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令和6年6月定例会(第7日) 名簿
令和6年6月定例会(第7日) 本文

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  1. 福岡県議会 2024-06-07
    令和6年6月定例会(第7日) 本文


    取得元: 福岡県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-08
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(香原 勝司君) おはようございます。ただいまから本日の会議を開きます。  日程に従い代表質問を行います。順次発言を許可いたします。松尾統章君。(拍手) *松尾議員質問 2 ◯八十番(松尾 統章君)登壇 皆さん、おはようございます。自民党県議団の松尾統章でございます。今議会では、我が会派、藏内勇夫相談役とそれこそよく相談し、御指名を受けまして、会派を代表して質問に立たさせていただきました。  傍聴席には久しぶりに私の関係する地元の方々をはじめ、多くのと言ったらあれですけれども、応援団も来ている中で、今回の議会、我が会派の考える今後の方向性、そして喫緊の課題を知事及び教育長にぶつけていきたいと思っております。  冒頭、まず知事の政治姿勢についてただしてまいります。近年、新型コロナ、大規模災害や台湾有事のリスク増大など国民の安全に重大な影響を及ぼす事態が相次いでいます。こうした有事の際は国が統一的な対応を行うべきではありますが、他方、これまでの地方分権改革の流れに逆行するような動きに対してはしっかり注視し、国に言うべきことを言っていかなければなりません。こうした中、最近、国と地方との関係の在り方を問われるような動きが幾つか出ており、これらについての知事の基本的な姿勢をお尋ねいたします。  まず、大規模災害や感染症の蔓延等の際、個別法に規定のない場合に国が地方自治体に必要な指示を行う補充的な指示の規定を盛り込んだ地方自治法改正についてお聞きします。昨年十二月議会において、我が会派はその内容に懸念を示し、地方六団体から修正案を提起するなどの対応が必要ではないかとただしました。本年三月に改正法が閣議決定され、補充的な指示が国と地方との関係の特例と位置づけられるなど地方に一定の配慮がなされたものの、指示の行使に関わる地方への事前協議や意見聴取が努力義務にとどまり、どのような運用がなされるのか明確化されておらず、運用次第では自治体に対する国の安易な、場合によっては不当な介入を招き、我々の努力によってこれまで築いてきた対等、協力という国、地方の関係が上下、主従の関係に逆戻りし、地方の自主性や自立性が失われる事態も懸念されます。法案成立後もその運用に当たり地方自治体の本旨が損なわれないよう、引き続き地方から声を上げていくことが必要と考えます。知事は今後どう取り組んでいくのかお答え願います。  次に、台湾有事を想定した沖縄県先島諸島からの住民避難の受入れ計画の作成についてです。この計画は、令和四年度から開始された沖縄県の国民保護訓練と連動するもので、石垣市、宮古島市など先島諸島五市町村の住民の方々が九州・山口各県に避難する場合を想定し作成するものと聞いております。この計画は、受入れ側の九州・山口各県はもとより、沖縄県から避難してこられる方々にも影響を及ぼすものであり、慎重な対応が図られるべき問題と考えます。  服部知事が常々言われているように、九州のリーダー県は福岡県であり、その福岡県のリーダーたる知事が県内市町村、九州・山口各県など関係者の意見を踏まえ、国に対し計画策定に当たっての問題点を提起していくことが重要であり、また期待されているのではないでしょうか。国は本年度中に九州・山口各県が計画を作成するよう協力要請したとのことでありますが、今後この問題にどう対応していくおつもりなのか、具体的にお答え願います。  最後に、原発の高レベル放射性廃棄物、いわゆる核のごみの最終処分場選定をめぐり、佐賀県玄海町議会が文献調査の受入れを求める請願を採択し、五月に脇山玄海町長がその受入れを表明いたしました。核のごみの処分地を定め、安全に処分していくのかについては、国が主導的に取り組んでいくべき問題ではありますが、現実に玄海原発から半径三十キロ圏内に糸島市が含まれる隣県の知事としてどのようにこの問題を受け止めているのでしょうか。また今回の一連の動きは、我々に原発の存在の重大さを改めて惹起したと思います。あってはならないことでありますが、原子力災害が発生した場合の避難計画やその実効性について、改めてこの場でお示し願います。  次に、学校教員の教職調整額引上げに伴う県財政への影響と今後の対応についてお聞きします。五月に中央教育審議会の特別部会が教員の残業代の代替として、月額給料の四%を支給する教職調整額を一〇%以上へ引き上げることを大きな柱とする公立学校教員の確保に向けた総合的な対策を盛山文部科学大臣に提出しました。これを受け文部科学省は、教職員給与特別措置法改正案を来年の通常国会に提出する方針であり、約五十年ぶりの増額が現実味を帯びてきました。教員の待遇改善による人材確保といったその方向性は望ましいものではありますが、教員給与の財源は義務教育費国庫負担金制度により、国が三分の一、地方が三分の二を賄う仕組みであります。国と地方の公費負担は年間約二千百億円増える見込みと伺っており、都道府県の負担も巨額になるものと見込まれます。厳しい財政状況にある本県においては看過できない問題であり、国に対し財政措置の要望を上げていくべきではないかと考えます。  そこでまず、教職調整額引上げに伴う本県の追加負担の試算額をお示しいただくとともに、この問題に対しどう対応されていくのかお答えください。  次に、豪雨災害等に対する防災対策の強化について知事にお伺いします。本県では、平成二十九年七月の九州北部豪雨以降、七年間に六度の大雨特別警報が発表されるなど、毎年のように大雨災害に見舞われております。昨年七月の梅雨前線豪雨では、久留米市を中心に県内各地で甚大な被害が発生し、五名の方の貴い命が失われました。当時、私も自民党県議団の代表として、藏内勇夫相談役、また自民党福岡県支部連合会原口剣生会長と共に直ちに合同対策本部を立ち上げ、被害の実態把握と被災地の一日も早い復興、そして国への要望、支援等を迅速に行いました。今後も起こり得る豪雨災害の激甚化、頻発化が懸念される中、ハード、ソフト一体となった総合的な防災対策の強化が必要であります。その際、デジタル技術を積極的に活用し、災害対応の迅速化、効率化を図っていくことが有効だと考えます。  そこで知事にお伺いします。本県では災害対応に当たりデジタル技術をどのように活用しているのかお答えください。また災害から県民の生命、財産を守るために事前の備えも重要です。度重なる豪雨災害等の経験を踏まえ、今後どのように災害対応力を強化していくのか具体的にお示しください。  次に、豪雨災害に備えた公共土木施設の防災対策について伺います。我が会派では、再度災害防止や浸水被害軽減を図るため、改良復旧や治水対策の推進並びに内水氾濫を軽減させるため、筑後川本川のしゅんせつを積極的に推進するよう求めてまいりました。昨年の豪雨災害で被災した道路、河川等の復旧状況をお示しいただくとともに、浸水被害が甚大であった巨瀬川と広川、また人的被害も発生した千之尾川について、再度災害防止に向けどのような対策に取り組んでいるのか、進捗と併せてお答えください。さらには今年の出水期に備え実施している対策についてお答えください。  次に、農林水産業における防災対策についてお尋ねします。昨年の豪雨で農林水産業でも甚大な被害が発生しました。その被害額の約八割は農業分野であり、県内地域を中心として被害に見舞われています。とりわけ農地、ため池、農道など生産基盤の復旧への農家の期待は大変大きいものがあります。また農業被害の防止、軽減を図るためには、事前の備えとしてハード対策と流域治水などのソフト対策を組み合わせて進めていくことが重要であると考えます。  そこで知事にお伺いします。昨年の豪雨で県南地域において被災した農地及び農業用施設の復旧の進捗状況とともに、今後、県下全域での豪雨災害への備えとして、農地、農業用施設におけるハード、ソフト両面にわたる対策をどのように進めていくのかお答えください。  次に、災害ボランティア支援体制の強化について伺います。災害時には瓦礫の撤去、泥出し、炊き出しなどの様々な場面においてボランティアの力が不可欠となっていますが、円滑に活動を行うためには必要な支援が必要な地域に届くよう総合的な調整を行うことが必要です。昨年の豪雨災害の際には、災害市町村の社協、自治体とNPO等支援団体との情報共有や県社協、Fネットの三者による災害ボランティア活動の調整の役割分担について課題を残したところであり、昨年九月議会の我が会派からの指摘に対し、知事からは、今後、効率的な支援体制の構築に取り組んでいく旨、答弁されたところであります。  そこで知事にお伺いします。各地域の支援団体や自治体、社協の平時からのネットワークづくりにどのように取り組んでいるのでしょうか。また広域災害の場合における県、県社協、Fネット三者による災害ボランティア支援機能に関する課題について、どのように見直し、強化を図っているのでしょうか。県民の皆様の不安を払拭するような明快な答弁を求めます。  次に、海外視察について伺います。昨今、報道で地方議会による海外視察、とりわけ本県議会における海外視察が頻繁に取り上げられています。報道内容を見ると、都道府県や政令都市が実施した海外視察の実績について、本県議会による視察の回数、参加議員数、費用が突出して多いというもので、費用に対して果たして成果が上がっているのか疑問が呈されています。
