最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ○ 開 議
◎議長(藤木卓一郎君) これより本日の会議を開きます。
昨日に引き続き一般質問を行います。
通告に従い、順次発言を許可いたします。
2 ◎古賀陽三君(拍手)登壇=皆さんおはようございます。早速質問に入りたいと思います。
社会的養護が必要な子供たちの支援についてということでございます。
この
社会的養護とは、親の病気、離婚、経済的理由、虐待など、本当に様々な事情により実の親の元で暮らすことができない子供を公的な責任の下で保護、養育することを言い、全国に約四万五千人、佐賀県には約三百人、この
社会的養護には、乳児院や
児童養護施設などで生活する施設養護と、里親宅や
ファミリーホームで生活する家庭養護があり、佐賀県では約七割の子供たちが施設で生活をしています。
二〇一七年八月、国において「新しい
社会的養育ビジョン」が取りまとめられ、
家庭養育優先原則の実現に向けた里親等への委託率の目標などが示されました。佐賀県でも
社会的養育推進計画を策定し、子供たちをできるだけ家庭的な環境で育てる里親委託を推進されています。
子供は本来、特定の大人との愛着関係の下で養育されることにより
自己肯定感を育み、家庭において適切な家庭生活を経験することで、将来自らが家庭生活を築く上でのモデルとすることができ、さらには家庭生活の中で人との適切な関係の取り方を学び、身近な地域社会の中で必要な社会性を養うといったことが言われており、そうした効果が里親制度には期待をされています。
実際、私も今、養育里親として里子の養育を行っています。振り返ると、施設から大泣きする子供を家に連れて帰った日から、里子養育とはまさに驚きの連続でした。周囲の大人の全てをパパ、ママと呼んでいたこと、分離不安がなくて、外出先でこちらを振り返ることなくどこまでも一人で行ってしまう子を慌てて追いかけたりもしました。試しに隠れてみても、探すこともなければ泣くこともない。そして、いわゆる試し行動と呼ばれる行動が続きました。実子がどう受け止めているか、どう感じているかといったこともあって、委託解除を考えたことも正直ありました。我が子の育児とはまるで異なる経験をしました。
その中で、里親として子供の成長に途中から関わる養育の難しさ、親としての立ち位置、関わり方への迷いなど、実際に養育に携わって気づくことが数多くあります。
現在、佐賀県では「子育てし大県”さが”」を掲げ、出会い・結婚から妊娠・出産、子育てまで様々な取組を推進されています。私自身も大変いい施策だと思っていますが、困難を抱えた子供たちにしっかり目を向け、困難を抱えた子供たちを育てる里親家庭にも寄り添うことで、社会全体で子供を支える仕組みがより一層整っていくことにつながればと思っています。
そこで、幾つかの点について伺います。
社会的養護に対する知事の認識についてであります。
社会的養護の状況、そしてまた、この言葉自体、なかなか理解や認知度が低い今の現状があるのではないかなというように思っています。先日、二〇二〇年度、県内の児童相談所が対応した児童虐待の相談件数が八百九十八件と、過去最多だったということが公表されていました。これはあくまでも虐待に対する相談件数であり、
社会的養護とは、虐待のみならず本当に様々な事情を抱える子供たち全てであり、今後、
社会的養護を必要とする子供たちは増加するのではないかと懸念をしています。まずは
社会的養護を知ることから、他人事とせず関心を向けてもらうことからだというふうに思っています。そうした中で、社会からの、この
社会的養護に関する理解が少しずつでも深まっていくのではないかと私は思っています。
この
社会的養護について知事はどのように認識しているのか、またどのように取り組んでいこうとするのか伺いたいと思います。
次に、里親に対する支援についてであります。
先ほど少し申し上げましたが、実際の里子養育はまさに驚きの連続でもあります。受け入れる子供の年齢、実親の事情、子供の生育歴や特性、そして受け入れる里親側の家庭状況など、家庭ごとに様々です。
そうした中で、現在、里親からの相談窓口として里親の悩みなどを受け止め、解決に向かう、そういった手助けをしていただいているのが
里親等相談支援員と呼ばれる方々です。里子養育において、まさに不可欠の存在であると私は思っています。
現在県では、昨年度から
里親支援事業を民間に委託をしているものと認識していますが、具体的にはどのような内容となっているのかお尋ねをいたします。
次に、今後の取組についてであります。
実親の元で暮らすことのできない子供は、日本では
児童養護施設で暮らすことがまだまだ一般的であり、里親であることを驚きを持って受け止める方が多数だと実感をしています。
一方、欧米諸国では、里親などの家庭で育てることが常識となっていると伺っています。
現在の自身の経験からも、家庭という場所には施設とはまた異なる経験がぎっしりと詰まっており、家庭で過ごす一見何げない日常、ただ、この何げない日常が私たちにとっては当たり前であっても、実はその子にとって当たり前ではなかったということに、一緒に生活をして気づくことが多々ありました。ただ、その日常の中で経験を重ねていくことこそが、子供たちが社会を生き抜く上で大きな力になるのではないかと私は感じています。日本でも家族の在り方の一つとして里親がまれな存在ではなくなることが理想ではないかなと私は思っています。
現在、国の「里親委託・
施設地域分散化等加速化プラン」を受け、佐賀県でも
里親支援事業に取り組んでいただいています。しかし、このプランの期間は令和六年度末までとなっています。四人に一人の里親が、里親としての子育てを一年未満でギブアップしてしまうという数字がありました。これはまさに里親養育の困難さを表している数字だなと私は思いました。
社会的養護において
里親支援事業は最も重要なものであります。そうしたことから、里親支援などの業務に携わる方々が、長期にわたり継続してその業務を全うできるようサポートすることが、ひいては
社会的養護を必要とする子供を守り、育てることにつながります。十分な予算の確保、事業の実施体制の確立など、広く現場の声を取り入れていくことが必要だと感じていますが、県として今後、里親の支援にどのように取り組んでいこうとするのか伺っておきたいと思います。
次に、「
佐賀支え愛食事券事業」について伺います。
新型コロナウイルス感染症の拡大は、外出自粛などの影響により人々の日常や生活様式など大きな変化を余儀なくされました。こうしたことが地域の多様な産業に様々な影響を与えていると思っています。特に飲食を介する場での感染リスクが非常に高いということから、
飲食店事業者はこれまで営業時間短縮などへの対応が求められ、
店舗経営者のみならず、食材を納入する業者、食材生産者など、関連する多くの方々が大変厳しい状況にあると思っています。
そうした飲食業に対して官民一体型の需要喚起を図ることを目的とし、二五%のプレミアムがついた食事券を発行する「Go To
Eat事業」が行われています。佐賀県では「SAGAおいし~と食事券」として現在も販売、利用がなされています。発行部数は六十万冊、そのうち約四十七万冊は既に購入をされていますが、十三万冊が残っているといった現状でございます。
その「SAGAおいし~と食事券」の後継事業として「
佐賀支え愛食事券事業」の予算が今議会に提案されていますが、今回提案されている事業実施に当たっては、実際の効果等の判断を踏まえ行っていくべき必要があるのではないかと私は思っています。
そこで、幾つかの点について伺いたいと思います。
まず、「SAGAおいし~と食事券」の効果についてであります。
今回の
支え愛食事券事業については、私は、正直少し待ってもいいんじゃないかなといったようなことを思いました。というのは、昨日の定松議員の
事業者支援に関する一般質問の中でも、「
佐賀支え愛食事券事業」について触れられていました。残りは十三万冊、これは多い、少ないの判断はそれぞれの受け止め方もあるというふうに思います。ただ、十三万冊の見通しについては、八月末までには完売予定であること、そして外での飲食を控える状況がある中で、現在の食事券に引き続き飲食店及びその取引業者を切れ目なく支援していこうと、そうした事業実施の目的については、昨日の答弁からも理解ができるところであります。切れ目なく実施していくことは必要かもしれないけれども、やはりその効果というものを検証することも必要じゃないかということを思ったからです。
昨年のコロナ発生以来、この議会に様々なコロナに関しての補正予算等も提案をされます。そうしたときに、大体コロナにおいて厳しい状況にあることからといったことの説明がほとんど、感覚的に私たちは十分理解することもあるけれども、やっぱりこうした事業を行っていくに当たっては、現在行われている「Go To
Eat事業」が実際に県内の飲食店の支援にどれだけの効果を果たしているのか、発揮したのか、この事業は売って終わりではなくて、使って初めて効果が出るものであるから、実際に販売されたものがどの程度実際に飲食店で利用されたのかといったような具体的な数字等を示す必要があると私は思っています。これは飲食店の事業者からの評価もあると思います。その上で、一定の効果があると認められれば、引き続き実施していくという判断がなされるべきではないかと思っています。
県として、この「おいし~と食事券」の効果をどのように認識しているのかお尋ねをいたします。
次に、
次期食事券事業についてであります。
コロナ禍で比較的短期間に私たちの生活は一変しました。外食を控え、家飲みといった言葉も浸透しつつあるのかなと感じています。これだけコロナが長期化してくると、こうした生活に慣れ、コロナ収束後も以前ほど外で集まって飲食する機会が減ってしまうのではないかとすら懸念をしています。
そうした中で、実施を予定している今度の事業、こういった事業があるけどどうかなといったことで少し聞いたりもしてみました。やっぱり一万円より四千円が買いやすいといったような声もあるのは事実です。その中で、そういった事業があるのであれば、少し待ってこっちの事業のものを買ってみようかなといったような声も聞かれました。こうした事業を実施することで、少し買い控えする方も、考え過ぎかもしれませんけれども、そういった事態にもなるのではないかといったようなことも考えられます。
そして、昨日の答弁で、販売促進の工夫ということで
