広島市議会 2016-02-19
平成28年第 1回 2月定例会−02月19日-03号
会議に付した事件等
開議宣告(終了)
会議録署名者の指名(終了)
日程に入る旨の宣告(終了)
日程第1┌自第1号議案 平成28年度広島市
一般会計予算
┤
└至第73号議案
広島高速道路公社定款の変更に係る同意について
┌自第75号議案
包括外部監査契約の締結について
┤
└至第77号議案 広島市
指定居宅サービス事業設備基準等条例の一部改正について
(
総括質問)
休憩宣告(終了)
開議宣告(終了)
総括質問(続行し,22日も続行)
次会の開議通知(22日午前10時開議を宣告)
散会宣告(終了)
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出 席 議 員 氏 名
1番 海 徳 裕 志 2番 山 本 昌 宏
3番 山 内 正 晃 4番 山 路 英 男
5番 木 戸 経 康 6番 平 野 太 祐
7番 石 橋 竜 史 8番 森 畠 秀 治
9番 定 野 和 広 10番 近 松 里 子
11番 森 野 貴 雅 12番 森 本 健 治
13番 碓 氷 芳 雄 14番 西 田 浩
15番 渡 辺 好 造 16番 宮 崎 誠 克
17番 大 野 耕 平 18番 三 宅 正 明
19番 伊 藤 昭 善 20番 桑 田 恭 子
21番 馬 庭 恭 子 22番 藤 井 敏 子
23番 豊 島 岩 白 24番 八 軒 幹 夫
25番 八 條 範 彦 26番 原 裕 治
27番 米 津 欣 子 28番 安 達 千代美
29番 星 谷 鉄 正 30番 平 木 典 道
31番 今 田 良 治 32番 元 田 賢 治
33番 谷 口 修 34番 竹 田 康 律
35番 村 上 厚 子 36番 中 原 洋 美
37番 中 森 辰 一 38番 酒 入 忠 昭
39番 佐々木 壽 吉 40番 太 田 憲 二
41番 若 林 新 三 42番 熊 本 憲 三
43番 山 田 春 男 44番 児 玉 光 禎
45番 金 子 和 彦 46番 永 田 雅 紀
47番 沖 宗 正 明 48番 土 井 哲 男
49番 木 山 徳 和 50番 種 清 和 夫
51番 中 本 弘 52番 木 島 丘
53番 碓 井 法 明 54番 藤 田 博 之
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欠 席 議 員 氏 名
な し
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職務のため議場に出席した
事務局職員の職氏名
事務局長 松 村 司
事務局次長 重 元 昭 則
議事課長 石 井 一 司
議事課課長補佐主任事務取扱
小 田 和 生
議事課主幹 今 井 悦 尚
議事課主査 山 下 真 里
外関係職員
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説明のため出席した者の職氏名
市長 松 井 一 實 副市長 室 田 哲 男
副市長 竹 内 功
危機管理担当局長及 川 享
企画総務局長 岡 村 清 治 財政局長 糸 山 隆
市民局長 谷 本 睦 志
健康福祉局長 川 添 泰 宏
こども未来局長 藤 田 典 子 環境局長 北 吉 孝 行
経済観光局長 久保下 雅 史
都市整備局長 宮 原 慎
都市整備局指導担当局長 道路交通局長 向 井 隆 一
香 川 寛 治
下水道局長 新 谷 耕 治
会計管理者 永 谷 尚 之
消防局長 滝 澤 宏 二 水道局長 高 広 義 明
監査事務局長 大 森 寛 財政課長 虫 明 徹
教育長 尾 形 完 治
選挙管理委員会事務局長
住 田 雄 二
人事委員会事務局長
榎 野 晋 也
───────────────────────────────────────
午前10時00分開議
出席議員 48名
欠席議員 6名
○
永田雅紀 議長 おはようございます。
出席議員48名であります。
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開議宣告
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○
永田雅紀 議長 これより本日の会議を開きます。
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会議録署名者の指名
───────────────────────────────────────
○
永田雅紀 議長 本日の
会議録署名者として
3番 山 内 正 晃 議員
10番 近 松 里 子 議員
を御指名いたします。
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日程に入る旨の宣告
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○
永田雅紀 議長 これより日程に入ります。
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△日程第1┌自第1号議案 平成28年度広島市
一般会計予算
┤
└至第73号議案
広島高速道路公社定款の変更に係る同意について
┌自第75号議案
包括外部監査契約の締結について
┤
└至第77号議案 広島市
指定居宅サービス事業設備基準等条例の一部改正について
(
総括質問)
───────────────────────────────────────
○
永田雅紀 議長 日程第1,第1号議案から第73号議案及び第75号議案から第77号議案を一括議題といたします。
昨日に引き続き,
総括質問を行います。
発言通告者に順次発言を許します。
35番
村上厚子議員。
〔35番
村上厚子議員登壇〕(拍手)
◆35番(
村上厚子議員) おはようございます。
日本共産党の村上厚子です。
市会議員団を代表して,
総括質問を行います。
ことしは,
日本国憲法公布70年の節目の年です。憲法は政府の行為によって再び戦争の惨禍を起こさないことを決意し,主権は国民にあることを宣言しています。ところが,
安倍自公政権は昨年の通常国会で歴代政府の憲法解釈を180度転換し,6割近い国民の反対の声を無視し,若者が戦場で殺し殺される最悪の事態につながる安保法制,まさに戦争法を強行成立させる暴挙を行いました。主権・立憲主義,民主主義,平和主義を踏みにじる暴挙に,大学生を中心にしたSEALDsやママの会など若者が主権者として自発的に声を上げ行動するという,戦後の日本の歴史にない画期的な市民運動として広がっています。
ことし1月4日の
国会開会日には約4,000人が
国会議事堂前に集まり,主権者の1人として暴挙を決して忘れない,安倍政治を許さないとコールを響かせました。加えて昨年12月には安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合が結成され,戦争させない・9条壊すな!
総がかり行動実行委員会が取り組む
戦争法廃止の2000万人署名にも反響が広がっています。
お聞きします。憲法99条は国務大臣,国会議員,裁判官,その他の公務員は,憲法を尊重し擁護する義務を負うと明記しています。どんな政権であっても憲法の枠内で政治を行うことが立憲主義の原則です。その原則さえも踏み越える安倍政権は法の支配をないがしろにする独裁政治であると言わざるを得ません。市長の見解をお尋ねします。
さらに安倍首相は
非常事態条項の新設を憲法改正のテーマにすると公言しています。これは憲法9条改定の突破口というだけでなく,
非常事態条項そのものが大変危険です。
内閣総理大臣が緊急事態の宣言をすると,国会の議決がなくても法律と同じ効力のある政令を制定することができ,自治体への指示だけでなく国民の
基本的人権の制限もできるようになります。まさに戒厳令,独裁政治への道です。このような明文改憲を許さず立憲主義を回復させ,一人一人が大切にされ個人の尊厳が守られる政治と社会を取り戻すことが必要だと考えますが,市長の認識をお聞きします。
安倍内閣は
安保関連法案の強行だけでなく,原発の再稼働中止を求める国民の声を無視して,川内原発や高浜原発を再稼働した上,昨年12月12日には
核保有国インドに日本から原発の輸出を可能にする
原子力協定の締結に原則合意しました。インドは1998年に核実験を強行し,以来核弾頭の保有数をふやしています。
ストックホルム国際平和研究所によれば,インドは2015年1月現在で90から110発の核兵器を持つ核保有国です。NPTに未加盟のインドが外国からの核物質・技術を
核兵器開発に転用・利用する危険が懸念される中,日本の原発輸出はインドの核開発に手をかすものです。重大な原発事故を起こした日本が事故の収束も原因究明も進まないもとで,国内の
原発推進勢力の要請に応えて核保有国に原発を輸出することは,唯一の被爆国として常軌を逸する行動です。広島・長崎の被爆を経験し,戦後70年一貫して
核兵器廃絶を求めてきた被爆地の願いだけでなく,核廃絶へ向けた国際社会の人々の努力をも踏みにじるものです。
お聞きします。広島市長と長崎市長の連名で国に繰り返し要請されてきた協定交渉の中止要請を,安倍内閣は完全に無視しました。被爆地の願いに背を向けた国の対応に,市長はどのように受けとめておられますか。抗議されたのですか。広島市選出の
岸田外務大臣の責任も重大ですが,大臣にはどのように対応されてきたのですか。今後国会において
原子力協定の締結の承認を拒否させるために,被爆地の自治体としてどのように働きかけるお考えかお答えください。
これまでも中学生や高校生への
自衛隊入隊の勧誘が憂慮されてきたところです。近年全国各地で高校3年の
男子生徒宛てに,
自衛官募集のはがきやダイレクトメールが届く状況が広がっています。はがきを受け取ったある息子さんは,戦争に行かされてたまるか,安倍総理が真っ先に行けと,はがきを破り捨てたそうです。青年に動揺が広がるだけでなく,家族も親が知らないうちに自衛隊に名簿が渡り,子供に働きかけるというやり方は憲法改定と徴兵制の先取りではないか,恐ろしいことだと抗議の声が出されています。
集団的自衛権行使の閣議決定や,昨年9月に強行された戦争する国づくりである
安保関連法の成立以来,自衛隊の退役が相次ぎ志願者も激減し,
大学卒対象の
一般幹部候補生で昨年度比13.8%の減,技術海曹はほぼ半減していると聞いています。これは戦争法の強行可決以来,自衛隊が災害救助から戦争への道を突き進む軍隊へ質的に変化したことに,若者が強い不安を持っているあらわれではないでしょうか。
そうした中,防衛省は
自衛官募集担当者を集めた全体会議の場で,
自衛官適齢者の個人情報が載った名簿を提出させるため,市町村への働きかけを強める方針を徹底したといいます。戦争法が成立した今,
南スーダンPKOに派兵されている自衛隊員のまさに殺し殺される危険が現実化しています。自衛隊員は新たな任務,駆け付け警護が追加されたうえ,任務遂行のための武器使用もできるようになりました。現地は激しい内戦状態にあり,
政府軍そのものが頻繁に
PKO部隊に攻撃しています。もはや災害時に出動し,救助に貢献する自衛隊ではありません。自衛隊への入隊は命を落とす危険性と表裏一体であり,行政が若者の命を左右する組織の手助けをすべきではありません。
以上の理由から
住民基本台帳の閲覧はやめるべきだと考えますが,市の見解をお尋ねします。
次に,今回議案となっている
連携中枢都市圏構想について伺います。全国の自治体が取り組んでいる
地方創生戦略の策定は,まず
人口ビジョンを示すことになっています。個々の自治体にとっては人口減少を食いとめて,現状の地域の姿を守り発展できる条件をつくることが目的だと考えます。
本市では,
地方創生戦略を広島市が
連携中枢都市となる
連携中枢都市圏構想と一体で取り組み,2060年の人口が93万人まで減少するところを110万人台で維持していこうというものです。
人口減少社会は日本全体の問題です。これを克服する必要があるというのなら,その政策推進の責任は政府にこそあります。我が国では若者の雇用が守られず,半数以上が非正規雇用で低賃金に甘んじさせられています。その原因は
派遣労働法の改悪に次ぐ改悪など,政府の非
正規雇用増大政策にあります。
また教育費を高騰させ,それをカバーすべき返済不要の
奨学金制度はありません。この現状を改善しようとしない政府の貧困な教育政策にも
出生率低下の原因があります。
派遣労働業界や人件費を引き下げ,巨額の利益を上げる一部企業の犠牲にされ,十分な収入と安定した雇用による将来の見通しを得られない若者がたくさんいます。結婚しても経済的に,また長時間労働が常態化する生活実態から子育てに展望を持てない状況では,子供を産み育てたいとの思いがあっても断念せざるを得ません。人口を問題にするなら,まずは政府のこうした政策の転換を求める必要があると考えますがいかがお考えでしょうか,お答えください。
広島市は,
連携中枢都市圏をつくるために山口県域を含めた23市町と連携協約を結ぶとし,今回23本の協約案が議会に提出されています。協約案の中でさまざまな事業が掲げられていますが,第一の経済問題では結局は本市が
経済活性化を主導し,連携する市町はそれに協力するといった形になっています。一体連携する市町にとって具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。本市に隣接する市町とかなり離れた市町がありますが,本市との経済連携は条件が違うと思います。それぞれについてお示しください。
また
高次都市機能といっても医療機能と教育機能,公共交通を掲げているだけです。ICTを活用する医療支援は有意義だと思いますが,それでもそれぞれの地域には十分な医師がいて初めて力を発揮するわけで,医師の確保も含めた支援でなければならないと思います。しかし,そこまでふれていません。小さい市町は医師の確保が困難で,病院の運営自体が困難になっていますが,医師の確保は県や国の仕事です。広島市に何ができるわけではありません。
教育機能といっても観光振興の人材育成というだけで,ここでも連携する市町は自分のところの情報提供が主です。公共交通はそもそも遠いところはネットワークなどといえるものではありません。一体連携する市町にとって,どの程度のメリットがあるのでしょうか。ここでも近いところと遠いところを分けてお示しください。
住民の満足度を高めるという分野ですが,住民の日常の暮らしにかかわる分野について言うのであれば,それは遠いところと連携するという話にはならないと考えます。自治体が連携して不十分なところを補い合うということなら,距離の近い近隣の自治体がお互いに協力し合うという形が必要です。しかし,
連携中枢都市圏構想の連携協約はそうではありません。あくまでも広島市と個々の市町との連携協約になっています。広島市に隣接する市町との協力なら有効だと思いますが,遠いところとの連携が意味があるのでしょうか。この点もお示しください。
自治体が小さいほどそこの行政ができることは限られます。そういうところほど,どこに住んでいても安心して暮らしやすい地域をつくるという課題では,県の責任が大きいと考えます。広島市は市民の税金を使って広島県の責任まで,山口県の責任まで担おうというのでしょうか。広島市の責任は,広島市民が市内のどこに住んでいても安心して暮らしやすいようにすることではないでしょうか。その責任をしっかりと果たしてこそ,広島市の人口確保につながるのではないかと考えます。この点について市長の考えを伺います。
本市では,今年度から来年度にかけて次々と新たな施策が打ち出されています。
安佐市民病院を河戸駅ができる荒下地区に移転する。アストラムラインの西広島への延伸。地元住民の強い反対の声を押しての高速5号線の建設。あるいは今回の
こども医療費補助の年齢拡大などハード・ソフトの施策を打ち出したのは,広域連携する中枢都市を考えてのことだと思いますがお考えをお聞きします。
昨年11月,水の
都ひろしま推進協議会でかき船かなわの現在地への移転が承認された直後の12月議会で,なぜあの場所でなくてはならないのかとの私の質問に,局長はかなわが今まで以上に平和に関する情報発信に努めるようになるならば,世界遺産である
原爆ドームを間近に控えながら,広島の食文化と平和を希求する広島の心を一層効果的に発信できるようになると答弁し,移転・新設を合理化されました。
しかし,その後,
日本イコモスの現地調査により懸念表明が出され,
原爆ドームとアウシュビッツの世界遺産の特別な意義が強調されました。これを受け
広島弁護士会長の談話,
日本被団協と広島,両被団協の再検討を求める意見表明など,市に対する批判が相次ぎました。
国土交通省中国地方整備局,以下
太田川事務所は,このような状況から市長宛てに異例の文書による意見照会を行いましたが,市は市民団体との2回目の
公開討論会を5月初めに約束しておきながら,市長選直後,突如理解を深めるために説明を尽くしたとして早期承認を求めて工事着工を許可させました。
しかし,市のこのような不誠実な態度に反対の署名は5万筆を超え,11月1日には
世界イコモスの委員19名が現地を視察し,
アローズ会長はこの場所は聖なる場所,飲食する場はその意味を破壊すると厳しく批判されました。平和と食文化の同時発信という表現をして,一業者の利益誘導に走る市に対して,祈りと鎮魂の場を金もうけの場にするなという被爆者の憤りの声に全く同感です。
この場所への移転計画は2012年から市と事業者,
太田川事務所の3者のみで協議し,市民に知らされたのは諸手続が整った段階です。市はかなわに河川の
占用使用許可がおりた後に,文化庁や国交省へ説明に上京。
日本イコモスへの説明はその2カ月後の3月中旬でした。懸念表明にあるように
原爆ドームに近づき平和公園の横に位置し,左岸に多くの慰霊碑が設置されている場所に,なぜわざわざ移転したのか疑問に思います。バッファーゾーン内の移動であるがゆえに,真っ先に
日本イコモス国内委員会に相談すべきではなかったのではありませんか。なぜそうしなかったのですか。明確な答弁を求めます。
小学校に入るとぐっと医療費の負担がふえて,何とかしてほしいという保護者の願いは切実です。他都市から広島市に移り住んだ若い
子育て世代が,まず一番に子供の医療費の負担が大きいのに驚き,広島市に住むのを選択することさえやめる世帯も少なくないといいます。私
たち市議団は中学3年までどの子も安心して病院にかかれるよう,補助制度の拡充を求めてきたところですが,今議会にようやく入院中学3年まで,通院小学3年までの年齢拡大の見直し案が提案されました。これでやっと政令市の中で最下位から一歩抜け出すことになります。
しかし,通院は窓口負担に
所得制限を設け,現行の初診時500円を最大で4倍から6倍の負担増を求めることになります。通院の一部負担金の大幅な引き上げと抱き合わせでは,
子育て支援の後退だと言わなければなりません。
そこでお聞きします。東京都全23区,群馬県,さいたま市,名古屋市は所得制限も一部負担もなく中学卒業まで子供は平等の原則を貫いています。本市は現行制度でも既に18%の子供が対象から外されています。見直し案は窓口負担に
所得制限を導入し,さらに
子育て世代を分断しようとするものです。そもそも
子育て支援に
受益者負担を持ち込むこと自体間違っています。新たな所得制限の導入で,負担増になる子供はどれくらいいるのですか。金額にしてどれくらいですか。一部負担に
所得制限を設けている政令市を全て挙げてください。新たな基準を
生活保護費の1.5倍としていますが,これは国が決めた児童手当の基準を分断したことになります。児童手当の基準をどのように考えていますか,お答えください。
