委 員 坂 本 恭 子 委 員 伊 藤 理智子
委 員 小 倉 菜穂子 委 員 石 川 佐和子
委 員 堀 川 素 人 委 員 木 村 彰 男
――
――――――――――――――――――――――――――――――――
開 議 午後1時
○山田一仁 委員長 ただいまから、第一部
決算特別委員会を開会いたします。
報告事項でありますが、勝木委員からは遅参する旨、また、よこやま委員からは小須田委員と、伴委員からは北村委員と交代する旨、それぞれ届け出がございました。
それでは、議事に入ります。
最初に、第8款 消防費 第1項 消防費の質疑を行います。
◆中村たけし 委員 私からは、一つ目が
ジュニア防火防災スクールと
市民防災センターの活用、二つ目が
カセットボンベの爆発事故関連、そして、三つ目が
原子力発電所災害に対する本市の対応ということで、大きく三つのテーマについて質問させていただきます。
最初に、
ジュニア防火防災スクールと
市民防災センターの活用についてお伺いしたいと思います。
少子高齢化が確実に進んでいる状況にございます。先日、総務省が発表した人口推計によりますと、我が国の65歳以上の高齢者は、初めて3,000万人を突破しまして、3,074万人という数になっています。総人口に占める割合が24.1%で、今、約4人に1人がお年寄りというまさに超高齢社会になっている状況がございます。札幌市におきましても、昨年の10月1日現在、高齢化率は20.7%という状況にあり、今後、急速な勢いで高齢化が進むことは既に指摘されているとおりでございます。このような状況の中で、火災等の災害が発生した場合、最も被害に遭う危険性が高いのが高齢者や障がいのある方ですので、地域としてどのように支えていくのかということが、今、喫緊の課題になっているわけでございます。
本市では、現在、災害時に自力では避難できない高齢者や障がいのある方など、災害時要援護者への支援ということで、地域が主体となって実施する災害時要
援護者避難支援対策を積極的に進めているところでございます。地域全体で災害弱者を支えるというすばらしい取り組みでありますけれども、日常生活で、ふだん、実際に地域にいる方はだれかということを考えた場合、助ける方も助けられる方も高齢者という状況にあるわけで、大変笑えない状況にございます。そういった意味で、消防局が、ふだん、地域にいる中学生を対象に、より実践を意識した体験型の
ジュニア防火防災スクールを行い、災害に直面したときに、みずからの安全を確保する能力、みずからの生きる力と大人と同等の対応能力、大人を支援できる力を高めて地域における防災の担い手の育成を目指すということは、まことに時宜を得た取り組みであると感じています。
そこで、質問ですが、消防局では、第3次札幌新
まちづくり計画において、災害時における
活動支援教育事業の到達目標として、最終の平成26年度、2014年度において、この活動支援教育を受けた中学生の数を8,000名にするという目標を掲げておりますが、今年度において、どのような取り組みを行って、どのような実施状況になっているのか、また、今年度、実施した中学校からの主な意見はどうだったのかということをお伺いします。
それから、2点目として、中学生の
市民防災センターの利用状況についてお伺いします。
このスクールで
市民防災センターを活用することは大変重要だと考えております。消防局では、幼児を対象とする
幼年消防クラブ、小学校1年生から中学生までの児童生徒を対象とする
少年消防クラブ、小学校4年生の社会科の授業を活用した「教えて!ファイヤーマン」など、それぞれ授業を通じて各種防災を模擬体験できる施設として
市民防災センターを積極的にPRしているわけでございまして、その結果、昨年6月には、平成15年3月のオープン以来、来館者が50万人を突破したとお伺いしています。
そこで、2点目の質問ですが、消防局では、中学生に対する体験型の
防火防災教育に力を入れているわけでございますが、実際に中学生がどのくらい
市民防災センターを利用しているのか、2点お伺いします。
◎上田 予防部長 まず、
ジュニア防火防災スクールの今年度の取り組み状況についてでございますが、今年度は、避難訓練に合わせた煙道体験、防災講話や授業時間を利用した救命講習など、9月末現在、30校、1万2,880人に対して実施しております。
なお、教育の成果として、本年6月に市内の河川敷で枯れ草が燃える火災が発生した際、
ジュニア防火防災スクールを受講しました中学生が、他の住民と協力し、初期消火を実施しております。
今年度に実施しました中学校のうち、一部の学校からアンケートをとったところ、ほぼすべての生徒が、また防火防災の授業を受けてみたいと回答しているほか、いろいろな火災の実験はとても見ごたえがあり、火の怖さを知った、地震がとても恐ろしいものであることが理解できたなどの意見を聴取いたしました。
2点目の中学生の
市民防災センターの利用状況につきましては、平成23年度の実績は1,846人の中学生が来館しております。また、平成24年度は、9月末現在で2,072人が来館している状況でございます。
◆中村たけし 委員 ただいまの答弁で、今年度の取り組み状況、実施状況、
市民防災センターの中学生の利用の状況についてはわかりました。30校、1万2,800名余りの生徒に
ジュニア防火防災スクールを行っていて、初期消火の取り組みなど、大変重要な取り組みであると感じています。また、
市民防災センターを利用している人数は、平成24年度、今年度の2012年度では2,072名の中学生が来館している状況です。
今ほどの答弁にもありましたが、
ジュニア防火防災スクールを受けた中学生の意見を聞いた限りでは、防火防災の授業をもう一回受けてみたいとか、実際に体験してみて災害の恐ろしさを実感したという意見があったということでした。ただ、これは否定的な意見ではないのですが、今、聞いた感じでは、どうも受け身的な意見であるというふうに感じます。言ってみれば、人ごとで、自分は関係ないのだけれども、怖いという感じで、そういう面ではいささか不安を感じます。
こういうお話を聞きますと、昨年の東日本大震災における釜石において、釜石の奇跡と言われておりますが、釜石市内では津波で1,000名を超える死者、行方不明者を出している中で、市内の小・中学校14校では児童生徒3,000名がほぼ全員無事だったということでございました。多くの中学生たちが、先頭を切って小学生を誘導して避難を助け、地域の介護施設のお年寄りたちに手をかし、地域の住民を巻き込んで避難して災害を最小限に抑えることができたということでございました。かけがえのない命を救ったのは、日ごろの防災教育のたまものであったのではないかなというふうに感じております。
そこで、質問ですけれども、
ジュニア防火防災スクールを受けた中学生の意見として、ほとんど受け身的で他人ごとであるという感じを受けるという実態を踏まえて、生徒たちに主体的な行動をさせるために、消防局として、今後、
ジュニア防火防災スクールを通じてどのように取り組んでいくのか、お伺いします。
また、
市民防災センターは、各種災害の模擬体験を通じて、防火防災に関する知識や災害時の行動を学ぶことができるという目的を持って、地震体験、消火体験、煙避難体験など五つの
疑似体験コーナーが設けられておりますが、第3次札幌新
まちづくり計画においては、
リニューアル事業で、来年3月までに
地震体験コーナーの更新並びに暴風3
D体験コーナー及び
災害バーチャルコーナーが新たに設けられるとお伺いしております。まさに、ここに来ればいろいろな災害体験を学ぶことができるということで、大変有意義な施設だと感じています。
でも、先ほどの答弁によりますと、中学生の利用者数が平成24年では2,072名ということで、全体の数からすると低いという感じを持たざるを得ないところです。今後、中学生に対する体験型の
防火防災教育を進める上で、この
市民防災センターをぜひ積極的に活用すべきであるというふうに考えています。
そこで、2点目の質問ですが、消防局では、中学生に対する
防火防災教育を進める上で、
市民防災センターをどのように活用していくお考えなのか、お伺いします。
◎上田 予防部長 まず、生徒に主体的な行動をさせるための今後におけます取り組み状況についてでございます。
最も教育を施さなければならない防災意識の低い人たちに防災意識を醸成することは、一朝一夕にできるものではないと認識しております。よって、時間をかけた粘り強い意識改革が必要と考えております。今年度は、3月までに、火災や大規模地震などの災害時において、中学生が主体的に行動し、地域の一員としての役割を認識させることを内容としたDVDを作成いたします。本DVDでは、中学生の意見を踏まえながら、災害発生時には、マニュアル的に対応するのではなく、困難を乗り越える力、その中で弱い者への配慮ができる心を醸成できるものといたします。
