令和 6年 3月 定例会(第1回) 令和六年 第一回
天理市議会定例会会議録(第一号)
--------------------------------------- 令和六年三月四日(月曜日) 午前十時零分
開会---------------------------------------議事日程(第一号)一 報告 (一) 令和五年度
財政援助団体等監査の結果について (二) 令和五年十一月
例月出納検査の結果について (三) 令和五年十二月
例月出納検査の結果について (四) 令和六年一月
例月出納検査の結果について (五) 令和五年度第二回定期監査の結果について二 日程 日程第一 報告第一号 損害賠償の専決処分の報告について 日程第二 承認案第一号 専決処分の承認を求めることについて 日程第三 議案第一号 令和五年度天理市
一般会計補正予算(第十一号) 〃 〃 議案第二号 令和五年度天理市
国民健康保険特別会計補正予算(第二号) 〃 〃 議案第三号 令和五年度天理市
介護保険特別会計補正予算(第二号) 〃 〃 議案第四号 令和五年度天理市
後期高齢者医療特別会計補正予算(第一号) 〃 〃 議案第五号 令和五年度天理市
土地区画整理事業特別会計補正予算(第三号) 日程第三 議案第六号 令和六年度天理市
一般会計予算 〃 〃 議案第七号 令和六年度天理市
国民健康保険特別会計予算 〃 〃 議案第八号 令和六年度天理市
介護保険特別会計予算 〃 〃 議案第九号 令和六年度天理市
後期高齢者医療特別会計予算 〃 〃 議案第十号 令和六年度天理市
土地区画整理事業特別会計予算 〃 〃 議案第十一号 令和六年度天理市
水道事業会計予算 〃 〃 議案第十二号 令和六年度天理市
下水道事業会計予算 〃 〃 議案第十三号 天理市監査委員に関する条例及び天理市水道事業及び下水道事業の設置等に関する条例の一部改正について 〃 〃 議案第十四号 天理市一般職の任期付職員の採用等に関する条例及び天理市一般職の職員の給与に関する条例の一部改正について 〃 〃 議案第十五号 天理市職員の育児休業等に関する条例の一部改正について 〃 〃 議案第十六号
公益的法人等への天理市職員の派遣等に関する条例の制定について 〃 〃 議案第十七号 天理市特別職の職員の給与に関する条例及び天理市教育委員会の教育長の給与等に関する条例の一部改正について 〃 〃 議案第十八号 天理市
会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例の一部改正について 日程第三 議案第十九号 天理市
税賦課徴収条例の一部改正について 〃 〃 議案第二十号 天理市特定教育・保育施設及び
特定地域型保育事業の運営に関する基準を定める条例の一部改正について 〃 〃 議案第二十一号 天理市
学童保育条例の一部改正について 〃 〃 議案第二十二号 天理市
ひとり親家庭等医療費助成条例等の一部改正について 〃 〃 議案第二十三号
天理市立地域活動支援センター条例の廃止について 〃 〃 議案第二十四号 天理市性の多様性の尊重に関する条例の制定について 〃 〃 議案第二十五号 天理市火葬場条例の一部改正について 〃 〃 議案第二十六号 天理市
国民健康保険条例の一部改正について 〃 〃 議案第二十七号 天理市
介護保険条例の一部改正について 〃 〃 議案第二十八号 天理市
観光物産センター条例の廃止について 〃 〃 議案第二十九号
天理市営住宅条例の一部改正について 〃 〃 議案第三十号 天理市
空家等対策協議会条例の一部改正について 〃 〃 議案第三十一号 天理市
消防団員等公務災害補償条例の一部改正について 〃 〃 議案第三十二号 天理市上下水道局に勤務する企業職員の給与等の種類及び基準に関する条例の一部改正について 〃 〃 議案第三十三号 天理市
水道事業給水条例の一部改正について 日程第三 議案第三十四号
奈良広域水質検査センター組合規約の変更について 〃 〃 議案第三十五号 財産の無償貸付けについて 〃 〃 議案第三十六号 財産の無償貸付けについて
---------------------------------------本日の会議に付した事件 議事日程のとおり
---------------------------------------出席議員(十六名) 一番
今西康世議員 二番
東田匡弘議員 三番
榎堀秀樹議員 四番
大橋基之議員 五番 鈴木 洋議員 六番
藤本さゆり議員 七番
西崎圭介議員 八番
鳥山淳一議員 九番
内田智之議員 十番
寺井正則議員 十一番
神田和彦議員 十二番 村木 敬議員 十三番
石津雅恵議員 十四番
井上伸吾議員 十五番
山田哲生議員 十六番
市本貴志議員---------------------------------------欠席議員(なし
)---------------------------------------説明のための出席者 市長 並河 健 副市長 藤田俊史 教育長 伊勢和彦 市長公室長 上田茂治 総務部長 上田義之
くらし文化部長 西辻健一 危機管理監 上土居能一
健康福祉部長 加藤道徳 健康・
こども家庭局長 山本年秀
環境経済部長 谷 文広 建設部長 井上典正 教育委員会 奥村紀一 事務局長 教育次長 山口忠幸 会計管理者 奥村良子
上下水道局長 前田典昭議会事務局職員ほか出席者 事務局長 松原茂幸 事務局係長 上田泰司 書記
生駒健太--------------------------------------- 午前十一時零分 開議
○議長(
大橋基之議員) ただいまから令和六年第一回
天理市議会定例会を開会いたします。
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○議長(
大橋基之議員) 市長より市議会招集についての御挨拶があります。 市長。 〔市長 並河 健 登壇〕
◎市長(並河健) 開会に当たりまして一言御挨拶を申し上げます。 本日、ここに令和六年第一回
天理市議会定例会を招集いたしましたところ、議員各位におかれましては御多用の中、御出席を賜り、厚く御礼を申し上げます。 さて、本議会には、令和六年度当初予算案をはじめ、令和五年度
一般会計補正予算案並びに条例の改正案等、いずれも重要な案件を提出しております。何とぞ慎重な御審議を賜りますようお願いを申し上げまして、簡単でございますが、開会の御挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
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○議長(
大橋基之議員) 現在の出席議員は十六名で、議会は成立いたしました。 会期の件についてお諮りいたします。 本定例会の会期は、本日より三月二十二日までの十九日間と決定いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」の声あり〕
○議長(
大橋基之議員) 御異議がないと認めます。よって会期は、本日より三月二十二日までの十九日間と決定いたしました。
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○議長(
大橋基之議員)
天理市議会会議規則第八十八条の規定により、
会議録署名議員を指名いたします。 一番
今西康世議員 二番
東田匡弘議員 三番
榎堀秀樹議員 以上、三名の方にお願いいたします。
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○議長(
大橋基之議員) 令和五年度
財政援助団体等監査の結果について、令和五年十一月から令和六年一月までの
例月出納検査の結果について、令和五年度第二回定期監査の結果について、監査委員より監査報告があり、それぞれ印刷物を配付しておりますので、御清覧願います。
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○議長(
大橋基之議員) これより日程に入ります。 日程第一、報告第一号、損害賠償の専決処分の報告については、印刷物を配付しておりますので、御了承願います。
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○議長(
大橋基之議員) 日程第二、承認案第一号、専決処分の承認を求めることについてを議題といたします。 ただいま上程になりました承認案については、朗読を省略して直ちに提案者の説明を求めます。 市長。 〔市長 並河 健 登壇〕
◎市長(並河健) ただいま上程されました承認案第一号、専決処分の承認を求めることについて御説明を申し上げます。 まず、専決第一号は、令和五年度天理市
一般会計補正予算(第九号)であります。本案は、国の
物価高騰対策として、住民税均等割のみ課税世帯及び低所得の子育て世帯への給付金事業を早急に実施するため、令和五年度天理市
一般会計予算の補正を行う必要が生じましたが、特に緊急を要するため、議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認め、地方自治法第百七十九条第一項の規定によりまして、令和六年一月三十一日に専決処分を行いましたので、同条第三項の規定によりこれを御報告し、承認を求めるものでございます。 この補正は、
歳入歳出ともに二億八千五百六十万七千円を追加し、予算の総額を二百八十九億九千五百四十三万三千円にしようとするものであります。 歳出の主な内容としては、低
所得者支援給付金を住民税均等割のみ課税世帯には十万円を給付し、
住民税非課税世帯及び住民税均等割のみ課税世帯で扶養されている十八歳以下のお子様一人当たり五万円を加算給付するため、必要な給付金及びそれに係る事務費等の増額を補正するものであります。 これらの歳出に見合う財源としては、国の
物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金により収支の均衡を図った次第でございます。 また、両給付金については、年度内の完了が見込めないため、繰越明許費を設定するものであります。 次に、専決第二号、令和五年度天理市
一般会計補正予算(第十号)でありますが、
企業版ふるさと天理応援寄附金を活用し、
映画地域活性化補助金を交付するため、及び国の認定に基づく
予防接種健康被害救済給付金を給付するため、令和五年度天理市
一般会計予算の補正を行う必要が生じましたが、特に緊急を有し、議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めまして、地方自治法第百七十九条第一項の規定により、令和六年二月八日に専決処分を行いましたので、同条第三項の規定によりまして、これを御報告し、承認を求めるものであります。 この補正は、
歳入歳出ともに六千四百八十三万八千円を追加し、予算総額を二百九十億六千二十七万一千円にしようとするものであります。 歳出の主な内容としては、本市の魅力を映像で広く発信するため、未来ある若手映画監督を応援するプロジェクト「NARAtive Jr.」への
映画地域活性化補助金及び
新型コロナウイルス予防接種後の健康被害として国が認定した
