↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(香原 勝司君) おはようございます。ただいまから本日の会議を開きます。
日程に従い、一般質問を行います。順次発言を許可いたします。西元健君。(拍手)
*西元議員質問
2 ◯五十四番(西元 健君)登壇 皆さん、おはようございます。自民党県議団の西元健です。今朝、起きますと、私の五歳の息子、歯が抜けておりました。あんな小さかった子供が、大人の歯が生えてくる、それぐらい成長していくんやなということを感じさせていただきました。そういった子供が、縁あって生まれてきた地元で暮らせる地域を守るため、そしてその子たちが巣立って、大きくなって戻ってこられるために、本日通告しております本県の人口減少問題について伺います。
知事は、県政運営の方針として、県民の将来を守る
サステーナブル社会を実現していくためあらゆる手を尽くすと述べられます。本県における少子化の進行、これに起因した人口減少への対応は、
サステーナブル(持続可能)な社会を実現していく上でも重要な課題であります。我が会派としても、人口減少、少子化、これらに起因する様々な課題への対応につきましては、質問等を通じ執行部の姿勢をただしてまいりました。さきの二月議会では、会派を代表し、浦議員から県内の人口減少の状況について知事の認識を求めたところであります。
さて、二月議会が閉会した翌四月、我が国の人口について世間の耳目を集める発表があり、一つは四月十二日に総務省から発表された昨年十月一日現在の人口推計です。総務省の発表によりますと、日本の総人口は一億二千四百三十五万二千人で、前年に比べ五十九万五千人の減少となり、十三年連続で減少、出生数が死亡数を下回る自然減は八十三万七千人で、十七年連続の減少、減少幅は拡大、十五歳未満人口が総人口に占める割合は一一・四%で、過去最低、といった暗たんたる内容が並んでおり、人口減少に歯止めがかからない状況が明確なデータによって示されております。
また、都道府県別の人口を見ますと、福岡県は五百十万三千人であり、四十七都道府県の中では北海道を抜いて全国八位となりました。しかしながら、人口が増加しているのは東京都のみであり、福岡県も含め四十六道府県は人口が減少しております。普通であれば
全国ランキングが上がることは喜ばしいことですが、今回の総務省の発表をどう受け止めればよいのか悩ましいところです。
そこで、知事にお尋ねします。昨年十月一日時点で本県の人口が全国八位となった今回の総務省の発表について、知事はどう受け止められているのか。県内の人口動態の状況も含めお答えください。
二つ目の発表は、四月二十四日、民間の有識者でつくる人口戦略会議が公表した地方自治体「持続可能性」分析レポートです。このレポートは、全国千七百二十九の市町村について、二十代から三十代の女性の数、
若年女性人口の将来動向、減少率に基づき、人口から見た全国の地方自治体の持続可能性について分析されたものです。全体の四割に当たる七百四十四の自治体が
消滅可能性自治体とされ、
自立持続可能性自治体は全体の四%、六十五自治体にすぎないとされております。また、他地域から人口が流入し、出生数が非常に低い自治体を
ブラックホール型自治体と名づけており、センセーショナルな表現が用いられております。全国の知事の中には苦言を呈されている方もおられるようですが、こうした手法の効果がマスコミでも多く取り上げられております。
福岡県でも、
若年女性人口が二〇五〇年までの間に五〇%以上減少する
消滅可能性自治体に八つの市町村が含まれております。また、その他の市町村でも減少率五〇%とまではいかないものの、それに近い団体もあるようです。消滅といった表現はともかくとして、レポートの内容については国立社会保障・
人口問題研究所の推計を基礎としており、一定の方針の下で客観的な物差しによる推計を提示し、現状のまま人口が減少していくと日本という国がどういう社会になるか警鐘を鳴らしたものではないかと思われます。
この人口戦略会議のレポートに対する知事の見解をお聞きします。
都道府県の単位で見れば、東京圏への人口集中という大きな流れがあります。県内に目を転じれば、各地域から福岡都市圏へという流れもあります。人口減少問題を考える上で、この二つの流れを認識する必要があります。
六月五日に厚生労働省が発表した二〇二三年の我が国の
合計特殊出生率は過去最低の一・二〇、東京都は一を下回り、本県も過去二番目に低い一・二六となっております。私の地元の豊前市においては、人口は約二万四千人、昨年生まれた赤ちゃんは八十一人、三十年前の平成五年度の出生数二百二十八人と比べると三分の一の数となっております。豊前市で生まれた子供たちのうち、一体どれだけが三十年後地元に残ってくれるのか大きな不安を抱いております。学業のため、たとえ福岡市や首都圏に一度は旅立ったとしても、たくましくなり地元に戻り、自らの能力を発揮して働き子供を育む、そんな将来世代に魅力ある地域づくりを今の我々が進めていかなければならないと考えております。
人口減少対策は国全体で総力を挙げ対応すべき課題であり、一朝一夕に効果が出せるものではないと思います。しかし、先送りできない喫緊の課題であります。本県の