     これを受け、本県議会では超党派でつくるプロジェクトチームを設置し、予算執行方法等の見直しや県議会の海外活動の透明化について検討を行っているところであります。その一方で、先日、香原議長が報道機関の記者からの海外視察は必要かとの質問に対して、成果を上げていくことが大事と答えられているように、本県議会としては、これまで行ってきた海外視察を通じて、海外で得た知見を本県の施策に反映させる、あるいは長年にわたる地域間交流をより強固なものにする、また県の重要施策の実現に大きく貢献するなど、費用を上回る効果をもたらしてきたという自負があります。  例えば平成二十六年十月に九州国立博物館で開催された故宮博物院展については、藏内勇夫顧問、当時ですね、顧問をはじめとした福岡県台湾友好議員連盟のメンバーや当時の松本國寛議長が台湾総統府や故宮博物院を訪問し、強力に開催を要請したことにより実現いたしました。また平成二十九年七月には、ポーランドのクラクフで開催された第四十一回世界遺産委員会において、「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群の八つの構成資産が一体の価値を有することを理解してもらえるよう、当時の樋口明議長をはじめ関係議員が各国の大使に向けて積極的なアプローチを行った結果、同委員会において八つの資産全てが世界遺産に登録されました。加えて、九州国立博物館の開館や二〇一九ラグビーワールドカップ福岡開催などについても、広く県民に誇ることができる成果と言えると考えます。  こうした県議会の海外活動には、政策提言を充実させる手法の一つとして、海外の先進事例や参考となる取組を視察、調査するなど県議会単独で実施するもののほかに、知事の要請に応じて県執行部の海外活動に同行し、協力するものがあります。  そこで知事にお尋ねします。服部知事は、世界から選ばれる福岡県を標榜され、知事就任以来、精力的に海外活動を行ってきたと思います。知事が議会に同行を求める場合、どういった目的で要請され、またその効果についてどのようにお考えかお示しください。  次に、国内外からの観光誘客についてお尋ねします。新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが、いわゆる二類相当から五類感染症へと変更され一年が経過し、観光客が急回復しているタイミングで、現在、国内最大級の観光キャンペーンである福岡・大分デスティネーションキャンペーンが本県では二十五年ぶりに開催されています。四月六日に博多駅前広場で開催されたオープニングセレモニーでは、九州の自立を考える会の藏内会長や香原議長が関西からの特別列車で到着された約二百名のお客様をお迎えし、キャンペーンの開始を盛大に盛り上げました。このキャンペーンでの盛り上がりを県内の観光需要の拡大につなげ、今後も観光客を県内各地に周遊させることが重要であると考えます。  キャンペーンの期間中、様々な事業を展開しているとは思いますが、最近、県内周遊のバスツアー、よかバスのテレビCMや新聞記事などをよく目にするようになりました。県内周遊において二次交通に課題があることから、よかバスは特に重要な事業であると考えております。このよかバスの現時点での手応えをどのように感じられているのでしょうか。また今後、よかバスをどのように展開していくのかお伺いします。  次に、海外からの誘客についてお尋ねします。町なかでは、大きなスーツケースやリュックを抱えて歩く外国人観光客の姿を多く見かけるようになりました。しかし、会話を聞いてみると、韓国語や中国語がほとんどで、欧米豪からの観光客はまだ少ないように感じます。  観光庁の宿泊旅行統計によると、令和五年の本県の外国人延べ宿泊者数は全体で約四百七十四万人泊と、コロナ前の令和元年と比べ一一一%となっています。しかし、その内訳を見ると、大半は韓国や台湾などアジアからの観光客となっており、欧米豪の割合は僅か五・四%にとどまり、アジアに偏っているのが現状であります。さらに、株式会社日本政策投資銀行公益財団法人日本交通公社が共同で実施した日本の観光地認知度によると、福岡の認知度については欧米豪では僅か八%と低い状況にあります。令和五年の欧米豪から本県へのインバウンドは、コロナ前の令和元年と比べ、オーストラリアは一四三%と上回っていますが、イギリスは七五%、フランスは九七%といずれもコロナ前の水準には至っておりません。  この状況を踏まえ、五月二十三日から五月二十七日の日程で、服部知事、香原議長、各会派代表と共に私もロンドン、パリを訪問し、現地旅行社やメディアの方々に福岡を売り込んできたところであります。ロンドンでお会いした在英国日本国特命全権大使である林大使からは、福岡は魅力ある地域、大いに頑張っていただきたいとの力強い言葉をいただきました。今回のロンドン、パリ訪問に対する知事の率直な感想と今後、欧米、欧州からの観光誘客にどのように取り組んでいくかお聞かせください。  次に、イスラム圏からの誘客についてお尋ねします。イスラム圏は、イスラム教を信仰するムスリムの方々が人口の多数を占める国々であり、中東諸国やインドネシア、マレーシアなどの国が該当します。  近年、日本に訪れる観光客や技能実習生などは増加傾向にあります。東京都の資料によると、二〇二〇年時点で全世界に十九億人のムスリムがいると言われています。國學院大學教授であり、味の素の食の文化センターフォーラムメンバーであります上野誠先生は、イスラム教国における食生活や文化は国によって様々であり、ハラールといっても、イスラム教の宗派やその都市のイスラム系住民の比率で運用は違う。したがって、中東、アフリカ、東南アジア等を直接見ないと駄目だと言及されました。  イスラム圏の富裕層は、大家族で高級ホテルに長期滞在し、高額な買物などを楽しむと言われており、観光誘客のターゲットとして有望な地域と考えます。イスラム圏からの誘客に力を入れていく必要があると思いますが、知事の考えをお伺いします。  次に、半導体分野における人材育成と技術力向上の取組について伺います。九州には約千社の半導体関連企業が立地しており、そのうち我が福岡県は世界トップシェアを誇る企業を含め、材料や製造装置など幅広い業種の企業約四百社が集積しています。また半導体を作る側だけではなく、自動車産業をはじめ半導体を使う側の企業が多く立地していることも我が福岡県の強みであります。  さて、世界的な半導体関連産業への投資の流れを受け、半導体関連人材の確保及び関連企業の技術力向上は喫緊の課題であります。本県は、これらの課題に対して重要なミッションを担う福岡半導体リスキリングセンターと三次元半導体研究センターという二つのセンターがありますが、これらについて知事の取組姿勢について質問いたします。  県では昨年八月にリスキリングセンターを開設いたしました。昨年度は県内、九州だけではなく全国から四千人を超える方が受講されたとお聞きしています。一方、熊本大学における半導体デバイス工学課程の新設をはじめ、相次いで九州内の大学や高専、高校等における半導体人材育成の取組が加速しています。  そこで知事にお伺いします。県は社会人の人材育成で注目を集めていますが、社会人人材の育成はもちろんのこと、半導体産業の中長期的な振興の観点からも、今後は若年層にもアプローチして将来の半導体産業を支える人材を育成していく必要があると考えますが、知事の見解をお尋ねします。  次に、企業の技術力向上を支援する三次元半導体研究センターについて伺います。前工程と言われる半導体チップの生産過程においては半導体の微細化が進んでおります。世界最先端のものは二ナノメートルまで微細化が進んでいると聞いており、半導体の微細化は限界を迎えつつあるとも言われていることから、近年では後工程となる半導体の組立てや実装をいかに小型高性能化させるかという実装技術が注目されているところであります。  県では平成二十三年に三次元半導体研究センターを開設し、半導体を実装するための研究開発を通じて、県内企業の技術力向上を支援してきました。時代の流れを先取りした取組と評価いたしますが、これまでこのセンターの成果が十分に発揮されていないのではないかと感じているところであります。  そこで知事にお伺いします。この三次元半導体研究センターがこれまでどのような成果を上げてきたのかお示しください。また半導体の技術が日進月歩で進化している中、このセンターが今後も新たな研究開発ニーズに的確に対応できるようどのように取り組んでいくのかお答えください。あわせて、世界から選ばれる半導体拠点構築に向けた知事の思いをお聞かせください。  次に、水素拠点の構築についてお尋ねします。水素は、二〇五〇年カーボンニュートラル達成に必要不可欠なエネルギー源であり、世界各国で水素をめぐる競争が激しさを増す中、我が国においても大規模な水素サプライチェーンの構築と社会実装の加速化が必要となっています。水素社会の実現は、我が会派の藏内勇夫相談役が先頭に立って推進してこられた人と動物の健康、環境の健全性を一つと捉え、一体的に守っていこうというワンヘルスの観点からも大変重要な取組であります。  全国に先駆けて水素産業の振興に取り組んできた我が県では、現在、拠点構築に向けた国の支援制度の公募に向け、福岡県水素拠点化推進協議会に参画する企業において、北九州市響灘エリアを中心とした水素大規模拠点構築の検討を行っていると伺っておりますが、この取組を具体的に進めていくことが重要です。地域間競争に打ち勝ち国の指定を得るため、知事を先頭に取組を進められていると思いますが、現在の進捗状況、また拠点構築に向けた知事の思いについてお伺いします。  次に、商用FCモビリティー普及に向けた取組についてお尋ねします。運輸部門はカーボンニュートラルに向けて取り組むべき最重要分野の一つであり、特にトラックやバス等の商用モビリティーは、同部門のCO2 排出量の約四割を占め、電動化が必要です。様々な電動車がある中、燃料電池車は航続距離が長く、水素充填時間が短いといった強みを有しており、商用モビリティーの電動化における需要が期待されることから、本県においてもその導入に力を入れてきたところであります。  昨年七月、本県では西日本初のFCトラックが商用運行され、導入が進んでいると承知しております。昨年十一月には日田彦山線BRTひこぼしラインにおいて、FCバスの実証試験が開始されました。FCバスは、人の健康、動物の健康、環境の健全性を一体的に守るワンヘルスの理念に通じることから、車体にはワンヘルスのロゴマークがラッピングされています。  本県の商用FCモビリティーは着実に普及し始めたかに見えますが、車両価格はディーゼルと比較し、依然として高価であり、トラック対応に伴う大型化により、ステーションの建設費も高額化が懸念されます。国や県による導入及び運営に対する補助金が交付されているものの、さらなる普及には財政的な支援の拡充が必要です。商用FCモビリティーの普及にどのように取り組んでいくのかお伺いします。  次に、花による美しいまちづくりについてお尋ねします。服部知事と香原議長や私も含め、各会派代表者で訪問団を結成してロンドン、パリを訪問しました。その際に、百年以上の歴史を持つ最も権威ある国際ガーデンショーの最高峰であるロンドンのチェルシーフラワーショーを訪問しました。フラワーショーの開催期間中は会場だけでなく、最寄り駅を中心にホテルや服飾店、商店ではショーウインドーなどが花を取り入れた装飾で彩られ、町なかも花に包まれていて、多くの人が訪れていました。訪れた人々は、花や草木で演出された非日常的な空間に浸り、そこで目にした新しい植物やガーデンのデザインを我が家の庭に取り入れようと試みるなど、このフラワーショーは英国の園芸業界、庭造りに多大な影響を与えています。  庭園デザイナーで、今年度、シルバーギルトメダルを受賞した石原デザイン研究所の石原和幸さんと庭園の前で花を活用したまちづくりについて意見交換を行いました。  まず、知事にお伺いします。意見交換された率直な印象をお聞かせください。石原さんの出展された庭園の裏庭には、サステーナブルな取組としてコンポストが設置され、環境に優しいコンクリートなども取り入れており、これはワンヘルスにもつながる考えであり、それを見るために多くの人が並んでいました。本県においても、このように花による美しいまちづくりの取組が必要だと考えます。  そこで知事にお尋ねします。チェルシーのような花を活用したまちづくりやその効果について知事の認識をお伺いします。  次に、世界を見据えたワンヘルスの今後の取組について質問いたします。今年四月に南アフリカで開催された世界獣医師会大会において、我が会派の藏内勇夫相談役世界獣医師会次期会長に正式に決定されました。藏内相談役が大きな推進役となり、福岡県がワンヘルスの世界的先進地となることを目指す取組がますます進展することが期待されます。  