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平成12年第 4回定例会−12月12日-03号
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  1. 熊本市議会 2000-12-12
    平成12年第 4回定例会−12月12日-03号


    取得元: 熊本市議会公式サイト
    最終取得日: 2022-11-22
    平成12年第 4回定例会−12月12日-03号平成12年第 4回定例会   平成十二年十二月十二日(火曜) ────────────────────────────────────────────────   議 事 日 程 第三号   平成十二年十二月十二日(火曜)午前十時開議   第 一 質 問 ────────────────────────────────────────────────                  午前十時一分 開議 ○江藤正行 議長  ただいまより本日の会議を開きます。     ────────────────── ○江藤正行 議長  日程第一「質問」を行います。順次発言を許します。田中誠一議員。        〔十四番 田中誠一議員 登壇 拍手〕 ◆田中誠一 議員  おはようございます。平成クラブの田中誠一でございます。  初めに、記念すべき二十世紀最後の市議会において、登壇の機会を与えていただきました各議員に対しまして心より厚くお礼を申し上げます。  私といたしましては、来る二十一世紀に向け、新基本構想で掲げる「よかひと、よかまち、よかくらし、幸せ実感、夢と活力の生活首都(とし)」の実現に、執行部や議員各位と一体となって、微力ながらも精いっぱい努力してまいりたいと決意しているところであります。  そういった意味から、本日の質問は、新世紀を展望しつつ、市民の健康づくりに欠くことのできないスポーツ振興、次代を担う青少年の育成、さらには環境保全への取り組みや、農業を初めとする地場産業の振興対策など、新しい熊本づくりの基盤となる事柄を中心に立てさせていただきました。  市長を初め執行部の皆さんには明快なる御答弁をよろしくお願い申し上げたいと思います。  それではまず最初に、すべての市民が健康的な生活を営むため欠くことのできないスポーツ振興についてお尋ねいたします。  昨年、熊本では三十九年ぶりとなる「くまもと未来国体」が開催され、約六万人の選手、大会関係者と、延べ約二十六万人に上る一般観覧者が一体となって大会を盛り上げ、大成功のうちに終了したことは、いまだ皆様の記憶に新しいことと存じます。  さて、私たち、だれでもみんな、スポーツに接するたびすがすがしい感動を覚え、健康であることの喜びを実感するものであります。
     このようなことから、私たち市議会では、昨年八月、本議場におきまして「全ての市民がスポーツを通して健康的でいきいきと生活できる都市を目指す」ことを誓い、我が熊本市を「スポーツ都市」とする宣言を、議員全員一致で採択いたしたわけであります。  その後、熊本市では、本宣言を具現化していくため、本年三月、市民の生涯スポーツ活動を体系的に推進するための指針となる「熊本市生涯スポーツマスタープラン」を策定されたところでございます。  そこで、本市のスポーツ振興施策に対する基本的な考え方と、今後の取り組み等についてお尋ねしたいと存じます。  今、私の手元に、本年九月に文部省から出された「スポーツ振興基本計画」があります。  この計画を読んでみますと、その冒頭に「スポーツは、明るく豊かで活力に満ちた社会の形成や個々人の心身の発達に必要不可欠なものであり、人々が生涯にわたってスポーツに親しむことは、極めて大きな意義を有している。」と書いてあります。  このことは、本計画が出された一年以上も前に我々がスポーツ都市宣言でうたい上げ、熊本市が生涯スポーツマスタープランに掲げた理念そのものであります。  今さらながら、我が熊本市のスポーツ振興に向けた理念や取り組みが、国に先駆け、市民ニーズを先取りしたものであったことを知り、みずからもスポーツを人一倍愛し、体育指導員や体育協会の役員としてスポーツ振興の一端を担っている者の一人として大いに誇りに感じると同時に、心からうれしく思っている次第でございます。  さて、本年四月以降、体育施設予約案内システムスポーツ振興基金市民スポーツフェスタスポーツリーダーバンクなど、スポーツ振興に関する各種事業が次々とスタートしており、スポーツ振興に対する三角市長の並々ならぬ熱意に心から敬意を表するところでございます。  せんだっての新聞報道によりますと、来年のNHK杯国際フィギュアスケート競技大会が本市のアクアドームで開催されるとのことであります。  本大会は、次回の冬季オリンピックを占う重要な大会として世界から注目を集めるだろうとのことであります。  このことも、スポーツ振興にかける市長の熱意が実を結んだものであり、私自身今から心待ちにしているところでございます。  改めて申すまでもなく、スポーツの振興は、幸せな市民生活の根幹となる心身の健康保持のためだけでなく、青少年の健全育成、高齢者の生きがいづくり、地域の触れ合いの創出など、さまざまな分野で大きな効果をもたらすものであります。  そこでまず、スポーツ振興に対する基本的な考え方について三角市長にお尋ねしたいと存じます。よろしくお願いいたします。        〔三角保之市長 登壇〕 ◎三角保之 市長  田中議員にお答えをいたします。  田中議員におかれては、かねてより、市の体育指導委員協議会の会長として、また地域の体育協会や青少年健全育成協議会の活動を通じて、本市が進めておりますスポーツ振興青少年健全育成施策に大変な御理解と御支援をいただいておりますことを、まずもって心から御礼を申し上げる次第であります。  スポーツ振興に対する思いをということでございます。  かねてより、議員がお話しになっておりますスポーツのとうとさ、またスポーツのありがたさ、そういう面から私の持論というものもかなり似通っておるんじゃないかなという気持ちでおりますけれども、せっかくのお尋ねでございますから、少し気持ちを述べさせていただきたいと存じます。  私が常々心にとどめております願いは、子供から高齢者まですべての市民の方々が元気はつらつと、心身ともに健やかな中に生涯を送るというふうなことであります。  そういったような意味からスポーツは、このような市民生活の根幹となる健康づくりに欠かせないものとして重要な役割を担っておるというふうに考えております。  中でも、子供たちにとってスポーツは、忍耐、感動、涙、協調、信頼、やる気などを体で学び、健やかな成長を図る場であり、また高齢者にとっては、健康増進や生きがいづくりの機会でもあります。  そこでは人と人との触れ合いがあり、交流があり、まさによかひと、よかまちづくり、さらには日々のよかくらしとして実を結んでいくと考えております。  区画整理事業の中にお達者文化会館を試験的につくらせていただいたわけでありますけれども──私どもが学生のころは、社交ダンスというのは不良がするもんだと思っておりまして、関係者の方々には大変失礼でありますが、私たちもなかなかなじみがなかったわけであります。  今や高齢者の方々が社交ダンスを大変好んでおられまして、至るところにその要望が出ておるところでございます。施設におきましても、厚生省から、何でもいいからつくってみろというふうなお話でございまして、つくってみましたら大変好評ということで、少し数を多くつくってみたいなという気もいたしておるところであります。  本年三月、本市の生涯スポーツマスタープランを策定いたしましたが、これは、市民のライフスタイルや価値観が多様化する中、健康増進のためにスポーツを楽しみたい人、わざを磨き日本一を目指す人、自分ではやらないがスポーツ観戦が好きな人、後輩を指導し育てることが得意な人など、スポーツとのかかわりも人それぞれであり、このような多様なニーズにこたえていくことこそ生涯スポーツ振興の基本と考えました。  このような理念に基づき、先ほど議員から御紹介ありました市民スポーツフェスタスポーツ振興基金などの諸事業を推進してまいったところであります。  特に、地方都市ではなかなか見ることのできない世界のトップレベルのスポーツを市民の皆様に見て感動していただきたいとの思いから、本年十一月、アクアドームに大相撲を誘致したのに引き続き、来年十一月にはNHK杯国際フィギュアスケート競技大会を南国熊本へ誘致することができました。  この大会は、本市を世界に向けアピールする絶好の機会でもあろうかと考えます。  今後とも、二十一世紀にふさわしい「しあわせ実感、夢と活力の生活首都(とし)」の実現を目指す一環として生涯スポーツの振興を図ってまいりたいと存じますので、議員並びに市民の皆様の御理解、御支援をよろしくお願い申し上げます。        〔十四番 田中誠一議員 登壇〕 ◆田中誠一 議員  御答弁ありがとうございました。  ただいまスポーツ振興に対する市長の基本的なお考えをお聞きし、きっと新世紀には、熊本市のあちらこちらで市民がスポーツに親しむ光景が見受けられるようになり、まさにスポーツ都市と呼ぶにふさわしい姿が実現されるものと確信いたしました。  次に、スポーツ振興対策に関する具体的な取り組みについて、二点お尋ねいたします。  まず第一点は、総合型地域スポーツクラブについてであります。  総合型地域スポーツクラブは文部省が平成七年から進めている事業であり、先ほど紹介しましたスポーツ振興基本計画にも、政策目標達成のために必要不可欠な施策として、平成二十二年までに、全国の各市区町村に少なくとも一つは育成するとされております。  本市の生涯スポーツマスタープランでも、本クラブの育成を重点施策と位置づけ、来年度から本格的な取り組みがスタートすると聞き及んでおります。  ところで、この総合型地域スポーツクラブは、身近な生活圏である中学校区程度を範囲とし、地域住民の主体的な運営を基本に、拠点として学校施設や公共スポーツ施設を活用しながら、だれもが気軽に参加できるような幅広い活動を展開していくものであります。  しかしながら、これまでのところ、我々体育指導委員、校区の体育協会や競技団体の役員も一生懸命に勉強しているところでございますが、全員がその趣旨を十分に理解するまでには至っていないのが現状ではないでしょうか。  この総合型地域スポーツクラブを全市的に定着させていくためには、何よりもまずスポーツ関係者にその内容を理解していただくとともに、地域住民への広報啓発活動を徹底して行うことが必要であります。  加えて、指導者育成、施設整備、活動支援などの環境整備を進めていかなければならないと思います。  そこで、総合型地域スポーツクラブの育成に関し、今後どのように取り組んでいかれるおつもりなのかお尋ねいたします。  引き続き、具体的なスポーツ振興対策について、学校部活動に関してお尋ねいたします。  市民が生涯にわたり、いつでも、どこでもスポーツに親しむためには、成長の段階に合わせたスポーツ活動の場を提供していかなければなりません。  つまり、幼児期の段階では、親子でスポーツに親しみ、スポーツの楽しさを実感し、次の段階として、小中学校では、学校の部活動などを通じて生涯スポーツの基礎的知識や体力を身につけていく。さらに、高校、大学、社会人へと進むにつれ一層の技術レベルの向上を目指し、第一線を退いた後は後輩たちの指導に努める。  このように、一生涯を通じたスポーツ活動のサイクルを確立していく必要があります。  しかしながら、熊日新聞で特集されましたように、それぞれの地域で特色あるスポーツ活動が盛んになっている一方で、現在の学校の部活動は、一部の小中学校では勝利一辺倒の活動が続いているところもあれば、指導者不足から部の縮小や廃止に追い込まれる学校も少なくないのが現状のようであります。  先ほど申しましたように、本市の総合型地域スポーツクラブの育成にはまだまだ時間を要すると思いますので、いましばらくは、学校の部活動が青少年期におけるスポーツ活動の中心となると思われます。  さらに、平成十四年度には完全学校週五日制がスタートする中、青少年の健全な人格形成において、学校の部活動が果たすべき役割はこれまで以上に重要になっていくのではないでしょうか。  そこで、完全学校週五日制のスタートを目前にし、学校の部活動の現状と今後の取り組みについてお尋ねいたします。  以上、スポーツ振興に関する具体的な施策について、二点、教育長の御答弁を求めます。        〔徳田勝比古教育長 登壇〕 ◎徳田勝比古 教育長  スポーツ振興について二点のお尋ねでございます。  まず、総合型地域スポーツクラブの育成につきましては、来年度から市内三地区においてモデル事業を実施したいと考えております。  その際の問題は、議員もお述べになりましたとおり、生涯スポーツの意義や総合型地域スポーツクラブの目的を市民の皆様方に十分に御理解いただくことでございます。  先般開催されました熊本市スポーツ振興審議会におきましても、これらの広報、啓発に特に力を注ぐように御提言いただいたところでございます。  今後、地域説明会や関係団体等の研修会の開催など一層充実をいたしまして、御理解をいただくよう努力してまいりたいと思います。  同時に、このモデル事業推進のために必要とされるスポーツリーダーバンク等の充実を初め、スポーツ用具の貸し出しや体育施設の利便性の向上に努めますとともに、広報紙の作成や体育施設案内予約システムや、あるいはインターネット等での情報提供も必要であろうと考えております。  次に、学校における運動部活動についてのお尋ねでございます。  議員御指摘のように、一部では勝利至上主義的な考え方に基づきまして行き過ぎた活動や指導、あるいは指導者不足、そしてまた少子化等に伴います部員の不足などの現状がございます。  さらにまた、平成十四年度から実施される完全学校週五日制や、先ほど述べました総合型地域スポーツクラブとの連携など、部活動にかかわる新たな動きも出てきておるところでございます。  このようなことから、部活動の円滑な運営を図るため、学校教育活動以外の対外試合への参加のあり方や、指導者不足の解消のためのスポーツリーダーバンクの活用、また、部員不足の学校には複数校合同の部活動や、多様なスポーツニーズに対応できるような総合運動部の設置を奨励するなど、推進上の工夫を行ってまいりたいと考えております。  さらに、教育委員会といたしましては、来年度、現行の「熊本市公立小・中学校の部活動について(指針・観点)」を見直しまして、時代のニーズに応じた部活動のあり方を検討してみたいと考えております。        〔十四番 田中誠一議員 登壇〕 ◆田中誠一 議員  ありがとうございました。  今後、総合型地域スポーツクラブは生涯スポーツ振興の核となるものでありますので、体育関係者はもとより、市民に広く周知していただきますようお願い申し上げます。  また学校部活動は、単なるスポーツの振興だけではなく、青少年の心と体の健全な育成を図る上でも非常に大切なものでありますので、関係部局のなお一層の御努力をお願い申し上げます。  さて、スポーツ都市実現のためには、やはり、だれでも気軽にスポーツに楽しめる環境づくり、つまり身近な地域におけるスポーツの拠点整備が不可欠でございます。  しかしながら、今日の財政状況が、新たな地域スポーツ施設を次々に建設できるほど余裕がないことは百も承知しておりますので、その中で私なりに可能なことを考えてみました。  その一つは、未利用用地の活用であります。  現在、市の所有地で活用されず空き地になっているものが幾つかございます。もちろん、跡地利用計画は既に検討されているのでしょうが、その計画に支障のない範囲でこれらの土地を簡単に整備し、一時的にグラウンドゴルフ、サッカーなど地域のスポーツ活動に貸し出すことはできないものでしょうか。  また、維持管理については、地域住民の手にゆだねるとなれば経費もごくわずかで済むと思います。  二つ目は、休耕田などの借り上げでございます。  減反あるいは後継者不足などで休耕田があちこちに見受けられます。  そこで、この休耕田を税金の免除等により市が借り上げ、市民に提供する方法も考えられるのではないかと思います。  そこで、関係部局におかれては、このような財政負担の少ない地域スポーツ拠点の整備について、ぜひ前向きに御検討いただきますよう要望いたします。  それでは、引き続き青少年問題についてお尋ねいたします。  御案内のとおり、我が国では社会全体に先行き不透明感が広がっております。こうした中、学校でのいじめや不登校等が問題にされいろいろと対策が講じられておりますが、いまだ解決の糸口さえ見つかってはおりません。  さらに、非行の低年齢化、凶悪化は一層進み、特に十代の少年によるバスジャックや殺人事件などが頻発したことを契機に少年法の改正などが行われたことは記憶に新しいところであります。  しかしながら、青少年は社会を映す鏡であり、現代の社会が持っている病巣そのものを治癒しなければこの問題の根本的な解決は図れないのではないでしょうか。  この現代社会の病巣の最も大きなものは、私は、自分さえよければいいという自己中心的な考え方の蔓延であると考えております。  このことは、家庭において、幼いときから、いい学校に入り、いい社会に就職することを求め、あいさつや敬語などの基本的なしつけをおろそかにする一方、社会においては、人と人とのつき合いや自然との触れ合いが少なくなっていることが大きな原因ではないでしょうか。  このような中、三角市長におかれましては、これまで青少年の健全育成に意を尽くしてこられたところでございます。特に人を思いやる心、美しいものを美しいと素直に感動する豊かな感性を持つ人づくりに全力を傾注しておられ、私どもとしてもその姿勢に大いに共感いたしているところであります。  そして、具体的な展開として、熊本市では昨年四月、青少年施策を地域とのかかわりの中で推進していくために、青少年担当課教育委員会から市民生活局に移管され、また本年三月には、青少年育成の指針となる青少年育成計画を策定されたところであります。  また、お聞きするところによりますと、市長みずから「宿泊共同生活体験教室」に毎年参加され、子供たちと寝食をともにしながら、社会生活を営む上での基本的なルールやマナーの習得、思いやりのある心の醸成、さらにはみずからで問題を解決できる能力の訓練などに取り組まれているとのことでございます。  このような御自身の貴重な体験に基づき、三角市長におかれましては、さきの第三回定例会において、青少年問題に対する基本的な考え方を御披露されるとともに、学識経験者や学校の先生、保護者など関係者が一堂に会し、社会ニーズに合った子供たちの育て方というものを研究するため社会教育研究機構なるものの創設を検討していくと御答弁されたところでございます。  今後は、このような研究機関での論議を踏まえながら、青少年育成施策がより一層積極的に展開されていくものと存じますが、やはり実際の事業を実施する中で、学校、地域、保護者などの連携強化を具体的にどう進めていくかが重要な課題であろうと思います。  そこでお尋ねですが、青少年の健全育成に関し、学校、家庭、地域の連携強化について、今後どのように進めていかれるおつもりなのか、市民生活局長の御答弁をお願いいたします。        〔村上智彦市民生活局長 登壇〕 ◎村上智彦 市民生活局長  田中議員にお答えします。  青少年の健全育成に関し、学校、家庭、地域の連携強化について、今後どのように進めていくかということでございます。  このことについては、平成十二年度の教育白書の「教育改革の基本的な考え方」の中で、さらに教育改革を進めるためには、ひとり行政の努力のみで教育改革が実現するものではなく、学校、家庭や地域社会、企業など幅広い関係者の理解を得ながら、一体となって進めていかなければ改革の実を上げることはできないと、その重要性を述べております。  さらに加えて、国民一人一人の意識を変えていかなければ解決しない問題であるとも述べております。  そしてまた、家庭や地域の教育力については、少子化や核家族化、都市化の進展とともに、これまで子供たちに対人関係のルールを教え、自己規律や協働の精神をはぐくみ、伝統文化を伝えるといった役割を担ってきた家庭や地域社会の教育力が著しく低下し、このことがいじめや不登校、青少年の非行問題の深刻化などさまざまな問題が生じる背景となっていると述べております。  今日、我が国は、明治維新、第二次大戦後に続く教育改革が行われておりますが、このような中で、本市は、来るべき二十一世紀の青少年健全育成に向けて、その基盤となる三つの取り組みを、議員御案内のとおり進めております。        〔議長退席、副議長着席〕  その一つは、昨年四月、青少年担当課教育委員会から市民生活局に移管し、行政と地域が一体となって青少年育成を進める体制が整備されたことであります。  二つは、平成八年度より、八十校区にまちづくり研究会、委員会の設置を進めていることであります。  このことは、地域の活性化はもとより、地域の力、とりわけ地域の教育力をはぐくむ原動力となるものでありますが、この地域のまちづくりの活動の広がりを通して、まさに行政と地域、そして家族が連携、助け合い、新しい時代に向けて地域の教育力の再構築への取り組みが徐々にではありますが始まっております。  三つは、今年三月、全市民挙げて青少年の健全育成に取り組むよりどころとしての熊本市青少年育成計画を策定したことであります。  そして、この計画は、現在その推進体制の整備を図りつつ、十年のパイロット事業の中でプレイパークや体育館に泊まる体験、探検活動への取り組みを始めております。
