委 員 村 上 ひとし 委 員 田 中 啓 介
委 員 平 岡 大 介 委 員 松 浦 忠
委 員 坂本 きょう子
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開 議 午前10時
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○
佐々木みつこ 委員長 ただいまから、第二部
決算特別委員会を開会いたします。
報告事項でありますが、松浦委員からは遅参する旨、また、わたなべ委員からは前川委員と交代する旨、それぞれ届け出がございました。
それでは、議事に入ります。
最初に、第3款
保健福祉費 第3項
老人福祉費、第11款 諸支出金 第2項 他
会計繰出金中関係分及び
介護保険会計決算について、一括して質疑を行います。
◆
小竹ともこ 委員 私からは、30人未満の
老人クラブに対する支援について伺います。
私は、平成23年の
決算特別委員会において、
老人クラブ活動費補助金に関する質問を行っております。
当時、札幌市では、補助制度を見直すため、社会貢献という観点でのより積極的な活動と
老人クラブの
加入率向上につなげるような仕組みについて検討や調整を行っておりましたが、札幌市が検討している見直し案には
地域貢献活動という表現が多用されておりました。そこで、私は、その表現では、
老人クラブが行ってきた地域における仲間づくりや町内会、学校などと連携した地域活動など、
地域コミュニティーの活性化にも重要な役割を果たしてきたことがまるで評価されていないように聞こえるのではないかということを指摘させていただきまして、地域を豊かにする活動という表現を用いてはどうかと提案をいたしました。その結果、札幌市では、さらに議論を重ね、地域を豊かにする社会活動という表現を用いた上で、平成25年4月から現在の制度をスタートしたと認識しております。
この制度には、地域を豊かにする社会活動を地域や市民の皆さんにより知ってもらう視点と、
老人クラブの
加入率向上につなげる視点が盛り込まれたわけですが、その効果はあらわれているのでしょうか。
そこで、最初の質問ですが、この制度開始から4年以上が経過し、その効果について検証する時期に来ていると考えますけれども、札幌市としてどのように捉えているのか、お聞きします。
◎渋谷
高齢保健福祉部長 現在の補助制度の効果について、札幌市ではどのように捉えているかということでございます。
初めに、地域を豊かにする社会活動を地域や市民の皆さんにより知ってもらう視点につきましては、現在の補助制度が始まったことにより、
老人クラブにおいて、町内清掃や花植え活動、あるいは、
高齢者施設で使用する体を拭くための布の寄贈など、多様な社会活動が行われているとともに、全ての
老人クラブにおいて各会員が毎年1回以上はこれらの活動に参加している状況を改めて確認することができたところでございます。
一方で、もう一つの
老人クラブの
加入率向上につなげる視点についてでございますが、
老人クラブの数あるいは会員数の推移を見ますと、平成25年度以降、年度によって減少数に違いがあるものの、減少傾向が続いているという現状でございます。
◆
小竹ともこ 委員 ただいまのご答弁をお聞きしまして、一つ目の視点である地域を豊かにする活動を地域や市民の皆さんにより知ってもらうことに関しては、現行の制度にしたことによって、
老人クラブが従前から行ってきた地域のための活動が客観的にもより明らかとなったことは理解いたしました。
しかしながら、もう一つの視点である加入率の向上につきましては、その効果があらわれていない状況であると思います。これは、数字でも確認できることで、現在の制度が始まった平成25年4月には483クラブ、会員数2万9,589人であったのが、現時点では450クラブ、2万6,509人にまで減少しています。
老人クラブの会員数の減少は、札幌市にとって、地域を豊かにする活動の担い手の減少、ひいては活動総体の縮小につながるものです。
この
老人クラブ活動費補助金は、会員数30人以上のクラブを対象としており、30人未満のクラブは補助金を受け取れない制度になっています。実際に、幾つかの
老人クラブからは、30人未満になった途端に補助金が打ち切られてしまうと、それまで続けてきた活動も縮小せざるを得なくなるという切実な声が我が会派にも届いています。そして、それまで活動してきた経験や実績、さらに意欲もある
老人クラブは、30人未満となっても活動を継続していると聞いております。
そこで、二つ目の質問ですが、札幌市は30人未満のクラブの活動状況を把握されているのか、お聞かせください。
◎渋谷
高齢保健福祉部長 30人未満の
老人クラブの活動状況についてでございますが、現在、札幌市で行っている補助制度では、30人以上の
老人クラブの活動について補助の対象としていることから、毎年、その活動状況が報告されております。しかし、30人未満の
老人クラブにつきましては、補助制度の対象外となっているため、その活動について報告を受ける機会がない状況でございます。そのため、札幌市で把握できる範囲は限られておりますが、平成25年度以降、各年度において、4クラブから10クラブは継続して活動を行っていると把握しております。
◆
小竹ともこ 委員 やはり、30人未満でも何とか活動を継続しているクラブもあることがわかりました。
老人クラブの重要性は、昨年8月に札幌市が行った社会参加に関する
市民意識調査の結果からもうかがい知ることができます。この調査の中で、町内会、自治会などの地域活動や
ボランティア活動を行っていると回答した市民に対してその活動組織や形態を尋ねたところ、
老人クラブと答えた65歳以上の回答者の割合が町内会、自治会に次いで2番目に多い結果になっておりまして、さらに、その割合は年代が高くになるにつれて大きくなる傾向があらわれています。
高齢者にとって同じ地域の同世代の仲間というのは、一緒に活動をしたり交流したりすることで健康寿命の延伸につながっていることはもちろん、身近にある気の置けない居場所であり、自然な形での見守りにもつながる大切な存在なのだと考えております。そして、その高齢者が仲間とともに地域を豊かにする社会活動を行っている姿は、地域の皆さんにとってもよい刺激になることは言うまでもありません。
平成25年度に制度を改正した目的の一つである
加入率向上の効果があらわれていないこと、そして、会員数が30人未満となったことで活動の縮小を憂慮する
老人クラブの切実な声を考えますと、30人を数人切ってしまったようなクラブに対しては、再び30人以上となるための数年の猶予を与えるような支援策が必要ではないかと私は考えております。
そこで、最後の質問となりますけれども、これまでに30人未満の
老人クラブに対する支援を求める声は札幌市へ届いているのでしょうか、お聞かせください。
さらに、札幌市として、その支援についてどのように考えられているのか、伺います。
◎渋谷
高齢保健福祉部長 まず、1点目の30人未満の
老人クラブに対する支援を求める声があるかどうかということでございます。
平成26年11月に、札幌市
老人クラブ連合会から札幌市に対し、現在の補助制度の対象を30人未満のクラブにも拡大し、30人以上のクラブと同様に支援が受けられるよう要望書が提出されたところでございます。また、これまで何度か、札幌市
老人クラブ連合会の総会におきまして会員から同じような趣旨の要望が上がっていることは承知しております。
2点目の支援に対する今後の札幌市の考え方についてでございます。
札幌市内には、自主的に
ボランティア活動を行っている高齢者の団体がほかにも多数ございます。そうした団体への支援は行っていないことから、国が示している基準を満たさない30人未満のクラブに対する永続的な支援というのは、慎重な検討が必要だと考えております。しかし、30人未満となった
老人クラブが再び30人以上になって活動が活性化されるよう、会員増強に取り組むための経過的な支援策につきましては、今後どのようなことができるか、関係機関の意見を聞きながら検討してまいりたいと考えております。
◆
小竹ともこ 委員 検討していただけるとのことで、ありがとうございます。
年々、会員数が減少している
老人クラブの現状を考えますと、ぜひスピード感を持って対応していただきたいということを強く求めまして、私の質問を終わります。
◆
中村たけし 委員 私からは、在宅介護の充実について、何点か質問させていただきます。
介護サービスにおきましては、施設介護と在宅介護の両方を充実させていくことが必要だというふうに私は考えております。施設介護につきましては、札幌市としても、
アクションプランで、