アンケート結果では、参加したほぼすべての生徒が防災に対する関心を抱いたものと認識しておりますので、例えば、火災警報機が鳴ったときには状況を確認するとか、緊急地震速報が発表されたときには自分の身の安全を確保するなど、主体性を持った行動ができるよう、
ジュニア防火防災スクールを通じて継続的に指導してまいります。また、より効果的な子どもに対する
防火防災教育の手法等について、教育委員会や
危機管理対策室とも連携しながら検討してまいります。
次の質問の
市民防災センターの活用方策についてでございます。
来年3月には、
市民防災センターがリニューアルされ、より実災害に近い体験ができる装置が設けられることから、この機会を利用して
ジュニア防火防災スクール等において積極的に来館を呼びかけます。また、
少年消防クラブの
中学生クラブ員に対する研修を
市民防災センターで実施するなど、広く周知を図ってまいります。
◆中村たけし 委員 こういった防災教育で危機感を高めるということは、今ほどの答弁でもありましたように、一朝一夕にはできない取り組みでございますから、こういった取り組みを継続的に進めていくことが何よりも必要です。そして、DVDの作成、また、
市民防災センターでも研修を行うなど、そういった効果的な取り組みが必要であるというふうに考えています。
10年後、20年後は今の中学生たちが社会の主軸として活躍する札幌市になりますから、将来、防災意識の高い札幌市民として活躍できるような取り組みを今後も継続的に行っていただきたいと申し上げ、この点についての質問を終わりたいと思います。
続いて、
カセットガスボンベの爆発に関連して、何点かお伺いします。
先月、9月11日に札幌市の中央区で、
元祖ラーメン横丁において
カセットガスボンベが爆発して、店内にいた従業員や来店客、合わせて6名が負傷するという大変な事故がございました。そして、その10日後の9月21日には、白石区の居酒屋においても同様の事故が発生して、そこで働いていた方3名が負傷するという事故が起こっています。こうした事故は、札幌市に限ったことではなく、ことしの1月には神戸市内の飲食店において発生し、このときには8名の方が負傷されています。これらの爆発事故に共通するのは、多くの負傷者が発生しているという点でございまして、手軽に使える
カセットガスボンベでありますが、誤った取り扱いをするとこのように多くの負傷者が出て、取り返しのつかない事故が起こることにつながります。
今回の中央区の爆発事故について、使用中のコンロの近くに
カセットガスボンベを置いてしまって、それが熱を持って爆発したことが原因でございまして、白石区の爆発事故については、
カセットガスコンロを乗せた状態で、業務用のグリルを使用してしまったことが原因であるというふうにお聞きしています。いずれも、ついうっかりそこに置いてしまったということで、人為的なミスによってこういった事故が発生している状況にございます。こうした事故は、飲食店に限らず、今は
カセットガスコンロが大変普及している状況にありますから、一般の家庭でも日常的に起こり得る事故だというふうに感じています。
北海道はこれから寒い季節になりますから、なべのおいしい季節が到来いたしますから、ご自宅で
カセットコンロを用いたときにこういった事故が起こる危険性も予想されます。このため、本格的なシーズンを迎える前に、誤った取り扱いによる
カセットガスボンベの危険性について、いま一度、認識を新たにしていかなければいけないというふうに感じています。
そこで、1点目の質問ですが、今回と同様、コンロの火による加熱などによって
カセットガスボンベが爆発した事故は、過去10年間に何件発生して、何人負傷しているのか、1点目にお伺いします。
また、今回の相次ぐ爆発事故のうちの一つは、札幌市の観光の看板と言うべき
元祖ラーメン横丁で発生していますが、観光客に対する信頼回復という意味においても消防局として何らかの対策が必要だと考えます。
そこで、2点目の質問ですが、今回の事故を受けて、消防局ではどのような対応を行っているのか、お伺いします。
◎上田 予防部長 1点目の
カセットガスボンベの爆発事故の発生状況についてでございますが、平成14年から平成23年までの過去10年間に、コンロ火の加熱等により
カセットガスボンベが爆発した事故は23件発生し、負傷者は9人となっております。
2点目の事後の消防局の対応については、
元祖ラーメン横丁、新ラーメン横丁の計21店舗を対象に緊急の立入検査を実施し、火気取り扱いについて不備のありました1軒に対して改善指導をいたしました。そのほか、消防局のホームページや報道機関を通じまして広く注意を呼びかけたところでございます。
◆中村たけし 委員 ただいまの答弁によりますと、過去10年間で23件、そして、9名の方が負傷されている状況にあるということで、結構あるなと感じていまして、改めてその危険性を認識したわけでございます。それから、事故後の対応として、緊急の立入検査など、消防局では速やかに対応されたようでございますが、先ほど申し上げましたとおり、これから
カセットガスボンベの使用機会がふえてきますので、さらにこの危険性についての周知の呼びかけを行っていただきたいというふうに思います。
カセットガスボンベの危険性は今ほどの質疑で明らかになったと思いますが、
カセットガスボンベと同じく、引火性のガスが入っている
スプレー缶等が
ごみ収集車火災の原因になっているということで、平成23年度の
予算特別委員会において、我が会派のしのだ委員からスプレー缶に関して質問しました。
スプレー缶等のごみを出す際に、穴あけによる引火事故が発生するというふうに聞いているわけでございます。
1点目の質問ですが、昨年までの過去10年間において、
スプレー缶等のごみ出し時の穴あけによる引火事故は何件発生しているのか、お伺いします。
また、昨年3月から、北消防署において、
ごみ収集車火災の防止と
スプレー缶等を安全・安心にごみ出ししていただくことを目的にして、穴をあけないでスプレー缶などを引き取る取り組みを始めたということで、さきの
予算特別委員会において、この取り組みを全市の消防署に広げるようにしのだ委員から要望いたしまして、昨年7月からは全市の消防署で要望のとおり行っているというふうにお聞きしています。
そこで、2点目の質問ですけれども、昨年7月から1年間における
スプレー缶等の引き取り本数と、その取り組みによる効果として、
ごみ収集車火災とごみ出し時の穴あけによる引火事故の発生状況がどのように推移したのか、お伺いします。
◎上田 予防部長 まず、1点目のご質問の事故の発生状況でございますが、平成14年から平成23年までの過去10年間におきまして、
スプレー缶等のごみ出し時の穴あけによる引火事故は16件発生しております。
2点目の質問の消防署での
スプレー缶等の引き取りの実施状況についてでございますが、取り組みがスタートした昨年7月からことし6月末までの1年間に、消防署で引き取った本数は2万828本となっております。
取り組みの効果といたしまして、平成23年のごみ収集車の火災は58件で、取り組み前の平成22年と比較いたしまして30件、約3割減少、平成24年は、9月末現在、39件で、前年同月比2件の減少となっております。ごみ出し時の穴あけによる引火事故は、平成22年が4件、平成23年4件、平成24年が9月末現在で4件となっており、取り組み前と比較しても減少していない状況でございます。
◆中村たけし 委員 ただいまの答弁によりますと、過去10年間のごみ出し時の
穴あけ引火事故は16件起こっているということで、平均すると1件ないし2件でございますけれども、今ほどありましたように、ここ数年では毎年4件程度発生していて、減っていないということは大変残念であります。
穴をあけずにスプレー缶を引き取るという取り組みですが、昨年7月から1年間の引き取り件数は約2万本という答弁でありました。札幌市の世帯数が約91万世帯だとすると、2万本というのはやや少な目な印象を受けます。この取り組みとして、ごみ収集車の火災が取り組み前と比較して3割減少していますので、成果としては上がっておりますけれども、回収本数としてはやや少ないというふうに感じています。そして、ごみ出し時の穴あけの引火事故が減っていないということですから、やはり、穴をあけずに引き取る取り組みをさらに進めていかなければいけないというふうに感じています。
そこで、穴をあけずにスプレー缶を引き取る取り組みの拡大についてどのように考えているのか、1点お伺いします。
また、ごみ出し時の穴あけによる引火事故に限らず、
スプレー缶等の引火事故全般に言えることでございますが、見ると小さなスプレー缶ですけれども、引火すると大きな爆発を引き起こすという認識が一般の人にはなかなか伝わっていないのかなというふうに感じているところでございます。この小さなものが爆発するとすごい威力を持って事故を起こしてしまう、この危険性を認識してもらうためには、視覚に訴えることが必要になってくると思います。例えば、スプレー缶が爆発して、どかんと建物が壊れるような再現映像をつくり、そういったものを活用して消防局のホームページなどにアップロードすれば、大変効果があるのではないかなというふうに考えています。
