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2021-09-17 令和3年第3回定例会(第2日目) 本文
2021-09-17 令和3年第3回定例会(第2日目) 名簿

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  1. 鹿児島県議会 2021-09-17
    2021-09-17 令和3年第3回定例会(第2日目) 本文


    取得元: 鹿児島県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-10
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1  午前十時開議    △ 開  議 ◯議長(田之上耕三君)ただいまから、本日の会議を開きます。  本日の日程は、配付いたしております議事日程のとおりであります。       ━━━━━━━━━━━━━  議 事 日 程  一、開  議  一、代表質問    郷 原 拓 男 君    宝 来 良 治 君  一、散  会       ━━━━━━━━━━━━━ 2    △ 代表質問 ◯議長(田之上耕三君)代表質問であります。  郷原拓男君に発言を許可いたします。    [郷原拓男君登壇](拍手) 3 ◯郷原拓男君 おはようございます。  令和三年第三回定例会に当たり、自由民主党県議団を代表して質問いたします。
     新型コロナウイルスのデルタ株が猛威を振るい、第五波の感染急拡大に歯止めがかからない中、政府は、八月二十日から九月十二日までの間、緊急事態宣言の対象地域を十三都府県に、まん延防止等重点措置を本県など十六道県に拡大いたしました。  新規感染者数は八月二十日に二万五千人超の過去最多を更新し、以後、減少傾向を示しておりますが、政府は九月九日に、緊急事態宣言の十九都府県と、まん延防止等重点措置を本県など六県に九月三十日まで延長することを決定いたしました。  県内でも、八月二十日に新規感染者が最多の二百五十一人を記録し、二百人超の感染が四日連続となる爆発的感染増と自宅待機者の急増に、県民はかつてない危機感を持ったところであります。現在、感染者は減少傾向にあるものの、依然として高い水準にあり、引き続き緊張感を持った対応が必要であります。  これまでの県内の累計感染者は八千九百人を超え、六十人の方がお亡くなりになっております。亡くなられた方々の御冥福をお祈りし、心から哀悼の意を表します。  また、厳しい環境の中、最前線で献身的な努力をされている医療従事者をはじめ、救急搬送、高齢者施設など感染症対応に御尽力いただいている全ての関係者の方々に心から感謝申し上げます。  さて、東京オリンピック・パラリンピック二〇二〇が閉幕いたしました。  開会直前までは大会の中止や再延期を求める声が多く、様々な議論がありましたが、閉幕後の共同通信による世論調査では、両大会が開催されてよかったと回答した人が六割から七割に上ったとのことであります。国際パラリンピック委員会─IPC─のパーソンズ会長は、閉会式前の総括記者会見で、「新型コロナウイルス禍を考えると、日本が行ったような大会開催は諸外国ではできなかったと確信している。世界は日本が果たした役割を決して忘れない」と述べたとのことであります。これが国際社会を代表する声であると思います。  世論を一変させたのは、選手が大会で見せたパフォーマンスそのものであり、数々の感動の場面であったと思います。世界が新型コロナウイルスに直面する中、日本がウイルスとの闘いに正面から挑み、開催国としての責任を世界に示した歴史的な大会であったと思うのであります。  それでは早速、通告に基づき質問してまいります。  初めに、くらし保健福祉関係で、新型コロナウイルス感染症対策について伺います。  国は、新型コロナウイルスのワクチン接種について、七月末にはおおむね高齢者の接種を終えており、現在、重症化率の高い四十歳代から五十歳代の方々への接種や、感染率の高い二十歳代から三十歳代の方々へ接種を進め、十月から十一月には希望する全ての国民への接種を終えるべく、円滑な接種に向けた取組を進めてきたところでございます。  しかしながら、八月中旬には全国的にほぼ全ての地域で新規感染者数が急速に増加し、終息が見通せない災害時の状況に近い局面を迎えるに至りました。現在、全国の新規感染者数は減少傾向にありますが、依然として緊迫化した事態が続いていることから、国におきましては、これ以上の医療逼迫を招くことのないよう、また、社会経済活動が早急に再開できるよう終息への道筋を示す必要があります。  こうした中、本県においても八月六日には、警戒基準をステージII─感染者漸増─から、ステージIII─感染者急増─に引き上げ、知事が県民に対し、改めて県外との不要不急の往来自粛の徹底を求めつつ、八月九日から二十二日までの間、鹿児島市と種子島の一市二町の飲食店を対象とした営業時間の短縮要請や、八月十二日からは、鹿児島中央駅と鹿児島空港で希望する帰省客を対象とするPCR検査を実施するなど、水際対策を強化してまいりました。  しかしながら、新規感染者数等は依然として高い水準を維持していたことから、八月十三日には、最高レベルとなるステージIV─爆発的拡大─に引き上げ、県独自の緊急事態宣言を発令するとともに、入院病床や宿泊療養施設の拡充を進めるなど医療提供体制の強化を図り、あわせて、営業時間の短縮要請地域も逐次拡大しましたが、八月十七日には国により、まん延防止等重点措置が八月二十日から九月十二日までの間、適用されることが決定しました。  これを受け、知事は八月十八日に、鹿児島市、霧島市及び姶良市を措置対象地域に指定し、さらに九月九日には、政府がまん延防止等重点措置の期限を九月三十日まで延長したことを受け、対象三市のうち、鹿児島市の延長を決定したところであります。  県は、感染者に対し、原則入院もしくは宿泊療養との方針を維持してきましたが、感染爆発に歯止めがかからず、新規感染者数や病床使用率が上昇を続け、医療提供体制が逼迫したことから、事実上の自宅療養が生じる結果となりました。県内の感染者全員がおのおのの症状の程度に応じた医療機関や療養先で速やかに適切な医療を受けることができるよう、入院病床の確保はもとより宿泊療養施設の確保を行うことが、これまでにも増して求められるところであります。  国は八月十七日に、緊急事態宣言とまん延防止等重点措置の期限延長や対象地域追加を決定しました。その際、感染症対策の指針となる基本的対処方針を改定し、対策の三本柱として、一つ、医療体制構築、二つ、感染防止徹底、三つ、ワクチン接種を掲げました。  本県におけるワクチン接種については、希望する高齢者接種を七月末までにおおむね完了したことから、引き続き、職域接種や大学接種などとも連携しながら、六十四歳以下の一般接種を進め、希望する全ての対象者への接種を加速化させる必要があります。  そのためには、接種への関心が低いと言われる若年層への接種を促すことが重要であり、SNS上で流れるワクチンに関するデマや不確かな情報を事実と誤認し、信用することのないよう、ワクチンに関する正しい情報発信がより一層重要となってまいります。  あわせて、生徒への接種は、保護者が適切な判断を下せるような説明や情報の発信が求められており、同調圧力による差別やいじめが起こることのないよう配慮する必要もあります。  加えて、他県においては、感染し、自宅療養中であった妊婦の受入先が見つからず、早産となった新生児が死亡する事例も起こっていることから、感染した妊婦の救急・周産期医療及び搬送体制の確保と、ワクチンに対する情報発信や希望する妊婦への速やかな接種も重要であります。  そこで伺います。  第一点は、本県における七月以降の新型コロナウイルス感染症の状況─発生状況、感染者・入院患者・重症者の年齢構成、重症度割合、病床占有率及び変異株など─についてお示しください。  第二点は、八月に警戒基準を二度にわたり引き上げましたが、各時点における医療提供体制拡充のための県の取組─病床増床、宿泊療養施設増室等─をお示しください。  第三点は、まん延防止等重点措置適用下における県の取組についてお示しください。  第四点は、新たに設置した中間治療施設の位置づけと、各施設─医療機関・中間治療施設・宿泊療養施設など─に入院・入所する際の基準及び入所実績についてお示しください。  第五点は、離島における島外への搬送体制についてお示しください。  第六点は、本県の水際対策としてのPCR検査の取組と受検者数の実績についてお示しください。  第七点は、本県の世代別のワクチン接種率と、ワクチンの供給スケジュールについてお示しください。  第八点は、若年層へのワクチン接種に関する取組についてお示しください。  第九点は、本県の妊産婦に対する取組─感染防止、救急・周産期医療確保、ワクチン接種など─についてお示しください。  次に、総務関係であります。  新たな行財政運営の指針策定について伺います。  県は、平成二十四年三月に策定した行財政運営戦略に代わる新たな行財政運営の指針策定に向け、検討を行い、先般第四回県行財政改革有識者会議において、骨子案を示したところでございます。  骨子案では、現行の行財政運営戦略策定から既に九年が経過し、この間の本県を取り巻く社会経済情勢は大きく変化している一方で、本県財政は今後も予断を許さない状況が続くと考えられるという、本県の行財政運営の状況を説明した上で、そのような中でも、かごしま未来創造ビジョンに掲げる鹿児島のあるべき将来像を実現するため、同ビジョンの施策展開の下支えとなる行財政基盤を強固なものにする必要があることから、持続可能な行財政構造を構築するとした、行財政運営の基本的な考え方を新たに示しています。  また、行財政改革の方向性では、社会経済情勢の変化等に対応できる持続可能な組織体制づくりとして、人材確保や人材育成、行政事務の効率化、県有施設等の適正管理の推進等が掲げられ、持続可能な財政構造の構築については、新たに、健全な財政運営のよりどころとなる指標を設定することとし、臨時財政対策債等を除く本県独自に発行する県債残高や財政調整に活用可能な基金残高についての数値目標などを設定する考えを示しています。  このような中、国においては、令和三年六月に閣議決定した経済財政運営と改革の基本方針二〇二一において、次なる時代をリードする新たな成長の源泉となる四つの原動力の一つに、活力ある地方創りが提起されており、地方への新たな人の流れの促進や、活力ある中堅・中小企業・小規模事業者の創出などが示されたところであります。  さらに、六月に内閣府が発表した、新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査結果では、人口密度が低く自然豊かな環境に魅力を感じたためなどといった理由で、東京二十三区に住む二十歳代の地方移住への関心が高まっている調査結果が示されるなど、東京一極集中に変化の兆しが見え、地方には追い風となっているところであります。  一方、国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、二〇一五年国勢調査時点で六万二千五百五十六人いた県内の二十から二十四歳人口は、二〇三五年に五万人を割り、二〇四五年には四万二千人と三割減る見込みとなっており、少子化の進行は、将来における県の人材確保にも深刻な影響を及ぼすことが懸念されております。  国においては、近年、退職する若手職員が増加しており、国家公務員総合職二〇二一年度採用試験の競争率が試験区分再編の二〇一二年度以降最低となるなど、若者の官僚離れが加速しています。  本県においても、近年、県職員採用試験の受験者数及び競争率は低下傾向にあります。  また、本県は、現行の行財政運営戦略により、平成二十三年度比で八百十九人の職員を削減してきており、年齢別職員構成や適正配置などが課題としてある中、女性職員の割合が年々増加していることなども踏まえ、公務に携わる職員の使命感や勤労意欲を引き上げ、関心が高まってきている柔軟な働き方について検討し、適切な処遇を確保するなど、組織における働きやすい職場環境の整備が求められているところであります。  そこで伺います。  第一点は、現行の行財政運営戦略の評価と、今回の指針案において特に重きを置いている点をお示しください。  第二点は、新たな指針の骨子案においては、社会経済情勢の変化等に対応できる持続可能な組織体制づくりを行財政改革の方向性に挙げておりますが、県庁組織のあるべき姿としてどのような姿を描いているのか、お示しください。  第三点は、持続可能な財政構造の構築に向け、健全な財政運営のよりどころとなる指標を新たに設定するとしていますが、その設定の考え方についてお示しください。  第四点は、今後の県政運営を進める上で、優秀な人材の確保が極めて重要な意義を持つと考えますが、県職員採用試験の実施状況や課題、採用試験を取り巻く諸情勢の変化を踏まえた優秀かつ多様な人材の確保に向けた取組についてお示しください。  第五点は、少子化の進行は、将来における県の人材確保にも深刻な影響を及ぼすことが懸念されますが、限りある人的資源となる職員の人材育成についての考え方をお示しください。  次に、男女共同参画関係であります。  県人権条例の制定について伺います。  本年、多様性と調和の実現を目指した東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会が行われました。国際オリンピック委員会─IOC─が定めるオリンピック憲章には、オリンピックは人権に配慮されたスポーツの祭典であることが明確にうたわれており、国際パラリンピック委員会─IPC─も、IPCハンドブックで人権尊重の理念を強く表明しております。緊急事態宣言下での東京二〇二〇大会は、異例づくめの開催となったものの、限界に挑むアスリートの姿を通して、オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念が改めて世界へ発信されました。  人権の保障は、以前にも増して重要な国際課題となっており、平成二十七年の国連総会で採択された持続可能な開発のための二〇三〇アジェンダと、そこに含まれる持続可能な開発目標─SDGs─には、人権尊重の考え方が通底しており、国際社会においてはSDGsの達成に向け様々な取組が進められているところであります。  一方、近年の人権侵害は、社会情勢が激しく変化する中、人権を取り巻く状況も複雑多様化しており、様々な形で顕在化しております。インターネットを悪用した人権侵害やLGBT差別、コロナ感染拡大に伴う感染者や医療従事者等に対する不当な差別や誹謗中傷、外国人を侮辱するヘイトスピーチ、障害者への差別も後を絶ちません。  特に、SNS等のプラットフォームサービスの普及に伴い、インターネット上の誹謗中傷が深刻な社会問題となっており、令和二年、法務省の人権擁護機関が被害者からの申告に基づきプロバイダー等に削除を要請した件数は五百七十八件と、過去最高となりました。  また、本県においても、人権擁護機関の人権侵犯事件として、新型コロナウイルスに絡み、インターネットの掲示板に病院関係者が感染したとの虚偽の書き込み事案が報告されております。  このような中、県は、県民の人権尊重の社会づくりを推進するため、人権条例の制定を検討しており、今年度中に制定するとしています。  そこで伺います。  第一点は、人権条例の制定に向けて、現状の認識や現在の検討状況についてお示しください。  第二点は、県は、令和二年三月に県人権教育・啓発基本計画を改定したところでありますが、今回の条例制定により期待される効果についてお示しください。  第三点は、インターネット上の誹謗中傷に対する県の取組についてお示しください。  以上で、一回目の質問といたします。    [知事塩田康一君登壇] 4 ◯知事(塩田康一君)まず、まん延防止等重点措置適用下における県の取組についてでございます。  本県におきましては、これまで累次にわたり、感染拡大地域との不要不急の往来自粛を呼びかけてきたわけでございますが、八月に入り、感染拡大地域の方との接触等による感染や、接待を伴う飲食店等におけるクラスターの相次ぐ発生、若年層への感染の広がりと職場内や家族間での感染拡大等、デルタ株の影響もあり、感染が爆発的に拡大してきたところでございます。  八月六日には、感染状況の段階をステージIIIに引き上げ、爆発的感染拡大警報を発令し、不要不急の来県の中止・延期を改めてお願いするとともに、鹿児島市及び種子島一市二町の飲食店に対し、二十時までの営業時間短縮を要請し、要請に応じた事業者に協力金を支給することといたしました。また、羽田空港・伊丹空港における来県前のPCR検査費用の助成等の感染防止対策を講じたほか、県民向け観光需要喚起策、今こそ鹿児島の旅第二弾については、事業を一時停止したところでございます。  八月十三日には、感染状況の段階をステージIVに引き上げ、本県独自の緊急事態宣言を発令し、不要不急の外出自粛の要請や県有施設の休館・利用制限等、まん延防止等重点措置が適用された場合の各般の対策を一部前倒しで講じたところでございます。また、霧島市と徳之島三町の飲食店にも営業時間短縮の要請を行うとともに、八月十五日には、姶良市と喜界町の飲食店にも営業時間短縮の要請を行いました。県外からの来県者が多くなるお盆前から、鹿児島空港や鹿児島中央駅で来県者等に対するPCR検査を実施したところでございます。  そのような中、八月二十日からのまん延防止等重点措置の適用を受けまして、それまでの取組に加えて、今月十二日までの間、県民の皆様へ外出機会の半減等をお願いするとともに、飲食店に対する二十時までの営業時間短縮の要請を県内全域に拡大したところでございます。  また、鹿児島市、霧島市、姶良市をまん延防止等重点措置区域とし、これらの地域においては、飲食店における酒類の影響やカラオケ設備の利用を行わないよう要請したほか、大規模集客施設における二十時までの営業時間短縮や混雑回避のための入場者の整理誘導等の要請を行うなど、対策を強化したところでございます。  今月九日には、まん延防止等重点措置を今月三十日まで延長することが決定され、鹿児島市について引き続き、まん延防止等重点措置区域として対策を実施することとしたところでございます。県内全域の全ての飲食店を対象に営業時間短縮の見回り調査を行い、重点措置区域において、正当な理由なく時短要請に応じない八店舗に対し、今月十日に営業時間変更の命令を行い、その旨を公表したところでございます。  県外との往来の中止・延期等を引き続き要請するとともに、来県者等に対するPCR検査についても今月三十日まで延長することとしたところでございます。  医療提供体制につきましては、感染者の急増を受け、医師会等の協力を得て、六百二十二床の病床を確保するとともに、宿泊療養施設についても千二百六十一室を確保し、今月十日には、宿泊療養施設と酸素投与や抗体カクテル療法等の医療機能を併せ持った中間治療施設を鹿児島市に開所したところでございます。  宿泊療養施設への入所手続に時間を要したことや、宿泊施設がなく島外搬送に制約がある離島における感染が拡大したことなどから、自宅待機者が急増しましたが、医師が医療機関への入院が必要と判断した方には全て入院していただくことができたと考えております。  宿泊療養施設への入所の円滑化を図るための体制の拡充や、逼迫する保健所業務の負担を軽減し、疫学調査機能の強化を図るため、自宅待機者の健康観察を行うコールセンターの設置、自宅待機者の健康観察に必要なパルスオキシメーターの配布や希望者への食料品等の生活支援を行っているところであります。  ワクチンについては、関係者の御協力で県民の約六割が一回目、約五割が二回目の接種を終えたところでございます。  三十代以下の若い方に感染が広がっており、若い方でも重症化することや後遺症が残ることがあります。また、小さなお子さんや高齢者が家庭内で感染するケースも増えていることから、家庭へ感染を持ち込まないよう十分注意するとともに、家庭内でもマスクを着用するなど感染防止対策を徹底する必要があります。若い方にもこうしたことをお知らせし、正しい情報に基づき希望する方は早めにワクチンを接種するよう、SNS、新聞広告、テレビの広報番組、街なかの大型ビジョン、県政かわら版、県ホームページなど、あらゆる手段を使って呼びかけてきたところでございます。  また、市町村による接種を加速するため、鹿児島市と霧島市にワクチンの大規模接種会場を設け、十六歳から三十九歳までの若い方や、妊婦及びその同居家族、小・中学校の教職員など一万人の県民を対象に、今月十三日からワクチン接種を行っているところであります。なお、予約枠に空きがあることから、明日から四十歳以上の方も対象とすることといたします。  