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2023-03-02 令和5年第1回定例会(第5日目) 本文

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  1. 鹿児島県議会 2023-03-02
    2023-03-02 令和5年第1回定例会(第5日目) 本文


    取得元: 鹿児島県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-10
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1  午前十時開議    △ 開  議 ◯議長(田之上耕三君)ただいまから、本日の会議を開きます。  本日の日程は、配付いたしております議事日程のとおりであります。       ━━━━━━━━━━━━━  議 事 日 程  一、開  議  一、一般質問    おさだ 康 秀 君    池 畑 知 行 君    米 丸 まき子 君    宝 来 良 治 君  一、散  会       ━━━━━━━━━━━━━ 2    △ 一般質問 ◯議長(田之上耕三君)一般質問であります。  通告に従って、順次発言を許可いたします。  おさだ康秀君に発言を許可いたします。
       [おさだ康秀君登壇](拍手) 3 ◯おさだ康秀君 おはようございます。  早速、質問に入ります。  今任期、最後の一般質問でございますので、全ての答弁に対しまして、前向きな答弁でありますことを期待いたしまして、質問いたします。  初めに、知事のトップセールスについてでありますが、知事は、御自身のマニフェストに「県民が豊かになる産業振興」を掲げておりまして、基本施策として、「地域経済の基幹産業である農林水産業や観光関連産業、地域経済を牽引する中核企業、中小企業・小規模事業者の「稼ぐ力」を引き出す施策を積極的に講じます。さらに、高い技術力を有する製造業や情報産業、ヘルスケア産業などの新たな産業の振興、起業支援を行うことにより、持続可能な産業振興を通じて、地域格差の是正と県民所得の向上を図り、県民の皆さんの暮らしと雇用を守ってまいります」とのことでありますが、知事自身が県外・国外でトップセールスをされて、「稼ぐ力」を引き出すことが極めて大切であると考えますので、以下お伺いいたします。  初めに、農林水産業におけるトップセールスですが、知事もマニフェストで、「知事は鹿児島県の営業マンをキャッチフレーズに、国内外へ向けたトップセールスを積極的に行い、農林水産物・加工品の販路開拓と全国トップクラスの海外輸出額を目指し、「稼ぐ力」の向上に取り組みます」とのことですが、就任されましてこれまでの間、どのようなトップセールスを行い、どういう方々に、どれぐらいの効果があったのか、まずお答えください。  また、今後のトップセールスですが、国内外のどの地域に対しまして、何のセールスに力を入れて、「稼ぐ力」の向上を図られていくのか、お答えください。  次に、観光産業におけるトップセールスですが、これまでの「どんどん鹿児島」から、新たな本県のキャッチコピーと併せまして、本県のすばらしさを国内外で積極的にPRを図ることが極めて大切であると考えます。  そこで伺います。  知事は、本県の観光PRについてのトップセールスで、国内・国外へどのような形でセールスを展開されていくのか、お答えください。  また、今年十月に鹿児島国体と全国障害者スポーツ大会も開催されることを考えますと、スポーツ大会等の誘致など積極的にセールスしていただきたいと考えますが、お答えください。  加えて、国外に対しましては、韓国からのチャーター便が一月十二日から四月一日までの日程で運航される予定でありますが、今後は、これまで本県に就航していた韓国、中国、台湾、香港からの直行路線定期便の早期再開へのトップセールスと加えて、観光面でのPRや、コロナ禍前には就航が予定されておりましたベトナム路線の早期開設を図るべきであると考えますが、お答えください。  次に、企業誘致等におけるトップセールスについてですが、先ほども申し上げましたけれども、マニフェストでも「スタートアップ支援による新たな産業の創出やヘルスケア産業、IT関連産業など若者が働く場としての新たな産業の育成を図り、新たな産業による「稼ぐ力」の創出を図ります」と掲げているわけです。  そこで伺いますが、知事が就任されてから、コロナ感染症拡大によって、簡単に企業を誘致するということは難しいです。しかし、そういう状況の中でどれぐらいの企業を誘致されたのか、お答えください。  そして隣県の熊本県では、半導体の受託生産で世界最大大手の台湾のTSMCを誘致されまして、いわゆる産学官における強化や、雇用面における若者等の雇用促進を図られているわけですね。  そういう中で、鹿児島県のリーダーであります塩田知事が、本県の営業マンとして、ヘルスケア産業、IT関連産業をはじめ積極的に企業誘致を図ることが、若い方々が働く場所を提供して、その中で企業の「稼ぐ力」を向上していくと。その中でどういうような営業セールスで誘致戦略を考えているのか、お答えください。  以上、一回目の質問といたします。    [知事塩田康一君登壇] 4 ◯知事(塩田康一君)まず、トップセールスについての質問でございますが、知事就任以来、コロナ禍で現地に出向いてのセールスが困難な状況にある中、昨年度までの二年間においては、私自身が出演した動画による本県本格焼酎の海外でのPRなどオンラインも活用して、合わせて十二回のトップセールスを実施してきました。  今年度に入ってからは、コロナの状況も踏まえながら、農林水産物や加工品など、県産品の販路拡大や観光客誘致を図るため、積極的に現地に出向いて、これまでに合計二十回のトップセールスを実施しております。  具体的には、海外では、昨年十月にフランスにおいて、私自ら大島紬を着用して、現地バイヤーや観光関係者、現地大手酒類卸店等に対して、鹿児島和牛や本格焼酎、伝統的工芸品等の県産品、そして本県観光の魅力等のセールスを行いました。また、本年一月には台湾を訪問し、現地航空会社や旅行会社に対し、定期便の早期再開や本県への送客を要望したところであります。  国内では、本年一月に、県経済連や県漁連等の関係団体と連携して、かごしまセールスプロモーションを開催し、バイヤーやシェフ等に対しセールスを行いました。同プロモーションにおいては、私自ら本県の豊かな農林水産物をはじめとする県産品や観光の魅力についてお伝えいたしました。  このほか、ホテル関係者や有名レストランシェフ、高級果物店や量販店の責任者等に対して、鹿児島黒牛をはじめとする県産品等のPRを行うとともに、ホテルのレストランや量販店においては、一般消費者の方々に対しても、鹿児島県知事のはっぴを着用して特産品の紹介や売り込みを行ったところであります。  また、先月は、JR九州と県産品の販路拡大に関する連携協定を締結し、初ガツオを中心とした旬の魚二百箱を新幹線で博多まで輸送し、メディア等に対してPRを行いました。  トップセールスに当たっては、県産品や観光等について、その特徴や背景、他の類似産品等との違いや優位性等を数値等を用いて客観的に分かりやすく伝えることに重点を置き、効果的なトップセールスとなるよう心がけており、その結果、海外大手酒販店との新たな関係構築が図られたほか、首都圏の最高級ホテルから新たなフェアの開催の提案を頂くなどの成果があったところであります。  今後、海外については、まずは台湾や上海などの東アジア地域を、国内については、首都圏等大都市圏を中心に県産品の販路拡大や観光客誘致に向けた戦略的なトップセールスを積極的に行い、「稼ぐ力」の向上を図ってまいりたいと考えております。  次に、企業誘致におけるトップセールスについてでございます。  企業誘致のトップセールスにおいては、私自ら、本県への進出に関心がある企業等に対し、アジアに近い地理的優位性や国内外を結ぶ充実した交通インフラ、電子関連の産業集積等の立地環境に加え、豊かな自然、食、歴史や通勤時間の短さ、家賃の安さなど、大都市にはない暮らしやすい生活環境といった本県の特性や魅力を丁寧に分かりやすく伝えることとしております。  今年度は、昨年十一月に、大阪において企業立地懇話会を主催し、私から、関西地区等に本社を置く約七十社の皆様に対して、人材確保の支援策や産学官によるサポート体制、進出後のきめ細かなアフターフォローなども含めPRするとともに、交流会では様々な企業と意見交換を行ったところであります。参加企業の中には、その後、工業団地の視察をするなど本県への進出に興味を示した企業もございました。  また、県外事務所には、民間企業経験者の産業立地推進員を配置し、本県に進出する可能性がありそうな企業を訪問するなど、企業の動きやニーズの把握に努めており、効果的なトップセールスにつなげてまいりたいと考えております。  今後とも、トップセールスや私個人の人的ネットワーク等も活用しながら、本県の特性や魅力を広く、丁寧にPRするなど、積極的な誘致活動を展開し、「稼ぐ力」の向上を図ってまいりたいと考えております。 5 ◯観光・文化スポーツ部長(悦田克己君)観光産業等におけるセールスについてのうち、まず、スポーツ大会等の誘致についてでございます。  今年度は、本県初となります卓球のTリーグの公式戦や日本最高峰の自転車ロードレースJプロツアー等が開催されたほか、現在、九州地区で春季キャンプを行うチーム等によります、カテゴリーの枠を超えた野球の交流戦である薩摩おいどんカップが開催されているところでございます。  スポーツ合宿や大会は、宿泊等を通じ、一定の経済効果をもたらすとともに、本県のPRや競技力の向上にもつながりますことから、今後とも、関係競技団体等とも連携を図りながら誘致に努めてまいります。  次に、海外における観光PRについてでございます。  県では、昨年十月の水際措置の大幅緩和以降、韓国、台湾、香港での職員による現地セールスを再開いたしましたほか、本年一月には知事が台湾を、先月には副知事が韓国をそれぞれ訪問し、旅行会社に対し、本県への送客をお願いしてきました。  また、ベトナムやタイ、シンガポールなど、その他の国や地域に対しましても、現地の旅行博への参加やSNSを活用した情報発信などにより、本県の認知度向上にも取り組んでいるところでございます。  県といたしましては、鹿児島空港国際線定期便就航再開を見据え、引き続き、職員による現地セールスを強化いたしますとともに、チャーター便を活用した旅行商品造成の支援や、国内航空会社等と連携したプロモーションの実施など、効果的なインバウンド対策に取り組むことといたしております。  なお、ベトナム路線につきましては、航空会社から、鹿児島空港を含めた地方空港への就航検討に当たり、まずは日本の航空需要の回復状況を注視していると伺っており、県といたしましては、航空会社に対する継続的な働きかけを行ってまいりたいと考えております。 6 ◯商工労働水産部長(平林孝之君)知事就任後の企業誘致の件数についてでございます。  知事の就任からこれまでの新設及び増設を含む企業立地件数については、令和二年度は電子関連五件、情報関連二件を含む二十五件、令和三年度は電子関連九件、情報関連七件を含む四十五件、今年度はこれまでに電子関連十三件、情報関連八件を含む三十八件となっております。 7 ◯おさだ康秀君 自席から知事に再質問させていただきますが、先ほど申し上げましたけど、「本県の営業マン」だということでマニフェストに出されていますが、この営業をされていく上で相手と交渉されると、または相手にお願いされるわけですが、つまり、塩田知事が考える営業について、何が大切であると考えているのか、お答えいただけませんか。 8 ◯知事(塩田康一君)先方の求めているものがどういうものなのかということ、ニーズをよくお聞きするということと、それに合うような鹿児島の特性というものをしっかりと相手にPRするということだと考えております。 9 ◯おさだ康秀君 そういう中で、今、知事から答弁頂きましたが、トップセールスというのが確かにコロナでなかなか厳しいと。しかし、宮崎県や熊本県は非常に取組をされているということで、そういう中で一月二十四日の南日本新聞の一面に、本県の食品製造業は九州二位の出荷額を誇るが、付加価値を生み出す収益率、いわゆる「稼ぐ力」は全国最下位だと。そういう記事に私は驚き、ショックを受けました。  そこで伺いますが、知事はこの調査結果について、まずどのように受け止めているのか。  また、トップセールスをされて、そのセールスが「稼ぐ力」の向上に反映されなければ、これは真のセールスとは言えません。つまり、トップセールスから「稼ぐ力」の向上に来年度どのようにつなげていくのか、お答えいただけませんか。 10 ◯知事(塩田康一君)本県の農業生産額が全国二位である中で、所得率が低いということは以前から指摘されております。鹿児島では大変いいものが作られているものの、市場の価格になかなか反映されないという課題が以前からあると考えております。  一つには、付加価値を高めるための加工品等の比率を上げて、原材料としての供給だけではない付加価値の高い最後のところまで仕上げていくということが、まず一つ重要になってくると思っております。  また、それからあとは認知度を向上させるとかブランドの確立に努めていくということで、今取り組んでいる高級な果物店であったり、そういった一流のレストランへの流通という部分での改革といったことが今後必要になってくると思っておりますので、そういった流通、新たな販路開拓ということにしっかりと努めていきたいと考えております。    [おさだ康秀君登壇] 11 ◯おさだ康秀君 トップセールスについてそれぞれ御答弁頂いたわけですが、コロナ禍で思うようなトップセールスができない、これは分かります。そして、オンラインのセールスとかなかなか難しいと思うんですが、ただ、鹿児島県の営業マンと言われているわけですから、これがですね、農林水産業や観光面、そして企業誘致を推進していくと。  私は塩田カラーとは何なのかと考えたときに、やはり塩田知事は経済産業省の出身ですから、産業振興や企業誘致、あるいはスタートアップ支援の新しい形の枠組み、デジタルに対する推進、つまりそういったことを県民は望んでいるし、期待しているわけですよ。ですから塩田カラーは、そういった「稼ぐ力」という前に、自分の出身母体である、経済産業省出身という、そういったところをもう少ししっかりと進めていただきたいということと、進めていくことで県の職員の方々も、そういう知事の後ろ姿についていこうと、そして鹿児島県の職員の方々が鹿児島県を営業していこうということにつながる思いますし。あわせて、民間の力が足りない。民間の方々をどう活用していくか。企業誘致は特にそうですね。民間の方々にしっかりとしたお願いをして、それが業務に連携ですから。大阪等でそういう企業班がありますけれども、やはり民間の方々ともっと力を入れて連携していただきたいということと。  それと観光面でも、来年度どうするかということです、観光・文化スポーツ部長。今年度は上がりましたから、来年度、国体がありますから、どういうふうにして誘致戦略するか、そういったことをしっかりと考えていただきたいということでございます。  ただ、企業誘致に関しましては、それなりにですね、商工労働水産部長から答弁ありましたから、私が思っている以上の数字でございまして、評価できますけれども、さらに企業誘致を戦略的に進めていく、その戦略的な計画をつくっていただきたいということを御要望いたします。  あくまで私の価値観ですけれども、営業マンというのは、明るさ、謙虚さ、誠実さ、それと誰にも負けない情熱と行動力なんですよ。コロナ禍をチャンスと捉えまして、知事には明るく情熱を持って、様々な本県の営業をしていただきたいということを強く要望いたしますし、また知事だけでは広がりが薄いですから、これは県議会も営業マンとして、我々もしっかりと協力をしていきたいということを併せて申し上げます。  次の質問でございます。  新総合体育館の整備ですが、これはもう一般質問で何度も今まで質問いたしました。端的にお伺いいたします。  新総合体育館の整備について、ドルフィンポート跡地に進めてまいりたいということですが、鹿児島市が進めておりますサッカー等スタジアムの整備について、ドルフィンポート跡地及び住吉町十五番街区への整備について賛成であるのか否か、知事の考え方について端的にお答えください。  次に、放課後等デイサービスですが、これは二〇一二年四月に定められました児童福祉法の中の事業でありまして、障害のある児童を対象に、六歳から十八歳の就学児童生徒が、学校の授業終了後や長期休暇中などに通う施設であります。  また、学校外で集団生活を行う機会や居場所をつくり、障害のある子供たちを持つ家庭を支えるために創設され、すなわち障害児の学童保育とも表現されております。  このサービスがスタートして今年で十年なんですね。全国で一万八千の事業所がある中で、利用者も近年増えています。  そこで伺います。基本的な認識です。  本県における放課後等デイサービスの事業所数及び利用者数について、この十年間でどういう状況であるのか、お答えください。  また、今後の利用者数の推移についてお答えください。  そして、増加している理由の一つとして、発達障害が疑われる子供たちが近年増え続けていると。そういう中で、保育所、幼稚園、認定こども園あるいは小学校、中学校、それぞれの割合と人数についてお答えください。  次に、サービス管理責任者及び児童発達支援管理責任者等の研修についてです。  申し上げましたように、利用者が増加していく、その中でしっかりとした対応をしていただくためには、これは児童への個別支援計画の作成が大事です。また、職員への指導を行うために、サービス管理責任者をはじめとする児童発達支援管理責任者、それと併せて相談支援従事者の確保、さらには人材育成における研修が極めて大切であると考えます。  そこで伺います。  現在、本県には、サービス管理責任者及び児童発達支援管理責任者並びに相談支援専門員の数について、どれぐらいいるのか、お答えください。  そして、それぞれの研修ですが、どれぐらいの方々が参加されて、どのような研修をされているのか、お答えください。  次に、放課後等デイサービスの質の向上ですが、障害がある子供たちが増えることに比例して、異を唱えることはありませんけれども、しかしながら、要するにそれぞれの年代、例えば六歳から八歳、九歳から十歳、そして十一歳から十二歳、そして中学生、高校生に対しまして、しっかりとした支援をされている施設もあれば、そうでもないというような声が職員あるいは保護者の方々からあります。  そこで伺いますが、この放課後等デイサービスのガイドラインが示されております。そのガイドラインに沿った形で、事業所向けの自己評価表を県のホームページに掲載されておりますが、どのようにして各事業所へ啓発されているのか、お答えください。  また、ホームページだけでなく、これは直接各事業所へ啓発をすることが大切であると考えますが、お答えください。  さらに、サービス管理責任者等の管理者だけでなく、これは全体的にそもそも職員のレベルアップを図らなければいけないと考えます。ゆえに研修会や講演会等を開催されることが必要であると考えますが、取組についてお答えください。  次に、重症心身障害児の通所利用ですけれども、放課後等デイサービスは、先ほど申し上げましたが、全国に一万八千か所あると。しかしながら、この重症心身障害児の通所可能な放課後等デイサービスは全国に約四百事業所しかないんです。  確かに、看護師の配置において医療的な技術が求められていることなど、ほかのスタッフにも、医療的ケアに取り組む必要があるために、専門的な人員を確保しなければ事業所を開くことができません。  しかしながら、国は事業所を増やす計画をしておりまして、また、県議会としても、医療的ケア児やケア者への支援について政策提言を行っているわけですよ。  そこで伺いますが、県内に重症心身障害児が通所利用できる放課後等デイサービスは何か所ぐらいあるのか、お答えください。  また、重症心身障害児が通所利用できる放課後等デイサービスの整備について、県としても積極的に進めていただきたいと考えますが、見解をお答えください。  次に、保育所・幼稚園・教育機関との連携なんですけれども、放課後等デイサービスは、名前のとおり、学校後の放課後にサービスを行うと。それぞれの子供に対しましてきめ細かな支援を行う中で、保育所、幼稚園、小学校、中学校、そして特別支援学校等と情報共有を図り、密な連携を図ることが極めて大切であると考えますが、そもそもどのような取組をされているのか、そしてどのような連携を図られているのか、お答えください。  次に、不登校児童生徒の受皿としての利用ですけれども、昨年の三月議会の一般質問で、不登校児童生徒の受皿としてフリースクールへの財政支援について質問いたしました。  その際の教育長の答弁は、「フリースクールへの財政支援については、国は、公の支配に属さない教育の事業に対する公金の支出を禁じている憲法との関係などから、慎重に考えていく必要があるとしており、県教委としては、こうした考え方も踏まえる必要があると考えております」。つまり、財政支援は難しいということと私は解釈しました。しかし、多くの不登校生徒がいることを考えますと、この受皿づくりは極めて大切であると考えます。  そういう中、保護者の方々と意見交換をする中で、鹿児島市の場合でございますが、学校が認めていただけたら、放課後等デイサービスの利用をすることも可能であるとのことでした。  そこで伺います。  不登校生徒の受皿として、くらし保健福祉部と教育委員会とで、放課後等デイサービスの利用を認めていただけるように協議をしていただきたいと考えますが、見解をお答えください。  以上、二回目の質問といたします。    [知事塩田康一君登壇] 12 ◯知事(塩田康一君)ドルフィンポート跡地及び住吉町十五番街区におけるサッカー等スタジアムの整備についてでございます。  鹿児島港本港区エリア一帯の利活用については、スポーツ・コンベンションセンターの基本構想や港湾としての機能を踏まえつつ、県全体に経済効果を波及させていくという視点を念頭に置いて、同エリアをめぐる様々な御意見をお聞きしながら、グランドデザインの開発コンセプトに基づき、同エリアの利活用の全体像について検討していただいているところであります。  この中で、サッカー等スタジアムについては、検討要素の一つとして議論が進められており、これまで開催した検討委員会において、市が公表した同スタジアムに係る中間報告の内容について説明がなされました。  市が公表した同スタジアムに係る最終報告によりますと、ピッチ・スタンドの年間を通した日数単位稼働率が四二・二%であり、年間の半分にも満たない稼働状態であることを踏まえると、年間三百六十五日にぎわう拠点を形成することを開発コンセプトとしたグランドデザインとの整合性をどのように図るかといった課題があると考えております。  ドルフィンポート跡地における整備については、検討委員会において、委員から、ウォーターフロントパークは保全すべきだとの御意見や、景観への配慮等に関する御意見を頂いたことに加え、代替緑地の確保、臨港道路の付け替え、港湾計画の変更等の多くの課題があり、厳しい状況にあると考えております。  住吉町十五番街区における整備については、令和元年六月の定例会において、「鹿児島市から協議があれば、サッカー等スタジアムの候補地として前向きに検討することも可能ではないか」との県の考え方を示したところであります。  市の最終報告によると、桟橋構造による敷地の拡張が計画されており、その場合、港湾計画の変更等の課題があると考えております。また、同地においては、鹿児島商工会議所からMICE施設や観光施設等を整備するとの提言が示されております。  以上のように多くの課題等がございますが、サッカー等スタジアムについては、現在の検討委員会において、検討要素の一つとして検討がなされており、今後も引き続き議論が進められ、同エリアの利活用の全体像が取りまとめられるものと考えております。 13 ◯くらし保健福祉部長(房村正博君)放課後等デイサービスの利用状況等についてでございます。  放課後等デイサービスの事業所数については、令和四年四月一日現在、四百四十八か所となっており、平成二十四年と比較して約十九倍、また、令和三年度の一月当たりの利用者数の実績は六千百十人となっており、平成二十四年度と比較して約五倍と、この十年間で大幅に増えております。  今後の利用者数については、現行の県障害福祉計画において、令和五年度に六千三百人と見込んでおります。  従来は発達障害として認識されていなかった子供たちが、近年の発達障害に対する認知が社会的に広がっていること等により、利用者は今後さらに増えるものと考えております。  保育所、幼稚園、認定こども園、小・中学校における発達障害児の割合についてでございます。
