尼崎市議会 > 2000-03-02 >
03月02日-04号

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  1. 尼崎市議会 2000-03-02
    03月02日-04号


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    平成12年  2月 定例会(第14回)   第14回尼崎市議会会録(定例会)第4号◯議事日程    平成12年3月2日 午前10時 開議第1 議案第41号 尼崎市市税条例の一部を改正する条例について第2 議案第42号 尼崎市消防関係事務手数料条例について第3 議案第43号 尼崎市火災予防条例の一部を改正する条例について第4 議案第48号 尼崎市介護保険条例について第5 議案第49号 尼崎市保健衛生関係事務手数料条例について第6 議案第53号 尼崎市国民健康保険条例の一部を改正する条例について第7 議案第54号 尼崎市計量関係事務手数料条例について第8 議案第55号 尼崎市手数料条例の一部を改正する条例について第9 議案第57号 尼崎市産業廃棄物処理業等関係事務手数料条例について第10 議案第58号 尼崎市廃棄物の処理及び清掃に関する条例の一部を改正する条例について第11 議案第63号 尼崎市建築物等関係事務手数料条例について第12 議案第80号 尼崎市農業共済事業事務費の賦課総額及び賦課単価について第13 議案第1号 平成12年度尼崎市一般会計予算第14 議案第2号 平成12年度尼崎市特別会計国民健康保険事業費予算第15 議案第3号 平成12年度尼崎市特別会計中央卸売市場事業費予算第16 議案第4号 平成12年度尼崎市特別会計用品調達事業費予算第17 議案第5号 平成12年度尼崎市特別会計育英事業費予算第18 議案第6号 平成12年度尼崎市特別会計農業共済事業費予算第19 議案第7号 平成12年度尼崎市特別会計都市整備事業費予算第20 議案第8号 平成12年度尼崎市特別会計公共用地先行取得事業費予算第21 議案第9号 平成12年度尼崎市特別会計中小企業勤労者福祉共済事業費予算第22 議案第10号 平成12年度尼崎市特別会計公害病認定患者救済事業費予算第23 議案第11号 平成12年度尼崎市特別会計青少年健全育成事業費予算第24 議案第12号 平成12年度尼崎市特別会計介護保険事業費予算第25 議案第13号 平成12年度尼崎市特別会計老人保健医療事業費予算第26 議案第14号 平成12年度尼崎市特別会計駐車場事業費予算第27 議案第15号 平成12年度尼崎市特別会計廃棄物発電事業費予算第28 議案第16号 平成12年度尼崎市特別会計競艇場事業費予算第29 議案第17号 平成12年度尼崎市水道事業会計予算第30 議案第18号 平成12年度尼崎市工業用水道事業会計予算第31 議案第19号 平成12年度尼崎市自動車運送事業会計予算第32 議案第20号 平成12年度尼崎市下水道事業会計予算---------------------------------------◯出席議員   1番   騰 和美君   2番   荒木伸子君   3番   丸尾孝一君   4番   高橋藤樹君   5番   田村征雄君   6番   松村ヤス子君   7番   今西恵子君   8番   丸尾 牧君   9番   酒井 一君  10番   田之上鉄男君  11番   竹原利光君  12番   真鍋修司君  13番   杉山公克君  14番   丸岡盛夫君  15番   広瀬早苗君  16番   菅村哲仁君  17番   瀬井幸則君  18番   飯田 浩君  19番   白井 文君  20番   平山丈夫君  21番   牧田 隆君  22番   北 和子君  23番   滝内はる子君  24番   仙波幸雄君  25番   安田雄策君  26番   下地光次君  27番   早川 進君  28番   黒川 治君  29番   蔵本八十八君  30番   北村保子君  31番   谷川正秀君  32番   波多正文君  33番   中野清嗣君  34番   塩見幸治君  35番   小柳久嗣君  36番   畠山郁朗君  37番   新本三男君  38番   多田敏治君  39番   宮野 勉君  40番   寺本初己君  41番   小田原良雄君  42番   安田 勝君  43番   高岡一郎君  44番   中川日出和君  45番   石本 晟君  46番   藤原軍次君  47番   米田守之君  48番   中村四郎君---------------------------------------◯議会事務局事務局長    岡田 武君事務局次長   小谷正彦君議事課長    辻本 守君---------------------------------------◯地方自治法第121条の規定による出席者市長      宮田良雄君助役      堀内弘和君助役      山田耕三君収入役     石本 操君都市拠点開発室長    横山助成君市長公室長   吉井惠一君企画財政局長  木戸 功君総務局長    辻村拓夫君美化環境局長  宮崎 修君医務監     山本 繁君健康福祉局長  斉藤 実君市民局長    西村孝一君産業経済局長  矢冨勝亮君土木局長    大井善雄君都市局長    中村光彦君消防局長    近成義男君水道事業管理者 村上義光君自動車運送事業管理者   鳥羽正多君企画財政局総務課長    岩田 強君教育委員会委員長     中村弘一君教育長     小林 巖君選挙管理委員会委員長     西村五郎君代表監査委員  久保田 治君常勤監査委員  藤本 始君--------------------------------------- (平成12年3月2日 午前10時1分 開議) ○議長(中川日出和君) これより本日の会議を開きます。 日程に入るに先立ち、会議録署名議員の指名を行います。会議録署名議員は、会議規則第81条の規定により、議長において小田原良雄君及び北和子君を指名いたします。 この際、事務局長から諸般の報告をいたさせます。 ◎事務局長(岡田武君) 御報告いたします。 現在の出席議員は47人であります。 次に、本日の議事日程は、昨日の日程を踏襲いたします。 報告事項は以上であります。 ○議長(中川日出和君) 日程に入ります。 日程第1 議案第41号 尼崎市市税条例の一部を改正する条例についてから、日程第32 議案第20号 平成12年度尼崎市下水道事業会計予算まで、32案を一括議題といたします。 昨日に引き続き、代表質疑を行います。 発言を許します。 田村征雄君。    (田村征雄君 登壇) ◆5番(田村征雄君) おはようございます。日本共産党議員団の田村征雄です。 宮田市長の施政方針と政治姿勢、2000年度一般会計予算ほか関連議案に対して、日本共産党議員団を代表して質疑いたします。 地方分権一括法が今年4月から施行されますが、国が代執行などで関与できる規定が残されていたり、税や財源が移譲されないなど、極めて不十分なものであります。国の機関委任事務の45パーセントが法定受託事務となったものの、そこに地方自治体の条例制定権が及ぶとされました。そこで、自治体としては、拡大された条例制定権を活用して、住民の暮らし、福祉、健康を守っていくことが極めて重要になってくるものと思います。地方自治権と住民の力で、政治、経済、社会の各分野で住民が主人公の新しい流れに切り替えていくことが時代の要請であります。 新しい流れを象徴するような出来事が、今年相次いでいます。万博の国際事務局から、これは20世紀型の開発至上主義だと厳しく批判された愛知万博の問題では、自然破壊から環境を守る住民団体の国際的な活動が根底にありました。開発至上主義の自民党政治が国際的批判にさらされ、計画は見直しの動きとなってきました。吉野川可動堰では、徳島市民が住民投票でノーの審判を下しました。住民自治の力が発揮され、市長も見直しを表明しました。三重県で計画されていた中部電力の原子力発電所建設計画に対し、海と漁場を守れと、37年間にわたる地元住民の反対運動が県民運動へと広がり、知事が原発計画の撤回を表明しました。原発推進の国策へのノーの判断、地方自治権の発揮であります。東京の石原都知事が、公的資金を受けている、利益を上げている銀行が不良資産処理で課税逃れをしている実態を批判し、銀行に対する外形標準課税を議会に提案しました。地方税法に基づく自治体の課税自主権を行使することで、地方自治権の強烈な発揮となりました。 ところで、宮田市長は、自治体の長として、尼崎で住民の立場に立って、地方自治体の長の権能をどのように発揮されるのか、市政運営の基本的な政治姿勢が問われます。 まず、多数の犠牲者、患者を生み出した、自動車排ガスと道路公害問題であります。昨日も指摘されましたが、神戸地裁判決があったにもかかわらず、市長が施政方針で一言も触れなかったのは、異常な姿勢と受け止めました。尼崎南部では、大企業が吐き出したばい煙と国道43号、阪神高速道路自動車排ガスによる大気汚染で住民多数が健康被害を受け、公害病認定患者は1万1,208人、これまで認定患者の死亡者は3,071人と、多数の犠牲者を出しています。公害患者、遺族が起こした公害訴訟では、関西電力など企業9社は、昨年2月、解決金を払い、患者は勝利和解しています。そして、国、公団を相手取った判決が1月31日にあり、住民に甚大な被害を与えた国、阪神高速道路公団に痛烈な審判が下りました。判決では、損害賠償の支払いとともに、自動車排ガス中の浮遊粒子状物質、SPMによる健康被害を認定した上、1日平均1立方メートル当たり0.15ミリグラムを超えるSPMの排出差止めを命じる画期的な判断を示しました。住民の命と健康よりも道路など産業基盤整備に公益性があるとしてきた道路行政、環境行政を反省し、国、公団はこの判決に従うべきでありました。ところが、因果関係が明確でないとして、国、公団は判決に従わず、控訴しました。道路公害から命と健康を守るための20年以上にわたる住民運動があり、ぜんそくなど公害病を押しての裁判闘争も、11年の長きにわたりました。この間に原告患者133人の犠牲者を出し、今もなお3,298人の認定患者が苦しんでいます。市民の命と健康を守る立場から、また、今なお環境基準が守られていない道路沿道の大気の環境基準を守らせる上で、宮田市長は、国と公団が判決に従い、控訴しないことを求めるべきでありました。それが尼崎市の地方自治体の地方自治権の発揮になったのではないでしょうか。 石原都知事は、尼崎道路公害裁判の判決に基づいて、都内に入る大型ディーゼル車に対して排気ガス除去装置の取り付けを義務づけすること、ロードプライシング、課金制度の採用を発表しましたが、道路公害解決をめざす地方自治権の発揮であります。宮田市長は、今回の判決の持つ意義を踏まえ、国や県知事に対して、湾岸線などへのうかい誘導策だけでなく、43号線の更なる車線削減やディーゼル車に対する排気ガス除去装置取り付けの義務づけなどを措置するよう要求すべきでありました。昨日、日本共産党の宮田県会議員の質問に、兵庫県が、これらの規制を前向きに検討すると答弁しました。SPMの排出差止めを求めた判決では、現在の自動車排ガスによる大気汚染によって沿道居住原告にもたらしている侵害は、単なる生活妨害というものではなく、沿道の広い範囲で疾患の重症、憎悪をもたらす非常に強い違法性があると強調しています。 市長に伺います。 宮田市長は、昨日、神戸地裁の判決に対して、道路の公共性よりも環境に重きを置いた判決と答弁しましたが、聞きたいのは、判決の説明ではなく、市長が判決の立場に立つのか、それとも国、公団の立場に立つのか、この一点です。答弁願います。 また、尼崎の判決を受けて、東京都知事は新しい対策を発表しています。地元の宮田市長が何もしないということは、許されるものではありません。判決を踏まえ、三市協の国要望から更に踏み込んだ道路公害対策についての市長の取組みを求めます。答弁ください。 関連して、東本町ランプの建設問題であります。 このランプをつくれば、通行車両が新たに6,800台も交通量が増えると公団が予測しています。公害病認定患者などが暮らしている大物線沿道の通行量増大と渋滞による排ガス汚染の拡大が十分予想されます。しかし、実際には、道路公団は、既に業者と工事契約を結んでおり、そのことは市長も知っているはずです。市長は、環境悪化になる東本町ランプの建設を容認しようとしているのではありませんか。 伺います。 東本町のランプ建設問題では、市民の命と健康を守る立場で、きっぱりと建設工事の中止を尼崎市の態度として市長が表明することを求めます。答弁ください。 次は、市民の暮らしの問題であります。 尼崎市民の暮らしの厳しさは、99年度補正予算と2000年度予算案にあらわれています。99年度補正予算で市長から景気の低迷、雇用環境の悪化のため、市民税や収益事業などで予算に比べ50億円近く収入減となったと説明がありました。50億円もの減額補正は、過去にはなかったことではないでしょうか。来年度予算では、落ち込んだ99年度の決算見込みより税収が更に3.2パーセント減とするなど、市民も中小企業も不況による収入減は更に厳しくなることを予算があらわしているものと思います。尼崎の2月の有効求人倍率は0.35、つまり100人の求職に35人分しか仕事がないワーストぶりであります。10日前にハローワークに行きましたが、仕事探しの失業者であふれていました。また、12月議会で補正予算が出たように、当初予算の見込みに比べ、生活保護世帯が500世帯も増えました。金融対策費の融資あっ旋預託金は、99年度は8億5,000万円の減額補正を行い、来年度予算では、前年度に比べ12億円の減額としています。これは、業者に融資を受ける力がないほど中小業者が不況に痛めつけられていることを予算の上で示しています。また、市民税や国保料、保育料など、払いたくても払えない滞納世帯が増えていることに、市民の暮らしの厳しさがあらわれています。 市長に伺います。 市民の暮らし、中小業者の営業は、かつてない厳しさであります。ところが、市長の施政方針では、市民の暮らしの厳しさに一言も触れていません。予算では、市民税の収入が減る数字は見えても、市民の暮らしの厳しさは見えていないのではないでしょうか。市長には市民の暮らしの厳しさが見えているのかどうか、答弁願います。 次に、景気回復、経済対策の問題です。 昨年の完全失業率は年平均で4.7パーセント、完全失業者数は前年に比べ38万人増の317万人と総務庁から発表されました。連立与党は、大企業が目先の利潤を確保するための人減らしを保障する産業再生法をつくり、リストラを推進しています。人減らし、リストラを推進し、失業者を増やすやり方で、個人消費が伸びるはずがありません。消費税の引上げ、医療費引上げの9兆円の負担増に続いて、昨年の庶民増税は、個人消費を更に冷え込ませています。また、政府が進める年金制度改悪、高齢者医療費の新たな負担増、介護保険による新たな負担など、社会保障における国民負担の増大と給付の減は、将来不安を大きくし、これも個人消費冷え込みの原因となっています。景気回復の2本の柱である個人消費も設備投資も落ち込んでいるのが実態であります。これまで政府は、緩やかな回復とか、下げ止まりから持ち直しへなどと、根拠のない上向きの景気動向を流していますが、2月11日付けの朝日新聞でも、個人消費は低迷し、肝心の企業の資金需要は伸びておらず、実態経済の力強い回復には結びついていないと分析しているように、実態経済は回復に向いているとは言えません。 ところで、国民の最も切実な願いである景気対策について、政府が進めている対策は、銀行支援と空港づくり、無駄なダムづくりなど、ゼネコン型公共事業のばらまきであります。政府は、13年間に630兆円の公共事業を行うとした対米公約を果たすために、バブル崩壊後11回にわたり公共投資積増し政策を行い、自治体を動員してきました。この公共事業の経済効果を雇用面から見ると、1985年から96年までに公共事業費は倍加しましたが、公共事業の就労者数はほとんど増えていません。つまり、公共事業が大型プロジェクトとなり、大きな機械を使うようになったため、建設、土木の分野では、公共投資を増やしても雇用の増加につながっていないのです。また、大型公共事業は、ゼネコン、鉄鋼、セメントという三つの業種がいちばん潤うのでありますが、経済効果は、そこで働く労働者の所得が増える場合です。ところが、ゼネコンの場合、抱えている不良資産の帳簿上の処理に公共投資が消えてしまい、労働者の所得が増えないのです。公共投資で下支えするやり方では、自立型景気回復にならないと専門家が分析しているのはここにあります。 市長に伺います。 政治家としての宮田市長は、政府の経済対策で景気が回復すると考えますか。また、市長は、経済動向についてどのように認識されているのか、伺います。 更に、市民の生活を守り、市内中小業者の経営を守る立場から、自治体の長としてどのような経済対策を国に要求しますか。答弁を求めます。 次は財政問題です。 来年度政府予算は、約85兆円の歳入のうち38パーセントは初めから借金で賄うとしており、小渕首相の在任1年半で増やした借金が101兆円、今では国と地方で645兆円、国内総生産の130パーセントにまで借金が膨れ上がり、サミット参加国でも突出しています。戦時でもないのに、軍費調達で赤字国債が膨らんだ戦時のような異常な借金の増大が大問題となり、世界一の借金王を自負する小渕首相のやり方が続けば、日本を破滅に導くとの指摘が広がっています。財政運営が世界から見て全く異常な日本の姿がここにあります。この借金を消費税の大増税やインフレ政策で解消する動きが強まってくるものと思われます。そうなれば、国民の暮らしの大破たんという状況が生まれます。そうした自民党政治のもとで、地方自治体の財政危機が全国的に広まり、本市の財政危機も極めて深刻な状況であります。 宮田市長が策定した96年度から2000年度までの5年間の財政計画は、2年後に改訂、98年度からの改訂版財政計画もその年には破たんし、そのまま見直しもありません。そこで、99年度の決算見込み、2000年度予算計上分を含む5年度間の財政計画と実態との比較を行い、破たんの実態と行財政運営の問題点を明らかにしていくことが肝心であります。 この5年間で、財政計画に比べ、市税は233億円の落ち込み、減額で、収益事業収入は107億円の減額となり、歳出では、人件費、扶助費、公債費などの義務的経費が50億円も増えました。これらだけを差し引きしても、財政計画に比べ、実績は390億円もの差、かい離が生じています。この間に、厳しい財政のもとで、市長は再開発事業などに重点投資をしました。その期間の収入源の穴埋めも含めて、基金の取崩しは207億円です。市債、つまり借金は1,256億円借入れしています。今後の財政状況では、欠損が出ても穴埋めする基金が底をついている事態です。新年度は、税収など歳入は伸びが期待できず、逆に義務的経費は前年度に比べ24億円増え、増えた内訳は、公債費、つまり借金返済額が大半であります。新年度予算で人件費は505億円、扶助費が332億円、公債費は180億円とされています。標準財政規模が約1,000億円の本市で、義務的経費が1,018億円と、極めて厳しい状況であります。これからも定年を迎える退職者が毎年200人程度見込まれ、その退職手当約60億円を含む人件費の増加、不況で扶助費が増加すること、公債費、つまり借金返済額も増えていき、ピークは2004年ごろと昨日答弁されましたが、このまま行けば赤字再建団体に陥ることになるのではないかと考えられます。尼崎市の財政の歴史でも、かつてない危機的な状況、破たん寸前であります。市長は施政方針で、これまでにない極めて憂慮すべき非常事態であると認識していると述べました。しかし、私には、市長の施政方針全体からすれば、危機感は感じられませんでした。 さて、市の財政危機が深刻化した原因の第1は、政府の経済財政政策の失敗であります。長引く不況は、本市において、法人市民税、個人市民税、収益事業収入などを大きく落ち込ませ、財政計画と実績とで大きなかい離、差を生じさせました。 市長に伺います。 政府の経済財政対策の失敗が本市の税収などの大幅減、計画外の基金の取崩し、市債の増額となり、財政危機を深刻化した原因の一つになっていると考えますが、市長はこのことを認めますか。答弁を求めます。 次に、自民党政治は、公共事業を国だけでなく地方自治体にやらせる仕組みをつくりました。再開発事業だけでなく、街並み・まちづくり総合支援事業大阪湾ベイエリア開発関連事業などを国の補助事業として推進を図る仕組みです。そのメニューに乗って尼崎市が進めた大型公共事業本市財政危機の第2の原因があるものと考えます。大型公共事業に多額の一般財源を使い、借金と借金の返済額を増やした尼崎市の財政運営の問題です。バブル時期に策定された本市の総合基本構想と第一次基本計画は、にぎわい・創生を都市像とし、人、物、情報を集める国際都市づくりをめざしました。この計画に基づく阪神尼崎の都心整備、南部臨海部開発、潮江、立花の再開発事業などは、国の公共事業優先のメニューに乗ったもので、これらの事業には国の補助が付き、市債の発行、つまり借金も許可され、市長も有利な財源を求めて大型公共事業中心の行財政運営を続けてきたのであります。都心整備の人工地盤、立体遊歩道づくりは、震災直後に優先して事業が進められ、潮江第二地区の再開発、立花南第二地区の再開発や臨海西部拠点開発は、震災復興の冠がついて事業推進に拍車がかかりました。調査費を含むこれらの事業費は、合わせると1,100億円を超え、市の一般財源は約300億円、市債は120億円以上であります。バブル崩壊の影響で市の財政が年々落ち込んでいる中で、市債、つまり借金が120億円以上増え、これらの借金の返済に係る公債費が義務的経費の増加となり、財政危機深刻化の大きな要因になっているものと考えます。また、土地開発公社が抱えている債務負担、市の隠れ借金は614億円に膨れ上がっています。この借金も都心整備事業が大きなウエートを占めています。 市長に伺います。 立体遊歩道や再開発ビルができましたが、財政は破たん寸前です。国の補助が付くからと、財源確保に走り、大型公共事業を4カ所も同時に進めるようなやり方は、尼崎規模の自治体ではほかに見られません。このような財政運営が今日の財政危機深刻化の大きな要因と考えますが、いかがですか。答弁を求めます。 次に、財政が危機的な現時点で、市長がスーパープロジェクトと銘打って進めた公共事業はどれだけ市の財政負担になったのか、市民の満足度はどうなのか、費用対効果の面から検証する必要があります。 まず、来年度予算で、立体遊歩道整備などで7億円余りの事業費を計上している阪神尼崎の都心整備事業についてであります。 この事業は、市民のニーズを積み上げた計画ではなく、当局は初めから国の補助がつくメニューを持ち込んで、人工地盤と立体遊歩道づくりを進めようとしたのです。私の調査によれば、ホテルニューアルカイック前の広場、ここは近い将来人工地盤がつくられ、公園にされる計画だと思いますが、郵便局に立ち退きに係る補償費を払い、土地開発公社が購入したものであります。昨年度末の帳簿価格が155億1,600万円で、利子が毎年3億5,200万円ずつ膨らんでいき、時期が来れば、利子も含めて市の負担で買い戻すことになります。 市長にお尋ねします。 この用地の買戻しはいつから始めるつもりなのでしょうか。その財源手当の見通しを市民に明らかにしてください。 次に、幾らの事業費をつぎ込んで、いつごろまでに、どこまで立体遊歩道を伸ばそうとしているのですか。また、市長が言う費用対効果の点で、都心整備事業が法人市民税や固定資産税などの税収や民間事業者の事業展開などによる個人消費の増大となるなどは、いつごろから、どの程度の効果があると見込んでいるのか、市民に明らかにすべきであります。