エリア指定をやめると、販売店の確保に努めるといったことが言われていました。こうしたことは引き続きやっていく必要もあるというふうに思います。
そしてもう一点、今行われている「Go To Eat」の「おいし~と食事券」に参加している方がそのまま継続して参加をしていくことができるかといったような心配をされている方がいらっしゃいます。継続が難しいとなれば、改めて事業者の方は申請をし直さなければならない、そういった手間もかかるといったような声も聞かれてきているところです。
そうしたことで、
参加事業者が減少することもあり得る。そのままの参加であれば、ある程度、今一定の千九百ちょっとの
飲食店事業者の加盟は維持することができる。そこからさらに増やすといった取組をやっていければ一番いいものになるんだろうというふうに思っています。そうした中で必要な改善、そして工夫を盛り込み、より支援につながるような事業として次につなげるステップが必要ではないでしょうか。
次期食事券の実施にどのようにつなげていこうとするのか伺っておきたいと思います。
次に、
スポーツ政策に対する県の姿勢についてであります。
佐賀県では、「SAGA2024」
国民スポーツ大会・
全国障害者スポーツ大会を契機に、
SSP構想や、「SAGA2024」に向けた
競技力向上への取組、アリーナをはじめとした
SAGAサンライズパークの整備など、ハード、ソフト両面にわたり、現在様々な取組が行われています。
また、昨年はサガン鳥栖、
佐賀バルーナーズなど、本来自立した経営基盤の中で運営がなされるべき
プロスポーツチームに対しても、コロナ禍といったことを理由に支援が行われたところです。
ハード整備については、
SAGAサンライズパークをはじめ、「SAGA2024」に向けた会場整備など、平成二十九年度から昨年度までの四年間で百四十三億円が現在執行されています。また、
競技力向上に向けた競技団体などへの支援も、同じく四年間で十三億円が執行されています。県の財政支出も相当なものとなっているのではないかと感じています。
そして、今議会においても、
アスリート寮の整備に三億五千万円、イマリンビーチビーチハウスの施設整備などが提案されています。
スポーツの力を生かした人づくり、
地域づくりを進めるといった県の姿勢といったものには一定の理解を示しつつも、国スポを契機に県が行う
スポーツ政策といったものに対してどれだけかかるんだろう、どこまでかけるんだろうと正直に感じてしまいます。果たしてこの現状は広く県民に許容される範囲のものだろうかといったことも感じているところであります。議決に際しても、正直悩ましく感じるときもあります。
また、今後、国スポに向けて
SSP構想も動き出している現状で、なかなかこの
SSP構想といったものはやめることはできない、ずっと続いていくものだといったことが予測をされる中で、こうしたことに予算を含めてどの程度の具体的な計画がなされているのかといったことを、一定程度の見通しを示して、しっかりと理解を求めていくことも必要になってくるのではないかと私は思っています。
今後も、「SAGA2024」の大会開催費や運営費等の予算、そして、
SSP構想に基づく人材育成、競技団体への支援に関する予算などが提案をなされるものだと思っています。県としては、こうした投資がスポーツをする一部の人のためだけの投資にならないよう、より多くの方々に理解が得られるようにすべきであると思っています。
現在、県政においてスポーツが占めるウエートは極めて高いものであり、国スポ開催をはじめとして、これだけ多額の予算を投じて
スポーツ政策を行う意義や必要性を改めて考える必要があるのではないかと思っています。
スポーツ政策に対する県の姿勢について、文化・
スポーツ交流局長に認識をお伺いして、質問を終わります。(拍手)
3 ◎山口知事 登壇=皆さんおはようございます。
古賀陽三議員の御質問にお答えいたします。
社会的養護に対する私の認識についてお尋ねがございました。
親の病気や離婚、経済的な困窮、あるいは虐待などにより、家庭で暮らすことができない子供たちがいます。そうした子供たちを我々が責任を持って社会的に養育し、その成長と自立をしっかりと支えていくこと、まさに社会全体で子供を育むことが強く求められていると認識しています。
中でも、家庭的な環境での養育の受皿となる里親は、
社会的養護の重要な役割を担っています。親元から離れ、心を痛めた子供たちを自身の家庭に迎え入れ、温かく養育していただくのが里親です。当たり前の日常を知らなかった子供たちを、成長途中から養育する困難さをいとわず受け入れていただいております古賀議員をはじめ、里親の皆様に心から敬意を表します。
人格形成をする重要な乳幼児期や幼少期、大切な青年期を生きる子供たちにとって必要なものは、愛情とそれを享受できる場所だと思います。
家庭での暮らしを知らない子供たちは、自分だけを見てくれる大人の存在を知りません。当たり前の愛情のある家庭での暮らしの中で里親から愛情を受けることで、自分の存在が受け入れられているんだという安心感が生まれ、
自己肯定感に結びつきます。家庭のありようを学び、人との関係で不可欠な信頼感も獲得できると思います。まさに里親は、愛情と場所を与えることができる大切なものだと思っています。里親宅での生活を通じて、子供たちの健やかな成長と自立につなげていただいていることに改めて心から感謝いたします。
一方、里親としての子育ては、それまでの里子の生育過程が影響するなどいたしまして、愛情の試し行動、お話がありましたけれども、この試し行動があるなど大変な御苦労があると認識しています。
そもそも、
子育てそのものが予期せぬことの連続です。子の個性があります。そして、二人目以降になりますと、上の子がまたいろいろな動きをしていきます。何でだろうと驚いて悩むことが多いのがそもそもの子育てであります。それにこの里子ということになりますと、さらに何でだろうという悩みが深まるわけでございます。
中には、古賀議員からお話がありましたように、里子の急激な感情や行動の変化に対応できずに里親を続けることを断念される方もおられます。
里親による養育は個人的な養育ではなく、社会的な養育、つまり、社会全体で育てていくことだと思います。里親だけが頑張るのではなくて、これは実子の子育ても同様なんですが、地域社会との交流なども含めて、皆で負担を分かち合うことが何よりも大切だと思います。里親が悩みや不安を一人で抱え込んで孤立することがないように、その悩みに耳を傾け、サポートを徹底するなど、しっかりと県も支えていかなければならないと自覚しています。
社会で養護すべき子供たちを里親にたくさんの愛情を注いで育てていただく、その里親を我々がしっかり支える、そうした環境をつくってまいりたいと思います。
現在取り組んでおります「子育てし大県”さが”」では、寄り添う子育てを掲げています。里親の子育てや悩みに寄り添い、そして、
社会的養護が必要な子供たちに関わられている皆様と一緒になって、佐賀県で生まれ育つ全ての子供たちにしっかりと目を向けて取り組んでいきたいと考えています。
4 ◎
寺島産業労働部長 登壇=私からは、「
佐賀支え愛食事券事業」について二点お答えいたします。
まず、一点目の「SAGAおいし~と食事券」の効果についてでございます。
「SAGAおいし~と食事券」は、国の「Go To
Eat事業」を活用いたしまして、一万円で一万二千五百円分の食事に利用できる券を六十万冊、額面で総額七十五億円という規模で発行されており、この発行規模は人口一人当たりの額としては全国で三番目に大きいものでございます。
そして、販売状況についてでございますが、議員からも御紹介がございました飲食店への時短要請に伴う
販売停止期間ですとか、感染拡大の影響などで販売が少し低調となった時期もございましたけれども、販売実績は六月十三日時点で全体の約七九%の約四十七万冊、額面で約五十九億円が販売済みとなっており、ここ数カ月と同様のペースでいけば、八月末の販売期限までには完売になると見込んでおります。
それでは、実際に飲食店で使われているのかといったことが議員からも御指摘がございました。
飲食店の方々から効果を実感する声もいただいております。また、実際に金融機関で換金された額は、六月十三日時点で約四十九億円となっておりまして、これは販売実績に対する換金率で見ますと、約八二%と高くなっております。
コロナの影響で
消費マインドが冷え込む中で、飲食業及びその取引業者などへの支援策として大きな効果が発揮されているものというふうに認識をしているところでございます。
二点目といたしまして、
次期食事券事業について、改善、工夫をしてどのようにつなげていくのかというお尋ねがございました。
長引くコロナ禍により、飲食店の利用を控える傾向が続いております。国の「Go To
Eat食事券事業」の終了後も、飲食店、そして、その
取引業者等は厳しい状況が続くことが見込まれますことから、
プレミアム付食事券を県独自に追加発行することとしたものでございます。
具体的には、現在の食事券の利用期間が九月末までとされておりますことから、切れ目のない支援を行いますため、県独自の食事券は十月から販売利用を開始し、また、販売は十二月末まで、利用は一月末までとすることで、忘年会や新年会などの年末年始の需要を喚起し、短期間で事業の効果が上がるようにしたいというふうに考えております。
また、現在の「SAGAおいし~と食事券」につきましては、幾つか課題もございます。このため、利用者の皆様方からの御意見も踏まえまして、大きく三点見直しをすることとしております。
まず一点目は、
エリア指定についてでございます。
現在の食事券では、例えば、佐賀市など特定のエリアに利用が集中することを避けるため、
エリア指定券というものを設けておりましたけれども、実際にはむしろ北部のエリアですとか、あるいは西部のエリアで多く購入をしていただき、その結果、残りが少なくなったということもございましたので、
エリア指定券は四月二十七日をもって廃止をしております。次の食事券につきましても、
エリア指定券を設けず、全て全県で利用できるようにし、利便性の向上を図ります。
二点目といたしまして、現在は一冊一万円で一万二千五百円分の利用が可能というふうにしておりますけれども、この一万円というのは負担が大きいといった声が寄せられましたことから、次の食事券では一冊四千円で五千円分の利用が可能というふうに一冊当たりの金額を四千円に引き下げて、より手軽に購入いただけるようにいたします。
