令和 5年 9月 定例会 令和5年 定例会 京都市会会議録 第4号 9月市会 令和5年10月3日(火曜日)出席議員(67名) 1番 平田 圭議員 2番 河村 諒議員 3番 朝倉 亮議員 4番 土方莉紗議員 5番 くまざわ真昭議員 6番
井崎敦子議員 7番
西村義直議員 9番 やまね智史議員 10番 えもとかよこ議員 11番
片桐直哉議員 12番 きくち一秀議員 13番
北尾ゆか議員 14番 中高しゅうじ議員 15番
北川みき議員 16番 もりもと英靖議員 17番
増成竜治議員 18番
中村まり議員 19番 山本しゅうじ議員 20番
谷口みゆき議員 21番
井上よしひろ議員 22番 とがし 豊議員 23番
山本陽子議員 24番
森田ゆみ子議員 25番 平井良人議員 26番 山田こうじ議員 27番
天方ひろゆき議員 28番
小島信太郎議員 29番
神谷修平議員 30番
久保田正紀議員 31番 森 かれん議員 32番
菅谷浩平議員 33番
兵藤しんいち議員 34番
松田けい子議員 35番 平山たかお議員 36番 森田 守議員 37番
田中たかのり議員 38番 みちはた弘之議員 39番
玉本なるみ議員 40番 くらた共子議員 41番
河合ようこ議員 42番 赤阪 仁議員 43番 大津裕太議員 44番
こうち大輔議員 45番
宇佐美賢一議員 46番 江村理紗議員 47番 中野洋一議員 48番 西山信昌議員 49番 かわしま優子議員 50番 青野仁志議員 51番 さくらい泰広議員 52番
しまもと京司議員 53番 椋田隆知議員 54番
下村あきら議員 55番
田中明秀議員 56番
西野さち子議員 57番
加藤あい議員 58番
北山ただお議員 59番 おんづか 功議員 60番 平山よしかず議員 61番 吉田孝雄議員 62番
湯浅光彦議員 63番
山本恵一議員 64番 寺田一博議員 65番 津田大三議員 66番 橋村芳和議員 67番 繁 隆夫議員 68番 富 きくお
議員欠席議員(なし) 議事日程 開議日時 令和5年10月3日(火)午前10時第1 請願の付託及び陳情の回付 一般質問(1)市政一般について
加藤あい議員(2)市政一般について
河合ようこ議員(3)市政一般について えもとかよこ議員(4)市政一般について
湯浅光彦議員(5)市政一般について
松田けい子議員(6)市政一般について
増成竜治議員(7)市政一般について 平田 圭議員(8)市政一般について
天方ひろゆき議員~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 〔午前10時1分開議〕
○議長(西村義直) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、席上に配付いたしておきました。 本日の会議録署名者を指名いたします。山本しゅうじ議員と
北川みき議員とにお願いいたします。
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○議長(西村義直) 日程に入ります。 日程第1、請願の付託及び陳情の回付を行います。 今回受理いたしました請願1件及び陳情1件は、お手元に配付してあります文書表のとおり、所管の常任委員会に付託又は回付いたします。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○議長(西村義直) 昨日に引き続き、これより一般質問を行います。 発言の通告がありますので、これを許します。市政一般について、
加藤あい議員。 〔
加藤あい議員登壇(拍手)〕
◆(
加藤あい議員) 左京区選出の加藤あいです。
日本共産党市会議員団を代表し、
河合ようこ議員、えもとかよこ議員と共に市長に質問いたします。 10月からの物価高騰で暮らしが更に厳しくなっています。岸田政権は経済対策を打ち出しましたが、肝腎の消費税減税はなし、
インボイス制度の中止の声にも背を向けています。一方で、5年で43兆円もの大軍拡、そして、大阪・関西万博を推進。万博・カジノは建設費が大膨張し、総事業費1兆円を超しますから、異次元の国民負担とはこのことではないでしょうか。先般、日本共産党は
経済再生プランを発表しました。日本経済の低迷の解消は内部留保を膨らませた大企業への適正な課税と、そこで働く方を含めた労働者への分配、社会保障の充実でこそ実現できます。国の政治を元から変えるために全力を尽くす決意を申し述べて質問に入ります。 まず、2022年度の決算について述べます。77億円の黒字決算とのことですが、その要因の多くは歳入です。現に、自治体の標準的収入である一般財源収入は当初予算と比べて137億円も増加しました。コロナで
リーマンショック並みの大幅な税収の落ち込みとなるとの市長の見通しは、見込み違いであったわけです。これは2年連続の事態であります。500億円の財源不足、このままでは財政破綻しかねないとの説明はまやかしではありませんか。今や、10年後としてきた特別の財源対策脱却を過去債務の解消と言い換え、市民負担増を押し通そうとされていますがとんでもありません。市民生活は疲弊する一方であります。京都市民はコロナ禍と物価高騰、それに加えて
行財政改革計画の三重苦ではありませんか。まずは、
リーマンショック並みの落ち込みは見込み違いであったと認め、
行財政改革計画は撤回し、
市民サービスへ還元することにこそ真っ先に着手すべきです。認識を伺います。過去負債の返済は
大型公共事業や無駄使いを市民参加で洗い出すこと、そして税収増加策で当たるべきであります。 コロナ禍、そして物価高騰、生活への影響は大変深刻です。
左京連帯ひろばの7月のなんでも相談会では149人からアンケートの回答が寄せられました。困りごとは多い順に、物価高、収入不足、
水光熱費値上がり、健康、仕事となりました。10代、20代の方からは、物価高で食費を削らざるを得ないことから、栄養面や健康面の不安が寄せられました。30代から50代の方からも、夫のボーナスが20万円減った。働いていたコンビニが廃業し、私も職を失った、派遣の契約切りにあったなどの声が寄せられました。京都市の働く方の給与は1997年と比べて月給で10万円もの減少、2021年の京都市内の倒産・休廃業は年間793件にも及んでいます。 市長、目下、自治体に求められているのは暮らしとなりわいの応援であります。ところが、市長は2020年9月、職員を前に、社会的課題の解決、これを税金で公務員が行政がやらなければならないという時代は終わっていると、コロナ禍の真っ最中に公共投げ捨て宣言を行いました。
行財政改革計画は他都市を上回る市独自施策を削るという考えであり、こうした一律の考えは、自治体の存在意義を失わせるものであります。市長は退任表明されましたが、現市政16年を振り返れば、立候補表明の記者会見での乾いたタオルを絞るような行政改革が必要との表明のとおりでありました。初当選の翌年には、
市立看護短大廃止を宣言。その後も、洛西ふれあいの里やヘルスピアなど次々と公共施設の廃止が行われました。保育行政は、公営保育所を26か所から14か所に半減、民間保育園は補助金削減と制度改悪、公民問わずの後退を進められました。区行政においても、保健所の統廃合や
市税業務集約化、
介護保険認定給付業務の民間委託化などが実施されました。区役所から1,000人の職員がいなくなり、市長の下で削減された職員は4,100人にも上ります。
公共サービスは受益とみなし、ひと・まち交流館などの有料化、
学童保育利用料や
市営墓地管理料の値上げなど、ゆりかごから墓場までの市民負担増を実施しました。そして、市立小中学校の市独自の少人数学級は一度も拡充しませんでした。16年の市政において本市の公共性は後退し、失ったものは極めて大きいと言わなければなりません。現市政の第一の問題は、市民の運動により作り上げてきた京都の豊かな福祉や子育て施策が大きく掘り崩されたことであると考えますがいかがですか。また、暮らしや地域の重大な疲弊を招いてきた責任をどのように感じておられますか。お答えください。 京都のまちと景観・都市格も大きな危機にさらされています。住民の声に押され全会一致で採択された新景観政策から15年。市長は、開発資本の利益のために、100年の計と言われた新景観政策をたった15年で後退させました。建物の高さや容積率の規制の緩和で
タワーマンションやオフィス誘致を進め、さらに
商業集積ガイドプランの見直しで大規模商業施設を誘致しようとしています。住民からは、このままでは京都が京都でなくなると声が上がっています。また、市長は国の言うがままに観光一辺倒で
ホテルラッシュを招きました。宿泊施設拡充・誘致方針や制度により4万室客室目標は優に超え5万8,000室となりました。(パネルを示す)パネルを御覧ください。本来できない地域での宿泊施設の特例許可が上。下は学校跡地へのホテル建設です。つまり、次々ホテル建設を進める施策によって東京資本や外国資本が参入する場が用意されました。結局、こうした一連の施策が地価の高騰を招き人口流出が加速しました。(パネルを示す)パネルを御覧ください。平均地価の高騰が進むにつれ日本人の方の顕著な人口流出が見られます。日本人の人口減少数3年連続で全国最多と報じられましたが、20代から30代の市外転出が極めて多いという点でも重大です。市長は、
タワーマンションを建てれば人口が増えるかのような幻想を振りまいていますが、宿泊施設を増加させ地価の高騰を招いたことや子育て支援策の後れをまず反省するべきです。コロナ禍前、観光客や観光消費が伸びていた頃の
本市経済成長率は、2018年度、2019年度と2年連続して下がり、国平均も京都府の平均も下回りました。外部資本優遇と地域産業おざなりで京都の既存事業者が大変な苦境に立たされています。 もう一つは、過大投資です。市長は、市民に痛みを押し付ける一方で、市庁舎整備370億円、市立芸大再整備305億円などを聖域にして、無駄と環境破壊の
北陸新幹線京都地下延伸など
国家プロジェクトを推進してきました。今もなお本市の財政に大きな影を落としているのが
地下鉄東西線延伸事業でありますが、
事業者言いなりに契約変更を143回も繰り返し、全体で4,515億円と事業費は2倍にも膨れ上がりました。国の誘導の下、無尽蔵に市債を発行して財源を確保する財政運営と身の丈に合わない事業、高速道路などの無駄な事業を行ったことが今日の財政問題の原因であり、同じ道を進もうという姿勢は重大です。 市政の第二の問題は、東京資本や外国資本、すなわち外部資本の呼び込みと過大投資優先で京都のまちと景観を壊し、京都経済の低迷を招いたことであったと考えますがいかがですか。独自の福祉施策や
景観まちづくり、すなわち京都の良さを壊してきた市政は、市民への痛み押付けと公共の責任放棄、時代後れの巨大開発を温存するものであります。 以下、求められる三つの改革を申し述べます。第一の改革は、無駄な
大型公共事業の中止と大
規模公共事業の見直しです。市長が推進されてきた
北陸新幹線京都地下延伸計画は、今再計算すると、便益が費用を下回ると指摘されており、総事業費は4兆円に及ぶとも言われています。国と鉄道運輸機構は、認可後調査を前倒しして実施するなど脱法的手法を採り、推進する議員からは、別の設置駅が提案されるなど現行計画を覆す意見まで出されています。混迷に混迷を重ねている計画はきっぱり中止すべきです。いかがですか。 2021から2025年までの5年間の本市基本計画においては、この
北陸新幹線京都地下延伸に加えて、1号線バイパス、9号線バイパス、
堀川地下バイパス、
環状ネットワーク、
官民協同アリーナ事業が推進施策とされています。過大投資の過去の教訓をいかすなら、このような事業こそ再検討するべきではありませんか。また、今後予定している大
規模公共事業費1,500億円について、聖域扱いせず優先順位や事業精査をすべきではありませんか。答弁を求めます。京都経済の底上げには大型開発など
カンフル剤的対応ではなく、再生産を支える地域産業の地道な支援が必要であります。 第二の改革は増収対策です。京都府内大手10社の昨年度決算では、内部留保は前年より6,800億円も積み増しされ、10兆8,000億円となり10年で2倍になりました。党議員団は応能負担原則に立った税収増加策を検討することを繰り返し求めてきました。法人市民税の法人税割は本市は現在8.2パーセントですが、今や法定上限である8.4パーセントまで引き上げていないのは政令市20都市のうち6都市、京都府内では本市が唯一となりました。約4億円の税収が得られる法定上限までの引上げを行うべきです。均等割についても、長野市が資本金1億円以上の法人を1.2倍としています。本市においても、資本金10億円以上の法人に適用すれば4億円の税収が得られます。具体化を求めます。 第一・第二の改革の上に立って、第三の改革は、暮らし・子育て応援で財政基盤を強めることです。
市民サービスのカットで暮らしの疲弊を招き人口を流出させる。そして、さらに、
市民サービス削減という悪循環を断たなければなりません。党議員団は、
行財政改革計画で実施した53億円のサービス削減を元に戻したうえで、第一に、18歳までの医療費ゼロと全員制の
中学校給食実施と給食費無償化、第二に、返さなくてよい奨学金制度、第三に、公契約における民間労働者の賃金引上げを提案をしてきました。京都市1兆円予算の1パーセント、100億円でできます。福祉の増進を図ることこそ自治体の役割です。公共の再建を進めるべきではありませんか。大山崎町や明石市、杉並区などが子育てや暮らしの応援を徹底し、結果として人口増や税収増を果たす好循環に成功しています。そうした自治体に学ぶべきと考えますがいかがですか。 まず、ここまでの答弁を求めます。
○議長(西村義直) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作)
加藤あい議員の御質問にお答えいたします。
行財政改革計画についてでございます。今般の改革は、市民の皆様と共に守り続けてきた
全国トップレベルの本市独自の施策についてその理念をいかし、持続可能なものとなるよう再構築し、将来世代への負担の先送りを解消するもの、正しく未来に責任を持つ改革であります。令和3年8月の計画策定時は、新型コロナの終息がまだ見通せない中、国の見込みに合わせて
リーマンショック並みの140億円の減収を危惧しておりましたが、この間、市民・事業者の皆様の御努力はもとより、国との緊密な連携、府市協調の下、市民・事業者の皆様の生活を支え、経済を下支えし、都市の成長戦略の推進をはじめとした長年の担税力強化の取組効果も相まって、計画の想定を大きく上回る130億円の増収を達成することができたものであります。しかし、いまだ残る過去負債の返済や超高齢化等による
社会福祉関係経費の増加、
景気変動リスクなど、依然として油断はできない状況にございます。過去負債の返済による将来世代への負担の軽減、市民の皆様の暮らしの豊かさにつながる都市の成長戦略の加速により、足腰の強い財政基盤の更なる強化・安定に取り組むとともに、改革をたゆまず実施することで持続可能な行財政を確立してまいります。 同時に、9月補正予算におきましても、令和4年度決算の黒字をしっかりと活用し、過去負債の返済による財政健全化への取組を図ったうえで、急激な物価高騰等にお困りの市民・事業者の皆様への更なる支援、コロナ禍からの回復等を踏まえた中小企業の更なる成長支援など、都市の成長戦略につながる必要な対策に取り組むこととしており、魅力あふれる京都の今と未来を見据えるとともに、喫緊の社会課題等に的確に対応してまいります。 任期16年の市政運営についてでございます。市長就任直後の
リーマンショックに始まり、自然災害、新型コロナの感染拡大など、様々な困難に直面しながらも、私は市民の皆様の大切な命と暮らしを徹底的に守り抜き、魅力あふれる京都を未来に引き継ぐことを第一に市政に取り組んでまいりました。厳しい財政状況の下にあっても、効率的・効果的な行財政運営により財源を確保し、福祉、教育、子育て支援、防災・減災、安心・安全、都市基盤整備、文化を基軸としたまちづくり、景観政策、環境政策、産業・観光政策、大学政策など、京都の今と未来に必要な政策を市民の皆様と共に力強く進めてまいりました。その結果、京都の魅力、都市格は大きく向上しており、創造的な人や企業が京都に集積し、京都経済の活性化、雇用の創出、税収の増加に着実につながっております。とりわけ、
全国トップレベルの福祉、教育、子育て支援につきましては、20の政令市の中で唯一、保育所10年連続、学童クラブ12年連続の待機児童ゼロの達成、国を上回る保育士の配置基準や給与水準の確保、
子ども医療費助成の拡充、市立小中学校の学力は
全国トップ水準、特に小学校は3年
連続政令指定都市1位など、後退ではなく大きな前進、成果を上げております。 引き続き、
京都ならではの市民力・地域力・文化力を結集し、ぶれることのない改革と成長に挑戦していくことが、市民生活の豊かさにつながり、税収を増加させ、福祉や教育、子育て支援、さらに文化等をより一層充実させる好循環を目指すことができると確信いたしております。地域社会、文化団体、民間企業などあらゆる主体との連携の下で、魅力と活力あふれる京都のまちづくりに任期満了まで全力を注いでまいります。以上でございます。
○議長(西村義直) 坂越副市長。 〔坂越副市長登壇〕
◎副市長(坂越健一)
大型公共事業の中止及び大
規模公共事業の見直しについてでございます。河川氾濫対策、土砂災害対策、橋りょうの耐震補強、緊急輸送道路の整備、老朽化した生活道路の改修など公共事業は市民の命と生活に直結する大変重要な事業です。このため、限られた財源の中で最大限の成果を挙げられるよう、事業の実施に当たっては費用対効果や緊急性を踏まえた経費の精査を行うことはもちろん、後年度負担の少ない市債の活用や民間資金の積極的な導入など財源確保に努めるほか、国や府の補助金を最大限活用し、機を逃すことなく進めております。さらに、
行財政改革計画に基づき投資的経費の一般財源と市債発行額に明確な上限を設けることで、将来負担の的確なコントロールに向けた取組を強化しており、令和4年度決算における本市の投資的経費は20の指定都市の中で18番目の状況にあり、過大投資との批判は当たりません。また、一般会計の実質的な市債残高は、ピーク時の平成20年度の9,832億円から着実に減少し、令和4年度には1,580億円、16.1パーセントの減となる8,252億円となっております。 今後予定している
北陸新幹線整備や1号線バイパス、9号線バイパス、
堀川地下バイパスなどは、それぞれ京都の更なる発展に必要な事業であり、市民の皆様の豊かさにつながるものと認識しておりますが、将来負担軽減のため、引き続き地方負担の極小化や整備手法の工夫等について国に求めてまいります。以上でございます。
○議長(西村義直)
西田都市経営戦略監。 〔
西田都市経営戦略監登壇〕
◎
都市経営戦略監(西田良規) 人口増や税収増に向けた行政運営についてでございます。本市では、これまでから先進的な子育て施策に取り組み、保育所等10年連続、学童クラブ12年連続の待機児童ゼロの達成など、
全国トップクラスの子育て環境を実現してまいりました。また、環境、景観、文化、観光政策など、他都市から視察が訪れる全国のモデルとなっており、都市の成長に大きく寄与しています。そして、コロナ禍などで厳しい社会情勢下にあっても、地域企業の下支えに国、府、市一体となって取り組むことでこれまでの担税力強化の取組を結実させ、令和4年度決算において過去最高の税収を実現しております。現在、コロナ禍を経て、人々の暮らし方、働き方など様々な社会変容が起きており、時代は変化の潮目にあると考えております。こうした時代の潮流を捉え、新たな価値を創出していくためには、民間の副業人材の専門的な知見や他都市の先進事例等も参考に、
京都ならではの政策として構築していくことが重要です。現在、人口減少対策として取り組んでいる
人口減少対策推進タスクフォースや洛西“SAIKO”プロジェクトは、そうした民間団体や企業等との協働を重視する考えの下、推進しています。引き続き
京都ならではの新たな価値を創造し、市民の皆様が暮らしの豊かさを実感できる都市の成長戦略を進めてまいります。
○議長(西村義直) 村行財政局長。 〔
村行財政局長登壇〕
◎行財政局長(村健) 法人市民税の超過課税についてでございます。法人市民税の超過課税につきましては、各経済団体から御理解を得たうえで、令和2年11月市会におきまして令和7年度末までの延長を可決いただいております。法人税割の制限税率への引上げや均等割の引上げなど更なる超過課税を行うことについては、一部の方に特に御負担をお願いするものがあることを踏まえ、また、経済状況や企業活動に及ぼす影響、市民や事業者の
コンセンサス等を見極めつつ検討する必要があると考えております。引き続き、応益負担の観点や歳入歳出の改革を徹底する中でも、本市独自の財政需要を賄うための財源を確保する必要性があるかどうかといった観点などから検討を進めてまいります。以上でございます。
○議長(西村義直) 加藤議員。 〔
加藤あい議員登壇〕
◆(
加藤あい議員) 市長から御答弁をいただきましたが、市民の暮らしや地域の疲弊について答弁がなかったことは極めて残念であります。党議員団は、市政転換へ力を尽くすことを重ねて表明するものです。 次に、感染症対策について伺います。
新型コロナウイルス感染症では多くの死者を出し、本市においても、第6波以降亡くなられた方は859人、
高齢者施設内死亡者は136人にも上ります。コロナ放置死と言われるような医療にアクセスできない方を多く生んでしまいました。高齢者施設の調査では、入院できず、ようやく決まった入院の前日に急変し、救急搬送したが搬送先の病院に入れてもらえず亡くなった、入院しても助かる見込みはないと言われ、施設でみ取ったなどの悲痛な声が寄せられました。医学的措置としてできることがあるのに本来受けられる医療を受けさせなかったのは、実質的に命の選別が行われたことを意味しています。今もなお感染が拡大しています。新たな犠牲者を出さないため、医療・介護・公衆衛生体制を発展させるのが政治の責任です。名古屋市では、
積極的疫学調査を地域の
保健センターが担い、行政区
保健センターと医師会が日頃の関係を構築してきたことから、自宅療養対応の往診などが機能しました。今、検証が進められ、各
保健センターに副所長を設けるなどセンターごとの機能強化を進めておられます。本市予防計画、そして
健康危機対処計画を策定するうえで、保健所・感染症対策は全市で一本という体制がふさわしかったのか、感染症対応を地域に残した他都市との比較で検証することが必要です。医療との連携を進め、公衆衛生行政を充実するために基盤と体制から再検討することを求めます。そして、コロナ対応に当たった職員はもとより医療関係者・専門家の意見を聴き、多角的な角度からの対応方策を検討し、命を守るために全力を挙げることを求めます。いかがですか。 次に、生活保護行政についてです。生活保護制度は憲法に基づく制度です。誰もが病気、障害、高齢などで健康で文化的な最低限度の生活を維持できなくなる場合があります。その際、国に対して憲法25条に基づき権利として生活保障を求めることができるのです。しかしながら、対象者の2割程度しか使っていないというデータもあります。最後の
