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令和3年6月定例会(第3日) 本文
令和3年6月定例会(第3日) 名簿

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  1. 佐賀県議会 2021-06-03
    令和3年6月定例会(第3日) 本文


    取得元: 佐賀県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-28
    最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1     ○ 開     議 ◎議長(藤木卓一郎君) これより本日の会議を開きます。  昨日に引き続き一般質問を行います。  通告に従い、順次発言を許可いたします。 2 ◎古賀陽三君(拍手)登壇=皆さんおはようございます。早速質問に入りたいと思います。  社会的養護が必要な子供たちの支援についてということでございます。  この社会的養護とは、親の病気、離婚、経済的理由、虐待など、本当に様々な事情により実の親の元で暮らすことができない子供を公的な責任の下で保護、養育することを言い、全国に約四万五千人、佐賀県には約三百人、この社会的養護には、乳児院や児童養護施設などで生活する施設養護と、里親宅やファミリーホームで生活する家庭養護があり、佐賀県では約七割の子供たちが施設で生活をしています。  二〇一七年八月、国において「新しい社会的養育ビジョン」が取りまとめられ、家庭養育優先原則の実現に向けた里親等への委託率の目標などが示されました。佐賀県でも社会的養育推進計画を策定し、子供たちをできるだけ家庭的な環境で育てる里親委託を推進されています。  子供は本来、特定の大人との愛着関係の下で養育されることにより自己肯定感を育み、家庭において適切な家庭生活を経験することで、将来自らが家庭生活を築く上でのモデルとすることができ、さらには家庭生活の中で人との適切な関係の取り方を学び、身近な地域社会の中で必要な社会性を養うといったことが言われており、そうした効果が里親制度には期待をされています。  実際、私も今、養育里親として里子の養育を行っています。振り返ると、施設から大泣きする子供を家に連れて帰った日から、里子養育とはまさに驚きの連続でした。周囲の大人の全てをパパ、ママと呼んでいたこと、分離不安がなくて、外出先でこちらを振り返ることなくどこまでも一人で行ってしまう子を慌てて追いかけたりもしました。試しに隠れてみても、探すこともなければ泣くこともない。そして、いわゆる試し行動と呼ばれる行動が続きました。実子がどう受け止めているか、どう感じているかといったこともあって、委託解除を考えたことも正直ありました。我が子の育児とはまるで異なる経験をしました。  その中で、里親として子供の成長に途中から関わる養育の難しさ、親としての立ち位置、関わり方への迷いなど、実際に養育に携わって気づくことが数多くあります。  現在、佐賀県では「子育てし大県”さが”」を掲げ、出会い・結婚から妊娠・出産、子育てまで様々な取組を推進されています。私自身も大変いい施策だと思っていますが、困難を抱えた子供たちにしっかり目を向け、困難を抱えた子供たちを育てる里親家庭にも寄り添うことで、社会全体で子供を支える仕組みがより一層整っていくことにつながればと思っています。  そこで、幾つかの点について伺います。  社会的養護に対する知事の認識についてであります。  社会的養護の状況、そしてまた、この言葉自体、なかなか理解や認知度が低い今の現状があるのではないかなというように思っています。先日、二〇二〇年度、県内の児童相談所が対応した児童虐待の相談件数が八百九十八件と、過去最多だったということが公表されていました。これはあくまでも虐待に対する相談件数であり、社会的養護とは、虐待のみならず本当に様々な事情を抱える子供たち全てであり、今後、社会的養護を必要とする子供たちは増加するのではないかと懸念をしています。まずは社会的養護を知ることから、他人事とせず関心を向けてもらうことからだというふうに思っています。そうした中で、社会からの、この社会的養護に関する理解が少しずつでも深まっていくのではないかと私は思っています。  この社会的養護について知事はどのように認識しているのか、またどのように取り組んでいこうとするのか伺いたいと思います。  次に、里親に対する支援についてであります。  先ほど少し申し上げましたが、実際の里子養育はまさに驚きの連続でもあります。受け入れる子供の年齢、実親の事情、子供の生育歴や特性、そして受け入れる里親側の家庭状況など、家庭ごとに様々です。  そうした中で、現在、里親からの相談窓口として里親の悩みなどを受け止め、解決に向かう、そういった手助けをしていただいているのが里親等相談支援員と呼ばれる方々です。里子養育において、まさに不可欠の存在であると私は思っています。  現在県では、昨年度から里親支援事業を民間に委託をしているものと認識していますが、具体的にはどのような内容となっているのかお尋ねをいたします。
     次に、今後の取組についてであります。  実親の元で暮らすことのできない子供は、日本では児童養護施設で暮らすことがまだまだ一般的であり、里親であることを驚きを持って受け止める方が多数だと実感をしています。  一方、欧米諸国では、里親などの家庭で育てることが常識となっていると伺っています。  現在の自身の経験からも、家庭という場所には施設とはまた異なる経験がぎっしりと詰まっており、家庭で過ごす一見何げない日常、ただ、この何げない日常が私たちにとっては当たり前であっても、実はその子にとって当たり前ではなかったということに、一緒に生活をして気づくことが多々ありました。ただ、その日常の中で経験を重ねていくことこそが、子供たちが社会を生き抜く上で大きな力になるのではないかと私は感じています。日本でも家族の在り方の一つとして里親がまれな存在ではなくなることが理想ではないかなと私は思っています。  現在、国の「里親委託・施設地域分散化等加速化プラン」を受け、佐賀県でも里親支援事業に取り組んでいただいています。しかし、このプランの期間は令和六年度末までとなっています。四人に一人の里親が、里親としての子育てを一年未満でギブアップしてしまうという数字がありました。これはまさに里親養育の困難さを表している数字だなと私は思いました。  社会的養護において里親支援事業は最も重要なものであります。そうしたことから、里親支援などの業務に携わる方々が、長期にわたり継続してその業務を全うできるようサポートすることが、ひいては社会的養護を必要とする子供を守り、育てることにつながります。十分な予算の確保、事業の実施体制の確立など、広く現場の声を取り入れていくことが必要だと感じていますが、県として今後、里親の支援にどのように取り組んでいこうとするのか伺っておきたいと思います。  次に、「佐賀支え愛食事券事業」について伺います。  新型コロナウイルス感染症の拡大は、外出自粛などの影響により人々の日常や生活様式など大きな変化を余儀なくされました。こうしたことが地域の多様な産業に様々な影響を与えていると思っています。特に飲食を介する場での感染リスクが非常に高いということから、飲食店事業者はこれまで営業時間短縮などへの対応が求められ、店舗経営者のみならず、食材を納入する業者、食材生産者など、関連する多くの方々が大変厳しい状況にあると思っています。  そうした飲食業に対して官民一体型の需要喚起を図ることを目的とし、二五%のプレミアムがついた食事券を発行する「Go To Eat事業」が行われています。佐賀県では「SAGAおいし~と食事券」として現在も販売、利用がなされています。発行部数は六十万冊、そのうち約四十七万冊は既に購入をされていますが、十三万冊が残っているといった現状でございます。  その「SAGAおいし~と食事券」の後継事業として「佐賀支え愛食事券事業」の予算が今議会に提案されていますが、今回提案されている事業実施に当たっては、実際の効果等の判断を踏まえ行っていくべき必要があるのではないかと私は思っています。  そこで、幾つかの点について伺いたいと思います。  まず、「SAGAおいし~と食事券」の効果についてであります。  今回の支え愛食事券事業については、私は、正直少し待ってもいいんじゃないかなといったようなことを思いました。というのは、昨日の定松議員の事業者支援に関する一般質問の中でも、「佐賀支え愛食事券事業」について触れられていました。残りは十三万冊、これは多い、少ないの判断はそれぞれの受け止め方もあるというふうに思います。ただ、十三万冊の見通しについては、八月末までには完売予定であること、そして外での飲食を控える状況がある中で、現在の食事券に引き続き飲食店及びその取引業者を切れ目なく支援していこうと、そうした事業実施の目的については、昨日の答弁からも理解ができるところであります。切れ目なく実施していくことは必要かもしれないけれども、やはりその効果というものを検証することも必要じゃないかということを思ったからです。  昨年のコロナ発生以来、この議会に様々なコロナに関しての補正予算等も提案をされます。そうしたときに、大体コロナにおいて厳しい状況にあることからといったことの説明がほとんど、感覚的に私たちは十分理解することもあるけれども、やっぱりこうした事業を行っていくに当たっては、現在行われている「Go To Eat事業」が実際に県内の飲食店の支援にどれだけの効果を果たしているのか、発揮したのか、この事業は売って終わりではなくて、使って初めて効果が出るものであるから、実際に販売されたものがどの程度実際に飲食店で利用されたのかといったような具体的な数字等を示す必要があると私は思っています。これは飲食店の事業者からの評価もあると思います。その上で、一定の効果があると認められれば、引き続き実施していくという判断がなされるべきではないかと思っています。  県として、この「おいし~と食事券」の効果をどのように認識しているのかお尋ねをいたします。  次に、次期食事券事業についてであります。  コロナ禍で比較的短期間に私たちの生活は一変しました。外食を控え、家飲みといった言葉も浸透しつつあるのかなと感じています。これだけコロナが長期化してくると、こうした生活に慣れ、コロナ収束後も以前ほど外で集まって飲食する機会が減ってしまうのではないかとすら懸念をしています。  そうした中で、実施を予定している今度の事業、こういった事業があるけどどうかなといったことで少し聞いたりもしてみました。やっぱり一万円より四千円が買いやすいといったような声もあるのは事実です。その中で、そういった事業があるのであれば、少し待ってこっちの事業のものを買ってみようかなといったような声も聞かれました。こうした事業を実施することで、少し買い控えする方も、考え過ぎかもしれませんけれども、そういった事態にもなるのではないかといったようなことも考えられます。  そして、昨日の答弁で、販売促進の工夫ということでエリア指定をやめると、販売店の確保に努めるといったことが言われていました。こうしたことは引き続きやっていく必要もあるというふうに思います。  そしてもう一点、今行われている「Go To Eat」の「おいし~と食事券」に参加している方がそのまま継続して参加をしていくことができるかといったような心配をされている方がいらっしゃいます。継続が難しいとなれば、改めて事業者の方は申請をし直さなければならない、そういった手間もかかるといったような声も聞かれてきているところです。  そうしたことで、参加事業者が減少することもあり得る。そのままの参加であれば、ある程度、今一定の千九百ちょっとの飲食店事業者の加盟は維持することができる。そこからさらに増やすといった取組をやっていければ一番いいものになるんだろうというふうに思っています。そうした中で必要な改善、そして工夫を盛り込み、より支援につながるような事業として次につなげるステップが必要ではないでしょうか。  次期食事券の実施にどのようにつなげていこうとするのか伺っておきたいと思います。  次に、スポーツ政策に対する県の姿勢についてであります。  佐賀県では、「SAGA2024」国民スポーツ大会全国障害者スポーツ大会を契機に、SSP構想や、「SAGA2024」に向けた競技力向上への取組、アリーナをはじめとしたSAGAサンライズパークの整備など、ハード、ソフト両面にわたり、現在様々な取組が行われています。  また、昨年はサガン鳥栖、佐賀バルーナーズなど、本来自立した経営基盤の中で運営がなされるべきプロスポーツチームに対しても、コロナ禍といったことを理由に支援が行われたところです。  ハード整備については、SAGAサンライズパークをはじめ、「SAGA2024」に向けた会場整備など、平成二十九年度から昨年度までの四年間で百四十三億円が現在執行されています。また、競技力向上に向けた競技団体などへの支援も、同じく四年間で十三億円が執行されています。県の財政支出も相当なものとなっているのではないかと感じています。  そして、今議会においても、アスリート寮の整備に三億五千万円、イマリンビーチビーチハウスの施設整備などが提案されています。  スポーツの力を生かした人づくり、地域づくりを進めるといった県の姿勢といったものには一定の理解を示しつつも、国スポを契機に県が行うスポーツ政策といったものに対してどれだけかかるんだろう、どこまでかけるんだろうと正直に感じてしまいます。果たしてこの現状は広く県民に許容される範囲のものだろうかといったことも感じているところであります。議決に際しても、正直悩ましく感じるときもあります。  また、今後、国スポに向けてSSP構想も動き出している現状で、なかなかこのSSP構想といったものはやめることはできない、ずっと続いていくものだといったことが予測をされる中で、こうしたことに予算を含めてどの程度の具体的な計画がなされているのかといったことを、一定程度の見通しを示して、しっかりと理解を求めていくことも必要になってくるのではないかと私は思っています。  今後も、「SAGA2024」の大会開催費や運営費等の予算、そして、SSP構想に基づく人材育成、競技団体への支援に関する予算などが提案をなされるものだと思っています。県としては、こうした投資がスポーツをする一部の人のためだけの投資にならないよう、より多くの方々に理解が得られるようにすべきであると思っています。  現在、県政においてスポーツが占めるウエートは極めて高いものであり、国スポ開催をはじめとして、これだけ多額の予算を投じてスポーツ政策を行う意義や必要性を改めて考える必要があるのではないかと思っています。  スポーツ政策に対する県の姿勢について、文化・スポーツ交流局長に認識をお伺いして、質問を終わります。(拍手) 3 ◎山口知事 登壇=皆さんおはようございます。古賀陽三議員の御質問にお答えいたします。  社会的養護に対する私の認識についてお尋ねがございました。  親の病気や離婚、経済的な困窮、あるいは虐待などにより、家庭で暮らすことができない子供たちがいます。そうした子供たちを我々が責任を持って社会的に養育し、その成長と自立をしっかりと支えていくこと、まさに社会全体で子供を育むことが強く求められていると認識しています。  中でも、家庭的な環境での養育の受皿となる里親は、社会的養護の重要な役割を担っています。親元から離れ、心を痛めた子供たちを自身の家庭に迎え入れ、温かく養育していただくのが里親です。当たり前の日常を知らなかった子供たちを、成長途中から養育する困難さをいとわず受け入れていただいております古賀議員をはじめ、里親の皆様に心から敬意を表します。  人格形成をする重要な乳幼児期や幼少期、大切な青年期を生きる子供たちにとって必要なものは、愛情とそれを享受できる場所だと思います。  家庭での暮らしを知らない子供たちは、自分だけを見てくれる大人の存在を知りません。当たり前の愛情のある家庭での暮らしの中で里親から愛情を受けることで、自分の存在が受け入れられているんだという安心感が生まれ、自己肯定感に結びつきます。家庭のありようを学び、人との関係で不可欠な信頼感も獲得できると思います。まさに里親は、愛情と場所を与えることができる大切なものだと思っています。里親宅での生活を通じて、子供たちの健やかな成長と自立につなげていただいていることに改めて心から感謝いたします。  一方、里親としての子育ては、それまでの里子の生育過程が影響するなどいたしまして、愛情の試し行動、お話がありましたけれども、この試し行動があるなど大変な御苦労があると認識しています。  そもそも、子育てそのものが予期せぬことの連続です。子の個性があります。そして、二人目以降になりますと、上の子がまたいろいろな動きをしていきます。何でだろうと驚いて悩むことが多いのがそもそもの子育てであります。それにこの里子ということになりますと、さらに何でだろうという悩みが深まるわけでございます。  中には、古賀議員からお話がありましたように、里子の急激な感情や行動の変化に対応できずに里親を続けることを断念される方もおられます。  里親による養育は個人的な養育ではなく、社会的な養育、つまり、社会全体で育てていくことだと思います。里親だけが頑張るのではなくて、これは実子の子育ても同様なんですが、地域社会との交流なども含めて、皆で負担を分かち合うことが何よりも大切だと思います。里親が悩みや不安を一人で抱え込んで孤立することがないように、その悩みに耳を傾け、サポートを徹底するなど、しっかりと県も支えていかなければならないと自覚しています。  社会で養護すべき子供たちを里親にたくさんの愛情を注いで育てていただく、その里親を我々がしっかり支える、そうした環境をつくってまいりたいと思います。  現在取り組んでおります「子育てし大県”さが”」では、寄り添う子育てを掲げています。里親の子育てや悩みに寄り添い、そして、社会的養護が必要な子供たちに関わられている皆様と一緒になって、佐賀県で生まれ育つ全ての子供たちにしっかりと目を向けて取り組んでいきたいと考えています。 4 ◎寺島産業労働部長 登壇=私からは、「佐賀支え愛食事券事業」について二点お答えいたします。  まず、一点目の「SAGAおいし~と食事券」の効果についてでございます。  「SAGAおいし~と食事券」は、国の「Go To Eat事業」を活用いたしまして、一万円で一万二千五百円分の食事に利用できる券を六十万冊、額面で総額七十五億円という規模で発行されており、この発行規模は人口一人当たりの額としては全国で三番目に大きいものでございます。  そして、販売状況についてでございますが、議員からも御紹介がございました飲食店への時短要請に伴う販売停止期間ですとか、感染拡大の影響などで販売が少し低調となった時期もございましたけれども、販売実績は六月十三日時点で全体の約七九%の約四十七万冊、額面で約五十九億円が販売済みとなっており、ここ数カ月と同様のペースでいけば、八月末の販売期限までには完売になると見込んでおります。  それでは、実際に飲食店で使われているのかといったことが議員からも御指摘がございました。  飲食店の方々から効果を実感する声もいただいております。また、実際に金融機関で換金された額は、六月十三日時点で約四十九億円となっておりまして、これは販売実績に対する換金率で見ますと、約八二%と高くなっております。  コロナの影響で消費マインドが冷え込む中で、飲食業及びその取引業者などへの支援策として大きな効果が発揮されているものというふうに認識をしているところでございます。  二点目といたしまして、次期食事券事業について、改善、工夫をしてどのようにつなげていくのかというお尋ねがございました。  長引くコロナ禍により、飲食店の利用を控える傾向が続いております。国の「Go To Eat食事券事業」の終了後も、飲食店、そして、その取引業者等は厳しい状況が続くことが見込まれますことから、プレミアム付食事券を県独自に追加発行することとしたものでございます。  具体的には、現在の食事券の利用期間が九月末までとされておりますことから、切れ目のない支援を行いますため、県独自の食事券は十月から販売利用を開始し、また、販売は十二月末まで、利用は一月末までとすることで、忘年会や新年会などの年末年始の需要を喚起し、短期間で事業の効果が上がるようにしたいというふうに考えております。  また、現在の「SAGAおいし~と食事券」につきましては、幾つか課題もございます。このため、利用者の皆様方からの御意見も踏まえまして、大きく三点見直しをすることとしております。  まず一点目は、エリア指定についてでございます。  現在の食事券では、例えば、佐賀市など特定のエリアに利用が集中することを避けるため、エリア指定券というものを設けておりましたけれども、実際にはむしろ北部のエリアですとか、あるいは西部のエリアで多く購入をしていただき、その結果、残りが少なくなったということもございましたので、エリア指定券は四月二十七日をもって廃止をしております。次の食事券につきましても、エリア指定券を設けず、全て全県で利用できるようにし、利便性の向上を図ります。  二点目といたしまして、現在は一冊一万円で一万二千五百円分の利用が可能というふうにしておりますけれども、この一万円というのは負担が大きいといった声が寄せられましたことから、次の食事券では一冊四千円で五千円分の利用が可能というふうに一冊当たりの金額を四千円に引き下げて、より手軽に購入いただけるようにいたします。  三点目といたしまして、現在は千円券主体としておりますけれども、もっと五百円券が多いとランチで使いやすいといった声が寄せられましたことから、ランチから夜の飲食まで様々な場面で利用していただきたいという思いから、五百円券四枚と千円券三枚の組合せとすることにより購入利用を促進したいと考えております。  また、議員から加盟手続の負担を懸念する声があるといった指摘がございました。  国の「Go To Eat事業」から切れ目のない支援を実施していくということからしても、飲食店の方々の事務負担の軽減というのは重要でございます。このため、県事業に参加をしていただく飲食店の加盟手続につきましては、できるだけ事業者の方の負担にならないよう、簡素な制度設計となるように検討してまいります。  このほか、食事券の販売場所の確保についても努めてまいります。  県独自の食事券の発行によって、引き続きオール佐賀、支え愛の気持ちで飲食店を御利用いただき、さらなる支え愛の広がりにつなげてまいりたいと思っております。  私からは以上でございます。 5 ◎田中文化・スポーツ交流局長 登壇=私からは、スポーツ政策に対する県の姿勢についてお答えします。  スポーツは様々な力を持ちます。アスリートが活躍する姿は見る人の心に響き、感動を与えます。このスポーツの持つ人の魂を揺さぶる本質的な力をアスリート育成に限定することなく、地域づくり全般に波及させていくことはこれからの佐賀にとって大変重要なことと考えています。  このため県では、SSP構想を掲げまして、スポーツを「する」人だけに着目せず、「育てる」、「観る」、「支える」といった県民お一人お一人が自分なりのスタイルでスポーツに関わっていくというスポーツ文化の拡大を目指しておりまして、この考えの下、「SAGA2024」も、「すべての人に、スポーツのチカラを。」をメインメッセージに準備を進めているところでございます。  これを具体化する予算につきましても、スポーツを生かした人づくり、地域づくりを進める中長期的な観点から、佐賀県の未来につながる投資といたしまして必要な予算をお願いするとともに、一方では、様々な取組において、これまでスポーツに関わりが薄かった民間企業などの協力も幅広くお願いし、協力をいただいているところでございます。  「SAGA2024」まで残すところ三年となりました。「SAGA2024」の開催に向けて、今後はスポーツを「支える」人や「観る」人が中心となる取組を加速していくこととなりますが、その中で、より多くの人にスポーツの力を生かした人づくり、地域づくりに関心を持っていただき、一人でも多くの方々に関わっていただけるよう取り組んでまいります。  ハード整備につきましては、これまで長年にわたり、競技団体の要望に十分に対応できずにいた整備も含め、「SAGA2024」の開催を控え、最も効果を発現できるこの機会に整備を進めております。ただその整備も、「SAGA2024」の後の競技力向上やスポーツ以外の各種イベントなどでの活用も念頭に置いて具体的に整備を進めております。  