本来,子供に必要な医療を受けやすくすることが病気の早期発見,早期治療につながり,医療費全体を押し下げることにもつながります。一部負担金を現在の4倍から6倍に引き上げることは,今までより通院しにくくなることは明らかです。実際に医療費の高騰と受診率がリンクしているアンケート結果も出ています。一部の子供であっても
受益者負担を求めることは,受診抑制につながると考えます。お考えをお聞きします。
開業医の団体による調査では,3歳以上の未就学児の場合,初診料と処方箋料の2割負担は700円,再診の場合は380円。小学生以上の場合,初診料と処方箋料の3割負担は1,050円,再診時は1回580円です。今回の見直し案では,所得が基準を超えた世帯では補助制度が決めた一部負担額より,保険診療による2割または3割分の一部負担額のほうが下回ります。つまり,せっかくの制度が使えない人が出てくるということになるのです。私たちも制度設計としては大きな不備だと指摘しましたが,この点について検討されたのでしょうか,お答えください。
昨年12月,厚生委員会で見直し素案が出され,その後子育て真っ最中のお母さん初め,市民から新たな
所得制限導入の撤回を求める声や今議会への提案を見送る意見などがたくさん寄せられました。しかし当局は,これらの声を無視して素案のまま提案されたのです。なぜお母さん方の声を聞かなかったのですか。そもそも広く市民の声を聞いた上で提案すべきではないのでしょうか,お答えください。
また発達障害児を持つお母さんの発言も切実です。初診時500円の窓口負担が3倍の1,500円に,1カ月最大6倍にはね上がるのです。そもそも現行制度で発達障害児は小学2年生まで補助対象としているのは,それなりの理由があったからではありませんか。今回の見直し案は弱者を切り捨てるということになります。お考えをお聞きします。
4年制の大学に進学するために幾らかかるか御存じでしょうか。国立大学で平均約54万円。私立大学文系で平均約131万円。医師系では466万円の授業料と言われていますが,4年間の学生生活には約900万円が必要と言われています。世界一ともいわれる高い学費が大学生とその家庭に重くのしかかり,経済的理由で断念することも少なくありません。このように学費が異常に高いにもかかわらず,返済しなくてもいい給付制の奨学金がないのも先進国の中で日本だけです。学生のうち6割が奨学金を利用していますが,貸与制であるため卒業するときには平均300万円の借金を抱えています。ブラックバイトといわれるバイト先でも学費や生活費を稼ぐために泣き寝入りしています。まさに卒業しても少なくない学生が低賃金の非正規雇用を余儀なくされる中,奨学金返済にあえいでいます。
こうした中で,他の政令市では国や県の
奨学金制度を補完するため,高校生や大学生への独自の
奨学金制度を設けています。
奨学金制度がない政令市は仙台市と本市だけです。しかも返済義務のない給付制をとっているのが高校生へは10市,大学生へは5市あります。返済義務のない奨学金事業を行う仙台市では,高校生の中退率が1.03%に対して,
奨学金制度を受けている生徒の中退率は0.3%と低く,勉学を続けるための大きな支えになっていると分析しています。また進学率も全体が78.7%であるのに対して,
奨学金制度を受けている生徒は88.4%と高く,意欲や能力のある生徒の上級学校への進学に役立っていると評価しています。高校になれば授業料こそ軽減が行われていますが,学用品などの負担は大変大きいものです。中学校までは就学援助制度でカバーされているものが一気に家計の負担となっています。学びたいという意欲のある若者の能力を大きく伸ばしていくことは,我が国や郷土広島の発展にも大きく寄与するものです。国や県の
奨学金制度の不十分さを補う上でも,本市として独自に給付型の
奨学金制度を創設すべきではありませんか。
また,新年度予算案にも5歳児健診をモデル的に実施,検討する予算が提案されていますが,これまでも5歳児健診については必要とされながら,小児科医が少ないことが理由で具体化することができていません。市が医師を養成する
奨学金制度を創設して,市の責任で小児科医師を確保する必要があると考えます。お答えください。
横川高架下の市営店舗入居者の死活問題が浮上しました。JRは高架の耐震補強工事を施工するに当たり,市との借地契約を2017年,来年の3月31日付で解除することとしたことから市は土地をJRに返還せざるを得ないため,市営店舗を廃止するというのです。これまで店舗入居者が聞いていたのは,耐震補強工事が実施される際は工事期間の4カ月間だけ営業を休んでほしいということでした。休むのは心配だが安全のためならやむを得ないと思っておられました。ところが突然立ち退いてくれ,市営店舗は廃止だと言われ,降って湧いた出来事に先月行われた説明会にはほとんどの店舗入居者と商店街関係者,町内会の方まで参加されました。
横川商店街は広島市内でも活性化の取り組みが成功して注目されてきたことは周知のところです。50軒もの店がなくなったら困る,と商店街の方が言われました。当然です。これまで商店街活性化のために地元と市が一緒になって取り組んできたことは何だったのかということにもなります。厳しい経済状況の中で地域経済を守るために一生懸命頑張って営業し,商店街活性化に協力してこられた方々の努力を市も認識されていると思います。賃貸人である広島市は,地域の商店街を活性化させ頑張っておられる中小業者を守る立場にあると考えます。市と市営店舗の使用を許可する上でJRとの契約上,市がJRから返還を求められれば,店舗入居者は市の明け渡しの請求に応じなければならないことになっています。また,その際,移転料等その他何ら請求できない条件が付されています。しかし,店舗入居者の方々は営業できなくなるわけですから,営業が続けられるような方策を求められるのは当然です。
工事終了後,JRが高架下に店舗を設置し,その使用料は現在の8倍になると聞いています。市営店舗は市の公共事業に協力して立ち退いた事業者の移転先として設置されたもので,当時からの入居者もまだ頑張って営業しておられます。そうした方々への責任もあるはずです。
そこでお聞きします。市営店舗の使用許可条件上,営業補償はできないことにしても,これまで商店街を活性化するよう頑張ってこられた店舗入居者の方々に対し,市として支援を考えているのでしょうか。現在の計画では2年間の工事期間ということですが,先月の説明会において工事期間をもっと短縮できないのかという意見も多く出されていたようですが,工期の短縮はできないのでしょうか。
また,四つのブロックごとに順次工事を進めるということですが,それに合わせてブロックごとに退去時期を調整することはできないのでしょうか。答弁を求めます。
以上で,私の
総括質問を終わります。(拍手)
○
永田雅紀 議長 市長。
〔松井一實市長登壇〕
◎松井一實 市長 村上議員からの子供の医療費補助の見直し案の制度設計についての御質問がありましたので,今回の制度見直しについての基本的な考え方について,私のほうからお答えをいたします。本市は世界に誇れるまち広島の実現を目指しておりまして,その柱であるワーク・ライフ・バランスのまちづくりに向けて取り組むに当たりましては,おきな・おうな・わらわに着目した地域福祉を再構築していくことは必要不可欠であるというふうに考えております。
また,その際には自助・共助・公助の適切な組み合わせによって,持続可能性を高めることが重要となります。すなわち子育てに関しては,出生率の向上や若い世帯を呼び込んでいくことにつながるような,安心して子供を産み育てることができる環境づくりが必要となります。それを確実に進めていくためには家庭内の支え,いわゆる自助に加え,共助・公助を強化し,将来の広島を担う子供たちの育ちを広島市全体で支えていくことは極めて重要であります。
私は今回,乳幼児等医療費補助制度の見直しを行うに当たって,子供の健全育成の基本となる子供の健康づくりについては,保護者が努力されたにもかかわらず,子供が病気等になった場合に経済的な理由によって必要な医療が受けられないことがないよう支援,すなわち公助を充実させる必要があると考え,このたびの対象年齢を大幅に拡大するよう制度を改めることにいたしました。こうした制度の拡大後の制度運用をしっかり行っていくに当たってはその裏づけとなる財源確保が不可欠であり,これについては社会全体で広く薄く負担していくこと,すなわち税負担が基本となりますが受益層の中でも一定の所得── 負担能力を有する層が,所得に応じた最低限の負担を行うことも必要となります。その際には全体として公平感が感じられるようにしつつ,世代等を超え社会全体で負担を分かち合うようにすることが重要となります。こうした基本認識のもと,乳幼児等医療費補助制度について対象年齢の大幅な拡大と一部負担金の見直しを一体的に行い,より多くの子供の健全な発育をさらに促進してまいりたいと考えております。
その他の御質問については関係局長から答弁いたします。
○
永田雅紀 議長
健康福祉局長。
◎川添泰宏
健康福祉局長 子供の医療費補助の見直し案についての御質問にお答え申し上げます。
まず,見直しによって一部負担金がふえることとなる子供はどれぐらいいるのか。その金額は幾らか。また,一部負担金に
所得制限を設けている政令市を挙げよという御質問でございます。
このたびの見直しによりまして一部負担金が高くなると見込まれる子供の数ですが,未就学児の約25%と見込んでおりまして,未就学児約6万8000人のうち,約1万7000人になると見込んでおります。
また,一部負担金が増加することにより削減される補助額でその額を申し上げますと,通年ベースで換算しまして約1億8000万円と見込んでおります。政令市の中で一部負担金を所得額に応じて設定している都市はございません。
次に,一部負担金の区分の所得水準を
生活保護費の1.5倍としているが,児童手当の基準を分断したことになるのではないかとの御質問でございます。
乳幼児等医療費補助制度におきまして,旧児童手当に準じております所得基準額はこの補助制度の対象となる方と,通常の医療費負担をする方を区別するための基準でありまして,これにつきましては従来どおりとしております。補助制度の対象となる方につきましては,これまで通院と入院を区別し,通院につきましては一部負担を,また入院につきましては負担なしという制度運用をしておりました。今回の
生活保護費の1.5倍に相当する額という基準は,補助制度の対象となる方にかかわる所得水準は維持した上で,医療費の支援の程度につきまして従来の区分を踏まえつつ,さらに所得の低い世帯における受診抑制にも配慮し,所得に応じたものとなるように設定したものでございます。
次に,一部の子供であっても
受益者負担を求めることは受診抑制につながるのではないかという御質問でございます。
今回の見直しにより一部負担金が変更となりますのは,一定程度の所得以上の世帯に限っており,その所得は国においては通常の衣食のみならず,医療費関係支出などを賄える水準であると考えています。このため,この水準を超える比較的高い所得水準にある世帯につきましては,平均的な医療費負担をしていただくことが受診抑制につながるとの意見は当たらないというふうに考えております。
次に,一部負担金が高くなる人については自己負担額が一部負担金を下回るケースもあって,制度設計として大きな不備ではないかという御質問でございます。
今回の見直しにおいては,補助制度の対象となる方の中でも負担能力を有する層に対する医療費の支援について,その負担能力に対する全体としての公平感や受診抑制への影響などを考慮し設定したものでございまして,その結果として個々のケースごとに負担額に変動が生じたとしても何ら問題はなく,合理性のあるものとなっているというふうに考えております。
次に,広く市民の声を聞いて提案すべきではないかとの御質問でございます。
本事業につきましては,平成23年度から医療費負担の激変や乳幼児の健康面への影響に配慮しつつ,所得制限及び一部負担金の見直しと対象年齢の拡大を一体的に行うという基本的な考え方をお示しした後,検討を続け議会に対し逐次説明を行い御意見を伺ってまいりました。また,請願を提出いただいた市民団体等からも
所得制限の見直しに伴う急激な負担増についての反対の御意見や,一部負担金の増加による受診抑制の懸念についての御意見などをいただいたところでございます。
こうした御意見を踏まえ,昨年12月の厚生委員会に乳幼児等医療費補助制度の見直し素案をお示しし,議会の御意見をお伺いするとともに市民団体からも御意見を聞いた上で,このたび条例案及び予算案を本議会に提出させていただいているところでございます。
最後に,今回の見直し案では発達障害児を持つ世帯でも所得の高い世帯は負担がふえると,これは弱者を切り捨てるということになるのではないかとの御質問でございます。
本市では乳幼児等医療費補助の対象を未就学の子供としていた中,平成21年度から小学校1,2年生の発達障害児も制度の対象に加えました。これは発達障害がある子供で重度の知的障害が伴う場合には重度心身障害者医療費補助の対象となる一方,それ以外の発達障害児につきましては補助制度がなかったことから,拡大措置として行っていたものでございます。今回の制度の拡大は発達障害児を特別扱いすることなく,小学3年生まで対象とするものであることから,他の世帯と同様に一定以上の所得がある場合には所得に応じた最低限の負担をお願いするということにしたものでございます。
以上でございます。
○
永田雅紀 議長
企画総務局長。
◎岡村清治
企画総務局長 日本国憲法の問題につきまして御質問いただきました。
自衛隊入隊の勧誘のための
住民基本台帳の閲覧はやめるべきと考えるがどうか,というお尋ねです。
自衛隊法第29条及び第35条に基づく自衛官の募集のため,自衛隊から
住民基本台帳法第11条の規定に基づき申請があった場合は,
住民基本台帳の一部の写しを閲覧させることになっており,本市としては今後とも法令に基づいて適切に対応してまいりたいと考えております。
○
永田雅紀 議長 市民局長。
◎谷本睦志 市民局長 国の安保法制,憲法改正等に対する認識についての御質問がございました。
安全保障関連法は国会の場で議論が重ねられ可決・成立したものであり,また法律そのものは国の専管事項に属するものであることから,このことに対し地方自治体として意見を申し上げることは差し控えたいと思います。
次に,御指摘の憲法改正については,現行憲法の平和主義を堅持して現在の我が国があることを重く受けとめた上で,将来を見据えた国のあり方を明確に示し,国民の多くが納得できる慎重な議論が必要であると考えています。本市としては現行憲法の平和主義の大切さを訴えてきているところであり,今後の憲法のあり方に関する議論の動向を見守っていきたいと考えております。
次に,インドとの
原子力協定の締結を進める国の対応に対する受けとめ,また,本市の対応,今後国会での協定締結の承認否決に向けどのように働きかけるかとの御質問がございました。
我が国とNPT未加盟のインドとの
原子力協定の締結については核兵器を廃絶する上での障害となりかねず,NPTの空洞化を招くことにもなりかねないという懸念があることから,これまでも繰り返し日本政府に対して交渉の中止を要請してきました。昨年12月9日には日印首脳会談に先立ち,市長と長崎市長の連名で安倍首相及び
岸田外務大臣に対して,協定の交渉中止について要請文を発出しました。
また,
岸田外務大臣には協定が原則合意に達した後の12月24日に市長が直接面会する機会があり,改めて被爆地の懸念をお伝えし,日本政府としてインドに対しNPTへの加盟を強く求め続けるとともに,加盟が実現するまでこの協定を締結しないようお願いしました。しかしながら,被爆地の要請が届かず,現在に至っているところであり,今後は必要となる国会の承認に向けて国会での議論に被爆地の要請が反映されるよう,引き続き長崎市と連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。
以上です。
○
永田雅紀 議長
企画総務局長。
◎岡村清治
企画総務局長 人口問題と
連携中枢都市圏の都市圏構想についての数点の御質問に順次お答えさせていただきます。
まず,人口を問題にするならまずは政府の政策の転換を求める必要があると考えるがどうかというお尋ねでした。国は,まち・ひと・しごと創生総合戦略において,これまでの若者雇用施策を見直して,今後は若い世代が希望どおり結婚し,子供が持てるような年収水準を確保する,安定的雇用に取り組むことが必要であるとしております。本市においても,このたびお示しした総合戦略におきまして,出生率の向上や若い世代の人口確保につながる,経済的に十分な生活ができる安定した仕事を創出するため,基本目標の一つにすべての人にとっての“ディーセント・ワーク”の創出を掲げております。したがって,本市としては本市の取り組みと軌を一にする国の取り組みを有効に活用していきたいというふうに考えております。
次に,連携協約あるいは広域都市圏発展ビジョンに掲げました経済面の事業,あるいは生活面の事業,行政面の事業についてそれぞれについてどのようなメリットがあるか,また隣接している市町と遠い市町とでは差異があるのではないかというお尋ねでございました。連携協約の取り組みの具体策を示しております広島広域都市圏発展ビジョンに掲げた63の事業については経済面や生活面での深い結びつきを前提に展開するものであり,連携協約を締結することによって本市からの距離にかかわらず,全ての市町に対してメリットをもたらすものになると考えております。経済面のヒト・モノ・カネ・情報がめぐる都市圏をつくるための事業として22の事業を掲げております。本市都心部において圏域の特産品の販売を検討する事業や各市町の観光資源を結びつけ,圏域内での周遊,滞在につなげる事業などを実施することとしておりますが,これらは連携協約を結ぶ23市町全てと連携して取り組むものであり,全ての市町に対してメリットをもたらすことになると考えております。また,生活面のどこに住んでも安心で暮らしやすい都市圏をつくるための事業として,五つの事業を掲げており,議員御指摘のICTを活用した地域医療支援のほか,電話により医療相談を行えるようにすることで圏域の全ての住民がそのメリットを享受できる救急相談センター事業,これらの実施を検討することとしておりますが,これらも経済面の事業と同様に全ての市町に対してメリットをもたらすことになると考えております。さらに,行政面の住民の満足度が高い行政サービスを展開できる都市圏をつくるための事業として,職員研修等の共同実施や情報発信体制の構築等の行政資源の相互利用など36の事業を掲げておりますが,これらは本市とそれぞれの市町との間で合意できるのであれば,各市町にとってメリットがあるということになると思います。
続いて,広島市の責任は広島市民が市内のどこに住んでも安心して暮らしやすいようにすることではないのかと。その責任を果たしてこそ,広島市の人口確保につながるのではないのかという御意見でございます。広島市の発展は,本市広島市域のみで成り立っているものではありません。近隣市町から多くの労働力が供給されている,あるいは,近隣市町で多くの製品等の消費がされてる本市にとって近隣市町における人口の減少や産業の衰退が過度に進むことは,ヒト・モノ・カネ・情報の循環を縮小させ,当該市町のみならず本市にも経済活動の停滞や市民生活の不安定化をもたらしかねないものです。このため,本市だけの発展を目指すのではなく圏域全体の活性化を図り,圏域の人口減少に歯どめをかけることを目指すことがひいては本市の経済を活性化させ,人口減少の歯どめをかけることにつながるものと考えております。したがって,広島広域都市圏全体の発展を牽引するエンジンとしての役割を果たしていくことが本市の責任であるというふうに考えております。
