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2023-12-07 令和5年第4回定例会(第5日目) 本文

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  1. 鹿児島県議会 2023-12-07
    2023-12-07 令和5年第4回定例会(第5日目) 本文


    取得元: 鹿児島県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-10
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1  午前十時開議    △ 開  議 ◯議長(松里保廣君)ただいまから、本日の会議を開きます。  本日の日程は、配付いたしております議事日程のとおりであります。       ━━━━━━━━━━━━━  議 事 日 程  一、開  議  一、議案第一三二号の上程  一、同右議案の提案理由説明  一、一般質問    小 川 みさ子 君    秋 丸 健一郎 君    柴 立 鉄 平 君    郷 原 拓 男 君  一、散  会       ━━━━━━━━━━━━━ 2    △ 報  告 ◯議長(松里保廣君)ここで、報告いたします。
     今回提出されました議案のうち、議案第一一一号、議案第一二八号及び議案第一三〇号につきましては、当席において、地方公務員法第五条第二項の規定に基づき、人事委員会の意見を求めましたところ、配付いたしております写しのとおり、意見書が提出されております。  以上で、報告を終わります。       ───────────── 3    △ 議案第一三二号上程 ◯議長(松里保廣君)次に、議案第一三二号令和五年度鹿児島県一般会計補正予算第六号が提出されておりますので、これを議題といたします。  朗読を省略いたします。       ───────────── 議案第一三二号 令和五年度鹿児島県一般会計補正予         算(第六号)       ───────────── 4    △ 知事の提案理由説明 ◯議長(松里保廣君)知事に提案理由の説明を求めます。    [知事塩田康一君登壇] 5 ◯知事(塩田康一君)本日提案いたしました議案につきまして、御説明申し上げます。  今回の補正予算は、国の総合経済対策に対応するため、物価高騰による影響を緩和するための取組や、高病原性鳥インフルエンザ侵入防止対策への支援、ブリ人工種苗の供給体制を強化する取組、公共事業に要する経費等を追加計上することとしております。  また、国宝霧島神宮の防災工事に対する支援に要する経費を追加計上することとしております。  このうち、地域公共交通燃料油価格高騰対策事業については、燃料油価格高騰により厳しい経営環境にある各交通事業者及び運送事業者に対し、燃料油購入の負担軽減を行い、事業継続がなされるよう支援を行う経費として、二億九千八百万円を計上することとしております。  また、LPガス使用世帯等支援事業については、LPガス価格の高騰により増大する一般家庭等の負担軽減を図るため、LPガス販売事業者が行う価格の値引き分に係る費用を補助する経費として、五億八百万円を計上することとしております。  さらに、自衛防疫強化総合対策事業については、高病原性鳥インフルエンザ等の防疫措置の充実・強化に向け、ウインドレス鶏舎の入気口対策にモデル的に取り組む生産者へ支援を行う経費として、五千四百万円を計上することとしております。  今回の補正予算の総額は、一般会計で三百三十七億五千五百万円であり、この結果、補正後の一般会計の予算額は、九千三百七十六億百万円となります。この財源に関しては、国庫支出金、県債、地方交付税などをもって充てることとしております。  何とぞよろしく御審議の上、議決していただきますようお願い申し上げます。       ───────────── 6    △ 一般質問 ◯議長(松里保廣君)次に、一般質問であります。  通告に従って、順次発言を許可いたします。  小川みさ子君に発言を許可いたします。    [小川みさ子君登壇](拍手) 7 ◯小川みさ子君 鹿児島市・鹿児島郡区の小川みさ子です。  二〇二三年十二月議会におきまして、私は、何としても県民の命を守りたい、そして子々孫々に安心・安全を手渡したい、その一心で、県議会議員として二回目の一般質問をさせていただきます。  自民党県議団の代表質問の場で、知事は再出馬の意向を表明されました。ちまたでは、無投票なのではという不安げな声を耳にいたします。  さて、去る十月二十六日臨時議会で知事が重く受け止めると繰り返し発言された、川内原発の二十年延長運転の是非を問う県民投票条例の制定案は、賛成十一人、反対三十九人で否決され、失意の念に包まれました。しかしながら、鹿児島の地獄絵図を見たくありませんので、ここで諦めるわけにはいきません。気を取り直して知事の政治姿勢をただしてまいります。  早速、川内原発二十年延長問題についてですが、県民が、自分の命に関わる問題を自分たちで判断する直接民主主義の機会が奪われたことは悲し過ぎます。そればかりか、地元の同意も不要とのこと。これはもう延長運転ありきで進んでいるとしか思えません。  再稼働よりさらに危険な運転延長については、当然、再稼働のときと同じように地元同意を取るべきだと思いますが、いかがでしょうか。  福島原発事故後、二〇一五年八月、全国で一番目に再稼働した川内原発は、国のエネルギー基本計画に立地自治体などの理解と協力を得るように取り組むと定められていたので、県知事と薩摩川内市長の同意が確認されました。ところが、運転延長の条件はエネルギー基本計画には記載されていません。だから地元同意は不要というのはあまりにも慎重さを欠いていませんか。  一九八二年、川内原発が稼働を始めるより前に、住民の安全確保や環境保全などを目的に締結した安全協定の見直しに県が否定的なのは、リスクを負う住民を軽視しているのではないかと地元住民が怒っています。  国は、県はもちろんのこと、川内原発から三十キロメートル圏内の関係九市町、少なくとも薩摩川内市の地元同意を取るべきだと考えますが、知事の見解を求めます。  通算十二回開かれた川内原発の運転期間延長の検証に関する分科会では、元原発設計技術者だった後藤委員ら六人中二人が、慎重論あるいは運転延長は安全上容認できないと詳細を記した資料を提出されました。  五月十八日の最終報告書案をまとめる専門委員会で、原子力コンサルタントの佐藤委員からは、運転延長について、格納容器の上に自分の家があるという覚悟で取り組まなければならない、福島第一原発事故に続く二回目の事故はあり得ない、さらに、六月議会でも引用させていただきましたが、規制委員に向けては、第三者による原発のテロのリスクチェックは要らないのか、未解決の使用済み燃料の件、二十年延長を進めている九電の覚悟、自分たち委員は報告書に直筆の署名をするべきではないかと分科会でも専門委員会でも発言され、非常に重い検証に関わった責任感の表明として、二十年後には自分はいないかもしれないが、見届けることができなくても、本当にもし万が一、何かがあれば、この世にいなくても大きな悔いになるという覚悟をお互いに持っていなくてはならないと発言されました。  傍聴者からは、少数意見を排除するかのような座長の取りまとめに対する怒りの声が多く聞かれました。  このたび十一月二十一日の原子力規制庁などの審査内容と報告のあった専門委員会で、一九八一年京都大学の地球物理学専攻の大学院生だった頃から四十三年にわたり火山活動研究センターで防災・減災に力を尽くしてこられた教授である火山の専門家・井口委員が、「カルデラに異常があれば運転停止もあり得る」、「過去二十年間よりも今後の二十年間のほうが異常が出る確率ははるかに高い、桁違いに上がってくると思う」と、延長への不安を発言されました。  このような声を座長は全く無視しているとしか思えませんが、知事、いかがでしょうか。  二十年延長が始まったとしても、川内原発一、二号機の使用済み核燃料は、数年のうちに貯蔵プールが満杯になり、また、約四半世紀にわたって本格稼働できていない六ヶ所再処理工場への搬出も無理で、全く見込みはありません。原発はまさにトイレなきマンションと言われてきましたが、避けて通れない問題です。  貯蔵プール満杯後、使用済み核燃料の取扱いはどうなるのか、お示しください。  経年劣化や使用済み核燃料の問題、地震、津波、火山爆発、テロの問題など懸念事項が山積する中、二十年延長どころか六十年超えの運転を可能にするGX─グリーントランスフォーメーション─脱炭素電源法に対する知事の見解はいかがか。  全国の廃炉を決めた原発が、全原発の半分に近い二十四基あります。そこに至った経緯と、防災に取り組むならば、同時に県として川内原発の廃炉に向けた準備を九州電力に求めていくことを検討すべきではないか。また、個人住宅や共同住宅への再生可能エネルギーや蓄電池設置の支援を検討すべきではないですか。  以上まとめて、知事の見解を求めます。    [知事塩田康一君登壇] 8 ◯知事(塩田康一君)GX脱炭素電源法に対する見解についてでございます。  脱炭素電源の利用促進を図りつつ、電気の安定供給を確保するため、本年六月に公布されたGX脱炭素電源法においては、原子力発電について、安全確保を大前提とした原子力の活用に向け、現行制度と同様に、運転期間は四十年、延長を認める期間は二十年との制限を設けた上で、原子力規制委員会による厳格な安全審査が行われることを前提に、一定の停止期間に限り、追加的な延長を認めることなどとされております。  この法律の運用に当たっては、安全性の確保が大前提であり、国において科学的根拠をしっかりと説明していただく必要があると考えております。  県としては、原発の立地県として、常に事故の発生を念頭に置き、県民の生命と暮らしを守ることを基本に、引き続き、国と九州電力に対し、安全性の確保や原発に関する県民への分かりやすい情報発信・説明等を求めてまいりたいと考えております。 9 ◯危機管理防災局長(長島和広君)運転延長に係る地元同意と安全協定の見直しについてでございます。  川内原発の運転期間延長に関する手続については、法令上、地元自治体に関する規定はなく、また、安全協定上も原子炉施設の変更等を伴わない場合、地元自治体の同意に関する規定はないことから、制度上同意は必要とされていないところです。  川内原発の運転期間延長につきましては、県原子力専門委員会において、科学的・技術的な検証を行っていただき、その報告等を踏まえ、本年七月、原子力規制委員会及び九州電力に対して厳正な対応を要請したところです。その要請に対しては、先月二十一日に開催した専門委員会において、原子力規制庁及び九州電力から説明がなされ、委員から今後の取組などについて、様々な質問や意見が出され、座長からは専門委員会の意見書に応えたものとなっているとの評価がなされました。  県としても、原子力規制委員会及び九州電力には県の要請にしっかりと応えていただいたものと考えており、現時点において安全協定の見直しは考えていないところです。  続きまして、専門委員会における委員の発言についてでございます。  十一月二十一日に開催した第二十二回専門委員会においては、県要請に対する九州電力の対応に関し、委員から姶良カルデラの状況を踏まえて、九州電力における火山のモニタリングの充実及び人材の確保についての質問がなされたところです。  九州電力からは「モニタリングについては、監視項目を増やすことや各機関との連携を広げていくことを検討する、人材育成については、さらなる教育や人材の積極的な採用、いろいろな機関との人材交流などの取組を展開していく」との回答があり、質問された委員からは異論はなく、了解されたと考えております。  続きまして、使用済み核燃料の保管及び処分などについてでございます。  九州電力によりますと、原発の運転期間を十三か月、定期検査を三か月と仮定した場合、一号機が約十一年、二号機が約五年で貯蔵可能な容量に達する見込みとなっております。  同社は、国のエネルギー基本計画に従って、日本原燃の六ヶ所再処理工場に搬出することを基本方針としており、同工場の運転計画や発電所内の貯蔵状況を踏まえて、計画的に搬出していくとのことであります。  続きまして、九電への廃炉準備の要求についてでございます。  原子力発電所の廃炉につきましては、原子炉等規制法におきまして、施設の稼働停止から廃止へのより円滑な移行を図るため、事業者に対し、廃止措置実施方針の作成が義務づけられているところです。  川内原発の廃炉の準備に関しては、九州電力が一、二号機それぞれの廃止措置実施方針を作成・公表しておりまして、同方針には、廃棄する核燃料物質によって汚染された物の発生量の見込み、廃止措置に要する費用の見積り及びその資金の調達方法その他の廃止措置の実施に関し必要な事項が定められているところです。 10 ◯商工労働水産部長(平林孝之君)個人住宅等への再エネ設備等設置支援についてでございます。  個人住宅や共同住宅に再生可能エネルギー発電設備を設置するに当たっては、固定価格買取制度を活用することで、売電収入により設置費用を賄うことが可能とされています。  また、国は、大幅な省エネを実現した上で再エネを導入することによりエネルギーの年間消費量の実質ゼロを目指す、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスなどの住宅の新築に合わせて太陽光発電や蓄電池を設置する場合などに、経費の一部を補助しています。  さらに、県内の一部市町村においても、個人住宅等太陽光発電や蓄電池を設置する場合に、経費の一部を補助しています。  県としては、固定価格買取制度や国、市町村の補助制度の周知等を通じて、個人住宅や共同住宅における再エネ発電設備及び蓄電池の設置を促進してまいりたいと考えております。 11 ◯小川みさ子君 自席から再質問させていただきます。  知事にお尋ねします。  川内原子力発電所に関する安全協定書の第十九条、協定の改訂には、この協定に定める事項について改訂すべき事由が生じたときは、甲─鹿児島県─、乙─薩摩川内市─及び丙─九州電力─が設置する川内原発に関して、甲乙丙のいずれからもその改訂を申し出ることができる。この場合において、県、薩摩川内市、九州電力は誠意を持って協議すると書かれております。  一九八二年から計六回、三・一一福島原発事故後にも一部改訂はされています。九電や薩摩川内市をリードして知事が申し出てもいいのではないですか。なぜ、安全協定第十九条に従って協定の見直しを申し出て、誠意を持って運転期間延長について協議されないのか、知事の見解をお尋ねします。  また、安全協定書が締結された一九八二年には、川内原発は四十年運転をさらに二十年延長運転すると予測されていたのかどうか。  以上二点、知事に答弁を求めます。 12 ◯知事(塩田康一君)先ほど危機管理防災局長が答弁したとおり、県といたしましては、原子力規制委員会及び九州電力には県の要請にしっかりと応えていただいたものと考えており、現時点においては安全協定の見直しは考えておりません。    [小川みさ子君登壇] 13 ◯小川みさ子君 それぞれ答弁頂きました。  全く納得できません。知事は、再出馬へ向け何と表明されましたか。時代の変化に的確に対応し、「誰もが安心して暮らし、活躍できる鹿児島」の実現に全力を尽くしたい、「稼ぐ力」の向上が大きな柱になると表明されました。原発二十年延長を進める限り、大事故は想定内です。全てが台なしになることをお伝えしておきます。  さて、事故が起きたときを想定され、防災に取り組むのであれば、当然、福島レベルの事故だと即現実になるのが廃炉作業。発電に使用された使用済み燃料の搬出、汚染状況の調査、除染の後、周辺設備や原子炉などの解体、最後に建屋などの解体で、短くとも三十年から四十年かかると言われているのが廃炉事業です。  資源エネルギー庁によれば、日本では日本原子力研究開発機構の日本初の発電用原子炉一件が廃炉終了の実例としてあります。世界ではアメリカで十三基、ドイツで三基の廃炉が完了しています。ドイツでは自然エネルギー産業に切り替え、二〇〇四年から二〇一〇年にかけ、約二十万人の新しい雇用を生み出したと、鹿児島を訪れたドイツのアナリストの学習会を企画したときに聞いたことがあります。  資源エネルギー庁が主催した原子力発電所の廃止措置に関する国際ワークショップなど、廃炉決定している二十四基の原発関連会社などを調査し備えること、九電に働きかけることなど、鹿児島の安心・安全な未来は知事の英断にかかっているのです。  知事、二十年延長でなく廃炉を選択し、自然エネルギーへ転換されるというのは、経済的にも非常に理にかなった判断で、持続性のある約束手形のようなものなのです。知事、今ならまだ間に合います。知事には、県民の命を守るため禍根を残すことなき選択を切に要望し、引き続き委員会で質疑をさせていただきます。  次に、米空軍輸送機オスプレイ問題についてお尋ねします。  十一月二十九日午後、米軍横田基地所属の八人が搭乗していたCV─22オスプレイ屋久島東沖一キロメートルの海上に墜落し、米兵たちの若い命が失われました。  今回、お手元に初めて資料を準備させていただきましたが、ヘリコプターと飛行機の特徴を併せ持つ機体オスプレイは構造的欠陥があるのは顕著です。県民連合会派や諸団体による原因究明、飛行ルート全面公開などを知事として求めるようにとの申入れは大変心強いものでした。  過去を振り返ると、沖縄では、米軍戦闘機の墜落、米海兵隊の大型ヘリコプターが大学に墜落炎上、また、大型ヘリコプターから重さ約八キロもある窓枠が体育の授業中だった小学校の校庭に落下、オスプレイの集落への墜落もありました。今回も学校や住宅街への墜落であったら大惨事になっていたかもしれません。  そこでお尋ねします。  国内外におけるオスプレイの近年のトラブルはどのようなものがあるか、お示しください。  全国知事会は、米軍機の飛来訓練に関して事前に情報提供するように要請されているが、飛行計画・ルートは開示されているのか。  また、知事は、再発防止策が講じられるまでオスプレイの飛行停止を求められたとのこと。再発防止のための原因究明及び今後の経過情報など、県民、国民にどうやって開示されるのか。  十一月二十九日屋久島東沖一キロメートルに墜落したCVオスプレイ、九月二十一日奄美空港に緊急着陸したMVオスプレイ等、全てのオスプレイ飛行停止など、全国知事会で統一した対応の要請はできないのか。  以上、まとめて知事の見解を求めます。 14 ◯危機管理防災局長(長島和広君)近年のオスプレイの事故についてでございます。  防衛省が公表している情報によりますと、近年では、平成二十八年十二月、沖縄県名護市沖で不時着水して二人が負傷した事故、平成二十九年八月、オーストラリア沖で墜落して三人が死亡した事故、令和四年六月、米国カリフォルニア州で墜落して五人が死亡した事故が発生しております。  米軍機の飛行計画・ルートの開示についてでございます。  県では、全国知事会を通じて国に対し、米軍機による低空飛行訓練等に関し、訓練ルートや訓練が行われる時期について、事前情報提供を行うことを要請しているところでありますが、情報提供はなされていないところです。  事故原因等の情報公開についてでございます。  今回のオスプレイによる事故の原因等、米側から提供された情報につきましては、国において、適切に公表していただきたいと考えており、県としましても、国から情報提供があった際には、積極的に公表することとしたいと考えております。  全国知事会で統一した対応の要請についてでございます。