そこで、2点目の質問ですが、
スプレー缶等の引火事故に関して、再現映像を使った広報についてどのように取り組むおつもりなのか、お伺いします。
◎上田 予防部長 1点目の穴をあけずに
スプレー缶等を引き取る取り組みの拡大についてでございますが、札幌市内には52カ所の消防署、出張所がございまして、消防署、出張所のみでは引き取り量をふやすのには限界がございます。市民の皆様の利便性からも、引き取り拠点をふやす方法等について、環境局等の関係部局と協議してまいりたいと考えております。
次の質問の再現映像を使った広報については、効果があるものと考えております。今後、再現可能な方法を精査の上、映像づくりを進めていき、
消防局ホームページへの公開や報道機関への提供等により広報してまいります。
◆中村たけし 委員 ごみ出し時の穴あけによる引火事故は、ここ数年、年間4件という数字が続いていて、件数としては少ないのかもしれませんけれども、一つの事故の重大性を考えますと軽視してはいけない事故だというふうに考えています。ごみ出し時の穴あけによる引火事故は、穴をあけずにごみ出しできる環境が整えば、その心配も要らなくなるわけでありますから、
スプレー缶等の引き取り拠点の増加とか、よりよい回収ルールなど、この点につきましては、環境局等の関係部局と連携して進めなければいけない問題でありますから、今後、連携を図って、この拡大について検討を進めていただきたいというふうに考えています。
また、再現映像につきましては、作成を検討するという答弁がありましたけれども、ぜひ、よりよい映像をつくっていただきたい。そして、例えば、前段で質問しましたが、
ジュニア防火防災スクールでその映像を中学生に見せるとか、また、各まちセンなどの出前講座などの場でも見ていただくと効果があるのではないかなというふうに考えますので、より強化した取り組みを行っていただくことを要望しまして、この点についての質問はこれで終わります。
次に、
原子力発電所災害に対する本市の対応についてお伺いします。
未曾有の被害をもたらした東日本大震災ですけれども、その発生から1年と7カ月余りが経過したところでございます。今なお、被災地では復旧に向けて全力で取り組まれていて、これから本格的な復興が望まれるところであります。
このような中、国においては、本年9月に環境省の外局として
原子力規制委員会が発足したほか、関係省庁が連携して一体となった防災活動が行われるよう、必要な活動要領である
原子力災害対策マニュアルの見直しに着手しているところでございます。また、北海道におきましても、地域防災計画の見直しや新たな協定の締結など、今、
原子力防災対策の抜本的な見直しが行われている状況にございます。
昨年の
決算特別委員会において、我が会派の小川委員が、
原子力発電所災害に対する消防局の取り組み状況について質問して、その対策について十分に取り組んでいただきたい旨の要望をしました。消防局においては、当時の取り組みに加えて、その後においてもさまざまな協議、検討が進められてきたというふうにお聞きしております。
北海道内で唯一の
原子力発電所泊発電所において、万が一、災害が発生した場合には、原子力事業所が主体となって対策を講じるべきものと認識しているところでありますが、被災市町村からの多数の避難者の受け入れが予想されるなど、本市も大きな影響を受ける可能性がございまして、消防機関として対応していかなければいけない活動事象も想定されるところでありますから、十分な安全対策を講じた上で、より迅速な対応が求められるわけでございます。
そこで、質問ですが、泊発電所において災害が発生した場合に、通報、連絡を含めた初動時の態勢をどのように講じられているのか、お伺いします。
また、消防局では、福島第一原子力発電所における災害を受けて、原子力災害消防活動調査・研究専門委員会を設置して、発電所が所在する双葉町地区の消防本部を初め、多数の避難住民の対応に当たられた郡山市の消防本部の現地調査、さらには、泊発電所を管轄する消防本部との情報交換や周辺施設の調査を行うなど、独自に調査研究を行ってきたというふうにお伺いしております。
ここで、2点目の質問ですが、これらの調査研究を踏まえて、北海道内において
原子力発電所災害が発生した場合に備えて、消防局としてどのような取り組みを行っているのか、お伺いします。
◎佐藤 警防部長 泊
原子力発電所災害時における通報、連絡を含めました初動体制についてでございます。
消防局では、総務省消防庁から無償貸与により本市に配備をされております、放射線災害などに対応するための特殊な車両を迅速に派遣できるようにするための計画につきまして、北海道内消防本部と協議を進めてきたところであります。協議の結果、泊発電所で有事が発生した際には、地元を管轄する消防本部から、道消防本部が把握する災害の内容につきまして通報、連絡を受けることを計画し、昨年12月から運用を開始したところでございます。
次に、本市の取り組み状況でございますが、消防局では、原子力災害消防活動調査・研究専門委員会による現地調査や専門家との協議等を踏まえまして、本年3月に報告書を取りまとめたところでございます。本報告書では、現行法令等におきまして、本来、原子力災害は、一義的には、原子力事業者が主体となり、関係機関と連携して活動を行うものであることや、安全管理上の観点から消防活動の明確な範囲を示すなど、原子力災害における消防の位置づけ等を取りまとめたところでございます。また、万が一、汚染環境において活動することを想定した場合、被曝管理や汚染管理を的確に実施するため、職員に対する専門的な知識、技術の習得が急務と考えているところであり、具体には、昨年11月と本年7月に専門家を招聘して研修を実施いたしました。さらに、活動時の装備として、隊員の呼吸を保護する全面マスク、さらに被曝線量を計測する個人警報線量計などについて、総務省消防庁から相当数を無償貸与されたところでございます。
◆中村たけし 委員 今の答弁で、泊発電所における災害時の通報・連絡体制は、昨年12月から新たな連絡体制になったこと、また、本市における取り組み状況については、備品の整備だったり研修の取り組みといったものが行われているということがわかりました。
原子力発電所災害発生時の出動対応の仕組みのほか、今回の震災を契機としたさまざまな調査研究がなされているということで、その点については理解できました。
先ほど申し上げましたが、泊発電所において一たび災害が発生した場合には、福島第一原子力発電所の災害を見ましても、地元の消防本部のみでは対応が極めて困難だということがこれまでの報道を見ても容易に想定されるところでございます。そういった意味からも、私は、札幌市民にも大きな影響を及ぼすことが想定される
原子力発電所災害に対して、やはり、地元のみではなく、幅広な枠組みで対応するべきだというふうに考えています。
本市の消防局は、北海道を代表する消防機関でございます。北海道内において大規模な災害が発生した場合においては、他の消防本部の応援活動に係る調整を行うなどの役割を担っているというふうにお聞きしています。
そこで、質問ですが、
原子力発電所災害の発生に備えて、北海道内の消防本部においてはどのような取り組みがなされているか、お伺いします。
◎佐藤 警防部長 道内消防本部における取り組み状況についてでございますが、委員がご指摘のとおり、地元の消防本部のみでの対応は困難であり、より実効性の高い消防応援体制を確立することにつきましては、重要な課題として検討していかなければならないものと認識しているところでございます。
本年6月、今後の原子力災害対策関連法令等の改正動向を見据えつつ、消防活動に係る課題を共有するため、北海道広域消防相互応援協定に基づく原子力災害対策特別検討委員会を設置したところでございます。本委員会には、札幌市のほか、各地区を代表いたします函館市、苫小牧市、小樽市、旭川市、釧路市に加えまして、泊発電所の管轄消防本部と同消防本部に隣接いたします消防本部が参画しており、本年につきましては、ケーススタディー方式による消防活動、原子力災害に対する消防職員のレベルアップ方策、今後、検討すべき課題の抽出、この3点を検討項目としているところでございます。具体には、福島第一
原子力発電所災害を踏まえた災害ケースを抽出いたしまして、的確な消防活動のあり方について意見交換を進めており、今年度中に結果をまとめる予定となってございます。必要に応じて、来年度以降も継続して取り組むこととしているところでございます。
◆中村たけし 委員
