それでは,早速始めさせていただきます。
次,お願いします。
これはですね,青い棒グラフ,こちらが世界のGDPの
成長率になってございます。それから赤の
折れ線グラフ,これが世界の
コンテナ数量,
TEUであらわしたときの前年度に対する
成長率をあらわしてございます。
我々,この世界のGDPの平均値と
成長率と世界の
コンテナ貨物動静を見るときに,実はこういうふうな計数化をして見ております。1992年から2001年,ここの
コンテナ世界総数の
成長率というのは8.5%平均として出ております。それに対するGDPの平均が約3%であったと。つまり,そのGDPの平均値に対して,この年次においては,この期間においては2.8倍の
コンテナの増量が見込まれたと,
パーセンテージにおいて,その
成長率において2.8倍が見込まれたと。それから,2002年から2007年においても,やはり同じような傾向が見てとれます。2009年,これ
マイナス成長になってるところが,いわゆる
リーマンショックの年になりまして,これ海運界,非常に苦労した,近年では最も苦労した年です。
こういう見方をしていきまして,これを2013年から先に置きかえてきますと,この計数が1.3ぐらいしか見てとれないんですね。したがって,今後の
成長率,2017年までを見ていきますと,
世界コンテナ数量がうまくいって5.1%ぐらいの増量だろうと,成長だろうと,こういうふうな見方をしている我々の日々見ている数値のうちの1つにこういうものがあるという説明であります。
次,お願いします。
ここから先は,私は
経済学者でも近未来を的確に予言できるような予言者でもありませんので,世界の
コンテナ海運界において起こっている,見てとれなければいけない数値,日々見ている数値の一部をここで御紹介させていただきます。
この表は,
新造コンテナ船の
デリバリースケジュールを2014年から2016年に対して追ったものです。上の部分が隻数です。赤いところ,これが1万
TEUを超える船型の隻数です。それからオレンジ,これが8,000
TEUから1万
TEU未満ということで,9,999までと,それから黄色い部分が8,000
TEU未満と,こういう3つのカテゴリーに分けて数字を見ていきますと,ことし2014年,234杯の新造船がデリバリーされる予定になっております。そのうちの24%,57隻が1万
TEU以上であると。この下の165万
TEUというのは,それぞれに対応する
キャパシティーの総和です。ですから,1万
TEU以上の船が77万
TEUのスペースを供給してくるというふうに見ますと,この234杯が165万
TEUをカバーするのに,この平均の船型が7,050
TEUになっておると。これ165万を234で割ると,そういう数字になります。
それを船型別に見ていきますと,57隻の平均の船型が1万3,500
TEUと,それから8,000から1万未満が約9,000に近いです,8,958
TEUと,こういうふうな大型化が実は
デリバリースケジュールの中で数字として明確に見てとれるというのが現状です。
さらに来年,2015年,これ222杯が新造デリバリーされる予定になっておりますが,その数が190万
TEUになると,222の
平均船型が8,560
TEUにまた1つジャンプアップしてます。それから,1万
TEU以上の船の占める割合というのが2014年の24%から32%へ,これもふえてきているということで,一般的な船型の大きさというのが,
デリバリースケジュールからして我々の次の一手を打つ場合に非常に必要な数値としてここに上がってきております。
2016年,2017年というのは,まだ
オーダーが入っていない,これから入ってくるものがまだあります。したがって,73杯だけで終わるということはまずないというふうには思います。
ただ,この73杯も
平均船型は8,400
TEU近いです。ですから,8,000
TEUがギネスで
世界最大のフルセルラー
コンテナシップとして認定されたのが2002年だったと記憶していますが,それからすれば,もう中型船になってきているという現状がこういうニュー
デリバリースケジュールの中でも見てとれると思います。
次,お願いします。
これは少し見方を変えた表です。
大変に大きな船社というのは,
キャパシティー別で見れば
ヨーロッパに本拠地を置いております。例えばこの
TEUという20フィート換算の
所有キャパシティーだけでいけば,この12番目の会社,ここ257万ございます。それから8番目の会社,237万ございます。19番目の会社,150万
TEU,圧倒的にこの
ヨーロッパの3社というのが巨大な船腹──
フリートを所有してます。
ここでちょっと角度を変えて,切り口を変えて見てみるとですね,この
ベッセル数という本船の今オペレートしてる隻数なんですけども,この
所有キャパシティーを
ベッセル数で割った数字が一番右の
平均船型というアベレージ