例えば、既に完成したSAGAサンライズパークのフェンシング場は、日本で唯一のJOC──日本オリンピック委員会競技別強化センターと指定され、日本フェンシング協会と連携した日本代表選手の合宿や、それによる佐賀商業高校フェンシング部などのレベルアップにもつながる利用が進んでおります。  また、SAGAアリーナについては、多目的アリーナとして整備を進めておりまして、スポーツイベントに限らず、コンサート、文化芸術イベント、学会、展示会等のいわゆるMICEの誘致も進めることで、これまで佐賀で実現できなかった様々なシーンが生まれ、「さが躍動」の象徴となるよう利活用に力を入れてまいります。  今後とも、ハード、ソフトの両面にわたり、SSP構想の理念の下、スポーツの力を生かした地域づくりを一つ一つしっかりと形にしていくことで、後世の人から佐賀の未来にとって必要な投資をしてよかったと言っていただけるようにしっかりと取り組んでまいります。  私からは以上でございます。 6 ◎原男女参画・こども局長 登壇=私のほうからは、社会的養護が必要な子供たちの支援についての御質問のうち二問お答えしたいと思います。  まず、里親に対する支援についてですが、昨年度から支援事業を民間委託しているが、内容はどうなっているのかという御質問がございました。  里親支援の業務には大きく四つございます。一つ目が里親の普及啓発、リクルート及びアセスメント、二つ目が里親に関する研修、三つ目が子供と里親家庭のマッチング、四つ目が里親への支援でございます。  こうした一連の業務につきましては、これまで本県では中央児童相談所がその業務を行ってきたところでございますけれども、里親に近い立場での寄り添った支援でありますとか新規里親の掘り起こしなどに民間の力を活用しながら、協働で効率的に事業を進めるということで、この支援業務を段階的に民間のほうに委託をしておるところでございます。  具体的に申し上げますと、昨年度でございますが、普及啓発、研修、そしてマッチング、こうした業務を乳児院と児童養護施設を運営する社会福祉法人のほうに委託をしております。この法人は、佐賀市内のほうに活動の拠点を置いて、普及啓発のためのパネル展でございますとか、里親登録のための研修、未委託──まだ委託をしていない里親への家庭訪問などに取り組んでいただいておるところでございます。  さらに、今年度からでございますけれども、里親に身近な地域での相談体制を充実させて、きめ細かな支援につなげるということで、県内を四ブロックに分けた形で、そのブロックごとに新たに児童養護施設等を運営されている法人に訪問支援事業の部分を委託したところでございます。  基本的には、委託先の各法人が主体的にこの支援業務に取り組んでいただくこととしておりますけれども、業務全体のコーディネートの機能につきましては引き続き児童相談所が担っておりまして、委託先の各法人との情報共有を徹底し、協働して里親の支援に当たっているところです。  具体的に申し上げますと、児童相談所におきまして毎月定期的に各法人の相談支援員さんとの事例検討会などを実施して、必要に応じ、適切なアドバイスを行うほか、特に心理面での支援が必要なケースにつきましては児童相談所が積極的に関わっておるところです。  今後とも、委託先の各法人としっかり連携をしながら対応していきたいというふうに思っております。  もう一つの問いが今後の取組についてでございました。  育て親を必要といたします子供たちはやはり年齢も様々でございます。そして、今いろんな施設に入所されておりまして、その施設も県内各地にございます。そういった子供たちとのマッチングを考えれば、やはり様々な地域により多くの里親登録者を確保することが重要ではないかと考えております。  そのために、効果的な普及啓発、リクルート、こういったものが必要になりますけど、現在委託しておる法人のほうでは、例えば、里親カフェを開催されたり、サロンを開催されたり、あるいはパネル展といった、そういう民間ならではのノウハウをお持ちでございますので、そういったことを効果的に活用しながら、今以上に幅広く里親の掘り起こしに取り組んでいきたいと考えております。  一方、里親さんのほうは、知事も御答弁申し上げましたけれども、やはり様々な苦労や悩みを持たれているところでございます。そうした里親の方がいつでも悩みを身近なところで相談できるように、四ブロックにそういう相談支援の拠点を置いておりますので、しっかり寄り添って丁寧な支援を充実させたいと思っております。それによりまして、里親さんのほうが安定的、継続的に養育していただけるよう、しっかりバックアップをしていくつもりでございます。  本県では里親支援業務を行う機関は「こねくと」というふうな名称で呼んでおりますけれども、佐賀市内にありますその「こねくと」のほうを訪問させていただきました。これは昨年から委託をしている法人の方がそこで支援員さんとかがいろいろ活動されているわけでございますけれども、やはり一生懸命活動されております。熱意を感じました。その場所も住宅地の中に普通の住宅を借り上げた形でありまして、里親の方が気軽に相談しやすいなという印象を受けたところでございます。本当にそういった活動されている皆さんは、里親にとって心強い味方でございます。こういった「こねくと」は大切な居場所なのだということで改めて思いました。こういう方々に里親の方が支えられているんだなということを実感した次第でございます。  里親支援業務のほうは、昨年度からは里親リクルートなどの委託、今年度からは四カ所の支援業務の委託を始めたばかりでございます。まずは、今の体制でしっかりと里親支援の業務をやっていきたいと考えております。  今年度ずっと事業を続けていく中で様々な課題なり、問題点など見えてくるのではないかと思っております。そういう場合は、現場で働かれている、活動されている、そういった相談員さんの現場の声もしっかり酌み上げて、改善を加えて、よりよい事業にしていかなければならないと思っております。  この事業は当然今年度で終わるわけでございませんので、次年度以降につきましてもしっかり改善をして、必要な予算につきましても確保できるように、私努めてまいりたいというふうに思っております。  やはり困難な環境にある子供たちをしっかり守っていかなければならないという強い思いを持っております。そういった子供たちが家庭的な環境の中で健やかに育つことができますように、引き続き里親支援に取り組む皆さんとともに全力で取り組んでまいりたいと思います。  私からは以上でございます。 7 ◎古賀陽三君 登壇=それぞれ答弁をいただいてありがとうございました。知事からもすごくメッセージを感じ取ることができました。  私が今、里親をする中でこうした立場をいただいていることで、例えば、児相と直接話をしたりとかできる立場にあるんです。ただ、共働きをしながら、サラリーマン家庭とかしながら熱心に取り組んでいただいている方というのは、なかなか声を上げたくても上げられないと、行政からこう決まっていますからと言われたら、どうしても、そうですかと、決まりならしようがないですねというようなことがあるんです。具体例を申し上げることはいたしませんけども、実際、私も子供を家に連れて帰って、「役所はそういった対応なのか」といったようなことがございました。具体的には申し上げることはいたしません。その中で、最初は妻が対応していましたけども、これはどうしようもないなということで、実際に私が市役所を訪ねて、社会的養護について、家庭養護はこういったものだと、施設養護はこういったものだというようなことを説明して、やっとこさ理解をしていただいたと。  そのときにおっしゃったのが、「そういった前例がなかなかない」といったようなことを役所の方がおっしゃいました。  県として里親をどんどん増やしていこうといろんな計画も策定をして取り組んでいただいていますが、行政側の理解も少し必要じゃないかなといったことを、改めて私自身がそういった対応に対して思ったわけなんです。  原局長から先ほど実際に「こねくと」も訪ねていただいていて、「こねくと」の方も大変喜んでありました。そういった面では、原局長の先ほどの答弁、僕は本当にすごくありがたいなというように思いました。というのは、今行っている体制で問題があれば、しっかりと見直していくということ、そして、予算もしっかりと確保に努めていきたいということ。僕はこういった業務を行うにはやっぱり人であり、人を雇うにも予算がすごく必要なんです。今の「こねくと」の現状を見ても、仕事は持ち帰ったりとか昼休みも取れないと、そういった状況で熱心に取り組んでいただいていますので、引き続き見守っていただきたいというふうに強くお願いをしたいと思います。  原局長に一点、行政に対する理解ということをしっかり行っていく必要があるというふうに思いますけども、その点での取組について答弁求めたいというふうに、非常に難しいと思いますけども、やっぱり行政の理解がすごく必要だというふうに私は思いますので、その点についてお答えいただきたいというふうに思います。  田中局長さん、スポーツに関して答弁をいただきました。競技力向上等々についてもお話をいただく中で、知事の演告の中では、すごく今結果が出ている部分に関しては示していただいています。一方で、SSP構想というのは実施をされて今、二、三年ですかね、それまでというか、ずっと競技力向上には取り組んできていただいたものだというふうに思っています。
     その中で、実際、現場の声として、予算をいただくのはすごくありがたいと。ただ、競技団体においては、その予算を全部使い切れていないといったようなことも聞こえてきていることもあります。実際に国体が一年延びたことによって指導者が動いてしまったとかもあるんだというふうに思います。  その中で、ある程度の予算を投じて行ってきたこの競技力向上についても、やっぱり現時点で結果を求めることも少しは必要じゃないかなと。すぐに結果の出ること、出ないことがあるかと思いますけれども、こういった多くのお金を投じてきたということは、例えば、これまでの取組でどれだけの成果が現れたのかということをいま一度きちんと検証する、そういったことも必要ではないかなと。そういったことを公表することで、多くの皆さん方に改めて理解を求めていくことにもつながるんだろうというふうに思いますので、こうしたそれぞれの競技団体から改めて聞き取りを行うなど、そして、結果というものも、これまでの結果はどういったものだったかということをしっかりと示していただきたいなというふうに思います。その点についての答弁を求めて、一般質問を終わります。 8 ◎田中文化・スポーツ交流局長 登壇=古賀陽三議員の再質問にお答えします。  これまでいろいろ投資したものの結果について検証していくことが大事じゃないかという御質問でございました。  まさにこれまでSSP構想ということで、国スポを控えまして競技力向上等にかなり投資しております。先ほど言われましたように、各競技団体、いろんな形態がありますので、その結果を出せるところとなかなか出せないところというのがあるように思っています。  ただ、いろいろ新聞記事を見ていて気づかれると思いますが、例えば、陸上競技でいいますと、高校の北九州大会、百メートルの男子も女子も優勝するとか、かなり国スポに向けて華々しい結果が出てきているんじゃないのかなと思っています。ただ、今言われましたように、競技全体としてどういう結果が出ているかというのは、さっき議員さん言われましたように、一度きちっと検証いたしまして、報告しながら、次の予算化に向けて検討していきたいと思います。今後、その辺しっかりとやっていきますので、どうぞよろしくお願いします。  私からは以上でございます。 9 ◎原男女参画・こども局長 登壇=再質問にお答えいたします。  行政側の御指摘がございました。子供に関わるということで申し上げますと、例えば、未就学児であれば保育園の問題とか幼稚園の問題とかがあると思います。就学児になりますと、学校の問題とかいうことで、例えば、相談先とかいうのもいろいろ複数になってくる場合があるとは思います。  我々、しっかりそういう方々と話合いをやらなければいけないと思っておりまして、県では要保護児童対策協議会というのを設けております。いろんな関係者にも入っていただいておりますけれども、例えば、そういう場を活用して、議員から御指摘がございましたような、行政側が知らないことで、里親の方々に御迷惑をかけるようなことがないように、例えば、事例の情報共有とか、そういうことを行うなどして、やはり全てのそういう子供たちに関わるところが、同じ気持ちでしっかり対応できるような形にしていかなければならないと思っております。  承りました御意見につきましては、我々もしっかりそしゃくして、対応に向けて検討したいと思います。 10 ◎西久保弘克君(拍手)登壇=皆様おはようございます。議長に登壇の許可を得ましたので、四問の質問をしたいと思います。  ただ、最初に質問に入ります前に、風呂敷包みを持ってきまして、うちで一番いい風呂敷に包んできたんですけれども、ここに実は「明治十六年佐賀県臨時県会日誌」、これは議事録でございます。(実物を示す)明治十六年、これは一つしかありません。一番目が「明治十六年佐賀県臨時県会」、これは明治十六年八月十三日月曜日十時から開催されていますが、三十三名の県議会議員中七名が参着せずと。当時はやはり車は当然ございません。道もほとんどないようなところがあります。やはり二日、三日かかってこちらまで来られていた方もたくさんいらっしゃると思うんですけど、七名がやはり来られなかったと。  そして、ここにナンバリング二番、これは「長崎県通常会日誌」になっています。これは明治十六年三月二十七日に開場しています。不思議なんですね。一番が明治十六年八月十三日の「佐賀県臨時県会日誌」、これが二番。前の日付なんですけど、二番になっています。これも貴重な資料になっていまして、最終的にこちらに三番、四番まで借りてきました。三番も臨時県会日誌です。四番が初めて通常県会日誌ということであっていまして、この議事録というのが今現在八百四十一冊目になっています。  これは実はどこにあるかというと、議会図書室にございまして、ふだんは鍵のかかったキャビネットの中にきちっと収められていて、実は室外持ち出し禁止なんですけれども、昨日お願いしまして、議場に出したいということで特別に許可を得まして、今日ここに持ってきているわけでございます。  また、議長にも実際これを見せてお願いして、ここに置いているんですけれども、私ども県議会では、やはりこういった議事録というのは、これは百三十八年前の議事録です。やはりこの中で参着できなかった方がいかにどうだったのかと、いろんなものを考えさせられるんですけど、百三十八年前に初めてこの議事録は作られて、そして戦争があり、いろんなことがありました。二八水もありました。ただ、そのときそのときに県議会の中ではいろんな発言、質問をされ、そして、執行部の皆様はそれに真摯にしっかり答えて佐賀県行政の今があると私は考えております。  そういった意味でも、議会での発言は大変重みがあり、私も過去の多くの議員様に倣い、発言の重みを感じながら質問していきたいと思います。  執行部の皆様にも、本当に真摯に対応していただいていると思います。ただ、中には過去の発言の──揚げ足ではないんですが、過去の発言、こうやったじゃないんですかねというような答弁もあったり、正面からではなくて、ちょっとかわすような答弁があればすごく悲しいなというか、やはり一言一言がこの明治十六年八月十三日の十時にスタートした県議会でございますので、言葉の重みを持ちながら、また、答弁にもできればしっかりと──しっかりと答えてはいただいていると思うんですけど、かわすようなことがないようにお願いをして、質問に入りたいと思います。  それでは、一問目の質問に入ります。佐賀県産木材の生産促進についてであります。  私は、農林水産業の源は農産物や水産物を育む水を供給する森林だと考えております。こうしたことから令和二年二月議会で、県内の森林から生産された木材をできるだけ高く販売するため、需要者のニーズに合った製材や乾燥を行い、住宅や公共建築物など、様々な用途に積極的に活用し、森林の適正な管理につなげてほしいと質問をいたしました。これに対し農林水産部長からは、製材工場が求める施設の整備を支援するとともに、住宅や公共施設、古民家への利用促進に取り組み、県産木材の付加価値と森林の持つ公益的機能を高めるとの答弁をいただきました。  あれから一年四カ月が過ぎ、森林や林業を取り巻く環境は大きく変化いたしました。国では昨年十月、二〇五〇年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「二〇五〇年カーボンニュートラル」を宣言するとともに、今国会において「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が可決されました。これまでの公共施設に加えて、民間施設に至る建築物全般で木材利用を促進していくこととされました。  また、今年に入ってアメリカでの住宅市場の活況や、新型コロナウイルス感染症の影響をいち早く抜け出した中国における経済活動の活発化などが要因で、外材が国内に入ってこないことから国産材の需要が増加し、その結果、県産木材の価格が非常に上昇しております。  このように国全体で木材利用を促進する取組が始まったことや、昨今のウッドショックと呼ばれている木材価格の上昇により、林業を活性化する好条件がそろったのではないかと思っております。  そこで、次のことについてお伺いいたします。  木材の生産促進についてであります。  県内において木材価格が上昇しているこの機会を捉えて、力強く木材の生産を促進する対策を講じるべきと考えておりますが、県ではどのように取り組んでいくのかお伺いします。  二点目、森林の適正な管理についてです。  冒頭で申し上げたとおり、林業は農林水産業の源であることから、木を切り過ぎないよう、また伐採地には計画的に植林が行われるよう、県が指導、助言を行うことが大切だと考えていますが、どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。  三点目、木材の利用についてであります。  生産された木材を確実に利用していくことが重要と考えますが、県では今後どのように取り組んでいくのか、以上三点について池田農林水産部長にお伺いいたします。  この質問を考えたときに、実は二月議会でお亡くなりになった桃崎前議長さんはどういう議員さんだったかなと思って、過去の登壇の回数、そして内容を確認したときに、一つの質問事項が出てきました。これは桃崎前議長が当選して七年目の十一月議会でやられた質問で、議員になってちょうど今の私と同じぐらいのときに質問されたことなんですけれども、日本の森林が買われているというニュースを大きく取り上げられております。そのときは北海道の森林が八百二十ヘクタール、当時、平成二十二年に買われています。そして、それを大きく危惧されていた。  それともう一点は、この頃にもうカーボンオフセットという提案をされています。このカーボンオフセットというのは、企業や市民に森林の二酸化炭素吸収活動への資金提供を誘導する制度ということで、今の「森川海人(もりかわかいと)っプロジェクト」の基になっているというふうに私は考えております。  十一年前に森林のこと、特に木を切り過ぎない、多分これから、北海道とか熊本、外国人の方が買われた森林というのはたくさん切られていくんではないかという大きな危惧をこの時点でされています。そして、カーボンオフセット、二酸化炭素時代、「森川海人(もりかわかいと)っプロジェクト」、今も山口知事やっていただいています。本当に一生懸命やっていただいていますけれども、これの礎となるような質問を、平成二十二年十一月議会で前議長はこの場でやられたということを御紹介しておきたいと思います。  それでは、二番目の質問に入ります。警察職員宿舎の状況についてであります。  県職員宿舎は、職員の勤務の能率的な遂行を確保し、もって県の事務及び事業の円滑な運営に資するために設置されているものであり、昭和三十年代から昭和四十年代に民間借家が少なく、住宅難の状況等の中、職員及びその家族を居住させるために設置、運営されてきたところであります。  しかし、職員宿舎を取り巻く状況は建設当時と大きく変化しており、民間賃貸物件や道路網の充実等により、県が職員宿舎を確保していく必要性は低くなっております。  また、建物の老朽化も進んだことにより、知事部局では職員数三千百五十一名のところ、平成十八年度末三百五十五戸あったものを、職員宿舎整理計画の第一期となる平成十九年度から平成二十三年度までに七十九戸、第二期の平成二十五年度から令和二年度までに七十九戸を廃止し、現在維持している戸数は百九十七戸となっており、ピーク時から四四・五%削減されております。廃止された宿舎のほとんどは売却され、県財政の歳入の確保に貢献しているところであります。  また、教育庁についても、職員数約二千七百名のところ、平成十八年度からの整理計画により百七十六戸あったものが現在三十二戸と八一・八%の大幅な削減となっている状況にあり、残りの宿舎についても順次廃止する予定となっております。  一方、県警察においては、事件や災害発生時の有事即応態勢を確保するため職員宿舎を設置、運営していると承知しておりますが、職員数二千十二名のところ、平成十八年度七百五戸あったものが現在五百九十六戸と一五・五%削減されているものの、入居率は六九%となっており、老朽化した宿舎が空き宿舎となっているのではないかと考えられております。  また、入居者が減れば、入居料を財源とした維持整備費用も減り、維持管理が行き届かなくなっているところもあるのではないかとも考えられ、県民の来訪が多い警察署は管理できているが、宿舎には手が回っていないのではないかと思っております。  現実に何カ所か見て回りました。鍋島角目にある宿舎、これは入居率が三割ぐらい。そして、与賀町にある建物についても五軒中四軒が空いている状況。そして、一軒家の場合はほぼ廃屋のような状況になっておりました。  そこで、特に宿舎ではありませんが、ニューオータニ佐賀の西側にある旧楠会館は町なかにあり、平成三十年度末、佐賀市高木瀬の緑化センター跡地に警察音楽隊が移った今では、土地の有効活用や旧耐震基準の規模が大きい建物であることを考えれば必要性は少なくなっているのではないかと思われます。  そこで、次の点についてお伺いいたします。  県警察における職員宿舎の現状と老朽化した職員宿舎の対応についてですが、県警察の職員宿舎も老朽化が進んでいると考えられますが、現在の状況はどうなっているのか。また、今後、老朽化した職員宿舎の対応をどのように進めていくのか、松下警察本部長にお伺いいたします。  次に、職員宿舎の適正管理等についてお伺いいたします。  職員宿舎は県民の大切な財産であります。財産の所管所属だけではその有効活用や用途廃止等が円滑にされていない事例があるので、財産管理を総括する総務部が適切な助言等をしていくべきだと思いますが、どのように考えられておるのか、元村総務部長にお伺いいたします。  続きまして、三番目の質問に入ります。ICT教育の今後の在り方についてであります。  一人一台端末と高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備するGIGAスクール構想について、当初は令和五年度までの整備とされていましたが、昨年度、政府はコロナウイルス感染症の拡大を受けて令和三年度までに前倒ししたところであります。  このような中、本年度も二カ月余りが過ぎ、県内市町立学校においても導入が始まっているものと思いますが、大事なことは導入後に現場の教職員の方がきちんと使いこなし、学びの質の向上につなげていただくことであると考えております。同時に、児童生徒に情報活用能力をしっかりと身につけさせるため、また、教職員の個々の判断に委ねることが教育の平準化を妨げることにならないようにするため、学年ごとに、例えば、何年生でタイピングスキル二百文字以上、何年生で表計算ソフトを利用できるといった具体的な最低限の到達目標を県において設定すべきであると思います。さらに、各学校とも初めての取組で手探りで進められておるものと思うし、多忙な教職員の負担とならないためにも、十分な支援を行っていく必要があると考えております。  そこで、次の点についてお伺いいたします。  現在の導入状況についてお伺いします。  県内市町立学校における導入の進捗状況はどうか。  二点目に、教育現場の課題についてであります。  初めての取組であり、各学校とも課題や活用の難しさを感じているものと思います。教育現場における課題や困り事感についてどのように認識しているのかお伺いします。  三点目、学年ごとの具体的な到達目標の設定についてお伺いいたします。  