学校における感染防止対策については、新学期を迎えるに当たり、各学校に対し、感染症対策の徹底等について通知したところであり、各学校においては、時差登校や分散登校、オンライン学習、部活動の制限など様々な工夫をしながら、感染リスクを可能な限り低減しているところでございます。  また、新型コロナウイルス感染症対策の円滑な実施を図るため、県庁内で分散していた新型コロナウイルス感染症対策室を二階講堂に集約するなど、情報共有、意思伝達のさらなる迅速化等を図るとともに、県内市町村ごとに総合連携窓口となる担当者を配置し、情報伝達・相談体制を強化したところでございます。  なお、現在、要請を行っている飲食店に対する営業時間短縮等については、県内の感染状況等を見ながら、弾力的な運用について検討してまいりたいと考えております。  明日から三連休となりますが、県民の皆様におかれましては、感染防止対策への御協力をよろしくお願いしたいと思います。県としても、引き続き全力を挙げて、感染拡大防止に向けた各般の取組を進め、新型コロナウイルス感染症の早期終息に向け、県民の皆様とともに一丸となって取り組んでまいりたいと考えております。  次に、現行の行財政運営戦略の評価と新たな指針で特に重きを置いている点についてでございます。  県では、新たな行政需要に必要な財源を確保しつつ、持続可能な行財政構造を構築するため、行財政運営戦略に基づき、歳入・歳出両面にわたる行財政改革に取り組んできたところでございます。  その結果、組織面では、児童相談所の体制強化など新たな行政需要に対応しながら、簡素で効率的な組織機構の整備や業務の民間委託の推進などにより、令和二年四月一日時点で、平成二十三年度と比較して職員数を八百十九人縮減したところでございます。  財政面では、県勢の発展や県民福祉の向上に資する事業の財源を十分に確保した上で、毎年度財源不足がない予算編成を実施するとともに、財政調整に活用可能な基金残高を令和三年度末見込みで二百五十億円確保したところでございます。また、臨時財政対策債等を除く本県独自に発行する県債残高についても、令和三年度末見込みで一兆四百四十二億円となっており、同戦略に掲げる一・一兆円程度に抑制するという目標を達成したところでございます。  以上の点を踏まえますと、同戦略における取組は一定の成果を上げたと評価しております。  今後、本格的な人口減少など社会経済情勢の変化等に対応するため、限りある資源を有効に活用して、新たな行政需要に対応できる持続可能な行財政構造を構築することが必要であり、そのためには、人材や組織に関する取組がこれまで以上に重要になると考えております。  このため、先般お示しした新たな行財政運営の指針の骨子案においては、今後も予断を許さない状況が続くことが見込まれる本県の財政状況を踏まえた歳入・歳出面での取組に加え、人材の確保や育成、多様な主体との連携、行政事務の効率化、簡素で効率的な組織体制の構築など、持続可能な組織体制づくりに向けた取組についても、重点的に取り組むべき項目として掲げているところでございます。  次に、県庁組織のあるべき姿についてでございます。  先ほど申し上げたとおり、今後、本格的な人口減少など社会経済情勢の変化等にも対応できる持続可能な組織体制を構築することが必要であると考えており、先般お示しした骨子案においても、今後の改革の方向性として明記しているところでございます。  具体的には、人材育成や働きやすい職場環境の整備などにより、職員一人一人がさらなる意欲と資質の向上等を図りつつ、その力を最大限発揮できるようにしていきたいと考えております。また、民間の創意工夫を生かすなど多様な主体との連携や、デジタル化の推進等を通じた行政事務の効率化などにより、新たな行政需要にも対応しながら、簡素で効率的な組織体制を構築していきたいと考えているところでございます。 5 ◯くらし保健福祉部長(谷口浩一君)七月以降の新型コロナウイルス感染症の状況についてでございます。  本県の今年七月以降の新規感染者数は、九月十四日時点で五千二百二十五名となっており、二十歳未満が二三・一%、二十から五十歳代が六四・二%、六十歳代以上が一二・七%であり、二十から五十歳代が六割以上、二十歳未満も二割以上を占めております。  一方、今年七月以降の入院患者数は、九月十四日時点で合計千六百七十四名であり、二十歳未満が一二・二%、二十から五十歳代が六〇・〇%、六十歳代以上が二七・八%であり、二十から五十歳代が六割を占めております。  重症者数は、九月十四日時点で累計二十三名であり、二十から五十歳代が五二・二%、六十歳代以上が四七・八%であります。  重症者は、九月十四日時点で全体の〇・四%であります。一方で、酸素投与が必要な中等症の患者数は、一時期百名まで増加いたしましたが、九月十四日時点で四十七名となっております。  こうした中、病床使用率は七月下旬以降上昇し、八月二十六日には過去最高の七六・六%となりましたが、緊急避難的に最大確保病床を増やしたことなどもあり、九月十四日時点では二九・六%となっております。  また、七月以降の変異株は、九月十日までに変異株スクリーニング検査を千七百八十二件実施したうち、陽性数が千五百五十九例で、直近の陽性率は九割を超えています。  デルタ株への感染は、九月十日までに二百十七例確認されており、県内ではデルタ株にほぼ置き換わっていると認識しています。変異株は感染力が強いものもあり、全国的に比較的若い世代でも重症化する例も確認されていることから、今後とも感染防止対策をしっかりと講じていく必要があると考えております。  次に、医療提供体制拡充のための県の取組についてでございます。  受入れ病床は、ステージIIIに引き上げた八月六日時点で最大四百二十五床を確保しておりましたが、感染者の急速な増加に伴い、医療提供体制の逼迫が懸念されたことから、八月九日付で、県内病院に対し協力依頼を行い、その結果、ステージIVに引き上げた八月十三日以降、四百二十五床から四百八十八床に増床したところであります。
     その後、八月下旬の爆発的感染拡大に対応するため、さらなる御協力を頂き、八月二十七日以降、さらに百三十四床を段階的に確保し、現在、最大確保病床数は六百二十二床となっているところであります。  また、宿泊療養施設については、八百四室を確保しておりましたが、離島等での確保に取り組んだ結果、四施設四百五十七室を新たに開設し、現時点では十二施設千二百六十一室を確保しているところであります。  続きまして、中間治療施設の位置づけ等についてであります。  感染早期の基礎疾患を有する方などの重症化リスクの軽減や、医療機関の負担軽減を図るため、従来の宿泊療養施設と医療機関との中間的な施設として、今月十日に開所したところであります。  入院等の基準については、感染患者の年齢、基礎疾患の有無、重症度等を基に、医師の判断により、医療機関へ入院または宿泊療養施設に入所することとしております。  中間治療施設は、発症七日以内で重症化リスクを有する軽症者などを対象に抗体カクテル療法を行っておりますが、病床逼迫時には酸素投与が必要な方にも入所していただくなど、感染状況に応じて各種の役割を機動的に担う施設と位置づけております。  なお、九月十五日時点では、これまでの宿泊療養施設入所者は四千百三十六人であり、中間治療施設利用者は十七人となっています。  次に、離島における島外への搬送体制についてであります。  離島における感染者の療養については、島内の医療機関への入院または宿泊療養施設への入所を原則としておりますが、病状が重篤である場合や、島内に受入れ病床が確保できない場合などにおいて、島外へ搬送することとしており、県調整本部に自衛隊、海上保安庁も交えた搬送部会を設置して、離島の搬送体制を整備しているところであります。  島外搬送は、まず、県消防・防災ヘリや民間チャーター機など県独自の搬送手段を検討し、これらの搬送手段での対応が困難である場合は、重症者等に限り、自衛隊または海上保安庁にヘリ等の派遣要請を行うこととしております。  今後も関係機関と連携しながら、迅速な搬送体制の確保に努めてまいりたいと考えております。  続きまして、水際対策としてのPCR検査の取組等についてでございます。  本県への感染の流入や蔓延を防止するため、感染リスクが高い場面を捉え、必要な時期に絞って実施しているところであります。  首都圏等からの往来者に対するPCR検査は、羽田空港及び伊丹空港のPCR検査センターで実施し、九月十五日現在、計九百九十二人が受検し、陽性者は五人確認されています。  また、来県者等に対するPCR検査は、鹿児島中央駅と鹿児島空港に検査ブースを設けて実施しており、九月十五日現在、計一万五千三百七十六人が受検し、うち陽性者は合計で五十三人確認されています。  さらに、国が行う、羽田空港等と鹿児島空港との間を結ぶ便を対象とした検査については、約二千人が受検しているところであります。  県外等でのイベントに参加する学生などに対するPCR検査は、九月十五日現在、百七十四校、計三千四百十九人が受検し、陽性者は一人確認されているところであります。  これらの検査につきましては、九月三十日まで実施することとしております。  続きまして、世代別のワクチン接種率とワクチン供給スケジュールについてでございます。  本県の世代別のワクチン接種率は、九月十三日時点で、一回目接種が十歳代で二一・六%、二十歳代・三十歳代が四三・五%、四十歳から六十四歳までが六七・七%、六十五歳以上の高齢者が九二・〇%であります。二回目接種が同じく世代別で九・一%、二五・五%、四七・九%、九〇・二%となっております。  ワクチン供給のスケジュールは、本県の十二歳以上人口の八割が二回接種できるワクチン量を市町村へ十月上旬までにお届けする予定としております。  続きまして、若年層へのワクチン接種に関する取組についてでございます。  最近の感染状況を見ますと、二十代、三十代の若い方の感染割合が高く、重症化するケースや後遺症に悩まされるケースが見られております。  ワクチン接種については、市町村において、年齢の高い世代から段階的に接種を進めてきており、県としては、若年層の接種を補い、加速化する観点から、新たに大規模接種会場を鹿児島市と霧島市に設け、十六歳から三十九歳の県民の方等、約一万人を対象に、今月十三日からワクチン接種を実施しております。  今回の大規模接種会場においては、特産品等を抽選により贈呈するなど、ワクチン接種への関心を高めていただき、積極的に接種していただくよう取り組んでいるところであります。  この機会に、県ホームページによる一般的なワクチン情報の発信に加えまして、この大規模接種について新聞広告、地域情報誌、SNS等の活用により、さらなる周知を図っているところであります。  また、鹿児島大学等が実施する職域接種においても、大学生など若年層を対象とした接種が進められているところでございます。  次に、本県の妊産婦に対する取組についてであります。  妊娠中に感染すると、特に妊娠後期は重症化しやすく、早産のリスクも高まるとされております。県では、市町村や産科医療機関等と連携し、昨年四月から国の妊婦向け感染症対策のリーフレットを配布するなど、感染防止に対する意識啓発に取り組むとともに、不安を抱える妊婦が医師と相談し、本人が希望する場合に、分娩前のPCR検査費用を補助しておりまして、昨年十月以降、本年七月までに五百八十四件、助成したところであります。  また、今月十三日からのワクチン大規模接種においては、妊婦や同居家族・パートナーも接種対象者としたところであります。  感染した妊産婦への対応については、県新型コロナウイルス感染症調整本部の周産期班会議において、受入れ医療機関等について随時協議を行うほか、妊婦の容体急変時には、現在、奄美地域を含む県内六か所の医療機関で対応する体制を取っているところであります。 6 ◯総務部長(山本 周君)まず、新たな行財政運営の指針における指標設定の考え方についてでございます。  新たな行財政運営の指針で目指すべき持続可能な財政構造として求められる内容としましては、三点あると考えております。  具体的に申し上げますと、一点目は、毎年度の歳出について、当該年度の歳入で賄える財政構造であること、二点目は、今申し上げました毎年度の収支均衡を達成する際に、後世代に過重な負担を押しつけることがないよう、後世代の住民の負担が適切な範囲で維持されていること、三点目は、通常の財政運営においては予見することが困難である大規模な災害などにより生ずる財政負担への備えを有することの三点であると考えております。  先般お示しした新たな行財政運営の指針の骨子案に記載いたしましたとおり、こうした持続可能な財政構造の構築を進める上で、今後の財政運営のよりどころとなる指標としましては、毎年度の予算が持続可能なものとなっているかの目安とするフロー面に関する指標と、将来に向かって持続可能な財政構造を構築するための目安とするストック面に関する指標の双方を設定することが必要であると考えております。  具体的な指標としましては、フロー面に関する指標として、当初予算における収支均衡を、また、ストック面に関する指標として、臨時財政対策債等を除く本県独自に発行する県債残高と財政調整に活用可能な基金残高を、それぞれ設定することが適当であると考えているところでございます。  次に、職員の人材育成についてでございます。  今後の社会経済情勢の変化等にも対応できる持続可能な組織体制の構築に向け、職員一人一人がさらなる意欲と資質の向上等を図りつつ、力を最大限発揮できるようにしていくことが必要であると考えており、先般お示しした骨子案におきましても、人材育成を重点的に取り組むべき項目として掲げているところでございます。  これまでも、各部局における専門性を高める研修に加えまして、職員の階層等に応じた研修や職員自らの選択によるチャレンジ研修などに取り組んでいるところでございます。あわせまして、本庁と出先機関での勤務など、職員ができる限り様々な部門の職務の経験を積めるようにするとともに、民間企業等への派遣や市町村等との人事交流も行っているところでございます。  今後とも、さらなる研修の充実や人事交流等の推進によりまして、職員の意欲や資質等の一層の向上が図られますよう、人材育成に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 7 ◯人事委員会委員長(西 啓一郎君)優秀かつ多様な人材の確保に向けた取組についてでございます。  人事委員会が実施した県職員採用試験の受験者数及び競争率は、令和二年度は六年ぶりに増加に転じましたものの、近年、若年人口の減少や民間企業の採用活動の活発化などにより、低下傾向となっております。中でも技術職の受験者確保が課題となっております。  人事委員会では、これらを踏まえまして、民間志向の学生でも受験しやすい特別枠の採用試験を実施しているほか、今年度は、県外企業等の職務経験者を対象とした技術職の採用試験におきまして、受験資格を緩和したところでございます。  また、職場見学や若手職員との意見交換を行う県職員お仕事ガイダンスや、技術職現場見学会等の開催に当たっては、オンラインを活用するなど、県外からも参加しやすい環境整備に努めております。  さらに、今年度は、若手職員が技術系公務員の魅力をPRする動画制作や、オンラインでの個別相談など、技術職の受験者確保に向けた取組を強化しているところであります。  今後とも、優秀で多様な人材を安定的に確保するため、採用環境の変化に対応した柔軟な採用試験の実施や、公務の魅力・やりがいなどについての情報発信等に積極的に取り組んでまいります。 8 ◯男女共同参画局長(奥 一彦君)まず、人権条例の制定に向けた現状の認識や期待される効果についてでございます。  県におきましては、県人権教育・啓発基本計画に基づき、関係機関・団体等と連携しながら、女性、子供、高齢者、障害者に対する差別や偏見、同和問題等の様々な人権に関する施策を推進しております。  平成三十年度の人権に関する県民意識調査によると、一人一人の意識が高くなったと答えた人の割合は増加したものの、自分にも関係があるとした人は約三割にとどまっております。  また、昨今、インターネットによる人権侵害や外国人に対する人権侵害など、社会情勢の変化に伴う様々な人権問題が発生しており、さらに、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う偏見・差別などが社会問題となっております。  こうした状況を踏まえ、県民の人権尊重意識の醸成を一層推進する必要があると認識しており、人権条例の制定を行うこととしたところであります。  現在、有識者で構成する検討委員会を設置し、人権に関する理念や、県、県民及び事業者の責務、市町村との協働、県民の意見を反映するための審議会の設置について、条例に盛り込むことを検討しているところであります。  条例の制定により、県民の理解の促進や人権の視点を踏まえた施策の充実、県民・事業者、市町村と一体となった人権が尊重される社会づくりの推進が図られるものと考えております。  今後、県議会の御論議や県民の御意見を伺った上で、今年度内の制定に向けて取り組んでまいりたいと考えております。  次に、インターネット上の誹謗中傷に対する県の取組についてでございます。  県におきましては、人権意識の啓発に向けて、県内各地で行政・企業等への人権研修に取り組んでおり、人権意識を持ったインターネット利用の啓発や、ネット上の誹謗中傷等に関する相談窓口の情報提供を行っております。  また、インターネット上での悪質な書き込みを抑制するため、昨年度からモニタリングを実施しており、今年度は八月末までに約百件の個人情報や誹謗中傷等の書き込みが確認され、事案に応じて法務局等と連携して対応したところでございます。  今後とも引き続き、人権意識の醸成に向けた啓発等に取り組むとともに、ネット上での人権侵害の防止に努めてまいりたいと考えております。 9 ◯郷原拓男君 自席から、一点だけ知事にお伺いさせていただきたいと思います。  今回の補正予算で、十月から十一月にかけて、希望する全ての県民にワクチンを接種するための補正予算なども計上されているわけですけれども、冬にかけまして、今後、第六波等の懸念もあると。そういった中で、行財政改革の方向性なども先ほどお示しされたところでありますが、令和三年度末に二百五十億円ある財政調整に活用可能な基金、こういったものを通じてスピード感のある、あるいはきめ細かい対応というのも、もしかしたら必要になる場面もあるのではないかと思っております。  そこで、財政調整に活用可能な基金などを取り崩したコロナ対応の在り方に関しての知事の見解をお示しいただきたいと思います。 10 ◯知事(塩田康一君)新型コロナウイルスの感染状況をしっかりと踏まえた上で、そのときの状況に基づいて、基金の活用ということも含めて、しっかりと対応を考えていきたいと思っております。 11 ◯郷原拓男君 再質問は以上です。 12 ◯議長(田之上耕三君)ここで、休憩いたします。  再開は、午前十一時五分といたします。        午前 十時五十三分休憩       ─────────────        午前十一時  五分再開 13 ◯議長(田之上耕三君)再開いたします。  郷原拓男君。    [郷原拓男君登壇] 14 ◯郷原拓男君 それぞれ御答弁頂きました。  新型コロナウイルス感染症対策については、八月の爆発的な感染拡大と自宅待機者の急増に県民は大きな不安に陥ったところでありますが、時短要請など感染拡大防止に向けた各般の取組の強化や医療提供体制の強化、宿泊療養・中間治療施設の確保や入所調整等の体制強化等々の対応が図られたことにより、現在、感染者数は減少傾向にあり、自宅待機者も大幅に減少しているところであります。今後とも、さらなる感染拡大が生じた場合にも対応できる医療提供体制や宿泊療養施設の確保に努めるとともに、希望する全ての県民が一日でも早くワクチン接種を終えられるよう、一層の取組の加速化を要望いたします。  新たな行財政運営の指針策定についてでありますが、現行の行財政運営指針は平成二十三年に伊藤知事の下で策定され、これまで、県政運営の基本指針として着実な成果を果たしてきたと考えております。  ただいま知事から、新たな指針策定に向けた基本的考え方が示されました。基本的方向性は踏襲しつつも、社会経済状況の変化を踏まえた持続可能な行財政構造の構築に向け、さらなる実効的な指針の策定を期待するところであります。  県人権条例の制定により、県民の人権意識の醸成、人権の視点を踏まえた施策等の効果的な推進、新たに顕在化した人権問題にも包括的に対応できる体制づくりが図られるよう、実効的な意義を有するものとなるよう要望いたします。  次に、危機管理防災関係であります。  七月及び八月の大雨に関する対応と流域治水対策について伺います。  七月上旬、気象庁は、出水、伊佐、薩摩川内、さつま、湧水の五市町に一時、大雨特別警報を発表いたしました。