伊丹市議会 2013-09-20
平成25年第4回定例会−09月20日-04号
平成25年第4回定例会−09月20日-04号平成25年第4回定例会
第4日 平成25年9月20日(金曜日)午前10時00分開議
〇会議に出席した議員(27名)
1番 佐 藤 良 憲 16番 櫻 井 周
2番 戸 田 龍 起 17番 相 崎 佐和子
3番 林 実 18番 齊 藤 真 治
4番 竹 村 和 人 19番 川 上 八 郎
5番 篠 原 光 宏 20番 山 本 恭 子
6番 小 西 彦 治 21番 北 原 速 男
7番 山 薗 有 理 22番 泊 照 彦
8番 保 田 憲 司 23番 新 内 竜一郎
9番 西 村 政 明 24番 坪 井 謙 治
10番 中 田 慎 也 25番 山 内 寛
11番 杉 一 26番 久 村 真知子
12番 市 川 薫 27番 加 柴 優 美
13番 加 藤 光 博 28番 上 原 秀 樹
15番 吉 井 健 二
〇会議に出席しなかった議員(1名)
14番 大 路 康 宏
〇職務のため出席した事務局職員の職氏名
局長 西浜真介 議事課事務員 峯畑由記
次長 小松茂士 〃 濱田健慎
議事課長
議事課副主幹 梅本智也 〃 稲澤博文
議事課主査 福本隆至
〇説明のため出席した者の職氏名
市長 藤原保幸 会計管理者 尾崎卓也
副市長 行澤睦雄
水道事業管理者 阪上昭次
理事
自動車運送事業管理者 庄田徳男
総務部長 増田 平
病院事業管理者 中田精三
市長付参事 柳田尊正 病院事務局長 村田正則
市長付参事 上地秀治 消防長 上原 登
市長付参事 大西俊己 教育委員 小林万理子
総合政策部長 桝村一弘 教育長 木下 誠
財政基盤部長 後藤和也
教育委員会事務局管理部長 谷澤伸二
市民自治部長 村上雄一
教育委員会事務局学校教育部長 太田洋子
健康福祉部長 二宮叔枝
教育委員会事務局生涯学習部長 田中裕之
こども未来部長 堀口明伸 代表監査委員 中井公明
都市活力部長 松村 隆
都市基盤部長 大石正人
〇本日の議事日程
1 報告第 7号 平成24年度伊丹市
一般会計歳入歳出決算
報告第 8号 平成24年度伊丹市
国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算
報告第 9号 平成24年度伊丹市
後期高齢者医療事業特別会計歳入歳出決算
報告第10号 平成24年度伊丹市
介護保険事業特別会計歳入歳出決算
報告第11号 平成24年度伊丹市
公設卸売市場事業特別会計歳入歳出決算
報告第12号 平成24年度伊丹市
競艇事業特別会計歳入歳出決算
報告第13号 平成24年度伊丹市
交通災害等共済事業特別会計歳入歳出決算
報告第14号 平成24年度伊丹市
災害共済事業特別会計歳入歳出決算
報告第15号 平成24年度伊丹市
中小企業勤労者福祉共済事業特別会計歳入歳出決算
報告第16号 平成24年度伊丹市
農業共済事業特別会計歳入歳出決算
報告第17号 平成24年度伊丹市
宮ノ前地区地下駐車場事業特別会計歳入歳出決算
報告第18号 平成24年度伊丹市鴻池財産区
特別会計歳入歳出決算
報告第19号 平成24年度伊丹市荒牧財産区
特別会計歳入歳出決算
報告第20号 平成24年度伊丹市新田中野財産区
特別会計歳入歳出決算
報告第21号 平成24年度伊丹市
病院事業会計決算
報告第22号 平成24年度伊丹市
水道事業会計決算
報告第23号 平成24年度伊丹市
工業用水道事業会計決算
報告第24号 平成24年度伊丹市
下水道事業会計決算
報告第25号 平成24年度伊丹市
交通事業会計決算
〇本日の会議に付した事件
議事日程に同じ
△「開議」
○議長(山内寛) ただいまから本日の会議を開きます。
初めに、議員の出欠席について申しますが、ただいままでの出席者は27人、欠席者は14番 大路康宏議員であります。
では、これより日程に入ります。
△「報告第7号〜25号」
○議長(山内寛) 日程第1、報告第7号から25号、以上19件、一括議題とし、昨日に引き続いて順次発言を許します。
初めに、27番 加柴優美議員の発言を許します。────加柴議員。
◆27番(加柴優美) (登壇)おはようございます。
ただいま議長より発言の許可を得ましたので、私は
日本共産党議員団を代表して質問を行います。
初めに、直面する政治問題への市長の認識について。
第1に、消費税増税に関して伺います。
安倍内閣は10月に予定される臨時国会の前に、来年4月からの消費税増税を予定どおり実施するかどうか、その可否を判断するとしています。今直視しなければならないことは、来年4月からの増税中止は国民多数の声であるということです。さきの参院選後の世論調査でも増税を予定どおり実施すべきという意見は2割から3割しかなく、中止すべきだ、いや、先送りすべきだという意見が7割から8割と圧倒的です。内閣官房参与などの政府関係者からも予定どおりの増税に反対する意見が出され、これまで増税を主張してきた大手新聞の中からも、来春の8%は見送るべきだ、読売8月31日付社説、などの論調が出されてきています。
日本共産党は、消費税という税金は所得の少ない人に重くのしかかる最悪の不公平税制だと考えており、もともと消費税増税には断固反対の立場です。党議員団は消費税に頼らない別の道も示しつつ、以前から市長に質問し、見解を求めてきたところです。同時に、10月を目前にして今後の税制のあり方として、消費税の増税が必要だと考えている人々の中にも、来年4月の増税は国民生活や日本経済を悪化させることになるという懸念を持ち、反対の声を上げている人がたくさんいます。そのことはさきに紹介した世論調査結果にもはっきりあらわれています。
市長は昨年9月議会本会議で消費税の引き上げは避けて通れない課題だと認識していると答弁されていますが、4月から引き上げが必要だとはおっしゃっていない。ぜひ市長として4月からの消費税増税は中止をの声を内外に発信していただきたいと思いますが、見解を求めておきます。
次に、税と社会保障の一体改革、手当たり次第に給付を削るだけの
社会保障改革についてであります。
安倍内閣は税と社会保障の一体改革と称して、消費税の引き上げをこの10月1日にも決断する動きをとり、同時に社会保障の全分野にわたる予算削減と制度改悪に乗り出そうとしています。生活保護費はことし8月から引き下げられ、年金においてもことしから支給減額が行われ、再来年までに2.5%削減されます。また、政府の
財政制度等審議会では、70歳から74歳の窓口負担を2倍に引き上げる、風邪薬、湿布薬などを保険から外す、年金の支給開始年齢を68歳から70歳に先延ばしする、
介護サービスの保険適用を要介護3以上の重度者に限定するなどの改悪が検討課題に上げられました。成長戦略策定を目的とした
産業競争力会議では、がんは3割負担、風邪は7割負担など、病気の種類によって窓口負担を引き上げる、介護保険の軽度のサービスは全額自己負担にするなどが議論されています。
これまで消費税増税の口実として、社会保障は看板だけにせよ充実が掲げられていました。しかし、前述したように、手当たり次第に給付を削るだけの
社会保障改革が議論されています。明確になってきた
社会保障改革の中身は国民、市民の願いとは大きくかけ離れていることについて市長の見解を求めます。
次に、2012年度決算に関連して数点伺います。
第1に、地方交付税についてですが、普通交付税に関して、個々の増減要因はあるものの総額的には2010年度の法人市民税の大幅増等、特殊事情の影響が薄まり、ほぼ平準化したと説明がありました。そこで、特殊事情の影響を受けた11年度を除き、地方交付税と事実上地方交付税である
臨時財政対策債の合計額を見ると、10年度は88億5900万円、12年度は90億2000万円で、1億6100万円若干ふえているものの、ほぼ平年並みと言えます。一方、
一般財源ベースで歳入歳出の決算額の推移を見ると、歳入では市税が4億1000万円余り増加したけれども、全体としては1億3000万円余りしかふえていません。歳出では扶助費が3億2000万円余りふえているものの、全体としては前年とほぼ同額で推移をしています。政府は
一般財源総額は確保したとしているようですが、本市の2012年度決算ではどうであったのか、地方交付税は本来の役割である財源保障をされているのかどうかについてお聞きをしておきます。
第2に、安倍内閣の打ち出した骨太方針についてであります。
安倍内閣は
経済財政諮問会議で4年ぶりとなる骨太の方針をまとめ、6月14日に閣議決定しました。
経済財政運営と改革の基本方針、脱デフレ、経済再生と題する今回の骨太方針では、アベノミクスの中長期戦略や社会保障改悪の基本的考え方などとともに地方財政についても言及、
地方財政計画、
一般財源総額の削減に手をつけようとする内容などが盛り込まれています。
骨太の方針に盛り込まれた新たな問題は2点で、第1は、2008年の
リーマンショック以降に設けられた
地方財政計画の歳出特別枠などについて歳出の重点化、効率化などにより地方財政を歳入面、歳出面から改革する、つまり抑制あるいは解消するとしている点です。第2は、2014年度から地方交付税の算定に行革努力などの指標を持ち込もうとしている点です。
6月議会本会議の中で
財政基盤部長は、本市において歳出特別枠がなくなれば24年度算定においては約2億4700万円の
基準財政需要額の減額、つまり地方交付税が減ると答弁されています。つまり市民に身近な公共事業すら困難になるということです。国に対して
一般財源総額の削減は絶対に認められないとの姿勢をあらゆる場で貫くことが求められます。そうでなければますます財政的に立ち行かなくなっていくと考えますが、当局の見解を求めます。
次に、人件費比率の低下について伺います。
決算の説明の中で人件費について、人事院勧告に基づく給料表改定の影響の通年化、定年退職者の減少等により人件費は前年度より減となりました。また、歳出に占める割合については、阪神・淡路大震災の影響で相対的に割合が低下した1995年、平成7年度を下回り、昭和46年度に並ぶ18.9%になりましたとしています。1995年度の人件費比率は19.6%でした。比率というのは歳出規模によって変わるものですから、むしろ目を向けなければならないのは人件費総額がどのように推移しているかであります。1995年度と2012年度を比較しますと、基本給、諸手当、退職手当、その他人件費を合わせた人件費総額のうち退職手当を除いた額を見ますと、1995年度、136億7400万円、2012年度は106億7300万円で、実に30億円の減となっています。30億円減の内容は、
職員定数適正化計画等による職員減や新陳代謝によるものもありますが、何よりもこれまで給与構造改革や地域手当削減など給与カットが異常な形で進められた結果であります。
私は昨年9月
議会決算委員会でも職員給与に関して質疑しましたが、最近5年間で給与を比較すると、月額で約10万円下がっていることが明らかとなりました。これに対して当局は、人事院勧告や財政状況、他市との均衡を総合的に勘案して適正な水準と認識をしているとの答弁でした。しかし、今議会で提案されている一般職の職員の給与に関する条例一部改正の給与カットや
定期昇給見送りが大きな問題になっているように、これ以上の
人件費削減サイクルは断ち切り、見直す時期に来ていると考えますが、当局の見解を求めておきます。
次に、空港問題について。
第1は、低騒音機枠化の実施に伴う騒音について。
大阪国際空港では、
プロペラ機枠の低騒音機枠への変更計画がつくられ、ジェット機枠は従前と変わらない200離発着とし、ことしから3年間かけて170の
プロペラ機枠を全て低騒音機枠に切りかえていくとしています。既にことし夏ダイヤ、3月31日より段階的に低騒音機枠としてジェット化が実施されています。また、1日当たりの
発着回数ダイヤ比較では、昨年4月は340回であったものが、ことし4月では最大枠の370回となっています。空港内では、離陸便をできるだけ上昇させることで離陸地域の騒音値を下げるため、A滑走路よりもB滑走路からの離陸便の割合をふやしたとしています。
こうした推移の中、伊丹市がことし4月に測定した西桑津、北村、大野、各地域の騒音値は昨年対比で北村、大野地域は横ばい、西桑津地域では大幅に高くなっていると報告しています。西桑津地域の騒音値が大幅に高くなった原因は、空港内では離陸便をできるだけ上昇させることで、離陸地域の騒音値を下げるため、A滑走路よりも桑津地域に近いB滑走路からの離陸便の割合をふやしたからであります。この対策として、2本の滑走路からの離陸割合を再検討するなど、騒音軽減に関して必要な対策を新会社に強く求めるべきであります。当局の見解、伺っておきます。
第2に、
大阪国際空港及びその
周辺地域活性化促進協議会の要望内容に関してであります。
大阪国際空港及びその
周辺地域活性化促進協議会は、ことし7月1日に
大阪国際空港周辺都市対策協議会、いわゆる10市協へ、9月6日には国土交通大臣へ
大阪国際空港と周辺地域の活性化についての要望をしました。今回の要望の特徴は、
大阪国際空港は利便性を損なう規制が残っており、地元経済界といたしましては空港がフル活用されていない現状について改善を待望していますと一層の規制緩和を求める内容となっています。
第1は、運用時間制限における遅延便の弾力的な扱いを要望している点です。現状の運用に伴い、ことし5月ダイヤでの最終便は20時35分となっており、航空会社のダイヤ設定においても現状の運用がネックとなっていると決めつけています。つまり出発地における遅発の場合も21時を超えて大阪空港への着陸を認めることなどを求めています。
第2は、1時間当たりの発着回数規制の緩和です。
大阪国際空港の
ダイヤ調整基準により1時間の発着回数は36回が限度とされており、このうち到着回数に関しては18回と制限されています。特に需要が高い18時から20時台の到着便に関しては既に枠が上限に達しており、この規制緩和に向け関係各所に働きかけていただきたいとする内容です。
こうしたさらなる規制緩和は騒音や運航上の安全性を脅かし、最終は21時までの時間規制や370離発着枠を決めた存続協定に抵触する重大な意味を持ちます。
大阪国際空港及びその
周辺地域活性化促進協議会は、周辺都市の
商工会議所会頭が役員となり、地元の企業を構成員とする極めて影響力の強い団体組織であります。それだけに一連の規制緩和に関する要望については決して座視できません。当局の見解を求めます。
次に、
国民健康保険の都道府県化に係る問題について伺います。
第1に、
保険財政共同安定化事業について。
御承知のように、現在国保の
都道府県単位化、広域化が強力に推進されている中で、2015年度から
保険財政共同安定化事業を1件30万円超から1円以上に対象を全ての医療費に拡大することになっています。今決算によると、2012年度
保険財政共同安定化事業に関して交付額は約16億8700万円、一方、拠出額は約18億4700万円で、約1億6000万円の拠出超となっていますが、この要因について、またさきに触れたように2015年度から1件30万円超から1円以上に対象を全ての医療費に拡大することになっており、拠出割合は
医療費実績割50、被保険者割50とすると聞いていますが、伊丹市に当てはめた場合どのようなことが想定されるのか、それぞれお聞きをしておきます。
第2に、都道府県化に対する従来からの当局の考え方は国保加入者や市民の利益を守る立場と言えるのかという点です。
国保の広域化、都道府県化に対して当局は2010年9月議会本会議で、加入者の高齢化に伴う医療費の増加に歯どめがかからないとか、市町村は一般会計から国保会計へ多額の繰り入れを余儀なくされる等現状を述べつつ、広域化による運営主体を中心とした制度の一元化に向けた対策を早急に講ずるべきであり、最終的には国が保険者とした
医療保険制度を構築すべきだと考えていますと答弁されています。しかしそこには、保険者としての立場こそあれ、国保加入者や市民の利益を守る立場、視点が残念ながら欠けていると言わざるを得ません。なぜ国保の都道府県化は国保加入者や市民から見て問題なのか。第1は、県による国保税の統一と財政運営によって自治体の努力で行われている一般会計からの繰り入れをなくすことができますが、その結果、大幅な国保税の引き上げになること、第2に、現在の市町村国保は被保険者が参加する運営協議会と議会の議論を通じて地域の実情に合わせた
事業運営方針を決めることができます。これが
都道府県単位化になれば、個々の地域の実情や住民、被保険者の声を踏まえた対応が極めて困難になること等です。地域の実情や市民の生活実態を無視した国保税を県が決め、その国保税の徴収に各自治体が振り回されることになります。今でも高過ぎる国保税のさらなる値上げや取り立て、機械的な制裁措置の結果は消えた国保加入者、無保険者の大量出現を生み出し、国保制度を崩壊させることになるのではないでしょうか。当局の見解を伺います。
第2に、医療給付費が前年度比で1.0%減少した原因と背景についてであります。
昨年度、療養給付費、療養費、
高額療養費等、医療給付費が前年度比で1億3471万1000円、率にして1.0%減少し、国保会計全体も4億の赤字を一挙に解消し、1億2000万円余りの黒字となりました。わずか2年前までは10億円の赤字を抱えていただけに予想外の結果であり、まさに青天のへきれきであります。特に医療給付費、つまり医療費が前年度より減少した原因、要因について、1件当たりの入院期間が短かったこと等を指摘されているようですが、どのように分析をされているのか、また13年度の現状、将来の見通しも含め見解を求めます。
第3に、ずばり国保税の引き下げを求めたいと思います。
ことし、2013年度、国保税は
基礎課税額医療分について均等割額を2万5200円から2万8500円に平等割額を2万3600円から2万3800円に、所得割税率を8.21%から9.1%にそれぞれ引き上げとなりました。その理由として、11年度
国保会計決算において約3億9900万円の赤字を計上し、会計の根幹を担う一般被
保険者医療分については約8億1400万円と、依然として多額の累積赤字を計上していること、高齢化の進展や医療技術の高度化等により医療費が高騰している現状の
医療保険制度を取り巻く環境を勘案すると、今後もさらに厳しい財政運営を強いられることは明白であり、健全な事業運営の早期実施が必要であるというものでした。12年度決算では、医療費が前年度より減少したことによって多額の累積赤字額を計上していた一般被
保険者医療分は逆に約4億円の黒字に転化し、累積赤字をも一挙に解消しました。今後の医療費の動向など
国民健康保険の運営については不透明な点はありますが、税引き上げの根拠は大きく崩れたわけで、被保険者の負担能力をはるかに超えている国保税の軽減、引き下げを強く求めるものであります。当局の見解を伺います。
次に、介護保険について。
第1は、要支援認定者を保険給付の枠組みから外す動きについてであります。
厚生労働省は9月4日、介護保険で要支援と認定された高齢者への保険給付を廃止をする方針を明確に打ち出しました。同省は市町村の判断で多種多様な事業主体による重層的なサービス提供を目指すと弁解していますが、サービスの内容は市町村任せで、担い手に高齢者のボランティアを加えるなど、何の保障もありません。はっきりしているのは介護費用縮減の狙いだけです。サービスは切り下げられ、高齢者の生活が崩壊する事態になりかねません。
要支援者は全国で約150万人と言われ、伊丹市の場合は要支援1、2の認定者は2265人で、認定者全体の34.8%、3分の1を超えています。その内約3分の2が介護保険の
保険予防給付として生活援助や通所サービスなどを利用しています。訪問看護や訪問リハビリなどの
医療系サービスも使っています。保険給付が廃止をされボランティアなどが担う市町村事業に移されればこうしたサービスが切り捨てられかねません。高齢者の尊厳を保持するという介護保険法の目的にも大きく反する制度後退であり認めることができないと考えますが、見解を求めておきます。
第2に、
サービス利用料軽減制度の拡充を求めたいと思います。
介護サービスを利用した場合、通常1割負担となっていますが、この利用料負担が多くの家庭で大きな負担となっています。私の知り合いの70歳代後半の女性Aさんは、要介護度3の夫を介護しています。夫の年金は約16万円で、
市民税非課税世帯、受ける
介護サービスは
デイサービス週に3回と訪問介護週に1回、あと必要に応じて1週間ほどの
ショートステイとなっています。実際にかかる費用ですが、デイサービスが月2万5000円、訪問介護で1000円、
ショートステイを利用したときはさらに臨時出費となっています。Aさん自身話しておられましたが、毎月16万円余りの収入から2万5000円前後の介護費用の負担は大きい、貯金を取り崩しての生活をしているということです。これはほんの一例だと思いますが、当局はこうした実態を掌握され、どのように受けとめておられますか。
これまで利用料負担の軽減を求めた際にも当局は、現在でも利用料の軽減制度はありますので御理解をと極めて冷たい答弁でした。しかし市の軽減制度は、例えば施設サービスを利用した場合は食費、滞在費の
負担軽減制度があるものの、
通所系サービスではその対象にならないこと、
社会福祉法人等による利用者負担の軽減制度についてもその条件が非常に厳しいものであるなど、実態に合っているとは言えません。Aさんの場合、デイサービスに係る負担が極めて大きいわけですから、
通所系サービスの場合にも例えば食費の
負担軽減制度を広げるなど利用料全般の軽減制度を拡充することを強く求めるものですが、当局の見解、求めておきます。
次に、ごみ減量化及びリサイクルに関して2点伺います。
第1は、
一般可燃ごみの増加から見えてくるものです。
決算資料によりますと、総ごみ排出量のうち10年度まで一貫して減少してきた
一般可燃ごみが11年度を境として増加に転じています。対前年比では11年度2.2%増、12年度3.6%増となっています。特に昨年度から
廃プラスチックの処理方法が埋め立てから焼却して
エネルギー回収へと大きく変更となりましたが、このことが
一般可燃ごみの増加要因になっていることは間違いありません。また、
プラスチック製容器包装に関して、回収量に対する資源量の比率を見ますと、11年度は95.6%であったものが昨年、12年度では82.1%へと大きく後退しています。
廃プラスチックの処理方法が変わったことによりプラスチック関係の分別に関して市民の中に混乱が生じている、その反映ではないでしょうか。
私は2008年第1回定例会本会議で、
廃プラスチックの焼却化について、ごみになるものはできるだけ買わない、再利用し、ごみが出ないよう工夫をしよう、分別をしっかり行い、資源リサイクルのために努力をしようという市民の取り組みを正面から否定するものになると指摘をしてきましたが、それが決して的外れではなかったことを決算は示していると考えますが、当局の見解を求めておきます。
第2に、再生資源集団回収量の減少は何を示しているのかであります。
この間の再生資源集団回収の実績を見ますと、2010年が6343トン、11年が6190トン、12年は5818トンと減り続けています。ちなみに10年前、2003年度の回収量は7876トンでした。最近住民の直接参加型のごみ減量資源化活動である集団回収が全国的に後退しているということが言われてきましたが、伊丹市でもそれが数字上あらわれています。住民が資源回収に積極的にかかわる集団回収活動は住民のごみ減量などへの意識を高め、ごみの減量に寄与する効果が高いとされてきていることから、集団回収量の減少傾向は決して見過ごすことができないと思っています。そこで、第1に当局の現状認識について、第2に集団回収奨励金額の検討など今後の拡充策について伺っておきます。
最後に、全国一斉学力調査への参加を見直すべきという問題です。
文部科学省は先月、8月27日、小学校6年生と中学校3年生を対象に4月に実施した全国学力調査の結果を発表しました。2007年の調査開始以来初めて公立小学校の平均正答率が全国平均より5ポイント超低い都道府県がゼロになった、中学校でも数が減っており、28日付朝日新聞朝刊は小・中の学力底上げと報じました。
伊丹市は昨年4月に小学校9校、中学校4校を抽出して全国学力・学習状況調査を実施しました。昨年度はこの結果を分析して各学校では学力向上プランを作成し、授業改善を実践する、子どもには宿題を付与する、学力向上推進校を指定するなど学力向上を進めてきました。特に学力向上推進校、小学校1校、中学校1校については、これまで実施した伊丹市学習到達度調査などの結果から、本市の児童生徒は学習の習慣が十分に定着していないことが明らかとなった。そこで、学習習慣や家庭学習の定着を目的として夏期休業中、放課後、土曜休業日等の補習学習の充実に取り組む学校を推薦校に指定し児童生徒の学習習慣づくりを図るとしてきました。こうした昨年の取り組みは、中長期的に画一な学力の向上を目指すというよりも、ことしの学力テストで科目ごとに少しでも順位、ランキングを上げるということが主な目的となってはいないのか、加えて教職員や生徒、児童に大きな負担となっているのではないかと危惧をするものです。まずこの点での当局の見解、伺います。
8月28日付朝日新聞は、「全国学力調査ランキングから卒業を」と題する社説を掲載しました。そろそろ順位に一喜一憂するのは卒業したい。毎度ランキングは注目を集めるが、実は都道府県の成績に大差はない。ほとんどが平均点前後の狭い範囲に集中している。わずかな差しかないのなら、細かな順序の違いそのものにこだわることもない。いつも成績のよい県やぐんと伸びた県の教え方を学んで手本にする、そちらに力を注ぎたいというものです。
これまでの数回の学力テストを重ねてきた結果、弱点の克服を通して学力の底上げができてきているとしたら、むしろ生徒の学ぶ意欲を引き出した指導方法、努力の内容こそ教訓化していくべきです。市教育委員会は、全国的な学力調査といっても調査により測定できるのは学力の特定の部分であること、学校における教育活動の一側面にすぎないことを踏まえるべきではないでしょうか。子どもたちの豊かな成長とはテストの点を上げるだけの教育ではなく、日々の子どもたち同士の学び合いと確かな学力をつけるための教育でこそ育まれます。
以上の理由により今後全国一斉学力調査への参加を見直すべきだと考えますが、教育委員会の見解を伺いまして第1回目の質問といたします。
○議長(山内寛) 藤原市長。
◎市長(藤原保幸) (登壇)私からは、直面する政治問題への私の認識についてのお尋ねにお答え申し上げます。
まず、消費税増税についてでございますけれども、安倍内閣総理大臣が来年4月に消費税率を現行の5%から8%に引き上げることを決断し、日銀の企業短期経済観測調査、いわゆる短観などを踏まえた上で来る10月1日に消費税増税を正式に発表すると、こうした旨のきょうの朝刊で報道がなされたところでございます。この報道が正しいとしますれば、もう既に決着済みということになるようでございます。また、消費税増税によります景気の腰折れ、これを懸念するエコノミストの方が多いわけでありますけれども、これに対応するためということで、5兆円規模の経済対策もあわせて実施される見通しとのことでございます。
議員も御指摘いただきましたように、消費税増税は広く国民の皆様に負担を求めるものでありまして、そもそも増税そのものを歓迎する方というのは余りいらっしゃらないかと思います。国民の中に多様な意見があるということは私も十分認識しておるところでございます。