健康被害救済給付金を給付するための増額補正であります。 これらの歳出に見合う財源としては、寄附金及び国庫支出金により収支の均衡を図った次第であります。 次に、専決第五号、天理市手数料条例の一部改正についてでありますが、本件は、戸籍法の一部を改正する法律の施行に伴いまして、天理市手数料条例の一部を改正する必要が生じましたが、特に緊急を有し、議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認め、地方自治法第百七十九条第一項の規定により、令和六年二月十三日に専決処分を行いましたので、同条第三項の規定によりこれを報告し、承認を求めるものでございます。 改正の内容としては、戸籍法の改正に伴いまして、戸籍謄本及び全部事項証明書の請求を本籍地以外の市町村に対してもできることとなりました。並びに、婚姻届の届出書に記載された内容の証明書の請求を受理した市町村だけでなく、本籍地の市町村に対しても行えることとなったため、また、オンラインでの行政手続において、行政機関の職員が申請者等の戸籍情報を法務省から取得する際に必要となる
戸籍電子証明書提供用識別符号を市で発行するため、天理市手数料条例の一部を改正したものでございます。 よろしく御承認賜りますようお願いを申し上げます。
○議長(
大橋基之議員) ただいま提案者より説明があったとおりであります。 本案に対し、質疑等ございませんか。---別に質疑がなければ、本案を原案どおり承認することにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」の声あり〕
○議長(
大橋基之議員) 御異議がないと認めます。よって、本案は原案どおり承認することに決しました。
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○議長(
大橋基之議員) 日程第三、議案第一号、令和五年度天理市
一般会計補正予算(第十一号)ほか議案第二号から議案第三十六号までの三十六議案を一括議題といたします。 ただいま上程になりました議案については、朗読を省略して直ちに提案者の説明を求めます。 市長。 〔市長 並河 健 登壇〕
◎市長(並河健) ただいま上程されました三十六議案について順次御説明をいたします。 まず初めに、議案第一号、令和五年度天理市
一般会計補正予算(第十一号)についてであります。今回の補正は、
歳入歳出ともに六億二千九百六十三万八千円を追加し、予算総額を二百九十六億八千九百九十万九千円にしようとするものであります。 歳出の主な内容といたしましては、定年前早期・
自己都合退職者等の増加によります退職手当の増額と令和五年度
事業執行見込み等による
福祉関連事業費及び
建設事業費等の調整に加えまして、国の補正予算による前倒しで実施するため池、道路橋りょうなどの
防災対策関連事業に要する経費、そして、小中学校の
空調施設整備等に要する経費を計上しております。 歳入では、国の補正予算に伴う地方交付税の増額と繰越金の増額を見込んでおりまして、歳出に見合う財源といたしましては、国庫・県支出金、市債、繰入金等により収支の均衡を図った次第であります。また、国の補正予算等により前倒しで実施する建設事業など、年度内に完了が見込めない十七事業については繰越明許費の設定をしようとするものであります。 次に、議案第二号、令和五年度天理市
国民健康保険特別会計補正予算(第二号)について御説明をします。 今回の補正は、
保険基盤安定分及び
財政安定化支援分等の
一般会計繰入金確定と、これらに伴う
各種納付金返還金の補正によりまして、歳入歳出それぞれ七千四百四十三万一千円を追加しようとするものでございます。 次に、議案第三号、令和五年度天理市
介護保険特別会計補正予算(第二号)についてでありますが、今回の補正は、
介護保険報酬改定に伴う
システム改修費等の増額と、それに伴う国補助金及び一般会計の繰入金の増額によりまして、歳入歳出それぞれ三百四十九万八千円を追加しようとするものでございます。 次に、議案第四号、令和五年度天理市
後期高齢者医療特別会計補正予算(第一号)についてでありますが、今回の補正は、保険料の増加及び
保険基盤安定負担金等の確定に伴う
一般会計繰入金の増額によりまして、歳入歳出それぞれ七百八十一万円を追加しようとするものでございます。 次に、議案第五号、令和五年度天理市
土地区画整理事業特別会計補正予算(第三号)についてでありますが、今回の補正は、
保留地処分金未確定に伴う財源更正及び
計画変更業務委託の令和六年度再計上に伴います減額及び令和四年繰越金確定に伴う
一般会計繰入金の減額等によりまして、歳入歳出それぞれ二百十三万三千円を減額しようとするものでございます。 続きまして、令和六年度当初予算の提案を行うに当たり、新年度における市政の展望と基本姿勢についての所信を併せて申し上げます。 まず、令和六年能登半島地震によりお亡くなりになられた方々に哀悼の意を表するとともに、被災された全ての皆様に心からお見舞いを申し上げます。本市が参加をする奈良県
広域消防組合では、
緊急消防援助隊の奈良県大隊の中核として、輪島市での救援活動に従事し、天理署からも計二十九名が貢献くださいました。また、市議会の御理解を得まして、二次避難先として市営住宅五戸の提供を表明し、一家族に対し生活必需品の支援を行いました。被災地支援では、能登町の
応急給水活動を行ったほか、三月八日より、水道管路の
応急復旧作業に職員を派遣する予定としております。また、奈良県の支援先に選定された穴水町に対しまして、
建物被害認定や避難所運営のため、市職員三名を派遣しました。多くの市内団体及び市民から義援金約二百五十万円をお寄せいただき、重ねて御礼を申し上げます。 被災地の復旧復興のため、本市としても、奈良県及び県内市町村と連携し、引き続きできる限りの支援を行ってまいります。地震や豪雨災害などが頻発する昨今、決して他人事と捉えず、いざというときに市民の命と暮らしを守る備えを高めなければなりません。能登半島では、高齢化が進む地域において、万単位の避難者の受入れが必要となりました。助かる命が災害関連死により失われることがないよう、大規模な避難所運営や物資の確保、災害弱者への対応、消防、警察、自衛隊などの受援、
民間事業者等との協働など、初動から円滑に実施するための準備を令和六年度の課題として集中的に取り組んでまいります。 地方都市の持続可能性は、有事だけでなく、平時においても、少子高齢化と人口減少の急速な進展という重大な危機に直面をしています。多くの市町村が、子育て施策の充実や企業誘致などにより、転出を抑え、転入の増加を図っています。しかし、日本社会全体として、山梨県や福井県の人口に相当する約八十万人が昨年一年間で減少いたしました。社会増減ばかりを強調しても、単に人口が国内で水平に移動するだけでは課題解決とは言えません。 加えて、福祉等の
サービス充実により、市町村間の競争には弊害もあります。地方交付税や起債の算定根拠となる
地方財政計画では、全国の自治体が支出する投資的経費は、平成九年度の三十一兆円から、令和六年度十二兆円へと六割以上減少しております。反対に、福祉等の経費は、平成元年度十二兆円から、令和六年度は三・六倍の約四十四兆円に激増をいたしました。高齢化の進展と少子化対策のため、
福祉関連経費はさらに増加すると見込まれ、既に圧迫されている投資的経費がさらに減少していけば、老朽化する施設や道路等の安全確保も困難にならざるを得ません。人口の取り合い合戦に終始をすれば、本市を含め、多くの市町村が経常経費の高騰で行き詰まることが懸念をされます。 少子化の現状は深刻です。二〇二三年の我が国の出生数は、統計上過去最少の約七十五万八千人でした。本市の二〇二三年の出生数は、人口規模を勘案すれば、全国水準とほぼ同じ三百七十一名でした。大きく落ち込んだ二〇二二年の三百八十二名からさらに減少し、十年前の約七割にとどまります。一年三百七十一名が平均値となる時代には、仮に九十年を掛け算しても、約三万三千人となり、本市の人口は半減する計算となります。 ただし、現在、五十歳前後の団塊ジュニアの世代の皆さんが高齢者となる今後二、三十年間、高齢者人口はほぼ維持をされます。その反面、
生産年齢人口は大きく減少します。本市の人口は現在約六万一千名ですので、ピーク時の七万四千人と比較すれば減っていても、それほど極端な影響はまだ及んでいないと感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、昨年生まれた三百七十一名が就学をする五年後には、本市小学校の生徒数は、平成元年の四千百名から四割以上減の二千三百名となり、令和十年代には二千名を下回ることが見込まれます。今後二十年間で、市内の大半の学校をはじめ、施設が耐用年数を迎える中、同じ体制と手法で
市民サービスを提供していくことは不可能と言わざるを得ません。 子育て世帯の経済的な負担を軽減し、少子化を穏やかにする努力は本市としても重要だと考えています。来年度は、
子ども医療費助成の拡充により未就学児の医療費を無償化するほか、国基準で半額助成を受けている第二子以降の保育料の無償化、民間保育所の処遇改善などに取り組みます。ただし、児童手当の拡充に係る市負担も合わせれば、今後は約一億三千万円規模で経常経費の増加を伴うことも事実でございます。少子化をもたらす大きな要因は、
合計特殊出生率の算定対象となる女性が減少する少母化であります。十年後には、十五歳から四十九歳の女性の数は、転入と転出がゼロと仮定をしても、市内で約一千二百名減少いたします。そのため、出生率が相当程度上昇したとしても、出生数の減少は継続をいたします。我が国において、二〇三〇年代以降に少子化に拍車がかかることが懸念されているのは、既に生まれている女性数から、この少母化が避け難い現実であるためであります。 本市はこの数年間、京阪神都市部への通勤が遠いことに加えまして、
市内最大規模だった宗教法人の雇用数の減少も重なり、転出超過の状況が続いてきました。これに、少子高齢化と自然減を合わせて、今後一層の人口減少は残念ながら継続するでしょう。もちろん、
市民サービスの充実や活性化を通じて、できるだけ抑制する努力は尽くします。同時に、人口減少を厳然とした事実として正面から受け止め、その上で、暮らしを支える
行政サービスを持続可能なものにしていくことが私たちの使命であると考えます。そのためには、意味のある変異をもたらさなければなりません。行政の内部、あるいは様々なパートナーとの関係において、当たり前だった役割の在り方も根本から見直し、政策間連携の連鎖の中で多様な価値を生んでいく必要があります。
人口減少社会に適応したまちにいち早くなっていくこと、それこそが、厳しい変化の中で住み慣れた地域で暮らし続けられるまちとして天理市が生き残ることに結果的につながると確信をしています。令和六年度は改めてそのスタートと位置付け、「