ICT教育がより実践的なものとなるように学年ごとに具体的な到達目標を設定してはどうか。  四点目、今後の取組方針であります。  県教育委員会として、市町の地域差がある中で一人一台端末を活用した授業づくりをどのように支援していこうとしているのか、以上、四点を落合教育長にお尋ねいたします。  最後に、四番目の質問になります。水栓タッチレス化推進事業についてであります。  佐賀県では、今年三月に佐賀県内の温室効果ガスの排出量の削減等を行うための施策を盛り込んだ第四期佐賀県環境基本計画を策定され、また四月十三日には全国の自治体の中で三百六十七番目、六月十六日現在では四百八の自治体が取り組んでいますけれども、その三百六十七番目、いわゆるカーボンゼロ宣言を行い、二〇五〇年に向けてカーボンニュートラルの取組を開始したところだと認識しております。  今回パネルにはしていないんですけれども、二〇五〇年二酸化炭素排出実質ゼロに向けた取組などということで、各県や市町がそれぞれゼロ取組をするような感じでやっているんですね。  佐賀県も三百六十七番目なんですけれども、今年の四月十三日に宣言をされております。その中では、やはり大きな取組として「森川海人(もりかわかいと)っプロジェクト」、そして「歩くライフスタイル推進プロジェクト」、今、県が「SAGATOCO」を使ったりして一生懸命やっていますけれども、「歩くライフスタイル推進プロジェクト」などを使って、カーボンゼロに向けてやっていくんだよということを四月十三日にしっかりと宣言されております。  このカーボンニュートラルについては、日本にとどまらず、世界中のあらゆる企業においても今や当然のこととして取り組まれております。  例えば、佐賀県と関係の深い全日空では、現状では高額ではありますが、CO2排出量が通常の燃料よりも九〇%少ない持続可能な航空燃料、SAFというものを今後二〇五〇年までに取り組んでいくということになっています。切替えを進められており、国際的な企業は既にカーボンニュートラルへの取組に本腰を入れているところであります。  一方で、このカーボンニュートラルに向けては、日常生活や事業活動などのあらゆる場面で取り組んでいく必要があります。例えば、部屋の電気の小まめなオンオフなど、小さなことから取り組んでいくことも重要であると考えております。  そのような中、今議会において、補正予算の事業の一つとして水栓タッチレス化推進事業が提案されております。  この事業の内容を伺ったところ、新型コロナウイルスの感染リスクを軽減するために、学校などの水道の蛇口をより感染リスクの少ない自動水栓やレバー式へ切り替えることとし、県立学校だけではなく、私立学校、幼稚園、保育園などに広げていくとのことであります。  自動水栓にしろ、レバー式、シングルレバーとかレバー式ですね、レバー式にしろ、節水効果があるという点ではカーボンニュートラルの考えに沿うものであり、今回の水栓タッチレス化推進事業そのものについては、私自身、大賛成の立場であります。  ただ、レバー式については電力を使用しないものの、自動水栓についてはセンサーの作動に単三電池二本または四本を必要とします。この電池については、約二年に一回交換の手間が生じるだけではなく、事業全体で見れば、使用済みの電池を数万個も廃棄することになります。また、レバー式と比べて故障もしやすく、環境負荷の面、コストの面でも課題があるのではないかと考えております。  予算書から逆算したら、レバー式は大体一万円ぐらいなんですけれども、このセンサー式になると四万円から四万五千円ぐらい、そして今ちょっと話をしましたけれども、耐用年数も大体十年ぐらいで、電池交換、十年してまたセンサー式にするといったときは四万円の負担、ランニングコストなどを考えてこの質問をしておりますけれども、また本体についても、耐用年数を過ぎたり、故障したりすれば交換が必要となりますが、レバー式であれば交換時にリサイクル業者が買取りをしてくれるものの、自動水栓であればセンサーなどがある関係上、費用を払って産業廃棄物の処理を行うことになります。  カーボンニュートラルに向けて少しでもエネルギー使用量を減らし、またプラスチックの使用量を減らすなどして、環境への負荷を低減しようとしている中で、レバー式に比べて自動水栓は多くの問題があると考えます。  さらにいえば、私としては感染リスクの軽減という点からは、自動水栓もレバー式も大きく大差はないのではないかと考えております。  県が様々な施策を進めていく際には、職員一人一人がカーボンニュートラルを意識して取り組むことは大変重要なことと考えております。  そこで、知事に質問であります。  水洗タッチレス化推進事業を進めるに当たっては、カーボンゼロ宣言を行っている佐賀県として、環境負荷のことも考慮すべきだと考えております。  事業を実施する際には、学校などの現場に対し、あくまでも現場が選ぶわけですから、現場に対し切替えに伴う環境負荷に関する情報も伝え、二年後に電池の交換も必要ですよ、耐用年数が過ぎたら、その費用はあなたたちが見てくださいね、現場で見てください、そういったいろんな情報を伝え、利用頻度なども考慮した上で、自動水栓とレバー式のどちらに切り替えるのかは、それぞれの現場で判断いただくようにすべきと考えますが、山口知事の所見をお伺いしたいと思います。  ちなみに、全日空はジェット燃料をSAFに替えますけれども、これはCO2削減が九〇%とあります。これは高価な燃料なんですけれども、彼らは五千五百三十九キロ、これはニューヨークからロンドンまでなんですけれども、この距離にジャンボジェットを飛ばしたときには三十三トンのジェット燃料が要るんですね。そのときに約三百トンのCO2を出すと。でもSAFに替えることによって三百トンのやつが三十トンで済みます。しかし、燃料コストは上がると。ただ、経営と地球環境とか企業理念、社会に対する貢献を考えたときには、やはりそちらのほうがいいだろうということで、それに向けてどんどん今進められております。  佐賀県、本当に大きな公共団体でございます。そこが今回のことによって大きな指針、あと十年後、二十年後、五十年後の人が今回の議事録を見たときに、ああ、ここで大きな転換点があったんだなと分かるように、できればぜひ明確で分かりやすい、正面からの答弁を期待して、私の質問を終わります。(拍手) 11 ◎山口知事 登壇=西久保弘克議員の御質問にお答えいたします。  カーボンニュートラルへの取組についてお答え申し上げます。  近年、県、国のみならず、地球規模で異常気象や災害が頻発しています。将来世代が生きる環境を守っていくためにも、地球に住む人々皆で地球規模の問題と捉え、カーボンニュートラルに取り組むべきだと思います。この地球が大変な状況になってしまうと危惧をしています。  西久保議員から三百六十七番目という話がありましたけれども、何か他県並びで宣言するということにあまり私は価値を見いだしていなくて、むしろ、佐賀県は結果にコミットしています。コロナ対策もそうですけれども、いついつまでに何をするよということも大事だけれども、まずしっかりと成果を出していく。この件で言いますと、宣言とかする前から、例えば「森川海人(もりかわかいと)っプロジェクト」の御紹介をいただきましたけれども、この四月よりずっと前から山づくりが大事だということで官民一体となった森づくりにも取り組んでいますし、「歩くライフスタイル推進プロジェクト」についても、ずっと前からこれからは自動車ということよりも歩くこと自体がまちづくり、健康づくりのためになるんだというコンセプトで進めていたり、そのほかにも再生可能エネルギーについても地中熱だったりとか、それから小水力、こういったことについてはかねてから取り組んでいたわけでありまして、やはりこうしたまさに数字として形に出て、実際に実効性があるような、そういう取組を愚直に佐賀県はやっていくというところが、いずれは大きく成果として出てくるんではないかなというふうな認識でやっております。  その取組としてどうやっていくかということなんですけれども、ここは西久保議員のおっしゃるとおりで、世界レベルで取り組まなければいけないこともあります。そして、ジャパンとして取り組まなければいけないこともありますし、佐賀県として取り組まなければいけないことがあります。我々としてやりたいことは、先ほど御紹介したとおりです。  そして、何より大事なのは、地球に住む一人一人が意識をしていくことだと思います。このカーボンニュートラルもそうですし、昨今、非常に大きな価値観として言われているSDGsもそうです。こういったことを自分ごととしてどのように行動していくのかということができて初めて、こういった取組というのは形になっていくんだろうと思います。  そうした考え方の中で、水栓タッチレス化推進事業の具体的な進め方につきましては政策部長から答弁させます。 12 ◎進政策部長 登壇=私からは、水栓タッチレス化推進事業について、その具体的な取組の進め方について御答弁いたします。  今回の水栓タッチレス化推進事業は、子供たちの感染拡大を防ぐということを目的に、接触に伴う新型コロナウイルスの感染リスクを軽減するために行うものであります。  学校現場での感染防止対策の苦労を聞いておりましたけれども、そうした中で、県立学校はもちろん、それだけではなく、私立学校や民間の保育所、幼稚園、そして、県の療育支援センターなど、子供たちが日中の大半を集団で過ごす幅広い施設を対象にしたところでございます。  そして、実際に学校現場等に設置する際には、用途に応じて、様々な学校現場に応じて、タッチレスがいいとか、レバー式がいいとか、いろいろあると思います。これについては、現場の判断で自動水栓とレバー式を選択できるようにすることとしています。  また、議員御指摘がありました近くに電源がない場所で自動水栓を取り付けるという場合には、これはどうしても乾電池を使用することになります。ただ、その場合にも環境負荷を抑える観点も踏まえて取り組んでいこうと思っておりまして、例えば、乾電池については、使い捨てではなくて、原則充電式のものを使用するよう徹底いたします。これは、今回の事業だけではなくて、県庁全体としての方針としてやっておりまして、使い捨て乾電池ではなく、充電式を優先的に導入することとしております。  また、充電式においても、今は自動で充電していく、水圧とかの力で充電していくようなこともできますので、そうした工夫を様々しながら、取組を進めてまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。 13 ◎元村総務部長 登壇=私のほうからは、警察職員宿舎の状況についてのうち、職員宿舎の適正管理等につきまして御答弁させていただきたいと思います。  職員宿舎につきましては、言うまでもなく大切な県有財産であり、これを適正に管理することは重要なことであると認識しております。  このため、改めて警察本部が職員宿舎の在り方を検討される際には、知事部局で行った職員宿舎整理計画のノウハウ、それから、手続などの技術的支援を行いまして、警察本部の宿舎が有効に活用されるよう積極的に関わっていきたいと考えているところでございます。  また、在り方検討の結果、宿舎として利用しないこととなったものにつきましては、他の用途への有効活用や売却に向けた事務処理につきましても、財産管理を総括する総務部として主体的に取り組んでまいります。  私からは以上でございます。 14 ◎池田農林水産部長 登壇=私からは、佐賀県産木材の生産促進について三項目お答えをいたします。  まず、木材の生産促進について申し上げます。  県では、これまでも木材の生産を促進するため、国の造林事業を活用し、搬出間伐への支援や主伐後の植林や下刈り等を支援してきたところでございます。
     このような中、最近、県産木材の価格が上昇しておりまして、森林所有者の伐採意欲が高まっているこの機を捉えまして、木材の生産をより一層促進する対策を講じまして、森林所有者の所得向上や森林組合などの林業事業体の事業量の拡大、さらには森林の若返りなどを図り、本県林業の活性化につなげていくことが重要と考えております。  このため今議会におきまして、第一弾として、木材の生産性を上げるため、林業事業体が行う木材の伐採や搬出作業を効率化する林業機械のうち、国庫補助の対象とならないものを県単独で支援するための予算を提案しているところでございます。  次に、森林の適正な管理について申し上げます。  林業事業体が搬出間伐や主伐を行う際には、森林所有者が作成する森林経営計画に掲げられた間伐の量や主伐面積の限度などが遵守されるよう、農林事務所に配置しております林業普及指導員が林業事業体に対して指導、助言を行っているところでございます。  また、植林につきましても、市町が策定する市町村森林整備計画に掲げられたヘクタール当たりの植付け本数、あるいは伐採が終了してから植林までの期限などが遵守されているか、指導、助言を行っているところでございます。  議員御指摘のとおり、森林は県民の生命や豊かな暮らしを守るとともに、水を通じて農林水産業の発展を支える源でもありますことから、県では、森、川、海のつながりを意識し、豊かな自然環境を未来につなげる「森川海人(もりかわかいと)っプロジェクト」に取り組んでいるところでございまして、今後ともこのプロジェクトの取組を広げますとともに、計画的な伐採や確実な植林を進め、森林の適正な管理に努めてまいります。  最後に、木材の利用について申し上げます。  県産木材の利用を促進していくためには、伐採された木材を建築や家具など幅広い用途で利用していくことが重要であると考えております。このため県では、県産木材を利用した住宅や自治公民館の木造化、内装木質化に対する支援ですとか、県産木材を使った家具や木製品の開発に対する支援を行っております。  また、消費者が求める品質の高い製材品を生産コストを抑えて安定供給するため、製材工場の整備に対する支援などにも取り組んでいるところでございます。  さらには、クリークの護岸工事のための木柵などの土木資材としての活用のほか、SAGAサンライズパークなどの県有施設においても積極的に利用しているところでございます。  今後とも、木を切って、使って、植えて、育てるという森林資源の循環利用を促進いたしまして、本県林業が活性化するようしっかりと取り組んでまいります。  私からは以上でございます。 15 ◎落合教育長 登壇=私のほうからは、ICT教育の今後の在り方について四点お答えいたします。  まず、現在の導入状況についてお答えいたします。  改めて確認し、六月現在の状況ですけれども、小中学校及び義務教育学校の全学年に導入済みが十五市町、九月までに全学年に導入を完了する見込みの市町が四市町となっておりまして、残り一市町も三分の一の学校で全学年導入済みで、令和五年度までには残りの学校においても全ての学年で導入完了予定となっております。  次に、教育現場での課題についてお答えいたします。  県教育委員会では、市町の状況を把握するために、市町教育委員会や市町立学校に実際に出向きまして、活用状況、課題あるいは困り感について直接聞き取りを行っております。  現状では、学校現場のICT教育、特に一人一台端末の授業での活用については、市町間でかなりの格差が生じており、抱える課題も多岐にわたっていることを実感いたしております。  具体的には、一人一台端末を活用した授業を行うことができる教師とできない教師の二極化が見られ、教師の意欲や基本スキルなどを含めてICT活用指導力に格差があるということ、基本スキルを含めた授業改善に資する研修実施が急務であること、具体的な授業での活用事例が不足していること、現時点で児童生徒に対する運用ルールなどを設定していない市町が多いことなどであります。  次に、学年ごとの具体的な到達目標の設定についてお答えいたします。  情報活用能力というのは、新しい学習指導要領の中では、世の中の様々な事象を情報とその結びつきとして捉え、情報及び情報技術を適切かつ効果的に活用して問題を発見、解決したり、自分の考えを形成したりしていくための必要な資質能力とされておりまして、言語能力などと並ぶ学習の基盤となる資質能力として位置づけられております。  一人一台端末につきましては、これらの情報活用能力を身につけるためのツールであるというふうに考えております。  議員のほうからは、タイピングスキルとか、あるいはソフトとかの使い方、何年生までにこういったことをできるように、そういった具体的な到達目標を示すべきではないのかという御指摘がございました。  県教育委員会としましては、例えば、小学校低学年ではパソコンの基本的操作が分かり、大切に扱う、小学校中学年ではパソコンに慣れ親しみ、学習や生活に役立てる、小学校高学年ではパソコンを積極的に利用し、課題解決に生かすといった発達段階に応じた児童生徒像という形でお示しをしていきたいと考えています。  こういった情報活用能力の育成、活用事例などについて、市町立学校の教員に対して研修等を通じて分かりやすく情報提供を行ってまいります。  次に、今後の取組方針についてお答えいたします。  先ほどもお答えしましたとおり、現状では学校現場のICT活用教育、特に一人一台端末の授業への活用については、市町や学校、教員の間でかなり格差が生じておりまして、抱える課題も多岐にわたっていることを認識しております。そういった格差を是正し、教員のICT活用指導力を向上させることが喫緊の課題であると認識しています。  そのため、授業実践を推進するリーダーを育成すること、リーダーを中心とした授業実践を横展開すること、校長のリーダーシップの下、学校全体で取組を推進することなどが必要だと考えております。  このような課題に対応するため、これまで県として得ました経験、知見を生かした研修の実施や情報提供などの支援を積極的に行ってまいります。  具体的には、学校教育課のプロジェクトE推進室にエリアコーディネーターを配置しまして、教育事務所と学校現場の現状をしっかりと把握して、訪問支援や研修等を通じて活用事例を提供するなど、市町立学校の支援の強化を図ってまいります。  今後も、学校現場の声をお聞きしながら、ICT教育のトップランナーとして佐賀県教育委員会のノウハウを生かしながら、しっかりと支援をしてまいります。  以上です。 16 ◎松下警察本部長 登壇=私からは、西久保議員からいただいた県警察における職員宿舎の現状と老朽化した職員宿舎の対応についての御質問にお答えいたします。  まず、県警察における職員宿舎の現状について申し上げます。  現在、県警察の職員宿舎は、百棟、五百九十六戸でありますが、そのうち建築後四十一年を過ぎた宿舎が三百二十二戸、三十一年以上四十年を経過したものが百三十四戸あり、これを合わせますと、三十一年以上経過したものが四百五十六戸と全体の七六%の宿舎について老朽化が進んでいると言える状況にございます。  宿舎の入居率に関しては、先ほども議員も御指摘されましたが、全体で六〇%、約七割でございます。その背景としましては、職員宿舎の多くが建てられた昭和四十年代と現在を比べますと、地域差はあるものの、民間の賃貸住宅も豊富になってきたことから、職員の住居の選択肢が増えていることに加え、老朽化した宿舎ほど敬遠される傾向にあるということも挙げられるところでございます。  他方、単身用宿舎は入居率八三%と比較的高い水準を維持しております。単身用の需要が高いことがうかがえるところでございます。  次に、老朽化した職員宿舎の対応についてでございます。  平成十八年度から令和二年度末まで、老朽化したものや空き宿舎となった宿舎百九戸、五十一棟を廃止し、順次売却を行ったところでございます。特にこのうち警察署再編整備前の旧警察署管内にある宿舎については、有事の際の出動に要する時間や利便性などを考慮して必要性を見直しまして、三十九戸、二十五棟を廃止してきております。  一方で、警察の職員宿舎はその特徴的な点として、議員も御指摘いただきましたが、集団警察力を確保して、事件、事故に迅速に対処するために設置しているもので、捜査等に従事する職員を動員する上で一定の宿舎数は確保しておく必要がございます。  このため、各警察署ごとの事件、事故の取扱いや民間賃貸物件の状況等を勘案し、今後の適正な職員宿舎数、配置場所、宿舎の種類などの在り方について、改めて県警において検討を開始したところでございます。  議員御指摘の物件、幾つか御指摘いただいておりますが、その状況については承知をしております。個別の案件についてはこの場では詳細は差し控えさせていただく一方で、老朽化した古い建物の安全性の確保は十分に配慮しまして、知事部局とも協議を行いまして、また、関係者との協議をこれまで以上に進めるなどにより、廃止をはじめ、有効活用の方策を検討していきたいと考えております。  県警察としましては、県内の治安維持への迅速な対応に必要な集団警察力の確保を考慮しつつ、知事部局や教育庁の職員宿舎整理計画の取組を参考にさせていただきながら、先ほど議員から直接宿舎を御覧になったというお話もいただいておりますが、コミュニティーにおける宿舎の安全性や費用対効果をこれまで以上に精査しつつ、職員宿舎の廃止及び整理統合の取組を促進し、宿舎の適正な管理を図っていきたいと考えております。  私からは以上です。 17 ◎西久保弘克君 登壇=何点か再質問をさせていただきます。  まず最初に、議事録にしっかり残るので、これ知事に私言っておきたいんですけど、三百六十七番目が私は遅いとは言っていないんですよね。そこだけは誤解がないようにしていただきたいです。私は遅いとは言っていない。本当にこの一年の中にばたばたほかの県がやっているんですよ。だから、その中でしっかり「森川海人(もりかわかいと)っプロジェクト」、歩くライフスタイルというような、きちっと明記しているところは私すごくよかったということで紹介しているわけですから、そこは誤解がないようにお願いしたいと思います。きっちり議事録に残してくださいね。  それで、ちょっと幾つかお尋ねなんですけど、これは政策部長にお尋ねしますけども、充電式の乾電池、確かにいいです。ただ、二年間使って充電するものと、例えば、携帯、スマホのように、一日ごとに充電しなくちゃいけないものを同じような考え方というのはいかがなものかなというのが一点と。  それと、産廃についてはちょっとお答えが全くゼロだったので、これどうしてなのかなと。やっぱり十年後、二〇三〇年というのはまたカーボンニュートラル、いろんな問題で進んでいきます。そのときに何万台という産廃のものを、例えば、佐賀県が出したとなったら、それこそそのとき問題になるんではないかと思うので、産廃についての答弁が全くゼロだったので、これについてちょっともう一度どういう御認識なのかというのを知事なり政策部長、しっかりお答えをいただければなと思います。  それと、警察の官舎、本当にありがとうございます。こういう着目して、今回見てきて、やはり昔は警察官舎の方が体育大会とかに警察官舎として出てもらって盛り上げてもらったり、いろいろしていたのが、全く今人間が少なくなったということと、実際入居されている方が、ちょっと汚いというか、住むのに民間のほうがいいんだというところがあったので、今回総務部長さんが主体的に取り組むということのお話がありましたんで、ぜひ総務部さんと一緒になって主体的な改善のほうをよろしくお願いしたいと思います。  それと、農林水産部長にちょっと私からの提案なんですけども、るる御説明いただいたんですが、私、この関係の議事録を全部読みまして、ツーフレーズぐらいが、使い回しではないんですけども同じようなことの繰り返しになっている、これが今の議会の中ではあるかもしれませんので、そこはよければ、はしょってもらっても結構でございますので、その辺ちょっと気をつけてやっていただければ助かるなと思います。  それで、大きな問いなんですけど、再質問なんですけど、教育長にお尋ねします。  三番目の質問、学年ごとの具体的な到達目標の設定について、ICT教育がより実践的なものとなるように学年ごとに具体的な到達目標を設定してはどうかという質問をしたんですけども、答えが非常に分かりづらくて、やるのかやらないのか、多分やらないということなんでしょうけども、やらないならやらないでいいんです。  これ実は父兄さんからとか、また、学校の先生方からよく聞かれるのは、パソコン配られたばってん、どんくらいできるぎよかね、うちの子はどんくらいできるぎよか、隣の子は何か塾のあっけん、そこに行ってしゅうでしよんさっとかという話を聞くので、もしこのパソコンで通知表であったり、テストであったり、そういった一つの縛りをやるということになると、これは学校現場どころか、父兄さんが、特に先ほども古賀議員さんがおっしゃったように、貧困とか、いろんな片親の方であったり、親がおられない子供さんたち、やはりそういったお父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃんはちょっと教えられるかどうか分かりませんけど、家庭環境によっても進捗がかなり違うので、やらないならやらないというのははっきりここで方針を出してもらったほうが安心されると思います。  