平成12年 2月 定例会(第14回) 第14回
尼崎市議会会録(定例会)第4号◯議事日程 平成12年3月2日 午前10時 開議第1 議案第41号 尼崎市市税条例の一部を改正する条例について第2 議案第42号 尼崎市
消防関係事務手数料条例について第3 議案第43号 尼崎市火災予防条例の一部を改正する条例について第4 議案第48号 尼崎市
介護保険条例について第5 議案第49号 尼崎市
保健衛生関係事務手数料条例について第6 議案第53号 尼崎市
国民健康保険条例の一部を改正する条例について第7 議案第54号 尼崎市
計量関係事務手数料条例について第8 議案第55号 尼崎市手数料条例の一部を改正する条例について第9 議案第57号 尼崎市
産業廃棄物処理業等関係事務手数料条例について第10 議案第58号 尼崎市廃棄物の処理及び清掃に関する条例の一部を改正する条例について第11 議案第63号 尼崎市
建築物等関係事務手数料条例について第12 議案第80号 尼崎市
農業共済事業事務費の賦課総額及び賦課単価について第13 議案第1号 平成12年度尼崎市
一般会計予算第14 議案第2号 平成12年度尼崎市
特別会計国民健康保険事業費予算第15 議案第3号 平成12年度尼崎市
特別会計中央卸売市場事業費予算第16 議案第4号 平成12年度尼崎市
特別会計用品調達事業費予算第17 議案第5号 平成12年度尼崎市
特別会計育英事業費予算第18 議案第6号 平成12年度尼崎市
特別会計農業共済事業費予算第19 議案第7号 平成12年度尼崎市
特別会計都市整備事業費予算第20 議案第8号 平成12年度尼崎市
特別会計公共用地先行取得事業費予算第21 議案第9号 平成12年度尼崎市
特別会計中小企業勤労者福祉共済事業費予算第22 議案第10号 平成12年度尼崎市
特別会計公害病認定患者救済事業費予算第23 議案第11号 平成12年度尼崎市
特別会計青少年健全育成事業費予算第24 議案第12号 平成12年度尼崎市
特別会計介護保険事業費予算第25 議案第13号 平成12年度尼崎市
特別会計老人保健医療事業費予算第26 議案第14号 平成12年度尼崎市
特別会計駐車場事業費予算第27 議案第15号 平成12年度尼崎市
特別会計廃棄物発電事業費予算第28 議案第16号 平成12年度尼崎市
特別会計競艇場事業費予算第29 議案第17号 平成12年度尼崎市
水道事業会計予算第30 議案第18号 平成12年度尼崎市
工業用水道事業会計予算第31 議案第19号 平成12年度尼崎市
自動車運送事業会計予算第32 議案第20号 平成12年度尼崎市
下水道事業会計予算---------------------------------------◯出席議員 1番 騰 和美君 2番 荒木伸子君 3番 丸尾孝一君 4番 高橋藤樹君 5番 田村征雄君 6番 松村ヤス子君 7番 今西恵子君 8番 丸尾 牧君 9番 酒井 一君 10番 田之上鉄男君 11番 竹原利光君 12番 真鍋修司君 13番 杉山公克君 14番 丸岡盛夫君 15番 広瀬早苗君 16番 菅村哲仁君 17番 瀬井幸則君 18番 飯田 浩君 19番 白井 文君 20番 平山丈夫君 21番 牧田 隆君 22番 北 和子君 23番 滝内はる子君 24番 仙波幸雄君 25番 安田雄策君 26番 下地光次君 27番 早川 進君 28番 黒川 治君 29番 蔵本八十八君 30番 北村保子君 31番 谷川正秀君 32番 波多正文君 33番 中野清嗣君 34番 塩見幸治君 35番 小柳久嗣君 36番 畠山郁朗君 37番 新本三男君 38番 多田敏治君 39番 宮野 勉君 40番 寺本初己君 41番 小田原良雄君 42番 安田 勝君 43番 高岡一郎君 44番 中川日出和君 45番 石本 晟君 46番 藤原軍次君 47番 米田守之君 48番 中村四郎君
---------------------------------------◯議会事務局事務局長 岡田 武君事務局次長 小谷正彦君議事課長 辻本 守君
---------------------------------------◯地方自治法第121条の規定による出席者市長 宮田良雄君助役 堀内弘和君助役 山田耕三君収入役 石本 操君
都市拠点開発室長 横山助成君市長公室長 吉井惠一君
企画財政局長 木戸 功君総務局長 辻村拓夫君美化環境局長 宮崎 修君医務監 山本 繁君
健康福祉局長 斉藤 実君市民局長 西村孝一君
産業経済局長 矢冨勝亮君土木局長 大井善雄君都市局長 中村光彦君消防局長 近成義男君
水道事業管理者 村上義光君
自動車運送事業管理者 鳥羽正多君
企画財政局総務課長 岩田 強君
教育委員会委員長 中村弘一君教育長 小林 巖君
選挙管理委員会委員長 西村五郎君
代表監査委員 久保田 治君
常勤監査委員 藤本 始君
--------------------------------------- (平成12年3月2日 午前10時1分 開議)
○議長(中川日出和君) これより本日の会議を開きます。 日程に入るに先立ち、
会議録署名議員の指名を行います。
会議録署名議員は、会議規則第81条の規定により、議長において小田原良雄君及び北和子君を指名いたします。 この際、事務局長から諸般の報告をいたさせます。
◎事務局長(岡田武君) 御報告いたします。 現在の出席議員は47人であります。 次に、本日の議事日程は、昨日の日程を踏襲いたします。 報告事項は以上であります。
○議長(中川日出和君) 日程に入ります。 日程第1 議案第41号 尼崎市市税条例の一部を改正する条例についてから、日程第32 議案第20号 平成12年度尼崎市
下水道事業会計予算まで、32案を一括議題といたします。 昨日に引き続き、代表質疑を行います。 発言を許します。 田村征雄君。 (田村征雄君 登壇)
◆5番(田村征雄君) おはようございます。
日本共産党議員団の田村征雄です。 宮田市長の施政方針と政治姿勢、2000年度
一般会計予算ほか関連議案に対して、
日本共産党議員団を代表して質疑いたします。
地方分権一括法が今年4月から施行されますが、国が代執行などで関与できる規定が残されていたり、税や財源が移譲されないなど、極めて不十分なものであります。国の
機関委任事務の45パーセントが
法定受託事務となったものの、そこに地方自治体の条例制定権が及ぶとされました。そこで、自治体としては、拡大された条例制定権を活用して、住民の暮らし、福祉、健康を守っていくことが極めて重要になってくるものと思います。地方自治権と住民の力で、政治、経済、社会の各分野で住民が主人公の新しい流れに切り替えていくことが時代の要請であります。 新しい流れを象徴するような出来事が、今年相次いでいます。万博の国際事務局から、これは20世紀型の
開発至上主義だと厳しく批判された愛知万博の問題では、自然破壊から環境を守る住民団体の国際的な活動が根底にありました。
開発至上主義の自民党政治が国際的批判にさらされ、計画は見直しの動きとなってきました。吉野川可動堰では、徳島市民が住民投票でノーの審判を下しました。住民自治の力が発揮され、市長も見直しを表明しました。三重県で計画されていた中部電力の
原子力発電所建設計画に対し、海と漁場を守れと、37年間にわたる地元住民の反対運動が県民運動へと広がり、知事が原発計画の撤回を表明しました。原発推進の国策へのノーの判断、地方自治権の発揮であります。東京の石原都知事が、公的資金を受けている、利益を上げている銀行が不良資産処理で課税逃れをしている実態を批判し、銀行に対する外形標準課税を議会に提案しました。地方税法に基づく自治体の課税自主権を行使することで、地方自治権の強烈な発揮となりました。 ところで、宮田市長は、自治体の長として、尼崎で住民の立場に立って、地方自治体の長の権能をどのように発揮されるのか、市政運営の基本的な政治姿勢が問われます。 まず、多数の犠牲者、患者を生み出した、
自動車排ガスと道路公害問題であります。昨日も指摘されましたが、神戸地裁判決があったにもかかわらず、市長が施政方針で一言も触れなかったのは、異常な姿勢と受け止めました。尼崎南部では、大企業が吐き出したばい煙と国道43号、
阪神高速道路の
自動車排ガスによる大気汚染で住民多数が健康被害を受け、
公害病認定患者は1万1,208人、これまで認定患者の死亡者は3,071人と、多数の犠牲者を出しています。公害患者、遺族が起こした公害訴訟では、関西電力など企業9社は、昨年2月、解決金を払い、患者は勝利和解しています。そして、国、公団を相手取った判決が1月31日にあり、住民に甚大な被害を与えた国、
阪神高速道路公団に痛烈な審判が下りました。判決では、損害賠償の支払いとともに、
自動車排ガス中の
浮遊粒子状物質、SPMによる健康被害を認定した上、1日平均1立方メートル当たり0.15ミリグラムを超えるSPMの排出差止めを命じる画期的な判断を示しました。住民の命と健康よりも道路など
産業基盤整備に公益性があるとしてきた道路行政、環境行政を反省し、国、公団はこの判決に従うべきでありました。ところが、因果関係が明確でないとして、国、公団は判決に従わず、控訴しました。道路公害から命と健康を守るための20年以上にわたる住民運動があり、ぜんそくなど公害病を押しての裁判闘争も、11年の長きにわたりました。この間に原告患者133人の犠牲者を出し、今もなお3,298人の認定患者が苦しんでいます。市民の命と健康を守る立場から、また、今なお環境基準が守られていない道路沿道の大気の環境基準を守らせる上で、宮田市長は、国と公団が判決に従い、控訴しないことを求めるべきでありました。それが尼崎市の地方自治体の地方自治権の発揮になったのではないでしょうか。 石原都知事は、
尼崎道路公害裁判の判決に基づいて、都内に入る
大型ディーゼル車に対して
排気ガス除去装置の取り付けを義務づけすること、ロードプライシング、課金制度の採用を発表しましたが、
道路公害解決をめざす地方自治権の発揮であります。宮田市長は、今回の判決の持つ意義を踏まえ、国や県知事に対して、湾岸線などへのうかい誘導策だけでなく、43号線の更なる車線削減やディーゼル車に対する
排気ガス除去装置取り付けの義務づけなどを措置するよう要求すべきでありました。昨日、日本共産党の宮田県会議員の質問に、兵庫県が、これらの規制を前向きに検討すると答弁しました。SPMの排出差止めを求めた判決では、現在の
自動車排ガスによる大気汚染によって沿道居住原告にもたらしている侵害は、単なる生活妨害というものではなく、沿道の広い範囲で疾患の重症、憎悪をもたらす非常に強い違法性があると強調しています。 市長に伺います。 宮田市長は、昨日、神戸地裁の判決に対して、道路の公共性よりも環境に重きを置いた判決と答弁しましたが、聞きたいのは、判決の説明ではなく、市長が判決の立場に立つのか、それとも国、公団の立場に立つのか、この一点です。答弁願います。 また、尼崎の判決を受けて、東京都知事は新しい対策を発表しています。地元の宮田市長が何もしないということは、許されるものではありません。判決を踏まえ、三市協の国要望から更に踏み込んだ
道路公害対策についての市長の取組みを求めます。答弁ください。 関連して、東本町ランプの建設問題であります。 このランプをつくれば、通行車両が新たに6,800台も交通量が増えると公団が予測しています。
公害病認定患者などが暮らしている大物線沿道の通行量増大と渋滞による排ガス汚染の拡大が十分予想されます。しかし、実際には、道路公団は、既に業者と工事契約を結んでおり、そのことは市長も知っているはずです。市長は、環境悪化になる東本町ランプの建設を容認しようとしているのではありませんか。 伺います。 東本町のランプ建設問題では、市民の命と健康を守る立場で、きっぱりと建設工事の中止を尼崎市の態度として市長が表明することを求めます。答弁ください。 次は、市民の暮らしの問題であります。 尼崎市民の暮らしの厳しさは、99年度補正予算と2000年度予算案にあらわれています。99年度補正予算で市長から景気の低迷、雇用環境の悪化のため、市民税や収益事業などで予算に比べ50億円近く収入減となったと説明がありました。50億円もの減額補正は、過去にはなかったことではないでしょうか。来年度予算では、落ち込んだ99年度の決算見込みより税収が更に3.2パーセント減とするなど、市民も中小企業も不況による収入減は更に厳しくなることを予算があらわしているものと思います。尼崎の2月の有効求人倍率は0.35、つまり100人の求職に35人分しか仕事がないワーストぶりであります。10日前にハローワークに行きましたが、仕事探しの失業者であふれていました。また、12月議会で補正予算が出たように、当初予算の見込みに比べ、生活保護世帯が500世帯も増えました。金融対策費の
融資あっ旋預託金は、99年度は8億5,000万円の減額補正を行い、来年度予算では、前年度に比べ12億円の減額としています。これは、業者に融資を受ける力がないほど中小業者が不況に痛めつけられていることを予算の上で示しています。また、市民税や国保料、保育料など、払いたくても払えない滞納世帯が増えていることに、市民の暮らしの厳しさがあらわれています。 市長に伺います。 市民の暮らし、中小業者の営業は、かつてない厳しさであります。ところが、市長の施政方針では、市民の暮らしの厳しさに一言も触れていません。予算では、市民税の収入が減る数字は見えても、市民の暮らしの厳しさは見えていないのではないでしょうか。市長には市民の暮らしの厳しさが見えているのかどうか、答弁願います。 次に、景気回復、経済対策の問題です。 昨年の完全失業率は年平均で4.7パーセント、