今年一月、福岡県・ハワイ州友好促進訪問団としてハワイ州を訪問した香原議長がグリーンハワイ州知事に、本県とワンヘルス分野における覚書の締結を提案されました。そのことを受け、先月、知事が香原議長と共にグリーン知事と会談を行い、ワンヘルス推進の重要性を共有し、総合的なアプローチでワンヘルスの取組を進めるため、関係部局が一体となって横断的に取り組むことの必要性を確認した上で、両県州でワンヘルス分野での交流に関する覚書を年内に締結することに合意いたしました。会談で確認、合意した事項が共同宣言としてまとまるという成果につながったところであります。  また今年二月、福岡県議会欧州調査視察団がWHO(世界保健機関)を訪問し、WHOにおけるワンヘルスの取組について説明を受けるとともに、本県及び県議会におけるワンヘルス推進の取組について、経緯と現状を報告いたしました。その後行われた意見交換では、WHO側からワンヘルスの取組を国ではなく本県がリードしていることへの驚きと強い関心が示され、今後も意見や情報の交換と連携を継続することを確認したところであります。  さらに今月、バレーボールネーションズリーグ二〇二四が私の地元である北九州市で開催されています。世界トップレベルの大会の開催地に福岡県が選ばれた理由として、本県が推進しているワンヘルスの理念と国際バレーボール連盟が重視する価値観が合致したことが挙げられています。  ワンヘルスの理念、さらにはそれを実践する取組が様々な分野に広がりを見せているとともに、我が県の取組が世界的に認められたことの一例として認識しています。今後も我が会派は知事と両輪となってワンヘルスの取組を推進し、世界のワンヘルスの推進に貢献してまいりたいと考えております。  今年度は、ワンヘルスの専門的な国際会議であるワールドワンヘルスコングレスの二〇二八年大会の福岡県開催を目指し、九月に開催される南アフリカ大会において誘致活動が実施されます。ワールドワンヘルスコングレスは、ワンヘルスに関する重要な課題や研究成果、政策動向等について議論する世界を代表するワンヘルスに関する国際会議であり、誘致が成功すれば、ワンヘルスの世界的先進地を目指す福岡県にとって大きなアピールの機会になると期待しております。県議会としても、こうした展開を踏まえ、ワンヘルスに関する大規模国際会議の誘致、開催に関する本県の取組が円滑に進むよう、様々な国際機関や大学におけるワンヘルスの実践を目指す活動の最新の成果について調査するため、四月に南アフリカを訪問したところであります。  そこで知事にお尋ねします。こうした経緯を踏まえ、福岡県がワンヘルスの世界的先進地を目指すに当たり、今後どのように取組を進めていくのかお考えをお示しください。  次に、農政問題についてお尋ねします。イチゴの王様あまおうは、県内はもちろん、全国に知れ渡っている福岡県のブランド品目であり、二〇〇三年から本格販売が開始され、その栽培に当たっては生産者の皆様の御苦労も多く、当初は収穫の谷間が長期間にわたるといった課題がありましたが、生産者、JA、試験場、普及指導センターが一体となって施肥や遮光、温度などの管理面で現地試験を繰り返した結果、安定出荷に向けた栽培技術が確立され、その後、速やかな普及により生産者全体の栽培技術の向上が図られました。高品質なあまおうを生み出すためには相当の手間が必要となりますが、生産者の皆様は丹精込めて育てたあまおうを一粒一粒全国へ届ける喜びと誇りを持って現場での栽培に励んでおられます。こういった生産者の皆様のたゆまぬ努力が実を結び、その人気に火がつき、本格販売を開始した直後の二〇〇四年には販売単価で日本一を記録しました。  またその後、生産力や品質の向上に向けた取組だけでなく、有名ホテル、レストランでのあまおうフェアの開催や高級スイーツ店での継続使用の働きかけ、テレビCMや知事のトップセールスなどの取組により、消費者への一層の認知度向上と取引拡大が図られてきました。  さらに海外への新たな販路拡大に向けて、香港やタイの高級レストランで開催した福岡フェア、マレーシア、台湾、シンガポールの量販店で開催した販売促進フェア、海外在住のインフルエンサーを活用したSNSでの情報発信など積極的なPRにより、海外における高級ブランドとして認知度向上も図られてきました。こういった販売促進活動を展開してきた結果、あまおうは海外においても高級ブランドイチゴとして認知され、イチゴの王様として国内外から高い人気を集めているところであります。  このように販売直後からトップブランドの地位を確立し、現在でも十九年連続販売単価日本一というプライスリーダーの座を維持しているあまおうですが、品種の育成者が持つ育成者権は福岡県が有しており、本県を代表する農産物として高いブランド力を維持するために、県内の農業者に限定した生産を続けてこられました。しかし、福岡県が持つあまおうの品種名である福岡S六号は国への登録から二十年を迎え、来年一月にはこの育成者権の期間が満了することとなっております。  福岡県は今後もあまおうの生産と販売に力を入れていく方針と聞いております。一方で、栃木県のとちあいか、佐賀県のいちごさん、そうした全国の生産県では、新たなライバル品種が次々に開発されている現状を考えますと、福岡県が持つ育成者権の期間満了後においても、これまでどおり高い評価を獲得し続けていけるよう、あまおうブランドの維持、強化が必要であることは言うまでもありません。  そこで知事にお伺いします。本県育成のあまおうが今後も日本を代表するブランドイチゴであり続けるため、知事はどのようにあまおうの振興に取り組んでいくのかお答えください。  最後に、教育問題について質問いたします。まず新教育長にお尋ねします。寺崎教育長は県教育行政において副教育長、そして県立美術館長として歴任されていますが、県歴のスタートから十四年は教員として勤務経験があるとのことであります。寺崎教育長には、教育現場と行政の双方に精通した深い見識を持つ教育長として、力強く本県教育のかじ取りをしていただくことを期待するところであります。  寺崎教育長は教育の意義をどう考え、どのような方針と決意を持って本県の教育行政を進めていかれるのでありましょうか。力強い答弁を求めます。  次に、不登校生徒の県立高校での受入れについてお尋ねします。本年二月議会の我が会派の代表質問において、学びの多様化学校の検討、準備等についてお尋ねしたところであります。教育長の答弁において、中学校で不登校を経験した生徒が県立高校で学びやすい環境を整備するため、この学びの多様化学校制度を活用した特例クラスを令和七年度から既存の県立高校に設置することを表明されました。また学びの多様化学校の設置校につきましては、交通の利便性や少人数指導のための教室数確保などを考慮しながら、令和六年夏頃までに決定すると答弁されました。現時点まで具体的な設置校は示されておりません。  そこで教育長にお尋ねします。本県の学びの多様化学校の検討状況について、設置校を含めた概要をお答えください。  一方、二月議会の答弁によりますと、本県の中学三年生のうち不登校生徒は約三千人とのことであります。今回、学びの多様化学校が設置されたとしても、その設置形態は既存の県立高校一校に定員四十人の特例クラスを設置するというものであり、不登校生徒の受皿として十分とは言えません。また不登校生徒の実態も様々であり、学びの多様化学校のように手厚い支援までは必要なく、地元の全日制高校への進学希望を持ちながら、中学校で不登校であったために、合格できるはずがないと志願自体を諦めてしまっている生徒もいるのではないでしょうか。  このような生徒に対しても、高校進学の選択肢を増やす必要があると考えますが、県立高校での不登校生徒の受入れの拡充についてどのように対応していくのか、併せてお答えください。  以上、自民党県議団の代表質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 3 ◯議長(香原 勝司君) 服部知事。 *知事答弁 4 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 皆さん、おはようございます。御答弁を申し上げます。  まず改正地方自治法への今後の対応についてでございます。私はかねてから、大規模な災害や感染症の蔓延等の非常時において国が地方公共団体に必要な指示を行う、いわゆる補充的な指示につきましては、地方の自主性や自立性を十分に尊重することが前提であると考えております。このため、国から地方に対して一方的に指示するのではなく、当該指示権の行使の範囲については真に必要と思われる場合に限定し、行使すべきかどうかの判断に当たっては事前に国と地方公共団体との協議を行う仕組みとするなど、厳格な手続の下で行われるべきであると考えております。このことについて、法案の検討段階から全国知事会と連携し、国に要請を行ってきたところでございます。しかしながら、改正法では事前の協議や意見聴取が努力義務にとどまり、どういった仕組みにより指示の行使に至るのか示されておらず、極めて不透明でございます。  こうした中、五月十日、国会で法案が審議入りするタイミングを捉え、全国知事会では改めて国に対し運用の明確化を図るよう要請を行いました。また五月二十一日には村井全国知事会長が国会に出席をし、地方の懸念や意見を述べたところでございます。引き続き、全国知事会と連携しながら、地方自治の本旨が損なわれないよう国に求めていくとともに、今月末の政府予算要望におきましても、県議会の皆様と一緒に要望を行ってまいります。  先島諸島からの避難住民受入れ計画への対応についてでございます。先島諸島からの避難に関しては、今月開催されました九州地方知事会において林内閣官房長官より、九州・山口各県知事に対し、避難当初の約一か月における受入れ自治体や事業者の役割分担、手順等を整理した初期的な計画の作成について協力要請がございました。この計画の作成に当たりましては、受入れ可能な人数を円滑に受け入れ、避難される人々の生活を維持することはもとより、県内における経済活動や県民生活への影響を少なくすることが重要であると考えております。  そのため、知事会の場におきまして、より現実的な計画となりますよう、例えば部屋の受入れ可能人数が四人であっても、三人家族が使えば一人分、二五%のロスが出ます。こういったことから、実際の受入れ可能人数は国が示します収容施設のキャパシティーよりも大きく下回ってしまう可能性があること、またホテルなどに速やかに円滑に避難できますよう、旅館ホテル組合とは国において統一した料金などの条件整理を行うこと、福岡空港、鹿児島空港以外の各県の空港も利用することなどの検討課題を私から林官房長官へ提起したところでございます。  また県では先月、検討課題ごとに担当課が参画する体制を構築いたしました。さらに、受入先となる市町村や輸送手段、収容施設の確保等に協力いただきます公共交通機関や宿泊施設等の関係機関と連携した新たな受入れ体制を構築し、様々な課題について検討することといたしております。  今後は、今年度中を予定しております初期的な計画の作成の過程で顕在化する課題につきまして国に対し問題提起をするとともに、有事の際に円滑な受入れができますよう、輸送手段、収容施設の確保や費用の負担等について、国の主体的な対応も求めながら計画の実効性を高めてまいりたいと考えております。  