     県では、全国知事会を通じて国に対し、オスプレイも含む米軍機の飛行等に関し、基地の外における米軍の演習・訓練は必要最小限とすること、米軍機による低空飛行訓練等については、必要な実態調査を行うとともに、事前情報提供を行い、関係自治体や地域住民の不安を払拭するよう、十分な配慮を行うこと、米軍機による事故が発生した場合には、原因を早期に究明し公表すること、また、実効性ある再発防止策を講じること、米軍機による事故を防止するため、徹底した安全対策を講じること、事故後の運用再開に当たっては、日米協議を実施すること、協議に当たっては、地元の意向を尊重することなどを要請しているところです。 15 ◯小川みさ子君 自席から再質問させていただきます。  知事にお尋ねします。  配付させていただいた資料のクラスA事故というのは、被害総額が二百五十万ドル以上で死亡や全身不随に至った事故のことで、これまで屋久島沖事故まで加えると六十一人の米兵が墜落事故で亡くなっているようです。民間人が巻き添えになっていないのは奇跡と言えるほどの頻度です。  知事は事故翌日、防衛大臣政務官に対し、遺憾であること、再発防止策が講じられるまでオスプレイの飛行停止を求められたとのこと。防衛大臣も臨時記者会見を開き、国内で配備されたオスプレイについて、安全が確認できてから飛行を行うようにと米側に要請されたとのこと。しかしながら、残念なことに、事故当日も翌日も夜にオスプレイが低空飛行していると、奄美の方々から動画まで届きました。  知事は、捜索救助活動であれば、安全確認がなされる前であっても飛行は認めた上での飛行停止ということだったのか。たとえ捜索救助であっても安全確認が優先であると明確に再度要請をしていただきたいのですが、知事の見解をお示しください。 16 ◯危機管理防災局長(長島和広君)オスプレイの飛行に関して再質問を頂きました。  県は、今回の事故発生後速やかに九州防衛局に対し、事故の原因が究明され、再発防止策が講じられるまでは、オスプレイの飛行を停止することを米側に要請するよう申入れを行い、防衛大臣政務官が訪れた際にも、同様の申入れを重ねて行ったところです。  その際、防衛大臣政務官からは、米側に対しては、我が国に配備されたオスプレイの飛行について、捜索救助活動を行う機体を除き、飛行に係る安全が確認されてから飛行を行うよう要請を行ったとの説明がありました。  このため、県としては、捜索救助活動を行う場合であっても、人命救助活動上、必要やむを得ない場合に限るなど、慎重に対応していただくよう要請したところです。  その上で、国から、救難活動に必要最小限のものとして飛行するとの情報があった際には、安全に万全を期すこと、県民に事故のリスクが及ばないよう陸上を飛行しないことなどを米軍に要請するよう改めて申入れを行い、国から米軍に要請されたことを確認しております。  米軍においては、県民の安心・安全を最優先に対応していただきたいと考えております。    [小川みさ子君登壇] 17 ◯小川みさ子君 それぞれ答弁頂きましたが、知事はなぜスルーされるんですか、私の質問に。残念でなりません。  オスプレイ墜落事件で漁業者も住民も不安に駆られています。県民を守るために知事は毅然と、要請だけではなく抗議をしていただきたいと思います。救助作業なら大丈夫と、慎重であれば大丈夫となれば、今回の事故さえ教訓になっていないということです。さらに、米空軍が捜索に原子力空母カール・ビンソンを派遣していることも明らかにされ、驚きました。  残念ながら、日本は、日米安保条約に基づいて定められた日米地位協定を見直さない限り、オスプレイが民間空港に緊急着陸することも優先されるのです。憲法の上に日米地位協定があり、国会の上に日米合同委員会があるという、そのような取決めは速やかに見直されるべきです。  また、米国防分析研究所─IDA─でオスプレイの主任分析官を務めたレックス・リボロ氏は、オスプレイには、トリチウムと放射能値が自然界の二十から三百倍に上る劣化ウランが使用されていて、墜落など重大事故で燃焼すれば人体に影響を及ぼし、ウランは毒性が非常に強く危険だと、そのようなことを指摘されていますので、捜索に当たっては各面からの慎重な対応を要望しておきます。  新たな質問に入ります。  男女共同参画推進条例について。  県男女共同参画推進条例と同様の条例を制定している県内の市町村の数は幾つあるのか。また、未制定市町村がある場合、その理由はどのように考えているか。県として県内市町村に条例制定の働きかけは行っているのか。  生活困窮や性暴力、性犯罪被害など困難な問題を抱える女性への支援法についてお尋ねします。  そもそも困難な問題を抱える女性への支援に関する法律が成立に至った背景、特筆されている条文はどのようなものがあるのか。  二〇二四年四月施行を目指す法の下、策定が義務づけられている支援基本計画素案に対するパブリックコメントの周知方法はこれまでと同じか、民間の支援団体等には働きかけるのか。  以上、まとめて答弁ください。  次に、オーガニック給食について。  二〇五〇年までに有機農業の農地を全体の二五%に増やすという目標を掲げる、国のみどりの食料システム戦略は御周知のことです。  農水省がこの十月にまとめた有機農業をめぐる事情によれば、田んぼの有機JAS圃場の割合は〇・五%未満、畑や樹園地では三%を超える県もあるとのこと。有機農業が始まり四十年でこの程度の伸びということは、次世代農家を育てて、学校給食、農福連携など供給先の確保、横のつながりを深め、積み重ねていかなくては絵に描いた餅で終わってしまうのは明らかです。  そこでお尋ねします。  県内市町村における学校給食への有機農産物の供給状況について、どのように把握に努めていらっしゃるのか。また、学校給食の調理場─センター方式、自校方式─に納入している数を示せ。  有機農産物を活用している自治体において、JA経由、物産館経由もあるとのことですが、どのような納入体制を取っているのか、また、ニーズが増えたときの課題は何か。  給食現場の栄養教諭等の意見など、把握されていることをお示しください。  次に、IHRの改訂、パンデミック条約創設についてお尋ねします。  WHO─世界保健機関─が主導力をより発揮し、来るべき再度の医学パンデミックに備え、加盟百九十四か国間の国際条約を締結しようとしています。昨年五月のWHO年次総会で採決が諮られましたが、アフリカ諸国を中心に反対に遭い、規定の三分の二の得票を得られず、二年間延長になっていたとのことで、ということは来年の二〇二四年五月の総会で再度採決が行われる予定になります。  また、国際的な公衆衛生上の緊急事態が生じた場合の具体的な対処方法に関し、WHO憲章第二十一条に基づく国際約束として、国際保健規則─IHR─が規定されているのだそうです。この規則は二〇〇五年に改定されましたが、今回コロナに関するパンデミックを経て、二〇二四年五月をめどに再度、改定プロセスが進みつつあるということですので、国内法よりも優先されるのではないかという危惧の声が世界から上がっています。このことから、よりよい人類の未来と命を守るために、議員有志一同でWCH議員連盟が設立されました。  インフォームド・コンセントと安全で効果的な医薬品にアクセスする権利、例えばイベルメクチンなども含めた健康全般に関する権利、本人の承諾なく医学的実験を行うことを禁止する基本的な人権に関する問題が削除される方向にあるとのことです。だからこそ超党派の議員連盟が設立されたわけですが、国民や県民に及ぼす影響、WCHJ及びWCH議員連盟への認識、また、創設が危惧される緊急事態条項との関連についてお示しください。  最後になりますが、ワクチン被害と後遺症について。  コロナワクチンに特化して、今回は時間の都合で詳細は次の機会に譲りますが、厚労省の十月二十七日の発表では、全国でのコロナワクチン接種後の死亡者数は二千百二十二人、重篤な副反応報告は二万七千九百三十八人とあります。新型コロナ感染症や季節性インフルエンザへの注意喚起だけでなく、ワクチン副反応被害についてどのような対策を行っているのか。  以上、まとめて答弁ください。 18 ◯男女共同参画局長(南 靖子君)市町村における男女共同参画推進条例の制定状況についてでございます。  県男女共同参画推進条例と同様の条例を制定している県内の市町村数は、現在十八となっております。  半数以上の市町村が条例を制定していないことについては、男女共同参画社会基本法において特に定めがないことや、策定が努力義務とされている市町村男女共同参画計画を全市町村が策定し、同計画に基づき、男女共同参画の推進に関する施策に取り組んでいることなどが主な要因であると考えております。  条例制定については、それぞれの市町村における男女共同参画の推進に関する基本理念や市町村、事業者、住民の責務の明確化等が図られ、本県の男女共同参画社会の実現に寄与するものと考えております。  県においては、市町村の条例制定の状況をホームページに公表するとともに、市町村に対し、各種会議や研修など様々な機会を通じて、条例制定を呼びかけてきたところでございます。今後とも、その意義をしっかりと説明しながら、継続的に働きかけを行ってまいります。 19 ◯子育て・高齢者支援総括監(岩田俊郎君)困難な問題を抱える女性への支援に関する法律の成立に至った背景等についてでございます。  我が国における困難な問題を抱える女性への支援は、これまで、売春防止法や配偶者暴力防止法に基づく婦人保護事業として実施されてきたところです。  国の検討会において、近年の女性をめぐる課題が、生活困窮、性暴力、性犯罪被害など、多様化、複雑化、複合化しており、従来の売春防止法等に基づく婦人保護事業の取組では十分対応できていないとの指摘がなされ、さらに、コロナ禍によりこうした課題が顕在化し、女性支援強化が必要とされました。このため、新たに、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律が昨年五月、議員立法により制定され、令和六年四月から施行されることとなったところです。  同法では、第三条において基本理念として、女性の福祉、人権の尊重や擁護、男女平等といった視点が、また、第十三条において新たな支援の枠組みとして、民間団体との協働といった視点が取り入れられております。  さらに、第十五条において、地方公共団体が関係機関、民間団体と支援内容を協議する場として、支援調整会議を組織するよう努めることとされております。  次に、基本計画素案に対するパブリックコメントの周知方法についてでございます。  県では、困難な問題を抱える女性への支援基本計画を策定するため、学識経験者、福祉施設などの関係団体に加え、民間の支援団体で構成する策定委員会を設置し、素案を取りまとめたところです。  今議会において、素案について御意見を伺い、その後、パブリックコメントにおいて、広く県民からの意見を聴くこととしております。  パブリックコメントについては、民間の支援団体に周知するとともに、県ホームページのほか、県公式LINEを活用して周知・広報を行うこととしております。 20 ◯教育長(地頭所 恵君)学校給食における有機農産物の供給状況についてでございます。  学校給食への有機農産物の活用については、各自治体の実情に応じて実施されており、県教委としては、毎年六月と一月に実施している地場産物活用状況調査の中で状況を把握しているところです。  今年六月に実施した同調査において、有機農産物を活用していると回答した調理場は、単独調理場が十一場、共同調理場が十一場となっています。  次に、学校給食における有機農産物の納入体制及び今後の課題についてでございます。  学校給食に有機農産物を活用している調理場においては、生産者が直接納入したり、JA等が取りまとめて納入したりするなど、地域の実情に応じて有機農産物の納入体制が取られていると聞いています。  今後、有機農産物のニーズが増えた場合の課題としては、計画的・安定的な供給、適正な価格の維持などが考えられます。  なお、現在、有機農産物以外の農産物を生産・納入している関係者等への影響も考えられるところです。  有機農産物の活用に関する栄養教諭等の意見についてでございます。  有機農産物の活用に関する栄養教諭等からの意見については、栄養教諭等が参加する会議や研修会等で意見を伺う機会があるところです。  その中で、有機農産物を含めた地域の産物を学校給食や食育に活用することは大切だという意見がある一方、活用に当たっては、計画的・安定的な供給、適正な価格の維持、現在、有機農産物以外の農産物を生産・納入している関係者等への影響など、課題も多いとの意見が上げられています。 21 ◯くらし保健福祉部長(房村正博君)国際保健規則─IHR─の改正、パンデミック条約創設に関する認識についてでございます。  疾病の国際的伝播を最大限防止することを目的として、WHOは国際保健規則を定めております。  WHOでは、新型コロナウイルス感染症の流行下では、国際保健規則に規定されている、地域・国家レベルの国境における日常の衛生管理及び緊急事態発生時の対応に関して能力を有している先進国であっても甚大な影響を受けたとし、こうした教訓を踏まえて国際保健規則検証委員会等で議論が行われました。これを受け、WHO加盟国は、国際保健規則を改正するための議論を行うことや、パンデミックの予防・備え及び対応に関するWHOの新たな法的文書、いわゆるパンデミック条約の作成に向けた交渉を行うことを決定いたしました。  国際保健規則の改正及びパンデミック条約の作成については、WHO総会での採択を目指して作業が進められておりますが、これに対し様々な意見があることや、超党派の議員連盟が立ち上がっていることは承知しております。  なお、緊急事態条項との関連につきましては、特段の情報がないところでございます。  続きまして、新型コロナウイルスワクチンの副反応被害についてでございます。  十月二十七日に開催された国のワクチン副反応疑い報告に関する検討部会においては、現時点において、ワクチン接種によるベネフィットがリスクを上回ると考えられ、ワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められず、引き続き国内外の情報を収集しつつ、ワクチンの接種を継続していくとの方針が示されたところであります。  県においては、県民が、ワクチン接種の効果や副反応などのリスクを踏まえて、接種するかどうかを判断しやすいよう、接種の目的や実施体制、副反応疑い報告、健康被害救済制度などを県ホームページに掲載しているところであります。  また、ワクチン接種後の副反応に関する専門的な相談窓口を設置するとともに、ワクチンを接種した方が、その後の副反応を疑う症状について、必要に応じて、身近な医療機関等からの紹介により、総合的な診療が可能な専門的医療機関を受診できる体制を各医療圏ごとに構築しているところであります。 22 ◯小川みさ子君 自席から一点、再質問させてください。  女性に関わる支援法は遅きに失したと感じられますが、県の計画素案に対してのパブリックコメント募集は、これまでのパブリックコメントの結果を見ているとゼロ回答という報告が数多く見られますが、集める意見数の目標は立てていらっしゃいますか。 23 ◯子育て・高齢者支援総括監(岩田俊郎君)基本計画素案に対するパブリックコメントで集める意見数の目標についてでございますが、このパブリックコメント制度というのは、県民の多様な意見を県の意思決定過程に反映させることで、県民参加による開かれた県政の推進を目的としているところであります。  パブリックコメントで集める意見数の目標は立てておりませんが、なるべく多くの意見が集まるよう、民間の支援団体への周知、あるいは先ほど申し上げた県ホームページ等を活用した周知で、広く周知を図ってまいりたいと考えております。    [小川みさ子君登壇] 24 ◯小川みさ子君 それぞれ御答弁頂きました。  男女共同参画推進条例が本県で施行されてもう二十年以上になります。大変長い歴史を感じますが、先日、鹿児島市内の公民館で、かごしま環境未来館課長の塩川哲郎氏の学習会がありました。演題で男女共同参画に触れてはいなかったものの、地元の若いママたちが多数参加されていて、グループトークで、自分が夫に訴えても聞いてくれないので、男性の講師から学んでもらう機会が欲しいと異口同音に訴えられました。男女共同参画がいまだに若い家庭でも実現できていない生きづらさを訴えられて驚きました。民間との連携も不可欠です。取組への拡充を要望しておきます。  今回、六月議会に引き続きオーガニック給食を取り上げさせてもらったのは、この夏、小学校の教師だった方などを中心に県民・市民が、学校給食の納入先、その頻度や納入量などを県内各地の農家や現場の方を訪ねてアンケートを取られたのです。その報告会に参加し、納入のきっかけは、米作り体験会、栄養士さんへの相談、生ごみの堆肥化など様々でした。地産地消を目指し、物流館を通したり、JAが注文をまとめて各学校に配送してくれていたり、また、給食センター、農政課や農家と一緒になって協議をされたり、栄養教諭もメンバーに入り有機給食部会がつくられていたり、本当にすばらしい活動が始まっていることを確認することができました。  具体的な課題もあり、持ち込み時間が限られるので、全ての学校の要望に応えられない、センターにも応えられない、安定供給のため格納施設が欲しい、消費者や行政関係者の皆さんにはまずは田畑を知ってほしいので足を運んでいただきたい、農家や給食現場からの声もありました。成長期にある子供たちに安心・安全な有機農産物を食べてもらい、健康な体をつくってほしいという有機農家さんの願いは、感動とともに共感できました。  縦割り行政を改善し、オーガニック給食を進めたい皆様の熱意を受け止め、実態調査に取り組み、旗を振っていただくよう要望し、この問題を引き続き次回も質問してまいります。  今回は時間の関係で、パンデミック条約、緊急事態条項の創設について深堀りできませんでしたが、いずれも、私たちの尊厳、自己決定権が阻害される大変な動きであることを伝えさせていただき、大事な問題ですので、次回深堀りしてお尋ねしてまいります。  最後に、ナチスに抵抗したドイツのマルティン・ニーメラー牧師の詩を紹介します。  ナチスがコミュニスト─共産主義者─を弾圧したとき、私は不安に駆られたが、自分は共産主義者ではなかったので何の行動も起こさなかった。その次、ナチスはソーシャリスト─社会主義者─や労働組合員を弾圧した。私はさらに不安を感じたが、自分はソーシャリストではないので何の抗議もしなかった。それからナチスは学生、新聞記者、ユダヤ人と順次弾圧の輪を広げていき、そのたびに私の不安は増大したが、それでも私は行動に出なかった。ある日、ついにナチスは教会を弾圧してきた。そして私は牧師だった。だから行動に立ち上がったが、そのときは全てがあまりに遅過ぎた。  今現在、このナチスを標榜させるような緊急事態条項創設の憲法改正も動き始めています。全てが遅過ぎたとならないように声を上げ続けることをお誓い申し上げ、私の一般質問を終了いたします。  そして、今年も残り少なくなりました。年末年始は、家族のないホームレスの方々がお腹をすかせ寂しい思いをしながら寒さに震えておられます。越冬炊き出しに有機農家さんや鹿教組の御協力、そしてこれまでに、いわしげ仁子県議会議員、柳県議会議員、米丸県議会議員、まつざき元県議会議員にも御協力頂いたことがありますが、大みそかは年越しそば、元旦にはお雑煮、ぜんざい、カレーなどを温かい部屋で召し上がっていただく活動に私自身、集中してまいります。ボランティアは随時募集しておりますので、皆さん、どうぞよろしくお願いいたします。  最後に、皆様も免疫力を高め、年末年始をお元気でお過ごしください。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 25 ◯議長(松里保廣君)ここで、休憩いたします。  再開は、午前十一時十分といたします。        午前 十時五十六分休憩       ─────────────        午前十一時  十分再開 26 ◯議長(松里保廣君)再開いたします。  次は、秋丸健一郎君に発言を許可いたします。    [秋丸健一郎君登壇](拍手) 27 ◯秋丸健一郎君 霧島市・姶良郡区、秋丸健一郎でございます。議長より発言の許可を頂きましたので、初めての一般質問をさせていただきます。  一問目、本港区の利活用及びサッカー等スタジアムについて。  鹿児島ユナイテッドFCは今シーズンJ3で二位になり、来シーズンはJ2へ昇格いたします。十一月二十六日、今季ホーム最終戦には一万千九百七十八人が集まりました。うち四人は我が家です。  二〇二二シーズン、J2に昇格したロアッソ熊本は、昇格一年目ながらJ2で四位に入り、昇格プレーオフも勝ち上がりましたが、あと一歩のところでJ1昇格を逃しました。鹿児島ユナイテッドも、早ければ再来年にはJ1に上がる可能性があります。それは決して低い可能性の話ではございません。
     そうなると、我々サポーターといたしましてはスタジアム問題、これを非常に心配しております。J1に上がって五年以内に供用開始しなければならない。待ったなしとなりました。何が問題で進まないのか、そこを明らかにしていくため、また本港区エリアのまちづくりに関しての考え方、これを整理したいと思い、質問いたします。  一点目、現在の鹿児島市案でスタジアムを建設する場合の土地利用計画変更に係る想定面積は何ヘクタールか。また、ほかに現状の港湾計画に変更が必要となる部分はどこか。  二点目、港湾計画の一部変更、軽微な変更に該当する要件は何か。また、変更事務に着手してから、実際に変更に至るまでのそれぞれの標準的事務作業期間はどのぐらいか。  三点目、グランドデザインのコンセプト三百六十五日にぎわうはエリア全体としてのものか、それともエリア内のゾーン単位で考えるのか、あるいは個別の施設の機能ごとなのか。  四点目、鹿児島市案に基づき旅客ターミナルや倉庫移設を行うとすると、それにかかる費用はどれくらいと見込まれるか。また、実施する場合はどこが負担するのか。  五点目、サッカー専用スタジアムを建設する際、他の自治体ではホームタウンである市町村と都道府県ではどのような形で費用負担が行われたか。  六点目、先月、Jリーグが新スタジアム整備の進捗状況確認にヒアリングを行ったが、J1ライセンス付与に当たって、白波スタジアムの改修ではなく新スタジアム建設が条件であると県は認識しているのか。また、場所について、Jリーグは北埠頭での新設でなければならないとは思っていないと認識しているが、どうか。  七点目、平成七年三月に策定された鹿児島港本港区ウォーターフロント開発基本計画は、いつまで有効な計画であったのか。鹿児島港本港区エリアまちづくりグランドデザインが本港区エリアまちづくりに関する後継計画という理解でよいのか。以上、お答えください。  続きまして、二問目、鹿児島空港について。  鹿児島空港は、空港連絡鉄道、いわゆる空港に直接乗り入れる鉄道がありません。国内空港での利用者数が多い空港のほとんどが、この空港連絡鉄道があります。空港利用者ランキング十位以内で連絡鉄道がないのは、鹿児島空港だけです。  鹿児島空港へのアクセスに関しては、近年、駐車場が空いていない、バスがいっぱいで乗れなかったというような声を頻繁に耳にするようになりました。  空港連絡鉄道のメリットは定時性、すなわちバスなどと異なり渋滞等の影響がないこと、そして人と貨物の大量輸送が可能で、それに伴う金銭的コストの削減、また人的輸送コスト、すなわちドライバー不足が課題であるバス・トラックの代替輸送手段としても効果が期待できます。  宮崎では平成八年に宮崎空港線を開設しました。また熊本空港においては、調査検討が度々行われたものの採算面等でなかなか具現化されませんでしたが、平成三十年度から熊本空港アクセス鉄道計画が進行しています。  鹿児島空港はこれらの空港とは異なり、標高差という大きな課題があります。私は、可能性があるのは肥薩線経由での接続だと考えております。空港を降りたら、次の駅は築百年の嘉例川駅、そして山を下り、桜島の圧倒的な景観を楽しみながら移動するという観光面でも大きな武器になり得るものと考えます。  また、復旧の見通しが立っていない肥薩線は、このままでは路線維持は困難と認識しておりますが、空港接続ができることで、鹿児島のみならず、えびの、小林、人吉などからの利用も見込めます。