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平成29年第二部予算特別委員会−03月16日-05号
平成29年第一部予算特別委員会−03月16日-05号

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  1. 札幌市議会 2017-03-16
    平成29年第二部予算特別委員会−03月16日-05号


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    平成29年第二部予算特別委員会−03月16日-05号平成29年第二部予算特別委員会  札幌市議会第二部予算特別委員会記録(第5号)               平成29年(2017年)3月16日(木曜日)       ―――――――――――――――――――――――――――――――――― ●議題 付託案件の審査 ●出席委員 32名(欠は欠席者)     委 員 長  山 口 かずさ      副委員長   北 村 光一郎     委   員  三 上 洋 右      委   員  勝 木 勇 人     委   員  こんどう 和雄      委   員  山 田 一 仁     委   員  長 内 直 也    欠 委   員  宗 形 雅 俊     委   員  こじま ゆ み      委   員  飯 島 弘 之     委   員  小 竹 ともこ      委   員  村 松 叶 啓     委   員  村 山 拓 司      委   員  畑 瀬 幸 二     委   員  小 野 正 美      委   員  桑 原   透     委   員  峯 廻 紀 昌      委   員  しのだ 江里子     委   員  小 川 直 人      委   員  林   清 治     委   員  松 原 淳 二      委   員  岩 崎 道 郎     委   員  涌 井 国 夫      委   員  福 田 浩太郎     委   員  好 井 七 海      委   員  前 川 隆 史     委   員  丸 山 秀 樹      委   員  村 上 ひとし
        委   員  太 田 秀 子      委   員  田 中 啓 介     委   員  松 浦   忠      委   員  坂本 きょう子     委   員  中 山 真 一       ――――――――――――――――――――――――――――――――――       開 議 午前10時     ―――――――――――――― ○山口かずさ 委員長  ただいまから、第二部予算特別委員会を開会いたします。  報告事項でありますが、宗形委員からは欠席する旨、また、山田委員からは遅参する旨、また、わたなべ委員からは丸山委員と交代する旨、それぞれ届け出がございました。  それでは、議事に入ります。  最初に、第3款 保健福祉費 第3項 老人福祉費、議案第7号 平成29年度札幌市介護保険会計予算及び第11款 諸支出金 第2項 他会計繰出金中関係分について、一括して質疑を行います。 ◆しのだ江里子 委員  私からは、介護サポートポイント事業について質問させていただきます。  この事業は、2011年3定の代表質問で介護支援ボランティアとして質問させていただき、以降、第3次新まちづくり計画に盛り込み、新たに実施されたものです。この事業は、介護サポートポイントと名前を変えて札幌で運用され、丸5年がたちました。所定の研修を受けた65歳以上の方が対象施設として登録された介護保険施設で行うボランティア活動に対してポイントを付与し、希望者にはポイントに応じた現金を交付するものです。  この事業に参加する高齢者は、介護や介護保険制度に関する理解を深めながら、社会参加活動を通じて自身の介護予防を図ることができ、昨年、社会福祉協議会が実施した1,204名の介護サポートポイント事業登録者に行ったアンケートからも、生きがいや健康的な生活習慣づくりへの効果がある様子がうかがわれております。  一方、札幌市は、札幌市まちづくり戦略ビジョンアクションプラン2015において、生涯現役社会の実現に向けた高齢者の社会参加支援について検討を進めております。昨年は、4月から11月にかけて7回にわたり、外部有識者による札幌市高齢者の社会参加支援の在り方検討委員会を開催し、12月に報告書がまとまっております。  この報告書では、高齢者の社会参加支援のあり方について、年齢にかかわらず、できる人ができることをするという意識づくり、そして、高齢者と活動をつなげる仕組みづくり、高齢者が役割を実感できる活躍の場づくりの三つの方向性が提言されています。また、委員会では、今までの取り組みの検証も行っておりまして、介護サポートポイント事業については、この三つの取り組みの方向性のいずれにも生かされ得ることから、活動先を広げることにより活動人数の拡大を図っていくことが必要とされておりました。さらに、この在り方検討委員会で昨年行ったアンケートにおいて、市が重点的に参加を支援すべき高齢者の活動について聞いたところ、健康づくりや介護予防のための活動が2番目に多い回答となっていました。  このように、社会情勢や市民ニーズの面からも、意欲ある高齢者が役割を実感できる活躍の場に出会い、みずからの介護予防も進めることができる介護サポートポイント事業を拡充する機が熟しているものと考えられます。  昨年の第4回定例議会の代表質問で、私どもの会派から、本事業による高齢者のボランティア参加の拡大について質問させていただき、幅広い参加に向けて、対象となる介護関連施設の拡大に取り組むとの答弁をいただいております。前向きな取り組みに期待する一方、現在、特別養護老人ホーム、老人保健施設と、それらに併設されるデイサービスに限定されている対象施設を、規模や施設利用者の状況も多種多様な介護保険関係施設へと拡大するに当たって、配慮すべき事項もあるものと考えます。  そこで、質問ですが、対象施設拡大に当たって配慮すべき点をどのようにお考えなのか、お聞きしたいと思います。  また、これらの配慮事項を踏まえて、介護サポートポイント事業の対象施設の拡大をどのようにお進めになるおつもりなのか、伺います。 ◎渋谷 高齢保健福祉部長  まず、1点目の対象施設の拡大を進めるに当たって配慮すべき点についてでございます。  現在登録されている対象施設数は、155カ所でございます。市内には約2,000以上の介護保険関連施設が存在しており、多様な施設が対象となることが予想されます。そこで、ボランティアに参加する高齢者と施設の双方が求める活動内容を合致させることがより重要になってくると認識しております。また、活動内容の明確化、ボランティアとの連絡調整あるいはポイント管理体制の確保など、施設側の負担への配慮も必要になってくると思います。さらに、事務局で行うポイント管理や交付金の申請に関する事務の増大が予想されておりますので、事務量についてもある程度確認していかなければいけないものと考えております。  2点目の拡大に向けての進め方でございます。  平成29年度中に調査を実施し、現在は対象外になっている施設におけるボランティアの受け入れの可能性あるいは課題、そして、新しい対象施設の見込み数などを把握してまいりたいと考えております。さらに、事業の管理運営手法や必要となる経費など、対象施設拡大に伴う課題を整理し、速やかに検討を進めてまいりたいと考えております。 ◆しのだ江里子 委員  配慮すべき点に関しては、双方の合致が必要であったり、活動の内容であったり、施設の負担等々、多々あると思います。そしてまた、今後どのように進めるかということに関しては、来年度中には調査されて速やかに検討を進めていただけるということで、なるべく早い時期の実施を期待したいと思います。研修を受けた方たちが既に1,200人を超えておりますが、身近に活動できる施設がないために、事業に参加できない方もたくさんいらっしゃいます。そして、当然、施設側の負担にも配慮しながら、スピーディーに進めていただきたいと考えます。  ところで、対象施設の拡大を生かして高齢者のボランティア参加を一段と進めるとともに、新たな受け入れ施設が求められるボランティア人材を十分に確保するためには、意欲がありながらも機会に恵まれない方に対し、この事業への参加を進める必要があると思います。そのためには、周知、広報をしっかりと行っていただくとともに、より身近な場所で研修を実施し、利便性を確保することが効果的と考えます。  そこで、2番目の質問ですが、この事業の周知、広報についてどのような取り組みを行っているのか。  また、現在、毎月、中央区の社会福祉協議会で行われている研修以外にも、身近な場所で行う研修が重要と認識しておりますが、いかがお考えでしょうか。  そして、現在の取り組み状況もあわせて伺います。 ◎渋谷 高齢保健福祉部長  まず、1点目の周知、広報についてでございます。  周知、広報につきましては、研修案内、周知を兼ねたチラシを作成し、ボランティア活動センターあるいは各区の社会福祉協議会の窓口、その他の市有施設に配架するほか、老人クラブあるいは高齢者教室、区の社会福祉協議会が関与する地域での行事等で配付を行っております。それから、札幌市社会福祉協議会あるいは各区の社会福祉協議会で作成するチラシあるいは冊子で事業そのものを紹介したり、さらには、ホームページ、地下鉄の掲示板、新聞のイベント欄なども活用しながら周知に努めております。引き続き、本市あるいは受託者である社会福祉協議会等、利用できる媒体を有効に活用しながら今後も周知に努めてまいりたいと考えております。  2点目のできるだけ身近な場所での研修についてでございます。  現在は、先ほどお示しされたように中央区で行っておりますが、中央区から離れたところにお住まいの方に配慮して、年1回ではございますけれども、手稲区と厚別区で研修を実施しております。このほか、地域や施設側から要望があった場合には出張研修にも対応しておりまして、平成28年度の実績としては4区で5回の研修を行いました。これらの取り組みは、身近な場所においてボランティア参加のきっかけをつくる有意義なものであると考えておりますので、今後も、できるだけ身近な場所で研修が受講できるよう、地域のニーズなども見きわめながら、さまざまな手法を工夫してまいりたいと考えております。 ◆しのだ江里子 委員  さまざまな広報、周知をしていただけるということで、期待したいと思います。  たまたま今月号の広報さっぽろにも介護サポートポイント事業が小さく載っておりますが、余りぴんとこないというか、何を言わんとしているのか、いまいちわからないところがとても残念だと思いました。  こういった活動をしたい方たちは、本当にたくさんいらっしゃると思います。実は、私の地域では、区社協を通じて実際に介護ボランティアを長くされている方からご連絡をいただいて、今まで区社協からは介護サポートポイントの説明を聞いたことがなかった、こんないい取り組みがあるのだったら、ぜひ参加したいというお声もいただきました。今までも年5回の出張研修をされているということでしたが、地域や施設の要望があれば、ぜひとも10区の区社協と連携して研修を行っていただきたいと思います。  ポイントの付与については、受ける施設やまとめる社協ではそれぞれ年度末に作業が重なって多忙を極めるというお話も聞いております。横浜市では、介護支援ボランティアポイント事業をヨコハマいきいきポイントとして1万3,000人以上の方たちが登録しており、高齢者施設はもとより、子育てや障がい者支援施設、そして病院まで、19分野、400を超える施設で受け入れを行っております。そして、私たち札幌では年間5,000ポイントまでですが、横浜では8,000ポイントまで可能としています。札幌ではなかなか難しいことも多々あろうかと思いますが、先進都市横浜を見習い、ぜひとも進めていただきたいと思います。  4定の答弁では、子育て支援分野に関しては、社会的にも受け入れやすく、世代間の相互理解などを後押しする効果が期待でき、総合的に検討するということでしたので、これもあわせて期待させていただいて、私の質問を終わります。 ◆前川隆史 委員  私からは、介護人材の確保について質問させていただきたいと思います。  急激な高齢化が進み、介護サービスのさらなる充実に期待が高まる中、国は、昨年、ニッポン一億総活躍プランを閣議決定しまして、介護の受け皿整備、多様な介護人材の確保、育成といったハード・ソフト両面にわたっての介護環境の整備に真正面から取り組むこととしております。  しかし、現実はなかなか厳しく、介護労働安定センターが実施している平成27年度介護労働実態調査によりますと、介護職員の不足を感じている事業所は約6割、そしてまた、職員が不足している理由としては、採用が困難であると回答している事業者が約7割という結果でして、介護人材の確保が大変に難しくなっている現状がうかがえます。  また、同じ調査では、施設等で働く介護職員の平均年齢についても調べております。直近の調査では43.2歳となっておりますが、10年前の同じ調査では38.7歳でございまして、この10年で平均年齢が5歳近く高くなっており、職員の高齢化が進んでおります。加えて、訪問介護に従事する職員については、平成27年度調査で平均53歳と、さらに高年齢層の職員によりサービスが維持されている状況と言えます。  その一方で、介護福祉士養成施設の入学者は、定員割れが続いております。平成28年度の全国における定員充足率は約46%と大変厳しい数字になっておりまして、介護職につこうとする若い人が減っていることがうかがえます。こうした若い人の介護職離れが続く現状を踏まえて、国においては、介護福祉士を目指す学生への就学資金貸付制度を拡充するなど、対策に取り組んでいるところでございます。  札幌市では、これまで、介護人材の確保や定着化のために、介護事業者の採用力を高めるためのセミナーや合同就職相談説明会、働きやすい職場づくりのための研修事業など、さまざまな取り組みを実施してきたと承知しております。そして、このほど、さらなる新しい取り組みとして、平成29年度から介護の仕事に関する若年層向けの啓発事業を行うと伺っております。介護職を志望する若い人をふやしていくためには、介護サービス事業所のみならず、国と地方がそれぞれの立場から効果的な取り組みを進めていくことが必要であり、札幌市においても期待しているところでございます。  そこで、最初の質問は、若年層への啓発ということでありますが、対象とする世代や実施手法など、現在、札幌市が考えている事業の概要についてお伺いいたします。 ◎渋谷 高齢保健福祉部長  若年層への啓発事業の概要についてでございます。  まずは、介護の魅力ややりがいを知ってもらうため、啓発冊子を作成し、この冊子を市内の中学校あるいは高校の総合授業の機会に使っていただくほか、介護事業者が地域で交流事業のようなものを行う際など、さまざまな場面での活用を考えております。また、この冊子を活用するに当たっては、より効果的な啓発を行うために、希望に応じて現場に詳しい介護事業所の職員が講師として市内の学校に出向いて出張講座のようなものを実施するなど、現在、学校、介護事業所への協力依頼を行っているところです。 ◆前川隆史 委員  中学生、高校生を対象とした啓発冊子を作成して、授業や出張講座等を行っていきたいということでした。若い人に介護業務の魅力を知ってもらうことは、大変意義のあることだと思います。  ただ、社会で働いたことのない学生の場合、そもそも就職につくことに不安を感じている方も多いかと思われます。全国の高等学校PTA連合会の調査によりますと、高校生の就職希望者のうち、約6割が、将来、働くことについて気がかりなことがあると回答しております。そのうち、約半数が職場の人間関係がうまくいくかどうか心配だと回答しております。また、高校生だけではなくて、その保護者もほぼ同様に感じているという結果が出ております。  そこで、2点目の質問ですが、こうした不安を軽減して介護職に興味を持ってもらうため、どのような内容の啓発冊子をつくっていくおつもりか、お伺いいたします。 ◎渋谷 高齢保健福祉部長  啓発冊子の内容についてでございます。  学生は、確かに社会に出て働いた経験がない方がほとんどでございます。働くことで自分の生活がどう変わっていくのか、あるいはまた、将来どうなっていくのかといった不安を少しでも軽減していくことは大変重要なことだと思っております。  そこで、啓発冊子の作成に当たっては、市内の介護事業所の協力をいただいて、啓発対象の世代に近い比較的若い世代の介護職員に直接意見などを伺いながら、職員の生の声や仕事を通じて感じていることを掲載していきたいと考えております。介護の現場でやりがいを持って仕事に向き合う職員の様子を直接感じてもらうことで、少しでも介護に興味を抱いていただいたり、働くことへの不安を軽減していただける冊子の内容になればと考えております。 ◆前川隆史 委員  学生と年齢の近い職員の力をかりて、若い人たちの心を捉えていける冊子をつくっていきたいということでした。啓発的な取り組みというのは、即座に結果の出るような性格のものではないかもしれませんが、長期的な視野で進めていただきたいと思います。  ただ、必要な介護人材を確保していくためには、当然ながら、若年層への働きかけだけではなかなか不十分な部分もあるかと思います。国では、一旦、介護職から離れた人が再び仕事につく場合の再就職準備金貸付制度のさらなる充実、また、高齢人材の活用とか、幅広い年齢層を視野に入れた総合的な人材確保策を推進するとしておりまして、札幌市も国と呼吸を合わせた取り組みをお願いしたいと思います。  そこで、最後の質問ですが、札幌市としては、今後どのような考えに基づいて介護人材の確保を進めていくのか、お考えを伺いたいと思います。 ◎渋谷 高齢保健福祉部長  介護人材の確保について、どうやって進めていくかということでございます。  介護人材の確保のためには、若い方から高齢の方まで、幅広い年齢の方を対象にしていく必要があると私どもも考えております。  介護人材の確保に果たす役割として、国では、職員の賃金水準に大きな影響を及ぼす介護職員の処遇改善加算を初めとする介護報酬基準の決定を担っております。都道府県においては、離職した介護人材の登録あるいは再就職の支援など、できるだけ広域的に取り組まなければいけない内容を担っております。  札幌市としては、国あるいは都道府県とは異なり、地域と密着している自治体という立場で、介護事業者に対するより直接的な働きかけを重視し、人材確保の手法を学ぶセミナー、あるいは、事業者と介護人材を直接結びつけるきっかけとなる就職相談説明会の開催などに取り組んで、今までも実施しているところでございます。  これからも、多様な世代の職員を受け入れ、生かすことができるよう、介護事業者の採用力の向上に向けて支援を続けてまいりたいと考えております。 ◆前川隆史 委員  将来的には、今以上に介護サービスの需要がふえていくことが考えられますので、たゆまぬ取り組みをお願いしたいと思います。また、札幌市は、現場に近い自治体ですので、現場の気持ちを受けとめて、効果のある施策に取り組んでいただくことをお願いして、質問を終わりたいと思います。 ◆田中啓介 委員  私は、高齢者への外出支援について質問いたします。  超高齢社会を迎える本市にとって、高齢者への外出支援は大切な支援の一つになります。高齢者への外出支援で、敬老優待乗車証、いわゆる敬老パスは大きな役割を担っております。敬老パスの申請件数は、2012年度は20万3,080件だったものが、2016年度は22万9,626件と、2万6,546件もふえておりまして、超高齢社会の実態と高齢者の要望に合った制度であることが求められていると思います。  そこで、質問ですが、敬老パスは、高齢者にとって、健康の維持・増進、また、社会参加の機会を保障するために欠かせない制度だと思いますがいかがか、伺います。 ◎渋谷 高齢保健福祉部長  敬老優待乗車証事業につきましては、生活あるいは身体状況などの個々の事情にかかわらず、多年にわたり社会の発展に寄与してきた高齢者を敬愛するとともに、外出を支援し、明るく豊かな老後の生活の充実を図るための制度という事業の設置目的がありまして、この事業については、そうした目的に沿った事業と認識しております。 ◆田中啓介 委員  そうした目的に沿って、今後も継続して制度を維持していくことが大切だというふうに思います。  本市は、2015年に敬老優待乗車証利用者実態調査を行っており、敬老パスが社会に及ぼす効果として、高齢者の外出する意欲を高め、健康増進や介護予防を推進する効果があるという回答が最も多くございました。また、敬老パスの利用目的という設問では、買い物が64.7%で最も多くて、次いで通院が56.2%という結果が出ております。高齢になると、どうしても病気になりやすく、敬老パスを利用して通院する方が多いという実態のあらわれだと思います。また、通院も月数回という回答が多いことから、一つの病院だけではなくて、例えば、整形外科だけではなく、耳鼻科や内科など、高齢になればどうしても複数の病院に、それも定期的に通院している方が多いということもこの調査であらわれていると思います。  また、通院というのは冬期間であっても欠かせません。しかし、高齢者の場合、転倒すると骨折するなどの大きなけがにつながってしまうことがあります。夏の間はバスを利用したり歩いたりしても、冬は地下鉄駅までの道を歩いていくことが困難なためにタクシーを利用するのですが、経済的に大変なので冬は通院回数を減らしているという声もございます。  また、高齢者が外出や買い物をするときなどは、シルバーカーと言うそうですが、荷物を積むことができたり、疲れたときに椅子がわりになる手押し車というものがありまして、それを利用して毎日のように外出したり、健康づくりセンターに通っている高齢者がいます。しかし、冬は道に雪が積もっているためにそういうものを利用できませんから、タクシーを利用するそうですが、お金の心配をせずに地下鉄駅までたどり着けたら健康づくりセンターに行く回数を少しでもふやせるのにという声が上がっています。  そこで、質問ですが、高齢者は、病院や健康づくりセンターなどへ通うために敬老パスを使って地下鉄などの公共交通機関を利用できますけれども、夏の間は駅まで歩いて行けても、冬期間はそれができませんし、また、経済的にタクシーもなかなか利用できず、そのために外出が困難になるという実態があります。今後ますます高齢者がふえ、このようなケースもふえると予測されることから、本市として対策を考える必要があると思いますがいかがか、伺います。 ◎渋谷 高齢保健福祉部長  高齢者の外出の際の本市の対策ということでございます。  特に、冬場は転倒のリスクがあるというお話ですが、これは高齢者に限ったことではございません。冬場に外出の機会が減るというのは、全世代に共通の課題かもしれません。高齢者の外出を支援するということでいきますと、外出を支援することで、実際に介護予防や閉じこもりの防止ができ、通院や老人福祉センターのような娯楽施設へ行くことにつながるとは思いますが、札幌市としては、高齢者に対して、できれば、住民相互の支え合いによる外出支援とか、買い物に困っている方であれば、地域全体で支援が行われるような生活支援体制整備を重点的に進めていこうと考えております。そのほか、タクシーの高齢者割引、あるいは、通院であれば福祉有償運送などさまざまなサービスが実施されておりますので、民間事業者も含めてトータルで考えていければいいのかなと思っております。 ◆田中啓介 委員  冬は、高齢者に限らず、転倒しやすいということでした。  しかし、先ほども言いましたが、高齢者の場合、同じ転倒でも骨折や大きなけがにつながっていくこともあります。定期的に病院に通うというのは病気の悪化を防ぐためでありますし、同じように、健康づくりセンターに通って健康増進に努めている高齢者は、少しでも病気にならないように、また老化を防ぐためにやっておりますから、その手助けのためにも、タクシーでも敬老パスを使えるように支援していくべきだと思います。雪がないときは、自分たちの足で歩いていけるけれども、冬期間はつるつる路面で骨折の心配もあって、それが大きな病気につながる可能性もありますから、札幌市はそういったところに支援していくことが大事なことだと思います。  また、私自身、タクシー会社に問い合わせたところ、冬は高齢者のタクシー利用が多いということでした。そうした冬期間の実態をしっかりと把握していくことが、札幌市としても大事なことだと思います。  そこで、質問ですが、冬期間の高齢者の外出実態やタクシー利用についての実態把握に努めるべきだと思いますが、どうお考えか、伺います。 ◎渋谷 高齢保健福祉部長  高齢者の実態把握につきましては、現在、冬期間に限らず、外出の頻度あるいは通院の頻度等のいろいろな調査を行っております。タクシー会社との意見交換や調査につきましては、現時点ではタクシーの導入を検討している状況ではございませんので、そういったことはやっていない現状でございます。 ◆田中啓介 委員  敬老優待乗車証利用者実態調査でも外出の回数などが出ておりますが、冬期間に限定して、つるつる路面のために外出困難な高齢者の実態をしっかりと把握していってこそ、支援が必要か、必要でないか、どんな支援が必要なのかということがわかりますし、実態調査をしなければそういうことはわからないと思います。  また、タクシーについては、今は検討していないので、意見交換などは全く考えていないという答弁でした。しかし、実際にタクシー会社としては、冬の期間は夏に比べて高齢者の利用実態が多いと言っておりますので、そうした実態をしっかり把握して、1年間をかけて高齢者に対してどういう外出の支援が必要かを検討していくべきですし、また、それが健康増進、介護予防にもつながっていくと思います。  超高齢社会を迎える本市として、高齢者の足となる敬老パス制度を維持することはもちろんですが、利用対象の拡大など、たとえ高齢になっても、冬場であっても、毎日のように外出できることで健康的に暮らしていけるよう、高齢者の声にしっかりと応えた支援策を行うべきだということを求めて、質問を終わります。 ○山口かずさ 委員長  次に、松浦委員から通告がございますが、出席要請している市長が、現在、第一部の委員会に出席しております。第一部の質疑が終了次第、こちらに出席していただきますので、一旦、質疑を保留していただいて、市長が出席した後、改めて質疑をしていただくことでよろしいでしょうか。 ◆松浦忠 委員  はい。 ○山口かずさ 委員長  それでは、質疑を続行いたします。 ◆こじまゆみ 委員  私からは、介護保険制度について、その中でも生活支援コーディネーターについて伺わせていただきます。  平成30年の介護保険制度の改正に向け、地域包括ケアシステム強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案が国会に提出されております。その目的は、高齢者の自立支援と要介護状態の重症化防止を図るとともに、制度の持続可能性を確保することに配慮し、サービスを必要とする方に必要なサービスが提供されるようにすることとしております。  代表質問で、地域包括ケアの推進に関して質問させていただきましたが、今後は、介護を必要とする方が適切なサービスを受けられる体制を強化する一方で、介護予防のさらなる充実や生活支援体制の整備などの施策に重点的に取り組んでいくとの答弁がございました。そのためには、札幌市が保険者としての機能をしっかりと発揮していく必要があると思われます。  介護サービスは、全国一律の基準により提供されておりますが、地域によっては高齢化の状況や独居等の家族構成などに差があり、介護サービスに求める支援と日常生活を送る上で必要な手助けは、そのニーズも今後の需要予測もさまざまな形で異なってくると思われます。札幌市の高齢化率は、平成29年1月1日現在で25.4%で、前年比0.7ポイント上昇しております。10区では22%から32.3%と差が大きく開いておりますが、まちづくりセンター単位で見ますと、40%を超えている地域もあります。まさしく、厚別区、南区においても同じような状況で、超高齢化が非常に進んでいると言っても過言ではございません。また、札幌市の要介護認定率20.1%というのは全国平均よりも1.8ポイントも高く、札幌の高齢者の健康度は低いのかなと心配になりますけれども、認定を受けていてもサービスを使っていらっしゃらない方が要支援者の4割、そして要介護者の1割いるという実態があると聞いております。  そこで、質問ですが、このような実態を札幌市はどのように認識し、次期介護保険事業計画にどのように反映していくおつもりか、伺います。 ◎渋谷 高齢保健福祉部長  実態をどのように認識して、次の計画にどう反映していくかということでございます。  まず、実態につきましては、札幌市は、全国と比較して、要支援1、2の比較的軽度な方の割合が高く、さらに、認定率も高くなっています。それから、実際にサービスを利用されている方の割合は、全国と比べても低い状態になっております。現在、集計作業を進めている要介護・要支援認定者へのアンケート調査で、サービスを利用していない方にその理由をお訪ねしたところ、複数回答ですが、サービスを利用しなくても自分で生活できると答えた方が全体の3分の1で最も多く、次いで、家族など介護してくれる人がいると答えた方や、いざというときのためにとりあえず申請したと答えた方がそれぞれ4分の1いらっしゃった状況でございます。さらに、病院に入院している方も10%程度おられるなど、サービスを利用していない理由はさまざまで個別性が高いものと認識しております。  こうした調査結果などを踏まえて、必要とされる介護サービスあるいは地域の実情に沿った生活支援ニーズ等を把握し、課題を明確にした上で、平成30年度から新たにスタートする介護保険事業計画に反映してまいりたいと考えております。 ◆こじまゆみ 委員  サービス未利用の理由として、サービスを利用しなくても自分で生活できるからと言う方が3分の1もいるなど、自立心の高い方がまだまだ多いなと思います。しかし、それぞれの個別性は理解しますが、もっと掘り下げて考えてみますと、今後、例えば、不安や心配事がありながら介護サービスを利用するほどでもない方や、通院やお買い物サービスなど不定期に支援が必要になる方、また、支援というよりは話し相手が欲しいなど、介護サービスの契約になじまないニーズも隠れているのではないかと推測されます。  国では、家族介護の負担軽減とともに、高齢者の多様なニーズにきめ細かく対応できる地域の互助の推進を地域包括ケアの重要な柱としております。平成30年度は、介護報酬と医療報酬の同時改定があり、介護保険事業計画と医療計画の同時策定、そして、地域福祉社会計画、その他の計画策定年度も重なるなど、地域包括ケアの推進に当たっては大きな節目となります。  公的サービスの重点化、効率化を図り、介護保険制度を持続可能なものにしていくためには、介護サービス事業者も巻き込みながら、専門職を適材適所で有効活用していくとともに、市民一人一人が自分の健康管理や介護予防に責任を持つこと、そして、地域のつながりの中で生きがいを持ち、支え合うことも計画の中に織り込んでいかなければならないと考えます。そのために、市町村は、市民みずからができること、やってみたいことにチャレンジできる環境整備をしていく必要があり、その一つの方策として、日常生活に困り事を抱える人に対して元気な高齢者が支え手になり、その活動が自身の介護予防につながるという互助活動の推進が必要だと考えます。  そこで、質問ですが、札幌市では、今年度から、高齢者の多様な生活支援ニーズに対応するため、3区をモデルケースとして生活支援コーディネーターを配置したと聞いておりますので、その活動の成果と課題について伺います。 ◎渋谷 高齢保健福祉部長  生活支援コーディネーターの活動の成果と課題についてでございます。  札幌市は、社会福祉協議会と協力して、今年度から、北区と豊平区、厚別区にコーディネーターを配置いたしました。そして、地域の生活支援ニーズを把握し、それを分析した上で、民間団体あるいは住民組織等による生活支援の情報収集も行っているところでございます。  活動成果としては、2点ほど例を挙げさせていただきますと、単位町内会の取り組みの発掘や、その担い手の育成がございました。一つ目は、単位町内会が中心となって感謝ポイント券を発行し、その地域通貨でボランティアの支援を受けられるようにするという取り組みがございました。二つ目としては、コーディネーターが育成したボランティアグループが自主組織化し、通院あるいは買い物に同行するような支援を行うなど、住民相互の支え合い活動に発展した例がございました。  今後の課題としては、住民同士のつながりの深さにはどうしても地域差が出てまいります。支える側に意欲があっても、支えられる側が遠慮してしまうとか、意識のずれがございますので、それを防ぐためにも地域全体への普及啓発が必要だと考えております。また、各区1名のコーディネーターでは、多様なニーズに対してきめ細やかな支援につなげていくことが難しいということなども挙げられると思います。 ◆こじまゆみ 委員  多様なニーズへのマッチングは困難だと言われておりますが、これからは、その多種多様なニーズを把握し、どんな課題を持って地域の方々に貢献していただくかということも考えていかなければならないと感じます。地域支援事業に位置づけられた生活支援体制整備事業では、各区レベルを第1層、日常生活圏域ごとを第2層として、重層的にコーディネーターを配置することとされております。そして、相互の役割分担により、生活支援ニーズや資源の把握、担い手の育成や市民活動の活性化など、生活支援をキーワードに地域づくりを進めていくこととされていると思います。