セーフティネットの機能不全が続いています。 以下、生活保護・生活支援に関わって2点求めます。第一は、扶養照会の運用と制度の広報についてです。親戚や家族に知られたくないから窮迫していても保護申請をされない方がおられます。扶養は義務ではありません。国通知では、扶養照会について要保護者の意向の尊重が要請されました。また、扶養義務者に対する照会は、扶養義務の履行が期待できると判断される者に対してのみ行うとも明記されました。丁寧に本人の意思を確認する、すなわち本人の同意がなければ扶養照会はしないとの言明を求めます。そして、国に対し扶養照会を廃止するよう求めていただきたい。いかがですか。 生活保護のしおりが改訂され、生活保護の申請は市民の権利です。生活保護を必要とすることはどなたにでもあり得ますので、ためらわずに相談してくださいと表紙に明記されました。生活保護への偏見の克服と抵抗感をなくすため、さらに全市民に案内することが重要ではありませんか、認識を伺います。札幌市がポスターを作成しました。また、京都でも京丹後市が全戸配布でチラシを4回配布しました。ポスター・チラシなど本市においても積極策を求めます。 第二は、クーラー設置と生活支援についてです。今年の夏は命を危険にさらすほどの異常な酷暑となりました。しかし、2018年4月以降に保護受給を始め、そして、新たにクーラー設置をする場合しか国は保護費を支給していません。ですから、本市では少なくとも39世帯がクーラー未設置のままです。修理費用も対象でないことから、いつ壊れるかびくびくしている、壊れたものの直せなかったなどの状況もあります。また、現実に電気代を心配しスイッチが入れられません。国に対し、クーラーの買い替えや修理も生活保護の支給対象とすることや夏季加算の創設を要望すること、そして、非課税世帯も対象に加えてクーラー設置の補助と電気代への支援、他都市でも広がっている水道料金・下水道使用料の減免を求めます。いかがですか。 次に、障害者福祉について伺います。障害者福祉計画・ほほえみプラン改定に向けた調査が実施され、次期計画の成果目標・サービス量の見込み案も示されました。入所施設申込者の調査によれば、障害当事者が生活を共に過ごすのは、親と答えた方が9割、その半数は70歳以上です。高齢になった親が介助を担わなければならない実態があります。高齢を押しての介助でけがをしたり、入院されたり、生活介助サービスについても人材確保の難しさから十分利用できないこともあります。総合支援学校卒業後、何年もあちこち入所系の施設を探して、5年後やっと他都市で見つかったというお話も伺いました。親亡き後の不安の声が寄せられています。市長、この分野での社会資源が決定的に不足しています。現在、入所・居住系施設の待機者は266人となっていますが、6年間を計画期間とする次期計画の来年度計画値は100人に満たない状況で、直ちに待機を解消する計画となっていません。障害児者と家族の権利を保障するために、待機状況を一刻も早く解消する必要があるのではありませんか。認識を伺います。 また、基盤整備を進めるためには事業者支援が欠かせません。国補助にとどまらない独自の整備補助と運営費補助、それと一体にしたふさわしい整備目標を計画に盛り込むことを求めます。いかがですか。 また、入所系施設の不足もあり、お葬式や介助者の入院時など本来のショートステイの機能が充分果たせていないことも課題です。医療的ケアに対応している障害児のショートステイについても不足しています。改善を求めます。来年度は介護保険と障害者福祉計画の策定や診療報酬、介護報酬、障害福祉サービスなどの報酬トリプル改定が予定されています。抜本的に社会保障を充実させる必要があると国に対して声を上げるよう求めておきます。 次に、不登校・登校拒否への対策、学びの保障について伺います。本市の市立小中学校の不登校児童・生徒は2,022人と年々増加しています。不登校の理由は様々ですが、はっきりしているのは学ぶ権利を保障するのは公教育の責任だということです。あるフリースクールの保護者懇談会では、子供の自己
決定権を尊重しながら基礎学力をどのように付けていくのかが皆さんの大きな悩みとなっていました。不登校児童・生徒総数2,022人に対して、ふれあいの杜や洛風・洛友中学、フリースクールなど何らかの学びが確認できているのは重複も含めて469人、保健室など別室登校は600人となっています。施策のボリュームが追いついていません。昨年度末、文科省から出された学びの保障に向けた不登校対策の通知では、小・中・高校を通じて学びたいと思ったときに学べる環境の整備、不登校特例校の更なる設置拡大、空き教室を利用した学びの場としての校内教育支援センターなど多岐にわたる対策が示されました。特例校設置から20年がたとうとしている今、不登校支援について更なる発展が求められているのではないでしょうか。子供たちの個性を様々なチャンネルで受け止め、学ぶ権利を保障するためには、市立学校教員の多忙化解消、教員不足の改善・加配が必要です。そして、校内フリースクールと共に不登校児童生徒のための学校を更に市内各地に開設することを求めます。また、亀岡市では、今年度からフリースクールに通う小中学生の授業料を1万円上限で補助する事業が始まりました。不登校児童生徒が増加する中、フリースクール利用支援など、保護者の負担を減らし、子供たちの学ぶ機会を確保する施策の検討を求めます。 最後に、地元左京区養正市営住宅の建替えについて伺います。本建替え事業は、団地再生計画に基づくもので、住戸建設から生み出した空き地の民間活用が前提とされています。先般、突如、京都市は養正を含む八つの市営住宅建替えに係る活用地約3万7,400平米について、民間等からの提案募集を始めました。跡地について地元の意見を聞くなどとしてきたにもかかわらず、勝手に募集。住民不在の姿勢は重大です。間取りや広さについても居住者の意見を聞くことなく計画が示されました。高齢化し、世帯人数が減っていることを理由に、今にもまして狭小住宅を多数建設しようとしています。一人暮らしで35平米は国土交通省の誘導居住面積の40平米を下回っています。最低居住面積の25平米を上回っているとして、住まい方の後退を強いてはなりません。これまで、用途ごとに部屋を分けるという住まい方の発展が進められてきたことへの明らかな逆行です。建物はメンテナンスを繰り返せば100年は持続させることができます。団地再生と言われますが、今のことだけを考えたのでは再生とはなりません。狭小住宅をなくし、現行計画を43平米以上に変更することを求めます。そして、家賃算定で日当たりを考慮するなど工夫して家賃を引き下げ、低廉な家賃で豊かな住まい、若い人から子育て家族、高齢者まで多様な世帯が住み続けられるまちづくりを求めます。 以上で、私の代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(西村義直) 安部保健福祉局長。 〔安部新型コロナ対策・ワクチン接種統括監登壇〕
◎新型コロナ対策・ワクチン接種統括監(安部康則) 私から3点お答えいたします。 保健所・公衆衛生体制についてでございます。新型コロナ対策に当たっては、人口1万人当たり2.4人と、政令市平均の約1.5倍となる保健師の配置や全庁応援体制、医師会や私立病院協会、薬剤師会、看護協会などの医療関係団体や福祉関係団体との連携、京都大学や看護系大学と連携した取組、検査や健康観察、フォローアップセンターといった民間の力による体制強化など様々な力を結集し、市民の皆様の命と健康を守ってまいりました。保健所体制は、14区・支所に健康福祉部と子どもはぐくみ室を有する保健福祉センターを設置し、地域に根差した保健福祉政策を総合的に行う一方、全市的な健康危機事案は明確な指揮命令の下、一貫して対応する必要があるため、集約した体制が最善であり重層的な体制としております。感染症対策を総合的に進める予防計画は、実施してきた本市独自の取組も含めたこれまでの経験をいかすため、本市も参画する京都府の連携協議会で医療関係者や専門家と共に検証し、府市一体で策定いたします。今後起こり得る新興感染症に備え、市民の命と健康を守るため引き続き全力で取り組んでまいります。 続きまして、生活保護制度についてでございます。まず、扶養義務紹介については、扶養義務者の方の援助の可能性などのお話を丁寧にお伺いし、援助が期待できない場合はこれを行っておりません。 次に、生活保護の申請は国民の権利であり、ためらわずに相談いただきたい旨の周知は本市のホームページや生活保護のしおりに明記しており、本市の各種相談窓口に加え、困りごとを抱える方が相談に訪れることが多い社会福祉協議会や上下水道局の営業所などにもしおりの配架を拡大し、きめ細かく案内しております。 次に、夏季加算の創設及びエアコン購入費の要件拡大につきましては、かねてより国に対して制度改正の必要性について意見を提出しています。 最後に、非課税世帯を含めた生活支援の対応については、国の財源を用いて京都市くらし応援給付金などを支給してきており、水道料金・下水道使用料の減免を本市独自で行うことは、受益者負担の公平性の観点から困難であります。 次に、障害者福祉策についてでございます。障害者グループホームについては、御家族や障害のある方の高齢化、重度化が進展する中、親亡き後への将来の不安もあって利用を希望する方が増加しております。このため、現在策定作業を進めている次期計画の整備目標に当たっては、先に開催した京都市障害者施策推進審議会でお示ししておりますように、現在の利用希望者数だけでなく、潜在的なニーズや入所施設から移行される見込みの方も加え、十分な量を確保する必要があるとしております。今後とも、国の補助も活用しながら整備を加速化してまいります。短期入所については、土日など特定の曜日に利用が集中する傾向にありますが、全体としては5割程度の稼働状況であります。また、医療的ケア児等が利用する短期入所施設に対して、入院と同等の収入が得られるよう本市独自の補助を行っております。今後とも、利用状況を把握しながら必要なときに利用していただける取組を進めてまいります。以上でございます。
○議長(西村義直) 竹内都市計画局長。 〔竹内都市計画局長登壇〕
◎都市計画局長(竹内重貴) 養正市営住宅の建替えについてでございます。養成団地では、令和3年に団地再生計画を策定し、建替えに向けて入居者の皆様への個別相談会やアンケートなどを行いながら丁寧に取組を進めております。新たな住戸の面積は、他の団地も含めて35平米、45平米、60平米の3タイプに統一いたしまして、お住まいの皆様の状況などを考慮して配分しております。最も小規模な35平米の住宅でも、国が定める公営住宅の面積水準である25平米を大きく上回ります。周辺の民間賃貸住宅と比べても遜色のない面積を確保しております。なお、議員から御指摘のありました誘導居住面積水準は、あくまでも民間住宅に関する水準であります。家賃は面積、あるいは築年数などに基づき算定し、所得に応じた家賃額を適用する仕組みが法令に規定されております。特に所得が低い場合は独自の減免もございます。また、建替えに伴う家賃上昇への経過措置も設けております。引き続き、団地再生を着実に進めて安心・安全に住み続けられる住環境の確保と、団地再生により生まれる土地の有効活用による地域の更なる活性化と本市全体の更なる成長を目指してまいります。以上でございます。
○議長(西村義直) 稲田教育長。 〔稲田教育長登壇〕
◎教育長(稲田新吾) 不登校支援の充実及びフリースクールについてでございます。校内フリースクールにつきましては、既に各校に設置する不登校支援のための校内委員会における教職員間の情報共有の下、余裕教室等の活用も含め、創意工夫を凝らした子供の居場所づくりや学習支援を進めており、今後も文部科学省等の予算も活用しながら対応してまいります。不登校を経験した子供たちの学校につきましては、公立では全国に14校しかない中、本市では全国に先駆けて2校設置しており、引き続き2校を中心に取組を進めてまいります。 次に、フリースクール利用に係る支援につきましては、利用を検討される保護者に対してフリースクールの情報提供を行うほか、市内の京都府認定フリースクール3団体に利用する児童生徒の体験活動や家庭訪問事業を委託するなどの連携を進めております。今後とも、こうした施設を利用する児童生徒はもとより、在籍する各学校で関わる児童生徒も含め、全ての不登校児童生徒へのきめ細やかな支援を進めてまいります。以上でございます。
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○議長(西村義直) 次に、市政一般について、
河合ようこ議員に発言を許します。河合議員。 〔
河合ようこ議員登壇(拍手)〕
◆(
河合ようこ議員) 西京区選出の河合ようこです。
日本共産党市会議員団を代表し市長に質問いたします。昨年度の決算77億円の黒字の下でも、市長は敬老乗車証の市民負担や民間保育園への補助金13億円の削減を見直さない旨述べられましたが、コロナ禍、物価高騰の中、必死で暮らし、働いている市民の願いや苦労に心を寄せ、住民福祉の向上を第一に考えるべきだという思いで質問します。 まず、中小企業への支援についてです。コロナ禍、異常な物価高騰で中小企業・個人事業者は大きな打撃を受けています。無利子・無担保のゼロゼロ融資でコロナ禍はしのげたという事業者も、この返済が始まり、伴走支援型経営改善おうえん資金を活用しようとしても、経営改善計画書作成という要件やその審査がネックとなっています。全国で企業倒産が前年同月を17か月連続で上回り、8月は前年同月比54.4パーセント増と深刻です。融資返済の余裕などない、原材料値上げで営業が続けられないという中小事業者の苦境に政府は容赦なく新たな増税を課す
インボイス制度を強行しました。全国54万人を超えるインボイス実施中止を求める署名すら意に介さない暴挙であります。伝統産業従事者は、下請の方も課税業者の私らもつらい。消費税分をかぶることはできないし、相手に値引きして支払うなどできないと途方に暮れておられます。本市の99パーセントを占める中小業者がインボイスで事業継続できなくなり、京都の文化や経済の底が抜けてしまいかねない事態です。国に対し早急に
インボイス制度の中止を、そして事業継続を支える一番の決め手である消費税の引下げをセットで求めるべきです。いかがですか。 また、伴走支援型経営改善おうえん資金は、経営計画書を簡素化し審査を柔軟にすること、全ての事業者を対象に賃上げ支援を行うことを求めます。いかがですか。 次に、保育についてです。昨年度、市長は、民間保育園等の職員給与に係る補助金を13億円以上も減らしました。補助金算定基準額を職種ごとに定め、平均経験年数による加算を11年で頭打ちにし、職員定数の2割を非正規にする前提の補助金しか認めず、調理師の常勤は2人までとするなど見直した制度は現場の実態と懸け離れたものでした。正規職員退職の後、正規職員を雇えない、調理師を減らさざるを得ず、宗教食やアレルギー食、離乳食はこれまでのような対応は難しいなど保育の質に関わる事態が起こっています。コロナ感染の下で踏ん張っている職員の給与を減らすのはつらいと施設改修のための積立金を取り崩したり、泣く泣く一時金や給与を下げた園があります。その結果、先行きに見通しが持てないと、せっかく就いた仕事を辞めていく若い職員。保育園の給与負担を思い、心を痛めているベテラン保育士がおられます。不十分とはいえ、国が1人9,000円の職員給与引上げへ対策を講じている最中、本市では給与引下げが起きています。少なくとも3割の保育園等で2年連続引下げが起こっていると当局も認めています。そのうえ、経営改善と称して110か園にリストラや処遇の引下げまで迫っているではありませんか。保育園等への支援としてこんなことはあってはならないという認識はおありですか。市長、いかがですか。 また、本市は、保育士さんの給与はそれぞれの保育園等で決めているものだから、京都市が削減することはないとSNSで発信していますが、13億円も補助金を減らした結果起こっている給与引下げに、本市は関係ないと言うのは全くのごまかしです。給与保障は京都市の責任であります。保護者も職員も安心できる保育園等にするために、昨年度に削減した民間保育園職員給与等への補助金は、少なくとも2021年度並みに早急に戻し、どの保育園等でも職員の経験年数に応じて昇給ができるよう本市が責任を持つ給与表を作るべきです。いかがですか。 政府が、70年以上放置した保育士配置基準について、本市会は、抜本的な見直しを求める意見書を昨年12月に全会一致で可決しました。全国で子供たちにもう一人保育士をという運動が広がっています。しかし、政府は配置基準の改善に踏み切っていません。本市の配置基準は国基準を上回っていても、保育士が足りないと長年要望が上がっています。現状で十分とせず、子供に待っててねと言わなくてもいい保育がしたいなど、現場の声を反映した保育士や調理師配置へ本市独自の改善を求めます。いかがですか。 次に、学童保育についてです。子どもの権利条約第31条は、子供が休息・余暇、年齢に適した遊び、文化・芸術に自由に参加する権利をうたっています。本市の学童保育はこの権利を保障しているでしょうか。面積基準は子供一人当たり1.65平米、畳1畳です。廊下や自由来館の児童も利用する児童館ホールも含めて計算され、思いっきり体を動かせる広さもなく、おやつや食事も何組かに分けないと食べられない状況です。雨の日や猛暑の中では外に出られず全員が狭い室内で過ごします。ゆったり静かに過ごす場所もありません。おまけに登録児童は100人、200人以上の大規模な施設が増えており、面積基準を満たすようにと学校の空き教室などを活用した施設外クラスや分室が設置されています。先日、党議員団で視察させていただいた七条第三児童館の学童保育は、二つの小学校から300人を超える児童が通い、分室、施設外クラス合わせて4か所に分かれて過ごしています。分室も施設外クラスも児童館から離れていて、全体を把握する職員さんの負担は大きく、子供たちも本館と分室や施設外クラスへの移動もあり、じっくりたっぷり遊ぶ時間を奪われています。問題は必要な面積やクラス数などの算定は登録児童数を基準とせず、平均出席率を掛けた児童数を基準としていることです。(パネルを示す)パネルを御覧ください。40人を1単位とするクラスの数を登録児童で算定すると全市で488クラスとなり、現状は112クラス少なく、配置すべき指導員は978人、あと224人必要です。要するに、子供たちはぎゅうぎゅうの空間で少ない指導員に保育されており、豊かな環境を保障されていないということです。出席率で算定するなど保育園や学校ではあり得ません。市長、一体どこまで詰め込むつもりですか。早急に現在の算定の仕方は改めるとともに、大規模化した学童保育は、分室や施設外クラスを解消し、新たな学童保育所を整備すべきです。いかがですか。 学童保育や児童館の仕事は、子供の発達・保護者の就労保障に欠かせない専門職であるにもかかわらず、保育士より更に低い給与で深刻な人手不足を招いています。学童保育・児童館の職員給与は、各法人、指定管理者の裁量だと本市は言いますが、市が公費で委託している事業であり、公務労働です。職員の給与等については、長年本市と労働組合が交渉を重ね改善してきた歴史があります。しかし、現在市長は、京都府中央労働委員会の命令に従わず、労働組合との団体交渉を拒む不当労働行為を続けています。大問題です。一刻も早く団体交渉に応じて、学童保育・児童館職員の給与引上げに責任を持つべきです。いかがですか。 まず、ここまでの答弁を求めます。
○議長(西村義直) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作)
河合ようこ議員の御質問にお答えいたします。 保育園への補助金及び保育士配置基準の見直しについてでございます。京都市では、処遇改善や職員配置の向上のため、国の給付費に加えまして、京都市独自で約53億円の予算を確保し、
全国トップ水準の補助を行っております。令和4年度に、従前の制度の課題を解決するために保育士配置基準の維持・充実を図りながら、透明性の高い制度へと再構築しましたが、全国平均を100万円以上上回る給与水準など処遇水準を確保しております。 また、職員配置につきましては、本市独自の配置基準に加えまして、1歳児加配等により例えば90人定員の場合、国基準では12人のところ1.3倍の16人となっており、政令市トップレベルの手厚い体制となっております。加えて、一定の条件の下、人件費支出が超過している園に対し、約5億円の予算を確保し、段階的なサポートを行っており、サポートに当たり専門家による助言を得て、持続可能で適切な園運営に向けた検討をお願いしております。 また、令和4年2月市会の付帯決議や現場のお声を踏まえまして、新たな制度開始後も、障害児加配補助金の充実、認定こども園の事務員やアレルギー対応調理師の配置拡大など改善を行ってきております。各園からは職員配置の充実など様々な御意見も頂いておるところであり、このため昨年答弁いたしましたとおり、現在、人件費収入の6.5パーセントとしている控除割合を更に拡大することで補助額を増やし、より一層、各園の実情に応じた対応を可能としてまいります。なお、各園の保育士は各法人に雇用されており、本市との関係で労使関係はございません。この間、統一給与表、モデル給与表を廃止した経過も踏まえまして、本市が給与表を作成する考えはございません。 以下、副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。
○議長(西村義直) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕
◎副市長(岡田憲和) 中小企業への支援についてでございます。伴走支援型経営改善おうえん資金などの制度融資の審査につきましては、この間、金融機関に対し、本市や国からあらゆる機会を通じて事業者の実情に応じた柔軟な対応を要請しているところでございます。また、計画書の様式ですけれども、これは国において定められたものとなっております。 次に、賃上げへの支援につきましては、業務改善助成金等の国の補助制度を積極的に周知するとともに、本市といたしましても経営相談や制度融資などにより、企業が持続的に発展し、それが賃金上昇につながるように取り組んでおり、経済団体を通じた雇用の安定や賃上げなどの要請も繰り返し行っているところでございます。 なお、消費税は、国・地方を通じた社会保障に要する財源を安定的に確保するためのものであり、
インボイス制度につきましては、消費税の軽減税率の実施に当たり、適正な課税を確保するためのものとされていることから、これらについて引下げや中止を国に要望することは考えておりません。引き続き、国、府、関係機関等と連携し中小企業の下支えと成長支援に取り組んでまいります。
○議長(西村義直) 福井子ども若者はぐくみ局長。 〔福井子ども若者はぐくみ局長登壇〕
◎子ども若者はぐくみ局長(福井弘) 学童保育についてでございます。学童クラブ事業については、分室及び施設外クラスを含め、国の基準に基づく面積の確保や職員配置を基準条例に規定し、これを遵守したうえで、利用を希望される全ての児童を受け入れております。面積等算出する際の児童数につきましては、施設ごとに登録児童数に過去3年の出席率を乗じて算定しており、これは国の考え方にかなった妥当なものと認識しております。実施場所の確保につきましては、児童の安全性を考慮し、できる限り小学校内で確保することとしており、新たな学童保育所の整備は考えておりません。 次に、労働組合との団体交渉についてでございます。児童館、学童保育所の運営につきましては、指定管理者制度や委託事業として実施しており、職員の勤務条件等は、各運営団体において対応いただくものと認識しております。京都府労働委員会の命令につきましては、現在、取消しを求め京都地裁で係争中であるため、団体交渉には応じておりません。本市としては、今後も国へ財政支援の充実を要望するなど、児童館、学童クラブ事業の更なる質の向上に取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(西村義直) 河合議員。 〔
河合ようこ議員登壇〕
◆(