今、加柴議員からは世論は反対が圧倒的との調査結果の御紹介をいただきましたが、ある報道機関、具体的に申し上げますと、日本経済新聞とテレビ東京が調査しておりますが、この世論調査によりますと、消費税率の引き上げを容認する声が7割超とのことでございます。また、有識者による政府の集中点検会合におきましては、これも盛んに報道されておりましたが、60人の有識者中7割超の44人が予定どおり来年4月に消費税率を8%に引き上げることに賛成とのことでございまして、こうしたことからいたしますと、消費税増税はやむを得ないとの声が多くあるものと認識しております。
私自身といたしましても、これから将来に向けての我が国の社会状況を踏まえれば、安心できる社会保障制度の確立が何にも増して重要であると、そしてそのためには安定的な財源が確保されねばならない、そういう観点から消費税の引き上げというのは避けて通れない課題ではないかと認識しておるところでございます。
次に、社会保障と税の一体改革についてでございますけれども、この件につきましては、昨年8月10日の社会保障・税一体改革関連法の成立によりまして社会保障制度改革国民会議が設置されまして、20回にわたる会議を経まして、本年8月6日、社会保障制度改革の方向性と各制度の具体的な改革案が示された報告書が取りまとめられたところでございます。そして、8月21日でありますけれども、この報告書に基づきまして、社会保障制度改革の推進に関する骨子、これが閣議決定されまして、今後この骨子に基づきまして社会保障制度改革が具体的に動き出すものと考えておるところでございます。そして今後国の社会保障に係ります来年度予算編成がどのようになっていくのかといったような動向などを注視しながら、本市におきましても国の動向を踏まえた適切な予算編成などを進めてまいりたいと考えておるところでございます。
社会保障給付の削減につきましては、社会保障制度改革国民会議の報告書におきましても、安定的な財源確保とあわせ徹底的な給付の重点化、効率化や負担能力に応じた負担が求められるとともに少子化対策が社会保障の重要な柱であると位置づけられているところでございます。その具体的な方針といたしまして、これまでの年齢別の負担から負担能力別の負担への転換及び社会構造の変化に応じた高齢期中心から全世代を対象とした社会保障への転換が示されているところでございまして、私としてもおおむね妥当な方向性ではないかと思っております。全ての世代に安心感と納得感の得られる持続可能な全世代型の社会保障制度へ再構築すべきものとして考えているところでございまして、社会保障制度改革に関します国の今後の動向を注視し、私といたしましては、何度も申し上げておりますが、支え合いの心でつくる安全・安心のまちの実現に向けまして的確に対応してまいりたいと思っておりますので、議員各位の御理解、御強力をよろしくお願いいたします。
他の御質問につきましては、担当部長等より御答弁申し上げます。
○議長(山内寛) 後藤
財政基盤部長。
◎
財政基盤部長(後藤和也) (登壇)私から、平成24年度の決算に関連して、地方交付税等に関する数点の御質問にお答えいたします。
まず、政府は一般財源は確保したとしているが、本市の平成24年度決算ではどうだったのかとの御質問にお答えいたします。
平成24年度の
地方財政計画におきましては、全国ベースにおいて、平成23年度の国税収入の増額補正に伴う繰越金が確保できたことや地方公共団体金融機構の公庫債権変動準備金から3500億円を活用したことなどから出口ベースにおける
臨時財政対策債を含む実質的な地方交付税総額について平成23年度以上の額を確保できたところであり、この点については、地方六団体においても地方が強く訴えてきた地方交付税の増額要請に応え、地方交付税の別枠加算の確保など財源の確保にできる限りの工夫がなされたことを評価すると平成24年度地方財政への対応についての共同声明において評価しております。
本市におきましても、平成22年度の法人市民税の一過的な増収に伴う平成23年度の地方交付税の減少の影響を排除すれば、議員御指摘の平成22年度との比較のみならず、平成23年度との比較におきましても、普通交付税と
臨時財政対策債の合計額で約1億円の増となり、
一般財源総額は確保されたものと考えております。
なお、既に交付決定のありました平成25年度の普通交付税におきましても、国家公務員と同様の給与削減を実施することを前提とした地方公務員給与費の削減に伴う影響を差し引けば、地方交付税等の
一般財源総額について平成24年度の
地方財政計画と同水準が確保されており、
一般財源総額の確保という面では高く評価しているところでございます。
次に、地方交付税の本来の役割である財源保障機能を果たしているのかとの御質問にお答えいたします。
地方交付税は、地方交付税法の規定により所得税及び酒税の32%、法人税の34%、消費税の29.5%、たばこ税の25%が地方交付税として法定されているとともに、同法第7条では、内閣は、翌年度の地方団体の歳入歳出総額の見込み額に関する書類、すなわち
地方財政計画を国会に提出することになっており、その
地方財政計画における歳入歳出ギャップを埋めるのが地方交付税総額となります。平成24年度はその総額が確保されていることから、地方財源の保障はなされていると認識するところです。ただし、
地方財政計画の歳出に計上されていない地方単独事業については、留保財源等、地方の独自財源により実施することとなっているところですが、福祉医療に関する地方単独事業など、実態的には既に全国で実施している事業については
地方財政計画に計上し、財源保障の対象にすべきものと考えております。また、地方単独事業のうち社会保障関連経費につきましては、地方消費税の税率改定にあわせて
地方財政計画に計上する予定となっておりますが、財政需要を的確に反映するよう地方からも強く要請しているところです。
次に、国による
一般財源総額の削減に対する当局の見解についての御質問にお答えします。
財務大臣の諮問機関である
財政制度等審議会が本年5月に出した答申、財政健全化に向けた基本的考え方では、今後の地方
一般財源総額について、前年度と実質的に同水準とする平成25年度予算編成の取り組みは、一般財源の対象となる地方歳出の抑制を図る観点からも最低限の歯どめとしてこれを継続していくことを求めております。加えて、
地方財政計画における歳出特別枠や地方交付税の別枠加算は
リーマンショックに伴う著しい景気後退等を受け、実需に基づく積算を伴わない異例の対応として実施されたものであり、地方財政においても平時の対応に戻すべく歳出特別枠や別枠加算の解消を図る必要があるという厳しい認識を示しております。それに対して総務大臣の諮問機関である地方財政審議会が本年6月に出した答申、地域再生に向けた地方財政改革についての意見においては、地方交付税の所要額の確保に関し、
地方財政計画の歳出特別枠は、
リーマンショック後に地域の疲弊が深刻化する中、雇用対策、地域経済の活性化等の観点から拡充されている。日本経済の再生と財政健全化の両立に配慮しながら当面は地域経済の活性化に必要な財源を確保する必要がある。このため、単に国の歳出削減の目的で歳出特別枠を一方的に減額することは地域経済に停滞をもたらしかねず、適切ではないと指摘しております。また、地方交付税の別枠加算についても、そもそも地方の巨額の財源不足に対して法定率の引き上げで対応できないため設けられたという背景があることに留意が必要と指摘しております。
このように特に
地方財政計画における歳出特別枠や地方交付税の別枠加算については両審議会の意見は真っ向から対立しているところですが、
経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる骨太の方針2013では、必要な財源を確保しながら、経済再生に合わせ、こうした危機対応モードから危機以前の状況、すなわち平時モードへの切りかえを進めていく必要があるとしており、歳出特別枠や地方交付税の別枠加算の減額が示唆されております。しかし一方で、地方税収をふやすなど歳入を充実し、国の取り組みと歩調を合わせて歳出抑制を図るなど歳入歳出両面の改革に取り組むとともに、地方の安定的な財政運営に必要な一般財源の総額を確保するとしており、行財政改革の実施が前提ではありますが、必要な
一般財源総額は確保されるものと考えております。
総務省の平成26年度概算要求においては、地方交付税を含めた地方の
一般財源総額について、平成25年度
地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保する要求内容となっており、今後予算折衝において議論が本格化するものと考えております。仮に歳出特別枠の全額が削減された場合は、議員御指摘のとおり、その影響額は平成24年度の算定に基づく試算では2億4700万円の
基準財政需要額の減額につながるものと推計しております。
また、交付税の算定に行革努力と地域経済活性化の成果の2つの観点を反映することについてですが、そもそも地方交付税は、地方公共団体の財源の不均衡を調整し、どの地域に住む国民にも一定の行政サービスを提供できるようにするための財源調整機能と財源保障機能を合わせ持つ地方固有の財源であります。今回の件につきましては、地方公務員の給与削減措置において地方六団体が一斉に反対したにもかかわらず新たに地方交付税を政策誘導手段として活用し、国が地方公共団体の取り組みを一方的に評価して地方交付税に反映しようとするものであることから、本市といたしましては、地方分権の推進に逆行するものと考えております。
本市といたしましては、歳出特別枠は総額の圧縮をすることなく一般行政経費の中に溶け込ませ、毎年度の予算編成におけるベースとなることが望ましいものと考えております。また、
一般財源総額が適正に確保されるよう、全国市長会等、あらゆる場において意見を申し述べていきたいと考えております。
○議長(山内寛) 増田総務部長。
◎総務部長(増田平) (登壇)私からは、平成24年度決算における数点の御質問のうち職員の人件費に関する御質問にお答えいたします。
地方公務員の給与制度につきましては、地方公務員法第24条第3項において、職員の給与は生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与を考慮して定めることとされているところでございます。また、同法第14条第1項では、地方公共団体は、この法律に基づいて定められた給与、勤務時間、その他の勤務条件が社会一般の情勢に適用するように随時適当な措置を講じなければならないとされております。そして、この決定の手続につきましては、同法第24条第6項におきまして、職員の給与、勤務時間、その他の勤務条件は条例で定めるとされており、いわゆる給与条例主義が規定されているところでございます。
人事委員会を持たない本市におきましては、地方公務員法の規定に基づき近隣他都市との均衡にも留意しながら人事院勧告に準拠した今日的な人事・給与制度の構築に取り組んできたところでございます。
そこで、
人件費削減サイクルを断ち切り見直す時期に来ているのではないかとの御質問についてでございますが、議員御指摘のように、長きにわたり本市の人件費総額は減少しておりますが、その理由といたしましては、1つには先ほど申し上げました人事院勧告に基づく給与改定による影響がございます。本市におきましては、ここ数年、種々給与制度の見直しを図ってきたところでございますが、給与構造改革による平均4.8%減の給料表の改定や地域手当、期末勤勉手当の改正、住居手当の引き下げなどはいずれも人事院勧告に準拠した取り組みでございまして、これらは地方公務員法にのっとった適正な給与水準を維持するためには必要な措置であると認識いたしているところでございます。
次に、議員御指摘のように職員の新陳代謝による影響がございます。本市におきましては、団塊の世代の退職により大量の職員が入れかわりましたこと、加えて昭和50年代において7年間採用を中断いたしましたことから組織が大きく若返っております。一般行政職職員の平均年齢を見てみますと、給与構造改革実施前の平成18年度では平均年齢が46歳2カ月でございましたが、平成25年度は39歳となり、7歳2カ月若返っております。また、経験年数につきましても、平成18年度で23年11カ月であったものが平成25年度におきましては14年5カ月となっており、9年6カ月減少している状況にございます。給与構造上、年齢や経験年数が下がることは当然給与も低くなるところでございまして、職員の新陳代謝がここ数年人件費総額を引き下げている大きな要因であると考えているところでございます。
ちなみにそれぞれの影響額についてでございますが、まず給与構造改革及び地域手当、住居手当の見直しといった人事院勧告によるものといたしまして、平成18年度に策定いたしました行財政運営改善計画期間の5カ年の合計で約21億円、次に定員適正化を含む職員の新陳代謝による影響額が約20億円であったところでございます。こうした給与制度の適正化に向けた取り組みと比較し、今回の給与減額措置につきましては、これまでにも御答弁申し上げましたとおり、人事院勧告に基づくものとは全く趣旨の異なった取り組みであると認識しているところでございます。
今回の給与減額措置に至った経緯につきましては、御案内のとおり、国家公務員が東日本大震災復興財源の一部に充てるため、平成24年度から2年間の時限措置として平均7.8%の給与減額を実施する中、この特例法の立法過程におきまして、同法附則に、地方公務員法及びこの法律の趣旨を踏まえ、地方公共団体において自主的かつ適切に対応されるものとすると規定されたことに端を発したものでございます。国が地方公務員の給与削減を強制することは地方自治の根幹にかかわる問題でありますことから、直ちに国の要請を受け入れることはできないとしていたところでございます。そういった中、国が今年度の特例として
地方財政計画の中で給与費分を削り地方交付税の配分を減らすといった方針を示す中、本市では、減額される交付税に見合う額を財政基金から取り崩して予算措置を行ったところでございます。今年度、国の政策どおり地方交付税法が改正され、現実として地方公務員の給与減額が前提とされている中、地方交付税の減額を負担することにより市民サービスを低下させることのないように対処していく必要があると判断し、今回苦渋の決断を行ったところでございます。
このように今回の給与削減措置につきましては地方交付税の減額に対処する方策として行うものであり、人事院勧告に基づく適正化とは異なった措置であると認識いたしておるところでございまして、今回の定期昇給の見送りと課長級以上の職員の給与カットにつきましては、職員に大きな負担をお願いするところであり、まことに遺憾でございます。
議員御指摘のように、人件費は年々減少しているところではございますが、本市では、これまで総合計画の着実な進捗に向け事業実施5カ年計画を策定するとともに、計画に連動した行革プランに基づき多角的な視点から継続的に行財政改革に取り組んでまいりましたことから、給与構造改革以降、財政状況の悪化に起因する意図的な給与の引き下げは市長等の常勤特別職を除き行ってはおりません。今後とも、本市の給与制度につきましてはこれまでどおり地方公務員法を順守する中で今日的な人事・給与制度の構築に向けて適時適切な対応をしてまいりたいと考えております。
○議長(山内寛) 桝村総合政策部長。
◎総合政策部長(桝村一弘) (登壇)私からは、空港問題について、2点の御質問にお答えいたします。
最初に、低騒音機材枠の実施に伴う騒音値についての御質問にお答えいたします。
御指摘いただいたとおり、本年3月31日より
プロペラ機枠を3年かけて段階的に低騒音機材枠に切りかえられることになっておりまして、この夏ダイヤから50回が切りかえられたところでございます。これにより、本年4月から1日370回の発着枠を有効に活用できるようになりました。発着回数がふえることによって騒音値の増加が懸念されましたので、新関西国際空港株式会社は、その対策として、離陸時の航空機を急上昇させることで空港の敷地を出る段階での高度を稼いで騒音値が低減するよう滑走路が長い空港西側にあるB滑走路の使用割合を高めました。あわせて、その他の対策としてではございますが、機材ごとの騒音値の大きさに応じた着陸料に改め、低騒音機材への代替を促進するように対応されました。
4月の騒音測定結果を見ますと、新関西国際空港株式会社が測定しているポイントでは全体的に騒音値は減少する傾向となっており、一定評価されますが、本市が測定しております西桑津の測定局では、昨年4月のうるささ指数であるWECPNLが76.2であったのに対し、本年4月が78.3となりました。本市としまして、特定のポイントだけが増加する対応には問題があり、騒音軽減に関して必要な対策をとるよう機会があるごとに新関西国際空港株式会社に要請をしてまいりました。去る8月21日に10市協として新関西国際空港株式会社に要望した際には、春田副社長から、地元からの声も聞いており重く受けとめている、騒音値の推移を見るため、4月から6月の騒音値について、本市など自治体が独自で測定しているデータも含め、詳細に分析し、対応を検討していきますと発言をいただいております。近日中にこのモニタリングの結果とあわせ来年夏のダイヤに向けた何らかの対応策の発表を求めておりますので、御理解いただきますようよろしくお願い申し上げます。
次に、
大阪国際空港及びその
周辺地域活性化促進協議会の要望内容に関しての御質問にお答えいたします。
大阪国際空港及びその
周辺地域活性化促進協議会は、空港所在地である伊丹、豊中、池田の3市の商工会議所が中心となって空港及び地域の活性化に取り組んでおられる団体でございまして、本年7月1日に
大阪国際空港と周辺地域の活性化について10市協に要望書が出されました。要望内容は、
大阪国際空港のフル活用のために利用者の利便性を損なう規制があるとして、1つには長距離便の早期増便、復便、2つ目には運用時間制限による遅延便の弾力的な取り扱い、3つ目には1時間当たりの発着回数規制の緩和、4つ目には近距離国際線の就航の4項目となっております。
一方、10市協の運動方針でございますが、御報告させていただいておりますとおり、国土交通省、新関西国際空港株式会社の2者に対して行っておりますが、万全な安全環境対策を実施するよう求める内容と空港の利便性向上と地域振興に関する内容となっております。
活性化協議会から要望のあった4つの項目について10市協運動方針との関連について申し上げますと、長距離便と国際線就航の規制緩和につきましては、航空ネットワークを充実し利用者利便を図る観点から運動方針として実現するよう要望いたしておりますが、運用時間制限による遅延便の弾力的な取り扱いと1時間当たりの発着回数の規制緩和につきましては具体的な要望事項となってございません。
運用時間制限による遅延便の弾力的な取り扱いと1時間当たりの発着回数の規制緩和は存続協定に抵触するのではないかと御指摘をいただきましたが、現状のダイヤは20時35分到着が最終便となっておりますが、存続協定では当面午後9時以降、翌日午前7時までに発着するダイヤ設定を認めないということになっておりますことから、21時までの到着ダイヤを設定することにつきましては存続協定に抵触するものではございません。
なお、遅延便につきましては、急患輸送、捜索救難、災害派遣、人命救助や緊急事態への対応などの人道的な要請に加え、天候や伊丹空港の混雑などの理由により限定した取り扱いとなっていますので、活性化協議会の要望はこの取り扱いの柔軟な対応を求めるものと考えられます。
次に、1時間当たりの発着回数の規制緩和についてでございますが、1時間ごとの発着回数に関して存続協定には記述はございません。今回の低騒音機材枠の導入でこれまで使用されなかった30回程度枠の使用が可能となりましたが、特に需要の高い18時から20時台の伊丹到着便は、時間当たりの到着枠が上限に達しているため、需要の少ない時間帯しか新たなダイヤが組めない状況となっております。この要望内容は利便性の向上の観点から要望されたものでございまして、1日当たり370回の枠を広げるよう要望されたものではございません。
いずれにいたしましても、空港利用に関しましては安全が第一であり、環境対策を万全に行うことが求められます。遅延便の弾力的な取り扱いは周辺住民の方々の理解が必要となりますし、また1時間当たりの発着回数の規制緩和につきましては、空港運用に関して安全の確認が必要になるものと考えております。今後このような新たな事項に関しましては関係者と十分な協議をしながら対応してまいりますので、よろしく御理解賜りますようお願い申し上げます。
○議長(山内寛) 二宮
健康福祉部長。
◎
健康福祉部長(二宮叔枝) (登壇)私からは、
国民健康保険及び介護保険に係る数点の御質問にお答えをいたします。
まず、
国民健康保険事業についてであります。
1点目の財政運営の
都道府県単位化など国の動向に関する御質問でございますが、議員御案内のとおり、
国民健康保険制度の安定的な運営を確保するために、財政運営の
都道府県単位化の推進、都道府県調整交付金の割合の引き上げ等の所要の措置を講ずる
国民健康保険法の一部を改正する法律が平成24年4月6日に公布されております。お尋ねの都道府県単位の
保険財政共同安定化事業の改正につきましては平成27年度からの施行とされておりますが、現在の1件当たり30万円超では医療費の約4割が共同事業の対象となり、拠出金の拠出割合を基本形の
医療費実績割50%、被保険者割50%とした場合、医療費の約2割分の保険料を都道府県単位で平準化させる方向に働いているものが、1円以上に拡大すると医療費の約5割分の保険料を平準化させる構造になると言われております。したがいまして、事業規模が現在の2.5倍程度になることから推測いたしますと、伊丹市国保にとりましては平成24年度の決算における拠出超過額の約1.6億円が約4億円に膨れ上がる可能性を含む改正ということになります。
さらに政府は、社会保障制度改革国民会議の報告書を受け、本年8月21日に改革内容やスケジュールを定めたプログラム法案の骨子を閣議決定いたしておりますが、その中で国保保険者の都道府県移行時期については29年度をめどと位置づけております。こうして社会保障と税の一体改革の中で国保保険者の
都道府県単位化の移行時期がいよいよ具体化されてまいりましたが、社会保障制度改革国民会議の報告書においては、この保険者の都道府県移行を医療提供体制改革の一つとして提言しております。
報告書が提言する医療提供体制改革とは、高齢化の進展により医療需要が増加し、疾病構造が大きく変化していく現状において、今後必要とされる医療の内容を病院完結型から地域全体で支える地域完結型へと医療提供体制そのものを改革していかなければ
医療保険制度を持続可能なものとすることはできないというもので、そのためには病院・病床機能の再編を柱に都道府県の権限を拡大させることが必要であるとの考えのもとに保険者の都道府県移行の必要性が求められているものであります。
保険者の都道府県移行が実現されれば、都道府県が地域の医療提供体制に係る責任を積極的かつ主体的に果たすことができる体制づくりが整い、これまでからも医療計画の策定を通じて地域の医療の責任を担ってきた都道府県により医療資源の適正配置や医療費適正化に取り組むインセンティブが働くことになるということが目的とされているのであります。
なお、国保保険者の都道府県移行は抜本的な財政基盤の強化を通じて国保財政の構造問題の解決が図られることが前提条件とされており、また保険者機能の全てが都道府県に移行するのではなく、都道府県と市町村が適切に役割分担を行い、保険税収納や医療費適正化のインセンティブを損なうことのないような分権的な仕組みを目指すべきであると報告書には明記されております。その中で、我々市町村は適切な役割を担い、国民皆保険制度の堅持のための責任を今後も引き続き果たしていきたいと考えております。
次に、2点目の医療給付費が前年度比で1.0%減少した原因と背景についての御質問であります。
平成24年度決算における伊丹市
国民健康保険事業特別会計の療養給付費、療養費、高額療養費を合わせた医療給付費の総額は133億3080万3000円となり、議員御案内のとおり、前年度より1億3477万1000円の減額、率にして1.0%の減少となりました。この原因には大きく2つの要因があるものと分析しております。
まず1つ目の要因は、被保険者数の減少であります。医療給付費は1人当たり費用額が同額に推移すると仮定しましたら被保険者数の動向に比例することになりますが、平成24年度におきましては前年度と比較しまして平均被保険者数が506人減少しており、このことが費用額において約1億5000万円を引き下げる要因となったものと考えております。
次に、2つ目の要因といたしまして、1人当たり費用額の減少が上げられます。具体的な数値を御説明いたしますと、平成23年度においては1人当たり費用額が31万6903円であったものが平成24年度においては31万5961円と0.3%減少しており、これらのことが費用額において約5000万円を引き下げる要因になったものと考えております。そしてさらにこの1人当たり費用額を減少させる要因の分析につきましては、受診率、1日当たり費用額、1件当たり日数、これら3つの基本指標の伸び率を調査することにより把握を進めてまいりました。この中で特に1件当たり日数が3.90%の減少を示しており、前年度の3.14%の減少幅をさらに上回る率での低下となっております。これまでも1件当たり日数は減少を続けてまいりましたが、その減少幅がさらに増大する一方で受診率及び1日当たり費用額の伸び率が鈍化したことにより、1件当たり日数の減少要因が他の2つの上昇要因を打ち消す形となり、結果として1人当たり費用額を減少させるに至ったものであると分析しております。
次に、現状といたしまして、平成25年度の伊丹市国保会計における医療給付費の状況でありますが、本年9月の支払いベースで前年同月比0.7%増の伸び率となっております。また、将来の見通しについてでありますが、去る9月10日に厚生労働省より公表されました平成24年度の概算医療費は38兆4000万円(後段に訂正発言あり)と過去最高を更新しておりますが、その伸び率は1.7%と、前年度の3.1%からその伸びを鈍化させております。また、7月30日に国保中央会が発表しました全国市町村国保の医療費速報によりますと、平成24年度の医療費の伸び率は0.8%と微増にとどまっており、ここでもまた前年度の2.6%より伸び率は大きく鈍化しております。
このように医療費の伸びの鈍化は伊丹市に限ったものではなく、全国的な様相であり、このたびの結果が一過性のものなのか今後も引き続き継続していく傾向であるのかを速やかに見きわめることが必要であります。そのためには、今後の被保険者数の動向、消費税の引き上げが診療報酬に及ぼす影響、平均在院日数の状況、感染症の流行状況、診療報酬そのものの改定の動向、医療提供体制改革の動向等、あらゆる情報に注視しながら医療費の今後の推移を可能な限り適切に予測していかなければならず、こうした医療費の予測は大変困難を伴います。しかしながら、市町村国保の円滑な事業運営及び財政の健全化の実現のために保険者に求められる最も大きな課題の一つであると強く認識いたしております。
最後に、3点目の保険税に関する御質問でございますが、議員御指摘のとおり、伊丹市
