令和 3年 第4回定例会(12月) 令和3年第4回
大分県議会定例会会議録(第3号)令和3年12月2日(木曜日
) -------------------------------議事日程第3号 令和3年12月2日 午前10時開議第1 一般質問及び
質疑 -------------------------------本日の会議に付した案件日程第1 一般質問及び
質疑 -------------------------------出席議員 43名 議長 御手洗吉生 副議長 三浦正臣 志村 学 井上伸史 吉竹 悟 清田哲也 今吉次郎 阿部長夫 太田正美 後藤慎太郎 衛藤博昭 森 誠一 大友栄二 井上明夫 鴛海 豊 木付親次 古手川正治 嶋 幸一 元吉俊博 麻生栄作 阿部英仁 成迫健児 浦野英樹 高橋 肇 木田 昇 羽野武男 二ノ宮健治 守永信幸 藤田正道 原田孝司 小嶋秀行 馬場 林 尾島保彦 玉田輝義 平岩純子 吉村哲彦 戸高賢史 河野成司 猿渡久子 堤 栄三 荒金信生 末宗秀雄
小川克己欠席議員 なし -------------------------------出席した県側関係者 知事 広瀬勝貞 副知事 尾野賢治 副知事 黒田秀郎 教育長 岡本天津男 代表監査委員 長谷尾雅通 総務部長 和田雅晴 企画振興部長 大塚 浩 企業局長 浦辺裕二 病院局長 井上敏郎 警察本部長 松田哲也 福祉保健部長 山田雅文 生活環境部長 磯田 健
商工観光労働部長 高濱 航 農林水産部長 佐藤 章 土木建築部長 島津惠造 会計管理者兼会計管理局長 森山成夫 防災局長 梶原文男 観光局長 秋月久美
人事委員会事務局長 法華津敏郎
労働委員会事務局長 稲垣
守 ------------------------------- 午前10時 開議
○三浦正臣副議長 皆様おはようございます。 これより本日の会議を開きます。 本日の議事は、お手元に配付の議事日程第3号により行います。 -------------------------------
△日程第1 一般質問及び質疑
○三浦正臣副議長 日程第1、第105号議案から第117号議案までを一括議題とし、これより一般質問及び質疑に入ります。 発言の通告がありますので、順次これを許します。原田孝司君。 〔原田議員登壇〕(拍手)
◆
原田孝司議員 皆さんおはようございます。早速、一般質問に入ります。 まず最初に、来年度、令和4年度の
予算編成方針についてお尋ねします。 令和3年度当初予算は、前年度に比べ7.3%増の積極型予算で、前年度を上回るのは8年連続の総額7,027億3,100万円となっています。当初予算が7千億円を超えるのは、実に20年ぶりであり、これは防災・減災や人口減少など従来の課題に加え、
新型コロナウイルス感染症対策と経済の再活性化に取り組むためとのことでした。 私の思いをストレートに言うと、令和3年度の当初予算編成、とりわけ歳入部分はこれまでと違ったものであったと考えています。景気悪化に伴い、県税収入を前年度比10.7%減の1,143億円と見込み、地方交付税は前年度比4.1%増の1,790億円、国庫支出金は前年度比16.6%増の1,257億6千万円としていました。 さらに、政府は自治体が借金して国が実質的に返済する
臨時財政対策債の発行可能額の増額を認めたことから、県はこの同債を前年度比67%増の332億円を発行しています。国庫支出金などの特定財源をうまく利用したことから、貯金にあたる
財政調整用基金の取崩し額は前年度比で12億円減となっていますが、それでも65億円を取り崩しており、残高目標とする330億円の確保は引き続き大きな課題です。 また、令和3年度の県の
一般財源総額は、税収減の影響もあり、前年度比で55億円減となっており、その分、特定財源を活用したと考えると、財源構成も変化したのではないかと考えています。 これからの県税収入の動向も大変気になっています。令和4年度は継続した
新型コロナウイルス対策の実施、
ポストコロナを見据えた経済対策などが重要です。
ポストコロナを見据えた経済対策など実施していく必要があり、歳入が変動する中で、いかに歳出のめりはりをつけていくのかが重要です。 そこで、令和4年度
予算編成方針の基本方針、とりわけ歳入部分の編成をどのように考えて取り組むのか、知事の見解をお尋ねします。 以降は対面席から質問します。 〔原田議員、対面演壇横の待機席へ移動〕
○三浦正臣副議長 ただいまの原田孝司君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。 〔広瀬知事登壇〕
◎
広瀬勝貞知事 原田孝司議員から令和4年度の予算編成について御質問いただきました。
新型コロナウイルス感染症がもたらした世の中の変容を的確に捉え、次なる感染拡大に備えつつ、
ポストコロナを見据えた大分県づくりを進めていくことが肝要です。 こうした考えの下で、令和4年度当初予算は、まずは感染拡大防止の徹底と疲弊する社会経済の再活性化に向けて、引き続き全力で取り組んでいくものとしなければなりません。 また、人口ビジョンの実現を目指した大分県版地方創生の加速、多様な分野でのDXの推進や先端技術の活用による地域課題解決など、構造改革への挑戦も待ったなしです。 そのため、予算特別枠である
ポストコロナおおいた挑戦枠を設けて、積極的に新たな事業を構築していくことにしていますが、こうした非常時には当初予算を待たずに思い切って前倒しし、対策を実行することも重要です。 そこで早速、国の経済対策のうち、3回目のワクチン接種への対応や保育士、介護士等の処遇改善、国土強靭化5か年加速化対策に要する経費などについて補正予算を編成したところです。加えて、バス・
タクシー事業者など地域公共交通への支援や市町村と連携した
プレミアム商品券の発行など、県内景気を一刻も早く回復させる必要があるため、あらゆる財源を活用して対策を講じることにしています。 今後は、感染状況や国の動向を見定めながら、来年度の当初予算を編成していくことになりますが、多くの政策課題に対処するためには安定的な歳入確保が鍵となります。議員御指摘のとおりです。 まず、コロナ対策など喫緊の課題については、国による確実な財政措置が欠かせません。引き続き知事会等を通じて、地方の実情に応じた財源の確保を強く求めていきます。 一方、通常予算で重要となるのは、
一般財源総額の確保です。コロナ禍で大幅な減収が心配された県税収入は、今のところ堅調に確保できる見通しですが、今後の情勢の変化も注視しながら、的確に見積もっていく必要があります。 地方交付税とその振り替わりである
臨時財政対策債は、税収の回復に伴い減少することが予想されます。徐々にコロナ前の歳入構造に戻っていくことになると考えられますが、年末に示される
地方財政対策を踏まえ、慎重に見込みを立てて編成を進めていかなければなりません。 これらの歳入確保によってもなお不足する分については、県債の発行や基金の取崩しを検討していくことになります。その際には、
行財政改革推進計画の目標である、6年度末での県債の実質残高6,500億円以下と
財政調整用基金残高330億円の確保に心を砕き、歳入歳出両面でのバランスを取りながら、予算編成にあたっていかなければならないと思っています。
○三浦正臣副議長 原田孝司君。
◆
原田孝司議員 ありがとうございます。今、知事の答弁を聞いて、少し安心しました。県税収入も大幅な減収は、どうもそこまでいかないという話でしたから、安心しました。 ただ、実は昨年、監査委員をしており、財政、いろんなふうに勉強したんですが、大分県は健全な財政運営をしているなと感じ取りました。実は、一番心配なのは国の財政問題です。 今、国の債務残高はGDPの2.5倍を超える1,200兆円となっています。国民一人当たりに計算すると、1千万円近い借金があるわけです。政権に近い経済学者の中には、例えば、国債は円建てだから、日本銀行でお金を印刷すれば債務不履行、デフォルトは起こらない、まだまだ借金できるなんて乱暴な発言をしている方もいます。 国の財政状況は地方自治体に大きく影響を及ぼします。通産省、また、経済産業省の事務次官を務め、地方自治体の長として頑張ってこられた広瀬知事は、このような国の財政状況をどのようにお考えなのか、ぜひお聞かせ願えたらと思います。
○三浦正臣副議長 広瀬知事。
◎
広瀬勝貞知事 申すまでもありませんが、国と地方の税財源の配分等に鑑みると、やはり日本では国家財政あっての地方財政であり、赤字国債が累増している現下の国の財政状況については、やはり私も大変憂慮しています。 コロナ禍のような非常事態にあっては、国民生活を守るために思い切った財政出動が必要な場面もありますが、その際にも将来世代のことを考えれば、財政規律のことを心の片隅に置かなければならないと思っています。そこのところはやはり頭に置きながら、必要な支出をしていくことが大事ではないかと思っています。 今後、財政健全化を進めていくにあたっては、まずはおっしゃるように税収確保へ向けた経済の活性化が重要だと思っています。 岸田政権においては、成長と分配の好循環の実現による経済成長に取り組んでいくんだと言っておられますが、このような対策が実を結べばいいなと、実は期待しています。 もう一つ、これはいろいろ議論があるところですが、国も地方も
社会保障関係費の増大が財政状況を逼迫させている主たる要因であることには変わりはないと思います。かつて社会保障と税の一体改革により、消費税の引上げも含む抜本的な対策が講じられたわけですが、少子高齢化という構造的課題にどのように対処していくのか、これからまたそこのところの骨太の議論が必要になると思っています。 もちろん、高福祉、高負担なのか、そうではないのかも含めて、いろんな業務をやっていかなければならないと思います。成長なのか、分配なのか、高福祉なのか、高負担なのかといったことをしっかり議論しながらやっていくことが大事だと思います。 国を挙げてそういう議論をし、将来のことを心配していること自体が国に対する信頼につながっていくことになるわけですから、そこのところの議論はしっかりいつもやっておくことが大事だと思っています。
○三浦正臣副議長 原田孝司君。
◆
原田孝司議員 ありがとうございました。私も同感です。先月、衆議院選挙が行われましたが、なかなか財政問題が大きく取り上げられていなかったなという気がします。もっともっとみんな関心を持つことが、これからの財政運営につながっていくんだろうなと私自身も思っています。 続いて、県政について質問します。
臨時財政対策債については、さきほど延べたように、政府が発行可能額の増額を認めたことから、今年度、県はこの同債を前年度比67%の332億円発行しました。これは大分県に限ったことではなく、ほとんどの道府県で同様の予算措置を行っています。 そもそも
臨時財政対策債は、国から地方自治体に交付する地方交付税の原資が不足しているため、不足分の一部を地方自治体が借入れする地方債です。
臨時財政対策債の
元利償還金相当額は、その全額を後年度の普通交付税で措置されることになっています。毎年、同債の
元利償還金相当額がきちんと交付税措置されていくのか、チェックする必要があると思っています。執行部にはしっかり目を光らせていただきたいと思っています。 次に、県債残高ですが、当初予算発表時の県債残高は1兆1,010億円に達しています。昨年度監査委員を拝命した際に詳しく勉強しましたが、総じて計画的な中で履行されていると感じました。 しかしながら、現在、
臨時財政対策債を除く
実質県債残高は6,326億円となっており、
行財政改革推進計画の目標である6,500億円以下ではあるものの、そのボーダーに近づく額となっていると考えています。まだ喫緊な課題とは考えていませんが、
行財政改革推進計画の目標を6,500億円以下としている歳出根拠と、これからの県債をどのような方針で借入れしていくのか、考えをお聞かせ願います。
○三浦正臣副議長
和田総務部長。
◎
和田雅晴総務部長 県債についてお答えします。 まず、
行財政改革推進計画で定める実質的な県債残高の目標については、
標準財政規模の約2倍を超えないよう、6,500億円以下としています。これは本県と財政規模が類似している他県においても、県債残高が
標準財政規模の約2倍程度で推移していることや、その水準であれば、
財政健全化法に定める将来負担比率が
早期健全化基準に達しないことなどを考慮したものです。 次に、今後の県債の借入方針については、目標の6,500億円以下の水準を維持しつつ、国土強靭化5か年加速化対策など、将来への責任として必要な事業はしっかりと実施するなど、めりはりをつけることが肝要だと考えます。あわせて、
交付税措置率の高い有利な県債を有効に活用する一方で、交付税措置のない県債の発行を可能な限り抑制するといった財政運営を心がけることも重要です。 今後とも、防災・減災対策、県土の強靭化、施設の老朽化対策など、必要な事業は着実に実行しながら県債残高の適正管理に努めます。
○三浦正臣副議長 原田孝司君。
◆
原田孝司議員 ありがとうございました。実はちょっと気になるニュースを耳にしました。京都市の財政危機の問題です。 京都市は実績の借金残高が8,064億円に上り、将来の借金返済のために積み立てていた公債償還基金があるそうですが、それを2005年から切り崩し続け、5年後にはこの基金も枯渇し、最終段階には破綻を意味する
財政再建団体に転落する危機に直面しているというニュースが流れています。その原因は市営地下鉄だと書いていたんですが、将来の借金返済のために積み立てているものは、大分県には大分県減債基金がありますが、県債償還以外の目的で処分することはないのか、ぜひ聞きたいと思います。 もう一つ、
和田総務部長には、さきほど言った臨財債の国の交付税措置、その動きについて、今どういう状況なのか、ぜひ説明していただきたいと思います。
○三浦正臣副議長
和田総務部長。
◎
和田雅晴総務部長 まず、減債基金についてですが、減債基金については基金条例に基づいて設置されており、その基金条例の中で処分の要件についても定められています。その中で、財源が不足する場合の県債の償還財源に使途が限定されているので、県債償還以外の目的を持って処分することはできないと考えます。 それから、
臨時財政対策債ですが、
臨時財政対策債の償還に要する費用については、
地方交付税法と
地方交付税法の省令において、元利償還金が
基準財政需要額に算入されるよう式が書かれているので、基本的に誰が計算してもその中に必ず入っているということなので、その点については御心配なきようお願いします。
○三浦正臣副議長 原田孝司君。
◆
原田孝司議員 分かりました。これからもぜひ厳しい目でチェックしていただきたいと思います。 続いて、日本一のおんせん県おおいた
ツーリズム戦略について質問します。 地域振興と観光振興を一体的に進めるツーリズムを着実に進展させることを目的として策定された第3期
ツーリズム戦略ですが、今年度で終了します。 戦略の第2期の平成28年から令和元年を振り返ると、始まってすぐ熊本地震、そして、翌年の九州北部豪雨、台風18号など自然災害が続いたものの、
九州ふっこう割や
大分熊本キャンペーンなどにより、観光客は早期に回復させることができました。さらに、平成30年には別府市で世界初の
世界温泉地サミット、10月からは第33回国民文化祭、第18回
全国障害者芸術・文化祭おおいた大会が開催され、大分の街は活気づきました。 第3期の令和元年度から本年の令和3年度は、
観光関連産業にとって激動のときだったと言えます。令和元年は
ラグビーワールドカップ2019が開催され、世界から大分に多くの人が来て盛り上がりました。しかしながら、
ワールドカップが終了した翌月には、中国での
新型コロナウイルス感染症の報道が始まり、春以降は日本でも急速に感染が拡大し、
観光関連産業は大打撃を受けました。 現在、
新型コロナウイルスの感染状況も落ち着きを見せ始めていますが、オミクロン株の報道も今されてきました。この第3期の取組をどのように総括し、第4期となる来年度からの取組を進める上で、どのように
ツーリズム戦略に反映していく考えなのか、知事の見解を聞きます。
○三浦正臣副議長 広瀬知事。
◎
広瀬勝貞知事 日本一のおんせん県おおいた
ツーリズム戦略の改定についてお答えします。 観光関係者と共に取り組んだ第1期
ツーリズム戦略の策定から10年がたとうとしています。先月発表された全国温泉県
イメージランキングで本県が第1位に選定されるなど、日本一のおんせん県おおいたは全国に浸透し、高い評価をいただいています。 第3期戦略では、おんせん県としての
ブランド力向上に加え、アジアだけではなくて欧米・大洋州にもウイングを広げたインバウンドの推進やターゲットに応じた国内誘客、観光産業の振興などに取り組んだところです。 中でも
ラグビーワールドカップ2019では、国内外から多くの観戦客が来県し、県内各地でおもてなしを堪能していただきました。その本県のおもてなしは海外でも評価され、観光関係者とともに、アジア以外の地域からの誘客に手応えを感じました。 しかし、
新型コロナウイルス感染拡大により観光客は激減し、令和2年の延べ宿泊客数は、調査開始以来、過去最低を記録するなど、未曽有の事態に直面しました。 県では、官民連携による宿泊施設での
感染症対策チェックリストの作成や、新しいおおいた旅割の宿泊割引の実施、宿泊施設の
受入環境整備などを通じ、観光事業者を支援してきました。コロナ禍の中、苦境にくじけることなく難局に立ち向かう観光事業者の姿や、本県の魅力を再認識し応援する県民の姿を目の当たりにし、本県観光の底力を感じています。 第4期戦略ですが、本県の観光が完全復活し、国内外から旅行先に選んでもらえるよう、新たな魅力の発掘、観光産業の一層の基盤強化や効果的な情報発信を推し進めます。 まず、
おんせん県ブランドはもとより、
スペースポートやホーバークラフト、
東アジア文化都市2022などを活用し、新たな観光素材の磨き上げを官民連携で進めていきます。 また第2は、DXの導入等により、多様化する旅行ニーズに対応できる
受入環境整備を進めるとともに、地域の観光課題の解決に向けた積極的な取組をしっかりと支援していきます。 そして3点目は、第3期戦略と同様に、特定の国に偏ることのない多角的な誘客によって
インバウンド回復に備えるとともに、コロナ禍で見直された国内旅行への対策も必要だと思っています。
デジタルマーケティングなどを活用して、旅行形態やニーズ、本県への関心度合いに応じた戦略的な情報発信や大
規模観光キャンペーンの誘致など、攻めの誘客を展開していきます。 今後も、
ツーリズム戦略推進会議での議論を基に、市町村や観光協会などからも幅広く意見を伺いながら、
ポストコロナ時代の新たなステージにふさわしい戦略を策定していきます。 つい先週まではそういうことで張り切っていましたが、今、心配になっているのが、やはりオミクロン株の問題です。あまり心配し過ぎてもいけませんが、やはりちょっと様子を見ておくことも必要かなと思っています。
○三浦正臣副議長 原田孝司君。
◆
原田孝司議員 ありがとうございました。実は以前、東京で知り合った方と話していて、大分県のイメージは何ですかと聞いたときに、やっぱり最初に出たのは別府温泉、そして、由布院温泉、次に高崎山でした。ほかの県はいかがですかと言ったら、思いつくところと思いつかない県があると言うんですよね。そういう意味でいうと、大分県はやっぱり看板を持っています。それはおんせん県おおいただと私は思っています。 今、ツーリズムに関わる本を読んでいたら、日本で最初にツーリズムという言葉というか、概念的なものが出たのはお伊勢参りだろうと書いていたんですよね。全国で御師という伊勢神宮の神職の人が暦やお札を持って全国を歩いて、そして、伊勢に来てくださいと、それが伊勢参りにつながったと。生きているうちに1回はお伊勢参りしようみたいな風習ができたと書いていました。 その後、歴史的には、
南満州鉄道株式会社は満鉄旅行を日本全国にアピールして、多くの人が当時の満州を旅行した記録が残っていると、そういうのが連なっている中に、やっぱり別府温泉の油屋熊八さんの「山は富士、海は瀬戸内、湯は別府」、この碑が富士山の山頂に立っていた。そこで別府温泉が一躍有名になったという話が書いてありました。 そのように、全国で大分県はおんせん県ということを誇れる、その看板を前面に出しながら
ツーリズム戦略、いろんな課題がありますから、ぜひ新しいアイデアでまた取り組んでいただきたいなと思っています。 続いて、さきほど知事も言われましたが、感染症の