河合ようこ議員) 次に、敬老乗車証について伺います。昨年10月、高齢者の暮らしの厳しさが増すさなか、市長は敬老乗車証の負担増を強行し、2万5,000人の方が利用できなくなりました。制度を元に戻して、とやむことなく請願・陳情が寄せられています。しかし、こうした声には耳も貸さず、今年更に負担金を2021年度の3倍、4.5倍に引き上げました。非情と言わざるを得ません。物価は上がり年金は上がらないのに敬老乗車証の負担3倍はひどすぎる、財政黒字やのに負担を増やすなんてなど市民の怒りの声です。65歳以上を対象に敬老パスを続けている名古屋市の負担金の最高額は5,000円です。一方、本市は最低額が9,000円、最高は4万5,000円です。名古屋市は制度の効果を調査・検証し、経済効果、健康効果、環境効果があるという結果を踏まえ、制度見直しは中止して、民間交通機関への適用を拡大しています。本市は、敬老乗車証がなぜ宝物と呼ばれ使われているのか、実態や声をつかむ取組もその効果の検証もせず制度改悪しました。名古屋市のような取組に学ぶべきです。我が党議員団や敬老乗車証守ろう!連絡会が8月に行ったアンケートには、物価高騰で暮らしの状況が悪くなったとほとんどの方が回答されており、1週間2,000円で生活しているという方もあります。今年負担金が1万5,000円になったある方は、週1回必ず出掛けるので敬老乗車証が要る。しかし、高過ぎると申請をちゅうちょされ、ある方は、敬老バス回数券5,000円ならと思うが、回数券だと何回も乗り換えできないと悩んでおられます。また、負担金が高いので交付は受けないという方は、敬老乗車証がなくなると外出はかなり減ると書いておられます。高齢者の社会参加を支援し、高齢者の福祉増進に寄与するという制度の趣旨とは逆の事態が起きているのです。誰もが年を取ります。年を取ったときに安心して移動できるまちであってこそ、若い人も住み続けられるまちになるのではありませんか。70歳以上の全ての方を対象とした2021年度までの制度に戻すべきです。そして、負担金3倍化はやめてという声に応え、市長の決断で今からでも負担金を引き下げるべきです。いかがですか。 民間バスへの適用拡大が進んだ洛西地域では、積年の要求が実り喜んでおられる声を聞いています。一方で、適用されない路線、民間バスが運行しているのに適用されない地域があるなど新たな格差を生んでいます。路線や地域を区切らず、全ての民間バスに使えるようにすべきです。いかがですか。 次に、市バスの運賃についてです。市バスはなくてはならない移動手段ですが、運賃負担が大きく、利用できない方もおれらます。市バスの乗客はコロナ以前に戻りつつあり、観光客増加の中、急行バス復活など混雑解消と乗客増を追求して収入を増やすべきです。今より多くの方に便利に乗っていただくためには、乗継負担はじめ運賃負担の軽減などが必要です。ところが、市長は値上げは最後の手段としながら、市バスの収入減を理由にして運賃値上げは撤回されていません。本市市バスの運賃は今でも政令市で最高であり、これ以上の値上げは市バスから乗客を遠ざけるものとなってしまいます。一般会計から繰入れしてでも市バス運賃の値上げ方針は撤回すべきです。明確な答弁を求めます。 次に、西京区・洛西地域のまちづくりについてです。洛西ニュータウンは京都市が作ったまちです。地下鉄が来ると聞いて住んだけど約束は守られてへん、地下鉄が来てたら人口もこんなに減らへんかったんと違うかと住民の声が聞かれます。私は、洛西タウンミーティングを傍聴し、若い人も高齢者も元気で住み続けられるまちにしたいとの願いを実感しました。本市は洛西“SAIKO”プロジェクトの中間取りまとめを発表し、高齢化、人口減少が進む洛西ニュータウンに若い世代を呼び込み、にぎわいを創出するために、あらゆる壁を取っ払い、一気呵成にと言って都市計画の規制緩和を進めようとしていますが、具体的課題解決こそ求められています。住民アンケートを実施し、2006年に策定された洛西まちづくりビジョンでは、既に人口減少や高齢化が始まっており、公共交通の拡充や買物対策、サブセンターの活性化、公営住宅へのエレベーター設置など課題は明らかにされています。しかし、この課題解決に本市が正面から取り組んできたとは思えません。若い世代が住みやすい洛西ニュータウンは、今暮らしておられる住民が安心して住める環境であってこそだと考えます。 以下、解決すべき課題を述べます。第一に、交通課題を早急に解決すべきです。近くに買物できる店がなくなり、バスがないと買物には行けません。均一料金より高いバス運賃は、通勤・通学にバスを利用されている方をはじめ住民の大きな負担となっています。高い運賃の引下げ、バス乗継ぎの運賃負担の解消、洛西ニュータウンと大原野・桂坂などを結び、公共施設や買物などに行ける循環バス路線の創設、バス停間の距離を短くし、とりわけ昼間時間帯には停車するなど住民の要望に応えていただきたい。 第二に、医療・福祉の確保・充実です。洛西ニュータウン病院の婦人科廃止をきっかけに、住民有志で洛西の医療をよくする会が立ち上げられました。この間、開業医が高齢化で閉院され、総合病院も移転するのではないかと医療への不安が広がっています。病院や福祉施設はなくてはなりません。産科や婦人科、小児科などは若い人が住むためにも必要です。洛西ニュータウンを開発する際の医療政策の検討で、総合病院が必要だと本市が土地を無償提供し関西医科大学付属病院を誘致した経過があります。住民の不安がないよう医療・福祉の確保に本市が責任を持つべきです。 第三に、市営住宅の問題です。ニュータウンの市営住宅はじめ5階建て中層住宅にはエレベーターがありません。現在の住戸に住み続けるためにはバリアフリー化は急務です。市営住宅について、本市は設置費用が掛かるからと階段室型へのエレベーター設置を後回しにしています。上階から下に降りるのも、出掛けて住戸へ帰るのにも負担が大きく、外出すらできない方もおられ、デイサービスの介護職員さんもかなりの労力を要しておられます。災害時も自力では逃げられません。また、お風呂にシャワーもありません。住民要望であるエレベーターの設置、シャワーの設置、そして若い方はじめ市民が入居しやすいように市営住宅の入居要件の緩和などをすべきです。 第四に、豊かな自然・緑に恵まれた洛西のまちの良さをいかすことです。規制緩和で大きな建物を造るより、豊かな自然をいかし、子供がのびのびと遊べる公園の整備等を求めます。以上いかがですか。 そして、跡地活用の問題です。移転した市立芸術大学の広大な跡地は、大枝の方に提供いただいた市民の財産です。しかし、本市は芸大跡地について住民から意見を直接聞かず、公募型プロポーザルで広大な土地の売却、長期貸付の方向で民間事業者を募集しています。地元の住民有志の方や芸大OB・芸術家の方、区民からは売却ありきでなく建物を再利用し、文化・芸術を育むものになどの提案が出されています。 また、学校統合で来年度末廃止の方向である竹の里小学校と西陵中学校については、住民が集まれる場所に、福祉施設になど住民から意見が上がっています。跡地や建物は公的なものです。民間事業者のもうけありきの計画でなく住民の意見を反映したものにすべきです。活用については、開かれた場で住民参加で広く意見を聞き進めるべきです。いかがですか。 最後に、化学物質過敏症について伺います。化学物質、匂いなどが原因の香害・化学物質過敏症の方が増えてきています。人が多い空間で普通に過ごすことが難しく、例えば、学校に通えないなど学ぶ権利にも関わる重大な問題になっています。学校等に行きにくい子の中には香害が要因となっている場合もあります。宝塚市では、化学物質過敏症についての保護者アンケートが全校の全児童・生徒を対象に実施されており、匂い等によっての困りが7パーセント以上もあるという結果が出ています。本市にも困っている子供や家族がおられます。化学物質過敏症についての全市立小中学校の保護者への調査の実施、学校の健康調査票のアレルギーの一つに化学物質過敏症・香害を加えるなどして実態把握し、対策を講ずるべきです。また、国は、香害の周知と香り製品の自粛を求めるポスターを作成し、自治体に配布などしています。一方で、テレビのCMなどでは、香りのある商品や化学物質を使って消臭・抗菌開発した商品がPRされています。私も身近な方から化学物質過敏症の相談をお聞きしていますが、本市には相談窓口がありません。そこで、本市の相談窓口を作ること、根本的な対策へ国が人工香料などの規制などを行うよう要請することを求めます。いかがですか。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(西村義直) 坂越副市長。 〔坂越副市長登壇〕
◎副市長(坂越健一) 洛西地域のまちづくりについてでございます。本年4月に私を本部長とし、関係部局が横断的に洛西地域の更なる活性化を検討・実施する洛西“SAIKO”プロジェクト推進本部を立ち上げました。地域の皆様から幅広く御意見を頂きながらスピード感を持って検討を進め、立ち上げから3か月後の7月に、若者を呼び込む住まいづくり、交通のバージョンアップなど広範囲にわたる六つのテーマについて、計42のプロジェクトからなる中間取りまとめを発表しました。11月には中間取りまとめを更に深化・具体化させるとともに、新たなプロジェクトを盛り込んで最終取りまとめを予定しております。全庁で総力を挙げ、一気呵成に取組を進めております。 交通の課題につきましては、昨年7月に洛西地域公共交通会議を設置し、地域の皆様、事業者などと共に、持続可能な交通体系、ダイヤ・運賃も含む利便性向上策を検討しています。医療・福祉施設の確保につきましては、日本元気グループと洛西地域の医療・介護等に係る包括連携協定を締結し、令和6年10月には、ラクセーヌに医療モールが進出予定です。 市営住宅のエレベーターやシャワー設置の課題については、低層階への住み替えやシャワーをはじめ子育て仕様に改修した住戸の供給を進めており、更に空き住戸を民間事業者が改修し、所得制限なしで子育て世帯へ貸し出す全国初の取組を開始したところです。 公園の整備につきましては、洛西地域には大小様々な公園が多数あります。この利点を最大限に活用し、今後、遊具の新設やトイレのリニューアルなど、子育て世代をはじめ多様な方々にとって更に魅力的な公園整備を進めてまいります。 公有地の利活用につきましては、市立芸術大学の跡地活用に当たっては、西京区・洛西地域の新たな活性化ビジョンの策定段階や、タウンミーティング等で御意見を伺いながら進め、現在、事業者提案を広く募集しております。今後とも洛西地域の更なる活性化に向け、地域の皆様と共にあらゆる壁を突破し、一気呵成に取組を進めてまいります。以上でございます。
○議長(西村義直) 安部保健福祉局長。 〔安部新型コロナ対策・ワクチン接種統括監登壇〕
◎新型コロナ対策・ワクチン接種統括監(安部康則) 敬老乗車証制度についてでございます。本制度は、昭和48年、高齢者の社会参加支援を目的に開始した福祉施策ですが、当時と比べ、平均寿命は11歳伸び、市税負担は3億円から17倍となる52億円まで増加しています。このように制度を取り巻く社会情勢は大きく変化しており、他の政令市7市が制度を廃止、または持たない中にあっても、制度を将来にわたって続けていくため見直したものです。見直し後も全利用者の6割以上の方が、中高生の市バス・地下鉄定期券の1割未満、年額9,000円の負担でフリーパスを利用できます。また、今月から、敬老バス回数券の新設や民営バス敬老乗車証の適用地域を拡大し、利便性の向上を図るとともに、申請手続を支援するコールセンターを新設し、利用が促進されるよう取り組んでいます。なお、民営バス敬老乗車証は、市バスが運行していないといった民営バスを利用しなければ利便が確保できない特定の地域にお住まいの方に、路線と区間を限定し交付するものであり、民営バス全線に適用する考えはありません。以上でございます。
○議長(西村義直) 北村公営企業管理者。 〔北村公営企業管理者登壇〕
◎公営企業管理者(北村信幸) 市バスの運賃改定についてでございます。市バス事業の収入の大部分を占める運賃収入は、この3年間で130億円の減収となる極めて厳しい状況にあります。お客様数については、令和2年度を底に年々回復基調にあるとはいうものの、コロナ前までは戻り切らず、軽油単価の上昇や人件費の高騰、更には深刻な担い手不足など大変厳しい経営状況が継続しております。市バスネットワークはコロナ前においても4分の1の黒字路線が4分の3の赤字路線を支える構造であり、市内をきめ細やかに走る全国でもトップ水準のバス路線を維持することが我々の使命でございます。そのためには、運賃改定を見込まざるを得ない状況に変わりはございませんが、引き続き、運賃改定は最後の手段との認識の下、あらゆる経営改善に取り組んでまいります。また、地方公営企業は独立採算制が原則であり、この原則に基づき、経営ビジョンの財政目標に掲げたとおり、法令に基づくものを除き、一般会計からの任意の財政支援を受けない運営に取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(西村義直) 稲田教育長。 〔稲田教育長登壇〕
◎教育長(稲田新吾) 学校における香りに伴う健康被害、いわゆる香害や化学物質過敏症への対応についてでございます。香害や化学物質過敏症、アレルギー症等がある児童生徒等に対しては、各学校において保護者が記入した保健調査票等の内容を下に把握し、通常は共用している給食用エプロンを別で用意したり、対策を施した教科書に変更するなど、個別にきめ細やかな配慮や支援を行っております。そのため、相談窓口の設置は考えておりませんが、引き続き、子供たちが快適な環境で学校生活を送れるよう、子供一人一人の状況を把握しながら適切に支援してまいります。実態把握については、教育委員会において、各学校への調査を通じて、香害や化学物質過敏症等の人数把握を行っているところですが、更に幅広く把握できるよう調査方法について検討しているところであります。なお、香料などの規制に関しては、国において適切に判断されるべきものと認識しておりますが、こうした症状についての理解を広げる啓発について、関係局とも連携して取り組んでまいります。以上でございます。
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○議長(西村義直) 次に、市政一般について、えもとかよこ議員に発言を許します。えもと議員。 〔えもとかよこ議員登壇(拍手)〕
◆(えもとかよこ議員) 右京区選出のえもとかよこです。日本共産党京都市会議員団を代表し、
加藤あい議員、
河合ようこ議員に引き続き質問します。 まず、中学校給食について質問します。今、京都市の中学校給食は、選択制から全員制への移行に向けて実施方式の検討が進められています。重い重い扉がやっと開きました。私は保護者、市民の皆さんと共に小学校のような全員制の中学校給食の実現求めて12年間運動してきました。毎年署名を集め、議会に請願を出し続けてきました。請願は何回も否決されましたが、実現するまでやろうとみんなで励まし合いながら頑張ってきました。京都市や議会に提出した署名の数は7万筆を超えます。署名を集めた人の中には、毎日おにぎりだけを持ってくる友達がいることを我が子から聞き、胸を痛め、一人で数百筆の署名を集めた人もいます。選択制はクラスの喫食率が低いと子供が嫌がるのは事実です。現在、市全体の喫食率は23パーセントと下がり続けています。我が子が中学生になるまでに間に合わせたいと頑張って署名を集めていたのに、子供が中学校を卒業してしまった保護者は大勢います。市民を本当に待たせてしまいました。門川市長は、前回の市長選に出馬されたとき、市民団体のアンケートに、選択制中学校給食は生徒一人一人の実情に応じて自由に選択できるもの、学校現場において定着している制度と回答されました。中学校給食が選択制というのは、京都市は子育てしにくいと言われている大きな原因の一つです。今度こそ、コスト重視ではなく子供を真ん中にした良い給食にしなければなりません。行政の責任です。全力を尽くしましょう。市長の決意をお聞かせください。 京都市全員制中学校給食検討会議が立ち上げられ、既に3回開催されました。1回目の会議で委員の皆さんから出された安心・安全な給食、温かくておいしい給食、アレルギー対応、学校給食という生きた教材を活用した食育の充実、和食を中心とした食文化をいかした献立、早期の実現は、基本的な考え方の参考にすると教育委員会は示されました。現在、京都市から委託を受けたコンサルタント会社が、自校方式、親子方式、センター方式、民間調理場方式、四つの実施方式について調査、比較検討を行っています。 今、党議員団が実施している中学校給食アンケートに寄せられている声を幾つか紹介します。(パネルを示す)こちらのパネルを御覧ください。全員制中学校給食の実施方式は、学校調理方式、センター方式、デリバリー方式のどれがよいかという問いに対して、学校調理方式という回答が85.8パーセント、センター方式9.7パーセント、デリバリー方式4.5パーセントでした。小学校のような温かくて汁物もあるような給食がよい。食材は地元の農家や商店から購入してほしい、作ってくれた人の顔が見える給食がいいなどの声が寄せられています。京都市の小学校の給食はおいしいと評判です。小学校の給食がおいしいのは、児童の身近で調理され、流れてくる匂い、その匂いでお腹がすく、出来立てを食べるからではないでしょうか。さいたま市は、児童生徒により安全でおいしい給食を提供するため、給食センターから全小・中学校に給食施設を設置する事業を進め、狭い敷地の学校には2階建てで建てて、小学校も中学校も全て自校方式で給食を実施しています。各学校の特色をいかした独自献立で、食材購入も学校ごとに行っています。大阪市は中学校126校全校、自校方式、親子方式、中学校で作って中学校に運ぶ兄弟方式など全校学校で作った給食を実施しています。兄弟方式の向日市は、中学生用のメニューで小学校の給食より1品多いおかずが提供されています。センター、民間調理場方式は、調理から喫食までに時間が掛かり、学校給食衛生管理基準における調理後2時間以内の喫食に努めることに対して課題があります。大量調理のため、万が一食中毒が発生したときのリスクは大きいです。また、全国で学校給食などを提供していた食堂運営会社ホーユーが営業を停止し、破産手続開始を決定しました。同社が供給する全国の施設に影響が出ました。学校給食は、安全・安心、そして安定した供給が求められます。利益を出さないとビジネスが成り立たない民間調理場方式で全員制を実施する方式は、不安定であると考えます。いかがでしょうか。 次に、学校給食における食育推進に関わり、栄養教諭等の配置について伺います。文科省はホームページ上で、学校教育において食育はどのように進められるべきかという質問に対し、学校教育において食育を推進するには、食に関する知識や能力等を総合的に身に付けることができるよう、学校教育活動全体で指導することが必要。指導内容を系統的に整理し、各教職員の役割と相互の連携を明確にした食に関する指導に係る全体計画が必要であり、全体計画の作成、進行管理、評価の役割を中心的に担う栄養教諭を配置することが求められていると回答しています。自校方式では、生徒数500人以上の学校に栄養教諭が1名配置されます。センター方式では生徒数1,500人以下で1名、1,501名から6,000名で2名と非常に少ないです。食育の推進には、学校全体の指導体制の整備が必要であり、この職責を担うものが児童生徒の栄養の指導及び管理をつかさどる栄養教諭ではないでしょうか。私たちは1校1名の栄養教諭が必要だと考えます。中学校給食検討会議で、全員制給食を実施するに当たり、食育の充実は基本的な考え方の参考にするとされました。民間調理場方式では、今と同様、栄養教諭の配置基準はありません。食育を充実させることと栄養教諭の配置はセットで考えるべきではないでしょうか。いかがですか。 次に、学校給食の食材について伺います。今、環境に負荷を与えず子供たちに安全なオーガニック給食が注目されています。先日、党議員団で木更津市に視察に行ってきました。木更津市は2019年から有機米を給食に取り入れ、今年は学校給食78日分の収穫ができる予定とのことです。2025年には有機米100パーセントを目指しておられます。慣行米と有機米の差額を市が生産者に払っています。木更津市の小中学校の献立は、11の地域でそれぞれ栄養士によって作られ、農林水産課から生産者が紹介され、減農薬の野菜や地場産の食材が給食に使用されています。京都市は統一献立、一括購入のため、野菜などの有機食材や府内産の食材の調達は困難とされていますが、献立や食材調達の分散化でより安全でおいしい給食が実現できるのではないでしょうか。検討課題とすべきと考えます。いかがですか。 次に、学校給食の無償化について伺います。学校給食を無償化する動きが全国の自治体で急速に広がっています。保護者・地域住民が教育費の保護者負担の軽減、教育の無償化を求め、少子化・過疎化への対応やこの間の異常な物価高への対策として、地方自治体が独自に取り組み始めたことがあります。こうした動きを受けて、政府も、こども未来戦略方針の素案で学校給食費の無償化の実現に向けて具体的方策を検討すると公表しました。小学生と保育園の子供がいる市民の方から、鍵盤ハーモニカ、絵具セット、学校で必ず使うものは本当に高い。絵具セットは4,800円、体操服は上下で4,000円します。そして、月々の給食費が4,700円で学校への支払いの大半を占めている。これに今後修学旅行の積立てが加わるのかと思うとめまいがする。下の子の保育園への支払いもあり、子供2人分の負担、本当にしんどい。給食費を無償にしてほしいと悲鳴のような声をお聴きしました。小中学校とも給食費が今年度無償の自治体は、全国で493です。県庁所在地では青森市、大阪市、奈良市、那覇市が小中とも無償です。二人目から無償、中学生は無償など、部分的な無償化に取り組んでいる自治体もあります。京都市会では、国に対して全会一致で給食費無償化の意見書を上げています。市長も国に対して要望されています。京都市では、49億2,000万円で小学校も中学校も給食費を無償にできます。これは年間予算の0.5パーセントです。国待ちにならず、京都市独自に給食費無償化に取り組んでいくときではないでしょうか。 次に、防災の観点から、学校給食施設の活用について質問いたします。気候変動に伴う災害が激甚化・頻発化しています。環境省は、地球温暖化が進行した世界では台風がより発達した状態で上陸し、降水量の増加による河川の氾濫、風害、浸水のリスクが高まることを示しました。また、南海トラフ巨大地震の発生確率が高まっていることは周知のとおりです。本年6月、内閣府と文科省は、避難所における適切な食事の確保のため、学校給食施設等の活用を含めた災害時の体制づくりを進めるよう、各都道府県消防防災主管課と各都道府県指定都市教育委員会学校給食主管課に事務連絡を出しました。先日、福井市の総合防災訓練に参加している学校給食の調理師さんにお話を伺いました。福井市は、災害時に迅速に対応できるよう調理員の災害時の動き方を勤務中と勤務時間外に分けて示し、炊き出しの準備や衛生管理、給食施設被災状況チェックシート、炊き出し対応日誌を作成して被災の状況を可視化、記録できるようにしています。訓練では普段おかずを作るガス回転釜を使用し、一つの釜でおにぎり約400個ができたということでした。災害時では道路が寸断され、食料等の配送ができないことが十分予測されます。避難所となる学校の給食施設を活用すれば、被災者は早期に温かいものを口にすることができます。これは生きる力につながります。今回、内閣府と文科省が出した避難所における適切な食事の確保のため、学校給食施設等の活用を含めた災害時の体制づくりの事務連絡は重要と考えます。大規模災害時には避難所となる中学校にも給食施設を造り、学校給食施設の活用を含めた災害時の体制づくりをすべきです。いかがでしょうか。子供たちの健康と豊かな食育、地域住民の避難所における適切な食事の確保のためにも、可能な限り中学校に給食施設を設置すべきだと考えます。 次に、男女格差の是正についてお伺いします。今、女性の低年金は深刻な問題となっています。一人暮らしの女性の貧困率は、勤労世代は24パーセント、高齢期は46パーセントと二人に一人が貧困に陥っています。女性の正社員の賃金水準は男性の7割で、男女賃金格差が女性の低年金、男女年金格差とつながっています。そして、女性の約6割が低賃金の非正規で働いています。非正規雇用の割合が高いことが、シングルマザーの貧困を生み出しています。女性管理職比率を増やし、男女格差是正、管理職も職員も育休、介護休暇、病気休職などが気がねなく取れる体制づくり、非正規から正規へ、京都市が男女格差をなくし、人間らしく働けるモデルとなることは民間企業にも良い影響をもたらすと考えます。京都市が公表している職員給与の男女差異情報によると、常勤職員の男性の給与に対する女性の給与の割合は83.6パーセント。給与制度上、男女で差異は設けていないので、この差は女性の役職者が少ないことが原因です。また、子育て世代の賃金差は80.1パーセント。部分休業を女性が取ることが多いせいではないでしょうか。令和3年度係長能力認定試験実施状況は、男性237名、女性89名と女性は受験者数の26パーセント。京都市職労がニュースで、昇任や管理職への登用を希望しない理由を男女別で出していますが、自分には向いていない、家庭や地域、個人の時間との両立が困難、やりがいや魅力を感じないなどが挙がっています。 また、管理職は介護休暇などの休暇取得が困難、土日出勤、残業は月に60から70時間しているとも聞いています。管理職でも休暇取得や土日出勤の振替えができること、残業をなくしていくことが必要ではないでしょうか。このまま人を減らしていけば、管理職はますます忙しくなり、女性管理職の割合も上がりません。今年度、京都市職員の管理職員に占める女性職員の割合は18.3パーセント。この数値をどのように分析されていますか。また、職場は限界まで人が減らされ、育休取得者がいる職場では、残された職員が過密に仕事をこなしていると聞いています。産休・育休等は全て正職員による代替をすべきです。いかがでしょうか。 次に、防災の現場に女性リーダーが必要という観点からお伺いします。災害時の避難所で、生理用品の備蓄がなかった、着替え、トイレなどのプライバシーが守られず怖い思いをした、女性トイレが少ない、みんながいる場所で授乳しなければならずストレスを感じたなど、女性たちは大変苦しい思いをしてきました。東日本大震災では、避難所で性暴力被害も起きています。内閣府は、2020年、女性の視点を盛り込んだ防災・復興ガイドラインを作成しました。避難所に限らず災害時のいろんな場面で物事を決める場に女性のリーダーが必要です。(パネルを示す)こちらのパネルを御覧ください。京都市本庁の行政職員のうち防災危機管理室に配置されている女性職員の数は、令和3年度は1名、比率は4.3パーセントと政令市の中で最下位です。防災危機管理室に配置されている女性職員の数を増やすべきではないでしょうか。いかがですか。 最後に、先生足りない問題・長時間労働の改善について伺います。京都市で、令和元年度、年間約1,800時間、月にして150時間、令和2年度は年間1,300時間、2年間にわたり過酷な働き方を強いられてきた労務災害が発生しました。現在も過労死レベルである月80時間を超える長時間勤務の教員が107名おられるとのこと。命が懸かっている問題です。早急に対策を求めます。文科省が公表した調査結果によると、1か月の残業時間が45時間を超える教員は小学校で約65パーセント、中学校では約77パーセントに上ります。学生が教員志望を諦める大きな要因となっています。京都市では、行事や校時表の見直し、学校を早く閉める日を作ることで教員の時間外労働を減らす対策が実施されていますが、持ち帰り仕事の時間数や内容も把握すべきです。残業の多さに反し、公立学校の教員は、給特法を背景に残業手当が支給されません。教員にも残業代を支給することが必要です。8月28日の中教審の特別部会で緊急提言が出され、国の標準を上回る授業時数を行っている学校は見直すことが盛り込まれました。他都市よりも多い年間205日の授業日数を定めている京都市の授業時数は全国平均を上回っており、見直すべきではないでしょうか。子供たちの未来を築く教育を充実させるためにも、先生の命と健康を守るためにも、京都市独自で教員を増やすこと、教員一人ずつの持ち時間数を減らすこと、休憩時間を十分確保すること、人間らしいまともな働き方を実現させることが急務です。京都市にはその責任があります。 市長の決意を求め質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