     発達障害が疑われる子供の割合と人数については、正確に把握できていないところでございます。  なお、本県及び文部科学省が実施いたしました実態調査結果で示されている、発達障害が疑われる子供の割合に基づいて、令和四年度の園児、児童生徒の在籍数から推計いたしますと、保育園児が約千百人、幼稚園児が約四百人、認定こども園の園児が約千三百人、小学生が約六千二百人、中学生が約千六百人の合計約一万六百人となります。  続きまして、サービス管理責任者児童発達支援管理責任者等への研修についてでございます。  障害福祉サービス事業所等において障害児・者の個別支援計画の作成などの業務を行う、児童発達支援管理責任者及びサービス管理責任者の資格取得のための研修修了者数については、令和三年度末でそれぞれ、千八百六十九人、五千二十二人となっております。  また、相談支援事業所においてサービス利用計画の作成などの業務を行う、相談支援専門員の資格取得のための研修修了者数は、二千三人となっております。  これらの研修においては、講義と演習を行っており、令和四年度の受講定員はそれぞれ、二百七十名、二百九十四名、百二十名となっております。  研修の実施方法については、これまで、会場において集合・対面式で実施しておりましたが、令和四年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止等も考慮し、講義についてはオンデマンド配信、演習についてはウェブ会議システムも活用したところであります。  放課後等デイサービスの質の向上についてでございます。  国が平成二十七年度に示したガイドラインに基づく自己評価表については、県ホームページによる周知のほか、事業所の集団指導において、ガイドラインの内容や自己評価等の実施及び公表について、周知徹底を図るとともに、事業所の管理責任者を対象とした研修において、自己評価等の必要性や方法について、理解の促進を図っているところであります。  また、事業所に対して定期的に実施しております実地指導において、自己評価等の実施及び公表状況について、確認・指導を行っております。  令和五年二月十五日時点では、四百五十の事業所のうち、四百四十九か所の事業所が自己評価等の公表を行っております。  放課後等デイサービス等の職員のレベルアップについては、令和元年度から、発達障害関係者スキルアップ研修を実施しており、これまでに県内九か所で開催したところであります。  研修においては、発達障害児等の支援の尺度となるアセスメントについての講義や演習を行っております。  県といたしましては、今後とも、事業所に対し、ガイドライン及び自己評価等の実施・公表について周知徹底を図るとともに、職員のスキルアップ研修等を通じて、放課後等デイサービスの質の向上に努めてまいりたいと考えております。  重症心身障害児が通所可能な放課後等デイサービスについてでございます。  令和四年四月一日現在、重症心身障害児が通所可能な放課後等デイサービス事業所は、県内に十五か所あり、定員は百十二人となっております。  県においては、重症心身障害児が身近な地域にある放課後等デイサービスを利用できるよう、これまでも市町村と連携して、ニーズの把握や事業所の開設に向けた相談対応や助言等を行っているところでございまして、今後とも必要な支援に努めてまいりたいと考えております。  保育所・幼稚園・教育機関との連携についてでございます。  放課後等デイサービスについては、国が平成二十七年度に示したガイドラインにおいて、障害児にきめ細やかな支援を行う上で、保育所・幼稚園、学校などの教育機関と情報共有や連携を積極的に図ることが求められております。  本県においても、事業者が、就学前に利用していた保育所や幼稚園、児童発達支援事業所等と連携し、切れ目なく障害児を支援するために必要となる情報について共有を図り、理解を深めることや、学校との間で、年間行事等について情報共有を図るほか、事業所による学校行事への参加、定期的な連絡会議の開催等、学校関係者と連携する機会を設けることなどの取組が行われているところであります。  続きまして、不登校児童生徒の利用促進についてでございます。  放課後等デイサービスは、障害児を支援するためのサービスであり、不登校児童生徒に発達障害や精神症状等があり、放課後等デイサービスによる支援が適当と市町村が認めた場合、利用が可能となります。  しかし、放課後等デイサービスは、一般的に授業終了後にサービス提供が行われているため、授業時間中に利用できる事業所が限られているという状況もございます。  不登校となっている児童生徒への支援の在り方については、県教育委員会と情報共有をするとともに、関係機関も含めた意見交換会に参加するなど、連携を図っているところであります。  県としては、障害福祉サービスの利用決定主体である市町村などとも連携し、障害のある不登校児童生徒の支援につながるよう、受入れに取り組んでいる事例や活用可能な児童発達支援サービスの情報提供や助言等を行ってまいりたいと考えております。 14 ◯おさだ康秀君 一点だけ、知事に再質問させていただきますが、サッカー等スタジアムについて私は端的に聞きましたが丁寧な御答弁を頂きました。  ただ、鹿児島市の下鶴市長と塩田知事は、多くの県民の方々に会う機会が多いですから、同じラ・サール、東大の出身でやっぱり先輩後輩じゃないですかと、協議をされたり意見交換をされているんですか、と言われるんですよね。私は、いや、されていますよと言うんですよ。しかし、それは形上じゃないかという声が多くて、実際に、知事、これは検討委員会じゃないんですよ、市長と知事とでしっかりとまちづくりの方向性、そういった話を今後もされていくと思うんですけど、しっかりとした協議、意見交換をしていただきたいと考えますが、御答弁頂けませんか。 15 ◯知事(塩田康一君)下鶴市長とは月に一回、昼食を取りながら意見交換をしっかりとしていると考えておりまして、このサッカー等スタジアムの課題についても状況等の意見交換はしております。また今後とも引き続き、しっかりと意見交換をしてまいりたいと考えます。    [おさだ康秀君登壇] 16 ◯おさだ康秀君 時間がございませんから、サッカー等スタジアムについてのコメントや要望は控えますが、放課後等デイサービスですね、発達障害児と疑われる方々が増えていると、それに対する対応をしっかりとしていかなきゃいけないと思っています。  その中で、放課後等デイサービスが中核であって、大事なことは、施設が増え続けることで、利用される障害児や保護者の方々からすればありがたいんですけど、極めて大切なことは、利用される方々の一人一人の障害に合わせた支援をされること、このことを県は市町村にしっかりと伝えていただいて、県と市町とも連携していただきたいということと、そのためにはサービス管理責任者等々のレベルアップを図る、これは極めて大事ですね。  なぜならば、二〇二二年十月に厚生労働省が、障害児通所支援の在り方に関する検討会で、放課後等デイサービスに関する今後の方向性を議論されています。つまり、総合支援型と特定プログラム特化型に再編される予定です。  そうなると、具体的には、今までどおりの自立支援や創作活動等における様々な活動を通じて発達支援を行う総合支援型と、理学療法士や作業療法士がこれまで以上に福祉的、医療的に専門性が高い、いわゆる特定プログラム特化型に区別されるわけですね。つまり、今申し上げました、要件を満たさない事業所は公費の対象外になり得るわけですよ。  今後の国の議論を注視しながらも、またしっかりとそのことも各事業所に伝えていただきたいということと、あと、重心放課後等デイサービスはまだまだ必要です。正直まだ少ない。ぜひともそのことも研究しながら、市町村とも連携していただきたいと考えております。  次の質問です。  不登校児童生徒の支援についてですが、昨年十月の文科省の令和三年度児童生徒の問題行動・不登校調査結果によると、不登校児童生徒が二十四万四千九百九十人、令和二年度より四万八千八百十三人増えています。また、小・中・高校で認知されましたいじめの件数が六十一万五千三百五十一件で、不登校児童といじめ件数は過去最多です。  本県では、不登校児童生徒が三千六百八十八人で、令和二年度より六百九十九人増えています。また、いじめの認知件数は一万二百五十二件で、千八十一件増えている現状です。  不登校の理由としては、無気力、不安が最多の四九・七%、生活のリズムの乱れが一一・七%、いじめを除く友人関係が九・七%であります。  そこで、知事に伺います。  全国的に不登校児童生徒及びいじめの件数が増加する中で、本県でも、不登校児童生徒が最多となる三千六百八十八人、いじめの認知件数が一万件を超えているわけですね。この現状をどう受け止めているのか。そして、知事部局としても、教育委員会と連携して対策を図るべきであると考えますが、お答えください。  次に、それぞれの不登校児童生徒における支援の在り方ですが、そもそも文科省は不登校について、年度間に連続又は断続して三十日以上欠席した児童生徒のうち何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくともできない状況にある者とされております。  しかし、不登校児童支援をされているフリースクールの代表の方々と、あるいは不登校児童生徒のお母さん方と意見交換をしますと、不登校まではいかないんだけど、不登校ぎみの児童生徒も増えつつあるとの声があります。  そこで伺います。  本県の不登校児童生徒は、小学校で八百三十三人、中学校で二千百五十三人、高校で七百二人でありますが、その中で、この不登校児童生徒の方々は全く学校に通うことができないのか、あるいは、通えたり通えなかったりするのか、実際にどういう状況であるのか、お答えください。  そして、今申し上げたことをそれぞれ小・中・高校で把握されて、その中で対策を講じていくことが求められていると強く考えますが、お答えください。  加えて、その対策として、昨年の三月議会の一般質問で申し上げましたが、校内フリースクールの整備です。先ほど申し上げましたように、不登校ではないんだけど、何とか学校に登校ができる児童、または現在は不登校ですけど、校内フリースクールが整備されたら、校内フリースクールと教室との併用的な形での登校ができる児童生徒がいるわけですから、ぜひこの校内フリースクールの整備について、特に小・中学校の整備を進めていただきたいと考えますが、お答えください。  次に、不登校児童生徒のための山村留学です。これまでも、平成二十七年第四回定例会、平成三十年第四回定例会で山村留学について質問してまいりましたが、平成三十年に質問したときの東條教育長は、「県内の公立小・中学校が山村留学で受け入れた児童生徒数は、平成二十八年度が百三十七人、平成二十九年度が百六十人、平成三十年度が百八十六人となっております。県教委においては、山村留学を導入している市町村の取組内容や次年度の募集に関する情報などを取りまとめ、県のホームページ等で紹介しております。また、市町村が新たに山村留学を開始する際の手続や山村留学の運営に対して助言を行うなど、市町村の要請に応じて支援を行っているところであります。今後とも、山村留学の充実に向けて、市町村教育委員会と連携して対応してまいりたいと考えております」と答弁しております。  そこで伺います。  この数年間で山村留学を受入れている市町村数と受入れ児童数について、また、子供たちはどういう理由で留学されているのか、さらに、どれぐらいの期間、留学されているのか、お答えください。  加えて、昨年十一月の中旬に三島村に行政視察させていただきました。三島村では、しおかぜ留学という制度において、小学校四年生から中学三年生までの不登校児童生徒の受入れを積極的に取り組んでいるとのことでありました。三島村で留学された子供たちは、全員が島での生活になじんで元気な姿になるとのことでした。  私も行政視察を通じて、三島村は島全体の子供の数が少ないために、地元であろうがなかろうが、一人一人の子供たちに対して島全体で育てていくという気持ちが伝わってまいりました。  ぜひ、しおかぜ留学で不登校児童生徒の受入れを積極的にされている三島村への支援をお願いさせていただきたいと同時に、県内の不登校児童生徒が山村留学に参加できるための受皿づくりを県と市町村とで連携していただきたいと考えますが、お答えください。  次に、不登校特例校の設置です。昨年の三月議会の一般質問で質問いたしましたが、実際にフリースクールを運営されている方々や、不登校児童生徒のお母さん方から、この不登校特例校について教えていただきました。  私自身、一緒にフリースクールの関係者の方々や不登校児童生徒のお母さん方と意見交換させていただく中で、様々な御要望を頂くわけですよ。要望として切に切にお願いされるのが、特例校の設置なんですね。これは現在、全国に二十一校設置されていますが、全体の不登校児童生徒数から比較しても正直に少ないわけですよ。一日も早い設置が求められると考えますが、見解をお答えください。  次に、民間フリースクールへの支援ですが、不登校児童生徒のお母さん方は、我が子がひきこもり状態にならないようにと、不登校児童生徒の受皿としてのフリースクールに通わせたいけど、授業料が高いと、正直、通わすことができないのが実情なんですね。しかし、フリースクール側としても、家賃や光熱費あるいは講師に支払うための報酬等があるために、ある程度の授業料を頂かなければならない実情もあります。  そういう中で、西谷山地域に、不登校児童生徒のお母さん方で、フリースクールハリネズミの楽校という学校を立ち上げまして、現在、お母さん方を中心に運営されています。  場所についても、モデルハウスをお母さん方が自ら交渉して無償で貸していただきまして、週に二回から三回程度、午後のみ運営しています。無償で貸していただいているために授業料もありません。無償で参加ができるために、私もサポーターとして時折参加をさせていただいていますが、子供たちやお母さん方が本当に安心して参加しています。  しかし、参加される人数が増えてきていまして、定員オーバーになる状況になるとのことで、昨年、鹿児島市内にあります医療機関の方々が、不登校児童生徒の支援をされたいと私に話がありまして、その場所も無償で貸していただくことができまして、ハリネズミの楽校のお母さん方が四月から開校される予定であります。  つまり、民間の方々のボランティアによる不登校児童生徒の支援が広がる中で、正直、行政としての支援はほとんどないわけですよ。  そこで伺います。  県内のフリースクール等への支援をしていただきたいと考えますが、お答えください。  最後の質問です。夜間中学の設置です。  令和四年第四回定例会における我が会派の代表質問に対しまして、教育長は、「委員会には、今年度中に検討結果を取りまとめていただきたいと考えており、県教委としては、これを踏まえて、具体的な夜間中学の役割や設置形態等を含め、本県における教育機会確保施策について検討を進めてまいりたい」との答弁をされましたが、その後、検討委員会で、教育委員会において取り組むことが考えられる教育機会の確保等に係る具体的な施策の内容について整理することや、夜間中学に係る設置主体別の利点、設置場所の考えを整理する必要があること等の理由によって、今年度の中間取りまとめを行い、次年度も引き続き検討を行うこととされました。  私は思うんです。検討委員においてさらに具体的な検討を行うに当たりまして、この検討委員の皆さんに夜間中学の現場を視察していただきたい。特に他県では、学齢生徒の受入れやオンラインを活用した取組等を行う夜間中学も出てきていますから。  そこで伺いますが、今後の検討スケジュールについてお示しください。  以上、三回目の質問といたします。    [知事塩田康一君登壇] 17 ◯知事(塩田康一君)不登校やいじめの増加に対する認識と対策についてでございます。  近年、県内の不登校児童生徒数及びいじめの認知件数は、ともに増加傾向にあります。  文部科学省においては、不登校については、その期間が休養や自分を見詰め直す等の積極的な意味を持つことがある一方で、学業の遅れや社会的自立へのリスク等につながり、また、いじめについては、児童等の心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を与えるのみならず、その生命または身体に重大な危険を生じさせるおそれがあるとされており、私としても、不登校及びいじめの認知件数が増加傾向にある現状を踏まえると、解決に向けて尽力しなければならない重要な課題であると考えております。  こうした不登校やいじめの課題については、本人、家庭、学校に関わる様々な要因が複雑に絡み合っている場合が多いことから、教育の観点のみで捉えて対応するのではなく、医療、福祉、警察等の関係機関や専門家が緊密に連携を図りながら取り組むことが必要であります。  例えば、不登校については、その背景に発達障害等がある場合は、県こども総合療育センターなどの相談支援機関や医療機関へ、虐待や貧困、保護者の病気などがある場合は児童相談所や福祉事務所へつないで対応していくことが必要となります。また、いじめについては、金品の被害が生じるなど犯罪に該当する場合は警察へ、被害児童生徒の心のケアが必要な場合は臨床心理士など心理の専門家へつないで対応していくことが必要となります。  このため、県においては、教育委員会と連携して、学校関係者のみならず、こうした関係機関や専門家と定期的に協議の場等を設けて、不登校やいじめについての課題やそれに対する各関係機関等の支援方策について情報共有するとともに、連絡体制を構築し、関係機関等が協力して対策に取り組んでいるところであります。  引き続き、教育委員会と連携し、関係機関等の協力も得て、不登校やいじめに係る諸課題の解決に向けて、緊密に連携を図りながら、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 18 ◯教育長(東條広光君)まず、不登校児童生徒の状況等についてであります。  不登校については、何らかの要因により登校しない、あるいはしたくともできない状況にあるため年間三十日以上欠席した者のうち、病気等の理由による者を除いたものと定義されておりまして、令和三年度の県内公立学校の不登校児童生徒は三千六百八十八人でございました。そのうち、九十日以上欠席している者は千八百九十二人となっております。またそのうち特に、出席日数が十日以下の者は三百四十八人で、このほか、登校はできるものの、教室には入れない不登校傾向の児童生徒もおります。  各学校においては、登校しても教室に入れない児童生徒のため、校内の別室等において学習支援等を行っております。また、登校することが困難な児童生徒に対しましては、個別の学習課題等を提供するほか、教育支援センターやフリースクール等と連携の上、必要な学習機会を提供しております。  次に、校内フリースクールの整備についてであります。  お尋ねの校内フリースクールについては、校内の別室等における学習支援等の一つだと認識しておりますが、県内でも、登校しても教室に入れない児童生徒が在籍するほとんどの学校において、別室を設け、教員や教頭、加配教員等による学習支援等が行われております。  また、別室の設置に当たっては、児童生徒の意見や要望等を取り入れながら環境を整えている事例もあり、例えば、玄関から保健室に入り、そのまま別室に入ることができるよう配慮したり、感覚過敏の児童のため、柔らかい素材の床面シートを敷いたリラックススペースを設置したりするなどの取組も行われております。  県教委では、こうした別室を活用した学習支援等の充実が図られるよう、県内の優良事例を収集し、市町村教育委員会に周知してまいりたいと考えております。  次は、山村留学の状況についてであります。  山村留学は、自然豊かな農山漁村に移り住み、地域の小・中学校に通いながら、様々な自然体験活動や集団活動などを体験する教育活動とされております。  県内で山村留学を受け入れている市町村とその児童生徒数は、平成三十年度は十五市町村百八十六人、令和四年度は十六市町村二百五十二人となっております。  留学期間については、一年未満から数年まで本人の希望や受入れ体制等により異なっており、また、留学理由については、大自然の中で地域の方の温かい支援等を受けながら学びたい、小規模校ならではの目の行き届きやすい環境で学ばせたい、ウミガメやロケットなど、その地域ならではの特色ある取組に参加したいなど多様となっております。  次は、山村留学に係る市町村との連携についてであります。  県教委では、不登校児童生徒を含め、希望する児童生徒やその保護者に対し、県内の山村留学に関する情報が確実に行き届くよう、市町村における山村留学の取組内容や児童生徒の募集情報等を分かりやすく整理し、ホームページ上で紹介しております。特に今年度は、新たに留学生の声を掲載するなど、各市町村における山村留学の特徴が具体的に分かるよう工夫を行いました。  また、県全体で山村留学の一層の推進・充実を図り、山村留学を実施している市町村やその実施に関心を持っている市町村、必要な支援を行っている知事部局の関係課との相互の連携を図るため、昨年、連携協議会を立ち上げたところであります。第一回連携協議会では、三島村から、しおかぜ留学についての事例発表が行われ、山村留学実施に当たっての情報共有も行われました。  引き続き、連携協議会も活用しながら、山村留学に係る好事例については共有し、また、課題については共に考えながら、県域全体で山村留学の一層の充実が図られるよう取り組んでまいりたいと考えております。  次は、不登校特例校の設置についてであります。  不登校特例校については、基礎学力の定着や社会性の育成、自己肯定感の向上により、進学にもよい影響を与えるなどの効果が見られているとされており、県教委としても、県外の不登校特例校の視察を行うなど情報収集を行っております。  近年、特に小・中学校で不登校児童生徒の数が増加していること等を踏まえると、義務教育段階における教育機会を確保するための選択肢の一つとして検討する必要があると考えており、全国の事例や制度の概要等を各市町村教育委員会に情報提供を行い、設置について検討を促してきているところであります。  次は、フリースクール等への支援についてであります。  不登校の支援ニーズは多岐にわたり、その全てを学校、教育委員会のみで担うことには限界がありますことから、不登校児童生徒の支援については、フリースクール等とも相互に密接な連携を行っていくことが求められております。  一方、学校関係者においては、フリースクール等がどのような体制で不登校児童生徒の支援を行っているかなどについて、情報が十分でない状況にあります。  このため、県教委では、フリースクール等を直接訪問し、意見交換を行うなどして、その運営や児童生徒に対する支援活動等を把握し、これを学校関係者に周知して理解の促進を図っているところであります。  また、現在、フリースクール等の情報を含め、不登校児童生徒の支援に関するパンフレットを作成し、広く周知することを検討しているところであります。  次は、夜間中学に関する検討スケジュールについてであります。  教育機会確保の施策の在り方等に関する検討委員会の中間取りまとめにおきましては、令和五年度夏頃までの取りまとめを目指し、引き続き検討を行うこととされました。  また、その具体的な検討に当たっては、オンラインの活用や学齢生徒の受入れ等を実施している夜間中学の先行事例の調査等を行う必要があるとされたところであります。