特別養護老人ホームの整備を2014年度から2019年度、平成26年度から平成31年度までに定員を約1,500名ふやすという目標を掲げ、2017年度には400名ふやすといったことで対応しておりまして、まだまだ不十分な部分は多くあると思いますが、札幌市が着実に施設介護の整備を進めていることを私は評価しております。
一方で、在宅介護のほうですが、
サービスメニューの一つに定期巡回・
随時対応型訪問介護看護というものがあります。このサービスは、要
介護高齢者の在宅生活を24時間体制で支える仕組みとして、平成24年度、2012年度から創設された
居宅介護サービスです。
定期巡回訪問によって起床や食事の介護を行い、あわせて、訪問看護による医療的ケアを行うほか、日中、夜間を通して利用者から随時相談に応じて、必要があれば随時訪問を行うなど、介護と医療が連携しながら要
介護高齢者の在宅生活を支える本当に重要なサービスだというふうに私は考えております。
札幌市としましても、制度創設前である平成23年10月から平成24年2月まで
モデル事業を実施して、
サービス提供上の課題であったり、利用者にどのようなニーズがあるかということを検証した経緯があります。その結果、国が想定するサービスが適切に提供された場合には、在宅生活の限界点を引き上げ、ひいては、
特別養護老人ホーム等の
入所待機者への対策としても一定の効果が見込めると札幌市として報告しております。私は、この
サービスメニューは本当に大変重要なものであると考えております。
そこで、最初の質問ですが、現在の平成27年度から29年度までの札幌市
高齢者保健福祉計画・
介護保険事業計画の中では、2016年度、平成28年度の
平均利用者数の見込みは1カ月当たり2,400名となっております。しかし、実利用者数は1,751名にとどまっておりまして、この乖離の原因についてどのように捉えているのか、まずは伺います。
◎渋谷
高齢保健福祉部長 まず、計画で見込んでいた利用者数と実利用者数との乖離についてでございます。
実利用者数及び事業者数につきましては、サービスが開始された平成24年度から平成26年度にかけては大幅に増加していたものの、平成27年度以降は伸びが鈍化しており、計画で見込んだ利用者数を下回っている現状にございます。これにはさまざまな要因が考えられますけれども、
訪問介護等に比べて利用者にとって知名度が低いこと、あるいは、
介護支援専門員に
サービスメニューとしてまだ浸透していないことなどが要因の一つではないかというふうに考えております。
しかしながら、平成28年度の実利用者数につきましては、前年度比で言いますと15%以上伸びており、また、平成29年3月末の札幌市での
サービス提供事業者数も55カ所と全国で最多となっております。そういったことからも、計画値には届いておりませんが、堅調に推移しているものというふうに考えております。
◆
中村たけし 委員 札幌市においては、利用者数または事業者数はともに堅調に推移しているということでした。また、利用者にとっては
訪問介護等に比べてまだまだ知名度が低かったり、
介護支援専門員に
サービスメニューとして浸透していないという答弁がありました。利用者または
ケアマネジャーなどの
介護支援員の方々にこのサービスを知っていただき、認知度を上げていく必要があると考えますし、認知度を上げることによってこのサービスを利用しやすい環境が生まれてくると思います。
そこで、質問ですが、定期巡回・
随時対応型訪問介護看護の
サービス充実のために、これまでどのような取り組みを行っていたのか、伺います。
◎渋谷
高齢保健福祉部長 定期巡回・
随時対応型訪問介護看護のこれまでの取り組みについてでございます。
定期巡回・
随時対応型訪問介護看護の
事業者団体との情報共有あるいは意見交換などを行いながら、制度の安定的運営に向けて支援を行っているほか、
介護支援専門員の協議会の会報などに情報提供を行い、利用促進に向けた周知を図っているところでございます。また、平成29年4月(99ページで訂正)からは、
本体事業所とは別に設ける出張所、いわゆる
サテライト拠点の設置についても一部認めておりまして、事業者側が地域において
サービス提供を行いやすいような条件緩和を行っているところでございます。
札幌市としましても、今後の
利用者動向を見きわめながら、引き続きサービスの充実に努めてまいりたいと考えております。
◆
中村たけし 委員 浸透を図っていただくことと、このサービスを利用しやすい環境を整えていただくことをお願いしたいと思います。
そういう中で、
特別養護老人ホームの待機者を見てみますと、これまでの質疑の中で札幌市には大体6,000人の待機者、緊急を要する方が約1,000人と捉えて、いつも札幌市は多いということを言ってきました。ただ、要介護3以上の方々が特養の申請をする形になったので、2017年、ことし6月末時点での待機者は3,252人と総数としては少なくなっております。しかし、3,252人は、
特別養護老人ホームに入りたいと思いながらもいまだに入れない待機の状態にあるわけで、依然として高水準であると言えます。
さらに、この中で緊急度の高い方は851人となっておりまして、この方々は何らかの手段を講じて施設または在宅での介護ということになりますけれども、ことし1年の入所者数は721人でした。721人が特養に入れる状況がつくられたことは評価しますが、緊急度の高い方でも100人ほどは入れませんし、緊急度を要する新しい待機者がさらにまた出てきます。そこで、特養に入れない高齢者の受け皿として、私は、先ほどから申し上げている定期巡回・
随時対応型訪問介護看護のサービスが有効になるというふうに思っております。
また、平成24年に内閣府が行った高齢者の健康に関する意識調査では、最期を迎える場所として自宅と答えた方々が55%に上っております。やはり、本音は住みなれた自宅で最期を迎えたい方々が半数以上だと数字が示しておりますので、今後、定期巡回・
随時対応型訪問介護看護といった
在宅介護サービスへのニーズがますます増加してくるというふうに考えます。
そこで、質問ですが、今後、札幌市は
在宅介護サービスの充実に向けてどのように対応していくのか、お伺いします。
◎渋谷
高齢保健福祉部長 先ほどの答弁の中で、
サテライト拠点について、平成24年4月から開始とお答えしてしまいましたが、実際は平成29年4月からでございます。訂正させていただきます。
引き続き、
在宅介護サービスの充実に向けた今後の取り組みについてでございます。
高齢者人口の増加等に伴い、今後も
介護サービスの利用者数は増加することが予想されておりますので、
特別養護老人ホームの整備と並行して
在宅介護サービスの充実を図ることは大変重要なことであるというふうに認識しております。
とりわけ、中・重度の要介護状態にある方が住みなれた自宅あるいは地域で暮らし続けるための多様な支援ができるよう、定期巡回・
随時対応型訪問介護看護のほかに、家庭的な環境のもとで通所・訪問・
宿泊サービスを組み合わせて利用できる小規模多
機能型居宅介護、あるいは、そのサービスに加えて訪問看護も利用できる看護小規模多
機能型居宅介護など、
地域密着型サービスについて、今後の利用者の推移等を考慮しながら、
サービス利用の促進に向けた環境整備に努めてまいりたいと考えております。
◆
中村たけし 委員 最後に、要望して終わらせていただきますが、これから在宅介護の充実をしっかりと進めていただきたい、また、施設介護もその環境整備を着実に進めていただきたいと思います。
先ほどから在宅介護の充実という話をさせていただいておりますが、この
サービスメニューの提供状況として、例えば、札幌市のある区の何条何丁目何番地でサービスを提供しているという事業者がありまして、これは、実際には
サービスつき高齢者向け住宅、サ高住のみに在宅介護という形で訪問していることが多いと思います。特に、札幌は冬に雪が降りますし、また地理的な問題、そして、賃金が上昇する中で介護報酬が上がらずに人手不足の状況がありますから、一軒一軒を訪問していくとなると、事業者として大変なことはわかります。ですから、大半でサ高住に特化した在宅介護の展開が見られるのだと思いますし、もちろん、特養の
待機者解消を図るという視点では有効なことですから、それ自体を否定するわけではありません。これで利用者が納得していただけるのだったら、これからもこのサービスをふやしていただきたいと思います。
しかし、在宅介護の本来あるべき姿としては、先ほど申し上げた内閣府の調査でもありますように、自宅で最期を迎えたいという方々が半数以上でありますので、こうした方々への在宅介護・看護についても札幌市としてしっかりと
サービス提供を行えるように施策を展開していただくことを求めまして、質問を終わります。
◆丸山秀樹 委員 私からは、
