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  1. 仙台市議会 2018-05-17
    地域経済活性化調査特別委員会 本文 2018-05-17


    取得元: 仙台市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-07-24
    1:                  ※会議の概要 ◯委員長  それでは、ただいまから地域経済活性化調査特別委員会を開会いたします。  まず、説明員についてでありますが、4月に人事異動がございましたが、本日は説明員として経済局からお手元にお配りしております出席者名簿のとおり御出席をいただいておりますので、ごらんいただきまして御紹介にかえさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。  本日の日程は、お手元に配付の記載のとおりであります。まず、有識者からの意見聴取を行います。有識者からの意見聴取を40分程度、質疑応答を15分程度と考えておりました。  意見聴取終了後、次回の委員会について協議をさせていただきたいと思います。その後、市内視察といたしまして、仙台卸商センターを視察いたします。視察日程等についてはお手元に配付のとおりでありますので、よろしくお願いいたします。  本日の日程については以上でございますが、市内視察は遅くとも2時30分ごろには出発したいと考えておりますので、円滑な運営に御協力のほどよろしくお願いをいたします。  それでは、意見聴取を早速行いたいと思います。  既に御着席をいただいておりますが、本日は宮城県事業引継ぎ支援センター統括責任者で弁護士の渡邊弘毅様、同じく宮城県事業引継ぎ支援センター統括責任者補佐公認会計士久保澤和彦様、お二人をお招きいたしております。皆様に御紹介させていただきました。  渡邊様、久保澤様には、大変お忙しい中、当委員会のためにお時間を割いてお越しいただきましたことに、委員会を代表して厚く御礼申し上げます。大変ありがとうございます。  皆様のお手元には、渡邊様、久保澤様の略歴書をお配りしておりますので、後ほどごらんいただきたいと思います。  それでは、早速お話をいただきたいと思いますが、渡邊様と久保澤様には着席のまま進めていただきますよう私よりお話をさせていただいておりますので、委員の皆様、どうぞよろしくお願いをいたします。  それでは、渡邊様、久保澤様、どうぞよろしくお願いいたします。 2: ◯久保澤和彦参考人  では、着席のまま進めさせていただきたいと思います。  まず、私のほうで概略といいますか、問題提起、そういったところを申し上げまして、その後渡邊のほうで用意してきました、説明資料がありますので、そちらをごらんいただきながら説明させていただくということでお願いしたいと思います。  お手元にA4の紙1枚のものが、カラーのものですかね、あると思いますが、事業引継ぎ支援センターのパンフレットとなってございます。後ほど御紹介もありますけれども、平成24年3月に宮城県に設置されまして、当時は全国7番目に設置されたセンターでございます。今は47都道府県全部に、全ての都道府県に一つずつ設置されている、中小企業庁で実施している国の機関でございます。既に7年ぐらい経過しましたけれども、どんどん予算も拡大しておりまして、非常に国のほうでも力を入れている事業です。表紙のところに弁護士、公認会計士の相談が無料ですというところが、私たちの一番の強調したいポイント、何度来ても無料で相談を受けるというところで事業を展開してきているというところでございます。  事業承継といっても、ちまたで伺っているかと思いますけれども、中小企業庁で発表している数字ですと、今後10年間に社長様が70歳を越える中小企業小規模事業者経営者が245万人に上りますと。うち、約半数の127万人の経営者皆さんが、後継者が不在というデータがありますということです。この現状を放置すると、中小企業廃業の急増によって、2025年ごろまでに10年間で約650万人の雇用が失われるだろうと。その雇用が失われることによる経済効果というのが、約22兆円のGDPが失われるだろうと。ある程度概算の数字ではありますけれども、非常に大きな数字が出ていると。年々中小企業の社長様の高齢化が進んでいる。この10年がピークだろうと。中小企業庁のほうでは特に5年がピークだろうというふうに、この5年で何とかしないと廃業が急増するのではないかという危機感を持っているということでございます。  足元の仙台市を見ますと、事業所数は4万9000ほどあるというデータがございます。従業者は53万人、そのうち平成24年から平成26年の3年間での新設事業所、新しく会社を立ち上げたというのが1万975ほどございます。逆に廃業が8,124で、ネットでは2,851の増加の事実があると。廃業よりも増加しているほうが多いということがございます。これは人口流入、いろいろな要因があるかと思いますけれども、一方で確実に3年間で8,000社の廃業があると。もちろんこれは自然淘汰で経営が立ち行かなくなってやめていくというところもございますけれども、私たちに相談に来られるところで、現実に十分に利益が出ている。ですけれども、後継者がいない、自分には娘しかいない、あるいは息子がいるけれども東京の会社に勤めてしまっている、このままでは後継者がいないんだというところの御相談も多々ございます。そういった着実に足元で後継者問題、事業承継問題というのが膨らんできているという事実がありますというところで、きょうのお話をさせていただければと思います。 3: ◯渡邊弘毅参考人  それでは、引き続きまして渡邊のほうから御説明したいと思います。お手元にお配りしている資料と、そちらに投影されているパワーポイント、同じものでございます。どちらか見やすいほうを御参照いただければと思います。  早速、本日お話しさせていただく内容について御説明差し上げます。  中小企業後継者問題についてと、今久保澤補佐のほうから説明がありましたけれども、どういった問題が今中小企業に起こりつつあるのかと。後継者問題とは、具体的にどういった問題なのかというところを軽くお話しさせていただきます。それから、後継者問題に対して事業承継を進めるというときにどういった手法があるのか。M&Aという単語がここで出てまいりましたけれども、後ほどお話ししますけれども、我々の事業引継ぎ支援センターというのは、主にM&Aで後継者問題を解決していこうと。そういった主な目的を持っているセンターでございます。M&Aで後継者問題をどうやって解決するんだというところをお話しさせていただきたいと思います。それから、事業承継を進める際のポイント、それから当センターの紹介といったところをさせていただきたいと思います。
