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2021-12-08 令和3年第4回定例会(第5日目) 本文
2021-12-08 令和3年第4回定例会(第5日目) 名簿

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  1. 鹿児島県議会 2021-12-08
    2021-12-08 令和3年第4回定例会(第5日目) 本文


    取得元: 鹿児島県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-10
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1  午前十時開議    △ 開  議 ◯議長(田之上耕三君)ただいまから、本日の会議を開きます。  本日の日程は、配付いたしております議事日程のとおりであります。       ━━━━━━━━━━━━━  議 事 日 程  一、開  議  一、一般質問    いわしげ 仁 子君    鶴 田 志 郎 君    前 原   尉 君    大久保 博 文 君  一、散  会       ━━━━━━━━━━━━━ 2    △ 一般質問 ◯議長(田之上耕三君)一般質問であります。  通告に従って、順次発言を許可いたします。  いわしげ仁子君に発言を許可いたします。
       [いわしげ仁子君登壇](拍手) 3 ◯いわしげ仁子君 皆様、おはようございます。鹿児島市・鹿児島郡区選出の無所属のいわしげ仁子でございます。  それでは、早速質問に入らせていただきます。  塩田知事が御就任されてから一年半以上がたちまして、県民の方々からいろいろなお声を頂きます。塩田知事は温厚そうでよか人じゃっとが、塩田知事は穏やかで誠実そうだ、また、県庁職員の方からも、よくお話を聞いてくださるので、随分と仕事がしやすくなったというお声も頂きました。  一方で、県民の方からのお声で多く聞かれますのが、塩田知事は鹿児島をどうしたいと思っているのかが見えない、塩田知事の鹿児島に対するビジョンが見えないというものもあります。例えば、御就任から約四か月後には総合体育館基本構想検討委員会を設置されましたが、委員の方からは、どういった体育館を造ってほしいのか明確なビジョンがない中では、何を議論すればいいのか、どの方向で話を進めればいいのか分からないというお声も聞かれました。  また、国際展示場の整備に関しましても、塩田知事自らのマニフェストに掲げていらっしゃるのであれば、ある程度のイメージなどをお持ちなのであろうと考えますが、令和三年第三回定例会一般質問のおさだ議員の「他県の施設で例えるならば、どのような施設をイメージされているのか」という質問に対して、塩田知事は、「具体的にイメージする他県の既存施設はない」と御答弁されております。  そして、令和二年第四回定例会において、私が、鹿児島県の長年の課題であるJR鹿児島中央駅西口にある県工業試験場跡地の利活用について、どのようなビジョンをお持ちなのかお尋ねしたところ、塩田知事は、「特段まだ具体的な利活用方策を念頭に置いているわけではない」と御答弁されました。  振り返りますと、そのアイデアや事業の進め方に対する評価のよしあしは別としても、伊藤元知事や三反園前知事は明確なビジョンを打ち出していらっしゃったため、県民にとっても、県庁職員の方々にとっても、鹿児島県がどの方向に進むのか、どの方向で仕事を進めればよいのかが分かりやすかったのではないかと考えます。  塩田知事がその言動や人間的魅力に非常に感銘を受けていらっしゃるという稲盛和夫氏が二〇一二年八月号の「PRESIDENT」のインタビューで、「リーダーが強い使命感を持ち、自分たちのビジョンに向かって純粋な心で打ち込めば、企業経営はもちろん、政治にしろ行政にしろ、どんな組織でもうまくいく」とおっしゃっております。  また、二〇一二年の盛和塾においては、従業員のモチベーションをさらに高めるためには、ビジョンが大切です。私は、京セラがまだ中小零細企業であったときから、この会社を日本一、世界一の会社にしようと、うまずたゆまず従業員に説き続けました。すると、初めは半信半疑であった従業員も、いつしか私の掲げた夢を信じるようになり、その実現に向けて力を合わせ、努力を重ねてくれるようになったのです。すばらしいビジョンを共有し、こうありたいと会社に集う従業員が強く思えば、そこに強い意志力が働き、夢の実現に向かって、どんな障害をも乗り越えようという強大なパワーが生まれてくるのですとおっしゃったとのことです。  このことを踏まえて、鹿児島県が抱える課題と同じ課題に対して、ほかの自治体がどのようにビジョンを掲げて対応しているかといいますと、例えば、二〇二四年開業予定の神戸アリーナは、アジアナンバーワンアリーナをビジョンとして掲げ、単なる箱物ではなく、最先端のテクノロジーやパートナーシップを生かして社会問題を解決するSDGsアリーナを目指し、一万人規模で飲食店舗やオープンテラスを併設した、まちづくりの核となる稼ぐアリーナを、国から神戸市が取得する土地に民設民営で整備することとなっております。  鹿児島県が抱える様々な課題を迅速かつ丁寧に進めるためには、リーダーである塩田知事がそれぞれの課題に対して明確なビジョンを打ち出す必要があると考えます。明確なビジョンがあってこそ、その課題に携わる県庁職員の皆様はもちろんのこと、検討委員となられた方々や県民の皆様も、鹿児島県がどの方向を向いて進もうとしているのかが明らかとなり、それぞれの課題を解決するための的確なアイデアも出てくると考えます。  そこでお尋ねいたします。  塩田知事は、リーダーとして求められる役割の一つであるビジョンを掲げることに欠けているとのお声が聞かれますが、知事は、ビジョンを掲げることの重要性についてどのようにお考えか、お示しください。  以上で、一回目の質問といたします。    [知事塩田康一君登壇] 4 ◯知事(塩田康一君)ビジョンを掲げることの重要性についてでございます。  本格的な人口減少や少子高齢化の進行、技術革新の急速な進展など大きな変革期の中にあって、県政を預かる知事としては、何よりも時代の流れを的確に見据え、県勢の発展や県民福祉の向上に向けて、各般の施策を着実に推進していくことが求められていると考えております。  このため、私としては、かごしま未来創造ビジョンを改訂し、鹿児島の現状を踏まえ、多岐にわたる行政課題や挑戦すべきテーマを明確にし、体系的に整理した上で、中長期的観点から、本県のあるべき姿や今後の県政の進むべき基本的な方向性を県民に分かりやすくビジョンとしてお示しし、県民一丸となって取り組むことが重要であると考えております。    [いわしげ仁子君登壇] 5 ◯いわしげ仁子君 大阪府は、水の都再生と銘打って、二〇〇一年から大阪府主導の官民連携で、国内外の誰もが水の都と思えるまちづくりを進めており、川沿いの遊歩道を整備したり、川に面しておしゃれなカフェやレストランを整備され、昼夜を問わずにぎわうようになったのは二〇〇四年以降であるとのことです。  塩田知事の残りの任期も二年半余りとなってまいりました。塩田知事、時間がありません。知事が明確なビジョンを打ち出していただかない限り、鹿児島県のあらゆる課題において議論の方向性も迷走を続けるばかりで、何も決まらない事態となってしまいます。ぜひともそれぞれの課題に対して明確なビジョンを打ち出して、鹿児島県を引っ張っていっていただきますよう強く要望申し上げます。  次の質問に移ります。  塩田知事が、県政の様々な課題について早急にビジョンを打ち出してくださると信じて、以下、子供たちがわくわくする鹿児島のまちづくりについてお尋ねしてまいります。  新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により延期されていた東京オリンピックが無事に開催されました。そこでの日本人選手の活躍は皆様の御記憶にも新しいことと思います。その中でも、東京オリンピックから新たに追加された種目であるスケートボードにおいては、若い日本人選手が三つの金メダルを含む五つのメダルを獲得し、全国でスケートボードフィーバーが起こることとなりました。  その流れを受けて、東京都や兵庫県では、都立公園・県立公園内にそれぞれ二〇二四年、二〇二五年にスケートボードパークを設置することを発表されました。  東京都では都立代々木公園の一部で、都として初めて都市公園法に基づく公募設置管理制度─Park─PFI─を活用して、公園周辺のまちづくりに合わせた新たな整備管理運営を行う事業者を、東急不動産株式会社を代表とする代々木公園STAGESに決定したとのことです。  このPark─PFIとは、都市公園において飲食店・売店などの施設設置を行い、収益から園路・広場などの整備を行う民間事業者を公募により選定する制度のことです。  お手元の配付資料の写真一にありますように、今後、代々木公園内では、下のほうに赤で囲っておりますけれども、屋内外でスケートができるアーバンスポーツパークや、多世代が使用可能な健康増進スタジオ、屋内外で飲食できるフードホールや広場、屋上テラス、シェアサイクルポートの設置などが計画されており、二〇二四年三月の供用開始を予定しているとのことです。  また、神戸新聞の報道によりますと、兵庫県では、県立都市公園十五か所を対象としたリノベーション計画を本年六月に公表されまして、老朽化する遊具やトイレの改修を進めるほか、多様化する利用者のニーズを踏まえて、ありきたりな公園からの脱却を図るために、令和二年度に有識者らを交えて計画策定に向けた議論を重ねたとのことです。  その結果、お手元の資料の写真二にありますように、兵庫県加東市の播磨中央公園にローラースポーツパーク─仮称─と銘打って、スケートボード用のコースと自転車を使ったBMXのコースやジャンプ台を二〇二五年開設を目指して整備するとのことです。この赤で囲ったところにローラースポーツパークを造られるとのことです。  一方、鹿児島県内でスケートボードが楽しめる公園は吹上浜海浜公園ローラースケート場しかなく、鹿児島市内の小学生・中学生・高校生にとっては吹上浜まで行くことが難しいとのことです。また、そんな彼らが鹿児島市内の公園でスケートボードを練習していると、近隣の住民の方々から苦情が出たり、トラブルにつながったりしております。  未来のオリンピック選手を鹿児島で育てるためにも、鹿児島県内の子供たちに他都道府県の子供たちと同じように、わくわくする経験の機会を設けるためにも、鹿児島県内の県立都市公園やマリンポートの広場などにスケートボードパークを設置することを検討する必要があると考えます。  そこでお尋ねいたします。  鹿児島県内の県立都市公園、例えば鹿児島市内であれば吉野公園や鴨池公園、鴨池緑地公園、谷山緑地、鹿児島ふれあいスポーツランドやマリンポートの広大な芝生の一角にスケートボードパークを整備することに関する県の見解をお示しください。  次に、鹿児島市南部に位置する谷山緑地は、十四・八ヘクタールもの広大な敷地に様々な木々が植栽された緑豊かな空間となっております。この谷山緑地においては、令和三年度から指定管理業務を担う鹿児島県造園事業協同組合・株式会社エフエム鹿児島共同事業体が、自主事業として今年の三月時点で公園内に住宅展示を兼ねた公園施設を整備する住宅会社を公募しておりました。計画では、谷山緑地に売店やカフェ、シェアオフィスやカルチャー教室、ボルダリングなどの公園施設機能を備えた住宅規模の施設を十棟建設し、事業で得た収益は谷山緑地の整備に還元する予定とのことで、参加社が決定した後には、今年の十月一日開業を目指すとされておりました。  この事業が実現すれば、現在は近隣住民の方々のウオーキングやジョギングなどの散歩コースとなっている谷山緑地が、子供たちもわくわくするようなまちづくりの核となる場所に生まれ変わるのではないかと期待していたところです。  そこでお尋ねいたします。  谷山緑地における指定管理者の自主事業の取組状況と今後の方針について、県の見解をお示しください。  次に、令和二年第四回定例会の一般質問におきまして、JR鹿児島中央駅西口に位置します県工業試験場跡地の利活用について、塩田知事のビジョンをお尋ねいたしました。私としては、この県工業試験場跡地の利活用問題は十年以上の長きにわたって議論されてきた課題ですので、知事選挙に出られる方は当該地について何らかのビジョンを持ってしかるべきと思っておりましたのでお尋ねいたしましたが、就任から四か月が経過した当時の塩田知事からは、「中央駅の西口については、特段まだ具体的な利活用方策を念頭に置いてあるわけではない」と御答弁を頂いたところです。  これまで、平成十八年から、鹿児島県、鹿児島市、JR九州、日本郵便の四者連絡協議会で西口地区の再開発が議論されてきましたが、何の方向性も見いだすことができなかったことに業を煮やしたJR九州が単独での再開発を決定され、十一月十八日から商業施設とオフィスビルから成る複合ビルの建設工事が始まりました。  県工業試験場跡地は、JR鹿児島中央駅に隣接するため、鹿児島の陸の玄関口の顔となれる地区であり、JR九州の複合ビルと併せて西口地区の活性化につながる重要な場所だと考えます。  塩田知事の御就任から一年四か月が経過いたしました。もうそろそろ、当該地区利活用の新たなアイデアが浮かんでこられたのではないかなと思います。  そこでお尋ねいたします。  県工業試験場跡地の利活用に関する検討の進捗状況についてお示しください。  次に、鹿児島市荒田二丁目に設置された知事公舎は、築八十年以上が経過する九州最古の知事公舎となっているとのことです。また、令和元年の朝日新聞の調査によりますと、四十七都道府県のうち、戸建ての知事公舎を構えるのは二十九道県、うち、知事が自宅から通われているため福井県と島根県を含めて六県で空き家となっており、四県は民間マンションの借り上げで対応し、五府県は幹部職員公舎を使っているとのことです。残る十五都府県では知事が自宅を住居としているとのことです。  北海道の鈴木知事は、築三十八年が経過し、老朽化による修繕などで年千二百万円維持費がかかる知事公舎を令和元年に廃止され、民間マンションを借り上げ、その賃貸費用は駐車場代も含めて月十八万二千円で、そのうち六万千円を道職員の公宅使用料の取決めに沿って知事が負担しているとのことです。これによって、年間一千万円の削減ができたとのことです。  また、既に知事公舎を廃止した十七都府県においては、知事公舎を改修してレストランや国文学館、国際交流会館やホールとして活用している事例もあるとのことです。  そして、現在の知事公舎のある荒田地区ですが、当該地区の住民の方々から、近隣の八幡地区、鴨池地区、甲南地区には福祉館があるが、荒田地区には福祉館がなく、コミュニティーとして集える場所が不足しているため、知事公舎と隣接する空き地を活用して福祉館などを設置してもらえないだろうかというお声も頂いております。  そこでお尋ねいたします。  一点目として、現在の知事公舎の年間の維持費及び耐震性についてお示しください。  二点目として、知事公舎は築八十年以上が経過しておりますが、近々廃止する考えはないか、お示しください。  三点目として、知事公舎を廃止した上で、隣接する空き地と合わせてコミュニティーに役立つ利活用を検討する考えはないか、お示しください。  次に、新たな総合体育館の建設候補地につきましては、去る十一月二十六日に開催されました総合体育館基本構想検討委員会におきまして、十一月十六日に示された五つの候補地の中から、ドルフィンポート跡地と住吉町十五番街区を建設候補地として一体的に整備する方針が決められました。  この十一月十六日に示された五つの候補地は、ドルフィンポート跡地、住吉町十五番街区、農業試験場跡地、鴨池ニュータウン九・十号街区の県有地四か所と、市脇田処理場等跡地の市有地一か所となっており、民有地や国有地は含まれておりませんでした。この五か所の候補地は、鹿児島市のまちづくりの観点から選定されてはおらず、単に手続が比較的しやすく、既存の建物がないことで施工がしやすい県有地と市有地を候補地として挙げてこられたとしか思えません。  鹿児島市のまちづくりを考えた上で総合体育館を整備するとなると、この五つの県有地・市有地よりも、まちづくりの観点からよりよい民有地があったのではないかと考えます。例えば、イオン鹿児島鴨池店は敷地面積が三万六千三百六十四平米あり、鴨池運動公園にもほど近く、市電も郡元電停が目の前にあります。そのような場所に、カジュアルからハイクラスのレストランやカフェ、託児所、商業施設やホテルも併設されたアリーナがイオンさんを中心とした民間活力で整備されたら、鹿児島県民も鹿児島県を訪れた方々もわくわくするような施設となり、鴨池運動公園の利便性も向上できたのではないかと考えます。  民有地を候補地とすると、その所有者との交渉などに長くかかる可能性があることや解体費用なども考慮する必要があることなどから、民有地を対象とされなかったのかもしれませんが、五十年後、百年後の鹿児島市のまちづくりを考えると、一番丁寧に時間をかけて候補地選定をするべきではなかったかと考えます。  そこでお尋ねいたします。  一点目として、総合体育館の五つの建設候補地には民有地は含まれておりませんでしたが、民有地の利活用について検討しなかったのか、お示しください。  二点目として、民有地も検討したのであれば、どのような課題や理由により五つの候補地に民有地が含まれなかったのかもお示しください。  次に、平成三十年五月に、鹿児島市内の公衆トイレに、十代の母親が生まれて間もない赤ちゃんを置き去りにしたという事件がありました。また、今年の五月にも、二十四歳の女性が鹿児島市内の自宅マンションにおいて、生後間もない赤ちゃんの死体を遺棄したとして、去る十一月に、懲役一年、執行猶予三年の判決が下されました。  この二人の若い母親は、望まない妊娠をしたことを誰に相談することもできずに、一人で悩み苦しみ、最終的に悲しい手段を取らざるを得なかったのだと考えられます。このような苦しく悲しい経験をする女性を減らすためには、事実に基づいた適切な性教育と相談しやすい体制づくりが必須だと考えます。  そのような中で、本年九月一日より、鹿児島県若年妊産婦等オンライン相談支援事業かごぷれホットラインのLINEアプリを利用した相談窓口が開設されております。皆様のお手元の資料の三番目の写真、こちらが、かごぷれホットラインのPC版のホーム画面でございます。  この事業は、令和三年度の当初予算に六百十二万六千円計上されたものであり、鹿児島の女性が妊娠や性に関する悩みを気軽に相談できる窓口として開設されています。  かごぷれホットラインのLINEの窓口を拝見いたしますと、月経や体、パートナーとの関係、妊娠のこと、性被害についての事実に基づいた分かりやすい情報ページと併せて相談方法のページがあり、そのページの相談フォームに記入すると、相談方法が電話相談、メール相談、対面相談から選べるようになっており、また匿名での相談も可能となっております。  そこでお尋ねいたします。  一点目として、このかごぷれホットラインの九月一日以降のアクセス数及び周知方法についてお示しください。  二点目として、このかごぷれホットラインの相談フォームの選択制となっている相談したい内容には、性的暴力や緊急避妊薬について、無理やりセックスされたなど、緊急を要する相談も含まれております。このような緊急を要する相談を相談フォームを通して受けた場合の相談対応体制はどのようになっているのか、お示しください。  以上で、二回目の質問といたします。 6 ◯土木部長(兒島優一君)子供たちがわくわくする鹿児島のまちづくりについてのうち、スケートボードパークの整備についてであります。  県内におけるスケートボードの利用が可能な施設としましては、県立吹上浜海浜公園ローラースケート場にジャンプコートを整備しており、スケートボードの利用者にも楽しんでいただいているところでございます。  また、鹿児島市近郊におきましては、今年の三月、日置市伊集院町に民間施設がオープンしております。  県立都市公園等におけるスケートボードパークの整備につきましては、整備に係る費用や安全性・採算性などの管理運営面の課題もあると考えておりますが、今後、東京オリンピックを契機とした本県での愛好者の増加や競技に対する関心の高まりを注視しつつ、他県での整備手法や管理運営なども参考にしながら、研究してまいりたいと考えております。  谷山緑地における指定管理者の自主事業の取組状況と今後の方針についてであります。  谷山緑地につきましては、緑豊かな緩衝緑地としての機能に加え、より一層の公園利用の促進を図るため、指定管理者が自らの責任と財源で行う自主事業により、公園利用者に新たなサービスを提供したいと考えているところでございます。  現在、指定管理者は、定期的なイベント開催やキッチンカーの出店等を実施しており、公園利用の促進に努めているところでございます。  一方、本年三月には、売店や飲食店等として利用する施設の整備に向け、ハウスメーカー等、民間事業者を公募したところでありますが、応募者が少数にとどまり、採算ベースに至らなかったことから、現在、指定管理者による事業内容の見直しが進められているところでございます。  県としましては、指定管理者と連携を図りながら、公園施設の充実や利用者へのより一層のサービス向上に取り組んでまいりたいと考えております。 7 ◯総合政策部長(前田洋一君)県工業試験場跡地の利活用についてであります。  県工業試験場跡地につきましては、新たな総合体育館の整備候補地となる可能性が依然として残されていたことから、先月の検討委員会において候補地から除外されるまでは、同地におけるその他の整備の検討を留保していたところでございます。  鹿児島中央駅西口地区の土地の利活用につきましては、土地所有者であるJR九州、日本郵政、鹿児島市及び県の四者で協議を行ってきたところであり、陸の玄関口にふさわしい都市機能の充実・向上、にぎわいが感じられる魅力あふれる都市空間の創出、未来のかごしまを見据えたまちづくり、周辺環境に配慮したまちづくり、公民協働によるまちづくりを目指すことについて合意しており、この合意は尊重すべきであると考えております。  県といたしましては、工業試験場跡地の利活用について、この考え方をベースに、同跡地周辺の個別開発状況等も踏まえ、あらゆる選択肢を幅広に検討してまいります。  次に、新たな総合体育館の整備に係る民有地の利活用についてであります。  新たな総合体育館の整備候補地の選定に当たりまして、民有地については、鹿児島市内において、おおむね一万五千平方メートル以上の譲渡可能な土地を対象に、鹿児島県宅地建物取引業協会、全日本不動産協会鹿児島県本部、日本不動産研究所鹿児島支所の三団体に対し照会を行ったところです。  この結果、譲渡可能な土地については、該当がない旨の回答を得たところです。  このほか、県議会や知事へのたよりなどを通じて、これまでに様々な御提案を頂いてきたところでございますが、これらの土地については、鹿児島市外であることや必要な面積を確保できないこと、譲渡可能性などを確認いたしまして、候補地として適さないと判断されたところでございます。 8 ◯会計管理者(片平洋一君)知事公舎の現状と活用見込みについてでございます。  知事公舎の維持補修費、光熱水費の一部及び庁務補助員の人件費など維持管理費につきましては、平成二十八年度から令和二年度までの平均で年間約四百五万円となっております。  また、耐震性につきましては、平成二十九年度に補強工事を実施し、十分な耐震性を確保しているところでございます。  知事公舎につきましては、これまでも歴代の知事が居住しており、県庁からも至近な距離にあることから、活用できる間は知事公舎として使用することとしております。 9 ◯子育て・高齢者支援総括監(吉見昭文君)若年妊産婦等オンライン相談支援事業についてのお尋ねのうち、かごぷれホットラインのアクセス数及び周知方法についてでございます。  十一月末時点におけるかごぷれホットラインの利用登録者は、千百九十三人、うち女性が約八割、男性が約二割となっており、自動返信システム、いわゆるチャットボットのアクセス件数は、延べ四千八百八十九件となっております。  県では、かごぷれホットラインの周知を図るため、利用者登録ができるQRコードを掲載した名刺サイズのカードを、県内の高等学校や短大・大学、市町村、保健所等に対し、約二万千部配布いたしますとともに、SNSのオンライン広告を実施したところでございます。  かごぷれホットラインは、相談だけでなく、妊娠、女性のからだの仕組み、パートナーとの関係など必要な情報を自分で調べることもできることから、多くの方に利用していただきたいと考えておりまして、引き続き周知に努めてまいります。  次に、緊急を要する相談への対応についてでございます。  かごぷれホットラインは、二十四時間対応で匿名での利用が可能であり、性被害など緊急を要する相談についても、自動返信システムにおいて、速やかに、性犯罪被害相談電話─♯八一〇三─など、公的な二十四時間対応の相談窓口の連絡先を案内いたしますほか、緊急避妊薬の処方が可能な医療機関の情報を提供できるようになっております。  これに加えまして、医師や助産師など専門家による個別相談を希望する方に対しましては、電話や面談などにより状況等を確認し、本人の意向を踏まえ、産科医療機関との受診調整や、受診の際の支援など、相談者に寄り添った対応を行うこととしております。 10 ◯いわしげ仁子君 自席より知事にお尋ねいたします。  知事公舎についてでございます。  この知事公舎、築八十年以上もたっておりますけれども、住み心地はいかがでございましょうか。普通に考えますと、隙間風など吹いて今の時期寒いのではないかなと思うんですけれども、知事御自身も、老朽化した知事公舎にお住まいですが、今後、廃止するという検討に入っていらっしゃらないかどうか、知事としてどう思っていらっしゃるかお尋ねいたします。
