平成15年 9月 定例会(第5号) 平成15年
釜石市議会9月
定例会会議録--------------------------------------- 平成15年9月19日金曜日
--------------------------------------- 議事日程第4号 平成15年9月19日(金) 定例会 午後1時会議を開く第1 本日の
会議録署名議員の指名第2 市政に関する
一般質問(続) 8 (1)
市勢振興について 23番
小野寺議員 (2)
財政運営について 〃 9 (1) 真の拠点都市を目指して 14番 川崎議員 (2) 森林・林業行政について 〃 (3)
漁業集落環境整備事業について 〃 10 (1) 福祉行政について 4番 坂本議員 (2)
教育行政について 〃 以上
--------------------------------------本日の会議に付した事件第1 本日の
会議録署名議員の指名……………………………………………………… 124第2 市政に関する
一般質問(続) 8 (1)
市勢振興について 23番
小野寺議員……〃 (2)
財政運営について 〃 … 125 9 (1) 真の拠点都市を目指して 14番 川崎議員…… 137 (2) 森林・林業行政について 〃 …… 138 (3)
漁業集落環境整備事業について 〃 …… 139 10 (1) 福祉行政について 4番 坂本議員…… 150 (2)
教育行政について 〃 …… 152
--------------------------------------出席議員(26名) 議長
平舘幸雄君 副議長 佐藤一夫君 1番 新里博政君 2番 小鯖利弘君 3番 佐々木 透君 4番 坂本良子君 5番 細田孝子君 6番
海老原正人君 7番 水野昭利君 8番 両川敏之君 9番 岩間勘二君 10番 和田松男君 11番 菊池 孝君 12番 菅原規夫君 13番 山崎長栄君 14番 川崎勇一君 15番
佐々木義昭君 16番
小笠原多子男君 17番 野田忠孝君 18番 秋元厚子君 19番 松坂喜史君 20番 佐野金吾君 21番 藤井修一君 22番 平松福一君 23番
小野寺英雄君 24番 藤原茂實君
--------------------------------------説明のため出席した者 市長 小沢和夫君 助役 正木 等君 収入役 桑畑喜一君
総務企画部長 佐々木重雄君 民生部長 小山 士君
経済部長 佐野善次君 建設部長 伊藤昭男君
総務課長 前川公二君 財政課長 小林俊輔君 税務課長 和泉重勝君 企画課長 山崎秀樹君
国保年金課長 石川雄康君
生活環境課長 佐藤恵寿君
福祉事務所長 似田貝 茂君 商工課長 野田喜一君
観光物産課長 菱沼清治君 農林課長
佐々木裕一君 水産課長 岡崎貞夫君 高規格幹線
川畑誠一郎君
道路対策課長 市民病院 船越 毅君 事務長
市民病院 藤田良三君
事務部次長 市民病院 末永正志君 総務課長 水道事業所長 佐々木道典君 教育長 塚本希之君 教育次長 尾形新悦君
教育委員会 菊地洋一君
総務課長 学校教育課長 樋口賢一君
社会教育課長 芦萱潤一郎君
体育振興課長 古川明良君 学校統合 岩鼻 弘君 推進室長 図書館長 沖 健太郎君 学校給食 上野厚子君
センター所長 市民文化 栗澤 廣君 会館長 監査委員 藤原宏昭君
--------------------------------------事務局職員出席者 事務局長 山崎倫昭
事務局長補佐 山下光一 議事係長
小笠原勝弘 -------------------------------------- 午後1時会議を開く
○議長(
平舘幸雄君) 本日の出席議員は26名で定足数に達しておりますので、会議は成立いたしました。 ただいまから本日の会議を開きます。本日の議事は、お手元の議事日程第4号により進めます。
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○議長(
平舘幸雄君) 日程第1、本日の
会議録署名議員の指名を行います。
会議録署名議員には、会議規則第81条の規定により議長において11番菊池孝君及び12番菅原規夫君を指名いたします。
--------------------------------------
○議長(
平舘幸雄君) 日程第2、市政に関する
一般質問を行います。順次質問を許します。23番
小野寺英雄君、登壇を願います。(拍手) 〔23番
小野寺英雄君登壇〕
◆23番(
小野寺英雄君)
市民クラブの
小野寺英雄です。 通告に従い、
市勢振興、
財政運営についての
一般質問を行います。 まず、今日の経済と雇用の状況は、国、地方を通じてまさに
危機的状況にあります。失業率は
危険ラインと言われる5%を超え、 5.4%と過去最高を記録し、
完全失業者は 360万人に達しております。自分に適した仕事がないため就職をあきらめている潜在的な失業者を含めると、失業率は10%を超えるものではないかと言われております。また、
生活保護世帯も急増しております。特に釜石市の進行率は高く、市民から悲鳴にも似た声が高まっております。このような深刻な事態を克服するためには、国、地方一体となった対策が不可避でありますが、残念ながら国には国民の期待にこたえる体制には至っておりません。 そこで、
市勢振興についてただしますが、国の新たな
経済対策がない中で、みずからの地域を守るために独自の再生策を持って取り組まなければならないと思いますが、当局は第五次
総合計画の事業の前倒し、あるいは施策の
かさ上げ等を対応せざるを得ないと思いますが、考え方を伺っておきます。 次に、
新規事業の創出について伺います。 今、
新規事業を早期に有効、かつ効果的に推進できるのは、既に答弁がされておりますが、
エコタウン事業に加えて、当市の釜石・
大槌地域産業育成センターで開発された、
廃プラスチックリサイクル側溝ぶたと
金属系生体材料の起業化であると考えますが、今後これらの事業をどのような日程的な計画のもとに起業化を図ろうとしているのか、伺っておきます。 次に、当市の基幹産業である漁業振興について伺います。 私は再三、
漁業従事者の所得の向上、労働力の軽減、改善の施策を
区画漁業権の見直しにあわせて、行政の指導を強化するとともに、これを実施すべきと提起しておりますが、その後の経過について伺っておきます。 次に、
株式会社サンロックにかかわる事業、要するにマツカワ、チョウザメについてでありますが、この事業は私の判断では今までの経過の中で実証されたと思います。したがって、拡大生産に移行してよいのではないかと考えます。当議会に示された改善計画を倍増する発想を持って施設整備の増設を検討すべきと考えますが、当局の見解を伺っておきます。 次に、
地域特産品の開発について伺います。 それぞれの地域に埋もれている資源を発掘し、それを生かした特産品化を図り、地域の活性化に貢献していくとの考え方のもとに、それぞれの地域で町内会その他の組織を通じて総点検をしてみるべきであると考えますが、当局の見解を求めておきます。 次に、
財政運営についてただしておきます。 まず、
財政運営についてでありますが、釜石再生を図るためには、政策と財政の
総動員体制をとる必要性から、市債について従来の考えを改めて対応すべきと考えます。ともすれば、発行を抑制することにのみ終始するのでありますが、このようなときにこそ知恵を出し合い、有効活用を図るべきであります。また、基金の取り崩しについても幅を持って運用をすべきであると思いますが、見解を伺います。 特にも
果実運用型基金については、現状では利息をもって運用を図るなどは到底考えられないのであります。今、何をもって何に活用すべきかということを中心に検討すべきであります。この辺に対する考え方を改めて伺っておきます。 次に、
市民ファンドの創設について伺います。
市民ファンド、要するに市民の基金であります。この機会に市民の資産の活用によって市民基金の創設を図り、地域で開発された、あるいは起業化されたものに対して地域を挙げて守り育てていき、それを地域の活性化と地域の自立に結びつけていく、またその市民資産の運用を地域に還元を図るという、要するに共益体制、ともに利益を得る体制の確立に努めるべきであると考えますが、当局の見解を伺っておきます。 以上で演壇からの質問は終わりますが、再質問は自席で行いますことを申し添えて、終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(
平舘幸雄君) 市長。 〔
市長小沢和夫君登壇〕
◎市長(小沢和夫君)
小野寺議員の御質問にお答えいたします。
経済対策についての御質問でありますが、当市が進むべき方向を明確にするため、多くの市民の参画をいただき、第五次釜石市
総合計画を平成13年3月に策定しています。計画では21世紀初頭の釜石の望ましい姿を「人と技術が輝く海と緑の交流拠点」と展望し、人、技術、環境の3つの視点と交流を重視した
まちづくりに取り組んできました。現在、地域を取り巻く経済環境は全国的な景気の低迷の中で非常に厳しい状況に置かれていますが、一方では
仙人峠道路や
湾口防波堤建設、
公共埠頭拡張など、道路、港湾を中心とした
基盤整備が平成18年度完成及び概成に向けて大きく進展するなど、明るい希望、展望が開けています。 こうした
基盤整備をもとに、釜石が持つ優秀な労働力や高度な技術力など、地域特性を最大限に活用しながら、
総合計画に掲げる各種施策を着実に推進してまいりたいと考えています。
地場産業の振興育成や、新たな産業の創出による雇用の拡大が地域を守る独自の再生策につながるものと考えています。その一つが
総合計画の重点施策に掲げる
資源循環型社会の形成に向けた釜石市
エコタウン事業の推進です。現在、国の
エコタウン事業地域指定に向けて取り組んでいますが、特にも平成16年には
リサイクル法が施行される
自動車リサイクルについては、地元主体での事業化が進んでいます。その他の
リサイクル事業についても、事業化に向けた準備が進められ、着実な進展が図られています。
エコタウン事業のほかにも、
風力発電事業や
ニチイ跡地の活用、大渡橋架けかえなど、新たな
まちづくりの絶好の契機として、
地場産業の育成強化、
中心市街地の活性化を初め、
総合計画の各分野に掲げる重点事業を着実に実施したいと考えています。
総合計画の実施計画については、毎年
ローリング方式による見直しを行っていますが、市を取り巻く状況の変化を的確にとらえ、時代の要請にこたえながら、事業の前倒しやかさ上げなどにも臨機応変に対応してまいりたいと存じます。 また、スクラムかまいし21プランの前期計画は平成17年度までの期間を想定していることから、議員御提言の地域を守るための独自の再生策ということを十分に意識しながら、来年度からこの後期計画の策定作業に取り組むことにしていますので、御理解願います。 以上をもちまして私からの答弁を終わりますが、引き続き
総務企画部長並びに
経済部長が答弁いたしますので、御了承願います。
○議長(
平舘幸雄君)
総務企画部長。 〔
総務企画部長佐々木重雄君登壇〕
◎
総務企画部長(
佐々木重雄君) 私からは、
財政運営についての御質問にお答えをいたします。 初めに、市債の積極的な活用にかかわるお尋ねでありますが、当市は過去二度にわたり
財政再建団体への転落を経験しているほか、
大型公共施設の整備が相次いだ昭和50年代にも公債費の増大による急激な
財政状況の悪化を経験いたしております。そのため市債の発行に際しては、後年度の負担を考慮し、極力
交付税措置のある有利な起債を選択するとともに、
発行総額等につきましても、その時点の地方財政の状況や、当市の
財政状況に見合った自主的なルールを設定し、管理を行ってまいりました。その結果、平成13年度末現在の
普通会計公債残高は 180億2721万9000円となり、市民1人当たりの残高では県内13市で最も低い水準となってございます。平成14年度末には
臨時財政対策債の増大及び
双葉小学校建設事業債の発行などにより、残高が 189億5775万7000円と、1年間に約9億3000万円もの増加を見たものの、市民1人当たりの残高はいまだ最も低い水準を維持しているところであります。 しかし、平成13年度末の全国の類似団体の
普通会計公債残高は約 189億円ということで、当市の公債残高が格別に少ない状況ではないと考えられるほか、当市は償還財源となる市税と
普通交付税の総額が過去10年間県内13市で最も大きく減少しており、
市民病院の累積赤字など、公債残高に準じて考える必要のある債務も多く抱えているところであります。 一方において、当市では今後数年間に取り組む必要のある事業が数多く控えているため、基幹的な一般財源の減少が続く状況下では、事業費に対して国・県の補助や起債など、特定財源を可能な限り多く確保しなければ、毎年度の予算編成が困難となります。これらの状況を踏まえた場合、人口減と歳入の減少に見合う歳出構造への転換を進めるために、
事務事業の取捨選択を進めることを基本としながらも、議員御提言のとおり、地域への経済効果が大きく、市民の理解が得られる事業などについては、市債を導入して積極果敢に取り組んでいくことも必要であるものと考えているところであります。 今次定例会に提案しております
一般会計補正予算においても、今後の当市の産業の柱と位置づける
エコタウン事業の
基盤整備の一環といたしまして、市道平田16号線の
道路改良事業を起債事業として追加したところであり、今後さらにめり張りのある事業の選択と財源の有効活用に努めてまいりますので、御理解を賜りたいと存じます。 次に、基金の活用についてのお尋ねでございますが、当市は平成14年度末現在で20の基金を設置いたしており、その残高は43億8300万円余りとなってございます。これらの基金はそれぞれ条例に規定する目的に沿って運用いたしておりますが、近年の低金利により運用収益も激減しており、特に
果実運用型基金につきましては、所期の目的に沿った事業への活用が困難となってきております。そのようなことから、基金の取り崩しについて幅を持って運用すべきとの御提言と存じますが、長年維持してまいりました基金を取り崩すことは一時的な財源措置にすぎないという批判も受けかねませんが、一般財源の増収を望むことが困難な状況下では、これらの基金を有効活用して財政を支えていくことも必要ではないかと考えております。今後、議員御提言の趣旨のとおり、