人口減少社会適用都市」として目指すことを宣言し、その施策を以下御説明いたします。 公共施設の老朽化と少子化という課題に対して、奈良県内を含めて、多くの自治体では学校の統廃合が進んでいます。全て否定する趣旨ではございませんが、地域の特性を生かした教育や地域コミュニティの在り方などを併せて考えることが重要です。特に、本市における小学校区は、子どもたちの通学範囲であるだけでなく、地域で重要な役割を果たしていただいている各種団体が構成され、コミュニティの核となっています。統廃合により学級数などの規模を保ち、施設の維持管理経費を合理化する利点はございます。しかし、学びの在り方自体に新たな付加価値が生まれなければ、これまで地域で一緒に育んできた天理らしい学びから地域との距離が広がり、通学が遠くなるだけになるおそれもございます。校区を単位として育まれてきた顔が見える関係は、災害時などに支え合う共助の上でも重要であると考えています。そこで、天理市はできる限り地域の学校を守りつつ、学校に公民館をはじめ、周辺の公共施設の機能を合わせて、地域連携型小規模校として発展させていく「みんなの学校プロジェクト」をより大胆に進めてまいります。また、令和六年度より、学校三部制を全ての校区で全面的に導入し、学校における働き方改革と地域連携の両立を図ります。 学校三部制とは、東京都の一部自治体においても先行的に導入されている考え方です。従来の授業時間帯における教育を一部、学童保育やアフタースクールなど課業外の学びを二部、学校内におけるその他の地域活動などを三部と位置付けます。奈良県が令和八年度の実施を表明した週末のクラブ活動の地域移行後は、これも二部の中に入ることとなります。それぞれの部は縦割りではありません。たとえば、三部の子ども食堂で朝食を取り、生活リズムを整えた子どもたちがそのまま一部の授業に参加をして、不登校対策につないでいく取組が既に先進地において実施をされております。柳本公民館では、「柳本こどもあさごはん部」が毎月活動されており、本市でも既に種はまかれております。 学校三部制で明確にしたい最初の狙いは、学校現場の役割と責任を一部に限定をし、先生方が課業内で子どもたちに向き合うことに集中できる環境を整えることです。二部と三部を学校内で実施をするに当たり、学校施設の管理責任も教育委員会が集中して負うことで、学校現場から外すよう規則を改正いたします。教育現場の疲弊は既に限界を超えています。今年度だけで、退職した教員は六名、心身のストレスにより病休中の教員は八名に達しました。過剰な責任を負いかねて管理職試験を受ける教員が激減し、市内で校長、教頭の人材を確保できない状況にまで陥っています。これまでに、教員の負担軽減のため、校務支援システムや給食公会計化などの導入を行いましたが、根本的な解決になっているとは言えません。クラブ活動の地域移行も、中学校での各論にとどまります。本市が今年実施をした教職員と保育士を対象にした一斉アンケートでは、保護者対応に負担を感じる人は約八割、最近に理不尽な言動を受けたと感じる人が約四割、病欠以上のダメージを負った人が四人に一人という悲惨な状況が明らかになりました。いじめの重大事案として総合教育会議で審議をした事例では、保護者からの圧迫に萎縮をした教師が生徒に適切な指導を行えず、事態を悪化させていました。他の不登校事例では、学校が夜間まで家庭訪問を続けたものの、福祉部門との連携が不十分で、児童の現状を把握すらできていませんでした。 令和六年四月より、本市は、子育て応援相談センター「ほっとステーション」を開設し、全ての公立学校園所、学童保育所に対する保護者からの改善の御要望や相談を一元的に対応いたします。ほっとステーションでは、校園所長OB・OGや心理士がチームとなって窓口役を務め、学校・園所の現場、教育委員会及び福祉部門が一体となって解決を図ります。教職員等は日常の連絡事項や児童生徒について、御家庭の協力を得て取り組むべきことについて、保護者との連絡を継続はいたしますが、保護者からの苦情、要求には直接応対をいたしません。これにより、先生方の精神的、時間的な余裕を確保し、保護者の声の大きさではなく、子どもたちの実情に応じてきめ細かく対応することに集中をしていただきます。文部科学省も、令和六年度事業として、「行政による学校問題解決のための支援体制の構築に向けたモデル事業」を計画しています。本市のほっとステーションは、問題意識を完全に共有しながら、全国的にも最も抜本的な課題解決を目指したチャレンジであると考えています。昨年十二月に構想を発表して以来、前述のいじめ事案や不登校事案をパイロット事業として、学校現場の対応から準備チームへの対応に切り替えました。第三者や心理士が対応することで、保護者とのやり取りも冷静かつ前向きなものとなり、先生方の負担を劇的に軽減しつつ、生徒同士の対立の緩和や、児童の登校再開など、成果につなげています。 教職員の守備範囲を一部に集中した上で、二部、三部を学校内で完全に実施するための地域連携型小規模校の建築構想を令和六年度に作成いたします。山の辺小学校と柳本小学校の一部校舎が間もなく六十年の耐用年数を迎えます。文部科学省も、他施設との複合化、共用化、集約化を行う学校建設について、補助率の上乗せを行っています。少子化と厳しい財政事情の下、両校を統廃合ではなく、更新していくためには、周辺公民館等と機能を統合するほかございません。そして、特別教室や放課後の普通教室を含めて、多世代の絆づくりの場、居場所としてまいります。櫟本校区で育まれてきた夢応援プロジェクトは、学校教育と生涯教育、社会学習が連携して学び合うことで、子どもたちの学びが豊かになり、高齢者をはじめとした地域の皆さんが元気になることを実証してきました。千葉大学の研究では、全国の市町村間で認知症リスクに四倍の格差があることが明らかになっており、なりにくいまちでは、小中学区相当の地域に、通いの場やスポーツ、趣味などの社会参加の機会があることが重要な要素であると指摘をされています。世界保健機関は、個人を取り巻く地域社会環境の整備を「ゼロ次予防」と定義をしており、本市のみんなの学校プロジェクトは、まさにこの天理市版ゼロ次予防の核になるというふうに考えています。 これから更新が必要になる各校は、計画当初から、みんなの学校プロジェクトを前提に、地域と共に造ります。令和六年度は、最初のモデルを山の辺と柳本両校で構想として策定をいたします。また、全ての小学校において、学校内の安全確保と地域連携を両立するため、電子錠を設置いたします。地域での活動実績をきちんと確認した利用者に対してのみ、事前に登録をした時間帯に限り入校できるカードキーを配布し、従来の閉鎖的に運用されてきた学校よりもセキュリティーを強化いたします。投資的経費が限定されていく中で、学校を地域コミュニティの核として、お互いの顔が見える関係を再構築することは、災害時の避難所運営においても重要であります。令和六年度は、学校全体を活用した「みんなの避難所」のイメージも市民に共有をし、迅速な立ち上げの準備を進めます。 現在の小学校区は、おおむね児童が歩ける範囲であり、市内で平時、有事の拠点をきめ細かく守っていくことには大きな意義があると考えています。ただし、高齢化が進む中、免許を返納された方が日常生活を営むためには、買物や通院をはじめ、移動手段を確保することが不可欠です。本市はこれまで、駅やバス停から遠隔の交通空白地域に対してコミュニティバス及びデマンド型乗合タクシーを運行してきました。しかし、運行本数の少なさ、固定的なルートによる目的地までの所要時間、前日までの予約などの課題があり、これだけで生活を支えるには、予算を大幅に増加したとしても、限界があります。そこで、本市は、奈良トヨタと「移動支援による地域活性化を推進するための協定」を締結いたしました。AIを活用した新たなデマンド交通サービス、「チョイソコてんり」の実証運行を共同で行った結果、約九割の利用者が「本格運行を希望する」と回答され、天理市地域公共交通活性化協議会はチョイソコへの全面切替えを決定いたしました。各校区から要望があった地点に停留所を増設し、土日も運行する体制を整えた上で、本年四月から新たな乗り合いの地域公共交通としてサービスを開始いたします。 地域や民間ビジネスと連携した活性化では、天理駅前広場コフフンの一部を天理大学とアウトドアメーカー・モンベルと共同で、観光と農業の人材育成の場にリニューアルをいたします。平成二十九年の開業以来、コフフンは、多世代交流や文化芸術、スポーツ等の発信拠点として多くの市民に活用され、コロナ禍から社会経済活動が回復した本年は、五月以来、約三百四十件のイベントが開催されました。秋には駅前に東横インがオープンし、市内の宿泊客室数は、平成三十年以来、約五倍の約六百室に増加をしています。 令和六年度は、団体待合室を引き続き市民の憩いの場として開放しつつ、天理大学のサテライトキャンパスとしても位置付けます。観光や農業のビジネス展開について、単位も取得できる講義を行い、履修者が観光案内拠点を運営し、アウトドアショップやカフェでインターンを行い、実践的な育成プログラムを実施します。講義には、ボランティアガイド等で活躍されている市民の学び直し、リカレントも受け入れます。本通りから天理教協会本部、大学、石上神宮、山の辺の道へと続くエリアにおいて、産官学と市民が一体となって新たな魅力を創造しながら、国内最大手のアウトドアブランドと大学の付加価値を高めてまいります。 本市にとって、若年人口を集め、まちの活力を生み出す上で、天理大学は創設以来、重要な役割を果たしてきました。少子化により、多くの大学が定員割れとなって、今後の大学再編も政府が議論せざるを得ない状況の下、学生にとって魅力ある大学を共に造って、人員を確保し、地方で就業する選択肢を示し、機会を創出することは、大学の将来だけでなく、まちの未来にとっても大きな意義を持っています。令和六年度は、本市と天理大学の連携が新たなステージに入る年になります。 人口減少、とりわけ
生産年齢人口の減少に対し、地域コミュニティの活力を守り、絆を深めるためには、多様性を尊重し、誰もが自分らしく生活でき、活躍できる地域づくりが重要です。性的指向及び性自認に関わらず、パートナーと生きることを地域社会として尊重するため、天理市は令和三年度からパートナーシップ宣誓制度を実施してまいりました。性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解増進に関する法律が成立したことも受け、今議会に「天理市性の多様性の尊重に関する条例」案を上程します。これまで要綱で運用してきたパートナーシップ宣誓制度を条例化するとともに、近親者を家族として尊重し、協力し合うことを宣誓するファミリーシップ宣誓制度も定めます。性差が固定的に表れる小中学校の制服についても、性別を問わず、ズボンやスカート、リボンの着用などを選択できる運用を令和六年度に開始します。あらゆる人が自分らしく社会に参画できる人権尊重のまちづくりを一層進めてまいります。 これまで御説明した事業は、新たな試みではありますが、いずれも本市の予算や体制を大幅に増やすものではございません。限られた財源と人員を基に、従来の行政の在り方や役割分担を再定義し、予算を組み替えたものでございます。老朽化した施設を全て維持更新することは不可能でありますが、単なる統廃合ではなく、そこで出会う人たちや先端技術との化学反応から、より豊かできめ細かい空間とサービスを生み出すことを目指します。我が国において人口が減少していくことはいましばらく避けられません。その厳然とした事実に対し、従来の思考で抗うのではなく、しなやかに適応していく。人の数はある程度減少しても、天理で生まれ育つことの価値を共有し、住み慣れた地域で暮らし続けられるまちに変容をさせていく。諸先達の努力により発展してきた天理市が市制七十周年を迎えるに当たって、