最後に,アストラムラインの西広島への延伸など,さまざまなハード,ソフトの施策を打ち出したのは広域連携する中枢都市としての役割を考えてのことだと思うがどうかというお尋ねでした。本市は,世界に誇れるまち広島の実現を目指し,200万人広島都市圏構想を掲げ,中四国地方の発展を牽引するとともに,中枢都市として必要な
高次都市機能を備え,多様な行政サービスが提供できるようハードからソフトまでさまざまな施策に取り組んでいるところでございます。
以上です。
○
永田雅紀 議長
経済観光局長。
◎久保下雅史
経済観光局長 かき船かなわの移転につきまして,バッファーゾーン内の移動であるから真っ先に
日本イコモス国内委員会に相談すべきだったのではないかとの御質問にお答えします。
日本イコモス国内委員会は,文化遺産の保存に関する研究等の活動をされてる方々による任意の組織でございまして,手続上同委員会にバッファーゾーン内の変更について事前に見解を尋ねるようになってないことから,事前の相談はいたしてないものでございます。
以上でございます。
○
永田雅紀 議長
健康福祉局長。
◎川添泰宏
健康福祉局長 奨学金制度を創設して市の責任で小児科医師を確保する必要があるのではないかという質問にお答え申し上げます。
医療従事者の確保に関しましては,医療法に基づき都道府県が策定する医療計画において取り扱うこととされていることなどから,本市としましては現在広島都市圏における基幹病院の連携強化について県や医師会等と協議を行っているところでございます。こうした取り組みによりまして,地域の医療水準の向上を図り,医師にとっても魅力のある体制を整えることで医師の確保につなげていきたいと考えております。
なお,広島県では既に大学を卒業後,県内の公的医療機関等に一定期間就業することなどの条件を満たせば,全額返還免除となる
奨学金制度を設けております。
以上でございます。
○
永田雅紀 議長 教育長。
◎尾形完治 教育長 引き続きまして,
奨学金制度の創設についての御質問にお答えいたします。国,県の
奨学金制度の不十分さを補う上でも本市として独自に給付型の
奨学金制度を創設すべきではないかとの御質問でございます。
奨学金制度としては,高校生等を対象とする広島県高等学校等奨学金,大学生等を対象とする日本学生支援機構奨学金,高校生,大学生等を対象とする母子・父子・寡婦福祉資金,定時制高校の生徒を対象とする給付型の広島市教育振興会奨学金など幾つもの制度がございます。
また,教育費の負担軽減等を図るため,国においては高校生について平成26年度から奨学給付金制度の創設及び就学支援金制度の拡充がなされ,また,大学生等に対しても無利子奨学金事業の拡充のほか,返還の負担を軽減するため所得に連動した返還額とする
奨学金制度の導入が検討されております。本市としては,これらの制度の有効活用を図ることが重要だと考えており,現時点で公費による給付型
奨学金制度を創設することは考えておりません。
以上でございます。
○
永田雅紀 議長
都市整備局指導担当局長。
◎香川寛治
都市整備局指導担当局長 市営横川高架下店舗立ち退き問題についての御質問にお答えいたします。まず,商店街を活性化するよう頑張ってこられた入店者に対し,何か支援を考えているのかという御質問です。
市営横川高架下店舗の入店者の方々が,これまで商店街の活性化に寄与しておられることは十分認識しております。一方で,公共交通機関である鉄道の安全性を確保するために横川駅高架橋等耐震補強工事を円滑に実施する必要があります。そのため,当該店舗の使用許可条件では,何らの補償もできないこととなっている中でどのような支援ができるかJR西日本とも協議をしてまいりました。その結果,当該店舗を返還していただくに当たり,入店者の方が入店可能な市営店舗を希望される場合は公募によらずに優先して入店していただくことや,耐震補強工事後にJR西日本が新設する予定の店舗に入店を希望される場合は優先して入店条件を提示すること。さらには,支援金をお支払いすることなどといたしました。今後,説明会等を行う中で入店者の方々から出される要望についてはどのような対応ができるかJR西日本と協議してまいりたいと考えております。
次に,JR店舗に早期に入店できるよう2年間という工期を短縮することはできないのかという御質問です。JR西日本の現段階での計画によると,一斉に市営横川高架下店舗を撤去した後に順次耐震補強工事を実施し,その後にJR店舗を設置することとしており,全体工期として約2年間を予定しています。今後,入店者の方々のJR店舗への入店希望をお聞きした上で,工期の短縮が可能かどうかをJR西日本と協議してまいりたいと考えております。
次に,四つのブロックに分けて順次施工するということだが,それに合わせて退去時期を調整することはできないのかという御質問でした。御質問のようにブロックごとに退去時期をずらして店舗を撤去することにした場合,遅く着工するブロックの入店者は現在の低廉な使用料で店舗の経営を継続することができるため,使用料負担の面で入店者間の不公平が生ずることとなります。ブロックごとに店舗を撤去することについては,こうしたことを踏まえ入店者全員の意向が一致することが前提となるため,今後説明会等を行う中で確認した上で,JR西日本と協議してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○
永田雅紀 議長 35番村上議員。
◆35番(
村上厚子議員) 再質問をさせていただきます。
先ほどの市営横川高架下店舗なんですけれども,別な市営店舗に入店を希望される方は最優先でということは,それは当然のことだというふうに思います。しかし,今の場所と移転できるという場所というところでは立地条件が違い過ぎています。果たして同じように売り上げが上がるかということで言えば,それは心配をされております。
また,JR店舗のほうに入店いうふうになっても今度は家賃が高額になるということで,また心配なわけですね。残るにしても,移転するにしても大変なわけです。ここは3年前だったと思いますけれども,家賃の値上げ問題が出て大変な思いをされたところなんですけれども,ようやくそれが落ちついて気持ちが落ちついて営業に専念をされていたところに,今度は立ち退いてくれということだったわけですね。本当に店舗の皆さんの心労を思うと,大変だというふうに思います。高架工事がていのいい追い出しだったということにならないように店舗入居者の立場に立ってしっかりと対応していただくことを要望しておきます。
それからバッファーゾーンなんですけれども,かなわの問題ですけれども,
日本イコモス国内委員会は任意の団体だからということで,また事前に相談するようなそういうふうな約束,規定にもなっていないからっていうことなんですけれども,余りにもイコモス国内委員会を軽んじていませんか。とてもまた,きょうの答弁でイコモスの広島市への印象はさらに一層悪くなったんではないかというふうに心配をします。答弁はいりません。
これからが答弁が要るんですけれども,
連携中枢都市圏構想なんですけれども,きょうの答弁を受けてこれから議論を深めていきたいというふうに思うんですけれども,人口減少を食いとめていくために40年先,50年先も110万人台を維持するということなんですよね。それでいろいろさまざまなところで,この分厚い資料も議会に提出をされているわけなんですけれども,子供と子育てに優しい広島市の実現ということは,この今の人口減少を食いとめる点で本当に大切なところだというふうに思うんです。これ企画総務局が元課でつくられたと思うんですけれども,全庁挙げてのこのビジョンだというふうに受けとめていますが,そのことを踏まえて子供の医療費補助の今の見直しの案なんですけれども,答弁にあったように一部負担金に所得制限を設けている政令市はどこにもなく,今回広島市が初めての提案をしております。県内にもありません。広島市はこれから23市町と,山口県域を含めた23市町と連携協約を結んでいくわけなんですけれども,この医療費補助の一部負担どうなっているかといいますと県内では府中町,熊野町は一部負担はありません。負担をしている,導入しているところは,初診時一回500円月4回まで県の基準。つまり,広島市がやってる現行の基準です。山口県の連携する市町2市5町どこも一部負担はありません。こういう状況で広島市は4倍,6倍にしようとしてるわけなんですけれども,これで広島市で子供を産み育てようとする人がふえてくると思われるんでしょうか。出ていって,広島から一時的にも出て戻って子育てをしようという,そういう人は出てこないんじゃないんでしょうか。子供は親を選べません。家計の状況が違うのは,子供には責任はありません。子供に投資することは,必ず2倍3倍になって行政に返ってくると私は思っております。この一部負担に
所得制限を導入することは二重にも三重にも
子育て世代に不公平,差別を持ち込むということになるというふうに思います。この点で
健康福祉局長だけでなく,このビジョンを策定したところの関係ある企画総務局,財政局,こども未来局,それぞれ答弁を求めます。教育長には同じ視点で
奨学金制度,今の県と国の制度で十分だというような,これで本当に
子育て支援と言えるんでしょうか。それぞれ,答弁を求めます。
○
永田雅紀 議長
企画総務局長。
◎岡村清治
企画総務局長 まず,
連携中枢都市圏を担当しておる立場からお答えさせていただきますけれども,この
連携中枢都市圏の制度というのは,人口減少・少子高齢化という社会の中にあって一定の圏域人口を有し,活力のある社会経済を維持していこうということで中枢都市が近隣市町と連携協約を締結することによって圏域の経済の成長の牽引,あるいは
高次都市機能の集積強化,あるいは圏域全体の生活関連機能サービスの向上を図る。こういったものをやっていこうというものでございます。これは,それぞれの基礎自治体が連携協約するというものでありまして,その自治体が同じ行政サービスを展開するというものではございません。市町村の合併等をしようというものがこの広域都市圏の考え方でありませんので,それぞれ個別に各市町村としてそれぞれが必要な行政サービスを展開してくるというものだと思います。
以上です。
○
永田雅紀 議長 財政局長。
◎糸山隆 財政局長 今の乳幼児等医療費補助の一部負担のお話がございました。冒頭,市長御答弁申し上げたとおり,
子育て支援に関して本市は今年度特に力を入れるということで,共助・公助を強化して将来の広島を担う子供の育ちを全体で支えていくということを打ち出しました。その一環として,乳幼児等医療費補助についても対象年齢というのを,大きな負担は伴いますけども,大幅に拡大をいたしました。これも,先ほど市長答弁を申し上げたところですけども,こういう制度拡充を行うに当って,また,その制度を維持・運営していくに当たって,やはりその裏づけとなる財源というのはある程度不可欠と。そういう中でも負担能力もいろいろ勘案しながら医療の受診抑制というのも勘案しながら一定水準以上の層の方については,少し御負担をいただくという形でこれをセットにして今回の拡大というのを進めていくということにさせていただいたところです。これまで,広島市の取り組みの中でも乳幼児等医療費補助については,格段に拡充がされたという状況にございますし,また,今この乳幼児等医療費補助の一部負担金のところだけでそういう言い方で広島に人が集まるのかという言われ方をされますけども,広島市全体の子育て施策をぜひ見ていただいて,今回特に来年度予算ではそのほかにもいろんな充実策をとっております。そうしたことをもって,本当に広島市が全体として子育てを支援する。そういう形でこれからも財政運営のほうでも配慮していきたいと考えております。
以上でございます。
○
永田雅紀 議長
健康福祉局長。
◎川添泰宏
健康福祉局長 今回の乳幼児等医療費補助制度の見直しでございますけども,今の一部負担金の増額につきましては今財政局長が申し上げましたように,一定の所得水準以上にある一部の方について少しばかりの負担をお願いしたいということでございますが,この制度そのものの見直し全体を見ていただきますとわかりますが,これまで御存じのように未就学の子供を対象にしておったものを中学3年生まで入院は対象にする。それから,通院は小学校3年までするということでございます。ということで,これまで未就学の範囲だけの補助だったものが対象がふえるわけでございますから,御家庭にとってみますとトータルで子供の成長過程で見たトータルでの負担は相当額減ることになると思います。そういった改善,改正を行おうというものでございます。それから,今の一部負担金をお願いする一定の所得層以上の御家庭につきましては,昨日も御答弁申し上げましたが,いわゆる
生活保護費の中の生活扶助費に加えまして住宅扶助費も加えた額の1.5倍という額でございます。それ以上の,いわゆる比較的所得の高いレベルの世帯に対してお願いをするということでございます。そうしたことから,受診抑制にも配慮したものと考えておりますし,御理解いただけるものというふうに考えております。
以上でございます。
○
永田雅紀 議長
こども未来局長。
◎藤田典子
こども未来局長 子育てに関しましては,安心して子供を産み育てることができる環境づくりが必要だというふうには考えております。今回の予算をごらんいただきましても,今回の乳幼児等医療費補助制度の拡充に加えまして,医療を受ける前提とします,発達障害を含めた切れ目なく成長,発達を確認する機会をふやすということで疾病の予防,あるいは健康づくりにつなげるということで健診の充実を図ることとしております。またさらに,来年度から新生児聴覚検査の公費助成をスタートさせるなど早期の発見,あるいは早期かつ効果的な治療・養育につながるものにつきましては積極的に取り組んでいくということにしております。こうしたことから,個々の事業の充実も図りつつ,その上で,
子育て支援施策をトータルで充実させていくという考え方で来年度予算を組んでおります。
以上でございます。
○
永田雅紀 議長 教育長。
◎尾形完治 教育長 先ほど御答弁を申し上げましたとおり,
奨学金制度のほかに給付金制度,それから授業料等の減免制度など学習負担軽減のための諸制度が充実してきておりまして,生徒が経済的な理由によりまして,就学が困難とならないような環境が整ってきておるというふうに思っております。本市としては,これらの活用が有効に図られるように引き続き学校を通じて,個々への指導・支援に務めていきたいと考えております。
以上です。
○
永田雅紀 議長 35番村上議員。
◆35番(
村上厚子議員) 今回の助成制度の見直しは25%の子供,1億8000万円の制度を持続可能にするために25%の子供に犠牲を強いて拡大をするということなんですね。一方では,今回また二葉山トンネルに30億,事業費に追加がされました。この医療費の助成制度が
子育て支援の全てではないということもそれも当然ですけれども,しかし,広島市が全ての子供の命を大切にするその姿勢が示されるかどうかということでしょ。そこが広島市にはないというか,今回の提案ではそこが一番抜けているというふうに思います。
それからもう一つ質問忘れてたんですけれども,当局はこの3年ぐらいこの助成制度の見直し検討をされてきたかもしれませんけれども,市民には知らせてないんですよね。この条例改正が出て初めてなんですよ。条例改正をするということは,市の大きな仕事じゃないんですか。どうして市民に意見を聴取する。よくやられてますよね,意見を聞く期間を設ける。当局の中では,何年間もやってきた。でもこういう見直しにするということは,局長今,視点を言われましたけれども,こうなるいうふうには一言も言われてなかったんですよ。そういう点で,市民の意見を聞く必要があったんではないかということを聞いたんです。もう一度,そこは答弁してください。
○
永田雅紀 議長
健康福祉局長。
◎川添泰宏
健康福祉局長 この事業は,平成23年度から事務・事業の見直しの一つとして検討してきたわけでございますけども,その中で所得制限の見直し,それと一部負担金の見直し,さらに,対象年齢の拡大いうことを一体的に行ってはどうかということで,逐次これは議会のほうへその検討状況について御説明させていただき,御意見を伺ってきております。さらに,先ほどの答弁と重複しますが,請願等いただいた市民団体の方々,あるいは個人の方々からこの今の御意見をいただいておりまして,その中で
所得制限の見直しを行うと急激な負担を伴ってしまうので,それは反対だと。あるいは,一部負担金をふやすことによってこれ受診抑制になるのでないかと,そういった御懸念の意見といったものを伺いました。そういった御意見を反映させた形で今回の事業制度の見直しの素案を12月議会でお諮りし,さらに今回予算案と条例案を提案させていただいたということでございますので,そういった意味で広く議会を初めとする市民の方々の御意見は伺ったというふうに認識しております。
○
永田雅紀 議長 次に,40番太田憲二議員。
〔40番太田憲二議員登壇〕(拍手)
◆40番(太田憲二議員) おはようございます。
市民連合の太田でございます。会派を代表して
総括質問を行います。しばらくの間御清聴よろしくお願いいたします。
最初に,平和行政についてお尋ねいたします。
昨年は被爆70周年でありましたけれども,さまざまなイベントが行われ70年前の被爆の現状やその後の広島の状況,そして今日への発展へと改めて平和の思い,
核兵器廃絶の思いを強くした一年でもありました。市長は,昨年一年間を振り返り,過去最多の100カ国の代表者が参列した平和記念式典を初め,CTBT賢人グループ会合や国連軍縮会議などを通して,国内外の多くの方々が広島を訪れ,
核兵器廃絶に取り組む決意を新たにする絶好の機会になり,まさに平和への思いを共有する一年になったと言われています。昨年11月の平和首長会議の理事会では今後集中して取り組むべきものとして,各国為政者の被爆地訪問要請,平和首長会議加盟都市を2020年までに1万都市にすること。青少年の交流を通じて,被爆の実相の継承を行うことなどを決定し,加盟都市が積極的に取り組むことを確認されました。さらに,昨年12月国連総会において核兵器のない世界の実現に向けた公開作業部会を国連総会のもとに設置することを求めた決議が138カ国の賛同を得て採択されました。とてもゆっくりではありますが,しかし確実に
核兵器廃絶への取り組みは進んでいると思います。
そこで,お尋ねいたします。市長は就任以来,迎える平和の推進や平和首長会議の取り組みといった平和への取り組みの状況をどのように感じておられるのでしょうか。そして,核兵器のない世界の実現に向けた国際社会の動きは最近どのように変化してきたと感じておられるのか具体的にお聞かせください。
また,国連総会のもとに設置された公開作業部会への参加に向けて,平和首長会議は1月22日付で各国政府に
核兵器廃絶を目指して,10億市民の訴えとする公開書簡を送られたと聞いています。平和首長会議,そしてその事務局である広島の素早い取り組みに敬意を表したいと思います。この公開作業部会とは,どのような議論をする場でどういったスケジュールで行われるのでしょうか。また,この作業部会に日本政府が参加することを表明しましたが,このことについてどのように受けとめ,何を期待しておられるのかお聞かせください。
次に,昨年の被爆70周年の年に平和首長会議の加盟都市で平和,原爆関連の取り組みをされたと聞いていますが,どのようなものがあったのでしょうか。各都市がそれぞれさまざまな取り組みをされていると思いますが,
