そこでお尋ねいたします。これまで述べてきましたとおり、新
熊本構想に基づき基本計画を策定されていく中で、二十一世紀に向けての熊本の将来を思うとき、この
健軍地区の再整備というものが非常に大きなかぎになると確信いたすものであります。
田尻市長におかれましては、本市の
都市づくりの中で、この
健軍地区をどのような位置づけでとらえておられますのでしょうか、そのお考えをお聞きしたいと存じます。
〔市長
田尻靖幹君 登壇〕
◎市長(
田尻靖幹君)
税所議員にお答えをいたしたいと思います。
その前に、去る四月の統一選挙におきまして、歴史と伝統に輝く
熊本市議会に議席を得られましたことに深く敬意を表する次第でございます。
さて、お尋ねの
健軍地区の再整備の問題でございますが、
税所議員御案内のとおり、この
健軍地区が熊本市に合併いたしましてちょうど本年は五十五年目になるわけでございます。昭和十年の
熊本大博覧会が大変成功に終わりまして、その翌年十月に
健軍地区は熊本市に合併いたしたわけでございまして、それから昭和十二年、戦雲険しい時代に入っていくわけでありますが、
健軍飛行場ができ上がりました。そして昭和十七年には大規模な
三菱軍需工場ができ上がりました。そういう面におきまして
健軍地区の果たした役割はまことに大きかったわけでございまして、交通面におきましても、昭和二十年の五月に水前寺─健軍の間に市電が走っているわけでございます。このようなことから、良好な住宅地といたしまして戦後、行政、商業、文化、こういう面におきましても我が熊本市の発展を非常に支えていただいた、リードしていただいた地域であるというふうに私は認識をいたしております。そして今日は、本市のみならず周辺の町村も含めました広域的な拠点としても大変栄えている場所であります。
ただ議員御指摘のように、
健軍商店街の南部一帯でございますが、かなり住宅の密集、老朽化、こういうものが見られまして、同時に
生活道路が非常に狭いと、このようなネックも出てまいりまして、今後防災の面からもこの地域の活性化というものが非常に求められているというふうに考えております。こういうことで、私どもは
議員各位の大変な御理解のもとに、
健軍周辺地区の整備につきましては、例えば
我が国有数の動植物園の完成、あるいはまた健軍の駐輪場の設置とか、健軍電停の改良、
都市計画道路であります
下南部画図線の整備、こういう
交通アクセスの改善にも努力をいたしてまいりました。
健軍商店街におきましてはいよいよ
アーケードの起工式を十二月には実施されると、このように承っているわけでございまして、地域の活性化につきましては大変な熱意を持ってお取り組みいただいていることに深く敬意を表する次第でございます。
今後、私どももこのような地域の高まりに対応いたしまして全力を挙げて
健軍地域の発展に取り組んでまいりたい、かように考えるところでございます。
また、本年三月議決をいただきました新
熊本構想におきましては、過度の集中による弊害が生じやすい一点集中型から、多核的な
市街地構造に転換していかなければならないと、これが熊本市の
都市づくりの基本方針であると、このような考え方に立ちまして、熊本駅周辺、南熊本駅周辺、水前寺駅周辺、子飼、
上熊本地区と、こういう地域にその地域の特性に応じました、そしてその生活歴史を重視いたしました市街地の構築に努力をしていきたいというのが私どもの考えでありまして、今後、
健軍地域を新都心としての位置づけをいたしまして、その発展に全力を挙げて取り組んでいきたいと、かように考える次第であります。
〔十三番
税所史熙君 登壇〕
◆十三番(
税所史熙君)
田尻市長の大変熱意あふれる御答弁、まことにありがとうございました。
健軍地区の輝かしい未来をお示しいただきまして、私どもも大きな夢を抱くことができ、将来がますます楽しみであります。
さて、
健軍地区の再整備に関して、ここで市電の延長について御要望をしたいと存じます。
市電の
健軍終点から益城町との境界までの間は住宅地域が広がり、また学校を初めとする
公共施設もございます。そこで、これまでにもこの区間までの市電延長について何度か要望もされ、さまざまな論議もなされてきました。もちろん、市電の延長には道路の幅員の問題や地域住民のコンセンサスの問題など、非常に難しいいろいろな問題があるのも存じております。しかし、市電の利用者はお年寄りや子供たちが多く、また電車は公害のない乗り物でございます。さらには、終点を中心とする商店街とともに、
東部地区が一体的に発展するためにも市電延長が実現しないものかと、私は長い間念願をしてまいりました。どうかよろしく今後御検討いただくよう御要望申し上げ、次の質問に入りたいと存じます。
次に、
交通渋滞対策として
主要交差点の立体化についてお尋ねをいたします。
東部地区の発展のためには道路網を初めとする交通体系の整備が特に重要であります。しかしながら現在の
道路交通事情、すなわち
交通渋滞の状況ですが、残念ながら決して良好とは言いがたい状況であるということは、私のみならず皆様が一様に感じておられるところと思います。近年の
モータリゼーションの進行により、本市の
自動車保有台数は、これは平成二年度旧熊本市分の数字でございますが、六十二万三千八十二台、市民の一人に一台を超える驚くべき数字となっております。また、市内の主要な交差点の自動車の流入量、これは平成二年度の一日の平均の数字ですが、
神水交差点で七万一千六百十八台、
九品寺交差点で七万八千二十四台となっており、
神水交差点などはこの五年間で約一万台も増加しております。
もはや、このような状況の中で、
交通渋滞を抜本的に解決する方策としては、
主要交差点を
立体交差とするよりほかに方法はないのではないでしょうか。現に
東バイパスと国道五十七号線との交差点では、最近
立体交差にしたことによって随分渋滞が緩和されたと聞いております。
そこで、
神水交差点や
東バイパスの
保田窪交差点など、渋滞のひどい交差点について
立体交差化を図れないものでしょうか。国と共同で
交通渋滞対策調査が実施されているようですので、その調査結果もあわせて
都市局長の御答弁をお願いいたします。
〔
都市局長 本田吉継君 登壇〕
◎
都市局長(
本田吉継君)
税所議員にお答えいたします。
昨今の
モータリゼーションの進展によりまして道路交通問題は深刻なものがございます。特に議員御指摘のような
主要交差点の
交通渋滞対策は早期解決が待たれるところでございます。この
渋滞対策は全体的な道路網を念頭に置きまして、国、県、市が一体となって取り組むべき問題でございます。
したがいまして、平成元年度に熊本市
渋滞対策連絡協議会を設置いたしまして、短期的及び中長期的な観点から
渋滞対策緊急実行計画を策定したところでございます。既に立田立体や
都市計画道路本荘犬渕線の
JR豊肥線との立体化が完成いたしまして、交通混雑の緩和や安全性の面からも大きな効果を上げているところでございます。本市の
総合交通体系の確立は、御質問の交差点の立体化を含め緊急かつ重要な課題でありますので、平成三年度から実施いたしております新
熊本都市計画構想調査や、新年度において新たな
交通計画調査を考えておりますので、本議会を初め国、
県等関係機関の御指導、御強力を得ながら検討をしていきたいと考えておるところでございます。
次に、昨年度実施いたしました
交通渋滞対策調査についてでありますが、本調査は、先ほど申しました
交通渋滞対策緊急実行計画の中で明らかになった、特に渋滞が顕著である浄行寺、水道町、九品寺、大江渡鹿の各交差点における交通のメカニズムを解明し、渋滞の原因とそれに対する対策等、当面の
渋滞解消策を明らかにするため国と市で実施したものでございまして、その調査内容は、各交差点における
自動車交通流の実態、交通規制と
交通信号制御の状況、各交差点の構造等であります。これに基づきまして
渋滞解消策を検討してきたところでございます。その調査をもとに、
九品寺交差点では、水道町方面から本荘方面へ右折車が多いことによる渋滞要因を解消するための
右折レーンを設置するため、交差点側より東側へ電停を移設することにいたしましたし、また水道町交差点につきましても同様の提案をいたしておりまして、その実現化を現在検討しているところでございます。
今後も本調査の活用をフルに生かしていきたいと、このように思っております。
〔十三番
税所史熙君 登壇〕
◆十三番(
税所史熙君) ありがとうございました。
立体交差化の問題は大変困難であるとは思いますが、何とぞよろしく御検討いただきますよう重ねてお願いをいたします。
では引き続きまして、先日この九州を襲い、本市においても各所に甚大な被害をもたらしました十九号台風による災害についてお尋ねをいたします。
その前に、このたび大変大きな被害をもたらしました十九号台風による被災者の方々にまず衷心からお見舞いを申し上げますとともに、一日も早く立ち直られますことを心からお祈り申し上げる次第でございます。
また、この台風の災害に際し、
田尻市長におかれましては速やかに十九
号台風災害対策本部を設置され、市職員の方の昼夜を分かたぬ御奮闘によりまして復旧作業が進められましたことに心から敬意を表しますとともに、市民にかわり感謝を申し上げる次第であります。また災害ごみは実に約三万トンにも上る膨大な量でありましたが、その収集及び処理に当たられました清掃職員の方の御労苦を何回となく拝見をいたし、私自身、ただ頭が下がる思いでいっぱいでした。改めて御礼を申し上げます。
今回の台風は、本市でも
観測史上最高の瞬間最大風速五十二・六メートルを記録するなど、まさに前代未聞の風台風であったわけでありまして、家屋の倒壊や
屋根がわらが吹き飛ぶなどの被害が続出し、特に国指定の
重要文化財であります熊本城の長塀の一部が倒壊するなど、各所で深刻な被害を受けたのであります。
まず最初にお尋ねしたいのは、本市における被害の状況と、その復旧のためどのような対応をされたのか、
総務局長にお伺いをいたします。
また台風十九号は、猛烈な強風や、これに伴う塩害により農作物や
漁業施設にも多大の被害を与えております。収穫期を迎えた野菜や果樹等は壊滅的な打撃を受け、特に
河内ミカンなど、今後立ち直れるまでには十年から十五年はかかるのではないかと言われております。被害を受けた
農漁業者の中には生産意欲に燃えた若い後継者も数多く含まれていると思われますが、昨今の農漁業離れ、特に
後継者不足が問題となっている中で、せっかく優秀な後継者が育ってきたやさきの
台風被害であります。後継者の意欲が失われるのではないかと心配しているところであります。
農漁業に対する保護策が見直しを迫まられるなど、農漁業を取り巻く厳しい環境の中で、立ち直りに長時間を必要とすると思われる今回の
農漁業被害に対してどのような対応をされるのか。また後継者の不足がさらに深刻化すると思われますが、これに対してはどのように対応されるのか、
産業局長にお尋ねをいたします。
ところで、今回の十九号台風により
市民生活も非常に大きな影響を受けたわけでございます。特に電柱の倒壊などにより市内の広範囲にわたって停電になり、懸命の復旧作業がなされたにもかかわらず幾日も停電した地域もあり、冷蔵庫や炊飯器など家電品を初め日常生活にも支障を来し、不自由な生活の中で、文明社会のもろさの一面を感じた市民の方々も多かったろうと思います。この停電に関連し、命の源であるところの水が断たれたことは市民の不安感と焦燥を招くとともに、改めて災害に強い
町づくりの必要性を浮き彫りにしたと言えるのではないでしょうか。
このたびの十九
号台風災害の教訓を生かして、災害に強い
町づくりを進めなければならないと思いますが、中でも今回特徴的であり、かつ深刻でありました停電に伴います断水に対して、今後どのように対応していかれるのか、
水道事業管理者にお尋ねをいたします。
〔
総務局長 中村順行君 登壇〕
◎
総務局長(中村順行君) 台風十九号に関しまして、被害の状況と本市の対応につきまして御報告を申し上げます。
台風十九号被害と執行部の対応でございますが、去る九月二十七日午後四時過ぎ、長崎県佐世保市の南に上陸しました台風十九号は、
熊本地方気象台観測史上最高の風速五十二・六メートルを記録、本市においても猛威を振るったわけでございまして、各所に無残な被害をもたらしたわけでございます。
まず最初に、この被害の状況を具体的に御報告申し上げますと、死傷者十七名、家屋の全壊七十九戸、半壊六百七十八戸、一部損壊六万有余、
農林水産関係被害九十一億円有余、
商工関係被害七億円有余のほか、
公共施設の損壊や街路樹、そのほか倒木等も多数に上ったわけでございます。
次に、この際の本市の対応でございますが、事前の対応としましては、台風の北上、九州接近に合わせまして
防災対策室を中心に情報の収集に着手、
台風襲来の前日、すなわち九月二十六日の二十二時十分、七名の職員から成ります