     このほか、関係事業として、中学校区さわやか推進事業、あるいは教育委員会の方でお取り組みになっておりますナイストライ事業などが進められておりますが、これらはいずれも校区自治会や地域のまちづくり委員会、学校、PTA、青少協などの地域の団体、企業、福祉施設など多くの関係者、団体の皆さんと一体となった取り組みが行われ、相互の連携が徐々に浸透しつつあります。  このように、新しい時代に向かって着実にその役割を果たしつつあるこの三つの青少年健全育成の基盤を土台として、今後は庁内関係部門の連携をさらに密にし、地域のまちづくり推進の充実や青少年育成計画の推進を通して学校、家庭、地域の連携を図っていくことはもとよりでございますが、青少年問題協議会や、今後設置する予定の専門部会などの論議をいただきながら熊本市特有の連携強化の新たな方策を探ってまいりたいと考えております。        〔十四番 田中誠一議員 登壇〕 ◆田中誠一 議員  ありがとうございました。  何と申しましても、新世紀の熊本づくりの中心となるのは、今の青少年であります。青少年が心身ともに健全に成長するよう、子供の主体性を尊重しながら、我々大人が真摯に取り組んでいかなければならないと考えております。当局におかれましてもより一層の御努力をお願い申し上げます。  それでは、質問を続けさせていただきます。  私は、去る十月、全国市議会議長会主催のアメリカ・カナダ都市行政調査に参加させていただきました。  この視察調査の中で特に感銘を受けましたのは、リッチモンド市、シアトル市を初め、各都市が地球環境問題に対し一生懸命取り組まれていたことでございます。  一方、先般のマスコミ報道等によりますと、オランダのハーグ市で開催されておりました地球温暖化防止のための国際会議が、最終日まで先進国間の調整がつかず、結局何も決まらぬまま閉会したとのことであります。  地球環境保全が人類共通の緊急課題であるにもかかわらず、国と地方との対応の差を目の当たりにしたことで、今回、環境問題を取り上げるに至ったところでございます。  先ほどの国際会議の結果は、各国のNGOを初め、地球環境の行く末を案じる世界じゅうの人々に大きな失望を与えるとともに、特に森林の吸収源問題などで、我が国が今回の会議を不調に終わらせた形となり、厳しい非難の目が向けられているようであります。  このようなことから、さまざまな市民団体からは「もはや、国は当てにならない。地方自治体を中心に足元から行動を起こし、社会全体を変えていく必要がある。」という声が上がっております。  私といたしましても、地球温暖化を初め今日の環境問題が我々の日常生活に起因していることを考えるときに、環境保全の解決にはやはり一人一人の足元からの取り組みを進めていくことが最も重要であると考えます。  しかしながら、以前、環境保全局で実施され、発表されました市民アンケート調査の結果を見ても、環境を守るために足元から行動を起こすことの必要性は認識されながら、その意識が実際の行動と必ずしも結びついていないのが現状のようであります。  私は、冒頭申し上げましたアメリカ・カナダ都市行政調査に参加した際に、大変興味深い事例を目にいたしました。  それは、アメリカ合衆国のリッチモンド市で実施されていたものでありますが、そこではまちじゅうにフラッグを掲げ──これでございます。(フラッグを掲示)──これは各まち全域に、二百メーターか三百メーター間隔ですかね、掲げております。  年に一度、市民にデザインのコンクールという形で応募いただき、その中から、審査をして採用されたものをとるということで、大体六千ぐらいの応募の中から半分ぐらいですかね、掲げております。  これはリッチモンド市の市長からお土産にということでいただいてまいりました。市民や来客に対し環境問題に取り組む姿勢を広くアピールされており、非常に感心いたしました。  そこで、お尋ねいたします。  熊本市では、平成七年九月、ふるさとと地球の環境を守り次代へ引き継ぐことを誓い「環境保全都市宣言」をされております。  リッチモンド市のように、市民の皆さんや本市を訪れる人々に対し「熊本市は、環境保全都市として、地球環境問題に対し地方から積極的に取り組んでいる」ということを、まち全体でアピールするような施策について検討されてはいかがでしょうか。  現在、熊本市では、友好都市を中心に、国際環境会議の開催も検討されているとのことであります。このような国際会議の開催を契機に、環境保全都市熊本を広く国内外にアピールすることで、市民の環境保全意識も高まり、足元からの実践活動も促進されるのではないかと思います。  引き続き、足元からの環境保全活動を促進するための方策として、市の率先活動についてお尋ねいたします。  先ほど述べましたように、現在の環境問題が我々の日常活動に起因し、その解決には、日常のちょっとした心がけから始めていかなければならないことはだれも異論のないところでありますが、その意識が実際の行動に結びついていないのが現状であります。  そこで、一人一人の行動を喚起するためには、何よりもまず地方自治体自身が身をもって範を示すことが重要ではないかと存じます。そうすることで市民や事業者も行動をともにしていくと思います。  本市では、平成六年二月、熊本市役所エコオフィス推進委員会をいち早く設置され、環境保全活動に関する行政の率先活動に取り組んでこられたところであります。  しかしながら、今日、水俣市を初め、環境保全活動の国際規格でありますISO一四〇〇〇シリーズの認証取得自治体も多くなっており、また滋賀県など、環境にやさしい商品の率先購入、いわゆるグリーン購入に積極的に取り組んでいるところもふえてきております。  この分野で先進的な役割を果たしてきた熊本市の取り組みも、今では若干色あせつつあるように思います。  現在、ぜんそくなどのアレルギー性疾患を誘発する大きな要因として、また環境ホルモンの疑いも指摘されるなど、ディーゼル車の排出ガスが大きな社会問題となっております。  そこでお尋ねですが、熊本市ではこれまで、低公害車として電気自動車やハイブリッドカーなどを率先導入されておりますが、現在、ごみ収集車などを初め、幾つかディーゼル車を使用されておりますので、こういったディーゼル車に対しましても、何か先導的な対策を講じてはいかがでしょうか。  また、あわせて、民間事業者への指導、啓発につきましても実施していく必要があると存じますが、これらについても今後どのように取り組んでいかれるおつもりなのでしょうか。  以上二点につきまして、環境保全局長の御答弁をお願いいたします。        〔古川康環境保全局長 登壇〕 ◎古川康 環境保全局長  おはようございます。  田中議員に環境問題について二点お答えします。足元からの環境保全活動を促進するための施策についての二点でございます。  まず第一点目は、環境保全都市としていろいろ積極的に取り組んでいるというアピール、そういう施策を考えてはというお尋ねでございます。  御案内のとおり、本市では、平成七年九月に市議会の全会一致の御賛同をいただきまして「環境保全都市宣言」を行いました。  本宣言にうたわれておりますとおり、真の環境保全都市を実現するためには、市民の皆様お一人お一人が環境問題に対します責任と役割を自覚され、環境保全に向けた実践行動に取り組んでいただくということが最も重要と考えております。  これまでもごみの減量やリサイクルはもちろんですが、地下水の保全や緑化の推進など、いろんな環境分野で市民の皆さんとともに活動を進めてきているところでございます。  例えば、温暖化防止に関しての実践活動を例にとりますと、平成十年度に実施しました「市民CO2二〇%削減宣言」において一万人以上の市民の皆さんに御登録をいただきました。そして、電気使用量を一一%削減するなどの顕著な成果を見ておるところでございます。  さらに、温暖化防止活動推進員二十四名の皆様と温暖化防止推進マニュアルを作成し、本年度からは地域や職場に入ってCO2二〇%ダイエットクラブを立ち上げる施策に取り組んでおります。  このような活動をより一層進める上では、私どもの環境に関する情報を、市政の広報やホームページなど、さまざまな媒体や啓発事業等を通しましてこれまで以上に市民の皆様に積極的に発信し、情報を共有化していかなければならないと考えております。  このような意味におきまして、議員御提案のとおり、本市が二〇〇二年に開催を予定しております友好都市による国際都市環境会議などは、国内外に本市の取り組みをアピールし、さらには本宣言の趣旨を市民の皆様に御理解をいただくための絶好の機会と思います。  このような機会に環境保全活動を推進します象徴的なフラッグと申しますか、これらを掲げることなどいろんな創意工夫をいたしましてアピールしてまいりたいというふうに考えております。  次に、二点目の、ディーゼル排出ガス対策についてでございます。  私どもの先導的な取り組みといたしましては、これは交通事業の方でございますが、まず市営バス二十二台に黒煙防止のための燃料改質装置、これは燃料が完全に燃焼するシステムといいますか、そういう装置でございます。これを装着いたしまして、黒煙を約三〇%から五〇%削減するという顕著な実績を上げているところでございます。  また、御指摘のごみ収集車につきましては、同様な燃料改質装置を装着しますとともに、廃食用油を燃料として活用します実験を行っております。その効果の把握に努めているところでございます。  そのほか、今後は既存車両へのディーゼル黒煙除去装置、これはフィルターでございますけれども、これの装着を進めるとともに、黒煙を排出しない天然ガス車導入の検討など取り組んでまいりたいというふうに思っております。  また、民間事業者に対しましてもこれまで低公害車の導入促進について啓発を進めてまいっておりますが、経済的な負担が大きくなるなどもありまして、なかなか思うように進んでいないのが現状でございます。  このため、ディーゼル対策を進めるには、これまでの国などの助成制度の活用はもとよりでございますが、本市独自の金融支援策なども検討してまいりたいと考えております。  あわせまして、平成九年度に県市共同で策定しました「熊本都市圏自動車交通クリーン推進計画」に基づき、県や周辺市町村、民間団体等と連携いたしまして、黒煙防止装置の普及などの発生源対策や共同集配システムなどの交通量低減化対策などを積極的に推進してまいりたいと考えております。少々長くなりましたけれども、御答弁といたします。        〔十四番 田中誠一議員 登壇〕 ◆田中誠一 議員  ありがとうございました。  これまでの先進的な取り組みにより、環境保全都市熊本の名は全国的に知られているところでございます。今後とも、その名に恥じないような先駆的な取り組みを続けられることを期待しております。  引き続き、環境問題に関連し、自転車利用の促進についてお尋ねいたします。  私の地元の日吉東校区を初め、田迎、御幸校区といった市南部地域は、流通団地の建設以来、東バイパス、浜線バイパスなどの幹線道路が整備されるとともに、マンション建設や宅地造成が進み、大型ショッピングモールや総合病院等も進出するなど、市内でも際立った変貌を遂げている地域であります。  その結果、現在では、交通混雑が際立っており、曜日や時間を問わず渋滞が見受けられるようになり、このため、幹線道路の抜け道として住宅地の道路にまで車の進出が目立っております。  このため、歩行者や自転車の安全確保もままならず、特に、通学時の交通安全は地元民の非常に切実な問題となっております。  現在の財政状況や道路事情からも、既存道路を拡幅し、歩道、自転車道、車道を別々に確保することは非常に困難であると思います。  しかしながら、この問題は、急速な都市化が進んだ南部地域で際立ってはおりますが、決してこの地域だけの問題ではなく、高校、大学が立地する大江や黒髪を初め、全市に共通する課題ではないでしょうか。  どの地域を見ましても、通学や通勤に使えるような自転車専用道路がなく、狭い歩道を歩行者と共有しながら利用するか、車道にはみ出して通行しているのが現状であります。  もともと本市は、平たんな地形で、学生が多いことから、他都市に比べ自転車を利用する人が多いようであります。  一方、近年、自転車は、環境にやさしい乗り物として、また、健康づくりのツールとして改めて見直されているところでもあります。  本市では、二十一世紀の指針として策定された新熊本市基本構想において、まちづくりの重点的取り組みの一つに「環境と調和した循環型社会づくり」を掲げ、その具体的施策として、自転車利用の推進に取り組むとされております。  非常に困難な課題を抱えているにもかかわらず、基本構想の中でこのような具体的施策を掲げられておりますことは、環境保全に取り組む熊本市の強い意気込みを感じるものであります。  そこで、お尋ねいたします。  まだまだ克服すべき課題も多いとは存じますが、自転車利用の推進は、交通渋滞の緩和はもとより、大気環境の保全、地球温暖化の防止等環境保全に大きく寄与し、まさに環境保全都市熊本の実現に大きな役割を果たすことが期待されるものであります。  そこで、基本構想で掲げる環境と調和した循環型社会の形成に向け、環境にやさしい自転車の利用促進を図るため今後どのように取り組んでいかれるのか、企画調整局長のお考えをお願いしたいと思います。        〔齊藤聰企画調整局長 登壇〕 ◎齊藤聰 企画調整局長  環境問題からの自転車利用の推進についてということでございます。お答えをいたします。  現在、本市では、通勤、通学や買い物等、多くの市民の方々が日常的に自転車を利用しておりますが、狭い道路が多く、安全に走行できる空間が少ないのが現状であります。また、駐輪場も不足をしており、中心部などでは放置自転車が今も後を絶たない状況であります。  今日、健康づくりや環境保全の観点から自転車利用に関する市民ニーズは非常に高まっており、本市といたしましては、今後、その利用推進に積極的に取り組んでいかなければならないと認識をいたしております。  このようなことから、本年三月、第一回定例会におきまして御議決いただきました新熊本市基本構想の中で、まちづくりの重点的取り組みの具体的施策として自転車利用の推進を取り上げており、ただいま関係十六課から成る自転車利用推進研究会を設置したところでございます。  今後、自転車利用を推進していくためには、安全な走行空間の確保、駐輪場の整備、さらには利用者のマナーの向上などを進めていく必要がありますが、議員御指摘のとおり、既存道路の拡幅や自転車専用道路の整備、あるいは市内各所に本格的な駐輪場を設置することは確かに困難な状況にあると言えます。  しかしながら、例えば用水路や河川敷を利用した専用道路を整備するとか、商店街などと協力しながら簡易な駐輪場を各所に設けるなど、創意工夫によりさまざまな対応を図っていかなければならないと考えております。  そこで、今後は、先ほど申し上げました研究会を中心に検討を重ねながら、関係部局と連携のもと、環境と調和した循環型社会の実現に向け、自転車利用の推進に積極的に取り組んでまいる所存であります。  議員各位の一層の御指導、御支援をお願い申し上げるところでございます。        〔十四番 田中誠一議員 登壇〕 ◆田中誠一 議員  ありがとうございました。  多くの市民の方々から、自転車が安全に通行できるような空間を整備してほしいという声が上がっております。  また、自転車専用道の整備等は、自転車利用者はもとより、歩行者や自動車利用者にとっても大変ありがたいものであります。  関係部局と連携を図られ、積極的な取り組みをお願い申し上げます。  次に、地場産業の活性化について二点お尋ねいたします。  まず、第一点は、農業の振興についてでございます。  食糧は人間の命の根幹をなすものであり、その安定供給は国民生活にとって最大のテーマであると考えます。  しかしながら、我が国の食糧自給率は、平成十年度の供給熱量ベースで四〇%となっており、これは先進国の中でも最も低い数字であります。  特に稲作に関しては、我が国は、古来、瑞穂の国と言い伝えられてきたように、米を中心とした食生活を営んできましたが、近年、食生活が多様化し米の消費量も激減しております。  このような状況にかんがみ、国は米の需給調整のため減反政策を継続しており、そのため、減反面積は年々増大しており、本市の平成十二年度の転作率は水田面積の四四・七%にも達し、言いかえれば、二年に一回しか米を栽培できない状況となっております。  一方、米の転作面積の増大に伴い野菜の栽培面積が増加しておりますが、近年、その価格の低迷が続いております。  私も長く農業に従事しておりますが、農家の方々の心境を考えますと、いても立ってもいられない思いであります。  このような野菜の価格低迷は、長引く景気低迷に伴う買い控えはもとより、安価な輸入野菜の急増が原因であります。  平成十一年度の輸入野菜は二百五十六万トンとなっており、国内消費量の一六%に至っております。  これまでは、国内の野菜の生産状況を考慮した輸入が行われてきたのでありますが、近年では、国内の作柄に関係なく年々増加し、国内の産地を直撃するなど、第二のイグサの様相を呈しつつあります。  特に、耕地面積が広大で生産コストの低いネギ、ブロッコリー等の中国産の露地野菜、また、スイカ、ナス等の韓国産の施設野菜の増加が顕著であり、本市野菜にとって大きな脅威となってきております。  加えて、近年の輸入野菜は技術の向上が目覚ましく、品質面では国産品と色ないものも見受けられ、価格的にも国内品に比べ三割から五割も安くなっております。  私の知人で施設園芸を営んでいる人のほとんどは、平年に比べ二割から三割の減収で経営が成り立たないと言っており、農家にとってはまさに死活問題でございます。  加えて、輸入野菜については安全性が確保できているのかといった問題もあります。  現在、輸入野菜は、植物検疫や食品衛生法に基づいた各種の検査業務の上、輸入が許可されているようであります。  しかし、先日、国内では栽培や流通が認められていない遺伝子組みかえトウモロコシが見つかり、さらに、ミニトマトにおいても国内基準値を二ないし六倍上回る農薬が検出されたとの報道もあり、果たして本当に安全なのか大きな不安があります。  その点、日本の農業者は昔から安全な農産物を提供し、国民の食生活を守り続けてきた誇りを持っております。