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○議長(西村義直) えもとかよこ議員の一般質問の途中ですが、暫時休憩いたします。 〔午前11時49分休憩〕 〔午後1時再開〕
○議長(西村義直) 休憩前に引き続き、会議を行います。
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○議長(西村義直) 休憩前の一般質問を継続し、えもとかよこ議員の質問に対する答弁を求めます。門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作) えもとかよこ議員の御質問にお答えいたします。 全員制の中学校給食の実施についてでございます。学校給食は、成長期の児童生徒に栄養バランスに配慮した食事を提供することを通して、正しい食習慣と自ら実践する態度を育むとともに、食を通じて地域や文化についての理解を深め、自然の恵みに感謝する心を育むなど、生きた教材として重要な役割を果たしております。これまで京都市では、子供たちに京都の豊かな食文化を継承し、生活文化として次代に伝えていけるよう、地産地消やお正月のお煮しめ、節分のイワシの生姜煮、月見の季節の里芋の煮付けなどといった京都の伝統的な家庭料理を取り入れるなど、専門家の御指導もいただきながら、和食を中心とした
京都ならではの給食を実施してきました。また、中学校給食では、学識経験者やPTA、学校関係者等が議論を尽くし、近隣の他都市に先駆けて平成12年度から学校給食と家庭弁当の両方のよさをいかした選択制の中学校給食を導入し、その後も令和元年度からは予約管理システムを導入するなど、献立内容の充実や利便性の向上に努めてきたところであります。このような中、令和5年1月に、共働き世帯の増加や家庭環境の変化などを踏まえ、国におきまして、次元の異なるレベルでの子育て支援・少子化対策の取組を推進することが示されたことを受けまして、本市においても、子育て環境をより一層充実させ、子供たちの健やかな育ち、学びや子育て家庭を支援するために、持続可能で最適な全員制中学校給食の実施に向けた検討を着手しているところでございます。今後、本市が培ってきた学校給食の実践をいかし、安心・安全はもとより、文化庁の京都移転を契機とした食文化推進本部の新設に象徴されるように、我が国の財産でもある京都の食文化をいかした全員制中学校給食の実施に向けまして、スピード感を持って取り組んでまいります。 以下、関係理事者が御答弁申し上げます。
○議長(西村義直) 藤田監察監。 〔藤田監察監登壇〕
◎監察監(藤田洋史) 職員の職場環境についてでございます。本市では、これまでから徹底的な働き方改革を進めており、御指摘の管理職の休暇取得促進はもとより、休日出勤の振替についても既に実施しているところです。女性管理職につきましては、門川市長就任時の9.6パーセントから18.3パーセントと大きく向上させ、他都市平均を上回るとともに、現在14人の区長・担当区長のうち半数が女性であるなど、要職への登用を進めております。また、この間、業務の効率化等により計画的な人員削減を行う一方で、新たな行政需要への対応に必要な人員はしっかり確保しつつ、時間外勤務を3割減少させるとともに、育児休業については、男性の取得率が75.2パーセントと政令市でも上位となる中、代替としての正職員での配置を大幅に増加させるなど、適切な職員配置に努めております。引き続き、女性をはじめ全ての職員が意欲を持ち、能力を十分発揮できる職場づくりを進めてまいります。 次に、防災の現場における女性リーダーの必要性についてでございます。本市では、災害の予防から復興までの全ての過程を通じ、男女共同参画をはじめ多様な視点を取り入れた災害対応を目指しており、関係部局はもとより、地域女性連合会や助産師会等の皆様にも御意見をお伺いしてきております。これらの取組により、避難所に関しては運営協議会への女性の参加、男女別更衣室の設置、女性用品等の女性による配布など女性に寄り添った運営を行うこととしております。また、職員配置の観点からも、現在現場のトップとなる区長・担当区長のうち半数が女性職員であるなど、女性の視点を災害対応にいかすとともに、防災現場に限らず、女性をはじめ多様な視点を市政に反映させることは重要だと認識しており、引き続き適材適所の配置に努めてまいります。以上でございます。
○議長(西村義直) 稲田教育長。 〔稲田教育長登壇〕
◎教育長(稲田新吾) 学校給食の関連と教員の勤務状況についてお答えさせていただきます。 まず、給食の実施方式についてでございます。現在の選択制中学校給食は、民間調理場を活用しておりますが、食材の価格や調理業務の委託料を時勢に応じて適切に設定することで、20年以上安定的に実施しており、他都市における一事例をもって全ての民間調理場方式が不安定であると判断することは妥当でないと考えております。全員制中学校給食の実施に向けた検討につきましては、自校や近隣の学校で調理する学校調理方式、給食センター方式、民間調理場の活用など、実現可能性や経費比較等の調査を実施するとともに、学識経験者やPTA代表等からなる検討会議を開催し、多角的な視点から御議論いただいているところです。今後、調査結果や検討会議での議論を踏まえ、安全・安心な給食提供はもとより、本市にとって持続可能で最適な方式について検討してまいります。 次に、学校給食における食育の推進についてでございます。小中学校の栄養教諭の国の定数措置は、自校調理の場合でも、児童生徒数550人未満の学校では4校に一人の配置となっており、学校給食をいずれの方式で実施しても、1校1名配置とはならない状況です。こうした中、本市では平成29年度から独自財源も活用し、複数校の兼務発令も含めて、全小学校、総合支援学校において、栄養教諭による食育の指導が行える体制を実現するとともに、中学校においては、教育委員会に配置する栄養教諭と各校の食教育主任が連携し、各教科等の中での食に関する指導や献立表を用いた食に関する情報発信、中学生に必要な栄養や京都の食文化等をテーマに、京の食育通信を毎月発行するなど食育の充実に努めてまいりました。全員制中学校給食については、現在、安全・安心はもとよりコスト、更には京都の食文化をいかした持続可能で最適な実施方式を検討中ですが、どの方式であれ食指導の充実に引き続き取り組んでまいります。 次に、学校給食の食材についてであります。本市の小学校では1日約7万食の給食を提供しておりますが、全市を4ブロックに分け、献立の実施日をブロック間で調整することで食材の安定的確保と大量一括購入により、食材料費をできる限り抑えることを両立させる工夫をしております。議員御提案の献立や食材調達の更なる細分化は、1日当たりの各食材の調達量減少によるコスト増等につながり、実施は困難です。また、現在週4回の御飯は全て京都産米を使用するとともに、さらに年1回、全市立小学校に京北産米を提供するほか、九条ねぎや伏見唐辛子などの府内産農作物を活用した献立を提供するなど地産地消に努めております。なお、食材については、京都府学校給食会並びに京都市学校給食協会において厳格な食品衛生検査を実施しており、引き続き、安心・安全な学校給食の一層の充実に努めてまいります。 次に、学校給食の無償化についてでございます。本市では給食の実施に当たり、運営費等を除いて食材費のみを保護者に御負担いただくとともに、経済的に厳しい就学援助世帯については、全額公費で負担しております。また、昨今の物価高騰に伴う食材費の上昇につきましても、市会の御理解をいただき、令和5年度当初予算で1億円、さらにこの度の9月補正予算で1億6,200万円を計上し、小学校では、児童一人当たり年間4,000円の保護者負担を軽減するとともに、栄養バランスや量を従来どおり維持した献立を提供しております。なお、給食費の無償化については、自治体間の財政力の格差によって教育の根幹に関わる給食制度に格差が生じないよう、国の責任で無償化をはじめとした恒久的な制度を構築すべきであり、これまで指定都市市長会や本市単独で行ってきた要望を引き続き継続してまいります。 次に、防災の観点を踏まえた学校給食施設の設置についてでございます。本市では、地域による自主的な避難所の運営を基本としており、炊き出しも地域住民の方などが行うことを想定しています。こうした中、各校で定めている学校防災マニュアルにおいては、給食調理室の利用については、回転釜等の大型調理器具の取扱いが地域住民の方等にとって難しいことや、学校教育活動をできるだけ早期に再開し、給食を実施しようとする場合に課題があることから、一般家庭と同様のガスコンロや調理器具等が整っている家庭科調理室が使用できることを共通理解として明記しております。今後とも、国からの事務連絡の趣旨や課題等も踏まえつつ、適切な食事の確保のための手法について、引き続き関係局区等と緊密に連携してまいります。 最後に、教員の勤務状況についてでございます。本市では、校務支援員の全学校・幼稚園への配置や、部活動指導員の配置拡大、採点補助ソフトの導入などの取組により、教員の月当たりの平均超過勤務時間数は、令和元年度と比較して令和4年度は約12パーセント減少しております。また、独自予算による少人数教育や専科指導のための教員の増員により、教員の授業負担や持ち時間数の軽減に努めるとともに、令和4年度の1学級当たりの児童生徒数も小学校で28.2人、中学校で31.6人と政令市の中でもトップレベルの少ない水準であるなど、きめ細かな教育の充実と教員の負担軽減に取り組むことで、一定の成果が表れておりますが、引き続き、超過勤務縮減に向けた取組を進めていく必要があると認識しております。今後とも、教職員の処遇や定数の改善など、国への要望を重ねつつ、教職員が健康で心豊かな生活を送りながら一人一人の子供と向き合えるための働き方改革を進めてまいります。以上でございます。
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○議長(西村義直) 次に、市政一般について、
湯浅光彦議員に発言を許します。湯浅議員。 〔
湯浅光彦議員登壇(拍手)〕
◆(
湯浅光彦議員) 右京区選出の湯浅光彦でございます。公明党京都市会議員団を代表して、
松田けい子議員、
増成竜治議員と共に市政一般について質問いたします。門川市長におかれましては、市民に対し明確なメッセージを発信していただくようお願い申し上げます。 さて、新型コロナ感染症も5類へと移行し、油断はできませんが日常生活も戻りつつあります。しかし一方で、ロシアによるウクライナ侵略の停戦への道筋は見えず、京都市に避難しておられる方々への継続的支援の実施と一日も早い停戦と復興再建に向けて、引き続き国とも連携してまいりたいと思います。 〔西村議長退席、平山副議長着席〕
◆(
湯浅光彦議員) (続)また、9月には収束すると思われた物価高騰も続いております。現在我が公明党といたしましては、市民、事業者、団体各位のお声を日々伺う中で大変厳しい状況を痛感しており、岸田総理に対してガソリンなどの燃料費に限らず電気代、ガス代などについても確実に軽減策を実施するよう提案、要望してまいりました。結果、この10月からも引き続き物価高騰対策が実施されることとなります。また、公明党京都市会議員団としても、物価高騰対策に係る緊急要望を9月13日に門川市長に提出させていただきました。市長におかれましては、国の施策と相まって京都市民への更なる目配り、物価高騰対策を切れ目なく行うよう改めて要望しておきます。 さて8月23日、市長は今期限りで勇退し、次の市長選挙には立候補しない旨表明されました。激動の16年間、京都市民のために正に365日24時間休むことなく、その使命を果たされたことに心より敬意を表するとともに感謝申し上げます。端的にこの16年間を振り返りますと、常に財政ひっ迫の状態の中、平成20年2月、市長初当選の1期目には
リーマンショック、財政面では一般会計過去最大の30億円、全会計連結で306億円の赤字決算、市営地下鉄が経営健全化団体となり、さらには東日本大震災が平成23年3月に発災いたしました。2期目は、東山区祇園での歩行者を巻き込んだ重大事故や平成25年9月の台風18号、平成26年8月の豪雨災害が発災し、3期目には、大阪府北部地震に続き7月豪雨、9月には台風21号による風水害の発生。また、令和元年7月には、いまだ傷が癒えることのない痛ましい事件であります京都アニメーション放火事件が発生。4期目には、
新型コロナウイルス感染症のパンデミックやロシアによるウクライナ侵略と世界中を巻き込む事案が発生し現在に至っております。この16年間、正に内外にわたり激動する中にあって、全庁一丸となり、市民事業者の御理解と御協力の下、子育て支援、福祉、文化、教育、環境、防災・減災、地域企業振興と経済活性化等々147万市民の命と暮らしを守り抜くため、主なものを振り返りましても、市内全ての学校において耐震補強工事を完了。スクールカウンセラーの全校配置、全国に先駆けて小学校の35人学級、中学校の30人学級の実現。令和5年度でも、全国学力テストにおける小学校1位、中学校7位と学力向上にも寄与してこられました。また、子育て環境では、保育士の国や他都市を上回る人件費等の処遇改善の実施、全国で待機児童が問題となる中、保育所等10年連続で待機児童ゼロ、学童クラブ事業12年連続待機児童ゼロを大都市で達成してきたことは真に評価されるものです。また、小さな声にも真摯に対応し、医療的ケア児童への支援拡大、発達障害者支援センターにおける総合的支援の展開、骨髄移植後の小児ワクチン接種の無料化にも積極的に取り組まれてこられました。また、府市協調においては、動物愛護センター、消防学校の共同化、子ども医療費の助成拡充、京都気候変動適応センターの設置、きょうと生物多様性センターの設置などしっかりと進めてこられました。また、毎年のように発生する災害に対しても迅速に対応するとともに、雨に強いまちづくりを着実に実行し、全国平均62パーセントを大きく上回る雨水整備率91パーセントであります。また、環境先進都市としてごみ減量に取り組み、ごみ処理施設を5施設から3施設に削減し、ごみの排出量においてもピーク時の82万トンから38万トンと半減目標を達成し、処理費用135億円の削減を実現されてきました。また、地方創生の象徴とも言える文化庁が京都に移転し、スタートしたことは歴史的事業であります。ぜい弱な財政構造を抱える京都市であったとしても、必要な事業は持続可能な形で次世代にわたり継続していかねばならない知恵と実行力が求められた16年であったと思います。 一方で、先駆的な取組ゆえではありますが、新景観政策の進化、四条通の歩道拡幅、宿泊税の導入、観光客5,000万人達成、経済効果1兆円の恩恵と引き換えによるオーバーツーリズム問題など市民意見の大きく分かれる課題もございましたが、結果的には、世界が認める魅力ある観光都市として評価され、都市格の向上につながっていると認識しております。しかし、市民にも御理解いただけるよう、より一層努力が必要であると存じます。そして今回、令和4年度決算は21年ぶりに特別の財源対策から脱却し、令和3年度、85億円の赤字から162億円改善し77億円の黒字であります。詳細な検証については局別質疑に委ねますが、大きくはコロナ禍においても市民生活、事業者支援を国と府と市が一体となって進めた結果、前年度比、個人市民税は25億円増、固定資産税59億円増、宿泊税14億円増と市税収入全体で99億円もの増となり、ふるさと納税も33億円増となっております。 一方で、歳出では、2年間で職員数の削減及び残業時間の縮減により51億円減、事業の総点検・見直しや長年特別の財源対策にも頼りつつ継続してきた京都市独自の施策である敬老乗車証制度や保育士人件費補助を持続可能な制度とするための再構築などによる
行財政改革計画の着実な実行の成果も表れております。長年有識者会議でも指摘されてきたこれらの施策については、いまだ反対の御意見もあり、今まで踏ん張ってきたことを評価するとともに、課題検証と解決への取組も必要であると存じます。しかしながら、持続可能な事業継続のためには、同じ制度にただ戻すことは無責任であり、後世に負担を先送りすることになります。一方で、普遍的な要望としての中学校の全員制給食の実施や子ども医療費の中学生まで無償化など、その道筋を付けられたものの道半ばであり、残された任期ではありますが、全力で取組んでいただきたいと存じます。 さて、次の市長選挙には我が公明党としては、これからの京都市を担うリーダーは一党一派に偏らず、またどこかの都市をまねすることもなく、温故知新、古きを訪ね新しきを知ることを繰り返してきた京都市の底力を更に強く発揮させるリーダーを選択してまいりたいと思います。首長とは、行政のトップであるとともに、政治家として市民に寄り添う目線がなければなりません。人が生活していくうえでは、正に多種多様な考え方があり、それらを包含しながら合意形成を図り、民意を反映させていかなくてはなりません。これこそが民主主義であり、多数を取れば全て意のままでは、到底これからの京都市を託すことはできません。政党主導ではなく、市民の多くの声から躍り出、公明党の立党精神であります、大衆とともにの精神を具現化できる候補者と共に、次の未来の京都市を創造してまいる決意です。 改めて、令和4年度決算については多くの市民の皆様の御理解と御協力の結果であると考えますが、一方で、コロナ禍に翻弄される中で令和4年度、5年度と物価高騰が押し寄せており、市民にはなかなか実感しづらい数値であると思います。そこで市長にお尋ねします。先程もろもろ振り返らせていただきましたが、御自分のこととなると申し上げにくいこともあろうかと思いますが、16年の総括と令和4年度決算を受けての総括及び次の50年、100年を見据えた京都市民への思いをお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いします。 次に、成長戦略における外部人材との協働についてお尋ねします。令和4年度決算は、21年ぶりに特別の財源対策から脱却して77億円の黒字となり、公債償還基金への返済を行いつつ、今後とも未来を展望した都市の成長戦略を一層進めていかなくてはなりません。京都市の成長戦略は、時代の潮流と京都の強みを掛け合わせて新しい価値を創造することを基本的な戦略とし、七つのリーディングチャレンジをはじめ、全ての世代が暮らしやすい魅力や活力あるまちづくりを進めていくというものです。令和3年8月の
行財政改革計画の策定から約2年。既に守るべき景観の骨格を堅持することを前提に進めた都市計画の見直しや、これと連動した企業立地促進プロジェクト京都サウスベクトル、洛西“SAIKO”プロジェクトや市営住宅の空き住戸を活用した若者・子育て世帯定住促進事業等、令和4年度後半から次々と取組が具体化されていると承知しております。しかしながら、時代は技術革新の進展、コロナ禍を経てますます変化が加速しており、各政策分野はもとより、成長戦略全体の進め方においても時代の潮流をしっかりと捉えていくことが今後ますます重要になってきます。中長期を展望した世界的潮流の一つに、人的資本経営という考え方があります。組織経営において人は資本であると捉え、その価値を最大限に引き出すことで中長期的な組織の価値向上につなげようとする考え方です。また、厚生労働省の就業規則モデルが改正され、副業を認める企業も増加しており、そうした中で収入を得るだけではなく社会に貢献したいという意思を持ち、蓄積した知見を社会に還元しようという人々が多数副業で活躍されています。多様な働き方の中で人が生きる、そのことが組織の、そして社会の価値創出につながる時代の大きな流れが確立されつつあるわけです。こうした中長期的な時代の潮流を捉え、観光やビジネスはもとより、人を引き付けてやまないこの京都の求心力をいかしながら、新しい価値を生み続けていくことが重要であります。昨年度募集した成長戦略推進アドバイザーは、全国から京都を愛し、優れた知見を有する民間人材を広く副業で募集し、その知見を成長戦略の推進にいかそうとするものであります。昨年度8分野にわたって人材を募集し、1,440件もの応募があり、オンラインだけでなく、定期的に京都に来ることを求めるという条件を付けてもこれだけの応募があったことは、正に京都の持つ求心力の表れではないかと思います。今後、企業立地促進プロジェクトや移住・定住の促進など、本格的に進み始める都市の成長戦略をより確かなものとしていかなくてはなりません。現在までにどのような成果をもたらしているのか。さらには、その成果を踏まえ、今後の成長戦略の更なる推進にどのようにいかしていくおつもりなのかお聞かせください。 ここで一旦答弁を求めます。
○副議長(平山よしかず) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作)
