委 員 小 形 香 織 委 員 池 田 由 美
委 員 平 岡 大 介 委 員 堀 川 素 人
委 員 石 川 佐和子
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開 議 午後1時
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○小川直人 委員長 ただいまから、第一部
決算特別委員会を開会いたします。
報告事項でありますが、細川委員からは遅参する旨、松井委員からは村松委員と交代する旨、それぞれ届け出がありました。
それでは、議事に入ります。
最初に、第2款 総務費 第1項 総務管理費中
総務局関係分及び第12款 職員費 第1項 職員費について、一括して質疑を行います。
◆竹内孝代 委員 さきの代表質問におきまして、我が会派の前川議員から、女性の活躍推進についてをテーマに、女性の視点や潜在的な力が生かされる女性が活躍できる社会の構築の重要性、そして、国や
地方公共団体が
リーダーシップをとることの重要性について訴え、札幌市においての、女性が活躍できる地域社会の実現のための施策の展開について考えを伺ったところです。
代表質問に引き続きまして、私からは、
札幌市役所の女性職員の活躍推進に関してお伺いいたします。
札幌市役所におきましても、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律の成立に伴い、男女がともに働きやすい環境を整備し、女性職員がますます活躍できるよう、新たに札幌市子育て・
女性職員応援プランを本年3月に策定し、具体的な取り組みを始めたところと伺っております。このプランにおいては、女性職員の活躍の推進のために、役職者の仕事の魅力発信や昇任後の不安解消、また、子育てをしながら昇任を目指すことなどについて、事業主として取り組むべき事柄を明確に示すとともに、具体的な数値目標を掲げております。
そこでまず、伺いますが、
札幌市役所の職員について、女性職員の採用状況、全職員に対する女性職員の割合及び管理職への女性職員の登用状況について、ここ数年の動向を含め、お示しください。
また、女性職員の活躍推進に関する具体的な
取り組み状況についてご説明いただくとともに、その取り組みに対する評価についてどのようにお考えか、あわせてお伺いいたします。
◎粟崎 職員部長 まず、女性職員の状況についてでございます。
この5年間の傾向で申し上げますと、採用段階での女性の割合は45%前後で推移し、その結果、全職員に占める女性の割合は徐々に増加してきており、平成28年度では29.8%となっております。また、課長職以上の管理職に占める女性職員の割合につきましても、平成24年度の9.1%から、平成28年度では13.4%と増加傾向にございます。
女性の活躍を推進するための具体的な取り組みといたしましては、
庁内ホームページにおきまして、役職者で活躍している女性職員を紹介する、いわゆる
ロールモデルを掲載しております。また、
女性一般職を対象とした女性職員のための働き方
ビジョン研修、それから、
女性係長職を対象としたいきいき働くための
女性係長研修を実施するなど、女性職員がみずからの
キャリアデザインを描くための支援を進めているところであります。
次に、これらの取り組みに対する評価でございますけれども、
ホームページでの
ロールモデルの紹介の閲覧者が増加しておりまして、また、研修につきましては、研修後のアンケートにおきまして、働き方のビジョンを見つけられたとか、仕事、昇任に対するモチベーションが上がった、一定期間を置いて再度受けたいといった好評の声が届いているところであります。また、本年の係長試験の申し込み率を見ますと、昨年よりも高まりまして増加傾向にありますことから、一定の成果があらわれているものと考えているところでございます。
◆竹内孝代 委員 女性の採用者については4割を超えて、全職員に対する女性職員の割合も増加傾向にあり、現在は3割に迫っているということでした。また、
ホームページのアクセス数も順調に伸びており、研修後のアンケートについてもおおむね好評とのご説明で、これらについては一定の評価ができるのではないかなというふうに思います。
しかしながら、少し見方を変えてみますと、女性の採用者が4割を超え、職員全体に対する女性職員の割合も約3割という一方で、
女性管理職の割合は1割強と依然として低い数値にとどまっている状況にあります。また、