ただ、私としてはやったらいかがですか、やるべきじゃないんですか、そして、もし遅れているお子さんがいれば、補習とかなんなりやるべきじゃないんでしょうかという質問です。  ただ、これは両方ありまして、これをやることによって、通知表であったり、子供のプレッシャーであったり、家庭環境であったり、それによって大きく差が出るというのは私は非常につらいところがありますので、これについてはしっかりした再質問の答弁をできる範囲でいい──できる範囲というか、やっていただかんといかぬのですけども、しっかり議事録に残るように答弁していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 18 ◎進政策部長 登壇=西久保議員の再質問に答弁いたします。  私からは、水栓タッチレス化推進事業について、自動水栓の場合、交換の際に産業廃棄物になってしまうんではないかというところの御質問をいただきました。  最初の御答弁でも申しましたけれども、当然環境負荷を軽減するということは県全体としてとても大切な取組だというふうに思っておりまして、今回のこの水栓タッチレス化推進事業においても、こうした観点をしっかり踏まえて、考えて行わなければならないというふうに考えております。  ただ、環境負荷をかける場合には、一切何もできないということは、当然それは何事も進まなくなりますので、当然やるべきことはやりながら、なるべく環境負荷を下げていくという取組ができないかということを模索しながら進めていくんだと思います。そこは西久保議員とも思いは一緒だと思います。  今回のこの自動水栓とレバー式におきましても、なるべく環境負荷はかけないやり方を模索しながら取り組んでいく。今回の自動水栓を選んだ場合であっても、その更新の際に、今御指摘ありましたような、リサイクルできるものはできるだけリサイクルに努めるという姿勢は取っていきたいというふうに思っております。  また、充電についても、確かに議員がおっしゃるように、携帯電話の毎回のものとはちょっと違うんじゃないかという御指摘もあるとは思いますけれども、できる限り環境負荷を軽減するという観点の中で、少しでもできることはということで今県庁全体として使い捨て乾電池ではなく、充電式をなるべく導入しましょうという方針を取っておりますので、そうした観点から環境負荷を軽減するという観点から努力をして、工夫しながら事業を進めていきたいというふうに考えております。  以上でございます。 19 ◎落合教育長 登壇=再質問で学年ごとの具体的な到達目標の設定について、やるのかやらないのかはっきりしろという御質問だったかと思います。  結論から申し上げれば、小中学校の学習においてそういったパソコンスキルそのものを到達目標として県教育委員会が設定するということはないと考えております。なぜならば、先ほどの答弁の中でも申し上げましたけども、一人一台端末を使うというのは、あくまでも学習のためのツールだと考えておりまして、小中学校においてはいろんな科目を学習する中でICTツールを使っていく、その中で情報活用能力を身につけていくということを取り組んでいくことになります。  そういう中で、当然ながらパソコンを使ういろんなスキル、タイピングであったり、ソフトの使い方だったりということも身につけていってほしいという部分ではありますけども、それ自体を目標と設定して学校での教育活動をするというわけではないので、議員御指摘のそういったスキルというのは大事な部分ではあるんですけども、県教育委員会として到達目標として設定するという考えは今持ち合わせていないということであります。  以上です。 20 ◎西久保弘克君 登壇=すみません、再々質問をさせていただきます。  教育長、本当にありがとうございました。これは大きな指針で決まりになったので、これがはっきりしたんで、私はよかったと思います。  ちょっと水栓タッチレス化について、最後にお尋ねします。  どうしても産廃とかいうちょっと曖昧な言葉がずっとあったんで、最後に知事に一つだけ質問です。これは各現場が判断することだと私は思っております。情報をアナウンスして、各現場が判断をすることだと思っていますので、しっかりとした両方の情報を与えて、そして、十年後はこういうこともあるんだよというきめ細やかな提案をぜひしていただきたいと思います。そして、そこの現場が選んだときは、それは当然オーケーなんですけれども、その観点だけ知事に再々質問という形で、しっかりそこをやっていただけるのかどうか、これは私も誠心誠意今聞いておりますので、ぜひよかったらそのことだけ最後に質問させていただきます。よろしくお願いいたします。 21 ◎山口知事 登壇=西久保議員の再々質問にお答えします。  今のこの現代社会の中で、環境負荷のない生き方だったりとか、そういったものを現場現場で考えるということは大変大事なことだということは先ほども答弁させていただいたことなので、今回、選択式ということなので、そういった情報も踏まえて、現場で環境についての意識がさらに啓発されるように取り組みたいと思います。 22 ◎議長(藤木卓一郎君) 暫時休憩します。     午前十一時五十一分 休憩 令和三年六月二十二日(火) 午後一時 開議  出席議員    三十三名     一番  一ノ瀬 裕 子     一七番  定 松 一 生     三一番  石 井 秀 夫     二番  下 田   寛     一八番  八 谷 克 幸     三二番  留 守 茂 幸     四番  中 村 圭 一     一九番  江 口 善 紀     三四番  木 原 奉 文     五番  古 賀 和 浩     二〇番  藤 崎 輝 樹     三六番  石 倉 秀 郷     六番  冨 田 幸 樹     二一番  向 門 慶 人     三八番  土 井 敏 行     七番  弘 川 貴 紀     二二番  坂 口 祐 樹     八番  井 上 祐 輔     二三番  宮 原 真 一     九番  木 村 雄 一     二四番  原 田 寿 雄    一〇番  中 本 正 一     二五番  岡 口 重 文    一一番  野 田 勝 人     二六番  大 場 芳 博    一二番  西久保 弘 克     二七番  武 藤 明 美    一三番  池 田 正 恭     二八番  稲 富 正 敏    一五番  古 賀 陽 三     二九番  徳 光 清 孝    一六番  川 崎 常 博     三〇番  中 倉 政 義 欠席議員    三名     三番  古 川 裕 紀    一四番  井 上 常 憲    三五番  藤 木 卓一郎 欠  員    二名 地方自治法第百二十一条による出席者          知        事   山  口  祥  義
             副   知   事    坂  本  洋  介          副   知   事    小  林  万里子          政  策  部  長   進     龍太郎          総  務  部  長   元  村  直  実          地域交流部長       山  下  宗  人          県民環境部長       古  賀  英  敏          健康福祉部長       甲  斐  直  美          産業労働部長       寺  島  克  敏          農林水産部長       池  田  宏  昭          県土整備部長       平  尾     健          危機管理・報道局長    野  田  嘉代子          文化・スポーツ交流局長  田  中  裕  之          男女参画・こども局長   原     惣一郎          会 計 管 理 者    大川内   明  子          警 察 本 部 長    松  下     徹          教   育   長    落  合  裕  二          人事委員会事務局長    西  岡  剛  志 職務のため議場に出席した事務局職員          議会事務局長       今  村  盛  史          同    副事務局長          総務課長事務取扱     吉  田     泰          議  事  課  長   岸  川  文  広          政務調査課長       篠  田  博  幸          総務課副課長       碇     一  浩          議事課副課長       原     康  祐          政務調査課副課長     西  田  里  美          議事課議事担当係長    椎  葉  奈  美          同 議事担当主任主査   池  田  陽  介     ○ 開     議 23 ◎副議長(原田寿雄君) これより会議を開きます。  午前中に引き続き一般質問を行います。 24 ◎坂口祐樹君(拍手)登壇=自由民主党の坂口祐樹でございます。  本日六月二十二日は留守茂幸大先生の誕生日です。(拍手)さきの佐賀県議会在職三十年を受賞されたことと併せて、心からお喜びを申し上げます。ますますの御活躍と、そして、私たち後進のためにも引き続き御指導をいただきますように、心からお願い申し上げます。  今議会、六項目の提案をさせていただきます。  まずは一項目め、消防団員の処遇改善についてであります。  私は今、太良町消防団の支援団員です。二年前の武雄市と大町町のあの大災害、あの水害のときに、一人でボランティアに行っても足手まといになるだろうというふうな思いの中で、太良町消防団が災害ごみの受入れボランティアに行くという話を聞いて、私も交ぜてもらいました。そして、昨年は鹿島市と太良町において大きな河川の氾濫があった。そういう状況の中で地元の消防団が災害ごみの受入れボランティアをするというので、そこにも参加をさせていただいた。  そして、消防団長さんから、本年度から太良町も支援団員制度を設ける。ついては参加をしないか、入団をしないかというありがたいお言葉をかけていただきましたので、はい、喜んでの精神で、本年度から太良町消防団支援団員ということで活動をさせていただくことになりました。地元では消防団の物理的な支援をすると同時に、この佐賀県議会においては支援になるような議論を心がけていきたいと思っています。  さて、昨年の十二月に消防庁が消防団員の処遇を改善するための検討会なるものを立ち上げられました。どういう背景をもってそういうことになったかというと、消防団員数の減少です。歯止めがかからない、若い人が入らないという状況が続いているということでございました。  ピークは昭和二十九年の二百万人、そして、今現在は佐賀県の人口と同等、約八十一万人です。反面、出動状況はどういう状況になっているかというと、ここ十年、火災は二割減です。一方で災害対応については二・五倍、結果的に一割増という結果になっています。要は、消防団の役割がますます大きくなっていくということなんだと思います。  そういう中においての検討会、今、中間報告が出されました。消防団員、最近の若い人は皆さん忙しゅうございますので、できるだけ負担を軽くしてあげたい等々、例えば、式典を短くする、訓練も。しかし、訓練はどうしても削ることはできないというか、なくしてはならない、当然ですね。有事の際に力を発揮するために行うのが訓練でありますので、訓練はとても大事。しかし、一定、年々配慮してきたという事実もあるんでしょう。  しかし、私がその中間報告を見て一番衝撃を受けたのは報酬です。報酬単価を劇的に上げて、団員個人に直接支給するというものでした。一見、うれしそうな話なんですね、喜んでいいのか。これをもって新入団は増えるんですか、これをもって消防団は活性するんですか。素直に喜べない。  消防団は個人主義じゃありません、集団主義です。集団で活動がやっとできる。火災になっても、一人で火を消すことができるか、できるはずがない。消防ポンプは重うございます。四人でやっと抱えることができて、そして、筒先の放水まではやっぱり皆さんがチームワーク、連携をして初めて消火活動ができる。災害もそうですね、一人では何にもできないと思う。  より大事にしなければならないのは、個人もそうかもしれないけれども、やっぱりチームワークです。そして、消防団個人個人は誇りを持って活動していると思っています、誇り。それはボランティア精神から来るのかもしれない。自分たちの町を自分たちで守るという誇り。この誇り、どう理解すればいいのか。  もう一つは消防精神です。消防団員は一人一人が消防精神を培っています。消防精神なるものは、消防団に入団すればすぐ身につくものではありません。先輩の後ろ姿を見ながら、毎月の点検、そして、きついかもしれないけれども、三大行事。そして、災害等が起こったときには活動をする。そういう地道な活動の中で消防精神というのは養われていくんだと思うんですよ。その消防精神をどう考えればいいんだろうと思う。ないがしろにされるんじゃないか、難しい。  要は、個人支給に対してどう整理をすればいいのか。このことを変えることができないかもしれないけれども、何かのきっかけが欲しいと私は思っているんですね。何となく都会の議論に私たちの地方が巻き込まれているような気がするんですね。要は、与えられた消防団の環境というのは、私は違うと思う。佐賀県でも違う、全国でも違う。その検討会なるものは東京で開かれているのかもしれない。そういう状況の中で何となく都会主導で議論が進んでいるんではないですか。そして、消防団の裁量なしにいきなり大なたを振るわれるんですね。これで消防団は本当に活性化するんだろうかという不安を持っています。  例えば、年額報酬や出動手当がありますけれども、政令市、中核市、一般市、町村で支給の状況を見てみると、個人に直接支給している割合、政令市八一%、中核市五〇%、一般市三六%、町村三四%。要は、個人に支給している割合は明らかに政令市、大きな都市のほうが多いということですね。一方で、団に支給している割合、政令市四%、中核市一三%、一般市二〇%、町村二五%。要は、地方に行くと、より団に支給している割合が高いということが分かります。  これを政令市同様、政令市というか、大きな市同様に、一律に単価を上げて消防団員個人個人に支給をしなさいという中間報告がなされた。なかなか幹部の皆さんたちは心配されていますけれども、一般団員はうれしいのかもしれない。しかし、月々に数千円、年間に数万円。私はもし個人に支給するとするならば、退職報償金に上乗せをしてほしいと思う、倍増すればいい。消防団というのは基本的に無給です。最初からボランティア精神で入っているわけですから。しかし、退職報償金だけは出るんですね。それは五年刻み、五年、十年、十五年、二十年、二十五年、ずっと。それはもう当てにしていないけれども、もらったらみんなうれしい。  私も十年前に頂きました。我が町は振込ではなくて、本人に直接電話をして、本人に現金で支給する。当然家族には言わないし、妻にも言わない。御褒美ですよ、唯一の御褒美。その瞬間だけはうれしい。その金額を倍増すればいいと私は思うんですね。  これからそういう変化に消防庁が対応してくれるのかどうか、まだ分かりません。しかし、私は今のままでは不安が残るということです。一番の不安は活動費なるものが削減される。当然、個人にその費用を移すということになると、消防団であったり、分団であったり、部の活動費が削減される可能性が大いにあるということが記されています。  じゃ、よく言われるのは、活動費は何か。多くが親睦会です。私たちも親睦会のことを批判されると、なかなか答えに窮することがありますけれども、私は堂々と言いたい。親睦会は必要です。ないよりあったほうがいいと思う。堂々としたほうがいいと思う。十八歳から入団する権利を持って、若い人は二十数歳から入ります。年は十も二十も上です。なかなか同じ地区に住んでいたといっても、顔も知らなければ話したこともない。そういう人たちとどうやって団結を図ればいいんですか。どうやってコミュニケーションを図ればいいんですか。お酒の力はやっぱり有効ですよ、一気に近づくことができる。一気にコミュニケーションを図り、団結を深めることができると思っているんですね。ですから、私はこのことをあんまり批判してほしくないと思っているんですね。  この中間報告が出て、マスコミの記事を少し見ました。地域の皆さんの声であることは確かに事実でしょう、読みたくもないですね。要は一部の方の一部の声を取り上げて、確かに不正あるでしょう。百人も千人もいれば、こういう人が一人はいるかもしれない。しかし、多くの皆さんたちが消防精神を持って前向きに頑張っているんですよ。その声を平等に届けてほしいと思う。今の消防団の状況を今のマスコミは的確に反映されていないですよ。間違った議論に行く可能性があるということを注意しなきゃならないと思っているんですね。  要は、消防団は消防団なりに、それぞれの歴史があって、それぞれの団の運営の在り方があるんですよ。ここの議場にたまたまですけれども、古賀議員が二人いらっしゃいます。どちらも消防団関係。  私も鹿島市と太良町の団の状況しか把握をしていませんから、まずは佐賀市の古賀議員にお伺いをしました、どがんなっとんねと。そしたら、出動内容や出動回数によって、一部手当を支給していただいているということでした。私は十一年間入っていましたけれども、そういうことはなかった。そして、毎月二回の点検作業、そして、三大行事の後に親睦会はないとおっしゃいました、びっくりしましたね。年に一回の旅行もない。ああ、やっぱり違うなと思いました。  私の地域では、三大行事はもちろんですけれども、一日、十五日の点検の後も真面目に親睦会を開いているんですよ。旅行もみんな楽しみにしている。当たり前だと思ったけれども、やっぱり地域差は、こんな狭い佐賀県の中においてもあるんだなということを感じた。  そして、基山の古賀議員さんにお伺いをすると、どんな課題がありますかと言うと、勧誘ができない。消防団の対象者がどこの家に住んでいるか分かりませんという話。役場は当然、個人情報保護の中で最近は名簿を出してくれない、どこに勧誘に行けばいいか分からない。私の地域では考えられない、隣のおうちの晩御飯まで分かるのに。そういうやっぱり違いがあるということなんですね。佐賀県の中だけでもこれだけの違いがある。  しかし、今回、消防庁は大なたを振るって、一つの答えしかないような中間報告をなしているんですね。じゃ、佐賀県は何をしなければならないですか。当然、市町は市町の中に存在する消防団の意向を大事にします。佐賀県は、市町に対して消防団の状況を把握する努力をまずはしなければならない。ほとんどの市町が困惑されていると思います。  そして、伝えなきゃならないことはきちっと消防庁に伝える。組織率日本一を誇る佐賀県知事こそが消防庁にきちっと、やっぱり佐賀の状況を、多分全国の状況、地方地方は似たり寄ったりのところがあると思いますので、一定そういう知事さんたちと共有をしながら、やっぱり消防庁にこういう声を届けてほしいと思っています。見解を求めます。  二項目め、林業の振興についてであります。  今月一日、太良町森林組合が樹魂碑なるものを建てられました。私も除幕式の御案内を頂きましたので、会場に出向きました。すると、山口知事がお見えになると言う。何でですかと聞くと、石碑の「樹魂碑」という文字を山口知事に書いてもらったという話でした。私もその除幕を楽しみにして待っていたら、無事に除幕式が終わって、お世辞を言わせていただきますと、まあまあ上手に書けていましたね。ただ、「樹魂碑」の「樹」は「坂口祐樹」の「樹」なので、実は僕のほうが上手かなとは思っているんですね。まあお世辞ですね。  さっき西久保議員からお話がありました。木材価格がこのコロナ禍の中で上昇しているというお話ですね。アメリカや中国で需要が増大する中で、日本は自由に輸入できない状況にあるどころか、日本の業者もアメリカや中国に輸出をしようとしているというお話でした。  杉でいうと、丸太の一立米価格が一万二千円から一万五千円、三割アップ。ヒノキでいうと、一万七千円が二万三千円、四割アップという状況の中で、しばらくこの高止まりというのは続くでしょうというお話。そういう状況の中で、当然、国内で需要があれば供給しなきゃならない。森林関係者は供給する努力がやっぱり必要なんだと思う。そういう状況の中で、主伐、木を切るという作業が必要になります。  基本的には間伐と皆伐。間伐というのは間引きですね。この間引きという作業は山を強くする効果がありますので、どんどん拡大していっていいと思う。一方で皆伐、「皆伐」の「皆」は「皆様」の「皆」です。要は一帯を指定して、その木を全部切るということです。じゃ、この皆伐を十ヘクタールも二十ヘクタールもしていいかというと、それはやっぱり不安が残るというふうに思うんです。  去年の鹿島、太良の災害の中で、私の一番近くで言うと、多良川の下流の橋に丸太が引っかかって、そこにヨシが詰まって多良川は氾濫した。そして、床下浸水、床上浸水が起こったという事実を私たちは目の当たりにした。  やっぱり山の管理というのは強い山づくりという視点を忘れてはならない、うちの村井組合長さんの口癖です。お師匠さんですから、私もその勉強をさせていただいていますので、やっぱり経営も大事。だけれども、その前提として強い山づくりということを忘れてはならないということでございました。  しかし、それでもやっぱり木材というのは需要がありますので、供給をしていかなければならない。そして、今月の十一日に木材利用促進法なるものが国会で成立をして、十月一日から施行をされる。要はこれまで公共建築物においては、二階建て以下のものについてはできるだけ国産木材を使いましょう、これを民間まで広げるというものです。これから需要はますます高まるということになると思います。この供給拡大についてどう考えていくのかお伺いをいたします。  二点目、林業振興の取組についてであります。  今議会の補正予算で約二千万円、大型の林業機械の導入補助の予算案が計上されています。反対はしません、機械が必要なところは当然必要。しかし、私たちが悩ましいと思うのは人です、人。足場が悪い斜面の上で、泥だらけになって努力をしている林業従事者がいる。給料を聞いたらびっくりしました。役員の皆さんたちの給料もびっくりします。高くはないどころか安いです。もう少し手当てをしないと、誰もこの経営に携わる人はいないし、従事しない。すると山はどうなるかというお話です。機械も大事、しかし、人への手当ても大事ということです。林業振興についてお伺いいたします。  次に三項目め、ミカンとイチゴの生産振興についてであります。  佐賀県は園芸生産額八百八十八億円という令和十年度までの高い目標を立てられた。そして、このコロナ禍の中でなかなか厳しい状況が続いています。  今日はミカンとイチゴについてお話をさせていただきます。  ミカンの話をすると、三月五日に御逝去をされました桃崎前議長のことが脳裏に浮かびます。全国のみかん議連なるものがあって、全国のミカン生産地の県議さんたちが集まってかんかんがくがくの議論をして、農水省に力強く要望する。私も十四年前にここに所属をして、ああ、それはすばらしい。私の家の周りはミカン畑で、十人のうちの一人はミカンの関係農家の方ですから、ミカンが潤えば地域が潤うという思いでミカンの応援をしたいと。そういう状況の中で、そういう議連があるということでございましたので、十四年間、一年に春と秋の二回ずつ、計二十八回、欠かさずモモ先生と行ってきました。これから一緒に行けないというのが残念ですけれども、モモ先生の代わりにこれからも努力を続けていかなければならないということを新たに思いました。  ミカンも様々な方が努力をされています。ミカンも実は生産面積が減っています、耕作放棄地は増えています。そういう状況の中において、価格が安定している。いわばずっと百万トンを維持しようと努力をしていたけれども、八十万トンを切って、七十万トン台になって、要は需要と供給のバランスが取れているおかげで生産額が安定しているという事実もある。  そういう状況の中で、量は今安定しているので、質を向上させようということで、例えば、根域制限等々、糖度を高めるような努力もされている、ありがたい。