ツイート シェア
  1. 札幌市議会 2016-10-04
    平成28年(常任)経済観光委員会−10月04日-記録


    取得元: 札幌市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-04-26
    平成28年(常任)経済観光委員会−10月04日-記録平成28年(常任)経済観光委員会  札幌市議会経済観光委員会記録            平成28年10月4日(火曜日)       ────────────────────────       開 会 午前9時58分     ―――――――――――――― ○福田浩太郎 委員長  ただいまから、経済観光委員会を開会いたします。  報告事項は、特にございません。  それでは、議事に入ります。  最初に、議案第8号 平成28年度札幌市一般会計補正予算(第2号)中関係分を議題といたします。  理事者から補足説明を受けます。 ◎手島 スポーツ部長  議案第8号 平成28年度札幌市一般会計補正予算(第2号)のスポーツ局関係分について、その概要をご説明いたします。  今回の補正予算は、議案16ページに記載のとおり、第2款 総務費 第2項 市民生活費 第6目 スポーツ費に1億2,500万円を追加するもので、上から順に、来年2月に開催予定のFISノルディックコンバインドワールドカップ2017札幌大会、来年3月に本市で初めて開催する2017IPCノルディックスキーワールドカップ札幌大会及び本年11月開催の2016NHK杯国際フィギュアスケート競技大会、それぞれに対する開催費補助等でございます。  また、その下の体育施設運営管理費の追加として、FISの公認を維持するため、転倒防護板の改修が必要なことから、新たに大倉山ジャンプ競技場ジャンプ台改修等を行うものでございます。 ◎森 観光・MICE推進部長  議案第8号 平成28年度札幌市一般会計補正予算(第2号)のうち、経済観光局関係分について、私からご説明いたします。  国の補正予算であります地方創生推進交付金を活用し、官民で構成する夜景観光推進協議会を設立し、夜景ガイドブックウェブページを作成するなど、夜景観光の推進に係る取り組み観光資源発掘魅力創出事業に追加することとし、この経費として、議案16ページの第6款 経済費 第1項 商工費 第2目 観光費に1,000万円を追加しているところでございます。 ○福田浩太郎 委員長  それでは、質疑を行います。 ◆小川直人 委員  私からは、観光資源発掘魅力創出事業費が追加で1,000万円計上されておりますので、それについて質問させていただきたいと思います。  昨年10月に、国内の夜景を観光資源として発信しております一般社団法人夜景観光コンベンションビューローが初めて認定した日本新三大夜景都市に、1位が長崎で、3位の神戸を抑えて札幌が2位に選ばれ、札幌が日本三大夜景都市入りを果たしたということでございます。このことは、誇るべき観光資源がまた一つふえたという思いでありますし、観光によるまちづくりを進める上で、新たな魅力として、この期を逃さず、積極的に生かしていくべきという立場から質問させていただきます。  我がまち札幌の藻岩山から見る夜景は確かにきれいですが、私の思いとしては、なぜ札幌が日本新三大夜景に選定されたのか驚いておりまして、私だけではなく、市民にもそういう思いをしている方がいらっしゃるのではないかと思います。
     というのは、今まで、日本の三大夜景と言えば、神戸や長崎や函館が我々の認識にありましたが、今回、長崎と神戸が選ばれて、そこは順当だと思っております。しかし、函館が札幌よりも下の順位であったということです。  函館というのは、皆さんもご存じのとおり、くびれた特徴的な地形で、世界でも類を見ない美しい夜景ということで、フランスのミシュラン・グリーンガイド・ジャポンでは函館山からの夜景眺望世界最高ランクの三ツ星をとっておりますし、旅行口コミサイトのトリップアドバイザーが発表した行ってよかった夜景トップ20では、函館の夜景が堂々のナンバーワンに選出されております。それなのに函館が4位にとどまっています。そういった中で、札幌はなぜ2位に選ばれたのかと思います。選ばれるのはうれしいと思いますが、この辺のところがぴんときていない市民がいると思います。  そこで、質問ですが、昨年認定された日本新三大夜景とはどのような基準で選定されるのか、お伺いいたします。 ◎森 観光・MICE推進部長  どのような基準で選定されたのかというご質問でございました。  平成24年に設立された一般社団法人夜景観光コンベンションビューローが全国規模で夜景観光を推進するため、昨年初めて認定したものでございます。全国4,500人の夜景検定の有資格者であります夜景鑑賞士が、全国の夜景スポットから自身が代表的だと思う5カ所を投票し、その結果を都市別に集計したものでありまして、藻岩山や札幌テレビ塔など多くの夜景スポットを持つ札幌が総合評価で長崎に次いで第2位に認定されたというものでございます。 ◆小川直人 委員  今の説明ですと、4,500名の認定者がそれぞれで投票されて選ばれたということです。夜景といえば山からの夜景で、函館であれば函館山、札幌であれば藻岩山の夜景が一般的ですが、それに加えて札幌にはいろいろな夜景スポットがあります。そういったものを加味されて、まち全体の総合で夜景都市に選ばれたと理解してよろしいですか。 ◎森 観光・MICE推進部長  委員がご指摘のとおりでございます。 ◆小川直人 委員  正直申し上げまして、札幌は今まで夜景を大きく売りにしてこなかったのではないかということが実感としてあります。感じ方によって違いますが、降って湧いたような話と受けとめている市民は私だけではないと思います。  一方、函館市民の函館山への思い入れは非常に強くて、函館の夜景は市民の自慢ということで、函館に初めてきたお客さんには、絶対に夜景を見ていってくれ、もし見なければ損してしまうという形で、函館市民の皆さんが来られた方に宣伝しているわけです。こういったことから、函館の夜景は認知度がだんだん上がって魅力が広がっていったのではないかと考えております。しかし、札幌市民の中には、夜景を皆さんに広めようという気持ちがまだまだ足りない気がします。  今回設立する協議会の取り組みの中で、市民や観光客に対してPRしていくとのことですが、単なるPRだけではなく、市民みずからが市外の知人、友人に自慢できるような啓発を行うことも大切だと思っております。さらに、夜景施設を訪れるだけではなく、飲食店などと連携して経済効果を最大限に生み出していくべきというふうに考えております。  そこで、質問ですが、市民啓発や民民間の連携に向けて行政としてどう取り組むお考えなのか、お伺いいたします。 ◎森 観光・MICE推進部長  市民啓発や民民間の連携に向けてどのように取り組むのかというご質問でございました。  テレビや新聞等で取り上げられたことで、市民が夜景の魅力を再認識するきっかけとなり、夜景を望める施設に訪れる方が増加しております。一方で、まだまだ伸びる余地があると理解しております。  そこで、市民が気づいていない夜景の魅力を再発見していただくため、フォトコンテストやパネル展を開催するほか、札幌の夜景を語ることができるガイド、夜景ナビゲーターの養成講座を開催する予定でありまして、多くの市民にこの講座を受講していただき、語り部となって活躍してもらいたいというふうに考えております。  また、設立します本協議会を構成する観光施設やホテル、観光協会等共同プロモーションにより、夜景が楽しめるレストランやバーを紹介する夜景キャンペーン月間を展開するなど、事業者間の連携を密にして、まち全体を盛り上げてまいりたいと考えております。 ◆小川直人 委員  今回の1,000万円の補正予算の中で、今、部長が言われたようないろいろな事業を展開し、夜景の魅力を伝えていこうということだと思います。  今回、新三大夜景に認定されましたが、永久なものではなくて、3年置きに更新されると聞いております。私は、次回も三大夜景の中に札幌市が選ばれていただきたいと強く思っております。そのためには、継続的な魅力アップ話題づくりが必要だと考えております。  そこで、質問ですが、既存の魅力の掘り出しだけではなく、施設やイベントの新しい魅力づけについてどのように考えているのか、お伺いいたします。 ◎森 観光・MICE推進部長  新しい魅力づけについてどう考えているのかというご質問でございました。  市内の夜景を望める施設に専門家を派遣して、より美しく見えるような照明演出等についてアドバイスを行うほか、次年度以降に施設の魅力アップを行う予定の事業者を支援することにより、集客性を高めてまいりたいというふうに考えております。  また、光を活用したイベントも重要な夜景コンテンツであることから、今年度に行いますホワイトイルミネーションの会場拡大や、定山渓で行われておりますライトアップイベントのネイチャールミナリエの定着などにより、継続的な話題づくりを行ってまいりたいというふうに考えております。 ◆小川直人 委員  最後に、要望で終わらせていただきます。  これからも魅力をアップさせていくという答弁がございました。札幌の魅力というのは食と四季と温泉ですが、これは老若男女を問わず引きつける魅力があるのではないかと思いますし、雪は南国の人を引きつける魅力がある財だと思っております。そして、夜景というロマンチックな雰囲気は若者を引きつけるものでありますので、もっと若者向けに夜景をPRしていくことが伸びしろというところに入っていけるのではないかと思っております。  きのう、たまたま私の事務所に来られたホテルの方がこういうパンフレットを持ってきてくれました。先ほどの答弁にもあったと思いますが、日本新三大夜景都市札幌認定1周年記念、夜景が見えるレストランがある3ホテル共同企画が10月1日から11月30日まであり、これに特別企画のディナーなどがあります。これから札幌市がつくろうとしている夜景スポットのマップなどもついていまして、事業者は既に夜景を売りにしようとしています。事業者にも支援していくと先ほど言っておりましたので、さらに拡大して、補正予算を通し、札幌の夜景の魅力アップにつなげる活動を進めていただき、新年度についてもしっかりと予算計上しながら進めていただくことを申し上げて、質問を終わります。 ◆わたなべ泰行 委員  ただいまの小川委員とのやりとりで、今回、官民が連携した夜景観光推進協議会を立ち上げて、それを通じて夜景観光の振興にどのように取り組んでいこうとしているのかがよくわかりました。  私からは、少し視点を変えて、新三大夜景都市に認定された効果と外国人観光客対策について質問させていただきます。  初めに、昨年10月に札幌市が日本新三大夜景都市に認定されてから間もなく1年がたちます。