佐賀県玄海町の文献調査受入れについてお尋ねがございました。玄海町が受入れを決定した文献調査では、高レベル放射性廃棄物の最終処分の検討のため、活断層や火山の分布、鉱山跡地に関する状況等が調査されます。国及びNUMOにおかれましては、糸島市民、福岡県民の安全・安心を確保する観点から、しっかりと詳細に調査を行い、その結果については、玄海町、佐賀県はもとより、糸島市や本県を含む近隣自治体へも丁寧に説明すべきと考えております。国におかれては政府一丸となって、かつ政府の責任でこの問題に取り組んでいただきたいと考えております。  原子力災害が発生した場合の避難計画とその実効性についてでございます。県では、国の原子力災害対策指針等を踏まえまして、平成二十四年に地域防災計画原子力災害対策編及び広域避難基本計画を策定しております。糸島市においては、この計画に基づき、広域避難の個別計画を策定し、避難対象地域や避難先、主な避難経路等を定めております。この避難先や避難経路につきましては常に検証を行いまして、適宜見直しを行っておるところでございます。平成二十八年には、国や佐賀県、長崎県と共に広域避難の手順等を詳細に取りまとめまして、国の原子力防災会議に報告し、県の計画も含め、具体的かつ合理的であると了承されており、計画の実効性は確保されているものと考えております。  また県では毎年、糸島市や関係機関等と連携し、原子力防災訓練を実施しております。訓練では、住民の方々を対象とした自家用車やバスによる避難、被曝傷病者等の病院への受入れのほか、昨年度は新たにドローンを活用した情報収集訓練やヘリコプターや船舶による緊急輸送訓練を行うなど、常に訓練内容の改善を続けております。  今後は、能登半島地震で明らかとなりました多くの集落が孤立するという半島リスクも踏まえ、訓練内容の改善の取組を続けますとともに、繰り返し訓練を実施し、この結果を検証して次回の訓練に生かすことで、計画の実効性をより高め、県民の皆様の安全・安心を確保してまいります。  教職調整額引上げに伴います県財政への影響と今後の対応についてお尋ねがございました。義務教育諸学校教員の教職調整額の率が一律一〇%に引き上げられた場合に、本県において新たに必要となる費用は約六十億円となります。さらに、県立高校教員等について必要となる約五十億円を加えますと、総額で約百十億円となりまして、県財政にとって大きな追加負担となります。県といたしましては、教育の機会均等と教育水準の維持、向上は国の責任において実施されるべきものでございます。国においては、義務教育費国庫負担制度にのっとり三分の一の経費を確実に負担することはもとより、県費負担となる経費に対しましても、国が完全な財源措置を講じるべきであると考えております。このため、この問題につきましては、今月末の政府予算要望において県の状況を十分に伝え、必要な財源については国の責務により完全に保障するよう県議会の皆様と一緒に要望を行ってまいります。  災害対応におけるデジタル技術の活用についてでございます。県では、県民の皆様がいざというときに適切な行動が取れるよう、現在いらっしゃる場所の気象注意報や警報、特別警報及び土砂災害警戒情報などの防災情報を自動的にお知らせする機能を持ち、また避難所の開設、混雑状況等を地図で見られる機能も搭載いたしました防災アプリ、ふくおか防災ナビ・まもるくんを配信しております。また県と市町村、消防本部等県内百七十二か所の防災関係機関におきましては、高速大容量の光回線によって迅速に大量のデータを情報共有することができます県防災・行政情報通信ネットワークを活用しまして、県民の皆様の避難支援や県の災害対応力の強化を図っております。  今年度は、この防災アプリまもるくんに想定震度や河川カメラの画像を簡単に確認できる機能を追加いたします。またSNSへの投稿からフェイク情報をAIが分析、排除した上で、災害現場の状況をリアルタイムで把握できますスペクティを市町村や消防本部等に利用拡大いたします。さらに、AIを活用し、十五時間先の土砂災害や河川氾濫等のリスクを予測するシステムの導入実証を行います。このような新たな取組を行ってまいる考えでございます。  災害対応力の強化についてでございます。県では、陸海空の自衛隊、海上保安部、警察、消防と県のトップ同士が平常時から情報交換できる関係を築き、大規模災害発生時には迅速かつ適切に対応できるようトップ会談を実施しておりまして、相互の連携を強化、確認しているところでございます。  また県では約千四百の民間団体や事業者との間で、災害現場における医療等の提供、避難所における食料品や生活必需品の提供、物資の緊急輸送、公共土木施設や農林水産施設の緊急対策工事など多岐にわたる災害時協力協定を締結しております。加えて市町村長向けの防災危機管理研修や自主防災組織の育成強化にも取り組んでおります。また今月、田川市、香春町において実施いたしました県総合防災訓練におきましては、これまでの豪雨による土砂災害や今年一月に発生いたしました能登半島地震の教訓を踏まえまして、新たに土砂災害によって取り残された住民を救出する訓練や、ドローンによって孤立地域に救援物資を運搬する訓練を行いまして、防災技術の向上に努めたところでございます。  さらに今回の訓練では、ワンヘルスの基本方針でございます人と動物の共生社会づくりを推進し、実践するため、ペットの救出訓練も実施いたしまして、市町村、県獣医師会、動物愛護団体等との連携を確認、強化したところでございます。  今後とも、これらの災害に対する事前の備えを充実させますとともに、AI技術や衛星データ等のデジタル技術を積極的に防災対策に活用するなど、県のさらなる災害対応力の強化を図ってまいります。  次に、令和五年梅雨前線豪雨災害の復旧状況等についてお尋ねがございました。県が管理しております道路、河川、砂防施設の原形復旧につきましては、全二百五十四か所のうち六割を超える百六十八か所で工事に着手をしており、このうち八十八か所は完成しております。また河川の拡幅や堤防のかさ上げといった河川の改良復旧につきましては、全八河川で測量設計を実施しており、このうち巨瀬川を含みます五河川については、既に工事に着手いたしております。新たな砂防ダムの設置など砂防施設の改良復旧につきましては、全七か所で測量設計を実施しておりまして、このうち千之尾川を含む二か所において既に工事に着手をしておるところでございます。  また、巨瀬川につきましては、国と連携し、河川の拡幅、橋梁架け替えなどを加速化することといたしまして、既に工事に着手しております。今年四月には新たに二か所の調節池の整備を行うこととし、対策の充実を図ったところでございます。広川につきましては、今年四月に上流区間における改修計画を新たに策定をいたしまして、河道掘削、堰の統廃合など流下能力を向上させる整備を進めております。千之尾川につきましては、砂防ダムの増設や河川の拡幅など、渓流全体の安定度を向上させる整備を進めております。  さらに今年の出水期に備えまして、これらの三河川では河川内や砂防ダムに堆積した土砂の撤去などを実施いたしました。また住民の皆様が適切な避難行動を取れますよう、巨瀬川では水位計と河川監視カメラを増設し、千之尾川では土砂災害警戒区域を見直したところでございます。引き続き、地域の皆様が安心して生活していただけますよう、再度災害防止に向けしっかりと取り組んでまいります。  農地、農業用施設の復旧の進捗と今後の対策についてでございます。昨年の豪雨で被災しました県南地域の農地、農業用施設八百二十三か所につきましては、百二十三か所で工事に着手し、このうち二十か所の工事が完成しております。未着手の七百か所につきましては、現在、農業者との調整を図りながら復旧工事の内容について国との協議を進めておりまして、工事可能となった箇所から順次着手してまいります。同時に、今後の豪雨災害に備えたハード対策として、ため池の改修やポンプ、樋門などの排水施設の更新を行いますとともに、農地の湛水が頻発する地域におきましては、排水施設の新設や機能強化を図ってまいります。  またソフト対策につきましても、流域治水の一環としてクリークの先行排水や田んぼダムの取組を進めております。具体的には、クリークの先行排水の取組におきましては、先行排水実施の判断に必要な気象情報や関係機関の排水の実施状況をリアルタイムで共有できる自動配信システムの導入など、先行排水の効率的な実施に向けた支援を行っております。昨年七月には先行排水を実施いたしましたが、この際は福岡ドーム五個分に相当する八百五十万立方メートルの洪水調節容量を確保し、農業被害の軽減につながったところでございます。  また田んぼダムの取組では、多面的機能支払交付金の活用や水位の上昇に耐えられる十分な高さと強度を備えた畦畔、あぜ道ですね、畦畔の整備の支援などを行っております。その結果、久留米市や筑後市などで取組が拡大をしまして、今年度の取組面積は昨年度の一・八倍となります約七百ヘクタールで、七十万立方メートルの洪水調節容量を確保できる見込みとなっております。  県といたしましては、今後とも市町村など関係者一体となって農業用施設の機能強化や流域治水の取組拡大を図りまして、ハード、ソフトを組み合わせた防災・減災対策にしっかりと取り組んでまいります。  次に、災害ボランティア活動に係る平時からのネットワークづくりについてでございます。昨年七月の梅雨前線豪雨災害の際に明らかとなりました各地域における課題は、NPOや企業等の支援団体と社協、市町村が情報を共有し、地域では対応できない被災者ニーズというものを整理することに相当の時間を要したことでありました。災害発生時に円滑な支援活動が行われるためには、災害ボランティアセンターを運営する市町村社協が市町村支援団体と連携し、被災者の皆様のニーズや支援団体の活動状況を速やかに把握する必要がございます。このため、市町村社協が平時から地域のNPOやボランティア、地元企業などの多様な主体の皆様と密に連携できる関係性を築き、万一の災害時には円滑に地域協働型の災害ボランティアセンターを運営することができますよう、県社協が地域協働型の実地訓練を行うことといたしております。  また地域におけるさらなる連携を促しますため、今年五月にはNPO、企業等と市町村社協を対象としたセミナーを開催し、多様な主体が連携した災害ボランティア活動の重要性をテーマとした講演、あるいは参加者同士が交流して、それぞれが実施可能な支援活動を考えるワークショップを開催したところでございます。セミナーに参加いただいた皆様には、今後、県社協が主催する実地訓練への参加を呼びかけてまいります。  引き続き、各地域における平時からのネットワークづくりを支援し、災害時における円滑な支援活動につなげてまいります。  この災害ボランティアに対する支援機能についてでございます。県は、県社協とFネットの三者で連携をして、災害時のボランティア活動に関する情報提供や活動調整を行っておるところでございます。しかし、昨年の梅雨前線豪雨災害においては、広域災害における三者の役割が明確に定められていないため迅速な調整ができないという課題が明らかとなったところでございます。  そこで、昨年十月から四回にわたり三者連携会議を開催をいたしまして、活動調整における三者の役割を整理するとともに、情報共有の仕組みを構築いたしました。