情報収集体制を敷きまして、翌二十七日午前八時三十分の
暴風波浪警報の発令に伴い三十六名の警報体制に移行しまして庁内の連絡体制を整えた次第でございます。午後四時過ぎ、台風の九州上陸以後、暴風は一段とその激しさを増しまして、特に十六時から十八時でございましたか、私も十四階に上がってみたわけでございますが、まさに揺れておりました。また目前で
重要文化財が倒壊するなど予測以上の風雨となったわけでございまして、各種被害の発生が顕在化していったわけでございます。
当日はちょうど、都市財政の充実強化など重要な議案を審議する熊本県下の市長会が菊池市におきまして開催中でございました。これに出席中の
田尻市長には暴風雨をついて急遽帰庁いただいたところでございます。この間、庁内一丸となりまして被害情報の収集に当たるとともに、消防局等を中心とする
応急対策にも取り組みを続けましたが、十九時三十分、直ちに緊急庁議を招集され、状況の報告あるいは対応の協議がなされ、同日二十時二十分には早急な
被害調査と迅速な
応急対策のため第十九
号台風災害対策本部を設置、風雨の弱まった夜半から、市長の陣頭指揮のもと、情報の分析に合わせまして各部局における行動を開始したわけでございます。翌日からは折しも土曜の閉庁日、日曜日に当たっておりましたが、これを返上しまして、市長初め三役、全局長、さらには延べ三千六百人の職員が出動、
市議会各派と連携をとりながら
被害調査等応急対策に全力を挙げた次第でございます。
ここで
応急対策の内容を一部申し上げますと、まず
災害廃棄物につきましては、この二日間で延べ二千九台の車両によりまして一千六百九十トンの収集処理、自来十一月の末までに総出量約三万トンに及んでおるわけでございまして、土木部門でも直営作業のほか二十業者に業務委託など、各部門で職員は体力の限界に至るまで懸命の作業に取り組んだわけでございます。
また今回、被害の大きな特徴としまして停電が多くの市民の生活を直撃、これが水道の断水にも波及したわけでございますが、また電話回線の不通も生じたところでございます。本市としましては市長みずから、
市民生活の安寧を一日も早く取り戻すため、九州電力に対しその早期修復を強く要請、NTTにも同様の働きかけを行い、未曾有の暴風雨による広範囲な分野での復旧に懸命の、両機関ではありましたが、それぞれ可能な限り迅速な対応に御配慮いただいたわけであります。
この後、十月二日には九月二十七日にさかのぼりまして
災害救助法の適用を受けたわけでございますが、災害の概況が次第に明らかになる中で、市民の
生活援護対策、中小企業や
農林水産業への
緊急融資等の対策を順次決定、十月三日には台風十九
号災害臨時相談所を本庁舎一階並びに四総合支所に開設をいたしまして、これまで約一万件の相談があっているわけでございますが、初めての経験で戸惑いが見られる市民の皆様の相談に応じたわけでございます。
以上が十九
号台風襲来直後の本市の対応の概要でありますが、従来の災害とは異なる初めての体験でありまして、一部戸惑った面もなきにしもあらずと存じますものの、執行部としましては可能な限り懸命に対策を講じたつもりであり、この体験を今後の災害予防に生かしていかなければならないと考えているわけでございます。
最後になりましたが、
税所議員さんを初め
議員各位より、今回の
台風災害に際し終始温かい御指導、御鞭撻を賜ったところでございまして、深く感謝を申し上げる次第でございます。ありがとうございました。
〔
産業局長 竈 啓一郎君 登壇〕
◎
産業局長(竈啓一郎君) 台風十九号の災害に関連いたしまして、特に被害の大きかった農林漁業の
長期対策、
後継者対策についてのお尋ねでございます。
今回の台風十九号に伴います農業、漁業への被害につきましては、総額九十億を超えるという未曾有のものでございまして、特に農業の被害につきましては、被害総額のうち約八三%がミカンに関する被害でございまして、特にその中でも
樹体被害がその半数を超えているというような状況でございまして、今後各種の対策を講じましても、なおその回復には五年あるいは十年という期間がかかるものと心配しているところでございます。
まずお尋ねの第一点でございます農業、漁業の立ち直りに対します
長期対策でございますが、被害を受けたミカンの
樹体被害の
回復対策というものを現在進めているところでございますが、さらに野菜、花卉施設の補修整備、畜舎の整備、
ノリ加工施設等施設の
整備対策を講じてまいりたいというふうに考えております。これらの
対策資金といたしましては、
農漁業用施設の復旧、果樹の植栽としての
台風対策近代化資金、
水産業災害対策資金、
台風天災資金等があるわけでございます。また農家経営安定のための
収入減補てん対策といたしましては、
台風自作農維持資金、台風野菜・
果樹等対策資金等があるわけでございます。
いずれも被害の状況に応じまして無利子及び低利の資金でございまして、現在事務手続を行っているところでございます。特に本市におきましては、これらの制度資金のつなぎを行いますための熊本市
農林漁業災害対策緊急資金を創設いたしましてその対応を図っているわけでございます。また今後、特に被害の大きかった
ミカン部門でございますが、
樹体被害対策につきましては、短期的には液肥等の葉面散布、堆肥の施用など樹勢の回復を図るという方法をとっているわけでございますが、長期的には苗木の改植あるいは補植、さらに
防風対策としての防風網や防風樹の設置等を行いたいと、そのために国、県の
補助事業等の活用を含めて再生産に向けての取り組みを図ってまいりたいというふうに考えているわけでございます。
次に
後継者対策でございますが、現在
農業後継者約八百三十名、
漁業後継者百六十名、合わせますと約一千名近い後継者の方がおられるわけでございます。これまで
後継者対策といたしましては
新規就農者の激励会とか、あるいは組織育成の助成、
経営管理能力向上のための
パソコン研修とか、あるいは
リーダー養成のための
青年研修大学への派遣、
花嫁対策とか、こういったものを実施してきたわけでございますが、今回の
台風被害は後継者の最も多い
河内地区に集中しているわけでございまして、
河内地区を中心といたしまして、今後意欲の低下を防ぐような対策を講じてまいりたいというふうに考えております。
現在行っております金融支援あるいはきめ細かな
経営指導等はもちろんでございますけれども、特にこれらの事業推進に当たりましては
後継者グループの意見、要望等を十分踏まえて、新年度予算の中で後継者の意見を反映させるようにと市長からも強い指示をいただいているところでございまして、私どもも後継者の意欲を向上させますための努力をさらに積極的に進めてまいりたいというふうに考えております。
〔
水道事業管理者 境 三子夫君 登壇〕
◎
水道事業管理者(境三子夫君) 台風十九号の災害に伴う断水と今後の対応についての
税所議員の御質問にお答えを申し上げます。
先般の九月二十七日の台風十九号による停電のために一部高台地域が断水いたしたところでございます。このような状況に対応するため、水道局においても直ちに水道対策本部を設けた次第でございます。しかし、島崎、花園、池田、河内、北部地区の一部などに電気が回復せず断水の地域があったところでございます。
そこで、翌二十八日の午前六時から三日間にわたり職員一丸となって緊急給水に当たってまいったところでございます。特に職員の中には自宅の被害が大きいにもかかわらず、土曜、日曜、昼夜をいとわず被害復旧や給水対策に当たったところでございますが、高台地区以外でも、三階建て以上のマンション等の建築物につきましても断水がありましたが、これは建築物所有者が設置いたします揚水ポンプが停電のために可動せず断水となったところでございます。
今回の台風による停電は過去に例を見ないものでありまして、局といたしましても全力を挙げて努力してまいりましたが、いかんともしがたいものがございました。水は生命の根源で、日常生活に不可欠であり、水道の断水が市民に与える影響は非常に重大なものであることは御指摘のとおりでございます。そのため水道事業といたしましては、これまでの水需要の増加に対応いたしました安定給水のみならず、災害時にも一定の給水が確保できるような水道施設の整備に取り組まなければならないと痛感いたしている次第でございます。
具体的には配水池容量の増強、配水区相互の水融通体制の確立、非常用発電設備の設置等が考えられるわけでございます。これらの設備投資につきましては多額の資金を必要とするわけでございますので、先般加藤議員にも申し上げましたように、旧飽託四町の水道整備事業も含めまして地域全体を一本化する基本計画の中で、議会とも御相談申し上げながら災害に強い水道を築き上げたいというふうに痛感しているところでございます。
〔十三番
税所史熙君 登壇〕
◆十三番(
税所史熙君) 御答弁ありがとうございました。
台風災害の復旧作業等、執行部の方々には毎日が大変な御苦労であったと思いますが、今回の教訓を生かした、安全で災害に強い
町づくりのため、より一層の御尽力をお願いするものであります。
次は、環境づくりの中の水問題についてお尋ねをしたいと思います。
私はかねがね、地域社会の発展もさることながら、環境問題に対しましても大きな関心を抱いておりました。さきの三月議会において議決されております熊本市基本構想の都市像には、水と緑の
人間環境都市という表現で環境問題が真っ先に取り上げられておりますことは、日ごろの私の関心と一致するところであります。計画の中には環境保全のための諸施策が盛り込まれると思いますが、私は今回の選挙を通じまして、環境の保全に対するわかりやすい表現の一つとして、メダカが遊ぶ
町づくりをスローガンに掲げ市民の方に訴えてまいりました。これは、恵まれた自然環境と心安らぐ社会環境の創造を意味しております。
熊本市はこれまで豊かな水資源に恵まれ、かつては市内の至るところで多くの湧水を見ることができました。しかしこの湧水も近年では量も減少して、枯渇の憂き目にさらされているところが少なくありません。昭和六十年に行われた熊本地域地下水調査報告書によりますと、熊本地域の地下水は将来にわたり使用量が増加し、今後さらに涵養地帯などの土地利用の変化が進めば、市民のオアシスでもある八景水谷公園、
水前寺江津湖公園においても湧水の減少が著しく進むであろうと予測されております。最近の地下水の取水状況は、冷暖房に水を使用しない方法が普及するなどの理由で減少傾向にあると言われていますが、地下水の量的な保全、さらに長期的展望に立った水資源確保の問題は、今後の本市の発展を考える上で欠かすことのできない課題であります。そこで水資源に関する基本的な考えをお尋ねしたいと思います。
まず第一点目に、最近の湧水の減少などの現状をどう認識されておられるか。
二点目に、地下水の量的な保全について現在どのような対策を講じておられるか。
三点目に、今後地下水保全や水資源の確保に向けてどのような施策をとられるのか。
以上三点につきまして御答弁をお願いいたす次第でございます。
〔保健衛生局長 後藤勝介君 登壇〕
◎保健衛生局長(後藤勝介君)
税所議員にお答えを申し上げます。ただいま水の問題につきまして、主として量の面からのお尋ねであったと思います。
まず、地下水の湧水量が減少しているようだがどう認識しているかという点でございます。
本市の地下水を取り巻きます環境は、御承知のとおり、産業の発展あるいは都市化の進展、生活水準の向上等、水の需要を増加させるような要因が増加する中で年々厳しくなっておるところでございます。ただいま御指摘もございましたように、一部の湧水池等におきましては湧水量が減少しているという状況もございます。したがいまして私どもといたしましては、これらの状況を厳しく受けとめまして地下水量の保全に全力を挙げなければならないと考えておるところでございます。
二点目でございますが、地下水の量的保全についてどのような対策を講じておるのかという点でございます。
先ほども申し上げましたけれども、本市におきましてはそういう厳しい認識のもとに、例えば昭和五十一年には市議会におきまして地下水保全都市宣言の御議決をいただいておるところでございます。さらに昭和五十二年には熊本市地下水保全条例が制定されました。またこれらの問題に取り組みますために、同じく昭和五十二年に水道局で地下水保全対策室の設置が行われたところでございます。このような経過を経まして、現在本市におきましては関係各課と連携をとりながら量的保全に取り組んでいるところでございまして、主要な事業といたしましては水利用の合理化対策、涵養対策等を進めております。