フリートサイズになっています。
こうして見ますと,非常に大きな世界でも1位,2位,3位を占める
キャパシティーを持った船の
平均船型は,実は5,000
TEUそこそこか5,000
TEUより少し下回ると。逆に1位,2位──1番はこれは韓国の会社ですね,3番も韓国の会社,4番目にここに黄色くちょっと宣伝をさせていただいてますが,私の所属している会社ということで,この辺が5,000
TEUを超えている。ということは,この上位に来てる5,000
TEUを超えている会社の船型というのは比較的若いです。船齢が若いです。これは後に実は説明させていただきたい
ポイントがあったので,この表を一旦ここに持ってきてます。ですから,
最大船型を誇ってるから全てが
最大船型を持ってるというふうな実態には今はないということです。
次,お願いします。
これは各社が持っている世界のトップ20という
キャパシティーの大きさ別にした一覧表です。
一番上の会社が今さっき言いました257万6,000
TEUを有してます。これは2013年12月末までの数字です。それが一番左の数値になっています。それから,その隣にあるのがことしの3月末,これがどう変化をしたかという数字が3つ目の
パーセンテージにあらわれています。それを新造船の
オーダーブックに従って2017年まで置いていったものが,その右側の4行ある一覧表ということになっています。
ここで4番目の会社に注目していただきたいんですけども,この会社は長くそこの三菱重工さんで
連続建造をずっとされてた台湾の
船会社さんなんですけども,やはりその当時の将来の予測というのは,6,000
TEU級を
最大船型として
世界戦略を行いたいということであったように理解をしておりますが,しかし,既にもう8,000
TEUあるいは1万4,000
TEUという船を発注されたり,あるいは一部もう運航を開始されてます。
ここにずっと増量,増量,増量といってですね,2017年にもしこの
計画どおりに船がそれぞれデリバリーされるとするならば,現在よりも20%の
世界船腹量がふえると。ただし,この中には注意しなければいけないのは,
スクラップをする船が入ってません。
スクラップ計画はオープンにされてませんので,その船はここに残ってるという
前提条件で,新造船の数字の追加のみを行ってます。これから’17年までこの表を見てとってもですね,上位の欧州の3社の位置は変わらないと。そして,その4番目に来ている船社さんの数値は現在から33%の
キャパシティーの増があると,それが全てが8,000
TEU超の
大型船によってもたらされるという今現状をこの数字の中で私どもは読んでおります。
それからその下,ちょっとカラーでグリーン,ピンク,薄いブルーというところで固めてるところは,今世界の
コンテナ会社というのは
アライアンスという
協調配船行為を行っています。その
グループ別の取りまとめです。
CKYHEと書いてますけども,これ,この
グループの
アライアンス名で各社の頭文字をとってやっています。ちなみにこのKというのは
KラインさんのKです。それからG6,この中には,さきに御紹介いただきましたように,
グランドアライアンス3社,それからニューワールド
アライアンス3社,邦船さんで言えばNYKさん,MOLさんがこの
グループに所属しています。それからP3というのが
ヨーロッパの3強,世界の3強と言うべき3大
メガアライアンス化というところへ今かじが切られてるという現状がここの表にございます。
次,お願いします。
さらに,これは1万
TEUを超える船型の各社が所有している隻数に注目して,1万
TEU超え,8,000から1万
TEU未満,4,000から8,000,4,000未満というのを何杯それぞれが所有しているだろうかという一覧表です。
ここで私が注目しているのはですね,8,000
TEU未満の現在の
フリートと2018年までの
オーダーブック──造船所に対する発注の隻数を加算したものを比べてみますと,8,000
TEU未満の船というのはほとんど変化がありません。変化しているのは,8,000
TEU以上の船の数字がすごい勢いで伸びているという現実です。この業界に働いてて,これほど巨大な船をどうするんだという恐怖もあるんですけども,ただ,これはこの
マーケットで,あるいはこの業界で発表されている数値を正確にここに置きかえると,そういう現実が見えてくるという表でございます。
それから,次はちょっと生データに近いので,次の表をお願いできますか。
これは今形成されている3大
メガアライアンスが各航路に配船している状況です。注目していただきたいのは,各航路の4行目にあるアベレージシップサイズというところです。現実に
ノースヨーロッパ,
ヨーロッパコンチネンタルに行っている航路については,
各社平均船型がもう1万
TEUを超えております。それから中近東においても,G6で7,900,P3に至っては1万1,000近いというやっぱり