    11 ◯知事(塩田康一君)御指摘のように築八十年ということで、入居する前、前知事からの引継ぎのときに、夏は暑く冬は寒い場所ですというようなことをお伺いしましたけれども、実際住んでみますと、きれいにリフォームされたといいますか、平成二十九年度に耐震の工事もされたということで、特段の隙間風とか不自由な点というのは感じてはおりません。ただ、何分にも古いということでございますから、今後の使用可能性とかそういうことについては、また別途検討を進めていく必要があるのではないかと思っております。 12 ◯いわしげ仁子君 ありがとうございます。  続きまして、新たな総合体育館のことについてお伺いいたします。  先ほど部長のほうから、民有地について、宅建協会など三団体にお尋ねされたということでございました。そういった不動産関係の団体が持っていらっしゃる情報というのは、今まさに売りたい土地についてしか入手することができないのではないかなと考えるのですが、その他、今、既存の建物が建っているような民有地であっても、実はここ活用してほしいんだよなと思っていらっしゃるところもあれば、まちづくり、都市計画の観点からこういったところに体育館を造ったほうがいいのではないかということで、ピンポイントで民有地を探して、そこの所有者と直接交渉するということも可能だったのではないかなと考えております。  不動産業者の方々にお尋ねいたしますと、不動産業者の方々がマンションとか、いろんな建物を建設する際には、都市計画の観点から周辺の構造なども考えた上でピンポイントで土地を選んで、そこに既に建物が建っているとすると、そこの所有者と直接交渉して、売買の交渉をされるということだったのですが、今回の総合体育館に関しましては、五つの公有地といいますか、県有地と市有地が示されただけで民有地は一つも入っていなかったわけでございます。  ですので、まちづくりの観点から、どの場所に総合体育館を整備することが望ましいかということを、例えばまちづくりの専門家に調査していただいた上で、当該地に既存の建物がある場合にはその所有者と直接交渉するという方法も検討できたと思うんですが、そのような方法は考えられなかったのか、お尋ねいたします。 13 ◯総合政策部長(前田洋一君)総合体育館の整備候補地として、民有地の検討方法についての御質問でございます。  県といたしましては、検討委員会において基本構想案を作成すべく、まず、あるべき体育館の姿を定めようということで、基本コンセプトの共通理解を得るという作業をやりました。  次に、この体育館を建てるとしたときにどこがふさわしいかということで、土地の選定を進めていったわけでございますけれども、県有地と併せて国有地、それから鹿児島市有地、委員御指摘の民有地も含めまして、それぞれの所管に照会をかけ、その上で、譲渡可能な土地ということで情報を得まして、その結果、五か所が選ばれたという状況であります。    [いわしげ仁子君登壇] 14 ◯いわしげ仁子君 いろいろと御答弁頂きましてありがとうございます。  まず、スケートボードパークに関しまして、九州のスケートボードパークの状況を見てみますと、私設のスケートボードパークも含めて、福岡県に十八か所、佐賀県に五か所、長崎県に三か所、熊本県に五か所、大分県に七か所、宮崎県に六か所、そして鹿児島県には公称では二か所だけとなっております。鹿児島に生まれ育ったがために、人気のスポーツをする機会が持てなかったとなると、鹿児島の子供たちにとっては残念な環境でしかありません。  マリンポートや鴨池運動公園や吉野公園など、特に鹿児島市内の県立都市公園内には広いスペースがたくさんあります。ぜひとも鹿児島の子供たちが誰に気兼ねすることもなく思う存分スケートボードを楽しめる場所を整備していただきますよう要望いたします。  谷山緑地に関しましては、先ほど述べましたように、東京都や兵庫県をはじめ、他の都道府県では、魅力ある施設を整備した上で県立都市公園の収益化を図り、管理費を賄う施策を展開されています。  谷山緑地は、鹿児島市南部における憩いの場として、さらなる進化を遂げられる可能性をたくさん秘めていると考えます。  十月一日開業予定であった谷山緑地の公園施設が実現しなかったことの理由の一つとしては、住宅展示場も兼ねたという部分が、一般県民・市民の皆様の公園に対するニーズにそぐわなかったのではないかと考えます。  やはり公園は、ある一部の企業が特定の営利目的も兼ねて公園にそぐわない施設を整備するのではなく、多様な一般県民・市民が純粋に楽しめる憩いの場、例えば先ほどのスケートボードパークやドッグラン、ジップラインなど、これまでのありきたりの公園では禁止されていたようなことができる場所になることと、おしゃれなカフェやレストランがあると、おのずと人は集まってくるため、利用料などで収益を上げることも可能であると考えます。ぜひとも、谷山緑地を含めた鹿児島県内の県立都市公園を、ただの広場ではなく、子供たちがわくわくする場所へと変革していただきますよう要望いたします。  県工業試験場跡地につきましては、鹿児島の陸の玄関口となるところでございますので、駅直結型の例えばフランスのパリのポンピドゥー・センターのような美術館や音楽ホールなどが入る複合型文化施設や、デンマークのルイジアナ美術館のような、誰もが行きたくなるような、県民も観光客も楽しめるような場所の整備を御検討いただきますよう要望いたします。  知事公舎に関しましては、鹿児島県の知事公舎は八百三十三平米の約二百五十二坪あり、鹿児島市荒田二丁目の坪単価が六十万円から八十一万円と言われる中で、この知事公舎の土地を売却するとなると、約一億五千万円から二億円となるということです。  福井県では、令和元年五月に初登庁された杉本知事が、全ての事務事業は県民目線で全部見直す。知事公舎の在り方も御議論いただければ、とのことで、令和元年八月二十四日と二十五日に、県民の皆様に知事公舎の利活用を考えてもらうための見学会を開かれました。その後、去年の十月に、知事公舎とその敷地と隣接する更地の売却に向けた一般競争入札があり、民間企業が宅地分譲地として三億三千五百万円で落札したとのことです。  また、読売新聞によりますと、茨城県の大井川知事は令和二年に、築四十六年と老朽化する知事公舎を解体することを決められました。茨城県としてはホテルやレストランとして活用することも検討されたそうですが、コロナ禍で断念し、維持管理費が年間三百万円に上る上に、漏電による火災のおそれがあることから、知事公舎を解体する方針を決めたとのことです。  福井テレビのインタビューで、京都橘大学の竹内直人教授によると、知事公舎の廃止や別の用途での活用が広がっているのは時代の流れである。三つの要因の一つとしては、維持管理にもお金がかかるから財政的な問題で見直されていること、二つ目に、知事と住民の距離感が近づいていること、三つ目に、民間にも立派な住居があり、通信手段が発達したため県庁のすぐ近くに住む必要性が薄れたことが挙げられるとのことです。  知事、知事公舎の場所は、荒田地区の皆様にとってはちょうど中心部となり、便利な場所となっております。そこにマンションなどが建ち、その一階がコミュニティーが活用できるスペースとなれば、荒田地区の子供たちをはじめ、住民の皆様方にとっても活動の場が広がるのではないかと考えます。  他県では築三十八年や築四十六年で知事公舎の廃止を決めております。築八十年以上が経過し、維持管理費も先ほど年間約四百五万円かかると言われる鹿児島県の知事公舎です。ぜひとも、子供たちがわくわくするような活用方法を御検討いただきますよう要望いたします。  新たな総合体育館に関しましては、総合体育館の候補地のめどが示されましても、果たしてドルフィンポート跡地と住吉町十五番街区をどのように一体的に整備するのかなど、迷走している状況には変わりはないと考えます。  この迷走している状況を生み出している最大の要因が、塩田知事が総合体育館に対する明確なビジョンを打ち出されていないことにあるのではないかと考えます。先日、宝来議員もおっしゃいましたけれども、スポーツ振興の拠点として、アスリートファーストで何の附帯施設も併設しない単なる箱物の総合体育館を整備するのか、それとも、スポーツ振興の拠点でありながら、まちづくりの核となるような附帯施設も併設された稼げる総合体育館を整備するのか、そろそろ知事がはっきりと方針を示さなければならないと考えます。  その上で、総合政策部、土木部、鹿児島市、まちづくりの専門家、アリーナの専門家から成る、総合体育館を核としたまちづくりプロジェクトチームなどを設置して、整備の詳細を議論していくべきだと考えます。  もう一つ申し上げますと、塩田知事は、県民の声を県政に反映すると常々おっしゃっておりますが、どうも声の大きい方々の声だけを聞いていらっしゃるのではないかというような気がしてなりません。  総合体育館なんか必要ないと思っている県民も多数おられます。伊藤元知事のリコール運動は、伊藤元知事がスーパーアリーナをドルフィンポート跡地に整備するとおっしゃったことから始まりました。ドルフィンポート跡地は県民の財産なのです。そこにスポーツ関係者の方々だけが享受するような施設を整備してはならないと考えます。  今回、検討委員会において、ドルフィンポート跡地と住吉町十五番街区の一体的な整備が望ましいとされたところですが、昨日の郷原議員の質問にもあったように、後々になって、整備候補地は検討委員会が決めたことだからなど、県から五つの候補地の選択肢しか与えられなかった検討委員会の皆様に責任が及ぶことのないように御配慮いただきたいと思います。  そして世界には、ウォーターフロントに前衛的な美術館やMICE施設や稼げるアリーナなどを整備して、それを核としたまちづくりを実現した結果、例えばアメリカのオレゴン州のポートランドのように、若者の流入が増え人口が増加しつつある場所もあります。ぜひとも海外の知見も最大限に活用していただきますよう要望申し上げます。  昨日、県議会では、霧島の天空の森の田島健夫氏をお迎えいたしまして、鹿児島の観光は未来を拓けるかというテーマで御講話頂きました。田島氏は、ドルフィンポート跡地への体育館やスタジアムの整備には否定的で、当該地は景観を一番大切にするべき場所であり、ウォーターフロントの再開発については、賞金をつけてでも世界からアイデアを募集するべきだとおっしゃいました。私も常々、県が何をするにおいても、海外の知見を活用するべきであることを申し上げてきましたので、田島氏の言葉に激しく同意いたしました。  知事、今の日本、特に鹿児島県はあまりにも島国過ぎて、鎖国時代のように世界で何が起こっているのか理解することが難しくなっております。薩摩の先人たちが海外で学んだことを生かして近代日本を築かれたように、今こそ海外の知見を最大限活用して、令和維新を起こすときだと考えます。  五十年後、百年後の鹿児島県の未来を形づくる鹿児島港本港区のまちづくりです。ぜひとも海外からまちづくりのアイデアを公募していただきまして、総合体育館がどこにどうなるのかまだまだ全容が見えませんが、県民の負の遺産をつくることなく、県民の宝物となるまちづくりを進めていただき、子供たちがわくわくするような鹿児島となるように、やりやすい、進みやすい道を選ぶことなく、最大限の御尽力を賜りますよう強く要望いたします。  かごぷれホットラインにつきましては、皆様ぜひアクセスしていただきたいのですが、性や妊娠のことについて、堅苦しくなく分かりやすい情報提供を行ってくださっております。このような先進的な情報源及び相談窓口を開設していただいたことに、担当者の皆様方の御尽力に心より感謝申し上げます。  十一月二十六日に、かごぷれホットラインにアップされました情報によりますと、令和元年における鹿児島県での十五歳から十九歳の女性人口は三万六千五百四十二人であり、そのうち、十五歳から十九歳の母による出生数は百九人、一方、人工妊娠中絶数は百九十六人であったとのことです。少なくとも三百五人が十代で妊娠し、妊娠した約三人に二人が人工妊娠中絶を選択しているということは、それだけ予定外の妊娠が多かったことが推定されるとのことです。  「予期しない妊娠を防ぎ、自分のからだとこころを守るためにも、避妊についての知識を持つことは大切です」と、この情報の最後に記されております。せっかくの性と妊娠について学べる相談窓口ですので、小学校・中学校・高校、短大・大学などの教育現場でも周知に努めていただきまして、最大限御活用いただき、苦しく悲しい思いをする女性をこれ以上出さない鹿児島にしていただきますよう要望いたします。  次の質問に移ります前に、時間の都合上、質問の三番目、魅力ある癒やしの観光地の形成について、四番目、戦略的な誘客の展開について、五番目、平成三十年三月策定以降、これまでの取組状況と成果、目標達成に向けた課題についてという質問に関しましては、御準備いただき誠に申し訳ございませんが、割愛させていただきます。  かごしま未来創造ビジョンについてです。  平成三十年三月に策定されました、かごしま未来創造ビジョンについては、現在、新型コロナウイルスの世界的なパンデミックなど時代の流れを反映した改訂が進められているところです。  この鹿児島県においては、他の自治体と同様に、各種分野において基本計画や推進計画などが策定されており、県庁職員の皆様は、それらの様々な計画や施策の基本方向と現状を照らし合わせながら、各種事業の企画・実施に取り組まれていらっしゃいます。しかしながら、計画や施策の基本方向自体の項目が多岐にわたっているため、全ての計画や施策の基本方向を事業として反映することは難しくなり、計画や施策の基本方向自体が掛け声だけになってしまうのではないかと危惧いたしております。  今回示されました改訂案を拝見いたしますと、平成三十年度版には含まれておらず、今回新たに含まれた施策の基本方向がありますので、それらについて、以下お尋ねしてまいります。  まず、「快適な生活環境の向上と世界につながる県土の創造」という大項目の中に「人やモノの交流を支える交通ネットワークの形成」という中項目があり、その中の「港湾施設の整備」という小項目に「ヨットや遊漁船など、小型船の係留・保管のあり方や係留施設の整備について検討を進め、適正かつ利用しやすい環境づくりに取り組む」とあります。  国土交通省の「観光先進国の実現に向けた海事観光の戦略的推進について」によりますと、地方誘客や消費拡大に貢献する重要コンテンツの一つとして、スーパーヨット等の豪華な滞在環境コンテンツによる富裕層の誘致が挙げられております。  そこでお尋ねいたします。  このかごしま未来創造ビジョンにおいては、ヨットや遊漁船など、小型船の係留・保管のあり方や係留施設の整備について検討を進めるとありますが、スーパーヨットの受入れ環境整備についても検討する必要があると考えますが、県の見解をお示しください。  次に、「国際航空ネットワークの拡充・強化」という小項目においては、「鹿児島空港における国際線については、ソウル線、上海線、台北線、香港線の四つの国際定期航空路線の維持・充実を図るほか、その他のアジア主要都市とを結ぶ新規路線の開設や国際チャーター便の就航促進に取り組む」となっております。  そこでお尋ねいたします。  この新規路線や国際チャーター便で結ぼうとするアジアの主要都市とは具体的にはどこを想定しているのか、お示しください。  今回示されました、かごしま未来創造ビジョンの改訂素案におきましては、大項目として特出しされることととなりました「多様で魅力ある奄美・離島の振興」の中項目である「離島の交通ネットワークの形成」における小項目の「離島の交通基盤の整備」の中に、「屋久島空港については、交流人口の拡大による地域経済の活性化のため、ジェット機が就航可能な空港整備に向けた取組を推進する」となっております。  屋久島は、鹿児島県において最初に世界自然遺産登録になったところであり、今回新たに世界自然遺産登録となった奄美・徳之島にも県本土よりは近いことを鑑み、またウィズコロナ・アフターコロナにおける富裕層のインバウンドを見据えると、現在、滑走路延伸に向けて計画が進んでいる屋久島空港において、ビジネスジェット駐機場の整備を検討する必要があると考えますが、県の見解をお示しください。  以上で、三回目の質問といたします。 15 ◯土木部長(兒島優一君)かごしま未来創造ビジョンについてのうち、スーパーヨットの受入れ環境整備の検討についてでございます。  スーパーヨットにつきましては、一般的に外国人富裕層などが所有する全長二十四メートル以上の大型クルーザーであり、食事や観光、船舶のメンテナンスなどによる経済効果が見込まれておりますが、長期滞在するための係留場所の確保や、煩雑な出入国管理に関する手続の簡素化などの課題があるとされております。  このため、これらの課題解決に向け、国により、スーパーヨットの受入れ拡大に関する関係省庁連絡調整会議が平成三十一年三月に設置されたところであります。  県といたしましては、国の検討状況や今後のスーパーヨットの動向などを注視しながら、既存施設の活用も含め、係留施設の整備可能性など、スーパーヨットの受入れ環境整備について検討してまいりたいと考えております。  屋久島空港におけるビジネスジェット駐機場の整備についてであります。  屋久島空港につきましては、ジェット機の就航に必要な滑走路二千メートルへの延伸の事業化に向けた取組を進めているところであります。  昨年五月に策定した基本計画におきましては、滑走路延伸と併せてエプロンも拡張する計画としており、既存の二バースに加え、ジェット機の利用を想定した一バースを追加することといたしております。  ビジネスジェットの駐機につきましては、エプロンが合計三バースとなりますことから、定期便の運航に支障のないよう調整することで対応が可能かと考えております。 16 ◯地域政策総括監(房村正博君)鹿児島空港とアジア主要都市とを結ぶ新規路線の開設等についてでございます。  鹿児島空港の国際定期路線につきましては、かごしま未来創造ビジョンを踏まえ、令和元年に策定した鹿児島空港将来ビジョンにおいて、既存のソウル・上海・台湾・香港の東アジア四都市を結ぶ路線の維持・拡充を図りながら、新たに、東南アジア諸国との新規路線開設を図る必要があるとされております。具体的には、長年にわたる本県との交流実績のあるシンガポールや、旺盛な訪日観光需要のあるタイ、技能実習生の増加に伴い交流が拡大しつつあるベトナムなどが挙げられております。  現在、鹿児島空港将来ビジョンの実現に向け、今年度末を目途に、より具体的な施策やスケジュールを示す工程表の策定を進めており、新型コロナウイルス感染症の動向等を踏まえつつ、関係機関と連携しながら、国際線の拡充に向けて取り組んでまいります。    [いわしげ仁子君登壇] 17 ◯いわしげ仁子君 スーパーヨットに関しましては、お手元の資料の四番目の静岡港のように、静岡県や広島県、大阪府など、他の都道府県でもスーパーヨットの受入れ環境整備を鋭意検討されております。鹿児島県は、十周くらい周回遅れを取っているので、ぜひとも、かごしま未来創造ビジョンにスーパーヨットの受入れ環境整備も高々と掲げて取り組んでいただきますよう要望いたします。  アジアの主要都市空港の国際線の路線を見てみますと、鹿児島空港と直行便のある韓国仁川空港は百二十路線、香港国際空港は百五路線、上海浦東空港は五十一路線、台北桃園空港は二十八路線となっております。鹿児島が今後、新規路線や国際チャーター便で結ぶべきアジアの主要都市は、シンガポールの百五路線、バンコクの七十九路線は必須だと考えます。ちなみに、以前チャーター便が飛んだことのあるベトナムのノイバイ空港は十六路線、ホーチミンのタンソンニャット空港は二十四路線となっております。ぜひとも、シンガポールとバンコクとは新規路線や国際チャーター便で結べるように御尽力いただきますよう要望いたします。  先日、天空の森の田島氏も、富裕層向けのビジネスジェットターミナルの重要性について触れられました。お手元の資料五番目は、タイのバンコクのMJetsプライベートジェットターミナルでございます。