このようなことから、私たち市議会では、昨年八月、本議場におきまして「全ての市民がスポーツを通して健康的でいきいきと生活できる都市を目指す」ことを誓い、我が熊本市を「
スポーツ都市」とする宣言を、
議員全員一致で採択いたしたわけであります。
その後、熊本市では、本宣言を具現化していくため、本年三月、市民の生涯
スポーツ活動を体系的に推進するための指針となる「熊本市生涯
スポーツマスタープラン」を策定されたところでございます。
そこで、本市の
スポーツ振興施策に対する基本的な考え方と、今後の取り組み等についてお尋ねしたいと存じます。
今、私の手元に、本年九月に文部省から出された「
スポーツ振興基本計画」があります。
この計画を読んでみますと、その冒頭に「スポーツは、明るく豊かで活力に満ちた社会の形成や個々人の心身の発達に必要不可欠なものであり、人々が生涯にわたってスポーツに親しむことは、極めて大きな意義を有している。」と書いてあります。
このことは、本計画が出された一年以上も前に我々が
スポーツ都市宣言でうたい上げ、熊本市が生涯
スポーツマスタープランに掲げた
理念そのものであります。
今さらながら、我が熊本市の
スポーツ振興に向けた理念や取り組みが、国に先駆け、市民ニーズを先取りしたものであったことを知り、みずからもスポーツを人一倍愛し、体育指導員や体育協会の役員として
スポーツ振興の一端を担っている者の一人として大いに誇りに感じると同時に、心からうれしく思っている次第でございます。
さて、本年四月以降、
体育施設予約案内システム、
スポーツ振興基金、
市民スポーツフェスタ、
スポーツリーダーバンクなど、
スポーツ振興に関する各種事業が次々とスタートしており、
スポーツ振興に対する三角市長の並々ならぬ熱意に心から敬意を表するところでございます。
せんだっての新聞報道によりますと、来年の
NHK杯国際フィギュアスケート競技大会が本市の
アクアドームで開催されるとのことであります。
本大会は、次回の
冬季オリンピックを占う重要な大会として世界から注目を集めるだろうとのことであります。
このことも、
スポーツ振興にかける市長の熱意が実を結んだものであり、私自身今から心待ちにしているところでございます。
改めて申すまでもなく、スポーツの振興は、幸せな市民生活の根幹となる心身の健康保持のためだけでなく、青少年の健全育成、高齢者の
生きがいづくり、地域の触れ合いの創出など、さまざまな分野で大きな効果をもたらすものであります。
そこでまず、
スポーツ振興に対する基本的な考え方について三角市長にお尋ねしたいと存じます。よろしくお願いいたします。
〔
三角保之市長 登壇〕
◎三角保之 市長 田中議員にお答えをいたします。
田中議員におかれては、かねてより、市の
体育指導委員協議会の会長として、また地域の体育協会や
青少年健全育成協議会の活動を通じて、本市が進めております
スポーツ振興や
青少年健全育成施策に大変な御理解と御支援をいただいておりますことを、まずもって心から御礼を申し上げる次第であります。
スポーツ振興に対する思いをということでございます。
かねてより、議員がお話しになっておりますスポーツのとうとさ、またスポーツのありがたさ、そういう面から私の持論というものもかなり似通っておるんじゃないかなという気持ちでおりますけれども、せっかくのお尋ねでございますから、少し気持ちを述べさせていただきたいと存じます。
私が常々心にとどめております願いは、子供から高齢者まですべての市民の方々が元気はつらつと、心身ともに健やかな中に生涯を送るというふうなことであります。
そういったような意味からスポーツは、このような市民生活の根幹となる
健康づくりに欠かせないものとして重要な役割を担っておるというふうに考えております。
中でも、子供たちにとってスポーツは、忍耐、感動、涙、協調、信頼、やる気などを体で学び、健やかな成長を図る場であり、また高齢者にとっては、健康増進や
生きがいづくりの機会でもあります。
そこでは人と人との触れ合いがあり、交流があり、まさによかひと、よ
かまちづくり、さらには日々のよかくらしとして実を結んでいくと考えております。
区画整理事業の中にお
達者文化会館を試験的につくらせていただいたわけでありますけれども──私どもが学生のころは、社交ダンスというのは不良がするもんだと思っておりまして、関係者の方々には大変失礼でありますが、私たちもなかなかなじみがなかったわけであります。
今や高齢者の方々が社交ダンスを大変好んでおられまして、至るところにその要望が出ておるところでございます。施設におきましても、厚生省から、何でもいいからつくってみろというふうなお話でございまして、つくってみましたら大変好評ということで、少し数を多くつくってみたいなという気もいたしておるところであります。
本年三月、本市の生涯
スポーツマスタープランを策定いたしましたが、これは、市民のライフスタイルや価値観が多様化する中、健康増進のためにスポーツを楽しみたい人、わざを磨き日本一を目指す人、自分ではやらないが
スポーツ観戦が好きな人、後輩を指導し育てることが得意な人など、スポーツとのかかわりも人それぞれであり、このような多様なニーズにこたえていくことこそ生涯
スポーツ振興の基本と考えました。
このような理念に基づき、先ほど議員から御紹介ありました
市民スポーツフェスタや
スポーツ振興基金などの諸事業を推進してまいったところであります。
特に、地方都市ではなかなか見ることのできない世界の
トップレベルのスポーツを市民の皆様に見て感動していただきたいとの思いから、本年十一月、
アクアドームに大相撲を誘致したのに引き続き、来年十一月には
NHK杯国際フィギュアスケート競技大会を南国熊本へ誘致することができました。
この大会は、本市を世界に向けアピールする絶好の機会でもあろうかと考えます。
今後とも、二十一世紀にふさわしい「
しあわせ実感、夢と活力の生活首都(とし)」の実現を目指す一環として生涯スポーツの振興を図ってまいりたいと存じますので、議員並びに市民の皆様の御理解、御支援をよろしくお願い申し上げます。
〔十四番
田中誠一議員 登壇〕
◆田中誠一 議員 御答弁ありがとうございました。
ただいま
スポーツ振興に対する市長の基本的なお考えをお聞きし、きっと新世紀には、熊本市のあちらこちらで市民がスポーツに親しむ光景が見受けられるようになり、まさに
スポーツ都市と呼ぶにふさわしい姿が実現されるものと確信いたしました。
次に、
スポーツ振興対策に関する具体的な取り組みについて、二点お尋ねいたします。
まず第一点は、
総合型地域スポーツクラブについてであります。
総合型地域スポーツクラブは文部省が平成七年から進めている事業であり、先ほど紹介しました
スポーツ振興基本計画にも、
政策目標達成のために必要不可欠な施策として、平成二十二年までに、全国の各市区町村に少なくとも一つは育成するとされております。
本市の生涯
スポーツマスタープランでも、本クラブの育成を重点施策と位置づけ、来年度から本格的な取り組みがスタートすると聞き及んでおります。
ところで、この
総合型地域スポーツクラブは、身近な生活圏である
中学校区程度を範囲とし、地域住民の主体的な運営を基本に、拠点として学校施設や
公共スポーツ施設を活用しながら、だれもが気軽に参加できるような幅広い活動を展開していくものであります。