同じく、新三大夜景都市に選ばれた長崎や神戸はもともと夜景を売りにしている都市でしたが、札幌は、夜景が観光資源の一つではあったものの、やはり前面に押し出してはいなかったのではないかと思います。  よって、夜景都市に選ばれたインパクトは非常に大きかったのではないかと考えますが、実際にどのような効果がありましたか、お伺いいたします。 ◎森 観光・MICE推進部長  認定されてどのような効果があったのかというご質問でございました。  夜景を望める代表的な施設であります藻岩山やテレビ塔、JRタワーなどでは、新三大夜景を前面に打ち出したさまざまなプロモーションを行い、入場者数が認定前と比べて1割以上増加し、新たな客層が開拓されたと聞いております。  また、先ほど小川委員から少しご紹介がありましたが、市内のホテルでは、夜景をテーマにしたオリジナルカクテルや特別なディナーを提供するなど、食と夜景を組み合わせることにより、新たな観光資源の創出に積極的に取り組んでいる状況でございます。 ◆わたなべ泰行 委員  それぞれの施設や企業が日本新三大夜景のブランドを積極的に活用して、夜景観光の機運が盛り上がってきた状況ということがわかりました。  一方で、夜の観光は、札幌の弱みの一つと言われております。とりわけ、外国人観光客からは、札幌は夜の楽しみが少ない、飲食以外での夜の魅力が欲しいとの声が聞かれていますが、夜景は外国人観光客にとっても夜の楽しみの一つになり得るのではないかと思います。  そこで、質問ですが、協議会では、外国人観光客を取り込むためにどういった事業を予定しているのか、お伺いします。 ◎森 観光・MICE推進部長  外国人観光客を取り込むためにどういった事業を予定しているのかというご質問でございました。  札幌の夜景の魅力を知ってもらうため、夜景ガイドブックウェブページを多言語で作成し、情報発信の強化を図りたいと考えております。また、郊外の夜景を望める施設を結ぶ周遊モニターバスを運行することにより、外国人観光客にも気軽に夜景を楽しんでもらう仕組みをつくってまいりたいと考えております。  さらには、こうした取り組みを札幌市が出展いたします海外の旅行博や商談会において、新たな観光の切り口としてプロモーションを実施してまいりたいと考えております。 ◆わたなべ泰行 委員  最後に、要望で終わらせていただきたいと思います。  外国人観光客向けに夜景の魅力を伝えたいということは十分にわかりましたが、夜景というのは、1年間を通じて楽しむことができる観光資源です。今までのように、夜景をただ見て楽しむというのは他都市もやっていることだと思います。ここに札幌らしい演出を加えることによって、その魅力がさらに輝いて、観光客だけではなくて、市民の皆様も楽しめる場所になると思います。  一つの例ですが、佐賀県では、夜に楽しめる施設が少ないということで、佐賀県庁で夜景に観光名所などの映像を投影するプロジェクションマッピングの上映が行われておりまして、周辺の飲食店と連携して夜のにぎわいづくりを目指す事業を行っております。札幌にも既存の文化芸術のコンテンツがあります。例えば、札幌国際芸術祭のときに、夜景を背景にして何かやってみるとか、音楽も当然だと思います。  それから、札幌にしかない魅力といえば、雪だと思います。雪とのコラボレーションで、藻岩山の夜景が見える場所でミニ雪まつりをやってみるとか、そういったことは十分に生かしていただきたいと思います。  今、お話がありましたように、1,000万円では無理なのは十分承知でございます。ただ、夜景は札幌市の大事な大事な魅力の一つであり、観光資源の一つだと位置づけていただいて協議していただけるように要望して、私の質問を終わります。 ○福田浩太郎 委員長  ほかに質疑はございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○福田浩太郎 委員長  なければ、質疑を終了いたします。  次に、討論を行います。  討論はございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○福田浩太郎 委員長  なければ、討論を終了いたします。  それでは、採決を行います。  議案第8号中関係分を可決すべきものと決定することにご異議ございませんか。  (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○福田浩太郎 委員長  異議なしと認め、議案第8号中関係分は、可決すべきものと決定いたしました。  ここで、理事者交代のため、委員会を暫時休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午前10時19分       再 開 午前10時20分     ―――――――――――――― ○福田浩太郎 委員長  委員会を再開いたします。  次に、札幌市産業振興ビジョン改定版(案)の策定についてを議題とし、資料に基づき、説明を受けます。 ◎小野 産業振興部長  私から、A3判の資料1に基づいてご説明させていただきます。  まず、第1章 札幌市産業振興ビジョンの改定に当たってについてですが、現行の産業振興ビジョンは、平成23年1月に平成32年までの10年間の計画として策定したものですが、それから5年以上が経過し、札幌産業を取り巻く社会経済情勢が大きく変化していることから、この変化に対応するため、改定を行いたいと考えております。  産業振興ビジョンは、札幌市まちづくり戦略ビジョンの方向性に沿った産業振興部門の個別計画という位置づけになっておりますので、計画期間につきましては、まちづくり戦略ビジョンと合わせて2年間延ばし、平成34年までの7年間にしたいと考えております。  次に、第2章 これまでの主な取組状況につきましては、これまでの5年間で現ビジョンに掲げる46の施策全てに取り組み関連統計の推移を見ますと、おおむね上昇傾向のものが多くなっております。  次に、第3章 札幌産業を取り巻く環境の変化についてです。  大きな三つの変化について、代表的なグラフをお示しし、記載しております。  まず、1段目のグラフは、景況感の回復と人手不足についてです。景況感の回復とともに、札幌圏の有効求人倍率は改善を続けておりますが、市内企業の経営上の問題点を見ますと、人手不足が問題となってきております。  次に、2段目のグラフですが、人口減少に伴うマーケットの縮小についてでございます。北海道の人口は今後さらに減少する予測ですが、市内企業は、主な市場として、現在も、そして今後も9割以上が主な市場を道内と回答していることから、道内市場の縮小に伴い、市内企業売り上げ減少につながることが懸念されます。  次に、3段目のグラフは、魅力的な働く場所を創出する必要性の高まりです。特に、20代の若者について、道外への転出超過が続いている中、就職状況を見ますと、理系男子を中心に道外転出が多くなっています。そのほか、TPP協定発効の動きやIoTなどの技術革新の急速な進展、エネルギー環境の変化など、社会経済環境は大きく変化しているところでございます。  次に、第4章についてですが、今ご説明したような環境の変化の中、札幌市としては、(1)市内企業人手不足感の高まりへの対応強化、(2)道内市場の縮小への対応強化、(3)魅力ある雇用の場を創出する観点を強化が課題であり、これに対応するために、全産業に共通する戦略の再整理を行うとともに、2 選択と集中により、新たな経済成長の原動力をつくり出す重点分野の見直しも行いたいと考えております。また、市民、企業、行政が課題認識や目標を共有し、一丸となって取り組みを進めていくため、現行ビジョンにはなかった数値目標を新たに設定したいと考えております。  次に、第5章についてでございます。  改定版ビジョンの目的、目指す姿、基本理念、基本的な視点につきましては現行ビジョンを踏襲いたしますが、赤い枠で囲んでおります施策展開の方向性を再整理したいと考えております。  具体的には、右側の再整理のポイントに書いておりますとおり、現行の重点4分野のうち、食と観光は引き続き重点分野に位置づけたいと思っております。環境につきましては、エネルギー技術の進展や効率化の意識の高まりを受け、環境(エネルギー)に焦点を絞り、健康・福祉は、産業集積が期待される医療を加えるとともに、成長産業であるIT・クリエーティブの分野を新たに加え、5分野としております。  また、全産業に共通する戦略と位置づけている横断的戦略は、大きく三つに再整理したいと考えております。  一つ目は、平成26年に従業員20人以下の小規模企業持続的発展を規定した小規模企業振興基本法が新たに制定されたこともあり、中小・小規模企業への支援としたいと思っております。二つ目は、新たな企業の創出として、企業立地の促進や創業の促進、そして、三つ目は、企業の人手不足への対応強化を反映した人材への支援の三つであります。  次に、数値目標につきましては、産業振興ビジョンの目的に沿って二つの目標を設定したいと考えております。  一つ目は、市内の従業者数を平成33年に90万人にするものでございます。道外への転出超過数の改善や、女性や高齢者の有業率の向上などで目標を達成したいと考えております。数値目標の二つ目としては、市内企業の売上高を掲げております。横断的戦略の効果的な実施や重点分野の積極的な振興により、直近4年間の市内総生産の平均伸び率0.6%を上回る年間1%の上昇を目指し、平成33年に16兆8,500億円にしたいと考えております。  次に、第6章 基本施策と取組内容についてでございますが、A3判の2枚目は、重点5分野と、それに連なる施策を掲げております。  右上に凡例を示しておりますが、二重丸をつけているのが新規の取り組み、丸は強化する取り組みということでございます。  左側の重点分野の一つ目の観光分野では、好調な観光需要札幌経済により一層波及させるため、三つの施策を掲げております。具体的には、施策1の1札幌を代表するイベント魅力アップや、2定山渓など滞在型観光を支える地区の環境整備、施策3の2新たなMICE施設の整備に向けた検討に取り組んでまいります。また、その下の食分野では、施策2の食の魅力を生かした付加価値の向上と安全性の確保、また、施策3では、国内外への販路拡大に取り組んでまいります。  右側に参りまして、環境(エネルギー)分野では、施策2において、企業の経営強化にもつながるエネルギー削減行動をサポートするビジネスの振興、健康福祉・医療分野では、医療関係研究シーズの実用化に向けて、大手製薬企業の研究部門が市内に立地するなどの事例や、有望な医療、創薬系のベンチャー企業が札幌から生まれていることから、施策3では、これらの成果をさらに伸ばし、産業集積を促進していくための施策に取り組んでまいります。  IT・クリエーティブ分野では、施策1の1におきまして、IoT、ビッグデータ、人工知能などの先端技術を積極的に活用した新たなビジネスの創出支援や、2では、市内ITクリエーティブ企業の独自製品の開発による競争力を高めるための施策を挙げているところでございます。  