主なものについて若干申し上げてみますと、水利用の合理化対策につきましては、家庭におきます利用につきまして節水モデル地区やあるいはまた節水教育推進校等におきまして節水の実践活動を行っております。また都市活動用水につきましては、節水効果が非常に高いと言われます冷却塔の設置等の推進を行っております。また工業用水につきましては、合理化計画に基づきます合理化の指導等を行っております。また本年三月に改正されました地下水保全条例に基づきまして、地下水の大口利用者に対しましては地下水利用管理者の選任、再利用の義務づけなどを行っておるところでございます。
また涵養対策といたしましては、水源涵養林の造成、あるいはビニールハウス圃場での雨水浸透モデル実験、地下水涵養池モデル実験、雨水浸透ます、透水性舗装の設置等を実施しているところでございます。さらにまた、熊本市と周辺十五市町村との間で平成二年度に設立されました財団法人熊本地下水基金におきましては、基金の造成を今後もさらに続けていかなければならないわけでございますけれども、広域的な地下水保全のための事業を推進していく計画でございます。
〔議長退席、副議長着席〕
今いろいろな取り組みを申し上げましたけれども、地下水の保全を進めていきます上で啓発活動というのも非常に重要でございます。したがいまして、八景水谷にございます水の科学館の活用を初めといたしまして、水の週間におけるイベントの開催等を実施してまいりたいと考えております。
それから今後の取り組みということでございます。
基本的には現在まで進めてまいりました施策をさらに積極的に進めなければならないと考えておりますけれども、今回の四町合併という新たな事態もございますので、そういうことも含めまして的確に対処してまいりたいと考えております。現在、平成二年度から三年度にかけまして長期水需要予測調査を実施いたしております。この結果もやがてまとまる予定でございますが、そういう結果も見ながら、地下水だけでなく代替水源の確保等にも取り組んでいく必要があると考えております。いずれにいたしてもこれらの事業を総合的に、しかも広域的に進めてまいりますためには、それを進めますための組織についても非常に重要な問題と考えておりますので、ただいま関係当局とも組織の強化についても相談をしているところでございます。
いろいろ申し上げましたけれども、熊本市民の命の源でございます地下水の量、質両面にわたりまして保全しますために、私たちといたしましては全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
〔十三番
税所史熙君 登壇〕
◆十三番(
税所史熙君) 御答弁ありがとうございました。
水資源の問題について懸命に取り組んでいただいている実情がわかり心強く思いますが、このような重大な課題を解決していくには、水資源の担当部署の充実はもとより広域的な取り組みが必要であると考えるわけであります。今後とも積極的に取り組んでいただくようお願いするものであります。
それでは、次の質問に移らせていただきます。
続きまして中小企業の振興に関して三点ほどお尋ねをしたいと思います。
本市では事業所数の九九%、従業員の八一%を中小企業が占めており、
田尻市長が常々申されておりますように、地域経済の活性化を図るにはこの中小企業の振興対策がとりわけ重要であると思います。
折しも我が国の経済を取り巻く状況は、イザナギ景気をしのぐと言われた平成の景気も、バブル経済の崩壊に端を発し陰りを見せ始め、先行き不透明な状況となっております。日本銀行や経済企画庁などは、景気は緩やかに減速しつつも拡大過程にあるとの言い方を変えていませんが、減速感が強まっていることは認めております。したがいまして、これからますます厳しさが増していく状況のもとで、中小企業に対する振興対策はより熱心により強力に推進されねばならないと考えます。
そこでます第一点として、中小企業の人材確保、育成についてお尋ねをいたします。
本市の中小企業においては最近特に人手不足が深刻な問題となっております。必要な人材を確保するためには、福利厚生の充実や労働時間の短縮などに積極的に取り組み、明るい魅力的な職場づくりを進める必要がありますが、体質の弱い中小企業においては容易に解決できる問題ではありません。また採用後の人材の教育も重要であります。企業活動の高水準化に伴い、より高度な人材の育成が求められている中で、企業内部には蓄積されていない知識、すなわち新しいノウハウを用いた専門的な教育を行うことは中小企業単独では対応困難な場合が多く、人材の確保とともに積極的な支援が不可欠であります。
そこでお尋ねします。本市においては職業訓練センター等における建設業の人材育成を初めとして、中小企業の人材育成に支援をいただいているところでありますが、時代の要請にこたえた人材確保、育成についてどのような対応を考えておられるか、御答弁をお願いしたいと思います。
次は、中小企業の集団化、融合化事業に対する取り組みについてお尋ねをいたしたいと思います。
中小企業の集団化事業は、企業の作業環境の改善と生産性の向上を図るため適地に集団移転するもので、中小企業の高度化事業の中でも最も大規模な投資を行い、中小企業振興に果たす役割はまことに大きいものがあるわけでございます。また中小企業の融合化事業は、画期的な技術改革、消費者ニーズの多様化、高度化、国際化が進行する中で、新たな分野の開拓を行うために、事業分野を異にする中小企業が共同してそれぞれの技術や経営に関する知識などの経営資源を相互に補完し、新たな製品やサービスを開発するものであり、国においても、その交流、開発、事業化のそれぞれの段階に応じて補助金や融資、税制上の優遇措置など手厚い支援を講じているところであります。今後、本市の地域経済を支える中小企業の振興、発展を図っていくためには、これらの集団化や融合化事業に積極的に取り組んでいくような、企業に対する支援策の拡充強化が必要であろうと考えるわけであります。
そこでお尋ねでございます。集団化事業や融合化事業の支援について、今後市においてはどのように取り組んでいかれるのか、御答弁をお願いいたします。
次に、大型店規制緩和についてお尋ねをいたします。
御案内のとおり本市は、商業・サービス業、いわゆる第三次産業比率が就業者において七七%、総生産で八〇・五%を占める商業都市であります。商業・サービス業の集積する商店街は、買い物、レジャーの場として
市民生活の向上に大きく貢献してきましたが、既存の商店街を取り巻く環境は従前にも増して厳しい状況にあります。所得の向上、生活行動様式の変化、女性の社会進出などの社会経済環境の変化により、販売対象を絞ったコンセプトショップやバラエティーショップなどの特異な専門店やホームセンター、さらにはコンビニエンスストアなどの新業態を生み出しております。これらの店舗は近年郊外への出店が顕著であり、ワンストップショッピング性と
交通アクセスにすぐれ、広い駐車場を持つため消費者の支持を受けており、既存商店街には大きな脅威となってきております。
今後、大型店の規制緩和が着々と進行する中で、郊外への出店傾向はますます強くなるものと思われます。本市商業の機能分担をいかに進めていくかは極めて重要な課題であります。本市内の百三十を超える商店街の中には、資金力、経営ノウハウの蓄積や人材に乏しい商店街も数多く存在し、とりわけ地区型近隣商店街において、どのようにしてみずからの商店街の再生を図り、自己革新を進めていくかについて困惑しているところが多々あると憂慮いたすものであります。
そこでお尋ねですが、大店法規制緩和により今後大規模小売店舗の活発な進出が予想されるわけでございますが、これに対応して中小企業振興の観点から、今後の商店街振興対策をどのように考えておられるのか、以上三点につきまして中小企業局長に御答弁をお願いいたします。
〔中小企業局長 木村和臣君 登壇〕
◎中小企業局長(木村和臣君)
税所議員にお答えを申し上げます。中小企業振興について三点ほどの御質問でございます。
まず最初に、中小企業における人材の確保及び育成についてでございますが、現在熊本職安管内におきます新規学卒者の就職状況を見てみますと、高校卒業者で四割、大学卒業者で七割が県外の大企業に就職している状況でございます。本市といたしましては、中高校の進路指導の先生それから求人企業の経営者の方々との懇談会、あるいは学校の先生方──就職指導の先生方に地元の企業を視察をしていただいて、新規就職者の地元定着を図るように積極的に行っているところでございますが、実情といたしましては非常に厳しいものがあるわけでございます。
特に建設労働力の需要が高まりまして、建設業における技能労働者は大幅に不足しているのが現状でございます。平成元年度におきます技能労働者の人手不足率は二五・九%でございます。全産業の不足率一〇・七%を大きく上回っておるわけでございます。特にその中でも鉄筋工、型枠工及びとび職等におきましては非常に不足をしているわけでございます。このあたりにつきましての確保は全国的な問題として深刻なものとして受けとめているわけでございます。そこで本市といたしましては熊本市と二町──益城町、菊陽町で構成をいたしております熊本雇用対策協議会を通しまして人材の確保に努めているところでございます。
建設業の人材の育成についてでございますが、熊本職業訓練短期大学校において現在六十一名の生徒が学んでおります。事業内認定訓練校においては若年労働者七十三名が現在技能を習得、勉強をしております。御案内のとおりこれらについて運営の助成をいたしているわけでございます。本市といたしましては、今後すぐれた技能者を育成するために、市が優秀技能者を認定するなど奨励あるいは褒賞制度を充実いたしまして、今後技能労働者の社会的地位の向上に寄与するように万全の施策を展開してまいりたいというふうに考えております。
二番目に、集団化、融合化事業に対する取り組みでございます。集団化並びに融合化につきましては中小企業の振興に大きく寄与しているところでございます。
集団化事業につきましては、助成制度を設けました昭和四十五年以降本年度までを含めまして九件の事業が行われております。本市といたしましては集団化事業が持つ重要な意義にかんがみまして、昭和六十二年度に中小企業局が新設された際に、それまでの六百万円の助成金を拡充いたしまして、さらにその内容に応じまして二千万または一千万の助成金を交付してきたところでございます。また中小企業団体中央会等の関係機関とも連携をとりまして、完成に至るまでの組合指導や市関係各課との連絡調整をいたしながら、きめ細かい対応をしてまいったものでございます。今後も集団化後の組合運営並びに共同事業に対するその活性化、それぞれの組合の実情に応じた支援策も今まで以上に講じていきたいというふうに考えております。
次に融合化についてでございますが、現在までの主な取り組みといたしましては、組合設立時の運営費助成、平成元年からキノコ産業の起業化支援など本市の独自の事業も行ってきたところでございます。こうした実績を踏まえまして、今後本市といたしましては中小企業の技術力や商品開発、技術交流の調査、あるいは研究会を開催し、融合化事業の積極的な展開を図ることにしておりまして、その支援策を拡充していきたいと考えております。
三番目でございますが、大型店規制緩和に伴う取り組みについてでございます。
既に御承知のとおり大店法の改正が行われる予定でございますが、それに伴いまして大型店の進出が加速されてくるものと予想されます。特に本市郊外や周辺市町村において計画されておりますレジャー施設を含んだ大規模複合型ショッピングセンターが具体化すれば、従来のように限定された地域にとどまらないで、本市の既存商店街に及ぼす影響が非常に広範かつ甚大化するというふうに懸念をいたしているところでございます。
本市といたしましてもこれまで、関係各局と商店街と連携をとりながら道路環境整備を初め商店街の環境整備を推進してきたところでございますが、本年度は五福地域開発センターあるいはくまもと工芸会館に見ますように、地域の
商店街活性化のためのユニークな拠点施設を開設したところでございます。また現在、文化、教養、健康増進のためのコミュニティー施設や大型店に比べて不足している駐車場の整備につきまして、商店街と行政が一体となって建設を進めていくにはどういう方策があるかを
商店街活性化文化施設整備調査の中で検討しているところでございます。こうした施策が示しますように、今後の本市の商店街振興策につきましては、商店街の環境整備を今以上に積極的に推進するとともに、地域の生活者に求められています文化あるいはレジャー、並びにコミュニティー機能の充実を図るために、地域の状況に応じた商店街の拠点施設整備に取り組んでいきたいというふうに考えております。
〔十三番
税所史熙君 登壇〕
◆十三番(
税所史熙君) ありがとうございました。
本市の経済はまさに中小企業の振興にかかっております。最近景気に陰りが見え始め、また一方では商業都市熊本市に大店法改正の追い打ちがかかり、中小企業を取り巻く環境は一層厳しさを増しているのは周知のとおりであります。ここで、経済に強い