このように通常、ビジネスジェットターミナルはおしゃれなラウンジつきで、羽田空港に整備されたビジネスジェットターミナルを利用される方は三分ほどで出入国の手続ができるようになっております。  せっかく屋久島空港の滑走路延伸に向けて計画が進んでいるのであれば、その計画の中に、ぜひともビジネスジェットターミナルの整備も含めていただきますよう要望いたします。  この鹿児島県の議会庁舎・行政庁舎・警察庁舎が建てられた平成八年、私はアメリカに留学中で、NHKの海外放送のニュースで、鹿児島県が身の丈にそぐわない県庁舎群を約六百億円もかけて整備したということを知り、鹿児島県民として大変恥ずかしい思いをしたことを今でもよく覚えております。  不必要に大きく豪奢な議会庁舎、吹き抜けがあることで使い勝手が悪く暗い行政庁舎を見るにつけ、当時の大人は何を考えてこのような負の遺産を造ったのだろうか、今後、鹿児島県において大規模施設を整備することがあるとすれば、私たち責任世代が絶対に次世代にツケを残すことなく、むしろ喜ばれるような施設を整備しなければならないと常々考えております。  知事、やっつけ仕事で鹿児島県の未来を決めてはなりません。知事をはじめ、県庁職員の皆様方が全身全霊をかけて県政に取り組んでいらっしゃることは重々承知いたしておりますが、これまでの過程や結果を見るだけとなる県民の皆様方からは、やっつけ仕事にしか見えていないところが残念なところです。  どんなに手がかかっても、時間がかかっても、現代の英知を海外からも募って、次世代に胸を張って残せる鹿児島をつくらなければならないと考えます。それこそが、知事が打ち出すべきビジョンだと考えます。  知事が、鹿児島県の子供たちにわくわくする鹿児島を残すために、ありとあらゆる手段を使って最大限御尽力いただくことを心より御要望申し上げまして、私の一般質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) 18 ◯議長(田之上耕三君)ここで、休憩いたします。  再開は、午前十一時十分といたします。        午前十一時一分休憩       ───────────        午前十一時十分再開 19 ◯議長(田之上耕三君)再開いたします。  次は、鶴田志郎君に発言を許可いたします。    [鶴田志郎君登壇](拍手) 20 ◯鶴田志郎君 自由民主党県議団の鶴田志郎であります。  現在、黎明館におきまして、「布衣の農相 前田正名展」が開催されております。  前田正名は、明治時代の鹿児島県の偉人で、若い頃に薩摩辞書の編さんに携わり、長期間海外に留学し、帰国後は大久保利通等の抜てきにより、農相次官としてその腕を振るっております。その後、野に下り、身一つで全国を行脚しながら農業の普及に努め、例えば、かんがい施設や開田を通じて食糧の増産を図る、茶や外国から持ち帰った果樹の苗などを広め、各地の農家の生活の向上に尽力しております。  鹿児島県におきましては、南大隅町の山奥深い横別府地区でかんがい施設の整備を指導し、それまで米作りに適さないと言われたこの地域で、米の増産を達成しております。以来、この地域の皆様は、前田正名の遺徳をしのび、長い間顕彰を続けてこられました。そして本日、この一般質問を傍聴した後、黎明館を見学される予定と聞いております。  どうぞ知事、議長をはじめ、議場の皆様方も一度この黎明館を訪れて、明治時代の鹿児島の偉大なけいがいに触れていただきたいと思います。  それでは、通告に従い質問いたします。  まず、県総合体育館の整備についてであります。  このことにつきましては、県議会でも既に二十年以上前から、現体育館と武道館が狭隘で老朽化しているため、競技の実施や大会の運営が円滑に実施しにくいということで、新たな県体育館建設の要望が届けられております。  平成二十五年には、ドルフィンポートにスーパーアリーナを造るという構想が出されましたが、県民の理解が不十分ということで白紙撤回されております。その後、県庁東側の土地や工業試験場跡地などが論議されましたが、隣接土地所有者との調整や駐車場の不足、交通渋滞の発生などの課題が提起され、いずれも構想の撤回がなされております。  そして昨年十一月より、総合体育館基本構想検討委員会におきまして、これまでの経緯も踏まえて、基本構想策定に向け論議が行われております。そして十一月二十六日の第六回検討委員会において、ドルフィンポート跡地と住吉町十五番街区を一体的に整備する中で体育館を建設することが望ましいという意見が出されたのであります。  この論議の中で、整備候補地について様々な意見が出されたと聞いております。  そこでお伺いしますが、この検討委員会ではどのような意見が出され、この結論に至ったか、その経緯をお示しください。  県議会の総合政策建設委員会でも、本港区エリアに建設する場合の本港区エリアまちづくりグランドデザインとの整合性や、知事が表明されているコンベンション施設との関係をどうするかというような意見が出されておりましたが、今後、これらのことをどのように整理していくのか、お示しください。  さらに、自民党県議団で独自に実施した県民へのアンケート調査でも、早期整備の意向が多数出されておりますが、どのようなスケジュールの下、進めていかれるのか、お示しいただきたいと思います。  次に、行政のデジタル化の推進についてお伺いいたします。  現在、国におきましては、デジタル社会の実現に向け様々な取組が始まっております。県民が社会生活を営むに当たり、より一層安心して生活を送ることができる、誰一人として取り残されない社会の実現が求められております。そして九月一日よりデジタル庁が設立され、県におきましても、今年度の組織機構改革においてデジタル推進課が設置されております。  デジタル社会形成基本法では、ゆとりと豊かさを実感できる国民生活の実現、国民が安全で安心して暮らせる社会の実現、利用の機会等の格差の是正、個人及び法人の権利利益の保護を基本理念として、我が国のデジタル社会の推進を図っていくとしております。  国の過去の取組を見ますと、IT基本法が二〇〇一年に施行され、高度ネットワーク社会の確立を目指し、その実現のために、世界最高水準の高度情報通信ネットワークの整備、電子商取引の促進、行政の情報化の推進及び公共分野の情報化などが取り組まれてまいりました。
     政府によりますと、法令に基づく手続は約五万六千件程度あり、そのうちの種類ベースで一二%、件数ベースで七七%が電子化されているということであります。  しかしながら、新型コロナウイルスへの対応では、国や自治体、さらには社会全体におけるデジタル化の遅れや人材不足、不十分なシステム連携に伴う非効率さ、煩雑な手続や給付の遅れといった課題が次々と明らかになっております。  例えば、特別定額給付金の支給の遅れや雇用調整助成金申請のオンライン化の失敗、感染者の把握・集計の遅れ、書面規制・押印・対面規制によるテレワークの阻害などであります。  そのような中、知事は、県のデジタル化による社会変革に向けた課題と基本的な方向を明確にするために、鹿児島県独自の推進戦略を策定するとしております。  そこでお伺いしますが、県行政において様々な課題がある中で、行政のデジタル化を進めることにより、どのように課題解決に取り組んでいくのか、お示しください。  さらに、今議会の提案理由説明の中で、「新産業の創出や県民の暮らしの質の向上を目指す」と述べられましたが、具体的にどのようなイメージを持っているのか教えていただきたいと思います。  次に、地方公共団体の情報システムの標準化についてお伺いいたします。  県民の皆様がデジタル社会の豊かさを実感できるのは、身近な市町村との手続においてと考えます。法律の中で、固定資産税や住民税、国民健康保険や国民年金などの業務を政令で特定するということになっております。そこで、デジタル行政の推進によりこれらの手続が一括してできるようになれば、行政効率と県民の利便性が飛躍的に向上すると思われます。  さらに、今後、法律に基づいて市町村のデジタル行政が進んでいくと思われますが、このことについて、県としては市町村とどのように連携を取り推進していくのか、お伺いいたします。  デジタル社会の構築に向けた重要な取組として、マイナンバーカードの取得の推進が課題となっております。  今年の四月に予定されていた、マイナンバーカードを健康保険証として活用できる取組は十月に延期されましたが、現在、病院や薬局でカードリーダーが設置され、その活用が始まっております。  公的給付金の受給を進めるため、本年五月には、子育て世帯生活支援特別給付金を特定公的給付として指定するなど、マイナンバー付き公金受取口座の登録・利用の仕組みを進め、可能な限り令和四年度中の運用開始を目指すとしております。そして令和六年度末には、マイナンバーカードを運転免許証として活用できるように進められております。  一方、その普及がなかなか進まないと言われており、普及状況を見てみますと、今年十一月の時点で全国のトップはお隣宮崎県の五〇・七%で、我が鹿児島県は三十三位の三六・七%であります。今後、マイナンバーカードの普及を促進していくためには、本会議で既に答弁があったように、マイナンバー及びマイナンバーカードの利便性の向上が重要と考えます。  現在、マイナンバーを活用している事務につきましても、地方公共団体の情報システムの標準化により行政運営の効率化が図られ、そのことで住民の利便性が高まるものと聞いております。  そこでお伺いしますが、情報システムの標準化の対象となる事務について、迅速かつ簡単・便利になる行政サービスにはどのようなものがあり、どのような効果があるのか、具体的にお示しください。  以上、一回目の質問といたします。    [知事塩田康一君登壇] 21 ◯知事(塩田康一君)デジタル化の推進戦略が目指すイメージについてでございます。  県では、デジタルによる社会変革に向けた課題と基本的な方向を明確にするため、今年度、推進戦略策定に向けた取組を進めており、今般、戦略の素案を取りまとめたところでございます。  同素案では、デジタルによる社会変革により、新産業の創出や県民の暮らしの質の向上を目指すこととしております。  デジタル化を進めることにより、例えば、産業面では、ビニールハウス内において、ICTを活用した気温・湿度・照度などのデータを収集・分析するシステムを導入し、ハウス内の栽培環境を自動で制御することにより、高品質・高収量な農産物を安定的に生産することや、建設現場においては、ドローン等を活用して得られた三次元測量データを取り込み、自動制御で作動するICT建機を用いて施工することなどが可能になると想定されます。  県民の暮らしにおいては、ICTを活用した遠隔医療により、離島・僻地など地理的不利性にかかわらず医療が受けられることや、センサー等の情報通信機器を活用して高齢者の見守り体制を自動でサポートすること、時間や場所にかかわらず、スマートフォン等を用い、オンラインで住民票等を取得し、必要な行政手続を行うことなどが可能になると想定されます。  私としては、このようなデジタル社会を構築し、県民が心豊かな暮らしと持続可能な環境・社会・経済を享受できるよう取り組んでまいりたいと考えております。 22 ◯総合政策部長(前田洋一君)新たな総合体育館の整備に関しまして、検討委員会での意見と結論に至った経緯についてであります。  整備候補地につきましては、第六回の検討委員会において、評価結果を踏まえ、ドルフィンポート跡地と住吉町十五番街区について、交通利便性に優れ周辺に宿泊・商業施設が多く立地するなど利用者の利便性が高いこと、中心市街地との回遊性等による経済波及効果が期待できることなどの点で、他の候補地と比較して優位であるとされたところです。  また、この二つの候補地について、防災上の課題や敷地面積の確保、法令への適合性、費用面での留意点の評価項目においては、ドルフィンポート跡地に優位性があるとされたところです。  委員からは、整備候補地について、客観的な評価結果や選手への配慮、国際大会の誘致等の観点からドルフィンポート跡地が望ましいとする意見が出された一方で、同跡地を主軸に検討することには異論はないが、コンベンションやサッカー等スタジアムとの関連を考えると、駐車場の整備も含め、住吉町十五番街区も含めて一体的に検討してはどうかなどの意見が出されたところです。  検討委員会としては、これらの意見を踏まえ、まちづくりや他の事業等との関連も考慮し、本港区エリア内に近接する両用地について、一体的なエリアとして検討を進めることとされたところです。  次に、グランドデザインとの整合性やコンベンション施設との関係についてであります。  今回、新たな総合体育館の整備候補地とされた鹿児島港本港区エリアについては、検討委員会において、まちづくりや他事業等との関連について留意すべきとされたところです。  このうち、本港区エリアまちづくりグランドデザインについては、総合体育館は、スポーツ振興の拠点機能と多目的利用による交流拠点機能を有することにより、年間を通じて最大約四十万人の利用が見込まれるなど、県内外の様々な人が利用・交流し、にぎわいが生まれる施設となることが想定されることから、同開発コンセプトとも整合するのではないかと考えております。  また、コンベンション・展示機能を備えた施設の整備可能性調査については、総合体育館がコンベンションや展示会場としても利用できることを前提に、調査を進めていくことになると考えております。  検討委員会においては、これらの留意点についての県の考え方を説明することとしており、基本構想案の作成に向けて、引き続き丁寧に議論を進めていただきたいと考えております。  次に、今後のスケジュールについてであります。  新たな総合体育館に係る基本構想策定までのスケジュールについては、今後、検討委員会において基本構想案の検討を進めていただきながら、鹿児島港本港区エリアにふさわしい総合体育館として、基本構想に盛り込んでほしい事項等について、広く県民の皆様から御意見を募集し、その結果を検討委員会にお示しし、基本構想案を取りまとめていただきたいと考えております。  基本構想案については、県議会に御説明し、御論議いただくとともに、パブリックコメントにより、改めて県民の皆様の御意見も伺った上で、最終的には県の判断において基本構想を本年度中に策定したいと考えております。  次に、行政のデジタル化による課題解決の取組についてであります。  県では、来年三月から、新たな行政情報ネットワークの運用を開始し、電子決裁を導入するとともに、テレワークやウェブ会議などの環境を充実することとしており、こうした行政のデジタル化により、事務の効率化が図られる基盤が整うものと考えております。  また、デジタルによる社会変革を実現することで、本県を取り巻く課題解決につなげていくために、今年度、推進戦略を策定することとしており、今般、素案を取りまとめたところです。  同素案では、業務プロセスの徹底した見直しや行政手続の原則オンライン化、マイナンバーカードの普及、公共機関におけるキャッシュレス決済の導入など、行政手続の簡素化・効率化に取り組むこととしており、県民にとって簡単・便利な行政サービスを提供できるよう積極的に取り組んでまいります。  行政のデジタル化に係る市町村との連携推進についてであります。  地方公共団体情報システムの標準化に関する法律において、都道府県は、市町村に対し標準化に必要な助言、情報の提供等を行うよう努めることとされており、これまで、市町村職員を対象とした標準化の進め方に関する研修会を実施するなど、市町村への支援を行ってきたところです。  今後、市町村の情報システムに関する現状調査を行った上で、必要な支援策を検討することとしており、標準化に向けた作業が円滑に進められるよう、引き続き市町村と連携し、必要な助言、情報提供等を行ってまいります。  マイナンバーカードを用いた行政サービスについてであります。  国が進める地方公共団体の情報システムの標準化・共通化の対象となる事務は、転出・転入届、出生届など住民基本台帳に関する手続や、固定資産税、軽自動車税など地方税に係る各種申請手続、児童扶養手当の受給資格についての認定請求手続など十七の事務が予定されていたところ、戸籍や戸籍付票、印鑑登録の手続三事務が加えられ、現在、二十の事務が予定されているところです。  これらの事務が全国統一の情報システムで運用されることによって、例えば、児童扶養手当の認定請求に係る手続においては、住民票や課税証明書の添付が必要となっておりますが、マイナンバーカードの提示により、これらの書類の提出が不要となることが想定されるところです。  また、転居等の際に、市町村の窓口でマイナンバーカードを提示することで、これまで複数の窓口で行っていた手続を一度に処理できるようになるといった行政サービスの利便性向上が図られることが想定されております。 23 ◯鶴田志郎君 自席より知事に、総合体育館について一点お伺いしたいと思います。  このたびの検討委員会におきまして、ドルフィンポート跡地と住吉町十五番街区を一体として考えて、総合体育館を建設するのが望ましいという意見が出されました。  私も委員会を傍聴しておりましたけれども、例えば、あそこは県内でも最高の景勝地であるから、体育館にはもったいないんじゃないかという意見、あるいは、最近の体育館は、例えば市民スポーツのよりどころであるとか、それからコンベンション、MICE、こういったものを総合的に活用することによってにぎわいを創出する、いわゆる新しいトレンドができているというような意見も出されておりました。  そこでお伺いしますが、あの場所に総合体育館を造るということに対して、知事はどのようなイメージを持たれたのか、お伺いしたいと思います。 24 ◯知事(塩田康一君)総合体育館についての基本構想検討委員会で、今、御指摘のような様々なアイデア、御意見というものが出されております。そういった中で、スポーツの振興拠点であるだけではなくて、多目的利用による交流拠点という位置づけも一定の割合持たせるべきであるということを前提にして、場所ということも選定していただいたと思っております。そういったことを踏まえて、県としても、今後の基本構想案の取りまとめに向けて、県民の皆様の御意見を伺いながら、ドルフィンポート跡地及び住吉町十五番街区の場所にふさわしいものとして、今後しっかりまた検討を進めてまいりたいと考えております。    [鶴田志郎君登壇] 25 ◯鶴田志郎君 ただいま御答弁頂きました。  ドルフィンポート跡地と住吉町十五番街区を一体として、そこにふさわしい体育館を造るというような力強いお話をいただきました。  この総合体育館につきましては、今年の八月に、我が自民党県議団総合政策建設部会におきましても、執行部が行ったアンケート結果を踏まえ、意見交換会を実施予定でありました。しかしながら、コロナ対策のため開催を見直し、執行部との設問の重複を避ける形で独自のアンケート調査を実施しております。  その調査結果の概要でありますけれども、まず、全国規模の大会やプロスポーツ等の興行が開催できる、県民に夢や感動を与え、地域経済や国際交流に寄与する総合体育館を整備してほしいであるとか、県大会レベルの大会でも会場の確保に苦慮する状況もあり、新たな総合体育館を整備し、同一会場での大会の開催を可能にするなど、保護者、指導者なども含め、参加者の負担軽減などを実現してほしい、そして、競技者が利用しやすい環境が整うことで、各競技の普及や競技力の向上につなげてほしいなどの意見が多数寄せられております。  今議会でも、知事の答弁の中で、このたびの検討委員会に対して、長年の懸案に大きな前進とありました。今年度中には基本構想をしっかりと策定していただき、県民に愛される総合体育館の一日も早い建設を願うものであります。  次に、行政のデジタル化につきましては、総務省が示した具体的なメニューの下、県と市町村の連携が図られようとしております。最近ではAIを活用した行政サービスへの取組も行われており、例えば、滋賀県では、滋賀県ICT推進戦略を策定し、二〇二二年度で市町村とのAIの共同購入を進めていると聞いております。福岡市は、福岡市実証実験フルサポート事業を実施し、ケアプラン作成などのシステムの開発・導入を進めているということであります。また、宮崎県えびの市では、会議の音声データをAIでテキストデータに変換する議事録変換システムを導入し、会議の議事録作成などの業務を約六〇%削減できたと聞いております。  人口減少社会を迎え、多様な行政ニーズに対応するための業務の効率化が課題となる中、この機会にぜひ、より一層の行政の効率化を進めていただくようお願いいたします。  次に、宇宙開発への取組と宇宙関連産業の振興についてお伺いいたします。  これまで、鹿児島県の宇宙開発への取組につきましては、塩田知事を会長とする鹿児島県宇宙開発促進協議会において、様々な活動が展開されております。その目的は、種子島・内之浦両打ち上げ施設の整備促進及び打ち上げ等への協力並びに航空宇宙関連産業等の立地促進等を図るため、様々な取組を続けているのであります。  私も長年、ロケット基地のある地元議員として参加しておりますが、ロケット打ち上げに対する支援協力に力点が置かれていて、宇宙関連産業の振興という点での取組が不十分のような気がするのであります。  国は、宇宙産業ビジョン二〇三〇の中で、今後の衛星サービスが通信・放送・測位・リモートセンシングなどの分野で大きく進展していくことを踏まえ、宇宙産業の振興を図ることで、その市場規模を二〇三〇年代前半に、現在の約一・二兆円から倍増させるという目標を立てております。そして二〇一八年以降、北海道、茨城、福井、山口、福岡、大分の六自治体が宇宙ビジネス創出推進自治体に選定され、国との連携を図りながら宇宙ビジネスの振興に取り組まれております。  九州におきましては、福岡県に福岡県宇宙ビジネス研究会が設置され、宇宙関連企業の掘り起こしや産学官ネットワークの構築に取り組まれておりますし、大分県では、大分空港がアジア初のスペースポートに選定され、二〇二二年にもヴァージン・オービット社がボーイング747型機を利用して小型人工衛星を打ち上げる計画を進めております。  現在、皆様方のお手元にその大分県のホームページの資料をお配りしておりますけれども、ボーイング747型機に人工衛星を積んだロケットを抱かせて、そしてこれを活用していくということであります。そのため大分空港を水平型宇宙港として活用するため、ハード面や法規制に関する環境整備を推進しております。  このような動きを受け、九州経済連合会を事務局とする九州航空宇宙開発推進協議会では、産学官の有識者による、オール九州による宇宙開発促進に向けた既存射場の活用研究会を立ち上げ、内之浦射場の効果的な活用に向けた取組について、今年六月に内閣府と文部科学省に要望書を提出しております。  