     そこで、札幌市は、今後、コーディネーターをどこに、どのように配置していくのか、また、地域福祉活動との横断的な取り組みをどのように考えているのか、伺います。 ◎渋谷 高齢保健福祉部長  まず、1点目のコーディネーターをどこに、どのように配置していくのかということでございます。  来年度から、第1層のコーディネーターを10区に拡大し、平成28年度から先行的に配置していた3区については、第2層となる日常生活圏域ごとにも各1名を配置する予定でございます。この第2層のコーディネーターについては、より市民に近いところでニーズに応じた担い手の育成あるいは民間事業者との協働による生活支援などきめ細やかな活動が求められるため、人材あるいは配置場所については今後しっかりと検討してまいりたいと考えております。  それから、2点目の地域福祉活動との横断的な取り組みについてでございます。  第1層のコーディネーターである社会福祉協議会は、従来から見守りやサロンなど地域福祉活動を推進しておりますし、そのほか、介護福祉関係団体あるいは住民組織の事務局機能なども持ち合わせているという強みがございますので、その実績あるいはネットワークなどを活用してまいりたいと考えております。 ◆こじまゆみ 委員  最後に、要望ですが、市民の皆様は、地域活動を活性化させるために本当に多種多様な力を持っていらっしゃいます。もちろん、地域差もありますし、個人差もありますが、誰かのためになるなら役に立ちたいという地域貢献の意識は、行政が思う以上に非常に高いと思っております。今まで自助、共助、公助といった形でしたが、その中に互助が入りました。地域の互助は、行政に言われたから仕方なくやらされるという受け身ではなく、自発的に自由な発想のもとで各自が可能な範囲で取り組めるようにすることが大切であろうかと思います。今後は、そういったところで生活コーディネーターの資質が問われてくるのではないかと考えております。  今、地域で活躍されている社会福祉協議会も含めて、ぜひ、横断的なかかわりを持てる適切な人材を配置し、この事業をさらに発展させていただくことを求めて、私の質問を終わります。 ◆丸山秀樹 委員  私からは、札幌市の認知症の人と家族に優しい地域づくりについて質問させていただきます。  札幌市の高齢者数はおよそ50万人で、そのうち約2割に相当する10万人が要介護認定を受けており、その中で認知症の診断を受けている方は5万人に上ると言われております。その数は高齢者の10人に1人が認知症ということになり、その方に接する配偶者や兄弟、子ども、孫、近隣住民、そして、将来、自分自身もその一人になる可能性があることを考えますと、認知症は全ての市民にかかわる課題であると言っても過言ではないと思います。  最近の地域の中での話題としても、認知症に関する問題意識は非常に高く、認知症が身近な問題になっていることを感じるところでもあります。中には、情報量の多さから、自分は認知症ではないかと過度なまでに不安を抱く高齢者がいる一方で、男性に結構多いと感じますが、周囲が気にすればするほど、受診を拒む場合もあるように思います。こうした背景には、認知症になってしまったら、自分がこれまで築いてきた社会的な関係性や役割を奪われ、地域から排除されてしまうかもしれないというおそれや、家族に負担をかける存在になるかもしれないという不安が、診断を受けることへの抵抗感につながっているものと考えます。  ついては、早期診断は、認知症であるか否かを選別するためではなく、その方の生活を支え、適切な環境に導くことにあることを知っていただきたいと、私もさまざまな場面を通じて訴えさせていただいているところでもあります。私は、これからはますます認知症の人と家族に優しい地域づくりが重要になるものと思っております。具体的には、安否確認や徘回時の捜索だけではなく、まず、認知症の方に対し、禁止や監視ではなく、その方の日常生活を大切に、意欲と体力に合わせた生きがいや役割を生んでサポートし、選択と自己決定によって病状に応じた安全な居場所が選択できるように周囲の体制を築くことです。そして、病気によって生じるご本人やご家族の苦悩、さまざまな不安が受けとめられ、認知症になっても家族や社会の一員として暮らし続けることができる地域や民間事業者、市民の理解の広がりと主体的な取り組みが求められるものと思います。  そこで、質問ですが、認知症に関する理解を広めるためには、重症化してからの症状や問題行動だけをクローズアップするのではなく、周囲の支えと協力があれば本人自身にもできることがあることを前向きに啓発していく必要があると思いますが、札幌市では今後の認知症への理解、普及啓発をどのようにお考えか、お伺いいたします。 ◎渋谷 高齢保健福祉部長  今後の認知症への理解、普及啓発についてでございます。  認知症の症状のあらわれ方や進行の度合いには個人差がございます。ご本人の生活歴を理解し、現在の療養環境を整えることによって症状が改善することもあります。このようなことについて、札幌市では、従来から実施している市民向け講座、あるいは専門職向けの研修で周知するほか、認知症ガイドブックにより、認知症の種類あるいは症状に応じてご本人にできることや利用可能なサービスがあることを紹介しているところです。また、介護事業所と住民ボランティアとの協働による認知症カフェを通じて、気軽に訪れ、相談あるいは情報交換できる居場所づくりを進めているところでございます。 ◆丸山秀樹 委員  ただいまの答弁にあった認知症ガイドブックの作成については、昨年の1定で認知症に対する取り組みの答弁として示されたものでしたが、このたび、でき上がったということで、早速、中身を拝見させていただきました。事例ごとに、初期から中期、後期と物語風に描写されており、社会資源もわかりやすく紹介され、具体的なエピソードに基づく時期に応じたサービスと社会資源も整理されていることから、認知症を知る、そして考えるきっかけとして、このガイドブックは大変に有効であると思います。  しかし、残念ながら、でき上がったばかりということもあってか、地域住民には十分に行き渡っていないように思います。また、認知症カフェについては、介護事業所が実施主体となっておりますが、実際にどのような居場所づくりがなされているのか、具体的に知りたいところであります。  そこで、質問ですが、認知症ガイドブックはどのような場所で手に入れることができるのか、また、その活用状況と反応はどうであったのか、次に、高齢者や認知症の方の居場所づくりの観点から、認知症カフェはどのような役割を果たしているのか、お伺いいたします。 ◎渋谷 高齢保健福祉部長  まず、1点目の認知症ガイドブックはどこで入手できるのか、それから、活用状況などについてでございます。  認知症ガイドブックについては、札幌市公式ホームページの認知症ナビで閲覧できるほか、各区役所、地域包括支援センター、医療介護関係者に冊子を配付しており、まずは市民を支援する側の機関に活用していただいております。年度内には増刷を行う予定でして、家族の会などの団体や希望する市民に配付できるように準備を進めているところでございます。  研修会等で活用した医師あるいは介護関係者からは、認知症の方やご家族の気持ち、心の変化が理解できて、その時期ごとに利用できる社会資源が大変わかりやすいと評価をいただいております。  次に、2点目の認知症カフェが果たしている役割についてでございます。  札幌市認知症カフェにつきましては、活動を希望する市民による認知症支援ボランティアを運営スタッフとして派遣しております。平成29年2月現在の認知症支援ボランティア登録数は146名、そのうち60歳以上の方が約8割を占めており、その中には80代の方11名も含まれております。ボランティアは、主に利用者の話し相手あるいはお茶出しなど運営のお手伝いをしていただいて、カフェの利用者にとっては専門職とのつなぎ役を果たしていただいて、身近な存在となっております。また、ボランティア自身にとっては、活動自体が楽しみであったり、生きがい、学びの場となっているとも言えるところでございます。  あるカフェにおきましては、認知症のご本人を講師として招いたり、診断からこれまでの気持ちを語っていただいたりしているところもありますし、グループホームに入居されている認知症の方にスタッフの一員として活動していただいて、当事者の社会参加の場づくりということも含めて、実際に活動していただいている介護事業者ならではの居場所づくりに取り組んでおります。 ◆丸山秀樹 委員  ガイドブックの印刷部数については限りがあると思いますが、一般市民、特に高齢者というのは、ホームページを見るようにと言われても、そういう環境にない方もいらっしゃいますし、たどり着くのにも難しくて時間がかかる場合もあります。ついては、冊子は専門職だけに配るのではなく、できるだけ多くの市民の目に触れるようにしていただければ、ガイドブックを教材に、地域住民の勉強会も進むのではないかと考えます。ぜひとも、ご家族や市民にも活用していただき、その意見を積極的に取り入れていただきたいと思います。  また、認知症カフェは、先ほどもすばらしい事例が報告され、認知症の高齢者自身が体験などを語る場面があったりするような活動をされていると聞きましたが、高齢者のボランティア活動や認知症のご本人が社会参加の場を得るということで、今後ますますの充実と発展を大いに期待したいと思います。  こうした取り組みから、地域住民と介護事業所、そして行政のつながりが見えてまいりましたが、さらには、それ以外の一般企業や若い世代における認知症への関心がどうなっているかということも気になるところであります。  道外の事例ですが、民間の動きもかなり活発化しております。高齢者向けのサービスを充実して、コンビニを拠点とした地域情報シニアサロン、介護相談所、ケアローソンというのが埼玉県西区三橋で展開されております。この三橋のケアローソンは既に2号店目でありまして、1号店は川口市で、既に9店舗ほどあるようですが、物品販売だけではなく、介護福祉士や社会福祉士などの有資格者が対応する高齢者の相談窓口機能を備えており、コーヒーなども飲めるイート・イン・スペースを設けるなどして、深刻な事態につながる前から支援策に取り組んでおります。  ちなみに、この店舗には介護関連商品もございまして、多くの世代が介護を知るきっかけにもなっております。介護施設に行くというよりも、買い物に行くという感覚で行くものですから、ハードルも大変低くなっております。また、相談窓口は、24時間ではなく、午前9時から午後5時までとなっているようですが、無休でやっており、まずは30店舗を目指していると聞いております。こうした取り組みが本市においても進むように、事業者への働きかけ、さらには連携を求めるところでもあります。  また、こうした民間の取り組みも含め、認知症の方や高齢者を地域から排除するのではなく、その個性や多様性を包み込んで受け入れていく寛容性を社会全体に広め、おのおのが自発的に支え手となっていくような地域づくりを進めていくことができれば、認知症の方やご家族が日常生活を送る上での心理的負担も軽減され、自己肯定感を持っていただくことにつながるのではないかと考えます。  そこで、質問ですが、認知症の方とご家族への支援策として、専門職や専門機関だけではなく、民間企業や若者も含めた社会全体で認知症の理解を深め、自発的に支え合えるような地域づくりを進めていくために、札幌市は今後どのように取り組みを行っていくのか、お伺いいたします。 ◎渋谷 高齢保健福祉部長  今後の取り組みについてでございます。  札幌市では、小学校、中学校の協力を得て、子どもから親世代も含めた認知症教育を広めるとともに、警察官あるいは金融機関の職員にも認知症について学んでいただき、犯罪被害の防止などに役立てていただいているところでございます。また、最近では、関係団体を通じて認知症施策の紹介を行うことにより、薬局あるいはスーパーマーケット、マンション管理業者等の民間企業において、社員教育に認知症サポーター養成講座を取り入れていただいているところもふえております。  今後とも、若い世代、幅広い業種の方々も含めた地域全体に認知症の人と家族に対する理解と支援の輪が広がるように努めてまいりたいと考えております。 ◆丸山秀樹 委員  ただいまの答弁で、若い世代を含めて、地域社会全体で認知症の人と家族に対する理解と支援の輪が広がるように努めるという決意を伺うことができました。  私は、今後、認知症への理解と優しい地域づくりが広がる中で、主体的な取り組みが社会のあらゆる分野で見られるようになれば、行政としてのサポートのあり方も、前面から側面へ、そして後方へときっと変わっていくと思いますし、また、そうなることを願っております。まずは、社会全体に理解と支援の輪が広がるよう、積極的な働きかけをしていただくことを求めて、私の質問を終わります。 ○山口かずさ 委員長  ここで、市長が出席しましたので、保留になっておりました松浦委員の質疑を行います。 ◆松浦忠 委員  老人福祉事業費のところで、老人クラブ活動費補助金4,500万円が計上されておりまして、内訳はここにそれぞれ載っております。これは、平成24年度までは、人数で幾らというように、会員数に応じて老人クラブの運営補助金の支給額が変動するようになっておりましたが、平成25年度からは、活動内容に対する補助金制度に変更して支給することになったわけです。そこでまず、平成28年度に補助金を支出した顕著なものはどういう活動内容のものだったか、お示しいただきたいということが一つです。  それから、介護保険の関係で、介護職員人材定着化事業、介護人材確保促進事業の2項目についてそれぞれ予算が計上されております。これは後ほどお尋ねいたしますので、まず最初に、老人クラブの関係からお願いします。 ◎渋谷 高齢保健福祉部長  老人クラブの活動の中で、平成25年度から制度が変わり、活動に対する補助になりました。その顕著なものということですが、定額部分と加算部分がありまして、地域を豊かにする社会活動としては、例えば、ボランティア活動、小学校での多世代交流、あるいは、その中で昔遊びをするといったことや、ひとり暮らしの高齢者を訪問したりする内容もあり、かなりのクラブで活動が活発になっていると考えております。 ◆松浦忠 委員  私は77歳ですから、小学校へ上がったのは1946年で、敗戦の翌年ですけれども、私の先輩も含めて、60歳以上の老人クラブの人たちが経験した昔遊びと、今の小学生がやっている遊びは全然違います。今の子どもたちは、小さなゲーム機を持っていろいろな遊びをするわけですが、私たちが経験してきたような集団で遊ぶことには入ってこない、そういうことに余り興味を示さないという実態もありますね。  また、このごろ、抗菌という言葉がはやっていて、菌と接しないことがいいということになっていますが、私は、これはどんなものかなと思っています。マスクをしても菌はいっぱい入ってきますし、肌が露出しているところにもいろいろな菌がついています。したがって、余り抗菌ということを言うと、便所なんかは汚いところだという感覚になって、近寄るのを敬遠する傾向も見られるわけです。  そんな中で、老人クラブの方は、肉体的には衰えてきているけれども、体験したことや知識はたくさん持っていますね。そこで、例えば、老人クラブの皆さんが委託を受けて、自分たちの近所にある公園の便所の清掃をするのはどうだろうかと。これは、みんな、小さいときからやってきてなれ親しんだことだし、子どもたちにそういうことがいかに大事かを教える面でも私はいいなと思うのです。  そういう活動について、老人クラブの社会的な貢献ということで考えられたことはあるかどうか、お尋ねします。 ◎渋谷 高齢保健福祉部長  老人クラブの活動に関して、例えば公園のトイレの清掃を活動として検討したことがあるかということです。  今現在の老人クラブの活動に対する補助については、ボランティア活動や友愛活動など、どんな活動にも基準を定めて補助しているところでございます。ですから、例えばトイレの清掃についても、老人クラブの中で自主的にやられているところはあるかもしれませんが、現在のところ、行政側としてそういうことをやってくださいと指定しているものではございません。 ◆松浦忠 委員  今の時代ですから、お年寄りでも、まるっきりのただだったら、参加する人はなかなか少ないのです。何ぼかでも老人クラブの活動費になっていくということであれば参加するかという雰囲気なのです。  そこで、これの所管は建設局のみどりの推進部ですが、老人クラブ連合会を通じて、現在、札幌市内にある公共施設の清掃などについて、幾らかの手当が出れば参加するかどうかという意向調査をぜひやってほしいなと思います。このことは、やはり、子どもたちに対する大切な教育の一環になっていくと思います。例えば、私が住んでいる菊水まちづくりセンターでいくと、すぐに隣接して公園があって、夏も冬もあいている便所があります。小学校もすぐそばにありますから、そういうところに老人クラブの人が集まって、子どもたちも帰りに寄って一緒に掃除するとか、そんなことも含めて多様なことをしなければいかぬなと私は思っています。ぜひ、札幌市老人クラブ連合会を通じてそういう調査をやっていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。 ◎渋谷 高齢保健福祉部長  公共施設の清掃について、幾ばくかの手当も含めて、そういう意向があるかどうかの調査については、連合会を含めて、こういったことが可能かどうか、まずは意見交換をさせていただいて、その結果を踏まえた上で検討させていただきたいと思います。 ◆松浦忠 委員  ぜひ、やっていただきたいと思います。やれば、そのほかにもいろいろなものが出てくると思います。何をしたいと思っているか、まずはそのことを聞き取っていただきたい。例えば公園の便所で言えば、三千数百の公園の便所に対して、みどりの推進部で、札幌市を二つに分けて競争入札をして、平均で言うと1カ所10万円弱で業者委託して清掃をやっています。そういうものを例えば老人クラブが半額ぐらいでやってくれるということになれば経費の節減ということにもなっていくと思うので、そういうことについて調査し、実現に向けて取り組んでいただきたいということを求めておきます。  続いて、介護職員人材定着化事業に670万円、介護人材確保促進事業費に500万円が計上されております。これを見ると、定着化事業では研修をする、確保促進事業ではセミナー、講習会、それから募集のための説明会などを実施すると書いております。つまり、このように事業費を計上すると、予算要求事業調書を見ればわかるとおり、これに要する職員の算定数が出ていまして、この事業をやるためにはさらに職員の人件費もかかっていくことになります。  そこで、お尋ねするのは、この二つの事業を実施した後の成果がそれぞれどうなっているか、そのことを調査されているかどうか、お尋ねします。 ◎渋谷 高齢保健福祉部長  人材定着化事業と人材確保促進事業について、その成果を確認しているかということでございます。  まず、人材定着化事業については、各種の研修事業を行っておりまして、その中で研修受講者に対するアンケートも行っております。そのアンケートを踏まえて、今後、こういう研修をやっていただきたいとか、そういうことを含めて今年度の研修に新たに追加したものもございます。そういう面で、アンケート調査でこの事業の効果をはかっているところでございます。  それから、人材確保推進事業については、介護事業者の採用力の向上を目指すものですので、その中の一つの事業として合同就職相談会のようなものがありますので、そのときにアンケートをとったりしながら、人材確保につながっているかどうかの検証という意味で人数の把握などしているところでございます。 ◆松浦忠 委員  今の二つの事業は、基本的には介護事業者がこういうことをしなければならないのですね。そして、そういうことをするための費用も介護費用の算定の中に入っていると思います。あれもこれも、効果があるのか、ないのか、はっきりしないものにもいろいろな項目を並べて予算をつけたら、それだけ札幌市の職員を確保しなければなりません。ですから、逆に言えば、全体的にまとめて、介護事業者が予算の中に盛り込んでおらず、札幌市が実施しなければならないことについてはいたし方ありませんが、本来、介護事業者がやらなければならないものは介護事業者にやっていただくべきだと私は思います。そういう点で介護職員の人材定着化事業などということを考えれば、なぜ定着しないかというところを市はどういうふうに分析しているのか、これをお尋ねします。  それから、合同就職相談説明会については、介護事業者としての団体があると思いますが、そういう団体はどういう機能をしてるのか、把握されていたらその団体の活動内容などを説明してください。 ◎渋谷 高齢保健福祉部長  まず、1点目の人材定着化事業について、なぜ人材が定着しないのかということでございますが、いろいろな要因があると思います。まず、介護職員の賃金といった処遇面がありますし、職場によっては人間関係ということもございますので、その理由についてはさまざまではないかと思っております。  それから、介護事業者の団体ですが、介護事業者には規模が大きなところから小さいところまでありますので、比較的小さなところは、就職相談説明会のような機会を活用して人材の確保に努めております。今回で2〜3年続けておりますが、団体も含めて、こういった活動については決して否定的ではございませんので、今後の事業継続について動向を見ながら検討していきたいと思います。 ◆松浦忠 委員  人材確保の説明会を通じて、どの程度確保できたかという調査はされていますか。 ◎渋谷 高齢保健福祉部長  合同就職相談説明会を踏まえた上で就職につながった方が何人かという数字は、今年度末までにということで事業者から取り寄せているところでございます。 ◆松浦忠 委員  そこで、私が市長に出席を求めたのはなぜかといったら、予算要求事業調書を見てみますと、ここばかりではなくて、全体的に、何でこんなことをするのか、終わってみたら、結果として、金は使っているけれども、余り成果がないというものがかなり見受けられるわけです。したがって、お金を使ってやることは大切ですが、成果があったのかどうかをきちっと確認して、成果がなければ、1年目はだめでも、3年なら3年やってみる、3年やってだめだったらそこで見直すとか、お金の使い方について区切りをつけていかないと予算は際限なく膨張していくというふうに思うのです。今度、それだけの収入が確保できるかといったら、そうはなりません。では、どうするかといったら起債に頼ることになるわけですね。したがって、私は、その辺をきちんとすべきではないかと思います。  もう一つは、保育所などを含めて、介護事業などの人材確保について言えば、小規模の事業者においては受け取ったお金はほぼ運営に使っていると見ています。ところが、大規模になっていって全国的に展開しているところは、どこから金が出ているのかな、そういうところはたくさんの寄附を集めているのかなと思って調べてみても、寄附も集めていません。そうすると、交付されたお金の中で規模拡大のためにかかる費用を生み出しているわけですね。生み出すとなったら、介護事業はほとんどが人件費ですから、そうすると人件費を削らなければなりません。そして、ほかの施設を整備して手を広げていくということになるわけです。あるいはまた、社会福祉法人恵友会に見られるようなああいう乱脈もあったりします。そういう点で、それぞれの事業について、一つは、やはり3年継続したら見直すことが大事ではないかなというふうに思うわけです。  その点について、市長は、たまたまここを審議しておりますけれども、ほかも含めて、市長の段階でどういう予算査定をされているのか、お尋ねしたいと思います。 ◎秋元 市長  それぞれの事業の評価をしっかりしていかなければいけないというのは当然であります。仕組みとして、それぞれの所管において、自分のところで行っている事業がどのように成果を上げているのか、まず、自己評価を毎年することになっています。その上で、2次評価として、個別の所属において自分で評価したもの以外に、総務局で全体からそれぞれの事業を見ていくという評価も行っております。そして、予算の中で上げられているそれぞれの事業について、例えば官民の役割をどう考えるかなど、毎年のように評価して、スクラップしていくことを大前提としながらさまざまな事業を組み立てております。  こうした事業評価については、一定程度の期間をもってその事業を取りやめていくことも含めて、しっかりやっていかなければいけないというふうに認識しております。 ◆松浦忠 委員  例えば、介護に要するお金というのは、今、働いている人たちに支払っている基準からいって、まあまあだと思えるような賃金を払えているのか、あるいは、これはちょっと少な目だなと思うのか。市長は長く市役所におられて、福祉関係の経験があるか、ないかは把握しておりませんが、市長が捉えているおよその感覚ではどう思っていますか、お聞かせください。 ◎秋元 市長  介護関係、あるいは保育士もそうですが、従事している業務に対して十分な報酬かどうかということについては、十分ではないのではないかという議論があるとは思っております。  その上で、報酬を上げていくことになれば、介護保険全体の中で見ていかなければいけませんので、報酬を上げることになると、当然、介護事業費全体が上昇していきますから、保険料にはね返ってくることもあります。ですから、バランスをどう保っていくかというのは非常に難しい問題ですし、また、処遇面だけではなく、いろいろな人間関係ということもあります。しかし、働きがいのある職場環境をどうつくっていくのかという意味では、処遇ということも一つの大きな要素であると認識しております。 ◆松浦忠 委員  特に賃金については、どういうふうにできるのか、我々議員にも、そして市民にも投げかけて、その中で合意を得ていくということにしなければ、普通の言葉で言うと、介護に従事する人たちだけに犠牲を強いることになりますから、私はこういうことではいかぬと思うのです。このことについて、ぜひひとつ実態などを調査していただいて、こういう場でそれらについて議論できるように提出していただくことを求めて、終わります。 ◆太田秀子 委員  私からは、介護士の処遇改善加算について質問いたします。  介護事業所が処遇改善加算を受ける場合、算定要件を満たすことが求められます。キャリアパス要件1と2が基本になります。国は、2017年度予算案で新たなキャリアパス要件3を設け、介護職員1人当たり月1万円の賃金の上乗せをします。これにより、要件は5段階になっており、それらを満たせば処遇改善加算は3万7,000円になります。  そこで、質問いたしますが、処遇改善加算5段階のうちの5は、このいずれの要件を満たしていなくても最低の加算は受けられるものです。しかし、本市では、これすら受けていない事業所があります。対象事業所数の1割強、251事業所がいまだに処遇改善加算を受けていません。  代表質問でも取り上げましたけれども、処遇改善の取得が進んでいない事業所についてどう把握しているのか、本来、その事業所で働く介護職員は受け取れるべきお金でありますから、加算を取得していない事業所が受け取れるように本市が支援すべきと思いますがいかがか、伺います。 ◎渋谷 高齢保健福祉部長  まず、1点目の介護職員の処遇改善加算をまだ取得していない事業所をどう把握しているかということでございます。  傾向として、まず、公益財団法人介護労働安定センターが実施した平成27年の介護労働実態調査によりますと、施設形態では入所型の施設よりも訪問や通所型のサービスのほうが運営法人の規模が小さいという結果が出ております。札幌市では、入所型の施設に比べて訪問や通所系のサービスのほうが介護職員の処遇改善加算の取得率が低い実態にありますので、経営規模でいくと比較的小規模の法人が加算取得率が低い傾向にあると把握しております。また、厚生労働省が実施した平成27年度介護従事者処遇状況等調査によりますと、介護職員の処遇改善加算を取得していない事業所が最も多く挙げている理由として、事務作業が煩雑という内容になっております。  次に、加算を取得していない事業所に対する支援策でございます。  札幌市におきましては、キャリアパス制度導入支援事業を実施しており、例えば、加算をまだ取得していないところに専門家を派遣し、加算取得に関する相談に応じるとか、その他労働環境等も含めた介護環境改善面の相談も受け付ける事業をやっております。 ◆太田秀子 委員  札幌でも小さい事業所の取得率が低いとのことですが、国が新たに上乗せする加算要件というのは、経験や資格等に応じて昇給する仕組み、または、基準を設けて定期に昇給を判定する仕組みを設けることですから、これをクリアできるのはやはり主に大きな事業所ではないかと思います。  続けて質問いたしますが、処遇改善加算は、直接、給料が上がる制度ですが、介護職員だけ、つまりヘルパーやケースワーカーしか対象になりません。厚生労働省は多職種協働と言いながら、事業所で一緒に働くケアマネジャーや事務職は加算から外れているのです。  介護の現場で働く人たち全てが処遇改善されることが望ましいと考えますが、本市としてどうお考えか、伺います。 ◎渋谷 高齢保健福祉部長  処遇改善加算の対象職員が介護職員等に限られないよう、対象職員を拡大したほうがいいのではないかと考えるが、札幌市としての考え方はどうかというご質問だと思います。  介護職員のみの賃金が上がることについては、他の職種との給与バランス等を損なう面があるという声が上がっているのは札幌市として認識しております。しかしながら、今後、特にさらなる不足が見込まれる介護職員の確保のためには、積極的にその処遇改善を図っていくことはより優先されるべき課題であると考えております。  なお、加算の対象職員の範囲については、主に介護報酬改定の制度設計を審議している社会保障審議会介護給付費分科会が昨年12月19日にまとめた報告書の中で触れられておりまして、まずは介護人材の確保のために賃金改善を確実に行うことが重要であるという考え方から、現行の介護職員のみの取り扱いとしているところでございます。  介護給付費分科会では、この件について引き続き検討していくということですので、札幌市としても国の動向を注視してまいりたいと考えております。 ◆太田秀子 委員  厚生労働省の資料によりますと、介護職員は、処遇改善加算を受けても、全企業平均の賃金からはなお10万円も低いことがわかります。厚生労働省は今回の資料からサービス業の賃金も書き込んでおりますが、介護職はサービス業の賃金より1万円低いとなっていまして、このたびの処遇改善加算1万円で打ちどめにしたいという思惑が見てとれます。処遇改善加算は手続が煩雑で全員に当たらないということでしたが、これで終わるようなことになれば低賃金、人材不足は改善されません。やはり、処遇改善加算というやり方は見直さなければいけないものであり、間違いだったと思います。  介護職の人材不足は深刻です。そのような中、先ほども出ておりましたが、介護福祉士の受験申込者数が前年度の半分に当たる約8万人に激減していると報道されました。実務経験者の受験資格に最長450時間の実務者研修の修了が必須になり、その研修には自己負担で10万円ほどかかります。受験料は1万3,140円です。お金も時間もかかることが半減した主な理由です。介護福祉士は、地域包括をするためのかなめになりますから、その重要性は今後さらに高まります。介護現場からは、早く介護福祉士がふえてほしいという声も聞かれています。  そこで、質問いたしますが、働きたい人に資格を取る支援をするなど、本市として具体的に財源をつけて人材不足を補う施策を持つべきと思うがいかがか、伺います。 ◎渋谷 高齢保健福祉部長  人材不足を補う札幌市としての施策についてでございます。  介護人材を継続的に確保していくためには、まずは新しく介護業務につく職員をふやしていくという視点と、介護業務等に従事している職員がやめることのないよう、働きやすい環境を整備していくことで定着を図っていくという両面が必要だと考えております。このため、札幌市では、介護事業者に人材採用の手法を身につけてもらうセミナーや合同就職相談説明会を開催するなど、新たな人材の確保を図りつつ、介護事業所に勤務するさまざまな職種の職員を対象に、業務に役立つ知識あるいは働きやすい環境づくりのための研修事業などを引き続き進めてまいりたいと考えております。 ◆太田秀子 委員  介護離職をしないようなセミナーもとても大事ですが、もっとスピード感を持って本当に人をふやすような施策が片方では必要です。本市の介護事業所と人材不足は、もう待ったなしという状況になっています。  本市の廃止事業所数調べにより、事業所を廃止した理由の内訳を昨年と比べてみますと、経営不振の事業廃止は減っていますが、人材不足による廃止がふえています。法人を譲って廃業する譲渡による廃止は、昨年は1件でしたが、ことしはもう19件になっていて、これは大変な問題です。先ほどの質疑で市長からスクラップという言葉が出ましたが、このような分野にはとてもなじまないことですけれども、介護版のスクラップ・アンド・ビルドがもう既に始まっているということだと思います。  力のあるところは介護福祉士を大量に集められて、力のないところは加算も取れない、処遇改善と言いながら働く人にはちゃんとお金が行っていない、そういう人と事業所を放置すべきではなくて、少なくとも処遇改善が行き渡るようにすることが今急いでやらなければいけない本市の役割だと申し上げて、質問を終わります。 ◆坂本きょう子 委員  私は、認知症医療について質問したいと思います。  今、在宅医療ということで、札幌市も在宅医療ガイドブックを出しておりますが、65歳以上の市民の皆さんを対象に行った調査では、約8割の方が現在住んでいる地域に住み続けることを希望しており、約6割の方が体が弱くなっても現在の場所に住み続けることを希望しているとあります。やはり、住みなれたまちで自分の生涯をという希望が非常に強いということであります。  一方で、今までの質疑の中でもありましたが、要介護認定を受けている方のおよそ半数が認知症高齢者だという実態があります。国の認知症施策推進総合戦略、新オレンジプランによると、これからの認知症医療の方向性は、長期入院ということではなくて、在宅医療で容体に応じた適時適切な医療を提供していくということでございます。早期診断・早期対応のための医療体制として、かかりつけ医の認知症対応力の向上、それからまた、認知症サポート医の養成のほか、今、国では認知症疾患医療センターの整備を進めていっております。認知症疾患医療センターは、速やかな鑑別診断、また、行動・心理症状と身体合併症に対する急性期医療、さらには、専門医療相談、関係機関との連携などを役割として、2017年度末までに全国500カ所の整備をしていこうという目標を掲げています。  北海道では、2次医療圏ということで、18カ所の医療機関が既にこのセンターとしての指定をされております。全国の各政令指定都市でもこのセンターが指定、整備されておりますが、札幌市だけが認知症疾患医療センターを整備しておりません。  このことについて、どのような意図を持って整備を行っていないのか、これからの整備の方向性をどのように考えていらっしゃるのか、伺いたいと思います。 ◎渋谷 高齢保健福祉部長  認知症疾患医療センターが設置されていない理由についてでございます。  札幌市では、医療機関が多数存在しており、認知症の鑑別診断が可能な医療機関は、現在、大学病院も含めて22カ所、認知症治療病棟を有する医療機関が11カ所、物忘れ外来が65カ所、その他認知症の診療に当たっている医療機関が163カ所ございます。  認知症疾患医療センターは、高齢者人口当たりの設置数が決められており、札幌市が指定する場合には7カ所から8カ所までとなります。既に設置している自治体のうち、特に大都市では、認知症疾患医療センターに患者が集中してしまう結果、2〜3カ月待機になってしまう事態も生じております。早期の診察が重要であるにもかかわらず、受診したいときに待たされることは市民にとってとても不安が大きいことなので、札幌市では、認知症疾患医療センターの機能を特定の医療機関に集約するのではなくて、市内全域の医療基盤を強化していくことを優先しているところでございます。具体的には、国が定める認知症サポート医養成研修に医師を派遣し、診断、治療、研修等の講師など疾患医療センターの機能の一部を担ってもらっているほか、認知症の相談等は札幌市の事業により実施しております。
