皆さんおはようございます。(「おはようございます」と呼ぶ者あり)
自民党、上村哲三でございます。(「頑張れ」と呼ぶ者あり)一般質問、初登壇となります。よろしくお願いいたします。
先月、5月の末のことでございます。
八代広域行政事務組合議会の行政視察に、管理者の坂田市長とともに、愛媛・香川に行ってまいりました。その折の一端に触れ、質問に入りたいと思います。
松山市でのことです。研修を終えまして、宿泊所のすぐそばに、3000年の歴史を誇る日本最古の道後温泉があり、小説「坊ちゃん」発表100年記念としてにぎわっていると聞き、市長のたっての申し出もあり、夕食の時間をおくらせて行ってまいりました。本館は、古い建物で重要文化財となっており、通称「坊ちゃんの湯」として、1日平均約3300人の入湯者があることには驚かされました。また、周囲の
まちづくり等も大変勉強になりました。
そのとき、ふと思いました。市長の頭からは、
日奈久温泉活性化や開湯600年事業のことが常に離れないのだろうなというふうに思いました。そして、この機会に何でも吸収してやろうと、その勉強のどん欲さには改めて感服した次第でございます。改めて敬意を表します。
また、
県庁所在地松山市51万のその隆盛と県下第2の都市今治市17万との疲弊の比較も勉強になりました。まるで、本県でいえば熊本市と八代市をよく映したようなありさまで、県下第2の都市として自負できる
まちづくりに真剣に取り組むべき意志を新たにしたところでございます。
そのようなことも踏まえ、質問に入りたいと思います。
まず、発言通告1の
林業振興施策についてでは、昨年8月1日の合併による新市の面積680平方キロメートルのうち、森林面積が約74%を占める割合となっております。これは、日本国土全体に占める森林面積の割合と、ほぼ同率でございます。林野庁の試算によりますと、森林のさまざまな機能をお金に換算すると、全土で75兆円余りになると言われております。
しかしながら、恵みの森林を守り育ててきた旧山村は、過疎と高齢化の荒波をもろに受け、人手不足と、昭和40年代以降、木材の価格の低迷や輸入木材の台頭などによる
経済的理由で育林意欲が喪失し、森林の荒廃が進んでいます。
私は、合併第1回の
市議会議員選挙の折、マニフェストをつくり、宝の山を生かせと、このことを強く訴えてまいりました。しかしながら、本市においてまだそのような施策がなかなか見られず、林業家の収入を安定させ、育林意欲を新たに生み出す施策はないものでしょうか。つい先日の情報で、国もやっと重い腰を上げてきたようですが、現在、市・県の施策としては山林資源、特に木材資源の活用と林業再生の取り組みの現状についてお尋ねをいたします。
次に、大項目の2、合併後の地域課題についてを質問いたします。
その1では、今回、対等合併という前提で、おのおの財政規模、立地条件が大きく異なる中、1市2町3村が合併するということは容易なことではなかったろうと思います。その最たるものが、期限寸前のどたばた劇であったろうと思います。私も、住民投票や廃置分合の再提案、議決までの数カ月で精力の大半を費やして、
村議会生活の集大成ではなかったかと思っております。結果、合併が成功したことは何よりでした。
平成18年度に入り、本当の意味での新八代市がスタートしました。しかしながら、特に財政面から、公平性や平等という名目のもとに、合併協議の中では、
周辺山間部、特に泉、東陽、坂本の3村での福祉政策が大きく後退してしまった現状があるのではないでしょうか。税は、市内一円どこにいても一律の割合で納付の義務があります。しかし、過疎や高齢化も進み、道路事情などその立地の特殊性を加味するとき、
生活基盤整備や福祉政策は平野部と山間部での格差ができ、果たして現行政策が真に公平・平等なものか疑問でございます。
福祉政策の協議項目も、合併後検討するとうたわれているものがありますが、その取り組みの現状についてお尋ねをいたします。
2番では、特に合併により廃止された旧坂本村、現坂本町の
福祉タクシー券の代替措置についてお尋ねをいたします。
旧坂本村が実施していた
福祉タクシーの給付事業は、山間に75もの集落が点在しており、
過疎周辺地域に居住する交通弱者が多額の交通費の出費を強いられていることから、交通手段の確保は重要な政策課題として給付されてきたもので、駅、バス停から500メートル以上の地区に住んでいる70歳以上の高齢者、障害者等で、
自動車運転免許を所有していない人に対する
タクシー利用料割引事業でございました。平成14年より実施され、平成16年の実施件数は、対象者334名、4426件、230万5700円の補助額でございました。合併後は、その不便さと費用負担の増により、交通弱者の住民からは、一刻も早い代替措置が強く要望されているところです。
このことは、合併協議の中で、新市において、廃止し他の施策を検討するとなっておりますので、現在の検討の進捗状況をお尋ねいたします。
次に、大項目3の、
県営荒瀬ダム撤去に伴う市民生活への影響についてを質問いたします。
1番で、いよいよ2010年、平成22年4月、
荒瀬ダム撤去工事が始まるということは、皆様御承知のことと存じます。
さて、
県営荒瀬ダム撤去に伴う市民生活への影響についてでは、前回、他の議員よりも撤去工事に際しての土砂搬出の問題等について質問がなされておりましたが、地元住民においては他のさまざまな問題点が指摘されています。
そこで、去る5月19日に開催されました第1回
荒瀬ダム対策会議の内容はいかなるものだったか、具体的な問題点など取り上げられ検討されたのか、また、県からは、ダム撤去に際し本市に対してのさまざまな計画の打診があっていると思いますが、どの程度のものか、詳細にわたり報告を求めます。
第2に、現在、坂本町住民の間では、
荒瀬ダム撤去を歓迎する反面、その後の周辺整備に対する不安の声も多く上がってきております。坂本町で、
荒瀬ダム堰堤は開業以来50年間、地元住民の生活道として供用されてきました。荒瀬ダムの撤去に伴い、代替道路、いわゆる堰堤のかわりといえば橋になりますが、この建設は必要不可欠であると思います。さらに、この建設に関しては
撤去工事開始以前の完工が望ましいというふうに思われます。
県企業局の見解は、堰堤を正式な道路として認めていないことから、
代替橋建設がなされないのではないかと懸念されておりますので、今後、代替橋の建設には高額な費用を伴うため、その必要性を本市はどの程度の認識を持っておられるのか、お尋ねをいたします。
次に、3の、
荒瀬ダム上下両流域における簡易水道の水源確保についてをお尋ねいたします。
過去において、ダムに関する補償や救済は、
ダム堰堤上流域をその被害地として強く認識されてきました。現実に、ダムの湖底調査で長期にわたり水量を下げた折には、上流地の井戸の水がかれるなどの影響が出ております。ダム撤去後は、ダム建設以前の球磨川が再現されると喜ばれる向きがあるようですが、まだ上流に