原子力発電所災害の問題については、国、北海道、本市においても、今後、継続して計画、マニュアルの見直しなど鋭意検討されていくことと思います。また、今ほどお話がありました、北海道広域消防相互応援協定の枠組みに基づいてさらなる検討が深められていくと考えます。
本市の消防活動の体制についても、これらの動向を見据えながら、万が一、札幌市民に影響を及ぼすような災害が発生した場合には十分な対応ができるよう、今後もさらに調査研究を継続していただくとともに、
危機管理対策室などの関係部局と連携して札幌市民の安全・安心の確保をしていただくことを強く要望して、質問を終わります。
◆福田浩太郎 委員 私からは、消防車や救急車などの緊急自動車の交通事故防止対策についてお尋ねいたしたいと思います。
本年5月、西区において、出動中の救急車が通学途中の小学生と接触し、軽症を負わせるといった人身事故が発生し、新聞等でも報道されたところであります。
そこで、消防局から、過去3年間と今年度上半期分の消防局における交通事故等の発生状況を伺いましたところ、消防車や救急車などの対車両との事故や人身事故など、一般的に交通事故と言われるものは、軽微なものを含めますと、平成21年度が7件、22年度が13件、23年度は15件と、明らかな増加傾向を示しておりまして、また、今年度については6件の発生となっており、これから降雪期を迎えることを考えますとさらにふえるのではないかと危惧するところであります。
さらに、これら41件の事故の内容について見ますと、そのほとんどがいわゆる物損事故ではありますが、緊急走行中のものが12件含まれておりました。消防車や救急車などの交通事故は、事故による直接的な被害もさることながら、特に緊急走行中の事故は災害現場への到着や病院搬送のおくれにつながるなど、消防活動そのものにも影響を与えかねない憂慮すべき問題であると認識しているところであります。
そこで、質問ですが、まず、今申し上げました交通事故の発生要因について、消防局としてどのように分析しているのか、お尋ねいたします。
そして、事故防止対策の取り組みについてでありますが、これまでも緊急自動車による交通事故の防止に関してさまざまな対応をしてきているものとは思いますけれども、改めて、近年の交通事故の増加や、先般の人身事故の発生を受け、消防局としてどのように交通事故防止対策に取り組んでおられるのか、お尋ねいたします。
◎武井 総務部長 まず、1点目の交通事故発生の要因に対する分析についてでございます。
委員がご指摘のとおり、ここ数年、出動件数の増加に伴い、交通事故がふえる傾向にあることや、先般の救急車の事故を重く受けとめ、過去の交通事故について詳細な分析を行ったところでございます。過去3年間と今年度上半期におけます計41件の事故のうち、消防局側に過失が認められた事故19件について分析いたしましたところ、確認・注意不足によるものが15件、運転操作ミスによるものが4件となっておりました。
次に、事故防止対策の取り組みについてでございます。
本年、7月に消防局内に交通事故防止対策プロジェクトチームを立ち上げ、緊急走行を初めとする車両運行時の留意事項を盛り込んだ交通事故防止ガイドラインを策定し、全職員に周知いたしました。また、毎月15日を安全確認デーと定め、職員の安全意識を高めるための研修やミーティングなどを実施することに加え、事故の要因として確認・注意不足が多かったことから、来月、11月に外部講師を招き、ヒューマンエラー防止に関するセミナーを開催することとしております。さらに、冬期間の運転技術の向上のため、消防学校の敷地内にアイスバーンの路面を再現し、冬場の安全走行のための訓練を実施いたします。
◆福田浩太郎 委員 分析と対策については理解いたしました。
そこで、再質問に入っていきたいと思うのですが、今、お話ししましたような検討チーム等を立ち上げて鋭意対策を講じられていることはわかりましたけれども、ハード面におけるより具体的な対策として、私ども会派としては、ドライブレコーダーの導入についてお尋ねしたいと思います。
ドライブレコーダーは、主に事故発生時の車両前方の映像と音声などを記録する装置でありまして、一般的には、事故発生後の対応に備えて、近年、普及が進んでいるものであります。私どもは、ドライブレコーダーが交通事故の抑制にも大いに効果が期待できるものと考えております。
平成17年度に国土交通省がタクシー・トラック業界等を対象に行いましたドライブレコーダーの搭載効果に関する調査報告書によりますと、ドライブレコーダー導入前後の事故発生率の比較が可能な24社のうち15社において事故率が20%以上減少しておりまして、中には50%以上も減少した事業者が8社も含まれていたという調査結果が出ております。このことは、ドライブレコーダーを搭載することで車の走行状態を把握でき、運転者の安全運転意識が向上したことのあらわれではないかと推察しております。
また、このような背景もありまして、平成21年度に国土交通省などが保有車両100台以上の全国のハイヤー・タクシー事業所を対象に行ったドライブレコーダーの導入状況調査では、回答のあったうち約83%が導入済みであり、そのうち約67%が保有するすべての車両に導入しているという結果でありました。
そこで、再質問ですが、まず、消防局ではいまだドライブレコーダーの導入をしていないということでありますけれども、他都市の消防機関におけるドライブレコーダーの導入状況についてお伺いいたします。
次に、先ほど申し述べましたとおり、ドライブレコーダーは交通事故防止に取り組む上で非常に有効であると考えるところでありますが、このことに対する消防局の見解と今後の導入予定についてお伺いいたします。
◎武井 総務部長 まず、他都市の消防機関におけますドライブレコーダーの導入状況についてでございます。
東京都及び他の政令指定都市合わせて20都市のうち、12都市において保有する緊急自動車の全部または一部に導入をしております。
次に、ドライブレコーダーの有効性についての消防局の見解でございますけれども、まず、事故が発生した場合においては、記録された映像等のデータをもとに客観的分析が可能であることや、このデータを交通の安全教育などに生かせることが挙げられます。また、事故発生時以外におきましても、常に車両の走行状態が記録されることで、運転者はもとより、隊員も含めて、安全運転に対する意識の向上が期待できるものと考えております。
次に、ドライブレコーダーの導入予定でございますけれども、今年度中に救急車1台に試行的に設置し、その有効性を検証した上で、次年度以降の導入について検討してまいりたいと考えております。
◆福田浩太郎 委員 今ご答弁がございましたが、まず、1台で試験的にやってみるということでございます。このことについては、うちの涌井会長がとりわけ強く主張しておりまして、今回、私がかわりにやらせていただきましたけれども、やはり、1年間の火災、救助などによる消防車の出動については約7,000件、救急車に至っては約8万件ということで、日々、サイレンの音を耳にしないことはないといった現状です。今後も、高齢化の進展などに伴い、出動件数も増加傾向が続くのではないかと予測されるところであります。このような中、初めに申し上げたとおり、消防車や救急車の交通事故は、市民の安全・安心にも直結いたしますし、社会的影響も大きいわけでありますので、ぜひ、ドライブレコーダーの導入に向けて検討していただきますとともに、緊急自動車の交通事故防止について、今後ともあらゆる対策を講じていただくことを要望して、これで私の質問を終わります。
◆井上ひさ子 委員 私からは、高齢者の防火対策と新型消火剤の導入整備について質問したいと思います。
1点目は、高齢者世帯の防火訪問の実施についてです。
先ほどもお話がありましたが、今、高齢者がふえる中で、住みなれた地域で暮らしたいというのは多くの高齢者の願いです。また、単身高齢者世帯が増加している中で、火災を発生させないためにも、この間、消防職員・団員が防火訪問を実施し、防火指導や住宅用の火災報知機の設置指導、維持管理の指導を行っていると報道されていますが、どのような状況になっているのか、伺います。
もう一点は、サービスつき高齢者向け住宅への対応についてです。
東区においても火災が発生しました。本市においては、急速にサービスつき高齢者住宅がふえております。代表質問で取り上げましたけれども、安否確認と生活相談を受け付ける相談員を配置している施設ですが、その当時は65施設しかありませんでしたが、まだまだこれが増加しています。スプリンクラーの設置はどのようになっているのか、消防法上の取り扱いについて伺います。
また、介護事業者に対しても指導を行っているというふうに思いますが、防火・安全対策についても伺いたいと思います。
◎上田 予防部長 1点目の住宅防火訪問の実施状況は、平成23年度から実施しており、単身高齢者11万2,819世帯に対し、消防職員・団員による防火訪問、防火指導等を実施しており、平成24年9月末現在、5万4,779世帯を終了いたしております。防火訪問の目的は、単身高齢者世帯の実態把握、住宅用火災警報器の設置調査や維持管理の指導などでございます。