また、県が所有するくりの工業団地からの貨物輸送も可能性が芽生えます。一方で、ルート的には迂回をする形となるので、特に鹿児島市方面との高速バスとのすみ分けも可能と考えます。このように多角的なメリットがある空港連絡鉄道についてお尋ねします。  鹿児島空港への空港連絡鉄道について、その必要性等について調査したことがあるか。多角的見地から調査が必要と考えるが、どのように認識しているか。  以上を一回目の質問といたします。 28 ◯土木部長兼本港区まちづくり総括監(安原 達君)本港区の利活用及びサッカー等スタジアムについてのお尋ねのうち、土地利用計画変更に係る想定面積についてでございます。  鹿児島市議会の鹿児島港本港区のまちづくりに関する調査特別委員会において、市が示した北埠頭におけるサッカー等スタジアムの配置図案は、イメージが示されたのみであり、現段階においては、想定面積や港湾計画を変更する部分について、お答えすることは困難であります。  続きまして、港湾計画の変更要件と標準的事務作業期間についてでございます。  港湾計画には、港湾の開発や利用、保全の方針や、港湾の取扱い貨物量等の能力、港湾施設の規模及び配置、港湾の環境、効率的な運営等について定められており、これらに変更を生じた場合、変更手続を行うことになります。  その変更に当たっては、その内容、規模などに応じて国との協議により、改訂、一部変更、軽易な変更の区分が決定されます。  鹿児島港におきましては、平成五年の改訂以降、その後の社会経済情勢の変化に伴う課題に対して、一部変更や軽易な変更で対応してまいりました。  平成二十七年には臨港道路鴨池中央港区線のルートを変更する一部変更を行ったところでございます。  この一部変更についての港湾法に基づく手続といたしましては、平成二十七年五月に県地方港湾審議会、同年六月には国の国土交通政策審議会の審議を経て、同年七月に港湾計画の一部変更を告示したところでございます。  また、港湾法に基づく手続に先立ち、荷役会社等の港湾関係者に、現状における課題や将来的な要請等に対しヒアリング等を行うとともに、臨港道路に関する様々な要望や意見への対応等関係者との調整を行っており、これに数年を要しております。  標準的事務作業期間につきましては、その内容・規模により異なるほか、関係者との合意形成にも時間を要することから、一概に申し上げられないところでございます。  続いて、グランドデザインの開発コンセプトが対象とする範囲についてでございます。  鹿児島港本港区エリアまちづくりグランドデザインでは、「鹿児島港本港区エリアについて、年間三百六十五日にぎわう拠点の形成を図る」とされております。  このことから、県としましては、三百六十五日にぎわうを本港区エリア全体の開発コンセプトと考え、同エリア一帯の利活用の全体像の検討をしていただいているところでございます。  本港区エリア全体のにぎわいが創出されるためには、エリア内のゾーン単位や個別の施設においてもにぎわいが創出されることが求められると考えております。  続いて、旅客ターミナル等の移設に伴う費用と費用負担についてでございます。  旅客ターミナル等の移設に伴う費用につきましては、建設費用に加え解体費用等が見込まれますが、サッカー等スタジアムの具体的な計画が示されていない現段階においては、お答えすることが難しいと考えております。  なお、北埠頭の旅客ターミナルと上屋を同敷地で、現在と同等のものを建設した場合、その建設費用は、国土交通省の建設工事費デフレーターを用いて本年八月時点に換算しますと、約七十三億円となります。  費用負担につきましては、具体的には移設に係る関係機関との協議によりますが、一般的には原因者負担が原則であると考えております。  続いて、鹿児島港本港区ウォーターフロント開発基本計画等についてでございます。  鹿児島港本港区ウォーターフロント開発基本計画は、鹿児島港本港区の施設整備を円滑かつ効率的に推進すること等を目的とし、県、鹿児島市及び鹿児島商工会議所を構成員として平成三年六月に発足した鹿児島港ポートルネッサンス21事業推進協議会が、平成七年三月に策定したものでございます。  基本計画の廃止時期は明確ではございませんが、同協議会は、ウォーターフロントパーク、ドルフィンポート、種子・屋久高速船旅客ターミナルなどが整備され、所期の目的を達成したとして、平成二十五年三月に解散しております。  平成三十一年二月に策定いたしました鹿児島港本港区エリアまちづくりグランドデザインにつきましては、鹿児島港本港区ウォーターフロント開発基本計画を踏まえたものではございません。 29 ◯観光・文化スポーツ部長(悦田克己君)サッカー専用スタジアムの建設に係る他自治体の費用負担の例についてでございます。  他自治体の費用負担の事例について把握することは困難でありますが、鹿児島市が令和四年度に行いましたスタジアム需要予測等調査によりますと、近年の事例といたしまして、サッカー専用スタジアム三施設の施設整備費における、国からの補助金や民間からの寄附金等を除いた市町村と都道府県の費用負担につきましては、北九州スタジアムは、ホームタウンである北九州市のみで費用を負担し、広島スタジアムは、ホームタウンである広島市と同額を広島県が負担する予定とされております。  また、京都スタジアムは、施設整備に当たり、施設が所在する亀岡市を含むホームタウン十五市町の費用負担はなく、全て京都府が負担しております。  その他、長崎市で建設が進んでおります新スタジアムなど、民間資本のみによる整備も見られるところであります。  次に、J1ライセンス付与に当たっての条件についてでございます。  今年度、Jリーグから鹿児島ユナイテッドFCに対し、「貴クラブは、平成二十九年度のクラブライセンス判定において、新スタジアム構想が進捗することを前提とした特例措置によって、J2クラブライセンスが付与されている」旨の見解が示されており、県としても、そのように認識しております。  また、整備場所につきましてJリーグは、先月実施されましたヒアリング後の会見におきまして、北埠頭は「鹿児島市の中心エリアに近く、にぎわいもあり魅力ある場所だと感じたが、一方で検討していかないといけない点もある」、「北埠頭がベストの候補地かどうかは申し上げにくい」とした上で、「地元の話合いの上で決めてもらうのがベスト」と話されており、県といたしましては、Jリーグは、北埠頭での整備でなければならないとは考えていないものと認識しております。 30 ◯地域政策総括監(西 正智君)鹿児島空港への連絡鉄道についてでございます。  鹿児島空港への連絡鉄道については、県において、昭和五十七年度に空港連絡鉄道整備調査を実施しており、肥薩線日当山駅や日豊本線加治木駅付近で分岐する二ルートについて検討が行われ、いずれも急勾配となることや、建設主体をどうするか、財源をどう確保するか、などが整備の課題として示されたところです。  鉄道の整備については、一般的に、需要や採算を踏まえて鉄道事業者において検討がなされるものであり、また、鹿児島空港へのアクセスについては、移転・開港以来、県内各地や隣県を結ぶバス輸送により整備されてきたところであります。特に鹿児島市内との間では一日六十往復以上のバスが十分から十五分間隔で運行され、所要時間も約四十分であるなど、一定の利便性が確保されているものと考えております。  今後とも、鹿児島空港のさらなる利便性向上に向け、関係者と連携して取り組んでまいります。 31 ◯秋丸健一郎君 自席から再質問させていただきます。  サッカー等スタジアムについての二点目についてでございますが、港湾計画の変更の件です。こちらに当たっては、一点目で面積をお尋ねしたところですが、現段階では鹿児島市は明確な面積は出していないという話がございました。一方で、鹿児島市議会のほうではおおむね三ヘクタール前後というような話は出ているようです。この土地利用計画の変更のみが必要な場合において、港湾計画の変更というものは軽微な変更で足りるのかどうかお答えください。 32 ◯土木部長兼本港区まちづくり総括監(安原 達君)私どもが承知しておりますところでございますが、二・数ヘクタールまたは三ヘクタールと、こういう数字が出ておりますが、先ほど申し上げました、鹿児島市議会において特別委員会に出されました北埠頭におけるサッカー等スタジアムの配置図案、ここでは正確な数字が記載されてございません。また、スタジアムに関連いたします駐車場、そういったものも検討中と、このような記述がございまして、まず、先ほど御紹介いただきました数字はそれに該当しないということと、未確定な部分が多いということでございまして、私どもといたしましては、イメージが示されたのみの中、想定面積を把握することも困難、または港湾計画のどれに該当するのかについても判断することが困難だと、このようなことでございます。 33 ◯秋丸健一郎君 今の点について、再度質問申し上げますが、一般論として、土地利用計画の変更面積が三ヘクタール前後である場合において、通常は軽微な変更で足りるのではないのかという質問でございますので、答弁をお願いいたします。 34 ◯土木部長兼本港区まちづくり総括監(安原 達君)軽易な変更の対象となるもの、それからならないものにつきましては、港湾法の施行規則等において定められております。この中で、様々な施設、それらについてどのような変更が生じる場合に該当するのか、このような紹介がございますが、一般論といたしまして、荷さばき用地等を対象といたしまして、三ヘクタールの増減程度がそれに該当するという記述はございます。これはあくまで一般的な記述でございます。 35 ◯秋丸健一郎君 続きまして、三点目ですかね、コンセプトの点ですね。三百六十五日のというところについて、エリア全体でというような答弁でございましたが、今、鹿児島市に対して八項目の整理を求めておりますが、その中で、個別の施設についての稼働率の話が一点目で出てきていると思います。これがどこまで厳格に求められているのかがちょっと不明瞭なので、今回の前野議員の代表質問の中でも、まだそこの検討が足りないというような、やはり個別の施設にフォーカスして、にぎわい創出という話がされているのではないのかと、先ほどの答弁とは少し異なるのではないかと考えておりますが、そこについてお示しください。 36 ◯土木部長兼本港区まちづくり総括監(安原 達君)三百六十五日にぎわうがどこに該当するのかと、この点でございますが、先ほど答弁申し上げましたとおり、これまで、本港区エリア一帯の利活用の全体像の検討におきましては、三百六十五日にぎわうを本港区エリア全体の開発コンセプトと考え、検討してきたところでございます。他方で、このエリア全体のにぎわいが創出されるためには、エリア内のゾーン単位または個々の施設、個別の施設においてもにぎわいが創出されることが求められる、このような考え方で検討を進めてきたところでございます。 37 ◯秋丸健一郎君 費用負担の話についてお尋ねいたします。  この話がどこでされるべきなのかということをまずお尋ねしたいと思います。本港区エリアの検討会あるいは幹事会の中なのか、それとも別途、観光・文化スポーツ部で協議されている実務者レベル等の話なのか、そのあたりの枠組みについてお示しください。 38 ◯観光・文化スポーツ部長(悦田克己君)サッカー等専用スタジアムに係る費用負担についてでございますが、現在、ホームタウンである鹿児島市において、まずは今、北埠頭での検討が行われているという状況にありまして、まだ具体的なスタジアムの形、また、詳細な資料等も示されていない中、現在、まだ費用負担の協議に至る段階ではないと考えておりまして、どの場所でどういう検討でやっていくかということにつきましても、まだ話はしていないところでございます。 39 ◯秋丸健一郎君 今の点について、もう一度再質問させていただきますが、実務者レベルでは観光・文化スポーツ部のほうで定期的に協議されているというような話だったと思いますが、直近でいつぐらいに話をされたかお答えください。 40 ◯観光・文化スポーツ部長(悦田克己君)おおむね月に一回程度、協議を行っている状況でございます。 41 ◯秋丸健一郎君 七点目のウォーターフロント基本計画とグランドデザインとの関係性についてお尋ねいたしますが、目標年次等がグランドデザインの中には記載がございません。この計画自体が今後どのような形でローリング、見直し等がなされていくように考えていらっしゃるのかお示しください。 42 ◯土木部長兼本港区まちづくり総括監(安原 達君)グランドデザインの取扱いについての御質問かと思います。  鹿児島港本港区エリア一帯の利活用の検討に当たりましては、グランドデザインの開発コンセプトを基本として検討すると、こういったことでございます。このまちづくりグランドデザインをどのように見直すとか、そのようなことではなく、グランドデザインを実現するためにゾーニング、またはそのほかまちづくりの考え方、そういったものを今回、エリアコンセプトプランという形でまとめることについて御議論いただいておりますが、そのようなまとめ方をしていくと、このようなことかと思います。 43 ◯秋丸健一郎君 もう一点だけ、再度質問させていただきます。  ウォーターフロント基本計画についても目標年次が明確にされていない状況の中、平成二十五年までは協議会が存続している中で、これを尊重しながら、本港区エリアのまちづくりというのを進めてこられたと認識してはおりますが、今後このグランドデザインというものが、どこまで県において本港区エリアのまちづくりの指針となり得るのかというところが非常に不明確であると考えております。今、エリアコンセプトプランの話がありますが、そこの中で、現状の港湾計画と異なるような利用の話も中長期的に出てきております。そういう場合に、このグランドデザインというのは再度また変更等が必要になるのではないかと、それに合わせて港湾計画の変更も必要になるのではないかと考えておりますが、再度答弁をお願いいたします。 44 ◯土木部長兼本港区まちづくり総括監(安原 達君)再度の御説明になるかも分かりませんが、今回の利活用の全体像の検討に当たりましては、グランドデザインの開発コンセプトを基本とすると、このような考え方に基づいて進めているところでございます。そのような中で、それを実現する上でグランドデザインを精緻化すると、このような考え方でございますが、エリアコンセプトプランをまとめることとしております。  他方、港湾計画の変更が必要かどうかにつきましては、このエリアコンセプトプランの取りまとめ、または鹿児島港全体につきましても検討を行っておりますことから、変更の必要があると港湾管理者として判断する場合には適切に変更の手続を進めていくと、このような考え方でございます。    [秋丸健一郎君登壇] 45 ◯秋丸健一郎君 御答弁頂いたとおり、サッカー等スタジアムについては、白波スタジアムの改修ではなく新しいスタジアムが必要です。そこに議論の余地はございません。北埠頭は、確かにロケーションは最高で、世界に誇れるスタジアムになる可能性はありますが、現実面で整備に当たっての課題は山積しております。  県は、八項目の確認事項の整理を鹿児島市に求めております。報道では、三百六十五日にぎわう拠点形成というグランドデザインとスタジアムとの整合性の話ばかりが取り上げられますが、その点については、先ほど御答弁頂いたとおり、エリア全体でのコンセプトであるという御説明がありました。この三百六十五日にぎわう拠点形成という文言にこだわれば、完成後のスポーツ・コンベンションセンターあるいはMICE施設が具体化した際には必ず自らのかせとして、ブーメランとして返ってくる話ですので、後顧の憂いを残さないよう確認させていただきました。  北埠頭でのスタジアム整備の一番の課題は、現在、港湾利用がされている場所の施設を撤去しての計画案であることで、港湾関係者の理解・調整が当面の一番の課題であり、そして、あとは費用面とスケジュール面に集約されます。費用面については、御紹介いただいた先行事例のとおり、多様な手法があります。先ほどサンフレッチェ広島のホームスタジアムの話もありました。県と市が同額でするパターンもございますし、もちろん単独でホームタウンが費用負担するケースもございます。六月の文教観光委員会の中で、「財政的な面も含め一緒になって検討していく」という部長の答弁もございました。県としては、オール鹿児島の名にたがわぬ支援をする用意があると理解しております。  ただ、様々な支援の中で、先ほど答弁頂いた既存の港湾施設の撤去及び代替施設の建築費というものは、やはり一般的な公共事業の考え方からすれば、鹿児島市が負担するものと考えております。先ほど、単純に金額で、再建築費で七十億円以上という数字がございました。昨年十一月十六日付の南日本新聞によれば、鹿児島市が示した概算整備費の中で、浜町の土地購入費は四十三億円、浜町購入のほうが費用が少ないという話になります。  スケジュール面に関しては、答弁頂いたような形で、必ず港湾計画の変更は必要となります。一部変更であっても一定の期間は要します。そしてこれまでの県の答弁でも、港湾関係者との調整が一番時間がかかるという認識を示されております。  県は、現段階での本港区エリアコンセプトプラン案で北埠頭の交流・観光・娯楽機能のゾーニング、スタジアム整備の可能性を残したと言われるゾーニングについては、短期的なイメージではなく中長期イメージにおいて示しました。すなわち、十年単位の時間が必要だとの認識です。  鹿児島市がスタジアムをいつまでに完成させたいと考えているのか、具体の話はまだ伝わってきませんが、サポーターの鹿児島ユナイテッドFCへの期待を考えると、十年というスパンではなく、もっとタイトなスケジュールでの整備が求められます。唐突という印象が否めない北埠頭整備案表明から、鹿児島市も急ピッチで作業を進められているとは思いますが、スタジアム自体の基本設計から完成だけでも最低三年は必要と考えます。J1昇格後五年以内での供用ができず、ライセンス剥奪による降格というような最悪の事態は避けなければなりません。様々な課題、限られた時間の中で、オール鹿児島で納得できる最良の形でスタジアムを整備していただきたいと思います。  ただ一方、そもそもまちづくりに関しては、基本的には基礎自治体、この場合は鹿児島市が主体的に行うものです。ウォーターフロント基本計画の際は、鹿児島市、商工会議所と一緒に協議会をつくりましたが、同じような目的であるグランドデザインにおいては、その手法は取らず、県が単独設置した鹿児島港本港区エリアまちづくり検討委員会で決定しています。  前知事時代、前鹿児島市長時代にこのグランドデザインの策定とスタジアム検討委員会は並行で進められていましたが、当時の会議録や報道を見ますと、その頃から県と鹿児島市のそごがうかがえました。スポーツ・コンベンションセンターでの議論や現在の利活用に係る検討委員会での議論を伺っておりますと、このグランドデザインというものの位置づけには非常に疑問があります。当時から、ウォーターフロント基本計画と同じように、市、商工会議所と三者で協議していれば、今頃はコンベンション機能を有するという位置づけでなくても本港区に体育館整備計画ができていたかもしれませんし、スタジアム基本計画もできていたかもしれません。  二〇二三年一月の鹿児島商工会議所の提言書でも、やはり過去においてはポートルネッサンス21事業推進協議会が設置されたが、現在では民間の意見をまちづくりに反映させる場がないという記載があり、この推進協議会の再設置についての要望があります。県の検討会という枠組みでは不十分という認識であると考えます。県が声を聞く機会を設けていると言っても、相手がそう思わないのであれば適切ではないと、対話ができていないということになります。そのため、このグランドデザインでは事業主体を民間資本を基本とされていますが、なかなかそこの部分が進んでいかないと、その一因ではないかと考えております。  ただ、過去のたらればを言っても仕方がありませんので、未来へ向けて、この本港区の検討もそうですが、スタジアムについても、既に県と市の担当者で行っている実務者レベルの会にぜひ名前を与えていただきたい。名前を与えるとそれに向かっての意識が変わります。そして、その場にはぜひクラブ─鹿児島ユナイテッドFC─も加えていただいて、対等の立場で話す場を県の音頭で設置していただきたい。そのように要望いたします。  二問目、空港連絡鉄道について。  今回、一般質問するに当たって、過去の県議会での議論を確認しました。三十年以上前、昭和六十二年、山田議員が問題提起をされていらっしゃいました。その先見の明に敬意を表したいと思います。質問の中で申し上げたとおり、空港連絡鉄道というものは様々なメリットがあります。一方で、建設についてはやはり多額の事業費、これが必要となります。山田議員、一緒に頑張りましょう。今後もこの件については適宜確認をしていきたいと考えます。  引き続き、三問目の質問に移ります。  教員採用について。  教員志願者の減、教員不足が叫ばれて久しいところですが、一方で、いわゆる期限付の臨時的任用教員が恒常的に相当数配置されております。この状況について確認したくお尋ねします。  一点目、令和六年度教員採用試験における臨時的任用教員の受験者数及び合格者数を示せ。  二点目、不合格者のうち三年以上不合格である者の数を示せ。また、最も長い期間不合格である者は何年不合格か。  三点目、教員採用試験の二次試験の意義・目的は何か。  続きまして、四問目、県立短期大学のセクシュアルハラスメント及び県と大学の関係性についてです。  九月二十五日に県立短期大学のセクシュアルハラスメント事案について記者発表されました。この内容に関連し、幾つかお尋ねいたします。  一点目、被害者がセクハラ被害を申し立ててから処分決定まで半年余りかかっているが、二年間という短い学生生活のうち、七か月以上セクハラの被害を受け、さらに、被害を申し立ててから六か月も処理期間に要したことについて、知事の所感をお尋ねいたします。  二点目、本件については、当該教員が停職六か月のほか、学長も訓告を受けたとのことだったが、その他の教職員の処分等の状況は。お示しください。  三点目、令和四年十一月二十二日付で、セクシュアルハラスメントを含む性暴力等の防止に向けた取組の推進についての文部科学省高等教育局長名の通知が発出されているが、本通知は県短においてどのように取り扱われるべきものか。また、本通知に基づく、県短の取組についての検証は誰がどのように行ったのか。  四点目、総務部長は本年第三回定例会で、橋口議員の質問に対し、「県立短期大学がより魅力ある大学になるために意見交換を行っております」と答弁し、その後、本件での記者会見で、「大学と一丸となって、再発防止に向け全力を挙げて取り組んでまいりたい」と発言されたが、大学と設置者である県が一丸となって、県立短期大学が魅力ある大学となるための体制づくりが必要だが、どのように考えているか。  五問目、知事が求める職員像について。  私は霧島市役所に長く勤め、今、県議会議員という立場で県に接し、同じ公務員組織であってもいろいろな違いに戸惑ったり、疑問を感じているところです。知事も就任後三年余りが経過いたしましたが、やはり経済産業省から鹿児島県という別な組織に移られて、その組織風土の違いにいろいろ感じられるところがあられたのではないかと思います。  そこでお伺いします。  知事が県職員に求める能力、姿勢はどのようなものか、お答えください。    [知事塩田康一君登壇]