リスクマネジメントについてお尋ねします。 第3期の戦略では、災害時の対応として、大規模災害発生時の観光客への積極的、的確な情報発信や外国人観光客に対しての状況把握や在外公館との連絡調整の必要性が取り上げられています。これは第2期が始まってすぐに起きた熊本地震の際の教訓が背景にあったからだと思います。
リスクマネジメントはとても大事な視点です。そして、これまでの
ツーリズム戦略で触れられていなかった危機状況として、感染症を挙げなければなりません。例えば、
観光関連施設で観光客が感染のクラスターを起こしたことを想定し、的確に対処できるようにすることが必要ではないかと思います。危機状況に対して機敏に対処することが観光地の
ブランドイメージを守ることにもつながるし、第4期の策定に向けた中で、感染症の
リスクマネジメントにどのように取り組んでいこうとしているのか、お答え願います。
○三浦正臣副議長
秋月観光局長。
◎
秋月久美観光局長 コロナ禍により、感染症等の危機に大きく影響を受ける観光産業の
リスクマネジメントの重要性を再認識しました。リスクを平常時から想定し、発生時の影響を最小限に抑え、早期回復できるよう準備する必要があります。 まず、行政や関係団体、事業者が連携して対処できる関係構築と危機発生時の迅速な体制づくりが重要と考えます。県では今回、感染拡大当初から、
旅館ホテル組合による
感染症対策チェックリストや
クラスター防止の
対応マニュアルの取組を支援してきました。今後も官民連携による迅速かつ柔軟な対応に努めます。 また、感染状況や感染防止策等に関する情報の正確かつ迅速な発信も重要です。市町村や観光協会等と連携し、Web等を活用した情報発信により、旅行者や事業者に適切な行動を促すとともに、風評対策の徹底を図ります。加えて、事業者自身も自らリスク回避に向けた取組が大切です。事業継続計画の策定を支援するなど、危機管理意識の向上に努めます。 今後、観光関係者や有識者の意見を踏まえながら、より適切な
リスクマネジメントの在り方を検討していきます。
○三浦正臣副議長 原田孝司君。
◆
原田孝司議員 ありがとうございました。 次に、GoToトラベルの再開に向けた情報発信の進め方についてお尋ねします。
ツーリズム戦略の大きな柱は、私は観光素材磨き、情報発信、おもてなしではないかと考えます。今回は特に情報発信についてお尋ねします。 先日、旅行需要喚起策としてGoToトラベルについて、来年1月以降に事業を再開する方針を政府が固めたとの報道が出ています。また、昨日は補正の中で、新おおいた旅割を隣接県に拡大することも報告されています。 コロナ禍で打撃を受けた観光業者などは早期再開を求めていますが、重症化を防ぐ経口薬が年内に実用化されるかを見極める必要があると判断し、再開時はコロナワクチン接種や検査の陰性証明を活用する方針との報道がありました。 あわせて、報道では昨年のGoToトラベルで、利用者が大手ホテルや土日に集中したとの指摘を踏まえ、再開する際には中小ホテルや旅館への宿泊、平日の利用に特典が増すような制度に改めるとも伝られています。 情報発信は、観光される方々のニーズに合った方法で提供されることにより効果的になると考えていますが、GoToトラベルの再開にあたっては、感染症対策を含めた情報発信が必要です。例えば、大分県が今年度から始めた第三者による認証制度である、安心はおいしいプラス認証制度などをリンクさせて安心な旅をアピールしたり、ワクチン接種済証明の提示により利用割引特典などを発信することもあってもいいのではないかと考えますが、いかがでしょうか。 GoToトラベル再開に向けた準備状況として、その情報発信の進め方について御見解を伺います。
○三浦正臣副議長
秋月観光局長。
◎
秋月久美観光局長 県ではこれまで、
旅館ホテル組合と連携した感染症対策や安心のおもてなし、新たなニーズを踏まえた大分の魅力を発信してきました。例えば、指原莉乃さんを起用し、観光事業者の感染症対策のほか、SNSによる県民や事業者の皆様からの旅の思い出や宿泊施設の取組の投稿など、コロナ禍でも楽しめる旅の魅力を紹介するプロモーションを実施してきました。 GoToトラベルの再開に向けては、感染状況を見ながら、この10月から情報発信の範囲を県内、隣県、九州へと段階的に拡大してきています。これまで1万件を超える投稿と300万回を超える動画再生がありました。 GoToトラベル再開前には、全国に向けてPR動画を集中的に配信するとともに、主要都市圏でのイベントや商談会を開催し、PRを行います。 ただ、何よりも事業者自らの発信力強化が重要と考えます。デジタル活用の研修会を開催し、事業者の前向きな取組を支援します。 こうした取組により、本県の安心のおもてなしをしっかりとアピールし、全国からの観光客を取り込んでいきます。
○三浦正臣副議長 原田孝司君。
◆
原田孝司議員 よく分かりました。一つ聞いておきたいんですが、さきほど大手ホテルは土日の宿泊が多かったという話もありました。実は、例えば別府等では、大きなホテルは旅行会社との連携とか、サイトも充実していて、お客さんが安定して結構入っているんですが、やっぱり小さな旅館は、もともと泊まるのはなじみ客が多かったんですよね。そういった方々が高齢になって、また、コロナ禍でなかなか旅行を控える中で、とっても大変な状況になっているんですね。さきほど国では利用特典を考えていくという方向がアイデアとして出ていましたが、大分県として、そういった小さいホテル、旅館に観光客の方が向かうような仕組みが考えられるのかなと思うんですが、いかがでしょうか。
○三浦正臣副議長
秋月観光局長。
◎
秋月久美観光局長 こうした観光需要策により、大きなホテルであったり小さなホテル、様々な取組を展開していただいていますが、それぞれのホテルの魅力をしっかりと伝えていくことが大事だと思います。 県内でこれまで旅割を実施してきました。そういう中では、とりわけやはり人気のホテルなどに需要が偏ることがありましたが、今回、隣県や九州ブロックなどに広がってくるので、より小さくても魅力あるホテルの情報発信をするなどして、幅広く御利用いただけるように努めていきます。
○三浦正臣副議長 原田孝司君。
◆
原田孝司議員 分かりました。さきほど言った油屋熊八さんの言葉の中に、「旅人を懇ろにせよ」という言葉があります。懇ろというのは心からのもてなしという意味だそうですが、そういった意味で、相当小さいホテルでも、やっぱりそれなりの風情がある、おもてなしがされることをぜひまたアピールしていただきたいなと思っています。 時間も限られているので、教育行政について質問します。 教員の不足、とりわけ県下の小中学校での教員の不足は、近年とても大きな問題となっています。今年度初めの文教警察委員会では、今年4月8日の始業式時点で小学校11人、中学校21人の計32人が欠員となっているという報告を受けました。ちなみに、昨年度は始業式の時点で26人の欠員だったと聞いています。 始業式直前まで来てくれる人を学校みんなで探すのが恒例となっている状況です。教育事務所に相談しても、学校で探してくださいと本当に言われると聞いています。このような教員不足の現状と対策をお答え願います。
○三浦正臣副議長 岡本教育長。
◎岡本天津男教育長 少子化等の影響で大学教育学部の定員が減少する中、教員の大量退職期を迎えており、全国的にも教員確保は厳しい状況にあります。 これまで退職教員などへの声かけにより欠員解消に努めてきましたが、病気休暇取得者等の増加により、2学期当初の欠員は32人と厳しい状況が続いています。 本県では、今年度採用試験から小中学校連携教諭を拡充するとともに、実技試験の見直しや第3次試験の集団討論の廃止など、受験生の負担軽減も図ることとしています。 あわせて、再任用校長や再任用指導主事制度の導入、退職予定者の意向確認時期を早め、より丁寧に行うなど、再雇用に向けた環境整備に取り組んでいます。また、今後の定年引上げへの対応も検討していくこととしています。 さらに、新聞や広報誌、ホームページ等による臨時講師登録の呼びかけや採用試験受験者に対し募集チラシを配布するなど、臨時講師の確保に向けた取組も行っています。 引き続き人材確保に向けて、あらゆる手段を通じ、最大限対応していきます。
○三浦正臣副議長 原田孝司君。
◆
原田孝司議員 大分県の教員採用試験の実質倍率は、小学校で平成29年度が2.7倍だったのが、今年は1.3倍、中学校では平成29年度が5.1倍だったのが、今年度は3.3倍と減少しています。一方で、大分大学教育学部の初等中等コースは平成29年度以降、定員が125人と変わっていません。大分大学での教員養成拠点の増員とか、また、大学進学を考える高校生への啓発などを含めて、大分県教育委員会で教員不足に関する対策チームをつくって解決策を探っていくべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○三浦正臣副議長 岡本教育長。
◎岡本天津男教育長 ただいま御指摘いただいたうち、高校生に対する教師になることの啓発といった取組、実はもう既に実施しています。大学の定員をどうするべきか、そういったところも含め、現状、それぞれの部署で検討できているので、チームを構成するかどうかは別として、しっかり取組を研究も含めやっていきます。
○三浦正臣副議長 原田孝司君。
◆
原田孝司議員 実は私、大分大学の教育学部だったときに、教員になって5年働けば奨学金の返済が免除されるという制度があったんですよね。今もうこれはないんですが、そういった意味で、いろんな対策があっていいんではないかなと考えます。 この教員不足は現場の切実な問題となっているので、ぜひ対策の御検討をお願いしたいと思うし、そもそも学校現場は忙しいということが定着してしまって、そこを避けている方がいるのかなと思っています。現場での働き方改革の対策もあわせて必要だと思います。 教員の働き方改革について質問します。 今年10月に大分県人事委員会から出された勧告の中でも、やっぱりこれは市町村教育委員会や関係機関と連携し協力しながら、積極的に取り組んでいくことが必要だと記されています。 また、今年10月に行われた教職員勤務実態改善検討会の資料を見ると、行事の精選やオンラインでの開催など、様々な具体的な取組例が列挙されています。それはそれで改善に働いていると思いますが、教職員組合の超勤実態調査によると、多忙化が改善されたと考えている方々は多くなっていません。確かに在校時間は短くなっているものの、自宅での仕事時間、つまり持ち帰り仕事ですが、これまでと変わっておらず、学校での休息時間もほとんど取れていないという調査結果が出ています。 労働時間の上限規制が始まっている中、これからどのように働き方改革を進めていくつもりなのか、お答え願います。
○三浦正臣副議長 岡本教育長。
◎岡本天津男教育長 県教育委員会では、これまでも調査及び通知文書の見直し、研修、会議の精選、縮減及びオンライン研修の推進など、学校現場の負担軽減に向けた取組を進め、教員の働き方改革を推進してきました。 今後は、これまでの取組に加え、新たにICTを活用した業務効率化を推進していきます。 具体的には、県立学校において、昨日、追加提案したICT教育サポーターを派遣したいと考えています。ICT機器の操作支援はもちろん、学びの面での有効活用などを支援することで教員の負担軽減を図っていきたいと考えています。 また、市町村立学校では、市町村教育委員会と連携し、全市町村共通の校務支援システムを今年度以降、順次導入することで、出席管理や成績処理業務などでの効率化を図り、さらなる負担軽減につなげていくこととされています。 そのほかにも、教育現場からの要望も強いスクール・サポート・スタッフや部活動指導員の配置について、国の概算要求における拡充の動きも踏まえ、充実を検討していきたいと考えています。 今後とも、市町村教育委員会等と連携し、教員の働き方改革を一層推進していきたいと考えています。
○三浦正臣副議長 原田孝司君。
◆
原田孝司議員 取組はよく分かるんですが、今、働き方改革で必要なのは、やっぱり人をつける事業を増やしていくことだと私は考えます。昨年度から教員が産休、育休を取得しやすい環境をつくるために、代替教員を早期配置し、ゆとりある引継期間を確保する教員の産休・育休取得促進事業が行われています。これは事前にそういった方々を把握して、年度の初めから配置していくという取組でしたが、聞くところによると、来年度は小中学校で学級担任をしている場合には、2学期からの配置も行うと聞いています。 このように、予算をつけて人員を配置する事業が必要だと思うんですが、いかがお考えでしょうか。
○三浦正臣副議長 岡本教育長。
◎岡本天津男教育長 ただいま御指摘いただいたように、産休、育休の代替促進ですが、来年度からは1学期からだけではなくということで今進めています。 状況をよく把握しながら、限られた予算の中でのことになるので、可能なものから進めていきます。
○三浦正臣副議長 原田孝司君。
◆
原田孝司議員 よろしくお願いします。 続いて、第3次大分県特別支援教育推進計画について質問します。 来年4月に、中学校や特別支援学校中学部を卒業した知的障がいのある生徒を対象に、一般就労を目指すさくらの杜高等支援学校が、現在の聾学校の敷地内に開校します。 県民クラブでは7月に、さくらの杜高等支援学校と同じように、一般就労を目指す福岡市内の博多高等学園を訪ね、お話を伺いました。 学校では、作業に必要な知識、技能の習得だけでなく、室内メンテナンスを模した清掃作業の訓練や学校内に併設されたカフェでの接客技術訓練など、実践的な取組を展開していました。 これからの県内の特別支援学校の在り方を計画した第3次大分県特別支援教育推進計画は平成30年2月に発表され、計画を5か年で着実に進展させています。 そして、これから別府市にある4校の支援学校の再編や建て替えが予定されています。計画によると、別府支援学校本校を廃止し、鶴見校と石垣原校は、鶴見校を肢体不自由児対象の特別支援学校、石垣原校を病弱児対象の特別支援学校のそれぞれ本校として設置、南石垣支援学校は、校舎建て替え等により十分な広さのある運動場、体育館を備えた学校へ整備と記されていましたが、先日、新聞発表では、方針の変更も含めて発表されました。 別府支援学校の存続と南石垣支援学校の移転について、その考え方とスケジュールについて御回答をお願いします。
○三浦正臣副議長 岡本教育長。
◎岡本天津男教育長 別府支援学校本校については、発達障がいをあわせ持つ精神疾患のある児童生徒の急増に対応するため、廃止せず存続することとしました。また、病院併設である石垣原校と鶴見校についても、施設の老朽化対策を講じた上で存続したいと考えています。 加えて両校では、医療と教育の連携を深め、児童生徒の病状や障がいの特性に合った指導、支援を行うため、本人の希望があって、併設する病院に主治医がいる場合に限り、通学生として受入れを認めることとします。 南石垣支援学校については、今年9月に公布された特別支援学校設置基準を満たす面積の運動場を、現敷地内での校舎の建て替えで確保することは困難であるため、別府羽室台高校跡地へ移転することとしたものです。 いずれの学校も、学校施設の大規模改修等が必要なことから、今後、具体的な工事内容等の検討を深めながら、スケジュールを確定させたいと考えています。
○三浦正臣副議長 原田孝司君。
◆
原田孝司議員 今回の方針変更については、とてもよかったなと考えています。別府支援学校も生徒数が増えていたし、南石垣校の移転も十分な広さのある羽室台高校跡地というのは本当にいいんではないかなと思っているんですが、まだ今、教育長言われたように大規模改修も必要だし、羽室台高校はやっぱり高台にあるから、移動手段、今も南石垣支援学校はスクールバスがありますが、あれもだいぶ古くなっているので、そういった配慮もぜひ御検討願えたらと思っています。 最後に、ダイバーシティについて質問します。 ダイバーシティ社会の推進についてです。 人間には多くの違いがあります。生まれつきのものや自分の意思で変えることが困難なものとして、性別、年齢、人種、民族、出身地、国籍、身体的特徴といった違いがあります。さらに内面的な違いとして、宗教、職務経験、収入、働き方、コミュニケーションスタイルなどがあります。その違いを個性として捉え、認め合う社会にしていこうというのがダイバーシティ社会の考えです。 近年、企業ではダイバーシティに関する意識が高まっていますが、自治体についても、住民誰もが個性と能力を発揮でき、住みやすくて働きやすい環境があれば、それは地域の活力につながるし、住民の定着も期待できるのではないかと考えます。 三重県では、性の多様性を認め合い、誰もが安心して暮らせる三重県づくり条例を今年4月から施行しています。誰もが安心して暮らすことのできる社会の実現を目指す大分県としても、ダイバーシティ社会の推進は不可欠だと考えますが、どのように取り組んでいくのかお尋ねします。
○三浦正臣副議長 磯田生活環境部長。
◎磯田健生活環境部長 ダイバーシティ社会の推進についてお答えします。 県では、平成21年に人権尊重社会づくり推進条例を施行して、その中で、全ての人が多様な価値観と生き方を認め合う社会の実現を基本理念の一つとしています。その後制定された差別解消3法に加え、性的少数者への理解促進、あるいはネットでの誹謗中傷等新たな課題がその後出てきています。ダイバーシティ社会づくりを進める県の姿勢を一層明らかにするという意味も込め、現在、条例の改正を検討中です。 取組については、これまでも学校における人権教育の推進や相談窓口の設置などを行ってきました。さらに今後、若い世代に課題意識を持ってもらいたいということで、大学生からダイバーシティ社会推進の提案を募集するアイデアソン等を実施していきます。 また、集客力のあるテレビ局などメディアのイベントを活用して、効果の高い啓発を行うとともに、新型コロナや性的少数者への差別、偏見など新たな課題に対応できるよう、人権研修講師のスキルアップにも取り組む予定にしています。 これらの取組を通じて違いを認め合い、誰もが安心して暮らせる社会づくりをさらに進めていきます。
○三浦正臣副議長 原田孝司君。
◆
原田孝司議員 分かりました。皆さん方、見られていますでしょうか。今回から手話通訳が議場でついているんですよね。ただ、議員はとても早口になってしまって、とりわけ発言時間が短くなると、本当にすごいスピードで発言してしまうので、手話をされている方は本当に大変だなと、申し訳ない気持ちでいっぱいです。手話をされている方、本当にありがとうございます。一言お礼を言っておきます。 このように、手話通訳を含めて多くの方々が見ることができる取組というのは、やっぱりこのダイバーシティ社会の推進につながっていくなと考えます。 続いて、パートナーシップ制度について、また質問します。 今回も当事者やサポート活動をされている方々からお話を聞いたんですが、当事者の思いや葛藤、あつれき、セクシャリティーなど性的指向の違いをきちんと理解して考えることはやっぱり重要だなと改めて感じました。 現在、都道府県単位で5府県でパートナーシップ制度が導入されていますが、今年8月から九州で唯一導入している佐賀県に、県民クラブでお話を伺いに行きました。同性カップルを結婚に相当する関係と認めるパートナーシップ制度は、平成27年に東京都渋谷区と世田谷区で始まり、今年10月1日現在では130自治体で導入されて、人口カバー率は41.1%となっているそうです。 私は4年前の平成29年第3回定例会の代表質問で質問したんですが、そのときは導入している自治体は1桁でしたから、この制度が着実に広がってきたと感じています。 県内でも、今年4月から実施している臼杵市では、市営住宅の入居申込みなどを認めているし、豊後大野市では来年4月からパートナーシップ制度とあわせて、同居する18歳未満の子どもも家族と認めるファミリーシップ制度も導入予定だと聞いています。 現在、パートナーシップには法的拘束力がないため、相続の対象となることや税金の配偶者控除などは受けることができません。しかし、最近では、今まで配偶者及び二親等以内の血族としていた生命保険の受取人に、同性パートナーを指定できる保険会社もできてきました。また、携帯電話の大手3社では、家族割引を同性カップルにも適用していると聞いています。 市町村と連携しながら、パートナーシップ制度の導入に向けて積極的に取り組んでいくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか、御見解を伺います。