次に、3枚目に参ります。  3枚目は、三つの横断的戦略と、それに連なる施策を掲げております。  横断的戦略の一つ目の中小・小規模企業への支援では三つの柱を掲げており、柱の三つ目、海外からの積極的な需要獲得策の推進では、道内のみならず、海外からの積極的な需要獲得取り組みを進めてまいります。また、横断的戦略の二つ目の新たな企業の創出では、企業立地と創業の促進の二つの柱を掲げております。  最後に、企業の人手不足感の高まりへの対応強化のため、横断的戦略の一つに掲げた人材への支援では、企業の人材確保と支援を打ち出すとともに、若者や女性、高齢者の就労支援やUIJターンの推進を柱として立てております。  また、今後のスケジュールですが、この議会へのご報告の後、10月下旬から1カ月間、パブリックコメントを実施して、広く市民の意見を求め、最終的には本年12月中の策定を目指したいと考えております。 ○福田浩太郎 委員長  それでは、質疑を行います。 ◆宗形雅俊 委員  私から、何点か質問させていただきます。  今、部長からご説明がありましたとおり、平成23年の策定から5年以上が経過いたしました。現ビジョン策定の際には余り課題として認識されることがなかった人手不足感の高まりなど、社会経済情勢の変化に対応してビジョンを改定していくことは機を捉えたことであろうと思います。また、昨年の第3回定例議会の代表質問では、我が会派の中川議員からも、産業振興ビジョンの改定について言及があったところです。その改定に当たっては、現ビジョンに沿って進めてきた施策についての振り返りや検証をしっかり行い、それを反映していくことが必要だと私は考えております。  そこで、このビジョンのこれまでの成果と評価についてお伺いしたいと思います。  概要版には、現ビジョンに掲げる46の施策の全てに取り組み関連統計の推移を見ると、上昇傾向のものが多いという評価がありました。この記述は、産業振興ビジョンの施策に沿った事業によって数値が上昇したように読めなくはないですが、これらの数値は、まさに先ほど小野部長が説明した社会経済情勢の変化の影響による上昇が含まれていることが多分に考えられ、札幌市の事業効果がそのまま数値に直結しているのか、しっかり検証すべきではないかと考えます。  そこで、質問ですが、これまでの取り組みで具体的にどのような成果があり、それらをどう評価しているのか、課題も含めてお伺いしたいと思います。 ◎小野 産業振興部長  ビジョンのこれまでの成果とその評価についてのお尋ねでございます。  委員ご指摘のとおり、経済の動きは、市の事業効果に加えて、世界経済の潮流や為替など外部環境にも大きく左右されるため、関連統計も、それらに影響を受ける度合いは大きいと考えております。  しかしながら、求職者のマッチング支援や企業誘致、販路拡大支援などの就職支援や個々の企業に対する支援の効果は、そのまま雇用者の増加や売り上げの増加につながるものもありまして、例えば、企業立地による雇用創出数は、ビジョン策定後の平成23年からの5年間で2,612名、また、ベンチャー企業の販路拡大支援を行った事業では、同じく5年間で14社を支援して、当初2億2,000万円だった合計売上高が5年後には10億1,000万円と約5倍に増加するなどの成果を上げております。  このように、さまざまな外部環境の変化に左右される経済環境の中で、企業のニーズに耳を傾けながら、時流を的確に捉えた事業展開を行うことで一定の成果が上がったものというふうに評価しております。  なお、現行のビジョンには具体的な目標を掲げず、個別計画の中で進行管理を行ってまいりましたが、ビジョン全体の成果を図ることが難しかったことが課題であると認識しております。  そのため、今回の改定で、市民、企業、行政が目標を共有し、一丸となって取り組みを進めていくため、新たに数値目標を設定させていただいたところでございます。 ◆宗形雅俊 委員  簡単に評価をいただきました。それなりに数値を示していただいて、ありがとうございます。これを踏まえながら、現行計画を策定したということだと思います。
     ビジョン全体の数値目標がなかったというのが一つの課題だったということでしたが、今回の改定ポイントの一つになっている数値目標について質問していきたいと思います。  通常、目標は高いところに置くべきですが、だからといって、余りにも手の届かない目標になってもいけないと思います。  今回の産業振興ビジョンの改定に当たり、課題でもありましたが、初めて数値目標を設定したことについては私も大いに評価したいと思っております。ビジョンの二つの目的に沿って、市内従業者数を90万人にするという目標と、市内企業の売り上げを16兆8,500億円にするという二つの数値目標を掲げておりますが、その目標設定の妥当性や根拠についてお伺いしたいと思います。  市内従業者数の目標は、道外への転出増加数の減少や女性、高齢者の就労を促すことで達成させたいということですが、これについては、若年層や女性、高齢者と対象がはっきりしており、積極的に進めている企業誘致の取り組みや伸びしろのある女性や高齢者の有業率を向上させることができれば雇用がふえていくと思います。  そこで、2点質問していきたいと思います。  雇用については、どのような業種で女性や高齢者の雇用を確保していこうと考えているのか、お伺いいたします。  また、市内企業の売上高の目標は、市内総生産の平均伸び率を上回る年間1.0%の上昇を目指すという説明がありましたが、数値目標の積算根拠と、この目標をどのように達成していくつもりなのか、お伺いしたいと思います。 ◎小野 産業振興部長  女性や高齢者の雇用確保、売上高の数値目標の積算根拠と達成方法についてでございます。  まず、女性や高齢者の雇用確保につきましては、おもてなしや気配りが求められる業種であり、今後さらなる成長が期待できる観光や食、福祉分野などにおいて従業者の増加を想定しております。  次に、売上高の数値目標につきましては、平成33年で16兆8,500億円と記載しておりますが、最終年の平成34年には17兆円を目指すこととしており、現状値から見ますと1.2兆円増加させるものになります。  積算の考え方としては、市内総生産の現在の伸び率0.6%で推移しますと8,000億円の増加ということになりますが、今回、数値目標を年率1.6%の増加と設定いたしましたので、その差である約4,000億円分の上積みを目指すものでございます。  その内訳としては、観光分野の経済波及効果のさらなる増加や食料品製造業の出荷額向上など、他の計画の目標値と整合を図って、積算できるだけでも約2,200億円ございますし、その他、重点分野の積極的な振興または横断的戦略の強化により、企業の生産性や付加価値を向上させ、上積み分の4,000億円の増加を達成したいと考えております。 ◆宗形雅俊 委員  目標ですから、期待していきたいと思います。  次に、今回の改定のもう一つのポイントといえば、重点分野の拡充、追加と横断的戦略の再整理だと思いますので、その点について質問していきたいと思います。  まず、このたび重点分野に新たに位置づけられたIT・クリエーティブ分野について、政府は、ことし6月に閣議決定された日本再興戦略2016において、IoT、ビッグデータ、人工知能といった先端技術を活用した第4次産業革命がこれまでの産業構造、就業構造を一変させる可能性があるとし、これに対応していくことを新たな成長戦略の最重点課題に位置づけました。実際に、最先端技術を、製造や運輸といった産業分野はもちろん、医療や介護、防災など社会の多くの領域で活用するための研究開発が活発化しております。こうした動向を踏まえますと、このたびの産業振興ビジョンの改定においてIT・クリエーティブ分野の投資を呼び込むとともに、全産業を高度化させる産業として重点分野に位置づけたことは大いに評価したいと思います。  しかし、今回のビジョンが描くように、市内企業が第4次産業革命といわれる転機を捉え、先端技術による新事業を次々と生み出していくためには、乗り越えるべき課題が多いと思います。例えば、札幌のIT産業は、下流工程の受諾開発が過半を占めており、そうした企業が新たな事業分野を開拓していくのは容易ではないと考えております。また、先端技術による新たな事業創出には相応の高度なIT技術を持つ人材が必要ですから、現実にはIT人材の不足が深刻であるという声も多く聞かれます。  そこで、質問ですが、こうしたIT産業の現状を踏まえ、今後、IT人材の確保、育成を含めて具体的にどのように取り組みを進めていくのか、お伺いいたします。  加えて、横断的戦略の中小・小規模企業への支援の中から、事業性評価の取り組みについて、あわせて質問したいと思います。  私は、中小企業、とりわけ小規模企業における最も重要な経営課題は資金調達と考えております。行政には、真に資金を必要とする企業への事業資金を着実に送り届けるための施策がより求められているのではないかと考えております。事実、産業振興ビジョン改定に係る基礎調査においても、市内企業が行政に求める支援策は、人材確保、育成支援が上位を占めますが、一番は低利融資制度でもあります。  札幌市では、かねてより、低利な融資制度を設け、多くの市内中小企業に事業資金を供給しておりますが、貸し出し時の審査において、ほとんどの金融機関が財務諸表などの定量面での評価を重視しており、企業が持つ技術力やサービス力といった潜在力を見抜けず、結果として融資が受けられなかった例もあると聞いております。  こうした事態を減らすためにも、金融機関の目きき力を向上させるとともに、企業の見えざる潜在力を明らかにすることで、担保や保証に依存しない事業に基づく融資を促進させることが有効ではないかと思っております。しかしながら、こうした融資がなかなか浸透していかない現状を踏まえますと、行政がその後押しや働きかけを行っていくことが大事ではないかと思います。  そうした中、札幌市では、改定版ビジョンにおいて、中小・小規模企業のすぐれた技術やサービスなどを評価する事業性評価が盛り込まれ、平成28年度の新規事業として関連予算も計上されております。本事業は、新商品開発や経営改善などの成長を望む企業への新たな資金面における支援策と理解しておりますが、この取り組みを通じて着実に金融機関への融資に結びつけていくことが大事ではないかと思います。  そこで、質問ですが、本事業の実施に際し、金融機関との連携はしっかりととれているのか、お聞かせ願いたいと思います。 ◎知野 国際経済戦略室長  1点目のIT産業の振興に向けた取り組みについては、私からお答えさせていただきます。  委員がご指摘のように、札幌のIT産業は、下流工程の受託開発が過半を占め、また、IT人材も不足する状況にあり、今後、一層の振興を図るためには、人材の安定的な確保、育成と、企業が先端技術を活用して積極的に新事業を創出していく仕組みづくりが重要と考えております。  