五市町は、五段階ある大雨・洪水警戒レベルで最も危険度が高い場合の避難情報、緊急安全確保を初めて発令、人的被害はなかったものの、住宅の一部損壊が三棟、床上・床下浸水が二百六十七棟の被害が出ました。  当時、薩摩地方では線状降水帯が確認され、鹿児島地方気象台は、顕著な大雨に関する気象情報を県内で初めて出しました。さつま町紫尾山では、同地点の観測史上最多となる一時間雨量九十六・五ミリメートルを記録するなど激しい雨が続き、伊佐市の羽月川や湧水町の川内川、姶良市の別府川で氾濫危険水位を一時超え、さつま町の鶴田ダムでは緊急放流が検討されました。  また、八月中旬、県内は断続的に大雨に見舞われ、土砂災害の発生や鉄道の運休・減便が相次いだほか、大雨による総雨量が平年八月の月降水量の三倍を超える地域が出るなど、専門家は、記録的な大雨に山が岩盤ごと崩れ、大規模災害を引き起こす深層崩壊の危険性を指摘いたしました。  近年、地球温暖化による気候変動の影響により、全国各地で大規模自然災害による甚大な被害が相次ぎ、さらなる頻発・激甚化が懸念されています。昨年七月、豪雨により熊本県で球磨川が氾濫し、大きな被害が出た際は、北薩地域付近でも線状降水帯が確認されており、西に東シナ海が開け、温かく湿った空気が流れ込みやすい本県は、集中豪雨や台風に伴う河川氾濫等による浸水対策のほか、線状降水帯の発生など、これまでに経験したことがない豪雨等への対応も課題となってきています。  人的被害を出さないためには早めの避難が不可欠であり、五月の改正災害対策基本法に基づき、市町村が発令する避難情報は、より切迫度の高い、避難指示に一本化されました。七月の大雨では、北薩を中心に七市町の最大二十一万八百五十三人に一時避難指示が出ましたが、実際に避難所を訪れたのは〇・八%の千六百三十人にとどまりました。また、八月の大雨でも、県内の十三市町が最大約四十六万五千人に避難指示を出しましたが、避難所の利用者はまばらとなるなど、住民の避難行動を促す呼びかけは、引き続き困難な課題となっております。  さらに、住民の避難行動にはコロナ下における感染状況も影響しており、令和三年版の防災白書では、コロナ下での災害対策について、密を避けるため分散避難に向けた行動の周知や、ホテル・旅館等も活用した可能な限り多くの避難所の開設の促進を求めています。  また、コロナ下における避難は、ホテルや親戚宅など避難所以外の分散避難も一つの手段となっていますが、災害が激甚化・広域化している現状を踏まえ、隣町の避難も受け入れるなどの地域特性に合わせた避難など、市町村の枠を超えた避難体制も必要となってきています。  そこで伺います。  第一点は、七月の大雨による被害状況と復旧に向けた取組についてお示しください。  第二点は、避難情報が避難指示に一本化されたことについて、県民への周知の状況をお示しください。  また、七月及び八月の大雨対応において、避難情報の見直しの効果について、県はどのように分析しているかお示しください。  第三点は、国管理河川及び県管理河川の治水対策におけるこれまでの取組と今後の対策についてお示しください。  第四点は、県は昨年、避難所として活用可能な百六十六の県有施設を示しておりますが、このうち、どのような施設が濃厚接触者向けの避難所として活用可能か示すとともに、市町村の活用に向けた県の取組についてお示しください。  第五点は、市町村の枠を超えた避難について、県の考え方をお示しください。  次に、警察関係であります。  県警本部長就任に当たっての抱負について伺います。  山田好孝本部長が八月三十日付で就任されました。  山田本部長は、神奈川県警警備部長、警察庁生活安全局保安課長、警察庁長官官房企画課長などを歴任され、また、警察庁長官官房参事官として拉致問題対策を担当された経歴もお持ちであるとのことです。日本一安全で安心な鹿児島の実現に向けて、これからの御活躍を期待するところでございます。  そこで、本県の治安向上のためにどのように取り組んでいかれるのか、就任に当たっての抱負をお示しください。  次に、少年非行防止・保護総合対策の推進及び少年の薬物犯罪について伺います。  事件を起こした十八、十九歳の厳罰化を図る改正少年法が成立いたしました。適用年齢は引き下げず全事件を家裁に送る仕組みを維持する一方、十八、十九歳を特定少年とし、家裁から原則検察官に送致し、二十歳以上と同じ刑事手続を取る事件を拡大いたしました。民法の成人年齢が十八歳に引き下げられる来年四月に併せて施行されます。  少年法は、これまで社会を揺るがす少年事件が起きるたびに厳罰化の方向で見直しが重ねられ、今回は二〇〇〇年度以降で五度目の制度改正となりました。県内関係者からは、少年犯罪の抑止力になると期待する意見や、成長途上の更生を妨げると懸念する声が上がるなど、賛否両論があったところであります。
     さらに、今回の法改正では、少年の社会復帰を後押しするため禁止してきた実名報道も、特定少年については起訴された段階で解禁されることとなりました。実名が一度報道され、インターネット上で拡散されると、将来にわたり社会復帰を阻まれるケースも予想されます。  県警における令和二年少年白書によると、罪を犯した十四歳以上二十歳未満の犯罪少年のうち、刑法犯の罪を犯した犯罪少年の総数は十年前と比較して約八割減となるなど、減少傾向にあるものの、令和二年度の初犯・再犯者率は二八・三%と、前年に比べ三・九ポイント増加しており、依然として高い水準で推移しています。  多くの少年事件の背景には貧困や虐待があり、発達障害や知的障害があるケースも少なくなく、事件を本人の責任に帰すだけでは解決になりません。少年の立ち直りに主眼を置いた少年法が改正により、更生や保護よりも厳罰化が優先されれば、少年法の目的である健全育成が大きく後退するのは否めず、今後、一層の少年の非行防止や保護活動の推進が必要となります。  また、警察庁は、二〇二〇年の大麻事件の摘発者数が前年比七百十三人増の五千三十四人と過去最多を更新したと発表しており、摘発者のうち二十代が全体の約半数を占める中、十四歳から十九歳も昨年比二百七十八人増となる八百八十七人に上るなど、若年層による乱用拡大が大きな懸念となっております。本県でも、令和二年中に県警が大麻事犯で検挙した少年は九人と、令和元年の二人を上回っており、十代の検挙が増加傾向にあります。  そこで伺います。  第一点は、県内における近年の少年犯罪の情勢と、少年犯罪のうち十八及び十九歳が占める割合についてお示しください。  第二点は、少年非行防止・保護総合対策の推進に関する取組状況についてお示しください。  第三点は、少年の再犯を防止するための取組状況と課題についてお示しください。  第四点は、少年の薬物犯罪─大麻事犯─の傾向と対策についてお示しください。  以上で、二回目の質問といたします。 15 ◯危機管理防災局長(橋口秀仁君)七月の大雨による被害状況と復旧に向けた取組についてでございます。  本年七月の豪雨災害では、河川の氾濫等により、二百七十棟の住家において床上・床下浸水などの被害が発生しました。  また、八月二十六日時点で、公共土木施設で約八十四億円、農林水産業関係で約四十二億円など、被害額は合わせて約百三十一億円となっています。  県では、大きな被害を受けたさつま町など五市町に災害救助法を適用し、各種の応急救助を実施するとともに、河川等の被災箇所については直ちに応急対策を行ったところであり、現在、国や市町村などと連携して、本格復旧に向けて取り組んでいるところでございます。  今後とも、県民生活に支障が生じないよう、早期の復旧、再度の災害防止に向けて取り組んでまいります。  次に、避難情報の見直しに関する周知の状況と見直しによる効果についてでございます。  避難情報の見直しについて、県では、県政かわら版や県政広報番組等を活用して情報発信を行っています。また、市町村におきましても、広報紙やホームページ、防災アプリなど様々な手段を用いて住民への周知が行われています。  避難情報の見直しの効果等について、七月豪雨等での市町村の災害対応に関し県が実施しました調査では、発令の判断がしやすくなり、適切に避難情報の発令を行うことができたとの意見が多い一方で、住民の避難行動には特に変化がなかったとの意見があったところであります。  県といたしましては、市町村など関係機関と連携して、県民が安全に迅速・的確に避難ができるよう、引き続き、県民の防災意識の高揚や、避難情報など防災知識の普及啓発・理解促進に努めてまいりたいと考えております。  濃厚接触者専用の避難所として活用可能な県有施設の要件等についてでございます。  県の避難所管理運営マニュアルモデルの新型コロナウイルス感染症対策指針では、濃厚接触者専用避難所として活用可能な施設の要件として、個室または間仕切り等による個人専用区画の設置が可能であることを定めています。  県では、当該対応が可能な県有施設で、施設管理者と調整が整った五か所について、八月に市町村に対して情報提供したところであります。  また、これらの施設を市町村が活用する際には、事前に施設管理者と利用に関する協定を締結しておく必要があることから、協定の参考例を市町村にお示ししているところであります。  八月末時点で、十九市町村において計二十九か所の濃厚接触者専用避難所が確保されており、県としましては、引き続き、市町村における濃厚接触者専用避難所の確保や運営について、必要な助言や情報提供を行ってまいりたいと考えております。  市町村の枠を超えた避難についてでございます。  災害が発生し、被災市町村のみでは避難所の確保など十分な応急措置ができない場合に、他の市町村が避難所の提供等を迅速に行うため、県、市長会及び町村会の三者で災害時相互応援協定を締結しています。  この協定では、まず被災市町村が隣接市町村に応援要請を行い、隣接市町村で対応ができない場合は、県が他の市町村と調整を行うことになっております。  県といたしましては、コロナ禍での広域避難につきましても、当該協定に基づき市町村と連携して適切に対応してまいりたいと考えております。 16 ◯土木部長(兒島優一君)河川の治水対策についてであります。  治水対策につきましては、これまで、河道の拡幅などのハード対策と併せて、水位情報の提供などのソフト対策に取り組んできたところであります。  これまでに整備を行ってきた甲突川や米之津川などにおきましては、近年、被災当時を上回る降雨量が観測されたにもかかわらず、浸水被害が発生しないなど、十分な整備効果が発揮されたところでございます。  一方、全国におきましては、気候変動の影響に伴い、施設能力を上回る洪水が発生するなど、被害が頻発化・激甚化している状況にあります。  今後は、これまでの治水対策に加えまして、既存の利水ダムの治水活用や、雨水貯留施設等の整備による河川への流出抑制など、流域内の様々な関係者が連携して流域全体で取り組む流域治水へ転換を図り、ハード・ソフト一体で総合的かつ多層的な水災害対策を進めることとしております。 17 ◯警察本部長(山田好孝君)まず、警察本部長就任に当たっての抱負についてでございます。  県内の治安情勢は、刑法犯認知件数や交通事故発生件数の減少など、数値上は一定の改善が認められておりますが、ストーカー・DV事案等の人身安全関連事案、うそ電話詐欺、サイバー犯罪等、県民の安全・安心を脅かす犯罪が後を絶たないほか、新型コロナウイルス感染症の感染拡大がもたらす社会の変化に適応する必要があり、予断を許さない状況であると認識しております。  こうした状況を踏まえ、運営指針である、県民の期待と信頼に応える力強い警察活動の推進に基づき、皆様の御理解と御協力を頂きながら、県警察の総力を挙げて治安対策を強力に推進し、日本一安全で安心な鹿児島を目指して全力を尽くしてまいりたいと考えております。  次に、県内における近年の少年犯罪の情勢についてでございます。  本県における令和二年中の刑法犯少年の検挙人員は百四十五人で、前年に比べて十五人減少しております。  また、特別法犯少年の検挙人員は二十五人で、前年に比べて六人減少しております。  次に、犯罪少年のうち、刑法犯少年における十八歳及び十九歳の少年が占める割合は、令和二年中の検挙人員は三十九人で、刑法犯少年全体の約二七%を占めており、過去十年間における平均は約二一%となっております。  特別法犯少年においては、令和二年中の検挙人員は十二人で、特別法犯少年全体の約四八%を占めており、過去十年間の平均は約四〇%となっております。  次に、少年非行防止・保護総合対策の推進についてでございます。  少年の非行防止に関する活動といたしましては、学校等の関係機関と連携して県内の小・中学校を中心とした非行防止教室の実施や、支援を必要とする少年及びその保護者に対する継続的な指導・助言、大学生少年サポーターと連携した学習支援、スポーツを通じた立ち直り支援活動に取り組んでいるところであります。  また、被害少年等に関する保護活動としては、犯罪被害少年に対するカウンセリング等の支援活動や、児童虐待による被害児童を認知した際の児童相談所への通告、市町村が主体的に行う要保護児童対策地域協議会への参画等、関係機関と緊密に連携を図りながら、被害児童の早期発見や安全確保に取り組んでいるところであります。  次に、少年の再犯防止についてでございます。  少年の再犯防止に対する取組としては、過去に非行少年として取扱いがあり、周囲の環境や少年自身に問題を抱えるなど、再び非行に走りかねない可能性がある少年を対象として、保護者及び本人の同意が得られた場合は、少年に対する継続的な指導・助言のほか、少年を取り巻く絆を強化するため、社会奉仕活動、スポーツ活動等への参加を促すなどの立ち直り支援活動を推進しております。  立ち直り支援活動には、少年の特性や家庭環境に合わせた継続的な対応と、少年自身やその保護者を支える地域社会の理解が不可欠であることから、引き続き学校等の関係機関との情報共有や少年警察ボランティア等との連携を強化し、支援活動の推進に努めてまいりたいと考えております。  次に、少年の薬物犯罪についてでございます。  本県における少年の大麻事犯検挙人員は、令和二年中、九人を検挙しており、前年に比べて七人増加しております。  さらに、令和三年七月末現在においては七人を検挙しており、前年同期と比べて六人増加するなど、少年の大麻事犯が増加傾向にあるものと認識しております。  全国的にも、令和二年中の少年の大麻取締法違反での検挙人員は過去最多の八百八十七人となるなど、少年の薬物乱用は増加傾向にあります。  そのため、薬物の供給源に対する取締りはもとより、街頭補導による薬物乱用少年の早期発見、学校と連携した薬物乱用防止教室の開催、SNSやラジオ・テレビ等による県民への啓発活動に取り組んでまいりたいと考えております。    [郷原拓男君登壇] 18 ◯郷原拓男君 それぞれ御答弁頂きました。  大雨に関する対応等でありますが、早めの避難を促すため、改正災害対策基本法に基づき、市町村の避難情報は、より切迫度の高い避難指示に一本化され、七月、八月の大雨では大規模な避難指示が発令されましたが、実際の避難者は極めて少なかったことは、今後の大きな検討課題であります。  実際の避難行動につなげる発令の在り方、コロナ禍における避難所の運営、広域避難体制の検討など、さらなる実効的な取組を要望いたします。  また、災害が激甚化・広域化している現状を踏まえ、流域治水対策の積極的な推進を要望いたします。  山田好孝県警本部長の就任に当たっての抱負を聞かせていただきました。  県内では、刑法犯認知件数が戦後最少を更新しておりますが、虐待やストーカー・DV等の人身安全関連事案や、うそ電話詐欺・サイバー犯罪等の被害も拡大するなど治安情勢は大きく変化しております。また、県民が犯罪被害への不安を感じている声が依然として聞かれております。県民の治安向上のため、さらなる取組を要望いたします。  少年非行防止・保護総合対策の推進等については、少年のSNS等に起因する犯罪被害やトラブルが後を絶たない状況等も踏まえ、引き続き、関係機関・団体との連携による各種支援や保護活動の推進に努めるとともに、薬物事犯根絶に向けた総合的な対策の推進を要望いたします。  次に、商工労働水産関係であります。  中小企業の振興についてお伺いいたします。  本県の中小企業は、全企業数の九九・九%、従業員数で約九〇%を占め、本県の基幹産業である農林水産業や観光産業を支える基盤として、さらには、地域雇用の受皿になるとともに、地域に密着した商品・サービスを提供するなどして、地域の経済・社会・雇用の各分野において大きな役割を果たしております。  知事はマニフェストにおいて、「県民が豊かになる産業振興」を柱として掲げ、「地域経済を牽引する中核企業、中小企業・小規模事業者の『稼ぐ力』を引き出す施策を積極的に講じる」としており、就任一年会見において、「新型コロナウイルス感染症対策を最優先に県民の安全・安心と経済活動の両立を図り、その上で技術力の高い製造業など若者が働く場としての新たな産業の創出などに取り組んできている」と答えています。  一方、このような中、本県経済は、長引くコロナ感染症拡大により中小企業等極めて深刻な状況となっております。県は、これまでに中小企業等への新型コロナウイルス対策として、相談窓口の設置、資金繰りの支援、売上げが大幅に減少した事業者への支援金の給付、飲食店等への感染防止対策の補助金支給などの支援策を講じてまいりました。  また、四月以降の新型コロナウイルス感染症の再拡大を受けて、県内六市町を対象とする飲食店への営業時間短縮要請と協力金の支給が実施されたところであります。対象となる一部地域の飲食店に限らず、県内の様々な事業者においては、大幅な売上高の減少など事業存続の危機に瀕している状況であり、六月補正予算にて鹿児島県事業継続一時支援金給付事業が実施されることとなったところであります。  民間調査機関の調査結果によると、新型コロナウイルス感染拡大の長期化に伴い、「廃業を検討する可能性がある」と答えた飲食店が三割を超えており、前回四月調査から三・五ポイント増加しています。新型コロナ関連倒産は二〇二一年以降、月百件超えが続いており、全体の倒産が減少している反面、新型コロナの影響は強まっており、倒産全体に占める割合は二五%に上ります。コロナ禍の長期化による過剰債務の問題に加え、息切れや事業継続を諦めて倒産に至るケースが今後高まる可能性があります。  こうした中、八月から新型コロナウイルスの感染者が急増し、県は八月六日、警戒基準をステージIIIに引き上げ、爆発的感染拡大警報を県内に初めて発令し、さらに八月十三日には、ステージIVに引き上げるとともに、県独自の緊急事態宣言を発令しました。また、八月九日以降、三回にわたり四市六町の飲食店に営業時間短縮要請を行いました。  その後も感染拡大に歯止めがかからず、国は、八月二十日から九月十二日まで、まん延防止等重点措置の適用を決定し、知事は、鹿児島市、霧島市、姶良市を措置区域とし、措置区域以外も含めて営業時間の短縮要請を県内全域に拡大しました。飲食店や関連業者等からは、この先どうすればいいのかと憤りの声もあり、従来と同じ枠組みの支援だけでは厳しい状況にあり、スピード感のある資金面の支援を急ぐ必要があります。  そこで伺います。  第一点は、知事はマニフェストにおいて、コロナ禍の影響を受けている県内中小企業等への支援等について、「事業者の実態把握を行った上で支援策を講じる」としていますが、知事の県内事業者に対する現状認識についてお示しください。  第二点は、六月補正予算で実施されることとなった事業継続一時支援金の業種ごとの申請状況及び支給見通しについてお示しください。  第三点は、これまでの経済支援の効果についての認識と、今後のさらなる支援に向けた考えについてお示しください。  第四点は、今議会に提案された九月補正予算案のうち、鹿児島県事業継続月次支援金給付事業の具体的内容についてお示しください。  第五点は、コロナ終息後を見据えて、県内の中小企業等の「稼ぐ力」を引き出すための今後の具体的取組についてお示しください。  次に、最低賃金の引上げについて伺います。  知事はマニフェストにおいて、「新型コロナウイルスの影響を克服する強力な産業支援」を行うとし、「実態把握をした上で事業者に対する支援を講じる」としております。また、「地域経済団体と連携して、経営支援を強力に推進する」としています。  今年の最低賃金の改定をめぐり、厚生労働省の審議会が、都道府県の時給を一律二十八円引き上げ、全国平均で九百三十円とする目安を決めました。鹿児島地方最低賃金審議会では八月六日、鹿児島労働局長に対して二十八円引上げを答申し、八月二十四日に同額で決定され、新たな最低賃金が十月二日から適用されることとなりました。  労働者の所得を増やす賃上げは、個人消費の活性化を通じて経済の好循環につながります。特に最低賃金は、雇用形態が不安定なパートやアルバイトなどで働く人の所得増に直結します。非正規労働者の生活は厳しくなっており、収入が増えれば消費拡大による経済活性化も期待できます。  