地域で、
子どもの命を守り、健やかな成長を
妊娠期から見守る体制が整います。ひとり親家庭への
支援も強化します。
増加する児童虐待や非行、DVなどの
子どもと家庭の問題に対し、未然防止から調査、援助、保護、里親委託、
施設等への措置、家庭復帰、自立
支援まで、
子どもの権利を擁護し、
地域の関係機関と
連携して迅速に切れ目なく
支援してまいります。
本年三月、南麻布四丁目に、
障害者の
地域生活を支える
拠点となる入所
施設「区立
障害者支援ホーム南麻布」を開設します。併せて、重度の要介護認定者に対しサービスを提供する百床の民設民営の特別養護老人ホーム「南麻布シニアガーデンアリス」も整備します。
四月には、児童の成長や発達を
支援する「区立児童発達
支援センター」を開設します。
今後も、
区内の医療機関や介護サービス
事業者等と
連携し、すべての
区民が、住み慣れた
地域で医療、介護、保健、
福祉の各種サービスを受けながら、その人らしい
生活を送ることができる
地域共生社会の実現に取り組んでまいります。
今、港区においても、八十代の親が五十代の
子どもの
生活を支える八〇五〇問題や親の介護と子育てを同時に行うダブルケア問題など、家庭が抱える課題は複雑化しています。
複合的な課題を抱えている家庭の
相談に応えるため、わかりやすいワンストップ窓口の
令和四
年度の開設をめざし、準備を進めます。
次世代移動通信システム5Gなど
先端技術を活用し、自宅にいながら
区民サービスが受けられるようにするため、申請から受給までの手続きが行える仕組みの検討に着手します。
次に、安全・安心の確保についてです。
区民の生命と財産を守るため、時期を逸することなく効果的な防災・減災、安全・安心対策を進めてまいります。
昨年秋の台風十五号、十九号は、記録的な大雨や暴風により各地に甚大な被害をもたらしました。
この教訓から、地震に加え、風水害対策においても、早急に対策を強化します。
暴風雨の時には、屋内で防災行政無線の内容が聞き取りにくいため、防災ラジオの配布対象を希望する全世帯に拡大します。
自主避難
施設・避難所機能の強化として、水、食料、液体ミルクの備蓄やスマートフォンの充電対策を進めます。区有
施設では、水の侵入を防ぐ止水板の設置など浸水対策を進めます。さらに、共同住宅の防災対策を強化します。
昨年九月、土砂災害特別警戒区域が
区内で新たに指定され、合計百四十二か所となりました。二十三区で最も多い
状況であり、
区民の命を守る観点から、土砂災害対策を強化します。がけ、擁壁の所有者に対し改修の必要性を働きかけるととともに、アドバイザーを派遣します。
改修工事
支援事業の対象者を宗教法人などにも拡大し、土砂災害警戒区域等で擁壁を設置する場合の助成上限額を五百万円から五千万円に引き上げます。
中国で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の感染者数が拡大し、国内でも感染者が増えています。
区は、ホームページに感染予防の
情報を掲載するとともに、みなと保健所に
相談窓口を設置し、
相談者の不安の解消にあたっています。
本年二月一日に、国は、新型コロナウイルスによる肺炎を指定感染症に指定しました。これを受け、区は、二月三日に私を本部長とする危機
管理対策本部を設置し、全庁をあげて対策を進めています。引き続き、
区民、医療機関、商店・飲食店、ホテルなどへの速やかな
情報提供、予防措置を徹底します。
羽田空港新飛行経路の運用に伴い、
区民からは落下物や騒音等に対する不安の声が寄せられています。
区は、
区民の安全・安心と
生活環境を守る立場から、引き続き、国の責任において、
区民の不安や疑問の払しょくに向けたきめ細かな
情報提供や丁寧な説明を行うとともに、さらなる安全対策や騒音対策等に積極的に取り組むよう、国に対して強く求めてまいります。
また、区としても独自に
区内の複数箇所で騒音を測定し、影響の把握に努めてまいります。
東京二〇二〇
大会開催に伴う安全・安心の
取組として、防犯カメラ設置補助、青色
防犯パトロール、繁華街の客引き防止対策を強化するとともに、
まちの美観を損ない、歩行を妨げる放置自転車対策を進めてまいります。
昨年、滋賀県大津市で散歩中の
保育園児を巻き込んだ痛ましい事故が起きました。
子どもたちの安全を守るため、
保育園等の周辺道路に運転手への注意喚起を目的としたキッズゾーンを新たに設置します。
昨年十二月、