そこで、産学官連携による札幌市IoTイノベーション推進コンソーシアムを設立し、地域の企業が先端技術を持つ大学と連携して新事業を創出していく基盤を整えたことから、企業の事業領域の拡大と高度化を促進し、魅力的な就職先として価値を高めることにより、優秀な人材の確保につなげてまいりたいと考えております。  さらに、IT企業と学生のマッチング事業、また、既卒者、転職者向けの首都圏でのUIJターン事業のほか、新事業を創出できる高度IT人材を育成するITイノベーション人材育成支援事業を今年度より実施しております。  こうした取り組みにより、企業における先端技術の積極的な活用や、より高度なIT人材の育成を促進し、IT産業の競争力をさらに高めていきたいと考えております。 ◎小野 産業振興部長  2点目の事業性評価の取り組みにおける金融機関との連携についてでございます。  委員がご指摘のとおり、技術力や成長性を持った企業であっても、小規模企業や創業間もない企業におきましては、実績が不足していることから、融資に至らない場合がございます。事業性評価は、こうした企業の資金繰りを支援するとともに、経営課題を明らかにするために、この7月から新たに実施している事業でございまして、政令市レベルでは初の取り組みになります。  具体的には、高い技術力や成長性、新しいサービスや商品を持つ小規模事業者等を対象に、財務諸表からは読み取れない点を含めて、企業の総合的な経営力の評価を行い、当該企業の持つ強みを明らかにすることで、金融機関の審査の判断材料として活用いただくものでございます。  本事業の実施に際しましては、金融機関の意見を聞きながら制度設計を進めてきたところでありまして、事業性評価を通じて成長性のある企業への融資につなげていくという趣旨につきましては十分にご理解いただけているものと考えております。  今後とも、金融機関とのさらなる連携に努め、技術力や成長性を持つ中小企業に対して積極的な支援に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆宗形雅俊 委員  ここからは質問ではございませんが、まず、雇用に関して、観光、食、福祉分野で女性、高齢者の雇用増加をしたいということでございます。その分野の中でも、職種の一部については非常に低賃金ですし、そこに人手不足という背景もあるのではないかと思います。そういう意味では、人材育成も含めて、受け皿となるところの環境づくりも必要ではないかと思います。雇用をふやすためにも、片方での受け皿の環境づくりをしていただきたいと思います。例えば介護職など、国などの問題もありますが、そんなことも考えていただきたいと思います。  それから、IT・クリエーティブのほうですが、人材不足といっても、札幌市内にはセールスエンジニアが結構いると思います。ところが、セールスエンジニアも専門性があるものですから、IT企業では人手が少なくて、私が知っている企業では、面接もしないで即採用するとのことです。ただ、採用された人と企業の業種のマッチングができておらず、結局は半年ぐらいでやめていったということがございます。そういう意味では、人材育成もそうですが、今、市内にいるエンジニアが持つ能力、技術のマッチングも大切ではないかと思いますので、そういった点もひとつ考えていただければと思います。  最後に、事業性の評価、金融関係ですが、銀行でもよく聞くのは、優良企業には金を借りてくれと言って、本当に資金繰りが苦しいところにはなかなか貸してくれないのが現状です。  事業性の評価は、今は1社での取り組みということで、結果的には評価ができないと事前に聞いておりますが、札幌市がこういうことを言っても、金融機関がこれに対してしっかり取り組んでいただかないと、片思いの事業になってはいけないと思いますので、お金の流れの評価をしっかり見極めて進めていっていただければと思います。  これから新たな一歩ということで見ていきたいと思いますし、今後とも何かの機会に成果や途中経過をご報告いただければありがたいと思っておりますので、それを要望して、終わります。 ◆小川直人 委員  私からは、若年層の転出超過の改善と、これに関連して、医療分野の今後の施策展開についてお伺いしたいと思います。  まず初めに、転出超過の改善による就業者増加の目標について質問いたします。  今回の産業振興ビジョンの改定の目玉として、新たに数値目標を設定しております。市内従業者数を平成33年に90万人、最終年の平成34年には90万6,000人に増加させるとのことであります。これは、平成26年から4万8,000人の従業者の増加を目指すものですが、産業振興部長の説明にあったとおり、道外への転出超過の改善に向け、目標達成に寄与するべき数値の一つだと思っております。ただ、先ほどの説明では、この道外の転出超過の具体的な改善数は示されておらず、目標を着実に達成するにはそれを明らかにする必要があるというふうに考えております。  そこで、質問ですが、道外の転出超過の改善により、どのくらいの従業者数の増加を目指すのか、まず、お伺いいたします。 ◎小野 産業振興部長  転出超過の改善による就業者増加の目標についてのお尋ねです。  人口減少の緩和に関する計画として、昨年度策定されたさっぽろ未来創生プランでは、札幌市における20代の道外への転出超過数の改善を掲げており、転出超過数を10年間でゼロにすることを目指しております。  今回の改定版産業振興ビジョンでは、このプランの目標と整合を図り、段階的に改善を図ることとしており、4万8,000人のうち、転出超過数の改善により、ビジョンの7年間で約1万人の従業者を増加させたいと考えております。 ◆小川直人 委員  10年間でゼロにするというさっぽろ未来創生プランの目標に沿って、若年層の転出超過を改善し、計画期間内で約1万人の就業者増加につなげていきたいという答弁でした。これは、市内従業者数増加という目標に向けて重要な要素の一つでありまして、転出超過の改善に積極的に取り組むべきだというふうに考えております。  これに関連して、もう1点、若年層の道外への転出超過の改善策について質問いたします。  本書の19ページでは、札幌市内の学生は、文系、理系を問わず、男女とも地元就職の思考が強いものの、実際には道外に就職する割合が高くなっております。このことは、希望がかなえられていないことがうかがえるわけです。  一方で、転出する方の中には、学生時代を札幌で過ごし、就職を機に地元に帰る方や、札幌から首都圏を初めとした道外の就職先を目指すなど、みずから望んだ進路を選んだ結果、道外転出となる場合もあり、一律の対策を講じることは難しいのではないかというふうに考えております。  そこで、質問ですが、産業振興ビジョンの改定版ではどのように若年層の転出超過を改善しようと考えているのか、お伺いいたします。 ◎小野 産業振興部長  若年層の道外への転出超過改善への取り組みについてでございます。  委員がご指摘のとおり、さまざまな状況、事情により、道外に転出される方がいらっしゃると認識しております。  このような中で、私どもが真っ先に取り組むべきと考えていることは、地元に就職したいという希望があるものの、意向に合致する雇用の場がないために道外に転出せざるを得ない方に対して、さまざまな雇用の場を創出することで地元就職の希望に沿うように努めることでございます。  さらに、みずからが望む進路を選んだ結果、転出された方々におきましても、いつの日か札幌に戻りたいと考えていただけるように、札幌経済の活性化を図るとともに、魅力ある雇用の場を創出し、それを積極的に発信してまいりたいというふうに考えております。 ◆小川直人 委員  今の答弁で、魅力的な雇用の場を拡大していくことが対策になっていくのだろうというふうに思います。  若年層の道外への転出超過というのは、ここ最近の出来事ではなくて、以前からのことであります。この現象は一朝一夕で解決できるものではないというふうに考えますが、その解決に向けて、今、部長からお話がございましたが、さまざまな事業を着実に展開すれば、それが全国的に周知されることで札幌のスタンスが認知され、札幌の魅力を感じている人の背中を押すと思います。  学校を出て、札幌に就職できなくても、どこかで札幌の魅力を聞きつけて戻ってくるということもあると思いますので、繰り返しになりますが、このことは着実に展開していただきたいというふうに思います。また、長期的な視点に立ち、持続的な展開が肝要だというふうに思います。  次に、今回拡充した医療分野における産業振興施策の展開について質問いたします。  本市では、理系人材の就職先として思い浮かぶのは自動車産業や機械産業などであり、製造業の集積が薄いということであります。この間、産業の育成が不可欠であると認識しておりまして、理系人材の受け皿として、環境、エネルギーや健康、福祉、医療、そして、今回新たに追加されたIT・クリエーティブ分野が主に該当するというふうに考えております。  特に、健康、福祉、医療分野につきましては、北大北キャンパスに代表されるようなすぐれた研究シーズを生み出す研究機関の集積が札幌にあります。そして、冷涼な気候や清らかな水資源、豊富な畜産、水産、広大な土地など、恵まれた研究環境があるわけです。そうした札幌の強みをぜひ生かしていただいて、世界に通じる健康、福祉、医療分野の産業の育成を目指していただきたいというふうに考えております。そのためには、今後取り組む医療分野について、展開の道筋をしっかりとつくっていかなければならないというふうに考えております。  そこで、質問ですが、今回拡充した医療分野について、今後どのような施策を展開していくおつもりなのか、お考えをお伺いいたします。 ◎知野 国際経済戦略室長  医療分野における産業振興施策の今後の展開についてでございます。  札幌市内では、北海道大学や札幌医科大学において、再生医療、がん治療といった最先端の研究開発が行われており、大学の研究成果を活用した創薬などのベンチャー企業の立ち上げも続いております。  こうした動きを加速し、産業への広がりを生むための施策として、まずは、企業と研究者とのマッチングや、共同研究による事業化の促進に取り組むとともに、企業の誘致や創業及び新規産業の促進、販路拡大に向けた支援に力を入れてまいります。  また、さらなる施策につきまして、札幌商工会議所などの経済界との連携の上、北海道大学、札幌医科大学、産業支援機関などとの意見交換を重ねて検討し、国や北海道との協力体制を強化しながら、地域一丸となって医療分野の産業振興を着実に進めてまいりたいと考えております。 ◆小川直人 委員  今、医療分野における産業振興施策についての答弁をいただきました。札幌の強みを生かしながら進めていただきたいと思います。  秋元市長の市政方針にもありますとおり、次世代を見据えた産業の育成が必要であると私も考えております。