具体的には、災害が発生した場合、まず県社協が市町村の災害ボランティアセンターを通じ各市町村では対応できない被災者の皆さんのニーズを収集し、情報を整理します。その上で三者で情報を共有するとともに県が主導して対応策を検討し、瓦礫撤去のための重機の使用や床下乾燥等専門的な技術が必要な活動につきまして、Fネットのネットワークを活用して市町村社協に支援団体を紹介するなどの活動調整を行ってまいります。  これまでに三者連携会議において、連絡手段の検討、あるいは発災後のそれぞれの動きや連携についてシミュレーションを行うなど、三者で具体的な流れを確認しました。今年度は広域災害を想定した情報共有や活動調整の訓練も実施予定でございまして、三者による災害ボランティアに対する支援機能をさらに強化してまいります。  次に、海外視察等につきまして、県議会単独で実施をされます海外活動以外で知事から議会に同行を要請する海外活動の目的と、その効果についてお尋ねがございました。これは三つあると考えております。  まず一つ目は、県として海外に訪問団を派遣する際、地方自治における二元代表制の両輪である知事と議会が共に現地を訪れ、双方が一体となって取り組む姿勢を相手方に示すことで、我々の熱意や取組への実効性といったものを相手方に理解いただくことにつながります。例を挙げますと、県議会がワンヘルス教育に先進的に取り組むハワイ大学との協力関係を築かれ、このことが昨年四月、私とハワイ大学学長との間でワンヘルス教育研究に関する覚書の締結につながったものでございます。さらにこのことは、先月、ハワイ州のグリーン知事と私、そして香原県議会議長の三者連名でのワンヘルスの推進に関する共同宣言の発出につながりました。このような海外活動に同行いただく県内の企業の皆さん、経済団体の皆さん、あるいは大学の皆さんなどに対しましても議会が共に活動している姿を見ていただくことは同様の効果があるものと考えております。  二つ目は、御質問で述べておられましたが、世界遺産の登録を目指しての各国大使等へのロビー活動や観光誘客のためのプロモーションなど現地の方をお招きするイベントなどにおきましては、知事と知事同様県民の皆様の負託を受けた県議会の皆さんが共にホスト役として対応することによりまして、本県の意図や熱意を強く伝えることとなり、効果的なアピールにつながるものでございます。  三つ目は、県議会の皆さんが訪問先で知事と共に話を聞いていただき、レクチャーを受けていただき、あるいは現地の状況を実際に見ていただくことによりまして、県の課題や施策の方向性について共通認識を持っていただくとともに、海外戦略の必要性や重要性を理解いただき、円滑に施策が実行できるという効果があるものと考えております。例を挙げますと、昨年八月、オーストラリア・ニューサウスウェールズ州に県議会の皆様と訪れました際、州政府からの説明を受けるとともに、世界最大の石炭積出港でございますニューカッスル港におきまして、石炭からグリーン水素への転換の計画やその状況、あるいはこのニューサウスウェールズ州の水素エネルギーについての優位性などについて調査を行いましたことで、県議会の皆様に連携の必要性を御理解いただき、十一月には私とニューサウスウェールズ州首相との水素分野における協力促進に関する覚書が締結できたところでございます。  引き続き、県議会の皆様と連携を図りながら、本県の産業振興をはじめ様々な政策の実現のため、海外活動に取り組んでまいります。  次に、国内外からの観光誘客について、よかバスの手応えと今後の展開についてでございます。県では四月から、多様な魅力を持つ県内各地域の観光地を周遊いただきますよかバス事業を開始をいたしまして、久留米のツツジやイチゴ狩り、柳川の川下りを楽しむツアーや芦屋釜の里での茶道体験や筑前玄海の一本槍イカの生きづくりを楽しむツアーなど、二か月の間に約百七十本のツアーを実施いたしました。よかバスの開始により、県内周遊バスツアーの実施の数は昨年の約一・五倍となりまして、約六千人のお客様が参加されました。ツアーに参加された方からは、短時間に多様な観光スポットを巡ることができて満足した。あるいは、福岡県の新たな魅力を発見できた。福岡の食を存分に楽しむことができたので次は酒蔵ツアーに参加したいなどの声をいただいております。また旅行会社のほうからは、よかバスという統一名称で広報したことでバスツアーへの関心が高まった。今後は国内客向けだけではなくインバウンド向け商品も作っていきたいといった声が寄せられておりまして、手応えを感じているところでございます。  海の中道海浜公園のネモフィラ鑑賞や久留米市城島町の日本酒飲み比べなど、季節限定の特別感のあるツアーの人気が高く、追加販売やキャンセル待ちのツアーも出ております。今後、ツアーの販売状況や参加者の皆様の声を旅行会社と共に分析をしまして、ニーズが高いツアーの造成を進めますとともに、より多くの方によかバスを御利用いただけますようプロモーション活動も強化してまいります。またインバウンド向けの商品の造成についても旅行会社と協議を行ってまいります。このような取組を通じ、東京ははとバス、福岡はよかバスと言われるよう、福岡観光の定番として定着させていきたいと思っております。  次に、ロンドン、パリ訪問の感想と欧州から、ヨーロッパからの観光誘客についてお尋ねがございました。今回の訪問で林肇在英国特命全権大使をはじめ、現地旅行社など意見交換した多くの方々からは、残念でございますが、福岡はもちろん、九州ですらほとんど知られていない。あるいは、この知名度を上げるためには、単発のイベントではなくて、継続した粘り強い取組が必要であるという指摘を受けました。福岡の知名度の低さというものを痛感いたしますとともに、効果的なプロモーション活動に取り組む必要があると感じたところでございます。  ロンドンで開催いたしました観光セミナーにおいては、八十名以上の皆さんに御参加をいただきましたが、この中で現地のメディアの皆さんからは、東京、京都以外にも魅力的な地域があることを知ったと、福岡の魅力を記事として掲載したいという申出もいただきました。早速、本県の観光情報の提供を行いまして、取材に協力しているところでございます。また現地の旅行社の方からは、東京から大阪まで来ているインバウンドを呼ぼうというのではなくて、アジアとの非常に航空便も充実している福岡であれば、韓国や上海、シンガポールの旅行と福岡・九州の旅行を組み合わせた商品を作るべきではないかとの意見もいただいたところでございます。旅行商品の造成に向けた調整に入ったところでございます。  パリにおきましては、茶懐石レストランで開催した意見交換会におきまして、旅行会社、あるいはメディアの方に高取焼などの器で和食と八女茶や県産酒を味わっていただいたところでございまして、参加された皆様に大変好評を博しました。中でも、世界トップレストラン千を選出いたします情報サイト、ラ・リストの代表でいらっしゃいますフィリップ・フォール元駐日フランス大使からは高い評価をいただいたところでございますが、東京のフランス大使公邸で開催される美食イベントの機会を捉え、福岡の食をPRしてはどうかという御提案もいただきました。現在、出展に向けて調整を行っているところでございます。  今回のロンドン、パリ訪問を通じ特に印象に残ったのは、八女茶への評価の高さでございます。ヨーロッパでは、健康や環境、歴史、文化への関心が高いことから、お茶自体のおいしさ、そういった魅力に加えて、その生育環境、あるいはその文化としての茶道文化なども併せて伝えることで本県への誘客につながると感じたところでございます。今後、八女茶の産地を訪れ、生産者と触れ合うツアーの造成などを検討してまいります。  このような取組を通じまして、ヨーロッパでの知名度向上とさらなる観光誘客を図ってまいります。  イスラム圏からの誘客についてでございます。ムスリムの方々に快適に旅行を楽しんでいただくためには、議員御指摘のとおり、宗派や国等の異なる状況を踏まえた対応が求められますことから、現地の情報をしっかりと正確に把握することが重要でございます。  県では、国際局や観光局などの庁内関係課及び福岡県料飲業生活衛生組合連合会や福岡県旅館ホテル生活衛生同業組合などの関係団体から成ります福岡県ムスリム施策推進協議会を設置いたしております。この協議会では、飲食店や宿泊施設等を対象として、宗派や国などによって異なりますムスリムの基本的な知識に関するセミナーや具体的な取組事例を掲載したハンドブックの配布などを行ってまいりました。こうした取組によりまして、食事等に配慮した現在のムスリムフレンドリー店舗の登録数は百を超えている状況でございます。昨年度からは飲食店などにアドバイザーを派遣しまして、豚由来の成分やアルコールを含まない調味料を使ったハラール対応のメニュー開発など伴走支援を行っているところでございます。またイスラム圏へのプロモーションにつきましては、マレーシアやインドネシアをターゲットとして観光セミナーや商談会を実施いたしております。  今後は、人口に占める富裕層比率が高く、有望なマーケットでございます中東地域からの誘客を加速させますため、ツアーガイドなどにおけるアラビア語対応、インフルエンサーを活用した情報発信、富裕層向け旅行商品の造成などの取組を検討してまいります。  次に、半導体分野における取組について、将来のこの半導体産業を支える人材の育成についてお尋ねがございました。進路について考える時期、中学生、高校生ぐらいと思いますが、この時期を迎える若者に対しましては、キッザニア福岡や九州大学と連携して開催をいたしておりますテクノロジー人材創生塾や福岡半導体リスキリングセンターのウェブ講座におきまして、半導体の魅力を分かりやすく伝えることにより、半導体産業を将来の自らの選択肢の一つとして加えてもらえるよう取り組んでおるところでございます。  技術系に進んだ若者に対しましては、県立工業高校において半導体関連企業の高度熟練者による実習や県内企業の見学、インターンシップなどを通じ、半導体産業で即戦力となる人材の育成に取り組んでおります。加えて、福岡半導体リスキリングセンターでは、受講者のレベルに応じた複数の講座を準備し、幅広い人材を育成しております。また九州大学をはじめとする県内大学や工業高等専門学校におきましては、半導体の高度人材育成に向けた取組もスタートいたしております。  さらに、深刻なエンジニア不足に対応するためには半導体分野での女性進出を図ることが必要でございます。このため県では今年度から新たに女子中学生、高校生を対象に、技術人材育成事業ガールズテックプログラムを開催し、女性エンジニアが仕事の魅力を伝える動画の制作や半導体関連企業の職場見学会、エンジニアとの交流会を実施することといたしております。  こういった取組を通じ、若者に半導体分野への関心を促し、半導体産業を支える人材が一人でも多く生まれますよう、今後ともしっかりと取り組んでまいります。