     県教委としては、検討委員会において必要な調査が行われ、目指すとされました時期までには取りまとめが行われるよう、事務局として必要な調査や資料の提供等を行ってまいりたいと考えております。 19 ◯おさだ康秀君 一点、知事に不登校について質問させていただきます。前向きな答弁だと思っています。知事は、非常にしっかりとお答えいただいたと、そのことは評価できるんですが、ただ、不登校特例校について、鹿児島市南部地区の特別支援学校が来月四月に開校されると。そうすると、これは成尾議員も代表質問で言われておりましたが、桜丘養護学校の跡地が空くわけですよねと。これは医療的な要素もありますけれども、ぜひ不登校児童生徒支援のための特例校と併せて、夜間中学の設置等々を、すぐに検討できるかは難しいと思いますが、やはりそういった要素を含めながら、ぜひそういった受皿をつくっていただきたいと考えますが、知事の答弁をお願いいたします。 20 ◯知事(塩田康一君)不登校特例校については、今、教育長から答弁がございましたとおり、義務教育段階における教育機会を確保するための重要な選択肢の一つとして、市町村の教育委員会に設置について検討を促してまいりたいと考えておりますし、また、夜間中学校についても今、検討中でございますので、そういったことをもろもろ検討する中で、今、御指摘の点も含めて検討はしていきたいと思います。    [おさだ康秀君登壇] 21 ◯おさだ康秀君 それぞれ御答弁頂きましたが、もう時間がございませんけど、不登校児童生徒支援について、毎年毎年不登校の生徒が増えているわけですね。子供たちというのは本県の宝ですから、大切な人材なんですよね。これは教育委員会だけの責任じゃございません。知事が答弁頂いて、私は前向きな答弁だと思っていますが、知事部局とも連携してみんなで取り組んでいこうと、そういうことが大事です。体制づくり。山村留学もまだ取組が甘いです。市町村は増えてきていますけど、その市町村にもっと促していくということをしっかりとしていただきたいと思います。  そして、不登校児童生徒のお母さん方が本当に大変なんです。非常に悩んで苦しんでいる。お仕事もできない。そういう状況をぜひ知事にも、そういうフリースクールの現場や不登校支援をされているお母さん方や代表者の方々と直接意見交換して、生の声を聞いていただきたいんですよ。そういったところが本当の県民の目線、県民の感覚だと思っていますので、改めてこの場で要望させていただきたいと思います。  最後でございますけど、今任期の四年間で代表質問を二回させていただきまして、一般質問は今日で七回目です。この三年間、私はコロナ感染症対策における中小企業の支援、観光産業やサービス産業支援の質問を中心に取り組んでまいりましたが、今任期最後ということで、私のライフワークの福祉と教育について主に質問させていただきましたが、ただ正直、答弁として私は納得していません。ですから、必ずまた四月、選挙もありますが、勝ち上がって、必ずこの壇上でまた是々非々で、知事はじめ執行部の方々とまた議論を深めてまいりたいということを申し上げまして、私の一般質問の全てを終わらせていただきます。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 22 ◯議長(田之上耕三君)ここで、休憩いたします。  再開は、午前十一時十分といたします。        午前十一時 一分休憩       ────────────        午前十一時十一分再開 23 ◯議長(田之上耕三君)再開いたします。  次は、池畑知行君に発言を許可いたします。    [池畑知行君登壇](拍手) 24 ◯池畑知行君 伊佐市区選出の池畑知行です。  今年二月、特別支援学校等教育環境改善検討委員会が、伊佐・湧水地区、曽於地区、姶良地区の三地区における特別支援学校の分置を提言しました。今議会開会日、塩田知事はこの提言を踏まえ、「本県の特別支援学校等の教育環境の改善に取り組む」と発言されました。塩田知事をはじめまして、県教育委員会、関係者の全ての皆様方の御尽力に対しまして、心からのお礼と感謝を申し上げます。  伊佐・湧水地区における学校の分置は、長年にわたる伊佐市民の悲願でありました。伊佐市に新しい特別支援学校をつくる会の皆様が中心となり、積極的な誘致活動を行い、二〇二〇年十一月には、一万九千筆を超える署名とともに県知事へ要望書、県議会へ陳情書を提出し、この取組はマスコミ各社にも取り上げていただき、大きな反響を引き起こしました。  塩田知事は今年一月の記者会見で、伊佐の誘致活動に対し、「伊佐地域における特別支援学校の要望は、志布志・姶良をはじめ、他の地域でも共通の話題として認識された」とし、政策課題解決のヒントになったと評されております。  始まりは、伊佐市の保護者の、子供たちが地域社会の中で学べる教育環境の整備を行ってほしい。地元に特別支援学校をつくってほしいとの願いでした。その保護者の思い、誘致活動にかける情熱が周囲に伝播し、やがて伊佐市民の声となり、そして県民の声となりました。また同時に県議会でも、本会議や常任委員会において、先輩・同僚議員の皆様の熱心な議論・要望が繰り返され、今回の成果につながったものであると考えております。中二階と言われることもある県議会でありますが、その存在を存分に示したと考えております。今後とも、県民の皆様の声を聞き、地域課題を把握し、県議会で議論・提案をしてまいります。  それでは、通告に従いまして質問いたします。  まず、知事の政治姿勢についてお伺いします。  塩田知事は、誰もが安心して暮らし、活躍できる鹿児島を目指し、本県の基幹産業である農林水産業、観光関連産業のさらなる振興や、高い技術力を有する製造業の競争力の強化や将来を担う新しい産業の創造にも取り組み、鹿児島の「稼ぐ力」の向上を図る政策を展開されてきました。  令和五年度当初予算においても、各分野の「稼ぐ力」の向上に約百三十九億円、人材確保・育成に向けた取組に約二十六億円、不妊治療助成をはじめとした結婚、妊娠・出産、子育ての希望がかなう社会の実現に約四百七十億円など、塩田カラーを存分に発揮した予算編成であったと感じております。  しかしながら、先日発表された総務省の二〇二二年人口移動報告によると、本県は転入者より転出者が多く、二千二百七十二人の転出超過となり、二〇二一年の調査と比べて本県の人口流出が加速しました。コロナ禍において、東京・神奈川・埼玉・千葉の四都県で構成される東京圏への人口の転入超過は抑えられる傾向にありましたが、今回の調査では、東京圏で九万九千五百十九人の大幅な転入超過となりまして、再び東京一極集中が加速化しております。コロナ禍において、テレワークの普及を受け、地方回帰の機運が高まりましたが、アフターコロナを見据えた社会経済活動の再開により、再び東京圏への人口流入が強まったように感じます。  そこでお尋ねします。  本県の人口の県外流出に対する知事の所感をお示しください。  次に、本県への人口流入に向けた方策についてお尋ねします。  政府は、まち・ひと・しごと創生基本方針二〇二一において、テレワークを活用し都会と同じように働けるサテライトオフィス等の企業進出、企業の地方移転の促進、子育て世帯の移住の推進や、結婚・出産・子育てしやすい環境整備などを地方創生の柱とし、将来にわたって活力のある社会の実現と東京圏への一極集中の是正を目標としております。  人口流入の方策である企業誘致や新産業創出に関しては、我が会派の代表質問や本日トップバッターのおさだ議員が質問されましたので、ほかの観点から質問いたします。  方策の一つとして、高校卒業後に県外の大学等に進学している学生を卒業時に県内の企業に就職させる取組や、県外からの移住を促進させる取組も必要であると考えます。  そこでお尋ねします。  県は、県外の大学等に進学している県内出身の学生の県内就職に向け、どのように取り組んでいるのか、お伺いします。また、県外からの移住促進についてどのように取り組んでいるのか、併せてお伺いします。  次に、子育てしやすい環境整備についてお尋ねします。  新子育て安心プランにおいて、令和六年度末までに約十四万人分の保育の受皿を確保し、女性の就業率の向上を目指しております。しかしながら、昨年の厚労省の調査で、鹿児島市は保育所等の待機児童数が全国市町村でワースト一位との結果となり、保育士確保を進めながら、谷山地区・谷山北部地区で保育所等の整備を進める方針を示しております。また、放課後児童クラブの整備は、女性の社会進出や子育てと仕事の両立を図る上で重要であります。  そこでお尋ねします。  保育所等の待機児童数及びその解消に向けた取組についてお示しください。また同様に、放課後児童クラブの待機児童数及びその解消に向けた取組についてお示しください。  続きまして、農林水産業・観光関連産業の「稼ぐ力」の向上についてお尋ねします。  世界人口推計によると、二〇二二年の世界人口八十億人から、二〇五〇年にはさらに十七億人増え、九十七億人になると推計されており、世界規模の食料争奪戦になることが予想されております。経済大国である日本はこれまで多くの食物・生産資材を輸入してきましたが、既に大豆・小麦をはじめとした穀物を中国に買い負ける状況となってきております。  現在、我が国のカロリーベースの食料自給率は三八%であり、残り六割は海外からの輸入に依存しておりますが、今後も同じように輸入できるかは全く分からない状況にあります。そのため、政府は、食料安全保障を政策の柱として掲げ、二〇三〇年までに食料自給率を四五%にする目標を掲げておりますが、今後、基幹的農業従事者の高齢化によりまして担い手が減ることも予想され、目標達成には高い壁があります。  また、農業生産者を取り巻く環境は非常に厳しい状況にあります。新型コロナウイルス感染症による外食産業の需要低迷、円安ドル高やロシアのウクライナ侵攻に伴う肥料・飼料等の生産資材高騰やエネルギー高騰が起こりました。その結果、生産コスト削減など経営努力の限界をはるかに超える状況となっており、このままでは多くの生産者が廃業に追い込まれ、全国第二位の農業県鹿児島に与える打撃は計り知れないものがあります。  特に農業分野は、構造的に生産コストの上昇分を販売価格に転嫁することが難しいと指摘されており、日本農業法人協会の調査によると、価格転嫁できた法人は四五%であり、そのうち九〇%はコスト上昇分をカバーできていないと回答しています。  このような農業経営の苦境に、県は総力を挙げて対策を打つ必要があり、また、国に対しましても、配合飼料価格安定制度の財源確保をはじめ、今後も原油価格・物価高騰等の対策について強く求めていかなければなりません。  一方で、海外資材に依存した現状では、持続可能な農業経営を継続することは限界に来ているとも言えます。JA鹿児島経済連とJA全農みやぎは、稲わらとペレット堆肥の広域流通に取り組むと発表しました。それぞれの地域の地域資源や未利用材を有効活用することは、生産資材の自給向上にも寄与するものであり、今後、官民挙げて取り組むべき課題であると考えております。  先日、我が会派の代表質問にて、農家の所得向上、輸出拡大の取組、担い手確保について取り上げましたので、重複を避けて質問いたします。  まずは肉用牛振興について質問します。  昨年、本県で開催された第十二回全国和牛能力共進会において、鹿児島県産黒毛和牛は内閣総理大臣賞を受賞し、前回の宮城大会に続き、二大会連続で和牛日本一を獲得しました。しかしながら、県内の子牛市場の取引価格は、今年に入ってから、前年、前月の取引価格と比べ、軒並み低迷しております。配合飼料価格高騰の影響はもちろん、和牛肉保管在庫支援緊急対策事業が二月末に終了することで、今後、枝肉価格のさらなる下落が予想されることが要因と思われます。このままでは、せっかく鹿児島県の畜産関係者の総力を結集し獲得した和牛日本一という称号が、生産者の所得向上につながらないという事態になりかねません。  そこでお尋ねします。  第一点は、配合飼料価格に左右されない安定した畜産経営を行う上で、本県の飼料の自給率向上に向けた取組についてお示しください。  第二点は、当初予算で和牛日本一の「鹿児島黒牛」PR事業など新たな事業に取り組むとのことですが、国内における牛肉の販路拡大に向けた取組についてお示しください。  次に、水稲経営についてお尋ねします。  農水省によると、日本人の米の一人当たりの年間消費量は、令和二年度の消費量が五十・八キロと、約六十年前と比べ半分以下となっており、長期的に減少傾向にあります。  米価は、今年産の出回りから十二月までの全銘柄平均価格が一万三千八百八十円と三年ぶりに前年比八%上昇しましたが、JA北さつま管内における今年度の仮渡し金は、一等米六十キロ当たり一万二千四百円と、昨年度と比べて四百円下落し、県内の米価は低迷が続いております。  一方で、米の生産コストは、肥料等の生産資材価格が高騰するなど上昇しているため、水稲農家は苦しい経営を強いられております。  そこでお尋ねします。  第一点は、米価格の低迷等による水稲農家への影響について、どのように考えておられるか、また、このような状況に対してどのように取り組まれるのかをお示しください。  第二点は、県産米の販路拡大についてです。  本県は、学校給食や県立病院における病院給食において、県産米が一〇〇%納入されており、県産米の消費拡大に取り組んでおります。県産米のさらなる販路拡大に向けては、輸出も一つの方法と考えます。  そこでお尋ねします。  県産米の輸出に向けた取組についてお示しください。  次に、県産農林水産物をはじめとした県産品の消費拡大と販路拡大についてお尋ねします。  コロナ禍において、外食産業や観光関連産業の低迷のあおりを受け、農林水産物の出荷が減り、取引価格が下落しました。本県は、二〇二一年から飲食・特産品の需要喚起策として、ぐりぶークーポンを発行する経済対策を行い、関連産業の需要が回復したことで、結果的に農林水産業の生産者も恩恵を受けました。  しかしながら、今年一月、行動制限がなくなり、飲食店はある程度客足が戻りつつあるとし、ぐりぶークーポン発行を終了しました。昨日の田畑議員が指摘したとおり、飲食業のみならず生産者も事業終了を不安視しております。  五月八日以降、新型コロナウイルス感染症は五類感染症に分類され、社会経済活動が活発化するものと思われます。その中で、インバウンドをはじめとした観光関連産業や外食産業の需要は回復し、農林水産物の需要も徐々に回復していくものと思われます。また、改訂予定の鹿児島県農林水産物輸出促進ビジョンにおいて、令和七年までに輸出目標額五百億円との目標を設定しており、県産農林水産物の販路拡大がさらに推進されるものと考えます。しかしながら、いずれも生産者の所得向上に反映されるまでには時間がかかるものと思われます。  そこでお尋ねします。  第一点は、今、経営的に苦境に立たされている生産者を守るために、県民の皆様に一品でも多く県産品を購入していただくことで生産者を支える、県産農林水産物の地産地消を促す県民運動を幅広く展開し、塩田知事に県民に向けて力強いメッセージを打ち出していただきたいと考えておりますが、見解をお伺いします。  第二点は、塩田知事におかれましては、昨年、他県に先駆け、いち早く国際クルーズ船の誘致に取り組んでこられました。今年三月のセブンシーズ・エクスプローラーの寄港を皮切りに、年間百回程度クルーズ船が寄港すると発表されました。今後、クルーズ船で多くの観光客が来県することが見込まれ、本県の豊かな食を知っていただくまたとない機会となります。  そこでお伺いします。  この機を逃さず県産品を積極的にPRすべきと考えますが、見解をお伺いします。  次に、鳥獣被害対策についてお尋ねします。  本県での野生鳥獣による令和三年度の農作物被害額は約三億三千三百万円で、イノシシとニホンジカによる被害が六五%を占めております。被害額は対前年比八四%となりましたが、中山間地での農作物、林産物の被害は深刻であります。  鳥獣被害は、生産者の営農意欲を失わせ、結果的に中山間地での耕作放棄地を増やす要因となっておりますが、この耕作放棄地が有害鳥獣の繁殖や生息の場となり、さらなる鳥獣被害を招き悪循環となります。私が住む伊佐市は、ニホンジカの生息密度が県本土で最も高い地域であります。  環境省と農水省は、抜本的な鳥獣保護強化対策を策定し、ニホンジカとイノシシについて、平成二十五年度の個体数を令和五年度までの十年間で半減させるという目標を立て、捕獲を強化しております。  そこでお尋ねします。  県全体及び伊佐市におけるイノシシとニホンジカの生息個体数と捕獲頭数の推移についてお示しください。あわせて、現在の捕獲頭数が生息個体数を減らす上で有効であるのか、見解をお伺いします。  次に、ジビエの振興についてお尋ねします。  本県では、捕獲されたイノシシやシカ肉を有効活用するため、衛生的で安全性が確保された野生獣肉の流通を図るため、平成二十五年に鹿児島県イノシシ・シカ肉衛生管理ガイドラインを策定しました。現在、県下の施設で食肉処理がなされており、各地域で販売されております。  ジビエは、高たんぱく低脂肪、鉄分やビタミンが豊富にあり、女性、育ち盛りの子供、アスリートに適しています。隣県の熊本県では、猟友会、くまもと農家ハンターが連携し、広域的な捕獲体制とジビエ利用向けの捕獲技術の向上に努め、物流の集約化と需給調整を図り、くまもとジビエとブランド化し、販売を行っています。  そこでお尋ねします。  本県での処理加工施設における過去三年間のイノシシ・シカの処理頭数とジビエ販売量の推移についてお示しください。あわせて、本県における今後のジビエの利用拡大に向けた取組についてお示しください。  次に、農業高校での就職・進学の状況と今後の取組についてお伺いします。  県内の農業高校は、それぞれの学校で特色のある実践的・体験的学習により学びを深め、地域社会で活躍できる人材育成に努めています。本県の基幹産業である農林業の担い手を育成・確保という観点から、これらの学校が果たす役割は非常に大きいです。  また、農業・林業の現場でスマート農業・林業の普及が始まっており、担い手を育成する高校において、スマート農業・林業を学ぶ機会を充実させることは重要であります。  そこでお尋ねします。  農業高校を卒業して、就農を含む農業関連産業への就職や農業大学校等への進学など農業分野へ進む割合と、農業高校の生徒が農業分野の進路を選択するような学びなど、今後の取組についてお伺いします。  以上で、第一回目の質問といたします。    [知事塩田康一君登壇] 25 ◯知事(塩田康一君)本県の人口の県外流出に対する所感についてでございます。  本県においては、一九七〇年代には人口流出に一旦歯止めがかかったものの、その後再び転出超過の傾向にあり、これは若年者等の進学・就職による県外転出がその主な要因であります。  このような転出超過の状況が続くと、人口減少がさらに進行し、これにより人手不足の深刻化が進み、日常生活や事業のために必要な人材が確保できなくなり、生活を支えるサービスの供給や地域の経済活動の制約要因となるとともに、消費市場が縮小し、地方の経済が縮小するおそれがあると考えております。  このため、私としては、県内の若年者等の転出を防ぎ、県外からの人材の流入・定着を図ることが重要であると考えております。  今後とも、県内就職の促進を図るとともに、若者を引きつけるような仕事を地方につくり、さらに、地域の魅力を高めることで、地方への新しい人の流れを大きくするなど、各般の施策に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 26 ◯商工労働水産部長(平林孝之君)新規大卒者等の県内就職に向けた取組についてでございます。  本県出身の県外大学生の県内就職促進に向けては、県内企業の魅力を的確に伝えることが重要であると考えております。  そのため、県外からも参加しやすいオンライン合同企業説明会を開催するほか、複数の大手就職サイトと連携し、企業情報を容易に検索できるようにリニューアルした県就職情報提供サイトかごJobを活用して、県内企業の情報や地元で働き暮らす魅力を発信しているところです。  加えて、学生が県内企業を理解する上で有益な、企業のインターンシップのプログラム作成等の支援を行っているところです。  さらに、来年度は、本県出身の県外大学生等を対象に、SNSを活用してダイレクトに県内就職関連情報の発信を行うこととしております。  移住促進に向けた取組についてです。  移住・交流の促進に当たり、地方移住への関心が高まっているこの機会を捉えることが重要でありますが、各種調査によると、移住後の仕事や生活への不安などが課題となっております。