○三浦正臣副議長 磯田生活環境部長。
◎磯田健生活環境部長 パートナーシップ制度についてお答えします。 性的少数者の人権については、社会の理解促進が不可欠であり、県の人権尊重施策基本方針で重要課題の一つに位置付けています。 この基本方針を踏まえ、今後、性的少数者への理解促進に向けた外部有識者による調査研究会を設置し、パートナーシップ制度も含めて、性的少数者に関する課題や施策について議論を深めていきます。 先般行った県民アンケートでは、パートナーシップ制度の導入を望む意見がありました。当事者の安心感や県民の理解促進、県のイメージ向上につながるといった意見をいただきました。一方、何もする必要がないとか、そっとしておくべきだといった意見もありました。 県内では制度を導入した市もありますが、転出時、場所を変わったときには効力がなくなるとか、自治体間連携などの課題もあるので、独自での導入は難しいという自治体もあります。 多様な性の在り方は、性的指向、性自認という全ての人に当てはまる基本的な人権課題であると認識しています。調査研究会の議論を参考にしながら、引き続き丁寧に研究を進めていきます。
○三浦正臣副議長 原田孝司君。
◆
原田孝司議員 またぜひ検討をお願いします。 ダイバーシティ社会の推進では、外国籍の方々への視点も必要です。現在、大分県にも多くの留学生がいるし、多くの外国籍の方々が生活しています。また、特定技能という新しい在留資格で外国人労働者を受け入れる出入国管理法の改正が成立したことに伴い、令和元年には大分県にも外国人総合相談センターができています。 今、私が注目しているのは、教育と在留資格の関係です。現在、父母に同伴し、家族滞在の在留資格を持ち、18歳未満で日本に来ている外国人で、日本の義務教育を修了し、高校を卒業し就職が内定している場合には、定住者としての在留資格が認められます。また、義務教育は受けていないが、高校を卒業し就職が内定している場合には、特定活動という在留資格、これは就労できることも含めた在留資格が認められています。 いずれも就労が可能であり、これらの在留資格では高校を卒業しているかどうかが大きなポイントになります。 別府にある県立別府翔青高校のグローバルコミュニケーション科では、今年度から帰国・外国人生徒特別入学者選抜を行い、英語による面接や小論文試験を行っています。日本語を母国語としていない子にとっては、通常実施されている入学試験は高いハードルとなっているので、とてもよいことだと思いますが、こういった取組が多くの学校に広がるといいと思っていますが、いかがでしょうか。 また、大分県にはフィリピンや中国の方々もたくさんいらっしゃいます。英語だけでなく、多言語での受験の機会も増えることが期待されていますが、いかがでしょうか。
○三浦正臣副議長 岡本教育長。
◎岡本天津男教育長 平成20年度入試から、帰国・外国人生徒に対し、全ての県立高校で特例措置を実施しています。試験問題に振り仮名を振る、検査時間を延長する、小論文や面接を英語で行うなどです。令和3年度ですが、この特例で3人が合格しています。 さらに議員御指摘のように、令和3年度入試から、別府翔青高校に帰国・外国人特別入試を導入して、こちらでもやはり3人が合格しています。この入試制度ですが、帰国・来日して日が浅いことによる日本語能力、特に学習言語能力が不十分な生徒に対して学びを享受しやすくするために、入学定員とは別に合格者を決定することにしています。 日本語指導が必要な児童生徒の教育充実のため、令和元年度から県内全ての公立学校を対象に日本語指導支援員の派遣を開始し、要望があった全ての学校に対応しています。 入試における多言語対応については、入学後の学習保障にも関わる問題だと考えています。学校の体制強化とあわせて進めていく必要があります。他県の入試の状況、本県の日本語指導が必要な児童生徒数の推移なども鑑み、研究を重ねたいと考えています。
○三浦正臣副議長 原田孝司君。
◆
原田孝司議員 教育機会を広げてあげるために、大事なことだと思います。ただ、さきほど教育長が言われたように、学校側の体制、先日も翔青高校にお伺いしたんですが、やっぱり助言する先生たちが必要なわけですよね。ぜひそのこともあわせてこういった取組をもっと広げられないか御検討をお願いします。 以上で質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
○三浦正臣副議長 以上で原田孝司君の質問及び答弁は終わりました。阿部長夫君。 〔阿部(長)議員登壇〕(拍手)
◆阿部長夫議員 皆さんおはようございます。6番、自由民主党、阿部長夫です。まず初めに、この質問の機会をいただいた同僚、先輩議員の皆様方に感謝します。また、杵築から傍聴に来ていただいています。本当にありがとうございます。よろしくお願いします。 また、知事以下、執行部の皆様方、本日はよろしくお願いします。 それでは、早速、質問に入ります。 初めに、県経済について2点伺います。 一つ目に、県経済の状況と原材料高騰について伺います。
新型コロナウイルス感染症の発生から2年がたちます。2年前のこの時期にまさかこのようなパンデミックが現実に発生することを想像していた人はいなかったと思います。この感染症による、いわゆるコロナ禍の影響により我が国はもとより、世界的に経済動向がおかしくなった2年間でもあったと思います。 本県でも10月24日の新規感染者の発表以降、感染者はゼロが1か月以上続いていましたが、11月26日に県外から来た方が感染確認され、また、一昨日はオミクロン株感染者が国内で初めて確認されました。昨日も1人確認されたということですが、これから先が心配されています。しかしながら、現状では
新型コロナウイルス感染症の小康状態が続き、社会経済も少し回復に向かってきたと思います。県内でも11月に入ってからは、飲食店に立ち寄る方や、週末には買い物に出る方も増えてきたと感じられます。 しかしながら、今年3月頃から我が国の企業物価指数は徐々に上昇を始めており、日本銀行が先月11日に発表した今年10月の速報値では、前年比で8.0%上がり、第2次石油危機の影響が残る昭和56年1月以来、40年9か月ぶりの伸び幅となりました。報道等によれば、コロナ禍から世界的な経済活動の再開で需要が高まっている反面、産油国からの供給制約による原油高などにより資源価格が上昇し、輸入物価が高騰している影響が大きいとの分析を示しています。 さらに報道等の発表資料を取引段階別に見ると、素原材料は63.0%上昇しており、特に、石油石炭製品の値上がりが著しく、全体の指数の上昇に最も寄与していることが分かります。この影響は、既に企業間だけではなく本県においても、ガソリン価格や燃油価格の高騰という形で影響が出てきています。先月発表した11月8日時点のレギュラーガソリン1リットル当たりの店頭平均価格は174円10銭と平成20年9月以来の非常に高い水準で推移しています。コロナ禍の影響がこんなところにも出てくるのかと大きな驚きと、せっかく感染症が小康状態になっていることを契機に、社会経済の再活性化へ打って出る矢先の県経済にとっての痛手は大きく、非常に残念な思いをしています。 これから冬が本格化し、飲食業、ホテル旅館業も灯油などの暖房器具を活用する時期に入ります。また、運送業は当然のように燃料代もかかります。コロナ禍で影響があった業種にさら追い打ちがかかると、次に立つことができないぐらいの打撃を受けることになります。また、さきほどの企業物価指数を見ると原油だけではなく、鉄鋼、非鉄金属なども上がってきており、産業界全体に大きな影響があるのではないかと危惧しています。国でも石油元売各社への支援を表明し、対策に乗り出していますが、効果のほどは不透明です。県としては、今後の県経済の動向をどのように分析し、今回の原材料高騰に起因する懸念の払拭に向けどのように対応するのか、知事の見解を伺います。 次に、燃油高騰による農林水産業への影響について伺います。 当然のことながら、この影響は、商工業者だけにとどまりません。農林水産業に従事している方々の経営を圧迫する一因ともなります。先月の地元紙にもありましたが、かんきつ類のハウス栽培を行っている事業者は、これからハウスの暖房機を回し温度管理をしていく必要があります。また、漁船漁業や養殖業を営む方たちは、漁船の燃油高騰や配合飼料の高騰を非常に心配しています。特に漁船の燃料となっているA重油の価格については、水産庁の調査によると、これも13年前の平成20年の燃油高騰時の水準に近づきつつあります。この当時もそうでしたが、廃業する漁業者も出るなど厳しい経営状況となっています。 こうした漁業者に対する有効な金融支援策など負担軽減を検討していただきたいと思いますが、農林水産部長の見解を伺います。 〔阿部(長)議員、対面演壇横の待機席へ移動〕
○三浦正臣副議長 ただいまの阿部長夫君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。 〔広瀬知事登壇〕
◎
広瀬勝貞知事 阿部長夫議員から、県経済の状況と原材料高騰について御心配いただきました。 雇用の点から見ると、これまでの様々な下支えの効果もあり、解雇等見込み労働者数は全国と比較して半分程度の水準に抑えられており、有効求人倍率は全国より早い回復を見せています。他方で、客足がなかなか戻らないとの声も商工団体には寄せられており、個人消費はいまだ回復途上です。 そうした中、原油価格の高騰が新たな懸念材料として浮上してきました。現在実施中の500社企業訪問でも、原油高、原材料高の影響を心配する声が出始めています。 国では、当面の原油価格高騰対策として、特別相談窓口の設置とセーフティネット貸付の運用緩和に加え、原材料・エネルギーコスト増加分の適正な価格転嫁を事業者団体に要請しています。今後は、卸価格を抑制するための元売事業者への助成も予定されています。 県でも、年末の金融相談窓口を前倒しで開設したほか、中小企業活性化資金を活用して支援する体制を整えています。また、産業創造機構でも、下請事業者からの相談に対応しています。 今後の県経済の動向については、例のオミクロン株前の調査ですが、6割近い企業が、半年後の景況感はよくなると回答しており、コロナ禍からの回復の見通しが立ちつつあることがうかがえます。しかしながら、コロナ再拡大への警戒感は根強く残っており、半導体不足等の供給制約など、原油価格の高騰に加えて、様々な下振れリスクが存在しています。このような状況下では、原油価格への対策を講じつつも、やはり経済全体を活性化させていくことが大変大事です。 個人消費については、先日、企業に対し忘年会を開催するための留意事項を通知しましたが、今後は市町村と連携した
プレミアム商品券により、県内全体の需要を喚起していきます。 観光については、新しいおおいた旅割の対象を隣接県へと広げるなど順次拡大するとともに、観光客に移動手段を提供するバス、タクシーの運行継続を県独自の交付金で支援していきます。 経営の厳しい事業者には、期限が延長された無利子・無担保融資や雇用調整助成金の特例措置、新たに創設される事業復活支援金など、国の支援策の活用を徹底していきます。 また、事業再構築補助金や経営革新などの制度を活用して、様々なリスクに耐え得るよう、業態転換や新分野展開を促していくことも重要だと思っています。 こうした取組により、原油価格の高騰を含めた様々な景気の下振れリスクにも対応しつつ、社会経済活動の着実な回復と再活性化を実現していきます。 もう一つ、燃油高騰による農林水産業への影響について御心配いただきました。この件については農林水産部長から答弁します。
○三浦正臣副議長 佐藤農林水産部長。
◎佐藤章農林水産部長 燃油高騰による農林水産業への影響についてお答えします。 生産原価に占める燃料費の比率が高い施設園芸や漁業については、平成20年の燃油価格高騰などを背景にして生産者と国の積立てによる価格補填制度が創設されています。 当該制度の積立金は掛け捨てではなく、発動がなければ返還されるなど生産者に有利な仕組みであることから、燃料使用量が多いハウスみかんの生産者で96%が加入しています。また、漁業でも使用量が多い底引き網漁業者で83%が活用しています。こうした制度による影響緩和に加え、経営継続を支えるため、日本政策金融公庫や関係団体と連携して実質ゼロから0.3%の低利の融資制度を措置するなど、資金面での対応もしています。 また、化石燃料に頼らない生産体制への転換も重要です。園芸ハウスへのヒートポンプ導入や燃費のよい船舶エンジンへの更新等を進めてきましたが、脱炭素という長期的な視点を持ち、取組を加速しています。 今後も、国の事業や制度資金などの支援によって省エネ設備の導入等を促進し、強靱な農林水産業を構築していきます。
○三浦正臣副議長 阿部長夫君。
◆阿部長夫議員 知事ありがとうございました。大変力強い答弁をいただき、あらゆる金融支援を行っていただいたり、そしてまた、昨日、議案上程された補正予算は、本当に落ち込んだ経済活動に力強い支援策になると思います。特に、さきほど答弁にあったように、地域公共交通機関継続緊急支援事業、これはバス、
タクシー事業者にとっては大変ありがたい支援だと思います。これまで飲食事業者に時短要請を行ったり、県民に自粛要請を行った中で、一番のあおりを受けているのがこのバス、
タクシー事業者ではなかったかと思います。そういう意味で、今回の支援により、事業者はこれからも事業を継続して頑張っていこうとやる気が起こってくると思います。本当にありがとうございます。 また、燃油対策について、農林水産業への影響については、ハウスみかんの生産者に先日伺いました。部長の答弁にあったように、価格補填制度、これは燃油価格高騰・施設園芸セーフティネット構築事業というものだそうで、高騰時に基準価格を上回ったときに、その上回った分の補填をしていただくということです。これが83円10銭と。しかしながら、その経営者は、ハウスみかんがキロ当たり千円で売れた場合に、損益分岐点は75円であると。今、燃油が99円しているということです。10アール当たり約20トン、2万リットルの燃料をたいて、セーフティネットでは83円以上の分は頂けるわけですが、この損益分岐点から見ると、まだまだ差があると。8円くらいの差があって、補填金を頂いても非常に苦しいと言われていました。1円でも支援のお願いをしたいということでした。どうかぜひその辺を御検討いただきたいと思います。 続いて2番目に、農林水産業の諸課題について4点伺います。 全国豊かな海づくり大会の開催について伺います。 先月2日の記者会見で、広瀬知事は、令和6年度に本県で全国豊かな海づくり大会の開催が決定したと発表されました。昭和56年に第1回大会が本県で開催されてから43年ぶりの開催ということで大変名誉なことと思います。誘致に御尽力された関係者の皆様に敬意を表するとともに、開催までの2年間で、しっかりとした準備を行い、大会を通じて本県の豊かな海をPRするとともに、県民をはじめ多くの皆様に水産業に対する理解を広げていかなければなりません。 特に、水産業については、本年第1回定例会で我が会派の古手川議員の代表質問に対する回答にあったように、昭和56年の第1回開催時点から比べても、大きく様変わりしています。漁業産出額は631億円から377億円と減少し、当時主軸であった漁船漁業の割合も8割から3割に低下しています。さらに、漁業者の高齢化、食生活の変化に伴う魚離れなど、その取り巻く環境は厳しさを増しています。 一方で、その厳しい環境の中で活路を見いだすために本県漁業者が、多くの創意工夫をして、水産業を振興してきたことも忘れてはなりません。昭和60年代には関あじ、関さばが地域ブランド魚として、全国的な知名度を勝ち取りました。ほかにも、城下カレイやくにさき銀たちなどブランド化することが一つの手法として確立し、近年では、かぼすブリやかぼすヒラメなど養殖漁業の中で餌に工夫を凝らし、味を追求したものも出てきています。 また、養殖技術も進んでおり、津久見の株式会社兵殖が手がける養殖のクロマグロや、佐伯の養殖トラフグ、実入りのほとんどないムラサキウニを陸上で蓄養し食用化した国東の株式会社大分うにファーム、世界農業遺産の森と海に育まれた守江湾のカキなど、本県には、生き残りのために特色を生かし水産業を振興している漁業者がたくさんいます。 大会の目的は、水産資源の保護や管理、海や河川の環境保護を国民に訴えるとともに、つくり育てる漁業の推進と聞いています。本県で先駆けて活動してきた漁業者の活動を全国に知らせるチャンスでもあります。今回の大会を本県で開催する意義と、成功に向けどのように取り組むのか、知事の見解を伺います。 続いて、海洋プラスチックごみの削減について伺います。 プラスチックごみについては昨年の第3回定例会で、海岸部の漂着物の処理について取り上げましたが、今回は海洋汚染に関して伺います。 水産業に関わる方々が種苗放流や養殖により資源の涵養に努めたとしても、どうしても問題となるのが海洋汚染です。特に、近年問題となっているのが海洋プラスチックごみの処理です。この問題は、大分県や日本といった規模に収まらない世界的な大きな問題となっています。しかし、私たち一人一人の意識を変えていくことによって、豊かできれいな海の実現が可能となると考えます。大分の豊かな海を次の世代にも永々と引き継いでいくために、瀬戸内海をはじめとする本県の沿岸での海洋プラスチックごみの削減に向けて取り組んでもらいたいと思います。生活環境部長の見解を伺います。 続いて、カキ養殖業の振興について伺います。 私の地元の杵築市にある守江湾ではカキ養殖が盛んです。守江湾には、大小九つの河川が流入し、海中栄養分が豊富で、極上のカキを生み出します。正に今、旬を迎えているこの時期、販売はもとより、海岸にカキ小屋が並び、新鮮なカキが味わえます。 この地域のカキ養殖は県下でもトップクラスの水揚げを誇っており、高品質で味にも自信があるが、特に経営上の課題として挙げられているのが、出荷時に生じるカキ殻とそれに付着している生物の死骸の処理です。これらは一般廃棄物として処理する必要があるため、処理経費が養殖事業者の経営を圧迫している原因となっています。カキ殻は、現在、一部では漁礁の材料として加工、利用されていますが、規格に合わないカキ殻や付着生物などはその用途がなく、大変苦労しているということです。 他県の事例として、三重県鳥羽市では、平成12年にカキ殻加工センターを国の補助を受け建設し、鳥羽市内の漁協から出る年間約1万1千トンのカキ殻を処理し、カキ殻石灰肥料の生産を事業化しているとのことです。また、隣の福岡県では、糸島漁業協同組合を中心に福岡県や九州大学、地元市町と連携し、カキ殻のリサイクルに取り組み、やはり石灰肥料や培養土に有効活用する事例も出てきています。 本県は、地元守江湾だけではなく、国東、中津、佐伯でもカキの養殖は盛んであり、恐らく産地では同じ問題に直面していると思います。特に、守江湾は国東半島宇佐地域の世界農業遺産の一角を成しています。この地域に降り注ぐ雨水は、クヌギの落ち葉などが堆積した土に染み込み、有機物や栄養分を含んだ湧水となります。この湧水が植物プランクトンや海藻などの栄養源として、水田農業や沿岸漁業などを支えるとともに多様な生態系を育んでいます。守江湾のカキのおいしさは正に世界農業遺産の森林と海の循環から来ています。森林と海の関係を持続的につなぐためにも、カキ殻の処理についての研究を行い、カキ養殖業者の処分費負担の軽減を図り、産地の振興を図るべきと考えますが、農林水産部長の見解を伺います。 次に、鳥獣被害対策について伺います。 県では、鳥獣被害対策推進体制を強化するため、平成23年から大分県鳥獣被害対策本部を設置し、集落対策を強化した戦う集落づくりを進めてきました。戦う集落にするには、まずは鳥獣被害の原因と加害獣の生態を学び、集落環境対策として餌場をなくすこと、潜み場所をなくすこと、加害獣を追い払うことが重要です。続いて、予防対策として、防護柵で農地を囲い、防護柵設置後は定期的に見回り、周辺の草を刈り、小さな穴があればすぐに補修するなど、設置後の管理の徹底が重要です。最後に、捕獲対策です。山の10頭より里の1頭の捕獲が被害軽減には重要だとして、田畑に来る加害獣を自ら捕獲することで戦う集落をつくっていくというものです。 戦う集落を後押しするため、県は鳥獣害対策アドバイザー認定制度を設け、各地域で集落の点検や防護柵の設置など、被害防止対策を実施する際に的確かつ効果的に助言できるよう専門家による現地研修や県の普及指導員による積極的な現地指導で、新規アドバイザーの養成や既存アドバイザーの育成に力を入れていただいています。 また、今定例会に上程された大分県使用料及び手数料条例の一部改正においても、銃砲刀剣類所持等取締法の一部改正に伴い手数料が引き上げられることになりますが、狩猟または有害鳥獣駆除の用途に供する場合には3年間の猶予措置を設けており、わな猟だけではなく銃猟についてもしっかりと取り組む方向性が示されたものと考えています。 このような県の取組もあり、鳥獣被害額は年々減少し、昨年度には1億6,500万円と過去最少の被害額となっています。関係者の皆さんは大変感謝しています。一方、今年の杵築市においては、イノシシの目撃情報が多く、関係者の間では不安が広がっています。地元としては、やはり、イノシシの頭数を減らしてほしいという切実な願いがあります。昨年度の捕獲頭数は3万7,814頭と過去最高となっていますが、生息数を把握するのが難しく、生息数が多いから捕獲頭数が多かった可能性もあり、手放しで喜ぶことはできません。しかし、少なくとも捕獲頭数分はイノシシを減らすことができており、この取組をさらに加速させることができないか思案しています。 そこで、イノシシの被害を減らすために捕獲頭数をさらに増やす取組について、農林水産部長の考えをお聞かせ願います。よろしくお願いします。
