委 員 森 山 由美子 委 員 村 上 ひとし
委 員 田 中 啓 介 委 員 佐々木 明 美
委 員 佐 藤 綾 委 員 石 川 さわ子
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開 議 午後1時
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○池田由美 委員長 ただいまから、第一部
予算特別委員会を開会いたします。
報告事項は、特にございません。
それでは、議事に入ります。
本委員会に付託されました全案件に対する討論を行います。
◆小須田ともひろ 委員 私は、ただいまから、
自由民主党議員会を代表して、第一部
予算特別委員会に付託されました令和2年度
予算案並びにその他諸議案について賛成する立場で、簡潔に討論を行います。
最初に、札幌市の今後の発展に大きな影響を及ぼすおそれのある
新型コロナウイルス対策について、あらゆる手段を講じて、市民の命を守り、地域の経済を支える対策を強力に推進することを改めて強く求めます。
先月14日、本市在住の方の感染が確認されて以来、道内においても急激に感染者が増加し、2月28日の北海道における
緊急事態宣言を受け、学校等の休業や
各種イベントの中止、住民の不要不急の外出の自粛など、
感染防止に向け、これまでにない措置が取られてきました。
国も、感染の拡大を防ぐため、
検査体制の充実や、ワクチン、治療薬の開発に力を注いでおり、さらに、必要な衛生用品の確保やマスクの転売禁止など、これまでにない対策を講じるとともに、経済への影響を極力少なくするための
融資制度等の
経済対策を強力に進めております。
本市においても、北海道と同様に、
感染拡大防止に向け、学校等の
臨時休業を行うとともに、
医療体制の確保や
相談体制の充実を図るなど積極的な対応を図っているものの、現段階において予断を許さない状況が続いております。
このようなことから、我が会派は、今議会の代表質問をはじめ、
予算特別委員会の中で、
感染防止に向けた対策の強化はもちろん、
各種イベント等の中止や延期に伴う
市内経済への影響への対策について質問し、さらに、3月19日には市長宛てに
新型コロナウイルス対策についての
緊急要請を行ったところであります。
今回の感染症の世界的な拡大は、改めて言うまでもなく、市民の生活や
本市経済にも深刻な打撃を与えているものであり、また、延期となりました
東京オリンピック・
パラリンピックの開催、さらには、本市の目指す
冬季オリンピック・
パラリンピック招致への影響も懸念されるものであります。
こういった極めて切迫した状況下で、感染症の早期収束に向けた速やかかつ的確な対応を求め、
市民生活や経済への影響を最小限に食い止めていくためには、本市の中に指示系統が明確な
危機管理体制を組織し、全市一丸となって対策を講じ、情報を整理、発信するなどしていくことが特に必要です。その上で、
市立札幌病院を含めた保健・医療部門の
体制強化や、各種の経済、観光、
中小企業対策の強化などを、市長のリーダーシップの下、関係する
各種団体とも緊密に連携を図りながら強力に推し進めるとともに、必要な
補正予算等を検討するなど積極的な対策に努め、この難局を打開するよう強く指摘しておきます。
次に、令和2年度の予算案についてであります。
我が会派は、昨年11月、
秋元市政2期目の最初の
本格予算である令和2年度予算の編成に向けて、特に、災害に強い
まちづくりへの対応と
地域経済の活性化を図り、住み続けたい
まち札幌を目指すため、本市が抱える重要な諸課題に対し、
スピード感を持って実行するよう
政策提言書を提出しております。
今回の令和2年度予算案は、昨年12月に策定された札幌市
まちづくり戦略ビジョン・
アクションプラン2019に盛り込んだ取組を着実に進めるための重要な予算であり、
一般会計の当初
予算規模としては、前年度比0.7%増の1兆295億円と過去最大となり、歳入面では、市税収入が、前年度から1.7%、57億円増の3,366億円を計上しております。また、
建設事業費では、国の
補正予算等を活用して予算を前倒し計上した分を含めた、いわゆる15カ月予算で前年度比7.9%、86億円増の1,180億円を確保するなど、これまでの
経済活性化に力点を置いた取組などが継続されているものと受け止められ、このような積極的な
予算編成の方向性について、一定評価するところであります。
しかしながら、歳出面では、
待機児童対策などに積極的に財源を配分してきた結果ではありますが、扶助費が前年度から4.3%、139億円増の3,367億円となっております。
義務的経費が
予算増大の大きな要因になることは、財政の硬直化を招くおそれがあり、決して手放しで喜ぶことはできないものであります。
また、今後、高齢化が加速し、扶助費のみならず、
介護保険会計をはじめとする
社会保障関係の
特別会計への繰出金が増加すると考えられ、昨年12月に公表された
中期財政フレームでは、
期間最終年度の令和4年度の
義務的経費が5,912億円であったものが、令和2年度予算案を反映させた
中期財政フレームの令和4年度の
義務的経費は6,015億円で、103億円も増加するとのことであります。
札幌市は、人口減少・超
高齢社会というこれまでに経験したことのない時代の転換期を迎えており、このような社会の変化に的確に対応し、長期的な財政の
持続可能性を見据えた上で、将来世代に責任ある
財政運営を堅持していくための大変重要な時期にあり、市長の手腕が大いに試されるところであります。
なお、財政局には、企業の
活性化対策でもある
入札制度の改善や、市税の
クレジットカード納付などによる
利用促進についても、引き続き検討するよう求めておきます。
それでは、我が会派として、本
特別委員会の質疑を通じて指摘しました事業や懸案事項の主要なものについて、
政策提言書の項目に沿って述べてまいります。
最初に、新たな
都市づくりについてであります。
まず、
まちづくり政策局に係る札幌駅周辺の
まちづくりについてでありますが、北5西1街区と創成川を挟んだ北5東1街区との連携による一体的な