併せて答弁願います。 次に、臨海西部拠点開発事業です。 現時点では、基盤整備した用地に民間企業が進出する見通しが全く立たない状況であります。おまけに、扇町水路の埋立てがあります。南部には工場の撤退した跡地があり、土地利用について今後検討されるものでありますが、扇町水路を埋立てしてまで新たな土地をつくる必要は全くないのであります。もともと自然の海を埋め立てて工場に開発された南部臨海部は、市当局の市民アンケートでも、海辺の生き物と触れ合えるように、自然の復元を図ることを市民が求めています。しかし、市長は、人、物、情報の集まる国際都市をめざし、ショッピングセンター、流通産業ゾーン、2万トンの旅客船の着く交流ゾーンなどを計画しています。市民の意向とかけ離れ、大阪湾沿岸の都市で失敗している呼び込み型の臨海部開発になっているのであります。市が土地開発公社に購入させた同和精鉱跡地は、74億円を超える帳簿価格となっています。いつの時点で買戻しできるのか、その時点で利子がどこまで膨らむのか、財政負担は幾らになるのか。長期にわたる事業であり、市民の負担は多額です。新年度予算で2億3,700万円の事業費を計上しているものの、大半の用途は移転補償費で、この予算を執行しても、経済効果は全くありません。また、市が行う区画整理事業全体は213億円の事業費で、そのうち165億円は整備した土地の保留地を売却して財源をつくるとしていますが、売れなければ市民の負担になります。破たんする前に見直しをすべきであります。 次に、市民の暮らしを大事にしながら本市の財政の建て直しを図る問題です。 まず第1に必要なことは、市の総合基本計画に位置づけられた大型公共事業中心の行財政運営を根本的に転換することであります。今開かれている総合計画審議会に現行基本計画の評価が企画当局から出されました。現基本計画の評価では、指標人口50万人は達成できなかったとし、本市経済についても、経済成長率4パーセントの指標は達成できなかったとしています。これは、バブルの時期の基本構想と基本計画、にぎわいと創生の都市像がバブルの崩壊で破たんしたことを意味しています。そして、注目すべき評価となっているのが、開発問題です。例えば商業業務地では、都心、都市核での新たな集積が進んでいるが、阪神間各都市が同様の目的で駅前再開発等を実施しており、各駅前開発が狭い商圏を奪い合う競合状態となってきたこと、神戸、大阪という強大な集客力を持つ都市に挟まれた阪神間では、このような状況にあることを考慮すると、今後の再開発は特に慎重に対応していく必要がある。業務機能についても、広域的に見た競争力の有無を検証し、慎重に対応する必要があると評価をしています。また、臨海部の先導的プロジェクトとして区画整理事業を進めている臨海西部拠点開発事業については、経済環境が大きく変化し、大阪湾ベイエリアの開発計画にも影響が及んでいることから、本事業も含め、臨海部の開発では、こうした状況を注視しながら慎重に取り組んでいく必要があると評価しています。 日本共産党議員団は、緊急性、優先性がない大型開発事業の見直しを一貫して主張してきたものの、これまでの市長の答弁では、都市間競争に打ち勝つために駅前再開発を進める。また、都心の空中回廊づくりも臨海西部拠点開発も、21世紀の本市発展の礎だから、事業は推進すると、さんざん聞かされてきました。それだけに、開発などは慎重にという表現は、財政危機の深刻化のもとでの慎重さをあらわしたものであります。しかし、慎重にといっても、凍結、中止を打ち出していないのが問題です。 市長に伺います。 企画部門が、現基本計画の評価で、開発事業などは慎重にと評価し、広域的に見た競争力の有無の検証あるいは経済環境の変化やベイエリア開発への影響の注視が必要と指摘しています。臨海西部拠点開発事業の検証を行った上で関連事業の予算を計上したのかどうか、答弁を求めます。 また、都心整備事業臨海西部拠点開発事業に加え、緑遊新都心開発事業をこのまま推進すれば、更に財政投資が必要となり、借金や公債費が膨らみ、財政危機から財政破たんへの道を突き進むことになります。本市財政の建て直しを図る上で、まずなすべきことは、これら、三つのスーパープロジェクト事業を凍結又は中止するよう提案いたします。これらの事業は、急ぐ必要は全くありません。凍結又は中止しても、市政運営上なんら支障がないものと考えますが、こんなに財政が危機的な状況になっても継続し続ける必要がどこにあるのでしょうか。併せて市長の答弁を求めます。 財政建て直しの第2の提案は、同和行政を終結することであります。 来年度の同和予算は26億円計上されています。人件費の比率は80パーセントを占め、同和予算のうち95パーセントは市の単独予算です。同和事業に係る職員の大半は、保育所職員、総合センター職員、教育委員会職員、老人センター職員であります。こうした同和予算は、今日、一般との格差が是正された状況の中で、財政との関係でどうするのか、検証が必要であります。同和保育所の実態を改めて取り上げてみますが、戸ノ内を含む7カ所の同和保育所の定員は650人でありますが、昨年12月現在の入所は326人で、入所率は50パーセント、半分であります。水堂保育所は、定員100人で、入所はたった27人、今北保育所は、定員130人で入所は35人、南武庫之荘保育所は、定員130人で入所は50人です。保育士など保育職員の配置は、一般保育所に比べ手厚く配置されています。一方では、市北部などで一般保育所に申し込んでも入れない待機児童が500人いると当局が答弁しています。 同和保育所を財政の点から見れば、次の問題点があります。まず、保育所職員の配置が不公正になっています。効率化を名目に公立保育所を民間に移管しながら、この不公正にメスを入れないのは、行政の公平性から見て全く矛盾しており、是正すべきです。同和保育所の位置づけをやめて、一般児童が入所して定員がいっぱいになったとすれば、年間約7,000万円の保育料収入が見込まれます。また、親が安心して働くことで家庭の収入が増え、税収増や消費購買力増による地域経済の振興になります。更に、待機児童の解消という少子化対策になるわけです。いわば同和の位置づけをやめれば、一石二鳥、三鳥の効果があるのです。同和行政にメスを入れずに、市長が行政の効率化、行政改革を叫んでも、全くむなしい叫び声にしか聞こえません。 市長に伺います。 同和保育所を例に同和行政の問題点を明らかにしましたが、市の単独予算で進めている個人給付施策などは、これ以上続けることは、地区住民の自立を阻害し、同和問題の解決に逆行します。今こそすべての同和行政を終結するよう提案します。市長の決断を求めます。 次に、財政建て直しの第3の提案は、新たな財源確保を図る問題です。 日本共産党議員団は、市民負担とならないこと、対象企業に負担能力があること、負担金の徴収コストが多額にならないことなどを基準に、概略として次の財源確保の検討を提案します。一つは、阪神、JR、阪急の鉄道事業者に対し、乗客が市設置の駐輪場を利用しているところでは、鉄道事業者の受益に見合う負担金を課すことです。鉄道利用者の自転車駐輪場は、受益者たる鉄道事業者が本来設置すべきであります。自転車法では、鉄道事業者の協力義務があるとされていますが、実際には駐輪場の設置は自治体の負担になっています。駅前の放置自転車の撤去も多額の市民負担となっています。自転車対策の関連事業で市が負担している一部を鉄道事業者から負担金として徴収することです。二つ目は、プラスチックごみなどの分別に係る負担金です。容器包装リサイクル法では、スーパー、大型店などに特定容器利用事業者等として容器、包装の再商品化の義務が負わされます。しかし、容器包装リサイクル法の実施で、プラスチック、チューブ、おわん、トレーなどの分別作業は自治体の仕事になり、その設備や人件費など、新たに自治体の負担が増えます。特定事業者等から容器包装リサイクル協会への負担金納付はありますが、自治体の負担についても、本来事業者が負うべきものです。減量、リサイクルの促進のために、市が事業者に応分の負担金を求めることです。 以上二つの負担金の実施に当たっては、詳細な検討が必要でありますが、市政課題の解決と事業者に応分の負担を求めることで、本市の財政再建に寄与するものと考えます。負担金徴収の概略の考え方を提起しましたが、検討の対象とするよう提案いたします。市長の答弁を求めます。 以上、的確な答弁をお願いして、第1問を終わります。(拍手) ○議長(中川日出和君) 答弁を求めます。 宮田市長。    (宮田良雄君 登壇) ◎市長(宮田良雄君) それでは、田村議員の代表質疑に対しまして、順次お答えいたします。 まず、今回の道路公害訴訟の判決についてのお尋ねでございます。 先日もお答えいたしましたように、このたびの判決は、道路の利便性や経済活動以上に人の健康や環境面が優先されるとしたものでありまして、従来にも増して環境面に踏み込んだ判決であると受け止めております。また、道路公害対策につきましては、本市一自治体で対応できるものではありませんが、広域的な観点から、ディーゼル車の排ガス規制、自動車交通総量の抑制、沿線対策などが必要でありまして、その実施を国等関係機関へ要望しております。今後も継続して沿線周辺市などとも連携を図りながら、その対策の実施を強く働きかけてまいりたいと考えております。兵庫県におきましても、DPM装置義務規制等の検討に入っていただくものと思っております。ともにこれからもそういった方向につきましての対策を要望してまいります。 次に、東本町のランプ建設問題でございますが、阪神高速道路3号神戸線の東入路建設計画につきましては、大阪方面へ向かう車が武庫川ランプや姫島ランプを利用しておりまして、これが市内交通の渋滞要因の一因になっております状況にございますことから、これら周辺道路の交通流の円滑化が図れるものと考えております。いずれにいたしましても、東入路建設に当たりましては、十分な環境対策を講じるとともに、地元調整も十分行うように申入れを行っております。 次に、予算編成におきます市民生活の認識についてでございます。 長引く景気の低迷によりまして、雇用環境や所得の状況など、非常に厳しい状況が続いていることは十分認識いたしております。こうした中で、平成12年度予算におきまして市税収入などが大幅な減少となりましたが、高齢者施策をはじめ、市民生活に直結する事業につきましては、予算確保に最大限努めましたほか、中小企業の支援など産業施策につきましても、その充実を図ったところでございます。 次に、経済対策についてでございます。 政府は、一昨年11月の緊急経済対策の決定以降、財政、税制、金融、法制などのさまざまな施策を講じるとともに、金融システムの改革、産業競争力の強化、雇用創出、中小企業政策の抜本的見直しなどを行ってきております。これらの結果、我が国経済は回復の兆しが見えつつあると言われておりますが、私自身、なお先行きは不透明な状況にあるのではないかと考えております。今後は、政府が定めました経済新生計画に沿った適切な対策が講じられるものと考えておりまして、現在のところ、更に要望等をしてまいる考えはございません。 次に、財政問題に関するお尋ねでございます。 まず、国の経済対策についての評価と公共事業の国庫補助金などの関係についてでございますが、長期にわたる景気低迷は、地方自治体の歳入の根幹であります地方税に大きな影響を与えたことは御承知のとおりでございます。このため、国におきまして数次に及ぶ経済対策を講じ、平成12年度予算においても、景気回復に最優先で取り組むこととされております。このような厳しい経済環境のもとにありましても、本市におきましては、一定の財源のもとに、計画行政を基本といたしましてまちづくりを進めてまいったところでございます。今日の財政危機を招いた主な原因といたしましては、阪神・淡路大震災の復興事業に伴う多大の財政負担が生じたことに加えまして、歳入の根幹であります市税収入や収益事業収入が大きく減少したことによるものであると考えております。 次に、ホテルニューアルカイック前の土地の公社からの買戻しなどについてでございます。 アルカイック広場用地につきましては、現在、土地開発公社が保有いたしておりますが、立体遊歩道が整備中でありますことや、その後の事業実施時期、財源確保などが確定していないため、現在、市民の便益に供するために市民広場として暫定利用いたしております。当面こうした措置が続くものと考えておりますが、今後につきましては、財政状況も勘案する中で検討してまいりたいと考えております。 次に、立体遊歩道の整備についてでございます。 立体遊歩道の整備につきましては、当面は市施行の再開発事業が完成する平成14年度に合わせてアルカイック街区までを整備することといたしておりまして、その事業費につきましては、平成12年度以降、約15億円と見込んでおります。また、その費用と効果につきましては、人工地盤や立体遊歩道の基盤施設を整備することによりまして、市施行の再開発事業や民間開発の誘導促進が図られ、庄下川東地区の整備がおおむね完成する平成14年度以降におきましては、歩行者の安全性の確保などが図られますほか、本市の都市イメージの向上や周辺地域への波及効果があるものと考えております。 次に、臨海西部拠点開発事業について、そのほか3事業についてでございます。 臨海西部拠点開発事業、都心整備、それから緑遊新都心整備の三つの事業は、いずれも21世紀における本市の発展に大きな役割を果たすものでありまして、まちづくりの長期的な展望のもとで継続して取組みを進めている重要施策でございます。これらの事業につきましては、これまでも社会経済情勢の変化や本市の財政状況などを勘案しながら取り組んできたところでございまして、今後も引き続き同様の考え方で進めてまいりたいと考えております。 次に、同和行政についてでございます。 本市の同和行政は、従来から国の法的措置や本市同和対策審議会の答申などを尊重して、同和問題の早期解決に向けて取組みを進めてまいったところでございます。その結果、生活環境の改善をはじめといたしまして、大きな成果を上げ、基本的には解決の方向に向かっているものと判断いたしております。本市におきます個人給付的施策などの特別対策につきましては、国の法的措置に合わせまして、その期限内であります平成13年度末までに一般対策に移行することを原則として取り組んでいるところでございます。今後も広く市民の皆さんの理解と協力を得る中で、同和問題の早期解決に向けまして取り組んでまいりたいと考えております。 次に、自転車対策に対する費用負担についてでございます。 自転車法では、鉄道事業者は鉄道用地の譲渡、貸付け、その他の措置を講ずることにより、駐輪場の設置に積極的に協力しなければならない旨が定められております。本市におきましても、従前から鉄道事業者に対しまして協力要請を行っているところでありまして、駐輪場の設置や用地の提供など、一定の協力をいただいております。今後とも法の趣旨に基づきまして、鉄道事業者に対して積極的に協力を得るべく要請をしてまいります。 次に、じんかい処理費用に対する費用負担の問題でございます。 現在、事業者が使用する容器等につきましては、容器包装リサイクル法によりまして再商品化が義務づけられており、4月からは、一部の小規模事業者を除く全事業者が応分の費用負担等によるリサイクルの義務を負うことになります。これに加えまして、本市が処理費用の一部を負担金として徴収することは困難であると考えております。なお、事業者責任の強化につきましては、全国都市清掃会議を通じまして、引き続き国に要望をしてまいります。 以上で田村議員に対します第1問目の答弁を終わらせていただきます。 ○議長(中川日出和君) 田村征雄君。    (田村征雄君 登壇) ◆5番(田村征雄君) 第1問目の答弁をいただきましたけれども、財政問題の厳しさの認識、そして、それに対して私どもは大型公共事業見直しを提案しましたが、市長はそういうつもりはないというふうな答弁で、そこに市長の認識の甘さがあるのではないかと思います。 さて、道路公害問題での判決の認識を聞きましたけれども、昨日と同じように判決の説明ではないかと思います。この判決が尼崎市民の沿道住民の健康、命を守る重要な意味を持っている、そういう立場に立って今後の環境行政を進めていきたい、そういうことをなぜ言えないのか。このことを指摘して、引き続いていきたいと思います。 昨年の施政方針で、市長は、本市は公害を克服してきたまちでありますと述べました。尼崎から公害がなくなったのでしょうか。テレビで全国に映し出された43号周辺の実態は、道路公害のまちそのものではありませんか。この現実を解決することなく、さわやか、イメージチェンジ、これを強調しても、それは全く空疎なことであります。石原都知事や兵庫県知事が次々と対策を打ち出しているのに、足元の宮田市長の存在感が全く見えません。それは、宮田市長が尼崎では公害はなくなった、こういうふうに考えているからではないですか。答弁願います。 国道43号と阪神高速道路の公害に対する判決は、道路行政と環境行政の在り方を変えるもので、その精神を今後の市行政に生かすことがたいせつだと考えます。幹線道路を整備すればきれいになりますが、車、交通量が増えます。車に便利な道路は、住民の命と健康にやさしいことにはつながっていない点があります。幹線道路の整備については、今後は慎重な検討が必要であります。 そこで市長に伺います。 市内で一定の交通量のある幹線道路などでも浮遊粒子状物質、SPMの測定ポイントを増やすなど、測定体制の充実を図るべきではないかと提案いたします。答弁を求めます。 次に、東本町ランプの問題での答弁で、交通の円滑化を図るとし、その答弁は、建設を前提として、十分な環境対策、これで解決をしたいと、こういうふうに聞こえました。 それでは、市長に改めて伺います。 十分な環境対策とは、何をやろうとしているのか、これを明らかにしていただきたいと思います。 私は、十分な環境対策、これは、東本町ランプの建設を中止することが最大の環境対策、こういうふうに思います。答弁を求めます。 次に、東本町ランプの問題で、私はもう1点伺いたいと思います。それは、国道43号、阪神高速道路公害訴訟での控訴で裁判闘争が続くことになりましたけれども、少なくともこの裁判の判決が出るまでは工事に着工しないように阪神高速道路公団に要求すべきであると提案いたします。これの答弁を求めます。 次に、住環境整備条例の改正についての地方自治権の発揮で伺います。 昨年10月の建設委員会で、住環境の向上のための建築等の規制に関する条例の改正等についての陳情が採択されました。三和西町商店会の代表が提出した新規パチンコ店の出店やピンク産業など風俗営業法にかかる職種の出店、増設などについて、地域住民などとの同意が必要である旨を条例に明文化するよう求めた陳情です。採択され、当局は条例改正の努力が求められているものの、まだ出ていません。また、ここ数年、中高層マンションの建設計画により、周辺住民の住環境が脅かされるとして、行政指導を求める陳情が増えてきました。この議会でも3件あり、その中の東園田町ユニチカ跡地の15階建て高層マンションは、以前の建物の3倍の高さになることで、近隣住民が550人の署名を短期間に集めるほど、住環境を守るために今立ち上がっています。こうした問題では、説明会があっても、事業主が最後は押し切るケースが多いのが実態です。建築基準法、市の条例に合致していれば、住民らにストップさせる手だてがないためです。市当局の力でストップしてほしいと期待しても、担当課長は、建築基準法や市の条例に適合しているので、どうすることもできないとして、近隣住民と事業者の協議で問題解決を図るようにという態度です。住民は弱い立場です。条例制定権は地方自治の最大の権能です。行政が住環境整備条例の目的にのっとって、弱い住民の立場に立って自治体としての権能を発揮すべきです。 伺います。 現行住環境整備条例の中に、例えば事業計画については住民の合意を得るように努めること、こういう趣旨の文言を盛り込むよう提案しますが、市長の答弁を求めます。 更に、各事業などで日本共産党議員団の提案をして市長の政治姿勢をただしてまいります。 まず、4月から実施される介護保険です。 介護保険についてはこれまでもただしてきましたが、政府においても国民の声にこたえざるをえなくなり、一定期間の保険料の凍結と減額措置や利用料の減額など、法改正を伴わない特別対策が実施されます。しかし、それでもなお現行福祉政策に比べて、特に低所得層の負担が重くなることを懸念し、独自の各種軽減策を実施しようとする自治体が増えています。住民税が非課税というのは、最低生活費には課税しないという憲法25条の原則のもとに実施されており、この世帯などへの対応が必要です。しかし、本市は、介護保険サービスを受けられない高齢者に対して、移送サービス、自立支援型の食事サービスなどは実施するとしていますが、保険料、利用料負担の軽減については、何の独自施策もありません。国の施策の不十分さをカバーし、安心できる介護保険としてスタートさせるかどうかは、実施主体としての尼崎市の姿勢が問われるものであります。川崎市では、特別対策後にもなお低所得層の負担を2分の1に軽減し、徳島市では基準額そのものを引き下げる措置を発表しています。 そこで、日本共産党議員団は、次のように提案いたします。 保険料については、第1段階の住民税非課税かつ老齢福祉年金受給者、第2段階の住民税世帯非課税者に対する独自の軽減策を憲法25条を根拠に実施するよう提案いたします。 また、燕市では、1割の利用料は低所得者にとっては負担が重く、利用料が払えないためにサービスが受けられないことがあってはならないとして、利用料1割の半額を介護手当として本人に支給し、利用料を実質50パーセント減額することを明らかにしています。 そこで、本市でも燕市のような工夫をして、第1段階、第2段階の被保険者の利用料軽減策を講じるよう提案します。 介護保険は、社会福祉基礎構造改革の実施として民間事業者の参入を認めました。当局は、事業計画策定に当たり、民間事業者が本市でどれだけのサービス提供を行うかの実状把握に最も苦労したと思います。民間事業者は、介護報酬とニーズに基づき、最大利潤を確保できるよう、職員を雇用し、事業展開します。高齢者の状況によっては、民間事業者が受け入れない場合も考えられます。場合によっては職権による介護も必要になります。したがって、今まで住民に喜ばれ、生きがいを持ってサービス提供してきた市職員ヘルパーを廃止せず、存続するべきであります。 そこで、介護保険非該当者には、従来の市職員ヘルパーによる在宅サービスを実施し、従来の公的ホームヘルプ制度をなんらかの形で残すよう提案いたします。 次に、民間事業者の参入により、最も心配なのが、高齢者の状況のいかんにかかわらず、最善のサービスが提供される保証があるのかどうかということです。いくらきれいごとを言っても、結局民間事業者は利潤追及が第一義になります。介護保険は、その企業と介護サービスを受ける弱い立場の高齢者との契約であるだけに、特に高齢者の権利擁護のための手だてが必要です。そこで、苦情などの情報を公表し、是正を求める勧告を市長に求める権限を持つオンブズパーソン制度の設置を提案いたします。 また、現在本市が他都市の特別養護老人ホームに措置している高齢者は、1月で424人います。遠くは下関市や和歌山、徳島など、家族が面会に行くこともままならない遠方です。尼崎市は待機者が多いということで、空きがある遠方の施設から入所受入れのセールスに来るということです。施設に入所しなければどうにもならない場合などは、たとえ遠方であっても入所せざるをえず、最近でも徳島、加西、洲本などの既存施設に入所した高齢者がおられます。市内に特養ホームがある場合の経済効果を試算してみました。現在50人程度のホームの場合、デイサービスの人数による差はありますが、人件費を含む年間の運営経費は約2億5,000万円と聞いています。