     それでは、話を進めます。  中小企業後継者問題についてというお話を最初にさせていただきたいと思います。  先ほど久保澤補佐から説明がありましたとおり、後継者不足を理由とする廃業というものがございます。後ほど詳しい数字をお話ししますけれども、全廃業数の大体30%ぐらいは後継者がいないということによって廃業せざるを得ない。要するに事業自体は継続可能なんだけれども、後継者がいなくて廃業せざるを得ないといった廃業が全体の30%を占めていると言われております。  我々の事業承継を扱う人間の中で、その下のほうに書いてあります2017年問題というものが言われております。皆さん、2000年になるときに2000年問題というのがあったのを覚えていらっしゃいますかね。あのときは、何かコンピューターが誤作動を起こすとか、そういったことが問題でございましたけれども、2017年問題というのはどういう問題かというと、団塊の世代って皆さん御存じかと思います。漠然とした概念なんですけれども、一番団塊の世代、本当の意味での団塊の世代というのは1947年生まれから1949年生まれの人を団塊の世代と言うらしいのですね。その1947年から1949年に生まれた人たちが、1947年生まれですから2017年には70歳になるのですね。平均的な経営者引退年齢、これも大体70歳と言われております。つまりどういうことかというと、団塊の世代生まれ、1947年から1949年生まれの人が、この2017年ごろにはばたばたと70歳になっていく。つまり、社長として、経営者として引退をするような年になってくると。そのときに、まさに後継者問題というのは浮上してくる話ですので、我々事業承継を扱う人間の中では、2017年問題といって問題提起をしております。  それで、話を進めますけれども、ちょっとグラフが小さくて申しわけありません。お手元の資料も御参照いただければと思います。  実際に経営者に、後継者が決まっているかどうかというアンケートをとった結果が、そちらのスライドの中身になっております。左側の円グラフですけれども、後継者が既に決まっている、決定済みだという企業が12%、まだ決まっていないという企業が21.8%で、もう私の代で廃業を考えているという企業が50%を占めているというアンケート結果になっております。  では、何で廃業するんだというところが右側のグラフなんですけれども、一番多いのは当初から自分の代でこの会社をたたもうと思っていたという回答が一番多いのです。ただ、問題は、その12.8%、9.2%、6.6%とそれぞれあるのが、子供に継ぐ意思がない、あるいは子供がいない、あるいは適当な後継者が見つからない、つまりこの三つをまとめて後継者がいないと考えていいと思うのですけれども、そういった理由で廃業しようと考えているという方が3割ぐらいいらっしゃるのですね。  さらに興味深いデータがございまして、廃業を予定していると回答した企業のうち、4割ぐらいは今後10年において事業の維持、成長は可能だと考えているというデータがあるのです。つまり、会社としての採算は十分とれていて、会社が今後10年間で継続も、むしろ発展もできるんだけれども、後継者がいないと。そのことによって廃業しなきゃいけない、そこであきらめざるを得ないと考えている会社が、かなりの数があるということが考えられるのです。  ただ、そういった方々が実際に後継者問題、後継者がいないということで、うちのセンターに相談に来たり、あるいは実際に後継者を探すという動きをされているかというと、これは必ずしもそうではないんですね。何で事業承継問題を考えないんだというところもアンケートをとった結果、多かった回答がその三つなんですね。一つは、日々の経営で精いっぱいだと。二つ目は、何から始めればいいかわからない。後継者がいないという問題をどうやって解決するのか、とっかかりがわからない。あと、誰に相談すればいいのかわからないといったような回答が非常に多かったのです。そうやって、日々忙しいし、何から手を着けたらいいかわからないし、誰に相談したらいいかもわからないという結果、どんどん事業承継問題が先送りされていくことが、要するに会社の、例えば日々の資金繰りが苦しいということになったときには、今月末の決済どうしようという話になってくるのです。ただ、後継者問題というのは音もなく忍び寄ってくる問題でして、先送りしようと思えばできちゃうんですね。70、80歳までお元気で活動されている経営者の方はいっぱいいらっしゃいますから、先送りしようと思えばできちゃう。そこがこの事業承継問題の恐ろしいところなんですね。  右側のグラフをごらんいただきたいのですけれども、これはどういうグラフかというと、年代ごと事業承継の準備ができていますかという質問をした中身です。40歳代までの若い社長は、既に準備をしている方、大変偉いと思うのですけれども、これから準備をするとか、現時点で準備をしていないとか、若い社長がそういう状況なのは、これは言ってみればしようがないというか、それでも構わないだろうという面はあるのですけれども、恐ろしいところは、80歳代の一番の下のグラフを見ていただきたいのですが、80歳代のグラフで、これから準備をすると考えていらっしゃる方が32%ぐらいいらっしゃるのです。さすがに80歳超えて、後継者問題を今やっていないけど、これから準備しようという方は、さすがに我々から見るとちょっとのんびりし過ぎじゃないと言わざるを得ないですね。  後々お話ししますけれども、事業承継というのは、ある一定の時点でぱっと事業承継ができて、次の社長に代がわりできるかというと、これは必ずしもそうではないのです。事業承継で引き継がなきゃいけないものっていろいろあって、その引き継ぎにはどうしても時間がかかるのです。我々の相談に来ていただいたときには、最低5年は見てくださいという言い方をします。相手を見つけて、その方に株式なり何なりを譲って、社長を譲って、完全に代がわりが終了するまで、最低5年は見てくださいという言い方をするのです。なので、80歳代でこれから準備をしようという方は、さすがにちょっとのんびりし過ぎですねと。もうちょっとそれは急いだほうがいいですよという気持ちになります。  スライドを進めますけれども、とはいえ、事業承継問題、事業承継をしろしろと言うけれども、自分で始めた企業あるいは親から受け継いだ企業を、私の代で別に終わりにしてもいいじゃないかと思われる経営者の方もいらっしゃるかもしれませんけれども、事業承継は社会全体の問題なんです。社会全体の問題とはどういうことかというと、一番は雇用の維持、これはわかりやすいですよね。後継者がいなくて会社を閉めざるを得ないと。そこの会社で働いていた方々は、みんな職を失ってしまいますので、雇用が喪失してしまうというところは非常に大きな問題です。  それから、取引先の保護とか、知的資産の承継とかもあるんですけれども、やはり一番大きいのは、一番下の社会経済リソースの保護というというところだと思うのです。どういうことかというと、廃業する企業ばっかりで新しくできる企業がないということになると、日本の中小企業がどんどん減っていくわけです。これは仙台市に限って見ても同じ話です。仙台市の事業承継対策を全くしないでいるとどうなるかというと、仙台市の中小企業零細企業、どんどん減っていきます。その結果、地域としての競争力が失われて、仙台市の競争力が下がってしまうと。仙台市の競争力が下がると、最終的には日本の経済競争力が下がってしまって、日本経済全体が地盤沈下を起こしてしまうというところが、事業承継問題の、言ってみれば恐ろしいところなんですね。そういったことを考えた結果として、我々の事業引継ぎ支援センターというものが全国に設置されて、今現在運営されているということになります。  これ、お話をしおくれましたけれども、うちの事業引継ぎ支援センターというものは、中小企業庁からの委託を受けて、みやぎ産業振興機構というところが運営しております。要するに、もともとは中小企業庁がお金を出しているということになります。