一方で、今回のような大幅引上げは、地方の中小・零細企業にとって負担が大きく、新型コロナウイルスで打撃を受けた飲食業や宿泊業などでは特にその影響が深刻であります。  そこで伺います。  コロナ禍において最低賃金が上昇することによる県内の中小企業への影響と対応策についてお示しください。  次に、農政関係であります。  本県農業の「稼ぐ力」の向上について伺います。  塩田知事が就任されて一年余りが経過したところであります。知事はマニフェストにおいて、「本県農林水産業の生産額は増大しているが、農家の所得向上が課題となっている」との認識を示され、「生産コスト低減策、売上げ向上対策、IT技術を活用したスマート農業の推進による生産性向上など『稼ぐ力』を引き出す諸施策を講じ、生産所得の向上に努める」としております。また、「農林水産物・加工品の販路開拓と全国トップクラスの海外輸出額を目指す」としています。  本県の農業は地域経済を支える基幹産業であり、農業産出額は、平成二十九年、三十年、令和元年と三年連続で全国二位と順調に推移しています。一方で、生産農業所得率は、平成三十年、令和元年度は全国最下位にあり、他都道府県と比較して収益性が低く、農業者の所得の確保を図るためには、県産農畜産物の付加価値向上や農業生産の低コスト化、デジタル化などに取り組む必要があると考えます。  また、少子高齢化や単身世帯の増加などにより、国内の食市場は縮小傾向にあり、その構造が大きく変化しております。新型コロナウイルス感染症による訪日外国人の減少や外食需要の低下、各種イベントの自粛等により、国内では業務需要の縮小が長期化しており、生産者等に影響が及んでいるところであり、急激な社会変革に対応した新たな鹿児島の農業を構築していく必要があります。  県産農畜産物の輸出については、海外における健康志向の高まりや日本食の普及などにより需要が高まるものと考えられることから、平成三十年三月に鹿児島県農林水産物輸出促進ビジョンを策定し、オール鹿児島で輸出拡大に向けた品目横断的な取組を進めているところであります。  このような中、令和二年度の県産農林水産物の輸出額は対前年度比五%減の約二百十四億円となり、新型コロナウイルスの影響で水産物の輸出が落ち込んだものの、農畜林産物は平成二十三年度の公表開始以降、最高額を更新したところであります。  そこで伺います。  第一点は、本県の生産農業所得率は、平成三十年度、令和元年度ともに全国最下位でありますが、どのように分析し、本県の農業の稼ぐ力の向上に向けてどのように取り組んでいるのか、お示しください。  第二点は、スマート農業の導入状況及び取組の成果、今後の課題についてお示しください。  第三点は、令和二年度における県産農畜産物の輸出状況及び今後の見通しと輸出促進に向けた施策についてお示しください。  第四点は、昨年度、県産品の海外への販路拡大等を目的とした連携協定を株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスと締結していますが、これまでの実績と今後の展望についてお示しください。  次に、サツマイモ基腐病対策について伺います。  サツマイモ基腐病は、国内で平成三十年十一月に初めて確認されて以来、現在、二十都道県に拡大しており、被害は九州から北上して北海道にまで及んでおります。  本県においては、平成三十年に県内で初めて発生が確認され、種芋更新などによる健苗の確保や本圃での土壌消毒、圃場の排水処理などの対策に努めてまいりました。  しかしながら、サツマイモ基腐病の令和二年産の被害状況は、県全体の作付面積の五割以上を占めており、県内各地で基腐病の拡大が見られました。令和二年の全国収穫量は過去最低となり、全国首位の本県の収穫量は一八%減と大きく落ち込みました。また、今年も一部農場での発生が確認されており、六月九日に県の病害虫防除所は病害虫発生予察注意報を出し、注意喚起を行ったところであります。  このような中、国は、被害農家に向けた支援策として病害対策などに係る費用を助成するとし、さらに、被害を受けつつ生産を続ける農家に対し、定額を支援しているところであります。これにより、被害に苦しむ農家への支援策が拡充されたこととなりますが、病害が猛威を振るう中、確実に防げる方法は見つかっておりません。  農家からは、国の補助金や収入保険で肥料代を賄っている、農家をやめて転職した若手も多い、産地崩壊を招きかねない事態だといった不安の声が上がっております。また、県酒造組合は、今年も収量が落ち込めば焼酎生産に影響が出かねないと懸念しています。
     本県のサツマイモは、全国第一位の生産量を誇り、でん粉、焼酎の原料用、青果用、加工用などに幅広く利用されるなど重要な作物であります。病害被害が拡大していく中、発生の抑制や防除など総合的な対策の早期確立が求められております。  そこで伺います。  第一点は、サツマイモ基腐病の令和三年産の発生状況と被害見通しについて、焼酎生産への影響も含めてお示しください。  第二点は、サツマイモ基腐病対策の早期確立に向けた取組についてお示しください。  以上で、三回目の質問といたします。    [知事塩田康一君登壇] 19 ◯知事(塩田康一君)まず、これまでの経済支援の効果、県内事業者に対する現状認識と今後の支援についてでございます。  昨年初めから、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、国においては、中小企業等の事業継続や雇用維持のため、雇用調整助成金、持続化給付金、家賃支援給付金、月次支援金等の給付や政府系金融機関による実質無利子・無担保融資、需要創出のためのGoToトラベル事業やGoToイート事業といった様々な支援事業を実施してきております。  県においては、中小企業等の事業継続を下支えするための新型コロナウイルス関連緊急経営対策資金や事業継続のための一時支援金などを整備及び拡充してきております。  また、事業者における感染防止対策等に必要な経費の支援を行ったほか、離島航路・航空路、路線バスなどの運行経費等や港湾・空港の使用料への補助等を通じた交通事業者支援にも取り組んできております。  さらに、消費意欲喚起のためのぐりぶークーポン等の発行のほか、ディスカバー鹿児島キャンペーン等による観光需要喚起策や、農林水産物の販路開拓・輸出の促進及び需要喚起策、焼酎等の特産品の需要喚起策などに取り組んできております。  県民の安心・安全とこれら経済活動の両立が図られるよう、飲食店及び宿泊施設の第三者認証制度の創設及び感染防止対策に要する経費の支援なども行っております。  昨年度来実施してきた各種経済支援策について、商工団体等からは、「給付金や融資などのタイムリーな支援策に感謝している」といった声も頂いております。  また、民間保証機関からの聞き取り調査では、資金需要は実質無利子・無担保融資などにより落ち着いてきていると伺っております。  さらに、一例として、割引クーポンについて申し上げますと、利用者、登録店へのアンケートで、飲食店利用頻度及び客単価が上昇したとの結果も得ており、県の需要喚起策が飲食店の収益改善につながっていると考えております。  以上のことから、国等の施策とも相まって、県の経済支援策は一定の効果を発揮していると考えております。  しかしながら、県内経済については、観光について厳しい状況が続いているなど、全体としてはこのところ足踏み状態となっております。  加えて、先月からのまん延防止等重点措置の適用等に伴い、飲食業や宿泊業等の観光関連産業をはじめ、様々な業種の事業者が大きな影響を受けており、今後、事業継続が厳しくなると考えている事業者も多いのではないかと考えております。  このため、県におきましては、八月もしくは九月または両月の売上高が相当程度減少した事業者の事業継続を図るため、国の月次支援金の対象とならない、売上高の減少幅が三〇%以上五〇%未満の事業者に県独自の月次支援金を給付するとともに、酒類の提供自粛要請等により影響を受けている県内の酒類販売事業者に対して、国及び県の支援金への上乗せを行うための経費を今回の補正予算に計上しております。  また、ぐりぶークーポンについて、新型コロナウイルスの感染拡大により売上げが減少している特産品を割引対象に新たに加えるとともに、第三者認証を取得した飲食店については、現在の割引額を二百円引き上げて七百円とする制度の拡充を図るほか、県民の消費の促進に資するイベント実施に対する助成事業や、県本格焼酎需要回復・消費拡大キャンペーンを今回の補正予算に計上しております。  県としては、今回のまん延防止等重点措置適用終了後の県内経済の動向を注視しながら、例えば、今こそ鹿児島の旅第二弾について、感染状況の段階がステージIIに下がり次第、直ちに再開するなど、県内事業者を支援するための取組を切れ目なく迅速に講じてまいりたいと考えております。  次に、県内中小企業等の「稼ぐ力」を引き出すための今後の具体的取組についてでございます。  新型コロナウイルス感染症の終息後を見据え、今後の県勢発展の基盤をしっかりとつくっていくためには、本県の基幹産業である農林水産業、観光関連産業のさらなる振興を図りつつ、生産性向上やDX推進、カーボンニュートラルに向けた取組等に対する支援により、中小企業等の競争力強化を図るとともに、将来を担う新たな産業の創出・起業の支援に取り組み、「稼ぐ力」の向上を図っていく必要があると考えております。  まず、生産性向上については、地域経済を牽引する中核企業等が行うデジタル技術の導入、ロボット協働による生産体制の構築等の取組を支援するとともに、サービス事業者が行うウェブ商談会への参加等による販路開拓、クラウドの利用等による生産性向上の取組を支援しているところであります。  また、本県製造品出荷額の約五割を占める食品関連製造業については、生産工程の自動化・省力化による生産効率の向上等の取組を支援することとしております。  次に、DX推進については、IoT・AI等の先端技術の導入に関し、取組状況に応じた段階的な支援を行うとともに、企業立地促進補助金に情報通信関連企業向けのメニューを設けて、誘致の強化を図っているところであります。今後さらに、県内中小企業のITツール導入や社内のデジタル人材の育成等の取組を支援することとしております。  カーボンニュートラルに向けた取組については、国内外で脱炭素化の動きが加速する中、製造業のサプライチェーン全体で進められるCO2排出削減に対応するため、県内製造業者が行う省エネ設備の導入を支援することとしております。  新たな産業の創出・起業支援については、起業準備に当たり、ビジネスプランの策定支援や事業化に必要な経費の補助などを行うとともに、新産業創出に取り組む中小企業等のニーズの掘り起こしから事業化・販路開拓まで各段階に応じた研究開発費の補助やコンサルティング支援等を行っているところであります。  さらに、来年四月のオープンに向けて、県庁十八階にコワーキングスペースを整備し、社会課題の解決に向けた新事業の創出や、異業種・海外とのコミュニティー形成を通じたスタートアップ育成等によるイノベーションを支援することとしております。  こうした取組に加え、工業技術センターを核とした産学官連携による技術開発支援を強化することなどにより、中小企業等の「稼ぐ力」を引き出し、地域経済の好循環を高めていきたいと考えております。  次に、本県農業の「稼ぐ力」の向上に向けた取組についてでございます。  本県の農業産出額は、平成二十九年から令和元年まで三年連続で全国第二位となっております。また、令和元年の生産農業所得も全国第二位、一経営体当たりの生産農業所得も全国第三位と上位に位置しております。  一方、令和元年の生産農業所得率は、所得率の低い畜産部門の構成割合が高いなどの本県農業の特徴も要因となって、全国第四十六位となっており、所得率の向上が課題の一つであり、生産コストの低減と付加価値の向上や販路拡大・輸出拡大を図ることが必要であると考えております。  具体的には、生産コストの低減としては、畜産部門においては、自動給餌機を備えた畜舎の整備、搾乳ロボットの導入など、耕種部門においては、広大な畑地・水田での効率的な防除が可能となるドローンや、ハウス内のかん水・施肥等の栽培管理を自動化する統合環境制御装置の導入による労働時間の大幅な削減などに取り組んでいるところであります。  また、付加価値の向上としては、子牛や枝肉価格の一層の向上を図るため、来年の全共鹿児島大会連覇に向けた出品対策の強化に取り組むとともに、かごしまブランド産品の認知度向上に向けた老舗高級果物店における鹿児島フェアを開催しているほか、六次産業化商品の開発に向けたセミナー開催等を通じて、農業所得だけではなく加工食品の販売による所得の拡大にも取り組んでおります。  さらに、販路拡大・輸出拡大としては、牛肉、お茶、サツマイモなど県産農畜産物について、海外の家庭内需要に対応したスーパーでのフェアやウェブ商談会によるPR・販売促進、県内輸出商社による現地法人や代理人を活用した営業活動支援など、コロナ禍での対応も踏まえた取組を進めているところであります。  こうした取組のほか、本県の基幹産業である農業の「稼ぐ力」を引き出すため、農業インターンシップ等を通じた就農・就業を目指す人材の確保など、人づくり・地域づくりの強化に取り組んでおります。  加えて、畜産クラスター事業を活用した畜舎や青果物の集出荷施設の整備など、生産・加工体制の強化にも取り組んでいるところでございます。  今度とも、こうした取組を通じて、農業の「稼ぐ力」を引き出し、本県農業・農村のさらなる発展を図るとともに、農業者の所得向上に努めてまいります。 20 ◯商工労働水産部長(平林孝之君)六月補正の事業継続一時支援金の業種ごとの申請状況及び支給の見通しについてでございます。  支援金は、申請期限の九月七日までの間に約五千六百件を受け付けました。業種別では、飲食業が千二百件、サービス業が千百件、建設業が九百件、小売業が七百件などとなっております。  次に、支給状況についてですが、九月十四日時点で約三千百件、五億八千万円となっており、最終的な支給額は十億八千万円程度を見込んでいるところでございます。  なお、本年五月及び六月の国の月次支援金が不給付となった事業者につきましては、十一月一日まで申請を受け付けることとしております。  これらの事業者も含め、十一月中旬頃にはおおむね支給を完了できるものと見込んでおります。  次に、鹿児島県事業継続月次支援金給付事業の具体的制度内容についてでございます。  国においては、本年四月以降の緊急事態措置等の影響を受け、月間売上げが対前年または対前々年の同月比で五〇%以上減少した事業者に対して、法人はひと月当たり二十万円を、個人は十万円を上限に月次支援金を給付しています。  本県へのまん延防止等重点措置の適用に伴い、八月または九月の売上高が五〇%以上減少した事業者は、国の月次支援金の対象となることが見込まれます。  このため、県の月次支援金においては、国の月次支援金の対象とならない、売上高の減少幅が三〇%以上五〇%未満の事業者に、法人はひと月当たり十万円を、個人は五万円を上限に給付したいと考えております。  また、酒類の提供自粛の要請等により影響を受けている酒類製造・販売事業者に対して、売上げ減少率に応じて、法人はひと月当たり十万円から六十万円を、個人は五万円から三十万円を国または県の支援金へ上乗せして給付することとしております。  一時支援金においては、本年五月または六月の売上高が前年または前々年同月比で五〇%以上減少し、国の月次支援金を受給していない事業者に、法人は三十万円、個人は十五万円を上限に支援金を給付したところでございます。  なお、県の月次支援金及び一時支援金のいずれにおいても、時短要請協力金の支給対象者については、協力金による支援が行われることを考慮し、給付対象外としているところでございます。  最低賃金上昇による県内中小企業への影響等についてでございます。  鹿児島労働局によると、今年六月一日現在の賃金が改定後の最低賃金を下回ることとなる労働者数は、約四万千人となっています。最低賃金の上昇は、労働者の待遇改善につながる一方で、県内企業には人件費上昇による経営圧迫要因となります。  国においては、中小企業の支援策として、雇用調整助成金の受給要件緩和、生産性向上を支援する業務改善助成金の要件緩和・拡充、事業再構築を支援する中小企業等事業再構築促進事業における最低賃金枠の新設などを行うほか、下請取引におけるしわ寄せ防止等、大企業との取引環境の改善に取り組んでおります。  県としても、飲食業や宿泊業など新型コロナウイルス感染症により影響を受けている事業者を支援するとともに、生産性の向上等を通じた中小企業等の「稼ぐ力」の向上を図っているところであり、今後とも、県内企業の経営支援に取り組んでまいりたいと考えております。 21 ◯農政部長(松薗英昭君)スマート農業の導入状況等についてであります。  本県におきましては、スマート農業の普及を図るため、セミナーの開催や実証活動に取り組んでいるところであり、本年五月現在の導入件数は、前年比約三割増の約二千件となっております。  取組の成果として、施設ピーマン経営では、環境制御システムの導入により、単収が地域平均の約一・五倍に増加し、所得の向上につながった事例や、酪農経営では、搾乳ロボットなどの導入により労働時間が大幅に削減できたことで、規模拡大が図られた事例があるほか、ドローンによる防除面積は、ここ三年間で約九倍に拡大しており、水稲のほかサツマイモやサトウキビなど、県内各地で防除作業の労働負担の軽減につながっております。  スマート農業技術を活用するに当たりましては、導入コストが高いことや、機器に対応した栽培技術等の習得が課題となっていることから、経営規模に応じた導入のための補助事業による支援や、生産性の向上につながる技術指導等を行ってまいります。  次に、県産農畜産物の輸出促進等についてであります。  令和二年度の本県農畜産物の輸出状況につきましては、畜産物が約百六億円、農産物が約十四億円の計約百二十億円となり、過去最高を更新したところでございます。  現地事業者への聞き取りによりますと、牛肉につきましては、昨年六月以降、焼き肉などの家庭内需要の高まりから、前年度比で約一一〇%となったところです。  お茶につきましては、従前からの健康志向の高まりを受け、米国向けの抹茶を中心に前年度比で約一七〇%となっております。  サツマイモをはじめとした青果物につきましても、コロナ禍で家庭内需要が堅調なことから、前年度比で約一六〇%となったところです。  今年度に入っても、輸出は堅調に伸びていると聞いております。  今後は、これまでの飲食店向けの需要に加えて、コロナ禍を機に生じた新たな家庭内需要を好機と捉え、スーパーと連携したフェアやウェブ商談会によるPR・販売促進、県内輸出商社による現地法人等を活用した営業活動支援等を行うこととしております。  また、さらなる輸出拡大に向けて、畜産物の生産者や輸出事業者等がコンソーシアムを設立して取り組む販促プロモーション等への支援や、農産物の生産者に対して国際水準GAPの認証取得等を支援するほか、県内港湾からの青果物の持続的な輸出スキームの構築に取り組むなど、生産体制と販売力の強化に取り組んでまいります。  次に、PPIHとの連携協定の実績と展望についてであります。  県では、令和二年十月十二日に、株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス─PPIH─と、県産品の海外への販路拡大や県内港湾等からの輸出促進等を図るため連携協定を締結したところでございます。  昨年度は、PPIHと県内の農業者等との商談会におきまして、サツマイモ等に加えて、牛肉、メロンなどの新たな取引が成立し、本年二月には、PPIHがシンガポール等で展開している小売店十六店舗におきまして、どんどん鹿児島フェアを開催したところでございます。  この結果、連携協定締結後から本年六月までのPPIHにおける輸出額は、農産物が約四億円、畜産物と水産物がそれぞれ約六千万円となっております。  また、令和二年十一月から令和三年四月にかけまして、県産農産物を混載したコンテナを志布志港からシンガポールへ輸送したところでございます。  今年度も、海外フェアの開催を企画するとともに、志布志港からの青果物の輸出品目をさらに増やしていくため、県内生産者との商談を進めているところでございます。  今後とも、県産農畜水産物のさらなる輸出拡大に取り組んでまいります。  次に、サツマイモ基腐病の発生状況と今後の見通しについてであります。  令和三年産の作付面積は約一万三百ヘクタールであり、九月一日時点で葉やつるに一株でも基腐病の症状が確認された圃場は、約六千六百ヘクタールで、圃場に占める割合は昨年産よりも一割増加しております。  今後は、台風等の影響より基腐病の拡大が懸念されることから、引き続き、早期収穫などの指導の徹底が必要であります。  現時点では、基腐病の影響を含め、今年産の収穫量を見通すことは難しいところですが、昨年産の状況を考慮し、一部の焼酎メーカーでは例年より早く原料の受入れを開始していると聞いております。  次に、サツマイモ基腐病対策の早期確立に向けた取組についてであります。  サツマイモ基腐病対策につきましては、農業開発総合センターが国などと共同研究を実施してきており、これまで明らかになった種芋や苗の消毒方法、本圃における排水対策や登録農薬の効果的な使用方法などの総合的な対策についてマニュアルとして取りまとめ、生産者へ周知を図ってきたところでございます。  今後とも、土壌中の残渣処理対策など、防除技術のさらなる確立に取り組むこととしております。  県といたしましては、引き続き、マニュアルを踏まえ、健全な種芋や苗の確保、農薬散布や排水対策など、関係機関・団体と一体となって、基腐病対策に取り組んでまいります。    [郷原拓男君登壇] 22 ◯郷原拓男君 それぞれ御答弁頂きました。  中小企業の振興についてでありますが、新型コロナウイルス感染症の影響により極めて厳しい経営状況にある県内中小企業等の実情を的確に把握しつつ、事業継続と経済立て直しに向けた強力な産業支援に努めるとともに、終息後を見据え、地域の中小企業等の稼ぐ力の向上に関する取組として掲げている施策の着実な推進に努めていただくよう要望いたします。  最低賃金につきましては、新型コロナウイルス禍で事実上据え置いた昨年度から一転し、大幅な引上げとなりました。低賃金の非正規労働者等の処遇改善へ一歩前進となったものの、一方で、急激な人件費増は、コロナ禍で苦境にある企業の経営悪化や雇用減を招かないよう、政府及び県においては実情を踏まえた企業支援等に努めることが重要であります。  本県農業の「稼ぐ力」を引き出すための施策については、ICT等を活用したスマート農業等の推進による生産性の向上、新商品開発・販路開拓支援や、ポストコロナを見据え、農林水産物・加工品の輸出拡大に取り組むこととしており、収益性の向上に向けた中長期的な施策に期待するところであります。  サツマイモ基腐病対策については、国、市町、研究機関等の関係者一丸となって対策の早期確立に向けた取組を強化するとともに、国の被害農家に対する基金事業の継続や被害軽減を図るための総合的対策について、引き続き強く要請するよう要望いたします。  以上、県政の課題について質問してまいりました。  午後は、宝来良治議員に引き継ぐこととし、これをもちまして、自由民主党県議団の代表質問・午前の部を終わります。  ありがとうございました。(拍手) 23 ◯議長(田之上耕三君)ここで、休憩いたします。  再開は、午後一時二十五分といたします。        午後零時 十一分休憩       ────────────        午後一時二十五分再開 24 ◯議長(田之上耕三君)再開いたします。  宝来良治君に発言を許可いたします。    [宝来良治君登壇](拍手) 25 ◯宝来良治君 午前中の郷原拓男議員に引き続いて、自民党県議団の代表質問を続けてまいります。