電源開発瀬戸石ダムがあり、当ダムは1日に最高9時間の発電しか行えず、放水時間も残りの1日15時間は行えないとのことでございます。
過去5年間の荒瀬ダムと
瀬戸石ダムへの流入水量の調査をいたしました。相当量を減じている現状がございます。当地域内においては、
球磨川左岸での新幹線の
トンネル工事により10数河川が枯渇するなど、過去の球磨川の再現はなかなか難しいのではないかと推測される向きもあります。
そこで、今後、球磨川に水源を求める簡易水道の水質悪化や、水量の確保が十分なされるのか懸念されるところであります。十分な事前対策と
危機管理意識が必要とされると思いますが、どのようにお考えでしょうか。よろしくお願いをいたします。
以上で壇上での質問を終わり、再質問は発言席より行います。
(
農林水産部長宮田隆則君 登壇)
◎
農林水産部長(宮田隆則君) おはようございます。(「おはようございます」と呼ぶ者あり)
議員お尋ねの1項目め、
林業振興施策についての、山林資源の活用と林業再生への取り組みの現状についてお答えいたします。
林業については、議員より申し上げられましたとおり、木材価格の低迷、
後継者不足等、大変厳しい状況にあります。このような中で、森林の持つ多面的機能の維持や、環境林、経済林としての森林育成を図っているところであり、重要なことと考えております。
利用促進については、国、県等においても地産地消等の取り組みが進められているところであり、本市においても、土木工事、
建築工事等において木材の使用を進めているところでございます。また、県においても、材質の向上を図るため、
民間事業者等に対する木材の
人工乾燥機械のリース料を助成する
乾燥材供給体制緊急整備事業を、今年度よりスタートしています。熊本県
木材協会連合会においては、住宅新築における柱材、
マンションリフォーム時の内装材等に県産材を提供する、熊本の、森林を育む木の
住まいづくり推進事業等に取り組むなど、行政、
木材関連団体等による利用促進が図られております。
このようにして、県産材の利用促進を図ることにより林家の収益を確保し、その収益によって伐採後の各種施業が行われるという林業のサイクルの維持を図りながら、森林の保全・整備を進めてまいりたいと考えております。
次に、林業再生への取り組みですが、林家の所得確保に向けた取り組みとして、林道、作業道等の生産基盤の整備や、
良質材生産のための間伐等の森林施業を進めております。また、
新規就労者対策として、
県補助事業の緑の
雇用担い手対策事業を活用し、本年度は八代森林組合において3名の
新規就労者が確保されております。林業を取り巻く情勢は大変厳しいものがありますが、森林を整備・保全するため、今後とも諸施策を推進していきたいと考えております。
以上、お答えといたします。
◆上村哲三君 ただいま、いろんな取り組みというのを県、市レベルでお話をいただきました。
私は、今回質問の趣旨というのは後でまた述べたいと思いますが、森林、特に木材活用のいろんな先進事例がございます。テレビでも、
NHKあたりでも相当やっておりました。やはり相当の危機感を持っているから、ああいう取り上げ方をするんだろうというふうに思っております。
その先進事例としては、長野県の
間伐材普及啓発運動というのが先日、もう相当前ですが、昨年のことですが、NHKの番組で取り上げておりました。この発端と申しますのが、公共事業の激減による県内関係各事業者の支援のためがまず第一義。これで、県がゼロ予算で取り組んでおります。その中でも、県で一番の財産である森林資源を活用できないかと、これを民間の事業者に問いかけてお話をして、県の職員がまいったということでございます。
そして、他業種との協議を重ねた結果、3者ほどが手を挙げられております。この、まずは除間伐材から利用をやってみようと、何がいいかということで、
ガードレールを木材でできないかというような取り組みから始まっております。それに対してですね、それがあり、
国土交通省の強度基準をクリアするまでの間、補助を出しておると。そのとき初めて県の補助がついております。
そういう形で、
ガードレールの製作から、現在に至っては木製の井げた、擁壁、のり面の枠、排水溝材、看板等に至るさまざまな利用を現実のものとし、県内経済を潤しております。そういう形で林家にも収入をもたらして、金の還流を県内でやっているというようなことでございます。
鉄の
ガードレールを購入するには、県外から持ってこなければなりません。長野県のお金を、よその県外に持っていかれる。じゃなくて、自分のところの資源で自分のところの材料を確保して、地元の業者に金を還元していくと。これはまた、利益が出れば税金となって戻ってまいります。そういう形を長野県が進めてきたわけでございます。
また、近隣の地域では、芦北、水俣での取り組みがございます。間伐材を中心に、
民間合板製作会社との提携により、その活用と育林意欲の向上、
林業家収入の安定及び地元経済の発展に寄与しているものでございます。
熊本県や本市においても、大型の建設事業の減少により経営の悪化している事業者が、異業種に手を出すというのは大変勇気の要ることだろうと思います。そこで、民間からの積極的な取り組みを促すように、行政での、このような
長野あたりの先進事例を参考にした森林活用、特に木材資源の活用のための協議会の立ち上げなど、意欲をかき立てるための主導が早急にできないものか、お尋ねします。
育林というのは、1年、2年のスパンでできる事業じゃございません。長く30年、40年の回転を経ながらやっていくものでございます。いろんな国の取り組み、県の取り組みがある中で、後発になってしまっては何にもなりません。今こそ手がけるべき時期じゃないだろうかというふうなことを思いますので、どうぞそのような形の主導が早急にできないかということで、再質問をいたします。
(
農林水産部長宮田隆則君 登壇)
◎
農林水産部長(宮田隆則君) 森林活用のための協議会の立ち上げについてお答えいたします。
森林資源活用においての
民間活力導入は大変有効であり、導入については今後推進する必要があると考えております。そこで、
民間事業者と行政が一緒になって森林活用について取り組む組織として、八代地域においては、
八代地域木材需要拡大推進協議会というのを設置されております。
この協議会は、関係諸団体と協調・連携して、地域における林業及び木材産業の活性化を図り、地域産業の振興に資することを目的に、
森林管理所、
八代地域振興局農林水産部、土木部、
教育事務所、八代市森林組合、
木材協同組合、
製材協業組合、
土木建設業界、
建築協同組合等の、林業、木材にかかわる関係者で構成されております。
現在の活動として、建築物等の
木造化促進を図るための研修会、広報宣伝、及び市町村、各種団体への要望活動、
イベント会場、学校等における
木工教室等の啓発活動や利用拡大への各種調査、研修等の情報収集・提供等を主体とした取り組みがなされているところでございます。