ホームページや研修に関して言いますと、届いている声というのは、興味・関心のある一部の職員の声であり、市役所全体の実態はどのようになっているのか、また、それらの取り組みが多くの職員に浸透し、理解されていると言えるのか、気になるところです。
これらの実態を見てみますと、女性職員が昇任することに関して、まだまだ高いハードルがあるのではないかなというふうに思われます。例えば、管理職を目指すに当たり、
係長職候補者試験の受験が課せられておりますが、出産や育児を考えている女性職員や具体的な
キャリアデザインを描くことができない女性職員にとっては、この試験の受験を志すこと自体が極めて高いハードルとなっているのではないかと考えます。
そこで、質問ですけれども、政策決定に携わる管理職への登用を一層推進していくためには、一つの例として、係長試験の受験率を高めることが必要と考えますが、現在受験率が高まらない理由とその対応策についてどのようにお考えか、お伺いいたします。
また、さらなる
女性活躍推進のためには、より一層の取り組みや工夫が必要と考えますが、札幌市子育て・
女性職員応援プランで掲げる目標の達成に向けて、今後どのように取り組んでいかれるのか、あわせて伺います。
◎粟崎 職員部長 まず、係長試験についてでありますが、女性職員の受験率は近年増加傾向にあるものの、男性職員の受験率の2分の1以下と依然として低い状況にあります。その理由といたしましては、昇任後の仕事と家庭の両立に対する不安や、
女性管理職が身近におらず、昇任を視野に入れた
キャリアデザインが描きづらいこと、また、係長試験の受験年齢と出産、育児の年齢が重なり、係長試験の試験対応が難しいケースがあるのではないかというふうに考えております。
その対応策ということでありますが、先ほど申し上げた一般職、係長職の女性職員を対象とした研修につきまして、今年度からは職位を分けて実施することとしております。一般職の研修におきましては、役職者としての業務ややりがい、魅力を体験談とともに学ぶことができる内容とするなど、職員のニーズに合わせて研修内容を充実させることとしたところでございます。また、今年度の係長試験におきましては、
人事委員会における見直しが行われまして、第1次試験に合格した職員が、妊娠や出産などの理由がある場合には、第2次試験の受験できる期間がこれまでの最長5年から最長10年まで延長できるようになりまして、女性がより受験しやすい
環境づくりが進んだものというふうに考えております。
次に、札幌市子育て・
女性職員応援プランの目標達成に向けた取り組みについてでありますが、プランで掲げております
女性管理職の割合や係長試験の受験率の向上を目指しまして、まずは、今年度、開始した取り組みを継続してまいりたいと考えております。今後につきましては、
職員アンケートなどを通じまして、職員の意見をしっかりと収集し、さらなる課題の把握に努めて、真に女性が活躍できる
環境づくりを目指して
取り組み内容をさらに充実させていきたいというふうに考えております。
◆竹内孝代 委員 それぞれの取り組みはまだまだスタートしたばかりであり、その成果については、今後しっかりと見きわめていく必要があります。現場の女性職員の声も大切にしながら、効果的な取り組み、そして、その成果の検証を続けていただきたいと思います。
女性が活躍できる環境を目指すということは、女性に限らず、男性にとっても働きやすい環境につながることになりますし、男女がともに生き生きと働けることはもとより、障がいがある方、また、家族の介護が必要な方など、誰もが生き生きと働き、活躍できる環境をつくり、風土を醸成していくことにつながっていくものであると考えております。そのためには、
札幌市役所が本市の
女性活躍推進の
リーダーシップをとり、模範となることが重要であり、率先して働き方改革、そして意識改革への取り組みを精力的に推進していただくことを求めまして、質問を終わります。
◆平岡大介 委員 私からは、本市の障がい者雇用について、2点質問させていただきます。
本市では、ことし策定されました
障害者差別解消法をもとに、市民全体で障がいを理由とする差別を解消するために、
障害者差別解消法を踏まえた札幌市の対応方針を策定しました。また、市職員の障がいのある方に対する接遇の姿勢などを記載した共生社会の実現に向けた札幌市職員の接遇要領を定めたところであります。また、障がい者の雇用の促進について定めた法律、
障害者雇用促進法が2013年に改正され、障がい者が職場で働くに当たっての支障を改善するための措置、いわゆる合理的配慮の提供義務が定められました。