特定目的基金の整理、統合を含めた再検討を進めてまいりたいと考えておりますので、御理解を賜ります。 次に、
地域経済の活性化を図る手法として、
市民ファンドの創設を図り活用してはどうかとの御質問でございますが、当市は
環境調和型社会の形成に向けた
まちづくりを標榜してから、きょうに至るまで、エコタウンプランの策定と並行して
各種リサイクル事業導入の可能性についても調査検討を進めてまいりました。現在、
使用済み自動車リサイクル事業を初めとした
各種事業の実現に向け、着実な動きを展開いたしておりますが、事業化に向けての最大の課題は、事業の起業に際して
事業主体の確定と起業資金の捻出であります。したがいまして、議員御提言の
市民ファンドの創設は、地域に新たに起業する
事業主体に起業資金の一部を助成することで、
事業主体の初期投資が軽減され、さらには事業に対する住民の理解も得られるなど、地域に起業しやすい環境を整える意味において大変有効な手段であると考えます。 近年、国内においても
NPO法人を中心として
市民ファンドによる
新規事業創設の動きが見られているところです。例えば、
北海道グリーンファンド、
グリーンエネルギー青森、市民風車の会秋田、
静岡クリーンエネルギーフォーラムなど、いずれも風力発電に絡む事業でございますが、
市民ファンドによる事業の創設の例として挙げられます。当市におきましては、形は異なりますが、現在計画が進行している
使用済み自動車リサイクル事業は、
商工会議所が中心となり、地場企業と
県内自動車関連企業が自主的に連携したもので、この
協同組合方式による
取り組みは民間発意による
地域経済活性化に向けた
取り組みとして、県内外から注目を集めているところでございます。これらの
取り組み事例は、近年の厳しい
経済環境下にあっても、市民、企業、行政が一体となって知恵を出し合い取り組むことで、新たな雇用の確保や
まちづくりが可能であることを期待させる
取り組みであろうと考えております。 いずれにいたしましても、成功へ導く基本は住民発意による展開が重要でありますことから、このような事例や計画が持ち込まれた場合、導入の有効性を見きわめながら、行政としても積極的に側面から支援、協力する必要があろうかと考えておりますので、御理解賜りたいと存じます。
○議長(
平舘幸雄君)
経済部長。 〔
経済部長佐野善次君登壇〕
◎
経済部長(佐野善次君) 私からは、まず新規産業の創出についての御質問にお答えいたします。 初めに、
廃プラ側溝ぶたの起業化についてでありますが、
廃プラ側溝ぶたは釜石・
大槌地域産業育成センターの
研究開発部会から派生した
廃プラリサイクル事業化研究会が、群馬県の
廃プラ側溝ぶたメーカーの協力を得ながら、試験製作に成功しているものであります。これは従来、処理困難とされていた廃漁船、浮き玉などの
漁業系FRP廃材等を有効活用しようというもので、特徴としては
コンクリートぶたに比べ約3倍の強度がありながら、重さは半分程度しかないとの分析結果が得られております。極めて画期的な試みであると思います。 今後の
取り組みについてでありますが、
産業育成センターでは本年度はまず11月を目標として研究開発型の組合を設立した上で、
廃プラ発生量と
処理状況調査、
FRP廃船解体コストの算出、試作品の製造等の
取り組みを行いたいとしております。さらに、平成16年度には
市場調査等の調査研究、
廃棄物回収ルートの構築、
事業採算ベースに沿った事業規模の確定等を行った上で、
事業化計画を策定したいと伺っております。市といたしましては、将来の事業化に向けて円滑に
取り組みが図られるよう、積極的な支援を行うことにより、
資源循環型社会に対応した新たな産業の育成を図ってまいります。 次に、生体材料の起業化についての御質問でありますが、釜石・
大槌地域産業育成センターが核となり、岩手大学と地場企業との
産学官連携のもとに取り組んでまいりました国の委託機関であります
即効型地域新生コンソーシアム研究開発事業の成果として、
コバルト系合金の
高温鍛造技術と
骨折用プレートの製造技術の確立に成功しております。これは
生体適合性にすぐれた素材である
コバルト系合金について、従来不可能とされてきた
塑性加工技術を世界で初めて確立したものであると伺っております。この合金は、現在
生体用金属素材として主流であるチタン系や
ステンレス系と比較し、強度があり、摩耗しにくいなどの分析結果が得られており、より欠点の少ない素材とされております。 ただし、これをもってすぐにも事業展開できる段階ではなく、今後も
基礎実証研究を続けながら、将来の商品化をにらんだ用途開発が必要になってまいります。現在、
生体用材料は薬事法による認可の取り扱いがクラス1から4まで設定されており、
金属系生体用材料として最も難度の高い
人工股関節等はクラス4に属していることから、数々の動物実験や臨床試験が必要とされ、認可がおりるまでに10年から20年かかると言われております。したがいまして、今後はさまざまな研究課題の中から素早い事業展開が期待できる研究項目を選定し、事業に結びつける必要があると思われます。 このために、
産業育成センターでは手始めに理容・美容用のはさみ、
外科用はさみへの素材提供で事業化を図るために、本年度と来年度の2カ年でそのための基礎研究となる金属塊の溶製技術の確立と
金属加工技術の標準化、この2つを目指すこととしております。市でも積極的な支援をしてまいりたいと考えております。 また、この研究開発を進めてきた岩手大学では、これとは別に義歯床開発と生体適合評価というテーマで、現在県の提案・公募型の委託事業に申請しております。これらの実現が図られれば、この研究開発に一区切りがつくものと思います。将来、ものづくりの最先端の分野において高付加価値製品の事業化が図られれば、新たな雇用創出のほか、既存産業に対する複合的な経済波及効果につながることから、
地域経済活性化への起爆剤として大いに期待されるものであります。市といたしましては、将来この研究開発の芽が実を結び、当市を中心に事業化が図られるよう、今後とも
産業育成センターと連携を図りながら、積極的な支援策を講じてまいりたいと考えておりますので、御理解を賜りたいと思います。 次に、当市の基幹産業である漁業振興についての御質問でありますが、当市の漁業の形態は、大きく分けて、ワカメ、ホタテ等を中心とした養殖漁業、アワビ、ウニ等をとる採貝藻漁業及び小はえ縄、刺し網、イカ一本釣りに代表される漁船漁業となっております。漁業の経営状況では、養殖漁業と採貝藻漁業に従事する形態が一番多く、次に漁船漁業と採貝藻漁業の組み合わせとなっており、漁船漁業だけという形態は極めて少なくなっております。このような状況から、市の施策の多くは養殖漁業が中心となっております。しかし、昨今の
漁業従事者の高齢化や後継者、担い手の不足は、1人当たりの漁業生産を減らす傾向にあり、この対策として作業の機械化、協業化による労力の軽減、作業時間の短縮が求められております。 このことから、岩手県や岩手県漁連ではワカメアクションプログラムを作成し、課題の一つとして、ワカメ養殖を対象にした刈り取り機器の開発を岩手県水産技術センターと独立行政法人水産工学研究所が共同で行っており、市内の業者も開発にかかわっていると聞いております。この開発状況を見きわめながら、当地区のワカメ養殖漁業への導入を検討してまいりたいと思います。 また、ことしは共同漁業権及び
区画漁業権の更新の時期に当たり、各漁協では漁場行使内容を見直した申請が終了し、今月岩手海区漁業調整委員会から免許を受けたところであります。各漁協とも3月の低気圧災害を教訓にした行使内容の見直しや、施設の配置を計画していることから、波浪に強い養殖施設づくりはもとより、品質のよいワカメの生産が期待できるところであります。さきの6月議会においては養殖漁場の再編整備に係る予算の計上について御理解を得たところであります。現在、漁協において鋭意この事業が進められておりますが、漁業関係者からは感謝の言葉をいただいており、今後とも各種補助事業や制度資金の活用により漁業者の漁業活動を支援してまいりたいと考えております。 次に、
株式会社サンロックに係る事業についての御質問でありますが、サンロックは平成7年に設立され、マツカワ、チョウザメの稚魚、成魚の加工及び販売の事業を行っておりますが、知名度不足や、深刻化するデフレ経済下の消費の冷え込みから需要が低迷し、売り上げが伸び悩んでおりました。このため経営は極めて厳しい状況にありますが、平成14年2月に策定した経営改善計画の達成に向けて取り組んでおります。そうした中で、
各種事業の導入や市の支援を受けながら、稚魚や成魚の生産は安定化してきており、今後の課題は販路の確保と販売量の拡大が急務になっております。 さらに、サンロックは財団法人いわて産業振興センターの助成を受け、経営診断士による経営の分析や改善対策のアドバイスを受けながら、中期事業計画を策定しているところであります。また、経営診断士の紹介によりまして、財団法人いわて産業振興センターの商品化・事業化可能性調査事業に採択されたことから、チョウザメの首都圏ホテルへの販路開拓を進める予定であります。一方、岩手県ブランド推進課の支援を受けて、地域資源等活用型起業化事業を導入し、キャビアやスモークの商品形態やデザインを検討し、地場特産品としてのブランド化を目指し、売れる商品づくりを模索するところであります。このようなことから、稚魚、成魚及びキャビアの生産技術及び体制は徐々に整っていくものと考えております。しかし、経営診断士のアドバイスを得ながら策定するサンロックの中期事業計画がまだまとまっていないことから、この結果を待って対応を検討してまいりたいと存じますので、御了承を願います。 次に、
地域特産品の開発についての御質問でありますが、当市での
地域特産品開発につきましては、民間業者などが行う新商品開発、既存商品の改良等を支援することを目的とした地場産品付加価値開発支援事業を実施した経過があります。この事業では、地域の資源を活用した特産品を市が認定し、釜石市特産品カタログである「釜石の味と心」に掲載してPRするなどしておりますが、既に商品化された特産品として定着したものもあります。しかし、特産品としては食材はもとより、それ以外にも特産品となり得る資源がまだまだ当地域に埋もれているという可能性もあります。その地域にとっては何の変哲もない素材が、例えば都会の人たちには非常に興味を引くものもあろうかと思います。このような資源を発掘し、地域活性化に結びつける努力をすることも大切な課題であると認識しております。したがいまして、議員御提言の町内会などを通して、そのような資源の総点検ということにつきましては、新たな特産品開発を進める上で大事なことでありますので、その手法等を探ってまいりたいと存じます。 以上をもちまして答弁を終わります。
○議長(
平舘幸雄君)
小野寺英雄君。
◆23番(
小野寺英雄君) 極めて親切な答弁をいただきまして、本当にありがとうございます。 大方、私の提起に賛意を表されているんじゃないかと、こういうふうに受けているわけでありますが、ただここで申し上げたいのは、やっぱり情勢分析がちょっと甘いんじゃないかと、こういう考えを私は持ちます。それは何かといいますと、今の経済状況の中で、まずスクラムかまいし21プランの計画と今の実態を大体照合してみますと、例えば一つの例として1人当たりの市民所得を比較してみますと、なるほど平成12年には大体計画どおり達成しております。これは計画どおり経済も推移したわけですから、これでいいんですけれども、平成13年以降急激に落ち込みが激しくなってきております。したがって、この落ち込みが本当に市長が答弁しておるような形で明るいものに結びつくんだろうかということが私は懸念の一つであります。 大体平成17年度には市民所得が1人当たり 290万円に達するであろうと、こういうことが言われておりますが、これは何も当局の失敗ではなくて、これは国の経済政策の失敗がこういうものにつながっておると、こう私は理解しますし、当局を責めるものではございませんけれども、一応来年度さらに後期の見直しを図るということでありますから、その際に果たしてこの計画どおり、平成22年度を最終年度とするものに本当に結びつくんだろうかということを考えますと、私は今の段階では平成12年度の 260万円も一応切るのではないかと、こういう懸念を持っております。 何でそう言うかといいますと、朝日新聞社が発行している「民力」の国民の課税所得金額、これの推移を見ますと、それが平成12年をピークに下がってきております。さらに、私どもがいつも予算編成に当たって市民の平均所得金額を算出するわけですが、それよりもむしろ国の平均より当市の置かれている状況は厳しくて、その下がり幅が大きいわけですから、これは到底困難ではないかと私はこう見るわけです。当局から少しその御見解を伺っておきたいと思います。
○議長(
平舘幸雄君) 企画課長。
◎企画課長(山崎秀樹君) お答えいたします。
総合計画におきましては、経済の目標として平成4年度以降の推移を基本に産業別の純生産と、それから市民1人当たりの所得を試算いたしております。ことしの3月に出されました岩手県の市町村民所得におきまして平成12年度の市民所得等が公表されておりますが、この中で平成12年度の純生産の合計は約1286億円、
総合計画の当初の目標であります平成12年度分としましては1246億円と、ほぼ同じ金額になっております。また、市民1人当たりの所得も 260万円の試算に対しまして平成12年度の実績の金額は 268万円ということで、ほぼ試算どおり推移してきたということでございますが、これは市内企業の生産の増加が大きな要素と考えられまして、県内他市に比べて大きな伸びを示したというところでございます。 しかしながら、議員のお話しされるように、平成13年度以降につきましては現在試算しておりますが、厳しい経済情勢の中で、純生産や市民1人当たりの所得は平成12年度に比較するとかなり減少するというのが今の予測でございます。したがいまして、当初の目標値の達成という部分では、平成22年の目標値自体はこの達成は大変難しいかなというふうに私たちは考えております。