御質問のとおり、今後は新しい需要の開発や利用方法の
取り組み等に向けた活動も必要であり、協議会の中で、それらに対する提案・要望を行っていきたいと考えております。
森林については、整備・保全の推進はもちろんのこと、木材の利活用も大変重要なことから、今後とも、多方面にわたる取り組みについて積極的に進めてまいりたいと考えております。
以上、お答えといたします。
◆上村哲三君 執行部の方でも積極的な取り組みが必要であるという認識のもとであるということでですね、心強く思っております。
国の統計では、人工林資源量はですね、40年前の約4.6倍に増加しておるというふうに出ております。また、国産材の平成17年度用材自給率は、前年度の18%台から20%を超える見込みであるなど、国産材復活の兆しが見られるということでございます。そんな中、国では、林業、木材産業の再生を強く意識し、早期に実現を図ることとし、即座に具体化できるものについては平成19年度予算編成において反映すべく取り組むと、本年度やっております。
有力情報によりますと、平成19年度に熊本市に集成材のモデル工場を建設するという話が来ております。私は、この話を聞いてですね、その工場を八代に持ってこれないかとお願いをしてみましたが、残念ながら政治の力が足りませず、熊本市ということで現在のところは聞いておる次第でございます。
先ほど申しました先進事例を参考にいたしますと、県や広域での取り組みでなくですね、本市のみで即座に対応できる、そのようなことがあるのではないでしょうか。特に、
ガードレールへの木材の活用の例などは有効というふうに思います。本市における市道の総延長は、約1688キロメートルございます。その中で、
ガードレールの敷設延長は約170キロメートル、10%となっており、費用換算では17億円以上というふうに想定されます。原材料から施工まで市内の民間企業の手で行われれば、有意義な産業振興と活性化につながるのではないでしょうか。
しかし、その基本には林家の安定収入の確保というのが、これが第一義でございます。現在までに、資本主義社会構造の中でですね、この木材産業というのが大変競争社会の中で埋もれてきた感があり、なかなか収入の安定に結びつかなかった。ややもすると採算倒れの現状というのがあるのではないでしょうか。
現在、旧坂本村におきましても、今回18年度より地籍調査が進みまして、4月より約68%の新規な課税がなされております。これからもますます山間部の地籍調査が進んでいくと思われますが、中には、登記面積が過去の数百倍になった例もあるそうでございます。となると、固定資産税等の問題が重くのしかかってまいります。合併に伴い評価額は若干見直されたそうでございますが、林業収入のほとんどない林家にとっては苦しいところでございます。中には、お金がないときには物納ではだめだろうかというような声も聞こえてきております。山林資源に息を吹き込んで、資産とすることが必要ではないのでしょうか。地籍調査により面積が増した分に関しては、林家にとって財産が増したと思えるような、納税や育林の意欲がわくような早急な取り組みが必要だというふうに強く思っております。
これに関しては、先ほど事例を述べましたように、大きな予算も必要なく、民活を上手に主導することでできる事例がたくさんあるというふうに思います。ぜひ研修を深められ、実行のできるものは即対応をお願いして、強くお願いをいたしまして、この質問を終わりたいというふうに思います。
特に市長におかれましては、県議時代に八代郡の選出でございまして、山のことに大変傾倒があり詳しいというふうに思いますし、私が本日ここの森林資源の問題で述べました質問のこともですね、執行部のだれよりもいち早く理解していただけたというふうに思っております。ぜひ、よろしくお願いをいたしたいと思います。
次、お願いします。
(
健康福祉部長兼
福祉事務所長橋口邦憲君 登壇)
◎
健康福祉部長兼
福祉事務所長(橋口邦憲君)
議員お尋ねの2点目、合併後の地域課題についてお答えをいたします。
まず、1項目め、
周辺山間部の地域性、特殊性を考慮した福祉施策の充実についてですが、御承知のとおり、昨年8月の市町村合併により、人口14万人、面積680平方キロを有する新八代市が誕生をいたしております。
合併前の旧町村では、地域の特殊性を考慮してさまざまな独自の福祉施策が行われており、地域間でのサービス格差がありましたので、合併協議において、福祉関係では、障害者、高齢者、児童、母子、生活保護など156項目の事業にわたり調整をされたところでございます。
調整方針といたしましては、実績がなかったり利用件数が少ないもの、新市においても引き続き実施すると財政的に困難と思われるものについては廃止し、また、各市町村のサービスに格差があり過ぎて調整がつかないものについては、合併年度は現行のとおり新市に引き継いで引き続き実施することとし、18年度以降のサービスについては新市において検討することといたしておりました。
例えば、
周辺山間部におけるケーブルテレビの安否確認システムや訪問理美容サービスなどが、18年度以降は新市で検討することとなっており、議員御案内の旧坂本村における
福祉タクシー券もその一つとなっております。
ケーブルテレビの安否確認については、新規の申請が少ないことなどを考慮し、新規の申請は受け付けないものの、現在利用されている方については引き続き利用できることといたしております。
また、訪問理美容サービスについては、旧坂本村地域で行われておりましたが、高齢化率が40%を超えるにもかかわらず利用者が予想以上に少ないことから、18年度以降は廃止といたしております。
次に、2項目め、合併により廃止された旧坂本村の
福祉タクシー券の代替措置の取り組み状況についてでございますが、
福祉タクシー券については、合併後の新市において旧坂本村で行われていた施策をそのまま引き継ぐには、対象者の増加や財政面などから非常に厳しいものがあり、合併協議において
福祉タクシー券については廃止とするという調整方針になったものでございます。
なお、調整内容といたしましては、ただ単に廃止するというのではなく、公的交通機関から遠隔地にお住まいの高齢者並びに障害をお持ちの方などの交通手段の確保を検討する内容になっており、新市において他の施策で検討する必要があると確認をされているところでございます。
現在の取り組み状況といたしましては、福祉バス、コミュニティーバスの導入や、スクールバスなどの活用を含め新しい手法を検討しておりますが、現段階では目に見える形には至っておりません。
なお、山間部など公共交通機関が整備されていない地域における交通手段の確保や生活基盤の整備は重要な課題であり、今後関係機関と連携を図りながら、また先進事例を参考に、地域の均衡ある整備へ向け、積極的に協議を進めてまいりたいと考えております。
以上、お答えといたします。
◆上村哲三君 今、部長の答弁にあったとおりでございますが、この福祉施策の中で、