しかし、やっぱりハウスとか、そういう根域制限の施設にしてもお金がかかるんですね。一反当たり数百万円かかる。ハウスは何千万円かかるというお話の中で、やっぱりこの「888」を達成しようと思うのであるなら、「にじゅうまる」の露地での成功、これがやっぱり大きなきっかけに私はなり得ると思っています。  今は施設で安定的に生産をすることができました。今年の二月、すばらしいデビューを果たした。あのコムボックスのAコープ、一玉千円、びっくりしましたね。買う人がいるんだろうか、即完売ということでした。市場価格も八百円、すばらしい、出先好調。しかし、まだまだ三十トンしかないから、その価格なんですね。これを私たちは倍増というか、倍々増させなければならないんですよ、年々。そのためにはやっぱり露地の成功が欠かせないということです。しかし、当然雨風に打たれますので、そう簡単な話でもない。できるだけ多くの農家の方に苗木を配布して、そしてきめ細やかな、ミカンというのは植えて収穫まで四年、五年かかりますので、きめ細やかな指導が必要なんだろうと思います。しかし、ここには大きなチャンスがあるというふうに思っていますので、一緒に応援をしていきたいと思います。  次に、イチゴです。  私は、これまでイチゴ農家の方からあまり相談を受けてきませんでした。それだけ施設栽培ですから安定した経営がなされていたんだと思います。しかし、今回、電話があって、かわいい後輩から困っていますという話でした。二つのことで困っているというお話でした。  一つは、要は五アールのハウスがあって、十アールのハウスを新しく造りたい、ついてはここは処分をしたいという話ですね。この十アールのハウスを造るに当たって県の補助を使いたいけれども、五アールから増えるのは五アールですから、五アール分の補助金しか出ませんという話、えっ、新しく十アール造るのに五アールじゃちょっときつかですよというお話なんですね。どうにかならんですかと園芸課に尋ねたら、どうにもなりません、そういう要綱になっていますからという話。  じゃ、どういう事情ですか、実は今のこの五アールは水路の近くにあって、去年の大雨で苗が水浸しになりました。苗に補償はありませんでした。そして、その苗は水に浸かったおかけで病気を持っていたんですね。そして、結果、うまく生産できなかった。ですから、またあの集中豪雨が来るぎ、また浸かってしまいますもんね、もしよかぎ、新たな場所で頑張りたいから、この五アールを潰して、十アールのハウスに対して十アール分補助をしてくれんですかという話だった。  僕も、かわいい後輩ですから、何とかならんですか、事情があるじゃないですか、水没したという事実をもってどうにかならんですか、要綱を変更すればいい、いろんな事情、事情がある。基本的に更新は駄目、分かりますよ、予算が幾らあっても足らないかもしれない。しかし、一定、優先順位の中で、これから頑張ろうとする人、若いんだもの、これからどんどん「888」に協力しようと、栽培面積を増やそうという意欲を持っているんだもん。ただ単に古くなったから替えてくださいという話じゃないんですね。しかし、それでも駄目だという話。  じゃ、この五アールを潰さずに、この五アールも作らんねという話。しかし、そればしたら、私は夜も眠れませんよという話。何でね。太良町にはパッケージセンターがありません。要はパッケージ詰めを機械とか人さまの労力をもってパックをしてもらう、当然利用料はかかるんですけれども、太良町にはそれがないんですよ、全部手詰めです。イチゴ農家の労力の半分以上はこの手詰めですよ、このパック詰めがあるがために面積を増やせないということです。  十アール作りたいのは作りたい、この五アールをもし作れというんであるならば、私は繁忙期の二月とか三月は寝れませんと、パック詰めをして、そして日が明くなったら収穫をして、この繰り返し。実際寝れない日もあったという話なんですね。結果的に十アール作って、そして五アールも作るという話になっていますので、もし彼が倒れたときは、園芸課の方は責任を取ってくださいよ。  ただ、朗報があって、鹿島市のイチゴ部会の皆さんの協力を得て、太良町のイチゴ部会の皆さんも鹿島市のパッケージセンターを今年から利用できるようになった。ただ、問題はそのパッケージセンターの容量が決まっていますので、じゃどれぐらい担っていますかというと、三割ですというお話なんですね。ああ、なるほど厳しいですね。  私も、これまでパッケージセンターをあまりよく勉強していなかったので、勉強しようという思いで、一番新しい佐賀市に行って、そして白石町に行って、鹿島市に行ってきました。そしたらそれぞれ運営形態が明らかに違うということが分かりました。佐賀市はその施設を、パッケージセンターを造るときに、部会の皆さんから聴取をするんですね。あなたは作った量の何割をパッケージセンターに納めたいですか、お願いしたいですか、Aさんは十割、Bさん五割、Cさんは三割、そういう約束、契約の下でそういう施設を造って安定的に運営をしているという話。ただ、販売面にちょっと苦労があるということでした。  次に白石町に行きました。白石は作った分の全量を受け入れるというお話でした。すごいですね、農家の方は助かっています。なぜこういうことができるかというと、規格品のパックの種類が三種類だったからです。基本的には市場に卸すということ、ですから、たくさん集荷をして、たくさん市場に出荷をするということですね。  じゃ、鹿島市はどういう方法かというと、三割ですと。ただ、パックの種類は十種類以上でした。要は市場への聞き取りであるとか消費者の要望であるとか、そういうものにきめ細やかに対応して、そしてよりいいものをより高く売る、大型のものもあれば、四つ入りとか小型のものもあって、ここがやっぱり先進地だと思いました。ここが一番理想形なんだと私は思いました。ただ、残念ながら、スペースが狭い。今年度、県の支援もあって、一レーンから二レーンに増やすというものの、集荷は、鹿島市の部会の皆さんに対して、今度は太良町がお世話になりますので、今三割ですから多分四割とか、五割はいかないというお話なんですね。圧倒的に足らない状況の中で、なかなか施設を拡大できないという課題があるということでした。  ハウスの更新を認めない、パッケージセンターの容量が限られている、だから、「888」に協力はしたいけれども、なかなかできない。彼が言いました。実は知事さんが「888」を本気で頑張りたいと言いよんしゃったけん、本当に本気ですかと聞いとってねということやったけんが、この本気度です、県がどこまで協力をするか。  それは部会も大変ですよ。作れば作ったで、やっぱり負担金を納めなきゃならない、利用料を納めなきゃならない、そういう状況の中でちゅうちょされている現状もあるということです。  ミカンとイチゴの生産振興についてお伺いをいたします。  次に四項目め、西九州新幹線についてであります。  私の地元でこのことが話題になると、道路の話に切り替わります。フル規格云々はよく分からん、自分たちのところは並行在来線になってしまった、自分たちに必要なのは道路ですと。四百九十八号線、有明海の沿岸道路、自分たちの地域まで引いてほしいというお話をされるんです、ごもっともなんですね。  私は先日、ある批判というか、批判めいたことを受けました。坂口君は新幹線のフル規格に反対をしているのに道路の要望はしよるもんねというお話でした。うん、何かよく分かりませんけどねという話。四百九十八号線は、高速道路が武雄市を通過したとき鹿島市に来なかったということで、もうずっと前から要望がある。有明海の沿岸道路もそうですね。鹿島─諫早間、このミッシングリンクを解消してほしい、ずっと要望している。私が初めてしているんではなくて、私は先代の皆さんたちから受け継いで、今を生きる私が要望しているだけであって、実現しないから当然要望しなきゃならない。新幹線のフル規格に反対をするなら、私は道路の要望をしたら駄目なんですか。そんなことはあり得ない。誰が言っているのか分からないけれども、間接的にそういう話だったんですね。  与党の検討委員会、整備新幹線を推進するための検討委員会、県と国交省との「幅広い協議」なるものが最近開催されました。与党検討委員会の議論の中身を見てみると、在来線の問題、地方負担の問題、ルートの問題、地域振興の問題等々、例えば、在来線の問題については、これはJR九州が深く関与することになります。特急を新幹線に振り替えるわけですから基本的には特急は走らない、普通列車のみで採算が取れるかということを考えると、普通に考えれば取れない、要は赤字路線になるんですね。もしかしたら大牟田みたいに、新鳥栖から佐賀までは何とか運行できるのかもしれない。しかし、全線をJRが請け負うということはあり得ないと思うんですね。これは協議ですから分からないですけど、私はそう思うというだけ。  あとは地方負担、佐賀県の負担を軽くするために、国は、与党検討委員会は何とおっしゃっているかというと、JR九州が支払う貸付料、年間八十六億円、これを三十年間延長すればいいという話をされています。JR九州が、はい分かりましたと言うはずがないと思うんですね。そういう状況の中で、簡単な話じゃない。  ただ、事の発端はJR九州なんですね。そもそもJR九州がフリーゲージトレインの運行に対して経費が二・三倍かかるということで難色を示した。このことを発端にして与党検討委員会が最終的には断念するという話になった。JR九州は、フリーゲージも嫌、在来線も嫌、費用負担、貸付料の延長も嫌、何でも嫌々は、それは虫がよ過ぎると思います。  JR九州にはたくさん言いたいこともありますけれども、先日、太良駅のトイレをきれいにしていただきましたので、今日のところは言いません。次に言います。  そして、「幅広い協議」ですね。私も注意深く見ていました。山下部長が要らんこと言わんぎよかろうにねと思いながら、注意深く緊張して見ていました。そして何となくフリーゲージとフル規格、この二つの議論が印象的でした。フリーゲージについては、二百六十キロではなかなか困難ですけれども、少しスピードを落としてなら開発が可能ではないですか、ごもっとも。フル規格については、佐賀県議会の中においても三つのルートが議論がされていますよ、ごもっとも。多分このことをもって国交省は、今いろんなところと協議をされ、また確認作業をされ、近いうちに佐賀県に対して回答をされるんでしょう。  私は、昨年十一月のこの議場において、五択ではなくて二択ではないですかという話をしました。五択のうちの対面乗りかえ方式、スーパー特急、ミニ新幹線は私はあり得ないと思う。あり得るのはフリーゲージかフル規格かしかないと思う。そういう状況の中で、二択ではなくて、フリーゲージトレインと三つのルートですから、四択でこれから議論が進んでいくのかなという印象を持ちました。  私が思うのは、公平に議論をしてほしいということです。佐賀県の「幅広い協議」においては、何となくフリーゲージもフル規格も公平に議論される印象を受けましたけれども、しかし、与党検討委員会に持ち帰られると、九対一の割合、というか新聞報道を見れば明らかですね。フリーゲージは隅っこにちょっと載っているだけ、あとはほとんどの記事がフル規格。要はフル規格の議論、当然フル規格でやりたい人はそうなるんでしょうけれども、しかし私は、例えば四択であっても、もっと公平に議論すべきだと思っています。
     あと、これは通告外ですけれども、与党検討委員会の山本委員長さんが今日の本会議終了後、山口知事、そして藤木議長さんに面会をされるというお知らせが昨日ありました。山口知事に対してはどういう思いで、どういうスタンスでその会談に臨むのか、教えていただきたいと思います。  次に五項目め、長崎本線の上下分離後の利便性確保についてであります。  来年の秋、新幹線は部分開業をいたします。そして、私たちの地域は並行在来線、経営分離ではなくて上下分離方式という手法が取られ、下のほうですね、鉄路や駅舎の管理については佐賀県と長崎県が一般社団法人を立ち上げられ、今、順調に準備を進められています。上下の上、上物についてはいろんな変化があっています。そもそもは肥前山口から諫早間については非電化、基本的には普通列車も特急もディーゼル列車を走らせますというお話でした。しかし、来年の秋は、特急本数、今鹿島まで五十三本が、取りあえずは十四本は確保されていますので、ここの区間については、鹿島までについては、やっぱりディーゼルではなくて電化の特急を走らせたいということで、電化設備を鹿島まで残しますというお話でした。ああ、特急が走るんだな。  そして、先日の報告では、JR九州から普通列車の一部をこの電化区間に走らせたいと。ただ、肥前鹿島駅はレールが二本しかありません。そこに特急と普通列車の電化と非電化、三本が乗り入れするということになると、物理的に無理になりますので、その先の肥前浜駅まで電化を残すということにいたしたいと思いますという申出があったそうで、佐賀県もそれを了承した。一見うれしいことなんですね、一見うれしい。浜地区の皆さんたちは喜んでおられます。浜地区は酒蔵ツーリズム等々で地域が元気、物すごく頑張っておられます。それが報われたということで、私自身も喜んでいる。  その一面、肥前浜から以南、南のエリアの皆さんたちは少し心配が増したということなんですね。肥前七浦、肥前飯田、多良、肥前大浦の皆さんたちは、うん、浜まではいいでしょうけど、私たちの地域はいずれ廃線になるんですかというお話。というか、まずは乗換えが何回必要なんですか、もしかしたら浜の皆さんたちは佐賀まで行くのに乗換えなしで行けるかもしれない、電化ですから。しかし、七浦の人はどうなんでしょう。  当然、電化と非電化ですから、全部乗換えになるのか、ディーゼルが一部電化区間を乗り入れするのか、全くこれからの話なんでしょうけれども、私は肥前浜駅で乗換えなければならない可能性が大いにあるというふうに危惧しているんですね。すると、博多まで特急で行こうと思ったら、肥前浜駅で乗換えて、肥前鹿島駅で乗り換えてやっと博多まで行ける、二回乗換えが必要ということになりますね。  普通列車もそうですね、肥前浜駅で乗換え。武雄方面は肥前山口で絶対二回乗換え。佐賀方面は一回で済むのかもしれない。乗換えの一回と二回って全然違うと思うんですね。私たちはまだいいのかもしれませんけれども、おじいちゃん、おばあちゃんは大変なことですよ。  私も、東京に行ったときに、一回乗換えだったら何とか目的地に着くことができる。しかし、二回乗換えとなったら、ちょっと戸惑うんですね。時間内に目的地に到達できるだろうかという不安を持ちます。それだけやっぱり一回と二回というのは大きな差があるんだと思いますので、どうなるかは全く分かりません。私たちがここで発言をしないと、JR九州は勝手にダイヤを組んでしまうんですね。ですから、注意をさせるために、こういうところでも発言をしておかなければならない。そして、交通政策部においても、私たちの意見を、浜から以南の皆さんたちの意見もきちっと届ける努力を続けてほしいと思います。  最後、六項目め、有明海の再生についてであります。  諫早湾が締め切られて四半世紀が過ぎようとしています。ノリは順調、ノリの東部地区は順調、ノリの南西部地区は残念ながら全然順調ではありません。昨年も赤潮、そしてノリの色落ちで大変な状況でした。  そして、漁船漁業はもっと深刻、海に出れない、とる魚介類がいない状況が一定期間続くんですね。そういう状況を私たちは何とかしたいというふうに思っている。  そういう状況において、一点目はまず裁判です。  和解協議の実現に向けた国への働きかけについてであります。  なぜ和解という状況になっているか。普通は、一般的には話合いで決着がつかないから裁判に打って出るんですね。そして、裁判所が下した判決をもって皆さんが従う、その行動になるんですね。しかし、残念ながら、今回の件はそうではない。  二〇一〇年十二月に裁判は確定しました。三年以内に五年間の開門調査を実施せよ。しかし、長崎県の抵抗をもって行われませんでした。  そして、どういう状況になったかというと、確定した判決、これを無効にするための差止め訴訟なるものがあるんですね、びっくりしました。こういうことがあるんだろうか、確定しているのに。これを無効にする裁判がある。そしたら、永遠に続くということです。  裁判はどちらかが負けます。そしたら、負けたほうはまた違う目的、違う理由をもって──目的は同じですね、また裁判を起こす。そして、今現在、約五個の裁判が係争中なんですね。  そういう状況の中、裁判所の皆さんも御苦労されているんでしょう。というか、裁判所がどうか、もう少し成長しなければならないんじゃないですかと私は思うんですね。勝ったり負けたり。佐賀地裁では開けろと言う。長崎地裁では開けるなと言う。  そして、当時は漁業者側の原告団が四十九人いましたから、開門しなかったら一人一日一万円、四十九万円漁業者に払えと。開門したら、農業者側に一日四十九万円払えと。開けても開けなくても四十九万円払えと。  別の裁判だから、それぞれが独立しているといえばそうかもしれないけれども、もう少し日本の裁判は成長してもらわないと、私たちは何を信じていいか分からない。裁判所の決定が正しい判断とは私は思えない。ただ、裁判所は決め事を決めるんです。これでいきなさいという方針を決めるんです。私たち日本人はそれに従わなきゃならないんですね。しかし、今は従える状況ではないということです。私は、裁判所に対して不信感を持っています。御苦労もいろいろありますから。  そして、今回、福岡高裁において和解勧告、すいません、裁判では決着をつけることができません、何とか話合いを持って解決してもらえないでしょうかというお話です。ごもっとも。  じゃ、この解決のために一番努力しなければならないのは誰か、農水省です。事業主体である農水省、調整能力を持った農水省が努力をしなければならない。双方が納得できるように、長崎県側、佐賀県側双方が納得できるように農水省は努力をすべきだと思う。この強弱によって結果が違うと思います。  平成二十七年に一回和解勧告があって、和解協議がなされましたけれども、決裂しました。今回は同じ轍を踏まないようにしていただきたい。農水省に対して、私は知事が申入れをすべきだと思います。ただ、タイミングは今ではない。  要は、和解というのは、和解を実現するためにどういう進行をすればいいですかという協議が月に一回なされます。そして、それと並行して和解協議なるものが多分なされるんであろうと想像しています。和解協議の中で、国側の意見、そして、漁業者側の意見がそれぞれ出される。うまくいくときもあれば、うまくいかないときもある。そういう状況の中で、適宜、知事はその状況を見ながら、発言をしなければならないタイミングをもって、そういうときには農水大臣等に発言をすべきだと私は思います。今ではないけれども、そのときが来たときにはきちっと用意をしておくべきだというふうに思います。知事の見解を求めます。  二点目、有明海再生に向けた佐賀県の取組についてであります。  なかなか有明海の異変は解明できません。その一つの象徴として、赤潮と貧酸素水塊です。  一九九七年、諫早湾は締め切られました。それまでは一年間に約十回、赤潮が発生していた。しかし、その後、約二十回に増えました、倍増。赤潮の発生件数が増えた、なぜかは分からない、しかし、増えた。貧酸素水塊については、閉門前のデータはありません。しかし、漁業者は貧酸素水塊が発生していると、海の底に酸素がない塊があるということです。このことをもって、私は二枚貝がへい死しているのだと思っています。ですから、やっぱり佐賀県も調査研究はしているけれども、なぜ赤潮が発生するのか、なぜ貧酸素が、その原因が分からなければ対策が取れない状況が今でも続いているんです。このことについては国側に常に申入れをしなければならないと思っているんですね。  「防災ネットあんあん」、六月十一日、赤潮が発生をしました。そして、十八日に終息しました。そしたら、また十八日に別の赤潮が発生しましたというんですね。  そして、これが三月の赤潮。(資料を示す)赤潮じゃなくて、ピンクでした。びっくりしました。要は、海の状況は明らかに変わっている。前もあったのかもしれませんけれども、私はこんな色の赤潮を見たのは初めてでした。  有明海の異変を解明していくためには、やっぱり国側の協力も必要でございますので、このことについては申入れをする。そして、佐賀県は佐賀県なりに水産振興等々努力をしていただく。結果、有明海が再生されることを心から御期待申し上げ、私の質問を終わります。(拍手) 25 ◎山口知事 登壇=坂口祐樹議員の御質問にお答えします。  まず、西九州新幹線につきまして、フリーゲージトレインについてお尋ねがございました。  佐賀県と鉄道局の「幅広い協議」は、五つの方式について予断を持たずに幅広く議論することで一致しておりまして、双方の立場で真摯な議論を行っています。  この協議では、フル規格も選択肢の中の一つであって、フリーゲージトレインについても、これまで関係者で様々な合意が重ねられてきたものなので、当然のことながら、有力な選択肢の一つであると考えています。  四回目の協議で三つのルートについて考えを示すように申し入れましたけれども、これは我々、県内の中にも様々な意見があるので、三つのルートについて幅広く検討が必要だと申し上げたものであって、フル規格について何ら踏み出したものではございません。  また、当日の協議では、フリーゲージトレインについて、安全性が確保された速度で車両を走行させることも十分選択肢になると考えているので、様々な可能性について引き続き議論していくことを求めたところでありまして、鉄道局もそこはきちんと検討していただけるものと考えております。  それから、本日、山本委員長が来られる件についてもお尋ねがございましたけれども、委員長が何を話されるか私は分かりませんけれども、本県として言うべきことを端的に申し上げたいと思っています。  鉄道局との協議におけるフリーゲージトレインに関する議論については、担当部長から答弁させます。  続きまして、有明海の再生についてお答えします。  まず、和解協議に向けた県の考え方についてお答えします。  これまで長崎地裁や福岡高裁で行われた和解勧告に基づく和解協議では、開門しないことを前提とした和解案でした。  今回、福岡高裁が示した和解協議に関する考え方では、開門、非開門の前提が設けられておりませんので、まさに腹蔵なく今後の協議の進展が図られたらいいなというふうに思っています。  そして、紛争全体の統一的、総合的かつ抜本的な解決を図るためには話合いによる解決のほかに方法はないと示されておりまして、私もそのとおりだと思います。  坂口県議からもお話がありましたけれども、十年前、確定判決が出たときに、国がそれに従わなかったということは私は大きな問題であったのではないかと思いますし、それがあったからこそ、争訟的というか、判決によって解決するということが困難だということになったんではないかと。  一つの判決が出て、それに対する対抗が出ますと、これはいつになっても終わらないという状況になりますし、時がどんどん過ぎ去っていきますから、その状況における実質的な議論はなかなかしにくい。裁判というのは、もともと争訟的な技術でやっていくところもあるもんだから、本来あるべき有明海に営むみんなの気持ちといったものと、なかなかそれがストレートに跳ね返らないというような問題があるのかなと私は思っています。  裁判の当事者は国と漁業者であります。当事者間の和解でしか、私は解決の出口は見えないものと考えています。もちろん国や裁判所は、利害調整を行う権能と職責を持っているわけですから、そうした中で、裁判所から、例えば、県としての意見を求められた場合には、県の考え方を示していきたいと思います。  裁判の当事者であります国と漁業者双方にはこの機会を大切にしていただきまして、歩み寄ったり譲り合ったりして話合いを重ね、何とか歴史的な和解が図られることを期待したいと考えています。  続きまして、有明海再生に向けた県の取組についてお答え申し上げます。  確かにお話しいただいたように、有明海は毎年赤潮、そして、貧酸素水塊が頻発するなど海域環境が変化して、漁獲量が減少し、特に二枚貝は厳しい状況が何年も続いております。  何とか豊饒の海と呼ばれた有明海を取り戻したいということで、これは不退転の決意を持って再生に向けた取組を進めていかなければいけないと思います。  タイラギを、今、一生懸命やっております。そして、アゲマキ、サルボウ、それぞれの状況に応じた資源回復の方策ということを振興センターと一緒に日々考えて、成果を積み重ねていきたいというふうに思っています。  そのほか、魚介類の餌となる小型のエビですとかゴカイなどの生物を増やしていくための増殖礁の設置をしたりとか、クルマエビやガザミにつきましては、DNA分析によって放流効果調査を実施したりというような、効果的な放流場所の検討と放流をこれからも行っていきたいと思っています。  