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  1. 新宿区議会 2000-03-01
    02月29日-02号


    取得元: 新宿区議会公式サイト
    最終取得日: 2021-08-13
    平成12年  3月 定例会(第1回)       平成十二年第一回定例会会議録(第二日)第二号平成十二年二月二十九日(火曜日)出席議員(四十四名)     一番  くまがい澄子      二番  赤羽つや子     三番  鈴木幸枝        四番  小松政子     五番  麻生輝久        六番  のづたけし     七番  松川きみひろ      八番  上 秀夫     九番  志田雄一郎       十番  かわで昭彦    十一番  猪爪まさみ      十二番  佐原たけし    十三番  小畑通夫       十四番  とよしま正雄    十五番  そめたに正明     十六番  山添 巖    十七番  宮坂俊文       十八番  桑原公平    十九番  中村よしひこ     二十番  かわの達男   二十一番  山田敏行      二十二番  えのき秀隆   二十三番  小野きみ子     二十四番  久保合介   二十五番  羽深真二      二十六番  野口ふみあき   二十七番  やはぎ秀雄     二十八番  権並 勇   二十九番  小沢弘太郎      三十番  長森孝吉   三十一番  小倉喜文      三十二番  内田幸次   三十三番  あざみ民栄     三十四番  阿部早苗   三十五番  近藤なつ子     三十六番  沢田あゆみ   三十七番  秋田ひろし     三十八番  下村得治   三十九番  新井康文       四十番  田中のりひで   四十一番  笠井つや子     四十二番  雨宮武彦   四十三番  佐藤文則      四十四番  松ヶ谷まさお---------------------------------------欠席議員(なし)---------------------------------------説明のため出席した者の職氏名   区長       小野田 隆     助役       高橋和雄   収入役      吉野道雄      企画部長     戸上進吾   総務部長     山崎輝雄      区民部長     中野 勇   福祉部長     永木秀人      衛生部長     田中 秀   環境土木部長   荒木 繁      都市計画部長   福島七郎   企画課長     武井幹雄      予算課長     野口則行   総務課長     早川 順      教育委員会教育長 森岡泰弘   教育委員会              選挙管理委員会            愛宕昌和               藤田紀代志   事務局次長              事務局長   常勤監査委員   山田外彦      監査事務局長   佐藤三男---------------------------------------職務のため出席した議会事務局職員   局長       須磨洋次郎     次長       伊藤憲夫   議事係長     大川芳久      議事主査     新井はる子   議事主査     畠中 茂      議事主査     広瀬孝治   議事主査     菅波裕子      議事主査     久保 昇   調査係長     谷部とき子     書記       島田ちはる   書記       金子政己---------------------------------------   速記士      八木下厚子  -----------------------------   二月二十九日 議事日程日程第一   第五号議案   新宿区議会議員の報酬の特例に関する条例日程第二   第六号議案   東京都新宿区長等の給料の特例に関する条例の一部を改正する条例日程第三   第七号議案   新宿区条例の題名等を統一する条例日程第四   第八号議案   東京都新宿区行政手続条例の一部を改正する条例日程第五   第九号議案   新宿区一般事務手数料条例日程第六   第十号議案   東京都新宿区組織条例の一部を改正する条例日程第七   第十一号議案  東京都新宿区職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例日程第八   第十二号議案  東京都新宿区職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例日程第九   第十三号議案  外国の地方公共団体の機関等に派遣される職員の処遇等に関する条例の一部を改正する条例日程第十   第十四号議案  東京都新宿区職員の職務に専念する義務の特例に関する条例の一部を改正する条例日程第十一  第十五号議案  東京都新宿区職員の服務の宣誓に関する条例の一部を改正する条例日程第十二  第十六号議案  職員団体のための職員の行為の制限の特例に関する条例の一部を改正する条例日程第十三  第十七号議案  東京都新宿区職員定数条例の一部を改正する条例日程第十四  第十八号議案  東京都新宿区職員の給与に関する条例の一部を改正する条例日程第十五  第十九号議案  東京都新宿区職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例日程第十六  第二十号議案  東京都新宿区職員の旅費に関する条例の一部を改正する条例日程第十七  第二十一号議案 東京都新宿区防災会議条例の一部を改正する条例日程第十八  第二十二号議案 東京都新宿区立区民センター条例の一部を改正する条例日程第十九  第二十三号議案 東京都新宿区立新宿文化センター条例の一部を改正する条例日程第二十  第二十四号議案 東京都新宿区立区民健康村条例の一部を改正する条例日程第二十一 第二十五号議案 東京都新宿区立区民保養所条例の一部を改正する条例日程第二十二 第二十六号議案 東京都新宿区印鑑条例の一部を改正する条例日程第二十三 第二十七号議案 新宿区戸籍事務手数料条例日程第二十四 第二十八号議案 東京都新宿区特別区税条例の一部を改正する条例日程第二十五 第二十九号議案 東京都新宿区国民健康保険条例の一部を改正する条例日程第二十六 第三十号議案  東京都新宿区立勤労福祉会館条例の一部を改正する条例日程第二十七 第七十二号議案 負担付贈与の受贈について日程第二十八 第三十一号議案 東京都新宿区の福祉地区及び福祉に関する事務所設置条例の一部を改正する条例日程第二十九 第三十二号議案 東京都新宿区立区民福祉会館条例を廃止する条例日程第三十  第三十三号議案 東京都新宿区立児童館条例の一部を改正する条例日程第三十一 第三十四号議案 東京都新宿区立ことぶき館条例の一部を改正する条例日程第三十二 第三十五号議案 新宿区学童クラブ条例日程第三十三 第三十六号議案 東京都新宿区立高齢者いこいの家条例の一部を改正する条例日程第三十四 第三十七号議案 東京都新宿区女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例日程第三十五 第三十八号議案 東京都新宿区敬老金支給に関する条例を廃止する条例日程第三十六 第三十九号議案 新宿区介護保険条例日程第三十七 第四十号議案  新宿区介護保険高額サービス費等資金貸付基金条例日程第三十八 第四十一号議案 新宿区介護給付準備基金条例日程第三十九 第四十二号議案 新宿区介護保険円滑導入基金条例日程第四十  第四十三号議案 東京都新宿区立高齢者福祉センター条例を廃止する条例日程第四十一 第四十四号議案 新宿区立高齢者在宅サービスセンター条例日程第四十二 第四十五号議案 新宿区立特別養護老人ホーム条例日程第四十三 第四十六号議案 新宿区立小滝橋いきがい館条例日程第四十四 第四十七号議案 新宿区保健衛生事務手数料条例日程第四十五 第四十八号議案 東京都新宿区プールの衛生管理に関する条例の一部を改正する条例日程第四十六 第四十九号議案 東京都新宿区興行場法施行条例の一部を改正する条例日程第四十七 第五十号議案  東京都新宿区化製場等に関する法律施行条例の一部を改正する条例日程第四十八 第五十一号議案 東京都新宿区立区民健康センター条例の一部を改正する条例日程第四十九 第五十二号議案 新宿区環境土木・都市計画事務手数料条例日程第五十  第五十三号議案 東京都新宿区沿道区域指定の基準に関する条例の一部を改正する条例日程第五十一 第五十四号議案 東京都新宿区立リサイクル活動センター条例の一部を改正する条例日程第五十二 第五十五号議案 東京都新宿区都市計画審議会条例の一部を改正する条例日程第五十三 第五十六号議案 東京都新宿区中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例の一部を改正する条例日程第五十四 第五十七号議案 若葉・須賀町地区地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正する条例日程第五十五 第五十八号議案 若葉地区再開発地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正する条例日程第五十六 第五十九号議案 東京都新宿区定住化基金条例の一部を改正する条例日程第五十七 第七十三号議案 特別区道の路線の廃止及び認定について日程第五十八 第六十号議案  新宿区幼稚園教育職員の給与に関する条例日程第五十九 第六十一号議案 新宿区幼稚園教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例日程第六十  第六十二号議案 新宿区幼稚園教育職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例日程第六十一 第六十三号議案 東京都新宿区立幼稚園入園料及び保育料条例の一部を改正する条例日程第六十二 第六十四号議案 東京都新宿区立学校校外施設設置条例の一部を改正する条例日程第六十三 第六十五号議案 東京都新宿区立社会教育会館条例の一部を改正する条例日程第六十四 第六十六号議案 東京都新宿区立区民ギャラリー条例の一部を改正する条例日程第六十五 第六十七号議案 東京都新宿区立総合体育館条例の一部を改正する条例日程第六十六 第六十八号議案 東京都新宿区立大久保スポーツプラザ条例の一部を改正する条例日程第六十七 第六十九号議案 東京都新宿区立公園内体育施設の管理運営に関する条例の一部を改正する条例日程第六十八 第七十号議案  東京都新宿区立新宿歴史博物館条例の一部を改正する条例日程第六十九 第七十一号議案 東京都新宿区立林芙美子記念館条例の一部を改正する条例日程第七十  第七十四号議案 平成十一年度東京都新宿区一般会計補正予算(第五号)日程第七十一 第七十五号議案 平成十一年度東京都新宿区国民健康保険特別会計補正予算(第一号)日程第七十二 第七十六号議案 平成十一年度東京都新宿区老人保健特別会計補正予算(第一号)日程第七十三  第一号議案  平成十二年度新宿区一般会計予算日程第七十四  第二号議案  平成十二年度新宿区国民健康保険特別会計予算日程第七十五  第三号議案  平成十二年度新宿区老人保健特別会計予算日程第七十六  第四号議案  平成十二年度新宿区介護保険特別会計予算  ----------------------------- △開議 午後二時四分 ○議長(小沢弘太郎) ただいまから本日の会議を開きます。 会議録署名議員は、  十五番 そめたに正明君  三十八番 下村得治君を指名します。  ----------------------------- ○議長(小沢弘太郎) 本日の会議時間は、議事進行の都合によりあらかじめ延長します。  ----------------------------- ○議長(小沢弘太郎) 区の一般事務、教育委員会の事務、選挙管理委員会の事務及び監査委員の事務について質問の通告を受けましたので、順に質問を許します。 最初に、二十四番久保合介君。   〔二十四番久保合介君登壇、拍手〕 ◆二十四番(久保合介) 本年は、日本人にとってその前半が三つの戦争に、全くの後半が日本国憲法第二章が希求した平和の日々に過ぎた二十世紀最後の年であります。 私は、その平成十二年第一回定例会トップの一般質問を、民主・無所属クラブを代表して、区長並びに自治法第百八十条の五にある委員会と委員に対していたします。本日は四百年に一度のうるう年の二月二十九日、この記念すべき日にふさわしい魅力ある御答弁を切に期待するものであります。 冒頭に明らかにしておきますが、俗に「金がなければ知恵を出せ」と言われます。区の憲法である基本構想とその具体化である基本計画を受けて、昨年九月に出された「区政改革プラン」は、区長以下全管理職と新宿区職員のこれしかないという「知恵と汗の結晶」と評価し、私ども会派は、そこに盛られた苦渋の思いの事業縮小と住民への協力要請を基本的に支持いたします。 さきに小野田区長が言われた、バブル崩壊の前後から今日に至る「失われた十年」を一日も早く取り戻すのは、政治と私ども政治家の仕事であり使命であります。 バブル期の政治責任と放漫経営の企業責任が全く問われないままに、ツケだけが自治体と国民と社員に回され、財政難と住民負担とリストラの嵐が、ますます過酷に吹き荒れている最悪の政治と経済と社会の日本であります。 昨年の高校卒の未就職者は七万人を超え、戦前に比べて、十歳から十五歳は身体的に若いといわれる六十歳定年者の再就職はゼロに近い状況です。働きたくても、働かなければならないのに、職がないほど人間にとって惨めでせつないことはありません。 現に、「生活・経済問題」の自殺者は、前年の七〇%増の約六千人で、その大半が四十代、五十代の男性であります。負債や事業不振、倒産、生活苦や失業、就職難といった「失われた十年」のツケは余りにも深刻であり、残された家族のこれからの人生に思いをはせるとき、その深刻さは言語に絶するものがあります。今こそ政治と政治家が死に物狂いになって使命を果たすときだということは、この会議場にいらっしゃる皆さんすべての思いだと存じます。 ところで、先日のある会合に小渕恵三総理大臣が見えられ、参会者を笑わせていました。「えー、私が学生のころは弁論部でよく模擬国会をやったもんだが、現職の国会議員が、つまり本物の本物が模擬国会をやるなどということは前代未聞で、これにはあいた口がふさがらなかったのでありまして」とやったのであります。 次にマイクを握った渡部恒三衆議院副議長が、すかさず、「私が自民党の国会対策委員長をしていたとき、時の竹下総理にこんこんと諭されたことがありまして、それは君の唯一の仕事は、徹頭徹尾野党の立場を考えて対処することだよ。そうすれば憲政の常道は守られるのだからというものでした。しかも、そのときは自民党単独で過半数を持っているときで、同じ自民党でも総理が違うとこうも違うものかと、私もあいた口がふさがらないのでありまして」とやって、またまた参会者を笑わせたのであります。 このエピソードに象徴される日本の国会は、今や迷走飛行の状況を呈しております。今のところはハードランディングしていますが、飛び立てば、また迷走飛行の心配が尽きないありさまです。 しかも、その国政は、借金に対する感覚ゼロ、民主主義についての感性ゼロといっても過言ではないのであります。赤ちゃんからおじいちゃんまで、国民一人当たりの借金額が五百万円にもなるという、先進国中、この国債発行額が国の純税収額を上回る国は皆無であります。十年、二十年、そして三十年後に、この日本の国をいやでも背負わなければならない若者や子供や孫たちの人生を何と考えているのでしょうか。 さらには、三年半前、政策で真っ向から勝負し、政権交代を実現すると唱えた新進党にくみした二大勢力が与党に参画し、国民の思想信条と権利義務、そして生活にかかわる重要な法案を、十分な審議と国民の意向をないがしろにして、現時点での数の力で次々と押し通してしまう、まさに「ファッショ的政治」がまかり通っています。   〔「そうだ」と呼ぶ者あり〕 これでは国会の崩壊と言われ、国政の危機と言われてもやむを得ません。今や日本を救うのは、まだまだ十分とは思いませんが、それなりに地方分権を前進させた地方自治体と住民の力しかないと言っても過言ではありません。 ちなみに、自治体の恒常的な財源確保のために、「銀行課税」を打ち出した石原慎太郎東京都知事と、住民の反対を代表して、芦浜原発計画を断念させた北川正恭三重県知事の勇気ある決断に、それがあらわれています。そしてまた、住民投票で建設反対派が圧勝をもたらした、徳島県吉野川の可動堰建設是非での住民パワーにそれが見られます。 このことを一昨日の朝日新聞社説が的確に言いあらわしております。「久しぶりに政治が存在感を示した、そんな思いを抱いた人が多かったのではないか。大銀行への外形標準課税や独自のディーゼル車規制を打ち出した石原慎太郎東京都知事と、原子力発電所計画をとめた北川正恭三重県知事。掲げたテーマは異なっていても、二人の決断がこれほど全国の注目を集めたのは、そこに政治のリーダーシップの発揮を見たからに違いない。都政や県政の責任者としてなすべきことをしたにすぎないのに、驚きをもって受けとめられた。裏返せば、永田町を中心とした既存の政治が、いかに国民に閉塞感や幻滅を与えているかを示すものだ。衝撃が一過性のものに終わらず、もっと広がりを見せれば、日本の政治全体の地殻変動にも結びつくだろう。四月には地方分権一括法が施行され、形の上では国と自治体は対等の関係に立つ。法律や条例をめぐって自治体が国と正面から争う仕組みもできる。永田町の眠りを覚ます首長がどんどん出てくることを期待したい」と結んでいます。 私は、以上の認識と立場に立って、これより具体的な質問に入ります。 最初に、新宿「レファレンダム」、つまり住民投票の必要について伺います。 区長が掲げる「開かれた区政」実現には、住民の確たる合意と区政への直接的な住民参加が何よりも必要であります。 間接民主主義の議会主義制度を補強するために、二十世紀になって発展してきた直接参加の制度に、住民発案と呼ばれるイニシアチブ、公職者の解職を請求するリコール、そしてレファレンダム(住民投票)があります。住民が直接投票を行って、提案された事項の可否を決する直接民主主義制の方式であります。我が国の憲法改正のための手続として行われる国民投票がこれに当たるわけです。 先年、私は、アメリカのロサンゼルス州レイクウッド市の行政をつぶさに見学し、勉強してまいりました。この中にもたくさん御一緒された議員がいますが、そこでは、市議会の模様が週二回、同じ内容で、時間を変えて市民の茶の間のテレビで放映され、完璧なまでに議会活動がガラス張りになっていました。そして、何よりもすばらしいのは、すべての一般選挙の際に、同時に市の重要な施策の是非が市民の投票に付されることでした。これこそ真の民主主義だ、文字どおりの住民自治だと目の覚める思いでした。これが地球人種のるつぼともいえるアメリカの強さと、底知れないエネルギーの根源なのだと感じました。 