人口減少対策を考える上で、特に福岡都市圏以外の地方部の人口減少に歯止めをかけていく必要があると考えております。このためには、地方部から東京圏はもとより福岡都市圏への転出をいかに是正していくかが重要と考えますけれども、今後どのように取り組んでいかれるのか、知事の考えをお聞きし、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
3 ◯議長(香原 勝司君) 服部知事。
*知事答弁
4 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 皆さん、おはようございます。それでは、御答弁を申し上げます。
総務省の人口推計に対する受け止めと県内の人口動態の状況についてお尋ねがございました。総務省によれば、昨年十月一日現在の本県の人口は北海道を上回る全国八位となりました。本県は人口が近接しております北海道と比べますと、自然増減では減少率が小さく、社会増減では増加率が大きく、結果、減少率が〇・二六%にとどまったことから、減少率が〇・九三%となった北海道と順位が入れ替わったものでございます。しかしながら、本県の人口は三年連続で減少しておりまして、人口減少に歯止めはかかっていない状況でございます。人口減少の要因を見ますと、転入等の社会増は〇・二八%の増加となっておりますが、自然減は〇・五四%の減少となっておりまして、社会増を自然減が打ち消す結果となっております。
また、本県の人口を県内十五の
広域地域振興圏別に見ますと、福岡市及び糸島市以外の全ての圏域で減少をいたしております。減少している圏域の中でも、福岡市周辺の三つの圏域では〇・一%の減少にとどまっておりますが、それ以外の圏域では〇・四%から一・六%の減少となっておりまして、地域間において格差がある状況でございます。このことから、本県の人口減少問題を考えるに当たりましては、出生数の減少を反転させていくこと、地域間格差の解消を図ることが大きな課題であると考えております。
次に、人口戦略会議のレポートに対する見解についてでございます。消滅とか、あるいは
ブラックホールといった言葉の使用につきましては様々な御意見があるところでございますが、このレポートは、若年女性の人口の減少に着目し、自治体の持続可能性という表現で
人口減少対策の必要性を提起されたものと考えております。
このレポートによれば、
自立持続可能性自治体とされました全国六十五の市町村のうち、九つが福岡県内の市町村でございまして、福岡県は全国と比べますと
若年女性人口の減少率が緩やかな傾向にある市町村が多い状況にございます。ただし、福岡市とその周辺の圏域を合わせた福岡都市圏の市町の減少率はおおむね二割以内にとどまっているところでございますが、そのほかの圏域では減少率四割を超える市町村がございます。
若年女性人口の減少は出生数の低下、生産年齢人口の減少をもたらします。地域によりましては人手不足に拍車がかかり、地域間格差の拡大が懸念されます。県といたしましては、大変厳しい状況に置かれているということを改めて認識し、引き続き県内各地域の活性化に取り組む必要があると考えております。
県内の各地域から東京圏や福岡都市圏への転出を是正するということに向けた取組についてお尋ねがございました。全体では、転入超過にある福岡県でも、就職期に該当いたします二十代前半は千九百七十九人の転出超過となっております。これを地域別に見てみますと、九州一円からの転入超過が二千八百八十七人となっております一方で、東京都、神奈川県など一都三県の東京圏への転出超過は四千七百三十二人となっております。また、県内の人口移動を見ますと、福岡都市圏以外の地域は福岡都市圏へ二千五百九十二人の転出超過となっておりまして、福岡都市圏への人口集中による地域間格差の拡大が大きな課題であると認識いたしております。
東京圏や福岡都市圏への転出是正を図るためには、若い皆さんが自らの能力や関心に合った雇用の機会を得られるということが重要でございます。このため、各地域の経済と雇用を支える中小企業への支援、あるいは地域の基幹産業でございます農林水産業の振興、裾野の広い観光産業の振興、国内外からの企業誘致、産業基盤となる基幹的道路の整備を進めてまいります。
あわせまして、このたびの金融・資産運用特区の選定を追い風として、県内の成長産業に資金が供給され、付加価値を生み、還流した資金がまた新たな企業の呼び込みにつながるといった好循環(エコシステム)をつくることで、福岡都市圏の成長の果実を他の地域に波及させていく考えでございます。同時に、人口減少の幅が大きい豊築地域及び有明地域の県境地域につきましては、大分県、熊本県とも丁寧に意見交換を行いまして、県境地域全体の浮揚を図ってまいります。
さらに、若い世代の女性の転出に対処するため、これまで女性の働き手が少なかったIT分野、建設分野、
地域公共交通分野、
テクノロジー分野などにおきまして、女性が活躍できる就業の場を広げますとともに、創業、
スタートアップにチャレンジする女性を応援していく考えでございます。同時に、女性が安心して働き、活躍できますよう、多様で柔軟な働き方を推進し、仕事と生活が両立できる環境を整備していく必要があると考えております。
このような考え方の下、各地域の実情に応じて施策を組み合わせまして、新たな魅力ある雇用の場を生み出し、本県の人口減少に歯止めをかけ、地域の活性化に全力で取り組んでまいります。
5 ◯議長(香原 勝司君) 新井富美子君。(拍手)
*新井議員質問
6 ◯三十番(新井 富美子君)登壇 皆様、おはようございます。