しかしながら、これまでのところ、我々
体育指導委員、校区の体育協会や競技団体の役員も一生懸命に勉強しているところでございますが、全員がその趣旨を十分に理解するまでには至っていないのが現状ではないでしょうか。
この
総合型地域スポーツクラブを全市的に定着させていくためには、何よりもまず
スポーツ関係者にその内容を理解していただくとともに、地域住民への
広報啓発活動を徹底して行うことが必要であります。
加えて、
指導者育成、施設整備、活動支援などの環境整備を進めていかなければならないと思います。
そこで、
総合型地域スポーツクラブの育成に関し、今後どのように取り組んでいかれるおつもりなのかお尋ねいたします。
引き続き、具体的な
スポーツ振興対策について、
学校部活動に関してお尋ねいたします。
市民が生涯にわたり、いつでも、どこでもスポーツに親しむためには、成長の段階に合わせた
スポーツ活動の場を提供していかなければなりません。
つまり、幼児期の段階では、親子でスポーツに親しみ、スポーツの楽しさを実感し、次の段階として、小中学校では、学校の部活動などを通じて生涯スポーツの基礎的知識や体力を身につけていく。さらに、高校、大学、社会人へと進むにつれ一層の技術レベルの向上を目指し、第一線を退いた後は後輩たちの指導に努める。
このように、一生涯を通じた
スポーツ活動のサイクルを確立していく必要があります。
しかしながら、熊日新聞で特集されましたように、それぞれの地域で特色ある
スポーツ活動が盛んになっている一方で、現在の学校の部活動は、一部の小中学校では勝利一辺倒の活動が続いているところもあれば、
指導者不足から部の縮小や廃止に追い込まれる学校も少なくないのが現状のようであります。
先ほど申しましたように、本市の
総合型地域スポーツクラブの育成にはまだまだ時間を要すると思いますので、いましばらくは、学校の部活動が青少年期における
スポーツ活動の中心となると思われます。
さらに、平成十四年度には完全学校週五日制がスタートする中、青少年の健全な人格形成において、学校の部活動が果たすべき役割はこれまで以上に重要になっていくのではないでしょうか。
そこで、完全学校週五日制のスタートを目前にし、学校の部活動の現状と今後の取り組みについてお尋ねいたします。
以上、
スポーツ振興に関する具体的な施策について、二点、教育長の御答弁を求めます。
〔徳田勝比古教育長 登壇〕
◎徳田勝比古 教育長
スポーツ振興について二点のお尋ねでございます。
まず、
総合型地域スポーツクラブの育成につきましては、来年度から市内三地区においてモデル事業を実施したいと考えております。
その際の問題は、議員もお述べになりましたとおり、生涯スポーツの意義や
総合型地域スポーツクラブの目的を市民の皆様方に十分に御理解いただくことでございます。
先般開催されました熊本市
スポーツ振興審議会におきましても、これらの広報、啓発に特に力を注ぐように御提言いただいたところでございます。
今後、地域説明会や関係団体等の研修会の開催など一層充実をいたしまして、御理解をいただくよう努力してまいりたいと思います。
同時に、この
モデル事業推進のために必要とされる
スポーツリーダーバンク等の充実を初め、
スポーツ用具の貸し出しや体育施設の利便性の向上に努めますとともに、広報紙の作成や
体育施設案内予約システムや、あるいは
インターネット等での情報提供も必要であろうと考えております。
次に、学校における運動部活動についてのお尋ねでございます。
議員御指摘のように、一部では勝利至上主義的な考え方に基づきまして行き過ぎた活動や指導、あるいは
指導者不足、そしてまた少子化等に伴います部員の不足などの現状がございます。
さらにまた、平成十四年度から実施される完全学校週五日制や、先ほど述べました
総合型地域スポーツクラブとの連携など、部活動にかかわる新たな動きも出てきておるところでございます。
このようなことから、部活動の円滑な運営を図るため、
学校教育活動以外の対外試合への参加のあり方や、
指導者不足の解消のための
スポーツリーダーバンクの活用、また、部員不足の学校には複数校合同の部活動や、多様な
スポーツニーズに対応できるような総合運動部の設置を奨励するなど、推進上の工夫を行ってまいりたいと考えております。
さらに、
教育委員会といたしましては、来年度、現行の「熊本市
公立小・中学校の部活動について(指針・観点)」を見直しまして、時代のニーズに応じた部活動のあり方を検討してみたいと考えております。
〔十四番
田中誠一議員 登壇〕
◆田中誠一 議員 ありがとうございました。
今後、
総合型地域スポーツクラブは生涯
スポーツ振興の核となるものでありますので、体育関係者はもとより、市民に広く周知していただきますようお願い申し上げます。
また
学校部活動は、単なるスポーツの振興だけではなく、青少年の心と体の健全な育成を図る上でも非常に大切なものでありますので、関係部局のなお一層の御努力をお願い申し上げます。
さて、
スポーツ都市実現のためには、やはり、だれでも気軽にスポーツに楽しめる環境づくり、つまり身近な地域におけるスポーツの拠点整備が不可欠でございます。
しかしながら、今日の財政状況が、新たな
地域スポーツ施設を次々に建設できるほど余裕がないことは百も承知しておりますので、その中で私なりに可能なことを考えてみました。
その一つは、未利用用地の活用であります。
現在、市の所有地で活用されず空き地になっているものが幾つかございます。もちろん、
跡地利用計画は既に検討されているのでしょうが、その計画に支障のない範囲でこれらの土地を簡単に整備し、一時的に
グラウンドゴルフ、サッカーなど地域の
スポーツ活動に貸し出すことはできないものでしょうか。
また、維持管理については、地域住民の手にゆだねるとなれば経費もごくわずかで済むと思います。
二つ目は、休耕田などの借り上げでございます。
減反あるいは後継者不足などで休耕田があちこちに見受けられます。
そこで、この休耕田を税金の免除等により市が借り上げ、市民に提供する方法も考えられるのではないかと思います。
そこで、関係部局におかれては、このような財政負担の少ない
地域スポーツ拠点の整備について、ぜひ前向きに御検討いただきますよう要望いたします。
それでは、引き続き青少年問題についてお尋ねいたします。
御案内のとおり、我が国では社会全体に
先行き不透明感が広がっております。こうした中、学校でのいじめや不登校等が問題にされいろいろと対策が講じられておりますが、いまだ解決の糸口さえ見つかってはおりません。
さらに、非行の低年齢化、凶悪化は一層進み、特に十代の少年による
バスジャックや殺人事件などが頻発したことを契機に少年法の改正などが行われたことは記憶に新しいところであります。
しかしながら、青少年は社会を映す鏡であり、現代の社会が持っている
病巣そのものを治癒しなければこの問題の根本的な解決は図れないのではないでしょうか。
この現代社会の病巣の最も大きなものは、私は、自分さえよければいいという自己中心的な考え方の蔓延であると考えております。
このことは、家庭において、幼いときから、いい学校に入り、いい社会に就職することを求め、あいさつや敬語などの基本的なしつけをおろそかにする一方、社会においては、人と人とのつき合いや自然との触れ合いが少なくなっていることが大きな原因ではないでしょうか。