三点目といたしまして、現在は千円券主体としておりますけれども、もっと五百円券が多いとランチで使いやすいといった声が寄せられましたことから、ランチから夜の飲食まで様々な場面で利用していただきたいという思いから、五百円券四枚と千円券三枚の組合せとすることにより購入利用を促進したいと考えております。
また、議員から加盟手続の負担を懸念する声があるといった指摘がございました。
国の「Go To
Eat事業」から切れ目のない支援を実施していくということからしても、飲食店の方々の事務負担の軽減というのは重要でございます。このため、県事業に参加をしていただく飲食店の加盟手続につきましては、できるだけ事業者の方の負担にならないよう、簡素な制度設計となるように検討してまいります。
このほか、食事券の販売場所の確保についても努めてまいります。
県独自の食事券の発行によって、引き続きオール佐賀、支え愛の気持ちで飲食店を御利用いただき、さらなる支え愛の広がりにつなげてまいりたいと思っております。
私からは以上でございます。
5 ◎田中文化・
スポーツ交流局長 登壇=私からは、
スポーツ政策に対する県の姿勢についてお答えします。
スポーツは様々な力を持ちます。アスリートが活躍する姿は見る人の心に響き、感動を与えます。このスポーツの持つ人の魂を揺さぶる本質的な力を
アスリート育成に限定することなく、
地域づくり全般に波及させていくことはこれからの佐賀にとって大変重要なことと考えています。
このため県では、
SSP構想を掲げまして、スポーツを「する」人だけに着目せず、「育てる」、「観る」、「支える」といった県民お一人お一人が自分なりのスタイルでスポーツに関わっていくというスポーツ文化の拡大を目指しておりまして、この考えの下、「SAGA2024」も、「すべての人に、スポーツのチカラを。」をメインメッセージに準備を進めているところでございます。
これを具体化する予算につきましても、スポーツを生かした人づくり、
地域づくりを進める中長期的な観点から、佐賀県の未来につながる投資といたしまして必要な予算をお願いするとともに、一方では、様々な取組において、これまでスポーツに関わりが薄かった民間企業などの協力も幅広くお願いし、協力をいただいているところでございます。
「SAGA2024」まで残すところ三年となりました。「SAGA2024」の開催に向けて、今後はスポーツを「支える」人や「観る」人が中心となる取組を加速していくこととなりますが、その中で、より多くの人にスポーツの力を生かした人づくり、
地域づくりに関心を持っていただき、一人でも多くの方々に関わっていただけるよう取り組んでまいります。
ハード整備につきましては、これまで長年にわたり、競技団体の要望に十分に対応できずにいた整備も含め、「SAGA2024」の開催を控え、最も効果を発現できるこの機会に整備を進めております。ただその整備も、「SAGA2024」の後の
競技力向上やスポーツ以外の各種イベントなどでの活用も念頭に置いて具体的に整備を進めております。
例えば、既に完成した
SAGAサンライズパークのフェンシング場は、日本で唯一のJOC──日本オリンピック委員会競技別強化センターと指定され、日本フェンシング協会と連携した日本代表選手の合宿や、それによる佐賀商業高校フェンシング部などのレベルアップにもつながる利用が進んでおります。
また、SAGAアリーナについては、多目的アリーナとして整備を進めておりまして、スポーツイベントに限らず、コンサート、文化芸術イベント、学会、展示会等のいわゆるMICEの誘致も進めることで、これまで佐賀で実現できなかった様々なシーンが生まれ、「さが躍動」の象徴となるよう利活用に力を入れてまいります。
今後とも、ハード、ソフトの両面にわたり、
SSP構想の理念の下、スポーツの力を生かした
地域づくりを一つ一つしっかりと形にしていくことで、後世の人から佐賀の未来にとって必要な投資をしてよかったと言っていただけるようにしっかりと取り組んでまいります。
私からは以上でございます。
6 ◎原男女参画・こども局長 登壇=私のほうからは、
社会的養護が必要な子供たちの支援についての御質問のうち二問お答えしたいと思います。
まず、里親に対する支援についてですが、昨年度から支援事業を民間委託しているが、内容はどうなっているのかという御質問がございました。
里親支援の業務には大きく四つございます。一つ目が里親の普及啓発、リクルート及びアセスメント、二つ目が里親に関する研修、三つ目が子供と里親家庭のマッチング、四つ目が里親への支援でございます。
こうした一連の業務につきましては、これまで本県では中央児童相談所がその業務を行ってきたところでございますけれども、里親に近い立場での寄り添った支援でありますとか新規里親の掘り起こしなどに民間の力を活用しながら、協働で効率的に事業を進めるということで、この支援業務を段階的に民間のほうに委託をしておるところでございます。
具体的に申し上げますと、昨年度でございますが、普及啓発、研修、そしてマッチング、こうした業務を乳児院と
児童養護施設を運営する社会福祉法人のほうに委託をしております。この法人は、佐賀市内のほうに活動の拠点を置いて、普及啓発のためのパネル展でございますとか、里親登録のための研修、未委託──まだ委託をしていない里親への家庭訪問などに取り組んでいただいておるところでございます。
さらに、今年度からでございますけれども、里親に身近な地域での相談体制を充実させて、きめ細かな支援につなげるということで、県内を四ブロックに分けた形で、そのブロックごとに新たに
児童養護施設等を運営されている法人に訪問支援事業の部分を委託したところでございます。
基本的には、委託先の各法人が主体的にこの支援業務に取り組んでいただくこととしておりますけれども、業務全体のコーディネートの機能につきましては引き続き児童相談所が担っておりまして、委託先の各法人との情報共有を徹底し、協働して里親の支援に当たっているところです。
具体的に申し上げますと、児童相談所におきまして毎月定期的に各法人の相談支援員さんとの事例検討会などを実施して、必要に応じ、適切なアドバイスを行うほか、特に心理面での支援が必要なケースにつきましては児童相談所が積極的に関わっておるところです。
今後とも、委託先の各法人としっかり連携をしながら対応していきたいというふうに思っております。
もう一つの問いが今後の取組についてでございました。
育て親を必要といたします子供たちはやはり年齢も様々でございます。そして、今いろんな施設に入所されておりまして、その施設も県内各地にございます。そういった子供たちとのマッチングを考えれば、やはり様々な地域により多くの里親登録者を確保することが重要ではないかと考えております。
そのために、効果的な普及啓発、リクルート、こういったものが必要になりますけど、現在委託しておる法人のほうでは、例えば、里親カフェを開催されたり、サロンを開催されたり、あるいはパネル展といった、そういう民間ならではのノウハウをお持ちでございますので、そういったことを効果的に活用しながら、今以上に幅広く里親の掘り起こしに取り組んでいきたいと考えております。
一方、里親さんのほうは、知事も御答弁申し上げましたけれども、やはり様々な苦労や悩みを持たれているところでございます。そうした里親の方がいつでも悩みを身近なところで相談できるように、四ブロックにそういう相談支援の拠点を置いておりますので、しっかり寄り添って丁寧な支援を充実させたいと思っております。それによりまして、里親さんのほうが安定的、継続的に養育していただけるよう、しっかりバックアップをしていくつもりでございます。
本県では里親支援業務を行う機関は「こねくと」というふうな名称で呼んでおりますけれども、佐賀市内にありますその「こねくと」のほうを訪問させていただきました。これは昨年から委託をしている法人の方がそこで支援員さんとかがいろいろ活動されているわけでございますけれども、やはり一生懸命活動されております。熱意を感じました。その場所も住宅地の中に普通の住宅を借り上げた形でありまして、里親の方が気軽に相談しやすいなという印象を受けたところでございます。本当にそういった活動されている皆さんは、里親にとって心強い味方でございます。こういった「こねくと」は大切な居場所なのだということで改めて思いました。こういう方々に里親の方が支えられているんだなということを実感した次第でございます。
里親支援業務のほうは、昨年度からは里親リクルートなどの委託、今年度からは四カ所の支援業務の委託を始めたばかりでございます。まずは、今の体制でしっかりと里親支援の業務をやっていきたいと考えております。
今年度ずっと事業を続けていく中で様々な課題なり、問題点など見えてくるのではないかと思っております。そういう場合は、現場で働かれている、活動されている、そういった相談員さんの現場の声もしっかり酌み上げて、改善を加えて、よりよい事業にしていかなければならないと思っております。
この事業は当然今年度で終わるわけでございませんので、次年度以降につきましてもしっかり改善をして、必要な予算につきましても確保できるように、私努めてまいりたいというふうに思っております。
やはり困難な環境にある子供たちをしっかり守っていかなければならないという強い思いを持っております。そういった子供たちが家庭的な環境の中で健やかに育つことができますように、引き続き里親支援に取り組む皆さんとともに全力で取り組んでまいりたいと思います。
私からは以上でございます。
7 ◎古賀陽三君 登壇=それぞれ答弁をいただいてありがとうございました。知事からもすごくメッセージを感じ取ることができました。
私が今、里親をする中でこうした立場をいただいていることで、例えば、児相と直接話をしたりとかできる立場にあるんです。ただ、共働きをしながら、サラリーマン家庭とかしながら熱心に取り組んでいただいている方というのは、なかなか声を上げたくても上げられないと、行政からこう決まっていますからと言われたら、どうしても、そうですかと、決まりならしようがないですねというようなことがあるんです。具体例を申し上げることはいたしませんけども、実際、私も子供を家に連れて帰って、「役所はそういった対応なのか」といったようなことがございました。具体的には申し上げることはいたしません。その中で、最初は妻が対応していましたけども、これはどうしようもないなということで、実際に私が市役所を訪ねて、
社会的養護について、家庭養護はこういったものだと、施設養護はこういったものだというようなことを説明して、やっとこさ理解をしていただいたと。