昨年二月に出された「新宿区開かれた区政推進計画」改訂版は、住民参加の基本的認識と題して、レファレンダム新宿版の立ち上げが、これからの行政課題であることを認識して、次のように述べています。 すなわち、住民が地方自治の運営に主体的に参加する権利を保障する「住民自治」こそ、地方自治の最も「本質的な要素」だ。そして、情報公開の制度化の普及進展を契機とした住民意識の向上は「主権者」、「納税者」としての立場からの積極的な参加志向を高めており、時代の要請に応じた対応が不可欠となっている。そのために、「まず行政の側から従来の姿勢を大きく転換し、住民自身が地域行政の主体者としての役割を担えるよう条件整備を進めていくことが、これからの新宿区の行政課題である。」そのためには、「行政は自ら従来の殻を破っていく必要がある。」そして最後に、しかも明確に、「そのためには、現行の代表民主主義の制度を補完する中で、新たな役割を探っていく必要がある。」繰り返します。「現行の代表民主主義の制度を補完する中で、新たな役割を探っていく必要がある」と述べています。 そこで提案ですが、区民の権利義務、生命財産、そして区の将来にかかわる重大事項に関する新宿「レファレンダム」条例を早急に制定すべきと存じますが、いかがでしょうか。 例えば、まず第一に、区民投票にかけるべき議案を選定する有識者と区民の委員会設置です。 第二に、議会に上記委員会決定を審査・決定する特別委員会を設置することです。 そして第三に、区長は第一の委員会の選定と第二の特別委員会の審査に対し勧告権を持ち、最終的な決定権を持つこと。 そして最後に、この住民投票は国会議員・都知事・都議会議員・区長・区議会議員の選挙の際に同時に行うこと。以上であります。 質問の第二は、新宿区基本構想についてであります。 区の財政難は、とりもなおさず区民の懐も苦しいことを物語っています。当然区民の要望は大きくなるわけで、区長にとって施策の選択は頭の痛いところと存じます。 「困ったときほど原点に帰れ」と言います。つまり、新宿区の憲法ともいうべき基本構想に立ち戻り、そこから出発することであります。言うまでもなく、区長は、構想とそれを具体化した基本計画を財政的に見直し、開かれた区政推進計画、区政改革プラン、そして二十四日の本年度基本方針を打ち出してこられたものと存じます。しかし、構想でうたった重要施策で見離してはいけないと思われる課題を数点取り上げ、今すぐには無理でも、近い将来取り組むべきとして、区長の御意向をただしたいのであります。 区長は、「構想」の冒頭で、「構想が示す新宿像は、区民の皆様を初め新宿区で働き、学び、集う多くの人々とパートナーシップに基づく協同のまちづくりを進めていく中で、初めて実現できるものであります」と述べられております。 さらには、こうも述べています。「二十一世紀の新宿区、それは新宿に住み、働き、学び、訪れる人々が、ともに生き、集い、連帯し、新しい生活と文化を築いていくまちです」と。それなのに、この「新宿区で働き、学び、集う多くの人々」への施策に見るべきものがありません。確かに、極度の財政難のもとで、新宿区に住む一人一人の生活向上を図ることで精いっぱいだといわれるかもしれません。しかし、首都のおひざ元である自治体、それはとりもなおさず、日本の中心に位置する自治体である新宿区で、「協同のまちづくりのパートナー」に喜んでもらう施策が、幾ら苦しくても、一つや二つあってもよいのではないでしょうか。それが全国に向かっての新宿区の矜持でありましょう。都区財調で、都庁舎の地代と家賃代がわりに、この施策経費として財源を認めさせても損はないと、私は思います。 これは、教育委員会への質問になりますが、せめて生涯学習の諸事業や文化活動の事業に、区民以外のこういう人々が多数参加できる企画や広報に心がけていただきたいと存じますが、いかがでしょうか。これがこの項の一番目の質問です。 次は、外国人問題であります。 構想は、「外国人を地域社会の一員として受けとめ、地域における外国人との交流や異文化理解の促進を初めとした国際交流等を通じて、国際社会に開かれた地域社会の形成を図ります」とうたっていますが、平成十二年度事業では、外国人のための情報提供と相談機能の充実しかありません。本区は、居住外国人数日本一の自治体であります。本来なら、率先して外国人施策を展開してしかるべきであります。せめて、川崎市にあるような「外国人市民会議」を設置し、その提言を受けて施策の充実を図られたらいかがでしょうか。 この項の三番目は、定住促進問題であります。 区長は、同じく構想の冒頭で、「この新しい構想では、新宿区に住む区民一人一人の生活環境の向上を図ることが、より多くの人々に新宿区に住んでいただくことにつながるとの視点から、二十一世紀を視野に入れた区の進むべきまちづくりの指針を明らかにしております」と述べていて、次の序章でも、その次の第一章でも、定住促進が、新宿区のいまだに最大課題であることを訴えております。全く正しい。なぜなら、都市とは人が集まり居住者がふえることに存在価値の大きな一つがあるからです。その意味で、ここ二年わずかに人口増があったからといって気を許すべきでなく、定住促進に全力を挙げるべきです。 したがって、「つなぎ資金」としての定住化基金の取り崩しには、慎重の上慎重であってほしいと要望いたします。この点、区長の御意向をお聞かせいただきたいと存じます。 定住問題での二つ目は、「新宿区の住宅及び住環境に関する基本条例」第十四条の問題であります。 すなわち、第十四条「区長は高齢、障害、乳幼児、児童、国籍等による居住の差別を解消するように努めるものとする」という、全国で画期的とうわさされている条項ですが それだけに、この条項を担保する施策を一日も早く実施してほしいのであります。 川崎市では、さきに紹介した「外国人市民代表者会議」の提言を受けて、本年四月より、外国人や高齢者、障害者などが民間賃貸住宅入居に際して制約を受けないようにするため、公的保証人機構をスタートさせます。この機構の詳細については、この際省略いたします。 外国人がアパートなどに入居する際、これまで大家、不動産業者は、万一のトラブルを恐れて門前払いにするか、日本人の保証人を要求するのが一般的でした。これに対し、公的保証人機構とは、行政が保証会社と協力した新しい入居保証システムで、日本人の保証人が見つからない外国人のためには、制度そのものが保証人の役割を担うものです。 川崎市では、本年度より三年間で六千万円の予算を組み、万一保証会社の損失補償が上限を上回った際の補てんに備えています。このシステムを利用した入居者に対しては、病気・事故などの入居後のトラブルについても、市と住宅供給公社が、賃貸人・協力不動産店からの連絡に応じて支援に当たります。外国人だけではなく、高齢者・障害者・片親家庭などの多くの人々が助かる、この入居差別是正への公的システムを、区の「住宅及び住環境に関する基本条例」を改正することで実施することを検討されるように望みます。 この項の四番目は、「寝たきりゼロ」の対策であります。 区長は、構想で「生涯を通じた心と体の健康づくり」と題して、こう述べておられます。「ライフステージに対応した健康増進活動の充実とともに、医療機関との連携により、生涯を通じた健康づくりを推進し、「寝たきりゼロ」を目指します。さらに「社会参加と生きがいづくり」と題して、高齢者や障害を持つ人が生きがいを持ち、多くの分野において、能動的かつ自立的な社会参加や就労ができるような環境づくりを進めます」と述べています。 この「寝たきりゼロ」を目指す最大の施策が、「能動的かつ自立的な社会参加や就労ができる環境づくり」の事業であります。しかるに、介護保険制度のもとで、保険料と一割負担、そして各種サービスの縮小、特に送迎サービスの廃止等が「能動的かつ自立的な社会参加や就労」を阻んでいます。 また、公共交通の地下鉄化がそれにさお差しています。事実、本年十月から十二月に開通する大江戸線の地上道路である大久保通りの都バスは、確実に廃止されます。それを機会に、次々とバスが姿を消していくことは火を見るより明らかなことであります。これまでも機会あるごとに訴えてきたように、地下鉄はこの人たちの乗り物では決してありません。 さらに言えば、この大久保通りと外堀通りは、社会保険中央総合病院、国立病院医療センター、東京女子医大病院、東京厚生年金病院、順天堂病院、そして東京医科歯科大学病院と、まさに大病院通りで、路線バスは欠かすことのできない高齢者の足なのであります。 私はこれまで五年間、事あるごとに新宿コミュニティバス、もしくは福祉バスの準備の検討を訴えてまいりました。区議会でも、その陳情は二年前に満場一致で採択されています。 この間、全国の自治体で、それぞれ特色のあるバスがどんどん走り出しております。現に杉並区では、悲願の「南北バス」の発車経費を新年度予算に計上し、区民の期待にこたえています。どこの自治体でも、さまざまなネックを必死に乗り越えて実施に踏み切っているのです。 新宿区基本構想が目指す「寝たきりゼロ」に大きく貢献するコミュニティバスもしくは福祉バスの実施を、路線バス廃止に目標を定めて行うよう強く要望いたします。 以上で基本構想関連の質問は終わります。 第三の質問は、「区政の基本方針説明」にかかわる問題であります。 その第一は、財源確保に関するものであります。 区長は、冒頭から「厳しい財政状況克服のためには、ありとあらゆる手段を尽くす」と言われました。ちなみに石原都知事は、大手金融機関に外形標準課税を導入して一千百億円、自動車税の滞納一掃作戦で二年間で百億円、都バスの車体広告を全面に広げることで三億円の増収と、まさに区長が言われるように、ありとあらゆる手段を尽くしています。自治体の長のあるべき姿です。 そこで伺います。 都知事は、「地方税源の充実は先送りされ、外形標準税の導入も見送られた。そこで、課税自主権の行使を都が先導的に果たすことしか道はない。したがって、国政の本質を変える最初の引き金を東京都から引くのだ」との決意のほどを、都議会での施政方針で表明しました。自治体が利潤ではなく事業規模に課税する外形標準課税は、都税である法人事業税の本来の姿なのであります。区長は、同じ自治体の長として「石原新税」をどう評価されていますか。まずお聞かせください。 これに関連しての二番目は、独自の新税検討に踏み出した杉並区、その山田宏区長が、「独自の税の新設は難しいが、自治体の政策が横並びの時代は過ぎた。半年程度でどのような税の創設が可能かどうか結論を出す」と、本会議で決意表明をしたところであります。さきの石原都知事が、「自治体が自らの責任で主体的な施策を展開する時代への確かな第一歩を踏み出したい」と述べた思いと、全く同じです。区長はどう考えられますか。この点お答えください。 この項の第二は、区長は「私はやはり、これまで多くの識者が指摘しておりますように、経済社会の構造改革を着実に進めていかない限り、日本の再生はないのではないか」と述べておられますが、この構造改革のことでありますが、全く同感なのであります。 私は、平成十年第一回定例会の代表質問で、自民党の新井將敬という前途有為の政治家が、インターネットに残した遺言ともいうべき言葉を引用して、このことを訴えました。すなわち、「冷戦後の世界は、自由民主主義という普遍的原理の勝利とされているが、自由民主主義というものについて、改めて問い直すという行為がなければ、結局、何となく「現状」を受け入れていくというムード以外の何物をももたらさないだろう。そして、その「現状」というものが、冷戦という歴史の一つの特殊な状況下における日本のあり方であったことを考えれば、歴史的現実の変化と現状の食い違いは徐々に拡大して、いずれはのっぴきならない「現実」が、現状という観念を打ち砕くことになるのが歴史の必然というものであろう。」以上ですが、これは日本の政治史に末長く残る言葉と思います。 まさに、新井將敬氏がその本質をえぐり出したとおりに、戦後の政治システムという「現状」が、世界の中の日本、二十一世紀の日本という「現実」との食い違いの亀裂をカバーし切れない、そして修復できないところに来てしまっていることは間違いありません。 そこで私は、このシステム打破の第一は、抜本的な地方分権の進展であり、第二は国民、つまり住民の政治参加であり、第三が首相公選の実現であると申し上げました。なぜなら、政治の構造改革こそが経済の構造改革を呼び起こし、社会の変革へとつながっていくと考えるからであります。区長が言われる日本の再生がそれにかかっている、先日の基本方針説明での「経済社会の構造改革」とは、一体何を言わんとされているのか、明確に、具体的にお教えください。 この項の三つ目は、中小企業対策であります。 「シャッター通り」と呼ばれる新語が生まれたほど、全国津々浦々の商店の閉店や企業倒産の続出は、目を覆いたくなる現状であります。第三次産業の町として発展してきた本区も、その例に漏れません。それだけに、区長の中小企業施策への気の入れようはただならぬものがあり、多大な評価を惜しみません。 片や東京都も、チャレンジマート事業や安き店舗、すなわち起業マッチングシステムのホームページ開設など、必死であります。ここにも「東京都商店街活性化事例集」とか「元気を出せ商店街事例集」と、全都の商店街の独創的な活動が紹介され、大変参考になります。 そこで、一つだけ、利用者から好評の「商店街宅配サービス事業」への支援について検討されないか、お伺いをいたします。これは高齢者世帯に対して必要な施策でもあります。 以上で基本方針説明については終わります。 第四番目の質問は、「新宿区開かれた区政推進計画」についてであります。 この推進計画は、一言で言えば、「区民から信頼される区政実現のために、施策・区政運営・組織運営・組織風土・職員意識の変革と、それを支える職員の熱意と能力の全面的な発揮を要求する計画書」であります。これを五年のところ、三年で主な課題をほぼ達成できたということは、いかに職員が歯を食いしばって頑張ってきたかのあらわれであります。ピーンと張った糸は切れるものです。頑張りに伴うストレスはいつかは爆発するものです。区長は、職員のこの頑張りを評価し、その労をねぎらう事業を何かなされましたか、お聞かせください。 第二に、私はこの推進計画は、自治体の運営と管理職・職員のあり方に関する「理想の書」だと評価しています。ですから、この計画には達成などなく、自治体の永遠の努力目標だと理解しています。その立場から、あえて横文字の字句を取り出して伺います。 その一つ、都におけるキャリア採用制度の導入、その二つ、ジョブ・ローテーションの導入、その三つ、マトリクス組織の採用、その四つ、区財政のリストラクチャリングに実効ある予算編成手法、区民が読んだら何のことかさっぱりわからないと思います。について、具体的にどのように達成されたのか、詳細にお聞かせください。 第三に、この推進計画そのものを、乱暴な言い方、考え方かもしれませんけれども、事務事業評価制度の対象とするのが、区長の真摯な姿勢と考えていますが、いかがでしょうか。 以上で推進計画の質問は終わります。 第五番目の質問は、女性施策として「きらめき21推進研究会」についてであります。 区長は、基本方針説明で、「経済などの発展に伴って、女性の社会的参加が広がってまいりました。このこと自体は、女性の多様な領域における「生」の可能性を拡大する道として望ましいことでありますが、社会の仕組みはまだそれに十分に対応し切れていない現状があります」と述べられておりました。そして驚きました。率直に言って、失礼な言い方をして恐縮ですが、戦前派と考えていた区長に、「社会の仕組みが十分に女性にこたえていない」という認識がおありとは、私は大変尊敬いたします。それだけに、新年度に策定される「男女平等推進計画」に期待が大であります。 ところで、福島県郡山市に「きらめき21推進計画」というものがあります。その目的は、二十一世紀を担う若手職員が自由な発想のもとで英知を結集し、創意と工夫をこらした実効性のある施策を研究し、その具現化を図るというものであります。具体的には、各部局から推薦された三十五歳までの職員十八名で構成され、六人一グループの三班編成で行っています。そのうち一グループは女性だけの班であり、女性ならではの調査・研究が期待されていて、昨年までに二件の提言が市政に反映されているそうであります。さまざまな職種の職員が集まることにより、自分の仕事の枠を超えた提言に魅力があり、本区の「開かれた区政推進計画」が意図する「企画立案制度」の考え方と全く同じです。 そこで、この際、女性職員だけの企画立案グループを編成し、「男女平等推進計画」の実施、これから策定されるそうですが、この「男女平等推進計画」の実施計画への提言を求めたらいかがでしょうか。「それはいい提案だ、早速やりましょう」との御答弁を期待いたします。 次に、本区の女性施策の基本は、まさしく「新宿区基本計画」の男女共同参画社会の構築の項に集約されています。そこに掲げられた六つの事業に、この財政難にもかかわらず、それなりの予算が新年度に計上されていることに、改めて敬意を表します。 そこで、二点だけお伺いいたします。 その一つは、基本計画の資料によれば「家事の分担は常に半分ずつ」というのが、共働き夫婦の女性五一・一%の意向であるのに対し、「家事を引き受けるつもりはさらさらない」というのが、共働き夫婦の男性五一・五%。調査時から三年経過した現在も大して変わらないと思います。家庭生活における男女共同の意識啓発事業に最大の予算をつけ、最重視している本区として、この大きなギャップをどう埋めようとしているのか、お聞かせください。映画と講演の集いを一回、「新宿フォーラム」を五千部発行するだけで成果が上がるような生やさしい課題ではありません。 もう一つは、性風俗産業を多く抱える新宿区として、「性の商品化」に対する対応策を検討すると、基本計画では述べていますが、大変難しい問題で、今のところ、私どもには提案できるものは何もありません。それだけに、どのような対応策が検討されているのか。この際、ぜひお聞かせいただきたいと存じます。 以上で女性施策の質問は終わります。 質問の六番目は、介護保険事業についてであります。 区長は、「この制度は、社会保障構造改革」の第一歩として行われるもの、そして、これまでの行政的な措置制度、つまり、税方式よりはより合理的なシステムではないか」ととらえておられます。それは、それでいいのですが、もっと重要な側面を見、もっと本質的な意義をとらえておかなければならないと思います。 それは、地方自治は民主主義の学校といわれますが、介護保険は「地方自治の実験室」だということです。介護保険は年金や医療とは違って、地方が考え、住民が決める地方分権の試金石であって、これによって地方分権を主張するだけの力があるかどうか、本当の力量が試されるのであります。 かつて私が、コミュニティバスの成功例として代表質問で取り上げた、愛知県高浜市の森市長が指摘しているように、「自治体がその名のとおり自立し決定して責任をとり、これまで政治や行政に無関心だった住民が、介護保険事業を通じて首長や議員を評価する時代が始まった」のであります。まさに「介護保険は私たちの分権社会の幕あけ」なのであります。この点を区長はどう考えておられるか、お聞かせください。 次に、区長がおっしゃるとおり、試行錯誤を重ねつつ、区民に安心していただける制度として定着させていくものですから、重箱の隅をつつくような質問はいたしません。