     初めに、総合政策関係についてであります。  かごしま未来創造ビジョンの見直しについて伺います。  知事は、さきの第二回定例会において、「鹿児島の目指す姿や施策展開の基本方針などを取りまとめた、かごしま未来創造ビジョンについては、新型コロナウイルス感染症の拡大やDX─デジタル・トランスフォーメーション─の推進、カーボンニュートラルの実現など、昨今の社会経済情勢の変化等を踏まえ、所要の見直しを行うこととしている」と表明しています。  また、「今後、県議会をはじめ、外部有識者や県民の皆様方の御意見も十分にお聞きしながら、今年度中の見直しに向けて取組を進めてまいる」と表明しています。  六月十五日には第一回庁内検討委員会が開催され、その後、座談会の開催や市町村への意見聴取、県民向けアンケート調査が実施され、八月三十日には、第一回有識者委員会がオンライン形式で開催されたところです。  有識者委員会は、地方創生や経済産業、医療福祉、教育、環境、エネルギー、一次産業など各分野の有識者二十三人で構成されており、第一回委員会において委員からは、コロナの状況下でのビジョン見直しになることを受け、大都市一極集中型から地方分散型への社会構造の変化を捉えた施策推進や、厳しい状況が予想される国の財政状況を見据えた県政運営の重要性など、各分野から意見が出されたとしています。  また、さきに行われた、県内外で活躍している幅広い方々に意見を聞いた座談会や市町村への意見聴取、県民向けアンケート調査においても、十年後の本県の目指す姿、本県の優れている点、改善が必要な点、目指す姿に向けての必要な取組について様々な意見が出されたところです。  これらの意見を踏まえて、九月には見直しの考え方が示されたところであり、今後、知事のマニフェストの実現に向けた取組や方針が反映されるものと考えます。  そこで伺います。  第一点は、第一回有識者委員会において出された主な意見の内容をお示しください。  また、県民向けアンケート調査や座談会等から得られた意見について、県としてどのように分析し、見直しに反映していくのか、お示しください。  第二点は、かごしま未来創造ビジョンの見直しについての知事の基本的な考え方についてお示しください。  また、知事の思いをどう織り込んでいくのか、お示しください。  第三点は、令和三年第一回定例会において、見直しに当たってバックキャスティングの視点も取り入れたいとの答弁がありましたが、中長期的な視点での鹿児島の将来像をどのように考えているのか、また、バックキャスティングの考え方も含めてお示しください。  次に、新たな総合体育館の整備について伺います。  新たな総合体育館については、昨年、県内外の各分野の専門家を構成員とする総合体育館基本構想検討委員会を設置、先行事例調査で類似の機能を有する施設を調査し、需要予測調査の取りまとめ結果等も踏まえ、本年夏頃をめどに具体的な施設の機能や規模・構成等について検討、その上で複数の整備候補地を選定し、来年一月下旬をめどに最終的な基本構想案まで作成するとされています。  さきの第二回定例会において、新たな総合体育館の需要予測として、メインアリーナの利用割合については、スポーツ利用がおおむね七六%から八七%程度、多目的利用がおおむね一三%から二四%程度、利用者数についてはおおむね二十万人から三十三万人程度などの結果を得たと答弁しております。  また、第二回検討委員会において、この需要予測結果を説明し、具体的な施設の規模、機能・構成等について活発な御論議をいただき、新たな総合体育館の在り方に関し、スポーツ利用を軸とすることについておおむね委員間の共通認識が得られたほか、一定規模の競技面数を求める意見、あるいは、障害者や高齢者を含めた利用者への配慮を求める意見、みるスポーツの視点で整備すれば、する視点も包含されるといった、今後の検討に当たっての論点などの意見が出されたと答弁しております。  総合政策建設委員会においても、需要予測調査の結果や第二回検討委員会での検討内容等について報告され、その中で委員から、施設の規模に関して、「八千人規模だけでなく一万人、五千人規模と幅広にシミュレーションするべきではないか」との意見があり、「一万人、五千人規模についても想定し、検討委員会にお示ししたい」との答弁があったところです。  検討委員会においては、施設の機能や規模・構成等について具体的なイメージをつかむため、七月二十日から二十一日にかけて先行事例調査が実施され、和歌山県の施設について現地を視察し、また、大阪府の施設については、現地において動画や写真等を用いた説明がなされたところです。さらには、この先行事例調査に続いて、現地において第三回検討委員会が実施されたところであります。  そして九月十三日には、第四回検討委員会が開催され、施設の機能、規模・構成等及びこれらを踏まえ、立地環境について検討がなされたところであります。  そこで伺います。  第一点は、先行事例調査の結果と第三回検討委員会における主な協議内容について、第二回定例会総合政策建設委員会における委員の意見に対する議論の内容を含めてお示しください。  第二点は、これまでの調査や検討委員会における議論を踏まえ、施設の機能や規模・構成及び立地環境について、第四回検討委員会において具体的にどのような検討結果に至ったかをお示しください。  第三点は、検討委員会における施設の機能や規模・構成及び立地環境についての具体的な検討結果を踏まえ、整備候補地についてどのように選定し、いつ頃検討委員会に提案するのか、お示しください。  次に、土木関係についてであります。  熱海市土石流災害を受けた県内の盛土の点検等について伺います。  熱海市で本年七月三日に発生した大規模土石流災害を踏まえ、国土交通省では、近年形成された全国の盛土について、関係府省庁と連携して災害危険性等に関する総点検を行うとして調整を進め、その結果、八月十日に、第一回盛土による災害防止のための関係府省連絡会議が開催され、その申合せに基づき、八月十一日付で都道府県宛てに総点検の実施が依頼されました。  本県においては、国からの総点検依頼に先行して、関係部局が連携し、盛土が確認された砂防指定地や谷や沢を埋めた盛土面積が三千平方メートル以上などの大規模盛土造成地など四百六十九か所を抽出し、本年八月末までに現地点検を行い、九月三日にはその結果を示したところであります。  本県は、シラス土壌や台風常襲地帯にあるなど、地理的・自然的に厳しい条件下にあることに加えて、高度経済成長期に造成された大型団地などの大規模な造成地が数多く存在することから、大規模な地震や大雨への警戒が極めて重要となっています。  盛土造成地をめぐっては、阪神大震災や新潟県中越地震による地滑り被害を受け、国は、平成十八年に宅地造成等規制法を改正し、宅地耐震化推進事業を創設、大規模盛土造成地を抽出して分布マップを作成、公表することに加え、地盤調査などを行い、大規模な地震が発生した場合に地滑りなどのおそれがある箇所については、住民への情報提供等を図るとともに、対策工事の実施により耐震性を向上させることを自治体に求めてきたところです。  しかしながら、全国の自治体において、費用負担の問題や地価に影響する懸念等からマップづくりが進まなかったことから、国は、未作成の市町村を対象に自らマップを作成し、これを令和二年三月までに全ての市町村が公表しました。また、県においては、大規模盛土造成地調査事業を創設し、昨年度までに対象市町の大規模盛土造成地については現地調査等を実施したところです。  一方、建設残土を処理する際の盛土をめぐっては、独自に規制する条例を設けているのは全国で二十六都府県であり、本県を含む二十一道県は条例を設けていないとの報道がされております。盛土規制について、県は、現行の法令等により一定の規制がされているとしております。  本年七月には全国知事会において、建設残土について一部自治体では条例等により規制しているが、罰則に上限規定が設けられていることなどにより、適正処理に限界があるとして、法制化による全国統一の基準・規制を早急に設けることを国に対して要望されたところであります。  そこで伺います。  第一点は、県が実施した大規模盛土造成地調査事業の調査結果及び活用状況をお示しください。  第二点は、今回、県が国に先行して実施した点検について、結果を踏まえた取組状況をお示しください。  第三点は、今回の国の依頼を受けて実施する盛土の総点検内容と県の対応をお示しください。  第四点は、現行の法体系の下で行われている盛土への対応について、盛土等に係る許可処分など法規制の状況、事後の検査や実態調査、違反があった場合の是正措置、許可事業者が施工中に変更となった場合の対応等がどのようになっているのかを含めてお示しください。  第五点は、建設残土等を含む盛土全般に係る規制に関して、本県の地理的・自然的条件の厳しさを踏まえると、より一層の規制の強化、対策が必要になると考えますが、建設残土等の規制に関する条例化についての知事の考えをお示しください。  次に、観光・文化スポーツ関係であります。  観光産業の現状と今後の対応について伺います。  今年六月に公表された令和三年版観光白書によりますと、令和二年の日本人の国内宿泊旅行者数は延べ一億六千七十万人で、前年比四八・四%減、国内日帰り旅行者数は延べ一億三千二百七十一万人で前年比五一・八%減と、宿泊旅行、日帰り旅行ともに大きく減少しました。訪日外国人旅行者数は、令和元年までは七年連続で過去最高を更新しましたが、令和二年は新型コロナウイルスの世界的な流行に伴い、二月以降大きく減少し、前年比八七・一%減の四百十二万人となりました。  新型コロナウイルスの影響で観光産業は大きな打撃を受けたことから、国は、観光支援策GoToトラベル事業を一年前から開始しましたが、感染拡大により昨年末に全国一律で停止されたまま再開のめどが立っておりません。  県は、県内の感染状況の悪化により実施を見合わせていた県民向けの旅行商品の割引や宿泊券の販売を、感染拡大の警戒基準がステージIIに引き下げられたことに伴い、七月初めから再開しました。県民向けに販売されたプレミアム付きかごしま旅クーポンは販売早々完売したことから、夏休みシーズンを前にした近場旅行の機運の高まりが感じられました。  八月からは、認証基準を全て満たした宿泊施設を県が認証する、鹿児島県宿泊施設の感染防止対策認証制度も始まり、利用者への安全と信頼を確保し、県民や観光客等の利用促進を図ることが期待されています。  しかしながら、感染の再拡大により、県は、八月六日に感染拡大の警戒基準をステージIIIに再度引き上げるとともに、爆発的感染拡大警報を発令することとなり、一か月余りで再び県民向けの旅行商品の割引事業等の停止を余儀なくされました。その後も、八月十三日には、初めて感染拡大の警戒基準をステージIVに引き上げ、県独自の緊急事態宣言を発令し、八月二十日には、本県に初めてまん延防止等重点措置が適用されることとなったことから、観光業界は一段と厳しい状況に置かれています。  一方、七月二十六日には、ユネスコの世界遺産委員会において、奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島が世界自然遺産に決定しました。本県は、平成五年に登録された世界自然遺産の屋久島と平成二十七年に登録された世界文化遺産の明治日本の産業革命遺産と合わせて、三つの世界遺産を有することとなりました。今後は、これらの貴重な観光資源を生かし、どのように県全体の観光振興につなげていくのか、コロナ後も見据えた取組が重要です。  新型コロナウイルス感染症は、旅行者の意識の変化ももたらしています。三密の回避につながる自然が多い地域への訪問意向が高まり、少人数で近場を旅行するマイクロツーリズムの需要が増加しています。一つの地域に滞在し、その土地の文化や暮らしを体感し、じっくり楽しむ滞在型観光も三密を避けられる旅行スタイルとして注目を浴びています。  このように多様化する観光ニーズへも対応するため、県内の観光資源をさらに磨き上げ、本県観光のブランド力を高めていくことが求められています。  そこで伺います。  第一点は、本県観光産業の現状と県の認識についてお示しください。  第二点は、今年度の観光産業を支援する事業の実施状況と今後の取組についてお示しください。  第三点は、三つの世界遺産を生かした県全体の今後の観光振興策についてお示しください。  次に、文化芸術活動の現状と今後の対応について伺います。  新型コロナウイルス感染症の影響で数多くの公演が開催中止や延期となり、文化芸術活動にも深刻な影響が出ています。  文化庁が今年三月に公表した、文化に関する世論調査報告書によると、美術展や映画などの文化芸術イベントを一年間に直接鑑賞した人の割合は四一・八%で、前年度の六七・三%から二五・五ポイントの大幅減でした。  また、ぴあ総合研究所によると、令和二年のライブ・エンターテインメント市場規模は、前年比八二・四%減の千百六億円となりました。  国は、演劇や美術展など文化芸術イベント等に最大二千五百万円を支援する制度を拡充したり、感染症防止や配信等環境整備に係る支援等を打ち出しています。  また、県では、文化芸術団体が適切な感染症対策を講じた上で、活動を再開及び継続できるよう支援を行っています。  しかしながら、これらの支援は、公演や興行などを積極的に実施することが補助の前提となっているため、コロナ禍で経済的に苦境に追い込まれた団体や事業者は活用しづらいといった声や、一公演だけ開催できても活動を継続できないとの声があります。支援を望む人たちの立場に寄り添った施策が望まれるところです。  県は、今年三月に、文化芸術振興施策の総合的かつ効果的な推進を図るため、鹿児島県文化芸術推進基本計画を策定しました。その中で、目指すべき姿として、「文化の薫り高いふるさとかごしまの形成」として、県民一人一人が生涯を通じて身近に様々な文化芸術に触れ、親しむことができるよう、国内外の様々な芸術分野での活発な交流などを通して、本県の文化芸術のさらなる発展を目指すとしています。  文化芸術は、人々に楽しさや感動、精神的な安らぎをもたらすものであり、コロナ禍でストレスの多い日常を送る現在の我々にこそ必要不可欠なものです。その文化芸術を創り出し、支える人々への支援は今後も継続して行っていく必要があります。  そこで伺います。  第一点は、現在の本県文化芸術活動の状況と県の認識についてお示しください。  第二点は、県の文化芸術活動を支援する事業の実施状況と今後の取組についてお示しください。  これで、一回目の質問とします。    [知事塩田康一君登壇] 26 ◯知事(塩田康一君)まず、ビジョン見直しの考え方や鹿児島の将来像等についてでございます。  かごしま未来創造ビジョンにつきましては、おおむね十年という中長期的な観点から、鹿児島の目指すべき姿や施策展開の基本的方向等を示すものであり、県政全般にわたって最も基本となるものとして、平成三十年三月に策定されたものであります。  その後、新型コロナウイルス感染症の拡大、デジタル・トランスフォーメーション、SDGsやカーボンニュートラルなど、昨今の社会経済情勢が大きく変化してきており、これらへの対応が重要になってきたところでございます。  このため、県議会をはじめ、県民の皆様方の御意見をお聞きしながら、県勢発展に向けて県民の皆様と一丸となって取り組めるビジョンとなるよう、今年度中の見直しを進めているところでございます。  本格的な人口減少や少子高齢化の進行、経済のグローバル化の進展、技術革新の急速な進展、新型コロナウイルス感染症の拡大など、大きな変革期の中にあって、何よりも時代の流れを的確に見据え、県勢の発展や県民福祉の向上に向けて、各般の施策を着実に推進していくことが求められております。  将来を見据え、魅力ある本県の素材─ポテンシャル─を最大限に生かしながら、地域に仕事をつくり、地域への人の流れをつくっていくことが重要であり、あらゆる分野でのデジタル化をはじめとするデジタル社会の実現に取り組みながら、住みやすい地域づくり、より多くの人材に選んでもらえる地域づくりを目指してまいりたいと考えております。  今後の県勢発展の基盤をしっかりとつくっていくため、鹿児島の基幹産業である農林水産業、観光関連産業のさらなる振興に取り組むとともに、高い技術力を有する製造業の競争力の強化や将来を担う新たな産業の創出にも取り組み、鹿児島の「稼ぐ力」の向上を図ってまいりたいと考えております。  こうした様々な取組を通じて、経済を持続的に発展させることで、地域の格差是正を図り、県民所得の向上を図って、県民の皆様の暮らしと雇用を守りたいと考えております。  また、結婚・出産・子育てしやすい環境の整備や高齢者が健やかで生きがいを持てる社会の形成などに取り組み、これらを基盤として、将来にわたって高齢者や女性、障害者、子供など、誰もが安心して暮らし、活躍できる鹿児島をつくってまいりたいと考えております。  このビジョンの見直しに当たっては、長期的な人口減少・少子高齢化の進行等もしっかりと見据え、それを踏まえて必要な施策を検討するなど、バックキャスティングの視点も取り入れることとしており、SDGsの考え方やデジタル・トランスフォーメーション、カーボンニュートラルの動向等を踏まえ、まずは中長期的な視点で将来像を描いた上で、必要となる施策を検討してまいりたいと考えております。  次に、盛土規制に関する条例化についてでございます。  本年七月に発生した静岡県熱海市の土石流災害については、活発な梅雨前線豪雨が続く中で発生し、甚大な被害をもたらしたものであり、現在、上流域における盛土等との関連について、原因究明のための調査が行われていると承知しております。  最近の異常気象に鑑み、本県においても、土砂災害防止に向けての取組を一層進めることが重要であると改めて認識したところであります。  