     これまで、生産調整や転作の問題等についていろいろと述べてきましたが、今後一層増加すると思われる輸入農産物に対抗するためには、私は、まず第一に、若い農業者や認定農業者等を中心に、国際的な視野で産地間競争意識を持った農業者を育成することが急務であると考えております。熊本市は認定農業者数においても日本一と聞いておりますが、農業に意欲を持った若者を育てることも大変重要なことだと思います。  次に、市民に対し市内で生産された農産物の優秀性をアピールし、地場農産物を買っていただく、いわゆる地産地消の考え方を全市的に浸透していくことが非常に大切であります。そのために、消費者との交流や農業体験事業等を拡充し、市民への農業理解を深めることが必要ではないでしょうか。  そこでお尋ねをいたします。  輸入農産物への対応として、地場農業の競争力を高める対策について、市は今後どのように取り組んでいかれるおつもりでしょうか。  次に、IT関連産業の育成についてお尋ねいたします。  今日の経済状況は少しずつ明るい兆しが見えつつあるものの、個人消費を中心に、先行きいまだ不透明な部分が大きく、はっきりとした回復基調とまでは至っておりません。  これに伴い失業率もなかなか回復せず、来春卒業見込みの学生の中でまだ就職が決まっていない人もたくさんおり、保護者の方々の御心配もいかばかりかと存じます。  我々凡人はかすみを食べて生きていくわけにはいきませんし、財布の中身次第で心の余裕も生まれるものであります。やはり、幸せな市民生活を実現する上では、まずは日々の暮らしを支える経済的な基盤がしっかりしていることが必要であります。  このためには地場産業の振興が不可欠ですが、現在のような景気状況下では、やはり行政の後押しが重要となってまいります。  これまで熊本市では、国と連動した雇用対策はもとより、各種商談会の開催、融資制度の拡大等、地場産業の活性化に取り組んでこられたところであります。  しかしながら、これらの対策はどちらかと言えば対症療法的なものが中心であり、今後は、産業として地場にしっかりと根をおろすことができるよう、将来を見据えた対策がより重要ではないかと考えるものであります。  御承知のとおり、先般IT推進基本法が制定され、国民を対象としたIT講習会が全国各地で開催されることとなっています。このことについては昨日の本会議でも取り上げられておりますので、詳細についてはここでは申しません。  しかし、これまでの産業の歴史をひもときますと、ある一つの商品が普及することで、社会全体に大きな経済革命を引き起こした歴史があります。  その顕著な例がテレビの普及であり、自家用車の普及ではないでしょうか。そして、このテレビ、自動車と同じ役割を期待されているものがIT革命と呼ばれる情報機器であります。  本市としても、このIT化の波におくれることなく、これを活用した地場産業の振興に取り組む必要があることは言うまでもありません。  しかし、ITに関しては、関係分野が非常に多岐にわたり、またその業態も大企業から個人企業まで多種多様であり、支援、育成といっても、何から手をつけていいのか非常に難しいのが実情であろうかと存じます。  しかしながら、設備投資がなくても技術とアイデアで起業化が可能であるというITの特性に応じ、意欲や能力のある人に活躍する場を与えることで資質を開花させ、将来の地場産業をリードしていくような人材を確保するといったことは十分可能であります。  そのためには、いわば先行投資型支援というような、従来にない柔軟な発想が必要ではないでしょうか。  そこで、新世紀に向けた地場産業の振興策として、特にIT関連の産業育成について、今後どのように取り組んでいかれるおつもりなのかお尋ねいたします。  以上、地場産業の振興に関し二点、経済振興局長にお尋ねいたします。        〔三嶋輝男経済振興局長 登壇〕 ◎三嶋輝男 経済振興局長  まず、地場農業の競争力を高める対策についてお答えいたします。  ただいま議員御指摘のとおり、中国、韓国からの輸入野菜の増加には私どもも非常に危惧の念を持っているところでございます。  お尋ねの地場農業の競争力を高める対策でございます。  まず、何といっても、御提案にありました、若い農業者、意欲ある担い手を育成していくことが第一であろうかと思います。  これまでも、青年農業者や認定農業者を対象に、農業技術研修、先進地研修などを行ってきたところでございますが、今後は特に、経営管理研修や海外研修の内容充実に努めるなど、企業的経営意識や国際的感覚を持った担い手の育成に努めていかなければならないと考えております。  さらに、地場農産物が他に負けない優位性を発揮するためには、新鮮で安全性が高く、しかも高品質の農産物を提供することが基本であり、今後とも、低コスト対策など、生産者と一体となって各種支援施策に取り組んでいきたいと考えております。  また、これからの農業を考えますとき、市民の皆様に農業を理解していただくことが大変重要なことと考えており、具体的には、市民の皆様に大変喜ばれております市民農園を拡充し、また次世代を担う子供たちを対象に、稲作体験、酪農体験を初めとする各種の農業体験事業等を充実していきたいと思います。  さらに、お述べになりました、地元で生産された農産物は地元で消費するいわゆる地産地消運動を推進する観点から、地場農産物の学校給食への活用、城下町青空市や地元農産物の消費拡大キャンペーン事業の拡充を図っていくことといたしております。  今後とも、地場農業の競争力を高めるため、意欲ある担い手の育成はもとより、安全でおいしい農産物の消費拡大を図る一方、生産者と消費者との交流を進めながら本市農業の振興を図ってまいりたいと考えております。  次に、IT関連産業の育成についてお答えをいたします。  本市におきましては、先行投資型の創業支援策いわゆるベンチャー企業等の育成策といたしまして、起業化アドバイザー制度、それから起業家育成セミナー、起業化融資制度などのソフト面からの支援事業を実施し取り組んでいるところでございます。  さらには、これらのソフト支援に加え、低料金で施設、設備の貸し付けを行い、起業化を支援するハード面の整備についても研究を進めているところでございます。  また特に、IT関連産業など今後の成長が期待される新規成長分野につきましては、各企業の事業展開方針や経営上の課題などについて実態調査を行っているところでございます。  この調査結果をもとに、行政の支援策を新産業成長支援プログラムとして取りまとめ、新たなリーディング産業へと計画的な育成を図ってまいりたいと考えております。  今後の本市経済の活性化を考えますとき、議員お述べになりましたように、IT関連産業の振興策を講じることは非常に重要なことであると認識いたしておりますので、ソフト、ハード両面から体系的な支援策を今後とも積極的に講じてまいりたいと考えております。        〔十四番 田中誠一議員 登壇〕 ◆田中誠一 議員  現在、輸入農作物については、農林水産省ではセーフガードの発動に向けた調査開始を検討し始めたようでありますが、対象品目がネギ、タマネギ、トマト、生シイタケ、ピーマン、イグサの六品目であり、本市特産のナス、スイカ、メロン等は入っておりません。私個人としてはぜひ加えるべきだと思っております。  一方、家庭の主婦や小さいお子さんをお持ちの母親にとって最も危惧されていることは、農産物の安全性でありましょう。  このようなことから、安全でおいしい農作物の生産と供給は最も基本的な問題でありますので、関係部局のさらなる積極的な取り組みをお願い申し上げます。  また、新世紀に向けた地場産業の育成に関し、IT関連産業はその起爆剤ともなるものでありますので、柔軟な発想で先駆的な取り組みを進めていただきたいと存じます。  それでは、引き続き、民間活力の活用についてお尋ねいたします。  現在、熊本県の財政の窮状が連日新聞報道されておりますが、程度の差こそあれ、本市の財政事情も厳しい状況にあります。  このような中、平成七年度に「熊本市行政改革推進本部」を設置され行政改革に取り組んでおられ、第一次の行政改革大綱では、全体で五十億の経費削減が実現されるなど、その成果を大いに評価するものであります。  しかしながら、本市財政はいまだ厳しい状況でありますので、行政改革の一層の推進をお願いし、この件に関してお尋ねいたします。  ただ、一口に行政改革と申しましても多岐にわたっておりますので、行政運営の効率化という視点で、特定の業務に関する民間委託に絞って、私見を交えながらお尋ねしたいと存じます。  まず、市営住宅の維持管理業務についてでございます。  本市の市営住宅管理戸数は、今や百九団地、一万二千六十五戸に達し、その維持管理に係る業務量や経費は増大する一方であり、いかに維持管理を適正かつ効率的に実施していくかが重要な課題となっております。  このような中、財団法人熊本市住宅協会という賃貸住宅の管理運営に精通した既存団体がございます。  本協会は、昭和三十一年発足以来、賃貸住宅の建設、住宅や宅地分譲などを取り扱っており、特に昭和四十年代におきましては、楠団地、託麻団地等の大規模な住宅供給を手がけられ、本市の住宅政策の推進に大きく貢献されたところでございます。  しかしながら、住宅関連企業の成長とともに次第に業務を縮小し、今では協会所有の賃貸住宅等の管理と、市営住宅の管理受託業務のみにとどまっており、その活動は目に見えて低下してきております。  そこで、行政のスリム化とあわせ住宅協会の活性化を図るという観点から、協会の迅速性、即応性、柔軟性などの特性を生かし、市営住宅の管理等にさらに活用できないものかと考えます。  現在、市では、住宅協会に、市営住宅の管理業務のうち入退去事務と小修繕業務に限って委託されておりますが、維持修繕に関する工事、家賃滞納者への納入指導、徴収事務なども含め住宅協会に委託することはできないのでしょうか。  特に家賃滞納の問題につきましては、低下傾向にある収納率を考えますと、何らかの抜本的な対策が必要であると存じます。  そこで、住宅協会への業務委託の拡大について建設局長の答弁を求めます。        〔松下尚行建設局長 登壇〕 ◎松下尚行 建設局長  私の方から住宅協会の現状につきましてお答えいたします。  これまでも、住宅協会の活性化につきましては、理事として市議会から御参加いただいております住宅協会理事会の場でたびたび論議され、改革が加えられてきたところでございます。  その結果、住宅協会の機構改革や職員増など執行体制の強化が図られますとともに、市からの市営住宅の小規模な修繕業務の委託、さらには空室のかぎの管理、下見、退去検査業務などの委託により、市営住宅の入退去業務の一元化、効率化が図られてきたところでございます。  これらにより、例えば、急を要する小修繕に対してより迅速な対応が可能となり、入居者の利便性を高めるとともに、市にとりましても、戸数の増加に伴って増大する一方の管理業務の軽減と適正な管理が図られるなど、委託による効果が発揮されているところでございます。  したがいまして、今後も、委託が可能な分野につきましては極力委託を進めていくことが、市にとりましても事務事業の簡素効率化につながるものと考えております。  御提案の工事を伴う大規模修繕の委託や住宅使用料の徴収事務委託の実施につきましては、今後本市の行政改革の一方策といたしまして取り組んで検討してまいりたいと考えております。  特に住宅使用料の徴収事務の委託につきましては、収納率が伸び悩んでおります中、住宅協会の柔軟な対応や迅速性に富むその特性を考えますとき、滞納対策としては有効な方策の一つであろうかと考えておりますので、他都市の状況なども参考にしながら検討を進めてまいりたいと考えております。        〔十四番 田中誠一議員 登壇〕 ◆田中誠一 議員  ありがとうございました。  私は、基本的に、外部委託が可能であると思われる事務はできるだけ外部委託を進めることにより行財政の簡素効率化が図られるものと考えておるところであります。  今後、さらに、全庁挙げて積極的な取り組みを進めていかれることと存じますので、民間活力の活用に関し御提案を申し上げます。  現在、市ではさまざまな公共事業を実施しておられますが、この公共事業に必要不可欠なのが用地の取得でございます。  この公共用地の取得については、近年、地権者の権利意識の高揚や土地情勢の急激な変化の中、用地交渉が難航する案件が多くなっていると聞き及んでいます。  特に道路用地の買収において一部地権者の承諾が得られないことから、事業着手から長期間経過しても供用開始に至らず、市民からも疑問を抱く声が高まっております。  昨今、特に公共事業に対し市民から厳しい目が向けられ、これまで以上に公平性や透明性が求められるとともに、迅速な対応が要求されております。  このような状況の中、用地業務に携わる職員の方々におかれては業務遂行に日々努力しておられますが、現在の限られた人員で、数多くの案件を迅速に処理していくことは非常に困難なのではないでしょうか。  用地交渉業務は、電算化や機械化で効率性が高まるものではありません。やはり人員をふやし強化することにより対応できるものであります。しかしながら、行政改革は今後とも推進しなければならないところであり、用地関係職員だけを増強することは困難であります。  現在、熊本市では、事業用地を取得する際に必要となる代替地について、情報提供や媒介業務を宅地建物取引業協会と協定を結び、公共用地取得の推進を図っておられます。  そこで、提案でございますが、行政改革の推進を図る上から、一歩踏み込んで、公共用地の取得業務についても、不動産協会などの、その道のプロである民間の不動産業者を活用することで効率的な公共事業の推進を図られてはいかがでしょうか。  この件につきましては、関係部局に対し、今後御検討いただきますよう要望いたします。  それでは、引き続き、市庁舎十四階展望ロビー及びレストランの夜間及び休日開放についてお尋ねいたします。  皆様御承知のとおり、市庁舎十四階にあります展望ロビーやレストランにつきましては、晴天時には遠く大阿蘇を望み、西に金峰山や花岡山、東に立田山などを一望することができ、その眺望たるやすばらしいの一言でございます。  特に、日本三名城に数えられる我が熊本市のシンボルである熊本城の天守閣を間近に見れる場所として、市内でも有数のスポットとなっております。  また、視線を下に落とせば、眼下に広がる熊本城内に、春には満開の桜に始まり、もえるような楠若葉が彩りを添え、秋には大楠の緑とイチョウやケヤキなどの黄葉の鮮やかなコントラストが見る者に大きな安らぎと深い感動を与えております。  ただ、私が大変残念に思いますのは、このすばらしい眺望を誇る展望ロビーやレストランの開放が市役所の執務時間内だけに限られており、年間を通じてライトアップされている壮大な熊本城の夜景を見ることができないことであります。  このことは、市民や来熊者に熊本城をアピールする上で非常にもったいないのではないでしょうか。  確かに、夜間や休日等、勤務時間外にこのような施設を開放することについては建設当初から予定されておらず、現実問題として、建物の構造や設備、さらには火災防止や防犯上の観点からさまざまな問題があることは私も重々承知いたしております。  しかしながら、これまでも多くの市民の方々から夜間開放についての要望もなされているやに聞いておりますし、現在進められております熊本城復元整備に対したくさんの方々から募金が寄せられていることなどから、市民のお城に対する思いの強さがひしひしと伝わってくるわけであります。  このようなことから、市民の憩いの場として、あるいは来熊者の新たな観光スポットとして、十四階展望ロビーやレストランの時間外開放を検討されてはいかがでございましょうか。  聞くところによりますと、愛知県豊橋市では、夜間や休日に市庁舎展望レストランを積極的に開放されているとのことであります。  加えて、夜となりますと、やはりメニューにもアルコール類等があった方が、ライトアップされた熊本城をめでるのにも一層華やかになるのではないかと思います。  先ほど申し上げました豊橋市を初め、私が存じ上げている範囲で五カ所、夜間、休日の開放をされており、そのうち四カ所についてはアルコール類も出されているとのことであります。  また、市内のデパートやショッピングセンター等でも、店舗内をシャッター等で閉鎖し、レストランやゲームセンターなどは別の出入り口を設け、営業時間を延長しております。  これらの他都市や民間施設の事例を参考にしていただき、市役所十四階ロビーやレストランの夜間、休日開放について検討していただきたいと思います。  そこで、開放に向けての考えはないのか、総務局長にお尋ねいたします。        〔松村紀代一総務局長 登壇〕 ◎松村紀代一 総務局長  市庁舎十四階展望ロビー及びレストランの夜間や休日の開放についてのお尋ねでございます。  ただいま御質問でもお述べいただきましたが、市庁舎十四階の展望ロビーやレストランの夜間及び休日等の一般開放につきましては、これまでも多くの市民の方々から御意見や御要望をいただいておりましたが、建物の構造や設備、また火災や防犯上の問題等から現在まで開放に至っておりませんでした。  しかしながら、施設面の問題点につきましては、人的対応や多少の制限等を加え、開放に向け検討を重ねてまいりましたが、今回レストランにも御協力をいただきまして、近々、タイミングをとらえまして、試行という形で短期間実施をしてみたいと考えております。  その結果、いろいろな問題に再検討を加えまして、さらに工夫を重ねながら、一般開放に向け努力したいと考えておりますので、よろしく御理解のほどお願い申し上げます。        〔十四番 田中誠一議員 登壇〕 ◆田中誠一 議員  前向きな御答弁をいただきましてありがとうございました。  早速、新世紀カウントダウンイベントの中で、試行的にも実施を検討してみるということでございますので、その結果を見ながら、ぜひ、夜間、休日の開放を検討していただきますようお願い申し上げます。  最後に、私の地元の南部地域に関しお尋ねいたします。