なお、この調査におけます住宅用火災警報器の設置率は76.1%となっております。
2点目のサービスつき高齢者向け住宅の消防法の取り扱いと防火・安全対策についてでございますが、現在、札幌には建設予定中のものも含めてこのような住宅は72施設が登録されておりまして、スプリンクラーを設置する予定になっているものは62施設ございます。消防法上の取り扱いについてでございますが、管理、利用形態、入居者の状況、福祉サービスの提供方法により異なりまして、共用部で福祉サービスを提供している場合は社会福祉施設として、共用部での福祉サービスがなく、個別契約により訪問介護を受けている場合は共同住宅として取り扱っております。社会福祉施設の方がより高い安全基準が定められております
なお、開設後、福祉サービスの実態や入居者の介護状態の区分の実態が変われば、共同住宅としているものも社会福祉施設として取り扱っております。
防火・安全対策につきましては、消防用設備等のハード面の指導は、消防法令により用途、構造、面積、収容人員、階数等により規制が異なりまして、確認申請時の消防同意の際に、施設の関係者や設計者に対し、要介護者の有無、程度、程度の変化に伴う対応を確認しながら指導しております。防火管理や消防訓練の実施などのソフト面については、開設後の立入検査の機会をとらえ、施設管理者に対し指導を行っているところでございます。
◆井上ひさ子 委員 高齢者の防火訪問については、本当にご苦労も多いと思うのですけれども、引き続きこれを進めていただきたいですし、やっぱり、そういう中で単身高齢者の実態も把握されておりますので、これから地域とも連携をとって進めていただきたいと思います。
サービスつき高齢者住宅の問題ですが、今、いろいろな報告がありましたけれども、都市局においてこれを聞いたときには、スプリンクラーの設置などはなかなか把握もされていなかったのです。現在も、72施設のうち62施設が計画されている、もしくは、あるというお話でした。グループホームなどとはまた違いますが、ぜひ、社会福祉施設並みの取り扱いをしていただいて、火災のときや、事故が発生しても本当に未然に防げるような、そういう取り組みを強めていただきたいというふうに思います。
そこで、関係部局との連携です。事業者との事前の相談とか指導の内容、登録、それから情報交換など、先ほども居住の安全が確保されるように事業者を指導していくということでいろいろ話がありました。そういうときに、福祉と都市局、それから消防が連携をとっていると思うのですが、今、お話を聞いた限りでも、私は消防の役割というのがすごく求められているなというふうに思うのですね。
そこで、改めて、消防の役割、関係部局との連携について伺いたいと思います。
◎上田 予防部長 ただいまの関係部局との連携についてでございますが、これら高齢者向けの住宅がさらにふえることが予想されますけれども、登録の都度、登録事務の窓口である都市局から消防局に情報提供があるほか、平成22年に設置した札幌市グループホーム等安全安心対策連絡協議会におきましても、都市局、保健福祉局と情報を共有し、防火・安全対策を図っております。今後におきましても、関係部局との連携を図り、高齢者に対する防火・安全対策の指導を行っていきたいと考えているところでございます。
◆井上ひさ子 委員 次に、新型消火剤の導入整備について質問したいと思います。
水を効率的に活用して、火災を迅速に、また確実に消火していく、画期的な消火剤であるとお聞きしておりました。2009年の
予算特別委員会で質問したときに、水の削減を初め、マンション等のビル火災における水漏れによる被害の軽減が期待されるというお話がありました。消火時間を短縮したり、有害ガスや二酸化炭素などの温室効果ガスの発生を抑制する効果もあって、非常に環境に配慮したこういう消火活動が可能であるということでありました。新型消火剤の活用が、火災による被害を軽減することや間接的に生じる被害を最小限に抑えることができる、そして、市民に対しても安心・安全というサービスを高いレベルで提供できるということで、私は、早期にこの整備を進めていくことを求め、この間、そういう方向で動いていたと報告されておりました。
そこで、その安全性について、本当に素朴な質問でありますが、大丈夫なのかということと、マンション等では水漏れで水浸しになって大変だということもあるので、それが本当に防げて効果があるのか、これについて伺いたいと思います。
また、消防局では、更新するすべての水槽つき消防ポンプ自動車に整備を進めていくということで、既存の車両についても更新時期に合わせて整備を進めると聞いておりましたが、現在の導入状況について伺いたいと思います。
◎佐藤 警防部長 まず、安全性についてでございますが、新型消火剤につきましては、消防用機械・器具等の性能を確保するための検定を実施する公的機関でございます日本消防検定協会の検定品でございます。日ごろ、一般に使われている液体シャンプーと同様の成分であり、使用後には自然界で分解されるものでございます。さらに、アメリカ、あるいはヨーロッパ諸国でも、人体及び環境に対する安全性が実証確認されているものでございます。
次に、マンション等の水漏れということでの水損防止という観点かと思いますが、消火に使用する水の削減につきましては、本市消防学校の実証実験におきましても3割から5割水量が減少するという結果が出ております。また、実際の事例といたしましても、同規模の建築物火災におきまして、消火に使用した水量が半減したという事例もございます。
次に、導入状況でございますが、消火活動につきましては、複数の水槽つき消防ポンプ自動車が連携して行いますことから、新型消火剤の効果を十分に発揮するため、早期にすべての水槽つき消防ポンプ自動車に新型消火剤を整備する必要がございまして、平成21年度から更新車両及び既存車両への整備を行ってまいりました。本年7月に水槽つき消防ポンプ自動車52台のすべてに整備が完了し、本格的な運用を開始したところでございます。
◆井上ひさ子 委員 7月にすべての水槽つき消防ポンプ自動車にこれが設置されたということでした。消火に使用した水による被害が3割から5割減ったということと、効果的な消火活動が行われているのかなというふうに今のお話を聞いておりました。
そこで、導入から現在までの火災現場における使用実績ですけれども、これについて、どのような状況になっているのか、そして、これを続けていくためには消火剤の保有が必要なのですが、これらの備蓄状況についても伺いたいと思います。
◎佐藤 警防部長 火災現場での使用実績についてでございますが、導入開始から45件の火災現場で使用しております。使用した職員からは、浸透性にすぐれ、効果的に作用しており、完全消火に至るまでの時間が短縮されたという意見も聴取しているところでございます。今後につきましても、引き続き、検証を行ってまいる所存でございます。
次に、消火剤の備蓄状況でございますが、本年10月1日現在における消火原液の備蓄量につきましては、全市で約2,200リットルで、車両1台当たり約40リットルを積載しております。これらの新型消火剤を運用要領に基づいて0.1%で使用いたしますと、1台当たりおおよそ4万リットルの混合水を放水することが可能となります。消火原液につきましては、今後も、使用実績等を踏まえながら適正な備蓄量の確保に努めてまいりたいと考えてございます。
◆石川佐和子 委員 私からは、119番通報についてと放火火災防止対策について、大きく2点伺います。
まず、消防が市民の方から119番通報を受けたときの出動基準について質問いたします。
昨年、山形市において、ぐあいが悪くなった大学生が119番通報を行ったにもかかわらず、救急車が出動されず、結果としてその方が亡くなられたということがございました。そして、今月、その際の消防の対応に過失があるとした遺族の方が、山形市に対して民事訴訟を起こしたという新聞報道もございました。
消防の過失責任がどうだったかということにつきましては、今後、裁判で判断されると思いますけれども、報道等によりますと、自力で歩けるかなどの何項目かを質問しており、救急車の出動を判断する基準があって今回の対応には過失はなかったというふうに消防側は主張し、争っているというふうに聞いているところです。
また、この件に関して、新聞社が実施しました全47都道府県庁所在地の消防本部へのアンケートの結果を見ますと、119番受信時に緊急度判定をしている29本部のうち、45%の13本部は統一運用をしている判定基準がないことが明らかになっています。
そこで、質問ですが、札幌市には119番通報時に救急車を出動させるかどうかを判断する基準があるのかどうか、また、傷病者の緊急度については、どのように判断し、対処しているかについてお伺いをいたします。