完全失業者数は前年に比べ38万人増の317万人と総務庁から発表されました。連立与党は、大企業が目先の利潤を確保するための人減らしを保障する産業再生法をつくり、リストラを推進しています。人減らし、リストラを推進し、失業者を増やすやり方で、個人消費が伸びるはずがありません。消費税の引上げ、
医療費引上げの9兆円の負担増に続いて、昨年の庶民増税は、個人消費を更に冷え込ませています。また、政府が進める年金制度改悪、
高齢者医療費の新たな負担増、介護保険による新たな負担など、社会保障における国民負担の増大と給付の減は、将来不安を大きくし、これも
個人消費冷え込みの原因となっています。景気回復の2本の柱である個人消費も設備投資も落ち込んでいるのが実態であります。これまで政府は、緩やかな回復とか、下げ止まりから持ち直しへなどと、根拠のない上向きの景気動向を流していますが、2月11日付けの朝日新聞でも、個人消費は低迷し、肝心の企業の資金需要は伸びておらず、実態経済の力強い回復には結びついていないと分析しているように、実態経済は回復に向いているとは言えません。 ところで、国民の最も切実な願いである景気対策について、政府が進めている対策は、銀行支援と空港づくり、無駄なダムづくりなど、
ゼネコン型公共事業のばらまきであります。政府は、13年間に630兆円の公共事業を行うとした対米公約を果たすために、バブル崩壊後11回にわたり
公共投資積増し政策を行い、自治体を動員してきました。この公共事業の経済効果を雇用面から見ると、1985年から96年までに公共事業費は倍加しましたが、公共事業の就労者数はほとんど増えていません。つまり、公共事業が
大型プロジェクトとなり、大きな機械を使うようになったため、建設、土木の分野では、公共投資を増やしても雇用の増加につながっていないのです。また、
大型公共事業は、ゼネコン、鉄鋼、セメントという三つの業種がいちばん潤うのでありますが、経済効果は、そこで働く労働者の所得が増える場合です。ところが、ゼネコンの場合、抱えている不良資産の帳簿上の処理に公共投資が消えてしまい、労働者の所得が増えないのです。公共投資で下支えするやり方では、
自立型景気回復にならないと専門家が分析しているのはここにあります。 市長に伺います。 政治家としての宮田市長は、政府の経済対策で景気が回復すると考えますか。また、市長は、経済動向についてどのように認識されているのか、伺います。 更に、市民の生活を守り、市内中小業者の経営を守る立場から、自治体の長としてどのような経済対策を国に要求しますか。答弁を求めます。 次は財政問題です。 来年度政府予算は、約85兆円の歳入のうち38パーセントは初めから借金で賄うとしており、小渕首相の在任1年半で増やした借金が101兆円、今では国と地方で645兆円、国内総生産の130パーセントにまで借金が膨れ上がり、
サミット参加国でも突出しています。戦時でもないのに、軍費調達で赤字国債が膨らんだ戦時のような異常な借金の増大が大問題となり、世界一の借金王を自負する小渕首相のやり方が続けば、日本を破滅に導くとの指摘が広がっています。財政運営が世界から見て全く異常な日本の姿がここにあります。この借金を消費税の大増税やインフレ政策で解消する動きが強まってくるものと思われます。そうなれば、国民の暮らしの大破たんという状況が生まれます。そうした自民党政治のもとで、地方自治体の財政危機が全国的に広まり、本市の財政危機も極めて深刻な状況であります。 宮田市長が策定した96年度から2000年度までの5年間の財政計画は、2年後に改訂、98年度からの
改訂版財政計画もその年には破たんし、そのまま見直しもありません。そこで、99年度の決算見込み、2000年度予算計上分を含む5年度間の財政計画と実態との比較を行い、破たんの実態と行財政運営の問題点を明らかにしていくことが肝心であります。 この5年間で、財政計画に比べ、市税は233億円の落ち込み、減額で、
収益事業収入は107億円の減額となり、歳出では、人件費、扶助費、公債費などの義務的経費が50億円も増えました。これらだけを差し引きしても、財政計画に比べ、実績は390億円もの差、かい離が生じています。この間に、厳しい財政のもとで、市長は再開発事業などに重点投資をしました。その期間の収入源の穴埋めも含めて、基金の取崩しは207億円です。市債、つまり借金は1,256億円借入れしています。今後の財政状況では、欠損が出ても穴埋めする基金が底をついている事態です。新年度は、税収など歳入は伸びが期待できず、逆に義務的経費は前年度に比べ24億円増え、増えた内訳は、公債費、つまり借金返済額が大半であります。新年度予算で人件費は505億円、扶助費が332億円、公債費は180億円とされています。
標準財政規模が約1,000億円の本市で、義務的経費が1,018億円と、極めて厳しい状況であります。これからも定年を迎える退職者が毎年200人程度見込まれ、その退職手当約60億円を含む人件費の増加、不況で扶助費が増加すること、公債費、つまり借金返済額も増えていき、ピークは2004年ごろと昨日答弁されましたが、このまま行けば赤字再建団体に陥ることになるのではないかと考えられます。尼崎市の財政の歴史でも、かつてない危機的な状況、破たん寸前であります。市長は施政方針で、これまでにない極めて憂慮すべき非常事態であると認識していると述べました。しかし、私には、市長の施政方針全体からすれば、危機感は感じられませんでした。 さて、市の財政危機が深刻化した原因の第1は、政府の
経済財政政策の失敗であります。長引く不況は、本市において、法人市民税、個人市民税、
収益事業収入などを大きく落ち込ませ、財政計画と実績とで大きなかい離、差を生じさせました。 市長に伺います。 政府の
経済財政対策の失敗が本市の税収などの大幅減、計画外の基金の取崩し、市債の増額となり、財政危機を深刻化した原因の一つになっていると考えますが、市長はこのことを認めますか。答弁を求めます。 次に、自民党政治は、公共事業を国だけでなく地方自治体にやらせる仕組みをつくりました。再開発事業だけでなく、街並み・
まちづくり総合支援事業、
大阪湾ベイエリア開発関連事業などを国の補助事業として推進を図る仕組みです。そのメニューに乗って尼崎市が進めた
大型公共事業に
本市財政危機の第2の原因があるものと考えます。
大型公共事業に多額の一般財源を使い、借金と借金の返済額を増やした尼崎市の財政運営の問題です。バブル時期に策定された本市の総合基本構想と第一次基本計画は、にぎわい・創生を都市像とし、人、物、情報を集める
国際都市づくりをめざしました。この計画に基づく阪神尼崎の都心整備、
南部臨海部開発、潮江、立花の再開発事業などは、国の
公共事業優先のメニューに乗ったもので、これらの事業には国の補助が付き、市債の発行、つまり借金も許可され、市長も有利な財源を求めて
大型公共事業中心の行財政運営を続けてきたのであります。都心整備の人工地盤、
立体遊歩道づくりは、震災直後に優先して事業が進められ、潮江第二地区の再開発、立花南第二地区の再開発や
臨海西部拠点開発は、震災復興の冠がついて事業推進に拍車がかかりました。調査費を含むこれらの事業費は、合わせると1,100億円を超え、市の一般財源は約300億円、市債は120億円以上であります。バブル崩壊の影響で市の財政が年々落ち込んでいる中で、市債、つまり借金が120億円以上増え、これらの借金の返済に係る公債費が義務的経費の増加となり、
財政危機深刻化の大きな要因になっているものと考えます。また、
土地開発公社が抱えている債務負担、市の隠れ借金は614億円に膨れ上がっています。この借金も
都心整備事業が大きなウエートを占めています。 市長に伺います。 立体遊歩道や再開発ビルができましたが、財政は破たん寸前です。国の補助が付くからと、財源確保に走り、
大型公共事業を4カ所も同時に進めるようなやり方は、尼崎規模の自治体ではほかに見られません。このような財政運営が今日の
財政危機深刻化の大きな要因と考えますが、いかがですか。答弁を求めます。 次に、財政が危機的な現時点で、市長が
スーパープロジェクトと銘打って進めた公共事業はどれだけ市の財政負担になったのか、市民の満足度はどうなのか、費用対効果の面から検証する必要があります。 まず、来年度予算で、
立体遊歩道整備などで7億円余りの事業費を計上している阪神尼崎の
都心整備事業についてであります。 この事業は、市民のニーズを積み上げた計画ではなく、当局は初めから国の補助がつくメニューを持ち込んで、人工地盤と
立体遊歩道づくりを進めようとしたのです。私の調査によれば、ホテルニューアルカイック前の広場、ここは近い将来人工地盤がつくられ、公園にされる計画だと思いますが、郵便局に立ち退きに係る補償費を払い、
土地開発公社が購入したものであります。昨年度末の帳簿価格が155億1,600万円で、利子が毎年3億5,200万円ずつ膨らんでいき、時期が来れば、利子も含めて市の負担で買い戻すことになります。 市長にお尋ねします。 この用地の買戻しはいつから始めるつもりなのでしょうか。その財源手当の見通しを市民に明らかにしてください。 次に、幾らの事業費をつぎ込んで、いつごろまでに、どこまで立体遊歩道を伸ばそうとしているのですか。また、市長が言う費用対効果の点で、
都心整備事業が法人市民税や固定資産税などの税収や民間事業者の事業展開などによる個人消費の増大となるなどは、いつごろから、どの程度の効果があると見込んでいるのか、市民に明らかにすべきであります。併せて答弁願います。 次に、
臨海西部拠点開発事業です。 現時点では、基盤整備した用地に民間企業が進出する見通しが全く立たない状況であります。おまけに、扇町水路の埋立てがあります。南部には工場の撤退した跡地があり、土地利用について今後検討されるものでありますが、扇町水路を埋立てしてまで新たな土地をつくる必要は全くないのであります。もともと自然の海を埋め立てて工場に開発された南部臨海部は、市当局の市民アンケートでも、海辺の生き物と触れ合えるように、自然の復元を図ることを市民が求めています。しかし、市長は、人、物、情報の集まる国際都市をめざし、ショッピングセンター、流通産業ゾーン、2万トンの旅客船の着く交流ゾーンなどを計画しています。市民の意向とかけ離れ、大阪湾沿岸の都市で失敗している呼び込み型の臨海部開発になっているのであります。市が
土地開発公社に購入させた同和精鉱跡地は、74億円を超える帳簿価格となっています。いつの時点で買戻しできるのか、その時点で利子がどこまで膨らむのか、財政負担は幾らになるのか。長期にわたる事業であり、市民の負担は多額です。新年度予算で2億3,700万円の事業費を計上しているものの、大半の用途は移転補償費で、この予算を執行しても、経済効果は全くありません。また、市が行う区画整理事業全体は213億円の事業費で、そのうち165億円は整備した土地の保留地を売却して財源をつくるとしていますが、売れなければ市民の負担になります。破たんする前に見直しをすべきであります。 次に、市民の暮らしを大事にしながら本市の財政の建て直しを図る問題です。 まず第1に必要なことは、市の総合基本計画に位置づけられた
大型公共事業中心の行財政運営を根本的に転換することであります。今開かれている総合計画審議会に現行基本計画の評価が企画当局から出されました。現基本計画の評価では、指標人口50万人は達成できなかったとし、本市経済についても、経済成長率4パーセントの指標は達成できなかったとしています。これは、バブルの時期の基本構想と基本計画、にぎわいと創生の都市像がバブルの崩壊で破たんしたことを意味しています。そして、注目すべき評価となっているのが、開発問題です。例えば商業業務地では、都心、都市核での新たな集積が進んでいるが、阪神間各都市が同様の目的で駅前再開発等を実施しており、各駅前開発が狭い商圏を奪い合う競合状態となってきたこと、神戸、大阪という強大な集客力を持つ都市に挟まれた阪神間では、このような状況にあることを考慮すると、今後の再開発は特に慎重に対応していく必要がある。業務機能についても、広域的に見た競争力の有無を検証し、慎重に対応する必要があると評価をしています。また、臨海部の先導的プロジェクトとして区画整理事業を進めている
臨海西部拠点開発事業については、経済環境が大きく変化し、大阪湾ベイエリアの開発計画にも影響が及んでいることから、本事業も含め、臨海部の開発では、こうした状況を注視しながら慎重に取り組んでいく必要があると評価しています。
日本共産党議員団は、緊急性、優先性がない大型開発事業の見直しを一貫して主張してきたものの、これまでの市長の答弁では、都市間競争に打ち勝つために駅前再開発を進める。また、都心の空中回廊づくりも
臨海西部拠点開発も、21世紀の本市発展の礎だから、事業は推進すると、さんざん聞かされてきました。それだけに、開発などは慎重にという表現は、財政危機の深刻化のもとでの慎重さをあらわしたものであります。しかし、慎重にといっても、凍結、中止を打ち出していないのが問題です。 市長に伺います。 企画部門が、現基本計画の評価で、開発事業などは慎重にと評価し、広域的に見た競争力の有無の検証あるいは経済環境の変化やベイエリア開発への影響の注視が必要と指摘しています。
臨海西部拠点開発事業の検証を行った上で関連事業の予算を計上したのかどうか、答弁を求めます。 また、
都心整備事業、