町並み形成や、
都心アクセス道路の
構造決定等に伴う札幌駅からの2次交通の在り方など、
北海道新幹線札幌開業時の札幌の顔としての利便性の向上と
にぎわい創出について
十分検討を重ねるよう強く求めておきます。
また、丘珠空港の活性化や旧
白石区役所跡地の利活用など、集客交流及び
地域交流拠点としての整備についても、
地域活性化の役割を
十分検討し、積極的に推進を図るべきと考えます。
さらに、
市民文化局に係る地域の
まちづくりでは、町内会に関する条例の見直しや再犯防止に関する取組などについて、十分に
市民理解を深め、
地域環境の充実に努めるべきと考えます。
また、
観光振興にもつながります
博物館建設については、展示内容の充実とともに、教育の場としての位置づけも念頭に置いて事業を推進することを強く望むところであります。
次に、
子育て環境や
教育環境の充実についてです。
まず、
子ども未来局に係る
児童虐待への対応については、今月11日に公表された
検証報告書で提言されたことを踏まえ、第2
児童相談所と
児童相談体制の強化が求められていることから、各区の
相談支援体制の強化と一時保護後の
支援体制としての
児童養護施設や里親等の
社会的養護体制の整備について、体制を強化するよう指摘いたします。
また、
教育委員会関係では、
新型コロナウイルス感染症の
拡大防止による小・中学校の
臨時休業校に伴い、学習機会の確保についてきめ細やかな対応を行うことが重要であること、
高等学校段階の病気療養中の生徒に対する
遠隔教育について、ICTを活用した
教育保障体制の整備を推進すること、帰国・
外国人児童生徒への
日本語指導など、
教育環境の改善について課題認識を持って取り組むよう求めておきます。
次に、
都市環境と防災のうち、消防局に係る点については、
消防隊員の現場経験の減や経験豊富な団塊世代の大量退職による消防力の低下が懸念されることから、
消防訓練装置を活用した実践的な訓練を実施し、消防力の向上と職員の育成に努めるとともに、
消防団員の入団促進への取組や、
東京オリンピック大会における消防局の取組についても、市民の安心・安全を守るため、充実強化を望むところであります。
さらに、
危機管理対策室においては、
地震被害想定の検証による防災力の強靱化の取組に努めるとともに、環境局に係るヒグマの
市街地侵入抑制策については、
地域ぐるみの
電気柵設置促進について
十分検討し、
市民周知を図ることを求めます。
以上、内容のみ述べさせていただきましたが、このほか、本
特別委員会において、我が会派が質問し、留意すべき点や指摘しました内容について十分参酌され、
スピード感を持って今後の
事務事業の執行に当たられますよう強く求めて、討論を終わります。(拍手)
◆田島央一 委員 私は、
民主市民連合を代表して、本
予算特別委員会に付託されました2020年度各
会計予算案及び諸議案について賛成の立場で、討論をいたします。
本市の2020年度予算は、
秋元市政2期目における初めての
本格予算であり、札幌市
まちづくり戦略ビジョン・
アクションプラン2019に掲げた
計画事業を着実に実施し、公約に掲げた施策を実施していくための
スタートとなる重要な予算であると認識をしております。特に、昨年6月、
札幌市内において虐待により2歳女児が衰弱死する痛ましい事案もあり、
体制強化が求められている中、第2
児童相談所の整備について方向性が示されたところであります。
アクションプラン2019に掲げた
計画事業の約9割に着手した予算となった点は、我が会派としても大きく評価をしているところであります。
また、札幌市としては、
新型コロナウイルスの蔓延に伴う
緊急事態の宣言による外出自粛や一斉休校などの多方面にわたる影響により、経済が急激に冷え込み、今後は税収減も予想されます。
そのような状況下、
一般会計総額1兆295億円と過去最大規模の
予算計上になり、前年度比プラス1.2%を確保するとともに、昨年に引き続き、
臨時財政対策債を抑制するなどしており、今後も、将来世代に過度な負担を残すことのない、
財政バランスを考慮した
市政運営が求められます。我が会派としては、引き続き、札幌市の魅力と存在感を高め、
市民生活の向上を実現するため、議論を重ね、
政策提言を行っていくこととします。
それでは、第一部
予算特別委員会において、我が会派の委員が取り上げた各局の課題について、提言を含め、順次、述べてまいります。
まず初めに、財政局に関する課題です。
新年度から
総合評価落札方式に技術者を
評価項目に加えたことを評価します。今後は、札幌市独自の
最低制限価格の改善及び成績重視型の3年型への一本化と、舗装工事の入札では、工事に必要な機械を自社保有や
長期リースをしている企業が元請企業となるよう、
入札参加資格の見直しを求めます。
次に、
市民文化局に関する課題です。
札幌芸術賞や
札幌文化奨励賞などの
表彰制度については、札幌市を拠点に活躍する若い世代やより幅広い分野で多く推薦が上がり、受賞することができるよう周知を図り、現行の
表彰制度の改定や制度を新設することを求めます。
公的機関の広報物の中で使われている表現は、市民に大きな影響を与えます。特に、
性別役割分担に関わる表現など、
男女共同参画の視点は大変重要です。多様性を尊重し、
共生社会の実現に向けた広報の在り方について、全庁で取組を進めていくことを強く求めます。
札幌市が次世代の活動の
担い手育成を目的として
小学生向けに考案した
オリジナルゲームが、小学校1校の授業の教材として活用されました。次世代を担う
子どもたちが
まちづくり活動を身近に親しむことのできる環境をつくっていくためにも、希望する学校が増えた場合にしっかりと対応することを求めます。
地元文化団体と
舞台芸術創造事業に取り組むに当たっては、各団体の
代表者等と意見交換を行うとともに、同団体の
利用料軽減を求めていくべきです。
新型コロナウイルス感染症による公演中止・延期に伴う利用料金の払戻しは、3月20日以降も対象とし、
地元文化団体に無利子、無担保の融資と
指定管理者への財源補填をすることを求めます。