田尻市長の敏腕に期待し、起死回生の方策を打ち出していただきますことを熱望し次の質問に移らせていただきます。
続きまして、福祉問題についてお尋ねをいたします。
田尻市長におかれましては、就任以来一貫して、思いやりあふれる人の痛みのわかる地域社会の実現を目指してさまざまな施策を展開され、昨年八月には、長寿社会に向けて市民の一人一人が心がけるべき指針として熊本市民長寿社会憲章を制定されました。また去る三月に策定されました新
熊本構想においても、今後本市が目指す都市像の一つとして、いきいきとした
市民福祉都市を掲げるなど、福祉の充実への
田尻市長の御熱意に対し敬意を表するものであります。
さて、福祉の問題は高齢化社会の対応を除いては語ることができません。西欧諸国も高齢化は進んでおりますが、我が国ではその数倍の速度で進展をしていることを承知しなければなりません。すなわち、福祉の先進国である西欧諸国が長い年月をかけて整備してきた社会保障制度を緊急に整備していく必要に迫られているわけであります。
さて、以前は老年人口を一つの集団、いわゆる高齢者としてとらえておりましたが、最近では、六十五歳以上七十五歳未満を前期高齢者、七十五歳以上を後期高齢者と分けてとらえることも多くなっております。例えば後期高齢者の場合は、身体機能の衰えにより健康状態に不安のある人が多く、痴呆性老人の出現率も高く、介護などの支援に対する需要が増大し、家族、地域、あるいは社会でどのように支えていくかが課題でありましょう。一方、前期高齢者の場合はまだ健康でいる人の割合が高く、健康維持、就労、生きがい、社会参加などの問題が大きな課題でありましょう。
この高齢化対策は、公的福祉の充実はもちろんでありますが、高齢者が住みなれたところで安心して暮らせるよう、また持っている能力を十分に発揮できるよう、家庭や地域、さらには民間企業と行政が一体となって取り組んでいかなければならないのは申し上げるまでもありません。そのような意味から、県、市町村、民間の力を結集し、官民一体となり、高齢者が積極的に社会活動に参加し、健康で生きがいを持って安心して暮らせる長寿社会の実現を目指した財団法人熊本さわやか長寿財団の設立が評価されるものであります。
そこでお尋ねの一点目は、高齢者の社会参加、中でも就業機会の問題であります。
高齢となり退職された方の中には、まだまだ健康で各種の免許や技能をお持ちの方が大勢おられるわけでございます。事実、現役の人よりもはるかにすぐれた技能を持っておられるお年寄りの方を私は数多く知っております。本人の生きがい対策としてはもちろん、社会的にももったいない限りであります。このような方々を再び雇用し、地域社会に生産能力を還元させる業務を行う、例えば高齢者就業センターというものを、官民一体となった第三セクターで設立できないものかと常々考えてまいりましたが、いかがなものでしょうか、お尋ねをいたします。
次に、地域の高齢者問題に独自の自主的な運動を展開されております桜木町内の活動状況を御紹介し、このすばらしい運動の輪が市民運動に発展することを期待してお尋ねを申し上げます。
東部の桜木校区三町内自治会では、敬老及び敬老基金管理基準を昭和六十三年四月に設定し、町内の八十五歳以上の高齢者にはお祝いを、七十五歳以上の療養者にはお見舞いを、さらに七十五歳以上のひとり暮らしの方との交流などのボランティア活動を行っておられます。また敬老基金を設け、町費の中から一世帯一カ月十円当ての供出をし、個人の寄附、香典返しの寄附等を積み立てておられまして、現在基金は約二百万円に達しているということであります。昨年から基金の運用利息を活用し、婦人会、民生委員、子供会のお母さんたちの協力を得て、ひとり暮らしの老人への給食サービスを実施したり、長期療養者へのお見舞い、クリスマスカード、年賀状、暑中見舞い等を送るなど、お年寄りに大変喜ばれております。町内では、今後基金づくりに励み、基金額を当面三百万円にして、デーサービスの充実、理髪やクリーニングといった日常生活の手助けができるよう活動内容を充実させていきたいと意欲的に取り組んでおられます。
この件は、桜木三町内の全くの自主的な運動であることは前にも申し上げましたとおりでありますが、この運動の輪を市民運動に展開させるためにも、何か支援できる方法がないものか、またこのような独自の活動をしている町内自治会の敬老基金の積み立てに対して、御当局から何らかの助成措置がとれないものかお伺いをいたします。
次に、老人クラブに対する補助金についてお尋ねをいたします。
現在老人クラブに対しましては、老人クラブの活動助成金として、国の補助基準と同額の月額四千八百円と、老人クラブ健康増進助成金として、市の単独経費で年額五千円の助成がなされております。この老人クラブ健康増進助成金は、老人クラブといえばゲートボールが連想されていたころに、ゲートボールの用具の提供として補助金を交付されるようになったものと聞いております。しかしながら、最近の老人クラブの活動はゲートボールなどの親睦活動にとどまらず、地域福祉活動へと広がりを見せております。
そこでお尋ねをいたします。地域福祉活動などを行っている老人クラブに対して新たな助成制度を設けることができないでしょうか。
以上三点につきまして関係当局の明快なる答弁をお願いいたします。
〔中小企業局長 木村和臣君 登壇〕
◎中小企業局長(木村和臣君)
税所議員にお答えを申し上げます。
御提案の第三セクターによる高齢者の雇用の場の確保でございますが、現在、中小企業を中心としまして非常に人手不足が広がっております。労働力の確保が重要な課題になっておるわけでございます。今後は女性労働者あるいは高齢者など新しい働き手、また特に経験豊かな高齢者の活用が不可欠ではないかというふうに考えるわけでございます。
本市におきましても高齢化社会に対応するため、臨時的あるいは短期的な就業を通じて、高齢者の生きがい確保と健康の促進を図ることを目的といたしまして、昭和六十三年二月に第三セクターによります財団法人シルバー人材センターが設立されたわけでございまして、現在六百二十三名の登録者がいらっしゃるわけでございます。こういう高齢者の能力を有効に発揮する場として、今後その環境を整備することが非常に重要になってくるというふうに考えているわけでございます。しかしながら、第三セクターによります作業所を設置いたしますと、業種あるいは職種等によりましては民間企業と競合するなど諸問題が生ずる場合もございますので、大変難しい問題ではないかと思っております。
今後私どもといたしましては、高齢者の雇用の場の創出ということを考えました場合に、こういう問題についても真剣に検討、研究していかねばならないというふうに考えております。
〔市民局長 坂西奏一君 登壇〕
◎市民局長(坂西奏一君) 福祉問題二点についてのお尋ねでございます。
まず第一点の地域敬老基金についてのお尋ねでございます。
御案内のとおり二十一世紀の超長寿社会を間近に控えました今日、市民の方々が、住みなれた地域で生きがいを持って安心して暮らすことのできる地域社会づくりを進めますことは、市民によるボランティア活動と申しますか、民間福祉活動の振興が大きな課題でありますことはただいまお触れになりましたとおりでございます。本市におきましては、このようなボランティア精神に基づく地域住民による福祉活動の輪が広がり、潤いのある魅力的な
町づくりの構築を願い、その支援を目的に、市制百周年を記念いたしまして市制一〇〇メモリアル福祉基金を設置いたしたところでございます。この基金は当初目標五億円といたしまして、積立額が五億円に達しましたときに、その果実をもって運用を開始するものでございます。資金の運用に当たりましては、円滑な運営を図るため、市民の代表を加えた運営委員会による審議を経ることも必要であると、このように考えております。議員御指摘のことにつきましては、御趣旨も踏まえて検討をさせていただきたいと、このように思います。
次に、単位老人クラブに対する助成について新たな助成制度はできないかというようなお尋ねでございます。
御案内のとおり老人クラブは、生きがいと健康づくりのための多様な社会活動を通じて老後の生活を心豊かなものにするとともに、明るい長寿社会づくりに資することを目的としているものでございます。議員御指摘の老人クラブ活動助成金、老人クラブ健康増進助成金自体、単位老人クラブのそうした多様な社会活動をお手伝いするために行っているものでございます。新たな助成につきましては、二十一世紀の超高齢化社会を展望した基本計画あるいは実施計画の中での検討課題とさせていただきたいと、このように思います。
〔十三番
税所史熙君 登壇〕
◆十三番(
税所史熙君) 大変ありがとうございました。
福祉について細かいことをお尋ねしましたが、例えば桜木三町内の自治会活動の中に、地域福祉を展開していく上で大切なもの、すなわち今後の福祉のあり方を見たような気がいたします。それは、一つには地域住民の自治意識であり、さらには住民の温かい心、福祉の心であります。このような活動を大切に育て、その輪を本市全体に広げることにより、福祉ボランティアによる
町づくり、温かい心の通い合うコミュニティーをつくってまいらなければならないと願うものであります。それでは次の質問に移らせていただきます。
次に、私が住んでおります地域の問題について、要望を交えながら何点かお尋ねをしたいと思います。
私は本市の東部に位置します秋津小学校区の東野地区に住んでおります。東野地区であります秋津、桜木を見渡しますと、時の流れとともにかなりの発展を遂げてまいりました。市電の
健軍終点が熊本市の東の外れのような印象がありますが、
健軍終点よりも東側にまだまだ広いすばらしい町東野地区があります。隣の東町には県立第二高校等があり、また官庁街でもあります。秋津には横井小楠先生で知られる四時軒があり、また空の玄関熊本空港へのアプローチであります桜木地区と、これからの
町づくりに夢と未来を秘めたすばらしい町であります。
そこでまず一点目のお尋ねでありますが、東野中学校分離校が三年後には開校の予定で準備が進んでいるようですが、それと並行して取り組んでもらわなくてはならないのが通学路の整備であります。県道高森線の沼山津神社から第二空港線間について、学校が完成すると土地の値上がり等問題が多くなると思いますので、早急に取り組んでいただきたいと思いますがいかがなものでしょうか、教育長にお尋ねをいたします。
二点目は市道整備及び橋梁のかけかえについてでございます。
秋津レークタウンでは県道嘉島秋津線が主要
生活道路でありますが、御船インターへの幹線道路等で、交通量の増加により通学路や日常の
生活道路として利用するには危険が増大しております。そこで新たな安全な通学路や
生活道路の確保が望まれるわけであります。現在嘉島秋津線真島橋の下流にある西無田橋とその周辺には市道が通っているわけでありますが、橋は老朽化しており、市道は整備がおくれているようであります。そこで西無田橋のかけかえと周辺の市道の整備が必要であると思うのですがいかがでしょうか、建設局長の答弁をお願いいたします。
現在秋津レークタウンを含む県道以西の地域は秋津小学校と若葉小学校の緩衝地帯となっており、子供の通学する学校が異なることで、地域活動の中で子供を通じてのコミュニケーションがとりにくいなどいろいろの問題が生じておりますが、橋梁のかけかえや市道の整備がなされると通学の安全性が確保され、このような問題なども解消すると思うのであります。
三点目のお尋ねですが、九月議会においても取り上げられました鶯川流域の流域貯留浸透事業基本計画調査の件であります。
十一月に委託調査の発注がようやく済んだと聞き及んでおりますが、調査の目的や内容はどのようなものでありましょうか。またいずれにしても、あの一帯の抜本的な浸水対策は鶯川の改修であります。今後どう取り組まれるのか、
都市局長の御答弁をお願いいたします。
〔教育長 谷口弘毅君 登壇〕
◎教育長(谷口弘毅君) お答えをいたしたいと思います。
議員お尋ねの東野中学校分離新設校建設予定地に隣接いたしております沼山津─第二空港線間の道路は、県道の小池竜田線となっているところでございます。現在は部分的に広くなっているところもございますが、歩道もないような状況でございます。所によっては危険が予想されるような箇所もあるのではないかと予想されるものでございます。したがいまして、県道小池竜田線につきましては分離新設校に隣接した道路でございまして、開校いたしますと相当数の生徒が利用することも考えられるわけでございます。早速現地調査を行いまして、開校をめどといたしまして、生徒たちが安全に通学できるように、管理者でございます県の担当部署へ積極的に働きかけてまいる所存でございます。
〔建設局長 木下實也君 登壇〕
◎建設局長(木下實也君) 道路整備についての御質問にお答えいたします。