このような中、三角市長におかれましては、これまで青少年の健全育成に意を尽くしてこられたところでございます。特に人を思いやる心、美しいものを美しいと素直に感動する豊かな感性を持つ人づくりに全力を傾注しておられ、私どもとしてもその姿勢に大いに共感いたしているところであります。
そして、具体的な展開として、熊本市では昨年四月、青少年施策を地域とのかかわりの中で推進していくために、
青少年担当課を
教育委員会から
市民生活局に移管され、また本年三月には、
青少年育成の指針となる
青少年育成計画を策定されたところであります。
また、お聞きするところによりますと、市長みずから「
宿泊共同生活体験教室」に毎年参加され、子供たちと寝食をともにしながら、社会生活を営む上での基本的なルールやマナーの習得、思いやりのある心の醸成、さらにはみずからで問題を解決できる能力の訓練などに取り組まれているとのことでございます。
このような御自身の貴重な体験に基づき、三角市長におかれましては、さきの第三回定例会において、青少年問題に対する基本的な考え方を御披露されるとともに、学識経験者や学校の先生、保護者など関係者が一堂に会し、社会ニーズに合った子供たちの育て方というものを研究するため社会教育研究機構なるものの創設を検討していくと御答弁されたところでございます。
今後は、このような研究機関での論議を踏まえながら、
青少年育成施策がより一層積極的に展開されていくものと存じますが、やはり実際の事業を実施する中で、学校、地域、保護者などの連携強化を具体的にどう進めていくかが重要な課題であろうと思います。
そこでお尋ねですが、青少年の健全育成に関し、学校、家庭、地域の連携強化について、今後どのように進めていかれるおつもりなのか、
市民生活局長の御答弁をお願いいたします。
〔
村上智彦市民生活局長 登壇〕
◎村上智彦
市民生活局長 田中議員にお答えします。
青少年の健全育成に関し、学校、家庭、地域の連携強化について、今後どのように進めていくかということでございます。
このことについては、平成十二年度の教育白書の「教育改革の基本的な考え方」の中で、さらに教育改革を進めるためには、ひとり行政の努力のみで教育改革が実現するものではなく、学校、家庭や地域社会、企業など幅広い関係者の理解を得ながら、一体となって進めていかなければ改革の実を上げることはできないと、その重要性を述べております。
さらに加えて、国民一人一人の意識を変えていかなければ解決しない問題であるとも述べております。
そしてまた、家庭や地域の教育力については、少子化や核家族化、都市化の進展とともに、これまで子供たちに対人関係のルールを教え、自己規律や協働の精神をはぐくみ、伝統文化を伝えるといった役割を担ってきた家庭や地域社会の教育力が著しく低下し、このことがいじめや不登校、青少年の非行問題の深刻化などさまざまな問題が生じる背景となっていると述べております。
今日、我が国は、明治維新、第二次大戦後に続く教育改革が行われておりますが、このような中で、本市は、来るべき二十一世紀の
青少年健全育成に向けて、その基盤となる三つの取り組みを、議員御案内のとおり進めております。
〔議長退席、副議長着席〕
その一つは、昨年四月、
青少年担当課を
教育委員会から
市民生活局に移管し、行政と地域が一体となって
青少年育成を進める体制が整備されたことであります。
二つは、平成八年度より、八十校区に
まちづくり研究会、委員会の設置を進めていることであります。
このことは、地域の活性化はもとより、地域の力、とりわけ地域の教育力をはぐくむ原動力となるものでありますが、この地域のまちづくりの活動の広がりを通して、まさに行政と地域、そして家族が連携、助け合い、新しい時代に向けて地域の教育力の再構築への取り組みが徐々にではありますが始まっております。
三つは、今年三月、全市民挙げて青少年の健全育成に取り組むよりどころとしての熊本市
青少年育成計画を策定したことであります。
そして、この計画は、現在その推進体制の整備を図りつつ、十年の
パイロット事業の中でプレイパークや体育館に泊まる体験、探検活動への取り組みを始めております。
このほか、関係事業として、中学校区
さわやか推進事業、あるいは
教育委員会の方でお取り組みになっております
ナイストライ事業などが進められておりますが、これらはいずれも校区自治会や地域の
まちづくり委員会、学校、PTA、青少協などの地域の団体、企業、福祉施設など多くの関係者、団体の皆さんと一体となった取り組みが行われ、相互の連携が徐々に浸透しつつあります。
このように、新しい時代に向かって着実にその役割を果たしつつあるこの三つの
青少年健全育成の基盤を土台として、今後は
庁内関係部門の連携をさらに密にし、地域の
まちづくり推進の充実や
青少年育成計画の推進を通して学校、家庭、地域の連携を図っていくことはもとよりでございますが、
青少年問題協議会や、今後設置する予定の専門部会などの論議をいただきながら熊本市特有の連携強化の新たな方策を探ってまいりたいと考えております。
〔十四番
田中誠一議員 登壇〕
◆田中誠一 議員 ありがとうございました。
何と申しましても、新世紀の
熊本づくりの中心となるのは、今の青少年であります。青少年が心身ともに健全に成長するよう、子供の主体性を尊重しながら、我々大人が真摯に取り組んでいかなければならないと考えております。当局におかれましてもより一層の御努力をお願い申し上げます。
それでは、質問を続けさせていただきます。
私は、去る十月、
全国市議会議長会主催のアメリカ・
カナダ都市行政調査に参加させていただきました。
この視察調査の中で特に感銘を受けましたのは、リッチモンド市、シアトル市を初め、各都市が地球環境問題に対し一生懸命取り組まれていたことでございます。
一方、先般の
マスコミ報道等によりますと、オランダのハーグ市で開催されておりました
地球温暖化防止のための国際会議が、最終日まで先進国間の調整がつかず、結局何も決まらぬまま閉会したとのことであります。
地球環境保全が人類共通の緊急課題であるにもかかわらず、国と地方との対応の差を目の当たりにしたことで、今回、環境問題を取り上げるに至ったところでございます。
先ほどの国際会議の結果は、各国のNGOを初め、地球環境の行く末を案じる世界じゅうの人々に大きな失望を与えるとともに、特に森林の吸収源問題などで、我が国が今回の会議を不調に終わらせた形となり、厳しい非難の目が向けられているようであります。
このようなことから、さまざまな市民団体からは「もはや、国は当てにならない。地方自治体を中心に足元から行動を起こし、社会全体を変えていく必要がある。」という声が上がっております。
私といたしましても、地球温暖化を初め今日の環境問題が我々の日常生活に起因していることを考えるときに、環境保全の解決にはやはり一人一人の足元からの取り組みを進めていくことが最も重要であると考えます。
しかしながら、以前、環境保全局で実施され、発表されました市民アンケート調査の結果を見ても、環境を守るために足元から行動を起こすことの必要性は認識されながら、その意識が実際の行動と必ずしも結びついていないのが現状のようであります。