そのときにおっしゃったのが、「そういった前例がなかなかない」といったようなことを役所の方がおっしゃいました。
県として里親をどんどん増やしていこうといろんな計画も策定をして取り組んでいただいていますが、行政側の理解も少し必要じゃないかなといったことを、改めて私自身がそういった対応に対して思ったわけなんです。
原局長から先ほど実際に「こねくと」も訪ねていただいていて、「こねくと」の方も大変喜んでありました。そういった面では、原局長の先ほどの答弁、僕は本当にすごくありがたいなというように思いました。というのは、今行っている体制で問題があれば、しっかりと見直していくということ、そして、予算もしっかりと確保に努めていきたいということ。僕はこういった業務を行うにはやっぱり人であり、人を雇うにも予算がすごく必要なんです。今の「こねくと」の現状を見ても、仕事は持ち帰ったりとか昼休みも取れないと、そういった状況で熱心に取り組んでいただいていますので、引き続き見守っていただきたいというふうに強くお願いをしたいと思います。
原局長に一点、行政に対する理解ということをしっかり行っていく必要があるというふうに思いますけども、その点での取組について答弁求めたいというふうに、非常に難しいと思いますけども、やっぱり行政の理解がすごく必要だというふうに私は思いますので、その点についてお答えいただきたいというふうに思います。
田中局長さん、スポーツに関して答弁をいただきました。
競技力向上等々についてもお話をいただく中で、知事の演告の中では、すごく今結果が出ている部分に関しては示していただいています。一方で、
SSP構想というのは実施をされて今、二、三年ですかね、それまでというか、ずっと
競技力向上には取り組んできていただいたものだというふうに思っています。
あと、これは通告外ですけれども、与党検討委員会の山本委員長さんが今日の本会議終了後、山口知事、そして藤木議長さんに面会をされるというお知らせが昨日ありました。山口知事に対してはどういう思いで、どういうスタンスでその会談に臨むのか、教えていただきたいと思います。
次に五項目め、長崎本線の上下分離後の利便性確保についてであります。
来年の秋、新幹線は部分開業をいたします。そして、私たちの地域は並行在来線、経営分離ではなくて上下分離方式という手法が取られ、下のほうですね、鉄路や駅舎の管理については佐賀県と長崎県が一般社団法人を立ち上げられ、今、順調に準備を進められています。上下の上、上物についてはいろんな変化があっています。そもそもは肥前山口から諫早間については非電化、基本的には普通列車も特急もディーゼル列車を走らせますというお話でした。しかし、来年の秋は、特急本数、今鹿島まで五十三本が、取りあえずは十四本は確保されていますので、ここの区間については、鹿島までについては、やっぱりディーゼルではなくて電化の特急を走らせたいということで、電化設備を鹿島まで残しますというお話でした。ああ、特急が走るんだな。
そして、先日の報告では、JR九州から普通列車の一部をこの電化区間に走らせたいと。ただ、肥前鹿島駅はレールが二本しかありません。そこに特急と普通列車の電化と非電化、三本が乗り入れするということになると、物理的に無理になりますので、その先の肥前浜駅まで電化を残すということにいたしたいと思いますという申出があったそうで、佐賀県もそれを了承した。一見うれしいことなんですね、一見うれしい。浜地区の皆さんたちは喜んでおられます。浜地区は酒蔵ツーリズム等々で地域が元気、物すごく頑張っておられます。それが報われたということで、私自身も喜んでいる。
その一面、肥前浜から以南、南のエリアの皆さんたちは少し心配が増したということなんですね。肥前七浦、肥前飯田、多良、肥前大浦の皆さんたちは、うん、浜まではいいでしょうけど、私たちの地域はいずれ廃線になるんですかというお話。というか、まずは乗換えが何回必要なんですか、もしかしたら浜の皆さんたちは佐賀まで行くのに乗換えなしで行けるかもしれない、電化ですから。しかし、七浦の人はどうなんでしょう。
当然、電化と非電化ですから、全部乗換えになるのか、ディーゼルが一部電化区間を乗り入れするのか、全くこれからの話なんでしょうけれども、私は肥前浜駅で乗換えなければならない可能性が大いにあるというふうに危惧しているんですね。すると、博多まで特急で行こうと思ったら、肥前浜駅で乗換えて、肥前鹿島駅で乗り換えてやっと博多まで行ける、二回乗換えが必要ということになりますね。
普通列車もそうですね、肥前浜駅で乗換え。武雄方面は肥前山口で絶対二回乗換え。佐賀方面は一回で済むのかもしれない。乗換えの一回と二回って全然違うと思うんですね。私たちはまだいいのかもしれませんけれども、おじいちゃん、おばあちゃんは大変なことですよ。
私も、東京に行ったときに、一回乗換えだったら何とか目的地に着くことができる。しかし、二回乗換えとなったら、ちょっと戸惑うんですね。時間内に目的地に到達できるだろうかという不安を持ちます。それだけやっぱり一回と二回というのは大きな差があるんだと思いますので、どうなるかは全く分かりません。私たちがここで発言をしないと、JR九州は勝手にダイヤを組んでしまうんですね。ですから、注意をさせるために、こういうところでも発言をしておかなければならない。そして、交通政策部においても、私たちの意見を、浜から以南の皆さんたちの意見もきちっと届ける努力を続けてほしいと思います。
最後、六項目め、有明海の再生についてであります。
諫早湾が締め切られて四半世紀が過ぎようとしています。ノリは順調、ノリの東部地区は順調、ノリの南西部地区は残念ながら全然順調ではありません。昨年も赤潮、そしてノリの色落ちで大変な状況でした。
そして、漁船漁業はもっと深刻、海に出れない、とる魚介類がいない状況が一定期間続くんですね。そういう状況を私たちは何とかしたいというふうに思っている。
そういう状況において、一点目はまず裁判です。
和解協議の実現に向けた国への働きかけについてであります。
なぜ和解という状況になっているか。普通は、一般的には話合いで決着がつかないから裁判に打って出るんですね。そして、裁判所が下した判決をもって皆さんが従う、その行動になるんですね。しかし、残念ながら、今回の件はそうではない。
二〇一〇年十二月に裁判は確定しました。三年以内に五年間の開門調査を実施せよ。しかし、長崎県の抵抗をもって行われませんでした。
そして、どういう状況になったかというと、確定した判決、これを無効にするための差止め訴訟なるものがあるんですね、びっくりしました。こういうことがあるんだろうか、確定しているのに。これを無効にする裁判がある。そしたら、永遠に続くということです。
裁判はどちらかが負けます。そしたら、負けたほうはまた違う目的、違う理由をもって──目的は同じですね、また裁判を起こす。そして、今現在、約五個の裁判が係争中なんですね。
そういう状況の中、裁判所の皆さんも御苦労されているんでしょう。というか、裁判所がどうか、もう少し成長しなければならないんじゃないですかと私は思うんですね。勝ったり負けたり。佐賀地裁では開けろと言う。長崎地裁では開けるなと言う。
そして、当時は漁業者側の原告団が四十九人いましたから、開門しなかったら一人一日一万円、四十九万円漁業者に払えと。開門したら、農業者側に一日四十九万円払えと。開けても開けなくても四十九万円払えと。
別の裁判だから、それぞれが独立しているといえばそうかもしれないけれども、もう少し日本の裁判は成長してもらわないと、私たちは何を信じていいか分からない。裁判所の決定が正しい判断とは私は思えない。ただ、裁判所は決め事を決めるんです。これでいきなさいという方針を決めるんです。私たち日本人はそれに従わなきゃならないんですね。しかし、今は従える状況ではないということです。私は、裁判所に対して不信感を持っています。御苦労もいろいろありますから。
そして、今回、福岡高裁において和解勧告、すいません、裁判では決着をつけることができません、何とか話合いを持って解決してもらえないでしょうかというお話です。ごもっとも。
じゃ、この解決のために一番努力しなければならないのは誰か、農水省です。事業主体である農水省、調整能力を持った農水省が努力をしなければならない。双方が納得できるように、長崎県側、佐賀県側双方が納得できるように農水省は努力をすべきだと思う。この強弱によって結果が違うと思います。
平成二十七年に一回和解勧告があって、和解協議がなされましたけれども、決裂しました。今回は同じ轍を踏まないようにしていただきたい。農水省に対して、私は知事が申入れをすべきだと思います。ただ、タイミングは今ではない。
要は、和解というのは、和解を実現するためにどういう進行をすればいいですかという協議が月に一回なされます。そして、それと並行して和解協議なるものが多分なされるんであろうと想像しています。和解協議の中で、国側の意見、そして、漁業者側の意見がそれぞれ出される。うまくいくときもあれば、うまくいかないときもある。そういう状況の中で、適宜、知事はその状況を見ながら、発言をしなければならないタイミングをもって、そういうときには農水大臣等に発言をすべきだと私は思います。今ではないけれども、そのときが来たときにはきちっと用意をしておくべきだというふうに思います。知事の見解を求めます。
二点目、有明海再生に向けた佐賀県の取組についてであります。
なかなか有明海の異変は解明できません。その一つの象徴として、赤潮と貧酸素水塊です。
一九九七年、諫早湾は締め切られました。それまでは一年間に約十回、赤潮が発生していた。しかし、その後、約二十回に増えました、倍増。赤潮の発生件数が増えた、なぜかは分からない、しかし、増えた。貧酸素水塊については、閉門前のデータはありません。しかし、漁業者は貧酸素水塊が発生していると、海の底に酸素がない塊があるということです。このことをもって、私は二枚貝がへい死しているのだと思っています。ですから、やっぱり佐賀県も調査研究はしているけれども、なぜ赤潮が発生するのか、なぜ貧酸素が、その原因が分からなければ対策が取れない状況が今でも続いているんです。このことについては国側に常に申入れをしなければならないと思っているんですね。
「防災ネットあんあん」、六月十一日、赤潮が発生をしました。そして、十八日に終息しました。そしたら、また十八日に別の赤潮が発生しましたというんですね。
そして、これが三月の赤潮。(資料を示す)赤潮じゃなくて、ピンクでした。びっくりしました。要は、海の状況は明らかに変わっている。前もあったのかもしれませんけれども、私はこんな色の赤潮を見たのは初めてでした。