平成十八年六月三日に港区特定公共賃貸住宅シティハイツ竹芝で発生したエレベーター事故に関し、区が原告である損害賠償請求において、エレベーター製造会社などの被告と和解をしました。
区は和解を契機として、改めて、将来ある尊い命が失われたこの事故を決して風化させることなく、エレベーター安全装置等設置助成を拡充するなど、更なる安全対策に取り組んでまいります。
次に、
教育の充実についてです。
昨年十二月、旭化成株式会社名誉フェローである吉野彰さんがノーベル化学賞を受賞されました。吉野さんが科学に興味を持ったきっかけは、小学校の先生に薦められた本「ロウソクの科学」を読み、自然の原理に触れたことでした。
本年四月一日、鞆絵小学校跡地にプラネタリウムを備えた「区立みなと科学館」を「区立
教育センター」と気象庁の
複合施設としてオープンします。
「区立みなと科学館」は、見る、聞く、触れる、動かすことを通して「
まちに息づく科学の発見と探究」をコンセプトに、学びと感動の
拠点となります。この場所から将来のノーベル賞をめざす
子どもたちが誕生することを期待しています。
「区立
教育センター」は、移転に伴い、特別
支援教育を含めた
相談機能の充実や学校図書館
支援機能を加えるなど、
教育支援体制を強化します。
区の人口増加に伴う、児童・生徒数の増加に対応し、
教育環境を充実するため、「(仮称)芝浦第二小学校」の新設、「赤坂中学校」、「赤羽小学校」の新校舎建設を進めます。
特別
支援学級の児童・生徒を対象に
企業と
連携した職場体験を実施し、進学や就労の選択の幅を広げるキャリア
教育を充実します。
一人ひとりの
子どもが持つ個性を最大限に発揮させる多様な学びの機会を通し、
子どもたちへの
教育を更に充実してまいります。
次に、
環境を守る
取組についてです。
地球規模で深刻な問題となっているプラスチックごみの削減に向けた
取組を進めます。
区の
事務事業や
施設の使い捨てプラスチックを削減するための方針を早期に策定します。また、
区内大学と
連携し、次世代を担う
子ども向けの啓発
イベントを実施します。
JR「
高輪ゲートウェイ駅」の駅舎には、区と国産木材の活用
促進に関する協定を結んでいる、宮城県石巻市と福島県古殿町の木材が使用されるなど、
環境負荷低減に向けた
取組が
区内に浸透しつつあります。
区内の年間二酸化炭素排出量は、約三百八十万トンと都内で最も多い
状況です。
二酸化炭素排出量が多い建築物を対象に、排出実績や
取組内容の届出・公表を義務化する「港
区民の
生活環境を守る建築物の低炭素化の
促進に関する条例」を本
定例会に
提出し、
令和三年四月の施行をめざします。
条例の制定にあわせ、省エネルギー性能の高い建築物を新築する建築主に対し、助成制度を導入します。
平成三十
年度に
区民から寄せられた意見の総件数二千三百十六件のうち二百二十五件がたばこに関するものです。
屋外で実施する区の
事業に移動式喫煙バスを配備し、受動喫煙防止をPRします。
また、
区民や
区内で働く方々、
区内事業者の皆さんと一緒に受動喫煙対策を進めるため、「みなと受動喫煙防止宣言」を策定します。
たばこを吸う人も吸わない人も共存できる
環境をつくるため、港区のルールとマナーを守る
取組を積極的に推進してまいります。
最後に、これまで述べてまいりました施策の着実な推進に向けた、今後の区政
運営について申し上げます。
私は、
区長就任以来一貫して取り組んできた「参画と協働」の力が生み出すエネルギーを区政
運営に最大限発揮させ、皆さんとともに港区の輝かしい未来を実現してまいります。
各地区総合支所が中心となり、個性豊かな町会や自治会、
企業、大学、
団体との参画と協働により、お互いの顔の見える関係を築き課題の解決に取り組んできました。四月に開設する「区立伝統
文化交流館」も
地域の方々と共につくり上げてきたものです。
企業が集積する恵まれた地の利を生かし、
企業の力を
地域の発展と活性化につなげるため、積極的な
連携に取り組んでいます。
国内有数の繁華街を抱える港区には、世界中から多くの人が訪れています。昨年九月、ナイトタイムエコノミーを推進するため、商店会の協力を得ながら、夜間営業
事業者と
連携し、観光振興と安全・安心の両立をめざす
全国初の
取組「MINATOフラッグ制度」をスタートさせました。
新橋SL広場への大型デジタルサイネージの設置やがん対策推進の普及啓発
イベントなど、区と
企業が、それぞれ企画段階から
