行つてはならない。」と定めております。現在の国の施策はこの条項に明らかに反するものであります。こうした流れが強まっているだけに、本来の地方自治体の役割は何か、財政運営はどうあるべきか、厳しく問われているのではないでしょうか。  第二に、むだ遣いが依然として正されていないことです。  南熊本駅周辺調査を初め、むだな各種調査費が九五年度以降もだらだらと使われているだけでなく、他方で都市農業技術センター調査や海洋水族館基本調査などなど、せっかく数年かけて調査してきたにもかかわらず、それが蛇の生殺しの状態になってしまっている事業も少なくありません。  さらに、公共事業の県内発注率が、平成六年度までは七割台であったのが、六割台に落ち込んでしまったことや、公共事業に携わる土木建設従業員の賃金が三省協定の三分の一程度にとどまっているにもかかわらず、何らの改善策がとられていないなど、これも形を変えたむだ遣いであります。高過ぎると指摘されている公共事業費についても、積算単価の検討を初め、なすべきことをせずに漫然と事業を継続しております。こうしたむだをなくすことこそ行革の第一の柱にすべきことではありませんか。  第三に、情報公開に全く反する時代錯誤の体質が根強く残っているという問題も指摘せざるを得ません。  私は、決算資料を見て、交際費だけは一円も不用額が生じていないことを不思議に思い、交際費の会計処理の仕組み、及びその使途と内訳を明らかにするように求めました。会計処理としては、支出した時点で支出済みと処理されているために、不用額がそもそも生じない仕組みになっており、チェックもできないのです。これでは、交際費が一体不足しているのか、あるいは余っているのか、どちらかわかりません。  ところが、審査に必要な資料の提出を求めても、交際費に関しては一切明らかにできないというではありませんか。私はその姿勢に愕然といたしました。今や、交際費に関しては、情報公開の裁判においても、支出先の個人名を公開すべきかどうかのレベルで争いがなされているのであり、使途や内訳程度については、条例制定を待つまでもなく、議会に公開するのは大前提であります。  要するに本市の姿勢は、交際費は機密費的なものであり、議会に対しても一切明らかにできないというものであります。これでどうして市民の理解が得られるでありましょうか。決算の認定もできるわけがありません。情報公開条例の検討をしている真っ最中というのに、全く反する態度と言わなければなりません。  こんな姿勢であれば、たとえ立派な情報公開条例ができたとしても、「仏つくって魂入らず」となる心配をせざるを得ません。そもそも何のための情報公開か、根本的に検討していただかなくてはなりません。市政の主人公は行政ではなく市民であります。  第四に、職員研修科目から地方自治法並びに地方公務員法が消えていることに驚きました。  これまで実務研修として、行政法、民法と並んで地方自治法と地方公務員法が、細々ではありますが、毎年実施されていましたが、三角市長になってから、九五年度以降、新規採用時の研修を除いて実務研修から姿を消してしまいました。地方公務員にとってバイブルとも言うべき法律の勉強を、このような扱いにしてよいものでしょうか。私には信じられない思いであります。  本年は憲法と地方自治法施行五十周年の記念すべき年であり、改めて憲法と地方自治法に基づいて、みずからの行政のあり方を検証すべきところであります。さらに言えば、行政改革のあり方も、地方自治法と地方公務員法に基づく真剣な検証が求められているのではないでしょうか。これに逆行していることについて真摯な反省を求めるものであります。憲法、地方自治法、地方公務員法の十分な習得をせずにして、企業経営意識を持たせる幹部研修に力点を置けば、必ずやゆがみが生まれる結果となることは明らかであります。  第五に、監査報告において、契約事務、財産管理、積算事務等々について、処理に問題があるとの指摘がほとんどすべての部門に及んでいることであります。  同様な指摘が九六年度決算の監査報告でも随所にあらわれています。しかも決算審査の中で明らかにされたように、まさに基本中の基本に関する問題で過ちが繰り返されていることは重大であります。到底認定しがたい内容であります。したがって、監査報告において、一部に問題があったというような抽象的な記載ではなく、具体的に一つ一つの事例を明らかにすべきではないでしょうか。そうでなければ、間違いを指摘された部署は是正されるかもしれませんが、ほかの部署でまた同じ過ちが繰り返されていくことになると思います。  最後に、不用額調書に関連いたしまして一言申し上げます。  