私は、冒頭申し上げましたアメリカ・
カナダ都市行政調査に参加した際に、大変興味深い事例を目にいたしました。
それは、アメリカ合衆国のリッチモンド市で実施されていたものでありますが、そこではまちじゅうにフラッグを掲げ──これでございます。(フラッグを掲示)──これは各まち全域に、二百メーターか三百メーター間隔ですかね、掲げております。
年に一度、市民にデザインのコンクールという形で応募いただき、その中から、審査をして採用されたものをとるということで、大体六千ぐらいの応募の中から半分ぐらいですかね、掲げております。
これはリッチモンド市の市長からお土産にということでいただいてまいりました。市民や来客に対し環境問題に取り組む姿勢を広くアピールされており、非常に感心いたしました。
そこで、お尋ねいたします。
熊本市では、平成七年九月、ふるさとと地球の環境を守り次代へ引き継ぐことを誓い「環境保全都市宣言」をされております。
リッチモンド市のように、市民の皆さんや本市を訪れる人々に対し「熊本市は、環境保全都市として、地球環境問題に対し地方から積極的に取り組んでいる」ということを、まち全体でアピールするような施策について検討されてはいかがでしょうか。
現在、熊本市では、友好都市を中心に、国際環境会議の開催も検討されているとのことであります。このような国際会議の開催を契機に、環境保全都市熊本を広く国内外にアピールすることで、市民の環境保全意識も高まり、足元からの実践活動も促進されるのではないかと思います。
引き続き、足元からの環境保全活動を促進するための方策として、市の率先活動についてお尋ねいたします。
先ほど述べましたように、現在の環境問題が我々の日常活動に起因し、その解決には、日常のちょっとした心がけから始めていかなければならないことはだれも異論のないところでありますが、その意識が実際の行動に結びついていないのが現状であります。
そこで、一人一人の行動を喚起するためには、何よりもまず地方自治体自身が身をもって範を示すことが重要ではないかと存じます。そうすることで市民や事業者も行動をともにしていくと思います。
本市では、平成六年二月、熊本市役所エコオフィス推進委員会をいち早く設置され、環境保全活動に関する行政の率先活動に取り組んでこられたところであります。
しかしながら、今日、水俣市を初め、環境保全活動の国際規格でありますISO一四〇〇〇シリーズの認証取得自治体も多くなっており、また滋賀県など、環境にやさしい商品の率先購入、いわゆるグリーン購入に積極的に取り組んでいるところもふえてきております。
この分野で先進的な役割を果たしてきた熊本市の取り組みも、今では若干色あせつつあるように思います。
現在、ぜんそくなどのアレルギー性疾患を誘発する大きな要因として、また環境ホルモンの疑いも指摘されるなど、ディーゼル車の排出ガスが大きな社会問題となっております。
そこでお尋ねですが、熊本市ではこれまで、低公害車として電気自動車やハイブリッドカーなどを率先導入されておりますが、現在、ごみ収集車などを初め、幾つかディーゼル車を使用されておりますので、こういったディーゼル車に対しましても、何か先導的な対策を講じてはいかがでしょうか。
また、あわせて、民間事業者への指導、啓発につきましても実施していく必要があると存じますが、これらについても今後どのように取り組んでいかれるおつもりなのでしょうか。
以上二点につきまして、環境保全局長の御答弁をお願いいたします。
〔古川康環境保全局長 登壇〕
◎古川康 環境保全局長 おはようございます。
田中議員に環境問題について二点お答えします。足元からの環境保全活動を促進するための施策についての二点でございます。
まず第一点目は、環境保全都市としていろいろ積極的に取り組んでいるというアピール、そういう施策を考えてはというお尋ねでございます。
御案内のとおり、本市では、平成七年九月に市議会の全会一致の御賛同をいただきまして「環境保全都市宣言」を行いました。
本宣言にうたわれておりますとおり、真の環境保全都市を実現するためには、市民の皆様お一人お一人が環境問題に対します責任と役割を自覚され、環境保全に向けた実践行動に取り組んでいただくということが最も重要と考えております。
これまでもごみの減量やリサイクルはもちろんですが、地下水の保全や緑化の推進など、いろんな環境分野で市民の皆さんとともに活動を進めてきているところでございます。
例えば、温暖化防止に関しての実践活動を例にとりますと、平成十年度に実施しました「市民CO2二〇%削減宣言」において一万人以上の市民の皆さんに御登録をいただきました。そして、電気使用量を一一%削減するなどの顕著な成果を見ておるところでございます。
さらに、温暖化防止活動推進員二十四名の皆様と温暖化防止推進マニュアルを作成し、本年度からは地域や職場に入ってCO2二〇%ダイエットクラブを立ち上げる施策に取り組んでおります。
このような活動をより一層進める上では、私どもの環境に関する情報を、市政の広報やホームページなど、さまざまな媒体や啓発事業等を通しましてこれまで以上に市民の皆様に積極的に発信し、情報を共有化していかなければならないと考えております。
このような意味におきまして、議員御提案のとおり、本市が二〇〇二年に開催を予定しております友好都市による国際都市環境会議などは、国内外に本市の取り組みをアピールし、さらには本宣言の趣旨を市民の皆様に御理解をいただくための絶好の機会と思います。
このような機会に環境保全活動を推進します象徴的なフラッグと申しますか、これらを掲げることなどいろんな創意工夫をいたしましてアピールしてまいりたいというふうに考えております。
次に、二点目の、ディーゼル排出ガス対策についてでございます。
私どもの先導的な取り組みといたしましては、これは交通事業の方でございますが、まず市営バス二十二台に黒煙防止のための燃料改質装置、これは燃料が完全に燃焼するシステムといいますか、そういう装置でございます。これを装着いたしまして、黒煙を約三〇%から五〇%削減するという顕著な実績を上げているところでございます。
また、御指摘のごみ収集車につきましては、同様な燃料改質装置を装着しますとともに、廃食用油を燃料として活用します実験を行っております。その効果の把握に努めているところでございます。
そのほか、今後は既存車両へのディーゼル黒煙除去装置、これはフィルターでございますけれども、これの装着を進めるとともに、黒煙を排出しない天然ガス車導入の検討など取り組んでまいりたいというふうに思っております。
また、民間事業者に対しましてもこれまで低公害車の導入促進について啓発を進めてまいっておりますが、経済的な負担が大きくなるなどもありまして、なかなか思うように進んでいないのが現状でございます。
このため、ディーゼル対策を進めるには、これまでの国などの助成制度の活用はもとよりでございますが、本市独自の金融支援策なども検討してまいりたいと考えております。
あわせまして、平成九年度に県市共同で策定しました「熊本都市圏自動車交通クリーン推進計画」に基づき、県や周辺市町村、民間団体等と連携いたしまして、黒煙防止装置の普及などの発生源対策や共同集配システムなどの交通量低減化対策などを積極的に推進してまいりたいと考えております。少々長くなりましたけれども、御答弁といたします。
〔十四番