総合計画前期計画は平成17年度までの予定でおりますが、来年度から後期計画の策定に向けて準備を進めることにいたしておりまして、この中で現在の厳しい経済情勢、あるいは厳しい現実を的確に把握しながら、新たな目標値の設定、あるいはその実現に向けた事業施策の展開に結びつけていきたいなというふうに考えております。
○議長(
平舘幸雄君)
小野寺英雄君。
◆23番(
小野寺英雄君) それでは、ちょっと念を押しておきたいんですが、今の答弁からいきますと、今度の第五次の
総合計画というのは最終年度は平成22年でありますね。その平成22年のこの中でうたわれている計画の内容を達成させるという前提のもとに見直し作業に入られるのかどうか、その点だけ1つ伺っておきます。
○議長(
平舘幸雄君) 企画課長。
◎企画課長(山崎秀樹君) 前期計画は平成17年までと申し上げましたが、後期計画につきましては平成18年度からの予定になっています。したがいまして、基本構想自体は平成12年に皆様の議会の方からの御承認をいただいておりますので、それを踏襲する中で、新たな後期計画の策定に向けて事業の再編成とか、そういうものを、目標値の新たな設定とかということでの見直しをかけるという意味でございます。
○議長(
平舘幸雄君)
小野寺英雄君。
◆23番(
小野寺英雄君) 本当は随分いろいろ答弁の中から質問したいことがたくさんありますけれども、はしょってお伺いしますが、まず次に
財政運営の問題ですね。この中では市債の発行の問題なんですが、市債は私は当初から積極財政論者と言われますけれども、積極財政論はこいうときにこそやらなければならないという考え方で、景気がよくなったらそれを抑えていくという、そういう考えも私は持っておるわけでありまして、何でもかんでも積極財政でいけばいいんだということではないわけです。 ここで、市債の問題について触れますが、私は大体この発行は県内13市の平均まではいいんじゃないかと、大体釜石の場合、まだ50億円ぐらい発行したところでいいのではないかという考え方を持っておるんですが、のべつ幕なし発行するというわけにはいきませんので、この辺大体のめどとしてどの辺が正しいのかという点について、当局としての考え方を伺いたいと思います。
○議長(
平舘幸雄君) 財政課長。
◎財政課長(小林俊輔君) どの辺が正しいのかというふうなことについては、今すぐ御答弁は難しいと思いますけれども、
小野寺議員さんは常に市民1人当たりの残高が低いので、もっと市債を積極的に活用して事業を展開するべきだというふうなことをおっしゃっていますので、それのことで御答弁申し上げますと、市の平成14年度末の市民1人当たりの地方債の現在高は41万7000円でございます。それで、県内13市の平均は55万1000円ですので、確かにおっしゃるとおり低い数値になっております。 ただ、県内13市を見ますと、その県内13市の平均より上回っている市は5つの市だけでございます。残りの8市は平均より低い残高になっております。県内13市の平均と申しましても、市税の収入が 380億円ぐらいある盛岡市から、16億円ぐらいの陸前高田市まで、財政規模とか人口、産業構造等が全く異なる自治体の数値をただ単純に平均しただけの数値でございますので、これをもちまして、その結果をもって地方債の発行をふやすというふうなことは財政の面からは非常に危険だというふうに感じております。 ですから、平均値というふうなことで考えるのでございますと、先ほど
総務企画部長が御答弁申し上げましたように、全国の都市の中で当市と人口や産業構造が同じような類似団体の平均と比較するべきではないのかと思います。その平均は、平成13年度までの決算しか出ていないんですけれども、約41万6000円となっておりますので、この数値と比較いたしますと当市の数値が著しく低いというふうなことではなくて、平均ベースにあるのではないかと思っております。ですから、もっと市債をふやすというふうなことではなくて、全国の類似団体並みの発行残高といいますか、そういうふうな状況になっているというふうなことを御理解いただきたいと思います。 それで、市債の活用の件でございますけれども、市税とか地方交付税の一般財源が減少している中で、新規の事業を予算に計上するというふうなことになりますと、まず借り入れることのできる起債があるかどうかというふうなことを一生懸命探して、それを予算に計上いたしている状況でございます。ですから、先ほど
総務企画部長が答弁いたしましたとおり、施策の優先度が高くて
地域経済に波及効果があるような事業、そういうふうな事業については今後とも積極的に起債を活用したいと思っておりますので、御了承賜りますようお願いいたします。
○議長(
平舘幸雄君)
小野寺英雄君。
◆23番(
小野寺英雄君) 財政課長の答弁で納得しますが、やっぱりもっと有効活用という面についてはいろいろ知恵を絞る必要があるんじゃないかと。これは議会もそうですが、市の当局ばかりに任せるんじゃなくて、いろいろな件で私どもは政策提起をしていきますから、そういう点での論議に積極的に参加していただくようにしていただきたい、このことをお願い申し上げておきます。 それで、十二、三分のところでございますが、はしょった形で、まずサンロックの問題について伺っておきたいと思います。 サンロックの問題は、これは去年サンロック側で提起された再建計画と、それからここで第五次
総合計画の中で出されております内容と比較しますと、随分60%ぐらいサンロックの計画が多いわけです。したがって、それは何かといったら、やっぱり技術開発等に対する自信のほどがその計画にあらわれているんじゃないかと、私はそう思っておるわけです。そういう点からいきますと、もっと蓄養施設、あるいは養殖施設、こういうものを、相当の面積を要するし、費用もかかると思いますが、これらについてやっぱり検討してみておく必要があるんだろうと。 それから、サンロックのキャビアの問題ですが、キャビアについて私は、大体ブランド化を図るとか何とかと言っておりますから、そのためには今国内で50トンなり70トンを輸入しているような状況でありますが、このうちのどの程度がブランド化として適切なのかという、要するにシェアの問題でございますが、そういう点についてただしておきたいと思います。 また、水産課長にだだしておきますが、今度の漁業権の見直しの問題について、私が調べてみましたところ、大体25%ぐらい組合員が減っているわけです。そういうことと、これは何か全国的な水産白書を見ますと、やっぱり25%ぐらい減っているんですね。そういう点では同じ傾向をたどっているんだなと、こういうことが考えられます。そういうことで、この25%の漁場が1人当たりにしたら拡大されていくのかどうかという点なんですね。それと結びついているのかどうか、この辺について伺っておきたいと思います。
○議長(
平舘幸雄君)
経済部長。
◎
経済部長(佐野善次君) 私の方からは、サンロックの関係でお答えいたしたいと思います。 議員さんが今申されましたとおり、サンロックが平成14年2月に策定した経営改善計画、これによりますとマツカワの成魚の販売というのは平成15年度は13.7トン、それから平成16年度は15.5トン、そして平成17年度は17.8トンと、こういったことになっております。最近のマツカワの成魚の販売状況をちょっと申し上げますけれども、4月から8月までの販売量は、この5カ月間で約6トンとなっております。これは去年、前年同月比、比べますと約 2.6倍の実績となっております。したがいまして、このままの状態でこの販売量が推移すれば、平成15年度の目標は達成できると、そのように思っております。これはその理由として、これまでの宣伝のPR、あるいは販路の拡大の
取り組みと、そういったことが徐々に成果をあらわしてきていると、そのように思っております。 キャビアのブランド化の問題でございますけれども、サンロックの方では前からキャビアの持つ市場性、こういったものに着目しまして、いろいろと研究に取り組んできた結果、キャビアの生産のめどが立ったということで、本年度については保健所の製造許可がとれると、そういったことで加工場の建設に入っておりますし、11月の中旬には釜石産のキャビアとして売り出すと、そういった計画になっております。平成15年度、今年度ですけれども、これは少量ですけれども、16キロを生産する予定です。今、順次規模を拡大しまして、 250キロぐらいまでは何とか生産できる体制に持っていきたいということで、今いろいろと取り組んでおります。 先ほどの議員さんの国内販売量の関係ですけれども、公式の統計はありませんけれども、仮に60トンとしますとその50%、半分、これは30トン、もしこの生産量を確保するとすれば、単純計算で 250キログラムの 120倍と、そういったことになりますので、それに見合うような膨大な土地とか施設とか水とか、そういったものが必要になると思っております。したがいまして、キャビアの生産体制というのは壮大な規模となることが予想されますので、キャビアのシェアの50%を目指すということについては難しいと思っております。 以上です。
○議長(
平舘幸雄君) 水産課長。
◎水産課長(岡崎貞夫君) お答えします。
区画漁業権の見直しに伴います1人当たりの漁場の増加でございますけれども、市内の漁協の組合員数の推移を見ますと、平成5年度から平成14年度までの10カ年で2846人から2150人へ減少しており、その減少率は24.5%というふうになってございます。また、この期間におけます養殖施設台数の推移を見ますと、平成5年度は6135台でございましたが、平成14年度には5571台となりまして、減少率は 9.2%ということになっております。組合員数の減少の割に養殖施設台数の減少は緩やかでございますけれども、そういったことで漁場の方には使う施設の余裕が出ているのではないかなというふうに思われます。したがいまして、この余裕ある漁場を活用することで、1人当たりの施設台数はふえてくるものというふうに考えております。
○議長(
平舘幸雄君)
小野寺英雄君。まだ、5分ありますから。
◆23番(
小野寺英雄君) 5分いっぱいやりますから。それで、キャビアの問題もそうですが、チョウザメの方の生産、それと売上実績等について、どうもチョウザメの方が伸びが悪いと、そういうことですが、これはやっぱりチョウザメだけじゃなくて、キャビアとセットのもので売り出していけば、チョウザメの方も伸びていくんじゃないかと、こう私は考えます。 それと、チョウザメは別にしても、マツカワ等について漁業協同組合との連携ですね。やっぱり水産従事者の所得を上げていく、そういうことを考えた場合に、そういうのもあっていいんじゃないかと。今、東部漁協の施設で試験的にやっておりますが、そういうものを拡大していけば、おのずから
漁業従事者の所得もアップしていくと、こういうふうになるんじゃないかと、私はそう考えます。 それで、もう4分ばかりになりましたが、私は
一般質問で出しました特産品の開発、あるいはそのためには総点検活動というものを実施していったらどうかということを申し上げたんですが、よく当局の方では市民意識の改革ということを言うんですが、何かテーマを与えて活動する、そういうことでないと、やっぱり意識改革というのは結びついていかないんじゃないかと、私の組織論、あるいは運動論からいけば、こういうものをやると、そして各地域でこれを実行していくんだと、こういうことになれば、おのずと意識改革もされ、そして自立するという体制というものも確立されていくんじゃないかと、私はそう思っております。したがって、この総点検活動というものをもっと、やはりいろいろな手法があるわけでありますから、そういう点について検討をお願いし、私の
一般質問を終わります。
○議長(
平舘幸雄君) 23番
小野寺英雄君の
一般質問を終わります。
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○議長(
平舘幸雄君) 次に、14番川崎勇一君、登壇を願います。(拍手) 〔14番川崎勇一君登壇〕
◆14番(川崎勇一君) 海盛会の一員として、通告に基づきまして
一般質問に入らせていただきます。 まず最初に、三陸沿岸の真の拠点都市を目指してからであります。 当市の歴史的経過を見れば、第二次世界大戦の艦砲射撃等によって多くの市民の犠牲者を出しながらも、屈することなく、戦後市民の力を結集しながら製鐵所を立ち上げ、そして我が国の今日の経済成長に大きく寄与してきたということは、これは周知の事実であります。昭和38年、おおよそ9万2000人の人口をピークに、現在約4万5000人ほどの、まさに半減したわけでありますけれども、今なお岩手県においては港湾を有する重点工業都市として大変重要な役割を担っているわけであります。しかしながら、今日の我が市は大変厳しい状況下にあるわけであります。かつての釜石の繁栄と現在のギャップを重ねてみれば、市民の中には将来に向けて、期待よりもむしろ失望に傾いていっている方々、私は多くあるのではないかと思っているわけであります。 しかしながら、今確かに釜石の現状は厳しいけれども、この釜石の厳しさを打開するに向けて今確かな兆しがある、私はそう思っております。それは釜石港が静脈物流の拠点港として国の指定を受けました。そして、今さらに資源循環型の産業の創出、社会を構築しようということで、エコタウンの国の指定を受けるために懸命に取り組んでいるわけであります。こうした釜石の
取り組みが国の指定を受け、そして一つ一つの
エコタウン事業が実現をし、それが釜石に定着し、さらに新たな産業への創出へと展開するならば、釜石は確かにこの窮状打開に向け大きく開かれていく、私はそう確信するわけであります。今まさに釜石は大きなチャンスを迎えている、私はそのように考えるわけでありますけれども、市長はこの現状をどのように分析しておられるのか、改めてお伺いをいたします。 今、当市は大変重要な時期を迎えていると思います。沿岸部においては、広域合併の問題については南の大船渡市、北の宮古市も合併に向けて今任意の合併協議会を発足させたわけであります。もちろん大船渡市は、御存じのとおり、既に合併をいたしました。なぜか釜石と大槌の地域については機運が余り盛り上がっていない、私はそのように考えるわけでありますけれども、私は釜石の三陸沿岸における真の拠点都市を目指し、その役割を釜石は担っていかなければならない、そう考えますと、現在において合併論議が先行しているわけでありますけれども、私はこうした真の沿岸の拠点都市を形成しようということで考えれば、この大槌・釜石間には共通する大きな課題がたくさんあるわけであります。将来に向けて、こうした拠点都市形成に向けた