人口減少社会適応都市として新境地を開く年が令和六年でございます。 令和六年度の国の
一般会計予算案は、二年連続で百十兆円を超えて、過去二番目の規模となりました。地方財政対策の歳入では、普通交付税の交付団体ベースによる一般財源総額として、令和五年度を上回る六十二兆七千百八十億円が確保されています。前年度と比較し、地方交付税は一・七%の増、地方特例交付金等は四二一・九%の増となる一方、地方税は〇・三%の減、臨時財政対策債は五四・三%の減であります。 本市の令和六年度財政状況について御説明します。 一般会計の歳入は、令和五年度の決算見込み等により、市税は増額を見込んでいます。臨時財政対策債を含む地方交付税及び地方消費税交付金等は減額見込みであります。天理教からの寄附金は、かつての年間十五億円規模から徐々に減少しています。コロナ禍の影響から、帰参者数は若干回復も見られるものの、前年度と同額の二億円を見込んでいます。 歳出は、クリーンセンターの建設工事がいよいよ佳境を迎えるため、環境衛生組合への分担金が大幅に増加をし、加えて、天理市清掃管理事業所の建設や櫟本北こども園の工事費が増加をいたします。子育て支援策の充実による関連経費の増加や、退職手当や人事院勧告等による職員人件費が増加する一方、生活保護扶助事業やマイナンバーカード交付事業は減額となります。 令和六年度の予算編成開始時には、十五億円から十六億円の財源不足が見込まれていたにもかかわらず、さらに約七千万円の子育て支援策が増額となりました。財政構造改革実現までの臨時の一年と位置付けまして、緊急性のあるインフラ整備や最重点施策以外は骨格並み予算として予算編成を行い、何とか予算を組めたのが実情であります。国・県支出金の活用や起債等による財源の確保をしていますが、人件費や建設工事に伴う一般財源の持ち出しが大きい中で、財政調整基金の取崩し額は極力抑えたものの、昨年度四・一億円の約二・五倍の十・三億円となりました。 令和六年は、新クリーンセンターの建設や住民情報システムの標準化などの特殊要因があるとはいえ、令和七年度以降も八億円規模の財源不足が続くと見込まれます。今後、耐用年数を迎える小学校の建て替えをはじめ、老朽化する公共施設の整備には、公債費の増加も含め、多額の費用が必要となります。財政調整基金は、令和五年度決算時に一定の積み戻しがあったとしても、今年度末の約三十一億円から、来年度末には約二十五億円程度に減少すると見込んでいます。一度増額した子育て支援策は不可逆的であります。令和七年度以降も、年度末の基金残高が毎年三億円程度目減りをする場合には、七、八年で予算編成が困難に陥ります。南海トラフ地震なども懸念される中、緊急時に機動的に支出できる財源を残していくためにも、令和六年度中に、人件費をはじめ、経常的な支出をあと三億円規模でスリム化する努力が不可欠であります。 このような認識の下、議案第六号、令和六年度天理市
一般会計予算案について御説明をいたします。 一般会計の予算額は、
歳入歳出とも三百二十六億一千万円、前年度比で五十九億円、二二・一%の増加であります。令和七年四月に完成予定の新クリーンセンターの建設費負担金を約六十億円計上していることから、過去最大の予算規模となりました。 歳入から御説明をします。 市税は、個人市民税及び法人市民税が増加をし、前年度当初予算より一億四千百万円、四・九%の増額を見込んでいます。 固定資産税は、評価替えの影響により四千四百万円減少するものの、市税総額は七十七億二千四百万円、前年度比一億一千万円、一・五%の増収となる見込みです。 地方消費税交付金は、前年度比一億三千百万円の八・四%の減収となります十四億三千三百万円となる見込みであります。 地方交付税は、前年度とほぼ横ばいの六十二億四百万円、前年度比九百万円、〇・一%の増収となる見込みですが、臨時財政対策債が前年度比九千七百万円、六三・一%減の五千七百万円となり、実質の地方交付税は前年度比で八千八百万円減少いたします。 国庫支出金は、生活保護負担金が減少する一方、デジタル基盤改革支援補助金や児童手当負担金が増加するため、前年度比二億六千三百万円、六・七%増の四十一億六千九百万円となる見込みです。 市債発行額は、新クリーンセンター及び天理市清掃管理事務所建設工事、櫟本北こども園建設工事等による増加によりまして、前年度比四十八億六千五百万円、二一九・二%増で、七十億八千四百万円となる見込みであります。 道路等の整備や学校関連施設などの公共工事には、引き続き、市民の命と安全・安心を確保するために、緊急性のある優先すべきものを十分精査し、国の経済対策等を踏まえ、国庫補助金の活用や償還時に地方交付税措置などがある有利な起債の利用に努めてまいります。 令和六年度末の一般会計における市債残高は二百七十九億七千百万円となり、過去に借り入れた市債の償還元金を差引きしまして、前年度に比べて四十八億九千二百万円と大幅に増加をする見込みです。主な要因は、先にも述べました新クリーンセンターの建設分担金や、天理市清掃管理事務所建設工事、櫟本北こども園建設工事に対する多額の建設事業債が増加をしたためであります。 今後、老朽化したインフラ整備や公共施設の改修を全て更新することが不可能であるという点は先ほども申し上げたとおりでありまして、ファシリティマネジメントを加速させ、公共施設の在り方自体を根本から見直すことで、新たに発行する市債の抑制を図る必要があります。令和六年度の市債元利償還金は、臨時財政対策債を含めまして約二十二億六千九百万円でありますが、そのうち五五%は地方交付税の基準財政需要額として算定をされます。基金は、財政調整基金のほかに、減債基金から七千七百万円、公共施設整備基金から一億円を取り崩しており、総額では約十二億円を財源不足に充てた形であります。 次に、歳出について御説明をいたします。 目的別では、歳出全体の三八・九%を占める民生費が百二十六億九千九百万円で、前年度比七億一千三百円、五・九%の増加となります。櫟本北こども園建設工事費の増加や児童手当の拡充など、子育て支援策強化による増額がある一方、生活保護扶助費は減少いたしました。 衛生費は八十三億三千二百万円で、前年度比四十九億三千七百万円、一四五・四%の増であります。新クリーンセンター建設に伴う山辺・県北西部広域環境衛生組合分担金の増加、天理市清掃管理事務所建設工事費が増加をする一方、山辺広域一般廃棄物第二最終処分地の閉鎖工事費は不要となります。 総務費は三十億六千六百万円で、住民情報システムの標準化への移行に係る業務委託料の増加によりまして、前年度比二億五千万円、八・九%の増となります。 教育費は二十三億三千六百万円で、各小中学校の改修工事費等の増加により、前年度比一億八千万円、八・三%の増となります。 人件費については、制度改正により、令和六年度から、
会計年度任用職員についても勤勉手当の支給が開始されることや、人事院勧告を受けたベースアップなどによりまして、前年度比三億三千七百万円、六・五%の増となります。 以上が歳入歳出予算の全体像であります。 続いて、
人口減少社会適応都市を目指した令和六年度予算案の五つの重点項目に沿って、主な施策について御説明をいたします。 第一の柱は、「地域と共に、一人ひとりの豊かな未来を育む教育・子育ての充実」です。 冒頭で御説明した学校三部制の導入による「みんなの学校プロジェクト」のさらなる推進では、まず一部において、本市の児童生徒の学力課題であります文書や資料を読み取る力と自分の考えを表現する力の育成を目指します。令和四年度から、読売新聞教育ネットワークが作成をしたワークシートを活用して、読む力と書く力の強化に努めてきました。市立図書館においても、読み聞かせや電子図書の活用を通じて、児童生徒や未就学児の読書意欲向上に取り組んでいます。読む活動、話し合う活動、考えたことを書く活動を市全体で積極的に進めることが重要であり、多様なテーマ設定や地域人材の参画により、天理らしい教育の充実を図ります。 持続可能な開発目標SDGsは、未来を担う子どもたちにとって必ず学ぶべきテーマであると考えます。天理市教育政策特別顧問で俳優の加藤雅也さんの協力の下、サスティナブルアートの第一人者である吉田ときお氏の指導を得て、令和五年度は「わたしたちの未来を考える作品展」を開催し、廃棄物や海洋ごみを生かしたアート作品をはじめ、各学校でのSDGsの取組を発表いたしました。食品残渣の堆肥化や、空き缶、ペットボトルキャップ、インクカートリッジなどを地域とともに集めるイチカステーション、里山の保全やユニクロと連携した古着による途上国支援など、多様な活動を子どもたち自身の言葉や作品で表現してくれました。 学校教育と生涯学習、社会教育の融合では、俳句や郷土史の学習、習字、茶道などを共に学ぶ授業が進んでいます。保護者や教師以外の大人と触れ合う機会が減少している社会において、児童生徒にとって学びが深まるだけでなく、高齢者をはじめ、地域の皆さんにとっての生きがい創出にもなります。令和六年度は、授業との共同実施や、アフタースクールとして、児童生徒を受け入れて、学校内で実施する公民館講座の数を増やします。 近年、不登校、貧困、虐待、ヤングケアラーなどが増加をし、その内容も複雑化をしています。そもそも学校だけでは解決できない課題を抱え込んで、教育現場は疲弊をしてきました。令和六年度からは、ほっとステーションが保護者・家庭対応を一元的に対応し、教育委員会と福祉部局をはじめ、行政がチームとなって解決を図ります。奈良県が市町村への支援を打ち出した教員業務支援員の配置は継続をいたしますが、そもそも給食費や修学旅行費などの未収金対策等には、教員が忙殺されている状況を改善する必要があります。先生方は、一部、三部制のうちの一部の授業で子どもたちに向き合うことに特化をし、事務手続は教育委員会などが担います。就学前についても同様に、健康・こども家庭局が事務をまとめてまいります。 課題解決に当たって地域の力を得ることも重要です。これまでも各校区でコーディネーターが中心となり、ボランティアが登下校の見守り活動、図書館環境整備活動、花植え、読み聞かせなどの活動を通じて、子どもたちと触れ合い、教員との交流も深めてくださってきました。学校運営協議会は、年間の抽象的な目標や行事について議論するだけでなく、子どもたちを取り巻く課題の共有や、地域の子は地域で育てるための実践的な取組を行うチームとしてまいります。 各校では、不登校、いじめの未然防止のため、年二回のいじめアンケートの実施や、いじめ問題対策委員会、不登校支援委員会を実施してきました。しかし、保護者が介入して複雑化するケースも少なくなく、萎縮した教員が本当に子どもたちに必要な指導ができていない現実があります。あるいは、児童生徒より前に教師の心が折れて、病欠になっています。ほっとステーションを教育総合センターに開設することは、同センターの抜本的な役割の見直しと強化も狙ったものであります。スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーは、希望者に対応する「待ち」の姿勢ではなく、児童生徒が抱える背景や行動の動機も把握した上で、専門的な視点から学校現場とともに解決策を考えていきます。また、ほっとステーションは、相談を受けた保護者の不安に寄り添い、何が本当に子どものために解決すべきかを共に考え、保護者自身の心理に支えが必要な場合には早期のカウンセリングを行います。 情報端末を活用した遠隔授業により、在宅中や別室登校中の児童生徒の学習機会を保障する取組や、ゆうフレンド派遣事業は継続をし、児童生徒が無理のないペースで学校とつながり続けられることを最優先にいたします。令和四年度の文部科学省調査では、全国の不登校児童生徒は約二十九万人で、増加の一途をたどっております。天理市も例外ではございません。その中で、地域の方との交流を通じて登校ができるようになった事例がございます。母親の同行なしで通学できなかった児童が、地域の方と途中から一緒に通うようになり、徐々に上級生と登校できるようになりました。いまの教育課題を学校だけで解決できるという考えは捨てなければならない。これを教育委員会と全面的に共有しております。みんなの学校プロジェクトを通じて、地域のみんなで子どもを育む仕組みづくりを行うことが不登校対策においても重要であります。 天理らしい学びの充実では、国際性も重要な要素となります。姉妹都市である韓国瑞山市との中学生派遣交流事業、これを長年実施してまいりましたが、日韓関係の複雑化により、三年間中断せざるを得ませんでした。しかし、昨年七月に私と教育長が瑞山市を訪問し、グローバル人材育成のための国際交流事業業務協約、これを李市長と締結いたしました結果、十月から十一月にかけて、瑞山市の十中学校から五百名を超える中学生を迎えて、各中学校で交流事業を行いました。令和六年度は、交流の意義に共感くださった平川商事からの企業版ふるさと納税を原資として、市内中学校の代表者十四名を夏頃に使節団として派遣をする予定であります。参加学生を中心に、先方中学生の受入れも継続をいたします。また、国際協力機構JICAと天理大学、そして本市の三者協定に基づき、朝和小学校がエジプトの小学校とオンラインで交流を行っています。お互いの国の違いを理解し合うことで、豊かな視野と自分の言葉で伝わることの喜びを大切にした教育を推進してまいります。
生産年齢人口の減少によりまして、今後、我が国においても外国人人材の活躍が広がってくると予想されます。一方で、円安の影響や日本の経済力の相対的な低下により、留学や海外旅行などの機会は少なくなることも懸念をされます。そうした時代に、天理の子どもたちが、偏見や対立ではなく、国籍に関係なく、人と人として互いを尊重し、向き合うことができる人間に成長できるよう、国際交流の機会を増やしていく考えです。 学校三部制の二部の学童保育所では、本市が先進的に学校施設の全面活用を進めることで、全国で待機児童数が増加をする中、待機者を出さずに、受入れ規模を創設当初の二倍以上に広げてまいりました。いわゆる空き教室にとどまらず、図書室や特別教室を利用することで、改修費用を大幅に合理化し、児童にとっては、一部からつなぎ目なく放課後の居場所に移行することができています。学校内での併設は、教職員と学童指導員の距離を近づけ、児童や家庭についての情報共有が密になる効果も生んでまいりました。令和六年度は、これまで学童がなかった福住小中学校でも、図書室を活用して学童を新設し、計十八学童で九百二十名を受け入れる予定であります。 中学校の部活地域移行は、奈良県が令和八年度の完全実施の方針を打ち出しており、準備を加速する必要があります。令和五年度は、実証事業として試行的に市内中学校の五つの部活動で取組を行いました。令和六年度は、週末の部活そのものの在り方を検証し、指導者の人材バンクの整備などを行い、令和七年度には相当数を実施できる体制に移行を目指してまいります。 こども家庭庁は、児童と家庭が抱える多様な課題に応じて、生活習慣や学習のサポート、食事の提供などを行う子どもの居場所支援を推奨しています。本市ではこれまで、市民有志により宿題カフェなどが運営をされてきました。令和六年度は、旧天理市御経野老人憩の家を活用して、学校や家庭以外にいつでも安心して過ごすことができる子どもの居場所づくりを一般社団法人天理文化の会が実施する予定であります。隣接する御経野児童館の体育館やグラウンドも積極的に活用してまいります。 市内の子ども食堂は、各校区の公民館を活用した自治会主体の活動のほか、民間有志による実施を含め、社会福祉協議会と連携して活動する団体が計十七か所に広がってまいりました。コロナ禍の制限から、配食に加えて、会食形式での再開が進み、子育ての悩み相談、多世代の交流、生理衛生用品や食品の提供など、様々な支え合いの活動も行われています。令和五年度は、
物価高騰対策として、一団体につき十万円の給付金を支給し、地元消費を福祉活動につなげるイチカプラス事業を通じても、約二十三万円の寄附を提供いたしました。 令和四年に発足した民間任意団体のフードバンク天理とは設立当初から協働しております。当該団体では、余剰食品の一般寄附の受入れのみならず、防災食の入替え時や台風で不要となった給食なども受け入れており、集められた食品は、子ども食堂や必要とする世帯などに届けられています。令和五年度は、国が定める十月三十日のフードロス削減の日に合わせまして、庁舎市民ホールや市内公民館などで市内一斉フードドライブ週間として共同事業を実施し、期間中に六百キログラムを超える食材が集まりました。 また、「ひとり親家庭への支援に関する協定」を締結している「おてらおやつクラブ」は、支援家庭への外食機会の提供、天理市内農家から購入したお米を「おすそわけ」に同封するなど、天理独自の取組も広げております。原資はふるさと納税のガバメントクラウドファンディングの仕組みを活用し、令和五年度は約八百万円の寄附が全国から集まりました。
○議長(
大橋基之議員) 恐れ入ります。提案者の説明の途中ですが、しばらく休憩をしたいと思います。 午後一時より再開いたします。よろしくお願いいたします。 午後零時一分 休憩 午後一時零分 再開
○議長(
大橋基之議員) 休憩前に引き続き会議をいたします。 引き続き、提案者の説明を求めます。 市長。 〔市長 並河 健 登壇〕
◎市長(並河健) では、午前に引き続きまして、まず、子育て家庭の孤独孤立対策というところから再開をさせていただきます。 令和五年度は、産後ケアを専門とする助産院が市内で開業いたしました、生後十二か月未満を対象に拡大をいたしまして、利用料の減免対象も広げるということで、この利用促進を図っております。令和六年度は委託料を増額し、質の向上に努めます。また、産後の母親の心身の安定や体の回復、そして育児方法などをサポートする天理市ドゥーラは、認知度が徐々に向上いたしまして、リピーターも増加をしています。令和六年度は、寄り添い型の母子支援を強化するため、ドゥーラの増員を図ってまいります。 子どもたちが遊ぶ中で相談事業や育児講座、託児サービスを行っております「はぐ~る」では、令和六年度に児童福祉法に基づくこども家庭センターの機能を拡充いたします。全国的な児童虐待相談対応件数の増加を踏まえまして、母子保健と育児支援や虐待防止を担当いたします保健師、保育士、家庭支援員等がチームとなり、専門的な支援を行います。支援を必要とする妊産婦や子育て世帯に対して、支援メニューの体系的なマネジメントを行うサポートプランも作成いたします。 子育ての情報提供を継続的に行う伴走型支援と経済的支援を一体として実施する政府の出産・子育て応援交付金事業への対応では、令和六年度はコンシェルジュによる相談・面談体制を充実させまして、本市独自にデジタル地域通貨イチカへの選択者への上乗せというのも継続いたします。 出産を希望しても、子どもを授からない御家庭も少なくありません。不妊治療は大部分が保険適用となったものの、長期の治療が必要となることも多く、令和六年度も自己負担額の一部助成を継続いたします。 少子化や孤独孤立の対策では、結婚やパートナーづくりを支援することも重要です。本市は、NPO法人日本結婚教育協会(ジェメカ)と協働し、婚活の相談や支援を行うボランティア人材「ハロパトメンター」の育成に努めています。市内イベントと連携した婚活事業や、カップル成立後のフォローアップ、少母化対策として女性の就労支援促進など、市内事業者や天理大学との協力も進んでいます。引き続き、家庭の形成から出産、産後のケアまで、ライフステージに応じた切れ目のない支援を行ってまいります。 就学前教育と保育の充実では、令和六年度も定義上の待機児童数ゼロを継続する見通しで、やまだこども園を除いた盆地のいずれかの施設には保育の受皿がある状態を保ちます。幼稚園の児童数が減少する中、本市では、地域との触れ合いを維持しながら、幼保の一元化を推進しています。令和七年四月に、北保育所と櫟本幼稚園を統合し、櫟本北こども園を新たに開園します。今後は、他の校区においても、こども園化や複数園の一元管理など、持続可能な体制への転換を図り、令和七年度から五年間を対象とする第三期天理市子ども・子育て支援事業計画にも反映をさせてまいります。また、天理メディカルイースト内に開設された病児・病後児保育も現在二十六名の登録を頂いており、一層の活用促進を図ります。 多子世帯の経済的負担の軽減策では、二人以上のお子さんが保育所などに同時に入所している場合の第二子目の保育料を令和六年度から無償化します。また、市内の私立保育園でも、保育士の確保が困難となり、受入れ枠を制限している施設があります。本市では、常勤保育士に対して月額三千五百円の補助を行ってきましたが、奈良県が保育士処遇改善事業を打ち出したことを受けまして、令和六年度は月額二万円に補助額を拡大し、人材の確保、定着を支援します。 その他の子育て世代に対する支援としては、政府が掲げる児童手当及び児童扶養手当の拡充事業を着実に実施いたします。また、令和六年八月より、子ども医療費等福祉医療補助を拡充します。受診料を各家庭がいったん立て替える自動償還方式から現物給付に切り替えるとともに、市独自の施策として、未就学児については自己負担分を無償化いたします。 第二の柱は、「誰もが地域で安心して健やかに暮らせる福祉の充実」です。 我が国では、令和七年にいわゆる団塊の世代が七十五歳を迎え、令和二十二年には八十五歳以上人口の急増が見込まれます。