現時点で心配な三点だけお伺いいたします。 その第一は、無年金定住外国人の問題です。 そもそも介護保険は年金受給者を前提にした制度であります。したがって、第一号被保険者の保険料は老齢・退職年金から天引きとなっています。しかし、定住外国人の大半が老齢基礎年金の受給資格がないため、天引きそのものが成り立たないのであります。この人たちは、区に直接保険料を払い込まなければならず、未払いで介護が受けられない不利益が生じます。さらに、無年金では費用の一割負担分をどう捻出するかの問題もあります。本区はこのような人々が他の自治体より多いはずです。これらの対策と配慮はどうするのか、お聞かせください。 その第二は、要介護度決定のかぎを握る「主治医意見書」の問題であります。言葉を変えれば、かかりつけのお医者さんの意見書の問題であります。 要介護度は、医学的重症度ではなく介護の手間を示す指標であり、それだけに、要介護度が一つ違うだけで受けるサービスは大きく差がつきます。そこで、「主治医意見書」と訪問調査員の結果報告とが大きく食い違った場合の混乱はどうするのか。主治医と福祉関係者の相互不信の問題はどう解決するのか。主治医が開業医と病院勤務医の問題はどうするのか。非常に頭の痛い問題ですが、これらの対策をお聞かせください。 最後は、自己の意思を明らかにできない時期を持つ「痴呆症」に対する介護度認定の基準は、まだ日本では確立されていません。この問題について当面どう対応されるのか、お聞かせください。 以上で介護保険についての質問は終わります。 質問の七番目は、「高齢者の死亡事故とバリアフリーのまちづくり」についてであります。 去る二月二十一日午後一時三十五分、新宿駅西口ロータリーの小田急ハルク前都道で、道路を横断中の高齢者三人がトラックにはねられ、そのうち二人が死亡する事故がありました。横断歩道のないところを足腰の弱い高齢者が渡るのは無謀なことではあります。しかし、西口のバス乗り場に行くには地下から階段を上らなくてはなりません。ひざや足に障害を持つ人にはつらい段差です。一方、地上の通路は小田急デパート本館前の一本しかありません。危険を承知で、小田急ハルク前から直接バス乗り場に向かってしまう高齢者の気持ちが、私には理解できます。 一年前の予算委員会で、当時「新風・区民クラブ」と言っていた私どもの会派の委員が、小田急本館とハルクを結ぶ回廊から、直接バス乗り場におりられるエスカレーターを設けるか、地下からの階段のどれか一カ所にでもエスカレーターをつければベストだが、お金もかかることだし、とりあえずハルク前からバス乗り場に直接渡れる横断歩道をつけてほしいと質問をいたしました。これに対する答弁は、「横断歩道の新設は西口広場全体の交通の流れに影響するので難しい問題だが、警視庁とも相談して検討させてほしい」というものでした。それから一年、ついに犠牲者が出てしまいましたが、この間の警視庁との相談の経緯について伺います。横断歩道の新設は、バリアフリーのまちづくりの精神にもかなうものと思いますが、区長の御見解をお聞かせください。 八番目の質問は、「清掃事業」についてであります。 これも介護保険と同じように新しく取り組む区の事業で、細かいことは申し上げません。 この事業が区の事業として開始されると、つまり区民の感覚からすれば、遠く離れた東京都とは違って、注文や苦情が殺到するはずです、それが分権のよいところなのでありますから、介護保険と同じように、しかし一年間だけでよいから、それらの区民の注文や苦情を受ける専門、専属の係を設置すべきではないでしょうか。それがまた、よりよい新宿清掃事業の発展へとつながるものと確信いたします。 九番目の質問は、結核対策についてであります。 二月二十五日号の広報の結核の記事は時宜に合った非常によいもので、レイアウトもなかなかのものでありました。しかし、全体として「結核になったら」のことしか出ていない嫌いがあるように読める記事であったことが非常に不満でありました。「結核Q&A」の中で、予防策としてBCGワクチンのことと、年一回のレントゲン撮影の必要が小さく出ている程度で、あそこまで読まれる区民の数は限られているというのが、率直に言って私ども議員の感覚であります。 一つに、日本の結核罹患率が先進諸国の中では最悪であること、二つに、新宿区の結核罹患率が全国及び東京都に比べ高い割合であること、これは区民にとって大変ショックなことであり、重要なことでもあります。にもかかわらず、その原因等が全く分析され出ていない。何事もその原因を知って初めて予防対策が立てられるものであります。 ここに「開かれた区政」の認識不足を感じます。衛生部が、区長が原因がわからないはずはありません。それを公表することの「ためらい」に問題があるのです。よいことも悪いことも、そして、それが偏見を助長することも、すべて区民とともに行政が考え、克服していくことに、「開かれた区政」の意味と価値があるのです。 区長ではなく、衛生部管理職の御見解をお聞きしたいものでありますが、それは無理なことを承知しております。この際、議会の活性化のためにも、他の自治体がやっている本会議での部長答弁の導入も検討されたらいかがでしょうか。 すみません。レールが外れた感があります。要は、原因を明確に区民に知らせること、その上に立って予防策を訴えることが必要だということを言いたいのであります。御答弁ください。 十番目の質問は、教育委員会の基本方針にある「学校評議員制度」についてであります。 中央教育審議会は一昨年九月の答申で、いわゆる教育行政の地方分権を基本に、自主・自律性を持ち、校長のリーダーシップのもとでの組織的・機動的な学校運営策として、予算や人事権とともに校長・教頭資格の弾力化を示し、職員会議の明確化と学校運営を支援し、家庭や地域との連携を一体的に図るために学校評議員の設置を提言しました。文部次官通達は、これを受けて学校教育法施行規則を改正、本年四月からの実施を地方の教育委員会に要請してきました。 ところで、「学校評議員制度」とは何なのか。全く主権者である区民は知りません。本区教育委員会も何の説明もなく、新年度の教育基本方針に載せています。これが問題なのです。そうではありませんか。 第一に、学校評議員は、教育委員会の判断により学校ごとに置かれます。 第二に、学校評議員は、校長の求めに応じ、学校運営について意見を述べます。 第三に、学校評議員は、教育に関して理解や識見を持つ者のうちから、校長の推薦により教育委員会が委嘱します。 第四に、学校評議員の人数や任期など具体的内容についても、教育委員会が決めます。 第五に、学校評議員は、一人一人がそれぞれ校長の求めに応じて、学校の教育目標・計画や地域との連携の進め方など、校長の行う学校運営について意見を述べます。 第六に、学校評議員の意見を参考にして、校長が学校運営を行い、開かれた学校づくりをさらに進めていきます。 第七に、保護者や地域住民などのうちから、学校評議員にふさわしい方を校長が推薦し、教育委員会が委嘱します。 三と七は重複しますが、以上が「学校評議員制度」の概要であります。私は、戦後の教育の是非はあるにしても、この制度が子供たちの将来に及ぼす影響を考えたとき、なぜかぞっとするものがあります。 そこで質問です。 この制度の導入には、くれぐれも拙速を避けるべきであります。 二番目に、特に評議員の選定には、慎重の上にも慎重であってほしい。そのためにはあらゆる角度からの基準を検討すべきであります。 最後に、評議員には、現在の学校教育の一般的情報と当該学校の教育の情報が、十分に、しかも相当事前に与えられ理解されていることが大前提であること。 以上です。それぞれについて、教育委員会の御答弁をいただきたいと存じます。 十一番目の質問は、教育委員会基本方針二の「個性を生かす学校教育の推進」についてであります。 すなわち、「自ら学び、自ら考える能力を育み、一人一人の個性を生かす教育」という基本方針自身は、全く正しいと思います。米国・カナダ・欧州での、特に低学年教育はこのことが中心にあったこと、それが正しいことだということを議会の海外視察で学んできました。 しかし、現時点での我が国の大きな問題は、東京大学大学院教授の佐藤学氏が指摘されているように、「自主性・主体性」という名に隠れた学校並びに教師の無責任さ、または誤解あるいは認識不足の問題であります。「学校は教師の援助や仲間との協同によって、自分一人では達成できない水準の学びを実現する場」であって、したがって、「学校が、教師が、子供の『自主性・主体性』を強調するのは聞こえはいいが、要するに、学びの成立を子供一人一人の能力と努力に任せているのであり、無責任なのである。」結論として、「教師が、子供が『自主的・主体的』に『自力解決』する学習が優れた総合学習であり、自分はそれを見守っていればいいと思い込んでいたとしたら間違いである。」この東京大学大学院の先生の論には全く賛成であります。このことを教育委員会は何らかの場で、本区の学校の先生方と十分に話し合っていただきたいと存じますが、いかがでしょうか。 十二番目の質問は、「シニア有権者の増大と政治参加の権利保障」についてであります。 一九九一年国連総会は「高齢者のための国連原則」を採択しました。それは高齢者の独立、参加、保護、自己実現、尊厳の五つの項目実現を掲げたものです。その「参加」の項の最初にくるのが、「社会の一員として自己に直接影響を及ぼすような政策の決定に積極的に参加する」というものでした。議会制民主主義のもとで、住民の基本的な政治参加は、選挙での投票によって行われるということは、今さら言うまでもありません。 ところで、有権者の中で高齢者が占める割合が予想を超えて増大しています。一九四七年には一〇%だったものが、一九九六年には二〇%になり、二〇一〇年には三〇%弱、二〇五〇年には四〇%近くになると予想されています。これまで諸外国に比べ低いと言われる我が国の投票率を、それなりに支えてきたのはシニア有権者の高投票率でありました。ちなみに、本区のシニア有権者二〇・一四%の直近の投票率は六五・四七%であります。このままいけば、理論的には投票率が上がるはずです。 ところが、問題はその逆が心配されているのであります。その理由は、これからの増大の中心が七十五歳以上の後期高齢者であり、そのうち有配偶率の低い、したがって、政治関心度が下がる女性シニア有権者が圧倒的な数と推定されているからであります。当然、病弱や障害の状況が高まることも予想されます。 日本一のマンモス団地を抱える多摩市選挙管理委員会が、「これからは投票率を上げるには、選管の職員が投票箱を持って、団地の階段を上り下りして戸別訪問する必要があるのではないか。そうでないと、これから先は高齢者の投票権を守れない」とまで言明しています。このような状況を区選管はどう認識しておられるか。そして何らかの対策を検討されておられるのか、お聞かせください。 十三番目の質問は、監査委員の「意見」についてであります。 本区の監査委員四名の職務権限は、言うまでもなく「区の財務に関する事務の執行と区の経営にかかわる事務の管理を監査すること」であります。しかし、今一番大事なことは、次に述べる職務権限の行使ではないでしょうか。 監査委員は、「新宿区の組織及び運営の合理化に資するために必要であると認めるときには、条例の改正または廃止の意見を監査の結果に添えて提出できる」ということであります。このように、監査委員の権限と職責は、自治法第百九十九条に列記されているとおりに絶大かつ重要なものであります。 したがって、本区が「開かれた区政推進計画」と「区政改革プラン」を策定し、必死になって、その組織と運営の合理化に取り組んでいるこの時期にこそ、監査委員に与えられた職務権限をフルに駆使すべきときではないでしょうか。「開かれた区政推進計画」と「区政改革プラン」に監査委員の意見が反映されたのかどうか。されたとすれば、それらを具体的にお教えください。 私の最後の質問は、開かれた区政と管理職・職員の問題であります。 今や、新宿区政は危急存亡のときとの覚悟で、区長以下全管理職・全職員が区政執行に臨んでおられることは、「開かれた区政推進計画」や「区政改革プラン」を読み、理解すればするほど、ひしひしと私たちの胸に伝わってきます。 「推進計画」は「新宿再生」が全職員の合い言葉であり、その職員の熱意と能力の発揮が、区民の信頼を得た、区民の立場に立った施策の展開には不可欠だ」とうたい上げていますが、私はそれを保障するものがなければ、絵にかいたもちだと思います。 そこで、問題を提起します。 その第一は、自治法第百六十三条であります。その中では、「助役の任期は四年とする。ただし、普通地方公共団体の長は、任期中においてもこれを解職することができる」とあります。私ども議員を含め行政に携わる者には、憲法、地方自治法、地方公務員法がその身分等を保護・保障しています。同じ特別職である収入役も教育長も、それぞれ法規則で守られています。しかるに、助役だけはないのであります。これでは助役職が全力を挙げて職務に専念できるでしょうか。こういう身分にもかかわらず、新宿区の助役が、「まず住民ありき」の姿勢を貫いているのは立派と言わざるを得ません。法改正の問題としてではなく、この点の区長のお考えをお聞きしたいのであります。 その第二は、ちょっとややこしい問題であります。だから質問の最後に持ってきました。職員は就任の際、上司の立ち会いのもとに、「私は全体の奉仕者として、誠実かつ公平に職務を執行することを固く誓います」との宣誓を条例に基づいてしています。地方公務員といえども、労働者としての固有の権利を持っています。しかしこの際、区長の意を体する区政執行者としての職員のあり方について、問題を提起いたします。 去る二月三日、新宿区議会のA政党の新聞折り込みチラシが全区民に配布されました。その内容は、「我が党の一〇%議員報酬削減提案が他会派の反対で三%に削られた」という全く事実無根のものでした。事実は、A政党から五%削減の提案がなされ、「全議員の賛同を得て、即刻実現させよう」との結論で、二%削減でまとまりました。 この事実無根を区民に宣伝されたことに、当然議会での論議が行われました。このときの小沢議長は、A政党所属議員にもかかわらず、立派で公正な態度を貫き通しました。 そこで、多数参加している事務局職員に、一〇%提案が行われたか否かの確認が行われました。しかし、職員は黙して語らず、一党一派にくみしない、まさに「全体の奉仕者」としての立場を貫き通したと思います。ここで職員が一〇%削減提案が事実か否かを明言していたら、また議会は混乱し、そして区民に迷惑をかけたかもしれません。 そこで区長に伺います。 選挙管理委員会職員の任命権者は選挙管理委員長、監査委員会の任命権者は代表監査委員、教育委員会の任命権者は教育委員長、議会事務局職員の任命権者は議長です。しかし、その職員は区長から辞令を発令され、分限を区長になされるように、実質上は区長の人事権の範囲にあるのです。当たり前のことですが、職員が区長、あなたにかわって「全体の奉仕者」であることの姿勢で区政に臨むことの意義と重要性について、区長の御見解をお聞かせください。 以上で、民主・無所属クラブを代表しての私の質問を終了いたします。大変長時間の質問になりましたが、これも、新宿区議会に議員の発言権の公平・公正の観点からすれば、全議員が合意できる範囲での「発言時間制限」の制度が導入されてしかるべきなのに、それがない。実現されていないことの結果でもあります。御了承いただきたいと思います。御清聴ありがとうございました。(拍手) ◎区長(小野田隆) 久保議員の代表質問にお答えいたします。 まず、最初の新宿「レファレンダム」についての御質問でございますが、「開かれた区政」の考えに基づきまして、新宿版の住民投票条例を早急に制定すべきとのお尋ねでございますが、現行法制上、住民投票条例は、「議会」や「長」が持っている決定権を補完する一つの制度と考えております。 今定例会で、議員提出による条例制定の動きもあるやに聞き及んでおりますので、議会に対する問題点等は触れませんが、首長との関係においても幾つかの整理をしなければならない問題があります。 その一つは、選挙により信託を受けた首長の権限との関係、二つ目は投票を求める事項が、真に適切な事項であるかなどであります。これらのことから、早急に条例を制定する考えはございません。 次に、「外国人市民会議」設立のお尋ねでございますが、区内に居住をする住民はすべて区民との観点で行政運営に努めているところでありますので、一般的な公聴活動や区政モニターへの参加、国際交流事業への参加の機会等を中心に意見の集約に努めているところでございます。御指摘の点につきましては、今後検討課題とさせていただきたいと思います。 次に、定住化基金の取り崩しについてのお尋ねでございますが、平成十二年度予算におきましては五十一億円の財源不足が生ずることとなり、このため財政調整基金をほぼ全額取り崩した上で、なお定住化基金の取り崩しなどの対応を行わざるを得なかったのであります。財政調整基金が底をついた現在、今後の財政運営を考えますと、定住化基金を廃止する事態になるのは、率直に申し上げまして避けられない状況でございます。 これまでも、定住化対策につきましては、一般財源も充当しながら取り組んでまいりましたが、引き続き区政における重要な課題の一つであるものと認識をいたしているところでございます。御理解をいただきたいと存じます。 次に、定住問題の二つ目の外国人や高齢者の方の住みかえ時の公的保証人システムについての御質問でございます。 現在、区では、高齢者や外国人等の方々を対象として、住みかえを円滑に行うための制度といたしまして、東京都宅地建物取引業協会新宿区支部の御協力を得まして、「協力店」の御理解のもと、「住みかえ住宅相談」を実施しております。しかしながら、生活慣習の違いや緊急時の対応に関連する身元保証的な問題への家主の方の懸念等もあって、住みかえが円滑に行われにくいといった状況も生じています。 御指摘の川崎市の支援制度については承知をしております。 一方、東京都におきましても、新年度から「入居身元保証制度」について、学識経験者や区市町村を含めての検討に入ることが予定されております。この中で、身元保証人としての役割及び分担、事故時の費用負担、保証人引き受け体制等の具体的実施案が検討されると聞いております。 区といたしましては、東京都の検討の動向を踏まえながら、福祉施策との連携も含め、どのような実効性のある施策がとれるか、引き続き検討してまいります。また同時に、協力店の拡充など「住みかえ住宅相談」の一層の充実を図ってまいります。 次に、「寝たきりゼロ」対策の一つとして、コミュティバスもしくは福祉バスについてのお尋ねでございます。 新宿区では、平成十一年度から二年間にわたり、地域密着型バスについて検討を進めております。現在までの検討の中で、他の自治体で運行しているバスの導入目的や経費等の概要が明らかになりました。 また、区が既に運行している施設送迎バスを地域密着型バスに有効活用することについては、「その運行形態や介護保険への対応等から極めて難しい」ことや、「運行に際しては、新たな投資が避けられない」こと等が浮き彫りになってまいりました。今後は、こうした課題や規制緩和による民間事業者の参入の動向を見据えながら、十分に検討してまいります。 