有明海の異変を解明していくためには、やっぱり国側の協力も必要でございますので、このことについては申入れをする。そして、佐賀県は佐賀県なりに水産振興等々努力をしていただく。結果、有明海が再生されることを心から御期待申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
25 ◎山口知事 登壇=坂口祐樹議員の御質問にお答えします。
まず、西九州新幹線につきまして、フリーゲージトレインについてお尋ねがございました。
佐賀県と鉄道局の「幅広い協議」は、五つの方式について予断を持たずに幅広く議論することで一致しておりまして、双方の立場で真摯な議論を行っています。
この協議では、フル規格も選択肢の中の一つであって、フリーゲージトレインについても、これまで関係者で様々な合意が重ねられてきたものなので、当然のことながら、有力な選択肢の一つであると考えています。
四回目の協議で三つのルートについて考えを示すように申し入れましたけれども、これは我々、県内の中にも様々な意見があるので、三つのルートについて幅広く検討が必要だと申し上げたものであって、フル規格について何ら踏み出したものではございません。
また、当日の協議では、フリーゲージトレインについて、安全性が確保された速度で車両を走行させることも十分選択肢になると考えているので、様々な可能性について引き続き議論していくことを求めたところでありまして、鉄道局もそこはきちんと検討していただけるものと考えております。
それから、本日、山本委員長が来られる件についてもお尋ねがございましたけれども、委員長が何を話されるか私は分かりませんけれども、本県として言うべきことを端的に申し上げたいと思っています。
鉄道局との協議におけるフリーゲージトレインに関する議論については、担当部長から答弁させます。
続きまして、有明海の再生についてお答えします。
まず、和解協議に向けた県の考え方についてお答えします。
これまで長崎地裁や福岡高裁で行われた和解勧告に基づく和解協議では、開門しないことを前提とした和解案でした。
今回、福岡高裁が示した和解協議に関する考え方では、開門、非開門の前提が設けられておりませんので、まさに腹蔵なく今後の協議の進展が図られたらいいなというふうに思っています。
そして、紛争全体の統一的、総合的かつ抜本的な解決を図るためには話合いによる解決のほかに方法はないと示されておりまして、私もそのとおりだと思います。
坂口県議からもお話がありましたけれども、十年前、確定判決が出たときに、国がそれに従わなかったということは私は大きな問題であったのではないかと思いますし、それがあったからこそ、争訟的というか、判決によって解決するということが困難だということになったんではないかと。
一つの判決が出て、それに対する対抗が出ますと、これはいつになっても終わらないという状況になりますし、時がどんどん過ぎ去っていきますから、その状況における実質的な議論はなかなかしにくい。裁判というのは、もともと争訟的な技術でやっていくところもあるもんだから、本来あるべき有明海に営むみんなの気持ちといったものと、なかなかそれがストレートに跳ね返らないというような問題があるのかなと私は思っています。
裁判の当事者は国と漁業者であります。当事者間の和解でしか、私は解決の出口は見えないものと考えています。もちろん国や裁判所は、利害調整を行う権能と職責を持っているわけですから、そうした中で、裁判所から、例えば、県としての意見を求められた場合には、県の考え方を示していきたいと思います。
裁判の当事者であります国と漁業者双方にはこの機会を大切にしていただきまして、歩み寄ったり譲り合ったりして話合いを重ね、何とか歴史的な和解が図られることを期待したいと考えています。
続きまして、有明海再生に向けた県の取組についてお答え申し上げます。
確かにお話しいただいたように、有明海は毎年赤潮、そして、貧酸素水塊が頻発するなど海域環境が変化して、漁獲量が減少し、特に二枚貝は厳しい状況が何年も続いております。
何とか豊饒の海と呼ばれた有明海を取り戻したいということで、これは不退転の決意を持って再生に向けた取組を進めていかなければいけないと思います。
タイラギを、今、一生懸命やっております。そして、アゲマキ、サルボウ、それぞれの状況に応じた資源回復の方策ということを振興センターと一緒に日々考えて、成果を積み重ねていきたいというふうに思っています。
そのほか、魚介類の餌となる小型のエビですとかゴカイなどの生物を増やしていくための増殖礁の設置をしたりとか、クルマエビやガザミにつきましては、DNA分析によって放流効果調査を実施したりというような、効果的な放流場所の検討と放流をこれからも行っていきたいと思っています。
それから、漁場環境の改善に向けた流況のシミュレーションについては、大学などと連携して行っていきたいと思いますし、カキ礁の海域改善効果の検証等の取組についても、これは漁業者などと協働して行っていきたい。
そして、先ほどお話しいただきました環境変化の原因究明ということ、これは一番大事なことであります。これについては国も連携して、そして、我々としても国に訴えて、共に解決に向けて導き出さなければいけないことだと思っています。
私は、漁業者の皆様からの声を聞くたびに、ひたむきに漁を続けていきたい、後継者が欲しいという声を強く感じております。今後とも、有明海の再生という本来の目的を見据えて、国、県、市町、漁業者など、関係するみんなで力を合わせて全力で取り組んでまいります。
26 ◎山下地域交流部長 登壇=私からは、二点答弁させていただきます。
まず、フリーゲージトレインについてでございます。
五月三十一日の鉄道局との「幅広い協議」において、私のほうからフリーゲージトレインを進めるべきと発言させていただきました。このことについて説明をいたします。
鉄道局から、昨年十月の第三回の協議におきまして、フリーゲージトレインは、安全性、経済性、高速化の課題について技術的なめどが立っていない。技術的に開発できないということではなく、耐久走行試験も含め時間とコストがかかるので、開発しないという判断をしたという趣旨の説明がございました。
ただ、技術開発の状況について申し上げますと、平成十一年四月から平成十三年一月にかけて、アメリカのコロラド州において、最高速度二百四十六キロ、耐久走行六十万キロメートル、軌間変換約二千回を達成したと報告があっております。
また、平成十七年には国土交通省が、既に二百二十キロから二百四十キロの実現化のめどは立っていると。今後は二百七十キロまでの開発についても引き続き行っていくという正式な見解を出されています。
そして、車軸摩耗についても大幅に改善されているということで、このような実績、経緯等を踏まえて、二百七十キロという高速走行ではなく、既に実現化のめどが立っているとされている二百キロ程度の速度での走行を考えてもいいのではないかと提案したところでございます。
このことに対し、鉄道局は二百キロで耐久テストをやったことがないので、技術部門と話をしてみるということでございました。
佐賀県は、在来線をそのまま利用するフリーゲージトレインであればということでぎりぎりの判断で合意をしたものです。佐賀県としては、フリーゲージトレインの導入が実現するんであれば、それが一番いいと考えています。
今後、鉄道局とはフル規格についても協議を行っていきますけども、決してフル規格以外の四つの方式を諦めたわけではございません。優先順位が下がったわけでもございません。今後も引き続きフリーゲージトレインの可能性も含め、幅広く協議をしていきます。
次に、長崎本線の上下分離後の利便性確保についてお答えをいたします。
長崎本線の肥前山口─諫早間につきましては、令和四年秋頃とされています西九州ルートの開業により、特急列車が大幅に減少しますことから、この鉄道の利便性確保にしっかり取り組む必要がございます。
これまで県では、上下分離後の普通列車の運行に関して、普通列車の佐賀方面への直通運行の維持をはじめ、博多方面へのアクセスを考慮した毎時の普通列車の確保や、肥前山口での特急列車との接続の円滑化などについて、沿線市町とともにJR九州に要請を行ってまいりました。
そして、このたび肥前浜駅まで電化区間が延伸され、普通列車の一部に電車が運行されることとなったため、上下分離後も佐賀方面への直通運行が可能になるものと考えています。
一方、議員からもありましたとおり、電化区間と非電化区間の境界駅となる肥前浜駅では乗換えが生じる場合がありますので、電化区間の延伸に係るJRとの協議において、肥前浜駅より南の利用者の乗換え回数が増えるなど利便性が低下しないようということで求めてまいりました。
JR九州からは、今回の電化区間の変更を踏まえ、今後、上下分離後の運行形態について具体的な検討が行われると聞いております。
県としましては、上下分離後の利便性を確保するため、利用者のニーズを把握した上でJR九州としっかり協議をする必要があると思っています。
昨年度、肥前鹿島駅において特急列車の乗降調査を行ったところでございますが、本年度は普通列車の利用状況について調査を行い、通勤通学、特に高校生の利用形態やニーズを把握したいと考えております。
そうした調査結果なども踏まえ、利用者の利便性の確保に向け、利用状況や様々なニーズに応じた運行形態となるよう、引き続きJR九州に要請してまいります。
また、普通列車の運行本数が本当に維持されるのか不安の声があるということも聞いております。これについては佐賀、長崎両県とJR九州の三者により、西九州ルートの開業後二十三年間運行を維持することや、普通列車について現行水準を維持することなどについて文書で確認をしております。
県としましては、上下分離される長崎本線が沿線地域を支える大切な鉄路として、約束どおりJR九州により運行を維持していただけるものと考えております。
来年の秋頃には上下分離方式による運行が始まります。利便性がきちんと確保されるよう、引き続き利用者や地域の声に耳を傾けるとともに、様々な機会を捉え、地元市町とともに連携を図り、JR九州としっかり協議、そして要請を行ってまいります。
私からは以上です。
27 ◎池田農林水産部長 登壇=私からは、大きな二項目についてお答えをいたします。
まず、林業の振興についてのうち、木材の供給拡大について申し上げます。
最近の県産木材の価格の上昇は、森林所有者の伐採意欲を高め、森林所有者の所得向上や林業事業体の事業量の拡大、さらには森林の若返りにつながることが期待され、これまで木材価格の長期低迷などにより活気を失っていた本県林業にとりましては追い風になり得ると考えております。