福祉タクシー券あたりが廃止された理由の一つにですね、これを同じ対象者として合併八代市の全域に広げると財政困難という点が挙げられております。しかし、検討の課題としては、やはり今申されたようにですね、立地、地域性というのが大変加味されて、合併後の協議課題というふうに挙げられておるわけでございます。どうしてそのときに──今、国でも特区制度というのを大変重要視して、いろんな認可がおりておりますが、どうして、合併においてもそういう地域性をもっと加味してですね、泉、東陽、坂本山間部におけるやはり立地、それからいろんな
生活基盤整備事情などを考慮したですね、やはり大きな心が持てなかったんだろうかというふうに思っておるわけでございます。
坂本村におきましてもですね、小学校統合を契機にスクールバスを代替措置として利用することも検討されてきとったわけでございます。現在、路線バスに対しては、平成17年度でも約1400万程度の不
採算路線確保のための補助金も支出し──坂本町だけで支出をしておる状況でございます。これは、つい今週の新聞に、熊日にですね、10月に県が不
採算路線の補助打ち切りをというふうに、大きく熊日さんの方で取り上げられておりましたが、今後は、県の赤字路線バスの事業の補助見直しもですね、相当厳しいものも予想されてまいります。早急な対策が望まれているところではないでしょうか。
せめて、週二、三回程度の交通弱者居住地域への福祉バス、または現行八代市でやっておりますサロンバス、またはスクールバスの利用も含めた交通手段確保が図られないものでしょうか。ぜひ、検討があったならお答えをいただきたいというふうに思います。
◎
健康福祉部長兼
福祉事務所長(橋口邦憲君) お答えをいたします。
議員御指摘のスクールバスにつきましては、僻地児童生徒援助費補助金で購入をされており、目的外使用に抵触し、福祉バス等についても、関係行政機関との許認可の調整、民間事業の圧迫など、さまざまな問題点がございます。住民の交通手段の確保は、合併協議の中でも真剣に討議をされた経緯があり、その必要性は十分認識をいたしております。
その方法については、コミュニティーバスや福祉バスの利用ができないか、そして運行の範囲を、医療機関など公共的施設付近までなのか、路線バスまでの運行が適当なのか、自己負担をどのようにするのかなどを具体的に検討してまいりたいと考えております。
また、議員御案内のとおり、今後バス事業の補助見直しも予想されることから、関係各課と協議を進め、地域住民のニーズを伺いながら、本年度中には一定の方向性を見出したいと考えております。
以上でございます。
◆上村哲三君 現状はわかりました。現在、合併より約十月を経た新八代市でございます。しかし、いまだにですね、私がただいま申しました福祉政策へのいろんな代替案も示されない中で、交通弱者の住民からは、もう言い方は悪いですが、「こんなことなら合併しなければよかった」などという声も時折聞かれるわけでございます。どの方もですね、何も補助金が欲しくて言っておられるのではないことをですね、皆さんおわかりをいただきたいというふうに思います。本当に欲しいのはですね、最低必要な足の確保でございます。これが切望されているところでございます。応分の負担はしてもよいという声を聞いております。
実際、
福祉タクシーの補助を4000円もらっても、往復タクシー1万円かかるという地域が坂本にはございます。御存じなければ御紹介をしておきます。今、部長の答弁でですね、今年度中に一定の方向性を見出したいというような言葉がありましたが、もう合併から十月たっております。ぜひですね、今年度中と言わず、できれば一刻も早い代替措置の実施を切にお願いをしておきたいというふうに思います。
次、お願いいたします。
(
企画振興部長小笠原亨君 登壇)
◎
企画振興部長(小笠原亨君) 議員御質問の3項目め、
県営荒瀬ダム撤去に伴う市民生活への影響についてお答えいたします。
まず、その中の1点目、第1回
荒瀬ダム撤去対策検討会議の協議内容についてでございますが、議員御承知のとおり、第1回目の会議をことしの5月19日に開催をいたしております。
会議では、まず委嘱状の交付が行われました後、会議の公開について、委員の皆様に確認をいただいております。
次に、当
荒瀬ダム撤去対策検討委員会のオブザーバーでございます県企業局により、荒瀬ダムの現状についての説明が行われております。その内容は、荒瀬ダムの現状、
荒瀬ダム撤去の決定、荒瀬ダム対策検討委員会の設置、また
荒瀬ダム撤去方針の策定、今後の取り組み、そしてダム管理対策及び環境対策の実施状況でございます。これに関して、各委員より、橋梁の問題、八代平野の利水の問題、県道の擁壁補修の問題、水質調査項目の問題、また河川水位と地下水位の関係等の御質問や御意見、これらが出されているところでございます。
続きまして、事務局から、旧八代市、旧坂本村の問題整理として、これまで市、村が県に対して要望を行ってきた内容について御説明を行い、各委員に共通の認識を持っていただいたところでございます。
具体的な内容の協議は2回目以降に行ってまいりますけれども、これまでの問題を含め、これから鋭意検討、協議を重ね、新市としての意見、要望を取りまとめ、ことしの秋を目標に、県に要望等を行っていく予定でございます。
また、県からの情報提供につきましては、県の荒瀬ダム対策検討委員会での協議状況を随時お知らせいただいております。具体的に申し上げますと、ダム撤去工法や泥土の除去方法、環境保全措置等について説明を受けているところでございます。
一方、市民への情報提供につきましては、本庁と坂本支所において県の荒瀬ダム対策検討委員会の会議概要を公開しており、また、県企業局のホームページでも荒瀬ダム対策検討委員会の内容等を掲載し、一般公開がなされております。加えて、本年1月には、県の荒瀬ダム対策検討委員会においてダム撤去方法が決定されておりまして、そのことについて地元説明会が、ハーモニーホールと坂本支所の2カ所で開催をされております。
以上、市の
荒瀬ダム撤去対策会議の概要と県からの情報提供の状況報告とさせていただきます。
次に、御質問の2点目、ダム堰堤の撤去工事に伴う代替橋の必要性の認識についてお答えをいたします。
旧坂本村では、平成15年10月、熊本県に対しまして、
荒瀬ダム撤去に関する諸対策についての要望がなされております。その中に、球磨川架橋、荒瀬・大門間についての要望が盛り込まれておりまして、旧坂本村の課題として新市の
荒瀬ダム撤去対策検討会議に引き継がれ、議論されているところでございます。
このようなことから、現在生活道路としての役割を果たしておりますダム堰堤の代替路確保につきましては、重要な問題の一つであると認識をいたしているところでございます。しかしながら、県企業局からは、ダム堰堤上の通路はダム施設の維持管理のために設置されたものでございまして、道路法に基づく路線認定もなされていないことから、代替橋の補償対象とはならず、またダム上下流の近くに橋がありますために、代替橋の必要性は低いとの認識が示されてございます。