    46 ◯知事(塩田康一君)まず、県立短期大学のハラスメント事案に係る処分についてでございます。  県立短期大学において、教員が学生にハラスメント行為を行い、懲戒処分を受けるような事態が発生したことは、極めて遺憾であります。被害を受けた学生及び保護者の方、県立短期大学の学生及び保護者の皆様をはじめ、県民の皆様に深くおわびを申し上げます。  県立短期大学においては、学生の被害の申立てを受けた後、学内の規程に基づき、人権委員会や懲戒委員会において、処分の対象者、被害を受けた学生、関係者に丁寧に聞き取り調査を行い、慎重に事実認定を行った上で、最終的には教授会において懲戒処分とその量定を決定し、設置者である県に対して、処分の申出を行ったところであります。  この大学の申出を受けて、設置者である県としては、懲戒処分を行ったところであり、これら一連の処分に係る手続に約六か月の期間を要したものであります。  今回の事案を受け、設置者である県としては、大学に対して、組織として再発防止に取り組むよう強く求めたところであり、大学においては、ハラスメント防止についての啓発・研修活動の充実や行動指針の策定、学生の相談体制の強化などの再発防止策に取り組んでいるところであります。  今後とも、県民の皆様の信頼を回復するため、大学と一丸となって再発防止に向け、全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。  次に、私が求める職員像についてでございます。  私が知事就任以来、職員に対して、機会を捉え、心がけてほしい点として伝えてきた内容は主に三点ございます。  まず、一点目は、部局を超えて、県庁全体として部局横断的な課題にどのように取り組むかを常に念頭に置いて、主体的に庁内でしっかりと議論してほしいという点であります。  二点目は、トップダウンではなく、職位にかかわらず、自発的に様々な考えやアイデアを提案し、職員間で活発に議論しながら、よりよい政策をつくり上げてほしいという点であります。  三点目は、多様化・複雑化する県民ニーズに対応するため、県政の主役である県民の皆様の声や、市町村、関係団体の御意見を積極的に伺い、各分野や地域の課題等の的確な把握に努め、その解決を目指してほしいという点であります。  このような点については、職員に伝えるだけではなく、例えば、政策立案、政策調整機能の充実・強化に向け、総合政策部を設置し、重要な政策課題については、総合政策会議の開催等を通じて、同部を中心に部局横断的に連携して議論を進めるよう取り組んできております。  また、鹿児島県庁働き方改革ワーキンググループを設置し、若手職員を中心に働き方の課題や改善点等について主体的に議論してもらい、議論の成果については、可能なものから順次実施してきております。  さらに、県民の皆様と率直に意見交換を行う、知事とのふれあい対話を開催し、私自身が率先して、各地域の課題等の把握に努めるとともに、頂いた御意見はできる限り県の施策・事業に反映するよう努めてきたところであります。  本年度、職員が主体的に議論を重ねつつ、策定を進めている鹿児島県人財育成ビジョンの骨子において、「挑戦」「共感」「誠実」をキーワードとする目指すべき職員像が取りまとめられたことは、私が伝えてきた内容が職員に浸透してきたことの一つの表れではないかと考えております。  今後とも、職員に対して、機会を捉え、心がけてほしい内容を積極的に伝えるとともに、職員が自由に議論することができる風通しのよい職場づくりに努め、職員と一緒に、県民の皆様の声がしっかりと反映される県政を推進してまいりたいと考えております。 47 ◯教育長(地頭所 恵君)教員採用選考試験の状況についてでございます。  本年度の教員採用選考試験において、出願時に臨時的任用教員であることを申告した受験者は五百九人、そのうち合格者は二百六人です。  次に、教員採用選考試験の不合格者の状況についてでございます。  本県の教員採用選考試験における過去三年間の受験歴については出願書類に記入を求めていますが、学歴、職歴等と同様、面接の際の参考情報であり、データとしての集約は行っておりません。  また、最も長い期間不合格である者についても把握していないところです。  教員採用選考試験の二次試験の意義・目的についてでございます。  本県の教員採用選考試験は、当該年度における必要な教員数の確保を目的に、本県が求める教師像である心身ともに健やかで明朗活発な教師、高い専門性と幅広い教養をもち謙虚に学び続ける教師、情熱と使命感にあふれ教育的愛情をもつ教師、人間性豊かで的確なコミュニケーション能力をもつ教師を踏まえ、一次試験と二次試験により総合的に判断し、合否を判定しているところです。  二次試験については、教員としての積極性、協調性、表現力及び態度等を評価することを目的に、グループ討議、個人面接、適性検査等を行っています。 48 ◯総務部長(山本 周君)県立短期大学のセクシュアルハラスメントなどに関する御質問のうち、まず、その他の教職員の処分等の状況についてでございます。  県におきましては、職員を公務上の非違行為により懲戒処分した際に、管理監督者がその責任を十分に果たしていなかった場合には、当該管理監督者を処分の対象としているところでございます。  今回の事案に関しましては、県立短期大学におきまして、令和元年度から教員のハラスメント研修が実施されていないなど、ハラスメント防止に向けた取組に不十分な点があったところでございます。  大学でのハラスメントの防止の取組の実施につきましては、大学の管理者である学長の責務とされておりますことから、学内の教授会におきまして、今回の事案に関しましては、学長が管理監督者の責任を負うと決定されたところでございます。  このような大学の決定を受けまして、設置者である県といたしましては、学長を管理監督者として訓告の処分としたところでございまして、その他の教職員につきましては、管理監督者としての処分は行っていないところでございます。  次に、セクシュアルハラスメント等に係る文部科学省通知の取扱い等についてでございます。  文部科学省の通知を踏まえましたセクシュアルハラスメント等の防止に向けた取組につきましては、県立短期大学において適切に実施すべきであると考えております。また、取組の検証につきましては、大学において、責任を持って行う必要があると考えております。  今回の事案を受けまして、設置者である県といたしましては、大学に対して必要な助言を行ったところでございます。大学におきましては、文部科学省の通知や県の助言を踏まえつつ、再発防止の観点から、改めて現在の取組内容を検証いたしました結果、教職員に対するハラスメント防止に関する研修会の充実や、心理カウンセラーやSNSによる学生の相談体制の強化などを図っております。  また、ハラスメント防止に係るガイドラインの見直しや行動指針の策定などにも取り組みますとともに、今後、ハラスメントの疑いがある事案が発生しました場合には、調査機関の構成員に、必要に応じて外部の専門家を加えることといたしております。  次に、魅力ある県立短期大学づくりに向けた体制づくりについてでございます。  今後、少子化のさらなる加速が見込まれる中にあって、どのように将来にわたって魅力ある県立短期大学をつくっていくかは重要な課題でございまして、設置者である県と大学が意思疎通を図りつつ、緊密に連携して取り組んでいくことが必要であると認識いたしております。  そのような観点から、これまでも、双方の幹部が出席いたしました意見交換会を定期的に開催いたしますとともに、必要に応じ、個別の課題等につきましても協議を行ってきております。  例えば、昨年度は、県と大学とで協議を重ねました結果、大学が教育の充実や国際交流の推進などの具体的な取組を推進できますよう、ふるさと納税を活用してそれらの取組を応援するプロジェクトを創設したところでございます。  設置者である県といたしましては、今後とも、魅力ある県立短期大学づくりに向けまして、大学としっかりと協議を進めてまいりたいと考えております。 49 ◯秋丸健一郎君 教員の採用についてでございます。  三点目、二次試験の意義について再質問させていただきたいと思います。  期限付教員については、先ほどお示しされましたが、積極性であるとか協調性であるとか態度とかそういうものについては、常日頃の業務の中で十分に把握できるのではないかと考えております。一次試験においては、教養の免除というような配慮がなされておりますが、そういう人間性といいますか、そういうところの評価が果たして一日の面接、グループ討論等でできるのかという疑念があります。  先ほどの趣旨を踏まえて、今後、二次試験において、臨時的、期限付の教員の採用に対する配慮等について検討されるお考えはないか、お答えください。 50 ◯教育長(地頭所 恵君)臨時的任用教員の教員採用選考試験における取扱いでございますが、基本的に、教員採用選考試験につきましては、同じ区分で試験を受ける受験生に対しては同様の条件で選考するというのが基本であろうと考えております。そのような考え方で、二次試験では、先ほど申し上げたようなグループ討議、個人面接、適性検査等を行って、その能力の実証をした上で採用の適否を判断しているところでございます。  臨時的任用教員の経験者については特別選考の制度も設けておりますので、そちらの選考のほうでの一次試験の免除とかいうような形を取っておりますので、当面はこの対応でいきたいと考えております。 51 ◯秋丸健一郎君 再度お尋ねいたしますが、その特別選考は現在、一次試験の免除あるいは加点の申請等のみで、二次試験については何も影響はないと認識しておりますが、間違いありませんか。 52 ◯教育長(地頭所 恵君)臨時的任用教員の特別選考につきましては、本県で過去五年間のうち三年間以上の勤務経験を有する臨時的任用教員に特別選考を実施しておりまして、一次試験の教職教養試験を免除するという形でございまして、二次試験のほうについては特段の措置は取っていないところでございます。 53 ◯秋丸健一郎君 県短に関して再質問をいたします。  先ほど、文科省の通知のことについてお尋ねいたしました。令和四年十一月に発出されておりますが、これについて適切に見直しがされたかどうか、それを確認されたかどうかお答えください。 54 ◯総務部長(山本 周君)今回の事案を受けまして、これまで、大学のハラスメント防止に向けた取組は不十分であったという点は事実でございますので、今回の事案をきっかけに、文部科学省の通知に基づく取組がなされているかどうかについて、検証を大学が中心になって行ったところでございます。  先ほど申し上げましたように、様々な改善点に取り組むことによりまして、文部科学省の通知を踏まえた取組というのは、今後の対応も含めまして一定できてくると考えているところでございます。 55 ◯秋丸健一郎君 もう一点お尋ねします。  これまでの事例、適切に対応されていなかったという話の中で、ハラスメントの研修会を九月二十八日に実施されています。南日本新聞の記事によれば、教職員六十九名中五十五名が参加したと書いてございます。受講していない教職員のその後の状況についてお答えください。 56 ◯総務部長(山本 周君)大学のハラスメント研修の実施状況でございますが、今回の事案を受けまして、実は九月と十一月、二回にわたってハラスメント研修を実施しております。今、先生御指摘がありました九月の研修会では、全教職員六十九名のうち五十五名が受講しまして、十四名は欠席ということでございますが、残りの十四名につきましては、五名は別途の研修会で既に研修を受講しており、十一月の研修会では九名が受講し、結果としまして、全教職員が研修を受講しているという状況でございます。    [秋丸健一郎君登壇] 57 ◯秋丸健一郎君 答弁頂きました。  期限付教員の話です。  近年は特別支援教室の増により、あらかじめ必要な定員が定まりにくく、新年度ぎりぎりまで学級編制が確定しないため、一定のバッファー、調整の幅は必要とは理解します。しかし、毎年相当数の臨時的でない期限付教員を雇用していることを考えると、人件費削減の予算編成の都合ではないかと勘ぐってしまいます。そうだとすれば、そのような形で教職を志す若い方の心を傷つけるようなことをしていては、教員を志す方は増えません。  志願者数も全体では昨年に比べて一四%ほど減っております。志願者を増やすためのアクションだけではなく、教員を目指し、日々現場で頑張っている人材の育成という観点も必要と考えます。期限付で頑張っている若い教職員志願者に光を当てていただくような採用方法に改めていただくよう切に要望いたします。  県短について。  公益財団法人大学基準協会の二〇一七年度の県立短期大学の認証評価結果によれば、県短運営の財源は、授業料等の自己収入が三割、一般財源充当が七割、毎年約五億円余りが充当されているとあります。納税者である県民及びその代表である県議会に対しての説明責任は非常に重いと考えております。そして、その費用のうち八八%が人件費とされております。つまり、そこでどういう人間が何をしたのかということについても、学問の自由を侵害しない範囲で積極的に情報を開示すべきであると考えます。  一方で、この人件費率は、他の公立大学と比べても非常に高い水準にあるようです。ということは、裏を返せば、アカデミックなところに対する予算措置が適切になされているのかという疑問もあります。  公立大学とその設置者との関係性は、ややもすると責任の押しつけ合いになってしまいます。今回の話だけではなく、四大化の議論においても同様です。授業料だけで経営が成り立っているのであれば、学校の方針に任せてもよいのかもしれませんが、毎年五億円余りの一般財源が当たっているということであれば、話は別です。納税者である県民に対して主体的に県が説明する責任があります。設置者は、予算を絞るだけではなく、学校経営、魅力ある大学づくりについて学校と一丸となって取り組んでいただきたい。今回、そのきっかけとしていただきたいとの思いで質問いたしました。  なお、大学基準協会の認証は、今年度、再認証の作業をされていると思いますが、大学が自己点検評価報告書において、学生支援の項目にどのように記載されたかを注視したいと思います。  県という巨大組織の中で職員一人一人が個性を発揮できない、意見が言えないようでは、組織としての先は暗いと考えております。県庁の先が暗いということは、ひいては鹿児島県の未来も暗くなります。先ほども御答弁頂きましたが、知事は執務の中で、トップダウンではなくボトムアップがしっかりできるよう、職員自らが考える機会を意図的に創出されていると理解しておりますが、その考えの組織への落とし込みに苦労されているとも思っております。  組織風土というものはなかなか短期間では変わっていきません。時間をかけていかなければなりません。塩田知事には今後も引き続き、組織風土改革に取り組んでいただきたいと思います。そのためには、繰り返しになりますが、サッカー等スタジアムについて、県、市、そしてクラブが対等の立場で話す場を県の音頭で設置していただきたい。そして、その実績もひっ提げて、来るべき知事選に臨んでいただきたいと、中学、高校の先輩である塩田知事へエールを送りたいと思います。  さて、霧島市・姶良郡区から県政に送り出していただき、半年余りが過ぎました。送り出していただいた皆様には深く感謝しております。皆様の御期待を裏切らないよう、公平・公正・中立で、是々非々で県当局とこの議会において議論を行う、県民の暮らしを誰よりも大切にする議員となるべく精進してまいります。  これで、私の一般質問を終わります。(拍手) 58 ◯議長(松里保廣君)ここで、休憩いたします。  再開は、午後一時二十五分といたします。        午後零時  十分休憩       ────────────        午後一時二十五分再開 59 ◯副議長(小園しげよし君)再開いたします。  柴立鉄平君に発言を許可いたします。    [柴立鉄平君登壇](拍手) 60 ◯柴立鉄平君 鹿児島市・三島村・十島村が選挙区の柴立でございます。  早速、質問通告に基づきまして質問いたします。  先日の我が会派の代表質問でありましたように、塩田知事は、任期の四年目を迎え、二期目に向けた挑戦の決意を表明されました。  私は、この県議会の場に立たせていただき、二期五年目でございます。県政の両輪は行政と議会であるのは重々承知しておりますが、知事の県政に対する思いは、我々議員のそれよりも、より色濃く知事部局の施策に反映されるものだなあと認識をしておりますし、十年後の鹿児島の目指すべき姿や基本方向を示す、かごしま未来創造ビジョンも在任中の令和四年三月に改訂され、もちろん知事の考えは盛り込まれていると考えます。  塩田知事にこの四年間を託した方だけでなく、多くの県民は知事の考えや施策方針に大いに注目し、自分たちや子供たち、そしてふるさとの未来がどうなるかを考えます。  そこで、以下質問いたします。  塩田知事のここまでの四年間の振り返りは代表質問でも答弁されていますが、改めてお伺いするとともに、どのように独自性のある施策展開を行ってきたのか、お示しください。  今後予測される少子高齢化などは本県においても重要な地域課題であると認識します。各課題に全力で取り組まれていることは認識しておりますが、未来の鹿児島をどのようにデザインするか県民に示せる機会であるマニフェスト策定について、現時点でどのような方向性を持っておられるか。ぜひ県民が夢と希望を持てるように、各課題をどのように解決し、具体的な数値目標を盛り込むことも、今後、県民から望まれる県のリーダーとして必要かと考えます。知事の考えをお示しください。  また、マニフェストの公表について、しかるべき時期が来ればお示ししたいとのことでありましたが、いつ頃になるか、目安があればお示しください。  次の質問は、離島の暮らしについてであります。  この日本において、どこでも安心した暮らしを行えるように環境整備を進めることについては誰も異論はないところでしょうが、本県の誇りである数多くの離島においては、この問題についてはまだまだ本土との大きな格差、様々な格差があることは否めません。  常々申し上げておりますが、私の選挙区でもあります三島村・十島村では、診療所は各島にあるものの、医師が在住しない無医地区であります。救急搬送が必要な場合は、県のドクターヘリや海保の巡視船やヘリ、そして自衛隊の救難ヘリが活用されております。  昨今、両村においては、民間の医療機関と民間ヘリによる搬送体制の提携を行ったところです。村民の皆様のために、より安心できる体制拡充も行われております。  今年の一月中旬になりますが、ある島の方からお電話を頂きました。以下のような内容でした。  昼間にけがをされた方が夜になり容体が急変した。このままでは命の危険にさらされてしまうのではないか。夜間なので県のドクターヘリが飛べないこと、一月いっぱいで退役予定の自衛隊のヘリは既に上限時間近くまで活動してしまい、その関係で当地まで搬送に向かえないこと、村からの要請で海保の巡視船が六時間から七時間かけて向かうことなどをお伝えくださり、何とかできないものかというものでした。その後、私も県にも確認いたしましたが、同様の内容であり、海保のヘリが何とか整備を行い向かえそうだと必死の調整をされ、日付が替わる頃に島に到着し、その後、鹿児島市内の病院に搬送されました。  私も、その一か月後ぐらいに当地に赴き、お話を伺いましたが、目の前で意識が遠のく方に対して何もできないもどかしさや、昼間に搬送できていればとの思いなどを聞き、とてもいたたまれない気持ちになりました。  けがをされた直後に、島の診療所を通じ鹿児島市内の医療施設が診察し、その時点では大きなけがではないとの診断をされました。その後、容体が変化し、搬送の申請から実際搬送されるまでの流れには大きな問題はないものだったと私も深く理解しております。が、島民の皆様の安心・安全な暮らしが担保されるにはまだまだ改善の余地もあるのではと考えます。  医療施設が充実していない地域からの救急搬送については、県にその義務があるとされています。人手や機材、施設の拡充など課題は山積しておりますが、二十四時間ドクターヘリが各島に行ける環境整備を着実に行うべきと考えます。  そこでお伺いしますのは、島民が安心して暮らせるように、二十四時間ドクターヘリが就航するための環境整備を進めることは非常に重要と考えます。どのような課題があると認識しているか、お示しください。  また、無医地区を担当される医療機関、当該自治体、県、自衛隊、海上保安庁などにおいては、救急搬送に関する情報共有について、より緊密に行う必要性もあるのではと考えられますが、見解をお示しください。  港湾整備についてでありますが、生活物資の輸送をほぼ全て航路に依存する現状にある本県の離島において、離島振興の観点からも、毎年、施設設備の拡充を求める要望がございます。  特に三島村・十島村においては、人流含めてほぼ一〇〇%を航路に依存する現状です。先述のとおり、巡視船による救急搬送もあり得る中で、接岸ができないなどの事態は避けるべきとの観点からも、港湾整備の必要性はあると考えます。毎回のように質問させていただいておりますが、県の考えを改めてお示しください。  車検整備場のない本県の離島における車検時の車両搬送の所有者負担については、同じ選挙区の森議員が以前より質問を重ねておりますし、今議会では村野議員も質問されております。また、私ども自民党県議団も毎年のように要望を出させていただいております。  県当局の答弁も、「令和六年度より、特定離島ふるさとおこし推進事業の補助対象事業に追加して支援を行うことを検討する」と、より踏み込んだものになっており、島民の要望が一日でも早くかなうべきと考えます。  本県の特定離島ふるさとおこし推進事業の対象は、六地域十九の島だと認識しております。その中で、来年度、島外車検に伴う車両航送料への支援は幾つの島にお住まいの方が対象になるのか、また、車両はどの程度あるのか、航送料は最大どの程度助成されるのか、該当地域の町村との話合いは既に進んでいるのかなど、現時点における施策の詳細と方針をお示しください。