核兵器廃絶に向けては市民一人一人のより一層の意識啓発が必要だと考えます。そこで提案ですが,毎年同じ時期に平和首長会議加盟都市が同じ行動をとれるものを実施すること。例えば,街中で多くの市民の目に触れる共通のバナーなどを作成し,全加盟都市で一斉に掲げてもらうなど広く市民に啓発するような仕組みづくりを行って継続した
核兵器廃絶への取り組みにつなげられるようにしたらどうかと思いますが,いかがでしょうか。
次に,交通問題についてお尋ねいたします。質問の前に,私はいつも
総括質問では私の交通に対する考え方を皆さんに報告させていただいています。今回も,これまでと同じように私の持論を御説明したいと思いますので,お聞きいただきたいと思います。
皆さんは,公共交通とはどのようなものをお考えでしょうか。2年前の
総括質問でも紹介しましたけれども,韓国ソウル市の公共交通について改めて紹介をしたいと思います。ソウル市内には,民間のバス会社が約60社あります。そのバスを再編したのが2006年です。具体的には,短い区間のバスは黄色。中間の距離のバスは青。都市間輸送や高速バスは赤など約60社もあるバスを市民にとってわかりやすい色に全て統一いたしました。バスの色を見ただけで自分が乗るバスかどうかがすぐに判断できるわけです。例えば,広島でも空港リムジンバスがその形態に当たります。空港リムジンバスは同じカラーリングのバスを使用し,広島電鉄,広島バス,JR,備北交通などが共同運行を行っています。皆さんも乗られたことがあると思いますが,乗られたバスによって実は乗務員は違うバス会社の運転手です。利用する人にとっては,同じところへ同じ料金で行くのですからバス会社がどこかなど余り関係はありません。さて,ソウル市では料金体系も大きく変更いたしました。ゾーン運賃制度を採用したのです。これは,半径2キロ圏の中では料金は一定で,何度でも乗りかえ自由であります。地下鉄との乗りかえもわずか1,000ウォン。日本円で100円の追加だけで乗りかえることができます。さらに交通ICカードを発行し,その一枚で全ての交通機関に乗れます。携帯電話でバスの位置情報はすぐに確認でき,いつ自分がバス停に行けばいいのかも一目瞭然です。広島を考えてみてください。JRで郊外から市内に入り,その後バスや電車に乗りかえると一部割引はあるものの,それぞれの料金を支払わなければなりません。とても高い料金制度となっているのが現状です。ソウル市のバス事業への予算の支出額は,約250億円。ソウル市域の人口は約1200万人です。広島市の人口が約120万として考えて換算すると,広島市で約25億円公共交通に予算を使っていることになります。現在,広島市の一年間のバス事業への支援は4億5000万円ですから,公共交通の行政支援という点ではまだまだ少ないのが現実です。ソウル市のケースを紹介をしましたけれども,これは韓国に限ったことではありません。ヨーロッパの国のほとんどが公共交通へ多くの財政支援をしています。また,車社会と思われているアメリカでも公共交通には相当額の予算を投入しています。実は,日本だけが公共交通後進国であります。今後,高齢社会や環境問題への対応などを考えると,公共交通の充実を進めることは必要不可欠であり,大きな課題と言えます。
さて,質問に入ります。昨年広島市は,公共交通体系づくりの基本計画を8月に策定されました。そして現在は,地域公共交通網形成計画を策定中です。さらにその後,地域公共交通再編実施計画を策定すると聞いています。最初の質問ですが,国の交通政策基本法制定を受けて,地域公共交通活性化再生法などが改正されました。こうした法律は,現在策定中の広島市の交通計画と密接に関連することとなりますが,この法律と市の計画の関係を説明していただきたいと思います。
次に,市の計画すなわち地域公共交通網形成計画と地域公共交通再編実施計画とは,具体的にどのようなものでこの計画を策定して,何をしようとしているのかお考えをお聞かせください。
また,この計画をつくるに当たり,広島市地域公共交通活性化協議会を設置しておられます。その目的とメンバーを教えてください。さらにこの計画は,市民にとって利用しやすい公共交通体系をつくろうとするものです。今後もできる限り多くの市民の皆さんの声を聞いていただきながら,計画を策定していただくようお願いしておきます。今後高齢社会の進行,環境対策などを考え,公共交通の充実は欠かせない課題となっています。しかしながら,冒頭で述べたように本市において公共交通を担っているのは民間企業であり,路線によっては赤字を出しながら運営しているのが実情です。こうしたことを踏まえると,市民の利便性を確保しながら,公共交通を維持していくためには行政の支援も不可欠であります。市としてのお考えをお聞かせください。広島市が計画策定を進める一方で,既にバスロケーションシステムを設置したり,バス路線を統合する社会実験などのように関係者と調整がついた取り組みについては,順次進んでいます。市民は毎日公共交通を利用しています。少しでも利便性が向上し,市民にとって使いやすい公共交通となるような取り組みは計画策定作業と並行しながら,引き続き推進していただきたいと思います。
次に,障害者福祉について質問いたします。
ことし4月から障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律,通称,障害者差別解消法が施行されます。少し世界の状況を振り返っておきたいと思います。2006年に国連で障害者権利条約が採択されました。この障害者権利条約を日本が批准するために障害者基本法の改正や障害者総合支援法の成立など,制度改正が行われてきました。そして,2013年に障害者差別解消法が成立し,ことし4月から施行となるものです。また,この法律は,自公民三党合意のもと国会に提出され,全会派一致で採択された法律でもあります。この法律の目的は,障害があってもなくても誰もが分け隔てられず,お互いを尊重して暮らし,勉強し,働いたりできるように差別を解消して誰もが安心して暮らせる豊かな共生社会の実現を目的としています。そして,具体的には障害を理由とする不当な差別的取り扱いの禁止,事前的環境の整備,合理的配慮の提供を法律で規定しています。
そこで,質問いたします。障害者差別解消法とはどのような法律なのか。基本的考え方を少し具体的に教えてください。また,その際の差別の禁止とは具体的にどのような事例をいうのでしょうか。さらに,障害者が健常者と同じように毎日の生活で不自由なく生活するために合理的配慮をしなければなりませんが,それは具体的にはどのようなものでしょうか。この合理的配慮は行政では義務づけとなっており,民間事業者は努力義務です。一方で,過重な負担がある場合には合理的配慮をしなくてもいいとしています。過重な負担として考えられる例として,学校にエレベーターを設置するケースなどが考えられます。数人の障害者のために一基3000万,4000万円もするエレベーターをつけるのはお金がかかり過ぎ,過重な負担だとするケースです。質問を聞いておられる皆さんの中にもそういう障害者は特別支援学校に行けばいいだろう,そうお考えの方もおられるのではないでしょうか。実は,そういう考え方を見直していこうというのがこの障害者差別解消法です。ちなみに,学校のエレベーター設置については国が全ての学校に設置するように指導しているものでもあります。4月からの法律施行後,この過重な負担であるかどうかが必ず議論になってまいります。行政は過重な負担だからと施設整備をしないといったケースも出てくるでしょう。過重な負担かそうでないのか客観的な判断をする必要が出てまいります。そうした第三者機関の設置の必要性と客観的な判断の考え方についてお聞かせください。障害者差別解消法については,多くの市民にまだ知られていないのが現状です。これまで,広島市は法律制定から施行までの間,行政内部や民間事業者,そして市民に対してどのような周知を行ってきたのでしょうか。また,今後,どのような啓発を行っていくのでしょうか。さらに広島市職員は,障害者のことを本当の意味で理解する必要があります。そのためには,疑似体験あるいは障害者サービスを提供する事業所へ直接行って現場研修を行う必要があります。いかがお考えでしょうか。また,現在実施している職員研修の中で障害者をお招きし,直接実情を聞くことが必要ですが,いかがお考えでしょうか。この法律に基づいて,広島市行政が取り組むべき点や留意する点などを明記した対応要領をつくるよう努めるとされています。市としては,対応要領をつくる予定はあるのでしょうか。それは,いつつくられるでしょうか。また,この対応要領は今後の状況に応じて柔軟に内容を改正することも必要ですが,どのようにお考えでしょうか。今後,市の部署において合理的配慮がなされたのかどうか,民間事業者についてはどうなのか具体的に調査を進め,実態を掌握する必要があります。市の場合には,例えば半年ごと1年ごとに各部署から報告を求めること。民間事業者には,アンケートなどを実施し,現状を掌握した上で適切な指導をする必要がありますが,いかがお考えでしょうか。最後に,この法律の第5条では事前的改善措置,つまり,障害者などから改善してほしいと要望があってから進めるのではなく,この法律に鑑み行政は事前に環境整備を進める義務があるとしています。法律制定後3年を経過したわけでありますから,広島市の各局でも事前的改善措置を進めてこられたと思います。この問題については,各局にまたがり,個別具体的な質問になりますから,予算特別委員会で各局の取り組みについて,質問したいと思います。
最後の質問になりますけれども,世界に誇れる「まち」広島
人口ビジョン及び世界に誇れる「まち」広島創生総合戦略についてお尋ねいたします。
一昨年の2014年11月,まち・ひと・しごと創生法が成立し,同年12月には国において,まち・ひと・しごと創生長期ビジョン及びまち・ひと・しごと創生総合戦略が策定されたことから,昨年2015年は地方創生元年と呼ばれ,各地方自治体が直面する人口減少に,どのように立ち向かっていくのか,深く考えさせられる年ともなりました。国は全ての自治体に,地方版
人口ビジョンと地方版総合戦略を策定するよう求め,広島市においても200万人都市圏構想の実現のための地方創生,この政策を進めるための広域拠点としての取り組みの中で,世界に誇れる「まち」広島
人口ビジョン及び創生総合戦略がまとめられました。
広島市の
人口ビジョンは,出生率の向上と若い世代の人口確保,つまり,東京圏と関西圏への転出超過の抑制を基本としています。その上で,2060年に人口116万を目指すとしています。これは相当野心的な計画と言ってもいいのではないでしょうか。
比較対象として,既に策定された他の政令市の
人口ビジョンを少し紹介したいと思います。札幌市では,2010年の人口191万人に対して,結婚や出産を望む市民の希望をかなえ,地域に定着できる環境づくりを進めることができれば,2060年の人口は約12%減の169万人になると推計されています。また,北九州市では,2010年の人口98万人に対して,合計特殊出生率が国の試算と同程度に回復した場合,2060年の人口は約25%減の74万人と推計されています。
広島市の
人口ビジョンを見てみますと,2010年の117万4000人に対して,出生率の向上と若い世代の人口の確保を実現することで,2060年の人口は116万7000人となり,ほぼ現状と同じ110万を目指す,そういう
人口ビジョンになっています。この数字を比較するだけでも,いかに本市の
人口ビジョンが高みを目指しているのかが,わかるのではないでしょうか。
しかし,このように高い目標を課すことによって,将来に希望を持たせることにつながり,その目標達成のために努力することが,これからの地方自治にとって,とても大切なことだと思います。この
人口ビジョンを踏まえた広島市の総合戦略は,2015年から2019年までの5年間を計画期間としています。この目標値として,合計特殊出生率を現在の1.49から2020年には1.59まで上げるとしています。0.1上げることも相当難しいことでありますが,具体的にどのような施策を考えておられるのでしょうか。お答えください。
また,もう一つの柱である若い世代の人口確保では,2020年に東京圏・関西圏への転出超過数を移動均衡,つまりゼロにするとしています。こちらもどのような施策を考えているのでしょうか。お答えください。
この創生総合戦略を確実に実施するには,市民の意識を変えることが大変重要であります。人口減少の現状とその弊害などを,全ての市民が共有する必要があります。その啓発については,どのようにお考えでしょうか。お答えください。
国は,その総合戦略の中で,これまで講じてきた政策の問題点を指摘しています。1,各局・制度ごとの縦割りの弊害,2,地域特性を考えない全国共通施策の実施,3,効果検証を伴わない施策の実施,4,地域に浸透しない表面的な施策の実施,5,短期的な成果を求め過ぎる施策という五つの問題点を指摘しています。これは,国みずからが指摘している問題ですが,広島市の総合戦略では,これらにどのように対応されているのでしょうか。お聞かせください。
最後に,1点要望しておきたいと思います。
それは,創生総合戦略に教育の充実を追加していただきたいということです。
参考になるのは,島根県の海士町です。海士町では,小学校から高校まで独自の地域改善教育のカリキュラムを実施しています。この教育のおかげで地域愛が育まれ,一度東京などへ出た若者がふるさとへ帰っているというのが現状であります。広島市の総合戦略は,PDCAサイクルにより改定を行っていくことでありますので,ぜひとも,この中に教育の充実を入れていただきたいということを要望しておきます。
以上で質問を終わります。
御清聴大変ありがとうございました。(拍手)
○
永田雅紀 議長 市長。
〔松井一實市長登壇〕
◎松井一實 市長 太田議員からの御質問にお答えします。
平和行政のうち迎える平和や平和首長会議の取り組み状況と,核兵器のない世界の実現に向けた国際社会の動向についての御質問がございました。
まず、迎える平和の取り組みとしては、一昨年4月のNPDI広島外相会合,昨年8月のCTBT賢人グループ会合や国連軍縮会議など国際会議の誘致に力を入れてきました。こうした会議以外でも多くの為政者を広島にお迎えし,特に昨年はNPT再検討会議議長や国連総会議長に,それぞれ会議の開催前に広島を御訪問いただきました。そして,今年は4月にG7外相会合が開催されることから,各国の外相におかれては,ぜひとも平和記念公園を訪問し,直接被爆の実相に触れ平和への思いを共有し,
核兵器廃絶と世界恒久平和の実現に向けた揺るぎない決意を固めていただきたいと考えております。
また,平和首長会議については,まずは加盟都市拡大に力を注ぎました。その結果,私が就任して以来5年間で,加盟都市が2,311都市ふえまして,現在161カ国地域の6,991都市に拡大し,今も増加し続けております。そのうち国内加盟都市につきましては,1,613自治体にふえておりまして,加盟率にして92.6%に上昇しております。
活動面では,世界各地で地域特性を踏まえながら,主体的・自主的に活動が展開されるよう地域グループをつくりまして,現在21のリーダー都市を中心に地域会議の開催や原爆ポスター展の実施などさまざまな取り組みが各地で始まっており,活動の輪が世界的に拡大しているというふうに認識しております。
次に,最近の国際情勢を見てみますと,シリアなどの中東における紛争に象徴されるように,相互不信にとらわれた対立が拡大しております。また,我が国周辺でも,北朝鮮による核実験や長距離弾道ミサイルの発射を初め,核兵器の抑止力といったものに固執した為政者の言動が繰り返されておるようであります。こうした中,本市や平和首長会議においては,これまで一貫して被爆者の体験や平和への思いを共有して,相互不信にとらわれた暴力や抑止力ではなくて,寛容を基調とした対話によって核兵器に依存しない安全保障体制の構築を求め続けてきております。その結果,昨年の国連総会では,核兵器のない世界の実現に向けた作業部会の設置に138カ国が賛同し,また,このたびは,日本国政府も核保有国と非核保有国との橋渡し役として,この作業部会の参加を決めたところであります。
このようなことから,市民レベルのみならず国家レベルでも,核兵器の非人道性や核兵器禁止に向けた法的枠組みの必要性の認識が確実に広がってきているものと感じております。今後とも,本市は平和首長会議の加盟都市や市民,NGO等と緊密に連携しながら,作業部会などにおいて,さらに多くの国にヒロシマの思いを受け止めていただき,核兵器のない世界の実現に向けて行動していただけるよう取り組んでいきたいと考えております。
その他の御質問については,関係局長から答弁いたします。
○
永田雅紀 議長 市民局長。
◎谷本睦志 市民局長 国連作業部会とは,どのような議論をする場で,どういったスケジュールなのか。また,日本政府が作業部会への参加を表明したが,どう受けとめ,何を期待しているのか。また,平和首長会議として何か対応を考えているのかとの御質問がございました。
昨年5月,NPT再検討会議において,核兵器のない世界に向けた法的措置を議論する場を設置することを盛り込んだ最終文書案は採択されませんでした。しかしながら,国連総会では,昨年12月,多くの国が核保有国を含む全ての締約国の参加のもとに,法的措置を議論する作業部会設置に賛同し,決定されたものです。会議のスケジュールについては,先月28日に開催された事前会合で運営方法や議長などが決定され,今後2月,5月及び8月の計3回開催した後,最終的に今年秋の国連総会において勧告と報告が行われる予定とされています。
また,日本政府の参加については,本市及び平和首長会議が参加を要請してきたものであり,その思いを受けとめていただいたものと考えています。日本政府には,唯一の被爆国の立場から被爆者の体験や平和への思いを根底に,核保有国と非核保有国との橋渡し役として,国際社会の
核兵器廃絶に向けた取り組みが,スピードを増すように議論を主導していただきたいと期待しています。こうした状況の中,平和首長会議としては,来週22日から始まる会議に平和首長会議事務総長である広島平和文化センター理事長を派遣することとしており,他のNGOと連携を図りつつ,核兵器の法的禁止に向けた積極的な議論がなされるよう働きかけていきたいと考えております。
次に,被爆70周年に平和首長会議の加盟都市で行われた平和に関する取り組みはどのようなものがあったか。また,加盟都市が毎年同じ時期にバナーを掲げるなど,同じ行動を取ることで継続的な取り組みになるようにしてはどうかとの御質問がございました。
被爆70周年を機に本市の呼びかけに応じ,平和に関する取り組みを行った都市は,国内849都市,国外26カ国390都市となっており,具体的には被爆樹木の植樹,被爆の実相を伝えるパネル展示・ビデオ上映,平和と
核兵器廃絶を願う式典等,市民を巻き込んださまざまな取り組みが行われました。また,これまで本市からの呼びかけに応じ,8月6日と9日の原爆記念日や国連が定めた9月21日の国際平和デーに,多くの都市で平和のセレモニーの開催や市民に折り鶴を折ってもらう取り組みなどが行われています。今後,平和首長会議のネットワークを活用して,
核兵器廃絶に向けた機運をさらに高めるため,議員御提案のあったバナーの掲出等,毎年同じ時期に同じ行動をとり,より多くの市民の意識啓発を図る加盟都市共通の取り組みについて検討したいと考えております。
以上でございます。
○
永田雅紀 議長
道路交通局長。
◎向井隆一
道路交通局長 交通行政についての御質問に順次お答えをいたします。
まず,法律と市の計画との関係についてでございます。