取り組みを私は積極的に行うべきと考えるわけでありますけれども、市長のリーターシップを私は大いに期待します。この点についても、市長のお考えをお尋ねしたいと思います。 それから、2つ目には森林・林業行政についてであります。 木材の供給体制の確立など、林業振興をねらいとして昭和39年に制定された林業基本法が37年ぶりに改正されたわけであります。この改正された法律というのは、これまでの林業を経済活動を中心とする考え方から森林の持つ多面的な機能を重視する、例えば水源の涵養や国土の保全、あるいは地球温暖化の防止に向けた、そうした機能を重視する、そういう考え方に大きく転換したわけであります。しかしながら、我が国においては人工林など森林の荒廃が指摘されているわけであります。今、森林のこうした多面的な機能を高めるために諸施策を積極的に行っていかなくてはならない、そういう状況下にあると言われているわけであります。 当市の総面積は約 400平方キロ、森林面積は89%で、県内13市の中でトップであります。人工林の割合も49%、県の平均が43%になっているわけですから、かなり上回っているわけであります。人工林の中でも、現状において30年から40年、健康な山づくりに欠かせない間伐期を迎えた山林が思うようにその手入れが進んでいないと、こういった状況下にあります。間伐が進まない背景には、長期にわたる森林の林業不振、あるいは林家のそうした中での意欲の減退なども考えられますが、今森林・林業に求められるものは、健康な山づくりを行い、森林の多面的な機能を高めること、そうした山づくりの過程で出てくる間伐材など未利用資源の活用などによって林業の活性化を図っていくことではないでしょうか。 健康な山づくりは良質材の生産や、私の主張でもある「山を育て、海豊かに」と、当市においては養殖業の盛んな当地域の豊かな海をはぐくみ、水産業の振興にも結びつくものと考えるわけであります。現状において、森林の荒廃の指摘は漠然とした感があります。受けとめる方の側も余り深刻に考えていないように思うわけであります。また、現状の森林の状態を理解するのには、具体的な情報も乏しいように考えるわけであります。国民すべてが国民すべての問題とする新しい森林・林業基本法の理念に基づくならば、広く市民が容易に理解できるような
取り組みを進めるべきではないでしょうか。 私は以前にも
一般質問で申し上げてきました。当市の森林の健康度調査などを行い、マップを作成して、情報の提供、そして意識啓発などに積極的に活用すべきであるというふうに考えるわけでありますが、お考えをお聞かせいただきたいと存じます。 森林整備に当たっておられるこうした中で、林業従事者の高齢化が一層進み、いずれこのままでは後継者不足に陥るものと考えられます。現状をどのように把握し、そしてまた後継者問題をどのように考えているのかをお伺いいたします。 森林・林業の転換期を迎える中で、県内において森林組合など事業体は大変厳しい経営環境下にあると言われているわけであります。当市の状況をどのように考えておられるのか、もちろん県内の状況を含めて、お伺いをいたします。 また、こうした中で事業体の育成強化も図らなければならないというふうに考えるわけでありますが、あわせてお伺いをいたします。 当市の産業構造からすると、林業による事業立地というのはややもすると関心の外に置かれているように感じられるわけであります。しかし、今当市が目指している、先ほども申し上げましたけれども、資源循環型産業の創出というものを考えた場合に、当市のこうした広大な森林資源、間伐材などの未利用資源の利活用というのは大変魅力があると考えるわけでありますが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。 最後に、
漁業集落環境整備事業についてです。 三陸リアス式海岸のほぼ中央に位置する当市の漁村、特有の狭隘な地形を有しており、住環境整備が大きな課題となっているわけであります。こうした課題を解消するための事業として、
漁業集落環境整備事業がありますが、この事業は漁村の住環境整備を進めることによって、暮らしの利便性、安全性、快適性などの向上を図ることにあると聞いているわけでありますけれども、当市において今現在、室浜地区において行われております事業費が約8億4000万円、今年度で終了すると聞いておりますが、地域住民の声が十分反映されているのか、またこの事業の目的に沿った内容になっているのかをお伺いいたします。 以上で壇上からの質問は終わりますが、時間があれば自席から行います。御清聴どうもありがとうございました。(拍手)
○議長(
平舘幸雄君) 市長。 〔
市長小沢和夫君登壇〕
◎市長(小沢和夫君) 川崎議員の御質問にお答えいたします。 釜石の現状分析と真の拠点都市形成についての御質問でありますが、当市の現状については改めて申し上げるまでもなく、非常に厳しい経済状況にあるものと認識しております。全国的にも景気の低迷が続く中で、当市においても
中心市街地の空洞化が進み、空き店舗が目立つ状況になっています。少子高齢化が進み、経済の核となる製造業についても業績の保持や雇用の確保に対しての企業努力がされているものの、高校新卒者など生産年齢層の流出が続く一方で、
地場産業の後継者不足など、経済的環境は大変厳しい状況であると認識しております。財政的にも市税の減少が続き、地方交付税も伸びを期待できず、財政環境も非常に厳しい状況に置かれるなど、多くの課題を抱えている現状にあります。確かに、こうした厳しい状況にはありますが、また一方では第五次釜石市
総合計画に掲げる「人と技術が輝く海と緑の交流拠点」に向けた新しい
まちづくりへ着実に前進している手ごたえも実感しています。
まちづくりの大きな課題として、長年の懸案事項となっていた国道 283号、
仙人峠道路や釜石港
湾口防波堤建設、公共埠頭の拡張整備など、社会基盤の整備が平成18年度の完成及び概成に向けて着実に進展してきているところです。ことしの4月には釜石港が総合静脈物流拠点港リサイクルポートの指定を受けました。さらに、
総合計画に掲げる
資源循環型社会の形成に向けた釜石市
エコタウン事業や、
風力発電事業も着実に進展し、新たな産業の創出による雇用の拡大など、
地域経済の活性化への明るい展望が開けるものと大いに期待をいたしております。 一方、大渡橋のかけかえや
ニチイ跡地の活用など、
中心市街地の再編成といった点でも大きな転機を迎えようとしています。このような背景を
まちづくりへの絶好のチャンスととらえ、釜石が持っている豊かな自然、優秀な労働力や高度な技術力など、大きな可能性をいかに引き出し、最大限に活用しながら、地域の活性化に結びつけていくかが大切であると認識しています。 また、昨今の
まちづくりの重要な視点として、広域合併問題は避けて通ることのできない事項であることは論を待たないところであります。当市は、大槌町とこれまで製鉄業や水産業を通じて大きなかかわりを持ちながら、互いに発展してきました。歴史や経済的なつながりから、そして今後の
まちづくりの観点からも、合併について積極的に考えていかなければならないと考えています。先月、市内7地区で合併についての市政懇談会も開催し、市民の間では合併賛成論が多かったように感じましたが、今後とも積極的な情報提供や話し合いの場を持ちながら、住民の機運を盛り上げてまいりたいと考えています。大槌町に対しても、助役レベルの研究会の立ち上げを申し入れることとしており、私としても安易に結論を急ぐことなく、十分な話し合いを前提としながら、両市町にとって真の発展につながり、三陸沿岸の拠点都市としてのリーダーシップを発揮できるよう、大槌町との合併に向けて積極的な動きをしてまいりたいと存じます。 以上をもちまして私からの答弁を終わりますが、引き続き
経済部長が答弁いたしますので、御了承願います。
○議長(
平舘幸雄君)
経済部長。 〔
経済部長佐野善次君登壇〕
◎
経済部長(佐野善次君) 私からは、まず森林・林業行政についての御質問にお答えします。 森林の有する多面的な機能、すなわち土砂流出などの災害を未然に防ぐ公益的機能の高度発揮に着目した森林・林業基本法の制定につきましては、議員が申されているとおりであります。市といたしましても、これら環境保全に多大な恩恵をもたらす森林について、木材の生産機能はもとより、未来に引き継ぐべき貴重な財産として認識しているところであります。 森林の健康度調査を行い、マップを作成して、情報提供、意識啓発などに活用すべきとの御提言でありますが、当市においては間伐などの森林整備を必要とする20年生から35年生の杉、アカマツの人工林面積は7160ヘクタールとなっております。これまで森林の健康、すなわち公益的機能の維持は林業の生産活動と表裏一体となって循環的に機能しておりましたが、木材市況が低迷する中、間伐等の森林整備が遅滞しており、森林の健康が損なわれている状況にあります。市といたしましても、国庫補助による間伐を必要とする森林に対して従来より1割のかさ上げ補助を単独で実施しているほか、県や森林組合との連携を図りながら、地域座談会を開催して健全な森林づくりの必要性を森林所有者に対して周知しているところであります。森林の健康度の把握につきましては、今後とも森林所有者等が作成する5カ年の森林整備の方針を定める森林施業計画の認定及び適正な実施確認を強化してまいりたいと思います。 また、マップにつきましては、市のホームページ等で市民に森林の健康状況を周知するとともに、森林整備への理解、推進普及に努めてまいります。 次に、後継者問題についての御質問でありますが、全国の林業就業者は6万7000人となっており、うち65歳以上の高齢化率は25%まで上昇しております。このことから、10年後には林業就業者は5万人を割り込む可能性があると言われております。当市においても、林業労働力の減少と高齢化は急速に進行し、後継者不足は深刻な状況となっており、今後高度な技能を有する林業従事者やすぐれた林業後継者を育成することが課題になっております。このことから、岩手県林業労働力確保支援センターと一体となり、新規林業後継者の育成等を図ってきた結果、林業就業者として最近2名の方が育っております。また、今年度からは緊急雇用対策事業や、緑の雇用担い手育成対策事業等を活用し、林業後継者として必要な知識及び技能の習得など、地域に定着する新規林業就業者の育成を行っております。市といたしましても、引き続き岩手県林業労働力確保支援センターとタイアップし、新規林業就業者の育成、確保等、総合的な対策を推進してまいりたいと考えております。 次に、森林組合と事業体は厳しい経営環境下にあるが、当市の状況を含め、どのように把握しているのかとの御質問でありますが、輸入材の影響等により木材価格が低迷し、全国はもとより県内の森林組合、事業体の経営は大変厳しい状況にあるものと認識しております。ちなみに、平成14年度におきましては、県内25組合のうち11組合が累積欠損金を抱えております。当地方の森林組合においても、平成13年度以前は健全経営を行ってまいりましたが、平成14年度においては一転して厳しい内容になっているところであります。県においては、平成13年度に森林組合活性化検討会及び森林組合育成連絡会議を設置して、森林組合の経営改善を図りながら、広域合併を推進する検討が進められております。市といたしましても、当市面積の89%にも及ぶ森林の果たす公益的機能の維持には、森林整備を推進する中核的組織である森林組合の健全経営が必要不可欠であると考えております。また、森林所有者の世代交代が進展する中、地域における森林管理を効率的に実施する担い手として、森林組合の果たす役割を期待しているところであります。 事業体の強化育成についてでありますが、組合が健全な経営を持続させていためには、事業経営の効率化、低コスト化に努めつつ、森林所有者の共同組織として、その負託にこたえ得る健全な自立的経営に向けて抜本的な改革を進めることが必要であると考えております。市といたしましても、森林整備の委託を通じ、安定した森林組合の経営を側面から支援してまいりたいと存じます。 次に、間伐材などの未利用資源の利活用についての御質問でありますが、間伐材等の利用につきましては従来より家屋建材などの木材製品として利用されていたところでございますが、近年環境に対する関心が高まる中、再生利用が可能な資源として着目されております。昨年度、国においてはバイオマスに関する総合戦略を策定し、その利活用に向けた環境整備を進めているところでありますが、当市においても釜石市エコタウンプランを策定し、バイオマス資源等のリサイクルと森林資源の有効利用計画を掲げているところであります。議員御指摘のとおり、当市には豊富な森林資源があり、大きな可能性を秘めていることから、事業実施につきましては今後ともバイオマス利活用に向けた調査研究の動向及び採算性を勘案し、関係機関との連携を図りながら、検討を進めてまいりたいと存じます。 また、木材製品を主体とした間伐材の利活用につきまして、ことし6月に県では岩手県公共施設・公共工事木材利用推進本部を設置し、県産材の利用を促進しているところであります。当地域においても、県や林業関係者等で構成する釜石地方間伐材利用推進会議を通じ、土木工事用資材への利用を促進しているほか、大槌・気仙川流域において設置されている三陸ランバー協同組合へ集成材生産用の丸太の供給を進めているところであります。また、今年度地域材を利用してつくられた机、いすを双葉小学校で使用することが予定されておりますが、このことは木の香り漂う教育環境の整備に貢献するものと期待しております。 次に、
漁業集落環境整備事業についての御質問でありますが、室浜地区