大型船型がここにはもう現実に配船されています。これが
ヨーロッパです。
次のページが北米なんですけども,ここに非常に神戸港にも日本の港にも非常に関係するデータがちょっと隠れておりまして,
北米西岸,これは制約が一応ありませんので,船型がある程度大きくなっています。6,900,8,200というような,10年前で言えばもう
大型船です。その真ん中にある
USイーストコースト──USECと書いてある
括弧パナマと書いてあるところですね。これは
パナマ運河経由の
北米東岸に直接走り込んでいく航路です。このG6,P3ともに3,800が現在の船型ですが,これがいわゆる
パナマ運河の最大幅,
コンテナ船の場合には106フィートをマックスとする
パナマックスという船型の上限です。
コンテナの本数で言えば13列船,13本横に並んでる
コンテナ船が今
パナマックスとなるわけですけども,既にかなり報道をもうされておりますが,今第2パナマと言うべきものが工事されています。これの通峡の最大幅が160フィートというふうに言われてますから,20列の
コンテナ船が通過できる運河が当初2015年から今2016年に工期がおくれているようですけども,この数年のうちにそういう運河が我々の前に出てくるという現実が近づいてます。
一般的に東海岸は西海岸の港に比べて
ターミナルのファシリティーの能力が低いのではないかとか
大型船の受け入れが難しいのじゃないのかという当初において議論もあったんですけども,現実にその一番下の
ヨーロッパから
スエズ経由の
USイーストコースト,
東岸サービスというのがございます。これは
パナマ運河通りません。そうすると,P3においてはもう既に7,900の船が就航してます。つまり8,000
TEUの船が入ってるということですね。したがって,その
パナマ運河の
拡幅状況に応じては,ここのアジア,日本から
北米東岸に
パナマ経由で入っていく
オールウオーターサービスというのは,当然
需給バランスに応じて船型は大きくなるというふうには見ておく必要があるのではなかろうかというふうには思ってます。
これは先ほどお見せした表と同じです。ただですね,一度これを思い出していただいて,その次のところにちょっとフォーカスをしたいんですけども,これは
最大アライアンスを形成する
ヨーロッパの先ほどから出ている3大船社──もう固有名詞出したくなかったのでA,B,Cとしております。今ニュービルド
オーダーでですね,新造の
オーダーで1万8,000
TEUを35杯というふうな数値が
マーケットで出ております。それから9,000
TEUから1万という船が49隻発注されていると。
ここで一番先ほど──
最大キャパシティーを持って,隻数も多いんですけども,
平均船型が小さいというのは,一番右側の船齢が20歳を超える船,これが実は123杯現在の
フリートの中に入っているというデータがあります。つまり,この船齢20歳以上の
コンテナ船というのは,いわば非経済船といいますか,非常に
運航効率が悪いという性能を有しているというふうに置きかえてもいいのかなというふうに思います。つまり,この123杯は近い将来こういったものに置きかえられていくというふうなことで,その赤い部分というのは私も個人的に非常に注目している
ポイントです。
ですから,これが置きかえることによって,例えば3,000
TEUが9,000
TEUに置きかえられるというようなことも起こるだろうと。この赤いところが実は本当に数年どういうふうに
スクラップ化されるのか,どういうふうに置きかえられるのかというのが港の能力から見ても非常に重要な要素になる可能性があるので,あえてここでこれをシェアさせていただきたいと思ってました。
それから,これはですね,Kは1,000をあらわしています。ですから,4Kで4,000
TEU台の船,8Kで8,000,13Kで1万3,000という船型をあらわしてます。これは,その船型の船がいわゆる満船状態で走らすときに,24時間何ノットで走らせたら何トンの油をたくかというグラフです。下の横軸のほうに入ってるのが船速,ノットです。縦軸に行ってるのが
燃料消費,メトリックトン/1日と,1日何トンたくかということになります。
ここで見ていただきたいのはですね,今各IMOでも
相当議論がされています,いわゆる環境に優しい船,
排出ガスの少ない船ということと,
船会社から見たときには
運航コストの低い船──コストを低減化することによって,お客さんの
海上運賃にもやはり影響というのは相当なファクターを占めるだろうと。
例えば21ノットというのがここにありますけども,ここでそれぞれの4,000,8,000なり1万6,000なり1万8,000なりを見ていきますと,4,000
TEUの船で約75トン1日たくということになります。8,000で約115トンぐらいでしょうか,1万3,000で125トン,1万6,000で150トンと,これぐらいの油はたいていくというのがこのグラフになります。