盛土による災害防止に向けては、国は、危険箇所への対応や土地利用規制など安全性を確保するために必要な対応策を検討するため、関係府省連絡会議及び有識者会議を設置することとし、八月には第一回の連絡会議を開催したところであり、今後、実務的な議論を行い、土地利用規制などの制度対応についても検討するとしております。  県内では、これまで確認できた限りにおいては、人家等に被害を及ぼす不適切な盛土による土砂災害事案は発生していないと認識しておりますが、県としては、現在、他県における盛土崩壊事例や規制条例等を基に、本県における盛土規制の必要性等について検討を進めているところであります。  今後、国による制度対応に係る検討状況や盛土の総点検結果も参考にしながら、条例化の必要性も含め、盛土の安全性を確保するために必要な対応策の検討を行ってまいりたいと考えております。 27 ◯総合政策部長(前田洋一君)かごしま未来創造ビジョン第一回有識者委員会で出された主な意見の内容についてでございます。  先月開催された有識者委員会では、人口減少下のポストコロナを鹿児島が生き抜いていくに当たって、産業の生産性の向上は大きなポイントである、鹿児島の可能性がデジタル・トランスフォーメーションによって広がる、ワーケーション、兼業副業、二拠点居住といった点にも目配りをしていく必要がある、人手不足解消のために外国人材の活用が必要、サステナブルな農業、漁業、林業というようなコンセプトがあってしかるべき、離島を最大限に活用してほしい、地方に住んでいても公平かつ多様な学びができるようにする必要があるといった御意見を頂いたところでございます。  また、県民向けアンケート調査や座談会におきましては、鹿児島県の優れている点といたしまして、世界自然遺産と世界文化遺産に代表される、自然、文化、歴史や食などの豊かな素材といった御意見が挙げられた一方で、改善が必要な点といたしまして、素材に頼り、付加価値を生み出すのが苦手といった御意見を頂きました。  また、十年後の鹿児島県の目指す姿として、多様性を受け入れ、外国人を含め全ての人が活躍できる鹿児島、誰もが取り残されない社会、自然と共生した社会といった御意見等が挙げられ、目指す姿に向けて必要な取組として、ICTの積極的導入、地域産業の生産性・収益性の向上や観光消費額を高めるなど、地域の稼ぐ力を向上させる取組、SDGsに対する積極的な取組、外国人の積極的な受入れと体制の充実が必要といった御意見を頂いたところであります。  このように全体といたしましては、ポストコロナ、デジタル・トランスフォーメーション、「稼ぐ力」の向上、地方回帰、SDGsや、自然・食・歴史・文化を生かした観光産業の活性化、教育環境づくりなどについての御意見が多かったところです。  今後、こうした御意見を踏まえ、また、県議会で御論議いただきながら、見直し作業を進めてまいりたいと考えております。  次に、新たな総合体育館の整備に関するお尋ねのうち、先行事例調査の結果と第三回検討委員会の主な協議内容についてであります。  先行事例調査につきましては、検討委員会における新たな総合体育館の検討に資するため、七月二十日と二十一日に和歌山ビッグウエーブ等におきまして、メインアリーナやサブアリーナ、柔剣道場、諸室など、施設の規模や構成等について調査が行われました。  調査後、委員からは、施設のイメージをつかむことができ参考になったなどの意見が出されたところであります。  この調査と併せまして、七月二十一日に和歌山で開催した第三回の委員会におきましては、競技面数について、各種基準等に基づき議論していただき、メインアリーナはバスケットボールコート四面、サブアリーナは同二面、柔剣道場は柔道場二面・剣道場二面の計四面が適当とされたところであります。  また、観客席の規模につきましては、県議会第二回定例会の総合政策建設委員会におきまして、より詳細な検討を求められておりましたことから、国際大会の開催の目安となるアリーナ標準やコンサートの需要予測調査結果で示された八千席のほか、五千席、一万席の規模について比較・検討していただいたところでございます。  その結果、五千席規模の場合は、コンサートの開催実績がほとんどなく、一万席規模の場合は、地方部に立地している施設ではコンサートの開催頻度が落ちることが確認されたことから、八千席程度が適当であるとされたところであります。  次に、施設の機能や規模・構成及び立地環境の具体的な検討結果についてであります。  九月十三日に開催した第四回の検討委員会におきましては、同委員会におけるこれまでの検討結果を踏まえた施設のコンセプトについて協議し、委員間の共通認識が得られたところです。  具体的には、新たな総合体育館については、スポーツ振興の拠点として、するスポーツをベースとしたアスリートファーストの施設とするとともに、みるスポーツや、ささえるスポーツにも対応できる施設とすることにより、競技力の向上や競技人口の増加、県民、とりわけ子供たちへの良質なスポーツ環境の提供を図ることとされたところです。  また、多目的利用による交流拠点として、コンサート・イベント等の開催を通じ、様々な人々が交流できる施設とすることにより、にぎわいの創出や経済波及効果など地域活性化とともに、施設の収益性にも寄与することとされたところでございます。
     施設の規模・構成につきましては、メインアリーナがバスケットボールコート四面・観客席八千席程度、サブアリーナがバスケットボールコート二面、柔剣道場が柔道場二面・剣道場二面で計四面、弓道場が近的で十二人立ち・遠的で六人立ちとされたところであります。  また、このコンセプトに示された総合体育館の機能を最大限発揮させる観点から、その立地条件について検討した結果、交通利便性や宿泊・商業施設の集積状況などを踏まえると、鹿児島市に立地することが望ましいとされたところです。  最後に、整備候補地の選定方法と提案時期についてであります。  整備候補地の選定に当たっては、第四回の検討委員会において、委員から、駐車場の確保や周辺住宅への影響のほか、全国大会やコンサートなど、多数の来場者が短時間に移動することを想定した周辺道路の状況などについて考慮すべきであるとの御意見を頂きました。  今後、施設のコンセプトやこれらの意見も踏まえた上で、土地の現状や都市計画法等の関係法令との関連も含め、鹿児島市とも連携を図りながら、整備候補地の選定を行うことになると考えております。  次回の検討委員会は十一月の開催を予定しておりまして、そこで複数の整備候補地を提案いたしまして、御論議いただきたいと考えております。 28 ◯土木部長(兒島優一君)県が実施した大規模盛土造成地調査事業についてでございます。  大規模盛土造成地調査事業は、大規模盛土造成地がある二十五市町、千九百二十六か所の盛土のうち、宅地造成工事規制区域の指定等の権限を有する鹿児島市など四市を除いた二十一市町にある六百六十か所の大規模盛土造成地を対象に調査を実施いたしました。  この調査では、現地におきまして盛土やのり面の変状の有無などを確認し、地盤調査などの詳細な調査の必要性について優先度評価を行い、この結果、四百一か所を優先度が高いと評価したところでございます。  また、優先度評価などの結果につきまして、宅地カルテとして取りまとめ、本年四月に関係市町に提供しており、関係市町におきましては、当該カルテを基に、優先度の高い造成地について、現地確認や地盤調査などを行っているところでございます。  県といたしましては、大規模盛土造成地を含め、宅地の防災対策に取り組む市町村に対し、引き続き、技術的な支援を行ってまいります。  県が国に先行して実施した盛土の点検についてでございます。  熱海市の土石流災害を受け、県は、開発行為箇所の安全性を早急に確認する必要があると判断し、土石流を対象とした土砂災害警戒区域及びその上流域に含まれる大規模盛土造成地、施工中の林地開発許可地、盛土を含む砂防指定地内の開発行為箇所、計四百六十九か所について、許可どおりの構造となっているかなど現地で目視点検を実施したところ、異常は認められなかったところでございます。  また、この点検で得られた各箇所の情報につきましては、国と地方公共団体が連携して実施する盛土の総点検に活用し、点検作業の効率化を図ることといたしております。  国と連携した盛土の総点検についてであります。  国と地方公共団体が連携して実施する盛土の総点検につきましては、盛土による災害防止のための総点検要領に基づき、近年形成された盛土を対象として行うことといたしております。  具体的には、法令等に基づく許可・届出資料等から確認した盛土や国から提供された盛土可能性箇所データ等から推定される盛土のうち、土石流を対象とした土砂災害警戒区域の上流域などにある盛土、及び大規模盛土造成地を対象に点検を実施することといたしております。  点検におきましては、許可・届出等の必要な手続が行われているか、許可・届出等の内容と現地の状況が相違していないか、災害を防止するための必要な措置が取られているかなどを確認することといたしております。  県におきましては、現在、国の要領に基づき、点検対象箇所の抽出作業を進めているところであり、今後、現地調査等を実施し、点検結果を取りまとめることといたしております。  現行の法体系の下で行われている盛土への対応についてでございます。  開発を規制する法令・条例といたしましては、都市計画法、森林法、砂防指定地及び砂防設備の管理に関する条例などがあり、各法令等に基づく要件を満たし、安全性などが確認できた場合に、盛土を含む開発行為の許可を行っており、開発行為の終了後には完了検査を行っております。  許可どおりの工事を行わない者や無許可の者などに対しては、勧告や命令により、開発行為の中止や是正、原状回復を求めることとしており、罰則規定も設けられております。  また、許可事業者が施工中に変更となった場合には、事業を承継した者に対して、許可どおりの施工がなされるよう、適正な処置を求めることといたしております。 29 ◯観光・文化スポーツ部長(悦田克己君)まず、観光産業の状況と県の認識についてでございます。  昨年四月の国の緊急事態宣言の発出以降、本県の観光客数は大幅に減少しております。  今年度は、国の地域観光事業支援を活用いたしました、今こそ鹿児島の旅第二弾などの県民向け県内旅行需要喚起策の効果もあり、一時的に持ち直しの動きは見られるものの、国による緊急事態宣言の発出や県内での感染の急拡大などの影響により、本県観光関連産業は依然として厳しい状況が続いております。  実際、県で実施しております観光動向調査によりますと、県の感染状況の段階がステージIIにあった七月におきましても、県内の主要施設における宿泊者数は、コロナ禍以前の一昨年七月と比較すると約七割にとどまっている状況でございます。  また、主要観光施設やドライブインの入場・来場者数も同様であり、本県観光関連産業は非常に厳しい状況にあると認識しております。  次に、観光産業を支援する事業の実施状況と今後の取組についてでございます。  県では、観光関連産業を支援するため、今年度、今こそ鹿児島の旅第二弾や、かごしま旅クーポン等により、さらなる需要喚起に取り組みますとともに、昨年より引き続き、宿泊施設や観光施設等における事業者自身による誘客や受入れ環境整備の取組を支援しているところでございます。  しかしながら、需要喚起策につきましては、感染の拡大により、現在事業を一時停止しているところであり、今後感染が落ち着き次第、直ちに再開することとしております。  また、六月補正予算により、宿泊事業者が行います感染防止対策の強化や、ワーケーションなどの新規需要を取り込むための改修などの前向き投資に対する支援を行うとともに、宿泊施設の感染防止対策に係る第三者認証の取組も進めているところでございます。  今後とも、感染拡大の状況・変化に適切に対応し、感染防止対策の徹底を図りつつ、効果的な需要喚起策を切れ目なく展開することにより、本県観光の回復とさらなる活性化を図ってまいります。  三つの世界遺産を生かした今後の観光振興策についてでございます。  奄美大島・徳之島の世界自然遺産登録により、本県は、屋久島と合わせまして二つの世界自然遺産を持つ全国唯一の県となりました。普遍的な価値を認められた世界遺産を明治日本の産業革命遺産と合わせて三つも有することは、国内のみならず、海外からの観光客誘致においても大きなセールスポイントになると考えております。  県といたしましては、このセールスポイントを最大限に生かし、地元市町村や観光関連事業者など幅広い関係者と連携して、鹿児島と屋久島、奄美群島を結ぶ世界遺産クルーズなどの新たな周遊観光ルートの開発や商品化、効果的なプロモーション等に積極的に取り組み、さらなる誘客や観光消費額の増加など、本県全体の観光振興につなげてまいりたいと考えております。  次に、本県の文化芸術活動の状況及び認識についてでございます。  本年八月に県文化協会に加盟いたします三十四の文化芸術団体を対象に実施いたしました調査によりますと、令和二年八月から令和三年七月までの一年間に予定していた七十二公演等のうち、約六〇%の四十二件が中止・延期され、また、今後一年間に予定しております七十公演等のうち、約二五%の十八件の中止・延期が既に決定しているとのことでございました。  また、県有文化施設であります宝山ホール、みやまコンセールにおけるコンサート等の公演の開催状況につきましては、令和元年度の二百六十七公演に対しまして、令和二年度は百八十三公演の開催となり、約三割の減少となっております。  このように、新型コロナウイルス感染症の感染拡大で、文化芸術活動をされている方々の練習や発表の場の多くが失われ、これにより、関係団体の運営やアーティストの活動に多大な影響を及ぼしていると認識しております。  文化芸術活動の支援の状況と今後の取組についてでございます。  県におきましては、昨年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により、文化芸術活動の中止・延期を余儀なくされた文化芸術団体等に対しまして、映像の制作・配信による発表機会の創出や、中止となった公演等の再開に対する支援を実施いたしました。  今年度は、コロナ禍におきましても活動を再開・継続できるよう、文化芸術団体等が行う感染症対策や公演等の映像配信などに要する経費の助成を行っているところでございます。  また、国におきましても文化芸術関係者への支援に取り組んでおりまして、これらの支援策につきましては、県のホームページ等でも周知を図っているところです。  県といたしましては、今後とも文化芸術団体等の要望も踏まえながら、コロナ禍においても文化芸術団体等の活動が継続できるよう、引き続き支援に努めてまいります。 30 ◯宝来良治君 自席から、知事に再質問いたします。  新たな総合体育館の整備についてであります。  ただいま、鹿児島市と連携しながら整備候補地の選定を行い、十一月に予定する検討委員会に複数の候補地を提案するというお答えを頂きました。  ただ、県は現在のところ、整備予定地としてドルフィンポートは否定していない状況であります。  私としては、当然、ドルフィンポート跡地も整備候補地と選定されるのではと考えているところなんですが、県は現在、ドルフィンポート跡地の有効活用ということで、コンベンション・展示機能を備える施設の調査、経済波及効果、市場動向調査を行っているところです。十一月に整備候補地として県が提示するということで、コンベンションを含めた展示機能の施設、体育館、両方とも県の今後を担う大型案件であることから、県民も大きく注目しています。  ということで、十一月に候補地を挙げるということは、十一月までにドルフィンポート跡地の活用についても一定の方向性が示されると考えてよろしいんでしょうか。 31 ◯知事(塩田康一君)今日お答え申し上げた、次回の検討委員会、十一月に開催される中で幾つか複数の整備候補地を挙げる。そういう中にドルフィンポートが入ってくる可能性があるという御指摘でありますが、まだそこで決まっているということでもありませんし、また、今、ドルフィンポートについては御指摘のような調査もしておりますので、その辺は担当部局の間でしっかりと連携しながら、今後また検討していきたいと思っております。 32 ◯宝来良治君 時期的に、もう体育館が決まると、その後にドルフィンポートの活用が決まるということと、優先順位というのはまた別なのかなと思いますが、その辺の考え方はいかがですか。二つの施設の優先順位。 33 ◯知事(塩田康一君)今、特にどちらが優先ということでは必ずしもなくて、体育館については体育館のほうで今、施設の規模とか構造というのを御議論いただいていて、今度、整備候補地を幾つか出していただくということで、ドルフィンポートのほうでは展示あるいはコンベンションの機能、整備ということを今、調査しているという状況でございますので、それを二つ並べてまた検討するということで、特段どちらが先ということでは必ずしもないと考えております。 34 ◯宝来良治君 もう一点、知事に再質問しますけど、体育館の需要予測調査として多目的利用が最大二四%あるということで、持続可能な社会を目指すためにも、年間必要とする維持費に関しては体育館でしっかりと収益を上げていくことが、現在の公共施設の考え方ですよと検討委員会でも意見が出たところです。収益を上げるのは、もちろん県民スポーツでは収益は上がらないので、多目的利用のコンサートやプロスポーツ等の興行になるかと思います。ただ、現在の議論では、機能、規模・構成等は検討されているんですが、収益を上げるための、例えば大型クレーンが入りますよとか、床の構造がこうですよという議論はされていない状況で今、検討委員会が進んでいると思います。  持続可能な体育館の建設という視点で、今後検討委員会で議論されるというような予定があるのか。また、財政が厳しい鹿児島県として、体育館の維持費を稼ぎ出す覚悟で体育館を建設するのか、知事の覚悟をお示しください。 35 ◯知事(塩田康一君)ここで御指摘いただいた多目的利用が最大二四%ということで、これは体育館の維持費について、できるだけこういった収益を上げていくということでございますので、どういったコンサートなり興行があるかというのはまたこれからだとは思いますけれども、しっかりとそこで収益を上げていくという考え方で、しっかりと対応していきたいと思っております。    [宝来良治君登壇] 36 ◯宝来良治君 それぞれ御答弁頂きました。  かごしま未来創造ビジョンの見直しに当たっては、バックキャスティングの視点も取り入れて、新たな時代の潮流を踏まえた鹿児島の目指す姿の検討、鹿児島の目指す姿と現状とのギャップの把握、目指す姿を実現するための施策の方向性を再検討するとしていることは、極めて有効なアプローチであると考えるところであります。実効性のある未来創造ビジョンの策定に向けた取組を期待するところであります。  新たな総合体育館の整備については、これまでの検討委員会における施設の機能や規模・構成及び立地環境についての検討結果を踏まえ、鹿児島市とも連携を図りながら整備候補地の選定を行い、十一月に開催を予定している検討委員会に複数の候補地を提案し、御議論いただきたいと考えているとの答弁がありました。今後、本会議及び所管の委員会における議論を踏まえて、しっかりと対応していくことが重要だと思います。  県民の注目は、体育館の建設並びにコンベンション・展示会場の大型施設が二つ、実際県にできて、それが財政的にどうなのか、県民のためにどうなのかというところにポイントがきていると思います。慎重な議論をお願いしたいと思います。  熱海市土石流災害を受けた県内の盛土対策について、現在、他県の盛土崩壊事例や規制条例等を基に、本県における盛土規制の必要性について検討を進めており、今後、国の土地利用規制などの制度対応に係る検討状況等を参考に、条例化の必要性も含め、盛土の安全性確保に必要な対応策を検討するとのことであります。災害多発県であります本県として、ぜひとも積極的な取組を強く要請しておきます。  観光産業の現状と今後の対応については、新型コロナウイルスの十九都道府県での緊急事態宣言、本県のまん延防止等重点措置の延長等の下、観光業界は需要の低迷により極めて厳しい状況に置かれております。国のGoToトラベル事業は感染拡大により全国一律で停止されたままでもあり、県民向けの旅行割引も休止が長期化しており、深刻な状況にある県内観光業界からは、今後のワクチン接種の進展による県をまたぐ旅行など行動制限の緩和や、国、自治体の観光振興策を切望する関係者の声が寄せられております。  観光業界の実情を踏まえた今後の支援策の実施と、コロナ終息後の観光需要の回復に向け、奄美大島・徳之島と屋久島の世界自然遺産並びに世界文化遺産、三つの世界遺産を有する本県の貴重な観光資源を生かし、県全体の観光振興につなげていく取組が極めて重要であります。  