介護ロボットの導入支援について質問いたします。
超高齢社会を迎える中、
介護サービスを必要とする方は年々ふえており、これを支える介護人材の確保は喫緊の課題と言えます。
しかしながら、
介護労働安定センターが実施した平成28年度
介護労働実態調査では、北海道における
訪問介護員と介護職員を合わせた離職率は20%と全国平均の16.7%を上回っており、深刻な状況となっております。また、同調査によりますと、働く上での悩みとして腰痛や体力の不安を挙げている
介護労働者が北海道では30%とおよそ3人に1人の割合であり、離職防止のためにも
介護従事者の負担軽減に向けた対策が求められると考えます。こうした問題に対して、近年、注目を集めているのが
介護ロボットであり、介護にかかわる方の負担軽減を図り、働く環境を改善することで離職防止につながる効果が期待されております。
我が会派では、ことし5月に、神奈川県にある
湘南ロボケアセンターを視察してまいりました。視察した議員からは、働きやすい職場環境を整えていく上で、これから
介護ロボットが果たしていく役割は大きくなっていくであろうということを実感したとの報告があったところであります。
経済産業省が平成27年1月に発表したロボット新戦略では、介護分野のうち、歩行支援、
排せつ支援、認知症の人の見守り、ベッドからの移しかえなどの移乗支援、入浴支援の五つの重点分野を設定しており、平成32年までに
介護ロボットの
国内市場規模を500億円に拡大するほか、
介護従事者が腰を痛める機会をゼロにすることを目指すとしていることなど、国としても
介護ロボットの普及に向けて積極的な姿勢を打ち出しているところであります。また、厚生労働省では、平成28年度に全国の市町村を通じて
ロボット機器の購入費用を補助する事業を実施したところであり、札幌市でも、国からの交付金を財源に122の事業所に対して補助金を交付したとのことであります。
そこで、質問ですが、札幌市では、平成28年度に実施した
介護ロボット導入に係る補助事業の実施結果についてどのような評価をしているのか、お伺いいたします。
◎渋谷
高齢保健福祉部長 今回の
介護ロボット導入に係る補助事業の評価についてでございます。
今回の補助事業で導入された主な
介護ロボットとしては、
介護従事者の体に装着し、要介護者の体を持ち上げる際の
身体的負担を軽減する機器、あるいは、要介護者が利用するマットレスにセンサーを組み込むことで、
介護従事者の見守り業務を支援する機器などがございました。その導入効果としましては、腰痛の防止あるいは見守り時間の短縮による効率化など、業務負担の軽減に役立つとの声が寄せられたところでございます。一方で、体に装着する機器につきましては、小型化あるいは軽量化を進めてほしいという要望があったり、見守り支援用の機器については、設定の仕方によっては誤作動が生じる事例もございましたので、さらなる改善を希望するという課題も挙げられているところでございます。
札幌市としましては、機器の活用に当たっては改善していく課題も認められましたけれども、その導入により多くの事業所で
介護従事者の負担軽減が少しでも感じられたというふうに評価しているところでございます。
◆丸山秀樹 委員 ただいまの答弁で、
介護ロボットには機器に改善の余地があるという課題はあるものの、
業務負担軽減の効果を実感している事業者が多いことがうかがえると思います。
こうしたことから、今後も
介護ロボットの導入支援は積極的に進めていくべきと考えますが、札幌市で実施した補助事業は、全額、国の交付金を財源としたもので、平成28年度の単年度事業となっており、平成29年度は実施されておりません。
介護従事者の不足が深刻化している状況の中で、業務の軽減や離職防止は重要な課題であり、札幌市の独自事業であっても補助事業の継続が必要だと考えますが、札幌市の考えをお伺いいたします。
◎渋谷
高齢保健福祉部長 補助事業の継続についてでございます。
国におきましては、今後の
介護ロボット導入支援について、
ロボット機器を導入した場合の
業務効率化や
負担軽減効果の測定、検証などを通じて生産性の向上を進めていくことが重要であるとしております。札幌市におきましても、
介護ロボット導入費用に係る補助の実施を独自に検討するに当たって、機器の導入による効果等を十分に検証した上で判断していくことが必要ではないかというふうに考えております。
今回、多くの事業者から
介護ロボットが業務負担の軽減に役立つとの声をいただいておりますけれども、このうち8割以上がことし1月以降に機器を導入しており、寄せられた報告は機器の使用開始から半年以内という状況に基づいたものになっております。このため、機器を継続して使用した際の効果あるいは課題についてはまだ十分な検証ができていない状況ですので、札幌市では、独自の補助を行うことにつきましても、引き続き事業所からの報告を踏まえた上で、慎重に検討していく必要があるというふうに考えております。
◆丸山秀樹 委員 金銭面の補助における札幌市の考え方を伺わせていただきました。
介護ロボットの普及はまだまだ進んでいないため、その効果の検証にも時間がかかるとの答弁だったというふうに思います。
実際に、事業者からは、
介護ロボットについて、費用が高額であるほかにも、導入によりどのような効果があるのかわかりにくい、利用者への影響も懸念しているといった声もよく耳にするところでございます。また、さきに述べた
介護労働実態調査によると、北海道で
介護ロボットを導入していない事業者は75.5%となっており、普及が進んでいないことを裏づける結果となっております。
こうした状況から、
介護ロボットをより一層普及させていくためには、やはり、行政による何らかの支援、働きかけが重要になると考えます。このため、札幌市においても、機器の普及の妨げとなっている要因を的確に捉えた上で、独自に
介護ロボットの普及促進を行っていくべきと考えますが、今後の札幌市の取り組みについてお伺いいたします。
◎渋谷
高齢保健福祉部長 今後の取り組みについてでございます。
国が進める
介護ロボットの普及に向けたさまざまな取り組みを実施している公益財団法人が行った調査によりますと、
介護ロボットの利用促進に向けた事業者からの要望として、
介護ロボット機器自体に関する情報の提供という回答が5割に達している状況でございます。このため、
ロボット機器の導入を判断するに当たって、情報が不足していると考えている事業者はかなりの数に上るのではないかと見込まれております。
札幌市としては、まず、事業者や
介護従事者に
介護ロボットとはどういうものなのかを具体的に理解してもらうことが重要と捉えておりまして、
介護ロボットの基礎知識や、実際に機器を体験してその効果を学ぶための研修を実施することで、
介護ロボットのさらなる普及に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
◆丸山秀樹 委員 最後に、要望いたします。
最初に取り上げました平成28年度の
介護労働実態調査では、北海道として30%の方が働く上での悩みや不安に
身体的負担を挙げていると述べさせていただきましたが、これは、訪問、入所、通所の全体を平均化したものであり、細分化してみると、入所型の施設系においては
身体的負担を悩みと感じている割合は43.2%にも上ります。
ついては、答弁にあったように、情報が不足している事業者も多いと思われますので、
介護ロボットについての知識や体験の場を数多く求め、国の動向を注視することもちろん、
介護ロボットのさらなる普及に向けて取り組んでいただくことを求め、私の質問を終わります。
◆田中啓介 委員 私は、札幌市介護予防・日常生活支援総合事業、いわゆる新総合事業について質問いたします。
2017年4月から、新総合事業がスタートいたしました。2017年8月末時点で介護認定を受けている人は10万3,131人、そのうち、要支援1の方が1万8,477人、要支援2の方が1万6,367人です。この要支援者3万4,844人、全体で33.4%の方々が新総合事業の
介護サービスの対象になってまいります。
我が党は、この間、代表質問や委員会などで、新総合事業を実施するに当たって、事業が始まる前と同じ
介護サービスを維持すること、その維持のために、介護事業所の経営が成り立つような介護報酬にしていくべき等を求めてきました。本市は、現行水準サービスを維持するとしておりますが、事業所の報酬単価が引き下げられて8割に減収になる事業所もあります。本市は、激変緩和措置をして影響はないとは言えないと言いながら、今すぐ直ちに経営に支障が生じるとは考えていないと答弁しております。
そこで、最初の質問ですが、新総合事業がスタートして6カ月になります。介護事業所の運営が大変になった、介護利用者やその家族の方が