次世代型博物館の建設、整備を進めるに当たり、新たに学芸員や、既存の資料や標本などを保管、管理する標本士などを採用することを求めます。
次に、消防局に関する課題です。
ドローンについては、昨今の自然災害の猛威に大きな影響を受けていることなどを考えると、ドローンの活用を業務に生かすことは大変重要です。新しい知識や技術を積み重ねながら1年間行った実験、調査が、ぜひ、
有効活用につながるよう求めます。
次に、
危機管理対策室に関する課題です。
災害時に必要な情報が得られない状況を避けるため、多様な手法を活用し、情報を伝達する必要性が高い状況にあります。
緊急告知防災ラジオの導入に向け、優先度を考慮して早急な取組を求めます。
次に、総務局に関する課題です。
本市職員の採用試験においては、国や
民間企業に準じた初任給の改善を求めるとともに、保育士、現業職の分野においては、
受験者数の減少、
辞退者数の増加から、
社会人経験者の採用を拡充するために、年齢要件の撤廃を求めます。
あわせて、
会計年度任用職員も含め、
コロナウイルス対策関連で余儀なく発生した休暇や超過勤務、手当等への対応や見直しを求めます。
テレワークは、今後、多様な働き方に大きく貢献するものなので、多くの職場や職員が享受できる仕組みとすべきです。在宅勤務については、より働きやすい環境を整えることになり、職員の能力や生産性の向上、さらには、非常時の有効性という観点からも早急に実施することを求めます。
札幌市役所本庁舎では、残業命令の対象となる係長以下の職員は1,677名おり、1日当たりの平均残業時間は約4時間前後となっておりますので、職員の
健康管理に配慮し、今冬から暖房時間の延長をすることを求めます。
次に、環境局に関する課題です。
WTO対象の新
駒岡清掃工場の
総合評価落札方式に基づく
入札参加企業の提案書、
コンサルタント会社に委託した資料、書類など及び有識者の
選考検討委員会の
検討資料を議会に提出しなければ、一連の入札審査が公平、中立、透明、客観的に行われたか判断できないので、
関係資料等を速やかに提出することを強く求めます。
専用ごみステーションにおける
ごみ排出ルールを徹底するため、環境局として、入居者はもとより、所有者、
管理会社、管理人への
排出ルールの周知などを取り組むことを求めます。また、市内の大学等に呼びかけ、
仮称大学ごみ分別コンテストなどを企画することを求めます。
円山動物園の類人猿館の改修については、
絶滅危惧種である
ボルネオオランウータンの親子の
市民公開は、親子の生活が守られるよう配慮が必要です。新施設における
動物福祉や動物本来の生態に沿った
環境教育施設づくりと、効率的な動物園の運営が両立できるよう取り組むことを求めます。
次に、
まちづくり政策局に関する課題です。
AIを活用した
公共事業の最適化に関する研究については、今後、
ICT活用戦略を進める上でもその効果が期待されることから、人間でなければならない技術と、AIだからこその技術を融合させて、AIの技術を最大限に活用した
プログラム開発に向けた研究を深めることを求めます。
大通東1丁目・東2丁目の両街区の
まちづくりにおいては、東1丁目の地権者の協議が予定より遅れています。両街区は、大通周辺にとって重要な街区なので、相互に連携を図り、
創成東地区の
まちづくりの起点にふさわしい空間形成を目指すべきです。また、北5条西1丁目・西2丁目の再開発は、札幌に見合った適正な規模及び周辺との調和などを配慮した
まちづくりの観点を、
関係地権者に理解と協力を求めていくべきです。
次に、
子ども未来局に関する課題です。
子ども食堂などへの
補助制度については、利用しやすい制度となるよう、説明や助言を行うことを求めます。行政として
子ども食堂の活動実態をしっかり把握しながら、当事者や
関係団体等の声を反映した
支援制度となるよう、ホームページの改善など情報発信することを求めます。
男性の育児休暇の取得率が低いことから、次年度から変更される
取得助成金については、積極的な広報、周知を行うことが必要です。
ワーク・ライフ・バランスに関して、支援を行う
関係部署や機関や庁内が一体となって連携して取り組むことを求めます。
保育人材の確保に当たっては、喫緊の課題であります。
保育人材確保緊急対策等の
イメージアップ事業などが行われていますが、その都度、見直すことが重要です。小さな命を預かる保育士が安心して働き続けるために、札幌市として、保育士の残業時間、実態をしっかりと把握し、
課題解決に向けて早急に取り組むことを求めます。
次に、
教育委員会に関する課題です。
学校給食の食器を樹脂食器へ変更するに当たっては、計画的かつ的確な試作、検証を行うことを求めます。また、災害時における食器破損などの
危機管理の観点から、試行後は速やかに移行することを求めます。
特別支援学校に通学する
児童生徒への保護者常時付添いについては、
障害者差別解消法で求められている
合理的配慮と
保護者負担軽減の観点から、学則の見直しが必要です。当事者、保護者など関係者の声を丁寧に聞き取り、
課題解決に向け、取り組むことを求めます。
幼児教育支援員については、今後、5名増員し、15名にするとのことですが、支援員となるには10年前後の経験と能力を持った対象者から人選することから、将来を見据え、新規採用を基本に早期に実施することを求めます。
青少年科学館の
年間パスポート券は、同科学館のリニューアルに合わせ、2023年に実施することを求めます。
以上が、本委員会で我が会派に所属する各委員が提言、要望を交えて行った質疑です。市長をはじめ、各理事者におかれましては、各委員の指摘、提言については、今後、
市政運営に積極的に反映いただきますよう求めて、私からの討論を終わります。(拍手)
◆
森山由美子 委員 私は、ただいまから、
公明党議員会を代表し、本
特別委員会に付託されました令和2年度各
会計予算案及びその他の諸議案につきまして、これを賛成とする立場から、簡潔に討論を行います。
2020年代の幕開けとなる本年は、札幌の未来を開く重要な10年間の
スタート年であります。10年後の2030年は、持続可能な開発目標であるSDGsや
地球温暖化対策の国際的な枠組みであるパリ協定の目標年でもあります。また、本市においても、