     三次元半導体研究センターの取組と半導体拠点構築に向けた思いについてでございます。この三次元半導体研究センターは、これまでの十三年間で約二百六十社、約四千件の研究開発支援を行ってまいりました。これらの中には、高度なメッキ加工技術を生かして半導体分野に新規参入した県内企業、あるいはセンターとの連携のため本県に進出した海外の半導体メーカーや検査装置メーカー、開発拠点を首都圏から本県内に新設、移転した企業なども出ておりまして、県内企業の技術の高度化や関連企業の集積に大きく貢献をいたしております。  年々高度化いたします三次元積層技術等に対応いたすため、今年度から企業版ふるさと納税を活用しまして、最先端機器を導入する取組を始めます。あわせて最先端技術に精通した研究員も配置をいたしまして、よりきめ細かに企業の研究開発を支援してまいります。さらにセンターと企業、大学から成る最先端実装研究会を新たに立ち上げまして、企業間の共同研究を促し、技術力の向上を図ってまいります。こうした取組を通じ、企業の新たな研究開発ニーズに対応をしてまいります。  本県には半導体を作る側、使う側、いずれもの優れた企業や、あるいは理工系大学や高専など高度人材を育成する機関が集積をしておりまして、先ほど申しました福岡半導体リスキリングセンター、三次元半導体研究センターという他県に例を見ない公的支援機関を有しております。また充実した交通網、グリーンで安価な電力など企業活動を支えるインフラが整っております。  さらに本県は今月四日、国の金融・資産運用特区に選定をされました。今後この特区を活用して半導体産業のエコシステムの形成を図り、国内のみならず世界から多くの人や企業、そして英知が集まる世界から選ばれる福岡県を実現してまいります。  次に、水素大規模拠点構築に向けた取組でございます。先月、水素の拠点化を目指す事業者への支援を盛り込みました水素社会推進法が成立をいたしまして、夏頃には水素供給インフラに係る詳細設計に対する国の支援事業の公募開始が見込まれますなど、拠点指定に向けた動きが具体化しておるところでございます。  この公募に向けまして、私が会長を務めております福岡県水素拠点化推進協議会に参画をされております伊藤忠商事や九州電力、日本製鉄、西部ガスなどの企業が水素等のサプライチェーン構築に向けた事業可能性調査を開始したところでございます。現在この調査におきまして、県内企業の需要量を踏まえた国内外での水素製造体制、水素タンクなどの受入れ貯蔵設備やパイプラインなどの輸送インフラの整備について具体的な検討を行っており、今後、より詳細な仕様検討やコスト試算を進めてまいります。  国の拠点指定を得るためには、安定的かつ大量の水素供給が可能な海外からの輸入水素を確保することが重要でございまして、県では水素の輸入を視野に入れた海外との連携を推進しております。先ほども申し上げましたが、今年度はオーストラリアのニューサウスウェールズ州、同州との水素分野における協力促進に関する覚書に基づきまして、同州の政府関係者や企業による水素受入れ予定地の現地確認や県内企業との商談を行う予定でございます。  脱炭素化への対応を経済成長の好機と捉えまして、経済と環境の好循環をつくっていくため、何としても国の拠点指定を獲得し、本県に水素大規模拠点を構築することを目指して、引き続き取り組んでまいります。  商用FCモビリティーの普及についてでございます。カーボンニュートラル実現に重要な役割が期待されます商用FCモビリティーの普及のためには、事業者負担を軽減する一層の取組が必要でございまして、国からの手厚い支援が不可欠でございます。  国は昨年七月のモビリティ水素官民協議会中間取りまとめにおきまして、商用FCモビリティーの普及と水素ステーションの整備を推進するため、全国に数か所程度の重点地域を指定し、集中的に支援を行っていくという方針を発表いたしました。この重点地域の指定に当たりましては、地域ごとの需要の積み上げや地域独自の取組が勘案される見込みでございます。これまで県では、大量かつ安定的な水素需要につながりますFCトラックの導入を促進するため、県内事業者と共に輸送の実証や研究会に取り組んでまいりました。またこのほか、FCトラックの導入経費や水素ステーションの整備運営費の助成も行っているところでございます。さらに日田彦山線BRTひこぼしラインではFCバスの実証にも取り組んでおります。  今年度は水素需要量の把握や普及計画について協議をいたします官民協議会を設置をしまして、商用FCモビリティーの導入や水素ステーションの整備を促してまいります。こうした取組を国に対ししっかりと示して、本県への重点地域の指定とさらなる財政支援の拡充を働きかけ、商用FCモビリティーの普及をさらに加速させてまいります。  次に、花を活用したまちづくりについて、石原デザイン研究所の石原和幸様と意見交換を行った際の印象についてお尋ねがございました。石原和幸様は、福岡県内の大学を卒業され、福岡市内にも事務所を開設されておりまして、さらに最近は柳川市の観光大使にも就任されるなど、福岡県に大変ゆかりをお持ちの方でいらっしゃいます。チェルシーフラワーショーには二〇〇四年から出展をされ、これまで十二回のゴールドメダルを受賞されておりまして、エリザベス女王からは緑の魔術師と称されているところでございます。今回、石原さんがデザインされた庭園は、水辺にショウブや色づいた紅葉、あるいは流れる滝や池が配置された日本庭園でございまして、百二十平米という、決して広くないんですが、その中ですばらしい表現をされたものでございました。  石原さんは、美しい庭の中にまちがある、こんなまちづくりをしていきたいというふうにおっしゃっておりました。もちろんこういうフラワーショーといったものも大切なんだけれども、自分としては、こういう美しい庭の中にまちがあって、そしてそういう単に美しいというだけではなくて、子供からお年寄りまで人々がゆとりを持って、そして笑顔で豊かに暮らしていける、そんなまちをつくっていきたいと、こういう理想をお持ちであるということでございまして、私も非常に共感をしたところでございます。歴史あるチェルシーフラワーショーの会場におきまして、石原さんがデザインをされたすばらしい庭園の中で、このような意見交換ができたことは、日本においては得難い大変有意義な経験であったと思っております。  花を活用したまちづくりやその効果についてでございます。ロンドンのまちを歩きますと、このチェルシーのまちも非常に美しい花を活用したまちなんですが、ロンドンの町なかでもアパートや商店、オフィスの入り口、ホテルの入り口あるいはその窓、バルコニーなど通りに面する至るところで競い合うように花が飾られておりました。それぞれの可能な広さに応じて、プランター、コンテナを使ったりいろんな工夫をされておりました。ロンドンの住民や企業には、やはり日常空間の中に花が当たり前にある、まさに花が花を呼ぶような生活文化が根づいているんだなと感じたところでございます。  この花による美しいまちづくりを進めていこうということのためには、やはり行政だけではなく、住民の皆様、そして企業の皆様が参加をし、地域が主体となって継続した取組を行っていくことが重要でございます。県が進めようと今しております花による美しいまちづくりでは、地域の特色を生かして、また環境に配慮しながら、まちの身近な生活空間を花や草木により彩ることで人々が憩い集う美しい空間をつくろうという活動でございます。この活動は、花卉産業の振興につながりますとともに、地域らしい美しい町並みをつくり、子供たちの情操教育や住民の皆様の心の健康にもつながるものと思います。またその活動に参加することによって地域の皆様相互の交流を促し、生きがいや喜びを感じることができるものでございます。こういった効果はワンヘルスの理念にもつながるものでございまして、県としては花による美しいまちづくりを積極的に進めていきたいと考えております。  このために、人々が花に触れる機会を増やし、花への関心を高めることにより、花による美しいまちづくりへの機運の醸成を図り、多くの県民や企業の皆様の参加を促してまいります。このことを通じ、県民、企業、行政一人一人が花を育て、公共施設や民間の事業所など県全体が花でいっぱいになるような、そんな美しいまちづくりを目指してまいります。  世界を見据えたワンヘルスの今後の取組についてお尋ねがございました。私は知事就任以来、ワンヘルスの世界的先進地を目指して取組を進めてまいりました。こうした中で、FAVAワンヘルス福岡オフィスの所長でいらっしゃいまして、WHOや国連ハビタットなどの国際機関と連携し、ワンヘルスの実践活動に取り組んでいらっしゃいます藏内勇夫議員が、ワンヘルスの推進を公約に掲げて世界獣医師会次期会長に就任されたということは、県にとって大変心強いことであると考えております。  昨年四月にはハワイ大学を訪問し、ワンヘルス推進に関する覚書を締結いたしましたが、この覚書に基づいて、県内の大学におけるワンヘルス教育プログラムの導入促進に向けた取組を現在進めているところでございます。今年五月には、先ほども答弁の中で申し上げましたが、香原議長、グリーンハワイ州知事と共に人と動物の健康と環境が調和した社会づくりに、このワンヘルスという考え方の下でグローバルに貢献していく、このことを共同宣言したところでございます。今後、両県州の実務者レベルでの協議を加速させまして、年内にハワイ州知事との覚書を締結し、具体的な取組を進めてまいりたいと考えております。  また、まさに今盛り上がっておりますが、北九州市西日本総合展示場で開催をしておりますバレーボールネーションズリーグ、この経済的効果も非常に高くなることが期待されますけれども、この大会は本県が推進しておりますワンヘルスの理念と国際バレーボール連盟が重視をしております価値観、この二つが合致をし、開催地に選ばれました。このことを受けて、会場内におきましては、ワンヘルスの理念の発信、また大会関係者へのワンヘルス認証農林水産物のPRなどを行っております。今後、こういったスポーツを切り口としたワンヘルスの重要性を盛り込んだ動画を世界に向けて発信を行ってまいります。  また来年度開催されます大阪・関西万博、この万博におきましてはワンヘルスに関するシンポジウムを開催をいたします。  さらに、世界各国から二千名を超える専門家が参加するワールドワンヘルスコングレスを誘致することで、県がワンヘルスの先進地であることを世界にアピールいたしますとともに、海外の専門家との協力関係を構築することなどができると期待をしております。この誘致に関しましては、四月に県議会の皆様が南アフリカでの世界獣医師会大会におきまして、世界獣医師会長やワールドワンヘルスコングレス南アフリカ大会の実行委員会メンバーに福岡開催への支援を働きかけていただいたところでございまして、引き続き県議会と共に誘致に取り組んでまいりたいと考えております。  ワンヘルスセンターにつきましても、国内外の研究者と連携して、ワンヘルスの先進的な研究を行う施設としてまいります。またワンヘルスに関して学び体験できる施設と、県民の皆様がですね、そういった施設とすることで、また国内外からも多くの人に集まっていただけるような教育、普及啓発の施設にもしていきたいと思っております。こういった取組を通じ、県議会の皆様と連携しながら、ワンヘルスの世界的先進地を目指してまいります。  最後に、あまおうの振興についてでございます。あまおうは、来年一月に品種の知的財産権の保護期間が満了いたしますが、県ではこれ以降もJA全農ふくれんと連携をしまして、県外での生産や名称使用が行われないよう苗の供給とふくれんが持つあまおうという商標の使用を県内の生産者に限定することで、引き続きあまおうを保護してまいります。