それは、要するにこういった事業承継問題に対して取り組まないでいると、地域の経済が地盤沈下して、日本の経済が地盤沈下してしまうということを憂いて、税金で運営されているセンターということになるのですね。  では、そういった事業承継問題をどうやって解決していくんだというお話に入りたいと思います。  我々は、事業承継が大事だ、大事だという話を今までしてきましたけれども、全ての企業が必ず事業承継しなければいけないとは、実は考えておりません。やっぱり時の流れと商売というのはあるもので、時流に合わないビジネスは淘汰されていく、これはある意味やむを得ない話なのかなと思っております。  では、どういうふうにそれを切り分けていくんだというところなのですけれども、我々後継者問題、後継者がいないという企業に御相談にいらしていただいたときに、こちらの1)から4)の四つの選択肢を考えようという話し方をさせていただいております。まず、1)親族内承継、これは何となくイメージがつくかと思うのですけれども、一番わかりやすいのは、社長からその社長の息子なり娘なりに、その事業を承継すると。あるいは、おいっこなり、兄弟なり、そういった親族の中で事業承継を行うというのが、これ親族内承継という言い方をするのです。次の従業員承継というのも何となくイメージつきますよね。その会社で働いていた従業員の方が事業を引き継ぐというのが従業員承継ということになります。3番目が、先ほどちらっとお話しましたM&A、4番目が廃業という選択肢になります。  順番としては、まずやっぱり親族内承継ができないかというところを検討するのです。これは理由がありまして、やはりその企業をやっていた社長がいて、オーナーがいて、その人の娘なり息子なりが会社を継ぐというのは、非常に自然な流れというと言い方があれかもしれませんけれども、周囲の理解が得られやすいし、従業員の理解も得られやすいといったメリットがあります。そういったところから、まずやっぱり親族内で何とかなりませんかというところを考えていただくのです。  ただ、親族誰もいないと。息子もどこか別のところで働き始めていて、ここを継ぐつもりはないみたいだしという形で、おいっこ、めいっこも全然やる気ないしという形で、親族内に後継者が見つからないといったときには、従業員の方でどなたかやれそうな人いませんか、やる気のある方いらっしゃいませんかという話をさせていただくのです。従業員もどうもやる気もないし、能力もないしみたいな話になってくると、じゃあ今度はM&Aで、その企業とは離れた第三者に承継してもらえないかということを考えましょうということになるのです。それでもやっぱり第三者にもなかなか見つからないねということになると、いよいよ廃業と、廃業の仕方を考えようかというところを選択肢としては提示させていただいております。  廃業のことはちょっとまた話が別になってくるので、1、2、3の事業承継についてこれからお話しさせていただきたいと思うのですけれども、事業承継で引き継ぐべきもの、いろいろあります。例えばここに人、資産、知的資産と分けて書きましたけれども、例えば経営権そのものですとか、あるいは会社が持っている不動産ですとか、あるいはその資産ですよね。事業用の資産とか、そういったものも事業承継で当然引き継ぐものの中には入ってきます。  しかし、殊に中小企業事業承継ということになると、その辺は余り重要ではないと言ってしまうとあれなんですけれども、一番重要な問題ではないのですね。というのは、土地とか、不動産とか、あるいは株式とか、経営権とか、そういったものはぱっと移せるのです。名義を書きかえてしまえば移せるのですけれども、ただ中小企業競争力の源泉というのは、そういった目に見えるものではないのですよ。ここで知的資産と書きましたけれども、例えば一番大事な知的資産が何かというと、我々に言わせると、一番大事な知的資産って社長の信頼なんです。要するに、社長が取引先から信頼されているということ。これは目に見えませんよね。信頼は目に見えませんけれども、その会社の経営で欠かせない、これはファクターなんですね。これを次世代に引き継ぐというところが、事業承継の一番のみそになってくるのですね。  例えば社長の信頼を引き継ぐって、なかなか難しい話なんです。極端な話をしますと、社長に息子が仮にいるとするじゃないですか。その息子に病気になったお父さんが、病院のベッドであとはおまえに会社を任せた、ばたっとなったら、社長の信頼が引き継げるわけではないですよね。社長の信頼というのは、社長その人が信頼されているのであって、息子が同じように信頼されるとは限らないということになります。我々の用語でカリスマは引き継げないなんて言い方をしますけれども、そういった社長の信頼ですとか、あるいは従業員の結束ですとか、人脈ですとか、そういったものは目に見えないんだけれども、引き継がなきゃいけない。これを引き継ぐためには時間がかかりますよということを、経営者の方にはお話しさせていただいております。  そのための、これ我々が使っているツールなんですけれども、事業承継の計画表といいます。これ、中小企業庁のホームページから書式をダウンロードできるので、興味ある方は見ていただければと思うのですけれども、これをちょっと説明させていただくと、今一番左端に現在という欄があって、現在例えば売上高が幾らで、経常利益が幾らで、株は誰が持っていて、社長は何歳でという現状を書くのです。右端、これ今この表だと10年目になっていますけれども、10年目に売上高幾ら経常利益幾ら、社長何歳というので引退するというゴールを書きます。現在とゴールの間を徐々に埋めていくというつくり方をする。これ、事業承継計画表というのですけれども、こういったものをつくると、引き継がなきゃいけない事項がいろいろと見えてきたりとか、やらなきゃいけない課題が浮きでてきたりとか、そういった形で非常に見える化というのですかね、今のはやりの言葉でいうと。見やすくなってくるので、我々のセンターに相談に来ていただいて承継を考えているという方には、基本的にこれをつくっていただくということをお勧めしております。  ここで、当センター立ち位置について少しお話しさせていただきたいと思います。  先ほど来申し上げているとおり、後継者不足で困っているという企業の、基本的には相談に乗る機関となっております。根拠法としては、産業競争力強化法に基づいて設置されている支援機関という枠組みになります。設置目的が定められておりまして、私は先ほどお話ししましたとおり、事業引き継ぎ、ここでいう事業引き継ぎというのはM&Aのことをいいます。M&Aの手法を使って、事業者後継者問題を解消して、雇用を維持して、ひいては地域経済の活性化を図るという目的を達成しなさいということを、当センターは言われております。つまり、本来的にはM&Aを活用して事業承継問題を解決しなさいよというのが、うちのセンターのメーンのミッションということになっております。  ところが、相談にいらっしゃる方は、必ずしもM&Aで事業承継しようとは考えていらっしゃらない方がかなり多いのです。とりあえず後継者がいなくて困っているんだという相談もあれば、息子に引き継ごうと思っているんだけれども、引き継ぎ方がどうすればいいのかわからないとか、あるいは事業承継ってそもそもどうやって進めたらいいのかわからないというようないろんな相談をお受けします。実際問題、その相談には対応させていただいておりますので、実際は後継者問題の相談全般に対応させていただいているという形になります。