ここで,例えば4,000
TEUの船で75トン,1万3,000
TEUの船で125トン,計算しやすいように1万6,000に置きかえると150トン,つまり4,000
TEUの船は1万6,000
TEUよりも半分しか油はたいてません。逆に言えば,1万6,000の船は4,000より倍たきますと,75トンが150トンたきます。
しかし,そこで運送できる
キャパシティーというのは4倍あります。つまり,4,000
TEUの船を2杯走らすと150トンになりますけども,1万6,000
TEUの船は1杯で150トンで済んでしまうと。つまり,1
TEUの運送にかかわる燃料費が半分になっちゃうと,こういう現実が今ございます。
もともと
ヨーロッパ航路というのは,初期の
デザインにおいては21ノットで9杯で1ループを形成するという基本形があったんですけども,その後,油の高騰でスロースティーミングを余儀なくされたために,19ノットで10杯,17ノットで11杯,その今スーパースロースティーミングという17ノット11杯
ワンループ化というのが今固定化されつつあります。
17ノットの部分をここで見てみますと,4,000
TEUの船だけがもう置いてきぼりを食らっているような状態なんですね。ほとんどの
大型船というのは,もう80トンないぐらいで走ってしまうと。例えば1万6,000が約90トンぐらいをたいているとするならば,これ8,000の船はそのときに実は80トンたいてしまうと,余り変わらない現状でキャパが倍違います。こういうところに今の大型化が進んでる背景があります。
これは経済のコストの論理と同時に,やはり
地球環境の保全ということも大きな要因の1つになっております。したがって,この大型化の波というのは,なかなかとめようがないというのが現状です。
それで,これは私どもの手持ちの船型を各船型が持ってる
デザインをここに一覧表に一度まとめてみました。
一番左の黄色い部分,1万3,000
TEU型なんですけども,ここでこの船の
最大喫水が──
ドラフトですね,これが15.5
メーターの
デザインになってございます。それから8,000
TEU型,ここで14.67という数字になっております。それから5,000から6,000の間ですね,ここで
ドラフトは大体14
メーター,それから
パナマックスで12.6,これが今の
サマードラフトの
最大喫水が構造的に各仕様の船が持っている数値です。
そして,今下にちょっと
メモ書き程度にとめてるのは,もう7~8年前になりますが,
世界最大の
コンテナ船が神戸港にも入港しております。そのときの船型が
グロストンが17万トン,長さが397
メーターと。この船を額面どおり使ってしまいますと
ドラフトが15.5,ただ,この後にできたさらに大きな1万8,340
TEU型というのがその左側に書いてるんですが,これはさらに横に広げて縦に逃げるということで,
ドラフトが14.5のリクワイアメントになっています。ですから,深く深く入る船よりも,なるべく水深16
メーターでも最大でも入っていけるという船型に大体おさまりつつあるのかなという気はしてます。これが各4,000
TEU,5,000
TEU,8,000
TEU,1万3,000
TEUが持っている船型の特性のようなものです。
それから,これはある台湾の高雄にある一般的な
ターミナルの
取扱数量がちょっととれましたので,神戸港のどこかの
ターミナルと対比するのに都合がいいのかなということで数値だけを挙げております。
これはバースが2バースあって,全長としては2バースで760
メーターの岸壁を持っています。それから岸壁側の水深ですね,水深は14.5
メーターです。それから
ターミナル面積としては約27万平米。したがいまして,これ奥行きが平均350
メーターの四角い
ターミナルを想像していただいたらいいと思います。岸壁が760メートル,奥行きが350メートル。
それから
ガントリーの本数とかそういうのは,
ターミナルなんですが,ここで私注目してたのは,この比較的小ぢんまりとした
ターミナルで2013年にこの
ターミナルが約133万
TEUを扱っています。そのうちの約54%が台湾のローカルカーゴです。残りの46%がいわゆる
国際接続貨物です。こういう形で130万
TEUの貨物をこの
ターミナルはさわってると。
国際トランシップがなければ70万
TEUそこそこしか台湾の
ローカル貨物としてはないというこういう現状です。
ただ,日本の港で今
国際トランシップ──接続を行う
船会社というのはほとんどないと思います。これは地理的な関係においても,どうしても日本はアジアの一番東にあります。それから,この香港や台湾と接続するいろんなネットワークがまだ不足してます。それから全体的なコストが