食材、おむつ代、人件費など、雇用と消費で少なくとも2億円の経済効果があると試算されます。今、市外の特養ホームに入っている高齢者が市内で入れるようにすれば、50人定員で8カ所必要となり、計16億円の雇用や消費の地域への経済効果が増えると試算されます。 そこで提案します。住み慣れたところで過ごしたい高齢者の気持ち、支える家族、地域のボランティア活動などのどの面からも、市外の特養ホーム入所は望ましいことではありません。また、雇用の促進と市内消費拡大の面から、地域経済の活性化にも貢献する点を考慮して、市内での特養ホームの建設を進めるべきであると提案します。 介護保険に関して5点にわたる提案をしました。市長の答弁を求めます。 次に、国民健康保険行政についてであります。 市民にとって切実な課題は、4割の世帯が加入している国民健康保険が、いきいきと安心して暮らせるまちづくりの基本である健康と命を守るものになっているかどうかであります。保険料は高く、これが滞納世帯を生み出す原因となっています。日本共産党議員団は、これまで、一般会計からの繰入額を増額することを一貫して求めてきました。新年度は、介護保険2号被保険者に介護納付金の負担が課せられること、賦課方式の変更により、多人数世帯の負担が従前より重くなること、12月より本人の医療費負担が50パーセントアップとなることなど、大きな制度変更がされる内容となっています。この制度変更により、最も心配なのが、年収が400万円程度以下、多人数で、しかも2号被保険者を多く抱える世帯の負担の問題です。更に、滞納世帯には保険証を交付せず、資格証明書の発行を市が予定しています。資格証明書では、いったん医療費の全額を払い、保険料を納めた後に保険証が交付されるものですが、保険料を払えない人は医者にも行けない深刻な事態になり、命にかかわる重大な問題です。 市長に伺います。 資格証明書は、国民皆保険制度の根幹を崩すものです。憲法25条の生存権にかかわる問題として、資格証明書は発行すべきではありません。施政方針のいきいき、安心どころか、お金がなくて医者にかかれず、命を落としてしまうことになりかねません。尼崎市民で滞納が原因で医者にかかれず、命を失うことになれば、市長はどのように責任を取るのですか。答弁を求めます。 更に、介護保険の1号被保険者に対する保険料は特別対策があるものの、2号被保険者に対する措置がありません。国保料が高いだけに、国保加入2号被保険者に対する軽減措置は切実です。そのため、高知市などのように本市においても国保加入の2号被保険者への保険料の負担軽減策を行うべきであると提案します。答弁を求めます。 次は、地元中小企業の振興についてです。 中小企業の技術振興ですが、建物整備、大型装置などに約50億円をつぎ込み、スタートから5年が経過したリサーチコア事業は、毎年10億円以上つぎ込んでいるものの、問題のある事業と、これまでたびたび私は指摘をしてきました。その中核施設の近畿高エネルギー加工技術研究所の実態は、大企業の技術支援であります。当時世界に2台しかなかったCO2レーザー装置やYAGレーザー装置など、これらの大型装置は、三菱重工、日立造船、住友金属、神戸製鋼などの大企業から派遣された職員が主に研究に使い、企業の利用は大企業がほとんどであり、本来なら自社で設備し、研究できる企業ばかりであります。市内中小企業の技術振興に役立っていないことは明らかです。私の調査によれば、その他の小型の機器や装置で、リース料を払いながら、この3年間全く利用されていないものがあります。例えば高感度オシロスコープ、放射温度計、熱伝温度計などです。このほかに利用率が極めて低い、こういう機器が多数あります。 市長に伺います。 こういう機器は、リース契約をする前に、どの程度の利用が見込まれるのか検討したと思いますが、市内中小企業のニーズの把握をしたのかどうか、答弁を求めます。 来年度予算で高技研を増築し、ものづくり支援センターを整備する計画が出されました。この中で、汎用型金属プレス機、金型製作設備などは、市内中小企業に対する要望を聞く中で導入を設定した機器であると理解できます。しかし、新年度に購入予定の短波長レーザー加工装置や高精度CO2レーザー加工装置については、どの程度のニーズがあって計画されたのでしょうか。市内中小企業の技術支援は、本来どのようなニーズがあるのか、ニーズの把握が基本だと考えます。答弁を求めます。 また、市長の施政方針では、ベンチャー企業の支援、新産業の創出などを柱にしています。これは、どのような調査に基づく方針で、市内中小企業の何パーセントくらいを視野に置いて進めようとしているのでしょうか。何か科学的な調査に基づく具体的な施策があるのでしょうか。答弁を求めます。 本市と同じく中小企業サミット都市の東大阪市について調べてみました。東大阪は、市内事業所のニーズを中心に据えた中小企業の振興を図る施策を進めています。98年11月に設置した緊急経済対策本部は、本市と同様に、お買物は市内でというキャンペーンや、市内中小企業の優先発注などに取り組みました。本市と違うのは、99年度と2000年度の2年間で、市長を調査本部長に、全部局の課長以上580名で3万2,100社の全事業所の実態調査に取り組み、事業所が求める政策ニーズを把握し、今後の産業振興施策の基礎資料として活用することなどを決めていることです。99年度は製造業、小売業合わせて1万3,605事業所から回答が得られ、貸し工場の実態、多種多様な業種の集積、最終製品を製造している企業やユニークな技術を持っている企業の実態、今後の動向と需要予測などがかなり正確につかめたとしています。これらに加え、企業の経営上の課題や行政に望む施策ニーズをチェックすれば、新規開業支援事業においてどのような企業をモデルに検討すればよいかどうかなどが明らかになってきたとしています。この訪問調査は、中小企業の多面的な発展方向と豊かな可能性を浮き彫りにし、産業振興に大きな成果を上げつつあるとしています。幹部職員に中小企業のまち東大阪の職員としての自覚を高め、地域経済振興の意識を喚起した成果もあるとしています。 本市では、市内事業所の実態をつかみ、あまがさきインダストリーを発行はしました。しかし、肝心の政策ニーズの把握調査がありません。地域の事業所の実態から積み上げた産業政策ではありません。国の誘導策に乗った近畿高エネルギー加工技術研究所事業は、多大な費用を負担しながら、地元中小企業の振興にならなかったのは、地域の実態から積み上げた産業政策ではなかったことを意味していると思います。国に追随するのではなく、まず足元の実態を調査するところから始めることが肝心です。昨日の答弁で、4回目の中小企業サミットを尼崎で開きたいと答弁しましたが、過去に開いた東大阪あるいは墨田区では、この全事業所訪問調査を市長が先頭に立って進めています。 そこで提案します。 本市の中小企業振興事業に欠かせない事業所訪問調査による政策ニーズの把握、科学的な調査を市長が責任者になって進めるよう提案します。答弁を求めます。 次に、商業政策であります。 地域の住民とともに歩んできた市場、商店街などが衰退しています。その最大の原因は、相次ぐ大型店舗の出店と個人消費を冷え込ませた政府の経済対策の失敗であります。尼崎商工会議所が四半期ごとの景気動向を調査し、本市にレーダー情報として届けています。この中で、小売サービス業の経営上の問題点として、売上減少、販売価格の低下と大型店との競争激化を挙げています。資本力の違いが大量宣伝力の差、大量仕入れによる仕入れ価格の差など、競争力に格差をつくることは明白であります。だから、市場、商店街には行政の支援が必要なのです。本市でも産業経済局が空き店舗に対するにぎわい店舗創出事業や商店街・小売市場共同施設整備事業等助成など、市場、商店街の振興予算を計上しています。ところが、都市局や都市拠点開発室では、大型店舗の出店こそがにぎわいづくりだと、市が進めた再開発ビルの大型店誘致に一生懸命です。潮江、立花の再開発であり、これから予定のJR尼崎、キリン跡地の緑遊新都心開発、庄下川東のMビル計画などであります。 伺います。 小売店の商売人は、大型店舗との競争激化を何とか対策してほしいと願っています。産業経済局は市場、商店街への支援策をとりながら、一方で市長は市の開発事業で大型店をどんどん誘致して、市場、商店街が寂れていくのを助長しているのではありませんか。市長の商業振興に対する政治姿勢は、市場、商店街を守るのかどうかを明らかにすべきであります。答弁ください。 次に、市の誘致するものだけでなく、今後の大型店舗の出店計画が明らかになってきています。埼玉県に本社がある島忠が、家具などのホームセンター尼崎を来年1月完成で下坂部に計画しています。JR尼崎南側東の貨物引込線跡地にミドリ電化と生鮮スーパーのコーヨーが入る大型店舗が計画されています。デイリーカナート浜田町店は、イズミヤを中心とした店舗計画とのことです。それぞれが潮江や立花の再開発に隣接した場所での新たな出店です。尼崎における大型店舗の進出は、尼崎市自身が誘致を進めていることもあって、全く野放しの状況になってきています。大店立地法がこの6月から施行されますが、自治体が大型店の出店に独自規制を行う動きが全国的に強まっています。例えば杉並区では、店舗面積500平方メートル以上の小売店に、住民と環境保全のための協定を締結することを義務づけ、違反した場合は罰則もつけるとされています。区長は、良好な住環境の保持に地域独自のルールが必要とがんばっているとのことです。川崎市では、小売店などは深夜営業などによる外部騒音が生じないように努めなければならないとして、市長は営業時間を変更することができるとしています。 そこで伺います。 地方自治権を発揮して、大店立地法のもとで弱い立場の市場、商店街を守るために、環境保全の基準強化による独自の規制策を検討すべきだと提案しますが、市長、いかがでしょうか。答弁を求めます。 次は環境問題、ごみ減量の問題です。 来年度着工で1日240トンの焼却炉を2基、計480トンの炉を整備する予算が計上されました。当初の280トン炉2基から、規模を15パーセント縮小されたわけでありますが、もっと減量化を強めて、炉の縮小を図るべきであります。昨日、小柳議員の指摘もあったように、国においても事業者責任を明確にする方向でごみ行政が大きく動いており、現時点の計画をそのまま進めることは、過大な設備投資になるのではないかとの指摘は的を射たものと考えます。また、国に任せるだけでなく、尼崎市においても更に積極的なごみ減量施策を実行し、設備の縮小を検討する必要があります。リサイクルタウン事業として計画されている新しい焼却炉の耐用年数は20年程度であります。現時点の計画では、用地費を除いて約410億円もの費用がかかるとされ、市民の大きな負担となります。市内の事業者が消費者に売り、あるいは渡したごみになるものを、なぜ市民の税金で処理しなければならないのか。ごみ行政については、環境のみならず財政問題としても市民的議論が必要であります。 そこで、次のような取組みが必要ではないかと提案します。 市内の事業者が扱う商品などが流通し、消費者に届いた後に、最終処理の事業者責任を明確にした廃棄物のライフサイクルアセスメントの考え方を事業者に定着させることであります。ごみになるものが市場に流通しないよう、製造元、発生源でのごみの抑制を図る取組みを市内事業者に啓発し、進めるべきだと提案します。 容器包装リサイクル法が4月から施行されますが、市では、多岐にわたる容器包装プラスチック類を分別できる状況になっていません。この間、事業者に特段の努力を求める必要があります。具体的には、まず一定の販売量のある大規模店舗やスーパー、コンビニなど、市内の小売事業者に対し、自らの努力による減量目標を明らかにさせること、プラスチック容器などは基本的に使用しない努力を求め、店ごとにプラスチックごみやトレーなどの仕入れ量と回収量を公表させることなどを検討するよう提案いたします。答弁を求めます。 市長は、日ごろから、市民と事業者、行政との協働を唱えていますが、ごみ減量問題では、こうした事業者の第一義的な取組みがあってこそ、市民の減量の努力や協力が実ってくるものと考えます。 次は教育行政についてであります。 小渕内閣が教育改革を最大のテーマとして、今年取り組むとしています。そして、今国会の与党代表質問に対して、教育基本法について、制定以来50年余りを経ており、教育全般についてさまざまな問題が生じている今日、これらについて大いに論議する中で、家族、地域社会、個人と公、更には生涯学習の観点も深め、幅広く論議を重ねていくことが重要であると答弁しています。このことが教育の憲法と言われる教育基本法の改悪をめざすことであってはなりません。市長も施政方針の中で、市長就任以来、教育を最大のテーマにしてきたと述べています。 教育問題でまず最初にお尋ねしておきます。 教育基本法の前文に、われらは個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造をめざす教育を普及徹底しなければならないと述べています。市長は、教育基本法の前文の精神を尊重し、教育基本法を守る立場に立つのかどうか、基本的な姿勢について答弁を求めます。 次に、総合計画審議会で審議されている次期基本計画の骨子案で、人が触れ合い、学び、成長する項目で、学校教育の基本的な考え方として、今後も基礎、基本の定着を重視しとしています。昨日も答弁がありましたように、小中学校は特に基礎、基本が大事であることは言うまでもありません。私どももこの問題でたいせつにすべきことは、何よりも教育を受ける子どもの環境を整えることであり、教育的な観点から必要なクラス数や教師の配置の問題と合わせて、子どもたちに分かる教育を進めるための学級定員を論議することだと思います。 市長が施政方針で述べたように、明日を築く人を育むまち、これをめざすならば、どの子も人間的にすばらしい次代を担う人として成長させる条件には、学ぶ楽しさ、ともに育ち合う喜びを養っていかなければならないと考えます。全国的に頻発する教育のゆがみを直視したときに、中央教育審議会の答申でも、少人数学級に有効性が認められ、少人数学級実現については、自治体の裁量という考え方を打ち出し、文部省も追認しています。ヨーロッパなど先進国では、25人学級程度が普通とされています。少人数のほうが、一人ひとりの子どもたちに行き届いた教育条件になるのは明らかであります。適正規模、適正配置の問題に取り組む前提として、30人以下学級を実現するべきであります。 市長に伺います。 子どもたちが生き生きと学ぶことができるように、尼崎市の裁量で30人以下学級を年次計画で実現する検討に着手すべきであると提案しますが、教育長経験者としての市長にその決意があるのかないのか、答弁を求めます。 次に、地域に根ざし、家庭、地域社会とともに歩む学校づくりの理念から見て、最もふさわしいのは、高校入学選抜制度としての総合選抜制度であります。昨日も答弁がありました。地域の子どもたちが、親も一緒になって、学校、家庭、地域社会で成長できる条件、こういう条件ができるように、地域に開かれた学校、地域と一体となった子育て、こういう答弁があったと思います。ところが、兵庫県教育委員会は、尼崎市のこうした優れた総合選抜制度を事実上つぶすことになる県立高校教育改革第一次実施計画を、県民や市民への十分な説明もなく決定しました。県下の県立高等学校の大規模な高校統廃合の一環として、2002年には阪神地域に100パーセント単位制の高校に学校を改編する、そして2003年には、市内の県立高校のうち2校を1校に統合するなどの高校教育改革を推し進めようとしています。 市長に伺います。 総合選抜制度を崩すことになる県立高校教育改革第一次実施計画を撤回するよう県に申入れするべきだと考えます。答弁を求めます。 次は、教育予算の増額の問題であります。 昨年来、日本共産党市会議員団の調査の中で、小田北中学校体育館の空調設備のアスベストを封じ込めたため、空調設備が使えなくなり、夏場には高温の体育館での授業をしなければならない実態があると分かりました。しかし、教育委員会は、国の補助メニューはあるにもかかわらず、アスベスト撤去の補助申請をいまだに行っていない状況です。小田北中学校の体育館に発がん性物質のアスベストをいつまで残しておくつもりなのでしょうか。市長は施政方針の中でも、学校施設における良好な学習環境の整備に努めるとしています。市立尼崎高校の体育科に対する各種事業の予算は目立ちますが、小中学校の実態は、老朽化が際立ち、全体として補修予算を増やすことが必要であります。市長が施政方針で述べた良好な学習環境づくりの施策とはかけ離れています。すべての子どもたちが雨漏りに悩まされることなく、また、うだるような暑さの中で、練習試合をしたくても、相手チームを呼ぶには気が引けるような体育館を改善するなど、教育環境を整える必要があります。 お伺いします。 建築後30年以上経過した学校施設の老朽化が年々進んでいます。これらの補修対策、年次的な建替え計画を立案すべきであると提案します。市長の決意を伺いたいと思います。 以上で2問を終わります。(拍手) ○議長(中川日出和君) 答弁を求めます。 宮田市長。    (宮田良雄君 登壇) ◎市長(宮田良雄君) それでは、田村議員の第2問目の御質疑に対しまして、順次お答えを申し上げます。 今回の道路公害訴訟の判決についてのお尋ねでございます。 まず、公害に対する認識についてでございますが、本市の歴史的経過の中で、高度経済成長に伴う産業の隆盛とともに、事業活動による環境汚染が進み、とりわけ昭和40年以降には、市民生活に与える影響が深刻な問題となりましたが、事業者、市民等の協力によりまして、それらの公害問題を克服してまいりました。その後、全国的に都市部を中心に新たな環境問題として自動車による環境汚染がじゃっ起してまいりました。そういった状況の中で、特に国道43号におきます道路公害対策は、なお解決しなければならない問題が残っているということにつきましては、十分認識をいたしております。 次に、SPMなどの測定体制についてでございます。 本市におきますSPMなどの測定体制につきましては、東西道路に2カ所、南北道路に4カ所の自動車排出ガス測定所、また国道43号につきましては、阪神高速道路公団設置の測定所が2カ所、それを受託管理をして沿道の汚染状況を把握いたしております。このように、全国的に見ても測定密度は高く、更に測定所を補完するものとして、移動測定車によります測定を実施いたしますなど、十分な測定体制をとっているものと考えております。したがいまして、現在のところでは測定所を新たに設置するという考えはございません。 次に、東本町のランプの建設問題についてでございます。 阪神高速道路3号神戸線の東入路建設計画につきましては、これまでの経緯もありますことから、阪神高速道路公団は社会福祉協議会の会長を窓口にいたしまして、説明会を行い、住民の声を聞く中で、大物線の交差点改良や沿道の歩道整備、特に交差点改良、また騒音壁設置、浸透性の舗装といった歩道整備も行うことで、おおむね了解が得られたものと公団から聞いております。 また、公害患者家族の会につきましても、会からの要望を受け、説明会を開催し、判決後も引き続き事業への御理解を得るべく取り組んでまいるとの回答も得ております。環境対策は、沿道の遮音壁の設置、また植樹帯設置などを促進いたしますとともに、車線削減にも取り組んでおり、他方では阪神間3市共同で自動車の発生源対策、総量抑制等の早期対策を関係機関に要望しているところででございます。いずれにいたしましても、道路環境対策を図るべく、引き続き取り組んでまいる考えでございます。 次に、住環境整備条例についてでございます。 現行の住環境整備条例では、紛争の防止を図るために、関係住民に対して当該内容が十分に理解されるような方法によりまして説明会を開催することを義務づけております。また、市が紛争の調整を図りますため、あっ旋をしたり、公害紛争調整委員会による調整ができることといたしております。こうした中で、最近紛争が多発している中高層マンションの高さなどの規制につきましては、御承知のように、それぞれの地域において都市計画法や建築基準法などによる一定の制限が加えられておりまして、この制限を更に厳しいものとするためには、住民参加によりますまちづくり計画の策定などが最善の方法であると考えております。いずれにいたしましても、これらの規制は、私有財産の制限に関する事柄でありますので、個別の建築計画に対しまして、条例で一律に住民合意の努力義務を課すということについては、適切ではないと考えております。 次に、介護保険事業についてのお尋ねでございます。 まず、保険料の減額策についてでございますが、介護保険の保険料につきましては、所得に応じた5段階の保険料を設定しております。また、国の保険料徴収に関する特別対策につきまして、本市も実施することといたしておりまして、低所得者対策として市独自の軽減措置を実施する考えはございません。 次に、利用料の軽減策についてでございます。 第1、第2段階の被保険者の利用料の軽減策につきましては、高額介護サービス費の対象となる利用者負担額の上限が一般より低く設定されておりますこと、また、経過措置として、現在無料でホームヘルプサービスを利用している低所得者や、現在の特別養護老人ホーム入所者には利用者負担を軽減するなどの措置を講じられることになっております。本市としましては、当面これらの一連の国の措置に合わせ実施してまいります。 次に、介護保険非該当者に対する公的ホームヘルプ制度についてでございますが、市の直営ヘルパーにつきましては、平成9年度から廃止しております。なお、現在ホームヘルプサービスを利用しておられ、介護保険非該当になられた方には、家事援助サービスを提供する予定でございます。 次に、オンブズパーソン制度についてでございます。 このサービスの評価制度につきましては、現在県において評価手法の調査研究が進められているところでありまして、国の福祉サービスの質に対する検討会の審議の方向も踏まえながら、第三者機関による評価手法を含め、検討を行ってまいります。 次に、特養ホームの建設についてでございますが、特別養護老人ホームにつきましては、改訂前の高齢者保健福祉計画の目標値であります905人の整備に一定のめどが立ったところでございます。今後につきましては、改訂後の高齢者保健福祉計画、介護保険事業計画などに基づきまして、市内での整備を基本に進めてまいりたいと考えております。 次に、国民健康保険事業についてお尋ねでございます。 まず、資格証明書でありますが、本市の国民健康保険における保険料徴収率は、ここ数年低下傾向にありまして、健全な事業運営に支障が生じており、収納率向上に向け、資格証明書の発行が必要であると考えております。一方、介護保険制度の実施に伴い、国民健康保険法が改正され、特別な事情もなく長期間保険料を滞納する者については、資格証明書を発行することが義務づけられております。こうしたことから、現在発行に向け、具体的な検討を行っているところでございます。 次に、第2号被保険者の介護保険料軽減策についてでございます。 このことにつきましては、新たに市独自の軽減策を実施することは考えておりません。 次に、中小企業の振興策についてのお尋ねでございます。 まず、近畿高エネルギー加工技術研究所の機器利用についてでございます。 研究所における中小企業の大型装置の利用につきましてまず申し上げますが、レーザー装置による複合材料の切断や新素材の穴開け加工などの研究開発に活用されており、レーザー機能開発に、いろいろそれの彫刻機などに成功したという事例もございます。更に、研究所では、光触媒を利用した有害物質を除去する技術などをはじめ、10件の特許を申請中でありまして、今後これらの技術を市内の中小企業に移転することによりまして、新製品の開発につながっていくものと期待されているところでございます。