介護サービスを受けられなくなったなどの声は上がっていないのか、伺います。
◎岡島 地域包括ケア推進担当部長 事業所の運営が大変になったという声やサービスが受けられなくなったという声はないかというご質問でございます。
まず、事業所の運営につきましては、事業所の撤退あるいは経営が厳しいという実態は総合事業が始まる前もございました。今年度に入ってからもそういった声を聞いておりますが、総合事業そのものに関する経営については、まだきちんとした調査を行っているわけではございませんので、個々の実態として耳にしているところでございます。
また、利用者の声でございますが、今の札幌市の総合事業におきましては、従来と同様の指定
介護サービス事業所によりサービスを提供しておりまして、認定を受けておられる方は、今年度の更新のタイミングで、随時、総合事業に移っている最中でございます。まだ従来の予防給付を受けておられる方もいる中で、利用者からサービスが受けられなくなったという声は、私どもは耳にしておりません。また、今、ご利用いただいているサービスにつきましても、状態が変わらない限りは同様のサービスを受けていただけるようになっております。サービスの内容につきましては従来型のサービスを継続しているところでございますので、私どもとしては、今の時点では総合事業による大きな変化は認識しておりません。
◆田中啓介 委員 それでは、その事業の一つのデイサービスについてです。
今までのデイサービスは、朝、介護事業所の送迎車が迎えに来て、身体機能の維持のためのプログラムなどに参加し、夕方までその事業所施設で過ごし、送迎車で自宅まで送ってもらうという1クールでありました。
そういう中で、新総合事業が始まり、8割に減収になるということで、介護事業所では、下がった報酬を何とか維持していくために、1日に1クールだったデイサービスを午前と午後の2クールに、中には3クールにしている事業所もあります。しかし、それに合わせて人員をふやすことは、今の報酬単価ではできないという声を聞いております。これでは、朝に迎えに行き、昼に送り届け、その後、別の利用者を迎えに行き、その後に送り届け、さらに別の利用者を迎えに行き、送り届ける、こういうことが繰り返され、送迎の運転手の方が介護員をしている場合、休む暇もなく身体維持機能の訓練を行うということになります。また、デイサービスが細切れになったことで、利用者からは、運動時間が減らされて機能の低下が心配、スタッフがみんな忙しそうに見えて話しかけづらい、今までは、午前中はプログラムや機能訓練に参加して、午後はラウンジで一緒に通所しているお友達とおしゃべりをする時間があり、それが楽しみの一つだったが、それができなくなったという声も聞いています。
身体機能の維持・向上や生活機能向上のためのグループ活動など、計画されたプログラムを行うだけが介護福祉ではないと思います。機能訓練をした後、施設のラウンジで一緒に通所している仲間とお話をする、コミュニケーションをとることが、脳を刺激して、また、認知症などの予防、重度化を防ぐ予防介護としての効果もあります。また、そのときに、介護スタッフも一緒にいてその様子を専門家の目で見ることで、その利用者一人一人の体調などを観察し、それをケース記録に残すことは、利用者の今後の適切なケアプランの作成にとっても大切になってまいります。
そこで、質問ですが、通所介護事業所、デイサービスで新総合事業がスタートするのとあわせて、それまで1クールだったサービスを2クールまたは3クール以上に移行している事業所はどの程度あるのか、また、その変更した理由は何かを把握しているのか、伺います。
あわせて、その事業所の人的体制は十分なのか、伺います。
◎渋谷
高齢保健福祉部長 新総合事業が始まってからクールの変更があったかどうか、そして、その理由についてでございます。
今年度からスタートした事業でございますので、今は移行中であり、正式な数字はとっておりません。ただ、これは変更したかどうかということではありませんが、現時点で、全体の通所介護事業所の約3割の事業者において、1日単位ではなく、2単位以上、2クール以上やっているということは数字としてつかんでおります。
また、変更した理由につきましては、把握しておりませんので、この場で申し上げることができません。
それから、人的体制についても、制度が始まってすぐなので、まだ定着しておりませんから、ある程度定着した段階でいろいろな声を聞いていきたいと思います。今、定期的に実地指導をやっておりますが、その中では、今のところ、具体的に声を聞いているということはございません。
◆田中啓介 委員 定期的に実地指導をしているということですが、あわせて、人的体制がしっかりと十分に整っているのか、実態調査、実態把握をしていくべきだというふうに思います。
次に、もう一つのホームヘルプサービスについてです。
こちらも、利用者からは、ヘルパーと話すのも楽しみの一つだったのに、ヘルパーが忙しそうで話しかけづらくなったという声がございます。ヘルパーは、会話することで利用者の状態などに気づくことがあり、家事援助だけではなく、会話の時間も重要な介護支援なのに、その時間がなかなかとれないと話しています。ホームヘルプサービスにおいて、掃除、洗濯、料理などの時間だけが介護の仕事ではないと思います。それ以外のヘルパーと利用者との会話の時間も大事な介護福祉です。専門的な知識と経験のあるヘルパーがその会話の中で利用者の状態などを見ることで、気づいたことをケース記録に残し、利用者のケアプランに生かす、それだけではなく、医療などに連携させていくこともできます。
そこで、質問ですが、ホームヘルプサービスにおいて、新総合事業実施前のサービスをしっかりと維持できているのか、また、今後も維持していけるのか、伺います。
◎岡島 地域包括ケア推進担当部長 ホームヘルパーのサービスについてでございます。
総合事業を開始する前も、サービスの時間というのは、利用者の状態や家族のニーズに合わせてケアマネジメントの中で調整しておりました。今現在も、30分にするのか、1時間にするのか、2時間にするのかといった必要な時間数につきましては、ケアマネジメントの中で自由に設定できるようになっておりまして、サービスの時間数につきましてはそういう実態でございます。
一方で、ヘルパーと会話をしたいという利用者のニーズは当然あるかと思いますが、本来、ヘルパーの訪問介護としての業務は生活援助が中心でございます。全く口をきかずに業務を行うわけではなく、今も、ご挨拶から始まり、きょうはどこからお掃除を始めようかといった具体的な会話の中で業務を実施しておりますが、その点につきましては、これまでと変わらないというふうに考えております。
◆田中啓介 委員 ただ、実際に、この4月以降、ホームヘルプサービスを総合事業に移行したことによってこういうことが起きたという声も聞いておりますので、こちらの実態も正確に、また具体的に把握していくべきだと思います。
次に、家族介護の負担軽減について伺います。
介護福祉の事業というのは、介護が必要な人だけではなく、その家族の介護負担の軽減も大切な目的の一つです。親がデイサービスを利用している家族の場合、朝、介護事業所の送迎車を見送った後に、夕方までは自分の時間をつくれます。自分の家の掃除などの家事をする、買い物に出かける、友人と会う、自分自身のリフレッシュのための時間を持つことができます。また、少しでも家計を支えるためにと、パートに出ている方もおります。これが時間短縮型のデイサービスになってしまうと、朝、デイサービスに行って昼には戻ってくる、これでは、親の介護に追われてパートなどの働きに行けない、自分の時間がつくれずに息抜きができないことで、介護心中や介護殺人など最悪のケースにもつながりかねません。
そこで、質問ですが、新総合事業によって家族の介護負担がふえていないのか、また、ふえるということはないのか、伺います。
◎岡島 地域包括ケア推進担当部長 新総合事業のサービスにつきましては、要支援者を対象としたもので、実際には、介護ではなくて、重症化予防のサービスでございます。要支援者へのサービスにつきましては、総合事業が開始する前も、ホームヘルプサービスであれば約半数の方が1時間未満の
サービス利用、あるいは、デイサービスであれば半日未満の
サービス利用という実態がございました。今もそのサービスの時間の長さあるいは回数を選択することができますので、総合事業の開始によって家族負担がふえたということは考えにくいと捉えております。
◆田中啓介 委員 介護認定で要支援に認定される方の中にも、病院へ行ったら認知症だと診断される方がおりまして、認定する人の前では本当に健康に見えるけれども、日常的に接している家族の前では認知症の症状があらわれるということもあります。実際には、認知症という病気があっても介護認定で要支援と認定される方が少なくありません。新総合事業が始まり、6カ月がたちました。今、私が指摘したこと、また懸念していることが本当に起きていないのか、まずはしっかりと検証していくことが必要だというふうに思います。