漁業集落環境整備事業につきましては、平成10年度から今年度までの6カ年事業として、総事業費約8億4000万円を投入し実施しており、今年度に終了する予定であります。計画の内容は、集落道が13路線、排水施設として排水処理施設が1棟、配水管路が36路線及び雨水排水路が1路線、防災安全施設として照明施設が6基、緑地・広場が2カ所となっております。この計画策定に当たっては、平成8年度に室浜町内会へ事業の導入経過、内容及び必要経費等を説明し、事業を御理解いただいております。 また、住民の意向を計画に反映させるため、事業実施に先立つ平成9年度に、18歳以上の地区住民全員を対象にアンケートを実施しております。この回収率は、室浜町内会の御協力のもと、87%と高い結果になっております。この中で、早急な改善を必要とする意見の上位項目は、街路・防犯灯の整備、家庭雑排水の処理、漁港付近のトイレの整備、子供の遊び場と公園の整備、トイレの処理方式の改善、側溝・雨水の排水路整備、がけ崩れの防止対策、集落道の整備、交通安全施設及び有線・無線施設の整備という結果でありました。このようなことから、住民の意向を尊重することを第一に、費用対効果や施工方法等も考慮しながら、平成10年1月に基本計画を策定し、平成10年度から事業を実施したところであります。 さらに、事業着手後も、町内会の方々を対象に先進地視察を行うとともに、工事の内容や進捗状況、予定等を町内会へ説明し、
漁業集落環境整備事業について御理解を深めていただいたところであります。したがいまして、計画の策定に当たりましては、住民の意向を可能な限り反映させたものと考えておりますので、御理解を願います。 次に、事業の目的に沿った事業内容になっているのかとの御質問でございますが、
漁業集落環境整備事業は、漁村における生活環境の改善や活性化を推進するため、漁業集落の環境を整備することにより、水産業と漁村の健全な発展に資することを目的としております。この目的達成のため、漁業集落道、水産雑飲料水施設、漁業集落排水施設、防災安全施設、緑地・広場施設などを整備するものであります。室浜地区
漁業集落環境整備事業につきましては、計画の中に水産雑飲料水施設は入っておりませんが、水道事業所の事業により上水道が整備済みであります。したがいまして、事業の目的達成のための施設を大部分計画に盛り込んでおりますことから、事業目的に沿った内容になっていると考えております。 以上をもちまして答弁を終わります。
○議長(
平舘幸雄君) 川崎勇一君。
◆14番(川崎勇一君) それでは、時間が結構あるようでございますので、再質問させていただきます。 まず、真の三陸沿岸の拠点都市を目指して。 釜石と大槌は生活圏、経済圏が同一である、多くの共通する課題を抱えていると、こう言われているわけであります。しかしながら、事合併問題に限って見れば、何となく近くて遠いなと、率直にこんな感じを受けるのは私の勘違いなのかどうか知りませんけれども、幾つかの共通課題を考えてみました。 まず1つには、三陸道路、これは特に釜石・大槌間の交通渋滞の問題が指摘をされているわけでありまして、これは鵜住居の地域、あるいは両石の地域だけではなくて、釜石の市内まで延々と続いている、これは釜石の市民の生活上大変大きなマイナスであろうなと、こういった観点からの問題もあります。それから、広域消防の充実の問題もあります。これは鵜住居地域に消防分署を建設する、本部の機能を持たせると、そしてまたそうした釜石全域にわたっての救急医療体制を充実させる、こういう考え方もあるようであります。それから、水産業の振興という立場、観点で見れば、釜石の魚市場、あるいは大槌の市場を見ても、決して安定した経営内容ではない。こうした問題等々を考えてみれば、これはぜひ…それから医療の問題についても高度医療機関の充実とか、そういう問題についても住民の強い要望があるわけですから、含めて私は検討すべきであると。 でき得れば、お互いのトップ間でそういう話し合いの場を持つ必要があるんではないのかなと。合併を前面に出すよりも、むしろ最終的にこの合併の大事なところは、この地域をどのように振興させるか、次の世代の若い方々にどのようにこの地域を形成していくのか、その足がかりだけでもやはりつくる必要がある、私はそう思うんです。市長のお考えをお聞かせいただきたいと思いますし、また幾つかの課題についての現状においての考え方、その辺についてもお伺いをいたします。
○議長(
平舘幸雄君) 市長。
◎市長(小沢和夫君) 三陸沿岸の拠点都市の形成を目指すためには、議員御指摘の事項は大きな課題であるというふうに認識しております。個々の課題に関する
取り組みについては担当部長から答弁させますけれども、三陸沿岸の拠点都市にふさわしい基盤を整えていくことが肝要と考えております。特に、都市基盤、あるいは生活環境、そして市民が生き生きと生活できる、内からも外からも魅力ある
まちづくりを進めることが必要であろうと考えています。 その仕事としてはさまざまあろうかと存じますが、合併により事業の着実な進捗も見込まれるところであり、有効な選択肢の一つになるものと思われます。したがいまして、共通課題を含め、市町それぞれの課題等について調査研究を進め、将来を見据えて一つ一つの課題解決に向けて、来月にも大槌町に対して助役レベルの研究会の設置を申し入れたいと考えております。
○議長(
平舘幸雄君)
総務企画部長。
◎
総務企画部長(
佐々木重雄君) お答えを申し上げます。 今の共通課題と言われる4つの部分ですけれども、私の方からは広域的な
取り組み課題の一つの消防分署の建設というところで、経過と、それから現状と今後というふうな形で、簡単に御答弁をさせていただきますが、御案内のように、鵜住居分署の建設につきましては平成13年10月、釜石・大槌地区行政事務組合の議会におきまして、広域消防実施計画を見直し、消防及び救急業務の地域別実績を踏まえまして、効率的な管轄エリアや人員配置の観点から、釜石・大槌両市町の一体的な事業効果が期待できる鵜住居分署に本部及び行政組合機能を併設した方向で、片岸ポリテクセンター用地内に整備してまいりたいと。 また、この実施年度につきましては、今後の事業の緊急性や両市町の
財政状況を勘案しながら、同計画を見直しの上、釜石市・大槌町と十分な協議を行いながら、その実現に向けて努力をしたいという管理者の報告がなされているところであります。 現在、このような経過を踏まえまして、事務組合では計画どおりのスケジュールの中で準備が進められていると、このように伺っておりますが、一方では当市においても非常に現在の厳しい
財政状況の中で、
総合計画なり、中期財政見通しなりといった中で、
各種事業の見直し、こういったものが大変必要となってきております。鵜住居消防分署の趣旨、計画といったものは十分理解をしておりますが、建設に当たりましては、財源の確保といったものが釜石・大槌とも非常に大きな課題となってくるといったことは事実でございます。 今後ですけれども、拠点と合併の両視点から議員はお話しされていますが、釜石市及び大槌町の合併を想定した議論の中で、鵜住居分署の建設は、現在ある消防のいわゆる管轄エリアの調整、あるいは見直し、さらに建設経費の中に合併特例債を効率的に配備するとか、導入するといったものが考えられますので、現在考えている枠組みとはまた違った
取り組みが想定されてくるのではないかなというところで、さらに十分な議論が必要になってくるのではないかなと、このように考えております。
○議長(
平舘幸雄君) 建設部長。
◎建設部長(伊藤昭男君) 私からは、三陸縦貫自動車道の釜石・大槌間の早期工事着手についてお答えいたします。 現在、釜石山田道路全体延長23キロでございますが、優先的に鵜住居地区の渋滞緩和、恋ノ峠地区の隘路解消などのため、水海地区から鵜住居地区までの延長 4.4キロを部分供用する方向で事業が着手されております。この事業は、水海地区から進められまして、平成13年度から用地買収が始まっております。この用地説明会の中では、平成16年度までに用地買収を完了させまして、平成17年度から工事着手の予定と伺っておりましたが、最近発表されました三陸国道事務所の平成16年度の概算要求の中では、用地買収を継続し、土工、埋設工の一部着手も行いたいという発表がなされており、これは工事着手が早まるものとして期待しております。 今後でございますが、早期の工事着手と早期の整備に向けまして、国及び関係機関に対しまして、市長を先頭に市議会、また民間の御協力を得ながら、さらに強く働きかけてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
○議長(
平舘幸雄君)
経済部長。
◎
経済部長(佐野善次君) 私の方からは、釜石の魚市場と大槌の魚市場、これらの経過、課題等について御説明いたします。 釜石魚市場の水揚げは昭和63年ころまでは 100億円を超えていましたけれども、最近は40億円台で推移しまして、平成13、14年と37億円台となっております。こういったことも一因となりまして、釜石魚市場の経営というのは大変厳しくなっているということでございます。一方、大槌魚市場の水揚げ額も平成2年度に16億円台あったんですけれども、平成14年度には7億円台まで下がってきていると、そういったことで両方の魚市場とも大変厳しい状況になっているということでございます。こういったことから、水揚げ額をふやすことや、あるいは市場経営を改善することが釜石・大槌の両方の共通課題というように考えております。 こういった中で、国の水産庁、こちらの方は平成13年に水産物産地市場の統合及び経営合理化に関する方針というのを示しております。それから、ことしの6月には岩手県水産物産地市場機能強化計画、この中において平成22年度には一郡一中核魚市場の配置を目指すということになっております。これが達成されますと、県内は久慈、宮古、釜石、大船渡、この4つの中核市場と、その中核市場の機能を補完する地先市場になる見込みでございます。したがいまして、釜石魚市場は大槌魚市場との連携を想定して対応していく必要がございますけれども、その運営者である釜石市漁連と大槌町漁協の経営状況が厳しいと、そういったことから当面関係者による意見交換であるとか、情報の収集に努めてまいりたいと考えております。 なお、大槌町との合併が実現すれは、当然市場の連携には弾みがつくものと考えております。
○議長(
平舘幸雄君) 民生部長。
◎民生部長(小山士君) お答えします。 先ほどの高度医療施設の機関の充実という御質問でございますけれども、現在岩手県保健福祉計画というものが県で策定されております。そこの中で、釜石市、遠野市、大槌町、宮守などで二次保健医療圏ということでつくっておりますが、そこの中で計画の中では入院医療を中心とする一般の医療需要に対するほか、広域的、専門的な保健サービスを効果的、効率的に提供する圏域としておるということになってございます。これを考えますと、広域的に考えたとしても、高度医療機関の充実というのは厳しいものがあるのかなと考えております。したがいまして、釜石地域におきましては医療機関の役割分担と連携を図りまして、地域の医療提供体制の整備を図ってまいる必要があるのかなと思っております。
○議長(
平舘幸雄君) 川崎勇一君。
◆14番(川崎勇一君) 私は以前の
一般質問にもこれは申し上げてきたことなんですが、三陸沿岸のリーダーシップを発揮していただきたいと、そうした考え方の中で、三陸沿岸のそれぞれの自治体による環境サミットなどを提唱してきたわけであります。私はやはりこういう
取り組みというのは時代がいずれそういう方向に動いていくであろうということを自分なりに考えているわけですから、そのことを申し上げてきたわけであります。私は我が釜石、環境日本一のまち釜石と、そういうものを描きながら、やはり特にも三陸の沿岸、日本一のと言ってもいいくらいの水産業の我が国においての供給基地でありますから、こうした水産業の振興ということにも結びつくような、我が当市としてのリーダーシップを発揮していただきたいということを考えるわけであります。 今、申し上げたとおり、三陸沿岸による環境サミットについては、これは引き続き取り組んでいただきたいと思いますが、当面的に実現可能な考え方の一つとして、岩手県沿岸の自治体による環境に向けての一体的な
取り組みを行うべきではないのかなと思うわけであります。例えば、一応それぞれの自治体、環境基本計画をつくったり、あるいは条例もつくられています。しかし、これはまさに環境行政の第一歩だと思っています、今は。しかしながら、それからは余り進んでいないというのが現状だろうと。やはりこの環境行政をまさに名にふさわしく取り組むんであれば、これからが問題だろうということを考えれば、岩手県の沿岸の各市町村、自治体に働きかけをして一体的な、例えば一緒に全く内容を同一にする条例の策定、一体となった
取り組みによって必ずやそれは実現するであろう、いずれそういう方向に時代は進んでいくであろうと私は考えているわけでありますが、こうした
取り組み、考え方をどのように思っておられるのか、お尋ねしたいと思います。
○議長(
平舘幸雄君) 民生部長。
◎民生部長(小山士君) お答えします。 議員御提言のとおり、現在貴重な海を取り巻く環境が大きく変化してきております。そういう中で、山もそうなんでございますけれども、森林の荒廃、それから水質汚濁などの問題も懸念される中で、私もそうなんですけれども、きれいな海づくりをするためには、山を育て、それから海を豊かにということを基本に一体的な
取り組みが必要であると考えております。そういう中で、広域的な
取り組みにより効果をもたらすものについては、沿岸の共通環境問題として、現在岩手県内に都市環境問題対策協議会というものがございます。そこの中に提案いたしまして、県及び沿岸自治体と連携を図りながら検討してまいりたいと思いますので、御了承いただきたいと思います。
○議長(
平舘幸雄君) 川崎勇一君。
◆14番(川崎勇一君) 若干、私の質問の内容がしり切れな部分があったわけですが、実は私がなぜこういうことを一生懸命言うかといいますと、もちろん環境問題への
取り組みはそれなんですが、水産業、特に養殖業の盛んなこの地ですから、そうした水産基地として確たる地位を築いていくと、そして岩手県においても、この周辺の海産物は三陸のブランド品として確かな地位を築いていくであろうと、そういうことを考えれば、日本一きれいな海をつくって、日本一きれいな海で生産されたもの、つくられたものは、それだけでも付加価値がつくと、こういうことになると思うんです。 県の生活環境部ですか、環境生活部ですか、アンケートをとったわけですが、これは食に対するアンケートです。75%の方が食に対して不安を訴えている、考えているということなんですね。ですから、例えばワカメ等では近年外国からの輸入品で大変それぞれの漁家の方々は苦労されたわけですけれども、今日においては安ければいいというもう時代ではなくなったと、食の安全、安心が叫ばれるような時代になったと、こういう時代だからこそ、三陸の沿岸は日本一きれいな海にして、同じことを言うようですけれども、日本一きれいな海にする、自他ともからそれは認めてもらう、そうした海をつくることによって三陸の沿岸は、これは間違いなくブランド品として日本にそれは名声を高めていくであろうと、そうした