◎佐藤 警防部長 救急車の出動基準についてでございますが、本市では、救急車の要請があればすべて救急隊を出動させており、出動させるかどうかの判断基準はございません。傷病者の状態によっては、救急車だけの対応にとどまることなく、緊急度に応じました対応基準を設けて判断しており、その基準に基づき、119番を受信した司令員により、通報者や家族などへの口頭による心肺蘇生や異物除去などの指導を行っており、また、AEDによる除細動や喉頭鏡による異物除去が必要な場合には直近の消防車を同時出動させております。さらに、意識、呼吸がないなど、直ちに医師の処置が必要と判断される場合は、医師を乗せて現場に向かう、いわゆるドクターカーを運用、また、必要に応じて直近の臨時着陸場へヘリコプターを出動させて対応しております。
◆石川佐和子 委員 出動の要請があれば、それを判断する基準はないということで、すべての場合に救急車を出動させているということが今わかりました。さらに、その緊急の度合いによっては、さまざまな対応をされていることも伺いました。
119番通報に関しましては、2010年の第1回定例市議会
予算特別委員会において、私ども市民ネットワークから、聴覚や言語に障がいがあって会話が困難な方が通報する場合にどのような手段があるのかについて質問いたしまして、メールとファクスによる通報手段があり、運用されているという答弁をいただきました。メールによる通報には事前登録が必要であると聞いておりますが、登録者がふえることや、また、メールやファクスで通報できることを聴覚障がいの方々へ十分周知されていることが重要というふうに考えます。
そこで、1点目の質問ですが、メール119番通報システムへの登録及び通報内容についてどのような状況になっているのか、伺います。
また、聴力障がいの方へどのような普及啓発の活動をされているのか、伺います。
次に、さきの答弁によりますと、メール119番通報システムについては、札幌市は、確実に対応しなければならないことを重視して登録制としたと伺っております。登録制することで、迷惑メールとかいたずらなどが入る心配がなくなりますけれども、一方で、登録していない方、または旅行者などが利用できないなどのデメリットもあります。そうしたことから、さきの
予算特別委員会におきまして利便性の向上について検討を要望してまいりました。
このたび、総務省消防庁おきましては、電話やファクスのほかに、インターネットやツイッター等のソーシャルネットワークサービスを利用した119番通報について、今後、検討していくと聞いていますけれども、障がいのある方にとっては、メールやファクスという限られた手段よりも、こうしたさまざまな通報手段がある方が安心できると考えられますし、また、観光などで札幌に来られた障がいのある方も安心ではないかというふうに思います。また、障がいのない方にとっても、地震など大規模な災害が発生した折に、電話等の通信が途絶えた場合にも有効に活用できるのではないかと考えるところです。
そこで、2点目の質問ですが、総務省消防庁の検討等を踏まえて、聴力障がい者からの新たな119番の通報手段について消防局はどのようにお考えなのか、あわせて伺います。
◎佐藤 警防部長 1点目のメール119番通報システムの登録状況及び通報内容についてでございますが、メール119番通報システムの過去5年間の登録者は、平成19年が225名、平均すると毎年36名の増加であり、平成24年6月末現在、406名となってございます。利用件数につきましても、過去5年間で38件の通報がございまして、救急出動が16件、病院案内を含む問い合わせなどが22件となってございます。
普及啓発活動についてでございますが、市内聴力障がい者団体や各種福祉行事へ職員が出向して普及啓発を行っており、また、保健福祉部局の協力を得て、来庁する聴力障がい者の方へのリーフレットの配付を行っております。さらに、ホームページへ掲出し、登録者の増加に取り組んでいるところでございます。
次に、2点目の新たな通報手段の導入についてでございますが、総務省消防庁が、有識者によります検討会、大規模災害時におけるソーシャル・ネットワーキング・サービスによる緊急通報の活用可能性に関する検討会を設置し、検討をしているところでございます。この検討会でさまざまな手法及び登録の有無を研究しておりまして、いたずら、なりすましによる通報、さらにはプライバシー問題等の課題も多く、そうした問題の解決に取り組んでいるところでございます。
本市といたしましては、これらの問題が解決されることを期待しておりまして、その結果を踏まえ、対応を検討したいと考えてございます。
◆石川佐和子 委員 メールの登録件数は、毎年、平均して36名ずつふえているということで、少しずつではありますが、取り組みの効果があると伺ったところです。こうした障がいのある方に対するメール119番通報システムの支えは本当に大事だと思いますので、保健福祉局との連携ということもおっしゃいましたが、さらにしっかり取り組んでいただきたいと思います。
この件に関する最後に、要望になりますけれども、市内のどこからでも、いつでもという119番通報システムがあることは、私たちにとっても非常に大きな安心になると思います。特に聴力障がいをお持ちの方にとっても重要なツールとなると思いますから、これまでの取り組みとあわせて、情報通信技術の発達に合わせたさまざまな手段をさらに検討していくことをお願いしまして、この質問は終わります。
次に、放火火災の現況と現在の放火防止対策についてお伺いいたします。
今月9日未明に、中央区において5件の放火火災が連続して発生しました。屋外に置かれた段ボールや、公衆電話ボックスの中の電話帳が放火されたということであります。一時は大きな社会的不安になりましたけれども、新聞によりますと、容疑者が逮捕されたということで、私どもも、また地域の方々もほっと一安心しているところだと思っています。
しかし、伺ったところによりますと、札幌市の2011年の火災発生件数は633件で、火災発生原因の1位は放火火災が154件であり、この件数はすべての火災の24%を占める非常に大きい割合となっているとのことです。また、過去5年間の火災発生原因を見ても、4年間連続して放火が1位を占めております。放火火災件数については、2007年が131件、2008年が144件、順に、152件、134件、154件と、この5年間は130件台から150件台で減少することなく推移している危険な状況ではないかというふうに思います。
さらに、ことしに入って4月に、東区内におきまして5件の連続放火、また、6月から7月にかけては北区で3件の連続放火、そして、10月は、先ほど申し上げました中央区での連続5件の放火火災というふうに後を絶たない状況にあると思います。ここ数年、建物への悪質な放火が増加しているというふうにも感じています。
また、私の町内におきましても、先月、ごみステーションへの放火火災があったところでして、その次は建物への放火があるのではないかという不安もあり、町内の広報誌を通して放火されやすいものはないかと点検を呼びかけたところであり、本当に人ごとではないと感じているところです。
そこで、1点目の質問ですが、ことしに入ってからの放火火災の発生状況、特に建物への放火件数はどのようになっているか、お伺いいたします。
また、先ほどの北区内の連続放火火災においても、放火防止のパトロールを行い、地域住民の方と関係機関による放火防止対策会議なども開催されたと伺っております。
そこで、2点目の質問ですが、こうした連続放火火災を受けての消防局の対応はどのようになっているのか、あわせて伺います。
◎上田 予防部長 第1点目の放火火災の発生状況についてでございますが、ことしに入っての放火火災の発生状況は、4月中、連続放火が発生し、4月末現在では前年比17件の増加となっておりました。その後、放火防止対策を強化したところ、10月22日、昨日現在で106件と、前年比19件の減少となっております。しかしながら、建物火災への放火件数は4件増加して70件であり、人命に係る危険性が増大しているものと考えております。
2点目の連続放火火災を受けての消防局の対応についてでございますが、4月に東区、6月に北区で連続放火火災が発生した際には、連続放火防止対策会議を開催いたしまして、関係町内会、区役所、警察署を初め、関係機関・団体との情報共有と放火防止対策について検討を重ね、町内会等によるパトロールの強化、注意喚起の緊急チラシの配布、消防職員・団員によるパトロール強化や広報等を実施いたしました。中央区の連続放火火災の際には、中央区防火管理者協議会、札幌駅前通振興会、狸小路商店街、札幌薄野ビルヂング協会、地域連合町内会等に注意喚起文を配付するとともに、消防職員・団員によるパトロール強化、ホームページへの掲載や、地下歩行空間の電光掲示板の活用などの放火防止対策を実施いたしました。