ただ、一番得意というか、一番専門的に扱えるのがM&Aの問題ということになります。  先ほど来出ている、M&Aを活用した事業承継って具体的にどうやるのというお話をさせていただきたいと思います。  一番代表的な手法は、今現在のオーナー、そこの左で旧株主、オーナーと書いていますけれども、その方が持っている株式を第三者、その右側の若い人ですね。これは新株主、オーナーと書いてありますけれども、その人に株式譲渡という形で株を移すと。株式を移すというのは、要するにその会社の所有権を移すというのと同じことですので、会社の株式を新オーナーが買った段階で、その新しいオーナーが会社の所有者となるということになります。  ここのところをもうちょっと詳しく説明しますけれども、株主と取締役の違いというところをちょっと意識していただければと思います。済みません、これは皆さんにとっては釈迦に説法かもしれませんけれども、株主というのは、会社の所有者なんです。代表取締役社長の方々がいらっしゃいますけれども、その方々は会社の所有者ではない。株主兼取締役という方もいっぱいいらっしゃるのですけれども、厳密に考えると株主と取締役というのは別で、取締役というのは株主から経営を受任している者が取締役ということになります。だから、株式の移転をしないと、事業承継って完了しませんよということになるのです。  これ、結構誤解が、当たり前じゃないかと思われるかもしれませんけれども、意外と誤解されている方が多くて、こういったセミナーというか、外部でセミナーをさせていただいたときに、うちは事業承継終わっているんですと。社長は3年前に息子に交代したんですよという方、結構いらっしゃるのです。じゃあ、株式はどうなっていますか、株式も移転していますかというと、いや、株式はまだ私が持っているんですという方、これ結構いらっしゃるのです。代表取締役社長の交代というのは、事業承継の一つの要素ではあるんですけれども、社長をぽんと交代したというだけで事業承継は全然終わってないのです。代表取締役社長がかわって、株主も、株式も全部後継者に渡っているという状態で、初めて事業承継が完了しているということになるのです。  先ほど言った例、社長はもう既に息子に交代しているんだけれども、株式は私が持ったままだよという状態でその元社長が亡くなるとどうなるかというお話をさせていただきたいと思います。  これ、左側の方が現オーナーだとします。子供が3人いて、長男が代表取締役社長になっていると。ただ、株式はまだ前オーナー、お父さんが全部持っているよというパターンをちょっと想像してみてください。この状態で、もう代表取締役は社長に譲ったし、めでたし、めでたしということで、前社長がぱたっと亡くなったときにどうなるかというと、遺言で手当てしてあれば別なんですけれども、遺言がない場合は、このお父さんが持っている株式100株が、この子供3人で共同相続することになるのです。そうすると、厳密な議論は省きますけれども、各自に3分の1ずつ株式がいってしまうということになります。そうすると、次男と長女が結託してお兄ちゃんを社長から外してしまおうみたいな話になってしまいかねないです。新社長も相続人ですから、3分の1は持っているのですけれども、会社の株式3分の1持っていても、正直何も決められないのです。そうすると、3分の1を持ち合った兄弟間の争いになって、会社がぼろぼろになってしまう。社長は代表取締役社長であるけれども、何も決められないというような状態に陥ってしまうことが、非常によくあります。最初にお話したとおり、私弁護士ですので、こういった相続に絡む会社の経営権の争いとかさんざん見てきたのです。なので、こういうことのないようにしないといけないということになります。  では、そうしないためにはどうすればいいのかということなのですけれども、一つの方法は、お父さんがなくなったときに遺産分割協議というものをして、会社の株式は全部お兄ちゃんが持っていていいよというふうに3人で話し合って決めるというのが一つの手段ではあるんです。ところが、会社の株式ということになると、金銭的な評価がつくのです。そうすると、お金をもらう、もらわない、譲る、譲らない、じゃあお金は幾らにするみたいな話になって、遺産分割協議、これすんなりお兄さんのもとにぽっと株式が集まるとは限りませんので、理想的にはお父さんが生きているうちに、息子に株式を集めておく必要があるのですね。  息子に株式を集めるにはどうすればいいのかというと、方法としては実は3通りしかありません。一つは売る、一つは上げる、もう一つは相続させるという、この三つしか株式の移動の手段ってないのですね。第三者であれば、これはもう売るか上げるしかないということになります。親族でやる場合、例えば先ほどの例のように、元社長と新しい社長が親子であるといった場合には、遺言書いといて相続させるときに、私の持っている全株式を長男に相続させるみたいな感じの遺言を書いといて、長男に集中させるということができます。  ただ、遺言というのは、当然自分が判断能力を持っているときしか書けないのです。怖くてよくあるパターンとしては、お父さん社長なんだと、株式も全部持っているんだと。遺言書いといてくれればいいんだけれども、書かないうちにぼけてしまうということ、これ結構実はあるんですね。会社の株式100%持ったまま判断能力を失われてしまうという場合、結構あります。そうなると、もう株式100%持っているオーナーがぼけてしまうと、会社としては何も判断できないということにもなりかねないのです。そのまま亡くなると、先ほど言ったように相続争いまっしぐらになって、非常に困ったことになるということになりますので、基本的には我々のところに相談にいらしたときには、生前に移しておきましょうということを原則的にはお勧めするということになります。  じゃあ、株式を移すためには、株価というものを考えなきゃいけないという話になってきます。上場企業の株でしたら、証券会社に行けば売り買いできて、値段も毎日日経新聞に載っているからわかるのですけれども、中小企業の株価ってどうやって決まるんだという話なのですけれども、この辺は少し専門的な話になってきたと思うのですけれども、うちの会社の価値が幾らなんだというときに、うちの資本金は300万円だから、うちの会社売るときも300万円で売りたいんだという方いらっしゃるのですけれども、そうお考えになるのは勝手なのですけれども、資本金と株式の価値って、イコールではないのですね。世の中には資本金300万円だけれども、その会社の口座には1億円入っているみたいなこと、全然あり得る話なんです。資本金というのは、設立時に数字として決めたもので、実際にその会社の価値が300万円なわけではないです。資本金300万円で現金1億円持っている会社があったら、そんなの300万円で変えたら、物すごくお得じゃないですか。だから、株式というのは、その場その場で価値が変わるものなのですね。なので、その株式の価値は、基本的にはその会社の純資産額というものを一つの目安にします。  会社の資産は流動資産と固定資産とあって、負債は流動負債と固定負債とあって、残った部分が純資産、要するに会社の全部の資産から全部の借金を引いた部分が純資産なのですけれども、ここの純資産の部分を我々は株式の価値の一つの目安としたりします。これは企業の決算書を皆さんごらんになったことあると思うのですけれども、その資産の部から負債の部を引いたところが純資産の部、その純資産の部が一つの会社の価値としての目安ということになります。  