○三浦正臣副議長 広瀬知事。
◎
広瀬勝貞知事 農林水産関係の課題について4点御質問いただきました。まず私から、全国豊かな海づくり大会の開催についてお答えします。 佐伯市鶴見で第1回大会が開催されてから40年が経過して、水産資源の減少や海洋環境の変化等、水産業を取り巻く情勢が大きく変化してきました。 このような中、天皇・皇后両陛下をお迎えし開催されている本大会を、令和6年度に開催できることは、水産振興にとって大変意義深いことであり、私どもとしては次の三つの視点から取り組んでいきます。 一つ目は、議員も御心配いただいている水産資源の保護・管理という面です。水産資源を増加させるためには、種苗放流と資源管理に一体的に取り組む必要があります。まず、種苗放流については、漁業公社国東事業場の建て替えに着手したところであり、令和5年度に本格稼働する予定です。生産能力を2割アップさせるとともに、新たに高級魚キジハタの種苗生産も行います。 また、現在、漁獲サイズの制限など資源管理に取り組む漁業者が、クルマエビやマコガレイなどを放流する場合、県は種苗の上乗せ放流を行っています。この大会を契機に、これまで以上に漁業者による積極的な資源管理や種苗放流の取組を進めていきます。 さらに、県民の皆さんにも各地の海や河川で種苗放流を行うリレー放流に参加していただき、水産資源の保護と管理の重要性を理解して、共有する取組も行っていただきたいと考えています。 二つ目は、海や河川の環境保全です。近年、国際的に大きな問題となっている海洋プラスチックごみは、本県の海岸にも多く漂着しています。現在、NPO等による海岸清掃活動の支援に加え、プラスチックごみの削減に向けたユーチューブ動画や、小学校に対するDVD配布など県民への啓発に取り組んでいます。また、森は海の恋人との言葉があるように、豊かな森が生み出す栄養豊かな水は、海の生物を育みます。来年開催の第45回全国育樹祭では、次代につながる豊かな森林づくりを目指します。こうした取組をさらに加速して豊かな海へとつなげていきます。 三つ目は、県産魚の消費拡大です。本大会は、ブランド化を進めている杵築ハモや、かぼすブリの取組など、本県水産業や漁業者の活動をアピールする絶好の機会であり、全国に向け情報を発信していきます。加えて、家庭や飲食店での県産魚の消費を喚起するため、様々な関連行事を通じて、魚を見て、知って、食べる機会を増やす取組を進めていきます。 このように本大会を通じて、漁業者には新たな取組の契機として、県民には水産業や環境保全への理解と関心を持つ機会として、今後の水産業の発展につながるよう、しっかりと準備を進めていきます。
○三浦正臣副議長 磯田生活環境部長。
◎磯田健生活環境部長 海洋プラスチックごみの削減についてお答えします。 令和元年度に県が実施した海岸漂着ごみの調査では、人工ごみの約7割がプラスチック類であり、そのうち約8割が陸域由来、陸上から流れたものとなっています。 海洋プラスチックごみは、ほとんどが日常生活や事業活動の中で発生することから、その円滑な回収・処理やリサイクルの促進とともに、大本である発生抑制対策の推進が必要となってきます。 具体的には、漁業関係者等による漂着ごみ清掃活動の支援、市町村のプラごみの分別回収・リサイクルの推進や、使い捨てプラスチックの削減に向けて紙製ストロー等の代替製品を導入する飲食店への支援を実施しています。 加えて、議員御指摘のとおり、プラスチックごみの削減には、我々一人一人がごみを出さない生活を心がけるといった啓発も必要になってきます。そこで、若者など広く県民に関心を持ってもらうため、漂着ごみを材料にしたアート作品の制作・展示など、国東半島でも盛んになっているアートの力を借りた意識啓発も検討しています。 海洋プラスチックごみ問題は、日本、中国、韓国に共通した課題でもあるので、来年の
東アジア文化都市事業の機会も活用し、国際的にも訴えていきます。こうした取組により豊かできれいな海を次代につなぐ覚悟です。
○三浦正臣副議長 佐藤農林水産部長。
◎佐藤章農林水産部長 私から2点お答えします。 まず一つは、カキ養殖業の振興についてです。 県内のカキ養殖は杵築をはじめ、中津、国東、佐伯で行われており、生産量は約140トンです。 杵築では県内唯一の垂下式養殖のため、付着物のつきにくい他地域のバスケット式の養殖方法に比べ、カキの出荷時にイガイやホヤなどの付着物、カキ殻が残渣として多く出てきます。そのうち、御指摘のカキ殻は増殖漁礁の部材として有効利用されています。しかしながら、その他の残渣は一般廃棄物として収集運搬業者に費用を支払い、引き取ってもらっているのが現状です。 この問題は過去に真珠養殖でも発生していたため、水産研究部が残渣の堆肥化の研究を行い、実用化しています。カキの残渣においても、真珠養殖と同様の手法で堆肥化の可能性は十分にあると考えているので、その方法について振興局を通じて普及していきます。 ただ、商品化まで行っている他県の事例に比べ、本県の残渣は量が少ないため、技術を指導し、それを個人やグループ単位の取組として実施できるか、研究していきます。 もう一点、鳥獣被害対策についてです。イノシシは多産であるため、捕獲のみで被害を減らすことは難しく、農地等を柵で囲う予防対策が有効で、毎年約400キロメートルの防護柵等を設置しています。 また、捕獲対策にも引き続き取り組んでおり、中でも狩猟の大半を占める有害鳥獣駆除は9割以上がわな猟であることから、わなの整備に対し積極的に支援を行っています。その結果、令和2年度のイノシシによる被害額は平成以降最低の9,300万円となり、捕獲実績も直近の統計では全国3位となっています。 さらに効率的な捕獲を進めるため、大量捕獲可能なAIゲート、ICTを活用した通知システムの箱わなや、くくりわななどのスマート捕獲も導入しています。 狩猟者の確保にも取り組んでおり、セミナー等の開催により昨年は441人が新たに狩猟免許を取得しました。また、次世代リーダーの養成やスキルアップ研修により、既存狩猟者の捕獲技術向上を図り、捕獲圧を高めています。 今後も農林作物の被害軽減に向け、予防、捕獲、狩猟者確保等の対策を総合的に実施していきます。
○三浦正臣副議長 阿部長夫君。
◆阿部長夫議員 ありがとうございました。全国豊かな海づくり大会については、資源の管理、それから環境保全、県産魚の消費拡大という大きな目標を掲げて取り組んでいただけるということです。国東の種苗センターもその頃は完成しており、育てる漁業に力を入れる県水産業の振興に弾みがつくと思っています。大変大きな、有意義な大会であると期待しています。準備をしっかりと行って、大分県の水産業の振興につながるすばらしい大会にしていただきたいと思います。 また、プラスチックごみについては、国民一人一人の意識の問題であると思います。これは啓発活動をしっかりとしていただいて、海に流さない、捨てない、ごみを出さないことが大事ではなかろうかと思っています。今後とも県のしっかりとした取組をお願いします。 また、カキの養殖、カキ殻の件ですが、今、杵築市では20軒のカキの養殖業者がこの冬の寒い時期に、朝一番でカキを揚げに行って、港に戻って、カキ殻についた付着物を取り払って製品にする作業を毎日頑張っています。守江湾のカキは1年で立派に成長して、本当においしいカキが育っています。この時期になると、カキ小屋も今年は1軒増えて、先日のぞいてみましたが、駐車できないぐらいに大変な盛況でした。 ただ、残渣物の問題は、20軒の漁業者がこのシーズンに150万円から200万円ぐらいの廃棄物負担をしているということです。これを何とか考えていただけないか。量が少ないので肥料化するのは難しいという話もありましたが、何らかの形でこれを助成していただいて、本当においしいカキだし、知事に伺いますが、カキは好きですか。杵築のカキ小屋が何軒もあるが、食べていただいたことはまだないと思いますが、どうでしょうか。--ありますか。ああ、ありがとうございます。 これは冬の風物詩として、そしてまた、インバウンドが復活すれば、杵築観光の、大分県観光の目玉としても、冬の風物詩として、すばらしい宝になるんではないかと思っています。20軒の小さな事業者ですが、これを何とか支援していただき、このカキの文化を、大分県のカキを--ただ、杵築のカキは安いんですよ。浜値で550円ということです。中津、国東、佐伯等はもっと高いんではないかと思いますが、本当に庶民が安心して食べられるカキであると思うので、部長、どうかしっかりと振興局と協議しながら支援していただきたいと思います。 イノシシの件についても、これは常に課題となりますが、どうかイノシシを減らす方策を検討していただきたいと思います。 それでは、次に、介護人材の確保、育成について2点伺います。 介護人材の確保については、現在、厚生労働省において、団塊の世代が後期高齢者となる令和7年、2025年に向けて、医療・介護のあるべき姿として、30分で駆けつけられる日常生活圏域を基本とした地域包括ケアシステムの構築を進めています。本県でもこの考えの下、これまで介護政策を実行してきました。少し古い資料ですが、平成26年3月に公益社団法人全国国民健康保険診療施設協議会がまとめた過疎地域等における地域包括ケアシステムの構築に関する調査研究事業報告書によると、その実現には、一つ目に医療との連携強化、二つ目に介護サービスの充実強化、三つ目に予防の推進、四つ目に見守り、配食、買い物など、多様な生活支援サービスの確保や権利擁護、五つ目に高齢期になっても住み続けることのできるバリアフリーの高齢者住まいの整備といった五つの視点での取組を包括的、継続的に行うことが必須とされています。 しかし、この地域包括ケアシステムを構築する人材が、過疎地においては非常に不足しているのが現状です。大分労働局が先月末に発表した大分県の雇用情勢によると、この1年間で社会保険、社会福祉、介護事業の求人は1,100件から1,300件で推移しています。このことは常時千人近い人材が県内で不足していることを示していると考えます。地元杵築市の介護事業者の方からも、なかなか若い人材が募集に来ないといった話も聞いており、今後、団塊世代がピークを迎える2025年に向けて大きな不安材料となると考えています。 2025年問題を無事に乗り切ったとしても、次に65歳以上の高齢者がピークを迎える2040年問題が待っています。正に大介護時代が先に見えているにもかかわらず、介護現場の人材不足の解消がなかなか難しい状況です。現場の状況をどのように分析し、人材確保に対応するお考えなのか、介護現場を抱える福祉保健部長に伺います。 次に、専門高校等における介護人材の育成について伺います。 今後も高齢化に歯止めがかからないことが予測されていますが、長期的に介護人材の獲得に向けて動き出す必要があると思います。その際は、専門高校等において、福祉系の進路選択のためにコースや学科、あるいはそうしたカリキュラムを編成し、資格取得までを可能なものとすることも検討すべきではないかと考えます。特に、大分市や別府市のような県内でも人口の集まっているところではなく、過疎地での人材確保を見据え、大分、別府以外にそうした人材を育成できる高校を増やしていただきたいと考えています。専門高校における介護人材の育成について教育長に見解を伺います。
○三浦正臣副議長 山田福祉保健部長。
◎山田雅文福祉保健部長 私からは、1点目の介護人材の確保についてお答えします。 昨年9月に実施した県の実態調査では、約4割の事業所が、職員がやや不足、とても不足と回答しており、休暇の取得が困難になっているという現場の声も伺っています。 また、国の調査によると、本県において必要な介護サービス量に対し、2025年で約1,200人、2040年で約6,700人の介護職員の不足が推計されており、介護人材の確保が喫緊の課題であることは議員御指摘のとおりです。 このため県では、修学資金の貸付けや資格取得への助成のほか、職場体験・就職フェアの開催、外国人介護人材の受入支援等を実施しています。 また、若者をターゲットに介護の仕事の魅力を発信する動画制作やWebサイトの開設、現場で活躍する先輩職員を紹介するパンフレットの作成等も行っています。 加えて、介護ロボット等の導入促進による介護現場の負担軽減や報酬加算制度の周知による処遇改善にも取り組んでおり、国の経済対策を活用した介護職員の賃金引上げも今回の補正予算に盛り込んでいます。 今後とも、こうした参入促進と介護現場の労働環境や処遇の改善により、介護人材の確保を進めていきます。
○三浦正臣副議長 岡本教育長。
◎岡本天津男教育長 専門高校等における介護人材の育成についてお答えします。 大分南高校に平成24年度から、佐伯豊南高校には平成26年度から福祉科をそれぞれ設置し、介護人材育成の専門学習を行っています。例年3年生全員が介護福祉士国家試験を受験しています。昨年度は両校合わせ110人が受験し、108人が合格しています。過去3年間の合格率を見ても96.7%となっており、全国平均の71.6%を大きく上回っている状況です。 この二つの高校では、生徒がより実践的な経験を積むため、地元の福祉施設の協力の下、ノーリフティングケアを取り入れた実習などを行っています。また、大分南高校では昨年度まで文科省からスーパー・プロフェッショナル・ハイスクールの指定を受け、認知症予防体操の考案や、福祉先進国であるデンマーク視察を通した社会福祉制度の理解など、福祉の専門性の深化が図られています。 来年度は、耶馬溪校の生活福祉コースにおいて、国の事業を活用し、大分南の福祉科教員による遠隔授業の実践など新たな取組を行いたいと考えています。 まずはこれら既存の福祉科などで、介護人材育成の充実を図っていく必要があると考え、来年度入学定員については、佐伯豊南の福祉科について昨年度から5人増の35人としました。 今後も福祉の学びと介護福祉士の資格を生かしながら、地域を支える介護人材を一人でも多く育成していきます。
○三浦正臣副議長 阿部長夫君。
◆阿部長夫議員 この問題はしっかりやりたくて再質問を考えたんですが、時間がないので、これはまた別の機会に質問します。 本当に2040年には大変な介護人材の不足、65万人が不足すると。大分県でもその時点で6,500人が不足するんですね。これは本当に深刻な問題です。ですから、これはまた別途、質問します。 次に大分空港道路の4車線化について伺います。 大分空港へのアクセス改善に向けては、平成30年より調査を行い、令和2年3月に導入方針を決定、そして、運航事業者も決定、船体の調達先も決定、これから発着地の整備をしていくということですが、議会としてもその進捗と地元への対応について、これからしっかりとチェックしていきます。 一方で、県都大分市と大分空港をホーバークラフトにより直線的につなぐ海上アクセスと並んで重要になるのが、陸上アクセスです。ホーバークラフトの活用により最大約30分アクセス時間が短縮するとのことですが、船舶であるがゆえに波浪や霧など気象条件による影響を受けることは致し方ありません。その場合の代替輸送は当然、陸路であり、十分に確保しておく必要があります。その際の主要な通行路となるのが大分空港道路です。大分空港道路は、全長約20キロメートルあり、令和元年に行われた
ラグビーワールドカップに向け4車線区間の延伸に取り組み、現在は、その37%の約7キロメートルで4車線区間となっています。この延伸工事についても大変ありがたいことでしたが、
ポストコロナにおける地方創生を加速し、宇宙港をはじめとする大分空港を活用した様々な取組が予定されている中で、当該道路の需要が増加することは明らかです。 また、本道路は平成22年12月に無料化して以来、周辺地域住民の幹線道路としても活用が進んできています。空港へのアクセス道路としては、定時性の確保が重要です。さらに、災害時には、沿線自治体への物資や人的支援の輸送道路としての活用も考えられますが、谷間を抜けている本路線の2車線区間では、崖崩れによる道路閉鎖も考えられます。 道路沿線の日出町、杵築市、国東市の自治体の産業競争力を強化する意味でも、ぜひ4車線区間の延伸をお願いしたいと考えていますが、土木建築部長の考えを伺います。
○三浦正臣副議長 島津土木建築部長。
◎島津惠造土木建築部長 大分県空港道路は、空港へのアクセスはもとより、国東半島を周遊する観光や地域産業を支えるとともに、災害時は緊急輸送道路としての役割を担う重要な路線と認識しています。 平成22年の無料化後、交通量が増加する中で、速度低下の課題が確認されました。このため、速度低下の著しかった相原工区など4工区、約2.7キロメートルの4車線化事業を平成28年度から進め、令和元年7月には全線の約37%が4車線となりました。 整備後の交通実態を分析した結果、全線において法定速度での通行が可能となるなど、効果が現れています。 安全・安心な通行の確保のため、今後も法面等の点検を実施しながら必要な対策を講じるほか、橋梁の耐震補強を進めていきます。 また、正面衝突事故を防止するため、ワイヤーロープ式防護柵の設置を検討していきます。 4車線区間の延伸については、本路線の果たすべき機能や役割はもとより、交通実態も踏まえながら、引き続きしっかりと検討していきます。
○三浦正臣副議長 阿部長夫君。
◆阿部長夫議員 ありがとうございます。 一つ伺います。この4車線区間の予定地、この土地所有はどのようになっているか伺います。
○三浦正臣副議長 島津土木建築部長。
◎島津惠造土木建築部長 御案内のとおり、大分空港道路は建設着手時に計画として4車線に対応できるよう計画されています。したがって、用地については4車線の幅を確保しています。
○三浦正臣副議長 阿部長夫君。
◆阿部長夫議員 用地の確保が一番大事なことではなかろうかと思います。用地が県の所有ということですから、あとは工事予算、これだけだと思います。中津日田道路も大事です。これもしっかりと進めてもらわないといけませんが、県の大動脈として空港と県都大分市を結ぶ空港道路を、ぜひ早期に4車線化実現をしていただきたいとお願いして終わります。ありがとうございました。(拍手)
○三浦正臣副議長 以上で阿部長夫君の質問及び答弁は終わりました。 暫時休憩します。 午前11時59分 休憩 ------------------------------- 午後1時 再開
○御手洗吉生議長 休憩前に引き続き会議を開きます。 一般質問及び質疑を続けます。成迫健児君。 〔成迫議員登壇〕(拍手)
◆成迫健児議員 22番、成迫健児です。本日、この一般質問の機会を与えていただいた先輩議員の皆様、そして質問に御協力、そしてあらゆる課題を与えていただいた地域の皆様に感謝しながら、質問に移ります。 まず、移住定住について伺います。