若葉校区と秋津レークタウンを連絡している
生活道路の利用状況はお説のとおりでございます。お尋ねの西無田橋のかけかえとその周辺道路の本格的な整備につきましては、主要地方道熊本高森線に通ずる若葉校区側の地域幹線道路の建設時期と合わせまして、基本的には整備を推進してまいりたいと考えております。したがいまして、当面の施策といたしましては、御質問地区の道路ストックについて、
生活道路としての機能が十分発揮できるように交通環境の整備を実行してまいりたいと思いますので、御理解のほどをよろしくお願いいたしたいと思います。
〔
都市局長 本田吉継君 登壇〕
◎
都市局長(
本田吉継君) お答えいたします。鶯川流域の浸水対策につきましては、
税所議員の御質問の中でもお触れになりましたように──近くはさきの九月議会で藤山議員から質疑があったところでございます。
まずお尋ねの鶯川流域貯留浸透事業基本計画の調査についてでございますが、これは鶯川流域の浸水地域の現状とその原因等を調査分析し、最も効果的な対策を講ずることによりまして速やかな浸水被害の解消、軽減を図ることを目的としておりまして、本年度その調査を実施中であります。
次に鶯川の改修でございますが、これは県事業として秋津川合流点から秋津小学校北側までの延長三百五十メートルにつきまして施行中でございます。平成五年度には完了の見込みでございます。残りの区間につきましてもその改修について県に要望していくことにいたしております。
〔十三番
税所史熙君 登壇〕
◆十三番(
税所史熙君) 地域の問題を中心に質問や要望をいたしてまいりましたが、そのほかにも課題が山積しております。しかし、このような状況は私が住んでいる東野地区だけではないと思います。熊本市の各地域にも言えることと思いますので、最後に一つ提案を申し上げて私の質問を終わりたいと存じます。
私は、熊本市民全員参加の熊本市政をモットーに、市民の皆様の生の意見をお聞きするために、熊本市を二十ブロックぐらいに分けて、四年で一巡するように毎年五ブロック程度ずつ、例えば地域市議会のようなものを開催することを提案するものであります。
以上をもちまして私の質問を終わらせていただきますが、執行部におかれましては丁寧かつ明快な御答弁をいただき厚くお礼申し上げます。また
議員各位、傍聴の皆様には長時間にわたり御清聴くださいましてまことにありがとうございました。これをもちまして私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
──────────────────
○副議長(西田続君) この際、議事の都合により休憩いたします。
午後二時に再開いたします。
午前十一時四十分 休憩
───────────
午後 二時 三分 再開
○議長(嶋田幾雄君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
──────────────────
○議長(嶋田幾雄君) 質問を続行いたします。島田俊六君。
〔二十番 島田俊六君 登壇 拍手〕
◆二十番(島田俊六君) 公明党の島田俊六でございます。質問に入ります前に、今回の台風十七号、十九号で被害を受けられました皆様に心からお見舞い申し上げます。
質問通告の一部を変更し質問を行いますので、市長並びに執行部の明快な答弁をお願い申し上げます。
初めに、災害に強い
都市づくりについて質問いたします。
今回の台風十九号は、九月十六日朝マーシャル諸島の近海でごく小さく弱い台風として発生したのですが、北上するにつれて大型で非常に強い台風に発達し、九州に接近し佐世保に上陸、農水産物に、また家屋、樹木等に甚大な被害をもたらし、スピードを上げながら日本列島を縦断していきました。自然の力はどうすることもできませんが、最小限に食いとめるためどうしたらいいか、災害が起こったときどう対処し復旧をするか、この計画を立てたのが熊本市地域防災計画であります。マスタープランの中に、水と緑の
人間環境都市を目指しての第一章、災害に強い安全な都市の形成、都市防災が記載されております。内容として、防災思想の普及、防災体制の充実、治水対策の充実、火災対策の充実、震災、風災対策の充実、応急体制の強化と総合計画の中に示されております。
田尻市長が、水害や台風のとき警報が出されるといち早く庁舎に駆けつけ不眠不休で陣頭指揮をとられる姿に対し深く敬意を表します。
ここで、災害に強い
都市づくりについて
田尻市長の基本的な考えをお聞かせいただきたいと思います。
〔市長
田尻靖幹君 登壇〕
◎市長(
田尻靖幹君) 島田議員にお答えをいたしたいと思います。
その前に、去る四月、統一選挙におきましてめでたく御当選、歴史と伝統に輝く市議会の議席を得られましたことに改めて敬意を表する次第であります。六月議会に引き続き今回の御質問でございます。
ただいま特に台風に対する、いわゆる
都市づくりについての基本的な考え方というお尋ねでございます。その前に、昭和二年九月の十三日、有明海沿岸一帯を襲いました台風による大潮害、今松尾町百貫ぜきのほとりに当時の被害者の方々の追悼の塔が建っておりまして、私ども熊本の先達であられます安達謙蔵先生の墨痕鮮やかな碑が残っているわけでありますが、この碑が大変寂しげでございます。当時、死者・行方不明四百二十三人、流失した家屋が二千六百戸、収穫を失った田畑三千五百ヘクタールを超えて、被害総額は一千百六十八万円に達したと。昭和二年の米一俵の値段が十円八十五銭でありますから、大変な被害であったというふうに思うわけであります。西から入ってくる風に気をつけろと、これは熊本の防災対策におきまして基本的な戦略の一つになったわけでございますが、やはり忘れたころにやってくると、これがまさに十七号に引き続く今回の台風十九号の襲来であったというふうに考えております。
私も今回の台風につきましては異常を感じまして、先ほど中村
総務局長から経過報告を議会にいたしましたけれども、菊池市におきまして熊本県下の市長会開催中でありましたけれども、風雨を冒しまして直ちに帰庁いたしまして災害対策に取り組んだわけでありますが、議会各派におかれましては各団長先生初めすべて待機をしていただきまして、特にまた佐々木団長にはわざわざ深夜私ども災害対策本部に御連絡においでいただきまして、まさに議会と執行部が一体となってこの問題に取り組んだわけでございます。いろいろと市民の皆様方にはまことに御迷惑をおかけしたわけでありますが、その間九州電力、NTT初め関係機関の、まさに全力を挙げて御協力を賜りましたことに再び本議場におきまして心から感謝を申し上げる次第であります。
そこで私はこのようなとうとい教訓を、二度と繰り返してはならないと、この信念を持ちまして、今回の貴重な経験を生かしまして新
熊本構想に掲げる災害に強い
都市づくりに全力を傾注したいと、このように考える次第でございます。市民の皆様が安心して生活することのできる災害に強い安全な
都市づくりを目指したいと、このように考えております。
〔二十番 島田俊六君 登壇〕
◆二十番(島田俊六君) 今回の台風十九号において私自身猛烈な風が吹く中で心配になったことが二点あります。それは第一点に、昼間でしたので、小学校、中学校はどうしたんだろう。授業を打ち切って生徒たちは家に帰ったのかどうかということが一点です。二十七日のこのときに、教育委員会としてどう対処しどう徹底されたのか。
もう一つが、風が一番強いときにバスが運行されておりました。このような緊急事態になりましたら運転手の判断に任せる以外にないのですが、台風の接近はテレビ、ラジオ、新聞等で事前に報道されていましたので、朝の就業のときにどう運転手に指示されたのかお聞かせ願いたいと思います。判断を間違えれば大事故に通じかねない状況でありましたので、現場とどう連係をとられたのか答弁をお願いいたします。
次に、災害に強い
都市づくりといっても地域防災計画を中心に考えなければなりません。この地域防災計画の内容について、何点か台風の体験を通してお尋ねいたします。災害予防計画の中で風害予防計画というのがあります。一つが農作物対策、二つが水産物対策、三つが街路樹対策、四番目が屋外広告物対策、このような計画がされています。その中で、農作物対策の二のところに、「暴風通過が予想される場合は被害の軽減をはかるため次の対策を講ずるものとする。ア 竹材または網等を利用して田・畑・果樹園等の風上に防風垣を作る。イ 水稲は深水とする。ウ 野菜等には事前に土寄せをしておく。エ 果樹等の棚は事前に補強しておく。」こういうものであります。風害予防計画、このとおりに今回の対処ができたかどうか。特にミカン等の被害が大きかったわけですけれども、どう対処されたのか、各局の局長さんにお尋ねいたします。
もう一点、二十七日夜には災害対策本部が設置されました。この台風の強さを見てこれは相当の被害が出ることが予想されました。そこで二十七日以降
被害調査を税務部が担当したのですが、市全体にわたる被害であったために税務部百六十名を総動員して状況の掌握に走り回りました。約一カ月間、通常の業務をやりながらの大変な作業であったそうです。このような非常事態になったとき、臨機応変に他の局から職員を動員して早急な
被害調査をすべきではなかったかと思います。正確な情報、被害の状況を収集し分析し対応をすべきではなかったかと思いますが、局長の答弁をお願いいたします。
〔教育長 谷口弘毅君 登壇〕
◎教育長(谷口弘毅君) 島田議員にお答えをいたしたいと思います。今回の台風の襲来に当たりまして、学校への指導等はどうなっておったのかということでございます。
まず最初に、台風の前日でございますが、九月二十六日でございます。テレビやラジオ等の情報を参考にいたしまして、私どもは教育委員会内部におきまして前日の午後十一時三十分ぐらいから──深夜でございますが、私、次長、学校教育課長と電話で連絡をとりながら内部的に決めたのでございます。それは、暴風雨警報等が発令された場合には学校では臨時休業等の措置をとって児童・生徒の安全対策を講じるよう学校に緊急連絡をとるということで、内部的に前日の深夜、これを確認いたしております。それから当日の二十七日でございますが、午前四時五十分に県下全域に暴風雨の警報が発令されました。それと同時に、午前五時三十分から全学校百二十一校の校長、園長に対しまして、臨時休業などの方法によって児童・生徒の安全対策に万全の措置をとるよう指示をいたしております。この連絡が午前六時五十分ごろに完了いたしております。各学校では職員朝会等において休校や授業の打ち切り等について検討いたしまして当日の措置を決定いたしております。それから順次学校との連絡をとりながら、午前十一時三十分ごろには学校のとった措置と学校での基本的な方針を確認いたしております。
その結果は、午前中で授業を打ち切った学校が百十六校、休校措置をとった学校、園が五校でございます。そして午後三時四十分でございますが、児童・生徒たちは午後二時二十分までに全部下校を完了したという確認をいたしております。そういった状況でございまして、今度の台風でも幸い児童・生徒に一人も人身事故がなかったということが何よりだと思っております。
今回の台風を教訓といたしまして、今後もさらに引き締めて対処していかなければならないと決意をいたしているところでございます。
〔交通事業管理者 谷 壽夫君 登壇〕
◎交通事業管理者(谷壽夫君) 去る九月二十七日の台風十九号が本市に接近する可能性については予測されるところでございましたので、事前に管理者及び次長から課長に、自動車課長、電車課長はそれぞれの各営業所長に、営業所長は運行管理者に──運行管理者といいますのは運輸省令によって各営業所に設置することが義務づけられているわけでございますが、その運行管理者は出庫時の点呼の際に乗務員に対し指示と注意を喚起いたしたところでございます。その内容といたしますものは、台風情報に留意し万全の体制をとるとともに、運行途中にある車は──異常気象時における乗務員心得という定めがございますけれども、その定めに準拠して適宜適切な措置をとること。あるいは風が強くなれば徐行運転、あるいは運転中止も含めましての指示を与えております。
そうした中で、十六時十分に交通局におきましては対策本部を設置いたしまして、十六時二十八分、電車、バスの運行中止を決定いたしまして、対外的には広報課を通じまして報道機関への通報を依頼いたしますとともに、内部的には──事前に総括的な指示を与えていたところではございますけれども、すべての運行中止につきまして改めて、電車につきましては電車課長から営業所長へ、営業所長は運行管理者へ、運行管理者は──電車にはすべて無線がついておりますので無線によって運行中止を指示いたしました。バスにつきましては自動車課長から営業所長へ、営業所長から運行管理者へ、運行管理者は出庫地であります営業所へ、あるいは中継地であります交通センターへそれぞれ連絡をとりますとともに、公用車によります各路線への周知徹底のために車を出しております。それから連絡がとれなかったものにつきましては、先ほど言いました乗務員心得に基づきまして各乗務員が適宜措置をとったところでございます。おかげさまで、幸いにして乗客には何らの被害もございませんでした。