◆石川佐和子 委員 ただいまのご答弁を伺っておりまして、4月までは前年と比べてちょっと増加傾向にあったかなというふうなお話でありましたけれども、さまざまな注意喚起を行うなどによって減ってきたと伺いました。放火防止対策には、そうした粘り強い取り組みが必要ではないかなというふうに感じています。
昨年、北区において発生した連続放火火災の後に、町内会の皆さんが、放火防止パトロールを日中に行い、燃えやすいものを家の周りに置かないことなどを指導し、効果を発揮したと伺っております。また、放火火災は、確かに消防行政のみでは防ぎ切れない部分もあると思いますし、放火防止対策に向けては地域や関係機関との連携も重要であるというふうに思います。
そこで、質問ですが、町内会などの地域や関係機関との連携強化に向けて、今後どのように取り組むおつもりか、お伺いいたします。
◎上田 予防部長 地域や関係機関との連携強化についてでございますが、放火されない環境づくりのため、地域住民や事業所みずからが放火危険について把握できるようにチェックリストをホームページに公開しておりますが、内容を見直し、より利用しやすいものにいたします。また、炎感知器の有効性をホームページに公開し、放火が発生したごみステーション等には積極的に町内会に対して炎感知器を貸し出すなど、地域が連携して放火防止対策に取り組めるよう支援してまいります。
今年度から、地域消防助け合いネットワーク事業として、町内会、消防団、学校、事業所、防火委員等を構成員として、平常時から助け合いのためのネットワークづくりを推進しております。例えば、新たな取り組みとして、中学校と共同での救命処置訓練やDIG研修、町内会との発災対応型の消火・避難訓練、町内会と関係機関・団体等の合同による放火防止パトロールなど、防火防災、救命に関するさまざまな取り組みを地域ぐるみで行うことにより、放火のない安全・安心なまちづくりを進めてまいります。また、次世代の子どもたちに、放火の危険性と、みずからが放火を防ぐ地域の一員であることを認識してもらうため、「教えて!ファイヤーマン」、
ジュニア防火防災スクールなどの
防火防災教育を通じまして放火防止対策に取り組んでまいります。
関係行政機関として警察、環境局、市民まちづくり局、教育委員会等、関係団体として防火管理者協議会、ビルヂング協会など、平常時から放火防止に係る環境整備と啓発について役割分担を明確にするとともに、特に連続放火火災が発生したときには、情報の共有化を図り、速やかな連携をとり、放火防止対策を進めてまいります。
◆石川佐和子 委員 放火に関しましては、私たち市民一人一人が注意しても完全には防ぎ切れないというふうに感じておりますが、今おっしゃられましたように、放火されない環境づくりに向けての取り組みは、心がけが大変かなと思いますけれども、そうした状況に向けまして、各家庭で注意をしていただくとか、さらに地域での連携を深めることが本当に重要だと思いますし、市民と行政が一体となってしっかり取り組んでいかなければならないと考えます。今のご答弁の中で、消防局におきましては、地域消防助け合いネットワーク事業という新たな取り組みでありますとか、さきに質疑がありました中学生の
ジュニア防火防災スクールとか、先ほども主体的にもう少し取り組んではどうかという指摘もありましたけれども、いずれにしましても、防火防災に向けて継続的に取り組んでいくことが重要ではないかというふうに思いますので、今後もしっかりと取り組みを進めていただきたいと思います。
さらに、市役所の関係部局とも連携を図りながら放火防止対策に当たるとともに、先ほどからお話ししておりますように、市民の力を最大限に生かして、地域の消防・防災力の向上に向けて粘り強く取り組んでいただくことを要望しまして、私の質問を終わります。
◆芦原進 委員 私も、救急救命士の新たな処置拡大について質問いたします。
消防のすべての業務は迅速を旨とするということですから、勢いよくやっていきたいと思います。
我が国における救急業務というのは、1963年の消防法の改正のときに、市町村消防機関の業務として法的に位置づけられ、以来、全国的に展開され、今日では、ほぼ全土、全人口的に普及してきました。そして、救急業務の量的側面における拡充にとどまらず、救命率の向上と質的側面においても著しい充実を見てきたことは疑いがない事実であるとされております。
しかし、昨今、阪神・淡路大震災以来、また危機的な事件、恐らくサリンを指すと思いますが、こういう発生を契機として、昨今、改めて救急・救助のあり方が問われて、そして、いろいろと取り組みがされてきました。一方、アメリカは非常に進んでいると伺っておりまして、アメリカでは、救急医療の発展と救急制度の展開が相互に影響を与えながら、1960年代以降、急速に進展してきた、こう言われております。そして、各州政府の立法により、医療制度全般とその一部である救急制度が構築されてきて、これらの制度のもとで州、地方政府のみならず、民間病院、民間救急会社が救急業務の実施に当たっており、患者の搬送や救急処置も広く普及しています。ヘリコプターと飛行機ですね。やはり、こういうアメリカの救急業務というのは、日本の救急業務よりも、以前は10年、現在は20年進んでいるのではないかという指摘もあります。体制とか支援システムの違いはありますけれども、私は、こういう状況の中で札幌市はかなり前向きに進んでいるなという思いをしております。
その中で、今回、まず1番目に、新たな処置拡大について、三つの行為があるのですが、それに関する市民への広報について質問いたします。
我が会派は、これまで、命のとうとさを基本とし、代表質問や委員会等で、AEDを初め、救急救命に関する質疑を通して提言、要望を行ってまいりました。消防局所管の救急救命士の処置拡大は、とうとい人命をつなぎとめる最も大切な救命率向上に貢献するものであると私は認識いたしております。そういう中で、今回、新たに、血糖測定と低血糖発作症例へのブトウ糖溶液の投与、重症ぜんそく患者に対する吸入ベータ刺激薬の使用、心肺停止前の静脈路確保と輸液の実施の三つの行為が拡大されると伺っております。これらの処置については、救急救命率の向上につながると大いに期待しているところであります。そして、今回の処置拡大は、全国的に見てメディカルコントロール体制や教育体制が充実している一部の地域において限定的に実施されますが、札幌がその地域として選定されたということは、市民にとっても非常に有益であり、喜ばしいことだと思います。
しかしながら、地域限定ということもありますので、大きな話題として取り上げられる機会は少ないのではないかと思い、そういう面では取り組みによっては大変危惧するところもあります。特に、道内では札幌市のみと伺っております。その分、消防局の主体的で積極的な広報が一番大事ではないか、必要であると私は思います。加えて、処置については、傷病者または親族等の一定の者の同意が必須とされております。了解いただかなければいけないわけですね。実施地域であることを多くの市民に知っていただくとともに、拡大3行為の内容はどういうものがあるかということをまずは知っていただく、それから、効果も知ってもらわなければいけません。しっかり理解をしてもらう、こういうことをやることが何より大事だと思います。
処置拡大の広報については、平成24年第1回定例市議会
予算特別委員会において、私が質問したところ、消防局からは、ホームページを初め、広報さっぽろ、ポスター、掲示板等のさまざまな広報媒体を利用すること、さらには、報道機関に対して協力を依頼する等の積極的な広報活動を行う旨、答弁がありました。先日、届いた広報さっぽろ10月号ですが、皆さんもごらんになったと思いますけれども、ここに載っています。12ページに、今月の話題ということで取り上げていただきました。本来なら、これは大事なことなので1面全部を使ってほしかったなと思いますが、遠慮されて3分の1になっていますけれども、これで市民の皆さんにかなり周知できるのではないかと思います。
そこで、質問したいと思います。広報さっぽろも含めて、今、具体的にどのような広報活動を展開しているのか、伺いたいと思います。
◎佐藤 警防部長 新たな処置拡大に関する市民への広報についてでございます。
拡大3行為の内容につきましては、専門的な用語が多く、言葉だけの説明では内容が十分に伝わらないことが懸念されております。その点、各世帯に配付される広報さっぽろにおきましてイラストを用いて情報提供できたことは、非常に有意義であったと認識しております。また、独自のイラスト入りのポスター300枚を作成いたしまして、市役所、区役所、各消防署及び消防出張所等の市有施設を初め、市内の2次・3次医療機関等にポスターの掲載を依頼しているところでございます。そのほか、
消防局ホームページへの掲載や、会議、会合等の市民と直接接する機会をとらえまして情報提供を行うなどの草の根的広報活動を展開し、また、報道機関に対しましても積極的に協力を依頼する所存でございます。