交通政策基本法は,交通に関する施策を総合的かつ計画的に推進し,国民生活の安定向上や国民の経済の健全な発展を図ることを目的として,平成25年12月に公布・施行されました。これを受け,平成26年11月に改正をされました地域公共交通の活性化及び再生に関する法律では,地方公共団体が中心となって,まちづくりと連携し,公共交通ネットワークを再構築するために,地域公共交通網形成計画や地域公共交通再編実施計画を作成することができることになりました。現在作成中の形成計画や今後作成を予定してます再編実施計画はこうした法的枠組みの中で行うものでございます。
次に,地域公共交通網形成計画と地域公共交通再編実施計画の具体的な内容と,この計画を策定して何をしようとしているのかについてお答えをいたします。
地域公共交通網形成計画は,マスタープランとしての役割を果たすものとされており,具体的には昨年8月に本市が策定しました公共交通体系づくりの基本計画に基づき,5年間で維持・導入すべき公共交通ネットワークを位置づけるとともに,実施する機能強化策や利用促進策などを記載することにしております。
次に,地域公共交通再編実施計画は,形成計画を実現するための実施計画とされており,具体的には形成計画に位置づけたネットワークの各路線について運行事業者やダイヤ,運賃体系などの運行計画,個別施策の実施箇所,実施主体などを記載するものでございます。
また,この再編実施計画につきましては,国土交通大臣の認定を受けますと,大臣の勧告・命令による事業の確実な実施が担保されるとともに,計画を阻害する行為の防止などの法制上の措置や,デマンドシステム,LRT等の整備に係る財政支援の拡充などを受けることができます。
こうした二つの計画を作成することにより,都心部の過密化したバス路線を効率化し,それにより生じた余剰のバスをサービスレベルの低い郊外部や中山間地域等の主要なバス路線に回すといった路線の再編や,地域の実情に応じた運行形態による生活交通の確保,また,乗り継いでも直通と同程度の運賃となるような乗り継ぎ割引の充実など利用者にとって使いやすい運賃体系の構築など実現していきたいと考えています。
次に,広島市地域公共交通活性化協議会の目的と参加メンバーについてお答えをいたします。
広島市地域公共交通活性化協議会は,地域公共交通の活性化及び再生に関する法律に基づき,設置した協議会で,形成計画の作成や実施に関し必要な協議を行うことを目的としております。
参加メンバーでございますが,学識経験者や利用者代表,JR西日本広島支社,広島電鉄,広島高速交通,広島県バス協会などの交通事業者や交通管理者である広島県警,関係行政機関など21名で構成をしております。
最後に,市民の利便性を確保しながら,公共交通を維持していくためには,公共交通を担う民間企業に対する行政の支援も不可欠だと考えるが,市の考えはどうかでございます。
本市では,全ての市民が公共交通を利用できる環境の確保を目指し,利用者にとってわかりやすく使いやすい持続可能な公共交通体系を実現したいと考えております。そのためには,事業者においても持続可能な公共交通サービスを提供していただくことが重要でございます。
こうしたことから,現在作成をしております計画においては,利便性の高い公共交通ネットワークの構築や公共交通サービスの充実強化,効率的な公共交通の運行を図ることとしておりますが,それでもなお,事業者だけでは維持が困難な部分についての支援につきましては,行政として当然に行っていく必要があると考えております。
以上でございます。
○
永田雅紀 議長
健康福祉局長。
◎川添泰宏
健康福祉局長 障害者福祉につきましての御質問に順次お答えいたします。
まず,障害者差別解消法はどのような法律か。また,差別禁止とは具体的にどのような事例をいうのかとのお尋ねでございます。
障害者差別解消法は,障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本的な事項,国や地方公共団体等の行政機関及び民間事業者における障害を理由とする差別を解消するための措置等を定めることにより,全ての国民が障害の有無によって分け隔てられることなく,相互に人格と個性を尊重し合いながら,共生する社会の実現につなげることを目的としております。
法律の内容としましては,行政機関,民間事業者ともに障害を理由とする不当な差別的取り扱いをすることにより,障害者の権利・利益を侵害してはならないとされております。また,障害者から日常生活や社会生活を送る上での社会的障壁,例えば利用しにくい施設,設備や制度,障害者の存在を意識していない慣習や文化,障害者への偏見などの障壁,これを取り除くよう申し出があれば,その実施に伴う負担が過重でないときは必要かつ合理的な配慮を行うことが,行政機関については法的義務,民間事業者については努力義務として課せられております。さらに,相談体制の整備,啓発活動,関係機関で構成する障害者差別解消支援地域協議会の設置など,差別を解消するための支援措置について規定されており,本年4月1日から施行されます。不当な差別的取り扱いの禁止は,正当な理由なく窓口対応や施設への入場を拒否したり,制限したり,条件をつけたりすることを禁止するなどが具体例として挙げられます。
次に,合理的配慮を具体的に,これはどういうものなのか。過重の負担があれば合理的配慮をしなくてもよいとされているが,客観的な判断の考え方はどのようなものか。第三者機関の設置の必要性についてどうかとのお尋ねでございます。
合理的配慮の具体例としましては,視覚障害のある方に対して資料を渡すだけでなく読み上げる。聴覚障害のある方に対して筆談で対応することや講演会で手話通訳を用意する。車椅子を利用される方に対して段差がある場合に補助するなどが挙げられます。この合理的配慮は行政機関においては,その実施に伴う負担が過重でなければ提供しなければならないとされており,本市では過重な負担かどうかは個別の事案ごとに,事務・事業の目的・内容・機能を損なわないか,物理的・技術的制約や体制上の制約はないか,費用・負担が過大にならないか,財政状況はどうかといった要素を考慮することになります。
また,客観的な判断を行う第三者機関の設置につきましては,法施行後における対応実績や国・他の地方公共団体の動向等を踏まえながら研究してまいりたいと考えております。
次に,これまで広島市はどのような,この法について周知を行ってきたのか。また,今後どのような意識啓発を行っていくのかとのお尋ねでございます。
本市においては,昨年6月に各局・区,行政委員会等の庶務担当課長等で構成する広島市障害者差別解消庁内連絡会議を設置し,障害者差別解消法の内容等について周知を図るとともに,各局等が行っている合理的配慮の取り組み事例,障害者や支援者から出された要望や意見等を収集し,情報を共有しております。
また,市民や民間事業者に対しては,市内の公益的法人や障害者等を対象とした研修,市民と市政への掲載,障害者関連イベント等におけるパンフレットの配布等を通じ,法の紹介などを行っております。今後もこうした取り組みに加え,職員向け研修会の実施,市民向けシンポジウムや民間事業者を対象とした説明会の開催,市ホームページへの掲載などを通じて意識啓発を図っていきたいと考えております。
次に,市職員は疑似体験や障害者サービスを提供する事業所で現場研修を行う必要があると思うがどうか。また,職員研修の中で障害者を招いて直接実情を聞くことが必要だと思うがどうかとのお尋ねでございます。
本市では,現在,新規採用職員を対象とする福祉に関する研修において,要約筆記や車椅子体験などに取り組んでおり,こうした研修を通じ障害者への理解が促進されると考えております。今後,障害者差別解消法の施行を機に,職員を対象として疑似体験の場を設けることや法に関する研修において障害者を講師として招聘することについて検討していきます。また,障害福祉サービス事業所での現場研修については,事業者と協議していきたいと考えております。
次に,法に基づいて対応要領をつくるよう努めるとされているが,市はつくる予定はあるか。それはいつつくるのか。また,その対応要領は柔軟に内容を改正することも必要であるがどのように考えているかとのお尋ねでございます。
本市では,職員が障害を理由とする不当な差別的取り扱いを行うことなく,障害者への合理的配慮に関して適切に対応することができるよう,法の考え方,不当な差別的取り扱いや合理的配慮の具体例,相談体制の整備等について明記した広島市職員対応要領を本年3月に策定するよう準備を進めており,現在,各局等や障害者団体等に対して案を提示し,意見を聴取しているところでございます。対応要領策定後は,職員に対する説明会を開催し,周知を図っていきたいと考えております。また,法施行後は,障害者からの差別解消に関する相談や合理的配慮の取り組みの実績等を踏まえ,適宜,広島市職員対応要領を見直し,一層の充実を図っていきたいと考えております。
最後に,今後合理的配慮がなされたかどうか各部署からの報告を求めること,それから民間事業者にアンケート調査などを実施して適切な指導をとる必要があると思うがどうかとのお尋ねでございます。
法施行後,本市への障害者からの差別解消に関する相談や本市における合理的配慮の事例等を定期的に収集し,広島市障害者差別解消庁内連絡会議を通じて,全庁的に情報を共有するよう考えております。また,法施行後,一定の期間を経た後,民間事業者における法の認知度や具体的な事例等に関するアンケート調査を行うことを検討したいと考えております。
以上でございます。
○
永田雅紀 議長
企画総務局長。
◎岡村清治
企画総務局長 世界に誇れる「まち」広島
人口ビジョン,それから広島創生総合戦略の案についての御質問にお答えいたします。
まず,合計特殊出生率,それから若い世代への人口の確保のために,具体的にどのような施策を考えているのかというお尋ねでございます。
人口ビジョンの策定に際して,人口の変動要素である出生と移動に深く関係する市民の結婚・出産・子育ての意識・希望に関する調査や,本市への移住に関する調査など四つの調査を実施いたしました。これらの調査を分析したところ,出生率の向上と若い世代の人口確保を実現するためには,経済的に十分な生活ができる安定した仕事や出産・子育ての負担を軽減する切れ目のない支援,さらには誰もが住みたい魅力あるまちづくりが必要であることがわかりました。
こうしたことから,このたびお示しした本市の総合戦略では,経済的に十分な生活ができる安定した仕事,すなわちディーセント・ワークを創出するために,ものづくり産業の競争力強化への支援や農林水産業の担い手の育成,地元企業における若者の雇用促進などに取り組むことにしております。
また,出産・子育ての負担を軽減する切れ目のない支援を行うためには,乳幼児等医療費補助の対象年齢の拡大や,ひとり親家庭などの子供の居場所づくりの取り組みを行う地域団体等に対する補助などに取り組むこととしております。
さらに,誰もが住みたい魅力あるまちづくりについては,住宅団地の活性化や中山間地・島嶼部における交流・定住の促進,本市の誇れる景観や文化の魅力向上などに取り組むこととしております。
このように,さまざまな施策の効果を集約し,出生率の向上と若い世代の人口確保を着実に進めたいと考えております。
次に,人口減少の現状とその弊害を全ての市民が共有する必要があるが,その啓発についてはどのように考えているのかというお尋ねでございます。
総合戦略の推進に当たっては,
人口ビジョンにより示した人口減少についての認識をまち全体で共有し,住民の参加はもとより,経済団体,教育機関,金融機関,労働団体などの協力も得ながら,広島の総力を挙げて着実に実施することとしております。このため,
人口ビジョンと総合戦略については,本市の広報紙やホームページに掲載して,広く市民に公開するとともに,市政出前講座など直接市民に説明する機会を積極的に設け,その啓発に努めたいと考えております。
最後に,国が地方創生において対処すべき点として五つの問題点を指摘しているが,本市の総合戦略ではこれらにどのように対応しているのかというお尋ねでございます。
議員御指摘の五つの問題点は,国が総合戦略を策定する際に,従来の政策の検証に基づき,地方創生において対処すべき点として示したものですが,本市においては従来より認識し取り組んできた課題であり,総合戦略を策定する際にもこれら五つの点について,十分留意をしたところでございます。
具体的に申し上げますと,五つの問題点のうち一つ目の各局・制度ごとの縦割りの弊害を生まないために,例えば女性の活躍促進と若者の雇用対策という二つの政策課題に対して,それぞれの所管部署が一体となって,働く女性,若者のための就労環境整備の推進に取り組むなど,縦割りではなく,横串を刺した施策展開を図ることとしております。
二つ目の問題点です。地域特性を考えない全国共通の施策としないために,本市が持つ地理的特徴をいかに発展に結びつけていくかに視点をおき,デルタ市街地,デルタ周辺部,中山間地・島嶼部という三つのエリアごとの特色やその都市的魅力や自然的魅力を一層引き立て,圏域内の誰もが容易にそれを享受することができるまちづくりに取り組むこととしております。
三つ目です。効果検証を伴わない施策としないために,設定した数値目標や重要業績評価指標── KPIをもとに,実施した施策や事業の効果について検証を行い,必要に応じて総合戦略を改訂するというPDCAサイクルを実践することとしております。
四つ目の地域に浸透しない表面的な施策としないために,例えば住宅団地の活性化対策や協同労働の仕組みづくりなど住民主体の取り組みを支援することを通じて,地域コミュニティーの再生に取り組むなど,対症療法にとどまらず,構造的な問題への処方箋となるような施策に取り組むこととしております。
五つ目の短期的な成果を求め過ぎる施策としないために,例えば広島西飛行場跡地の活用や新交通西風新都線の整備の推進など成果を出すまでに一定の時間が必要となるものについても,中期的な展望をもって取り組むこととしております。
以上でございます。
○
永田雅紀 議長 40番太田議員。
◆40番(太田憲二議員) ありがとうございました。
それぞれの項目で検討していただくということの前向きな答弁も随分いただきました。確実に実施をしていただきたいというふうに思います。再質問はしませんけれども,先ほど質問で言いましたけれども,障害者差別解消法,実は障害者の皆さんが待ち望んでおられた法律と言っても過言ではありません。それで,これを確実に実施して社会を変えていくということがこの法律の趣旨でありますけれども,しかしながら,まだ現段階で,例えば広島市職員の皆さん,これをしっかり理解をされているのかというと,まだまだ十分ではないと思っております。ぜひ,各局でその辺の周知をお願いしたいということと,それから先ほども言いました,事前的改善措置。これは,この法律の第5条に規定をされています。これは,環境整備ですけれども,ただ施設をつくるということだけが環境整備ではありませんから,その辺をしっかり各局で考えていただき,予算特別委員会で各局の方から,それぞれまた説明というか報告を求めたいと思いますので,答弁の準備をお願いをしたいと思います。
以上です。
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休憩宣告
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○
永田雅紀 議長 この際,暫時休憩いたします。
午前11時58分休憩
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午後1時04分開議
出席議員 48名
欠席議員 6名
○沖宗正明 副議長 出席議員48名であります。
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開議宣告
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○沖宗正明 副議長 休憩前に引き続き会議を開き,
総括質問を行います。
38番酒入忠昭議員。
〔38番酒入忠昭議員登壇〕(拍手)
◆38番(酒入忠昭議員) 皆さん,こんにちは。民主クラブの酒入でございます。二人という大変少ない会派でございますけれども,一応会派を代表して質問をさせていただきます。
私は,議員の命,存在感は本会議を初めとして,あらゆる機会に質問をするということであると考えており,また質問することによって,自分のレベルのアップにもつながるんじゃないかと。あるいは,支援者の皆さんにも期待に応える行動ができるんじゃないかということで,質問をさせていただきます。そのような意気込みで本日も質問させていただきますので,しばらくの間,御清聴方よろしくお願いをいたします。
最初に,本市の財政についてお尋ねをいたしたいと思います。
世界の景気はアメリカ・中国の景気減速,ドイツ銀行の大幅減益,そして原油安などから先が見通せない状況となっております。そのようなやさき,円相場は122円から114円台と,急激で大幅な円高となりました。株価も1万4000円台へと1週間で4,000円も値下がりしました。日本を支えてきた輸出産業は,大きな打撃を受けており,始まったばかりのベースアップ交渉にも影響を与えるとともに,来期の決算見込みも下方修正されるのではないかと,私は心配しておるところであります。今後は,ギリシャ,イタリアなどEU諸国の財政再建問題も再浮上してくるのではないかと私は予想しております。
このようなことから,我が国経済にも大きな影響を及ぼしてくるものと考えます。そのような世界情勢にあって,我が国の国債や借入金などの残高を合計した国の借金は雪だるま式に膨らんできまして,平成27年3月末には1143兆9000億円になると予測されております。推計人口1億2700万人で割った国民一人当たりの借金は900万円にもなります。そのような状況にもかかわらず,平成28年度の国の概算要求は過去最大の102兆4000億円に膨らんでおります。政府に真剣な財政健全化へ取り組む姿勢があるとは,到底思えません。政府は経済が成長すれば,税収がふえ,財源は何とでもなると判断しているようでありますが,日本の景気の先行きは不透明であります。政府が予測するような景気の上昇による増収は,私は見込めないのでないかと思います。先にも申し上げましたように,国の借金残高は国民一人当たりでおよそ900万円,4人家族では3600万円という,大変大きな借金であります。振り返って本市の財政を見ると,昨日も質問がありましたように,今までにない大変厳しい状況となっていると思います。広島市の平成28年度末の市債残高見込み額は1兆1136億2960万2000円となり,昨年よりおよそ73億円,0.7%増加しています。臨時財政対策債残高等控除後の残高ではおよそ135億円減額とはなっていますが,臨時財政対策債は本市が発行した市債であり,国が今後交付金で補完するという仕組みであります。しかし,現在の国の財政状況から勘案すると,今後交付金の増額は期待できなく,この制度は永続することが予測されます。本市が発行した臨時財政対策債の債務返済のため,臨時財政対策債を発行している状況であります。俗に言うローン地獄に陥ってる状況だと私は思います。さて,本市の市債残高を市民一人当たりに換算するとおよそ100万円,4人家族で400万円になります。広島市民は,国,広島市の借金の合計で,4人家族で4000万円という大変大きな借金を背負っております。それに,家のローンあるいは県の借金ということになりますと大変大きな金額になります。
そこで松井市長には,広島市の市債残高を少なくする取り組みを積極的に進めていただかなくてはなりません。松井市長はいつも選択と集中,そして次世代に負債を残さないと言われております。私もできるだけ,後世に負債を残すことは避けなければならないと思います。次世代の市民は,少子高齢化により税負担は増加し,退職後の年金も大幅に減額されることが常識化しております。それ以上に,現世代の負債を背負わせるわけにはいきません。その観点に立って,質問をさせていただきます。