〔
産業局長 竈 啓一郎君 登壇〕
◎
産業局長(竈啓一郎君) 農林水産関係につきましての風害予防計画に基づいての事前対策を行ったかどうかというお尋ねでございます。
農林水産部門におきましてはかねて、風害予防計画はもちろんでございますが、風水害対策といたしまして作物別に事前事後のマニュアルを作成いたしまして万一に備えているわけでございますが、今回のことと兼ね合わせて申し上げますと、具体的な指導方法に当たりましては、農家代表者、それから県の農業改良普及所、市の農林水産部はもちろんでございますが、熊飽農協の各団体の技術指導者をもちまして構成しております熊本市営農指導者協議会というのがございます。こちらを中心といたしまして内容の検討を行いまして必要な時期にそれぞれ、各農協支所あるいは漁協、各集落農区長を通じて指導を行ったわけでございます。
今回の台風に当たりましては、特に十七号台風というものがございまして、この際にも実はちょうどナシの収穫時期に当たっておりましたために、事前に収穫を終わるようにというような指示もしたわけでございますけれども、一部には収穫前という、適期前という状態もございましてナシの被害も出たわけでございます。また十九号台風につきましては、十七号台風の被害の状況も踏まえまして、特にハウス施設の倒壊防止、あるいはビニールの撤去、あるいはビニールの破棄を指示、指導したところでございます。
なお、災害後の技術指導につきましても、一日も早い回復と収量、品質の低下防止を図りますための指導を行ったところでございます。残念ながら今回は農林水産部門、非常に大きな風水害を受けたわけでございますけれども、今後とも風害予防計画、その他の方法によりまして被害の防止、軽減に向けてさらに万全の努力をしてまいりたいというふうに考えております。
〔保健衛生局長 後藤勝介君 登壇〕
◎保健衛生局長(後藤勝介君) お答えを申し上げます。
風害予防計画の中に街路樹対策というのがうたわれております。風害予防計画の中には、「街路樹は、植樹後五年未満のものおよび樹種では、プラタナス・アカシヤ・柳が被害を受けやすく、このため八月には剪定を行い、又支柱の取替、結束等を行なって、被害を未然に防止する」ようにというようなことが記載されております。私どもといたしましては、本年度も八月に風の被害を受けやすい樹種でございますプラタナス、アカシア、柳等につきましては、高木に重点を置きまして剪定作業を行ったところでございます。しかしながら、先ほどからお話がございますように経験したことのない強風であったこともございまして、環境緑化課で管理しております市道百三十五路線の高木の街路樹のうち約六割、四千八百本が枝折れ等の被害を生じたわけでございます。
私どもといたしましては今回の台風を貴重な教訓と受けとめまして、今後街路樹の樹種、樹形、植栽方法等につきまして十分に検討してまいらなければならないと考えておるところでございます。
〔建設局長 木下實也君 登壇〕
◎建設局長(木下實也君) 風害予防計画の中の屋外広告物対策についてお答え申し上げます。
看板類の屋外広告物につきましては、屋外広告物法、それから熊本県屋外広告物条例、それから道路区域内での占用であれば道路法のそれぞれの規定によりまして、安全で交通などに支障がない構造で設置することになっております。設置後も物件管理者の義務として管理することになっております。
災害関係につきましては、既に本年一月に「災害のない町が好き」の小冊子を全世帯に配布いたしまして災害全般にわたり市民の皆さんへアピールいたしております。また道路上の看板類の設置についても市政だより四月号に登載いたしまして道路の正しい利用について啓蒙を図り、台風十九号の後ではありましたが、市政だより十一月号で看板類の点検、補修を呼びかけております。今後はさらに道路パトロールを強化いたしまして、市民の皆さんの御協力をいただきながら、みだりに道路を使用している物件につきましては厳格に対処いたしますとともに、物件管理者などに対して災害防止に十分な注意を喚起するよう事前指導を行い、安全で住みよい環境の
町づくりを目指す所存でございます。
〔
総務局長 中村順行君 登壇〕
◎
総務局長(中村順行君) 災害における
被害調査体制でございますけれども、従来災害に伴いましての
被害調査につきましては、市の地域防災計画に基づきまして、本庁の管内につきましては税務部、支所管内は各支所、総合支所管内では各総合支所で災害調査を実施していたところでございます。しかしながら、今回のような百年に一回というべき未曾有の大型台風による──被害の範囲につきましては市内全域に及んだわけでございまして、現行の調査体制で満足すべき処理には至らなかった点もあったのも事実でございます。
これを教訓に、大規模災害におきます
被害調査体制がどうあるべきかということを、税務部の主税課を中心にただいま検討を重ねているわけでございます。
災害救助法との関連もあるわけでございまして、短期間で被災世帯の確認が必要でございますので、具体的には三倍程度の人員を必要とするという見当でございまして、ただいま鋭意検討中でございます。
〔二十番 島田俊六君 登壇〕
◆二十番(島田俊六君) 今回の台風は私たちの想像以上でありましたので対応も大変だったと思いますけれども、臨機応変に被害状況収集等はやっていただきたいと思います。
今回の台風で最も大きな被害を受けたのが電気でした。電柱が折れたものが一千四百六十本、倒れたのが四百六十本、傾いたものが二千六十本になり、そのため熊本市の三十四万戸が停電になりました。停電したために中高層ビル、マンション、団地等が断水となり日常生活に大きな影響を与えました。九電も、まさに徹夜作業の連続で復旧作業に当たられたわけですが、電気がいかに大切なものか、これが今回の大きな教訓でありました。
対策本部の本部室長である
総務局長にお伺いいたします。九電との話し合いはできたのでしょうか。できていなければ九電との話し合いをやるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
さらに電話回線の確保という点から言っても同じことが言えると思います。本庁の電話回線が、一千四百回線のうち六十一回線しか使用できなかったのが事実です。緊急時に電話が使用できない状況になれば防災の面から致命傷であります。本庁や議会棟、市の出先の機関についても電話の確保が重要になってきます。NTTとの話し合いは終わったのでしょうか。また電話が全く使用できなくなったときの無線電話等の導入についても十分に検討すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
さらに台風十七号、十九号が残した教訓は大であります。
総務局長を中心に、この本庁内の関係者が集まって総括をやるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
もう一点、この台風の教訓を一冊の本として後世のために作成したらどうかと思いますが、いかがでしょうか。この五点について関係局長の答弁をお願いします。
〔
総務局長 中村順行君 登壇〕
◎
総務局長(中村順行君) お答えを申し上げます。
まず停電の件でございますが、先ほど御報告にも申し上げましたように、停電の復旧につきましては
田尻市長みずから真っ先に九電に要望を申し上げたところでございますし、またそのほか電線の地中化とかあるいは電柱の補強と、今後の災害に対応するための問題としまして、先般九州電力地域懇談会が開催されたわけでございまして、席上御厨助役から要望を申し上げたところでございます。
次に電話回線の問題でございますが、先般の十九号災害時には、通話集中によるNTTサイドのシステム的対応によるものとは言いましても、一般の電話はほとんど通話が不能になりまして大変御迷惑をおかけしたわけでございます。実はこのような事態は最近では二回目の経験でございまして、昨年の七・二水害時も同様の事態があったわけでございまして、本市としましては早速文書でもって災害時の優先電話の増設等をNTTの方に申し入れをしたところでございます。したがいまして、当面の対応としまして、早速十月に防対室の方からNTTの方へ増設の要請を行ったところでございますが、災害緊急時の情報収集という非常に大きな使命を持つ回線でありますから、ぜひとも積極的にこの点は進めて早期実現を期したいと思っておるわけでございます。
また無線の件でございます。災害優先電話といいましても、災害の態様いかんによりましては不通となる危険性を多分に持っているわけでございますので、今後、例えば災害時の無線通信システムの拡充等を含めまして、総合的な災害時緊急通信システムの確立対策を検討していかなければならないと考える次第でございます。
次に、台風十九号の反省と申しますか総括でございますが、災害対策本部室長といたしましては一、二回部分的な会議を持ったところでございますが、やはり今後の対応としまして、反省を含めて今後の災害に備える意味からも、現在災害対策本部がまだ設置中でございますので、この解散時点と申しますか、ぜひ私の主催で厳しい反省会をやっていきたいと思っております。
〔企画調整部長 徳田勝比古君 登壇〕
◎企画調整部長(徳田勝比古君) 今回の台風を教訓として、一冊の本として後世のために残してはどうかということでございますが、過去に、昭和二十八年六月あるいは三十二年七月の大水害につきましての記録写真集がございます。これらは災害当時の生々しい記録や写真でございます。今や貴重な生きた資料となっているところでございます。
議員御案内のとおり、台風十九号につきましては今だかつて経験のない台風でございまして、その記録、また被害の状況など後世に伝えるものといたしまして、いわば災害史と言いますか、そういった形で作成することは大変意義のあることだと思っております。御提案の作成につきましては、すぐさまつくりたいと、このように考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
〔二十番 島田俊六君 登壇〕
◆二十番(島田俊六君) 災害に強い
都市づくりといっても、これは大きくまた幅広い問題であります。内容等の小さい問題は建設委員会で質問させていただきます。また来年防災会議が開催されると聞いていますので、今回の台風を貴重な資料として、そぐわない面は改良をお願いしたいと思います。
次に私は、公明党の生活者優先の政治を目指すという立場から、今回の水道料金の値上げについて反対でございます。その反対の立場から質問させていただきます。
昭和五十九年二月に値上げされてから八年ぶりに四五・五八%という大幅な値上げの改定案が提案されております。水道は今回の台風十九号の被害のため断水し、多くの市民の皆様が水の大切さを実感し、改めて一日たりとも水を欠かすことができないことを体験しましたが、九月の議会においては飛田水源のトリクロロエチレンの汚染が大きな問題となり、市民に不安を与えました。十二月は水道料金四五・五八%値上げという新聞記事にまたびっくりしてダブルパンチを浴びせられた思いをしております。
特に二月に合併した旧飽託四町の皆さんは、熊本市と合併して恩恵を受けたただ一つのものは水道料金の値下げでありました。ところが大幅な値上げを聞いて、どうなっているのかと怒りを投げつけております。上水道の健全なる事業運営を考えるときに、第一に安定的な水源を確保し供給する、第二に効率的な施設の整備、第三に健全財政の確立であると思います。この三つの要素が効率的に運営されて初めて安定した水の提供がなされることも、また水道事業が利用者から支払われる水道料金のみで運営する受益者負担による独立採算制で運営されていることも承知しております。
改定案の資料を見せていただきました。赤字になる原因が、平成二年度で水一トンに対して給水原価が百四十四円で、供給単価百二十五円五十二銭であり、水一トン売るごとに十八円四十八銭赤字を出している逆ざや現象を起こしているのです。四年先には二百五億円の資金不足、つまり赤字になる計算になっております。経営を圧迫している最も大きい要因は、お金を借りている残金が四百九十七億円、利子六・七%で計算しておりますので、その利息が年約三十二億円、利益の三〇%が利息に支払われている状況であり、それに元金返済が年に十億円となっております。これでは経営が行き詰まるのは当然ではないでしょうか。