その株価を動かすためには、こんなことがありますよということがあります。  M&Aをやるときの注意点といいますか、留意点といいますか、そういったものを少しお話ししたいのですけれども、先ほど来お話ししているとおり、M&Aでの事業承継というのは、要するに会社を第三者の誰かに買ってもらって、その人に事業を引き継いでもらうというのが、これM&Aによる事業承継です。会社同士のお見合いに例えられたりもしますけれども、相性がすごく大事なんですね。M&Aで誰か会社を買うということになると、それまで全然その会社に関与していなかった人が新しいオーナーになって、場合によっては社長になって、その会社を動かしていくということになります。譲渡する側、売る側の社長にとっては、自分がまさに育ててきた会社なわけです。その会社を誰か第三者に買ってもらって引き継いでもらうというのは、これはよく娘を嫁に出すみたいな感じの例え方をしたりもしますけれども、そういった自分の育てた会社を誰に引き継いでもらうのか、ちゃんと信頼できる人に引き継いでもらえるのかというところの相性面がかなり重要になってきます。我々の扱っている事例でも、条件面では悪くないねという感じで、とんとんと進んできたんだけれども、社長同士を会わせてみる。これ、トップ会談をするんです、あるタイミングで。トップ会談してみると、あいつにはこの会社を任せられないみたいな感じで話が壊れてしまうということもよくある話ではあるのです。そういった意味では、その条件面、金銭的な条件とか、譲渡の条件とか以上に、社長同士の相性というものが結構大事な話になってきます。  それで、最後に当センターの概要と実績について少しお話しさせていただきたいと思います。  最初に久保澤補佐からお話があったとおり、うちのセンター中小企業庁からの委託を受けて運営しております。パンフレットにも書いてあるのですけれども、裏に顔写真が載っておりますけれども、私がこの4月から統括責任者としてやっております。補佐としてきょう来ている久保澤と、あと元日本政策金融公庫にいたOBの長尾という者、この3名で、あと事務職員もいますけれども、この3名で基本的には運営しております。  先ほど来お話ししているとおり、親族内承継とか、従業員承継とか、いろいろな相談を日々受けているという形になります。これも最初のところでお話ししましたけれども、当センターは全て無料で対応させていただいております。実はM&Aという話になると、M&Aの仲介業者というものがいるのです。要するに、M&Aの仲介をするのを専門にしている業者さんがいるんです。その人たちは、M&Aの仲介をすることが仕事なので、当然手数料がかかるのです。この手数料が、想像つくかと思うのですが、かなり高いのです。何百万円とか、何千万円とか、そういう話になってきますので、そういったM&Aの民間業者に比べると、うちのセンターはお金がかからないよというところが、一つの特徴ということになっております。  どこか出張してほしいということにも、これもやっぱり無料で対応させていただきます。先週も私蔵王にある某会社に行って出張相談をしてまいりましたけれども、そういった形で県内どこでも出張で相談に対応いたします。当たり前ですけれども、秘密は厳守いたします。どこからも中立な立場で御相談に応じるというところが特徴となっております。  M&Aの一般的な進め方については、後でごらんください。  当センターの業務の流れなのですけれども、一番最初にうちのセンターに相談に申し込みいただいて、まず相談を我々3人のうちの誰かが対応いたします。そこからM&Aにどうやってもっていくかというと、うちのセンター後継者がいないんだと困って、誰か買ってくれる人、引き受けてくれる人いないかと相談にいらっしゃる方がいるのはわかりますよね。それとは逆に、事業承継で困っている事業所を買いたいんだと、引き受けたいんだという相談をお受けすることもあるのです。これ、我々の用語で売り相談と買い相談という言い方をするのですけれども、売り相談と買い相談で両方受けると。うまいことタイミングがあってマッチングができるときは売りたいんだと、買いたいんだといところでマッチングをしてしまいます。  ただ、いつも都合よくそういった売り相談と買い相談がマッチングできるわけではないんです。そういったときにはどうするかというと、先ほどお話ししたようなM&A業者ですとか、あるいは金融機関との協力をさせていただいて、その金融機関に買い手を探してもらう、あるいは売り手を探してもらうといった形で対応させていただくこともあります。その場合は、当然その金融機関にはお金を払わなきゃいけないというところは、あらかじめ御了承いただくということになります。  うちのセンターの実績なんですけれども、年間、昨年で相談件数大体150件ぐらいの相談を受けております。譲り渡したい、売りたい、買いたいという相談は半々ぐらいという印象でしょうか。M&Aによって事業承継成約したという成約案件数は昨年度実績で12件ということになっております。  あと事例だけ御紹介したいと思いますけれども、このベジフル姫神というのは盛岡市にある会社なんですね。当時、盛岡市にセンターがなかったのでうちのセンターで取り扱ったのですけれども、青果の卸売です。この後卸商センターに行かれるということなんですけれども、卸売業者が後継者不足でうちのセンターに相談に来られたと。その業者は業界第1位と第4位が後継者不足ということで合併できないかという話に最終的になりまして、二つ合併して事業承継が無事成立したということなのです。第1位と第4位が合併したので、当然ぶっちぎりの第1位になって、取引業者に対する発言力とかも増して、交渉力を強化することができたというような成功事例でございます。  もう一つは、うどん屋さんなんですけれども、これは親族内承継という形で事業承継が成立しました。これ、松島のほうにあるうどん屋さんなんですけれども、息子さんに事業承継をしたと。息子さんがいろいろ工夫をして、定休日を廃止したりとか、あるいは法人化したりとかして、息子さんなりのやり方を取り入れることができて、事業承継をきっかけに新しい道に進むことができたと、新しい面を開くことができたといった、これは成功事例でございます。  以上で御紹介を終えたいと思います。どうも御清聴ありがとうございました。(拍手) 4: ◯委員長  ありがとうございました。  それでは、皆様方から質問等がございましたら、挙手をしていただきながら、よろしくお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。 5: ◯沼沢しんや委員  御説明、大変ありがとうございました。  先日、私も中小企業経営をされている方と少しお話をしたときに、このM&Aの話がちょっと話題に出て、こういうことを考えている社長、つまり買われると、最終的に、それで、それを事業承継というような形で次につなげていくということを考えている経営者の方もいらっしゃるんだなとも思って、ちょうどきょうそのお話が聞けて大変よかったなと思っているんですけれども、ただ、成約した件数が昨年度実績で12件でしたかね。件数としてはなかなか難しいところがあるという感じなんですけれども、これどうなんでしょう。相談に来られる方の中で、初めからM&Aも視野に入れてこられる方というので、今何となくイメージとしては、私も聞いたときに驚いたぐらいだったのであれだったのですけれども、今後このM&Aで会社を次につなげていくという判断が、ある種、ある程度メジャーじゃないですけれども、件数としては伸びてくると、伸びてこざるを得ないと考えていらっしゃるのでしょうか。