     そのため、鹿児島の魅力や移住者の声、移住支援制度などの情報を充実させ、利用者目線でリニューアルしたかごしま移住ネットと、かごJobとを連携させ、移住と就職をセットにした効果的な情報発信を行っているところであります。  また、離島暮らしなど、移住希望者の関心の高いテーマを設けたセミナーを市町村と連携して開催することで本県への関心を高めるとともに、来年度からは、東京のふるさと回帰支援センターの移住・交流相談員を増員し、きめ細やかに移住相談に対応することとしております。  今後とも、市町村等と連携しながら、新規大卒者等のUターン就職及び移住・交流の促進に努めてまいりたいと考えております。  次に、農林水産業・観光関連産業の「稼ぐ力」の向上についてのうち、クルーズ船観光客に対する県産品のPRについてです。  国際クルーズ船については、今月から本県における受入れが再開されることとなり、本年は既に約百回の寄港が予定されているところでございます。この機会を捉えて、鹿児島の誇る日本一の鹿児島黒牛やブリ、カンパチなど、広大な自然で育まれた多様な農水産物?等の食や、本格焼酎、黒酢などの県産品をPRすることは非常に重要であると考えております。  コロナ禍以前においても、マリンポートかごしまや北埠頭において、県内事業者による焼酎や菓子等の県産品の販売や、パンフレットや動画等によるPRを行っていたところであり、今月の寄港に当たっても同様の取組を予定しております。  県としては、これまでの取組を生かしながら、県内に寄港する国際クルーズ船の観光客に対して、関係団体や事業者と連携して、本県の豊かな食や県産品などの積極的なPRに努めてまいりたいと考えております。 27 ◯子育て・高齢者支援総括監(岩田俊郎君)保育所等の待機児童の解消に向けた取組についてでございます。  本県における保育所等の待機児童は、令和四年四月一日時点では百四十八人で、鹿児島市が五十四人増加したことから前年より三十四人増えておりますが、近年最も多かった平成二十九年の三百五十四人と比べますと減少してきております。  待機児童の解消につきましては、施設整備による受皿の確保と保育士等の確保の両面から取り組んでおります。  受皿の確保については、国の交付金等を活用して市町村の保育所等の整備を支援しているところであり、令和五年度は十二市町二十六施設の整備により百三十四人の定員増を予定しているところでございます。  保育士の確保については、県内の保育士養成施設の学生に対し修学資金の貸付けを行っており、令和五年度は貸付け人数を五十人から七十人に増やし、県外の養成施設の学生も対象にしたいと考えているところでございます。  県保育士人材バンクについては、引き続き、登録者の確保に取り組むとともに、市町村説明会で改めて活用を働きかけたところであります。  また、県では、昨年十一月に鹿児島市など四市と県待機児童対策協議会を設置しており、待機児童に関する市町村の現状と課題を共有しているところであります。  次に、放課後児童クラブの待機児童の解消に向けた取組についてでございます。  本県における放課後児童クラブの待機児童は、令和四年五月一日時点では百五十五人で、近年最も多かった平成二十七年の五百六十五人と比べると減少しております。  待機児童の解消については、施設整備による受皿の確保と放課後児童支援員等の確保の両面から取り組んでおります。  受皿の確保については、市町村から提出される整備計画に基づき、待機児童の状況や利用児童数の増加の見込み、緊急度を総合的に勘案した上で、国の交付金を活用して実施しており、令和五年度は四市町七施設の整備により百十五人の定員増を予定しております。  放課後児童支援員の確保については、県において、認定資格研修を毎年度実施しており、令和五年度は四百人程度の養成を計画しております。  県におきましては、今後とも、保育所等や放課後児童クラブの待機児童の解消に向け、市町村等と連携して取り組んでまいります。 28 ◯農政部長(松薗英昭君)農林水産業・観光関連産業の「稼ぐ力」の向上についての御質問のうち、まず、飼料の自給率向上に向けた取組についてであります。  配合飼料原料の多くを海外に依存している畜産経営におきましては、飼料価格の変動等のリスクを減少させる観点から、飼料の自給率向上は重要な課題であります。  県においては、飼料自給率向上に向けて、耕作放棄地等を飼料畑等に整備する農家を支援しているほか、収量向上のため、トウモロコシ等の優良品種の選定試験を畜産試験場で実施しております。  また、水田を活用した飼料用稲の生産拡大を図るため、畜産農家と水稲農家のマッチングや栽培マニュアルの活用による研修会等の取組、自給飼料の生産・利用拡大を図るため、飼料生産支援組織の育成などに取り組んでおります。  さらに、自給飼料の作付面積拡大に必要な資材費等への支援、飼料生産支援組織の受託面積拡大の取組への支援などを進めることとしており、引き続き、関係機関・団体と連携し、飼料自給率の向上を図ってまいりたいと考えております。  次に、国内における牛肉の販路拡大に向けた取組についてであります。  鹿児島黒牛の関東地方における販売指定店の流通量は、近畿地方に比べ少なく、大消費地である首都圏での認知度を高める必要があります。  このため、県経済連は、全共鹿児島大会に合わせ、全国のトップブランド牛が上場される東京食肉市場への出荷を昨年三月から本格的に開始したところであります。  さらに、県は、令和五年度に、県経済連等と連携し、首都圏の消費者に対して、空港や駅等でのPR広告やSNSを活用した情報発信などにより、和牛日本一となった鹿児島黒牛の認知度向上を図るほか、一流レストランのシェフや食肉仲卸などの実需者向けの産地視察などの取組により、鹿児島黒牛の販路拡大を図ることとしております。  次に、米の価格低下等による農家への影響等についてでございます。  本県普通期水稲の令和四年産米については、玄米六十キログラム当たりの仮渡し価格が、前年産と比較し二百円から七百円程度下回っており、肥料等の価格上昇もあり、稲作農家の経営は厳しい状況であると考えております。  県では、肥料コスト上昇分の一部を支援しており、国の施策を活用しながら、主食用米だけでなく、飼料用米や加工用米など需要に応じた米作りを推進し、稲作農家の経営安定に努めてまいりたいと考えております。  次に、県産米の輸出に向けた取組についてであります。  本県では、現在、一部の事業者が米粉や米の輸出に取り組んでおります。  県では、来年度、輸出に取り組む製粉会社等と連携し、パン用品種笑みたわわや県育成品種たからまさりの現地実証、食味・食感などの評価に取り組み、実需者のニーズに応じた米粉の生産を推進することとしております。  県産米の輸出につきましては、今後、県、農業団体、米集荷業者などで構成いたします県米・麦等対策協議会におきまして、課題や輸出の可能性等について検討することとしております。  次に、県産農林水産物の地産地消についてであります。  地産地消の推進は、県民が食に関する正しい知識を身に付け、健康で豊かな食生活を実践できるようにするために重要であり、ひいては県産農林水産物の販路拡大に資するものであると考えております。  このため、県では、かごしまの“食”交流推進計画に基づき、生産者や消費者をはじめ、医療や学校、観光等の関係者、行政機関等が一体となり、農林漁業体験機会の提供や、学校給食等での県産農林水産物の活用促進などの取組を展開しているところであります。  また、昨年、JAグループと締結した連携協定を契機として、小・中学校での農業体験活動や学校給食での県産農林水産物の活用などの取組を充実させることとしております。  さらに、高校生等を対象とした、郷土の食材や食文化への理解促進を図るためのコンテストを実施するとともに、今年度新たに、コンテストの入賞作品を商品化・販売するフェアを実施しているところであります。  今後とも、生産者や消費者をはじめ、関係機関・団体と一体となり、地産地消に向けた取組を幅広く展開してまいりたいと考えております。  次に、ジビエの利用拡大についてであります。  国の調査によりますと、県内の鳥獣処理加工施設におけるイノシシとシカの処理頭数は、令和元年度が約千三百頭、令和二年度が約千五百頭、令和三年度が約二千四百頭となっており、これらを含むジビエとしての販売量は、令和元年度が約十一トン、令和二年度が約十五トン、令和三年度が約二十一トンと増加傾向にあります。  県では、国の交付金を活用し、処理加工事業者が商談会等に出展する際の経費の助成、国産ジビエ認証の取得経費の助成、解体処理技術等を学ぶ研修会の開催などを行っているところであります。  今後とも、安心・安全なジビエの利用拡大に向け、県内の処理加工事業者等の取組を支援してまいりたいと考えております。 29 ◯環境林務部長(谷口浩一君)イノシシ・ニホンジカの生息及び捕獲等の状況についてであります。  県全体における令和三年度の推定個体数は、イノシシが七万一千頭、ニホンジカが三万九千頭であり、国の目標の基準年である平成二十五年度に比べ、イノシシは約六%増加し、ニホンジカは約二九%減少しております。また、伊佐市における令和三年度の推定個体数は、イノシシが千五百頭、ニホンジカが六千百頭であり、平成二十五年度に比べ、イノシシは約三〇%減少し、ニホンジカは約三八%増加しております。  県全体における令和三年度の捕獲数は、イノシシが約二万六千頭、ニホンジカが約二万七千頭で、平成二十五年度に比べ、イノシシは約五七%、ニホンジカは約六九%増加しております。また、伊佐市における令和三年度の捕獲数は、イノシシが約千頭、ニホンジカは約三千頭であり、平成二十五年度に比べ、イノシシが約二六%、ニホンジカは約二〇九%増加しております。  県においては、イノシシとニホンジカについて、各市町村の被害状況等を踏まえつつ、国の目標に沿って、計画的な捕獲を推進しており、両種による県全体の被害額は減少しております。現在の捕獲頭数は両種で増加しているところでございますが、推定個体数はニホンジカについては減少している一方、イノシシについては増加しているところであり、引き続き、捕獲の強化を行う必要があると認識しております。  今後とも、捕獲の効果を検証しながら、国や市町村、関係団体等とも連携して、鳥獣の適正管理に向け、取り組んでまいりたいと考えております。 30 ◯教育長(東條広光君)農業高校生の農業関連分野への進路選択についてであります。  農業法人等への就職や農業大学校への進学など、農業関連分野への進路を選択する本県農業高校生は、近年では農業高校の卒業者全体のおよそ三割となっております。  農業高校では、学校農場や実習施設などにおける実践的・体験的な学習により知識、技術を身につけさせ、地域農業や地域社会の発展に貢献し、持続可能な社会の形成と発展に寄与する人材の育成を目指しております。  具体的には、食料の安定的な供給の必要性や動植物を育てる喜びなど、他の職業にはない農業の魅力を知ることを通して、農業のやりがいを感じたり、最近ではAIを活用した農業機械やスマート農業関連施設について知ることを通して、最新の農業について学んだりしているところであります。  また、今年度から新たに、一、二年生を対象として、県立農業大学校や鹿児島大学農学部と連携し、高校の次の段階の学びを体験する取組を開始したところであり、体験後のアンケートでは、農業関連分野へ就職・進学したいという生徒は、参加者三百九十五人の約六割でした。  県教委としては、こうした農業の魅力に触れる機会や技術革新等に対応した農業教育の充実を図り、本県農業の将来を担う人材の育成に努めてまいりたいと考えております。 31 ◯池畑知行君 自席より、何点か質問させていただきます。  まず、平林商工労働水産部長に質問させてください。  まず、地方における人口流出の傾向としまして、男性より一般的に女性のほうの人口流出が多いわけでありまして、本県でも例外ではないかと思います。  そこでお尋ねしますが、県外からの移住を一層進める上で、女性を意識した取組とか、どういったことをこれから力を入れて取り組まれるとか、そういった取組についてお答えください。 32 ◯商工労働水産部長(平林孝之君)女性を意識した取組についての御質問だと思います。  まず、東京のふるさと回帰支援センターにおける本県の移住・交流相談窓口によりますと、近年、女性の移住相談者が増えております。また、夫婦での相談の場合には、女性が移住先を決定するケースが多いということも伺っていますことから、女性目線を意識した移住・交流の取組も重要だと考えております。  県では、リニューアルしたかごしま移住ネットのそのデザインや色合いも、女性目線を意識した柔らかく暖かなものにしたところでございます。  また、移住・交流セミナーのイベントなどでも、子育て環境や古民家を改修した暮らしなど、女性が高い関心を示すようなテーマを取り入れておりまして、鹿児島への移住のしやすさをPRしているところでございます。  今後とも、本県を移住先として選んでいただけるよう取組を進めてまいりたいと考えております。 33 ◯池畑知行君 関連しまして、知事に質問いたします。  先ほど部長の答弁にありました、女性を引っ張ってくる上で、また働く場所の確保というものが重要になってまいります。  また同時に、先ほど知事が答弁されました、若者を引きつける仕事という言葉をおっしゃっておりました。そういった女性・若者にどういったアピールをしていくかというものが重要になってくるわけですけど、知事が考えます、そういった女性であったり若者を引きつける仕事というのは何なのかということと、どういったことにこれから力を入れていかれるのかということをお答えください。 34 ◯知事(塩田康一君)女性が働きやすい職場環境、そういった業種としては、テレワークなどのしやすい、あるいは子育てをしながらいろんなホームページの作成というような、働きやすい、割と柔軟な仕事というようなものが念頭にはあるかなと思いますし、また、女性の場合ですと起業というのも一つの選択肢だと思いますので、起業支援をするというようなこともあるかと思っております。そういった取組を今後もスタートアップ等も含めてしっかり取り組んでいきたいと思っております。 35 ◯池畑知行君 次は、放課後児童クラブに関連することで再質問させていただきます。  先ほど岩田子育て・高齢者支援総括監が、放課後児童支援員の確保であったりとか養成が重要だというような答弁を頂きました。この放課後児童支援員の確保というものが待機児童解消にまた直結するわけであります。しかしながら、支援員さんの処遇改善というものが非常に問題となっておりまして、今ある事業所でもそういった処遇の関係で支援員が不足して、定員数の子供さんを預かれないというような状況があると聞いているわけでございます。  そういった状況にありますので、今後、支援員さんの処遇改善とかそういったものにどのように力を入れて取り組んでいかれるとか、方向性があればお示しください。 36 ◯子育て・高齢者支援総括監(岩田俊郎君)放課後児童クラブの支援員の処遇改善についての御質問でございましたけれども、先ほど答弁いたしましたとおり、まずは放課後児童支援員の数を確保するということで、研修等について県としては取り組んでいって、まず人数の確保について進めてまいりたいと、このように考えております。 37 ◯池畑知行君 今、小一の壁とかそういった言葉も言われておりますけど、学童というものはこれからの女性の進出にとっても非常に大事になってまいりますので、自治体によっては単独でそういった助成をしているというようなところもあると聞いておりますので、ぜひ積極的な検討をお願いしたいと思っております。  次は、農政に関して、知事にお尋ねしたいんですけど、先ほど、地産地消に対するいろいろな取組について農政部長から御答弁頂きました。  ちょっと農業者のことについてになるんですけど、令和二年のデータによると、県内の基幹的農業従事者は約三万七千人いらっしゃるそうです。これは単純に言えばの話ですけど、言わばこの方々が鹿児島県民百五十五万人の食を支えているという状況になるわけであります。この状況を、よく言われる百人の村で計算してみますと、九十七人にたった三人の農業生産者が一生懸命食料を提供しているということになっているわけでございます。そういった苦境にある今だからこそ、九十七人が三人の方に手を差し伸べるということも大事なんじゃないかなと思っております。  ここで再度お尋ねします。  今こそ、県民による地産地消に一生懸命取り組んでいくべきときだと私は考えておりまして、知事は、かごしまの“食”交流推進会議の会長を務めておられ、また地産地消を推進する立場にいらっしゃるわけでありますが、こういった有事の状況に対して、どのようなメッセージを生産者であったり消費者に発していくのか、お答えください。 38 ◯知事(塩田康一君)鹿児島県は、農業の産出県として非常に大きな役割を果たしているわけでございます。今、御紹介がありました、三万七千人の農家の皆さんが鹿児島のおいしくて安全な食を作っているということでございますので、ぜひ県民の皆さんにも、鹿児島の食というのが大変豊かで、安心してお子さんから高齢者まで食べていただけるということをしっかりと発信をしていきたいと思っております。    [池畑知行君登壇] 39 ◯池畑知行君 それぞれ御答弁頂きました。  人口政策、食料安全保障は全ての国民にとって、そして独立国として最も重要な政策課題であり、この問題に対処できる時間はもうあまり残されておりません。ぜひスピード感を持って取り組んでいただきたいと考えております。  あわせて、今年はいよいよ国体・全国障害者スポーツ大会や全国高等学校総合文化祭など多くのイベントが開催され、県外より多くの方が来県されます。この機を逃さず、県産農林水産物をはじめとした県産品のPRを積極的に行っていただくことを要望します。  また、先ほど鳥獣被害のところで御答弁がありましたけど、伊佐市においては、シカが三八%増加しているという状況でございますので、ぜひ生息個体数を減らすためにもさらなる取組にも力を入れていただきたいと思っております。  それでは、続きまして、企業の「稼ぐ力」の向上についてお尋ねします。  中小企業庁によると、二〇二五年までに経営者が七十歳を超える企業が二百四十五万社に達し、そのうち百二十七万社は後継者がいないために廃業する可能性があり、その結果、六百五十万人近い雇用が失われ、日本のGDPの二十二兆円が消失すると言われております。これは中小企業の二〇二五年問題と言われ、本県でも事業継承に至らず廃業した事業者や、後継者が決まっていない事業者が多くいると聞きます。長引くコロナ禍に加え、物価高騰や人材不足など厳しい経営環境の中で、事業承継ができず廃業を選択する経営者の増加を懸念しております。  国は、各都道府県に事業承継・引継ぎ支援センターを設置し、第三者や親族内承継といった事業承継全般について支援を行っていると聞きます。  近年、第三者による事業承継が増加傾向にあり、支援ニーズが高まっていますが、売手と買手がスムーズにマッチングできるような仕組みが必要であると考えます。また、親族内承継においては、何も分からないまま家業を継いだものの、うまくいかずに事業を畳んでしまう事例もあり、残念であります。家業を継ぐ後継者がスムーズに事業を承継し、さらに発展させていけるような支援が必要でないかと考えます。  そこでお伺いします。  第一点は、本県の中小企業経営者の後継者不在率など、県内の現状についてお示しください。また、現状に対する県の認識についてもお示しください。  第二点は、国が設置した事業承継・引継ぎ支援センターは、第三者承継と親族内承継についてどのような支援を行っているのか、それぞれお示しください。  第三点は、事業承継は金融機関や税理士など様々な相談窓口があると思いますが、事業承継・引継ぎ支援センターとの連携は取れているのかをお示しください。  続きまして、鶴田大口線についてお尋ねします。  鶴田大口線は、伊佐市を代表する観光地曽木の滝や、さつま町の鶴田ダムにアクセスする県道であり、ダム管理にも利用されている道路であります。  曽木の滝は、滝幅二百十メートル、高さ十二メートルの壮大なスケールを誇り、東洋のナイアガラと称され、平成百景にも選ばれ、年間二十六万人の観光客が訪れています。周辺には、チッソ、旭化成、積水化学などの創業者として知られる野口遵によって設立され、日本近代化学工業発祥の地として知られる曽木発電所遺構や新曽木大橋、曽木の滝分水路、自然学習ができる宮人川ビオトープなど様々な観光資源があります。  鶴田ダムは、西日本最大級の重力式コンクリートダムであり、大鶴湖はダム湖百選にも選ばれ、近隣の鶴田ダム公園は桜の名所として知られています。また、現在、ダムを中心とした大鶴湖インフラツーリズムの実施に向け、関係機関で協議が行われています。ほかに周辺には、さつま町の初夏の風物詩、奥薩摩のホタル舟や紫尾温泉など観光資源が多くあります。  奥薩摩には魅力的な観光地がありますが、道路アクセスが悪いため、観光地同士の結びつきが弱く、それぞれが通過型の観光地となり、観光消費額が多いとは言えない状況にあります。今後、滞在型の観光地へと磨き上げていく上で、鶴田大口線の整備は重要であると考えます。  今般、鶴田大口線は、県のサイクルモデルルートに選定され、地域の観光振興の上からもますますその役割が高まっている道路であります。  一方で、この路線は、川内川、大鶴湖と国有林野の間を走るため、過去には大雨時に崖崩れや落石があり、通行規制を余儀なくされています。国におきまして、防災・減災、国土強靭化のための五か年加速化対策が進められる中、本路線においては防災対策などの工事が行われており、引き続き整備が必要と考えます。
     そこでお伺いします。  鶴田大口線は、地域の観光振興を図る上で大変重要な路線であると考えますが、県の見解を伺います。  また、同路線のうち、曽木発電所遺構付近から鶴田ダムまでの区間は、これまでも道路改良が進められており、引き続き整備が必要であると考えますが、今後の計画についてお示しください。  以上で、第二回目の質問といたします。 40 ◯商工労働水産部長(平林孝之君)県内中小企業の事業承継に係る現状及び県の認識についてです。  信用調査機関によると、本県における令和三年の社長の平均年齢は六十・六歳であり、年々高齢化が進行しております。  一方で、後継者が確保できていない県内企業は約五割に上っております。  事業承継が行われず廃業した場合、当該企業の雇用や技術、ノウハウが失われ、地域経済への影響が危惧されております。  県としては、事業承継は、経営者が培ってきた人や事業用資産、経営理念などの経営資源を後継者に承継することが必要であり、早い段階からの取組が重要と考えております。  また、後継者の未定が約五割の現状を踏まえると、第三者承継を後押しすることも極めて重要と考えております。  事業承継・引継ぎ支援センターが実施している支援についてでございます。  国が鹿児島商工会議所に設置した公的相談窓口である県事業承継・引継ぎ支援センターは、統括責任者やサブマネージャー等が常駐し、事業承継に関するあらゆる相談に応じており、具体的な助言・指導や対応策の検討を行っております。  第三者承継については、同センターに登録されている金融機関などの登録民間支援機関等に対して、譲渡企業を紹介し、買手企業とのマッチングを依頼しているほか、直接、譲渡条件等のすり合わせや買手企業とのマッチングも行っております。  一方、親族内承継は、後継者の育成等に相当の期間を要することから、関係機関と連携した事業承継診断の実施により、早い段階からの準備の重要性について働きかけるとともに、外部の専門家とも連携しながら、事業承継計画の策定を支援することにより、事業承継に関する悩みや課題解決の支援を行っております。  次に、事業承継・引継ぎ支援センターと金融機関等との連携についてです。  県は、金融機関や税理士会、県事業承継・引継ぎ支援センター等で構成するかごしま中小企業支援ネットワークを設置しており、連絡会議や研修会を開催し、事業承継支援策の情報共有や実務担当者の能力向上を図っております。  具体的な連携としては、各関係機関が事業者に実施した事業承継診断結果について、同センターへ情報を提供し、専門家を交えた同行訪問等による支援等が挙げられます。  また、県としては、事業承継に係る正しい知識を身につけてもらい、早い段階からの準備を促すため、昨年度、県内中小企業や関係機関向けに、かごしま事業承継・引継ぎハンドブックの親族内・従業員等承継編を作成したところであり、年度内に、M&A編を作成することとしております。  引き続き、関係機関との連携を強化し、円滑な事業承継を促進してまいりたいと考えております。 41 ◯観光・文化スポーツ部長(悦田克己君)鶴田大口線についてのうち、鶴田大口線の観光振興上の位置づけについてでございます。  県道鶴田大口線は、沿線に、滝幅が日本一で東洋のナイアガラと称され、桜やツツジ、モミジなど季節ごとに訪れる人を魅了する曽木の滝や、明治期に建てられましたれんが造りの水力発電所跡で近代化産業遺産にも認定されております曽木発電所遺構、九州最大の規模を誇り、桜の名所でもある鶴田ダムなどの観光スポットがございます。  また、同路線は、先月、県サイクルツーリズム推進協議会におきまして設定されました、全長約百五キロメートルの川内川流域サイクルモデルルートに含まれており、サイクルツーリズムにおきましても活用が期待される路線であると考えております。 42 ◯土木部長兼本港区まちづくり総括監(安原 達君)県道鶴田大口線の整備についてでございます。  県道鶴田大口線は、さつま町鶴田から伊佐市大口までを結ぶ路線であり、伊佐市側の曽木発電所遺構付近までが二車線で改良済みとなっております。  