     先ほどの環境問題の質問の際に申し上げましたとおり、私の地元の日吉、日吉東校区を初めとする市南部地域は、流通団地の建設や南部第一土地区画整理事業以来、交通網や下水道などの都市基盤が整備され、民間活力による商業地域として目覚ましい発展を遂げております。  しかし一方で、南部区画整理地区は、バブル経済の最中の異常な地価の高騰や昨今の景気低迷などにより個人住宅の建設が予想をはるかに下回っており、この地区の人口が当初の計画数値に達するのは相当先のことであろうと思います。  このような状況のため、この区画整理地区内にあります学校用地も、現在、調整地として利用されております。  そこで、私は、この調整地をスポーツなどに利用できる広場として地元民に開放できないものかと、平成七年の第四回定例会を皮切りに、平成九年、平成十一年と機会あるたびに取り上げてまいりました。  最初は、地下水位が高く、降雨時には調整地内から地下水がわき出すことも多いことから、広場との活用は難しいとの御答弁でありました。しかし、その後、天明新川の河川改修も進み、六間堰の改修も終了し、現在では、局部的な多少の水たまりはあっても、平常は空堀に近い状態となっております。  このようなことから、本年第三回の定例市議会において、田辺議員の質問に対し、都市整備局長から、広場としての整備計画を検討していきたいとの答弁がなされております。  私を含め多くの地域住民は、このお答えを長年待っておりましたので、二十世紀の最後に大変うれしい贈り物をいただいたと感謝いたしているところであります。  そこで、都市整備局長にお尋ねいたします。  この問題を取り上げるのは最後になろうかと存じますので、予定が立っておりますならば、ぜひ、いつ工事に着手され、いつごろまでには整備が完了するのか、教えていただきたいと存じます。よろしくお願いします。        〔田尻紘都市整備局長 登壇〕 ◎田尻紘 都市整備局長  南部第一土地区画整理事業地区内の学校建設用地の有効利用について田中議員にお答えをいたします。  このことにつきましては、ただいま述べられましたように、平成七年、平成九年、平成十一年の定例会で田中議員から御提案、御要望を受けております。また、さきの定例会では田辺議員からも御質問をいただいております。  これまでの提案の趣旨を踏まえ、関係機関との協議を重ねてまいりました結果、小学校建設用地面積約二万平米のうち約六千七百平米につきまして、調整地機能を有した広場として開放したいと考えております。  今後の予定でございますが、来年一月中旬ごろに整備に着手し、本年度内に完了したいと考えております。  なお、開設後の管理につきましては、地元自治会関係団体等にお願いしたいと考えておりますので、田中議員には、地元関係議員としてさらに御協力いただきますようお願いを申し上げます。        〔十四番 田中誠一議員 登壇〕 ◆田中誠一 議員  ありがとうございました。  先ほどスポーツの振興に関し御要望申し上げましたように、このような市所有地の中で活用されていない土地については、今後とも地域住民の福祉に資するような利用について前向きに検討していただきますようお願い申し上げます。  本日用意させていただいた質問はすべて終了いたしました。執行部の皆様には真摯な御答弁をありがとうございました。  また、議員各位、そして師走の大変お忙しい中においでいただき傍聴いただきました皆様方に対しまして厚くお礼を申し上げます。  これをもちまして質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)     ────────────────── ○鈴木昌彦 副議長  この際、議事の都合により休憩いたします。  午後二時に再開いたします。                午前十一時三十五分 休憩                ────────────                午後 二時  一分 再開 ○江藤正行 議長  休憩前に引き続き会議を開きます。     ────────────────── ○江藤正行 議長  質問を続行いたします。佐々木俊和議員。        〔十九番 佐々木俊和議員 登壇 拍手〕 ◆佐々木俊和 議員  くまもとの佐々木俊和です。  今世紀最後の定例会に登壇の機会をいただいた先輩議員、同僚議員に感謝申し上げます。  我が会派の名前にふさわしい二十一世紀の新しい熊本市づくりに向けた本市の課題について質問してまいります。執行部の真摯な答弁を期待して進めてまいりますので、よろしくお願いいたします。  まず、第五次熊本市総合計画についてであります。  三月議会で二十一世紀初頭のまちづくりを方向づける第五次熊本市総合計画の基本構想が策定され、現在、基本計画がまとめられようとしています。  この総合計画は地方公共団体の憲法とも言われるもので、その歴史は、昭和二十八年に町村合併促進法、昭和三十一年に新市町村建設促進法が施行され、これを受けて各市町村で新市町村建設計画が作成されたことに始まります。  その後、市町村の総合計画のうち、基本構想の策定が法制化されたのは昭和四十四年の地方自治法の改正によるものでした。それ以前から市町村計画を策定する動きがあったものの、この法制化を契機に全市町村で策定されるようになったのです。その後、総合計画は、時代の要請にこたえる形で改定のたびに変化してきています。  昭和四十年代は、高度経済成長の一方で自然環境との調和や人間優先などが言われ、総合計画では住民参加やコミュニティー計画などが検討されました。  昭和五十年代は、高度成長から安定成長に移行する中で、生活の質の向上やゆとりのある生活が求められるようになり、総合計画でも、地域開発、都市開発より地域づくり、まちづくりなどの言葉が使われるようになりました。  昭和六十年代は、バブル崩壊を経験する中で社会システムの大きな転換点を迎え、成長を前提とした総合計画も変化してきました。  総合計画は、地方自治体にとってとても重要な位置づけにあります。それぞれの個別計画の上位にあり、いろいろな分野に関する目標や施策に言及した総合的な計画となっています。また、国や都道府県が地方の計画として尊重し、行政だけでなく地域住民や企業の役割にも言及した総合的な計画となっています。  このような重要な位置づけにある総合計画ですが、これに対する関心度はどうでしょうか。一般的には、住民のみならず行政内においてもなかなか高いとは言えないのではないでしょうか。  ある市でアンケートをとった結果、「総合計画にどの程度目を通すか」という問いに対して「ほとんどない」「年に数回」という答えが八〇%だったそうです。「頻繁に目を通す」は四%でした。活用しない理由についても「そもそも総合計画を念頭に置いて業務を行っていない」が半数を占めていたそうです。  さらに、住民においても、まちづくりの具体的な活動には関心があっても、総合計画への関心は余りないという現状があります。  また、総合計画に位置づけられていない国などの新しい施策、事業が毎年のように打ち出され、地方行政はその執行機関となっているため、住民も行政内の各部局も自然と国などに目が向くことになってきているのです。  関心を促すために住民や職員の参加を求めるということがありますが、総合計画自体が持つ構造的な問題、参加の仕組みを充実させても解決できない問題点があります。  総合的な計画という位置づけで議論するならば、あらゆる施策や分野に関する目標に満遍なく言及しなければなりませんが、それでは一つのテーマについてじっくりと議論するわけにはいきません。  また、議論を計画のどこに反映させたかわかるようにする完成度の高い計画書をつくらなければならないという建前があるので、住民参加の場においても、実際は事務局の作成した文案をチェックするにとどまる懸念があります。  これは、広く浅くアンケートをとったり、会議の回数をふやすだけでは解決できません。市民の参加や合意というレベルの発想ではなく、あくまでそれは市民計画であるという大胆な位置づけも必要となってくると思われます。  また、計画策定後の経済、社会の変化に対して、柔軟に対応できる構造が求められます。毎年、ローリングを行う実施計画では、財政フレームや予算査定と連動しながら、計画の変更を含めた施策、事業の進行管理システムの構築が必要となります。  こうした状況を見きわめた中で、今回の第五次熊本市総合計画の基本構想では、市民一人一人の役割と責任が明確に示され、市民総参加型のまちづくりを基本として、行政はそのための仕組みづくりに積極的に取り組むことを明記しています。  基本構想の実現に向けての主要な施策や事業を体系的に示す基本計画の案を拝見させていただきました。基本計画の策定に当たっては、市民生活の向上の観点から施策、事業の目的を明確にする。施策、事業の管理指標と達成目標を掲げ成果を重視する。中期財政計画、行政改革との整合性を図るとの基本方針のもとに書かれています。  そこでお尋ねいたします。  第四次総合計画をどう総括し、それをどう第五次総合計画に生かしていかれるのか。  また、総合計画は、あらゆる分野に関する目標を満遍なく言及するという性格から、どうしても総花的になるものですが、やはりその中においても、今後は優先順位というものを考えていかなければならないと思います。このことについて、三角市長のお考えをお聞かせください。  次に、本計画では市民総参加型をうたってありますが、計画策定に当たり、これまでの職員や市民の皆さんの参加について、どういう取り組みを実施されてきたのか。  また今後、市民総参加型の実行に向けてのお考えと、末端の職員までの計画の浸透及び日常業務に反映させるための方策について、企画調整局長にお尋ねいたします。        〔三角保之市長 登壇〕 ◎三角保之 市長  第五次総合計画に関し、佐々木議員にお答えをいたします。  ただいま議員から、歴史をひもとかれながら総合計画の果たすべき役割や陥りやすい課題等について、非常に重要な御指摘をいただいたところでございます。  新世紀を迎える中、少子高齢化、地方分権などに伴い、今後さらに大きな時代変化が予想され、私といたしましても、今回の総合計画では、前計画の総括をしっかりと踏まえ策定しなければならないと考えております。  そこで、第四次総合計画の総括についてでございます。  第四次計画では、策定当時の高い税収の伸びを前提に、幅広い分野で数多くの事業メニューが示されておりましたが、バブル経済の崩壊に伴い、幾つかの事業で計画の変更を余儀なくされたところであります。  当時、このような経済情勢の急激な変化は専門家でも予想されておらず、行政の対応に多少のおくれが見られたのはある程度仕方がない面もありますが、前回の計画が予算と十分に連携されていなかったことも柔軟な対応が図れなかった一因ではないかと考えております。  このようなことから、新計画では、財政計画との整合性に特に意を用いたところであります。  加えて、まちづくりの市民参加という観点から見ますと、前回計画では、具体的な方策が余り示されておらず、市民のかかわりが希薄であったように感じるところでございます。  そこで、新計画では、まちづくりに対する市民と行政のそれぞれの役割と責任を示すことで、計画への市民のかかわりを明確にしているところであります。  また、御案内のとおり、総合計画という性格上、すべての分野を網羅しなければなりません。厳しい財政状況にかんがみ、新しい熊本の基盤づくりに必要不可欠なものについては優先的に進めていくなど、計画にめり張りをつけることが重要であります。  そこで、本計画では、互いを支え合う地域づくり、個性と魅力を生かした都市の活力づくり、地球市民としての責任を果たす環境の保全、以上の三つを重点的取り組みとして掲げ、計画期間中において特に力を入れて取り組んでまいりたいと考えております。  いずれにいたしましても、新総合計画が、行政のみならず、六十六万熊本市民共通の、いわば「まちづくりのバイブル」として活用されますよう全力を傾注してまいる所存でございますので、市民の皆様、議員各位の一層の御支援、御協力をお願い申し上げます。        〔齊藤聰企画調整局長 登壇〕 ◎齊藤聰 企画調整局長  新総合計画における職員と市民の方々それぞれの参画について、策定時はどうであったか、また今後はどのように進めるのかというお尋ねであります。  まず、職員の参画ということについてであります。  特に市役所の第一線を担う職員の参画についてお答えいたしますと、平成十年度に主管課長による庁内組織の発足に合わせ、係長、課長補佐クラスで構成する作業部会を組織いたしました。  以後、現在まで、この作業部会のメンバーを中心に、新たな総合計画に求められる役割について研修を行い、現在の業務の分析、文案作成、目標とする指標の設定など、策定に関する具体的な実務作業のほとんどを進めてまいったところであります。  加えて、策定後の進行管理体制についても、事業の達成目標の設定や、計画と予算との連動の強化など、常に計画目標を意識し、その成果をみずから評価し、それが予算に反映させるような仕組みについて、引き続きこのメンバーを中心に取り組んでいるところであります。  このようなことから、新計画は、これまで以上に職員の意見が反映されるとともに、職員一人一人の参加意識も高まり、日々の業務において指針となり得るのではないかと思っております。  次に、市民の方々の参画についてでございます。  平成十年度の市民意識調査を皮切りに、小学生の絵画や中高生の作文、市民論文の募集、まちづくり委員会や自治会などへのアンケート等を実施するとともに、基本構想審議会では、二十九名の委員中、一般市民の方が十名、女性委員も四割に上るなど、従来、参画の機会が少なかった市民層の意見の反映に努めてまいりました。  また、基本構想の素案段階での意見募集や、市民シンポジウムの開催など、これまでにはなかった新たな市民参加の形に取り組み、その中で「自分たちがこのまちをつくるのだ」という市民の皆様の意識の高まりを実感したところであります。  今後は、市民と行政との協働の形をどのようにつくっていくのかということが最も大きな課題でありますが、これは、一つの決まったスタイルがあるのではなく、それぞれの分野や地域に応じて進めていくしかないと思っております。  現在、庁内で、特に地域づくりにおける住民参加の手法などについて横断的に検討や試行を重ねておりますが、例えば、最も身近な公園や地域コミュニティーセンターなどについて、計画段階からの住民参加ができないかと考えております。  そして、市民参加、市民との協働を実現するためにも、常に積極的な広聴や適切な情報開示に努めながら、信頼される開かれた市政を推進していくことが重要であると思っておりますので、今後とも、議員各位の御理解、御協力をよろしくお願い申し上げます。        〔十九番 佐々木俊和議員 登壇〕 ◆佐々木俊和 議員  ありがとうございました。  総合計画は、地方自治体の最上位の計画です。そのまちづくりに対しての市民の役割と責任を問うならば、計画そのものへの市民の皆さんの理解が不可欠です。今、計画の段階から市民参加を言われております。それとあわせながら計画の周知を行うと。その上で、どうすれば市民の皆さんと一緒になって行動できるかが大きな今後の課題だと思います。また、行政としての姿勢や体制の問題も考えていかなければなりません。  それでは次に、地方分権化における組織体制についてお尋ねいたします。  二十一世紀がいよいよ二十日余りと間近に迫ってまいりました。新たな世紀といいますと、何か新鮮で心地よい響きを感じますが、一方では、それがどのような方向で進展していくのか、あるいはどのように変化していくのか、期待感とともに、その先行きが見通せないことも事実であります。  特に、現下の国、地方を取り巻く環境には、財政状況を初めさまざまな事象が噴出しており、まさに先行き不透明感いっぱいの大変厳しい状況にあるものと認識しています。  折しも、二十一世紀は、これまで半世紀にわたって国民生活のかじ取りを行ってきた国の仕組み、これを大幅に改革する中央省庁の再編から幕をあけます。  このような流れに対して、私たち国民のみならず、地方自治体も、ただ眺めているばかりではいけません。  また、御案内のとおり、本年四月から地方分権一括法が施行され、国と自治体の関係が、これまでの上下、主従の関係から、対等、協力という横並びの関係になりました。  これは、自分たちが住む地域のことは、みずから考え、みずからが行動し、みずからが責任を持つという地方自治本来の姿である自主自律の精神のもとに行政運営を行っていかなければならないということです。  それでは、このような動きに対して、地方自治体はどのような体制を整えていかなければならないのか。まさに、大変重要であります。そのことを、本市も含め地方自治体は認識しているのでしょうか。  三角市長は、分権の先駆的役割を担う中核市の会長として、地方分権の推進に懸命に取り組んでおられるとお聞きしております。また、先般、姫路市で開かれました中核市サミット「二〇〇〇イン姫路」では、活発な討議がなされたと伺っております。  このように、二十一世紀にふさわしい、個性豊かで活力ある地域社会づくりを目指して取り組まれていることに敬意を表しますものの、真の意味での地方分権を築き上げていくためには、まだまだ多くの課題が山積していることも一面の事実であります。  本市においては、先ほど申し上げたように、三月議会で二十一世紀初頭のまちづくりを方向づける第五次熊本市総合計画の基本構想が策定され、現在具体的な肉づけ作業が進められていると推察いたしておりますが、この構想を着実に推進させるためには、国の省庁再編同様、何といっても本市においては推進体制の整備が必要ではないかと思います。  今、企業では「創造性」「柔軟性」「活力」という三つのポリシーが必要とされています。これらは企業で働く人の共通の期待像であり、企業全体、従業員一人一人に問われる基礎的な能力であります。こうした人材を戦略的に育成していく企業でなければ生き残っていけないと言われています。  一方、国においては、このようなマンネリ化を打破していく方策の一つとして、さきの臨時国会において、民間各分野の専門的知識を政策に生かす方策として、民間人を五年間の期限つきで国家公務員に採用する「一般職公務員任期つき任用法案」を可決し、新省庁体制発足に合わせて施行されることになっています。