もしそうであれば、今後の問題点みたいなのをどのように捉えられているのかということを教えていただければと思います。 6: ◯久保澤和彦参考人  実際問題、累積で730件程度ありますけれども、相談件数がですね。大枠引き受けたいという方がそのうちの3割から4割いらっしゃいます。それは、ほとんどが今の事業を拡大したいと。新しい事業、あるいは今の事業を拡大したいので、その地域を、自分の営業エリアを広げたいとか、そういったことで相談に来られている方がほとんどです。そういうニーズはこれから高まりますし、先ほど申しましたように、社長様の年齢がどんどん上がっていく一方で後継者がいない。そうすると、もう誰かに渡すしかないと、事業を存続するためにはですね。そういったときに受け皿になるのは、やはりそういう引き受けたいという方が必要だということですね。 7: ◯沼沢しんや委員  つまり、その引き受けたいという人たちは一定程度のニーズがあると。問題は、M&Aで引き受けたいと言ってもらえるところがあるのであれば、渡したいというところがふえてこないと、多分抵抗ある人たちもかなりあると思うのですけれども、それをその引き受けたい、事業を拡大するために引き受けたいというのは私も理解するのですが、そういうようなのでつないでもらいたいという人たちの理解がないと、なかなかふえていかないと。そのところをふやしていく、つまり引き受けてもらってもいいんだというようなことを受け入れてくれる経営者の人たちをふやしていくために、どういった問題点みたいなのがあるのかというか、そういうところについてはどのようにお考えなのかということを教えていただければ。 8: ◯久保澤和彦参考人  引き渡したいという方で相談に来られる方のほとんどの方は、従業員の雇用、生活を守りたい方で、自分が株を売って、お金をもらってハッピーリタイヤしたいという方は一人もいらっしゃらないです。従業員の生活を守るためにやるんだと。ですから、やっぱり考えていくと誰かに譲るしかないという結論に至るんだと思うのですけれども、相談する場所がないと。金融機関にもなかなか相談しにくいと。そんなことはないんですけれども、金融機関に話すと金融機関が引きはがしをするんじゃないかとか、そういうことを考えてしまう。顧問税理士の方に相談しても、顧問税理士の方も相手を探すことがちょっと難しかったりするわけです。自分の顧問先の中同士でというのはなかなか難しいと。で、結局どこに相談したらいいかわからずにいたという方がほとんどです。  7年間の間、私たちもいろいろなところでメディアに出したり、いろんなことで宣伝していますけれども、金融機関とか公的機関には周知はかなりされてきているのですけれども、一般の事業者の方への周知度というのはまだまだ低い。そこを何とか掘り起こしたいということで、今やっているということです。 9: ◯渡邊弘毅参考人  あと補足をしますと、当センター単独でやっているわけではなくて、支援機関の皆様に支えていただいているのです。支援機関って具体的にいうとどこかというと、例えば商工会議所ですとか、あるいは各地区の商工会です。それから、あと金融機関、そういったところが当センター支援機関としていつもお手伝いいただいております。そういった商工会ですとか、商工会議所、あるいは金融機関というのは、まさに企業者と現場で接するわけです。そういった人たちが事業承継の相談を一番最初に受けるわけです。そこの人たちが事業承継を、社長、後継者いないんでしょうと。M&Aで今相手を見つけるということもできるらしいよという意識を持っていただいて、欲を言えばうちにつないでいただくということができると、一番いいかなと思っております。そういった意味で、商工会ですとか、商工会議所、あるいは金融機関との連携をもうちょっとつなげていきたいなと考えております。 10: ◯柳橋邦彦委員  M&Aが事業承継の一つの解決の大きな割合を占めていくようになってきたということは、よく理解いたしました。  創業者というのは、自分のものという意識が高いものですから、どうしてもそれを他人に譲ったりすることはしたくないのが普通の人情でして、身内がいればと。しかし、いない人もいると。いろんな例でよくお話は理解できましたが、このM&Aを進めて、数々の例があると思いますが、失敗するということも、結局結果が出なかったということもあろうかと思います。では、なぜM&Aがこの際成功しなかったか、失敗したのかという顕著な例というのは、割合でいうとどういったところが問題、今ちょっとお答えの中に、従業員のことを思えばこそと。自分のことじゃなくて従業員を思えばこそ、それをやった。それを逆にとれば、自分のことを思う余り、それが失敗するということなのかなとは思いつつ、具体的な例示として失敗したケースというのは、どういうことが理由にあったのかということをお伺いしたいと思います。 11: ◯久保澤和彦参考人  そうですね。私が先ほど申した従業員のためにということで相談に来られるのですけれども、しかし一方、いろんな引き受け側のほうと交渉していく中で、従業員の雇用を守ってくださいとか、そういうところは引き受けてもらえると。しかし、最後にやはりお金が絡んでくることがあるんですね。決していっぱいお金をもらおうという気持ちはないんですけれども、引き受ける側はできるだけ低くしたいという意識が働くんですね。そうすると、要求が余りにも低過ぎて、それでは受けられないというケースで話が進まなくなるということはあります。 12: ◯柳橋邦彦委員  それは、例えば株価の問題ですね。株価をこのように自分なりにしておったと、あるいは銀行やその他取引先の信頼も自分としては厚いと思っている。しかし、実際に査定をしたら、我が社の株価は意外と低かったというようなことの、そのお互いの思い違いといいますか、そういうことなんかも例としてはありますか。 13: ◯久保澤和彦参考人  そうですね。あります。やはり社長様、あるいはその奥様だったりの御家族での協議もありますので、そこまで低くしてやる必要はないよと、もうちょっと探せばあるんじゃないかとか、そういうちょっとした欲が出てしまうと壊れやすいものですね。ですから、両方が満足してハッピーな形というのはまずなくて、お互いいろんなところで譲歩し合って、最大限譲歩したところで落ち着くような、引き受ける側も引き渡す側も譲歩した上でやっていかないと進まないというところなのです。私たちはその間に立って、どちらにつくわけでもなく、どちらの言い分も聞きながらやっていきます。そうすると、非常に時間がかかるのです。社長様は毎日仕事をしていますので、毎日話すわけにもいかず、私たちを通してキャッチボールするので、1週間に1回ぐらいのキャッチボールになるのです。ですから、どうしても時間がかかっていく。そういったこともありますね。 14: ◯柳橋邦彦委員  そうしますと、その潮どき、潮目というのがあると思うのです。M&Aに決断するその潮目、潮どきというのは、コンサルティングの途中で大体こういったケースなんだよなと、こうなったらもうそういうふうにしたほうがいいんだよなといったようなことを言葉で表現なさると、どういうところが潮目、潮どきになるのでしょうか。 15: ◯久保澤和彦参考人  私たちは、先ほども言いましたように無料でやっているので、やめたかったらいつでもやめてくださいと申し上げております。