そのような中ではございますが、対策会議の中での十分な論議を踏まえて、市としての方針を整理してまいりたいと考えております。
続いて3点目、よろしゅうございますか、(上村哲三君「いや」と呼ぶ)はい。
◆上村哲三君 大体、
荒瀬ダム対策会議の内容というようなもの、また工法についても御説明をいただきました。
支所にも資料を置いてあるということでございますが、ぜひ、今後はもっと一般住民の方にも詳しい資料が伝わるように、市政協力員さんたちの会議等また配布資料等を通じて、逐一詳細な情報を住民の皆さんに流していただければというふうに思います。
また、橋の必要性に関してはですね、平成3年より私も小学校のPTAの方に籍を置いておりましてですね、実は私の小学校が、球磨川に潜水橋というてですね、水が出ればつかります。水の少ない渇水期には干上がっておって橋のかわりになるわけですね。そういう形のものがありまして、その橋を利用した通学生がおりました、たくさん。そういう形でですね、やはり危険なことから、大分PTAの中でも当時の
教育委員会と話をしましたが、なかなかうまい方策がなく、国の方も正式な道路としては認めていないんですよというふうな声が返ってくるばかりでございました。そういうところで、橋はできないかというような相談を持ちかけました。もう、橋ができれば間違いなく安全の確保はできるだろうと、今よりも。ということで申し上げましたところ、そのときに、林道、広域林道坂本山江線、これの搬出道路としての取りつけ路が確保されねばならないのでということの話がございました。それではぜひということでお話をしたんですが、残念ながらそれ以降、10数年取り組みがなかったわけでございます。
皆様御存じのように、坂本町はちょうど中央を球磨川に寸断されております。橋は必要不可欠なものでございます。しかしながら、
代替橋建設に際しては、高額な予算が必要となってまいります。
平成19年に完工を迎える林道坂本山江線の取りつけ道路の起点が現在は県道となっているということでございますが、木材の搬出道路などとしては大変、皆さん御存じのように幅員も狭く、なかなか困難ではないだろうかと思われます。
対岸への国道への橋梁建設が最良の法と思われること、またその建築の方策として、市が単独で建設するに当たっては大変な予算を伴うことから、過疎法等の有利な起債の利用策が模索できないか、お尋ねをいたしたいというふうに思います。
◎
企画振興部長(小笠原亨君) それでは、自席からお答えをさせていただきます。
林道坂本山江線に関しましては、総延長28キロ、これを昭和56年度から着手いたしまして、平成19年度の全面開通を予定をいたしているところでございます。当初の計画の際には架橋が検討されたこともあると、このように伺っておりますが、現在は県道が起点となっておりまして、国道までの架橋の計画はないと、このようなことでございます。
そのような中、財政的にも厳しい状況下にありまして、また、事業規模からいたしましても、市単独で架橋建設を行うためには、県の補償や補助等の財政支援が不可欠であるというふうに思います。
仮に、過疎債の活用等によりまして建設をする場合、道路としての位置づけや過疎計画の変更など多くの課題をクリアする必要がございます。また、過疎債が活用できる可能性はございますが、事業全体での調整が必要でございまして、一定期間ほかの事業を抑制せざるを得なくなり、これらについても十分な検討が必要だと考えます。
しかし、いずれにいたしましても、今後、ダム堰堤の代替路確保と、そういう観点から、林道延長の可能性も含めまして県に要望をしてまいりたいと、このように考えているところでございます。
以上、お答えとさせていただきます。
◆上村哲三君 全くそのとおりでございましてですね、私も坂本町として必要、駆られているからお願いをして、質問をしているわけでございます。県においての見識というものが、大変悲しいというふうなことが、ずっと思っておりました。人間というものはですね、恩を感じれば、何かしらの見返りを考えるのが普通ではないでしょうか。50年間もの間お世話になった坂本町に橋の一つでもという意識は、県にはないのでございましょうか。大変残念でたまりません。ダム撤去の日は、日一日と迫ってまいります。ぜひ市当局には、大変難しい状況の中でございますが、必要とあらば事業のいろんな見直しもやり、過疎債等の適用も考えながら、地元住民の憂いを十分感じていただいて、県への強い要望を進めて実行に向かっていただきたいし、一刻も早い代替路の確保について施策を講じていただきたいというふうに、切にお願いをいたしたいと思います。
次、お願いいたします。
(
企画振興部長小笠原亨君 登壇)
◎
企画振興部長(小笠原亨君) 御質問の3点目、
荒瀬ダム上下両域における簡易水道の水源確保についてお答えをいたします。
現在、坂本支所において管理をしております簡易水道は31施設がございまして、そのうち3施設が、100人未満の飲料供給施設と呼ばれる小規模の水道施設になります。
水源別に分けますと、井戸を主体とした施設が15施設、表流水を主体とした施設が16施設ございます。表流水を水源としている施設につきましては、撤去後も特に影響は出ないものと考えているところでございます。
そのような中にありまして、ダム上流域には井戸を主体とした簡易水道はありませんが、地元管理の未認可水道が2施設ございまして、企業局が毎年1月から2月にかけて行っております泥土除去のための減水の際に、井戸が枯渇する被害が出ている状況下にございます。ダム下流域には、井戸を水源としている簡易水道が10施設ございまして、現在のところ、短期間の減水においての影響は出ていない状況にございます。
このような状況を踏まえまして、ダム撤去後、地下水への影響があるかどうかなど専門的な見解や調査の必要があると、このように考えます。このため、県に、観測井戸の設置等を含め、減水期間に限らず水位変化の調査など必要な対策を実施するよう要望してまいりたいと考えております。
以上、お答えとさせていただきます。
◆上村哲三君 考えておったような答弁でございました。
荒瀬ダムの撤去の問題が取りざたされてから、旧坂本村の民間有識者を擁した検討委員会の場、また、それに議会での特別委員会をつくって、当時対応してまいったわけでございます。民間有識者を入れた検討委員会の中でですね、私はこの水の問題が一言も触れられてなかったことに憤りを感じてですね、当時やかましいことを言った覚えがあります。
というのうは、私ところの地域も荒瀬ダム下流1.5キロんところにありましてですね、球磨川よりのポンプアップの水を飲んでおります。やはり渇水期には砂が上がったりというような話も現実聞いておりますし、そういう形であって、今からダムが撤去されて、先ほども申しましたように、水の、昔の球磨川が戻るなどという大量の水量が確保できるのか、私は不安視している一人でございますので、その辺の確保が今後いかなる形で検討課題として上げられていくのか、また、そういう事態が起きてきたら、そのときはどう対処をするのかと、このようなことに対する