田中誠一議員 登壇〕
◆田中誠一 議員 ありがとうございました。
これまでの先進的な取り組みにより、環境保全都市熊本の名は全国的に知られているところでございます。今後とも、その名に恥じないような先駆的な取り組みを続けられることを期待しております。
引き続き、環境問題に関連し、自転車利用の促進についてお尋ねいたします。
私の地元の日吉東校区を初め、田迎、御幸校区といった市南部地域は、流通団地の建設以来、東バイパス、浜線バイパスなどの幹線道路が整備されるとともに、マンション建設や宅地造成が進み、大型ショッピングモールや総合病院等も進出するなど、市内でも際立った変貌を遂げている地域であります。
その結果、現在では、交通混雑が際立っており、曜日や時間を問わず渋滞が見受けられるようになり、このため、幹線道路の抜け道として住宅地の道路にまで車の進出が目立っております。
このため、歩行者や自転車の安全確保もままならず、特に、通学時の交通安全は地元民の非常に切実な問題となっております。
現在の財政状況や道路事情からも、既存道路を拡幅し、歩道、自転車道、車道を別々に確保することは非常に困難であると思います。
しかしながら、この問題は、急速な都市化が進んだ南部地域で際立ってはおりますが、決してこの地域だけの問題ではなく、高校、大学が立地する大江や黒髪を初め、全市に共通する課題ではないでしょうか。
どの地域を見ましても、通学や通勤に使えるような自転車専用道路がなく、狭い歩道を歩行者と共有しながら利用するか、車道にはみ出して通行しているのが現状であります。
もともと本市は、平たんな地形で、学生が多いことから、他都市に比べ自転車を利用する人が多いようであります。
一方、近年、自転車は、環境にやさしい乗り物として、また、
健康づくりのツールとして改めて見直されているところでもあります。
本市では、二十一世紀の指針として策定された新熊本市基本構想において、まちづくりの重点的取り組みの一つに「環境と調和した循環型社会づくり」を掲げ、その具体的施策として、自転車利用の推進に取り組むとされております。
非常に困難な課題を抱えているにもかかわらず、基本構想の中でこのような具体的施策を掲げられておりますことは、環境保全に取り組む熊本市の強い意気込みを感じるものであります。
そこで、お尋ねいたします。
まだまだ克服すべき課題も多いとは存じますが、自転車利用の推進は、交通渋滞の緩和はもとより、大気環境の保全、地球温暖化の防止等環境保全に大きく寄与し、まさに環境保全都市熊本の実現に大きな役割を果たすことが期待されるものであります。
そこで、基本構想で掲げる環境と調和した循環型社会の形成に向け、環境にやさしい自転車の利用促進を図るため今後どのように取り組んでいかれるのか、企画調整局長のお考えをお願いしたいと思います。
〔齊藤聰企画調整局長 登壇〕
◎齊藤聰 企画調整局長 環境問題からの自転車利用の推進についてということでございます。お答えをいたします。
現在、本市では、通勤、通学や買い物等、多くの市民の方々が日常的に自転車を利用しておりますが、狭い道路が多く、安全に走行できる空間が少ないのが現状であります。また、駐輪場も不足をしており、中心部などでは放置自転車が今も後を絶たない状況であります。
今日、
健康づくりや環境保全の観点から自転車利用に関する市民ニーズは非常に高まっており、本市といたしましては、今後、その利用推進に積極的に取り組んでいかなければならないと認識をいたしております。
このようなことから、本年三月、第一回定例会におきまして御議決いただきました新熊本市基本構想の中で、まちづくりの重点的取り組みの具体的施策として自転車利用の推進を取り上げており、ただいま関係十六課から成る自転車利用推進研究会を設置したところでございます。
今後、自転車利用を推進していくためには、安全な走行空間の確保、駐輪場の整備、さらには利用者のマナーの向上などを進めていく必要がありますが、議員御指摘のとおり、既存道路の拡幅や自転車専用道路の整備、あるいは市内各所に本格的な駐輪場を設置することは確かに困難な状況にあると言えます。
しかしながら、例えば用水路や河川敷を利用した専用道路を整備するとか、商店街などと協力しながら簡易な駐輪場を各所に設けるなど、創意工夫によりさまざまな対応を図っていかなければならないと考えております。
そこで、今後は、先ほど申し上げました研究会を中心に検討を重ねながら、関係部局と連携のもと、環境と調和した循環型社会の実現に向け、自転車利用の推進に積極的に取り組んでまいる所存であります。
議員各位の一層の御指導、御支援をお願い申し上げるところでございます。
〔十四番
田中誠一議員 登壇〕
◆田中誠一 議員 ありがとうございました。
多くの市民の方々から、自転車が安全に通行できるような空間を整備してほしいという声が上がっております。
また、自転車専用道の整備等は、自転車利用者はもとより、歩行者や自動車利用者にとっても大変ありがたいものであります。
関係部局と連携を図られ、積極的な取り組みをお願い申し上げます。
次に、地場産業の活性化について二点お尋ねいたします。
まず、第一点は、農業の振興についてでございます。
食糧は人間の命の根幹をなすものであり、その安定供給は国民生活にとって最大のテーマであると考えます。
しかしながら、我が国の食糧自給率は、平成十年度の供給熱量ベースで四〇%となっており、これは先進国の中でも最も低い数字であります。
特に稲作に関しては、我が国は、古来、瑞穂の国と言い伝えられてきたように、米を中心とした食生活を営んできましたが、近年、食生活が多様化し米の消費量も激減しております。
このような状況にかんがみ、国は米の需給調整のため減反政策を継続しており、そのため、減反面積は年々増大しており、本市の平成十二年度の転作率は水田面積の四四・七%にも達し、言いかえれば、二年に一回しか米を栽培できない状況となっております。
一方、米の転作面積の増大に伴い野菜の栽培面積が増加しておりますが、近年、その価格の低迷が続いております。
私も長く農業に従事しておりますが、農家の方々の心境を考えますと、いても立ってもいられない思いであります。
このような野菜の価格低迷は、長引く景気低迷に伴う買い控えはもとより、安価な輸入野菜の急増が原因であります。
平成十一年度の輸入野菜は二百五十六万トンとなっており、国内消費量の一六%に至っております。
これまでは、国内の野菜の生産状況を考慮した輸入が行われてきたのでありますが、近年では、国内の作柄に関係なく年々増加し、国内の産地を直撃するなど、第二のイグサの様相を呈しつつあります。
特に、耕地面積が広大で生産コストの低いネギ、ブロッコリー等の中国産の露地野菜、また、スイカ、ナス等の韓国産の施設野菜の増加が顕著であり、本市野菜にとって大きな脅威となってきております。
加えて、近年の輸入野菜は技術の向上が目覚ましく、品質面では国産品と色ないものも見受けられ、価格的にも国内品に比べ三割から五割も安くなっております。
私の知人で施設園芸を営んでいる人のほとんどは、平年に比べ二割から三割の減収で経営が成り立たないと言っており、農家にとってはまさに死活問題でございます。
加えて、輸入野菜については安全性が確保できているのかといった問題もあります。