     なお、認知症サポート医については、現在、今年度末で35名となっております。 ◆坂本きょう子 委員  札幌市としては、認知症疾患医療センターを整備しないということでした。医療資源が豊富で、大学病院等々の医療機関についてのご説明もあり、在宅療養中の認知症の診療に当たっている医療機関もたくさんありますし、センターが開設されたときの懸念についても今述べられておりました。また、今年度中に35名の認知症サポート医が指定されることになっていて、認知症疾患医療センターそのものについては、国は500カ所を整備するということでしたが、昨年末で375カ所を全国の都道府県知事あるいは政令都市市長が指定しているということでした。  しかし、このセンターについては、札幌には存在自体がないわけですから、札幌の介護事業所などに問い合わせてみても、知らないというご返事でした。また、認知症サポート医についても、さまざまな医療機関との連携ということもありますが、在宅医療ということですから、かかりつけ医のウエートが非常に大きくて、事業所においてそれなりに責任ある立場の方でも認知症サポート医の存在を知らないとお聞きいたしましたし、また、市民にも十分に知られていないと思います。35人ということでしたが、札幌市のホームページによると各区の偏在もありますし、35人で足りるのかという問題もあります。  まず、この点についてはどのようにお考えなのか、伺いたいと思います。  あわせて、今、全国で300カ所以上のセンターなどが設置されておりますが、年4回程度、情報交換する連絡会のようなものが開かれているということで、その議事録の概要もホームページから入手いたしました。  そうしますと、国のセンター設置の実施要綱では、都道府県の責務として、指定都市がある場合には指定都市と連携体制を構築した上で都道府県認知症疾患医療連携協議会を設置することが定められている、しかし、実際にそのような会が設置されている都道府県は少ないということでした。また、お医者様からの要望としては、都道府県認知症疾患医療連携協議会の開催状況、認知症疾患医療センターが一堂に会した情報交換の場を設けること、あるいは、事業評価が行われているか、こういうことについても検討すべきだと言われています。  また、北海道の中で設置されている砂川市の委員からは、北海道に対する問題提起というか、懸念が表明されています。北海道には、先ほども申し上げたように18カ所の医療センターが設置されておりますが、八つの精神医療圏域のうち胆振地域に5カ所が設置されており、偏在が著しい、それからまた、質の確保の体制の差も著しいため、独自に懇話会を立ち上げて、年2回、インフォーマルな会を開催し、ここには、医師だけではなく、精神保健福祉士、介護士、看護師などが参加して情報共有、研修、グループワークなどを行っているということでした。それから、道で事業評価が行われておりますが、この当時、センターによって鑑別診断件数に110倍の開きがあり、診断数や相談数だけではなく、センターが地域の医療機関、住民、包括ケアセンターと協働しているかどうか、アンケートでもいいから評価する必要があることも砂川市立病院の医師である委員が提言していました。  こういうことなどを踏まえて、札幌市は認知症サポート医で対応していきたいということでしたが、北海道とどのような連携をしているのか、これからどういう展望を持っているのかということについてもあわせて伺いたいと思います。 ◎渋谷 高齢保健福祉部長  まず、1点目の認知症サポート医が35名で足りているのか、偏在があるのではないかということでございます。  認知症サポート医が35名で足りているとは考えておりませんので、今後も養成を継続して、特に精神科医、脳外科医、内科医など、各区にばらつきが出ないように人選を進めているところですし、診断技術の向上に向けたサポート医の会議や研修に取り組む予定もしております。  また、市民に余り知られていないということですが、地域包括支援センターあるいは認知症コールセンター、区役所等で相談などを受けた場合には、認知症サポート医を紹介したり、札幌市公式ホームページで公開しております。また、医療機関の検索が可能な札幌医師会のホームページともリンクしており、市民に情報が伝わりやすいように今後も努めてまいりたいと考えております。  それから、2点目の北海道との協力関係についてでございますが、現在も北海道と情報交換を進めております。例えば、北海道が主催しているフォローアップ研修に札幌市のサポート医が参加するなどしており、今後も連携を進めてまいりたいと考えております。 ◆坂本きょう子 委員  サポート医については、35人で足りているとは思っていないし、区によるばらつきもこれから解消していきたいということでしたので、ここはきちんと対応していただきたいと思います。  先ほどの国で行っている協議会の中で、堺市の例ですが、かかりつけ医をフォローし、これを認知症疾患医療センターがバックアップする形がよいと考えると言われております。札幌市の場合はセンターを整備しないということですから、かかりつけ医とサポート医がきちんと連携していくことがこれから先の課題であると思います。そして、堺市の浅香山病院の委員の方が、生活を支える介護、介護を支える医療という考え方で、医療の介入をピンポイントにすることが重要である、しかし、専門医が少なく、タイムリーな介入が困難などなど、いろいろな課題を挙げております。今、サポート医の養成などについてもしっかりと取り組んでいきたというお話がありましたが、まさにここがかなめになってくるというふうに思います。  そして、医療の側のアプローチはもちろんのこと、介護の側のアプローチが欠かせません。かかりつけ医あるいはサポート医がいることがわかっていても、ご本人に自覚がなかったり、先ほども、認知症についてはとりわけ受診を拒否する傾向があるということもあったように、こんなところでなかなか医療につながらないケースもございます。先ほども、ぜひ促進をということで認知症ガイドブック発行のお話がありましたが、ご家族のほか、ヘルパーやケアマネジャーなど介護職員が早期にご本人の生活の変化に気づき、医療につなぐ支援ということも大切です。ガイドブックの中にも幾つかの症例が載っておりますが、代表的なアルツハイマーだけではなく、いろいろな疾患から認知症に発展していくことが非常によく書かれていて、私もこのガイドブックはとてもいいと思っています。また、この中にも書かれておりますが、ささいな症状を見逃さないことが大事だと思いますし、今、認知症は薬で随分抑制することができるものの一つになっています。そういう意味では、小さなことにまず気づいていくこと、ちょっとした生活の変化やしぐさ、あるいは乱雑になっているとか、言葉使いが変わってきたのではないかというところを介護の方がしっかりと察知することがとても大事だと思いますので、ヘルパー、ケアマネジャーを含めて、介護の方と医療の現場がつながっていくことが大事だというふうに思います。  それから、服薬管理もとても大事です。これは、症状を抑えることができる一方で、副作用が非常に強く出る薬がありまして、医療の知識をある程度持っているケアマネジャーなどはそのことを把握しておりますが、ヘルパーにまで行き渡っていないことが間々あります。実際に、食べるべき食事の量がとれなかったり、腹痛が出たり、頭痛が出たり、ふらつきが出たりというさまざまな副作用が出てきますので、こういう知識も介護の関係の皆さんとしっかり連携していく必要があるというふうに思います。  そこで、認知症の方、介護する家族、介護士の負担に対応していくために、認知症サポート医はかかりつけ医や現に介護をしている関係者と連携していくことがこれから重要になっていくと思いますが、この点について今後どのように取り組んでいくおつもりなのか、伺いたいと思います。 ◎渋谷 高齢保健福祉部長  介護と医療の連携ということだと思いますが、札幌市の今後の取り組みについては、現在、特に認知症の方とご家族への支援として、昨年度から認知症初期集中支援事業を開始しております。このチームには認知症サポート医も参加しており、医療の拒否あるいは閉じこもりなどの認知症患者の自宅を訪問し、治療や介護サービスにつなげているところであり、まさしく連携の中でできている事業でございます。  また、サポート医とかかりつけ医のための研修、介護関係者との合同会議などを通じて、認知症支援にかかわる多職種の資質向上と連携に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。 ◆坂本きょう子 委員  今後の方向性として、医療自体がこれからますます在宅医療へシフトしていきますし、介護も、地域総合支援事業が始まっていて、施設ではなくて、自宅、あるいはより身近な地域の中でグループホームでの介助が進んでいくのだろうというふうに思います。しかし、それを支えていく技術や人間は、これからもしっかりと育てていかなければならないものだと思います。先ほど来、地域の力や市民のサポートということが強調されておりますが、私は、そこは行政がしっかりと主軸になって連携の輪をつくっていくことがとても大事だと思います。  先ほど介護従事者の人手不足の話がありましたが、私がお話ししたケアマネジャーは、景気がよくなると介護職員の応募が減るのですとおっしゃっていました。そして、資格を取る学校の定員割れということもありますが、今現在、資格を持っている方でも、大変で厳しい労働環境だということをわかっているので、一旦、離職した人は戻ってこない、そして、新たな人材がふえていかないことが本当に悩ましいと言っていました。また、これからは医療の現場との連携が必要になりますが、それぞれ違う専門性を持っている方たちですから、ここをしっかりとつなぎ合わせていくことがとても重要なことになってくると思います。  介護保険が成立した当時、保険あって介護なしと言われていたころのことを思い出しますが、まさに、これから先、札幌市として、保険あって介護なし、サービスなしというような状況は絶対につくらないという決意をより強く持っていただきたいということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。 ◆中山真一 委員  私からは、地域包括ケア実現に向けた地域ケア会議の活用について伺います。  地域包括ケアシステムを構築していくに当たっては、そのための有効な政策ツールである地域ケア会議を最大限活用していくことが重要であります。私は、先日の代表質問において、子どもの貧困対策における相談体制の充実に関して、子育て世代版の包括支援センターのような仕組みの導入を提言いたしました。とりわけ、ミクロとしての個別の支援とマクロとしての政策をつなぐ地域ケア会議の仕組みは、今後、高齢者支援だけではなく、子育て支援や障がい者支援、生活困窮者支援など、さまざまな地域課題に応用可能なこれからの地域づくりのモデルとなり得るツールだと考えます。  地域ケア会議は、平成27年、介護保険法改正において制度的に位置づけられ、全ての保険者で実施されることとなりました。国の要綱では、会議の機能として、個別課題の解決、地域課題の発見、ネットワーク構築、資源開発、政策形成の五つが位置づけられております。この地域ケア会議が十分に機能することで、個々の住民の生活や介護事業者に生じている課題がボトムアップで市レベルに伝わり、事業への反映や新たな資源開発へとつながっていくことになります。本市では、個別事例への検討を行う個別地域ケア会議から、地区レベル、区レベル、市レベルの4層構造で実施されております。  私も、昨年末、全市レベルの地域ケア推進会議を傍聴させていただきました。その場では、介護、医療、福祉現場の方々や家族の会、民生委員の代表など、多方面からさまざまな議論がなされておりました。この全市レベルの会議で議論されたことが最終的に現場レベルで確実に実行され、市民の生活の質向上につながっていくためにも、地域包括支援センターごとに開催される個別地域ケア会議が最も重要であります。  そこで、本市の平成27年度年間開催実績を見ますと、全市レベルの会議が3回、区ごとで20回、地区ごとで87回の開催、個別地域ケア会議は、88回の開催で、1センター当たりの平均が個別事例の検討3回となっており、十分に活用されているとは言えないのが現状です。他の自治体を見ても、開催状況にはばらつきがあり、週1回開催している自治体もある一方で、まだ十分に浸透していない自治体もあります。  そこで、札幌市の地域ケア会議の今後に向けて、幾つか伺ってまいりたいと思います。  まず、個別地域ケア会議は、平均で見ると1センター当たり3回ですが、地域包括支援センターごとに見るとどのような開催状況か、伺います。  また、開催回数が少ない原因として考えられることは何か、伺います。 ◎渋谷 高齢保健福祉部長  まず、1点目の地域包括支援センターごとの開催状況についてでございますが、札幌市における個別地域ケア会議の開催実績をセンターごとに見ますと、平成27年度では、9回の実績のあるセンターから未実施のセンターまで開催回数についてはばらつきがあるのが現状でございます。  それから、2点目の開催回数が少ない原因についてでございますが、個別地域ケア会議で検討すべき事例については、住民あるいはケアマネジャーからの相談数に地域差があること、それから、家族の同意が得られない場合があるということです。また、センター職員が地域ケア会議の運営自体を習熟するまでにまだ時間がかかり、過渡期の状況であることが原因として考えられるところでございます。 ◆中山真一 委員  今のご答弁で、未実施のセンターもあり、ばらつきがあることがわかりました。  個別事例の課題を取り上げるとなれば、今おっしゃったように、当然、関係者の同意が必要であることは理解いたしますが、地域からの相談というのは地域包括支援センターの本来の業務であります。介護保険法に位置づけられる前の平成24年度の国の地域包括支援センター運営要綱にも、地域ケア会議の開催がうたわれております。個別地域ケア会議を開催し、有効に活用するためには、日常の相談業務やケアマネジャー及び地域住民との関係構築とセンターの業務運営がふだんから適切に機能していることが不可欠であります。地域ケア会議を積み重ねることで、各包括支援センターの業務の質を上げていくことにもつながります。加えて、個別地域ケア会議には、ケアマネジャーの人材育成の機能もあります。高齢者を現場で支援する専門職の育成による個々のケアマネジメントの質の向上は、市民の安心や幸福に直結する部分であります。  地域包括支援センターの設置運営についてという平成28年の厚労省通知では、ケアマネジャーの資質向上に資するよう、全てのケアマネジャーが、年1回以上、個別地域ケア会議に参加するようにと定められております。各センターにおいては、これまで以上に積極的に個別地域ケア会議を活用すべきと考えます。  そこで、伺います。  地域ケア会議そのものの運営について、センター職員の習熟度に課題があると先ほどお答えがありました。個別地域ケア会議を実効性の高いものにしていくためには、センターに対してその意義や運営ノウハウを習得するための支援が必要だと思いますが、本市の取り組み状況を伺います。  また、より多くのケアマネジャーの参加を促すためにも、今後、実施方法の見直しを行う予定があるのか、あわせて伺います。 ◎渋谷 高齢保健福祉部長  まず、1点目の個別地域ケア会議の実効性を高めるための札幌市の取り組み状況でございます。  地域ケア会議を開催するに当たっては、平成27年度に、地域包括支援センター職員とともに、実践的な札幌市版の運営マニュアルを作成いたしました。また、地域ケア会議の先駆的な実績を持つ自治体のセンター職員をお招きして演習を交えた研修を行ったり、あるいは、バックアップ機能を有する各区職員とともに研修を受講していただいたり、会議運営にかかわるノウハウを習得するために継続的に支援を行っております。  それから、2点目の実施方法の見直しの予定があるかということでございます。  個別地域ケア会議への参加は、ケアマネジャーの資質向上の機会になるのは承知しておりますが、札幌市には1,000名を超えるケアマネジャーがいらっしゃいまして、全員に、年1回以上、事例検討の機会を提供するのは現実的ではないと考えております。したがいまして、平成29年度からは、ケアマネジャーが少しでも多くの個別地域ケア会議に参加でき、専門職からの助言を受けやすくなるように、個別地域ケア会議を定例化することを予定しておりまして、各センターから開催日程を予告することでケアマネジャーから相談しやすい体制を目指してまいりたいと考えております。 ◆中山真一 委員  今のご答弁にありましたように、定例化によってある程度の実施開催を担保するという方針は理解いたしますが、今後は最低月1回開催という一定の義務化も必要ではないかというふうに考えます。さらに、ケアマネジャーの資質向上という観点からすると、相談してこないケアマネジャーはその恩恵を受けられないことになります。  そこで、伺います。  札幌市の個別地域ケア会議の実施方法でケアマネジャーの資質向上を図ることは可能なのか、認識を伺います。  また、実際にどのような事例が会議で取り上げられ、個別地域ケア会議の結果、得られた成果は何か、あわせて伺います。 ◎渋谷 高齢保健福祉部長  まず、1点目のケアマネジャーの資質の向上は可能かどうかということでございます。  札幌市では、個別地域ケア会議において、医師や歯科医師、薬剤師、リハビリ専門職等のアドバイザーから助言を受けることができる体制をとっております。これにより、ケアマネジャーが日ごろ何かと連携しづらいと感じている専門職から、直接、知識あるいは協力を得る機会をつくっております。また、ケアマネジャーの資質向上の手法については、地域ケア会議以外に研修の機会をつくったり、個別地域ケア会議で取り上げられた事例やその課題解決の内容を一般化して研修会で共有するなど、広く、より多くのケアマネジャーに還元できるようにしております。  それから、2点目の実際の事例と成果についてでございます。  具体的な検討事例と成果としては、例えば、在宅でリハビリを要する患者の支援について検討し、本人やケアマネジャー、ヘルパーがリハビリ専門職のアドバイザーから具体的に助言・指導を受けることによって、支援チームが一丸となって本人のリハビリを支える体制ができたという事例がございます。それから、周囲の支援がないまま認知症が重度化した方がいたことから、住民組織も参加し、専門医の助言を受けた結果、地域で早期発見の体制づくりにつながったという事例もありまして、個別の事例を地域で解決していくための手法として十分に活用されているところでございます。 ◆中山真一 委員  個別地域ケア会議において専門職やアドバイザーなどから助言や協力を得ていることと、研修等を通じて会議で取り上げられた事例を他のケアマネジャーにフィードバックしているということでした。ケアマネジャーの資質向上のためには、出発点となる個別ケースの支援内容の検討が極めて重要だと改めて理解いたしました。  このような地域ケア会議の仕組みは、地域の住民や専門家などの関係者が連携して個別の課題を解決するとともに、現場からのボトムアップによって真に地域課題に即した政策をつくることができるというモデルであります。この仕組みが確立し、有効に機能するようになれば、高齢者の支援だけではなく、さまざまな地域課題に応用可能な大変可能性のある仕組みではないかと考えます。  国も、今年度、地域共生社会の実現という構想を発表し、そのような方向に進もうとしているとも聞いております。担当の皆さんにおかれましては、ゼロから仕組みをつくり上げていく困難さは理解しますが、この仕組みを確立させていくためにも、行政が強いリーダーシップを発揮して、特に実働部隊である地域包括支援センターを適切にマネジメントしていただくことを最後に求めて、私の質問を終わります。 ○山口かずさ 委員長  以上で、第3項 老人福祉費及び介護保険会計予算等の質疑を終了いたします。  ここで、およそ1時間、委員会を休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午後0時11分       再 開 午後1時10分     ―――――――――――――― ○山口かずさ 委員長  委員会を再開いたします。  次に、議案第5号 平成29年度札幌市国民健康保険会計予算及び第11款 諸支出金 第2項 他会計繰出金中関係分について、一括して質疑を行います。 ◆福田浩太郎 委員  私からは、ジェネリック医薬品の使用促進の取り組みについてお尋ねしたいと思います。  平成27年度の札幌市国民健康保険の総医療費は、合計で約1,657億円となっております。そのうち、国民健康保険の給付額は約1,380億円で、年々増加傾向にあります。1人当たりの医療費で見ますと、政令指定都市で第5位の37万7,968円と上位に位置しており、札幌市では、医療費適正化計画を策定し、レセプト点検の充実、特定健診・特定保健指導の実施率向上、医療費通知などの医療費適正化の取り組みを実施しているところであり、これらの取り組みについては一定程度の評価をしております。  もちろん、市民の皆様が健康に生活するために必要な医療を受けることが前提ですが、札幌市の国民健康保険の健全運営のためには、医療費適正化の取り組みをさらに充実させていくことが必要だと考えております。国保が負担した医療費約1,380億円のうち、調剤費は217億6,300万円となっておりますが、この調剤費の適正化について、ジェネリック医薬品も効果的施策の一つであると考えております。  国においては、さらなる使用を促進するために、平成25年4月に、行政、医療関係者、医薬品業界など国全体で普及に取り組むため、後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップを策定し、安定供給や品質に対する信頼性の確保など、さまざまな課題解決の方策が検討されたところであります。このロードマップでは、従来の指標にかえて、ジェネリック医薬品にかえることができない医薬品を除いた上で、ジェネリック医薬品の数量シェアを新指標として定め、平成29年度末までにこのシェアを60%にすることを目標としておりましたが、平成27年6月に閣議決定した経済財政運営と改革の基本方針2015、いわゆる骨太の方針において、平成29年度中に70%以上にするとともに、平成30年度から平成32年度末までの間のなるべく早い時期に80%以上とする新たな数量シェア目標が定められたところです。  そこで、質問ですが、国の目標値が変更されましたけれども、札幌市国保における現在の使用割合についてお尋ねいたします。 ◎富樫 保険医療部長  札幌市の国保における後発医薬品、いわゆるジェネリック医薬品の使用割合についてでございます。  処方された調剤数に占めるジェネリック医薬品の割合は、毎年、増加傾向にありまして、平成28年3月のレセプトでは66.0%でしたが、直近の平成28年12月分では70.1%となっており、29年度中の国の目標値は既に達成しております。 ◆福田浩太郎 委員  今のご答弁で、平成29年度までの目標値については既に達成しているということで、評価させていただきたいと思います。  国では、先ほど申し上げた期間までに目標の達成を目指すわけですが、目標値である80%に達した場合、その削減効果額については1.3兆円と試算しておりまして、次の目標値80%の使用割合の達成に向けてしっかり取り組んでいただきたいと思いますし、また、これは喫緊の課題であると考えております。  そこで、2点目の質問は、平成26年の決算特別委員会においても、疾病等を踏まえた効果的なジェネリック医薬品の差額通知について質疑し、要望させていただきましたが、現在どのような取り組みを行っているのか、お聞きしたいと思います。 ◎富樫 保険医療部長  ジェネリック医薬品の使用促進に関する現在の取り組みについてでございます。  普及啓発としては、毎年、保険証の更新時期に被保険者全員にお配りしている国保のしおりへの掲載、あるいは、40歳以上に送付する特定健診、いわゆるとくとく健診の受診券に掲載したり、さらには、保険証に張りつけることができるジェネリック医薬品を希望する意思表示シールを配付するなど、さまざまな機会を捉えて普及啓発を実施しております。  特に、ジェネリック医薬品の使用促進に効果的な取り組みとして、ジェネリック医薬品に切りかえた場合に自己負担額が軽減される方を対象に、平成25年3月から、年2回、差額通知を発送しております。ジェネリック医薬品への切りかえは、急性疾患よりも、継続的に薬が処方される慢性疾患の方のほうが長期的に考えれば効果が大きくなります。このことを踏まえて、平成28年度においては、処方箋1枚につき14日分以上の投薬を処方されている方のうち、ジェネリック医薬品に切りかえた場合、自己負担額が200円以上軽減すると見込まれる方全員に対して、数字で申しますと28年9月には5,136人、ことし3月10日には4,172人に差額通知を送付したところでございます。 ◆福田浩太郎 委員  普及啓発、差額通知について取り組みを進めていただいているということでございます。特に、差額通知については、その金額や、また、対象を慢性疾患に絞って積極的に取り組んでいただいていると理解いたしました。ジェネリック医薬品の差額通知については、通知を受け取った患者ご本人が自身の調剤費がどれぐらい軽減されるかを実感できるものであり、先発医薬品からの切りかえを検討するきっかけとなる大変有効な手段だと思います。  そこで、最後に、差額通知を送付した患者がジェネリック医薬品に切りかえたことによる効果額はいかほどか、お尋ねしたいと思います。 ◎富樫 保険医療部長  ジェネリック医薬品差額通知による削減効果額についてでございます。  差額通知を発送した2カ月後のレセプトで実際の切りかえ状況を確認したところ、平成28年9月に通知した方5,136人の中でジェネリック医薬品に切りかえてくださった方が483人、切りかえ率としては9.4%でございました。その効果額ですが、総医療費ベース、すなわち10割の医療費ベースで計算すると約175万円と推計されることから、年間約2,100万円の削減効果が見込まれるものと考えております。 ◆福田浩太郎 委員  レセプトによってそのときのものしか確認できず、これまでの累計の効果額等は把握できないということでしたが、調剤費全体から見ると決して大きなものとは言えなくても、医療費の適正化は小さな積み重ねが大切であり、ジェネリック医薬品の推進は効果的な施策の一つであることは間違いないと考えております。  先ほど述べましたが、数量シェア80%となったときには、国全体で1.3兆円の効果額があると試算されております。さまざまな普及啓発をしていただいておりますが、ジェネリック医薬品への理解を深められるよう、より一層、工夫していただくと同時に、差額通知の郵送についてしっかり継続していただきたいと思います。  また、札幌市だけでの取り組みでは広がりが見込めないと思いますので、関係機関と課題を共有し、連携を強化していただいて、機運の醸成に一層努めていただくことを求めて、質問を終わります。 ◆太田秀子 委員  私からは、国民健康保険の資格証明書について質問いたしますが、資格証明書、つまり国保料未納世帯で手元に保険証がない状況について伺います。  資格証明書は、特別な事情がないにもかかわらず、1年以上、国保料を滞納している世帯に発行するとしています。資格証明書をもらった世帯が病院に行ったときにどうなるかというと、保険証があれば窓口負担が3割で済みますが、保険証がないので10割を病院に払います。保険証があれば3,000円で済むものが1万円払わなければならない、そういう状況に置かれるということです。  まず、最初の質問ですが、この資格証明書を発行する目的は何なのか、伺います。 ◎富樫 保険医療部長  資格証明書交付の目的についてのご質問でございます。  資格証明書は、先ほど委員も述べられたように、特別な事情がないにもかかわらず、1年以上滞納を続けている世帯に対して交付しているものであり、その交付の目的としては折衝機会を得るということでございます。 ◆太田秀子 委員  続けて伺いますが、折衝した結果、納付に結びついた世帯数はどれぐらいあるのか、教えてください。 ◎富樫 保険医療部長  資格証明書交付によって納付に至った件数についてでございます。  明確な数は集計しておりませんが、資格証明書の交付世帯数自体を見ると、保険証の一斉更新を行った昨年12月1日の時点で1万380件あったものが、3カ月後のことし3月1日の時点で8,809件と、15%程度減少しております。減少したこれらの世帯の中には、急に医療機関にかかる必要があって資格証を緊急解除した世帯や、そもそも国保の資格を喪失した世帯なども含まれていて、全てが納付に至って資格証を解除したということではございませんが、この数を見ると一定の効果があったものと推測しております。 ◆太田秀子 委員  資格証でなくなったのは、今おっしゃったとおり、緊急解除や保険料を納付して解除になった、または差し押さえられて解除になったなどさまざまな要因が考えられます。私は、資格証を発行する目的は折衝の機会をつくることだということでしたので、資格証を発行することで折衝につながったのかという質問をしましたけれども、集計していないということですから、それはわからないということですね。  この間の予算特別委員会の中で、国保の件ではありませんが、各委員の質問で、目標をどう達成させるのか、検証が必要ではないのかという質疑が何度かありました。私も、目標を達成させようと思えば、検証するのが当たり前だと思います。資格証を発行したら滞納していた人が相談に来て話し合いができた、そのうち何件が納付することになった、それでも何件は払えない、そうした検証があって初めて資格証を発行することが有効かどうかがわかるのではないでしょうか。目的である折衝を飛び越えて、納付が目的になっていると思います。  続いての質問ですが、資格証が解除された方も含まれているのではないかとおっしゃった先ほどの1,571世帯の方たちは、全て折衝して解除に至ったということでよろしいでしょうか。 ◎富樫 保険医療部長  資格証が解除になった方の全てが納付に至ったのかということでございます。  先ほども申し上げましたように、資格証でなくなった理由はさまざまでございます。繰り返しになりますが、急に医療機関にかかる必要があって資格証を緊急解除した方とか、そもそも国保の資格を喪失した方なども含まれておりますので、その全ての数ということではございません。 ◆太田秀子 委員  納付に至ったかということではなくて、そういう方たちと折衝して話し合いができたのかということを伺いましたので、お願いします。 ◎富樫 保険医療部長  これも同様でございまして、資格証を解除した千数百件の中身がさまざまで、折衝の機会がないままに喪失した世帯なども含まれておりますので、全てということではございません。 ◆太田秀子 委員  資格証になるというときは、保険証がなくなったら困るなと思うので相談に行こうかと思うでしょうけれども、保険証がないと連絡が来ないですよね。折衝の機会は減ってしまうと思います。結局、病院に行かなくなり、悪化し、重症化する、医療費が高くなる、ですから相談に結びつけていくことが大事だと思うわけです。  広島市では、接触の機会を持つという目的で保険証を資格証明書にしたら、いよいよ接触できなくなり、目的を達成できないからと基本的に資格証の発行をやめて、悪質だという事情をつかんだ場合のみ発行するとなっています。横浜市は、資格証明書は収納率向上に効果的ではないし、滞納は悪意でない、事情があって払えないんだということで資格証発行を大幅に減らしています。これらは、資格証を発行することでどうなるのか、どうなったかという検証をしたのだと思いますが、このような結論になっています。ぜひ、検証をするべきだと求めておきます。  そして、明らかに資産があるのに払わないとか悪質な場合を除いて、折衝できない世帯に保険証を渡さないということは、してはいけないのですね。何で保険料を払えないのか、その理由がわからないのですから。  続いて質問しますが、2000年の国保法の改定で資格証明書と短期保険証の発行が義務づけられておりますけれども、特別な事情がある場合は保険証を渡してもいいのですね。特別な事情というのは、各自治体によって若干違いがありますが、本市の場合はどのようなことを言うのか、教えてください。