     企業も国も、いろいろな形で知恵を出し合って着々と体制を整えているようであります。これは、地方自治体にとっても正念場を迎えているということになります。  今まさに地方分権の時代、これから地方自治体は、地域に根差した行政運営主体としての資質、能力が問われていくことになると思います。  そして、求められる自治体力の源となるものは一人一人の自治体職員であり、人こそが自治体の財産であり、資源となってくるものと思われます。  多様化、高度化するニーズ、迫する財政事情、少子高齢化の進行など、自治体を取り巻く厳しい環境の中で求められているのは、政策形成能力の向上、住民サービスという視点、経営的感覚などといったことではないでしょうか。  それでは、こうした要求に対応できる人材をどう育て、どう生かしていくのか。それは、能力開発、人事管理、組織機構などといった人づくりの環境を思い切って変えていかなければならないのではと思います。  すなわち、時代にマッチした組織機構や目標管理制度が充実していなければ、自治体力の源となる人材は育ちません。  そして、私が中でも一番大切だと思うことは、その組織の風土であると思います。その組織にどのような教育的土壌が培われているかということです。教育的な風土があれば、みんな、その中で励まし、協力し、競争し合って切磋琢磨し、自己啓発を行っていくはずだと思います。個々人の能力は勝手に伸びていくものです。そうした組織風土をどのように構築していくのかが大変重要であり、不可欠であると思います。  組織内の縦横のコミュニケーションはもちろん重要ですが、これまでの固定観念にとらわれることなく、時代の変化にたえ得る組織体制を構築すること、例えば弾力性に富み、機動力を遺憾なく発揮できるような体制整備への発想の転換が必要であると確信するものです。  もう少し具体的に申し上げるならば、これまでのピラミッド型組織からの脱却であります。裏を返せば、組織をフラット化するということです。大きなセクションを一くくりにし、その中にスタッフ制のチーム編成で物事を処理していくとか、あるいは部局横断的なプロジェクト制を活発に活用していくことが必要であると思います。  いつまでも硬直化した既定の組織にかかわり続ける必要はありません。変化に富んだ弾力性のある制度を取り入れてこそ分権型社会に対応することができるのではと思います。  既に先進的発想を持つ企業は、二十一世紀を見据えた組織体制を早くから構築しています。地方自治体も、オンライン化等の情報化への対応と同様に、地方新時代の幕あけにふさわしく機能的な組織を整備することが急務であります。  加えて、住民の生活圏の拡大に伴う市域を超えた行政間の相互の連携など、その必要性はますます高まってくるものと思われます。  このためにも、弾力的、迅速な行政運営、すなわち広く各分野にフレキシブルな組織を取り入れ、行政需要の変化に臨機応変に対応する体制を整備することが肝要だと思うのです。  冒頭申し上げましたように、いよいよ二十一世紀の幕があきます。そして、熊本の新世紀を方向づける第五次総合計画が動き出します。  このようなことを踏まえて、二十一世紀初頭の住民サービスに的確に対応すべく組織の整備が必要であると考えますが、単なる数合わせでない、真の意味での機構改革、すなわちどのような組織体制をお考えなのか、その基本的な考え方について企画調整局長にお尋ねをいたします。        〔齊藤聰企画調整局長 登壇〕 ◎齊藤聰 企画調整局長  地方分権型社会に対応した組織体制の基本的な考えについてお答えを申し上げます。  本市の組織につきましては、これまでも地方分権や行政改革の推進、あるいは少子高齢社会への対応といった視点から、中核市移行に伴う組織の充実や保健と福祉部門の統合などの機構改革に取り組み、時代の要請にこたえた効率的で市民にわかりやすい体制を目指してきたところであります。  このような中、現在、策定しております第五次総合計画の理念となる市民主体のまちづくりを推進するためには、広く市民が市政に参画できる開かれた市政の仕組みを構築するとともに、本市の厳しい財政状況の中で計画を着実に進めていくため、例えば財政と企画部門の連携や、人事と組織管理部門の連携をさらに強化するなど、総合計画を推進するための体制の整備が必要と考えております。  加えて、少子高齢化、高度情報化あるいは環境問題など、今後ますます増大し複雑化する行政需要に迅速かつ機動的に対応していくためには、従来の縦割りの階層的な組織から、議員御提案のような横断的なプロジェクトやチーム制といった、より柔軟でフラットな組織体制への転換もあわせて検討していかなければならないと思っております。  いずれにいたしましても、地方分権時代を迎え、地方自治体は、みずからの責任において自主自律的な行政運営を行っていく必要性があることを踏まえ、今後は、市民にわかりやすく利便性が高いことはもとより、時代の要請にこたえられる柔軟で機動性のある組織づくりに努めてまいりたいと存じます。        〔十九番 佐々木俊和議員 登壇〕 ◆佐々木俊和 議員  私の考え方に御理解をいただきましてありがとうございました。地方分権化の新しい時代にふさわしいマスタープランの実効ある組織体制が、来年度早々に整うことを期待いたしまして、次の質問に移ります。  地下水保全と法定外目的税についてであります。  法定外目的税は、今年四月施行の地方分権一括法で創設されました。これは、都道府県や市町村など、地方自治体が特定目的に使途を限定して独自に課税する制度です。  地方税法にない税を設ける場合、地方自治体が条例を制定して課税する法定外課税という制度があります。今回の改正で、この法定外課税の導入条件が緩和されたことにより、地方自治体における法定外税が設けやすくなりました。  地方自治体が法定外目的税を導入するには、条例制定のほか自治大臣との事前協議を必要とします。協議については、一定基準を満たしていれば原則として合意されます。  三重県の産業廃棄物埋立税、鳥取県の処理場建設促進税などのように、環境税として法定外目的税を検討する自治体が広がっています。  これらは、産業廃棄物を出す企業などに課税し、得られた税収をごみ処理場建設などの環境対策に向けようとするものです。産業廃棄物をどう処理するか、その財源についての地方の問題は切実なものがあります。  ごみ処理というはっきりとした目的のために課税する方法は住民からの理解も得やすいことから、ほかの自治体でも法定外目的税の動きが相次いでいます。  そのような中に、熊本県が地下水涵養を目的とした法定外目的税の導入を検討していることが十一月十四日付の新聞で報道されました。それによると「全県を対象に上水道料金に上乗せするなどして徴収する手法を想定しており、来年度から具体化作業に着手したい考え」であること、さらに「熊本市民は水使用量が福岡市より多く、新税導入で節水意識を高め、税収はすべて地下水保全に役立てたい」と報じています。  この報道に対して県は、その日のうちに、検討中の事項であり、先走り記事として扱うとしました。  私は、これには大きな問題点があると考えます。  県の法定外目的税の導入に関して疑義を唱えることはしませんが、使途目的の事業が県主体の事業であれば市町村としては何も言うことはありません。さらに言えば、環境税的なことに関してはむしろ県主導で行ってもらいたいと思います。しかし、地下水保全に関して、これまで本市が行ってきた事業に対して果たして県がどれだけ関与してきたのかということが問題だと思います。        〔議長退席、副議長着席〕  県はこれまで、熊本市を含む熊本地域の地下水保全に対して、本市と共同で地下水調査を実施したり、熊本地域地下水総合管理計画などの計画づくりや白川中流域水田利用実験を行ってきました。また、本市が行っている水源涵養林整備事業、流域保全森林整備事業に対して十分の四の国庫補助に十分の一上乗せをする形で補助を行っています。  県の支援は本市にとってありがたいことでありますが、いずれにしましても、県が実施主体として行っているのではなく、市と共同もしくは助成という形での支援にすぎません。  したがいまして、県が今回新たに地下水保全のための環境税を導入するのであれば、地下水保全対策の重要性と広域性から、ぜひ県事業として取り組んでいただき、また、その使途を県民、特に熊本市民に対して明らかにし、保全対策の効果についても十分な説明をしていただきたいと思います。  私が危惧するのは、県の財政危機の中で、結果として一般財源に組み入れられてしまうのではないかということです。  また、現在の経済情勢の中で新たに課税をすることについて県市民の理解が得られるのかどうか、この点も心配であります。  そこでお尋ねしますが、今後の地下水保全事業推進に向けた県との連携と、本市としての進め方をどのようにお考えか、環境保全局長の答弁をお願いいたします。  また、本市独自の法定外目的税の創設について、既に税制ワーキンググループが発足し調査研究も進んでいると思いますが、現時点で考えられる税目や市民に対するコンセンサスをどうするのか、そのお考えをお聞かせください。総務局長の答弁をお願いいたします。        〔古川康環境保全局長 登壇〕 ◎古川康 環境保全局長  私の方から地下水保全に関しましてお答え申し上げます。  御存じのとおり、熊本地域では生活用水のすべてを地下水で賄っているほか、産業活動などにも多くの地下水が利用されております。中でも本市は地域の地下水採取量の約六割を利用しており、本市にとって熊本地域の地下水を保全していくことは大変重要な課題であると認識いたしております。  また本議会におきましても、地下水保全に要する費用、財源等の問題も含めまして、地下水問題につきましてこれまで幾度となく取り上げられてきたところでございます。  また一方、市民の皆さんの受けとめ方でございますけれども、本年度実施されました市民意識調査によりますと、例えば、地下水保全のための協力金についても、家計を圧迫しない程度なら地下水を守るために協力したいなどのお考えをお持ちの方が多く見られ、地下水保全に対する関心は大変高いものがあると理解しております。  一方、このような中、行政サイドの動きでございますが、熊本県知事を議長とし、熊本市を含みます周辺十六市町村長で構成されます「熊本地域地下水保全対策会議」におきまして、地下水の有効利用と保全のために、行政や事業者、さらには住民が相互に協力し合うシステムをつくり、地下水採取者が採取量に応じた応分の負担をすることにより、総合的な地下水保全事業を進めていくことが既に確認されております。  それを受けまして、県から、平成十三年度中に地下水保全事業の支援システムの構築に向けての方針を提示したい旨の説明がなされ、現在その検討作業が進められているものと理解しております。  本市といたしましても、地下水保全のための対策は、市域を超えた広域的な取り組みが必要であるという認識に立ち、これまで各種の県市共同事業を実施いたしますとともに、本市独自の取り組みといたしましても、上流域における積極的な造林事業の実施、白川中流域の農地を利用した湛水事業の検討、さらには周辺市町村における地下水涵養事業を支援する財団法人熊本地下水基金に対します資金の拠出など各種の事業を展開してきております。  今後ともさらに、熊本県とのより一層の連携を図りながら、広域的な地下水保全体制の確立に向けていろいろな手法の検討を行い、地下水保全事業の支援システムの早期実現に向けて積極的に協力してまいりたいと考えております。        〔松村紀代一総務局長 登壇〕 ◎松村紀代一 総務局長  本市独自の法定外目的税についてのお尋ねにお答えをいたします。  本年四月に施行されました地方分権一括法により、地方においても自治体独自に新たな税目を創設できることになりましたことは、議員御指摘のとおりでございます。  これを受けまして、本市におきましては、税制を幅広く研究するため本年五月に、税務部内に「税制研究ワーキンググループ」を発足させ、新たな税源の可能性や本市税制のあり方等についての調査研究に着手いたしたところでございます。  他都市においてもそれぞれ取り組んでいるようでございますが、中核市二十七市のうち、現在のところ十二市が本市のような研究会、検討会を発足させております。  また、具体的な実施の動きは、全国の市町村の中でも横浜市の場外馬券売り場への課税のみのようであります。  本市のワーキンググループでは、考えられます幾つかの税目を想定し、その税収の効果や問題点の洗い出し等を行っているところでございます。  しかしながら、他都市において検討されている自転車やレジ袋等に対する税目を見てみますと、市民の御理解をいただくことが非常に困難なようであります。  お触れになりました環境税につきましても多くの問題があると思っております。  いずれにいたしましても、新税の創設は、なぜ、今市民へ新たな税負担を求めなければならないのか、またその使途をどのようにするのかの見きわめ、さらには市民の方々のお考え等にも十分配慮し、慎重に検討すべき課題であると考えておりますので、よろしく御理解のほどお願い申し上げます。        〔十九番 佐々木俊和議員 登壇〕 ◆佐々木俊和 議員  ありがとうございました。  事業推進と財源の裏づけは一体のものであります。したがって、事業の性格においてどこがそれを負担するかはおのずと明らかなことではありますが、先ほど述べましたように、残念ながら地下水保全の現状はそうではない状況だと言えます。  さらなる県の関与が求められますが、環境税の創設での解決は御遠慮いただきたいと思っております。本市の新税の創設も慎重であるべきと考えます。財源の確保については、先ほど述べられましたように、協力金制度や一トン一円運動等での対応をさらに追求していただきたいと考えています。  それでは、次の交通問題に移ります。  現代社会における交通とは、住民生活に必要な社会的機能であり、生活権の一部であり、いつでもだれでもどこにでもスムーズに移動できなければならないものだと考えます。  交通弱者、とりわけ高齢者が社会の活力を維持していくための担い手として、安全かつ容易に家庭から目的地まで移動できるよう利用しやすい公共交通機関の整備が必要であります。  つまり、社会的弱者を社会参加させる手段として公営、民営を問わずおのおのが有機的に連携し、施設の改良や維持に努めなくてはなりません。  さらに、自動車交通のもたらす排ガス、騒音等は地域環境のみならず地球環境の大きな負担となっており、これらをいかに減少させるのか交通の受け持つ責任は重く、より省エネルギー性にすぐれた公共交通機関の整備促進と自家用車からのモーダルシフトが求められています。  公共交通の充実を図ることにより、住民の良好なモビリティーを確保しつつ、マイカー利用を抑制することによって環境にやさしい都市交通体系を構築することが求められています。  海外、特にヨーロッパでは、人口規模で三十万人以上の地方都市でLRTを中心とした公共交通整備が盛んに行われています。これらの都市圏では、単にLRTやバスの整備、再編を行うだけでなく、歩行者、自転車、自家用車等も包括した都市交通全体での計画を策定し、さらには都市計画等との整合性も図りつつ、一つの基本方針のもとに関連する各施設をパッケージとして打ち出しています。  我が国においても、従来の生産性、機能性重視の交通体系から、生活の質やゆとりを視野に入れた交通体系への移行が二十一世紀に向けた地域づくりの重要なテーマであります。  このように交通の持つ意味の幅が大きく広がってきた今日、熊本都市圏においても安全で使いやすい総合交通体系を確立し、事故やエネルギーの損失を最大限抑える施策を持つことが本来の交通であると言えます。そうしたことからも、公共交通関連施設を都市の一部(装置)としてとらえなければなりません。  そうしたことから、公共交通政策とマイカー政策の連携、すなわち都市交通政策の一体化が重要になってきます。  ヨーロッパでは、公共交通政策とマイカー政策を一体のものとしてとらえ、LRTの導入やバスサービスのフィーダー化、輸送力の増強といった公共交通の強化とともに、都市部の交通体系再編成として、環状道路の整備や都市部の自動車通過制限、都市部での駐車場整備の抑制、郊外部でのパーク・アンド・ライドの展開、都市部での歩行者ゾーンの拡大等をパッケージとして打ち出し、より効果的な成果をおさめています。  これに対して我が国の現状は、片や中心市街地で駐車場整備を進めて都市部へのマイカーの乗り入れを奨励しつつ、一方では路面電車等への補助も入れるなど、都市交通政策としての一貫性が見られません。  また、パーク・アンド・ライドも取り組まれていますが、あくまで単体の施策として打ち出されているため多くの利用者を確保できず、モーダルシフトの効果も十分にあらわれていないのであります。  そこで、都市圏ごとに実情に合った都市交通政策の基本理念を打ち出し、一貫した方針のもとに、公共交通政策と道路整備、道路運用、駐車場整備といったマイカー政策をパッケージ化して打ち出していくことが必要であります。  都市圏ごとに、歩行者、自転車、公共交通、私的交通を包括した都市圏交通マスタープランをまとめ、強力にプランの実現に努力すべきだと考えますが、都市圏交通マスタープランの策定について市長の基本的考えをお聞かせください。  次に、トランジットモールについてです。  これまでも何度か質問してまいりましたので多くを述べませんが、通り町筋でのトランジットモール化を実現できないものかと考えるものです。TDMの一つの手法というだけでなく中心市街地の活性化策としても有効な手段と考えられます。  三角市長におかれましては強い意欲を持たれ、黒川教授を座長とした研究会をつくられ検討を重ねておられます。議会においても、黒川教授を講師とした先般の研修会でトランジットモールについても講演をいただいたところです。近い将来実現したいと改めて思ったところです。  そこで御提案ですが、本格実施に向け、市民の皆さんや商店街の皆さんの御理解をいただくために実験を行ってみてはどうかと考えます。  既に浜松市では実験を行い成果も上げています。タイミングよく、来年十月に路面電車サミットが本市で開催されます。これに合わせた形で前後の日曜日に実施してはどうかと考える次第です。  都市交通マスタープランとあわせて市長のトランジットモール実現に向けたお考えをお聞かせください。  次に、交通政策と都市政策の一体化についてです。  公共交通では乗車効率の向上が大きな課題であります。これに対しては、中長期的には、都市圏の構造自体を公共交通が利用しやすいように誘導していく政策が求められます。いわゆるTOD(公共交通指向型開発)であります。  TODとは、自家用車に依存せず、公共交通機関、徒歩、自転車などを交通の中心とするような都市開発を行うことです。都市圏の土地利用計画は、従来は道路との整合性が第一に考えられてきましたが、これからは鉄道、バス等の公共交通路線を整備するとともに、できるだけ多くの施設や活動拠点を公共交通機関の駅や停留所に、簡単に歩いていける距離内に整備することが重要であります。  具体的な施策としては、公共交通路線を中心とした線引きを行って都市圏のコンパクト化を図ることや、駅勢圏での密度を上げることです。  こうしたTODの実施は、公共交通機関の利用者増に結びつき、公共交通での乗車率の向上に寄与することになります。また、公共交通機関による中心市街地への集客の増加にも寄与し、中心市街地の衰退問題に対する処方せんとなり得るものと考えます。  今後のまちづくりにおいては、公共施設を初め集客施設等は、このTODの考えのもとに整備することが重要だと考えます。  これまでの郊外型開発により中心市街地の衰退を招いたというような都市政策から、TODへの都市政策を転換していくべきだと考えます。  TODについての考え方と本市の都市政策への導入についてどうなのか、都市整備局長にお尋ねいたします。        〔三角保之市長 登壇〕 ◎三角保之 市長  佐々木議員におかれましては、かねてより交通問題については格別の思い入れがあり、大変な研さんを積んでおられますし、我が行政といたしましても、事あるごとにいろんな御指導、御支援をちょうだいいたしておりますことに心から厚く御礼を申し上げます。  都市圏の交通マスタープランについてというふうなお尋ねでございました。  ただいま、平成九年からパーソントリップ調査を行っており、この検討委員会を、学識経験者を初め多くの委員の皆様方で形成をしていただいておるところでございますけれども、その検討委員会からも、公共交通機関の拡充というものが大変必要だという旨を承っておるところでございます。  私どもの総合計画の中でも、このマスタープランの検討協議会からいただきました問題につきまして、このことが交通マスタープランになるんだなというふうな考え方の中から、実施計画等についても考えていかなければならないというふうに考えているところでございます。  パーソントリップ調査は県が主体となっておるところでございますけれども、今の調査は二十年後を目標とした調査でもございますし、今後、私どもが、中心市街地あるいは交通網全体を計画していく中では大変期待をいたしておるところでございます。