アジア諸港のほうがやはり低いというような実態がありまして,どうしてもこういう図を日本に求めることは難しいんだろうという気がしております。
ただ,このトランシップメントあるいはハブ港として機能すると,こういう小さな
ターミナルでも100万
TEUは簡単に超えるんだという現実は,ここから見てとれます。ですから,例えば神戸港で神戸港に一番近いヒンターランドからの貨物だけを扱うとするならば,非常に苦しい戦いが今後もあると思います。
次,お願いします。
そこで,じゃあ神戸港に遠くても神戸港を使える港というのが,実は西日本にはこれほど整備されております。この真ん中の瀬戸内海地域ですね,ここには中・四国の
コンテナ港が羅列されていますが,この数字は去年──2013年の1月から6月までの半年間を港湾近代化促進協議会さんのほうで集計して発表した数字です。6カ月間ですから,これを額面どおり倍にして大体の年間の数量というのは見てとれますが,瀬戸内海地域でも6カ月で19万
TEUが報告されています。ただし,松山と徳島に関しては3カ月しかここにまだ計上されておりませんので,4月,5月,6月の数字が載っておりません。それから水島港は発表しておりません。ということで,ここには年間45万
TEUはそこそこあるんじゃないのかというふうに見てます。
それから九州エリア,博多から志布志まで一番右の欄にありますけども,ここも半年で53万4,000と,1年に置きかえれば110万から120万は九州に入るという構図がここにあります。
したがって,150万,160万というのは,実は神戸港の西側に貨物として実際に動いてる荷物があるという事実です。この中には空
コンテナの数値は入っておりません。完全に輸出入のいわゆる実入りの
コンテナだけです。大変に大きな
マーケットに私には見えます。
そして,ここの水色で今ペイントしてる港は,実は私どものほうで既に2009年から始めてます神戸港をハブとして,内航フィーダーを利用して全部カバーしてる港が全部水色でペイントしてる港になります。西日本だけで今22港ですか,全てが内航フィーダーで神戸港の利用という形の中で運営を6年目に入ってます。こうして見ると,実は神戸港には荷物があるんだということは,実際にこれを運営してくると実体験としても非常によく感じます。
そして,これが最後のページになるんですけども,これが今私どものほうで行っているフィーダーネットワークあるいはフィーダー港としてカバーしている日本の地図です。
黄色いところ,これが全部神戸を基点として動かしているフィーダー22港です。それから東に目を転じれば,苫小牧から豊橋までの青い箇所,これが京浜港もしくは伊勢湾のどちらか──四日市なのか名古屋なのかというのは,その都合に合わせてやってますが,東西の国際
コンテナ戦略港湾をとにかく全面的に使わせていただきたいという形の中で,このフィーダー網が組まれてます。
東京湾に至っては,川崎と千葉というのがグリーンになっていますが,ここはもともと母船を入れてました。母船を入れておりましたが,母船を東京と横浜に限定をして千葉,川崎の荷物は東京湾のバージサービスで母船へ接続してます。
したがいまして,いわゆるべースポートと呼ばれている日本の中核港に全て私どもの母船は集結するという形の中で現在に至っています。特にこの西日本はですね,瀬戸内海という水路は非常に神戸港から見たら優秀なツールです。内航
コンテナ船の安全基準で,波高が4
メーターを超えると安全上運航しませんということで,走れません。それが東日本の太平洋岸では往々にして起こります。風が少し強いなと思うと,どこかの港に避航してます。
ところが,瀬戸内海を水路として使ってるこのフィーダーネットワークは,台風以外でとまったことがありません。したがって,神戸港というのは非常に優秀な海上運送のためのフィーダー網を組むには適切な水路を自然にもうお持ちになっているという現実がここにはあります。そうでなければ,我々も母船を神戸港にお預けして,あと,全フィーダー化というのはなかなか難しかったと思います。こういった地形上,地理上の利点というのは,もう自然に与えられたものですから,我々はこれをもう最大限に利用させていただくと。神戸港に母船を預かっていただく以上は,船型の大型化に心配をする必要が船社としてはありません。そういう準備を神戸港さんはもうずっと先に先にしていただいてきたので,今後の船型の大型化に伴うアジア航路の船型の大型化,こういったものにも十分に対応させていただけるんだろうと,こういうふうに思います。
それから,今国土交通省さんのほうで貨物に対する集貨とそれから創貨あるいは強化という3本柱を挙げていらっしゃいます。集貨は,文字どおり既存の
コンテナ貨物のサポートをお客様からいただくという行為です。
ただ,創貨というのは,一民間企業では企業誘致だとか工場誘致だとかそういったところには全く歯が立ちませんので,我々の中ではもう無理です。ただし,
コンテナを運営する