臨海西部拠点開発事業に加え、緑遊新都心開発事業をこのまま推進すれば、更に財政投資が必要となり、借金や公債費が膨らみ、財政危機から財政破たんへの道を突き進むことになります。本市財政の建て直しを図る上で、まずなすべきことは、これら、三つの
スーパープロジェクト事業を凍結又は中止するよう提案いたします。これらの事業は、急ぐ必要は全くありません。凍結又は中止しても、市政運営上なんら支障がないものと考えますが、こんなに財政が危機的な状況になっても継続し続ける必要がどこにあるのでしょうか。併せて市長の答弁を求めます。 財政建て直しの第2の提案は、同和行政を終結することであります。 来年度の同和予算は26億円計上されています。人件費の比率は80パーセントを占め、同和予算のうち95パーセントは市の単独予算です。同和事業に係る職員の大半は、保育所職員、総合センター職員、教育委員会職員、老人センター職員であります。こうした同和予算は、今日、一般との格差が是正された状況の中で、財政との関係でどうするのか、検証が必要であります。同和保育所の実態を改めて取り上げてみますが、戸ノ内を含む7カ所の同和保育所の定員は650人でありますが、昨年12月現在の入所は326人で、入所率は50パーセント、半分であります。水堂保育所は、定員100人で、入所はたった27人、今北保育所は、定員130人で入所は35人、南武庫之荘保育所は、定員130人で入所は50人です。保育士など保育職員の配置は、一般保育所に比べ手厚く配置されています。一方では、市北部などで一般保育所に申し込んでも入れない待機児童が500人いると当局が答弁しています。 同和保育所を財政の点から見れば、次の問題点があります。まず、保育所職員の配置が不公正になっています。効率化を名目に公立保育所を民間に移管しながら、この不公正にメスを入れないのは、行政の公平性から見て全く矛盾しており、是正すべきです。同和保育所の位置づけをやめて、一般児童が入所して定員がいっぱいになったとすれば、年間約7,000万円の保育料収入が見込まれます。また、親が安心して働くことで家庭の収入が増え、税収増や消費購買力増による地域経済の振興になります。更に、待機児童の解消という少子化対策になるわけです。いわば同和の位置づけをやめれば、一石二鳥、三鳥の効果があるのです。同和行政にメスを入れずに、市長が行政の効率化、行政改革を叫んでも、全くむなしい叫び声にしか聞こえません。 市長に伺います。 同和保育所を例に同和行政の問題点を明らかにしましたが、市の単独予算で進めている個人給付施策などは、これ以上続けることは、地区住民の自立を阻害し、同和問題の解決に逆行します。今こそすべての同和行政を終結するよう提案します。市長の決断を求めます。 次に、財政建て直しの第3の提案は、新たな財源確保を図る問題です。
日本共産党議員団は、市民負担とならないこと、対象企業に負担能力があること、負担金の徴収コストが多額にならないことなどを基準に、概略として次の財源確保の検討を提案します。一つは、阪神、JR、阪急の鉄道事業者に対し、乗客が市設置の駐輪場を利用しているところでは、鉄道事業者の受益に見合う負担金を課すことです。鉄道利用者の自転車駐輪場は、受益者たる鉄道事業者が本来設置すべきであります。自転車法では、鉄道事業者の協力義務があるとされていますが、実際には駐輪場の設置は自治体の負担になっています。駅前の放置自転車の撤去も多額の市民負担となっています。自転車対策の関連事業で市が負担している一部を鉄道事業者から負担金として徴収することです。二つ目は、プラスチックごみなどの分別に係る負担金です。容器包装リサイクル法では、スーパー、大型店などに特定容器利用事業者等として容器、包装の再商品化の義務が負わされます。しかし、容器包装リサイクル法の実施で、プラスチック、チューブ、おわん、トレーなどの分別作業は自治体の仕事になり、その設備や人件費など、新たに自治体の負担が増えます。特定事業者等から容器包装リサイクル協会への負担金納付はありますが、自治体の負担についても、本来事業者が負うべきものです。減量、リサイクルの促進のために、市が事業者に応分の負担金を求めることです。 以上二つの負担金の実施に当たっては、詳細な検討が必要でありますが、市政課題の解決と事業者に応分の負担を求めることで、本市の財政再建に寄与するものと考えます。負担金徴収の概略の考え方を提起しましたが、検討の対象とするよう提案いたします。市長の答弁を求めます。 以上、的確な答弁をお願いして、第1問を終わります。(拍手)
○議長(中川日出和君) 答弁を求めます。 宮田市長。 (宮田良雄君 登壇)
◎市長(宮田良雄君) それでは、田村議員の代表質疑に対しまして、順次お答えいたします。 まず、今回の道路公害訴訟の判決についてのお尋ねでございます。 先日もお答えいたしましたように、このたびの判決は、道路の利便性や経済活動以上に人の健康や環境面が優先されるとしたものでありまして、従来にも増して環境面に踏み込んだ判決であると受け止めております。また、
道路公害対策につきましては、本市一自治体で対応できるものではありませんが、広域的な観点から、ディーゼル車の排ガス規制、自動車交通総量の抑制、沿線対策などが必要でありまして、その実施を国等関係機関へ要望しております。今後も継続して沿線周辺市などとも連携を図りながら、その対策の実施を強く働きかけてまいりたいと考えております。兵庫県におきましても、DPM装置義務規制等の検討に入っていただくものと思っております。ともにこれからもそういった方向につきましての対策を要望してまいります。 次に、東本町のランプ建設問題でございますが、
阪神高速道路3号神戸線の東入路建設計画につきましては、大阪方面へ向かう車が武庫川ランプや姫島ランプを利用しておりまして、これが市内交通の渋滞要因の一因になっております状況にございますことから、これら周辺道路の交通流の円滑化が図れるものと考えております。いずれにいたしましても、東入路建設に当たりましては、十分な環境対策を講じるとともに、地元調整も十分行うように申入れを行っております。 次に、予算編成におきます市民生活の認識についてでございます。 長引く景気の低迷によりまして、雇用環境や所得の状況など、非常に厳しい状況が続いていることは十分認識いたしております。こうした中で、平成12年度予算におきまして市税収入などが大幅な減少となりましたが、高齢者施策をはじめ、市民生活に直結する事業につきましては、予算確保に最大限努めましたほか、中小企業の支援など産業施策につきましても、その充実を図ったところでございます。 次に、経済対策についてでございます。 政府は、一昨年11月の緊急経済対策の決定以降、財政、税制、金融、法制などのさまざまな施策を講じるとともに、金融システムの改革、産業競争力の強化、雇用創出、中小企業政策の抜本的見直しなどを行ってきております。これらの結果、我が国経済は回復の兆しが見えつつあると言われておりますが、私自身、なお先行きは不透明な状況にあるのではないかと考えております。今後は、政府が定めました経済新生計画に沿った適切な対策が講じられるものと考えておりまして、現在のところ、更に要望等をしてまいる考えはございません。 次に、財政問題に関するお尋ねでございます。 まず、国の経済対策についての評価と公共事業の国庫補助金などの関係についてでございますが、長期にわたる景気低迷は、地方自治体の歳入の根幹であります地方税に大きな影響を与えたことは御承知のとおりでございます。このため、国におきまして数次に及ぶ経済対策を講じ、平成12年度予算においても、景気回復に最優先で取り組むこととされております。このような厳しい経済環境のもとにありましても、本市におきましては、一定の財源のもとに、計画行政を基本といたしましてまちづくりを進めてまいったところでございます。今日の財政危機を招いた主な原因といたしましては、阪神・淡路大震災の復興事業に伴う多大の財政負担が生じたことに加えまして、歳入の根幹であります市税収入や
収益事業収入が大きく減少したことによるものであると考えております。 次に、ホテルニューアルカイック前の土地の公社からの買戻しなどについてでございます。 アルカイック広場用地につきましては、現在、
土地開発公社が保有いたしておりますが、立体遊歩道が整備中でありますことや、その後の事業実施時期、財源確保などが確定していないため、現在、市民の便益に供するために市民広場として暫定利用いたしております。当面こうした措置が続くものと考えておりますが、今後につきましては、財政状況も勘案する中で検討してまいりたいと考えております。 次に、立体遊歩道の整備についてでございます。 立体遊歩道の整備につきましては、当面は市施行の再開発事業が完成する平成14年度に合わせてアルカイック街区までを整備することといたしておりまして、その事業費につきましては、平成12年度以降、約15億円と見込んでおります。また、その費用と効果につきましては、人工地盤や立体遊歩道の基盤施設を整備することによりまして、市施行の再開発事業や民間開発の誘導促進が図られ、庄下川東地区の整備がおおむね完成する平成14年度以降におきましては、歩行者の安全性の確保などが図られますほか、本市の都市イメージの向上や周辺地域への波及効果があるものと考えております。 次に、
臨海西部拠点開発事業について、そのほか3事業についてでございます。
臨海西部拠点開発事業、都心整備、それから緑遊新都心整備の三つの事業は、いずれも21世紀における本市の発展に大きな役割を果たすものでありまして、まちづくりの長期的な展望のもとで継続して取組みを進めている重要施策でございます。これらの事業につきましては、これまでも社会経済情勢の変化や本市の財政状況などを勘案しながら取り組んできたところでございまして、今後も引き続き同様の考え方で進めてまいりたいと考えております。 次に、同和行政についてでございます。 本市の同和行政は、従来から国の法的措置や本市同和対策審議会の答申などを尊重して、同和問題の早期解決に向けて取組みを進めてまいったところでございます。その結果、生活環境の改善をはじめといたしまして、大きな成果を上げ、基本的には解決の方向に向かっているものと判断いたしております。本市におきます個人給付的施策などの特別対策につきましては、国の法的措置に合わせまして、その期限内であります平成13年度末までに一般対策に移行することを原則として取り組んでいるところでございます。今後も広く市民の皆さんの理解と協力を得る中で、同和問題の早期解決に向けまして取り組んでまいりたいと考えております。 次に、自転車対策に対する費用負担についてでございます。 自転車法では、鉄道事業者は鉄道用地の譲渡、貸付け、その他の措置を講ずることにより、駐輪場の設置に積極的に協力しなければならない旨が定められております。本市におきましても、従前から鉄道事業者に対しまして協力要請を行っているところでありまして、駐輪場の設置や用地の提供など、一定の協力をいただいております。今後とも法の趣旨に基づきまして、鉄道事業者に対して積極的に協力を得るべく要請をしてまいります。 次に、じんかい処理費用に対する費用負担の問題でございます。 現在、事業者が使用する容器等につきましては、容器包装リサイクル法によりまして再商品化が義務づけられており、4月からは、一部の小規模事業者を除く全事業者が応分の費用負担等によるリサイクルの義務を負うことになります。これに加えまして、本市が処理費用の一部を負担金として徴収することは困難であると考えております。なお、事業者責任の強化につきましては、全国都市清掃会議を通じまして、引き続き国に要望をしてまいります。 以上で田村議員に対します第1問目の答弁を終わらせていただきます。
○議長(中川日出和君) 田村征雄君。 (田村征雄君 登壇)
◆5番(田村征雄君) 第1問目の答弁をいただきましたけれども、財政問題の厳しさの認識、そして、それに対して私どもは
大型公共事業見直しを提案しましたが、市長はそういうつもりはないというふうな答弁で、そこに市長の認識の甘さがあるのではないかと思います。 さて、道路公害問題での判決の認識を聞きましたけれども、昨日と同じように判決の説明ではないかと思います。この判決が尼崎市民の沿道住民の健康、命を守る重要な意味を持っている、そういう立場に立って今後の環境行政を進めていきたい、そういうことをなぜ言えないのか。このことを指摘して、引き続いていきたいと思います。 昨年の施政方針で、市長は、本市は公害を克服してきたまちでありますと述べました。尼崎から公害がなくなったのでしょうか。テレビで全国に映し出された43号周辺の実態は、道路公害のまちそのものではありませんか。この現実を解決することなく、さわやか、イメージチェンジ、これを強調しても、それは全く空疎なことであります。石原都知事や兵庫県知事が次々と対策を打ち出しているのに、足元の宮田市長の存在感が全く見えません。それは、宮田市長が尼崎では公害はなくなった、こういうふうに考えているからではないですか。答弁願います。 国道43号と
阪神高速道路の公害に対する判決は、道路行政と環境行政の在り方を変えるもので、その精神を今後の市行政に生かすことがたいせつだと考えます。幹線道路を整備すればきれいになりますが、車、交通量が増えます。車に便利な道路は、住民の命と健康にやさしいことにはつながっていない点があります。幹線道路の整備については、今後は慎重な検討が必要であります。 そこで市長に伺います。 市内で一定の交通量のある幹線道路などでも