やめたいと思ったら、やめたほうがいいですよと。お金を払ってやっていると、やめようと思うにもやめれなくなっちゃうことがあるんですね。判断がおかしくなっちゃうことがあるのですよね。ただですので、何回来てもいいんですけれども、やめたくなったらやめてください、それはお互いですね。 16: ◯やしろ美香委員  実は私小規模事業者事業承継の真っ最中でございまして、きょうは大変いいお勉強をさせていただきました。ありがとうございました。  やはり事業承継は、そこに行くまで経営者というのはなかなか気がつかないもので、いざそこになって慌てるものだとは思うのです。先ほどおっしゃったように、商工会議所等々から、よくそういうお勉強会のレターとかはいただくんだけれども、なかなかその意識って持たなくて、いざその場になると慌てるので、こうやってこういうのを知って取り組もうという方たちは、まだ救われるほうというか、可能性があると思うので、それはどんどん宣伝をして、ぜひぜひ御活用くださいというのは、私たちもお手伝いをして広めていくのが一番だと思うのですけれども、こういう準備するという意識がないままに、突然例えばお亡くなりになったりとか、突然体が悪くなってできなくなったりする、そういう緊急性のある事業承継というのも出てくると思うのですけれども、そういう場合というののお取り組みとかというのはありますか。 17: ◯久保澤和彦参考人  実際問題、旦那さんが倒れられて、奥さんがやらざるを得ないけれども、ちょっとやってみたけれども無理だと相談に来られたことはあります。だからといって、すぐ決まるかというと、なかなか決まらないのが通常です。そこは、もう何とか決まるまで持ちこたえてくださいと申し上げるしかないのかなというところはありますね。 18: ◯やしろ美香委員  やっぱり小規模の方って、先ほどの経営と所有の感覚がないから、全部自分のものだと思ってやってしまっているところがあって、なかなかそういうことは進まないと思うので、往々にして突然亡くなっちゃってどうしようということのほうが、可能性としては多いので、やっぱりそこというのも必要なのかなと思います。 19: ◯久保澤和彦参考人  そうですね。だから、ある意味突然降りかかったというよりも、本当はもっと前からやっていなきゃいけなかったものをやっていなかったという面のほうが強いですね。ですから、私たちもできるだけ早く、60歳になってから始めるとかではなくて、もっと元気なときから次の後継者を見つけて、その準備をしていってくださいと申し上げるところでございますね。 20: ◯わたなべ拓委員  大変興味深く伺いました。  ちょっと気になったんですが、これすばらしい取り組みだと存じますが、外国の企業に関してもこれは利用可能な取り組みになるのでしょうか。 21: ◯久保澤和彦参考人  中小企業庁でやっていますので、国の事業ということですので、やっぱり日本の企業及び中小企業ということに限定はされるんだと思います。ただ、引き受け手がもしそういう外国の企業で、中小企業を救いたいということでやってくれるのであれば、そこをお手伝いすることも、可能性はあると思いますけれども。 22: ◯わたなべ拓委員  可能性はあるということですか、なるほど。 23: ◯久保澤和彦参考人  ですけど、そういう英語を話せるかとか、契約書を日本語なのか、英語なのか、何語なのかというのでも大変だと思いますので、なかなか難しいなとは思いますけれどもね。 24: ◯わたなべ拓委員  と申しますのは、この6ページにもありますけれども、事業承継やM&Aの意義として、知的資産の承継、3)にありますが、4)ではやっぱり地域経済リソースの地盤沈下回避、これは雇用もしっかり守るという面のお話だと思うのですけれども、今よく東京都の大田区で話題になっていますが、金型の知財の流出であるとか、あとは計器の関係の知財の流出があります。つまり、雇用には余り関心のない外国企業が、中核的な知財に関心を持って、こういった取り組みを活用しているという面も私はあると思っています。  私実際、創業71年になる大田区の計器関係の会社のオーナー、私友人なんですけれども、同業他社でもうちょっと小さいところから身請けのお話が結構あるんだけれども、要するに資産的にもうちょっと余裕がないということで、漫然としている間に外国企業がどんどん買いあさっているという状況があるので、そういった点から雇用をしっかり維持するというところに十分留意せずに、まずもってというところで緊急避難的にお話を成立させてしまうと、中長期で地盤沈下を回避するということにならない可能性もあるなと思ってちょっと心配になったのですが、そういう外国企業との実績というのは、どのぐらいあるのかなとすごく関心を持って聞いておりました。 25: ◯久保澤和彦参考人  外国企業というのは、まだないですね。 26: ◯わたなべ拓委員  特に中国企業が、実際の背後の支配関係は全く複雑にして多岐でありまして、よく調べていくと浙江省のどこどこ財閥なんていうのがあるんですけれども、そういうのは、じゃあまだ余り……。 27: ◯久保澤和彦参考人  そうですね、私たちのお相手している企業ではないですね。規模的に私たちは売上3億円以下の企業を中心に見ています。それ以上の会社は、先ほどの手数料を払える会社でして、そういったコンサルタントがもうくっついていくのです。逆に私たちのほうは、そういう有料でやるところが余り手をつけないというか、お支払いできないところにお手伝いをするというようなスタンスでやっていますので、今のような海外企業となると、もうちょっと上のクラスかもしれないですね。 28: ◯ひぐちのりこ委員  ちょっと私もこういうところは暗いので、いろいろ教えていただいて光栄でございます。  今、外国の話が出たのですけれども、中小企業庁としてやっている事業なんだけれども、結局この後継者がいないというようなところというのは、日本が特化しているのでしょうか。それとも、ほかの諸外国なんかでは、この後継者という部分では、潮流というか、こういうのはどういう形、もし情報があれば。 29: ◯渡邊弘毅参考人  済みません、外国のことは不勉強でわからないのですけれども、少なくとも経営者の高齢化の問題というのは、恐らく日本はかなり進んでいる状況なんだろうなと。結局、少子高齢化の問題と対応しているわけです。新しい人が企業をつくったりする動きが鈍ってきて、昔つくられた企業はどんどん高齢化していくと。まさに少子高齢化と裏表の問題だと考えておりますので、やっぱり日本の特に製造業なり、そういった産業については、かなり日本の後継者不足問題、後継者問題というのは、進行しているんだろうなという印象は受けますね。 30: ◯ひぐちのりこ委員  ちょっと申しわけなかったんですけれども、一番初めのときに、この後継者のお話を聞いたときに、娘しかいないので継げないということをおっしゃったのです。ですから、そういう意識、あとはめいっことか、娘さんに継ぐとか、そういう話は出ていたのですけれども、スタートのときにそういうふうにおっしゃっているということ自体が、やはり無意識に女性のお子さんとかいるということ自体も、あと嫁に行くという言葉も出ましたね。そういうこと自体で、ある意味ターゲット自体、社長がいろいろ目を向けている以外にもいろいろなアドバイスをする立場におありにある方が、そういう意識があるのかなと。  