加えて、ブランド力のさらなる強化に向け、今後も生産、販売拡大の取組を進めてまいります。  まず、生産面におきましては、品質そして収量の向上に向け、ハウス内の温度、湿度を最適に保つ自動環境制御システムなどの導入を支援してまいります。また経営規模の拡大に向け、省力化につながります収穫、出荷調製ロボットの実用化に向けた取組を進めております。加えて高い生産技術を持つ担い手の育成に向け、スマートグラスなどの先端機器を活用し、たくみの技の伝承を行ってまいります。  次に、販売面におきましては、さらなるあまおうの需要拡大を図りますため、あまおうフェアを開催する国内外の有名ホテルなどを増やしてまいりますとともに、高級和菓子店あるいは世界的なスイーツショップといったPR効果の高い事業者と連携して新たな商品開発を進めてまいります。また物流の二〇二四年問題に対応し、今後も大都市圏に安定的に出荷できますよう、北九州市のストックポイントに各産地のあまおうを集約し、フェリーで共同輸送する取組を拡大してまいります。さらに、鮮度の高いものをより早く消費地に届けられますよう、航空機や新幹線を活用した新たな輸送体系を構築してまいります。県といたしましては、こうした取組を通じ、生産者の方々、そしてJAグループと一丸となって品質の高いあまおうを安定的に供給することで、トップブランドとしての地位をさらに揺るぎないものとしてまいります。 5 ◯議長(香原 勝司君) 寺崎教育長。 *教育長答弁 6 ◯教育長(寺崎 雅巳君)登壇 教育の意義並びに本県教育行政の方針及び決意についてでございます。教育の意義は、子供たちの社会的自立の基盤となる学力や体力、豊かな心を培うとともに、社会を支え、その発展に寄与する人材を育成することでございます。  私は、変化の大きなこの時代にこそ、子供たちの意欲、向上心が大切であると思います。もっと学びたい、運動することは楽しい、そういう気持ちが学力や体力の礎となるとともに、変化の激しい社会を生き抜き、新たな創造に結びつく力となります。こうした一人一人の力を最大限に育む教育を目指し、これまでの施策を着実に継承し、推進してまいります。  学校教育においては教師が要であり、子供たちのつまずきや悩みを理解し、個々の可能性を見いだし、支援していくことが重要でございます。そのため、教員の働き方改革を推進し、多様な子供たちの成長にしっかりと向き合える環境を醸成してまいります。またこのことは、教職の魅力を高め、若い世代が本県の教職を希望することにも結びついていくものと考えております。  私は、十四年間の中学校教員に加えまして、スポーツ、文化行政の経験などを通して、学校は子供たちの知・徳・体の人間的成長を育む場であると強く感じておりまして、それを支えるのが教育行政の使命であると自覚をしております。そのため、今後さらにDXを最大限に活用した教育活動やワンヘルス教育などを通じた実践的な学び、心震わせるような感動を伴う学校行事や部活動、地域と連携した教育など、地域から信頼される特色ある学校づくりを推進してまいります。  私の座右の銘は、「我以外皆我師也」でございます。私の教職経験を生かし、現場の意見、課題や実態に真摯に向き合い、学校、家庭、地域、市町村など関係機関とも連携をしまして、本県教育の振興に全力を尽くしてまいります。  学びの多様化学校の検討状況についてでございます。今年四月に県教育委員会内に準備チームを置きまして、学校の在り方を検討をしてきたところであり、特例クラスについては、交通の利便性や施設面を考慮して、小郡高校のコースとして一学級設置したいと考えております。  このコースでは、各自の興味、関心や得意分野を伸ばす自己探求に加えまして、良好な対人関係を築くためのソーシャルスキルトレーニング、自分の将来を考え、進路実現を目指すキャリアリサーチなど学校独自の科目を充実させてまいります。また不登校生徒の実態に配慮しまして、始業時間を一時間程度遅らせ、授業時間も五分短縮の四十五分とし、個別指導に必要な教員配置やスクールカウンセラー等の重点的な配置を行うなど、ほかの学校にない柔軟で手厚い支援体制を確立をし、卒業までしっかりサポートしてまいります。  さらに、入試方法につきましては、国語、数学、英語の特別学力検査のほか、面接と作文により学習意欲を評価することとし、合格できなかった場合でも、ほかの学校に再度出願できるよう一月下旬に実施をいたします。こうした学校の特色や入試の概要につきましては、不登校生徒の適切な進路選択に資するよう、電子パンフレット等も活用しまして、中学生や保護者、関係機関等に夏休み頃から広報を開始をいたします。  次に、県立高校での不登校生徒の受入れの拡充についてでございます。県立高校の入試において、学力検査の結果に加えまして、中学三年次の評定値を主な選考資料としておりまして、不登校生徒を含め、評定値が低い生徒については、全日制高校を志願しない傾向がございます。このため、進学意欲がある不登校生徒が志願しやすくなるよう、今年度実施します入試から、調査書の評定値を選考資料とせず、学力検査と面接による不登校生徒を対象とした特例選考を全校で実施をすることを検討をしております。県教育委員会としましては、県立学校が多様な生徒の学びの場となりますよう、こうした取組を進めてまいります。 7 ◯議長(香原 勝司君) この際しばらく休憩いたします。再開は午後二時といたします。           午 後 零 時 四十六分  休 憩           午 後 二 時  一 分  再 開 8 ◯副議長(佐々木 允君) 再開をいたします。  休憩前に引き続き、代表質問を行います。発言を許可いたします。岩元一儀君。(拍手) *岩元議員質問 9 ◯七十二番(岩元 一儀君)登壇 皆様、こんにちは。民主県政クラブ県議団の岩元一儀です。会派を代表して代表質問を行います。  最初は、福岡県議会の国際戦略について伺います。服部知事は知事就任以降、事あるごとに世界を視野に、未来を見据えて成長し、発展する福岡県をつくる、世界から選ばれる福岡県をつくると述べられ、県を挙げて国際的な戦略、戦術を推し進めることとしています。そのため、服部知事自らが福岡県のトップセールスマンとして、アジアのみならず、欧米をはじめ世界の主要国・都市を回られ、本県との施策の連携を進められています。しかしながら、世界から選ばれる福岡県をつくることは知事や行政側だけで実現することではありません。県議会側でも長年にわたって海外議連や先輩方が培ってきた海外の方々との人脈、人間関係を活用し、実現してきた施策が数多くあります。  具体的な実績を述べますと、昨年お亡くなりになった藤田陽三元議長が立ち上げられ、我が会派の吉村敏男前会長が長きにわたって育んでこられた福岡県タイ友好議員連盟は、福岡県とタイ・バンコク都、福岡県議会とバンコク都議会との揺るぎない友好関係を築き上げてきました。こうした長年にわたる友好関係、両者の信頼関係に加えて、超党派の議員や政財界などの方々で構成される九州の自立を考える会、藏内会長の御尽力により、二〇一八年十月に服部知事も副知事として関わられた在福岡タイ王国総領事館の福岡市開設が実現しました。さらに県内で減価償却を終えた消防自動車をタイ・バンコク都に寄贈した国際貢献も、議会主導で進められたものであります。  また日米議連がハワイ州を訪れた際、本県水産高校が交流しているハワイ州ルーズベルト高校を訪問。そのとき、水産高校の実習船玄洋丸が福岡に戻る際には、ルーズベルト高校の学生たちを乗船させてほしいという要請を受けました。議会側から外務省や各関係機関との調整、協議を行った結果、二〇一〇年、福岡、長崎、山口三県共同の実習船海友丸の就航に合わせ、この要請を実現させることができました。そのほか、友好国への桜を寄贈する友好親善や台湾故宮博物院と九州国立博物館の文化交流支援によって、九州国立博物館での故宮博物院展が実施されるなど、多分野にわたって県議会主導で施策を実現することができました。  県議会のこうした国際活動の中には、知事からの要請に応じて知事の海外活動に同行し協力するものがあります。服部知事が常々、議会と行政は車の両輪の関係にあると述べられています。先ほど述べましたが、世界から選ばれる福岡県をつくるためには、県議会と行政側との一層の連携が必要だと思います。  そこで伺います。国際活動を推進するため、今後、県議会とどのような連携を行おうと考えられているのか、知事のお考えをお示しください。  次に、県と国際獣疫事務局(WOAH)との連携についてお聞きをいたします。今年二月、本県議会議員団がフランスにあるWOAHを訪問し、ジャン・フィリップ事務局次長らと意見交換を行いました。WOAHは、日本も含め、世界百八十二か国が加盟する世界で発生している動物疾病の制圧と根絶に向けた技術的支援及び助言、動物及び動物由来製品の国際貿易に関する衛生基準の策定などに取り組んでいる政府間機関であります。その意見交換では、今年Gが開催されるブラジル・リオデジャネイロにおいて、十月にワンヘルスに関する大規模なイベントが予定されており、本県のワンヘルスに関する取組を広めたいという提案がありました。  そこでお聞きをいたします。十月に開催されるブラジルのイベントやワンヘルスの国際的な普及において、本県からアクションを起こし、WOAHと連携して実現に向けて取り組んでいただきたいと考えますが、知事の見解をお聞きいたします。  次に、WOAHに関して、アニマルウェルフェアについてお聞きをいたします。WOAHは、国際間の動物検疫分野においてWOAHコードという衛生基準を定めており、国内規定を検討する際に参照すべきとされています。このWOAHコードにはアニマルウェルフェアに関しても規定されています。  アニマルウェルフェアとは、日本では動物福祉または家畜福祉と訳され、快適性に配慮した家畜の飼養管理と定義されています。例えばEU諸国への牛肉や鶏肉など家禽の食肉輸出は、アニマルウェルフェアの考え方を基にして、EUと日本双方の合意により定められた基準を満たし、認定を受けた屠畜場で屠畜された肉しか輸出できません。その条件を満たしているのは、宮崎、鹿児島など九道府県で計十三施設のみです。その鹿児島県では、県が二〇一一年より県食肉輸出促進協議会を設立し事業者に呼びかけを行ったことで、EUへの牛肉輸出が十四年度の輸出量六十一・五トン、輸出額四億円から、二十二年度には二百二十六・六トン、二十二億四千九百万円へと増加をしています。  国内の動きを見ると、農林水産省もアニマルウェルフェアの普及を進めており、二〇二三年七月には、新たに畜種ごとの飼養管理等に関する技術的な指針を示し、普及する考えを示しました。本県では、人と動物が共生できる社会の実現を目的とし、福岡県動物愛護推進計画を策定、そして二〇二一年四月からの十か年計画で第三次福岡県動物愛護推進計画では、ワンヘルスの理念や産業動物の適正な取扱いに関して、アニマルウェルフェアの考え方が示されています。しかし、現状では産業動物の飼養管理に関しては、あくまで生産者団体等による自主的な取組に任されており、この計画でフォローできているのか、我が会派は疑問に思っています。  そこで、アニマルウェルフェアの理念について、知事はどのように認識しているのかお示しください。その上で、畜産物の販路拡大にもつながるアニマルウェルフェアの考え方をどのように周知し、家畜の管理者等に対し、その導入の支援をどう行っていくつもりなのかお聞かせください。  