取り組みにもつながっていくであろうと、要するに水産業の振興にも結びつくであろうと、こういった考え方から申し上げているわけでありますので、ぜひ働きかけをしていただきたいと、このように考えます。 林業行政についてでございます。 先ほどはいろいろと前向きな答弁もあったわけですけれども、何点かまだ十分理解されない部分がありますので、お尋ねしたいと思います。当市において、これは5年間の国の事業なんですが、森林整備地域活動支援交付金という事業を展開されているわけであります。県内においては、新聞等々を見れば、決して好調ではないということだったんですが、当市においては大変好調であるというふうに伺っているわけでありますが、その好調の背景、あるいはこれまでの事業の効果とか成果とか、そういったものをどのように考えておられるのか、その辺についてお尋ねしたいと思います。
○議長(
平舘幸雄君)
経済部長。
◎
経済部長(佐野善次君) 森林整備地域活動支援交付金、これの成果といいますか、そういったことでございますけれども、釜石の場合は昨年度、平成14年度の交付実績を見ますと、総交付対象者が85名おります。交付対象面積が1000ヘクタールとなっております。これはまだ希望者がおりましたので、今年度においては、今回のこの補正予算で御審議をいただきますけれども、新たに交付対象面積 100ヘクタールを、これは 100人でございますけれども、追加する予定となっております。 この好評の背景としましては、まずいずれ県・市・森林組合がこれまで積極的に森林の所有者に交付金の利用、こういったことの呼びかけを行ってきたと、それがそういった趣旨について理解をいただいたということがあろうかと思います。あとは、まず従来の制度の森林整備補助金制度、これにあわせてこの交付金を利用することによりまして、森林所有者の経済的な負担が低減されると、そういったこともあろうかと思います。そういったところでございます。
○議長(
平舘幸雄君) 川崎勇一君。
◆14番(川崎勇一君) 当市の林業行政というものを見れば、何となく国、あるいは県の事業の手続的な窓口になっていやしないかなという感じを受けられるように私は見ているんですが、やはり転換期を迎えた森林・林業行政の活性化に向けた
取り組みというのは非常に大事な問題であります。私はやはり以前にも申し上げてきたんですが、経済部の中にプロジェクトを立ち上げしてはどうなんですかと、たしかそのときに部長は、そういう機運が高まったときに、熟度が高まったときに考えるというような答弁だったと思います。その後、いろいろと新聞等々を見れば、宮古地方振興局が林業活性化のプロジェクトを策定したというお話も聞きますし、また住田町でも森林・林業日本一の
まちづくりの推進計画を策定中であるというふうに聞いているわけであります。こうした動きをどのように考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
○議長(
平舘幸雄君)
経済部長。
◎
経済部長(佐野善次君) 確かに、前の議会のときに私は議員さんの質問に対して、そういった懇談会というのがある程度具体化された中で、ちょっと機運が盛り上がった段階でつくった方がいいんじゃないですかと、そういった御答弁は申し上げております。今、議員さんがおっしゃったその中身、例えば最近の宮古の状況でございますけれども、あれは川井村に今度できるウッディー川井の関係で、それを促進するために立ち上げたと伺っております。 先日はちょっと森林組合の方といろんなお話をする機会がありましたけれども、いずれ最近の林業行政・森林行政は大変厳しいと、そういった中で釜石地域の森林・林業行政をどのように進めたらいいかと、そういったことで例えば山林所有者、あるいは森林組合の若い方、あるいは市・県、あるいは輸送業者といいますか、運送業者ですね、そういった関係する方と、一応テーマは別として、一回話し合いを持たないですかと、そういったことの提言も受けました。それらも踏まえて、今後そういった懇談会等々についても検討してまいりたいと思っております。
○議長(
平舘幸雄君) 川崎勇一君。
◆14番(川崎勇一君) 私は釜石の林業の方向性というものを何となく感じたのは、今度国の法の改正に伴って、森林を3つのゾーニングというか、区分しましたね。それは簡単に言えば、これまで経済活動を中心としてきた森林を、それぞれの森林に3つの区分をして、それぞれに役割を持たせようと、こういうことだろうと思います。そうした区分の中身を見れば、当市の場合は例えば水土保全林が78%、それから人との共生林が4%、資源循環林が18%ということになっています。現状、要するに資源循環林と見られるような人工林の割合が、先ほども申し上げたんですが49%、まあ50%、半分が造林されていると、植林されている状況です。一方、国はこのようにゾーニングする場合に一つの目安として数字を出してきています。それは水土保全林は55%、人との共生林が9%、それから資源の循環林が36%と、こういうことになります。これが当市において目安とされた数字なんです。 そうしますと、我が広大な森林を抱えているんですが、要するに経済活動を特に重く見る資源循環林が国の示した目安の36%の半分の18%である、こうしたところを見れば、我が市の森林・林業におけるその考え方、方向性というのは水土保全林、あるいは共生林を中心とした考え方である、こういうことになるわけであります。私は森林の整備や、あるいは事業体の問題や後継者の問題、そういうものを解決するのには、やはり何といっても資源循環林というものを十分生かした森林・林業行政でなければならないと、そのように考えるわけであります。例えば、森林組合の組織体の抜本的な見直し、強化とか、いろいろ答弁されていますけれども、やはり何といってもそれだけでは何にもならないだろうなと。森林・林業の振興に結びつくような、そういう考え方というものをちゃんと持っていかないと、釜石の森林・林業の活性化には結びつかない。このゾーニングを見れば、私はそのように感じるんです。このゾーニングした、その考え方についてお伺いしたいと思います。
○議長(
平舘幸雄君) 農林課長。あと2分ちょっとしかありません、簡潔に。
◎農林課長(
佐々木裕一君) 18%の循環民有林だけでは不十分じゃないのかというような質問でございますが、当市の山は大分急峻でございます。そういったものの反映で、水土保全林を多目に設定してございます。その残りと言っては失礼なんですが、資源循環林の方に割り当てたと、そういうことになります。水土保全林というのは、一つは伐期を長く設けておりますので、こういった木材の低迷時期には長期伐期方式に持っていった方が有利だろうと、そういうことで水土保全林を大きく設けた経緯がございますので、よろしくお願いしたいと思います。
○議長(
平舘幸雄君) 川崎勇一君。あと1分ちょっとです。 14番川崎勇一君の
一般質問を終わります。 暫時休憩いたします。 午後2時56分休憩
-------------------------------------- 午後3時30分再開
○議長(
平舘幸雄君) 休憩を打ち切って会議を再開いたします。休憩前に引き続き、
一般質問を続行いたします。4番坂本良子君、登壇を願います。(拍手) 〔4番坂本良子君登壇〕
◆4番(坂本良子君) 日本共産党の坂本良子です。 長引く不況が深刻さを増す中、医療、社会保険の改悪で暮らしは本当に大変です。雇用や営業の不安、子育てや教育、そして介護の苦労も切実です。私は市民の暮らしと福祉を守る立場から、これからの4年間を力いっぱい頑張ってまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。 それでは、質問をいたします。 まず最初に、福祉行政について質問いたします。 1つ目は、国保の問題です。 国民の36%、4600万人余りが加入する市町村の国民健康保険は今重大な危機に直面していると言われます。国保税を払えない世帯が昨年6月には国保加入世帯数の18%、 412万人に達し、深刻な空洞化が進んでいます。今、国保加入者の約半数は年金生活者など無職の人たちであり、1世帯当たりの全国的な平均所得は 198万円にすぎません。平均国保税は1世帯当たり約15万円です。当市の国保加入者の平均所得は1世帯当たり 102万4000円で、平均国保税は1世帯当たり13万3283円となっており、所得に対する国保税の割合は13%となっています。このことから見ても、市民の国保税に対する重税感は大きなものがあります。 当市の国保税の収納率も、低迷する
地域経済を反映して低下しており、滞納世帯数が1367世帯、滞納額がおよそ3億2000万円となっております。特に、ことしから65歳以上の介護保険料が値上げされており、さらなる収納率の低下が懸念されるところでございます。4年前から実施している国保税の平準化は低所得者層の一部に一定のしわ寄せがありましたが、この平準化が収納率の低下にどの程度の影響があったかと思われますか、見解をお伺いいたします。 国保税は所得、資産に応じて徴収する応能割と、均等世帯ごとに定額を課す応益割を足して計算されます。一般的には、応益割の比率が高いほど低所得者の負担が重くなる仕組みとなっていますが、国の減額上乗せ措置などの関係で、一概に言えないところもありますし、しかし低所得者の負担を軽減する立場から、国保税の算定方式を見直し、応益割と応能割の比率を現在の5対5から3対7に戻すことが収納率向上につながるものと思いますが、見解をお伺いします。 国民健康保険制度は憲法25条で保障された皆保険制度であり、社会保険制度です。現行国保法第1条では、社会保障及び国民保健の向上に寄与すると規定し、国・都道府県の義務と国庫負担を明らかにしていますが、決して相互扶助の考え方でないということです。国保は低所得者が多く加入している医療保険であり、国の手厚い援助がなければ成り立たない制度でございます。ところが、国は1984年の国保法改悪で国庫負担率を医療費の45%から38.5%に引き下げ、その後も国の責任を次々と後退させてきました。国保再建のためには国庫負担を引き上げる、このことが必要不可欠でございますが、地方自治体としても市民の健康を守り、高過ぎる国保税の改善のために国保税の引き下げが必要と思います。国保基金が1億円を割った厳しい
財政状況の中ですが、多くの市民の要望にこたえるために、一般会計からの持ち出しを考慮に入れ、当面年間で1世帯1万円の引き下げをすべきと思いますが、見解をお伺いします。 2つ目に、介護について質問いたします。 介護保険は3年ごとに見直すことになっております。そのことから、当市でもことしの4月から65歳からの保険料が値上げされました。本来、保険料の値上げというのは、国の指針によると、福祉サービスの向上に伴って上げることになっているのですが、しかし実際は在宅サービスの平均利用率は限度額の40%台にとどまり、家族介護に大きく支えられているのが現実です。特に痴呆のお年寄りを抱えている家庭にとっては、精神的にも体力的にも限界を訴えている人も少なくありません。そういう中で、当市は10月から見守り介護を実施することになりました。見守り介護の目的は、介護保険の本来の趣旨である在宅での生活を支援することや、短期入所の希望にこたえるためとしていますが、この見守りサービスが本当に短期入所希望者の要望にこたえることができるのかどうか、お伺いします。 また、このことによってホームヘルパーの働く環境にも変化があるのではないかと思いますが、10月から実施される日中の介護、夜間の介護、24時間の見守り介護の在宅サービスでホームヘルパーの、特に深夜の人員の配置や働く環境についてどのように考えているか、お伺いします。 ことし私どもが実施いたしましたアンケートでは、高齢者対策に望むこととして、62%の方が軽費で入所できる施設を望んでおります。今度、小佐野にできたアミーガはまゆりはホテルコストが高くて低所得者が入れないという声がある中で、現在93人の方が施設入所待機者となっておられます。希望すれば、だれでも安心して入れる特別養護老人ホームの新設が待たれています。新たな建設の見通しについてお伺いします。 3つ目に、子育て支援について質問いたします。 厳しい現在の社会情勢のもとで、共働きで家計を支える家庭がふえています。特に若い夫婦にとっては、できるだけ休まないで働きたい、生活の安定のためにも同じ職場で働き続けたいという強い願いがあります。しかし、子供の健康状態によっては、それが思うようにはいきません。仕事を休みがちになると会社をやめざるを得ないなど、つらい気持ちで悩みながら働いているという、そうしたお母さん方の何とかしてほしいという切実な声を受けて、我が党が平成14年の3月議会において病後児保育所の設置について質問をいたしました。それに対して、市当局から病後児保育所の必要性を認識しているとして、先進都市の事例も参考に、関係機関等と協議の上、実施の可能性を研究し、実現に向けて努力するという前向きな答弁がされております。一日も早い実現が期待されている中、その後の経過についてお伺いします。 次に、現在子育てをしている多くの家庭では、不況で給料が減るなどして、実生活の中で保育料が高いと感じています。そういうことから、少しでも負担を軽くしてほしいという要望が寄せられています。当市では少子高齢化が進んでいる中、少子化対策の一環としても保育料の引き下げが必要ではないかと考えますが、お伺いいたします。 次に、全国的にも保育園の待機児童の増加が問題になっています。小泉内閣は最少のコストで最大の受け入れと称して、待機児童ゼロ作戦を進めてきました。98年に定員の 125%まで入所させてもいいと規制を緩和し、さらに昨年この枠もなくしてしまいました。その結果、詰め込み保育が行われています。それでも、待機児童問題は解消されておりません。詰め込み保育は保育士の過重負担を生み出しますし、何よりも災害のときに危険から子供を守ることができるのか、このことがとても心配です。そこで、質問ですが、現在当市では少なくない待機児童がいると言われています。待機児童の人数と、待機児童解消のための対策をどのように考えているか、お伺いします。 次に、