そこで、まずは、1点目の質問でございますけれども、現在の本市の障がい者雇用についての考え方とその取り組みについてお伺いいたします。
◎粟崎 職員部長 障がい者雇用についての考え方とその取り組みについてであります。
札幌市といたしましても、障がい者の雇用に係る取り組みは、障がい者の雇用促進、職業生活における自立促進、
法定雇用率の達成など、社会全体で取り組むべき大変重要な課題であるというふうに考えております。このため、現在、札幌市では、
一般事務職員としまして、一定の配慮を行った上で行政事務のさまざまな職場で通常の業務を遂行することを前提に、学歴別の試験とは別枠で、身体に障がいのある方を対象とした正規職員の採用を実施しているところでありまして、平成16年からこれまで67名の採用を行ってきているところであります。
障がいのある職員は、今申し上げました別枠での採用者のほか、学歴別試験での採用者、採用後に障がいのある状態になる場合などさまざまでありますけれども、いずれの場合にも、所属長が職員との面談等を通じて障がいの状況を把握し、業務内容や職場環境、勤務先など合理的な配慮を行った上で、基本的には通常の業務に従事することとしているところであります。
一方、知的障がいのある方、精神障がいのある方につきましては、通常業務を遂行することを前提とすることにつきまして、身体障がいのある方と比較した場合、慎重な配慮が必要であると考えており、障がいの特性に応じた業務の内容、配慮のあり方、それらに対応した採用の方法など検討を行うべき課題が多いことから、現在のところ、別枠での正職員の採用試験を実施するには至っておりません。
今後とも、
障害者雇用促進法などの趣旨を踏まえまして、障がい者雇用のあり方について引き続き検討してまいりたいと考えております。
◆平岡大介 委員 現在、本市では、身体に障がいのある方を中心として雇用を行っているということでありました。
改正された
障害者雇用促進法では、身体、知的障がい者に加え、2018年度からは精神障がいの方の雇用も義務づけられることとなりました。現在、本市においては、先ほど67名の方を雇用してきたというお話がありましたが、聞いたところによると、まだ精神障がいの方は少なく、知的障がいに限っては今は雇用していないとのことです。
今後、精神障がいの方と知的障がいの方の雇用についてもふやしていくべきと考えますがいかがか、伺います。
◎粟崎 職員部長 知的障がい者や精神障がい者の雇用をふやしていく考えがあるのかということでございます。
正規職員として採用していくためには、先ほど申し上げましたとおり、検討を行うべき課題が多い状況にございます。このような状況の中、国や地方自治体につきましては、知的障がい者や精神障がい者を
非常勤職員として雇用し、業務経験を積んだ上で一般企業などへの就職につなげる、いわゆる
チャレンジ雇用という取り組みを進めることとしておりまして、本市におきましても、今月から障がい保健福祉部におきまして精神障がい者1名を
非常勤職員として雇用し始めたところであります。
チャレンジ雇用自体は、札幌市が正規職員として雇用することを予定しているものではありませんが、まずは
チャレンジ雇用を実施する中で、知的障がいのある方や精神障がいのある方に適した業務内容、合理的配慮のあり方などについて実地に検証を行うとともに、他都市の動向なども注視しながら、障がい者雇用のあり方について引き続き検討してまいりたいというふうに考えております。
◆平岡大介 委員 今ご説明いただきました
チャレンジ雇用については、改めて一般企業などに就職した際には、生き生きと働き続けられているかどうか、こういったその後のフォローについても本市が行っていくべきと述べております。
先月の新聞報道によれば、北海道内でハローワークを通じた精神障がいを持つ方の就職がふえているという記事がありました。2015年の就職者数は、前年度と比べて16%ふえ、288人ふえて2,079人にもなったとのことです。約10年前の2006年と比べて14倍にもなっている数字です。先ほどの答弁では、検討すべき課題も多いとおっしゃっておりました。
しかし、民間企業では、長く勤めてもらうにはどうしたらいいのか、どんな配慮が必要かと考えて努力している姿勢がうかがえます。本市では、2026年、
冬季パラリンピックの開催を目指しておりますが、こういった雇用の分野でも先進的に取り組み、障がいを持つ方々の希望となるよう求めて、質問を終わります。