船会社としての創貨というのは1つだけございます。それは現在でも在来荷役──在来船で運ばれてる貨物というのが結構あります。それをお客様に
コンテナ化をする提案をしていくということです。この中で,例えば九州から在来船で八代港から積み出されているものがございました。これが台湾にそのまま持っていかれてたんですけども,それを
コンテナ化の御提案をさせていただいて,昨年より,そこはもう全て
コンテナにおさめていただいています。そのものが結局は最終的には神戸港の私どもの母船につながせていただいています。
それから,同じようなものが山から出される材料として熊本に出たり八代に出たり,あるいは鹿児島県の薩摩川内を基地にされたり,今は大分もあります,細島にも基地がつくられようとしていますが,この準備は全て
コンテナを前提とされています。ですから,そういった一民間企業においても,お客様が困ってる
ポイントを提案することによって
コンテナの荷物が創貨できるという例の1つです。
それから鋼材,これも長く
コンテナには不向きであるということで手つかずの状態の部分があったんですけども,これは釜石に拠点のある製鉄所さんとお話をすることによって,ある線材というんですかね,線の材料,この線材を
コンテナ化をして昨年の6月からトライアルを経て
コンテナで大丈夫だなということで,
コンテナ貨物の増量イコール
コンテナ業界の創貨ということにはつながってます。
ですから,まだまだ
コンテナ化されていない荷物を
コンテナ化するためのアイデアを提出することによって,国際物流はふやせるんだろうというふうには私個人としてはまだ思っておりますし,それは間違いがないだろうというふうにも思います。
ちょっと長くならないように急いで行きましたので一気に行ってしまいましたが,結果として,ここで日々
船会社に働く者の1人として注意してる
ポイントは,この業界が発信する,あるいは造船所が発信するそういった日々見れる数値あるいは定期的に見れる数値を見て,起こったことに対処すると,それはもう遅いということに過去苦い経験を幾度もしてます。したがって,この数値をもとに流れを読んで,先に手を出すと,先にプランを組み行動をして,それが起こるのを準備をするという中で,何とか日本の
マーケットの中で我々も働かせていただいております。
ですから,日々──私は
経済学者でもありません,それから将来を予測できるような能力もありませんと先に申し上げたんですけども,それがために,やはり日々あるいは定期的に,この
マーケットあるいは累積するような資料が出してくれる数字をやはり読んで,この方向性あるいはトレンドというような波がどこへ向いてるんだろうかということを今回は皆様にシェアさせていただきたいというふうに思いまして,こういう世界の
マーケットそれから船型,それから今あるもの,古い船は必ず新しくなります。新しくなるものについては必ず経済船が最優先されます。それから環境に優しいエンジンを積んでいきます。となると,もうそれは既に大型化の波からは少し外れることはできないんだろうなということをこういう数値が見せてくれているような気がしてます。
非常にたどたどしい説明で,非常に申しわけなかったんですけども,一応用意したものは,きょうは以上です。ありがとうございました。
4
◯委員長(沖久正留)
意見陳述は終了いたしました。
藤江様,どうもありがとうございました。
それでは,ただいまの御
意見陳述の内容に関して,藤江様への御質疑はございませんか。
せっかくの機会ですので,質疑があれば。
5 ◯委員(吉田基毅) きょうはどうも本当に説明いただけてありがとうございます。我々本当,委員に入っておりながら,なかなか知らないところについては,やっぱり実際やってるところでお話しいただいたこと,本当にうれしく思います。
その中で,まだまだ
コンテナ化されてないけども,これから
コンテナ化ができるものについてやっぱりやっていきたいというお話がありましたけれども,大体どんな方向のものがそういうことになるのかなということが1点と。もう1点,今まで先を読まなかったんで痛い目に遭ったという御社の経験の話で,具体的になかったんですけども,ちょっとどういったことがそういう読めない中でうまくいかなかったのかなということについて御説明いただけたらと思います。
6
◯参考人 まず,2点目の御質問なんですけども,1995年に阪神・淡路大震災がございました。神戸港が壊滅的な被害を受けて,そのときの神戸港の荷物が大阪港に行き,名古屋港にも行き,それでもできないというふうな貨物量が出ました。それが釜山に行っています。そのとき釜山では,まだまだ今のように
ターミナルの整備が行われていない不十分な状況であったと思います。したがいまして,そういう荷物が衛星ドックと呼ばれるオフドックのほうへどんどん運ばれて,結局日本のお客様の貨物が母船に接続できない,あるいは積み忘れた,積み間違ったというような現実があったやに,そのお客様からお話がありました。