なお、東京都は、利用実態を踏まえて都営バス路線の見直しを進めておりますが、区といたしましては、通勤・通学や買い物等の区民生活を支えるバス路線が、地下鉄大江戸線開業以降も確保されるよう、引き続き東京都に対して強く要望してまいります。 次の御質問でございますが、いわゆる「石原新税」に対する評価でございますが、東京都独自の法人事業税における外形標準課税により、平年度ベースで一千百億円の増収が見込まれ、現在の東京都の厳しい財政状況を考えるならば、地方交付税の不交付団体である東京都が、課税自主権の行使という自力救済の道を選択したのは、評価できるものであります。 また、これまでの国のコントロールのもとでの地方税制のあり方に、地方から大きな一石を投じたものであり、地方分権の趣旨からも評価できるものと考えております。いずれにいたしましても、現在都議会に上程中の条例案の審議を見守ってまいりたいと考えております。 次に、東京都の動きに加えまして、杉並区が「新税」の検討を開始したとのことでございますが、地方分権の流れの中で、地方自治体が課税自主権の行使に果敢に挑戦することを評価することにやぶさかではございません。 新宿区といたしましても、財源の確保につきましては、あらゆる可能性を追求していくものであり、「新税」の創設もその選択肢の一つとして考えられますが、「新税」の創設には困難も伴うと聞いております。したがいまして、新宿区といたしましては、地域特性を踏まえつつ、調査・研究してまいりたいと考えております。 次に、経済社会の構造改革についてのお尋ねでございますが、御指摘にもございましたように、東西冷戦構造の終結が世界経済の結びつきを強め、一挙にグローバリゼーションが進展したと言われております。この環境変化の中にありまして、我が国が今後とも世界経済における地歩を維持し、信頼される国家として存立していくためには、ひとり我が国独特な、いわゆる経済社会の日本的システムを改革していかなくてはならない、これが経済社会構造改革の要諦であると認識いたしております。 私は専門家でもありませんし、区長として、区の行財政運営を安泰ならしめる限りにおきまして関心を払っているところでございますが、これほどまでの景気の低迷を目の当たりにいたしますと、改めて「構造改革」の必要性を再認識せずにはいられないというのが、偽らざるところでございます。 御指摘の地方分権につきましても、日本的システム改革の一つであると認識をいたしております。 次に、区内の中小店舗が、個々の店として創意工夫をこらし、社会環境の変化や消費者ニーズにマッチした経営を行うことはもちろんですが、地域社会の核としての商店街が、地域住民の要望に呼応した取り組みを展開することも大変重要なことでございます。 お尋ねの「商店街宅配サービス」につきましては、高齢者や障害者に対応した心温まるサービスのあり方として大いに注目をされております。区内でも、宅配や出張サービスを行う会社を商店主の出資で設立するなど、新しい試みも見られます。区の地域特性として、物販店や飲食店、サービス業の混在する商店街が多いことなどから、商店街での事業化には困難な側面を有してはおります。 区といたしましては、こうした手段を商店街活性化につなげるよう、商店会の自らの事業として取り組む場合には、東京都や他区の支援事業等の実情を参考にさせていただきながら、適切な支援のあり方を検討してまいりたいと思います。 次に、当初の「開かれた区政推進計画」の対象期間五年間を、三年で達成したことについての「職員への慰労」についてのお尋ねでございますが、当初の計画期間の半ばにおいて「改訂」を行った理由の一つは、御指摘のとおり、当初計画に掲げた課題をほぼ達成したからでございます。 また、その後の社会経済状況の変化並びに区の財政状況の変化をも勘案し、さらに踏み込んだ課題を掲げる必要が生じたことも理由でございます。 御指摘の職員の労をねぎらう事業につきましては、とりたてて実施しておりませんが、日常業務の執行の場面において心配りを行っているところでございます。 次の御質問でございますが、いわゆるキャリア採用制度の導入についてでございますが、社会経験のある者を採用し、組織に異質な人材を加えることによって組織の活性化を図ろうというもので、東京都で実施している制度でございます。新宿区におきましても、その必要性や近年の新規採用の抑制という現状を踏まえ、特別区の人事制度の中で検討すべきと考えております。 次に、ジョブ・ローテーション、職員の計画的な人事異動についてでございます。 職務を行う上で職員に必要とされる能力は、法令の厳格な執行、住民サービスの提供、許認可、施策の企画立案等、加えて別の観点から申しますと、窓口対応、内部管理の事務処理等がございます。 人事異動に当たっては、これらの能力を幅広く身につけさせるという側面に、専門性を蓄積させるという要素も加味しつつ、幹部候補者の育成も視野に入れながら行っているところでございます。 マトリクス組織、すなわち縦割の権限ラインと横割の調整機能を併設した組織についてでございます。新宿区におきましては、総合的または横断的な対応が必要な課題につきましては、高齢者対策調整会議、青少年問題協議会、女性関係行政推進連絡会議、障害者施策推進協議会などを設置し、対応しているところでございます。 次の御質問でございますが、区財政のリストラクチャリングとは、平成十二年度予算の方針で掲げました「区財政の再構築を図る」ということにほかならないのでございます。 お尋ねの予算編成手法において、どう具体的に達成されたかということでございますが、まさに「区政改革プラン」の考え方や、その策定過程における庁内の議論や検討が、予算の要求も含めた編成作業に十分生かされ、御提案申し上げている平成十二年度予算案と結実しているものと考えております。 より具体的に申し上げれば、「スクラップ・アンド・ビルド」にあっては、事業そのものの新設や廃止にとどまらず、管理運営方法のあり方など含めまして、予算編成全体にこの考え方が徹底されたものと考えております。 今後も、「リストラクチャリングに実効ある予算編成手法」の確立につきましては、事務事業評価制度の評価結果の活用なども含めまして、さらに取り組んでまいりたいと考えております。 次に、「開かれた区政推進計画」そのものを事務事業評価制度の対象にせよとのお尋ねでございますが、御指摘のような考え方も当然あるものと思います。しかし、現時点ではそこまで考えておりません。と申しますのも、この制度は個々の施策を構成する事務事業そのものを評価の対象としているからでございます。施策全体を統括する「計画」を評価するというのは、むしろ「政策評価」の部類に属しており、今後の検討課題であると考えております。 次の御質問の男女平等推進計画につきましては、現在、男女平等推進会議におきまして、計画に盛り込むべき内容の検討が進んでおります。平成十二年度に検討結果の報告を受け、男女平等推進計画の策定作業に移るわけでございますが、その際、内部組織である女性関係行政推進連絡会議の小委員会が担当することにしております。この小委員会は、各部から推薦をされた係長級及び一般職員二十三名で構成されており、そのうち十三名が女性職員でございます。 男女共同参画社会の基本理念は、男女が社会の対等な構成員として、ともに責任を担うことにあると、私は理解をしております。したがいまして、計画策定に当たっては、男女の比率が偏ることのない組織によって進められることが大切であると考えております。幸い小委員会の男女比は理想的な構成になっていますので、十分機能するよう配慮してまいりたいと思います。 次に、家庭生活における男女協働の意識啓発についてのお尋ねでございますが、近年、女性の社会進出に伴い、従来の「男は仕事、女は家事・育児・介護」という性別役割分担が、「男は仕事だけ、女は仕事も家事・育児なども」といった、新しい性別役割分担に変わってきたと言われております。 御指摘の共働き夫婦の意識調査結果も、そうした現状から生じる男女の意識の差を如実にあらわしたものと思います。女性の望むように男性も家事を分担するためには、男性の意識が変わらなければならないことは言うまでもありません。しかし、共働きに限らず、現在の男性の労働時間が長過ぎて、家事を分担しようにもできない現状があることも推察されます。 男女がともに、家庭生活における活動と職場や地域活動などとの両立を目指すことは、男女共同参画社会基本法の基本理念となっておりますので、男性も家事等を担える社会が形成されるよう、引き続き啓発活動を積極的に進めていきたいと考えております。 次に、「性の商品化」につきましては、御指摘のとおり、性風俗産業を多く抱える新宿区といたしまして、避けて通ることのできない問題であります。この問題解決には、男性の意識改革が必要であると思います。 男女平等推進会議におきましても、さまざまな角度から検討が進められておりますので、その報告を待って、具体的な対応策を検討してまいりたいと考えております。 次に、介護保険についてのお尋ねでございます。 介護保険制度は、各自治体が保険者として地域の実情に合わせ、住民の意見を取り入れながらさまざまな工夫をこらし、その地域にふさわしい制度を組み立て運営していくという、まさに地方分権の試金石と言われるものでございます。 当区におきましても、介護保険事業計画の作成時から、「開かれた区政」の視点に基づき、作成委員会への公募委員の参加や地域説明会での区民意見の聴取等、積極的に住民参加を図り、意見を反映してきたところでございます。 計画の内容につきましても、介護サービスの基盤整備は、平成十六年度における利用希望率を、全事業平均で八〇%程度となるように設定するなど、積極的な計画となっております。 また、介護保険制度を支える高齢者保健福祉施策の充実や利用者支援を目指した相談体制の構築など、当区独自の計画となっております。このような計画の作成手法や内容によって、区独自の高齢者福祉施策の充実を目指すことは、地方分権の幕あけにふさわしいものと考えております。 次に、無年金定住外国人の方の問題でございます。在日外国人の方につきましては、昭和五十七年一月から国籍要件の撤廃により国民年金の対象とされ、また昭和六十一年の制度改正により、五十七年一月一日以前の期間について資格合算対象とされる改善が図られました。しかしながら、大正十五年四月以前生まれの方は老齢年金が受けられず、昭和六十一年改正当時、既に中高齢であった方については、低額の年金しか受けられない現状にあります。 介護保険において、外国人の方については、原則として、在留期間が一年以上あれば日本人と同様に制度が適用されます。第一号保険料につきましては、年金から特別徴収される方以外は、区が納付書等で直接徴収いたします。 区といたしましては、口座振替制度の勧奨など、保険料の滞納により介護のサービスが受けられなくなることがないよう努めてまいります。 なお、保険料は所得に応じて五段階の定額であり、所得の低い方につきましては、保険料が低くなるよう配慮されています。 また、利用者負担が著しく高額になるときは、高額サービス費が支給され、所得の低い方に対しては、利用者負担の上限額が低く設定されることにより負担の軽減が図られています。 なお、在日外国人の方の年金問題について、区としては、東京都国民年金協議会や全国都市年金協議会を通じて、国に対し引き続き救済措置を要望してまいります。 次に、主治医意見書についてでございますが、二次判定において主治医意見書は重要な資料となりますので、医師会等の御協力をいただき研修を行ってまいりました。 審査会におきましては、訪問調査の結果を原案として、特記事項と主治医意見書の内容について、保健・医療・福祉の専門分野からの審査をしていただき、必要に応じて一次判定結果の修正を行います。 審査会には、地域の開業医の委員が四十五人参加されております。また、各病院からも審査会委員が参加されておりますので、主治医意見書の重要性についての理解も深まっております。今後も医師会等の御協力をいただきながら、適切な記載がなされるよう努めてまいります。 次に、「痴呆性」に対する介護認定についてでございますが、認定調査員が全国一律の基準で実施をした調査結果をもとに一次判定を行い、保健・医療・福祉の専門家で構成された認定審査会において、医学的視点から見た主治医の意見書等によって、痴呆などにも配慮しつつ、介護の手間から総合的に二次判定を行っております。 なお、認定審査会は十の合議体で運営しておりますので、合議体には痴呆の専門家も参加しており、二次判定において適正な審査判定を担保するため、合議体の長の会議でもその点は十分話し合われております。 また、認定調査員に対しても、痴呆の方の状況が適正に把握できるよう特記事項も含め研修を行い、資質の向上に努めております。 次に、「高齢者の死亡事故とバリアフリーのまちづくりについて」のお尋ねでございますが、お答えの前に、交通事故でお亡くなりになられた方の御冥福をお祈りいたします。 さて、御指摘の新宿駅西口広場に横断歩道を設置することにつきましては、昨年来、警視庁と道路管理者である東京都に要望し、検討を重ねてまいりました。 小田急ハルク前の都道は、バスなど車両の通行が非常に多く、約六〇メートルと短い区間の中に、地下駐車場からの出入り口やバス停が四カ所もあり、この個所での横断歩道の新設は困難であるとの見解であります。しかしながら、バリアフリーの視点に立って、安全にバス停を利用できる方策について、警視庁や東京都並びにバス会社などと協議の場を設け、引き続き検討してまいります。 次の御質問の清掃事業に関する区民・事業者の要望につきましては、御指摘のとおり、さまざまな要望や意見が寄せられるものと想定しております。新年度からは、環境土木部に資源清掃対策室を設置し、体制を強化した中で調整担当を設け、要望に対応してまいります。 次に、結核対策についての御質問でございますが、「結核」の広報については、昨年九月二十五日号で、結核予防週間に合わせて、主に「結核についての正しい知識や予防のポイント」について掲載し、御指摘の二月二十五日号には、「結核の現状と、結核を発病した人の治療や支援」について、保健所の役割を中心に掲載したところでございます。 新宿区の結核の現状でございますが、新たに結核として登録された人のうち、約半数近くを路上生活者と外国人が占めており、全体で見ると二十歳代の罹患者も多く、都市型の特徴が強く出ております。今後も、このような現状を踏まえながら、結核予防の普及啓発や検診の充実に努めるなど、積極的に対策に取り組んでまいります。 次に、「開かれた区政」と管理職・職員問題についてのお尋ねにお答えいたします。 まず、助役の任期途中における解職についてのお尋ねでありますが、法の趣旨は、助役は長の最高の補助機関であり、長との間の緊密な信頼関係が存在することを前提として規定されているもので、信頼関係がなくなった場合は解職できると理解しております。 私は、高橋助役の選任に当たり、その行政手腕や豊富な行政経験と指導力を高く評価して決定いたしましたが、その前提としての高橋助役が持つ、温かい人間性や助役としての適性と、私との信頼関係が最大の決定要因であります。私は区民の福祉の向上を務めとして日夜努力しておりますが、高橋助役においても全く同様でございまして、まさるとも劣らない真摯な執務状況でございます。 解職の規定については、小野田区政にある限り御心配をおかけすることはないと明言をいたします。 私に対します最後の御質問でございますが、職員が区長にかわっての「全体の奉仕者」であることの意義と重要性についてのお尋ねにお答えいたします。 新宿区長という私の立場は、新宿区を統括し代表するものでございますが、私がすべての区政について自ら行政を執行するわけではなく、区政のさまざまな場面で、助役以下の職員をして補助執行せしめております。この場合におきましても、職員の行為は、最終的には区長としての私の責任のもとになされるものであり、区民の信託を受けた区長である私を補助し、区政に携わる職員は、当然のこととして全体の奉仕者たることが求められます。そのことが憲法上、地方公務員法上も明らかにされているところでございますので、よろしくお願いいたします。 以上で私への質問にはお答えいたしましたが、教育長そのほかのそれぞれの担当から、残りの御質問に対してお答えさせていただきますので、よろしくお願いいたします。 ◎教育長(森岡泰弘) 教育委員会に対する御質問にお答えをいたします。 新宿区基本構想についての中で、「新宿区に働き、学び、集う多くの人々」のための生涯学習の諸事業や、文化活動の事業の企画や広報についてのお尋ねでございますが、御指摘のように、区財政の逼迫は、あらゆる事務事業の見直しや職員の定数削減等を実施していかなければならない状況にあります。文化都市新宿として発展していくためには、今こそ知恵を出し合って、生涯学習の諸事業や文化活動の推進方策を探っていかなければならないと考えております。 これまで生涯学習や文化活動の実施に当たりましては、区民に限らず在勤者や在学者にも広く門戸を開いて行ってきておりますが、今後の事業実施に当たりましては、御趣旨を踏まえ、さらに幅広い参加の機会の推進を図るとともに、広報活動にも一層の充実を図ってまいりたいと考えております。 次に、学校評議員制度についてでございますが、学校評議員制度は、学校・家庭・地域の連携を深め、校長が保護者や地域の声を一層的確に把握して、学校運営を適正に推進することを目指す制度でございます。したがいまして、学校評議員制度の導入に当たりましては、事前に十分な検討を行うことはもちろんでございますが、人選につきましても、保護者や地域住民などのうちから、学校運営の改善に役立つ意見を述べられる人を評議員に選ぶ必要があります。 また、御指摘のように、校長は学校の教育目標や計画、実施の成果など、あらゆる情報を評議員に提供して、日ごろから学校教育に関する理解を深めてもらう必要があると考えております。 次に、個性を生かす学校教育の推進についてのお尋ねでございます。子供たちが自主的・主体的な活動を通して個性の伸長を図るためには、子供の個性をどのように見取り、そのよさを生かして伸ばすための指導方法及び援助の工夫・改善を行うことが重要であります。さらには、個性を発揮し、主体的に学習を進めるための基礎的、基本的な学力や関心、意欲、態度等の育成が同様に重要であると考えます。しかし、これまでの教育システムは、一斉的、画一的な授業展開などが個性の伸長を阻害してきた原因の一つであったとも言えます。 教育委員会といたしましては、子供が主体的に課題解決に取り組むことのできる能力の育成に向けた指導内容、方法の改善、充実を図るために、校長、教頭を初めとした各種研修会や学校訪問などにおきまして、協議、検討を実施しております。 さらに、本年度は新教育課程検討委員会を発足させまして、個性を生かす教育活動の推進と事業改善に向けた報告書を作成、配布し、各学校の研修会等に活用していただくよう取り組んでいるところでございます。 以上で答弁を終わります。 ◎選挙管理委員会事務局長(藤田紀代志) 選挙管理委員会に対する御質問にお答えいたします。 シニア有権者の方の投票率は高く、平均投票率アップに大きく寄与しており、加えてますます高齢化が進み、その占める割合が高まる中で、過去の選挙でも、郵便投票ができる程度の「障害等」ではないが、寝たきりの状態のために投票所に行けないので、他の手段はないかとの問い合わせが年々ふえております。 