     その一つの概要の中にも、公共交通へシフトしていくと。いわゆる公共交通につきましては、やはり時代の流れ、幾多の変遷をして今日を迎えておるところでございます。社会環境の中で、今や、歴史は繰り返されるというふうなことから、非常に公共交通が見直されておるところでございますし、多くの要因があるわけでございますけれども、一番大事なことは地球にやさしくということではないかなと。  そういうことも踏まえながら、自転車の利用あるいは公共交通の利用、そういったようなもので中心市街地を、きれいな地球を取り戻すような交通体系にしていかなければならないというふうな内容になっているところであります。  私も、個人的には、二環状八放射というものがうたわれてきたとき、大変すばらしいことだなという思いの中から、いろいろその状況も見させていただきながら、今や八放射──この前十一放射というお話もございましたけれども、一つの地点から放射状でいいのかなというふうな疑問も持つところでございまして、二環状の中で、あるいは近い環状の中で一つずつの拠点を持つ、あるいは外側の環状道路の中で、ただいま実験を進めておりますパーク・アンド・ライド、そういったようなものをつくっていかなければならないのじゃないかなという思いがしております。  交通問題について市民の皆さん方の御意見を聞きますと、やはり多種多様でございまして、最大公約数をとるというのが非常に難しい状況でございます。分母が非常に多過ぎまして、それぞれのお考えの中でまとまりがつかないというのが現状でございますので、しばらくいろいろ様子を見ながら、この交通マスタープランというものがきちんとしたものになっていくような努力をしていかなければならないというふうに感じているところであります。  また、トランジットモールについての御質問でございました。  私は、諸外国を見、そしてまた自分の思いの中から、中心市街地の中で、やはりシンボル的な熊本城を心のゆとりの中で眺められるような通りができないかなという思いで、大通り構想的なものを都市整備局ともどもに水面下で夢を語っておったところ、新聞にちょっとすっぱ抜かれまして、そのところからいろいろ騒ぎが始まったというか、専門家の方々に非常に熊本に目を向けていただいたと。  そして、私どもがお願いしたわけではありませんけれども、黒川教授を座長とする建設省OB、その他専門家の方々で、熊本に、中心市街地にトランジットモールをつくったらどうなるのか、自分たちで検討してみようじゃないかというふうなことから始めていただき、もちろん私どもも大変ありがたい気持ちで参画をさせていただきました。  お忙しい方ばかりでありますけれども、数回にわたりこの件につきまして御検討を重ねていただきまして、やがて中間答申へのまとめができるんじゃないかなというふうに思っております。  しかし、このトランジットモール、検討を重ねれば重ねるほどに、ほかから固めていかなければならない問題というものも大変産出をいたしてまいりまして、今度中間答申をいただきました後に、議会にその答申をお示しさせていただき、その後、当該地域を中心とし、やはり多くの市民の方々の御理解を得なければできないんじゃないかという思いがいたしております。  それは、私ども行政といたしましては、非常に理想的なすばらしいものというふうな位置づけをしながら検討をさせていただいておるところでございます。  この夢の実現に向けて頑張ることは惜しみませんけれども、多くの市民の皆さん方にこの件について御理解、御支援をいただかなければできないものでございまして、今後、その方向につけての努力をしていかなければならないと。  この前もちょっと申し上げましたけれども、あの通り町筋を通ります交通量が三万台に及んでおります。この三万台を振り分けていきますと、一番振り分けに近い道路の整備に数百億という費用がかかるわけでございまして、こういう面からも、御理解というのはなかなか難しいんじゃないかなと。  また、県道でございますので、県とも話をしながら、地下道をつくっていくというふうな問題につきましても、かなりな費用も投じなければなりません。  しかし、先ほど議員がお述べになりました、実験的にやってみたらどうかと、お金をかけずにやってみたらどうかというお話じゃなかったろうかと思いますので、そういうふうな面。もしトランジットモール化するにいたしましても、お金を最小限で済ませられるという方向でやっていかなきゃなりませんので、御理解をいただきながら、少しずつでも、そういった実験体制に入れればいいなというふうに思っているところでございます。  東京工業大学の黒川教授は御出身もこちらでありますし、非常に力を入れておられます。よそでも交通アドバイザーとして成功例もたくさんある方でございますので、今後、専門家は専門家として、私ども行政は行政として、あるいは市民は市民の皆さん方のお考えの中で、多くの意見を取り入れながら多くの実験ができれば私どもも大変助かるなという思いをいたしております。  どうか、議会で中間報告をお示しさせていただきました後には、十分な意見を皆さん方からちょうだいをいたしながら、議員の皆さん方におかれましても、市民の皆さん方への御説明、それから意見聴取という面におきましても、御支援、御協力を賜りますようにお願いを申し上げたいと存じます。        〔田尻紘都市整備局長 登壇〕 ◎田尻紘 都市整備局長  佐々木議員にお答えをいたします。  お尋ねの公共交通指向型都市開発(TOD)につきましては、今回のパーソントリップ調査の中においても、公共交通の利用しやすいまちづくりに努め、環境負荷の小さい都市の形成を目指す提案がなされるものであります。  サービスの高い公共交通網の整備とあわせ、公共交通の利用しやすいまちづくりは今後の大きな課題であると考えております。  いずれにいたしましても、今回のパーソントリップ調査の提案も、自動車交通に依存した交通体系からの転換を目指して、各関係機関が一堂に会し検討を行ったものでありますことから、関係機関との連携を図り進めてまいりたいと考えております。        〔十九番 佐々木俊和議員 登壇〕 ◆佐々木俊和 議員  ありがとうございました。  交通体系そのものがまちづくりに及ぼす影響というのは、大きいというより一体のものとして考えなければならないというふうに思っています。  先ほどから話がありますように、パーソントリップ調査の提案というものが近々に出されて、全体的な交通のあり方というものが出てくるかというふうに思います。  交通マスタープランの策定の提案をさせていただきましたが、それは先ほど申しましたように、交通だけじゃなくて、歩行者、自転車、公共交通機関、それから私的交通網、すべて包括した交通体系のマスタープランということで、具体的にどうその施策を実現していくのかというもっと大きな視点での計画でありますので、ぜひともPT調査をもとにしながら交通マスタープランというものを策定していただきたい。  やはり、行政がマネジメントしていくという視点が大変大きいというふうに思います。市長から、市民の理解がというお話もありましたが、それも大変重要な課題でありますけれども、一つの大きな目的に行く場合には、先ほど申しましたように、行政としての意思というものが働く、そういう手法というものも検討をしていただきたいというふうに思っています。ぜひとも計画的にやっていただくようにお願い申し上げたいと思います。  それから、トランジットモールについては市長の熱い思いを述べていただきました。間もなく黒川委員会の中間答申が出されるということであります。  導入についてのプロセスは非常に大事なものだというふうに思いますが、トランジットモール、熊本市民は経験をしておりません。そういった意味では、社会実験によって理解が得られるという一面もあるかというふうに思いますので、先ほどの市長の熱意に基づいてぜひとも近々実験もできて、すばらしい都市空間がこの中心市街地に出現をして、ゆとりのあるまちづくり、ひいては中心市街地の活性化ということもできていければなというふうに思いますので、ぜひとも早い実験をお願いしたいということを改めて申し上げたいと思います。  次に、オムニバスタウン計画についてであります。  御案内のとおりオムニバスタウン構想は、人、まち、環境にやさしいというバスの社会的意義を最大限に発揮したまちづくりに取り組む総合的なバス活性化策であり、前回、前々回と本会議で質問してきたものです。  これまで、平成九年十二月の浜松市を初め、金沢市、松江市、盛岡市、鎌倉市が既に指定を受けています。本市でも当初の計画よりはおくれているようでありますけれども、国に指定申請中とのこと。改めて今後の計画のタイムスケジュールと予算総額並びに財源の確保についてお聞かせください。  また、新たなバスサービス提供としての都心部内循環型バス導入については、推進会議を発足させ協議が始まったと聞いております。今後、実験のためのルート設定と試行、料金や運営方法についての決定がなされるようであります。  市としてルート二案をたたき台として示されたとのことでありますが、実験はこの両方の案(アーケード街周辺の周回案とアーケード街通行案)をそれぞれ行ってはどうかと考えます。いかがでしょうか。今後の実施に向けた取り組みについてお聞かせください。  続いて、生活交通確保のための地域協議会についてであります。  五十年ぶりに法改正になった改正道路運送法によって、生活交通の確保に向け重要な役割を果たす地域協議会を設置することになりました。  運輸省は、六月末に路線バスの休廃止の届け出を行った場合、旅客の利便性確保に関し、関係自治体及び利害関係人の意見聴取の義務づけ規程を受けて、プレ地域協議会の発足を目指すガイドライン「地方住民の生活確保に関する地域協議会の枠組みに関する運輸省としての考え方について」を全国都道府県に通達しました。  現在、各都道府県は、平成十三年度内の法施行に向けて地域協議会の具体的作業を急いでいます。あわせて、国土交通省予算編成と並行して、地域における生活交通確保に向けた新たな補助制度の策定を目指しています。バス交通は地域住民にとって大事な公共交通であり、特に自家用交通手段を持たない学生や高齢者にとっては日常生活に欠かせない移動手段であります。  そうしたことから、地方自治体が──地域協議会への対応は重要であり、地方、地域の交通計画の中でバス交通を将来的にどう位置づけていくのかは地方自治体独自の政策判断になります。  そこでお尋ねいたします。  既に熊本県においてもプレ地域協議会が発足し、地域協議会の設置に向け協議が進んでいるようでありますが、本市として地域協議会に関してどのような対処をしていかれる方針なのか、また規制緩和に伴う対応策はどうされるのか、支援策を含めて都市整備局長にお答え願います。        〔田尻紘都市整備局長 登壇〕 ◎田尻紘 都市整備局長  都市圏の交通問題についてお答えをいたします。  オムニバスタウン計画につきましては、鈴木弘議員からも以前質問がなされておりますが、議員御案内のとおり、現在、国に対して地域指定のための申請を行ったところでございます。  指定がなされますと、本年度においてはノンステップバスの導入、バス停施設のグレードアップ化、都心循環バス導入のための実証実験等の事業を行う計画であります。  それ以降につきましても、平成十六年度まで、都心循環バスの本格運行に伴う小型ノンステップバス購入やバスロケーションシステムなど、随時年度計画に沿って事業を進めてまいる予定であり、総事業費については約四十億円で、財源としましては、国費として約三分の一を見込んでおり、残りを県、市及び交通事業者負担で考えております。  なお、都心循環バスにつきましては、関係機関や関係商店街の皆さんによる都心循環バス導入推進会議を設置し、事業者から提案された二案をもとに運行ルート等の検討を始めたところでございます。  この推進会議の中で運行ルートを決定し、翌年三月に実験運行を実施し、秋の本格運行を目指して取り組んでまいりたいと考えております。  次に、規制緩和後の生活交通確保に関する地域協議会への対応についてであります。  生活交通確保方策について検討する地域協議会が今年度中に県に設置されることになっております。その下部組織として、県内の一定地域ごとにブロック協議会も設置され、各地域の実情に沿った論議がなされていくものと承っております。  路線退出における取り扱いにつきましては、退出をしようとする事業者は休廃止予定日のおよそ一年前に地域協議会に申し出ることとされており、十分な検討期間の確保とともに、複数ブロックにまたがるような路線につきましては、各ブロック協議会の間で調整も図られるものと考えております。  本市としましては、県の地域協議会が設置され、その役割が明らかになった後にブロック協議会の設置に向け努力をしてまいりたいと考えます。  また、現在明らかになっている新補助制度の内容につきましては、国は補助対象路線を広域的、幹線的路線に限定する方向でありまして、県も国の制度改正時期に合わせ見直しを行う方向で検討がなされている中、今後、赤字バス路線の運行維持のための市町村の役割と、補助金負担の増大は避けられないものとなる予定であり、このようなことから、地方の負担軽減措置として国による交付税措置が図られる方向と伺っております。  都市整備局としましては、基本的には公共交通による地域の足を確保するという方針のもと、本市の補助要綱策定に取り組んでまいりたいと考えます。        〔十九番 佐々木俊和議員 登壇〕 ◆佐々木俊和 議員  ありがとうございました。  オムニバスタウン計画はバスの魅力を高める大事な施策です。それぞれの関係者との連携をとりながらよりよい効果が上がるように事業の展開をお願いいたします。  地域協議会への対応につきましては、地域の足としての公共交通機関であるバスを守るという視点での施策をぜひとも行っていただきたいと思います。  ブロック地域協議会が設置されるということでありますけれども、交通事業者の労使双方をその構成に入れていただくことも要望しておきたいというふうに思います。  次に、本市の基幹交通である市電についてであります。  まず、交通の結節機能強化のためには、鉄道相互、鉄道と軌道、鉄道とバス等の乗り継ぎ利便性の改善や、複数の交通事業者間で使える共通切符の発行等を行い、公共交通機関を私的交通に比較して魅力あるものとし、モーダルシフトを促すことが必要です。  私的交通からより環境負荷の小さい公共交通へのシフトは社会的な便益の増加をもたらします。これは公的資金の投入を含めた公共の積極的な関与の理由になるものです。  JR新水前寺駅と水前寺駅通り電停の結節は、電停を移設し、新水前寺駅と自由通路で結ぶと同時に架道橋のかけかえを行うことによって、新水前寺駅地区における公共交通機関相互を、より乗りかえの利便性の向上及び乗降しやすさを向上させることで公共交通機関の利用促進を図るとともに、県道熊本高森線の走行改善も図るということで、現在、平成十六年度の供用開始に向け事業が進められておりますが、JR豊肥線沿線の人口増加に伴い、乗降客、乗りかえ客の増を考えますと早期の完成が求められているところであります。この事業の進捗状況について都市整備局長にお尋ねをいたします。  続けて、上熊本駅における市電と電鉄の結節についてです。  言うまでもなくJR上熊本駅は、市電、電鉄、バスが乗り入れている重要な交通結節点です。  市電と電鉄の乗りかえホームがJR駅構内において設置できれば飛躍的に乗りかえの利便性が高まり、乗客サービスの向上を図ることにより乗降客の増加が見込まれます。  さらには、市電と電鉄は電圧が同じで、軌道幅を改良することによっての相互乗り入れが可能であります。これまでもこのような形で結節強化を求めてきましたが、先般、市電と電鉄の検討がされていると聞いております。  そこで、これからどのようなお考えのもとに取り組みを進めようとされているのか、交通事業管理者にお尋ねいたします。  次に、交通局の上熊本への移転についてです。  上熊本車両基地の実施設計が今年度やっと行われています。紆余曲折があった事業でありますが、交通局はもちろん本市においても大きな意味を持つ事業であり、設計まで進んでいることに喜びを感じております。  この事業は御案内のとおり、交通局本体の移転や大江跡地の活用など、後に新たな事業が関連しているものであり、早期の事業完成が望まれます。今後の事業の進め方についての交通事業管理者のお考えをお聞かせください。  関連して、車両基地移転を機として上熊本駅周辺のまちづくりを並行して行われようとされています。これまでも上熊本駅周辺の整備を求めてきたものですが、今回駅前広場の改善、上熊本細工町線の改善を、それぞれ街路事業、沿線整備街路事業として計画されています。大きな前進として受けとめているところであります。  この中で市電のサイドリザベーション化が採用されると聞いております。市電と歩行者の新たな関係の試みとしてどのような意識改革がなされるか期待をし、関心を持って見ていきたいと思っています。構造上どう整備していくのかもありますが、トランジットモールの一つの形としてのとらえ方もあると考えています。ぜひ、そういった機能を考えたオープンスペースを持った構造にしていただきたいと思います。  また、今回の軌道整備において、ヨーロッパでは主流になるであろう防音防振軌道の採用が、日本で初めて営業線に使われることになると聞いております。これは新しい防音軌道システムであり、メンテナンスも容易でコストも低減できるものです。  そこで提案ですが、皆さんも写真等でごらんになったことがおありだと思いますが、軌道敷内に芝生が植えてある光景がこの軌道であります。ぜひとも今回の軌道整備に当たっては、芝を植えた軌道にしていただきたい。  景観の面においても、先ほど申しました新たな市電のあり方を市民の皆さんへのメッセージとしてお考えいただけないものでしょうか。そして将来的にはすべての軌道敷に設置できるように期待します。このことにつきましても交通事業管理者のお考えをお聞かせください。        〔田尻紘都市整備局長 登壇〕 ◎田尻紘 都市整備局長  私からは、新水前寺駅と電停の結節の進捗状況についてお答えをいたします。  JR新水前寺駅と市電水前寺駅通電停との結節機能向上につきましては、現在基本設計を行うために県やJRと綿密な協議を行いながら検討しているところでございます。新水前寺駅地区におけるJRの将来施設構想と調整中の段階でございます。  