浮遊粒子状物質、SPMの測定ポイントを増やすなど、測定体制の充実を図るべきではないかと提案いたします。答弁を求めます。 次に、東本町ランプの問題での答弁で、交通の円滑化を図るとし、その答弁は、建設を前提として、十分な環境対策、これで解決をしたいと、こういうふうに聞こえました。 それでは、市長に改めて伺います。 十分な環境対策とは、何をやろうとしているのか、これを明らかにしていただきたいと思います。 私は、十分な環境対策、これは、東本町ランプの建設を中止することが最大の環境対策、こういうふうに思います。答弁を求めます。 次に、東本町ランプの問題で、私はもう1点伺いたいと思います。それは、国道43号、
阪神高速道路公害訴訟での控訴で裁判闘争が続くことになりましたけれども、少なくともこの裁判の判決が出るまでは工事に着工しないように
阪神高速道路公団に要求すべきであると提案いたします。これの答弁を求めます。 次に、住環境整備条例の改正についての地方自治権の発揮で伺います。 昨年10月の建設委員会で、住環境の向上のための建築等の規制に関する条例の改正等についての陳情が採択されました。三和西町商店会の代表が提出した新規パチンコ店の出店やピンク産業など風俗営業法にかかる職種の出店、増設などについて、地域住民などとの同意が必要である旨を条例に明文化するよう求めた陳情です。採択され、当局は条例改正の努力が求められているものの、まだ出ていません。また、ここ数年、中高層マンションの建設計画により、周辺住民の住環境が脅かされるとして、行政指導を求める陳情が増えてきました。この議会でも3件あり、その中の東園田町ユニチカ跡地の15階建て高層マンションは、以前の建物の3倍の高さになることで、近隣住民が550人の署名を短期間に集めるほど、住環境を守るために今立ち上がっています。こうした問題では、説明会があっても、事業主が最後は押し切るケースが多いのが実態です。建築基準法、市の条例に合致していれば、住民らにストップさせる手だてがないためです。市当局の力でストップしてほしいと期待しても、担当課長は、建築基準法や市の条例に適合しているので、どうすることもできないとして、近隣住民と事業者の協議で問題解決を図るようにという態度です。住民は弱い立場です。条例制定権は地方自治の最大の権能です。行政が住環境整備条例の目的にのっとって、弱い住民の立場に立って自治体としての権能を発揮すべきです。 伺います。 現行住環境整備条例の中に、例えば事業計画については住民の合意を得るように努めること、こういう趣旨の文言を盛り込むよう提案しますが、市長の答弁を求めます。 更に、各事業などで
日本共産党議員団の提案をして市長の政治姿勢をただしてまいります。 まず、4月から実施される介護保険です。 介護保険についてはこれまでもただしてきましたが、政府においても国民の声にこたえざるをえなくなり、一定期間の保険料の凍結と減額措置や利用料の減額など、法改正を伴わない特別対策が実施されます。しかし、それでもなお現行福祉政策に比べて、特に低所得層の負担が重くなることを懸念し、独自の各種軽減策を実施しようとする自治体が増えています。住民税が非課税というのは、最低生活費には課税しないという憲法25条の原則のもとに実施されており、この世帯などへの対応が必要です。しかし、本市は、介護保険サービスを受けられない高齢者に対して、移送サービス、自立支援型の食事サービスなどは実施するとしていますが、保険料、利用料負担の軽減については、何の独自施策もありません。国の施策の不十分さをカバーし、安心できる介護保険としてスタートさせるかどうかは、実施主体としての尼崎市の姿勢が問われるものであります。川崎市では、特別対策後にもなお低所得層の負担を2分の1に軽減し、徳島市では基準額そのものを引き下げる措置を発表しています。 そこで、
日本共産党議員団は、次のように提案いたします。 保険料については、第1段階の住民税非課税かつ老齢福祉年金受給者、第2段階の住民税世帯非課税者に対する独自の軽減策を憲法25条を根拠に実施するよう提案いたします。 また、燕市では、1割の利用料は低所得者にとっては負担が重く、利用料が払えないためにサービスが受けられないことがあってはならないとして、利用料1割の半額を介護手当として本人に支給し、利用料を実質50パーセント減額することを明らかにしています。 そこで、本市でも燕市のような工夫をして、第1段階、第2段階の被保険者の利用料軽減策を講じるよう提案します。 介護保険は、社会福祉基礎構造改革の実施として民間事業者の参入を認めました。当局は、事業計画策定に当たり、民間事業者が本市でどれだけのサービス提供を行うかの実状把握に最も苦労したと思います。民間事業者は、介護報酬とニーズに基づき、最大利潤を確保できるよう、職員を雇用し、事業展開します。高齢者の状況によっては、民間事業者が受け入れない場合も考えられます。場合によっては職権による介護も必要になります。したがって、今まで住民に喜ばれ、生きがいを持ってサービス提供してきた市職員ヘルパーを廃止せず、存続するべきであります。 そこで、介護保険非該当者には、従来の市職員ヘルパーによる在宅サービスを実施し、従来の公的ホームヘルプ制度をなんらかの形で残すよう提案いたします。 次に、民間事業者の参入により、最も心配なのが、高齢者の状況のいかんにかかわらず、最善のサービスが提供される保証があるのかどうかということです。いくらきれいごとを言っても、結局民間事業者は利潤追及が第一義になります。介護保険は、その企業と介護サービスを受ける弱い立場の高齢者との契約であるだけに、特に高齢者の権利擁護のための手だてが必要です。そこで、苦情などの情報を公表し、是正を求める勧告を市長に求める権限を持つオンブズパーソン制度の設置を提案いたします。 また、現在本市が他都市の特別養護老人ホームに措置している高齢者は、1月で424人います。遠くは下関市や和歌山、徳島など、家族が面会に行くこともままならない遠方です。尼崎市は待機者が多いということで、空きがある遠方の施設から入所受入れのセールスに来るということです。施設に入所しなければどうにもならない場合などは、たとえ遠方であっても入所せざるをえず、最近でも徳島、加西、洲本などの既存施設に入所した高齢者がおられます。市内に特養ホームがある場合の経済効果を試算してみました。現在50人程度のホームの場合、デイサービスの人数による差はありますが、人件費を含む年間の運営経費は約2億5,000万円と聞いています。食材、おむつ代、人件費など、雇用と消費で少なくとも2億円の経済効果があると試算されます。今、市外の特養ホームに入っている高齢者が市内で入れるようにすれば、50人定員で8カ所必要となり、計16億円の雇用や消費の地域への経済効果が増えると試算されます。 そこで提案します。住み慣れたところで過ごしたい高齢者の気持ち、支える家族、地域のボランティア活動などのどの面からも、市外の特養ホーム入所は望ましいことではありません。また、雇用の促進と市内消費拡大の面から、地域経済の活性化にも貢献する点を考慮して、市内での特養ホームの建設を進めるべきであると提案します。 介護保険に関して5点にわたる提案をしました。市長の答弁を求めます。 次に、国民健康保険行政についてであります。 市民にとって切実な課題は、4割の世帯が加入している国民健康保険が、いきいきと安心して暮らせるまちづくりの基本である健康と命を守るものになっているかどうかであります。保険料は高く、これが滞納世帯を生み出す原因となっています。
日本共産党議員団は、これまで、一般会計からの繰入額を増額することを一貫して求めてきました。新年度は、介護保険2号被保険者に介護納付金の負担が課せられること、賦課方式の変更により、多人数世帯の負担が従前より重くなること、12月より本人の医療費負担が50パーセントアップとなることなど、大きな制度変更がされる内容となっています。この制度変更により、最も心配なのが、年収が400万円程度以下、多人数で、しかも2号被保険者を多く抱える世帯の負担の問題です。更に、滞納世帯には保険証を交付せず、資格証明書の発行を市が予定しています。資格証明書では、いったん医療費の全額を払い、保険料を納めた後に保険証が交付されるものですが、保険料を払えない人は医者にも行けない深刻な事態になり、命にかかわる重大な問題です。 市長に伺います。 資格証明書は、国民皆保険制度の根幹を崩すものです。憲法25条の生存権にかかわる問題として、資格証明書は発行すべきではありません。施政方針のいきいき、安心どころか、お金がなくて医者にかかれず、命を落としてしまうことになりかねません。尼崎市民で滞納が原因で医者にかかれず、命を失うことになれば、市長はどのように責任を取るのですか。答弁を求めます。 更に、介護保険の1号被保険者に対する保険料は特別対策があるものの、2号被保険者に対する措置がありません。国保料が高いだけに、国保加入2号被保険者に対する軽減措置は切実です。そのため、高知市などのように本市においても国保加入の2号被保険者への保険料の負担軽減策を行うべきであると提案します。答弁を求めます。 次は、地元中小企業の振興についてです。 中小企業の技術振興ですが、建物整備、大型装置などに約50億円をつぎ込み、スタートから5年が経過したリサーチコア事業は、毎年10億円以上つぎ込んでいるものの、問題のある事業と、これまでたびたび私は指摘をしてきました。その中核施設の近畿高エネルギー加工技術研究所の実態は、大企業の技術支援であります。当時世界に2台しかなかったCO2レーザー装置やYAGレーザー装置など、これらの大型装置は、三菱重工、日立造船、住友金属、神戸製鋼などの大企業から派遣された職員が主に研究に使い、企業の利用は大企業がほとんどであり、本来なら自社で設備し、研究できる企業ばかりであります。市内中小企業の技術振興に役立っていないことは明らかです。私の調査によれば、その他の小型の機器や装置で、リース料を払いながら、この3年間全く利用されていないものがあります。例えば高感度オシロスコープ、放射温度計、熱伝温度計などです。このほかに利用率が極めて低い、こういう機器が多数あります。 市長に伺います。 こういう機器は、リース契約をする前に、どの程度の利用が見込まれるのか検討したと思いますが、市内中小企業のニーズの把握をしたのかどうか、答弁を求めます。 来年度予算で高技研を増築し、ものづくり支援センターを整備する計画が出されました。この中で、汎用型金属プレス機、金型製作設備などは、市内中小企業に対する要望を聞く中で導入を設定した機器であると理解できます。しかし、新年度に購入予定の短波長レーザー加工装置や高精度CO2レーザー加工装置については、どの程度のニーズがあって計画されたのでしょうか。市内中小企業の技術支援は、本来どのようなニーズがあるのか、ニーズの把握が基本だと考えます。答弁を求めます。 また、市長の施政方針では、ベンチャー企業の支援、新産業の創出などを柱にしています。これは、どのような調査に基づく方針で、市内中小企業の何パーセントくらいを視野に置いて進めようとしているのでしょうか。何か科学的な調査に基づく具体的な施策があるのでしょうか。答弁を求めます。 本市と同じく中小企業サミット都市の東大阪市について調べてみました。東大阪は、市内事業所のニーズを中心に据えた中小企業の振興を図る施策を進めています。98年11月に設置した緊急経済対策本部は、本市と同様に、お買物は市内でというキャンペーンや、市内中小企業の優先発注などに取り組みました。本市と違うのは、99年度と2000年度の2年間で、市長を調査本部長に、全部局の課長以上580名で3万2,100社の全事業所の実態調査に取り組み、事業所が求める政策ニーズを把握し、今後の産業振興施策の基礎資料として活用することなどを決めていることです。99年度は製造業、小売業合わせて1万3,605事業所から回答が得られ、貸し工場の実態、多種多様な業種の集積、最終製品を製造している企業やユニークな技術を持っている企業の実態、今後の動向と需要予測などがかなり正確につかめたとしています。これらに加え、企業の経営上の課題や行政に望む施策ニーズをチェックすれば、新規開業支援事業においてどのような企業をモデルに検討すればよいかどうかなどが明らかになってきたとしています。この訪問調査は、中小企業の多面的な発展方向と豊かな可能性を浮き彫りにし、産業振興に大きな成果を上げつつあるとしています。幹部職員に中小企業のまち東大阪の職員としての自覚を高め、地域経済振興の意識を喚起した成果もあるとしています。 本市では、市内事業所の実態をつかみ、あまがさきインダストリーを発行はしました。しかし、肝心の政策ニーズの把握調査がありません。地域の事業所の実態から積み上げた産業政策ではありません。国の誘導策に乗った近畿高エネルギー加工技術研究所事業は、多大な費用を負担しながら、地元中小企業の振興にならなかったのは、地域の実態から積み上げた産業政策ではなかったことを意味していると思います。国に追随するのではなく、まず足元の実態を調査するところから始めることが肝心です。昨日の答弁で、4回目の中小企業サミットを尼崎で開きたいと答弁しましたが、過去に開いた東大阪あるいは墨田区では、この全事業所訪問調査を市長が先頭に立って進めています。 そこで提案します。 本市の中小企業振興事業に欠かせない事業所訪問調査による政策ニーズの把握、科学的な調査を市長が責任者になって進めるよう提案します。答弁を求めます。 次に、商業政策であります。 地域の住民とともに歩んできた市場、商店街などが衰退しています。その最大の原因は、相次ぐ大型店舗の出店と個人消費を冷え込ませた政府の経済対策の失敗であります。