また、最近では、運動神経が麻痺する難病、筋萎縮性側索硬化症、いわゆるALS患者の有権者の方が、投票ができないのは「投票権の侵害である」として、国に対し慰謝料を求める訴訟を起こしたことが話題となっております。 自治省も、これらの状況を十分認識しており、例えば「寝たきりの人を郵便投票の対象にする件」は、この四月から導入する「介護保険制度における要介護度」を、新たな線引きに活用するということで可能ではないかと検討に入りました。しかし、この要介護度は、歩けないとか、寝たきりだという障害の程度ではなく、介護に要する時間で分類することがわかり、その活用ができなくなり、「歩けないことを公的に証明する方策」の課題が残ってしまっております。 また、「ALS患者の郵便投票で代筆を認める件」は、選挙の公正さ、信頼性の確保とどう調整するのか課題が少なくなく、現時点では方向性が見出せない」との理由で、こちらの方も対応策が出せない状況です。 そこで、議員御指摘の「戸別訪問による投票の制度」につきましては、やはり「訪問を必要とする有権者である旨」を公的に証明する方策を見出すことが、まず前提であり、その上で、職員がペアで不在者投票の一環として、その期間中において登録申請した有権者宅を訪問し、代理投票制度等を活用することにより、実施することが可能であろうと思われます。 しかし、いずれにいたしましても、このような方策のすべてが、国会における公職選挙法の改正なくしては実施できないものでございます。 委員会としても、「投票参加の重要性」については十分に認識しており、今後、身体の状況に対応した方策を、早急に選挙制度の中に取り込むよう、国等に要望することに努めてまいりたいと考えております。 以上で答弁を終わります。 ◎監査事務局長(佐藤三男) 監査委員にかかわる御質問に対してお答えいたします。 御指摘のように、監査委員は、地方自治法上、監査の結果に基づいて、当該地方公共団体の組織及び合理化に資するため、必要な意見を提出することができることになっております。 監査委員は、監査に当たっては、地方自治法第二条第十三項及び第十四項に規定されている趣旨にのっとって事務事業の処理に当たり、住民の福祉の増進に努めるとともに、最小の経費で最大の効果を上げているかどうか。また、組織及び運営の合理化に努めているかどうかに、特に意を用いて行っているところであります。 また、本区の厳しい財政状況について十分認識を持ち、納税者意識に立ちつつ日々の監査を行っており、一層の内部努力の徹底や経費の節減を求めるなどの意見を申し上げております。 お尋ねの監査委員の意見が、「開かれた区政推進計画」や「区政改革プラン」に、具体的どう反映されたのかということでありますが、これらについてはつぶさには検証しておりませんが、具体的には受益者負担の適正化、税等の徴収率の向上、民間との役割分担の見直し、あるいは管外施設のあり方等について、これまでも意見を述べておるところであり、相当程度反映されているものと考えております。 今後とも、監査委員の置かれている立場と、その職責の重要性をも十分認識し、厳しい姿勢をもって監査に徹してまいりたいと存じております。 以上で答弁を終わります。 ◆二十四番(久保合介) 今は、それぞれに御答弁いただきましたけれども、基本構想は区長が初めてつくられた。初めてですね、基本構想は小野田区長がつくられて。それの一番の特徴は、今までとは違って、特に在勤・在学、新宿区は訪れてくれる人々と一緒になって新宿区をつくっていくんだというのが、最大特徴だというふうに言っていたわけで、教育委員会はそのことで生涯学習でお答えいただいたんですけれども、それだけに、そういう人たちの施策がどこにも見当たらないのはどんなものかなと伺ったんですが、これについては答弁が用意されてないから無理ですか。 無理だと思いますので、それはそれで、予算委員会もあります。区長それから教育長、そして選管の局長、監査の局長と、それぞれ本当に誠意ある御答弁をいただいたと思います。 ただ、質問の中身がそれを指していると思いますけれども、四百年に一度のきょうの日にふさわしかったかどうかの答弁か、それは今晩家へ帰ってゆっくり考えさせてもらうということで、終わります。 ○議長(小沢弘太郎) 次に、八番上秀夫君。   〔八番上 秀夫君登壇、拍手〕 ◆八番(上秀夫) 私は、平成十二年第一回定例会に当たり、政策審議会一粒会を代表して、区長並びに教育委員会に質問いたします。どうぞ誠意ある御答弁をお願いいたします。 私は一年生議員ではありますが、財政状況の厳しい新宿区政の抱える問題点が一部かいま見えてまいりました。区長を初め幹部職員の方々は、皆さん与えられた権限の中で一生懸命に職責を果たしているとは思いますが、現状打開には至っておりません。 何が問題なのか。現在国会では、憲法問題がようやく正式に議論の場に持ち出されましたが、このうち新宿区においては地方自治法、地方公務員法等が一部制度疲労を起こし、時代の要請である行政改革を阻害しているという本質の問題があると思います。 もちろん、これらはすべて国会の場で議論されなければ改正されませんが、我々議員が行政の置かれた問題点を酌み上げ、陳腐化した法律、条例等の改正運動をしていかない限り、新宿区、東京都、翻って日本のあすはないと確信いたしました。 ところで、新宿区は日本における税金の大納税地として、法人税、所得税ほか各種税金が、日本の各地に補助金、地方交付税と名を変え、ばらまかれております。その納税者の一人に、転勤族と言われるサラリーマンの方々がいらっしゃいます。個別の行政サービスをほとんど受けず、家族も犠牲にして働き、納税し、黙ってよその土地に去っていく方々であります。彼らがいなければ、とっくに新宿区の財政は破綻していたでしょう。私は税理士として納税者の代表を自認しておりますが、税金の使途については心してほしいと願っております。今回は、その転勤族の皆さんに感謝の意を表し、質問に入らせていただきます。 初めに、監査制度の改革と外部監査の導入について伺います。 昨年の第二回定例会におきまして、要望として監査制度の改革をお願いいたしましたが、当新宿区におきましては、現在まで改革の動きが見られないので、改めて質問をいたします。 地方自治法の改正により、平成十一年四月一日より、都道府県、政令指定都市及び中核都市のすべてに外部監査制度が導入されました。 本制度は、地方分権を推進していくに当たって、自治体運営に対するチェック機能を充実する必要があることや、監査に対する住民の信頼性を高めることなど、自治体の監査機能を強化する観点から創設されたものであります。 東京都の二十三区及び市町村においては、法的に義務づけられてはおりませんが、既に八王子市、豊島区、文京区が条例を制定し、外部監査制度の導入を決定しております。進取の精神の旺盛な新宿区としては、残念ながら後塵を拝し、私としてはざんきにたえません。豊島区も文京区も、財政破綻寸前の状況は変わらないのではないかと想像いたしますが、導入についての区長の見解をお尋ねいたします。 次に、区の監査委員の構成でございますが、行政経験者が一名、専門家が一名、議員が二名、都合四名で構成されております。 まず、行政経験者でございますが、人物的に云々する気は毛頭ございません。山田委員は大変すばらしい方だと尊敬しておりますし、行政経験者が一人もいなければ、監査は立ち行かないことも存じております。しかし、区民の目から見ますと、なれ合いなのではないか、臭いものにふたをしているのではないかと、多少の憶測を生ずることも事実でございます。東京二十三区、人材は豊富だと思われます。特別区協議会で検討し、行政経験者の各区相互乗り入れを実施し、より緊張感のある制度に改定することはいかがでしょうか。 次に、議員ですが、現況を伺いますと、監査委員として百日という驚くべき多くの日数が必要で、議員活動に支障が出ているということもお聞きします。これは、議員活動のために区民の負託を受けた身としては本末転倒なのではないかという気がいたします。 また、他の幾つかの区においては、六十日程度の監査日数になっているところもございます。制度の改正には同僚議員の協力が必要となりますが、一名削減し、税理士、会計士の専門家をもう一名増員するなり、監査補助人を専門家から二名登用し、議員の負担を軽くするなり、その手法はいろいろあると思われますが、以上、区長の見解をお尋ねいたします。 次に、福祉政策における民間活力の活用について質問いたします。 今日の厳しい財政状況を打開しなければならない中で、新宿区の福祉政策も聖域ではあり得ません。限りある財源を効率的に活用するため、見直すべきものは積極的に見直すべきだと思います。 新宿区は、「区政改革プラン」を発表する一方、「子育て支援計画」を策定、加えて「老人保健福祉計画」と「介護保険事業計画」を策定、また、これから「障害者計画」の策定も準備されております。 私は、これらの計画は着実に推進していただきたいと思っておりますが、区財政の歳入と歳出の乖離の現状を見ますと、強い危機感を持っております。このような現状の中では、福祉施策や福祉行政のあり方について、もっと工夫し、知恵を出し、効率的運営に努めるべきと考えます。 今まで行政が直接サービスを提供してきたものでも、その必要性を検討すべきではないかと思います。今後、社会福祉法人やNPO、民間企業など、大いに活用していくべきだと思っております。民間で同じサービスが提供できるなら、行政が行う必要はありません。できるだけ民間活力を生かし、地域経済に活力を与えることも重要だと思っております。 そこで、お伺いいたします。 区政改革プランでは、保育所の定員及び配置の適正化が計画事業となっておりますが、この計画によりますと、北山伏保育園と薬王寺保育園を統合し新しい保育園を建設する。また、富久町保育園を改築するに際し新宿第一保育園を統合するという計画になっておりますが、保育所は公立で運営しなくてはならないということではないと思います。現に、区内においても民間保育所があり、保育事業を実施しております。現在、公立で運営しているからというのではなく、積極的にこれらの事業を民間に任せることが必要ではないかと思います。 今回の統合計画によりますと、これらを実施し、民間活力を導入することによって、年間二億円以上の経費が節減できるとともに、新しい保育サービスも提供できるということです。したがって、これだけで終わらせることなく、さらに積極的に民間活力を生かす方向で、経費の節減とサービスの向上に努めていただきたいと思います。 次に、「老人保健福祉計画」と「介護保険事業計画」の「最終報告」では、区が直営または委託により実施しているサービスにおいては、将来的には、民間事業者に移行する方向で検討すると述べられておりますが、区立の特別養護老人ホームや高齢者在宅サービスセンターなどは、民間施設に比べ多額な税金が投入されております。これらは、納税者の立場から見て、また区立の施設を利用できずに民間の施設を利用している人から見ても、公平性を損ない到底納得できるものではありません。これらは、「将来的には」などというのではなく、速やかに改善すべきだと思います。 以上二点について、区長の見解をお尋ねいたします。 次に、名誉区民の顕彰について質問いたします。 新宿区は、平成八年十二月に名誉区民条例を制定し、翌年三月十五日に新宿区成立五十周年を記念し、五名の方を名誉区民として顕彰いたしました。 また、本年一月五日の新年名刺交換会において、新たにお二人の方を名誉区民として顕彰し、長唄と日本舞踊の競演による「松の緑」を御披露いただき、参加された多くの区民の方々が感激したのは記憶に新しいところでございます。 新宿区の名誉区民は、公共の福祉を増進し、学術、技芸に寄与し、区民の生活及び文化に貢献し、その功績が極めてすぐれていて、区民の尊敬を受ける者、また、区民が郷土の誇りとして尊敬する者であるとされております。 現在、名誉区民として顕彰されている方々は、文化勲章受賞者三名、重要無形文化財保持者五名の方々であり、私は、新宿区の名誉区民としてまことにふさわしい方々であると考えております。 しかしながら、正直に告白いたしますと、浅学非才の私は、恥ずかしながら一人も存じ上げない状況でありました。あえて申し上げますと、一定の分野に偏り過ぎの感がどうしても否めません。 文化勲章受賞者は別といたしまして、重要無形文化財保持者の認定は、演劇・音楽・工芸技術その他の無形の文化財所産で、歴史上または芸術性価値の高いものを高度に体現できる者、または、正しく体得しかつ精通している者とされていることから、日本古来の芸術分野にどうしても偏ってしまうのでしょう。 また、文化勲章受賞者・重要無形文化財保持者だけでは、国にお任せの状況で、新宿区の自主性が十分に発揮されないのではないかと思わずにはいられません。 私は、文化勲章受賞者・重要無形文化財保持者の方々の名誉区民顕彰を決して否定するものではありませんが、今後の名誉区民候補者の選定方法に、ぜひ検討を加えていただきたいことがございます。 それは、現行の区長からの諮問方法に加え、ジャンルにとらわれず、子供からお年寄りまで、幅広く区民から親しまれている方々を区民各層から広く推薦していただき、名誉区民候補者として検討を加えることができたら、より区民に親しみの持てる制度として定着するのではないかと思いますが、区長の見解をお尋ねいたします。 続きまして、学校の安全確保と行政改革の推進について質問いたします。 昨年、京都市の小学校で起きた痛ましい事件も、犯人の自殺で幕を閉じました。本来、安全であり、また楽しい場であるはずの学校を舞台に、凶悪な事件が相次いでいることは残念でなりません。 新宿区におきましても、昨年七月、西新宿小学校に何者かが侵入して理科室から薬品を盗むという事件がありました。さらに、年が明けたばかりの一月二日早朝に再度侵入があり、今度は放火の疑いによる火災が発生いたしました。学校への恨みであるのか、または学校がねらいやすいからなのか、いずれにしろ、学校の安全をどう確保していくのかということが問われております。 そこで、まず、同じ学校で短期間に二度も侵入事件が発生したことについて、何ゆえ防止できなかったのか。また、防止できなかったその責任はどこにあるのか。さらに、学校の防犯対策の強化のための経費を新年度予算に計上されたということですので、その内容についてお尋ねいたします。 次に、学校の防犯対策の強化をされるということについては、遅きに失したとはいえ一定の評価をいたしますが、単純に経費を増額したということでは、区の財政が逼迫していることの理解を繰り返し求められている区民の立場からは、容易に納得できるものではありません。 今回の問題は、言わせていただけば、警備員のいる学校の防犯体制の問題が露呈したため、もともと費用がかかっている上に、さらに屋上屋を重ねるものであります。民間の組織ならば、「警備会社に頼めばいいじゃないか」と即決される問題で、素朴に疑問に思います。   〔「そうだ」と呼ぶ者あり〕 私は、これまでも学童擁護員について、児童の登下校の際の安全確保は大事であるが、その仕事を正規の職員がやる必要があるのか。地域のボランティアの方にお願いしたり、非常勤または民間委託で賄えるのではないかと主張してまいりました。 学校警備員についても、現行の制度を抜本的に見直す必要があるのではないかと考えます。   〔「そのとおりだ」と呼ぶ者あり〕 予算内容は、一月二日に起こった二度目の事件を受けて計上されたものであると理解しておりますが、今後、学校警備のあり方について十分検討され、区民に納得のいく説明をしていただく必要があると思いますが、いかがでしょうか。 以上、教育委員会にお尋ねいたします。 次に、バブル崩壊後の「失われた十年」と区長は言われましたが、現在の日本は平和国家でございます。ドンパチこそございませんが、明治維新、第二次世界大戦に匹敵するほどの「激動の時代」と認識しております。民間の会社は、生き残るために必死にリストラに取り組んでおります。小手先の対応ではなく、構造的な変革を勇気を持って行わなければ生き残れない時代だからです。そのような目で区の職員を見ますと、すべての方とは言いませんが、手厚い身分保障に守られ、危機感が乏しいのではないかと感じられます。 先日、偶然、学校警備についての組合のニュースを目にしましたが、外界の変化に気づかず、コップの中の争いをしているという印象でした。区民の生活も年々厳しくなっていく中で、単なる自己保身の争いとしか映らず、寒々しい気持ちになりました。   〔「そのとおりだ」と呼ぶ者あり〕 社会の情勢に素早く適応していく努力を区の職員もしなければ、区民に見離されることになると思いますが、いかがでしょうか。区長の見解をお尋ねいたします。 以上、短い時間ではありましたが、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ◎区長(小野田隆) 上議員の代表質問にお答えいたします。 初めに、監査制度の改革と外部監査の導入についてのお尋ねでございますが、まず第一点目の外部監査の導入についてでございますが、その趣旨であります監査機能の専門性、独立性の強化という観点、また御指摘の監査機能に対します住民の信頼を高めるという観点につきましては、私も十分に認識をしているところでございます。 しかしながら、包括外部監査と個別外部監査について、既に導入されている都道府県等の監査事項を見ますと、病院等の企業会計や土地開発公社等を対象とするものが多くを占めています。それらのことから、区の監査の現状を勘案し、導入団体の状況なども十分に参考にしながら検討を加えてまいりたいと考えておりますので、いましばらくお時間をいただきたいと存じます。 第二点目の行政経験者の各区相互乗り入れについてでございますが、二十三区それぞれ独自に判断されていることでございますので、大変難しい問題であると考えておりますが、貴重な御提案として、今後、区長会などで検討してまいります。 いずれにいたしましても、行政経験者の選任に当たりましては、区民からの誤解を招くことのないよう、今後とも十分に意を注いでまいりたいと考えております。 第三点目の議員選出監査委員の活動についてでございますが、監査事務局からは、議員活動に支障が生じないよう十分な配慮を行い、日程の調整を行っていると聞き及んでおります。 しかしながら、御指摘のように、議員活動に支障が生じることが多々あるということであれば、その改善方法などについて、関係機関で十分な議論を行っていただきたいと考えております。 次に、福祉施策における民間活力についてのうち、一点目の保育所運営における積極的な民間活力の活用についてのお尋ねでございますが、今回の保育所の配置の適正化の計画は、一時保育、病後児保育、休日保育等の多様な保育需要にこたえるとともに、財政上の効果を考え合わせるたものでございまして、新築・改築等により一定規模の園をつくり、同時にその運営を民間に任せることにより、保育サービスの充実を図ろうとしたものでございます。 御案内のとおり、区内には私立保育園が九カ所ありますが、民間においては、柔軟かつ多様な対応により積極的に保育需要にこたえており、今後におきましても、保育行政の重要な役割を担うものと考えております。 