◆伴良隆 委員 私は、世界冬の
都市市長会並びに市長会議に見る国際部門からの
まちづくり議論のあり方について質問させていただきます。
まず、
まちづくりという言葉がございますけれども、
まちづくりとは何か、
まちづくりという言葉が氾濫している今日では、なおさらイメージが湧きにくいのではないかと思います。
まちづくりとは、どのような定義になるか、見解もさまざまでありますが、私は、
まちづくりとは、結果的に住民の暮らしやすさにつながるものであると考えております。よって、
まちづくりの目標とそのプロセスによっては、我々の暮らしは大小に影響されるものであり、
まちづくりとそのための政策も事業も、札幌らしく、
札幌オリジナルで、札幌方式であることに意味があると考えます。
では、国際という要素は、市政の
まちづくりにどうリンクし、寄与するものなのか、冬の
都市市長会並びに当会議を象徴的知恵として本日の質疑に取り上げることで、今後の札幌らしい市政、
まちづくりというテーマで私なりに議論していくための起点にしたいと思っております。
そこでまず、質問でありますが、このたび開催され、閉幕したばかりの世界冬の
都市市長会議とは、主にどのような開催内容であったのか、確認のために伺います。
◎富田 国際部長 世界冬の
都市市長会議と関連行事の開催概要についてお答えいたします。
まず、市長会議でございますけれども、国内外の8カ国32都市から98名の方に参加していただきまして、冬の都市の
まちづくりをテーマに、各都市が特色ある
取り組み事例を発表し合い、市長同士が議論を交わしました。また、会議の関連行事といたしまして、環境技術と旅行をテーマにした
ビジネス交流会を開催し、会員都市と札幌及び北海道の企業に参加を呼びかけたところ、3カ国6都市から28社が参加されました。さらに、国連機関から講演者を招いて市民向けのフォーラムを開催したほか、
札幌駅前通地下広場で、
会議参加都市の物産の販売や各種展示を行う
PRイベントを実施いたしました。
◆伴良隆 委員 まず、開催概要を伺いました。
次に質問でありますが、このたびの世界冬の
都市市長会議を終えて、当会議における成果や課題とはいかなるものか、現時点でのご見解を伺います。
◎富田 国際部長 会議の成果と課題についてでございます。
市長会議での議論から
まちづくりの参考になる情報を収集するという点では、
積雪寒冷地の先進地域である北欧や北米の都市からも参加があり、特にコペンハーゲン市から札幌の
まちづくりのヒントになるすぐれた事例の話をお聞きし、意見交換ができたことは大きな成果であったと考えております。また、
個別商談会を含む
ビジネス交流会を初めて開催し、
市長会議開催を、都市同士の協力関係の構築のみならず、
会員都市企業間の
ビジネス交流の場としても活用し、企業の海外展開の機会創出を図ることができたところでございます。さらに、札幌での会議を終えて、カナダの中部にあるマニトバ州の州都であるウィニペグ市から新規入会の申請が届いたところでもあり、こうした
海外ネットワークの拡充も、札幌で市長会議を開催した成果の一つであると考えてございます。
一方で、参加都市の先進的な事例の参考になる部分を札幌の
まちづくりにどのように取り入れていくかということにつきましては、今後の課題であるというふうに認識してございます。
◆伴良隆 委員 今ほど、国の出入りがあるということもありましたので、続けて質問でありますが、世界冬の
都市市長会において、入退会した主な国々、各都市とその理由、また、そうした状況を本市はどのように課題や問題として捉えてきたのか、伺います。
◎富田 国際部長 市長会の会員都市の入退会の状況とその課題についてというご質問かと思います。
市長会が会員制となりました1994年以降、会員となった都市はモントリオール市やストックホルム市など延べ37都市でございますが、入退会が多く、
会員都市数はおおむね20都市前後で推移しており、現在は10カ国21都市となっております。近年は、以前に比べて総体的にアジアの会員都市がふえている傾向にございます。
退会の理由につきましては、都市によりさまざまでございますが、市長がかわったことによって市政の方向性が変化したこと、あるいは、
市長会活動への参加に係る費用の捻出が難しくなったことなどが挙げられると思います。
市長会議への参加や
市長会ネットワークの活用などを通じて参画の意義が高まるなど、
市長会活動から得られるメリットをふやしていくことが課題であると認識しているところでございます。