尼崎商工会議所が四半期ごとの景気動向を調査し、本市にレーダー情報として届けています。この中で、小売サービス業の経営上の問題点として、売上減少、販売価格の低下と大型店との競争激化を挙げています。資本力の違いが大量宣伝力の差、大量仕入れによる仕入れ価格の差など、競争力に格差をつくることは明白であります。だから、市場、商店街には行政の支援が必要なのです。本市でも産業経済局が空き店舗に対するにぎわい店舗創出事業や商店街・小売市場共同施設整備事業等助成など、市場、商店街の振興予算を計上しています。ところが、都市局や都市拠点開発室では、大型店舗の出店こそがにぎわいづくりだと、市が進めた再開発ビルの大型店誘致に一生懸命です。潮江、立花の再開発であり、これから予定のJR尼崎、キリン跡地の緑遊新都心開発、庄下川東のMビル計画などであります。 伺います。 小売店の商売人は、大型店舗との競争激化を何とか対策してほしいと願っています。産業経済局は市場、商店街への支援策をとりながら、一方で市長は市の開発事業で大型店をどんどん誘致して、市場、商店街が寂れていくのを助長しているのではありませんか。市長の商業振興に対する政治姿勢は、市場、商店街を守るのかどうかを明らかにすべきであります。答弁ください。 次に、市の誘致するものだけでなく、今後の大型店舗の出店計画が明らかになってきています。埼玉県に本社がある島忠が、家具などのホームセンター尼崎を来年1月完成で下坂部に計画しています。JR尼崎南側東の貨物引込線跡地にミドリ電化と生鮮スーパーのコーヨーが入る大型店舗が計画されています。デイリーカナート浜田町店は、イズミヤを中心とした店舗計画とのことです。それぞれが潮江や立花の再開発に隣接した場所での新たな出店です。尼崎における大型店舗の進出は、尼崎市自身が誘致を進めていることもあって、全く野放しの状況になってきています。大店立地法がこの6月から施行されますが、自治体が大型店の出店に独自規制を行う動きが全国的に強まっています。例えば杉並区では、店舗面積500平方メートル以上の小売店に、住民と環境保全のための協定を締結することを義務づけ、違反した場合は罰則もつけるとされています。区長は、良好な住環境の保持に地域独自のルールが必要とがんばっているとのことです。川崎市では、小売店などは深夜営業などによる外部騒音が生じないように努めなければならないとして、市長は営業時間を変更することができるとしています。 そこで伺います。 地方自治権を発揮して、大店立地法のもとで弱い立場の市場、商店街を守るために、環境保全の基準強化による独自の規制策を検討すべきだと提案しますが、市長、いかがでしょうか。答弁を求めます。 次は環境問題、ごみ減量の問題です。 来年度着工で1日240トンの焼却炉を2基、計480トンの炉を整備する予算が計上されました。当初の280トン炉2基から、規模を15パーセント縮小されたわけでありますが、もっと減量化を強めて、炉の縮小を図るべきであります。昨日、小柳議員の指摘もあったように、国においても事業者責任を明確にする方向でごみ行政が大きく動いており、現時点の計画をそのまま進めることは、過大な設備投資になるのではないかとの指摘は的を射たものと考えます。また、国に任せるだけでなく、尼崎市においても更に積極的なごみ減量施策を実行し、設備の縮小を検討する必要があります。リサイクルタウン事業として計画されている新しい焼却炉の耐用年数は20年程度であります。現時点の計画では、用地費を除いて約410億円もの費用がかかるとされ、市民の大きな負担となります。市内の事業者が消費者に売り、あるいは渡したごみになるものを、なぜ市民の税金で処理しなければならないのか。ごみ行政については、環境のみならず財政問題としても市民的議論が必要であります。 そこで、次のような取組みが必要ではないかと提案します。 市内の事業者が扱う商品などが流通し、消費者に届いた後に、最終処理の事業者責任を明確にした廃棄物のライフサイクルアセスメントの考え方を事業者に定着させることであります。ごみになるものが市場に流通しないよう、製造元、発生源でのごみの抑制を図る取組みを市内事業者に啓発し、進めるべきだと提案します。 容器包装リサイクル法が4月から施行されますが、市では、多岐にわたる容器包装プラスチック類を分別できる状況になっていません。この間、事業者に特段の努力を求める必要があります。具体的には、まず一定の販売量のある大規模店舗やスーパー、コンビニなど、市内の小売事業者に対し、自らの努力による減量目標を明らかにさせること、プラスチック容器などは基本的に使用しない努力を求め、店ごとにプラスチックごみやトレーなどの仕入れ量と回収量を公表させることなどを検討するよう提案いたします。答弁を求めます。 市長は、日ごろから、市民と事業者、行政との協働を唱えていますが、ごみ減量問題では、こうした事業者の第一義的な取組みがあってこそ、市民の減量の努力や協力が実ってくるものと考えます。 次は教育行政についてであります。 小渕内閣が教育改革を最大のテーマとして、今年取り組むとしています。そして、今国会の与党代表質問に対して、教育基本法について、制定以来50年余りを経ており、教育全般についてさまざまな問題が生じている今日、これらについて大いに論議する中で、家族、地域社会、個人と公、更には生涯学習の観点も深め、幅広く論議を重ねていくことが重要であると答弁しています。このことが教育の憲法と言われる教育基本法の改悪をめざすことであってはなりません。市長も施政方針の中で、市長就任以来、教育を最大のテーマにしてきたと述べています。 教育問題でまず最初にお尋ねしておきます。 教育基本法の前文に、われらは個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造をめざす教育を普及徹底しなければならないと述べています。市長は、教育基本法の前文の精神を尊重し、教育基本法を守る立場に立つのかどうか、基本的な姿勢について答弁を求めます。 次に、総合計画審議会で審議されている次期基本計画の骨子案で、人が触れ合い、学び、成長する項目で、学校教育の基本的な考え方として、今後も基礎、基本の定着を重視しとしています。昨日も答弁がありましたように、小中学校は特に基礎、基本が大事であることは言うまでもありません。私どももこの問題でたいせつにすべきことは、何よりも教育を受ける子どもの環境を整えることであり、教育的な観点から必要なクラス数や教師の配置の問題と合わせて、子どもたちに分かる教育を進めるための学級定員を論議することだと思います。 市長が施政方針で述べたように、明日を築く人を育むまち、これをめざすならば、どの子も人間的にすばらしい次代を担う人として成長させる条件には、学ぶ楽しさ、ともに育ち合う喜びを養っていかなければならないと考えます。全国的に頻発する教育のゆがみを直視したときに、中央教育審議会の答申でも、少人数学級に有効性が認められ、少人数学級実現については、自治体の裁量という考え方を打ち出し、文部省も追認しています。ヨーロッパなど先進国では、25人学級程度が普通とされています。少人数のほうが、一人ひとりの子どもたちに行き届いた教育条件になるのは明らかであります。適正規模、適正配置の問題に取り組む前提として、30人以下学級を実現するべきであります。 市長に伺います。 子どもたちが生き生きと学ぶことができるように、尼崎市の裁量で30人以下学級を年次計画で実現する検討に着手すべきであると提案しますが、教育長経験者としての市長にその決意があるのかないのか、答弁を求めます。 次に、地域に根ざし、家庭、地域社会とともに歩む学校づくりの理念から見て、最もふさわしいのは、高校入学選抜制度としての総合選抜制度であります。昨日も答弁がありました。地域の子どもたちが、親も一緒になって、学校、家庭、地域社会で成長できる条件、こういう条件ができるように、地域に開かれた学校、地域と一体となった子育て、こういう答弁があったと思います。ところが、兵庫県教育委員会は、尼崎市のこうした優れた総合選抜制度を事実上つぶすことになる県立高校教育改革第一次実施計画を、県民や市民への十分な説明もなく決定しました。県下の県立高等学校の大規模な高校統廃合の一環として、2002年には阪神地域に100パーセント単位制の高校に学校を改編する、そして2003年には、市内の県立高校のうち2校を1校に統合するなどの高校教育改革を推し進めようとしています。 市長に伺います。 総合選抜制度を崩すことになる県立高校教育改革第一次実施計画を撤回するよう県に申入れするべきだと考えます。答弁を求めます。 次は、教育予算の増額の問題であります。 昨年来、日本共産党市会議員団の調査の中で、小田北中学校体育館の空調設備のアスベストを封じ込めたため、空調設備が使えなくなり、夏場には高温の体育館での授業をしなければならない実態があると分かりました。しかし、教育委員会は、国の補助メニューはあるにもかかわらず、アスベスト撤去の補助申請をいまだに行っていない状況です。小田北中学校の体育館に発がん性物質のアスベストをいつまで残しておくつもりなのでしょうか。市長は施政方針の中でも、学校施設における良好な学習環境の整備に努めるとしています。市立尼崎高校の体育科に対する各種事業の予算は目立ちますが、小中学校の実態は、老朽化が際立ち、全体として補修予算を増やすことが必要であります。市長が施政方針で述べた良好な学習環境づくりの施策とはかけ離れています。すべての子どもたちが雨漏りに悩まされることなく、また、うだるような暑さの中で、練習試合をしたくても、相手チームを呼ぶには気が引けるような体育館を改善するなど、教育環境を整える必要があります。 お伺いします。 建築後30年以上経過した学校施設の老朽化が年々進んでいます。これらの補修対策、年次的な建替え計画を立案すべきであると提案します。市長の決意を伺いたいと思います。 以上で2問を終わります。(拍手)
○議長(中川日出和君) 答弁を求めます。 宮田市長。 (宮田良雄君 登壇)
◎市長(宮田良雄君) それでは、田村議員の第2問目の御質疑に対しまして、順次お答えを申し上げます。 今回の道路公害訴訟の判決についてのお尋ねでございます。 まず、公害に対する認識についてでございますが、本市の歴史的経過の中で、高度経済成長に伴う産業の隆盛とともに、事業活動による環境汚染が進み、とりわけ昭和40年以降には、市民生活に与える影響が深刻な問題となりましたが、事業者、市民等の協力によりまして、それらの公害問題を克服してまいりました。その後、全国的に都市部を中心に新たな環境問題として自動車による環境汚染がじゃっ起してまいりました。そういった状況の中で、特に国道43号におきます
道路公害対策は、なお解決しなければならない問題が残っているということにつきましては、十分認識をいたしております。 次に、SPMなどの測定体制についてでございます。 本市におきますSPMなどの測定体制につきましては、東西道路に2カ所、南北道路に4カ所の自動車排出ガス測定所、また国道43号につきましては、
阪神高速道路公団設置の測定所が2カ所、それを受託管理をして沿道の汚染状況を把握いたしております。このように、全国的に見ても測定密度は高く、更に測定所を補完するものとして、移動測定車によります測定を実施いたしますなど、十分な測定体制をとっているものと考えております。したがいまして、現在のところでは測定所を新たに設置するという考えはございません。 次に、東本町のランプの建設問題についてでございます。
阪神高速道路3号神戸線の東入路建設計画につきましては、これまでの経緯もありますことから、