湯浅光彦議員の御質問にお答えします。4期16年の総括と令和4年度決算に向けての総括についてでございます。市民の皆様と共に進めてきたこれまでの市政運営につきまして、高い評価を頂き感謝申し上げます。私は市長就任以来、共に汗する共汗、行政の縦割を打破する融合をモットーに、市民の皆様の命と健康、暮らしを守り抜くことを基本に、現地現場主義を貫き、多くの市民の皆様から、数えきれないほど貴重な御意見、そして何よりも勇気と感動を頂きました。就任直後の
リーマンショックによる危機的な財政状況、度重なる自然災害、コロナ禍など非常に厳しい道のりでしたが、京都の最大の宝である市民力、地域力、それを結集し、最大限に発揮すれば必ずこの危機は乗り越え、京都の未来を切り開くことができる、そう信じて市政に全力を傾注してまいりました。 4期16年を通じて行財政改革を断行する一方で、決して縮小一辺倒に陥ることなく、福祉、教育、子育て支援、安心・安全、防災・減災、文化を基軸としたまちづくり、景観政策、環境政策、産業・観光、大学政策など、市民の皆様と共に、京都の今と未来に必要な施策を推進してまいりました。その結果、福祉や子育て支援、教育で
全国トップレベルの取組を維持・充実したほか、環境・文化・景観・社会インフラの充実、地域企業の下支えと、企業立地促進等による京都経済の活性化など未来に向けた京都のまちづくりが大きく前進。新文化庁の京都移転、美術工芸高校と京都芸大の京都駅東、崇仁地域への移転も実現するなど、京都の魅力、都市格が高まり、創造的な人や企業の京都への集積につながっております。4期目の最大の課題でありました財政については、何も改革をしなければ財政が破綻しかねないという危機に直面し、持続可能な行財政に道筋を付けることを不退転の決意と覚悟でフルオープンの場で徹底した議論を行い、市民意見募集を経て、
行財政改革計画を策定。計画に基づく徹底した改革と同時に、都市の成長戦略をはじめとした担税力の強化を進めた結果、令和4年度決算では21年ぶりに特別の財源対策からの脱却、77億円の黒字を確保し、長年の課題でありました単年度の赤字を22年ぶりに解消、持続可能な行財政の確立に向けた道筋を付けることができました。議会をはじめ、市民・事業者の皆様の御理解・御協力により、共にたゆまぬ行財政改革と都市の成長戦略を進めてきた結果であり、改めて心から感謝申し上げます。 一方で、人口減少や少子化、環境問題、貧困格差、孤立など、引き続き今と未来を見据えて、社会課題の克服に取り組まなければなりません。この間の市民の皆様と共に築いてきた数々の成果を土台として、誰一人取り残さない多文化共生社会、SDGsの実現を目指し、市民の皆様と行政が協働して目の前にある課題を解決すると同時に、大胆な成長戦略により未来を創造するための施策に積極果敢に挑戦していくことで、市民一人一人が生活の中に豊かさを実感していただき、魅力あふれる京都、50年後、100年後へと未来へつないでいくことができると確信しております。私といたしましても、任期満了まで全身全霊を捧げて職務にまい進してまいります。 成長戦略における外部人材との協働についてでございます。本市における都市の成長戦略は、時代の潮流を捉え、京都の強みを徹底していかし、新たな価値を創造することで、市民の皆様が暮らしの中に豊かさを実感できる持続可能な都市を実現するものであります。今日の急速に変化する社会を的確に捉えながら様々な課題を乗り越え、新たな価値を創造していくためには、職員だけでなく専門的な知見を有する民間の方々との協働が重要であるとの認識の下、昨年度、アート市場の活性化など他都市に先例がない分野も含めた八つの政策分野において、民間の副業人材の成長戦略推進アドバイザーとして募集いたしました。
湯浅光彦議員の御紹介のとおり、全国から延べ1,440名の応募があり、京都の求心力の高さに改めて感動いたしました。そして、その中から選ばれた皆様は、優れた知見と極めて高い意欲を持って御活躍いただいております。例えば、企業立地促進においては、施策立案のための調査・分析、情報発信の手法の検討、金融機関等との関係構築など同プロジェクトの根幹的な部分において御活躍いただいております。 また、本年6月に国内外のスタートアップなど1万人以上が京都に結集し、開催されたイベントIVSにおいても、新しいインターネット技術であるweb3と伝統文化・伝統産業の融合という
京都ならではの価値創造の可能性を発信するなど各分野において政策推進に貢献していただいています。 加えて、そうそうたるアドバイザーの方々との協働は、職員の気付きや知見の吸収による企画立案能力の向上、創造的な組織づくりにも効果があると実感しております。事実、アドバイザーの方々から、積極的、創造的に行動する市職員への高い評価を頂き、共に高め合う議論の場に、私自身幾度も立ち会い、心強く感じました。今後もこうした取組を拡大、進化させ、市内外から広く知見を集めるとともに、アドバイザー間の連携等にも取り組むことで、新しい価値を創造し続け、持続可能な都市の実現に向けた成長戦略を一層強力に進めてまいります。
○副議長(平山よしかず) 湯浅議員。 〔
湯浅光彦議員登壇〕
◆(
湯浅光彦議員) 次に、生物多様性保全について質問いたします。地球上には500万から3,000万種とも言われる多くの生物が存在しており、無数の生態系の下、それぞれが異なる特徴や能力を持ち、その違いから得られる恵みは、地球上の様々な環境を安定させる基盤となっております。我々の生活は生物多様性・自然資本なしには成り立たないことは自明の理であります。しかし、今100万種が絶滅の危機に瀕しており、地球にもたらす影響は計り知れないとも言われております。この地球上は動植物をはじめ全ての生物が互いに関連する中で地球誕生以来その生を紡いできました。生物多様性・生態系は、人間を含む全ての生命にとって不可欠な空気や水、食料の提供源となることはもちろん、自然災害の抑制や減少においても欠かせないものであります。これらの危機的状況を受けて、1993年に生物多様性条約が発効し、我が国をはじめ196の国と地域が参加する枠組みとなっております。そして、昨年12月の同条約の第15回目の締約国会議COP15において、2030年までに生物多様性の損失を止め、回復の軌道へ転換させるというネイチャーポジティブが新たな世界目標として採択されたことは皆様御承知のとおりであります。これらを受け、公明党は今年2月に生物多様性の保全・ネイチャーポジティブの実現に向けた提言を政府へ行いました。大きくは、国際社会をリードする迅速な次期生物多様性国家戦略の策定、生物多様性保全に関わる予算の確保、2030年までに陸と海の30パーセントを保全する30by30実現の三つを柱とし、政府一体となった生物多様性回復の推進と地方公共団体での取組の後押しや環境教育の推進、国民の行動変容の促進、メガソーラー設置において課題となります再生可能エネルギー施設等の環境配慮の推進、事業者等が保有・管理している生物多様性保全に貢献する区域であります自然共生サイトの認定促進など14の項目であります。私も、これまでから気候変動によってもたらされる災害等の影響を最小限に抑えるための適応策について京都市への取組を求め、令和3年7月に京都府及び総合地球環境学研究所との連携の下、気候変動適応センターが設置され、気候変動影響に関する情報収集や分析を行っていただいております。 先日、環境福祉委員会において札幌市へ視察に伺い、主に環境教育の取組において事業推進に当たり、困難かつ重要なことはとお聞きしたところ、大人の行動変容をいかに成し遂げていくかに大変御苦労されているとのことでした。気候変動の影響と生物多様性の損失は密接に関係しており、人々の暮らしや命を守るためにも生物多様性は重要でありますが、なかなか市民の危機意識が広く共有されているとは言えません。また担い手の育成という観点からも、生物多様性保全の認識を高めていく必要性を痛感しております。 京都市では、京都の優れた自然環境を後世に伝えていくために、平成26年に初めて生物多様性プランを策定し、様々な取組を進めてこられました。そして、本年4月に京都府と協働で設置されたきょうと生物多様性センターは、これまでの取組を更に飛躍させるものと期待しております。そこでお尋ねします。今後、市民生活の隅々まで認知を広げながら、どのように京都における生物多様性保全を推進していくのかお聞かせください。 最後に、福祉施策における重層的支援事業についてお尋ねします。重層的支援事業とは、層を重ねる支援と書きますが、今般コロナ禍でより明確となり、深刻化している社会的孤立を防ぎ、地域共生社会を築くため、市町村で介護や障害など地域住民の複雑化・複合化した課題に対し、正に重層的に支援する事業のことであります。私を含め市民に最も身近な存在であり、日々皆様のお声を伺う市会議員として常々実感することは、単一的な御相談であれば、担当部局と相談し解決の道を見付け出していくことは比較的容易である一方、お話を伺えば伺うほど、一つの方法では本質的な解決には至らず、各所各方面の支援が必要となることが多々あることです。こういった相談事案について、我が党のかわしま優子議員は、令和元年9月の本会議代表質問、令和3年11月の本会議代表質問等々において、再三にわたり属性や制度に合わせるのではなく、課題を抱える本人を中心として、断らない相談支援と参加支援及び地域づくり支援を一体的に実施し、行政のみならず、地域住民や支援機関など多機関がチームとなり、継続的に支援を行い多岐にわたる困りごとを解決していくというこの重層的支援体制の構築を進めるよう提案してまいりました。これらの提案も受け、京都市では制度の狭間や複合的な課題を抱える方々に対し、地域あんしん支援員やよりそい支援員を配置し、8050問題やごみ屋敷対策等、複合的な課題に対し取組を進めてこられたことは承知しており、評価もしております。 一方で、多機関チームによる支援体制の充実を図っていくには、京都市をはじめとした大都市では対象者も多く、各部署の専門性も高度に要求され、かつ部署も多岐にわたるため、一体的な取組を進めることはなかなか困難であることは想像に難くありません。しかしながら、誰一人取り残さないとの京都市の福祉理念を体現していくためには、より重層的な支援体制の整備・確立が重要となってまいります。折しも京都市京・地域福祉推進指針が令和5年度までとなっており、現在地域福祉専門部会で次の策定に向けて議論していただいているところであります。次期指針において、人と人がつながり支え合う重層的支援をしっかりと位置付けるべきと考えます。そこでお尋ねします。京都市において重層的な支援体制を名実共にどのように構築していくのか御見解を伺います。 以上で私の代表質問を終わります。御清聴誠にありがとうございました。(拍手)
○副議長(平山よしかず) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作) 引き続き、
湯浅光彦議員の御質問にお答えいたします。 生物多様性保全の推進についてでございます。地球規模の生物多様性の損失が加速しております。これを食い止め、回復することができなければ、自然とのつながりによって支えられている人々の暮らしや社会、経済の基盤を失うばかりか、気候変動による猛暑や災害を引き起こす要因となるなど、生物多様性の保全は、人類の存亡にも大きく関わる極めて重要な課題でございます。本市では、生物多様性プランに基づき、市民の皆様の主体的な行動を促す仕組みや、保全活動の認定などに取り組んでおりますが、より効果を発揮していくためには、湯浅議員御指摘のとおり、生物多様性への危機意識を市民の皆様が自分ごととして共有していただくことが不可欠でございます。そこで、府市協働で設置したきょうと生物多様性センターの設立を契機に、本年7月、市民や研究者など幅広い方々の御参加の下にシンポジウムを開催し、また、今月開催するきょうと・いきものフェスでも、保全団体によるワークショップを催すなど、あらゆる機会を捉えて効果的な発信と機運醸成に創意工夫を凝らしております。 また、活動の裾野を広げ、持続可能なものにするには、多様な主体の取組をサポートする仕組みも重要であり、ネットワークの形成や担い手育成を担う生物多様性の機能強化を図ってまいります。加えまして、この度、資金や技術の面から保全活動や担い手育成に協力をいただける事業者とのパートナーシップ協定制度を創設いたしました。その第1号となる協定を締結できる運びとなりました。今後とも、本制度を積極的に周知し、志の高い事業者に御協力をいただくことで、継続的な活動の支援と共に、生物多様性保全の価値への社会意識を高めてまいります。今後一層、市民・事業者・保全団体等々の皆様との協働、共に働くことを深めるとともに、地球温暖化対策や循環型社会の構築などの取組も緊密に連携させまして、自然と共生する社会の実現に力強く取り組んでまいります。 以下、副市長が御答弁申し上げます。
○副議長(平山よしかず) 吉田副市長。 〔吉田副市長登壇〕
◎副市長(吉田良比呂) 福祉施策における重層的支援についてでございます。今日、社会構造などの変化により、人と人とのつながりが希薄化する中、複雑化・複合化した悩みを抱えていても、自ら声を上げられず深刻になっていることが危惧されています。こうした方々を様々な支援機関が受け止め、高齢、障害、子供などの分野の垣根を越えて支援する必要性が、3年以上にも及ぶコロナ禍を経てこれまで以上に高まっております。このため、今年度改定する京・地域福祉推進指針では、湯浅議員御指摘のように、包括的な相談支援の構築、様々な社会に参加していくための支援、互いに顔の見える地域づくりを一体的に実施する重層的支援体制を重要な柱として位置付けるとともに、120もの民間団体との連携協定による孤独・孤立に関するネットワークや、本市が先駆的に実施してきたごみ屋敷対策、ひきこもり支援などのノウハウをいかし、区役所・支所をはじめとした様々な相談支援機関が協働し、分野を超えて包括的に受け止める体制を構築をしてまいります。現在、令和6年度からの実施に向け準備を進めております。 加えて、制度のはざまや複合課題に対応する地域あんしん支援員の体制強化や来年1月に開所する障害、児童の3施設一体化施設の強みをいかした専門相談など、課題を抱える人の困りごとや悩みを的確に捉え、支援体制を充実をしてまいります。あわせて、住民の困りごとや悩みに気づき・つなぎ・支える地域づくりを進めていくことが重要です。このため、社会福祉協議会などとも十分連携し、行政区それぞれの特性をいかして、地域ネットワークの更なる強化や住民主体の福祉活動を促進していく地域支え合い活動創出コーディネーターの体制強化にも取り組んでまいります。今後とも、京都が誇る地域力・人間力をいかし、誰一人取り残さない、共に支え合う共生のまちづくりを一層進めてまいります。以上でございます。
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○副議長(平山よしかず) 次に、市政一般について、
松田けい子議員に発言を許します。松田議員。 〔
松田けい子議員登壇(拍手)〕
◆(
松田けい子議員) 山科区選出の松田けい子でございます。
湯浅光彦議員、
増成竜治議員と共に、公明党京都市会議員団を代表し質問いたします。市長並びに関係理事者におかれましては、希望ある未来を構築するため、誠意ある御答弁をお願いいたします。 初めに、子育てニーズに臨機に対応できる保育サービスの充実について質問します。国は、本年6月、こども未来戦略方針において、こども・子育ての具体的な施策を今後3年間、集中的に取り組む方策を示しました。保育施策についても、全ての子育て家庭が必要とする支援を受けられ、安心して子供を産み育てられる環境を整備することを目的に、子育て家庭における様々なニーズに対応していくとしています。近年の国の保育施策は、社会問題であった待機児童の対策が主軸で、受入れ枠を増やすことが重点となっていました。しかし、2022年の出生数は77万人台で、統計開始以来過去最少となるなど、少子化により全国的に保育所等の定員充足率は低下しつつあり、これは本市においても同様の傾向にあります。そうした中、国は事業計画の中間年に当たる2022年度に幼児教育・保育の量の見込み数の基準を示し、本市も中間見直しを実施して確保必要量を削減、本年2月、保育所等における利用定員の取扱いについて実態に応じて見直すことができる旨通知したところです。しかしながら、事業者側からは、引き続き、需給調整の特例や定員割れによる経営圧迫など様々な意見があります。一方、多様な働き方やライフスタイルの変化に伴い、保育所等を利用していない家庭においても、日常生活上の突発的な事情や社会参加などで一時的に家庭での保育が困難となる場合や、核家族化、地域のつながりの希薄化などを背景に、育児疲れによる保護者の心理的・身体的負担を軽減する支援も必要とされています。 このような中、親の就労状況等にかかわらず利用できる一時預かり保育へのニーズは高まっていると考えており、利用者が選択可能な保育施設の幅を広げるなど、一時預かり事業の運営形態の拡充が求められていると考えます。本市においては、2025年度の京都市はぐくみプラン改定に向けて、今年度、各行政サービスの利用ニーズを確認し、量の見込みに反映させるため、利用対象者に子育て支援施策全般に係る調査を実施する予定です。国は、親の就労の有無にかかわらず、保育所等に通っていない未就園児を対象に、保育所で週一、二回程度受け入れるこども誰でも通園制度のモデル事業を福岡市や仙台市などで実施。これは、保育所などを時間単位で柔軟に利用できる仕組みを構築し、未就園児の親の育児負担の軽減や保育士から助言を受けることで孤立を防ぐとともに、子供にとっても集団生活の経験による発育への効果が期待されており、今後、利用の促進や調整、保護者に対する関わり方などの課題や効果を検証したうえで、2024年度には、本格実施を見据えた形での試行的実施を検討しているとのことです。実際この制度を運用するとなれば、保育の現場には様々な御負担を掛けることになろうと考えますが、私自身の4人の子育て経験や現にお聞かせいただいている子育て世帯の声を踏まえると、正しくニーズにマッチする制度といえます。そこで、お伺いいたします。今般行われるはぐくみプランの改定に向けたアンケート調査については、子育て世帯の様々なニーズをきめ細かく把握していただくとともに、調査結果を踏まえたこども誰でも通園制度の円滑な実施に向けた取組や、あらゆる保育施設を最大限活用し、子育ての社会化に向けた仕組みづくりを進めるよう求めるものですが、御見解を伺います。 次に、医療的ケア児の支援についてお伺いいたします。医療的ケア児の健やかな成長を図るとともに、その家族の離職の防止を図り、安心して子供を産み、育てることができる社会の実現に寄与することを目的に、2021年6月、医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律が成立、これにより相談体制の整備や関係機関との情報共有の促進、保育所・学校における看護師等の配置が進展しました。京都市立学校においては、総合支援学校を中心にその支援強化に取り組んでおられます。医療的ケア児は、近年、総合支援学校だけでなく地域の小中学校への通学を希望する児童生徒もおり、今年度は19名が通学しています。現在、児童一人につき一、二名の看護師を学校ごとに採用・配置していますが、そのバックアップやスキルアップのためには、専門的な相談や意見交換・情報共有などを行う体制を強化することが求められています。また、就学決定後3月から看護師を求人するため、その確保は厳しい状況にあります。これらの課題を克服するために、支援学校の看護師免許を持った医療的ケア担当教員を中心とした看護師が、チームで巡回する体制を構築することで、必要看護師数の確保など現状体制の改善につながると考えます。そこでお伺いいたします。医療的ケア児が今後も増加することが見込まれる中、地域の小中学校における支援体制を看護師のチームによる巡回制とすることで、より柔軟で安定した支援体制が可能となると考えますが御見解を伺います。 次に、災害時における医療的ケア児の支援についてです。北海道胆振地方を震源とする2018年の地震では、道内全域での停電、ブラックアウトが長時間に及んだことから、人工呼吸器や酸素濃縮器、吸引器等、様々な電気機器を使用している医療的ケア児は、生命の危機に直面しました。また、医療的ケア児とその家族が、例えば集合住宅の高層階に住んでいるため、エレベーター停止により避難することができなかったり、一次避難所に問合せをしたところ、医療職がおらず、非常用電源もないので対応できないと言われるなど大変な混乱が生じ、特に電源の確保等は大きな教訓となりました。札幌市では、在宅医療機器使用児者の非常用電源を提供できる所がないことから、その1年後に非常用電源購入助成制度を開始しました。災害弱者対策について、北海道医療的ケア児等支援センターは、専門職だけでの非常用電源確保及び避難支援には限界があり、地域住民による共助が必要だが、避難行動要支援者リストに登録していても、医療的ケア児や在宅医療機器の存在がそもそも知られておらず、実効性のある個別避難計画及び地域での避難訓練が重要であるとしています。北九州市では、在宅の医療的ケア児や家族の支援を巡り、まず、災害時の避難態勢を構築すべく、多職種と連携しながら課題解決につなげる北九州地域医療的ケア児支援ネットワーク連絡会を立ち上げ、災害時個別支援計画の策定に係る対象者の抽出を行い、その支援に取り組んでいます。これらの取組を参考に、京都市においても積極的に進めてほしいと、医療的ケア児の保護者、支援者からお聞きしたところです。災害対策基本法の改正により、避難行動要支援者に係る個別避難計画の作成が市町村の努力義務となりました。本市においては、国が定める取組指針に基づくとともに、新たに京都市避難行動要支援者名簿の情報の提供等に関する条例を定め、その作成に取り組んでおられます。また、医療的ケア児支援法はその付則で、災害対応について必要な措置を講じると規定していることから、こども家庭庁は今年度末の完成を目指し、避難マニュアルを策定することとしています。広島市では、医療的ケア児と御家族のための災害時対応ガイドブックを作成し、災害時の長時間の停電や断水等への日頃からの備え、いざというときに自助の力を発揮するための情報等をホームページに掲載し、当事者のみならず広く公開しています。そこで、お伺いいたします。非常用電源の確保について補助制度の導入や地域での電源確保策の構築を進めるべきと考えますがいかがでしょうか。 また、災害時において、自力で避難することが難しい医療的ケア児に対して、個別避難計画を作成し支援するべきと考えます。あわせて、現在適宜配付している本市作成の災害・緊急時の停電に備えた避難マニュアルを当事者に共有するとともに、その取組を広く市民に周知すべきと考えますがいかがでしょうか。 まずは、ここまでの質問について御答弁をお願いいたします。
○副議長(平山よしかず) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作)