◆伴良隆 委員 今回開催された冬の
都市市長会議の成果と課題、それから、各国の各都市の入退会のお話がございました。さまざまな国の事情があろうかと思いますけれども、やはり、最後のご答弁にあったように、果たして魅力があるのかどうかといったところが今後の課題なのかというふうに聞いておりました。
続いて、質問であります。
冬の
都市市長会議の開催意義は、当初からどう変化し、どのような課題を抱えてきたのか、伺います。
◎富田 国際部長 市長会議の意義の変化とその課題についてということでございます。
市長会議の創成期におきましては、時に生活の支障となる冬の寒さ、雪や氷を克服し、快適な冬の生活を実現するための知恵を学び合ってまいりました。近年の市長会議では、温暖化の影響を受けやすい
積雪寒冷地の都市こそが率先して取り組んでいくべき課題といたしまして地球環境問題をテーマに議論を重ね、市長会としての取り組みを世界に発信してきたところでございます。
これまでの課題といたしましては、市長会における議論を具体的な
まちづくりや都市の活力向上につながる施策として十分に落とし込めなかったことというふうに認識してございます。
本年7月の市長会議では、
まちづくりをテーマに据え、冬の
都市ならではのまちの魅力について考え、会員都市間でノウハウや情報の共有を図るとともに、新たな取り組みとして、会員都市の企業による
マッチング等も実施したところでございます。今後は、市長会議での議論から札幌の
まちづくりの参考になる事例を集め、これを活用していくことを一層意識することに加えまして、経済の側面の取り組みにも注力してまいりたいというふうに考えてございます。
◆伴良隆 委員 今お話がありましたが、当然のことながら、北方都市ということで、やはり、札幌らしさ、
札幌オリジナル、札幌意識というのは、冬、そして雪というものがなければ語れないわけでございまして、当初もそういったコンセプトであった、そして、今もそれは変わらない。ただ、実際は、入退会するような都市もあり、あるいは、経済といった側面も出てきたりというふうな状況で、要素が非常にいろいろな形で複雑になっているのではないかと思うところであります。ただ、やはり、
まちづくりに落とし込むことが課題だといったお話がございまして、私もそこなのかと思っております。
続いて、質問でありますが、世界冬の
都市市長会の本市と他都市における
まちづくりに資する主な活用事例をそれぞれ伺います。
◎富田 国際部長 札幌市政に生かされた主な活用事例、それから、札幌の取り組みの活用事例についてお答えいたします。
まず、札幌市政に生かされた主な活用事例でございますが、第1回市長会議におきましてスパイクタイヤ問題に関する事例が紹介されたのを受けまして、条例制定などに積極的に取り組んだ結果、
スパイクタイヤ禁止の実現につながりました。また、冬や雪の活用という観点から、冬でも気軽にできるスポーツとして
スノーホッケーを考案し、1983年以降、
札幌市長杯争奪スノーホッケー大会を継続して開催しているところでございます。近年の市長会議では、会員都市が数値目標を盛り込んだ環境保全に関する行動目標を設定し、その取り組み結果を次回会議で報告しておりまして、このような地球規模の課題に都市間で協力して取り組む姿勢を札幌市が主導して世界に向けて発信しております。
次に、札幌市の取り組みの活用事例でございますが、中国のハルビンや韓国の華川など、会員都市の中には雪や氷を活用した冬の祭りをまちの特徴としている都市が多くありまして、これらの都市は、札幌の雪まつりから多くを学び、祭りのレベルアップを図っているところでございます。
◆伴良隆 委員 先ほど、
まちづくりに落とし込むことは大変だというお話でございましたし、当初からの意義の変遷などの部分、そしてまた、ご苦労などもお伺いしました。また、今、活用事例というお話がありました。いろいろなことがあるかと思いますけれども、代表的事例として、スパイクタイヤの規制であるとか、
スノーホッケーの普及であるとか、これは、やはり冬とか雪をコンセプトにした形で
まちづくりに落とし込んだ好事例ということだと思います。当然、札幌のものも各都市で活用していただいたあかしもあります。
次に、質問でありますが、先ほどのご答弁で開催実績の成果でご紹介がありましたコペンハーゲン市の取り組みとはどのようなものなのか、伺います。