阪神高速道路公団は社会福祉協議会の会長を窓口にいたしまして、説明会を行い、住民の声を聞く中で、大物線の交差点改良や沿道の歩道整備、特に交差点改良、また騒音壁設置、浸透性の舗装といった歩道整備も行うことで、おおむね了解が得られたものと公団から聞いております。 また、公害患者家族の会につきましても、会からの要望を受け、説明会を開催し、判決後も引き続き事業への御理解を得るべく取り組んでまいるとの回答も得ております。環境対策は、沿道の遮音壁の設置、また植樹帯設置などを促進いたしますとともに、車線削減にも取り組んでおり、他方では阪神間3市共同で自動車の発生源対策、総量抑制等の早期対策を関係機関に要望しているところででございます。いずれにいたしましても、道路環境対策を図るべく、引き続き取り組んでまいる考えでございます。 次に、住環境整備条例についてでございます。 現行の住環境整備条例では、紛争の防止を図るために、関係住民に対して当該内容が十分に理解されるような方法によりまして説明会を開催することを義務づけております。また、市が紛争の調整を図りますため、あっ旋をしたり、公害紛争調整委員会による調整ができることといたしております。こうした中で、最近紛争が多発している中高層マンションの高さなどの規制につきましては、御承知のように、それぞれの地域において都市計画法や建築基準法などによる一定の制限が加えられておりまして、この制限を更に厳しいものとするためには、住民参加によりますまちづくり計画の策定などが最善の方法であると考えております。いずれにいたしましても、これらの規制は、私有財産の制限に関する事柄でありますので、個別の建築計画に対しまして、条例で一律に住民合意の努力義務を課すということについては、適切ではないと考えております。 次に、介護保険事業についてのお尋ねでございます。 まず、保険料の減額策についてでございますが、介護保険の保険料につきましては、所得に応じた5段階の保険料を設定しております。また、国の保険料徴収に関する特別対策につきまして、本市も実施することといたしておりまして、低所得者対策として市独自の軽減措置を実施する考えはございません。 次に、利用料の軽減策についてでございます。 第1、第2段階の被保険者の利用料の軽減策につきましては、高額介護サービス費の対象となる利用者負担額の上限が一般より低く設定されておりますこと、また、経過措置として、現在無料でホームヘルプサービスを利用している低所得者や、現在の特別養護老人ホーム入所者には利用者負担を軽減するなどの措置を講じられることになっております。本市としましては、当面これらの一連の国の措置に合わせ実施してまいります。 次に、介護保険非該当者に対する公的ホームヘルプ制度についてでございますが、市の直営ヘルパーにつきましては、平成9年度から廃止しております。なお、現在ホームヘルプサービスを利用しておられ、介護保険非該当になられた方には、家事援助サービスを提供する予定でございます。 次に、オンブズパーソン制度についてでございます。 このサービスの評価制度につきましては、現在県において評価手法の調査研究が進められているところでありまして、国の福祉サービスの質に対する検討会の審議の方向も踏まえながら、第三者機関による評価手法を含め、検討を行ってまいります。 次に、特養ホームの建設についてでございますが、特別養護老人ホームにつきましては、改訂前の高齢者保健福祉計画の目標値であります905人の整備に一定のめどが立ったところでございます。今後につきましては、改訂後の高齢者保健福祉計画、介護保険事業計画などに基づきまして、市内での整備を基本に進めてまいりたいと考えております。 次に、国民健康保険事業についてお尋ねでございます。 まず、資格証明書でありますが、本市の国民健康保険における保険料徴収率は、ここ数年低下傾向にありまして、健全な事業運営に支障が生じており、収納率向上に向け、資格証明書の発行が必要であると考えております。一方、介護保険制度の実施に伴い、国民健康保険法が改正され、特別な事情もなく長期間保険料を滞納する者については、資格証明書を発行することが義務づけられております。こうしたことから、現在発行に向け、具体的な検討を行っているところでございます。 次に、第2号被保険者の介護保険料軽減策についてでございます。 このことにつきましては、新たに市独自の軽減策を実施することは考えておりません。 次に、中小企業の振興策についてのお尋ねでございます。 まず、近畿高エネルギー加工技術研究所の機器利用についてでございます。 研究所における中小企業の大型装置の利用につきましてまず申し上げますが、レーザー装置による複合材料の切断や新素材の穴開け加工などの研究開発に活用されており、レーザー機能開発に、いろいろそれの彫刻機などに成功したという事例もございます。更に、研究所では、光触媒を利用した有害物質を除去する技術などをはじめ、10件の特許を申請中でありまして、今後これらの技術を市内の中小企業に移転することによりまして、新製品の開発につながっていくものと期待されているところでございます。お尋ねの測定機器の利用状況についてでございますが、研究所での日常の研究活動には十分に活用されているものと考えております。 次に、ものづくり支援センターについてでございます。 お尋ねのレーザー装置は、微細加工や薄板の切断あるいは溶接などに適したものでありまして、本市に多く立地いたしております金属製品製造業や一般機械器具製造業などの中小企業の適応性が高いものと考えております。このことを基本にいたしまして、市内企業の訪問調査や尼崎工業会などの意見交換、またセミナーや技術講習会参加者からの意見聴取などによりまして、実際ニーズを把握いたしますとともに、専門研究スタッフの意見も踏まえ、設置機器の選定を行ったものでございます。 次に、ベンチャー企業の支援等についてでございます。 今日、ベンチャー企業の育成や新産業の創出を図っていくことが、我が国の中小企業政策の大きな柱となっております。こうした中小企業政策の基本方向に沿った施策を実施いたしますことが、本市の産業活力を創出する上で極めて重要であると認識いたしております。 次に、事業所訪問調査による企業ニーズについてでございます。 私は、市長就任以来、事業者とのネットワーク事業を通じまして、これまでに数多くの市内中小企業を訪問させていただき、生産現場の視察や経営者、従業員の皆さんとの意見交換をしてまいりました。一方、平成9年度のあまがさきインダストリーの作成に際しましては、職員が市内全製造事業を訪問し、技術、製品などのヒアリング調査を行いますとともに、行政に対する要望などの把握も行っております。また、私自身、これまで機会あるごとに産業団体との意見交換を通じまして、いろいろなニーズをお聞きし、市政を運営しているところでございます。 次に、商業政策についてのお尋ねでございます。 再開発事業と市場、商店街に関係するものでございます。駅前再開発事業における大型店舗の出店が、既存の中小小売業に影響を与えることもございますが、一方で、周辺の市場、商店街も大型店の大きな集客力による売上げの向上などの波及効果が期待できるのもまた事実でございます。いずれにいたしましても、市場や商店街は、市民の日常の買物空間といたしまして、また地域コミュニティの核として重要な役割を担っておりますので、今後とも商業者の自助努力を促しながら、魅力ある商業地づくりに向けた施策などにより、活性化に努めてまいりたいと考えております。 次に、大店立地法施行に伴う対応についてでございます。 現在、法の施行に対処いたしますために、関係部局によります調整会議を設置し、環境指針の運用につきまして協議しているところでございますが、お尋ねの法規制以上の独自規制につきましては、現時点では検討いたしておりません。 次に、ごみ問題についてのお尋ねでございます。 ごみの減量化に向けましては、発生抑制がまず基本であり、従来から4Rの考え方に基づいて各種施策を実施してきたところでございます。しかし、その対象が市民であることが多く、その結果、事業者のごみを減らす意識や行動が市民と比較して欠如しているという状況も見られます。そうした中で、ごみ減量・リサイクル推進協議会からの提言を踏まえまして、ごみ減量推進計画を策定し、事業者に対しても、ごみを減らす意識を醸成し、行動を促進する考えであります。例えば一定規模以上の事業者に対しまして、ごみ管理者の設置やごみ減量計画の策定の義務づけによりまして、自己計画に基づく減量を促進するなど、事業系ごみの減量に向けて積極的に取り組んでまいります。 以上で田村議員に対します第2問目の答弁を終わらせていただきます。 教育にかかわります問題につきましては、教育委員会から答弁いたさせますので、よろしくお願い申し上げます。
○議長(中川日出和君) 小林教育長。
◎教育長(小林巖君) 順次お答えいたします。 まず、教育基本法の前文の精神を尊重し、教育基本法を守る立場に立つのかということでございますが、公教育に携わる教育委員会といたしまして、憲法や教育基本法、学校教育法をはじめ、あらゆる法令、規則を遵守することは当然のことと考えております。学校におきましても、各種法令をはじめ、学習指導要領等に基づいて教育活動を推進しなければならないと考えております。 次に、30人学級以下の学級編制についてでございますが、小中学校の学級編制につきましては、現行法令では、都道府県の教育委員会に任されており、市単独で編制基準を変更することは困難な状況にございます。一方、この問題につきましては、文部省が平成10年9月の中央教育審議会答申を受けて設置された調査研究協力者会議で検討し、今年の夏ごろには報告書をまとめられると聞き及んでおります。こうした国の動きに合わせて、全国的な問題として対応していく考えでございます。 次に、県立高校教育改革第一次実施計画の撤回についてでございますが、この県立高校教育改革第一次実施計画は、県が昨年6月に発表いたしました全日制高等学校長期構想検討委員会の報告に基づき、県立高等学校の教育改革を推進するための実施計画として、この2月4日に公表したものでございます。教育改革は、今、国政上の最も重要な課題であるとして、国におきましても、中央教育審議会の審議等を経て、子どもたちや社会全体にゆとりを確保する中で、生きる力を育成するということを基調にした教育を重視しております。こうした背景のもと、全国各地の高校教育現場では、特色ある学校づくりなどをめざして、総合学科や単位制高校、あるいは中高一貫教育などのさまざまな教育改革が進められております。今回の県の実施計画につきましては、このような動きの一環であり、尼崎市としても、本市の進める特色づくり等の高校教育改革に基本的に整合するものであると考えております。 最後に、学校施設の補修対策や年次的な建替え計画についてでございますが、学校施設は、児童、生徒が学校生活を送る上で重要なものであり、施設の経過年数等を見ながら、その状況を把握するとともに、補修が必要になったものについては、学校長と協議しながら計画的に実施しているところでございます。更には、平成11年度からは、従来の整備に加えまして、良好な学習環境づくり事業の一環としての施設改善特別対策事業など、維持並びに保全にかかわります事業の充実を図っておるところでございます。 次に、改築につきましては、現在小中学校の適正規模等の検討を加えていることなどから、今後の問題と考えております。 なお、アスベスト対策につきましては、昭和63年度に封じ込め等の措置をしており、安全上特に問題はないと考えておりますが、今後施設の大規模改修又は改築時には撤去していきたいと考えております。 以上でございます。
○議長(中川日出和君) 田村征雄君。 (田村征雄君 登壇)
◆5番(田村征雄君) 答弁をいただきましたけれども、30人以下学級の問題については、確かに予算の関係もあって、県の教育委員会の取組みが第一義的だとは思います。しかし、市町村、自治体としても、そういう方向で権限があるわけですから、自治体の裁量で検討に着手する、このことを私は求めたわけであります。国や県が決めないと、市としては何もしません、こういう態度ではいけませんよと、こういうことを言いたいわけであります。 1問目、2問目の問題で、道路公害問題では、住民の命と健康を守る問題、そして住環境整備条例、これは住環境を守る問題です。介護保険、国民健康保険の問題では、特に低所得者に対するさまざまな独自な軽減策などをすることが必要だと、こういうふうに提案をいたしました。市内の市場、商店街を守る問題、こういう問題でも私は前向きに提案をしてきました。これは、宮田市長が自治体の長としての権能を発揮していただきたい、こういうことを求めたわけであります。そして、それに必要な新たな財源の確保の提案も前向きにいたしました。しかし、1問、2問の市長の答弁では、これらの市民の願いにこたえるような答弁はありませんでした。ほんとうに情けないなと、こんなふうに思います。 さて、こうした市長の姿勢で、最後にお伺いしたいと思います。 国と地方自治体の関係で、今後の市政運営の在り方を改めていくことが必要であると思います。特にこの2年間、
日本共産党議員団は、景気動向の甘い判断で税収を過大に見込むべきでないと、宮田市長に対して繰り返し警告してきました。ところが、宮田市長は、耳を傾けず、政府の景気対策に曙光を見いだしたいとの希望的な景気判断を行い、国に追随し、大型開発事業などの見直しもせず、継続してきました。国の財政と同じように、尼崎市も財政破たんではたまりません。市民の暮らしに責任を持つ自治体の独自の判断、市長のリーダーシップが求められていると考えます。2月の補正予算審議で、市営住宅の補修などに係る予算が約1億円減らされました。助役は、市の単独予算だから削ることができたと答弁しました。昨年の募集で当選した市民が心待ちにしている市営住宅が、補修予算をカットされて入居が先送りされる、この市民の気持ちはどうなるのでしょうか。また、この削減された予算を執行すれば、確実に地元の中小業者に仕事が回り、市内の経済の活性化につながります。一石二鳥の効果があったのです。切実な市営住宅の補修よりも優先度の低い人工地盤づくり、
臨海西部拠点開発を優先する姿勢が露骨にあらわれました。これらの事業は、市単独予算ではなく、国の補助が付く事業なのです。この2月、経済企画庁が毎年1回調査している99年度の国民生活選好度調査の結果が発表されました。生活全般の満足度は、99年度に更に下がって4割強と、過去最低です。更に、10の領域での政策優先度を選ぶ調査で力を入れてほしい政策領域は、医療と保健が1位です。収入と消費生活が2位、勤労生活が3位です。政策優先度は、健康と暮らし、雇用にあることを示しました。 市民が暮らし第一の市政を願っていることは、当局が調べた次の総合計画の市民アンケートにもあらわれています。あなたが尼崎市で暮らしていく上で、これから10年、特にどのようなことに力を入れるべきですか。20の項目から三つ選んでくださいという設問に対し、安心して地域で老後が送れるように、これが50パーセントで1番です。だれもが安心して快適に歩ける環境をつくる、これが24パーセントで2番です。いじめや非行の心配がないなど青少年の育つ環境を整える、これが21パーセントで3番です。ちなみに、駅前の整備を推進する、これは7パーセントで14番目です。調査は、市民の暮らし、福祉、健康に力を入れてほしいと願っていることを明確に示したのです。この調査結果の根底には市民の生活実態があり、最も不安を抱いている問題が強い要望となってあらわれていると考えます。生活重視の視点で、市民の安全、健康、福祉の保持という地方自治体の基本的な仕事を果たすことが今ほどたいせつなときはありません。国に財源移譲を求め、年金制度改悪や医療制度改悪に反対し、国民健康保険、介護保険への国負担率の引上げを求めるなど、市長が市民の先頭に立って国に要求すべきであります。市民の暮らしの困難を拡大するような国の悪政に立ち向かうのか、それとも沈黙するのか、あなたの政治姿勢が問われています。 また、厳しい財政危機に対して、市長は行政改革を更に推進すると施政方針で述べましたけれども、尼崎市で行うべき最大の行政改革は、三つの