本市が発行している市債の一部である退職手当債についてお尋ねいたします。
退職手当債は,団塊の世代の大量退職が始まる平成18年度から平成27年度までの10年間,当該年度に支給すべき退職手当の合計額のうち平年度より多額である部分について起債を認めることを総務省が認めた市債であります。その通達を受け,本市は平成20年度から平成27年度まで8年間,毎年度退職手当債を発行しておりまして,平成20年度で40億円から平成27年度57億円までの合計で349億円という多額の退職手当債を発行しております。
一方,他の政令指定都市の発行状況を見てみますと,平成26年度では発行してる都市は本市のほか千葉市,川崎市,新潟市,京都市及び北九州市の6都市であります。他の14政令市は退職手当債は発行していません。
そこで,お尋ねいたします。
団塊の世代の大量退職については,人員構成から事前にわかっており,早くから対策をすべきであったと私は考えます。民間企業では事前の対策を行っており,それを行わないと企業は赤字決算となり,それが継続すると倒産いたします。財政調整基金への積み立てなど事前に対策すべきであったと考えますが,なぜ事前の対策を行わなかったのかお答えください。また,先にも申し上げましたとおり,松井市長は常に,次世代に負債を残さないと発言されています。しかし,私は退職手当債は次世代に負債を残すことになると思いますが,市長はどのように考えておられるか,あわせてお答えください。
次に,本市の一人当たり退職手当額についてお尋ねいたします。
平成20年度では,定年退職者,自己都合退職者及び死亡退職者合計で434名が退職されました。その退職金総額は108億円。一人当たり平均で2488万円の退職金が支払われております。平成26年度は,制度改正により若干低くなっておりまして総額74億円。一人当たり平均で2100万円と言われております。公務員の給与・ボーナスは,民間企業の実態を調査し,その結果を参考に人事委員会が勧告し,実施されております。民間企業の大学卒定年退職者の退職金は一人平均1850万円と報じられておりました。広島市職員退職金とに大きな差が生じております。広島市職員の退職金の民間企業との比較は,どのように行っていますか,お答えください。行っていないのであれば,なぜ行わないのかお答えください。私は,民間企業との格差は退職金を含めた生涯賃金で比較すべきであると考えています。今後,どのように対応していこうとしているのかお答えください。
さて,平成28年度の退職手当の予算は94億円が計上されております。したがって退職手当債の発行は見送られております。先にも述べましたとおり,退職手当債は団塊の世代の大量退職に伴う退職手当の急増に対処するため地方財政法の特例措置として,平成18年度から平成27年度までの10年間のみ発行が許可されておりましたが,依然として退職手当の負担の大きい団体が残っていることを踏まえ,平成28年度よりさらに10年間,この制度を延長することとされました。本市は,平成28年度の退職手当債の発行は,先ほど申し上げましたように94億円という平年度並みでございますので,発行は見送らております。しかし,先般,公表された本市の平成28年度から4年間の基本方針に基づく取り組みを踏まえた中期財政収支見通しでは一般財源収入がほぼ横ばいである中,従来どおりの制度・事業展開の方針のままでは,平成28年度から平成31年度までの4年間の累計で511億円の収支不足が生じる見込みです,と示されております。また,人件費のうちの退職手当は平成29年度154億円,平成30年度152億円,平成31年度149億円,そして平成32年度も149億円と平成28年度の94億円を大幅に上回っております。今後,平成29年度以降の退職手当債発行の見通しをお聞かせください。
次に,不登校対策についてお尋ねします。
文部科学省の調査によりますと,昨年平成26年度の不登校児童生徒数は,小学校では2万5866人,前年度比1,691人増,全児童に占める割合は0.39%となっており,過去最高の数値になっていると言われております。また,中学校においては,9万6789人,前年度比1,608人増,全生徒に対する割合は2.76%となっております。国においては,このような増加の傾向にありますが,本市においては,過去5年間の市立の小・中学校での不登校児童生徒数は,平成22年度は1,122人,平成23年度1,114人,平成24年度973人,平成25年度969人,そして平成26年度は小学校が273人,中学校が723人の合計996人と減少しており,教育委員会の御尽力に感謝申し上げます。
そこで,お尋ねいたします。
本市においても,まだ1,000人に近い不登校児童生徒がおります。不登校となる要因として私は,学校のいじめ,あるいは不規則な生活,遅寝遅起き,そして勉強についていけないの三つが主な要因ではないかと理解しておりますが,本市教育委員会として,不登校のきっかけとなったと考えられる要因は何であると分析しておられるかお答えください。
また,教育委員会は,不登校児童生徒や保護者への支援として,どのような取り組みを行っておりますか。特に,不登校の中でも長期に渡って連続して欠席している児童生徒の対策が,私は特に重要であると考えております。そのような児童生徒,保護者への対策もあわせてお答えください。不登校児童生徒は本人の行動が把握しにくい,家を出たけども学校へ行ってない,という形で本人の行動が把握しにくいため,危険な行動に走る,行動が発生するということが予測されます。不登校児童生徒の減少に向けて,今後どのように取り組んでいこうとしているのか決意をお答えください。
次に,高齢者対策についてお尋ねいたします。
私は,地区の社会福祉協議会の会長を拝命しております。先般,市社会福祉協議会主催の福祉のまちづくり研修会がありました。その研修会資料の中に,松井市長の目指す世界に誇れる「まち」広島の地域福祉の再構築に向けて,広島型・福祉ビジョンという冊子がありました。松井市長の地域福祉への意気込みを感じるところであります。今後については,広島市で将来に希望を持ち,安心して生活を営むことができる,子供が健やかに生まれ育つことができるといった幸せ・生きがいを実感することができるまちを目指すとしています。その資料の中に,重点課題としての取り組みとして,地域における支え合いの推進,子育て・高齢者支援人材確保を掲げておられます。私もその課題は,地域福祉構築の最重要課題と考えており,その課題について質問させていただきます。
2013年3月の国立社会保障・人口問題研究所の地域別将来推計人口によると,本市の総人口は,2015年以降減少に転じており,25年後の2040年には109万3000人,2010年度比93%。45年後の2060年には93万3000人,2015年度比79%に減少すると推計しております。そのような中,2015年の老年人口,高齢者比率というのが老年という言葉に変わりました,老年人口比率は22.3%。これが2040年には34.8%と人口の3人に1人が65歳以上の高齢者になります。2025年には,高齢化に伴いひとり暮らし家庭が増加し,その結果,75歳以上の4人に1人が認知症になるとも言われております。
さて,全国の認知症の高齢者は,平成24年時点で推計550万人に達し,20年前の6倍になったと言われております。また,認知症の予備軍と言われる軽度認知障害の高齢者も推計310万人もいると言われております。早急な認知症対策が全国的に求められております。認知症の急増を食いとめるには,誰もが認知症になり得るということを意識して,生活習慣に気を配り,リスクを下げることが大切であると言われております。健常者が急に認知症になることはありません。適切な予防措置をとれば,認知症に進まず,症状を改善できると言われており,対策を進めている都市もあります。
警察庁によりますと2014年に認知症で行方がわからなくなったとして家族などから警察に届け出があった不明者が1万783人だったと報じられていました。2013年から461人ふえ,2年連続で1万人を超えておるそうでございます。大半が保護されていますが,2014年末時点で168人の所在が確認されていないと言われております。私は,認知症対策はいかに早く症状を見つけ,適切な対応をすることが肝心ではないかと考えております。本市として,どのように認識しておられるか,お答えください。また,先にも述べましたとおり,認知症で行方不明になられた人が,全国で168人いると言われています。本市での発生はどのようになっていますか。認知症行方不明者対策として,GPS端末を活用している自治体が全国で20%あると言われています。本市として,認知症行方不明者対策にどのように取り組んでこられましたか。また,今後GPS端末などの機器の活用について検討するお考えはありませんか,お答えください。
先の松井市長の広島型・福祉ビジョンにある重点課題の地域における支え合いの推進には,家族形態の変化,ライフサイクルの変化及び地域コミュニティーの希薄化などから地域での自助・共助には限界があると私は思います。本市として地域活動の自助・共助でカバーできない課題についてどのような公助で地域活動を支援していこうとしているのかお答えください。
さて,町内会や老人会の活性化には,若年層の役員が必要であります。地域の町内会,老人会の役員は高齢化し,後継者の若年者役員発掘が大変難しくなってきております。そこで,優秀な市職員やOBの方に役員となっていただき,地域活動の活性化に御協力をいただきたいと思います。本市として現在まで,どのような働きかけを行ってこられましたか。また,今後どのような取り組みをしようとしているのかお答えください。
昨年9月,山口県光市では,市内部に地域ふれあい協働隊── 地域でともに働く隊というのを結成しております,新聞報道です。職員が地域の行事に参加して,住民と触れ合い,地域と行政が一体となったまちづくりを進めていく意識を高めるのが狙いだと言われております。市の規模が異なるので,実施には課題があると思いますが,本市としても検討していただきますよう要望しておきます。
最後に,管理職への女性の登用についてお尋ねいたします。
政府は2003年,2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%にすることを決めました。202030というように呼ばれておりました。しかし,現在,登用が進まない現状から昨年12月,30%の達成目標を断念し,30%は努力目標と位置づけた上で,新たに15%の目標を定めました。15%の目標も簡単に達成できるものではないというふうに,私は思います。本市の教員を除く管理職に占める女性職員の割合は,平成25年度10.1%,26年度10.2%,27年度10.3%。若干は増加の傾向にあります。しかし,女性には職業生活と家庭生活の両方をこなさなければならないという男性以上の負担があります。今後,急速に進む少子高齢化社会への対応として,女性の社会進出の拡大と活用,そしてやる気のある優秀な女性職員の管理職への登用が重要になってきます。そのためには,研修,そして女性に適した職業の選択などが大切であると私は考えます。私は以前から申し上げてきましたけども,目標値ありきではあってはなりません。本人の実力を見きわめ,能力のある職員は男女の区別なく,管理職に登用すべきであると思います。その結果,国が示す目標を達成できれば幸いであります。目標値に私はこだわることはないと思います。そのような方針のもと,本市として今後,女性職員の育成・登用にどのように取り組んでいこうとしているのかお答えください。
以上で
総括質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○沖宗正明 副議長 市長。
〔松井一實市長登壇〕
◎松井一實 市長 酒入議員からの御質問にお答えします。
財政についてのうち,退職手当債の発行についての御質問がございました。
本市では,平成15年に財政非常事態宣言を行うなど厳しい財政状況が続いている中で,団塊の世代の大量退職という突出した財政需要があることから,平成20年度以降,退職手当債を発行しております。その後,私が市長に就任して以降,初めて公表した中期財政収支見通しにおいて,厳しい財政状況は変わらない中,今度は政令指定都市移行時に採用した職員の大量退職による突出した財政需要が生じることが見込まれ,平成24年2月に策定した財政運営方針において,それまでの方針を踏襲して,退職手当債を発行することを判断いたしました。私としては,安易に退職手当債を発行すればよいという考え方をとっているわけではないわけでありますが,義務的経費として必要不可欠な退職手当の財源を確保するため,市債残高にも留意しながら,やむを得ず退職手当債を発行するということにしたものであります。今後も選択と集中の考え方のもと,徹底した事務・事業の見直しを不断に行うとともに,歳入確保,歳出削減の両面において,それぞれ適切な取り組みを行っていくこととしておりまして,できるだけ退職手当債等の臨時的な財源対策に頼らない財政構造の確立を目指していきたいというふうに考えております。
また税源の涵養につなげるという観点からは,都市の活力につながるまちづくりの推進にも同時並行で力を入れつつ,市債残高を抑制していくことで将来世代がその時代に応じたまちづくりを行っていくことができるような計画的な財政運営に努めてまいりたいと考えております。
その他の御質問については,関係局長から答弁いたします。
○沖宗正明 副議長
企画総務局長。
◎岡村清治
企画総務局長 財政についての御質問のうち,本市職員の退職金は民間企業とどのように比較しているのか。退職金も含めた生涯賃金で民間企業と比較すべきと思うが,今後どのように対応していくのかというお尋ねでございます。
本市職員の退職手当については,地方公務員法第59条に基づく総務副大臣の技術的助言等を受けて,国家公務員の退職手当の制度に準ずることとしております。このため,本市職員と民間企業とを直接比較することは行っておりませんが,国家公務員の退職手当については,人事院がおおむね5年ごとに官民比較を行っており,最近では平成23年度に全国民間企業の退職給付の状況を調査しています。その結果,約400万円の較差があったことから,国家公務員については平成25年1月から,本市職員については平成25年8月からそれぞれ退職手当の支給水準の引き下げを行っております。
なお,人事院のこの官民比較では,退職一時金だけでなく,民間については退職後に分割して支給する企業年金を,公務員については共済年金の職域部分を合算した退職給付の総額で比較しております。
このように,本市職員の生涯賃金については,給与及びボーナスは人事委員会の勧告に基づき,また,退職給付は人事院の調査により民間企業との均衡は図られていると考えております。
以上でございます。
○沖宗正明 副議長 財政局長。
◎糸山隆 財政局長 財政について2点お答えをいたします。
まず,1点目が団塊の世代の大量退職については人員構成から事前にわかっており,その退職手当について財政調整基金への積み立てなど事前に対策すべきであったと考えるが,なぜ行っていないのかというお尋ねです。
本市における退職手当については,団塊の世代の大量退職や政令市移行時に採用した職員の大量退職に伴い,特定の期間に財政需要が急増する状況があることに加え,平成15年に財政非常事態宣言を行っていたこともあって,その負担を平準化する方法としてあらかじめ基金などへ積み立てるという方法は,採用してきていないところでございます。そのため,もう一つの方法として後年度に負担を平準化することが可能な退職手当債の発行を行ってきたところでございます。
2点目は,本市は28年度は退職手当債の発行を見送ることとなっていると。国においては平成28年度以降10年間,退職手当債制度を延長するということになっているが,広島市の今後の発行の見通しはどうかというお尋ねでございます。
本市の退職手当額は県費負担教職員に係る給与負担の移譲により,大きく増加することが見込まれ,平成29年度以降も退職手当債を発行せずに予算編成を行うことができるか,予断を許さない状況です。今後も,安易に退職手当債の発行に頼るのではなく,選択と集中のもとで歳入確保,歳出削減に努めることにより,退職手当に係る財源の確保に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○沖宗正明 副議長 教育長。
◎尾形完治 教育長 不登校児童生徒対策についての3点の御質問にお答えを申し上げます。
まず,本市において不登校のきっかけとなったと考えられる要因は何であると分析しているのかのお尋ねでございます。
不登校のきっかけは,さまざまな要因が複雑に関係しており,平成26年度の本市の調査結果によれば,不安など情緒的混乱,無気力など本人に係る要因が最も多く,次いでいじめを除く友人関係の問題,学業の不振など学校に係る要因が多く,さらに本人や保護者による意図的な拒否,親子関係をめぐる問題など家庭に係る要因と続いております。
次に,教育委員会は,不登校児童生徒や保護者への支援として,どのような取り組みを行っているのか。また,不登校の中でも長期に渡って連続して欠席している児童生徒や保護者には,どのような取り組みを行っているのかのお尋ねでございます。
教育委員会では,不登校児童生徒の個々の状態に応じた学習支援や相談活動を行うため,市内4カ所に適応指導教室や学校内にふれあいひろばを開設し,不登校児童生徒が徐々に学校生活へ適応できるようにしております。
また,スクールカウンセラーを市立の全ての学校に配置し,児童生徒や保護者へのカウンセリングなどの取り組みを行うとともに,スクールソーシャルワーカーを各区の拠点校に配置し,関係機関と連携を図りながら,家庭訪問をするなどの支援を行っております。
長期に渡って連続して欠席している児童生徒や保護者への支援につきましては,児童相談所,こども療育センターなどの関係機関と連携して,個々の事例についてアセスメント及び今後の支援の方向性について協議を行い,これに基づき教職員が当該児童生徒や保護者への支援を行っております。
教育委員会としての今後の取り組みでございます。不登校のきっかけや要因はさまざまであることから,スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの専門家の助言を受けながら,早期の段階で個に応じたきめ細かな対応を図ることが何よりも必要であり,来年度スクールソーシャルワーカーの増員やスクールカウンセラーの活動時間の拡充を図るなどにより,不登校児童生徒が減少するよう取り組んでまいります。
以上でございます。
○沖宗正明 副議長 市民局長。
◎谷本睦志 市民局長 高齢者対策について,市職員やOBが地域活動の活性化に協力するようどのような働きかけを行ってきたのか。また,今後どのような取り組みをするのかとの御質問がございました。
職員が地域活動に参加することは地域への貢献だけでなく,参加した職員の住民としての感性も高まり,よりよい行政を行う上でも大切であると考えています。このため,本市では職員が地域活動に参加しやすい環境づくりとして,地域振興,被災者支援,文化スポーツ振興などのボランティア活動を行う場合には,年間6日間の範囲内で職務を免除しています。
また,新規採用職員向け事前学習資料への市民活動に関する情報の掲載,中堅職員研修における市民活動とまちづくりについての講義,市民とのパートナーシップ講座の開催など地域活動への参加を促進するよう職員研修を行っております。
さらに,本市を退職する職員を対象に行っている福利厚生制度等の説明会の場や本市の退職者で組織するまこも会が発行している会報において,本市の職員としての経験を生かした地域活動への参加等の呼びかけを行っております。