文化芸術活動については、現在のコロナ禍において制約せざるを得ない状況にありますが、文化芸術の持つ意義に十分に留意しつつ、可能な限りの支援に努めていただくよう要望いたします。  次に、教育関係であります。  全国学力・学習状況調査について伺います。  文部科学省は五月二十七日、全国の小学六年生と中学三年生を対象とした全国学力・学習状況調査を実施し、八月三十一日に結果が公表されました。昨年度は新型コロナウイルスの感染拡大の影響により中止されたため、二年ぶりの実施となりました。  この調査は、児童生徒の学力を把握して、学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てること等を目的に、平成十九年度に始まりました。調査対象は全国の国公私立学校に通う児童生徒で、今年度は約百九十四万人が参加し、国語と算数・数学の二教科のテストを受けました。本県では、約二万七千人の児童生徒が参加いたしました。  今年度の県内における公立学校の結果は、小学校では国語、算数ともに全国平均を上回り、中学校では国語、数学ともに全国平均を下回ったものの、前回の二年前の調査より全国平均との差は縮まりました。  平成三十一年二月に策定された鹿児島県教育振興基本計画の中で、数値目標として、全教科で平均正答率が全国平均を上回ることが挙げられています。  小学校で二教科そろって全国平均を上回るのは、対象学年全員が参加するようになった平成二十五年度以降初めてです。これは、これまでの様々な取組が実を結んだ結果であり、非常に喜ばしいことです。  一方、中学校については、八回連続で全国平均を下回りましたが、全国平均との差は縮まってきております。今後、さらなる分析をし、学力向上対策についてどのように対応していくのかが重要となります。  また、今回、新型コロナウイルス感染症の影響による児童生徒の学習状況調査も実施されましたが、昨春の一斉休校時に勉強への不安を感じたと回答した児童生徒は六割前後に上りました。休校中に、学校からの課題で分からないことがあったときに、自分で調べたや家族に聞いたと回答した児童生徒の割合が多かったのに対し、先生に聞いたと回答したのは一割前後で、休校中の家庭学習の負担が大きかったことが分かります。また、分からないことをそのままにしたと回答した児童生徒の割合は、本県では全国平均より多かったとのことであります。  今後のさらなる新型コロナウイルス感染拡大や災害等による学校の臨時休業等の緊急時においても、国のGIGAスクール構想による児童生徒一人一台端末のICT機器の活用等により、家庭学習においても学校とのつながりを継続し、児童生徒の心身の健康と学習の両面を支えていくことが必要です。  そこで伺います。  第一点は、今回の調査の結果に対する教育長の所感についてお示しください。  第二点は、学力向上対策の今後の取組についてお示しください。  第三点は、タブレットの自宅持ち帰りに関する状況など、ICT機器を活用したオンラインによる学習支援等の状況についてお示しください。  次に、特別支援教育の推進について伺います。  障害のある子供の学びの場については、平成二十六年に批准された障害者権利条約や平成二十八年に施行された障害者差別解消法を踏まえ、障害のある子供と障害のない子供が可能な限り共に教育を受けられるように、多様で柔軟な学びの場を整備するとともに、適切な合理的配慮の提供を受けながら、一人一人に応じた指導・支援を受けられるよう対応することが必要です。  このため、障害の状態等に応じ、特別支援学校、小・中学校の特別支援学級、通級による指導等、様々な学びの場が用意されていますが、この特別支援教育を受ける児童生徒数は年々増加しております。  特別支援学校については、在籍者数の増加により慢性的な教室不足が全国的に続いており、教育環境を改善するため、国は、学校教育法第三条に基づき、特別支援学校設置基準を新たに制定することとし、今年五月に特別支援学校設置基準の制定─案─概要を発表しました。今年度中に正式に決定し、一部を除き来年度より施行される予定です。  現に存する特別支援学校の編制並びに施設及び設備については、当分の間、なお従前の例によることができるとされているものの、設置基準案は、特別支援学校を設置するために必要な最低の基準であることから、今後、基準を踏まえた整備等に努めることが求められます。  本県の特別支援学校の整備状況については、現在、鹿児島市南部地区に高等部を有する特別支援学校を令和五年四月の供用開始に向け整備を進めています。また、種子島の中種子養護学校では校舎改築工事に着手したところです。  特別支援学校には、地理的条件から児童生徒が長時間通学をしている状況があり、身体的負担も大きいことから早期解消が望まれます。  また、近年の特別支援教育へのニーズの高まりから考えると、今後の県全体の特別支援学校の配置等を含めた教育環境の改善に向けた取組についても計画的に検討していく必要があります。  一方、学校教育法施行規則の改正により、平成三十年四月から高等学校における通級による指導が制度化されました。文部科学省が令和元年度に実施した、高等学校及び中等教育学校における通級による指導実施状況調査の調査結果によると、本県の通級による指導が必要と判断された生徒二十五人のうち、実際に通級による指導が行われた生徒は一校十一人で、残り十四人については通級による指導が行われなかったという結果でした。  今年度は、県立高等学校の三校において通級による指導が実施されていますが、小・中学校における通級による指導を受けている児童生徒の状況から考えると、高等学校での通級による指導の対象となる生徒は県内各地に在籍していることが推測され、県内全域において高等学校における通級による指導をさらに充実していくことは喫緊の課題です。  そこでお伺いします。  第一点は、今回示された特別支援学校設置基準案の概要及び本県内の特別支援学校は、設置基準案に照らして編制、施設及び設備は足りているのかについてお示しください。  第二点は、設置基準案に不足している場合の解消及び今後の県全体の特別支援学校の配置等を含めた教育環境の改善に向けた取組をどのように行っていくのかについてお示しください。  第三点は、高等学校における通級による指導の充実に向けた今後の取組についてお示しください。  次に、通学路の安全対策についてお伺いします。  今年六月、千葉県八街市において、下校中の児童の列にトラックが突っ込み、小学生五名が死傷する痛ましい事故が発生しました。  国は、この事故を受け、通学路における交通安全を一層確実に確保することが重要であるとして、関係省庁の文部科学省、国土交通省及び警察庁の三省庁で、通学路における合同点検の実施について七月に関係機関へ依頼し、十月末をめどに危険箇所の対策案の検討・作成を求めています。  本県においても、事故後、報道機関が県内四十三市町村に取材した結果、学校側が改善を要望した通学路の危険箇所は八百十四か所に上るといいます。  通学路の交通安全対策については、教育委員会、学校、PTA、警察、道路管理者等を含めた関係者で構成する各市町村における通学路安全推進会議等を中心に進められています。定期的な合同点検等が実施されており、対応必要箇所については、具体的な対応策を検討する仕組みは既にあるところですが、今後とも地域社会全体で子供を見守る体制を継続していくことが重要です。  また、これまでも、児童など歩行者の安全な通行を確保することを目的として、通学路をゾーン30に指定したり、登下校時の通学路の進入禁止等の一定の対策は取られてきており、学校においても、地域ボランティアのスクールガードを活用した登下校時の見守り活動などを実施しています。
     先般の事故を受け、本県でも改めて通学路の危険箇所をリストアップし、関係機関が連携して実効性のある対策について検討し、子供たちを危険から守り、安全な通学路の確保に向けた取組を一層推進することが必要です。  また、学校においては、学校教育活動を通じ、児童生徒が自身で道路における危険を予測し、回避できる能力を養うことも求められています。  そこで伺います。  第一点は、学校における通学路の安全対策に係る取組についてお示しください。  第二点は、道路管理者における通学路の安全対策に係る取組についてお示しください。  第三点は、警察における通学路の安全対策に係る取組についてお示しください。  以上で、二回目の質問とします。 37 ◯教育長(東條広光君)教育関係について、まず、全国学力・学習状況調査の結果に対する所感についてであります。  今年度の全国学力調査における正答率については、県内の小学校は、国語、算数ともに全国平均を上回り、また、中学校は、国語、数学ともに全国平均に届かなかったものの、その差は縮まってきております。  これは、これまでの確かな学力の定着に向けた取組の成果が現れてきたものと見ることもできますが、市町村別や学校別で見ますと正答率にばらつきがありますことから、県全体の学力向上が課題であると考えております。  県教委としては、今回の調査結果を詳細に分析し、本県としての取組についての検証・改善を行うとともに、市町村教育委員会及び学校においても、それぞれの市町村や学校ごとに児童生徒の学力や学習状況を把握・分析して、教育指導の充実や学習状況の改善につなげるよう求めてまいりたいと考えております。  次に、学力向上対策の今後の取組についてであります。  詳細な分析はこれからでありますが、今回の調査における正答率を問題別に見ますと、本県の子供たちは、例えば、自分の考えや解決方法を説明する問題では全国平均を上回りましたが、文章表現の意図を問う国語の問題や、事柄が成り立つ理由を数学的に説明する問題では全国平均に届いておりません。  こうしたことを踏まえますと、主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善に取り組む中で、特に、表現方法の異なる複数の資料等を比較させる活動や、事実や根拠を明確にして説明させる活動などに、より丁寧に取り組ませることが求められていると考えております。  いずれにいたしましても、今回の調査結果を詳細に分析し、本県のこれまでの取組の検証・改善を行うことで、教育指導の充実や学習状況の改善につながるよう取り組んでまいりたいと考えております。  次は、オンラインによる学習支援等の状況についてであります。  県内の公立の小・中学校では、昨年度末までに、おおむね全ての学校で一人一台端末の環境が整ったところであり、一部の学校においては、例えば、時差登校等の実施に当たって、学習支援アプリを用いて課題を送信して回答させる取組や、ウェブ会議システムにより学校と家庭との間で同時双方向のやり取りを行う等の取組が行われております。  各学校へのアンケートによりますと、端末を用いたオンラインによる家庭での学習支援の実施については、家庭における端末の安全な利用環境等の整備、教職員のオンライン学習に関する技術力の向上、児童生徒の端末の操作能力の育成や情報モラルの徹底などの課題もあるとされ、緊急時に端末を持ち帰らせて学習させることのできる県内の公立の小・中学校は、今年七月末時点で、全体の約三五%となっております。  県教委としては、家庭におけるオンラインによる学習支援等の充実を図るため、これまで市町村教育委員会に対し、通信環境のない家庭への貸与用Wi─Fiモバイルルーターや遠隔学習用機材の整備、端末の家庭への持ち帰りルールの策定、オンラインの活用等に係る教員の研修、ICTを活用した効果的な指導例や、児童生徒が端末を活用する際のルール例の紹介などの支援や助言を行ってきているところでありまして、引き続きこうした取組に努めてまいります。  次は、特別支援学校の設置基準案についてであります。  文部科学省では、現在、在籍者数の増加により慢性的な教室不足が続いている特別支援学校の教育環境を改善する観点から、学校教育法に基づく特別支援学校設置基準の制定に向けた検討を進めており、今年五月には、学科、編制、施設及び設備に関する基準案を示したところであります。  基準が制定された場合におきましても、既存施設については、当分の間、従前の例によることができるとされておりますが、仮に基準案を現在の本県特別支援学校十六校に当てはめてみた場合、学科及び編制については、全ての学校が基準案を満たすこととなりますが、施設及び設備については、障害の種類によって運動場を用いることが少ない二校を除き、五校が校舎または運動場の広さにおいて基準を下回ることとなります。  今後の特別支援学校の教育環境の改善についてであります。  特別支援学校の施設及び設備に係る基準案を下回る五校のうち、武岡台養護学校と桜丘養護学校の二校の校舎面積については、現在、鹿児島市南部地区に整備中の特別支援学校が開校することにより、また、中種子養護学校の運動場面積については、現在、同校で行っております校舎の建て替えにより、それぞれ基準案を満たすこととなる見込みであります。  これら以外の学校で、基準案を機械的に既設校に適用した場合、これを下回る牧之原養護学校と鹿屋養護学校の校舎面積の課題解消につきましては、県教委としては、今後、他校でも見られております長時間通学の課題等も含め、県全体の特別支援学校の教育環境の改善として、各特別支援学校の状況を勘案しながら、既存施設の改修や学校の分置なども含めて検討し、優先順位を定めて、計画的に対応してまいりたいと考えております。  次は、高等学校における通級による指導の充実についてであります。  通級による指導は、自閉症や学習障害などの発達障害等のある生徒が、大部分の授業を通常の学級で受けながら、週一、二時間程度、個別または少人数で障害に応じた特別の指導を受けるもので、障害による学習上または生活上の困難の改善・克服を図ろうとするものであります。  本県では、今年度、開陽高校など三校で二十七人の生徒を対象に、担当教員を配置して通級による指導を実施しており、来年度から開始する学校においては、指導の内容や進め方についての研修に加え、教育課程の編成など、準備を進めているところであります。  県教委としては、引き続き、国に対し教員の確保のための財政措置を要望するとともに、担当教員に対する発達障害等に関する研修の充実を図るなどして、高等学校における通級による指導の充実に努めてまいりたいと考えております。  次は、学校における通学路の安全対策についてであります。  先般、千葉県八街市で発生した小学生の死傷事故を受け、現在、各市町村教育委員会においては、各学校がリストアップした危険箇所について、学校、PTA、道路管理者及び地元警察署による合同点検を行っているところであり、十月末を目途に、ソフト面を含め対策案を作成し、道路管理者や地元警察署の協力を得ながら、可能なものから実施に移していくこととしております。  各学校では、これまでも児童生徒に対し、校区内の安全マップづくりなどを通じ、身の回りの危険箇所等を認識させるとともに、様々な状況や場面において危険を予測し、安全に行動できる能力を身につけさせるよう努めてきております。  また、交通安全協会や警察等の協力の下、交通安全教室等において、正しい横断歩道の渡り方や安全な自転車の乗り方等を教えるとともに、スクールガードなどボランティアの方々の協力を得て、見守り活動を行い、登下校時における子供たちの安全の確保に努めているところであります。 38 ◯土木部長(兒島優一君)道路管理者における通学路の安全対策に係る取組についてであります。  通学路における交通安全対策につきましては、これまでも、教育委員会や道路管理者、警察などによる通学路安全推進会議が市町村ごとに設置され、定期的に合同点検や対策の立案を行い、通学路交通安全プログラムを策定し、道路管理者におきましては、歩道整備や防護柵の設置などを進めてきたところでございます。  去る六月に発生した千葉県八街市の事故を受け、改めて通学路における交通安全を一層確保する取組として、現在、学校や警察などと連携して合同点検を進めているところであります。  今後、合同点検で抽出された危険箇所につきましては、対策案の検討を行い、対策を実施していくこととしております。  道路管理者といたしましては、今後とも、学校など関係機関と緊密に連携して、通学路の交通安全対策に取り組んでまいります。 39 ◯警察本部長(山田好孝君)県警察における通学路の安全対策に係る取組についてでございます。  通学路の安全対策に係る取組としては、警察官による児童生徒の誘導や車両の指導取締りを行っているほか、学校関係者、道路管理者等との合同の交通安全総点検を実施し、安全な道路交通環境及び交通安全施設の整備に反映をされているところであります。  また、先般、千葉県八街市において発生した事故を受け、改めて学校関係者等と連携して合同点検を実施しており、その実施結果を踏まえて実効の上がる対策を行うこととしております。  今後とも県警察としては、通学路における街頭立哨や交通指導取締りの強化を図るとともに、学校関係者等と連携し、子供たちが安全に登下校できるよう、通学路の安全対策を推進してまいりたいと考えております。 40 ◯宝来良治君 再質問はありません。 41 ◯議長(田之上耕三君)ここで、休憩いたします。  再開は、午後二時五十五分といたします。        午後二時四十六分休憩       ────────────        午後二時五十五分再開 42 ◯議長(田之上耕三君)再開いたします。  宝来良治君。    [宝来良治君登壇] 43 ◯宝来良治君 それぞれ御答弁頂きました。  全国学力・学習状況調査の結果については、従来と同様に秋田、福井、石川などが上位を占める一方で、本県では小学校で初めて二教科そろって全国平均を上回ったことは、これまでの取組の成果が現れたものと評価するところでありますが、中学校は依然として全国平均を下回っていることから、引き続きさらなる学力向上対策の強化を要望いたします。  また、ICT機器を活用したオンラインによる効果的な学習支援等の取組に力を入れていただくよう要望いたします。  特別支援教育の推進については、国の設置基準は、現時点で正式決定に至りませんでしたが、今後、基準に沿った対応を取ることはもちろんのこと、重要なことは、近年の特別支援教育へのニーズの高まりを踏まえ、今後の県全体の特別支援学校の配置等を含めた教育環境の改善に向けた取組についても、計画的に検討を進めていくことを強く要望いたします。  通学路の安全対策については、現在、危険箇所について、学校・PTA、道路管理者、地元警察による合同点検を行っており、ハード・ソフト両面の対策の検討等を行っているとのことであり、各関係機関が連携した実効性のある安全確保対策を実施していただくよう強く要望いたします。  次に、環境林務関係であります。  奄美大島・徳之島の世界自然遺産登録について伺います。  去る七月二十六日、ユネスコの世界遺産委員会において、奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島が世界自然遺産に決定したことは大変喜ばしいことです。  今回の決定は、平成十五年五月に、国の世界自然遺産候補地に関する検討会において、世界自然遺産の候補地に選定されて以降、平成三十年五月の登録延期の勧告や国による推薦取下げ、再推薦、令和元年十月に実施されたIUCNによる現地調査など、長きにわたる遺産としての価値や登録に向けた各般の取組が評価され、結実したものであると考えており、関係機関の皆様の御尽力に心から感謝を申し上げます。  今後は、世界遺産委員会の決議において、一、観光客の収容能力を踏まえた観光管理、二、アマミノクロウサギなど希少種の交通事故死を減少させる交通管理の取組の効果の検証と必要な場合の強化、三、自然再生アプローチを採用するための包括的な河川再生戦略の策定、四、緩衝地帯における森林伐採について、適切に管理するとともに、伐採を厳に緩衝地帯にとどめることの四事項について対応の上、来年十二月一日までにユネスコに状況報告することが要請されたことから、引き続き、これらの対応に取り組む必要があります。  一方で、今回の決定で、屋久島と合わせて二つの世界自然遺産と、一つの世界文化遺産を持つ全国唯一の県となったことから、今後の本県の観光戦略を構築する上で、世界に誇る貴重な観光資源として今後一層の活用が期待されているところです。  世界自然遺産の登録は、奄美の自然や文化のすばらしさを広く発信する絶好の機会であり、今後も関係機関等と連携を図りながら、遺産としての価値の維持、自然環境の保全と利用の両立、地域住民の意識の継続的な向上、国内外への奄美のPRなど、コロナ後を見据えた取組を進めていく必要があります。  そこで伺います。  第一点は、奄美大島・徳之島の世界自然遺産登録決定に対する知事の所感をお示しください。  第二点は、世界自然遺産の登録は、奄美の自然や文化のすばらしさを広く周知する絶好の機会と考えられますが、奄美大島・徳之島の世界自然遺産登録を契機とした情報発信等の取組についてお示しください。  