     次に、林業人材育成についてお伺いいたします。  本県独自の林業人材育成カリキュラムであります鹿児島スーパーきこり塾に加え、林活議連の現会長でもあります瀬戸口議員をはじめとして、多くの議員や県内の林業事業体の皆様が何度も何度もその必要性を訴えた林業大学校制度は、その努力が実り、令和七年度の開校予定となりました。  県内の学識経験者や環境林務部の皆様、県内の関係者などから成る林業大学校の設置に係る基本計画策定検討会でも、長期研修課程の詳細な検討が行われたとお聞きします。他県の制度や本県独自の指導内容など、ここでしか学べないすばらしい仕組みをつくり、本県の林業、そして関連産業である木材産業の振興と卒業生の方々がそれに十二分に寄与されることを望んでいます。  さて、この林業大学校については、林業事業者が多数所在し、人工林を多く有する自治体などから、ぜひ我が地元でも学びの拠点にしてほしいという声が各地で上がり、県議会にも要望書が届いたのは記憶に新しいところでございます。  本年八月二十四日、いち早く林業大学校の地元設置を求める要望書を出された姶良市議会の林活議連から要請を受け、私は、実際に林業に従事する本田議員と共に林業大学校の地元誘致について、私見に基づき、以下の要点で説明を行いました。  姶良市にある県の研修施設の活用は誘致へのアドバンテージだが、それだけでは決定打にならないこと、市役所任せにするのではなく、議連の皆様で林業事業体や森林組合とも意見交換を行い、協力体制を構築すべきであること、現在は姶良市のみだが、あと数か所の自治体から要望書の提出がされるかもしれないこと、フィールドワークの協力体制が大切であること、講師や高性能機械などが特に重要といった内容でした。  どこまで功を奏したかは分かりませんが、先月、県が設置した検討会において、かごしま林業大学校は、既存の林業研修施設を活用し、姶良市と、角野議員が一般質問を行いました垂水市の二か所で研修を実施するとした基本計画案が取りまとめられたところです。  私が視察で訪問した宮崎、大分の両県においては、それぞれ県内の一か所を拠点として一年間研修する仕組みであり、未訪問の熊本については、県北、県南のどちらかで一年間研修するとされております。  どのような形で運営していくのか、そして学ぶ方々にとっては効率よく最新技術などを学べる仕組みづくりが重要であり、県内各地からうちの森でも学んでいただきたいという声を含め、山や樹種の性格が違う場所での学びは有効だと考えます。大きな関心が寄せられているところでございます。  これらを踏まえ、かごしま林業大学校について、以下質問いたします。  かごしま林業大学校の研修実施施設は、姶良市と垂水市の二か所になっておりますが、メインとサブになるような観点なのか。一か所に集中する考えもあったと思われますが、二か所にすることで、より多くの学びを得られるという判断をされた結果かと思われます。県としての考えをお示しください。  先述した最先端の機械や専門的知識を有する講師による研修を実施することは、かごしま林業大学校において非常に重要であると考えます。先進地の事例などを踏まえつつ、今から最大限の努力をすべきと考えます。県の長期研修カリキュラム実施上の課題についてお示しください。  次に、ドローンの活用についてお伺いいたします。  林業においては、平たんではない急峻な現場も多いことや、人工林や自然林の中で作業することがほとんどであることなどから、どうしてもスマート化が困難であるとされているのは周知の事実であります。人手による作業に依存することは、効率化するためには働き手の技術向上だけに委ねられるという意味にもなります。  このサイクルから脱却すべく、林野庁もスマート林業化を促進すべく高性能機械の開発を民間と共に行っており、少しずつ県内の再造林や下刈りの現場で導入されるのを目にしてきました。  昨今、ドローンの技術革新と各業界がそれを活用した事例には目をみはるものがございます。林業におきましても、再造林を行う際の資材や苗木の運搬に活用され、本県の「稼ぐ力」を引き出すスマート林業推進事業における取組例として紹介されております。  今年七月、国産クラウド型ドローン測量サービスを提供する民間会社の方と勉強会をさせていただきました。ドローンでの空中からの撮影で林業に必要な調査・測量業務の安全性・生産性を圧倒的に向上させるとの触れ込みでしたが、まさにそのとおりと感じまして、すぐに環境林務部や森林組合などとも意見交換を行いました。  森林管理において、立木の樹種・樹高・材積などの森林資源量を把握することや斜距離計測、除地計測などの面積を把握するための測量データを手にするには、山に直接入り、記録することが必要でしたが、ドローンによる上空からの森林現況把握やレーザー計測技術等を用いた森林資源調査については、人手による測量に比べ、もちろん圧倒的に広域をカバーでき、省力化を大いに見込めます。  何より、林業の専門人材がいない、または、いても数人であるという県内のほとんどの市町村で使うことができれば、森林データの整理・活用のための取りまとめが容易に行えます。実際、この会社と話をされた日置市などからは、森林環境譲与税の活用として財源内での活用も可能であり、データの利活用などを考慮すると非常に可能性があるという声を頂いております。  そこでお伺いするのは、こうした林業の現場におけるドローンを活用した森林の調査・測量について、県の考えをお示しください。  以上で、一回目の質問といたします。    [知事塩田康一君登壇] 61 ◯知事(塩田康一君)まず、四年間の振り返りと、どのように独自性のある施策展開を行ったかについてでございます。  私は、令和二年七月の知事就任以来、県民の声がしっかりと反映される県政にしたい、県民が主役の、県民の目線に立った行政を実現したいということを申し上げ、「県民の皆様と一緒に鹿児島の今と未来をつくる」ということを基本として、「誠実に」、「着実に」県政の推進に全力を挙げて取り組んできました。  この三年間は、新型コロナウイルス感染症への対応を最優先に考え、県民の安心・安全と経済・社会活動の両立が図られるよう取り組んできました。  その上で、コロナ後を見据え、今後の県勢発展の基盤をしっかりとつくっていくため、基幹産業である農林水産業、観光関連産業など鹿児島の「稼ぐ力」の向上、人材の確保・育成、子ども・子育て支援、医療・福祉の充実、奄美・離島の振興など、マニフェストやかごしま未来創造ビジョンに基づき、様々な取組を実施してきております。  農林水産業の「稼ぐ力」の向上については、担い手の確保・育成や生産基盤の強化、輸出拡大を含めた販路開拓など各種事業を推進してきました。  輸出拡大に向けては、地域商社等への支援、海外バイヤーを招聘した商談会、フランスでのトップセールスなどにより、令和三年度の農林水産物の輸出額は、輸出促進ビジョンの目標額を四年前倒しで達成し、令和四年度も農・畜・林・水産物全ての輸出額が増加し、過去最高を更新しました。  昨年十月、本県で開催された全国和牛能力共進会では、関係者が一丸となって出品対策を行い、前回の宮城大会を上回る成績で和牛日本一の栄冠に輝きました。  観光の「稼ぐ力」の向上については、今こそ鹿児島の旅による観光需要の喚起など、事業継続のための各種支援を行いました。  県の観光動向調査における本年九月の宿泊者数は、コロナ禍前と同水準となるなど回復傾向が続いております。  クルーズ船については、早期の運航再開に向けて国に働きかけてきたところであり、本年三月から国際クルーズ船受入れが再開し、本年の寄港数はコロナ禍前と同程度の水準に戻りつつあります。  企業の「稼ぐ力」の向上については、中核企業や食品関連製造業が行う生産性向上の取組を支援するとともに、企業誘致活動にも積極的に取り組んできました。  また、産業界における人材を確保するため、若年者の県内就職やUIターン就職の促進に取り組むとともに、本年七月にはベトナムを訪問するなど外国人材の受入れにも積極的に取り組んできました。  子ども・子育ての支援については、妊娠・出産に係る経済的負担の軽減、周産期・小児医療提供体制の整備、不妊治療への助成、児童虐待防止対策の強化、特別支援教育の充実などに取り組んできました。  奄美・離島の振興については、令和三年七月に奄美大島・徳之島の世界自然遺産登録を実現し、自然環境の保全と利用の両立に向けた取組を進めております。  また、本年度末に期限を迎える奄美群島振興開発特別措置法については、国に対し、法延長等を強く働きかけてきております。  全国高等学校総合文化祭や、新型コロナの影響により延期となった特別国民体育大会・特別全国障害者スポーツ大会については、多くの方々の御尽力により本年の開催が実現し、皆様の心に残るすばらしい大会となり、全国に向けて鹿児島の多彩な魅力の発信につながったものと考えております。  このほか、豪雨や台風災害、サツマイモ基腐病、高病原性鳥インフルエンザ、馬毛島における自衛隊施設の整備、川内原発の運転期間延長、原油価格・物価高騰への対応など、様々な危機事象や緊急的な課題についても全力を挙げて取り組んできました。  また、防災・減災対策、高規格幹線道路や港湾・空港の整備など交通ネットワークの形成、デジタル化・カーボンニュートラルへの対応、持続可能な行財政構造の構築などにもしっかりと取り組んできました。  これらの様々な政策の決定に当たっては、トップダウンではなく、県民の皆様や市町村・関係団体の御意見、専門家の知見も取り入れ、庁内で議論を重ね、県議会の御論議も頂きながら、丁寧な合意形成に努め、決断すべきときには決断するように取り組んできております。  また、透明で開かれた県政運営を行うという姿勢が重要であると考え、鹿児島港本港区や川内原発などの委員会についてはフルオープンで行い、議論の状況や資料をインターネット上で公開するとともに、記者会見、囲み取材、ぶら下がり取材にも積極的に応じ、記者会見等での質問に対しては、できるだけその意図をしっかりと理解し、また、分かりやすく丁寧に答えるよう心がけてきました。  このほか、知事とのふれあい対話や知事へのたより等で寄せられた県民の皆様の声については、県政に反映するよう努めてきました。  また、林業大学校の設置など、車の両輪である県議会での御論議や提言、要望等についても真摯に受け止め、「誠実に」、「着実に」県政に反映するよう心がけてきました。  私としては、おおむね順調に県政を推進することができているのではないかと考えております。  次に、マニフェストの策定についてでございます。  現在、我が国は、本格的な人口減少や少子高齢化の進行、グローバル化やデジタル化の進展、世界的な要請でもあるカーボンニュートラルの実現など、大きな変革期の中にあり、これらへの様々な対応が求められております。  私は、こうした状況に的確に対応しつつ、将来を見据え、魅力ある本県の素材─ポテンシャル─を最大限に生かしながら、地域に仕事や人の流れをつくり、住みやすい地域、将来にわたって活力ある社会を形成していくことが重要であると考えております。  今後の県勢発展の基盤を確固たるものにするためにも、本県の基幹産業である農林水産業、観光関連産業などの「稼ぐ力」の向上、地域や各種産業を支える人材の確保・育成、結婚・出産・子育てしやすい環境の整備、高齢者が健やかで生きがいが持てる社会の形成、奄美・離島の振興など、かごしま未来創造ビジョンに掲げた各般の施策を積極的に推進してまいりたいと考えております。  マニフェストについては、今後取り組むべき政策を十分に検討し、しかるべき時期にお示ししたいと考えております。 62 ◯くらし保健福祉部長(房村正博君)二十四時間ドクターヘリが就航するための課題についてでございます。  ドクターヘリは、原則として八時三十分から日没まで運航を行っておりますが、国の実施要綱によると、夜間運航を行う場合には、安全を十分確保するものとされており、また、国の検討会によると、夜間の有視界飛行は運航リスクが高く、計器飛行が標準的とされております。  このため、夜間照明や無線誘導設備などの追加の整備が必要とされております。  また、副操縦士の配置や整備士等の増員、夜間飛行訓練などが必要とされております。  さらに、搭乗する医療スタッフも増員が必要となります。  県としましては、これらに要する費用や人員の確保が二十四時間運航の課題と考えているところであります。 63 ◯危機管理防災局長(長島和広君)急患搬送に関する情報共有についてでございます。  離島における急患搬送につきましては、ドクターヘリや消防・防災ヘリの出動が困難な場合には、自衛隊や海上保安庁に要請を行い、速やかに対応できる機関に搬送していただいているところです。  ドクターヘリや消防・防災ヘリが点検等で飛行できない場合には、関係市町村及び自衛隊等の関係機関に、対応できない期間等の情報をあらかじめ提供するなど、円滑な離島急患搬送の実施に努めているところです。  今後とも、自衛隊等関係機関とより緊密に連携しながら、離島における急患搬送体制の維持・充実を図ってまいりたいと考えております。 64 ◯土木部長兼本港区まちづくり総括監(安原 達君)離島の港湾整備についてでございます。  本県における離島港湾は、島民の生活を支え、地域産業の振興を図る重要な役割を担っており、県としても、安全・確実に接岸でき、生活航路等の安定的な運航を確保するための港湾整備を推進しているところでございます。  中でも三島村・十島村においては、県管理港湾である硫黄島港や中之島港において、岸壁や沖防波堤の整備を進めております。  また、市町村が管理する港湾につきましては、市町村が進める港湾整備に必要な予算の確保や、技術的指導・助言を行うなどの支援を行っております。  引き続き、離島における生活航路の安定的な運航を確保するため、県管理港湾の着実な整備推進と市町村管理の港湾整備に対する支援に努めてまいりたいと考えております。 65 ◯地域政策総括監(西 正智君)離島における車検時の住民負担についてでございます。  離島の車検時の車両航送料への支援については、令和六年度から県単独事業である特定離島ふるさとおこし推進事業の補助対象に追加することを検討しており、同事業の対象である十九島のうち、現在、島外で車検を受ける必要がある離島は、三島・十島の十島をはじめ、獅子島、口永良部島、加計呂麻島、請島、与路島の計十五島となっております。  これらの離島にある車両台数は、本年四月公表の離島統計年報で把握できる範囲で、令和二年四月現在、千七百八十六台となっております。  現在のところ、市町村が実施する住民への車両航送料補助に係る経費の七割を支援することを検討しており、来年度から事業実施できるよう、速やかに市町村の事業要望を確認してまいります。 66 ◯環境林務部長(原口義明君)林業大学校の研修実施施設と長期研修カリキュラムについてでございます。  林業大学校については、先般、林業大学校の設置に係る基本計画策定検討会において、森の研修館かごしまと鹿児島大学農学部附属高隈演習林を研修実施施設とすることなどを内容とする基本計画案を取りまとめていただいたところであります。  森の研修館かごしまは、これまで各種林業研修の拠点として研修実施のノウハウを有するなど、森林・林業の基礎等を学べる環境が整っているほか、高性能林業機械等の資格取得等のための技能講習が可能な施設を有しております。  また、鹿児島大学高隈演習林については、鹿児島大学との緊密な連携の下、森林・林業に関する最新の研究成果を踏まえた研修の実施が可能であり、伐採VRシミュレーターやドローン等のICT機器が整備されているなど、最先端の知識と技術等を学べる環境が整っております。  県としては、この二つの施設を活用することで、林業大学校が目指す「林業の基礎から最先端に至る幅広い知識と技術を兼ね備えた安全意識の高い即戦力となる人材の育成」に必要な研修を、効果的・効率的に実施できるものと考えております。  また、基本計画案においては、長期研修カリキュラムとして、森林経営や森林保護などの森林・林業に関する幅広い知識、チェーンソーや林業機械操作などの素材生産技術、現場での安全対策、ICTを活用した最先端の森林調査技術等の習得などが盛り込まれたところであります。  研修カリキュラム実施上の課題としては、作業ごとの実習フィールドや各種研修の講師の確保などが挙げられます。  県としては、こうした課題に対応するため、林業事業体や関係団体、大学等が一体となったサポート体制の構築や年間を通じた研修カリキュラムの編成を行うほか、研修に向けて必要な資機材等を整備するなど、令和七年四月の開校に向けて、必要な準備を着実に進めてまいりたいと考えております。  次に、ドローンを活用した森林の調査・測量についてでございます。  ドローンを活用することは、林業事業体等が実施する森林資源調査や境界確認などの省力化を図る上で有効な手段と考えております。  本県においては、これまで、地上レーザー計測とドローン撮影を組み合わせて、高精度の森林資源情報を簡易に取得する手法をマニュアル化し、林業事業体等への普及に努めております。  また、昨年度からは、ドローンを活用したレーザー計測等により詳細な地形情報などを把握し、効果的な路網配置と、分散した森林の効果的な集積が行えるシステムの開発に取り組んでおります。  さらに、本年十月には、ドローンにより撮影した施行地の画像等を測量図面として造林補助事業の申請に活用できるよう、事業実施要領の見直し等を行ったところであります。  県としては、引き続き、林業現場におけるドローンの活用推進に取り組んでまいりたいと考えております。 67 ◯柴立鉄平君 環境林務部長に、林業人材育成について再質問したいと思います。  九州各県の林業大学校制度が先を行くという中で、鹿児島の林業大学校制度は後発になります。この後発になるということは、逆を言えば、それまでに非常にいい体制をつくれるんじゃないかなというところもあります。お話にありましたように、鹿児島大学の先進的な考えを入れるとか、そういう大学との連携というのはほかにあったか、あったとしても少なかったかなと思いますけれども、鹿児島の林業の振興のために、この林業大学校制度というのは絶対に自信を持ったものになるという強い決意をお示しいただきたいのですが、よろしいでしょうか。 68 ◯環境林務部長(原口義明君)林業大学校では、先ほど申し上げましたけれども、森の研修館かごしまにおきましては、森林・林業の基礎的な知識や技術に関する研修を行う。鹿児島大学高隈演習林におきましては、森林・林業に関する最新の研究成果を踏まえた研修などを行うこととしております。研修生が二つの施設において、林業の基礎から最先端に至る幅広い知識と技術を学べるということが、他県の林業大学校にはない魅力であると考えております。  また、そのほか、鹿児島県の林業の特色としまして、離島地域、あと急傾斜地などでは架線集材による木材生産が行われているということ、北薩地域を中心に竹材の生産が行われているということ、あと南薩地域を中心に、かつおぶし用の広葉樹のまき生産が行われていることなど、地域によって様々な形態があるところであります。  県としましては、こうした地域特性を踏まえつつ、林業大学校を設置する効果が最大限に引き出せるように、具体的な研修カリキュラムというものもつくってまいりたいと考えております。    [柴立鉄平君登壇] 69 ◯柴立鉄平君 それぞれ答弁頂きました。  知事の政治姿勢について、まさにここにいる皆さんが思われる誠実、着実というのは、塩田知事のそのままのイメージかなというところがあります。就任当時、新型コロナウイルス感染症が大きく猛威を振るっている状況で、マニフェストの一丁目一番地もそこだったと私は記憶しております。二期目に向けて、そのコロナも何とか収まりまして、この鹿児島にも少しずつ明るい未来が見えてきたように感じます。  例えばスポーツ・コンベンションセンター、前に進ませておりますけれども、ここで鹿児島の農林水産業をぶち上げるようなイベントを二年に一回やって五万人ぐらい日本から集めるんだと、そういったようなマニフェストを盛り込んでいただけたら、県民も少しは夢が持てたりするのではないでしょうか。ぜひ策定にもそのような、県民の声をボトムアップしていただくということですから、引き続き、誠実、着実に県政に取り組んでいただきますようお願いいたします。  また、離島の暮らしにおいては、本当に本土と違う条件で、厳しい条件を受け入れながら暮らしている島民の皆様、そこかしこにいらっしゃいます。鹿児島の宝である島で暮らす人々のためにも、これからも安心・安全な暮らしはつくっていかねばなりません。特に港湾整備におきましては、外交問題、国防の問題も絡んでくると思います。どんな手を使ってでも港湾整備に力を入れていただきたいと思っております。  林業人材育成につきましては、先ほど原口環境林務部長の非常に強い決意の言葉もありました。我々の思いが少しずつ形になっておりますが、何よりも産業振興のためにこれからも力を合わせてまいりたいと思っております。  それでは、次の質問に移ってまいります。  本県の道路行政と港湾についてお伺いします。  新規道路事業着手の優先順位についてお伺いします。  本県の道路事情の改善を求める声は、ここ県議会でも多く取り上げられております。地域における幹線道路たり得る地域高規格道の事業化や早期完成を求める声は、住民も一丸となり地域の声となる印象でありますし、各議員のライフワークになっているとも言えます。  私の地元であります鹿児島市も慢性的な渋滞に悩む町であり、市街地幹線道路の混雑割合は全国一位であるとされています。  また、ある調査によりますと、本県の渋滞損失時間は七千二十五万人・時間であり、その損失額は年間千四百五十八億円であると推定されております。少しでも快適な町であるために、ここにいる我々はより一層の努力をせねばなりません。