現在、輸入野菜は、植物検疫や食品衛生法に基づいた各種の検査業務の上、輸入が許可されているようであります。
しかし、先日、国内では栽培や流通が認められていない遺伝子組みかえトウモロコシが見つかり、さらに、ミニトマトにおいても国内基準値を二ないし六倍上回る農薬が検出されたとの報道もあり、果たして本当に安全なのか大きな不安があります。
その点、日本の農業者は昔から安全な農産物を提供し、国民の食生活を守り続けてきた誇りを持っております。
その一つの概要の中にも、公共交通へシフトしていくと。いわゆる公共交通につきましては、やはり時代の流れ、幾多の変遷をして今日を迎えておるところでございます。社会環境の中で、今や、歴史は繰り返されるというふうなことから、非常に公共交通が見直されておるところでございますし、多くの要因があるわけでございますけれども、一番大事なことは地球にやさしくということではないかなと。
そういうことも踏まえながら、自転車の利用あるいは公共交通の利用、そういったようなもので中心市街地を、きれいな地球を取り戻すような交通体系にしていかなければならないというふうな内容になっているところであります。
私も、個人的には、二環状八放射というものがうたわれてきたとき、大変すばらしいことだなという思いの中から、いろいろその状況も見させていただきながら、今や八放射──この前十一放射というお話もございましたけれども、一つの地点から放射状でいいのかなというふうな疑問も持つところでございまして、二環状の中で、あるいは近い環状の中で一つずつの拠点を持つ、あるいは外側の環状道路の中で、ただいま実験を進めておりますパーク・アンド・ライド、そういったようなものをつくっていかなければならないのじゃないかなという思いがしております。
交通問題について市民の皆さん方の御意見を聞きますと、やはり多種多様でございまして、最大公約数をとるというのが非常に難しい状況でございます。分母が非常に多過ぎまして、それぞれのお考えの中でまとまりがつかないというのが現状でございますので、しばらくいろいろ様子を見ながら、この交通マスタープランというものがきちんとしたものになっていくような努力をしていかなければならないというふうに感じているところであります。
また、トランジットモールについての御質問でございました。
私は、諸外国を見、そしてまた自分の思いの中から、中心市街地の中で、やはりシンボル的な熊本城を心のゆとりの中で眺められるような通りができないかなという思いで、大通り構想的なものを都市整備局ともどもに水面下で夢を語っておったところ、新聞にちょっとすっぱ抜かれまして、そのところからいろいろ騒ぎが始まったというか、専門家の方々に非常に熊本に目を向けていただいたと。
そして、私どもがお願いしたわけではありませんけれども、黒川教授を座長とする建設省OB、その他専門家の方々で、熊本に、中心市街地にトランジットモールをつくったらどうなるのか、自分たちで検討してみようじゃないかというふうなことから始めていただき、もちろん私どもも大変ありがたい気持ちで参画をさせていただきました。
お忙しい方ばかりでありますけれども、数回にわたりこの件につきまして御検討を重ねていただきまして、やがて中間答申へのまとめができるんじゃないかなというふうに思っております。
しかし、このトランジットモール、検討を重ねれば重ねるほどに、ほかから固めていかなければならない問題というものも大変産出をいたしてまいりまして、今度中間答申をいただきました後に、議会にその答申をお示しさせていただき、その後、当該地域を中心とし、やはり多くの市民の方々の御理解を得なければできないんじゃないかという思いがいたしております。
それは、私ども行政といたしましては、非常に理想的なすばらしいものというふうな位置づけをしながら検討をさせていただいておるところでございます。
この夢の実現に向けて頑張ることは惜しみませんけれども、多くの市民の皆さん方にこの件について御理解、御支援をいただかなければできないものでございまして、今後、その方向につけての努力をしていかなければならないと。
この前もちょっと申し上げましたけれども、あの通り町筋を通ります交通量が三万台に及んでおります。この三万台を振り分けていきますと、一番振り分けに近い道路の整備に数百億という費用がかかるわけでございまして、こういう面からも、御理解というのはなかなか難しいんじゃないかなと。
また、県道でございますので、県とも話をしながら、地下道をつくっていくというふうな問題につきましても、かなりな費用も投じなければなりません。
しかし、先ほど議員がお述べになりました、実験的にやってみたらどうかと、お金をかけずにやってみたらどうかというお話じゃなかったろうかと思いますので、そういうふうな面。もしトランジットモール化するにいたしましても、お金を最小限で済ませられるという方向でやっていかなきゃなりませんので、御理解をいただきながら、少しずつでも、そういった実験体制に入れればいいなというふうに思っているところでございます。
東京工業大学の黒川教授は御出身もこちらでありますし、非常に力を入れておられます。よそでも交通アドバイザーとして成功例もたくさんある方でございますので、今後、専門家は専門家として、私ども行政は行政として、あるいは市民は市民の皆さん方のお考えの中で、多くの意見を取り入れながら多くの実験ができれば私どもも大変助かるなという思いをいたしております。
どうか、議会で中間報告をお示しさせていただきました後には、十分な意見を皆さん方からちょうだいをいたしながら、議員の皆さん方におかれましても、市民の皆さん方への御説明、それから意見聴取という面におきましても、御支援、御協力を賜りますようにお願いを申し上げたいと存じます。
〔田尻紘都市整備局長 登壇〕
◎田尻紘 都市整備局長 佐々木議員にお答えをいたします。
お尋ねの公共交通指向型都市開発(TOD)につきましては、今回のパーソントリップ調査の中においても、公共交通の利用しやすいまちづくりに努め、環境負荷の小さい都市の形成を目指す提案がなされるものであります。
サービスの高い公共交通網の整備とあわせ、公共交通の利用しやすいまちづくりは今後の大きな課題であると考えております。
いずれにいたしましても、今回のパーソントリップ調査の提案も、自動車交通に依存した交通体系からの転換を目指して、各関係機関が一堂に会し検討を行ったものでありますことから、関係機関との連携を図り進めてまいりたいと考えております。
〔十九番 佐々木俊和議員 登壇〕
◆佐々木俊和 議員 ありがとうございました。
交通体系そのものがまちづくりに及ぼす影響というのは、大きいというより一体のものとして考えなければならないというふうに思っています。
先ほどから話がありますように、パーソントリップ調査の提案というものが近々に出されて、全体的な交通のあり方というものが出てくるかというふうに思います。
交通マスタープランの策定の提案をさせていただきましたが、それは先ほど申しましたように、交通だけじゃなくて、歩行者、自転車、公共交通機関、それから私的交通網、すべて包括した交通体系のマスタープランということで、具体的にどうその施策を実現していくのかというもっと大きな視点での計画でありますので、ぜひともPT調査をもとにしながら交通マスタープランというものを策定していただきたい。