それから、漁場環境の改善に向けた流況のシミュレーションについては、大学などと連携して行っていきたいと思いますし、カキ礁の海域改善効果の検証等の取組についても、これは漁業者などと協働して行っていきたい。  そして、先ほどお話しいただきました環境変化の原因究明ということ、これは一番大事なことであります。これについては国も連携して、そして、我々としても国に訴えて、共に解決に向けて導き出さなければいけないことだと思っています。  私は、漁業者の皆様からの声を聞くたびに、ひたむきに漁を続けていきたい、後継者が欲しいという声を強く感じております。今後とも、有明海の再生という本来の目的を見据えて、国、県、市町、漁業者など、関係するみんなで力を合わせて全力で取り組んでまいります。 26 ◎山下地域交流部長 登壇=私からは、二点答弁させていただきます。  まず、フリーゲージトレインについてでございます。  五月三十一日の鉄道局との「幅広い協議」において、私のほうからフリーゲージトレインを進めるべきと発言させていただきました。このことについて説明をいたします。  鉄道局から、昨年十月の第三回の協議におきまして、フリーゲージトレインは、安全性、経済性、高速化の課題について技術的なめどが立っていない。技術的に開発できないということではなく、耐久走行試験も含め時間とコストがかかるので、開発しないという判断をしたという趣旨の説明がございました。  ただ、技術開発の状況について申し上げますと、平成十一年四月から平成十三年一月にかけて、アメリカのコロラド州において、最高速度二百四十六キロ、耐久走行六十万キロメートル、軌間変換約二千回を達成したと報告があっております。  また、平成十七年には国土交通省が、既に二百二十キロから二百四十キロの実現化のめどは立っていると。今後は二百七十キロまでの開発についても引き続き行っていくという正式な見解を出されています。  そして、車軸摩耗についても大幅に改善されているということで、このような実績、経緯等を踏まえて、二百七十キロという高速走行ではなく、既に実現化のめどが立っているとされている二百キロ程度の速度での走行を考えてもいいのではないかと提案したところでございます。  このことに対し、鉄道局は二百キロで耐久テストをやったことがないので、技術部門と話をしてみるということでございました。  佐賀県は、在来線をそのまま利用するフリーゲージトレインであればということでぎりぎりの判断で合意をしたものです。佐賀県としては、フリーゲージトレインの導入が実現するんであれば、それが一番いいと考えています。  今後、鉄道局とはフル規格についても協議を行っていきますけども、決してフル規格以外の四つの方式を諦めたわけではございません。優先順位が下がったわけでもございません。今後も引き続きフリーゲージトレインの可能性も含め、幅広く協議をしていきます。  次に、長崎本線の上下分離後の利便性確保についてお答えをいたします。  長崎本線の肥前山口─諫早間につきましては、令和四年秋頃とされています西九州ルートの開業により、特急列車が大幅に減少しますことから、この鉄道の利便性確保にしっかり取り組む必要がございます。  これまで県では、上下分離後の普通列車の運行に関して、普通列車の佐賀方面への直通運行の維持をはじめ、博多方面へのアクセスを考慮した毎時の普通列車の確保や、肥前山口での特急列車との接続の円滑化などについて、沿線市町とともにJR九州に要請を行ってまいりました。  そして、このたび肥前浜駅まで電化区間が延伸され、普通列車の一部に電車が運行されることとなったため、上下分離後も佐賀方面への直通運行が可能になるものと考えています。  一方、議員からもありましたとおり、電化区間と非電化区間の境界駅となる肥前浜駅では乗換えが生じる場合がありますので、電化区間の延伸に係るJRとの協議において、肥前浜駅より南の利用者の乗換え回数が増えるなど利便性が低下しないようということで求めてまいりました。  JR九州からは、今回の電化区間の変更を踏まえ、今後、上下分離後の運行形態について具体的な検討が行われると聞いております。  県としましては、上下分離後の利便性を確保するため、利用者のニーズを把握した上でJR九州としっかり協議をする必要があると思っています。  昨年度、肥前鹿島駅において特急列車の乗降調査を行ったところでございますが、本年度は普通列車の利用状況について調査を行い、通勤通学、特に高校生の利用形態やニーズを把握したいと考えております。  そうした調査結果なども踏まえ、利用者の利便性の確保に向け、利用状況や様々なニーズに応じた運行形態となるよう、引き続きJR九州に要請してまいります。  また、普通列車の運行本数が本当に維持されるのか不安の声があるということも聞いております。これについては佐賀、長崎両県とJR九州の三者により、西九州ルートの開業後二十三年間運行を維持することや、普通列車について現行水準を維持することなどについて文書で確認をしております。  県としましては、上下分離される長崎本線が沿線地域を支える大切な鉄路として、約束どおりJR九州により運行を維持していただけるものと考えております。  来年の秋頃には上下分離方式による運行が始まります。利便性がきちんと確保されるよう、引き続き利用者や地域の声に耳を傾けるとともに、様々な機会を捉え、地元市町とともに連携を図り、JR九州としっかり協議、そして要請を行ってまいります。  私からは以上です。 27 ◎池田農林水産部長 登壇=私からは、大きな二項目についてお答えをいたします。  まず、林業の振興についてのうち、木材の供給拡大について申し上げます。  最近の県産木材の価格の上昇は、森林所有者の伐採意欲を高め、森林所有者の所得向上や林業事業体の事業量の拡大、さらには森林の若返りにつながることが期待され、これまで木材価格の長期低迷などにより活気を失っていた本県林業にとりましては追い風になり得ると考えております。  このようなことから、この機を捉え、木材を必要とされる製材工場や大工、工務店等の期待に応えるためにも、木材の供給を拡大し、本県林業の再生につなげるため、今議会におきまして、第一弾として、木材の生産性を上げるために、伐採や搬出作業を効率化する林業機械のうち、国庫補助の対象とならないものを県単独で支援する予算をお願いしているところでございます。  また、県林業試験場におきまして、成長が早く、下刈りなどの負担軽減が可能な「次世代スギ精英樹」の新品種を開発したところでございまして、今後その導入、普及を進め、木材の供給量が増大するよう努めてまいります。  次に、林業の振興に向けた取組について申し上げます。  県では、森、川、海の大切さを伝え、これらを保全する行動につなげていく「森川海人(もりかわかいと)っプロジェクト」に取り組んでいるところでございます。  森林を保全し林業の振興につなげていくためには、これまでの木材価格の低迷や就業環境の改善の遅れなどによりまして、最近減少傾向にございます林業従事者を一人でも多く確保し、木を切って、使って、また、植えて、育てるという林業生産活動を将来にわたって継続されるようにしていかなければならないと考えております。  このようなことから、木材価格が上昇しているこの機会を生かして、林業事業体の生産性の向上や経営基盤の強化などを図りまして、県産木材の供給から再生産に従事されている全ての方々が、よりよい就業環境の下、安心して働けるよう、今後とも本県林業の振興に向けた取組を強化してまいります。  次に大きな項目の二つ目、ミカンとイチゴの生産振興についてお答えいたします。  「さが園芸888運動」の高い目標を達成していくためには、本県園芸農業の重要な品目でございますミカンとイチゴの高品質化や収量の向上を図るとともに、経営規模の拡大や新規就農者の確保が必要でございます。  このため、まずミカンでは、土壌水分を調節して糖度を上げる根域制限栽培の導入や、今年二月にデビューし、市場や消費者からの評価が非常に高い「にじゅうまる」等の優良品種の改植、「にじゅうまる」につきましては、議員から御指摘のとおり、無加温ハウス栽培だけではなくて、今後、露地栽培での生産を拡大していきたいと考えております。  こうした取組によりまして果実の高品質化を図るとともに、作業がしやすい水田や畑地での大規模果樹団地の整備や、担い手への優良園地の集積などによりまして、生産農家の経営規模を拡大してまいります。  次に、イチゴにつきましては、「さがほのか」から「いちごさん」への全面切替えにより高品質化や収量の向上を図るとともに、新規就農者の受皿となります大規模生産団地の整備や、パック詰め作業を大幅に省力化できるパッケージセンターの整備、そして、その利用拡大などによりまして栽培面積を拡大してまいります。  また、生産農家の前向きな取組に対して支援する県単独の補助事業につきましては、これまで時々の農業情勢や現場の声などを踏まえまして、例えば、資材価格が高騰したときには、ハウスの補修、補強を行うことで、耐用年数の延長を図る長寿命化対策を創設したり、燃油価格が高騰したときには、ヒートポンプや多層被覆装置、いわゆる三重カーテンなどの省エネ装置の整備に対する補助率をかさ上げするなどの見直しを行い、拡充してまいりました。  今後とも、情勢の変化などに対応しながら、また、生産農家の皆様の御意見をお聞きしながら、収益性の高い農業経営の確立や栽培面積の拡大に向けた取組を強化し、稼げる農家を一人でも多く増やしていくことで、将来にわたってミカンとイチゴの産地が発展していくよう、しっかりと取り組んでまいります。  私からは以上でございます。 28 ◎野田危機管理・報道局長 登壇=私からは、消防団員の処遇改善についてお答えいたします。  消防団員の処遇改善につきましては、四月の消防庁からの通知を受けまして、まさに今、各市町において消防団との協議が行われているところと存じております。  協議を行う中で消防団から出されました意見につきましては、市町から県にも情報を共有していただいておりまして、その中には今回の見直しへの疑問や戸惑い、そして、懸念などの声もあるというふうに伺っております。  今回の処遇改善が目指すところは、団員の確保であるとともに、消防団をいかに維持していくかというふうなことかと考えております。  今回の消防庁通知によります報酬額等の見直しが消防団員確保の第一歩になるかとは思いますが、市町での議論が十分に尽くされずに見直しが行われると、団員の確保につながらないばかりか、消防団の士気や消防団組織の維持に悪影響を及ぼすのではないかというふうに考えます。
     議員からもお話がございましたけれども、地域によって事情も様々かと思います。そういった事情を踏まえ、市町と消防団とでしっかり協議を重ねた上で、よりよい方向に検討が進んでいくよう、県としましても市町をしっかりサポートしていきたいと考えております。  その上で国へ意見すべきこと等がありましたら、あらゆる機会を捉えまして意見し、また、要望を上げていくなど、必要な働きかけを行ってまいります。  私からは以上でございます。 29 ◎中本正一君(拍手)登壇=公明党の中本正一でございます。  今回、県政が抱える課題につきまして大きく六項目について質問をさせていただきます。執行部の皆様にはどうか明快かつ前向きな答弁をいただきますよう、よろしくお願いをいたします。  それでは大きな項目の一つ目として、九州新幹線西九州ルートについて質問をいたします。  山口知事が赤羽国土交通大臣の呼びかけに応じて設置された、西九州ルート新鳥栖─武雄温泉間の整備方式について議論する「幅広い協議」が始まり一年が経過しました。五月三十一日に開催された四回目となる「幅広い協議」では、利用者目線で見た在来線の問題や、フリーゲージトレインの時速二百キロでの開発の可能性、フル規格の場合の三つのルートにおける検証など、これまでの議論を少し深めるとともに、新たな課題の提起もあり、五十分という時間の中で中身の濃い議論になっているように感じたところであります。  特に県側からフル規格の場合のルートについて、佐賀駅を通るルートだけでなく、佐賀空港を通るルートや佐賀市北部を通るルートについても様々な可能性、長期的な整備効果を示すよう求めたことが注目をされました。協議後のマスコミの取材に対し山下地域交流部長は、フル規格のルートについては県内でも様々な声があり、協議をするのであれば、三つのルートを並べて考える必要がある、決してかじを切ったわけではないと述べられていますが、一方、足立幹線鉄道課長は、県から能動的な話があったのは初めてであり、一歩前進と前向きな評価をされているようであります。この点、赤羽国土交通大臣も、県からの具体的な指摘は初めてと承知しており、特筆すべきことと歓迎したとのマスコミ報道も出ており、私も今後議論が加速化するきっかけになればと期待するところであります。  私は、「幅広い協議」が県と国土交通省双方が合意できることを積み重ねながら、コンセンサスを得ることが大切だと考えます。もちろん、着工に至るまでの長い歴史的な経緯やフリーゲージトレインの断念とその後の関係者の対応等を踏まえると、簡単なものであるとは当然思いません。  しかしながら、今後、精力的に協議を積み重ねることで、二〇二二年秋頃を予定されている武雄温泉─長崎間が開業する頃までに、整備方式について何らかの合意形成に至ることができれば望ましいと考えますし、そのためには論点整理に至るプロセスが見える化する必要があるのではないかとも考えます。  そこで、議論の対象となる五つの整備方式の協議がどのような状態となったときに論点整理する段階に至るのか、仮定の話はしづらいのかもしれませんが、論点を整理するためのプロセスについて、現在どのように考えるのか、知事の所見をお伺いいたします。  次に、JR九州との協議についてお伺いいたします。  四回目となる「幅広い協議」においては、国土交通省が在来線に関して、JR九州と打合せ、意見交換を提案したのに対して、今の時点でフルを前提として佐賀県がJRに話をすることはあり得ないと、言下に明言をされています。  しかし、フル規格における並行在来線の問題は、県が課題として挙げている財政負担、在来線、ルート、地域振興の四つの中でも最大の課題であり、五つの整備方式を幅広く協議する上でも重要な論点となってまいります。  昨年九月定例会で採択された「九州新幹線西九州ルートに係る国との協議に関する決議」では、「地方負担や在来線の問題等については、国土交通省が具体的な数字や条件を提示し、お互いに納得できる内容を模索していく必要がある。」としており、これを受けて昨年十月に開催された三回目の「幅広い協議」において、県側から国土交通省に対して、議論に必要な数字や条件について、責任を持って示すよう求めた経緯があります。  そうした経緯を踏まえると、今後の国土交通省との「幅広い協議」の場の中で、当事者であるJR九州が同席し、より具体的に話を聞くといった場面があってもよいのではないかと考えますが、この点改めて見解をお伺いいたします。  次に、県民への分かりやすい情報提供についてお伺いいたします。  「幅広い協議」の中では協議のバリエーションが増えてきており、県民目線で見ると、ますます複雑になってきています。県民への情報提供については、昨年九月定例会以来、県議会から度々求めてきており、また、その必要性について、執行部も認めているところであります。  本年二月定例会の新幹線問題対策等特別委員会では、改めて県民への情報提供を求める質問に対し、現時点でスケジュールは固まっていない。協議の進展や様々な状況を見ながら、スケジュールについて検討していくと答弁をされています。県民を置き去りにしたまま議論が進むことがないよう、一回でまとめて発信するということではなく、西九州ルートの整備に関わる経緯や整備新幹線のスキーム、「幅広い協議」で始まった五つの整備方式の特徴など、基本的な情報などはまずは発信し、その後、協議の進展に合わせ、適時発信するべきではないかとも考えます。  そこで、県民に向けた分かりやすい情報提供について、どのように取り組んでいく考えかお伺いいたします。  次に大きな項目の二つ目として、新型コロナワクチンの接種について質問いたします。  コロナ禍収束の切り札となるワクチンの接種が全国で加速しています。約三千六百万人いる高齢者への接種は、六月二十日時点で、少なくとも一回接種した人が一千六百万人を突破、先行して接種していた医療従事者等も合わせると、約二千二百万人が一回目の接種を終えています。  一日当たりの接種回数は、当初、供給量が少なかったことから一万回に満たない日もありましたが、五月に入って毎週増加し、一日八十万回を超える日も出るようになりました。さらに政府は一日百万回の接種を進め、本年十月から十一月にかけ、希望する国民全てにワクチン接種を完了することができるよう取り組んでいく考えを示しており、その実現に何より欠かせないのがワクチン接種の担い手の確保となってまいります。このため、医師や看護師に加え、歯科医による接種も特例として認め、さらに救急救命士や臨床検査技師、潜在看護師、研修医など医療人材を総動員し、取り組む決意を表明しています。  本県においても、六十五歳以上の高齢者の一回目の接種は六月二十日現在、六二・一〇%と全国で最も早く進んでおり、県内二十市町全ての自治体で七月末までに完了する見通しとなっています。  ワクチン接種の主体となる市町はもとより、御協力をいただいている医療関係者の皆様、それを支えていただいている県の関係者の皆様に深く敬意を表します。  政府の新型コロナ対策分科会の尾身茂会長は、接種者が人口の半分程度になると、感染が広がりにくくなる集団免疫の効果が出始めるとの見解を示しており、これからさらにワクチン接種の加速化が期待されるところであります。  そこで、次の三点についてお伺いいたします。  まず、ワクチン接種の本格化への対応についてであります。  県内の市町においては、六十五歳以上の全ての高齢者二回分のワクチンが六月末までに配布される計画であり、それを受け、七月末までの接種を完了する見通しとなっています。政府が示した接種順位の考え方では、次に透析患者をはじめとする基礎疾患を有する者、高齢者施設等の従事者と続き、その後、それ以外の一般の方々への接種が進むことになります。佐賀市など六十五歳以上の高齢者への接種が進む自治体では、六月下旬には六十四歳以下の接種を計画したり、また、ファイザー製ワクチンの接種対象年齢が十六歳以上から十二歳以上に引き下げられたことから、中高生の集団接種を検討する県内の自治体も出てきたようであります。  一方、市町のワクチン接種を補完するため、モデルナ製ワクチンを使い、四千人の接種を目指す県営の大規模接種も先週の土日から始まりました。さらにワクチン接種に関する地域の負担を軽減し、接種の加速化を図っていくため、企業団体や大学等における職域接種も六月二十一日から本格化いたします。しかし、職域接種は千人以上が対象となるため、中小企業が多い佐賀県で医療従事者の確保も含め、どのぐらいこの職域接種が進むのか見通せないところであります。  そこで、今後、高齢者以外のワクチン接種が本格化する中で、どのような点が課題となってくると考えるのかお伺いいたします。また、ワクチン接種の本格化に向けて、どのように対応していく考えか、併せてお示しください。  次に、ワクチン接種による副反応についてお伺いいたします。  六十五歳以上の高齢者へのワクチン接種が進む中、地域の方とお話をすると、もう打ってきたよと、全然痛くなかったよという声をいただくとほっといたします。しかし、中には、一回打って、一日肩が痛かった。また、数日痛みが取れなかったといった声や、一回目の接種の後、翌日から目が回るようになり、一週間以上続いて家事もできなく困ったという声も伺いました。  幸い、私の周りでは、アナフィラキシーショックなど重篤な状態となられた方はいませんが、やはりワクチン接種による副反応が気にかかるところであります。  ワクチン接種については、最終的には県民一人一人、自らの意思で決定することになり、そのためにも正しい判断ができるよう、正確な情報をできるだけ早くお伝えしていくことが重要です。特にワクチンの安全性や有効性とともに、ワクチン接種による副反応の情報も貴重な判断材料となってまいります。全国では六月二十日現在、一回目の接種を終えられた方が約二千二百万人、二回目の接種も終えられた方は約九百万人となっていますが、ワクチン接種による副反応の発生状況はどのようになっているかお伺いいたします。また、そうした副反応の報告について、県民に正確な情報を提供することが求められますが、どのように取り組んでいく考えかお伺いいたします。  次に、接種を希望しない方などへのワクチンハラスメントについてお伺いいたします。  先日、県内在住の女性の方からワクチン接種に係る御相談をお受けいたしました。内容は県内の高齢者福祉施設に入所している九十歳代の母親についてであります。母親が認知症のため、施設側からワクチン接種の同意を求められたものの、九十歳代という年齢や持病があることも考慮し、接種するほうがリスクが高いと判断され、接種しない旨を施設側に伝えたところ、接種をしないのであれば施設を退所するよう求められたというのです。接種するかどうかは自らの意思で決定するものであり、ワクチン接種をしない人が差別、あるいは不利益を受けることは絶対にあってはならないと考えます。  施設側としては、ワクチンを接種しない人が一人でもいると、感染のリスクが生じ、施設内でクラスターを発生させないためにも入所者にはワクチンを接種してもらう。接種しない場合は退所してほしいと迫られ、本当に困られての相談でありました。ワクチン接種が進んでいくと、接種を希望しないことで差別や不利益を受ける。さらに誹謗や中傷を受けるといった、いわゆるワクチンハラスメントが広がっていくことが懸念をされます。  そこで、次の三点についてお伺いいたします。  まず、ワクチン接種を希望しないことにより、こうした不利益を受ける、また差別されるといった相談はこれまで県に寄せられているのかお伺いいたします。  また、接種を希望しないことで、こうした差別、不利益はあってはならない、許されないという強いメッセージを全ての県民の皆様にしっかり発信していただきたいと考えますが、県民への普及啓発についてどのように考えているのかお伺いいたします。  また、こうした相談があった場合には相談者に寄り添った対応を求めたいと思いますが、県はどのように取り組んでいく考えかお伺いいたします。  次に、大きな項目の三つ目として、パートナーシップ制度の導入について質問をいたします。  昨今、性的少数者の方々の抱える課題を社会が自分ごととして捉えるためのキーワードとしてSOGIという言葉が注目をされています。これは性の在り方を少数派と多数派に分断しないという概念であり、性的にどのような人に引かれるのか、自分の性別についてどのように認識しているかという点に着目し、多数派である異性愛者も、LGBTQなど、いわゆる性的少数者も含め、どのような属性でも平等に扱おうとの意味が込められた言葉であります。一部の政治家の問題発言もありましたが、日本社会の中で性的少数者の人権を獲得する動きは年々高まっているものと考えます。  かつてインドを独立に導いたマハトマ・ガンジーは、偉大な運動は無関心、嘲笑、非難、抑圧、そして尊敬という五つの段階を経ると語ったそうでありますが、今、社会は間違いなく大きく変化してきていると感じるところであります。  山口知事は演告の中で、多様性を当たり前のこととして受け入れ、互いに理解を深めていきたい。また、みんなが自然な形でお互いに尊重し合える、人に優しい佐賀県を創っていくと述べられています。まさに様々な属性があることを当たり前のこととして受け入れる社会で自分らしく生きたいと願っておられる方々にとって、希望の持てる言葉ではないかと感じています。  そして、さらに知事は、同性カップルの関係性を自治体として証明するパートナーシップ制度の導入を検討することも表明され、LGBTのみならず、多くの県民の皆様の関心が高まっているものと考えます。  そこで、次の三点についてお伺いをいたします。  まず、パートナーシップの制度設計に向けた今後の取組についてであります。  今後、具体的に何を盛り込むかという制度設計に向けては様々な課題があるものと考えます。支援団体の声も大切でありますし、県が実施するとなった場合、住民生活に一番近い市町の理解も必要であります。仮に市町の理解が得られないようなものであれば、実効性が伴わないものになる懸念があります。  そこで、パートナーシップの制度設計に当たり、今後どのように取り組んでいく考えかお伺いいたします。  