     まず、ここでお伺いしたいのは、新規道路事業着手の優先順位についての県の考え方でございます。  各地域からの要望、事業用地の確保、時間短縮効果やBバイCなど様々な要因を調査検討されていると思いますが、県の考え方についてお示しください。  私の住む鹿児島市と同様に、渋滞問題に頭を悩ませるのがお隣の熊本市です。熊本市では、三大都市圏を除く政令指定都市での渋滞ワーストワンとして、熊本県と共に熊本都市道路ネットワーク検討会を令和元年に結成。熊本市中心部から高速インターチェンジまでを十分、熊本空港までを二十分で結ぶ十分・二十分構想を打ち出し、市民や企業団体への機運醸成や協議会の発足など、本腰を入れた取組を行っています。  これまでに同検討会が作成した資料を見てみますと、渋滞解消の定性効果・定量効果が事細かに明記されており、同じ問題に悩む本県と鹿児島市においてもぜひとも見習うべきと感じます。  そこでお伺いしたいのは、本県における渋滞問題解消が県民にとりましてどのような効果をもたらすと考えているのか、本県の考察をお示しいただきたいということであります。  熊本の事例のように、渋滞問題解消が多岐にわたる効果をもたらすと分かりやすくまとめ提言することにより、より多くの団体や県民が自分ごととして捉え、積極的に参画することも必要であると考える立場からお聞かせいただきたいと思います。  さて、鹿児島市の渋滞問題の解消策として期待される鹿児島東西幹線道路のうち、先日、甲南インターチェンジから鹿児島インターチェンジに向けた地下シールド工事がついに始まりました。完成しますと、郊外から鹿児島市中心部へと向かうボトルネックとなる曙陸橋のバイパスとなり、住民の期待も大きいものであります。  そんな同路線と、鹿児島市の南北を結ぶ鹿児島南北幹線道路は三十年以上前に同時に計画されています。両路線を天保山周辺で結節する計画であり、これが実現しますと市内の道路事情も大きく一変するとされています。南北幹線道路は、ある程度の路線の想定だけがされている現状で、いまだにここに通しますという具体的な線が引けない状況です。  これには、該当する地域が港湾などのエリアであること、沖出しの計画を立てるには、錦江湾の急に深くなる地理的要因などがあり、工法的に困難を伴うことなどが考えられます。  ただし、三十年以上進展がないということに対し、少しでも進捗していただきたい、地図上に大きな丸でしか描かれていないこの路線を早く点線、実線で描けるように推し進めなければなりません。  そこでお伺いするのは、鹿児島東西幹線道路の甲南インターチェンジより東側の部分と鹿児島南北幹線道路の全路線について、臨港道路や既存の道路などの活用も含め、その大きな効果が見込めることを考えますと事業化への方向を進めるべきとも考えます。今後の考えをお示しください。  南港の埋立て計画とそれに付随する臨港道路の可能性についてです。  臨港道路鴨池中央港区線ですが、このたび二度目の完成ずれ込みが発表され、二〇三二年の完成予定となりました。橋梁部分の地盤に軟弱層が見つかったことや資材価格の高騰などが理由とのことであります。  近隣を並行して走る産業道路や国道二百二十五号は県内有数の交通量であり、上下二車線の道路ではありますが、マリンポートなどへのバイパスとして臨港道路は期待されており、延期となりましたが、一日も早い完成が望まれます。  一方、この臨港道路と産業道路の間にある南港では、現在の港湾計画によれば埋立て計画がございます。  現在、付近では、新栄町の消防総合訓練研修センター横を通り、南港沿いにカーブして産業道路へ抜ける臨港道路がございます。埋立てが進めば東開方面に南に一直進で進むことも可能となるはずです。六月議会でも質問しましたが、この地域の埋立ては、小型船の停泊場所確保だけでなく、車の流れも分散化できると考えます。  そこで、南港の埋立て計画とそれに付随する臨港道路の可能性について、県の所見をお示しください。  二〇一九年にJ2に昇格し、その年限りで降格した鹿児島ユナイテッドFCですが、今シーズンの二位という成績をもちまして、五年ぶりのJ2リーグを戦うことが決定いたしました。昇格争いは最終節まで及び、得失点差だけで運命が分かれる僅差での昇格にサポーターの皆様の喜びもひとしおかと思われます。心よりお祝いを申し上げます。より厳しくなると予想されるJ2でのシーズンも心よりの応援をさせていただきます。  さて、六月議会でも質問いたしましたが、クラブライセンスに係るスタジアム問題が表面化しております。  J2に昇格したということは逆もしかりではありますが、来年の今頃、J1の昇格で持ち切りという可能性もゼロではありません。粛々と前にと、当局の言われるようにオール鹿児島で進めるべきと考えますが、昨今の議会での答弁にあるように、まだまだクリアすべき課題があるということも理解しております。それでも私は、県がどこか他人事で傍観しているような気がしてなりません。  知事の二期目に向けた決意を見せた代表質問での答弁でも、サッカースタジアム構想についての言及はございませんでしたし、北埠頭における同構想に関して各一般質問の答弁におきましても、まず最初に出てくるのは、検討委員会で各種の課題があるとされた旨の理由から始まり、県の考えは明確に提示されていないように思われます。  六月議会でも申し上げましたように、プロスポーツの振興に対し、政治や行政が待ったをかけることがないように努めることは当然でありますし、多くの人の熱狂や楽しみとなることはしっかりと行政が後押しを行う必要があると考えます。  また、ホームタウンである鹿児島市との協議については、まだ一部分でしか行われていない印象を受けます。それは候補地がどこであるかという論点だけであり、さきの秋丸議員の質問にもありましたように、財源や費用負担など今から協議すべき内容が山積していると認識します。  そこで、以下お伺いします。  先日行われたJリーグとの協議について、どのような聞き取りをされ、それにどのように答えられたのか、協議内容についてお示しください。  また、県は、そもそも本当に専用スタジアムに必要性を感じておられるのか、改めて確認いたします。  鹿児島市との協議については、今後の話合いの中でのブランクが起きないよう間断なく協議していく必要があると考えます。今後の費用負担や財源負担の問題なども事務レベルから協議する必要があると考えますが、認識を改めてお示しください。  最後に、ライドシェアについてお伺いいたします。  今議会におきましても、同じ会派の伊藤議員が質問されておりますが、私も視点の違う立場からお伺いさせていただきます。  私の父の郷里は大隅半島の南部、肝属郡の錦江町田代でございます。小学生だった頃は、民間のバスが垂水フェリーから接続し、垂水から大根占、大根占から田代と乗り継ぎ、祖母と墓参りに行ったりしたものでした。  今では、田代へのバスは鹿屋との一日一往復、そして町なかのコミュニティバスが日に三便、父の実家の目の前のバス停はほとんど利用者がいない状況です。同じく、南大隅の佐多から鹿屋へのバスも一日朝の一便とほぼないに等しい状況でございます。  国は、都市部でのタクシーと運転手不足などを理由として、ライドシェアの検討を行うと発表しました。これは、二〇一〇年代に一度検討して以来、二度目の検討であると認識しております。  本県は、中山間地や離島が多いのは言うまでもありません。中山間地では需要がないためバスの便数が少なく、父の郷里のようにタクシーなどの利用も困難な地域や、例えば、観光地でありながら屋久島のように繁忙期と閑散期がはっきりしており、夜間営業されるタクシーが島で一台しかいないなど、既存の公共交通機関において今後の見通しを立てるのが難しいなどの地域も数多くあると聞きます。  そのような状況を踏まえると、私は、国の検討状況を見据えながら、ライドシェアについては条件つきで前向きに検討すべき案件なのではと考えます。安全性等の話もございますが、それ以上に地方の足を支えていかねばなりません。  そこで、以下お伺いします。  地方公共交通は明らかに過渡期を迎えており、高齢化・少子化が進む以上、抜本的な改善が必要と考えます。それらを踏まえ、ライドシェアについて本県はどのように調査研究されているか、お示しください。  中山間地や離島の観光地を数多く有する本県においては、国の制度変更などがあった場合、実証実験等を含めて積極的な姿勢を見せてもよいのではと考えますが、県の考えをお示しください。  以上で、二回目の質問を終わります。 70 ◯土木部長兼本港区まちづくり総括監(安原 達君)本県の道路行政と港湾についてのお尋ねのうち、新規道路事業着手の優先順位についてでございます。  本県の道路整備につきましては、今後の社会基盤整備の在り方に基づき、重点事業と地域密着型事業に区分して進めているところでございます。  鹿児島東西幹線道路や北薩横断道路等の高規格道路など、本県の骨格となる道路の整備につきましては、重点事業に位置づけ、戦略的かつ集中的な整備に努めております。  また、生活道路の整備など地域密着型事業につきましては、整備の必要性や緊急性、地元の協力体制等を考慮しながら、優先度を判断して事業箇所を決定しております。  続いて、渋滞解消が及ぼす効果についてでございます。  本県におきましては、鹿児島市内を中心に慢性的な交通渋滞が発生していることから、ハード・ソフト両面から渋滞対策に取り組んでおります。  交通渋滞が改善されますと、移動時間が短縮され、定時性の確保による物流の活性化・効率化や観光消費の増加などの経済波及効果はもとより、二酸化炭素排出量の削減による環境負荷の軽減や、時間の有効活用による生活の質の向上など、様々な効果が期待されると考えております。  鹿児島東西幹線道路と鹿児島南北幹線道路についてでございます。  両道路につきましては、令和三年度に策定したかごしま新広域道路交通計画におきまして、高規格道路に位置づけております。  鹿児島東西幹線道路におきましては、鹿児島インターから甲南インターまでの鹿児島東西道路につきまして、平成十三年度に事業化され、現在、国において、シールドトンネル工事が進められております。  鹿児島南北幹線道路につきましては、未事業化区間であり、これまで整備手法等の検討を行ってきたところであります。  一方、鹿児島港におきましては、港湾物流の円滑化を図るため、臨港道路鴨池中央港区線の整備が進められております。  鹿児島東西幹線道路や鹿児島南北幹線道路は、鹿児島市域の交通渋滞の緩和が期待される重要な道路であると認識しているものの、まずは、現在、事業中であります鹿児島東西道路や鹿児島北バイパスなどの整備促進に努めてまいりたいと考えております。  このため、臨港道路等の整備状況やコロナ禍前後の交通量の変化、市において策定が進められております渋滞対策基本計画なども踏まえながら、国や県、市などの関係機関で構成する鹿児島県交通渋滞対策協議会におきまして、鹿児島市域の渋滞対策を検討するとともに、引き続き、整備手法の検討を進めてまいりたいと考えております。  南港の埋立て計画とそれに付随する臨港道路の可能性についてでございます。  鹿児島港中央港区の旧南港区につきましては、平成五年に策定した港湾計画におきまして、水域の一部埋立てにより、埠頭用地や小型船の係留施設、産業道路に並行する臨港道路などを整備する計画となっております。  これまで、砂・砂利や危険物等の仮置き・運搬の取扱いにつきまして、関係企業等の御理解を頂き、谷山地区に機能移転を図ったところでありますが、現在、小型船などの係留や港湾工事の作業ヤードとして利用されております。  今後、これらの機能移転や臨港道路鴨池中央港区線の整備状況を踏まえながら、計画している施設の整備について検討してまいります。 71 ◯観光・文化スポーツ部長(悦田克己君)J2昇格に向け、二〇二三シーズンを戦い抜いた鹿児島ユナイテッドFCのサッカースタジアム構想とプロスポーツ振興についての御質問のうち、Jリーグからのヒアリング内容と専用スタジアムの必要性の認識についてでございます。  Jリーグによるヒアリングにおいて、県からは、J1基準を満たすスタジアムの必要性については理解をしており、これまでも、サッカー等スタジアムを含め知事と市長で定期的な意見交換を行っているほか、課長級職員で構成いたします連絡会においても協議を継続するなど、鹿児島市と連携して取り組んでいることを御説明いたしました。また、北埠頭での整備につきましては、同市に対し、整備に当たっての課題の整理・検討を要請していることなどを説明したところでございます。  県といたしましては、Jリーグのヒアリングでも申し上げましたとおり、J1基準を満たすスタジアムが必要であると考えており、引き続き、サッカー等スタジアムの整備に向けて、オール鹿児島で取り組んでまいります。  次に、サッカー等スタジアムの整備に係る費用負担についてでございます。  サッカー等スタジアムの整備につきましては、現在、鹿児島市において北埠頭での検討が行われておりますが、港湾機能の維持など多くの課題があり、同市からは、第六回本港区エリア利活用検討委員会において、課題に対する考え方について説明がありましたが、これらの多くがいまだ検討中の状況にあります。  県といたしましては、費用負担についての協議は必要と認識しておりますが、まずは、これらの課題について、鹿児島市において早急に整理していただく必要があると考えております。  同スタジアムの整備に係る費用負担の在り方につきましては、現在、整備場所やスタジアムの具体的な仕様が鹿児島市から示されていないことから、同市と協議する段階にはないと考えております。 72 ◯地域政策総括監(西 正智君)ライドシェアに関しまして、地方公共交通の現状を踏まえた制度の研究状況についてでございます。  ライドシェアについては、国の規制改革推進会議において、有識者等を集めて検討が行われております。  会議では、自家用有償旅客運送制度の運用改善、二種免許制度の現状、ライドシェアについての安全面の課題の整理など、様々な議論が行われております。  また、同会議で示された自治体からの緊急アンケートの結果では、ライドシェアについて、移動手段の確保の観点から早期の導入を求める意見もある一方で、公共交通機関との利害調整等の課題を指摘する意見もございます。  県といたしましては、国の動向を踏まえた上で具体的な方策を検討することになるものと考えております。  次に、中山間地や離島等における制度導入の可能性についてでございます。  中山間地や離島等では、都市部と比較して、駅やバス停、便数等が限られ、タクシーも配車されるまで時間がかかるなど、より深刻な課題があると認識しております。  国の規制改革推進会議では、ライドシェアに関する様々な議論が行われているほか、法人タクシーの営業所ごとの最低台数の緩和や個人タクシーの地方部における営業の緩和等の検討がなされております。  県といたしましては、地域住民の安全性を確保しつつ、地域の移動手段が確保されることが重要と考えておりまして、国の動向を踏まえた上で、他県の取組等も参考に具体的な方策を検討することになるものと考えております。 73 ◯柴立鉄平君 道路行政について、安原土木部長に再質問してまいりたいと思います。  鹿児島南北幹線道路については、鹿児島東西道路とあと十号北バイパスを先に進めていきながら検討してまいりたいということで答弁を頂きました。私もそこは理解できるものでございます。  南北幹線道路については、十号北バイパスというところが入り口の辺りになるのかなというところも認識していますし、南は谷山のほうまで延ばしていかなければならない道路だとは思っています。その中で、ただ、三十年以上遅々として進まないという状況は、我々これは憂慮しないといけない問題だなと思っております。  その中で、既存の道路が何本か走っています。特に私は臨港道路を大いに活用する余地があるのではないかなと思っております。錦江町における臨港道路は、四車線になる準備というのはすぐにできるのではないかというようなところも認識していますし、そこに南側に隣接する与次郎の市道、そして緑地帯、そして長水路などを使えば、その部分だけでも四車線になっていくようなことがあれば、かなり並行して走る国道の交通量なども解消できる見通しは立つのではないかなと思っております。これは私的な考えなんですけれども、このあたりについてどのようにお考えか教えてください。 74 ◯土木部長兼本港区まちづくり総括監(安原 達君)臨港道路活用を含めた南北道路の検討についてかと思います。  先ほど申し上げましたとおり、南北幹線道路につきましては、整備手法等の検討を進めているところでございます。他方、臨海部におきましては、臨港道路鴨池中央港区線の整備が進められており、令和十二年を予定して現在整備が進められております。  このことから、この整備状況なども見極めながら、議員御提案のそのようなアイデアなども含めて、整備手法の検討の中で検討してまいりたいと、このように考えております。 75 ◯柴立鉄平君 再度、土木部長にお伺いしたいと思います。  私の五年の経験からすると、もしかしたら私がこの会議場で安原部長に質問できるのも最後なのではないかなと思っております。  この南北幹線道路など、要は鹿児島の渋滞問題を解消するというのは、県や市だけで行うというよりは、国からも予算を頂きながらやっていく。いわゆる熊本も今、非常に危機感を感じて十分・二十分構想などをつくられているところでございます。  鹿児島は渋滞ワースト一位の町でございます。もちろん国も一緒になって取り組んでいかないといけないと思います。国にいらっしゃった立場、そしてもしかしたら国にお帰りになられる安原部長、どのような先見的アドバイスがあって、鹿児島の渋滞問題を解消できるとお思いなのか、所見をお聞かせください。 76 ◯土木部長兼本港区まちづくり総括監(安原 達君)御指摘のとおり、鹿児島市街地部における道路の混雑割合は全国ワースト一位ということで、交通渋滞対策協議会からもそのような発表がございます。  先ほど、渋滞の損失について御説明申し上げましたが、このような渋滞の割合が全国ワースト一位ということで、鹿児島市域における社会的損失も極めて大きいということでございまして、鹿児島の発展にとって大きな課題であると、このように考えているところでございます。  先ほど申し上げましたとおり、今後、市において渋滞対策基本計画をまとめる、このようなこともございます。そのほか、既存の交通渋滞対策協議会、こういったものにつきまして、もとより国、県、市で連携して取り組むこととしておりますが、引き続き、県としても連携し、また国の協力を求めながら、南北幹線道路の在り方も含めて、しっかりと交通渋滞対策の方向性について検討してまいりたいと、このように思っております。    [柴立鉄平君登壇] 77 ◯柴立鉄平君 それぞれ御答弁頂きました。  本県の道路行政について、私も改選のときに鹿児島市内、所狭しと駆け回りました。鹿児島市は待機児童も多いということで、子供を連れてコンビニで買物をされる人たちが、同じ渋滞の列でお子さんをだっこしながらという方もいらっしゃいました。私も送り迎えをするんです。子供が家までなかなか帰れなくてしんどい思いをする。泣いている時間が多い。そういうことを想像すると大変だなと思うこともございます。  また、土木建設業者の方々に限りましては、渋滞を乗り越えて現場まで行くわけです。働き方改革というところもありますが、そういったところも考慮しなければならない。  多くの人が関わるこの渋滞問題、私も鹿児島市・鹿児島郡区の選挙区の一人として、こういったものを積極的に解消せねば、何で地方議員なのかという気持ちでございます。これからも渋滞問題、道路行政、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。  鹿児島ユナイテッドFCは、秋丸議員も全力での質問をされておりました。私もサポーターの一員でございます。スタジアムが早くできてほしいというサポーターの思いはございますが、行政間のやり取りというのは非常に難しいというところも思っております。ちょっと下鶴市長の初手が間違ったのかなという気もいたしますが、それでも全力で取り組んでまいりたいと私は思っております。  ライドシェアについても、この広い鹿児島、しっかりと取り組んでいかなければ、公共交通の足がなくなるということだけは避けないといけませんので、あらゆる手段を使って取り組んでまいりたいと思っております。  個人的なことではございますが、本日、四十四歳の誕生日を迎えさせていただきました。引き続き、県民の皆様のために汗をかいてまいりたいと思っております。  御清聴どうもありがとうございました。(拍手) 78 ◯副議長(小園しげよし君)ここで、休憩いたします。  再開は、午後二時三十五分といたします。        午後二時二十五分休憩       ────────────        午後二時三十五分再開