このようなことから、この機を捉え、木材を必要とされる製材工場や大工、工務店等の期待に応えるためにも、木材の供給を拡大し、本県林業の再生につなげるため、今議会におきまして、第一弾として、木材の生産性を上げるために、伐採や搬出作業を効率化する林業機械のうち、国庫補助の対象とならないものを県単独で支援する予算をお願いしているところでございます。
また、県林業試験場におきまして、成長が早く、下刈りなどの負担軽減が可能な「次世代スギ精英樹」の新品種を開発したところでございまして、今後その導入、普及を進め、木材の供給量が増大するよう努めてまいります。
次に、林業の振興に向けた取組について申し上げます。
県では、森、川、海の大切さを伝え、これらを保全する行動につなげていく「森川海人(もりかわかいと)っプロジェクト」に取り組んでいるところでございます。
森林を保全し林業の振興につなげていくためには、これまでの木材価格の低迷や就業環境の改善の遅れなどによりまして、最近減少傾向にございます林業従事者を一人でも多く確保し、木を切って、使って、また、植えて、育てるという林業生産活動を将来にわたって継続されるようにしていかなければならないと考えております。
このようなことから、木材価格が上昇しているこの機会を生かして、林業事業体の生産性の向上や経営基盤の強化などを図りまして、県産木材の供給から再生産に従事されている全ての方々が、よりよい就業環境の下、安心して働けるよう、今後とも本県林業の振興に向けた取組を強化してまいります。
次に大きな項目の二つ目、ミカンとイチゴの生産振興についてお答えいたします。
「さが園芸888運動」の高い目標を達成していくためには、本県園芸農業の重要な品目でございますミカンとイチゴの高品質化や収量の向上を図るとともに、経営規模の拡大や新規就農者の確保が必要でございます。
このため、まずミカンでは、土壌水分を調節して糖度を上げる根域制限栽培の導入や、今年二月にデビューし、市場や消費者からの評価が非常に高い「にじゅうまる」等の優良品種の改植、「にじゅうまる」につきましては、議員から御指摘のとおり、無加温ハウス栽培だけではなくて、今後、露地栽培での生産を拡大していきたいと考えております。
こうした取組によりまして果実の高品質化を図るとともに、作業がしやすい水田や畑地での大規模果樹団地の整備や、担い手への優良園地の集積などによりまして、生産農家の経営規模を拡大してまいります。
次に、イチゴにつきましては、「さがほのか」から「いちごさん」への全面切替えにより高品質化や収量の向上を図るとともに、新規就農者の受皿となります大規模生産団地の整備や、パック詰め作業を大幅に省力化できるパッケージセンターの整備、そして、その利用拡大などによりまして栽培面積を拡大してまいります。
また、生産農家の前向きな取組に対して支援する県単独の補助事業につきましては、これまで時々の農業情勢や現場の声などを踏まえまして、例えば、資材価格が高騰したときには、ハウスの補修、補強を行うことで、耐用年数の延長を図る長寿命化対策を創設したり、燃油価格が高騰したときには、ヒートポンプや多層被覆装置、いわゆる三重カーテンなどの省エネ装置の整備に対する補助率をかさ上げするなどの見直しを行い、拡充してまいりました。
今後とも、情勢の変化などに対応しながら、また、生産農家の皆様の御意見をお聞きしながら、収益性の高い農業経営の確立や栽培面積の拡大に向けた取組を強化し、稼げる農家を一人でも多く増やしていくことで、将来にわたってミカンとイチゴの産地が発展していくよう、しっかりと取り組んでまいります。
私からは以上でございます。
28 ◎野田危機管理・報道局長 登壇=私からは、消防団員の処遇改善についてお答えいたします。
消防団員の処遇改善につきましては、四月の消防庁からの通知を受けまして、まさに今、各市町において消防団との協議が行われているところと存じております。
協議を行う中で消防団から出されました意見につきましては、市町から県にも情報を共有していただいておりまして、その中には今回の見直しへの疑問や戸惑い、そして、懸念などの声もあるというふうに伺っております。
今回の処遇改善が目指すところは、団員の確保であるとともに、消防団をいかに維持していくかというふうなことかと考えております。
今回の消防庁通知によります報酬額等の見直しが消防団員確保の第一歩になるかとは思いますが、市町での議論が十分に尽くされずに見直しが行われると、団員の確保につながらないばかりか、消防団の士気や消防団組織の維持に悪影響を及ぼすのではないかというふうに考えます。
議員からもお話がございましたけれども、地域によって事情も様々かと思います。そういった事情を踏まえ、市町と消防団とでしっかり協議を重ねた上で、よりよい方向に検討が進んでいくよう、県としましても市町をしっかりサポートしていきたいと考えております。
その上で国へ意見すべきこと等がありましたら、あらゆる機会を捉えまして意見し、また、要望を上げていくなど、必要な働きかけを行ってまいります。
私からは以上でございます。
29 ◎中本正一君(拍手)登壇=公明党の中本正一でございます。
今回、県政が抱える課題につきまして大きく六項目について質問をさせていただきます。執行部の皆様にはどうか明快かつ前向きな答弁をいただきますよう、よろしくお願いをいたします。
それでは大きな項目の一つ目として、九州新幹線西九州ルートについて質問をいたします。
山口知事が赤羽国土交通大臣の呼びかけに応じて設置された、西九州ルート新鳥栖─武雄温泉間の整備方式について議論する「幅広い協議」が始まり一年が経過しました。五月三十一日に開催された四回目となる「幅広い協議」では、利用者目線で見た在来線の問題や、フリーゲージトレインの時速二百キロでの開発の可能性、フル規格の場合の三つのルートにおける検証など、これまでの議論を少し深めるとともに、新たな課題の提起もあり、五十分という時間の中で中身の濃い議論になっているように感じたところであります。
特に県側からフル規格の場合のルートについて、佐賀駅を通るルートだけでなく、佐賀空港を通るルートや佐賀市北部を通るルートについても様々な可能性、長期的な整備効果を示すよう求めたことが注目をされました。協議後のマスコミの取材に対し山下地域交流部長は、フル規格のルートについては県内でも様々な声があり、協議をするのであれば、三つのルートを並べて考える必要がある、決してかじを切ったわけではないと述べられていますが、一方、足立幹線鉄道課長は、県から能動的な話があったのは初めてであり、一歩前進と前向きな評価をされているようであります。この点、赤羽国土交通大臣も、県からの具体的な指摘は初めてと承知しており、特筆すべきことと歓迎したとのマスコミ報道も出ており、私も今後議論が加速化するきっかけになればと期待するところであります。
私は、「幅広い協議」が県と国土交通省双方が合意できることを積み重ねながら、コンセンサスを得ることが大切だと考えます。もちろん、着工に至るまでの長い歴史的な経緯やフリーゲージトレインの断念とその後の関係者の対応等を踏まえると、簡単なものであるとは当然思いません。
しかしながら、今後、精力的に協議を積み重ねることで、二〇二二年秋頃を予定されている武雄温泉─長崎間が開業する頃までに、整備方式について何らかの合意形成に至ることができれば望ましいと考えますし、そのためには論点整理に至るプロセスが見える化する必要があるのではないかとも考えます。
そこで、議論の対象となる五つの整備方式の協議がどのような状態となったときに論点整理する段階に至るのか、仮定の話はしづらいのかもしれませんが、論点を整理するためのプロセスについて、現在どのように考えるのか、知事の所見をお伺いいたします。
次に、JR九州との協議についてお伺いいたします。
四回目となる「幅広い協議」においては、国土交通省が在来線に関して、JR九州と打合せ、意見交換を提案したのに対して、今の時点でフルを前提として佐賀県がJRに話をすることはあり得ないと、言下に明言をされています。
しかし、フル規格における並行在来線の問題は、県が課題として挙げている財政負担、在来線、ルート、地域振興の四つの中でも最大の課題であり、五つの整備方式を幅広く協議する上でも重要な論点となってまいります。
昨年九月定例会で採択された「九州新幹線西九州ルートに係る国との協議に関する決議」では、「地方負担や在来線の問題等については、国土交通省が具体的な数字や条件を提示し、お互いに納得できる内容を模索していく必要がある。」としており、これを受けて昨年十月に開催された三回目の「幅広い協議」において、県側から国土交通省に対して、議論に必要な数字や条件について、責任を持って示すよう求めた経緯があります。
そうした経緯を踏まえると、今後の国土交通省との「幅広い協議」の場の中で、当事者であるJR九州が同席し、より具体的に話を聞くといった場面があってもよいのではないかと考えますが、この点改めて見解をお伺いいたします。
次に、県民への分かりやすい情報提供についてお伺いいたします。
「幅広い協議」の中では協議のバリエーションが増えてきており、県民目線で見ると、ますます複雑になってきています。県民への情報提供については、昨年九月定例会以来、県議会から度々求めてきており、また、その必要性について、執行部も認めているところであります。
本年二月定例会の新幹線問題対策等特別委員会では、改めて県民への情報提供を求める質問に対し、現時点でスケジュールは固まっていない。協議の進展や様々な状況を見ながら、スケジュールについて検討していくと答弁をされています。県民を置き去りにしたまま議論が進むことがないよう、一回でまとめて発信するということではなく、西九州ルートの整備に関わる経緯や整備新幹線のスキーム、「幅広い協議」で始まった五つの整備方式の特徴など、基本的な情報などはまずは発信し、その後、協議の進展に合わせ、適時発信するべきではないかとも考えます。
そこで、県民に向けた分かりやすい情報提供について、どのように取り組んでいく考えかお伺いいたします。
次に大きな項目の二つ目として、新型コロナワクチンの接種について質問いたします。
コロナ禍収束の切り札となるワクチンの接種が全国で加速しています。約三千六百万人いる高齢者への接種は、六月二十日時点で、少なくとも一回接種した人が一千六百万人を突破、先行して接種していた医療従事者等も合わせると、約二千二百万人が一回目の接種を終えています。