新型コロナウイルス感染症は、経済や人流を停滞させましたが、その一方でテレワークの浸透や地方移住への関心の高まりなど、地方回帰につながる流れができつつあり、コロナ禍における数少ないプラス面の副産物と捉えています。 内閣府が今年インターネットで実施した調査によると、東京圏在住で地方移住へ関心を持つ人の割合が34%となり、コロナ前の2019年の25.1%から8.9ポイントも上昇しています。 事実、東京都の人口は2021年2月まで8か月連続の転出超過を記録し、その後、入学、就職シーズンの3月、4月には一旦転入超過となりましたが、5月には再び転出超過となっており、都市から地方へという流れができていることが分かります。長期にわたり東京一極集中が加速していたことを考えると、隔世の感があります。 大分県においても、県が公表している令和2年度の移住者数は1,287人、前年度から216人、20%の増加と、平成27年度以降、最多の移住者となっており、この地方回帰の流れは、コロナ禍収束後もしばらくは続くと思われます。 本県でも時代の波に乗り遅れることなく、テレワークによる移住を促進するため、サテライトオフィスやワーケーション施設等の開設支援など、移住促進施策を充実させてきましたが、もう一つ、地域の特性を生かしたビジネスの開拓による移住定住促進にも取り組んではいかがでしょうか。 私の地元の佐伯市では、県の支援を受け、海底熟成酒の取組など、新たな挑戦が始まっていますが、地域産業を支える人材や新たな事業の開拓を目指す若手はいまだに不足しています。地域の特性を生かしたビジネスの開拓は、若い人材の興味やチャレンジ精神を刺激し、その中から成功者が出てくれば、さらに地域での挑戦意欲が高まるのではないかと考えます。 今年7月に私どもの会派で長崎県壱岐市のトラフグの陸上養殖を視察しました。そこでは太陽光発電の余剰電力で水を電気分解し、水素を製造する際に得られる酸素と熱を養殖に利用したり、最新技術により海水の3分の1の塩分濃度でトラフグを育てることで、アミノ酸やうまみ成分を倍増させ、市場から高い評価を得てブランド化に成功していました。 また、県内でも、佐伯市の柳井商店がトラフグを扱っていますが、常任委員会の所管事務調査で訪れた際には、生産量を上げるための環境整備に支援してほしいという要望もいただきました。大入島では、日本初のフリップファーム方式を導入した大入島オイスターのような先進的な取組も行われています。 このように水産業だけ見てもチャンスはすぐ目の前にあり、あとは環境をどう整えるか、また、その先の移住定住と掛け合わせて外部から若い人材を呼び込み、新たな挑戦や取組を大きな魅力として発信できるかに地方の未来はかかっています。 そこで、戦略の一つに地域の特性を生かしたビジネスの開拓を加え、移住定住を促進してはどうかと思いますが、知事のお考えを伺います。 以降は対面席より質問します。 〔成迫議員、対面演壇横の待機席へ移動〕
○御手洗吉生議長 ただいまの成迫健児君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。 〔広瀬知事登壇〕
◎
広瀬勝貞知事 成迫健児議員から、移住定住について、提案を交えて御質問いただきました。 コロナ禍を背景とした地方移住への関心の高まりにより、本県の移住者数は4年連続で1千人を超え、今年度も10月末時点で735人となっており、過去最多だった昨年と同じペースで推移しています。その一方で、地域産業を支える人材は不足しており、地域の活力創生には人材の確保が喫緊の課題となっています。 このような中、新たなビジネスを創り出し、魅力あるものに磨き上げることにより、県外からの人材確保に成功した企業も出てきています。 国東市の大分うにファームは、海藻を食べ尽くす厄介者のウニを駆除し、そのウニを陸上で養殖し、付加価値をつけて販売するという新しいビジネスモデルを構築しました。環境保護にも寄与するこの取組の理念に共感した方が、県外から移住して、社員として活躍しています。 また、移住者の視点が地域の魅力発掘につながった例もあります。豊後大野市では、おんせん県なのに温泉がないという、豊後大野市長さんによると、温泉はあるが、ほかに魅力がいっぱいあるから誇らないだけだと言っていますが、とにかく温泉がないという地域特性を逆手に取り、若い移住者が中心となって、豊かな大自然を活用したアウトドアサウナを展開し、交流人口の増加につなげています。 このような新たな挑戦が県内各地に広まるよう、しっかり支援し、地域産業の活性化と移住定住の相乗効果を生み出していくことが大変大事だと思っています。 そのため一つは地域における新産業創出の動きに対応した移住施策の推進です。大分空港は、最も早ければ2022年後半に宇宙港としての活用を目指しており、これに合わせて関連産業の育成にも力を入れています。このような先進的な取組を新たなビジネスチャンスに関心がある県外の方々に向けてPRし、移住の促進と産業の活性化につなげていくのもおもしろいと思っています。 二つは地域おこし協力隊の積極的な活用です。全国から集まった様々な経験やスキルを持った人材が、任期満了後も地域産業の担い手や地域資源を活用した新たなビジネスに取り組む人材として活躍できるよう、今後もその取組を一層支援していきます。 三つは移住者による事業承継の強化です。商工業の経営者や農林水産業従事者の高齢化が進み、後継者の確保が困難になっています。移住フェア等を活用した後継者候補の掘り起こしや、承継案件に関する情報提供の強化などにより、移住者と事業者とのマッチングを促進します。 今後とも、人と仕事の好循環で地域を活性化する大分県版地方創生を加速前進させるため、産業人材確保の視点を持った移住施策を展開していきます。 これからもいろいろアイデアをお聞かせ願います。ありがとうございました。
○御手洗吉生議長 成迫健児君。
◆成迫健児議員 ありがとうございました。 産業人材を確保していくという力強い言葉をいただき、いろんな場面で、今いただいたお話の中でどんどん発展していくんだなと強く感じました。 さきほどの質問の中では、水産業にフォーカスして例を出しましたが、自然豊かな大分県は、農業の分野でも移住定住に結び付く新たな挑戦がなされています。 今、臼杵市や佐伯市では、安全なものを子どもたちに食べてもらいたいという思いから、学校給食に有機米や有機野菜を導入する取組が行われており、佐伯市では12月上旬に2トンの有機米を2日間だけ学校給食で提供する予定になっています。 いずれも学校で出す米は全て地元の有機米100%を目指していることから、各補助金や栽培奨励補助金などを付け、有機米産地の基盤をつくる努力もしており、来年度から国のみどりの食料システム戦略推進交付金を活用し、さらなる拡大を目指しています。 いずれもブランド米としての確立や新規就農者の参入につながり、この取組そのものが安心・安全な給食が提供されている魅力ある地域として子育て世代を中心に移住定住に結び付いていくことが期待されています。 当然、各自治体が努力を重ね、地域の魅力を発信し続けることは大切ですが、県全体としても財産である自然を活用した新たな取組や、そこから生まれるビジネスについては、大分県の魅力に必ずつながるので、常にアンテナを張って、引き続き力強い後押しをお願いできたらと思います。 また、海や山を生かしたビジネスの開拓は、今回お話しした中にも、さきほど知事のお話にもあった、うにファームにしても、SDGsや、子どもたちの健康、雇用の創出等、あらゆる場面で恩恵が生まれます。今後も大分県で推し進めていく新たな挑戦を地域の大きな課題となっている人口減少対策に結び付けていただき、地方へ魅力を感じ、移住を考えている若い力にバトンタッチできるような戦略を構築いただくようお願いします。 それでは、次の質問に移ります。 次は、健康寿命日本一について伺います。 私たちが健康で生き生きと暮らしていくための基本は、日々の食生活にあります。現代社会では、コンビニエンスストアや外食、また、持ち帰り弁当や宅配など、中食産業が発達し、共働きや単身世帯が増えていることも相まって、従来からの食生活が大きく変化しており、健康的な食生活を維持することは容易ではないと思います。 若い世代を中心に、依然として朝食を食べないことや偏食など食生活の乱れが見られるし、男性では40代の働き盛りの肥満の割合が高い一方、女性では過度のダイエットなどが一因と考えられる低体重も問題となっています。 また、本県のメタボリックシンドロームの該当者と予備軍を合わせた割合は、平成20年から令和元年までの間、一貫して3割近くで推移しており、さらにストレス、肥満、運動不足、暴飲暴食なども関係する糖尿病の総患者数及び受療率は、平成20年度以降、全国的に増加傾向にあります。糖尿病が重症化すると合併症を引き起こし、人工透析に至ることもあり、
新型コロナウイルス感染症においても重症化リスクが高くなると言われています。 食習慣が関わる疾患の治療においては、病状により薬物療法も行われますが、第一選択肢は食事療法であり、薬物療法を実施する場合でも食事療法を行う必要があります。食事療法がうまくいかなければ、薬物療法も効果が発揮できません。 このように健康的に生活するためには、日頃からバランスの取れた食生活や運動の習慣づくりが重要ですが、長年の食習慣を変更し継続することは、多くの方にとって簡単なことではありません。食生活の乱れや運動不足が肥満などの生活習慣病を引き起こし、本県の目指す健康寿命日本一の足かせになるのではないかと危惧しています。 また、コロナ禍の影響も踏まえ、アプローチも変えていく必要があると思いますが、今後の健康寿命日本一に向けた取組と方針について、知事の考えを伺います。 あわせて、健康寿命日本一につながる食育についても伺います。 本県の未来を担う子どもたちにおける肥満傾向児の出現率は、幼児期から高校生まで、ほぼ全ての年齢で全国平均よりも高くなっており、児童生徒の健康面での課題となっています。そこで、食習慣が身につく前に正しい食生活を習得するアプローチ、いわゆる食育が重要になります。 義務教育での食育を適切に展開し、将来の生活習慣病やメタボリックシンドロームを防ぐことは大変重要と考えます。食育は非常に奥が深く、幅広いものです。健康寿命日本一を目指す本県にとって、食育をどう進めていくのかが目標達成の鍵とも考えますが、県の見解を伺います。
○御手洗吉生議長 広瀬知事。
◎
広瀬勝貞知事 まず私から、健康寿命日本一に向けた取組と方針についてお答えします。 県では、令和6年までに県民の健康寿命を2歳以上延伸する目標を掲げ、健康寿命日本一おおいた創造会議をプラットフォームとして、官民一体となった県民運動を展開しています。 議員御指摘のとおり、健康的な食生活の継続は、個人の努力だけでは容易ではないことから、家庭、地域、学校、職場など総ぐるみで健康を支える仕組みづくりが大切です。 そこで、誰もが自然に健康的な食習慣を身につけられるよう、減塩マイナス3グラム、野菜摂取350グラム、歩数プラス1,500歩の三つの具体的目標を掲げ、次の取組を行っています。 一つは家庭での食生活の改善です。 うま塩もっと野菜プロジェクトでは、8月31日の野菜の日にちなみ、毎年8月の1か月間、県内各地のスーパーでPR動画の放映や、うま塩もっと野菜レシピの提供などを通じて、食生活を見直す契機としています。レシピは、県ホームページや広報誌「新時代おおいた」でも随時紹介し、好評いただいています。 また、コロナ禍において、公民館などでの調理実習が困難になったことから、食生活改善推進協議会では、ヘルシーメニューの調理動画をSNSで配信するなど、様々な工夫を凝らしています。 さらに、教育委員会等とも連携し、県内558の保育所、学校で、野菜たっぷりのうま塩給食を約9万人の子どもたちに提供するなど、幅広い普及啓発を行っています。 二つは惣菜や弁当などの中食をターゲットとした取組です。 流通や販売などの関係者、栄養関係の専門家などで構成する、うま塩もっと野菜部会において、減塩しながらもおいしい惣菜や弁当の開発を進めており、大手スーパーで定番商品化されるなど、着実に成果を上げています。 三つは外食に対する働きかけです。 野菜をふんだんに使ったうま塩メニューなどを提供する飲食店の拡大に向け、保健所職員が地道に店舗を訪問し、きめ細かなアドバイスを行うことで、500を超える提供店の開拓を行いました。コロナ禍の影響で、外出自粛による運動不足が心配されるなど、健康寿命延伸へのアプローチにも工夫が必要となります。 今後は、客観的かつ検証可能な健康指標による見える化と、市町村ごとの強み、弱みを明確化することで、施策の重点化を図り、健康寿命日本一に向けた取組を加速していきます。
○御手洗吉生議長 磯田生活環境部長。
◎磯田健生活環境部長 食育についてお答えします。 食育は、健全な心身を培い、豊かな人間性を持った子どもを育て、健康寿命日本一を目指す上でも非常に重要な要素と考えています。 大切なことは、単に身体の健康のもとになるだけでなく、生産者、料理する人、誰と食べるかなどの食卓の向こう側の背景を理解し、食べることが楽しいということを共有することと考えます。 そのため、うまい、楽しい、元気な大分の実現を目標とした第4期食育推進計画では、健やかに食を楽しむ心豊かな人づくりを目指しています。 具体的には、幼少期からの健全な食習慣を実現するため、小中学校等のクラスで話し合うなど、朝食喫食率の向上に取り組み、生涯にわたる健康づくりの基礎となるよう推進しています。 また、佐伯市で先進的に取り組まれた弁当の日の取組をはじめ、学校給食では地場産物の活用や、月に1回の食育の日の実施により、地域の食を学ぶとともに、農業や漁業の学習、体験を通じ、命をいただいていることへの理解促進と感謝の気持ちを育んでいます。 これらの活動を通じ、幼少期から食を楽しみながら、正しい知識を得ることで、健康的な食生活の基礎が身につくよう取り組みます。
○御手洗吉生議長 成迫健児君。
◆成迫健児議員 ありがとうございます。 今、知事のお話の中で家庭での食生活の改善で、私も日頃は子どもたちに陸上を教えながら運動もしていますが、やはりコロナの中で自粛期間があった関係で、多少太ってしまいました。 その中で、どうしたらいいのかというところで、食の改善に行き着きました。県のホームページを見たとき、さきほど知事からあった減塩マイナス3グラム、野菜摂取350グラムのスローガンを掲げ、いろいろな豊富なレシピが掲載されていました。私もたびたびそれを参考にしながら、家庭の食卓にもその料理が並ぶことがありますが、味もよく、体にも優しい、とても考えられたレシピだと思います。こういった料理を教育現場で、さきほど9万人の子どもたちに学校給食を出したとお話しいただきました。実際に学校の家庭科の時間等で子どもたちがそのレシピを参考に料理を作って、またその健康の意識を変えていくことが、食育の役割を大きく果たし、家庭での食の意識も高まると考えますが、その点についてはいかがでしょうか。
○御手洗吉生議長 岡本教育長。
◎岡本天津男教育長 家庭科の時間などで健康を意識し、子どもたちが活動に取り組むことは、食育を推進していく上で大切なことだと考えています。中学校の家庭科の学習指導要領では、健康、安全の視点から、食品の選択や調理の仕方などを工夫することができるようにするとされており、県内の学校を見ると、体にいい健康的なだしをつくってみようとか、一定の栄養量を満たす食事、メニューを考えて作ってみようという取組をするところが見られます。 今後も家庭科の調理実習をはじめ、学校教育活動の様々な場面において、児童生徒の健康に対する意識の向上に努めていきます。
○御手洗吉生議長 成迫健児君。
◆成迫健児議員 ありがとうございます。 子どもたちの肥満の傾向については、昨年度の学校の休業期間で家で過ごす時間が多かったことも原因として考えられるのでどうすることもできなかった面もあるかと思います。肥満傾向のピークを迎えている今が意識を変えるチャンスではないかと考えます。食育の知識を学ぶだけでなく、自分で作って学ぶことも意識改善の大きなきっかけになるので、その機会を増やしていただけるようぜひ検討いただけたらと思います。 やはり、肥満に対しては、すぐにでも始められることとして、食生活の改善が必ず必要となってきますが、私は長くスポーツをしている手前、運動の習慣づくりにも目を向けていくべきだと考えています。10月に佐伯で開催されたリレーマラソンでは、県庁から2チームも参加いただき、当日は日頃からランニングを趣味とされている
和田総務部長からもエントリーいただき、地元の参加者は大変喜ばれていました。 また、11月に開催されたストリート陸上イベント佐伯でイチバン!では、議員チームとして清田県議、吉村県議と地元市議と私でチームを組み、1走の清田県議がスタートを切った瞬間には、会場の盛り上がりもピークに達しました。 やはり県職の皆様や私どもも含めて、地域のスポーツイベントに積極的に参加し、自ら実践しながら肥満対策や健康運動の推進を行うことは、いざ県民の皆様に健康寿命日本一を呼びかけたときに心得の振り方も大きく変わってくると思います。 今後も県民一体となって、この大きな目標に向かって一緒に努力していきたいと思いますので、広瀬知事、そして執行部の皆様も、
和田総務部長を先頭に、積極的なスポーツイベントの参加をお願いできればと思います。 では、次の質問に移ります。 障がい者のスポーツ参加機会の充実について伺います。 コロナ禍の影響は、スポーツ界にも及んでいます。今年の夏、東京2020オリンピック・パラリンピック大会が開催されましたが、三重国体や全国障害者スポーツ大会は中止となるなど、依然として影響が出ています。 県内においても、県民すこやかスポーツ祭や県内一周大分合同駅伝、大分県障がい者スポーツ大会、特別支援学校のスポーツ大会など、多くのスポーツイベントが中止を余儀なくされました。こうした状況の中で、徹底した感染症対策を取ることにより、スポーツ活動が徐々に再開されています。 一方で、障がいのある方は、
新型コロナウイルス感染による重症化が大変心配されることや、自らの症状を訴えることが難しい場面もあることなどから、健常者に比べてスポーツ活動の再開が難しい状況にあります。そもそも障がいのある方は、様々な理由からスポーツに触れ、参加する機会が少ないため、私は以前から改善の必要性があると感じていました。昨年度のスポーツ庁が行っているスポーツ実施率の調査では、成人の障がい者が週1回以上スポーツを実施している割合は25.3%と健常者の53.6%と比較し、半分以下にとどまっています。 私は毎年、大分駅前で盛大に開催されている障がい者も健常者も一緒になってスポーツを楽しみ、スポーツ活動をきっかけにノーマライズな社会の実現を目指すイベント、スポーツ・オブ・ハートに応援団として参加しています。 大分開催は今年10月で第5回目となり、パラスポーツの体験ブースの設置や、ジュニアアスリートや現役アスリート、車いすマラソン選手やブラインドマラソン選手などでチームを組んでたすきをつなぐ駅伝も実施されました。 このイベントに参加し、スポーツ体験をされた障がいのある方からお話を伺った際、自分から体を動かすことは大変だし、きっかけが見つからなかったが、やってみることで実際にできることが分かった。自分もスポーツに挑戦してみたいとの感想を聞くことができました。 障がいのある方にとっては、こうした機会がなければ、運動を行うことに一歩踏み出すこともできません。障がいのあるなしにかかわらず、スポーツは身体機能の回復や体力の維持、増強を図るだけでなく、イベント参加などを通じ、多くのアスリートや仲間と交流することで生活に張り合いを持たせることなども期待できます。 そこで、スポーツ実施率の低い障がい者スポーツの参加機会を充実させていく必要があると考えますが、県の見解を伺います。
○御手洗吉生議長 山田福祉保健部長。
◎山田雅文福祉保健部長 障がい者のスポーツ参加機会の充実についてお答えします。 多くの感動を呼んだ東京パラリンピックなどを機として、障がい者スポーツへの注目が一段と高まっています。 先日行われた第40回記念大分国際車いすマラソンでも、民間企業等の御協賛をいただき、初挑戦の選手を応援するファースト・チャレンジ・アシストを実施しました。うれしいことに、参加した8人全員が完走し、うち2人がメダルを獲得する結果となりました。 こうした機運をさらに高めるため、地域や学校等に専門の指導員などを派遣し、パラスポーツ体験会を実施しています。今年度も既に県内43か所で開催し、延べ2,166人が参加しています。 また、一昨年からボッチャやフライングディスクなどのスポーツ用具を県内4か所の特別支援学校に整備し、児童生徒や地域の障がい者がスポーツに親しむ機会の拡大を図っています。昨年度からは、総合型地域スポーツクラブとの連携により、ボッチャや卓球バレーなどのスポーツを体験できるモデル事業を杵築市で実施しており、これまでに6回の開催で約200人の参加を得ています。 今後とも、県内各地で活動している総合型クラブや各競技団体などとの連携を強め、障がい者がスポーツを身近に楽しめる機会のさらなる充実を図っていきたいと考えています。