それは、全国どこにでもあるような産業ではなくて、札幌の強みを生かせる分野、つまり、今回の改定版ビジョンに示している重点5分野ではないかというふうに思います。  その中でも、今お話をいただきました医療分野の成長に大変期待しております。医療分野の産業育成は、長い期間を見据えていくものですし、本市としても、今後、人・物・金などの投資を積極的に行いながら、世界有数の産業集積地を目指し、産学官の協働で育成を図っていただきたいというふうに思っております。  また、そういった要素が札幌には十分ありますし、近隣の諸外国も札幌の医療には大変期待されています。そして、医療ツーリズムも今後期待される分野になってくると思いますので、そういったことも視野に入れながら進めていただきたいと思います。  最後に、今回のビジョンの改定につきましては、経済活性化に対する秋元市政のスタンスを示したものであると認識しておりますし、改定後は、このビジョンに沿って、市民や行政、企業が一丸となって産業振興に取り組み、その結果、一人でも多くの人材が札幌市で雇用され、新たな消費が生まれ、それがさらなる札幌の経済発展につながる好循環が生まれていくことを期待して、私の質問を終わらせていただきます。 ◆わたなべ泰行 委員  私からは、重点分野の見直しと策定後のビジョンの認識共有、進行管理の3点についてお伺いいたします。  最初に、今回の改定で最も大きな変更点と思われます重点分野の見直しについてお伺いします。  産業振興ビジョンでは、この重点分野を、地域の強みや時代の潮流を捉え、選択と集中により、新たな経済成長の原動力をつくり出すと位置づけております。このたびの改定では、重点4分野を5分野に拡大するという案になっております。  この内容を拝見しますと、食と観光は前回同様、重点分野に位置づけられておりますが、環境分野は、エネルギー分野に絞るということで環境(エネルギー)、また、健康・福祉は、健康福祉・医療となり、医療が拡充されております。そして、新たにIT・クリエーティブ分野が追加されたということが今回の大きな変更点だと思っております。  食と観光の二つの分野については、今後の札幌経済を牽引する大切な分野であると思いますので、改定版ビジョンでも引き続き重点分野に位置づけていくべきだと私も考えております。しかし、そのほかの三つの重点分野の追加、拡充の見直しに当たっては、先ほど来、部長から考え方を伺いましたが、経済のトレンド、また、本市の産業構造、産業の規模、集積度合いなどの説明も必要であると考えます。  そこで、質問ですが、追加、拡充等をした3分野について、数値的な面も含めてどのような根拠を持って見直しを行ったのか、伺います。  また、IT分野、医療分野ですが、IT分野は宗形委員に対して、医療分野小川委員に対して答弁がありましたので、今回、私の質問に対し、つけ加えることがあればお願いいたします。 ◎小野 産業振興部長  重点分野の見直しの根拠についてでございます。  まず、環境分野につきましては、環境省の推計によると、全国のエネルギー分野に関する市場規模は約38兆円と、この15年間で約10倍となるなど、環境産業全体の伸びを大きく上回っており、今後とも成長が期待できる分野であることに加え、積雪寒冷地という札幌の地域特性を生かしたビジネスの創出が期待できると考えております。  次に、健康・福祉に追加した医療につきましては、医療分野などの研究開発に関連の深いバイオベンチャー企業が北海道内には32社あり、それは、東京都、神奈川県、大阪府に次ぐ全国第4位の集積地となっております。そのほか、札幌には高度な研究機関が集積し、そこで得られるデータや最先端の研究シーズの実用化により、さらなる産業集積が期待できるものと考えております。  最後に、IT・クリエーティブ分野につきましては、改定版のビジョンでも、IT活用による他産業の付加価値向上を図ってきたところでございます。  本市IT産業の規模を見ますと、年間売上高が約3,600億円と製造業の中で最も規模が大きい食料品製造業の出荷額約2,200億円をしのぐ規模であることに加え、国を挙げてIoTや人口知能などの先端技術の革新と活用に取り組んでおり、成長が見込まれることから、さらなる産業の高度化を図るため、新たに重点分野に位置づけたいと考えております。 ◆わたなべ泰行 委員  今回示された重点分野は、経済のトレンドや札幌の特性を考慮して設定されたことがわかりました。この重点分野は、産業振興ビジョンの計画期間にわたって札幌市が重点的に振興していく分野であることを宣言することともなります。他都市に比べて、製造業を初めとした第2次産業が薄い札幌にとってはどれも重要産業であると思いますし、ぜひしっかりと意識して振興してほしいと思います。  次に、市役所各部局における産業振興ビジョンの認識の共有についてお伺いします。  先ほど部長からご説明がありましたが、この産業振興ビジョンは、札幌市の最上位計画であるまちづくり戦略ビジョンの方向性に沿った産業振興部門の個別計画ということでございます。  今後、産業振興ビジョンに記載されている基本施策に沿って産業施策に資する具体的な事業が展開されていくものと思いますが、産業振興は経済観光局のみがやっていくものではございません。もちろん、これまでも、庁内の情報共有、連携に取り組んできたところだと思いますが、経済活性化のためには、経済観光局だけではなく、札幌市の各部局の役割も大変重要になってくると思います。各局の職員が方向性を一つにして取り組んでいく必要があります。その際の方向性を示していくのが産業振興ビジョンだと思います。  このビジョンに記載されている基本施策取り組み内容を市役所内でどのくらいの重みを持って受けとめているのか、気がかりでございます。  そこで、質問ですが、市役所内の各部局が産業振興ビジョンをしっかり意識した事業展開をしていくために経済観光局としてどのように各部局に働きかけていくのか、お伺いいたします。 ◎小野 産業振興部長  市役所各部局に対する事業展開の働きかけについてでございます。  委員がご指摘のとおり、経済活性化のためには、各部局がビジョンを意識しながら事業展開することが重要であるというふうに認識しております。  平成23年度の現行ビジョンの策定から今回の改定までの間に、さっぽろ未来創生プランの策定などを契機として、庁内では、人口減少社会への対応のため、経済活性化の重要性に対する認識が浸透してきているところでございます。  今回のビジョン改定に際しましては、関係各部局と十分な議論を進めてきたところでありまして、策定後につきましても、さまざまな場面を捉えて情報共有を行い、連携への意識をより一層強めてまいりたいと考えております。 ◆わたなべ泰行 委員  産業振興ビジョンの施策展開には、環境分野の振興や女性が働きやすい環境の整備など、市役所内での局横断的な連携が必要なものも大変多くあると思いますので、このビジョン改定を機に、いま一度、市役所内で共通の認識を持って、一丸となって取り組みを進めていただければと思います。  最後に、ビジョンの進行管理についてお伺いいたします。  このビジョンを策定した後、十分に機能させていくためには、基本施策及び取り組みの実施状況を定期的に把握、点検して、成果を評価することが必要になってくると思います。行政は、計画の策定経過までは熱心ですが、それができてしまった後の進行管理がおざなりになりがちということはよく耳にします。しかし、それでは何の意味もなくなってしまいます。特に、今回のビジョンは、新たに数値目標を設けていることから、進行管理はより重要なものになってくると考えます。  そこで、質問ですが、本ビジョンの進行管理はどのように行っていくのかをお伺いして、私の質問を終わります。 ◎小野 産業振興部長  ビジョンの進行管理についてでございます。  委員がご指摘のとおり、このビジョンは、策定後の進行管理を着実に進めることが重要であると考えております。そのためには、個々の基本施策の実施状況を定期的に把握し、分析するとともに、中小企業振興審議会などの外部機関による点検などを経ながら、進捗状況に応じた事業の見直しを行う、いわゆるPDCAサイクルの考え方によって進行管理を行ってまいりたいと考えております。  また、ビジョン全体の進捗につきましては、市内従業者数市内企業の売上高の二つの数値目標により把握するとともに、他の計画で設定している経済分野の指標なども活用して進行管理を行ってまいりたいと考えております。 ◆村上ひとし 委員  私からは、資料1の札幌市産業振興ビジョン改定版概要1の第5章 改定版ビジョンの全体像の中の施策展開の方向性のうち、横断的戦略札幌経済を支える中小・小規模企業への支援に関連して、1点目は小規模企業への支援、2点目は小規模企業の事業展開について、2点質問させていただきます。
     まず、小規模企業への支援についてお尋ねいたします。  この産業振興ビジョンは、札幌市の産業を振興させていく上での柱を明確にして、その方向性を示すものとなります。ですから、本市独自の産業構造や企業の要望に合致したものであること、また、企業が抱えるさまざまな課題や困難に寄り添ったビジョンであるということが重要であると思います。  札幌市の企業の全体像を見ますと、多くは中小企業であります。本市の経済は、中小企業によって支えられているということです。特に、市内企業の8割が従業員5人以下の小規模企業が占めています。したがって、小規模企業が置かれている現在の経営状況や今後の展望などを十分に把握しながらビジョンに反映していくことが必要であると思います。  この産業振興ビジョンの改定に当たっては、昨年11月から12月にかけて市内の企業1万社に対してアンケート調査を実施しております。このアンケート調査の結果は本市の産業構造などの実態を反映したものになっているのか、また、アンケートでは、小規模企業からどのような要望が上がっていて、そして、それらはどのような形で今回のビジョンに反映されているのか、この点について最初にお伺いいたします。 ◎小野 産業振興部長  小規模企業の実態把握とその反映状況についてでございます。  1万社アンケートの調査の際には、企業規模や業種などの本市の産業構造を踏まえて調査対象を決定したところでございます。  アンケートの結果につきましては、業種別または企業規模別に分析を行っておりまして、小規模企業が望む支援策につきましては、中小企業と同様ではありますが、低利融資制度や人材確保、育成支援を初め、製品、サービス開発への補助など、多岐にわたるニーズが明らかになっております。  今回のビジョン改定では、これらを踏まえて、横断的戦略の一つとして札幌経済を支える中小・小規模企業への支援を掲げ、これに基づき、経営基盤の強化などの施策を展開したいと考えております。 ◆村上ひとし 委員  中小企業と同様に、小規模企業に対しても低利で融資を行うということです。あるいは、人材確保や育成の支援、製品サービス開発の補助ということです。