教育行政について質問をいたします。 1つ目は、30人学級についてお伺いします。 長崎で起こった幼児殺害事件に見られる少年の発達のゆがみなどの問題や、学校教育の危機として不登校、いじめ、授業崩壊などがこれだけ声高に叫ばれ、社会問題化した時代は過去になかったのではないかと思います。完全学校週5日制のもと、子供たちに基礎的、基本的な知識、技能を確実に身につけさせ、みずから学び考える力などの生きる力をはぐくみ、この生きる力を知の側面から見たものを確かな学力として、子供一人一人に応じたきめ細かな指導など、学習指導の充実を掲げる新しい学習指導要領が全面実施されました。しかし、世論の中では授業時数や教育内容の削減によって児童・生徒の学力が低下するのではないかという点について懸念があり、文部科学省では異例とも言われる指導要領の見直し作業を進めているところでもあります。 子供たちは新しい世紀を迎え、これからのさまざまな面での激しい変化に直面することになると予想されます。このような多様化する現代社会においても、一人一人の児童・生徒が主体的、創造的に生きていくためにも、確かな学力を身につけなければなりません。このように思うとき、現在の児童・生徒が通う学校では、いじめ、不登校、小学校からの授業の不成立など、深刻な問題が山積しており、極めて憂慮すべき状況にあります。これらの問題を解決するためにも、一人一人の子供へのきめ細かな教育が求められており、子供主体型の教育への転換も図らなければならないと考えます。そのためにも、子供たちの学びに応じた多様な学習が可能となる30人以下学級の実現と、教員配置も不可欠となります。 当市は小・中学校の統廃合に取り組んでおりますが、このことによって教員の削減が予想されます。今、県内で30人学級を目指す運動も盛んになってきていますが、全国的には少人数学級を実施している自治体が多数となり、実施していない自治体は岩手県を初めとして少数となっています。統廃合によって削減される教員を継続して30人学級の実現を図るよう、県に対して積極的に働きかけていくことが求められておりますが、見解をお伺いいたします。 2つ目に、中学校の学校給食についてお伺いします。 この問題は議会の中で何度も議論されてきています。しかし、当局は連絡調整会議の中で検討中ということで、明快な回答をしていません。しかし、我が党の実施したアンケートの中でも60%の方が実施を希望しており、要望が強くなっております。中学校の学校給食はできるところから始めることが必要かと思いますが、現在実施できないでいる理由としてどのようなことがあるのか、お伺いをいたします。 また、学校給食は社会性を身につけるなど、教育の一環として位置づけられており、食物アレルギーの子供の対応もできることから、全国的にはセンター方式から自校方式に切りかえる自治体がふえております。ぜひ自校方式を取り入れて、実現の方向で検討していただきたいと思いますが、実現の可能性についてお伺いいたします。 以上で私の壇上からの質問を終わります。再質問は自席から行います。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(
平舘幸雄君) 市長。 〔
市長小沢和夫君登壇〕
◎市長(小沢和夫君) 坂本議員の御質問にお答えいたします。 国民健康保険税の引き下げについての御質問でありますが、国保税は、国からの支出金、患者からの一部負担金とともに、国民健康保険の医療費を賄う主要な財源として全体の30%以上を占めており、国保事業の運営に大きな比重を占めております。先の見えない経済の長期低迷によって、被保険者である市民の生活が影響を受け、所得の減少や税の滞納により市税収入が減少しております。また、急速な高齢化などにより医療費の増加等を招き、その結果、もとより財政基盤が弱いとされる国保事業の運営は一層厳しい状況に直面しております。このことから、当市においても国保事業を健全かつ安定的に運営していくため、国保税収の確保に努めてきたところであります。 当市の医療費は年々伸び続けており、平成13年度の被保険者1人当たりの費用額は、県内13市の平均で20万8000円でありますが、当市は約24万円と一番高くなっており、また1人当たりの老人保健拠出金は13市平均5万6000円、当市は6万円と2番目に高くなっています。一方、収入である国保税の1世帯当たりの課税額は13市の平均16万円でありますが、当市は13万8000円となっており、12番目の低い位置にあります。当市の国保財政は、収入が少なく支出が多いという、収支のバランスが非常に悪い状態にあります。 また、医療費の支払いに充てるべき主要な財源である国庫支出金、国保税、国保財政基盤の安定化や財源不足を補うための一般会計からの繰り入れ等も、当市の財政事情を考えると非常に厳しい現状です。国保財政調整基金も平成10年度から平成14年度にかけて取り崩したことに伴い、4億3000万円に減少しております。さらに、平成15年度の当初予算においては1億7000万円を、また今定例会に御提案しております9月補正予算案においては1億9000万円の取り崩しを見込んで予算を編成しておりますことから、平成15年度末の残高見込みが6700万円となります。したがいまして、国保事業の運営は非常に厳しいことから、国保税の引き下げにつきましては困難でありますので、御理解をお願いいたします。 以上をもちまして私からの答弁は終わりますが、引き続き教育長並びに民生部長が答弁いたしますので、御了承願います。
○議長(
平舘幸雄君) 教育長。 〔教育長塚本希之君登壇〕
◎教育長(塚本希之君) 私からは、
教育行政についての御質問にお答えいたします。 まず、30人学級についての御質問でありますが、小・中学校の統合によって市内の教員数は減少します。言いかえれば、教員が余る状況が生じます。この教員を30人学級の実現を目指して継続して当市に配置することは、統合という事情があるにしても、他の市町村からは学級減に変わりはないと言われることと思いますし、当市だけにそのような配慮がなされるとは考えられませんので、御提言のような内容での県
教育委員会への働きかけは難しいものと考えております。 しかし、今年度岩手県
教育委員会では小学校第1学年に非常勤講師を配置したすこやかサポートにおいて、全国に先駆けて25人を超える学級を持つ学校に配置するという画期的な
取り組みがなされておりますので、当市
教育委員会といたしましては、他の増員措置についても学校の実態を述べながら、教員の増員をお願いしてまいりたいと存じますので、御了解願いたいと思います。 次に、中学校での完全給食実施に関する御質問でありますが、当市の中学校での給食実施状況は、完全給食校が1校、ミルク給食校が7校となっております。中学校での完全給食の実施につきましては、これまでも議員からの御質問や御要望をいただいておりますことから、中学校の統合を契機に、中学校における完全給食の実施のあり方を
教育委員会内部で検討することとしておりました。現在までの検討状況ですが、
教育委員会事務局内部の職員で検討した中間報告としまして、保護者等からの切実な要望としては出ていないものの、学校給食法において努力義務とされていることと、これまでの
取り組みや県内他市での実施状況などの流れの中で、中学校での完全給食を実施する方向で取り組むべきであるとまとめております。その実施に向けて、自校方式がいいのか、共同調理場方式がいいのかなどの具体的な詰めが必要となってまいります。 また、実施に当たっては、中学校で弁当を持たせることは親子の会話が少なくなる中学時代には親と子を結ぶ唯一のものであるので大切にしたいとの考えを持つ方もいる一方で、弁当を持たせられない家庭の存在や、コンビニエンスストアや冷凍食品利用などによる栄養のバランスがとれていない生徒もいることなどから、弁当を持参して食べる方法、給食を食べる方法、あるいは弁当販売による弁当を食べる方法の選択制の導入の検討や、学校での給食実施に伴う時間的な拘束が多くなることへの対応の検討、さらには学年や男女差による量的なバランスのとり方と給食費の関係など、検討をしていくソフト面の課題もあります。 中学校での完全給食をできるところから始めてはどうかとの御質問でございますが、現在の学校給食センターでの中学校給食可能食数は、調理可能食数ではなく、保管庫に収納されるコンテナの数に制約されます。といいますのは、現在のシステムは、コンテナに食器を入れて、一つ一つのコンテナを熱風消毒し、そのまま保管しているからです。コンテナは保管庫に33台収納可能ですが、現在小学校の給食用に30台を使用しておりますので、余裕は3台となります。1つのコンテナに約2クラス分が収納されますので、6学級 200人程度の中学校1校分が可能と考えられます。 その分を活用した中学校での完全給食の試行により、課題とされている中学校での給食時間のとり方の検討などをしていきたいと考えているところですが、現状の給食センターで使用している蒸し器や焼き物器等の調理器具類では性能面で対応ができない状況にあることから、まずは設備の更新が必要となります。また、学校ではコンテナをおろす給食搬入車両のプラットホームの建設や、取りつけ道路の確保、配送する新たな車両と人員の確保など、解決すべき問題もありますので、現段階では難しいものと考えられます。 また、現在の給食センターで中学校の給食分を賄うことができない状況ですので、中学校の給食実施に当たっては、各学校に給食用の調理場を整備し、栄養士、調理員などのいる自校方式か、新たな共同調理場の整備による集中方式が考えられますが、詳細なコスト比較をしているわけではありませんが、小学校と同じように共同調理場方式の実施を考えております。 しかしながら、新たな施設整備につきましては、現在学校施設の整備を重点的に行っているところでもあり、今後の
総合計画や財政計画の中に位置づけをしていくことが必要になりますことから、まだまだ時間を要すると考えられますので、御理解を賜りたいと存じます。
○議長(
平舘幸雄君) 民生部長。 〔民生部長小山士君登壇〕
◎民生部長(小山士君) 私からは、まず低所得者の負担を軽減するため、国保税の算定方式の見直しはとの御質問についてお答えいたします。 国保税の課税割合は、課税所得や資産など負担能力に応じて算定する応能割と、世帯の人数など保険給付を受ける機会の均等や平等性に応じて算定する応益割とで構成されております。国保税の平準化とは、この応能割と応益割の比率を50%ずつに設定し、負担と受益の公平化を図ろうとするものであり、これらの割合は地方税法に規定されております。平準化を実施する前の平成10年度時点では、所得や資産で計算する応能割に偏った課税割合で応益割が32%と低かったため、県からは負担と受益の公平性が図られていないとの指摘が再三にわたってあったところでございます。このことから、平成10年度に国保運営協議会の答申を受け、市税条例改正案を議会に提案して可決をいただき、平成11年度から応能割を54%程度に下げ、応益割は46%程度に上げて、法律に沿った見直しを実施し、負担と受益の公平化を図ってきた経緯があり、平準化を廃止することができないものであることを御理解賜りたいと存じます。 国保税の平準化が収納率の低下にどの程度の影響があったかについてですが、収納率の低下傾向は全国的なものとなっており、以前から平準化を実施している県内他市においても、また平準化が図られていない市においても同様の傾向を示しております。平準化した平成11年度の市税条例改正において、低所得者の負担軽減を図るため、それまでの均等割、平等割に係る6割・4割の軽減割合を7割・5割の軽減にしたことに加え、新たに2割軽減制度を導入いたしました。その結果、6割・4割軽減対象世帯数は2943世帯、被保険者数は4542人、軽減額は約7000万円でありましたが、7割・5割・2割軽減制度の導入により、軽減世帯数は5064世帯、被保険者数は8761人、軽減額1億8000万円となり、約1億1000万円の税負担の軽減を図っております。このことから、収納率の低下は経済の長期低迷によるものであり、平準化が直接影響を及ぼすことはないものと思料されますので、御理解願います。 次に、介護保険についての御質問にお答えします。 見守り介護についてですが、介護保険制度は介護を必要とする人をできるだけ住みなれた地域で生活できるよう支援することを目的にスタートしておりますが、施設重視の傾向が続き、当市においては平成15年8月末日現在で介護保険施設の待機者が93人おり、短期入所もほぼ満床状態となっており、希望するときに利用できないという状況となっております。本年7月に開設された特別養護老人ホーム「アミーガはまゆり」も長期及び短期ベッドともほぼ満床の状況にあります。 このような状況から、第2期介護保険事業計画において、市内9カ所で住民説明会を開催し、アンケート調査をした結果、短期入所をふやしてほしいとの要望が多く、それにかわるサービスとして在宅での見守り介護の給付を検討項目として掲げております。これは介護保険の法定サービスとは別に、市独自の特別給付、いわゆる横出しサービスとして実施するもので、介護保険の本来の趣旨である在宅での生活を支援することや、短期入所を希望している方にこたえるため、10月からの実施をすることとし、本議会に釜石市介護保険条例の改正及び補正予算を提案しているところであります。見守り介護サービスが完全に短期入所希望者の要望にこたえるものとは思いませんが、要介護者を抱えた家族の休養や、冠婚葬祭などの介護者が不在となる場合の支援の一助になればと考えております。 次に、ホームヘルパーの働く環境をどのように考えているかとのことでありますが、見守り介護サービスの実施を検討するに当たって、地域ケア会議や訪問介護事業者等と協議を重ねてまいりました。その結果、訪問介護事業者は見守り介護サービスを提供するに当たっても、指定居宅サービス事業者等の人員及び設備の運営基準や労働関係諸法を遵守し、適正な管理の確保をした上で、サービスの提供は可能と判断したものと考えております。また、介護保険制度は介護保険事業計画を3年ごとに見直しをすることとなっており、見守り介護サービスについても不都合があれば見直しをすることとしておりますので、御理解願います。 