したがいまして、私といたしましては、今日の区財政や保育をめぐる状況の変化を踏まえ、保育サービスを効果的に進めるために、今回は、四つの保育園を計画化しているところでございますが、今後、その成果を十分に踏まえ、工夫すべき点があれば工夫し、さらに効率的でよりよい保育サービスが提供できるよう積極的に民間活力の活用を図り、保育行政の向上に努めていくつもりでございます。 次の御質問でございますが、区立特別養護老人ホーム等の民間事業への移行に関する御質問ですが、今後の介護保険サービスは、民間事業者が中心に提供していくこととなり、区立施設につきましても、将来的には民間事業者に移行する方向で検討してまいります。 しかし、現状では、区立施設の運営経費は、民間事業者と比べると相当の乖離があります。そこで、平成十二年度予算におきましては、特別養護老人ホーム、高齢者在宅サービスセンターを運営委託するに当たり、利用定員増や職員配置の見直し等を行い、区の持ち出し経費のうち三億四千万円余の削減を予定しているところでございます。これからも、引き続き経費の削減に努め、できるだけ早期に、スムーズに民間事業者に移行できるよう努力してまいります。 次に、名誉区民の顕彰についてのお尋ねでございますが、今回の顕彰を含めまして、過去二回の名誉区民選定委員会に諮問いたしました方々は、いずれも文化勲章受賞者・重要無形文化財保持者であります。これは、区民の敬愛の対象であり、名誉区民としてまことにふさわしい方々であると考え、諮問し、答申をいただいたものでございます。 しかしながら、御指摘のように、一定の分野に偏るとの御意見があるのも事実でございます。 また、今回の答申をいただきました名誉区民選定委員会の会議の中でも、今後の課題として同様の意見が出されたところでございます。 したがいまして、今後の選定につきましては、条例の趣旨を最大限尊重し、名誉区民選定委員会への諮問に際しましては、区民各層から幅広く御意見をちょうだいしながら、より一層、広く区民に親しまれる名誉区民の選定に努めてまいりたいと考えております。 次に、職員の社会情勢の適応についての御質問でございますが、職員定数の削減や、区政改革プランによる事業の整理・統合や、受益者負担の適正化を推進する中で、職員の認識も変化しつつあります。しかしながら、御指摘のように、厳しい社会情勢に対する危機意識が必ずしも十分ではない点は、率直に申しまして私も感じております。 これまで、区政を進めていくさまざまな場面で、職員の意識改革を図ってまいりましたが、時代の変化に明敏に反応し、危機に敏感に対応できる意識と「区政は区民のためにある」という意識を、今後より一層全職員に徹底させるよう努力してまいります。 以上で私の答弁を終わります。 ◎教育長(森岡泰弘) 教育委員会に対する御質問にお答えいたします。 学校の安全確保と行政改革の推進についての御質問でございますが、二度にわたる西新宿小学校の事件で、関係各方面に御迷惑と御心配をおかけいたしましたことにつきましては、大変遺憾に存じております。 特に、二回目の事件を防止できなかったことにつきましては、有人警備の限界を補うための措置をとらなかったためであり、まことに申し上わけなく思っております。その責任は、教育委員会にあると重く受けとめております。 新年度の予算計上の内容につきましては、機械警備との併用が必要不可欠と決断し、現状の経費に機械警備に要する経費を緊急に上乗せしたものであります。 次に、警備のあり方につきましては、区民の皆様にも納得いただけるものを早急にお示しし、実現に向けて努力してまいりたいと考えております。 なお、労使で協議が必要なものにつきましては、双方が解決に向かって努力することが肝要であるというふうに考えております。 以上で答弁を終わります。 ◆八番(上秀夫) 自席で発言させていただきます。 それぞれに誠意ある御答弁をいただきましたので、これで質問を終わりますが、区長には財政の立て直しに剛腕を振るっていただきたいと思います。ありがとうございました。(拍手) ○議長(小沢弘太郎) ここで、議事進行の都合により十五分間休憩します。 △休憩 午後四時八分 △再開 午後四時二十九分 ○議長(小沢弘太郎) ただいまから会議を再開します。 質問を続行します。 二十一番山田敏行君。   〔二十一番山田敏行君登壇、拍手〕
    ◆二十一番(山田敏行) 私は、社会新宿区議会議員団を代表して、区長並びに教育委員会に質問いたします。 二〇〇〇年という節目を迎えたことしは、明治維新、戦後の改革と比較された地方分権がその第一歩を踏み出すという点で、地方自治にとっても一つの大きな歴史を画する年になるわけであります。 さて、日本は、都市や地方を問わず人々の価値観が多元的で、地域特性もまた、自治意識の高揚によって、かつてとは比較にならないほど多様な社会になってきております。 この傾向は、これから時とともにますます顕著になっていくと思われますが、多様化の進んだ社会と自由度の高い選択が保障された社会の創造は、まさしく時代の要請でありまして、今までのように、画一的な法体系による尺度や既存の価値観だけでこの流れを規定していくことは不可能だと考えます。 さて、こういう状況の中で、昨年、四百七十五本にも上る「地方分権一括法」が成立しました。そしてまた私たちは、ようやく特別区を都の内部団体ではなく、基礎的団体と規定する地方自治法を持つに至りました。地方自治法をめぐるこのような一連の動きを、私たちは基本的に評価しています。 このことを前提に置いて、地方分権にかかわる問題についてお伺いいたします。 今回の自治制度の改革の特徴は、国と自治体を対等・平等の関係につくり上げていくために、積年の課題であった機関委任事務制度を廃止したこと。自治体に関する関与をルール化し、関与に関する係争を処理するための第三者機関を創設したこと。地方債の許可制度を廃止し、協議制にしたことなどを挙げることができます。 同時に、今回の改革は、「権限の移譲」よりも「国の関与の縮小」に重点を置いたものになっており、国と自治体の税源配分のアンバランスも是正もされていない。自治体の団体事務の改革が中心で、自治事務の改革はごくわずかにとどまっている。市町村合併の方向が強化された。有事緊急事態などでは、地方議会の意思にかかわらず、国の強制権限が自治体に行使されるような事項が新設された、などの特徴を持っており、衆参両院の附帯決議でも触れられているように、残念ながら多くの課題を残したものになっております。 すなわち今回の改革は、地方分権推進委員会の諸井虔委員長が述べているように、「まず出発点に着いたということであり、到達点にはまだほど遠い段階にある」ということだというふうに思います。したがって、今後も継続的に「地方分権の推進」に取り組むことが必要です。特に、事務事業に見合った税源移譲や補助金の整理、都道府県から区市町村への権限移譲、住民投票制度による住民参加の法的保障などの課題で、早急な改革が求められているというふうに思います。 そこで、まず第一にお聞きするのは、今回の「地方分権」に関する区長の考え方についてであります。評価できる点、評価できない点、不十分な点などについての御見解を、まずお聞かせいただきたいと思います。 第二は、この改革をどう評価するかは別にして、条例制定権が法定受託事務にも及ぶなど、自治体の権限が強化されたのは事実であります。新宿区としてこれにどう対応するかが課題です。私は、課税自主権などの今回の制度改革を活用していくために、専門のチームをつくって研究するぐらいの取り組みがあってもいいのではないかと思っております。 今話題の外形標準課税は、今回の改革とは全然別の話ですけれども、区が持つべき構えとしては都知事を見習うべきであります。区長の御決意をお聞かせいただきたいと思います。 第三は、本年七月に執行する地方分権推進法についてです。 地方分権推進のために、この法律の果たすべき役割は今後も極めて重要であります。既に、法律の期限の延長と分権推進の体制の強化を求め、全国市議会議長会や全国町村議長会は要望や決議をしております。二十三区の区長会としても、同趣旨の態度に立ち、強く分権の推進を求めていかなければならないというふうに思いますけれども、区長の御見解をお伺いいたします。 第二の質問は、都区制度改革についてであります。 九四年九月の「都区制度改革に関するまとめ」の策定以来、六年間にわたる諸作業を経て、四月から改革が実施されます。公選区長を擁し、議会の議決によって行政を展開している二十三区が、都の内部団体だとする奇妙な制度の矛盾から脱却して、ようやく基礎的自治体になるわけでありまして、感無量のものがあります。 長きにわたった都区制度改革運動は、多くのことを私たちに示唆しています。一たん制度がつくられると、それを変えることがいかに大変か。行政機関の縄張り争いはいかに熾烈で根深いものであるか等を、私もこの改革運動から特に学ぶことができました。 さて、今回の制度改革によって、清掃事業のほか三十一事業が移管になります。しかし、清掃事業や地教行法五十九条関係を除くと、率直に言って、特別区の自治が大きく拡大したわけではありません。特に、最大の課題であった財政問題は、主として東京都の計算による清掃事業の費用を上乗せして五二%にしただけであり、基本的な課題を先に残しています。改革というよりは一部手直しといった、そういうたぐいのものであります。 地方分権と同様に、まさしくこれからが都区制度改革の正念場という思いがいたしますけれども、区長は、今回の制度改革についてどのようなことをお思いでしょうか。課題として何を意識し、それに対してどのような取り組みが必要と考えているか、まずお聞きいたします。 第二点は、新しい自治制度についてです。 政令指定都市や中核市など、一般市と異なる立場に立つ自治体があるわけでありますが、区長は、東京二十三区の実態から見て、この地域にふさわしい自治制度が検討されるべきだと考えておられるようです。このことについて、非常に重要な問題でありますので、基本的なお考えをお聞かせいただきたいと思います。 第三点は、今回の制度改革の最大の目玉である清掃事業の取り組みについてであります。 私たちは、前区長の時代から、清掃が区に移ってくるときめ細かなサービスができると聞かされてきました。私も区の体制を強化し、東京都時代よりも、さらに循環型社会の形成を視野に入れた清掃事業の展開が必要だというふうに思いますけれども、新宿区は、今後どのような特徴を持った事業を行うつもりか、お聞かせいただきたいと思います。 第四点は、全国市長会への加盟の問題です。 今までは都の内部団体ということで、地方自治体の全国組織からはじかれ、国との関係で見ると、大規模な自治体であったにもかかわらず、その影響力は決して大きくなかったわけです。四月からは、全国三千二百五十の自治体の中でも、二十三区はそれぞれ有力な基礎的自治体になるわけでありますが、この際、全国市長会の一員となり、地方六団体の構成員として発言力を拡大していくことが重要だというふうに思います。このことについて区長の考えをお聞かせいただきたいと思います。 第五点は、教育委員会にお聞きしますけれども、地教行法第五十九条の関連であります。 教育行政は変革の時期にありますが、この変革に貫かれている考え方は、全国的に展開されている「日の丸・君が代」の強制や人事考課制度の導入、職員会議の不当な位置づけなどを見るまでもなく、本来の教育とは対極になければならないはずの「国家的な統制・管理」の思想であります。 こういう状況の中で、特別区の教育委員会は格段の権限を持つことになったわけでありますが、今度のこの制度改革によって、「特色のある学校」とか「個性のある人材の育成」などといった、古くて新しい課題には、どのような前進なり変化なりが期待でき、新宿区の教育が今までとどう違ってくるかということです。さきにいただいた来年度の「教育方針」からは何の変化も読み取ることができないわけでありますが、教育委員会での議論などを含めて御見解をお伺いいたします。 質問の第三は、「区政改革のための幾つかの施策」についてであります。 厳しい区財政を、事業縮小や人員削減等の合理化によって再建することを主題とした「区政改革プラン」が明らかにされております。 財政状態に制約されながらも、既存の画一的な制度を変え、地方分権を進めて特性のある地域社会をつくっていかなければなりませんが、それには、かつて区長が「開かれた区政推進計画」の中で触れられておりますように前提があるのであります。区政の意思形成過程を含めた情報が可能な限り区民の前に明らかにされ、施策の選択において区民の合意形成が最大限追求さなければならないということであります。 そこで、まず第一点として、より徹底した「情報公開」について、そのお考えをお聞きいたします。 昨年五月、ようやく情報公開法が成立しましたが、これに基づき文京、目黒、渋谷、杉並、中野区など幾つかの自治体では、既存の条例の見直し作業を進め、条例改正をするということであります。例えば文京区などでは、全面公開を基本にして、政策形成過程の情報などの非公開の範囲を狭め、また外郭団体にも公開対象を拡大したり、手続の簡素化などによって情報提供の充実を図るということです。 情報提供は住民自治の基本であります。新宿区も、区の情報は住民と共有するという立場から、公開対象を拡大するなどの条例の見直しを図るべきだというふうに考えますけれども、御答弁をお願いいたします。 第二点は、住民参加の仕組みづくりについてであります。 区長は、昨年六月の就任演説の際にも、住民参加の必要性を強調されております。 私は、地方政治の活力のメルクマールは、情報の徹底した公開と住民参加の進展の程度であり、また、議会や行政が生きた言葉でそれにどうこたえていくのかだというふうに考えております。幾つかの自治体で住民参加の仕組みがつくられ、また、幾つかの自治体ではそのための作業が進められております。 御承知のとおり、地方制度調査会では、住民参加の一形態としての投票制度のあり方が議論されておりますし、地方分権一括法における衆参両院の附帯決議でも、住民参加の方策について検討するように求めております。皆さん御承知のとおりです。住民参加のさまざまなルールづくりは住民自治の根本をなすものであり、不可避の課題であります。新宿区も個別対応としての区民参加ではなく、区の基本制度としてこれを確立していくことが必要でありますが、区長の御見解をお聞かせください。 第三点は、外部監査制度についてであります。 前者の質問にもありましたが、これは三年前の自治法改正で導入が可能になった制度で、二十三区では豊島区が初めて制度化し、文京区も四月から実施することになっております。新宿区の監査制度は十分な役割を果たしているというふうに思いますけれども、より一層執行部との緊張関係を強め、行財政運営を厳しく監視し、区民の信頼を高めるという視点に立つならば、特定部分であったとしても、外部監査は極めて意義深いと考えます。 先ほどの質問に対して区長の御答弁があったわけでありまして、御答弁のような考え方ももちろんありますけれども、最近相次いで秋田市、神奈川県、香川県、これは包括的な外部監査ですけれども、発表になっております。それを見てみましても、やはり内部監査とは非常に違う、そういう重要な意味があるというふうに考えているところです。したがって、私は前者の質問と同様に、この制度の導入を積極的に図るべきだというふうに考えるわけでありますけれども、御見解をお聞かせください。 第四点は、事務事業評価制度についてです。 この制度は、来年度は六十事業にその対象を拡大するということになっておりますけれども、住民の立場に立って区の事業を客観的に評価するという大変な目的を持っております。私たちは、この制度が、事業の成果を判定する有効な尺度として練り上げられ、生かされることによって、より住民のニーズにこたえられる区政がつくられることを願っております。 しかし、制度の重要な課題は、「住民の視点」や「住民の立場」をどう取り入れいくかであります。何をもって客観的な多数の区民の声と位置づけるかは、ルール化されていないだけに大変難しい問題でありますけれども、制度の成否にかかわることでもありますので、この際、区長のお考えをお聞かせいただきたいと思います。 第五点は、魅力ある新宿区の独自政策をどのように形成していくかということです。 各区の予算案が発表になっております。板橋区では、基礎的自治体になる今年を「板橋区再生元年」と宣言し、財政事情に束縛されないで「魅力ある政策」を考え、実施していくという、そういう新聞報道がありました。そして、その一例として、ミレニアム記念として一月一日の婚姻届の受け付け、草刈り十字軍派遣先の森林ボランティア制度、パソコン苦手先生ゼロ作戦などが報じられておりました。 我が新宿区はどうかということであります。多額の予算を投じても、「内藤新宿開設三百年事業」のように、新宿の歴史や文化を再確認し、この地域に住むことの誇りを膨らますという、本来この事業に期待された目的とはほとんど無縁の結果に終わるものもありますし、金はかからないけれども、これぞ魅力的な新宿区の独自政策としてキラリと光るものももちろんあるわけであります。 分権が進展すればするほど、これからの自治体は独自性のある政策での競争になります。区役所の人的資源を最大限に活用して、この政策競争をきちんと担っていける区政をどうつくるかは、極めて重要な課題です。窮屈な財政に萎縮するのではなくて、有能な職員の能力を引き出し、また多くの区民の声を募って、新宿区の区政を魅力あるものにできるか否かは、ここにおられる幹部の皆さんの双肩にかかっていると言っても決して過言ではありません。 また、区長はそのことが可能になるように、一層リーダーシップを発揮しなければならないというふうに思いますけれども、区長の決意をお聞かせいただきたいと思います。 第四の質問は、介護保険制度についてであります。 未曾有の高齢社会に入り、公的介護をどのように制度化していくかは、まさしく政治に課せられた最大の課題であります。「介護保険」として制度化され、四月から実施することになりましたが、この間、作業の途中でくるくると方針が変更になるなど、国の混乱した対応の中で、精力的な取り組みをされてきた関係者の皆さんに心から敬意を表します。 このことを申し上げて、区長にお聞きする第一点は、制度の基本理念についてです。公的介護の普遍的な原則は、介護が必要な状態になったときは、個人の尊厳が重んじられ、「いつでも、どこでも、だれでも」そのサービスを受給できるということでなければなりません。しかし、この制度はそうはなっていないのであります。区長はこの乖離をどういうふうにお考えでしょうか。 第二は、負担の軽減についてです。 低所得層に対する保険料や利用料の減免措置や、自治体の補助制度が極めて限定されているために、制度に対する根強い不安感や不信感があります。例えば本区でも、無料でヘルパーのサービスを受けている八割以上もの人が、この制度によって有料になるわけであります。一部の自治体では、法定の五段階の基準所得に加え、独自のランクを設けて、低所得層の保険料の負担を軽減したり、利用料についても特別な措置を講じるところもありますが、区長は、この負担軽減についてはどのように考え、どういうふうにこれから是正していくつもりか、お聞かせいただきたいと思います。 第三は、要介護認定の第一次判定の課題や妥当性についてです。 厚生省のソフトによる全国一律の判定方式の妥当性や合理性については、多くの自治体で疑問の声が出ております。「阿弥陀くじ」というふうにやゆする人もおります。