例えば、地域で古くから経営されているクリーニング店あるいはラーメン店、床屋など、小規模で事業展開を続けてきた方たちは、なかなか経営がうまくいかないという問題があって、苦戦を強いられている実態があると思います。  先ほどの質疑の中で、融資をする際、金融機関と連携していくというやりとりがありましたが、これはもちろん必要なことだと思います。しかし、金融機関では融資がなかなか難しい場面もあると思います。そういう場合については、市で独自に融資するということも検討していく必要があると思っております。  次に、小規模企業への事業展開についてお伺いいたします。  小規模企業は、地域の経済や雇用を支える極めて重要な存在であるというお話が部長の答弁の中にありましたが、こういう観点から、国においても2014年に中小企業振興基本法が制定されました。そういう意味から、中小・小規模企業の活性化は、全国的な課題であると同時に、本市の産業振興にとっても当然重要になるわけです。  ところが、先ほど触れましたが、札幌に古くから根差して地域で頑張っているクリーニング店、理美容店あるいは飲食店、各種の商店などの方々にとって、本市の産業振興ビジョンの中にどんな支援があるのか、具体的な事業内容がなかなか伝わらないという問題もこの間あったかと思います。  そこで、今回の産業振興ビジョン改定版では、本市産業の振興を推進するに当たって、小規模企業に対して具体的にどんな事業展開を考えているのか、この点についてお伺いいたします。 ◎小野 産業振興部長  小規模企業支援の具体的な事業展開についてでございます。  委員のご質問にもございましたように、本市では、以前から、小規模企業に特化した資金支援として低利融資制度を用意し、また、ご活用いただいております。さらに、先ほども質疑にございましたが、事業性評価という新たな取り組みも開始しておりまして、成長性を有しながらも、担保や保証を用意することが難しい小規模企業に対して、より円滑な資金供給が可能となるように支援してまいりたいと考えております。  そのほか、製品、サービス開発への補助、販路拡大支援などの面におきましても、小規模企業が利用しやすいような新たな支援の枠組みを検討してまいりたいというふうに考えておりますほか、商業地の魅力向上と活性化を図る観点から、意欲ある個店への支援を行うなど、小規模企業の皆様の挑戦を支援してまいりたいと考えております。  いずれにしても、商工会議所などの経済団体や各支援機関と連携しながら、小規模企業の支援に努めてまいりたいと考えております。 ◆村上ひとし 委員  小規模企業に対する新たな事業展開を実施するに当たっては、融資も含めて、こんなことがあるのだと伝えることが非常に大切だと思います。  きょうご説明いただきましたが、自分の会社、企業がこういう政策の中のどういうものが利用できるのか、もっともっと鮮明にして伝える努力をしていただきたいと思います。それから、細やかに効果を検証していくことも同時に必要になると思います。そういう意味では、具体的な事業展開を進めるに当たっては、小規模企業の事業者あるいは関係団体の意見をよく聞いていただきたいし、毎年度の事業構築にぜひ反映させていただきたいと思います。  そのためにも、ある程度の期間でキャッチボールをすることが非常に重要になってくると思います。ぜひ意見を聞いて、どうすれば産業振興に結びつくのかよく考えて交流していただきたいと申し上げて、終わります。 ◆中山真一 委員  委員の皆様から、るるご質問がありました。改めて申し上げるまでもありませんが、ビジョンを策定することが目的ではなくて、策定した後にこれをどう活用していくかのほうがはるかに大切なことだと思います。  私からは、策定された後に、この産業振興ビジョンをいかに活用していくかという観点から質問させていただきます。  まず、産業振興ビジョンを策定している目的について伺います。  現行のビジョンでは、ビジョンを策定すること自体の必要性について明記されておりましたが、今回の改定版にはその記載がなくなっております。産業振興に関するビジョンを策定すること自体について否定するわけではございませんが、他都市の状況を見渡しますと、目まぐるしく変化する経済状況の中で、中長期の産業振興の方向性を見定め、それを有効に活用していくことは大変難しいなどの理由から、こうしたビジョンを策定していない都市も昨今は出てきております。  札幌市では、ビジョンの必要性や有効活用のプランがあるからこそ策定しているものと思いますが、費用をかけて、皆さんも大変苦労して作成されているからには、それに見合った活用をしていくことが必要だというふうに考えます。  そこでまず、確認として質問しますが、何を目的に産業振興ビジョンを策定し、どう活用しようとされているのか、伺います。 ◎小野 産業振興部長  産業振興ビジョン策定の目的についてでございます。  産業振興の目指す姿を実現するために、その方向性を体系立てて示すとともに、市民、企業、行政が産業振興の方向性を共有することを目的としてビジョンを策定したものであります。活用につきましては、その目的に沿って広く市民、企業に周知するためのツールとしてビジョンを活用したいと考えております。 ◆中山真一 委員  今のご答弁では、市民、企業、行政が方向性を共有することを目的に策定しているということでした。そのお考えからしますと、進捗状況を市民や企業に明らかにしていくことが必要だというふうに考えます。ビジョンを十分に機能させるためにも、先ほども少しありましたが、進捗管理によって、いわゆるPDCAを効果的に回していくことが不可欠であると考えます。  進捗管理につきましては、毎年度の札幌市中小企業振興審議会や行政評価委員会なども活用して行っていくと伺っております。幾ら審議会などの進捗管理の仕組みがあっても、そこでの議論や評価を実のあるものにするためには、分析の材料や議論のベースとなる指標が欠かせません。  昨年度の本市行政評価委員会でも、この産業振興ビジョンが取り上げられておりました。  その中での吉見委員長のご発言をここで少し引用させていただきます。読み上げます。  普通に考えたら、成果指標を並べて、どれぐらい成果が上がっている、上がっていないということを一番言えそうな分野なのに、我々の行政評価の報告書は、そういうことが言えないような形で終わってしまいかねない、そうすると、むしろ、それをちゃんと言えるように指標をうまく定めてくださいというところから始めなければいけないかもしれない、これが吉見委員長の発言ですが、議事録の随所に委員の方々が評価に悩まれている様子が伝わってまいります。形だけではなく、本当に評価をしっかり検証しようとすると、これは当然感じる疑問であります。  今回新たに数値目標を設定されたことは大変評価させていただきたいと思いますが、数値目標を拝見すると、いずれも経済センサスが出典となっております。経済センサスは、二、三年に1度の調査のため、毎年度、進捗を管理できない目標となっております。これでは、PDCAを十分に機能させることは大変難しいのではないかというふうに危惧しております。  もちろん、指標に完璧なものはございませんが、毎年把握できる指標を用いることは可能であります。例えば、従業者数でいうと、他都市においては、総務省統計局の労働力調査などをもとに、毎年度、算出されております。加えて、時間軸だけではなくて横比較、例えば、他政令市との比較で、伸び率などを相対化して把握することも欠かせません。  先ほどもありましたが、経済の分野は、外部環境の動向に左右されるため、本市の施策単体での評価が大変難しいです。このビジョンの中のこれまでの取り組み状況の検証部分を拝見しても、先ほど宗形委員のお話にもありましたが、成果が出ています、増加しています、活性化が図られていますなどの言葉が並んでおります。しかし、果たしてこれがどのレベルなのか、判断することが難しいわけです。例えば、本市で10%伸びていても、他都市が30%伸びていたら、成果が出ているとは到底言えないわけです。そこで、ベンチマークとして、他政令市の伸び率と比較することで初めて本市の施策の評価、検証が可能になるというふうに思います。  昨年の経済委員会の視察で、北九州市にお邪魔させていただきました。その際、北九州市新成長戦略についてご説明いただきました。北九州市では、その進捗管理において、毎年度の雇用創出実績数を算出しておりまして、それを評価に活用されております。加えて、成果目標として、1人当たり市民所得というものが設定されておりますが、そこでは、政令市の平均を上回る増加率を確保しつつ、最終年度までに政令市の中位を目指すことを目標と明確にうたわれており、ほかの政令市をベンチマークとしております。  ちなみに、1人当たり市民所得というのは、公表されている15の政令市の中で北九州市は最下位であります。本市は下から2番目でありまして、14位です。  現地にお伺いしたときに印象的だったのは、担当者は1人当たり市民所得が最下位であるという北九州市の状況に大変危機感を持たれておりまして、この目標は、市民所得を上げるためにほかの政令市を上回る成果を出しますというコミットメントの形になっております。北九州市以外に、大阪市などでも詳細な統計指標を活用しております。  行政の取り組みについては、従来より、数値目標がなじまないのではないかという議論がなされておりました。しかしながら、社会の変化に対応して、行政も変わってきております。しかも、統計指標も日々進化してきております。厳しい財政状況の中、効果的・効率的に施策を推進していくため、他都市は問題意識を持って試行錯誤を始めております。他政令市にできて札幌市にできないということはないと思います。  そこで、伺いますが、数値目標については、進捗状況を毎年把握できるものとすること、加えて、その上で、他政令市との比較などのベンチマークの考え方を取り入れるなど、よりビジョンの活用に資するものとすべきだというふうに考えますけれども、ご所見を伺います。 ◎小野 産業振興部長  ビジョンの進行管理のための数値目標の設定についてでございます。  委員がご指摘のとおり、私どもも、毎年把握できる数値であることは望ましいと考えております。しかしながら、産業振興ビジョンの目的であります雇用の場の確保、創出、企業就業者の収入増加という二つの目標に沿う数値目標としては、毎年把握できるものではございませんが、今回、設定させていただきました市内従業者数市内企業の売上高の二つが市民、企業と最も共有しやすいものであるというふうに考えたところでございます。 ◆中山真一 委員  今も繰り返しのご説明をいただきましたが、このプランを活用していくために、今後は、しっかりとした、より役に立つ指標を設定していただくことをお願いしたいと思います。  次に、先ほどわたなべ委員からも部局連携についてのお話がありましたが、私からは、他部局との連携について、少し具体的にお伺いしたいと思います。  市政全般におきまして、これまでの縦割りではなく、各部局が連携協力していかなければ到底解決できない課題が山積しております。