    ◎富樫 保険医療部長  特別な事情に該当する世帯の基準についてございます。  まず、国民健康保険法の施行令では、資格証明書交付の前提としてまずは被保険者証返還命令を行いますが、この除外対象者ということで例規されております。世帯主がその財産について損害を受けたり盗難に遭ったこと、次に、世帯主またはその世帯と生計を一にする親族が病気にかかったり負傷したこと、それから、世帯主が事業を廃止したり休止したこと、そして、世帯主が、その事業について著しい損失を受けたことなどの理由により、保険料を納付することができないと認められる者としております。  札幌市では、このほかに、保険料を納付できないことに関して特にやむを得ないものと区長が認めた者についても交付対象から除外しておりますが、その基準については個々の世帯ごとに生活状況や納付資力などを考慮して判断しております。 ◆太田秀子 委員  もう一つ、続けて伺いますが、特別な事情を判断するときなのか、事情を認められず払えるとするかどうか、そういうときには資力を調べると思いますが、その資力のある、なしの基準を教えてください。  例えば、お給料以外の収入はない中で、子どもの入学を控えているので、そのための預金がある場合、そういうものも資産とみなして国保料に充ててもらうのか、教えてください。 ◎富樫 保険医療部長  納付資力の判断基準などについてでございます。  資格証明書の対象となる世帯に納付資力があれば滞納処分の対象となり、納付資力がなければ処分停止の対象となることから、国民健康保険における納付資力の判断は国税徴収法の例によって財産調査や滞納処分の根拠としているところでございます。したがいまして、国税徴収法に定める差し押さえ禁止財産を一つの基準として納付資力の有無の判断をしており、預貯金については、その目的にかかわらず、差し押さえ禁止財産に該当しないことから、納付資力の有無の判断に含めているものでございます。 ◆太田秀子 委員  払えない理由を聞けば、ほとんどが特別な事情に入るのだと思います。だから、むやみに保険証を取り上げないのだという考えのもとで特別な事情という基準がつくられたのだと思うのですよ。どうして払えないのか、滞納になったのかを聞くことができれば、8,809世帯も保険証が渡らないという事態にはならないと思います。きょうの質問で、資格証発行の目的である折衝はしていないけれども、資格証になっている世帯が多いと私は感じましたが、集計していないということでしたので、そこはお互いにわかりません。  しかし、そもそも資格証の発行が折衝目的だということ自体、保険証を渡すことに条件をつけているわけです。そして、納付できない、ましてや、高くて払えませんと言っても、平均保険料を据え置いて上がらないようにしていますと、そういうふうにしているはずなのですね。一般的に、入学準備の預金しかないようなものは資力とは言わないですよ。まず、実態がわからない場合は資格証発行をしないようにする、そうすれば実態を聞き取らなければなりません。ですから、大変な様子を聞いた後に、では、いつから幾ら払えますかと聞くような納付を目的とするものではなくて、会ってお話を聞く機会をふやすことを目的の第一にすべきだと思います。  続いて質問しますが、十分に資力がある場合を除いて、保険証は渡した上で折衝を続ければいいと思いますけれどもいかがか、伺います。 ◎富樫 保険医療部長  保険証を渡しても納付折衝できるのではないかという趣旨の質問かと思います。  資格証明書を交付するに当たっても、いきなり送付するということではなくて、事前に文書や電話や訪問といったさまざまな手段により折衝の機会の確保に努めているところでありまして、それでもなお折衝の機会を得られない方に対して発行しているものでございます。 ◆太田秀子 委員  それは、もうわかっています。しかし、幾ら払えるのと言われたりするから、そういうところに温度差を感じているのですよ。ですから、保険証を渡してもやればいいではないですか。渡しておいて、丁寧に折衝の機会を何回も持っていく、そういうことができないのかと聞いているわけです。  実際に資格証を減らしている自治体もあります。これは、住民の命と暮らしをどうするのかという自治体本来の役割にかかわる問題なのです。検証もしない、効果も言えない、しかし、はっきりしているのは、会う機会をこちら側から壊しているということです。資格証明書の発行は、医療から遠ざける以外の何物でもないということを申し上げて、私からの質問を終わります。 ◆こじまゆみ 委員  私からは、特定保健指導について伺わせていただきます。  平成25年6月14日に閣議決定された日本再興戦略を受けて、国民健康保険法に基づく保健事業の実施等に関する指針の一部が改正されました。平成26年4月1日に適用されたこの指針により、保険者は、健康・医療情報を活用して、PDCAサイクルに沿った効果的かつ効率的な保健事業の実施を図るため、データヘルス計画、保健事業実施計画を策定し、より具体的な保健事業の実施及び評価を行うこととなりました。  この改正された保健事業の指針の中では、事業の実施に当たっては、特定健康診査、札幌では通称とくとく健診と言われておりますが、その結果等を踏まえ、対象者を健康状態等により分類し、それぞれの分類にとって効果が高いと予測される事業を提供するように努めること、そして、具体的な保健事業の取り組みとしては、被保険者にみずからの生活習慣等の問題点を発見させ、その改善を促すための取り組み、生活習慣病の発症を予防するための特定保健指導、疾病の重症化を予防するための取り組み、その他の健康・医療情報を活用した取り組み等が挙げられており、保険者が積極的に被保険者の健康の保持・増進を支援することが期待されております。  札幌市においても、平成28年度から平成29年度までの2年間を計画期間とする札幌市データヘルス計画を策定し、昨年6月に公表しております。データヘルス計画の中では、生活習慣病予防対策として、特定健診、特定保健指導の実施率向上の対策を強化することに加えて、特に、特定保健指導に関しては重症化予防のための個別支援を新たに実施するとあります。特定保健指導は、特定健診の結果、腹囲が男性であれば85センチ以上、女性は90センチ以上で、血糖、血圧、脂質の検査値が基準以上の場合、内臓脂肪症候群と言われるいわゆるメタボリックシンドロームとして特定保健指導の対象となり、リスクの数に応じて積極型支援及び動機づけ支援のいずれかの特定保健指導を実施し、行動変容を促し、生活習慣の改善を図ることとしております。  厚労省の検討会では、特定保健指導の積極的支援参加者と不参加者の1人当たりの入院外医療について、男性でおおむね5,000円から8,000円、女性では1,500円から7,000円の差異があり、高血圧、脂質異常、糖尿病の3疾患について、重症化予防とともに医療費抑制効果が一定程度あることも報告されております。このように、生活習慣病の予防のためには、特定健診を受診することはもちろんですが、予防のための行動変容を促すために、健診の結果に基づき、特定保健指導を利用することが重要であると考えます。  そこで、札幌市の特定保健指導の実施状況について伺います。 ◎富樫 保険医療部長  札幌市の特定保健指導の実施状況についてのご質問でございます。  特定保健指導については、対象となった方に、あなたが対象になりましたという通知を行い、その上で、医療機関または区の保健福祉部で実施しているところでございます。指導内容は、まず、初回面接の際に、行動目標あるいは行動計画を立ててもらい、それをもとに6カ月後に実績評価を行うものです。  なお、リスク数が多い方については、初回面接後、3カ月以上の継続した支援を実施しております。  平成27年度の特定保健指導の対象者数は、7,019人でございました。そのうち、6カ月後の評価まで終了した方については544人、実施率は7.8%と低いのですが、これは、前年度よりも1%ほどふえて、平成20年度の制度開始以降初めて増加に転じております。  なお、他の政令市との比較におきましては、政令市20市中、政令市の中でも特に人口の多い横浜市や大阪市あるいは名古屋市などと同様に、実施率が低いグループに属しているという実態でございます。 ◆こじまゆみ 委員  今、伺いましたところ、対象者7,019人で544名ですから、特定保健指導の実施率7.8%というのはやっぱり低いなと思います。これは、大都市特有の課題ではあるものの、さらなる実施率向上の取り組みが必要であると考えます。  行動変容を起こしていくのは、非常に厳しいというか、動機づけの支援をするのが大変なのはよくわかりますが、実施率が増加しないことについて、そのまま指をくわえて見ているわけにはいきませんので、どのような理由で実施率が増加しないと分析しているのか、また、実施率向上に向けたこれからの取り組みについて伺います。 ◎富樫 保険医療部長  特定保健指導の実施率が増加しない理由と実施率の向上に向けた取り組みについてでございます。  まず、特定保健指導の実施率が増加しない理由でございますが、平成26年度に実施した未利用者へのアンケート結果がございまして、この結果では、未利用の理由について、自分なりに取り組んでいる方が約4割と一番多い状況でした。そのほかに、忙しくて時間がとれないとか、出向くことが面倒、あるいは、医療機関などに相談しているから大丈夫だという理由がそれぞれ2割ぐらいずつあります。これは、自覚症状がほとんどないままに進行していく生活習慣病に対する知識と特定保健指導の必要性が十分に理解されていないことが要因として考えられます。  次に、特定保健指導の実施率向上に向けた取り組みについてでございますが、これは、大きく2点ありまして、一つは利用勧奨の実施、もう一つは運動お試し券の配付という事業をやっております。  まず、勧奨についてですが、区の保健福祉部から特定保健指導の案内を送付した後、利用していない方については、3カ月後に、再度、文書及び電話で勧奨を実施しております。  次に、運動お試し券についてですが、これは、運動習慣の促進を図ることと、特定保健指導の利用率向上を目指しているものでして、市の体育館や健康づくりセンターあるいは民間のスポーツクラブなど、こちらが指定する運動施設を無料で利用できるものでございます。現在は、初回面接まで行った希望者に対して4回分のお試し券を配っておりますが、平成29年度からは、初めて特定保健指導の対象となった方全員に、特定保健指導の案内をするときにお試し券を同封して、まずは運動施設を利用してもらい、利用した指定運動施設からも特定保健指導の利用を進めていただくなど、勧奨の機会をふやす予定です。 ◆こじまゆみ 委員  特定保健指導の対象者については、特に運動を習慣づけることが重要だと思います。これまで、初回の保健指導を受けた方には4回分の運動お試し券を配っていたけれども、今回から初めて特定保健指導の対象となった全ての方に送付していただけるようですから、対象者が拡充され、少なくとも運動施設を利用する動機づけとなって、定着へのきっかけにもなるのかなというふうに考えます。  しかし、送りつけただけでは、なかなかそれを使うということにはならないでしょうから、広報、周知は何としても徹底していただきたいと思います。また、特定保健指導の利用勧奨について、行政のみならず、さまざまな場面での勧奨も有効であることから、今おっしゃっておりましたような運動やスポーツ等の施設による勧奨を含め、民間の方たちのご協力も得ながら進めることで、実施率の向上を期待したいところです。  次に、重症化予防について伺います。  近年、健康に関する関心は増加しており、テレビ、雑誌等においても健康をテーマとした内容が多くなってきています。先ほどのアンケート結果にもあるように、特定保健指導を利用しない人は、テレビ等の情報媒体からの情報をもとに自分なりに取り組んでいると回答された人も多いと考えられます。生活習慣病は、自覚症状がなく、放置していると疾病が重症化し、それこそ心筋梗塞や脳血管疾患といった重症な疾患を発症して初めてわかるということもございます。医療機関を受診する一般的な理由のほとんどは症状が出てからであって、生活習慣病のように自覚症状がないうちにはなかなか医療機関を受診することもないため、健診結果によって既に医療が必要となっていると気づく受診者も多いのではないかと考えます。  そこで、質問ですが、医療機関を受診する必要がある特定保健指導対象者への重症化予防についてはどのように実施するのか、伺います。 ◎富樫 保険医療部長  特定保健指導の対象者への重症化予防についてでございます。  特定保健指導の対象者で、生活習慣病の治療が必要であるにもかかわらず、医療機関を受診していない方のうち、収縮期血圧が160以上または拡張期血圧が100以上である2度高血圧以上、そして、尿たんぱくが2プラス以上、また、心電図で心房細動の所見のある方、これらのいずれかに該当する方に対して家庭訪問により受診勧奨を行っておりまして、対象者数は年間1,900人と推計しております。  平成28年度は、とりあえず4区でモデル事業を実施するとともに、それと並行してマニュアルや指導教材などの整備を行い、平成29年度からは市内全区で実施する予定でありまして、各区の保健師が家庭訪問によって対象者に直接説明することで、医療機関の必要性がより理解されるものと考えております。また、家庭訪問の際に、あわせて特定保健指導を実施できる可能性もございますので、特定保健指導の実施率の向上も図られるものと考えております。 ◆こじまゆみ 委員  重症化予防に該当する方が1,900名もいることに非常にびっくりですが、10区全てで保健師が家庭訪問をしていただけるということで、ご家庭での特定保健指導というのは家庭環境を見ながら進めていけますので、これは一つの利点であるというふうに思います。重症化し、血管疾患等で突然入院となる場合も十分に考えられますし、訪問を加えることで、より理解が得られると同時に、早期受診につながる取り組みについては今後とも充実強化を図るべきと考えます。  一方で、血圧、脂質の検査値が基準値以上とか血糖が高値などのリスク要因があっても、腹囲が基準未満の受診者は特定保健指導の対象とならないわけであり、国の検討会においても、こうした方への対応方法等は重要な課題であり、引き続き検討を行うこととされています。つまり、いわゆる特定保健指導対象外の方たちがたくさんいらっしゃるということであります。  そこで、質問ですが、データヘルス計画においては、腹囲がメタボに達せず、特定保健指導の対象とならない非対象者の重症化予防事業も実施することとしておりますけれども、この事業内容について伺わせていただきます。 ◎富樫 保険医療部長  特定保健指導の対象とならない方への保健指導についてですが、国において検討されているところでございますけれども、札幌市では、特定健診の受診者のうち、生活習慣病による服薬治療中であるにもかかわらず、検査値の改善が見られない方に対して、平成22年度から、区ではなく、本庁のほうで医療機関と連携した保健指導を実施しております。平成28年度におきましては、データヘルス計画から浮き彫りとなった糖尿病性腎症に着目して、血糖値の改善が見られない方を重点対象として実施したところです。さらに、昨年7月からは、新規事業として、生活習慣病の治療が必要な方に対して、家庭訪問などによる医療機関への受診勧奨を実施しております。この対象者の基準につきましては、健診結果を見て、先ほど申し上げた特定保健指導の重症化予防対象者と同じ基準、すなわち2度高血圧以上、あるいは尿たんぱく2プラス以上、心房細動のいずれかにひっかかる方と設定しておりまして、年間約1,600人と推計しております。  このことにより、特定保健指導の対象者、非対象者ともに、未治療者については家庭訪問などによる受診勧奨を行うことができるものと考えております。 ◆こじまゆみ 委員  特定健診の検査や特定保健指導は、生活習慣病の代表とされる糖尿病や脂質異常症、そして、高血圧症の三つの疾患の早期発見と重症化を予防するために重要な役割を果たしていくのではないかと考えます。特に、データヘルスプランの中で、糖尿病性腎症、インシュリンの分泌量に異常がある糖尿病や、脂質異常を発病すると言われているそもそもの大もとは、やっぱり肥満です。また、体重がふえると、体全身に血液を送り届けようとして、それに対応するために高血圧の症状が出やすくなります。追加のリスクにかかわらず、特定保健指導の対象にならない人にも重症化予防のための働きかけをすることは、これら生活習慣病や、そして、例えば糖尿病から来る透析を回避することにもつながりますし、最終的には膨れ上がる国民医療費の削減にもつながっていくと考えます。  本来ならば、生活習慣を変えるために何らかの介入が必要であるにもかかわらず、自分なりに日ごろからスポーツ習慣があったり、健康を過信する余りに保健指導を怠ったり、仕事の多忙を理由に保健指導を受ける時間がつくれなかったり、さらには、症状がないために放置されているのではないかと思います。個人の生活習慣の中で自分自身の体の状態を見直すためにも、市民に対する健診の有用性の周知徹底を含め、健康を維持するために支援する保健指導や重症化予防のための事業のさらなる取り組みを進めていただくことを求めて、私の質問を終わります。 ◆坂本きょう子 委員  私からは、短期証について質問したいと思います。  先ほども、資格証明書についてのやりとりがございました。国民健康保険料を納めることができず、滞納している世帯に対して、資格証明書あるいは4カ月に1度の短期証が発行されます。短期証については窓口で3割の医療費負担になりますけれども、先ほどお話のあった資格証明書については窓口で全額を負担をしなければならない、こういうルールになっております。  そこで、先ほど資格証明書についての質問がありましたので、私も同様の質問をしたいと思います。  今、発行されている短期証の件数は、昨年度当初の数字で2万3,284件ございました。そのうち、区役所でとめ置きになっている窓口交付証というものが5,392件ありますけれども、どうしてとめ置きして窓口交付をしている世帯があるのか、そして、その理由に対してどのような効果が得られているのか、伺いたいと思います。 ◎富樫 保険医療部長  短期証の窓口交付の意義と効果についてのご質問でございます。  短期証の窓口交付につきましては、保険料に滞納があり、納付折衝に応じない世帯、あるいは、納付約束どおりに履行していただけない世帯のうち、特に必要があると認める世帯に対して折衝機会の確保のために実施しているものでございます。  窓口交付も含めた短期証の交付世帯数でございますが、保険証の一斉更新を行った昨年12月1日時点での2万1,273件が、ことしの3月1日時点では1万8,353件と15%程度減少しております。この中には、資格証のときにもちょっとお話しましたように、資格喪失した世帯も含まれており、その全てが納付に至った世帯ではございませんが、少なからず折衝機会の確保につながっているものと認識しているところでございます。 ◆坂本きょう子 委員  短期証も同様、折衝機会の確保ということでありました。  今、最新の数字を出していただきましたけれども、このうち、窓口交付をしている内数は何件になりますか。 ◎富樫 保険医療部長  申しわけございません。手元に資料がございません。 ◆坂本きょう子 委員  だから、そういうところがだめなのですよ。短期証については、2万三千何がしが約1万8,000件に減少しているということでした。  発行年度に合わせてということですので、2015年度の納付でいきますと、さっき申し上げたように、短期証が2万3,284件で、そのうち、窓口とめ置きになっているのが5,392件ということです。さかのぼって2年前の2013年度では短期証は3万1,152件ですから、2年間でおよそ8,000件程度減っていることになります。それから、窓口のとめ置きは、2013年度は6,696件でしたが、これが1,300件ほど減ってさっき申し上げた数字になっております。  この間、収納率を上げるために、職員の皆さんを含め、大変な努力をなさっていらっしゃったと思います。滞納処分、滞納整理という形で、保険料のお支払いを確約していただける方には、幾らなら払っていただけるのかという折衝をしながら払っていただいたり、払えない方、あるいは資力のない方については、整理して、2年さかのぼって国保料を徴収しないというような決定があるのだろうというふうに思います。  先ほども資格証のところでお話が出ていましたが、保険証が手元にないために、3割負担であろうと10割負担であろうと、正規の保険証がないということで病院に行けない市民がいることは事実です。この事実については皆さんもお認めになると思うのですけれども、部長、いかがですか。 ◎富樫 保険医療部長  主に資格証の場合だと思いますが、資格証だとなかなか受診に行けないのではないかというようなお話でございます。  まず、短期証の窓口交付の場合からお話ししますと、短期証の窓口交付の案内をしても受け取りに来ない場合は、2カ月たったら短期証を郵送して、最終的にはお手元に届くようにしております。短期証の発送後も1年以上の滞納が続く世帯は逆に資格証になるということもありますが、資格証を交付することになりましても、被保険者が病院にかかりたいというときには、医療機関に対する全額払いが困難である旨の申し出がございましたら、速やかに医療機関を受診できるよう資格証の緊急解除をやっております。このような柔軟な対応を行っておりますので、資格証の交付によって医療機関への受診が抑制されているとは考えていないところでございます。 ◆坂本きょう子 委員  ずっと同じ答弁をしてくださっているのですが、余り重複すると困るので、先に進みます。  先ほど、とくとく健診にかかわって、保健指導などの受診勧奨については家庭訪問をやる、それも積極的に取り組んでいるというお話だったと思います。保健指導は家庭訪問するけれども、納付相談の家庭訪問はしないのか、これが極めて単純な疑問であります。例えば、生活保護の場合は、ケースワーカーが自宅にも赴き、その生活実態を把握した中で、保護申請を受理した後にどういう生活再建をしていくのかという相談にしっかりと乗っていくわけですね。皆さんはもちろん保健福祉のスペシャリストですから、そんなことは言わずもがなだと思います。  保険証というのは、市民の命、健康を守るための大切な命綱であります。この命綱をきちんと全ての世帯に届けるというのは行政として当たり前のことです。先ほど、部長は、とめ置きについて、連絡がなければ2カ月後には発送していると言いましたね。どうしてすぐに発送しないのですか。何で2カ月待つ必要があるのですか。2カ月後に保険証、短期証を送った世帯は納付相談に結びついていますか。そういうところの追跡調査もやっていないでしょう。そういう実態は、やっぱり行政として襟を正すべきですよ。  この間、札幌市役所の中でさまざまな不祥事が起きています。市民の命と直結しているお仕事に携わっている皆さんには、とりわけこのことは強調して申し上げたいと思います。短期証のとめ置きは、すべきではありません。郵送あるいは家庭訪問をしてでもきちんと届ける、そういう必要があると思います。  これは、よしあしがあるかもしれませんが、区に保険サービス員というのが配置されていまして、全市でおおむね100名程度いるという認識です。外勤徴収を主とした非常勤職員ということですが、今、この保険サービス員の業務内容についても若干の見直しをかけている最中だということも聞いておりますので、このサービス員の活用をぜひやっていただきたいのです。昼間に会えない方のところには夜に行ったりとか、この間もいろいろやっているのだと思いますが、その方がどんな状態で生活をしているのか。朝早くから夜遅くまで仕事をして、そういう中で相談にすら行けないでいるのか、あるいは、督促状がたまってしまって相談に行こうにも行けないでいるのか、こういう状況は門構えとかその家のたたずまいでわかると思いますので、ぜひ、そこら辺を皆さんの目でしっかりと確認していただきたいと思います。  先ほど、午前中の質疑でも認知症の問題を取り上げました。毎月納付しているけれども、認知症の初期症状などによってそこで滞ってしまう、こんなことだって考えられるじゃないですか。それを悪質な滞納者と決めつけて納付相談に来なさいと呼びつける一方的な仕事は、行政はやるべきではないというふうに思います。  家庭訪問を行い、生活実態を把握した上で納付相談を行い、保険サービス員なども活用しながら、保険証をしっかりと全ての世帯に届けるべきだと思いますけれども、改めて、いかがでしょうか。 ◎富樫 保険医療部長  短期証の交付に当たっての保険サービス員の活用のご質問かと思います。  滞納世帯に対しましては、日ごろから、電話や訪問などによって折衝機会の確保に努めているところでございますが、それでもなお折衝できない方には区役所の窓口で短期証を渡しているのが短期証の窓口交付でございます。一方、保険サービス員につきましては、委員もおっしゃられましたように、主に外勤による保険料の集金、滞納者への催告の仕事を行っておりますが、平成29年度からは、保険サービス員の業務を一部見直して納付相談も行うこととしてございます。したがいまして、今後、保険サービス員が外勤して納付相談を行うことができれば短期証を交付することとなります。  ただ、その場でということになりますと、保険証をたくさん持ち歩くことになって紛失のおそれがありますので、そういった方については、納付相談終了後、直ちに郵送するような対応になるものと考えております。 ◆坂本きょう子 委員  今度、区の保険サービス員の仕事に納付相談も加わるということなので、その機会を捉まえてということでした。  納付相談というのは、かなりの熟練した能力が求められると思います。保険サービス員は、長くお仕事されていらっしゃる方が多いですね。毎年、若干名の募集がありますが、多くの方が定着してお仕事をされているというふうに理解しております。今、商売はどうだいというような話をしてその方とコミュニケーションを深めつつ、お互い大変だけれども、今月は何千円だよというような会話もしながら徴収しているという実態も現に聞いております。そういう意味では、納付相談ということについても、本当に相手の方に心を寄り添わせた納付相談を行っていただきたいと思いますし、そこにかかわっての研修なども充実させていくべきだということを申し上げておきたいと思います。  そこで、今、納付相談のお約束ができればすぐに区役所から保険証を送付するとおっしゃいました。確かに、保険証というのは身分証がわりにもなりますし、車の中に置きっ放しということにもならないと思いますが、その前段で、納付相談に応じた方には送るということでは、せっかくサービス員がご自宅に出向いていっても意味がないと思うのです。先ほど申し上げたように、生活実態をしっかりと把握するところから始めていただいて、本当に払えないということであれば、例えば生活保護につなげるとか、先ほど申し上げたように、認知症などの症状が出てきている高齢の方であれば、しかるべき福祉や医療の部門につなげていくとか、そういうスキルも含めて持っていただきたいと思います。こうしたことで保険サービス員の仕事がいたずらにふえて、これによって家庭訪問でより苛酷な納付相談につながらないような形で対応していっていただきたいと思います。  それから、先ほど、部長は、資格証明書の緊急解除について柔軟に対応しているというお話をされました。それは、この間、何回も何回も聞いてきている言葉ですけれども、例えば、金曜日の夜に急に倒れて救急の病院に運ばれたとします。土曜・日曜はお役所が休みですから、保険証を持っていない方あるいは資格証の方が金曜日に入院して、手術して土曜、日曜と滞在しているようなことになったとき、ソーシャルワーカーや病院からは月曜日に区役所へ連絡をしますが、これは緊急解除の対象になりますか。 ◎富樫 保険医療部長  区役所が閉庁している際の資格証の緊急解除につきましては、原則としては申し出のあったその日からとなりますけれども、閉庁しているなど区に連絡できないなどやむを得ない場合もやはりございますので、そのようなときには個別の状況に応じて臨機応変に対応しているところでございます。 ◆坂本きょう子 委員  原則は申し出日だけれども、ここも柔軟に対応するということでした。しかし、医療機関によってはこのことをご存じない場合がございます。救急搬送ということですから限られてきますし、当番医というのも順番に回ってくるものですから、ここの周知は徹底していただきたいと思います。  この間も、委員会等々で取り上げてまいりました手おくれ死の問題もあります。今は救急の話ですが、資格証あるいは無保険の状態で外来に行ったときには、もう既に重症化していて手の施しようがないような状態で、残念なことに3カ月ないし6カ月で命を落としてしまう、こういうことが全国では後を絶たない、決してまれな例ではないということを皆さんは改めてご承知おきいただきたいと思うのです。  過日、厚生委員会にもかかりました国民健康保険料の引き下げを求める陳情は、継続になったと聞いております。3万7,000筆余りの署名が添えられたこの陳情は、保険料が1世帯平均15万1,543円と高く設定されているために高過ぎて払えない、暮らしを圧迫するほどの高過ぎる国保料は異常です、こういう陳情の中身になっています。私は、かねてより、保険料を払ってしまうと生活保護水準に落ち込んでしまう境界層の方たち、これは介護保険制度の中で位置づけられているものですが、それから、子どもがたくさんいる多子世帯など、中でも生活が厳しいと思われる世帯に対してめり張りをつけた保険料の引き下げを図るべきだと求めてまいりました。  都道府県化、国保の広域化もいよいよ始まってまいります。その前に、札幌市としてぜひ決断していただきたい。保険料の引き下げを図るべきと思いますが、この点についてのお考えを伺います。 ◎富樫 保険医療部長  保険料を引き下げることについてでございます。  さきの陳情を受けまして、国民健康保険料を引き下げてほしいという声が多いということは改めて認識したところであります。  しかしながら、保険料を引き下げることは、札幌市の財政状況などに鑑みますと、従来から申し上げているとおり、極めて難しいものであります。1世帯当たりの平均保険料を据え置くことが現状で考えられる最大限の取り組みであると考えているところでございます。  なお、今後、平成30年度から国保の都道府県単位化に向けて、市町村ごとの納付金が北海道より示されることになりますが、北海道では、将来的に道内における保険料水準の統一ということを検討していくとの案も示しております。札幌市としましては、その動向を十分に見きわめながら、保険料あるいは加入者の負担軽減のあり方について検討していくこととなるものと思われます。 ◆坂本きょう子 委員  最大限の取り組みなどという上限はつくらないでほしいのです。私も、札幌市は決して潤沢な財政状況だと思ってはおりません。この議会でずっと聞いていますけれども、財政状況がそんなにいいものだとは思っていません。けれども、市民の暮らしの実態を反映させた財政運営をしなければならないと思っています。ですから、あまねく保険料を一律に引き下げろということは、私は申し上げません。先ほど言ったように、中でも厳しい生活実態を強いられている人たちのところに光を当てて、そこに財政出動してほしい。それは、市長の政策的な財政運営で可能ですから、そこは財政サイドときちんと話をしながら進めていただきたいと思います。  また、これからは、都道府県化ということもあり、一律の保険料になるやもしれないというお話もありましたが、ここは、札幌市、北海道民あまねく、医療費で苦しみながら必要な医療、治療を受けることができないというような人は一人も出さないという決意、これを最大限の取り組みとして頑張っていただきたいと思います。 ○山口かずさ 委員長  以上で、国民健康保険会計予算等の質疑を終了いたします。  次に、議案第6号 平成29年度札幌市後期高齢者医療会計予算及び第11款 諸支出金 第2項 他会計繰出金中関係分について、一括して質疑を行います。 ◆林清治 委員  私からは、後期高齢者医療会計の現状について質問したいと思いますが、要点のみを述べて、できるだけ簡潔にいきたいと思っております。  この制度は、もともと、2006年6月に成立した高齢者の医療の確保に関する法律により、今までの老人保健制度にかわって新しい制度をつくるという中で、2008年4月に制度が発足し、約10年が経過したところであります。制度発足までにさまざまな高齢者団体や政党から多くの反対の声があり、発足した後もいまだに見直しの声もある状況でございます。我が国は、超高齢社会を迎え、75歳以上の高齢者の割合も年々増加している状況であります。このことは、札幌市においても例外ではないと思いますが、そうした中で、後期高齢者医療制度の今後についても考えなければならない時期が来ているのかなというふうに思っているところであります。  そこで、最初の質問ですが、制度発足から後期高齢者の被保険者数や医療費はどのように変化したのか、また、納める保険料はどのように変化しているのか、お伺いします。 ◎富樫 保険医療部長  後期高齢者医療制度発足以来の医療費や保険料の推移についてということでございます。  北海道後期高齢者医療広域連合の資料によりますと、医療費につきましては、平成20年度が制度開始の初年度でしたので、これは11カ月分しか対象がございません。そこで、平年度化する平成21年度で比較しますと、平成21年度は全道で6,809億円、それが平成27年度の決算では8,331億円と、この間、1,522億円の増加となっております。一方で、保険料については、全道の1人当たり保険料で比べた場合、平成20年度は6万4,162円、平成24年度に6万8,720円となり、これが過去の中で一番高い保険料となりましたけれども、それに比べて平成27年度の決算では6万5,516円に下がるなど、多少の増減はありますが、一定の水準で推移しているところでございます。 ◆林清治 委員  ただいまの答弁で、医療費は増加傾向にあるけれども、保険料は一定の水準で保たれているということで、高齢者の医療が守られているのかなというふうに考えます。  しかしながら、後期高齢者医療制度の財源というのは、被保険者からいただく保険料が1割、残りの9割は、現役世代の支援と言える他保険からの支援金が4割、国や道、各自治体負担が5割という状況でございます。つまり、今後、被保険者がふえて、かつ、医療費がかかればかかるほど、札幌市の負担、各自治体の負担もふえることになるのかなと危惧しております。  そこで、次の質問ですが、札幌市が広域連合に納めている給付費の負担金はどのように変化しているのか、お伺いします。 ◎富樫 保険医療部長  札幌市が支払っている後期高齢者療養給付費負担金の推移でございます。  これも、平成20年度の制度発足のときには11カ月分ですので、同じく平成21年度で比較しますけれども、平成21年度は151億円、平成27年度は198億円と膨らんでおりまして、21年度と比較しますと47億円の増加となっているところでございます。