○御手洗吉生議長 成迫健児君。
◆成迫健児議員 ありがとうございます。 あらゆる場面でいろんな機会をつくっていただいているという話を伺いました。 今年10月末に大分県美術館OPAMで開催された大分車いすマラソン40回記念展に私も足を運び、VRでの車いすレース体験などをしました。 そのVRでの体験は、実際に車椅子と連動されているシステムだったので、とてもリアルで、走ることが専門の私でも、実際のレースを体験してみたいといった気持ちになりました。 車椅子に限らず、こういったイベントを定期的に開催していくのも、障がいを持たれた方がスポーツ参加に関心を持つきっかけに必ずつながっていくはずです。 東京オリ・パラが開催され、スポーツに関心が高まっている今が一番行動に移しやすい時期だと考えられます。この機運を逃さないため、県としてこれからどのように働きかけを行っていくのか、具体的な方向性を伺います。
○御手洗吉生議長 山田福祉保健部長。
◎山田雅文福祉保健部長 障がい者スポーツの関心を高めるためにこれからどう動いていくかという御質問です。 ただいまお話のあった車いすマラソンの記念展には、私も参加し、ちょうどそのときは東京パラリンピックに出場した中西麻耶さんのトークショーがありました。中西選手の非常に明るく前向きな姿に感銘を受け、元気と勇気をもらいました。 民間の調査会社によると、東京パラリンピックの開催後に4割以上の方が関心の高まったパラスポーツ競技があると回答しています。 こうした流れを追い風にし、障がい者がスポーツ参加の機運をさらに高めていくため、東京パラリンピックや車いすマラソンに出場した中西さんのようなトップアスリートの御協力もいただきながら、県内各地で講演会や体験会等を今後とも行っていきたいと考えています。
○御手洗吉生議長 成迫健児君。
◆成迫健児議員 ありがとうございます。 大分県内でもパラリンピックで活躍されるトップアスリートがたくさんおられるので、やっぱりそういった方たちと触れ合う機会を今後も、この間の講演会のような形で実現していただき、また、障がいを持った方でも希望を持てるような取組をしていただけたらと思います。 記憶に新しい東京2020オリンピック・パラリンピックで金メダルを獲得したボッチャ競技ですが、スポーツ・オブ・ハートでの体験コーナーでは、子どもから大人まで、人が尽きないぐらい人気で、県民の皆様にも関心があり、今までにないほど大盛況でした。 今後、大分県介護福祉会の方からボッチャのスポーツ体験イベントを開催していきたいとの声もいただいています。既にこういった積極的な動きも始まっているので、今後県とも連携しながら、障がいを持たれた方たちへの運動機会の推進に力を尽くしていただけたらと思います。 では、次の質問に移ります。 県産ブランドいちごベリーツについて伺います。 もうすぐクリスマスがやってきます。我が家でもケーキにのったいちごを毎年楽しみにしていますが、そのいちごでは各県で競い合うように品種開発が進められており、産地間競争が激化しています。 主産地は24道県に上り、品種は約300種と、正にいちごの群雄割拠の時代と言えます。本県でも、2010年から8年間の歳月をかけてベリーツが開発され、現在、県内のいちご農家の方々も大分のブランド確立を目指し、生産拡大に力を尽くしていただいています。 ベリーツは鮮やかな赤色の見た目、甘さと酸味をあわせ持つ味のバランス、香りの良さ、そしてクリスマス需要に合わせた早期出荷に向いていることなどから、非常に期待をされた中でデビューしましたが、リリースから3年が経過し、課題も見えてきました。生産面積は40ヘクタールが目標のところ、現状14ヘクタールと、生産者が伸びずに苦戦している状況です。 この大きな理由として二つ考えられます。 まず一つが年々単価が落ちてきているということです。さがほのかに比べ高単価であることが弱点でもある収量不足を補ってきましたが、今年に至っては、さがほのかとの単価差は僅か100円台にまで迫ってきています。 単価下落の要因はいろいろ考えられますが、例えば、時期により、ほんの一部でも品質にばらつきが生じれば、簡単にブランド全体の価値が損なわれてしまうことも一因ではないでしょうか。いま一度、ベリーツなら間違いないというプレミアム感を取り戻すための販売、広報の戦略が必要だと思いますが、県としてベリーツの栽培が広がらない現状をどう分析し、今後どのように単価の引上げを図っていくのか、戦略を伺います。 二つ目は栽培に非常に手がかかるということです。 ベリーツを生産しているいちご農家へ直接お話を伺ったところ、ランナーと呼ばれる株から伸びる茎の発育が非常に多く、手入れと収穫期が重なるため作業が追いつかず、2反のハウスを5人で管理しているとのことでした。これは同じ2反を夫婦2人で管理できるさがほのかと比較しても、非常に大きな人件費の負担になっています。 年間収量も、さがほのかに比べ700キログラムほど少ない上、人件費もかかり、高単価でもないとなれば、栽培面積が増えないのも当然です。しかし、県では、補助事業の補助率をほかの品種と差をつけることで、ベリーツの生産拡大を進めようとしています。 現場のいちご農家からは、自分の作りやすい品種を自由に選択できるようにするべきといった声が上がっていますが、こうした声に対する県の考え方とベリーツ栽培の技術的課題への対応策を伺います。
○御手洗吉生議長 佐藤農林水産部長。
◎佐藤章農林水産部長 2点質問いただきました。 まず、ベリーツの販売、広報戦略についてです。 ベリーツは、色や食味に優れ、大玉傾向にあることが特徴です。また、11月から3月までの高単価時期に収量が多く、この時期だけでも、さがほのかの平均的な年間販売額の1.4倍以上を売り上げる方もいます。こうした優良事例を広く普及し、いちご農家の皆さんがベリーツを作りたいと思っていただけるよう、栽培技術から流通、販売まで、県を挙げて取り組んでいきます。 御質問の販売戦略に当たっては、県内外の百貨店や高級量販店をターゲットに、大玉パックや化粧箱のような高価格アイテムの出荷比率を拡大し、全体の単価向上を図っていきます。 また、県内でのテレビCMや京都高島屋のカフェ全店でのスイーツの販売、新宿高野と坐来がコラボしたデザートフェアの開催、有名パティシエが実演する動画配信等を通じ、
ブランドイメージを高めていきます。 以上のような高単価販売の実現や、知名度向上の取組に加え、今後の産地拡大に合わせて有利販売につながる販路を確保しながら、県内外でファンを獲得し、ベリーツのブランド化をしっかり進めていきます。 もう一点ベリーツ栽培の技術的課題についてです。 確かにベリーツは、摘果や葉かぎなど、栽培管理に手間がかかる面がありますが、やはり、それを克服して生産していくだけの価値がある品種です。この課題を克服し、生産者に魅力を感じてもらうため、地域に合った適正な施肥管理やハウス内環境を最適に保つ温湿度管理、病害虫対策などによる高収益技術の構築に取り組んでいます。県内15か所に設置した実証圃では、モデルとなる経営体が育成されています。 こうしたベリーツの特性を生かせる技術の迅速な普及拡大を図るため、意欲ある生産者の組織化も図っていきます。 加えて、手間のかかる管理作業については、草丈をコントロールする冬場の温度管理、電照時間の調整、脇芽の整理方法などの課題解決に向け、令和4年度中に成果が出るよう、急ぎ研究を進めています。 県では、ベリーツの生産から販売までをパッケージで短期集中的に支援し、生産者、農業団体と一体となって大分県の顔となるベリーツの産地拡大に真正面から取り組んでいきます。
○御手洗吉生議長 成迫健児君。
◆成迫健児議員 ありがとうございます。 地元でベリーツを生産している若い農家の方に話を伺ったときには、作るのは大変だが、大分を代表するいちごを作ることに誇りを持っている。自分の子どもも自分の作ったいちごが一番おいしいと言ってくれて、他のいちごは口にしない。このおいしさを全国の人に味わってもらいたいと言われ、強い熱意を感じました。 その反面、やはり単価が落ちていることで十分な収益が出ていないなど深刻な相談を受けました。 先日の報道で、今年のベリーツが1粒1万円、1箱12万円の値がついたと明るいニュースがありましたが、気温が下がってくる2月から3月の頃には、早い段階で収穫をせねばならず、酸味が上がるため市場価値が落ちてくることも単価に影響しているものと考えられます。 これまで手がかかる部分や人件費については、単価の差で埋めることができていたのに対し、単価の差がなくなってきては、ベリーツを作っている農家は、ますます首を絞められます。 県としてなぜベリーツの単価が落ちてきているのか、どうしてうまくいっていないのかについて、どう現状分析を行っているのか、伺います。
○御手洗吉生議長 佐藤農林水産部長。
◎佐藤章農林水産部長 確かに生産者により、生産のばらつきが若干あるところもあると聞いています。 今、議員言われたとおり、若い農家の方で、やはりベリーツの良さが分かって、きちんとそれを栽培する方は、いいものを作っていただいていると思います。そういったいいものを作るという努力を生産者にしていただく、そのためには、各地域ごとで、地域に合った生産の仕方はどうあるのか、今15の実証圃で真剣に取り組んでやっています。きちんとした栽培をしてもらうことにより、いいものを作る。そのいいものを流通販売で高く売れるところに売っていく、そういう生産技術から流通、販売先まで一貫してそこを農業団体、市町、それから県でしっかりとタッグを組んで、高単価でベリーツが売れる仕組みをきちんとつくっていきます。
○御手洗吉生議長 成迫健児君。
◆成迫健児議員 ありがとうございます。 最初出たときより、だいぶ単価が落ち込んでおり、かなり品質のいいものも佐伯ではたくさんの方が作られていますが、今丁寧に作っている方たちにとって、やはりその不安が多分一番に出てくるので、どうにか広報戦略等でいちごの価値が上がるように県も努力いただけたらと思います。 さきほど部長の答弁の中で、温度の管理をしながら工夫していくという話がありましたが、このベリーツは、ほかの品種と違い、花が上を向いて咲く。本来、少し傾いて咲けば、そこに露とか水がたまらないですが、上を向いて咲くので、そこからかびが発生して、割とそこで打撃を受けたいちご農家の話も聞いています。 それをどう解決していくかというと、暖房の温度を上げて乾かすという工夫がされますが、やはり今の燃料の上昇で、かなり苦しい。ある程度燃料が引き上がった段階では、それ以上の燃料費については補償される話も聞いていますが、これはいちごに限ったことではなく、ハウス栽培とかそういったものを営んでいる農家の皆さん共通していることだと思います。やはりここまで負担が膨らんでいる中で、県としては、その燃料の問題についてどうお考えか、伺います。
○御手洗吉生議長 佐藤農林水産部長。
◎佐藤章農林水産部長 議員御心配のとおり、今燃料が上がっているということで、燃料高騰に対する、セーフティーネットを発動しています。いちごについても発動しており、いちごは全体として生産コストの中の大体1割ぐらいが燃料費と言われています。 みかんであれば、全体の生産コストの中の58%ぐらい、6割近くが燃料費となりますが、ハウスみかん等に比べると、いちごの生産コストに占める燃料費の割合は少ないです。かといって、そういった燃料費がかさむことは、生産コストがかさむことになるので、一つは、やはりさきほど申した温度管理をする上では必要な分になると思いますが、必要があったとしても、いいものを作って、その生産コストに見合うだけの単価で売り抜けるのが大事になってくると思うので、そこの生産技術をしっかり普及の中で生産者の方に伝えていきたいと思っています。
○御手洗吉生議長 成迫健児君。
◆成迫健児議員 ありがとうございます。 まだまだ進化途中という地区でもあるので、今後の改善に期待しています。 しつこいようで、もう一点ですが、今、いちご農家に挑戦する新規就農者が非常に増えています。大変喜ばしいことではありますが、心配されているのがベリーツを最初に作ったことで、私も農林水産委員会の中でいろんな場面でベリーツを作ることについて話を伺いましたが、やはり手間がかかるという非常に高いハードルがあります。 新規就農者の方たちがその大変さに追い詰められ、途中リタイヤしてしまうのではないかといった不安を、今まで地域でいちご農家を支えてきた方たちの中で話されています。 しかし、ほかのいちごの品種の補助率を比べてみたときに、やはり差があるので、初期費用が軽減されるベリーツを選ぶのが今は自然な流れとなっているのが現状です。ベリーツの生産拡大を図っていくためには、必要な施策だと私も思いますが、まだ経験が積まれていない新規就農者が育てるのは、難しい品種に挑戦していくのは大きなリスクが伴うと考えられますが、この点について部長の考えを聞かせてください。
○御手洗吉生議長 佐藤農林水産部長。
◎佐藤章農林水産部長 新規就農者の方、やはり入るときはいいものを作っていただきたいし、マーケットニーズに沿った売れるものを作ってもらいたいと思います。そういう意味では、いちごで新規就農に入る方については、初めは確かに大変かもしれませんが、やはりベリーツを作って高収益を上げていただきたいと思います。 そういった意味では、県の普及員、それから農協の営農指導員、ここは新規で入る方に対しては、丁寧に指導しておくということが一番大事だと思うので、私も現場の普及員に対しては、その辺をしっかり伝えて、新規就農者の方がベリーツを作ってよかったと言われるように県としてもしっかり支援していきます。
○御手洗吉生議長 成迫健児君。
◆成迫健児議員 ありがとうございます。 やはりこの課題を乗り越えるためには、まだ進化途中と言われているベリーツの品種改良、そしてさきほど課題として言わせていただいたベリーツの単価向上があると思っています。 地元で調査をしているときに、いちご農家の方々からは、大分県は他県のいちご農家から羨ましがられる。かなり手厚く援助いただき感謝しているとの言葉もいただいています。現場からは厳しい意見もいただいているベリーツですが、今後もよく耳を傾けていただき、大分県が誇る県産いちごとして確立していけるように、また、今そうなれるように力を尽くしていただいているいちご農家の皆様へのサポートも含めて、一緒に考えていけたらと思っているので、引き続きどうかよろしくお願いします。 では、次の質問に移ります。 不登校児童生徒への学習機会の確保について伺います。 本県の不登校児童生徒数の推移を見ると、小中学校合わせて、令和元年度で1,843人、例年度比244人の増、令和2年度では、1,992人、前年度比149人増と増加傾向を示しています。特に昨年は、
新型コロナウイルス感染拡大により、長期休業となった期間を含め、子どもたちを取り巻く環境が大きく不安定になり、その影響が危惧されています。 本県として、不登校児童生徒への対策は様々実施いただいていますが、その効果はさきほど示した数字が物語るように、残念な結果となっています。ただし、不登校の増加は、全国的な傾向となっており、国を挙げての対策が待たれていますが、国の動きを待つ間も子どもたちは年々育っていくので、本県独自でも早々の対策が必要となります。このままでは、基礎的な知識や学力が乏しいままの大人が増加し、大きな社会問題とならないか、懸念しています。 私どもの会派で豊後大野市の小学校に伺った際、不登校児童へ向けたオンライン授業を実施している学校もあるとの話を聞き、不登校児童生徒の新たな教育機会の確保策として大きな可能性を感じました。 コロナ禍により在宅学習の機会が増えた中で、GIGAスクール構想により、タブレット端末等も行き渡っているし、市町村ごとに採用している教科書や授業進度の違いがあるとはいえ、オンライン授業にも様々な形態があっていいと思います。 これを市町村の教育委員会が実施する場合は、実際のクラスと同じように、35人程度の不登校児童生徒が参加するオンライン授業としてもいいでしょうし、県が実施する場合は、人数に関係なく、大きなクラスとしてもいいと思います。必要なのは形ではなく、様々な悩みで学校へ行けない子どもたちの学習機会を逃さない多様な選択肢と考えます。 最近はネット上でも、民間のオンライン小学校開校といったような情報を目にします。この会社のホームページには、「いつでもどこでも誰にでも最新にして最高の教育を」という教育の機会均等の理念が掲げられています。これは本県においても同様と思います。行政が民間と競合する分野に新規参入する必要はありませんが、教育を民間へ丸投げすることも許されないと考えます。 そこで、県として不登校児童生徒が大幅に増えている原因をどのように分析しているのか、また、不登校児童生徒の学習機会を確保するため、オンライン授業の全県下での実施を検討する考えはないか、県の見解を伺います。
○御手洗吉生議長 岡本教育長。
◎岡本天津男教育長 不登校は、無気力、不安、生活リズムの乱れといった本人要因とされるものが最も多く、その大半は家庭の状況とか友人関係等、その他の要因と複雑に絡み合っています。そのため、不登校増加の原因を一概に特定することは難しいですが、学校に対する保護者、児童生徒の意識の変化や、スマートフォンの普及による影響などが背景にあると思われます。 また、平成28年に制定された教育機会確保法の趣旨が浸透し、児童生徒の休養の必要性が理解されてきた側面もあると考えられます。 オンライン授業については、不登校児童生徒個々の状況に応じた効果的な支援につなげることを念頭に検討を進める必要があり、休んでいる期間や学習の理解度、心身の状態など、一人一人状況が異なるため、教室の授業をそのまま配信するだけでは期待する効果は得にくいと考えます。 このため、来年度、一部の小中学校で効果的な授業配信の方法などについて研究を行う予定としています。 今後、市町村教育委員会や学校と協議を重ねながら、人員の配置とか配信機材、専用教室の確保なども含め検討していきます。
○御手洗吉生議長 成迫健児君。
◆成迫健児議員 ありがとうございます。 今年出た不登校児童生徒の理由を調べてみると、今教育長が言われたとおり、いじめ等が理由で不登校に陥る子たちは半分以下に減って、話を聞いた中でも、無気力だったり、そういった夢を持てない子が増えているのが現状だと私も確認しました。 いじめ等については、認知件数が上がったことにより、学校の努力によって解決していると、そういったいい傾向もあります。全国的な不登校の原因については、おおよその分析が今教育長が言われたようにできていると思いますが、都市部と地方では、その理由は大きく変わってくると思います。地元の大学の教育研究室等と連携し、子どもたちの心理状態や環境等が不登校にどう結び付いているのかを細かく調査分析し、その原因を明確にしながら、根本から解決に向けて動かなければ状況はこれ以降変わらないと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
○御手洗吉生議長 岡本教育長。
◎岡本天津男教育長 大事なことは、不登校児童生徒一人一人の状況が異なりますから、それぞれに応じた支援が必要だということだと思います。 そのため、スクールカウンセラーや、スクールソーシャルワーカーの配置増など、教育相談体制の充実を図り対応していきます。 なお、今年度、地元の大分大学福祉健康科学部のコロナ禍における児童生徒の心の状態等に関する調査研究について、私ども県教育委員会が協力支援をしています。 調査研究の結果については、提供を受けることとしており、今後、不登校支援にも活用していきたいと思います。
○御手洗吉生議長 成迫健児君。
◆成迫健児議員 ありがとうございます。既に調査研究も進んでいるということで大変心強く思います。 子どもたちの学校や教育現場とのつながりが途切れないように早急な対応をお願いして私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○御手洗吉生議長 以上で成迫健児君の質問及び答弁は終わりました。清田哲也君。 〔清田議員登壇〕(拍手)