国民健康保険税は基礎課税額における平均割額(後段に訂正発言あり)を2万8500円に、平均割額(後段に訂正発言あり)を2万3800円に、所得割税率を9.10%に引き上げることにより2.9億円の新たな歳入確保を目指し、伊丹市
国民健康保険税条例の一部を改正する条例を制定し、平成25年4月1日から施行しております。この条例改正の目的とするところは、これ以上累積赤字額をふやさないよう平成25年度に予測される医療給付費の伸びから必要となる新たな財源2.9億円を確保することにより、単年度収支を悪化させないことにありました。しかしながら、平成24年度の決算におきまして、一般被
保険者医療分の会計収支が単年度で12億1909万7000円の改善を見せ、歳入歳出差し引き額では4億434万円の黒字へと一極に累積赤字を解消する結果となりました。そしてさらに、平成25年度におきましても医療給付費の伸び率が当初予算時での推測を下回るような低率で推移した場合には、このたびの税率改定による増収分が一般被
保険者医療分の会計にさらなる単年度収支の改善をもたらすことになります。
医療保険制度を支える
国民健康保険の保険者として円滑な事業運営の実施を目指す上では、被保険者の皆様の税負担のあり方には最もきめ細やかな配慮を行う必要があると考えております。その意味において、累積赤字の解消という長年の大きな課題は平成24年度の決算におきまして解決ができましたが、平成25年度に税率改定を実施していることを重く受けとめて、伊丹市
国民健康保険事業特別会計の円滑な事業運営に取り組んでいかなければならないという思いであります。
国民健康保険税の負担のあり方についての検討は今後加速度的に進められていく
医療保険制度改革の進捗状況と医療費の伸びの推移に係る予測とのセットで議論を進めていく必要がありますが、あわせて国保会計に及ぼすさまざまな要因を分析していかなければなりません。それとともに、来る平成29年度の保険者の
都道府県単位化を見据えながら被保険者の皆様の税負担の現状を十分考慮した施策の展開に一層の努力を続けなければならないということは言うまでもございません。
被保険者の皆様の理解を得ることなしには将来にわたって保険制度の持続可能性を確保することはできず、それを果たすことこそが市民の皆様に一番身近な存在である市町村に与えられた重要な責務であると認識しておりますので、御理解賜りますようよろしくお願い申し上げます。
次に、介護保険に係る御質問にお答えいたします。
まず、要支援認定者を保険給付の枠組みから外す動きについてという御質問でございますが、議員御案内のとおり、今月4日に開催されました社会保障審議会介護保険部会において、厚生労働省から要支援者に対する予防給付の見直し案が提示されました。見直し案は、
介護サービスの種類、内容、運営基準、単価を全国一律で国が定めている現在の予防給付を高齢者の在宅生活を支えるために市町村の判断で
介護サービス事業者以外にもボランティア、NPO、民間企業、
社会福祉法人等の多様な主体による柔軟な取り組みにより、見守り、配食、外出支援、買い物など生活支援のための多様なニーズに応えていくことができるよう地域支援事業の形式に移行させるというものでございます。
この見直し案によりまして、現在サービスの対象外になっております家の中の修理や庭の草むしり、庭木の手入れなど要支援者のニーズの高い生活援助サービスの提供が可能となるとともに、高齢者が積極的に社会に参加し生活支援の担い手となることで、高齢者が中心となった地域の支え合いの仕組みの構築が期待できることなどが上げられています。一方で、公益社団法人全国有料老人ホーム協会などからは、保険者ごとの事情で地域差が生じたり、現在の介護予防と同水準の給付を期待することは難しいなどの理由で国に対して介護予防給付の制度存続についての要望は行われているところでございます。
いずれにいたしましても、今後国において介護予防給付の見直しが進められる中、その動向を注視しつつ、このたびの見直しをこれまで利用者が受けていた日常生活支援等の
介護サービスの提供を損なうことなく、新たに本市として効果的かつ効率的な事業として生かしていくためにはどのように取り組んでいく必要があるのか、伊丹市福祉対策審議会等の御意見もいただきながら十分な協議検討を重ねてまいりたいと思います。
次に、サービス利用料の軽減制度に関する御質問にお答えをいたします。
介護保険サービスは、保険料の滞納がない場合は利用料の1割を負担することになっておりますが、特に生計が困難な方につきましては、
社会福祉法人等による利用者
負担軽減制度がございます。本制度は、社会福祉法人が低所得者の負担軽減を行うことは法人本来の使命との考えのもと、低所得者の介護保険サービスの利用促進の観点から制度化されたもので、平成24年度では68名の認定者がおられ、61の事業所で合わせて250万円の軽減が実施されております。その負担軽減の認定を受けるには収入や預貯金、資産や扶養の状況に加えて介護保険料を滞納していないことなど一定の条件が国において決められており、各社会福祉法人はその条件のもと当該制度を実施しているところでございます。軽減割合は利用料、食費、居住費のそれぞれ4分の1となっており、その軽減分は社会福祉法人がその社会的責務において負担しているものでございます。本市独自でその条件を見直すことは考えてはおりません。質問にございましたデイサービスの利用者
負担軽減制度の対象となるサービスでございますので、条件に当てはまる場合は御利用をしていただきたいと思います。
また、利用料の軽減につきましては、議員も御承知のとおり、同じ月に利用したサービスの1割の利用者負担の合計額が高額になり一定額を超えた場合には超えた分が高額サービス費として申請により支給されます制度や、施設サービスなどを利用した場合の食費、居住費の負担額を減額する制度、また介護保険との高額合算制度などがございます。
なお、平成27年度から29年度を計画期間といたします第6期の介護保険事業計画においては、国において低所得者に対する保険料の軽減措置が考えられており、また先ほどの介護予防給付の見直しにおいては、全国一律の1割の利用料負担についても、市町村の判断で利用料の設定が可能とされているところでございます。現段階では
社会福祉法人等によります利用者
負担軽減制度など現行の制度以外の利用料軽減措置は考えておりませんことを御理解賜りますようよろしくお願い申し上げます。
○議長(山内寛) 村上市民自治部長。
◎市民自治部長(村上雄一) (登壇)私から、ごみの減量化及びリサイクルの現状と課題について、数点の御質問にお答えいたします。
まず、
一般可燃ごみの増加から見えてくるものについてですが、平成24年度からごみと資源の分け方、出し方を一部変更し、容器包装ではないプラスチック製品を燃やさないごみから燃やすごみに、また空き缶の資源回収を市内全域で月2回実施、古紙、古布の資源回収を月1回から月2回に拡大したところであります。その目的は、容器包装でないプラスチック製品を燃やすことで最終処分量を減量して神戸沖の埋立処分場の延命を図ること、また国が推進するサーマルリサイクルを推し進めるほか、資源回収を拡大してより一層のごみの減量化を図ることであります。さらに、
プラスチック製容器包装については、透明の一重袋で出していただくことを市民の皆様にお願いし、異物の混入を防ぎ、資源としての品質向上を図ろうとするものです。
そこで、この新分別の効果についてでありますが、まず1点目のごみの量がかえってふえたのではないかということにつきましては、平成23年度と平成24年度を比較いたしますと、燃やすごみについては3.6%の増となっており、容器包装ではないプラスチック製品を燃やすごみに移行したことが一因との見方もありますが、全国的にも平成22年度を下限に23年度から微増の傾向が見られ、景気回復の兆しなど社会経済状況の変化も要因と考えております。一方、燃やさないごみにつきましては1107トン、22.5%の減となっており、家庭系ごみの総量で比較いたしますと、平成23年度の3万2685トンに対し平成24年度は3万2407トンと、0.9%とわずかながらではありますが、減量となっております。
2点目の
プラスチック製容器包装に関することについてですが、回収量で見ますと、平成24年度は平成23年度に比べて265.3トンの増、割合で22.3%と大きな伸び率となっており、
プラスチック製容器包装の分別意識が高まっていると考えております。一方、この資源化率が95.6%から82.1%に減少したことにつきましては、平成24年度から豊中伊丹スリーR・センターが稼働し選別ラインが整ったことによって異物の除去率が飛躍的に向上したことに起因したものと考えております。
日本容器包装リサイクル協会が選別、引き取り後に品質確認として実施するベール調査におきまして、
プラスチック製容器包装の精度は平成23年度の90.98%に対し平成24年度では95.12%に向上しており、スリーR・センターの選別ラインで従事する職員の努力と市民の御理解、御協力の成果であると言えます。
なお、資源化率82.1%につきましては、豊中市伊丹市クリーンランドに搬入される両市の搬入量合計をベースに除去された異物の量に対する割合から本市の収集量を掛け合わせて導き出したものであります。このように本市単独の資源率は出ておりませんが、伊丹市分のみの
プラスチック製容器包装に関する成分分析では、平成24年度に3回の搬入時展開検査を実施しており、この結果においても異物混入率は比較的低く、資源化率は平均で94%と
プラスチック製容器包装における分別意識は高く、市民の皆様には新分別の趣旨についても御理解と御協力をいただいているものと認識しております。
今後もごみ発生抑制を初め、再利用や資源リサイクルの取り組みを官民協働で推進してまいりますので、よろしくお願いいたします。
次に、再生資源集団回収量の減少は何を示しているのかの御質問にお答えいたします。
本市におきまして、再生資源集団回収奨励金制度は、ごみの減量と資源の有効活用などを目的に、市民の皆さんの協力を得、平成2年度に始まりました。新聞、雑誌、段ボールといった古紙3品目に加え、紙パックや布類、缶類を資源として回収いただき、回収業者に売却いただくとともに、その量を市に申請していただくことによりキログラム当たり4円の奨励金を交付するものです。これまで奨励金申請交付団体数は一貫して増加し、平成3年度は213団体でしたが、平成13年度は282団体、平成24年度には310団体と近年は毎年新たに7団体前後が新規登録され、事業開始時の約1.5倍まで増加し、自治会を初め子ども会やPTA、老人会などの地域団体におきまして熱心に取り組んでいただいておりますことから、再生資源集団回収は地域団体の取り組み事業として定着しているものと考えております。
一方、回収量につきましては、平成3年度は2140.6トンでしたが、平成14年度は7717.6トン、平成18年度は8045.6トンと回収量が増加してまいりましたが、その後は減少傾向をたどり、平成24年度は5817.6トンとなっております。減少に転じた時点からその要因に注目し資源の内訳を分析してきましたところ、毎年のように重量のある新聞の減少割合が一番高く、雑誌がこれに次いでおり、古紙やアルミ缶は安定ないし増加しております。より具体的には、平成24年度の回収量をピーク時の平成18年度と比較しますと、新聞で67%、雑誌で75%、古布で94%、アルミ缶で125%となっております。こうした状況は、インターネットなど電子情報の定着により新聞や雑誌の購読は減少傾向を示していると報道されていること、また古紙類の回収が量販店においてポイント還元を伴って実施されるようになってきたなど情報や古紙回収方法の多様化が進んだこと、また瓶から缶利用への変化が一因になっていると分析しているところです。
このような状況の中で、市民の皆さんが積極的にかかわることができるような再生資源集団回収の拡充について、中でも奨励金引き上げの必要性についての御質問でございますが、再生資源集団回収への取り組みを通じ、ごみ減量、資源化の市民意識高揚効果が期待できるとともに、取り組み団体の有効な活動財源ともなっておりますことから、奨励金の単価につきましては適切な設定が必要と考えております。周辺他市におきましてはキログラム当たり3円あるいは4円を助成しており、本市における助成金は決して少なくはないという状況になっておりますので、引き続き現状を維持するとともに、再生資源集団回収のPRを通じ地域団体における取り組みがさらに広がりを見せるよう努力してまいります。
本市におけます再生資源集団回収が今後におきましてもより一層取り組んでいただきやすい制度となるよう再生資源の種類や事務のあり方につきまして検討してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○議長(山内寛)
教育委員会事務局、太田学校教育部長。
◎
教育委員会事務局学校教育部長(太田洋子) (登壇)私からは、全国学力・学習状況調査についてお答えいたします。
本年度の全国学力・学習状況調査は、平成21年度以来4年ぶりに全ての小・中学校を対象に4月24日に実施されました。文部科学省は、8月27日、この結果について全国平均より5ポイント以上低い都道府県が小学校でゼロ、中学校で減少したことなど、過去の調査で平均正答率が低かった都道府県について改善傾向が見られると発表し、マスコミでは小・中学校の学力底上げと報じられました。
まず、1点目の学力調査の取り組みは中長期的に確実な学力の向上を目指すというよりも学力調査で科目ごとに少しでも順位、ランキングを上げるということが主な目的になっていないかとの御質問にお答えいたします。
そもそも本市における学力調査の目的は、1.児童生徒は自分自身の学習状況を客観的に把握し、学習意欲の向上を図る。2.学校は児童生徒の学習の定着度を把握し、指導法の改善に生かす。3.教育委員会は児童生徒の学習や理解度、学習状況、生活実態を把握、分析し、教育施策の成果と課題を検証すること等であります。具体的には、伊丹市の児童生徒が学習内容がどの程度定着しているかを客観的にはかるものであり、調査結果について詳細に分析し、全市的なデータを経年比較することにより伊丹市全体の課題を明確にし、子どもたちの学力向上に向けた施策に反映させたり今後の指導法などを考えていくものであります。
また、調査結果については、学校間の点数による序列化を進めるものではなく、それぞれの学校がその置かれている実態を踏まえてどのように取り組んだかを検証するためのものであります。さらに、一人一人の子どもの学力の状況を明らかにし、一人一人を伸ばすためのものでもあります。
このようなことから、教育委員会においては、調査結果から明らかになった課題解決に向け、ことば科の設置や読書指導員の全校配置等により表現力の育成や言語活動の充実に取り組んできたところです。また、学習習慣や学習意欲を育むため学力向上推進校を指定し、地域や保護者との連携のもと、放課後学習や土曜学習等に取り組む学校への支援を行い、その成果を各学校にも拡充してまいりました。さらに、各教科においては詳細な分析に基づき指導法の改善策などをまとめ、具体的な取り組みを進め、教師の授業力の向上に活用しております。
各校におきましては、自校の調査結果の分析をもとに学力向上プランを作成し、児童生徒の実態に即した生活面での指導や授業方法の工夫や改善等、課題解決に向けて具体的な取り組みを進めております。一人一人の生徒には、よくできていた項目、また課題である項目の評価と今後の学習方法などを文書記入している個人票を返却し、学習方法等について保護者とともに考えることができるようにしております。
なお、学力調査とあわせて学習状況調査を行っており、家庭での学習習慣や生活習慣などの状況についても経年変化も含めた実態把握をすることにより、児童生徒のよりよい学習習慣、生活習慣の定着に向けた取り組みを進めております。
教育委員会としましては、これらの取り組みが伊丹の子どもたちの生涯にわたり学ぶ力をつけ、中長期的に確かな学力を向上させるものであると考えております。このようなことから、今後も全国学力調査につきましては学力向上及び望ましい生活習慣の育成のために活用してまいりたいと考えております。
また、議員御案内の8月28日朝日新聞の社説には、いつも成績のよい県やぐんと伸びた県の教え方を学んで手本にするとあります。伊丹市では、学力・学習状況調査において毎年全国トップの成果を上げられておられる秋田県の教育に学ぶ機会として、秋田県の元小学校長で現在秋田県立大学の講師の方を伊丹市に招き、研修会を行い、秋田での学力・学習状況調査を生かした教育現場での実践を伺うとともに、自校の取り組みに生かせられるように取り組んでまいりました。また、校長会において高知県などの取り組みを共有いたしました。
また、この社説の最後には、子どもたちの苦手を知り、わかる教え方を工夫するためのテストである、過去の自分たちと比べてどれだけ伸びたか、ほかの地域や学校との比較より、そこにこだわったほうがいいと結ばれています。これまで申し上げましたように、学力調査は個々の児童生徒、個々の学校において調査結果を学校の学力向上に係る取り組みの改善のために有効活用するものであり、子どもたちと学校を序列化するために行っているものではありません。全ての授業はマネジメントサイクル、すなわちPDCAをしっかりと循環させることが大切であり、全国学力調査は今子どもたちに求められている学力の向上に向けた取り組みにおけるチェック機能としての重要な役割を果たすものです。
また、課題の改善には時間を要する場合もあり、児童生徒の学習習慣や生活状況について継続した調査を実施し、その結果から明らかになった実態を踏まえて学力向上、健全な生活習慣の育成のために、保護者との協力のもと、具体的に何ができるかを考えて取り組むことが重要であると考えております。
今後も全国学力調査、学習状況調査等を有効活用し、伊丹の子どもたちの学力向上、望ましい生活習慣の育成を図ってまいりたいと考えておりますので、御理解いただきますようお願いいたします。
○議長(山内寛) 加柴議員。
◆27番(加柴優美) (登壇)各部長がかなり早口で答弁していただきまして、6分間の発言時間がありますので、何点か質問したかったんですが、もう1点に絞って2回目の質問させていただきたいと思います。
それは、
国民健康保険の問題です。先ほど答弁があったように、ことし4月から値上げしていることを重く受けとめていると、聞きようによっては値上げしたことを反省してるというふうにも聞こえないこともないんですが、先ほど答弁もありましたように、医療費自体が前年に比べて減少して、国保会計全体は1億2600万円余りの全体として黒字になっていると。それで、かつことしの医療費の状況を見ると、前年と同じ月と比べて0.7%しか伸びてない。調べてみましたら、ことしの国保会計当初予算では、ことしの医療費の伸びを3.9%と想定した予算になっていますから、このままいきますと約3%分の医療費が減ってくる。もちろん3%減りますと医療費に対する国庫負担金も若干減りますけども、私自身の計算では数億円の黒字が生まれてくるんではないかというふうに推測をしてます。となれば、今回、今年度値上げした、約2.9億円の保険税を上げたわけですが、先ほど言った数億円の累積赤字等を考えてみますと、少なくとも来年度、今年度に値上げした分以上の国保税の引き下げは十分可能であるというふうに考えていますので、再度この点について答弁をお願いしたいと思います。以上で2回目とします。
○議長(山内寛) 二宮
健康福祉部長。
◎
健康福祉部長(二宮叔枝) (登壇)まずは先ほどの答弁の訂正からお願いいたします。さきに厚生労働省の概算医療費を38兆4000万円と申し上げましたが、38兆4000億円の間違いです。
もう1点、保険税につきまして、平均割額を2回申し上げてしまいました。均等割額を2万8500円、平等割額を2万3800円にでございます。訂正しておわびを申し上げます。
それでは、2回目の御質問にお答えいたします。
国民健康保険税の負担のあり方についての検討は医療給付費の推移だけでなく、あわせてこれ以外の国保会計に影響を及ぼすさまざまな要因をも視野に入れなければなりません。平成24年度の決算において、一般被
保険者医療分の会計収支を黒字転換とさせました主な要因を分析いたしますと、確かに医療給付費が前年度より減少したことが大きな要因の一つではありますが、医療給付費の32%の割合で交付される定率国庫負担である療養給付費負担金に過剰交付分が含まれていることや退職被保険者資格の職権遡及適用による医療給付費の振りかえ処理の効果額等の特殊要因が含まれていることを勘案すれば決して今後を楽観視できるものばかりではございません。
またさらに、保険者間の財政調整の仕組みである前期高齢者交付金が2年後精算であり、今後の医療費の伸びの低下により平成26年度には返還金の発生が予測されること、平成27年度から
保険財政共同安定化事業の対象医療費が1円以上の全ての医療費へと拡大されればさらなる拠出金超過の発生が予測されること、介護納付負担金や後期高齢者支援金が毎年5%を超える伸び率で被保険者の負担増となっていくこと、そして県下でもトップクラスとなる多額の一般会計からの法定外繰り入れの実施を受けていること等、今後の国保会計を逼迫させる要因や整理しなければならない課題が事業運営を待ち受けております。
今後これらのさまざまな国保会計に影響を与える要因を整理し、現時点における平成25年度の決算見込みや平成26年度以降の収支見通しをお示しし、被保険者の皆様の適正な税負担のあり方につきまして本年10月末に開催予定の第1回国保運営協議会におきまして諮問させていただき、議論を進めていく予定でありますので、御理解賜りますようよろしくお願い申し上げます。
○議長(山内寛) ここでしばらく休憩いたします。
〇午前11時50分 休 憩
〇午後 1時00分 再 開
○副議長(川上八郎) 休憩を解いて会議を続けます。
次に、10番 中田慎也議員の発言を許します。────中田議員。
◆10番(中田慎也) (登壇)ただいま議長より発言の許可をいただきましたので、私は、蒼翠会を代表いたしまして、将来世代につなげられるまちづくりを推進する上で順次質問を行ってまいります。
まず1点目、マニフェストを根拠とする政策推進の妥当性についてでございます。
2013年4月に当選された市長は現在、選挙時に訴えたマニフェストの実現に向けてスピード感を持って政策推進していることは周知の事実であります。市長はマニフェストを訴えて当選されたのですから、マニフェストを主張して執行機関側を動かすこと、こちらについて異論はございません。
市長選挙において、マニフェストなど主張できないはずという批判があることも一方で事実でございます。その理由といたしまして、地方議会は国政と異なり二元代表制をとられているからであります。市長としてマニフェストを実行する決意があるとしても議会の反対により実現できない可能性がございまして、そういった場合、マニフェストを訴えること自体には論理的に問題が生じます。
地方自治法第147条によれば、市長は統括代表権を有し、同法149条にその権限が概括列挙となっていることから考えても市長の権限というものはとても大きいものであることには間違いございません。しかし、同法96条に列挙されております事件に関しましては、議会が市の意思決定機関となっております。それゆえこの件につきましては当然、マニフェストに記載されているとしましても、議会の決定を受けていない、いわばアイデアベースのものにすぎません。
議会としての意見は当然議員それぞれの考え方がありますので一概に言及することはできませんが、会派としてあえて意見を申し上げるのであれば、政策実行の根拠がマニフェストに書いてあるからということでは納得のいくものではございません。議会の議決事件として法令に規定されている事項につきましては、今後の伊丹市にとって必要か否かといった議論が不可欠であると考えます。市長マニフェストにとって大切なことは当然マニフェストで示した政策を優先的に予算案に組み込めるかどうかであると考えますが、その予算案の賛否を我々が判断する上で先述の説明は欠かせないと考えます。
そこで、市長にお尋ねをいたします。政策推進の根拠をマニフェストによるのではなく市の未来の必要性を根拠とした説明に重点を置くべきだと考えますが、御見解はいかがでしょうか。
続きまして、2つ目、中長期的視野に立った今後の行財政運営のあり方について質問してまいります。
1点目は、当局の今後の財政運営についてです。
平成24年度伊丹市の各会計の決算結果が発表されました。既に議会にてさんざん説明はいただいておりますので詳細説明につきましては割愛させていただきますが、極めて良好な数値ということはもうわかっているところでございます。ただ、そういった内容に関して、市の全体の不断の取り組みにより昨年度以上の財政健全化が図られたことについては心から敬意を表するところでありますが、その実は国への依存性が強いことは否めず、市単独での財政の健全性については疑問が残るところであります。例えば
臨時財政対策債はその最たる例の一つではないでしょうか。
臨時財政対策債は地方債の一種でありまして、地方交付税の財源不足額、これを地方債発行にて補う形式をとるものであります。もちろん交付税の交付義務、こちらは国にあることから、償還費用は後年度の地方交付税にて算入される形によりまして、実質的には国が負担することとなっております。ただし
臨時財政対策債はあくまで発行が可能なものでありまして、発行しなければならないわけではなく、あくまで自治体自身の責任と判断で発行されるものであります。本市も他市と変わらず限度額までこの
臨時財政対策債は発行されております。
結果的に本市の市債残高合計、これを見てみますと、増減はあるものの一定のまま、微増微減というのを繰り返しております。当然普通債は三セク債等を除けば減り続けている一方で、特例債は逆にふえ続けている状況であります。この特例債、
臨時財政対策債を国が最後まで責任を持って果たして見てもらえるか否か、こちらについては以前議会でも質問がありましたが、保障というものは疑問に残るところでございます。特に
臨時財政対策債の発行額、こちらが約4割、企業債の償還財源として発行されているといういわば自転車操業のような状態でこの制度が本当に将来にわたって持続可能であるとは到底思えません。そもそもこの制度につきましては平成13年度から平成15年度までの3カ年の臨時的措置として導入されたものというふうな形でありますが、現在そんな形にはなっておりません。加えて一時期一括交付金なる制度の導入が政府より示唆されましたが、こちらが仮に実現するとなれば、
臨時財政対策債に対する扱いが不透明になるのではないか、そういった危惧を抱くところであります。
このような状況の中、実際
臨時財政対策債の発行額、こちらを抑制しているまちがあらわれ始めています。その内容を伺ってみたところ、先行きへの不安視であったり、どちらにしても長期借入金というのは抑制すべきでありまして、普通債も特例債にも変わりはない、モラルハザードを招く可能性があるのではないかというようなことでした。本市といたしましても、こういった先の状況を鑑みて対策を講じるべきではないでしょうか。
そこで、質問をさせていただきます。市債残高、こちらの大きな割合を占める
臨時財政対策債につきましては一定の発行抑制を視野に入れた財政運営を行うべきでないかと考えるところでありますが、当局の御見解をお伺いさせてください。