スーパープロジェクト、
大型公共事業と同和行政にメスを入れるべきではないかと考えます。阪神尼崎の
都心整備事業など
スーパープロジェクトは、今後も市の財政に大きな負担となります。このまま続ければ、人工地盤、空中回廊は、財政破たんに行き着く遊歩道になるのではありませんか。市長が認めたように、市民の暮らしはたいへんです。生存権が脅かされるようなぎりぎりの生活の厳しさのもとで、市民の暮らしを守る新たな独自の施策が必要であり、そのための財源確保の提案もしたわけです。私が提案したように同和行政をやめること、特養ホームを必要なだけ市内に建設すること、30人学級のための教職員を増やして、学校の補修など教育予算を増やすこと、市民の保育要求にこたえることなどが、雇用を増やし、市民の収入を増やし、市内での消費を増やす、地元中小企業に仕事が回る、つまり、地域経済の活性化につながることは明らかです。 最後に、改めて市長に伺います。
スーパープロジェクトの
大型公共事業、同和行政は見直し、市民の暮らし、福祉、教育に力を入れることが雇用の増加や市内での消費の拡大、地元業者に仕事が回る、そしてまちの中から、暮らしの中から市民が元気になる、活力を取り戻すと確信します。このような市政に流れを変えるように提案します。市長の御答弁を求めます。 私の提案は、今後の市政運営の基本に据えられなければならないものと確信します。こうしたもとでこそ、だれもが安心して暮らせるまち、健康、安心の尼崎のまちをつくっていくことができるのではないでしょうか。 以上で私のすべての質疑を終わります。 御静聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(中川日出和君) 答弁を求めます。 宮田市長。 (宮田良雄君 登壇)
◎市長(宮田良雄君) 田村議員の3問目の質疑にお答えを申し上げます。 市政の運営についてのお尋ねでございます。 私は市長就任以来、市政の推進に当たりましては、福祉、教育、そういったことにつきまして、特に教育内容の充実、地域福祉の充実、今まさに少子高齢化に入っておりますので、そういったことにも大きく意を用いながら、今日まで推進してきたつもりでございます。しかし、まちづくりにつきましては、更に長期的な視点に立った取組みが重要でございます。したがいまして、まちづくり全体の構想といたしましては、ソフト面、ハード面ともにバランスの取れた尼崎市のまちづくりを進めていくべきである、そういうふうに思いまして、全体的なバランスを取った総合行政をこれからも進めてまいりたいと思っておりますし、さきほどおっしゃいました、そういったことがひいては市全体の活性化に長い時点での流れの中では進んでいくものと思っております。そして、それがまたおっしゃるように雇用促進にもなっていく、そのような思いでこれからもまちづくりを進めてまいりたい、そのように思っておりますので、御理解を賜りますようにお願いを申し上げます。
○議長(中川日出和君) 田村征雄君の質疑は終わりました。 この際、休憩いたします。 (午前11時59分 休憩)--------------------------------------- (午後1時2分 再開)
○副議長(塩見幸治君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 代表質疑を続行いたします。 発言を許します。 仙波幸雄君。 (仙波幸雄君 登壇)
◆24番(仙波幸雄君) 平成12年度当初予算案及び関連の諸施策を審議する第14回定例会におきまして、公明党を代表して市長の施政方針並びに諸施策についての代表質疑を行います。 また、20世紀最後の予算議会におきまして質問の機会をいただきましたことに感謝をいたします。 先輩、同僚議員の皆様には、しばらくの間御静聴のほど、よろしくお願い申し上げます。 まず、予算編成に当たっての市長の考え方をお伺いしたいと思います。 戦争と暴力と言われた20世紀より、いよいよ新世紀にバトンタッチをする本年となりました。特に20世紀最後の10年は、冷戦構造が終結したにもかかわらず、世界では紛争が絶えず、およそ50カ国で400万人に上る死者が出たと言われております。日本においては、バブルが崩壊、経済をはじめとして教育、政治、医療、保健など、あらゆる分野で制度疲労や矛盾が吹き出した10年でした。新世紀を目前にして、私たちはたいへん困難な時期にいることを改めて認識する必要があります。さまざまな課題を解決するための糸口や仕掛けをできるだけ今世紀中にしておき、次世代へ積み残しをしないよう最大限の努力をすべきであると思います。もちろん、この1年ですべての問題解決の方途を探るのは不可能ですが、未来の果を知らんと欲せば現在の因を見よという言葉があるように、今なすべきことをやっておかないと、将来に結果は得られないということを強く意識しておかねばなりません。 ここで市長にお伺いしますが、私がただいま述べました本年の意味を踏まえて、市長は平成12年度の予算の持つ重要性をどのように認識されているのか、お聞かせください。 本会議冒頭での市長の平成12年度施政方針演説を伺い、その考え方、進むべき方向に大いに賛同するものです。物質的豊かさから精神的豊かさへ価値観の変化を述べておられましたが、まさに21世紀は、ハードからソフトの時代、生命の世紀、人間の世紀と言われ、一人ひとりの人間が主役となるべき時代であると思います。そういった観点から、一人の人間に焦点を当てた市長の政治哲学は、間違いのない方向に向いていると考えます。 そこで、次の段階では、市長の政治哲学、考え方を、幹部をはじめとする市職員が理解し、そして具体的な施策に反映をして、市民が安心して生活ができるようなサービスを提供できるかということです。 そこでお尋ねしますが、市政のリーダーとして、自身の政治哲学をどのようにして幹部職員その他の市職員に打ち込み、実現をさせようとしているのかをお答えください。 現代の成熟した社会においては、多種多様な価値観が存在し、また、その価値観を持った人がおり、市政を運営していく上で、多くの施策を100パーセントの市民が100パーセント満足できるように展開することは不可能です。財源が不足するといった悪条件では、あちらを立てればこちらが立たずというのが現実ではないでしょうか。特に年金、保健、福祉、医療といった生活の生命線は、おのおの単独では考えにくい時代になっています。いわば木を見て森を見ずの言葉どおり、総合的な見地からこれらの制度を扱って、また考えていかないと、いつの間にか迷子になってしまうおそれがあります。一つ一つがバランスを欠いた状態で全体のバランスを保つことは至難の業です。しかし、現代はそれが要求される時代になっております。 そこでお尋ねしますが、予算編成に当たり、市長はこのバランスをどのように取る努力をされたのでしょうか、お聞かせください。 市税収入や
収益事業収入が更に落ち込むと予想される平成12年度は、財政計画と第3次実施計画の最終年度に当たります。財源不足により20パーセントのマイナスシーリング枠を設けて着手した予算編成は、たいへん御苦労をされたことと思います。限られた財産の中で、実施計画をどのように具現化、具体化していったらいいのか。 そこでお伺いしますが、平成12年度を最終年度とする財政計画と第3次実施計画の整合性をどのように取り、また、どのように整理して新年度予算案を編成されたのかをお聞かせください。 産業構造の変革や工場三法による規制あるいは道路網の整備や経済不況による事業の縮小などのために、本市も企業の撤退が続いております。産業面では、重厚長大産業で一世を風びした産業都市尼崎も、今その都市像を変えるときが来ているのではないでしょうか。先日判決のあった尼崎公害訴訟は、国や道路公団が控訴したため、今後も公害都市尼崎の文字とイメージがマスコミにより日本全国に流され続けることになりました。今回の判決は、企業が原因のばい煙ではなく、
自動車排ガスが発生源でありますが、尼崎イコール公害とのマイナスイメージの印象を与えることは否めません。本市は、公害都市に別れを告げ、良好な環境整備に努力をしているところです。そして、阪神間でも充実した文化施設である総合文化センター、アルカイック・オクト、玉翔の間と大中小のホールを有し、また全国的にも優れたピッコロシアターや劇団もあります。寺町や田能遺跡など、歴史的建造物や遺跡も存在をしております。今、自然と文化の森構想の素案づくりもスタートをしましたし、全国的にも珍しい戯曲を対象とした近松門左衛門賞の創設も提案をされております。昨年の代表質疑で、尼崎市はどのようなまちかとの問いに、市長は、産業都市ですとお答えになりました。私は、21世紀に向けての2000年という最後の年に、尼崎市のまちづくりの方向を明確に産業文化都市と位置づけ、また明言をして進むべきであると考えますが、市長の御見解をお聞かせください。そして、文化、情報の基地をアルカイック街区を中心にして全国に発信していくことが、公害のまち尼崎のイメージチェンジになると思いますが、市長はいかがお考えでしょうか。 次に、財政問題ですけれども、財政問題につきましては、焦点を絞ってお伺いをいたします。 国は、最優先の重要課題として景気対策を挙げ、その後に財政改革に本格的に取り組むと言明をしております。しかしながら、地方自治体においては、景気対策を独自で行うことには限界があり、おのずと財政問題の解決に最優先で取り組まねばなりません。市長も施政方針演説の中で、財政の再建は何にも優先して緊急に取り組まなければならない課題であり、ここ何年かは今以上に困難な状況が続くと思われると言及されており、事の重大さの認識を示しておられます。バブル経済が崩壊して、日本経済は1,000兆円以上の資産が失われたと言われております。資産デフレが続く中で、その大きなものは土地と株価の下落です。株価については最近上昇しておりますが、土地のほうは現在も下がっております。本市においても土地問題は例外ではなく、本市の財政に大きな問題を投げかけております。本市においての土地のほとんどは、外郭団体である尼崎市
土地開発公社が所有をしております。しかしながら、情報公開がなされないために、その実態は議会にもよく分からない面が多くあります。市の会計は単年度主義ですが、公社の場合、土地取得資金のほとんどは借入れによります。その取得した土地を長期間保有している場合、借入利息を土地代金に上乗せしていくために、単年度に市財政と利息資金の受渡しを行いません。したがって、会計的に市との間で資金の受渡しもないために、議会の目にも触れない仕組みになっているのです。
土地開発公社の平成11年度3月の資産は614億円、それに見合う長期借入金は630億円、そして10年度に2億6,200万円の純損失を計上したにもかかわらず、準備金があったために、資金合計は6億8,000万円になっています。実態的に相当額の含み損が発生しており、大幅な債務超過になっていると容易に推測されます。5年間以上未処分の土地が74パーセント以上を占める状態では、この5年間で市内土地公示価格が26パーセントも下落していることから計算すると、100億円以上の債務超過となります。このままの状態を放置しておくと、土地の含み損が増すことに加えて、年間10億円以上の利息負担が加わることになります。所有する土地に関しては、資産区分によって、公園用地、道路用地、公共事業代替用地、その他に分かれていることは承知をしておりますが、特に長期間保有している74パーセントを占める土地の利用を含めた処分を早急にしていかなければ、最終的に市民の大きな負担となるわけです。 ここでお尋ねします。 尼崎市