    79 ◯副議長(小園しげよし君)再開いたします。  次は、郷原拓男君に発言を許可いたします。    [郷原拓男君登壇](拍手) 80 ◯郷原拓男君 本日も一般質問の機会を賜り、誠にありがとうございます。  また、本日、四十四歳の誕生日を迎えた柴立鉄平議員、お誕生日おめでとうございます。  通告に従い、早速質問に入ります。  教育行政についてであります。  私立学校は、公立学校と同じ公教育機関としての共通性を持ちながら、運営や教育について一定の自主性を発揮しやすいという特性を持っており、独自の校風と伝統の下に、生徒指導、課外活動、職業・技能教育などの面で特色ある教育活動を行っています。  募集定員に対する生徒充足率は、公立学校が七六%であるのに対し、私立学校が約九五%、また、生徒数の公私間比率が昭和五十一年に公立四・私立一であったのが、二十年前は公立三・私立一、現在は公立二・私立一と縮まっています。  現在の本県の出生数は約一万人。私立学校の募集定員は五千百九十人であるので、このままの推移でいけば今年誕生した赤ん坊が高校生になる十五年後には、公私間比率が一対一になるのではないかと思います。  そうした中、本年度より、魅力ある県立高校づくりプロジェクトの取組が始まっています。公私相携えた教育の質の向上を図っていく上で、私は今こそ、魅力ある県立高校づくりプロジェクトの本気度が試されていると思います。  そこでお尋ねします。  本年度、出願倍率一倍を下回る県立高校で不合格となった生徒数をお示しください。  また、県立全日制高校の出願倍率について、全国の中で本県はどういう状況であるのか、また、本県の出願倍率の向上についてどのように考えているか、お示しください。  本県では、楠隼校のみが三十人学級ですが、令和元年六月の伊藤県議会議員への一般質問に対し、四十人未満定員の学級について、県教委としても研究したい旨の答弁をしています。これまででどのような知見を得たのか、お示しください。  さて、去る十月十四日に、文教観光委員会の視察に同行させていただき、楠隼校の生徒と意見交換いたしました。当日は、ランダムに抽出された中学一年生から高校二年生までの二十一名が出席し、生徒諸君の生の声を伺いながら、六月に知事が発表した楠隼校の男女共学化・全寮制廃止という決定は、大多数の生徒の思いとかけ離れた決定であったことを再確認いたしました。  そこでお尋ねいたします。  文科省は、教育委員会制度の意義において、教育行政の執行には、個人的な価値判断から中立性を確保することが必要だとうたっています。知事マニフェストにおける「楠隼中・高校を共学にするとともに、全寮制を廃止します」という記載は、知事の個人的な価値判断が込められていて、そもそもマニフェストになじまないものではなかったかと考えますが、知事の見解をお示しください。  知事はこれまで、「トップリーダー教室やシリーズ宇宙学といった教育の内容にこそ、楠隼校の特色がある」と答弁されてこられました。  そこで、シリーズ宇宙学とトップリーダー教室に割かれる一年間の授業時数と予算額をお示しください。  以上で、一回目の質問といたします。    [知事塩田康一君登壇] 81 ◯知事(塩田康一君)楠隼校共学化等をマニフェストに掲げたことについてでございます。  私は、楠隼校の共学化等について、同校のトップリーダー教室やシリーズ宇宙学、農業漁業民泊体験など、特色ある魅力的なここでしか受けられない教育を女子生徒や通学を希望する生徒にも受けられるようにしたいと考え、マニフェストに掲げたところであります。  一方、このことは、教育行政の執行機関である教育委員会において、純粋に教育行政の観点からどうあるべきか検討すべきものであります。  このため、私は就任後、楠隼校の共学化等について教育委員会に問題提起をし、これを受け、教育委員会では、令和二年度以降、生徒や保護者の皆様、周辺市町の関係者などの御意見をお伺いするとともに、共学化等に向けた課題を整理し、今後の進め方やスケジュールについて検討し、令和五年五月に方針を決定されたところであります。 82 ◯教育長(地頭所 恵君)公立高校出願倍率についてでございます。  令和五年度の本県公立高校入試における、いわゆる定員内不合格者数については、第一次選抜、第二次選抜を合わせて六十三人でした。  出願倍率については〇・八一倍であり、全国で同様に出願倍率が一倍を下回ったのは、二十道県でした。  県教委では、これまで生徒減少に対して再編統合や募集定員の削減で対応してきましたが、一学年三学級以下の小規模校が約半数となっているところです。  このような小規模校は、離島や通学手段が限られた中山間地域に多く、近年、地域振興の核としての役割も期待されていることに加え、子供たちの学びの機会の確保という観点からも、さらなる募集定員の削減には慎重に対応しており、結果的に出願倍率の低下が進んでいるところです。  小規模校は、生徒と教師の距離が近く、よりきめ細やかな指導を受けることができるなどの魅力がある一方で、教員数や学校施設などの教育資源に限りがあり、生徒の多様なニーズの全てに一つの学校で対応することが難しいという課題もあります。  県教委としては、生徒がどの高校に進学しても、それぞれの夢に向かって希望を持ち、進路目標に応じて学びたいことを学びながら、充実した学校生活を送れるような高校づくりを進めることが大切だと考えており、現在、魅力ある県立高校づくりプロジェクトとして、複数の小規模校が合同で行事などを行うためのサポートや、普通科改革としての新学科設置など、これまでにない取組を進めながら、県立高校の魅力化を図っているところです。  四十人未満定員の学級についてでございます。  高校の一学級の生徒数については、公立高等学校の適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律により四十人が標準とされています。  他県において、一学級四十人未満の学級を設置している例もありますが、充足率が高くなる一方で、同法で定める定員による教員数を超えて県独自で配置することに課題があると承知しており、全国的には本県と同様に四十人学級を維持している都道府県が多いところです。  また、同法により教員の配置数は生徒の収容定員で決まることから、例えば、学級数を変えずに一学級四十人未満学級を設置すると、生徒の収容定員が少なくなり、これに応じて教員の配置数が減少するため、生徒の多様な学びや教育の質が十分に確保できなくなることが懸念されているところです。  なお、国においては、四十人未満学級について、令和三年に小・中学校の標準法を一部改正した際、高等学校の学級編制の標準の在り方についても検討することとの附帯決議があり、また、県教委としては、全国都道府県教育長協議会を通して、国に対して、高等学校における三十五人以下学級導入の要望を行っていることから、引き続き、国の動向を注視してまいりたいと考えています。  次に、楠隼校のシリーズ宇宙学などについてでございます。  シリーズ宇宙学やトップリーダー教室については、探求心や科学する心を育む教育を行うことにより、二十一世紀を生き抜く創造的知性を深め、世界を見通すリーダーの育成を目的として実施しているものであり、県内外から入学する生徒にとって魅力ある学校となるよう本県の特性を生かした特色ある教育活動として実施してきているところです。  シリーズ宇宙学については、中学一年生から高校一年生までを対象として、各学年、年間三十五時間程度を実施しています。そのうち、中学生は各学年三、四回の計十回程度、高校生は六回程度、JAXA等職員による講座を実施しています。  トップリーダー教室については、全生徒を対象に、年三回、計六時間程度の授業時数で、経営・ビジネス、政治・経済、スポーツ等の分野において第一線で活躍されている方々を講師として招き、社会人としての資質・能力や企業・社会等を取り巻く環境などについての講話を通して、自己実現に向けての意欲やリーダーとしての資質の向上を図っています。  なお、シリーズ宇宙学やトップリーダー教室を実施するための予算は、令和五年度は、報償費、旅費等で約四百四十五万円を計上しているところです。 83 ◯郷原拓男君 自席から、知事に質問いたしたいと思います。  ただいま、トップリーダー教室、シリーズ宇宙学といった教育の内容にこそ楠隼校の特色があると、これまで知事は答弁されてこられましたけれども、シリーズ宇宙学については年間三十五時間、トップリーダー教室に割かれる一年間の授業時数は六時間と、せいぜい二つ合わせても年間四十時間程度だということが判明いたしました。年間千二百時間とも千三百時間とも言われる総授業時間数の僅か四十時間程度ですが、そもそもトップリーダー教室やシリーズ宇宙学がこの程度の授業時数であることは知事は認識されていたのか、見解をお示しください。 84 ◯知事(塩田康一君)シリーズ宇宙学あるいはトップリーダー教室というのが特色ある教育として私は考えております。そういった中で、全体としての基礎的な学力の学習の時間というものも当然必要なわけでありますから、一定のそういった割合にとどまるということは認識しておりますし、これは一つの例示であり、先ほど申し上げたような、地域のフィールドワーク的な学習も含めて、楠隼校におけるこういった特色ある教育というものがあると私は考えております。 85 ◯郷原拓男君 それでは、知事にもう一点質問いたします。  出水市にある野田女子高校は、県立のみならず、西日本の県立で唯一の女子校です。野田女子高では、生活文化科、食物科、衛生看護科など特色ある学科を設置し、楠隼校に負けぬ魅力ある学校であり、野田女子高の特色ある教育を受けたい男子生徒がいると思います。女子生徒に思いを寄せて楠隼校を男女共学にするのであれば、同じ論理で男子生徒に思いを寄せて野田女子高校も男女共学にしなければ、知事の発言には整合性が取れないと思いますが、野田女子高校共学化に向けた知事の見解をお示しください。 86 ◯知事(塩田康一君)楠隼校においては、トップリーダーを育成するという観点からこういった学校ができており、そういった特色ある教育というのは、ここの楠隼校でしか受けられないと私は考え、そうであれば、女子あるいは寮に入れないあるいは入らないという地域の子供たちにも教育を受けさせるべきではないかと考えたところであります。その際には、野田女子高のことまで私はあまりよく存じ上げませんでしたので、仮にそういった点があるのであれば、そういったことも含めて、今後検討するということはあり得ることではないかと思っております。    [郷原拓男君登壇] 87 ◯郷原拓男君 それぞれ御答弁頂きました。  もとより教育行政は、公立・私立相携えて教育の質の向上につなげていかねばなりません。魅力ある県立高校づくりプロジェクトが小手先のプロジェクトであれば、私学振興にますます拍車がかかるものと思います。魅力ある県立高校づくりプロジェクトに本気で取り組んでいくとともに、激変する社会情勢に取り残されることなく柔軟にかつダイナミックで不断の教育改革を期待いたします。  教育委員会の意義について御答弁頂きました。  かつて本県は、教育県鹿児島と尊敬の念を込めて呼ばれ、地域はもとより日本、世界を支える先輩方を多数輩出し、紛れもなく公立高校がその礎を築いてきたものだと思います。しかし、今回の楠隼校での決定のように、生徒や保護者の思いがないがしろにされて、知事の思いだけで、教育委員会の内部の検討だけで、アリバイづくりのアンケート調査の下、説明会場でも同じフレーズの繰り返しに終始して、トップダウンにより学校の運営方針が決定されていくのであれば、私学志向の相対的高まりと呼応して、公立校の存在感はますます縮小していくのだと思います。  知事も、教育委員会にも、母校に誰よりも思いをはせる生徒や保護者の意向も受け止めた政策決定を行ってきたのか。楠隼校の学校の根幹を揺るがす変更と政策決定の在り方について再度振り返りをしていただき、今後の教育行政をつかさどっていただきますよう強く要望いたします。  次に、観光行政についてお伺いします。  これまで多くの観光関連の有識者からも、休日の平準化の重要性が訴えられてきました。国では、平成三十年度からキッズウィークを開始し、本年九月には、愛知県で休み方改革プロジェクトが発表され、ラーニングしながら休暇する、いわゆるラーケーションが始まりました。子供が保護者との校外学習を目的に、欠席扱いされず年間三日まで休日を取ることができます。  そこで、観光振興の観点から、ラーケーションについて県ではどのように考えるか、見解をお示しください。  さて、二〇一八年十一月に明治維新百五十周年を契機として、世界で活躍する県出身者等が一堂に会して鹿児島県人世界大会が開催され、県や鹿児島商工会議所等で構成される実行委員会が中心となり、海外から約二百八十名を含むおよそ五百六十名の方が参加、歓迎フェスティバルや交流サミット、公式式典などが開催されました。  鹿児島県人世界大会では、ネットワークを強化し、国内外の次世代の交流及び経済交流の促進等を目指す大会宣言が採択され、十九か国・地域にある二十六の在外県人会会長との間でメールによるホットラインが開設されました。  本県の大会を視察した宮崎県は、本年度一億円を計上して、去る十月二十七日から三日間、宮崎県人会世界大会を開催し、同じく本県を視察した和歌山県は、二〇一九年に開催後、本年十月には第二回大会を開催しています。また、沖縄県は、一九九〇年以降七回、福岡県は、一九九二年ロサンゼルスで開催以降、三年ごとに海外と福岡で交互に開催しているようです。  そこでお尋ねします。  鹿児島商工会議所、本県、市町村振興協会がそれぞれ二千万円を拠出して鹿児島県人世界大会が開催されてから、五年が経過いたします。本県の評価とホットラインの活用状況をお示しください。  インバウンドや輸出振興を強力に推し進めていく上で、本県にゆかりのある方々とのつながりを対面で深めていくためにも、第二回鹿児島県人世界大会開催を検討すべきだと考えますが、県の見解をお示しください。  次に、保健福祉行政についてであります。  年々出生数が減少し、少子化が進む一方、有配偶出生率は減少幅が少ない状況です。  そこで、本県の有配偶出生率及び婚姻件数の推移をお示しください。  また、かごしま出会いサポートセンターの結婚支援内容と直近の累計成婚数、今年十月のマッチングシステム改修内容と、この一か月程度で見られた効果についてお示しください。  さて、現在、ゼロ歳児の八二%、一歳児の四八%、二歳児の四三%が保育園や幼稚園、認定こども園に通わない未就園児であり、次元の異なる少子化対策の目玉施策である、こども誰でも通園制度の導入は、親の孤立感・不安感の解消などが期待できます。  来年度のこども誰でも通園制度モデル事業に県内市町村も積極的に参加し、地域の声を制度設計に反映できるような動きが求められると考えます。見解をお示しください。  農福連携についてお尋ねいたします。  農業における労働力の確保や障害者の賃金等の向上など、農業・福祉両分野にとって利点がある農福連携の取組を全県的に広げていくことが県政の重要課題だとして、政策立案推進検討委員会による取りまとめ後、昨年十二月に知事に提言されました。  去る十月十一日、十二日には鹿児島中央駅で農福マルシェ、また、十一月十七日には鹿児島空港で農福フェアが開催されるなど、本県各地にその広がりが見られています。また、十一月下旬には、大隅半島ノウフクコンソーシアムが、観光庁の補助事業を活用し、フランスより有識者をお招きした取組を行いました。  一方、一般社団法人日本基金の調査によると、農福連携の取組を知らない消費者が八割に上るなど、農福連携の普及や啓発は今後の大きな課題であります。  そこでお尋ねいたします。  昨年度の政策提言を受け、本県ではどのような取組を行っているのか、本県の農福連携に資する予算額の推移並びに農政部とくらし保健福祉部との連携の状況についてお示しください。  大隅地域では、社会福祉法人白鳩会の中村隆一郎理事長の下、大隅半島ノウフクコンソーシアムが令和三年五月に設立され、現在では会員も拡大し、本県における先進的な取組として地域を牽引しています。  このような大隅半島ノウフクコンソーシアムの取組を今後、全県的に広げていくことが求められると思いますが、県の取組や支援策をお示しください。  ノーリフトケアについてお尋ねします。  ノーリフトケアとは、要介護者を持ち上げたり、押したり、引いたりといった過度な身体的負担を強いないケア概念で、要介護者の二次障害の防止、姿勢改善などケアの質の向上を目的とし、職員の労働環境改善による離職率低下などが期待できます。  鹿児島すこやか長寿プラン二〇二一によると、本県の令和七年の福祉・介護人材不足は約二千二百人、令和二十二年には約四千人に上る見込みです。福祉機器の導入やDX化、外国人材の登用など、本県でも様々な切り口から介護の魅力向上が図られていますが、ノーリフトケアの推進も介護の魅力を向上させる有力な考え方の一つだと思います。  高知県では、二〇一六年に全国で初めてノーリフティングケア宣言をし、既に県内の三分の二以上の介護事業所が実践、九州では福岡県や大分県、長崎市や湯布院町でも普及促進事業を行うなど、ノーリフトケアは全国に広がりを見せています。  そこでお伺いいたします。  鹿児島すこやか長寿プラン二〇二一並びに県第七期障害福祉計画が来年度改定されます。ノーリフトケアについての取組を明記し、その推進を図るべきではないかと考えますが、見解をお示しください。  介護が腰痛を引き起こす重労働というイメージを解消することが、福祉・介護職員の魅力ある職場づくり、人材確保につながると思います。本県の介護人材並びに特別支援学校における腰痛発生件数についてお示しください。  特定の業界・施設だけでノーリフトケアに取り組むのではなく、職員・利用者・御家族の理解を育みつつ、医療・福祉分野の関係団体を構成員とした協議会の設置やモデル地域創出、先進モデル施設の創出などが求められます。  県の来年度予算にモデル地域やモデル施設創出のための予算を計上するとともに、本県でもノーリフトケア宣言をすべきではないかと考えますが、見解をお示しください。  県介護福祉士修学資金対象者の拡大についてお尋ねいたします。  本県では、介護福祉士修学資金貸付制度を創設し、人材確保に取り組んでいますが、貸付けの対象者が本県から通える養成校に限られているため、他県の養成校に進学した本県出身の学生は、自費での入学か、他県の修学資金を活用してそのまま他県で就職している状況にあるようです。  そこで、本県の介護福祉士修学資金貸付制度を他県の養成校に進学する学生にも適用することで、学業修了後は鹿児島県に戻り、介護分野で活躍することが期待できますが、修学資金貸付け対象者の拡大に向けた県の見解をお示しください。  以上で、二回目の質問といたします。 88 ◯観光・文化スポーツ部長(悦田克己君)観光行政についての御質問のうち、まず、ラーケーションについてでございます。  今年度から愛知県で導入されましたラーケーションは、子供の学びのラーニングと保護者の休みのバケーションを組み合わせた造語で、保護者等の休暇に合わせて、子供たちが保護者等と共に、校外で、体験や探求の学び・活動を自ら考え、企画し、実行することができる制度であると承知しております。具体的には、平日であっても保護者等の休みに合わせて、子供が欠席扱いされずに、保護者等と共に校外学習活動が行えるとのことであります。  同制度は、今年度から導入された取組であり、観光の振興につながるかどうかにつきましては、十分見極める必要があると考えております。  次に、鹿児島県人世界大会の評価とホットラインの活用状況についてでございます。  鹿児島県人世界大会は、世界で活躍する本県とゆかりのある方々とのネットワークを構築することにより、世界に開かれた国際性豊かな鹿児島の実現を目指すことを目的に、平成三十年十一月、県や鹿児島商工会議所等で構成されます実行委員会が中心となって開催されました。  遠くはブラジルやアメリカ、イギリスなど、海外からおよそ二百八十名の方々に御参加いただき、歓迎フェスティバルや交流サミット、公式式典などが開催されたところであります。  この世界大会におきましては、各県人会の会長をはじめ多くの方々と、経済交流の促進などについて意見交換ができ、絆を深めることができたところであります。  世界大会を契機に、在外県人会長との間で開設いたしましたホットラインにつきましては、鹿児島で起こった出来事や地域の情報、話題の観光スポットや県産品情報など、様々な情報を定期的にメールで発信しており、平成三十年十二月に第一号を発信して以来、これまで、計百四十七回にわたり、情報をお届けしているところでございます。  次に、第二回鹿児島県人世界大会の開催についてでございます。