危機管理意識は十分持つ必要があるというふうに思うわけでございます。水は命の水でございますので、そういうところも含めて今回の質問に当たったわけでございます。
ダム撤去、減水による被害についてはですね、過去に、ダム上流左岸地域においても、国道側の住宅地の地盤沈下や道路壁の崩落などがあっております。不安を訴えられる住民もたくさんおられるわけでございます。ぜひ、そのような点についても調査の必要性を感じますので、対応をよろしくお願いしてきております。
住民の方にお尋ねをいたしますとですね、ここは国道を経た地域であるので、地盤沈下などは被害調査の対象とはなっていないというようなことを一度聞かれたというふうなことでございまして、数軒の民家におかれましては、敷居の格差が出たりしまして戸が閉まらなくなっております。そういうときには、もう何も頼れないからということでですね、自費をもって全部修復をされた家庭もあるわけでございます。ぜひ、そういうところもですね、執行部の方で、担当課で調査をされてですね、住民のいろんな内容を聞かれてみてください。知らないことがたくさん出てくると思います。地域地域の特性が、ここにあらわれてきているということでございます。
また、この水の問題に関しましてはですね、最下流の八代平野の問題も重要なことになってまいります。やってみなければわからない、ダム撤去してみなければ水の水位がどれぐらいのものかわからないというようなことにおいてはですね、もし過去の球磨川──私は昭和30年生まれでございます、荒瀬ダムができた年に生まれておりますので、昔の球磨川は知りません。しかし、小さいころですね、小学校、中学校と、水泳は、体育の時間は夏場水泳は球磨川でした、すべて。
そのころの水量からしても、現在は相当な量が減っております。その現状を見ております関係からですね、大変不安をいたします。八代平野の土地改良区の水が、十分に渇水期に取水ができるのだろうか、八代工業用水は潤沢に今後も取水できるのだろうか、こういう心配は恐らく起きてくるんじゃなかろうかというふうに、不安に思っております。そうなりますと、八代平野は農業者を中心に大変な被害が出ることも予想されます。思うような農業、産業振興もできていかないんじゃないだろうかというふうなことが懸念されていくわけでございます。
今回はですね、最後に──大変、3つの項目を挙げて山間部のことばっかり挙げたようでございますが、やはり、合併においてはですね、やっぱり八代全域の皆さんがですね、山間部、平野を問わずですね、「ああ、合併してよかった」というふうな声を少しでも聞きたいわけでございます。
先ほども申しましたが、福祉政策の後退あたりがあったらですね、もうやっぱり身近な方々はいいことは言われません。ぜひですね、「ああ、やっぱ、そったちが言うたとおり、合併推進してよかったばいな」というような声を聞きたいがためにですね、今回、山間部の問題を取り上げてみた次第でございます。
ぜひ、市長におかれましてもね、先ほども申しましたが、八代郡、山間部のことを詳しい時代を過ごしていらっしゃいますので、ぜひこのような面について細かい配慮の点をお願いいたしまして、一般質問を終わりたいというふうに思います。
どうもありがとうございました。
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○議長(山本幸廣君) 亀田英雄君。
(亀田英雄君 登壇)
◆亀田英雄君 皆さんおはようございます。(「おはようございます」と呼ぶ者あり)
議長より発言の許可をいただきましたので、ただいまより一般質問を行いたいと思います。
早いもので平成18年度も既に6月、木々の緑が目に鮮やかで、まさに滴るという感じであり、もえる木々の芽は生命の息吹を感じさせる躍動の季節となりました。新八代市は合併し、この緑が多くなった、また山林が多くなった市に生まれ変わりました。旧八代市は山間地もありましたが、そのほとんどは平野部でした。合併後その比率は完全に逆転し、広大な山間部を抱える、川上から川下まで包括した新市となりました。山林対策、山間地対策という部分については、これまでの八代市においてはそのノウハウが薄かった、少なかった部分かもしれませんが、逆に合併のスケールメリットを生かし、これまでとは違った視点での施策の発想に期待されるところです。
今回の一般質問は、この山林対策、山村対策について、通告に基づき伺いたいと思います。さきの上村議員と重なる部分もありまして、お聞き苦しい点はあろうかと思いますが、坂本ん声は熱かなということで御理解願いたいと思います。
まず最初に、山林の資産評価の現状と今後の対策ということですが、このことについては、本年度より、地籍調査が済んだところは順次新地積により課税されるということについて、いろいろな人たちから相談を受け、このことについての認識を問うものであります。
私は、山林関係の仕事にも従事しますが、その山林を愛し、山林に造詣の深い知人から寄せられた相談なんですが、このままでは山はだめになる。長年、山林関係の仕事に従事し、自分も好きだから山の手入れも行ってきた。今となっては資産価値のないものになってしまったが、国土を守るという観点からも続けていきたいと考えている。しかし、このようなやり方で税金の徴収をしてもらうと、ますます山林を手放し放棄する人がふえてくる。その先にあるのは山林の崩壊、国土の崩壊、ひいては災害の発生につながりはしないか。山にもっと目を向けてもらえぬだろうかと、厳しい意見、忠告また指導がありました。
私も同様な気持ちでありましたし、さきの12月定例において、このことについての緩和策または負担の調整率の必要性を問うたものでありました。多方面より検証した結果の市町村長会議の決定であり、その方向でのということでありましたが、果たしてこのことに対してどのような反響がありましたでしょうか。また、新しい地積で課税した結果、どの程度の増収となる予定であるのか、お知らせください。
今さらながらですが、何らかの救済措置ができれば幸いでしょうが、それは簡単ではないことだろうかと思います。行政として、このことについてどのような対応を考えていらっしゃるでしょうか、伺います。
次に、木材の需要拡大についてです。
このことは、今回の補正予算にあり、昨日の太田議員の質問でも触れられましたが、小学校の体育館増改築の設計がなされるようであります。八代の基幹産業、1次産業では農業であり、その中でもイグサについては需要拡大が強く大きく叫ばれますが、木材については業界の足腰が脆弱であることも否めませんが、声が小さい状況であります。しかし、合併後は、皆さん各地域を回られ、木造の施設に触れられ、その感触は実感として持たれ、好印象なものかと思っております。環境に優しい建物づくりということにもつながっていくものと思います。