お尋ねの測定機器の利用状況についてでございますが、研究所での日常の研究活動には十分に活用されているものと考えております。 次に、ものづくり支援センターについてでございます。 お尋ねのレーザー装置は、微細加工や薄板の切断あるいは溶接などに適したものでありまして、本市に多く立地いたしております金属製品製造業や一般機械器具製造業などの中小企業の適応性が高いものと考えております。このことを基本にいたしまして、市内企業の訪問調査や尼崎工業会などの意見交換、またセミナーや技術講習会参加者からの意見聴取などによりまして、実際ニーズを把握いたしますとともに、専門研究スタッフの意見も踏まえ、設置機器の選定を行ったものでございます。 次に、ベンチャー企業の支援等についてでございます。 今日、ベンチャー企業の育成や新産業の創出を図っていくことが、我が国の中小企業政策の大きな柱となっております。こうした中小企業政策の基本方向に沿った施策を実施いたしますことが、本市の産業活力を創出する上で極めて重要であると認識いたしております。 次に、事業所訪問調査による企業ニーズについてでございます。 私は、市長就任以来、事業者とのネットワーク事業を通じまして、これまでに数多くの市内中小企業を訪問させていただき、生産現場の視察や経営者、従業員の皆さんとの意見交換をしてまいりました。一方、平成9年度のあまがさきインダストリーの作成に際しましては、職員が市内全製造事業を訪問し、技術、製品などのヒアリング調査を行いますとともに、行政に対する要望などの把握も行っております。また、私自身、これまで機会あるごとに産業団体との意見交換を通じまして、いろいろなニーズをお聞きし、市政を運営しているところでございます。 次に、商業政策についてのお尋ねでございます。 再開発事業と市場、商店街に関係するものでございます。駅前再開発事業における大型店舗の出店が、既存の中小小売業に影響を与えることもございますが、一方で、周辺の市場、商店街も大型店の大きな集客力による売上げの向上などの波及効果が期待できるのもまた事実でございます。いずれにいたしましても、市場や商店街は、市民の日常の買物空間といたしまして、また地域コミュニティの核として重要な役割を担っておりますので、今後とも商業者の自助努力を促しながら、魅力ある商業地づくりに向けた施策などにより、活性化に努めてまいりたいと考えております。 次に、大店立地法施行に伴う対応についてでございます。 現在、法の施行に対処いたしますために、関係部局によります調整会議を設置し、環境指針の運用につきまして協議しているところでございますが、お尋ねの法規制以上の独自規制につきましては、現時点では検討いたしておりません。 次に、ごみ問題についてのお尋ねでございます。 ごみの減量化に向けましては、発生抑制がまず基本であり、従来から4Rの考え方に基づいて各種施策を実施してきたところでございます。しかし、その対象が市民であることが多く、その結果、事業者のごみを減らす意識や行動が市民と比較して欠如しているという状況も見られます。そうした中で、ごみ減量・リサイクル推進協議会からの提言を踏まえまして、ごみ減量推進計画を策定し、事業者に対しても、ごみを減らす意識を醸成し、行動を促進する考えであります。例えば一定規模以上の事業者に対しまして、ごみ管理者の設置やごみ減量計画の策定の義務づけによりまして、自己計画に基づく減量を促進するなど、事業系ごみの減量に向けて積極的に取り組んでまいります。 以上で田村議員に対します第2問目の答弁を終わらせていただきます。 教育にかかわります問題につきましては、教育委員会から答弁いたさせますので、よろしくお願い申し上げます。 ○議長(中川日出和君) 小林教育長。 ◎教育長(小林巖君) 順次お答えいたします。 まず、教育基本法の前文の精神を尊重し、教育基本法を守る立場に立つのかということでございますが、公教育に携わる教育委員会といたしまして、憲法や教育基本法、学校教育法をはじめ、あらゆる法令、規則を遵守することは当然のことと考えております。学校におきましても、各種法令をはじめ、学習指導要領等に基づいて教育活動を推進しなければならないと考えております。 次に、30人学級以下の学級編制についてでございますが、小中学校の学級編制につきましては、現行法令では、都道府県の教育委員会に任されており、市単独で編制基準を変更することは困難な状況にございます。一方、この問題につきましては、文部省が平成10年9月の中央教育審議会答申を受けて設置された調査研究協力者会議で検討し、今年の夏ごろには報告書をまとめられると聞き及んでおります。こうした国の動きに合わせて、全国的な問題として対応していく考えでございます。 次に、県立高校教育改革第一次実施計画の撤回についてでございますが、この県立高校教育改革第一次実施計画は、県が昨年6月に発表いたしました全日制高等学校長期構想検討委員会の報告に基づき、県立高等学校の教育改革を推進するための実施計画として、この2月4日に公表したものでございます。教育改革は、今、国政上の最も重要な課題であるとして、国におきましても、中央教育審議会の審議等を経て、子どもたちや社会全体にゆとりを確保する中で、生きる力を育成するということを基調にした教育を重視しております。こうした背景のもと、全国各地の高校教育現場では、特色ある学校づくりなどをめざして、総合学科や単位制高校、あるいは中高一貫教育などのさまざまな教育改革が進められております。今回の県の実施計画につきましては、このような動きの一環であり、尼崎市としても、本市の進める特色づくり等の高校教育改革に基本的に整合するものであると考えております。 最後に、学校施設の補修対策や年次的な建替え計画についてでございますが、学校施設は、児童、生徒が学校生活を送る上で重要なものであり、施設の経過年数等を見ながら、その状況を把握するとともに、補修が必要になったものについては、学校長と協議しながら計画的に実施しているところでございます。更には、平成11年度からは、従来の整備に加えまして、良好な学習環境づくり事業の一環としての施設改善特別対策事業など、維持並びに保全にかかわります事業の充実を図っておるところでございます。 次に、改築につきましては、現在小中学校の適正規模等の検討を加えていることなどから、今後の問題と考えております。 なお、アスベスト対策につきましては、昭和63年度に封じ込め等の措置をしており、安全上特に問題はないと考えておりますが、今後施設の大規模改修又は改築時には撤去していきたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(中川日出和君) 田村征雄君。    (田村征雄君 登壇) ◆5番(田村征雄君) 答弁をいただきましたけれども、30人以下学級の問題については、確かに予算の関係もあって、県の教育委員会の取組みが第一義的だとは思います。しかし、市町村、自治体としても、そういう方向で権限があるわけですから、自治体の裁量で検討に着手する、このことを私は求めたわけであります。国や県が決めないと、市としては何もしません、こういう態度ではいけませんよと、こういうことを言いたいわけであります。 1問目、2問目の問題で、道路公害問題では、住民の命と健康を守る問題、そして住環境整備条例、これは住環境を守る問題です。介護保険、国民健康保険の問題では、特に低所得者に対するさまざまな独自な軽減策などをすることが必要だと、こういうふうに提案をいたしました。市内の市場、商店街を守る問題、こういう問題でも私は前向きに提案をしてきました。これは、宮田市長が自治体の長としての権能を発揮していただきたい、こういうことを求めたわけであります。そして、それに必要な新たな財源の確保の提案も前向きにいたしました。しかし、1問、2問の市長の答弁では、これらの市民の願いにこたえるような答弁はありませんでした。ほんとうに情けないなと、こんなふうに思います。 さて、こうした市長の姿勢で、最後にお伺いしたいと思います。 国と地方自治体の関係で、今後の市政運営の在り方を改めていくことが必要であると思います。特にこの2年間、日本共産党議員団は、景気動向の甘い判断で税収を過大に見込むべきでないと、宮田市長に対して繰り返し警告してきました。ところが、宮田市長は、耳を傾けず、政府の景気対策に曙光を見いだしたいとの希望的な景気判断を行い、国に追随し、大型開発事業などの見直しもせず、継続してきました。国の財政と同じように、尼崎市も財政破たんではたまりません。市民の暮らしに責任を持つ自治体の独自の判断、市長のリーダーシップが求められていると考えます。2月の補正予算審議で、市営住宅の補修などに係る予算が約1億円減らされました。助役は、市の単独予算だから削ることができたと答弁しました。昨年の募集で当選した市民が心待ちにしている市営住宅が、補修予算をカットされて入居が先送りされる、この市民の気持ちはどうなるのでしょうか。また、この削減された予算を執行すれば、確実に地元の中小業者に仕事が回り、市内の経済の活性化につながります。一石二鳥の効果があったのです。切実な市営住宅の補修よりも優先度の低い人工地盤づくり、臨海西部拠点開発を優先する姿勢が露骨にあらわれました。これらの事業は、市単独予算ではなく、国の補助が付く事業なのです。この2月、経済企画庁が毎年1回調査している99年度の国民生活選好度調査の結果が発表されました。生活全般の満足度は、99年度に更に下がって4割強と、過去最低です。更に、10の領域での政策優先度を選ぶ調査で力を入れてほしい政策領域は、医療と保健が1位です。収入と消費生活が2位、勤労生活が3位です。政策優先度は、健康と暮らし、雇用にあることを示しました。 市民が暮らし第一の市政を願っていることは、当局が調べた次の総合計画の市民アンケートにもあらわれています。あなたが尼崎市で暮らしていく上で、これから10年、特にどのようなことに力を入れるべきですか。20の項目から三つ選んでくださいという設問に対し、安心して地域で老後が送れるように、これが50パーセントで1番です。だれもが安心して快適に歩ける環境をつくる、これが24パーセントで2番です。いじめや非行の心配がないなど青少年の育つ環境を整える、これが21パーセントで3番です。ちなみに、駅前の整備を推進する、これは7パーセントで14番目です。調査は、市民の暮らし、福祉、健康に力を入れてほしいと願っていることを明確に示したのです。この調査結果の根底には市民の生活実態があり、最も不安を抱いている問題が強い要望となってあらわれていると考えます。生活重視の視点で、市民の安全、健康、福祉の保持という地方自治体の基本的な仕事を果たすことが今ほどたいせつなときはありません。国に財源移譲を求め、年金制度改悪や医療制度改悪に反対し、国民健康保険、介護保険への国負担率の引上げを求めるなど、市長が市民の先頭に立って国に要求すべきであります。市民の暮らしの困難を拡大するような国の悪政に立ち向かうのか、それとも沈黙するのか、あなたの政治姿勢が問われています。 また、厳しい財政危機に対して、市長は行政改革を更に推進すると施政方針で述べましたけれども、尼崎市で行うべき最大の行政改革は、三つのスーパープロジェクト大型公共事業と同和行政にメスを入れるべきではないかと考えます。阪神尼崎の都心整備事業などスーパープロジェクトは、今後も市の財政に大きな負担となります。このまま続ければ、人工地盤、空中回廊は、財政破たんに行き着く遊歩道になるのではありませんか。市長が認めたように、市民の暮らしはたいへんです。生存権が脅かされるようなぎりぎりの生活の厳しさのもとで、市民の暮らしを守る新たな独自の施策が必要であり、そのための財源確保の提案もしたわけです。私が提案したように同和行政をやめること、特養ホームを必要なだけ市内に建設すること、30人学級のための教職員を増やして、学校の補修など教育予算を増やすこと、市民の保育要求にこたえることなどが、雇用を増やし、市民の収入を増やし、市内での消費を増やす、地元中小企業に仕事が回る、つまり、地域経済の活性化につながることは明らかです。 最後に、改めて市長に伺います。 スーパープロジェクト大型公共事業、同和行政は見直し、市民の暮らし、福祉、教育に力を入れることが雇用の増加や市内での消費の拡大、地元業者に仕事が回る、そしてまちの中から、暮らしの中から市民が元気になる、活力を取り戻すと確信します。このような市政に流れを変えるように提案します。市長の御答弁を求めます。 私の提案は、今後の市政運営の基本に据えられなければならないものと確信します。こうしたもとでこそ、だれもが安心して暮らせるまち、健康、安心の尼崎のまちをつくっていくことができるのではないでしょうか。 以上で私のすべての質疑を終わります。 御静聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(中川日出和君) 答弁を求めます。 宮田市長。    (宮田良雄君 登壇) ◎市長(宮田良雄君) 田村議員の3問目の質疑にお答えを申し上げます。 市政の運営についてのお尋ねでございます。 私は市長就任以来、市政の推進に当たりましては、福祉、教育、そういったことにつきまして、特に教育内容の充実、地域福祉の充実、今まさに少子高齢化に入っておりますので、そういったことにも大きく意を用いながら、今日まで推進してきたつもりでございます。しかし、まちづくりにつきましては、更に長期的な視点に立った取組みが重要でございます。したがいまして、まちづくり全体の構想といたしましては、ソフト面、ハード面ともにバランスの取れた尼崎市のまちづくりを進めていくべきである、そういうふうに思いまして、全体的なバランスを取った総合行政をこれからも進めてまいりたいと思っておりますし、さきほどおっしゃいました、そういったことがひいては市全体の活性化に長い時点での流れの中では進んでいくものと思っております。そして、それがまたおっしゃるように雇用促進にもなっていく、そのような思いでこれからもまちづくりを進めてまいりたい、そのように思っておりますので、御理解を賜りますようにお願いを申し上げます。 ○議長(中川日出和君) 田村征雄君の質疑は終わりました。 この際、休憩いたします。    (午前11時59分 休憩)---------------------------------------    (午後1時2分 再開) ○副議長(塩見幸治君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 代表質疑を続行いたします。 発言を許します。 仙波幸雄君。    (仙波幸雄君 登壇) ◆24番(仙波幸雄君) 平成12年度当初予算案及び関連の諸施策を審議する第14回定例会におきまして、公明党を代表して市長の施政方針並びに諸施策についての代表質疑を行います。 また、20世紀最後の予算議会におきまして質問の機会をいただきましたことに感謝をいたします。 先輩、同僚議員の皆様には、しばらくの間御静聴のほど、よろしくお願い申し上げます。 まず、予算編成に当たっての市長の考え方をお伺いしたいと思います。 戦争と暴力と言われた20世紀より、いよいよ新世紀にバトンタッチをする本年となりました。特に20世紀最後の10年は、冷戦構造が終結したにもかかわらず、世界では紛争が絶えず、およそ50カ国で400万人に上る死者が出たと言われております。日本においては、バブルが崩壊、経済をはじめとして教育、政治、医療、保健など、あらゆる分野で制度疲労や矛盾が吹き出した10年でした。新世紀を目前にして、私たちはたいへん困難な時期にいることを改めて認識する必要があります。さまざまな課題を解決するための糸口や仕掛けをできるだけ今世紀中にしておき、次世代へ積み残しをしないよう最大限の努力をすべきであると思います。もちろん、この1年ですべての問題解決の方途を探るのは不可能ですが、未来の果を知らんと欲せば現在の因を見よという言葉があるように、今なすべきことをやっておかないと、将来に結果は得られないということを強く意識しておかねばなりません。 ここで市長にお伺いしますが、私がただいま述べました本年の意味を踏まえて、市長は平成12年度の予算の持つ重要性をどのように認識されているのか、お聞かせください。 本会議冒頭での市長の平成12年度施政方針演説を伺い、その考え方、進むべき方向に大いに賛同するものです。物質的豊かさから精神的豊かさへ価値観の変化を述べておられましたが、まさに21世紀は、ハードからソフトの時代、生命の世紀、人間の世紀と言われ、一人ひとりの人間が主役となるべき時代であると思います。そういった観点から、一人の人間に焦点を当てた市長の政治哲学は、間違いのない方向に向いていると考えます。 そこで、次の段階では、市長の政治哲学、考え方を、幹部をはじめとする市職員が理解し、そして具体的な施策に反映をして、市民が安心して生活ができるようなサービスを提供できるかということです。 そこでお尋ねしますが、市政のリーダーとして、自身の政治哲学をどのようにして幹部職員その他の市職員に打ち込み、実現をさせようとしているのかをお答えください。 現代の成熟した社会においては、多種多様な価値観が存在し、また、その価値観を持った人がおり、市政を運営していく上で、多くの施策を100パーセントの市民が100パーセント満足できるように展開することは不可能です。財源が不足するといった悪条件では、あちらを立てればこちらが立たずというのが現実ではないでしょうか。特に年金、保健、福祉、医療といった生活の生命線は、おのおの単独では考えにくい時代になっています。いわば木を見て森を見ずの言葉どおり、総合的な見地からこれらの制度を扱って、また考えていかないと、いつの間にか迷子になってしまうおそれがあります。一つ一つがバランスを欠いた状態で全体のバランスを保つことは至難の業です。しかし、現代はそれが要求される時代になっております。 そこでお尋ねしますが、予算編成に当たり、市長はこのバランスをどのように取る努力をされたのでしょうか、お聞かせください。 市税収入や収益事業収入が更に落ち込むと予想される平成12年度は、財政計画と第3次実施計画の最終年度に当たります。財源不足により20パーセントのマイナスシーリング枠を設けて着手した予算編成は、たいへん御苦労をされたことと思います。限られた財産の中で、実施計画をどのように具現化、具体化していったらいいのか。 そこでお伺いしますが、平成12年度を最終年度とする財政計画と第3次実施計画の整合性をどのように取り、また、どのように整理して新年度予算案を編成されたのかをお聞かせください。 産業構造の変革や工場三法による規制あるいは道路網の整備や経済不況による事業の縮小などのために、本市も企業の撤退が続いております。産業面では、重厚長大産業で一世を風びした産業都市尼崎も、今その都市像を変えるときが来ているのではないでしょうか。先日判決のあった尼崎公害訴訟は、国や道路公団が控訴したため、今後も公害都市尼崎の文字とイメージがマスコミにより日本全国に流され続けることになりました。今回の判決は、企業が原因のばい煙ではなく、自動車排ガスが発生源でありますが、尼崎イコール公害とのマイナスイメージの印象を与えることは否めません。本市は、公害都市に別れを告げ、良好な環境整備に努力をしているところです。そして、阪神間でも充実した文化施設である総合文化センター、アルカイック・オクト、玉翔の間と大中小のホールを有し、また全国的にも優れたピッコロシアターや劇団もあります。寺町や田能遺跡など、歴史的建造物や遺跡も存在をしております。今、自然と文化の森構想の素案づくりもスタートをしましたし、全国的にも珍しい戯曲を対象とした近松門左衛門賞の創設も提案をされております。昨年の代表質疑で、尼崎市はどのようなまちかとの問いに、市長は、産業都市ですとお答えになりました。私は、21世紀に向けての2000年という最後の年に、尼崎市のまちづくりの方向を明確に産業文化都市と位置づけ、また明言をして進むべきであると考えますが、市長の御見解をお聞かせください。そして、文化、情報の基地をアルカイック街区を中心にして全国に発信していくことが、公害のまち尼崎のイメージチェンジになると思いますが、市長はいかがお考えでしょうか。 次に、財政問題ですけれども、財政問題につきましては、焦点を絞ってお伺いをいたします。 国は、最優先の重要課題として景気対策を挙げ、その後に財政改革に本格的に取り組むと言明をしております。しかしながら、地方自治体においては、景気対策を独自で行うことには限界があり、おのずと財政問題の解決に最優先で取り組まねばなりません。市長も施政方針演説の中で、財政の再建は何にも優先して緊急に取り組まなければならない課題であり、ここ何年かは今以上に困難な状況が続くと思われると言及されており、事の重大さの認識を示しておられます。バブル経済が崩壊して、日本経済は1,000兆円以上の資産が失われたと言われております。資産デフレが続く中で、その大きなものは土地と株価の下落です。株価については最近上昇しておりますが、土地のほうは現在も下がっております。本市においても土地問題は例外ではなく、本市の財政に大きな問題を投げかけております。本市においての土地のほとんどは、外郭団体である尼崎市土地開発公社が所有をしております。しかしながら、情報公開がなされないために、その実態は議会にもよく分からない面が多くあります。市の会計は単年度主義ですが、公社の場合、土地取得資金のほとんどは借入れによります。その取得した土地を長期間保有している場合、借入利息を土地代金に上乗せしていくために、単年度に市財政と利息資金の受渡しを行いません。したがって、会計的に市との間で資金の受渡しもないために、議会の目にも触れない仕組みになっているのです。土地開発公社の平成11年度3月の資産は614億円、それに見合う長期借入金は630億円、そして10年度に2億6,200万円の純損失を計上したにもかかわらず、準備金があったために、資金合計は6億8,000万円になっています。実態的に相当額の含み損が発生しており、大幅な債務超過になっていると容易に推測されます。5年間以上未処分の土地が74パーセント以上を占める状態では、この5年間で市内土地公示価格が26パーセントも下落していることから計算すると、100億円以上の債務超過となります。このままの状態を放置しておくと、土地の含み損が増すことに加えて、年間10億円以上の利息負担が加わることになります。所有する土地に関しては、資産区分によって、公園用地、道路用地、公共事業代替用地、その他に分かれていることは承知をしておりますが、特に長期間保有している74パーセントを占める土地の利用を含めた処分を早急にしていかなければ、最終的に市民の大きな負担となるわけです。 ここでお尋ねします。 尼崎市土地開発公社は、他都市に比しても土地所有の金額において最上位にランクをされておりますが、市長は公社の現状、実態をどのように見ておられるのか、そして、この土地の処分をどのようにしていくおつもりなのか、御見解をお聞かせください。 次に、産業政策についてお伺いをいたします。 私たち公明党は、現場の声を聞き、中小企業対策のいっそうの充実を図るため、2月から市内の中小零細企業を対象に実態調査を行っております。雇用状況、資金繰りなどに関する調査ですが、いずれの項目においても依然厳しい答えが返ってきているのが現状です。国においては、平成10年10月から実施している中小企業金融安定化特別保証制度の期限を明年3月までの1年間延長、また、10兆円の追加拡充を実現させ、中小企業の保護に努めているところです。この貸し渋り対策の特別保証制度については、日本商工会議所が、これによって7,000件の倒産を未然に防止し、6万人の雇用維持に役立ったと報告をし、評価をしております。