性的少数者の方々が自分らしく生きていくことができるためには、県民の理解促進が必要となってまいります。佐賀県では自分らしく生きていけるよう、できる限り障壁をなくしていきたい。みんなが自然な形でお互いに尊重し合える、人に優しい佐賀県をつくっていきたいとの思いから、「さがすたいる」の一環としてパートナーシップ制度に取り組まれることは、性の多様性に関する理解の促進につながるものと期待をいたします。  そこで、性の多様性に関する県民の理解促進に向けた取組についてお伺いをいたします。  佐賀県の「人権教育・啓発基本方針」においては、「様々な性的指向や性自認の人たちが、自分らしく生きていくための権利が尊重される社会を目指します。」とされています。県ではこれまで性の多様性に関する理解促進に向けて、SOGIをテーマにしたポスターの作成や、企業の幹部を対象とした研修会の開催、人権フェスタにおける啓発、また相談事業の実施など、様々な啓発活動に取り組んできておられますが、いまだ十分とは言えず、さらなる取組が必要となってまいります。  福岡県や長崎県では、パートナーシップ制度の導入までには至ってはいませんが、啓発活動や研修会とともに、LGBTに関するハンドブックを支援団体と協働で作成し、県民の理解の醸成に努められています。  そこで、本県においても支援団体と協働し、県民に向けた分かりやすいハンドブックを作成し、啓発活動や研修会等で活用すべきでないかと考えますが、見解をお伺いいたします。  次に、支援団体が実施する事業への名義後援についてお伺いいたします。  今回の質問を前に、佐賀県内の支援団体であるSOiGIEs(そいぎーず)さん、そして福岡県の支援団体でありますNPO法人カラフルチェンジラボさん、この代表の方お二人とお話をさせていただく機会がありました。その中で、レインボーフラッグといいまして、六色の虹の旗、これがLGBTの尊厳と社会運動を尊重するものとして使われており、全世界の共通言語となっていること。特にこの六月はプライドマンス、プライド月間として世界各地でLGBTQの権利に関する啓発活動やイベントが行われており、その際、レインボーカラーで建物をライトアップしたり、賛同する企業のホームページやSNSにもレインボーカラーが背景色として使われていること。また、二〇一五年からLGBTをはじめとするあらゆる少数派が多様性豊かに住みやすい町にしたいとの願いを込め、九州レインボープライドというイベントを十一月に福岡市内で開催されていることなどを教えていただきました。  この九州レインボープライドの名義後援には、福岡県や県教育委員会、県の各市町、市町教育委員会、各国大使館、九州管内の新聞社やテレビ局など、九十八団体が名を連ねています。また、年々規模も大きくなり、二〇一九年の九州レインボープライドには九州各地からアライと呼ばれる支援者の方々も含め約一万二千人が参加、そのうちパレード参加者も約千二百人に及んだとのことでありました。昨年はコロナの影響でオンラインでの開催となりましたが、福岡県内の各首長からビデオメッセージが寄せられています。  お話を聞かせていただいた代表のお二人は、こうした自治体や企業から名義後援をいただいたり、首長の方々からメッセージを寄せられることで、自分たちは決して孤立しているのではなく、多くの方々から見守っていただいているというシグナル、サインと捉え、希望が見いだせると述べられていました。このように支援団体が実施するイベントに対して、県や市町から名義後援を行うことは勇気と希望を与えるものと考えます。  そこで、県内において支援団体の皆さんがイベントを行う場合に、佐賀県が名義後援を行うことについてどのように考えるかお伺いいたします。  次に大きな項目の四つ目として、社会福祉施設における水害への備えについて質問いたします。  豪雨や台風による水害で福祉施設が浸水する被害が全国で相次いで発生しており、自力で避難ができない高齢者ら災害弱者が入所する福祉施設の現場においては、その対策に頭を痛めているところであります。  平成二十八年八月の台風十号による水害では、岩手県岩泉町の認知症高齢者のグループホームで利用者九名の尊い命が奪われました。この災害をきっかけとして、平成二十九年に水防法及び土砂災害防止法が改正され、要配慮者利用施設が浸水想定区域や土砂災害警戒区域内に所在する場合、市町の地域防災計画に定められた施設の管理者は、避難確保計画の作成や避難訓練の実施が義務づけられたところであります。  本県においても令和元年八月豪雨を経験し、未曽有の水害を想定したハード、ソフト両面にわたる対策の強化に取り組んできたところであります。  そうした中、九州を中心に甚大な被害をもたらした令和二年七月豪雨では、熊本県球磨村の特別養護老人ホーム千寿園において、施設のそばを流れる河川が氾濫。一階が水没し、十四人が亡くなるという大変痛ましい被害が発生をしております。  国土交通省によると、千寿園では避難計画も策定し、年二回、避難訓練も実施していたとのことですが、未明に発生しており、施設内にエレベーターはなく、自力歩行できない高齢者たちを当直の職員数人と地元有志で入所者を抱え、必死に階段を上ったものの、避難に時間がかかり、最悪の結果となったそうであります。  佐賀県では今年、観測史上二番目に早い五月十五日に梅雨入りしました。県内では二〇一八年から三年続けて大雨特別警報が発令されており、これから梅雨の本番を迎える中で、警戒を緩めることなく、早め早めの準備が必要となってまいります。  そこで、次の三点についてお伺いいたします。  まず、社会福祉施設を含む要配慮者利用施設における避難確保計画の作成状況はどのようになっているかお伺いいたします。  次に、避難確保計画の緊急点検等についてお伺いいたします。  厚生労働省と国土交通省は令和二年七月豪雨災害を踏まえ、全国の特別養護老人ホームを対象として避難確保計画に関わる実態調査を実施されており、その結果を公表されています。  そこで、本県における実態調査はどのような結果であったのかお伺いいたします。  また、この実態調査を踏まえ、両省は社会福祉施設における避難確保計画の緊急点検を実施するよう、本年二月二十四日付で依頼文を発出されています。緊急点検の対象となる施設は、地域防災計画に位置づけられている要配慮者利用施設のうち社会福祉施設を対象として、具体的には老人福祉施設、障害者支援施設、児童福祉施設等々となっています。  そこで、避難確保計画の緊急点検の概要はどのようになっているか。また、その進捗状況についても併せてお示しください。  次に、今後の取組についてお伺いいたします。  水防法の改正後、国土交通省の調査によると、本年三月三十一日の時点では、避難確保計画を作成している要配慮者利用施設は全国の六六%に対し、佐賀県では一五%にとどまっています。国土交通省は、今年度までに作成率が一〇〇%になるよう目標を掲げており、本県においても、一日も早く達成できるよう望まれます。  水防法では、避難確保計画の報告を受けることや、計画未作成の施設に必要な指示を行うことは市町の権限とされていますが、社会福祉施設については県が指導する立場にあることから、県が市町と連携し、いつ発生するかもしれない水害に備えるべく、早急な避難確保計画の作成や見直しに取り組み、避難の実効性を高めることが求められているものと考えます。  そこで、避難確保計画の策定をはじめ、社会福祉施設における水害への備えを向上させるため、今後、具体的にどのように取り組んでいく考えか、見解をお示しください。  次に大きな項目の五つ目として、低出生体重児等の就学義務の猶予、免除について質問をいたします。  さて、議場の皆さんはこの低出生体重児という言葉を聞かれたことはありますでしょうか。以前は未熟児という言葉がよく使われていました。生まれてきたときの体重が二千五百グラム未満を低出生体重児と呼び、さらにその中で千五百グラム未満を極低出生体重児、千グラム未満を超低出生体重児といいます。  日本では一年に生まれる子供の出生数は減少しているものの、低出生体重児の数は毎年増加しており、また、その割合も四十年前は五%前後だったものが近年は九%前後で推移をしています。  本県においても全国と同様の傾向であり、平成三十年に低出生体重児として生まれた赤ちゃんは五百八十二人、八・九%、そのうち極低出生体重児は五十八人、百二十人に一人の割合、さらに超低出生体重児は二十二人、三百人に一人の割合となっています。  これは、新生児医療の進歩により低出生体重児の命を救うことができるようになったことも大きな要因として挙げられます。  余談となりますが、三年ほど前に体重が二百六十八グラムで生まれた赤ちゃんが退院する様子がマスコミで紹介され、話題となりました。この方は妊娠二十四週で緊急帝王切開で生まれた男の子の赤ちゃんであります。身長も僅か二十センチ程度で、両手の中にすっぽり収まるぐらいの小ささであります。  五カ月にわたり新生児集中治療室で育てられ、自力でミルクも飲めるようになり、体重も三千二百グラムに成長してから退院することができました。  日本の新生児医療は世界でもとても高い水準であり、千グラム未満の超低出生体重児の救命率は九〇%であるそうでありますが、三百グラム未満の場合は五〇%まで低下すると言われています。  特に男の子の生存率は女の子よりも低く、この赤ちゃんは当時として、要するに出生して退院できた世界最小の男の子の赤ちゃんというふうに言われたわけでありますけれども、その後、順調に育ってくれているのか、成長の過程をしっかり見守っていく必要があるものと考えます。  低出生体重児として生まれてきた場合、同じ年に生まれた子供より成長や発達が遅れるケースも多々見られます。  体力不足により、何をやっても周りについていけない状況が小学校入学前まで続くと、子供はもちろん、保護者にとっても不安でいっぱいになります。  一方、保護者は児童を就学させる義務を負っていますが、例外として猶予や免除ができるとされています。  学校教育法では、就学猶予、免除が認められる事由を「病弱、発育不完全その他やむを得ない事由のため、就学困難と認められる」場合としており、二〇一三年の文部科学省の通知で、その他やむを得ない事由に低出生体重児も対象となるようになりました。  通知には、近年増加傾向にある低出生体重児等への対応についてもその他やむを得ない事由に該当し、小学校及び特別支援学校への就学を猶予、免除されることが適当と判断される場合もあることが示されています。  例えば、四月に出産予定だったものの、早産児として一月に生まれた場合、同時期に生まれた子供に比べて発育が不十分な状態でも、通常では実質的に一年早く入学をしなければならなくなります。特に超低出生体重児の場合は、大きなハンディキャップを抱えたままで入学をすることになります。  この質問を前に県教育委員会に、県内における低出生体重児に関する就学猶予、免除の相談件数や実際の猶予、免除件数について調査を依頼したところ、ある市町の担当者の記憶で三件ほど相談があったものの、詳しい相談記録は残っておらず、また、実際に低出生体重児であることを事由とした就学猶予、免除の実績は県内ではないとのことでありました。  聖マリア病院の母子総合医療センター長を長く務められ、こうした問題に深く関わってきた若楠児童発達支援センターの橋本武夫先生にお話を伺う機会がありました。  先生は、低出生体重児を抱える保護者の方々が就学猶予を選択できることを知らず、また、市町教育委員会も低出生体重児が就学猶予の事由となることへの認識が不足しているのではないかと指摘され、成長が遅い場合、無理して就学して状況を悪化させるケースもある。一年間就学を猶予することで、その後、スムーズに成長することもできるため、一人一人の子供の状況に応じて、就学猶予等の適切な運用が望まれる。また、就学猶予、免除という制度に対する医師の理解が低いのも現状であるとも述べられていました。  そこで、低出生体重児等の就学義務の猶予、または免除について、文部科学省からも既に通知がなされたところでありますが、県教育委員会として改めて市町教育委員会に周知徹底を行い、一人一人の子供の状況に応じて就学義務の猶予、免除が選択肢の一つとして適切に活用されるよう取り組んでいくべきではないかと考えますが、教育長の見解をお伺いいたします。  それでは最後、大きな項目の六つ目として、夜間中学校の設置について質問をいたします。  夜間中学は、戦争の混乱で義務教育を受けられなかった方のために戦後間もなく設置されたもので、ピークの一九五〇年代半ばには全国に八十校以上、約五千人が在籍をしていましたが、経済成長を背景に六〇年代後半には二十校まで激減をしています。
     しかし、再びその開設の必要性が高まっているのは、近年、外国人労働者や不登校などで十分な教育を受けられないまま中学校を卒業した方が増加し、需要が増えていることが理由として挙げられます。  文部科学省が二〇二〇年に実施した調査では、夜間中学に通う生徒は千七百二十九人で、前回の二〇一七年調査より四十二人増加しています。  外国籍の方が八〇%で横ばいだったものの、不登校などで十分に学べずに中学既卒となった方は八・六%で、前回から倍増しています。  一方、戦後の混乱などで中学を卒業していない日本国籍の方は一一・四%と、前回調査から三・九ポイント減っています。  このように、夜間中学に対する時代の要請は今大きく変化をしています。  国においては、二〇一六年に「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」、いわゆる教育機会確保法が成立したことを背景に、都道府県に少なくとも一校の設置を促しているところであります。  現在、七政令市を含む十二都府県の三十六校にとどまっているものの、本年四月には徳島県、そして、高知県の両県に県立の夜間中学が新設されるなど新たな動きも出てきています。  そこで、次の三点についてお伺いいたします。  まず、夜間中学に対する山口知事の認識についてお伺いいたします。  夜間中学は、義務教育を修了しないまま学齢期を経過した方や、病気や不登校など様々な事情により十分な教育を受けられないまま中学校を卒業した方、さらには本国や我が国において十分に義務教育を受けられなかった外国籍の方などの教育を受ける機会、学び直しの機会を実質的に保障するために重要な役割を果たしています。  また、本県が進めるSDGsやESD──持続可能な開発のための教育の「誰一人取り残さない」という理念とも重なり、幾つになっても学び直しが可能なリカレント教育や学習者の年齢、国籍を問わない多様な学習の機会の提供を推進する実践的な教育の場ともなってまいります。  そこで、こうした夜間中学に対する山口知事の認識についてお伺いいたします。  次に、県内自治体や民間団体等とのニーズの把握についてお伺いいたします。  二〇一七年二月定例会において夜間中学の設置を求める木村雄一議員の質問に対し、当時の古谷教育長は、「各市町教育委員会の要望や問い合わせ状況の確認を引き続き行いますとともに、不登校の児童生徒を受け入れている民間団体などとも連携したアンケートを実施するなど、今後ニーズの把握に努めていきたい」と答弁をされています。  そこで、県教育委員会として、県内自治体や民間団体等と連携したニーズの把握に向けてどのように取り組んできたのかお伺いをいたします。  この質問の最後に、今後の取組についてお伺いいたします。  夜間中学の設置を求める声は、県都であります佐賀市議会においても数回にわたり取り上げられており、本年六月議会においても改めて議論がなされています。  佐賀市教育委員会の中村教育長は、「本市におきましても、学び直しのニーズ、あるいは日本語教育のニーズといったものは以前よりかなり高まっているものと考えております。一方で、夜間中学の設置には、教員の配置の問題、校舎をどうするかなど非常に大きな問題も含まれております。そこで、役割分担という観点からも、県と市町との間で十分に協議をし、課題解決に向けて方向性を定めていくことが必要であると認識しております。」このように答弁されており、県や近隣市町と協議していきたいとの考えを示されています。  夜間中学の設置に向けては、本年一月の衆議院予算委員会でも質問があり、菅首相は「今後五年間で全ての都道府県、指定都市に夜間中学校が少なくとも一つ設置をされる、このことを目指し、全国知事会や指定都市市長会の協力を得て取り組んでいきたい」と、不退転の決意で取り組むことを表明されています。  また、これを受け、文部科学省でも本年二月十六日付で「夜間中学の設置・充実に向けた取組の一層の推進について」という依頼文を各都道府県及び指定都市の教育長に発出をされています。  私は、県内における夜間中学校の設置に向け、県及び市町教育委員会で協議の場を設けるなど具体的な検討に入るべき時期に来ているものと考えますが、県教育委員会として今後どのように取り組んでいく考えかお伺いいたします。  以上二点、教育長にお伺いいたします。  それぞれ明快かつ前向きな答弁をお願いいたしまして、一回目の質問を終わります。(拍手) 30 ◎副議長(原田寿雄君) 暫時休憩します。     午後二時四十五分 休憩 令和三年六月二十二日(火) 午後三時十五分 開議  出席議員    三十三名     一番  一ノ瀬 裕 子     一七番  定 松 一 生     三二番  留 守 茂 幸     二番  下 田   寛     一八番  八 谷 克 幸     三四番  木 原 奉 文     四番  中 村 圭 一     一九番  江 口 善 紀     三五番  藤 木 卓一郎     五番  古 賀 和 浩     二〇番  藤 崎 輝 樹     三六番  石 倉 秀 郷     六番  冨 田 幸 樹     二一番  向 門 慶 人     三八番  土 井 敏 行     七番  弘 川 貴 紀     二二番  坂 口 祐 樹     八番  井 上 祐 輔     二三番  宮 原 真 一     九番  木 村 雄 一     二四番  原 田 寿 雄    一〇番  中 本 正 一     二五番  岡 口 重 文    一一番  野 田 勝 人     二六番  大 場 芳 博    一二番  西久保 弘 克     二七番  武 藤 明 美    一三番  池 田 正 恭     二九番  徳 光 清 孝    一五番  古 賀 陽 三     三〇番  中 倉 政 義    一六番  川 崎 常 博     三一番  石 井 秀 夫 欠席議員    三名     三番  古 川 裕 紀    一四番  井 上 常 憲    二八番  稲 富 正 敏 欠  員    二名 地方自治法第百二十一条による出席者          知        事   山  口  祥  義          副   知   事    坂  本  洋  介          副   知   事    小  林  万里子          政  策  部  長   進     龍太郎          総  務  部  長   元  村  直  実          地域交流部長       山  下  宗  人          県民環境部長       古  賀  英  敏          健康福祉部長       甲  斐  直  美          産業労働部長       寺  島  克  敏          農林水産部長       池  田  宏  昭          県土整備部長       平  尾     健          危機管理・報道局長    野  田  嘉代子          文化・スポーツ交流局長  田  中  裕  之          男女参画・こども局長   原     惣一郎          会 計 管 理 者    大川内   明  子          警 察 本 部 長    松  下     徹          教   育   長    落  合  裕  二          人事委員会事務局長    西  岡  剛  志 職務のため議場に出席した事務局職員          議会事務局長       今  村  盛  史          同    副事務局長          総務課長事務取扱     吉  田     泰          議  事  課  長   岸  川  文  広          政務調査課長       篠  田  博  幸          総務課副課長       碇     一  浩          議事課副課長       原     康  祐          政務調査課副課長     西  田  里  美          議事課議事担当係長    椎  葉  奈  美          同 議事担当主任主査   池  田  陽  介     ○ 開     議 31 ◎議長(藤木卓一郎君) これより会議を開きます。  休憩前に引き続き一般質問を行います。  中本正一君の質問に対する答弁から開始いたします。 32 ◎山口知事 登壇=中本正一議員の御質問にお答えいたします。  九州新幹線西九州ルートに関する協議のプロセスについてお答え申し上げます。  整備新幹線は、地元自治体が在来線の利便性低下や多額の建設費負担など様々な不利益、デメリットを受け入れてでも整備してほしいと手を挙げて進められるものと承知しています。  佐賀県は、これまで新鳥栖─武雄温泉間をフル規格で整備することに手を挙げておりません。「幅広い協議」では五つの方式についてフラットに議論することとしておりまして、これまでに合意していないフル規格とミニ新幹線についても、佐賀県として合点がいくものがあれば合意することもありますが、合点がいかなければ合意することはございません。  佐賀県は、ルートについて様々な御意見もありますので、三つのルートについても検証するために鉄道局の考えを示すよう申し入れたところでありまして、フル規格の実現に踏み出した議論をしようというものではございません。ですから、論点整理というより、数多くの論点が出されるように協議を進める必要があると考えております。  今後の具体的な協議の進め方については担当部長から答弁させます。  続きまして、夜間中学に対する私の認識についてお答え申し上げます。  学びたいという思いに応えていくことは大切だと思います。そして、学ぶことは生きていくことそのものであって、そして、よりよく生きていくことにもつながるもの、とても大切なものだと思います。  これまで私も、高校中退者や不登校経験者が通う専修学校の高等課程に対しまして、学びのセーフティネットとしての機能充実を図るために、運営費を大幅に拡充したり、県が独自に行っている私立高校への入学補助金の対象を拡充させていただいて、中学生の進路選択の幅を広げたりなど、手を入れてまいりました。  夜間中学につきましては、最近多くなってきた、特に外国籍で義務教育を修了しておられない方がおられます。そして、中学校が未修了の方、さらに、修了していても不登校などで実質的には学べなかった方もおられます。こうした方々の学びの受皿となる学校が夜間中学、そして、場合によっては生きていくためにも必要不可欠な場が夜間中学なのではないかと認識しています。  まずは、県内において具体的な対象の皆さんやその状況を把握したいと考えています。県の教育委員会ではニーズ把握のための調査を今年度予定していると聞いています。県教育委員会としてさらなる検討を進めていただければと考えています。 33 ◎元村総務部長 登壇=私からは、新型コロナワクチン接種についてのうち二点答弁をさせていただきたいと思います。  まず、ワクチン接種の本格化への対応についてでございます。  六十五歳以上の高齢者を対象にしたワクチン接種につきましては七月中に完了する見込みでございます。その後、六十四歳以下の方々へのワクチン接種がこれから本格化してまいります。  県内での六十五歳以上の高齢者の数は約二十五万人に対しまして、推計ですけれども、十二歳以上六十四歳以下の方々の数は約四十七万人程度いらっしゃるということになります。この多くの方々に接種するためには、大きく医療従事者の確保とワクチンの供給というのが課題となるのではないかというふうに考えております。