曽木発電所遺構付近から鶴田ダムまでの未改良区間につきましては、地形が急峻であるなど、抜本的な二車線の改良は困難であることから、現道を生かし、離合のための待避所設置や、見通し確保のための視距改良を行うほか、落石防護柵などの防災対策を進めているところでございます。  伊佐市側の約四キロメートルにつきましては、平成三十年度までに整備を終え、さつま町側の約七キロメートルについては、これまでに視距改良三か所や、防災対策六か所の整備を進めてきており、引き続き、残る六か所の視距改良等を行い、着実な整備に努めてまいりたいと考えております。    [池畑知行君登壇] 43 ◯池畑知行君 それぞれ御答弁頂きました。  事業承継は、本県の雇用と経済を守る上で喫緊の課題であります。後継者が希望を持って事業に取り組める環境整備を早急に行っていただき、必要に応じて補助金や資金を調達できる仕組みづくりを要望いたします。  鶴田大口線の整備は、塩田知事の公約である観光関連産業の「稼ぐ力」の向上にも貢献すると確信しております。また、毎日この道路を利用する近隣の集落の皆様にとっても、さらなる道路改良は安全・安心につながります。今後とも力強く整備を進めていただくことを要望します。  今任期の最後の質問となりました。今後も伊佐の声、県民の声を県政に届けるため、春の大きな関門を乗り越え、この場に再度戻ってきて、県執行部の皆様と議論してまいりたいと思っております。  最後になりますが、三月末で退職される職員の皆様、そして今議会で御勇退なされます先輩議員の皆様方に、これまでの御苦労と御功績に心から敬意を表し、また温かい御指導を賜りましたことに対しまして厚く御礼を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございます。(拍手) 44 ◯議長(田之上耕三君)ここで、休憩いたします。  再開は、午後一時二十五分といたします。        午後零時  九分休憩       ────────────        午後一時二十五分再開 45 ◯副議長(鶴薗真佐彦君)再開いたします。  米丸まき子君に発言を許可いたします。    [米丸まき子君登壇](拍手) 46 ◯米丸まき子君 皆さん、こんにちは。  任期中最後の一般質問になりました。本日もたくさんの方に傍聴に来ていただき、本当にありがとうございます。  この場所に登壇するのは八回目になります。いまだに緊張します。しかし、私が立つことで塩田知事もさぞかし緊張されているかもしれませんが、どうぞリラックスして耳を傾けていただければ幸いです。  それでは、早速質問に入らせていただきます。  鹿児島県の特産品や観光地などの情報発信についてお尋ねします。  先日の報道にもありました経済センサス活動調査において、鹿児島県の食料製造業は九州で二位の出荷額を誇るにもかかわらず、付加価値を生み出す「稼ぐ力」は全国最下位という残念な結果が出されました。  売上げは多いのに所得が少ないということ。つまり、付加価値が生まれていないということです。これこそがブランディング力の弱さの表れです。ブランディングの最終目的は顧客との信頼関係を増し、利益を倍増することです。  今回、このブランド力を向上するために、知事をはじめとしてPR観光課が主導でキャッチコピーをつくるプロジェクトが発足し、三千以上もの公募の中から新しいキャッチコピー「南の宝石箱 鹿児島」が決定したと理解しております。  そこで、新しいキャッチコピーについてお伺いします。  優れたキャッチコピーは、短い言葉ですが、戦略のコンセプトが明確に伝わり、付加価値をつけ、コピー自体が人の心に刺さり、記憶に残り続けるものです。そして、そのような言葉の浸透性が高いキャッチコピーが鹿児島県のブランディングや、ひいては、「稼ぐ力」のきっかけにつながってくれるものと思います。  先日、自民党の代表質問で新たなPRについて質問が行われました。その回答も踏まえ、質問させていただきます。  「本物。鹿児島」、「どんどん鹿児島」と知事が交代するたびに変わるキャッチコピーですが、これまで投資されてきた内容を一旦ゼロにして、新たにロゴなどがつくり変えられることとなります。現在も新たなポスターを作成中で、今後、はっぴやのぼり、PR資材等も作成するとのことでしたが、ここまで聞くと、これまでのやり方と全く同じような気がしてなりません。県は、「これまでのPRでは、県産品の購入や本県への旅行などの実際の行動を強く促すまでに至っていなかった」との答弁でしたが、これまでのPRの課題と新たなPR戦略の改善点についてお示しください。  また、新たなPR戦略のコンセプト「動かすPR」とは、何を誰にどう動いてもらうのか、お示しください。  次に、新たなキャッチコピーの策定の目的や効果、ターゲット設定など、これまでのコピーとの違いについてお示しください。  来年度は、外国向けに外国人目線で本県を紹介するPR動画や外国語版ポスターの作成などに取り組む、また、PRの展開に当たっては、ターゲットを絞って、適切なメディアを選択し、ICTも活用したPRに取り組むとのことですが、海外といっても世界は広く、国によって刺さるポイントは違うと思いますが、県が考える海外とはどこなのか。また、県が考える外国人目線とは何かをお示しください。  次の質問に移ります。  東京有楽町に三十年以上にわたり開設しているかごしま遊楽館と鹿児島市内のブランドショップについてお伺いします。  四十万人台で推移していたかごしま遊楽館の入館者数は、二〇二二年度、コロナ禍の影響で約二十七万五千人にとどまり、工芸品の販売等を取扱う三階に至っては、二〇二一年度は六千人台にまで落ち込みました。売上げや入場者の有無にかかわらず年間の賃料・共益費は合計一億七百九十六万円であり、このうち一部をテナントに負担していただいているものの、残り五千万円は県の一般財源から支出し続けています。  現在、アンテナショップの閉店が相次いでいます。昨年三月には兵庫県、十二月には群馬県が閉店しました。群馬県の山本一太知事は、「アンテナショップ自体が曲がり角に来ているのかもしれない。ネット戦略やSNSなどあらゆる手段で県の魅力を発信したい」とお話しされておりました。鹿児島県の遊楽館も岐路に立たされているのではないでしょうか。  それでは質問いたします。  令和三年第三回定例会で私の質問に対し県は、「首都圏における本県の物産や観光の総合的な情報の発信拠点としての役割を十分に果たしている。コスト面でも効率的な運営ができている」との答弁でしたが、現在もその答えは同じでしょうか。今後の遊楽館の在り方について、県の見解をお示しください。  また、産業会館の今後の方針に伴って、鹿児島市内にあるブランドショップの取扱いについて、今後検討が進められると予想されますが、ブランドショップを活用した県内外、インバウンド向けの情報発信の場として、今後の在り方を考える絶好のタイミングではないかと思います。県の考えをお示しください。  次に、お手元の資料一ページですけれども、日本の社会には多くのルールがあり、外国人観光客に対してもそのルールを全面に押し出して情報発信を行っています。県内の観光地でも外国人でも理解できるような解説はほとんど見当たらず、禁止事項だけは施設の出入口など至るところに掲示されています。  例えば、鹿児島空港に降りた瞬間から禁止事項のサインがあふれています。こういったサインのお出迎えは観光客に冷たい印象と不快な印象を与えてしまうのではないでしょうか。そして、新たな観光の名所として令和二年四月に完成した鶴丸城御楼門も同じく、入り口から自転車進入禁止のサインでお出迎えです。  お手元の資料を御覧ください。  レンタルサイクルなど自転車で御楼門を訪れた観光客は、ほんの一瞬、自転車を降りて御楼門に近寄って間近で見たい。しかし、すぐそばに駐輪場はなく、「バイク・自転車の方は西門からお入りください」のサインがあります。黎明館に設置された全体の案内図は御楼門から離れた場所にあるため、果たしてどこが西門なのか分からず戸惑うばかりです。以前、県からの答弁で、「御楼門を生かした交流人口の拡大に努める」とありました。コロナ禍で観光客が減り、これからどう取り戻していくか本気で考えなければならない今、まずはこのような細かい観光者目線への配慮が必要なのではないでしょうか。  そこで質問です。  私は、鹿児島県の観光スポットにあふれるルール遵守の注意喚起に大きな問題を感じます。至るところでルール遵守の警告があふれていると、楽しみを求めてやってくる観光客にとっては鹿児島県の寛容のなさを感じ、観光地でわくわくした気分をそいでしまうのではないでしょうか。国内外の観光客に対し、便利に快適に観光してもらうために有益な情報を厳選するという姿勢が肝心だと考えますが、県の考えをお示しください。  これで、一回目の質問を終わります。    [知事塩田康一君登壇] 47 ◯知事(塩田康一君)これまでのPRの課題と新たなPR戦略についてでございます。  今年度、新たなPR戦略の策定に当たり実施した調査結果では、県外における屋久島や奄美大島など主要観光地の認知度は高く、本県への訪問意向についても、五年前の前回調査より二二・五%高い九五・八%と非常に高くなっております。  一方で、本県を実際に訪れたことがある方は、三五・五%にとどまっており、また、本県の農畜水産物について鹿児島県産品と認識した上で購入したことがある人の割合は、多い品目でも二割程度でございました。  これらのことなどから、これまでのPRは一定の効果はあったものの、県産品の購入や本県への旅行などの実際の行動を強く促すまでには至っていないと考えております。  このことを踏まえ、昨年十二月に策定した鹿児島PR基本戦略においては、まずは実際の行動変容につなげていくため、PRコンセプトを「動かすPR」と定め、戦略策定に係る外部有識者の御意見を踏まえ、ターゲットを絞って、本県の多彩な魅力をストーリーを伴った情報として発信していくことを明確にしたところであります。  今後、同戦略に基づき、PRする素材によって、地域や年代などを十分に考慮した上で、適切な情報ツールを活用し、ストーリーを伴った情報の発信を行うなど、効果的・戦略的なPRに取り組むこととしております。  その結果、国内外の多くの方々に、和牛日本一に輝いた鹿児島黒牛をはじめとする世界に誇れる食や県産品を実際に手に取っていただくとともに、世界自然遺産に代表される豊かな自然や、個性あふれる歴史・文化など多彩な魅力を体験するため、本県を訪れていただきたいと考えております。 48 ◯観光・文化スポーツ部長(悦田克己君)新たなキャッチコピーのこれまでのコピーとの違いについてでございます。  県では、平成十九年以降、農畜水産物のブランド力強化や観光客誘致を目的に、本県の魅力を広くPRし、イメージアップを図るためのキャッチコピーとして、「本物。鹿児島県」、「どんどん鹿児島」、そして今回の「南の宝箱 鹿児島」を新たなPR戦略と併せて策定してまいりました。いずれも国内外に向けて、広く県全体のPRを図るためのコピーであります。  昨年十二月に策定いたしました鹿児島PR基本戦略では、共感を獲得し、行動変容を促す「動かすPR」をコンセプトとしたところです。  このことを踏まえ、新たなキャッチコピー「南の宝箱 鹿児島」は、本県が豊かな自然や多彩な食、個性ある歴史、文化などの魅力的な資源、すなわち宝物を数多く有していることを表現しつつ、宝物を探しに鹿児島を訪れてほしい、手に取って体験してほしいという意味を込めて決定させていただいたものです。  次に、県が考える海外向けPRでの海外と外国人目線についてでございます。  県全体のイメージアップ、認知度向上に向けては、より多くの人に対して、本県の有する多彩な魅力を発信していく必要があると考えており、ICTも活用しながら、国内外に向けた情報発信に取り組むこととしております。  一方で、海外への観光情報や農畜水産物など個々の商品や素材のPRに当たっては、PRするものによって東アジアや欧米豪といった地域や年代など、ターゲットを絞ってPRに取り組むこととしております。  その際、一方的な情報発信だけではなく、文化・慣習などの違いに配慮するとともに、情報の受け手側に立った外国人目線でのPRに留意することが重要であると考えております。  次に、鹿児島県の観光地の案内標識についてでございます。  観光地における案内表示は、観光資源の情報を正しく、かつ分かりやすく観光客に伝えるために必要であると考えております。  一方で、国内外から訪れる観光客に対し、地域におけるマナーやルール等を周知し、遵守を促す看板や表示についても、観光地域における地域住民の生活環境や観光資源を保全するとともに、混雑の解消や景観の維持、ルール等の遵守を図り、快適な観光を楽しんでいただく上で必要なものであると考えております。  県といたしましては、本県を訪れる誰もが安心・安全に快適な観光を満喫できるよう、案内表示等の設置位置やその内容などにつきまして、様々な御意見も参考にしながら、関係者と連携を図り、親切で分かりやすい案内表示等の整備に取り組んでまいりたいと考えております。 49 ◯商工労働水産部長(平林孝之君)かごしま遊楽館の今後の在り方についてでございます。  かごしま遊楽館については、コロナの影響を受けているものの、令和三年度の売上げは約三億八千万円で、首都圏にある都道府県アンテナショップの中で上位となっており、また、年間三十件以上のメディアに取り上げられていることによるPR効果があることなどから、現在も首都圏における本県の物産や観光の総合的な情報の受発信拠点としての役割を十分に果たしていると考えております。  コスト面においても、他県のアンテナショップの多くは賃料の大半を自治体が負担している中、遊楽館においては一定の賃料を入居者が負担していることから、効率的な運営ができていると考えております。  また、ネット販売が普及している現在においても、首都圏の方々に手に取って感じることができる本物の商品を提供し、情報発信する機能を遊楽館が果たすことで、伝統的工芸品等のさらなるネット販売にもつながると考えております。  一方で、三階のブランドショップについては、入館者数が減少している状況もあることから、情報発信拠点としての効果をさらに高めるため、県が連携協定を結んだ地域産品のブランディングに取り組む民間企業からアドバイスを受けながら、効果的な商品展示や情報発信に取り組むとともに県内市町村等のイベント会場としてブランドショップの積極的な活用を図ることとしております。  今度とも、社会情勢の変化やウィズコロナの消費行動などを踏まえながら、引き続き、かごしま遊楽館を積極的かつ効果的に活用して、本県特産品の認知度向上や販売促進等に取り組んでまいりたいと考えております。  鹿児島ブランドショップの今後の在り方についてでございます。  鹿児島ブランドショップは、伝統的工芸品、本格焼酎、郷土菓子などの県産品を県民に広く紹介し、展示・販売することを目的に、県が昭和四十二年に設置したものでございます。  同ショップにおいては、県が運営を県特産品協会に委託し、県産品の展示・販売、流通関係者などへのあっせん、新特産品コンクールの入賞商品など新商品の企画・販売、県内外で開催される全国規模の各種大会などでの県産品の宣伝・紹介などに取り組んでおります。  今後のブランドショップの取扱いについては、ネット販売の普及など設置当時と比べ大きく情勢が変化している一方で、インバウンドを含む県内外の観光客が手に取って感じることができる本物の商品を情報発信することも重要であると認識していることから、県としては、これからのブランドショップに求められる役割も含め、その在り方や移転先などについて、運営する県特産品協会や関係団体の意見も聞きながら、検討してまいりたいと考えております。
       [米丸まき子君登壇] 50 ◯米丸まき子君 PRについてですが、鹿児島県はこれまでPR予算に多大な投資をしてきました。しかしながら、なかなか思うような結果が出ていない状況です。私は議員になり、最初に登壇したときから、鹿児島県に足りないのはブランディングだと言い続けています。しかし、私の伝え方が悪いのでしょうか、残念ながらその重要性をよく御理解いただけていないようです。なので、今回は違う方法、オーディオを例えに説明させていただきます。  オーディオはすばらしい演奏家によるCDなどの音源、そして、スピーカー、最後に心臓部であるアンプの三つの要素が合わさって音が鳴ります。まず、音源に当たるのがお茶、お肉、お野菜、伝統工芸などです。そして、スピーカーに当たるのが鹿児島県の多大な予算をかけたキャッチコピーやはっぴやのぼり、宣伝物です。しかし、これまで思うような結果が出ていません。それはなぜか、PR戦略やブランディングに当たるアンプの機能や性能を重視していないからです。どんなにすばらしい音源でも、すてきな色、形のおしゃれなスピーカーにしたとしても、心臓部であるアンプがしっかりしていなければ人の心を動かすことはできないのです。今回上がっている「動かすPR」、まさにアンプの部分と言えるでしょう。どんな人にどんなことを伝えたいのか、その人をどう動かしたいのか、他県との差別化、絶対に鹿児島にしか出せない音や音域は何かをさらに分析することで、心臓部となるアンプの精度を高められるのではないでしょうか。つまり、そこにはブランド戦略が絶対的に必要になるわけです。  例えば、「そうだ京都、行こう」、これは一九九三年、今から三十年も前につくられたJR東海が出し続けているキャッチコピーです。このコピーが生き続けているのは、京都、古都、伝統、文化といった他県の人が京都に求める価値とぴったり合致したことで人々に強くアピールし、心に届き続けた結果、ブランド化したものです。  ブランドの価値とは蓄積し続けるもの、価値の蓄積がないものは当然、付加価値は存在しません。ブランドはしっかりとしたアンプをつくるために、研究開発に投資をし、まず、何で人々の心を動かしたいかを明確にし、アンプの性能や機能を磨き続ける、つまり、ブランディング戦略がなければ結果は出ません。立派なスピーカーだけではお金は生まれないのです。  私は、これまでの鹿児島県のPRに欠けているのは、戦略を突き詰めた精度の高いアンプだと思っています。ぜひ塩田知事にはいま一度ブランディングの重要性を御理解いただき、「稼ぐ力」を本気で高めていただきたいと思います。また、願わくば、知事の直属にブランド戦略室をつくっていただくことを要望させていただきます。  かごしま遊楽館についてですが、先日、遊楽館を訪れました。一階はまずまずの客入りでしたが、三階は私のみでした。県はこれまで効率的な運営をしてきたと言いますが、ここでの売上げが高いことが県全体のPRにつながっているでしょうか。既に三十年あの場所で販売し続け、その結果が付加価値を生み出す「稼ぐ力」全国最下位というのはあまりにも不本意だと思います。いま一度、限られた一般財源の効果的で時代に合った使い方の再構築をお願い申し上げます。  御楼門についてですが、日本の観光政策の専門家であるデービット・アトキンソンさんが、「日本の観光地は何々禁止という標語が多過ぎる」と言っています。確かに文化財の保護や環境保全のために禁止せざるを得ない場合もあろうかと思います。しかし、鹿児島県が観光立県をうたうのであれば、本当にその禁止用語が必要なのか、一つ一つ丁寧に見直し、改善していただきたいと思います。  次に、鹿児島港本港区エリアの利活用についてお伺いいたします。  昨年三月に知事が掲げたスポーツ・コンベンションセンター構想は、今や県民の大きな注目を集めるトピックになっています。先日、NHKで、「ここがヘンだよ!鹿児島のまちづくり」というテーマで約一時間の番組が放映されておりました。ゲストは、障害を持たれた方、大学生、外国人、観光のプロ、まちづくりのプロなど、それはそれはバラエティーに富んだ人選でした。鹿児島港本港区エリアの利活用に係る検討委員会でもこういうメンバー構成が必要であったのではないかと思った次第でした。  また、ドルフィンポート跡地の利活用が県民の関心を集めている事項だと改めて感じました。本港区エリアの利活用は、世界に誇る景観と多くの離島を有する港湾全体の活性化に直結する問題であり、また、鹿児島県の「稼ぐ力」の起爆剤になるとも期待されています。  そこで質問いたします。  まず、民間収益事業に専有できる面積の考え方について質問です。  エントランス、ロビー、廊下といった動線や滞留部分など絶対的につくらなければならないエリアを除いたとき、実際に民間事業者が収益事業を行えるスペース、また、観光客がスポーツ以外で楽しめるスペースは面積全体の何割で、どのぐらいの広さになるか、お示しください。  二百五十億円以上もの県費が投入されることになりますが、スポーツ・コンベンションセンターができることにより、街へのどのような商業の広がりや雇用の増加が期待できるか、お聞かせください。  次に、この周辺に住む住民が三百六十五日行きたくなるようなエリアにするため、周辺住民へのニーズ調査を今後行う予定があるのでしょうか。また、人口流出が叫ばれる鹿児島県で、今後、鹿児島港本港区が再開発されることにより、定住の場所として選ばれるきっかけづくりになる、また、仕組みづくりについてお考えをお示しください。  これで、二回目の質問を終わります。 51 ◯総合政策部長(前田洋一君)スポーツ・コンベンションセンターへの民間収益事業等に活用可能な面積についてのお尋ねでございます。  スポーツ・コンベンションセンターにつきましては、基本構想でお示しした配置計画では、類似施設を参考に、延べ床面積を三万平方メートル程度と想定いたしました。  このうち、メインアリーナ、サブアリーナなどの競技フロアと器具庫、更衣室などの諸室の必要規模を除いた床面積は、全体の約三割に当たる一万平方メートル程度となっております。  この中に、エントランス、ロビー、廊下など、スポーツ大会やコンサートなどの施設利用者のみならず、観光客等も気軽に立ち寄れるスペースとしての利用も想定される共用空間のほか、民間の収益事業のスペースも含まれることになります。  実際に設計される共用空間や民間収益事業に供する面積につきましては、今後、従来型手法の設計仕様書に当たる要求水準書などの作成に当たりまして、他県の類似施設の事例や民間事業者との対話における提案等を踏まえ、事業の収益性や中心市街地との回遊性・融和性を十分考慮した上で、年間三百六十五日にぎわう拠点の形成を図ることを目的とした本港区エリアまちづくりグランドデザインの開発コンセプトを踏まえ、ドルフィンポート跡地の北側やウォーターフロントパークとの一体的な利活用も念頭に置きながら、適切な規模を整理していくことになると考えております。  次に、街への商業効果や雇用増加への期待についてでございます。  国が示したアリーナ等に係る指針におきましては、施設の立地効果について、定期的に数千人、数万人を集める集客施設であり、飲食、宿泊、観光等周辺産業への経済波及効果や、施設内外での雇用創出効果を生み出し、新たな産業集積を創り出す可能性を有しているなどとされております。  スポーツ・コンベンションセンターについては、基本構想の周知に努めている中で、中心市街地の関係者からは、「街への回遊性が期待できる集客施設であるスポーツ・コンベンションセンターが、ドルフィンポート跡地に整備されることにより、中心市街地ににぎわいが創出され、飲食・物販機能が活性化することを期待している」、経済界からは、「本港区エリアに同センターが整備されることにより、施設周辺には、新たに飲食店や宿泊施設の立地が見込まれるなど、街が発展すると考えられる」などの御意見を頂いているところです。  