一般企業であれば、赤字経営になると思い切った経費節減と売り上げを伸ばすためにあらゆる手段を考え乗り切り策を実践するでしょう。水道事業は、一方では水の節水を呼びかけられ、もう一方では健全な財政運営を求められ、公営企業という立場の難しさがあることも承知しておりますが、しかし私は水道局みずからの業務の改善や国庫補助の拡大、起債条件の改善等国に対する働きかけ、未収金の回収とかあらゆる企業努力によって値上げ幅を抑える余地があると思いますが、いかがでしょうか。四五・五八%の値上げ率は余りにもひど過ぎると思います。生活者の負担をできるだけ軽くするため値上げ率の修正はできないものか。それとも、この改正案どおり押し通そうとされているのか、管理者の答弁をお願いいたします。
〔
水道事業管理者 境 三子夫君 登壇〕
◎
水道事業管理者(境三子夫君) 島田議員の御質問にお答え申し上げます。御案内のとおりに、水の安定供給を使命として水道事業といたしまして日夜努力しておるところでございますが、今日まで市域の拡大と人口の増加に対応して、水を安定的に供給するためにたび重なる拡張を実施してまいりました。市民ひとしく水道を利用していただけるよう水源の確保を図ってきたところでございます。
先ほど御指摘いただきましたように、さきの水道料金の値上げにつきましては昭和五十九年でありまして、その当時、三年間の資金計画で四八・六七%の値上げをお認めいただいたところでございます。しかし水道料金の予想以上の増収もさることながら、一方企業努力によりましてこの八年間を据え置きしてまいってきたところでございます。
この企業努力の内容につきましては、先般も田辺議員の御質問にお答えしたところでございますけれども、特に総務部門につきましては、従来手作業で行っていた調定業務を電算化しまして事務の効率化を図りまして、また検針においても、毎月検針しておりましたものを隔月検針にする等を行ったところでございます。さらに検針業務への民活導入、徴収方法である集金制度、あるいは電話交換業務などの廃止を行いまして、その経費節減額は二億五千万程度に相なるわけでございます。
なお技術部門では、昭和五十二年度から毎年実施しております漏水調査に基づく公道面の修理、あるいは昭和五十四年から漏水防止を目的とした石綿セメント管布設がえ整備工事も行ってきたところでございます。この事業も石綿が人体に非常に悪影響を及ぼすと懸念された時点で布設がえの進行を繰り上げて実施いたしました。熊本地区においては平成二年度に二百四十二キロメートルすべてを終了いたしたところでございます。また昭和六十三年度に各水源地を初め施設を集中的にコントロールする管理センターが、東部地域の一部稼働から全市域稼働となりまして、人件費、動力費等の減少及び漏水防止等の水の効率的な運用を図ってまいったところでございます。
さらにメーター上流におきます宅地内漏水を局負担で修理し、漏水防止並びに啓蒙を図りながら、有収率を八五・六%に引き上げまして、全国平均と肩を並べるまでに有収率の向上に努めまして、その経費節約分約十億円程度になるかと思います。合わせまして、少なくとも十二億五千万円程度の経費節約と経営の効率化に努めてきたところでございます。
現在水道施設は大正十三年建設以来数十年の経過をしておりまして、老朽化が進み、施設能力の低下によりまして安定給水に支障を来す事態も考えられるわけでございます。したがいまして、今後膨大な水道施設の近代化、省力化に力を注ぎ、より一層の安定給水に努力してまいりたいというふうに考えております。そのためにはどうしても四五・五八%の料金改定をお願い申し上げまして、財政基盤の充実を図りたいというふうに存じます。
なお一般家庭への配慮といたしまして、全体の八割を占める口径十三ミリにおいては改定率の緩和を図り、平均使用家庭で上げ幅三四・七%、可能な限り低く抑えたつもりでございます。今後とも引き続き経営の効率化はもちろんのこと、水の効率的な運用を図っていく所存でございますので、御理解をよろしくお願い申し上げます。
〔二十番 島田俊六君 登壇〕
◆二十番(島田俊六君) 管理者の、この案に御理解と御協力をとのことですが、値上げをお願いするときは、あらゆる企業努力をやって、これ以上企業努力はできないという状況の中から初めてお願いをするという事態になるのではないかと思います。私は、今説明がありましたように、今までの企業努力は昨日の田辺議員に対しての答弁からしてもわかります。しかし私が言っているのは徹底した企業努力という、徹底するというところが一番大事ではないかと思います。
そこでもう一点、これは十二月四日に、「赤字なのに高給」という大きな見出しで新聞報道されました記事について四点お尋ねいたします。
一点が、三年在籍すれば定期昇給以外に一号昇給したり、管理職以外の全職員に一律一万円の企業手当など、給与面で特別な扱いが慣例化している。二点目が、昭和四十八年以降に配属された職員に適用される。三点目は企業手当は管理職を除く全職員に一律に一万円。本年平成三年度は三百七十三人に対して年間四千四百三十万円支払われる予定になっている。四点目は、同じく新聞記事の中で、独立採算制で組合との交渉の結果決まったもので後ろ暗いところはないと言っています。企業手当は毎年組合との交渉で決めるのかどうか。それとも昭和四十八年のとき組合と交渉して決定されたのがそのまま慣例として続いているのか。この四点について、この報道の記事が事実かどうか管理者にお尋ねいたします。
〔
水道事業管理者 境 三子夫君 登壇〕
◎
水道事業管理者(境三子夫君) 島田議員の企業手当等の問題についてお答えを申し上げます。
水道事業は御案内のとおり地方公営企業法の適用を受けまして、組織、事業の運営は市長部局と明確に区別されておるわけでございます。また独立採算で行われる企業的性格を有し、二十四時間絶え間ない給水義務が課せられておりますことから、給与関係につきましては、この特殊性から、地方公営企業労働関係法に基づきまして労働組合との団体交渉の上定めることというふうになっておるわけでございます。
御指摘の新聞報道につきまして、三年一号昇給の取り扱いについては昭和四十七年に発足したものでありますが、当時支給されていた能率手当が料金収入に対して何%という率で決定されていたため、料金収入の増加に伴い、将来局の財政に大きな負担として影響を及ぼすことが予想されましたことから、労使間で改善策が話し合われておったわけでございます。その結果、この手当を廃止することに至りましたが、これに伴う給与水準の低下が懸念され、水準を維持する手だてとして、在職者に定期昇給とは別に一号昇給させることとし、昭和四十八年以降配属職員については、三年間の在職後に同様の措置をとることとしたものでございます。
一方、企業手当につきましては、従来の特殊勤務手当の一部を整理する中で公営企業体の置かれている業務内容の独自性やその特殊性から、また当時他都市の多くで企業手当が支給されている状況を踏まえ、労働組合からの手当新設の要求に応じ、団体交渉後、昭和四十九年に月額四千円で設けられたものでございます。その後、企業手当は組合との交渉結果、数回改定されてまいりまして、昭和六十年四月より現在の月額一万円となっておるところでございます。対象者は現在のところ三百七十三名で、年間の金額はおおむね新聞報道のとおりでございます。
今後の対応につきましては、企業手当は、常時、事務、技術の別なく、職員一丸となって二十四時間の給水体制を守っていくという企業の特殊性から勘案し、職員一人一人の自覚を促し、士気を高めていくために、また他都市でも同様の手当が支給されていることから配慮すべき手当だと思うわけでございます。
ただ三年一号の企業調整につきましては、その後の時代の変遷により、企業を取り巻く状況下において、市長部局との人事交流も活発に行われ、業務内容も変化する中で、この意義について見直すべきときに来ていると思われますので、今後早急に組合との協議に入りたいというふうに考えております。今後とも絶えずみずからに厳しい目を向けつつ、私ども水道局職員一同全力を挙げて水道の目的を果たすべく取り組んでまいる所存でございますので、よろしくお願いを申し上げます。
〔二十番 島田俊六君 登壇〕
◆二十番(島田俊六君) 私たち市民の目から見たら、昭和四十八年当時は整合性から言ってよかったと思うのですけれども、もう十八年過ぎた現在ではいろんな面でそぐわない点が出てきているのではないかと思います。一方では一号昇給とか、一律一万円の手当を支給しながら、他方では水道料金の値上げでは、私たち市民感情にそぐわない、そういうものが出てきていると思います。一号昇給は見直しをするという今の管理者の答弁でありましたので了とします。これからも、そのほか小さい点も含めて公営企業委員会の中で市民が納得できるように、どうか委員の皆さん、徹底した論議をお願いいたします。
次に、環境問題についてお尋ねいたします。
アフリカのことわざに、この地球は未来の子供たちからの預り物であるとあります。この宇宙のオアシスであるすばらしいこの地球を未来の子供のため大事に使わなければならないし、仮にも私たちの時代に地球の資源を使い果たすことは絶対にしてはならないと思います。捨てればごみ、生かせば資源、この標語のとおり全国的にリサイクルの輪が大きく広がっております。行政においても、ごみに莫大なお金がかかるのを解消するために独特のアイデアとユニークな施策を考え、ごみの減量化、資源化に取り組んでおられます。
例えば、東京都杉並区の例で、新回収システムを簡単に紹介しますと、今まで町内会を中心とした老人会、子供会、婦人会等で実施していたものに、さらに新たに十五世帯を一グループにした小単位の回収システムをつくり上げたことです。小単位にしたことで、一、数多くの人が参加する。二、分別を一人一人に徹底することができるという特質がさらに充実されたわけですが、缶類はかびの生えるのを防ぐためさっと洗ってアルミ缶、スチール缶に分けて出す。牛乳パックはよく洗い乾燥して切り開いて出すといった小さな点まで徹底することができております。三番目に、緑、青、黄色と三色に色分けされた手軽で折りたたみ式のコンテナが区から提供されております。緑のコンテナは牛乳パック、青はスチール缶、黄色はアルミ缶とだれもがわかるように工夫されております。もう一つの特徴は、紙や鉄くずの市況の変化の影響を受けにくくするため、回収経費は区が全額負担する。収益は地域に還元される。これによってリサイクルに対する意識も意欲も出てきて、息の長い運動につないでいくことができるようになっています。
一方、熊本市においても清掃課の皆さんが大変な思いをしてリサイクル、ごみの減量化に取り組んでおられることに頭の下がる思いです。来年度からさらにごみのリサイクル運動に大きな力となるモデル地区をつくると聞いておりますが、杉並区の例を参考にして小単位のリサイクルにしてみたらどうかと思いますが、局長の見解をお聞かせ願いたいと思います。
〔議長退席、副議長着席〕
もう一点お伺いいたします。
大分市の場合は市議会議員が一人、市民の代表が十四人、関係者の代表が十二人、市職員が三人の三十人の構成で、大分市ゴミ減量・リサイクル推進対策協議会を設置しております。全国には協議会を持っている市はたくさんありますが、ここ大分市の特徴はメンバーの構成です。市会議員の方、あるいは自治会の代表、子供会の代表、また空き缶クリーン作戦に協力している小学校、中学校の校長先生、あるいは老人クラブ、消費者団体、モニター、そしてクリーン相談員代表、そして青年会議所の長期計画特別室長、これが市民の代表です。十四人。関係者の代表が、商工会議所、あるいは食品容器美化協会の会長、食品衛生協会理事、あるいはトキハとかダイエー等の販売店の担当、また生協の代表、お酒を売る組合の代表、銀行また新日本製鐵の方、そして大分製紙、三洋アルミ、そういう製造する方の代表も加わっております。市の職員としては、助役さん、総務部長、生活環境部長、この三人でメンバーを組み、あらゆる市民の代表の意見を自由に聞き、ごみの減量とリサイクルについて話し合い、知恵を出し合って目に見える結果を生むようにしています。
このような協議会を熊本市においても設定したらどうかと思いますが、いかがでしょうか。局長の答弁をお願いいたします。
〔保健衛生局長 後藤勝介君 登壇〕
◎保健衛生局長(後藤勝介君) 環境問題に関連をいたしまして、ごみのリサイクルの件に関しましてお答えを申し上げます。
今いろいろとお触れになりましたように、本市におきましてもごみ問題に対します関心が非常に高くなっているところでございまして、従来のようにごみをただ単に集めて焼却し埋め立てるというような──発想の転換が迫られてまいっております。再資源化につきましては、本市におきましても資源ごみの回収あるいは簡易包装への取り組みを行いまして積極的に取り組んでまいっておるところでございますが、残念ながらいま一歩徹底していないというのも実情でございます。