◎富田 国際部長 コペンハーゲン市の事例発表の内容でございますが、世界的な環境先進都市として名高いデンマークのコペンハーゲン市から、技術・環境担当市長にゲストスピーカーとして市長会議に参加いただき、同市の環境・エネルギー施策についてご講演をいただきました。
講演の中で、コペンハーゲンの強い経済は、環境によい変革を行ったおかげであるといったご発言がありまして、将来の
まちづくりの方向性を考える上で、検討材料になるものであったと考えているところでございます。また、環境に優しい
まちづくりが市民の生活の質に直接かかわってくる問題であるとの発言も、非常に興味深い内容でございました。
◆伴良隆 委員 今、コペンハーゲン市のお話がございました。まさに、
まちづくりというところで、国柄はいろいろ違えども、好事例としてご紹介いただいていて、これが参考になるのではないか、検討材料になるということでございました。
そこで、伺います。
コペンハーゲン市の取り組みを参考にした
まちづくりの検討とは、いかなるものでしょうか。これまでの経緯、冬の
都市市長会議とのかかわり、今後の目的や検討内容等について、本日、お忙しい中をご出席いただいている
まちづくり政策局の高森室長にお伺いしたいと思います。
◎高森
まちづくり政策局都心
まちづくり推進室長 ただいま、コペンハーゲンの発表事例につきまして、私ども札幌市の
まちづくりとどのようなかかわりがあって、今後、どのように生かしていくのかという観点でのご質問かと思います。
私ども都心
まちづくり推進室では、平成25年度から検討を進めております都心エネルギー施策におきまして、コペンハーゲン市の事例として、北国特有の温熱利用に着目したエネルギー施策である点、また、
まちづくりと一体で中長期的な視点から取り組むことで大幅な低炭素化を図り、これを実現している点など、これまで注目してきておりました。平成26年11月には、当室の担当職員を現地に訪問させまして、先進的な
取り組み内容の視察や事業関係者へのヒアリングなどを行い、施策の有効性を確認した上で、多くの情報を持ち帰り、帰国後も継続してコペンハーゲン市の関係者と情報交換を続けているところでございます。
今回、冬の
都市市長会議で発表されたコペンハーゲン市の事例でございますが、環境負荷の低減と経済成長が両立しているという観点で、これが札幌市においても可能ではないかということに加え、その取り組みが市民の生活の質や満足度の向上にいかにつながるようにするか、そのことが極めて重要であることを改めて確認できたと認識しているところでございます。
そこで、私どもとしては、現在、作業を進めております
まちづくりとエネルギー施策の一体的な取り組み方針を示そうと考えている都心エネルギーマスタープランの策定に当たりまして、今、述べたような価値観や考え方も踏まえて検討を進めていく考えでございます。
◆伴良隆 委員 先ほど富田国際部長からもお話がありましたし、また、高森室長からもお話がありました。実際に物になるかどうかはわかりませんけれども、工夫して、加工して何とかならないかといった取り組みの姿勢は、大変評価できるのではないかと思います。まさに今、都心エネルギーマスタープランというものがつくられていくのだというご紹介がありましたが、国内外の他都市の情報収集から、冬の
都市市長会議という国際会議において札幌の
まちづくりに生かせないかと模索し、政策へ反映させ、そして、次が大事でありますけれども、事業化など、住民参加を踏まえた
まちづくりへといった好循環を模索している姿勢は、取り組みとして大変評価できるとともに、今後も期待できるのではないかというふうに私は思っております。
さて、先ほどのご答弁にありました冬の
都市市長会での活用事例のうち、板垣市政時代のスパイクタイヤの廃止に伴う環境問題の解決に触れられましたけれども、これは、海外から市政、市政から住民参加に至る
まちづくりへとつながった代表的事例だと思います。このことは、特に私たちの世代なども含めて、ご存じない市民もある程度いらっしゃるのではないかと思います。
ここで、建設局雪対策室が平成27年度から新たに冬みち地域連携事業を立ち上げ、その主要取り組みとして実施した札幌雪学習について、
まちづくりに密接な関連があるので、ここで紹介させていただきたいと思います。
市教育委員会でも、札幌らしい特色ある学校教育において、本市全ての子どもが共通して取り組む学習活動のテーマの一つに雪を掲げており、雪対策室と市教委の両部局が連携を深め、実際に学校事業を展開し、推進し始めたのがこの雪学習であります。この雪学習では、西区西野にある西園小学校の多田先生がスパイクタイヤ全廃による