それを契機に,釜山ではなく,私どもは台湾,香港をハブにして瀬戸内,九州から直接そこへ持ち込むという航路をつくりました。400
TEUの船から始めました。それが1,500
TEU,最後は3,200
TEUまで入れました。つまり,そうしていかないと近場の釜山に勝てなかったんですね。
さらに,その苦い経験というのは,
大型船を瀬戸内に走らすのはルール的にはできるんですけども,非常にコストがかかる。それからリスクが高い。こういった最も
船会社として注意をしなければいけない
ポイントをただ競争だけに見落としていたんだと。その着目点にようやく達したのが2008年の前半なんですね。それから約半年かけて,瀬戸内海へ船を外航船として入れることには,今後の
大型船がどんどんデリバリーされてきてアジア航路へ北米船や
ヨーロッパ船がおりてきたときにはもう対応できないというその判断が少しおくれたんじゃないのかなという反省が私個人にはありました。ただ,それは数年おくれでも今現実にできてますので,それは反省を踏まえて現在の形に持ってこれたのはよかったというふうに思います。
それから,
コンテナはいわゆるスチールボックスですから,カートンのような,あるいはパレットにしているようなもので,フォークリフトを使って補助作業ができるというようなものについては非常にランニング効率が高いです。
その対面にあるのが,例えば九州のさっきの例は杉の丸太なんですね。この長く重たいものを40フィートのドライ
コンテナに詰めていくというのは,
コンテナも傷みますし特殊な技能も要る,面倒くさいということで,なかなか
コンテナ化にならなかったんです。それが今は九州から出てくる杉の間伐材──これはコンパネの材料に外地でなるというふうに聞いてますけども,それがもうほとんど
コンテナ化にできるという見通しがもう立ってますし,一部はもう動いてます。
それから,
コンテナは国際運送容器なんで,中に積まれる貨物というのは平均荷重がかかるということが大前提になっています。そのためにクロス
メンバーというのが下にずっと入ってますが,丸いスチールということになると,一定集中荷重がかかるんですね。それを荷重分散するために,少し荷主さんからすれば予想外のこん包費がかかるというので,なかなかそれが難しかったことと,それから船社として取り扱いのときにショック荷重がかかると──7G,8G,10Gというのは簡単にかかるんで,国際運送上事故が起きないかということで二の足を踏むというような事態がずっと続いておりまして,それが何とかうまくある提案をもとにコスト的にも安全上もできるようになってきたというところに新しい
コンテナ貨物を創貨ができるということになってきました。
それから水,液体ですね。液体も,実はドライ
コンテナに詰めれるようになってます。これは中にインナーバッグで漏れないように何重にもなってます。それから,漏れた場合にはそこにタップのようにですね,ここに漏れたものがたまると,
コンテナの外に出さないというような製品がもうできてますので,そういった液体類に対しても今後ドライ
コンテナの貨物ソースにはなり得るというふうに思ってます。
7 ◯委員(吉田基毅) どうもありがとうございました。
8 ◯委員(松本しゅうじ) きょうはどうもありがとうございました。
どうしても弱いところで,内航フィーダーのことは大変お褒めいただきながら,これから今のバン詰めの中身の話からどんどん進化していく中でですね,伸びていく要素が高いなというようなニュアンスで受け取ったわけでございますけれども,やっぱしトランシップ貨物というものの国際
マーケット──アジア,
ヨーロッパ,北米という話がありまして,京浜についてはそれなりのものが今もあるんだろうと思いますが,神戸港へシフトするというような神戸としてのアジア戦略なり北米戦略なりみたいなものを,
国際トランシップ貨物をとるというところを非常に強く力を入れていく今後の対策としてですね,ネットワークであったりコストであったりということがあるんだろうとは思いますけれども,どんなところに今後もう少し力を入れながら戦略的に動いたらいいのかというようなところがちょっと知りたいんですが,どんなもんでしょう。
9
◯参考人 神戸港さんが世界に冠たる
コンテナ港として,やはり世界中から評価をされた時代がございましたですね。これは,まだまだ中国や韓国が
コンテナターミナルの準備ができない,あるいは母船を受け入れる体制が余り整ってないというその時期と合致してると思います。
ですから,何か不測の事態があろうがなかろうが,そういった後から追いつけ追い越せの各アジアの国々,特に中国,韓国の
ターミナル施設が順次整ってくれば,そこへ母船を配船するというのは船社経営からしてもごく自然の流れだろうと思います。ですから,
国際トランシップを神戸港にもう1度呼び戻すにはどうしたらいいかというと,それは非常に難しいと思います。