財政問題のところで述べたように、一地方自治体で経済政策を打ち出すのはおのずと限界がありますが、本市の屋台骨であり、また貴重な財産である中小企業に対して積極的に支援をすることは、今しなければならないことの一つであることは言うまでもありません。 そこでお伺いをします。 中小企業支援策について、市長はどのようにお考えなのか、御所見をお聞かせください。 次に、昨年、中小企業基本法が1963年に制定以来、初めて抜本改正をされました。同法はこれまで、中小企業を画一的に弱者として扱い、大企業との格差を主眼とする保護色の強い内容でした。機動性など中小企業ならではの強みを発揮して活躍できるよう、施策の整備を行っています。企業の廃業率が創業率を上回る日本の現状では、新たな会社の創業やベンチャー企業の振興は、経済活性化、雇用創出のために欠かせません。平成7年に策定され、13年を中間目標とした尼崎市産業振興中期計画があります。その中に、新しい産業の創出として、第1にエコビジネスの育成が挙げられています。本市の経験から、公害防止技術や環境保全技術を生かしたエコビジネスを育成していくために共同研究開発、技術開発支援、画期的な開発製品に対する顕彰制度などを検討し、エコビジネスに係る支援システムを構築するとあります。 そこでお伺いをいたします。 平成12年度予算のどこにこの施策が反映されているのか、また、本市は中小企業育成にどう取り組もうとしているのかを併せてお聞かせください。 本市には財団法人尼崎市産業振興協会があります。6,000万円ほどの補助金を出していますが、本来、この産業振興協会あたりが産業、商業活性化のための企画立案などを中心になってやり、本市を引っ張っていくような存在であるべきだと思います。 市長にお伺いしますが、尼崎市産業振興協会についてはどのようにお考えか、御所見をお聞かせください。 次に、少子化対策についてお伺いをいたします。 少子高齢化に伴う問題の提起についてはずいぶん以前よりされておりますが、いまだに積極的な施策が展開されていないことに、深く憂慮する次第です。本市においては、平成9年には65歳以上の老齢人口が15歳未満の年少人口を上回っております。そして、平成11年では、65歳以上の人口は7万2,862人、15歳未満は6万3,645人となり、9,000人以上の差がついています。1学年1クラスの小学校が出現したりし、教育環境に悪影響を及ぼす事態にもなっております。また、年金制度を見ますと、2.7人が引退世帯1人を支えている現状から、2025年には1.4人で1人を支えなければならないときを迎えようとしています。その他、健康保険や4月から導入される介護保険などの社会保障制度が根底から崩れる時代が目前に迫っているのです。現役世代の負担は今後ますます重くなっていきますし、将来高齢者になったとき、年金を受け取れるのかといった不安も払しょくできません。合計特殊出生率は、平成9年の全国平均で1.39人、本市では1.36人と、減少の一途をたどっています。平成9年度厚生省科学研究の一環として行われた少子化社会における家庭等の在り方に関する調査研究では、個人の望む結婚や出産を阻んでいる要因を取り除く対応を図るべきとの回答が70.1パーセントありました。結婚や出産を阻んでいる要因とは、子育てにお金がかかる、教育にお金がかかる、家が狭いなどが挙げられます。 ここで市長にお伺いをいたします。 市長は平成12年度予算案の中で、少子高齢化対策に財源の重点配分を行うと説明されましたが、特に少子化対策の将来に向けての抜本的、積極的な施策は、予算案の中でどこに、どのように組み込まれているのかをお答えください。 次に、教育問題についてお伺いをいたします。 モラルハザードという言葉が流行語になるなど、日本社会全体に道徳や倫理意識の欠如がまん延しております。それを反映するかのように、教育の世界でも陰湿ないじめや校内暴力に加え、最近では学級崩壊と言われる授業不成立の状況もあらわれて、教師の指導力や家庭教育の不在などが指摘されております。平成9年に日本、アメリカ、中国の高校生を対象に行った調査では、本人の自由にやってよいと思うことを尋ねたところ、日本の生徒は、65パーセントから85パーセントが親に反抗すること、学校をずる休みすることを挙げました。日本の若者の自由と放縦の履き違え、そして甘えと自分以外の者への責任転嫁、また、自主独立の精神の欠如をあらわした結果ではないかと思います。孔子や孟子が唱えた人間の本性は元来善であるとの性善説と、荀子が説いた人間の本性は悪であるとの性悪説を学んだことがあります。どちらが正しいのか、間違っているのか、私は、小学校の低学年の子どもたちを見るといちばんよく分かると思います。子どもたちの無邪気に遊ぶ姿からは、人間の本性はもともとから善とか悪とか断定できるものではなく、どちらの要素も持ち合わせており、自分を取り巻く環境や対境によって、その時々に応じて悪い心やよい心が出て、行動に移すのではないかと考えます。したがって、小学校に通う低学年の生徒に対する教育は、実は教育課程の中で最も大事なものと言えます。あいさつや人を思いやる心、倫理観や道徳観をこの年齢の時期に間違いなくきちっと教えておけば、一時期はいろいろな理由によって忘れてしまうかもしれませんが、命にちゃんと入っていて、周りの環境や人に触発されて、かつて学んだ気持ちがあらわれるのです。その気持ちを湧現させ、自立させることが教育ではないでしょうか。 そこでお尋ねしますが、小学校、特に低学年教育に更に力を入れるべきと考えますが、御所見をお聞かせください。 平成12年度予算案の中に、スクールカウンセラー活用調査研究委託事業や不登校児童生徒の適応指導総合調査研究事業が新規事業として上がっております。この事業では、調査研究は付随的なものとし、カウンセリングに力を入れていただきたいと思います。今は生徒のみならず、教師や保護者もカウンセリングを求めているのです。専門的なカウンセリングシステムを早急につくる必要があります。欧米においては、このカウンセリングが社会に根づいており、日常的に活用されております。日本においてももっと力を入れる分野ではないでしょうか。本市に施策においても、カウンセラーやカウンセリングの回数は少ないのではないかと思います。 ここでお尋ねしますが、人間形成や人材育成にとってなくてはならないカウンセリングシステムをもう少し充実するためにも、力を入れる必要があるのではないでしょうか。市長の御所見をお聞かせください。 先日開かれた青少年読書感想文コンクールで、園田北小学校3年生の豊嶋君が、みごと文部大臣奨励賞を受賞した記事を読み、たいへんうれしくなりました。最近の子どもたちの活字離れを心配していたからです。パソコンの普及により、ボードのキーを打って変換をすれば、自動的に難しい漢字も出てきますし、最近では音声入力機能も発明され、書く習慣がなくなってきています。昨年国会で、本年を子ども読書年とする決議がされました。埼玉県の小学校や中学校では、朝の読書といって、授業が始まる前に全員で読書をする習慣が定着し、遅刻も激減をしているようです。また、この読書から、本の登場人物や情景を通して想像力や思考力を養う訓練にもなっているなど、複数の効果を上げていると聞いています。 そこで提案ですが、本市でも既に実践をされております、この朝の読書時間を全市に拡大、導入してはいかがでしょうか、お伺いをします。 日本の学校の特徴的なものに課外クラブがあります。ヨーロッパなどでは、学校が終わった後、地域でプライベートなクラブに参加するのが普通です。12年度予算案では、中学校で355クラブを対象にしています。クラブ活動には顧問が不可欠ですが、転勤などで顧問の先生がいなくなった場合、休部になるケースもあります。日本では、課外クラブは教育の一環としてたいへん重要な役目を果たしていますが、顧問の都合でそのチャンスを失うことは残念であり、また、クラブを楽しみの一つに入学した生徒たちにとって、悲しいことはありません。 そこでお伺いしますが、このような顧問不在で休部になることのないような仕組みをつくる必要があると思いますが、御所見をお聞かせください。 次に、3ゼロ社会の実現をめざしてお伺いします。 公明党は、ムダ、ゼロ・ごみ、ゼロ・エゴ、ゼロの3ゼロ社会の実現をめざして、さまざまな提案をしてきました。ムダ、ゼロとは、行政の無駄をなくしていくこと。税金の使い道から無駄をなくすということです。そのためにも、事務事業評価システムの導入が急がれます。ごみ、ゼロとは、国も本年を循環型社会元年と位置づけているように、資源の再利用を図るということです。平成12年度予算案で廃棄物発電事業会計が設置されたことは、たいへん意義のあるものと評価をします。エゴ、ゼロとは、自分のことは自分でする自助、行政による公助、そしてボランティアによる共助の調和の取れた社会を築くことです。 そこでお尋ねしますが、第1点は、事務事業評価システムを前倒しして導入を急ぐべきであると思いますが、市長のお考えをお聞かせください。 また、共助社会をつくるためのボランティアの養成については、1,000万人のボランティアが有償で活躍しているアメリカのように、有償で働ける仕組みも考えていく必要があるのではないでしょうか。日本で有償のボランティアというと、とんでもないとの認識がありますが、世界のすう勢は有償ボランティアで、これが長続きする要因でもあるわけです。この点についての市長の御見解をお聞かせください。 次に、行政改革についてお伺いをいたします。 今、企業の会計制度が、会計ビッグバンと言われるように、大きく変わろうとしています。平成12年3月期から連結決算の情報開示が義務づけられるからです。日本の企業は、親会社、子会社、関連会社等、それぞれが単独の会計、決算を持ち活動しており、グループ全体の経営実態をつかむことがなかなか困難な状況になっています。もちろん欧米に進出している企業は、既に連結会計を採用しています。グループ内すべての会社を一つの会社と見立て、連結会計を活用し、連結財務諸表を作成することにより、各会社とグループ全体の経営実態を明らかにするというものです。子会社に債務を移したり、グループ内での資金の流れを操作したりすることによって粉飾をしたり、帳簿上に架空の数字を記載する等ということはできなくなり、実態が浮かび上がってまいります。今まで不透明な経営で社会問題になった企業や会社などが存在したのも景気のよいときで、経済状況が厳しいときには、会計手法の変革が求められています。 一方、地方自治体の会計制度はというと、企業会計を除いて、単式簿記による現金主義会計を採用しています。昨年、未来協会が、バランスシートと発生主義による損益計算書を発表しましたが、複式簿記による発生主義会計制度への改革が必要とされています。本市は、平成12年度一般会計と15の特別会計、そして4企業会計を持つことになります。一般会計では、一般財源ベースで財政分析がされ、特別会計は前年対比による財政規模が示されております。しかし、全体的に見ると分かりにくいのではないでしょうか。 そこでお伺いします。 さきほど述べた複式簿記による発生主義会計制度の導入や一般会計、特別会計、企業会計を、連結会計によって市民により分かりやすく情報を提供する必要があると思いますが、これらのことについての御所見をお聞かせください。 平成11年度、12年度を期間として、行政改革推進計画の内容が新年度予算案に具現化してまいりました。改めてこの行政改革推進計画を見てみますと、事務事業の見直しの中で、嘱託員の配置というものがあります。これにより、正規の職員の数を減らし、経費を削減することのようですが、どうも消極的な手法であるような気がしてなりません。平成11年度の予算は、たいへん厳しく見積もったつもりでも、予想を超えて歳入不足が生じたわけです。財政的にこれ以上の厳しさはないという年度をこれから迎えようとしています。そのことをよく認識した上で、私は、アウトソーシング、つまり業務の外部委託計画を行政改革推進計画の中に盛り込むべきであると思います。そして、アウトソーシング計画に基づき事務事業の見直しを図り、財政改革推進に踏み込んでいかなければならないと考えます。 そこでお尋ねしますが、行財政改革の中心となるべき民間への業務委託計画、アウトソーシングを早急に作成して、本市財政の冬の時代に備える必要があると思いますが、市長のお考えをお聞かせください。 次に、介護保険についてお伺いをいたします。 いよいよ本年4月より、介護保険制度が問題を積み残したままスタートします。昨年10月、与党3党による政策課題合意に基づき実行に移された特別対策の中で、65歳以上の第1号被保険者の保険料については、4月から9月までの半年間徴収をやめ、その後平成13年9月までの1年間は半額にする措置をとりました。保険料は100パーセント払うけれども、100パーセントのサービスが受けられない状況にあるからです。国においては、この凍結期間も入れ、1年かけて財源も含めた抜本的な見直しをし、社会保障制度としてふさわしい新介護保険制度を発足させる準備も行っております。 本市も制度の導入に向けての準備に御苦労をされてきたことと思いますが、現時点での準備の状況を、国との関係も含めてお聞かせください。 介護保険制度の社会保障制度としての疑問点は、第2号被保険者で介護給付の対象となるのは、特定の15疾病のみであるということです。およそ日本で4,300万人のうち、15万人ほどが対象となるそうです。障害者の場合についても、制度的な整合性に問題も残ります。 そこでお聞きしますが、公平性、平等性の観点から、この問題についてどのようにお考えかをお聞かせください。 介護サービスの適正化を期すために、総合相談窓口の設置が不可欠です。国はオンブズマン制度、県では評価システムの研究を行っているようですが、市民から離れたところではなく、本市の中にサービス向上委員会などの委員会を設置し、身近なところで相談できる体制を取る必要があると思います。 この点についての市長の御所見をお聞かせください。 以上で私の第1問を終わります。(拍手)
    ○副議長(塩見幸治君) 答弁を求めます。 宮田市長。    (宮田良雄君 登壇) ◎市長(宮田良雄君) それでは、仙波議員の代表質疑に対しまして、順次お答えを申し上げます。 予算編成についてのお尋ねでございます。 まず、12年度予算の持つ意義についてでございます。平成12年度の予算編成に当たりましては、当面する行政課題への対応とともに、新世紀への礎を築く、ハード、ソフト両面にわたる基盤整備を強く念頭に置き、取り組んでまいりました。特に本格的な少子高齢社会に向けた地域福祉の充実をはじめ、教育の充実や地域産業の振興など、にぎわいと活力の創出を図ることや、また、喫緊の課題となっております財政再建に向け、新たな体制整備を図ることといたしております。施政方針で申し上げましたように、平成12年度は西暦2000年代の始まりという大きな節目の年であり、21世紀への橋渡しとなる、たいへん重要な年であると認識いたしておりますので、こうした取組みを全力で進めてまいります。 次に、私の考え方の職員への周知についてでございます。 私は、市長就任以来、対話と信頼を基本姿勢として市政を推進してまいりましたが、このことは、職員に対しても変わるものではなく、庁議をはじめ、あらゆる庁内会議の場や日常業務を通じた決裁時などの職員との接触の機会をはじめ、朝の庁内放送や職員じゃあなるなどにおいても私の考えを伝える努力を重ねてまいりました。また、私の理念を具体的に実現していく手だては、申すまでもなく、個々の施策でございます。それだけに、政策や予算査定の場は、職員との真剣な論議を通じて、直接に私の思いを浸透させる重要な機会となっております。 今後ともこうしたあらゆる場面をとらえて、職員への理解の徹底を図りながら、めざすべきまちづくりの実現に向け、全力で取り組んでまいる所存でございます。 次に、予算編成に当たっての保健、福祉などのバランスについてでございます。 少子高齢化の進展や地方分権が本格化する中にありましては、市民ニーズやサービス需要がよりいっそう多種多様化してまいります。市民生活に関連の深い保健、福祉、医療などの分野につきましては、それぞれ連携を図りつつ、バランスの取れた総合的なサービス提供が求められております。特に本年度は、介護保険制度の始まりという大きな節目の年でありますだけに、いっそうそういうことには意を用いる必要がございます。このため、12年度予算の編成に当たりましては、それぞれ専門的に御検討いただいた高齢者保健福祉計画、エンゼルプラン、障害者新長期計画といった諸計画を十分踏まえ、福祉施策を精査したところでございます。私といたしましては、厳しい中ではございましたが、一定のバランスが保たれた予算であると考えております。 次に、財政計画と第3次実施計画についての整合性でございます。 平成10年度に改正いたしました財政計画は、歳出面につきまして、目標として掲げました50億円の構造改善は、定数の削減や給与水準の見直しなどによりまして達成できる見込みとなりました。ただ、歳入面におきましては、市税収入などの大幅な減少によりまして、かい離が生じております。こうした中で、予算編成に当たりましては、実施計画との整合性につきまして、私としては十分留意してまいったところでございます。しかしながら、予算編成過程におきまして収支バランスを欠く結果となりましたので、公共施設整備基金を10億円追加活用する一方、歳出面で投資的経費の事業調整や経常的経費の削減を行うなど、財源面での調整を図りますとともに、それぞれ意を用いたところでございます。こうしたことによりまして、実施計画がほぼ達成できることになり、十分ではございませんが、整合が図れたものと考えております。 次に、21世紀に向けたまちづくりの方向性についてでございます。 本市のかねてからの最大の課題は、産業や人口に象徴される都市の活力低下に対して、本市再生のために都市の魅力を創出することでございます。そのため、基本構想では、文化活力と産業活力を生み出し、更に地域活力へとつないでいくことをめざしているところでございます。現在の時代背景や本市の状況を勘案しますと、都市の魅力を高めるためには、産業の振興はもとより、文化活動の振興がますます重要となってまいりました。また、都市の文化が産業と結びつき、新しい産業が起業家を育てるとも言われているところでございまして、こうしたことからも、御提案の産業文化都市は、基本計画におきます今後の本市の重点方向として十分考えうるものと思っております。 次に、アルカイック街区についての御提案でございますが、御指摘のように、阪神尼崎駅周辺について、今後は整備の進んだ基盤を活用し、ソフト施策で文化、情報の発信を進めていく必要があると考えております。いずれにいたしましても、現在次期基本計画の策定について総合計画審議会で御審議いただいておるところでありまして、こうしたことも踏まえて十分に検討していただけるものと期待をいたしておるところでございます。 次に、土地開発公社についてのお尋ねでございます。 本市の土地開発公社は、公有地の拡大の推進に関する法律に基づきまして、昭和48年に設立され、これまで計画的なまちづくりに必要な道路、公園、都市基盤施設などの公共用地の先行取得を行ってまいりました。また、公社保有地の買戻しにつきましては、基本的に事業を実施する段階で、国や県の補助制度の活用などを図りながら順次行っているところでございます。しかしながら、土地取得時における財政状況と今日とは全く一変したものとなりますなど、さまざまな要因から、いまだ事業実施に至らず、保有期間が長期化している状況にあるのも事実でございます。こうした状況から、あくまでも事業用地ではございますが、市民の便益に供する考えから、現在、市民広場や野球場などの暫定利用に努めているところでございます。現在の財政状況から、当面こうした措置が続くものと思われますが、今後につきましては、財政状況をも勘案する中で、中長期的な処理も視野に入れて対処してまいりたいと考えております。 次に、産業政策についてのお尋ねでございます。 中小企業支援策についてでございますが、経済のグローバル化の著しい進展、情報通信をはじめとする技術の急速な進化など、経済社会が大きく変革しつつあります今日、中小企業の高い技術力と機動力がこれからの経済活力の源泉であるとして、昨年、国の中小企業政策が大きく転換されました。本市では、こうした方向を先取りした形で、既にベンチャー育成、研究開発を先導する拠点として、リサーチコア整備事業に取り組みますとともに、技術相談や情報提供、新製品開発に対する助成などを実施しているところでございます。こうした政策転換や施策の成果を踏まえまして、新年度には、中小企業の技術力の向上や新規創業支援などをねらいといたしましたものづくり支援センターの整備やベンチャー育成支援事業などに取り組むことといたしております。今後とも中小企業の活躍が本市の活力の創造に不可欠であるとの認識のもとに、豊富な産業集積を生かして、新しい時代を展望した総合的な中小企業支援策に積極的に取り組んでまいる考えでございます。 次に、エコビジネス育成に係る支援についてでございます。 御指摘のエコビジネスを新規産業分野として育成していくことは、環境型社会の形成を図る上で重要な課題でございますが、廃棄物処理といった分野につきましては、地域環境との調整を十分考慮しながら検討していく必要があると考えております。本市は、これまで中小企業の新分野への進出を促す新産業創造塾において、環境関連分野を取り上げ、また、環境保全資金融資制度を設けるなど、一定の取組みを行っておりますが、エコビジネス育成の支援制度を確立するには至っておりません。いずれにいたしましても、エコビジネスに限らず、新しい産業の創出は、今後の本市産業政策におきまして重要な課題であると考えております。 次に、産業振興協会についてでございますが、産業振興協会は昭和56年に設立をされ、これまで全国的にもユニークなテクノサポートシステムや商業活性化対策協議会などのさまざまな活動を通じまして、時代の変化に対応した中小工業の振興や商業の活性化などに取り組み、本市産業の発展に一定の役割を果たしているところでございます。しかしながら、経済社会が大きく変革する中で、その果たすべき機能や役割にも変化が求められておりますが、市内産業団体間の相互協力や交流拠点としての役割は、今もなお重要なものがございます。市といたしましても、協会との緊密な関係を保ちながら、経済社会の変化に柔軟に対応した活動ができますように支援してまいりたいと考えております。 次に、少子化対策についてのお尋ねでございます。 平成12年度におきましては、6月にオープン予定のすこやかプラザに子育て支援コーナーを設置して、少子化対策の総合拠点施設の先行的な取組みとして各種事業を実施してまいります。また、子育て支援サポートブックの作成にも取り組み、隣接する保健所では、少子化対策を重視した母子保健相談指導事業を充実してまいります。そのほか、児童ホームの改築や子ども読書年にちなみ、子ども読書ふれあい事業を展開してまいります。更に、公立保育所が培ってまいりましたノウハウを地域に提供するために、地域子育て支援事業の充実を図ってまいりますとともに、多様な保育ニーズに対応いたしますために、新たに休日保育モデル事業を実施してまいります。今後とも本市の少子化対策事業は、平成11年3月に策定いたしましたエンゼルプランあまがさきに基づき、各分野におきまして、行政はもとより、市民の皆さんと協働して推進してまいります。 次に、事務事業評価システムについてでございます。 これからの行政執行体制を構築していく上で、事務事業評価システムはたいへん重要なものであると認識をいたしております。