人間は高度な生命体であり、とりわけ老人の状態は日々変化するのに、その実態を見ない、人間べっ視の尊大なやり方だと、公然と批判をしている武蔵野市長のような首長もおります。申請者の実態を、この方式の中できちんと掌握する資質をケアマネージャーが備えているかという、そういう問題もあります。痴呆性の人に配慮した独自の方式を考えている自治体もあるようですが、新宿区はこの件についてはどういうふうにお考えか、お聞きいたします。 第四は、介護に関する情報提供についてです。 介護保険は、一定のプロセスを経て、受給者と事業者の契約行為に至るわけでありますから、区としての情報提供や事業者としての情報提供が極めて重要な要素になります。 新設される予定の条例には、区としての介護情報を提供する規定も、事業者にそれを求める規定も全くありません。受給者に詳細な情報を提供することは、自治体や事業者の基本的な責務だと思いますけれども、どう考えているのか。また、円滑な制度の導入を図るために、区としてモデルとなる契約書を作成する必要があるというふうに思いますけれども、これについてもあわせて御答弁をお願いいたします。 第五は苦情処理体制についてです。 この問題に関して厚生大臣は、都道府県や市町村に「オンブズマン委員会」を設置し、財政的に助成する方針を明らかにしております。区は来年度から苦情処理体制の窓口を設置することになっておりますけれども、国が考えている制度なのかどうかということも含めて、その構想を明らかにしていただきたいと思います。 第六は、介護事業に関する評価委員会の設置についてです。 介護保険に関する施策の企画・立案及びその実施が、基本理念に基づいて適切に実施されているかどうかを専門的な見地から評価し、場合によっては助言や改善を提起する権限を持つ機関として「評価委員会」のような制度が必要だと思います。 このような機関を持つことによって、新宿区の介護事業は区民から信頼され、さらに内実のあるものに発展していくというふうに思いますけれども、区長のお考えをお聞かせください。 以上六点について御答弁をお願いいたします。 次に、質問の第五は「土地信託」についてであります。 淀二小の跡地をいかに活用するかは、区政にとっても極めて重要な課題です。十年前に土地信託による果実の活用という方針が選択されたわけでありますけれども、当時の社会経済情勢の中で断念され、今日の暫定活用に至っております。 区長は、このたび熟慮の末、この跡地を土地信託として本格活用する方針を固め、そのための手続に入ったということです。 私たちは、区有財産の有効活用の選択肢の一つとして、土地信託があるのをもともと否定しているわけではありませんけれども、極めて貴重な区民の財産を、長期にわたって、従来とは全く別の目的に使用するわけでありますから、このようなときにまず要求されるのは、区民への周知と最大限の合意形成、それに確固とした見通しだというふうに考えます。 そこで、お聞きする第一は、土地信託を選択するに当たっての区民の合意形成についてです。重大な事業に対する自治体の意思決定は、幅広く主権者の意向を聞き、最終的には議会に諮って決めるというのが、新しい時代の地方自治の姿であります。土地信託の問題は、我が新宿区が、言葉だけでなく、本当に住民自治に立脚した行政を展開するのか否かの一つの試金石だと私は考えております。「区政改革プランの説明会で、区民から格別の意見が出なかった」とか、「執行権の問題であり、一々区民の声を聞いていたら何もできない」とか、「議会は議案の際に態度を明らかにすればいい」といった考えもあるようですけれども、もしこれが区長の本意であるならば、区民参加を進めるという区長の発言は、まさしく羊頭狗肉だと言わざるを得ないのであります。   〔「そうだ」と呼ぶ者あり〕 私たちは、今までも繰り返し区民参加の場の保障を求めてきましたが、残念ながら実行されずに今回の決定になっております。区長は、区民の参加をどう保障するつもりか。それとも、今さらもうそんなことは全然必要ないというふうにお考えになられているのかどうか、お聞きいたします。 第二は、事業の大前提になる確かな見通しについてです。 十年前土地信託の選択を見送った当時と、状況が今どう変わったのかということです。ことしに入って発表された民間の不動産調査は、企業の事務所は合理化や不況の影響で、東京都区部、名古屋、大阪など全国の主要都市のほとんどで空き室率が上昇し、特に二十三区では都心の再開発や大型開発でビルの供給が大きくふえることもあり、需給が緩むと推計しております。 区長は、当然このようなことも勘案して決断されたものというふうに思いますけれども、西新宿という好条件の場所に立地しているだけで、このようなマイナス要因を払拭できるというふうに考える根拠はそもそも何なのか。また、区長の状況に対する認識は、客観的に見て、社会的、経済的な相当期間の変化に耐え得るものなのかどうか。御答弁をお願いいたします。 この問題で私たちは、一月末に区長に文書で「申し入れ」をしておりますが、万が一の責任をだれがとるのかということとも関連いたしますが、多少時間がかかっても、区民の意思を聞く作業をまず前段に行うべきであることを、再度強く、この際申し上げます。 質問の第六は、「憲法調査会」についてであります。 九九年の第百四十五通常国会で「憲法調査会設置法」が制定されたのを受けて、今通常国会で衆参両院に「憲法調査会」がつくられ活動に入っております。唯一憲法改正の発議ができる国会に、憲法問題を集中的に議論する場が設けられたのは憲政史上初めてであります。 私たち地方自治体も憲法にその基礎を置いており、憲法論議の行方には特別関心のあるところです。しかし、今なぜ憲法を取り上げて議論しなければならないのか。何を調査し、何を実現したいのか。また、どの条文にどのような不備があるのか。こうした根本的な疑問に対して、法案に賛成した各党はきちんと答える必要があるわけでありますが、御承知のとおり、どこからも説得力のある説明はなされていないのであります。 憲法は、もちろん「不麿の大典」ではありません。しかし、その時々の政治変動で改定されることは、そもそも想定されていない「根本規範」でもあります。情報公開や環境問題の対応が理由に挙げられたりしておりますけれども、これらの課題に対する取り組みに、現憲法は何の障害にもなっていないのは自明であり、言うならば、真の目的を覆い隠す単なる口実にすぎないのであります。 調査会設置の旗を振った人たちのねらいはもちろん明確であります。すなわち、憲法第九条や関連する前文を改悪し、自衛隊を憲法上認知された軍隊と位置づけ、さらにその軍隊を、国境を越えて投資された膨大な大企業の権益を守るために海外に派兵することを合法化することや、徴兵制の導入であります。これが憲法調査会の真の意図であるにもかかわらず、このことを明言する人は皆無に等しいのであります。私は衆愚政治の典型を見るような気がいたします。 マスコミなどで積極的に発言している在日三世の辛淑玉(シン・スゴ)さんという方がいらっしゃいますけれども、この方は、我が国の憲法について、「もともとこの平和憲法は日本国民にはもったいないものなのよ」と言っております。大変な風刺であります。しかし、世論調査などでも、多くの国民が現憲法の第九条を含めた平和主義を支持している現状から見るならば、私はむしろ「日本の先進的な憲法は、調査会設置に賛成した政治家にとってはもったいないものなのよ」と言ってもらいたいくらいであります。 区長は、国政に関する質問をすると、それが自治体に極めて重要な影響を及ぼすものであっても、「国会の論議の推移を見る」というふうにお答えをされているわけでありますけれども、私は、この問題については、次のように区長にお聞きいたします。 まず第一に、「環境権、知る権利、プライバシー権」などについて、現憲法は第二十二条や第二十五条などで間接的にしかこれを保障していないわけでありますが、区長は憲法がこうであるために、新宿区で環境行政や情報公開、プライバシーにかかわる行政を行う上で、障害になっているというふうにお思いになったことがあるかどうかということです。お答えいただきたいと思います。 第二は、憲法第九条についてです。 自衛隊が世界で二番目の規模の軍隊に装備された現実と、この条文は言うまでもなく大きく乖離しています。そもそも憲法の求めていない現実があるということ自体、法治国家としてもこの上なく奇妙なことでありますけれども、この奇妙な現実が、紛れもなく我が国の戦後政治の所産なのであります。しかし一方、このような状態であるにもかかわらず、国民の多くは各種の世論調査において、この第九条については変えるべきではないという意思を示しております。 区長は、憲法第九条の是非についてはどういうふうにお考えか、お聞かせいただきたいと存じます。 さて、新年度から非常に重要な「教育制度」の改革が実施されようとしております。幾つかの点について簡潔にお伺いいたします。 まず、「人事考課制度」の導入についてであります。 東京都教育委員会は、昨年十二月に「人事考課に関する規則」を制定し、ことし四月から人事考課制度を導入します。 この制度は、自己申告と業績評価をあわせたものでありますけれども、まず自己申告制度は年三回の基準日に実施し、校長や教頭が教員に自己申告書を提出させ、指導や助言を行ない、さらに都や区の教育長が教員の能力、意欲、業績などを評価して教員を管理します。 また、業績評価制度は、教頭と校長が五段階に分けて、第一次、第二次の絶対評価を行い、さらに、都や区の教育長も五段階の総体評価をして、定期昇給、人事異動、管理職選考などに使うというものです。自己申告書で目標を掲げさせ、業績によって教員を査定し、ランクをつけ、昇格や異動、さらには雇用の継続にも反映させるということです。 大変な制度です。そもそもこの制度が求める「教育における業績」とはどういうことを言っているんでしょうか。長い間の経過の中でにじみ出るように醸し出される本来的な教育の成果は、営利企業の業績のように、具体的な数字であらわされる成果とは全く異質のものであります。 私は、この人事考課制度は、競争と上意下達の学校を再現し、校長、教頭、主任という縦の支配管理システムをつくろうとするものであり、さきの校長の管理権限を強化した学校管理運営規則の改悪に続き、教員を徹底的に支配しようという極めて不当な制度であり、教育の世界とは無縁のものである。こういうふうに思っております。 管理を強化し、教員を締め上げる「人事考課制度」は、子供たちの能力の醸成や創造性を開花させる教育を展開するには「百害あって一利なし」です。息苦しく管理された学校現場に、どうして豊かな実りがもたらされるというのか。教員の自由がない学校や競争を強いられている学校に、そもそも教育に求められている本来的な可能性を期待することができるというのか。学校をよくしたいというふうに考えるならば、まず教員の能力が引き出せる環境をつくることが先決であります。そのために学級定数や授業時間を減らし、子供とゆっくり向き合える条件を整備すべきであり、これこそ行政が果たすべき基本的な責務であります。 新宿区教育委員会は、この人事考課制度についてはどのような見解に立つのか。また、新しい都区制度改革の中で、区教委はこの制度とどのようなかかわりを持つことになるのか、お聞きいたします。 次に、「学校評議員制度」についてお伺いいたします。 久保議員の質問にもあったように、この制度は、民間人の校長・教頭への登用などとともに、九八年九月の中央教育審議会の答申で提案されたもので、教育委員会の判断でことし四月から実施できる制度というふうになっております。 学校評議員は、教育に関する理解及び見識を有する人を、校長の推薦により教育委員会が委嘱することになっております。文部省は、この制度を活用することによって、地域や社会に開かれた学校づくりを一層推進し、学校が家庭や地域と連携協力しながら、特色ある教育活動を展開できるとしております。 地方分権は、住民参加により、住民の意向が適切に行政に反映されて初めて実現されますけれども、このような視点に立つならば、学校評議員制度は、分権推進の見地からも意義あるものになるかもしれないと思える制度であります。 そこで、新宿区教育委員会は、この制度の導入についてはどういうふうな考えに立っているのか、お聞きいたします。 今まで、行政によって準備された住民参加の形態は幾つかありますが、それらはともすれば、住民の意向を行政に反映させるというよりも、住民の意見を聞いたとする行政の免罪符の機能しか果たしていないという、そういう側面が指摘されております。 学校評議員制度は絶対こういうものであってはなりません。地域の総体的な世論を代表し、学校運営の改善に役立つ意見をきちんと表明できる人が選任されなければ、全く意味がないわけであります。評議員の人選は、この制度の成否を決める極めて重要な要素でありますが、地域の有力者や団体の代表者などが充て職的に構成員になる組織ならば、必要な住民の意見は出てこないし、むしろない方がましであります。また、校長の個人的な好みによってそれが行われたとしても制度の趣旨に反します。したがって、客観的なルールをつくる必要があると思います。 この点について、教育委員会の御見解をお聞かせください。 さらに、この制度がより輝きを持つためには、校長の求めに応じて、単に意見や助言の表明をするという受け身の役割だけでなく、自主的な活動の機会を保障するとともに、地域住民の意向が反映される仕組みにすることが必要であります。そのためには、設置条例によって目的や役割などを明確にした公の機関として位置づけるべきだというふうに考えますけれども、教育委員会の御見解をお伺いいたします。 最後に、「総合的な学習の時間」について質問いたします。 これは、完全週五日制に入る二〇〇二年からの「新学習指導要領」の目玉でありまして、移行措置として来年度から実施が認められているものであります。 新宿区教育委員会も、新年度の予算案に運営費を計上していますので、どのような基本的姿勢で、この「総合的な学習の時間」に対応するのかについて、これからお聞きいたします。 この件について、学習指導要領には、「横断的・総合的な学習や児童の興味・関心等に基づく学習等、創意工夫を生かした教育活動を行う」とし、「例えば、国際理解・情報・環境・福祉健康等の課題、地域や学校の特色に応じた課題を見つけて活動する」と書かれております。しかし、これはあくまでも例示であります。重要なことは、横並びでなく、それぞれの学校が独自の判断のもとに、自らの課題を見つけ、主体的に取り組むことだと思います。 一九九七年に「ゆとりの時間」が導入された際には、学校の裁量権が拡大した画期的な制度として歓迎されたわけでありますけれども、文部省の「ゆとりの時間でやるのは、例えばこんなことだ」という幾つかの例示に束縛されて、全国的には金太郎飴のような中身になったという実に情けない歴史があります。 「総合的な学習の時間」が、この轍を踏んではなりません。「総合とは」そもそも何なのか。何を「総合する」のか。この時間から「何を導き出すのか」などについて、課題の整理と十分な検討が前段になければならないというふうに思います。 文部省のパンフには、「総合的な学習の時間では、各学校の創意工夫により、家庭や地域の人々の協力が必要となる」と書かれてあります。この制度は、地域の総体的な教育力を動員することによって、学校の力量を強めていくという、そういう側面もあります。したがって、文部省お好みの上からの押しつけではなく、子供、先生、地域が一体となって独自性のある創造的な対応が絶対にこの時間には求められているのであります。 新宿区教育委員会として、各学校が地域の人的・物的な特色を生かし、そこに根差した創意に満ちた学習時間をつくっていくために、どのような問題意識を持ち、また、どのような取り組みをされていくのか、お答えをいただきたいと思います。 以上で私の質問を終わります。御清聴いただきましてまことにありがとうございました。(拍手) ◎区長(小野田隆) 山田議員の代表質問にお答えをいたします。 まず、最初の御質問の、このたびの地方分権の評価などについてでございますが、ほぼ、ただいま御指摘で言い尽くされているのではないかと思います。若干申し上げるとすれば、今日の時代の課題でもあります「住民自治」にかかわる改革がわずかにとどまったことは、残念というほかはございません。 御指摘にもございましたように、多元化した価値観の中で、いかにして区民の合意形成を図るかということに日夜腐心している私としては、思いもひとしおでございます。その意味では、地方分権は「出発点」に立ったところであると、私も認識をしている次第でございます。 次に、このたびの地方分権に区としてどう対応するのかという点についてでございますが、今回の改革は団体自治にかかわる部分が中心であるため、行財政運営における仕事の進め方には大いに留意していく必要があるものと考えています。とりわけ、政策法務とも称すべき法律の解釈運用などには十分意を払う必要があります。御指摘の専門チームにつきましても、今後十分検討してまいりたいと考えております。 次に、地方分権推進法の期限の延長などについてでございますが、現在のところ、区長会では御指摘のような話題は出ておりません。しかし、税財源の問題などいまだ地方分権改革が道半ばである状況を考えますと、なお引き続いて改革を進めていく必要があるものと私は考えております。したがいまして、いずれかの機会に提案をしてまいりたいと考えております。 次に、都区制度改革についての評価などについてでございますが、率直に申し上げまして、自治法上の整理としてはかなり明確な都区の役割分担ができたものと認識しております。しかし、税財政制度に見られますように、役割分担をめぐる都区の協議は必ずしも明確とは言えず、大都市行政への未練を引きずる東京都を説き伏せるまでには至りませんでした。 したがいまして、財調の調整率をめぐる問題につきましては、粘り強く協議を続ける必要があるものと考えております。 また、同時に、今後とも自立した区政を展開し、東京都をして驚嘆せしめるということも重要な要素になるものと考えております。 次に、新しい自治制度についてでございますが、二十三区の地域にふさわしい自治制度としては、かつて昭和五十六年に、特別区制調査会がまとめた「特例市構想」がございます。この構想と、今回の制度改革との決定的相違は、財源配分において、より区側に実質を与えている点にあります。 また、会長を努められた故辻清明先生は、二十三特別区のあり方を、当時の欧州共同体、すなわちECになぞらえて「協調と連帯」、そして相互支援を基盤にすべきだともおっしゃったと伺っております。今回の制度改革がワンステップとするならば、私どもの目指すべきところは、そのあたりにあるのではないかと考える次第でございます。 次に、清掃事業を実施するに当たって、今後どのような特徴ある事業展開を図っていくのかという御質問ですが、新宿区といたしましては、まず都の基本計画の柱となっている「循環型清掃事業への転換」と「自区内処理の原則」を引き継いでまいります。 そして、新宿区一般廃棄物基本計画では、「ごみの発生自体を押さえ、資源循環型社会を目指す」と「環境への負荷を抑え、効率的に事業を実施する」の二点を基本的考え方としております。 移管に当たっては、資源清掃対策室を設け、体制を強化し、都が従前実施してきた清掃事業と区リサイクル事業との整合性を図るとともに、多様なネットワークづくりを行うことによりまして、区の特性を踏まえた事業の展開を図ってまいりたいと考えております。 