これらのことから、スポーツ・コンベンションセンターにつきましては、施設単体の収益性よりも、同センターが有する集客力そのものが地域経済に好影響を及ぼすことが期待されており、本港区エリアへの立地により、スポーツ大会やコンサートなどの施設利用者や、施設に立ち寄る観光客等が中心市街地を回遊し、中心市街地が有する飲食・物販の集積に好影響をもたらし、このことがさらなる雇用を誘発することになると考えております。  あわせて、コンベンション、コンサートやスポーツ大会などへの来場者による宿泊、飲食の需要に加え、近隣地への観光旅行も期待され、同センターへの集客が県全体に波及することになると考えております。  スポーツ・コンベンションセンターの整備に当たりましては、このような視点を持って、民間事業者のノウハウ等を活用しながら、具体の検討を進めてまいります。 52 ◯土木部長兼本港区まちづくり総括監(安原 達君)鹿児島港本港区エリアの利活用についてのお尋ねのうち、周辺住民へのニーズ調査についてであります。  鹿児島港本港区エリア一帯の利活用につきましては、同エリアの利活用に係る検討委員会におきまして、年間三百六十五日にぎわう拠点を形成するというグランドデザインの開発コンセプトに沿って、様々な御意見をお聞きしながら、同エリアの利活用の全体像について検討していただいているところでございます。  この中で、同エリアが、周辺住民にとっても日常的に行ってみたい場所となることも重要な視点だと考えております。  同委員会では、委員から、地元の人が大事にする街に観光客が訪れるという近説遠来の考え方が大事との御意見や、観光戦略を立てていくときに住民の意向が重要であるとの御意見が出されたところでございます。  よって、同エリアの利活用の検討に当たりましては、周辺住民の皆様のニーズも含め、幅広い世代や多様な方々の様々な御意見をお聞きすることとしており、二月十日から四月十七日まで御意見を募集しているところでございます。  意見募集に当たりましては、周辺住民の皆様のニーズをより広く把握できるよう、意見募集について周辺住民の皆様にも周知を図ってまいりたいと考えております。  続いて、定住の場所として選ばれる仕組みづくりについてでございます。  鹿児島港本港区エリアのグランドデザインでは、交流人口の増加を期待し、年間三百六十五日にぎわう拠点を形成することを開発コンセプトとし、まちづくりを進めることとしております。  同エリア一帯の利活用につきましては、検討委員会におきまして、このグランドデザインをベースに、県全体に経済効果を波及させていくという視点を念頭に置いて、様々な御意見をお聞きしながら、同エリアの利活用の全体像について検討していただいているところでございます。  これまでに開催いたしました二回の検討委員会では、委員から、シビックプライドが重要との御意見や、鹿児島商工会議所から、定住の場所として選ばれる都市として、定住人口の増加も見据えたまちづくりについての提言が示されたところでございます。  今後、検討委員会におきまして、県民のニーズを踏まえた同エリアにおける導入機能やゾーニングの在り方、景観への配慮などの検討が進められるものと考えております。  県としましては、同検討委員会から示される同エリアの利活用の全体像を踏まえ、県民が誇りを持ち、定住の場所として選ばれるまちづくりについて、鹿児島市や関係団体と連携を図りながら取り組んでまいりたいと考えております。 53 ◯米丸まき子君 自席より質問させていただきます。  今後、詳しい図面はさらに詰めていくということなんですが、私が配布した資料の三ページの図面、これは県が出している最新の図面かと思うんですけれども、収益エリアに関して、赤で囲んだ部分が収益エリアとしてはっきり示されています。前回の事前のPFI調査で、そこに入るのがコンビニか飲食店か温浴施設ということだったんですが、コンビニの平均というのが大体六十坪ぐらいだと思うんですけれども、この六十坪でスポーツする人以外のどのぐらいの人々を魅了できるのかなという、仮に一万平米取れるのであれば、エントランスだったり、ロビーだったり、廊下等人が通る動線を除いた上で多くの人々が楽しめるスペースを確保しないといけないと思うんですが、その辺の考えはいかがでしょうか。  また、もし多目的にもっといろんなことに使えるようにするべきだといったそのような意見が今後あったときに、今、建蔽率はぎりぎりで計算されていると思うんですけれども、体育館の大きさ等、変更は可能であるのでしょうか、教えてください。 54 ◯総合政策部長(前田洋一君)スポーツ・コンベンションセンターの配置計画について、その中で、売店といいますか、飲食・物販のスペースの考え方についての再度の御質問でございます。  先ほどもちょっと御答弁申し上げましたけれども、議員が、今参考でお示しいただいております資料の上のほうに、「参考、各階平面─イメージ─」と書いてございます。あくまでも、どういうイメージになるのかをお示しするという意味でこの図面を出しているのですけれども、特に本港区エリア、ドルフィンポート跡地に立地するわけですから、施設利用者のみならず、観光客といいますか、いろんな方に楽しんでもらうためには、具体的にどういう動線を考えて、どんな配置で、どんなしつらえで、例えばどんな公共スペースが必要か、あるいはどういうショップが必要かということにつきましては、この後、PFIで一応進めていくということで、今議会でも御論議いただきたいと思っておりますけど、民間事業者の方々の御提案も頂きながら、面積についても、ある程度、そこは収益性でいいますと、収益との絡みでイニシャルコスト、それからランニングコストとの絡みでどこまで許容できるのかという部分もございますので、そういったことも含めて柔軟に検討していくということなのかと思っております。 55 ◯米丸まき子君 もう一点質問させていただきます。  知事は、金沢二十一世紀美術館のように、多くの人に来場してもらう施設にしたいと再三答えていらっしゃいます。改めて、その心意気に共感いたします。  しかし、私は、知事がおっしゃられるようなことが本当に可能なのだろうかと疑問を持って、実際、金沢二十一世紀美術館に雪の降る日に足を運びました。また、広報の方にも取材させていただきました。金沢二十一世紀美術館は、直径百メートル、高さ十五メートル、延べ床面積が一万七千平米あるんですけれども、そのうちの三八%に当たる部分だけが有料スペースの展示スペースになっています。そこに六十万人の方がいらっしゃるそうです。その面積はたった六千平米です。ちなみにスポーツ・コンベンションセンターの建物の高さ、広さともに金沢二十一世紀美術館の約半分の大きさなんですね。金沢二十一世紀美術館なんですけれども、有料スペース以外の六二%の場所、そこには市民ギャラリー、ミュージアムショップ、カフェレストラン、シアター、図書館、レクチャーホール、託児室といった多くの市民や観光客がそれぞれの目的で集える場所が設けられております。だからこそ、最高二百五十八万人もの人々が訪れ、コロナ禍でも百万人近い方が集まっているんだと思うんですが、先ほど県が示した平米数、今後変わるということなんですけれども、六十坪ですよね。そこで知事がおっしゃる、例えば美術鑑賞以外の様々な目的を持った方が楽しめる金沢二十一世紀美術館のように、今回のスポーツ・コンベンションセンターは、スポーツ以外の目的でも人々が訪れて楽しめる施設に本当になるのでしょうか。この坪数で考えると、地元の多くの人々が集い愛される施設になるのか疑問を持ったところなんですけれども、改めて知事の考え方をお示しください。 56 ◯知事(塩田康一君)今御紹介がありました、金沢二十一世紀美術館について前回の一般質問でお話をお伺いして、美術館そのものの有料の入場者数については六十二万人と、ただ全体としては二百数十万人の客が訪れているということで、同じようにこのスポーツ・コンベンションセンターについても観光客の皆さんにも開かれた施設にするということで、同じような取組ができるのではないか、あるいはそういうふうな形で検討していきたいということを申し上げたところであります。  今お話がありました金沢二十一世紀美術館は、一万七千平米でしたかね、そのうちの三八%が有料部分で、残りの六割ぐらいがオープンスペースだということで、その広さが実数でいくと一万平米かと思いますが、今回のこのスポーツ・コンベンションセンターも先ほど申し上げましたように、スポーツのエリアが三万平米のうちの二万平米で残り一万平米ということで、実数でいえば、金沢二十一世紀美術館と同じ大きさかと思っております。  また、あくまで各階の平面のイメージですので、資料ではここに売店、飲食等しか書かれておりませんけれども、実際にはこれまでの議会でも答弁しておりますように、スポーツミュージアムとか、テラスであったりとか、展望台、あるいは足湯といったような様々な市民の皆さんがスポーツあるいはコンベンション以外でも使えるような機能というものを整備した上で、開かれた施設として、先ほど申し上げましたように、北側の土地、あるいはウォーターフロントパークとも一体的な利活用というようなことも含めて、しっかりと県議会での附帯決議にありましたような、開かれた施設として、三百六十五日にぎわうというようなグランドデザインに沿った形での整備ということをしっかりと検討していきたいと考えております。    [米丸まき子君登壇] 57 ◯米丸まき子君 私が美術館を訪れた日は雪の降る平日の夕方五時過ぎでした。たくさんの人々が来てにぎわっていました。先ほどのブランディングのお話をさせていただきましたが、この美術館のアンプは、お手元の資料四ページから五ページのように、四つのしっかりしたコンセプトは、市民や有識者と話し合われつくられたと聞いています。その内容が六ページの建築コンセプトに反映され、七ページの図面に落とし込まれています。その後の運営にも全てにわたり行き渡っています。このような丁寧なプロセスや積み重ねが人々の心を動かし、愛される施設になったのではないでしょうか。金沢二十一世紀美術館ができたことにより、金沢市エリアは、合計四十四のギャラリーがオープンし、そのうち三十八ギャラリーが二十年たった今でも残っているそうです。また、大学と連携し、シビックプライドを醸成する世界に誇るべき市民ギャラリーやアートを介在した商業が起こり、アーティストが住むまちとして金沢市が一層魅力的になったそうです。  また、この美術館は古くて新しいまち金沢というイメージの牽引役となり、金沢というまちに伝統、観光以外の新しい選択肢を与えたという功績が市民から評価され、収支以上にまちのブランディングに資する施設となったのです。これからの公共施設は、来館者数やその場所のにぎわい以上にもっと重要なことがあると思います。それはその公共施設ができたことによってじわじわと周辺のビジネスの幅や働く人々の選択肢が増えるなど、未知の可能性が広がっていくことではないでしょうか。三百六十五日にぎわう施設というだけのコンセプトではそのような広がりを生むことはできないのではないかと危惧しています。  鹿児島商工会議所の提言にも関係者が共有することができる具体的なまちづくり像、ビジョンが欠如しているとの課題が上げられていましたが、このような一見、遠回りと思われる県民とのしっかりとした対話のプロセスを踏めば、我が県庁や県民交流センターのように、三百六十五日ひっそりとたたずむ施設にはならないと思います。どうか三十年、五十年というスパンでまちづくりのビジョンを持ち、県民の誰からもすばらしいと称賛され、愛される場所になるよう、鹿児島港本港区エリアの利活用に取り組んでいただきますようお願い申し上げます。  続きまして、現在、コロナ禍の生活不安やストレス、外出自粛による在宅時間の増加によりDV相談が増加しており、女性に対する暴力の増加や深刻化が懸念されています。本県でも令和三年、県警察への配偶者やパートナーを傷つけるDVの被害相談件数は七千七百三十九件で、そのうち被害者数は千五百二人、女性相談センターへの相談件数は千二百九十九件、DVに関する相談件数は二百五十二件、そのうちのほぼ九割は女性からの相談だったということです。  そこで質問します。  本県のDV被害者等の支援における相談体制と県警におけるDV相談の現状やその対応、避難の状況についてお示しください。  本県のDV被害者支援における一時保護の現在の取組状況についてお示しください。  多様な困難に直面するDV被害者の支援において民間シェルターは地域における不可欠な社会資源として重要な役割を担っていますが、民間シェルターへの支援についての考えをお示しください。  次に、県民の森についてお伺いします。  私は、公約の一つに、もっと健康で長生きできる鹿児島県へということを掲げています。これまでも自転車活用やヨガの普及に努めてまいりました。県民の誰もが健康で安心して暮らせるような人生百年時代を目指すためにも健康づくりへの取組は非常に大切だと感じています。  昨今、新型コロナウイルスの影響もあり、屋外で行う活動、アウトドアアクティビティーの需要が高まっています。密を避けることができ、心身のリラックス効果も得られます。免疫力を高める効果も期待できると言われており、ストレス時代、コロナ時代に生きる我々にとってアウトドアアクティビティーはとても重要と言えます。  そこで、私が注目しているのは県民の森です。  一九八四年に姶良市と霧島市の両市にまたがり設置された県民の森の総敷地面積は何と千ヘクタール、この広さは東京ドーム二百十個分、バチカン市国二十三個分に当たります。施設内には、キャンプ場、イベント広場、ハイキングコース、学習展示室などがあります。また、つり橋から望む三重の滝は絶景です。私が子供だったとき、一九八〇年代から一九九〇年代半ばにかけてキャンプやアウトドアブームが起きた時期で、週末のレジャーの場としてよく訪れたものです。しかしながら、現在の子育て世代の姶良市の方に県民の森のイメージを聞くと、子供のときはよく遊びに行ったけど、しばらく行っていない、行くまでの道が怖い、行ったとして何ができるのか分からない等の声を聞きました。  そこで、まず、県民の森の利活用状況についてお示しください。  県民の森の自然や景観を生かし、子供が喜びそうなアクティビティー施設、例えばアスレチック、ジップライン等など、子供たちが身体を思い切って使え遊べる施設の設置、また、グランピング施設、バーベキュー、現在はやりのフィンランド式サウナなど大人でも楽しめる収益性の高い施設の設置など、県民の森の魅力向上のために必要な調査をすべきと考えますが、県の考えをお示しください。  次に、姶良市から県民の森に向かう県道四百四十六号についてですが、この道路は北山に住む方々の生活道でもあります。しかし、豪雨や台風災害に見舞われ、交通規制を余儀なくされ、住民は大変不自由な思いをしています。この道路の改良が進むことにより、住民生活向上はもちろんのこと、その先にある県民の森への集客にもつながると考えます。  そこでお伺いします。  北山地区の地域の声に寄り添った整備が必要と考えますが、現在の整備状況、未改良区間の今後の整備についてお示しください。 58 ◯男女共同参画局長(奥 一彦君)DV被害者等の支援における相談体制についてでございます。  県におきましては、DVに関する相談、被害者やその子供などの一時保護、自立のための情報提供などの支援を行うため、法に基づき配偶者暴力相談支援センターを指定しており、関係機関と連携しながら、DVの未然防止及び被害者の支援を図っているところでございます。  現在、県の女性相談センター、男女共同参画センター及び各地域振興局・支庁の保健福祉環境部と九市町において十八か所の支援センターが指定されております。  また、その他の市町村におきましても、相談窓口や担当課等による対応を行っているところでございます。  次に、民間シェルターへの支援についてでございます。  いわゆる民間シェルターにつきましては、民間団体によって運営されている暴力を受けた被害者が緊急一時的に避難できる施設であり、その所在地は被害者の安全の確保のため非公開となっております。国の調査によりますと、令和二年十一月一日現在で全国で百二十四団体が把握されておりまして、民間シェルターはDV被害者等の多様なニーズに対応するなど、被害者支援のさらなる充実につながるものとされております。  本県の市町村におきましても、民間シェルターと連携してDV被害者の支援を行っているところがあると聞いておりまして、県といたしましては、市町村と連携しながら、民間シェルターに対する研修機会や情報の提供などに努め、DVの未然防止及び被害者の支援を図ってまいりたいと考えております。 59 ◯警察本部長(野川明輝君)県警察におけるDV相談の現状やその対応等についてでございます。  令和四年中、DV事案として相談を受け警察官が対応した事件数は七千二百二十二件で前年比五百十七件の減少でございます。  そのうち、新たに受けた相談件数は二百九十八件で前年比三十九件の減少でございます。避難の状況としましては、令和四年中二百四十三人を避難させており、このうち関係機関等が運営する施設へ避難させたのは約一割でございます。  そのほかにも県警察は、最終的に避難場所が選定されるまで間、公費負担による宿泊施設への一時的な避難措置も行っております。  県警察では、この種事案に対応する人身安全・少年課の一元的な指揮の下、専門の捜査員が二十四時間体制で認知段階から支援・指導を行うなどDV事案に対処しております。事案を認知した際には、被害者の安全確保を最優先にその危険性・切迫性を検討し、被害者等を安全な場所へ速やかに避難させ、身辺警戒等の措置を講じるなど事案に応じた保護対策や支援を行っているところでございます。 60 ◯子育て・高齢者支援総括監(岩田俊郎君)DV被害者の支援における一時保護の取組状況についてでございます  DV防止法に基づく一時保護については、避難することができる親族や知人宅などの宿泊先がなく、DV被害者にさらなる被害が及ぶことを防ぐため、緊急に保護する必要がある場合や、婦人保護施設への入所などの措置までに一定期間を要する場合などに、被害者本人の意思に基づき実施しております。  一時保護所入所に当たりましては、入所中は、共同生活であり、他の入所者と共に平穏に過ごすことが求められることなどから、飲酒・喫煙はできないこと、入所者の安全を確保するため、携帯電話の使用や外部との直接連絡、通勤・通学等を含む外出はできないことなどを本人に説明しております。  一時保護所におきましては、日常生活に必要なものの給付を行うとともに、必要に応じて、心理カウンセリングや市町村等との緊密な連携による自立支援を行っております。 61 ◯環境林務部長(谷口浩一君)県民の森の利活用状況と魅力向上のための取組についてであります。  県民の森については、県民サービスの向上を図る観点から、指定管理者制度を導入し、親子での森林体験活動や自然散策などのイベントの実施のほか、近隣施設と連携したスタンプラリーの開催など、イベント内容の充実に努め、利活用に取り組んでいるところであります。  さらに、県民の森の豊かな自然やイベント情報などを、ホームページやSNS等の各種媒体を積極的に活用して、県内外へ広く情報発信しております。  また、指定管理者が行っている来園者へのアンケート調査によりますと、催し・展示などの項目について、とてもよい、または、よいと回答した割合が約八割となっているほか、子供たちがとても楽しそうに参加できた、親も夢中になるほど楽しく体験できたなどの意見が寄せられており、来園者に高い評価を頂いているところであります。  今後、さらに御提案の趣旨も踏まえながら、幅広く県民の声をお伺いするとともに、類似施設の状況などの情報収集にも努め、指定管理者と連携し民間のノウハウ等も生かしながら、幅広い利活用が展開できるよう取り組む必要があると考えているところであります。  県としては、県民の森があらゆる世代の多くの方々に楽しめる施設として利用されるよう、利用者へのより一層のサービス向上に努めてまいりたいと考えております。 62 ◯土木部長兼本港区まちづくり総括監(安原 達君)県民の森についてのお尋ねのうち、県道十三谷重富線の整備状況と今後の計画についてでございます。  県道十三谷重富線は、霧島市横川町を起点とし、姶良市重富に至る路線であり、県民の森へのアクセス道路の一つとなっております。  同路線につきましては、平成十九年に北山校区自治会長等から改良の要望を頂いております。  県としましては、この要望を踏まえ、幅員が狭く、大型車の離合が困難である北山小学校付近につきまして、これまでに北山工区として約七百メートル区間の整備を終え、引き続き、隣接する約八百メートル区間につきまして、北山二工区として事業を実施しているところでございます。  現在、用地買収を進めており、今後、埋蔵文化財の調査等を実施しており、できるだけ早い時期に工事に着手したいと考えております。  残る未改良箇所の整備につきましても、事業中箇所の進捗状況を踏まえながら、今後検討してまいりたいと考えております。    [米丸まき子君登壇] 63 ◯米丸まき子君 鹿児島県に設置されている保護施設ですが、そこでの一時保護決定の基準が明確ではなく、厳し過ぎる、なかなか保護されないとの声を聞きました。現在の公的シェルターに入るための条件があまりにも厳し過ぎて、やっとDVから逃れる決心をしてDV相談に訪れたにもかかわらず、公的支援が得られず、様々な危険と生活不安に見舞われた例も少なくないという現状が上がってきています。DV被害者に対して、漏れなく安全な場所を一時的に確保をしつつ、専門的・ニーズに合った支援を切れ目なく実施し、もって、DV被害者が自立し、安心・安全に過ごせるよう、民間シェルターへの取組促進を通じて、地域社会におけるセーフティーネットの強化を強く要望いたします。