やはり、行政がマネジメントしていくという視点が大変大きいというふうに思います。市長から、市民の理解がというお話もありましたが、それも大変重要な課題でありますけれども、一つの大きな目的に行く場合には、先ほど申しましたように、行政としての意思というものが働く、そういう手法というものも検討をしていただきたいというふうに思っています。ぜひとも計画的にやっていただくようにお願い申し上げたいと思います。
それから、トランジットモールについては市長の熱い思いを述べていただきました。間もなく黒川委員会の中間答申が出されるということであります。
導入についてのプロセスは非常に大事なものだというふうに思いますが、トランジットモール、熊本市民は経験をしておりません。そういった意味では、社会実験によって理解が得られるという一面もあるかというふうに思いますので、先ほどの市長の熱意に基づいてぜひとも近々実験もできて、すばらしい都市空間がこの中心市街地に出現をして、ゆとりのあるまちづくり、ひいては中心市街地の活性化ということもできていければなというふうに思いますので、ぜひとも早い実験をお願いしたいということを改めて申し上げたいと思います。
次に、オムニバスタウン計画についてであります。
御案内のとおりオムニバスタウン構想は、人、まち、環境にやさしいというバスの社会的意義を最大限に発揮したまちづくりに取り組む総合的なバス活性化策であり、前回、前々回と本会議で質問してきたものです。
これまで、平成九年十二月の浜松市を初め、金沢市、松江市、盛岡市、鎌倉市が既に指定を受けています。本市でも当初の計画よりはおくれているようでありますけれども、国に指定申請中とのこと。改めて今後の計画のタイムスケジュールと予算総額並びに財源の確保についてお聞かせください。
また、新たなバスサービス提供としての都心部内循環型バス導入については、推進会議を発足させ協議が始まったと聞いております。今後、実験のためのルート設定と試行、料金や運営方法についての決定がなされるようであります。
市としてルート二案をたたき台として示されたとのことでありますが、実験はこの両方の案(アーケード街周辺の周回案とアーケード街通行案)をそれぞれ行ってはどうかと考えます。いかがでしょうか。今後の実施に向けた取り組みについてお聞かせください。
続いて、生活交通確保のための地域協議会についてであります。
五十年ぶりに法改正になった改正道路運送法によって、生活交通の確保に向け重要な役割を果たす地域協議会を設置することになりました。
運輸省は、六月末に路線バスの休廃止の届け出を行った場合、旅客の利便性確保に関し、関係自治体及び利害関係人の意見聴取の義務づけ規程を受けて、プレ地域協議会の発足を目指すガイドライン「地方住民の生活確保に関する地域協議会の枠組みに関する運輸省としての考え方について」を全国都道府県に通達しました。
現在、各都道府県は、平成十三年度内の法施行に向けて地域協議会の具体的作業を急いでいます。あわせて、国土交通省予算編成と並行して、地域における生活交通確保に向けた新たな補助制度の策定を目指しています。バス交通は地域住民にとって大事な公共交通であり、特に自家用交通手段を持たない学生や高齢者にとっては日常生活に欠かせない移動手段であります。
そうしたことから、地方自治体が──地域協議会への対応は重要であり、地方、地域の交通計画の中でバス交通を将来的にどう位置づけていくのかは地方自治体独自の政策判断になります。
そこでお尋ねいたします。
既に熊本県においてもプレ地域協議会が発足し、地域協議会の設置に向け協議が進んでいるようでありますが、本市として地域協議会に関してどのような対処をしていかれる方針なのか、また規制緩和に伴う対応策はどうされるのか、支援策を含めて都市整備局長にお答え願います。
〔田尻紘都市整備局長 登壇〕
◎田尻紘 都市整備局長 都市圏の交通問題についてお答えをいたします。
オムニバスタウン計画につきましては、鈴木弘議員からも以前質問がなされておりますが、議員御案内のとおり、現在、国に対して地域指定のための申請を行ったところでございます。
指定がなされますと、本年度においてはノンステップバスの導入、バス停施設のグレードアップ化、都心循環バス導入のための実証実験等の事業を行う計画であります。
それ以降につきましても、平成十六年度まで、都心循環バスの本格運行に伴う小型ノンステップバス購入やバスロケーションシステムなど、随時年度計画に沿って事業を進めてまいる予定であり、総事業費については約四十億円で、財源としましては、国費として約三分の一を見込んでおり、残りを県、市及び交通事業者負担で考えております。
なお、都心循環バスにつきましては、関係機関や関係商店街の皆さんによる都心循環バス導入推進会議を設置し、事業者から提案された二案をもとに運行ルート等の検討を始めたところでございます。
この推進会議の中で運行ルートを決定し、翌年三月に実験運行を実施し、秋の本格運行を目指して取り組んでまいりたいと考えております。
次に、規制緩和後の生活交通確保に関する地域協議会への対応についてであります。
生活交通確保方策について検討する地域協議会が今年度中に県に設置されることになっております。その下部組織として、県内の一定地域ごとにブロック協議会も設置され、各地域の実情に沿った論議がなされていくものと承っております。
路線退出における取り扱いにつきましては、退出をしようとする事業者は休廃止予定日のおよそ一年前に地域協議会に申し出ることとされており、十分な検討期間の確保とともに、複数ブロックにまたがるような路線につきましては、各ブロック協議会の間で調整も図られるものと考えております。
本市としましては、県の地域協議会が設置され、その役割が明らかになった後にブロック協議会の設置に向け努力をしてまいりたいと考えます。
また、現在明らかになっている新補助制度の内容につきましては、国は補助対象路線を広域的、幹線的路線に限定する方向でありまして、県も国の制度改正時期に合わせ見直しを行う方向で検討がなされている中、今後、赤字バス路線の運行維持のための市町村の役割と、補助金負担の増大は避けられないものとなる予定であり、このようなことから、地方の負担軽減措置として国による交付税措置が図られる方向と伺っております。
都市整備局としましては、基本的には公共交通による地域の足を確保するという方針のもと、本市の補助要綱策定に取り組んでまいりたいと考えます。
〔十九番 佐々木俊和議員 登壇〕
◆佐々木俊和 議員 ありがとうございました。
オムニバスタウン計画はバスの魅力を高める大事な施策です。それぞれの関係者との連携をとりながらよりよい効果が上がるように事業の展開をお願いいたします。
地域協議会への対応につきましては、地域の足としての公共交通機関であるバスを守るという視点での施策をぜひとも行っていただきたいと思います。
ブロック地域協議会が設置されるということでありますけれども、交通事業者の労使双方をその構成に入れていただくことも要望しておきたいというふうに思います。
次に、本市の基幹交通である市電についてであります。
まず、交通の結節機能強化のためには、鉄道相互、鉄道と軌道、鉄道とバス等の乗り継ぎ利便性の改善や、複数の交通事業者間で使える共通切符の発行等を行い、公共交通機関を私的交通に比較して魅力あるものとし、モーダルシフトを促すことが必要です。