代表的な区の特性として、第一に、事業系ごみが多いことであります。第二に、全世帯の五割以上が単身世帯であり、また外国人も多く、分別排出の徹底が困難なことなどが挙げられます。 事業系ごみへの対応としては、区内の先進団体の例を紹介するなど、より一層事業者による自己処理が図られるよう、商工会議所や商店会等との連携を図りながら推進してまいります。 単身世帯や外国人居住者に対しては、従前どおり関係団体や地域住民の協力を得ながら、外国語表記のパンフレット等により、ごみ減量、分別、排出方法等について周知徹底し、指導を行っていきたいと考えております。 次に、全国市長会への加盟についてでございますが、全国市長会は市長を構成員とされていることから、現時点での加盟は困難であると考えております。 しかしながら、特別区は制度改革の実施により、他の市町村と肩を並べることになり、今後、市長会の一員となることについて研究すべき課題と認識しておりますので、区長会等を通じて検討してまいりたいと思います。 次に、情報公開についてでございますが、現在の公文書公開条例は、「公正で民主的かつ効率的な区政を実現することを目的」に昭和六十二年四月に施行されましたが、以来、区政への区民参加を推進するための柱として確実に区民の中に定着してきております。 しかしながら、昨年は国の情報公開について定めました「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」がようやく成立するとともに、東京都においても、「東京都公文書の開示等に関する条例」が全面改正され「東京都情報公開条例」として公布されるなど、行政の説明責任を基礎理念に、新たな情報公開制度づくりへの機運が全国的に高まってきております。 また、四月からは、いよいよ地方分権構想に基づく行政体制がスタートし、地方公共団体の自己決定権が大幅に拡大することで、行政の公正性と透明性がこれまでにも増して強く求められてきます。 こうした社会的背景と、新たな時代的要請を踏まえまして、新宿区といたしましても、これからの情報公開制度全般にわたる事務レベルでの検討を進めている次第ですが、来年度には、これをいよいよ具現化すべく条例見直しの具体的作業に着手する所存でございます。その際には、情報はあくまでも区民と共有するものだとの認識に立って、公開対象の拡大や積極的な情報提供のシステムづくり等、さらに徹底した区民参加の実現を目指してまいります。 次に、住民参加の仕組みづくりについてでございますが、私も、考え方において御見解を否定するものではございません。しかし、区政をお預かりする立場にいる者としては、区政運営の責任という点から見た場合、議決機関と執行機関とによって分担されている「間接民主制」にまさるものはないのではないかと考えるのでございます。 情報公開、住民参加が間接民主制の実を挙げることにつながる点は、私も理解いたします。それによって得られた区民の皆様の多様な意見は、議決機関と執行機関において責任を持って決定されるべきものであります。せっかくの御提案でございますが、この点はいまだ確信に至らずというのが、私の偽らざる思いでございます。 次に、外部監査の導入についてでございますが、監査機能に対する区民の信頼を高めるという観点につきましては、私としても十分に認識をしているところでございます。 しかしながら、包括外部監査と個別外部監査について、既に導入されている都道府県等の監査事項を見ますと、病院等の企業会計や土地開発公社など、御指摘のように特定部門を対象としているものが多くを占めています。したがいまして、外部監査の導入につきましては、区の監査の現状を勘案し、導入団体の状況などを十分に参考にしながら検討を加えてまいりたいと考えておりますので、いましばらくお時間をいただきたいと存じます。 次に、事務事業評価制度についてのお尋ねでございますが、御指摘のように、住民の視点などをどう取り入れるかにつきましては難しい課題であります。率直に申し上げますならば、それらは試行錯誤によって練り上げられるものと考えております。したがいまして、それだけに区民の目に触れるようにしていくことが重要であります。 また、個々の事務事業の評価そのものを、政策目標とその達成度という観点から比較する方法に転換していくことも、区民の皆様の理解を容易にする方法ではないかと考えております。 次に、魅力ある政策を区政の中でどのように形成していくかというお尋ねでございますが、地方分権の真のねらいが、御指摘のような点にあることは論をまちません。私が「職員の自己啓発」を求める理由も、こうした政策形成能力の向上を期待するからにほかなりません。 変化の激しい時代において、多様な区民の要望を一つの施策にまとめ上げていくために、絶えざる自問自答、そして勉強が不可欠であります。その施策が区民の生活を変えて豊かにするものであるか、施策そのものを実施する職員や区全体に元気を与えて、かつ行政体質を改善するものであるか。単に一部の人々だけでなく、社会そのものを発展させたり豊かな方向に導くものであるか。こうしたメルクマールに基づいた訓練を重ねる中から、魅力ある政策をつくり上げる方途を築いて生きたいと考えております。そのために、現場からの発想を大切に、各部各課における具体的な取り組みについて検討してまいります。 次に、介護保険制度についてのお尋ねでございますが、まず初めに、制度の基本理念についてでございます。 御指摘のとおり、公的介護の普遍的な原則として、介護が必要な状態になったときは、個人の尊厳が重んじられ、「いつでも、どこでも、だれでも」サービスを受給できることは非常に重要であると認識しております。 ところで、介護保険制度では、御存じのとおり、保険給付を受けるためには幾つかの要件がございます。 まず、被保険者の方が要介護認定あるいは要支援認定を受けている必要がありますが、これは真に介護サービス等の必要な方が、必要に応じた適切な介護や支援を受けるために不可欠なものであると考えております。 なお、緊急やむを得ない場合は、認定前でも介護サービスを利用でき、後に保険を適用することもできます。 また、六十五歳未満である第二号被保険者については、要介護状態等の原因となる障害が十五種類の特定疾病である場合とされておりますが、これは介護保険制度が、加齢に伴って生じる心身の変化に起因する疾病等により、要介護状態等になった場合に給付を行うための制度だからでございます。したがいまして、六十五歳未満の方につきましては、介護保険制度のみでなく、障害者施策や各種疾病対策など、幅広い視野から公的介護を考えていくべきものと考えております。 最後に、被保険者の方が自らの選択に基づき、常に十分なサービスを利用できることが重要であると考えますが、現在のところ、サービスによって必ずしも十分ではないものもあります。これらのサービスにつきましては、介護保険事業計画に基づき、着実にその基盤整備を図ってまいります。 私としましては、介護保険制度は決して、さきに述べた公的介護の原則から乖離しているものではなく、これからの高齢社会において非常に重要な社会保険制度であると考えております。 次に、負担の軽減についてでございますが、低所得者層に対する保険料や利用料の減免措置等につきまして、一部の自治体で独自の動きがあることは、私も承知しております。 しかしながら、介護保険は、応分の負担によりみんなでともに支え合う「共助」の制度であり、この制度だけで低所得者対策等を含むすべての問題を解決することは不可能であります。自ら支える「自助」、生活保護等の「公助」との三つが適切に組み合わされることによって、総体としての支援が行われるものでございます。したがいまして、介護保険制度いたしましては、区独自の低所得者対策については考えておりません。 なお、御質問にありました保険料の所得階層の段階増加につきましては、保険料が著しく高額である場合に、広域的に対応する仕組みとされておりますので、区としては採用する予定はございません。 次に、一次判定方式の課題についてでございますが、この一次判定は、認定調査員が全国一律の基準で実施した認定調査結果をもとに行っております。この一次判定と、医学的視点から見た主治医の意見書等によって、認定審査会において、痴呆などに配慮しつつ総合的な二次判定を行っております。公平性の見地から区独自の方式は考えておりません。 なお、適正な認定調査を担保するため認定調査員の研修を計画的に行い、資質の向上に努めております。 次に、介護に関する情報提供についてでございますが、介護保険は利用者の選択権の尊重をその基本理念としており、サービスの選択が円滑に行われるためには、御指摘のとおり、サービス情報が十分提供される必要があります。介護保険サービスの情報につきましては、国や都からのインターネットで提供されているところです。 区といたしましても、事業者へのアンケート調査などにより、サービスの情報を収集し、国や都の情報とともに在宅介護支援センター等で区民に提供しております。さらに、事業者に対しても、区民に適切に情報を提供していくよう、事業者連絡会等を実施する中で指導しております。 また、モデル契約書につきましては、利用者保護の観点から東京都より既に示されています。区といたしましても、このモデル契約書に沿った内容で適正な契約が行われるよう、事業者の指導に努めてまいります。 次に、苦情処理体制についてでございます。区では、利用者が安心してサービスを利用できるように、新たに介護保険課の中に苦情相談を担当する利用者支援係を設けます。ここでは、利用者と事業者間の調整や事業者への改善指導を行うなど、利用者保護や介護サービスの質の確保と向上に努めてまいります。 具体的には、サービスに関する苦情があった場合は、まず苦情を申し立てた利用者を、担当している介護支援専門員に、苦情解決のための作業を指示し、一定の期間内での解決を図ります。困難な事例につきましては、直接、区が事業者に対して調査、指導、改善等を行い解決を図ってまいります。 国が考えている「オンブズマン委員会」につきましては、現在のところ詳細については明らかでありませんので、国からの通知を待って検討をいたします。 次に、介護事業に関する「評価委員会」の設置についてでございますが、区といたしましては、区民を初め学識経験者や保健福祉関係者等により構成される「(仮称)高齢者保健福祉推進協議会」を設置し、区及び協議会による点検体制を整備してまいります。 区は、計画の達成状況を点検し、必要な対策を講じるなどの進行管理等を行い、その内容について協議会に報告し、意見を求めてまいりたいと考えております。 次に、土地信託についての質問にお答えいたします。 淀橋第二小学校跡地の有効活用につきましては、十年前に区民が参加した懇談会で土地信託の方針を決定し、その後、社会経済状況を勘案して、暫定的に駐車場として活用してきました。 この間、平成九年には、区財政の逼迫状況から、改めて跡地活用について専門家の意見を聞き、土地信託の有効性を確認した上で、平成十年に「区政世論調査」を実施しています。 この調査では、行政目的に使用予定のない区有地の活用方法をお尋ねしましたところ、七割の方が「土地の特性を生かした活用方法を考えて収益に結びつけた方がよい」、「収益力のある土地は効率的に活用し、収益を区民に還元した方がよい」と回答されました。 また、地元町会・商店街には、土地信託導入に関しての要望書をいただき、意見交換や地元説明を随時行ってまいりました。今回、区の財政状況やこれまでの区民の意見を踏まえ、土地信託事業を決断いたしました。今後とも区民の皆様の意見を伺いながら、土地信託を進めてまいります。 次に、事業の見通しについてでございますが、この事業の成否は、テナント料収入、建設費及び借入金利に左右されると考えております。ここ数年の社会経済状況を見ますと、建設費及び借入金利はこれ以上望めない好条件にあると言えます。 また、テナント料収入につきましても下げどまりの兆候がうかがえますし、隣地で、本区の二倍規模で行われています都の信託事業では、入居率九八%、テナント料収入四十五億円で、二十三億円の信託配当が都に入っています。 さらに、西新宿地区につきましては、丸の内地区に次ぐ賃料相場を形成し、今後、西新宿、とりわけ新宿駅に近い西新宿一丁目における大規模オフィスビル建設の予定がほとんどないことなど、あらゆる角度から検討いたしましても、本事業に着手する時期と判断いたしました。 次に、環境権、知る権利、プライバシー権などが憲法に直接規定していないが、行政を執行する上で支障があるのかというお尋ねでありますが、御指摘の権利は、現憲法の中では「生存権的基本権」または「社会権的基本権」と整理されているもので、すべて明確に規定されているわけではありません。これは社会生活が時代に応じて変化するということを想定したものと考えられます。 行政執行上の支障につきましては、個別の法律や裁判の判決等において、その権利等にかかわる必要な規定や判断がありますので、一概に支障があるとは考えておりません。しかし、このたび衆参両院に設置された憲法調査会において、憲法について広範かつ総合的に調査を行う中で、議論の一つになることについては、必要なことではないかと思っております。 次に、御指摘の憲法第九条は、憲法の基本理念の一つである平和主義、国際協調主義を具体的に規定したもので、憲法の骨格をなすものと理解しております。しかしながら、第九条の表現等に疑義があるとの考え方もあることから、憲法調査会で議論されるものと思っております。 私といたしましては、憲法の基本理念は堅持すべきと考えておりますが、国民全体の中で十分に議論されることが必要ではないかと認識いたしております。 以上で私の答弁を終わり、あとは教育長から御答弁申し上げます。 ◎教育長(森岡泰弘) 教育委員会に対する御質問にお答えいたします。 都区制度改革についてでございますが、このたびの都区制度改革により、教育委員会は、幼稚園教職員の任命権、小・中学校教職員への服務監督権など、基礎的自治体の教育委員会としての本来の権限の移管を受けました。教育委員会といたしましては、新宿区の子供たちと保護者に対する責任が一層重くなったことを痛感しております。 一方、毎年策定しております「教育行政の推進に当たって」では、新宿区における教育の長期目標、中期的な基本方針、さらに時代の流れに対応した施策の方針を述べているところです。 教育委員会の会議におきましては、教育目標や基本方針は大きく変わるものではないとの認識のもとに、新年度に向けましては、新教育課程への移行及び学校評議員制度への取り組みを施策の方針として新たに掲げたものでございます。 次に、本年四月から小・中学校に導入される人事考課制度についてのお尋ねであります。 御案内のように、東京都教育委員会は、昨年十二月に「東京都区市町村立学校教育職員の人事考課に関する規則」を制定し、四月から新たな人事考課制度を導入いたします。 現在、学校教育をめぐりましては、解決しなければならないさまざまな教育課題が山積しているとともに、新しい時代に向けた教育改革への取り組みが求められております。 このような状況に適切に対応していくために、東京都教育委員会におきましては、これまでもスクールカウンセラーの配置やティームティーチングなどさまざまな施策を行ってまいりましたが、そのような施策をさらに実効あるものとするために、このたび、児童・生徒の教育に直接携わる教育職員の意識改革と資質能力の向上を図る新たな人事考課制度を導入するものであります。 御指摘の学級定員や授業時間などの教育条件の整備も重要な課題でありますが、学校教育活動の中心となる教育職員の能力開発に資する新たな人事考課制度の構築も、人的な面における条件整備の一環として重要であると理解しております。 また、勤務成績を評定する人事考課は、地方公務員法第四十条に基づくものでありますが、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第四十六条により、県費負担教職員の評定は、都道府県教育委員会の計画のもとに、市町村教育委員会が行うものとされておりますので、新宿区教育委員会といたしましても、この人事考課制度に基づく評定を行ってまいりたいと考えております。 次に、学校評議員制度についてのお尋ねでございます。 学校評議員制度は、地域や社会に開かれた学校づくりを一層推進し、学校が家庭や地域と連携協力しながら、特色ある教育活動を展開することをねらいとしております。したがいまして、学校評議員の人選は、できる限り幅広い分野から意見を聞くことができるよう、十分な配慮が必要であると考えます。 教育委員会といたしましては、これらの点を踏まえ、学校評議員制度導入の具体的な方法につきましては、今後十分検討していきたいと考えております。 また、学校評議員制度は、条例によって設置すべきとのお尋ねでございますが、設置の根拠規定を含め、今後十分な議論を積み重ねながら評議員制度のあり方を検討していきたいと考えております。 次に、総合的な学習の時間についてでございますが、昨年六月に新学習指導要領への移行措置が告示され、総合的な学習の時間を、平成十二年度より各学校の教育課程に加えることができるようになりました。現在、各学校では、総合的な学習の時間の実施に向け、移行期間中の実施時間数や学習内容等を検討し、計画案を作成しているところでございます。 教育委員会といたしましても、各学校が地域や学校の実態等に応じて、創意工夫を生かして、特色ある総合的な学習の時間を実施してほしいと強く願っているところでございます。このため、昨年五月に新教育課程検討委員会を設置し、新学習指導要領の内容を検討し、報告書にまとめ、各学校に配布するとともに、各研究会での内容等の説明を行いました。 また、学校からの人材派遣要請に対応できるように、ふれあいトーク宅配便や新宿区文化等支援者バンク、学校ボランティア制度を一層整備・充実していきたいと考えております。 そして、各学校が地域の商店街や乙女山公園などの自然を調べたり、外国人留学生との交流学習ができるよう各学校を支援し、総合的な学習の時間が円滑に実施できるよう配慮していきたいと考えております。 以上で答弁を終わります。 ◆二十一番(山田敏行) 今は区長と教育長から御答弁をいただきましてありがとうございました。 いろいろお聞きしたいことももちろんありますけれども、予算委員会が始まりますので、そのつどまた、予算委員会の中で疑問点についてはお聞きをさせてもらたいたいと思います。ありがとうございました。(拍手)  ----------------------------- ○議長(小沢弘太郎) 以上で、本日の質問は終わりました。 本日の会議は、議事進行の都合により、これで延会したいと思います。御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(小沢弘太郎) 異議なしと認めます。 本日の会議はこれで延会することに決定しました。 次の会議は三月一日午後二時に開きます。ここに御出席の皆様には改めて通知をしませんので、御了承願います。 本日はこれで延会します。 △延会 午後五時四十三分        議長  小沢弘太郎        議員  そめたに正明        議員  下村得治...