北海道新幹線の
札幌延伸、
冬季オリパラの招致、まちの再開発など、大きな動きが集中的に進む10年であります。加えて、この10年間は、防災、減災や全
世代型社会保障の充実、さらに、
観光産業や医療、ITなど
先端技術分野の
産業振興策を大胆に推進し、
少子高齢化社会を支える産業基盤の強化や
社会資本整備を着実に進めていかねばなりません。
一方、昨年末から拡大が続いている
新型コロナウイルスは、いまだ収束の時期が見通せず、
市民生活や
市中経済に大きな影響を及ぼしております。札幌市としても、
感染拡大防止に努めるとともに、
市民生活への影響を最小限にとどめ、
経済活動を支える取組を進めていくことが必要であると考えます。
そのような中、令和2年度予算は、2期目となる
秋元市政の最初の
本格予算として、都市の強靱化や健康寿命の延伸、女性活躍の応援や子どもの見守り体制などのさらなる拡充を図るほか、
産業人材の育成や観光施策など、経済の活性化や世界としての
魅力づくりに取り組むこととして、
アクションプラン2019に盛り込んだ取組のうち、全体の9割に事業着手するものとして編成され、全会計で前年度比1.2%増の1兆6,709億円を計上しております。また、財政の
持続可能性の観点から、
中期財政フレームに基づく
予算編成を行いつつ、国と歩調を合わせ、令和2年1定
補正予算の
経済対策と一体的に編成する、いわゆる15カ月予算としており、今後10年間の
スタートとしては評価できるものであります。
それでは、本委員会を通じて、我が会派が取り上げてまいりました主な諸課題等について、順次、局別に提言、要望を含めて述べてまいります。
最初に、財政局です。
入札契約制度については、今後のインフラを維持するためには、建設業の
若手技術者が安心して働き、やりがいのある職場になるような処遇改善につながる施策が必要であります。しっかりと現場の声を聞きながら調査検討し、
入札制度改善の取組を進めていくことを要望いたします。
また、
財務会計システムの再構築については、前例にとらわれることなく、業務効率の改善や正確な事務の確保という観点に十分留意し、
市民サービスの向上につながる
システム構築を要望いたします。
さらに、
地方公会計の取組については、今後予定している日々仕訳を活用した
セグメント情報の公開等、
地方公会計の
財政運営等への活用のため、全職員が手間をかけずに
会計処理を行い、簡単に比較、分析ができるよう最善の準備を行うことを求めます。
次に、
市民文化局です。
丘珠縄文遺跡については、市民の
縄文文化に対する興味を喚起することで、北海道・北東北の
縄文遺跡群の
世界遺産登録に向けた機運を高める役割を果たすこと、また、
まちづくりセンターにおける
金銭管理等については、地域の皆様から大切な財産をお預かりすることを立派な地域貢献と位置づけ、責任を持って取り扱うとともに、
本庁部門や区役所はしっかりバックアップを行うことを要望いたします。
また、区役所の
窓口サービスの向上については、
お悔やみ窓口等、利便性の向上や手続の
負担軽減のための取組をICTの積極的な活用と併せて進めること、さらに、
防犯カメラ設置補助事業については、地域の安心・安全の確保の観点から、町内会の負担が少なく、利用しやすい制度となるよう工夫し、事業を推進することを求めます。
次に、消防局です。
NET119
緊急通報システムについては、7月の
スタートに向け、効果的な広報と運用を行うこと、また、機を逸することなく、最新機能を導入することを強く要望するとともに、ぜひ学校への先行導入を検討することを要望します。
また、高齢者世帯への自動消火装置設置費助成事業については、自動消火装置は高齢者の命を火災から守るために非常に有効なものであります。普及に向けて取組を継続することと、防災品の普及についてもあわせて取り組むことを求めます。
次に、
危機管理対策室です。
避難所における乳幼児への食料対策としての液体ミルクについては、乳幼児の命をつなぐためにも、一定程度、備蓄を行うことへの早期検討を強く求めます。
また、防災アプリそなえについては、ダウンロード数をさらに増やすため、分かりやすい表示や操作性の改善に向けた整備が必要であります。特に、このたびの
補正予算で可決された小・中学校でのタブレット端末整備に併せて、防災アプリを活用した防災授業の実現を図ることを強く要望いたします。
次に、総務局です。
ハイブリッドクラウドについては、業務の効率化だけではなく、職員がやりがいを感じられる環境づくりや
市民サービスの向上という観点からも、庁内で連携しながら、計画を練り上げるとともに、ICTの活用については
スピード感を持ってチャレンジすること、また、行政事務センターについては、効率化や
市民サービス向上に効果が期待できますが、一方で、現場での情報や気づきを拾い上げることも重要であります。このような点も考慮しながら、試行、検討を進め、ほかの行革の取組とあわせて、
市民サービスの向上に積極的に取り組み続けることを要望します。
次に、環境局です。
さっぽろヒグマ基本計画については、ヒグマの出没が多い地域の住民のニーズ把握に努め、計画の中にしっかりと反映させること、また、電気柵の購入補助に関しては、啓発や周知に取り組むこと、また、PCB廃棄物の適正処理に関しては、極めて強い毒性のあるPCB廃棄物の処理について、札幌市が模範となるよう確実に適正処理を行うとともに、事業者への指導を引き続き続けることを求めます。
次に、
まちづくり政策局です。
区役所窓口におけるキャッシュレス決済の導入については、キャッシュレス決済の導入は、市民の利便性の向上はもちろんのこと、現金の受渡しや管理に要する手間やコストを削減できることから、SAPICAだけではなく、多様な決済手段の導入を行うための準備を鋭意進めること、また、連携中枢都市における連携事業については、パートナー企業との意見交換の機会を定期的に持つとともに、全国の取組も参考にし、行政以外の主体の参加により、より多くの分野での新たな展開につなげることを要望します。
また、LEED認証については、環境に関する認証制度であるLEED認証におけるプラチナ評価は、環境への投資や