そこで、質問ですが、新総合事業が始まる前と同じ
介護サービスを本当に受けられているのか、必要な
介護サービスを提供できているのか、直接、
サービス利用者やその家族、また事業者へ意見や要望を聞き、しっかりと検証していくことが必要だと思いますがいかがか、伺います。
◎岡島 地域包括ケア推進担当部長 まず、総合事業できちんとサービスが利用できているのかというご質問につきましては、先ほども申し上げましたが、サービスの時間の長さあるいは種類については、総合事業になってからも、利用者の状態とご家族の実態に合わせてケアマネジメントの中で調整できるようになっており、また、選択もできるようになっております。そういった観点からは、変更はないものというふうに認識しております。
また、事業の検証が必要ではないかというご指摘でございますが、もちろん、この事業の運営が今後も適切になされていくように、あるいは、要支援者の皆様やご家族のニーズに合ったものとなるように、事業の内容、サービスの利用実態につきまして、きちんと検証、評価をしてまいりたいというふうに考えております。
◆田中啓介 委員 利用者、またその家族の方にとって必要なサービスをしっかりと受けられるためにも、それを提供する介護事業所が運営していける、サービスを提供できるようなものにしていくことが必要です。
本市として、介護現場の実態を正確に把握し、利用者やその家族のニーズに応える
介護サービスの維持と、介護事業者がそのサービスを維持しながら運営できる報酬にしていくべきと求めて、質問を終わります。
◆中川賢一 委員 私からは、現在策定作業を進めておられる次期の
高齢者保健福祉計画・
介護保険事業計画に関連して、何点かお伺いしたいと思います。
この計画のベースになっております介護保険制度は、皆さんもご存じのとおり、平成12年4月に創設されまして、ことしで17年という時間が経過しております。もちろん、この制度自体、急速に進む高齢化を見据えてスタートしたものではありましたけれども、この間、我が国の高齢化は大方の見込みを上回るようなスピードで進んでおります。この札幌におきましても、この制度がスタートした平成12年4月当時、65歳以上の高齢者は25万人余りでありまして、総人口に占める割合、いわゆる高齢化率は14%程度でございましたが、平成29年7月現在、65歳以上の高齢者は50万3,000人余りと、制度創設当初の約2倍、高齢化率も25.8%と約12%も増加し、制度創設当初とは全く異なる状況になっているわけでございます。
そういう中で、
高齢者保健福祉計画・
介護保険事業計画は、介護保険法に基づいて制度開始当初から3年ごとに改定し、その期間ごとの人口推計等をベースに事業計画を定めていると理解しておりますけれども、現計画におきましては、平成28年10月の
高齢者人口を約49万3,000人余りと推計して、それに基づいて各種の事業や内容、量が組み立てられていると捉えております。
幸いと言ってよいのかもしれませんが、実際の本市の
高齢者人口は、現計画の推計の基準時点で約49万1,000人とほぼ推計どおりに推移しております。しかし、今後、さらに高齢化が急速に進んでいくことは間違いない状況でございまして、一方で財源もどんどん厳しくなっていくことが確実視されている中ですから、現在進められている次期計画の策定作業に当たりましても、基礎となる
高齢者人口推計を今後いかに正確に行っていくかということが極めて重要でございます。それも、私としては、どちらかというと多少は厳し目ぐらいに想定しておくほうが中長期的には望ましいのではないかとさえ考えているところでございます。
そこでまず、確認させていただきますが、平成30年度を開始年度とする次期の
高齢者保健福祉計画・
介護保険事業計画におきましては、高齢者の将来人口をどのような方法で推計していくのか、お伺いしたいと思います。
◎岡島 地域包括ケア推進担当部長 次期計画における高齢者の将来人口の推計方法についてでございますが、平成27年度策定の現計画からは、計画期間の3年間と、団塊の世代が全て75歳以上となって医療・介護ニーズが急速に高まる平成37年を見据えた中期的な推計を行ってきたところでございます。次期計画におきましても、年齢別、男女別に住民基本台帳の人口の伸びや、5年ごとの国勢調査における人口の推移を考慮しまして、平成30年から平成32年の3年間と、平成37年、2025年の
高齢者人口を改めて推計しているところでございます。
◆中川賢一 委員 高齢者の将来人口推計ですが、住民基本台帳や国勢調査における人口の推移を考慮しながら、今後のこととして、平成30年から平成32年までの3年間、そして2025年を見据えて推計しているというお答えだったと思います。
そこで、この部分を人口の社会的増減の視点で少し考えてみたいと思います。
札幌は、高齢者にとって非常に住みやすく、便利なまちでございますので、最近ではご高齢の方が道内各地から札幌に移住してくる傾向が顕著だということもよく耳にするところでございます。実際に、65歳以上の高齢者の転出入を見てまいりますと、平成24年以降は2,000人を超える転入超過が続いておりまして、平成28年は2,157人の転入超過でございました。そういったこともあるのか、平成27年4月、2年前でございますが、24.1%であった高齢化率は、わずか2年後のことし7月現在で25.8%と1.7%も上昇している状況でございます。私の住んでおります中央区は、特に地方からの高齢者の移住が多いとふだんから耳にしておりまして、私の地元の山鼻地区では、2年間で高齢化率が23.4%から25.6%に2.2%も上昇しているような状況でございます。
このように、このところの転出入の動向を追ってみただけでも、これまでの統計のトレンドとは若干違った動きも今後は出てくるのではないかと感じるところでございます。さらに、最近では大型集合住宅や高齢者住宅についていろいろな事業計画が頻繁にあるようでございまして、こういった民間の開発動向も今後の
高齢者人口の動向を左右していくのではないかというふうに考えるところでございます。
そこで、次の質問でございますが、次期計画を策定するに当たって、
高齢者人口など基礎となる数字につきまして、札幌市の実態をより反映させながら検討していくべきと考えますけれども、そういった部分での札幌の特徴はどのようなところにあるとお考えになっているのか、お伺いしたいと思います。
◎岡島 地域包括ケア推進担当部長 計画策定のための札幌市における
高齢者人口の特徴についてでございますが、委員がご指摘のとおり、札幌市は道内からの転入超過ということが一つの特徴でございます。現計画にも、転入超過について掲載して推移を見ているところでございます。
これは、政策企画部が公表している数字でございますが、平成23年までは年間1,700人前後の転入超過だったものが、平成24年に急増いたしまして、2,000人を超える状況でございます。この背景には、この時期に創設された
サービスつき高齢者向け住宅の制度が少なからず影響しているものと考えられますが、このほかにも、親族との同居あるいは入院など、転入にはさまざまな理由が挙げられております。しかし、平成25年以降の転入超過を見てみますと、2,200人から2,300人前後で横ばいに推移しておりまして、先ほど答弁した推計方法で数値に大きな差異は生じてこないものというふうに認識しております。
このほかの特徴といたしまして、札幌市の高齢化率を全国平均と比較してみますと、平成28年10月1日現在で25.3%と、全国よりも2.0ポイント低い状況でございます。しかし、高齢者に占める要介護・要支援認定者の割合を見ますと、札幌市は20.2%と、全国平均よりも2.2ポイント高い状況でございます。さらに、要介護・要支援認定者のうち要支援者の割合が34.6%と、札幌市は全国平均より6.6ポイント高い状況にございます。
以上のような特徴を踏まえまして、札幌市では、予防的な観点を次期計画に反映できるよう現在検討しているところでございます。
◆中川賢一 委員 このところ、道内からの高齢者の転入超過が一定程度顕著であり、こういったことが本市の高齢者の動態に今後も大きく影響しそうである、ただ、それは施策の動向などにも左右されて、そうしたことがいろいろ影響してくるということでは、認識を共有できたのかなと思います。また、このほかにも、平均寿命がどんどん上がってきておりますから、今後は、老齢人口の中でも年代ごとの人口構成が変化してくると思われますので、こういった部分も注視していかなければならないのかなと思うところでございます。