ただ,全く無理ではないんだろうというふうに思いますが,その前に日本発の貨物が西日本では大量にあるというその事実,現実を先に我々はとりたいんですね。
したがって,まともに日韓フィーダーとコスト競争すると,これはもう勝てないですね。例えば外航船である以上は,油,燃料を入れても,これはもう免税というか,ボンドのままですよね。でも内航船は日本の税率に従ってやってますので,同じC重油を入れても高いものになってしまう。ですから,そういった
運航コストを同じ船型で走らせたとしても,外航,内航で燃料費1つの比較をしても負けてしまうということは,もう今の法制度では対抗できないということが言えると思います。
ですから,そこを──瀬戸内海に着目してるのは,神戸港から例えば門司港まで走っても一昼夜で行くわけですよね。20時間──ゆっくり走っても1日走れば絶対着いてしまいます。博多でも同じだと思います。つまり非常にピストンがきく。お客さんにとって,トランシップは接続ミスが嫌だ,リードタイムが長くなるという昔の理屈は今はもうないんです。
母船に合わせたフィーダーという構築をする以上は,リードタイムにおいても実は負けることは余りないというふうに私たちは思ってまして,1つの具体例として,日本の墓石というのは大量に福建省のアモイから入ってきてます。そこをアモイから門司へ直接外航船で運んでいらっしゃる船社を使うお客さんが九州にいらっしゃいました。出帆から門司港到着までの日数を聞くと,5日間で来ると。我々の提案は,神戸経由,神戸へワンクッション置いてくるんだから,一旦東へ行ってまた西に戻ってくると当然それより長いはずなので使えないというその御指摘を受けました。そのときに,アモイを日曜日に出る私どもの船があって,その船は水曜日に神戸港に来ます。神戸港にはもう内航船を手配してます。したがって,ホット接続をかけて木曜日の12時に門司に持っていくようにスケジュールをつくりました。つまり,直行船よりも半日早いんですね。ですから,そういう事実を1つ1つ積み上げていった結果として,今フィーダー接続だから嫌だというお客さんというのは,ほとんどいらっしゃらないように私は感じております。
それから,フィーダーといっても何種類かあってですね,私どもがお客さんに提案してる運送形態というのは,いわゆる船社がスルーBLという船荷証券をお客様の必要とする地方港まで切ってあるんですね。あるいは地方港から受けて神戸経由内地へ運ぶという一貫輸送のBLを切ってます。
したがって,全運送期間がそのBLを発行した船社の責任になりますので,そこのところをきちっとやる動きさえすれば,お客さんの不安は解消されると思います。
もう1つあるのは,マーチャントホーレージという,荷主さんが母船の港から
コンテナをとって,例えば広島なら広島に持っていって,バンニングをして神戸へ戻す。そこから神戸からが船社責任でBLを切りますと,こういうお客様が国内運送を負担している運送というのがメーンとして残っています。
ですから,ここのところの攻め方と船社として全てをカバーする攻め方と,まだまだ両者がお互いの特徴を捉えてパッケージを組んでいくのであるならば,神戸港のための荷物は西日本にはまだあるというふうに思います。
10 ◯委員(松本しゅうじ) ありがとうございます。
この内航のとり方,神戸発で創貨という部分をもっと努力すれば,トランシップに向けた戦略にもなるというふうなことを今感じとったわけですが,そんなところでよかったですかね。
11
◯参考人 はい。それと,こんなことをここで言ったらどこかで怒られるのかなという気はするんですけども,例えば地方のフィーダー港で1回荷役をしてフィーダー船に積みます。神戸港に来て母船
ターミナルでおろします。そして母船のためにまた作業をします。つまり,3回の作業が日本国内で発生してるんですね。
ところが,外航船が直行で出ていきますよと,地方港から,行くと,1回地方港で積んだまま,日本の作業のためには1回しかないわけですよ。ですから,フィーダーというのは,実はいろんなところでの作業にかかわっていただける方の関係をまた広げることもできるということですね。だから,その取扱回数が多いイコール実はそこにコストが発生するので,ここのところの取り組みが非常にみんな苦しんでるとこなんですね。
それから,地方港には,やっぱり国際
コンテナ港としてのやっぱり看板というのが現在ありますよね。お役所が64港つくったんですから,それはもうしようがないと。でも,それが全部釜山に向かって線が引かれてると。空港も同じで仁川に行ってしまうと。だから,ハブが結局とられた状態になってるわけですから,そのとられた状態をもう1度もとに戻すには,日本海以外は日本の港にチャンスがあるのではないのかと僕は個人的には思ってまして,そのフィーダーというのは1つの取り組みです。
12 ◯委員(松本しゅうじ) どうも,とても参考になりまして,まことにありがとうございます。