その概要は、内之浦宇宙空間観測所におけるロケット打ち上げの促進、内之浦宇宙空間観測所の民間利用の促進、内之浦宇宙空間観測所を活用した次世代人材の育成、本要望の実現に向けた協議への国の参画というものでありまして、内之浦宇宙空間観測所の設備の老朽化対策や宇宙開発への新たなニーズに対応した設備や機能の充実など、現在の課題の解消について要望がなされております。今後、鹿児島県としては県勢発展の柱の一つとして取組を強化することが望まれます。  そこでお伺いしますが、内之浦宇宙空間観測所の現状をどう考えているのか、その充実をどう図っていくのか、お聞かせください。  さらに、人工衛星の開発や活用などその裾野が広がっておりますが、県内の宇宙関連産業の現状と振興に向けた取組をお示しください。  また、これからの宇宙開発と宇宙利用を担う人材の育成が求められていることへの県の認識についてお示しください。  そして、国との連携が不可欠と思われますので、現状を踏まえ、そのことをどのように取り組んでいくのか教えていただきたいと思います。  次に、和牛遺伝資源の保護と管理についてお伺いします。  平成三十年に中国の税関で和牛精液の違法輸入が摘発され、長年改良を重ねてきた和牛のブランドが脅かされる事態を受けて、国は、和牛精液の保護と管理について、令和二年十月より和牛遺伝資源関連二法を施行しております。  家畜改良増殖法の一部を改正する法律は、家畜人工授精所から生産・流通状況等の行政への定期報告を義務化、精液・受精卵について、家畜人工授精所以外での保存禁止を法定化、和牛の精液等については、ストローへの種雄牛名の表示を義務化、在庫・管理・譲渡等の記録を厳格化、新たな規制への違反等に対する罰則の導入などを定めております。  また、家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法律では、不正に取得した精液や受精卵の利用の差止め請求や、国内利用に限定する契約に違反して輸出しようとしたものの差止め請求などの措置が定められており、罰則規定も定められております。  鹿児島県は日本一の和牛生産県でありますから、和牛遺伝資源の保護についてもしっかりとした取組が求められます。これまでも県有牛の精液が県外に販売されることはできない仕組みとなっておりますが、他県では精液証明書が添付されていないまま和牛精液が不正に流通した事案が確認されたと聞いており、貴重な和牛遺伝資源の海外流出等を防ぐためには厳正な管理が求められます。  そこで、現在、和牛遺伝資源関連二法が施行され一年が経過いたしますのでお伺いいたします。  まず、家畜改良増殖法の一部改正により強化された精液・受精卵の流通管理について、具体的にお示しください。  また、人工授精師の和牛遺伝資源に対する理解と協力が不可欠と考えますが、県はどのように対応しているのか教えてください。  そして、和牛精液の不正流通の防止に向けた県の取組についてお示しいただきたいと思います。  以上で、二回目の質問といたします。 26 ◯地域政策総括監(房村正博君)内之浦宇宙空間観測所の現状や宇宙開発と利用を担う人材の育成等についてでございます。  内之浦宇宙空間観測所につきましては、イプシロンロケットの組立て作業を行う整備塔などの主要な施設が整備されてから五十年以上経過しておりますが、大きな改修を行わず、補修整備を進めながら運用されているところであり、利用の促進を図るためには、国等による老朽化した施設・設備の計画的な更新が必要であると考えております。  人材の育成につきましては、国の宇宙基本計画において、宇宙産業の活性化に必要な人材の確保など、宇宙活動を支える人材基盤の強化が明記されているところであります。  県においても、県民の宇宙開発・利用に対する理解の促進や人材育成を図る必要があると考えており、大学生等を対象とした種子島ロケットコンテストを南種子町等と連携して開催するとともに、宇宙開発に関する講演、小・中学生を対象とした水ロケット体験教室などのイベント等を開催しているところでございます。  また、肝付町にある楠隼中高一貫教育校では特色ある教育活動として、JAXAと連携したシリーズ宇宙学を行っており、この教育活動が楠隼校への入学動機とする生徒がいるほか、生徒の宇宙に関する興味・関心が高まり、宇宙関連の進学にもつながっております。  このような中、産学官で構成する九州航空宇宙開発推進協議会において、内之浦宇宙空間観測所の設備の更新や次世代人材の育成、これらの実現に向けた国との協議などについて、国などへ要望がなされたところでございます。  県におきましても、宇宙開発の促進については、宇宙政策を担う国等との十分な連携を図りながら対応していく必要があると考えており、引き続き、県宇宙開発促進協議会等を通じて、宇宙開発利用関連予算の確保、次世代人材の育成に向けた活動の支援などを要望してまいりたいと考えております。 27 ◯商工労働水産部長(平林孝之君)県内の宇宙関連産業の現状と振興に向けた取組についてでございます。  宇宙関連産業については、国内外において民間企業による新規参入の動きが活発化しておりまして、県内においては、衛星運用のための地上設備の設計・開発を行う複数の企業が全国的に事業展開しているほか、国が運用する衛星データ提供システムの開発に参画した企業も存在しております。県においても、鹿児島大学を中心とした小型ロケットの開発への支援を行っているところでございます  宇宙関連産業は今後市場拡大が見込まれることから、県では今年度、企業や大学、金融機関、JAXA、九州経済産業局等との勉強会を開催し、県内企業の同産業への参入可能性等について意見交換を行っているところでございます。  参加者からは、産学官による推進体制の整備や県内企業の取組機運の醸成、研究開発への支援の継続が必要といった意見が出されているところでございまして、今後、これらを参考にしながら、宇宙ビジネスへの参入促進や企業誘致など、宇宙関連産業の振興に向けて取り組んでまいりたいと考えております。 28 ◯農政部長(松薗英昭君)和牛の精液の保護と管理に関しまして、まず、家畜の精液や受精卵の流通管理の強化についてでございます。  家畜の精液や受精卵の適正な生産・流通・利用を確保するため、国は家畜改良増殖法の一部を改正したところでございます。具体的には、精液等の安全性及び品質の適切な管理のため、家畜人工授精所以外での精液等の保存を禁止するとともに、授精所で保存していない精液等の譲渡を禁止し、都道府県が適時適切に指導・監督するため、授精所に対して、精液等の生産・譲渡等の本数について定期報告を義務化したところでございます。  また、和牛精液等について不適切な流通事案が発生した場合に、その発生原因と流通範囲を迅速に特定するため、精液ストローへの種雄牛名や精液採取年月日等の表示や譲渡記録の保存などが義務化されたところでございます。  さらに、不適正流通の場合の都道府県知事による回収・廃棄命令など、行政命令の新設や、新たに精液等の譲渡制限等の違反への罰則が措置されたところでございます。  次に、人工授精師の和牛遺伝資源に対する理解と協力への県の対応についてでございます。  県においては、これまで、家畜改良増殖法や、県が独自に定めました肉用牛家畜人工授精・受精卵移植事務取扱要領に基づき、日頃から、家畜保健衛生所が人工授精師等の適切な業務の実施や精液等の適正な管理を指導しているところでございます。  今回の改正家畜改良増殖法の施行に当たり、県におきましては、県内の家畜人工授精師等の関係者に対し、改正法の具体的内容について説明会を実施するとともに、約七百か所の家畜人工授精所の開設を許可し、国と連携しながら立入検査を行うことにより、法の遵守状況を確認しているところでございます。
     次に、和牛精液の不正流通の防止に向けた県の取組についてでございます。  県におきましては、和牛精液の不正流通防止を図るため、種雄牛を管理している県肉用牛改良研究所及び県内の民間の種畜場に対して、和牛精液の譲渡先である凍結精液の分譲拠点となるサブセンターや家畜人工授精所との間で利用許諾契約を締結するよう指導しているところであります。  利用許諾契約の内容は、具体的には、和牛精液の保護のために、凍結精液の利用を県内や国内に限定すること、家畜人工授精所等が譲渡された和牛精液を第三者に再譲渡する行為の禁止、和牛精液の在庫管理の徹底や衛生的な保存による品質の保全、契約違反が認められる場合、譲渡した和牛精液の返還や違約金を支払わねばならないことなどについて規定しております。  県といたしましては、引き続き、和牛精液の不正流通防止に努めてまいります。 29 ◯鶴田志郎君 自席より知事に、宇宙産業の誘致についてお伺いしたいと思います。  これまで本県は、この宇宙開発ということに関しましては、特にロケットの打ち上げに対する支援に重点が置かれており、例えば打ち上げの際の関係団体との調整、さらには打ち上げの際の射場の警備警戒、こういったところに市町村とともに御尽力いただいておりました。  しかしながら、他道県におきましては、宇宙ビジネスの促進に対する取組がかなり進んでいるのはただいまの私の質問であったと思いますけれども、その中で国が宇宙ビジネス創出推進自治体を六自治体指定しておりますが、なぜか鹿児島県がこれに入っていないということであります。  知事は九州の経済産業のトップにいらっしゃったわけですから、一定の知見をお持ちだと思います。知事就任以前の我が県の宇宙の取組をどのように考えていらっしゃるのか、それから今後このことをどのように取り組んでいかれるのか、お伺いしたいと思います。 30 ◯知事(塩田康一君)宇宙関連ビジネスにつきましては、今後の世界的な市場も非常に大きく、可能性のある分野だと思っております。そういった観点で、九州各県においても様々な機器の開発でありますとか、あるいは衛星のデータの利活用、こういった部分での新規の参入といったことの取組が進んできていると思っております。  先ほど御紹介のあった大分県の宇宙港というような取組も出てきておりまして、先般十月に行われた九州の知事会においても、各県それぞれの持ち味を生かしながら、九州全体として宇宙関連ビジネスの振興を図っていこうということで、先ほどの要望事項等にもつながっているわけであります。  本県においては、特に射場を二つ抱えているということで、そちらのほうにこれまでどちらかといえば重点があったということではありますけれども、今般、新たな新産業創出という観点で、今後の宇宙関連ビジネスも、衛星のデータの利活用なども含めて裾野を広げていきたいと思っております。  今後とも、またそういったことで九州全体の取組の中でも政府とも連携し、またJAXA等の関係機関とも連携しながら、取組を進めていきたいと考えております。    [鶴田志郎君登壇] 31 ◯鶴田志郎君 それぞれ御答弁頂きました。  宇宙につきましては、塩田知事、それから平林部長、特にこういった分野ではプロフェッショナルの期待がありますので、ぜひこのことを進めていただきたいと考えております。  御承知のとおり、民間の宇宙飛行士が宇宙ステーションに向かって飛び立つというような時代であります。今後さらにこの宇宙産業をしっかりと県勢の発展に捉えていただくようにお願いしたいと思います。  それから、和牛の遺伝資源の保護についてでありますけれども、今回、この法律の施行により罰則規定も設けられるなど、管理体制が整いつつあると考えます。長い年月と労力をかけて造成されてきた和牛の優良品種が県外や国外に流出するということになれば、鹿児島県の和牛農家にとっても、その販売に対する競争力がそがれるなど重大な損失となります。和牛日本一の鹿児島県がこれまで同様、全国に先駆けてこのことに取り組んでいかなければなりません。  平成三十年の国外流出の事件を受け、私が農林水産省と意見交換を行った際には、和牛精液のトレーサビリティーにアプリケーションを活用することが望ましいのではないかということで開発していると聞いております。まさしく畜産分野でのDXの推進でありますから、今後さらに積極的に取組を進めていただきたいと要望いたします。  次に、農林水産業における生産資材の高騰対策についてお伺いいたします。  まず、畜産における配合飼料価格の高騰対策であります。  令和二年の秋あたりから配合飼料の価格が上がり始め、平均輸入原料価格がトン当たり二万五千円から二万六千円で推移していたものが、直近では四万千円余りにまで上昇しております。配合飼料のほとんどを輸入穀物で賄っている鹿児島県の畜産業においては、コロナ禍で販売が低迷する中、農家経営に大きな打撃となっております。価格高騰の原因としては、トウモロコシの作況の悪化や中国の飼料需要の増加、海上運賃の上昇が著しいことに加え、最近の円安による輸入価格の上昇ということであります。  牛、豚、鳥でそれぞれ事情は異なりますが、和牛、酪農につきましては、自給飼料のさらなる活用と価格安定制度の充実を図るべきと考えます。  まず、自給飼料対策でありますが、飼料用稲の活用をさらに進めるべきと考えます。これまで、耕畜連携などにより飼料用米の活用が進んでおり、令和三年度で全国では十一・六万ヘクタールの作付がなされており、稲WCSにつきましても約四・四万ヘクタールが生産されております。  そこでお伺いしますが、鹿児島県における飼料用稲の作付状況をお示しください。  さらに、粗飼料を専門に生産するコントラクター組織やTMRセンターの普及を進めておりますが、鹿児島県におけるそれぞれの組織数や受託面積など、その取組状況を教えていただきたいと思います。  さらに、国では令和十二年度で飼料自給率を三四%にするという目標を立てておりますが、鹿児島県の今後の自給飼料増産対策をお示しいただきたいと思います。  次に、配合飼料価格安定制度についてお伺いいたします。  この制度は、生産者と飼料メーカーが原資を積み立て、輸入原料価格が直前一か年の平均を上回った場合に発動する通常補填と、国とメーカーが原資を積み立て、輸入原料価格が直前一か年の平均と比べ一一五%を超えた場合に発動する異常補填の二階建て方式になっております。現在、二期連続で異常補填が続いており、基金残高が激減していると聞いております。  そこでお伺いしますが、生産者に対する補填など鹿児島県の畜産農家への発動状況を教えてください。  また、基金不足が懸念される配合飼料価格安定制度に対する国への要請状況についてもお示しいただきたいと思います。  次に、施設園芸の燃油高騰対策についてであります。  鹿児島県のピーマンの令和二年度の生産量は約一万二千トンで全国第四位、キュウリは約一万千トンで全国第十七位となっており、鹿児島県の施設園芸の基幹作物として農家経営を支える重要かつ安定的な作物であります。  現在、加温の時期を迎えており、冬の時期はハウス内の温度を二十五度程度に保つ必要があるため、A重油を使い加温しております。農業経営費の中で加温に使用する燃料代は約一〇%を占めており、燃油の高騰による収益の減少が懸念されております。  平成二十四年の燃油の高騰時には、燃油の高騰対策が講じられ、ヒートポンプの設置が進みました。ヒートポンプの設置により、設置以前に比べると燃油の使用量は三分の二程度に落ち着いております。しかしながら、これからの厳冬時にはヒートポンプだけでは熱量が不足するため、東串良のピーマンの場合、十アール当たりワンシーズンで八千リットル程度を使用すると聞いております。  そのような中、令和二年の冬はおおむねリッター単価が六十五円から七十円程度であったものが、今年は約百円に高騰しており、農家の収益は大変な状況であります。そこで、このような事態に備えて、燃油価格高騰対策として施設園芸セーフティーネット構築事業が実施されていると聞きます。  そこでお伺いしますが、この事業の内容と鹿児島県の施設園芸農家の活用状況をお示しください。  また、ビニールハウスなどの施設の省エネ対策も一定の効果があるということですが、どのような対策があるのか、また、その普及状況についてお示しいただきたいと思います。  次に、漁業における燃油、配合飼料の高騰対策であります。  農業分野と同様、燃油、配合飼料につきましても価格の高騰が経営を圧迫しております。  まず、漁船漁業への燃油高騰対策についてお伺いします。  鹿児島県の漁船隻数は約八千四百隻で、その八四%が五トン未満の小型船であり、比較的小規模な漁業者が鹿児島県の漁業を支えております。そして漁獲量や漁獲高の減少が続く中、コロナ感染拡大による影響が加わり、漁業の経営環境がさらに厳しくなっております。  このような状況の中、燃油の高騰が追い打ちをかけ、この事態が出漁の減少や廃業につながるおそれもあることから、燃油の高騰対策が経営体の維持のために不可欠であります。  そこでお伺いしますが、漁船漁業における燃油高騰の状況とそれに対する経営支援対策についてお示しください。  次に、配合飼料の高騰対策であります。  本県海面魚類の養殖業は、その経営体が約二百三十事業者ある中で、例えばブリの養殖につきましては東町漁協が日本一の生産量の実績を上げるなど、全国でも有数の養殖漁業の生産県であります。  そのような中、これまでのコロナ感染症による需要の落ち込みや輸出の停止措置などの影響で厳しい経営状況が続いております。さらに、このところの配合飼料の高騰により、養殖業者の経営において収益の確保が難しい状況だと聞いております。  そこで、生産原価の大半を占める配合飼料について、支援策を講じることが喫緊の課題であることからお伺いしますが、海面魚類養殖業における燃油、配合飼料の価格高騰がどのような状況なのか、経営支援をどのように講じているのか、お示しください。  最後に、葉たばこの廃作への対応をお伺いします。  「花は霧島、たばこは国分」の歌詞にあるように、昔は葉たばこは鹿児島県の畑作を代表する作物でありました。しかしながら、改正健康増進法の施行や複数年にわたるたばこ税の増税などで、たばこの需要が減少する状況があるので、葉たばこの栽培面積や農家戸数が減少しております。  本県の葉たばこ栽培の規模は令和三年度で百八十一戸、栽培面積は約三百六十ヘクタールでありますが、今年、JT主導の下、葉たばこの廃作事業が行われております。その概要は、葉たばこ農家の自主的な判断の下、廃作に応じた農家には十アール当たり三十六万円の協力金を出すというものであります。  そこでお伺いしますが、このたびの本県における廃作の状況についてお示しください。  さらに、葉たばこはJTが全量買取りが義務づけられており、十アール当たり約五十万円の販売額が可能な有望作物でありますが、今後たばこの振興をどのように図っていくのか、お聞かせいただきたいと思います。  次に、葉たばこから転換を図る農家への支援についてお伺いいたします。  葉たばこ農家は、地域の中核農家を担っているわけでありますけれども、今後この作物の転換ということになりますと、その地域地域に合った支援が必要と考えますが、そのことについて県はどのように対応していくのか、お示しください。  さらに、昨年九月の県議会において、鹿児島県における分煙環境整備に関する陳情書が提出され、たばこ税を活用した分煙環境の整備に対する支援などに取り組むよう要望されております。  そこで、この陳情に対し、県はどのように対応しているのか教えてください。 32 ◯農政部長(松薗英昭君)農林水産業のコスト高対策に関する御質問のうち、自給飼料増産対策についてでございます。  県内における飼料用稲の令和三年産の作付面積につきましては、国の取りまとめによりますと、飼料用米が約六百八十ヘクタール、WCS用稲が約三千五百ヘクタールとなっております。  また、飼料生産における労働負担の軽減等を図るため、コントラクターやTMRセンターなどの飼料生産支援組織の育成に取り組んでいるところでございます。  コントラクターは、三十九組織で約二千四百ヘクタールを受託しており、TMRセンターは、四組織で約六万五千トンの牛用の混合飼料を生産しております。  配合飼料の多くを海外に依存している我が国の畜産経営におきまして、飼料価格の変動等のリスクや口蹄疫等の侵入を回避する観点から、自給飼料の増産対策は重要な課題となっております。  県におきましては、自給飼料の増産を図るため、飼料畑造成等による飼料生産基盤の確保、水田を活用した飼料用稲の生産・利用拡大、コントラクター等による飼料生産の外部化推進等に取り組んでいるところであり、今後とも、自給飼料に立脚した畜産経営の確立に努めてまいります。  次に、配合飼料価格安定制度についてでございます。  配合飼料価格は、トウモロコシなど原料価格の上昇を背景に高騰しており、本県畜産農家への発動状況については、令和三年度第一・四半期は、通常補填と異常補填を合わせましてトン当たり九千九百円、第二・四半期は一万二千二百円が交付されたところでございます。  県内の補填総額につきましては、令和三年度第一・四半期は約五十八億円、第二・四半期は約七十億円となっております。  今後、配合飼料価格がさらに高騰した場合は、配合飼料価格安定制度の補填財源が不足する懸念があることや、価格が高止まりした場合は発動されないケースも想定されます。  このため、県は国に対して、県開発促進協議会等を通じて、同制度の安定運用のための財源確保や、高止まりした場合の畜産経営の負担軽減対策を講じるよう要請したところでございます。  国におきましては、配合飼料価格安定制度の補填の発動が続いていることから、異常補填基金に積み増しするため、今年度の補正予算で二百三十億円を計上しているところでございます。  続きまして、施設園芸の燃油高騰対策についてでございます。  施設園芸セーフティーネット構築事業は、施設野菜などの生産に必要となる暖房機の燃油が高騰した際に、国と生産者が一対一で積み立てた資金から、燃油の全国平均価格と発動基準価格との差額を補填する制度であり、対象期間は、十月から翌年六月までとなっております。  国は、世界的な原油価格の高騰を受け、これまで二回の追加公募を行い、募集期間も今月十七日まで延長して加入促進を図っており、本県の加入者は、十一月末時点で、昨年より七十七戸多い二百九十五戸となっております。  今年度の場合、A重油の発動基準価格一リットル当たり八十三・一円に対し、十月末の全国平均価格は百・七円と上回っており、加入している生産者には今後、補填金が支払われることになります。  ビニールハウスなど施設の省エネ対策につきましては、これまで栽培講習会など各種研修会を通じて、暖房機等の定期的な点検・清掃をはじめ、ハウス内の二重被覆や内張りカーテンによる気密性・保温性の向上対策、送風ダクトや循環扇の活用によるハウス内の温度むらの改善対策などについて周知徹底を図るとともに、栽培する作物の収益性などを踏まえた上で、ヒートポンプなどの導入支援を行っているところでございます。  県としては、今後とも、施設園芸セーフティーネット構築事業の周知を図るとともに、省エネ対策を推進し、施設園芸農家の経営安定に努めてまいります。  本県における葉たばこ廃作の状況等についてでございます。  日本たばこ産業株式会社は、本年八月に令和四年産葉たばこ作の廃作募集を実施し、本県の廃作戸数は、令和三年の耕作戸数百八十一戸の四九%に当たる八十八戸、廃作面積は、耕作面積三百六十ヘクタールの四一%に当たる百四十七ヘクタールとなったところでございます。  