したがいまして、早急にそのシステムの確立を図りたいと考えておりますが、このシステムの導入に当たりましては、約1,500の全事業事務のデータベース化と個々の事業におきます有効な評価指標の設定が不可欠でありまして、その前提として、全事務事業の中からモデル事業を抽出、選定して、その執行評価を行わなければなりません。こうした膨大な一連の事務事業は、少なくとも12年度末まではかかるものと予測をいたしております。 次に、有償ボランティアについてでございます。 ボランティア活動の理念は、個人の自発性、非営利性、公共公益性にあるとされております。さきの阪神・淡路大震災あるいは日本海重油流出事故などでボランティアの活動は多大な貢献があったことは、記憶に新しいところでございます。私はかねてから地域力について申し上げておりますが、その力を発揮するには、そこに住み、働き、学び、関心を抱くすべての人々であり、ボランティアもその一役を担うものであると言えます。ボランティア活動にありましては、その無報酬性が基本ではありますが、時代の変遷とともに、交通費など実費の受給など、多様化してきておりまして、今後ともその活動の在り方を見据えてまいりたいと考えております。 次に、行政改革についてのお尋ねでございます。 まず、発生主義会計の導入や連結会計の採用についてでございますが、民間企業が財務状況を示す貸借対照表などにつきましては、住民への情報開示や説明責任などの観点から有効であると言われております。本市におきましては、現在このようなバランスシートの作成に向けまして、引き続き調査研究を行っておりまして、今後国や他の都市の検討状況も参考にしながら、早期導入を図ってまいりたいと考えております。また、御提案の発生主義会計や連結会計の採用につきましては、現行の法制度上困難ではございますが、国などの動向を注視いたしますとともに、その可能性などについて研究してまいりたいと考えております。 いずれにいたしましても、行財政改革を推進していく上におきましても、市民の方々に市の財政状況について積極的な情報提供や十分な説明をしていかなければならないということを考えております。 次に、民間への業務委託計画についてでございます。 こうした取組みにつきましては、行政改革の手法の一つであると考えておりまして、現行の推進計画におきましても、保育所の民間移管をはじめとして、計画的に推進してまいったところでございます。今後も業務の委託計画につきましては、現在作業を進めております新しい行財政構造改革におきましても積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 次に、介護保険制度についてのお尋ねでございます。 まず、現時点での準備の状況でございます。 介護保険の4月スタートまで、いよいよあと1カ月足らずとなってまいりましたが、市といたしましても、市民の皆さんの御期待におこたえできるよう、全力を挙げて準備を進めてまいりました。国との関係につきましても、介護保険法の円滑な実施のための特別対策、介護報酬単価の詳細などが具体的に明らかにされたのが昨年末以降となったこともありまして、本市においても若干遅れがちでありましたが、現在一応の準備を整えることができたと思っております。 現時点での本市の状況でございますが、5年間の事業内容などを定めます介護保険事業計画につきまして、この2月策定を完了することができました。そのほか、市民の皆さんとの関係では、昨年9月から要介護認定の申請を受け付けまして、介護認定審査会において審査判定の上、順次認定結果の通知をさせていただいているところでございます。 次に、第2号被保険者の障害者の保険料についてでございます。 国における検討の段階では、40歳から64歳までの人についても、原因を問わずにすべて給付対象にすべきという意見もありました一方で、若い障害者に対する介護サービスは、公の責任で税で賄うべきだという意見もございました。サービスの利用に当たりましては、自己負担など利用条件に差異がございまして、課題を残しているとは考えておりますが、国においても制度施行後5年を目途に行われます見直しの際の課題とされているところでありまして、その推移を見守ってまいりたいと考えております。 次に、サービスの適正化についてでございます。 介護保険サービスの利用に関する相談や苦情につきましては、市としましても迅速な解決に向け、積極的な役割を果たすことがたいせつであると考えております。その方法はいろいろあると思いますが、いずれにしましても、多くの場合、市民の皆さんは、まず市の窓口へ来られると思われますので、当面、介護保険に関する相談などの窓口として、担当課であります介護保険課又は各福祉事務所で適切に対応してまいりたいと考えております。また、在宅介護支援センターや民生委員の皆さんも地域の身近な相談者としての役割を担っていただき、連携を図ってまいります。 以上で仙波議員に対します第1問目の答弁を終わらせていただきます。 教育に関します問題につきましては、教育委員会から答弁いたさせますので、よろしくお願い申し上げます。 ○副議長(塩見幸治君) 小林教育長。 ◎教育長(小林巖君) 教育にかかわる御質問に順次お答えいたします。 まず、道徳性のかん養を図るには低学年教育の充実が必要と考えるがどうかということについてでございますが、子どもの教育やしつけは、一つ、二つと、つの付く年齢、すなわち1歳から9歳までがたいせつであるとある先生も言っておられますが、この年齢の間に事の善悪やけじめをしっかりと身につけさせることが必要であると私も思っております。ちょうど小学校では低学年の時期に当たるところでございます。 こうした道徳や倫理の教育につきましては、平成12年度実施の新学習指導要領の中では、低学年における指導の重点として、あいさつなどの基本的な生活習慣や善悪の判断、社会生活上のルールを身につけることに力点を置いております。この新学習指導要領のねらいをしっかりと踏まえ、学校教育の中で道徳性のかん養を図るため、いっそうの努力をしてまいりたいと思っております。 次に、人間形成にとって重要なカウンセリングシステムの充実についてでございますが、カウンセラーによる支援は、児童生徒が自らの内面を理解し、自己を取り戻し、自己実現を図るための手法として極めて有効なものでございます。本市におきましては、専門的な知識を有する臨床心理士をカウンセラーとして学校へ派遣し、児童生徒や教員並びに保護者の悩みに対して助言や援助を行っております。そのほか、心の教育相談室においても出張相談を精力的に行い、自立に向けての支援に努めておりますし、また、教育相談に関する研修によって、教員のカウンセリングマインドの育成にも努めておるところであります。今後もいっそうこの努力を積み重ね、子どもや保護者にとってカウンセリングが身近なものとなるよう努めてまいりたいと思っております。 次に、朝の読書時間を導入してはどうかということでございますが、私自身も子どもたちにもっともっと本を読んでほしいと思っておりますし、家庭におきましても、家族で本を読むことが習慣になればいいと考えております。本市におきましても、朝の読書活動を実施している学校は、小学校で10校余り、中学校では3校ございますし、また、多くの小中学校では読書週間を設けるなどして本に親しむ習慣づくりに努めております。冒頭申し上げましたとおり、本を読むことはたいせつなことであり、私といたしましても、市の教員で構成されております図書館教育研究会とともに読書教育の活性化に力を注いでまいりたいと考えております。 また、平成12年度が国の子ども読書年に当たるため、子ども読書ふれあい事業を起こし、市立図書館に児童用の図書を購入するなど、読書環境を整備し、尼崎の子どもたちが更に本に親しむことができるように取り組んでまいりたいと考えております。 最後に、課外クラブ活動についてでございますが、課外クラブ活動でいちばん問題になっておりますのは、やはり少子化に伴う教員数の減少による指導者不足であります。そのため本市では、独自に平成9年度から技術指導者の招へい制度を導入しておりますが、文部省においても、昨年、教師向けの運動部活動運営参考資料として、みんなでつくる運動部活動という冊子を作成し、課外クラブにおける新たな方向性を示しております。その内容は、教師として部活動へのかかわりがたいせつであるとして、外部指導者の活用、また合同練習や合同チームの活用、そして部活動を支える組織づくりなどが挙げられております。この考えを踏まえ、本市でも課外クラブ活動の実態調査を実施しておりまして、今後これらをもとに課外クラブ活動がよりいっそう充実するよう努力を重ねてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○副議長(塩見幸治君) 仙波幸雄君。    (仙波幸雄君 登壇) ◆24番(仙波幸雄君) 御丁寧な答弁、ありがとうございました。 第2問目に入ります。 本市において少子化対策は急務であり、このまま放置しておくことは、尼崎市の将来、21世紀へバトンを渡すとき、次の世代に大変な負担を背負わせることになってしまいます。経済からまちづくりに至るまで、大きな影響を与えることは必至です。さきほど御答弁をいただきましたけれども、少子化対策は、エンゼルプランあまがさきに基づき推進していくとありました。しかし、その中で安心して出産できる環境づくりとか、あるいは家庭での子育てを支援する環境づくり、子育ての負担の軽減を図るなどについて述べられておりますけれども、確かに10年間の中長期的な計画としてはなくてはならない計画が策定できたとは思いますが、これはあくまでもオーソドックスな計画であって、更に側面から即効性のある施策を出していく必要があるのではないかと考えます。出生率の低下をどのように食い止めるのか、どんな施策を展開すれば出生率を上げることができるのかなど、特色のある、市民を動かせる施策が求められるのではないかと思います。 そこで、さきほどエンゼルプランあまがさきは健康福祉局の健康福祉政策室が中心となってまとめたものですが、少子化対策については、本市の最重要課題の一つとしてとらえ、例えば総合少子化対策室とか、あるいは少子化対策課などを設置して、専従に対応していく必要があると考えますが、市長の御見解をお聞かせください。 行政改革につきましては、このような事態の中、断固として実行していかねばならないことは、行政に携わる者であればだれもが分かっていることです。今までの行政改革推進計画の抜本的な見直しや事務事業評価システム、企業会計の導入などの手法の検討ではなく、最も大事なことは、市民に理解と協力を求めることです。そのための説明、アカウンタビリティを慎重に、また丁寧に行わねばなりません。このアカウンタビリティは、税金をどのように使い、どんな成果を上げようとしているのか、また、いかなる結果を得たのを説明することですが、特に地方自治体においては、今後の市政運営の基本になるものと思います。 そこでお尋ねしますが、市長は議会及び市民に対するアカウンタビリティを積極的に実践していくおつもりなのかをお聞かせください。 介護保険につきまして、再度お伺いします。 現行の福祉サービスのほとんどは、介護保険がスタートすれば、介護保険制度の中に組み込まれると思います。そこで、市単独で行っている福祉サービスで介護保険制度に含まれない施策の扱いについてはどのように考えているのかをお聞かせください。 保険料については、社会保険料や国民健康保険料に上積みをされて請求が行われますが、特に他市と比しても高いと言われている本市の国民健康保険料は、介護保険料とワンセットで考えねばならないと思います。第2号被保険者は40歳から64歳まで保険料を支払い続けるわけですが、サービスを受けられないという点で、実質的な負担感が増すと思われます。この第2号被保険者に対する軽減策は、今のところ打ち出されておりませんので、せめて本市において何か対策を講じる必要があるのではないでしょうか。この点についての御見解をお聞きします。 介護保険制度がスタートする前は、問題点を予測して、できるだけの見直しや対応が可能ですが、いったんスタートすると、ゆっくり考えている猶予はありません。そこで、この制度がスタートした後あらわれてくる問題も多くあると思いますが、それらの問題に対応する体制あるいは準備はできているのでしょうか。お尋ねします。 以上で私の全質問を終わります。 御静聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(塩見幸治君) 答弁を求めます。 宮田市長。    (宮田良雄君 登壇) ◎市長(宮田良雄君) それでは、仙波議員の第2問目の御質疑に対しまして、順次お答え申し上げます。 まず、少子化対策についてでございます。 昨年、エンゼルプランあまがさきを策定いたしまして、計画的にその取組みを行っているところでございますが、組織の設置につきましては、諸政策を着実に進めていきますために、担当課長の配置なども視野に入れながら、現在検討をいたしております。 次に、アカウンタビリティ、説明責任と申しますか、これの実施でございますが、内容を説明するという責任といいますか、そういう意味だと思っております。協働のまちづくりをいっそう進めてまいりますためには、市民と行政がまちづくりの情報を共有いたしまして、市民参加の拡充を図ることが重要な課題であると認識いたしております。こうしたことから、透明性の高い情報を市報あまがさきや、また昨年開設いたしましたホームページ、そしてFMあまがさき、そういったものを通じ、適宜提供に努めますほか、今後推進してまいります行政情報システムや事務事業評価システムの確立を図る中で、よりいっそうきめ細かい情報を提供してまいりたいと考えております。 次に、介護保険制度についてのお尋ねでございます。 介護保険適用外の福祉サービスについてでございますが、本市におきます高齢者施策の推進におきましては、介護保険制度の円滑な導入を図っていくことが、まず何よりもたいせつであると考えております。併せて、今後の多様な高齢者のニーズに対応してまいりますために、これまで実施してまいりました高齢者施策を再構築する中で、平成12年度に新たな施策にも取り組んでまいります。 次に、国民健康保険の2号被保険者の保険料についてでございます。 国民健康保険の介護保険2号被保険者の介護分保険料は、医療分に上乗せして賦課されることになります。これまでの軽減、減免制度は、介護分、医療分を合算した全体の保険料に適用されることになっております。新たに市独自に軽減策を実施することについては困難であると考えております。 次に、介護保険スタートの対応についてでございます。 介護保険制度施行後におきましても、大小いろいろな問題が生じてくるのではないかと考えております。本市といたしましても、こうした問題につきまして、介護保険事業計画の進ちょく状況を点検し、課題の分析や評価などを行いますための機関の設置や、2月に発足いたしました居宅介護支援事業連絡会などを通じまして、問題解決に当たってまいりたいと思っております。 以上で仙波議員の代表質疑に対します答弁を終わらせていただきます。 ○副議長(塩見幸治君) 仙波幸雄君の質疑は終わりました。 この際、休憩いたします。    (午後2時7分 休憩)---------------------------------------    (午後2時32分 再開) ○議長(中川日出和君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 代表質疑を続行いたします。 発言を許します。 騰和美君。    (騰 和美君 登壇) ◆1番(騰和美君) 清風会を代表いたしまして、第14回尼崎市議会定例会に提案されました平成12年度市長の施政方針並びに平成12年度予算につきまして質疑してまいります。 本日最後の時間となりましたので、皆様にはさぞお疲れのことと思いますが、しばらくの間御静聴いただきますよう、お願い申し上げます。 市長におかれましても、お疲れのことと思いますが、私たちの意見に対して明快な御答弁をお願いいたします。 代表質疑も5会派目ですので、質問が重複するものが多々ありましたが、清風会の視点からの質問をいたします。よろしくお願いいたします。 2000年代の幕開け、20世紀最後の年となりました。この世紀は、戦乱の世紀と言われ、世界的に人と人が傷つけ合っただけでなく、人間の生活から排出された数々の物質が自然環境を破壊し続け、生きとし生けるものを追い詰め始めた世紀でもあります。更に、こうした事柄が、目に見えないものまでを狂わし、破壊しています。すなわち、人間の心の荒廃にまで行きつつあります。こうした問題の解決には、地球規模で考え、取り組まなければならないことでありますが、私たち一人ひとりが意識を改革し、取り組まなければならない問題でもあります。 政界も経済界も新たな展開を模索していますが、不況というトンネルから一気に抜け出すけん引車はありません。しかし、トンネルはどこかに出口があるはずで、努力と忍耐を続けることが抜け道に通じることだと思っています。つらい道を歩き続けるには、我々に体力があるのかという問題があります。物が満ちあふれたバブルの絶頂期、続いて、使い捨てが美徳と、さして傷んでいないものを捨て、新しいものを手に入れてきました。アメリカのワールドウォッチ研究所は、カロリーの摂りすぎや栄養の偏りによって太りすぎの人が約12億人おり、いずれも先進国の繁栄の結果で、その裏に途上国の飢餓民が同数の12億人もいると、開発のゆがみを指摘しました。政治においても、闊達な税収のもと、公共事業投資や福祉、教育の政策にと、新たな施策が講じられました。土地神話が崩れましたが、狭い日本のこの土地で、土地が値下がりするとは予想もできませんでした。いわゆるバブルが崩壊して、一転して不況の嵐が吹き荒れ、膨れ上がった企業は、猛烈なリストラを実施しています。国、地方自治体においても、税その他収入減と膨れ上がった施策や施設への維持管理費をどのように賄うか、税収減と支出増の二つの苦しみと取り組まなければならない時代となっております。自分に置き換えても、太ることは簡単でありましたが、やせるためには、その幾倍もの努力と忍耐が必要と痛感しています。 大胆な変革には痛みを伴うものですが、今、時代を引き戻すことは不可能なのですから、尼崎市のひっ迫した状態を、まずは共通の認識を持ち、どのように改善するか、行政と市民、事業者が、市長が掲げる対話と信頼をベースに、このまちの再生を協働して取り組むことであると思います。折から地方分権の時代と重なり、本市の持つ英知と体力が試される時代ともなりました。今更私が述べるまでもなく、3割自治と言われ、大部分の財源と権限を国が持つ、地方自治体は地方交付金や助成金、補助金を国に求めなければなりません。こうしたことが国との関係において、上下とまでは言いませんが、依存感を深めることと思われます。ずいぶんうがった言い分ですが、地方自治体は、お金をくれないからできないという開き直りや言い訳を使っていると感じることがあります。枠組みの中では、決めたことを粛々と遂行すれば役目を終えたものとなり、そこには向上心や冒険心、やる気、市民に対する使命感などが薄れるように見られます。更に、公務員は身分が保障されており、一般社会ではとても考えられない状況があります。数々の規制あるいは許認可等手続を行う中で、市民の中にはまだまだ市役所はお上という意識があります。支所、公民館、保健所など地域にある行政機関の窓口は、市民と直接接触する場所で、職員の不手際や軽はずみな言動は、市長が悪い、市役所が悪いということになります。職員の一人ひとりとつき合えば、個性的で希望を持たせる職員であるのに、仕事で向き合うと、こちこちのかたぶつに変身することは、日ごろ感じていることであります。 来るべき分権の時代は、地方自治体間の競争の時代が予想され、市民が安心して生活し、どこよりも誇らしいまちづくりをするためには、地方公務員の力量がどれほどあるかにかかっていくと思っております。分権の時代は、責任を自覚している市民と、そこで選ばれる市長の指導力が求められます。常に職員の資質を問い、個性的で幅広い視野を持ち、行動力のある職員を育てていくことがたいせつであります。したがって、本市にある職員研修所の役割は極めて重要であると思っています。 まず、行財政についてお伺いをいたします。 平成12年度施政方針演説の中で、市長は、本市財政は危機的状況を迎えており、収支の均衡を確保することも困難な状態に立ち至り、極めて憂慮すべき非常事態であると認識していると表明されました。清風会では、ここ数年来、今日のような状態になることを指摘し続けてきましたが、やっと私たちの思いが通じたかと感じています。 そこでお伺いいたしますが、職員の中では厳しい状態を既に認識し、心配されている人もいましたが、今日市長が認められる非常事態を全職員が認識するために、どのような手だてを講じられるのか、お聞かせください。 また、数年後財政再建団体になるのではとの新聞記事を読みましたが、どのような年次計画で財政再建計画を考えておられるのか、お示しください。 更に、施政方針の中で、何のための行財政改革か、何を優先すべきか明確にし、うんぬんと述べられています。そして、本市の資源と可能性を最大限生かした改革をと表明されていますが、市長の言われる何のための行財政改革か、そして何を優先すべき課題なのかを明確にお答えください。 また、資源や可能性とはどのようなものを考えておられるのか、お答えください。 お金がないなら汗をかけ、知恵を絞れと言われても、市長がめざすまちづくりの目標が分かりにくいと、個々人の思いがばらばらで、考えはまとまりません。明るくさわやかなとは、いかにも抽象的で、職員の皆さんがどのように理解されているのか、甚だ疑問に思っています。明るくさわやかな都市像とは、具体的に言えばどのようなものか、お聞かせください。 財政が厳しい中で、職員の皆さんにまちづくりに夢を持てや希望を持てというのは、酷な要求です。しかし、一方で、この時期こそ、個人が潜在的に持つ個性的な能力と視野が生かされるときでもあると思います。また、職員のやる気を酌み取る上司の存在が重要です。 ここでお伺いします。 職員研修所では、政策課題研究や自己啓発グループ研修などを続けておられるようですが、これらが市政にどのように活用されているのでしょうか。お伺いいたします。 研究したことが多少なりとも採用されれば、やりがいに通じると思います。若い職員たちがまちづくりに夢を持ってもらいたいと願い、新たな自由な発想を期待するものです。他市では、新しい政策の立案や実施を主任クラスの若い職員グループに任せて、成果を上げています。大変革期の今だからこそ、若手職員を信頼して、思い切った取組みをされてはどうでしょうか。石原東京都知事に倣って、動かぬなら私が動こうという市長のリーダーシップを大いに期待しております。 そこでお伺いしますが、職員研修所が積み上げてきた資源を生かす政策を考えてみられたらどうでしょうか。お伺いをいたします。 市長が表明された行財政の非常事態は、身内だけでなく、市政の主権者である市民の理解を得ることが必要です。それには財政、資産状況をまず市民に分かりやすく公開することが必要です。情報公開は徹底してするべきと思います。そして、一般社会で用いられている複式簿記、損益計算書、貸借対照表等を作成し、経常的収支と資本的収支を区分すること、また、外郭団体の会計を連結決算する必要があります。こうした一般的な会計に仕組みを変え、だれでも分かる会計表にすることが、市民への情報公開であり、分権時代の市民参画の前提条件であると思います。 近い将来、このように様式を変更する考えはないか、お伺いをいたします。 分権社会は、行政もさることながら、責任を持つ市民を育てることが重要と思います。市民運動についてお伺いをいたします。 市長は御就任以来、対話と信頼を基本に市政を進めておられますが、まず地域力に着目され、その育成が分権時代のキーワードになるとして取り組んでこられました。