ですが、木材の需要というのは、台風以後、震災以後、景気の悪化とともに落ち込み、外材より安いにもかかわらず、右肩下がりの一途をたどるばかりであります。国策の影響を受けての現在のありさまですから、一自治体においての対策を求めるものではありませんが、公共事業において少しでも木材を使っていただき、そのよさをアピールしていただきたいと思うものであります。
今回の体育館の設計または公共施設の建設の際においての、木材の使用という点についての考えを伺います。
次に、害獣対策についてです。
実は、このことについては、山村に暮らす者にとっては非常に大きな問題であります。また、大きな悩みであります。ここにいらっしゃる皆さんは町中に住んでる方が大半ですので、実感としてはなかろうかと思っておりますが、何といいますか、動物園の中にいるようなものでありまして、シカ、イノシシ、猿、その他いろいろおります。この連中は、何かと悪さをしてくれます。ふだんの生活に何かと支障を来します。捕獲するなどの対策がとられていますが、このことについての認識、本年の事業計画、昨年度と比較してどのようなものであるか、伺いたいと思います。
最後に、林道、作業道計画についてとしています。
やはり、木材の価値を高めるのは道路であります。林道、作業道は合併後どのような考えで行われていくものか伺います。
壇上での質問はこの程度にとどめ、再質問については発言席より行います。
(総務部長江崎眞通君 登壇)
◎総務部長(江崎眞通君) 議員御質問の、山林の資産評価の現状と今後の対策についてお答えをいたします。
平成18年度の固定資産税の課税につきましては、合併協議会の市町村長会議での決定に基づきまして、地籍調査が完了し登記が完了いたしました地積につきましては、地籍調査後の新地積で課税を行ったところでございます。
そこで、御質問の1点目、新地積での山林課税に対する市民の反響でございますが、その主なものを幾つか申し上げますと、合併以前の旧町村では、全地域の地籍調査が完了してから新地積で課税することになっていたのに、なぜ平成18年度から新地積で課税がされたのか、また、山林の評価額が高過ぎるのではないか、あるいは、今まで免税点以下で課税がされていなかったが、新地積での課税になったため新たに納税義務が発生した、あるいはまた、市に寄附をすることができないのかなど、数多くの苦情、問い合わせ、相談があっております。それらにつきましては内容を十分説明するなどして、納税者の理解は得られますように努めているところでございます。
次に、御質問の2点目、山林の新地積での固定資産税の増加額でございますが、山林に対します平成18年度の固定資産税の税額は約3260万円でございます。そのうち、地籍調査によります増加額は、約1560万円の見込みでございます。
次に、御質問の3点目、市としての今後の対応でございますが、議員御承知のとおり、固定資産税は3年に一度評価がえが行われます。そして、平成18年度がこの評価がえの年に当たりましたため、新市におきましても、すべての地目について評価の見直しを行いました。今回の見直しに際しましては、合併前の旧市町村間で山林の評価額に一部不均衡がありましたので、新市全体として均衡のとれた評価額に設定したところでございます。
山林の評価額につきましては、県の固定資産評価審議会におきまして、市町村が提示いたしました評価額に対する審議がなされ、県全体の価格水準で調整がなされた後、市町村で決定がされます。このようなことから、山林の評価額につきましては地方税法に基づくものでありますので、どうぞ御理解をいただきたいと思います。
以上、お答えといたします。
(
農林水産部長宮田隆則君 登壇)
◎
農林水産部長(宮田隆則君) 山林地域における市の対応策などについてお答えいたします。
山林が保安林に指定されますと、固定資産税、不動産取得税、特別土地保有税が非課税となるほか、相続税、贈与税は、評価の際に3割から8割が控除されることになっております。この保安林については、水源涵養、土砂の崩壊、その他の災害の防備、生活環境の保全・形成など、特定の公共目的を達成するために、農林水産大臣または都道府県知事に指定される森林となっており、用途により17種類に分けられます。指定に当たっては、森林要件や伐採条件等に制約があるほか、一度指定されますと解約条件が厳しいこともありますので、指定を進めるに当たっては森林所有者等と十分に協議する必要がございます。
以上、お答えいたします。
◆亀田英雄君 このことについては、私の身の回りでも相当数話がされたことでありますので、支所、本庁合わせますと、恐らくはもう何百の単位で、苦情といいますか、問い合わせがあったことだろうと推察いたします。また、苦情を言う人は一部の人間でありまして、それを言わない、その水面下といいますか、言わない人たちは、これについては相当数いると思っております。それに、来年以降は税率が上がりますから、また上がります。これについては地方税のことということですので、問い合わせについては丁寧な説明をお願いしたいと思います。
増加分の1560万、これは地籍調査が完了したことによる増加分が大半と思います。この1560万ということに対して、どのような評価を下されることに対しては、何とも言えない部分かと思います。
地方税については地方税法のことであり理解を求めたい、林業の担当としては保安林かなということでありますが、ここであえて森林の持つ機能、森林の担う機能についてどのような認識を持っておられるか、確認ということで伺いたいと思います。
◎
農林水産部長(宮田隆則君) 森林の担う機能についてお答えいたします。
森林は、林産物の供給を初め、山地災害の防止、水源涵養、自然環境・生活環境の保全、保健文化的利用の場の提供など、多面的な機能を有しております。近年では、二酸化炭素の吸収源、貯蔵庫としての役割や生物多様性を保全する場としての役割を含め、森林の持つ多面的な機能の一層の発揮が期待されているところでございます。特に、平成17年度に発効した京都議定書では、我が国が約束した温室効果ガス排出量の削減目標6%の達成に向け、森林による二酸化炭素の吸収量で、基準年総排出量3.9%程度の確保が重要な課題となっております。
一方、我が国の森林は、戦後から植林、手入れがなされてきた人工林を中心に成熟しつつあるものの、適切な森林施業を通じて森林の多面的機能の発揮を担っていた林業生産活動は、採算性の悪化等により停滞している現状でございます。このような中、健全な森林の維持に必要な間伐等の施業や伐採後の植林が行われてない森林が見られ、このままでは森林の持つ多面的な機能の発揮が困難になるおそれがございます。このようなことから、これらの森林の持っているさまざまな公益的機能が十分に発揮されるよう、今後とも適切な森林整備の推進に努めてまいりたいと考えております。
以上、お答えといたします。
◆亀田英雄君 林産物の供給を初め多面的な機能を有するということでありますが、経済的な価値より、環境面での価値、公益的な価値観を強く認識していると伺った次第であります。