松田けい子議員の御質問にお答えいたします。 次期京都市はぐくみプラン策定についてでございます。アンケート調査についてでございますが、令和7年度からスタートする次期プランを策定するに当たり、市民の皆様の子育てに関する意識やニーズ、青少年の意識や行動等について現状をしっかりと把握するため、今年度アンケート調査を実施することとしており、現在、京都市はぐくみ推進審議会の各部会での議論を踏まえ、調査項目を精査しているところであります。今月には調査を開始する予定であり、市民の皆様の思い、ニーズをしっかりと踏まえたうえで、計画策定を進めてまいります。 次に、保育所等の誰でも通園制度についてでございます。誰でも通園制度は、未就園児を含む全ての子育て家庭に対して、多様な働き方やライフスタイルに関わらない形での支援を強化するため、就労要件を問わずに時間単位等で柔軟に利用できる新たな制度として、現在、国が制度設計を進めているものでございます。京都市においても、0歳から2歳までの子供のうち約50パーセントに当たる1万3,000人が未就園児であり、その中には、孤立した育児の中で不安や悩みを抱えておられる方もおられると考えています。また、少子化により、定員に余裕がある園から、それをいかしたいといった声がございます。その一方で、保育士の負担の増加や保育士確保といった課題もあるとの声もございます。来年度、国において誰でも通園制度の本格実施を見据えた形での試行的事業を実施される予定でございます。京都市といたしましても、積極的にこの試行事業に参加することで、未就園児世帯のニーズや現場における課題等をしっかりと把握し、円滑な本格実施につなげていくことで、誰もが安心して子育てできる環境を構築してまいります。 次に、医療的ケア児の支援についてでございます。小中学校へ通学する医療的ケア児は、全国の傾向と同様、京都市においても増加する中、こうした子供たちの教育機会を確保し、学習保障を行うことは極めて重要だと認識しております。松田議員御指摘のとおり、小学校等の看護師は、学校内で一人で活躍される一人職となるために、看護師に対する指導・支援・相談を構築することが重要でございます。本市では、研修会の実施、外部の指導看護師や教育委員会の指導主事による定期訪問に加えまして、政令市で初めて正規採用いたしました看護師免許を有する医療的ケア児担当教員を地域制の総合支援学校全校に配置し、小中学校の看護師をバックアップする体制を整えております。さらに、小学校等に通学する医療的ケア児の増加に伴いまして、看護師の更なる増員が必要となる中、その安定的な確保や看護師が欠勤する際に保護者に付き添い等の負担を掛けないなど、保護者の負担軽減はもとより、看護師自身がより安心して働くことができる体制の構築が必要であります。こうした課題の解決に向けまして、松田議員御提案の総合支援学校の看護師のチーム体制による巡回制は、専門性や安全性確保の観点から有効な手段であると考えております。今後も看護師体制を拡充するために看護師の定員措置を強く国に要望するとともに、一部の学校で導入しております総合支援学校の看護師による巡回制の実施拡大を図るなど、医療的ケア児の担当教員が核となる京都市ならではの看護師体制を構築し、医療的ケア児が安心・安全に学校生活を送り、保護者にも安心していただける体制づくりを進めてまいります。 次に、災害時における医療的ケア児の支援についてでございます。人工呼吸器や酸素療法、たん吸引が必要な医療的ケア児においては、ライフラインが途絶えると命の危機に直面することから、各自の状況に応じた個別避難計画を作成することが重要であります。国においても、災害対策基本法の改正により、医療的ケア児の個別避難計画の着実な作成や、自らの命を守るために準備を行うことの重要性が指摘されております。本市においても、緊急時に備え、災害時の個別避難計画の策定ができるよう、緊急災害時の避難マニュアルを作成し、医療的ケア児への支援を行っておりますが、必要な方全てに配布するまでには至っておりません。このため、まずは、市民の皆様の身近な相談窓口である子どもはぐくみ室においてマニュアルを広く周知し、必要な方にお手元に届くように配布してまいります。 また、今年度から医療的ケア児等の支援に精通する専門家を医療的ケア児等地域支援コーディネーターとして配置し、地域におけるネットワーク構築等に取り組む事業を実施しております。このコーディネーターの知見をいかし、医療的ケア児を育てるうえで保護者が抱える様々な不安や悩みに寄り添い、個別避難計画の策定も含めまして、御家庭に応じた継続的な支援を行ってまいります。さらに、非常時の電源確保の状況を把握したうえで、その方策の研究を進めるとともに、医療的ケア児の支援に日頃からの関わりのある支援員や地域の方々の理解や協力を得ながら、災害への備えを進めるなど、支援体制の構築に努めてまいります。医療的ケア児とその保護者の皆様が、誰一人取り残されない安心・安全な子育て環境の一層の充実に向けて努力してまいります。
○副議長(平山よしかず) 松田議員。 〔
松田けい子議員登壇〕
◆(
松田けい子議員) 次に、マンションの円滑な再生に向けた取組についてお聞きします。近年、マンションは、建物・設備の老朽化と区分所有者の高齢化という二つの老いに起因する老朽化を抑制し、周辺への危害等を防止するための維持管理の適正化や、維持修繕等が困難なマンションの再生に向けた取組の強化が喫緊の課題となる中、マンション管理適正化法及びマンション建替円滑化法が改正、2022年4月全面施行されました。マンションの適正管理について私は一昨年9月の代表質問で取り上げ、本市においては、分譲マンション管理適正化推進計画を策定し、その認定制度の推進に取り組まれています。認定を受けた管理組合が増加することは、適正な管理に取り組む動機付けとなるだけでなく、資産そのものの価値向上や安定性に資するものと大いに期待されるものです。 他方、本市におけるマンションのうち、築30年以上経過するいわゆる高経年マンションは2020年度時点で約4割、今後10年で半数以上に達する見通しです。2019年、2020年に行ったマンション実態調査項目の将来や建物の寿命についての協議状況等に対する設問結果では、修繕して長く使い続けると回答のあったマンションが多数であるものの、建て替える・建物を一括して売却すると回答したマンションが一定数あり、その多くが築35年から50年の高経年マンションでした。一方、マンションの将来等について、検討が必要な時期にある築40年以上のマンションの約1割が、意見がまとまらなかったと回答しています。マンションの管理や再生は、管理組合が総会決議で実施するものですが、意見がまとまらない背景には、区分所有者の高齢化や高齢を理由にした理事就任辞退者、所在不明の所有者の増加など合意形成の確保が困難であることが考えられます。 国交省は本年8月、マンションを巡る課題を洗い出したうえで、現時点で考えられる政策の方向性を取りまとめ、マンション政策全般に係る大綱を発表し、国の法制審議会で議論されている合意形成に係る要件緩和などと合わせ、今後、施策の具体化に向けた検討を行うとのことです。これにより、建替え事業等に向けた環境整備や多様なニーズへの対応、自主建替え等について円滑な再生を目指す環境が整備されていきます。しかしながら、こうした情報は、管理組合や区分所有者にとっても重要なものですが、私の知る限りでは十分に伝わっておりません。加えて、本市には約2,000棟の既存マンションがあります。その中には、私の地元山科区をはじめとする、本年4月に施行されたみんなが暮らしやすい魅力と活力のあるまちの実現に向けた都市計画の見直しによって、規制が緩和された地域に建つマンションも含まれており、これらの将来的な再生にどう取り組んでいくのかということも重要な課題と言えます。 マンションの再生は、単なる再建築などにとどまらず、まちづくりにも関わる再開発だと考えます。所有者がマンション所有の義務を果たしながらも、最大限に所有するマンションの権利と価値を享受するとともに、マンション自体のライフサイクルを健全化することで、都市や環境を守ることにつながるのではないでしょうか。だからこそ、本市として課題対応という側面のみならず、新たなまちの価値を創造する施策としてより積極的に取り組むべきと考えます。そこで、お伺いいたします。本市においても建替えを検討するマンションが増えてくると想定されるため、国の大綱を踏まえて、円滑な再生を目指す環境整備が重要になると考えますが、区分所有者の高齢化などの理由から合意形成に様々な課題を抱える高経年マンションの再生にどのように取り組んでいくのか御見解をお聞かせください。あわせて、マンションの適正管理を今後どのように進めていくのか御所見をお聞かせください。 最後に、新たなモビリティに対応する環境整備について伺います。本年7月1日の改正道路交通法により、最高速度20キロ以下で制御されるなど、一定の基準に該当するいわゆる電動キックボードが特定小型原動機付自転車に位置付けられ、新たなルールが導入されました。自賠責保険の加入とナンバープレートの取得は必須となっていますが、16歳以上であれば運転でき、運転免許不要、ヘルメット着用も努力義務となっているなど規制が大幅に緩和されました。さらに、最高速度6キロ以下に制御可能なものは、特定小型原動機付自転車とされ、自転車などが走行できる歩道の通行も可能となっています。私も実際に試乗し、走行ルール等を十分に理解したうえで乗らなければならないと感じる一方、気軽に利用できるメリットを実感しました。今後、便利で身近な移動手段として、本市においても学生などの若い世代を中心に急速に普及する可能性があるのではないでしょうか。そのような認識の下、東京都練馬区や堺市では、公営の駐輪場に原動機付自転車いわゆる原付バイクと同じ扱いで、電動キックボードの駐車が可能であることを市民に広く周知されています。本市においても、市営駐車場や駐輪場において同様に取り扱っており、また、道路上での放置や撤去・保管料についても、京都市自転車等放置防止条例で原付バイクと同様の扱いになると聞いておりますが、市民に十分に伝わっているとは言いがたい状況です。駐車可能な場所が分からないと、それが道路上の放置につながり、放置が撤去・保管につながって苦情になるなど問題が拡大しかねないと考えます。将来的な混乱を招かないためにも、行政として駐車可能な場所や放置された場合の対応などを電動キックボードが普及する前の今からしっかりと周知することが必要です。また、本市の市営駐輪場は34か所、収容台数は約1万9,700台と認識しておりますが、オーソドックスなシティサイクル、電動アシスト自転車、原付バイク等に加え、電動キックボードの駐車のため、ワイヤー錠が掛けられる設備や平置き区画の拡大など限られたスペースで利用ニーズに応じた駐車ができるように対応していくことも検討すべきです。さらに、同条例では、一定規模を超える面積の施設や店舗を新設・増設する際には、駐輪場を設置するよう義務付けるなど環境整備にも取り組んでいることから、京都市が率先垂範して電動キックボードの環境整備をしていることを店舗や施設等に示すことは大きな意味があると考えます。 そこで、お伺いいたします。京都市の電動キックボードに係る市営駐車場における取扱いや放置対策の周知について、また、今後、電動キックボードが普及することを見込んだスペース確保などの考え方についてお聞かせください。 加えて、電動キックボードは、これまでにない変則的な速度制限などルールが複雑化しています。この7月の1か月間で京都を含む7都府県警が406件の違反を摘発し、先日も大きな人身事故が報じられていることから、安全対策や運転者の遵守事項など、民間事業者や関係機関と連携のうえ、市民に対して広く情報発信し、ルールの周知を徹底すべきと考えますがいかがでしょうか。そして、今後も技術革新により新たなモビリティの出現が見込まれることから、それに先駆的、また、臨機に対応できるよう取り組んでいくべきと考えますが御見解を伺います。 以上で私の質問を終わります。御清聴誠にありがとうございました。(拍手)
○副議長(平山よしかず) 坂越副市長。 〔坂越副市長登壇〕
◎副市長(坂越健一) 私より2問お答えいたします。 マンションの円滑な再生及び適正管理についてでございます。市内における約2,000棟の分譲マンションは11万世帯の市民がお住まいの貴重な住宅ストックであり、若者・子育て世代の受け皿としても重要なものと考えております。このため本市では、いち早く分譲マンションの専門部署を設けるとともに、専門家派遣制度を導入するなど、他都市に先駆けたマンション管理支援を展開してまいりました。昨年9月からは、管理状態の良好なマンションを認定する制度を開始し、これまでに新築31件の事前認定のほか、既存7件の認定を行っております。引き続き、固定資産税の減税や融資の金利引下げなど、認定を受けることによるメリットの周知に努めるとともに、マンション関係団体とも連携し、管理が良好なマンションを増やす取組を進めることで若者・子育て世代の定住促進につなげてまいります。同時に、松田議員御指摘のとおり、国で進められている分譲マンションの円滑な建替え・再生に向けた環境整備の検討は、今後、築40年以上の高経年マンションの急激な増加が見込まれる本市にとっても極めて重要な課題であります。本市では、これまで適切な改修によるマンションの長寿命化を中心に支援してまいりましたが、今後はマンションの建替え・再生の観点からも、管理組合支援の充実を図ってまいります。まずは、本市が実態調査等を通じて構築してきたマンション管理組合への連絡ルートをいかし、国の法改正や制度拡充などの最新の動向やノウハウを有する事業者と連携した先行事例の紹介等を適切、的確、タイムリーに管理組合へ届けてまいります。今後とも分譲マンションをはじめとする既存ストックの良好な管理、再生をしっかりと支援し、若い世代に選ばれる持続可能なまちづくりを進めてまいります。 次に、新たなモビリティに対応する環境整備についてでございます。本年7月以降、電動キックボードにつきましては、改正道路交通法により、新たに原動機付自転車の1類型である特定小型原動機付自転車と規定されました。そのため、原付に対応している市営駐車場・駐輪場の利用が可能なことや、道路上に放置された場合、原付と同様に撤去するなどの取扱いを行っています。この取扱いは多くの市民や観光客の皆様、民間施設や店舗等の関係者にも認知いただく必要があり、ホームページやSNS等、様々な媒体や企業の管理者研修等の機会を通じた発信を強化してまいります。あわせて、京都府警察等とも連携のうえ、今後の普及状況とそれに伴う課題を適宜把握し、駐車スペースの確保など必要な利用環境の整備をしてまいります。 一方で、電動キックボードに係る安全対策や啓発については、京都府警察やシェアサービス事業者等とも連携し、利用者に対してヘルメット着用の努力義務などルールやマナーの徹底を図るとともに、広く市民の皆様に対しても、乗車体験会などのイベント等でルールやマナーの情報発信に取り組んでまいります。 最後に、新たなモビリティの活用は、既存の公共交通が密でない地域における移動手段の確保や、いわゆるラストワンマイルといった交通課題の解決に資するものであり、本市では、本年9月、より幅広い年齢層に適した次世代パーソナルモビリティを開発した京都市内の企業との間で、その普及促進等に係る連携協定を締結したところです。新たなモビリティの開発が進んでいく中、安全性の確保を大前提として、今後も国や民間ビジネスの動向を注視のうえ、まちの活性化の観点から取り組んでまいります。以上でございます。
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○副議長(平山よしかず) 次に、市政一般について、
増成竜治議員に発言を許します。増成議員。 〔
増成竜治議員登壇(拍手)〕
◆(
増成竜治議員) 伏見区選出の増成竜治でございます。私は、4月に行われました京都市会議員選挙におきまして市民の皆様から4,734票を賜り、初当選させていただきました。皆様からは、京都市のために頑張ってくださいや、新人らしく若いエネルギーで京都市を更に良い方向に変えていってやというお声をたくさん頂きました。初めての選挙戦を通して公明党の立党精神である、大衆とともにを深く胸に刻み、市民のためにという思想から一切ぶれることなく、誠心誠意働かせていただくという決意をいたしました。市民の皆様の身近な困りごとをよく聴き、寄り添わせていただく中で、皆様から必要とされ喜んでいただける議員を目指し、調査なくして発言なしをモットーに、日々努力することをまず冒頭にお誓い申し上げます。 それでは、
湯浅光彦議員、
松田けい子議員に続き、公明党京都市会議員団を代表いたしまして、市政一般について質問いたします。門川市長をはじめ関係理事者の皆様におかれましては、前向きで誠意ある御答弁をお願い申し上げます。 千年の都である京都は、多様な文化芸術が息づくまちであります。能や狂言といった伝統芸能や茶道・華道といった生活文化などの伝統文化だけでなく、小説・映画、現代アートやメディア芸術など常に最先端の文化を取り入れ育んできたまちであり、そうして形成された文化力は他都市にはない京都の大きな魅力であると考えます。これまでから本市では文化を基軸としたまちづくりを進めていますが、文化庁が全面的に移転した今、特に音楽に焦点を当て、
京都ならではの音楽のまちづくりについてお尋ねいたします。 音楽には国境が存在しません。音楽は誰人も欲してやまない文化の華であり芸術であり、しかも世界共通の言葉であります。私は12歳から43歳まで30年ほど地域の吹奏楽団に所属してトロンボーンを担当しながら役員としても活動してきました。大学時代は先輩に誘われてサルサバンドでも演奏しておりました。多くの仲間と一つの音楽を作り上げるために、練習は本番、本番は練習との思いで楽器の練習に明け暮れました。その結果、精一杯演奏した音楽が聴衆の皆様に喜んでいただけたときはとてもうれしく、また音楽技術の向上だけでなく人として心の成長が大切であることを音楽から学びました。東日本大震災からの心の復興を目的とした希望の絆コンサートでは、岩手県・福島県・宮城県で開催された3回の演奏会にボランティアとして参加させていただきました。復興途中の皆様に少しでも安らぎと笑顔をお届けしようと力の限り行った私たちの演奏演技を、涙を流しながら聴いてくださるお姿を見て、音楽の持つ力を目の当たりにした経験がございます。京都には国内屈指の存在である京都市交響楽団があり、京都コンサートホールを拠点に高品質のクラシックを市民の皆様に提供しているほか、邦楽についてもあまたの伝統文化と共に今なお力強く受け継がれ、確固たる地位を築いています。また、堀川音楽高校や10月1日に移転開校した京都市立芸術大学は、世界的指揮者の佐渡裕氏をはじめ多くの音楽の担い手を育成・輩出しています。このように京都には、多様な音楽文化が根付き、更に発展する土壌が豊富に存在しており、京都の魅力を向上させ、都市としての成長を図る観点からも、音楽の力をいかした京都のまちづくりを一層進めるべきであると考えます。そのためには、創作活動や表現の機会を確保し、担い手の育成、とりわけ音楽を志す人を新たに創出する裾野拡大に向けた取組も重要であります。少し視野を広げれば、京都にはマンガ・アニメ・ゲームなど日本を代表するコンテンツ文化があります。アニメやゲームを入口に新たに音楽に触れ、興味を持つ若い世代も多くいる中、コンテンツ文化と音楽文化との連携強化により、担い手の裾野が拡大するにとどまらず、経済的にも新たな価値を生み出す可能性は大きいと考えています。実際、マンガ・アニメを活用した新たなビジネスの創出支援やクリエイターの育成支援・雇用機会の創出、若者や外国人をはじめとした新たな観光客の掘り起こし、海外発信によるコンテンツ都市・京都のブランド向上などを目的とした本市の京都国際マンガ・アニメフェア、京まふは、本年で12回目の開催となりました。この京まふでも、日本のアニメの第一線で音楽を手掛けられている最高の劇伴作曲家が集まり、様々なアニメ作品の映像と音楽の融合を体感できる劇伴音楽フェス京伴祭と共催するなど、本市における音楽文化とコンテンツ文化のコラボレーションは進んでおりますが、京都の多様な音楽文化との更なるコラボレーションを推進することによって新しいイノベーションを生んでいくよう、一層力を入れて進めていただきたい。このように文化芸術に必要な資源を数多く有する京都市として、京都の魅力・価値向上を図るため、音楽の持つポテンシャルを最大限活用し、担い手の育成から新たな経済価値創出までを網羅し、好循環を実現するなど改めて音楽を基軸としたまちづくりを積極的に進めるべきであると考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。 次に、不登校対策・COCOLOプランの推進についてお尋ねいたします。文部科学省の2021年度の調査では、全国の国公私立小中学校で不登校の児童生徒は約24万5,000人と過去最多。一方で、36.3パーセントに当たる約8万9,000人は専門的な支援を受けられておらず、不登校が長期化しているというものです。子供が不登校になる理由は様々で特定は難しいとされていますが、近年の増加の背景について文科省は、コロナ禍での生活環境の変化や学校生活の制限が交友関係などに影響したことで、登校意欲が湧きにくくなった点を指摘しています。公明党は、昨年3月に不登校支援プロジェクトチームを設置し、各地の不登校特例校の視察や関係団体からのヒアリング、保護者の会やスペシャルサポートルームの設置、学習成果の成績評価への反映など、政府への提言を繰り返し行ってきました。我が党の提言を踏まえ文科省は、本年3月末、不登校の総合対策としてCOCOLOプランを新たに策定しました。COCOLOプランでは、我が党が提言の中で強く訴えていた、1、不登校の児童生徒全ての学びの場の確保、2、心の小さなSOSを見逃さずチーム学校で支援、3、学校の雰囲気を見える化し安心して学べる場所に、の三つの柱を掲げています。プランの具体策としては、指導内容や授業時間を柔軟に決められる不登校特例校の全国300校への拡大や、教室に通いづらい子の居場所を校内に設けるスペシャルサポートルームの設置、学校外にある不登校の公的支援施設教育支援センターの機能強化などを促進するという内容となっております。 COCOLOプランの主旨を踏まえ、私から2点指摘をさせていただきます。1点目は、不登校の児童・生徒にあっては、校内の教育支援センターでの学習や自宅でのICT等を活用した学習というものを評価すべきであると考えます。これは多様な学びを認め、多様な場を提供するというCOCOLOプランの観点であります。しかし、入試では内申書に欠席日数を記入する箇所があります。学校に行くことが困難であるため、自宅でICT等を活用して学習しているにもかかわらず、欠席日数が内申書に記入されることは当該児童生徒にとっては本意ではないでしょう。また、そのような児童・生徒を持つ親にとっても、子供のために親として何かできることはないかと非常に心苦しい状況であります。親子共この欠席扱いになるというプレッシャーから解き放ちたく、是非この点の改善を求めます。 2点目は、スペシャルサポートルームの設置についてでございます。設置に関しては、文科省が来年度予算の概算要求に5億円を計上し、設置のための補助金に加え、学習指導員を確保するための補助金も拡充するとのことです。このタイミングを逃さず、本市においても、これらの予算を活用してスペシャルサポートルームの設置を積極的に推進していただきたい。そこで、内申書における欠席日数の取扱いの改善と、スペシャルサポートルームの設置についてのお考えをお聞かせください。あわせて、本市における不登校対策の強化について教育長の御決意をお聞かせください。 ここまでを前半の質問とし、答弁を求めます。
○副議長(平山よしかず) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作)
増成竜治議員の御質問にお答えいたします。 音楽に焦点を当てたまちづくりについてであります。京都市は我が国唯一の音楽科単独の公立高校である京都堀川音楽高校、また、この度、京都駅東崇仁の移転により学びの環境が大きく向上した京都市立芸術大学、全国で唯一、自治体が設置し運営に責任を持つオーケストラとしての京都コンサートホールを拠点とする京都市交響楽団、さらには、京都市少年合唱団など、全国有数の充実した育成・創造・発表環境を整え、国内でまた世界で活躍する音楽家を多数輩出してきた音楽文化都市であります。京響は市民に愛され、世界に誇る楽団としてトップレベルの音楽を国内外に発信するとともに、子供から大人まで楽しめる様々な企画により幅広い鑑賞の機会を提供しております。この4月からは14年にわたり献身していただき、京響の演奏力を飛躍させていただいた広上淳一氏に代わり、新たに沖澤のどか氏が常任指揮者として着任され、一層の躍進を図っております。 また、文化庁の京都移転、京都芸大の移転という大きな節目を迎えた今年は、多くの関係者の御協力の下、例年の盛大な秋の京の秋音楽祭に加えまして、文化庁移転記念コンサートを核としたにぎわいイベントや、京都芸大の学生さんや卒業生による社寺等のユニークベニュー等での全11行政区巡回コンサート、また、京都駅大階段での尺八を中心とした大演奏会をはじめ、邦楽や国際色豊かな音楽の祭典が初開催されるなど、京都が多彩な音楽で満たされております。さらに、恒例となっております民音による留学生音楽祭、プロによる梅小路公園での京都音楽博覧会も年々盛り上がっております。同時に、小中学校での音楽を含めた文化芸術体験事業や、全国の中高生の吹奏楽部活動の集大成となる京都でのさくらパレード、高校生とプロの音楽家が世界遺産二条城で共演する京都音楽村等を通じて、未来の担い手の音楽への関心を高めることで、裾野の拡大にも注力しております。こうした取組により幅広い世代の方々が様々な場所で音楽の魅力に親しむ機会を創出するとともに、あらゆる分野と融合させながら音楽の持つポテンシャルを最大限いかすことで新たな価値を創造してまいります。増成議員御指摘のとおり、国境や言葉の壁を越えて世界の人々と心を通わせ、生きる力を与えてくれるのが音楽であり、文化の力であり、世界の人々の幸せと平和にも貢献する営みであります。文化庁はもとより、文化芸術関係者や市民の皆様としっかりと連携し、音楽をはじめ文化を基軸としたまちづくりを強力に進め、文化首都・京都の魅力の更なる向上、更にまちづくりの成長につなげてまいります。 以下、関係理事者が御答弁申し上げます。