一日当たりの接種回数は、当初、供給量が少なかったことから一万回に満たない日もありましたが、五月に入って毎週増加し、一日八十万回を超える日も出るようになりました。さらに政府は一日百万回の接種を進め、本年十月から十一月にかけ、希望する国民全てにワクチン接種を完了することができるよう取り組んでいく考えを示しており、その実現に何より欠かせないのがワクチン接種の担い手の確保となってまいります。このため、医師や看護師に加え、歯科医による接種も特例として認め、さらに救急救命士や臨床検査技師、潜在看護師、研修医など医療人材を総動員し、取り組む決意を表明しています。
本県においても、六十五歳以上の高齢者の一回目の接種は六月二十日現在、六二・一〇%と全国で最も早く進んでおり、県内二十市町全ての自治体で七月末までに完了する見通しとなっています。
ワクチン接種の主体となる市町はもとより、御協力をいただいている医療関係者の皆様、それを支えていただいている県の関係者の皆様に深く敬意を表します。
政府の新型コロナ対策分科会の尾身茂会長は、接種者が人口の半分程度になると、感染が広がりにくくなる集団免疫の効果が出始めるとの見解を示しており、これからさらにワクチン接種の加速化が期待されるところであります。
そこで、次の三点についてお伺いいたします。
まず、ワクチン接種の本格化への対応についてであります。
県内の市町においては、六十五歳以上の全ての高齢者二回分のワクチンが六月末までに配布される計画であり、それを受け、七月末までの接種を完了する見通しとなっています。政府が示した接種順位の考え方では、次に透析患者をはじめとする基礎疾患を有する者、高齢者施設等の従事者と続き、その後、それ以外の一般の方々への接種が進むことになります。佐賀市など六十五歳以上の高齢者への接種が進む自治体では、六月下旬には六十四歳以下の接種を計画したり、また、ファイザー製ワクチンの接種対象年齢が十六歳以上から十二歳以上に引き下げられたことから、中高生の集団接種を検討する県内の自治体も出てきたようであります。
一方、市町のワクチン接種を補完するため、モデルナ製ワクチンを使い、四千人の接種を目指す県営の大規模接種も先週の土日から始まりました。さらにワクチン接種に関する地域の負担を軽減し、接種の加速化を図っていくため、企業団体や大学等における職域接種も六月二十一日から本格化いたします。しかし、職域接種は千人以上が対象となるため、中小企業が多い佐賀県で医療従事者の確保も含め、どのぐらいこの職域接種が進むのか見通せないところであります。
そこで、今後、高齢者以外のワクチン接種が本格化する中で、どのような点が課題となってくると考えるのかお伺いいたします。また、ワクチン接種の本格化に向けて、どのように対応していく考えか、併せてお示しください。
次に、ワクチン接種による副反応についてお伺いいたします。
六十五歳以上の高齢者へのワクチン接種が進む中、地域の方とお話をすると、もう打ってきたよと、全然痛くなかったよという声をいただくとほっといたします。しかし、中には、一回打って、一日肩が痛かった。また、数日痛みが取れなかったといった声や、一回目の接種の後、翌日から目が回るようになり、一週間以上続いて家事もできなく困ったという声も伺いました。
幸い、私の周りでは、アナフィラキシーショックなど重篤な状態となられた方はいませんが、やはりワクチン接種による副反応が気にかかるところであります。
ワクチン接種については、最終的には県民一人一人、自らの意思で決定することになり、そのためにも正しい判断ができるよう、正確な情報をできるだけ早くお伝えしていくことが重要です。特にワクチンの安全性や有効性とともに、ワクチン接種による副反応の情報も貴重な判断材料となってまいります。全国では六月二十日現在、一回目の接種を終えられた方が約二千二百万人、二回目の接種も終えられた方は約九百万人となっていますが、ワクチン接種による副反応の発生状況はどのようになっているかお伺いいたします。また、そうした副反応の報告について、県民に正確な情報を提供することが求められますが、どのように取り組んでいく考えかお伺いいたします。
次に、接種を希望しない方などへのワクチンハラスメントについてお伺いいたします。
先日、県内在住の女性の方からワクチン接種に係る御相談をお受けいたしました。内容は県内の高齢者福祉施設に入所している九十歳代の母親についてであります。母親が認知症のため、施設側からワクチン接種の同意を求められたものの、九十歳代という年齢や持病があることも考慮し、接種するほうがリスクが高いと判断され、接種しない旨を施設側に伝えたところ、接種をしないのであれば施設を退所するよう求められたというのです。接種するかどうかは自らの意思で決定するものであり、ワクチン接種をしない人が差別、あるいは不利益を受けることは絶対にあってはならないと考えます。
施設側としては、ワクチンを接種しない人が一人でもいると、感染のリスクが生じ、施設内でクラスターを発生させないためにも入所者にはワクチンを接種してもらう。接種しない場合は退所してほしいと迫られ、本当に困られての相談でありました。ワクチン接種が進んでいくと、接種を希望しないことで差別や不利益を受ける。さらに誹謗や中傷を受けるといった、いわゆるワクチンハラスメントが広がっていくことが懸念をされます。
そこで、次の三点についてお伺いいたします。
まず、ワクチン接種を希望しないことにより、こうした不利益を受ける、また差別されるといった相談はこれまで県に寄せられているのかお伺いいたします。
また、接種を希望しないことで、こうした差別、不利益はあってはならない、許されないという強いメッセージを全ての県民の皆様にしっかり発信していただきたいと考えますが、県民への普及啓発についてどのように考えているのかお伺いいたします。
また、こうした相談があった場合には相談者に寄り添った対応を求めたいと思いますが、県はどのように取り組んでいく考えかお伺いいたします。
次に、大きな項目の三つ目として、パートナーシップ制度の導入について質問をいたします。
昨今、性的少数者の方々の抱える課題を社会が自分ごととして捉えるためのキーワードとしてSOGIという言葉が注目をされています。これは性の在り方を少数派と多数派に分断しないという概念であり、性的にどのような人に引かれるのか、自分の性別についてどのように認識しているかという点に着目し、多数派である異性愛者も、LGBTQなど、いわゆる性的少数者も含め、どのような属性でも平等に扱おうとの意味が込められた言葉であります。一部の政治家の問題発言もありましたが、日本社会の中で性的少数者の人権を獲得する動きは年々高まっているものと考えます。
かつてインドを独立に導いたマハトマ・ガンジーは、偉大な運動は無関心、嘲笑、非難、抑圧、そして尊敬という五つの段階を経ると語ったそうでありますが、今、社会は間違いなく大きく変化してきていると感じるところであります。
山口知事は演告の中で、多様性を当たり前のこととして受け入れ、互いに理解を深めていきたい。また、みんなが自然な形でお互いに尊重し合える、人に優しい佐賀県を創っていくと述べられています。まさに様々な属性があることを当たり前のこととして受け入れる社会で自分らしく生きたいと願っておられる方々にとって、希望の持てる言葉ではないかと感じています。
そして、さらに知事は、同性カップルの関係性を自治体として証明するパートナーシップ制度の導入を検討することも表明され、LGBTのみならず、多くの県民の皆様の関心が高まっているものと考えます。
そこで、次の三点についてお伺いをいたします。
まず、パートナーシップの制度設計に向けた今後の取組についてであります。
今後、具体的に何を盛り込むかという制度設計に向けては様々な課題があるものと考えます。支援団体の声も大切でありますし、県が実施するとなった場合、住民生活に一番近い市町の理解も必要であります。仮に市町の理解が得られないようなものであれば、実効性が伴わないものになる懸念があります。
そこで、パートナーシップの制度設計に当たり、今後どのように取り組んでいく考えかお伺いいたします。
性的少数者の方々が自分らしく生きていくことができるためには、県民の理解促進が必要となってまいります。佐賀県では自分らしく生きていけるよう、できる限り障壁をなくしていきたい。みんなが自然な形でお互いに尊重し合える、人に優しい佐賀県をつくっていきたいとの思いから、「さがすたいる」の一環としてパートナーシップ制度に取り組まれることは、性の多様性に関する理解の促進につながるものと期待をいたします。
そこで、性の多様性に関する県民の理解促進に向けた取組についてお伺いをいたします。
佐賀県の「人権教育・啓発基本方針」においては、「様々な性的指向や性自認の人たちが、自分らしく生きていくための権利が尊重される社会を目指します。」とされています。県ではこれまで性の多様性に関する理解促進に向けて、SOGIをテーマにしたポスターの作成や、企業の幹部を対象とした研修会の開催、人権フェスタにおける啓発、また相談事業の実施など、様々な啓発活動に取り組んできておられますが、いまだ十分とは言えず、さらなる取組が必要となってまいります。
福岡県や長崎県では、パートナーシップ制度の導入までには至ってはいませんが、啓発活動や研修会とともに、LGBTに関するハンドブックを支援団体と協働で作成し、県民の理解の醸成に努められています。
そこで、本県においても支援団体と協働し、県民に向けた分かりやすいハンドブックを作成し、啓発活動や研修会等で活用すべきでないかと考えますが、見解をお伺いいたします。
次に、支援団体が実施する事業への名義後援についてお伺いいたします。
今回の質問を前に、佐賀県内の支援団体であるSOiGIEs(そいぎーず)さん、そして福岡県の支援団体でありますNPO法人カラフルチェンジラボさん、この代表の方お二人とお話をさせていただく機会がありました。その中で、レインボーフラッグといいまして、六色の虹の旗、これがLGBTの尊厳と社会運動を尊重するものとして使われており、全世界の共通言語となっていること。特にこの六月はプライドマンス、プライド月間として世界各地でLGBTQの権利に関する啓発活動やイベントが行われており、その際、レインボーカラーで建物をライトアップしたり、賛同する企業のホームページやSNSにもレインボーカラーが背景色として使われていること。また、二〇一五年からLGBTをはじめとするあらゆる少数派が多様性豊かに住みやすい町にしたいとの願いを込め、九州レインボープライドというイベントを十一月に福岡市内で開催されていることなどを教えていただきました。