市史編さんは本来委託事業となっておりますが、教育委員会関係の職員初め約十名の職員が協力して、新熊本市史「考古資料」及び「民俗・文化財」の編さんにおいて原稿執筆を担当したことにより約三百十万円の委託費の不用額が生じております。市史編さんという歴史に残る大事な仕事を、一部ではありますが、市職員の手で、しかも集団で、業務の中で遂行した結果、不用額を生み出したということはすばらしいことでもあります。  ほかにもこうした例は幾つもあると思います。今、行政改革と言えば、民間委託で安上がりにという流れが強まっていますが、私は行政がみずからできることまで安易に委託することは、有能な職員のやる気を奪い、行政のレベルを引き下げることになると思います。設計業務などにおいてもそうであります。自主設計の比率が九五年度には六〇%台と低下してしまいました。私は、市史編さんについての今回の経験からも、大いに職員の能力とやる気を引き出す行政改革とは何かをしっかりと学んでほしいと思うのであります。以上で討論を終わります。 ○主海偉佐雄 議長  以上で討論は終わりました。  それでは、採決いたします。  本件に対する特別委員会の決定は「認定」となっております。  特別委員会の決定どおり決定することに賛成の議員の起立を求めます。        〔賛成者起立〕 ○主海偉佐雄 議長  起立多数。よって、本件は特別委員会の決定どおり確定いたしました。      ───────────────── ○主海偉佐雄 議長  本日の日程はこれをもって終了いたしました。  この際、お諮りいたします。  明十四日から六月十八日まで五日間は休会いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。        (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○主海偉佐雄 議長  御異議なしと認めます。  よって、明十四日から六月十八日まで五日間は休会することに決定いたしました。  次会は六月十九日(木曜日)定刻に開きます。      ───────────────── ○主海偉佐雄 議長  では、本日はこれをもって散会いたします。                 午後五時十八分 散会 〇本日の会議に付した事件 一、議事日程のとおり
     平成九年六月十三日  出席議員 五十二名   一番 主海偉佐雄   二番 中沢誠     三番 坂田誠二    四番 藤山英美   五番 田中誠一    六番 内田三千夫   七番 重松孝文    八番 小山久子   九番 中松健児    十番 鈴木弘    十一番 古川泰三   十二番 税所史熙  十三番 山内光昭   十四番 下川寛    十五番 馬場成志   十六番 竹原孝昭  十七番 北口和皇   十八番 佐々木俊和  十九番 田辺正信   二十番 島田俊六 二十一番 河村寅麿  二十二番 田尻将博  二十三番 田尻清輝  二十四番 牛嶋弘 二十五番 岡田健士  二十六番 落水清弘  二十七番 益田牧子  二十八番 大江政久 二十九番 東すみよ   三十番 磯道文徳  三十一番 江藤正行  三十二番 荒木哲美 三十三番 伊形寛治  三十四番 奧田光弘  三十五番 鈴木昌彦  三十六番 宮原正一 三十七番 諸熊文雄  三十八番 上村恵一  三十九番 西泰史    四十番 亀井省治 四十一番 中村徳生  四十三番 嶋田幾雄  四十四番 竹本勇   四十五番 田尻武男 四十六番 白石正   四十七番 矢野昭三  四十八番 島永慶孝  四十九番 村山義雄  五十番 西村建治  五十一番 大石文夫  五十二番 紫垣正良  五十三番 西野法久 説明のため出席した者 市長      三角保之   助役      御厨一熊   助役      中村順行 収入役     岩本洋一   企画調整局長  松村紀代一  総務局長    野田晃之 市民生活局長  市原敏郎   保健衛生局長  工藤磐    環境保全局長  澤田幸男 経済振興局長  坂田憲一   都市整備局長  田尻紘    建設局長    齊藤聰 消防局長    野村功    交通事業管理者 行徳健次   水道事業管理者 竈啓一郎 教育委員会委員長松垣裕    教育長     後藤勝介   人事委員会事務局長                                       中尾政憲 代表監査委員  服部公雄   市長室首席政策審議員     財務部長    三嶋輝男                        瀬口芳生 職務のため出席した事務局職員 事務局長    森高聖之   事務局次長   岡本央    議事課長    松本豊 議事課長補佐  山田利博...