民主県政クラブ県議団、久留米市・うきは市選出の新井富美子でございます。本日は福岡県の
文化芸術活動の推進について、服部知事と寺崎教育長に、その重要性の認識と、そして福岡県の現状、今後の取組や意気込みなどについて伺ってまいります。
さて、近代日本は民主化、経済活動の自由化、科学技術革新をもって全ての人の豊かな暮らしの実現を追求してまいりました。衣食住や
社会的インフラを充実させることで、私たちは肉体的な苦痛や不安、忙しさから解放され、自由で十分な時間を自分自身と、そして自分の大切な人たちのために使い、お互いにつながりを深めながら生きる意義を見いだし、心豊かに暮らすはずであったのではないでしょうか。しかし、実際には物質的な豊かさの先にあると思った生きる意義はいまだ明確には見いだせず、真の心の豊かさが何であるのかはっきりとつかめないまま今に至っているように思います。物質的に豊かになれば心もおのずと豊かになるというのは幻想であり、実際には心の豊かさを得るためには精神的な活動に関わる不断の努力が必要だったのでしょう。これは私自身も自戒を込めて申しております。しかし、単に悲観をするものではございません。これから心の豊かさを得るために精力的に取り組むことで大きく変わるものであると信じております。
そこで、精神的な豊かさを育む方法は様々あるでしょうが、
文化芸術活動の推進を一つの大きな柱として精力的に取り組むべきとここで主張させていただきます。なぜなら、人間の本質として、自分の内面を表現したい、他者、ここでは人に限らず自然界の全てという意味の他者でございます、その他者を知りたい、他者とつながりたい、そして共に幸福感を得たいという欲求が存在し、これらはすなわち
文化芸術活動の本質であり、この活動を通して個々の自己肯定感、他者との共感、理解の素養が育まれ、経済的損得や物質的な充足への欲求を凌駕した真の心の豊かさを知る手がかりとなると考えるからであります。例えばある芸術作品を鑑賞したときに、その表現者の人生そのものを追体験したり、自己の人生の振り返りの契機となるなどして深く精神に作用し、自分は人生に何を望むのか、自分にとっての真の幸福とは何かなどをおのずと考える、そういう経験を私たちは幾度もしたことがあるはずでございます。
また、
文化芸術活動が人間の本質に関わる以上、私たちが生きる上でなくてはならないものであり、この活動がなければ健全な精神すら保てないと言っても過言ではないと思います。現代社会の根底に横たわる自己肯定感の喪失や人とのつながりの希薄さ、真の幸福感の欠如は、孤独、孤立、ひきこもり、いじめ、少子化など様々な社会問題と密接に関わっていることも論じられており、こういった意味で
文化芸術活動は人間の活動の全てに関わる、言わば社会の体質改善を図る分野とも言えるのではないでしょうか。
現在、精神的豊かさの追求や
文化芸術活動の推進は夜明けの段階かもしれません。今、行政に求められるのは、これらの重要性を認識した上で、全ての人々の
文化芸術活動のためにさらに充実した環境を提供することであると考えます。
そこで、知事に質問をいたします。文化芸術の意義と重要性をどのように認識されているのかお伺いします。
二点目に、福岡県
文化芸術振興基本計画の中で、年齢、障がいの有無、経済的状況または居住する地域にかかわらず、ひとしく、文化芸術を鑑賞・参加・創造することができる環境づくりを進めるとしています。福岡県では現在どのような取組が行われているのか伺います。
三点目に、福岡県の文化振興をさらに図るためには、文化芸術に携わる人材の専門性をさらに高めることが必要だと考えますが、どのように取り組んでいくのか伺います。
次に、教育長に質問をいたします。
文化芸術活動は人間の本質的な欲求に関わるとはいえ、小学校の段階から文化芸術への関心を高め、その素養と理解力とをしっかりと育むことで後の子供たちの人生を豊かにする、このことが大きな鍵となってまいります。そこで、小学校における音楽、図画工作の専門的指導の状況と今後の方針を伺います。
次に、公立学校における
文化芸術教育についてですが、この点を充実させるために学校や国、本県が行う
文化芸術事業を積極的に取り組んでおられると思いますが、国の主な事業の取組状況を伺いますとともに、それらの取組の蓄積を今後の子供たちの
文化芸術教育にどのように生かしていき、普及と活性化に努めるのかを伺います。
そして最後に、今後の
文化芸術教育の充実に寺崎教育長はどのような思いで臨まれるか、その意気込みについて伺います。熱意ある御答弁をよろしくお願いいたします。(拍手)
7 ◯議長(香原 勝司君) 服部知事。
*知事答弁
8 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。
文化芸術の意義と重要性についてお尋ねがございました。文化芸術は人々の心を豊かにし、生活の質を高め、潤いと活力に満ちた地域社会を実現するために欠かすことのできない重要なものであると考えます。文化芸術を創造し、享受することは、人々の生まれながらの権利でございます。県民の皆様が、その年齢、障がいの有無、経済的な状況あるいは居住する地域にかかわらず、ひとしく文化芸術を鑑賞し、参加し、創造することができるような環境の整備を進めなければならないと考えております。
文化芸術に親しむことができる環境づくりについてでございます。県では、県民の皆様の誰もが文化芸術に触れ親しむことができるよう、