今後とも,職員や本市の退職者が地域活動に参加するきっかけづくりや環境づくりに努めてまいりたいと考えております。
以上です。
○沖宗正明 副議長
健康福祉局長。
◎川添泰宏
健康福祉局長 高齢者対策のうち認知症対策について,早く症状を見つけ適切な対応が肝心であるが,市としての認識,それとその対策はどうかとのお尋ねがございました。
認知症の早期発見,早期対応は,重要な課題であると考えております。そのためには,認知症に早く気づくことができるよう認知症に関する正しい知識の普及や気づいたときに受診し,専門的な診断・治療等を受けることができる医療提供体制の充実を図っていく必要があります。
まず,認知症に関する正しい知識の普及につきましては,広報紙「市民と市政」への特集記事の掲載や地域・学校・企業等での認知症サポーター養成講座の開催,地域包括支援センターや保健センターによる認知症予防教室の開催などを行っております。
また,医療提供体制の充実につきましては,認知症に関する専門医療相談や鑑別診断,専門医療の提供を行うとともに,地域の医療関係者等の専門研修を実施する認知症疾患医療センターを平成23年10月から1カ所,平成26年10月からは2カ所の医療機関に委託し運営をしております。
また,認知症地域支援推進員を各区1カ所,計8カ所の地域包括支援センターに配置し,認知症に関する医療・介護連携を推進しております。今後は,こうした取り組みに加えまして地域包括支援センターがコーディネーターとなって,地域団体等と共同で取り組んでおります高齢者地域支え合い事業の中で,地域住民を対象とした認知症サポーター養成講座や認知症予防教室を開催することにより,認知症の疑いのある高齢者等を早期に発見し,地域包括支援センターを通じて専門医療機関の受診につなげることができる環境づくりを推進するなど,より地域に密着した認知症の早期発見,早期対応システムの構築に努めてまいりたいと考えております。
次に,認知症の行方不明者の発生状況,それと,その対策としてGPS端末の活用について検討する考えはあるかとのお尋ねでございます。
本市における認知症の方の行方不明者は平成26年度におきまして,区役所健康長寿課及び地域包括支援センターで把握しているものが103人であります。このうち62人につきましては,警察へも捜索願が提出されております。
また,GPS端末を活用した位置検索サービスにつきましては,民間事業者が提供するサービス,これ2事業者ございますが,これの紹介事業を平成16年度から開始しておりまして,区役所健康長寿課や地域包括支援センターにおいて,必要に応じ紹介をしているところでございます。
最後に,地域における支え合いを推進していくに当たり,自助・共助だけで行うには限界がある。行政としてどのような公助で地域活動を支援していくつもりなのかとのお尋ねでございます。
高齢者が住みなれた地域で安心して暮らしていける環境づくりを着実に進めていくためには,従来の公助による支えはもとより,市民一人一人ができるだけ健康であり続けるための自助,身近に支援を必要としている人々を地域で支え合う共助を強化していく必要があると考えております。こうした認識のもとに,本市としては地域住民の主体的な活動を後押しできるよう平成25年度から,高齢者地域支え合いモデル事業により,地域の見守りネットワークづくり等を支援してきており,新年度予算では平成29年度の介護予防・日常生活支援総合事業の開始を見据えたモデル事業を実施し,住民主体の生活支援サービスに対し,補助金による金銭的支援と担い手養成などの人的支援を行うこととしております。
さらに,新年度から各区役所に地域包括ケア推進センターを設置し,高齢者地域支え合い事業のコーディネート機能を担う地域包括支援センターに対する調整,支援機能の強化等も図ることとしております。
今後も自助・共助・公助のバランスのとれた高齢者施策を推進し,地域活動を支援してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○沖宗正明 副議長
企画総務局長。
◎岡村清治
企画総務局長 女性管理職の登用に向けて,今後女性職員の育成にどのように取り組んでいくのかという御質問でございます。
職員の管理職への登用は,男女の区別なく,ふさわしい能力を有した者を人選することが基本であり,これまでも職員の見識,経験,勤務実績等を総合的に勘案して行っております。こうした中,出産や育児等により,長期間職場を離れることの多い女性職員については,その職務経験の不足を補うため,中長期的な視点に立って計画的な育成に取り組む必要があると考えております。このため,これまでも女性職員が管理職に必要な知識や能力を習得できるよう,役職段階に応じたライン職への配置や職域の拡大に努めるとともに,その能力開発を促進するための国や自治大学校等への派遣などを行っております。
今後は,女性職員が若いうちから幅広い職務経験を積み,その見識を広めることができるよう,本庁の企画・管理部門への積極的配置や派遣研修の拡充に取り組みます。さらに,女性職員が仕事と家庭生活との両立を図り,昇任意欲を高めるよう新たに同様の境遇を経験してきた先輩女性職員との交流の場づくりや育児休業から復帰する職員等を対象としたキャリア形成を支援するための研修などを実施します。こうした取り組みを通じ,女性職員の育成に努め,管理職の登用の拡大を図ってまいります。
以上でございます。
○沖宗正明 副議長 38番。
◆38番(酒入忠昭議員) はい,ありがとうございました。
2点ほどちょっと質問をさせていただきます。
市長の答弁にもありましたように,事前に積み立てを行おうにも積み立てる余裕がないというのは私もよくわかります。財政非常事態宣言から詰めて詰めてきたわけですから,よくわかります。
本市の財政運営方針は4年間,原則4年間ということで立てられておるわけですが,いろいろ聞いてみますと,広島県は何か10年でやってると。推計にはなるけれども10年でやっているということで,10年やってるところもあるようでございますが,やはり将来を見越すと4年では余りにも短いんじゃないかと。せめて8年,市長任期の4年でなしに8年程度はやっぱり財政運営方針を検討すべきでないかと私は思うんですけども,どのようにお考えかを聞きたいと思います。
2点目,臨時財政対策債,これは先ほど申しましたように,お金がないから市で発行して,その後国が補完しましょうということなんですけども,現在の国の状況からいくと,予定どおりのお金,こちらがこれくらいは返ってくるんじゃないかということがなかなかつかめないんですけども,そういうことは事前に約束事になってるんか,あるいは,約束事になっておれば,元利償還金は交付税できちんと償還されているかというこの2点,お答えください。
○沖宗正明 副議長 財政局長。
◎糸山隆 財政局長 2点お答えいたします。
まず,財政運営方針4年間であるということについて,もうちょっと長い,長期のものというお尋ねです。
これまで財政運営方針については,まず中期財政収支見通しというのを4年間を策定をいたしました。そこで見込まれる財源不足のいろんな対策を考えるという形で運営方針の策定をしております。また,この方針にはある程度具体的な数値目標を掲げておるところです。この4年間の中期財政収支見通し,これを出していく上である程度予見が可能な,予見性のある期間ということで,4年間でこれまでやってきております。
したがって,この中期財政収支見通しとセットでやっておる財政運営方針ということは,従来どおり4年間ということで考えておるところです。ただ,当然,おっしゃるとおり,長期的な財政という視点も必要ですので,例えば市債の残高の見通しであるとか,そういったものについてはできるだけ長期で見通していくと,そういうような取り組みはしていきたいと思います。
それから,臨時財政対策債,これは約束があるのかというか,そもそも臨時財政対策債というのは,地方の財源不足,これは今の国と地方の税源配分のところから入ってまいりますけども,そういう中で,地方の財源不足は地方交付税で埋めるというところがあります。それの地方交付税のキャッシュがないということで,とりあえず臨時財政対策債でつないでおくというものですが,そこについてはやはり国が責任を持って交付税で対応するという仕組みになっているものです。
実際,臨時財政対策債について,これの財源,これは本来交付税で来るべきものですけども,ずっともとをたどっていけば,その交付税も所得税であり,法人税であり,消費税であり,そういった税の一部が回っておるところです。そのキャッシュが出てくる状況にならないと,なかなかそこのキャッシュ化というところは難しいところがございます。したがって,これは一地方だけという問題ではなくて,やはり国民的な議論のもとで地方の財源確保というところをどういうふうにしていくかと,そういったところで考えていく必要があろうかと思います。
以上でございます。
○沖宗正明 副議長 38番。
◆38番(酒入忠昭議員) 確かに8年も10年もというのは,交付税がどうなるか,その他景気がどうなるか,それによって収入もどうなるかということは難しいと思いますけれども,ある程度固定費的なものはわかるんでないかと思います。人件費の問題とか,公債費とか,こういう固定費的なものはわかるんで,それはやっておられると思いますけども,できればそういうのがわかるようなものがあれば皆さんも理解してもらえるんでないかということで,私は考えております。
それから,要望ですけれども,国の財政,特に政令指定都市の財政も私はよくならんと思うんです。横浜とかいう大都市は別にして,横浜も結構,市債も多いというように聞いておりますけれども,政令指定都市は大変な財政危機だと思います。
そういうことからすると,今から市債は,臨時財政対策債も含めますと,私はやっぱり膨れると思うんですよ。だんだん多くなってくると思うんです。余り多くなると,今度は財政指標が悪くなると,国からの指導も入ります。市債も発行できなくなるというような,今度は規制がかかります。
そうすると,後はどうするかということになりますと,
受益者負担がふえるということに私はなると思うんです。確かに医療費もただのほうがいいですし,それから年金も多いほうがいいですし,保険も掛金が少ないほうがいいです。それはやっぱり理想だと思うんですよ。その理想が続ければいいんですけれども,現実はそうはいかんと思うんです。高齢者がふえるということになりますと,介護とかふえます。そういう形で,私は理想と現実にギャップが大分出てくると思います。その現実が出てきたときに,最終的には
受益者負担,格差是正のためにも,高齢者から,高額所得者からは少し負担してもらおうと。これは格差是正の一つです。
そういう形で,私は将来,
受益者負担が増加するんではないかと。それがいつごろかわかりませんけども。そうなったときに,やはり市民の皆さん方に十分説明をして,ある日突然値上げになったということのないように,事前に十分な説明をして理解をもらうということを十分進めていただいて,年寄りの冷や水で心配せんでもいいということになるかもわかりませんけれども,そういう現実も近い将来来るんじゃないかと思いますので,そこらを十分勘案して対応していただきたいというように思います。
それから,不登校ですけれども,いじめ,それから虐待というのは本当,連日テレビ,新聞出てきます。不登校というのは時々,年に1回か2回ぐらいこういう形で出てきます。不登校の生徒も,先ほど質問しましたように,家にいないわけですから,どこへ行っているかわからん。そうすると,本人が危害を加えられることもありますし,本人がまた悪い行動をすることもあるということで,いじめ,それから虐待と同様に,不登校についても力を注いでいただきたいということを要望しておきます。ありがとうございました。
○沖宗正明 副議長 次に,44番児玉光禎議員。
〔44番児玉光禎議員登壇〕(拍手)
◆44番(児玉光禎議員) よろしくお願いいたします。市政運営上にあってはならないと思われる案件を2件質問させていただきたいと思います。
まず第1点目は,契約約款を無視した公共工事の契約解除の問題であります。
この事案は,平成23年度広島市の積算ミスが原因で,既に締結していた請負契約を損害賠償金を支払って契約解除をしたというものであります。これは,落札しなかった入札参加業者から,積算ミスがあるので契約は解除すべきとの申し出があったと聞いております。積算する単価を取り違えたという単純ミスでありますが,間違った金額は,契約金額1億8000万円に対して,わずか5,250円という過少積算であり,損害賠償金額46万円を支払って契約を解除しております。
市当局の説明を受けたところ,契約解除は法定解除でもなく,約定解除でもなく,合意解除,つまり請負者との合意によって契約を解除したと答えたのであります。疑問に思って尋ねますと,請負契約は私法上の契約であり,民法の契約自由の原則が適用できると答えたのであります。そして,公共工事の基本法令は何かと尋ねると,やはり民法であると答弁したのであります。国交省のテキストを見ましても,地方自治法,建設業法を明確にうたっております。およそ全国の行政の土木職員が民法であると答える人は誰もいないのではないでしょうか。
さらに,本年1月には文書で質問し,文書の回答をいただきました。要約しますと,一貫して市が主張してきた,公共工事は私法上の契約であり,契約自由の原則が適用され,当事者双方が合意すれば,公序良俗に反しない限りいかなる内容のものであっても自由に契約が解除できると,これが契約の基本原則であり,契約約款第48条に基づかなくても解除契約,すなわち契約解除も自由に締結できるという驚くべき内容が書いてありました。結局は何度聞いても,民法に基づいて請負者との合意が得られたので契約解除したとの一点張りでありました。
これまでの広島市の長い公共工事の歴史の中で,今回のようなことで契約を解除した例はありません。本当に行政契約である公共工事に民法の契約自由の原則を適用して,請負者の合意を得たからといって契約解除できるのか疑問であり,ここに問題の本質があると考えるのであります。
行政は,法律,条例,規則によって実施されなければならないことは言うまでもありません。確かに民法が大前提ではありますが,建設工事をカバーするのには民法は不備,不足であります。建設業法やそういうことを制定されたのであります。民民同士の契約においても,他法令による制約があり,契約自由の原則だけでは成立し得ないのでありますが,行政においてはなおさら地方自治法に規定された行政の法治主義を貫く義務があり,行政特有の法令や,公共工事の法令,規則,基準に準拠しなければならず,これに制約を受けるのは当然であります。この点が民民同士の契約とは大きく異なるのであります。
これを無視すれば,行政の不法行為,不当支出になるのは当然であります。行政は法律による行政の原理原則に基づいて,地方自治法,広島市契約規則,そして公共土木制度に定められた法令,規則,基準に基づいて実施しなければならないのであります。
そこで,具体的にお尋ねします。
まず,市当局が,公共工事は私法上の契約であり,民法の契約自由の原則が適用され,当事者双方が合意すれば,公序良俗に反しない限りいかなる内容のものであっても自由に契約が解除できると回答したことについてであります。この公序良俗に反しない限りというのは,地方自治法,建設業法,広島市契約規則などを公共土木制度の法令,規則,基準に反しない限りと読みかえまして,これらに反することはたとえ契約の自由の原則であるからといっても容認できないと解釈するのが相当だと考えます。仮にもこれらの法令・諸基準を無視して契約自由の原則をそのまま適用できるとした市当局の判断は,それこそ公序良俗に反していると思います。市当局のお考えはいかがでしょうか。
次に,契約自由の原則は,契約締結の自由,契約相手選択の自由,契約内容の自由,契約方式の自由,契約変更・解消の自由の大きく五つあるとされています。このおのおのについてどのような意味があるのか,また,これらは公共工事制度の中のどのような法令・基準等に該当するのか,しないのか,ある場合には具体的な法令・規則・基準の名前をどのように定めてあるのか,お答えください。
あわせて,これらの法令,基準等があるにもかかわらず,なぜ民法の契約自由の原則が適用できるのか,その理由を明確に答えてください。
次に,契約約款についてお尋ねします。
この契約約款は重要な契約書類の一つであり,契約当事者の権利義務を規定したものであって,契約上拘束力を持つものであることは言うまでもありません。したがって,一たび契約を締結すれば,その後はこの約款を基本として進めなければならないのであります。しかし,契約解除の市内部の決裁書を見ても,この契約約款については何ら触れられておらず,全く無視しているのであります。
この約款第48条に,甲── 発注者は,工事が完成するまでの間は,必要があるときは契約を解除することができると規定があり,これは,発注者の都合による契約解除の権限が与えられているのであります。要は,必要があるときに限り契約が解除できるのでありますから,発注者にあらかじめ契約解除を想定して,必要があるときの下位規定を設けておかなければなりません。
そこで,契約解除の規定があるのはこの契約約款だけだと思いますが,これ以外に公共工事の諸法令の中にあるのかどうか,また,広島市はこの約款第48条の必要があるときの下位規定を設けているのかどうか,お答えください。
また,昨年の9月議会の答弁資料によりますと,本件は本市の設計金額に違算があったとのことであることから,必要があるときに該当するかどうか考えましたが,まずは当事者間で協議し,双方合意による契約解除を行ったとあります。考えた結果については何ら触れられておりません。そのときの検討結果はどうだったのか,お答えください。
今回の件は市の積算ミス,間違いによるものでありますが,もし必要があるときの下位規定をつくって,その中に積算ミス,間違いによって契約解除ができる旨の要綱等を設けていれば,何の問題もなく一方的に契約は解除できたのでありますが,ない以上,根拠がなくできないのであります。また,今回のことを考えれば,早々に要綱等をつくられたのかと思いますが,今もって要綱等のルールが定められていません。これは行政の怠慢にほかならないと思います。
次に,市当局は,公共工事も私法上の契約であり,契約約款に基づかなくても当事者双方が合意すれば新たに解除契約が締結できると回答したことについてお伺いします。
契約約款に基づかなくてもよいとは,これは,契約約款よりも契約当事者の合意が優先するものであることを意味します。そうすると,どのような法令・基準があってもないのに等しいことになります。まさに,契約約款を守るべきもののはずですが,これを有名無実化するもので,断じて許されないのです。
そもそも契約約款は重要な契約書の一つとして契約上の拘束力を持つものであり,これを遵守することを約して契約を締結しており,請負者において必ず契約約款を守るよう強く求められているにもかかわらず,発注者である行政がそのルールを破ったのでは話になりません。これに,契約約款をないがしろにするものであります。市当局としてそのような考えで行政を進めているのか,明確な答弁を求めます。
また,新たな解除契約を締結するというのであれば,その裏づけ根拠,法的根拠が必要であることは,法治主義であることからしても当然であります。しかし,広島市契約規則,入札取扱要綱等を見る限り,解除契約の締結あるいは事務手続を定めた条項も規則もないのであります。ない以上,新たに規定等を定めない限り,解除契約の締結はできないと考えますが,何を根拠に解除契約を締結されたのか,明確にお答えください。