AIデマンド交通「チョイソコ」の本格運用による移動支援に加えまして、住民の互助意識を高め、高齢者がいつまでも住み慣れた地域で生活できるまちづくりを推進いたします。移動販売による買物弱者支援は、ならコープ及びセブンイレブン・ジャパンとの連携により市内三十か所に広がっており、さらなる充実を図ります。日常生活のちょっとした困り事への支援では、約四千百名の市民ボランティアが天理市生活支援サポーター、「(通称)てんさぽ」として登録を頂き、生活支援コーディネーターの橋渡しにより、高齢者のサポートに当たっています。支援先とのマッチングには「みまもりあいアプリ」を活用し、調整などの事務負担を軽減しています。本アプリには、行方不明者の捜索機能があるほか、認知症当事者が体験談を語るラジオの機能も備わっており、認知症への理解促進にもつながっています。 政府は昨年、共生社会の実現を推進するための認知症基本法を制定しました。本市では、オレンジサロンなど、当事者や家族が気軽に相談できる場づくりに取り組んでまいりました。メディカルセンターの地域包括ケア広場、まちかど相談室においても、認知症に関する相談業務に重点的に取り組み、本市が養成した認知症サポーターの活動拠点としてまいります。 公文教育研究会学習療法センターと連携した活脳教室は、これまで五年間で累計二十三教室を開催し、三百名を超える高齢者に参加を頂きました。約百四十名の方が教室サポーターとして活躍くださったおかげで、おおむね九割を超える受講生の認知機能が維持・改善されており、効果検証の段階は十分に超えたと考えています。教室の修了後は、継続して活動に取り組む新たな居場所として、地域での自主運営で活脳クラブが実施をされています。生活支援コーディネーターと地域包括支援センターの協力も得ています。現在十八クラブで二百名を超える方が参加されており、令和六年度はさらに一つのクラブが加わる予定です。令和六年度は、活脳教室三か所の新設を目指しつつ、修了後も継続して生活の質改善につなげるため、居場所づくりに取り組みます。 転倒予防や嚥下障害の予防のための本市オリジナルのSTEP体操も、介護予防リーダーの御尽力により広がってきました。天理駅南団体待合所やメディカルセンター内まちかど相談室の広場を中心に、「いきいきはつらつ教室」内で実施いただいています。また、地域包括支援センターや生活支援コーディネーターの支援により、通いの場が市内六十か所に設置をされています。地域の皆さんが主体となって住民同士が交流し、見守り合う取組に育っています。リハビリ職の介入により体力測定を行い、健康意識の向上にもつなげております。 天理市立地適正化計画では、前栽駅周辺地区を「メディカルセンターを中心とした医療、福祉、介護の都市機能に特化した地区」と位置付けています。メディカルセンターと隣接した天理メディカルイーストでは、診療所や人工透析などの医療施設のほか、サービスつき高齢者住宅と幼保連携型の認定こども園が併設をされています。同施設では、保育施設の子どもたちとサービスを利用する高齢者が定期的に交流し、子どもたちとのコミュニケーションを通じて、高齢者の健康づくりにつなげています。こうした成果を基に、みんなの学校プロジェクトの中でも、通いの場づくりを重視し、天理らしい多世代交流による高齢者福祉の向上を目指してまいります。 持続可能な介護保険事業に向けて、令和五年度は、天理市高齢者福祉計画・第九期介護保険事業計画を策定いたしました。本市は第八期までの間に、地域密着型サービス施設として、小規模多機能型及び認知症対応型のグループホームをそれぞれ七か所、市内の小学校区ごとに配置をし、きめ細やかな介護体制の確保に努めてきました。令和六年から八年度を対象とする第九期の期間中は、いわゆる団塊世代が七十五歳以上となる令和七年を迎え、令和二十二年には高齢者人口のピークがやってくる。こうした状況の中、今後ますます重要性が高まっている在宅医療・介護連携の強化として、医療機関、医療ソーシャルワーカー、ケアマネジャー、介護事業所のほか、薬剤師、リハビリ職などの医療従事者も含めた医療介護関係者の連携強化に努めてまいります。 健康推進事業では、子宮頸がんワクチンの接種機会を逸した方へのキャッチアップ事業が令和六年度に最終年度を迎えますので、接種率向上に努めます。乳幼児定期予防接種では、百日咳、ジフテリア、破傷風、ポリオにヒブを加えた五種混合ワクチンが令和六年度より定期接種となり、政府方針に基づき、医師会と準備を進めてまいります。 がん検診は、令和五年度秋からウェブ申込みを開始し、受診者の利便性の向上に努めています。また、受診増進を目的として、インセンティブとして、受診者にイチカポイント一千ポイントを付与いたします。子宮がん検診と乳がん検診の同時受診や、骨粗しょう症検診との受診に対して減額を行います。がんとの共生の分野では、がん治療によって起こる脱毛や乳房切除などの外形の変化による心理的負担の軽減が重要であります。がん患者の悩みを和らげ、社会参加を促進するため、アピアランスケアとして、医療用ウィッグや補正具などの購入費の助成補助事業を開始いたします。子宮頸がん予防接種やがん検診の重要性、若い頃から自分の乳房に関心を持つ習慣「ブレスト・アウェアネス」を生活に取り入れることの大切さについて、天理大学医療学部と共催で実施する「まちの保健室」での啓発を行っておりまして、令和六年度は天理駅南団体待合所を活用して開催予定であります。 障害の有無に関わらず、地域の一員として安心して暮らせるまちづくりでは、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に向け、医療、障害福祉、介護、住まいなど、包括的に対応できるよう、天理市第七期障害福祉計画において、関係機関と検討を進めることとしました。また、市が実施する集団方式での胃がん検診及び肺がん検診を受診できない身体障害者に対して、胃の内視鏡検査や胸部エックス線撮影検査に係る費用の一部を助成いたします。 第三の柱は、「市民の命と暮らしを守る安全・安心のまちづくりの実現」です。 能登半島地震のほかにも、豪雨、台風などによる自然災害が相次ぐ中、本市は天理市国土強靱化地域計画に基づき、令和六年度までの五年間で、道路網の整備や橋梁の長寿命化、防災士の育成などに取り組んできました。令和五年度は、奈良県で線状降水帯が発生し、避難所を開設したほか、河川氾濫、土砂崩れなどに対して、消防団や建設業協会の御協力を得て、パトロールや応急措置に当たりました。令和六年度は、土砂災害警戒区域の住民に対して避難情報などを確実に伝えられるよう、防災行政無線の戸別受信機を配布いたします。 浸水対策では、特定都市河川浸水被害対策事業として、庵治池の治水活用による整備事業が令和六年六月末に竣工予定です。最大八万八千立米の貯留が可能となり、十年に一回程度起きる大雨のレベルで、県営庵治住宅などの浸水が解消され、百年に一度レベルの大雨でも床上浸水は解消される見込みです。数千立米の貯水量でも数億円単位の予算が必要な地下貯留槽と比較をいたしまして、おおむね一億円の予算で約八千八百立米の貯留を可能としたことは、大和川流域総合治水対策の取組の中で国交省などからも注目をされています。また、浸水常襲地である二階堂下ツ道・三の坪周辺地域について、菰池の治水活用に向け取り組んでいます。県は菰池の構造調査、健全性の確認を完了いたしまして、降雨時の流入方法などについて計画を進めています。令和六年度は、地元及び下流域との協議を行いつつ、詳細設計を進め、早期の工事着手を目指します。 地震対策では、東縁断層帯の直下型地震や南海トラフ地震が懸念される中、災害時要支援者名簿や個人プランを活用した安否確認などを実践的に行えるよう準備を強化します。能登半島地震では、支援物資を被災者の手に届けるための人員不足が課題となっています。本市では、自主防災組織と連携し、きめ細かい配給体制が取れるよう検討を進めます。避難所生活における大きな課題として、衛生的なトイレの確保が挙げられます。本市はマンホールトイレの整備などを行ってきましたが、市制七十周年の記念事業の一環として、トイレトレーラーを導入いたします。 また、大規模造成地の崩落や液状化による宅地被害を防ぐため、宅地耐震化推進事業として、令和六年度は対象地域の地盤調査を実施いたします。防災重点ため池の劣化調査や改修計画策定を引き続き行うとともに、橋梁についても三巡目の点検を開始します。 市民の命と暮らしを守る上では、防犯対策の強化も欠かせません。特殊詐欺は手法が巧妙化しており、若年層が闇バイトと称して犯罪組織の末端で利用されることも深刻になっています。特殊詐欺被害の七割は固定電話を経由しており、自動録音や着信拒否機能を備えた機器の購入費補助を継続いたします。 第四の柱は、「活力ある地域社会に向けた賑わいの創造」であります。
人口減少社会の中であっても、天理で暮らす市民の皆様の生活の質を高める付加価値を創造することは、コミュニティを維持する上で不可欠です。本市は昼夜間人口比で昼間の人口が多い、奈良県内では例外的なまちです。大阪、京都への通勤が遠い本市にとって、住と近接した雇用を確保することは、人口減少を穏やかにするためにも重要です。 京奈和自動車道の整備が進み、郡山JCTと天理インターの周辺、名阪側道の沿線などで工場や配送拠点の新設が進んでいます。本市は、投資の促進を促すため、第三次都市計画マスタープランにおいて、これらのエリアを産業振興地区と位置付け、工場などの立地を計画的に促進するため、令和五年度は建蔽率、容積率などの変更を行いました。令和六年度は、事業所立地奨励金や雇用促進奨励金を活用して、企業の立地定着支援に取り組むとともに、シャープ株式会社と連携したインキュベーション事業についても、奈良県との三者連携事業として、より積極的に進めてまいります。 市中心部から天理東インターをつなぐ別所丹波市線は、令和五年度は、道路下を横断する市道の整備を行いました。令和六年度は引き続き周辺市道との接合部の工事を行います。市の南北をつなぐ東井戸堂西長柄線、通称「九条バイパス」の整備は、用地買収がおおむね完了した南側から奈良県の整備事業が進んでいます。発掘調査が済んだ一部区間から工事が始まっておりまして、本市も工事用道路に当たる市道の拡幅を行うなど、早期の開通に向け協力してまいります。 天理市商工会と連携した創業支援では、商工会館の新設を受けて、令和六年度は大幅に定員を増やす予定です。創業スクールの受講者は、創業時の登記費用や融資の優遇を受けることができます。 天理特産の農産品の振興では、刀根早生柿の沖縄への出荷が拡大しており、シンガポールや香港への試験的な出荷も始まっています。令和五年度は、萱生町で奈良県立大学とも連携した柿のPRイベントを開催し、新たな食べ方の提案も行いました。農業体験と観光を組み合わせた「おてつ旅」も、令和五年度に受入れ数が増加し、長い方では約一か月間収穫に参加をされ、人手不足の軽減につながっています。令和六年度も事業を継続し、リピーターの拡大を図ります。 若手就農者のグループ、四Hクラブの挑戦を市が支援するチャレンジファームでは、令和五年度に大和スイカを無事収穫し、温度や湿度などのデータを取ることができました。令和六年度は、