○副議長(平山よしかず) 稲田教育長。 〔稲田教育長登壇〕
◎教育長(稲田新吾) 不登校対策についてでございます。御指摘のいわゆる内申書の欠席日数については、これまでから合否に不利な取扱いを行うことはなく、国からの通知の趣旨も踏まえ、本市が独自に実施する西京高校附属中学校の入学者募集においては、令和6年度募集から欠席日数欄は削除したところです。また、京都府と共同で実施している公立高校の入学者選抜においては、令和7年度入学者募集に向けて、引き続き京都府に働き掛けてまいります。 スペシャルサポートルームにつきましては、不登校の未然防止や学習保障の観点から極めて有効であり、本市においても、各校に設置する不登校支援のための校内委員会における教職員間の情報共有の下、余裕教室等の活用も含め、創意工夫を凝らした子供の居場所づくりや学習支援を進めております。今後、文部科学省等の予算も活用し、環境整備に係る物品の整備や指導員の配置等を進め、校内の居場所づくりをより一層充実させてまいります。 本市では、全国の公立学校に14校しかない不登校を経験した子供たちのための学校を全国に先駆けて2校設置するとともに、50名を超えるカウンセラー等を擁する教育相談総合センターや、市内5か所に教育支援センターふれあいの杜を設置し、カウンセリングや子供の居場所づくり等の先進的な施策を展開するなど、一人一人の子供を徹底的に大切にするという教育理念の下、不登校対策を重点課題として進めてまいりました。こうした取組は、令和5年3月に文部科学省が定めたCOCOLOプランの理念に合致し、本市が先導してきたものであると考えております。今後とも、誰一人取り残さない決意の下、ICT機器を最大限活用した学習支援、子供の状況に応じた学校内外の居場所づくりに全力を尽くし、一人一人の困りに寄り添う不登校支援政策を更に前進させてまいります。
○副議長(平山よしかず) 増成議員。 〔
増成竜治議員登壇〕
◆(
増成竜治議員) 次に、持続可能なまちの実現の一つである公共交通施策について質問いたします。私の地元、久我・久我の杜・羽束師地域の人口・世帯数の変化を見てみますと、これまで人口・世帯とも増加を続けていましたが、令和2年度の国勢調査では初めて人口が減少に転じました。年齢構成を見てみますと、昭和55年をピークに15歳未満の人口と15歳から64歳の人口の割合が減少し、65歳以上の人口の割合が増加しています。このような人口減少・高齢化が進む現在において、久我・久我の杜・羽束師地域の皆様から、若い頃は自家用車で移動していたため問題なかったが、高齢になり市バスを活用するようになったことでバス停まで行くことが一苦労であるとのお声を多くお聴きしました。山形県鶴岡市では、民間事業者の小型車両による循環バスが市の地域公共交通計画に取り入れられ、2022年10月から、新事業としてのバス運行が始まった事例があります。導入に当たっては、65歳以上の単独世帯が50パーセント以上の区域をリストアップした結果、公共交通の空白地帯の住宅地エリアに循環バスのルートを新設されました。町並みも人口も本市とは異なるため単純に参考にすることはできませんが、地域公共交通の主役は市民であるとの思想については、本市も忘れてはいけない事項であると考えます。 久我・久我の杜・羽束師地域では、市バスが主な公共交通機関であるため、久我・久我の杜・羽束師地域まちづくり協議会と伏見区役所、交通局が連携を図り、市バスの利便性の向上に向けて利用促進に取り組み、バス利用者増からバス便数増加・路線拡充、さらにバス利用者増という好循環を目指しています。これは、将来にわたって地域の特性やニーズに応じた持続可能な生活交通を維持・確保していくという今年度策定予定の京都市地域公共交通計画における策定目的と全く合致しています。市長には、ぜひ今後とも久我・久我の杜・羽束師地域の公共交通利便性向上の取組を後押ししていただきたい。このように、地域公共交通計画を主役である市民にとって価値あるものにしていくには、市民に本市の公共交通の現状を理解していただくと同時に、本市が市民の多様なお声を丁寧に受け止めていくという、市民と行政の協働の取組が不可欠です。つまり、市民のお声を受け止めながら、そのお声を計画遂行に落とし込む取組が不可欠であると強く申し上げます。そこで、本市の地域公共交通計画のポイントと実効性ある計画推進への方策をお答えください。いずれにせよ市民の声を受け止めながら、計画に書かれる取組を更に推進して、引き続き生活に不可欠な地元住民の皆様の公共交通ネットワークを守っていただきますようよろしくお願い申し上げます。 最後に、向島ニュータウンの活性化についてお尋ねいたします。向島ニュータウンは、昭和52年4月の入居以降、半世紀近くがたち、この間、同時期に建設された全国のニュータウンと同様、人口減少・高齢化が進み、まちの活力の低下が懸念される状況です。幼稚園から結婚するまで向島ニュータウンに住んでいた者として、人口減少と高齢化を肌身で感じております。京都市では、ニュータウンの活性化を掲げ、地域住民や地域の事業者、学識経験者などからなる向島ニュータウンまちづくりビジョン検討会が設置され、七つのワーキンググループでの熱心な議論のうえ、平成29年3月、向島ニュータウンまちづくりビジョンが策定され、以後、平成29年から4年間に取り組む具体的事項をまとめたアクションプランに基づく取組が順次進められてきました。多くの住民の皆様の御要望に基づき、向島中央公園のリニューアルや、国道24号線沿いに商業施設ニトリや西日本で初めてとなるドトール珈琲農園が誘致されるなど、目に見える成果が挙げられていると感じます。また、平成31年4月には、向島中学校と向島南・向島二の丸・二の丸北の三つの小学校を統合した向島秀蓮小中学校が開校し、次世代を担う子供たちを地域ぐるみで育む環境が格段に向上しました。 令和3年2月市会において、当時の曽我修議員が向島ニュータウンの将来にわたっての更なる活性化に向けて、大きく2点の取組を京都市に対して要望されました。一つ目は、ニュータウン内の住宅の6割以上を占める市営住宅空き室の有効活用についてで、それを受けて向島ニュータウンでは、市営住宅の空き室を活用した障害者グループホームが開設されました。既存の空き室を有効に活用し、新たな社会ニーズに応える試みであるとともに、多文化・多世代共生のまちを目指している地域にとっても、新たな住民として障害を抱える方々を温かく受け入れるコミュニティの醸成につながる取組であると評価しています。 そして二つ目は、向島中学校跡地の活用についてです。向島中学校跡地は、向島ニュータウンの更なる活性化の起爆剤として活用し得る大変貴重な財産であり、新たな活力を生み出す人口の流入に向けた受け皿としての住宅の整備や、地域医療・福祉の充実のための活用を具体的に進めるよう要望されました。その結果、向島ニュータウンまちづくりビジョンの実現に貢献する医療・福祉・住環境・にぎわいあるまちづくりの共同提案をコンセプトに、総合病院、特別養護老人ホームの複合施設、戸建て分譲住宅、調剤薬局や地域交流施設、まちかど広場などが計画されるに至りました。地域住民と行政が話し合いながら、地域にとって使いやすい場にしていくことや総合病院と住宅を建設することによる連携の効果が発揮できるよう、子育て支援面での連携などが期待されております。私は、これらの取組をニュータウン再興のリーディングケースとしていかしてもらいたいと考えますが、この市営住宅空き室の有効活用と向島中学校の跡地活用について本市の現在の進捗と今後の見通しをお答えください。 現在、洛西“SAIKO”プロジェクトが立ち上がり、先日も中間報告として記者発表もされていますが、その中でも、都市計画の見直しや市営住宅の空き室活用など様々な取組が予定されています。私は、既に向島ニュータウンにおいていち早く検討、着手された取組とその成果は、洛西地域のプロジェクトに大きくいかされていくべきと考えます。そこで、京都市全体の地域再興の一つの範ともなる向島ニュータウンにおける先導的な取組は途切れることなく更に推し進めていくことが不可欠と考えますが、市長の御見解をお伺いいたします。 最後に、1点要望させていただきます。子育て中のお母さんから、子供たちを安全に遊ばせることができる公園があればありがたいという御意見を多くお聴きしており、市営住宅への若者・子育て世代の移住・定住には、市営住宅敷地内の公園の再整備が有効であると考えます。市営住宅敷地内の公園の魅力向上に是非取り組んでいただけるよう要望して、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(平山よしかず) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作) 引き続き、
増成竜治議員の御質問にお答えいたします。 向島ニュータウンの活性化についてでございます。向島ニュータウンでは、幅広い住民の御参加の下に策定したまちづくりビジョンに基づく取組が大きく進み、平成31年4月の向島秀蓮小中学校の開校を契機にして、まちの姿が目に見えて変わってきております。令和元年度以降、ニュータウンを南北につなぐ国道24号線沿いに新たな商業施設が次々とオープンしています。令和3年には、市営住宅を活用したグループホームや子ども食堂が京都市では初めてこの向島で実現し、地域住民や大学生と連携した多文化共生のまちづくりが進んでおります。さらに、今年度からは、市営住宅を民間事業者が自らの資金でリノベーションして、若者・子育て世帯に所得制限を設けずに貸し出す全国初の取組が始まり、先般、向島でその第1号が完成いたしました。既に新たな入居者が決まり、今後、順次拡大してまいります。 また、まちづくりの核として活用が期待される元向島中学校跡地では、敷地単位で用途を限定していたニュータウンの都市計画を見直し、活用事業者を公募した結果、地域の医療・福祉の充実、雇用創出にもつながる病院の誘致と、新たな住民を受け入れる分譲住宅の建設、地域住民の活動拠点となる地域交流施設などの整備が決まっております。このうち地域交流施設は、既に事業者と住民の皆様の協議が進み、来年度には先行して整備される予定でございます。こうした向島地域での地域資源である市営住宅の空き家の活用、戦略的な都市計画の見直しと連動した新たな住宅の供給や、地域の更なる活性化に資する施設等の誘致は、
増成竜治議員御指摘のとおり、正に洛西地域で今取組を進めております洛西“SAIKO”プロジェクトを先導するものであります。今後とも、地域住民、大学、民間事業者の皆様と共に、ハード・ソフト両面から向島地域の更なる活性化に向けた取組を進めるとともに、その手法や成果を洛西地域をはじめ全市の取組にもいかし、活力あふれる京都の創造に結び付けてまいります。 以下、副市長が御答弁申し上げます。
○副議長(平山よしかず) 坂越副市長。 〔坂越副市長登壇〕
◎副市長(坂越健一) 地域公共交通計画の推進についてでございます。人口減少や運転手不足の深刻化等により、本市でも生活交通を取り巻く環境が厳しくなっています。生活交通を守り抜くには、市民、事業者、行政が共に汗する共汗が不可欠です。こうした考えの下、幅広い関係者が一堂に会する地域公共交通計画協議会を立ち上げ、今年度中に地域公共交通計画を策定することとしています。計画に市民のお声を受け止めることは極めて重要です。協議会には、市民公募委員にも御参画いただくとともに、昨年市民アンケート調査を実施し計画案に反映しています。また、現在市民の皆様から幅広く御意見を募集しています。 計画には重要なポイントが3点あります。1点目、公共交通の維持は他人ごとではなく自分ごと、みんなごとです。今後の公共交通には市民の皆様の利用と地域のサポートが不可欠です。市民の皆様や地域の利用拡大努力に本市もしっかり応えていきます。 2点目、公共交通の利用はSDGsに貢献することです。公共交通の利用は健康にも地球環境にも優しいことであります。全ての方の移動を支えます。社会貢献としても公共交通の利用拡大を呼び掛けていきます。 3点目、事業者間の連携を進めます。事業者の枠を超えた連携を深め、利用者である市民の皆様のニーズや地域の実情を踏まえた最適な交通手段の実現を図っていきます。今後計画に基づく具体的な政策について市民・事業者・行政が三位一体で議論を進め、着実に実行していきます。 増成議員御指摘の伏見区久我・久我の杜・羽束師地域では、地域のまちづくり協議会主体の利用促進の取組により、利用者の増加、バスの増便という好循環が生まれております。自分ごと、みんなごとの模範事例であります。こうした取組を本市も支援するとともに全市的に展開し、生活交通の維持・確保、利便性向上を図ってまいります。以上でございます。
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○副議長(平山よしかず) 暫時休憩いたします。 〔午後2時53分休憩〕 〔午後3時18分再開〕
○議長(西村義直) 休憩前に引き続き、会議を行います。
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○議長(西村義直) 休憩前の一般質問を継続いたします。市政一般について、平田圭議員に発言を許します。平田議員。 〔平田圭議員登壇(拍手)〕
◆(平田圭議員) 伏見区選出の平田圭です。立憲民主党市会議員団を代表して質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。私は、今春の統一地方選選挙におきまして大変多くの市民の皆様から負託を頂き、初当選をさせていただきました。本市の財政状況をはじめとする様々な問題について、京都市民の皆様と一丸となり、全身全霊を尽くして市政に当たる所存でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。 それでは質問に入ります。まず初めに、本市の令和4年度の決算について伺います。令和4年度の決算において21年ぶりに特別の財源対策を脱却し、歳入から歳出と令和5年度への繰越財源を除いた実質収支が77億円の黒字となりました。このことについては非常に評価するとともに、市民、そして事業者の皆様の御理解・御協力によるものと理解しております。しかし、今なお多くの市民の皆様から、本当に京都市は大丈夫なのかという不安の声を数多く頂きます。本市における財政の現状については、高齢化による社会保障費の増加や、公共施設の老朽化などによる修繕、建替えに必要な経費が増え続けるなど、市政運営を取り巻く環境は大変厳しくなっております。そこで、今後の持続可能な行財政の運営に向けて、市民の皆様に広く理解をいただくこと、本市が財政破綻の危機から脱却し、中期的、長期的にも安定した行財政運営を行うことが可能であると示し、市民の皆様が今後も安心して本市に住み続けられると認識していただくことが大変重要であると考えますが、今回の決算をもって、本市の財政運営への市民の信頼は回復したと受け止めておられるのか、また、もしまだ信頼を取り戻すに至っていないとお考えであるならば、今後、更にどのような取組が必要であると考えておられるのか、御見解をお聞かせください。 次に、本市の人口流出の問題、子育て世帯の定住について伺います。本市は令和2年度、3年度と2年連続して人口減少が全国で最多となり、様々な報道がなされたことは記憶に新しいと思います。さらに、全国的な少子化の進行に歯止めを掛けられず、本市としても平成30年に出生数が9,989人と1万人を切って以来、令和4年度は8,372人と、過去5年と比べ2,000人以上も減少し、少子化対策は待ったなしの状況です。全国的な少子化の流れの中、本市の人口減少に歯止めを掛けるためには、市民一人一人のライフステージに合った総合的な政策が必要であり、誰もが安心して子育てできる京都市の実現に向けた子育て支援の強化を強く求めます。国においては、次元の異なる少子化対策として、2030年までが我が国のラストチャンスであると抜本的に政策を強化する方針が示されました。本市におきましては、子供を健やかに育む社会を目指し、様々な子育て支援を推進していますが、政府が国を挙げて子育て支援策を拡充していこうとする中、国の経済的支援等の活用や、本市独自の子育て対策など積極的に取り組んでいくことが必要不可欠です。 人口減少、少子化対策については個々の政策がどういった効果があるのかということについて明らかにすることは難しいですが、スウェーデンなどの欧州諸国では、人口減少傾向からの反転や出生率を高い水準で維持するなどの結果が出ており、その取組を見ると、保育サービスの充実や経済的な支援はもちろん、仕事と家庭・育児の両立が可能となるような支援や働き方改革など、施策相互の関連を十分に考慮することによって、子供を産み、育てやすい環境を作ることが参考として挙げられます。特に顕著な数字では、スウェーデンでは専業主婦の割合が15歳から64歳人口の1パーセント強にとどまり、就労年齢女性のほとんどの国民が働いています。日本では出産を機に労働市場から撤退し、子育てが落ち着いてから労働市場に復帰される女性がいまだに多い中、この数字は女性が子育てをしながら仕事を続けやすい環境が整っているという証左です。また男性の育児休業が当たり前となっている北欧では、デンマークで80パーセント、スウェーデンでは90パーセント以上の男性が育児休暇を取得しています。また労働時間が短く、家庭での生活に充てる時間が長いことによって、夫婦で共に働き、共に家事を分担し、共に子育てをするという生活環境が整っています。そのような観点から、今後の子育て支援には、行政が地元企業、教育機関、医療機関等の様々な機関と連携し、民間の力も十分に活用しながら、性別に関係なく子供を産み育て、しっかりと働いていただける社会、働き方を根本から改革し、社会全体で子育て支援に取り組むことが人口減少、少子化対策に有効なアプローチの方法であり、子育て支援の取組の一環として、働き方改革・ワークライフバランスの充実を実践していくことが求められていると考えますが御見解を伺います。 次に、物価高騰対策についてお伺いします。新型コロナウイルスが国内で確認されてから3年半がたちました。本年5月からようやく感染症法上の位置付けが5類に引き下げられましたが、この間、医療や介護の現場で多くのリスクを抱えながら最前線で仕事に従事していただいた方々、また、保育や衛生関係、公共交通を支えていただいているエッセンシャルワーカーの方々、大変多くの市民、そして大企業から中小零細企業に至るまで、多くの事業者にとって長く厳しい道のりでありました。現在もまだまだ予断を許さない状況ですが、本市として引き続き感染拡大の防止に努めながら、コロナ禍によって多大な打撃を受けた京都の経済損失、社会活動を今後しっかりと回復させていかなければなりません。そのような中、昨年2月にロシアによるウクライナ侵攻がはじまり、現在もなお終息の気配が見えない状況が続いています。そしてその影響を受け、昨年より世界的な物価上昇、グローバルインフレが始まり、我が国においても食糧や燃料をはじめとする様々な資源の価格が高騰し、公共料金の値上がりや、さらに日本円の円安も相まって市民生活や本市の産業に甚大な痛みが生じています。市民にとって最も身近な基礎自治体である本市の役割は、市民の生命と財産を守ることであり、現在の物価高騰における有効な対策、所得の低い世帯や一人親世帯への支援、さらに長期的には労働者の所得向上に全力で取り組むべきだと考えます。本市においては、これまで中小企業物価高騰支援金として、中小企業や小規模事業主、フリーランスを含む個人事業主に向けての支援や住民税非課税世帯、家計急変世帯を対象とした電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金などの様々な支援を行っておりますが、長引く物価高騰の影響で、多くの市民が家計に負担を感じている状況の中、これまでの支援に加えもう一回りの支援が必要と考えます。本市に隣接する長岡京市の例を挙げますと、国の地方創生臨時交付金を活用した住民税非課税世帯、1世帯3万円の支援とは別に、市独自の施策として令和4年度中の所得が622万円未満の世帯に1世帯当たり5,000円の支援を行っています。さらに、全国の他の自治体においては、子育て世帯の負担を軽減するため、市独自の物価高騰対策として高校生世代以下の児童を養育している世帯に所得制限なしの給付金を支給するなどの支援が行われています。本市の厳しい財政状況を踏まえても、こういった独自の取組についてできる範囲で行っていくべきと考えますが御見解をお伺いします。 続きまして、地域における防災力の強化について伺います。近年、気候変動が原因とされる豪雨災害や大型の台風が相次いで襲来するなど大規模な自然災害が常態化してきています。本年も今夏の線状降水帯による集中豪雨により、西日本のみならず全国各地において河川の氾濫や土石流が発生し、家屋の倒壊や都市部におけるインフラの甚大な被害がありました。人的被害に遭われた方、お亡くなりになられた方々に、改めて謹んで哀悼の意を表しますとともに、被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。今後も引き続き、このような自然災害から市民の命と財産を守ることができるよう、より一層の防災・減災に努め、安心・安全なまちづくりを進めていかなければなりません。そのためには、地域における防災力の強化が必要不可欠だと考えます。本市においては、これまで平成11年度に自主防災会の設置率が100パーセントとなり、自分たちのまちは自分たちで守ろうと、多くの市民の御尽力と消防局、区役所・支所等の関係機関が一体となった地域防災ネットワークを構築していただいています。消防局を中心として連携し、自主防災会の育成・指導を行ってきた歴史があり、こうした地域防災の枠組みは今後も堅持すべきものであります。 その一方、今後の地域防災においては、地域の様々な場面で防災力を高める活動をし、防災に関する知識と技能を有する防災士が地域に一定数おられることが重要かと考えます。しかし、京都における防災士の数は、令和4年度、人口10万人当たりの比率で全国平均の半分にも満たず、47都道府県で最下位に落ち込んでいます。京都府が、防災士の養成に向けて取組を進めることが決まりましたが、本市としても一自主防災会、一防災士など具体的な目標を立て、取得費用の助成なども含め、地域防災のリーダーとして認証防災士を計画的に増やしていく必要があると思いますが御見解をお伺いします。 最後に、脱炭素先行地域における取組について要望をさせていただきます。本市は令和4年、環境省が進める脱炭素先行地域への選定を受け、伏見区を中心エリアとして地域における脱炭素のモデル創出に向けた取組を進めています。この取組においては、地球温暖化対策、エネルギー需給に関する施策を計画的に推進するため、全庁にまたがって京都市脱炭素先行地域推進チームを編成し、また民間の関係団体とも京都市脱炭素先行地域推進コンソーシアムを発足、連携しながら、伏見稲荷大社や藤森神社などの文化遺産、伏見大手筋商店街、納屋町商店街、竜馬通り商店街など3商店街の脱炭素転換、伏見工業高校跡地などの市有地活用型脱炭素街区エリアの創出、そして立命館大学や龍谷大学と連携したグリーン人材の育成など、様々な取組を行うことで、2030年度までに電力消費に伴うCO2排出量正味ゼロの実現に向け、また全国に先駆けて、2050年度にはCO2排出量正味ゼロという高い目標に向け、脱炭素社会の実現に向け取り組んでいます。持続可能な社会の実現、サステナブルな都市の構築に向け、この伏見エリアを中心とした取組を通じて、本市ならではの地域脱炭素の京都モデルが全国、世界のモデルとなるよう、そしてさらには脱炭素に加え地域要望をしっかりくみ取り、地域コミュニティの活性化や防災レジリエンスの向上など地域課題の解決につながるよう、引き続きの取組をお願い申し上げ、以上で私の代表質問を終わります。御清聴誠にありがとうございました。(拍手)