ふくおか県民文化祭というものを実施してまいりましたが、県民の皆様の認知度が低く、若い方の参加が少ないなどの課題がございました。このため、今年度からは、本県の
文化芸術活動をより一層活性化し、次世代につなげたいという思いを込めて、
ふくおか県芸術文化祭に改称し、開催をいたします。これまで参加が少なかった若者をはじめ、より多くの県民の皆様に、伝統芸能をはじめ多彩な文化芸術を楽しんでいただけるよう、これを発展させていきたいと考えております。
また、子供たちに優れた文化芸術に触れる機会を提供いたしますため、昨年度は、コロナの影響で鑑賞の機会が減少した小中学生を対象として、県立・市町村立の美術館、博物館等の常設展を無料といたしました。今年度は、劇団員、音楽家などを学校へ派遣する芸術体験講座の派遣先を小児医療施設や児童養護施設にも拡大して実施することとしております。さらに、高齢者の
生きがいづくり、社会参加を促進するため、シニア美術展の開催や、短歌、俳句、囲碁、将棋等の文化交流大会を開催いたしております。加えて、障がいのある方の
文化芸術活動を促進するため、障がい児者美術展を県内四地区で開催いたしますとともに、障がいのある方のアート作品のレプリカを官公庁、企業等へ有料で貸し出し、その料金の一部を制作者に還元する、ま
ごころアート福岡ギャラリーを実施いたしております。
このほかにも、文化芸術を通じた地域振興及び若手芸術家の育成を図りますため、若手の芸術家を一般公募いたしまして、みやま市の廃校を活用したアトリエに一定期間滞在していただき、地域住民と交流しながら創作活動を行っていただきますアーティスト・イン・レジデンスなど様々な取組を実施しているところでございます。
文化芸術振興に必要となる人材育成についてでございます。県内各地域における
文化芸術活動を活性化するためには、県民の皆様に一番身近な
文化芸術活動の拠点でございます公立の文化施設や市町村におきまして、その中核を担う人材を育成する必要があると考えております。このため、今年度から新たに公立文化施設や市町村の職員を対象とした
研修会文化芸術イノベーションアカデミーを開催することといたしております。この研修会では、文化政策に関する有識者をコーディネーターとして配置し、文化芸術の意義や必要性を学ぶ基本講座、地域や施設の特性を生かした事業の企画立案や運営手法を学ぶ実地研修等を実施いたしますことによりまして、職員の皆さんのさらなる専門性の向上を図ってまいります。あわせて、
文化芸術事業を実施するための財源といたしまして、国や関係機関の助成金を申請するための指導助言を行うことといたしております。また、受講者間のネットワークを構築し、福岡県全体の
文化芸術振興を図ってまいります。
この取組を通じ、全ての県民の皆様が文化芸術の力でゆとりと潤いを実感できる心豊かで活力のある、そんな福岡県の実現を目指しまして、県内各地で活発な
文化芸術活動が行われるよう、しっかりと取り組んでまいります。
9 ◯議長(香原 勝司君) 寺崎教育長。
*教育長答弁
10 ◯教育長(寺崎 雅巳君)登壇 小学校における音楽、図画工作の専門的指導の状況についてでございます。本県では、国の加配定数も活用し、専門性の高い教科担任による専科指導が高学年を中心に行われておりまして、六年生の音楽では約二割、図画工作では約一割の小学校で導入をされております。また、和太鼓演奏や陶芸など多様な専門分野で活躍する方を
特別非常勤講師やゲストティーチャーとして招聘をしている事例もございます。
今後とも、小学校において専門性の高い教員等による音楽、図画工作の授業の充実を図るため、国に対して必要な定数要望を行ってまいります。
公立学校における
文化芸術事業の取組状況等についてでございます。昨年度、国の
文化芸術事業を活用して、全国で活躍している劇団やオーケストラが学校に出向いて実技を指導し、児童生徒と共演する巡回公演を行った学校が二十一校ございます。また、舞踊や演劇等の芸術家が学校を訪問し、実演・指導を行う芸術家派遣を受けた学校が七校、障がいのある児童生徒も鑑賞しやすい公演を実施する
ユニバーサル公演を行った学校は九校でございました。また、和楽器の演奏の技能や絵画の描写技法等を学びます
芸術担当教員等研修を昨年度は二十四名の教員等が受講しまして、研修内容を生かした質の高い授業が行われているところでございます。
今後とも、
文化芸術教育の充実に向けまして、各学校で国や県の
文化芸術事業が幅広く活用されるよう、
市町村教育委員会や県立学校に対しまして周知を図り、事業の参加を促すとともに、国の教員研修の受講者が研修を通して学んだことを地域の
圏域教員研修会等でほかの教員に還元できますよう促してまいります。
文化芸術教育の充実についてでございます。文化芸術は、人間が人間らしく生きるための糧となるものであり、他者に共感する心を通じて相互に理解し、尊重し合う土壌を育むものでございます。先端技術が高度化をし、変化が大きなこの時代にこそ、心の交流を深め豊かな情操を育むことができる
文化芸術教育は子供たちにとって大変重要であると考えております。
今後も、子供たちが楽しさや感動、精神的な安らぎや生きる喜びを味わうことができるよう、学校における
文化芸術教育の充実をしっかりと図ってまいります。
11 ◯議長(香原 勝司君) 稲又進一君。(拍手)
*稲又議員質問
12 ◯八番(稲又 進一君)登壇 公明党の稲又進一でございます。質問の機会をいただいたことに感謝申し上げ、通告に従い質問をさせていただきます。