この市長の先見性を私は評価しております。花いっぱい運動を通じての活動が市民に潤いと感動を与え、更に、花への愛が住んでいるところへの愛着につながるよう期待しております。 私が議員となり、初めて議場で一般質問をしましたとき、市民運動をどうお考えですかと質問をいたしました。私は、議員になる前は、政治活動も政党活動もした経験はありません。住んでいる地域をより気持ちよいところにするために、自分の問題として取り組める仲間と手をつないできました。地域の持つ課題を自分の課題と考える仲間が集まって解決に努力することが市民運動と考えてきました。市民運動とは、自発的なものと思っていますが、質問に対してのお答えは、市の課題に対して人を集めることが行政の仕事という答弁でありました。今、花いっぱい運動、10万人わがまちクリーン運動に取り組まれていますが、市民が集められた運動と思えてなりません。確かに運動の初めの手法として有効かもしれませんが、これでこのまちを愛し、このまちに定着する市民が育つか、疑問に思っています。 身の周りのことを考えさせる、あるいは課題を見つけさせる市民を育てることが、地に足をつけた市民運動になるのではないでしょうか。御所見をお聞かせください。 また、私は地域活動と市民活動とは違うと思うのですが、御所見をお聞かせください。 意識の高い市民を育てるためには、どのような仕掛けが有効と考えておられるかについてもお答えください。 次に、雇用問題についてお伺いいたします。 目下花いっぱい運動が展開し、わずかに芽を出したチューリップの成長、開花に期待をしていますが、この花育てがまちを愛する思いにつながることを期待しております。しかし、ここ最近、私には、花づくりよりも仕事づくりを考えてほしいという切実な訴えが多くなってきました。知人の会社に案内したり、職安を紹介していますが、思うように見つかりません。先般開かれた春闘では、ワークシェアリングが議論になったと伝えられています。今年の春闘では、賃上げより雇用の安定が焦点となったと聞いています。兵庫県では、失業対策の一つとして、県職員の残業時間経費約40億円の人件費を減らし、その分を就職難の若者に仕事を与える施策を開始しました。雇用確保推進プラン、ひょうごキャリアアッププログラムと称されていますが、120人を採用します。仕事の内容は、警察事務、一般事務、土木、畜産などの技術部門など広範囲で、若者に仕事と同時にマナーや技術を学んでもらうという計画です。県職員が超過勤務手当を削って、若者を1年間ですが雇用するこの取組みは、時宜を得た政策だと私は思います。この政策は、春闘という場で、執行権者と経営者、連合の三者が、県内の厳しい雇用状況を少しでも緩和したいとの合意があって実現したと聞いています。 本市は、大企業の流出が続き、不況とも重なって、雇用状態が厳しいと思います。そこでお伺いしますが、雇用の拡大のために市としてどのような手だてを考えておられるのか、お聞かせください。 近年、特に女子高校生の就職が厳しい状態と聞きますが、本市での状況はどうでしょうか。お聞かせください。 企業の厳しいリストラにより、失業者が激増しています。女性の多くがパート労働者ですから、現下の影響をまともに受けて、ますます厳しい状況となっています。現状はどのようでしょうか、お聞かせください。 また、ワークシェアリングについてですが、連合、経営者等で議論が始まった段階で、課題も多く、今後の問題と聞きますが、本市行政として、ワークシェアリングをどのように考えているのか、また、兵庫県が計画しているこの方法について、どのように考えておられるのか、お聞かせください。 産業が流動化している時代では、職業も雇用も流動化するもので、これによって経済が活性化しています。人的資源を有効に活用するためには、新しい仕事に適応できる能力を一人ひとりが身につける必要があります。この支援を行政がするべきと思いますが、尼崎ではどのようにお考えか、お聞かせください。 児童虐待について及び女性問題についてお伺いをいたします。 さきほど、花よりも仕事が欲しいという悲壮な意見があることを申しましたが、最近、母親たちにとって例えようもなく悲しい事件が発生しました。京都の小学校校庭で、2年生の男児が殺害された事件と、新潟の女性監禁事件であります。いずれの犯人も、母と息子、母子密着が伝えられていますが、深情けママと呼ばれる、子どもが成長しているのに、いつまでも世話をやかずにいられない母親、使いたくない言葉ですが、パラサイトシングル、すなわち成人しても親に食べさせてもらっている子ども、子離れできない母親、親離れしない子が引き起こした事件であります。ノンフィクション作家の久田さんは、団塊の世代が成人したころは、女性の自立が叫ばれた時代でありますが、まだ働ける場所がなかった。そこで結婚、子育て。子育てこそが自分の役割と思い、子どもを通じて自己実現をしてきた人が多いと述べています。このことも一つあるかと思いますが、私は、我が国に伝わる潜在的な意識、男は外で働き、女は家で家事、育児という性別役割分担が母子密着を生む土壌をつくっていると思っています。近年、うつ病など精神神経科医を訪れる人が増加していますが、医師によりますと、実際には、訪れる人の1.5ないし2倍の潜在的な患者がいるのではないかといいます。そして、仕事上や会社内の人間関係、働きすぎ、経済問題など、どちらかといえば外的要素から発病しやすいのが男性で、女性は、妊娠、出産、子育て、更年期、近所づき合いなど、家庭的な内的問題で発病しているといいます。主婦たちが外部に助けを求めにくい状態がまだあります。子育ての時期、夫は年齢的に会社内で主要な地位にあって、子育ての支援ができにくいことが多く、いきおい妻に子育ての負担が重くのしかかり、ストレスがたまる状態になっています。世の中とうまくつき合っていけず、助けを求めることもできず、イライラが募っています。こうしたことが一方でうつ病に、一方でそのはけ口を子どもの虐待に向かうときがあります。 尼崎市における児童虐待は、平成9年度22件、10年度45件、11年度65件と、急増しています。被害児童は男女ほぼ同数で、4歳から小学校高学年の年齢が50人と、被害のほとんどを占めています。一方の加害者が実の母親であるのが、3年間合計で83人と、圧倒的な数字となっています。私は、昨年3月、児童虐待について質疑いたしましたが、虐待は、児童福祉法による県の所管であり、市としては児童育成計画に基づいて相談体制の整備、県こどもセンターとの連携強化、防止のための広報、啓発に取り組むとの通り一遍の消極的な答弁でありました。実際は、保健婦たちの献身的な取組みがあることを知っていますが、これだけでは食い止められなかったことが急増した数字を見ても明らかであります。虐待されている児童の早期発見、保護とともに、母親の抱えているさまざまな問題解決に手だてを講じる必要があると思います。生活まるごとの問題ととらえないと、ほんとうの解決には至りません。 本市としてこの現実にどのように対応されるのか、お答えください。 人との交わりの少ない、できない人が陥りやすい、こうした人たちになんらかの救いをする必要があります。この手だては、すこやか交流プラザの活用も一つの方法ですが、家にこもりがちな人は、家を出ることさえできません。こうした人には近所の協力と民生児童委員や福祉ケースワーカーの連携が必要と思いますが、御見解をお聞かせください。 児童虐待の通告は、学校が30件、児童センター21件、親族18件、保健婦、主任児童委員等と続いていますが、こうした事件は、家庭という密室で発生し、実際の数はその数倍と考えられています。 児童虐待だけでなく、最近は夫、恋人など家庭内暴力も事件として取り上げられるようになりました。先日、総理府が初めて男女間における暴力に関する調査をした結果が発表されました。成人男女4,500人を対象としたもので、既婚女性の約15パーセントが夫から直接危害を与える暴力を受け、うち3人に1人が身の危険を感じたと答えています。暴行を受けた男女の50.4パーセントが、家族、知人には相談したが、外部のだれにも相談しなかったという人は40.9パーセントに上ります。この数字は、夫婦間の暴力が潜在化していることを示しています。20代から30代の女性の4人に1人がストーカーの被害を受けており、性的な問題について女性への根深い偏見があるように思います。田村議員が取り上げられましたが、私は、女性に関する部分をとりました。経済企画庁が発表した平成11年度国民生活選好度調査では、暮らしがよくなったと感じるのは20パーセントで、よくない方向であると感じる人は79パーセントとなっています。特に女性の20代では、よくない方向であるという答えが75パーセント、60代でも77パーセントがよくない方向と感じています。老後の生活については、見通しが明るいと答えた20代女性はわずか8パーセント、40代では10パーセントとなり、毎年の調査から見ると、男性の感じ方に大きな変動はありませんが、女性たちは、暮らしの不安が高まり、悲観的になっています。経済企画庁では、この結果について、女性は若い層を中心に、育児や福祉サービス、将来の生活などへの不安が広がっているとコメントしています。これは、少子社会にとって大きなマイナス点であると私は思います。女性問題を取り上げますと、アレルギー反応を起こす方がありますが、数々のショッキングな事件の発生を見ると、深いところでの問題が浮き上がってきます。社会の基本となる家庭が崩れていくことに危機感を持つ人が多いはずです。まさかと思う家庭から震かんとする事件が発生しています。 こうした社会を改善するために、男女共同参画社会基本法が制定されました。基本法の基本理念は、人権の尊重、阻害要因の除去、政策、方針の決定過程への男女共同参画、家庭的責任などがうたわれています。東京都では、一歩前進して、男女間のパートナーシップを築く必要性を強調して、男女平等参画基本条例をまとめられました。本市として、このような流れをどのように考えておられるのか、お聞かせください。 現在本市では、尼崎市女性行動計画の改訂作業が続けられていますが、現況についてお聞かせください。 また、平成13年度には審議会の委員等の女性委員登用率を30パーセントにすることについて、どのような状況であるのか、お答えください。 女性たちの置かれている立場を長々と述べてきましたが、このような社会条件の中では、子どもを産めない、産みたくないと思う女性が増えています。読売新聞社が全国世論調査をしたことによりますと、少子化は深刻な問題と答えた人は76.9パーセントとなり、2年前の調査より3.9パーセント増えています。少子化が影響を与えるもののトップは、社会保障の負担が大きくなるということになっています。そして、90パーセントの人が、なんらかの子育て支援が必要と答えています。そして、出産、子育てで退職した人々が再就職しやすくする、又はいろいろな保育サービスをするなどを挙げています。 少子化対策については、国レベルで検討されていますが、本市としてどのように考えておられるのか、お聞かせください。 2月に入って、各市の平成12年度予算が発表されました。それによりますと、各市共通して厳しい財政状態であることが分かります。歳出の区分けについては、都市によって異なり、同列に比較することは問題があろうと思いますが、気になる点につきお伺いをいたします。 まず、総予算に対する民生費でありますが、神戸21.2パーセント、芦屋13.6パーセント、西宮23.8パーセント、伊丹25.4パーセント、宝塚24.6パーセント、尼崎31.3パーセントとなっています。この数字を見る限り、尼崎の民生費比率は阪神間でいちばん高く、それも大きな差を持っていると思うのですが、この主な原因は何とお考えでしょうか。お伺いをいたします。 この数字は、手厚い福祉のまちを象徴しているのでしょうか。あるいは生活に苦しむ市民が多いことを示しているのでしょうか。御見解をお聞かせください。 続いて教育費についてですが、神戸10.7パーセント、芦屋12.2パーセント、西宮13.0パーセント、伊丹10.9パーセント、宝塚13.3パーセント、尼崎10.2パーセントとなり、教育費比率では、その差はわずかではありますが、最低となっています。市立尼崎高校の建設が一段落したことによるものと思いますが、市長の公約である14パーセントとは程遠い数字であります。教育については、昨日小柳議員もおっしゃっておられましたが、サンデー毎日によりますと、学力が上がっているという御意見でありましたが、学力向上が今も市民の熱望であります。我々の未来を託する子どもたちを教育するのですから、手厚い配慮があってしかるべきと思いますが、他市の数字も参考にして、本市の教育費について御見解をお伺いいたします。 お金だけの問題ではないことは承知しておりますが、補正予算においても減額修正されております。教育にかける市長の情熱をどこで感じればよいのでしょうか。私には分かりません。市長は、市政については経験が豊富で、しかも教育に精通されているので、教育については他市の市長以上に思いがおありのことと思います。スポーツ向上以外にどのような点に重点を置き、執行しようとされるのか、御見解をお伺いいたします。 以上で第1問を終わります。(拍手) ○議長(中川日出和君) 答弁を求めます。 宮田市長。    (宮田良雄君 登壇) ◎市長(宮田良雄君) それでは、騰議員の代表質疑に対しまして、順次お答え申し上げます。 まず、財政問題についてでございます。 現下の非常に厳しい財政状況に対しまして、職員の認識を深めるため、昨年秋からの収支均衡確保対策の取組みや平成12年度予算編成を通じまして、全職員に周知徹底を図ったところでございます。また、庁議などにおきまして、私から各局室長に対しまして、職員への指導や周知を指示いたしておりますが、今後も更に浸透を図ってまいりたいと考えております。 次に、財政再建についてのお尋ねでございますが、21世紀のまちづくりの礎を築いてまいりますために、現下の危機的な財政状況を克服し、行財政基盤を確立していくことは、何よりも急がれるべき喫緊の課題であると考えております。財政再建の道筋といたしましては、当面の緊急対策と抜本的改革との両面から推進していく必要がございますので、新たな体制整備を図りながら全力で取り組んでまいります。具体策などにつきましては、現在内部検討を進めているところでございますが、新年度のできるだけ早い時期に明らかにしてまいりたいと考えております。 次に、私が施政方針で申し上げました行政改革についてのお尋ねでございます。 今後のまちづくりにおきましては、限られた財源のもとで、都市の魅力と活力の再生、少子高齢化社会や多様化する市民ニーズなど、新しい時代の要請に的確にこたえていく必要がございますので、市民の皆様が安心して、心豊かに暮らしていける尼崎を築きますために、まちづくりを支える行財政基盤を確立し、将来に向けての確固たる道筋をつけていくものでございます。 また、本市では、文化財をはじめ産業遺産や運河、河川などの自然環境、また製造業に代表される産業技術が集積しておりますとともに、多くの都市基盤や施設などが整備、蓄積された成熟した都市であります。そして、これまでのまちづくりを通して多くの人材が育ち、産業技術やまちづくりのノウハウが継承されてきており、これらのものすべてを資源としてとらえております。また、本市は古くからまちが形成され、交通の要衝として発展してまいりましたし、とりわけ産業都市として、近代日本を飛躍させる大きな原動力となってまいりましたが、このことは、歴史的にも地理的にも本市が潜在的な発展可能性を有しており、それらが生かされてきた結果であると考えております。その意味から、大きな時代の転換期にある現在、改めてこうした本市の有する資源や発展可能性を見つめ直し、新しい世紀に向けての方向性を見いだしていく必要があるとの考えを申し上げましたものでございます。 次に、明るくさわやかな都市像についてでございます。 私は、まちのよさが陰に隠れ、とかく過去のマイナスイメージに色を塗られるこの尼崎を、市民とともに明るくさわやかなまちにイメージチェンジしようということを心から念願いたしております。そのために、まず目に見える環境面からのさわやかさの創出をめざしまして、そして次のステップとして四季の移ろいが感じ取れる水と緑の豊かな環境のもとで、自然や人との触れ合い、文化やスポーツ、地域活動など、さまざまな活動を通して感動や生きがいを感じることができ、市民がわがまちとして誇りを持つことができるまちを実現していこうとするものでございます。明るくさわやかなまちとは、このようなまちをイメージしているものでございます。端的に明るくさわやかとはどういうことかと言われますと、これは言葉の持つ意味、概念を感性を含めた場合には一言では申し上げにくいと思います。暗くうっとうしいということはどういうことかと言われますと、これもまた申し上げにくいというような感じもいたしておりますが、今申し上げましたような姿、形をもって明るくさわやかなと、こういうことをイメージしているものでございます。 次に、職員の研修についてでございますが、御指摘の政策課題研修は、職員の自由な発想で市政の課題や都市問題等について調査研究してきたものでございまして、地域力の研究やインターネットの活用などについては、貴重な提言として政策に反映してまいりました。今後とも若手職員を中心とした政策課題や自己啓発グループ研修などを充実させまして、それらの研究成果や提言につきましては、積極的に政策に取り入れてまいりたいと考えております。 次に、財政や資産状況の公開についてでございます。 さきほど仙波議員にもお答えしましたように、複式簿記や連結会計の採用につきましては、現行の法制度上困難ではございますが、国などの動向を注視いたしますとともに、その可能性などについて研究してまいりたいと考えております。なお、市民の方々に対しまして、今後とも積極的に分かりやすい財政状況の提供を行いますとともに、十分な説明に努めてまいります。 次に、市民運動についてのお尋ねでございます。 本市におきましては、10万人わがまちクリーン運動をはじめとするさまざまな事業を市民運動推進委員会をはじめ各種団体や多くの市民、事業者の方々の御参加を得て実施をいたしております。このような市民運動を続けてまいります中で、わがまち意識が芽生え、自分の地域に愛着を持ち、自分たちのものとして住みよいまちにするという問題意識が芽生えてくるものと考えております。 次に、地域活動と市民運動との御質問につきましては、地域活動は、地域住民が個々の地域の特性に応じた課題に住民自らが自主的に取り組むものでございまして、市民運動は、幅広く大きな共通課題に取り組んでいくものとそれぞれ考えておりますが、いずれにいたしましても、本市がめざしております協働のまちづくりには、地域活動と市民運動が相まっていくものでございまして、大きな目的では同じであるように考えております。 次に、市民運動を高めるための方策についてでございます。 これからのまちづくりは地域力の創造が不可欠であり、そのためには、協働の取組みが最も重要と考えております。この協働作業を通じまして、市民、事業者、行政が連携を深め、共通の課題にお互い知恵を出し合い、汗を流し、共に学び、共に変わっていくものであり、そのことがひいてはお互いの向上につながっていくものと考えております。今後とも地域への積極的な情報提供や市民の皆さんが自主的に参加していただける機会を提供するように、創意工夫に努めてまいります。 次に、雇用対策についてのお尋ねでございます。 労働雇用政策につきましては、市行政で対応するにはおのずと限界がございますが、本市ではこれまで、シルバー人材センターや中高年事業株式会社を通じまして、中高年齢者の雇用、就職の拡大に努めているところでございます。加えて厳しい雇用状況が続く中で、国の緊急雇用対策に呼応した事業推進を図りますなど、国、県などと連携をいたしまして、本市の雇用促進に努めているところでございます。また、職業能力向上への支援策といたしましては、現在、国の資格取得支援制度を補完する市独自の奨励金支給制度を実施しているところでございます。 なお、お尋ねのパート労働者の動向は、職安の調査によりますと、就職状況で対前年度比約23パーセント程度増加しているということでございます。 次に、ワークシェアリングについてでございます。 ワークシェアリングにつきましては、現在の厳しい社会情勢の中で、各分野において論議がなされておりまして、今後における業務確保の在り方の一手法として認識をいたしております。本市におきましても、今後任用の在り方について研究を行ってまいりたいと考えております。また、兵庫県が計画をしておりますワークシェアリングの手法についても、併せて研究を重ねてまいりたいと思っております。 次に、児童虐待についてでございます。 近年、その実態が表面化いたしますとともに、件数が増加してきておりまして、ゆゆしい問題と考えております。虐待を受けている児童の早期発見、早期対応、更に母親が抱えている問題の解決をめざしまして、保健、福祉の連携はもとより、教育機関や民生児童委員などとの連携など、あらゆる手段を講じております。今後とも関係機関の連携によります相談機能の充実、虐待防止の広報、啓発などの取組みに努めてまいります。 次に、女性問題についてのお尋ねでございます。 まず、男女共同参画基本条例についてでございますが、この条例につきましては、市民意識の動向や基本法との関係など、今後の検討を要する課題と考えております。 次に、女性行動計画策定についての進ちょく状況でございますが、これまで策定委員会におきましては、男女共同参画社会基本法の基本理念や少子高齢化など今日的課題に焦点を当てながら、御協議をいただいてまいりました。既に計画の基本理念や施策体系、主要課題など、骨格部分についての協議をおおむね終わりまして、今後最終的な取りまとめを行ってまいるところでございます。 次に、各種審議会への女性委員の登用についてのお尋ねでございます。 女性委員の登用率につきましては、審議会委員の改選時期に合わせまして、選出規定や選出区分、それから選出方法の見直しを行うなどいたしまして、さまざまな観点からの登用率の向上に向けた取組みを行ってまいっております。年次的に登用率が高まっておりますが、平成11年度4月1日現在で約17パーセントとなっております。今後とも引き続きまして30パーセントに向けての積極的な取組みを進めてまいりたいと存じます。 次に、少子化対策についてでございます。 御指摘の就労環境づくりや多様な保育サービスの充実など、子育てと仕事の両立支援の環境づくりをはじめ、子育てを支えるコミュニティづくりなど、各方面からの取組みが必要でございます。本市といたしましては、エンゼルプランに基づきまして、各分野において、行政はもとより、市民、地域社会、企業などが協力をして少子化対策事業を推進してまいる考えでございます。 次に、財政に関するお尋ねでございます。 まず、民生費の構成比についてでございますが、民生費の構成比が阪神間各市に比べて高い主な要因でございますが、一般的な特徴といたしまして、保育所などの福祉施設数が多いこと、それから生活保護費などの扶助費の構成比が高いこと、それから、市バス特別乗車証交付などの市単独事業費が高いことなどが挙げられます。いずれにいたしましても、民生費の構成比率をもって他都市と比較することにつきましては、各市それぞれの地域の特性、また人口構成や行政サービスの内容などが相違いたしますために、単純にその性格を判断することはできないのではないかと考えております。 次に、教育予算についての私の考えと教育の重点施策についてでございます。 教育行政の推進に当たりましては、まちづくりは人づくりという基本理念のもとに、その充実、向上に努めてまいりました。