例えば、高齢者の社会参加や女性の就労については、経済観光局と高齢福祉部門や子ども・子育て部門との協力が欠かせません。人手不足の課題に対応するためには、教育委員会と連携して人材を育成していかなければなりません。  また、福祉、介護の分野では、地域の互助を支える民間の生活支援サービスの開発が喫緊の課題でございます。いずれも、現場のニーズや困り事は他部局がつかんでおり、市内企業の情報やネットワークは経済観光局が持っております。この需要と供給がうまく結びつけば、お互いにウイン・ウインの効果が生まれます。何よりも、市民の生活の向上に資するというふうに考えます。  我々議員は、日常的に全庁の各部門とやりとりをさせていただいております。その中で、この部門のこの課題とこの部門のこの取り組みが結びつけば課題解決につながるかもなと感じることが少なくありません。これまでも、庁内の各部門では一定の連携が行われてきたと思いますが、これまで以上に有機的な連携が必要であるというふうに考えます。  先ほども、連携を意識していきたいというご答弁がありました。しかしながら、言うはやすしで、一定程度の仕組みがないと、実効性のあるものにすることは大変難しいというふうに考えます。えてして、担当者同士の関係性や気質など、俗人的なものに左右されてしまうことにもなりかねません。ある程度、現場の担当者に近いレベルで、定期的に部門間でお互いの困り事を気軽に持ち寄れるような仕組みなどをつくっていくことが大変有効であるというふうに考えます。  そこで、最後に伺いますが、秋元市長は経済の活性化を最優先事項としております。今回のビジョン改定を機に、経済観光局がリーダーシップをとって、現場の担当者が困ったときに活用しやすい他部門との連携の仕組みを整備すべきと考えますが、その見解を伺いまして、最後の質問といたします。 ◎小野 産業振興部長  ビジョン策定後の庁内連携の仕組みについてでございます。  変化の激しい社会経済情勢の中、それに的確に対応した取り組みを行うためには、委員がご指摘のとおり、関係部局の職員と日ごろから情報交換をし、産業振興にも意識を向けてもらうことが重要であると考えております。  そのため、ご指摘があった点も含めて、今後、庁内連携のあり方について検討してまいりたいと考えております。 ○福田浩太郎 委員長  ほかに質疑はございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○福田浩太郎 委員長  なければ、質疑を終了いたします。  ここで、理事者交代のため、委員会を暫時休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午前11時35分       再 開 午前11時36分     ―――――――――――――― ○福田浩太郎 委員長  委員会を再開いたします。  最後に、第2次さっぽろ都市農業ビジョン(案)の策定についてを議題とし、資料に基づき、説明を受けます。 ◎長谷川 農政部長  お手元の右上に資料1と記されたA3判のカラーの資料に基づき、ご説明させていただきます。  最初に、(1)ビジョン改定の趣旨ですが、平成18年にさっぽろ都市農業ビジョンを策定してから10年が経過しております。この間、中核的担い手への農地の集積、さっぽろとれたてっこ認証取得など一定の成果を上げてきたところですが、新たなビジョンでは、生産現場が直面するさまざまな課題を踏まえ、都市にある有利性を生かした企業やNPOなど多様な担い手の育成、確保、地域や企業との連携による地域の実情に応じた農地の保全活用などの取り組みを進め、札幌の農業を持続的に発展させるための方向性を示すものとしております。  次に、(2)ビジョンの位置づけと計画期間ですが、札幌市まちづくり戦略ビジョンを上位計画とし、国や道の計画、農業センサスの実施年次を踏まえ、平成28年を初年度とする今後10年間の本市農業を展望した農業分野における基本的な取り組みの方向性を示す計画として位置づけております。  次に、ページの右側に移りまして、(3)札幌市の農業の概要です。  本市の農業は、地形、地質などの立地環境に合わせた多種多様な農業が展開されており、代表的な作物としては、タマネギ、レタス、ホウレンソウ、コマツナなどが挙げられます。農業就業人口は、平成27年には932人と10年前から約4割の減少、65歳以上が占める割合も6割近くとなっております。経営耕地面積ですが、平成27年には1,698ヘクタールで、10年前から約3割の減少、平均耕地面積も2ヘクタールで推移し、経営の規模の拡大が進まず、農業振興による産地形成の維持は非常に難しくなってきております。  次に、(4)農政改革などの動きです。  国は、ここ2年間で都市農業振興基本法の制定、農地法及び農業委員会法の改正を進め、国主導の農政改革を振興するとともに、TPP協定発効に伴う関連政策を打ち出し、攻めの農業への転換、成長産業化を促進しているところです。  続いて、裏面をごらんください。  次に、第2章 札幌市の農業の現状と課題でございます。  一つ目として、ページの左半分の担い手と農地のうち、まずは(1)中核的な担い手の経営力強化ですが、札幌市が中核的な担い手として認定登録している農家、これは農業所得が480万円以上の農家を差しますが、そういった農家は伸び悩み傾向にあり、経営の多角化や付加価値向上などのサポートにより、経営力強化を進めていく必要があります。  また、農地の流動化については、農地の出し手は売買を希望、受け手は貸借を希望するというミスマッチが生じておりまして、今後は、このギャップを埋める手だてとして、農地中間管理事業、これはいわゆる農地集積バンクと言われるものですが、そういった事業の活用や、きめ細やかな農地利用調整により、担い手への農地の集積、集約を推進していく必要があります。  次に、(2)多様な担い手の育成・確保ですが、兼業農家は10年間で半数以下に減少し、販売金額が300万円未満の小規模農家が約7割を占めていることから、農業経営継続のため、農作業の受委託や援農など、農家をサポートする仕組みを充実させる必要があります。また、新規就農も5年間平均で年当たり4戸程度と必ずしも進んでいないことから、就農後の早期定着を確実なものとするため、栽培技術の指導や販路確保などのサポートを充実させていくことが重要と考えております。一方で、企業の農業参入要件が緩和されたことにより、食関連、福祉関連企業の参入や相談がふえてきていることから、適正な農業参入を推進していくことが求められております。  次に、(3)遊休農地の有効利用ですが、農家の高齢化や後継者不在による農地の遊休化が進んでおりまして、担い手への農地の集積、集約はもちろんですけれども、一方で、農家設置の市民農園が高い利用率となっていることから、都市ならではのニーズに応えていくことも重要となっております。  次に、ページの右側に移りまして、農業生産振興です。  まず、(1)札幌産農産物ブランド力強化ですが、都市における有利性を生かし、4割を超える農家が何らかの形で消費者に直接販売を行っております。一方で、札幌産の農産物を購入している市民は約半数にとどまっており、どこでどのように販売されているのかわからないというのが市民の実感のようでございます。  消費者が求める安全・安心な農産物を生産、提供する農家をふやし、市民に札幌産とわかる形での販売を推進していくことが重要となっております。  次に、(2)地域の実情に合った農業の推進ですが、農業の概要でも述べたとおり、札幌は、多種多様な農産物が生産されていることから、地域の実情に応じた農業経営や農地利用を展開する必要があります。  次に、右下の市民の農業への理解です。  市民アンケートでは、7割の市民が何らかの形で農業にかかわりたいとの意向を示しておりますが、市民の農業体験数は余り増加していないことから、身近な地域での農業体験機会の提供が重要と考えております。  これらのことを踏まえまして、資料3ページ目に移りますが、左側半分の第3章 第2次さっぽろ都市農業ビジョンの方向と施策の展開でございます。  まず、基本理念ですが、きめ細やかな担い手の育成、安全・安心な生産、供給体制、多様な農業振興などを推進し、地域、市民とともに育む札幌農業を基本理念として、その目標は札幌産農産物を購入している市民の割合を平成37年までに80%にすることといたしました。  次の基本的な方向、取り組みの方針は、先ほどのページで触れました三つの課題に対応する形で整理しております。  基本的な方向の一つ目として、意欲ある多様な担い手が輝く札幌農業とし、中核的な担い手の経営強化、小規模経営農業者の持続的営農の確保、新規就農者の育成、確保、企業や団体など多様な担い手の農業参入の促進、女性農業者や高齢農業者が活躍できる環境づくりなどに取り組むこととしております。達成目標としては、意欲ある多様な担い手の農業地利用面積を平成37年までに80%に引き上げることとしております。  二つ目の基本的な方向としては、市民に信頼される持続可能な札幌農業とし、札幌黄などの伝統野菜を初め、特色ある農産物の生産振興、安全・安心向上の取り組みや環境保全型農業の推進、地産地消による流通拡大支援の取り組み、達成目標としては、農協組合員である販売農家について、さっぽろとれたてっこ認証取得農家を平成37年までに100%にすることとしております。  三つ目の基本的な方向としては、市民の農ある暮らしにつながる札幌農業とし、市民の農的体験活動の推進や市民と農業者の交流機会の創出、農業者、関係機関、消費者の相互理解の促進に取り組み、達成目標として、農業に関心のある市民の割合を平成37年までに80%にすることとしております。  次に、ページの右側に移りまして、第4章では、ビジョンの推進に当たっての体制と各主体の役割、市民意見の反映、PDCAサイクルに基づく進行管理を整えるとともに、取り組みの方針及び施策の具体化に向けたアクションプランを定め、取り組みスケジュールの目安として盛り込んでおります。 ○福田浩太郎 委員長  それでは、質疑を行います。 ◆よこやま峰子 委員  私は、新たなビジョンに示された農業経営の安定強化について質問させていただきます。  ご説明にもありましたが、平成27年札幌市の農業就業人口、販売農家は932人で、10年前の平成17年と比べて約4割の減少となっております。しかも、平成27年の就業者の平均年齢は64.3歳と、平成17年と比較して2.7歳も上昇、高齢化が進んでおります。平成27年の就業者の65歳以上が占める割合は、約6割となっています。また、経営耕地面積においても、平成27年は1,698ヘクタールで、平成17年と比較して約3割減少しております。  このように、現在のビジョンにも農業就業人口、経営耕地面積ともに減少に歯どめがかからないと書かれておりましたように、最近のデータからも、既存農家の現状は、担い手、経営耕地面積ともに、相変わらず減少傾向が続いていることがわかります。  また、農業経営のかなめとなる農産物販売の状況を見ますと、道外への移出が主体と言われる札幌の主要農産物であるタマネギやホウレンソウなどは、今後も札幌の農業の縮小が続きますと、産地として物流の確保が難しい状況となり、移出による有利販売も厳しくなると思われます。  一方、新たな担い手として農業に参画する新規就農者においては、その多くが小規模で特徴ある、いわゆるこだわりのある農業を営んでおり、既存農家のような市場評価が得られにくいため、安定した経営につながるような販路の確保に苦慮していると聞いております。  このように、生産現場が抱える販売上の課題を見ますと、市場流通販売を主体とする既存農業者と新規就農者とでは置かれている状況が違うので、それぞれの経営安定化のために何が必要であるかを検討し、それぞれのサポートの仕方を分けて考えるべきではないかと思います。私は、今回のビジョンでは、そのあたりが非常に画一的であると感じました。  そこで、質問ですが、既存農業者及び新規就農者の経営安定化のため、販路対策について今後どのような対策をとって取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。 ◎長谷川 農政部長  経営安定化のための販路対策についてでございます。  現在のビジョンと同様、地産地消を基本としながら、既存農業者だけではなく、新規農業者も参加できるようなさまざまな販路確保を推進していきたいと考えております。