一番初めに、もう私たちのことは見てもらっていないんだという、申しわけないけど、そういう気持ちになったと。だから、この中にも実際オーナーが聞いているわけなので、そういう部分でのお考えというか、実際ちょっと考えたのは、ノルウェーの経営者協会のお話を聞いたときに、女の人のそういういろんな力を使わないというのは、これからいろんなところに戦いを挑むによって、半分のチェスの駒で戦うことと同じですよねという、すごくわかりやすいプレゼンテーションがあって、そういうことはこの後継者問題であっても、いろんな企業のところでも、もうとにかくやる気があってやっている人は、もう何が何でも引き受けて、初めからシャットダウンをするのではなくて、特に80歳を超えている方というのは、まだまだそういう意識が多いので、ちょっと目を広げてみてもらえませんかということがあるのかなと思ったんですけれども、いかがでしょうか。 31: ◯渡邊弘毅参考人  私もそこのところの意識が確かに、経営者の方は結構そういう意識を持たれている方が多いのです。いや、息子たちはどこにいてと、娘さんはいらっしゃるんですか、娘はいるけど嫁に行ってみたいな話は、本当によく聞く話ではあるんです。ただ、実際問題、娘さんとまず話をしてみましたと言うと、いや、話もしていないという経営者の方が非常に多いのです。そこら辺の選択肢を最初から狭めていることは確かにあると思います。私も実際問題、そういう意識が頭のどこかにひょっとしたらあるかもしれませんけれども、そういったところで選択肢を広く持つというか、そういったところは全く選択肢が広ければ広いほうがいい話ですので、そういった自分で目線を狭めないでくださいねということは、事業者にもお話ししていきたいですし、私自身もそれはしていきたいなと思っています。 32: ◯ひぐちのりこ委員  余りネガティブなあれかもしれない。例えば大塚家具とか、娘さんと、それでもそういうふうに娘さんが継ぐことであったりとか、あとはヒットしたペンタゴン・ペーパーズのワシントンポストの、あそこも結局キャリアはなかったけれども、いろいろなところで信頼のある妻の方が引き継いで、物すごく信頼がおける企業に成長したとか、多分そういう成功事例というのはかなりいろいろお持ちだと思うので、その辺の情報提供というのを、もうちょっと範囲を広げてみないとか、あと従業員でもいろんな従業員がいらっしゃるのかなと、そういうことをちょっと感じましたので。 33: ◯沼沢しんや委員  先ほど聞けばよかったんですけれども、中小企業庁の事業で47都道府県全部に今こういったものがあると。もう1回M&Aの話なのですけれども、こういった事業がもしあれば、ぜひM&Aしたいと、引き受けたいというような情報とか、あるいはM&Aとして引き受けてもらえるところがあるんだったら話をしてみたいというような情報って、47都道府県である程度共有している部分ですとか、そういうところのやりとりというのは、今現在あるんでしょうかということについて、ちょっと教えていただければと思います。 34: ◯久保澤和彦参考人  今現在、実際問題あります。データベース化して登録している企業がありますけれども、ただ、すごい機密情報ですので、東京であれば何々業の売上幾らぐらいといっても、どの会社か特定できないんですけれども、東北地方なんかにおきまして、何々県の売上幾らの何々業と言うと、ほぼ特定されてしまうというところで、事業所のほうでデータベースに載せたくないという方が多いのです。ですから、余り活発化していない。ただ、中小企業庁のほうではもっともっと広げて、データベース化して、オープンにして、実際それはもう海外ではあるんです。海外のほうではそういうM&Aということに余り壁がない状況があるようでして、成功している例があるようです。そこを目指しているという状況です。 35: ◯嵯峨サダ子委員  1点だけお伺いしたいのですけれども、このパンフレットを見ますと、中小企業者、個人、法人の方で後継者不在など今後事業をどう継続するか悩んでいる方、あるいは中小企業の事業を引き受けたい方となっているのですけれども、先ほど資料で御説明いただいたのは、ある程度の中小企業の方の株式を持っているとか、そういう方が対象の話だったと思っているのですが、例えば本当にまちで個人で、例えば商店でクリーニング屋を営んでいるとか、いろんな御商売をされている方が、事業承継というよりは、むしろ子供にはとてもこの仕事をやってくれとは言えないと、親として。本当に生活として成り立つか立たないかの瀬戸際で一生懸命御商売されているから、そこで悩んで自分の代で終わりかなとか、そういったことでよくお話しなさる方がいらっしゃるのですけれども、そういった方々も皆さんのところには御相談に行かれている状況っておありなのかどうか。実態をお聞かせいただければと思います。 36: ◯久保澤和彦参考人  実際問題ございます。クリーニング屋でしたりとか、あとはいろんな業種がありますけれども、個人でやられていて、お客さんに迷惑をかけたくないので引き取ってくれないか、引き取る方を探してくれないかという御照会はございます。私たちのほうも起業する、会社を起こしたいという方について支援するようなこともしていますので、そういうところでマッチングすればいいなということでやってはいますけれども、やはり余りにも規模が小さ過ぎると、引き受ける側としても余り魅力を感じなければ引き受けられないというときは、場合によっては廃業のほうの御紹介というか、進めることも実際問題としてあります。 37: ◯嵯峨サダ子委員  役割というか、マッチングさせる上での御苦労が非常におありなんだなと思って、伺わせていただきました。ありがとうございます。 38: ◯委員長  ほかに皆さんからございませんか。               〔「なし」と呼ぶ者あり〕 39: ◯委員長  経済局からは何かありますか。  なければ以上で終了いたします。  渡邊様、久保澤様、本日は大変貴重なお話を頂戴いたしましてまことにありがとうございました。今後、当委員会といたしましても調査を進める上で大変参考になりましたので、心から感謝申します。ありがとうございました。もう一度お二人に感謝の思いを込めまして拍手で御礼をしたいと思います。どうもありがとうございました。(拍手)            〔参考人 渡邊弘毅久保澤和彦退室〕 40: ◯委員長  次に、次回の委員会についてでありますけれども、年間の開催の日程に基づきまして、7月2日月曜日午後1時からの開催を考えております。内容等につきましては、当局からの報告及び本日の有識者の方からの意見聴取、そしてまたこれは2年の調査特別委員会でございますので、これから行います市内視察を踏まえまして、委員相互の意見交換を予定したいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
     次回の委員会については、このようなことでよろしいでしょうか。              〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 41: ◯委員長  それでは、そのようなことでよろしくお願いいたします。  以上で予定をしておりました日程は終了いたしますが、そのほか皆様方から何か御発言等がございましたら、お願いいたします。               〔「なし」と呼ぶ者あり〕 42: ◯委員長  なければ、以上をもちまして、地域経済活性化調査特別委員会を閉会いたします。...