本県は、未来を拓くイノベーションの創発を掲げ、明日の福岡の産業の米への重点投資、一千億円の人づくりの観点から未来を担う人材育成にも注力、半導体関連やIT企業などの産業振興が目覚ましい中ではありますが、物づくりのまちとして発展してきた北九州をはじめ、これまでも、専門的人材を育成し、高度な技術力をもって福岡の経済を支えてまいりました。技術を培った若者が県内企業に就職し住む流れを維持することは、本県のさらなる発展はもちろん、人手不足が叫ばれる各業界においても重要な取組であると考えております。
先日、私は県内の工業高校に同窓会の方からお声をかけていただき、実習機器の現場を拝見させていただきました。現場で感じたことといたしまして、今より約五十年前、昭和四十年代に納品している古い実習機器が多く使用されているということであります。教職員の方々が丁寧にメンテナンスを施し、令和の今でも使用可能なものもございますが、大型の実習機器が故障したまま置かれている現実も目の当たりにしてまいりました。教科書にはデジタル技術で記述されているものも、実際はデジタル化されていない実習機器で学んでいるものも中にはございました。
製造や工業の基礎や理論を学ぶ点として必要不可欠であることには変わりはございません。全ての実習機器が古いわけではなく、令和三年には国の補助金を活用し、一部だけではあるものの新規導入した実習機器もあります。しかし、現場にとってはほんの一部です。本県内には工業学科を有する県立高校は十二校あり、伺いますとどこも類似した状況であるとのことです。
実践的な技術を身につけるという観点では、高度な技術を持った企業の方から生徒が直接指導を受けたり、教員の方が企業で技術研修を受けたりしているともお伺いをしております。社会では技術が急速に進展をする中、本県の工業高校の卒業後の進路は就職が約七割であります。競争社会にもまれながら最新機器を備えた企業に就職し、高校で学んだことを存分に生かし、活躍するためには、スピード感を持って先端技術に対応した実習機器を整備することは急務であると考えております。
学校運営側も大幅な実習機器の更新の必要性を現場に触れる中で感じておられ、昭和四十年代当時のような実習機器一斉導入の予算を確保できることが本来は理想ではありますが、現在の予算枠を理解しているからこそ、なかなか現場の声を上げにくいのが現実ではないかと考えております。その上で、今まで以上に力を注いでいただき、現代に即した実習機器の導入を強く期待をされております。
また、本県には公共職業能力開発施設として、地域社会の要請する有能な人材を育成するための職業訓練施設、高等技術専門校も七校擁しており、伺いますと、こちらには比較的新しい実習機器がそろっていると聞いており、今後、同じ県立施設でもありますから、部署横断の連携を進めていくこともここで要望させていただきます。
本県の工業高校生は未来の産業界を担う宝の人材であります。将来日本の物づくりを支える若い人材のための職業訓練が実社会で役立つものとなるように、設備の充実に取り組んでいくべきと考えます。
そこで、教育長へお尋ねをいたします。各工業高校の実習機器の使用状況など実態調査をいただき、早期更新すべきものの洗い出しを進めていただきたいと存じますが、いかがでしょうか。また、その結果に基づき、デジタル化に対応した実習機器の導入の実施検討を早期に進めていただくとともに、国への予算要望も今以上に強くすべきと考えますが、御所見をお尋ねをいたします。
次に、若者薬物乱用防止対策についてお尋ねをいたします。大麻や覚醒剤、オーバードーズなど、若者による薬物乱用が大変危惧をされております。県警本部のまとめによりますと、県内では昨年、大麻による検挙者数が初めて覚醒剤の検挙者数を上回り過去最多を更新、本県においても若い世代への大麻の広がりが深刻な問題となっております。昨年一年間で薬物に関わる犯罪で検挙された人は、前の年より百二十五人多い九百二十二人、このうち大麻による検挙者数は前の年より百二十六人増えて過去最多の四百七十五人、覚醒剤は三百七十一人で、覚醒剤の検挙者数を大麻が上回るのは統計上初めてのことであります。
大麻所持などで検挙された人を年代別で見ますと、十代が百九人、二十代が二百七十二人の合わせて三百八十一人で、全体の八〇%を超えており、若い世代への大麻や薬物の広がりが浮き彫りとなりました。検挙者数が多いということは、県警本部が取締りを強化していただいていることの証左でもありますが、犯罪など薬物に関連した事件や事故による被害者を生まないためにも、未然予防策に力を入れることも重要であると考えております。
また、市販薬の乱用、いわゆるオーバードーズにおいては、二〇一二年から二〇二〇年にかけて依存症患者が約六倍に急増、薬物使用と生活に関する全国高校生調査二〇二一の中にあります市販薬の治療目的外使用の経験の有無のアンケートによりますと、六十人に一人が経験者との結果でありますが、実はこの数字は大麻使用率の約十倍の数値であり、こちらはさらに対策が急務であります。
薬物乱用の共通項である社会的孤立を防ぐ政策も根本的に重要でありますが、ここでは未然予防策として、教育分野において確認をいたします。薬物乱用防止教育においては、大学へは年に一回の新入生向けリーフレットを配付、公立中学校へは啓発DVDの配付を実施中とのことで、引き続き実態効果の確認は必要ですが、その中で、私は、成人一歩手前、高等学校での教育が最も重要ではないかと考えております。専門家の方からも、高等学校段階での教育が若者の乱用の大幅な抑止につながると指摘をされております。