次に、議会及び市民への説明責任についてお伺いさせていただきます。
平成24年度決算結果を踏まえまして、市の財政が良好であり、国、そして地方での景気が回復傾向にあるからといいまして、この状況がこのまま続くとはなかなか思えません。経済動向に影響される歳入の増減、こちらについては予想がつかない一方で、今後は扶助費が増加することであったり、普通建設事業費に係る増加要素、こちらが多々存在していることを鑑みますと、今後市の財政が再び困窮する可能性というのは高いのではないでしょうか。
地域の自主性と責任のもと、限られた財源の中で持続可能なサービスを提供するためには効率的かつ効果的な市政運営が欠かせないと考えます。市民に正しい財政状況を理解していただき、今後の税金の使い方や市の事業のあり方について市民の理解を深め、ともに考えることが必要だと思われます。
このような状況の中、本市の行財政情報の公開度合いとしましては、まず財政については、昨年度大変わかりやすい資料を作成し、配付もしくはインターネット上での公開をされております。また、市政サービスの内容におきましても、事務事業を一般公開し、内容の向上を目的とした第三者機関、こちらを3カ年という形でありますが、設置されております。特に新規事業や重点事業につきましては平成23年度末より詳細な資料が作成され、市民からこちらは好評を博しています。総じて他市よりも先駆けた取り組みがなされているとは考えます。これには当局の方々に大変敬意を表するところでございます。
一方、総務省におきましては、地方自治体各地に対しまして、新地方公会計モデル、こちらのさらなる推進を提唱しております。目的としましては、市民や議会、外部に対する財務情報をよりわかりやすく示すことや財政運営や政策形成を行う上での基礎資料として資産債務管理や予算編成、政策評価等に有効活用するべきでないか、そういったことを示されております。
本市におかれましては、総務省改訂モデル、こちらを採用しているものの、固定資産台帳の整理が進んでいないことにより貸借対照表の固定資産計上額に精緻さを欠くといった課題が現在存在しております。こちらの課題解決におきましては、例えば今後の新地方公会計の推進に関する研究会の中間報告におきまして、固定資産台帳を整理することによって資産の正しい把握、維持管理、更新に役立てるべきとの提言がなされております。さらに複式簿記の導入を加えることで事業別、施設別など細かい単位でのフルコスト情報での分析が可能、そのような提言がなされております。
総務省として、これらの方針を地方に推進させるといったことには疑問の余地はございません。本市におきましては、公共施設白書におきまして一定コストの把握はできているものの、精緻さには疑問が残るところと同時に、各種事務事業についても、コストの試算結果、こちらについては精緻なもので示されているわけではありません。財務情報の公開及び財政運営や政策形成を行う上での基礎資料、それぞれを強化させる意味でも総務省の見解には一定同意するところがあると考えます。
そこで、質問をさせていただきます。市の事業の是非、こちらを議論するためにも各種事業コストを正しく試算し公開することは市民にとっても大変重要なことであると考えます。総務省の提言を踏まえ、固定資産台帳の整理及び複式簿記の導入を踏まえた情報公開の推進に対し、導入の是非の見解を当局にお伺いさせていただきます。
続きまして、3つ目、見えている課題、公共施設の維持管理について質問させていただきます。
公共施設における老朽化、維持管理、更新問題については、本定例会においても危機感のある答弁をいただいておりました。公共施設マネジメントへの意欲の高さ、こちらはうかがえます。現状調査の成果として作成された白書については、やや難解ではあるものの、データの質については高いものが載っておりまして、他市の議員や専門家からは高く評価している、そのような声を私自身も伺っております。ただ、現在こちらは調査段階のものを計画立案するという段階にありまして、この段階に予定よりも時間をかけていることは否めません。
御答弁の中で今年度中、平成25年度中にパブリックコメントを踏まえた基本方針を策定する、そして前期実施5カ年計画の間、つまり平成27年度までということだと思いますが、こちらで再整備計画の策定に取り組むと答弁されまして、さきの常任委員協議会においても1000名から意見聴取をすると述べられた目標に向かって出前講座等を開催されていることを見ても着実に前進していることは理解できます。しかし、計画策定までに時間がかかることはほかの政策と整合性をとる難しさが増すことにつながるのではないか、そのような懸念を抱くところです。公共施設マネジメントを推進すると決意したにもかかわらず、計画が停滞する間にほかの事業が推進されることで、結果的に公共施設の総床面積が増していくと、そのような疑問、懸念を抱きます。
今後公共施設の総量縮減を実行せねばならないことは、当局におかれましても今後全ての公共施設を維持管理することは難しいと御答弁されているように、自明のことだと思われます。公共施設マネジメントを進める、このように答弁された一方で、例えば中学校給食や発達支援センター等の再整備、これを進めることによって総床面積をふやす政策が推進されることは矛盾があるようにも考えます。このマネジメントに危機感を持って取り組むのであれば今後総床面積をふやすべきではない、そのように考えるところです。
そこで質問をさせていただきます。今後の行財政運営を左右する公共施設のマネジメントにおきまして、総量縮減方針は自明の理であると思われますが、各種政策推進の過程におきましてもこの方針は担保されるべきであるのかという考えに対し、当局の見解をお伺いさせていただきます。
続きまして、3点目は、将来の伊丹市を担い活躍する人材の創出というテーマで質問をさせていただきます。
1点目は、庁内にて活躍する人材を確率高く効率よく採用する戦略についてでございます。
現状としまして、行政サービスの向上におきまして職員の活性化は欠かせないということは、代表質問、過去ありましたとおり、もはや問題視するところではないと考えます。職員の活性化の上で、まず伊丹市役所にて活躍できる人材を採用すること、これが一番大事です。採用は、前回の議会でも申し上げましたが、集める段階と選ぶ段階、こちらに分けまして、集める段階についてはターゲットとなる求める人物像を明確化すること、そして2つ目は、ターゲットを集客するための告知、これらを戦略を立てて実施するべきではないでしょうか。また選ぶ段階につきましては、試験制度を人物重視にする、そして面接方法を現場における活躍可能性の有無を見抜くといった形で行う、そのような手法をとるべきではないでしょうか。
このようないろんな具体策を提言をさせていただいたところ、当局におかれましては、民間経験の採用の場合には、例えばSPIの導入であったり現場職員における面接の実施等、入庁希望者をさまざまな形で選考することによってこれまでとは違った人材が採用できたと、そのように伺っております。もちろん採用した人材が庁内で活躍するか否かというのは短期的に見ることなど不可能でありまして、長い目で見なければわからないものではありますが、単なる就職マニュアルでは対応できない人物重視の選考からこのような手法に切りかえることは、本市が求める人物像を採用する可能性の高まりに直結するものだと考えます。
しかし、このような状況でも改善できる点は多々存在すると思われます。そもそも選考過程、選ぶ過程でどれだけ工夫しようとも、集める段階にて本市が求める人物像、こちらの方々が集まっていなければ、市役所にて活躍する人材というのは採用するのが難しいと思われます。集める段階でやるべきこととしては、本市が求める人物像を明確化し、端的に表現すること、そしてそれらを例えばウエブサイトであったりパンフレットであったり合同説明会等の広報媒体にて効率的に訴え、伊丹市とはいいなと、そのような興味喚起をさせること、最後に、当然選考を希望する方々の導線を強化するために、他市とはかぶらない、他の公務員試験とはかぶらない、そのような試験日程を設定することは極めて重要だと思われます。事実、これらは採用に非常に力を入れられる先進的な自治体では既に取り組まれておりまして、人事担当者、総務部に伺ってみたところ、採用成果は一定していると、こちら検証はまだまだ時間がかかるとは思いますが、今までには来ていない人材がとれたと、そのようなことを生の声として伺っているところです。
そこで、当局に質問させていただきます。入庁を希望する母集団の形成過程におきましてはまだまだ改善の余地があると考えます。特に市が求める人物像の明確化や人物を集める広報手段、そして試験日程の変更等につきましては直ちに取り組むべきであると考えますが、当局の御見解をお伺いさせてください。
続きまして、2点目、若年職員の活性化に向けた教育研修体制の構築について質問をさせていただきます。
現状としまして、幾らいい人材を市に採用したところで、結局組織内で育成されなければ成長はなく停滞するばかりであります。いい人材であるからこそ、育成に力を入れなければ当然組織の中でどんどんやる気はなくしていくでしょう。これまで若年職員の活性化に関しましては、外部組織との協働が効果的であり、例えばより多くの職員を外部で研さん積ませるべきではないか、そのような提言をさせていただきました。私が提言する以前から本市におきましては海外研修や外部組織への研修等が積極的に行われておりまして、これらは一定効果を上げているのではないか、そのように考えます。しかし、これまで用意されている研修は対象となる職員の主体性が問われるものでありまして、全ての若年職員が受けられるものではございません。当然ながら組織論でも自明のことでありますが、主体性のある人物とは組織内でも一部に偏ることが多いことがございまして、その体制を続ける限りにおいては、庁内全体としては活性化し切れないのではないでしょうか。そもそも若年職員の主体性そのものを引き出して全体的な活性化を図る、そのような体制を整えるべきであると考えます。
そこで、質問をさせていただきます。市の未来を担う人材育成、こちらが欠かせないことは当然のことでありますが、若年職員に対するそれが十分であるとは言いがたい状況にあります。主体性を問う施策に加え、主体性そのものを開花させる、そして職員全体が活性化するような体制をつくるべきだと考えますが、当局のこれらに対する御見解をお伺いさせていただきます。
次に、成果主義に偏らない個人の能力を評価する制度の導入について質問をさせていただきます。
人事評価の目的、こちらは個人や組織の活性化にあります。以前も議会にてこの問題を取り上げたのですが、やはり周りからの反応は、成果主義導入によって処遇とか給与に差をつけるんじゃないかと、それは組織の不活性化を招くんだよというものがありました。評価の話をするとなぜか給与や処遇、昇進等への反映と捉えられることが非常に多いのですが、それは表面的な事象であります。本質的には、職員自身のやる気、これを引き出すことにあると考えます。
現在本市の評価制度は課長級以上の職員に対してのみ行っておりまして、成果により給与に反映される形がとられておりますが、一般職対象には行われておりません。内容もどちらかといいますと目標管理に主眼を置いたものであり、個人の能力部分の評価は行われておりません。
そこで、役職別に必要とされる能力等を評価するもの、組織目標に沿って定めた職務遂行上の目標に対する達成状況を測定するもの、そして上司や部下の間のコミュニケーションや意識改革の一環として行われるものを導入するべきではないかと提案をさせていただきました。その結果、当局からは管理職については能力と実績を重視した評価に変更しておりまして、一般職についてもあくまで人材育成型の評価制度を導入すべきだと考えている、早期に実施したいが労使交渉が不可欠であることから導入に向けて交渉していきたい、そのような答弁をいただきました。しかし、前向きな答弁はいただいたものの、現在に至ってもなお一般職における人材育成型の評価制度というものはつくられておらず、もちろん導入もされておりません。さきと同様の話にはなりますが、個人の成長のきっかけとして活用し、個々が活性化することによって組織まで活性化する、そのようなツールの一つとして人事評価制度を用いるべきであると考えます。給与、手当等に反映させること、こちらは二の次でいいと、そのように考えます。
他市におきましては、全職員一律の職員能力開発モデル、こちら通称コンピテンシーモデルというものなのですか、これを設定し、評価する職員とされる職員、これらが結果について話し合う機会を設けるやり方を導入しております。活躍している人材がどのような職務要件を持っているか、能力開発しているのか、そういったモデルを設定して上司と部下が話し合った上で評価をつける制度を導入することで個人と組織の活性化に一定の成果を上げている、そのような自治体の事例がございます。若年世代活性化に向けてこのような制度を本市でも導入するべきではないでしょうか。
そこで、質問をさせていただきます。個人の能力を評価する方法、これは本市でも導入を前提とした答弁がなされておりますが、これらコンピテンシーモデルの導入の進捗につきましてお伺いをさせていただきます。
最後、4つ目、頑張らない人は一切報われない、そのような給与制度の構築について質問をさせていただきます。
国家公務員の給与減額に伴い、本市でも職員給与の一時的な削減、これが条例提案されまして、議論がなされているところでございます。そもそも本市の給与制度というのはこれまで幾度となく適正化を行っておりまして、平成19年度の給与改革の実施において平均4.8%もの引き下げを行ったり、手当の見直し等の行いに取り組んでいる、そのようなところには敬意を表するところです。ただ、やはり疑問に思うところは、給与制度の問題、これが根本的に残っているのでないか、そのように考えるところです。
具体的に申し上げますと、本市の一般職の職員の給与に関する条例、こちらに記載されております給料表を分析いたしますと、職務や職責内容と給料と手当を合わせた給与の値、これらに必ずしも反映されていない相関性が見受けられない事態が起こり得るという問題です。いわゆる年功序列型の給与制度は職員のモチベーションを低下することにつながりかねません。
以前の定例会におきまして、年功序列型を排除し、各役職間で給与の逆転を発生させない行政職給料表に改定すべきと、そのように提案させていただいたところでございますが、本市では人事院勧告に従いますので本市独自の改定は難しい、そのような答弁をいただきました。しかし、調べてみたところ、やはり人事院勧告に沿う形ではない自治体独自の給与制度の導入に取り組む事例は多数存在しております。内容は、さきの提言と同じく役割と責任に応じた給料表の導入に加え、役職間にて大幅な差を設けた管理職手当への改定が盛り込まれております。これにより、簡単に申し上げますと、役職間の給料の重なり幅を一切なくし、手当を含めるとより大きな差がついてくると、そのような制度を構築できるというわけです。
さきの質問におきましても、若年職員の昇格意欲の減退、こちらが危惧されるとの質問がございましたが、例えばモデルとなる上司を確立するといった答弁、この内容に加えまして、給与という付加価値もつけてみるのはいかがでしょうか。
そこで質問をさせていただきます。誰もが上の役職を目指したくなると、そのような組織風土づくりのあくまで一環として、職務、職責に応じた頑張りが報われる給与制度、こちらに改定するべきではないかと考えます。年功序列を廃止し、各役職間での給与の逆転が発生しない、そのような給料表の改定に向けて当局の御見解をお伺いさせてください。
続きまして、生きる力が身につけられる子供たちへの教育というテーマで、教育に関する質問をさせていただきます。
伊丹市教育ビジョンにもあるとおり、本市では、大きな夢を膨らませる明るく元気な伊丹っ子づくりを育むことを一つの目標として目指しております。その具体的施策の1つ目には、基礎、基本の徹底と確かな学力の向上がうたわれておりまして、習熟度別学習や補充的学習を取り入れるなど、指導方法の工夫や改善に努める施策が多々含まれております。同時に、教職員の意識改革と資質の向上もうたわれておりまして、教員の授業力、指導力の向上や、信頼確立に向けた意識改革等の施策に取り組んでいます。
子供たちの学力低下、そして子供の間の学力格差の拡大、教職員の資質向上は、教育が抱える主要課題と思いまして、これらの施策には大変共感するところであります。その具体策としまして、学習到達度調査を実施し、子供たちの学習状況の把握や教職員の指導内容の改善につなげられている事業については、今後もぜひ継続していただきたいと考えます。
ただし、こちらにも疑問点があります。例えば、学習到達度調査に関しましては、本市では小学校6年生と中学校3年生を対象に、国語、算数、数学、理科、社会、英語、一部は中学校のみもございますが、の教科を国の学力調査、全国学力調査の実施状況に応じて本市でも実施している状況であります。こちらの結果を各教科ごとに分析を行い、成果や課題を明らかにした指導改善方法が提示されています。しかし、この状況のままでは、特定の学年を一部抽出して定点調査を行うものでありまして、学力状況を全体の傾向として把握することしかできない、そのように考えます。つまり、毎年調査対象が異なる状況では、子供たち一人一人の学力の状況を経年変化している様子を把握することができず、一体目の前にいる一人一人の子供たちの学力定着度というのは、客観的にどれだけついているのだろうか、そのような認識をすることが困難な状況です。
例えば、東京都荒川区では、基礎学力の向上を図ることを目指して、一人一人の学力の定着状況、意識状況を検証する手段として、区内全ての小・中学校全学年、9学年を対象に毎年客観的な調査を実施しております。学校ごとの比較、これでは決してございません。そして、子供同士の比較でもございません。子供一人一人の経年変化を見ることによって、子供たち自身、子供自身が学習到達度、こちらを客観的に認識し、みずから取り組むべき課題を明確化し、学力向上を目指すことが目的であります。さらにそれによって教職員の指導方法の改善や指導力の向上、そして学校教育の充実を図るとともに、荒川区全体の教育課題を明確化する、そのようなことを目的としています。
結果的には、取り組み始めたばかりではございますが、学校、子供、保護者、それぞれが客観的かつ具体的な資料を持って学力状況を共有できるようになりまして、教職員自身もこういう取り組みによって基礎学力の向上に真正面から取り組まなければならない、そのような意識向上が生まれること、意識向上が見込まれるというふうな結果が出ております。もちろんこれは大都市の事例ではございますが、本市よりも人口規模、似たような形の大阪府箕面市でも採用はされております。決して大都市の事例だけではございません。
そこで、質問をさせていただきます。確かな学力の定着を目指すのであれば、学力調査、加えて体力等におきましても限定的な学年のみで行うのではなく、他都市の事例のように全学年対象とし、子供個人、生徒個人の経年変化を追うことがさらなる学力定着につながると考えますが、当局の見解をお伺いさせてください。
続きまして、5点目、持続可能な福祉サービスの構築、こちらについて質問をさせていただきます。
平成24年度決算結果における扶助費は166億7693万円と、過去最高を更新し、厳しい状況であることは言うまでもありません。一方で、支え合いを基調とした地域福祉を促進することや、子供、若者が家庭や地域とともに育ち合う環境をつくることは、当然ながら市の未来にとっては欠かせません。福祉サービスの維持、持続可能性というのは、市の大きな責務でございます。
多方面から指摘されているとおり、福祉の根幹を担う社会保障制度そのものが現在持続可能なものであるとは言いがたい状況であります。少子高齢化の進行と現役世代の雇用環境が変化する中、21世紀型の制度へと改革しなければ、確かな福祉を将来世代に伝えることはできません。本市におきましても扶助費の大部分を占める特定財源を差し引いた一般財源におきましては、やはり年々増加しているところでありまして、これらについても果たして本当に全て持続可能なサービスとして維持できるのか、疑問が残るところであります。
国における取り組みとしましては、現在、社会保障と税の一体改革に基づく国民会議の設置、その報告書を受領しました。改革推進における基本的な考えとしましては、1つ目に自助、共助、公助の最適化、2つ目に社会保障の機能充実及び給付の重点化と効率化、そして3つ目に税と社会保険料の役割分担、4つ目に世代間の公平性の担保が示されております。中でも給付と、そして負担の両面における、あくまで両面における世代間、世代内の公平が確保された制度をとるべきとの提言につきましては、子育て世代や若い世代に納得感、ある程度納得感を与える制度へと改革することが期待されます。当然、報告書にもあるとおり、そもそも社会保障関係費の相当部分は、将来の社会を支える世代につけ回ししているわけです。給付に見合った負担を確保せず、将来世代へ先送りすることは、社会保障の持続可能性もしくは世代間の公平の観点からも大きな問題であります。受益と、そして負担が見合わない社会保障はいずれ機能しなくなります。社会保障制度の抜本的改革が待たれるところです。これを受けまして、本市の福祉サービスにおきましては、当然国の方針に絡んでくるところがあると思いますが、今後の展望というのはいかがなものでしょうか。
そこで、質問をさせていただきます。国民会議の報告書にもあるとおり、全世代型の社会保障、将来世代への負担の解消、そして世代間の不公平論、これに対する正しい認識等の提言がなされていることを踏まえ、本市の今後の福祉施策のあり方について、ぜひ御見解をお伺いさせてください。
続いて6点目、行政参画を促す社会起業家の創出についてお伺いをさせていただきます。こちらは代表質問等にもありましたので、詳細は割愛させていただきますが、現在、社会起業をなし得ることとしましては、福祉や環境の分野で民間の創意工夫を生かした新しい取り組みや、質の高いサービスを生み出すことができると。その結果、これまでビジネス対象として捉えられなかった領域について、ボランティア、行政だけでは解決困難だったサービスに新たな市場が形成されると。学生や子育て世代、そして高齢者、幅広い年齢層に対して新しい働き方としての機会を創出することが期待されています。
本市の実情というところでありますと、伊丹市社会的起業設立運営支援制度研究会の報告書によりますと、起業前後における資金面及び専門知識やノウハウ伝授といった支援体制は一定存在しているとのことです。ただし、行政その他の組織との連携や、ビジネス機会の提供といった支援体制については、まだまだ不十分であるとの報告でした。
報告書によれば、これらの解決をなすべく、例えば新規支援制度の策定や公益ビジネスの認証制度化、さらには中間支援組織の確立といった提言がなされております。実際、委員会で先進市の事例を拝見させていただいたところ、相談窓口を設置していたり、もしくは社会起業家の支援者を派遣し、経営強化等を図る、見直しを図る、計画の改善を図る等のアドバイスをしている。もしくは起業セミナーそのものを実施して、ノウハウをセミナーで伝授する。そのような事例が見受けられ、資金支援等に関しましては一切行っていない、そのような話でした。大切なのは、こういった体制が整っているんだということを市のさまざまな広報を通して周知徹底を図ると、そのような状況にあるとの担当者のヒアリング結果でした。
そこで、本市の状況についてお伺いをさせていただきたいのですが、伊丹市の運営支援制度研究会の報告書や、今申し上げた先進市の事例を鑑みまして、中間支援組織の確立、フォロー体制等の周知徹底、こちらに取り組むべきと考えますが、当局の御見解をお伺いさせてください。
続きまして、7点目、庁内統制及び業務効率化を目指した要綱の公開化について質問をさせていただきます。
平成24年度における事務執行過程については、さまざまな事務処理ミス事案、そして不祥事が発生いたしました。中でも、特優賃における補助対象外世帯への家賃補助は議会でも物議を醸しております。本案件につきましては、本年度におきましては要綱を改め、不適切な補助等は一切なくしてはいるものの、今回、審議対象となっている平成24年度一般会計決算におきましては改善前の要綱で事務執行されていることからも、この事実は決算審査、この結果を大きく左右することは考えられるところでしょう。
問題点としましては、これらの事務処理ミス事案が多発する原因の一つに、要綱事務が上げられます。これらは当局からの報告にもありましたが、要綱はそもそも法律、条例、規則等の法規とは異なりまして、行政運営の指針や行政活動の取り扱いの基準等を定めた、あくまで内部ルールです。制定根拠はなく、法規でないことから法的拘束力もありません。執行機関の内部規定ゆえに当然公開もされておりません。議会や市民にとって執行機関側の事務内容が不透明なままであり、これで不適切な事務処理が多々発生しているという昨今、理解や信頼が生まれにくい状況にあるのではないでしょうか。特に、特優賃等、これ不適切な事務が要綱に基づいて行われている以上、現状の議会が類似案件を正確に審議することは、内部リークでもない限り極めて困難であると考えます。加えて、部局間でも要綱に関する情報共有が図られていないことは、職員同士の日常の業務遂行にも支障を来し、非効率ではないかと、そのように考えます。
他市におかれましては、非常に多くの事例が出てまいりましたが、要綱をホームページ上で公開し、行政運営の透明性、これを一層高め、より開かれた市政の実現、市民自治の確立に資する形をとっています。さらに、情報公開を通して職員の日々の業務遂行に緊張感を保つ、そのような効果としても期待できるということでした。もし本市が市民とともにつくるまちづくりをもっともっと進めていくということでありましたら、特に市民サービスにかかわる、関係する要綱については、一刻も早く示してみることが大切なのではないでしょうか。
そこで、質問をさせていただきます。要綱につきましては現在公開すらされていないものの、本市においては不適切な事務事業が発生するその一因となっております。同時に、庁内部局間における共有もなされにくく、業務効率が上がりません。この際、要綱は広く公開するべきであると考えますが、当局からの御見解をお伺いさせていただきます。
以上で1回目の質問を終わります。具体的な答弁、何とぞよろしくお願いいたします。
○副議長(川上八郎) 藤原市長。
◎市長(藤原保幸) (登壇)私からマニフェストを根拠といたします政策推進の妥当性に関しましての御質問にお答え申し上げます。
まず、御理解いただきたいのは、私の今回のマニフェストは、第5次伊丹市総合計画をベースとしておるということでございます。そして、この第5次総合計画と申しますのは、私が市長に就任後、当時の私のマニフェストを踏まえまして、議会や市民の皆様の御意見を広くお聞きしながら、私にとって2期目に策定した総合計画でございます。本計画では、本市の目指す将来像といたしまして「みんなの夢 まちの魅力 ともにつくる 伊丹」を掲げておりますけれども、私のマニフェストでは、夢と魅力のあるまち伊丹を実現しますというお約束をマニフェストでしておったところでございまして、これを踏まえたつもりでございます。そして、この総合計画に基づきまして、平成23年度を初年度として、各種施策を近年進めてきたというところでございます。