    ◆林清治 委員  答弁によると、市の負担も年々大きくなっている状況でございます。  道内の被保険者数のうち、約29%が札幌市内在住ですので、北海道広域連合を構成する市町村の中でも札幌市の影響はかなり大きいのかなというふうに思っています。このまま市町村の負担がふえ続けると考えたときに、これは財政状況にも大きな影響を与えるのかなと心配されるところだと思います。  そこで、質問しますが、広域連合において、市町村の負担がふえないようにするために、国の負担をふやすなどの要望を今現在しているのかどうか、お伺いしたいと思います。 ◎富樫 保険医療部長  広域連合における国への要望についてのご質問でございます。  全国47の広域連合が加盟する全国後期高齢者医療広域連合協議会というものがございますが、この協議会におきまして国に対して要望を行っておりまして、その中に、国庫負担の割合の増加など、国による財政支援の拡充が入っているところでございます。 ◆林清治 委員  全国の広域連合協議会による要望を行っているということでございました。  この制度は、いろいろな意味で各単位自治体にも大きな影響を与えますし、また、その地域で暮らす75歳以上の高齢者の方々の医療の問題に大きな影響を与えます。今現在、超高齢化、また人口減少社会という流れを迎えた中で、医療制度などの福祉政策というのは転換点に差しかかっているのかなというふうに思います。2012年に国会の場で議論となった税と社会保障の一体改革が頓挫してしまい、国は、将来にわたって安心して暮らせる社会保障制度について研究せず、制度を変えないままに、社会保障費が財政に大きくのしかかっております。加えて、国の財政も厳しい状況が続き、政府の経済政策も大きな好転がないために、さまざまな社会保障制度を維持していくことが難しい局面を迎えております。そういう中で、これらの制度の根幹となる構造として、やはり国の負担と現役世代の負担の問題がありますが、現役世代の減少が労働人口の減少につながっていく状況の中では大変厳しい社会保障制度になるのかなというふうに思っております。先ほどの答弁で広域連合が国への要望を行っているというお話でしたが、札幌市においても必要に応じて国に働きかける必要があると思います。そして、国の責任で、社会保障制度にかかわる国の負担、自治体の負担、加入者の負担、そうしたものをしっかりと検討していかなければ、日本の将来の社会保障制度に破綻を来すおそれを生じさせることになるというふうに思っております。  市民の生活を守るためにも、札幌市の責任をしっかりと果たしていただいて、国に対してさまざまな制度改正の働きかけを強くやっていただくことを求めまして、私の質問を終わらせていただきます。 ○山口かずさ 委員長  以上で、後期高齢者医療会計予算等の質疑を終了いたします。  ここで、理事者交代のため、委員会を暫時休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 2時22分       再 開 2時24分     ―――――――――――――― ○山口かずさ 委員長  委員会を再開いたします。  最後に、第3款 保健福祉費 第5項 健康衛生費及び議案第19号 札幌市墓地等の経営の許可等に関する条例案について、一括して質疑を行います。 ◆松浦忠 委員  私は、墓地等の条例案について質問します。  墓地は、明治政府になってから、基本的に市町村が墓地を設置、運営をすることで来ていたのですが、その後に民間墓地もということになってきて、札幌市では、真駒内の墓地が最初に許可を受けて民間墓地として発足しました。発足当初は許認可をめぐってさまざまな事件もあったのですが、その後、あの墓地がだんだんと拡張して大きな墓園になっております。そのほかにも、民間墓地が何カ所かあります。  そこで、まず最初に、現在、札幌市のお墓の需給状況、それから、寺院など宗教法人が設置している納骨堂の需給状況はどのようになっているか、お尋ねいたします。 ◎石田 生活衛生担当部長  私から、札幌市の墓地の需給状況と寺院が設置している納骨堂の需給状況についてお答えしたいと思います。  まず、札幌市の墓地につきましては、民間墓地は2万9,000ほどの残数がございまして、最近5年の実績販売数からは平成54年まで供給可能な量にあると予測しております。また、主に寺院が設置している納骨堂につきましては、約2万3,000壇の残数がございます。平成27年に実施いたしました市民アンケート、さらには、平成28年度実施の納骨堂経営者への実態調査から推察したものでございますが、私どもでは平成42年ころまで供給可能な数値であると予測しております。 ◆松浦忠 委員  今、死後のお骨の納め方というのは、さまざまな方法が出てきております。したがって、お墓、納骨堂によらないということが出てきているし、それから、宗教法人、俗に言うお寺、神社といった宗教施設に所属しない方も多くふえております。さらにまた、最近は、宗教的な行事は全く行わず、死後24時間を超えて火葬場に遺体を運んで遺族だけでだびに付す、そして、お骨は、海に散骨したり、あるいは林の一定の場所を買ってその場所に散骨したり、さまざまな方法になってきております。  そういう中で、なぜ、今、条例なのかなという素朴な疑問があるのです。なぜかといえば、今までは札幌市が市としての内部基準をつくって対応してきました。ここで、条例化して、墓地、納骨堂に対してどういう規制をかけていくのか、これについてわかりやすく説明してください。 ◎石田 生活衛生担当部長  条例化による規制についてお答えいたします。  まず、委員がご指摘のとおり、墓地等を取り巻く状況がすごく変化しております。そのような中で、他都市においては、宗教法人がその経営の規模を超えた納骨堂を設置して経営破綻した事例とか、さらには、宗教法人ではない者が宗教法人の名をかりて墓地等の経営の許可を得ようとする、いわゆる名義貸しのような行為を行って、許可を受けた後にその許可を取り消されるといった事例も発生しております。  札幌市では、このような問題が発生することを未然に防ぐために、条例案では、墓地等の許可審査に当たり、必要な経営主体等の基準を明確にして審査に必要な手続を義務づけることや、さらには、附属機関において財務状況等の調査審議をするなどしまして、許可施設への定期報告の義務づけや立入検査等を規定し、墓地等の安定的かつ永続的な経営と生活環境の保全を確保することを目的として、今回、条例化したものでございます。 ◆松浦忠 委員  さて、納骨堂をめぐって、あるいは、最初の真駒内の墓地のときにも許認可にかかわることでいろいろな事件がありましたが、条例をつくったからといってどこまでできるのかなと私は思うのです。  この附属機関というのは審査会ということになろうと思うのですが、その附属機関の審査会の方々が札幌市長を越える調査権限を持つのか、持たないのか、これを明らかにしてください。 ◎石田 生活衛生担当部長  附属機関の権限についてでございますが、今回の条例で設置する札幌市墓地等財務状況審議会につきましては、地方自治法の規定により、条例に基づいて設置するものでございます。この審議会では、墓地等の経営計画、さらには財務状況のようなものについて、永続性、非営利性が確保されているかという点について調査審議いただきまして、その結果について意見をいただくこととしております。 ◆松浦忠 委員  札幌市には、条例で決めたり、あるいは臨時的に置いたりする審議会や調査会など、名称は別にして、外部に委託してやる事項が数多くあります。しかし、結果は何かといったら、その調査における権限の行使というのは、札幌市長なり、あるいは、教育委員会であれば教育長ですが、その人たちを越える権限というのはないのです。権限というのは全くないのです。したがって、私は、審査会などというものを置くよりも、そういうことを調べるならば―今の札幌市の内部規則だって、必要とするだけのものがあるかどうかを調査する気になればできるのです。そのほうが調査権限は強いのです。  皆さん方は、何かあると、その審議会がこういう答申をしたから、その答申を参考にしてと言いながら、答申どおりにほとんど決める、その答申に多少飾りつけをして、幹はそれで決めてしまう。それでは、その答申では主に誰が意見を言っているかといったら、答申書の作成は事務局である市の皆さん方がやる、これが実態ではないですか。したがって、責任逃れをするような条例であってはならぬと思いますから、これについては、もう一回考え直したほうがいいのではないですか。だから、私は、先ほど、その責任の範疇として、市の権限を越える調査をどこまでできるのですかということを問いただしたのですが、答えていません。これが一つです。  それから、二つ目は、寺院なり各種宗教団体があります。そこで、どれだけの宗教団体があるかという実態調査されたということですが、この条例を提案する前に意見交換をされたかどうか。それはなぜかといえば、今、墓園を経営されている方、あるいはまた、納骨堂を持っておられる宗教団体の方々は、市に対してどういうようなことを規制として求めているのか、この辺を把握されているのかどうか、この2点について改めて質問いたします。 ◎石田 生活衛生担当部長  1点目の附属機関が市を越える権限を持つものかについてお答えいたします。  附属機関につきましては、今、私どもとしては、弁護士、公認会計士、不動産鑑定士などの法律または財務に関する学識経験者を想定しているところでございます。その調査の内容としましては、先ほど申し上げましたように、永続性及び非営利性の観点から調査審議をいただくものでございますが、その意見については、あくまでも法的な拘束力を持つものではございません。審議された意見を踏まえまして、条例と規則で定める経営主体や構造、設備等の基準を私どもで審査した上で、最終的な許可の判断は札幌市として行います。  2点目の宗教団体に意見等を求めたかどうかというご質問でございますが、宗教団体につきましては、今回、条例の各基準、事前協議等の手続については、これまで要綱で定めて行政指導してきたものを前提として、札幌市の状況に合わせて一部修正したものでございます。また、今回の条例によりまして設置場所等の基準に適合しない既存の施設については、引き続き経営ができるよう、附則において経過措置を設けております。  このようなことから、条例の制定について宗教団体に直接意見を聞いてはおりませんが、パブリックコメントを実施して広く市民等の意見を聞いております。 ◆松浦忠 委員  まず、皆さんは、弁護士と言えばみんなが安心するのではないかと思っているのではないですか。弁護士という資格は何ですか。弁護士という資格は、日本で制定されている法律を読んで、よく解釈できる能力を備えていますという国家試験に合格した人を弁護士と言うのです。それだけのことなのですよ。税理士、公認会計士は何ですか。これは、日本国の課税は、特に徴税に当たっては申告制度をとっております。その申告制度について、国が定めている法律など課税の基準をよく理解している者です。ですから、税務署職員として一定年限を勤めれば、業務を熟知しているということで税理士の資格が付与される。さらにまた、公認会計士は、試験を合格すれば付与される。さっきつけ忘れましたけれども、弁護士だって、検察庁など、いわゆる法務省に長く勤務して法律の関係に携わった人は、一定年限を経過すると弁護士の資格が付与されます。  したがって、この人たちで構成すれば、自分たち市役所職員がやるよりも、申請者に対して詳細な調査ができるというような誤った印象を市民に与えているのではないですか。権限なんか何もないですよ。ただ、その資格があるだけの話ですよ。出された書類に対して審査する、あるいは、これは何ですかと聞きはするでしょう。それだけのことですよ。その人たちには、銀行に対して、財務状況はどうですか、銀行の貸し付けはどうですか、預金はどうですか、こういうことまで聞く権限が与えられているのですか、どうですか、答えてください。 ◎石田 生活衛生担当部長  委員への権限の付与でございますが、個々人についての付与というのは具体的には定められていないかと思います。ただ、私どもとしましては、今のところは委員5名以内を想定しておりますが、その審議会の中で、さまざまな意見をいたただき、相互の反論もあるかもしれませんけれども、そういうところで総合的に判断した結果を踏まえ、最終的には私どもで許可の判断をするということでございます。ですから、審議会からはあくまでも参考としての意見をいただくという形になろうかと思います。 ◆松浦忠 委員  市長が行使する権限の以下のものしかない人たちを集めてやったって、何の参考にもならないですよ。言いわけの道具にするだけですよ。私は、そういうような審議会をつくって、そこに依拠しようなんていう条例ではだめだ。まず、これが一つです。  それから、もう一つは、なぜ、既存の宗教団体の方々の意見を聞かなかったか。パブリックコメントでは、市民の問い合わせは何件ありましたか。 ◎石田 生活衛生担当部長  パブリックコメントの件数でございますが、パブリックコメントの人数としては4名でございます。その方々からいただいた内容、延べ件数につきましては、合計6件となっております。 ◆松浦忠 委員  わずか4名しか来ないでしょう。  では、今、札幌市内に納骨堂をお持ちになっている宗教法人は、お寺という単位で言うと何カ寺ありますか。 ◎石田 生活衛生担当部長  納骨堂の数でございますが、宗教法人で設置する納骨堂は238施設となっております。 ◆松浦忠 委員  施設では238カ所で、宗教法人の数は幾らなのですか。 ◎石田 生活衛生担当部長  およそですが、500ほどでございます。 ◆松浦忠 委員  寺院の数は500で、そのうち238カ所あって、1法人が複数持っているところもあると思うので、法人が持っているところを200カ所とします。それなら、少なくともこういう方々の意見はちゃんと聞くことにしないと。  寄せられた4件は、宗教法人関係の方ですか、それとも一般市民ですか。 ◎石田 生活衛生担当部長  件数の内訳でございますが、内容については匿名ですので、詳細としてはわかりません。 ◆松浦忠 委員  普通は、少なくとも利用する人と経営する人の両方の意見を聞かなければならないのですが、匿名の意見というと、どちらの意見かわからないわけです。それで、パブリックコメント、いわゆる公開して市民の意見を聞きましたということにはちょっとならないのではないかな。  これは、最終的にみんなが行き着くところであり、利用する施設ですから、最後のお骨の扱い方がいろいろあったとしても、まだお墓か納骨堂かという方が圧倒的に多いです。そうすると、今は過剰状態にありますが、そういう人たちの意見を聞いて、そして、利用されている方々の意見も聞く中で、条例をつくって規制していくときにどうすべきかというようにしなければだめだと思うのです。そういう点では、この審議会なんていうものは全く用をなさないものです。  そこで、これは市長が提案しているから市長に聞きたいのですが、市長が掌握されているさまざまな審議会がありますけれども、今、私が指摘したように、その審議会なるものは、市長の持っている権能を超えるものは何一つない。そういう中で、市長はまた審議会をつくってこの条例を制定しようとしていますが、その市長の認識はどこにあるのですか。私はおかしいと思いますよ。  具体の例を一つ言いましょう。平成23年に盤渓と北ノ沢の間で1,600メートルの工事が始まり、今は盤渓北ノ沢トンネルと名前がつきましたが、先般、開通式をやりました。あのトンネルを掘削したときに、国の基準の3倍を超えるヒ素が含有されている土砂が4分の1の400メートルから出るということで、この処理の安全性を私が議会で問うたときに、時の上田市長はどうしたか。地域住民から安全を問いかける質問が多く出ましたので、そのとき、札幌市は検討委員会をつくりました。国土交通省の掘削残土の処理の検討委員もやっている北海道大学の五十嵐さんという方を座長にして、北海道の課長職の研究員、同じく開発局の課長職の研究員の3名で委員会を構成してやりました。  私は、この処理についてはだめですよという立場でしたから、反対している2人の方と私の3人で、道の方と開発局の方に会いました。そうしたら、道の研究員の方はこう言いました。札幌市から、言うとおりに答申を出すように頼まれました、現場も調査しないでいいと言われましたと。次に、開発局に行きましたら、その方は、処理の仕方について反対している地元の会の2人から、約1時間、るる話を聞いて、最後に私が何かご意見はありませんかと言ったら、一言、恥じ入りますと答えました。そして、最後に11月に開いた検討委員会は公開でやりましたが、そのとき、開発局の課長職の研究員は一言もしゃべりませんでした。道庁の研究員は、あれやこれやと言いながら、最終的にいかがなものかと言いました。そして、結果は変更するということになりました。これが、審議会なり何だか会という外部委託の実態なのですよ。  だから、今のようなパブリックコメントもそうだし、それから、今設置しようとしているものは何の権能もない。そういうものについては、市長の責任回避の口実をつくるというものですから、私は、これはだめだと思うのです。したがって、この条例については、撤回して、もう一回、手順をきちんと踏んで、札幌市長として責任を持って調査して、そして、責任を持って判断していく。条例をつくるならば、そういう基準を決める条例でなければだめだと思います。私は、過去に審議会や何かでいろいろなものにかかわってきましたが、その出したものの中身が何かについて、当事者にも会っていろいろ聞いた結果、こういうことではだめだということを申し上げているのですよ。  それゆえに、なぜ、市長がこれを出そうとしているのか。今のようなパブリックコメントの内容ですよ。そして、権能は私が指摘したようなことです。なぜそこに頼るのか。まず、そこに頼ろうとする市長の真意を聞きたい。 ◎秋元 市長  やや、いろいろなものが混在したご意見かなというふうに思います。例えば、先ほどのトンネルの調査の審議会ですが、条例そのものの必要性と審議会の効力の問題というのは別な議論ではないかというふうに思っています。  条例の件で申しますと、この条例は、先ほど言いましたように、墓地あるいは納骨堂の需給の状況からすると、供給量がまだ十分でありますので、札幌市においては、少なくとも切迫した中で新しい墓地あるいは納骨堂を建設していかなければならない状況にはありません。そういった中で、今は要綱でやっておりますが、要綱ですから、新たな許可の申請が出てきたときに、例えば、先ほどご答弁申し上げたような他都市の状況があって、法人が破綻して墓地なり納骨堂を手放されてしまうことになると市民にとって大きな影響があります。ですから、将来にわたって墓地なり納骨堂がきちっと提供されていく経営状態にあるかどうかということについて、今回の条例の中でしっかりやっていこうということでありまして、私、市長の権限だけではなくて、法律に基づく、あるいは、自治体で言うと法と同等のものである条例でしっかり定めようというのが趣旨であります。  審議会については、許可そのものを判断するということで、先ほど言いましたように、経営状況であるとか、あるいは、公益性というようなものに妥当性があるのかどうか、ある意味では私が最終的に判断するために専門的なご意見をいただくための機関ということであります。そのために、委員がご指摘のように、調査がしっかりと十分になされていくように、あるいは、専門的なご意見をいただくにはどういう分野の方に入っていただくのがいいのかという問題はございますが、いわゆる附属機関というのは、法律あるいは条例で定めなければ設置できない状況になっています。ですから、その附属機関がきちんと機能するのか、しないのか、そのことを適正にしていくことは重要なことでありますけれども、不要だというところまでお話しされるのは、少し見解の違いがあるかなというふうに思います。 ◆松浦忠 委員  見解の違いと言うけれども、見解が違うからこうやって議論しているのですよ。  審議会は、弁護士が集まろうと誰が集まろうと、市長が調査するものを越える権限は持たないわけです。札幌市の職員は、調査をする気になったら、いろいろなことを調査できるわけですよ。その調査をしないで、ただ審議会をつくればいいと。また、その審議会の答申案の取りまとめは誰がやるかといったら、事務局である札幌市の職員がやっているのですよ。そして、文字の使い方一つを見たって、最近のもので言えば、法律に違反しているものであっても、不適切だったという文言の使い方をしているわけですよ。12月の文教委員会のときに、アスベストの問題で……(「焦点を絞ってやんないと」と呼ぶ者あり)  例示をきちんと出さなければわからないから、私は例示を出しているのです。  アスベストの問題で、文教委員会で、不適切な対応だったと教育委員会からの調査報告書にありましたから、私は、不適切と不正とはどう違うのかと聞いたのです。そうしたら、教育次長が、不適切というのはと言って、国語辞典に書いていないようなことを答えるのです。不正はといったら、不正もはっきり言わないのです。何かといったら、不正は、国語辞典では、きちんと基準があって、その基準に反したものを不正と言う、不適切というのは…… ○山口かずさ 委員長  松浦委員、質疑をまとめてください。 ◆松浦忠 委員  (続)まとめるために、市長と見解が違うから、私が主張する見解を言っているのですよ。 ○山口かずさ 委員長  質問を続けてください。(「文教委員会で聞いたよ、それ」と呼ぶ者あり) ◆松浦忠 委員  (続)いいから、まあ聞きなさい。  きょう、ここにいる保健所のメンバーには一回も話したことがないですよ。  教育次長はそういうことで答弁が終わったから、あきれて、それ以上言ってもしようがないから言いませんでした。そして、それは誰がまとめたのかと聞いたら、行政部ですよ。課長を呼んで、これはどうなのかと聞いたら、済みません、辞典に書いてあるとおりですと。じゃ、まさに書き方が間違っていたのでしょうと言ったら、そうですと言うのですよ。そういうように、市長ぐるみで、みんなで物事を適当にしてしまう。今まで、どれ一つとったって、まともなものは一つもありません。(発言する者あり) ○山口かずさ 委員長  静粛にお願いします。 ◆松浦忠 委員  (続)したがって、まずはその審議会をなくすこと。  それから、もう一つは、条例にするにしても、そういう業界団体の意見、あるいは、利用する方にも、各お寺でも神社でも宗教団体には所属している檀信徒の会がありますから、そういうところに問い合わせるとか、やりようはいろいろあります。そういうことをきちんとやって、意見集約をした上で取りまとめていくのが本来の意見を聞くというやり方なのです。それがされていない。形どおり、古い古いパブリックコメントという言葉をいつもいつもおまじないのように唱えてこういうものを出してくるから、私は指摘しているのですよ、これは変えるべきだと。そして、もう一回、きちんとやるべきではないですかということなのです。  意見が違うから言っているのです。そこを真摯に聞かないならば、何のための議会ですか。そこなのですよ、市長。したがって、そういうような不備な調査の中での条例の提出だから、もう一回きちんと出し直したらいいのではないですかということを市長に問いかけているのですよ、具体的に問題を指摘して。どうですか、市長。 ◎秋元 市長  一般論として、さまざまな業界の方にご意見を伺ったりして手順をしっかり踏んでいくというのは、そのとおりだと思います。  しかしながら、この案件については、先ほど来申し上げておりますように、既に要綱で規定されているものをさらに条例という形にするもので、内容については既に周知しているものであります。さらに、既存の方々に影響を与えないように、経過措置をとった上で新規の規制をしっかりやっていきましょうというものでありますので、そういう意味で十分だという認識で提案させていただいております。  審議会の内容については、先ほどのご指摘の点も含めて、適正な運営をしていくことに努めていかなければいけないというふうに思いますので、ご意見は承っておきます。 ◆松浦忠 委員  私は、条例そのものをつくる必要がないとか、あるとかという根本的な話ではなくて、この条例を提出するまでの中身と、それから、その事前の調査がきちんとされた上での条例になっていないから、出し直しすべきだと言っているのですよ。札幌市が定めている要綱基準よりも条例のほうが効力があるというのは、そのとおりですよ。それはよくわかるよ。けれども、先ほどから指摘しているように、不備だから出し直すべきだということを指摘して求めているのです。  このことを市長に求めて、終わります。 ◆村松叶啓 委員  私からも、札幌市墓地等の経営の許可等に関する条例案についてと感染症対策について、2点お伺いいたします。  まず、墓地のほうですが、この条例案をつくる経緯については、ただいまの松浦委員との議論の中で、全国的に宗教法人の破綻があり、そういうものを受けての指導・監督強化だというお話がございました。  そこで、まず最初に、札幌市における民間墓地や納骨堂の現在の許可状況をお伺いいたします。  あわせて、許可を受けた施設に対して、これまでにどのような指導を行ってきたのか、お伺いいたします。 ◎石田 生活衛生担当部長  札幌市内の墓地等の許可等に関する現状についてお答えいたします。  まず、札幌市内には、許可を受けた民間墓地が3カ所ございます。それらについては、定期的に現地調査を行い、管理状況を確認しているほか、要綱に基づき、定期的に報告を聴取し、経営状況の確認を行っているところでございます。  また、許可を受けた納骨堂については、松浦委員には宗教法人ということでお答えいたしましたが、全体では243施設でございます。この申請があった際には、現地調査を行うなど必要に応じて状況を確認しております。しかしながら、納骨堂につきましては、墓地のように、定期的な報告の聴取や現地調査は行っていない現状でございます。 ◆村松叶啓 委員  墓地や納骨堂は、亡くなった方のご遺骨を納め、子孫代々がお参りをしていく施設でありまして、その経営については、先ほども議論がありましたように、永続性が求められる施設であります。他都市では破綻した事例もあるということで、許可時の審査を厳格に行うだけでなく、許可後も経営の永続性等が失われることがないように指導・監督が求められると考えます。  永続性を確保した安定的な経営には、例えば、将来の管理費用のために、墓地等の使用料を基金として積み立てることなども必要ではないかと考えます。ついては、墓地等の永続性を確保させるためにどのような指導・監督を行おうとしているのか、お伺いいたします。 ◎石田 生活衛生担当部長  墓地等に対する永続性の確保に必要な指導についてお答えいたします。  今回の条例案では、墓地等の経営者に対しまして、墓地、納骨堂を安定的かつ永続的に経営していただくために、健全な経営を行うことを義務づけております。また、新しく許可を受ける施設につきましては、弁護士や公認会計士などの専門家で構成された新たに設置する附属機関において財務状況等を調査審議していただき、その結果を踏まえた上で私どもで許可することとしています。  さらに、墓地だけではなく、納骨堂の管理者に対しましても、経営状況を把握するため、納骨壇の残数とか財産目録等の定期的な報告を義務づけて、永続性の確保に必要な指導を行うこととしております。 ◆村松叶啓 委員  当初の経営計画のとおりに利用者が見込まれない場合などには、建設資金が支払えなくなったり、運営資金が確保できなくなったりと、経営が立ち行かなくなる場合も危惧されます。万が一、墓地等の経営が破綻するような場合には、利用する市民の利益を保護するために、指導・監督する立場である札幌市としても何らかの対応が必要ではないかと考えます。  そこで、伺いますが、万が一、墓地等が経営破綻した場合に、札幌市としてどのような対応を行うのか、伺います。 ◎石田 生活衛生担当部長  墓地等が経営破綻した場合の対応についてお答えいたします。  原則として、破綻した墓地等の経営者が運営を引き継ぐ者を探すなど、責任を持って対応をしていただくことが基本と考えております。しかしながら、墓地等が経営破綻してしまいますと、遺骨や施設の管理が適切に行われなくなり、周辺の生活環境の悪化やお墓参りの制限、さらには埋葬、改葬等の手続の停滞などを招くおそれがございます。墓地等の利用者だけではなく、周辺住民にも不利益が生じ、社会的影響も大きいものと私どもでは考えております。  そのため、今回の条例では、厳格な許可審査に加えまして、新たに定期報告、立入調査、あるいは、不適切な施設に対する改善指導などの規定を設けることによりまして、許可施設に対して永続性の確保を指導してまいりたいと考えております。 ◆村松叶啓 委員  少子高齢化であったり、さまざまな家庭の事情などにより、墓地や納骨堂を守っていく人が減っていく、また、そうしたことにより維持管理費等が徴収できなくなるといったことも考えられますので、そういった時代の変化に伴う課題も考慮しながら指導、対応をしていただきたいということを申し上げまして、この質問は終わります。  次に、感染症対策について伺います。  そのうち、まずはエイズ対策について伺います。  ご承知のとおり、エイズは、後天性免疫不全症候群であり、HIVウイルスに感染することで、長い潜伏期間を経て発症する感染症であります。感染経路といたしましては、血液や体液に含まれるウイルスが粘膜などから入ることであります。過去には、ウイルスに感染して発症すると、全身の免疫力が低下し、さまざまな症状があらわれる病気でありましたが、現在は、よい薬剤が開発され、多剤併用などにより、いわゆる慢性疾患として治療を受けて、免疫低下には気をつけながらも日常生活を送ることができるよう、医療が進歩しているところであります。しかしながら、やはりまず、感染することのないよう予防していくことが最も重要であり、そのための対策を行うことが必要と認識しております。