JRの将来施設構想を考慮した結節事業では、自由通路やバリアフリー対応のためのエレベーター設置空間の確保などにつきまして、現在の道路敷内での設置が不可能なため短期間での施工が難しい状況にございます。  しかしながら、交通結節については利用者の要望も高く、今後も県と協力をしながら、本市として取り組める最善策について検討を進めてまいりたいと考えます。        〔市原敏郎交通事業管理者 登壇〕 ◎市原敏郎 交通事業管理者  佐々木議員に、上熊本関連の御質問にお答えを申し上げます。若干、答弁が前後いたしますが、お許しを願いたいと存じます。  まず、車両基地に係る事業計画についてであります。  議員各位の御支援のもと、御心配をおかけしておりました上熊本の問題も、現在、車両基地の設計を行うに至り、スタートラインに立てた思いがいたしております。  この基地移転は、単に、大正十三年完成の現在の老朽化した工場を移転新築することのみならず、市電を新時代に引き継ぎ、より活用していくための一つの足がかりとしたいと、このように考えております。  したがいまして、むだのない機能性と安全性にすぐれた工場にしたい、こういう思いで現在設計に取りかかっているところであります。  お尋ねの事業の進め方でありますが、今年度中に設計を終了し、議会のお許しをいただけますならば新年度建設にかかり、平成十四年秋の完成を目指したいと考えております。なお一層の御支援をよろしくお願い申し上げます。  また、議員御案内の上熊本駅周辺のまちづくりにつきましても関係部局とよく打ち合わせをしながら進めてまいりたい、このように考えます。  次に、サイドリザベーション化される区間について、その軌道構造に、防音や振動吸収にすぐれ、景観上も評価の高いシステムを導入したらどうかという御提案でございました。  このサイドリザベーションについては、その構造や線形を含め関係部局、機関と協議を進めているところであります。ごく限られた区間とはいえ、今回のようなサイドリザベーションは国内初の試みとなりますだけに、実験線としての意味もあり、景観や構造的にも工夫を凝らしてみたい、そのように考えております。  いずれにいたしましても、今後、計画を詰めていく中で、議員の御提案を踏まえ具体的に検討を行いたいと考えます。  引き続き、上熊本駅前での市電と熊本電鉄の結節についてでございます。  この上熊本は、本市のいわば北の玄関口に位置し、議員お説のとおり、JR、市電、電鉄の位置関係が極めて接近しており、結節強化を図る上で重要かつ魅力的な箇所ではなかろうかと考えております。  この地域は、御案内のとおり、今後九州新幹線あるいは在来線の連続立体交差によって駅前の様相も随分変わるのではなかろうかと思われます。  それに伴い、駅前広場の活用問題も出てこようかと思いますので、JR、熊本電鉄のお考えも十分お聞きしながら、さまざまな視点から、電停やホームのあり方、そして結節の可能性について今後慎重に検討をしてまいりたい、このように考えております。        〔十九番 佐々木俊和議員 登壇〕 ◆佐々木俊和 議員  ありがとうございました。  結節点の機能改善は公共交通機関利用者数の増減を左右する大きな要因です。それぞれの拠点の早期整備を願うものです。  また、上熊本のサイドリザベーションは国内初のものになりますので、期待したいと思います。
     いずれにいたしても、市電は本市公共交通機関のシンボルです。時代に先んじた進化を遂げていくためにも、柔軟な発想でそれを包括する体制を整備していかなければと考えます。執行部のさらなる活躍を期待して次の質問に移ります。  農業問題についてであります。  昨年、世界の人口は六十億人を突破しました。国連の世界人口推計では、二〇二五年には八十億人になると予測されています。人口が目立って増加するのはアフリカやアジアなどの開発途上地域で、二〇二五年までの三十年間に二十三億人が増加すると言われています。  また、FAO(国連食糧農業機関)が今年十月十六日に公表した二〇〇〇年版の「世界の食糧不安に関する報告書」の中では、飢餓人口の減少ペースが大幅に鈍化していると警告しています。一九九〇年から九二年のデータで八億四千万人という栄養不足人口が推計されましたが、その増加を「半減させる」とした目標の達成は大幅におくれ、二〇三〇年になるとしています。  一方、最近の世界の穀物需給を見ると、期末在庫率は八〇年代までの水準と比較すれば低水準となっています。人口はふえ、栄養不足の人口もふえ、穀物の需給は低水準。このようなことから、世界の食糧需給は中長期的には迫する可能性が大きいと言えます。  また、近年の穀物貿易の動向を見ると、日本は世界一の農産物輸入国となっており、一九八〇年から九六年にかけて農産物の輸入は倍以上にふえています。世界の流れが輸出入の平準化に向かっている中で、日本だけが輸入依存度を強めています。  その結果、国内の食糧自給率の低下に歯どめがかからず、九八年にはカロリー自給率は四〇%、穀物自給率では二七%にまで低下をし、人口一億人以上の国々がほぼ一〇〇%の自給率にあるのに対し最低の自給率のままとなっています。  人間の生存に欠かせない食糧の大半を輸入に依存していることから、世論調査でも国内自給率を高めるべきだという意見が年々多くなっています。また、世界的な食糧不足が予測される中で、日本が大量に輸入を続けることは、栄養不足に苦しむ人々の食糧を奪うという批判にもつながるものです。  今後、国内の生産資源を最大限活用し、自給率の向上や、安全な食糧の安定的な供給体制を確立することが求められています。そのためには、中長期的な計画を、国レベルだけでなく地域段階でも策定していくことが必要です。  政府は本年三月、新しい「食料・農業・農村基本法」に基づく食料・農業・農村基本計画を閣議決定し、食料・農業・農村政策推進本部を設置しました。  基本計画は、十年後の二〇一〇年を目標に、新農基法で掲げた基本理念及び施策の基本方向を具体化するために策定されました。  基本計画の焦点である「食料自給率の目標」では、基本的に供給熱量の五割以上を国内生産で賄うことを目指すとし、二〇一〇年までに実現可能な目標値として四五%を掲げました。  そして、目標達成のため、生産面では主要十四品目の生産努力目標を掲げ、特に自給率の向上が要請されている麦、大豆、飼料作物などの生産拡大を図る。また、消費面については、食生活指針に基づく日本型食生活の普及、定着を図るとしています。  策定された基本計画は、目指すべき目標が明示された点で一定の評価ができます。問題は、基本計画が示すように、これらの目標を達成するためには、生産、流通、消費に至るさまざまな課題、問題の解決が不可欠で、その「解決すべき課題」が余りにも大きく、困難を伴うことです。  特に、市民の食糧消費構造をどう変えていくのか、コスト削減、品質向上が求められる中で、高齢化、担い手不足に悩む生産現場が生産努力目標にどうこたえられるか、生産基盤の整備、農地の流動化促進や品種、技術開発が図れるのか、WTO交渉結果と基本計画の整合はどうかなど、全市民的に取り組むべき課題が横たわっています。そして何よりも、政府の目標達成のための予算の確保と実効ある施策の推進への強い決意が求められます。  新基本法、基本計画は、農業の持続的発展とその発展基盤としての農村の振興を図ることにより、国民食糧の安定供給の確保と農業の多面的機能を発揮させることを最大の政策目標に置いています。  そこで経済振興局長にお尋ねいたします。  食糧、農業をめぐる基本的な情勢を述べましたが、本市としてはどのような認識をお持ちなのか、そして今後の農政をどう進めていこうとしておられるのか。あわせて食糧自給率の目標値達成に向けた取り組みと、穀物の生産拡大についてもお考えをお聞かせください。        〔三嶋輝男経済振興局長 登壇〕 ◎三嶋輝男 経済振興局長  農業問題についてのお尋ねでございます。  議員御指摘のとおり、先進国の中では日本の食糧自給率が最も低いという状況にございます。一方で消費者は農産物の国内生産を強く望まれており、本市といたしましては、農業を取り巻く情勢が非常に厳しい状況の中で、国内農産物の必要性を改めて認識しているところでございます。  御案内のとおり、本市の農業につきましては、米、野菜、果樹など豊富な基幹作物を有した全国有数の農業地帯でありますが、他都市同様担い手の減少や農産物の輸入増大など、種々の課題を抱えているところでございます。  したがいまして、今後の農政の推進に当たりましては、特に食糧の安定供給の確保、農業の多面的機能の発揮や有機農業を促進することが重要であり、加えて市民の皆様に農業を理解していただくため、市民と農業の触れ合い等の施策を積極的に推進していきたいと考えております。  また、食糧自給率の向上についてでございます。  平成十年度の自給率は、穀類の中でも大豆が三%、麦が九%と非常に低い現状にございます。これら自給率の低い作物の振興を図りますことは非常に重要なことでございます。  本市といたしましては、平成十年に一千四十九ヘクタールでございました麦、大豆、飼料作物の作付面積を、平成十六年には目標として一千五百ヘクタール程度までふやすべく、例えば、麦、大豆等の団地育成に対する支援措置の充実など施策の推進に努めていきたいと考えております。  今後とも、「食と農を考えるシンポジウム」の開催や米の消費拡大キャンペーンなど、市民意識の高揚を図り、市民と農業の触れ合いを通じた自給率の向上に努めてまいりたいと考えております。        〔十九番 佐々木俊和議員 登壇〕 ◆佐々木俊和 議員  ありがとうございました。  食糧自給率の向上は、全地域で具体的な目標設定がなければ達成できません。穀物の作付面積の目標を決めたことは有効なことだと思います。さらに支援策を含めた施策の推進をお願いいたします。  次に、農家所得の確保と経営安定策の強化についてです。  国は、不足払い等の価格支持政策をやめ、農産物価格を市場原理にゆだね、かわりに価格が経営に及ぼす影響を緩和するため、農家拠出と政府助成による経営安定対策が導入されることになりました。  しかし、米の価格暴落に象徴されるように、農産物価格を全面的に市場にゆだねれば農家経営は成り立ちません。そのため、政府の一定量の買い上げや価格の下支え措置とともに、補てん率、補てん基準価格の引き上げなど抜本的な経営安定策の構築が必要です。  また、国内生産を維持するための国境措置、WTO協定に認められているセーフガードの適切な発動、及び担い手確保や定住条件整備等のための農業・農村整備事業など、総合的な施策の推進が求められています。  また、中山間地への直接支払い制度(デカップリング)は、農業、農村の持つ多面的、公益的機能を評価し、耕作放棄の防止、国土保全の取り組みなどの行為、及び平場地域との生産条件の不利性を面積、傾斜度等に応じて対象地域を設定し、これらに国が直接支払いを行う措置で今年度より実施されています。  WTOの国内助成政策との整合性、財源と国民負担等の関係から、対象地域、行為等も極めて限定されており問題も多くあります。政府は五年後に見直しを示唆していますが、今後環境保全や定住化促進等、地域政策とも結びつけた総合的な施策として充実させる必要があります。  当面、自治体独自の特別認定、対象地域、行為の選定など、地域に即した制度の拡充に取り組むことが重要だと考えます。経済振興局長に今後の取り組みについてお尋ねをいたします。  続けて、食生活指針の啓発、普及事業についてです。  現在の食生活や栄養バランスの乱れを背景に、生活習慣病予防や健康づくりを目指す厚年省、日本型食生活の普及を通して食糧自給率の向上を目指す農林水産省、食糧・農業、伝統・文化継承に対する学校教育の重要性から文部省の三省共同で食生活指針が策定されました。  日本型食生活の普及を通して、安心、安定の国内生産物への依存を高めることで、結果として食糧自給率の向上を図ることを目的としていますが、食の高級化、多様化、簡便化、外部化が進む中で、市民の食糧消費構造をどう変えていくかが課題となっています。  政府の取り組みはもとより、消費者、市民の側も、自給率の低下の要因が国内生産の減少より市民の食生活の変化にあることをとらえ直す必要があります。  食をめぐっては、安全性の問題とともに、食生活のあり方が人間の精神と深くかかわっている点が指摘されています。最近の子供たちの「キレる」などの問題行動の背景には、社会や家庭の問題だけでなく、食生活の乱れも無視できないと言われています。  食生活は、その内容、栄養や食物摂取のアンバランス、有害な化学物質が精神、行動に影響を与えています。カルシウム、マグネシウム、ビタミンB1などの不足は情緒不安定を招くと言われており、野菜嫌いや甘味飲料のはんらんはこれらの栄養素不足を招いています。        〔副議長退席、議長着席〕  また、食の商業化が進む中、穀類、米、豆などの日本型食生活が敬遠され、ファーストフード・加工食品が急増しており、こうした傾向にますます拍車をかけています。さらに、子供たちのアレルギーの急増も、食品添加物にも原因があると指摘されています。世界一の長寿国を形成してきた日本人の食生活は急速に欧米化が広がり、生活習慣病やがんも増加しています。  また、どのように食べているかという食環境、食文化の側面も重要な問題です。「食生活指針」は、バランスのよい食事、御飯などの穀物の消費、食文化や地域の産物を生かすことなどを提示しました。こうした食生活の指針は欧米では早くから提示されてきたものですが、食のあり方を見直す運動が今重要な課題になってきています。  本市においての取り組みと今後の方策について関係局長の答弁をお願いいたします。        〔三嶋輝男経済振興局長 登壇〕 ◎三嶋輝男 経済振興局長  農家の経営安定のための直接支払い制度及び食生活指針の啓発、普及についてお答えいたします。  まず、直接支払い制度についてでございます。  食料・農業・農村基本法において、農業の持つ多面的機能の十分な発揮を図るため直接支払い制度が導入され、まず条件が不利な中山間地域等に限って平成十二年度から実施され、本市としては、特認として芳野地域で取り組んでいるところであり、現在、集落協定の締結や交付金の確定に向け事務を進めているところでございます。  御質問の市独自の特別認定等、制度の拡充につきましては、初めての取り組みとしての芳野地域の状況も見ながら、また、現在、国段階において新たな直接支払いについての検討がなされているやに聞いており、今後、その動向を見据えつつ検討してまいりたいと考えております。  次に、食生活指針の啓発、普及についてでございます。  本指針の中で、御飯等の穀類を摂取すること、あるいは野菜、果物、牛乳、乳製品、豆類、魚などを組み合わせて摂取することなどがうたわれておりますが、このことは、まさに日本型食生活の再認識という点で、本市農林水産業にとりましても大変心強いことでございます。  日本型食生活の普及はひいては食糧自給率の向上にもつながるものであり、今後は、学校給食への地場農産物の導入を含め、広く市民の皆様を対象に、米の消費拡大や農業体験学習などを開催することにより、安全性の高い地場農産物の消費拡大に努めてまいりたいと考えております。        〔長廣強健康福祉局長 登壇〕 ◎長廣強 健康福祉局長  私の方からは、健康づくりの観点から食生活指針の取り組みについてお答えをいたします。  健康づくりに食生活が重要であることは議員お述べのとおりであると認識いたしております。  本市では、各種検診の機会や栄養教室等の中で、乳幼児から高齢者までのライフステージに応じた食生活の指導、相談等を実施いたしております。  また、地域にあっては、現在までに七百八十名の食生活改善推進員を小学校区単位にお願いをして、広く市民に健康づくりの情報提供や食生活面での相談等に取り組んでいただいております。  このように生涯を通じた健康づくりを目標とし、栄養、運動、休養のバランスが重要であることを踏まえ、正しい食生活の普及、啓発に総合的に努めております。  現在、二十一世紀における国民健康づくり運動いわゆる「健康日本」の熊本市版の策定作業を進めておりますが、この中で食生活への指針も盛り込むこととしておりまして、より実効性のある計画といたしたいと考えております。  また、この推進に当たっては、関係部局と緊密な連携を図りながら進めてまいりたいと考えております。        〔徳田勝比古教育長 登壇〕 ◎徳田勝比古 教育長  私からは、教育面での食生活指針の取り組みについてお答えを申し上げたいと思います。  議員お述べになりましたように、子供たちがいわゆるキレる背景には食生活の乱れも無視できないと言われております。心身の健康問題と食生活とは極めてかかわりが大きく、重要な課題の一つと認識をいたしております。  学校においては、子供たちが食生活を正しく理解し、望ましい食習慣を身につけることでみずからの健康管理ができるように、給食の時間はもちろんのことでございますが、調和のよい食事のとり方などを学習する家庭科や、文化の一つとしての食の歴史などを学習する社会科など、教育活動全体を通じまして食に関する指導を推進いたしておるところでございます。  また、望ましい食習慣の体得には家庭の協力が不可欠でございます。子供たちを通じて「給食だより」による情報の提供や、地域公民館で開催される市民の集いなどで学校給食展等々やっておりまして、このようないろんな機会をとらえまして食生活に関する啓発活動を進めております。  今後とも、食生活指針の趣旨を十分踏まえ、家庭や地域との連携を図りながら、望ましい食生活について一層啓発、普及に努めてまいりたいと思います。        〔十九番 佐々木俊和議員 登壇〕 ◆佐々木俊和 議員  ありがとうございました。  デカップリングについては国の新たな考え方が出されるとのこと、連動するとともに、地下水涵養を初め公益的機能を有していることから、独自の施策もさらに検討していただきたいと思います。  食生活は私たち人間にとっても大切な営みであります。正しい食生活の啓蒙が重要になってきます。すべての市民が実践できるよう、関係部局が連携し、協力し合って運動を進めていただきたいと思います。そのことがひいては食糧自給率向上につながっていくというふうに思います。  次に、食の安全についてです。  食の安全に対する消費者の関心は、残留農薬、食品添加物等への不安を初め、遺伝子組みかえ(GM)食品や環境ホルモン、ダイオキシンによる食品汚染問題などが大きく取り上げられる中で一段と高まっています。さらに、消費者の知る権利から、原産国や産地の表示の充実を求める声も高まってきています。  こうした消費者の要求や運動の高まりを反映し、農林水産省は、昨年「食料・農業・農村基本法」の改正に伴う関連施策として、農林規格、品質表示法の改正を行いました。  その中で、食品表示については、青果物を初め、水産物、畜産物を含めてすべての生鮮食品に原産国や原産地の表示義務が拡大されました。また、加工食品や米についても来年四月から原材料等の表示が義務づけられました。  一方、有機食品についても、これまでその内容に疑問視されるものが多かったのですが、基準、認証制度が設けられ、来年四月からは、農薬、化学肥料を三年以上使っていない圃場での栽培を条件として、第三者機関による認証検査を受けた物のみが「有機」と表示できることになります。  