土地開発公社は、他都市に比しても土地所有の金額において最上位にランクをされておりますが、市長は公社の現状、実態をどのように見ておられるのか、そして、この土地の処分をどのようにしていくおつもりなのか、御見解をお聞かせください。 次に、産業政策についてお伺いをいたします。 私たち公明党は、現場の声を聞き、中小企業対策のいっそうの充実を図るため、2月から市内の中小零細企業を対象に実態調査を行っております。雇用状況、資金繰りなどに関する調査ですが、いずれの項目においても依然厳しい答えが返ってきているのが現状です。国においては、平成10年10月から実施している中小企業金融安定化特別保証制度の期限を明年3月までの1年間延長、また、10兆円の追加拡充を実現させ、中小企業の保護に努めているところです。この貸し渋り対策の特別保証制度については、日本商工会議所が、これによって7,000件の倒産を未然に防止し、6万人の雇用維持に役立ったと報告をし、評価をしております。財政問題のところで述べたように、一地方自治体で経済政策を打ち出すのはおのずと限界がありますが、本市の屋台骨であり、また貴重な財産である中小企業に対して積極的に支援をすることは、今しなければならないことの一つであることは言うまでもありません。 そこでお伺いをします。 中小企業支援策について、市長はどのようにお考えなのか、御所見をお聞かせください。 次に、昨年、中小企業基本法が1963年に制定以来、初めて抜本改正をされました。同法はこれまで、中小企業を画一的に弱者として扱い、大企業との格差を主眼とする保護色の強い内容でした。機動性など中小企業ならではの強みを発揮して活躍できるよう、施策の整備を行っています。企業の廃業率が創業率を上回る日本の現状では、新たな会社の創業やベンチャー企業の振興は、経済活性化、雇用創出のために欠かせません。平成7年に策定され、13年を中間目標とした尼崎市産業振興中期計画があります。その中に、新しい産業の創出として、第1にエコビジネスの育成が挙げられています。本市の経験から、公害防止技術や環境保全技術を生かしたエコビジネスを育成していくために共同研究開発、技術開発支援、画期的な開発製品に対する顕彰制度などを検討し、エコビジネスに係る支援システムを構築するとあります。 そこでお伺いをいたします。 平成12年度予算のどこにこの施策が反映されているのか、また、本市は中小企業育成にどう取り組もうとしているのかを併せてお聞かせください。 本市には財団法人尼崎市産業振興協会があります。6,000万円ほどの補助金を出していますが、本来、この産業振興協会あたりが産業、商業活性化のための企画立案などを中心になってやり、本市を引っ張っていくような存在であるべきだと思います。 市長にお伺いしますが、尼崎市産業振興協会についてはどのようにお考えか、御所見をお聞かせください。 次に、少子化対策についてお伺いをいたします。 少子高齢化に伴う問題の提起についてはずいぶん以前よりされておりますが、いまだに積極的な施策が展開されていないことに、深く憂慮する次第です。本市においては、平成9年には65歳以上の老齢人口が15歳未満の年少人口を上回っております。そして、平成11年では、65歳以上の人口は7万2,862人、15歳未満は6万3,645人となり、9,000人以上の差がついています。1学年1クラスの小学校が出現したりし、教育環境に悪影響を及ぼす事態にもなっております。また、年金制度を見ますと、2.7人が引退世帯1人を支えている現状から、2025年には1.4人で1人を支えなければならないときを迎えようとしています。その他、健康保険や4月から導入される介護保険などの社会保障制度が根底から崩れる時代が目前に迫っているのです。現役世代の負担は今後ますます重くなっていきますし、将来高齢者になったとき、年金を受け取れるのかといった不安も払しょくできません。合計特殊出生率は、平成9年の全国平均で1.39人、本市では1.36人と、減少の一途をたどっています。平成9年度厚生省科学研究の一環として行われた少子化社会における家庭等の在り方に関する調査研究では、個人の望む結婚や出産を阻んでいる要因を取り除く対応を図るべきとの回答が70.1パーセントありました。結婚や出産を阻んでいる要因とは、子育てにお金がかかる、教育にお金がかかる、家が狭いなどが挙げられます。 ここで市長にお伺いをいたします。 市長は平成12年度予算案の中で、少子高齢化対策に財源の重点配分を行うと説明されましたが、特に少子化対策の将来に向けての抜本的、積極的な施策は、予算案の中でどこに、どのように組み込まれているのかをお答えください。 次に、教育問題についてお伺いをいたします。 モラルハザードという言葉が流行語になるなど、日本社会全体に道徳や倫理意識の欠如がまん延しております。それを反映するかのように、教育の世界でも陰湿ないじめや校内暴力に加え、最近では学級崩壊と言われる授業不成立の状況もあらわれて、教師の指導力や家庭教育の不在などが指摘されております。平成9年に日本、アメリカ、中国の高校生を対象に行った調査では、本人の自由にやってよいと思うことを尋ねたところ、日本の生徒は、65パーセントから85パーセントが親に反抗すること、学校をずる休みすることを挙げました。日本の若者の自由と放縦の履き違え、そして甘えと自分以外の者への責任転嫁、また、自主独立の精神の欠如をあらわした結果ではないかと思います。孔子や孟子が唱えた人間の本性は元来善であるとの性善説と、荀子が説いた人間の本性は悪であるとの性悪説を学んだことがあります。どちらが正しいのか、間違っているのか、私は、小学校の低学年の子どもたちを見るといちばんよく分かると思います。子どもたちの無邪気に遊ぶ姿からは、人間の本性はもともとから善とか悪とか断定できるものではなく、どちらの要素も持ち合わせており、自分を取り巻く環境や対境によって、その時々に応じて悪い心やよい心が出て、行動に移すのではないかと考えます。したがって、小学校に通う低学年の生徒に対する教育は、実は教育課程の中で最も大事なものと言えます。あいさつや人を思いやる心、倫理観や道徳観をこの年齢の時期に間違いなくきちっと教えておけば、一時期はいろいろな理由によって忘れてしまうかもしれませんが、命にちゃんと入っていて、周りの環境や人に触発されて、かつて学んだ気持ちがあらわれるのです。その気持ちを湧現させ、自立させることが教育ではないでしょうか。 そこでお尋ねしますが、小学校、特に低学年教育に更に力を入れるべきと考えますが、御所見をお聞かせください。 平成12年度予算案の中に、スクールカウンセラー活用調査研究委託事業や不登校児童生徒の適応指導総合調査研究事業が新規事業として上がっております。この事業では、調査研究は付随的なものとし、カウンセリングに力を入れていただきたいと思います。今は生徒のみならず、教師や保護者もカウンセリングを求めているのです。専門的なカウンセリングシステムを早急につくる必要があります。欧米においては、このカウンセリングが社会に根づいており、日常的に活用されております。日本においてももっと力を入れる分野ではないでしょうか。本市に施策においても、カウンセラーやカウンセリングの回数は少ないのではないかと思います。 ここでお尋ねしますが、人間形成や人材育成にとってなくてはならないカウンセリングシステムをもう少し充実するためにも、力を入れる必要があるのではないでしょうか。市長の御所見をお聞かせください。 先日開かれた青少年読書感想文コンクールで、園田北小学校3年生の豊嶋君が、みごと文部大臣奨励賞を受賞した記事を読み、たいへんうれしくなりました。最近の子どもたちの活字離れを心配していたからです。パソコンの普及により、ボードのキーを打って変換をすれば、自動的に難しい漢字も出てきますし、最近では音声入力機能も発明され、書く習慣がなくなってきています。昨年国会で、本年を子ども読書年とする決議がされました。埼玉県の小学校や中学校では、朝の読書といって、授業が始まる前に全員で読書をする習慣が定着し、遅刻も激減をしているようです。また、この読書から、本の登場人物や情景を通して想像力や思考力を養う訓練にもなっているなど、複数の効果を上げていると聞いています。 そこで提案ですが、本市でも既に実践をされております、この朝の読書時間を全市に拡大、導入してはいかがでしょうか、お伺いをします。 日本の学校の特徴的なものに課外クラブがあります。ヨーロッパなどでは、学校が終わった後、地域でプライベートなクラブに参加するのが普通です。12年度予算案では、中学校で355クラブを対象にしています。クラブ活動には顧問が不可欠ですが、転勤などで顧問の先生がいなくなった場合、休部になるケースもあります。日本では、課外クラブは教育の一環としてたいへん重要な役目を果たしていますが、顧問の都合でそのチャンスを失うことは残念であり、また、クラブを楽しみの一つに入学した生徒たちにとって、悲しいことはありません。 そこでお伺いしますが、このような顧問不在で休部になることのないような仕組みをつくる必要があると思いますが、御所見をお聞かせください。 次に、3ゼロ社会の実現をめざしてお伺いします。 公明党は、ムダ、ゼロ・ごみ、ゼロ・エゴ、ゼロの3ゼロ社会の実現をめざして、さまざまな提案をしてきました。ムダ、ゼロとは、行政の無駄をなくしていくこと。税金の使い道から無駄をなくすということです。そのためにも、事務事業評価システムの導入が急がれます。ごみ、ゼロとは、国も本年を循環型社会元年と位置づけているように、資源の再利用を図るということです。平成12年度予算案で廃棄物発電事業会計が設置されたことは、たいへん意義のあるものと評価をします。エゴ、ゼロとは、自分のことは自分でする自助、行政による公助、そしてボランティアによる共助の調和の取れた社会を築くことです。 そこでお尋ねしますが、第1点は、事務事業評価システムを前倒しして導入を急ぐべきであると思いますが、市長のお考えをお聞かせください。 また、共助社会をつくるためのボランティアの養成については、1,000万人のボランティアが有償で活躍しているアメリカのように、有償で働ける仕組みも考えていく必要があるのではないでしょうか。日本で有償のボランティアというと、とんでもないとの認識がありますが、世界のすう勢は有償ボランティアで、これが長続きする要因でもあるわけです。この点についての市長の御見解をお聞かせください。 次に、行政改革についてお伺いをいたします。 今、企業の会計制度が、会計ビッグバンと言われるように、大きく変わろうとしています。平成12年3月期から連結決算の情報開示が義務づけられるからです。日本の企業は、親会社、子会社、関連会社等、それぞれが単独の会計、決算を持ち活動しており、グループ全体の経営実態をつかむことがなかなか困難な状況になっています。もちろん欧米に進出している企業は、既に連結会計を採用しています。グループ内すべての会社を一つの会社と見立て、連結会計を活用し、連結財務諸表を作成することにより、各会社とグループ全体の経営実態を明らかにするというものです。子会社に債務を移したり、グループ内での資金の流れを操作したりすることによって粉飾をしたり、帳簿上に架空の数字を記載する等ということはできなくなり、実態が浮かび上がってまいります。今まで不透明な経営で社会問題になった企業や会社などが存在したのも景気のよいときで、経済状況が厳しいときには、会計手法の変革が求められています。 一方、地方自治体の会計制度はというと、企業会計を除いて、単式簿記による現金主義会計を採用しています。昨年、未来協会が、バランスシートと発生主義による損益計算書を発表しましたが、複式簿記による発生主義会計制度への改革が必要とされています。本市は、平成12年度一般会計と15の特別会計、そして4企業会計を持つことになります。一般会計では、一般財源ベースで財政分析がされ、特別会計は前年対比による財政規模が示されております。しかし、全体的に見ると分かりにくいのではないでしょうか。 そこでお伺いします。 さきほど述べた複式簿記による発生主義会計制度の導入や一般会計、特別会計、企業会計を、連結会計によって市民により分かりやすく情報を提供する必要があると思いますが、これらのことについての御所見をお聞かせください。 平成11年度、12年度を期間として、行政改革推進計画の内容が新年度予算案に具現化してまいりました。改めてこの行政改革推進計画を見てみますと、事務事業の見直しの中で、嘱託員の配置というものがあります。これにより、正規の職員の数を減らし、経費を削減することのようですが、どうも消極的な手法であるような気がしてなりません。平成11年度の予算は、たいへん厳しく見積もったつもりでも、予想を超えて歳入不足が生じたわけです。財政的にこれ以上の厳しさはないという年度をこれから迎えようとしています。そのことをよく認識した上で、私は、アウトソーシング、つまり業務の外部委託計画を行政改革推進計画の中に盛り込むべきであると思います。そして、アウトソーシング計画に基づき事務事業の見直しを図り、財政改革推進に踏み込んでいかなければならないと考えます。 そこでお尋ねしますが、行財政改革の中心となるべき民間への業務委託計画、アウトソーシングを早急に作成して、本市財政の冬の時代に備える必要があると思いますが、市長のお考えをお聞かせください。 次に、介護保険についてお伺いをいたします。 いよいよ本年4月より、介護保険制度が問題を積み残したままスタートします。昨年10月、与党3党による政策課題合意に基づき実行に移された特別対策の中で、65歳以上の第1号被保険者の保険料については、4月から9月までの半年間徴収をやめ、その後平成13年9月までの1年間は半額にする措置をとりました。保険料は100パーセント払うけれども、100パーセントのサービスが受けられない状況にあるからです。国においては、この凍結期間も入れ、1年かけて財源も含めた抜本的な見直しをし、社会保障制度としてふさわしい新介護保険制度を発足させる準備も行っております。 本市も制度の導入に向けての準備に御苦労をされてきたことと思いますが、現時点での準備の状況を、国との関係も含めてお聞かせください。 介護保険制度の社会保障制度としての疑問点は、第2号被保険者で介護給付の対象となるのは、特定の15疾病のみであるということです。およそ日本で4,300万人のうち、15万人ほどが対象となるそうです。障害者の場合についても、制度的な整合性に問題も残ります。 そこでお聞きしますが、公平性、平等性の観点から、この問題についてどのようにお考えかをお聞かせください。 介護サービスの適正化を期すために、総合相談窓口の設置が不可欠です。国はオンブズマン制度、県では評価システムの研究を行っているようですが、市民から離れたところではなく、本市の中にサービス向上委員会などの委員会を設置し、身近なところで相談できる体制を取る必要があると思います。 この点についての市長の御所見をお聞かせください。 以上で私の第1問を終わります。(拍手)