     県民の森はとてもすばらしい場所です。また多くの人が集う場所にしていただけたらと思います。北山地区の方々にとって十六年前に要望した道路の改良です。ぜひ今後も素早く対応していただくことを願います。  さて、鹿児島県はかつてないほど少子高齢化時代にあっても、高い生産性と「稼ぐ力」のある県でありたい。そんな我が鹿児島県のこれからについて参考にしたい二つの海外事例を御紹介させていただきます。  一つは、高収入を得られる第三次産業の従事者を増やすアメリカの施策、もう一つは、今鹿児島の状況に似たイギリスの都市再生のプロジェクトです。  まず一つ目、アメリカの事例です。  アメリカの高名な経済学者によると、人口減少が進む先進国は、ITやハイテク産業などの革新的な産業、つまりイノベーション産業が必要だと提唱しています。高度な人的資本と創造の才能によって生み出される産業です。彼らの研究によると、ある都市でITやハイテク産業の雇用が一つ生まれると、長期的にはその地域にそれに準じて先端科学技術以外の産業で五つの新規雇用が生まれるそうです。例えば、アメリカのアップル本社では一万二千人の従業員がいるんですけれども、その周りには六万人の雇用が生まれるそうです。例えば、訴訟を扱う弁護士さんだったり、社員の健康を守る医師やヨガのインストラクター、住宅の修理人など、多様に富んだ雇用を地域にもたらすと言われています。  少子高齢化や若者の県外流出などが進む我が鹿児島県、この人口流出を止め活力を得ていくためには、高収入を得られる第三次産業の中でもイノベーション産業の従事者の増加が鍵を握るのではないでしょうか。というのも、現在、鹿児島県では、十人に七人が第三次産業に従事していますが、ITや先端技術関連の第三次産業の職業分類の多様性がまだまだ少ない状態です。  そういった意味で、鹿児島港本港区エリアの再開発だったり、企業誘致だったり、教育など、革新的な産業への先を見越した政策が鹿児島に必要なのではないでしょうか。それが若者の県外流出を防ぐだけでなく、国内外から高技能・高賃金の職の人々が憧れ、集まってくる県になると思います。  もう一つは、イギリスの事例なんですけれども、ロンドンの中心部にキングスクロスという場所があります。私が訪れた二十年前はあまり治安のいい場所ではなかったんですけれども、しかし、今では、都市再生プロジェクトでいろいろな賞を受賞して、そこには五千人近くの創造的な仕事に携わっている人々がまちの至る場所で仕事場として利用して、路上では自由に偶発的な出会いと会話が生まれ、社交的で創造的な活気あるまちに生まれ変わっているそうです。  実は、この場所は一九八〇年代から基本計画がつくられてはポシャる、知事が替わるたびに、市長が替わるたびに計画が変わると、基本計画の墓場とも言われていたそうです。ドルフィンポートもそんな感じかと思うんですけれども。再開発の案が持ち上がっては消える因縁の場所と言えるのではないでしょうか。そして、この場所は何と本県の鹿児島港本港区の三十ヘクタールとほぼ同じぐらいの大きさ二十七ヘクタールなんですね。産業革命の発祥地ロンドンで、既に主力産業は製造業から革新的なイノベーション産業に変わりつつあります。都市の規模は違いますが、学ぶべきことは本当に多いのではないかと思います。  近年の成熟した先進国の都市再生プロジェクトは、これまでのようなその土地に大きな目印や象徴になるような大きな建築物ではなく、出会いと交流が自然に起こる場と機会づくりに注力点が変わりつつあります。共有空間をいかにつくり出せるかという時代にいち早く移行しています。  熊本県が半導体の巨大企業誘致で一歩進んだ感はありますが、多くの世界の都市は産業構造が変化し、主要産業は製造業から金融、観光へと移行しました。そして今のビジネスの主力はイノベーション産業へと移り変わりつつあります。鹿児島はかつて、どこよりも先に革新が起こった場所です。この激しい時代の変化に対し一気に乗り越えることができるのではないでしょうか。  私は、二〇一九年四月から平成が終わる時代の変わり目に初挑戦で当選させていただいてから一期四年がたとうとしています。塩田知事には大分苦言を申してまいりましたが、私の声は切なる県民の声と御理解いただければ幸いです。  さて、知事の気さくなお人柄と手堅い行政手腕は誰もが認めるところであります。一方で、知事がこの鹿児島県を今後どのようにしたいのか見えづらいという声も聞きます。  先ほどのアンプの話に例えると、知事の心の中のアンプを我々県民に見せていただけていないから不安になるんだと思います。二百五十億円以上という膨大な資金を投入する鹿児島港本港区エリアの再開発は知事のアンプを知らせる最高の見せ場です。県政にとって近年まれに見る未来への投資であり、裏を返せば大きなビジネスチャンスです。どうかそのことを踏まえ、開発に取り組んでいただきたいと心から願います。  コロナ禍という長いトンネルから出口の光がようやく見え始めた今、人の心も経済も再び活発に動き出すと思われます。鹿児島の基幹産業である農業でも観光業でも、もっと「稼ぐ力」をつけるためにほかにない魅力を引き出し、独自の価値を磨き上げなければいけません。  最後になりますが、誰もが笑顔になる鹿児島の未来にに向けて、今後も精いっぱい頑張らせていただたいと思います。また、まだまだまだまだ言い残したことがいっぱいあり過ぎて、次の期もぜひ塩田知事と柔和に対話を繰り返したいと思いますので、また頑張りたいと思いますので、皆さんまた、よろしくお願いします。  本日は御清聴ありがとうございました。  以上をもって、質問を終わらせていただきます。(拍手) 64 ◯副議長(鶴薗真佐彦君)ここで、休憩いたします。  再開は、午後二時三十五分といたします。        午後二時二十六分休憩       ────────────        午後二時三十六分再開 65 ◯副議長(鶴薗真佐彦君)再開いたします。  宝来良治君に発言を許可いたします。    [宝来良治君登壇](拍手) 66 ◯宝来良治君 皆さん、こんにちは。鹿児島市・郡区選出、宝来良治でございます。  最近ですね、また、宝来さん、何でオレンジが好きなんですかという話をよく聞くようになりました。ジャイアンツが好き、消防が好き、消防が好きというか、消防のレスキューカラーということでオレンジということと、前議会でも言ったんですが、好きな色は赤なんですね。ラッキーカラーが黄色で合わせてオレンジということで、今日もイメージカラーのオレンジで登壇しましたが、最近、オレンジがちまたで増えてきまして困っているところですが、オレンジは宝来ということでぜひ皆様方よろしくお願いします。  それでは、早速質問に入らせていただきます。  令和四年度も終わりに近づき、令和五年度の予算案も出されたところです。丸三年間、コロナに翻弄されていた時代がようやく終わろうとしています。国も三月十三日からマスク着用の自己判断に続き、五月八日には感染症五類程度へ引き下げる方向で動いております。社会がいつ日常を取り戻すのかはそれは我々県民、国民の判断に委ねられていると言えることかもしれません。  さて、県内の感染者数も昨日二百十名となり、数字の上でもいよいよという状況ではありますが、まだまだ濃厚接触者の定義などに変更はないので注意は必要です。  ワクチン接種に関して、国は、高齢者、医療関係者等は年二回の接種を推奨する旨の発言も見受けられます。五類に引き下げられてもまだまだ季節性インフルエンザと同じようにとはいかないようです。  本日の地元紙でも書いてありましたが、検査が現在無料なのが五類移行後は自己負担、外来も陽性判明後の治療費が無料だったのが自己負担、ただし、高額な薬、要するに、新型コロナウイルス対応薬と言われるものは無料になります。入院が無料だったのも、ここも自己負担、ただ二万円の軽減措置があるということです。  このようにいろいろ社会は動きつつありますが、まずは、遡って、医療機関では昨年九月に、それまでは感染者全員の情報を詳細に国に報告する義務がありましたが、その作業が医療提供体制を逼迫させるとのことから全数把握の見直しが行われました。医療機関は大分、労力の低減につながり医療提供へ集中できたのだと思います。しかしながら、全数把握の見直しが行われた後、鹿児島県内では、今年一月に過去最高の感染者数を記録しました。  そこでお伺いします。  昨年九月に行われた全数把握の見直しは何をどのように見直し、医療機関においてどの程度の業務量の低減があったのか。見直し後、感染拡大が起こったが見直しによる影響はなかったのか。また、今後、五類に引き下げられたら全数把握はどのように変わっていくのか、お示しください。  現在、米国では、XBB・1・5が流行しているということです。鹿児島県でも定期的に変異株を調査していますが、どのようなルールで行われ、現在の変異株の状況をお示しください。また、XBB・1・5の特徴と県内での確認状況をお示しください。  ウイルス感染症は一度かかればそのシーズンは抗体ができるのでかかりにくいと言われています。新型コロナに関しても複数回感染しにくいと考えられますが、鹿児島県の状況と見解をお示しください。  今日の地元紙、新聞報道では、ワクチンのことは触れられておりませんでしたが、現在、ワクチン接種は接種トータル回数で評価されることが多いです。来年度以降は、高齢者、医療従事者等へ年二回という方向性が示されています。ワクチン接種の効果を踏まえ、県として、今後どのようにワクチン接種を推奨していくのか、お示しください。  また、ウイルス干渉という言葉がありますが、インフルエンザと新型コロナの同時流行に関する県の捉え方をお示しください。  次に、重度心身障害者医療費助成についてお聞きします。  今年度二回にわたり、その在り方の検討がされ、方向性が示されたと考えていますが、課題をどのようにして解決し、最終的な判断はどのようにして行われるのか。また、来年度の予算はどのようになっていて、来年度取り組むべき事項は何か。また、対象者に適用されるスケジュールをお答えください。  全国障害者スポーツ大会についてお聞きします。  先日、一月二十六日、地元紙で、栃木全スポに出場した選手の経験からの提言が、「入浴の不便を解消」という大きな見出しで報道されておりました。実は私の同級生で、元日の白波スタジアムの太陽とともに走ろうでばったり会ったときに直談判されていた内容でした。栃木県で今年度開催された全スポ大会には、本県から障害のある方も多数参加したことだと思います。現場を実際見聞き、経験したり、参加者等から感想なども聞いて主催者として感じたことも多いと思います。  そこで、参加者から聞いたバリアフリーに関する課題をお示しください。  今年十月、特別全国障害者スポーツ大会を開催するに当たり、会場整備においてどのようなバリアフリー対策を行ってきたのか、お示しください。  また、宿泊における課題と対応について、特別な配慮を必要とする選手、関係者をどのように把握し、対応するのか、お示しください。  鹿児島県は観光産業を主産業としていますが、これからはより障害者に選ばれる県にするためにも宿泊施設もその対応が一層求められると思いますが、これまでの県の取組をお示しください。  これで、一回目の質問を終わります。    [知事塩田康一君登壇] 67 ◯知事(塩田康一君)全国障害者スポーツ大会における宿泊の課題と対応についてでございます。  今年度、各都道府県等の選手団に実施した宿泊意向調査によりますと、大会期間中に延べ約三万人分の宿泊が見込まれ、その確保に努めてきた結果、必要な客室数は全体として確保できております。  宿泊予定施設については、これまで客室タイプや設備面等でのバリアフリー化の状況を調査するとともに、車椅子利用者の宿泊が見込まれる施設においては、車椅子利用者の観点から施設内の設備や動線等について、現地調査を行ってきております。  今後、各都道府県等の出場選手が決定した段階で、最終的な宿泊申込みを受ける際に、特別な配慮を必要とする方については、障害の区分や程度、車椅子の有無、必要な入浴支援用具等について把握することとしております。  大会参加者の宿舎の割当てに当たっては、障害の特性及び負担軽減に十分配慮する必要があることから、可能な限りバリアフリー化に対応した施設への割当てに努めることとしておりますが、そうした割当てができない場合は、入浴支援用具の配置や段差解消のための仮設スロープの設置など必要な対応を行うこととしております。  また、宿泊業務従事者を対象に、利用者へのサービス向上や心のこもったおもてなし、障害に応じた接し方等を内容とする接遇講習会を実施する予定でおります。  今後とも、大会参加者が心身ともに良好な状態で大会に臨めるよう、ホテル・旅館等の理解と協力を得ながら快適な宿泊施設の確保と環境整備に努めてまいります。 68 ◯くらし保健福祉部長(房村正博君)新型コロナウイルス感染症に関する御質問のうち、昨年九月以前と現在の全数把握の違いについてでございます。  医療機関においては、昨年九月の全数把握の見直し以前は、全ての新規感染者について、氏名、年齢、住所、連絡先、基礎疾患等を記載した発生届を作成し、保健所に提出する必要がありましたが、見直し後は、発生届出の対象を六十五歳以上の方や入院を要する方などに限定し、日ごとの新規感染者については、年代別に総数のみを報告することとなりました。  この見直しに伴い、医療機関が作成する発生届出の数は、新規感染者数の二割程度となっており、一月に新規感染者が増大した際にも医療機関の業務負担は一定程度軽減されたものと考えております。  感染者の把握については、感染症法上の位置づけが五類感染症に変更されることにより、医療機関による発生届の提出や感染者数の報告は終了し、定点医療機関による感染動向把握に移行するものとされております。  変異株調査と現在の流行株についてでございます。  県では、厚生労働省からの要請により、新型コロナウイルス感染症患者の検体を抽出いたしまして、毎週ゲノム解析を行っており、その解析によると、オミクロン株のBA・5が主流であり、その亜系統であるBQ・1・1やBF・7などが、また、BA・2の亜系統であるBN・1なども確認されているところであります。  XBB・1・5は、オミクロン株の変異株であり、国立感染症研究所によると、免疫逃避が起こる可能性や、伝播性がより高くなっている可能性があるが、重症度等に関する臨床的な知見は得られていないとされているところであります。  本県において公表している二月二十四日時点では、XBB・1・5の感染者は確認されていないところであります。  複数回感染者の状況等についてでございます。  県では、昨年九月の全数把握の見直し以前は、医療機関からの発生届出に基づき、感染者が療養期間終了後、再び感染し陽性となった場合に、再陽性の感染者として公表していたところであり、累計で五十九名が確認されております。  全数把握の見直し後は、発生届出の対象が限定されることから、再陽性者の総数を把握することはできないところであります。  なお、県内でも免疫逃避能を有する変異株が確認されており、専門家によると、一度感染していても再び感染する可能性はあるとされております。  今後のワクチン接種の推奨についてでございます。  ワクチン接種については、接種による重症化予防効果等が期待されることから、県では、これまでも、希望される方への早めの接種をお願いしてきたところであります。  今後のワクチン接種については、先月二十二日の国の分科会において、高齢者など重症化リスクの高い方や医療機関・高齢者施設等の従事者を対象として、年内に二回の接種を行うこと、また、全ての年齢の方を対象に年一回の接種を行うことなどが了承され、引き続き、必要な接種が自己負担なく受けられるよう、検討が行われているところであります。  国は、今月上旬を目途に、具体的な接種方針を示すこととしており、県としては、引き続き、市町村や関係団体等と連携しながら、希望される方への接種が円滑に進められるよう、必要な準備を進めてまいりたいと考えております。  続きまして、ウイルス干渉及び同時流行についてでございます。  ウイルス干渉とは、特定のウイルスが感染すると他のウイルスの感染、増殖を抑制するという現象であるとされております。  新型コロナとインフルエンザのウイルス干渉については、専門家によりますと、ウイルス干渉自体の評価は定まっていないとされております。  県内の流行について、新型コロナウイルス感染症は、昨年十二月に入り県内全域で感染拡大し、一月五日に過去最多の五千二百九人の新規感染者が確認され、その後も一月中旬にかけて高い水準で推移しており、こうした中、同月中下旬、地域によってはインフルエンザ流行発生警報等が発令されるなど、同時流行に近い状況にあったのではないかと考えております。  続きまして、重度心身障害者医療費助成制度の在り方検討事業のうち、課題と最終的判断と来年度取り組む事項等についてでございます。  重度心身障害者医療費助成制度の見直しについては、支給方式を現行の償還払い方式から自動償還払い方式に変更するとともに、支給対象に精神障害者保健福祉手帳一級所持者の通院医療費を新たに追加すること、所得制限を導入すること等を市町村、県医師会、審査支払い機関等の関係機関・団体で構成する関係者会議において示したところであります。  会議では、所得制限の導入に対して、影響を懸念する等の意見があり、支給方式の変更や支給対象の追加等に伴い、県及び市町村の財政的な負担増が見込まれることから、本制度を持続可能で安定的に継続していくために、他県における制度運用の状況等も参考に、相当程度の収入のある方を本制度の対象外とする所得制限を導入する必要がある旨の説明を行い、見直しの内容について了承をいただいたところであります。これをもって、県として制度変更を決定し、その後、制度変更に伴い必要となる具体的な手続や作業内容、市町村や審査支払い機関のシステム改修に係る詳細な仕様等について、関係者と調整を行ってきたところであります。  当該制度の運用については、今議会の施政方針で知事が申し上げましたとおり、令和六年度早期の開始を目指しており、令和五年度に、関係機関のシステム改修や試験運用等を行うこととしておりますが、必要な予算については、システム改修等の費用が確定した段階での計上を検討しているところでございます。 69 ◯国体・全国障害者スポーツ大会局長(千代森修一君)全国障害者スポーツ大会に関する御質問のうち、まず、栃木大会に参加した選手等が感じたバリアフリーの課題についてであります。  昨年の全国障害者スポーツ大会栃木大会は、四年ぶりの開催となり、本県選手七十四人を含め、全国から約三千人の選手が参加しました。  同大会に参加した本県の選手等に、バリアフリー対策に関する感想を聞いたところ、例えば、宿泊施設にシャワーチェアなどの入浴支援用具が少なく、希望者全員に行き渡らなかった、バリアフリー仕様の風呂が限られ、入浴時間の割当てが深夜であった、バスの移動に伴う乗り降りが大変だった、開・閉会式会場と選手控え所が離れており、車椅子での移動が大変だった、貸出し用の車椅子が不足している競技会場があったなどの指摘がありました。  本年十月の鹿児島大会の開催に当たっては、障害のある選手が心身ともに良好な状態で大会に臨めるよう快適な宿泊・輸送環境の整備や、選手等の負担軽減・利便性に配慮した会場設営・運営が課題と考えております。  次に、会場整備におけるバリアフリー対策についてであります。  鹿児島大会には、障害のある選手や観覧者が多数訪れることから、開催に当たっては、安全・快適に競技や観覧ができる環境を整備することが必要であります。  このため、開・閉会式会場や陸上競技会場となる白波スタジアムについて、これまで、車椅子観覧席やエレベーターの増設、また、鴨池公園内の多目的トイレや障害者用駐車場の整備など、障害のある方などに配慮したバリアフリー化のための改修工事を行ってきました。  また、他の競技会場施設に関しても、大会開催を機としたバリアフリー化の促進について、施設を有する市に対して技術的な助言を行ってまいりました。  今年度、改めて、全ての会場において、障害のある方々と共に、施設の現況や選手動線、仮設施設等の配置計画などについて現地調査を行ったところであります。  今後、この調査結果等を踏まえ、仮設で追加が必要となる車椅子席の確保や段差解消のためのスロープ、多目的トイレ等の整備を行う予定としております。 70 ◯観光・文化スポーツ部長(悦田克己君)宿泊施設に対する助成の実態についてでございます。県では、観光事業者等受入環境整備支援事業により、県内の宿泊事業者が行いますバリアフリー化に係る費用の一部を助成してきたところです。  同事業による令和三年度及び令和四年度の実績といたしましては、六十六件を採択し、宿泊施設等におきまして、バリアフリールームの新設のほか、トイレ・浴室等の段差解消や手すりの設置、出入口のスロープ整備等の取組が行われたところです。  また、地域観光資源磨き上げ事業により、宿泊事業者向けに、障害者や高齢者のための実技を交えた接遇研修や県内で先進的にバリアフリー化に取り組む宿泊施設への視察研修のほか、ユニバーサルツーリズムに関するセミナーを実施するなど、これまで受入れ体制の充実に取り組んできているところです。 71 ◯宝来良治君 自席から知事に再質問ですけど、重度心身障害者医療費助成制度の在り方検討委員会で、手続の簡素化というふうに大きく見直しがされるのだと思うんですが、知事が考える、いわゆる現物給付を求めている団体は、受診抑制があるのではないかという話をするんですけど、その点の考え方というのをお示しいただければと思います。 72 ◯知事(塩田康一君)重度心身障害者の皆さんからもこの制度の見直しについては御要望頂いておりまして、現物給付が一番望ましいんでしょうけれども、少なくとも、自動償還払いという形で手続の手間をなんとか簡素化してほしいという御要望があり、今回そういった形での検討を進めているところであります。    [宝来良治君登壇] 73 ◯宝来良治君 御答弁頂きまして、ありがとうございます。  新型コロナに関しましては、出口がかなり明確になってきたかなと思いますが、まだまだ五月までは濃厚接触者の扱いが一緒だということで、我々もちょっと注意しないといけないのかなと思いますし、まだ、国の方針でも最終的なものは出ていないんですが、入院、退院のルールというのがないところが若干今のところ不安になるところです。  検査も有料ということになると、今も抗原検査キットを有料で買って検査する人も多いんですけど、季節性インフルエンザと一緒で無症状のときは検査しても本来は出ない陽性反応なんですが、新型コロナに関しても、今までと同じ株であれば、無症状の人は検査をするべきではないなと思っているところです。その辺の検査の在り方も含めて、ぜひ五月八日以降は、知事の明確なメッセージをもって県民がどのように立ち向かっていくのかというのを県として示していただきたいなと思います。