私的交通からより環境負荷の小さい公共交通へのシフトは社会的な便益の増加をもたらします。これは公的資金の投入を含めた公共の積極的な関与の理由になるものです。
JR新水前寺駅と水前寺駅通り電停の結節は、電停を移設し、新水前寺駅と自由通路で結ぶと同時に架道橋のかけかえを行うことによって、新水前寺駅地区における公共交通機関相互を、より乗りかえの利便性の向上及び乗降しやすさを向上させることで公共交通機関の利用促進を図るとともに、県道熊本高森線の走行改善も図るということで、現在、平成十六年度の供用開始に向け事業が進められておりますが、JR豊肥線沿線の人口増加に伴い、乗降客、乗りかえ客の増を考えますと早期の完成が求められているところであります。この事業の進捗状況について都市整備局長にお尋ねをいたします。
続けて、上熊本駅における市電と電鉄の結節についてです。
言うまでもなくJR上熊本駅は、市電、電鉄、バスが乗り入れている重要な交通結節点です。
市電と電鉄の乗りかえホームがJR駅構内において設置できれば飛躍的に乗りかえの利便性が高まり、乗客サービスの向上を図ることにより乗降客の増加が見込まれます。
さらには、市電と電鉄は電圧が同じで、軌道幅を改良することによっての相互乗り入れが可能であります。これまでもこのような形で結節強化を求めてきましたが、先般、市電と電鉄の検討がされていると聞いております。
そこで、これからどのようなお考えのもとに取り組みを進めようとされているのか、交通事業管理者にお尋ねいたします。
次に、交通局の上熊本への移転についてです。
上熊本車両基地の実施設計が今年度やっと行われています。紆余曲折があった事業でありますが、交通局はもちろん本市においても大きな意味を持つ事業であり、設計まで進んでいることに喜びを感じております。
この事業は御案内のとおり、交通局本体の移転や大江跡地の活用など、後に新たな事業が関連しているものであり、早期の事業完成が望まれます。今後の事業の進め方についての交通事業管理者のお考えをお聞かせください。
関連して、車両基地移転を機として上熊本駅周辺のまちづくりを並行して行われようとされています。これまでも上熊本駅周辺の整備を求めてきたものですが、今回駅前広場の改善、上熊本細工町線の改善を、それぞれ街路事業、沿線整備街路事業として計画されています。大きな前進として受けとめているところであります。
この中で市電のサイドリザベーション化が採用されると聞いております。市電と歩行者の新たな関係の試みとしてどのような意識改革がなされるか期待をし、関心を持って見ていきたいと思っています。構造上どう整備していくのかもありますが、トランジットモールの一つの形としてのとらえ方もあると考えています。ぜひ、そういった機能を考えたオープンスペースを持った構造にしていただきたいと思います。
また、今回の軌道整備において、ヨーロッパでは主流になるであろう防音防振軌道の採用が、日本で初めて営業線に使われることになると聞いております。これは新しい防音軌道システムであり、メンテナンスも容易でコストも低減できるものです。
そこで提案ですが、皆さんも写真等でごらんになったことがおありだと思いますが、軌道敷内に芝生が植えてある光景がこの軌道であります。ぜひとも今回の軌道整備に当たっては、芝を植えた軌道にしていただきたい。
景観の面においても、先ほど申しました新たな市電のあり方を市民の皆さんへのメッセージとしてお考えいただけないものでしょうか。そして将来的にはすべての軌道敷に設置できるように期待します。このことにつきましても交通事業管理者のお考えをお聞かせください。
〔田尻紘都市整備局長 登壇〕
◎田尻紘 都市整備局長 私からは、新水前寺駅と電停の結節の進捗状況についてお答えをいたします。
JR新水前寺駅と市電水前寺駅通電停との結節機能向上につきましては、現在基本設計を行うために県やJRと綿密な協議を行いながら検討しているところでございます。新水前寺駅地区におけるJRの将来施設構想と調整中の段階でございます。
JRの将来施設構想を考慮した結節事業では、自由通路やバリアフリー対応のためのエレベーター設置空間の確保などにつきまして、現在の道路敷内での設置が不可能なため短期間での施工が難しい状況にございます。
しかしながら、交通結節については利用者の要望も高く、今後も県と協力をしながら、本市として取り組める最善策について検討を進めてまいりたいと考えます。
〔市原敏郎交通事業管理者 登壇〕
◎市原敏郎 交通事業管理者 佐々木議員に、上熊本関連の御質問にお答えを申し上げます。若干、答弁が前後いたしますが、お許しを願いたいと存じます。
まず、車両基地に係る事業計画についてであります。
議員各位の御支援のもと、御心配をおかけしておりました上熊本の問題も、現在、車両基地の設計を行うに至り、スタートラインに立てた思いがいたしております。
この基地移転は、単に、大正十三年完成の現在の老朽化した工場を移転新築することのみならず、市電を新時代に引き継ぎ、より活用していくための一つの足がかりとしたいと、このように考えております。
したがいまして、むだのない機能性と安全性にすぐれた工場にしたい、こういう思いで現在設計に取りかかっているところであります。
お尋ねの事業の進め方でありますが、今年度中に設計を終了し、議会のお許しをいただけますならば新年度建設にかかり、平成十四年秋の完成を目指したいと考えております。なお一層の御支援をよろしくお願い申し上げます。
また、議員御案内の上熊本駅周辺のまちづくりにつきましても関係部局とよく打ち合わせをしながら進めてまいりたい、このように考えます。
次に、サイドリザベーション化される区間について、その軌道構造に、防音や振動吸収にすぐれ、景観上も評価の高いシステムを導入したらどうかという御提案でございました。
このサイドリザベーションについては、その構造や線形を含め関係部局、機関と協議を進めているところであります。ごく限られた区間とはいえ、今回のようなサイドリザベーションは国内初の試みとなりますだけに、実験線としての意味もあり、景観や構造的にも工夫を凝らしてみたい、そのように考えております。
いずれにいたしましても、今後、計画を詰めていく中で、議員の御提案を踏まえ具体的に検討を行いたいと考えます。
引き続き、上熊本駅前での市電と熊本電鉄の結節についてでございます。
この上熊本は、本市のいわば北の玄関口に位置し、議員お説のとおり、JR、市電、電鉄の位置関係が極めて接近しており、結節強化を図る上で重要かつ魅力的な箇所ではなかろうかと考えております。
この地域は、御案内のとおり、今後九州新幹線あるいは在来線の連続立体交差によって駅前の様相も随分変わるのではなかろうかと思われます。
それに伴い、駅前広場の活用問題も出てこようかと思いますので、JR、熊本電鉄のお考えも十分お聞きしながら、さまざまな視点から、電停やホームのあり方、そして結節の可能性について今後慎重に検討をしてまいりたい、このように考えております。
〔十九番 佐々木俊和議員 登壇〕
◆佐々木俊和 議員 ありがとうございました。
結節点の機能改善は公共交通機関利用者数の増減を左右する大きな要因です。それぞれの拠点の早期整備を願うものです。
また、上熊本のサイドリザベーションは国内初のものになりますので、期待したいと思います。