平成28年度の一般会計歳出決算額における保健福祉局関係分は約3,173億円でございますが、これに介護保険や国民健康保険、後期高齢者医療保険といった特別会計を加えますと合計で6,958億円、7,000億円近い額でありまして、本市の一般会計、特別会計総額の約53.6%を占めている状況でございます。残り約46%のうちの4割近くは人件費と借金の返済でございますので、他の行政分野を全て合わせた額の2倍ぐらいになってしまうという一大事業分野でございます。当然、保健福祉局関係の予算の全てが高齢者福祉関連ではないわけでございますが、例えば、生活保護費に関しても高齢者の生活実態がいろいろと深くかかわっているようでございますので、やはり、高齢化の進行は保健福祉行政全般にいろいろな形で影響を及ぼしているというふうに考えます。こういった点からも、繰り返しになりますが、
高齢者人口の推計については、札幌市の現実に合わせてより高い精度で行って、量的なものの展望をしっかりと見据えていただきたいと改めて申し上げたいと思います。
本計画の柱である介護保険に限って話を続けさせていただきますが、保険給付に要する費用は、制度が創設されました平成12年度の約473億円から、平成28年度決算では約1,235億円と、およそ2.6倍に増加しております。その間の
高齢者人口の伸びが約2倍でございますので、それを上回って増加している状況でございます。保険給付費のさらなる増加は容易に予想されますが、今後も介護保険制度を維持していくためには、健康寿命の延伸に積極的に取り組んで、結果としていかに費用を抑えていくかという観点が極めて重要であると思います。
そこで、質問でございますけれども、本市における今後の保険給付費の見込みが今後どのようになっていくとお考えになっているのか、そして、保険給付費を抑えていくためには、明確な目標を定めて次期計画を策定していく必要があるというふうに私は考えますが、その点の札幌市のご認識をお伺いしたいと思います。
◎岡島 地域包括ケア推進担当部長 1点目の今後の保険給付費の見込みについてでございます。
今現在は次期計画に向けて検討しているところでございますが、現計画を策定した時点では、2025年の保険給付費と地域支援事業費の合計額を約2,000億円と見込んでおりまして、平成28年度決算額1,256億円と比較しますと約1.6倍になるとしているところでございます。この費用は、
高齢者人口が増加していくことを踏まえますと、今後も伸びが予想されると認識しております。
2点目の次期計画策定における明確な目標設定ということでございます。
介護保険事業計画は、まず、市民ニーズを踏まえた
介護サービスや地域支援事業の必要量の確保を目標とすると認識しております。次期計画におきましては、高齢者の健康維持のため、それから、自立支援、重度化防止の視点を重視した適切な
サービス利用や、住民による主体的な介護予防活動の支援などの充実強化を検討しているところでございます。
札幌市としましては、このような取り組みを進めていくことによりまして、高齢者が健康で過ごせる期間を少しでも延ばすことができるようにつなげ、結果として今後の介護給付費の伸びを抑えられるように努めてまいりたいというふうに考えております。
◆中川賢一 委員 現計画では、今後1.6倍になるとして、さらに今後も伸びが予想されるというお答えでございましたので、本市としても非常に重大な政策テーマなのかなと改めて思うところでございます。
今のご答弁の中で、
介護保険事業計画では各種事業の必要量を確保していくことを目標とするというお答えがございましたが、必要量を確保するというような大前提があるのでございましたら、その必要量自体、どれだけ現実に即して推計されるかということが極めて重要だと思います。先ほど新総合事業の現場の話もございましたが、ここで言うのはあくまで必要量でありまして、供給可能量ではございませんけれども、これをどれだけ正確に捉えるかが重要だと申し上げておきたいと思います。
ご答弁の中でも、今後、高齢者が健康で過ごせる期間を延ばす努力をして、それが結果として保険給付費の拡大を抑えることにつながるというようなご認識がございましたが、まさにそのとおりでございまして、ご高齢の方にできる限り健康で元気な生活を満喫していただく、そして、そのことを通じて、同時に財政負担の拡大も極力抑制していくことが当然望まれる、このことには異論がないだろうと思います。
ただ、今後必要なのは、単にこういった方向性を持つのみではなくて、具体的にそれを達成するための目標と計画を持って、できれば数的な目標を持って、高齢者の健康維持や自立支援、重度化防止といった分野に取り組んでいければいいなというふうに考えるところでございます。例えば、こういった制度を使う高齢の方が今後どのぐらいふえるのか、そのうちどのぐらいの方に健康を維持していただくと、新たな利用者をどの程度抑えられるのか、また、どのぐらいの方の重度化を抑えようとするのか、そのために必要な介護予防のあり方や量を具体的に想定していく、こういった作業は、介護保険だけではなくて、どんなテーマであっても事業の計画を策定していく上での本来的な手順でございまして、単に今できることや国の政策の方向をメニュー化するだけでは、急速な高齢化という大きな課題に対して計画の実効性というものが乏しくなるおそれも禁じ得ないわけでございます。とにかく、事業規模が圧倒的に大きな分野でございますので、その対応に当たっては、やはり、他の事業分野にも増して具体的な数的目標が必要だと考えるところでございます。
新計画の策定、さらには今後の中長期的な展望の中でそういった意識を持って臨んでいくことを強く指摘させていただき、今後も引き続き介護予防のあり方などを議論させていただくことを申し上げて、きょうのところは質問を終わらせていただきたいと思います。
◆村上ひとし 委員 高齢化の進展によるさまざまな課題、それから、最期は自宅でみとりたい、つまり、終末期の医療や介護と連携して充実したサービスをどう提供していくかというような議論がこの間も行われております。私は、介護給付費の問題で言いますと、やはり、市民が求める必要な介護を当初からきちっと提供していくことが最も必要だし、そのことが結果として給付されるトータルの費用も縮小できる唯一の方法だというふうに思うわけであります。
いろいろ質疑されてきましたが、私は、在宅介護における訪問看護、それから、そのもとで費用の問題についても関連して質問させていただきます。
本市の2014年における高齢化率は23.6%、2015年は25.1%です。北海道や全国平均との比較ではまだ低い状況でありますが、2025年には30.5%まで上昇するとされ、今後は急速に高齢化が進むことが見込まれております。65歳以上を対象にした2013年度の高齢社会に関する意識調査によりますと、高齢者の8割が現在住んでいる地域に住み続けることを願い、体が弱ったとしても在宅生活を希望する高齢者の割合は約6割であります。先ほどもありましたが、そのうちの5割近くは、自宅で最期を迎える、いわゆる在宅でのみとりを希望しております。最近では、医療技術が進歩しまして、これまで治療が困難だった病気の延命が可能になり、在宅でも高度な医療機器を扱えるようになったことなどで、病院から在宅にシフトする医療提供はさらに普及していくことが予測されております。
この傾向は、当然、療養病床の縮小や廃止、あるいは、診療報酬の高齢者に対する差別化など、高齢者を病院から遠ざけてきた国の政策の影響も否定できません。いずれにせよ、病院から在宅の流れが今後一層強化されるもとで、在宅医療を継続しながら自宅でみとる上では訪問看護の果たす役割というのは極めて重要であります。
そこで、現在作成中であると思いますけれども、来年度から3年間の
高齢者保健福祉計画・
介護保険事業計画では、この訪問看護をどのように位置づけ、充実させるおつもりなのか、まず、お伺いします。
また、本人はもちろん、その家族が安心して在宅療養を続け、自宅でみとるには、訪問看護のみならず、切れ目のない医療、介護の提供が必要であります。そのために、札幌市として、医療、介護の関係者間の連携強化に向けてどのような役割を果たしていくつもりなのか、お伺いいたします。
◎岡島 地域包括ケア推進担当部長 次期計画における訪問看護の位置づけとその充実についてでございます。
65歳以上の介護保険の第1号被保険者は、平成28年9月末で49万1,081人と、平成26年9月末の45万5,173人と比較して8%増加しております。一方、介護保険の訪問看護の利用者数を見ますと、平成28年度の1カ月平均で8,511人と平成26年度の6,812人から25%増加しており、在宅における訪問看護のニーズはふえているものと認識しております。