地球温暖化対策といった現在の世界に向けた都市の国際競争力を示すものであり、脱炭素社会の実現の観点で、水素エネルギーの利活用を寒冷地である札幌市でモデル街区を整備することは非常に重要であります。今後も、遅滞なく事業を進め、世界から投資を呼び込めるまちを目指すことを要望します。
さらに、丘珠空港の利活用については、医療・防災体制の充実の一つとして、丘珠空港でのメディカルウイングの通年運用、消防ヘリの拠点化について、国、道との連携を強化して早期の実施を求めます。
次に、
子ども未来局です。
認定こども園にじいろでのICT導入の実証実験については、実証事業の検証結果を踏まえ、全ての公立保育所でもICT導入を促進し、保育士及び保護者双方に有用なものになるよう要望いたします。
また、未就学児が日常的に移動する経路等の安全確保については、緊急点検で対策が必要とされた場所について、順次、速やかに対応することと、キッズゾーンの設定を含めた幅広い対策を強く求めます。
さらに、社会的養護自立支援事業と里親の包括的支援については、社会的養護の下で育った若者が自立後に安心して社会生活を行うことができるために、支援コーディネーターを中心として環境整備を進めることが必要であるとともに、家庭的養育については、質の高い里親養育が提供されるよう、常に支援者が連携協力できるよう、包括的な
支援体制を構築するよう求めます。
最後に、
教育委員会です。
SNS等のネット利用による子どもの犯罪被害については、ネットパトロールに加え、学校現場での注意喚起はもちろん、保護者に対する家庭でのルールづくりへの呼びかけや
相談体制の整備をすること、また、学校における暑さ対策については、教室の暑さに対する調査を毎年行い、暑さ対策の検討、見直しを行うこと、また、学びのサポーターについては、サポーターが孤立しないよう、彼らを支える方策をとるよう強く要望いたします。
さらに、
青少年科学館については、周辺再開発と連動して、機能の充実強化や集客力強化を行うべきであります。特に、大学や医療系専門学校が隣接することから、産学連携や先端技術を意識した連携を図るとともに、それら教育機関に通学する学生を取り込む仕組みづくりを行うこと、あわせて、専門学校の別キャンパスで開設される宇宙・ロボット学科などとの連携など、多くの
子どもたちに将来の夢を与えつつ、知の拠点としての機能を有する施設とするよう要望します。
以上が、本委員会の審議において取り上げてまいりました質疑等の概要であります。理事者におかれましては、これらの提言等を
十分検討され、今後の市政執行に反映されることを強く要望し、私の討論を終わります。(拍手)
◆佐々木明美 委員 私は、日本共産党所属議員を代表して、本委員会に付託されました議案13件中、議案第1号中関係分、第20号、第22号、第23号、第27号に反対、残余の議案8件に賛成する立場で、討論を行います。
新年度予算は、
秋元市政2期目となる最初の
本格予算であり、
一般会計で対前年度比0.7%増の1兆295億円と過去最大の
予算規模となりました。合計特殊出生率が1.14と全国平均を下回り、少子化と高齢化が進む中、安心して子育てし、生活を支える予算となることが市民の願いです。
しかし、
北海道新幹線の延伸を見据えた再開発事業がめじろ押しで、南2西3地区や北8西1地区など五つの再開発の補助金には32億7,900万円、北5西1・2地区の再開発を進める札幌駅交流拠点
まちづくり推進費に3億3,300万円が計上され、着実に計画が進むことが明らかにされています。
一方、4月に認可保育施設へ入所する1次選考で、申込者7,795人に対し、3割に当たる2,436人が希望する施設に入れないことが報道されており、4月時点の施設定員は増える見込みでも、保育士不足のため、受入れが困難な保育所が生まれています。
本市の来年度予算において、
保育人材確保緊急対策予算額は4億7,300万円です。保育支援者やパートタイム保育士の増員、勤続3年、6年、9年の保育士の一時金給付、中・高生やその保護者を対象とした
保育人材のイメージアップに係る予算であり、全産業の平均賃金より10万円も低い保育士の賃金改善など、直接、生活を支える予算とはなっていません。本市の
子どもたちの健やかな成長と働く子育て世帯を支援する保育士の処遇改善を行い、長く働き続けることができる予算にすべきです。
議案第1号 令和2年度札幌市
一般会計予算中関係分に反対する理由の第1は、
都心アクセス道路建設を前提とした創成川通機能強化検討調査費500万円が含まれているからです。コロナウイルスの感染拡大により、今後の国の財政出動がどれだけ求められるか分かりません。不要不急の大型公共工事は、厳しく見直すべきと考えます。
本市のアクセス道路についても、最も費用負担が少なく、建設期間が短い、即効性が期待できる交差点改良の整備を優先するべきです。地下構造と想定されるアクセス道路には、浸水の被害を懸念する意見があります。創成トンネルに設置されている排水ポンプは、内水氾濫にはある程度対応できますが、約5キロの
都心アクセス道路のトンネルでは対応できるものではありません。しかも、排水ポンプの能力を超える降雨が全国各地で起こっており、本市においても、総雨量72時間で406ミリを想定する豊平川氾濫のシミュレーションも作成され、堤防の決壊で都心部の浸水の危険が増しているのです。迫り来る自然災害の影響を考慮せず、市民への情報提供と合意形成を急ぐのは問題です。地下構造での建設はやめるべきです。
理由の第2は、マイナンバー関連費用が18億1,880万9,000円の予算が組まれているからです。
2016年に
スタートしたマイナンバーカードは、交付率は2020年2月時点で全国で15.5%、本市でもわずか13.4%の交付率です。消費活性化策として、国はマイナンバーカードの取得を要件としたマイナポイント制度を導入し、遅れていたマイナンバーカードの普及を図ろうとするものです。マイナンバー制度は、所得や資産、税や社会保障給付などの個人データを政府が一括して把握し、社会保障給付の削減を進める狙いがあります。マイナンバー制度は、国家による国民監視、個人情報の漏えいの問題に対応策がないことから反対です。