それを踏まえ、県立の高等学校における薬物乱用防止教育の現状を伺いましたところ、各学校において外部講師を招いての教室を全学年の生徒を対象に実施し、実施率は一〇〇%、必修科目の保健学習においても薬物の体に対する影響の理解増進に努めておられます。
一方、県内の私立高等学校における令和四年度の薬物乱用防止教室の実施状況を確認をいたしますと、私立高等学校は六五・六%と全国平均よりは上回っているものの、未実施の私立高等学校がある状況となっております。また、既に実施されている私立高等学校においても、誰を対象にどのような内容で教室を実施したのか本県としても把握をしていくことが抑止につながると存じます。学習を通じて危険性を理論的に学び深め、誘惑や悪質な勧誘に対しても明確に断る勇気を持つことで、若者の未来を守ることにもつながりますし、被害を削減できるのではないでしょうか。
そこで、知事へお尋ねいたします。私立高等学校においては、薬物乱用防止教室にどのように取り組んでおられますか。また、県として、未然防止に重要な私立高等学校の薬物乱用防止教室の開催をどのように促進していかれるか御所見をお尋ねいたし、質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
13 ◯議長(香原 勝司君) 服部知事。
*知事答弁
14 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁申し上げます。
私立高等学校における薬物乱用防止教室についてでございます。国の第六次薬物乱用防止五か年戦略におきましては、全ての高校は、保健体育など通常の授業とは別に、薬物に関して専門知識を有する警察職員や、あるいは薬剤師などの外部講師を活用した薬物乱用防止教室を年一回は実施することとされております。このため、県では全ての私立高校での実施を目指しまして、国からの実施徹底に関する通知がございますたびにこれを直ちに周知をいたしておりますが、県内の三割を超える高校においては実施されていない状況にございます。
この実施していない学校にその理由をお聞きしますと、その多くが、薬物乱用防止教室は外部講師を活用しなければならないという認識がなかったとのことでございました。そこで、私が本部長を務めております福岡県薬物乱用対策推進本部から全ての私立学校に対し、福岡県薬物乱用防止講習会の講師団名簿を送付いたしますとともに、通常の授業とは別に必ず薬物乱用防止教室を実施するよう要請を行ったところでございます。
引き続き、こうした指導を行いますとともに、県私学協会が開催をいたします経営者の研修会や教員の研修会におきまして、薬物乱用防止教室の実施の徹底を要請してまいります。
15 ◯議長(香原 勝司君) 寺崎教育長。
*教育長答弁
16 ◯教育長(寺崎 雅巳君)登壇 工業高校における実習機器の実態調査についてでございます。早期に更新が必要と考えられる実習機器につきましては、毎年度、学校からの要望に基づき、その内容を精査した上で更新する実習機器を決定をしております。今後は、学校からの要望に合わせまして、必要に応じて実習機器の使用頻度や稼働状態に関する調査を実施をしたいと考えております。
デジタル化に対応した実習機器の導入と国への予算要望についてでございます。デジタル化対応実習機器につきましては、多種類の金属加工を連続で行えるマシニングセンタや、パソコンで入力した数値を基に金属等の加工品を作成する3Dプリンターなどを整備をしてまいりました。また、令和四年度には、半導体製造技術に関します実習を行うためシーケンス制御装置などを整備をしております。
今後とも、産業界の動向を踏まえまして、教育効果が高まるよう、実習機器の整備について検討してまいります。さらに、毎年行っております全国都道府県教育長協議会などを通じての国への要望に加えまして、県教育委員会としても財政支援を要望してまいります。
17 ◯議長(香原 勝司君) 大塚絹子君。(拍手)
*大塚(絹)議員質問
18 ◯七番(大塚 絹子君)登壇 新政会福岡県議団の大塚絹子です。質問の機会をいただきましてありがとうございます。通告に従い、
消滅可能性自治体及び自然減対策への取組について質問いたします。
民間の有識者でつくる人口戦略会議が今年四月、日本の地域別将来推計人口に基づき、人口から見た全国の地方自治体の持続可能性について分析したレポートを発表しました。日本創成会議が消滅可能性都市リストを発表してから十年がたち、当時の分析を踏まえつつ、今回、新たな視点として、人口の自然減対策から成る出生率の向上と、社会減対策となる人口流出の是正の両面からの分析も行われていました。
私が議員を志すきっかけが、地元八幡東区が二〇一四年に消滅可能性都市に指定されたことでした。若い女性やファミリー層から住みたい町、子育てしたい町と選んでもらえるようにすることが私の使命と思っています。ちなみに今回の分析レポートでは、八幡東区は北九州市全体としてのくくりとなり、
消滅可能性自治体ではなく、自然減、社会減、両方の対策が必要なその他というカテゴリーになりました。福岡県内の状況は、
消滅可能性自治体が八あるものの、
自立持続可能性自治体が九、消滅可能性から脱却した自治体が十三となっており、他都道府県と比較して