◆清田哲也議員 皆様お疲れさまです。第1走者を務めた4番、自由民主党、清田哲也です。 今回、質問の機会をいただいた同僚、先輩議員の皆様にお礼申し上げます。ありがとうございます。 また、今日は佐伯市より平素よりお世話になっている諸先輩の皆様方、大分県漁協、中根組合長はじめ役員の皆様、そして蒲江地域、県漁協各支店長、運営委員の皆様方、また、養殖協議会会長はじめ事務局、そしてブリ養殖事業者、生産者の皆様方が傍聴に来てくださり、誠にありがとうございます。 正に旬を迎えるブリのように身も心も引き締めて質問するので、広瀬知事はじめ執行部の皆様方には脂の乗った御答弁をよろしくお願いします。 それでは、早速質問します。 まず、新たな産業構造への対応についてです。 水素エネルギーの産業化に向けた取組について伺います。 カーボンニュートラルの掛け声とともに、二酸化炭素の排出を抑制する新たな産業構造への転換が急務となっています。コロナ禍でも設備投資が堅調なのは、各産業分野で脱炭素に向けた需要があるためとする分析も目にします。 既存エネルギーからの転換が新たな投資を促し、コロナ禍という長いトンネルにあっても、経済を支えているという点においては、良い政策なのかもしれません。 本県においても令和32年、すなわち2050年のカーボンニュートラルの達成に向けた取組として、五つの項目を掲げ、地方創生やビジネス機会の創出につなげていくとしています。 その中でも、水素を活用した新たな産業の育成は、脱炭素社会においてキーテクノロジーとなると言われています。通常、水素を精製する過程で大量の電力が必要となるウイークポイントに対し、本県では、豊富な地熱発電を利用し、水素を精製し、供給する実証実験ができることや、大分臨海コンビナートで発生する副生水素の活用など、立地している産業群の特性もあり、水素の精製や供給に関しては、他県より優位に立っていると思われます。 また、純度の高い水素を抽出するための透過膜を開発する企業もあると伺います。他県も水素エネルギーの産業化に向けた取組を進める中で、水素先進県としての地位を確立し、水素関連産業による県経済の活性化を近い将来期待したいと思いますが、水素エネルギーの産業化に向けた取組の現状と課題に関し、見解を伺います。 以下、対面席で行います。 〔清田議員、対面演壇横の待機席へ移動〕
○御手洗吉生議長 ただいまの清田哲也君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。 〔広瀬知事登壇〕
◎
広瀬勝貞知事 清田哲也議員から水素エネルギーの産業化に向けた取組について質問がありました。 水素は、発電だけでなく、産業や運輸など幅広い分野の脱炭素化も可能とするカーボンニュートラルに必要不可欠なエネルギーに位置付けられています。 本県は、議員も御指摘のとおり、水素の製造にかなり優位な状況にあります。地熱発電による水素の製造では、大林組が九重町で今年7月から実証を開始し、現在県内外の水素ステーションなどに供給しています。清水建設を中心とする共同事業体も九重町で、県内企業ハイドロネクストの水素透過金属膜を活用した地熱とバイオマスで水素を製造する実証を進めています。 また、大分コンビナートから発生する大量の副生水素は、全国のコンビナートから出る量の10%を占めると言われており、これをうまく処理すれば、本県の水素の優位性がさらに高まります。水素エネルギーの産業化に向けては、このような優位性を活用することに加え、県として企業の挑戦を後押しすること、事業化に取り組む企業の連携を加速させることが私は重要と考えます。 挑戦する県内企業への後押しでは、県エネルギー産業企業会を通じ、水素の製造や利活用を促進しています。これまでもハイドロネクストの水素透過金属膜の開発などを支援し、現在では、産業廃棄物から水素製造に取り組む企業や、水素を燃料とする船の開発に取り組む企業の挑戦を支援しています。 企業間の連携では、今年6月に県エネルギー産業企業会に水素関連産業分科会を設置し、現在、県内外18社の企業が参画しています。分科会を通じて参加企業間のマッチングや事業創出などを促進し、水素の供給から利活用まで、県内における関連産業の育成を図っていきます。 今年の夏、私は日田市のオートポリスで、トヨタ自動車が開発した水素エンジンカーが、九重町の地熱発電で製造された水素を燃料として疾走するのをじかに見ました。改めて技術開発による水素利用の拡大を実感しました。 また、今年10月に策定された国のエネルギー基本計画では、水素の供給コストを化石燃料と同水準に低減させること等も示されています。本県においても、水素製造の優位性等があるものの、水素利用の拡大や安価な水素の供給を実現するためには、安全性等の技術的な課題の克服が必要だと認識しています。 引き続き、県内企業の技術開発、実証を後押しするとともに、水素を製造する企業と利用する企業とのマッチング等の企業間連携にも力を入れ、水素エネルギーの産業化に向けていろいろな面で挑戦していきます。
○御手洗吉生議長 清田哲也君。
◆清田哲也議員 水素エネルギーの製造、そして産業化という部分は、個人的な見解ですが、宇宙港と並ぶ、正に大分県の希望の光じゃないかと感じています。 今、九重地区中心に、まず製造に向けた実証実験ということで、今後、運搬とか販売とか、または一歩先を行って、水素燃料を利用したエンジン機関の開発、製造という部分に関しても、裾野を広げて水素燃料を中心とした産業化での経済発展、さらなる飛躍を期待して、次の質問に移ります。 次の質問は脱炭素が及ぼす自動車産業への影響について伺います。 政府は、グリーン成長戦略の中で、令和17年までに乗用車の新車販売で電動車100%を実現するとし、小型商用車については新車販売で令和12年までに電動車を20から30%、令和22年までに電動車及び脱炭素燃料車100%を目指すとしています。 脱炭素をきっかけに、新たな技術革新のもと、自動車産業のさらなる発展につながる見方があると同時に、急速な自動車の電動化を危惧する意見もあります。 日本自動車工業会によれば、我が国の自動車産業には、関連産業も含め、542万人が従事しており、急速な電動化の流れによる雇用への影響が甚大であるとしています。その主な理由は、エンジン車は、エンジン本体だけで約1万点の部品、車1台では約3万点の部品が使われており、自動車メーカーの傘下には多くの部品供給メーカーが存在し、新車開発に際しては新たな部品を開発し、自動車メーカーはその部品を統合、管理調整する、いわゆる垂直型統合モデルの中で、各メーカーが高度に関与するすり合わせが日本の自動車産業の発展を支えてきました。 対して、電気自動車は、部品数が1から2万点と少なく、かつ、バッテリー、モーターなどの汎用部品を中心に、水平分業モデルに移行する流れは避けられず、製造体系の変化による雇用の喪失は100万人に及ぶとも言われています。 また、エンジン車には必要なエンジンオイルが不要、ブレーキパッドの交換も減少するなど、現在、約4,400社あると言われる自動車部品関連メーカーは、産業規模の維持が困難になることが予想されます。 ほかにも、コンビニエンスストアより多いとされる自動車整備工場にも大きな打撃です。電気自動車への転換が及ぼす県内自動車産業への影響分析を行い、新たな産業構造へ対応するための支援策などを検討すべきかと考えますが、見解を伺います。
○御手洗吉生議長 高濱
商工観光労働部長。
◎高濱航
商工観光労働部長 本県の自動車産業は、2020年輸送機器製造品出荷額が6,403億円で、本県全体の製造品出荷額の15%を占める、これは鉄や化学を超えて1位となっており、それぐらい重要な産業です。 自動車の電動化について、本年8月、自動車関連企業会会員を対象に調査した結果、回答のあった13社のうち6社が影響がある、今後影響があると回答しています。電動化により不要となるエンジン関連部品に加え、車体の軽量化等への影響が課題と捉えています。 県と企業会では、平成30年度から電気自動車の技術動向等を把握するセミナー開催や電動化に係る部品等の開発費への助成を実施しています。ハイブリッド車に搭載する電池の冷却装置部品の開発に取り組む企業なども出てきています。 また、先月には、次代を担う若手経営者ら8社11人からなる研究会を立ち上げました。研究会では、マーケットの将来像を想定し、自社のビジネスの機会と脅威の見極め、取り組むべきテーマを考えるワークショップ等を実施し、新たな環境へ挑戦する人材の育成等を図っています。 今後も幅広い自動車関連産業が変化に対応し、さらに発展するよう、自動車メーカーや大手部品メーカーと連携し、効果的な支援を行っていきます。
○御手洗吉生議長 清田哲也君。
◆清田哲也議員 既に聴き取りをしていただいているようです。やはり半数の6社が影響ありということです。また、新たな産業構造に対応する新たな製造過程とか、新たな部品への挑戦とか、そういうところの支援と研究をまた継続して行ってほしいし、さきほど触れた町の自動車整備工場にも少し目を配っていただき、中小企業、小規模事業者で各地域の経済の一つの源となっている自動車整備工場なので、こちらにも少し御配慮いただきたいと思います。 続いて、次の質問に行きます。 東九州メディカルバレー構想についてです。 大分県と宮崎県には医療機器メーカーが多数立地しており、より一層の集積と、その集積を活用した地域活性化を促進することを目的として、平成22年に東九州メディカルバレー構想を宮崎県と共同で策定しました。 構想を推進するため、研究開発、人材育成、血液、血管に関する医療、介護、福祉機器も含めた医療関連機器産業の四つの拠点づくりを目指し、医療関連機器開発に向けた中小企業への開発支援や、アドバイザー派遣、展示会出展支援など様々な取組が行われてきました。 今、私たちは、
新型コロナウイルスとの闘いのさなかにいますが、ワクチン接種や治療薬の開発も進み、一筋の光明が見えてきたように思います。この新たな感染症のまん延で、我が国の感染症対策がいかにおろそかにされてきたかが明らかになりました。 新たな感染症に対するワクチン、治療薬の研究開発には莫大な費用を要します。製品化に成功しても、対象となる感染症がまん延しない限り、そのワクチンも治療薬も売り先がありません。したがって、平時より積極的に感染症ワクチンや治療薬の研究に資金、人材を投入することは経営上のリスクを伴うことから、国内製薬会社においては、感染症に関するワクチン、治療薬の研究開発が活発ではありませんでした。 その結果、多くの県民の方々が接種しているワクチンのメーカー、ファイザー、モデルナはアメリカの会社です。アメリカでは安全保障の観点で、平時から感染症の研究に多額の予算を投入し、基礎研究の蓄積が大きく、企業も国からの支援があるため、経営リスクを負うことなく、新たなワクチンや治療薬の研究開発に臨めます。残念ながら、我が国には、このような体制がないため、アメリカやイギリスに頼らざるを得ませんでした。 今後、新たな感染症のまん延に備え、感染症対策の分野には国費の投入が予想され、10月には、大分大学と製薬会社が新ワクチンの臨床試験を始めたとの報道もありましたが、アジアに貢献する医療関連産業拠点を目指す東九州メディカルバレー構想に、感染症に対する研究、開発拠点づくりを加え、新たな産業集積の構築に取り組んではいかがでしょうか。 これまでの取組の成果や現状の課題を踏まえ、今後の東九州メディカルバレー構想の展開をいかに考えるのか、見解を伺います。
○御手洗吉生議長 高濱
商工観光労働部長。
◎高濱航
商工観光労働部長 大分県、宮崎県で推進する本構想は、平成23年に国の地域活性化総合特区に指定されています。令和3年度末終了の特区第2期では、婦人用電子体温計など、目標の15件を上回る25件の医療関連機器を両県から販売開始しています。
新型コロナウイルス感染症への対応では、フェイスシールドなど産学官で速やかに供給したほか、抗原検査キットをアドテックが九州で初めて開発しました。 課題は中小企業が医療関連機器の開発、販売に関して、医療関係者等の評価を聞く機会や販路の確保が難しいことです。 一方、大分大学は、感染症研究を集結させたグローカル感染症研究センターを本年10月に開設しました。令和5年には、医療機器に精通する臨床工学技師等を育成する学科を設置予定です。 特区第3期の申請に向けては、感染症研究との連携に加え、医療関係者等と企業の交流の場を確保し、機器開発の促進を図ります。 高齢者見守りシステムを海外展開したエイビスのネットワークによるタイ等での販路拡大を検討しています。 これらの取組を推進しながら、今後の東九州メディカルバレー構想を力強く展開していきます。
○御手洗吉生議長 清田哲也君。
◆清田哲也議員 先般、自由民主党会派で国に要望に行き、自民党本部では高市早苗政調会長にも会いました。高市政調会長が執筆した本の中に、これからは危機管理投資だと。このコロナウイルス、多少光明が見えてきていますが、また今後、新たな感染症という部分も考えられるので、今までちょっと国がおろそかにしてきたと言わざるを得ない感染症に対する対応という部分で再度質問します。 今、部長答弁いただきましたが、メディカルバレー構想、既に取組はされている部分も伺いましたが、もともと血液、血管分野を中心に考えての構想だと思います。こちらを感染症へと急激に転換することは、地場産業の製品、製造過程や産業構造上、なかなか困難なものかもしれません。ただ、この集積と技術を活用した企業誘致は可能なのではないかと考えます。 広瀬知事の産業政策のキャッチフレーズである集積が集積を呼ぶに合わせ、新たな切り口を求めていけばいかがでしょうか。 また、完成品でなくても、その一部に貢献できる企業の育成と取引の拡充もぜひお願いしたいところです。感染症に強い製薬関連や呼吸器器具の製造関連の業種の誘致や部品製造への糸口等を見つけられないものか、再度伺います。
○御手洗吉生議長 高濱
商工観光労働部長。
◎高濱航
商工観光労働部長 本県では、これまでも規模や分野にかかわらず、幅広く誘致を進めてきています。東九州メディカルバレー構想で培われた産業集積の強みも生かしながら、引き続き医療関連の企業誘致にもしっかり取り組みます。 県内企業の育成、取引拡大の観点で、コロナ禍においても継続的に首都圏の医療機器メーカーとのマッチングの場を設けています。こういった商談の中から将来的な立地にもつながる可能性もあると思って進めています。 また、産学官連携による新たな糸口にも期待しています。国の事業採択を受けた大分大学の感染症対策プロジェクトに、大手医療機器メーカーとともにアドテックも参画しています。こういった取組を続けていきたいと思います。
○御手洗吉生議長 清田哲也君。
◆清田哲也議員 今後もこの東九州メディカルバレー構想のさらなる進展を期待し、次の質問に行きます。 次こそは、大きく脂の乗った答弁を部長よろしくお願いします。ブリ養殖業の諸課題について、モジャコ不漁の影響と対策について、まず伺います。 令和元年の本県のブリ養殖生産量は1万7,766トンで全国2位を誇り、県内水産業の要となっていることは皆さん御承知のとおりです。ブリ養殖は春先から約1か月間にわたり行われるモジャコ漁から始まります。モジャコとはブリの稚魚のことで、小さいときに海に漂う藻の下に集まることからモジャコと呼ばれるそうです。 捕獲されたモジャコは、成長段階に応じ、餌や生けすを変え、また、1日に何度も餌を与えたり、病気の予防を行うなど、正に手塩にかけて育てられ、1年半後の翌年の秋頃から大分県産ブリとして出荷されます。 このようにモジャコの採捕なしには始まらないブリ養殖ですが、今年の採捕量は3度の捕獲期間の延長を行ったにもかかわらず、510万匹の計画に対し、約5割の採捕にとどまりました。また、例年よりサイズが小さいものも多く、そのため育ちにくく、さらに数が減る可能性があるとのことでした。 この歴史的とも言える不漁は、鹿児島、宮崎等、ブリ養殖を手がける他県においても同様で、この不漁は、来年秋以降の出荷分に深刻な影響をもたらし、関東方面で知名度の上がってきた大分県産ブリの販売戦略に大きなダメージとなるばかりか、ブリ養殖事業者の経営存続の危機につながると考えます。今年のモジャコ不漁の影響をどう分析し、モジャコの安定的な確保に向け、どう取り組んでいくのか、県の見解を伺います。
○御手洗吉生議長 佐藤農林水産部長。
◎佐藤章農林水産部長 今年の本県のモジャコ採捕量は272万尾で、採捕計画に対する充足率は議員仰せのとおり、ここ10年間で最低の57%(97ページで訂正)でした。その結果、県内の養殖業者へのモジャコ導入数は9月時点で121万尾と、昨年度の56%にとどまっています。 モジャコ不漁の影響としては、来年の生産量がかなり減少すると見込まれており、また、生産者の一部には、来年を見据え、今年の出荷を抑える動きもあり、このため、現状でのブリ出荷量は少なく、高値で取引され、この状態は来年も続くことが予想されています。 モジャコの安定的な確保については、来年度に向け、まず、来遊時期を的確に捉えた適切なモジャコ採捕許可期間の設定等について、国や関係県と協議を進めています。 さらに、採捕後に餌づけが難しい小型モジャコの育成技術の開発や、不漁時に即応できる人工種苗の生産体制の整備などに取り組むことで、安定的な種苗の確保に努めていきます。
○御手洗吉生議長 清田哲也君。
◆清田哲也議員 そうですね、県ごとの許可になっている海域の面も国の許可にという要望も上がっていると聞いています。これは自然のものなので、なかなか、じゃ来年いっぱい捕れるかもしれないし、また、今年以上に捕れないかもしれないし、そういう非常に不安定な部分もあります。 その高値が続けばいいという部分もありますが、その部分を踏まえ、次の質問に行きます。 ブリ養殖事業者への支援についてです。 ブリ養殖は、人材確保、生産過程の省力化によるコスト削減や赤潮対策、種苗の安定的入手等、将来に向け、解決すべき多くの課題を抱えています。 さきほど申した今年のモジャコの不漁は、来年以降の売上減少に直結する喫緊の課題として、各事業者の経営そのものに重くのしかかります。需要があっても、出荷するブリそのものがなければ、なすすべがありません。それでも市場で高値が付けばという希望的観測もありますが、高ければ他の魚に流れる消費者も多いでしょうし、何よりブリは高いというイメージが定着することは、今後の販売戦略にも大きな影を落としかねません。 何よりも目の前の大きな課題は、今年の不漁の影響で、廃業、倒産を余儀なくされる養殖事業者が多数出るおそれがあり、これを防がなければ大分県のブリ養殖の未来はありません。 また、コロナ禍の影響により、燃油が高騰してきており、来年確実に訪れるブリ出荷額の減少や、ランニングコストの増嵩などに苦しむブリ養殖事業者への支援策についての見解を伺います。
○御手洗吉生議長 佐藤農林水産部長。
◎佐藤章農林水産部長 モジャコの不漁により、来年度の出荷量減少は避けられず、御指摘のとおり、ブリ養殖業者には厳しい状況が見込まれています。 高単価が継続することが予想される中、まずはブリの売り先の確保が必要になってきます。これまでに関東圏や新潟、山梨を中心に、スーパーマーケットを展開する量販店を県産魚のパートナーシップ量販店として認定しました。パートナーシップ量販店では、県産ブリを安定的に販売しており、このような量販店を今後も拡大していきたいと考えています。 また、燃油高騰に対しては、生産者と国の積み立てによる価格補填制度が本年第1四半期から3期連続で発動しており、影響の緩和が図られています。 また、一時的な運転資金不足が危惧されるため、現在既存の制度資金に上乗せ利子補給を行い、実質金利0%となる経営安定のための支援を検討しています。 引き続き、ブリ養殖業者の状況を見据えながら、適切に対応していきたいと思います。
○御手洗吉生議長 清田哲也君。
◆清田哲也議員 燃油の支援、また、今後も意見を聞きながらとお答えいただきました。 高値が続いていけばいいだろうとは思いますが、なかなか市場というものがその辺が読めないので、さきほども質問で申したように高値だから違う魚でいこうかという市場の反応もあり得ます。 今回、モジャコ不漁ということで、自然原因に起因するところで、またちょっとコロナとは違いますが、例えば、コロナのときに行っていたようなヒラメの次期種苗の購入に対する援助とか、そういう部分でも今後また業界団体の意見をしっかり聞きながら、少し検討する余地があるのかどうか、その辺だけ見解をお願いします。
○御手洗吉生議長 佐藤農林水産部長。
◎佐藤章農林水産部長 種苗の購入についてですが、ブリの場合、やはり自然でのモジャコをどう捕るかが一番の課題になってくると思うので、さきほど申した、いつモジャコが流れてくるかというところを、今年は少しモジャコの発生が早かったのではないか、実際の期間から見たときに遅れたのではないかというのも一つの原因ではと、はっきりとは分かりませんが、そういった見立てもあります。 そういった中で、まずはモジャコをきちんと捕れるように、衛星を活用していつ藻が流れてくるかという状況を的確に捉えることで、さきほど申した許可の期間についても単純に期間で定めるのではなくて、ある程度モジャコを捕れる量に沿って許可を与えるとか、そういったことについても国と他県とも調整の協議をしています。まずはそういった形できちんとモジャコが捕れる形を工面したいと思います。 今言われたモジャコの実際の仕入れについては、検討の課題としていろいろと生産者の意見も聞いてみたいと思います。