そして、この施策推進に当たりましても、マニフェストに書いてあるからということでは必ずしもありませんで、本市を取り巻く社会経済状況や市民ニーズ、さらに国政の動向を把握し、私の政治信念でもあります現場主義のもと、議員各位並びに市民の皆様との情報共有も進めながらやってきたところでございます。また、厳しい財政状況が続くことが見込まれましたため、平成22年に伊丹市行財政プランを策定し、財政規律の強化を図り、限られた財源の中で施策の優先順位を熟慮しながら事業を展開するとともに、一方で将来的に持続可能な財源基盤の建て直しを進めてまいったところでございます。
そして、私にとって3期目となりますこれからの4年間は、市の将来像の実現に向けた確かな道筋をつけ、着実な歩みをもって第5次伊丹市総合計画の前期から後期へとつなげていく重要な期間であると認識しておるところであります。こうした認識のもとに、この4月の伊丹市長選挙に当たりましては、これまで私が進めてまいりました市政を改めて振り返りながら、その成果と課題を分析し、この機会にということで多くの皆様方からいただいた御意見をもとに、これからの伊丹のまちづくりに何が必要なのか、まちの将来のために今何をすべきか、私なりに熟慮を重ねたところでございます。
そして、安心安全のまちづくりは市政の一丁目一番地、そしてまちづくりは人づくりから、さらには伊丹のまちづくりに伊丹空港は欠くことができないこと、さらには次の世代、次の伊丹のまちを担う若い世代に希望の持てる明るい未来を引き継がにゃあいかんと、そのためには市財政の健全化に取り組むことが重要であるといったような、従来から私申し上げてきたことではありますけれども、3期目に当たりましても引き続き重要なポイントであると結論に達したところでございます。
そして、第5次総合計画に掲げます市の将来像を実現するための具体的な施策として、今回の私の選挙のマニフェストに中学校給食の実施、伊丹空港国際便の復便、健康づくり大作戦の展開、自転車専用レーンの設置、市立伊丹病院診療機能の充実といった5つの重点施策を位置づけたところでございます。今御紹介しましたマニフェストにおける5つの重点施策以外の施策につきましても、本市の未来を展望して策定されました総合計画を着実に推進をするため、継続的に施策展開を図ってきたものの延長線上にあるものと御理解いただきたいと思います。
そして、施策の事業化を図る際には、当然のことでございますけれども、議員各位並びに市民の皆様方に対しまして、なぜその事業が必要なのか、どういった目的でやるのかといったようなことにつきまして、丁寧でわかりやすい説明を行っていくことが必要であろうと。そして、その際にいただいた意見も踏まえて、今後、予算編成等の中におきまして、具体的な事業方式や実施の時期等につきましても検討し、改めて議案として議会にお諮りするということになろうかと思います。
そういうことでございますので、マニフェストに書いてあるから何でもかんでもやるんだということでは全くございませんので、御理解賜りたいと思います。
他の質問につきましては、担当部長等より御答弁申し上げます。
○副議長(川上八郎) 後藤
財政基盤部長。
◎
財政基盤部長(後藤和也) (登壇)私から、
臨時財政対策債及び市民への財政状況に関する情報の提供方法に関する御質問にお答えいたします。
まず、
臨時財政対策債の発行抑制を視野に入れた財政運営に関する御質問にお答えいたします。平成24年度における地方財源の通常収支の不足額13兆6846億円については、
地方財政計画の策定を通じて地方交付税法等の一部を改正する法律などにより所要の措置が講じられるとともに、
臨時財政対策債については新発債に対応する発行額3兆8361億円に既往債元利金分2兆2972億円を加えた6兆1333億円が地方債計画において計上されたところです。この点を踏まえれば、議員御指摘のとおり、
臨時財政対策債の発行額の約4割は既往債の償還財源として発行されており、赤字地方債の発行で賄っている現状は国と地方を通じた財政赤字が抜本的に改善しない限り続くと見込まれ、憂慮すべき状況であると考えております。
また、
臨時財政対策債を発行する年度においては、将来において発生する元利償還金に対して地方交付税措置を行うことを明記した法令等は存在せず、必要な法制上の措置については、実際に元利償還金が発生する各年度において、地方交付税法や普通交付税に関する省令において明確化され、
基準財政需要額への算入が行われることとなっております。このため、毎年行われる国の予算編成においては、財源不足とその補填措置について、地方財政対策上どのように措置したのかという考え方について、総務省自治財政局財政課から毎年度、地方財政の見通し、予算編成上の留意事項等について、いわゆる「財政課長内かん」の形で発出されており、この中において「
臨時財政対策債の元利償還金相当額については、その全額を後年度、地方交付税の
基準財政需要額に算入することとしている。」と記述されているところです。このため、
臨時財政対策債が発行される年度において、地方財政対策が講じられた考え方と、実際に地方交付税に算入される年度における必要な法制上の措置との間には時間差が生じることとなっておりますが、私ども地方団体が安定した財政運営ができるよう、地方財政対策上講じられた措置に対する将来にわたる財政措置について、国の考え方を周知しているのが「財政課長内かん」であるものと認識しております。
したがいまして、
臨時財政対策債における償還額が後年度においてその全額が普通交付税に算入される点につきましては、国と地方の信頼関係の上に構築されるものであり、後年度においてこれら信義則を乱すような法制上の措置が行われることはあり得ないものと認識しております。
以上のことから、1つ目として、
臨時財政対策債の償還額に対する交付税措置が「財政課長内かん」によって明確化されている中で、不安感を根拠として発行を抑制する必要性はないと考えること、2つ目として、
臨時財政対策債を発行しない場合、標準的な行政サービスを行うための財源に本来地域特性に合わせた独自の行政サービスに活用すべき留保財源を充てることになること、3つ目として、その全額が財源不足額として算定されている性格上、これを発行しないことにより、先般議論のありました地方公務員給与の削減を前提とした地方交付税の減額についてのペナルティーの有無における総務大臣のコメント、ペナルティーはないが、財源に余裕があったのか、歳出が適切だったのか考えていくことになると同様の考え方が想定され、地方交付税の減額が実施される可能性があることなどの点から、
臨時財政対策債の発行抑制については慎重に検討を要するものと考えるところです。
なお、本来、地方交付税の不足額が発生した場合は、地方交付税法において、地方財政もしくは地方行政に係る制度の改正、もしくは所得税を初めとする国税五税の法定率の引き上げを行うものと規定されており、
臨時財政対策債のような暫定的な措置により対応すべきものではありません。この点につきましては、地方六団体を通じて、平成25年6月5日に開かれました国と地方の協議の場におきましても、恒常的な地方財源の不足については地方交付税の法定率の引き上げ等により適切に対応することと求めているところです。
次に、固定資産台帳の整備及び複式簿記の導入を踏まえた情報公開の推進に係る御質問にお答えします。
現行の公会計における予算決算制度において運用されております、いわゆる現金主義会計を補完するため、新公会計制度で要請されている貸借対照表、行政コスト計算書、資金収支計算書、純資産変動計算書の財務諸表4表の整備につきましては、発生主義により、ストック情報、フロー情報を総体的、一体的に把握する効果がございます。
本市では、平成18年に国から要請を受け、平成20年度決算から固定資産台帳を作成せずに決算統計の数値から簡易に導く、いわゆる「総務省改訂モデル」による財務諸表の作成及び公表を行ってきたところです。本年6月には、政府が4年ぶりに策定いたしました経済財政と改革の基本方針、いわゆる骨太の方針2013におきまして、地方における公共サービスの可視化の推進策として、企業会計原則を前提とした地方公会計の整備について触れられており、今後、国から改めて地方自治体における財務情報の透明化の推進について要請されるものと受けとめております。
導入が求められている固定資産台帳の整備と複式簿記の採用を含んだ、いわゆる基準モデルは、開始貸借対照表を固定資産台帳等に基づき作成し、ストックとフロー情報を網羅的に公正な価値で把握した上で、個々の取引情報を発生主義により複式記帳して作成することを前提としており、その導入のメリットといたしましては、会計データが精緻で、一度整備すれば継続しやすいなどが上げられます。一方で、導入時や導入後における作業負荷や、さらに保有する資産情報が原課ごとに分散していることなどから、十分な時間を確保し対応を検討していくことが必要と考えております。
また、総務省が公表しております平成23年度決算における地方公共団体における財務書類の活用状況に係る調査によりますと、モデル別の作成状況では、指定市を除く市区町村の82.7%が本市と同じ総務省改訂モデルを採用しており、以下、基準モデルが15%、その他のモデルが2.3%となっております。さらに、作成済み団体1290団体のうち、財務書類を公共施設に係る老朽化対策等に活用している団体は69団体、行政評価との連携は13団体、そして施策の見直しでは16団体にとどまるなど、新公会計制度に基づく財務書類を活用してる団体は全体の1割にも満たない状況が続いております。平成18年の国の要請から7年が経過いたしましたが、財務書類の有効な活用方法について、全国的に多くの自治体において苦慮しているものと推察され、基準モデルの導入が直ちに施策展開に活用され、行財政運営の特効薬となるものではないということを示しているものと認識しております。
こうした中、本市におきましては、今後新たに国から要請があった場合は、基本的には段階を踏んで導入すべきものと考えており、来年4月に予定されております国からの本格的な要請に先立ち、先進市の視察等を行うなど、情報収集に努めているところです。
なお、導入に際しましては、固定資産台帳の作成が最も負荷のかかる作業と考えられます。先行しております公共施設マネジメントによる資料の整備状況から、建物等のいわゆる箱物の資産台帳整備は一定スムーズに行われるものと考えておりますが、道路等インフラ関連の資産台帳の作成については膨大な作業量が見込まれ、他市の事例ではプロジェクトチームを組織した上で2年程度の時間を要したと聞き及んでおります。新たな制度の導入によって、より精緻な財務状況を明らかにすることで、これまでと違ったより効果的な財政運営や説明責任を果たす有効なツールとしての活用方法についても、あわせて検討してまいりたいと考えております。
○副議長(川上八郎) 桝村総合政策部長。
◎総合政策部長(桝村一弘) (登壇)私からは、公共施設マネジメントと行政参画を促す社会起業家の創出についての御質問にお答え申し上げます。
まず、公共施設マネジメントについてでございますが、本市は、全国の他の自治体と同様に、社会保障費の増大と人口減少という世の中の大きな流れの中、将来の財政状況が厳しくなることが見込まれることから、現在ある公共施設の全てを維持、更新していくことは不可能であるとの認識のもと、公共施設マネジメントに取り組んでおります。
本市の公共施設マネジメントの目的は、社会環境の変化に伴う市民全体のニーズに対応しつつ、行政運営上真に必要な施設は、市民の皆様に安全安心に御利用いただけるように適正に維持、更新をすること、また、そのために次の世代に大きな負担を押しつけることがないよう、公共施設の保有量を削減し、公共施設サービスの質、量及びコストの全体最適化を図ることでございます。
したがいまして、今年度末に策定を予定している中学校給食導入に関します基本計画におきまして、中学校給食の実施が決定し、本市にとりまして最善と判断した事業方式を具現化するに当たり、例えば、他の施設の転用等では対処できず、公設で中学校給食センターの整備が必要となった場合は新設することとなります。ただし、公共施設の全体最適化を図るためには、施設の総量の削減は重要な取り組みでございます。したがいまして、中学校給食センター新設が決定した場合におきましても、公共施設白書に記載しております本市の公共施設の床面積の総量59.6万平米を基準といたしまして、今後新設する施設も含めて総量の削減を計画的に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、行政参画を促す社会起業家の創出についてでございますが、社会的企業は社会や地域の課題に新しい発想で取り組み、ビジネスの手法でその解決に当たるものと定義されております。社会的課題の解決を目的とする事業体という意味では、ボランティア活動等に類似する部分はありますが、有料のサービス提供になることや、単なる営利企業と異なりまして、自社の利潤の最大化が目的ではなく、社会的課題の解決という目的を最優先させるなど特徴があることから、地域の活性化、雇用の創出、生きがいづくりにつながるものとして現在注目をされているものでございます。
平成23年度に実施いたしました社会的企業設立・運営支援制度研究会におきましては、創業期から成熟期までの各段階において必要とされる企業支援策について調査・研究をし、企業支援助成制度や相談窓口の充実、企業経営アドバイザーの設置や企業セミナーの開催などの支援策が必要ではないかと御意見をいただいたところでございます。また、視察で伺った先進市の福岡市では、起業入門セミナー、相談窓口の設置、中間支援組織の確立などにより、起業件数もふえ、大きな成果があったとのことでございます。
本市が現在実施している取り組みといたしましては、まちづくり活動を支援するまちづくりプラザで社会起業講座を開催し、また産業・情報センターでは、創業塾の開催、起業家支援ミニオフィスの設置や、企業や研究機関等での専門的知識を持つ産業支援推進員を設置するなど支援体制を整備してきたところでございます。さらに、兵庫県では、今年度、コミュニティ・ビジネス離陸応援事業、高齢者コミュニティ・ビジネス離陸応援事業、女性起業家支援事業を実施し、起業に係る補助メニューを準備するとともに、阪神北地域の就労やまちづくりサポートを行う宝塚NPOセンターでは、県の受託事業として社会的企業のサポート講座を開催したり、相談窓口を設置するなど、広域行政においても社会的企業の支援メニューが存在しているものでございます。
本市における研究結果、また他市の先進事例、そして、国・県等で実施する事業も踏まえまして、本市で必要な事業といたしましては、情報の一元化、関係機関との連携と中間支援機能の強化であると考えているところであります。つきましては、社会的企業支援という切り口で、商工労働部門、まちづくり部門の情報を合わせ、さらに市・県・国等の情報をまとめましたパンフレットを作成するとともに、ホームページ等でわかりやすく市民の皆様に御紹介をすることで、情報の一元化を進めてまいります。
また、庁内担当部局や中間支援組織等との連携を図ることで、適切な支援団体へとつなぎ、社会的企業設立を目指す皆様への支援を進めてまいります。今後、研究結果報告にありましたその他の支援策につきましては、市民ニーズを踏まえつつ導入を検討してまいります。
最後に、福岡市において社会的企業の取り組みを始めましたのは平成15年度からとのことであり、まさにこの10年間をかけた成果であるとのことでございました。本市ではまだ取り組みを始めたばかりでございますが、第5次総合計画の基本方針において、地域活動や市民活動を担う多様な主体がそれぞれ得意とする能力を発揮し、積極的に協働することによりまちの活性化を図り、豊かな市民自治を実現いたしますとしていきますことから、社会的企業の支援を一層今後も進めてまいりたいと考えております。
○副議長(川上八郎) 増田総務部長。
◎総務部長(増田平) (登壇)私からは将来の伊丹市を担い、活躍する人材の創出並びに、庁内統制及び業務効率化を目指した要綱の公開化についての御質問にお答えいたります。
初めに、将来の伊丹市を担い、活躍する人材の創出の1点目、庁内にて活躍する人材を確率高く効率よく採用する戦略についてでございますが、職員採用につきましては、いわゆる団塊の世代の大量退職に伴う補充の必要性から、一定の平準化を図っているものの、近年は事務職の採用者が30人を超える状況が続いております。こうした状況に対応し、優秀な人材を幅広く確保するため、平成19年度実施の試験に際しまして、一般事務職の年齢制限をそれまでの25歳から28歳に引き上げ、20年度には採用説明会を実施したところでございます。
採用説明会につきましては、結果検証を行い、優秀な人材を効果的に採用するためには、新たな受験母集団の確保が重要であるとの認識に立ち、大学等主催の説明会に参加する方法に変更し、パワーポイントやパンフレットなどを作成し、継続して行うとともに、新たな対象の開拓にも取り組んでいるところでございます。
こうした取り組みの中、本市の求める人物像の明確化につきましては、これまでパンフレットにおいて市長からのメッセージや先輩職員の声として受験者に伝えてるところでございますが、本年度からは全ての受験者が必ず目にする試験案内におきまして、目指せ、自立型職員と書き記し、本市の求める人材を一言で簡潔に明示するとともに、人材育成の取り組みや昇任制度とそれに応じた給与、処遇などを明記してるところでございます。
本年7月実施の採用試験におきましては、既に最終の合否を通知したところでございますが、新たに説明会に参加した大学からは多くの受験者があり、高い競争率の中、複数の合格者があったところでございます。こうした実態から、大学等の説明会に参加し、人材育成や財政状況なども含め、本市の魅力をアピールすることは人材確保の有効な手段であると認識いたしており、今後とも取り組みの拡充に努めてまいりたいと考えております。
また、昨年度は年度末に統一試験日以外の日程で事務職の採用試験を実施したところでございますが、即戦力として民間企業等経験者を採用するため、一般的な公務員試験にかえて、議員からも御案内のありました多くの民間企業が利用している総合能力テスト、SPI3を導入したところでございます。この採用試験は、民間経験3年以上のいわゆる第二新卒と呼ばれる層をターゲットとしたもので、UターンやIターンなど伊丹市への移住も視野に入れ、広範な受験者を確保するため、東京、名古屋、大阪を初め、北海道から九州まで全国7地区の会場で1次試験を受験できるようにいたしました。本市では、平成22年度より、事務職の採用に当たって新卒が中心の事務職Aと民間経験5年以上の者を対象とした事務職Bに区分し、統一試験日に採用試験を実施しておりましたが、本年度からは事務職BについてはSPI3を導入し、試験日程も統一試験日に限定せずに幅を持たせ実施したところでございます。
また、こうした取り組みに加え、本年度からはさらに優秀な人材の確保を図るため、事務職の採用試験において1回当たりの募集人数を減らし、募集時期や対象を変え、複数回実施するとともに、試験方法につきましても面接なれしてる受験生からより本音を引き出しやすくするため、集団面接を個人面接に切りかえたり、一部で事前小論文を導入するなどさまざまな工夫をしてるところでございます。また、面接の際に確認しましたところ、受験者の多くが本市、あるいは公務員予備校のホームページを、民間経験者においては公務員転職情報サイトを見て応募している実態が判明いたしましたことから、紙ベースの広報を簡略化し、ホームページへの誘導を図るとともに、公務員転職情報サイトへの募集記事掲載依頼を行い、広範な受験者の確保に努めているところでございます。
こうした取り組みの結果、有為な人材の確保につながっているものと考えておりますが、今後も常に効果検証を行い、より効果的、効率的なものとするため、さらに工夫してまいりたいと考えております。
次に、2点目の若手職員の活性化に向けた教育、研修体制の構築についてでございますが、鉄は熱いうちに鍛えよということわざにもございますとおり、有為な人材の確保とあわせて、人材育成には若いうちの対応が極めて重要であると考えております。
本市におきましては、平成23年度に人材育成基本方針の大幅な改定を行い、役職や経験に応じて新規採用職員から課長級職員までをステージごとに分類し、それぞれに求められる役割能力を明確化し、そのために必要な育成体系や目標、取り組むべき課題を明示することで、成長に対する意欲を高め、効果的な人材育成を図ることといたしました。特に、採用からの10年は、新規採用職員から主任、主査に至る市職員の人材育成の上で極めて重要なステージであると考えております。
こうした観点から、ステージに応じた研修メニューを設けるとともに、職員がみずから計画的に研修を実行できるよう、自主選択制を導入いたしました。また、市町村アカデミーや全国市町村国際文化研修所への積極的な派遣研修の実施、また、公募による総務省や自治大学校への派遣なども実施してるところでございます。こうした研修とあわせて、職員の育成、モチベーションの向上のためには人事制度も重要であると考えておりまして、本年度より若手職員を中心とした試験制度、昇任制度の見直しも行ったところでございます。
こうした能動的な職員に対する取り組みを充実する一方、議員御案内のとおり、受動的な職員の能力開発、求める人材として掲げております自立型職員の育成に取り組む必要性も強く認識いたしております。正直申し上げまして、受動的な職員に対する効果的な取り組みは難しいものがあると考えますが、次の3点目の御質問とあわせて御答弁申し上げたいと思いますが、これには上司のかかわりが非常に重要であると考えております。
また、近年、社会全体の傾向として、メンタルヘルス不調を訴え、意欲が低下する若年職員が増加しておりますが、本市におきましては従前からのメンタルヘルスサポートプログラムの実施に加え、昨年度にはメンタルヘルスの指針を策定いたしました。本年度は無人島生活体験の指導者などをされておられる講師を招き、採用3年未満の職員を対象として、チームビルディングを中心とした体験型研修の実施を予定いたしております。
次に、3点目の成果主義に偏らない個人の能力を評価する制度の導入についてでございますが、研修や昇任試験の際に、若年職員に現在の本市の人事制度で何が不足しているかという質問をいたしますと、多くの職員から評価をしてほしいという声を聞きます。よしあしは別にして、上司から評価される機会がないことに不安を覚える、評価されない中では仕事に対するモチベーションが上がらないといった意見も多くございます。特に、民間経験者においてはこうした傾向が顕著でございます。採用方法を工夫し、研修に力を注ぎましても、適正な評価がなければモチベーションの低下や受動的な職員の増加を招き、引いては組織全体の活性化を阻害する要因にもなりかねません。こうした現状を打破するため、一般職への人事評価制度の導入について、職員組合に申し入れを行っているところでございます。
一般職につきましては、管理職への成績主義導入に向けた取り組みとは異なり、給与等への反映を前提としない職員個々の能力開発、人材育成に主眼を置いた所属長と職員の定期的な面談を中心とする目標管理制度の導入を検討いたしております。しかしながら、課長級以上の給与に反映させることを前提とした人事評価制度の本格実施とあわせて、いずれ一般職についても給与への反映がされるのではないかといった不安もあり、協議が進んでいない現状にございます。若年職員の意欲を減退させることなく、組織全体の活性化を図るためには、上司の適正な評価により、職員が目標達成に向けて意欲を持ち、また所属長がみずから模範となることで、所属職員のモチベーションの向上を図り、昇任意欲等を高めることが肝要であると考えております。
また、こうした取り組みにおいては若年職員が目指すべき模範となる魅力ある管理職像の創出が重要であると考えますが、その設定に際しましては、人材育成室が中心となりつつも、例えば職員有志による検討プロジェクトを設けるなどし、職員にとって納得性の高い人事評価制度の早期の実現に向けた仕組みづくりを行ってまいりたいと考えております。
次に、4点目の頑張らない人が一切報われない給与制度の構築についてでございますが、地方公務員の給料表につきましては、職務の複雑、困難及び責任の度合いに応じて区分する職務の級と、職務経験年数による職務の習熟を給与に反映させる号給により構成され、それらの組み合わせにより職員の給料月額が定められることになっております。現行の給与制度上では、この給料表に基づく昇任、昇格による給料月額の上昇に加え、管理職手当や期末勤勉手当に加算される職務別加算割合に差を設け、職務の級の反映をより明確に行っているところでございます。
現在の本市の給与体系につきましては、平成19年度に人事院勧告に基づく給与構造改革におきまして、大幅な見直しを行ったところでございます。この改正におきましては、給与表の水準を平均4.8%引き下げたところでございますが、特に中高齢層の職員を最大7%引き下げる一方で、若年層への引き下げを行わないことで昇給カーブをフラット化するとともに、職務、職責の違いを重視した給料表への転換を図るよう、職務級間の給料水準の重なりを縮減する措置などを実施したところでございます。
このように、年功的な給与の上昇を抑制し、職務給の原則をより一層徹底するように給料表を改正してきたところでございますが、議員御指摘のような役職間の逆転現象は、現在本市におきましてまれに発生してるところでございまして、国を初め、他の地方公共団体でも同様に発生し得る状況にあると認識いたしております。
しかしながら、給料表の構造自体を抜本的に変えていくことや、管理職手当等の諸手当にさらなる格差を設けることなどにつきましては、ごく一部の地方公共団体には年俸制の導入といった先進的な取り組みを行われておりますが、現在、本市の給与制度が人勧準拠を基本としておりますことから、独自の取り組みを行うことにつきましては一定限界があると考えてるところでございます。
このような中、先般、平成25年度の人事院からの報告におきまして、給与構造改革以降も急激に変化し続けている社会経済情勢を踏まえ、給与面で取り組むべき今後の課題が明示されているところでございます。具体的に申し上げますと、まずは民間の組織形態の変化への対応といたしまして、部長、課長、係長等の間に位置づけられる従業員についても、来年から官民比較の対象とすること、次に、地域間の給与配分のあり方といたしまして、地域の公務員給与が高いとの指摘がある中で、地域における官民給与の実情を踏まえ、さらなる見直しを検討すること、また、世代間の給与配分のあり方といたしまして、民間賃金の動向も踏まえ、50歳代、特に後半層の水準のあり方を中心に給与カーブの見直しに向けた必要な措置について検討すること、最後に、職務や勤務実績に応じた給与といたしまして、人事評価の適切な実施の必要性とともに、評価結果の給与への反映として、昇給効果のあり方を検討することとしております。
今後、このような諸課題を中心に給与制度のあり方について検討されるところでございますが、こうした見直しが実際に行われれば、第2の給与構造改革といった抜本的な改定となるところでございまして、このような人事院勧告の方向性を踏まえ、本市の給与制度がさらに職員の意欲を高め、組織の活性化に寄与するような役割を担っていけるよう、適時、的確に見直しに取り組んでまいりたいと考えております。今後とも、採用、研修、人事、給与、そして福利厚生などさまざまな観点からあらゆる手法でもって人材育成に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、庁内統制及び業務効率化を目指した要綱の公開化についての御質問にお答えいたします。