理由の第3は、札幌市
ICT活用戦略推進費1億3,841万3,000円、都心ICT
まちづくり推進費2,100万円が予算に含まれているからです。
本市が国内外の活力を取り込むとして、官民共同で、市民から多様なデータを収集し、提供することは、情報処理技術が急速に進歩している現代において、個人情報の漏えいは否定できないことから、この事業には反対です。
理由の第4は、学校規模適正化推進費900万円が含まれているからです。
市教委は、適正化に関する基本方針で、学校規模適正化の取組対象を拡大し、地域住民が反対しても統廃合を強行してきました。小規模学校での教育の経験を豊かに積み重ね、教師と
子どもたちが向き合うことのできる環境を大規模化することは、教育に効率化を求めるものであり、学校規模適正化推進費は、統廃合を押しつけるものであるため、反対です。
理由の第5は、丘珠空港関連調整費1億4,910万4,000円には、滑走路延長などを含む丘珠空港の将来像検討費が入っているため、反対です。
議案第20号 札幌市廃棄物の減量及び処理に関する条例の一部を改正する条例案に反対する理由は、し尿、浄化槽汚泥の処理手数料の値上げが含まれているからです。
議案第22号 札幌市都市公園条例の一部を改正する条例案、議案第23号 札幌市北3条広場条例の一部を改正する条例案に反対する理由は、いずれも、入園料の値上げ、利用料の値上げがあるからです。
議案第27号 札幌市職員定数条例の一部を改正する条例案に反対する理由は、職員定数を203人削減するからです。保護課ケースワーカー6人、学校用務員10人、
学校給食調理業務委託拡大で15人削減となる上、軌道事業における上下分離導入で93人を委託にするなど、本来、市の職員が担うべき業務を民間委託して人員削減することは、行政サービスの低下を招き、技術の継承や専門性の蓄積を困難にします。また同時に、非正規雇用の拡大など、本市がワーキングプアを広げるものであり、容認することはできません。
次に、本委員会で取り上げた諸課題について、局別に申し述べます。
最初に、財政局です。
市が発注する工事などで働く労働者の賃金改善についてです。
来年度実施する労働環境実態調査において、事業者から調査票を提出してもらうとのことですが、賃金の正確な把握のために賃金台帳での確認等を求めました。
また、施設清掃に従事する労働者が受け取るべき賃金について、国が定める建築保全業務労務単価に準ずる時給換算で997円になるとのことでした。しかし、本市の調査で、全清掃業務従事者の平均賃金は時給945円です。そのうち、総合評価方式契約を除くと880円です。いずれも国の定めより時給が低く、特に総合評価以外は117円も低く、従事者の約3割が最低賃金の835円です。本市も、引き続き改善を指導すべきです。
新型コロナウイルスの財政支援についてです。
新型コロナウイルス感染拡大に伴う本市の財政に与える影響と今後の運営に関してただしたところ、
観光産業をはじめ、消費の冷え込み、雇用環境の悪化など
地域経済に与える影響は大きいと認識を示し、予算の柔軟な執行や、
補正予算を含めた機動的な
財政運営を行うと答弁がありました。直接かつ大規模な支援策を求めます。
次に、
市民文化局です。
LGBTの法的保護と性暴力について質問しました。本市のパートナーシップ宣誓制度が始まり3年、現在87組が利用していますが、婚姻に見られる法的保護はありません。同性婚を含めた法的保護については、同性婚も事実婚と同様と認めた判例も出され、市としても国に要望するなど支援すべきです。
また、性暴力に対し、無罪判決が続いたことから、#MeTooやフラワーデモで性暴力を許さない運動が広がっています。性暴力被害について不同意性交等罪などの創設を国へ要望するとともに、市として、差別をなくし、多様性を認め合う
共生社会へ総合的な施策を進めるため、人権課の設立を求めました。
消費者センターにおける消費者トラブルについてです。
民法改正に伴い、2022年から成人年齢が引き下げられます。それに伴い、未成年者に対する取消権がなくなり、消費者被害から若年層を守るためにも消費者教育が重要です。本市独自に啓発冊子を作成し、高校などでの教育が開始されていますが、相談員の資質向上も重要です。市民の財産を被害から守るためにも、市が積極的に関わり、相談員の増員と処遇改善を図ることが必要です。
危機管理対策室です。
避難所についてです。
胆振東部地震を教訓に作成されたマニュアルを市職員、施設管理者、地域で共有し、プライバシーに配慮した避難所対策と高齢化する地域への防災対策に取り組むことが重要です。地震と洪水で避難場所が違う場所もあり、市民が分かりやすい掲示、標識の改善を求めました。
また、昨年、本州での台風被害では、想定外の豪雨により避難所が不足し、急遽、新たな避難所を要請するなどしています。本市で避難所が不足する場合を想定し、特に人口が集中している地域から優先して対策を検討するようただしました。あわせて、地域避難所への最低限の物資の備蓄と、熱中症の懸念から避難所の暑さ対策を求めました。
次に、総務局です。
市職員の専門性を確保する採用と異動の在り方についてただしました。
高齢化の進展や多様化する福祉制度などに対応するために、新規採用においては、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士など、専門的な知識や資格を有した市職員を計画的に増やしていく必要があります。新規・中途採用においても、福祉現場で働いてきた人の採用枠を検討するべきです。総務省からの通知で、地方公共団体における中途採用の取組の推進もあり、福祉コースにおける受験要件の拡大について十分な検討を重ねたいとのことでした。
福祉制度や社会情勢の変化に応じた需要に対応できるよう、市職員の採用、管理職の異動においても専門性が確保できるようにすべきです。
環境局です。