そういうことで、ただいま御指摘がございましたような民間企業あるいは消費者団体、その他関係各層が集まりましたごみ減量やリサイクルを進めるための協議会のようなもの、あるいはまた地域に根差した市民グループの活動等のシステムづくりにつきましては、私どもも十分検討しなければならないと考えておるところでございます。したがいまして、そういう先進的な事例も十分参考にさせていただきながら、分別の徹底、ごみ出しマナーの向上等に取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。
〔二十番 島田俊六君 登壇〕
◆二十番(島田俊六君) 今度は教育長にお尋ねいたします。
学校教育の現場で自然環境、資源、ごみの問題を小学校、中学校の時代に学ぶことは、長い目で見るならば二十一世紀には大きな力になると考えます。教室で学び工場を見学して次は実践する、こういった過程で子供たちも今からは一歩踏み出して実践するのではないでしょうか。
これも一つの例ですが、大分市で昭和五十七年度から、空き缶回収を通して物を大切にする心や町の美化意識を育てるため、小中学校の児童・生徒による「空き缶クリーン作戦」を実施しています。平成二年度は五十校(小学校三十校、中学校二十校)が空き缶回収協力校として参加し、約百九十三万個を回収、売上金額百三十五万四千円となっています。各学校に集められた空き缶は市が収集し、アルミ缶、スチール缶別に直接再処理業者へ搬入、売却され、その売上金は、各学校の年間回収量に応じ教材等の物品により還元しております。熊本でもこのような小学校、中学校をモデルケースとして一校からでも出発したらどうかと思いますけれども、教育長の決意をお聞かせ願いたいと思います。
もう一点は、全国的に資源リサイクル運動が高まりを見せている中に大きな問題が出てきています。それは鉄くずの暴落です。バブル経済の崩壊による建設需要のダウンやリサイクル活動の活性化による資源ごみとしての鉄くずの供給増のため、メーカーによる鉄くずの引き取り価格が半値近くになり、採算割れを懸念し引き取りを有料化する業者が全国的にふえてきている状況です。東京都の清瀬市では、一トン当たり五千円有料化を求められ、これに市が応じられず鉄くずをストックしたままになっている状況です。神奈川県の平塚市でも一トン当たり五千円要求されており、現在のところ紙ごみの収益を充てると言われております。
熊本においても採算が合わないという理由で引き取りをやめる業者も出てきております。どのように市況の変化があっても地球の資源を守るという一点から、リサイクル運動は強力に推し進めていかなければなりません。このようなときこそ行政の強力な対応が求められていると思いますが、本市においてはどのように対処されるのか局長にお聞きいたします。
〔教育長 谷口弘毅君 登壇〕
◎教育長(谷口弘毅君) 空き缶回収、再利用運動についてのお尋ねでございます。
現在、市内の小中学校の中で、数校ではPTAと連携をとりながら子供たちが学校に空き缶を集め、その益金を身体障害者の車いす購入のために寄附したり、あるいは部活動の経費の一部等に充てたりしているところもございます。また空き缶を利用しまして生徒会が世界環境地図をつくったり、熊本城をデザイン化したりする活動も行っているわけでございます。このようなリサイクル運動は環境教育の一環といたしまして、身近な問題をもとにして環境を守る心、あるいは実践する態度の育成に役立つという大変意義深いものでございます。議員御提案のこのような輪を広げるために、市内の小中学校十校程度にお願いをいたしまして、PTAの協力のもと、空き缶回収、再利用の取り組みを進めてまいりたいと存じます。
〔保健衛生局長 後藤勝介君 登壇〕
◎保健衛生局長(後藤勝介君) 島田議員にお答えを申し上げます。鉄くずの価格暴落にどう対応するかということでございます。
ただいま御指摘がございましたように、最近の経済情勢の変動の影響を受けまして全国的に鉄くず価格の暴落が起きているようでございまして、資源のリサイクル化を進めながら再資源化を図っていこうと考えておりますごみ処理行政にとりまして大きな影響を与えるのではないかと懸念をしているところでございます。御承知のとおり本市におきましても昭和五十五年から資源ごみ再資源化推進事業として、金属くず、ガラスくず、古紙、古着等の再資源化を推進してまいっております。例えばその実績といたしまして平成二年度には約一千八百トンの金属くずが再資源化されております。そのようなことで、今回の鉄くず価格の暴落はこの事業にとりましても深刻な問題となっているところでございます。
御承知のように本年十月に国におきましては資源の有効利用と廃棄物の発生の抑制、さらには環境の保全を目的といたしまして再生資源の利用の促進に関する法律というのが施行されました。国、地方公共団体はもちろんでございますけれども、事業者、消費者が協力し合って資源の有効利用に取り組むことが定められております。このようなことで、全国的に再生資源の利用の機運が盛り上がっている中での今回の事態は、リサイクルを推進する上で大きな問題であると考えております。厚生省におきましてもこの問題を深刻に受けとめられまして、早速その実態把握のための調査を検討されているようでございます。本市独自に対策を立てるということはなかなか大変な問題と考えておりますけれども、国の動向等も見きわめながら、全国都市清掃会議等を通じまして国への働きかけなどを行ってまいりたいと考えております。
〔二十番 島田俊六君 登壇〕
◆二十番(島田俊六君) 鉄くずの暴落というその答弁に対しては、もっと行政が本気にやらないと、せっかく空き缶を回収しても、逆に経費がかかったりあるいはストックしなければいけないような状況になりますので、こういうときこそ行政の力を発揮していただきたいと思います。
次に、消防体制の拡充と整備について質問いたします。
都市の土地利用の高度化が進むにつれて、都市型災害は一段と複雑化し多様化する傾向にあります。本市においても地下火災や高層ビル火災、高速道路の玉突き交通事故はもとより、航空機事故やガス爆発など、被害が広範に及ぶような災害発生とも決して無縁ではいられなくなりました。
また、多様化する都市災害に対応する一方、市民とともに災害に強い社会を築いていくためには、消防の装備や機材などハード面の整備とともに、高度な技術と豊富な知識を備えた消防人の育成、またきめ細かい行政サービスができる視野の広い消防人が欠かせません。本年二月に平成の大合併がなされ、海岸線も約三倍に、金峰山も含めて百七十一キロも広くなり、人口も五万九千人増加しました。それに伴って消防局の機構拡充を早急にしなければならないときが来ていると思います。本市の消防署所の配置は、現在三署十三出張所体制になっておりますが、特に地域的に見てみますと、西消防署管轄区は、旧天明、飽田、河内町が含まれて面積にして約二倍に広がり、一署七出張所体制で対応している状況です。中央消防署管轄区もまた旧北部町が入り、約二倍の広さになり、一署四出張所、人口が一番多い健軍消防署は一署二出張所体制になっており、かなりのアンバランスの体制になっております。
既に皆様御承知のように、出火して壁や屋根が燃え上がるまで統計上九分かかると言われています。消防局は八分体制を目標にして取り組んでいると聞き及んでおります。ちなみに、一一九番に通報してくる時間が二分三十秒、指令から出動まで三十秒、現場到着まで三分三十秒、到着して消火開始までが二分となっておりますが、昨今の道路の渋滞がひどい中ではおくれる可能性が十分にあります。八分体制からすると、署または出張所を中心に一・四キロ半径しか対応できない状態になっております。市民の生命、財産を守る使命の上から、この機会に見直し充実させたらどうかと思いますが、いかがでしょうか。局長のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
次に、旧飽託四町の出張所の職員の数が熊本市並みの人員配置になっていないと聞き及んでおりますが、現在の実態と、今後どう確保していくのかあわせて答弁を求めます。
第二点として、師走に入り慌ただしさが増していますが、私たちが忘れてはならないことは、昭和四十八年十一月二十九日熊本市で起きました大洋デパート火災であります。本年十一月最高裁の判決がおりましたが、二度とこのような大災害を起こしてはならないという視点から、大洋デパート火災の教訓をどう生かしておられるのか。予防面の査察、消火訓練、問題があったときの警告、また、初期消火のスプリンクラーの設置状況、マル適マークの適用状況を教えていただきたいと思います。年々十階建て以上のビルが数多く建設されております。十八年前と比べものにならないくらい高層化が急速に進んでおります。この時代の変化に現在の消防局が対応できるかどうか、機材の整備充実、近代化をどのように進めていくのか局長の答弁をお願いいたします。
〔消防局長 吉原準二君 登壇〕
◎消防局長(吉原準二君) 島田議員の御質問にお答えいたします。
飽託郡四町合併に伴う消防力の諸問題についての御質問というふうに承ります。
議員御案内のとおり、消防の任務を適正に遂行するための拠点施設がいわば消防署あるいは出張所でありまして、そういった意味で消防署所の適正配置により
市民生活の安全が確保され都市の発展が期されるものというふうに考えております。したがって、消防署所は都市化の進展やこれに伴う市街地の拡大、あるいは交通基盤の整備状況により適宜その位置の見直しや拡充を図っていくべきものであり、先ほど先生がおっしゃいましたように特に今回飽託四町との合併に伴う海岸線の延長と、あるいは山間部、丘陵地帯がふえた、こういったことを念頭に置きながら署所の整備を計画していく必要があるというふうに考えております。
これらを踏まえながら今後の消防署所の整備計画につきましては、市域分括によるブロック単位の火災予防と集中防御体制を確立し、各ブロック内に指揮統括機能としての消防署、いわゆるコントロールセンターとしての消防署を配置し、その出先機関として地域特性に応じた消防活動を展開する地域防災拠点としての出張所を必要に応じて配置することとする。現在の三署三ブロック体制から、消防需要の増大への対応や四町合併による市域の広がり等、都市化の進展を考慮しながら、市の中心部を中央ブロックとして東西南北の五ブロック体制へ拡充し地域の安全を確保する、そういった体制を将来計画として図っていきたいというふうに考えております。
次に人員配置の問題でございますが、議員先ほど御指摘のとおりでございまして、旧飽託郡所在の三出張所につきましては、昭和五十九年に本市と旧四町との間でそれぞれ消防事務の委託契約がなされ、当時の規約に基づき人員配置がなされてきたわけでありますが、合併を契機に消防需要の増大も予想されますので、他の出張所と同様な体制へ早急に持っていきたいというふうに考えております。
それから先ほどお話にもありましたように、昭和四十八年に発生しました大洋デパート火災の最高裁の判決がございましたが、そういうことを念頭に置きながらの御質問というふうに思います。
本市におきます四階以上の建築物は平成三年六月現在で三千七百六十四棟ございまして、中でも高層建築物と呼ばれる高さ三十一メーターを超える建築物が七十八棟ございます。これは十年前の状況に比較しますと約三倍の数字でありまして、本市における都市化の進展のあらわれとも言えようかと思います。このような一たん出火したならば消火活動が非常に困難で人命に危険の高い建築物に対しては、消防法あるいは建築基準法などで厳しい規制が設けられておりまして、延焼防止のための防火区画や避難階段、初期消火設備等の設置基準の強化、あるいはカーテンとかじゅうたん等の防炎規制、さらには共同防火管理制度などによりその安全性が図られているところでございます。
消防局としましても、これらの建築物における火災対策として、まず火災を発生させない、あるいは万一出火しても最小限の被害にとどめるように必要な施策を講じているところでございます。例えば火災防御、あるいは人命救助の対策としてはしご車、スノーケル車の整備を行い、現在合わせて五台保有しております。また人命救助の専門の部隊として特別の訓練を受けた特別救助隊を三隊編成し救助活動に備えているところでございます。しかしながらこういった救助隊の活動にいたしましても、建築物の高層化により地上からの対応では限界がございます。今後、より機動力を用いた立体的な活動体制をも検討していく必要があるというふうに考えております。
次に、そういった災害を発生させないという意味での予防対策でございますが、年間数回にわたる火災予防査察の実施により出火危険の排除とスプリンクラー、あるいは避難階段等消防設備や避難設備の維持管理の徹底を図るとともに、初期消火、避難誘導訓練等により、防火管理の徹底を指導しているところでございますけれども、今後さらに火災予防の指導を徹底し、市民の安全を確保してまいりたいというふうに考えております。
それから適マーク制度のことでございます。