しかし、加工食品は原材料の原産国表示がされないこと、有機認定料の生産者負担の増加、海外からの有機農産物の大量輸入、周辺地域での農薬散布の影響、畜産、水産物については有機表示の対象外となるなどの問題点が指摘されています。  遺伝子組みかえ食品について言えば、現在、大豆、ナタネ、ジャガイモ、トマト、トウモロコシなど七作物二十九品種が日本でも認可され、アメリカ、カナダ等から輸入が行われています。  昨年八月に農林水産省は、GM食品の表示義務を限定的に導入することを決めました。これは、GM作物を使った加工食品のうち、豆腐など三十品目の指定食品の表示の義務づけが二〇〇一年四月から実施されるということです。さらに厚生省でも、来年四月から安全性審査を義務化するとしています。  しかし、日本の表示制度は、組みかえ遺伝子や新たなたんぱく質が残っている指定食品として、主に豆腐やコーンスナック菓子程度にとどまる限定された内容で、GMの遺伝子が残らない食用油やしょうゆ、さらに食品ではない飼料などは対象とはなりません。このため、輸入される大豆やトウモロコシの九割は対象から外される結果となります。  食べ物の安全は、それをつくり出す生産現場の問題と密接にかかわっています。昨年、「持続的農業生産促進法」や「家畜排泄物利用法」など、堆肥を使った土づくりや化学肥料、農薬の低減、家畜排せつ物の適正管理を目指した農業環境に関連する法律が成立しました。  一方、食品の売れ残りや食べ残し等の食品廃棄物は年間一千九百四十万トンにも上り、一般廃棄物では全体の三割も占めています。この問題に対して、飼料や肥料の原材料として再利用するための法案もことし成立しました。  これらは、これまでの化学肥料、農薬の多使用による生産から転換する一歩として評価すべきですが、食の安全を守るためには、生産者と消費者の提携を基礎に、環境保全型農業生産を積極的に進めながら、自給率の引き上げと安全性を求める運動を結びつけて展開していかなければなりません。  このように食の安全問題は多岐にわたる課題ですが、住民、市民、消費者の参加と情報公開がより重要になってきます。  そこでお尋ねいたします。  環境保全型農業の取り組み方と食の安全にかかわる情報公開の考え方について経済振興局長の答弁をお願いいたします。  続けて、本市においては、今年度から地場農産物を学校給食に活用するための推進会議を立ち上げ、導入に向けた研究と試行的な奨励事業を行っているところです。  るる申してきましたように、学校給食が重要な役割を果たしてきましたし、今後、学校給食のあり方、中身をさらに充実していかなければならないと思います。  理想としては、すべての食材に安全な地場産のものを使うことですが、そのためには生産者、JA等関係者の協力体制が整わなければできませんが、早急な対応を望むものです。そうでなければ、せめて当面の取り組みとしては、国内産のものを取り入れていくことが必要だと考えています。  そこでお尋ねをいたします。  地域農産物学校給食活用事業の取り組み状況と今後の事業の見通しについて、経済振興局長の答弁をお願いいたします。        〔三嶋輝男経済振興局長 登壇〕 ◎三嶋輝男 経済振興局長  まず、環境保全型農業の取り組みについてお答えをいたします。  本市では、平成十一年三月に環境保全型農業指針を作成し、その中で、特に土づくりと適正な肥料の問題、また減農薬の推進について重点的な取り組みを行っているところであります。  具体的な一例を申し上げますと、北部地区における堆肥舎建設への取り組みは、地元の畜産農家から出る家畜ふん尿を堆肥化し、地元の農産物の栽培に利用しようとするもので、農業者が消費者との対話の中で、有機農産物への要望を酌み取る形で進められているものであります。  そのほか、減肥栽培試験や硝酸性窒素の土壌浸透調査など、今後とも環境に配慮した農業の推進に積極的に対応していきたいと考えております。  次に、食の安全性に関する情報公開についてでございます。  環境ホルモンやダイオキシンなどが社会問題となるなど、これからの大きな課題であると考えており、その情報提供のあり方等につきましては、今後、市としてどのようなことが、どういう方法でできるのか検討をさせていただきたいと思います。
     次に、地域農産物学校給食活用事業についてでございます。  地元でとれたおいしい農産物を子供たちに喜んで食べてもらい、また熊本市の農業を理解してもらうために、本年度より教育委員会と連携し実施しているところでございます。  その実績としましては、小中学校に市の特産品でありますスイカ八トン、ミカン十一トン、また米が百二十七トンとなっております。  なお、実施に当たりましては、ポスターやビデオテープも制作し、児童・生徒の皆様に熊本市の農業について学んでいただいたところであり、さらに、学校栄養職員、給食技師の皆さんの生産現場の視察や、農家との意見交換、また料理講習会の実施など、学校関係者と農業者が一体となった取り組みを進めているところでございます。  今後はさらに、特産品でありますナス、ピーマン、レンコン等の品目も加えるなど、今年度の実績も踏まえ、学校給食活用事業の内容充実に努めてまいりたいと考えております。        〔十九番 佐々木俊和議員 登壇〕 ◆佐々木俊和 議員  ありがとうございました。  食の安全への取り組みと情報公開は、さらに積極的な取り組みをお願いしたいと思います。  学校給食についても、子供たちの健康に直結する問題と同時に教育的要素が含まれています。本市の都市規模ではなかなか困難な面もあろうかと思いますが、引き続き御努力をお願いいたしまして、次の質問に移ります。  教育問題についてです。  近年の教育問題、青少年犯罪の根本的な原因について、いろいろなところでさまざまな議論がされています。私たちも、それを目にしたり耳にしたりする機会が大変ふえてまいりました。  それぞれの考えや意見がありますが、未来を担う子供たちに、大人は一体何ができて何をしなければいけないのか、行政のできること、課題は何なのか。教育は福祉とともにまず考えていかなければならない課題です。  教育改革国民会議は、内閣総理大臣のもと、平成十二年三月に発足し、このたび中間報告を九月二十二日に取りまとめました。  この報告にはまだ課題が残されている部分がありますが、昨今の教育問題を解決する糸口となるために十七の提案をしています。今月の二十二日に最終答申が示されると聞いておりますが、その最終報告に向けて方向性が示されたわけです。  地方自治体においても、地方分権という観点から、この提言について何らかの見解を示し議論していかなければならないと思います。  提言の中に「新しい時代に新しい学校づくりを」というものがあります。教師の意欲や努力が報われ評価される体制をつくる。地域の信頼にこたえる学校づくりを進める。学校や教育委員会に組織マネジメントの発想を取り入れる。授業を子供の立場に立った、わかりやすく効果的なものにする。新しいタイプの学校(コミュニティー・スクール等)の設置を促進するというものです。  詳しいことは教育改革国民会議の中間報告を見ればわかりますが、この中に、学校評議員制度について触れてあります。また、スクールカウンセラーや情報開示、IT教育などについても積極的な取り組みが必要と提言しています。  そして、新しいタイプの学校(コミュニティー・スクール)の設置促進については、市町村が設置する可能性について検討する、また、その設置には、市町村が校長を募集し、有志による提案を市町村が審査して学校を設置するとあります。校長はマネジメントチームを任命し、教員採用権をもって学校経営を行う。学校経営とその成果のチェックは、市町村が学校ごとに設置する地域学校協議会が定期的に行う。  以上のような具体的なことが盛り込まれていますが、これらについてはどういった見解を持っておられるかお聞きします。  また、学校評議員制度は、ことしの一月に学校教育法施行規則と、その他関係省令が改正され四月から施行されていますが、本市の現状と今後の見通しをお聞かせください。教育長の答弁をお願いいたします。        〔徳田勝比古教育長 登壇〕 ◎徳田勝比古 教育長  二点についてのお尋ねでございます。  まず、教育改革国民会議の中間報告についての見解をということでございます。  議員がお述べになりました新しい時代の新しい学校づくりをということにつきましては、総体としては評価できるものと考えております。この中間報告の基礎となりました第二分科会の審議報告を見てみますと、これまでの公立学校の現状、問題点を踏まえ、具体的、個別的に提言され、新しい世紀に向けた学校づくりがどうあるべきかを示唆しているものと思います。  中でも、学校教育に重要なのは教員の資質向上であり、学校改革には一人一人の意識と行動の自己改革が不可欠であると指摘されている点はまさにそのとおりであると思います。  具体的に、教師の意欲、熱意、努力が報われ反映される体制づくり、研修の機会の充実等が掲げられている点や、また、学校運営に、校長の意欲、気概とともに組織マネジメントの発想を求める点でもなるほどと思わせるものがございます。  次に、学校評議員制度の現状と見通しについてでございます。  この制度は、開かれた学校づくりを進めるための具体的方策として、中央教育審議会の答申を踏まえて制度化されたものでございます。  現在、本市ではまだ導入をしておりませんが、小中学校数校において、これに類似したものが任意に組織され活動いたしております。地域と学校の相互の思いがこのような組織につながってきたもので、先導的、建設的な試みではなかろうかと思っております。  現在、これらの学校では、学校の当面する課題や特色ある学校づくり等について、地域の方々から御意見をいただきながら学校運営に当たっております。  したがいまして、これらの学校の取り組みの成果も参考にしながら、学校評議員制度の導入に向けて検討してまいりたいと考えております。        〔十九番 佐々木俊和議員 登壇〕 ◆佐々木俊和 議員  ありがとうございます。  学校教育についてはさまざまな検討がなされ、その提言に基づいた新しい取り組みも始まっています。しかし、教育長が述べられましたように、学校側の問題の解決がおくれたことに起因する問題発生が少なくありません。地域に開かれた学校という意味と地域の中の学校という意識を職員が理解しなければなりません。さらなる努力をお願いいたします。  時間が押しておりますので、七項の福祉の問題は後日質問の同僚議員にお願いをいたしまして、最後のその他の項に移ります。  秋津都市下水路流域の浸水対策についてであります。  秋津都市下水路は、本市東部地区約三百三十ヘクタールの区域の雨水排除を目的とし、昭和五十六年に整備されたものです。しかし、急速な都市化によって流出量が増大し排水能力を上回ってしまい、結果として下流域で浸水被害が生じることとなったのです。これまでも地元の問題として本会議でお尋ねしてきたところです。  その結果、市当局の御尽力により、水路の改良や汚水ポンプの設置、浸水時のトイレ使用可能施策等を実施されてきましたが、いまだに豪雨時の浸水被害の解消には至っておりません。私は、抜本的な浸水解消には、上流域においてピーク時の水量をカットする雨水調整しかないと考えています。  平成五年の第四回定例会で当時の都市局長は、浸水対策として雨水流出抑制を検討する。雨水流出抑制施設には雨水貯留型と雨水浸透型があり、双方の検討調査を行い、それをもとに公共施設を利用した雨水流出抑制計画を策定すると答弁されています。さらに、平成十年三月に熊本市治水総合計画が策定され、具体的な施策が検討されているものと思います。  そこで、都市整備局長にお尋ねをいたします。  秋津都市下水路の今後の浸水対策についての整備方針をお聞かせください。  あわせて雨水浸透ます設置についてお尋ねをいたします。  冒頭述べましたように、これらの都市型水害は急速な都市化によって引き起こされています。言うまでもなく、これまでは降った雨のほとんどは地下にしみ込んでいたものが、住宅等が張りつき、そのことによって雨水が流出してきたことに原因があるのです。つまり逆に言えば、敷地内に降った雨を外に出さなければ水害は起こらないと言えると思います。  秋津都市下水路流域内の公共用地については、先ほどお尋ねしているように都市整備局の守備範囲でありますので、それ以外の住宅地については、雨水浸透ますによって住宅敷地内に降った雨はおのおのの敷地の中で浸透させる。これによって道路を除く大部分の土地に降った雨は処理でき、下流域での水害は起きないことになると考えます。  そうしたことから全戸に設置を行うことが理想なのです。しかしながら、すぐにできるものではないというふうに思います。これまでも提案してきましたように、モデル地区を設け計画的に整備していくべきだと考えています。  そこで、建設局長にお尋ねいたします。  雨水浸透ます設置事業のこれまでの経過と、熊本市治水総合計画においての今後の取り組みについてお考えをお聞かせください。        〔田尻紘都市整備局長 登壇〕 ◎田尻紘 都市整備局長  秋津都市下水路流域の浸水対策についてのお尋ねでございます。  議員も述べられましたように、平成十年に策定されました熊本市治水総合計画に基づき、当水路を下水道として緊急に整備すべき箇所と位置づけをし、当地区の浸水並びに水路の水を解消するための方策を検討いたしました結果、上流部につきましては地下浸透や貯留などの流出抑制、下流部につきましては低地であるためポンプによる強制排水が必要であると考えております。  幸い、東部地区は雨水の浸透促進地区に位置づけられており、かつ上流域には国、県、市の公共用地が集まっておりますので、これら公共用地を利用した流出抑制を図るとともに、下水道事業としても流出抑制施設の設置を図ってまいりたいと考えております。  しかしながら、流出抑制施設あるいはポンプ施設の設置には多額の費用が必要となりますので、投資効果に配慮した効率的、段階的な整備を行うため、現在、国、県の関係機関と協議を行っておりまして、協議が調い次第、下水道としての流出抑制に取り組んでまいりたいと考えます。        〔松下尚行建設局長 登壇〕 ◎松下尚行 建設局長  私の方から、雨水浸透ますの設置のこれまでの経過と今後の取り組みについてお答えいたします。  雨水浸透ますの補助事業は、雨水の下水道、河川への急激な流入によるはんらんの防止と地下水保全を目的に、昭和六十三年度から実施している事業であり、平成十二年八月末までに市内に一千八百基が設置されております。  この状況を踏まえ、雨水浸透ますの普及促進につきましては、従来から浸透ますの助成対象物件の拡大や助成額のアップを行い、一般家庭でも設置しやすいように努めてまいりました。  また、家の新築、改築時に設置していただくよう、関係部局あるいは民間の建設業組合等に対し協力要請を行うとともに、雨水の浸透性の高い東部地区の自治会を対象とした説明会を実施するなどしてその普及に努めてきたところでございます。  議員御提案の治水と地下水涵養対策が最も求められる東部地区をモデル地区として設定し事業推進を図ることは、熊本市治水総合計画で述べております東部地区の浸水対策に沿うものであり、このことは、広く熊本市民の地下水保全意識の啓発につながるものと考えております。  御提案につきましては、関係部局と一体となり、地域自治会等の意見を伺い、地元の方々の理解を得られますようにしながら、事業効果の高い地区の設定について取り組んでまいります。        〔十九番 佐々木俊和議員 登壇〕 ◆佐々木俊和 議員  ありがとうございました。  下水道の雨水対策によって浸水対策の抜本的な解決ができそうであります。これまでの取り組みに改めて感謝申し上げます。早ければ来年度からの事業開始が望めそうであります。一日も早い事業の完成によって安心して住める地域にしていきたいと考えます。  また、雨水浸透ますの設置についても、集中的な取り組みによって大きな効果が望めるとともに、ほかの地域のモデルとしての実験にもなると思いますので、今後の具体的な取り組みをお願いいたします。  本日は、長時間にわたり御清聴いただきましてありがとうございました。これをもちまして私の質問を終わります。(拍手)     ────────────────── ○江藤正行 議長  本日の日程はこれをもって終了いたしました。  次会は明十三日(水曜日)定刻に開きます。     ────────────────── ○江藤正行 議長  では、本日はこれをもって散会いたします。                  午後四時一分 散会 〇本日の会議に付した事件 一、議事日程のとおり 平成十二年十二月十二日 出席議員 五十名   一番 江 藤 正 行   二番 鈴 木 昌 彦   三番 原    亨   四番 津田 征士郎   五番 鷲 山 法 雲   六番 上野 美恵子   七番 村 上   博   八番 小 山 久 子   九番 日和田よしこ   十番 藤 岡 照 代  十一番 坂 田 誠 二  十二番 竹 原 孝 昭  十三番 藤 山 英 美  十四番 田 中 誠 一  十五番 下 川   寛  十六番 重 松 孝 文  十七番 中 松 健 児  十八番 家 入 安 弘  十九番 佐々木 俊和  二十番 鈴 木  弘 二十一番 牛 嶋  弘 二十二番 古 川 泰 三 二十三番 税 所 史 熙 二十四番 岡 田 健 士 二十五番 田 尻 将 博 二十六番 田 尻 清 輝 二十七番 北 口 和 皇 二十八番 田 辺 正 信 二十九番 大 江 政 久  三十番 島 田 俊 六 三十一番 荒 木 哲 美 三十二番 主海 偉佐雄 三十四番 落 水 清 弘 三十五番 奧 田 光 弘 三十六番 宮 原 政 一 三十七番 益 田 牧 子 三十八番 上 村 恵 一 三十九番 磯 道 文 徳  四十番 西  泰 史 四十一番 中 村 徳 生 四十三番 嶋 田 幾 雄 四十四番 竹 本  勇 四十六番 白 石  正 四十七番 矢 野 昭 三 四十八番 島 永 慶 孝 四十九番 村 山 義 雄  五十番 大 石 文 夫 五十一番 紫 垣 正 良 五十二番 西 村 建 治 五十三番 亀 井 省 治 欠席議員 一名 四十五番 田 尻 武 男 説明のため出席した者 市長      三 角 保 之  助役      後 藤 勝 介  収入役     岩 本 洋 一 企画調整局長  齊 藤  聰  総務局長    松 村紀代一  市民生活局長  村 上 智 彦
    健康福祉局長  長 廣   強  環境保全局長  古 川  康  経済振興局長  三 嶋 輝 男 都市整備局長  田 尻  紘  建設局長    松 下 尚 行  消防局長    道 越   賢 交通事業管理者 市 原 敏 郎  水道事業管理者 森 高 聖 之  教育委員会委員長笠   美 雄 教育長     徳 田勝比古  人事委員会事務局長       代表監査委員  野 田 晃 之                         古 河 幹 男 市長室長    赤 星 健 一  財務部長    谷 口 博 通 職務のため出席した事務局職員 事務局長    友 枝 佑 二  事務局次長   大 橋舜一郎  首席総務審議員 松 本  豊 総務審議員   山 田 利 博  総務審議員   下 川紀志江...