○議長(西村義直) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作) 平田圭議員の御質問にお答えいたします。 行財政運営に関する市民の皆様との信頼関係についてでございます。この間、財政状況をフルオープンにして、市会を含め、市民の皆様と危機感を共有の下に、令和3年8月に
行財政改革計画を策定し、スピード感を持って行財政改革と都市の成長戦略を進めてまいりました。そして、この度令和4年度決算において、21年ぶりに特別の財源対策から脱却し、長年の課題でありました単年度の赤字が解消しました。このように財政状況は大きく改善しましたが、市民の皆様の御理解なしに信頼を構築することはできません。平田圭議員御指摘のとおり、いまだ残る過去負債の返済や超高齢化等による
社会福祉関係経費の増加、
景気変動リスクなど、依然として油断できない状況であり、持続可能な行財政の確立と、市民の皆様の豊かさにつながる成長戦略の実現に向けた道筋をより明確にしていかなければなりません。そのため、過去負債について、高齢化がピークを迎えるまでの令和20年度をめどに、できる限り早期に解消すべく、毎年平均35億円以上を返済する見通しをお示しするとともに、改革をたゆまず実施し、企業立地や人口減少対策など成長戦略を加速することを公表いたしました。こうした取組や財政状況について市民の皆様に理解と関心を深めていただくとともに、改革や成長戦略の具体的な効果を実感していただくことが重要であります。今後、成長の効果の早期発現に意を尽くすことはもとより、これまで以上に分かりやすく丁寧な説明、情報発信に努め、市民の皆様からの御意見や御質問に真摯に向き合い、対話を重ねることで信頼関係をより一層強固なものにしてまいります。 次に、子育ての取組についての働き方改革、ワーク・ライフ・バランスの推進についてでございます。平田圭議員御指摘のとおり、長時間労働の解消、多様な働き方が柔軟に選択できる働き方改革や男性の育児休業取得の促進など、民間企業をはじめ様々な機関が連携して社会全体で子育て支援に取り組むことは、人口減少、少子化対策の観点からも極めて重要と考えております。京都市では、第5次京都市男女共同参画計画に基づき、男女共同参画と真のワーク・ライフ・バランスの推進について、一体的かつ効果的に取り組んでおり、あわせて、国・府・経済団体、労働団体等22団体からなる輝く女性応援会議や子育て関連団体など125団体からなる京都はぐくみネットワークと連携し、仕事と家庭の両立支援や誰もが安心して子育てができる環境づくりに取り組んでおります。 また、この間、国においても、長時間労働の是正や男性の育児休業取得の促進に向けた関係法令の整備も進んでおります。これらの趣旨が実際に現場でいかされることが重要であり、今年度は国との共催により、企業における制度や対応ポイントや実践事例等を紹介するセミナーを実施してまいります。引き続き、様々な団体と連携・協働により、誰もが安心して京都で働き、学び、暮らし、子育てをしていただける
京都ならではのはぐくみ文化を推進してまいります。 以下、副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。
○議長(西村義直) 坂越副市長。 〔坂越副市長登壇〕
◎副市長(坂越健一) 物価高騰対策についてでございます。昨年から続く全国的な食料品・エネルギー等の価格高騰により、市民生活や経済にも深刻な影響が出ております。本市においては、この間、国や京都府の対策と歩調を合わせ、総額425億円もの物価高騰対策を講じてまいりました。先日、御議決いただいた9月補正予算におきましても、喫緊の課題であります物価高騰対策等に対し、国の交付金に加え改革で捻出した17億円もの一般財源を投入することにより、切れ目のない時宜を捉えた対策を実施してまいります。本市独自支援については、平田議員御指摘の中小企業等物価高騰対策支援金はもとより、非課税世帯に3万円を給付する京都市くらし応援給付金では、本市独自に家計急変世帯を対象に追加し、今まさにお困りの方に支援が行き届くように工夫したうえで、生活困窮者への寄り添い支援も拡充・強化するなど現金給付にとどまらない支援を実施しております。さらに、福祉施設利用者や子育て世帯等を対象にした食材費高騰に対する支援策では、小学校給食の場合、児童一人当たり年間4,000円の保護者負担を軽減しております。現在、国において新たな経済対策が議論されているところであり、国の動向も踏まえながら、本市として更なる対策について検討してまいります。以上でございます。
○議長(西村義直) 瀬危機管理監。 〔瀬危機管理監登壇〕
◎危機管理監(瀬智史) 地域における防災力の強化についてでございます。本市では、地域防災計画の基本方針の一つに、災害に強い人づくり、組織づくりを位置付け、災害対策基本法に規定される自主防災組織を227の全学区で結成いただいております。こうした自主防災組織に結集いただいた地域の皆様の御努力に加え、本市としても、消防局を中心に区役所・支所等の関係部局も連携した積極的な育成・指導に努めてきた結果、自助・共助を担う地域防災のリーダーの役割をしっかりと果たしていただいており、今後も着実に継承・発展してまいる必要がございます。 平田圭議員御指摘のNPO法人日本防災士機構が認証する民間資格である防災士につきましては、自主防災組織の研修や訓練への参画などに御協力をいただいております。こうした資格の取得を通じて、市民の皆様に防災に関する知識や技能の向上に努めていただくことは、地域防災力の向上につながると考えております。昨年度から、本市内で開始された民間による防災士の養成講座では、年間100名の受講が可能と聞いており、また今年度から取り組まれる京都府の事業にも協力してまいります。加えて、防災士により形成された団体との協力関係の維持・発展を目指すことにより、地域における防災力の更なる向上を図ってまいります。
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○議長(西村義直) 次に、市政一般について、
天方ひろゆき議員に発言を許します。天方議員。 〔
天方ひろゆき議員登壇(拍手)〕
◆(
天方ひろゆき議員) 私は、西京区選出の天方ひろゆきです。民主・市民フォーラム京都市会議員団を代表し質問いたします。理事者におかれましては、誠意ある答弁をよろしくお願いいたします。 本市は、このままでいくと令和10年度に財政破綻すると思われるような報道があった一方で、今年2月には、財政は持ち直したとの報道があり、市民の信頼を得ている状況ではありません。令和3年8月に策定されました
行財政改革計画では、当時コロナ禍であったこともあり、
リーマンショック時を想定した予算編成が行われました。令和3年度から5年度までを集中改革期間とし、歳出では道路建設費などの投資的経費の各年度の上限額を設定するなど、歳入・歳出の均衡を図る計画です。そして、公債償還基金の取崩しによる過去負債505億円は、高齢化のピークを迎えるまでの令和20年度までの返済を目指し、成長戦略では、令和15年度までに一般財源収入の100億円以上の増加を目指しています。この二つの課題は長期の計画であります。一方で、令和4年度の決算、令和5年度予算では、特別の財源対策に頼らず、実質的な黒字でありました。令和4年度の決算では、個人市民税・法人市民税・固定資産税などの市税収入額が過去最高であった状況を踏まえ、今後、単年度の収支均衡を図りながら、どのように
行財政改革計画を進めていくのかお尋ねいたします。 令和4年度の一般会計の決算では、77億円の黒字決算であり、市税収入額は、過去最高であった令和元年度の3,055億円を越え3,119億円になりました。また、基幹市税は、令和元年度と比較すると固定資産税は土地の地価上昇に伴う負担調整措置などにより69億円増であった一方、個人市民税は2億円増、法人市民税は20億円減でありました。その法人市民税は、令和3年度比較では、一部の大企業の収益が悪い状況下での減収であると伺っています。そのような状況の中、雇用状況の安定はもちろんのこと、大企業の活躍に限らず市内企業の99パーセントを占める中小企業の活躍が望まれるところであり、産業用地の確保や今後の成長を促すための新産業の育成などに努め、本市の持続可能な経済循環や雇用環境を作る取組を更に促進させることによって今後の安定的な市税収入の増加が必要であります。あわせて、ふるさと納税は、様々な取組により令和4年度の寄付額が過去最高の95億円になっていますが、今月10月より一部運用が変更されることもあり、更なる取組が必要であります。 また、観光については、暮らしとの調和が本市の課題でありますが、今後、ポストコロナを迎え、宿泊客が増加すれば宿泊税による更なる増収が見込めます。ふるさと納税及び宿泊税は、本市の独自性を発揮できる税目であることを踏まえ、今後、市税の持続可能な運用と更なる増収を目指し取り組む必要があります。いかがお考えですか。 さて、日常生活では、本市の道路・歩道環境では細街路が多く歩道は狭い状況であります。一方、自転車の保有率は高い状況で、いまだに歩道を自転車が走る姿が見受けられます。住宅が多い周辺部では高齢者が多く暮らす状況の中、今まで以上に安心・安全に暮らす環境の充実が求められます。一方、昨年10月22日と23日に、洛西竹林公園内子どもの広場で開催された向日市との交流イベントでは、コロナ明けの時期と重なり、親子の参加が多く、キッチンカーなどによる飲食の提供などたくさんの事業者の参加も見られました。洛西地域では、たくさんの中規模公園がありますが、住民が求めていることを捉えて、民間活力を導入し、公園を利活用する好事例であります。今申し述べました二つの事例は、私が生活する西京区での様子ですが、急速な少子高齢化を迎える中、高齢者の方々からは、若いときに比べると整備されていない歩道は歩きにくく感じたり、子育て世代からは、公園での遊具の設置など要望が多い状況であります。今後、本市は、
行財政改革計画の下、投資的経費の上限値の設定や公債償還基金の解消をしなければならないことを考えると、今後、市内中心部と周辺部での予算の在り方や事業の執行について課題があると思われます。そのうえで、本市のユニバーサルデザインがどうあるべきか、都市経営はますます重要であります。今後、どのように進めていくのかお尋ねいたします。 民主・市民フォーラム京都市会議員団として、7月24日から26日まで他都市調査を実施し、北九州市では北九州市介護ロボット等導入支援・普及促進センターを視察いたしました。北九州市は、本市に比べ対人口比で高齢者比率が高い状況にあり、介護職員の負担軽減、介護の質の向上、高齢者などの新たな雇用機会の拡大を掲げ、国家戦略特区制度などを活用し、先進的介護を目指し、また学術研究機関と協調し、介護ロボット産業の振興を図ってきたとのことでありました。2016年には、介護現場の実態を250項目に分類して調査したところ、特別養護老人ホームでは、直接利用者に接しない業務が半分以上であったことを踏まえ、ICT・介護ロボットなどを活用した業務改善手法を考え、北九州市モデルとして取り組んでおられました。 あわせて、北九州市介護ロボット等導入支援・普及促進センターでは、職員の身体を守ったり、利用者の歩行を助けたり、見守り機能を促したりする機器やICT機器など様々なメーカーのものを取りそろえ、事業者との橋渡しをされるなど、公平・公正の観点でのコンサルティング業務を含め介護ロボットなどの普及促進に励んでおられました。本市においても、特別養護老人ホームなどの施設で業務の見える化を図り、専門的分野と非専門的分野に分類するとともに、ICT・介護ロボットなどの導入により、非専門的業務を積極的に置き換え、ゆとりを生み、そして業務実施方法を変えていくことにより、そのゆとりを業務時間に反映するなど、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などでの雇用の確保や介護職員のワークライフバランスの充実などを目指すことが必要だと考えます。あわせて、施設に介護ロボットを導入しやすい状況を作るなど、働き方改革の推進や待遇改善に前向きな施設に対し、本市がしっかりとフォローできる体制を構築していく必要があると考えますがいかがお考えですか。 次に、本市の少子化対策につながる婚活支援についてお尋ねします。政府において、今年6月13日、異次元の子育て対策となるこどもみらい戦略方針を発表されました。本市においても、これまでの少子化対策は出産や子育て支援など主に妊娠後の支援に取り組んできました。国では、2022年度の補正予算で地域少子化対策重点推進交付金を2021年度の30億円から90億円に大幅に増額し、AIなどを活用した地域における出会いを創出するための施策に対する補助率の引上げや、結婚支援コンシェルジュ事業などを進めようとしています。 一方で、平成25年版厚生労働省白書における結婚に関する意識では、20数年前の2009年当時の調査でも、結婚は、個人の自由であるから結婚してもしなくてもよいかの質問に、当時の50歳未満の各世代において80パーセントから90パーセントが賛成している状況です。また、当時の未婚者の男性・女性のどちらについても、いずれは結婚すると答えたのは約85パーセントとの調査結果であったとともに、国立社会保障・人口問題研究所が令和3年6月に実施した第16回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)では、未婚者の18歳から34歳の男性で81.4パーセント、女性で84.3パーセントと、全体の約8割の男女がいずれは結婚するつもりと回答しています。一方で、独身でいる理由は、自分に合う相手に巡り会わないから、結婚するための所得が不安定、仕事に打ち込みたいということでした。少子高齢化社会を迎え、今や夫婦と子供2人という世帯が多くない中、子育てについても社会全体で応援する機運の上昇が必要とされていますが、独身の男女が出会い、結婚するという可能性を社会全体で見守り育てることも非常に重要だと考えます。加えて、当事者や社会全体が、アンコンシャス・バイアスと言われる無意識の思い込みや偏見に捉われている状況でもあります。例えば、子供を育てるのは費用が掛かるため子供は一人の家庭が多いと思われがちですが、実際は子供二人の家庭も多いこと。親世代の結婚のきっかけは、お見合いや紹介の割合が多く、出会いを出発とする恋愛結婚は、実は今日的課題でもあること。既婚家族世帯の生活はある一定の所得で生活しているのに、結婚生活をするための所得が伴っていないと思っていることなど、このような事実に基づいていない認識が独り歩きしている状況です。当事者の結婚に対する意識の醸成を見守っていく必要があると考えますがいかがですか。 最後に、少子化対策につながる出会いと交流の環境整備についてお尋ねいたします。平成27年より、京都府では、きょうと婚活応援センターを運営し、AIを利用したネット婚活のほか、婚活支援団体や婚活マスターとの連携などに取り組んでいると伺っております。もちろん、民間の婚活支援事業も数多く存在していますが、その出会いが継続的に発展する仕組みづくりが必要です。また、本市では、平成19年より新景観政策を実施し、三方は山麓に囲まれ、落ち着いたまち並みであり、悠久の歴史を感じさせるお寺や神社など、京都を感じていただけるまちづくりに努めてまいりました。眺めを確保する視点場づくり、夜間景観、歩いて楽しいまち、魅力のある公園づくり、花灯路などの東山・嵐山でのイベントなどに取り組んできた本市は観光都市でもあり、交流人口が多いという特性があることから、このような都市特性を大いに活用すべきです。そのうえで、出会い以降をサポートするために、本市の飲食店や観光分野の方々に御協力いただく仕組みづくりが必要です。そのような民間との連携を深めるために、例えば千葉県流山市に見られる恋届などを京都市でも発行し、飲食店やホテルなどのほか、もちろん本市施設においても、その証明をもってサービスを受けられる、また、暮らしにおいては、シェアハウスやコレクティブハウスの提供など、賃貸物件提供のオーナーや企業など民間の協力をいただきながら、きれいなまち、歩いて楽しいまち・京都を二人でかっ歩するなど、恋愛に明るいまちづくりに取り組んでいただきたいと考えますがいかがですか。 以上をもちまして私の代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(西村義直) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作)
天方ひろゆき議員の御質問にお答えいたします。
行財政改革計画の今後の進め方についてでございます。この間、市民の皆様の御理解・御協力を得ながら計画に基づく徹底した改革を進めると同時に、国との緊密な連携、府市協調の下、市民・事業者の皆様の下支え、都市の成長戦略の推進をはじめとした担税力強化を進めてまいりました。こうした取組が相まって、令和4年度決算では市税収入が過去最高を更新するとともに、21年ぶりに特別な財源対策から脱却、77億円の黒字となり、長年の課題でありました単年度の赤字を解消しました。しかし、いまだ残る過去負債の返済や超高齢化等による
社会福祉関係経費の増加、
景気変動リスクなど依然として油断は禁物であります。以前の状態に再び戻さないないように、持続可能な行財政の確立と成長戦略の実現に向けた道筋をより確かなものにすることが極めて重要でございます。このため、今後の行財政運営につきましては、いまだ残る470億円の過去負債について高齢化がピークを迎えるまでの令和20年度をめどに、できるだけ早期に返済するとともに、市民の皆様の暮らしの豊かさにつながる都市の成長戦略を加速化させることで、足腰の強い財政基盤の更なる強化を図ってまいります。そして、将来世代に負担を残さないように改革をたゆまず実行し、魅力あふれる京都の今と未来を市民の皆様と共に切り開いてまいります。 次に、市税の持続可能な運用と増収についてでございます。この間、市民・事業者の皆様の御努力や、都市の成長戦略の推進ををはじめとした長年の担税力の強化、観光客の回復による宿泊税の増収により、令和4年度の市税収入は過去最高を更新いたしました。市民一人当たりの市税収入は、私の市長就任当時、政令指定都市との差が1万7,000円程度あったのが4,000円程度にまで縮小しました。こうした収入増加の取組の効果もあり、21年ぶりの特別の財源対策からの脱却、単年度赤字の解消を図ることができました。引き続き、物価高騰や担い手の確保といった課題にしっかりと対応しつつ、企業立地の促進、スタートアップの創出や海外への販路拡大などの支援、地域企業の皆様に寄り添い事業の継続をお支えし、新たな挑戦、成長を後押ししてまいります。 また、市民生活と観光の調和の下、朝観光・夜観光の推進や質の高い宿泊環境の整備にも取り組み、宿泊観光や長期滞在を促進するなど、宿泊税の一層の増収を図るとともに、ふるさと納税につきましても、国の制度改正に的確に対応しつつ、京都の強みをいかした伝統産業等の振興にも寄与するように魅力あふれる返礼品を強化するなど更なる寄付獲得に取り組んでまいります。財政基盤の強化は、安定した市政運営にとって不可欠でございます。今後とも市民税の増収確保に向けて全力で取り組んでまいります。 以下、副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。
○議長(西村義直) 吉田副市長。 〔吉田副市長登壇〕
◎副市長(吉田良比呂) 少子化対策としての婚活支援についてでございます。出会いを求める方に対する環境づくり、また、天方議員御指摘の子育て世帯などの状況について正しい理解を深めることが、自ら望むライフスタイルを過ごすこと、更には少子化対策としても重要であります。本市では、京都商工会議所との協働による大規模な婚活事業を他都市に先駆けて行ってきた実績があり、現在では地域の特性をいかし、市民の方に身近な区役所の事業や活動に引き継がれています。 また、民間団体においても様々な活動が展開され、今年度はこれまでにない新しい取組として民間企業と連携し、京都市初となるメタバースを活用した婚活事業を実施する予定です。引き続き、京都府のきょうと婚活応援センターとも連携し、京都市のワーク・ライフ・バランスの取組の情報発信に加え、今年度新たに立ち上げる子育てポータルサイトも活用し、本市の充実した子育て環境について、結婚を希望されている方などへお伝えをしてまいります。今後とも、民間企業の皆様とも連携し、他都市の事例も参考にしながら、多くの方が京都で出会い、京都に暮らし、地域の活性化にもつながる豊かなまちづくりを目指してまいります。以上でございます。
○議長(西村義直) 坂越副市長。 〔坂越副市長登壇〕
◎副市長(坂越健一) 少子高齢化社会における歩道環境及び公園の整備についてでございます。市民の皆様の生活に重要な役割を果たす都市基盤は、少子高齢化等社会環境の変化を踏まえ、様々な世代の方々が安心・安全に利用できるようユニバーサルデザインの考え方を考慮し、整備することが重要であると認識しております。歩道環境におきましては、国費を積極的に活用しながら、本市が策定したバリアフリー全体構想を基に重点整備地区を選定しバリアフリー化を進めており、当該地区以外についても、交通安全施設整備事業として歩道拡幅や勾配改善等に取り組んでおります。 また、公園につきましても、老朽化が進む中、Park-PFI制度を活用するなど広く民間活力も積極的に導入し、再整備や施設更新を進めるとともに、あらゆる方々に快適に御利用いただけるようバリアフリー化やインクルーシブ遊具の設置を進めております。引き続き、幅広く市民の皆様のお声に耳を傾け、誰もが安心・安全に快適に利用できる都市基盤の整備に取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(西村義直) 安部保健福祉局長。 〔安部新型コロナ対策・ワクチン接種統括監登壇〕
◎新型コロナ対策・ワクチン接種統括監(安部康則) 介護施設への支援についてでございます。介護施設では、担い手不足に対応しながら質の高いサービス提供が求められます。そのためには、処遇改善に加え介護現場の業務の専門性に着目した取組を進め、生産性の向上や担い手の裾野を拡大していく必要があります。本市では、これまでから、直接見に行かなくても就寝時の状態が把握できる見守りセンサーなどの導入や、その基盤となる無線LANの環境を整備するための助成を実施し、延べ300近い施設で活用され、介護職員の負担軽減につながっています。さらに、外国人介護職員や業務未経験者向けの研修にも取り組んできたところです。 また、国が今年度新設した介護職員の働きやすい職場環境づくり表彰では、介護の未経験者が比較的専門性を要しない業務を分担することで、より質の高いチームケアを実施する取組等が評価された市内の施設が、厚生労働大臣表彰を受賞しております。今後とも、京都市老人福祉施設協議会等と連携し、このような好事例を広めていくなど介護施設への更なる支援を進めてまいります。以上でございます。
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○議長(西村義直) これをもちまして一般質問を終結いたします。 本日はこれをもって散会いたします。 〔午後4時5分散会〕
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△(イメージ)請願文書表「受理番号20」「養正市営住宅団地再生計画の見直し等」・陳情文書表「受理番号934」「洛西ニュータウンにおける総合病院の存続・充実」...