自立持続可能性自治体及び改善した自治体の多さが目を引きました。
そこで、まず今回の
消滅可能性自治体の分析レポートについて知事の見解をお伺いいたします。また、自然減対策となる出生率向上への取組についてお伺いいたします。
先日発表された本県の出生率は、九州・山口・沖縄で、最も低い一・二六で過去二番目に低い数値となりました。若い世代の経済的な不安が結婚や出産のハードルとなっている話を耳にすることが多く、若者が希望を持てるよう安定した所得により将来の不安を取り除くことが大切だと考えます。
そこで、知事にお尋ねします。若い世代の所得向上のため、これから仕事に就こうとする若者の就職支援や非正規雇用労働者の正社員就職の支援について県はどのように取り組んでいるのか、また今後どのように取り組むのかお伺いします。
次に、女性のキャリア継続と職場環境づくりについてお伺いいたします。女性の子育てと継続就業の両立に向けての雇用形態についても正規化を促すことが求められています。そのためには、パートナーとなる男性へ育児や家事協力を促したり、女性が結婚や出産などを機に離職や非正規雇用での就業を余儀なくされることなく、正規雇用で働き続けられる企業の職場環境づくりを支援していくことが重要であると考えます。
そこで、知事にお尋ねします。女性が出産や子育てと両立しながら働き続けることのできる職場環境づくりに、県としてどのように取り組まれているのかお伺いいたします。
また、県として少子化対策で行っている先進医療による不妊治療の助成について申請状況をお答えください。保険適用が開始され二年が経過しました。女性が仕事を継続しながら不妊治療を受けやすいよう、企業に対し県からも、職場での理解を進める働きかけをしていくことが必要ではないかと考えますが、知事の認識をお伺いいたします。
私自身が男女雇用機会均等法施行直後に社会人となり、総合職採用の女性が急速に増えた世代です。自身のキャリア継続のため出産の機会を逃したり、お子さんの体調不良による急な遅刻や早退で職場の理解を得るのに大変苦労した話、不妊治療の相談を職場にできなかったこと、数多く見聞きしました。現在、少子化対策で様々な施策がなされ、制度としては整い、大企業では導入が進んでいるように見受けられます。中小企業の多い本県では、制度の導入だけでなく職場での相互理解が得られる風土づくりが本当に重要だと考えます。本県での取組が進み、若者や女性が子供を持つことを前向きに捉え、出生率の向上と個々のよりよいキャリア形成につながることを願い、質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
19 ◯議長(香原 勝司君) 服部知事。
*知事答弁
20 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。
人口戦略会議のレポートに対する見解についてお尋ねがございました。消滅や
ブラックホールといった言葉の使用につきましては様々な御意見があるところでございますが、このレポートは、若年女性の人口の減少に着目し、自治体の持続可能性という表現で
人口減少対策の必要性を提起されたものと考えております。
このレポートによりますと、
自立持続可能性自治体、これは全国で六十五市町村あるとされておりますが、このうちの九つが福岡県内の市町でございまして、福岡県は全国と比べますと
若年女性人口の減少率が緩やかな傾向にある市町村が多い状況にございます。ただし、福岡市とその周辺の圏域を合わせました福岡都市圏の市町の
若年女性人口の減少率はおおむね二割以内にとどまっておりますが、他の圏域では減少率が四割を超える市町村がございます。
若年女性人口の減少は出生数の低下、生産年齢人口の減少をもたらします。地域によりましては人手不足に拍車がかかり、地域間格差の拡大が懸念されます。県といたしましては、大変厳しい状況に置かれているということを改めて認識し、引き続き県内各地域の活性化に取り組む必要があると考えております。
次に、若者の就職支援についてでございます。県では、若者就職支援センターにおきまして、若者の安定就労に向け、正社員での就職を目指した支援を行っております。これから仕事に就こうとする若者に対しましては、正社員求人を計画する地元の企業を集めた会社説明会やウェブインターンシップを実施いたしまして就職につなげますほか、センターにおきましては就職後の個別相談等によるフォローアップを行いまして、就職から職場定着まで一貫した支援を行っております。また、県立高等技術専門校におきまして就職に有利な知識や技能を身につける職業訓練を行い、即戦力となる若者の就職を支援しております。
非正規で働かれている若者に対しましては、人材不足分野でございます介護、福祉、農林水産などの業界の魅力を知るセミナーや、紹介予定派遣の仕組みを活用したマッチング支援等を行っておりまして、令和三年度からこれまでに五百七十一人が正社員として就職をいたしております。今年度からは、中小企業で働く非正規雇用労働者を対象といたしまして、ITの知識や技能を習得できるリスキリングプログラムを実施し、受講した従業員を企業が正社員化した場合、受講料の全額を助成するということといたしております。今後とも、こうした取組を通じ、若者が安定した就労ができるよう支援してまいります。