     データを確認いたしましたところ、全国的には、近年のエイズの発生届の件数は横ばい傾向にあるとのことです。そして、札幌市内においては、平成27年度の届け出件数が過去最高の37件であり、28年は、やや減少したものの、33件とのことであります。  そこで、質問ですが、市内の発生届の累計数と近年の推移についてどのように認識しておられるのか、また、HIV感染や予防啓発事業の実施状況についてお伺いいたします。 ◎田森 医療担当部長  私からは、エイズ対策についてお答えいたします。  まず、1点目の市内の発生届の累計及び近年の推移についてでございます。  保健所では、HIV感染者や感染後にエイズを発症した患者を診断した医師から、感染症法に基づき、届け出を受けております。平成元年から28年までの発生届の累計は328件、このうち、HIV感染者は212件、エイズ患者は116件となっております。また、近年の届け出件数は、平成26年の19件から平成27年は37件に増加、平成28年は33件とやや減少しておりますが、発生動向については今後も注視していく必要があると考えております。  この届け出のうち、エイズ患者につきましては、平成26年は6件、27年は9件、28年は15件と増加傾向にあり、これらの患者は、発症を契機として受診し、初めてHIV感染が判明したと推測されますので、注意を要するものと認識しております。さらに、年代別で見ますと、20代以下のHIV感染者は、平成26年は9件、27年は7件、28年は8件と継続的に一定程度の感染が判明しており、若年層への啓発が重要と認識してございます。また、推定の感染経路といたしましては、異性間の性的接触による男性の感染が平成27年4件、28年9件、一方、同性間の性的接触による男性の感染が平成28年21件、64%と高い状況にあると認識しております。  2点目のHIV検査や予防啓発事業の実施状況についてでございます。  まず、HIV検査につきましては、平日昼間・夜間、土曜、休日とさまざまな曜日、時間帯を設けて、無料、匿名で受けていただける体制をとっております。このうち、平日の昼間の検査につきましては、平成28年度は2月末現在で387件と、27年度の同時期の486件からは減少傾向にあります。また、夜間検査は、仕事帰りなどにも受けていただける時間帯に実施しておりますが、平成28年度は、受検者のニーズに踏まえ、検査を受けたその場で結果がわかる即日検査法を取り入れました。この結果、夜間検査は、2月末現在で235件と、27年度の同時期の176件から増加しております。  次に、啓発事業につきましては、12月1日の世界エイズデーに合わせてイベントを開催しております。具体的に申し上げますと、音楽イベントやHIV感染を主題とした演劇等を開催し、検査の周知やエイズに関する知識の普及を図っております。また、通年の啓発事業としましては、若年層を対象にした大学生や専門学校生へのもとに出向く出前講座を延べ6回実施しておりまして、平成28年度は334名の学生が参加しております。これらの方に行った受講後のアンケートにおきまして、わかりやすかった、理解が深まったなど、好評をいただいているところでございます。 ◆村松叶啓 委員  啓発については、世界エイズデーに合わせて、音楽イベントであったり演劇等という各種イベント、あるいは、大学生などに向けた出前講座で行っているということでした。また、HIVに感染していることに気づかずに、いきなりエイズ患者として診察を受けなければならない患者を減らすことが課題であり、今後は検査体制の一層の充実が重要ではないかと考えます。夜間検査を即日化することにより充実を図ったという努力は見られるところですが、平日検査は減少しているということでありまして、受検者のニーズに合った検査体制に変えていくことなど、きめ細かく検討することが必要ではないかと考えます。さらに、近年、増加傾向にあることや、平成28年度の内訳としては、届け出全体の中のエイズ患者の割合がふえていること、また、累計でもHIV感染者が212件、エイズ患者が116件ということで、多くの方が感染、発症している現状からも、これまで以上の予防啓発が必要だと考えます。  そして、感染経路といたしましては、やはり、男性同性間の性的接触での感染の割合が高いことや、また、異性間での性的接触を持つことでの感染も見られているということでした。こういったことを考えますと、広く啓発することはもとよりですが、同性愛者へのさらなる予防啓発を進め、まずはHIVへの感染を予防すること、そして、HIVに感染してしまった方は、エイズ患者になる前に早期に感染を発見することが大変重要なことだと考えます。  そこで、平成29年度は、検査体制の充実を含め、早期発見に向けてどのように取り組んでいく予定なのか、また、同性愛者への啓発の充実をどのように進めていくのか、お伺いいたします。 ◎田森 医療担当部長  1点目のHIV感染の早期発見に向けた取り組みということでございますが、まずは検査を受けていただくことが早期発見につながるものと認識しております。このため、受検者の生活様式に合わせて曜日、時間帯、会場を選んでいただけるよう、広く検査の機会を確保するとともに、即日検査などニーズの高い検査の拡充について検討を進めてまいりたいと考えております。  また、市が実施する検査のほか、梅毒などの性感染症が疑われる医療機関を受診した際に、医師の判断でHIV検査を実施いただくことも重要であると考えております。このため、平成29年度は、医療機関においてHIV検査を実施していただきたいという症例に関する情報を札幌市ホームページへ掲載し、お知らせするほか、診療の場面での活用を目的とした資料を作成して医療機関に配付するなど、情報発信を充実させてまいりたいと考えております。  次に、2点目の男性と性的接触のある男性を対象とした啓発についてお答えいたします。  検査に関するお知らせを掲載したリーフレットを作成して、エイズに関する相談や予防啓発活動を行うNPOを通じて市内のゲイバーなどに配付しております。今後も、NPOとの連携を強化して効果的な啓発を行ってまいりたいと考えております。 ◆村松叶啓 委員  最初のご答弁の中で、異性間での感染も増加傾向にあるという数字もありました。こういったものがふえていきますと、ひいては、母子感染、お母さんからお子さんへ感染してしまうことが増加することも懸念されるところでございますので、こうしたことも含めて、ぜひ、これまで以上に感染の予防、そして、早期発見を進めていただきたいということを申し上げまして、エイズについては終わります。  次に、思春期における性感染症対策について伺います。  札幌市では、思春期保健対策として、平成14年から思春期ヘルスケア事業に取り組んでおります。  思春期を取り巻く問題としては、性行動の若年化、喫煙、飲酒、薬物乱用、いじめなど、多様な問題が表面化しております。そのような中で、思春期ヘルスケア事業では、性感染症の予防や避妊、人工妊娠中絶だけでなく、生命誕生、あるいはたばこやアルコールの害など、科学的根拠に基づく講話を保健センターの専門職が学校に出向いて実施しており、思春期の子どもたちが正しい知識を身につけ、みずからの健康について考える機会となっております。  そこで、質問ですが、思春期の子どもを対象として性に関する教育を行う思春期ヘルスケア事業の実施状況についてお伺いいたします。 ◎請井 母子保健・歯科保健担当部長  思春期ヘルスケア事業の実施状況についてお答えいたします。  平成27年度の状況でございますが、小学校が65校、中学校が47校、高等学校が11校で実施してございます。実施総数は123校、総実施回数は152回、参加した児童生徒が延べ1万6,514人となってございます。また、事業を開始した平成14年度から累積した実施率でございますが、小学校が58.5%、中学校が67%、高等学校が70%となっております。 ◆村松叶啓 委員  手元の資料では、平成14年度に開始したときには20校だったということですが、平成27年度は123校と着実にふえていっている感じがいたします。  しかしながら、札幌市における10代の人工妊娠中絶率や、感染症である性器クラミジア感染症の発生動向を見ると、事業開始直後は減少傾向にあり、一定の成果を上げておりましたが、平成20年度以降は横ばい傾向であると認識しております。札幌市における15歳から19歳の人工妊娠中絶率は人口1,000人当たり10.2人と全国の1.8倍、また、クラミジア感染症は定点医療機関における1カ月の患者数が0.78人で全国の4.8倍と、非常に高い状況になっております。クラミジア感染は、感染性が高く、1度の性交渉で感染する確率が50%にも及び、性の低年齢化や予防に対する認識不足から若い年齢層に感染が拡大しており、自覚がないうちに次々に感染を広げてしまったり、感染が進行して不妊の原因となったりしていると聞いておりますことから、今後はさらなる取り組みが必要と考えます。  そこで、質問です。  事業開始から10年が経過をしておりますけれども、事業の内容の充実を図ることや、より効果的に行うためにはどのようなことに留意されているのか、また、学校との連携が重要と考えますがいかがか、お伺いいたします。 ◎請井 母子保健・歯科保健担当部長  思春期ヘルスケア事業を効果的に実施するための留意点についてのご質問でございました。  講話の実施前に、アンケートによりまして知識、理解の状況を確認いたしますとともに、疑問点や心配なことを確認して当日に役立てているところでございます。また、この事業を実施する際には、学校との連携が重要と考えておりまして、事前に学校との打ち合わせを行い、その学校の指導計画と連動したものとなるように、学校の取り組みに配慮いたしましてこの事業の組み立てを行っているところでございます。また、実施後にも、再度、アンケートを行い、担当した教諭との意見交換を行うほか、学校が性に関する教育に継続して取り組んでいただけるように、教材の貸し出し等についても説明させていただいております。  さらに、昨年からは、保護者を対象とした親世代の思春期セミナーを実施したところでございまして、子どもと同じ内容の講話をすることで保護者への知識の普及を行うとともに、子どもがかけがえのない存在であることを親が子に伝えていただくことや、親子の間で相談しやすい家庭環境づくりが重要であることをお伝えしているところでございます。 ◆村松叶啓 委員  学校とのさまざまな連携や、また、昨年からは親向けのセミナーも行っているということでした。  思春期ヘルスケア事業は、主に小・中学生を対象とした事業とお聞きしております。確かに、そうした年代のうちから正しい知識を身につけることも効果があると思いますが、実際に感染してしまっている年代である高校生への教育も必要と考えます。昨年3月に、教育委員会が性に関する指導の手引を作成し、性感染症とその予防に関する正しい知識を身につけさせる授業を高校1年生の指導内容としております。その一方で、性を早熟にさせ、性衝動を強めるとして、教育の現場では性に関する教育が困難になっているともお聞きいたしますが、とはいえ、何かしらの対策が必要と考えます。  そこで、伺いますが、思春期における感染症を防ぐためには、高校生への予防啓発などへの取り組みが重要と考えますがいかがか、お伺いいたします。 ◎請井 母子保健・歯科保健担当部長  高校生への、予防啓発のご質問でございました。  いわゆる第2次性徴は、早ければ小学校3年ころから始まると言われております。心身の急激な発育、発達が起こる前に性の成熟について知り、自分を大切にする気持ちを育てることが重要であると考えております。また、生殖機能の発達や生命の誕生の経過につきましても、異性への関心や性衝動が起こる前に理解を深めておく必要があると考えているところでございます。ご指摘がございましたように、高校生に対しての性感染に関する啓発を実施することも重要なことですが、自分が納得できる性同一性の獲得、あるいは、性行動に関する意思決定や責任ある行動選択のためには、小・中学生のうちに教育を行うことも大切と認識しているところでございます。 ◆村松叶啓 委員  近年のネットなどの普及により、性情報の氾濫や性の多様化など、子どもたちを取り巻く社会環境は大きく変化をしており、性行動の低年齢化も著しく、性感染症の罹患率増加の一因とも言えると思います。性に関する教育については、教師や保護者の性に対する意識や価値観の違いがあり、理解を得ることが困難な場合もあると思われます。答弁では小・中学生への教育が大事ということでしたが、一方で、高校生になると、男女ともに約半数の生徒が性に関する悩みを持っているという調査報告もありますので、性感染症についての理解を深めるということと、相談できる環境づくりが重要ではないかと考えます。  今後は、学校、保護者と連携し、協力関係を築き、解決に向けて適切な行動選択ができるよう、正しい知識の指導を続けていただくことを要望して、質問を終わります。 ◆しのだ江里子 委員  私は、救急安心センターさっぽろについてとフッ化物を利用した虫歯予防についての2点を質問させていただきます。  まず、救急安心センターさっぽろについてです。  札幌市消防局によりますと、昨年、札幌市の救急出動は9万1,426件、救急搬送人員数は7万9,383人と年々増加の一途で、6年連続で過去最高を記録しており、平均いたしますと1日に250回、1時間に10回以上の出動があり、市民の救急医療に関するニーズが非常に高まってきていると言えます。  一方で、どのようなときに救急車を呼べばよいかわからず、119番をちゅうちょしてしまう方もいることも聞いております。札幌市では、けがや急な病気の際、救急車を呼んだほうがよいか迷ったときには、24時間365日、電話相談できる#7119、救急安心センターさっぽろを開設し、市民を適切な医療につなぐことができる取り組みを行っています。救急安心センターは、2013年10月の開設から3年が経過したところですが、これまで、トラブルもなく順調に運営がされていると聞いております。また、救急安心センターは、札幌市だけではなく、道央医療圏の自治体も負担金を支払うことで加入することができ、現在、札幌市のほか、石狩市、栗山町、新篠津村、島牧村の4市町村が加入していると聞いています。  そこで、質問ですが、救急安心センターの開設からこれまでの相談件数の推移についてはいかがか、また、加入自治体ごとの相談件数と119番転送の件数はどのくらいあるのか、あわせて、救急安心センターの効果についてどのようにお考えなのか、伺います。 ◎鈴木 医療政策担当部長  救急安心センターさっぽろについて、3点ご質問いただきました。  1点目の開設からこれまでの相談件数の推移ですが、平成25年度が10月の開設から半年間で1万4,647件、平成26年度が3万3,001件、平成27年度が4万3,525件であり、年々増加傾向となっております。  2点目の加入自治体ごとの相談件数と119番転送の件数ですが、平成27年度の4万3,525件の相談のうち、全体で4,037件が119番転送となっておりまして、加入自治体については、石狩市から799件の相談があり、103件が119番転送、栗山町から95件の相談があり、6件が119番転送、新篠津村から40件の相談があり、8件が119番転送となっておりました。  なお、加入自治体のうち、島牧村については平成28年度からの加入となっております。  3点目の救急安心センターさっぽろの効果についてですが、このように多くの方にご利用いただき、かつ、適切な救急搬送につなぐことができたものと考えております。 ◆しのだ江里子 委員  相談件数は年々伸びてきておりまして、昨年度は4万3,525件の相談があった、そして、そのうちの4,037件が119番転送であった、また、4市町村からは、ただいま答弁をお聞きしても、900件を超える相談があり、また、119番への転送もあったことがわかりました。本当に適切な救急搬送につなげられていることから、札幌市民だけではなくて、4市町村を含む多くの市民の方たちの安心・安全に寄与する事業であると評価しております。  2013年開設時の厚生委員会で、私どもの会派から、広域連携について伺っております。救急安心センターは、広域展開を念頭に、開設準備当初から札幌医療圏内の自治体及び医師会などで構成する救急安心センターさっぽろ連絡調整会議を設置し、参加自治体の費用負担のあり方や各地域の消防局との連携方法など、具体的に検討を行ってきたということです。  広域展開に向けた課題の一つとしては、救急安心センターから各地域の消防部局に救急搬送が必要と判定された相談の聞き取り情報を転送する際、転送する個人情報の取り扱いとかセキュリティーについての課題、二つ目は、救急搬送となった患者が最寄りの医療機関に確実に受け入れられるよう、各地域における救急医療体制がしっかりと機能することが必要であるという二つの課題がありました。これらの課題について引き続き検討を加え、救急安心センターが開設した後に参加を希望する自治体との間で実証検証を行い、広域展開に向けた取り組みをさらに進めていくとのことでした。道内においては、過疎化が進み、ご多分に漏れず、高齢化が急速に進んでいる中で、3次医療圏を補完することができる救急安心センターの有効利用が可能となっています。多くの自治体に加入していただき、より多くの方に利用していただくため、広域化を進めることがさらに重要ではないかと思います。  そこで、質問ですが、広域化を進めるため、これまでにどのような取り組みを行っていらしたのか、伺います。 ◎鈴木 医療政策担当部長  広域化を進めるため、これまでどのような取り組みを行ってきたのかというご質問です。  札幌市では、毎年度、道央3次医療圏の自治体、具体的には石狩、空知、後志、胆振、日高管内の市町村ですが、これらの自治体に対して救急安心センターへの加入を呼びかけ、関心を持っていただいた自治体に対しましては、職員が赴き、詳細な説明を行い、加入を働きかけております。  またあわせて、救急安心センターの視察を随時受け付けるなどして、自治体が加入に向けた検討を行いやすい環境を整えているところでございます。 ◆しのだ江里子 委員  これまでの3年間の広域化に向けた取り組みによりまして、今お話がありましたように、広い道央3次医療圏の中でも適切な救急搬送が可能となり、これによって命拾いをされた方も多いと思います。関心を持っていただける自治体には、札幌市みずから足を運び、説明され、そしてまた視察していただくなど、広域化に向けた取り組みを行っていただいているところではありますけれども、加入自治体をふやすための取り組みがより必要であると思います。  この広域化をさらに進めるために、今後、札幌市としてはどのような取り組みを行うのか、伺います。 ◎鈴木 医療政策担当部長  広域化をさらに進めるため、今後どのような取り組みを行うのかというご質問ですが、救急安心センターでは、昨年10月から6カ国語による対応を行っており、サービス内容の拡充を図ったところでございます。  そこで、外国人観光客の受け入れを進めている自治体などを対象に、救急安心センターで外国語対応が可能であることを直接説明に行くなどして、これまで以上に積極的な取り組みを行ってまいりたいと考えております。 ◆しのだ江里子 委員  まさに、広域化に向けた取り組みの継続拡大については、全国でも初めての取り組みで新たな魅力である6カ国の外国語対応を始められたということです。お聞きしますと、3者間通話ができて、インバウンド対応ができるということで、大変心強いものと思います。東京都あたりからも視察に来ていると聞いておりますが、すばらしい取り組みをぜひとも自信を持って進めていただきたいと思います。  しかし、市民への周知・啓発について、2014年の市民意識調査では、救急安心センターさっぽろの認知度は、知っているが43%で、知らないが55%でした。調査から2年がたちました。新聞各紙の当番医の巻頭には#7119がついております。しかし、新聞を購読しない家庭も大変ふえてきております。また、市民意識調査で、何を基準に認知度をはかるかといいますと、広報さっぽろを見て知っているという方たちがたくさん多かったのですが、これも、どちらかというと高齢者の方たちが見ていただいているものであります。果たして、年齢の若い世代は新聞をとったり広報さっぽろを見ていただけているかというと、そこも定かではありません。  お話を聞きますと、例えば、ショッピングセンターに協力をいただいて、トイレへステッカーを張っているということでした。やはり、もっと知っていただかなくてはならないと思います。例えば、バスやタクシーに#7119のステッカーを張っていただくとか、さまざまな機会を捉えて、市民により#7119を知っていただけるような広報啓発を進めていただくことを求めて、この質問は終わります。  次は、フッ化物を利用した虫歯予防について質問させていただきます。  国は、歯科口腔保健対策を総合的に推進し、国民が、健康で質の高い生活を営むことを目的として、2011年に歯科口腔保健の推進に関する法律を制定し、翌年の2012年には歯科口腔保健の推進に関する基本的事項を策定し、地方公共団体における歯科口腔保健対策の一層の推進を求めております。  札幌市は、市民の生涯にわたる歯科口腔保健対策を推進するために、今年度、札幌市生涯歯科口腔保健推進計画、さっぽろ8020推進プランを策定し、先日公表したところです。この推進計画には、歯科口腔保健対策を推進するため、各ライフステージに対応した施策が策定されております。この中で、乳幼児期の虫歯予防に関して、年齢に応じたセルフケアの方法について周知し、虫歯予防に効果のあるフッ化物の利用について推進するとあります。  フッ化物利用に関しては、長年の間、賛否両論がある中で、最近では、効果、安全性に問題があるとする臨床結果や論文が多数報告されておりまして、小さなお子さんを持つ保護者から安全性への疑問や相談の声も届いております。  そこで、質問ですが、乳幼児期のフッ化物利用についてどのようにお考えなのか、伺います。 ◎請井 母子保健・歯科保健担当部長  乳幼児期のフッ化物利用についてでございます。  フッ化物によります虫歯予防の効果と利用時の安全性につきましては、国や世界保健機構、WHO、そして、歯科口腔保健に関係する専門学会において確認されているものと認識しております。  私どもの今回の計画におけます乳幼児の虫歯予防対策は、フッ化物利用の具体的な方法として、歯科医療機関でのフッ化物の歯面塗布や家庭でのフッ化物を添加した歯磨き剤の利用について普及啓発を図るとしております。保護者がフッ化物の効果と安全性について理解した上で利用できるよう、十分な情報提供に努めてまいりたいと考えているところでございます。 ◆しのだ江里子 委員  札幌市としては、歯科医師によるフッ化物塗布に関して、保護者が効果と安全性を理解した上で行うものと考えていらっしゃるということで、これに関しては一定の理解をするところです。保護者に関しては、効果と安全性という言葉がありましたけれども、あくまでも危険性も理解した上で行うものであると思います。一方、私立の幼稚園や保育園において、フッ化物洗口を実施している園もあると聞いております。フッ化物洗口とは、劇薬、指定医薬品に認定された薬品を薄めて、飲み込まないよう、下を向いて30秒から1分間、うがいします。この薬品の使用上の注意には、飲み込む危険性のある幼児には使用しないとあり、誤飲した場合は、牛乳を飲ませ、吐かせるなどの処置後、医師の診察を受けるとあります。幼稚園、保育園では、多くは週1回法で行っているために濃度の濃い洗口液で実施しており、当然、誤飲もあると思われます。北海道は、2013年、北海道歯科保健医療推進計画、8020歯っぴぃプランを策定後、道内の学校でのフッ化物洗口が急速に広まり、2015年暮れには北海道教育委員会は札幌を含む全校で実施を目指すと発表し、札幌市においても予断を許さない状況です。  さっぽろ8020推進プランには、学校保健統計調査による2010年から2015年度の12歳児の1人平均の齲歯数、虫歯の数が掲載されております。全国、北海道、札幌市とありますけれども、どこも大きく下がり、札幌市では1.1本、全国平均0.9本に比べますと少し高いと言えますが、何より、歯磨きの励行や歯科衛生意識の向上、砂糖の摂取量の減少とか栄養状況の改善によるところが大きいと思います。  2011年1月、集団フッ素洗口・塗布の中止を求める意見書が日本弁護士連合会から出されております。この意見の趣旨は、虫歯予防のために保育所、幼稚園、小学校、中学校、特別支援学校などで実施されるフッ素洗口は、特に六つの問題点があるというものです。1点目は安全性、2点目は予防効果の有効性、3点目は必要性、相当性、4点目は実施する際の使用薬剤、安全管理などの安全性、そして、6点目には集団によるフッ素洗口後の廃液による水質汚濁など環境汚染のおそれがあるということでした。こういった問題点を踏まえますと、集団によるフッ素洗口、塗布の必要性、合理性には重大な疑問があるにもかかわらず、行政などの組織的な推進施策のもと、学校などで集団的に実施され、個々人の自由な意思決定が阻害され、安全性、有効性、必要性などに関する否定的見解も情報提供されず、プライバシーも保護されないなど、自己決定権、知る権利及びプライバシー権が侵害される状況が存在することなどから、日弁連は、医薬品、化学物質に関する予防原則及び基本的人権の尊重の観点を踏まえ、厚生労働省、文部科学省、各地方自治体及び各学校などの長に対し、学校等で集団的に実施されているフッ素洗口、塗布を中止するよう求めています。  また、学校の教職員からも、本来、医療機関で行うべき薬剤による病気の予防を、医療の場ではなく、教育の場である学校で行うことは非常に大きな問題がある、また、結果として健康被害が児童に及ぶ可能性があり、その際に事故の責任を負うことになるのは学校であるが、学校がそのような責任を負うことはできないとの声もあります。  本来、教育委員会にも来ていただいてご意見を伺いたかったのですが、本日は一部で教育委員会審議中のために、それはかないませんでした。  そこで、市長部局であります保健所に質問させていただきます。  乳幼児が通う幼稚園、保育園や学校施設での集団フッ化物洗口について札幌市はどのようにお考えなのか、伺います。 ◎請井 母子保健・歯科保健担当部長  乳幼児が通っていらっしゃる幼稚園、保育園や学校施設のフッ化物洗口についてでございます。  国は、平成15年にフッ化物洗口に関するガイドラインを示してございます。その中で、フッ化物洗口を実施する場合には、本人あるいは保護者に対して、具体的な方法、期待される効果、安全性について十分に説明した後、合意を得て行うこととしております。保健福祉局といたしましても、虫歯予防のためにフッ化物を利用する際には、対象者の年齢、利用方法にかかわらず、まず、利用者本人あるいは保護者に対して十分な説明と合意のもとに実施するべきものと考えているところでございます。 ◆しのだ江里子 委員  今、請井部長がおっしゃったことは、まさに札幌市の見解そのものだと思います。  フッ化物利用については、安全性、そしてまた有用性をおっしゃる方もたくさんおります。しかし、危険性ということに関しても、やはり、私たちはいろいろな意見があるということを市民に十分伝えていかなければならないと思います。  一旦開始した市町村では、中止することは極めて困難だと聞いています。そしてまた、これは強制ではないと言われておりますけれども、学校で行うことで、みんながやっているからとか、自分だけやらないわけにいかないだろうなと思うことから仲間外れにならないかと心配する不安な子どもの姿、そしてまた、うちの子はフッ素洗口しませんと言いにくい保護者の姿があります。  年齢を問わず、歯磨き励行が口の中の健康には一番有効であるということは、歯科医師の先生たちからもよく言われることです。フッ化物塗布を希望されるご家庭は、歯科医師の指導のもとに行っていただくことをお勧めします。子どもの健康をしっかりと守るためにも、市として、私たちは集団によるフッ化物洗口は行わないと明言していただくことを求めて、私の質問を終わります。 ○山口かずさ 委員長  ここで、およそ20分間、委員会を休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午後3時50分       再 開 午後4時11分     ―――――――――――――― ○北村光一郎 副委員長  委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。 ◆丸山秀樹 委員  私からは、災害時における医療体制についてと不育症治療費助成事業について、2点お伺いいたします。  最初に、災害時における医療体制について伺います。  我が国は、地震、火山噴火など自然災害が発生しやすい国土となっておりますが、その中にあっても、比較的、自然災害が少ないと言われている札幌市においても、いつ大地震が起こるかわからない状況にあると言えます。ついては、常に備えを怠らないのと同時に、さきの熊本地震など国内で発生した過去の災害から学び、備えをより有効なものにしていく必要があると考えます。  一方、いかに事前対策を講じても、いざ大きな災害が起きると、被害をゼロにするのは大変難しいことから、災害から生じるさまざまな被害に対していかに対処、対応できるようにしておくかが極めて重要であると考えます。中でも、人命に直結する災害医療については、市民の安心・安全につながるものであり、日ごろから具体的で実践的な災害医療体制の整備に取り組むことが重要であります。  そこで、質問ですが、札幌市は災害時における医療体制について、これまでどのような取り組みを行ってきたのか、お伺いいたします。 ◎鈴木 医療政策担当部長  災害時における医療体制についてお答えいたします。  これまでどのような取り組みを行ってきたのかというご質問ですが、札幌市では、大規模災害時に重症の傷病者を受け入れる医療機関を確保するため、札幌市独自の仕組みとして災害時基幹病院制度を構築し、現在、市内の13病院を災害時基幹病院に指定しているところでございます。また、札幌市医師会を初めとする医療関係団体との間に協力協定を締結し、災害発生時に医療救護活動を担う医療従事者の確保及び医薬品、医療資器材の供給体制を構築してまいりました。このほか、医療救護活動に携わる職員を対象とした医療救護活動マニュアルを作成するなど、行政や関係機関の役割を明確にし、連携を図ることにより、災害医療体制の整備に努めてきたところでございます。 ◆丸山秀樹 委員  札幌市では、既に幾つかの医療関係団体との協力協定を締結するなど、災害時の医療体制の構築に取り組んできたとの説明がございました。  しかしながら、札幌市が整備してきた体制には一定の時間が経過しており、昨今の災害事例を踏まえますと、新たな課題も生じてきているものと考えます。実際の災害では、直接、医療救護に当たる医師、看護師を中心とした医療チームを初め、災害時に基幹的な役割を果たす病院の役割や機能が大変重要であり、協定の締結や病院指定には実効性が求められます。  また、医療救護活動を行う際には、医師等の医療従事者や医療機関だけではなく、行政も、適切な判断、指示を総合的に行うためには、医療対策本部などを速やかに設置し、体制全体のコントロールをしっかりと行う必要があり、日進月歩で進化している災害医療も、他の医療と同様、逐次、新しい概念や技術を取り入れ、具体的な災害医療体制の整備が着実に進められなければならないと考えます。  そこで、質問ですが、これまでの取り組みや昨今の国内の災害事例を踏まえ、札幌市は、今後、災害医療体制の整備をどのように進めていくお考えか、お伺いいたします。
    ◎鈴木 医療政策担当部長  今後、災害医療体制の整備をどのように進めていくのかというご質問です。  災害医療体制については、これまで段階的に整備を行ってきたところですが、委員がご指摘のとおり、課題や現状に応じて体制を再構築していくことは、札幌市としても重要なことと認識しております。  そこで、近年発生した各種の大規模災害等を踏まえ、札幌市の災害医療体制について再検証するため、専門家で構成する会議体を平成29年度に設置する考えでございます。その上で、新たな課題等の検討を行い、医療救護活動マニュアルを改定するなど、さらなる体制の強化・充実を進めてまいりたいと考えております。 ◆丸山秀樹 委員  ただいまの答弁で、災害医療体制の整備に関する進め方については、平成29年度に新たに専門家で構成する会議体を設置するということですので、ぜひ、専門的な知見から活発な議論をしていただき、よりよい災害医療体制の整備を図っていただくよう期待いたします。  次に、札幌市災害時基幹病院についてお伺いいたします。  先ほどの答弁にもありましたように、札幌市災害時基幹病院制度は、平成7年の阪神・淡路大震災を受けて、平成8年に、市内の大規模災害に対応するため、札幌市独自で立ち上げたと伺っております。これらの病院は、災害時に中核となって傷病者の治療を担うこととなりますが、現在、指定の13病院には、地域偏在や対応診療科目の制限など指定当初と比べて課題も生じてきているものと考えます。このことから、札幌市は、速やかにこれらの課題を解決し、災害による重篤患者に対し、高度な診療機能を確保していく必要があると考えます。  そこで、質問ですが、札幌市は災害時基幹病院制度のあり方について今度どのようにお考えか、お伺いいたします。 ◎鈴木 医療政策担当部長  災害時基幹病院制度の今後のあり方についてのご質問ですが、災害時基幹病院については、改めてその役割と機能を整理し、現状に即した災害時基幹病院制度を再構築していく考えでございます。さらに、災害時基幹病院等連絡協議会を定期的に開催し、災害時基幹病院間の連携の強化及び情報共有等に努めてまいりたいと考えております。 ◆丸山秀樹 委員  本年度、災害時医療体制の検証業務ということで、具体的に、災害時基幹病院の指定にかかわる基礎調査、再指定など、再構築していく考えであることを伺いました。災害時基幹病院の指定から20年以上が経過していることから、ぜひとも、地域医療病院の理解を得ながら、基礎調査をもとに、地域のバランスに配慮した見直しを進めていただきますことを求め、次の質問に移らせていただきます。  次に、不育症治療費助成事業についてお伺いいたします。  初めに、検査や治療が適切に行われるための取り組みについて伺います。  本市は、さっぽろ未来創生プランにおいて、結婚や出産を望む市民の希望がかなえられる社会の実現を目指すとし、不妊に悩む方への支援に取り組んでおり、昨年7月から第2子以降の特定不妊治療費助成を開始したところであります。不育症は、妊娠しても流産などを何度も繰り返してしまうもので、厚生労働省によると、年間3万組の不育症夫婦が存在すると言われております。しかしながら、現実には不育症に関する認知度はまだまだ低い状況にあり、適切な検査と治療を行うことで80%以上の確率で出産が可能になるとも言われております。  我が会派は、次代を担う子どもの健やかな成長を社会全体で支援し、安心して子どもを産み育てることができる環境を整備することは、近年の晩婚、晩産、少子化の中にあって大変重要な課題であるとし、授かった命が健やかに生まれるためには不育症に対する公的支援が必要と考え、国に対し、支援の必要性を訴えてきたところであります。政令市では京都市、神戸市などが不育症治療費助成を開始しており、このたび札幌市でも助成が開始されることとなり、出産を望む市民にとって希望がかなえられるための大変有効な支援と考えます。  そこで、質問ですが、特定不妊治療費助成では、所定の基準を満たす医療機関を指定し、その指定医療機関の医師が記載する受診等証明書によって治療内容を確認しております。安全・安心な出産へとつながる適切な検査や治療が行われるためには、不育症治療費助成事業においても医療機関の指定が必要と考えますが、特定不妊治療費助成事業と同様に医療機関を指定するのか、お伺いいたします。 ◎請井 母子保健・歯科保健担当部長  不育症治療費助成事業についてのご質問でございます。  検査や治療が適切に行われるための取り組みについてでございますが、不育症治療費助成事業におきましても、特定不妊治療費助成と同様に医療機関を指定してまいりたいと考えてございます。指定する医療機関につきましては、特定不妊治療費助成事業の指定医療機関に加えまして、日本生殖学会が認めております生殖医療専門医、または、日本周産期・新生児学会が認める周産期専門医が勤務する医療機関を予定しております。また、特定不妊治療費助成事業と同様に、受診等証明書によりまして治療内容の確認を行ってまいりたいと考えております。さらに、指定医療機関ではない医療機関で流産歴を聞いた際には、指定医療機関を紹介していただけますよう、医師会の協力を得て働きかけをしてまいりたいと考えているところでございます。 ◆丸山秀樹 委員  医療機関を指定することにより、適切な検査や治療が受けられる仕組みができ、さらには、医療機関の連携による体制整備も目指していくということだろうと思います。  一方、流産は、妊娠の10%から20%の頻度で起こる妊娠最大の合併症と言われております。また、妊娠したことがある女性のうち、約40%の方に流産歴があり、2回以上の流産経験は4.2%であったという報告もございます。繰り返す流産や死産の体験から、絶望、自責、無力感が長期に及び、不安障がいや鬱病などの状態となり、妊娠を諦める女性もおります。ついては、丁寧な説明や相談対応を受けることで、次の妊娠に対する不安を軽減させ、正確な情報を得ることで安心につなげていくことが大切であり、妊娠前もしくは妊娠中の精神的な支援を行うことで赤ちゃんを授かるケースが高いという報告もあります。また、不育症は、さきに述べましたとおり、適切な検査と治療により80%の確率で出産が可能とまで言われてはいるものの、不育症に対する認知度はまだまだ低い状況にあり、市が実施する不妊専門相談事業においても、不育症に関する相談は全体の相談件数の1割程度と伺っております。  そこで、質問ですが、不育症に対する認知度はまだまだ大変低い状況であることから、不育症に関する正確な情報提供と精神的支援を行うことが重要と考えますが、不育症への啓発及び不育症に関する相談についてどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。 ◎請井 母子保健・歯科保健担当部長  不育症の啓発及び不育症に関する相談についてでございます。  不育症の啓発につきましては、ホームページに検査及び治療についての説明を新たに記載して不育症に関する内容を充実させていくとともに、不育症であることに気づいて受診を促すために、医療機関にポスターの掲示を依頼していきたいと考えてございます。  また、不育症に関する相談についてございますが、現在、不妊専門相談センターで対応しておりますけれども、来年度は、新たに日本看護協会が認定する不妊症看護認定看護師をカウンセラーとして任用する予定でございます。この不妊症看護認定看護師は、不育症について適切な情報提供や不安を緩和する精神的支援を行うために、認定カリキュラムの中で、不育症の診断、治療等のほか、治療後の妊婦の看護、また、流産、死産等の看護などの講義を受けて認定を受けた者でございます。  このように相談体制の充実を図りまして、今後は、不育症治療後の妊婦の出産に至るまでの相談にも対応してまいりたいと考えております。 ◆丸山秀樹 委員  来年度に専門的な知識を持つ不妊症看護認定看護師を配置した相談体制を組むということは、女性が安心して寄り添えることができる環境をつくっていただくという意味におきまして大いに期待するところであります。ぜひとも、札幌市の不育症に対する取り組みが、多くの女性、そして家族の幸せにつながる取り組みとなることを期待し、私の質問を終わります。 ◆小竹ともこ 委員  私からは、産後のメンタルヘルス支援対策について伺います。  昨年4月、平成17年から平成26年までの10年間に、妊娠中から産後1年以内に自殺した妊産婦が東京23区内で63人もいたという、大変痛ましく、ショッキングな調査報告がありました。この63人のうち、産婦は40人で、その半数が産後鬱病など精神疾患の診断を受けていたそうで、63人という数を死亡割合にすると、出生10万人当たり8.7人となり、出血などによる妊産婦死亡率の3.96に比べると、約2倍以上に相当することになります。これは、妊娠・出産期の死因として自殺が最も多いことを示しており、メンタルヘルスケアの充実などが急がれます。  また、昨年5月の厚生労働省研究班の報告によれば、平成27年11月の1カ月間の分娩数のうち、メンタルヘルスケアを必要とする妊産婦は約4%であったということです。この4%のうち、明らかな精神疾患や精神疾患の既往がなかったにもかかわらず、メンタルヘルスケアが必要と考えられた妊産婦は24.6%であり、この方々は、実母との折り合いが悪い、近所とのつき合いがないなどの背景が見られていたことから、研究報告では、産婦の心の悩みを早期に発見し、支援に結びつける必要があると指摘しています。  我が会派の宮村議員が、産後鬱病の早期把握や発症を防ぐための相談体制の整備の必要性や、児童虐待、発生予防、育児支援強化事業における客観的指標の活用について事業化を要望したのは、平成15年のことであります。その後、札幌市では、十分な検討期間とモデル実施を経て、平成24年11月から産後メンタルヘルス支援対策を開始しました。私も、その直前の決算特別委員会におきまして、関係職員の資質の向上、専門医との連携を含め、事業の内容について質疑させていただきました。  この事業は、三つの自己記入式質問票を使用し、産婦のメンタルヘルス上の問題を多面的に把握しているものです。三つの質問票とは、一つが産後鬱病のスクリーニングとして使用されるエジンバラ産後うつ病質問票、EPDS、もう一つが母親に対するサポートを含めた育児環境を評価する育児支援チェックリスト、さらに、赤ちゃんに対する否定的な気持ちや虐待の危険性の有無をチェックし、育児負担や赤ちゃんへの気持ちを評価する赤ちゃんへの気持ち質問票というもので、新生児訪問のときにこの三つの質問票に母親に自己記入してもらい、結果を早期支援につなげているとのことです。  そこで、質問いたしますが、先ほどメンタルヘルスケアを必要とする妊産婦は約4%という調査結果をお示ししましたけれども、この割合を札幌市の平成27年の年間出産数1万4,589人に当てはめますと580人に相当いたします。札幌市が産後のメンタルヘルス支援対策を開始して4年が経過しておりますが、この実施結果について、質問票の実施数、産後の抑鬱や不安があると判断された割合、育児への負担感があるとされた割合及びこれら支援を必要とされた産婦への支援の状況等について伺います。 ◎請井 母子保健・歯科保健担当部長  産後のメンタルヘルス支援対策についてのご質問でございます。  産後のメンタルヘルス支援対策の実施結果についてですが、この対策は、乳児家庭全戸訪問事業において実施しておりまして、平成27年度の質問票の実施数は1万3,411件であり、実施率としては98.1%でございます。質問票の何らかの項目に該当いたしまして、メンタルヘルスの問題を持つと判断された産婦は2,517人で、全体の18.7%でございました。そのうち、エジンバラ産後うつ病質問票が9点以上で産後の抑鬱や不安があると判断された割合が9.3%、自分自身を傷つけるという考えが浮かんできたという項目にチェックされた方の割合が2.8%、精神科受診歴のある方の割合が7.8%、育児への負担感があると回答された方の割合が5.3%でございました。  初回の訪問時にはこの3種の質問票を実施して、その結果、メンタルヘルスの問題を持つと判断された産婦につきましては、その場で抱えている心の問題を明らかにできますように、産婦の心に寄り添って聞き取り、また、気持ちを受けとめる支援を実施しております。さらに、育児不安が強い、赤ちゃんへの否定的な気持ちが強い、精神科の受診が必要等の状況があった場合につきましては、地区担当の保健師による支援につないでおりますが、訪問時の産婦の表情や態度、そして育児の様子等に心配のない場合は、4カ月健診を受診された際にフォローしております。また、これらの方については、初回訪問時からおおむね2週間以内に状況の再確認のために訪問指導員が再び訪れまして、それぞれの状況に応じた支援を実施しているところでございます。 ◆小竹ともこ 委員  質問票の実施率が98%と非常に高く、事業が有効に活用されていること、また、札幌市においては、質問票の実施によって18.7%いると把握されたメンタルヘルスに何らかの問題を持つ産婦を支援されているということです。  出産は、出血を伴う体の損傷とも言われております。また、出産後は、女性ホルモンが激減し、昼夜の区別なく赤ちゃん中心の生活となるなど、急激な変化が起こることによりメンタルヘルス上の問題が起こりやすい時期であると言われております。  私自身も経験したことですが、産後に気分が沈みやすくなる、わけもなく泣いてしまう、感情の起伏が激しくなるなどの状態になることをマタニティーブルーと言います。マタニティーブルーは、20%から40%、あるいは、学者によるともっと多くの産婦がかかると言われますが、出産の2〜3日後から症状が出て、通常は1〜2週間で自然に症状が消えていくとも言われております。一方、マタニティーブルーが一時的なものであるのに対し、症状が2週間以上続くなど長引いたり深刻になるのが産後鬱で、出産後2週間から2カ月ごろまでに産婦の約10%から20%がかかり、育児不安や親としての自信喪失につながることさえあって、妊産婦のメンタルヘルスの問題は、育児ノイローゼのような育児に密接に関連した問題を抱えることにもつながり、子どもの発達にも悪影響を及ぼすことになると言われています。  そこで、質問いたしますが、産後のメンタル支援対策の開始前と開始後では産後の支援状況にどのような変化があったのか、伺います。 ◎請井 母子保健・歯科保健担当部長  産後のメンタルヘルス支援対策開始前と開始後を比較した中での支援状況の変化でございますが、まず、保健師の支援の状況についてお答えいたします。  訪問指導員が初回訪問を行いました後に地区担当保健師による継続的な支援につながった件数につきましては、事業開始前の平成23年度は149件でしたが、事業開始後の平成27年度には214件となっておりまして、1.45倍に増加しております。訪問指導員からメンタルヘルスに問題を持つと判断された産婦の報告が保健センターにあり、その後、質問票の結果等の情報から、継続支援の必要性や支援者及び支援内容等の処遇検討を行うという体制をとっておりまして、この体制を整えたことによりまして継続支援が増加したものと考えております。  また、質問票を導入することによりまして、産後鬱病や育児不安など母親の精神状態を客観的に把握できるようになるとともに、産婦自身も自分が抱えている問題点が整理され、抑鬱状態が改善されるなどの効果があったと考えております。さらに、保健師がかかわりやすくなり、母親との関係を深めることができるようになったことも、この質問票を導入した成果と考えております。 ◆小竹ともこ 委員  今のご答弁を伺いまして、この三つの質問票の結果が非常に有効に活用されていると思いますし、キーワードは継続支援ということではないかなと感じました。  先日、警察庁が、平成28年1年間の児童虐待通報数について、前年比46.5%と大幅にふえたことを発表しています。札幌市においても、児童虐待に関する相談は年々増加しております。札幌市では、昨年9月から、周囲に育児協力者がいなくて出産後の育児に不安を持つ産婦を対象に産後ケア事業を開始していますが、ふなれな育児に睡眠不足となり、出産時の疲労が十分に回復できないと悩む母親が事業を利用されていると聞いております。  このような状況を踏まえ、今後、産後のメンタルヘルス対策の強化についてどのように取り組んでいかれるのか、伺います。 ◎請井 母子保健・歯科保健担当部長  実施結果を踏まえた今後の取り組みについてでございます。  産後1カ月以内にエジンバラ産後うつ病質問票が高得点になる場合が多いことから、産婦一人一人の状況を適切に判断した上で、産後のより早い時期に訪問指導員の訪問が実施できるように努めてまいりたいと考えております。  また、この事業の開始に当たりましては、かかりつけ医がいない産婦の受診について、精神科等の医療機関への協力依頼を行い、当時17カ所の医療機関から協力を得たところですが、現在はこれが65カ所に増加しております。速やかな精神科受診を要する場合もございまして、今後も医療機関と連携を図ってまいりたいと考えてございます。  さらに、事業開始時には、保健師及び訪問指導員を対象として、産後鬱の状態や3種類の質問票の使用方法、この質問票を生かした育児支援について研修会を実施しておりますけれども、今後も、客観的指標をより有効に活用いたしまして、共通の判断基準に基づいた支援が行えますよう、面接スキルや援助スキルの向上に関する研修会、また、事例報告などを継続して開催してまいりたいと考えてございます。そして、これまでの実施結果をしっかりと分析いたしまして、今後の支援強化につなげてまいりたいと考えているところでございます。 ◆小竹ともこ 委員  幾つかの取り組みをお聞きいたしましたけれども、心配なことをできるだけ早期に把握し、支援していくことが重要だと考えております。4年間の実績をしっかりと分析し、今後の支援に生かしていただきたいと思います。  出産は大仕事であり、多くの産婦が、気分の落ち込みや憂鬱感を感じ、不安定な状況になると言われています。真面目で手が抜けなかったり、完璧主義だったり、妊娠、出産の経過が順調でなかったり、出産による心身の疲労を回復できないままに育児に向かうこともあり、個々人の状況に即した支援が必要であると思います。  国は、昨年10月、新たな産後鬱対策として、産後健診を受ける際の費用を助成する考えを示しています。費用助成は、産後2週間と1カ月の2回、それぞれ5,000円を上限としており、母体の回復状況や授乳がうまくできているかなどの子育ての悩みを幅広く聞き、支援が必要と判断されれば育児相談や産後ケア事業の利用を促すこととしています。既に、来年度からの実施を決めている政令市もあると聞いております。札幌市においても、この産後健診費用の助成を早期に開始できるよう検討を始めていただきたいと思います。  また、これは提案ですが、本市においてもさまざまな分野での事業のICT化が進んでおります。この質問票のアプリを製作し、スマートフォンやタブレット型端末などで産婦たちに回答してもらうのはいかがでしょうか。関連性も高く、点数の計算やデータ化などの時間の短縮にもなりますし、保健師たちの事務作業の効率化や軽減化にもつながると考えます。  ぜひ、この点も含め、今後も産後ケア事業の充実をしっかりと進めていただくことを求めまして、私の質問を終わります。 ◆松原淳二 委員  私からは、がん対策における働く世代のがん患者への支援について伺っていきたいと思います。  国立がん研究センターによると、がん医療の進歩は目覚ましいものがあり、がん患者の5年相対生存率は向上してきており、がんと診断された方の約6割以上は5年後も生存している状況であると報告されております。がんは、もはや不治の病とは言えず、長くつき合う病になりつつあると思っております。  2010年の国民生活基礎調査に基づく推計によれば、仕事を続けながら、がん治療のために通院している方は約33万人いるとされていることから、今や、がんと知って、がんとともに生き、そして、がんとともに働く時代だと考えます。働く世代の推計人数は、同国立がん研究センターによると、ちょっと古いのですが、2008年、新たにがんと診断された約75万人のうち、およそ3人に1人に当たる約23万人が15歳から64歳の就労可能な世代であるとされております。少子高齢化の進展により、就労世代の人口減少が予測される中、がんになったからという理由だけで就労継続を断念することは社会にとっても大きな損失になると考えられ、がん患者が就労を続けられる環境の整備は大変重要なことだと考えます。  こうした中、国は、がんに罹患しても安心して暮らせる環境整備を進めることに重きを置き、昨年12月にがん対策基本法を改正し、治療と仕事の両立を支援させるため、事業主の努力義務として、がん患者の雇用継続に配慮することを明記いたしました。札幌も、先日、がん患者への支援を含めた総合的ながん対策を推進していくために、2017年度から2023年度までの7年を計画期間とした札幌市がん対策推進プランを策定したところであります。  2015年12月、本市が行った札幌市民向けアンケートによれば、がんにかかると働き続けることが難しいと思う理由の一つとして、治療と仕事の両立が体力的に難しい、また、治療、通院のために休むことが難しい、がんなどの治療の際に利用できる勤務制度、仕組みがないからが特に多く挙げられており、札幌市においても、治療と仕事の両立を理解し、支援をする事業所が強く求められていると感じております。  また、同じ時期に行った札幌市の事業者向けアンケートにおいても、罹病、けがなどの休暇、休職、勤務形態を就業規則などで特に規定していない事業者が約半数以上、そして、仕事とがん治療の両立ができる職場づくりの必要性を感じているが、未検討となっている事業者が7割という結果もあり、治療と仕事の両立に向けた環境整備がなかなか進んでいないのも現状であります。  札幌市の経済を支える多くの中小企業においては、例えば、休暇があったとしても、その取得した期間の仕事の穴埋めの人的措置であったり、他の陣容でカバーをするといったこともなかなか困難な状況であると思います。また、休暇中の賃金、そして、生活の基盤をどうするのかというさまざまな課題があるのも現状だと思っております。  そのような中、国においても、2016年の2月に事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドラインを策定し、その中で、事業者が具体的に進めていくため、労働者本人や事業者の相談窓口の明確化や、産業医を含めた医療機関との連携の重要性、そして、時差出勤や在宅勤務などを示した勤務制度のあり方について示しており、治療と仕事の両立について理解し、事業者が何をしなくてはならないのか、そして何ができるのかを十分理解していただき、できるところを見きわめながら、できるところから取り組んでいただくことがまずは第一歩だと考えます。  そこで、質問ですが、がん患者が就労継続のために、まず、治療と仕事の両立を支援する事業所をどんどんふやしていくことが重要であると考えますが、札幌市がん対策推進プランではどのような取り組みを進めていくのか、伺います。 ◎川上 健康企画担当部長  治療と仕事の両立を支援する事業所をふやす取り組みについてのご質問でございます。  がん患者が就労継続することは、患者本人はもちろん、長年の経験や知識を持った人材に活躍し続けていただくという観点から、企業経営にとりましても大きなメリットがあると考えております。このため、まずは、治療と仕事の両立支援の必要性やがんに関する正しい知識を理解していただくため、生命保険会社などの企業、関係団体との協働によるキャンペーンの開催や連携による普及啓発を行い、事業所に対して広く周知を行ってまいりたいと考えております。  また、今後は、プランを推進する中で、がん検診の実施や、治療と仕事の両立支援体制の整備、あるいは事業所内禁煙を実施する企業など、がん対策に積極的に取り組んでいる事業所を認定する制度を新たに導入しまして、がん患者が就労継続できる社会の実現を目指してまいりたいと考えております。 ◆松原淳二 委員  今の答弁で、認定制度なども活用しながら治療と仕事の両立を支援する事業所をふやしていきたい、また、民間との協働による周知活動にも力を入れていくということでございました。今後は、大企業のみならず、中小企業にも、また、正規職員だけではなく、非正規と呼ばれる有期雇用の方々にもそういった支援が広がることを期待したいと思っております。  先ほども申したように、休暇中の賃金であったり生活の基盤をどう確保していくのかといった点では、特に有期雇用の方が多い北海道の雇用形態においては重要な課題だと思っておりますので、まずは、こういった制度があること、そして取り組めることを事業者にしっかりと理解していただき、その中でできることを着実に進めていくことを求めたいと思います。  一方で、就労を継続することができず、やむを得ず離職したがん患者への支援も大変重要な課題の一つだと思います。長期入院や長期療養のため、退職を余儀なくされ、退職後に就職を目指す際に定期通院と治療が支障となってしまうことや、また、一度離職した後に就職しようと思うのは、就職先とのマッチングに苦慮することに加えて、新たな環境に飛び込むという点において精神面でも非常に負担が大きなことだと考えます。このように、がん患者が離職した場合、仕事を見つけることが非常に難しく、生活に直結する問題に直面するなど、さまざまな不安や悩みを抱えることにつながることから、深刻な問題であり、早期に取り組むべき課題だと思っております。  我が会派は、かねてから、がん対策について機会を捉えながら質問してまいりましたが、特にがん罹患者が増加していく状況を踏まえ、がんになっても安心して暮らせる社会を構築していくために、就労支援を含め、がん患者への相談支援体制を充実させることが大変重要であると主張してきたところであります。  そこで、質問ですが、今後、一度離職したがん患者が、再就職に向け、相談支援を受けられる取り組みを進める必要があると考えますけれども、どのように取り組んでいくのか、伺います。 ◎川上 健康企画担当部長  がん患者への就労相談支援への取り組みについてのご質問でございます。  一度退職したがん患者は、治療を続けながら早期の再就労を希望する方、病状に応じて短時間の勤務を希望する方、治療に専念した後に再就労を希望する方などさまざまな就労ニーズがございまして、それぞれの病状を確認しながら就労相談を受けられる体制づくりが求められております。  現状におきましては、平成27年度に国のモデル事業として開始された取り組みとして、札幌東ハローワークと北海道がんセンター内のがん相談支援センターが連携して就労相談に応じ、患者の転職、再就労を支援しているところでございます。今後につきましては、治療と仕事の両立を求めるがん患者が増加することが予想されることから、札幌市といたしましても、市内のがん診療連携拠点病院などの相談窓口に寄せられた就労希望者の情報を北海道がんセンターに集約して適切な就労先を紹介するなど、より多くの方が利用しやすい相談支援体制を整備してまいりたいと考えております。 ◆松原淳二 委員  今、答弁があったように、病状によってさまざまな就労ニーズがありますので、しっかりと応えられるような体制をとっていただきたいと思います。今、国の取り組みで、がんセンターなどの拠点病院にも相談機能のノウハウを展開していくということでありますので、一人でも多くのがん患者が再就職できるための支援、就労相談体制を充実していただきたいと思います。  がんは、早期発見・早期治療によって9割以上の方が治るとも言われております。早期発見された場合は、比較的、治療の負担も軽いとされていることから、治療と仕事の両立のためにも、まずはがん検診を受診していただくことが大事だと思います。そのためには、がんに関する正しい知識を持っていただくことが大事であり、普及啓発を充実させるなど積極的にがん検診を受診していただく体制をさらに求めて、私の質問とさせていただきます。 ◆前川隆史 委員  私からは、がん対策推進プランにおけるたばこ対策について伺います。  札幌市がん対策推進プランは、国のがん対策基本法や北海道のがん対策推進計画などと整合性を持って、札幌市民のがんの特徴を踏まえ、このほど策定されました。これまでのがん検診の受診率の向上などの取り組みに加えて、がんに罹患してからの支援を含めた総合的ながん対策となっており、重点施策として、がん予防、早期発見・早期治療、そして、がん患者及びその家族等への支援が掲げられております。  そのうち、がんの予防については、やはりたばこ対策が重要でありまして、さきの決算特別委員会にて今後の札幌市のたばこ対策について質問したところ、まずは、妊婦や子どもに対する受動喫煙防止の取り組みを進めるため、札幌市全体の受動喫煙防止対策を高めていくとの答弁があり、さらに、同日の新聞報道でも国が受動喫煙防止対策の強化に関するたたき台を示したと大きく報道されたこともございまして、これまで以上に本市のたばこ対策に力を入れていこうという機運が高まったかなと思っております。  そのあらわれか、市内の愛煙家の匿名の市民の皆さんから私のところにご批判のお手紙を何通かいただきましたけれども、恐れずに頑張っていきたいと思っております。  国が示したたたき台によると、これまでの健康増進の観点に加えて、たばこ対策の後進国と言われる日本がオリンピック開催国と同等の基準を目指すとしており、2020東京オリパラを契機に、従来の努力義務よりも実効性の高い制度にするとされております。最近は、新聞やテレビで飲食店での喫煙の是非について話題となることが多く、喫煙者、非喫煙者のどちらもたばこ対策への関心が高まっております。また、国は、たたき台をもとにした法案の内容について明確には示しておりませんが、札幌市として、国の動向を早目にキャッチして、市民に向けて受動喫煙防止対策の方向性を示していただきたいと思います。  そこで、質問でございますが、現時点では法案の具体的な内容について明らかにされていないと思いますが、今後の受動喫煙防止対策の国の動向についてお伺いしたいと思います。 ◎川上 健康企画担当部長  国の受動喫煙防止対策の動向についてのお尋ねでございます。  これまでの受動喫煙防止対策は、健康増進法の第25条に基づきまして、多数の者が集まる施設の管理者は受動喫煙防止に努めるという努力義務でございましたが、たたき台では罰則つきの義務とされております。また、建物内は原則禁煙とし、学校などは敷地内禁煙、飲食店やサービス業は、原則禁煙としながらも、喫煙室の設置を可能とする案を提示しておりまして、関係業界・団体との調整が続いているようでございます。  今後、国は、東京オリンピック・パラリンピック前年である平成31年にもラグビーワールドカップという大規模な国際大会が開催されることから、その開催前の法施行に向けて今国会に法案を提出し、会期内の成立を目指していると聞いております。 ◆前川隆史 委員  国の大変強い意思を感じる法案の中身なのかなと思っております。法案が成立した暁には、札幌市保健所も、負けないくらいの強い決意を持って、札幌市役所内の関係部署との連携を図り、今後の対策について市民や関係団体にわかりやすく情報提供していただきたいと思うところです。  これまでのたばこ対策は、国の動きにも見られるとおり、受動喫煙防止対策が中心であったように思われます。受動喫煙を防止することでたばこを吸わない人ががんになるリスクを低くすることができますが、反面、たばこを吸う人にとっては、見通しの悪い喫煙室の白煙の中で、自分の煙と他人の煙を同時に吸うところに追い込まれる事態になっているのかなと思いまして、喫煙者の皆さんにとってはますますがんのリスクが高まってしまったのではないかという印象も持っております。  平成22年にたばこが値上げされた際には喫煙率が全国的に下がったり、たばこを吸う場所が少なくなったことをきっかけに禁煙にチャレンジする人もふえたように感じますが、専門医の先生に言わせると、たばこはニコチン依存という病気だから、自分の意思だけではなかなかやめられないとのことでございます。がんを予防するためには、たばこを吸わない人に煙を吸わせないだけではなく、禁煙したくてもやめられない人への支援も必要だと考えます。  そこで、質問でございますが、がん対策推進プランにおけるたばこ対策について、これまでの取り組みに加え、今後さらに強化していく点についてお伺いします。 ◎川上 健康企画担当部長  今後、取り組みを強化していく点についてのお尋ねでございます。  これまで、リーフレット等を活用した正しい知識の提供や、禁煙、分煙に取り組む施設の登録を中心に、市民や企業に向けて受動喫煙防止に関する普及啓発を行いまして市全体の意識の醸成を図ってきたところでございます。  国立がん研究センターの研究結果によりますと、たばこを吸う人は吸わない人に比べてがんになるリスクが1.5倍高まることが明らかになり、禁煙はがん予防の確実な一歩であることが公表されました。そのため、今後は、受動喫煙防止対策のみならず、たばこをやめたくてもやめられない市民に対して効果的に禁煙支援を行えるよう、取り組みを強化してまいりたいと考えております。 ◆前川隆史 委員  今後は、これまでの受動喫煙防止対策とあわせて、それ以上に、たばこをやめたい方への禁煙支援にもしっかりと力を注いでいただきたいと思います。  がん対策推進プラン策定に関して実施した札幌市のアンケート調査によると、禁煙した市民の動機づけで最も多いのは家族や友人の協力であり、2番目に多かったのが妊娠、出産、子どものためという結果でございました。振り返ると、私も、15年前、子どもが生まれたことを契機に禁煙いたしまして、1カ月間の禁断症状とのつらい戦いを経て、それ以来、一本も吸わずに今日に至っております。札幌市では女性の喫煙率が高く、全国が約10%であるのに対して札幌市は約15%と、男性よりも全国との比率の差が大きいのが特徴でございます。妊娠をきっかけにたばこをやめる女性も多いと思いますが、こどもを出産後、子どもが大きくなるに従って喫煙を再開する人がふえ、特に父親が家庭でたばこを吸っていると母親が再開しやすいという話もあり、自宅で子どもたちが受動喫煙にさらされることになります。受動喫煙を防止する最も効果的な方法は、ずばり、たばこを吸う人が禁煙することであります。  そこで、質問ですが、がん対策推進プランのがん予防における禁煙支援の具体的な方法について伺います。 ◎川上 健康企画担当部長  禁煙支援の具体的な方法についてでございます。  厚生労働省の喫煙の健康影響に関する検討会報告書、通称たばこ白書の中では、保険適用による禁煙治療は自力での禁煙に比べて禁煙率が3倍から4倍高まることが示されていることから、まずは、たばこをやめたい市民に対して禁煙外来の受診を促進してまいりたいと考えております。  また、委員がご指摘のとおり、子育て中の親がたばこを吸うと、その子どもへの受動喫煙の害に加えまして、未成年者の喫煙にもつながるため、本プランにおきましては、波及効果の大きい子育て世帯への禁煙治療の一部助成を行いまして、市民全体に禁煙治療の効果が伝わるよう努めてまいりたいと考えております。 ◆前川隆史 委員  札幌市は、全国の指定都市の中でも、喫煙率、がんによる死亡率、また肺がんの発症率がいずれも全国ワーストでございます。子どもたちにはたばこの煙を吸わせないという札幌市の受動喫煙防止対策の方針にのっとって、禁煙支援を力強く進めていただきますようお願い申し上げまして、質問を終わります。 ◆岩崎道郎 委員  私は煙を愛しておりますが、きょうは、煙ではなく、動物の愛護について少しお伺いしたいと思います。  まず、動物愛護管理推進計画の策定について質問させていただきます。  動物愛護については、動物を愛する市民の声、そして、さまざまな団体や行政の取り組みによって殺処分の数が年々減少しており、これは全国的な傾向となっています。また、札幌市においても、2014年度に犬の殺処分ゼロを達成いたしました。
     そこで、まずは、近年の札幌市における犬、猫の保護収容頭数の推移はどのようになっているのか、これまでの殺処分や譲渡の状況とあわせてお伺いいたします。 ◎石田 生活衛生担当部長  札幌市における犬、猫の保護収容頭数の推移についてお答えいたします。  初めに、過去10年間の収容状況で見ますと、犬については、平成18年度は779頭でしたが、その後、年々減少しまして、平成27年度は234頭となっております。また、猫については、平成18年度は2,585頭でしたが、その後、増減を繰り返しながら減少し、平成27年度は1,252頭となっております。  次に、殺処分や譲渡の状況でありますが、まず、犬については、平成18年度は、飼い主への返還が209頭、譲渡が278頭、殺処分が275頭でありましたけれども、平成27年度は、返還が93頭、譲渡が147頭、殺処分はゼロとなっております。また、猫につきましては、平成18年度は、返還が1頭、譲渡が142頭、殺処分が2,325頭でしたが、平成27年度は、返還が16頭、譲渡が988頭、殺処分が48頭となっておりまして、返還・譲渡率では5.5%から80.2%と10年間で大幅に増加しております。 ◆岩崎道郎 委員  詳しい数字を聞くと、結構衝撃的な数なのだなということを改めて実感しております。同時に、犬がゼロになっているのは非常にすばらしいことだと思います。  札幌市では、2015年5月に策定いたしました札幌市動物愛護管理基本構想に掲げている札幌市が目指すべき目標、人と動物が幸せに暮らせるまち・さっぽろの実現に向けて、昨年10月1日から札幌市動物の愛護及び管理に関する条例を施行し、その取り組みを一歩前進させたところであります。また、今年度制定いたしました動物愛護条例に基づき、附属機関として動物愛護管理推進協議会を立ち上げ、専門的な見地から全4回の審議を行っていただき、ことし2月に答申として推進計画の骨子案も市長に手交されたと聞いております。  私は、この大きな目標を達成するためには、これまで行政が行ってきたようなやり方、具体的には、ペットの飼い主に対する指導などの取り組みだけでは世の中は変えられないと考えております。やはり、ペットを飼育している方はもちろん、飼育していない方、ペットショップ、繁殖業者など、多くの方々に動物愛護の取り組みが浸透していくような計画にしていくべきだと考えております。  そこで、質問です。  今回の動物愛護管理推進計画は、札幌市としてどのような計画にしていくおつもりなのか、その方向性について伺います。 ◎石田 生活衛生担当部長  動物愛護管理推進計画の方向性についてお答えいたします。  平成27年5月に策定いたしました動物愛護管理基本構想に則して計画的に動物愛護管理の施策を遂行することを目的といたしまして、具体的な数値目標を明確にすることとしております。また、当該目標を達成するために、市民、行政及び動物取り扱い業者等の各主体が果たすべき役割、そして、実施する施策などを定め、動物愛護管理推進の拠点となる動物管理センターのあり方についても考慮した札幌市動物愛護推進計画を策定することとしております。 ◆岩崎道郎 委員  今、計画の方向性というところをお聞かせいただきました。  次に、その計画の中身ですが、先ほども申し上げたとおり、本計画を実効性のあるものにするためには、ペットを飼育している方だけではなく、多くの方からの理解と協力が不可欠です。特に、生体販売を行う事業者が無計画に商品としてのペットを供給することによって、いわゆる蛇口が緩みっ放しだという指摘をされることがあり、どんなに行政が殺処分ゼロを目指したとしても追いつかない実態にあることが報道などでも時々見られます。さらに、殺処分ゼロを目指すことで、動物管理センターに保護される動物が決して良好とは言えない環境の中で長期間にわたって過ごさざるを得ない状況が生まれていることも、改善しなければいけない課題であると認識しております。  そこで、質問ですが、数値目標や施策の基本的な考え方など計画の具体的な中身についてはどうなっているのか、伺います。 ◎石田 生活衛生担当部長  数値目標や施策の基本的な考え方など、計画の中身についてお答えいたします。  動物愛護管理推進計画につきましては、平成29年2月の動物愛護管理推進協議会の答申を受けまして、今後、庁内議論を進め、計画の中身を検討することとしております。  なお、数値目標につきましては、今回の答申では、回復の見込みのない負傷動物の安楽死を除く犬、猫の殺処分ゼロ、そして、年間の保護収容頭数の対平成16年度比の75%減、さらには、全ての犬の登録といった三つの数値目標が掲げられておりまして、これに沿って検討し、設定してまいりたいと考えております。  また、具体的な施策につきましても、答申をもとに、動物愛護管理基本構想で掲げた動物愛護精神の涵養、動物の適正管理の推進、動物の福祉向上という三つの基本施策を推進する具体的施策を策定いたしまして、さらに動物愛護管理の取り組みを推し進めてまいりたいと考えているところでございます。 ◆岩崎道郎 委員  今、中身を少しご紹介いただきました。いい中身ができても、市民にしっかりと伝わらなければ意味がないと思います。そういった意味において、最後に、市民へのPR・啓発事業について伺いたいと思います。  動物愛護週間にちなみ、本年度は、動物愛護イベントとして人とペットの暮らし広場が9月19日に赤レンガプラザと地下歩行空間で開催され、獣医師体験コーナー、ペットの飼育相談、動物愛護条例クイズラリー、長寿犬猫表彰式、パネル展示などの啓発イベントが行われました。また、パネルディスカッション「秋元市長と語る、人と動物が幸せに暮らせるまち・さっぽろ」も開催されたと聞いており、ボランティアの方や多くのご家族がかかわり、大変意義のある内容だったとの声を聞いております。  そこで、質問ですが、本イベントのこれまでの成果や課題はどのようなものなのか、また、それを踏まえた本年度の実施状況について伺います。 ◎石田 生活衛生担当部長  イベントのこれまでの成果や課題に対する認識についてお答えいたします。  動物愛護フェスティバルは、盤渓スキー場において実施していた過去5年においても毎年3,000名以上の方が来場されておりましたが、以前は動物に関心のない方にもより参加していただけるものにするといった課題を抱えておりました。  そこで、この課題を解消するために、今年度は大きくリニューアルを行い、市の中心部において開催しましたところ、約7,600名の来場者を迎えまして、大変多くの方々にご参加いただくことができました。内容につきましても、獣医師会やボランティアの方々の協力をいただきながら、子どもから大人まで幅広い年齢層に参加していただけるよう工夫を凝らし、新たな展示を行うとともに、動物愛護管理条例の施行に合わせた市長のパネルディスカッションによってこの条例の周知にも取り組み、多くの方々に人と動物が幸せに暮らせるまち・さっぽろを目指すという開催の趣旨をお伝えできたところかなと考えております。  