市長は、2050年にCO2排出実質ゼロとすることを表明しました。環境都市さっぽろにふさわしく、市有施設において購入している電力は再生可能エネルギーで調達すべきと求めました。また、本市のエネルギー対策費は、2018年度約4億7,000万円から2020年度予算で約1億9,900万円と減っています。代表質問で、エネルギーecoプロジェクト補助金は、設置費が下がり、予算を減らしたと答弁がありましたが、補助金は減らすべきではなく、目標を高めた本市の温暖化対策に見合う予算措置とすべきです。
子ども未来局です。
児童養護施設の保育士の処遇改善についてです。
児童養護施設で働く職員の多くは保育士です。しかし、札幌市で行っている保育士確保に向けた一時金の給付は、
児童養護施設で働く保育士には支給されていません。支給すべきとただしたところ、町田副市長は、保育士の処遇に差が生じることは好ましくないので検討していくとの答弁がありました。早急に対応を求めます。
民間学童保育についてです。
放課後児童健全育成事業において、要件を満たすと、一度登録から外れても再登録が認められ、再度、助成が受けられるよう要綱が改正されると答弁がありました。条例改正で、新規採用の場合などに支援員の研修受講を前提とし、資格要件を認めるとしたことで、配置基準に沿うことができ、民間学童保育所の運営や人材確保に前進となりました。引き続き、支援員の処遇改善と民間の賃貸建物を借りている学童保育所の耐震化について、国の制度を活用し、実施すべきです。
また、コロナウイルス感染予防のため、
臨時休業に伴う民間学童保育所での運営と人材確保、感染予防対策費用等の支援について、申請期間が短期でもあり、しっかりと周知し、支障なく申請できるよう求めました。
最後に、
教育委員会です。
学校給食費の値上げについてです。
給食費の値上げは、子育て世帯の教育費の負担増となります。
学校給食費を無償化した自治体が増える中、本市は、食材費の全般的な値上げを理由に、小学校で月200円、中学校で250円の値上げをしますが、これは子育て支援策にも逆行するものであり、
学校給食費の値上げはやめるべきです。
GIGAスクール構想に基づくタブレット端末整備についてです。
国のGIGAスクール構想に伴って、
補正予算45億8,600万円、来年度は23億6,500万円を計上し、
児童生徒1人1台タブレット端末を整備するものです。GIGAスクール構想は、経済成長戦略である国家プロジェクト、Society5.0や経産省につくられた提言が教育分野に持ち込まれたものです。
文部科学省は、2016年の中央教育審議会で、コンピューター端末のデジタル教科書についての健康への不安があることなど指摘し、全面的な導入を拙速に進めることは適当でないと報告しており、教育におけるICTの活用は慎重であるべきです。教育現場で求められているのは、教員の長時間労働や教員不足の解消です。そのための教育予算の拡充こそすべきです。(拍手)
◆石川さわ子 委員 私は、市民ネットワーク北海道を代表し、本
予算特別委員会に付託されました議案13件中、議案第1号 令和2年度札幌市
一般会計予算中関係分については反対、残余の議案には賛成の立場から、討論をいたします。
反対の理由は、歳入歳出予算の総額に国民の管理・監視強化につながる共通番号制度、いわゆるマイナンバー制度関連として15億8,950万円が含まれているからです。このうち11億3,461万円は、国が見込んだマイナンバーカードの札幌市における交付予定数67万枚に対する交付金です。
2019年度の札幌市のカード交付数の実績は約3万6,000枚で、例年、同程度です。私は、今定例会の
補正予算でも指摘をいたしましたが、この程度のカード交付は、繰越明許費でほぼ賄われ、現年度予算の翌年度への全額繰越しが繰り返されております。財源は、全額、国庫補助金でありますから、このような国家財源の垂れ流しについては、地方自治体として是正を求めるべきです。
札幌市のマイナンバーカードの交付率は、2020年2月末で13.3%と、依然低迷しております。マイナンバー制度の目的として、国は、国民の利便性の向上を唱えておりますが、市民にとっては、利便性よりも、情報漏えいや不正使用を懸念しているということではないでしょうか。
法定受託事務として、札幌市は国に追随しておりますが、地方分権の観点に立ち、法律の解釈においては自治体が主体的に行うべきであり、札幌市は、市民の生命と財産を守るために、マイナンバーカードの利用拡大の見直しなど制度改正を国に求めるべきと考えます。
個人のプライバシー侵害、国による管理・監視強化が強く懸念される共通番号制度に異議を唱える立場から、議案第1号 令和2年度札幌市
一般会計予算中関係分については反対をいたします。
さて、本市の2020年度予算は、昨年12月に公表されました
アクションプラン2019に掲げた取組を盛り込み、
一般会計では、前年度比0.7%増の1兆295億円が計上されています。扶助費、公債費等の増により、
義務的経費が前年度比3.0%増の5,850億円と、歳出総額の56.8%を占める中、
建設事業費は1,007億円と1,000億円以上の規模が継続されています。一方、市債残高は、2020年度末で1兆1,383億円と厳しい財政状況であり、今後、過大な負担を市民に押しつける結果になるのではないかと危惧をするところです。
また、
新型コロナウイルスの感染拡大により、
市民生活をはじめ、様々な産業が極めて深刻な影響を受けており、保健・
医療体制の拡充や
経済対策等は喫緊の課題です。
このような状況の中、安心して子どもを生み育てることができ、また、若者や女性が希望を持って働き、暮らすことができる札幌を実現していくためには、人を大事にするという視点をこれまで以上に
まちづくりの根幹に据えるとともに、次世代に負担を先送りしない健全な
財政運営を堅持することが重要です。誰もが安心して暮らすことができる札幌の実現を目指し、徹底した情報共有、情報公開による市民参画の
まちづくりを多くの市民とともに取り組むべきです。
このような観点に立ち、本
特別委員会で取り上げました諸課題について、順次、述べさせていただきます。
初めに、財政局についてです。
札幌市の
財政運営は、扶助費のみならず、公共施設の更新需要等の増加により厳しい状況です。長期的な財政見通しとしては、公共施設の規模適正化などにより負担を平準化するとともに、基金や市債の残高を管理するとして、