本県にとりまして、葉たばこは、粗収益が高く、水田の転作など農地の高度利用を図る上で重要な作物であることから、今後とも、県たばこ耕作組合が実施する現地検討会や栽培技術研修会などの取組を支援し、低コストで高単収・高品質な葉たばこづくりを推進することとしております。  葉たばこ廃作農家に対しましては、県たばこ耕作組合と連携し、個別巡回等により、廃作後に希望する作物や農地利用等について意向調査を行ったところであります。  県といたしましては、地域の実情に応じた代替作物の選定、栽培技術の指導などを行い、農家の円滑な経営転換と農地の有効利用が図られるよう支援してまいります。 33 ◯商工労働水産部長(平林孝之君)漁業の燃油、配合飼料の高騰対策についてでございます。  本県の漁業用燃油の価格は、令和三年十一月現在、一リットル当たり百七円で、令和二年五月からの一年半で約四十円値上がりし、急騰しております。  また、養殖用配合飼料の価格は、令和三年九月現在、一キログラム当たり百七十七円で、平成二十七年六月をピークにほぼ横ばいで推移しております。  価格高騰への対策については、国の漁業経営セーフティーネット構築事業により、価格が一定の基準を超えて上昇した場合に、国と漁業者が一対一で積み立てた資金から補填金が支払われることとなっております。  本県における九月末時点の加入者は、燃油が六百二十経営体、配合飼料が百九十九経営体となっており、令和三年度第一・四半期では、燃油は約八千四百万円、配合飼料では約二千八百万円の補填があったところでございます。  本事業は、漁業者の経営安定を図るために有効な制度であることから、県としては、今後とも、国に対して制度の充実を要望するとともに、県漁連等の関係団体と連携しながら、漁業者や漁協等に対する制度の周知や一層の加入促進に努めてまいりたいと考えております。 34 ◯鶴田志郎君 時間が参りましたので、残りの答弁は結構です。自席で質問を終了いたします。  ありがとうございました。(拍手) 35 ◯議長(田之上耕三君)ここで、休憩いたします。  再開は、午後一時二十五分といたします。        午後零時 十一分休憩       ────────────        午後一時二十五分再開 36 ◯副議長(吉留厚宏君)再開いたします。  前原尉君に発言を許可いたします。    [前原 尉君登壇](拍手) 37 ◯前原 尉君 自由民主党県議団の前原でございます。今回、一般質問の機会を与えていただいて感謝いたします。  子宮頸がんにつきましては、宝来議員と重なってしまいましたが、二〇一三年当時、子宮頸がんワクチンによる被害者の会に出席したり、その治療に関わっていましたので、二〇一三年当時を振り返りながら、少し細かく質問いたします。  子宮頸がんは、子宮の入り口─頸部─にできるがんで、日本では年間一万人が罹患し、約二千八百人が死亡しており、患者数・死亡者数とも近年増加傾向にあります。若い世代で多くなっており、ピークは三十代であります。二十代・三十代の女性で、子宮頸がんのため妊娠できなくなる女性が毎年千二百人ほどいます。  この妊娠・出産、子育ての時期に罹患してしまうという子宮頸がんのほとんどは、ヒトパピローマウイルス─HPV─の感染が原因と言われており、特に二つのタイプ、HPV16型と18型によるものが子宮頸がんの五〇から七〇%を占めており、そのHPV感染予防と二十歳以降の定期的な子宮頸がん検診受診とで子宮頸がんの多くは予防できます。  子宮頸がんワクチンは、二〇一三年に定期接種となりましたが、その後の副作用の可能性がマスコミで大々的に報道され、積極的勧奨の中止となっております。
     当時、子宮頸がんワクチンの副作用で歩けなくなった、計算ができなくなった、けいれんするなどの症状を訴える車椅子の少女たちの衝撃的な映像が、連日マスコミによって報道されました。  しかし、その後の厚生労働省の調査の結果、マスコミで報道されたような多様の症状の原因が子宮頸がんワクチンであるという科学的根拠がなく、子宮頸がんワクチンとの関連は否定されております。  そこで質問であります。  当時─二〇一三年─、子宮頸がんワクチンを鹿児島県では何名の方に接種したのか。また、接種した人の何人に、また、何%にその副作用らしき症状が出たかをお答えください。  また、その副作用らしき症状が出た方は現在どうなっているのか、フォローアップしていたらお答えください。  さらに、その副作用らしき症状が出た人に対して、当時、行政がどのように対応したかをお答えください。  世界を見渡せば、二〇〇七年、世界で最初に子宮頸がんワクチン公費助成プログラムを導入したオーストラリアをはじめ、先進国を中心に、接種費用を公費で助成する国は九十か国に上っております。WHO─世界保健機関─をはじめとする世界の主要は、提供されているあらゆる安全性情報を検証した上で、引き続き接種を勧奨しております。  実際に子宮頸がんワクチンを導入した国─オーストラリアやアメリカ、イギリス等─では、既に子宮頸がん部の前がん病変の減少が認められております。最近の報告では、HPVワクチンと子宮頸がん検診が最も成功しているオーストラリアでは、二〇二八年に世界に先駆けて新規の子宮頸がん患者はほぼいなくなるとのシミュレーションがなされました。世界全体でも、HPVワクチンと検診を適切に組み合わせることで、今世紀の排除が可能であるとのシミュレーションがなされました。  日本において、このままHPVワクチンの接種が進まない状況が今後も改善しないと、子宮頸がんの予防において世界の流れから取り残される懸念があります。  我が国は、当時、子宮頸がんワクチンの接種率は七〇%以上でありましたが、積極的接種の勧奨の中止により、今ではその存在すら認識されなくなり、現在は接種率一%未満となっております。そして、子宮頸がんワクチンを受けなかった世代が子宮頸がんを発症する年代となり、婦人科の先生方は危機感を感じております。  最近は、自治体によっては、独自に定期接種であることを周知させるなどの動きもあるようでございます。積極的接種の中止が今現在どうなっているのか分かりませんけれども、そこで質問であります。  私ども鹿児島県でも、この子宮頸がんワクチンを推奨して積極的に接種する考えはないものか、お尋ねいたします。  もし推奨するお考えが少しでもあるのなら、どのように県民へ知らせるのか、その手段を教えてください。  子宮頸がんワクチンは、二〇一三年四月一日以降ずっと定期接種であり、現在も定期接種として受けることができます。子宮頸がんワクチンは、十歳代前半に接種することが推奨されており、定期接種は小学六年生から高校一年生の間に三回接種するスケジュールであります。そのため、遅くとも高校一年生の九月までに開始しないと定期接種での接種から外れてしまいます。定期接種を外してしまうと任意接種となり、一回分につき一万六千円の費用がかかります。定期接種を外れると、その副作用が起こった際の対応も予防接種法ではなく、医薬品医療機器総合機構法の対応となってしまいます。  現在は積極的接種の中止のため、市町村からは送付されてこないと思いますが、今でも対象の女児は子宮頸がんワクチンは定期接種であり、受ける権利があります。  私の調べでは、有害事象は国内外八百九十万回の接種で、副作用疑いが〇・〇三%の二千五百八十四人で、うち百八十六人に通院を要する未回復な状態があり、十万回接種で約二人となっております。  WHOは、子宮頸がんワクチンの積極的接種勧奨の中止により、若い女性たちが本来予防可能なHPV関連症の危険にさらされたままになっており、不十分なエビデンスに基づく政策決定は、安全かつ効果的なワクチン使用の欠如につながり、真の被害をもたらす可能性があると意見しております。  日本小児科学会、日本産婦人科学会、日本ワクチン学会をはじめとした複数の学会において、二〇一三年六月より積極的勧奨の中止がなされておりますが、HPVワクチンの有害事象の実態把握と解析、健康被害者に対する救済などの対策が講じられたことを受け、積極的接種を推奨することとしております。  ヒトパピローマウイルス─HPV─は何十種類もあります。ヒトパピローマウイルスで悪性度の高いものが高リスク型と呼ばれ、ナンバー16・18・31・33・35・39・45・51・52・56・58・59・66・68などがあります。  そして、子宮頸がんワクチンには三種類、一、四価のガーダシル─ナンバー6・11・16・18をカバー─、二、二価のサーバリックス─ナンバー16・18をカバー─、三、九価のシルガード─ナンバー6・11・16・18・31・33・45・52・58─があります。  これらのうち定期接種─無料─でできるものは、一のガーダシルと二のサーバリックスの二つのうちどちらかであります。三のシルガードはまだ任意接種であります。しかし、このシルガードは子宮頸がんの原因となるHPVの約九〇%をカバーする効果的なものであります。  そこで、私ども鹿児島県で、ここ三年間でこの子宮頸がんワクチンを何人の人が受けられましたか。その中で、無料のガーダシル、サーバリックス、有料のシルガードを受けた人が何人だったか、それぞれお答えください。  現在、無料なのは四価のガーダシルか二価のサーバリックスとなっておりますが、最も効果の高いと言われている九価のシルガードの接種を、全国に先駆けて鹿児島県では無料または助成金で接種させるつもりはないか、お答えください。  子宮頸がんワクチンを希望する際、今はガーダシルとサーバリックスは患者さんのほうが選択できるということでありますが、一般県民にはガーダシル、サーバリックスを選べと言われても選択する知識はありません。その際、医師にまず相談されると思いますが、県に問合せがあった場合、どの部署が担当されているのか、また、どのように説明されているのか教えてください。  私たちは一年以上、もう二年近く新型コロナとの付き合いを続けております。いわゆる第五波が終息し、感染者、正確には検査陽性者が減少しております。最近では新規変異株オミクロンが見つかりました。しかし、今に至るも、なぜこのようにコロナが他の感染症を差し置いて特別視されているかといえば、政府分科会や医師会がコロナを死の病として捉え、感染者数を減らし、できるだけ完全な封じ込めを目指す、ゼロコロナという考え方を目指し、それに同調する専門家と呼ばれる人たちを重宝した結果であります。  もともと政府は、安倍晋三元首相以来、ウィズコロナ路線であり、コロナ感染を一定程度受け入れ、社会経済を回すことを主眼に置いてきました。感染が広がれば、まれではあるが重症者が出る。不幸にして重症化した人には、速やかにかつ十分な医療を受けられるようにすることが政府の方針でありました。ところが、その政府の方針に真っ向から反対した分科会や医師会の圧力により、結果として、水と油を足して二で割ったような曖昧なメッセージが政府から発せられました。  流行当時は全く未知であった感染症でありましたが、研究が進むにつれて、新型コロナはSARSやMERSのような致死性の高いものではなく、むしろ従来型の風邪コロナウイルスに近いものだということが分かってまいりました。季節性であり、かかっても再びかかることから、新しいタイプの風邪ウイルスであると思われます。  また、コロナは人にだけ感染するのではなく、イヌ、ネコに加え、動物園にいるライオン、トラ、ミンク、ヒョウ、ピューマ、ゴリラからの感染例が報告されており、感染の連鎖を断ち切ることは極めて難しいと思われます。すなわち、ゼロコロナは不可能に近いと考えられます。実際、新型コロナが社会的にどれほど問題なのでしょうか。  日本では毎年三百四十万人が死亡いたします。そのうち十万人程度が肺炎での症例であります。季節性インフルエンザは関連死も含めて約一万人であります。  新型コロナは一年半で約一万八千人が死亡しております。何の原因で死亡したかは医師の死亡診断書の統計であります。人間は呼吸が止まるか心臓が止まって死亡するため、呼吸不全や心不全の病名だけでは統計的にあまり意味がないと考えられます。ところが、新型コロナの場合は、例えば心筋梗塞、がんで亡くなったとしても、死亡後の検査でコロナ陽性であれば、コロナ死と扱われております。すなわち、死因に関しても特別視されております。それゆえ、一年半で約一万八千人という中には、本当はコロナ以外の原因で亡くなった人が含まれているので、実際のコロナ死はもっと少ないと考えられます。  コロナがいまだに死の病として扱われていることは、感染症法上の一類と二類の中間にあることから明らかであります。一類はエボラ出血熱、ペストといった、かかれば高確率で死亡する感染症で、二類はSARS、MERS、結核などが分類されておりますが、防護服完全防備で対応、陰圧室の使用などから、扱いとしてはエボラ出血熱などの極めて致死性を持つ感染症相当であります。  しかし、現状は、新型コロナの感染者数は最も多いのが二十代でありますが、死亡が最も多いのは八十代であります。この傾向は、変異前のウイルスが流行した時期であっても、デルタ株の流行した時期であっても変わっていない。すなわち、若い世代では感染者は多いけれども、ほとんど無症状か軽症だということにほかなりません。そのため、新型コロナは、医学的な実際像に対して、法的には不釣合いな取扱いを受けていることが分かります。  コロナは、多くの人は無症状か軽症であり、風邪かインフルエンザと同様であると言う人もいます。それにもかかわらず、感染症全てを保健所が把握し、観察下に置き、必要があれば医療機関につなぐというのが現行法に基づいた対応です。しかし、コロナは、季節性も明らかであり、変異を繰り返すことによって致死性も低くなってきていることから、従来の風邪コロナに近づいていると言えると思います。  初めての経験なので対策に戸惑ったとも考えられますが、このコロナ対策にはいろいろな副作用が発生いたしました。この新型コロナに対しては、飲食店を含め、多くの分野に影響を及ぼしましたが、さらに注目すべきはコロナ関連の自殺と子供たちへの影響であります。コロナとの直接の因果関係ははっきりしないものの、昨年の自殺者は増加傾向にあるようであります。特に、十代、二十代の若い世代、女性の自殺者が増えていると言われます。また、家庭内暴力の増加もコロナによる影響が確認されております。  今までは補助金等で何とか持ちこたえてきた企業の中でも、その経済的サポートがなくなっていくであろう来年以降は倒産の増加が予想され、それに伴う失業率の上昇で自殺者が増加することが懸念されます。総務省の発表によれば、完全失業率と自殺には高い相関関係があることが分かっております。  そこでお聞きいたします。  鹿児島県における過去三年間の自殺者数、また、その中で三十歳未満の自殺者がその何%を占めているのか、お答えください。  また、県は精神保健福祉センター等に相談窓口を置いておりますが、県に寄せられた、自殺を含めた心の健康に関する相談数の推移を過去三年間お示しください。  また、これからの自殺対策をどのように考えているのかもお答ください。  自殺とともに大きな懸念材料は、子供の教育における影響であります。  二〇二〇年、世界各国で休校措置が取られ、リモート授業などにより教育機会を補うための対策が行われてまいりました。日本の休校期間は、他の国と比べて比較的短かったものの、その影響は生涯にわたります。特に、人格形成の根源とも言える他者との人間関係成立過程を学ぶことは、他者との直接接触でなければ会得が難しいと思います。さらに、登校したとしても、常にマスク使用で言葉をできるだけ交わさず、給食なども黙食なるものが推奨されました。コロナ出現以前にはあり得なかった学校生活であります。  これらのことから、臨時休校等による小・中学生への長期的影響を踏まえると、他者との協働により人間関係を形成する力を育むことが重要であると考えますが、いかがでしょうか。  そしてもう一つ、新型コロナ出現により病院への受診を控えている人が多いと聞きます。最もダメージを受けているのは小児科であります。最近は年少児もコロナにかかっていながら、両親が子供たちを小児科に連れていくのを控えていると思われます。さらに、収入も少なくなり、少しぐらい熱が出ても治療費を負担することができない人もおります。  現在、鹿児島県は子ども医療費の助成方法は、医療機関の窓口で一旦自己負担金を払い、二、三か月後に口座へ払い戻す自動償還払い方式になっておりますが、一旦病院の窓口で自己負担金を支払うことが負担になっている人も大変多くいます。  そこで、全家庭に医療費の窓口負担を無料とする現物給付方式を取るほうが最善の方式だと思います。現在、鹿児島県は住民税非課税世帯のみ、子ども医療費の受給資格を有する十八歳到達年度末での子供が現物給付となっております。  そこで質問でありますが、子ども医療費の受給資格を有する住民税非課税世帯の十八歳までの子供が現物給付方式になっておりますが、これを十八歳未満までの全ての子供たちに拡充する考えはないか、お答えください。  一回目の質問を終わります。    [知事塩田康一君登壇] 38 ◯知事(塩田康一君)県における今後の自殺対策についてでございます。  本県における自殺者数は、人口動態統計によりますと、ピーク時である平成十八年の五百七人から減少傾向にある一方で、近年、自殺者数に占める若年層の割合が増加傾向にございます。  県では、平成三十年度に策定した鹿児島県自殺対策計画に基づき、民間団体を含めた関係機関等と連携しながら、総合的な自殺対策に取り組んでいるところであります。  主な対策といたしましては、精神保健福祉センター等の相談窓口の周知や、ゲートキーパーなどの自殺対策を支える人材育成のほか、SNS相談等、自殺対策に取り組んでいる民間団体の活動の支援を行っているところであります。  自殺は、健康問題や経済的困窮など、その背景に様々な社会的要因があること、また、近年の自殺者数に占める若年層の割合の増加傾向も踏まえ、今後とも、保健・医療、福祉、教育、労働など、様々な関係機関・団体等と連携しながら、県民一人一人の気づきと見守りを促し、若年層も含めた総合的な自殺対策を推進してまいりたいと考えております。 39 ◯くらし保健福祉部長(谷口浩一君)子宮頸がんに関するお尋ねのうち、まず、平成二十五年のワクチンの接種者、副作用の状況についてでございます。  県内で平成二十五年度に子宮頸がんワクチンを接種した方の数は千三百六十人であり、このうち国に副反応の報告があったのは六人、約〇・四%でありました。  予防接種の事業主体である市町村においては、被接種者に副反応があった場合、まずは接種を受けた医師またはかかりつけの医師に相談するようあらかじめ周知しており、副反応の報告があった方々については、すぐに医療機関を受診し、その後、軽快または回復したことを確認しております。  なお、ワクチン接種後に生じた症状に対する相談窓口を平成二十七年十一月に開設し、県のホームページで広報するとともに、市町村や県医師会等に通知するなど、広く県民への周知を図っているところであります。  続きまして、積極的勧奨、周知についてであります。  子宮頸がんワクチンの定期接種については、国の審議会において、ワクチンの安全性について特段の懸念が認められないことが確認され、接種による有効性が副反応のリスクを明らかに上回ると認められましたことから、平成二十五年に発出した、ワクチン接種の積極的勧奨を差し控える旨の勧告の廃止を先月通知したところであります。  あわせて、国は、基本的に令和四年四月から、対象者またはその保護者に対し、接種の積極的勧奨を行うよう求めております。  県としては、国の最新の動向について、予防接種の実施主体である市町村に周知するとともに、接種対象者やその保護者に対して、ワクチン接種について検討・判断するために必要な情報や、相談窓口に関する情報の提供を行い、それぞれの地域で安心して接種ができる環境の整備に努めてまいります。  続いて、ワクチンの選択についてであります。  直近三年間の子宮頸がんワクチンの定期被接種者数は、平成三十年度が四十人、令和元年度が百五人、令和二年度が六百七人となっており、ガーダシルとサーバリックスが接種されておりますが、それぞれの被接種者数は把握していないところであります。また、定期接種の対象外であるシルガードについても同様であります。  シルガードについては、令和二年七月に薬事承認され、国の審議会においても定期接種化に向けて議論がなされております。  県としては、まずは定期接種が基本と考えており、任意接種に対する助成は考えていないところであります。  予防接種については、くらし保健福祉部健康増進課で相談を受けており、国のリーフレットを用いて子宮頸がんワクチンの有効性や安全性について説明するとともに、ワクチンの選択については、接種を行う医療機関に相談するよう促しているところであります。  次に、県における自殺の現状についてであります。  本県の直近三年間の自殺者数は、人口動態統計によりますと、平成三十年が二百五十八人、令和元年が二百八十五人、令和二年が二百七十人であり、このうち三十歳未満の自殺者数の割合は、平成三十年が七%、令和元年が一四%、令和二年が一七%となっております。  また、自殺を含めた心の健康に関する相談には、精神保健福祉センター、自殺予防情報センター、保健所等で対応しておりまして、直近三年間の相談件数は、平成三十年度が一万四千六百五十九件、令和元年度が一万六千七百五十七件、令和二年度が二万千百五十一件となっております。 40 ◯教育長(東條広光君)新型コロナウイルス感染症に関しまして、子供の人間関係を形成する力の育成についてのお尋ねがありました。  学校においては、教科指導のほか、人間関係の形成に必要な資質・能力を育むため、学級活動や運動会、文化祭等の特別活動が行われておりますが、新型コロナウイルス感染症拡大等により、こうした活動が制限された場合においては、児童生徒の資質・能力の育成に影響が出てくることも考えられます。  このため、県教委としては、学校が、学習機会と学力を保障するのみならず、全人的な発達・成長を保障する役割等も担っているとの認識の下、コロナ禍においても、感染拡大防止策を適切に講じながら、可能な限り、特別活動も含めた学校教育活動を継続するよう指導してきたところであります。引き続き、各学校において、他者と協働した取組等が積極的に行われるよう取り組んでまいります。 41 ◯子育て・高齢者支援総括監(吉見昭文君)子ども医療費助成制度における現物給付方式─窓口無料化─の対象拡充についてでございます。  子ども医療費助成制度につきましては、経済的な理由から医療機関の受診を控え、症状が重篤化することを防ぐため、医療機関等での窓口負担をなくす制度の対象を、本年四月から住民税非課税世帯の高校生まで拡充したところでございます。  子ども医療費助成制度は、全国的に見ても、都道府県及び市町村がそれぞれ独自の方式で実施しておりまして、自治体の財政力等の違いにより、助成する対象や自己負担額に格差が生じております。  