次に,契約約款第18条についてお伺いします。
この条項は,請負工事の変更契約ができる場合の必要要件が定められています。何でもかんでも契約変更できるものではなく,定められている要件に該当しない限り変更契約はできないのであります。市当局の主張のように,請負者の合意があればいかなる内容のものでも契約できるというものではありません。もし請負者の合意によって変更契約したならば,たちどころに不当行為,不当支出となります。
この18条第1項第2号に,設計図書の誤謬,つまり設計図書に間違いがあった場合は変更契約すべしとなっています。これまでの広島市の公共工事の中で違算はなかったのかといえば,少なからずあったものの,契約解除した例はありません。変更契約で対応してきたと聞いております。恐らく市当局は,違算があることによって落札者が変わることになれば,入札の公正性が失われると言いわけすると思いますが,それならば,変更契約も同様です。変更契約の内容を当初から盛り込んでいれば,落札者が変わった可能性を否定できません。それはへ理屈以外何物でもありません。なぜこの条項に基づいてこれまでどおり変更契約しなかったのでしょうか。変更契約にしていれば,損害賠償金の支払いは不要だったのであります。市当局の明確な答弁をお願いいたします。
次に,市当局は,国交省中国地方整備局においても契約締結後に積算ミスを発見し解除契約を締結した事例があることをもって,本件の正当性を主張しているように見受けられます。しかし,他都市に事例があるから正当化できるものではありません。あくまでも行政は法的根拠がどこにあるかを考えるべきだと思っております。
次に,解除契約を締結する市内部の決裁書の経過についてお伺いします。伝え聞くところによりますと,この事案の発生した際に,事業担当課と契約部が協議して,積算ミスは変更契約で対応するということでまとまったそうですが,その旨を市長に上申するように上司から指示があった,何度か市長ヒアリングを受け,結果的に市長から,政治的判断によって襟を正せ,間違いは間違いだろう,契約を解除しろとの指示,命令が下り,合意解除の決裁書を稟議するに至ったと聞いております。
市内部の大方の職員は契約解除はできないと思っていて,幹部職員が市長ヒアリングの際に契約解除はできないと述べたそうですが,市長は違算をなくせと一喝されたそうであります。違算と契約解除することとは全く次元の違う話であるのに,聞く耳を持たなかったのでしょうか。
部下職員は,市長の命令に背くことはできないため,仕方なく解除契約の準備に入り,苦肉の策として民法の契約自由の原則による解除契約を思いつき,芋筋と知りつつもやるしかなかったというのが本音ではないかと思います。幾ら市長の命令とはいえ,法律による行政の原理・原則に反していることは許せません。市内部はそんなに風通しが悪いのでしょうか。本庁にいたら言うべきことが言えない,などとのささやきを耳にします。市当局の反省を促したいと思います。
いずれにしても,本件は,第一に契約約款に準拠していないこと,第二に民法上の契約自由の原則を安易に選択したこと,第三に安易な選択により契約解除という誤った措置により本来必要のなかった損害賠償金を支払ったこと,第四に請負者に不当な不利益を与えてしまったこと,第五に工事完成のおくれ,市民の行政に対する信頼性を損なったことなど,多大な損害を与えたのであります。全く言語道断であります。原因の一つは,市長が
部下職員からの専門的解釈に耳を傾けず,ひたすら積算ミスを,激怒として,表面的なことにこじつけ,つじつま合わせを講じたのであります。市長の反省を促したいと思います。
次に,環境行政についてお伺いします。ごみの収集運搬業務について,不適切と思われることについてであります。
一般廃棄物の収集運搬業務の入札制度は,平成27年度より業務品質評価審査制度が新たに導入され,選定された優良業者5社のみによる優先入札とそれ以外の通常入札に分けられることになりました。この優良業者は,市が定めた評価基準により点数をつけ,成績の高い上位5社を優先業者に認定するものであります。一体5社に限る理由は,それも広島市廃棄物処理事業協同組合の会員に限ってやっているのはなぜなのか。官製談合なのかと勘ぐりたくなるのであります。
27年度の一般廃棄物収集運搬業務の入札結果を調べたところ,驚くべき入札結果が浮かび上がりました。入札を行う業務は全部で45ありますが,公表された入札の結果詳細によりますと,入札1回で平均落札率79.7%であります。しかし,優先入札5社を見ると,いずれも入札参加者は1社で1業種,しかも廃棄物処理事業協同組合の会員です。そして,平均落札率は93.3%という高い落札率であります。察すれば,優良業者5社がこの入札に参加するに,話し合って振り分けたと考えられます。業者の中から,これはおかしいと,何かあるという声が上がっています。優先入札制度をつくったこと,その優良業者5社が落札をしたのは平均93.3%です。5件の優先入札にはどれも入札参加者が1社だけだったこと,それが通常入札に比べて落札率が非常に高かったこと,偶然にしてはでき過ぎの感が否めません。それは,市と廃協がなれ合いだとか,官製談合ではないかという疑惑を持たれるのではないでしょうか。
昨年12月25日付公益財団法人日本容器包装リサイクル協会のホームページに次のような記事が掲載されていました。プラスチック製容器包装再商品化事業者の重大な不適正行為に対する措置適用についてという題で,このたび当協会がプラスチック製容器包装再商品化事業者である株式会社タイヨー── 社長は元山さんという人ですね── に対して実施した平成27年11月17日の現地検査において,同社の在庫・施設・記録等に複数の問題点を発見しその確認を行ったところ,平成27年度再商品化実施における重大な不適正行為に当たるものと判断するに至り,これを根拠として,株式会社タイヨーに対し,平成27年12月21日をもって本年度契約を解除し,かつ本年度事業者登録の抹消とあわせ次年度以降7年間の事業者登録を停止する措置を講じましたというものです。
そこで,もう少しどんな内容か聞いてみますと,登録事業者から日報,月報を出させています,当協会が。抜き打ちで現地調査,日報,月報と実態が違っているか突合し,平成27年11月17日現地調査,在庫や生産量に食い違い,これが複数あります。そして,再商品化事業となっていない,契約解除,登録停止7年と説明されました。
以上のような業者が広島市が選定した優良事業者の5社のうちの1社に選ばれていたことは,市民の信頼を著しく損なうことになっております。また,この業者の代表者は広島市廃棄物処理事業協同組合の理事長の要職にいた人物であります。また,広島市の業務品質評価審査制度では,基準日── 平成28年1月1日以前の1年以内に広島市等との廃棄物の処理に係る契約についてみずからの責に帰すべき事由により契約を解除されたことがある場合にはその旨を届け出なければならないとされておりますが,この広島市等の中に生活環境の保全を目的とした法令に規定する指定法人を含むとされていますから,これは入るわけですが,よって,容器包装リサイクル協会から契約を解除された業者は,当然,今回の事実を広島市に届け出なければならないし,広島市はそのことに注意を払い,業務品質評価の審査を正しく行わなければなりません。
そこでお聞きします。このような業者がどうして優良業者になったのでしょうか。さらに,廃棄物の処理及び清掃に関する法律において,業務に関し不正または不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者には業の許可を与えてはならないということになっています。こういう業者は許可を取り消すことになるのではないかと思いますが,市の見解をお伺いいたします。
以上で終わります。ありがとうございました。(拍手)
○沖宗正明 副議長 市長。
〔松井一實市長登壇〕
◎松井一實 市長 児玉議員からの御質問にお答えします。
環境行政について,家庭ごみ収集運搬業務の委託に関する御質問がありましたので,私からは業務委託における基本的な考え方について答弁申し上げます。
本市では家庭ごみ収集を直営及び委託により実施しており,現在その約7割の量を委託で収集しております。今後,本市のごみ処理業務を適正かつ円滑に実施していくためには,委託業者が継続的かつ安定的に運営していける仕組みが重要であると認識しています。このため,これまでも廃棄物の処理及び清掃に関する法律,いわゆる廃棄物処理法の規定や国からの通知の趣旨を踏まえて,最低制限価格制度の適正化などを通じ,業務を確実に履行でき,適正にごみ処理が行えるようなものとなるよう努めてきております。
こうした中,家庭ごみ収集運搬業務について,さらなる業務品質やサービス水準の向上と安定的な業務の受注が可能となるような仕組みの構築が必要であると考えております。こうした認識のもと,本市では現在,業界が行っております自主的な品質向上に向けた取り組みをさらに強固なものとするための必要な支援,指導を行うとともに,各業者が自主的に業務品質向上への取り組みを促進する誘因や動機づけなどにつながることなどを狙いとして,平成27年度から業務品質評価制度を導入したところであります。今後ともこうした取り組みを通じて,業界の健全な育成,発展に資するように努めてまいります。
その他の御質問については,関係局長から答弁いたします。
○沖宗正明 副議長 環境局長。
◎北吉孝行 環境局長 業務品質評価制度の運用に関する2点の御質問にお答えいたします。
まず,市が平成27年度に優良業者としている業者が日本容器包装リサイクル協会との契約において,重大な不適正行為があったことを理由として契約解除かつ事業者登録の停止措置を受けていると。このような業者がどうして優良業者になったのかという御質問についてです。
平成27年度の家庭ごみ収集運搬業務の委託における優良業者の選定は,基準日としていた平成27年1月1日前1年間のデータに基づき評価を行ったものでございます。議員御指摘の日本容器包装リサイクル協会との契約における不適正行為については,平成27年11月の現地調査により発覚した平成27年度中の行為であり,優良業者選定時の平成27年1月にはそうした事実はありませんでした。
なお,当該業者は日本容器包装リサイクル協会との契約の解除及び平成28年度以降7年間の登録停止措置を受けたほか,同社の代表取締役は広島市廃棄物処理事業協同組合の理事長職を辞するなど,社会的制裁を受けていると聞いています。
次に,こういう業者は許可を取り消すことになるのではないかとの御質問についてです。
今回,日本容器包装リサイクル協会が不適正とした行為は,同協会との契約に定められたプラスチックの再生率が達成できなかったことなど,同協会との契約上の違反行為であり,廃棄物処理法における違反行為が認められたわけではございません。現在,本市においても同社の業務について廃棄物処理法における違反行為がなかったかどうか調査中であり,法に規定される許可の取り消しや事業の停止などに該当する違反行為があったことが確認された場合には適切に対処してまいりたいと考えています。
○沖宗正明 副議長 財政局長。
◎糸山隆 財政局長 契約解除について数点お答えをいたします。私のほうから制度的なお話をさせていただきます。
まず一つ目,締結済みの工事契約を,地方自治法や公共土木制度の法令を無視して,契約自由の原則により契約解除できるという市の考えは公序良俗に反していると思うがどうかというお尋ねです。
平成23年度の安芸区発注工事の件については,契約約款等に本件事案処理に係る明示規定がない中で,入札手続の公正性を確保するため,契約当事者双方の合意により行った契約解除であり,法令を無視して公序良俗に反するという見解は成立しないと考えております。
それから,2点目は,契約自由の原則には,契約締結の自由,それから契約相手選択の自由,契約内容の自由,契約方式の自由,契約変更・解消の自由があると。これらはどのような意味であるのかというお尋ねでした。
数が多うございますので,例えば,契約締結の自由であれば,契約を結ぶかどうかを当事者の判断によって自由に決定できるという意味であり,以下同様に,それぞれについて当事者の判断によって自由に決定できるという意味でございます。
それからまた,それに続いて,契約自由の原則は公共工事制度の中でどのような法令等に該当するのか,該当する場合,具体的な法令名とその内容は何か,公共土木制度の法令があるにもかかわらず,なぜ民法の契約自由の原則が適用できるのかという御質問です。
契約自由の原則,これは契約に係る一つの法理,いわゆる法の原理でございまして,法令上の規定の根源をなすものであるとともに,法令に明文で規定されるようなものではございません。
それから,契約解除の規定があるのは契約約款以外にあるのか,また,本市では契約約款第48条の必要があるときの下位規定を設けているのか,なぜ設けていないのかという御質問です。
契約解除に関する規定の例としては,建設業法に規定されたものがございます。それから,本市の建設工事請負契約約款は,48条の規定を含め,建設業法に基づき設置された中央建設業審議会が作成した公共工事標準請負契約約款に準拠したものです。その約款の逐条解説において,第48条の規定について,その趣旨は,発注者は工事が完成するまでは必要があるときはいつでも契約を解除することができるとされていることから,本市として下位規定は定めていないものです。
それから,契約約款に基づかなくても新たに解除契約を締結できるとの市の回答は,契約上の拘束力を持つ約款をないがしろにするものだと,そのような考えで行政を進めているのかという御質問です。
本件については,契約約款に照らしつつも,当該約款に事案処理に係る明示規定がなかったことから,当事者双方で合意し,契約そのものを解除することとしたものであり,契約約款をないがしろにするという御指摘は当たりません。
それから,最後に,新たな解除契約を締結するのであれば根拠規定が必要であると。何を根拠に解除契約を締結したのかということで,契約解除は解除契約の締結ということですが,この解除契約は,これまでも御説明したとおり,契約約款に明示規定がない中で,契約に係る法理である契約自由の原則のもとに,契約当事者双方の合意により行ったものでございます。
以上でございます。
○沖宗正明 副議長
道路交通局長。
◎向井隆一
道路交通局長 昨年の9月議会で,本件は,本市の設計金額に違算があったものであることから,契約約款第48条の必要があるときに該当するかどうか考えたが,まずは当事者間で協議し,双方合意による契約解除を行ったとの答弁があったが,そのときの検討結果はどうだったかとのお尋ねでございます。
本件については,契約約款第48条の必要があるときに該当するか否かを判断しなければならないようなケースに該当しないと判断をいたしました。
次に,契約約款第18条に設計図書の誤謬があった場合には変更契約すべしとなっている,なぜこの条項に基づいて変更しなかったかとのお尋ねでございます。
設計図書は,契約書に添付する設計書,仕様書,図面,工事に関する説明書及びこれに対する質問回答書でございます。この書類の中には設計金額を示す書類はございません。したがって,本件の違算は設計図書の誤謬には当たりません。
最後に,この事案が発生した際,合意解除に至った経過についての御質問がございました。
本件については,処分単価の誤りが判明した後に,本件契約の取り扱いについて検討する中で事案の経過を市長に説明したという経緯がございますが,最終的には市として入札手続の公正性の確保及び入札制度全体に対する信頼を維持するためには契約解除することが適切であるとの結論に至ったものでございます。
以上でございます。
○沖宗正明 副議長 44番。
◆44番(児玉光禎議員) 契約約款いうのは特別に考えることはいけんのんですよ。ちょっとこの言い方悪かったんですが,契約約款というものは,全然別のものじゃいう意味じゃないんですよ。公共工事の契約したら,それに添付してありますね,全部それぞれに,その都度。その中に,48条の場合に必要があるとき解除ができると,こういうことになっとるんですよ。必要のないときは解除しちゃいけん。必要のあるときとはどういうことかいうたら,下位規定を設けにゃいけんということになるわけですね。
それで,約款の48条をないがしろにしたと思います。どうしても,何もないときには55条で,双方が協議して物事を決めるというところもありますし,それから18条の今言われたことは的を射てませんよ。18条というのは,誤謬があるときは変更契約をして,それで普通の契約に持っていくということですから,それで余分な金を,損害賠償払わんでもええわけですよ,これは。それは,今まで払わんでもええようなことになって,今まで契約解除したことは,私,質問でも言いましたが,今まで一件もないんですよ,一件も。何でこの件だけあるんかいうことなんですよ。
しかも,市長に部下が説明に行ったら,違算があるいうことはいけんじゃないかいうて一喝したんです。これ調べてみたら,違算いっぱいある,ほんと。全部解除しとかにゃいけんですよ,物すごい数ありますよ,今まで。だけど,この分だけどうしてそういうことを言うたか。そして,襟を正せと市長は言われたというふうに私はある人から聞いてます。襟を正せという言葉は,それをそっくり市長に持っていきたいですよ。法律,条例,規則守らんのじゃから。襟を正せと。ちゃんと法律,条例,規則どおりに市長はせにゃいけんでしょうが。ということがあるんです。
余り言うてもしょうがないけあれじゃけど,大体質問するときに,大体こういうことで返答さしてもらやええんですかねいうのを普通は言うてくるんじゃけど,今回全然言うてこんの,両方とも。いうことは,けさのけさまで御前会議やりおったんじゃろう思うんよ,私は,ほんと。そうでなかったら,大抵こういう答弁ですけえのいうて言うてくれりゃあ,よっしゃ,ほいじゃあまあこれはよかろうと,これはもうちょっとやらにゃいけんわいと,こういうことになるわけじゃけえ。じゃけ,きょうはちょっと言いづらいんじゃがね,まあ。
それから,それにしても,今,答弁されたことの中に矛盾点がたくさんありますから,これを一々またここで質問しよったら長うかかるけ,言いませんが,後日また言います。機会を捉えてきちっと言います。決着つけにゃいけん,こういうことは。
それで,市長はいけんよ,特に。市長が,政治的判断いうて市の職員は言よるが,政治的判断で法律違反はやっちゃいけませんと。政治的判断いうたら,市長いう役割から言うたら,法律,条例,規則にのっとって市長になったんじゃから,じゃから当然,法律,条例,規則を守って行政を進めてもらわにゃいけん。今の答弁はいろいろおもしろい,きょうの話は。
以上で終わります。
○沖宗正明 副議長 本日の
総括質問はこの程度にとどめます。
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次会の開議通知
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○沖宗正明 副議長 この際,御通知申し上げます。
22日は午前10時より議会の会議を開きます。
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散会宣告
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○沖宗正明 副議長 本日は,これをもって散会いたします。
御苦労さまでした。
午後2時35分散会
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議 長 永 田 雅 紀
副議長 沖 宗 正 明
署名者 山 内 正 晃
署名者 近 松 里 子...