駒岡清掃工場の更新、新MICE施設やオリンピック・
パラリンピックに関わる施設の整備、
北海道新幹線の建設負担金等を計上したということです。
しかし、希望する保育園に子どもを入れることができないという悲痛な声が相変わらずあることなどから、市民要望の多い福祉や子育てに予算を優先して配分すべきと考えます。
アクションプラン2019に対する子どもからのパブリックコメントでは、借金が増えないように、行財政改革の取組をしてほしい、予算をもっと教育関係のことに使ってほしいなどの意見が寄せられていました。
過度な負担を将来世代に先送りせず、また、財政に関する分かりやすい情報提供を行うことを強く要望いたします。
次は、
市民文化局についてです。
札幌市においては、大通公園など、四季折々の美しい自然環境を背景に、数多くの野外彫刻を鑑賞することができます。2019年度に市が行った野外彫刻保全調査の結果、管理している415点の作品のうち、139点が補修が必要というレベルDという評価であり、早急に補修等を行うべきです。
2020年度は、引き続き、壁面彫刻の点検調査を行うとともに、2点の彫刻作品の補修を行うとのことですが、彫刻を日常管理している所管部局と調査結果等の情報を共有し、予防保全の考え方で日常管理を行うことが重要です。すばらしい野外彫刻を今後も鑑賞することができるよう、専門家や修復施工業者、市民団体の力もお借りして、協議しながら着実に野外彫刻の保全の取組を進めることを求めます。
次は、総務局についてです。
行政評価、とりわけ自己評価につきましては、業務における改善点を次年度の予算要求に反映させているとのことであり、一定の評価をするところです。
しかし、ホームページで公開される事業評価調書の公開時期が2月中旬と、翌々年度の予算の時期となっており、実際には評価の形骸化などもあるのではないかという市民の声も聞こえております。
他の自治体では、予算・決算状況と行政評価を連動させた報告書を、決算審議等に合わせ、8月に公表するなど、迅速な情報提供を通じ、評価結果を活用している事例も聞いております。
全事業のチェックの事務量は大量と想像いたしますが、市民へのより分かりやすい情報提供を実現するため、事業評価調書の公表を早める、あるいは段階的に公表するなど、改善することを要望いたします。
災害多言語支援センターについてですが、外国人旅行者が急増し、札幌に暮らす外国人も年間1,000人単位で増加している中、2016年の熊本地震を教訓に、平時から災害多言語支援センターが積極的に関わって準備をしていく必要があります。市の総合防災訓練で、避難所と連携した訓練を行ったとのことですが、災害発生時には、言葉の問題などに対する人材の不足などの課題もあることから、協力してくれるリーダー的な存在となる外国人を育てることや、外国人市民が持っている様々な力を災害時に発揮することができる仕組みづくりに取り組むなど、外国人市民が地域の一員として活躍できる環境を整えていくべきです。
こうした多文化共生施策を、単なる外国人支援に終わらせるのではなく、外国人市民の地域の
まちづくりへの参画につなげていくなど、多文化共生の
まち札幌の実現に向けて取り組むことを強く要望いたします。
次は、環境局についてです。
温暖化や自然破壊など地球環境の悪化が深刻化している中、持続可能な開発目標、SDGsの達成に向け、環境施策を一層充実させることが求められています。
スウェーデンのグレタ・トゥンベリさんが1人で始めた抗議行動は、今や、世界中の若者に広がり、札幌市においても高校生が自発的に活動を始めています。さらに、中学生、高校生にも、SDGs普及に向けた独自のゲーム開発など、活動が広がる中、札幌市環境教育・環境学習基本方針の下、持続可能な社会やその担い手づくりを目指し、若者の学びの場や活動の機会をつくるため、積極的に支援していくべきです。
小・中学生対象のワークショップにも取り組むとのことですが、若者たちの自主的な活動の後押しをしていただくことを強く求めます。
次は、
まちづくり政策局についてです。
札幌市におきましては、丘珠空港の将来像案を提案するため、その素案を基に住民説明会やワークショップなどを行い、丘珠空港利活用検討委員会では、滑走路の延伸等に関する考え方をまとめているところです。
滑走路から1キロメートルほどの航路直下の住宅では、着陸態勢の航空機が地上から100メートルの頭上をかすめ、多くの市民が利用する百合が原公園では、さらに高度が下がり、地上から70メートルという恐怖を感じる高さです。百合が原小学校の真上を航行する場合もあり、墜落事故の不安が常につきまとっている住民の不安は計り知れません。
仮に滑走路を延長すると、夏の期間では、現在最大30便ですが、72便まで増便が可能とのことです。騒音は、測定の結果、環境基準値以内とのことですが、日中の最大値では基準値を超えている生活環境を認識することを改めて求めます。
今後、丘珠空港の将来像案をまとめるに当たっては、騒音や墜落事故などを不安視する住民の声を重く受け止め、意見を反映することを強く要望いたします。
次は、
子ども未来局についてです。
在宅で子育てしている家庭への子育て支援サービスは様々ありますが、相談をしたり助けを求めることができない孤立している家庭に対しては、家庭に出向き、母親に寄り添って話を聞くなど、保護者ケアや家族の育児力を高める支援が必要と考えます。仙台市や熊本市では、いわゆる家庭訪問型子育て支援事業に取り組んでおり、札幌市においても、孤立した家庭への支援のニーズがあることを把握し、公的支援として取り組むことを強く求めます。
また、保育現場においては、
子どもたちを取り巻く環境が大きく変化している中、多様な子育て問題への対応に迫られています。障がいの認定は受けていないけれども、配慮が必要な子どもへの対応、養育不安や親子虐待などの親子の問題、通常の保育では対応し切れない場合があり、専門的なソーシャルスキルによる保護者支援が必要という声が寄せられています。
国が2020年度から予算化している要支援児童等対策推進事業により、地域連携推進員、いわゆる保育ソーシャルワーカーを設置するなど、包括的な子育て支援をさらに充実させることを強く要望いたします。