今後とも、人と動物が幸せに暮らせるまち・さっぽろの実現に向けまして、市の中心部におけるイベントの開催を継続し、多くの方々に動物愛護思想が浸透するよう、このような取り組みをより一層充実してまいりたいと考えております。 ◆岩崎道郎 委員  非常に高くすばらしい目標を掲げていらっしゃると思います。その実現に向けてしっかりと取り組んでいただきたいと思いますし、特に子どもの世代からしっかりと動物愛護の教育を進めていくことは非常に重要であろうと考えておりますので、ますますPRも頑張っていただきたいと思います。  最後に、今回、質問させていただくに当たって、北区の動物管理センター福移支所に伺ってまいりました。犬が何匹、猫も何匹かまだいらっしゃって―いらっしゃってと言いたくなるような大変申しわけない気持ちになりました。人間の勝手な気持ちで動物を飼いながら、必要がなくなったらもう死んでしまえと言っている、ついついそう考えてしまうような環境なのかなと。行くまではもうちょっと劣悪な環境を想像していたのですが、比較的きれいだったのは少し救われました。しかし、犬や猫は、あそこでずっと飼い主を待っていたり、あるいは、自分の行き先がわからない不安を感じているんだなと思わざるを得ませんでした。やはり、管理する新しいセンターができるのであれば、居心地のいい場所を動物たちに提供してあげてほしいと思いますし、これから、未来永劫、札幌市でペットの殺処分がないように取り組んでいただけるよう心からお願いを申し上げまして、私の質問とさせていただきます。 ◆好井七海 委員  私からは、31年間、歯科診療所に勤務してきた立場から、子ども、特に乳幼児の虫歯予防対策について質問させていただきます。  このたび、札幌市生涯歯科口腔保健推進計画が公表されましたが、基本理念は、8020運動推進の街・笑顔の街さっぽろとされており、8020運動のさらなる推進を図るものと期待しているところであります。国が平成23年に実施した歯科疾患実態調査によると、全国で80歳で20本の歯を残すことを達成した方は推計で38.3%でありました。3人に1人以上が8020達成者ということで、過去最高であります。  8020と言うと、ゴールである高齢期の課題として注目されますが、スタートとなる乳幼児期の歯科口腔保健も大きな課題と考えるところであります。私は、平成27年の4定の代表質問で、子どもの虫歯予防を今後どのように進めていくのかについて質問したところ、虫歯のない3歳児の割合が増加するなど子どもの虫歯の状況は改善傾向にありますが、さらに対策を進める必要がある、また、仮称歯科口腔保健推進計画を策定し、子どもの虫歯予防対策について具体的に取り組みを検討するとの答弁をいただきました。策定された推進計画では、乳幼児期、学齢期が生涯にわたる歯と口の健康づくりの基礎であることから、虫歯や歯肉炎のない子どもをふやすことを重点施策として位置づけ、乳幼児期の歯科口腔保健対策を重点施策としたことは評価するところであります。  計画書によると、平成26年度に実施した歯科検診結果では、虫歯のない1歳6カ月児は97.8%、また、3歳児は83.3%で全国平均82.3%を上回っておりまして、札幌市では、昭和41年に虫歯のある3歳児の割合が約80%でありましたが、この50年ほどの間で子どもの歯科口腔保健が格段と改善したことがわかりました。一方、市内の区ごとに虫歯のない3歳児を比べると、その割合が最大の区と最小の区で11ポイントの差があり、これが課題と聞いております。  そこで、質問ですが、平成27年度の幼児歯科検診の結果が出ていると思いますが、虫歯のない3歳児の状況についてお伺いいたします。 ◎請井 母子保健・歯科保健担当部長  乳幼児期の虫歯予防対策についてのお尋ねでございます。  平成27年度の3歳児の虫歯の状況についてでございますが、3歳児歯科検診結果では、歯科検診の受診者が1万3,495人、この中で虫歯のない3歳児が1万1,253人でございまして、虫歯のない3歳児の割合が83.4%と平成26年度とほぼ同様でございました。また、虫歯のない3歳児の割合を最も高い区と低い区で比較いたしましたところ、先ほどご指摘のように、平成26年度は11ポイントでしたが、27年度は、その差が1.8ポイント縮小して9.2ポイントとなっておりました。 ◆好井七海 委員  平成26年度に比べると虫歯のない3歳児の割合は若干よくなっておりますが、横ばいの感じもありますので、引き続きよろしくお願いいたします。  計画では、乳幼児期の取り組みの方向性としてセルフケアの周知とフッ化物利用の推進を上げております。歯磨きや食生活などセルフケアも重要であり、また、フッ化物洗口は、臨床現場での使用実績も数多く報告されていて、エビデンスも確立されておりますので、低年齢から適切にフッ化物を利用することは、子どもの虫歯予防に効果的であり、乳幼児の虫歯予防につながると考えます。  さらに、北海道の条例にも、北海道は、幼児、児童及び生徒にかかわる歯、口腔の健康づくりの推進を図るため、学校等におけるフッ化物洗口の普及、その他の効果的な歯科保健対策の推進に必要な措置を講ずるものとするとありますし、北海道民の歯の健康を守っている北海道歯科医師会の要望もあり、推進していただくことを強く要望いたします。  また、取り組みの方向性には、区ごとに歯科保健の状況を把握、分析し、対策を講じるとありますが、虫歯のない3歳児の区ごとの差は前年度から2ポイントほど改善しており、この差をさらに縮小する必要もあると思います。  そこで、質問ですが、計画の初年度となる平成29年度の乳幼児の虫歯予防の取り組みについてお伺いいたします。 ◎請井 母子保健・歯科保健担当部長  平成29年度の乳幼児期の虫歯予防の取り組みについてでございます。  現在、講話を中心にいたしまして、地域で子育てサロン等において親子を対象にした健康教育を年間30回程度実施しております。来年度は、この健康教育に虫歯のなりやすさを調べる簡易検査を導入して内容の充実を図るとともに、名称につきましても、さっぽろ8020セミナーキッズ編として実施していきたいと思っております。  この簡易検査は、子どもの唾液を検体といたしまして、試験紙の色の変化によって子どもの虫歯のなりやすさを簡便に判定するのでございます。子どもの歯の健康度を目で見て確かめる、いわゆる可視化することによりまして、子どもの虫歯予防への理解を深めていただくことを目的として導入するものでございます。  平成29年度は、児童会館や地域の子育てサロンを対象といたしまして、地域に出向いて50回ほどの開催を予定しております。さらに、幼稚園、保育所の職員を対象とした研修会を新たに開催することとしております。幼稚園、保育所の年長児となる4歳児、5歳児の時期は永久歯が生え始める時期でありますことから、永久歯のかみ合わせの中心と言われている6歳臼歯の虫歯予防等について情報提供を行いますとともに、園児の歯と口の健康相談にも対応したいと考えてございます。  乳幼児期のフッ化物利用の推進につきましては、先ほど答弁させていただきましたが、かかりつけ歯科医でのフッ化物歯面塗布や、フッ化物を添加した歯磨き剤を家庭で利用することなど年齢に応じた利用方法について、先ほどのさっぽろ8020セミナーキッズ編や区保健センターで実施している虫歯予防教室などを通して普及啓発に進めてまいりたいと考えてございます。  また、1歳6カ月児、3歳児歯科検診結果と検診時期に同時に実施しているアンケートの結果をもとに、各区の歯科保健の状況の分析に着手したところでございます。今後、区を単位とした乳幼児の歯科保健について課題を設定いたしまして、それぞれ対策を講じてまいりたいと考えているところでございます。 ◆好井七海 委員  最後に、要望ですが、来年度は、新たな事業を加えてさらに乳幼児の虫歯予防に取り組むことがわかりました。計画では、平成35年度までに虫歯のない3歳児を90%にすることを目標としておりますが、あと7ポイントの改善になり、簡単なことではないと考えます。乳幼児期の虫歯予防は8020のスタート地点と言えますので、フッ化物も適切に利用し、平成35年度と言わず、1年でも2年でも前倒しで目標が達成できるよう対策を進めいただくことを要望し、質問を終わります。 ◆福田浩太郎 委員  私からは、在宅医療の推進についてと健康寿命延伸のための野菜摂取対策について、続けて質問させていただきます。  初めに、在宅医療の推進についてであります。  昨今の超高齢社会の急速な進展に伴いまして、医療機関や介護保険施設等での受け入れにも限界が生じることが予測される中で、在宅医療は、患者の生活の質を重視する観点から、慢性期及び回復期患者の受け皿として、また、みとりを含む医療提供体制の基盤の一つとして期待されているところであります。  在宅医療は、住みなれた環境で生活しながら療養できることや、人生の最終段階を自宅で過ごせるなどのメリットがある一方で、平成27年度に札幌市が行った市民アンケートによりますと、半数以上の方が在宅医療よりも入院治療を選択したいと答えております。その理由として、緊急時の対応が不安である、在宅医療がどのような医療なのかまだわからない、入院したほうが安心できるなどが挙げられておりまして、まだまだ市民が不安を感じていることや、在宅医療についての理解が十分に進んでいないことがうかがわれます。  札幌市では、平成27年度から高齢者等の在宅医療ネットワーク推進事業を実施し、在宅医療の推進に取り組んでいますが、事業を推進するに当たっては、在宅医療に対する市民の理解を深めていくことが不可欠であり、そのためには市民への普及啓発が重要と考えます。  そこで、質問ですが、札幌市における在宅医療に関する市民への普及啓発の取り組み状況についてお尋ねいたします。 ◎鈴木 医療政策担当部長  在宅医療の推進についてお答えいたします。  在宅医療に関する市民への普及啓発の取り組み状況についてですが、札幌市としても、在宅医療の推進に当たっては、住みなれた環境で生活しながら医療を受けられることのメリットや、病状が急変したときでも安心して継続した医療を受けられることなどについて、より一層、市民に理解していただくことが重要と認識しております。  札幌市では、在宅医療についてわかりやすく解説した市民向けの在宅医療ガイドブックをこれまでに8,000部作成し、区役所やまちづくりセンター、地域包括支援センターなどで配布しております。また、札幌市医師会と協力して在宅医療の事例紹介や入院治療との違いなどを内容とした市民向けの講演会を年2回開催するなど、普及啓発に努めてきたところでございます。今後は、これらの取り組みにさらなる工夫を加えながら、継続して実施するとともに、職員が地域に出向き、市の施策や事業について説明を行う出前講座等を実施してまいりたいと考えております。 ◆福田浩太郎 委員  在宅医療に関する普及啓発の取り組み状況については理解いたしました。このような取り組みを通じて、在宅医療について市民の理解がより深まっていくことを期待するところでございます。  一方で、普及啓発が進むことで市民の理解が深まり、また、今後の医療を取り巻く環境の変化等に鑑みますと、在宅医療の需要はますますふえていくものと考えます。また、ただでさえ医師不足と言われている中で、高齢者がふえ、亡くなる方が多くなるといういわゆる多死社会を迎えるに当たり、増加していくであろうみとりに対応できる体制の整備も重要だと考えます。体制の整備に当たっては、患者の視点に立ったみとりを行うために、医師だけではなく、看護師等も含めた人材が求められるところであります。このような状況に対応するためには、在宅医療を担う医師等の医療従事者が十分に確保される必要がありますが、現状のままでは増加するこれらの医療需要に追いつかないのではないかという懸念もございます。  そこで、質問ですが、今後ますます必要となる在宅医療を担う医療従事者の確保について、札幌市としてどのように取り組まれるのか、お尋ねいたします。 ◎鈴木 医療政策担当部長  在宅医療を担う医療従事者の確保についてどのように取り組むのかというご質問ですが、委員がご指摘のとおり、札幌市としても、在宅医療の需要の増加に対応するため、医師や看護師等の医療従事者を十分に確保する必要があると認識しております。  札幌市では、平成27年度に、在宅医療を新たに始めるきっかけとなるよう、医師及び看護職を対象に新規参入研修等を開始し、さらに、平成28年度は、対象職種を歯科医師、薬剤師にも広げ、回数もふやして実施したところでございます。今後は、札幌市医師会を初めとする関係団体と連携しながら、従来の内容に加え、より実践的なものとするなど研修の充実を図ることにより、在宅医療への新規参入者をふやすとともに、その定着を図ることで医療従事者の確保に努めてまいりたいと考えております。 ◆福田浩太郎 委員  ご答弁から、札幌市の考え方、そして、担い手確保の方向性については意を同じくすると思うところでございます。  現状でさえ、回復期の病床が不足していることや、看護師や介護士が足りないことも指摘されております。今後、先ほども述べましたように、団塊の世代の方々が後期高齢者になる時期は、いわゆる多死時代への突入とも言われております。また、平成25年度の札幌市の調査でも、約6割の方が体が弱くなっても現在の場所に住み続けたいと希望されております。こうしたことから、まずは的確な情報提供が重要でございます。ご本人はもとより、ご家族の皆様が在宅医療について理解を深めるとともに、最期の迎え方について考え、その意思を共有することが大切でありまして、今後とも市民への普及啓発について丁寧に着実に続けていただきたいと思います。  また、ますますふえていくであろう在宅医療の需要に対応する体制整備も欠かせないものであります。医師を初め、さまざまな関係者の協力が得られるよう、先を見据えた体制の構築が必要だと思います。限られた医療資源が有効に活用されるよう、札幌市の取り組みを一層強力に進めていただくことを要望して、この質問は終わります。  続いて、健康寿命延伸のための野菜摂取対策についてでございます。  私たちの命を支えているのは、毎日の食事でございます。言うまでもありませんが、私たちの体は全て食べ物からできているわけでありますから、毎日の食生活は大変重要であると考えています。  健康と食生活は密接な関係にございますが、中でも糖尿病に罹患している方が多く、平成26年度の厚生労働省の患者調査によりますと316万人いらっしゃいまして、3年前の調査と比較しますと46万人も増加しております。今や国民病とも言われるほど多くの方が罹患している糖尿病ですが、この病気が進行すると、糖尿病性腎症から透析へ、糖尿病性網膜症から失明に至るなど、ご本人のQOLを下げることが大きな問題でありますけれども、それだけではなく、医療費を押し上げる大きな要因の一つであると認識しております。  我が会派では、昨年11月に、糖尿病対策事業を行っている東京都足立区を視察し、足立区が全庁を挙げて野菜を食べることに力を入れているあだちベジタベライフを調査させていただきました。これは、足立区の野菜の摂取量は健康寿命で知られている長野県と比較して約100グラムも少なく、糖尿病から透析に移行している人が多いという健康課題を解決するための取り組みでありまして、野菜を最初に食べることで急激な血糖値の上昇を避けようということから、行政が旗振り役となって、食事をするとき、1口目は野菜からというかけ声運動を行ったり、野菜販売店や飲食店で気軽に野菜を食べられる食環境整備を進めておられました。野菜を食べることを推奨するリーフレットの配布では、乳幼児健診の場や社員食堂を活用するなど、幅広い世代に対して取り組んでいることもわかりました。札幌市においても、健康寿命延伸のために、市民にもっと野菜を食べることを推奨し、啓発していくことが必要であると感じたところでございます。  札幌市の現状は、全国平均とほぼ同じ野菜摂取量で、長野県と比較しますと、約80グラム、サラダ1皿分ぐらい少ない摂取量でございます。  そこで、質問ですが、まず、生活習慣病対策として野菜を摂取することの重要性の認識についてお尋ねいたします。 ◎川上 健康企画担当部長  野菜を摂取することの重要性の認識についてでございます。  国が策定した21世紀における国民健康づくり運動、健康日本21の中では、野菜に含まれるカリウム、食物繊維、抗酸化ビタミンなどの摂取が糖尿病、高血圧症、高コレステロール血症などの生活習慣病に予防的に寄与する割合が高いとされておりまして、成人の1日の野菜の適量摂取量は300グラムから400グラムであるとされております。  このことから、野菜を摂取することは、生活習慣病の予防のために極めて重要であると認識しておりまして、札幌市におきましても、健康さっぽろ21の中で1日の野菜摂取量を350グラムと設定し、野菜の毎食の摂取を推奨しているところでございます。 ◆福田浩太郎 委員  野菜を摂取することは、糖尿病のみならず、高血圧症、高コレステロール血症にも効果があり、健康な体の維持に大きな効果をもたらすことを理解いたしました。  足立区では、区民の健康寿命が東京都の平均より約2歳短く、23区中23位であること、また、被保険者1人当たりの糖尿病医療費及び受診件数が23区内で最も高いこと、さらには、重症化するまで対処されないケースが多く、健康無関心層が多数いることから、糖尿病に重点を置いて、野菜を食べる、野菜から食べようということを徹底して訴えていました。炭水化物から食べると、血糖値が急上昇して血管を傷つけるとともに、糖尿病を初めとする生活習慣病のリスクが高まるそうでございます。糖尿病は、寿命を10年短くすると言われ、その上、気づかないうちに忍び寄る恐ろしい病気であることの理解を広め、その解決策として野菜食を啓発していました。野菜を食べる必要性が強く、わかりやすく伝わるものであり、誰もができる対策方法でありまして、市民から共感を得られやすいものだなと感心した次第でございます。また、あだちベジタベライフ運動を行政が先導して、飲食店、野菜販売業者、家庭、子育て、教育機関、医師会などの三師会と協力関係を深め、多角的に展開しておりました。  そこで、再質問ですけれども、札幌市が行っている野菜摂取に関する特徴的な取り組みと評価について伺います。  あわせて、今後の取り組みについてもお尋ねいたします。 ◎川上 健康企画担当部長  札幌市が行っている特徴的な取り組みと評価についてお答えいたします。  札幌市では、青果物関係業界の全国団体等が語呂合わせで8月31日を野菜の日と以前から定めていることから、札幌市におきましても、平成16年度より8月を野菜摂取強化月間と定めて全庁的に取り組んでおりまして、こうした取り組みは全国の政令市の中でも札幌市独自のものでございます。  具体的には、市内小・中学校で給食便りに野菜摂取の大切さなどにつきまして掲載しているほか、認可保育所等で野菜をテーマにした栄養教室等が開催されております。また、期間中、企業と連携した広告事業で野菜摂取を呼びかけるポスターを作成し、学校、保育所を初め、スーパーや青果店など市内4,000カ所に掲示して集中的に広報活動を行っているところでございます。さらに、社員食堂で一定の野菜の量を確保したヘルシーメニューを利用するモニター事業を実施しております。3年間で延べ12社、190人ほどが参加しておりますが、これによりまして、実際に体重が減少したり、意識の改革につながったという報告がございまして、ほかの社員食堂にもこの内容を伝えるなど、同様に取り組む事業所の拡大を図っているところでございます。  こうした取り組みによりまして、野菜摂取の大切さについて市民や事業者の理解が徐々に進んできたものと評価しております。  このほか、ボランティア団体である食生活改善推進協議会の会員の皆様が、年間約80回、8,000人を超える市民の方々に対して野菜摂取啓発活動を行っておりまして、各地域での取り組みが根づくなど、市民意識の高まりにつながっているものと考えております。  もう1点、今後の取り組みにつきましては、野菜を多く摂取できる環境づくりを進めていくため、働く世代が多く利用する飲食店等の外食産業に対してさらに働きかけを強めてまいりたいと考えております。また、10代後半から20代の若い世代は野菜摂取量が少ないことから、野菜摂取強化の啓発にさらに力を入れてまいりたいと考えております。  いずれにいたしましても、平成29年度に第3次札幌市食育推進計画の策定を予定しておりますので、ただいま申し上げたような点を含めて、計画案を策定する中で今後の取り組みにつきましても検討してまいりたいと考えております。 ◆福田浩太郎 委員  さまざまな取り組みをしていただいていることを理解いたしました。また、限られた予算内で工夫されているなというふうに思います。特に、ボランティア団体との協力はすばらしいことであると評価いたします。  しかし、伝わりやすさという点では、まだまだ工夫の余地はあろうかなというふうに思います。また、札幌市よりも人口が随分少ない足立区ですが、血糖値測定器を単年度で10台購入するなど、予算としてもしっかりとしたものを組んでおりまして、本市の取り組みとは格段の違いがあるというふうに思います。今のご答弁にもありました第3次食育推進計画は、健康寿命の延伸につながるというふうに思いますので、生活習慣病予防対策として野菜摂取量が増加する取り組みや効果的な摂取方法、また、インパクトのある普及啓発の取り組みも含めて盛り込んでいただくとともに、予算づけもしっかりとなされることを要望いたしまして、質問を終わります。 ◆坂本きょう子 委員  私からも、質問いたします。  妊産婦への支援、とりわけ妊娠期の支援について質問いたします。  本日、この項は、墓地の質問から始まりましたので、よい揺りかごをつくるために皆さんに精いっぱい頑張っていただきたという趣旨で質問したいと思います。あわせて、お互いのあすの健やかな健康のために簡潔に質問したいと思いますので、よろしくお願いいたします。  妊婦の一般健康診査ですが、まず前段で、2015年の合計特殊出生率が1.18となっています。未来創生プランの目標値では、2019年までに1.36、1年間に1万5,000人の新しい命を札幌市で誕生させようというのが目標となっていますが、そのために妊産婦への支援というものが欠かせないわけで、その第一が妊婦健診だと思っています。  妊婦健診の公費負担額あるいは検査項目などは自治体によって取り組みにいろいろ差がありますけれども、本市では、2009年に、それまで5回だった妊婦健診への公費負担を14回に拡大して現在に至っています。さらに、HIV抗体価検査あるいは風疹抗体価検査、妊婦の糖尿病の検査など実施項目を追加してきていて、2016年度からは不規則抗体検査と子宮頸がん検査を追加し、ノンストレステストなども行って公費負担の充実を図ってきています。  また、札幌市は、妊娠届け出時に母子手帳とともに妊婦健診の受診票を手渡していますが、妊娠11週までの妊娠届け出が95.6%と全国の91.9%を上回っていますから、妊娠初期から妊婦健診を受けることができれば、この14回の妊婦健診受診票をきちんと使い切ることができます。しかし、近年は、出産年齢の上昇等によって健康管理がより重要なものとなり、健診の重要性がさらに増してきておりますが、働く女性にとっては、仕事をしながらの妊婦健診受診というのは極めて難しく、休みをとっていくこともなかなかままならず、必要とされている妊婦健診を受診できない妊婦がたくさんいらっしゃいます。また、お仕事をしている関係上、切迫流産の危険があって妊娠初期に入院を強いられる、自宅療養をしなければならない、あるいは、早産に至るというようなことで、14回の妊婦健診を受診できないことがあります。つまり、市民からの要望もあり、公費負担をしてせっかく14回の無料の健診が定着してきているのに、実際にはこれが活用され切れていないということです。  そこで、現在は、妊娠の初期ですと4週に1回、妊娠中期ですと2週に1回、後期の妊娠36週から分娩までは週に1回という形で全部で14回使う状況になっていますが、この使い方を柔軟にしていただいて、妊娠初期からこの受診券を多く使用することができないだろうかと。今、若いお母さんも含めて、仕事をしながら出産しようという方たちから、このことが大変切実な要望として出ております。  この点についてどのようにお考えになるか、お聞かせいただきたいと思います。 ◎請井 母子保健・歯科保健担当部長  妊産婦への支援、とりわけ妊娠期の支援についてのご質問でございます。  妊婦一般健康診査の柔軟な活用についてでございますが、妊婦一般健康診査につきましては、子ども・子育て支援法において、市町村が義務として行う子ども・子育て支援事業の一つに定められているところでございます。その望ましい基準につきましては、厚生労働大臣が実施の時期、回数及び検査項目ごとに実施する妊娠の週数の目安を定めているところでございます。妊婦の状況によりましては柔軟な活用をしていただいていると認識しておりますが、この目安に限らず、医師の判断で必要な検査を実施することが可能と考えております。 ◆坂本きょう子 委員  医師の判断で柔軟に対応するということですが、実際に私が直接お話しした妊婦は、切迫流産で会社を1カ月休まれて、その後、毎週病院に行って、もちろんエコー検査等々をやりますが、エコー検査は受診券だと8枚と決まっているのですね。健診ではないので、通常のエコー検査等々でおなかの赤ちゃんの状態を見たりするわけです。もちろん母子ともに健康にということですから、お金に糸目はつけないというか、出費はいたし方ないと思うと思うのですが、最後にエコー検査の受診券が残ってしまって、あのときに使えばよかったというようなことが実際にあるのです。そのときに、お医者様から、今回は受診券使いましょうか、それとも後にとっておきましょうかというようなやりとりがあるのだと思いますが、お医者様も、病院にかかっているお母さんも納得した上で、大体の時期や回数を予想して検査をすることになると思います。ただ、先ほど言いましたように、何かあったときのためにということで、せっかくいただいたものを余らせてしまうこともありますし、もっと活用の仕方がなかったのかというようなこともあろうかと思います。そういうところで、お医者様に対しても、柔軟に使っていいですよと、あるいは、後半に検査料がかかるかもしれないけれども、今使いましょうかという声かけなど、看護師も含めて、産科の病院の中で妊婦にきちんと説明しながら対応していただけたらありがたいなというふうに思います。  母子ともに最善の状態で出産するためには、やはり妊婦健診が重要であること、それから、定期的な妊婦健診を受けずに出産することは危険なのはもちろんのことで、飛び込み出産も社会問題にもなっています。出産届け出を出すわけですから、医療機関も含めて、年齢を問わず、新米ママさんたちにはその段階できちんと啓発していただきたいと思います。  また、本市でも、ワーク・ライフ・バランスの推進に取り組んでいます。市役所ももちろんそうですし、各民間企業にもこの推進をお願いしているところですから、分野は若干変わりますが、関連部局と一緒に企業に対する支援も検討していただきたいというふうに思います。  そこで、次の質問に移ります。  先ほどもちょっと出ていましたが、児童虐待に関する事件なども後を絶たない状況があります。この背景には、望まない妊娠や若年妊娠、経済的な困窮、社会的な孤立など、妊婦が一人で悩みを抱えながら出産に至る事例があると言われていまして、妊産婦をこういう状況に追い込まないような体制をとっていかなければなりません。
     また、仕事をしている妊婦は、今、東京あたりでは本当に大変な問題になっていますが、妊娠中から保育園の入所の心配をしなければならないということがあります。4月の入所に間に合わせるために、3月末にはどうしても産みたいということで、1年間の育休をとりながら、分娩調整をして帝王切開で3月中に子どもを出産するということが現に起きていまして、生まれる前の子どもを授かったときから保育所の心配をしなければならないような状況があります。  札幌市でも、待機児童の問題はもちろん大変重要な課題であります。妊娠期からの支援において、最初の出会いである妊娠届け出を受け取って母子手帳を交付する時期の相談体制というのは非常に重要だと考えます。妊娠届出書の現物をいただいたのですが、この見開きの中には、赤ちゃんが生まれたら保健師等がご家庭を訪問し、育児の相談をお受けします、母子健康手帳に張ってある出産連絡票のはがきを必ず出しましょうということ、それからまた、妊娠の不安や悩みについて相談を受けると書かれていまして、若いお母さん、新米ママさんにはとても安心できる札幌市の妊娠届出書だと思います。  そこで、ここに書かれているような相談はどのような体制で行っているのか、また、保健センターが身近な相談場所として活用されるためには相談体制の充実が必要だというふうに考えておりますが、今、どういうふうにお考えになっているのか、伺いたいと思います。 ◎請井 母子保健・歯科保健担当部長  妊娠期における相談支援の充実と現在の取り組みについてでございます。  まず、保健センターで母子健康手帳を交付するときには、保健師がそれぞれ面談を行う妊婦支援相談事業を行っております。この中で、妊婦が妊娠したときの気持ち、あるいは現在の体調、治療中の病気、困っていることや心配に思っていることなどの聞き取りをいたします。その結果、例えば、メンタルヘルスまたは産後鬱のリスク要因がある場合には、さらに詳しい聞き取りを行い、ハイリスク妊婦を把握して必要な支援につなげております。また、保健センターでは、保育園の入所相談や助産制度の相談、ひとり親に関する相談、保育士による育児相談など各種の相談にも対応しているところでございます。さらに、妊娠期の支援といたしまして、初妊婦訪問指導事業を実施しており、このような相談時に把握したニーズを事業の実施につないでいるところでございます。  相談対応の充実についてでございますが、対象者個々の状況、個別のニーズを把握いたしまして、必要に応じてサービスにつなぐなど、きめ細かな対応が必要であると考えておりまして、今後も努力してまいりたいと考えているところでございます。 ◆坂本きょう子 委員  非常にスキルの高い方でないとなかなか相談に乗れないだろうと思うのです。先ほどの質疑でもありましたメンタルヘルスとか産後鬱ということでは、適切なところにつなげていくということでしたし、初妊婦訪問ということでは、個別のニーズを聞き取りながら、きめ細かく対応しているということだったと思います。  やはり、核家族化が進む中ですから、赤ちゃんをだっこしたことがない方たちもいらっしゃるし、身近に相談相手がいない妊婦もいらっしゃいます。初めての妊娠、出産であれば、わからないことが多く、その分戸惑いも大きいですから、そこにしっかりと対応していただく必要があると思います。  先ほども申し上げたように、10代の若年妊婦から高齢出産の妊婦まで、年代問わず、新米ママさんになっていきます。それぞれに価値観や生活観が異なり、世帯ごとの生活状況もまた異なりますから、個々のニーズもさまざまで相談内容も多岐にわたると思います。きめ細かく対応していきたいというお話でしたが、ハイリスクな妊婦だけではなくて、誰もが安心して妊娠、出産するためには、相談に対応する保健師が多様なニーズに対応するためのスキルを習得することがやはり大事だと思いますので、保健師の研修について、今どのようなことに心を砕いて行っているのか。  また、多岐にわたる相談に対応する体制にするということでしたが、今後、妊娠期の支援をさらに充実させるためには、継続して支援していかなければいけない方に対しては、さまざまな部局で連携をとりながら相談を受けていくことになるだろうと思いますので、その情報共有が十分できるのか、また、ここでは連携あるいは地域での支え合いも必要になってくると思うのですけれども、その辺はどのように対応されるのか、伺いたいと思います。 ◎請井 母子保健・歯科保健担当部長  妊娠期の相談支援につきまして、相談に対応する保健師の研修、相談対応者間の情報共有、地域での支え合いという3点のご質問でございました。  まず、保健師の研修についてでございますけれども、外部講師による妊娠、出産、育児に関する専門的な知識を学ぶための職員研修会を開催しております。また、全国の自治体等の専門職を対象に母子保健に関する研修を実施している恩賜財団母子愛育会、そして、母子衛生研究会が開催する専門研修に派遣しているところでございます。  それから、継続した支援が必要な場合の相談対応者間の情報共有についてでございます。  まず、保健センター内でこの対応を行ってございますので、継続した支援が必要な方に対しては、支援の内容等について十分に情報の共有を図り、連携を図っているところでございます。また、出産後の子育て支援が一体的に提供される仕組みも重要と考えてございまして、地域の子育てサロン等を活用するなど、地域の中で妊婦を支える場づくりに努めてまいりたいと考えているところでございます。 ◆坂本きょう子 委員  最初に申し上げたように、プランでは1.36という合計特殊出生率ですが、数を求めろと言っているわけではないのです。少子化と言われて久しい中で、どうやって安心して子どもを産み育てるかということについて、随分以前から厚労省で議論され、時限立法までつくり、各自治体では具体的な行動計画までつくって実現させていこうという時代でしたけれども、なかなか合計特殊出生率が上がらない中で、今、若い方も、高齢で出産を迎える方たちも、いろいろな不安を抱えて、いろいろな生活状況の中で、新しい命をみずからの体の中で育み、そして産もうとしているわけですから、そこにしっかりと寄り添った支援をしていただきたいと思います。  一人の取りこぼしもなく、全ての妊婦が安心・安全で配慮された環境の中で、満足のいくいいお産ができるような体制づくりを進めていただきたいというふうに思いますし、保健センターは、総合的な相談支援を提供し、ワンストップ拠点としてこの機能を充実させ、個別のニーズを把握し、必要な情報を提供する、それから、妊娠期から子育て期にわたるまでの切れ目のない支援が提供される、こういう仕組みを構築していただきたいということを申し上げて、質問を終わります。 ○山口かずさ 委員長  以上で、第5項 健康衛生費等の質疑を終了いたします。  以上で、本日の質疑を終了いたします。  次回は、次週、3月21日火曜日午前10時から、農業委員会及び経済観光局関係の質疑を行いますので、定刻までにご参集ください。  本日は、これをもちまして散会いたします。     ――――――――――――――       散 会 午後6時1分...