◆芦原進 委員 今、広報については積極的に取り組んでいるということでした。チラシがないような気がします。個人的な見解ですが、チラシなんかもあってもいいのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。これは質問ではございません。
消防局としては、拡大3行為の実施に向けて、今さまざまな準備を進めてきたことはわかりました。拡大3行為については、救命士であればだれでも行うことができるものではなく、50分を1単位として22単位、トータルすると1,100時間の教育プログラムを修了した者のみが、医師の指示のもとで実施可能な処置と伺っております。さきに述べた
予算特別委員会において、私の質問に対し、消防局からは、今年度の早い時期から救命士に対して必要な研修を行い、新たな3行為の実施に向けた体制を構築する旨の答弁がありました。
そこで、再質問でございますが、実施に向けた体制づくりをどのように進めてきたのか、また、教育を修了した救命士の数を含め、どのような考え方に基づいて体制を構築してきたのか、お伺いいたします。
◎佐藤 警防部長 実施体制についてでありますが、本年3月下旬、厚生労働省が所管する救急救命士の処置範囲に係る研究班が研修会を開催いたしました。この研修会に、市立札幌病院救命救急センターの医師、さらに当局の救急指導係長を派遣したところであり、研修会におきまして医師が処置を指示する上での必要な業務マニュアルや救命士の教育プログラムの説明を受けたところでございます。
その後、研究班との意見交換等を経まして、本年7月30日から8月23日までの間、本市消防学校におきまして、規定の教育プログラムを合計4回実施いたしまして、救急隊長を中心に146名のいわゆる処置拡大救命士を養成いたしました。この人員は、原則、各救急隊に常時1名を確保できるよう考慮したものでございまして、救急隊として活動する救命士約230名の60%を超える数となってございます。
講習は、安全を第1に考えまして、講義のほか、実習、シミュレーション訓練等、実践的な内容となっておりまして、さらに、市民が安心して処置を受けられるよう、傷病者などへの処置に関する説明や同意のとり方にも力を注いだところでございます。また、講師につきましては、市立札幌病院救命救急センターを初め、札幌医科大学、北海道大学医学部の救命救急に携わる第一線の医師に担当していただきました。
そのほか、拡大3行為につきましては、医師による事後の検証を行うなど、メディカルコントロールのもと、安全性と実効性を確保できるよう体制を構築しているところでございます。
◆芦原進 委員 教育プログラムを4回、146名、60%の人が資格を持ち、そしてまた、常時1名は対応できるような体制をとったというのは非常に市民にとっては心強いなと思いました。
平成25年度以降の本格導入に向けた検討を進めているようですけれども、準備段階として、札幌市においては、拡大3行為の対象となる症例がどれぐらいあるのかを把握する期間が9月1日から既に始まっていると伺っております。そして、実際の処置については試行的に11月1日からおおむね3カ月間実施することになっておりますが、症例数を把握する期間において、どれぐらい対象症例があり、また、それを年齢や性別で分類した場合にどのような状況になっているのか、私を含め、多くの市民にとって関心が高いものと思います。また、その傾向を把握することで、救急隊にとってより円滑な活動が可能になるほか、市民に対して、新たな3行為の内容とその効果をしっかりと理解してもらう一助になると私は考えます。
そこで、再々質問でございますが、処置の対象となる症例数等についてどのような状況にあるのか、お伺いしたいと思います。
◎佐藤 警防部長 新たな処置拡大の対象となる症例数についてでございますが、本年、9月1日から10月15日までの45日間で全症例の合計は66件であり、全体の傾向といたしましては60歳以上に多い状況となってございます。
症例別の件数、状況でございますが、低血糖症例が17件、このうち60歳以上は16件で約94%となっております。男女別では、女性が11件で約65%を占めております。重症ぜんそく症例は1件で、40代の男性となってございます。心肺機能停止前の静脈路確保が必要な症例、いわゆるショック状態は48件でございます。このうち60歳以上は40件で約83%となっており、男女別では24件ずつの同数となってございます。
◆芦原進 委員 高齢者の症例が非常に多いというのはよくわかりました。やはり、一刻を争うということです。
これは、要望ですけれども、私はご存じのように佐賀県出身でございます。札幌に移り住んでから今日まで、私は札幌のおやじと勝手に思って慕っていましたけれども、言葉に尽くせないほど公私ともに大変お世話になった恩人ですが、ちょうど昨年の9月、救急車で病院に搬送されました。一命をとりとめ、その後、リハビリを兼ねて転院いたしまして、私も奇跡を願い続けましたが、ご恩返しのまねごともできないままに、再び意識の回復を見ることなく、ちょうど1年目の先月、9月にお亡くなりになりました。大変に残念のきわみであります。本日質疑を行った救急救命士の処置拡大がもし昨年度に実施されていたら命をつなぎとめられたのではないか、私はそう思えてなりません。私と同様な思いをされた方は、市民の中で大勢いらっしゃるだろうと思います。
今回の新たな処置拡大は、救急救命士発足以来、初めて心肺停止前の傷病者に対して行う処置であります。これは、実績に裏づけられた救急救命士制度20年の成果と言っても過言ではないと私は思っております。そして、札幌市を含めて先行的に実施される地域においてその安全性と確実性が確認され、何よりも高い救命効果が実証されることで全国的な実施を促すものと私は考えます。まさに、札幌がその先駆を走っている、こう思います。加えて、全国的な実施が次の処置拡大への弾みとなり、さらなる救命率の向上につながるものと期待を膨らませるところであります。
また、消防局では、第3次新
まちづくり計画の救急安心都市さっぽろ推進事業において、新たな処置拡大のほか、ビデオ喉頭鏡を用いた気管挿管、ICTを活用した新たな心電図伝送を行っており、これらについても同様に大きな期待を寄せているところであります。
一方、高度化する救急業務の中にあって高い安全性、確実性を維持していくためには、高度化に見合った知識、技術の向上が必要であります。その点、人材育成は必要不可欠であり、教育・研修体制の充実強化に努めていただくことを強く要望し、質問を終わらせていただきます。
◆木村彰男 委員 私は、救急車、消防車が赤色灯を点灯しないで走行した件について、それから、IFCAA2012SAPPOROの開催について、最後に、兵庫県の製造所の爆発事故についてお伺いします。
まず、緊急自動車、救急車、消防車が赤色灯を点灯しないで走行した件でございますけれども、これは、平成23年7月10日22時35分ころのことでございました。中央救急隊が救急車によって傷病者を病院に搬送する途上、ボタンの誤操作により、サイレンは鳴っていたのですが、赤色灯が消えたまま南郷通を走行し、救急隊がこのことに気づかず、赤信号の交差点を通過しました。このとき、目撃したタクシーの運転手が司令情報センターにその旨を通報した、また、同運転手は警察にも通報した、このような事案でございました。
これに対して、札幌市は、これは誤操作が直接的な原因でありますが、赤色灯が消灯していることはドアミラーで視認できるということで、救急隊のそれぞれが十分な注意を払っていれば当該事案の発生は防止できた可能性があり、確認不足という点では現場到着が遅延した事案に通ずるところがあるという総括のもと、職員に対して注意喚起の通知を行うとともに、救急担当係長研修を開催し、再発の防止を図ったところでありました。
しかし、ことし、平成24年6月17日、21時ごろ、これは清田消防署の北野水槽隊が清田区内の火災現場へ出動する途上、やはり、ボタンの誤操作により、サイレンは鳴っていましたが、赤色灯が消えた状態のまま、真駒内御料札幌線及び国道36号線など約6キロを隊員が気づかずに現場まで直行したということであります。これにつきましても、市民からの通報でわかったということでございました。
したがって、この二つの事案を受けて、札幌市は、こちらにあるようなカバーと申しますか、サイレンアップ赤色灯スイッチの保護カバーというものをつけたのであります。これによって誤操作はないというふうに思っていたのでございますが、それからわずか2カ月後、平成24年8月1日、今度は昼間の午後1時30分、同じように西救急隊が病院へ傷病者を搬送するときに、取りつけ不良、つまり、このカバーの取りつけ不良でございますけれども、誤って触れたため、赤色灯が消えている状態に気づかず、病院付近まで約6キロを走行した、このような事案があったのでございます。