現在、伊丹市では市のホームページ上で、伊丹市例規集のサイトにおきまして、法規文書として分類される条例、規則につきましては、誰もがその内容を知ることができるようになっております。議員御指摘の要綱につきましては、法規でない、つまり法的拘束力を持たない内部規定であるために、伊丹市例規集の中には含まれておりません。
一方、要綱に限らず、市の保有情報は、伊丹市情報公開条例第1条に、「実施機関の保有する情報の一層の公開を図り、市の諸活動を市民に説明する責任が全うされるようにするとともに、市民の市政への参画と協働によるまちづくりを推進し、もって地方自治の本旨に基づく市民自治の実現を図ることを目的とする。」とございますことから、積極的に市民への公開に努めていくものであると言えます。この観点から、住民に対する補助金の交付、貸し付けなどの基準を定めて、その公正な執行を図る助成要綱など、既に多くの要綱が各課のホームページの中で公表されておりますが、議員御指摘の庁内統制及び業務効率化を目指した要綱等の公開も含め、現状で十分かどうかにつきましては検討の余地があると思われます。
今後、行政の透明性の確保と行政運営の効率化の観点から、周知が必要と思われる要綱につきましては十分精査した上で適切な要綱の公表に努めてまいります。また、要綱の庁内、各部局間の情報共有につきましても、既存の要綱のうち、共有すべき要綱の抽出など、鋭意検討してまいりたいと考えております。
○副議長(川上八郎)
教育委員会事務局、太田学校教育部長。
◎
教育委員会事務局学校教育部長(太田洋子) (登壇)私からは、生きる力が身につけられる子供たちへの教育についてお答えをいたします。
児童生徒に確かな学力、健やかな体を身につけさせるためには、児童生徒の実態を把握して明らかになった課題の改善に向けて取り組むことが必要であり、学力及び体力についての調査を実施し、その結果については有効に活用しております。
まず、体力調査については、伊丹市スポーツテストを小学校5、6年生及び中学校全学年を対象に、毎年小・中学校で実施しております。そして、調査により明らかになった体力や運動能力の状況を把握するとともに、施策の検証や課題を踏まえた指導方法の改善に生かしております。例えば、中学校においては、生徒が意欲を持って体力づくりを推進することを狙い、伊丹検定スポーツバッジ認定制度を導入したり、小学校においては重点的に取り組む内容を決めて、運動プログラムや体力づくりカードを各校で工夫して活用したりするなど、児童生徒の体力づくりを計画的、継続的に取り組むようにしております。さらに、今年度は、教職員等による体力健康づくり推進チームを設置し、体力向上プランを作成するなど、継続した取り組みを進めております。
次に、学力調査についてですが、本市独自の伊丹市学習到達度調査を平成16年度から実施しており、調査開始当初は小学校5年生、中学校2年生を対象に、隔年で行っておりました。平成19年度からは、文部科学省の全国学力・学習状況調査の実施に伴い、対象を全国調査を同じ小学校6年生、中学校3年生として、全国学力調査で実施されない教科で行ってまいりました。
議員御質問の確かな学力の定着を目指すのであれば、学力、体力調査において限定的な学年のみに行うのではなく、小・中学校全学年を対象とし、生徒個人の経年変化を追うことがさらなる学力定着につながるのではないかについてでございますが、各学校では、学習指導要領に基づき、基礎的、基本的な力や活用する力など、各学年で身につけるべき学習内容について、児童生徒の状況に即して指導しております。そして、小学校においては、全学年において学習単元ごとのテストを実施し、中学校においては全学年で定期テストや実力テストなどを実施しており、一人一人の児童生徒の経年変化を把握しております。また、定着が不十分な内容は、授業でもう一度指導したり、児童生徒に個別指導を適宜行ったりなどをしております。さらに、その結果は通知票やプロフィールを通して保護者に伝えて、家庭での協力を求めております。
現在、伊丹市学習到達度調査は、小学校6年生と中学校3年生を対象に実施しておりますが、議員御案内のように、学力や体力の調査を全学年対象に実施することにつきましては多額の経費が必要であり、限られた教育予算の中で他の施策とのバランスなどを考えると実施は難しいものと考えております。しかし、今後、教育委員会としましては、学習到達度をはかる調査につきましては、予算の範囲の中で、実施学年や内容について、よりよい方向性を検討してまいりたいと考えておりますので、御理解いただきますようお願いいたします。
○副議長(川上八郎) 二宮
健康福祉部長。
◎
健康福祉部長(二宮叔枝) (登壇)私からは、社会保障制度改革国民会議報告書で示された全世代型の社会保障への転換を踏まえた伊丹市の今後の福祉施策のあり方について、お答えいたします。
本市の社会福祉をめぐる動向といたしましては、平成7年前後から生産年齢人口の減少が始まり、高齢者の増加及び医療の高度化などによる医療・
介護サービス給付費の増大、障害福祉に係る数次の法改正などによる対象者の拡大、生活保護世帯数や保護率の上昇、就学前児童の保育需要の増大などが上げられます。
本市におきましては、議員御案内のとおり、扶助費は平成14年度以降、額、構成比ともに過去最高を更新しており、平成24年度一般会計決算におきましては、扶助費全体として166億7700万円、一般会計の25.7%を占めております。その主な内訳として、生活保護費約48億7000万円、児童手当約37億2000万円、障害福祉サービス費約28億7000万円、子育て支援医療等福祉医療費約10億2000万円などとなっております。
生活保護費は、この10年で保護率、世帯数とも2倍となっており、経済動向により世帯数の増減はございますが、今後も必要な人には生活保護を実施していくものと考えております。障害福祉につきましては、平成15年に新規制度、平成18年自立支援法、平成25年総合支援法など制度拡充に伴い対象者が増加し、今後も法改正が予定されていることから増加が見込まれており、対応を図ってまいりたいと考えております。
生活保護制度、障害福祉は、全ての世代の共通するものとして税をもって対応しており、普通交付税の
基準財政需要額に算定しているものでございます。また、特別会計におきましては、国民皆保険の基盤をなす
国民健康保険給付費は約134億8000万円、介護保険給付費は約92億4000万円となっております。国・県・市などの公費及び若年からの支援を含む保険料の負担割合は法律で定められており、社会保険制度として運営をしているものでございます。
先般、国で社会保障制度改革国民会議の報告書が取りまとめられ、少子高齢社会のもと社会保障制度の持続可能性を高め、その機能が高度に発揮されるよう、社会保障制度改革の必要性とともにその方向性と少子化対策、医療、介護、年金の社会保障4分野の改革案が示されました。社会保障制度改革推進法により、これらの財源は消費税を充てることとされており、増収分5%のうち子育て支援など社会保障の充実分にその1%、高齢化などにより自然増する制度の安定維持分に4%を充てることとされています。
報告書では、社会保障制度の持続可能性の向上に向けたさらなる財源確保と給付の重点化と効率化、高齢期中心の社会保障から全世代型への社会保障への転換という2つの方向性が打ち出されている中、社会保障関係費にかかわる負担を社会保障の受給者も含めた現在の世代の負担増大の抑制を求めております。今までの年齢別負担から、負担能力別負担へと転換する必要性を指摘するとともに、給付と負担の両面にわたる世代間の不均衡を是正し、高齢期中心の社会保障から全世代対象の社会保障への転換を目指すものであります。
医療の分野では、70歳から74歳までの方の一部負担金の取り扱いについて、世代間の公平を図る観点から1割負担となっている特例措置を廃止すること、後期高齢者支援金の総報酬割、高額療養費の所得区分について、よりきめ細やかな対応が可能となるよう細分化し、負担能力に応じた負担となるよう限度額を見直すことなどが上げられており、伊丹市が保険者であります
国民健康保険においてもさまざまな改革が提言されております。仕組みとしての運営主体の都道府県化、低所得者の方が多く加入する国保への財政支援の拡充措置とあわせて、低所得者の方に対する保険税軽減措置を拡充すること、保険税の賦課限度額を引き上げることが上げられています。
国民健康保険事業を運営する保険者といたしましては、これらの給付の重点化と効率化を含めた
医療保険制度改革を国保の保険者の都道府県への移行時期を見据え、平成24年度決算において累積赤字が解消したことを維持しつつ、そして被保険者の皆様の保険税負担のあり方に十分な配慮を行いながら、財政の健全化、事業運営の円滑化を実施させていくことが重要な責務であると考えております。
次に、介護保険制度におきましては、高齢化による介護給付費の増加が今後も避けられない中、介護保険制度を持続可能なものにするためには介護給付の重点化、効率化をあわせて実施することが必要とし、要支援者に対する予防給付の見直し、介護施設の重点化等が検討事項とされ、また世代間、世代内の負担の公平性の観点に立った制度の見直しにつきましては、介護保険料の低所得者軽減強化、介護納付金の総報酬割導入、利用者負担のあり方が検討事項とされております。
介護保険制度は3年を1期とするサイクルで必要となるサービス料を見込み、介護保険事業計画を策定し、事業の運営を行っています。現在、国全体の介護費用は約9兆円、2025年には約21兆円に、また保険料も全国平均月額約5000円のところ、同2025年には月額8200円程度になる見通しとされています。
本市におきましても平成27年ごろに前期高齢者数はピークとなり、以降は後期高齢者割合が年々増加していくため、認定率、給付費ともに増加していくものと見込んでおります。
国民健康保険と同様に、介護保険制度につきましてもその動向を注視し、適切な給付や保険料の設定に努め、また特別養護老人ホームの施設利用は要介護3以上の認定者に限るとの国の方針が報じられる中、在宅での生活を支えるための施策や、認知症高齢者を支援するケア体制の確率、介護職員の人材確保等に積極的に取り組み、介護保険事業の適正な運営に努めていくことが
国民健康保険制度同様、保険者の責務と考えております。
少子化対策、子供子育て世帯への支援につきましては、子育て支援3法においてさきに枠組みは一定示されているところでございます。全世代対応の社会保障への転換という方向性と、少子化対策、医療、介護、年金の4分野を社会保障の重要な柱とする位置づけ、これに伴う財源措置の枠組みは示されましたが、このような改革案の具体的な制度設計はこれからであり、まだ具体的な内容は示されておらず、引き続き国の動向を注意していく必要がございます。
改革案を進めるに当たっては、市民の皆様の不安や疑問への丁寧な対応、説明責任を果たしつつ、御理解をいただきながら、持続可能な社会保障制度の構築に向け着実に実行していくことが全ての世代の市民の皆様に安心していただける伊丹市の福祉につながるものと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。
○副議長(川上八郎) 中田議員。
◆10番(中田慎也) (登壇)それぞれできる限りの明瞭な御答弁をいただきました。ありがとうございます。
それでは、順次、意見、要望を申し上げます。
まず1点目、マニフェストを根拠とする政策推進の妥当性でございますが、こちら市長より、マニフェストは総合計画を基本的にのっとってつくっている、そして、施策事業化を図る際には、当然事業の目的、そしてその必要性について説明するといただきました。これを実際に質問した内容についてやっていただけるということでございますので、今後は何々をやるだけではなく、伊丹にはこんな課題がある、その上で何々をやるといった課題等を含めた説明、要するに目的と必要性の有無の根幹の部分を担う部分だと思いますが、そういったところを含めた説明をぜひ今後も続けていただければなと要望をさせていただきます。
続いて、当局の今後の財政運営につきまして、
臨時財政対策債、こちらについては発行は抑制しないと、国はもう信じられるというような、ある種ばっさりと切られる御答弁をいただきました。これは非常に理解するところです。テクニカルの話は当然、個人的には決算剰余金分で発行抑制可能なのかななんてことも御相談させていただいたのですが、当然テクニカルの話、普通債償還等に充てたほうが、交付税にひもづいていないものに充てたほうが市にとって有利に働くと、それはおっしゃるとおりだと思います。
国との信頼関係の強さは理解する一方なんですが、一方で、なぜ他市において臨財債の発行抑制に取り組まれているか。この本市と他市での見解の違いはどこが違和感を感じるところではあるのですが、本市におかれましては国との強固な信頼関係があるという前提で財政運営されているので、それを理解するしかないと思います。伊丹市のやはり課題としましては、財政上の数値は非常にいいと思われます。強いて言うなら、やはりなかなか自立し切れていないのではないかと。今後の伊丹の将来を考える上で、やはり自立というのが一つキーワードになってくるのではないかなと、そのように思うところです。また、そういったところの財政展開も期待して、ここの部分の要望を終わらせていただきます。
説明責任については、総務省推奨の基準モデルについて、国の要請に従って段階的に導入すべきと考えると答弁いただきました。国の方針にこれも沿うというところで、恐らく総務省は導入を大分強めてくると思うので、導入することになると思われます。個人的にはインフラ関係のデータ活用についてはまだまだ研究の余地があると思っているのですが、施設関係のデータについては、例えば白書に示されていない精緻なデータですとか、もしくは財源明確化という意味では固定資産台帳というものが必ず活用できるところあると思いますので、こちらについてはなかなかパワーのかかる仕事ではございますが、積極的に取り入れていただくよう要望させていただきます。
また公共施設維持管理につきましては、床の面積総量59.6万平方キロと、これを基準とするという具体的数値いただきました。計画当初の数値から変わっていないというところでございます。今後、新しい施設建てるとなると、当然スクラップが必要になってくるということで、本当の意味でのビルド・アンド・スクラップ、これを図っていただけること、会派としてもまずそれを理解いただけるような市民への説明責任を、これを果たしていただくように要望し、そして一議員としてももちろん説明責任を果たすことで応援をさせていただければと思っております。
3点目の人材に関してなんですけど、これは一括で要望というか意見をさせていただければと思うんですが、総じて採用については工夫をされていらっしゃる。そして、さらなる工夫、さらなる本市が求める人物像を採用するために、例えば今回であれば、インターネットが一つの強い動線になっているというところから、こちらをより強化していくという答弁をいただいたのですが、何よりやはり採用してからいかに若手の人材を、そして優秀な人材をモチベーションを下げない状態に持っていくかというところが鍵になると思います。せっかく若手の方々は評価してほしい、自分がどのような成長をしていいのかわからないといった声があるにもかかわらず、庁内でその評価制度、成長度合いがはかれるようなそんな仕組みが導入されていないというのは、やはり若手職員の活性化、成長という意味ではなかなかまだまだ足りていない部分があるのではないかなと感じるところです。
キーワードに労使交渉という言葉も出てまいりましたが、ぜひともそこの部分進めていただきながら、他市でやっているところはやはり市長が音頭をとっているところもございました。ですので、市長を初めとして一丸となってそういった制度、導入していただくよう要望をさせていただきます。
また、4点目につきましては、こちらについては客観的評価、つまり伊丹市の学習到達度調査の意義については一定理解をされていらっしゃる。当然、だから導入されているものの、そのほかの学年については実際限られた予算の中で実施が難しいと、そのようにいただきました。結論、予算がネックなのか、それとも全学年に導入するほかのネックがあるのかはわかりかねるところではあるのですが、予算がないというのは大きなネックになると思われますので、こちらは一旦また市長部局内でも市長のほうでも御検討をいただきたいなと考えております。
5点目につきまして、持続可能な福祉サービスの構築というテーマで質問をさせていただきました。大分ばっくりとした質問になりまして、このように世代間の公平性という観点で本市の福祉サービス、ほとんど社会保障制度にのっとった御答弁でありますが、いろいろ考えていただいてありがとうございます。
ただ、具体的な案につきましてはこれからだと。当然、国の動向を注視していく必要があるということでしたので、これを踏まえた上でまたまたいろいろと研究をさせていただければと思います。
6点目の社会的企業の創出、社会起業家の創出でございますが、こちらについては昨日の代表質問にもございましたが、情報の一元化、そして中間支援機能、これの強化を図ると、そのように答弁をいただきました。現在、ばらばらな部門でやっているところを一元化を図る、組織に横串を通すというところは一定進んでいる方針ではないかなと思います。この答弁を生かして、ぜひ次の段階、先進市の事例で福岡市の事例が出てまいりましたが、福岡市も10年かけてようやく定着したということでございますので、本市におかれましても着実な推進を要望させていただきたいと思います。
最後に、要綱の公開化でございますが、こちらに関しましては、やはり行政の透明性確保、そして行政運営の効率化の観点から、周知が必要と思われる要綱は適切な公表を努めてまいると。つまり、公表を前提にという答弁をいただきました。さらに、部局内の情報共有についても鋭意検討していきたいと、そのようにいただいておりますので、まずは部局内の共有、これが先にあり、その後市民への共有という形にはなるかと思いますが、まずその部局内の共有というところ、鋭意検討という言葉で濁されているのか、実際やっていただけるのかわからないところですが、ぜひとも研究をしていただいた上で、庁内の業務効率改善に図っていただければなと思います。
以上、多岐にわたる質問させていただきましたが、これらの質問を踏まえまして、後の予算審査、そして今後の議会審議について考えていきたいと思いますので、今回いただいた答弁を踏まえて、これからも審議をさせていただきたいと思います。
○副議長(川上八郎) 以上をもって代表質問は終わりました。
ここでしばらく休憩いたします。
〇午後 2時51分 休 憩
〇午後 3時20分 再 開
○議長(山内寛) 休憩を解いて会議を続けます。
これより、個人による質疑、質問を行います。
初めに、28番 上原秀樹議員の発言を許します。────上原議員。
◆28番(上原秀樹) (登壇)ただいま議議長より発言の許可をいただきましたので、
日本共産党議員団を代表いたしまして、通告いたしました2点について質問をいたします。
最初に、引き上げられた公共工事設計労務単価についてであります。
国土交通省は、ことし3月、4月1日の入札から適用される2013年度公共工事設計労務単価を発表いたしました。そこでは、全ての職種で労務単価が引き上げられ、その平均は15.1%増となりました。同時に、新設計労務単価が建設労働者の賃金引き上げと社会保険加入促進につながるように、建設団体、公共、民間発注者宛ての要望書を発行いたしました。その概要については、伊丹市発注の公共工事に対する労務単価の特例措置とあわせて、既に7月3日の議員総会で説明があったところであります。
国土交通省は、新設計労務単価を設定するに当たって、その基本認識として、1つは建設投資の減少に伴うダンピングの激化と下請へのしわ寄せによって技能労働者の賃金が低下していること、また社会保険料も適切に支払えず、法令上の義務があるのに最低限の福利厚生すら確保されない企業が多数存在することによって、近年、若年入職者の減少が続いているということです。
2つには、その結果、労働需要の逼迫傾向が顕在化し、入札不調も各地で増加しており、このことは一時的なものではなくて、今適切な対策を講じなければ、近い将来、災害対策やインフラの維持更新に支障を及ぼすおそれがあるということであります。
そして、単価設定のポイントとして1つは技能労働者の減少等に伴う労働市場の実勢単価を適切に反映する、2つには、社会保険加入徹底の観点から、必要な法定福利費相当額を反映する、3つは被災地等の入札不調の増加に応じ、機動的に単価を引き上げるように措置をするとされました。伊丹市としても、今回の施策を積極的に受けとめ、官製ワーキングプアをなくす立場からさまざまな取り組みが求められています。
そこで、以下、質問をいたします。
第1に、先ほど述べました新設計労務単価を設定するに当たっての国土交通省の基本認識について、伊丹市の現状分析を踏まえてどうお考えでしょうか。特に入札に関しては不調に終わった入札が数件、辞退者が続出して一件、もしくは二、三件入札が行われたり、最低限価格未満の失格価格での入札が増加したりしています。その点も踏まえて見解をお伺いいたします。
第2に、設計労務単価設定に関する問題でありますが、私はかつて委員会等で、労務単価が毎年のように減少していることについて、その設定の方法を変えるべきではないかという趣旨の質問をしたことがあります。国土交通省の資料でも2012年の全ての産業の男性労働者の年間賃金総支給額は1999年と比較して6%下落しているのに対して、建設労務単価は27%の下落となっています。公共工事の入札契約が予定価格を上限として最低価格の入札者を落札者とする制度のもとでは、労働者の賃金実態を調査して設計労務単価を設定し、翌年の予定価格づくりに活用するという手法は、基本的に賃金と労務単価のマイナススパイラルを生じさせることになります。したがって、今回の大幅修正を教訓として、税及び社会保険等の負担額である消費支出を含む標準生計費を基本とする設計労務単価づくりの新たな方式に転換すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
第3に、国土交通省が新設計労務単価が建設労働者の賃金引き上げと社会保険加入促進につながるように、建設団体や公共、民間発注者宛ての要望書を発行した問題であります。建設労働者の賃金引き上げに関しては、発注労務単価の引き上げ、原価に満たない発注契約の禁止、適切な価格での下請契約の締結、下請専門工事業者の雇用労働者の賃金水準引き上げであります。また、社会保険加入促進に関しては、社会保険料相当額を適切に含んだ額による下請契約の締結と支払い状況の確認、及び技能労働者に対し、社会保険料負担相当額を適切に含んだ賃金の支払いであります。伊丹市として、以上の要請に具体的にどのように応えようとされているのでしょうか、お伺いいたします。
第4に、7月3日の議員総会で説明がありました労務単価の特例措置についてでありますが、特例措置というのは新たな設計労務単価が設定されたことに対しまして国から地方公共団体でも適切な運用をするよう要請がなされたことにより、伊丹市としても既に2012年度の労務単価で設計金額が設定されているものに対して対応するというものであります。その対象は、予算の範囲内で対応可能と判断できるものとして17件とされていました。その方法は協議によるとされていましたが、結果はどうなったでしょうか。また、予算の範囲内での対応とされていますが、その意味はあくまで予定価格の範囲内での対応ということなのでしょうか。さらには、その後の入札に関しては、新設計労務単価で予定価格が設定されているとは思いますが、地方交付税等国の財政措置に関してどのようにされるのかについてもお伺いをいたします。
2番目に、伊丹市職員新規募集についてであります。伊丹市は毎年、次年度の職員を採用するに当たりまして、伊丹市職員採用試験案内を作成して、広く応募をされております。その中で、伊丹市が第5次総合計画において「「真の協働社会」の実現に向けた仕組みづくりを構築するために取り組んで」いることから、「「真の協働社会」実現のために、自らが考えて行動し、時代の変化に機敏かつ柔軟に対応できる職員を求めています」とされています。伊丹市にとって優秀な人材確保は欠かせません。また、就職する人にとっても、生活安定や社会参加を通じての生きがい等、生きていく上で極めて重要な意義を持つものであります。
伊丹市は、職員の採用試験案内に当たって、大卒事務職はA、B、Cの3通りで募集されています。伊丹市職員採用試験案内によりますと、Aは昭和60年4月2日以降に生まれ、学校教育法に基づく4年制大学を卒業した人、または平成26年3月に卒業見込みの人、Bは昭和49年4月2日以降、昭和57年4月1日までに生まれ、学校教育法に基づく4年制大学を卒業した人で、民間企業等で正社員として5年以上勤務経験のある人、Cは、昭和57年4月2日以降、昭和63年4月1日までに生まれ、学校教育法に基づく4年制大学を卒業した人で、民間企業等で正社員として3年以上勤務経験がある人となっています。
そこで、問題として取り上げるのは、B及びCにおいて民間企業等で3年ないし5年の正社員としての勤務経験があることを条件とされていることについてであります。伊丹市は、総務省を通じて、厚生労働省が作成した公正な採用選考について、平成24年版が送付されています。その中で、公正な採用選考を行うには、応募者が求人職種の職務遂行上、必要な適性、能力を持っているかどうかという基準で採用選考を行うことが必要ですと書かれており、さらに、本人に責任のない事項や本来自由であるべき事項は、本人が職務を遂行できるかどうかには関係ないこと、適性と能力には関係ないことであり、これらを採用基準にしないことが必要ですと書かれております。さらに、地方公務員法第19条受験資格第1項では、「競争試験は、人事委員会の定める受験の資格を有するすべての国民に対して平等の条件で公開しなければならない」として、第2項では、「受験者に必要な資格として職務の遂行上必要な最少且つ適当の限度の客観的且つ画一的要件を定めるものとする」とされています。
以上のことから、伊丹市が受験資格とされていますB、Cにおける正社員として5年、ないし3年以上勤務経験のある人とされているのは、適性、能力のみを基準とするとした公正な採用選考基準から見て問題があるのではないかと思います。私はこの応募基準が正当なものかどうか、ハローワークに聞きに行きました。その返答は、好ましくないと言われました。もちろん、自治体に対して、好ましくないといえども、厚生労働省は指導する権限はありません。しかし、厚労省の公正な採用選考基準からして好ましくないとする基準は改める必要があるのではないでしょうか。
さらに、このことは青少年の雇用機会の確保等に関して事業主が適切に対処するための指針の中で、「青少年の募集及び採用に当たって講ずべき措置」の中でも、「青少年の募集及び採用に当たり、就業等を通じて培われた能力や経験について、過去の就業形態や離職状況等にとらわれることなく、人物本位による」評価を行うべくとされていることからも問題があると考えるものでありますが、以上に対する見解をお伺いいたします。