     海外との人的交流につきましては、これまで、ブラジルや南カリフォルニア、ペルーなど、在外県人会が現地で開催いたします県人会創立記念式典等に参加するために各国を訪問した際、先没者慰霊碑への参拝や県産品のPRのほか、訪問した地域の方々との交流を図ってきたところでございます。  また、香港、シンガポール、韓国全羅北道とは、定期的に会議を開催し、経済や文化、青少年等の分野での交流を推進しているほか、それぞれの国・地域に設立されたアジアかごしまクラブと相互訪問による交流を図ってきたところです。加えまして、現在、台湾屏東県やベトナム・ハイズオン省とも、青少年や文化交流など具体的な交流について検討を行っております。  県といたしましては、引き続き、これらの取組等を継続することにより、海外との人的交流を促進してまいりたいと考えております。 89 ◯子育て・高齢者支援総括監(岩田俊郎君)本県の有配偶出生率及び婚姻件数の推移についてでございます。  十五歳から四十九歳の日本人女性の有配偶者千人に対する嫡出出生数の割合である有配偶出生率については、内閣府の地域少子化・働き方指標によりますと、本県では、平成二十二年が九三・九、平成二十七年が九六・一、令和二年が八五・六となっており、いずれも全国平均を大きく上回っております。  また、本県の婚姻件数については、厚生労働省の人口動態統計によると、昭和五十五年頃までは年間一万件を超えておりましたが、その後、低下傾向となり、令和四年は過去最低の五千六百十九組と、昭和五十五年の五割程度となっております。  次に、かごしま出会いサポートセンターにおける結婚支援の内容と累計成婚数についてでございます。  県では、結婚を希望する方の出会いのきっかけづくりを支援するため、平成二十九年度から、かごしま出会いサポートセンターを設置し、これまで、結婚を希望する会員を対象としたマッチングやその後の対面またはオンラインでのお引き合わせを実施しているほか、婚活・交流に関するイベントやマナーセミナーの開催、相談対応などに取り組んでおります。  また、開設から本年十一月末までに百三組が成婚となったところでございます。  次に、マッチングシステムの改修内容とその効果についてでございます。  かごしま出会いサポートセンターのマッチングシステムについては、自宅からスマホ等で会員登録、登録情報の閲覧、お引き合わせの申込みができるように改修し、十月から運用を開始しているところでございます。これにより、会員の利便性の向上が図られるとともに、これまで同センターの利用が地理的に困難であった地域において、新たな会員の確保が期待できるものと考えております。  改修から約一か月が経過した本年十月末におけるお引き合わせの申込数については、前月比約二・四倍の二百九十三件に増加し、このうちシステムからの申込数は二百一件と、全申込数の約七割を占めていることから、改修の効果があったものと考えております。  県としては、引き続き、かごしま出会いサポートセンターの利用促進を図り、結婚を希望する方の出会いの場づくりを進めてまいりたいと考えております。  次に、こども誰でも通園制度の試行的事業への県内市町村の参加等についてでございます。  国は全ての子供の育ちを応援し、子育て家庭の支援を強化するため、三歳未満の未就園児を対象に、保護者の就労要件を問わず利用できる、こども誰でも通園制度─仮称─を創設することとしており、令和六年度においては、市町村における提供体制の整備を促すため、試行的事業を行うこととしております。  県では、本年九月に国からの依頼を受け、県内の市町村に対し同事業の実施に関する意向調査を行ったところ、一自治体が実施の意向を示しております。  一方で、実施の意向を示さなかった自治体からは、保育士が不足している、待機児童の解消を優先したい、施設が実施に消極的であるといった意見が寄せられたところでございます。  試行的事業の実施に向けては、同制度への理解を深めることが必要であることから、現在、検討中の市町村等に対して、引き続き、制度に関する情報提供や助言等を行ってまいりたいと考えております。  また、県では、国の制度設計に地方の実情が十分反映されるよう、全国知事会を通じて、国に対し、保育時間等に柔軟に対応できる制度設計とするとともに、市町村や施設が制度を導入しやすくなる財政支援制度を創設することなどについて要望を行っているところでございます。  次に、県高齢者保健福祉計画へのノーリフトケアの取組の明記・推進についてでございます。  ノーリフトケアは、介護職員の腰痛発生リスクを低減するものであることから、県では、現行の鹿児島すこやか長寿プラン二〇二一に、「介護職の身体的負担を軽減するため、ノーリフトケアなどの新しい介護技術の普及を促進する」と明記し、その普及に取り組んでいるところであります。  ノーリフトケアに関する取組は、介護職員の負担軽減に加え、介護サービスの質の向上や人材の確保・定着にも資すると考えており、次期計画においても、引き続き記載し、ノーリフトケアの普及促進を図ってまいりたいと考えております。  また、次期障害福祉計画については、計画策定に向けて関係団体へのヒアリングを実施しているところであり、現時点ではノーリフトケアに関する意見・要望は示されておりませんが、記載については、関係団体の意見等を聞きながら検討してまいりたいと考えております。  次に、本県の介護人材における腰痛発生件数についてでございます。  本県における介護職員の腰痛発生件数は把握しておりませんが、厚生労働省の令和四年業務上疾病発生状況等調査によると、仕事中の突発的な出来事で四日以上休業した災害性腰痛の件数は、介護・看護作業を含む保健衛生業は全国で二千五十件で、全産業の三四・四%を占めております。  また、公益財団法人介護労働安定センターが実施した令和四年度の介護労働実態調査によると、労働条件等の悩み、不安、不満等に関して、「腰痛や体力に不安があるなど身体的負担が大きい」と回答した介護従事者は、全国で二九・八%、本県で二八・二%となっております。  モデル地域創出の予算計上及びノーリフトケア宣言についてでございます。  県では、これまで、介護事業所の介護ロボット導入に対する支援のほか、介護実習・普及センターにおいて、介護職員を対象に、体や腰に負担をかけない介護技術の研修を行うなどノーリフトケアの普及啓発に取り組んできたところでございます。  また、介護人材の確保・定着に向け、労働環境改善などの取組について検討するため、介護・福祉・医療のほか、多様な関係者で構成する会議を設置しているところでございます。  御提案のありましたモデル地域の創設やノーリフトケア宣言など、ノーリフトケアを効果的に促進する具体的な取組については、その必要性も含め、まずは、その場で協議したいと考えております。 90 ◯くらし保健福祉部長(房村正博君)農福連携に係る県の取組及び予算額についてでございます。  県では、農福連携の推進を図るため、これまでも、農政部とくらし保健福祉部が連携して、農福連携に関する研修会の開催や障害者就労施設等に対する技術指導等を行うアドバイザーの派遣、農福連携の取組を検討している農業法人等が障害者就労施設等の障害者を試行的に受け入れるおためしノウフクや農福連携マルシェの開催等の取組を行っております。  また、今年度から、農福連携を現場で実践する手法を具体的にアドバイスする農福連携技術支援者の育成に向けた支援や、農福連携の取組を県民に広く周知するため、県政かわら版や県政広報番組による情報発信等にも取り組んでいるところであります。  さらに、庁内関係部局による農福連携情報交換会に今年度から、教育庁を加えて、定期的に開催し、取組状況や支援策の情報共有、今後の推進方策等について意見交換を行っております。  また、農業者と障害者就労施設等のマッチングについては、かごしま障がい者共同受注センターに配置している農福連携推進専門員が、ニーズを収集して、契約に向けた調整や仲介を行うとともに、研修の機会等を利用して周知に取り組んでおります。  こうした取組の結果、農福連携推進専門員による仲介終了後も契約関係が継続し、新たな農福連携の取組主体となった事例も見られるところでございます。  これらの農福連携の推進に係る令和五年度の県予算額は、農政部とくらし保健福祉部を合わせて約千四百七十万円となっており、四年度と比べて約一割増となっております。  今後とも、農福連携のさらなる推進に努めてまいります。  続きまして、県介護福祉士修学資金についてでございます。  本貸付制度については、国の実施要綱等に基づき、県内の介護人材の育成・確保・定着を図ることを目的として、県が県社会福祉協議会に原資を補助し、同協議会が借受け希望者の募集及び貸付けを行っているものであります。  国の関係通知において、貸付け対象者は当初、原則として当該都道府県内に住民登録がある者となっておりましたが、令和元年度の改正で、住民登録がない場合でも当該都道府県で就業しようとする者への貸付けが可能と明示されました。  この改正に基づいて県内に住民登録がない者を貸付け対象とした場合、他県の介護福祉士養成施設で学ぶ学生が本県で就業するケースも考えられますが、県内の養成施設への入学者が減少し、本県における介護人材育成への影響も懸念されるところでございます。  県としては、養成施設や事業所など関係団体の意見も聞きながら、県社会福祉協議会と協議してまいりたいと考えております。 91 ◯農政部長(米盛幸一君)農福連携の先進的な取組の波及についてであります。  大隅地域におきましては、官民が一体となって、コンソーシアム組織を立ち上げ、農福連携に係るセミナー等の開催やノウフクJASの取得など生産物・加工品のブランディング強化、農福連携を希望する事業者へのマッチングによる障害者の働く機会の提供など、先進的な取組が展開されております。  県におきましては、このような取組を全県的に広げていくため、本年度は、鹿児島、南薩、北薩の三地域で、振興局や市町の農政及び福祉部署の担当職員と農福連携推進専門員らとが連携を図る情報交換会を開催したところであります。  県といたしましては、まずは行政機関等における連携体制を構築した上で、地域のキーパーソンとなり得る農業者や福祉事業者等を巻き込んだ農福連携の体制づくりを推進してまいりたいと考えております。 92 ◯教育長(地頭所 恵君)特別支援学校における教職員の腰痛発生件数についてでございます。  本県の特別支援学校において、日常的に肢体不自由のある児童生徒との関わりがある教職員で、腰痛により通院している教職員の数は、肢体不自由のある児童生徒を教育の対象としている十三校、教職員千四百二人のうち、四十三人であり、その割合は三・一%となっています。 93 ◯郷原拓男君 自席から、教育長に再質問させていただきたいと思います。  先ほど観光部局のほうに、ラーケーションについて、観光振興の観点、また休日の平準化につながるんじゃないかと質問をさせていただいたところ、おおむねそういった効果が期待されると御答弁頂いたわけですけれども、教育委員会との連携なくしてこのラーケーションというのはあり得ないんだろうと思いますが、教育委員会では、このラーケーションについて見解がありましたら教えていただきたいと思います。 94 ◯教育長(地頭所 恵君)教育の観点からのラーケーションへの見解との御質問でございます。  親子で過ごす時間や学校外での様々な体験は、子供の成長にとって欠かせないものであると認識しております。一方で、学校では、教育課程や児童生徒の発達の段階に応じて、体系的・計画的に授業や行事等を行っており、授業や行事等で友達や先生と一緒に学習体験することは、多様な考えに触れる中で自分の考えを広げ深めることができるため、学校で学ぶ良さが多く存在しています。そのような授業や行事等を休むことで学習が遅れることになり、家庭学習や個別での補習を行ったとしても、本来得られたはずの学びを得られない可能性があります。  県教委としては、このような課題や学校外で学ぶために休んだ場合の出席扱いを認めることの影響等を踏まえつつ、他県の状況を注視しながら、今後とも、学校教育において多様で充実した学びが得られるように取り組んでまいります。 95 ◯郷原拓男君 もう一点、農福連携についてお尋ねしたいと思います。  毎年、農水省がつくば市で実施する農福連携技術支援者育成研修というものがあるということなんですが、基準を満たせば、自県で開催する研修でも資格取得が可能だということです。農福連携の機運醸成を図る上でも、これまで本県では開催されていない農福連携技術支援者育成研修を来年度、本県でも実施すべきだと思いますが、見解をお示しください。 96 ◯農政部長(米盛幸一君)ただいまの研修につきましては、私ども正確な内容を把握しておりませんので、今後、どういった研修の内容かといったこと、また効果等についても、福祉分野とも情報共有しながら、開催が可能かどうかを検討してまいりたいと考えております。    [郷原拓男君登壇] 97 ◯郷原拓男君 それぞれ御答弁頂きました。  コメントは最後に述べさせていただきたいと思います。  続きまして、土木行政についてでございます。  まず、錦江湾横断道路についてお尋ねいたします。  去る十一月二十二日に、錦江湾横断交通ネットワークに係る勉強会が開催され、私も傍聴させていただきました。  本年度で五回目の当勉強会は、関係者間で意見交換を行うために、これまで非公開で開催してきたものと伺っておりますが、県民の機運醸成を図る上で、勉強会での主な意見などを含めた内容を公表すべきだと考えます。県の見解をお示しください。  大隅総合開発期成会の要望項目にも取り上げられている都市計画道路の寿大通線の早期完成について、現在事業中区間の進捗をお示しください。  また、地元では、寿一里山交差点から南側の未整備区間の事業化への期待と関心があります。この区間は寿小学校の通学路ですが、歩道がなく、現在事業中の区間と同様に大変危険な状況です。また、排水路と交差する箇所で冠水が度々発生しており、この課題解決も含めた事業化の検討が必要ではないかと考えております。見解をお示しください。  国道五百四号鹿屋市祓川地区においては、歩道が狭く線形が悪いため、令和四年度より、地元要望を踏まえバイパス計画として事業に着手されました。当該区間の整備は、地域住民の長年の悲願で早期整備が望まれています。祓川バイパスの事業の進捗状況を伺います。  県道鹿屋環状線は、鹿屋市郊外を周回する環状道路ですが、このうち鹿屋市野里地区の国道二百六十九号から県道田渕田崎線までの区間は、自衛隊の位置する鹿屋市西部と鹿屋市南部を結ぶ重要な道路です。  当該地区は、農地の宅地化や市街地化に伴い、朝夕の通勤・通学時の道路として利用されており、また、近接する野里小学校の児童の通学路でもあります。当区間は、大姶良地区など鹿屋市南部地域から、国道二百六十九号や国道二百二十号等を経由して垂水市方面へ向かう抜け道ともなっていますが、当区間のうち約三百メートルが狭隘な未改良道路となっています。当該区間の整備について、県の見解をお示しください。  以上で、三回目の質問といたします。 98 ◯総合政策部長(前田洋一君)錦江湾横断交通ネットワークに係る勉強会についてでございます。  本勉強会につきましては、同ネットワークの課題等について認識の共有を図ることを目的に開催しておりまして、今年度も先月二十二日に、国、鹿児島市、鹿屋市、垂水市、県が参加し意見交換などを行ったところです。  県では、これまで、平成二十一年度から二十四年度までに実施した可能性調査の結果について、県のホームページにおいて公表し、県民の皆様に周知してきたところでございますが、本勉強会に出された主な意見を含めた開催結果概要と会議資料につきましても、今回から同ホームページにおいて公表することとし、今月一日に掲載したところでございます。  県としては、県全体の機運醸成に向けて、まずは、関係機関との間で、本プロジェクトの必要性や課題解決に向けた共通理解を深めることが必要であると考えておりまして、引き続き、関係機関との意見交換や情報収集にしっかり取り組んでまいります。 99 ◯土木部長兼本港区まちづくり総括監(安原 達君)都市計画道路寿大通線についてでございます。  都市計画道路寿大通線は、国道二百六十九号の札元一丁目交差点を起点に鹿屋市寿地区を南北に縦断し、都市計画道路田崎寿線に至る全体延長二千八十メートルの幹線道路でございます。  これまで、寿一里山交差点付近から寿交番付近までの七百八十メートル区間の整備を終え、現在、寿交番付近から札元一丁目交差点付近までの五百六十メートルの区間について整備を進めております。  昨年度、一定区間の用地買収を終えたことから、寿交番付近から約百八十メートル間の工事に着手したところであり、引き続き、残る用地買収を進め、工事を推進することとしております。  寿一里山交差点から南側の未整備区間につきましては、交通量が多く通学路に指定されているものの、道路幅が狭く歩道がない状況であり、また、豪雨時には冠水による通行止めが発生するなど、整備が必要であることは認識しております。  当該区間につきましては、市街地部で多額の移転補償費などを伴うことから、現在事業中区間の進捗状況を踏まえつつ、都市計画決定された平成七年当時からの社会情勢の変化等を踏まえた計画変更も含め、整備の在り方等について地元と十分協議し、検討してまいりたいと考えております。  続いて、国道五百四号祓川バイパスについてでございます。  国道五百四号は、大隅地域から空港へのアクセス道路として重要な道路であり、これまで百引拡幅や福山拡幅など、計画的に整備を進めてきたところであります。  鹿屋市祓川地区の約一・一キロメートル区間につきましては、歩道が狭く、見通しが悪いカーブが連続することから、昨年度から祓川バイパスとして事業に着手したところでございます。現在、測量設計を進めており、本年度中に用地説明会を開催する予定であり、その後、用地買収に着手することとしております。  当該区間には、通学路交通安全プログラムにおける要対策箇所も含まれており、地元の方々の御協力を頂きながら、早期整備に努めてまいります。  県道鹿屋環状線野里地区の拡幅についてでございます。  県道鹿屋環状線は、鹿屋市街地周辺部を結ぶ延長約二十九キロメートルの生活道路であり、御指摘の国道二百六十九号から県道田渕田崎線間については、延長約二キロメートルのうち、約三百メートルが未改良となっております。  当該区間につきましては、幅員が狭く歩道も設置されていないことから、大型車の離合や歩行者の安全な通行に支障を来しているところであり、現在、事業化の検討を進めているところであります。 100 ◯郷原拓男君 錦江湾横断道路につきまして、知事にお伺いしたいと思います。  本日、議員連盟の主催で昼休み時間を利用しての勉強会も行われました。技術的にも確立し、施工実績も十年間のうちで全国五百件ほどあるということで、施工実績も積み上げられている。また、人流・物流の新たな流れを通じて地域活性化の切り札になると確信いたしております。半島間を結ぶ夢の横断道路実現に向けて、知事の熱い思い、そしてまた来年度、マニフェストへの記載などあるのかどうかということについてお示しいただきたいと思います。 101 ◯知事(塩田康一君)今日の勉強会の中身を私、聞いてはおりませんけれども、錦江湾横断道路、橋なのかトンネルなのか、いろいろ技術的な課題等もまだあるかと思いますし、最近の経済情勢等、様々な検討課題について検討しながら、また機運醸成等を図りながら、しっかりと検討していきたいと考えております。    [郷原拓男君登壇] 102 ◯郷原拓男君 それぞれ御答弁頂きました。  まず、農福連携についてでございますが、毎年、農水省がつくば市で実施する農福連携技術支援者育成研修は、定員をはるかに超える応募があるなど、年々関心が高まっているということでございます。また、当研修は、基準を満たせば自県で開催する研修でも資格取得が可能となっており、本年度は全国十道県で開催されております。これまで本県では開催されていない当研修を通じまして、農福連携の機運醸成も図られるものと思いますので、来年度の農福連携技術支援者育成研修の本県開催についても強く要望いたします。  また、最近では、障害福祉のみならず、高齢者、生活困窮者、ひきこもりにある方など生きづらさを抱えた方たちや触法者にも農福連携の活躍の場が広がっています。農政部とくらし保健福祉部とのさらなる連携の下、ノウフクを全県的に広げていくための取組に御尽力いただきますよう要望いたします。  ノーリフトケアについて御答弁頂きました。  厚生労働省が策定した職場における腰痛予防対策指針において、介護・看護作業では原則として人力による人の抱え上げは行わず、福祉用具の利用が推奨されていますが、介護の現場では、小柄な女性職員が男性入居者を抱え上げてケアしている実態がいまだにある状況です。介護の魅力をさらに向上していく上で、ノーリフトケアなど先進的な取組を行うモデル地域やモデル事業所創出事業の予算化を検討いただきますよう要望いたします。  県介護福祉士修学資金貸付け対象者の拡大について御答弁頂きました。  貸付けの対象者が鹿児島県から通える養成校に限られているため、本県出身の学生は、自費での入学か、他県の修学資金を活用してそのまま他県で就職している状況にあるようです。学業修了後は本県に戻り介護分野で活躍するためにも、介護福祉士修学資金貸付制度を他県の養成校に進学する学生にも適用していただきますよう要望いたします。  地元社会資本整備について御答弁頂きました。  錦江湾横断道路については、本日の昼休み時間を利用しての勉強会も行われまして、技術的にも確立し、施工実績も積み上げられ、また、人流・物流の新たな流れを通じて地域活性化の切り札になると確信いたします。半島を結ぶ夢の横断道路実現に向けて、オール鹿児島で推進していくためにも、本県の機運醸成に向けたさらなる取組を要望いたします。
     今回取り上げました地元三路線につきましては、全て小学生の通学路です。千葉県八街市の児童を巻き込んだ事故も記憶に新しいところですが、子供たちの命を守る観点からも、改良事業の早期整備に取り組まれますよう強く要望いたします。  以上で、通告した全ての質問を終わります。  今回の一般質問に当たっては四項目を取り上げさせていただきました。全て私個人の独りよがりな考えではなくて、この半年間で地域の皆様方から賜った御要望や、共に考えた意見の中から抽出させていただいたものであることを申し添えさせていただき、県においては、今後とも前向きに推進・検討いただきたいと存じます。  議会活動を通じて地域の声を少しでも県政に反映させるべく、負託に信頼で応えられるよう、地元を駆けずり回ることをお誓い申し上げ、質問を閉じさせていただきます。  御清聴誠にありがとうございました。(拍手) 103 ◯副議長(小園しげよし君)これで、本日の日程は終了いたしました。       ───────────── 104    △ 日程報告 ◯副議長(小園しげよし君)明日は、午前十時から本会議を開きます。  日程は、一般質問及び議案の委員会付託などであります。       ───────────── 105    △ 散  会 ◯副議長(小園しげよし君)本日は、これで散会いたします。        午後三時三十三分散会 鹿児島県議会 ↑ ページの先頭へ...