実際ですね、私、その関係の仕事をしているものですから、資産評価ということで一例御紹介したいと思っている次第ですが、先日、山の売買という話を伺いまして、50年生の山を50町歩売買したいと、その金額が1500万と。1町歩30万ですね、土地ぐるみで。これについては約1000本の木が生えていますから、1町歩30万、約1000本。1本当たりの値段を計算しますと300円です。計算の方法はいろいろあるわけですが、50年育てて300円で、これは1年当たりに直すと1年6円という──計算の仕方です、これはもう悪い方悪い方に計算するものですから。そのような計算の方法もある中でですね、山に入って苗を植えて、草を刈って枝を打って、それが1本300円で商いされるという、そのような現在の価値観であります。資産価値の少ないものであります。
このような本当情けない話でありますが、このような資産価値の少ない、また行政としても公益的機能を重視するという認識の中で、それについて課税するということでありますが、このことについてですね、話した中についてですが、認識をまた求めたいと思います。
◎総務部長(江崎眞通君) 自席からお答えをいたします。
山林につきましては、先ほどありましたように、水源の涵養、災害の防備などの公共性を十分備えておりますものの、その資産評価についての問題は非常に難しいものであると認識をいたしております。
現在、国におきましても、林業経営が厳しい状況の中、山林の持つ公益的機能などの特殊事情の重視が高まってきておりますことから、山林の資産評価と課税につきまして議論・検討がなされているところでございます。
しかしながら、現時点で、公共性があり、非課税対象の山林として地方税法に位置づけられておりますのは、先ほど
農林水産部長の答弁にありましたように、利用権が制限された保安林、そのほか自然公園法などによります土地でございます。したがいまして、一般山林につきましてはその資産価値に着目し、地方税法に基づきまして評価を行っておりますので、御理解をいただきたいと思います。
お答えといたします。
◆亀田英雄君 理解をいただくために若干くどく、くどい話をしましたが、このことにつきましては地方税の中でのことでありまして、この場においては、この現状を理解し、認識を新たにしていただくということにとどめるしかないかと思います。
山を守り育てるということは、以前は経済的価値観が高かったものですから、大変な作業の中にも楽しみで手を入れてまいりました。それが、今ではそのことをする人もいないし、またこのような単価で、値段でありますので、楽しみというのがございません。国土を守るためだから、環境を守るためだからと言われても、そのためだけに我が身を捨てて動ける人は少なかろうと思います。そして、さらにはそれを公益なものと認識されながらも、価値以上の評価に対して課税される、税金を払い続けなければならない、何とも理不尽なものと御理解いただけたかと思います。担当また市長におかれましては、ぜひとも何かの機会を得られたときには御発言をしていただきたいとお願いする次第であります。また、県とも協議を重ねられ、保安林化への積極的な取り組みもお願いしておきます。
このことにつきましては、木材の、山林の価値が高まれば論議しなくて済む問題でありますので、次の需要拡大ということについて、お願いしたいと思います。
(教育次長高浪智之君 登壇)
◎教育次長(高浪智之君) 亀田議員御質問の、学校施設における木材の使用についてお答えをいたします。
本市の教育施設の整備におきましては、安心で安全・快適な教育環境づくりを重点目標の一つとして位置づけ、取り組んでおるところでございます。
その中で、ぬくもりのある学校づくりの一環としまして、教室や廊下の床や壁などに木材を使用し、木のぬくもりを子供たちに実感してもらっているところであります。
最近建設された学校施設でも、御承知のように、八竜小学校を初め、金剛小学校弥次分校、坂本中学校、第二中学校体育館、第二中学校武道場の各改築等におきましても、いずれの施設にも多くの木材を使用しており、木のよさを生かし、快適な学習環境づくりに努めているところであります。
今後、学校施設整備を進めていく上でも、設計の段階から木材を使用することを検討しながら、地元で調達可能なものについては積極的に使用するなど、木材の需要拡大につなげてまいりたいと考えております。
以上、お答えといたします。
◆亀田英雄君 このことにつきましては、私も業界の人間でありまして、インサイダーでありますので余り……ですが。業界の問題としてではなくてですね、需要が拡大するということは山林全体の価値を高めることでありまして、山林所有者の全体の問題でもあります。少しでも山に金を返す、山林の価値を少しでも高める、山林を守るということにつながっていくことだろうと思います。
先ほども言いましたが、一自治体でかなう問題ではないことは承知であり、国策の大転換もあるはずもありません。自治体の建造物に木材を少しでも使っていただくよう、お願いしたいと思います。合併し、川上、川中、川下が一つの自治体の中であり、意思が共有できるサイクルとして形成されることが可能になった、これこそ合併効果だと思います。
近ごろ法の改正がありまして、伐採された木材はその出どころを明確にしなければならなくなりました。この木はあそこで伐採されました、だれだれさんのものですよと。今、野菜に顔写真が張ってあるのと一緒の感覚です。宮崎県のある自治体では、地元産材にこだわり、ブランド化を図り、そのよさをアピールする自治体もあります。八代も、木材に地元産、地産地消にこだわり、何らかの方策が欲しいものでありますが、担当としてどのようにお考えでしょうか。
(
農林水産部長宮田隆則君 登壇)
◎
農林水産部長(宮田隆則君)
議員お尋ねの、八代の木材に地元産、地産地消等の方策が欲しいがということでお答えいたします。
木材需要拡大の推進については、本市と県八代振興局、
八代地域木材需要拡大推進協議会と一体となりまして、平成7年度から木材の需要拡大運動を展開しているところでございます。
また、地産地消の取り組みとしては、現在、八代地域の木材を活用した住宅建設について、地元の森林組合や木材産業者及び建設業者等によって、木材の生産から加工、建設までのネットワークづくりが行われ、活動されております。
地産地消の方策として地域木材のブランド化を進めることは、木材製品の安定供給が図られ、地域木材の需要拡大に貢献する効果などが考えられますので、今後、県など関係機関と協力しながら検討してまいりたいと考えております。
以上、お答えといたします。
◆亀田英雄君 合併したばかりであり、早急な対策を求めたいのはやまやまでありますが、このことについては息の長い取り組みが必要かと思います。ですが、実際動き出している自治体があります。よいところは学び、こだわりを持って少しでも付加価値をつけて、少しでも需要拡大につなげていただきたい、このように考える次第であります。