第三点は、自然環境の保全と利用の両立、地域住民の意識の継続的な向上など、各分野における関係機関等が連携した取組の内容についてお示しください。  第四点は、今後、増加が見込まれる外国人を含む観光客等の受入れ体制整備の取組についてお示しください。  次に、県産材の付加価値の向上及び輸出拡大に向けた取組について伺います。  近年、度重なる集中豪雨や台風の襲来等により、河川の氾濫や土砂災害など多くの被害が発生しており、土砂崩壊・土砂流出の防止や水源涵養、地球温暖化防止など、森林の有する公益的機能が改めて注目されています。  本県の森林資源は、スギ・ヒノキの人工林を中心に本格的な利用期を迎えており、森林の適切な整備・管理による公益的な機能を持続的に発揮させながら、豊富な森林資源を循環利用することにより、林業の成長産業化を図る必要があります。  このような中、本県においては、近年、大型木材加工施設や木質バイオマス発電施設が稼働したほか、東アジア等への輸出量も年々増加し、令和二年度の県産材輸出量は、対前年度比約二割増しの二十七万五千立方メートルで過去最高を更新するなど、木材の需要の高まりに伴い、生産量も増加してきています。  しかしながら、本県においては、県内の木材需要に対する県産材の供給割合は五割程度にとどまっていること、乾燥材等の品質の確かな製材品の流通量が少ないこと、輸出する県産材のほとんどが中国向けの丸太であることなどが課題となっております。  また、本年四月以降、ウッドショックと呼ばれる世界的な木材不足と価格高騰が生じています。市場動向の予測は困難なものの、大規模な製材インフラを持つ宮崎県や大分県では、売上げを伸ばしている製材業者・工場がある中、本県は中小規模の製材業者・工場が多いことから、その影響が懸念されるところであります。  一方、国においては、平成二十二年制定の公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律を本年六月に改正し、十月から、名称を脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律と改め、民間建築物を含む建築物一般で木材利用を推進することとしたところです。  このような中、木材需要と密接な関係にある住宅市場は、人口減少等により将来的には縮小することが見込まれていることから、非住宅建築分野での需要創出や製材品の海外への販路開拓が重要となっています。  今後とも本県の林業・木材産業を安定的に成長させていくためには、需要者ニーズに対応した品質や性能の確かなかごしま材の生産体制の整備を進め、県外等への販売力を強化するとともに、付加価値の高い製材品の海外への輸出促進を図り、本県の林業・木材産業の「稼ぐ力」の向上に取り組む必要があります。  そこで伺います。  第一点は、世界的な木材価格高騰─ウッドショック─の本県への影響に対する知事の所感をお示しください。  第二点は、本県における品質や性能の確かなかごしま材の生産体制の整備に向けた課題及び取組についてお示しください。  第三点は、県産材輸出の現状と課題及び取組についてお示しください。  最後に、くらし保健福祉関係で、医療的ケア児等の支援について伺います。  去る六月、医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律が公布され、明日九月十八日から施行されます。  この法律は、医療的ケア児及びその家族に対する支援に関し、国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、保育及び教育の拡充に係る施策その他必要な施策並びに医療的ケア児支援センターの指定等について定めることにより、医療的ケア児の健やかな成長を図るとともに、その家族の離職の防止に資し、もって安心して子供を産み、育てることができる社会の実現に寄与することを目的としています。  県議会においても今年三月に、知事に対し、医療的ケア児及び医療的ケア者が県内のどこに住んでいても安心して医療や教育を受けることができ、ケアを担う保護者も安心して子育てや働くことができる社会の実現を目指して、一、県民への意識啓発、二、医療的ケアに対応する人材の確保や体制の整備、三、医療的ケア児・医療的ケア者の地域生活の支援、四、医療的ケア児・医療的ケア者の入園、就学、社会参加の促進、五、生活実態調査に基づいた施策の展開の五つの項目による政策提言を行ったところであります。  本県の令和二年七月一日現在における医療的ケア児・医療的ケア者の数は二百九十一人で、そのうち二十歳未満の医療的ケア児は二百四十二人となっており、今後も増加することが見込まれます。  国は、都道府県に対し、地域の実情を踏まえた身近な場所において必要な支援を受けられる配慮を行った上で、医療的ケア児及びその家族に対する相談・情報提供・助言等その他の支援を行う医療的ケア児支援センターの設置ができるものとしたことから、本県においてもその設置の是非について検討を行う必要があります。  そこで伺います。  第一点は、本県における医療的ケア児・医療的ケア者に対する政策提言に沿った今年度の取組状況をお示しください。  第二点は、医療的ケア児支援センターの設置に対する県の考えをお示しください。    [知事塩田康一君登壇] 44 ◯知事(塩田康一君)奄美大島・徳之島の世界自然遺産登録決定に対する所感についてでございます。  七月二十六日にユネスコ世界遺産委員会において、奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島の世界自然遺産登録が決定されたところであります。  これまで、十数年もの長きにわたる取組を積み重ねてきた上での登録であり、大変喜ばしく、登録に向けて御尽力いただいた国、沖縄県、地元市町村、関係団体や地域住民の皆様方に心から御礼を申し上げるとともに、各方面にわたる御支援を賜った県議会の皆様方に深く感謝を申し上げます。  本県の持つ大きな特色は、南北六百キロメートルに連なる多くの離島の存在であり、各島の特色ある独特の自然、文化、伝統、多様なコミュニティーなど、多様性を有する離島はまさに鹿児島の宝であると考えております。  私も幼少期に徳之島で生活した経験から、ほかでは味わえない離島の暮らしの魅力を体感したところであり、この地域が、大変大きな可能性を有している地域であると考えております。  今回の登録は、奄美大島、徳之島を含む四つの島が、アマミノクロウサギなど国際的にも希少な固有種に代表される生物多様性保全上重要な地域であることが評価されたものであります。  県では、奄美群島持続的観光マスタープランを策定し、奄美の自然や環境文化を保全・継承しながら、地域の持続的な発展を目指すこととしており、自然を気軽に楽しめる奄美自然観察の森のリニューアルや、文化等の魅力に触れ合える世界自然遺産奄美トレイルの活用も進めているところであります。  引き続き、国、地元市町村等との連携を図りながら、世界自然遺産としての価値の維持、自然環境の保全と利用の両立、機運の醸成を図る取組など、奄美のすばらしい自然が次の世代に継承されるよう着実に取り組んでまいります。  今回の登録により、本県は、屋久島と合わせて二つの世界自然遺産を持つ全国唯一の県となります。普遍的な価値を認められた世界遺産を明治日本の産業革命遺産と合わせて三つも有することは、国内のみならず、海外からの観光客誘客にとっても大きなセールスポイントとなります。
     県としては、他の世界自然遺産地域及び地元市町村、航空会社、航路事業者とも連携を図りながら、体験メニューの充実やエコツーリズムの振興、サイクルツーリズムなど新たな観光コンテンツの開発や効果的なプロモーションの展開などにより、世界自然遺産をはじめとする奄美群島が持つ豊かな自然、個性的で多様な伝統・文化等の観光資源を最大限に生かし、奄美群島、ひいては本県全体の観光振興につなげてまいります。  次に、ウッドショックの本県への影響に対する所感についてでございます。  本県においても、米国等の旺盛な需要を背景とする世界的な木材不足や価格高騰、いわゆるウッドショックの影響で、県森林組合連合会の隼人木材流通センターにおけるスギの製材用木材価格も、六月には約二万三千円まで上昇し、七月以降はやや下落傾向にあるものの、現在でも、例年より五割程度高い一万九千円となっております。  私としては、長期的に低迷していた木材価格が上昇し、森林所有者や林業事業体の収益が向上することによって、再造林の意欲が高まり、森林資源の循環利用の促進につながるものと考えております。  一方で、建築向けの輸入製材品が不足し、県産製材品の需要の増加や価格の上昇が生じており、製材所やバイオマス発電施設等における木材不足や急激な原料調達価格の高騰、住宅価格の上昇などが懸念されるところであります。  こうした中においても、本県における七月末までの新築住宅着工戸数は、昨年より増加傾向にあり、これらに対応するためには、木材の安定供給や製材品の生産体制の整備等に引き続き取り組む必要があると考えております。  今後とも、森林施業の集約化や路網の整備、高性能林業機械等の導入などによる木材の安定供給体制づくりを進めるとともに、需要者ニーズに対応した品質や性能の確かな県産JAS製材品の生産体制の整備や県内外への販売促進に取り組み、本県の林業・木材産業の「稼ぐ力」の向上を図ってまいります。 45 ◯環境林務部長(松下 正君)世界自然遺産登録を契機とした情報発信等の取組についてでございます。  世界自然遺産の登録は、情報を発信する絶好の機会でありますことから、奄美の魅力をPRする動画やユネスコ世界遺産委員会での審議の模様をインターネットで広く配信し、国内外に向けて、奄美の自然や文化のすばらしさを情報発信しているところであります。  また、ポスター、横断幕、のぼり旗などの県有施設等への掲示やミニのぼり、パンフレットの配布、県内外のイベントでのパネル展示、テレビやラジオ番組、雑誌等への取材協力などの取組を行っているところであります。  今後は、首都圏の空港・駅などでのデジタルサイネージ、旅行ガイドブックやアウトドア雑誌、ウェブマガジン等を活用したPRなども実施していくこととしております。  県としては、様々な媒体や機会を通じ、奄美の自然や文化、保護上重要な地域における利用ルールなど、世界自然遺産登録を契機としたさらなる情報発信に努めてまいりたいと考えております。  自然環境の保全と利用の両立など関係機関等が連携した取組についてでございます。  国、本県、沖縄県、地元市町村は、これまで推薦地四島共通の適正な管理の在り方の検討や連絡・調整を行うため、世界自然遺産候補地地域連絡会議を設置しております。  この会議の下に、自然保護、観光関係団体等も参画する島ごとの地域部会を設置し、希少種保護、外来種対策、適切な観光管理等に係る行動計画を策定の上、連絡・調整を図りながら、自然環境の保全と利用の両立、機運の醸成など必要な取組を進めてきたところであります。  また、遺産登録後は、会議の名称を世界自然遺産地域連絡会議に変更して遺産登録地の保全・管理等を推進することとしており、先月開催した同会議、奄美大島部会及び徳之島部会において、世界遺産委員会が決議した要請事項への対応等について協議を始めたところであります。  県としては、今後とも、これらの会議等を活用して、地域住民や関係団体とも連携を図りながら、自然環境の保全と利用の両立等に取り組んでまいりたいと考えております。  品質や性能の確かなかごしま材の生産体制の整備に向けた課題と取組についてでございます。  本県の木材産業は小規模・零細な企業が多いため、規模拡大等により生産能力を強化し、品質や性能が確かで信頼性の高い製材品の供給量の増大を図ることが重要な課題となっております。  このため、県では、新たな製材工場の整備や規模拡大、乾燥施設の整備等に対して支援を行うとともに、品質管理等において条件を満たした工場で生産される認証かごしま材の品質確保に取り組んできたところであります。  また、本年度からは、より付加価値の高いJAS構造用製材の生産体制の構築を図るため、強度測定機や乾燥施設の整備、JAS機械等級区分の認証取得、県内外への販売促進活動に対する支援を開始したところであります。  今後とも、関係機関・団体等と連携を図りながら、需要者ニーズに対応した品質や性能の確かなかごしま材の生産体制の整備に向けて取り組んでまいりたいと考えております。  県産材輸出の課題と取組等についてでございます。  令和二年度の県産材輸出額は、前年度より二割増となる過去最高の約三十一億円を記録しておりますが、そのうち丸太が九六%を占めていることから、より付加価値の高い製材品の輸出促進を図ることが課題であります。  このため、県ではこれまで、製材品の外国語版パンフレットの作成・配布や、海外の建築建材展への参加による認知度向上に努めるとともに、CLTや住宅のフェンス材等の製材品のトライアル輸出や海外バイヤーの招聘等を支援してきたところであります。  本年度は、これらの取組に加え、情報交換や連携強化を図るため、製材品の輸出に意欲的な製材所やジェトロ等で構成する県産材輸出促進協議会製材品部会を新たに設置するとともに、合同商談会の開催に向け、ジェトロと連携して県内の製材所とバイヤー等とのマッチングを開始したところであります。  今後とも、関係機関・団体等と連携を図りながら、付加価値の高い製材品の輸出拡大に取り組んでまいりたいと考えております。 46 ◯観光・文化スポーツ部長(悦田克己君)奄美・徳之島におけます観光客等の受入れ体制整備の取組についてでございます。  世界自然遺産登録により増加が見込まれる奄美地域の観光客の受入れ体制について、ソフト面では、昨年度に引き続き、無料Wi─Fi環境の整備やキャッシュレス決済サービスの導入への支援を行っているほか、今年度は、例年鹿児島市で開催しております外国人観光客受入体制推進講習会を、奄美大島でも開催することといたしております。  また、奄美群島地域通訳案内士や奄美群島認定エコツアーガイドの育成も進めているところでございます。  ハード面では、これまで観光案内板の多言語化等の取組を進めてきており、今年度は、奄美歴史浪漫を巡る観光ルートの解説板整備や奄美トレイル関連の園地整備などに取り組んでいるところでございます。  県といたしましては、今後とも、奄美地域を訪れる観光客が安心・安全で快適に過ごしていただけるよう、地元市町村や関係団体等と一体となって、観光客の受入れ体制の整備に取り組んでまいります。 47 ◯くらし保健福祉部長(谷口浩一君)医療的ケア児等の支援についてでございます。  県における今年度の取組といたしましては、医療的ケア児等が地域において安心して暮らしていけるよう、医療的ケア児等コーディネーターなどの養成を引き続き行うほか、同コーディネーターを地域に派遣し、医療的ケア児を地域で総合的に支援する体制の構築に取り組むなど、人材の確保や体制の整備を図っているところであります。  また、在宅の医療的ケア児等の家族に代わって看護を行う訪問看護師等の派遣に要する経費を助成するなど、地域生活の支援にも取り組んでいるところであります。  さらに、保育所等の施設管理者や保育士、看護師、市町村担当職員を対象に、医療的ケア児に関する知識や保育所等に受け入れるための対応方法に関するセミナーを開催するほか、医療的ケアが必要な児童生徒に対応するため、県立特別支援学校十三校に三十六人の看護師を配置するなど、入園・就学への支援も行っているところであります。  なお、昨年度、医療的ケア児とその家族の生活実態調査を実施し、その調査結果を県のホームページに掲載しているほか、医療的ケア児に対応できる医療機関等の情報を掲載したウェブサイトの運用も行うなど、情報発信にも努めているところであります。  医療的ケア児支援法において、医療的ケア児支援センターは、医療的ケア児やその家族等からの専門的な相談への対応や必要な情報の提供、助言等の支援を行うとともに、地域の児童発達支援事業所等、関係機関に対し、医療的ケアに関する情報の提供及び研修などを行うものとされております。  同センターについては、現時点で、担うべき業務や人員体制など詳細な内容が国から示されていないことから、今後の国の動向を注視しつつ、関係者の御意見も伺いながら、設置について検討を行ってまいりたいと考えております。 48 ◯宝来良治君 自席から、知事に一点だけ再質問させていただきます。  かごしま材の競争力強化についてでございます。  ランドマークの位置づけにもなろうとしている新たな総合体育館の建設でございますが、大胆な木材利用を行うことで、鹿児島県産材の品質はもちろん、国立競技場のように建物自体のアピールもできると思いますが、新たな総合体育館において大胆な木材利用について、知事のお考えをお聞かせください。 49 ◯知事(塩田康一君)基本構想の後の設計段階のお話になろうかと思いますけれども、非住宅の建築物における需要というものをこれから創出していくということが大きな課題だと思っておりますので、ぜひ総合体育館においても、できる限り県産材を使えるようにということで検討してまいりたいと思います。    [宝来良治君登壇] 50 ◯宝来良治君 それぞれ御答弁頂きました。  奄美大島・徳之島の世界自然遺産登録は、奄美の自然や文化のすばらしさを広く周知する絶好の機会であり、登録を契機とした各般の情報発信に努めていただくとともに、世界自然遺産地域連絡会議を中心として、各分野の関係団体や地域住民とも連携を図りながら、自然環境の保全と利用の両立、地域住民の意識の向上、新型コロナウイルス感染症の終息後を見据えた、増加が見込まれる外国人を含む観光客等の観光管理、受入れ体制整備等に取り組まれるよう要望いたします。  県産材の付加価値の向上及び輸出拡大に向けた取組についてでありますが、ウッドショックの動向を現時点で見通すのは困難であるものの、中長期的に国産材の引き合いが高まるとの見方が多いところです。  引き続き、低コストで安定的な原木の生産・供給体制づくりを進めるとともに、製材工場の規模拡大や品質の向上、木材加工の高度化や流通の合理化により木材産業の競争力強化に努めるとともに、公共施設等の木造・木質化、CLTやツーバイフォー工法部材の利用、東アジア等への県産材の輸出など、県産材の利用拡大・需要創出に関する施策を積極的に推進するよう要望いたします。  体育館に向けても前向きな御答弁を頂いたと理解しております。よろしくお願いいたします。  医療的ケア児等の支援については、明日から施行される医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律及び県議会の政策提言の趣旨を十分に踏まえ、総合的な支援体制の構築と、より効果的な支援施策の実施に向けて、医療的ケア児支援センターの設置を含めて積極的な取組を要望いたします。  以上、県政の課題について質問してまいりました。  さて、韓国軍参謀本部は十五日、北朝鮮が同日午後、日本海に向け短距離弾道ミサイル二発を発射したと発表しました。  岸防衛相は十五日夜、弾道ミサイルの落下地点が日本の排他的経済水域─EEZ─内と推定されると明らかにしました。EEZ内に北朝鮮のミサイルが落下するのは二〇一九年十月以来二年ぶりであり、弾道ミサイルの発射は今年三月以来であります。  北朝鮮は今月十三日、新型の長距離弾道ミサイルの発射実験に成功したと明らかにしたばかりであり、精密誘導システムで複雑な軌道を描き、千五百キロメートル飛んで標的に命中したとしております。事実であれば、日本のほぼ全域への攻撃が可能になるゆゆしき事態であります。  防衛白書は二〇二〇年版から、北朝鮮が核兵器を搭載して日本を攻撃する能力を既に保有しているとの認識を示しております。日本の迎撃システムはあらゆるミサイルに対処できるわけではなく、米国と連携した抑止力の強化が急務であり、ミサイル迎撃能力の強化はもとより、敵基地攻撃能力を含む防衛力の強化に万全を期す必要があります。  私ども自由民主党県議団は、八月下旬から二週間かけて四十四団体より県政に対する要望を聴取いたしました。コロナ禍の中で、即時に取り組むべき内容も数多く含まれていました。改めまして知事に対しては要望を上げてまいりたいと思います。  私どもは、引き続き、各地域の実情を踏まえ、県勢の発展と県民生活の安定のために最大限の努力をもって取り組んでまいる所存であることを申し述べ、これをもちまして自由民主党県議団の代表質問を終わります。(拍手) 51 ◯議長(田之上耕三君)これで、本日の日程は終了いたしました。       ───────────── 52    △ 日程報告 ◯議長(田之上耕三君)九月二十一日は、午前十時から本会議を開きます。  日程は、代表質問であります。       ───────────── 53    △ 散  会 ◯議長(田之上耕三君)本日は、これで散会いたします。        午後三時三十分散会 鹿児島県議会 ↑ ページの先頭へ...