     医療従事者の確保につきましては、現在接種に御協力いただいている医療従事者に引き続き協力いただけるかどうかも含め、これまで以上に医療従事者の確保が必要となってくるのではないか、また、今後の国からのワクチン供給量や供給の時期などが不透明な状況なので、確実にワクチンが供給されるのかといったことが課題だと考えています。  六十四歳以下の方々への接種につきましては、現在市町において順次対象者に接種券が配送されている段階でございまして、今後は医療機関での個別接種、市町の集団接種、職域の接種など、様々な機会を使って接種が進んでいくと考えています。  県では高齢者の接種率が全国一位ということで順調に進んでおりますが、これは医療関係者の協力を得ながら、市町、県も一体となって、チーム佐賀、オール佐賀で取り組んだ成果だと思っておりますし、そうした取組ができることが本県の強みだというふうに思っているところでございます。  今後、六十四歳以下の方々への接種が本格化していく中で、県として引き続き広域的な観点から、医療従事者の確保の調整、それからワクチンの必要量の確保、そういったことにつきまして必要な役割を果たしまして、市町や医療機関と連携しながら、引き続きチーム佐賀、オール佐賀で取り組み、接種を希望する県民の皆様への円滑なワクチン接種を進めてまいります。  次に、ワクチン接種による副反応についてでございます。  議員も御指摘いただきましたとおり、ワクチン接種は県民一人一人が自らの意思で判断する必要があることから、そのためにも正確な情報の提供は極めて重要と認識しております。その中でも副反応の情報は特に関心が高いものと考えています。  ワクチン接種後に副反応が疑われる事例が発生した場合には、それぞれの医療機関などから国に接種者の年齢や性別、接種時の状況、病歴などの情報が報告され、国において集約される仕組みになっています。  厚生労働省の専門家部会に報告された資料によりますと、接種が開始された令和三年二月十七日から五月三十日までに約一千三百万件の接種が行われ、副反応の疑いの報告は約一万件であり、アナフィラキシーと評価されたものは百六十九件報告されております。なお、こういったアナフィラキシーとして報告された多くの例で快方に向かっているとされているところでございます。  県といたしましては、これまでも新聞広告や県民だより、ホームページなどを活用して、ワクチンの効果や特徴、接種の注意点のほか、接種後に想定される接種部位の痛みや発熱、アナフィラキシーショックなどの副反応について周知に努めてまいりました。また、副反応などに専門的に対応できるコールセンターを県が設置し、不安がある方への専門的な相談に乗っているところでございます。  引き続き、県民一人一人が自らの意思で接種を決定できるよう、正確な情報の提供に努めてまいります。  私からは以上でございます。 34 ◎山下地域交流部長 登壇=私からは、九州新幹線西九州ルートについて三点お答えをいたします。  まず、今後の協議の進め方についてでございます。  「幅広い協議」においては五つの方式について様々な可能性を幅広く議論することとしておりまして、現在鉄道局に対しては、議論の前提となる条件や数字のほか、三つのルートについて比較検討できるものを示していただくよう求めているところでございます。  「幅広い協議」が今後どのように進んでいくのか、何か明確なものがあるわけではございません。協議には予断を持たずに臨んでおりまして、議論に必要なものが示されれば、それに対し真摯に議論をしていきたいと考えています。  協議では一つの結論に向かって真っすぐに議論が進んでいくというものでもないだろうと思っています。協議の中でいろんな選択肢を行ったり来たりしながら、また、新たな宿題が出たり、それを検証したりと、そうしたことを繰り返しながら「幅広い協議」は進んでいくだろうと思っています。  また、例えば、数字や条件が示されれば、その内容に不合理な点はないか、それがどのように担保されるのかなどを確認し、メリット、デメリットが示されれば、それが佐賀県にとって本当にメリット、デメリットと言えるのかなど、様々な観点から検証、検討しながら協議を重ねていくんだろうと思っています。  鉄道局との「幅広い協議」は、その名のとおり、様々な可能性について幅広く協議をするものです。県民の皆様にはこうした協議の内容や経過を正確に知っていただくためにも、今後もオープンな形でやってまいります。  続きまして、JR九州との協議についてお答えいたします。  新鳥栖─武雄温泉間は、在来線を利用すること以外に関係者で合意されたものはなく、整備することはもとより、ルートも何も決まっておりません。国土交通省から佐賀県の意向を踏まえながら幅広く協議をするので応じてほしいと呼びかけがあり、現在、鉄道局との間でフル規格を前提とせず、様々な可能性について幅広く協議を行っております。  JR九州との協議についてですけれども、今、佐賀県はフル規格を求めているわけではありません。そうした中でフル規格を前提としてJR九州と協議を行うことはございません。昨年十月の第三回の「幅広い協議」、この中で鉄道局のほうは、「私どもと佐賀県さんとの協議体というのはあるわけでございますので、(中略)私どもに言っていただければ、それをJR九州、あるいは長崎県と、それもしっかり考慮に入れた協議というのを行っていきたい」と述べられておりまして、五月の協議においてもそのことを改めて確認いたしました。JR九州からの話ということであれば、「幅広い協議」において鉄道局を通じて伺うことになるだろうと思います。  続きまして、県民に向けた分かりやすい情報提供についてお答えします。  西九州ルートの問題について佐賀県が鉄道局とどのような協議を行っているかということについて、県民の皆さんに議論のプロセスやその内容を正確にお伝えするため、「幅広い協議」は全て公開で行っており、協議の内容については、その都度、県のホームページにおいて議事録や資料を公開しております。また、これまでの経緯や合意事項などの基本的な情報については、県のホームページに詳細な内容を紹介してきたところでございます。  県民の皆さんへの情報提供は正確なもの、確かなものでなければならないと思っています。不確かな情報では混乱を招くことになると思っています。こうしたこともあり、鉄道局に対して確たる数字や条件を示すよう求めておりますが、まだ示されておりません。  また、現在「幅広い協議」を重ねているところでありまして、情報の内容が動いているというところもございます。どのタイミングで、どのような内容について情報提供を行うべきか、非常に悩ましいところはありますが、今後「幅広い協議」において鉄道局から様々な数字や条件が示されると思いますので、こうしたものを踏まえて県民の皆さんに向けて分かりやすい情報提供ということを今後も様々検討してまいります。  私からは以上でございます。 35 ◎古賀県民環境部長 登壇=私からは、新型コロナウイルスワクチンの接種についての質問のうち、接種を希望しない方等へのワクチンハラスメントに関する質問についてお答えいたします。  まず、ワクチン接種を希望しないことによる差別の相談についてでございます。  県では、様々な人権相談に対応する窓口として、昨年度、県民環境部内に「人権啓発センターさが」を設置しております。新型コロナウイルス感染症に関する相談についても対応しているところでございますけれども、これまでのところ、ワクチン接種を希望しないことによる差別や不利益、誹謗中傷といった相談は受けていないところでございます。  次に、ワクチンハラスメント防止に関する普及啓発についてお答えいたします。  県では、新型コロナウイルス感染症に関する様々な差別をやめるよう訴えるポスター、チラシを作成し、市町や学校、企業等へ配布したり、県内小中学生にコロナで困っている方や医療関係者などへの応援メッセージを募集し、実際に医療関係者などへ手渡した様子のプロモーションビデオを作成し、県ホームページやユーチューブで配信するなど普及啓発を行ってきたところでございます。  議員から御指摘がありましたように、ワクチン接種を希望しない方が差別や不利益、誹謗中傷を受けることがないよう、新型コロナウイルス感染者等への差別防止と同様にしっかりと取り組む必要があると考えております。  具体的には、ワクチン接種ハラスメントに関するポスターやチラシを作成し、市町や学校、企業、団体等へ配布すること、県民だよりをはじめ、新聞、テレビ、ラジオといった県の広報媒体を活用して広報すること、市町へ依頼をしまして市町の広報誌等で広報してもらうことなど、様々なツールや方法によりまして県民への普及啓発に努めてまいります。  続きまして、相談者に寄り添った対応についてでございます。  不当な差別を受けた場合の相談については、先ほど申し上げました県の総合人権相談窓口であります「人権啓発センターさが」で対応することとしておりまして、相談者に寄り添いながら、必要に応じて庁内関係部署や法務局、市町などの関係機関と連携して取り組んでまいります。  続きまして、パートナーシップ宣誓制度の導入についての質問についてお答えします。  三項目の質問をいただいております。  まず、制度設計に向けた今後の取組についてであります。  同性のパートナーと生活を共にされている方から、パートナーが入院した際に家族でないため面会ができない、あるいは、パートナーが事故に遭った際に家族でないため連絡が来ないなどの困り事や不安の声が寄せられましたことから、障壁を取り除いて安心して暮らせる、みんなが自然な形でお互いに尊重し合える、人に優しい佐賀県をつくっていくという考えから、パートナーシップ宣誓制度の導入について知事から指示を受け、検討を開始することとしたものでございます。  パートナーシップ宣誓制度につきましては、どういった方々を対象にするかでありますとか、確認書類をどういったものにするでありますとか、宣誓上の手続的なこと。それと、当事者の生活上の障壁を除くこととして、まず、県としてできる県営住宅への入居を可能にすること、そして、佐賀県医療センター好生館におけるICU面会などを可能にすることについて検討を開始したところです。検討に当たりましては、有識者や支援団体、市町などの御意見もお伺いしながら進めていきたいと考えております。  それと、スケジュールについてでございますけれども、これからの検討や関係機関との調整次第ということもありますけれども、八月中を目途に導入できるよう取り組んでまいります。  そして、県で導入ができました後につきましては、県の制度を市町にも紹介、推奨いたしまして、最終的には市町の判断ということになりますけれども、市町でも導入が広がるように取組を行っていきたいと考えております。  続きまして、性の多様性に関する県民の理解促進に向けた取組についてでございます。  県では、「佐賀県人権教育・啓発基本方針」の中で、性的指向や性自認等を重点課題の一つと掲げまして啓発活動に取り組んでいるところでございます。  例えば、令和二年度には企業幹部等研修会におきまして、LGBTの当事者の方を講師として招き研修会を実施いたしました。また、「ふれあい人権フェスタ2020」におきましても、LGBTに関する講演会を実施したところです。  令和三年度、今年度におきましても、ふれあい人権フェスタにおいてLGBTに関する講演会などを実施するとともに、議員からお尋ねがございましたけれども、県民向けのハンドブックについても、支援団体など関係者の意見を聞きながら今年度作成したいというふうに考えております。  内容的には、多様な性を取り巻く状況でありますとか、暮らしの中での対応状況、それと、パートナーシップ制度などを内容とすることを考えております。ハンドブックができました後につきましては、市町や学校、企業、団体、医療機関などに配布しますとともに、研修会等で活用していきたいと考えております。  続きまして、支援団体が実施します事業への名義後援についてお答えいたします。  県では様々な事業への後援を行っておりますけれども、例えば、昨年でございますと、LGBTsの支援団体が企画されました「LGBTs成人式」に対しまして県の名義後援を行ったところでございます。  これからも支援団体から後援依頼があれば、県の政策との整合性、あるいは公共性、公益性などの観点から、個別に判断させていただくことになりますけれども、支援団体が行いますイベント等については、可能な限り団体の意向に沿うように対応したいと考えております。  私からの答弁は以上でございます。 36 ◎甲斐健康福祉部長 登壇=私からは、社会福祉施設における水害への備えについてお答えをいたします。  初めに、社会福祉施設を含む要配慮者利用施設の避難確保計画の作成状況についてでございます。  水防法及び土砂災害防止法に基づき、市町が地域防災計画に定めた要配慮者施設の避難確保計画の策定状況は、国土交通省の調査によりますと、水防法に基づく今年三月末時点での対象千四百九十二施設のうち、二百二十七施設が計画作成済みで、作成率は一五・二%、土砂災害防止法に基づく昨年十二月末時点での対象百七十五施設のうち、六十八施設が計画作成済みで、作成率は三八・九%となっています。  このうち、社会福祉施設については、これらの法律以外にも施設種別ごとの関係法令や県条例による防災計画の作成を従来から義務づけており、全ての施設において、既存の計画に基づいて利用者の安全確保に努められているところです。  避難確保計画は、これに同様の計画を重ねて作成するものではありますが、近年激甚化する水害や、土砂災害のリスクに特化して備える重要なものと認識しております。対象となる施設の策定が進むよう、第一義的には市町になりますが、県も連携して支援してまいります。  次に、避難確保計画の緊急点検等についてです。  本県における令和二年十一月時点での特別養護老人ホームの実態調査では、対象六十四施設のうち、洪水浸水想定区域内への立地が二十一施設、土砂災害警戒区域内への立地が十四施設、この両方への立地が二施設ありまして、この合計三十七施設に避難確保計画の作成の必要があります。このうち、三十一施設が作成済みで、作成率は八三・八%となっています。  社会福祉施設における避難確保計画の緊急点検についてですが、ハザードマップを用いて施設や避難経路上、避難先の災害リスクを確認したか、避難開始のタイミングが適切かどうか、施設内での安全確保の場合、浸水しない高さの居室があるか、長時間の浸水に備えた備蓄があるか、夜間や休日の避難支援要員の確保を確認したかなどの内容について点検が行われました。五月三十一日時点での市町の調査結果を国へ提出したところでございます。  最後に、今後の取組についてでございます。  避難確保計画をはじめ、社会福祉施設の災害に対する備えの実効性を高める目的で、県では令和三年度から新たに「『いのちを守る』福祉施設災害対応力向上事業」に取り組んでいます。  具体的には、水害や土砂災害などそれぞれの災害ごとに、いつ、誰が、何をするかといった必要な防災行動を簡潔に、「避難タイムライン」という新しい考え方を取り入れ、実効性高く整理するものであり、これができれば、避難確保計画にも簡単に落とし込める、そのように工夫をしております。  この「避難タイムライン」作成についてのオンラインセミナーを五月二十四日から配信しているほか、非常災害物資の購入への補助や、立地状況など困難な課題を抱える施設に防災の専門家を派遣し、伴走支援を行うこととしており、社会福祉施設の施設ごとのニーズや課題に応じて丁寧に支援していきます。  また、令和元年佐賀豪雨災害の振り返りを踏まえ、高齢者福祉施設や障害者福祉施設が被災した場合に備え、相互応援協定を県と関係団体との間で締結したほか、避難所における配慮が必要な方を支援する佐賀県災害派遣福祉チーム──DCATを創設するなど、災害時の福祉的支援の充実に力を入れてきたところです。  今後とも、社会福祉施設に入所されている方をはじめ、配慮が必要な方の命を守るため、災害時の備えについて、より実効性を高めていくよう、市町はもとより、関係団体や社会福祉施設と一緒になって取組を進めてまいります。  私からは以上でございます。 37 ◎落合教育長 登壇=私には大きく二点お尋ねがございました。  まず、低出生体重児等の就学義務の猶予または免除についてお答えをいたします。  法に基づきます就学義務の猶予または免除が認められる場合につきましては、病弱、発育不完全、その他のやむを得ない事由のため就学困難と認められる場合とされております。その他やむを得ない事由の一つとして、低出生体重児等であって市町教育委員会が適当と認めた場合とされております。  このように、この制度の該当の方の相談窓口というのは、まず、市町教育委員会ということになります。  ある市に聞きますと、就学前の健診や相談などに保健師が関わって対応されて、就学義務の猶予や免除が必要と思われる場合は、保護者に制度の説明をされるとともに、当該市の教育委員会へも情報共有がされていると、そういう取組をされているというふうにお聞きしました。  低出生体重児などで就学前に不安を抱えていらっしゃる保護者、あるいは児童に対して、このような取組は有効ではないのかなと考えております。  低出生体重児等の就学義務の猶予または免除につきましては、平成二十五年当時、増加傾向にありましたので、同年十二月、保護者の意向を尊重しつつ、一人一人の児童生徒に応じた就学義務の適切な遂行について、市町教育委員会に通知をしております。この制度については、国のホームページのほうにも掲載されておりますけれども、議員からも御指摘がありましたように、該当される保護者の方がこの制度を御存じとは限らないというふうに考えております。  県教育委員会といたしましては、子育て支援に関わる担当部局と連携するとともに、市町教育委員会に対しましても、一人一人の子供の状況に応じた就学前の相談対応や手続が行われるよう、改めて周知をしてまいりたいと考えております。  次に、夜間中学の設置について二点お尋ねがございました。  夜間中学について、議員のほうからもかなり詳しく御紹介がありましたけれども、平成二十八年に成立した「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」、いわゆる教育機会確保法において、全ての地方公共団体が夜間中学等の設置を含む就学機会の提供、その他の必要な措置を講ずるものとされておりまして、政府の方針としても、先ほど御紹介がありましたように、国会において総理大臣が、今後五年の間に全都道府県及び政令指定都市で少なくとも一校は夜間中学を設置していくという方針を示されたところであります。  夜間中学の教育内容について答弁する前に、御説明をしておきますと、夜間中学での教育内容は昼間の中学校と同じでありまして、週五日間、毎日授業があります。また、昼間の中学校と同じ教科を勉強いたします。教員免許を持った中学校教員が教えます。また、全ての課程を修了すれば、中学校卒業となるとされております。  また、希望者の過去の就学状況や日本語の習得状況などを踏まえ、実情に応じた特別の教育課程を編成することもできるとされております。最近、外国人に対する夜間中学のニーズというのが高まっていると。先ほど議員の御質問の中にもありましたけれども、そういった人たちの多くが必要としている日本語学校とは、夜間中学は教育内容がまた少し違うというところは留意すべき点ではないかなというふうに考えております。  御質問のこれまでのニーズ把握の状況についてお答えをいたします。  本県におきましては、平成二十九年度以降、毎年、市町教育委員会に対して夜間中学の新設に向けた検討の有無、あるいは住民等からの問合せの状況などについて調査をいたしております。文部科学省が隔年で実施しておりますので、国の調査がない年は県独自でやっておりまして、毎年その実態調査を行ってきております。  これまでのところ、県教育委員会や市町の教育委員会に対して、設置についての具体的な要望は聞き取っていないと。また、市町教育委員会においても、夜間中学の設置についての具体的な検討をこれまで行っている状況にはないというふうに確認をしております。  次に、今後の取組についてお答えをいたします。  とはいえ、先ほど議員のほうからも御指摘がありましたように、我が国全体としては、夜間中学のニーズが高まっているという状況がございます。また、さきの佐賀市議会においても、中村教育長のほうが県とも協議をしたいという御答弁をされたというふうにお聞きをいたしております。  我々としては、これまでの調査の中でなかなか把握し切れなかった潜在的なニーズも含めて、突っ込んだ調査を今年度したいと考えております。潜在的なニーズや夜間中学の設置に係る課題などを把握するために、はがきやオンラインによるアンケート調査を実施することとしております。できるだけ多くの方から回答をいただけるように、市町や関係団体の御協力も得ながら工夫をしていきたいと考えております。  また、外国籍の方を対象とした調査につきましては、県の国際課による佐賀県外国籍住民アンケート調査というのを実施する中で、夜間中学に関する項目を追加して実施してもらって、ニーズを把握していきたいというふうに考えております。  市町との協議の場ということですけれども、市町の教育長さん方とは度々意見交換をする機会がありますので、そういった中で、夜間中学についても、ぜひ直接御意見を聞いていきたいというふうに考えております。  こういった調査において、先ほど申し上げたような夜間中学での教育を必要としている人たちを具体的に確認できたらなというふうに考えております。こうしたニーズ調査の結果や市町との協議を踏まえて、県教育委員会として、夜間中学の設置の必要性について検討してまいります。  以上です。 38 ◎中本正一君 登壇=二点再質問をさせていただきます。  まず、九州新幹線西九州ルートについて、論点整理のプロセスについて、知事のほうからはこれからどう集約させるかというより、むしろ、まさに論点を今からどれだけ多く出していくのか、そういったものを中心に、しっかりこの協議の場で議論を深めるというお話であったと思います。  また、山下部長のほうからは、進め方という話の中で、様々な五つの整備方式についての条件や数字、そうしたものを出しながらメリット、デメリットについて議論していくということでありましたけども、最初のほうの答弁の中で、この協議そのものが一つのものを決めていくような場ではないといったような答弁があったのかなというふうにちょっと私が感じまして、そこについてもう一度御答弁をいただければと思います。  それと、パートナーシップ制度の導入についてでありますが、私は問二の中で、制度をつくると。制度をつくることによって、県民の皆様の理解促進を進めていくことにもなるわけでありますけども、さらには、この理解をさらに深めていただくために、LGBTに関するガイドラインの策定についても見解を求めたところであります。この答弁がちょっと漏れているような気がいたしますので、再度答弁のほうをお願いさせていただきたいと思います。  以上で再質問を終わります。 39 ◎山下地域交流部長 登壇=中本議員の再質問にお答えします。  先ほどの私の答弁の中で、一つのある結論を求めていくんじゃないと言ったように聞こえたという話だったんですけれども、お答えしたのは、結論に向かって真っすぐに議論が進んでいくんじゃないということを申し上げたところでした。  協議の中では五つの選択肢があって、五つの選択肢の中にもいろんなバリエーションがあって、そういったものを議論していくと、そこで新しい宿題が出てきたりとか、それに対して答えが出て、またそれを検証したりと。そうすると、こっちの議論をしていると、こっちに影響がしたりとか、そういったことで五つの選択肢を、一つをずっと突き詰めて真っすぐに結論に行くということじゃなくて、やっぱり選択肢の中でいろいろと行ったり来たりしながら、そういったものを重ねながらこの協議というのは進んでいくんだろうということで申し上げたところでございました。  私からは以上です。 40 ◎古賀県民環境部長 登壇=中本議員のほうから、LGBTに関するガイドラインの作成についてお尋ねがございました。  先ほど御答弁しましたように、性の多様性に関するガイドラインといいますか、ガイドブックを作るようにしておりますけれども、そういった中で、当然ながら、性の多様性に関する様々なことについては、どういったところまで盛り込めるかというのはこれからの検討課題ではございますけれども、そういったものを当然そのガイドブックの中で盛り込むようにしていきたいと思います。  それとは別に、ガイドラインということにつきましては、私も今現在、そのガイドラインのイメージが湧きかねる部分もございますので、そのガイドラインなるものについては、改めて検討させていただきたいと思います。
     私からは以上でございます。 41 ◎議長(藤木卓一郎君) 本日の会議はこれで終了いたします。  明日二十三日は一般質問、請願上程、議案及び請願の委員会付託を行います。  本日はこれで散会いたします。     午後三時五十五分 散会 Copyright © Saga Prefectural Assembly Minutes, All rights reserved. ページの先頭へ...