○御手洗吉生議長 清田哲也君。
◆清田哲也議員 ありがとうございます。 要望事項にも上がっていたモジャコ許可の件、その辺をしっかり他県と国と話していただけるということで、結構数年前から上がっている話だと聞いているので、そこも含め今後もしっかり連携、意見交換取りながら支援策の検討をよろしくお願いします。 続いて、ブリ養殖業の将来に向けた展望についての質問です。 天然のモジャコの発生量は、海水温や海流の変化をはじめ、自然界の多様な要因に左右されるため、人工種苗の生産技術開発と、それによる種苗の安定供給が期待されます。近年、県においても水産研究部で、その取組が進められており、ある程度の数量の種苗生産が可能となりましたが、歩留まりが不安定であると伺います。課題を早急に解決し、種苗を必要とする養殖事業者に供給できる体制を構築することが、事業者の経営安定に寄与するものと考えます。 同時に、販路のさらなる拡大も望まれます。消費者ニーズとして、フィレやロインなどの使いやすい形態へのシフトが進んでおり、産地加工体制の強化が必要です。この傾向は、関東、関西の都市圏に限った話ではなく、県内においても顕著になってきているようです。 さらに、国内需要が低迷する中で、海外マーケットへのさらなる展開も必要となってきています。国は、昨年11月に農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略マーケットイン輸出への転換のために、というのを取りまとめています。 その中で、27の輸出重点品目を選定しています。ブリはその一つに挙げられており、今年4月に公表されたブリの輸出産地の7か所の一つに本県も明記されています。人工種苗の安定供給や販売体制の強化、販路拡大などにより、養殖経営を安定化させることで、ブリ養殖業が魅力ある産業として発展し、それが人材確保にもつながることが期待されます。ブリ養殖業の将来に向けた展望についての見解を伺います。
○御手洗吉生議長 佐藤農林水産部長。
◎佐藤章農林水産部長 すみません、答弁に先立って、さきほどモジャコの不漁の影響に対する対策の答弁の中で、10年間で最低の57%と発言しましたが、正しくは53%でしたので、修正します。 それでは、ブリ養殖業の将来に向けた展望についてということです。 全国第2位の生産量を誇る養殖ブリは、本県の重要産業です。このため、厳しい市場競争を今後勝ち抜くための成長戦略を今年度中に策定することとしており、養殖業者とも議論を重ねています。 生産面では、モジャコの安定確保に向け、適切な許可期間等の設定を検討します。また、不漁時の危機管理として、人工種苗の生産体制を整備します。さらに、採卵時期を8月にずらし、端境期である春の安定出荷を目指す養殖試験を蒲江で開始しました。赤潮対策では、海底への環境負荷を抑制するため、付着物の少ない銅合金製の生けすを用いた実証試験等を検討しています。 流通面では、パートナーシップ量販店を通じ、安定した国内販路の確保、北米を中心とした海外販路の拡大にも取り組みます。加えて、ロインや切り身等、国内外の要望に対応できる加工施設の整備を推進します。 このような取組を総合的に進め、ブリ養殖業の成長産業化を加速させます。
○御手洗吉生議長 清田哲也君。
◆清田哲也議員 既に全国2位という確固たる地位がある大分県のブリ養殖です。1位を目指すとかいう意味じゃなく、もっと高見を目指し、世界に大分県産ブリをどんどん出していくんだと、そういった高見に立ったところでの販売戦略、販路拡大もお願いしたいと思うし、人工種苗という部分で天然のモジャコを採捕してなりわいを立てている漁師さんもおられるので、そことのバランスもあろうかと思いますが、人工種苗は必要であるとの声は養殖事業者の皆さんからはもう既に多く寄せられている、要望事項として上がっていることなので、水産研究部の取組もしっかり進めてほしいと思います。 正にさきほど紹介した、今日来られている水産養殖協議会、こちらは養殖事業者の皆さんで構成される団体ですが、講習会や研修会、その養殖技術をみんなで共有し、よりよい魚を育てていこうという取組とか、魚食の普及活動、いわゆる山間部の小学生を海辺に呼び、ブリの養殖の生けすを見せたり、ブリを食べさせたりという活動とか、水産養殖業のPR等、水産養殖業の振興及び経営安定に関する事業を行っていただいています。 もちろん、漁協としっかり連携を組んだ中での事業展開です。生産から販路拡大まで、様々な課題解決のため、より一層、農林水産部、県との連携のもと、この団体、または漁協が行う事業、さらなる充実が養殖業の発展と今後の活路になるだろうと強く思っているので、県漁協はじめ、大分県養殖協議会への事業展開について、よりその連携とサポートを全面的にお願いします。 そして、正にこの漁協と養殖協議会、そして生産者、この三者の関係が正に生産者と寄り添った団体であると常々感じています。要望事項があるから現場に来てくださいと、漁港に現場を見に行ったとき、必ずそこには漁協の支店長さんとその漁港を利用する養殖業者さんだったり、漁師さんが常に一緒にいます。しかも、見た目どっちが漁師さんか分からないような支店長さんがおられたり、本当に魚のことも詳しいし、漁とか養殖のことも詳しい、正に生産者に寄り添った関係団体とともに、大分県の水産業を支えています。正に一次産業とはこうあるべきだと私は常々思って感謝しているので、この大分県2位のブリ養殖、さらなる高見を目指し、しっかり推し進めて行ってほしいと期待し、次の質問に行きます。
○御手洗吉生議長 広瀬知事。
◎
広瀬勝貞知事 大変脂の乗り切った御質問をいただきましたが、ブリの養殖は大分県にとっては本当に水産業、主要産業ですから、議員からお言葉があったように、本当に力を入れ、日本一ではなく、世界のブリ養殖業として頑張っていきたいと思います。ぜひこれからもよろしくお願いします。
○御手洗吉生議長 清田哲也君。
◆清田哲也議員 脂が乗り乗りの答弁を、知事ありがとうございます。 次の質問に行きます。土木行政についてです。 デジタル技術を活用した土木行政の推進についてです。 平成30年法改正により、平常時、災害時を問わない安定的な輸送を確保するため、国土交通大臣が指定する重要物流道路制度が創設されました。重要物流道路の指定に当たっては、新たな国土構造の形成、グローバル化、国土強靱化等の新たな社会、経済の要請に応えるとともに、ICTや自動運転技術の向上を見据えた新たな広域道路ネットワーク等を幅広く検討し、効果的に指定する必要があるとされています。 また、国土強靱化5か年加速化対策により、高規格道路のミッシングリンク解消など、広域道路ネットワークの機能強化対策にも重点が置かれるようになりました。このことを受け、本県も県内の実情と将来像を踏まえながら、広域的な道路交通における今後の方向性を定める大分県新広域道路交通ビジョンと同計画を今年6月に策定しています。 平成6年の前計画策定時との大きな違いは、重要物流道路制度の創設と、ICTや自動運転技術の向上に対応した道路網の構築だと思われます。今後の道路整備には、交通利便性の向上はもとより、災害時にも効果的に機能し、人命救助、復旧、復興に資する役割や、ICT技術による新たな交通体系にも対応する新たな付加価値が求められています。 その意味では、道路整備もデジタルトランスフォーメーションを推進し、社会資本の基盤として生活、経済を支える道路網は新たな役割を担うことが必要と考えます。例えば、GPSの位置情報の活用や、今後の自動運転社会を見据えた道路整備など、DXを意識したものを検討すべきではないでしょうか。 また、道路整備だけではなく、公共土木施設の維持管理や施工の効率化など、土木に関わる幅広い分野でのデジタル技術の導入は、建設業界全体での働き方改革の推進にも資することになり、より効率的なインフラ整備ができるのではないかと期待しています。 その意味では、建設業界全体のデジタル技術の活用、DX化を目指した取組も推進する必要があります。デジタル技術を活用した土木行政と建設業界でのDX化の推進について、知事の見解を伺います。
○御手洗吉生議長 広瀬知事。
◎
広瀬勝貞知事 申すまでもなく、世界的にICT機器が普及し、AIや5Gといった技術開発や社会実装が進むなど、デジタル技術があらゆる場面に広がり、社会の在りようまで変えようとしています。 道路分野に目を向けると、交通マネジメントや自動運転、維持管理などにおいて、ICTを活用し、道路利用サービスを高度化する取組が進んでいます。 1点目の交通マネジメントでは、ETC車載器により、車両の速度や経路を把握し、様々な計画立案に役立てており、本県でもこれらのデータを道路整備の効果検証や渋滞対策の検討に活用しています。これまでよく道路の角に椅子を置いて座って、自動車の通行を計測していましたが、全部ICTでできるようになるということで、もうあれがなくなるそうです。そんな時代にしっかり我々も対応していきたいと思います。 それから2点目は、自動運転に向けた道路環境の整備です。自動運転は車載カメラにより区画線等を認識して走行することから、センサーの精度向上に関する検討など、官民共同で様々な研究開発に取り組んでいます。 本県でも民間企業と連携し、5Gを活用して濃霧の中でも安全に走行する運転補助システムの実証実験を行いました。 また、大分市では、遠隔監視・操作システムによる自動運転の実証実験を行い、運転手不足や高齢化など地域公共交通が抱える課題解決に取り組んでいます。 3点目は、道路の維持管理です。本県では、スマートフォンにより、路面の僅かな凹凸を感知し、劣化状況を可視化するシステムを構築しており、きめ細かな路面の維持管理を補完しています。 こうした道路分野での取組のほか、建設業界や土木行政にもデジタル技術の導入を進めています。建設現場では、担い手不足対策の一つとして、ICT建設機械の活用に取り組んでいます。現場での省力化が図られたとか、経験の浅い技術者でも安全で効率よく施工ができたなど、ICTの効果を実感する声が聞かれています。 また、容易に近づくことができない防波堤の点検にドローンを活用するほか、交通量調査では、車両の判別にAIによる画像解析を用いるなど、新たな取組に挑戦しています。 さらに、県民からの土地利用規制や災害危険箇所など、様々な問合わせや施設管理に対する御要望に、迅速かつ効率的に対応するため、デジタル技術の活用を検討します。 今後とも、道路をはじめとする社会インフラの利便性や建設現場の生産性向上、さらには行政事務の効率化に向けて、建設業全体のDX、デジタルトランスフォーメーションを積極的に推進していきたいと考えています。
○御手洗吉生議長 清田哲也君。
◆清田哲也議員 知事ありがとうございます。 社会資本、道路等にデジタル化とかいうのは、ちょっと数年前ではなかなか私も想像できませんでしたが、特に建設現場等においても、本県は進んでいるほうじゃないかと思っているので、今後も取組をよろしくお願いします。 次の質問である佐伯市における広域道路ネットワークについてです。 国道217号佐伯弥生バイパスから佐伯港へつながる佐伯港佐伯インターチェンジ連絡道路が県の広域道路ネットワークの計画道路として指定されていますが、実はまだ未供用部分があり、開通には至っていません。ただ、このことを悲観的に捉えるのではなく、この際だから見直すチャンスだろうと思っています。 現在のルートでいくと、なかなか津波の被害想定が大きい地域を通るとか、佐伯駅前は冠水しますが、その箇所を通って佐伯港に行く、現在ではそういうルートになっています。 そうなると、災害時に強い広域道路ネットワークという役割を果たさないので、佐伯市の防災拠点である佐伯堅田インターチェンジに隣接する佐伯総合運動公園が佐伯市の防災拠点なので、そちらと重要港湾佐伯港をつなぐのはどうかという発想も出てきます。 現計画は、当時佐伯港から、取りあえず佐伯インターチェンジにつないで物流道路を造ればいいという時代であったと思われますが、今後、重要港湾佐伯港の利便性を向上させ、より一層ポートセールスを促進していくため、現在の佐伯港佐伯インターチェンジ道路ルートの見直しの必要性があると思いますが、御見解を伺います。
○御手洗吉生議長 島津土木建築部長。
◎島津惠造土木建築部長 佐伯市における広域道路ネットワークについては、重要港湾と高規格道路のアクセス強化という観点から、佐伯港と佐伯インターチェンジを最短で結ぶ国道217号を一般広域道路として位置付けています。 当路線は、高台に位置する佐伯弥生バイパスとして、約5キロメートルを供用しており、冠水地域の回避や市街地の渋滞緩和など、整備効果の発現が認められています。残る臼坪から佐伯駅前の区間については、市内各路線の交通量などを見極めながら、整備の在り方について検討していきます。 一方、議員御指摘の佐伯港から堅田インターチェンジを結ぶルートは、広域道路を補完する重要なネットワークと認識しています。当該区間には、幅員狭小や橋梁の老朽化などの課題があり、佐伯大橋の架け替えを含め、整備手法などについて、佐伯市と議論を進めています。 今後も、広域道路ネットワークである東九州自動車道の4車線化はもとより、これを補完する道路の整備を進めます。
○御手洗吉生議長 清田哲也君。
◆清田哲也議員 島津部長、これはもう大変脂乗り乗りの答弁だと思います。ありがとうございます。 現計画では、駅前の冠水とか、南海トラフのときにあまり役に立たないルート設定になっていると思います。だから、今日は要望で長々と書いていましたが、もう今答弁をいただいたので一々言いません。防災拠点の堅田インターチェンジは無料区間でもあるし、延岡方面へのアクセス、いわゆる重要港湾の細島と佐伯を結ぶ、そういう将来展望、日豊経済圏でも新たな発展を望めるし、防災上も施工の方法によっては、役に立つ道路ができるのではないかと思っています。私も関係団体でそういう機運が高まるように地元で頑張っていくので、今後も様々な方面での御支援よろしくお願いします。 次の質問、国道217号戸穴バイパスについてです。 かねてより懸案だったこの路線も用地交渉もしっかりしていただき、順調に行き、事業着手も既に取り掛かっておられます。 今、トンネル区間があり、こちらの用地交渉もうまくいって、住民の皆様も長年の懸案事項であるこのトンネル、いよいよ着手も早まるのではないかと期待もある中で、今後の国道217号戸穴バイパスについての事業進捗の見解に関して伺います。
○御手洗吉生議長 島津土木建築部長。
◎島津惠造土木建築部長 国道217号は、県南部の沿岸各都市を連絡する幹線道路であり、沿線には臼杵港、津久見港、佐伯港などの人流、物流を支える拠点を有し、社会経済活動を支える重要な役割を担っています。しかしながら、佐伯市戸穴地区では、幅員狭小や線形不良のため、周辺立地企業などの大型車の通行や、日常生活の利便性、通学路の安全確保に課題があるため、八幡トンネルの前後について、平成25年度に延長約1.4キロメートルの改良事業に着手し、現道拡幅区間の整備を進めてきました。 用地の取得に際しては、地権者の皆様方の御理解、御協力により、このたび、事業に必要な用地の契約は全て整いました。 今後は、残るバイパス区間について、トンネル工事の発注準備を迅速に進めるとともに、必要な予算の確保に努めながら、事業区間全体の早期完成を目指していきます。
○御手洗吉生議長 清田哲也君。
◆清田哲也議員 ありがとうございます。地元も期待しています。 また、安全功労者、内閣総理大臣表彰を受けた彦陽中学校もその区間の隣接地なので、そういうことも念頭に置きながら、事業の進捗をお願いして次の質問に行きます。 行政のデジタル化についてです。
新型コロナウイルスまん延により、我が国の行政システムが他の先進国に比べ、手書きでの書類、郵送に頼るところが大きいことが如実に判明しました。スマホやインターネットでふだん日常生活でその恩恵を被っている我々からすると、この現状を見たとき、実はIT後進国だったのかと非常にショックを受けるような場面もありました。 本県においては、デジタル化という国の指針に先んじて、電子自治体推進室を今年4月より設置し、県内自治体のデジタル化の推進を図り、利用者たる県民の利便性向上に向け、取り組んでいると思います。今定例会においても、使用料及び手数料を改正し、支払方法のキャッシュレス化に向けて取り組まれています。 今後の行政手続の電子化について、どのように推進していくのか、見解を伺います。
○御手洗吉生議長
和田総務部長。
◎
和田雅晴総務部長 行政手続の電子化についてお答えします。 県では、令和6年度までに行政手続を100%電子化する取組を進めており、その際には、県民の利便性向上と行政手続の効率化の二つの視点から取り組んでいます。 まず、利便性の向上については、どこからでも、いつでも気軽に申請できるよう、スマホの画面であっても入力しやすいシステムを構築するとともに、手数料等の決済までオンラインで完結できる機能を盛り込みたいと思います。 また、スマホ等の電子機器の扱いが不慣れな方にも安心して利用してもらえるよう、ホームページの申請手順の案内を充実させるとともに、利用者からの問合わせに電話で対応できる窓口の設置も検討していきたいと思います。 次に、行政手続の効率化では、単に現行の紙による申請様式を電子化するだけでなく、押印の廃止や添付書類の省略等を行い、申請者の負担軽減と手続に係る審査等のスピード化を図ります。 今後とも、利用者である県民の視点に立って、誰もが容易にオンラインで行政手続が完結できる仕組みを構築していきたいと思います。
○御手洗吉生議長 清田哲也君。
◆清田哲也議員 電話相談の窓口も設けていただけるということで県民の皆さんは安心して取り組めるのじゃないかと思います。 最後の質問です。これを進めるに当たり、マイナンバーカードが一つのキーポイントだろうと思いますが、本県の交付率、全国では中位です。今後、マイナンバーカードの取得についての取組に関して伺います。
○御手洗吉生議長
和田総務部長。
◎
和田雅晴総務部長 マイナンバーカードの取得促進についてお答えします。 本県のマイナンバーカード取得率は本年10月末時点で38%となっています。一方、国においては令和4年度末までにほとんどの国民がカードを取得することを目標としており、その達成に向け、さらなる取組が必要と認識しています。 このような中、先般の国の経済対策において、新たに2万円のマイナポイント事業が示されたところで、県としても本事業によりカードの取得が促進されるよう、次の2点に取り組んでいきます。 一つは取得しやすい環境づくりです。平日に仕事等でカードの取得に行けない県民のため、休日の役場の開庁や民間事業所への出張窓口設置などを市町村に働きかけます。 二つ目はカードの利便性の周知です。カードを使ってコンビニで住民票等を取得できるほか、健康保険証として利用可能なこと、あるいは将来は、運転免許証と一体化されるなど、カードの利便性を県民に周知していきたいと思います。 県民がデジタル化の恩恵を享受できる社会の実現に向け、その基盤となるマイナンバーカードの取得促進に引き続き努めていきます。
○御手洗吉生議長 清田哲也君。
◆清田哲也議員 部長、取組に期待しています。 すみません、駆け足の質問になってしまいました。この定例会が終わると、すぐお正月が来ます。知事はじめ、皆さん方にまずブリを買っていただき、お正月はブリを食していただいて、健やかな新年を迎えられることを祈念し、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○御手洗吉生議長 以上で清田哲也君の質問及び答弁は終わりました。 お諮りします。本日の一般質問及び質疑は、この程度にとどめたいと思います。これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○御手洗吉生議長 御異議なしと認めます。 よって、本日の一般質問及び質疑を終わります。 以上をもって本日の議事日程は終わりました。 次会は、明日定刻より開きます。 日程は、決定次第通知します。 -------------------------------
○御手洗吉生議長 本日は、これをもって散会します。 午後2時58分 散会...