○議長(山内寛) 増田総務部長。
◎総務部長(増田平) (登壇)私から、引き上げられた公共工事設計労務単価に関しての御質問と、伊丹市職員の募集に関する御質問にお答えいたします。
まず、公共工事設計労務単価に関しての御質問でございますが、最初にお尋ねの新労務単価設定の背景と伊丹市の現状、それと4番目にお尋ねの特例措置への対応につきましては、あわせてお答えいたします。
議員御案内のとおり、国におきまして、本年度当初に平均15.1%という大幅な公共工事設計労務単価の引き上げが行われました。この新労務単価が設定された背景についてでございますが、公共工事の適正な施工を確保するためには、技能レベルが確保された労働者による施工が不可欠であり、こうした技能者の確保、育成には適切な水準の賃金の支払いが極めて重要になってまいります。また、技能労働者に対する適切な水準の賃金が支払われることは、公共工事設計労務単価及び予定価格への反映を通じて発注価格の水準の適正化にもつながり、これにより技能労働者に対する適切な水準の賃金支払いも可能になるといった健全な循環の実現に寄与することとなります。加えて、現内閣におきましては、公共投資の拡大を労働者の所得増加に結びつけ、消費の拡大、さらには生産の拡大を通じてデフレ経済からの脱却を目指しているところであり、公共工事の受け手である建設業における労働者の賃金引き上げは、重要な課題となっております。
伊丹市の現状についてでございますが、労務単価の特例措置につきましては、本年7月の議員総会におきまして御報告させていただいたところでございますが、平成25年4月8日付、国土交通省建設産業局長発信の『「平成25年度公共工事設計労務単価について」の運用に係る特例措置について』の文書においてなされた、国が平成25年度公共工事設計労務単価についての運用に係る特例措置を講じたので、地方公共団体においても適正な運用に努められたいとの要請に対応するものでございます。
労務単価の特例措置の対応といたしまして、旧労務単価にて入札に付した案件につきまして、各落札事業者に労務単価に関して予算の範囲内で変更契約の協議に応じる旨を通知いたしまして、新労務単価にて算出された予定価格に当初契約の落札率を乗じたものを含めて再度計算した設計による協議が調い次第、変更契約を締結いたしました。そして、変更契約締結の決定後、受注者に対し、下請企業との請負契約の金額の見直しや技能労働者への賃金水準の引き上げ等について、適切な対応をするように記載した通知文書を交付することで、今回の特例措置の目的と使途について個々に指導を行ったところでございます。
お尋ねの17件への対応結果でございますが、先ほど申し上げました協議に応じるとの通知をいたしましても申請のなかった事業者につきましてもこちらからアプローチし、15件が対応済みとなっております。残る2件につきましては、予算の範囲内で対応ができなかったものが1件、竣工直前で協議の結果辞退されたものが1件でございます。
また、財政措置に関してでございますが、17案件のうち14件につきましては、平成24年度補正予算において措置した事業でございますが、労務単価の特例措置後の事業費につきましても予算の範囲内でありましたので、補助事業の裏負担と市の負担部分につきましては、地方債を当初予定どおり充当することができました。そのため、予算編成の際に想定しておりました地方交付税が措置されるものと考えております。
また、残る3件につきましては、平成25年度当初予算において措置したものであり、現時点におきましては平成25年度の普通交付税の計算の詳細が明らかにされておりませんが、地方交付税措置のうち、包括算定経費における建設事業費の単位費用に上積み措置がされているものと考えているところでございます。
次に、労働需要の逼迫による入札の不調や入札辞退者が増加しているとの御指摘でございますが、国や一部の自治体の入札においてそのような傾向が見られ、特に東日本大震災以降、復興のため、被災地周辺で著しい状況にあると聞き及んでおります。一方、本市の工事案件での不調の件数でございますが、平成24年度は入札件数64件中、不調は2件、3.1%となっており、本年度におきましては、9月6日現在で入札件数67件中、不調は4件、5.9%となっております。
御案内のとおり、本市におきましても日本経済再生に向けた緊急経済対策として編成され、平成24年度補正予算を活用いたしました約40億円の公共事業を早期に発注し、地域経済の活性化に努めているところでございます。このような状況の中、本年度は前年同時期に比して約3倍の工事案件を市内業者に対して優先的に発注いたしております関係上、各事業者におきましては限られた人数の中で配置できる技術者の不足からの不調や辞退でございまして、最低制限価格未満の案件につきましては、工事内容により部材等の市場価格の変動が激しい等の要因が大きいと考えており、御指摘のような構造的なものではないと理解いたしております。
次に、3番目にお尋ねの伊丹市として新設計労務単価にどのように対応するのかという御質問でございますが、従前より契約締結に当たりましては、公共工事の施工上の留意事項を記載した冊子を作成し、配布しているところでございますが、労働者の雇用に当たり、労働基準法、職業安定法、労働安全衛生法等労働関係諸法例を遵守し、労働条件の改善及び労働災害の防止に努めるよう、元請業者を通じ、下請業者への発注等につきましても指導をしているところでございます。
今後におきましても事業者に対して啓発を継続し、国の動向を注視しながら対応してまいりたいと考えております。
最後に、2番目にお尋ねの今後の設計労務単価の設定方法を標準生計費を基本とする方式に改めることについての御質問についてでございますが、例えば、建築を例にとって申し上げますと、公共工事で使用されている設計労務単価につきましては、国の予算、決算及び会計例におきまして、取引の実例価格、需給の状況等を考慮して、適正に定めることとされています。これに基づき、農林水産省及び国土交通省が毎年調査を実施し、公表をしております。この単価は、農林水産省及び国土交通省において、工事の発注に際し必要となる予定価格に使われており、所管する公共事業等に従事した建設労働者等に対する賃金支払いの実態を昭和45年より毎年定期的に調査されています。ちなみに、平成25年度の労務単価調査の対象工事といたしましては、農林水産省及び国土交通省所管の直轄補助事業等のうち、平成24年10月に施工中の1件当たり1000万円以上の工事の中から無作為に抽出した1万1474件をもとに算出されております。
本市におきましても、公共工事の予定価格の積算に用いるための設計労務単価は、公共事業労務費調査の結果をもとに公表されている公共工事設計労務単価を採用してるところでございます。公共工事は、国等の補助や起債事業等が多く、これらの積算根拠として一定の基準が求められておりますことから、この公共工事設計労務単価と公共工事積算基準等をもとに、適正な積算業務を行っているところでございます。
今後の公共工事におきましても、国の制度等に準じ、適正な労務単価を採用し、予定価格の積算に努めてまいりたいと考えております。
次に、伊丹市職員の募集に関しての御質問にお答えいたします。
初めに、本市の民間企業等経験者を対象とした職員採用の経緯についてでございますが、過去におきましても企業財務やIT関係を対象として限定的に実施しておりましたが、議員御案内の勤務経験5年の条件を付した区分は、平成22年度より大学卒事務職Bとして、勤務経験3年の条件を付した区分は、昨年度より大学卒事務職Cとして実施いたしております。
これらの採用試験は、大量採用、大量退職といった事態を繰り返すことのないように、本市における事務職員の年齢構成の平準化を図るとともに、秀でた能力、資格、経験等を持つ即戦力の職員を確保するために行っているものでございます。
次に、職員採用に関する法規定についてでございますが、議員御案内の厚生労働省作成の公正な採用選考についての根拠となります雇用対策法におきまして、第6条から第8条で事業主の責務を、第9条で厚生労働大臣による、事業主が適切に対処するために必要な指針の策定と公表を、そして、第10条で募集及び採用における年齢にかかわりない均等な機会の確保について定めておりますが、そもそも同法は専ら、民間事業主を対象としたものでございまして、同法第37条において、これら第6条から第10条の規定につきましては、国家公務員及び地方公務員については適用しないこととされております。
なお、同法の適用におきましては、民間事業主に対しても一定の例外を認めており、その一つとして、技能、ノウハウの継承の観点から、特定の職種において労働者が相当程度少ない、特定の年齢層に限定し、かつ期間の定めのない労働契約の対象として募集、採用を行う場合については、制限を設けた募集を認めております。
この例外規定は、企業存続のためには、ノウハウの継承に支障が生じることがあってはならないとの観点から設けられたものでございますが、行政におきましては、公共の福祉向上というその使命から民間企業以上に絶対的な継続性や安定性が求められており、こうしたことが公務員について適用除外とされた理由の一つであるとも聞き及んでおります。
では、公務員の採用についての規定はどうなっているのかと申し上げますと、国家公務員につきましては、国家公務員法第46条で、「採用試験は、人事院規則の定める受験の資格を要するすべての国民に対して、平等の条件で公開されなければならない」とされており、地方公務員につきましては、議員御案内のとおり、地方公務員法第19条第1項で「競争試験は、人事委員会の定める受験の資格を有するすべての国民に対して平等の条件で公開されなければならない」と規定されております。
本市のように、人事委員会を置かない地方公共団体におきましては、任命権者が受験の資格を定めることとされておりますが、この受験資格は、逐条解説によりますと、平等公開の原則と同時に、採用試験といえども税をもって実施しているところであり、効率的、効果的な事務執行が求められていることから、こうした2つの要請を調和させるため、必要かつ適度な限度で客観的に明白で画一的なものでならないとされており、一定の年齢、経歴、学歴、免許などが該当すると言われております。
このように、採用試験実施者に対して広範な裁量権が認められておりまして、近年、全国の多くの地方自治体で、民間企業等経験者を対象とした職員募集を行っておられますが、受験資格につきましては本市と同様に、正社員としての勤務経験年数を規定してるところや、任用期間に定めのある職を除いているところ、また、正社員であっても一定期間未満の勤務期間では、職務経験として認めていないところなど、それぞれの団体で求める人材に応じた資格要件を定めておられます。
本市におきましては、大学を卒業しても就職が決まらない若者の増加が社会問題化する中、広く優秀な人材を確保するという観点から、大学卒業後にアルバイト等をしながら就職を目指して活動を続けている若者に対応するため、平成19年度実施の採用試験におきまして、年齢制限をそれまでの25歳までから28歳までに引き上げたところでございます。
一方で、
リーマンショックとその後の景気低迷により、民間企業から優秀な人材の流出が続く中、そうした人材の確保と本市職員の年齢構成において不足する層の補充などを目的として、平成22年度から民間等経験者を対象とした採用試験を実施してるところでございます。これは、正社員の立場で責任を持って本格的業務に従事されていた方を対象に、高度な職務経験や資格を有する者の確保を目的として実施しているものでございまして、具体的な人数枠は設けておりません。本年度におきましても、大学卒事務職Bの採用試験を7月に実施いたしておりますが、132人の応募に対して合格者は3人のみとなっております。
本市といたしましては、資格要件廃止に伴う受験者の増加に対応するため、多くの民間企業や一部の自治体のように事前書類選考を導入することは、かえって門戸を狭めることになりかねないと捉えておりまして、大学卒事務職にA、B、Cと区分を設け、実施することにより、大学新卒者、卒業後アルバイト等で生計を立てながら就職を目指す若者、そしてUターンやIターンを目指して転職を検討している者など、それぞれの年齢や環境に応じて、幅広く受験の機会を提供することにより、それぞれの区分に応じた優秀な人材の確保につながっているものと考えております。
○議長(山内寛) 上原議員。
◆28番(上原秀樹) (登壇)御答弁をいただきましたが、2回目の意見、要望と質問をさせていただきたいと思います。
最初に、職員の募集についてから、この点では再度の質問をさせていただきたいと思います。
伊丹市が優秀な人材を採用するに当たって、さまざまな工夫をされているということは先ほどの答弁でよくわかりました。民間企業等で働いておられる経験を持つ方を採用するということも、この近年やられておられます。そのこと自体を否定するわけではありません。正社員という制限についていかがなものかということの質問であります。
厚生労働省が出しました「公正な採用選考をめざして」という冊子がありますけれども、これは総務省を通じて自治体に送付されたものであります。ですから、先ほど答弁で、地方公務員と国家公務員は適用除外とすると言いましたけども、これ自体が適用除外されたわけではありません。
答弁で、雇用対策法の第6条から第10条まではこの適用除外されているというのはちゃんと法律に書いてあります。その第6条というのは、事業の縮小に伴う問題、また第7条が青少年の雇用に関するもの、第8条は外国人の雇用問題、第9条は青少年と外国人の雇用に関する指針を定めて公表するということ、第10条は年齢にかかわりのない均等な機会を確保するというのがこの適用除外とされている内容であります。
公正な採用選考についての根拠となるのは雇用対策法の目的であり、基本理念ではないかと思います。その目的では、労働者がその有する能力を有効に発揮することができるように、これを通じて労働者の職業の安定と経済的、社会的地位の向上を図るなどと書かれてるとともに、基本的理念におきましては、労働者はその職業生活の設計が適切に行われ、並びにその設計に則した能力の開発及び向上、並びに転職に当たっての円滑な再就職の促進、その他の措置が効果的に実施されることにより、職業生活の全期間を通じて、その職業の安定が図られるように配慮されるものとするというのが目的であります。
この基本理念と目的に沿って、公正な採用選考というのができていますから、先ほどの答弁は、あたかも公正な採用選考そのものが適用除外かの印象を与えるような内容でありましたが、そうではありません。むしろ、その基本理念、目的に従って、第4条では、国が必要な施策を講じることとして、第5条でも地方公共団体は国の施策と相まって地域の実情に応じ、雇用に関する必要な施策を講ずるように努めるとされているように、むしろこの公正な採用選考に即して採用選考すべきだということがこの法律の中では言われてると思います。こういう立場があるからこそ、ハローワークと兵庫県の労働局がこの正社員という条件をつけてることは好ましくないと判断したものと考えます。この点、改めてその見解を伺っておきます。
雇用対策法の第10条の年齢に関する問題では、先ほど答弁がありましたとおり、厚生労働省は正社員を募集するに当たって、年齢にかかわりなく均等な機会をと、年齢制限を設けることはできないとされていますが、例外として年齢制限が認められる場合があるとして、それは雇用対策法施行規則第1条の3第1項で、6つの例外が挙げられています。答弁で紹介されたのは、例外事由3号ロの部分であります。さらに、例外事由3号のイにおきましては、長期勤務によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を期間の定めのない労働契約の対象として募集、採用する場合、いわゆる市役所の場合のような場合が想定されますけども、こういう場合には新卒一括採用という雇用慣行の中で、雇用情勢の悪化に伴い、特に就職の厳しい時期に正社員になれなかった年長フリーターやニートの増加といった、近年の若者をめぐる雇用問題に配慮して設けられた例外事由であると。したがって、対象者の職業経験について不問とすることという条件がついています。
先ほどの答弁では、正社員として一定の期間勤務したことが一つの条件とされると言われましたけども、それももちろん一つの条件ではあると思いますけども、最近の非常に厳しい雇用状況の中で、さまざまな学習をされて能力がありながらも何らかの理由で正社員として就職ができなかった人、3年ないし5年という条件がありますけども、あるいは2年間だけ何とか勤めることができた方はこの採用基準には合わないということになりまして、むしろそのような優秀な人材を逃すということにもなりかねないのではないかと考えるものであります。
他市の状況も先ほど紹介ありましたが、宝塚、川西、三田の状況を調べてみましたら、宝塚市は、25歳から29歳のいわゆるちょっと上の年齢の人を募集しておりますけども、そこでは民間企業等における職務経験が2年以上ある人ということで、正社員という制約がついていません、括弧としてアルバイトを除くと書いてありますが。川西は、いずれにしてもそういう制約は一切ありません。三田市は、正社員の制約はありましたけども、来年は正社員という制約を除くとされています。残るは伊丹市だけがこの近辺では残るわけでありますけども、改めて厳しい雇用状況の中で、雇用対策法の中で言われた精神にのっとって正社員という項目を外すのが妥当ではないかと考えるものであります。それは、公正な採用選考で述べられてるとおり、本人に責任のない事項によるのではなくて、職務遂行上必要な適性、能力を持っているかどうか、ここに選考の基準を置くべきと考えますが、改めて答弁をお願いしたいと思います。
最初に質問した公共工事の設計労務単価につきましては、要望といたします。
1つは、入札の状況について、不調が4件あったということであります。昨年が2件で、そんなに変わりはないということでありますが、入札者のうち、いろいろ全部調べてみましたら、1件を残して全て辞退となった入札が5件ありました。これは電子入札でありますから顔が見えるわけではありません。入札をしてみたら、1件だけ除いて全部辞退されていた。結果としてその人が入札された。中には、その落札された方の落札率が90%超えてるという案件もありました。その5件を除いて入札者の3分の1以上が辞退となったのが10件もありました。入札者のうち、そのほとんどが失格となったのが2件ありました。合わせて21件で、31%が見たら異常な入札となっています。
いろんな要素があろうかと思いますけども、こういう事態となったのは、前年同期と比べて約3倍の工事が出てきて、技術者が不足したというのが大きな理由とされています。これは構造的な問題ではないとされていますけども、今後、公共施設の老朽化とか、あるいは公共施設マネジメントにおける改修工事とか、さまざまな課題もありますし、また災害対策という観点からも考えていかなければならない問題ではないか。構造的な問題ではないとされていますけども、改めて技術者や、あるいは若年層の後継者の問題については、伊丹市独自に調査をされて、必要な対策を講じなければならなかったら対策を講じていただきたいと思います。
もう一つは、引き上げられた労務単価が賃金に反映されているのかどうか、社会保険の加入はどうかということですけども、これは元請業者を通じて指導しておりますということです。実際にどうだったのかというのは検証はできませんというか、検証はしていないと。伊丹市の職員で検証するといっても、職員がもちろんおられませんから検証することはできないと思います。しかし、これを検証しなければ、本当に賃金の引き上げにつながったのかということはわかりません。本来であるならば、実際の現場で賃金や社会保険の加入を調査すべきでありますが、伊丹市独自に調査できなかったら兵庫県あるいは広域で共同して、抽出調査などもして、全体の傾向を調べて必要な手を打つことも必要ではないかと考えますので、御検討お願いしたいと思います。
今後の労務単価の設定に関しましては、今後の課題でありますけども、従前どおりにいけばますます労務単価は下がる一方です。先ほど言いましたけども、全産業の男性の賃金総額は99年比で6%下がっただけでしたけども、設計労務単価が27%下がってる。これは実際の現場の給料を調べてやっていますから、調べてまた下がり、また下がりというそんな悪循環になっていますから、改めてこの悪循環、マイナススパイラルを断ち切るという方向はぜひ、絶対に必要だと思いますので、この点では国に対しても要望していただきたいと思います。
以上、2回目の発言を終わります。答弁よろしくお願いします。
○議長(山内寛) 増田総務部長。
◎総務部長(増田平) (登壇)伊丹市職員の募集に関しましての再度の御質問にお答えいたします。
そもそも雇用対策法の理念は議員御案内のとおりでございまして、議員もハローワークにお尋ねなさったということでございますが、雇用対策法の趣旨だけに照らしますと、兵庫労働局の立場としては年齢や職歴を制限した採用は好ましくないという見解であろうと思われます。一方、公務員につきましてはこうした項目は適用除外とされておりまして、特殊な職における性別限定や僻地等における地域限定が許容されるなど、広範な裁量権が認められているのは公務の特殊性に鑑みてのことと認識いたしております。
議員御案内の厚生労働省発行の「公正な採用選考をめざして」につきましては、県を通じて送付されてきておりますが、送付に際して、受験申込書等採用関係書類や面接時の質問等において、いまだに本籍地、出生地、家族の職業、収入等、本人に責任のない事項や思想信条等、本来自由であるべき事項の把握を行ってる事例があるので点検、確認をいただきたいという趣旨の文書が添えられておりまして、年度によっては変更点などに対する注意喚起も付されております。こうした項目は、我々公務員も対象となるものでございまして、本市におきましても、例えば近年では学歴覧から中学校の記載欄を削除するなど、適宜対応を行ってきているところでもございまして、今後も同様の姿勢で適切に対応してまいりたいと考えております。
次に、大学卒事務職(B)及び(C)において、正職員の経験を要件としてることに対する考え方についてでございますが、先ほどの答弁でも申し上げましたとおり、大学を卒業しても就職が厳しい近年の状況を考慮しまして、大学卒事務職(A)につきましては、対象年齢を従前の25歳までから28歳にまで引き上げたところでございます。一方で、大学卒事務職(B)及び(C)では、正社員として責任ある立場で職務に従事していた方を即戦力として採用しようという趣旨で新たに設けたものでございます。民間事業主と同様の型式にするとすれば年齢要件のみとなってまいりまして、例えば本市が本年度実施した採用試験では、要件としては単に年齢39歳以下ということになります。こうした場合、結果として大学卒業後アルバイト等をしながら就職の活動を続けている方、ここ数年は大学卒事務職(A)の区分で多く採用しているところでございますが、こうした方々にとっては非常に狭き門になることが考えられます。本市は、多くの他の自治体と異なり、大学卒事務職(A)の年齢制限を引き上げることとあわせて、別途(B)、(C)の区分を新たに設けて実施しているところでございまして、民間企業や一部の自治体のように、制限を撤廃した上で多数の受検者に対応するためエントリーシートなどのような事前書類選考等を強化することは、結果として若年者の採用を阻害するとともに、職員採用の本来の目的である組織の活性化のために必要な人材を確保することにとって支障を来すのではないかと危惧するところでもございます。
今後とも、本市職員の年齢構成なども勘案しつつ、幅広く優秀な人材を確保するため、募集要件や募集方法、また試験方法などについてより効果的、効率的なものとなるよう、継続して取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(山内寛) 上原議員。
◆28番(上原秀樹) 時間がありませんので終わりますが、また引き続き委員会等でいろいろ議論をしていきたいと思いますんで、よろしくお願いします。
○議長(山内寛) 次に、21番 北原速男議員の発言を許します。────北原議員。
◆21番(北原速男) (登壇)ただいま議長より発言の許可を得ましたので、発言通告書に基づき質問をさせていただきます。
まず、1点目につきましては、教育委員会制度についてであり、市長の教育への関与、いわゆる市長と教育委員会のあり方についてであります。
ことしの夏は非常に暑く、8月20日の新聞記事を見ました。神戸新聞ですけども、そこに市長の教育関与強化へ、泉佐野市条例を来月提出、全国3例目という見出しで大きく報道をされておりました。その記事の内容につきましては、泉佐野市では定数が20人、そして14人が市長の施策を基本的に支持しており、9月議会において可決される見通し、検討中の条例案では、市長と教育委員会が協議し、教育目標を定めた教育振興計画を策定することを明記、教育委員に教育計画の達成状況を自己評価させ、さらに市長や議会による検証することも想定している。同市長は、教育内容や思想を強制するものではない。市の予算を配分する以上、教育でも目標の達成状況などを首長がチェックする仕組みは必要とのコメントの記事が掲載されておりました。
先ほど申し上げましたように、同じような教育条例は、昨年、大阪府、大阪市でも相次いで制定されており、可決されたなら全国で3例目になるとのことであります。この基本条例では、市長と教育委員会が協議し、教育目標を定めた教育振興計画を策定するとともに、教育委員に教育計画の達成状況を自己評価させ、さらに市長や議会による検証を行うとされております。教育委員会が行う教育行政の基礎を培う取り組みに対する市長の関与についてお聞きしますが、市長の教育行政への介入につきましては、政治的な中立が損なわれることが懸念されるとの意見もある一方、市長がチェックする仕組みは必要ではないのかとの指摘もあります。
本市におきまして、教育委員会においては平成19年から平成28年までの10年間を計画期間とする伊丹市教育ビジョンが策定されております。その教育ビジョンでは学ぶことの幸せを実感できることば文化都市の創造を目指し、幼児期、学校教育、家庭、地域、社会教育、教育行政のそれぞれの分野で教育施策を展開されてきております。このように、教育振興の基本計画である教育ビジョンを他市に先駆けて策定し、教育委員会や事務局職員を初め、学校管理職や教職員、保護者や市民の誰もが共通の教育目標を持って互いに連携を図る中で教育施策を推進している取り組みがなされております。さらに、教育委員会では、毎年の決算議会に先駆けて単年度ごとに作成された伊丹の教育に関する成果報告書を作成され、外部評価委員による点検、評価を受けながら、その結果を次年度以降の新規施策に反映させ、その取り組み状況を市民に対して開示することにより開かれた教育行政への取り組みがなされており、この点につきましては評価させていただくものでございます。
ここでお伺いいたしますが、現行の教育ビジョンは平成28年度までの計画となっております。引き続き、翌年、平成26年度からいよいよ平成29年度からの新たな新教育ビジョンを策定、検討されようとしているならば、それは教育委員会が独自に策定されようとされるのでしょうか、それとも市長と共同で策定し、その策定されたものを議会に示そうとしているのでしょうか。まず、この点についてお聞きいたします。