そのため、窓口無料化につきましては、国の責任において新たな医療費助成制度を創設するよう、県開発促進協議会など様々な機会を通じて、引き続き要望してまいりたいと考えております。 42 ◯前原 尉君 先ほど子宮頸がんワクチンについての質問をさせていただきましたが、二〇一三年当時、副反応らしき症状が六人おられたとお聞きしましたけれども、今現在、その方々はどうなっているのか教えてください。 43 ◯くらし保健福祉部長(谷口浩一君)子宮頸がんワクチンの副反応が出られた方についての再度のお尋ねでございます。  先ほども答弁の中で申し上げました六人の方々、それぞれすぐに医療機関を受診されて、その後、軽快または回復し、もうすぐに健康な状態になったということが確認されているところでございます。    [前原 尉君登壇] 44 ◯前原 尉君 いろいろと御答弁頂き、ありがとうございました。  コロナに関しては、これから冬に向かい、第六波の可能性が取り沙汰されておりますが、これに関しては、来るか来ないのかは分からないというのが現状であります。確実に言えることは、冬は肺炎の患者さんが増えます。発熱した患者さんが来れば、再び発熱外来扱いであります。またこれまでと同じ対応をしなければなりません。  ですから、私の考えといたしましては、コロナを受け入れる病院を一つに決めるのがよいと思います。そこで、県立病院など地域の候補医療機関を決めて、コロナ専門病院とする考えであります。院内感染のリスクはゼロにはできませんが、十人の患者を診てリスクゼロにするより、千人を診て十人の感染患者を受け入れるほうが効率的・現実的だと思います。  ですから、今後のコロナ対策は、知事を中心にワーキングチームをつくり、行政、鹿児島大学病院や市立病院、医師会と連携し、一つのコロナ専門病院をつくることを望みます。コロナが心配な人は、行政が決めたどこどこ病院へ行ってくださいと言ったほうが、県民も安心してその病院を受診しやすくなると思います。  今までゼロコロナを目指してきたニュージーランドがコロナを抑え込むことは不可能と判断したように、感染症から逃げることは極めて難しいと思います。  感染症の原則は、例外はあるものの二つであります。一つ目は、一度に大勢の人に感染すること、二つ目は、一度かかると一定期間再び感染しないし、他人にうつすこともないということであります。例えば、一人の感染者が一週間に二・五人うつすことを仮定すれば、この場合、二十週後には約九千九十四万人の感染者が出る計算になります。逆に、集団免疫という概念であります。集団の相当数がかかれば、ある一定の期間、その集団はその感染症から守られるという概念であります。  この二つの感染症の原理原則を考えれば、逃げれば逃げるほど追いかけてくるのが感染症であるということであります。今は効果的なワクチンや治療薬もできているので、感染を無理に止めるよりも、重症化リスクの低い若い世代から通常の生活に戻していくことが、脱コロナにつながると思います。  感染症の原則に基づいた観点からすれば、検査・検疫体制を強化してもあまり意味がありません。どちらかというと、安心してコロナにかかれる医療体制の構築とゼロコロナ路線からの脱却という考え方が重要であると思われます。  また、コロナ登場前の医療現場においては、患者さんが重症化すると病院から家族に連絡が入り、不幸にも亡くなった場合には、その遺体を霊安室に入れて家族に引き取ってもらうという習慣がありましたが、コロナにだけ通用しなくなっております。すなわち、コロナにかかったら、たとえ九十代であっても入院隔離され、延命治療が余儀なくされます。コロナにかかると家族との面会が禁止され、不幸にして死に至ったとしても家族が骨を拾うことも許されない。これらのことが常態化しております。これが本当に人にとって幸せになるのでしょうか。感情論を抑えて冷静に判断する必要があるように思われます。  次の質問に移ります。  現在、高齢者による事故が問題になっております。交通死亡事故で高齢者の占める割合が五五%前後となり、毎年、過去最高を更新している状態であります。  高齢者が多くの人をひいてしまうという事件が起き、ニュースで大きく取り扱われました。特に、ブレーキとアクセルの踏み間違いというイメージがあるのではないでしょうか。若い人の八倍、ブレーキとアクセルの踏み間違いが多いというニュースを聞いたことがあるかもしれません。  死亡事故のうち、どういう原因で事故を起こしているかを分析すると、平成二十八年の全国の資料でありますが、七十五歳未満の人のブレーキ、アクセルの踏み間違いが〇・七%なのに対して、七十五歳以上の高齢者の踏み間違いが五・九%であります。確かに五・九%という数字はそれなりの数字ですが、一割にも満たないのです。  では、なぜ私たちは高齢者はブレーキとアクセルの踏み間違いが多いと思っているのでしょうか。それは、マスコミがテレビで高齢者がコンビニに車で突っ込んだ映像を日々報じているからであります。警察が公表することもその一因でありましょう。さらには、高齢者が踏み間違いというのは分かりやすいからです。認知能力の低下で高齢者なら踏み間違えそうに思えます。つい印象にとらわれがちでありますが、本当の事実を知る必要があります。  高齢者の事故は減少しておりますが、若い人よりも事故率が高く、高齢者がどんどん事故を起こすようになったという誤った認識を植え付けられてしまいます。なぜこうなるかというと単純な話で、高齢者の人口が増えているから高齢者の事故が増えているだけなのであります。もし若者の人口が増えていたら、若者の事故も増えると思います。  そこでお聞きしますが、鹿児島県において一年間にどのくらいの死亡事故件数があるのでしょうか。七十五歳以上の高齢者と七十五歳未満の人に分けて、それぞれ過去三年間の推移をお答えください。  また、死亡事故の中でアクセルとブレーキの踏み間違いで起きた、事故で死亡した人の数を、七十五歳以上と七十五歳未満に分けて、過去三年間の推移を教えてください。  また、そのパーセントもよろしくお願いします。  最近は、高齢者がどんどん事故を起こしているイメージがあります。高齢者の事故の総数は減少しているものの、高齢者の死亡事故率は年々増加しているようであります。  次に、高齢者の運転実態はどうなっているのでしょうか。
     私の病院にも日々、運転免許に通らないから目を治してほしいという患者さんが多く来ます。現在、運転免許─普通免許─は〇・七以上の視力を必要といたします。ですから、目を治してほしいという訴えは当然でしょう。  また、息子や娘から、高齢になったから運転免許は返上したほうがいいよと言われている高齢者も大変多くいます。しかし、私は外来では、運転できる間はできるだけ運転したほうがいいよと話しております。一般とは全く逆でありますが、ここ数年、運転免許を返上した高齢者がだんだん病院に来なくなったことに気がつきました。そして風の便りに、今、誰々さんはデイサービス、デイケアに通っているよとか、グループホームに入所したよと聞くことがあります。結論から言うと、高齢者から運転免許を取り上げると、近い将来、必ず認知症になってしまうということであります。  私は介護・福祉施設も運営しておりますが、最近、認知症になった人が明らかに増えたような気がいたします。事実、認知症は高齢者になるに従って増加し、超高齢社会の日本では約四百万人─六十五歳以上の高齢者の約一五%─が認知症を患っていると言われております。今後も高齢化が進み、認知症の人は増えていくことが予想され、二〇二五年には六十五歳以上の人口の約二〇%が認知症になると推測されております。何だか、高齢者の運転免許返上がマスコミに取り上げられてから、認知症になる人が増えているように思えます。  私の地元日置市は面積が広い割に交通は極めて不便で、これまで人口が多かったときは一日に何回も通っていたバスが、今や一日に一、二回しか通らない地域もあります。地方は高齢化が進み、足が衰え、バスに乗りたくても乗れないという人もいます。しかし、バスに乗れなくても、車は運転できる人も数多くいるのが現状であります。田舎では車は足と同じで移動手段なのであります。  高齢者が事故しやすいというイメージだけで運転免許を取り上げると、自宅から一歩も出たら駄目ですよと言われているのと同じで、自宅軟禁のような状態であります。一日中、家に何年もいれば、認知症になるのは当たり前であります。運転免許返上イコール認知進行です。これでは、田舎は認知症になる人が増えるばかりであります。  しかし、高齢化すると事故件数は必ず上がります。これは事実です。ということは、運転免許を返上して認知症になる人を増やすか、運転をさせて事故数を上げるかという究極の選択になります。何とか解決策はないのでしょうか。  病院通院患者さんの中で高齢者の患者さんは数多くおりますが、駐車場で事故したという話はほとんど聞いたことがありません。案外高齢者でも、反応は鈍くなっても時間さえかければ運転は上手なのかもしれません。  これまでの高齢者の死亡事故を見ると、地元で起こした事故ではなく、あまり行ったことがない場所で事故を起こしたイメージがあります。ですから、運転できる範囲を狭くすればいいように思えます。例えば、日置市に住んでいる高齢者は、日置市及びその隣接した市町村しか運転できないとする地域限定免許を創設し、与えてはいかがでしょうか。高齢者の車を利用する目的は、買物に行くか、友人のところへ行くか、何か会合に行くか、病院へ行くか、畑に行くかしかありません。高齢者は判断が鈍くなるので、知らない道を運転させないようにすればいいと思います。  今は、運転免許は県単位で許可されます。そして日本全国移動可であります。運転に不安はあるが、地域の実情等により運転免許が必要な高齢者に対して、地域限定の免許条件を付与するなど、運転が継続できるような方法はないか、質問いたします。  認知症になる人を増やさないためにも、運転免許返上を避けなければなりません。また、今は運転免許は〇・七以上の視力だけで判定されておりますが、高齢者の事故をこの判定だけで決めていいものでしょうか。高齢者の中には、まぶたが下がっている人もいます。ですから、運転免許も〇・七以上の視力だけではなく、視野も計測して、視野も運転免許更新の基準の一つにしてはいかがでありましょうか。  高齢者の運転免許更新において視野検査を加えることができないか、また、同検査の活用状況についてお答えください。  次に、新型コロナウイルス感染拡大後の医療、特に医師数の問題についてであります。  新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、全国的に医師不足が深刻化する中で、鹿児島県においては離島・僻地を多く有するなどの地理的要因もあり、以前から医師不足は大きな問題でありました。新型コロナウイルス感染症の流行の前は、派遣においての問題は小児科医・産婦人科医数の減少でありました。これに関しては、県医師会の御協力もあり、また、鹿児島大学病院において医学部卒業生の地域枠もつくり、地元に残る鹿大卒業者の増加も図り、僅かではありますが、小児科医・産婦人科医数は微増しております。  しかしながら、今回の新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、重症患者・中等症の治療に当たる呼吸器内科医や集中治療医の負担が極端に増加し、鹿児島大学病院での卒後研修医の入局者数が激減しております。  大学病院の医学部を卒業した若き医師の卵たちは、それぞれ希望する大学病院や民間病院へ研修医として入り、初期研修医を二年間経験した後に、希望する医局へ専攻医として入局いたします。例えば、内科、外科、整形外科、眼科、皮膚科等です。  また、鹿大病院から県内の公的病院や民間病院への医師派遣という形で、県内の医療のバックアップ体制を鹿大病院は担っております。ところが、新型コロナ感染症の拡大に伴い、呼吸器内科医や集中治療医の勤務時間の増加、精神的ストレスの増加、疲労こんぱいにより、鹿大病院への入局者数の激減が問題となっております。  全国的に、研修医修了後のドクターの今年度新しく呼吸器内科を専攻する医師数は大きく減少しております。鹿児島県においては、以前からICUに専従している集中治療医数は極めて少なく、県内で新型コロナの重症例を受け入れるのは鹿児島大学病院と鹿児島市立病院など限定されております。  今後の第六波に向けて、またさらに様々な有事対応を考えると、呼吸器内科医と集中治療医の育成は今しておかなければならないと思います。  そこでお伺いいたします。  県において、もし第六波が来るとして、第六波に向けて、またさらなる様々な感染症の流行に備えて対応する医師数は十分とお考えでしょうか。どのような対策を講じれば改善できるとお考えでしょうか。  新型コロナウイルス感染症の拡大というのは、日本において、鹿児島県においても、医療ということだけではなく、災害と同じであり、国も県も、災害と同様にあらゆる手段を積極的に対応していただいておりますことに感謝申し上げますとともに、さらなる御理解と御協力をお願いいたします。  次に、日置市内の県道改良等と伊作峠トンネル計画についてであります。  平成三十一年第一回定例会で日置市内の県道改良について一般質問しておりますが、伊集院町徳重地区の県道郡中央通線の拡幅終了、吹上町中原地区の国道二百七十号拡幅歩道設置工事、日吉町吉利地区国道二百七十号の歩道設置工事、東市来町美山の主要地方道鹿児島東市来線のバイパス道完成、長年の懸案事項でありました東市来町長里地区の県道養母長里線の拡幅改良工事が今年着工されました。  ここに部分的に完成した県道、終了しました県道、改良工事が始まった県道など一部明記しましたが、財政状況の厳しい中であらゆる方法を駆使して事業実施してもらっていることに対しまして感謝いたします。  県道の改良率で申しますと、自転車道を除く幅員五・五メートル以上の県全体の改良率が七四・二%に対し、日置市内の県道の改良率は六五・七%と低い現状にあります。  また、日置市内におきまして、特に吹上町と東市来町の県道改良工事が遅れていると思っております。県の財政状況は非常に厳しいことは重々承知しておりますが、現在、改良工事が継続中のものがある一方、いまだに改良工事が実施されていない、遅れている県道もあるため、早急に整備すべきと考えますが、県の考えを伺います。 45 ◯副議長(吉留厚宏君)前原尉君に申し上げます。  答弁時間も考慮して簡潔に願います。 46 ◯前原 尉君 はい。  次に、主要地方道谷山伊作線に計画されている伊作峠トンネルの計画の件であります。  これは今後どのような計画で進められていくのか、質問いたします。  また、国道二百七十号東市来町伊作田地区江口蓬莱にあるシラスの崖が台風や大雨のときに崩れてしまいます。  そこで、それを抜本的に解消する対策はないものか、質問いたします。 47 ◯警察本部長(山田好孝君)まず、本県における交通死亡事故の推移についてであります。  過去三年間の交通死亡事故件数については、平成三十年が六十三件、令和元年が五十六件、令和二年が五十三件となっております。  うち七十五歳未満については、平成三十年が五十件、令和元年が四十八件、令和二年が四十六件で、七十五歳以上については、平成三十年が十三件、令和元年が八件、令和二年が七件となっております。  次に、アクセルとブレーキの踏み間違いに起因する交通死亡事故の推移についてであります。  過去三年間におけるアクセル及びブレーキの踏み間違いに起因する交通死亡事故の発生は、本県においてはありません。  次に、地域限定免許等についてであります。  現行の道路交通法において、一定の地域に限定して免許条件を付与する制度は設けられていないところ、運転に不安を覚えます高齢運転者等の選択肢として、令和四年五月施行予定の改正道路交通法において、免許を受けている者の申請により、運転することができる車両をサポカーに限定して免許条件を付与する制度が新設されます。  同制度は、自主返納だけではなく、より安全な自動車に限って運転を継続するという中間的な選択肢を設けるものであります。  今後、個々の高齢運転者の事情やニーズに応じて、サポカー限定免許条件の付与や、運転に不安を覚える方の申請により、例えば、普通免許を返納し、原付免許を残すなどの運転免許の一部取消しも可能であることも含め、適切な情報提供を行ってまいります。  次に、運転免許更新時の視野検査等についてであります。  運転免許更新時の適性検査については、法に基づき、全国統一の基準で実施しているところ、一定の視力以下の方については、視野検査を実施しているところであります。  また、七十歳以上の運転免許保有者が更新前に受講する高齢者講習においては、視野検査器などの運転適性検査器材を使用しており、その結果に基づき、加齢に伴う視野の変化を自覚させるとともに、個々人の視野の状況に応じた安全運転指導を実施しているところであります。  今後も、高齢者の特性に応じた個別指導を推進してまいります。 48 ◯くらし保健福祉部長(谷口浩一君)新型コロナウイルス感染症に関連する医師の確保についてでございます。  第六波に向けましては、新たな確保計画に基づき、病床及び宿泊療養施設の確保を図ることとしており、コロナ患者受入れの医療機関に関しましては、これまでも、医師など限られたスタッフが様々な工夫をしながら、医療従事者を確保していただいている状況であります。  それぞれの医療機関においては、内科医が中心となり、様々な診療科の医師が対応に当たっていただいております。  お尋ねのあった集中治療の中心となる救急科と呼吸器内科について、本県の人口十万人当たりの医師数は、平成三十年十二月末時点で、救急科は全国平均二・八人に対しまして二・七人、呼吸器内科は全国平均と同じ五・〇人となっております。  いずれにしても、今般の新型コロナウイルス感染症に係る医療提供体制を含め、今後の地域医療を維持するためには、医師の確保は重要な課題であると認識しております。  今後とも、鹿児島大学病院や県医師会など関係機関と一体となって、県内のどこにいても安心して医療を受けられるよう、医師をはじめとする医療人材の確保に取り組んでまいります。 49 ◯土木部長(兒島優一君)日置市内の県道改良についてであります。  日置市内の県道改良につきましては、これまで、県道永吉入佐鹿児島線の七呂工区や、県道鹿児島東市来線の美山工区などの整備を行ってきたところであり、現在、県道山田湯之元停車場線の皆田工区など、三か所において整備を進めているところであります。  残る未改良区間につきましては、事業中箇所の進捗状況等を踏まえながら、今後、検討してまいります。  伊作峠トンネルの検討状況についてであります。  県道谷山伊作線は、鹿児島市の谷山市街地から日置市吹上町の国道二百七十号に至る幹線道路であり、これまでに、吹上町麓地区の線形改良などの整備を終えるとともに、急勾配区間においては登坂車線を設置するなど、全線二車線改良済みとなっております。  伊作峠トンネルにつきましては、これまで、伊作峠トンネル建設期成会による国への要望等が行われるなど、地元の声があることは認識しているところであり、昨年度から、補助調査費を活用し、伊作峠周辺における概略ルートの検討や地形図作成を行っているところでございます。  本トンネルにつきましては、大規模な事業となりますことから、多くの検討すべき課題があり、引き続き、地形図作成やルート検討を行うとともに、整備効果や整備手法などについて検討を行ってまいります。  国道二百七十号の江口蓬莱周辺の道路防災対策についてであります。  国道二百七十号の江口蓬莱周辺の約一キロメートル区間につきましては、連続するシラスの急崖と海に囲まれた地形となっており、大雨や台風時に小規模な崩落による通行止めが度々発生しているところでございます。  御指摘のあった抜本的な対策につきましては、道路に隣接する急崖部のほとんどが筆界未定地でありますことから、早期の事業実施は困難であると考えております。  このため、当面の対策として小型擁壁等を設置したところであり、道路防災点検や定期的な道路パトロールにより道路状況の把握を行うとともに、災害発生時には速やかに道路啓開を実施しているところであります。  県といたしましては、課題解決に向け地元市と協議しながら、安全な道路交通の確保に努めてまいります。 50 ◯前原 尉君 時間となりましたので、ここで失礼します。  ありがとうございました。(拍手) 51 ◯副議長(吉留厚宏君)ここで、休憩いたします。  再開は、午後二時三十五分といたします。        午後二時二十五分休憩       ────────────        午後二時三十五分再開 52 ◯副議長(吉留厚宏君)再開いたします。  次は、大久保博文君に発言を許可いたします。    [大久保博文君登壇](拍手) 53 ◯大久保博文君 鹿屋市・垂水市区選出の大久保博文です。  岸田文雄首相は、新自由主義からの転換を掲げ、自民党総裁に選出され、そして第百代内閣総理大臣に就任いたしました。新自由主義による経済政策は、行き過ぎた市場主義、グローバル化、規制緩和、構造改革などにより、格差拡大、国民経済の疲弊をもたらしました。岸田政権は、この路線を修正するのではないかと期待されております。  一方、自民党本部政務調査会には財政政策検討本部が設置され、実体経済に即した財政政策の在り方が多角的に議論されることになりました。本部長に就任した西田昌司参議院議員は、財政規律をプライマリーバランスではなくインフレ率に求める考えを示しており、緊縮財政から積極財政への転換に向けての議論が進み、日本を再び成長軌道に戻すための提言がなされるのではないかと期待されるところであります。  それでは、通告に従いまして、以下質問してまいります。  行財政についての質問であります。  まず、新しい資本主義と本県財政への影響について伺います。  十月十五日、政府は、新しい資本主義実現本部の下、成長と分配の好循環とコロナ後の新しい社会の開拓をコンセプトとした新しい資本主義を実現していくため、それに向けたビジョンを示し、その具体化を進めるため、新しい資本主義実現会議が開催されました。そしてこの会議において、緊急提言─未来を切り拓く「新しい資本主義」とその起動に向けて─が発表されました。  その提言では、「一九八〇年代以降、短期の株主価値重視の傾向が強まり、中間層の伸び悩みや格差の拡大、下請企業へのしわ寄せ、自然環境等への悪影響が生じていることを踏まえて、政府、民間企業、大学等、地域社会、国民・生活者がそれぞれの役割を果たしながら、格差の是正を図り、民間企業が長期的な視点に立って三方良しの経営を行うことで、現場で働く従業員や下請企業も含めて、広く関係者の幸せにつながる、長期的に持続可能な資本主義を構築していく必要があり、全てを市場に任せるのではなく、官民が連携し、新しい時代の経済をつくる必要がある」、「我が国においても、成長戦略によって生産性を向上させ、その果実を働く人に賃金の形で分配することで、広く国民の所得水準を伸ばし、次の成長を実現していく、成長と分配の好循環の実現に向けて、政府、民間企業、大学等、地域社会、国民・生活者がそれぞれの役割を果たしながら、あらゆる政策を総動員していく必要がある」との基本的な考え方が示され、新しい資本主義を起動するため、当面、岸田内閣が最優先で取り組むべき施策が示されたところであります。  