次に、女性が出産や子育てと両立しながら働き続けることのできる職場環境づくりについてでございます。県では、企業のトップ自らが仕事と子育ての両立を応援するという取組を宣言し、実行する子育て応援宣言企業の登録制度を実施いたしておりまして、この五月末現在では八千五百八十九社に登録をいただいております。
昨年度からは、男性の育児休業の取得を促進いたしますため、テレビ番組や動画配信を通じ、人事労務管理制度や運用上の工夫などの先進的な企業の取組を紹介する事業を実施いたしております。
今年度からは、育児中の柔軟な働き方を進めますため、中小企業を対象として、始業・終業時刻の変更やテレワーク、短時間勤務などの制度導入に関するセミナーを開催いたしますとともに、社会保険労務士を無料で派遣をいたしまして、就業規則の改定等に関する助言を行う事業を実施いたしております。また、男性の五日以上の育児休業取得促進や、休業中の業務を代替する従業員への手当支給等に取り組む企業を支援いたします両立支援等助成金などの説明会を福岡労働局と共催で開催いたしております。
今後も、こうした取組を通じ、女性が出産や子育てでキャリアを中断することなく働き続けることができる企業の職場環境づくりを推進してまいります。
次に、不妊治療を受けやすくするための職場での理解促進についてでございます。県では、保険適用外である先進医療による不妊治療費に対しまして、出産・子育て安心基金を活用し、昨年度から県独自に助成を行っているところでございます。事業を開始いたしましてから今年四月までの申請件数、これは千八百七十八件、金額は六千十五万九千円となっております。
不妊治療を受けていらっしゃる方は、経済的な負担のみならず、頻繁な通院を要することや治療のめどが立ちにくいということから仕事の両立ができず離職するという方もいらっしゃいます。このため県では、保健所が主催をいたしまして、商工会議所や市町村等が参加をする会議におきまして、不妊治療の内容や職場における配慮のポイント、企業独自の休暇制度等の導入事例が記載されたハンドブックを配付し、事業主などへ周知いただくよう働きかけを行っております。
引き続き、こうした取組を通じ、より多くの企業に不妊治療に利用できる休暇制度の整備を進めていただくなど職場での理解の促進を図ってまいります。
21 ◯議長(香原 勝司君) 塩生好紀君。(拍手)
*塩生議員質問
22 ◯四番(塩生 好紀君)登壇 皆様、こんにちは。日本維新の会福岡県議団の塩生好紀です。通告に従いまして、防災と自然保護を両立した河川整備について一般質問を行います。
県内の河川では、今般の気候変動や集中豪雨による災害に対応するための河川整備が進んでおり、福岡市西区でも県所管河川において、地域の声も踏まえ洪水対策や減災の取組を行っていただいております。人間の生活や命のための河川整備が最優先されることは大前提として、今回はEco-DRR、すなわち生物や環境を保護して、自然の持つ力によって災害による被害を防止または軽減させる取組や考え方を踏まえた河川整備について質問します。生物や環境の保護を行うことで人間社会にも還元されていく好循環を河川整備でもより一層目指していただきたいと考えております。
河川整備において、従来多く用いられてきたグレーインフラと言われるコンクリート等の人工構造物による整備は、機能の有効性が明確で、完成後すぐに目的の効果を発揮するというメリットがある一方で、環境負担が大きく、維持及び修繕にかかる費用も高額であることに対して、Eco-DRRは、グリーンインフラを活用した取組も含まれ、河川整備においても防災や環境のみならず、教育や観光の観点でも有意義であるという研究や報告も増えてきています。
福岡県生物多様性戦略の中でも、グリーンインフラについて、CO2 の吸収量も増え、温暖化対策や住民の心身の健康増進など多様な機能に期待できるとされています。福岡県も推進しているカーボンニュートラルに対しても重要な取組の一つになると考えております。ただ単純に町に緑を増やしたりグレーインフラと対立するのではなく、河川それぞれの生態系や地域の環境などに合わせて双方の特性や効果を踏まえ適切な組合せが必要であると考えます。
また、河川整備においては、地域の声や県民の要望と専門家が推奨する方針と異なることも生じていると聞き及んでおります。目に見えるハード面の活用も大切ですが、Eco-DRRの考え方や必要性について理解や情報を広げるためにも、日頃から分かりやすい情報発信と丁寧な説明が重要であると考えます。
福岡市西区を流れる室見川では、春の訪れを告げる風物詩シロウオ漁の漁獲量が近年減少し、二年連続で休漁となっていることは報道を通して皆様御承知かと思います。生きたまま口に流し込む踊り食いで有名なシロウオは、体長五センチほどのハゼ科の魚で、二月中旬頃から海から遡上し、川底の石の下に産卵します。資源量は全国的にも減少傾向にあり、室見川のシロウオの漁獲量は十一年間で二百五十キロから十分の一まで減少し、僅か二十五キロになったと聞いております。
室見川におけるシロウオ産卵場について研究をされておる九州産業大学伊豫岡准教授によると、河川の流水が流れる部分である河道の形状が変わったことや、河道の拡幅により川の流れが緩やかになると、本来海へ流れるはずの砂が堆積します。産卵する石が砂に埋もれてしまうため産卵場所がなくなってしまうと警鐘を鳴らされております。実際に砂州の撤去による低水路の単純断面化が進み、明瞭な流路が見られるのは僅かな区間となっており、本来河川が持っている機能を取り戻す必要があるとされております。