また、伊丹の教育成果報告編では教育委員及び外部委員による評価となっていますが、つまり市長による教育委員会への評価、議会による評価について新たな取り組みを進めようとする考えはないものか、教育委員会の御所見をお聞きいたします。
続きまして、2点目の質問、このたび実施に向けて本格的に中学校給食におけるアレルギー対応についてお伺いいたします。この質問につきましては、私ども、代表質問でもお聞きをしております。私ども、非常に高い関心を持っていることから重ねてお聞きいたしますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。
教育委員会では、現在、中学校給食導入検討委員会を設置し、中学校給食の導入について学識経験者や、市民や、各種団体の代表者の意見を踏まえ、その導入について調理方法や実施方法、実施時期等について検討が進められております。先般、第1回中学校給食導入検討委員会が開催され、本格的な議論をスタートさせたものとお聞きしております。また、地域での会合を初め、さまざまな機会を通じて市民の皆さんと意見交換をするために、独自のリーフレットを作成し、啓発を進められていることにつきましても大いに評価するものであります。
まだこれから検討委員会の審議内容を踏まえ、教育委員会として、さらには本市として意思決定をしていくわけでありますから、現段階では御答弁しにくい内容とは思いますが、今後、中学校給食を実施するならば、アレルギー対策を積極的に取り組んでいただきたいとの思いから質問をさせていただきます。
平成26年9月にオープンを予定しておられる猪名川町の新しい給食センターでは、食物アレルギーのある児童生徒のためのアレルギー対応食を調理するため、専用の調理室を設けますといったことをお聞きしております。私どもが目指す「こども・子育てマニフェスト2013」の中でも、全ての公立中学校で給食が出るようにいたします、またアレルギーの子供にも配慮した給食もできるところから始めていきますといった内容をうたい、アレルギーを持った子供も、そうでない子供もみんなそろって一緒になって、温かく、栄養バランスのとれたおいしい昼食を食べてほしいと切に願うところであります。
ここでお聞きいたします。調理方式や直営、民間委託など実施の手法、実施時期等、正式に決定するのはまだまだ時間がかかるかとは思いますが、最近食育については関心が高く、そうした観点からも、実施される際にはアレルギー対応を実施する方向での検討が極めて必要と考えますが、御所見をお聞きいたします。
また、現在、小学校ではアレルギーを持った子供たちに対しては弁当で対応されていますが、アレルギー対応食を用意することは考えていらっしゃらないのでしょうか、現時点でお答えできる範囲でお聞かせ願いたいと思います。
3点目、市営住宅の改修工事についてお聞きいたします。
平成25年第1回定例議会の補正予算において市営住宅等維持管理費として4億560万円の予算が計上され、同議会において私も議決させていただきました。本市が管理する市営住宅は昭和39年から昭和40年代にかけて大量の公営住宅を整備されており、現在の市営住宅の総戸数は、都市整備公社から引き継がれた北池尻団地の90戸を含め、現在2023戸あり、老朽化が本市における公営住宅の喫緊の課題であるとも言えます。加えて、伊丹市の住生活基本計画、公営住宅ストック活用計画によれば、今後、現在の市営住宅は建てかえをしないことが示されています。反対に言えば、できる限り長期的に有効活用していくことが重要であるということも示されてると思います。さらに、ストックを長期活用していくためには、適切な維持管理を行うことは必要不可欠であります。これまでも外壁塗装及び屋上防水の改修工事を順次実施し、建物の劣化の低減を図ってきており、今後も設備の更新なども含めた改修工事や修繕を計画的に実施していく必要があると考えております。
そこで、現在進められている市営住宅の改修工事についてお聞きいたします。市営住宅の外壁塗装及び屋上防水の改修工事の進捗状況はどのようになっているのでしょうか、できる限り具体的なスケジュール、取り組みの実情についてお聞かせください。
さらに、市営住宅の外壁塗装及び屋上防水の改修工事を実施する上で、それぞれの住宅の住民の皆さんとの関係についてでございますが、例えば住民説明会の開催、また入院されている方、高齢者などがベランダに置かれているものなどの撤去などの際にはどのようにされるのか、この点についても御答弁をお願いをいたします。
以上をもちまして1回目の質問を終わらせていただきます。
○議長(山内寛) 木下教育長。
◎教育長(木下誠) (登壇)私から、市長と教育委員会のあり方についての御質問にお答えいたします。
現行の教育委員会制度には、合議制の執行機関である教育委員会、その代表である教育委員長、事務の統括者である教育長の間で責任の所在の不明確さが指摘されています。また、教育委員会における審議等の形骸化や、危機管理能力の不足といった課題も指摘をされています。これは根本的な問題として、非常勤の委員の合議体である教育委員会では、日々変化する教育問題に迅速に対処し、責任を果たしていくにはおのずと限界があるからでございます。
そのほかにも、教育委員会制度については市長との関係が繰り返し論点になっており、政府の諮問機関である教育再生実行会議からは、地域の民意を代表する市長が教育行政に連帯して責任を果たすような体制にする必要があると指摘をし、市長に教育長を任命、罷免する権限を与えるといった提言がなされました。また、この提言を受け、現在、中央教育審議会において議論されているところであり、今後の国の動向に注視しているところでございます。
そこで、市長の教育への関与及び市長と教育委員会のあり方についてですが、教育行政における市長と教育委員会の役割分担につきましては、地方教育行政の組織及び運営に関する法律に明確に規定されております。教育委員会の職務権限については、同法の第23条において、教育委員会の所管に関する学校その他の教育機関の設置、管理及び廃止に関すること、教育財産の管理に関すること、教育委員会及び学校その他の教育機関の職員の任免その他人事に関することなどが規定されております。また、公共団体の長の職務権限については、同法第24条において、教育財産の取得及び処分に関すること、教育に関する契約の締結、予算執行に関することなどが規定されております。このようなことから、市長と教育委員会は、原則として相互に対等、独立の関係にあります。しかし、それは両者がそれぞれ全く独自に教育に関する事務をとり行うことを意味しているものではなく、市長と教育委員会は十分に意思疎通を図り、調和をとりながら、それぞれが責任を持って適正に教育に関する事務をとり行うことが重要であると考えております。
そのため、私は、教育長として、常日ごろから市長と直接話し合いの場を積極的に持つことを心がけております。また、市長と教育委員会との懇談会においては、本市の教育行政について活発な議論を交わし、意見交換を行うなど、市長との意思疎通を図っており、市長の教育に対する考え方が十分に反映されているものと考えております。
次に、平成29年度からの新教育ビジョンに関し、市長と共同で策定するのかということについてですが、議員御案内のとおり、大阪市教育行政基本条例では、市長は、教育委員会と協議して教育振興基本計画の案を策定するものとする、また、教育振興基本計画は、市議会の議決を経て定めなければならないと規定をされております。しかし、本市における平成29年度以降の教育ビジョン策定につきましては、教育委員会制度の動向を見きわめる必要はありますが、現在のところ、その策定方法やスケジュール等について決定しておりません。今後、市民の皆さんの御意見をどのように把握するのか、議会との協議や御意見をどう反映するかなどなど、策定方法等についても広く御意見を賜りながら決定してまいりたいと考えています。
いずれにいたしましても、次期教育ビジョンは、第5次総合計画の体系と整合性を図りながら、将来を見据えた教育振興基本計画として位置づけ、策定いたしますことから、市長や議会の考えが反映されたものになると考えております。
次に、市長による評価についてですが、教育委員会の事務評価は、議員御案内のとおり、伊丹の教育成果報告編では市長による評価はいただいておりませんが、市の行政評価である総合計画に基づく事務事業評価や施策評価において市長が進捗状況のチェックを行っておりますので、市長に評価されているものと認識しております。
また、本市では、毎年5月から年間を通して各部局ごとに市長とのヒアリングが実施をされており、市長が事業の進捗状況の管理を行っております。その場におきまして、教育委員会の主要な事業や施策についても、市長からさまざまな意見を伺いながら事業を推進しているところでございます。
最後に、議会による評価についてですが、先ほど申し上げました伊丹の教育成果報告編につきましては、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第27条第1項で、教育委員会は、毎年、その権限に属する事務の管理及び執行の状況について点検及び評価を行い、その結果に関する報告書を作成し、これを議会に提出するとともに、公表しなければならないと規定されており、市の行政評価とともに、毎年決算審査の時期に御審議をいただく資料として議会に提出しており、さまざまな御意見等もいただいておりますので、議員の皆さんにも評価していただいているものと考えております。また、議会審議の中で、議員の皆さんからいただきます貴重な御意見をできる限り教育施策に反映するよう努めているところであります。現在、教育委員会における評価については、伊丹の教育成果報告編と市の行政評価との2本立てで実施をしており、今後その役割分担やあり方について検討してまいりたいと考えております。
教育委員会としましては、未来を担う子供たちの豊かな心と健やかな体の育成に向け、今後とも市長との連携をさらに深め、議会の御意見も賜りながら教育行政の推進に努めてまいりますので、御理解いただきますようお願い申し上げます。
○議長(山内寛) 大西教育長付参事。
◎教育長付参事(大西俊己) (登壇)私からは、中学校給食におけるアレルギー対応についての御質問にお答えいたします。
アレルギーとは、本来人間にとって有益な反応である免疫反応が逆に身体にとって好ましくない反応を引き起こす場合に用いられる言葉であり、食物アレルギーが原因となり発症するアナフィラキシーショック、これは特定の起因物質により生じた全身性のアレルギー反応が血圧低下を伴い重症になった危険な状態を意味しますが、場合によっては死に至ることがあるため、学校現場においては食物アレルギーに関する適切な対応の徹底が求められております。
本年5月、教育委員会が調査しました「平成25年度園児児童生徒のアレルギーに関する調査」によりますと、本市小学校におきましては、アレルギーを持つ児童は676名、そのうちアナフィラキシーショックを発症する可能性のある児童は36名となっており、学給食が原因となるアレルギー症状を発症させないための取り組みを実施しております。その取り組みといたしましては、学校給食センターの栄養教諭等が作成した学校給食の原材料を詳細に記した食材、加工食品、調味料などの配合表を事前に児童の家庭に配布し、原因食材を含んだ主食や副食等を除去しながら食べるといった対応をしています。これらの取り組みを繰り返すことにより、アレルギーを持つ児童に危険性を認識させ、自分自身で命を守ることの大切さを学ぶといった指導を行っております。しかしながら、アレルギーの原因となる食品を完全に除いて調理する除去食や、原因となる食品を除かれることによって失われる栄養価を別の食品を用いて調理する代替食の提供については対応していないことから、アナフィラキシーショックを発症する可能性のある重度のアレルギーを持つ児童や複数の食品に対してアレルギーを持つ児童に対しては、家庭から弁当を持参していただいております。
平成19年に文部科学省が発表した「アレルギー疾患に関する調査研究報告書」によりますと、学校給食における食物アレルギー対応について、完全給食を実施してる学校のうち、医師の診断等に基づき献立表、成分表を配布するなど、配慮を行っている学校は、小学校で84.1%、中学校で72.2%、除去食等対応を行ってる学校は、小学校58.1%、中学校40.6%、代替食などの対応を行ってる学校は、小学校20.8%、中学校15.0%となっています。
この報告を受け、平成20年3月に文部科学省スポーツ・青少年局監修のもと、財団法人日本学校保健会から「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」が発行され、現在、全国の学校園におけるアレルギー対応の指針として活用が図られています。このガイドラインでは、学校給食における食物アレルギー対応の基本的方向として、学校給食が原因となるアレルギー症状を発症させないことを前提として、各学校、調理場の能力や環境に応じて食物アレルギーを持つ児童生徒の視点に立ったアレルギー対応給食を提供することを目指して、学校給食における食物アレルギー対応を推進することが望まれると記されています。
さらに、現在、文部科学省では「学校給食における食物アレルギー対応に関する調査研究協力者会議」が設置されており、本年7月29日に中間まとめが取りまとめられました。その中で、今後の食物アレルギー対応の基本的考え方として、「食物アレルギーの児童生徒が他の児童生徒と同じように給食を楽しめることを目指すことが重要であり、各学校、各調理場の能力や環境に応じて食物アレルギーの児童生徒の視点に立ったアレルギー対応給食を提供すること」と記されております。
近隣市におきましてはその対応はさまざまでございますが、尼崎市、芦屋市、川西市の小学校、西宮市、宝塚市の小・中学校においてアレルギー対応給食である除去食等を提供しており、議員から御案内のありました来年稼働予定であります猪名川町の新給食センターにおきましても、アレルギー対応給食を実施するとの発表がありました。また、過日実施いたしました学校現場への平成25年度中学校給食に係るアンケートの調査結果におきましても、教職員が回答した中学校給食の実施に際して危惧される課題の2番目に食物アレルギーへの対応が上げられており、今後の対応か求められているところでございます。
以上、申し上げましたように、安全で安心できる学校給食の実現といったことから、アレルギー疾患への対応について強く求められていることに加えて、学校給食は、児童生徒の必要な栄養をとる手段であるばかりでなく、食の大切さ、食事の楽しさを理解するための教材としての役割を担っており、食物アレルギーを持つ児童生徒が他の児童生徒と一緒に給食を楽しみ、食育を学ぶことを目指して取り組むことは非常に重要であると考えております。
現在開催しております中学校給食導入検討委員会におきまして、検討事項の1つとしてアレルギー対応について御審議いただいておりますが、学校給食における食物アレルギー対応につきましては、
単独調理場か共同調理場などの調理方式や献立づくり、配送、配膳、各学校の生徒数や食物アレルギーを持つ生徒の数など、それぞれの環境や諸条件によって対応が異なってまいります。また、医師や医療機関、消防局など、関連機関とのさらなる連携や、幼稚園や小学校、中学校など、異なる学校団体との情報の共有、生徒同士のお互いの協力、教職員の共通理解も欠かすことができません。これらの課題を解消し、食物アレルギーの対応を推進していくことは、ひいては食に関する正しい理解と認識を促すことになり、生徒はもとより、教職員、保護者等の食育推進につながるものと考えております。
このようなことから、教育委員会といたしましては、検討委員会の報告を踏まえ、学校の状況や調理方式による特性、アレルギーの生徒の実態等を総合的に判断し、今後行うことができる最良の対応について検討してまいりますので、よろしく御理解くださいますようお願い申し上げます。
○議長(山内寛) 二宮
健康福祉部長。
◎
健康福祉部長(二宮叔枝) (登壇)私から、市営住宅の改修工事に関する御質問にお答えいたします。
本市の市営住宅の整備につきましては、伊丹市住生活基本計画におきまして、市営住宅の建てかえは行わず、民間賃貸住宅を活用した市営住宅の供給を進めることを基本方針として定めたところでございます。一方、適切な既存ストックを長期活用していく必要があり、市営住宅の予防保全的な維持管理や耐久性の向上に資する改善等の計画的な実施により市営住宅ストックの長寿命化を図り、ライフサイクルコストの縮減につなげ、市営住宅ストックの有効活用を実現することを維持管理の基本としております。
市営住宅の維持管理に係る改修工事等の取り組み状況でございますが、経過年数や点検結果等に基づきまして、外壁塗装や屋上防水の改修工事を始め、ベランダ柵、受水槽、高架水槽、電気・ガス・給排水設備などの改修工事を行っており、最近の状況を申し上げますと、平成22年度におきましては、山道団地の屋上防水改修工事、天神川団地のベランダ柵改修工事、鶴田団地及び平松住宅の水道メーター取りかえ工事などを実施し、平成23年度におきましては、中曽根団地の外壁塗装・屋上防水改修工事、玉田団地、荒牧第6団地及び荒牧第7団地のガス設備改修工事、玉田団地、荻野北団地、荒牧御影団地及び鴻池公社住宅の水道メーター取りかえ工事などを、平成24年度におきましては、天神川第2団地の外壁塗装・屋上防水改修工事、堀池団地のベランダ柵改修工事、長尾住宅、玉田団地、新光明住宅、北野団地及びシルバーハイツ桃源荘の水道メーター取りかえ工事などを実施したところでございます。
今年度に実施しようとしている改修工事でございますが、本年1月11日、日本経済再生に向け緊急経済対策が閣議決定されました。この緊急経済対策の重点項目の1つである復興、防災対策の中に事前防災、減災のための国土強靱化、災害への対応体制等の強化が掲げられ、命と暮らしを守るインフラ再構築として、老朽化対策、事前防災、減災対策などが講じられたところでございます。公営住宅に関しましても、躯体の老朽化対策に係る事業が対象事業とされ、本市におきまして市営住宅の適切な維持管理を推進するため、国の補正予算である社会資本整備総合交付金を最大限活用し、後年度に実施を予定しておりました市営住宅の改修工事などを前倒しして実施することとし、市営住宅等維持管理費として4億560万円を本年2月の補正予算に計上し、25年度に繰り越したものでございます。本年4月に実施設計に着手し、一部これからのものもございますが、本年9月に入札を行い、工事請負契約を締結したところであり、市営住宅の3団地8棟の外壁塗装及び屋上防水の改修工事と、6団地12棟の外壁塗装改修工事を実施しようとするものでございます。
まず、市営住宅の外壁塗装及び屋上防水の改修工事の進捗状況はどのようになっているのか、具体的なスケジュールや取り組みの実情に関する御質問でございますが、荻野北団地、天神川第2団地、玉田団地の3団地8棟の外壁塗装及び屋上防水の改修工事、及びシルバーハイツ桃源荘、長尾住宅、北野団地、鶴田団地、荒牧第6団地、新田中野住宅の6団地12棟の外壁塗装改修工事を実施いたします。これらの工事のスケジュールでございますが、現在、市職員と工事業者が各団地の自治会長や管理人の方に対しまして工事の説明と今後の進め方の協議を行っているところでございまして、協議が調い次第、住民説明会を開催する予定でございます。
次に、住民説明会の開催がどのようになるかという御質問でございますが、住民説明会につきましては、10月上旬から順次団地の集会室等で実施する予定でございますが、各団地の世帯数及び集会室の規模等を勘案して複数回の説明会を実施することも検討しております。説明では、工事の内容や工期、住民の方々に御協力いただく事柄などを御説明し、十分に御理解をいただけるよう努めてまいります。
また、入院されている方などがベランダに置かれているものの撤去はどうなるのかとの御質問でございますが、入居者の方が入院等で御不在の場合は、親族の方などに連絡をとり、その方にベランダのものを撤去していただくなどで対処してまいりたいと考えております。その後、10月中旬から工事を実施したいと考えております。
工事の進め方といたしましては、外壁塗装改修工事につきましては、まず、団地の建物周辺に作業用の仮設足場を組み、塗料などの飛散を防ぐためのシートを全体にかけます。その後、外壁を高圧水洗浄し、不着の弱まった古い塗装や汚れを落とします。次に、経年劣化による外壁表面のひび割れ、モルタルの浮きの処理を行った後に塗装を行います。この塗装過程におきましては、塗装をしない部分をビニールで覆った上で塗装を行いますが、この工程におきまして窓やサッシがあけられないという御不便を入居者の皆様におかけしますが、1週間程度で作業を済ませられるように作業範囲を区切るなど、できるだけ短期間で行いたいと考えております。
屋上防水改修工事につきましては、外壁塗装改修工事と並行し、団地の屋上に雨漏りなどを防止するためのシート防水工事を行います。その際、防水シートの下にウレタン製の断熱シートを敷きまして、外断熱の効果も見込んでおります。外壁塗装及び屋上防水の改修工事の内容や団地の棟数、規模等にもよりますが、早ければ年内に工事が完了するところもありますが、平成26年3月までに全て完了をする予定でございます。
以上の工事の実施に当たりましては、入居者の皆様に十分説明し、安全に配慮し、迅速な工事を心がけてまいりますので、よろしくお願い申し上げます。
○議長(山内寛) 北原議員。
◆21番(北原速男) (登壇)それぞれ御答弁をいただきました。大変ありがとうございました。2回目の質問につきましては、若干私の私見を交えながら要望をさせていただきます。
まず、1点目の教育委員会制度については、当然今後の国の中央審議会の議論の動向を見る必要があるかとは思いますが、私、個人的には教育は中立性が非常に大事だというふうに考えております。
ただ、現在の制度の、先ほども答弁の中でありましたように、責任の所在の不明確さ、あるいは教育委員会の審議等の形骸化、危機管理能力の不足といった課題が指摘されているという、こういうことから制度の硬直化や制度疲労、そういうことも当然外部の指摘等もあると思います。市長と、それから教育委員会との考え方を、制度を見てみますと、現行制度の枠組みの中では、市長は予算配分権を持って、その権限の範囲内で政策を教育に反映させる。さらに、議会について言えば、予算に対する議決権、また予算審議の過程においての、あるいは要望、質問、そういうことを通じて議員の政策を反映させる、こういうことが現在の仕組みであります。平たく言えば、教育委員会の今の形骸化とか、そういう有識者の指摘の場合、一番根本的なポイントになるといいますか、非常に外部から見て見えない部分があるという指摘もあります。それは、やはり教育委員会の審議の過程が非公開であったり、あるいは決定の中身が見れないというようなことも指摘もあります。昨今、秘密保護法案、これは外交とか、それからテロとか、あるいは防衛とか国の大きなところですけども、そういう中で非常に知る権利ということが大きくクローズアップされています。そういった意味では、身近な行政の中で、教育委員会の中でも一番の知る権利、情報の公開というのが非常に今後の教育委員会の審議の中でも重要なポイントになってくると、このように考えております。
そうしたことから、先ほど御答弁でありましたけれども、市長と教育委員会がいろいろとやりとりをして意見交換をしていると。ただ、そこはやっぱりなかなか見えない部分ですから、そこのところはできる限りの情報公開をするということが1点、非常に大事なところというふうに考えております。
2点目、その向こうにある我々議員の側にとってもこのことは非常に重要で、議員がお互いの情報を共有して議論を深めていく、このことが議会制の民主主義、議会制の根本であります。そういった意味では、私ども議会に対しても情報公開と情報共有、このことを要望させていただきます。
そして、さらに大きな課題であれば、また事業であればあるほどそのことが重要になってまいります。また、私どものほうにも市民の方からいろんな意見等をお聞きする場合もありますので、特に昨今では、中学校給食等につきましては、情報の公開と情報の共有、このことについては強く要望させていただく次第でございます。
2点目につきましては先ほどと同じような、関連しますけども、中学校給食の食物アレルギー対策についてでございますけども、御答弁の中では、いわゆる医師とか医療機関などとの連携、そして小学校、中学校などの異なる学校段階ごとの情報共有などを通じること。さらに、これらの課題を解消し、食物アレルギーの対応を推進していくことが、ひいては食に関する正しい理解と認識を促すことにより生徒、教職員、保護者等の食育推進につながるものと考えますとの御答弁でした。ですから、食物に対しての関心が非常に高いわけですから、ぜひとも食物についての食育推進、これまで教育委員会が愛情弁当という形で推進をされてきたそのことをもう一度原点に立ち返って、愛情と食物という観点で施策を進めていただきたいと、このように考えております。
また、私どもは、中学校給食について、中学校給食導入を開始したアレルギー対応の製造ラインと一般食の製造ライン、この2つのラインを持って製造を開始している先進市の給食センターも今後視察し、研究もしてまいります。未来の子供たち全てに対し公立中学校で給食が出て、アレルギーの子供にも配慮した給食の実現を政策の中に盛り込んでいただきたいことを要望します。今後の中学校給食の議論には高い関心を持ち、政策提言も積極的に行ってまいりますので、この点、意を酌んでいただきますようよろしくお願いを申し上げる次第でございます。
最後に、市営住宅の改修工事につきましては、昨年の政権交代後、アベノミクスによる第2の矢、機動的な財政政策と言われる緊急経済対策が打ち出され、本市もこれに呼応して大量の公共工事を発注すべく対応されてきました。この結果、平成25年度2月補正予算において、市営住宅管理工事として外壁塗装工事、屋上防水工事を大幅に前倒しして実施されてきております。
一方、本市としては、住生活基本計画においては民間住宅の借り上げを進めていく意向とされていますが、現に住みなれた地域に長年住み、その地域での交友関係もあることから、ついの住みかと考えている方々にとっては今後も市営住宅に住み続けられるものと考えます。
したがいまして、今後開かれる通常国会において、消費税率8%の実施決定とともに、あわせて5兆円の経済対策の検討が開始され始めました。これまでと同様、市長のリーダーシップのもと、国の経済対策を注視していただき、老朽化している市営住宅初め、公共の施設などの改修工事、メンテナンス等の取り組みについても強く要望しておきます。
以上をもちまして私の質問を終了いたします。ありがとうございました。
○議長(山内寛) この際、お諮りいたします。本日の会議はこの程度にとどめ、延会したいと思いますが、御異議ございませんか。
(「異議なし」の声起こる)
御異議なしと認めます。
よって、本日は延会することに決しました。
なお、21日から23日は市の休日の休会となりますので、次の本会議は24日午前10時より開議いたします。
それでは、これで延会いたします。
〇午後 4時58分 延 会...