AIの活用や有機栽培も視野に入れ、スイカなどの栽培に取り組む予定であります。 農業を持続可能にするためには、鳥獣被害の防止も不可欠です。令和五年度は、鹿やイノシシ計六百頭以上を捕獲いたしました。令和六年度も狩猟免許の新規取得を支援するとともに、ICTを活用したスマート捕獲、捕獲位置の情報集約などに取り組んでまいります。 福住校区では、大和高原福住村プロジェクトが進んでいます。放棄茶園の価値を有機栽培の視点から見直した福住里山三年番茶は、全国の無印良品の店舗で販売をされています。パッケージには、学校地域連携で児童がデザインした絵が採用をされました。令和六年度は、ハーブや赤いスイートコーン大和ルージュなどと組み合わせた新商品を展開し、規模も拡大をいたします。また、試験的な有機堆肥づくりも地元住民とともに開始をしています。 これまでの成果を基に、農林水産省が進めるみどりの食料システム戦略の下、地域イベント三月市の機会にオーガニックビレッジを宣言いたします。地元農家も営農組合化に向けた準備を進めており、令和六年度は、今後の圃場整備も見据えて、農地と里山の再生を目指します。移住者と地元コミュニティを橋渡しする地元ボランティア団体「椽」と連携した移住支援、自然保育活動へのサポートも継続をいたします。 空き家や遊休施設の利活用は盆地部においても重要です。空き家バンクは、希望者に対して、残念ながら物件登録数が少ないのが現状であります。令和六年度は、空き家を放置するリスクの啓発を含めて、所有者に登録を促します。 無人駅が地域の交流拠点となった柳本駅舎では、令和五年度に夕涼み会やイルミネーションが復活したほか、駅舎内のストリートピアノを活用したコンサートなどが開催されました。旧柳本町の町政百周年を記念して、伊勢街道沿いの空き家を活用した展覧会も開催されるなど、郷土史を生かしたにぎわいづくりが進んでおります。令和六年度は、この地域の力を柳本小学校の改築計画にもつなげることを目指します。また、柳本駅での経験を生かし、櫟本駅舎の利活用方法も引き続き模索をしてまいります。 郷土史をテーマとして、児童生徒が家族や地域住民と交流するタイムトラベルシティの取組も、天理大学やなら歴史芸術文化村の協力を得て進んでいます。令和六年度は、天理大学・モンベル共同体とも連携して、「Time Travel City」をキャッチフレーズに、山の辺の道などの観光振興を図ります。十言語に対応した観光カードも新たに作成予定であります。 天理市の強みであるスポーツの力を観光や教育などの分野に生かすことも重要です。天理大学やJTBと共同で進める天理市スポーツツーリズムは、令和五年度にラグビー観戦ツアーや海外柔道家の合宿ツアー、子ども体験ツアーなどが実施をされました。イギリス柔道チームが行った大和瓦の制作体験は非常に好評で、四月に来訪予定のフランス柔道チーム向けのツアーなどもさらなる充実を図ります。 JICA及び天理大学との三者協定に基づくエジプト柔道チームの育成事業では、令和五年度は計六名の海外協力隊員の派遣を行いました。柔道交流をきっかけに、朝和小学校とカイロの日本式学校のオンライン交流が始まっているのは前述のとおりでありますが、令和六年度は交流校の拡大も目指します。 国内外との交流事業では、文化芸術面でもワールドフェスティバルなどで進んでいます。同事業には、駐大阪インドネシア総領事が毎年参加され、関西で暮らす各国関係者が交流する機会となっています。子どもたちから高齢者まで多世代が舞台をつくるパフォーマンスフェスティバルも、令和五年度は障害者ダンスチームが県外から参加され、輪が広がっており、令和六年度も秋に実施予定です。 市内自治会が主催する交流事業にウクライナ人留学生を招待する事例も出てまいりました。ロシアの侵攻開始から二年が経ち、いまだに和平の道筋は見えませんが、本市は天理大学と連携し、奈良県内で最多の避難者を受け入れており、市内外の有志からの寄附金も活用しつつ、支援を継続してまいります。 河瀬直美監督が主催するなら国際映画祭との連携では、同監督がプロデューサーを務める大阪関西万博での事業について、奈良県や関係市町村と共同企画を練っています。令和五年度は、若手監督を育成する「NARAtive Jr.」事業として、天理大学や市内各地を舞台として短編映画を作成いたしました。本作は、令和六年秋のなら国際映画祭での上映をはじめ、他の映画祭にも出展予定であります。「NARAtive Jr.」事業に係る予算は、企業版ふるさと納税による寄附で全額を賄っています。財政に余裕がない中で、天理の第九合唱団などへの活動助成についてもふるさと納税を活用しています。今後も、文化芸術やスポーツの振興などに対し、ふるさと納税を有効活用できるよう努めてまいります。 令和六年度は天理市制七十周年の記念すべき年です。五月には、天理市PR大使の辻本美博氏が市内中学吹奏楽部と作り上げてきたコフフンフェス未来ステージと共同開催の形で記念式典を実施いたします。全国からヒップホップダンサーが集う天理グッドフェローズなども七十周年に向け有志が準備を頂いておりまして、オール天理で、天理らしい活力を高める一年にしてまいります。 第五の柱は、「
人口減少社会に適応した持続可能な
行政サービスの実現」です。 学校を地域コミュニティの核とした公共施設の再編に加え、限られた人員でできるだけきめ細やかな
行政サービスを維持発展させるためには、先端技術の活用が不可欠です。政府は、令和七年度末までに住民情報システムの二十業務を標準準拠システムに移行するよう基礎自治体に求めています。システム標準化によって、自治体運営の効率化、システム開発や運用コストの削減、データの連携、ベンダー間の競争の促進が図られることが目的とされています。 本市は、政府が定める期限を前倒しして、令和六年十一月におおむね移行を完了します。そして、自治体窓口DXSaaS、すなわちタブレットなどを活用した書かない窓口の令和七年度中の実装に向け、令和六年度は準備を進めます。これは、単に紙の申請書を使用しないという趣旨ではありません。様々な情報をデジタル化して取り込むことをきっかけに、役所手続全般の合理化を図り、対面が必要なサービスに労力を向けることができる環境づくりを目指します。令和六年度は、一階市民課窓口前に設置をしている証明書自動交付機もキャッシュレス決済や多言語対応ができる新機種に更新をいたします。 デジタル地域通貨イチカ事業は、
物価高騰対策や子育て世帯への支援、妊産婦に対する経済的支援、健康寿命延伸のための健康ポイント事業など、活用の幅が広がっています。地元消費を通じた支え合いのまちづくりを目指すイチカポイント事業は、参加店舗が六十七店に増加をし、子ども食堂やフードバンク、スポーツ活動などへの寄附につながりました。令和六年度も、政府の経済対策などを踏まえつつ、消費と共助の好循環を目指してまいります。 デジタル関連事業を推進し、デジタル市役所への転換を図る上で、人材の育成も急務です。令和六年度も、地方創生デジタル専門人材派遣事業の枠組みを活用し、連携協定を結ぶNTT西日本から人材を受け入れます。 市役所全体のパフォーマンスを向上させるためには、働き方改革を進め、職員一人ひとりがやりがいを持って働くことができる職場づくりが重要です。令和六年度は、男性育休一〇〇%の達成を目指すとともに、育休明け職員の時間短縮勤務や時差出勤、テレワークなどの柔軟な運用も徹底します。有償で地域貢献を行う職員の副業も認めており、積極的な制度利用を促します。生成
AIを活用した議事録の作成なども進めてまいります。 行政の効率化のためには、全ての
市民サービスを本市単独で充足しようとするのではなく、他市町村との連携や広域化も必須です。 奈良県広域消防は、下北山村での土砂崩落事故や能登半島地震の対応において活躍し、広域化当初の十年前と比較して、救急需要が四割増加しているにもかかわらず、人数は抑制をしながら、現場展開能力を向上させています。本市は、全体最適化と市町村間の公平な費用分担を議論する企画調整会議の部会長の立場で貢献をしています。 県域水道一体化に向けた取組では、令和七年度からの事業統合に向け、水道料金体系の整理や、市町村が意思決定に十分参画できる運営体制づくりなどの議論に積極的に参加をしています。 本市をはじめ、十市町村が参加するごみ処理の広域化事業では、山辺・県北西部広域環境衛生組合による新ごみ処理施設の建設が本格的に進み、令和七年一月から試験運転を行う予定です。地元をはじめ、十市町村民との信頼関係を第一に、環境保全に万全の対策を取ることはもちろん、ごみ処理施設を社会インフラとして捉えて事業を推進します。廃棄物エネルギー発電や省エネによる脱炭素社会への貢献、災害時の防災拠点としての活用、見学・温浴施設の整備による周辺地域との共生、環境学習の場の提供など、地元振興にも寄与することができる新施設を目指します。また、周辺道路の渋滞を緩和するため、インターネットでの予約が可能なごみ持込み予約システムの導入を行います。新施設を令和七年四月末に稼働させるため、引き続き全力を尽くしてまいります。 新ごみ処理施設の建設と並行し、各市町村が引き続き個別に担当する収集作業及びごみの受入れ検査のため、天理市清掃管理事務所をリサイクル処理施設の隣地に新設をいたします。稼働を停止する現クリーンセンターの焼却施設及び粗大・リサイクル施設塵芥処理施設は、政府の循環型社会形成推進交付金を活用して解体するためには、新施設の稼動の翌年、すなわち令和八年度中に工事に着工する必要があります。令和六年度は、循環型社会形成推進地域計画の変更を行い、現クリーンセンターの地歴調査及び財産処分報告書作成を行います。 また、循環型社会、脱炭素社会に向けた取組として、本市は天理市ゼロカーボン宣言及び天理市プラスチックごみゼロ宣言に基づく施策を進めています。太陽光発電設備は、土砂災害警戒区域などへの設置は抑制に努める一方、民間資本を活用して、南中学校屋上に太陽光発電システムを設置いたしました。 プラごみの削減では、市役所に使用済みインクカートリッジ、文具やキッチンスポンジの回収箱を設置しているほか、市内小学校においても、文具や歯ブラシの回収箱の設置を予定しています。みんなの学校プロジェクトの一環としても、廃棄プラスチックの再利用を地域全体で進め、サーキュラーエコノミーの実現に向けて取り組みます。 以上、令和六年度予算と主要施策の概要について御説明をいたしました。
人口減少社会に適応すると宣言することは、地方創生を諦めた敗北宣言では決してありません。超少子高齢化を伴う人口の減少が不可避の現実であることを正面から認める。将来に向けて
市民サービスを守り、少しでも豊かにするために、惰性や経緯論にとらわれず、市民のためという本来の目的に常に立ち返る。限られた予算と人員であっても、役割分担を柔軟に見直し、チーム全体のパフォーマンスを最大化する。市制七十年間に諸先達がこのまちに育んでくださった強みを生かす。その最も重要なものは地域コミュニティの絆であることを改めて確認し、支え合う地域の絆を再構築していく。令和六年度の諸施策は、
人口減少社会に適応していく天理市の新たなスタートの年だと捉えています。本予算案を慎重に御審議いただき、御理解と御協力を賜りますようお願いを申し上げます。 引き続きまして、議案第七号、令和六年度天理市
国民健康保険特別会計予算について御説明します。 予算総額は六十億二千六百六十万円で、保険給付費の減等により、前年度当初予算と比較して四億二千七百五十万円、六・六%の減となっています。 国民健康保険事業については、引き続き第三期データヘルス計画により、特定健診及び特定保健指導の強化や、医療費分析などにより医療費の抑制と適正化を図り、財源の安定化と事業の効率化に努めてまいります。 次に、議案第八号、令和六年度天理市
介護保険特別会計予算についてであります。 予算の総額は六十二億六千百六十万円で、介護サービス給付費の見直しなどにより、前年度当初予算と比較し八千二百十万円、一・三%の減となっています。 介護保険事業については、介護給付適正化事業の一層の強化を図り、介護保険制度の持続可能性を確保するとともに、高齢者の自立支援、重度化防止などによる取組を推進します。また、引き続き、活脳教室など各種事業に取り組み、健康増進と介護予防を図るとともに、認知症について正しく理解し、支え合いのまちづくりを進めてまいります。 次に、議案第九号、令和六年度天理市