その中で、分配戦略の一つに、「科学技術の振興、経済安全保障、重要インフラの整備などの国家的な課題に計画的に取り組むなど、財政の単年度主義の弊害是正に向けて、複数年度の視点の反映を検討する」とあります。  私は、この単年度主義の弊害是正は、単年度のプライマリーバランスの黒字化にこだわることなく、長期計画による需要が喚起されることにつながり、国民経済にとってプラスの取組になると評価いたします。  そこで、財政の単年度主義の弊害是正が本県財政にどのように影響すると考えるか、県の考えを伺います。  続いて、デジタル化の推進についての質問であります。  まず、行政のデジタル化について伺います。  知事は提案理由において、「行政のデジタル化を推進し、行政事務の効率化を図ることにより、各種申請や手続など県民サービスのスピードアップや質の向上を推進する」としています。  確かにデジタル化は利便性の向上をもたらします。しかし、県政を推進するに当たっては、住民説明会の実施や災害地の視察対応等、実際、現地に赴くことが大事になる業務があることも事実であります。行政のデジタル化を進めることで、効率とスピードを重視するあまり、住民感情に寄り添わず、例えば、ホームページ等での掲載だけで本来実施すべき住民説明会を実施しないなど、かえって住民サービスの質の低下を招くような事態になってしまうおそれもあります。また、高齢者に多く見られるデジタルデバイドの存在は、電子通信機器を操作できず、デジタル化されたサービスを思うように享受できない場合も想定されるところであります。  そこで、今後、行政のデジタル化を進めることで、住民サービスの質の低下を招かないことが重要であると考えますが、県の見解について質問いたします。  自治体情報システムの標準化・共通化について伺います。  行政のデジタル化には多額の費用を要する場合があります。例えば、国によりますと、住民基本台帳ネットワークシステム構築時に当たっては、平成十一年度から平成十五年度までの構築に要した導入経費が約三百九十億九千三百万円となっております。  国においては、九月一日に施行された地方公共団体情報システムの標準化に関する法律に基づき、全ての市町村に共通する事務の中から、事務の共通性や住民の利便性の向上、行政運営の効率化に資するといった観点から業務を指定し、令和七年度までに、国が用意するガバメントクラウドへの移行を済ませ、全市町村の情報システムを標準化・共通化するという計画を立てています。  今回の情報システムの標準化・共通化に当たっても、県内市町村が、現在使用しているシステムから、国の用意するガバメントクラウドへ移行するためには、住民基本台帳ネットワークシステム構築時と同様、多額の経費と多くの作業負担が発生すると考えられます。  そこで、市町村の進める自治体情報システムの標準化・共通化を県ではどのように支援していくつもりか、質問いたします。  デジタル化推進に伴う個人情報保護についての質問であります。  行政機関は、納税、福祉、健康等に係る多くの個人情報を有しています。行政のデジタル化が進展すれば、行政が有する個人情報についても、行政機関同士での流通が容易になると想定されます。ただ、流通等が容易になることにより、個人情報保護がおろそかになってしまい、個人情報の漏えいという事態になることは避けるべきであります。  国際的には、プライバシーの保護、自国内の産業保護、安全保障の確保、法執行、犯罪捜査などを目的として、国際間の越境データを規制する動き、いわゆるデータローカライゼーションに関する法制度の制定・施行が進行しています。  データローカライゼーションとは、例えばインターネット上のサービス等について、当該サービスを実行する物理的サーバーは、サービスを提供する国内で運用しなければならない、すなわち、サービス提供に必要なデータは全て当該国内に存在しなければならないという考え方に基づくルールであり、その対象はパーソナルデータや産業データなど、目的や理由に応じて整理されるものであります。  一方、日米デジタル貿易協定やRCEPなどの国際協定において、国外にサーバーが置かれることを許容する条項も存在し、個人情報、秘密情報などが漏えいしないよう、これまで以上に、セキュリティー上考慮しなけれはならない場合もあり得ます。
     そこで、行政機関においては、行政のデジタル化と併せ、行政が有する個人情報の漏えいがないよう、しっかりとセキュリティー対策を取る必要があると考えますが、県の考えを伺います。 54 ◯総務部長(山本 周君)新しい資本主義、特に財政の単年度主義の弊害是正と本県財政への影響についてでございます。  十一月八日に開催されました、国の新しい資本主義実現会議において提出された緊急提言の中で、財政の単年度主義の弊害是正について、「科学技術の振興、経済安全保障、重要インフラの整備などの国家的な課題に計画的に取り組むなど、財政の単年度主義の弊害是正に向けて、複数年度の視点の反映を検討する」との意見が示されたことは承知いたしております。  しかしながら、現時点では、この財政の単年度主義の弊害是正の具体的な内容は示されていないものと承知しておりまして、本県財政に与える影響について直ちに見通すことは困難であると認識しております。  同会議では、成長と分配の好循環の実現に向けたビジョンとその具体的な方策について、令和四年春に取りまとめを行うこととしておりまして、引き続き、その議論の動向を注視してまいりたいと考えております。 55 ◯総合政策部長(前田洋一君)行政のデジタル化についてでございます。  県では、デジタルによる社会変革に向けた課題と基本的な方向を明確にするため、今年度、推進戦略策定に向けた取組を進めておりまして、今般、戦略の素案を取りまとめたところです。  同素案では、デジタル化による行政手続の簡素化・効率化に取り組むこととしており、県民にとって簡単・便利な行政サービスの提供に向けて、積極的に取り組んでまいります。  一方で、デジタル化の進展により、デジタル機器の活用に不安のある方々や、対面での確認が必要な窓口・相談業務など、デジタル化になじまない分野への対応も必要となることから、県としては、高齢者を対象としたデジタル講座の開催や、県民一人一人の要望に応じたきめ細やかな行政サービスの提供などにより、誰一人取り残さない、人に優しいデジタル社会の実現が重要と考えております。  次に、自治体情報システムの標準化・共通化についてであります。  国は、地方公共団体情報システムの標準化に関する法律におきまして、同システムの標準化に必要な財政上の措置を講ずるよう努めることとされておりまして、今年度、新たにデジタル基盤改革支援基金が創設され、移行に係る経費について必要な助成が行われることとなっております。  同法において、都道府県は、市町村に対し標準化に必要な助言、情報の提供等を行うよう努めることとされておりまして、これまで、市町村職員を対象とした、標準化の進め方に関する研修会を実施するなど、市町村への支援を行ってきたところであります。  今後、市町村の情報システムに関する現状調査を行った上で、必要な支援策を検討することとしており、標準化に向けた作業が円滑に進められるよう、引き続き、市町村と連携し、必要な助言、情報提供等を行ってまいります。  デジタル化推進に伴う個人情報保護についてであります。  県においては、国が示す、地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドラインに基づき、鹿児島県情報セキュリティポリシーを定め、情報セキュリティーの確保に努めてきたところです。  議員御指摘のデータローカライゼーションにつきましても、同ガイドラインにおいて、行政がインターネットを介し、データを管理するサービスを提供する民間事業者を選定する場合には、事業者やデータを管理する場所に国内法が適用されない場合の危険性を十分に考慮すべき旨の項目が、昨年度追加されたところです。  鹿児島県情報セキュリティポリシーについても、同ガイドラインに追加された内容を踏まえ、見直しを行うこととしておりまして、さらなる情報セキュリティーの確保に努めてまいります。    [大久保博文君登壇] 56 ◯大久保博文君 答弁頂いたことに関しまして申し上げます。  新しい資本主義と本県財政への影響についてでありますけれども、インフラ整備に関わる建設業協会あるいは建築業協会等々、いろんな形で意見交換の中で、年間を通じた工事量の平準化あるいは中期的な工事量の平準化、年によって工事が増えたり減ったりすることのないよう要望も頂いているところでございますけれども、単年度主義の弊害というのは、まさしくそういった部分が平準化されていないというところに現れているかと思います。今後そのあたりが是正されてくれば、こういったインフラ整備等々についての工事量の平準化というものが図っていけるのではないかと、そういったところにつながるのではないかと期待するところであります。  岸田政権が目指す新しい資本主義の在り方が、コロナ禍により低迷する日本経済の立て直しとデフレ経済を脱却するための財政運営が行われることを期待申し上げます。  デジタル化の推進についてであります。  現在のところ、本県のサーバーにおいては、物理的に外国にサーバーが位置してデータが置かれることはない制度になっているということを伺いました。ではありますけれども、先ほど申し上げたような条約等々につきまして、そういう可能性も今後出てこようかと思います。  EUでは、個人情報を基本的人権とみなして保護する一般データ保護規則、いわゆるGDPRが施行されているところであります。米国ワシントンDC及びカリフォルニア州でも同様な規制法が導入されています。個人情報などのプライバシー保護がシステム的なものにとどまらず、制度的に法的拘束力を伴った形でなされていくことを期待いたします。  続いて、農業農村整備事業についての質問であります。  我が国は、本格的な人口減少社会を迎えており、農村地域の急速な人口減少、農業の担い手不足が大きな課題となっています。また、輸出も含めた需要構造の変化に対応した農業生産へのシフトや、産業としての農業の在り方も問われています。  このような中、新たな土地改良長期計画への対応は無論のこと、農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現させるための施策として、みどりの食料システム戦略や農業のデジタルトランスフォーメーションの推進という新たな視点も加わった農業・農村を今後、構築していく必要があると考えます。  これらに対応するため、国は、競争力強化・国土強靱化のための農業農村整備を計画的に進める農業農村整備事業関係予算の概算要求額について、対前年度比一一八・四%の五千二百六十三億円計上しており、農地の大区画化・汎用化、新たな農業水利システムの構築、農業水利施設の適切な更新・長寿命化、ため池の防災・減災対策などの整備を推進することとしています。依然として地域からのニーズが高い農業農村整備事業の早期実現に向け、これらの国の予算を活用して計画的に事業を推進していくことが必要と考えます。  県においては、かごしま未来創造ビジョン見直しの素案にも、国土強靭化の充実強化及び流域治水の取組推進を示されていますが、多面的機能を有する農地を整備することは、この取組の推進につながるものと言えます。  肝属中部地区についてです。  肝属地域は、保水性の乏しいシラス台地であるため、これまで、干ばつ被害などにより農業の生産性の向上が阻害されておりましたが、荒瀬ダムやパイプライン、スプリンクラーの整備が図られ、畑地かんがい用水を用いた、より高品質・高収益作物の栽培が可能となるなど、本地域の農業のさらなる発展に大きく寄与するものであると考えています。  今後とも、現在実施中の附帯県営事業により、通水面積が拡大し、さらなる農業の生産性向上や農業経営の安定化が期待されるところであります。  本年十月、和歌山市で水道橋の崩落事故が発生し、一週間にわたる断水など市民生活に多大な影響が生じました。耐震化工事も行われていたそうですが、建造から四十五年余りが経過した古い施設であり、改めて生活インフラの適正管理の難しさが浮き彫りになった事案であったと思います。  翻って、本県農業においては、農業用水もパイプライン化が進み、施設園芸やお茶の防霜散水など、基幹産業である農業を営む上でなくてはならない重要な施設となっています。このような中、農業水利施設の現状を見てみますと、全国的にも、高度経済成長期に整備され老朽化が進行している施設が相当数あり、漏水等の突発事故の発生が懸念されています。  国内第一号の国営かんがい排水事業地区として整備された笠野原地区も例外ではありません。現在、国、県、地元が分担して、施設の補修・更新等の整備、いわゆるストックマネジメントを進めておりますが、今回の和歌山市の事故を踏まえ、改めて計画的な補修・更新整備の重要性を認識した次第であります。  また、近年の気候変動に伴う豪雨災害は一層頻発化・激甚化の傾向を帯び、県内では、本年も七月及び八月の豪雨で北薩地域を中心に河川、農地等へ甚大な被害が発生しました。  このような中、特殊土壌地帯の保全と農業生産力の向上を目的に五年間の時限法として制定された、いわゆる特土法が本年度末で期限を迎えます。シラス土壌等に広く覆われた本県では、本法律に基づく補助率かさ上げなどの優遇措置により、シラス対策事業をはじめとした各種防災事業等を実施しており、これまで多大な成果を上げてきております。今後も必要な箇所が多く残されており、さきの九月議会では法延長に向けた意見書を採択し、国へ提出したところであります。  私の地元鹿屋市においても、シラス台地の農地で毎年のように豪雨災害に見舞われているため、農地の土壌浸食を未然に防止するための農地保全排水路の整備を継続的に進めてきており、今後とも計画的に推進することが重要となってきております。  そこで、一点目として、令和四年度の本県農業農村整備事業の予算確保に向けた取組について。  二点目として、肝属中部畑地かんがい事業の本年度末における通水面積の見込みと、通水面積拡大に向けた取組について。  三点目として、笠野原畑かんストックマネジメントの県営事業の本年度末における進捗見込みと今後の取組について。  四点目として、本年度事業採択された共栄地区の農地保全排水路整備の本年度末の進捗見込みと今後の取組について質問いたします。  農業開発総合センターについての質問であります。  かごしま未来創造ビジョンには、施策展開の基本方向として、ロボット技術、ICT等の先端技術を活用した超省力、高品質生産を実現する次世代のスマート農業を掲げています。  また、第二回定例会において、私は大隅支場の今後の在り方に関して質問したところ、「スマート農業研究拠点施設の整備工事完了後、大隅支場農機研究室を移転する。園芸作物研究室と環境研究室については、大隅地域において取り組む必要のある研究や地域の実情などを踏まえながら、引き続き、体制等について検討する」旨の答弁がありました。  そこで、その研究拠点である吹上・金峰地区に整備しているスマート農業研究拠点施設の進捗状況について。  スマート農業研究を行う大隅支場農機研究室の移転時期について。  農機研究室が移転した場合、大隅支場には園芸作物研究室と環境研究室が残ることとなりますが、大隅支場の今後の方向性についてどのように考えているか、質問いたします。    [知事塩田康一君登壇] 57 ◯知事(塩田康一君)大隅支場の今後の方向性についてでございます。  農業開発総合センターにつきましては、二十一世紀における農業試験研究体制あり方検討委員会の提言において、基礎的・共通的研究等を行う部署について、基本的に吹上・金峰地区に集約する必要があるとされたことを踏まえ、これまで果樹部、花き部及び茶業部を移転・集約してきているところであります。  大隅支場農機研究室移転後に残る園芸作物研究室と環境研究室についても、同提言を踏まえ、基本的には吹上・金峰地区に集約することとしております。  ただし、これらの研究室が現在担っている機能のうち、加工業務用野菜の研究は、大隅加工技術研究センターに集約した場合、生産から加工までの研究が一体化され、研究の高度化・総合化が図られること、また、農薬登録に関する試験は、吹上・金峰地区と大隅地区において引き続き実施することで早期農薬登録が可能となることなどから、これらの機能については令和六年四月を目途に大隅加工技術研究センターに集約し、同センターの機能を強化することとしております。 58 ◯農政部長(松薗英昭君)農業農村整備事業についての御質問のうち、まず、農業農村整備事業の予算確保に向けた取組についてでございます。  県では、農業産出額の向上に資する大規模畑地かんがいの整備や農業の競争力強化を図るための基盤整備、農村地域の防災・減災対策を重点的に進めるとともに、中山間地域等の活性化につながる、きめ細かな基盤整備にも取り組んでいるところでございます。これらの事業を計画的かつ確実に推進するためには、所要の予算の安定的な確保が必要でございます。  県としては、県開発促進協議会などあらゆる機会を通じ、国に対し、農業農村整備事業に必要な予算や「防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策」に係る予算の確保を要請してきているところでございます。  現在、国において、来年度予算編成に向け、様々な検討がなされているところであり、今後の国の動向等を見極めながら、引き続き、必要な予算の確保に努めてまいります。  次に、肝属中部畑地かんがい事業についてでございます。  肝属中部地区は、荒瀬ダムを水源として千五百三十七へクタールの農地を対象に畑地かんがい施設の整備を行っており、本年度整備予定の五十七ヘクタールを含めますと、年度末の通水面積は五百四十八ヘクタールとなる見込みです。  通水面積の拡大を図るためには、農業者に対する事業説明会や各種研修会を行うほか、畑かん営農の理解促進を図る必要があることから、畑かん営農ビジョンを基に、先進的に営農を行っている畑かんマイスター等と連携し、モデル圃場の設置による水利用効果の実証・展示、散水器具の実演会を行っております。  また、本年度からは、地域振興推進事業を活用した散水器具の貸出し、PR動画の作成なども行っております。  県といたしましては、今後とも、事業効果の早期発現により農業所得の向上が図られるよう、関係機関・団体と一体となって、計画的な事業の推進に努めてまいります。  続きまして、笠野原畑かんストックマネジメントについてでございます。  笠野原畑地かんがいの県営ストックマネジメント事業につきましては、基幹施設以外の支線パイプラインなど末端施設の更新・補修を行っているところでございます。  本年度は、「防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策」の予算も活用し、本年度末までに、支線パイプライン百二十六キロメートルのうち四十六キロメートル、給水栓三千五百二十五か所のうち千五百か所の更新を行うこととしており、進捗率は事業費べースで五三%になる見込みです。  今後とも、関係機関・団体を一体となり、所要の予算確保に努め、事業の早期完成に向けて取り組んでまいります。  続きまして、共栄地区の農地保全排水路整備についてでございます。  共栄地区は、昭和二十年代に排水路整備が行われ、施設の老朽化が進行していることや、流出量の増大により排水路が流下能力不足となっており、周辺農地等への被害が発生していることから、既設排水路の断面拡大や排水路の新設などの整備を行うため、本年度事業採択されたところでございます。  初年度である本年度は、全体延長約八千三百メートルのうち、約千メートルの測量設計及び用地調査業務を終える予定としております。  来年度は、早期着工を目指し、引き続き、測量設計及び用地調査業務を実施するとともに、用地買収等を進めることとしております。  県といたしましては、所要の予算確保に努め、事業を着実に推進してまいります。  次に、農業開発総合センターについての御質問のうち、スマート農業研究拠点施設整備の進捗状況等についてでございます。  農業開発総合センターのスマート農業研究拠点施設の整備につきましては、農業機械格納庫や実証圃場のほか、ロボットトラクターなどの機器整備が終了し、外構工事についても今年度中に完成することとなったことから、大隅支場農機研究室につきましては、令和四年四月に吹上・金峰地区に移転することとしております。 59 ◯大久保博文君 再質問いたします。  大隅支場に関して伺います。  地元自治体及び住民が関心を寄せている園芸作物研究室と環境研究室が移転した後の大隅支場跡地の取扱いはどのように考えているか、伺います。 60 ◯農政部長(松薗英昭君)大隅支場の移転後の跡地についての御質問でございます。  移転後の跡地の取扱いにつきましては、今後、地元市の意向などを踏まえながら検討することとしております。    [大久保博文君登壇] 61 ◯大久保博文君 答弁頂いたことに関しまして申し上げます。  まず、農業農村整備事業についてであります。  食料自給率の目標達成の前提となる食料供給力の強化には、農地・農業用水の確保、担い手の確保・育成、農業技術水準の向上が不可欠で、そのためには農業生産基盤の整備が必要であります。農業の持続的発展、農村の振興、食料の安定供給、多面的機能の発揮の実現を図るための施策が今後も継続して行われることを期待申し上げます。  大隅支場に関しまして申し上げます。  大隅支場は、国道、高規格道路、高速道路、農免道路等の近くに位置し、交通の便もよく、地理的に恵まれたところにあります。この跡地の取扱いいかんが地域の発展の鍵を握ると言っても過言ではないところであります。この跡地の取扱いにつきましては、答弁にもございましたように、地元自治体、そして住民の意向も踏まえて、地域発展に資する取組がなされていくことを期待申し上げます。  続きまして、新型コロナウイルス感染症についての質問であります。  まず、コロナワクチン接種についての質問です。  国は、コロナワクチンの接種目的として、新型コロナウイルス感染症の発症を予防し、死亡者や重症者の発生をできる限り減らし、結果として新型コロナウイルス感染症のまん延の防止を図るとしています。  ワクチンには、発症予防効果や発症後の重症化を予防する効果など一定の効果が認められていますが、一方では効果の限界も示されております。  国立感染症研究所によれば、ワクチン接種しても、新型コロナウイルスに感染し、他人にうつす可能性は消えないとしており、厚生労働省は、ワクチン接種後もマスク着用など必要な感染対策を継続するよう呼びかけています。  予防接種を受ける場合、予防接種による感染症予防の効果と副反応のリスクの双方について理解した上で、自らの意思で接種を受けることになっています。ワクチン接種をする、しない、できないなどの判断は、年齢、健康状態、基礎的疾患の有無などを踏まえ、個人の意思に委ねられており、いかなる判断も尊重されるべきであります。  予防接種法改正時における国会の附帯決議には、「新型コロナウイルスワクチンの接種の判断が適切になされるよう、ワクチンの安全性及び有効性、接種した場合のリスクとベネフィットその他の接種の判断に必要な情報を迅速かつ的確に公表するとともに、接種するかしないかは国民自らの意思に委ねられるものであることを周知すること」、「新型コロナウイルスワクチンを接種していない者に対して、差別、いじめ、職場や学校等における不利益取扱い等は決して許されるものではないことを広報等により周知徹底するなど必要な対応を行うこと」とあります。  これらのことから、ワクチン接種の判断、特に接種をしないとの判断が差別や不利益を被ることのないような配慮が必要であります。  先日、県が若者を対象に行った集団接種において、県産品を送る取組がありました。ワクチン接種に当たっては、ワクチンに関する情報が適切に示され、主体的・合理的な判断の下、接種は判断されるべきものであります。ワクチン接種する人が優遇され、差別につながらないか懸念する見方もあります。県の真意を伺います。  ワクチン・検査パッケージ制度は、感染拡大を防止しながら、日常生活や社会経済活動を維持できるよう、ワクチン接種歴または陰性の検査結果を活用し感染リスクを低減させ、将来の緊急事態宣言やまん延防止等重点措置等の下において、飲食やイベント、人の移動の各分野における行動制限の緩和を可能とするものであります。ワクチン接種が無料であるのに対し、自主的なPCR等の検査は費用が伴うものであることから、PCR等検査についても無料化を図るべきと考えます。  そこで、PCR等の検査の費用負担の在り方について、県の考えを伺います。  新型コロナウイルス感染症の感染者や家族、医療従事者、ワクチン接種ができない、またはしないと判断した者に対する不当な差別、偏見、希望しない者へのワクチン接種強制など、県民が不利益を受けることのないよう県はどのように取り組んでいるのか、質問いたします。  看護人材養成についての質問であります。  十一月二十七日、令和三年度鹿児島県の看護と政策を考える意見交換会があり、コロナ禍での苛酷な看護現場の現状報告がありました。急性期病院、慢性期病院、訪問看護ステーションかごしま、いずれにおいても、コロナ感染症は通常業務プラスアルファの対応を余儀なくされ、激務を極めている状況を伺ったところであります。看護師の人材確保難、看護職員のメンタルケアの必要性などの課題も示されました。  看護師をはじめ、医療従事者の働く環境の整備が望まれるところであります。  また、少子高齢化、多死社会など二〇二五年問題に向けて、看護機能の果たす役割は大きいものがあります。しかしながら、県看護人材確保計画によれば、二〇二五年までに看護職が二千三百四十六名の不足が予想されています。