12年度におきましては、極めて厳しい財政状況にありましたけれども、尼崎高等学校体育科の開設やスポーツのまち尼崎フェスティバルなどのスポーツ振興施策以外に、学力向上対策、学校の適正規模、適正配置についての具体的な検討、新学習指導要領に対応した情報教育の推進、心の教育の充実や良好な学習環境の整備などに重点配分を行ったところでございます。今後とも新しい時代に柔軟に対応しうるようなさまざまな人材が育つように、更に努力をしてまいりたいと考えております。 以上で騰議員に対します第1問目の答弁を終わらせていただきます。 教育に係ります問題につきましては、教育委員会から答弁いたさせますので、よろしくお願い申し上げます。 ○議長(中川日出和君) 小林教育長。 ◎教育長(小林巖君) 市内の尼崎市立の女子高校生の就職状況についてでございますが、近年、不況の中、高卒の新規学卒者の、とりわけ女子生徒の就職状況につきましては、私といたしましてもたいへん心配しておるところでございます。2月25日現在の女子生徒の就職状況は、市立尼崎高校は100パーセント、産業高校では93パーセント、東高校では75パーセント、また定時制の城内高校では、女子の就職希望者の7人中5人が内定しております。今後進路変更する生徒も出てまいりますが、明日3月3日には、25社が参加する神戸地域就職面接会もあり、更に学校と関係機関との連係を密にして、最終的に希望者全員の就職が可能となるように努めてまいりたいと思います。 以上でございます。 ○議長(中川日出和君) 騰和美君。    (騰 和美君 登壇) ◆1番(騰和美君) 女子の就職率がすごくいいので、ほんとうに教育委員会の方々が御苦労されたことが数に出てよかったなと思います。ただ、東高校75パーセントというのは、これからの問題でもありましょうが、なんとか100パーセントになるように御努力をお願いしたいと思います。 では、教育につきましてお伺いをいたします。 内閣総理大臣の施政方針の中でも、教育問題の取組みが第一に挙げられました。昨年来、中央教育審議会や各種小委員会におきまして、問題点や解決すべき点が提案されました。また、教職員組合研究集会でも、教育現場における教師たちの苦悩が出されています。私は、教育について論じる確かな能力を持ちえていませんが、人間の在り方とか、特に子どもの状況については、このままでいいのかと危ぐしています。ずいぶん昔から、子どもたちの遊ぶ姿がまちから消えたと言われています。遊びが屋内のテレビゲームになり、兄弟も少なく、子ども部屋が与えられ、ひとり遊びが中心で、兄弟、家族との触れ合い、競い合いもなく、いったんけんかともなれば、どこまで争うか程度が分からず、命にかかわるところまで行き着く子ども、切れる子ども、耐えることのできない子、我々では理解できない子どもが増えてきました。家に引きこもる青少年、パラサイトシングルと呼ばれている青少年は、全国に100万人はいると言われています。文部省では、新年度から、学校教育法施行規則を改め、教員免許がない民間人を校長や教頭に登用する道を開くほか、学校評議員制度を導入して、地域住民が学校運営に参画することを法的に認めています。学校が、徐々にですが、閉鎖的な聖域ではなくなりつつありますが、地域から見ると、まだまだ聖域であります。この規則では、職員会議は校長が主宰すると明文化されていますが、このことについて、一部に反対があると聞いています。校長の管理が強まるとの意見があるようですが、学校に責任を持つためには、校長の権限は必要なことであると思います。 更に、東京都では、公立学校の自由選択制が始まっていますが、予想を超える新入生が集まった学校があれば、予定を下回った学校が出たりしていますが、こうした学校の革命的な変革をどのように受け止めているのか、また、個性化、特色化をどのように見るのか、御所見をお聞かせください。 小中学校適正規模検討委員会で、子どもたちの多くが周りの人たちと触れ合うことが少なく、子どもは人間関係が希薄なまま成長していると発言された先生がいました。子どもたち同士あるいは大人たちとの触れ合う機会が少ないのは、私たちもよく見ているところです。中教審でも、子ども同士がせっさたくまする機会が減っているとして、行事や部活動を複数の学校で実施したり、空き部屋を活用して触れ合う機会の創出を提言しています。ひとりよがりでなく、他者の存在を体感させることは重要です。また、家庭教育の問題点も明らかになりました。文部省の調査によると、うそをつかないようにしなさいと教える父親は、アメリカ78パーセント、イギリス78パーセント、ドイツ58パーセント、韓国73パーセント、日本29パーセントとなって、日本の父親は極端に子どもに注意をしていないことが分かります。また、母親では、アメリカ79パーセント、イギリス82パーセント、ドイツ63パーセント、日本は41パーセントとなり、母親も他国に比べ、子どもにあまり注意をしないのがあらわれています。道徳や正義感を教える、いじめを注意したという項目では、アメリカ48パーセント、イギリス44パーセント、ドイツ53パーセント、韓国39パーセント、日本は22パーセントとなり、この面についても、他人への思いやりを教えたり、してはいけないことを教えない家庭が多いことが分かります。この問題についての文部省でのコメントでは、国により文化的、歴史的な違いがあるが、家庭が教育機能を失っていることを深刻に受け止め、各家庭でのしつけを大事にする政策を進めたいとコメントをしています。 そこでお伺いしますが、この見解に対してどのような感想をお持ちでしょうか。お聞かせください。 子どもたちがより多くの人たちとせっさたくまする機会を増やすために、どのような施策が考えられるか、お伺いをいたします。 また、文部省も必要性を認めていますが、単位育友会を中心にかつて行われていた家庭教育学級を復活させる考えはありませんか。お伺いをいたします。 次に、高等学校の問題について二、三お尋ねいたします。 まず、学校の施設整備についてでありますが、御存じのように、市立尼崎高校については、震災で校舎が全壊し、生徒たちには3年間にわたって不便な施設での授業をしてきましたが、結果として、平成10年には高層の新校舎が完成するとともに、本年度には体育科の開設となり、全国でも例を見ない整備が着々と進められていますが、尼崎東高校及び尼崎産業高校の施設の劣化が目立ち、関係住民からも、同じ市立高校でありながら、この差がありすぎるのではないかとの声を聞くようになりました。教育委員会として、この2校の施設整備について、今後どのように対処していかれるのか、基本的なお考えをお聞かせください。 次に、新学習指導要領にかかわる新たな教科等への対応についてお尋ねをいたします。 新たな学習指導要領では、英語と情報科が必須となり、特に情報科については、現在専門の教師がいないことから、特別の研修を行うことになり、教師に免許を与えると聞き及んでおりますが、具体的に本市としてどのように対応するのか、お答えください。 また、新学習指導要領では、国際文化や福祉関係の学科などの新たな教科についても触れられていると思いますが、こうした新たな教科について、尼崎市としての取組みについて、その基本的な考えをお聞かせください。 次に、環境問題についてお伺いをいたします。 環境問題では、先日尼崎公害訴訟は原告完全勝利となりましたが、国、道路公団の控訴、続いて原告団も控訴となり、原告団の方々は更なる闘いを強いられることとなりました。排ガスと健康の因果関係を認め、汚染物質の排出差止めを命じたことは、画期的な判決であったと思っています。今日まで43号線の排気ガスについての対策は、国、道路公団だけではなく、本市も取り組んでこられたことと思いますが、原告の皆さんが苦しい状態から一日も早く解放されるよう願うところであります。 東京都の石原知事は、ディーゼル車の都内乗り入れに規制をかけると聞いています。車による排気ガスの問題は、国、道路公団が解決すべき問題でありましょうが、今市内に苦しんでいる住民がいるのですから、所在地の責任者としてなんらかの対策を講じるべきだと思いますが、どのようなお考えか、お聞かせください。 あまりにも有名になった公害都市尼崎、この名を払しょくするためには、環境都市を旗印として、まちづくりに産業、工業の再構築、健康づくりなどに全市を挙げて取り組むことが必要であると思います。現在、ゼロエミッションが注目されています。廃棄物ゼロをめざすものですが、機器等の開発が進み、産業として採算が取れるという例が出てきました。本市は中小零細企業が主流となっているので、数社が合同して起業化することが可能であると思います。 そこでお伺いしますが、ゼロエミッション構想について、本市の姿勢やお考えをお聞かせください。 環境先進国ドイツを訪れ、帰国された人からの話ですが、ドイツの国民は、質実剛健、考え方として、いいものを長く使う、物をたいせつに使っているそうです。化石燃料による発電は電気料金が安いけれども、料金が高額になっても、クリーンなエネルギー、すなわち太陽光や水力、風力など、自然エネルギーで発電した電気を使いたい。そのためには、自然エネルギー発電への転換に協力を惜しまない気概を持っているといいます。既にドイツでは、原子力発電所の建設はしないと決めており、失った自然は取り戻すことはできないことから、自然破壊に手を貸さないという意識が高いなどとの感想を聞きました。また、ドイツなど北欧諸国では、子どもたちへの環境教育が盛んで、小さなときから環境を体で教え、生活の中で自然とのかかわりや環境について教育をしています。私たちは、今、環境を守り、子に、孫に命のグランドを残さなければならない責任があります。 さて、新築された市立尼崎高校には、太陽光発電装置が設置されていますが、できることならば、学校全体の電力が賄えるほどの発電装置を設置すべきであったのではないかと思います。国内では、風力発電に取り組む地方自治体が増え、中でも環境先進県を標ぼうする三重県は、県民運動を環境に絞っています。久居市では、風力発電により、年間1億円の売電収入を見込んでいます。自然エネルギーの開発はさまざまな分野で盛んで、新たな展開が予想されています。現在は価格が高いことがネックとなっていますが、環境を守る立場から進めるべきことだと思います。 小柳議員が提案されましたが、将来、風力、太陽炉など、自然エネルギーの導入などに取り組む考えはあるのか、お伺いをいたします。 宮田市長はドイツを訪問され、アウクスブルク市との交流の機会が多いことと思いますが、ドイツの自然環境に対する姿勢や環境教育などを見聞されたことと思います。御感想をお聞かせください。 また、本市のイメージチェンジのために、そして産業再生のためには、環境がキーワードになるかと考えますが、併せてお答えください。 最後に、都市イメージについてお伺いをいたします。 市長は、尼崎に生まれ、育っておられるので、このまちを愛し、長年尼崎市に奉職されていたこともあって、まちのことをよく御存じのことと思います。私は、神戸の和田岬で生まれましたが、近くにある中之島は清盛が造成したところで、築島、中之島などの地名が残っています。出身高校のすぐ東には腕塚町があって、薩摩守忠度が腕を切り落とされた場所が地名となって残っています。自分が生まれたこの地に、平家物語に登場する人物が一時にせよ住んだということが誇らしく思ったものです。 この尼崎にも、義経がドラマチックに船出した大物ノ浦があり、秀吉が逃げ込んだ広徳寺があります。私の住む潮江でも、再開発のとき猪名庄遺跡が発掘され、その年の十指に入る発見と話題を呼んだものでした。猪名庄は奈良東大寺の荘園で、そこで収穫された作物が東大寺へ納められていました。この遺跡のあったところの地名は、潮江字東大寺で、奈良東大寺とのゆかりがあることを示しています。歴史的なものや伝承された文物などは、その地にだけ残る固有のもので、他市がまねることのできない独自のものであります。そして、歴史や伝承の価値は、優劣をつけられるものではありません。 数年前未来協会が、フォークロア、すなわち土地に残る言い伝えや伝承を集める作業をされたことがありました。また、小田、大庄などで歴史写真集を出版されましたし、最近では、杭瀬地区で郷土史が編さんされたと聞いています。尼崎市史は13巻あり、関連する歴史書を加えると20巻に届くほどで、内容も専門家からは高く評価されています。現在、市史を読む会があって、市民が読み進み、同時に新しい編さんが始められています。 このように、尼崎市には、膨大な歴史書にいっぱい詰められた多くの歴史があり、ここに住んだ人々の喜びや悲しみが込められていると思うと、がんばった人々が住んだこのまちが誇らしく思います。こうした歴史をまちづくりに生かすべきと思います。大阪市では、住居表示の変更によって消えていく町名を、小さな碑文ですが、これをどう呼称されているのか分かりませんが、町跡碑として残して、ここに住んだ人たちのあかしを次世代に伝えています。時代の変遷によって町名変更があり、小字名が次々と消えていきます。小さな歴史をたいせつにすることが、土地に愛着を持つことにつながっていると思います。大阪市の例のように歴史をたいせつにするまちづくりとは、街角に歴史のあかしを表示することによって人々に知らせ、先人から無言の教育を受け継ぐことで、我がまちの誇りとなり、落ち着いたまちづくり、更に都市イメージをつくっていくのではないかと思っています。 尼崎が城下町であったことは、案外知られていません。青年会議所の有志が琴浦城の再建を提唱されていると聞きますが、今後建設が予定されている歴史博物館は、琴浦城のイメージをデザインされてはどうでしょう。名所となると思います。 先人を敬い、歴史に学ぶことが人格形成に有益と思います。市長が替わるたびにキャッチフレーズが変わっては、イメージは定着しません。尼崎のまちは変わることのない歴史を継承し、歴史が財産であると位置づけ、市民の誇りであるという強力なキャンペーンを実行してはどうでしょうか。お伺いをいたします。 尼崎市にとって歴史を生かすまちづくりはどのようなものか、お聞かせください。 最後に、近松について申し上げます。 近松門左衛門は、世界的な文豪シェークスピアと並ぶ作者として有名であることは、御承知のとおりです。市制70周年を機に、尼崎市のイメージチェンジとして文化活動のキーワードとなり、近松ナウ事業として続けられています。近松と言えば心中、そして暗いイメージと即座に答える向きがありますが、近松が生きた時代は、士農工商の厳しい身分制度があり、その中でいちばん下層と位置づけられていた商人や町人、更に下であった女性、遊女にスポットを当て、弱い立場の人々であっても人間らしい情感を持って懸命に生き、義理と人情のはざまで葛藤した生きざまを描いた作者であると思っています。近松の持っていた普遍的な人間愛が作品の中に流れ、これが今も読者をひきつけているのだと思います。 庶民のまち、人情豊かなまちである尼崎が近松を選んだことは正解であります。近松は人間性をこよなく愛した人であったことを市民の誇りとして知らせるべきだと思っています。これからも園田学園女子大学の近松研究所や市民の方々と共同した展開を期待したいと思っています。 聞こうと努力しないと聞けない声がありますと言います。声なき市民の声を聞き、市民の負託にこたえる市、市政執行を期待して、清風会の代表質疑を終わります。 細部や不問である回答につきましては、同僚議員が総括質疑をいたします。 長時間にわたりまして、どうもありがとうございました。(拍手) ○議長(中川日出和君) 答弁を求めます。 宮田市長。    (宮田良雄君 登壇) ◎市長(宮田良雄君) それでは、騰議員の第2問目の御質疑に対しまして、順次お答えを申し上げます。 環境問題についてのお尋ねでございます。 まず、道路公害訴訟についてでございます。さきにもお答えいたしましたように、このたびの判決は、ディーゼル車に対する規制の在り方が問われたものでありまして、これらの対策につきましては、広域的な観点からディーゼル車の排ガス規制、自動車交通総量の抑制、沿道対策の実施などを国等関係機関へ要望してまいります。今も要望をいたしております。今後とも自治体、企業、市民が一体となって広く連帯を図りながら、その対策の実施を国に強く働きかけてまいりたいと考えております。 次に、ゼロエミッション構想についてでございます。 この基本理念は、産業活動からの廃棄物を他の産業分野の原材料として活用し、廃棄物をゼロにすることを目的とするものでありまして、新しい資源循環型社会を構築するものでございます。本市におきましても、産業活動にとってゼロエミッション構想の基本的な考え方に沿った廃棄物問題への対応が図られることがたいへん重要であると考えております。 次に、自然エネルギー問題についてでございます。 自然エネルギーの活用は、地球環境対策、温暖化対策の推進や資源保護などの視点から、重要な課題であると認識をいたしております。本市におきましても、既に実用化されております太陽光発電につきましては、さきほども言われましたように、市立尼崎高等学校や久々知住宅1号棟などに採用いたしております。また、太陽熱利用システムは、サンシビックの温水プールをはじめ、本年4月に開設いたします市立尼崎高等学校の第2体育館にも導入をいたしております。今後とも自然エネルギーの活用につきましては、技術の進展やその効果などを勘案しながら推進してまいりたいと考えております。 次に、ドイツの自然環境など、私のドイツを視察いたしました感想についてでございますが、私は、アウクスブルク市を訪問いたしましたとき、廃棄物再利用センター、それから廃棄物研究所などの環境施設を視察してまいりましたが、これらの最先端技術もさることながら、ホテルでさえシャンプーなどを置かず、石けんしかないことや、ビールや清涼飲料水も瓶詰めが大部分を占めておりまして、環境保護のためには多少の不便もいとわないという市民の意識が徹底しておりますことが印象に残っております。本市の環境問題につきましても、行政の努力とともに、市民一人ひとりの取組みが、これまたたいせつであると認識いたしております。 次に、イメージチェンジと産業再生への環境問題の役割についてのお尋ねでございます。 事業活動に伴います環境負荷の低減や環境保全活動への取組みなどが企業の存続の条件になりつつあります今日の社会情勢を見ますと、こうした環境への配慮を自主的、積極的に行うことが、今後産業の再生、発展にもつながり、ひいては明るくさわやかなまち尼崎へのイメージチェンジに大きく寄与するものと考えております。 次に、歴史を生かすまちづくりについてのお尋ねでございます。 私は、昨日も市民の皆さんが誇りを持って暮らせるまちをめざしたい、そのためには、わがまち意識の醸成がたいせつであると申し上げてまいりました。本市の歴史は、どこのまちにもない個性であり、また、先人が築いた貴重な財産でございます。まちの歴史やその手掛かりとなる地域に残された資産をたいせつにすることは、わがまち意識につながる重要な要素であると考えております。こうしたことから、近松のまちキャンペーンなども続けてまいりましたが、12年度には、あまがさきミレニアム事業として、未来に引き継いでいきたい尼崎の遺産を市民の皆さんとともに選定をし、そして顕彰してまいりたいと考えております。 以上で騰議員の代表質疑に対します答弁を終わらせていただきます。 教育に係ります問題につきましては、教育委員会から答弁いたさせますので、よろしくお願い申し上げます。 ○議長(中川日出和君) 小林教育長。 ◎教育長(小林巖君) 教育の問題について、順次お答えいたします。 まず、学校の革命的な改革をどう受け止め、個性化、特色化をどう見るかということについてでございますが、今、教育は第3の教育改革と言われる時期を迎えており、教育への民間人の登用、また開かれた学校づくりの一環としての学校評議員制度の導入など、いろいろな考え方や対策が示されております。また、平成14年度から実施の学習指導要領におきましても、総合的な学習の時間が新設され、地域の特色を生かした個性的な教育を展開していくことをめざしております。 本市におきましても、21世紀の教育を展望して、的確、適正に対応していくことがたいせつであり、教育に携わる者すべてが、それぞれの立場で英知を出し合って、新しい教育を築いてまいりたいと考えております。 次に、家庭でのしつけについて、また子どもたちのせっさたくまする機会、そして家庭学級の復活の3点についてでございますが、さきほども御答弁いたしましたように、子どもの教育としつけは、やはり小さい時期がたいせつであると言われておりますし、そのためにも、子どもの基本的なしつけは、それぞれの家庭における教育方針に基づいて、第一義的には家庭で行われるべきものであり、それを支援する立場として、行政の役割も大きいと存じます。また、子どもたちが異世代でせっさたくまする機会が著しく減少している中で、学校や地域社会において異世代が触れ合い、体験を共有する事業、例えばスポーツ少年団、少年音楽隊、子ども会活動などへの支援や生活体験教室など、幅広い分野で展開してまいりたいと考えております。 更に、これまで家庭教育の支援事業としてかつてあった国や県の補助金が打ち切られてからも、この事業の重要性から、子育て学級として継続し、これまでの幅広い対象から、現在では幼児期の家庭教育の重要性に着目して事業を進めてきております。また、就労のため昼間学習できない保護者を対象に、夜間子育て学級も実施しております。このほか、単位の育友会やPTA連合会独自の学習活動等もございますので、教育委員会といたしましては、こうした自主的な活動と連携する中で、子育て学習活動の支援をしているところでございます。 次に、尼崎東高等学校と産業高校の施設整備についてでございますが、両校の整備につきましては、本年度の場合、尼崎東高校にはエレベーターを設置し、尼崎産業高校においては、体育館の外壁改修などを実施しております。来年度につきましても、尼崎東高校で体育館、尼崎産業高校では商業科棟の外壁などの大規模な改修を予定しているところでございます。申すまでもなく、学校施設は児童生徒が学校生活を送る上で重要なものであり、その状況を常に把握しながら、学校長と協議して、今後とも整備に努めてまいりたいと考えております。 最後に、高等学校における学習指導要領の対応についてでございますが、まず、高等学校の情報教育の件につきましては、本市の場合、既に選択科目として実施しておりましたので、必須科目への移行もスムーズに行えるものと考えております。 次に、情報科の教員免許につきましては、今年4月から県教育委員会が実施する免許取得講習会に教員の参加を求めることで解決していきたいと存じます。 更に、国際文化や福祉等の新しい教科、科目につきましては、現在各高等学校においてその導入を検討しておりますので、今後ともそれぞれの学校の活性化、特色づくりに努力してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(中川日出和君) 騰和美君の質疑は終わりました。 お諮りいたします。 本日はこの程度にとどめ、残余の議事は延期いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。    (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○議長(中川日出和君) 異議なしと認めます。 よって、本日はこの程度にとどめ、残余の議事は延期することに決定いたしました。 以上をもって本日の日程は終了いたしました。 明3日は、本日の議事日程を踏襲し、午前10時から会議を開きます。ついては、ただいま出席の諸君には改めて通知はいたしませんから、御了承願います。 本日は、これをもって散会いたします。    (午後3時59分 散会)---------------------------------------議長      中川日出和副議長     塩見幸治議員      小田原良雄議員      北 和子...