後期高齢者医療特別会計予算についてでありますが、予算総額十億五千三百万円で、後期高齢者医療広域連合負担金増などにより、前年度当初予算と比較して一億七百二十万円、一一・三%の増であります。 次に、議案第十号、令和六年度天理市
土地区画整理事業特別会計予算についてでありますが、予算総額一億六百八十万円で、山の辺第一工区土地区画整理事業において、事業の進捗に伴い工事請負費及び委託料が減少するため、前年度当初予算比で七百二十万円、六・三%の減となっています。 次に、議案第十一号、令和六年度天理市
水道事業会計予算についてであります。 本会計予算は業務の予定量として、給水戸数二万五千戸、年間総有収水量六百九十四万二千八百六十七立米を見込み、収益的収入及び支出では、収入総額を十九億八百十七万二千円、支出総額を十七億五千四百四十九万九千円に定めようとするものであります。 歳出の主な内容は、減価償却費、受水費、委託料及び職員給与費です。 また、資本的収入及び支出では、収入総額四億五千五百三十二万一千円に定めようとするものであり、その主な内容は、負担金、分担金、補助金及び定期預金償還金です。 一方、支出総額を十三億八千六百三十五円に定めようとするものであり、その主な内容は、配水管改良工事費、送水施設費及び企業債償還金であります。 なお、資本的収入額が資本的支出額に対して不足する額九億三千百二万九千円は、過年度分損益勘定留保資金等で補填するものであります。 次に、議案第十二号、令和六年度天理市
下水道事業会計予算ついて説明をいたします。 本会計予算は、業務の予定量として、排水戸数二万二千二百六十戸、年間総排水量七百十二万二千七百九十三立方メートルを見込み、収益的収入及び支出では、収入総額を二十六億八千六百九十四万円、支出総額を二十二億八千八百二十二万八千円に定めようとするものであります。 支出の主な内容は、減価償却費、流域下水道維持管理負担金、企業債利息、委託料及び職員給与費です。 また、資本的収入及び支出では、収入総額五億七百十六万九千円に定めようとするものであり、その主な内容は、企業債、他会計補助金及び国庫補助金であります。 一方、支出総額を十六億七千五十五万三千円に定めようとするものでありまして、その主な内容は、企業債償還金、施設整備費及び管渠整備費です。 なお、資本的収入額が資本的支出額に対して不足する額十一億六千三百三十八万四千円は、過年度分損益勘定留保資金などで補填をするものであります。 続いて、議案第十三号から議案第三十五号の二十一議案について説明をいたします。 これらは、いずれも条例の制定、改正または廃止に関するものでございます。 まず、議案第十三号、天理市監査委員に関する条例及び天理市水道事業及び下水道事業の設置等に関する条例の一部改正についてでありますが、本案は、地方自治法の一部改正の法律が施行されることに伴い、地方自治法の条項に移動が生じることから、引用する各条例について所要の改正をしようとするものであります。 次に、議案第十四号、天理市一般職の任期付職員の採用等に関する条例及び天理市一般職の職員の給与に関する条例の一部改正についてであります。 本案は、令和五年人事院勧告に基づき、国において、在宅勤務などを中心とした働き方を行う国家公務員への光熱水費等の負担軽減を目的とした在宅勤務等手当が新設されたことを受け、本市の職員においても同様の措置を講ずるため、所要の改正を行うものであります。 次に、議案第十五号、天理市職員の育児休業等に関する条例の一部改正についてでありますが、本案は、地方自治法の一部改正により、
会計年度任用職員への勤勉手当の支給が可能となることに伴い、一般職の育児休業取得者に対しても勤勉手当を支給する際に適用している算出方法を
会計年度任用職員に対しても適用させるため、所要の改正を行うものであります。 次に、議案第十六号、
公益的法人等への天理市職員の派遣等に関する条例の制定についてでありますが、本案は、本市の職員の定年年齢が引き上げられたことなどによる多様な働き方がある中、職員を
公益的法人等に派遣するに当たり必要な事項を定めるため、条例を制定しようとするものであります。 次に、議案第十七号、天理市特別職の職員の給与に関する条例及び天理市教育委員会の教育長の給与等に関する条例の一部改正についてでありますが、本案は、市長、副市長及び教育長の給料月額について、現行の特例減額措置の期間を延長しようとするものであります。 次に、議案第十八号、天理市
会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例の一部改正についてでありますが、本案は地方自治法の一部改正により、
会計年度任用職員への勤勉手当の支給が可能となったことに対応するために所要の改正を行うものであります。 次に、議案第十九号、天理市
税賦課徴収条例の一部改正についてでありますが、本案は軽自動車税の減免に必要な申請手続について、申請者及び職員の事務負担の軽減を図るべく、同一車両が継続して減免の申請を受ける場合における年度ごとの申請を不要とするため、所要の改正をしようとするものであります。 次に、議案第二十号、天理市特定教育・保育施設及び
特定地域型保育事業の運営に関する基準を定める条例の一部改正についてでありますが、本案は、国において書面掲示、目視などを義務付けるアナログ規制に係る見直しが行われたことに伴い、国の基準省令が改正されたことを受け、本市においても所要の改正をしようとするものであります。 次に、議案第二十一号、天理市
学童保育条例の一部改正についてでありますが、本案は、山の辺学童保育における入所者増加を受け、新たに山の辺第二学童保育所を設置するため、現在、学童保育所がない福住校区において新たに設置をするため、所要の改正を行うものであります。 次に、議案第二十二号、天理市
ひとり親家庭等医療費助成条例等の一部改正について説明をいたします。 本案は、先ほど申しました現物給付の対象を令和六年八月診療分より高校生世代にまで拡大することに伴うものであります。 次に、議案第二十三号、
天理市立地域活動支援センター条例の廃止についてでありますが、本案は、地域活動支援センターについて、利用者減少及び施設の老朽化に伴い、令和六年三月末をもって同センターを廃止するため、条例を廃止しようとするものであります。 次に、議案第二十四号、天理市性の多様性の尊重に関する条例の制定についてでありますが、この点、先ほど施政方針で述べましたとおり、性の多様性に対する理解を深める施策を推進するため、条例を制定しようとするものであります。 次に、議案第二十五号、天理市火葬場条例の一部改正についてでありますが、本案は、天理市聖苑において焼却する人体の一部を適切な表現へと変更するため、所要の改正を行うものであります。 次に、議案第二十六号、天理市
国民健康保険条例の一部改正についてでありますが、本案は、令和五年度及び令和六年度の税制改正に対応するため、並びに国民健康保険の改正による退職者医療制度の廃止に伴い、同法の関連条項の整理に併せて所要の改正を行うものであります。 次に、議案第二十七号、天理市
介護保険条例の一部改正についてでありますが、本案は、令和六年度から令和八年度までの介護保険料の額を改定するため、並びに第一号被保険者の介護保険料について、介護保険法施行令の改正により、標準段階の多段階化及び標準乗率の見直しが行われたことを踏まえ、所要の改正を行うものであります。 次に、議案第二十八号、天理市
観光物産センター条例の廃止についてでありますが、本案は、天理駅前での新たな拠点づくりの取組を開始するに当たり、天理市観光物産センターの指定管理者の指定が令和六年三月三十一日をもって満了することに併せ、同センターを廃止するため、条例を廃止しようとするものであります。 次に、議案第二十九号、
天理市営住宅条例の一部改正についてでありますが、本案は、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律が改正され、条項見直しが行われたことに伴いまして、引用する本条例についても所要の改正を行うものであります。 次に、議案第三十号、天理市
空家等対策協議会条例の一部改正についてでありますが、本案も、空家等対策の推進に関する特別法改正に伴いまして、所要の改正を行うものであります。 次に、議案第三十一号、天理市
消防団員等公務災害補償条例の一部改正についてでありますが、本案は、非常勤消防団員等に係る損害補償の基準を定める政令の改正に伴い、所要の改正を行うものであります。 次に、議案第三十二号、天理市上下水道局に勤務する企業職員の給与等の種類及び基準に関する条例の一部改正についてでありますが、本案は、令和五年人事院勧告に基づき、国において国家公務員への在宅勤務等手当が新設されたこと及び地方自治法の一部改正により、
会計年度任用職員の勤勉手当の支給が可能になることを受けて、本市上下水道局に勤務する企業職員においても同様の措置を講ずるため、改正を行うものであります。 次に、議案第三十三号、天理市
水道事業給水条例の一部改正についてでありますが、本案は、生活衛生等関係行政の機能強化のための関係法律の整備に関する法律が公布され、令和六年度より水道法等による権限が厚生労働大臣から、国土交通大臣及び環境大臣に移管されることに伴い、所要の改正をしようとするものであります。 続きまして、議案第三十四号、
奈良広域水質検査センター組合規約の変更についてですが、本案は、生活衛生等関係行政の機能強化のための関係法律の整備に関する法律が公布され、厚生労働大臣から国土交通大臣及び環境大臣に権限が移管されることに伴い、奈良広域水質検査センター組合の規約も変更することについて、地方自治法第二百九十条の規定により、各議会の議決を求めるものであります。 続いて、議案第三十五号、財産の無償貸付けについてでありますが、本案は、社会医療法人高清会が天理市立メディカルセンター東側で運営する天理メディカルイーストへの駐車場用地として令和三年十月から無償貸付けを行っている本財産につき、引き続き天理市立メディカルセンターに無償で共同利用させる申出があったことから、当該駐車場の設置が市立メディカルセンターの利便性向上に資するものであると認め、本財産の無償貸付けをしようとするものであります。 続きまして、議案第三十六号、財産の無償貸付けについてでありますが、本案は、本市と天理大学が包括連携協定を締結し、今後、天理大学・モンベル共同体が飲食及びアウトドアショップの事業を天理駅前広場で実施をするに伴いまして、観光、農業の発展につながる研究活動及び人材の育成に資することから、当該財産の無償貸付けをしようとするものであります。 以上、提案の説明とさせていただきます。何とぞ慎重な御審議を賜りますようよろしくお願いを申し上げます。
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○議長(
大橋基之議員) 以上で本日の日程は終了いたしました。 なお、議案熟読のため明日は休会し、六日午前十時より再開いたします。 本日の会議はこれをもって散会いたします。 午後一時五十分 散会...