     重度心身障害者医療費助成については、受診抑制というのが一つの大きな課題なので、まず、第一歩は、手続の簡素化に舵を切りました。私も所得制限もある意味仕方ないのかなとは思いますが、収入が少ない方が受診を控えるという状況があってはならないことなので、また、次の段階としてぜひ検討を進めていただきたいなと思います。  バリアフリー対策に関しましては、今から三万人分の、三万泊ですか、その宿泊の対応をするわけですが、しっかりとアンケートを取りながら、落ち度がないように、以前も、昨日も同席させていただきましたが、当事者からは、本当に自分が必要なものを必要だと言うタイミングがなかなかなかったという話も聞いておりますので、県の各競技団体にそこはくれぐれもしっかりとアンケートを取るように取り組んでいただきたいなと思うところです。  それでは、次の質問に入ります。  スポーツによる地域活性化についてです。  各地で開かれる大型イベント等では、経済波及効果が公開されるケースが多いです。行政の主催するイベントに関しても、費用対効果を判断する上で非常に重要な視点だと考えます。今年開かれる国体での経済波及効果の資料を見ると、県内客、県外客、そして宿泊ありかなしで試算しています。それから算出される一人当たりの消費額は、県内客の宿泊なしで約四千円、宿泊ありで約二万円、県外客で宿泊なしで約八千円、宿泊ありで約四万円となっております。このような考えをベースに、行政の関わる集客イベントに関しては、関連性を明確にしていく必要があると考えます。  これを念頭にしてお聞きしたいと思います。  県も力を入れ、現在後援して非常に注目されております薩摩おいどんカップですが、参加チーム数もさることながら、観客数も順調に推移しているようです。序盤の注目カード、開幕日ですね、二月二十三日に行われた大学日本一の亜細亜大学対社会人日本一のトヨタ自動車の試合は二千名の観客を集め、その可能性を十分に示したところです。今シーズン四球場で十七日間にわたり計八十三試合開催されます。  そこで、大学野球、社会人野球、クラブチーム、そしてプロ野球、あらゆるカテゴリーのチームの初の交流戦です。鹿児島県にどのような経済効果を与えると考えているのか、お示しください。  まだ終わっておりませんが、今年度は年度途中に開催が決定され後援したわけですが、今年度、県が実施している予算措置や実行委員会の活動への支援などをお示しください。  また、継続的なイベントとなるよう、来年度はどのような支援を考えているのか、お示しください。  また、このようなイベント誘致にも大きく関係すると思われる予算の一つに、スポーツキャンプ等誘致・受入体制強化事業について、来年度の取組内容とその予算で新たなホームページ作成を行うと聞いておりますが、具体的にはどのようなものになるのか、お示しください。  次に、子ども食堂についてお聞きします。  全国で開設されている子ども食堂の数は二〇二三年二月の確定値で七千三百六十三か所となっており、二〇二一年度から千三百四十九か所増加しています。鹿児島県内でも今年に入ってからも数十件開設されている状況です。全国で小学校の数だけ子ども食堂をつくろうという一つの考え方もあることから、各都道府県における充足率も測定しております。  鹿児島県は校区が四百九十二あり、子ども食堂が百十九か所なので、充足率は全国順位三十五位の一九・七二%となっております。しかし、十万人当たりの食堂の数を見てみると、七・四一か所で全国十二位という結果になっています。また、増加率で見ると、全国三位となっています。この結果から見えるのは、鹿児島県では子ども食堂への注目度が上がり、他県より協力する方が増加しているが、地域偏在が見られるということになります。  子ども食堂が世間に認知された当初は、子供の貧困対策としての意味合いが強かったと思いますが、現在は、子供が食事をするところという基本的な機能は同じですが、設置目的は様々であり、子供の居場所づくりであったり、地域のコミュニティースペースであったり、多世代交流拠点だったり、育児相談場所であったりといろいろです。食事の提供を核に様々なコミュニティーが行われています。鹿児島県も子ども食堂支援には積極的に取り組んでいるところです。  そこでお伺いします。  県内の子ども食堂数及び今年度の支援内容と予算執行状況についてお示しください。  また、来年度予算の考え方と内容についてもお示しください。  また、子ども食堂は現在、完全に自主的なボランティアの力で成り立っていることなども原因となり、先ほども示したとおり、地域偏在が発生していると推測されます。鹿児島県では、来年度、子供の貧困調査が五年ぶりに、かごしま子ども調査という形で行われますが、この調査が子ども食堂の地域偏在という課題の洗い出しに活用できるのではないかと考えます。調査に物価高騰の影響で必要な栄養が取れていないとか、病気になりやすくなったとか、勉強に集中できない等の質問を取り入れることで、子ども食堂を必要としている地域のヒントになるのではないかと思いますが、県の考え方をお示しください。  次に、アートの発信拠点についてお聞きします。  鹿児島県には、黎明館や霧島アートの森、田中一村記念美術館、鹿児島市立美術館をはじめ公立美術館が五館、私立の美術館が最近閉館したこともあり九館あります。それぞれ特色ある常設展示を行っているところであります。  さて、現在も県立美術館設立を考える会が定期的に活発にシンポジウムを開き、機運を高めているところです。私も携わっていくうちにアートの可能性というものを強く感じるようになってきました。  一流に触れるという経験はもちろん大切ですが、ものを自ら創造する経験を積むことで、自分の考えを率直に表現する力がつき、自己肯定感を育むことができると言われています。また、他人の作品を鑑賞することにより、自分と違うことを認めること、批判することよりも他人を理解しようとする力を養うことができるようになると考えられています。今の社会に足りないと言われているものが芸術・アートを体感、経験することで獲得できるのだと思います。これこそがアート教育の重要性だと思います。  学校教育現場をはじめ、あらゆるところでアートを体感できる環境の整備が必要だと思われます。我々の最終目的は、鹿児島県のアートの発信拠点、つまり県立美術館を造ることですが、まず取り組むことは、アートを身近に感じることだと思います。そのために、県内の美術館の収蔵品にはどのようなものがあるのかをデータベース化することが大事だと考えます。身近にある作品を知ることから、歴史的に美術界の巨匠を輩出した鹿児島の可能性を実感でき、より親しむことができるのだと思います。  また、現在、鹿児島の大きな話題となっているのがスポーツ・コンベンションセンターですが、一年三百六十五日、毎日にぎわいを感じることができる仕組みが必要だということは基本構想にも書かれているところです。まだまだ自由な発想で活用の可能性が残っているスペースがあります。本港区エリアに訪れた方が気軽に本物に触れ、豊かさを実感できるギャラリースペースをつくったらいかがでしょうか。そのギャラリーには、鹿児島に点在している美術品を季節ごとに、テーマごとに展示することで、鹿児島の豊かさをアピールでき、その作品を所有している美術館にも興味を持ってもらうことができ、県内を周遊するきっかけづくりになってくれるのではないでしょうか。目玉となる美術品を展示するだけで集客の核となる可能性もあります。  そこでお伺いします。  現在、県内美術館の収蔵品を見える化するためにも、収蔵品を検索する仕組みはあるのか、データベース化されているのか、お答えください。  一%フォーアートという考え方があります。街並みをアートの力で豊かにしよう。芸術や文化を守ろうという取組です。外国では法制化されている国もあります。公共事業費の一%をアート・文化に投じようという考えです。携わる方々を支援しようという考えも含まれております。鹿児島でも一%フォーアートという概念の下、一九八〇年代、かごしまの美とうるおいを創る事業という取組を行っていたようです。事業の目的は、鹿児島らしい個性を有する文化を醸成し、各地域の魅力を高めるところにあったようです。当初は、事業の対象施設は橋梁、道路、学校に限るということでしたが、趣旨から、それらの施設に限定しなければならない理由はどこにもないという結論に至ったようです。  そこでお伺いします。  現在、鹿児島県において一%フォーアートという概念はあるのか。  また、県庁の備品や県庁周辺にも彫刻や絵画、造形物の展示品を数多く見ることができますが、その予算はどのようにして確保され、執行されているのか。スポーツ・コンベンションセンターのような大型施設などを整備する上で重要になると思われる、例えばエントランスに飾る作品などどのような位置づけのものになるのか、お答えください。  最後に、風力発電についてお聞きします。  促進区域の候補地エリアとして鹿児島県沖の洋上も示されています。そのような中、二月二日に、初めて県は利害関係者向けの説明会を実施しました。  洋上風力発電の事業化を進める場合、県がするべき第一歩は、国に対して情報提供を行うことであります。その情報提供をめぐって前回の一般質問でも柴立議員が早期の国への情報提供を要望したところですが、関係者の意見を取りまとめるより先に情報提供を行うことは可能でありますが、合意形成が不十分なまま情報提供を行ったとしても法定協議会の設置が難航することも想定されますという答弁でありました。  秋田県では、研究会設置から六年の年月を経て情報提供を行ったという前例があります。しかしながら、その当時と状況は刻々と変化しており、先日の県の行った説明会に出席した漁師からも制度説明でなく、必要性を議論する場を早期につくってほしいという意見も出たところです。つまり、現在、地元に関して、国も県も十分に必要性を説明していない、もしくは必要性が十分伝わっていないということになります。  鹿児島県は川内原発を抱え、運転期間延長の問題もすぐそこにあります。また、国の方向性に沿って、県地球温暖化対策実行計画を策定し、二〇五〇年にはカーボンニュートラルを県は目標に設定しており、実現しようとしております。  また、GX、つまり、化石からクリーンエネルギーへのシフトチェンジが現在の最重要課題です。さらに、知事は答弁でも、「洋上風力発電が導入されれば、関連産業の立地などが期待されると考えております」と述べております。  知事、「稼げる」鹿児島県の実現のために、企業誘致が必要なのではないですか。環境アセスメントなどは国が行うなどの支援も見込めます。  洋上風力発電に関して、国も予算を投じて国産化を進めているところだと聞いております。鹿児島県の未来を担う事業に発展する可能性が十分にあります。私たちも洋上風力発電が鹿児島県には必要だと考えています。情報提供の準備を早々に進めて、いつでも出せる状況にしておくことが大切であり、県のために、知事として、その必要性から洋上風力発電を進めるという判断をしたということを目に見える形で利害関係者に示すべきだと思います。それが情報提供の提出だと思います。  どんなに進めようと、民主主義ですから、地元の反対が多ければそのような開発は行われないのですから、エネルギー政策として、そして、県内への企業誘致政策として、洋上風力発電が必要だと知事の考えを明確にする必要があると思います。知事の考えをお示しください。 74 ◯観光・文化スポーツ部長(悦田克己君)まず、薩摩おいどんカップの開催により期待される経済効果についてでございます。  薩摩おいどんカップ二〇二三は、大学、社会人のトップチームやプロチームなど約四十チームが参加し、十八日間にわたって開催される全国でも初の大規模な野球の交流戦であり、先月二十三日に姶良市で開催された開幕戦には約二千人の観戦者が訪れるなど、野球ファンをはじめ多くの方々の注目を集めているところであります。  開催に当たりましては、多くの選手や監督等のチームスタッフが県内に宿泊するほか、この大会を機に新たに多くのチームが本県での春季キャンプを実施いたしますことから、宿泊、飲食等による消費支出など、本県にとって一定の経済効果が期待されると考えております。  なお、大会の開催に伴います経済波及効果につきましては、現在、薩摩おいどんカップ実行委員会において調査を行っているところでございます。  次に、薩摩おいどんカップへの今年度の支援内容と来年度の支援の在り方についてでございます。  薩摩おいどんカップの開催に当たりまして、県といたしましては、この交流戦を後援いたしますとともに、交流戦の成功に向けて実行委員会の委員となり、運営の協力や周知・広報、関係機関との調整など、各開催市とも連携し円滑に大会が開催されるよう積極的に支援を行ってまいりました。また、試合のインターネット配信もあるなど、本県のPRにも資することから、広告費として一定の負担もすることといたしております。  薩摩おいどんカップにつきましては、来年度以後も継続して開催するとしていますことから、県といたしましても、実行委員会等とも連携し、引き続き、積極的に支援してまいりたいと考えております。  次に、スポーツキャンプ等誘致・受入体制強化事業についてでございます。  県では、来年度も引き続き、同事業により市町村やスポーツ、観光、宿泊、交通等の各種団体等で構成いたしますスポーツキャンプ対策県連絡会を設置し、スポーツコミッションとして、スポーツ合宿等の誘致から歓迎まで官民一体となって取組を推進することといたしております。また、実業団や大学の競技団体等を対象に県外での誘致セミナーを実施いたしますほか、スポーツ合宿等誘致の機能強化を図るため、新たなホームページの作成を計画しております。  新たなホームページにつきましては、合宿希望者が競技に応じた練習施設を検索し、個々の施設の情報収集や個別の相談を行うことができるようにするほか、検索した施設が所在しています市町村における助成制度や観光等の情報も同時に提供できるよう検討を進めているところです。  また、合宿希望者が当該ホームページを関係者間で共有・展開しやすいよう、ホームページと連携した公式SNSについても開設することといたしております。  県といたしましては、今後とも市町村や関係団体等とより緊密な連携を図り効果的な誘致活動に取り組んでまりいたいと考えております。  次に、アートの発信拠点についてのうち、まず県内美術館の収蔵作品のデータベース化についてでございます。  県内の美術館が収蔵している作品に関する情報につきましては、霧島アートの森では全ての収蔵作品を、鹿児島市立美術館におきましては、代表的な作品をホームページで公開しておりますが、現在、県内の美術館の収蔵品を集約したデータベースはないところでございます。  県内の美術館の収蔵品のデータベース化は、美術館の間での収蔵品の有効活用が図られ、美術鑑賞機会の創出にもつながるものと考えられることから、収蔵品のデータベース化に向け、県内の各美術館と今後、協議、調整を行ってまいりたいと考えております。  次に、一%フォーアートの考えについてでございます。  県では、個性ある文化的風土づくりを進めるため、一%フォーアートの概念を踏まえ、昭和五十五年度から昭和五十七年度までは、かごしまの美とうるおいを創る事業により、また、昭和五十八年度から昭和六十三年度までは、個性豊かなふるさとづくり事業により、県の公共施設の整備に際し、文化性を付与するために必要な予算を措置していたところです。  現在、県におきましては、各公共施設において文化性を付与するための一定の予算を措置いたします、いわゆる一%フォーアートといった考え方はございませんが、県有施設を所管する各部局におきまして、その施設の整備目的や性格等を踏まえ、美術・工芸品の設置等を行っているところであります。  次に、公共施設建設費に投じる美術品の予算についてでございます。  新県庁舎建設に当たりましては、平成二年に県庁舎建設基本構想を策定し、その基本理念におきまして、県のシンボルにふさわしく、文化性を備え、都市環境の向上に寄与し、かつ、県民に親しまれる庁舎であることを第一に掲げたところでございます。これを踏まえ、平成七年四月には、県庁舎アートワーク設置基本構想を策定し、アートワークの設置場所や設置作品に係る基本的な考え方の整理を行った上で、選定委員会による検討が行われ、新県庁舎の建物や敷地内に設置する美術・工芸品等の選定が行われたところでございます。  なお、現在、県有施設における美術品等の設置に係る予算につきましては、施設を所管する各部局におきまして、その施設の整備目的や性格等を踏まえた上で必要な対応がなされております。 75 ◯子育て・高齢者支援総括監(岩田俊郎君)県内の子ども食堂数及び今年度の支援内容と予算の執行状況についてでございます。  子ども食堂の数については、市町村を通じて把握しておりまして、令和五年二月末現在で百四十二施設となっております。  県では、子ども食堂の活動を支援するため、子ども食堂立上げ応援プロジェクトとして今年度予算に約八百万円を計上し、新規開設に要する経費の助成や運営方法等に対するアドバイザーの派遣、開設のきっかけづくりのための子ども食堂の出張開催、活動に賛同する企業とのマッチング、地域における周知・啓発のための研修会の開催などに取り組んでおり、予算額の約八割の執行を見込んでおります。  来年度予算の考え方と内容についてでございます。  子ども食堂は、地域のつながりが希薄化する中、困難を抱える子供たちや親を含め、多世代交流や地域における居場所確保の機会を提供しており、今後もその役割は大きくなるものと考えております。  このため、令和五年度当初予算案においては、引き続き、子ども食堂立上げ応援プロジェクトとして七百万円余りを計上し、新規開設に係る助成件数を増やすとともに関係団体と連携強化を図ることで、一層の普及・啓発に取り組むこととしております。  県としては、今後とも、地域の関係団体や市町村と連携しながら、子ども食堂への総合的な支援に努めてまいりたいと考えております。  次に、かごしま子ども調査事業の活用についてでございます。  令和五年度当初予算案に計上した、かごしま子ども調査は、本県の子供及びその保護者の生活実態や支援ニーズ等の把握・分析を行い、子供の生活支援対策の効果的な実施や施策の検証、評価に活用することとしております。  現在、県内の子ども食堂につきましては、鹿児島市など都市部に比較的多く開設されている一方で、開設されていない地域もございます。  そのため、県としては、子ども食堂の出張開催など、開設されていない地域における子ども食堂の開設のきっかけづくりに取り組んでいるところでございまして、子ども食堂に係る課題等の把握に同調査を活用することについては、今後検討してまいりたいと考えております。 76 ◯商工労働水産部長(平林孝之君)洋上風力発電の必要性についてでございます。  洋上風力発電は、国のエネルギー基本計画において、再生可能エネルギー主力電源化の切り札として推進していくことが必要であるとされており、県としても、カーボンニュートラル実現に向けた再生可能エネルギー導入における重要な選択肢の一つであると考えております。  また、関連産業の立地など地域経済への波及効果も期待されるところであります。  一方、その導入に当たっては、地域における理解やその地域における環境への影響等も十分見極める必要があり、関係市町や利害関係者、地元の方々の意向を踏まえながら対応してまいりたいと考えております。 77 ◯宝来良治君 自席から再質問しますが、まずは、洋上風力発電について、必要性があるという答弁の中で、地域との合意形成という形ですが、地域というのはどういう地域を示しているのか、そこが一つ問題だと思います。  先日、県が開催した研修会では、五市一町の方が参加したと、利害関係者を含めて、熟度のある市町もあると聞いております。地域、この五市一町全てが理解して合意形成が取れるまで県は何もしないのか、もしくは、その一部でも合意形成がなされたら、県は情報提供を行うのか。そこが一つの今言える課題かなと思います。  例えば、いちき串木野市は、市長のマニフェストで風力発電構想の実現と、そして産業の拠点化に向けた検討を掲げています。その市長が市長選を勝ち抜いて、二月十二日もいちき串木野市が主催する洋上風力シンポジウムを開いております。洋上の考え方は、市町村のエリアの延長線上にその市が持つ漁業権も含めたエリアがあります。  知事にお伺いします。  例えば、いちき串木野市、ここが利害関係者も含め、市も住民も洋上風力に対して前向きですよと、合意形成できましたよとなった場合、鹿児島県として、国に情報提供を私は上げることができると思うんですが、その考えはないのか、お聞かせください。 78 ◯知事(塩田康一君)洋上風力発電については、考え方は先ほど商工労働水産部長から答弁したとおりでありますが、今の御質問で、薩摩半島沖に関係する五市一町ですかね、全てがその地域において、合意形成できるということが求められているということではないと思っております。一部地域において合意形成されて、その海域において、関係者間の合意形成ができたとすれば、それは情報提供は可能だと考えております。 79 ◯宝来良治君 それでは、再度確認しますが、その地域が合意形成できたということをどのようにして県に伝えればよろしいんですか。 80 ◯知事(塩田康一君)昨年も利害関係者に対して、県のほうからお問合せをして意向確認を行っておりますので、また、随時そういったことを情報提供の前には行うことになろうかと思います。    [宝来良治君登壇] 81 ◯宝来良治君 御答弁頂きまして、ありがとうございます。  薩摩おいどんカップ、昨日も東議員が質問して、新聞にも答弁を取り上げるほど、そして、南日本新聞のスポーツ欄には、今毎日、薩摩おいどんカップの記事のスペースができています。非常に注目されております。ただ、先ほども私、言いましたように、今年度は多分、夏ぐらいに相談があって、とんとん拍子に今の状況まで持ってきて、奇跡的なことかなと思うぐらいうまくいっている状況かなと思いますが、それに対して、県は広告費として、あと実行委員に参加しながら支援を行っているということですが、来年度はもう支援を決めているわけですから、広告費を別に増やせということは私は申し上げませんが、まだまだ県ができることがあるだろうなと思っておりますので、そこの調査をしっかりスポーツ振興課も含め、観光・文化スポーツ部もしていただきたい。  例えば、中央大学対法政大学のときは、両同窓会が支援金を贈呈したというような話も出てきております。このように、大学の同窓会が動くとなると、もっともっと活性化すると思うんですよね。なので、鹿児島にどの大学の同窓会組織がどれぐらいあるかは分かりませんが、その同窓会も動かすようなメッセージを鹿児島県のほうからしていただく。そして、もう一つ、鹿児島県の公立高校でいいと思うし、どこでもいいんですけど、吹奏楽をぜひスタンドに入れて応援をしていただければ、すごくキャンプに訪れた選手たちは喜ぶのかなと思います。そこもしっかりと検討していただいて、いかに鹿児島県の手助けで、予算繰りだけではなく、そういう協力体制でおいどんカップが盛り上がるのかというのをしっかりと研究してほしいと思います。  さらに、できれば、何試合もするので、県知事賞とか、ホームラン賞とか、首位打者賞とか、そういう個人賞をやるとか、あともう一個大事なことがあって、鹿児島県に来たチームがもし大学日本一になりました、社会人日本一になったら、やはり、鹿児島県として、しっかり御褒美をあげるべきだと思います。そうすると、次の年も鹿児島はすごく親切にしてくれたな、こんなことまで、我々のことを見ているんだということで、それがおもてなしの極致かなと思いますので、いろいろな形でまだまだ盛り上げる手段はあると思いますので、検討してください。  子ども食堂に対してはいろんな考え方もあろうかと思いますが、私も実際運営していて、自分の方向性を見失いそうになることも確かにあります。何のためにしているのかなと。ただその中に少なくとも救われている子供たちがいることは間違いないと思うので、子供たちも含め、案外救われているお母さんたちもいるのも事実です。うちの中郡スマイル食堂というのは、土曜日の夜のお弁当を家族全員分渡します。そうすることによって、お母さんが土曜日の夕食を作らなくていい、このことがどれだけ楽になるかというのをまじまじと話を聞きました。本当、いろいろな形で社会貢献はできるんだなと思っております。今年度もしっかり支援して、来年度もしっかり支援していただきたいと思います。  あとアートの拠点ということで、県立美術館を建てることが最終目的の方々と今共に活動しておりますが、私もアートの可能性というのは十分感じつつ、先ほど、米丸議員も言いましたように、アートによる集客というのは本当にすばらしい力があると思いますし、先ほどデータベース化も前向きに考えていただいたので、そういう機能を生かしながら、まずはどういったところで鹿児島県がアートに力を入れているんだということを、まず県外に示すことも大事かなと、そうすることによって、一つのブランディングもできるのかなと思っておりますが、しっかりと議論を、まちづくりの可能性をアートに望むということも一つの方法かなと思いますので、よろしくお願いします。  最後、風力発電です。  先ほど言いましたように、五市一町全てが了解しなくても、一部の市町が了解することでこの事業は進む可能性が見えてきたと判断させていただきました。今後、利害関係者の情報をしっかりと集約しながら、県もしっかり丁寧に聞き取りをしながら、関わる方全てが満足できるような、ウィン・ウィンになるような政策を取っていただきたいと思います。  企業誘致が鹿児島県にとって何よりも大事、そして何十年も続くであろう産業をまず呼び込めるという利点もございます。時間との闘いでございます。秋田県に負けることなく、鹿児島県は原発を有しております。エネルギーに関して真剣に考えているんだというのを全国に示すためにも一日も早い情報提供をお願いしたいと思います。  四月に向けて私ももう一度この場でしっかりと議論を続けてまいりたいと思います。皆様方の御支援、よろしくお願いします。  以上で、一般質問を終わります。(拍手) 82 ◯副議長(鶴薗真佐彦君)これで、本日の日程は終了いたしました。       ───────────── 83    △ 日程報告 ◯副議長(鶴薗真佐彦君)明日は、午前十時から本会議を開きます。
     日程は、一般質問であります。       ───────────── 84    △ 散  会 ◯副議長(鶴薗真佐彦君)本日は、これで散会いたします。        午後三時三十六分散会 鹿児島県議会 ↑ ページの先頭へ...