     看護職の人材確保、育成、有効活用を図る施策の推進が重要になります。  今回、特に看護師等養成所の支援について伺います。  まず、医療提供システムのICT化、教育のデジタル化、シミュレーション教育に対応した看護師等養成所のICT整備支援について、県の取組について質問いたします。  次に、看護教員の確保と質の向上についてですが、私の地元鹿屋市立鹿屋看護専門学校において、一定のスキルある看護教員を募集していますが、思うように確保できていない状況であります。また、看護教員の質の向上において、県内での専任教員養成講習会の定期開催が望まれています。  そこで、看護師等養成所の看護教員確保の支援と当該講習会の開催について、県の考えを伺います。  在宅看護教育の充実に向けた支援についての質問です。  厚生労働省看護基礎教育検討会では、将来を担う看護師が強化すべき能力、それを踏まえた教育内容などの検討が行われ、二〇二二年度から改正カリキュラムが適用されることになりました。その中で、「対象や療養の場の多様化に対応できるよう、在宅看護論を地域・在宅看護論に名称変更し、内容を充実」とあります。  改正カリキュラムに対応するための看護師等養成所の支援が求められますが、県の考えを伺います。  児童虐待防止対策についての質問であります。  まず、児童虐待がもたらす子供への影響について伺います。  全国的に児童虐待による死亡事例は年間七十件を超えています。児童虐待によって、五日に一人の子供の命が失われていることになります。児童相談所の相談対応件数は年々増加しており、深刻な状況であります。  児童虐待においては、身体的虐待、性的虐待、心理的虐待、ネグレクトが挙げられます。  八歳未満の子供の脳は、大人の脳とは異なり、未熟で発達の余地が大きいと言われています。脳機能やいろいろな神経のシステムが分かれておらず、大変デリケートな状態であります。マルトリートメントと呼ばれる不適切な子供への対応で、このデリケートな子供の脳は傷ついてしまいます。例えば、見る機能をつかさどる視覚野、聞く力をつかさどる聴覚野、そして情緒的なあるいは思考をつかさどる前頭葉、海馬などの脳領域にダメージが残り、深刻な精神疾患につながるとの専門家からの指摘があるところであります。  また、潜在意識には八歳頃までの幼少期の体験が大きく作用し、この時期のトラウマが潜在意識の中で暴走し、心身を不安定にし、成長してからの鬱病の原因になるとの指摘もあります。  よって、児童虐待は、子供の心に深い傷を負わせ、健全な発育を妨げることになりかねません。あわせて、大人になっても精神疾患の原因となり得る可能性もあるとの指摘もあります。また、幼少期に家庭でつらい体験をした人が、家庭やふるさとという本来親しみを感じる言葉に拒絶反応を示すケースも聞くことがあります。  そこで、児童虐待がもたらす子供への影響について、県はどのように認識しているのか、質問いたします。  児童虐待防止対策についての質問です。  このように、児童虐待及びマルトリートメントは、子供の成長に大きな影響を及ぼします。一般的に、人は自ら育った家庭環境の影響を受け、子育てをしますが、虐待的な家庭環境は世代間で連鎖するおそれがあります。家庭の在り方、家庭教育の限界などの課題に向き合い、児童虐待防止対策は行われるべきと考えます。  そこで、国及び本県の児童相談所における児童虐待の認定件数について伺います。  また、児童虐待防止対策として、児童相談所、児童家庭支援センター、家庭教育支援、関係機関の連携が大事と思いますが、県の児童虐待防止対策の取組について質問いたします。  教育についての質問であります。  教育のデジタル化について、まず伺います。  本年一月二十六日、中央教育審議会は、令和の日本型学校教育の構築を目指して─全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現─という答申を出しました。一人一人の児童生徒が、自分のよさや可能性を認識するとともに、あらゆる他者を価値のある存在として尊重し、多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り開き、持続可能な社会の創り手となることができるようにすることが必要としています。  また、昨年十二月十八日経済財政諮問会議は、新経済・財政再生計画改革工程表二〇二〇において、「教育の情報化の加速 全児童生徒が端末を十分に活用できる環境の実現を目指し、家庭に対する機器貸与の支援を含め、必要な財源を確保する。政府のデジタル化の方針等も踏まえ、システム全体の統一性や標準化、クラウド化も見据えつつ、ICTによる校務改善を推進する」とあり、教育のデジタル化が提唱されています。  この教育のデジタル化は、個人情報保護、情報の恣意性防止、教育の多様性の確保などの課題もあるところであります。  遠隔オンライン授業は、画一的な指導に陥りやすく、共感性を育み、個別最適な学びを実現するには、ICTの利便性は活用しつつも、教師による対面指導と家庭や地域社会との連携が、令和の日本型学校教育が目指す個別最適な学びにつながると私は考えます。  そこで、教育のデジタル化に関し、県教育委員会の考えを伺います。  デジタル教科書についての質問であります。  昨年十二月十八日、経済財政諮問会議は、新経済・財政再生計画改革工程表二〇二〇において、「義務教育段階の学校におけるデジタル教科書の普及率について、二〇二〇年三月時点の八・二%を、二〇二五年度までに一〇〇%にすることを目指す」といたしました。  デジタル教科書は、スピードや効率化においてメリットはあるものの、記憶に残りにくい、考える前に検索を行うことで思考力が落ちる、メモを取る能力、字を書く能力、内容をそしゃくする能力が低下する懸念があると言われています。  人は、記憶を基に、新しい思考や創造的発想を生み出していきます。デジタル媒体より紙媒体のほうが記憶に残りやすいと言われています。紙に触れ、手で書くという行為は教育上大事であります。  よって、教科書を一〇〇%デジタル化することについては慎重に行われるべきと考えますが、県教育委員会の考えを伺います。 62 ◯くらし保健福祉部長(谷口浩一君)新型コロナウイルス感染症に関する御質問のうち、若年層のワクチン接種促進策についてであります。  ワクチン接種については、個人が自主的に判断するものでありますが、第五波においては、若年層で感染が拡大し、若い方でも重症化や後遺症が残ることが懸念されたことから、希望される方への早めのワクチン接種が急務と判断したところであります。  このため、県としては、新聞広告や地域情報誌、SNS等を活用し、若い方が主体的に接種していただけるよう、ワクチン接種に係る正しい情報の発信に取り組むとともに、さらに若年層の接種を加速化する観点から、新たに大規模接種会場を設け、約一万人を対象にワクチン接種を実施したものであります。  その際、ワクチン接種への関心を高め、積極的な接種を促すため、大規模接種会場で接種された方の中から抽選で五百名に県産品等を贈呈することとしたところであります。  また、コロナ禍で消費が落ち込んでいた県産品や接種会場周辺の商店街の消費拡大に貢献することなども考慮したところであります。  県としては、今後とも、県民が適切に接種の判断ができるよう、丁寧な情報発信に努めてまいりたいと考えております。  次に、ワクチン・検査パッケージについてであります。  国においては、ワクチン・検査パッケージの活用に当たり、健康上の理由等でワクチン接種を受けられない方を対象としたPCR検査等の無料化を図るため、関連の補正予算案が閣議決定され、現在、国会において審議されているところであります。  県としては、国の予算案の動向に的確に対応しながら、関係機関と連携して、当該PCR検査の無料化に向けた検査体制の整備に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、看護人材養成に関する御質問のうち、看護師等養成所のICT整備支援についてでございます。  看護職員確保の取組を推進するに当たって、看護師等養成所の教育環境の充実を図ることは、重要であると考えております。  県においては、昨年度、本県独自の取組として、看護師等養成所における遠隔授業の体制整備を支援し、五施設に対して経費の助成を行ったところであります。  また、今年度は、厚生労働省がこれと同様な支援を行う補助事業を新たに創設し、一施設が活用を予定しております。  同事業については、現在、再募集が行われており、看護師等養成所に対して広く活用を呼びかけてまいります。  次に、看護教員の確保と質の向上についてであります。  看護師等養成所の専任教員については、国のガイドラインでは、五年以上看護師等の業務に従事し、都道府県等が実施する専任教員養成講習会を受講した者などとされております。  同講習会については、定員を満たす受講希望者や講師の確保の課題などから、令和三年度における開催は十五都道府県にとどまっているところであります。  本県では、平成三十年度に、それまでの受講定員を三十名から二十五名に引き下げて受講機会を確保し、十九年ぶりに講習会を開催したところであります。  平成三十年度以降は、受講希望者が定員に満たない状況が続いたことなどから開催を見送っておりますが、講習会開催により看護教員の確保を図り、県内の看護教育体制の充実に資するため、講習会の開催ニーズをしっかりと見極めながら、開催時期について検討を行ってまいりたいと考えております。  次に、在宅看護教育充実への支援についてであります。  看護師等の看護職については、人口や疾病構造の変化、療養の場の多様化等を踏まえ、患者をはじめとする対象の多様性・複雑性に対応した看護を創造する能力が求められております。  このような状況を踏まえまして、令和四年度からの看護師養成の新カリキュラムにおいて、在宅看護論の科目が地域・在宅看護論に名称が変更され、単位数が二単位増加し、内容の充実が図られることとなっております。  県においては、毎年度、看護師等養成所の教務主任等を対象とした会議を開催しており、次年度の同会議において、在宅看護教育の充実を図るために、各養成所における地域・在宅看護論の取組の実情について把握することとしております。  また、毎年度開催している専任教員を対象とした研修会について、地域・在宅看護教育をテーマとした内容での開催を検討してまいりたいと考えております。 63 ◯男女共同参画局長(奥 一彦君)新型コロナウイルス感染症に関する御質問のうち、感染者等への不当な差別等に関する取組についてでございます。  県におきましては、これまで、新型コロナウイルス感染症に伴う、感染者やその家族、医療関係者、ワクチンの接種ができない方、あるいは接種しないことを選択した方などへの不当な差別や偏見等に対する相談窓口を設置し、関係機関と連携した対応を行っているところでございます。  また、こうした人権侵害等が生じないよう、広報用動画やチラシを作成し、県のホームページや広報誌、県政広報番組、SNSや新聞・テレビなどの様々な媒体を活用し、県民への啓発に努めているところです。  今後とも、関係機関と連携を図りながら、新型コロナウイルス感染症に関する不当な差別や偏見等が生じないよう、県民の人権意識の醸成に向けて、啓発を図ってまいります。 64 ◯子育て・高齢者支援総括監(吉見昭文君)児童虐待がもたらす子供への影響についてでございます。  児童虐待は子供に対する最も重大な権利侵害であり、その影響は子供の心身に深刻な影響をもたらすものと認識しております。  具体的な影響といたしましては、身体的影響として、栄養障害や体重増加不良などが見られるほか、知的発達面への影響として、安心できない環境で生活することにより、本来の能力に比べて知的な発達が十分に得られないことなどがあると言われております。  また、心理的影響として、子供にとって最も安心を与えられる存在であるはずの保護者から虐待を受けることにより、子供は保護者との基本的な信頼関係を構築することができなくなります。結果として、他人を信頼し、愛着関係を形成することが困難となり、対人関係において問題を生じることがあるとされております。  このほか、自分は愛情を受けるに値する存在ではないと感じ、自己肯定感を持てない状態となることがあると言われているところでございます。  次に、児童虐待の認定件数と児童虐待防止対策についてでございます。  令和二年度の全国の児童相談所の児童虐待認定件数は、速報値で二十万五千二十九件となっておりまして、前年度比六%の増となっております。  同じく、令和二年度の本県の児童相談所における認定件数は、二千十七件となっており、前年度比一九%の増となっております。  県では、児童虐待防止の取組といたしまして、児童相談所の業務執行体制の強化や職員の専門性・対応力の強化、児童家庭支援センターの設置、市町村要対協─要保護児童対策地域協議会─の強化のほか、関係機関との連携強化を図っているところでございます。  具体的には、児童相談所、裁判所、児童養護施設などで構成する子ども虐待防止ネットワーク会議や、児童相談所、市町村などで構成する子どもSOS地域連絡会議を毎年度開催し、各関係機関の虐待防止の取組の報告や関係機関間における情報共有についての協議、意見交換などを行っているところです。  また、今年度からは、市町村の児童福祉部門と母子保健部門の連携強化を図るため、県内九か所で合同研修会を実施しております。  このほか、今年度は、一時保護所の在り方等検討委員会を設置し、中央児童相談所の一時保護所の在り方及び児童相談所の配置の在り方等について協議していただいているところです。  今後とも、地域ぐるみで子供の安心・安全が確保できるよう、市町村をはじめ、関係機関相互の緊密な連携の下、児童虐待防止に取り組んでまいりたいと考えております。 65 ◯教育長(東條広光君)教育のデジタル化等についてのお尋ねがありました。  人工知能やビッグデータ、IoT等の先端技術があらゆる産業や社会生活に取り入れられたSociety5・0時代が到来しつつあり、社会全体のデジタルトランスフォーメーションも進行する中、児童生徒にこうした時代に求められる資質・能力を育成するためには、学校教育でも、ICTを基盤的なツールとして積極的に活用していくことが求められております。  県教委としては、学校教育の質の向上という観点から、発達の段階や学習場面に応じ、デジタルとアナログそれぞれのよさを適切に組み合わせて生かしていくことが重要であると考えております。  デジタル教科書については、現在、国において、具体的な在り方について議論が行われているところであります。  デジタル教科書導入の意義としては、書き込んだり消したりなどの試行錯誤が容易であること、様々なデジタル教材と連携させて活用することにより、学びの幅を広げたり、内容を深めたりすることができること等が挙げられております。  一方、紙の教科書についても、一覧性に優れている等の特性があることや、書籍に慣れ親しませる役割を果たしていることなどが挙げられております。  国においては、小学校の教科書改訂時期であります令和六年度を見据え、全国的な実証研究の状況等も踏まえつつ、紙の教科書とデジタル教科書との組合せ等について検討していくこととしており、県教委としては、こうした国の動向等を注視してまいりたいと考えております。    [大久保博文君登壇] 66 ◯大久保博文君 答弁頂いた内容に関しまして申し上げます。  新型コロナウイルス感染症についてであります。  新型コロナウイルス感染症は、新しい病気ということもあり、まだ解明されていないことが多くあります。また、対策において考慮されていないこともあると思います。外出自粛により、高齢者を中心に、免疫力低下、フレイルや要介護者の増加、鬱病患者の増加等のおそれが指摘されており、これらの対策も十分になされているとは言えないと思います。  新型コロナウイルス感染症についての研究がさらに進められ、正しく理解され、感染者への差別やワクチンハラスメント等の人権侵害を防止しながら、必要な施策がなされることを期待いたします。  看護人材養成についてであります。  県民の命と健康を支える看護人材が十分に確保されるとともに、質の高い環境で養成されることを期待申し上げます。  児童虐待防止対策についてであります。  人には子育ての本能は備わっていますが、子育て方法を必ずしも本能的に理解しているわけではありません。お産も一人ではできず、母乳のあげ方、離乳食の開始、おむつの外し方など、親や他の人に教えてもらわないと分からない部分もあろうかと思います。  子供の適切な接し方も同様であります。マルトリートメントという不適切な子供への関わりが子供の脳に深刻な影響を与え、大きな障害をもたらす可能性があることを申し上げました。科学的知見に基づいて、適切な養育の知識が広まる取組が求められます。  マルトリートメントが是正され、児童虐待が根絶されるような取組がなされていくことを期待申し上げます。  教育についてであります。  個別最適な学びのためには、個性、創造力を育むことが大事であります。本を読み、人から話を聞くことは、大事な学びの場であります。ただ、これらは人の手を経由した二次情報しか得ることはできず、人と異なる着想や独自性のある創造的思考を涵養することはできません。また、文字や言葉だけでは伝え切れないものもあります。  そこで、一次情報という生の情報に触れる機会が必要で、地域行事への参加、旅行、現場体験などがそのような機会になると言えます。これらのことから、一次情報、二次情報に触れる教育のためには、デジタルだけでなくアナログな部分も必要だと考えます。  先ほど県教育委員会からの答弁では、アナログとデジタルを組み合わせたハイブリッドな教育の在り方が示されたところであります。個別最適な学びがしっかりと実現される教育に結びつく取組がなされることを期待申し上げます。  先日、子ども・子育て調査会で、全国で約二十万人とも言われる小・中学校の不登校児童生徒を対象に新たな学校の仕組みづくりに取り組んでいる団体の方々から話を聞く機会がありました。  インターネットで提供される二次情報とリアルな一次情報にあふれ、特徴ある地方とを結びつけて、子供たちの社会性や知的好奇心を育む教育の取組が紹介されました。個別最適な学びを実現するハイブリッドな取組として評価できるところであります。  今後、この団体と本県及び県内の市町村との連携がなされ、アナログとデジタルが融合した教育の取組が進められていくことを期待申し上げます。  美しいあるいは心を鼓舞するような言葉は、人の命の力、生きる力になると思います。一方、人をおとしめ損なうような言葉は、人の健康や命を損なう力になります。心をどういう言葉で満たし潤しているかが、人の人格を決定し、人生を決定します。子供たちがすばらしい言葉により、希望に満ちた人生を踏み出していくのか、心ない言葉により傷ついた人生を歩むかは、我々大人の責任であります。  我々は日本語というすばらしい言語があります。この言語を生かしながら、教育、社会を構築していくべきであります。日本語を母語としてしっかり維持していくことが大事です。しかし、会話に前のめりになる英語教育の新しい展開を見れば、日本語を現地語化におとしめるような教育になるのではと懸念されます。
     教育は国家百年の大計と言われます。これからも言葉を大事に、よりよい教育、子育てを県民の皆様とともに取り組んでいくことを申し上げ、私の質問を終わります。(拍手) 67 ◯副議長(吉留厚宏君)これで、本日の日程は終了いたしました。       ───────────── 68    △ 日程報告 ◯副議長(吉留厚宏君)明日は、午前十時から本会議を開きます。  日程は、一般質問及び議案の委員会付託などであります。       ───────────── 69    △ 散  会 ◯副議長(吉留厚宏君)本日は、これで散会いたします。        午後三時三十五分散会 鹿児島県議会 ↑ ページの先頭へ...