したがいまして、次期計画におきましては、医療系の
介護サービスを重要なニーズの一つに位置づけまして、訪問看護のほか、看護小規模多
機能型居宅介護や定期巡回・
随時対応型訪問介護看護とあわせまして、今後の効果的な活用に向けて一層の周知を図ってまいりたいと考えております。
2点目の医療、介護の連携強化に向けた札幌市の役割でございます。
平成27年度の改正介護保険法により、在宅医療・介護連携推進事業におきまして、課題の抽出や医療・介護資源の情報の一元化、また、多職種の研修等の実施が市町村の役割というふうに位置づけられたところでございます。
札幌市におきまして、医療・介護関係者の連携上の課題を集約しましたところ、情報共有の不足、互いの役割が不明確である、また、専門知識が不足しているというようなことが明らかとなりました。こうしたことから、札幌市の取り組みといたしまして、各団体とも連携しながら、在宅医療や介護の関係者が互いの業務を理解するための意見交換や、多職種を対象とした研修会の実施などを行っているところでございます。今後とも、各職種のニーズに応じた事業を実施することによって連携強化に努めてまいりたいというふうに考えております。
◆村上ひとし 委員 特に医療と介護の連携という点では、岡島部長ともいろいろと議論させていただいてきました。本来、壁があってはいけないのですが、介護側からすると、医療の側にさまざまな相談をしても、なかなか敷居が高いという実態があります。そこで、札幌市として、そうした情報をどう上手に共有するか、そして、市民の利用を促進していく上で現場のスタッフがその役割をどう果たすのか、そういう点で計画の中に積極的に位置づけていただきたいと思います。
これは厚生労働省が資料として出しているものですが、終末期医療に関する調査を見ますと、終末期の療養場所について、最期まで自宅で療養したいと回答した人は1割ぐらいいたそうであります。しかし、自宅で療養して、必要になれば医療機関を利用したいと答えた人の割合を合わせますと、約6割の国民が自宅で療養したいと答えているそうであります。こうした国の動向から、札幌市としても、今後の
高齢者保健福祉計画・
介護保険事業計画で訪問看護の充実を図るということは極めて重要だろうというふうに思いますし、医療、介護の連携強化の具体化も積極的に図るべきだということを申し上げておきたいと思います。
次の質問に移りますけれども、介護給付費の実態調査ということで、これは厚生労働省の保険局医療課で出している訪問看護ステーションの利用者数の推移を示すデータですが、この資料を見ますと、訪問看護ステーションの利用者数は介護保険、医療保険ともに増加しております。そして、特に、2001年から2015年の介護保険の利用者の増加率が2.05%なのに対して、医療保険の利用者の増加率は3.49%ということで、医療保険の伸びが顕著だということが示されておりました。
要支援の方が、まだそれほど
介護サービスを利用していない状態で、例えばがんを発症して治療を開始した場合には、最初は高額な検査などがあります。また、抗がん剤の治療も高額だと聞いておりますし、中には保険適用外の薬の使用も相当数あって、月に数十万円を超える治療費の支払いは決して珍しいことではないと言われております。こういう方が終末期を在宅で迎えようとした場合、介護保険の在宅サービスの利用に加えて、医療保険による訪問看護ステーションの利用となっていくわけですが、こうした状況にある方は今後ますますふえる傾向にあるというふうに思います。
そこで、次の質問です。
終末期医療などで重度の方が在宅における療養を行う場合に、医療費の負担に加えて介護保険の負担も当然生じる場合があります。本人や家族の経済的な負担は、重いものとなっています。そこで、在宅療養を続け、自宅でみとる場合には医療保険と介護保険の負担が重いことについて、札幌市の認識をお伺いします。
◎岡島 地域包括ケア推進担当部長 介護保険、医療保険の自己負担が重いことに対する認識でございますが、両保険とも、自己負担が所得に応じた一定の上限額を超えたときには、申請によりましてその超えた額を払い戻す高額
介護サービス費、高額療養費の制度がございます。さらに、介護保険と医療保険の自己負担の合計額が一定の上限額を超えたときにも同様の制度がございます。このように、低所得の方には、負担が過重にならないよう、制度上の配慮がなされているというふうに認識しております。
◆村上ひとし 委員 そういう制度はありますけれども、償還払いであると、一旦は払うのですね。そして、2カ月、3カ月たった後に一部負担金が戻ってくる仕組みですから、やっぱり、本人や家族としては負担が相当厳しい状況にあると思うのです。
今示したようながんの末期の方は、以前は、どちらかというと、病院で治療を継続して、最期も病院というケースが圧倒的に多かったと思うのです。しかし、先ほど申し上げたとおり、医療技術や訪問看護などのいろいろなサービスの提供もあって在宅でみとることができるようになってきたわけです。つまり、かつては、病院の入院費一本で支払いが済んでいました。そこでは、当然、高額療養費も使えるでしょう。ところが、制度が多岐にわたって、
介護サービスも提供されるし、訪問看護で医療サービスも提供するというようなさまざまな仕組みができてきて、そこで多様なサービスも提供されております。そうすると、在宅に移ったら、病院一本の支払いであったものが、結果として、病院での治療も受ける上に訪問診療での負担があったり、訪問看護ステーションもある、そして、調剤薬局でも支払いがあるし、在宅系の
介護サービスを受けようと思ったらまたその負担も出てくるようになります。岡島部長がおっしゃったとおり、仕組みや制度はあるんですよ。しかし、これらが一体的になると1カ月に支払う額は極めて大きいという状況がますます広がっていくだろうということなのです。もちろん、札幌市が新総合事業の運営の主体になっていろいろなサービスを提供するし、仕組みが動いていますから、制度の問題というのは極めて難しいと思います。
そこで、お伺いしたいと思いますが、病院から直接往診を受けて、また訪問看護も受ける場合は、病院の医療費全体の中で済みますね。ところが、そうではなくて、地域の訪問看護ステーションの医療系サービスを受けようということになると、それはそこで支払いが発生することになります。そのように、高齢者の負担が極めて重くなってきているということについて、部長はどのようにお考えでしょうか。
◎岡島 地域包括ケア推進担当部長 委員がご指摘のとおり、さまざまな制度を利用し、それぞれに自己負担をお支払いいただくということは、非常に負担が重いというふうに私どもも認識しております。
ただ、現在の仕組みにおきましては、やはり、制度が個別に立てられておりまして、それぞれの制度に応じて自己負担をしていただくことになりますので、今は、その合計額が一定の自己負担額を超えたときに払い戻しを受けるという制度の範囲で運用していかざるを得ないというふうに考えております。
◆村上ひとし 委員 直接、入院、治療していた病院から往診や訪問看護を受ければその医療費をまとめて支払うことができる場合があり、したがって、負担する医療費は少なくて済むわけであります。しかし、実際には、24時間365日で対応してくれる病院はほとんど少ないのが実態であります。そもそも、病院が行う、あるいは行っている訪問看護というのは、在宅へ向けた試験的な運用、あるいは、地域と連携を目指したもので、恒常的にいろいろなお年寄りを受け入れてサービスを提供していくものではないのが実態です。その結果、訪問診療と訪問看護ステーションの2カ所でそれぞれ支払いが発生することになるわけです。このほかに、先ほども申し上げましたが、調剤薬局も相当な負担があります。介護保険の在宅サービスなどの費用負担も加わり、在宅療養を続ける上で耐えがたい負担となります。市民が安心して在宅療養を継続し、自宅でみとるために、重い費用負担の軽減策は札幌市にとっても急がれる課題であります。
そこで、質問でありますが、本人からの委任によって事業者が保険給付を受領する、いわゆる受領委任払い制度の導入は検討できないのかどうかという点についてお伺いいたします。
◎岡島 地域包括ケア推進担当部長 受領委任払い制度の導入についてでございます。
在宅で重度の方が介護保険サービスを利用する場合におきましては、一般的に複数の事業者のさまざまなサービスを利用しており、それぞれの事業者に対して利用料をお支払いいただきますので、自己負担額の上限額管理が難しいということから、現時点では受領委任払いの制度の導入は大変難しいというふうに考えているところでございます。