     主な販路対策としては、食育の推進にも非常に効果の高い市内学校給食での利用拡大、市内小売店、スーパーなど取扱店の拡大、さらには、市内飲食店などでの取り扱いの拡大を進めていきたいと考えております。  特に、新規就農者の販路対策につきましては、生産者がそのこだわりを消費者に直接説明し、知っていただくことができるような対面販売が最も効果的な販売につながることから、各地域で行われております直売所への出店や都心でのマルシェの開催など、多くの市民が集う会場で消費者に直接対面販売できる場を今後もふやしていきたいと考えております。  また、直接販売の負担軽減と販売PRの一助として、野菜ソムリエあるいは管理栄養士を目指す学生などと連携して、SNSを活用し、生産者にかわって農産物の情報や調理方法などを購入者にわかりやすくするような取り組み、あるいは、こだわり品を求める地域の小売店や飲食店などとのマッチングの取り組みを進めていきたいと考えております。 ◆よこやま峰子 委員  新しいビジョンでも地産地消を基本にするということですが、アンケート調査によりますと、市民が札幌産の農産物とわかって購入している割合が5割程度ということで、現在のビジョンによる施策では必ずしも成果が上がっているとは思えません。札幌産の農産物の付加価値をもっと高めながら、一目見て札幌産とわかるような流通、販売の取り組みを進めて、市民に積極的に購入してもらえるよう、地産地消を強化すべきと考えます。  地産地消というのは、その土地でとれたものをその土地で消費していくということでありますが、私は、地域の人が地元のものを食べて元気になるだけではなくて、地域でとれたものを地域で活用することによって地域も元気になる、消費だけではなく、活用まで考えることが重要ではないかと思います。  そこで、質問です。  今回の新たなビジョンにおいても地産地消を基本にするということですが、どのような取り組みをして地産地消を促進させ、ひいては農業の活性化、言いかえると農家の経営の安定につなげていかれるのか、お伺いいたします。 ◎長谷川 農政部長  地産地消の促進についてでございます。  まずは、食の安全・安心の観点から、有機物の導入による土づくりや、減農薬、減化学肥料での栽培など、一定の基準を満たす農業者を認証し、生産された農産物をさっぽろとれたてっこと表示して販売する地産地消の取り組みを推進してまいります。  新たなビジョンでは、関係機関との連携のもと、さっぽろとれたてっこ認証取得農家の割合を100%にすることを目標としております。これにより、PRや販売促進資材などの統一を図ることができますので、これまで以上に地産地消による販売が促進されていくものと考えております。  さらには、多品目の農産物を効率的かつ効果的に取扱店に届けられるような流通の仕組みづくりにつきまして、今後、調査検討を進め、実証化していきたいというふうに考えております。  また、札幌黄タマネギや札幌大球キャベツ、サッポロミドリというエダマメなど、札幌の伝統野菜、あるいは地域の特産農産物を活用して、地域のイベント、飲食店等での食材の取り扱いをふやしていきたいと考えております。  これらの取り組みを通じて、農業や地域の活性化にも寄与しながら、農家の収入安定に結びつけていきたいと考えております。 ◆よこやま峰子 委員  私は、今回のビジョンから、農家の減少に歯どめをかけるためには、農家の多様な担い手の育成と確保、そして農家の経営安定化の二つが重要ではないかというふうに改めて認識いたしました。  私は、今回、その一つである農家の経営安定の課題について質問させていただいておりますので、経営安定へとつながる販路対策が非常に大事だと思います。その対策を早急に打つべきと考えております。  新しいビジョンでは、基本理念の目標値として、札幌産農産物を購入している市民の割合を80%に引き上げるとありましたが、その目標達成に向け、札幌産の農産物の魅力やブランド力を高めるとともに、農家の経営規模や形態に合った販路対策を講じていただきたいと思います。  また、今後のビジョンの進行管理に当たっては、PDCAサイクルに基づいて、毎年度、施策実施の成果を確認するため、さっぽろ都市農業ビジョン推進会議を立ち上げて点検評価を行うということですので、しっかりと施策の推進や改善に反映していただき、農家の減少に歯どめをかけていただくことを期待し、私の質問を終わります。 ◆わたなべ泰行 委員  私からは、多様な農業の担い手の育成、確保と、地区ごとの農業の個性を生かした多様な取り組みの推進の2点についてお伺いします。  現在のビジョンでは、農地の流動化の推進や札幌ブランドの農産物、加工品の育成、食の教育や農業体験会の充実など一定の成果を上げてきたということですが、この10年間で農業の就業人口は約4割の減少、経営耕地面積も約3割の減少ということで、札幌の農業は縮小の一途をたどっておりまして、農地の遊休化も進んでおります。農業就業者の約6割が65歳以上と高齢化も進んでおりますので、農家の後継者の就農が進んでいない中で、離農による経営規模の縮小、新たな農地の荒廃が危惧されております。  そこで、質問です。  中核的な担い手である既存の農業者の経営強化を図っていくことはもちろんですが、新たな担い手の育成、確保も重要なので、新たなビジョンでは多様な担い手の育成、確保に取り組むとしていますけれども、新規の農業参入をどのように進めていくおつもりなのか、伺います。 ◎長谷川 農政部長  多様な担い手の育成、確保に向けた取り組みでございます。  新規の農業参入につきましては、新規就農者に加え、企業の参入、市民や団体による小規模営農などを想定しております。  まず、新規就農者につきましては、国の青年収納給付金、農業機械施設の導入補助といった財政的支援を活用するとともに、経営研修の実施、労働力の確保、作業機械の共同利用など、関係機関や既存農家とも連携した就農サポートを行い、早期営農定着に向けた取り組みを推進していく考えでございます。  また、企業の農業参入につきましては、近年の要件緩和を受けて、特に相談の多い食関連、福祉関連の企業を中心に、地域との連携、調和を図りながら、適正な参入を推進していく考えでございます。  さらに、農業をなりわいとしていくわけではありませんが、農業への関心が高く、みずから栽培した農産物を販売したいという市民や団体による小規模営農が今後も期待されることから、一定規模未満の小規模な担い手を育成していく仕組みづくりを行い、市民による農業参画の裾野を広げていきたいと考えております。 ◆わたなべ泰行 委員  続きまして、地区ごとの農業の個性を生かした多様な取り組みの推進についてです。  確かに、札幌市の農業は、手稲区、北区、東区、南区といろいろありまして、農業の展開が地域によってそれぞれ違うのだなと感じております。それから、私が住む南区では、中山間地区の果樹を中心にして、野菜や花卉、米、養豚、養鶏など、周囲の豊かな自然環境と一体となった多様な農業が展開されています。一方では、単に食料の供給ということだけではなくて、地域の資源の付加価値を高めるという役割も担っております。  北海道のルートとして位置づけられております札幌シーニックバイウェイ藻岩山麓・定山渓ルートでは、簾舞から豊滝を経て砥山へと連なる農村景観はすばらしくて、貴重な観光資源ともなっております。しかしながら、南区の農家の多くが小規模な農業を営んでおり、高齢化が進む中で、農地の荒廃により、このような貴重な景観が失われることも危惧されております。  そこで、質問ですが、地区ごとの農業の個性を生かした多様な取り組みの推進の一つの例として南区ではどのように取り組んでいくつもりか、お伺いいたします。 ◎長谷川 農政部長  南区における地区ごとの農業の個性を生かした多様な取り組みの推進についてでございます。  委員のお話にもございましたとおり、南区では、自然と農業が共存したすばらしい景観を有しておりまして、これらの特徴を生かしながら、さまざまな取り組みが行われているところでございます。例えば、ことしオープンした小金湯さくらの森、あるいは、豊滝の旧道路情報館といった場所を使って地元農業者によるマルシェが開催されておりますほか、簾舞通行屋まつりといった地域のイベントでも農産物の販売が行われているところでございます。  今後も、こうした地域のイベントでの農産物の販売に加え、南区ならではの観光果樹園、体験農園の普及、PRに努め、地域の農業者と関係機関、団体、市民が連携した取り組みを推進していくとともに、南区産の果樹を使ったスイーツの開発、販売など、地域の飲食店等における地元農産物の活用や、農家が開設する直売所、加工販売施設といった農業交流の場の導入を推進していきたいと考えております。 ◆わたなべ泰行 委員  今、南区のことをお伺いさせていただきましたが、他区でも地域の特性を生かした取り組みを行っております。また、今、修学旅行でも体験農業が大変はやっていたりしますので、もっと広く経済効果が上がるような取り組みをお願いしたいと思います。 ○福田浩太郎 委員長  ほかに質疑はございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○福田浩太郎 委員長  なければ、質疑を終了いたします。  以上で、委員会を閉会いたします。     ――――――――――――――       閉 会 午後0時14分...