次に、新たな特別養護老人ホームの建設見通しについてですが、介護保険の施設については高齢者数の 3.2%の枠内で整備するよう釜石保健福祉圏域での調整が必要であり、本年度に当市に特別養護老人ホーム「アミーガはまゆり」が建設され、平成16年度に大槌町において特別養護老人ホーム、宮守村において介護老人保健施設の建設が予定されておりますので、平成17年度までの第2期介護保険事業期間内での整備は困難な状況にあります。しかし、当市においては高齢化が急速に進行し、高齢化率が毎年1%上昇するという状況にありますことから、第2期介護保険事業計画において次期介護保険事業期間内に特別養護老人ホームの整備を図るとしており、圏域内での調整を行いながら検討してまいりたいと存じます。 次に、子育て支援についての御質問にお答えします。 病後児保育についてですが、病後児保育所は、病気回復期にあり、安静の確保に配慮する必要のある、集団保育が困難な保育所に通所している児童で、保護者の勤務の都合など社会的にやむを得ない事由により家庭で育児を行うことが困難な児童を保育する施設です。病後児保育を実施するには、小児科医師の協力が不可欠でありますことから、これまで医師が2名常勤している国立療養所釜石病院と協議をしてまいりましたが、同病院は平成16年4月から独立行政法人へ移行する予定であり、現時点での対応は難しいとの回答をいただいております。また、保育所等への併設につきましても、施設や設備環境が病後児保育に対応できる状況にないとのことや、小児科医師が少ないことなどから実施が難しい状況にあります。しかし、子育て総合支援事業である釜石ゆいっこサポートセンターにおいて平成15年度に3人の病後児童を保育した実績もありますので、これらを活用して支援に努めてまいるとともに、引き続き病後児保育所の実現に向けて関係機関と協議を行ってまいりますので、御理解願います。 次に、保育所待機児童の抜本的解決策についてでありますが、当市においては平成15年9月1日現在で認可保育所の入所希望児童数は 512人あり、そのうち 488人が保育所に入所し、定員 410人を78人、19%上回っており、待機児童は24人となっております。少子高齢化が進行する中で、女性の社会参加や経済状況の悪化などを背景として、ここ数年保育所への入所希望が増加しており、待機児童が増加するとの予測から、平成15年度に市立上中島保育所の定員を45人から70人に、神愛幼児学園の定員を60人から80人にふやしたところでありますが、待機児童を解消するには至っておりません。 しかし、抜本的解決策としては保育所の設置ということになりますが、人口や出生数の減少が続いている状況の中で、長期的に保育所の入所傾向を予測しかねることもあり、将来的な保育所の安定した運営に懸念もあるところであります。このような状況から、待機児童対策として既存の保育所の定員増を図るとともに、ゆいっこサポートセンターの活用などで対応したいと考えておりますし、中妻子供の家保育園を移転改築する計画も検討されております。また、当面の緊急的対応として、幼稚園の預かり保育の実施の可能性についても関係機関と協議してまいりたいと存じます。 保育料の軽減につきましては、当市の保育料は国の基準より低く、同時入所の場合に第2子を半額、第3子以降は無料とするなど、保護者の負担の軽減に努めており、平成14年度においては国の基準と比較して28.9%の軽減措置を講じております。県内13市の保育料軽減状況は、平均軽減率が23.7%で、当市は遠野市に続いて第2位の軽減率となっておりますことや、
財政状況が厳しい状況にありますことなどから、これ以上の軽減措置は難しいと考えておりますので、御了承願います。 以上をもちまして答弁を終わります。
○議長(
平舘幸雄君) 坂本良子君。
◆4番(坂本良子君) それでは、再質問をいたします。 まず、国保税についてお伺いします。 当市は被保険者1人当たりの費用額が県内で一番高くなっております。その原因と、また1人当たりの老人保健拠出金が県内で2番目に高いという、その原因の2点についてお伺いいたします。お願いいたします。
○議長(
平舘幸雄君) 民生部長。
◎民生部長(小山士君) お答えします。 まず最初の、費用額が県内13市の中で一番高い理由はという御質問でございますけれども、この主な要因といたしましては、医療機関が多いこと、とりわけ病床数が多いことが挙げられます。これは国でも統計上そのような判断をいたしております。 次に、拠出金が高くなっているということでございますが、これにつきましては老人医療費の拠出金総額は、基本的には老人1人当たりの医療費に対する老人対象者数を乗じて計算されております。対象者数が多くなれば、当然拠出金が多くなります。ちなみに、県内13市の比較でございますけれども、平成13年度の数値では、老人保健対象者数は7102人となっておりますが、盛岡市、北上市に次いで3番目、1人当たりの医療諸費は71万8108円で、盛岡市、花巻市に次いで3番目、老人の全体の被保険者に占める比率は37.7%で、一番高くなっております。このようなことから、1人当たりの拠出金額は盛岡市に次いで2番目という順位になっているということでございます。 以上でございます。
○議長(
平舘幸雄君) 坂本良子君。
◆4番(坂本良子君) 平準化に当たって、負担と受益の公平性が図られていないということ、これは御答弁の中にありましたので、このことについて御説明いただきたいと思います。
○議長(
平舘幸雄君)
国保年金課長。
◎
国保年金課長(石川雄康君) それでは、私の方からお答えいたします。 医療保険におきましては、医療費の一部負担、あるいは保険給付割合、それは法定されてございます。だれでもひとしく保険給付を受けられると、そういうふうになってございます。それから、保険給付の財源としての保険料は、国保税でございますけれども、これは今お話しのように、一律のものではございません。所得、あるいは保有している資産、あるいは被保険者数に応じて調整されてございます。ここは民間の保険と違いまして、社会保険と言われるゆえんでございます。受益の関係でいいますと、当然家族数が多ければ医療機関での診療の機会も多くなると、また一方では負担の関係でございますけれども、所得、あるいは資産のみで算定されますと、また負担が一方的に偏ったものになると、それを調整することで、応能割、応益割の割合を50%ずつと、そういうふうに国の方では法律で規定して、それに基づいて各市町村では条例で規定して実施している、そういう内容でございます。
○議長(
平舘幸雄君) 坂本良子君。
◆4番(坂本良子君) わかりました。 次に、低所得者に対して応益の7割・5割・2割の軽減措置をとられておりますけれども、収納率の改善が見られないということは、平準化によって負担が重くなっている低所得者が実際にいるのではないでしょうか、このことについて見解をお願いします。
○議長(
平舘幸雄君) 税務課長。
◎税務課長(和泉重勝君) では、お答えを申し上げます。 低所得者に対する軽減でございますけれども、平準化を行うことによりまして7割・5割・2割の軽減割合となってございますが、平準化を行いませんと6割・4割の軽減割合となります。例えば、前年の所得金額が33万円以下の世帯であれば7割軽減を受けられますけれども、平準化を行っておりませんと、その均等割と平等割の6割軽減しか軽減になりません。このことから、平準化を行うことにより、低所得者の負担はむしろ軽減されているものと判断してございます。 以上でございます。
○議長(
平舘幸雄君) 坂本良子君。
◆4番(坂本良子君) 国保税の課税の割合は応能割と応益割で構成されていることは、私の質問でもお話しいたしましたし、当局の答弁でも説明がございましたけれども、あえてお話をさせていただきます。応能割は能力に応じて支払うことになっておりますが、実際には生活保護基準以下の所得の人でも負担しなければなりません。応益割は所得に関係なく、所得がゼロの人にもかかってきます。各市町村では、これらを組み合わせて保険料を決めていますが、これまでの住民運動の成果もあって、応益・応能の負担割合はおよそ3対7が各自治体の割合でした。これを厚生省は保険料の自治体間格差を是正するという名目で、5対5に統一しようというのが保険料の平準化でした。このことによって、所得に関係なく一律に負担を迫られる応益割の比重がふえたために、低所得者ほど一層負担が重くなったわけです。 当市は高齢化が急速に進み、毎年1%上昇するという状況にあります。被保険者の費用額も老人保健拠出金もそれに合わせてふえ続けることが予想されます。軽減制度があっても収納率が上がらない状況では、国保会計はますます深刻さが増すのではないでしょうか。払いたくても払えない状態から、国保税を引き下げて、だれもが払える国保税にすることこそ、住民の切実な願いです。そのための最大限の努力をしていただくことを要望いたします。 次に、子育て支援についてお伺いいたします。 待機児童について、既存の保育所の定員増を図るということで、当面の緊急対策として幼稚園の預かり保育の実施の可能性について関係機関と協議するとしていますが、具体的な内容をお伺いいたします。 それと、中妻子供の家保育園を移転改築する計画を検討されているようですけれども、その時期と移転場所、施設の規模について、また待機児童解消との関連についてお伺いいたします。
○議長(
平舘幸雄君) 民生部長。
◎民生部長(小山士君) お答えします。 まず1点目の、幼稚園の預かり保育の件でございますけれども、現在一部の民間幼稚園におきましては預かり保育を実施しております。その充実を図ることができないかとか、他の幼稚園においても同様の対応ができないかを協議してまいりたいと考えております。 また、現在幼稚園に保育に欠ける児童を措置することができませんが、何か新聞報道によりますと、江刺市において来年の4月から新設される施設で幼保一元化を図りたいという報道がされております。そのようなことから、市といたしましても既存の幼稚園等で幼保一元の可能性につきまして県とも協議し、検討してまいりたいと思っておりますので、御了承願います。 次に、中妻子供の家保育園の移転改築の計画があるけれどもということでございますが、その中妻子供の家保育園につきましては、社会福祉法人愛育会が運営しております。しかし、施設の老朽化が進んでいることから、移転改築を現在検討しているところでございます。現時点で中妻地区に適当な用地を確保するのが難しいという状況にありますことから、今市と社会福祉法人の方で協議しておりますが、二中の跡地を第1候補地としまして現在検討しております。建設の時期につきましては、統合中学校の建設予定時期との関連もありますけれども、平成18年度以降の予定で検討いたしております。 また、保育所の規模でございますが、現在の中妻子供の家保育園は定員が80人となっておりますけれども、待機児童の動向を勘案いたしまして、定員の変更についても協議してまいりたいと考えておりますので、御理解をお願いします。
○議長(
平舘幸雄君) 坂本良子君。
◆4番(坂本良子君) わかりました。 これは質問ではございません。要望としてお話をさせていだたきたいと思います。保育料の引き下げについてですけれども、
財政状況の厳しさから、これ以上の軽減措置は無理だという御答弁でした。保育料が国の基準、県の基準よりも低いことから、当市の保護者に対する負担を軽くするために努力されていることは十分に理解できます。しかし、今若い人たちの働く場が限られて、不況の中で給料が低く抑えられているという状況の中で、共働きをしなければやっていけないという現実があります。釜石は他市に比べて物価が高く、お金のかかる子育てには暮らしにくい町と言われております。財政の厳しさだけを強調するだけでは、若い人たちは釜石の将来に希望が持てなくなるのではないでしょうか。若い人が釜石に定着し、安心して働きながら子育てができてこそ、進む少子化にブレーキをかけることができるのではないでしょうか。国や県の基準で比較するのではなくて、釜石の現状、窮状を訴えている市民の声を基準にして前向きに努力していただきますよう、よろしくお願い申し上げます。 それでは、次に学校給食の実施についてお伺いいたします。 中学校の統合を機会に、これを契機に中学校における完全給食を実現の方向で取り組まれているようですけれども、その中で自校方式か共同調理場方式かということで具体的な詰めが必要とのことですが、現段階でどの程度まで進められているのか、お伺いします。 また、小学校と同じように、共同調理場方式での実施を考えておられるようですが、その理由についてもお伺いいたします。
○議長(
平舘幸雄君)
学校教育課長。
◎
学校教育課長(樋口賢一君) 中学校の給食につきましては、教育長がお答えいたしましたように、自校給食の場合には調理室の整備が、また共同調理場方式の場合には調理場整備のためにまず新たな土地の選定が必要となってきます。また、どちらにいたしましても栄養士や調理員等、職員の確保、採用が必要となってきます。また、県内の状況を見ますと、どちらかといいますと共同調理場方式の方が多くなってきている現状にあります。両者を比較しての検討はさまざまありますし、先ほども申し上げましたように、詳細なコストは比較しているわけではありませんけれども、自校方式に比べますと共同調理場方式の方がコストが低いというふうなことは言えると考えられます。そういったことから共同調理場方式の方を今のところは考えているものの、それ以上の具体的な検討までには至っていないところでありますので、御了承願いたいと存じます。
○議長(
平舘幸雄君) 坂本良子君。
◆4番(坂本良子君) わかりました。自校方式ですと、O-157の教訓から、万が一食中毒が起きた場合、最小限に食いとめることができるということで、そのことだけではありませんけれども、いろんな面で自校方式がいいのではないかと私は考えておりますが、今社会の環境の変化から、子供たちを取り巻く家庭の事情も本当に変化をしております。学校給食は内容を十分に充実させた、そういう学校給食を目指して努力していただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○議長(
平舘幸雄君) 4番坂本良子君の
一般質問を終わります。
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○議長(
平舘幸雄君) 以上で本日の日程は全部終了いたしました。本日はこれをもって散会いたします。 午後4時26分散会
釜石市議会議長
平舘幸雄 釜石市議会議員 菊池 孝
釜石市議会議員 菅原規夫...