まちづくりの取り組みを取り上げ、実際にこのプロジェクトの一員として学校事業に活用していただいたところであります。
私が西園小の多田先生に感想をお伺いしましたところ、多田先生はこのようにおっしゃっていました。「あくまで、このプロジェクトの一員として、自分の役割を果たしたまでですが」とお断りをされた上で、「今の子どもたちが知らないスパイクタイヤによる車の粉じんのひどい様子や影響を驚き知るとともに」、ここからがとても大切ですが、「この雪学習を通して、札幌の美しい景観が先人の努力によって生み出されたことに気づき、子どもたちが、自分たちの住むまち札幌を知ることができるいい機会になったことがよかったと思う」とのことでありました。
札幌雪学習は、雪対策と雪学習と両方のコンセプトがございますが、スパイクタイヤ問題に向かって、住民である市民が参加し、スパイクタイヤ全面規制を実現し、白い雪を取り戻し、まちの変化、つまり住みやすさにつなげた
まちづくり事例をこうして取り上げ、市民レベルで共有していこうとする試みは、子どもや親にも波及する人づくりと住みやすさを市民みずから追求していこうという、まさに
まちづくりの考え方、コンセプトを持っていると言っていいのではないでしょうか。
こうして、札幌の先人たちの
まちづくりを本市みずからが振り返り、見詰め直し、今後の
まちづくりと人づくりに生かしていこうとする各部署の姿勢は、先ほどあったように、国際部と都心
まちづくり推進室が連携し、冬の
都市市長会を通じて海外事例を本市の政策に取り込み、住民と共有し、協力していこうという好循環に相通じる特質があり、非常に高く評価できると思います。
しかしながら、ここからでございますけれども、国際部並びに関係機関も行っている市政、
まちづくりという最大目的に帰結すべき取り組みは、時代の変化の中で、今も、これからも果たして大丈夫なのか、今、立ちどまって冷静に議論をしなければならないのではないかと、私はとても危惧しているところであります。
そこで、質問でありますが、仮に、冬の
都市市長会並びに当会議を継続するのであれば、その本来あるべき姿や目的、役割について、今後、本市内関係者でどのような議論が必要であると考えるか、国際部に伺います。
◎富田 国際部長 市長会のあるべき姿について、今後、どのような議論が必要かというご質問でございます。
会員都市による交流や総論的な意見交換にとどまらず、市長会議を
まちづくりのヒントを得る一つの手段と捉え、より具体的な議論や情報収集の場として活用できるよう、整えていかなければならないと考えているところでございます。さらに、ここで得た情報をどのようにして実際の
まちづくりに生かしていくことができるのか、国際部として、全庁的に情報を共有する方策や、庁内部局と会員都市とをつないでいくことも議論する必要があるものと認識してございます。冬の
都市市長会議での議論が
まちづくりに生かされ、市民生活が向上することによって、多くの市民の皆様が市長会の存在を知り、こうした会議を主催する国際都市さっぽろに誇りを持っていただけるよう、しっかりと進めてまいりたいというふうに考えてございます。
◆伴良隆 委員 今回、あえて課題を大きくお聞きしたところでございまして、今、答弁をお聞きしていて、私としても、持っていた課題を共有できたかというふうに思います。
さまざまな活用事例がある中で、数も、規模も、ボリュームも、質も、だんだん少なくなってきているような感もございます。ただ、今、高森室長からお話があった取り組みなどは、国際部を通じて、全庁的に、また民間団体とも、ぜひ積極的に共有していただきたいと思っております。
国際会議などのコンベンションは、親善や協力といった平時の国際化を土台にしながら、相互の課題を議論し、行き交う情報や技術を取得、還元するものであることからして、札幌に本部機能がある冬の
都市市長会は情報集積のメリットを最大限に活用すべきであります。
そこで、今後、本市国際部や国際プラザ、本市の政策企画部や国際経済戦略室、民間の経済団体、そして、海外経験をしてきた、あるいはしていく市職員、こうしたアクターやマンパワーをどう役割分担し、また連携させ、当初のコンベンションからの
まちづくりを、今日においていかに市民レベルで進めるか、そして、札幌らしく暮らしやすい
まちづくりをしていくのか、MICE誘致やコンベンションビューローのあり方も含め、改めて議論してまいりたいと思います。
――――――――――――――
散 会 午後4時58分...