運営に至るまでのアイデアを持ち寄り、効果的な
事業を実施してきました。
その経験から、
企業が持つ
先端技術やアイデアを募集し、区の課題解決につなげる仕組みをつくります。
区は、
平成三十
年度を「港区AI元年」として、人工知能AIや業務自動化ツールRPAなど、先進的なICT活用を
全国自治体に先駆けて進めています。
次世代移動通信システム5Gが本年四月から
日本で本格的にサービス開始となる見込みです。
それに先駆け、本年一月、港区とケーブルテレビ
事業者、基地局設置
事業者の間で「次世代移動通信システム(5G)の活用
促進に向けた
連携協定」を結びました。国内で初の官民
連携の
取組として、複数の携帯電話
事業者が基地局を共有する「基地局シェアリング」を実施し、都心部で早期に超高速通信エリアが拡大することをめざします。
新たな技術を積極的に区政
運営へ取り込み、
区民の
暮らしをより豊かに、より便利にしてまいります。
本年三月、
令和三
年度からの六年間を計画期間とする、次期港区基本計画の策定に向けて、みなとタウンフォーラムと各地区
区民参画組織から提言を受けます。
「住みやすい港区にするためにはどうすればよいか、メンバーと一緒に考えたい。」と港区の未来に思いを馳せながら、熱心な議論が続けられています。
次期港区基本計画は、
令和の新たな
時代を切り拓くロードマップです。提言を最大限に反映することで、住み、働き、学び、集う多くの
人々が共感できるビジョンを示せるものと確信しています。
国際連合は、持続可能な
開発目標、SDGsを二〇三〇年までに達成すべき国際社会共通の目標として定めました。SDGsと調和した計画とすることで、持続可能な社会の実現に寄与するとともに、
地域の発展につなげます。
国は、Society5・0をめざすべき未来社会の姿として提唱しました。IoTやロボット、AI、ビッグデータ、これらを結ぶ5Gなど、社会の在り方に影響を及ぼす新たな技術が進展しています。
社会動向を踏まえながら将来を展望し、現状の改善にとどまることなく困難な課題へ挑戦する計画を練り上げてまいります。
平成三十年十二月に、ボランティア、
企業を始め多くの皆さんとともに初めて開催したMINATOシティハーフマラソンは、
東京二〇二〇
大会のムードを盛り上げるとともに、共通の目的に向かって力を合わせる新たなネットワークモデルをつくることができました。
港区は、都市が発展する四大要素と言われる、「人、産業、金融・資産、そして
情報」が集積しています。
昼間人口も九十四万人を超え、二十三区でトップです。伝統的産業から、世界的な専門技術や知見を持つ
企業、
情報通信産業が集積しており、江戸
時代から今日に至るまで、絶えず
人々の
暮らしを支え、新たな
文化を創造し発信しています。そして
地域活動を担う
区民・NPO
団体、
地域に根付いた商店・
企業が
地域社会を支えています。
一方で、人材、食料、資源等を
全国各
地域に支えられていることも忘れてはなりません。
昨年のラグビーワールドカップでの外国籍選手を含む
日本代表チームの躍進は、団結が生む力のすばらしさと、多様な
人々が活躍するダイバーシティの無限の可能性を私たちに示してくれました。
私は、
区長就任以来、「都心にふさわしい
地域自治」への挑戦を続けてきました。
平成十八年四月には、区役所の仕組みを変える、区役所・支所改革を実行し、
地域の皆さんと共に港区の自治の姿を追求してまいりました。
地域の自治をつくる主役は、
地域の皆さんです。
区は、
区民、
企業、
全国各
地域との
連携の力を結び、相乗効果を高め、四つの力としての総合力を発揮してまいります。
港区に、
暮らし、働き、学び、訪れる、すべての人が心豊かに安心で快適に過ごすことができる「
区民の誰もが
誇りに思える
まち・港区」を皆さんと一緒につくりあげてまいります。
私の今期の任期は、あと四か月あまりとなりました。
私は六月に予定されている
港区長選挙において、
区民の審判を仰ぎ、引き続き、
区民生活の
向上と港区の発展のために区政
運営の責任を担っていく決意です。
区民の
皆様、並びに
区議会の
皆様のご
理解とご協力を、心からお願い申し上げます。
これをもちまして、私の所信とさせていただきます。
───────────────────────────
○
議長(
二島豊司君) 以上にて、本日の
日程は全部終了いたしました。
本日の
会議は、これをもって散会いたします。
午後一時三十三分散会...