この九州レインボープライドの名義後援には、福岡県や県教育委員会、県の各市町、市町教育委員会、各国大使館、九州管内の新聞社やテレビ局など、九十八団体が名を連ねています。また、年々規模も大きくなり、二〇一九年の九州レインボープライドには九州各地からアライと呼ばれる支援者の方々も含め約一万二千人が参加、そのうちパレード参加者も約千二百人に及んだとのことでありました。昨年はコロナの影響でオンラインでの開催となりましたが、福岡県内の各首長からビデオメッセージが寄せられています。
お話を聞かせていただいた代表のお二人は、こうした自治体や企業から名義後援をいただいたり、首長の方々からメッセージを寄せられることで、自分たちは決して孤立しているのではなく、多くの方々から見守っていただいているというシグナル、サインと捉え、希望が見いだせると述べられていました。このように支援団体が実施するイベントに対して、県や市町から名義後援を行うことは勇気と希望を与えるものと考えます。
そこで、県内において支援団体の皆さんがイベントを行う場合に、佐賀県が名義後援を行うことについてどのように考えるかお伺いいたします。
次に大きな項目の四つ目として、社会福祉施設における水害への備えについて質問いたします。
豪雨や台風による水害で福祉施設が浸水する被害が全国で相次いで発生しており、自力で避難ができない高齢者ら災害弱者が入所する福祉施設の現場においては、その対策に頭を痛めているところであります。
平成二十八年八月の台風十号による水害では、岩手県岩泉町の認知症高齢者のグループホームで利用者九名の尊い命が奪われました。この災害をきっかけとして、平成二十九年に水防法及び土砂災害防止法が改正され、要配慮者利用施設が浸水想定区域や土砂災害警戒区域内に所在する場合、市町の地域防災計画に定められた施設の管理者は、避難確保計画の作成や避難訓練の実施が義務づけられたところであります。
本県においても令和元年八月豪雨を経験し、未曽有の水害を想定したハード、ソフト両面にわたる対策の強化に取り組んできたところであります。
そうした中、九州を中心に甚大な被害をもたらした令和二年七月豪雨では、熊本県球磨村の特別養護老人ホーム千寿園において、施設のそばを流れる河川が氾濫。一階が水没し、十四人が亡くなるという大変痛ましい被害が発生をしております。
国土交通省によると、千寿園では避難計画も策定し、年二回、避難訓練も実施していたとのことですが、未明に発生しており、施設内にエレベーターはなく、自力歩行できない高齢者たちを当直の職員数人と地元有志で入所者を抱え、必死に階段を上ったものの、避難に時間がかかり、最悪の結果となったそうであります。
佐賀県では今年、観測史上二番目に早い五月十五日に梅雨入りしました。県内では二〇一八年から三年続けて大雨特別警報が発令されており、これから梅雨の本番を迎える中で、警戒を緩めることなく、早め早めの準備が必要となってまいります。
そこで、次の三点についてお伺いいたします。
まず、社会福祉施設を含む要配慮者利用施設における避難確保計画の作成状況はどのようになっているかお伺いいたします。
次に、避難確保計画の緊急点検等についてお伺いいたします。
厚生労働省と国土交通省は令和二年七月豪雨災害を踏まえ、全国の特別養護老人ホームを対象として避難確保計画に関わる実態調査を実施されており、その結果を公表されています。
そこで、本県における実態調査はどのような結果であったのかお伺いいたします。
また、この実態調査を踏まえ、両省は社会福祉施設における避難確保計画の緊急点検を実施するよう、本年二月二十四日付で依頼文を発出されています。緊急点検の対象となる施設は、地域防災計画に位置づけられている要配慮者利用施設のうち社会福祉施設を対象として、具体的には老人福祉施設、障害者支援施設、児童福祉施設等々となっています。
そこで、避難確保計画の緊急点検の概要はどのようになっているか。また、その進捗状況についても併せてお示しください。
次に、今後の取組についてお伺いいたします。
水防法の改正後、国土交通省の調査によると、本年三月三十一日の時点では、避難確保計画を作成している要配慮者利用施設は全国の六六%に対し、佐賀県では一五%にとどまっています。国土交通省は、今年度までに作成率が一〇〇%になるよう目標を掲げており、本県においても、一日も早く達成できるよう望まれます。
水防法では、避難確保計画の報告を受けることや、計画未作成の施設に必要な指示を行うことは市町の権限とされていますが、社会福祉施設については県が指導する立場にあることから、県が市町と連携し、いつ発生するかもしれない水害に備えるべく、早急な避難確保計画の作成や見直しに取り組み、避難の実効性を高めることが求められているものと考えます。
そこで、避難確保計画の策定をはじめ、社会福祉施設における水害への備えを向上させるため、今後、具体的にどのように取り組んでいく考えか、見解をお示しください。
次に大きな項目の五つ目として、低出生体重児等の就学義務の猶予、免除について質問をいたします。
さて、議場の皆さんはこの低出生体重児という言葉を聞かれたことはありますでしょうか。以前は未熟児という言葉がよく使われていました。生まれてきたときの体重が二千五百グラム未満を低出生体重児と呼び、さらにその中で千五百グラム未満を極低出生体重児、千グラム未満を超低出生体重児といいます。
日本では一年に生まれる子供の出生数は減少しているものの、低出生体重児の数は毎年増加しており、また、その割合も四十年前は五%前後だったものが近年は九%前後で推移をしています。
本県においても全国と同様の傾向であり、平成三十年に低出生体重児として生まれた赤ちゃんは五百八十二人、八・九%、そのうち極低出生体重児は五十八人、百二十人に一人の割合、さらに超低出生体重児は二十二人、三百人に一人の割合となっています。
これは、新生児医療の進歩により低出生体重児の命を救うことができるようになったことも大きな要因として挙げられます。
余談となりますが、三年ほど前に体重が二百六十八グラムで生まれた赤ちゃんが退院する様子がマスコミで紹介され、話題となりました。この方は妊娠二十四週で緊急帝王切開で生まれた男の子の赤ちゃんであります。身長も僅か二十センチ程度で、両手の中にすっぽり収まるぐらいの小ささであります。
五カ月にわたり新生児集中治療室で育てられ、自力でミルクも飲めるようになり、体重も三千二百グラムに成長してから退院することができました。
日本の新生児医療は世界でもとても高い水準であり、千グラム未満の超低出生体重児の救命率は九〇%であるそうでありますが、三百グラム未満の場合は五〇%まで低下すると言われています。
特に男の子の生存率は女の子よりも低く、この赤ちゃんは当時として、要するに出生して退院できた世界最小の男の子の赤ちゃんというふうに言われたわけでありますけれども、その後、順調に育ってくれているのか、成長の過程をしっかり見守っていく必要があるものと考えます。
低出生体重児として生まれてきた場合、同じ年に生まれた子供より成長や発達が遅れるケースも多々見られます。
体力不足により、何をやっても周りについていけない状況が小学校入学前まで続くと、子供はもちろん、保護者にとっても不安でいっぱいになります。
一方、保護者は児童を就学させる義務を負っていますが、例外として猶予や免除ができるとされています。
学校教育法では、就学猶予、免除が認められる事由を「病弱、発育不完全その他やむを得ない事由のため、就学困難と認められる」場合としており、二〇一三年の文部科学省の通知で、その他やむを得ない事由に低出生体重児も対象となるようになりました。
通知には、近年増加傾向にある低出生体重児等への対応についてもその他やむを得ない事由に該当し、小学校及び特別支援学校への就学を猶予、免除されることが適当と判断される場合もあることが示されています。
例えば、四月に出産予定だったものの、早産児として一月に生まれた場合、同時期に生まれた子供に比べて発育が不十分な状態でも、通常では実質的に一年早く入学をしなければならなくなります。特に超低出生体重児の場合は、大きなハンディキャップを抱えたままで入学をすることになります。
この質問を前に県教育委員会に、県内における低出生体重児に関する就学猶予、免除の相談件数や実際の猶予、免除件数について調査を依頼したところ、ある市町の担当者の記憶で三件ほど相談があったものの、詳しい相談記録は残っておらず、また、実際に低出生体重児であることを事由とした就学猶予、免除の実績は県内ではないとのことでありました。
聖マリア病院の母子総合医療センター長を長く務められ、こうした問題に深く関わってきた若楠児童発達支援センターの橋本武夫先生にお話を伺う機会がありました。
先生は、低出生体重児を抱える保護者の方々が就学猶予を選択できることを知らず、また、市町教育委員会も低出生体重児が就学猶予の事由となることへの認識が不足しているのではないかと指摘され、成長が遅い場合、無理して就学して状況を悪化させるケースもある。一年間就学を猶予することで、その後、スムーズに成長することもできるため、一人一人の子供の状況に応じて、就学猶予等の適切な運用が望まれる。また、就学猶予、免除という制度に対する医師の理解が低いのも現状であるとも述べられていました。
そこで、低出生体重児等の就学義務の猶予、または免除について、文部科学省からも既に通知がなされたところでありますが、県教育委員会として改めて市町教育委員会に周知徹底を行い、一人一人の子供の状況に応じて就学義務の猶予、免除が選択肢の一つとして適切に活用されるよう取り組んでいくべきではないかと考えますが、教育長の見解をお伺いいたします。
それでは最後、大きな項目の六つ目として、夜間中学校の設置について質問をいたします。
夜間中学は、戦争の混乱で義務教育を受けられなかった方のために戦後間もなく設置されたもので、ピークの一九五〇年代半ばには全国に八十校以上、約五千人が在籍をしていましたが、経済成長を背景に六〇年代後半には二十校まで激減をしています。
私からは以上でございます。
41 ◎議長(藤木卓一郎君) 本日の会議はこれで終了いたします。
明日二十三日は一般質問、請願上程、議案及び請願の委員会付託を行います。
本日はこれで散会いたします。
午後三時五十五分 散会
Copyright © Saga Prefectural Assembly Minutes, All rights reserved. ページの先頭へ...