◆村上ひとし 委員 以前の介護保険では、福祉用具の購入費あるいは住宅改修費というのは、一旦、利用者が費用を全額負担して、後で区役所に9割分を請求する、いわゆる償還払い方式をとっておりまして、受領委任払い制度というのは介護保険では全く使えなかった制度でした。介護保険制度の中では、最大20万円まで使って、家の中に手すりをつけたり、あるいは段差を解消するなどの住宅改修ができることになっておりますけれども、これは、高齢者が在宅で安心・安全に暮らしていく上では非常に重要な制度であります。しかし、必要とされる福祉用具の購入や住宅改修を
ケアマネジャーから勧められても、一旦、費用を全額払わなければならず、経済的な問題から住宅改修などになかなか踏み切れないという実態がありました。ですから、制度はあっても、年金暮らしなどのいわゆる所得の少ない高齢者には利用できないこともあったようです。
私は、この問題について、2009年から議会で何度も取り上げまして、3年くらいかかったでしょうか、ようやく介護保険制度を利用した福祉用具の購入あるいは住宅改修に受領委任払い制度を利用できるようになりました。従来は20万円かかったものが、最初に2万円を払うことで住宅改修をできるようになり、利用者も利用額も飛躍的にふえてきました。また、地域の
ケアマネジャーなどからも、経済的な心配をすることなく、
介護サービス利用者に対して必要な住宅改修などを勧めることができるようになったと大変喜ばれております。
岡島部長から、現時点では受領委任払い制度の導入は困難だというお話がありました。確かに、介護事業所の数も非常に多いし、
サービス提供も多岐にわたるので、制度の導入には難しさがあると思います。しかし、札幌市民の高齢者の8割が今住んでいる地域に住み続けることを願い、体が弱ったとしても在宅生活を希望する割合が約6割、そして、5割近くの高齢者は自宅で最期を迎えたいという希望を持っているわけであります。
最後に、岸副市長にお伺いしたいと思います。
私は、介護保険を使った福祉用具や住宅改修に受領委任払いを導入すべきだと議会で求めたときに、最初は、保健福祉局の皆さんは、やはり、システム改修の問題で少し混乱があるとか、制度の導入は難しいというふうに言いました。しかし、さまざまな工夫と努力をしていただいた結果、制度が導入され、そして、経済的な負担も軽減され、今では高齢者の在宅生活を支える上で大いに喜ばれて利用されております。
人生最期となる終末期に、経済的な負担が重くて、必要な
介護サービスを減らして、みとりも断念しなければならないというのは、余りにも悲しい問題であります。現時点では、さまざまな観点で難しいということもあろうかと思います。しかし、高齢者の負担軽減を図る努力をすることは、札幌市に求められている大変大きなテーマの一つだと思います。副市長は、その辺をどのようにお考えでしょうか。
◎岸 副市長 介護保険等のサービスを受けた利用者に対する受領委任払い制度の導入ということでございます。
ただいま岡島部長から答弁させていただいたとおり、現状においては、さまざまな事業者からサービスを受けている中で、個人に着目して名寄せをしてサービスの総額を把握し、その上でそれを受領委任払いにしていくというのは技術的にクリアすべき課題が非常に多いのかなと、今の議論を聞きながら私も感じたところでございます。また、住宅改修等については、恐らくは、1度の
サービス提供ということで、比較的、制度を導入しやすかった部分があるのかなと思います。
今申し上げたとおり、クリアすべき課題がなかなか多くて、現状においては難しいとお答えをさせていただいております。ただ、人生を閉じる最期の部分において、経費の負担について困難を感じている現状があるということは認識いたしますので、札幌市単独ではなかなか難しい部分もあろうとは思いますが、引き続き、そういうことについての研究は続けていきたいというふうに思います。
◆村上ひとし 委員 高齢化の時代と言われて、高齢者がふえるからこそ、高齢者の負担をどうやって減らしていくのか、高齢化にふさわしい対応、対策をぜひ進めていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
○
佐々木みつこ 委員長 以上で、第3項
老人福祉費及び
介護保険会計決算等の質疑を終了いたします。
次に、国民健康保険会計決算及び第11款 諸支出金 第2項 他
会計繰出金中関係分について、一括して質疑を行います。
◆平岡大介 委員 私からは、国民健康保険制度の都道府県化について、大きく2点質問させていただきたいと思います。
国民健康保険制度については、2018年度から、都道府県が財政運営の責任主体となる、いわゆる広域化、都道府県化が始まるところです。本来、誰でも、どこでも、いつでも安心して医療を受けることができること、そして、支払い可能な保険料である、こういった皆保険制度の充実こそが求められております。それが、都道府県化することによって、例えば、各市町村の国保行政を採点されて交付金に差をつけられたり、一般会計からの繰り入れで保険料の高騰を抑えてきた自治体で、この繰り入れが禁じられ、国保料が引き上げられるといった問題が全国で起きるのではないかと懸念しているところです。国保の都道府県化というのは、この間の医療費適正化計画や地域医療構想とあわせて、都道府県を司令塔としてさらなる給付費削減を推進しようとするものであるということを初めに指摘させていただきます。
質問に入ります。
保険料について、これまで、市町村が個別に医療給付費を推計し、必要となる保険料負担額を決定してきました。今後は、道が定める納付金を納めるために保険料を賦課、徴収することになります。つまり、道が定めてくる納付金額が本市の平均保険料決定に大きな影響を与えるということであります。この間、北海道から納付金の仮算定が示されてきていますが、改めて、ことし8月、2017年度の予算推計により第3回の仮算定が行われ、個々の市町村ごとに納付金の額や標準保険料率が示されたところであります。
そこで、伺いますけれども、第3回の仮算定で示された本市の試算結果をもとに保険料を算定すると、今年度の保険料と比べて今後はどういうふうになっていくのか、伺います。
◎富樫 保険医療部長 国保の都道府県単位化後の保険料に関しまして、まず、北海道の第3回目の仮算定結果をもとに算定した保険料についてでございます。
札幌市では、医療分、支援金分の1世帯当たりの平均保険料を、一般会計からの法定外繰り入れによりまして、例年、15万1,543円に据え置いているところでございますが、今回、北海道から示されました第3回目の納付金仮算定結果をもとに保険料を算定しますと、この法定外繰り入れを行わなくても、1世帯当たりの平均保険料は現行より年間で約7,000円下がる見込みとなってございます。
ただし、これは、あくまで仮算定によるものでございますから、今後、北海道が行います納付金の本算定結果によりましては、納付金の額が若干変動することが予想されるところでございます。
◆平岡大介 委員 あくまで仮算定でありますけれども、法定外繰り入れを行わなくても1世帯で約7,000円下がるという答弁でありました。
9月19日に札幌市国民健康保険運営協議会が開催され、議案として、国保都道府県単位化後の保険料のあり方について審議されたところであります。この運営協議会において、審議の結果、2018年度は道の示した納付金をもとに保険料を算定することとし、保険料軽減のための法定外繰り入れは行わない、ただし、保険料が大きく変動した場合には、保険料軽減対策のための法定外繰り入れなどを検討するといった方向性が示されたとのことであります。しかし、道が策定した国民健康保険運営方針では、決算補填等が目的の法定外繰り入れは、保険者が対象を削減すべき赤字としています。つまり、簡単に言えば、保険料の軽減対策や補填を目的とした一般会計からの法定外繰り入れはやめましょうと言っているわけです。
そこで、伺いますけれども、法定外繰り入れを行うことは、こうした道の運営方針に反することともなります。保険料が大きく変動する、つまり、大幅に高くなることがあれば、本市独自の判断によって保険料軽減のための法定外繰り入れを行うという理解でよろしいでしょうか。
◎富樫 保険医療部長 保険料軽減のための法定外繰り入れについででございます。
法定外繰り入れを行うかどうかにつきましては、最終的には市町村が判断することになります。札幌市では、これまで、加入者の保険料の負担感というものが非常に強いという認識を示してきたところでございます。今回の仮算定結果におきましては、一般会計からの法定外繰り入れを行わなくても1世帯当たりの平均保険料は下がる見込みとなってございますけれども、将来的に、納付金の額が上がり、保険料が大きく変動することも考えられますので、そういった場合には、保険料軽減対策のための法定外繰り入れを行うなど、何らかの対応を検討する必要もあると考えているところでございます。