次に、本県の防災対策についてお伺いいたします。気象情報会社のウェザーニュース社が五月十四日に発表した予想によると、今年の梅雨時期の九州北部は平年並みか多い雨量となる見込みです。特に六月下旬から七月上旬にかけて梅雨前線の活動が活発化して大雨のおそれがあるとのことで、今年も河川の増水、家屋への浸水、土砂災害などに警戒が必要であります。  昨年七月に久留米市田主丸などで発生した土砂災害では、土砂災害警戒区域と指定されていなかった箇所に建っていた家屋が土石流に押し流されるなどいたしました。  そこで、土砂災害警戒区域の指定について伺います。まず、既に指定されている土砂災害警戒区域の数をお示しください。あわせて、県は国の土砂災害防止対策基本方針の改定を受け、従来より高精度の地形図を用いて新たに土砂災害のおそれのある箇所を今年一月に抽出したと聞いています。その箇所数と、このうち人家等の建築物がある箇所数をお示しください。また、これらの新たに抽出した箇所を県民の皆様に早期に認識してもらう必要がありますが、どのような取組が行われているのか。さらに市町村への働きかけをどのように取り組んでいるのかお伺いをいたします。  次に、ダムの洪水調節機能の強化について伺います。事前放流は洪水調節機能の一つで、大雨が予測される際、ダムの水を前もって放流して水位を下げておくことで、実際に大雨になっても大量に流れ込む水をダムにためて下流へ流れ出る水量を減らし、下流域の洪水被害の防止や軽減を図るものでございます。一方、大雨でダムの水位が上がってきた際に、ダム自体の崩壊や越水を防ぐためにダムに流れ込む量と同量の水をやむを得ず下流へ流すのが緊急放流でございます。我が会派としては、氾濫などにつながる危険性の高い緊急放流はできる限り避けるべきというふうに考えます。  事前放流について、二〇一九年十二月定例議会における我が会派の代表質問で、その導入についてお聞きし、当時の小川洋知事は、県管理ダムにおける事前放流の可能性について検討すると言及されました。そして翌二〇二〇年以降、本県でも県や市町村が管理するダムについて、事前放流に関する治水協定の締結が進めてこられました。この協定は、河川管理者やダム管理者、利水者との間で事前放流の実施方針や事前放流による水不足が発生しないようにする措置などについて確認するもので、締結が済んだダムは事前放流を行うことが可能になります。  そこで一点目に、事前放流と緊急放流に対する服部知事の認識をお示しいただいた上で、本県での協定締結により事前放流が可能となったダムの数と、県が管理する二級水系において洪水調節容量はどう増えたのかお示しください。  独立行政法人水資源機構が管理する寺内ダムでは今年二月、ゲートのかさ上げ及び利水容量の一部を治水容量に振り替えることにより洪水調節容量を二割増強するなど、ダム再生事業が始まりました。完成後には、二〇一七年の九州北部豪雨と同程度の雨でも浸水世帯を六百四世帯からゼロへ、浸水面積も千八十六ヘクタールから十六ヘクタール程度に低減できるとのことです。  そこで二点目に、本県が管理するダムにおいて、洪水調節機能の確保に向けた取組についてお示しください。  三点目に、本県内で治水協定の締結が始まった二〇二〇年以降では、昨年七月十日に寺内ダムで緊急放流が行われていますが、この事例について、あらかじめ事前放流を行っていたのかを含め、緊急放流に至った経過をお示しください。  四点目に、これまで大雨時、降水量とダム流入量との相関などの知見を今後、事前放流等治水に関する施策の参考にすべきと考えますが、これらについて県ではどのように取り組んできたのか。また今後どのように取り組んでいくのか知事の考えをお示しください。  次に、パートナーシップ宣誓制度の進捗状況についてお聞きをいたします。今年三月、同性婚を認めない民法などの規定は違憲だとして同性婚カップルらが国に損害賠償を求めた訴訟で、札幌高裁は民法などの規定が違憲との判断を示しました。その上で、早急に真摯な議論と対応をすることが望まれると付言されました。  このように、同性婚が認められていない日本において、多くの性的少数者の方々が婚姻の自由や法の下の平等を求めています。我が会派は二〇二一年九月定例会の代表質問でパートナーシップ宣誓制度の必要性を示し、それを受け、本県では二〇二二年四月から福岡県パートナーシップ宣誓制度がスタートいたしました。昨年二月の代表質問でも、全市町村でのサービス提供、民間サービスの拡大など制度の充実を求めています。国の制度が整わない中で本県のパートナーシップ宣誓制度が果たす役割は非常に大きく、その充実のため、当事者の方々がどのようなサービスを具体的に必要としているのかといった調査も必要と考えます。  そこで知事にお聞きをいたします。一点目に、県のパートナーシップ宣誓制度のこれまでの実績と利用できる市町村サービスの拡大はどのように進んできたのかお示しください。  二点目に、県のパートナーシップ宣誓制度で利用できる民間サービスは、制度開始後どのように拡充されてきたのか、あわせて今後の拡充についてお答えください。  三点目に、性的少数者の方々の抱える課題を県はどのように把握し、今後どのようにパートナーシップ宣誓制度により利用できるサービスに反映させていくつもりなのかお聞きをいたします。  宣誓制度の恩恵を望む方々が利用できるサービスは市町村によって偏りが見られ、県内どこに住んでいても自分の望むサービスを利用することができる状況ではありません。かつ、市町村ごとに受けられるサービスが分かりにくいという声もあります。  そこで四点目に、宣誓制度により利用できる市町村のサービスについて、県下市町村における偏りをなくすための方策、また宣誓者が利用できるサービスを分かりやすく伝える仕組みについて、知事の見解をお聞かせください。  性的少数者も含むジェンダー平等の福岡県実現には、県民意識の醸成が欠かせません。性的少数者に対して、本人の了解を得ず、他人に性的指向や性自認等などの秘密を暴露するアウティングにより人命が失われた事例もあります。性的少数者の方々への理解を進めることが必要であります。  そこで五点目に、県民の意識醸成を進めていくことが必要ですが、どのように取り組んでいくのかお聞かせください。  ここでひとまず前段を終わります。(拍手) 10 ◯副議長(佐々木 允君) 服部知事。 *知事答弁 11 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁申し上げます。  まず、国際活動を推進するための県議会との連携についてお尋ねがございました。その効果は三つあると考えております。  まず一つ目は、県として海外に訪問団を派遣する際、地方自治における二元代表制の両輪でございます知事と議会が共に現地を訪れ、双方が一体となって取り組む姿勢を相手方に示しますことで、我々の熱意や取組の実効性というものを相手に理解いただくことにつながります。例を挙げますと、タイ王国総領事館の誘致に当たり、県議会がバンコク都議会との友好交流を通じて培った豊富な人脈を生かされて、タイ政府要人に積極的に働きかけを行っていただき、県といたしましても、タイ政府や我が国の外務省へ働きかけを行いましたことが総領事館の設置に結びついたものでございます。海外活動に同行いただく県内の企業の皆様、経済団体の皆様、大学の皆様などに対しましても、議会が共に活動している姿を見せることは同様の効果があるものと考えております。  二つ目は、観光プロモーションなど現地の方をお招きするイベントにおいて、知事と知事同様県民の皆様の負託を受けた県議会の皆さんが共にホスト役として対応いたしますことで、こちら側の意図や熱意を強く伝えることとなり、効果的なアピールにつながると考えております。  三つ目は、県議会の皆さんが訪問先で知事と共に話を聞き、あるいはレクチャーを受け、あるいは現地の状況を実際見ていただきますことで、県の課題や施策の方向性について共通認識を持っていただくとともに、海外戦略の必要性、重要性を理解いただき、円滑に施策が実行できるという効果があると考えております。例を挙げますと、昨年八月、オーストラリア・ニューサウスウェールズ州に県議会の皆様と訪れました際、州政府からの説明を受けるとともに、世界最大の石炭積出港でございますニューカッスル港において石炭からグリーン水素への転換の計画や状況などについて調査を行ったことによって、県議会の皆様方に連携の必要性を御理解いただき、その後、十一月には私とニューサウスウェールズ州の首相との間で水素分野における協力促進に関する覚書が締結できたところでございます。  引き続き、県議会の皆様方と連携を図りながら、本県の産業振興をはじめ様々な政策の実現のため、海外活動に取り組んでまいります。  国際獣疫事務局(WOAH)との連携についてお尋ねがございました。国際獣疫事務局は、世界保健機関、国連食糧農業機関、国連環境計画、この三つの国際機関と共にワンヘルスを国際的に推進する協力枠組みを形成していると伺っております。この国際獣疫事務局から、今年二月、県議会が訪問をされた際に、本県のワンヘルスの取組を広めたいという御提案があったことは大変光栄なことであると考えております。県といたしましては、国際獣疫事務局がどういったことを本県に求めているのか、また本県として何ができるのか、東京にございます国際獣疫事務局のアジア太平洋地域事務所と協議を行ってまいりたいと考えております。  アニマルウェルフェアについてでございます。アニマルウェルフェアとは、動物を人と同じく命ある生き物として尊重し、動物が生まれてから死ぬまでの間、できる限り苦痛なく快適に過ごせることであると認識をいたしております。  家畜におきましても、アニマルウェルフェアの理念に基づき飼養管理を行う必要があると考えております。これまでも畜産農家は家畜の丁寧な扱いや畜舎の清掃を実践してきておりますが、県といたしましては、国の指針に基づき、家畜の快適性に配慮した飼養管理をそれぞれの農家が意識し実行するよう、関係団体を通じて畜産農家に通知いたしますとともに、家畜保健衛生所の職員が現地巡回を実施し、周知徹底を図っております。  あわせまして、快適な飼養環境を確保するため、換気扇あるいは屋根断熱材の設置、給水設備の改修などに要する経費に対する助成を行っております。また家畜伝染病予防法に基づく飼養衛生管理基準において、畜産農家に義務づけられております適正な飼養密度の確認や毎日の健康観察の記録などを県において確認をいたしております。こういった取組の遵守率は、牛、豚、鶏の全ての畜種において平均で九割を超えておりますが、不十分な項目については改善指導を行っているところでございます。県といたしましては、こうした取組により畜産物の輸出拡大も視野に入れ、アニマルウェルフェアに配慮した飼養管理を継続して進めてまいります。  新たな土砂災害警戒区域の指定についてお尋ねがございました。県では、現時点で一万八千二百九十四か所の土砂災害警戒区域を指定しております。また令和二年の国の指針改定により、土砂災害警戒区域の指定に向けた調査箇所の抽出方法が変更されましたことから、高精度な地形図を用い、新たに土砂災害のおそれのある一万三千六百六十二か所を抽出いたしました。このうち、人家等の建築物がある箇所が一万二千三百五十九か所となっております。これらの箇所を土砂災害警戒区域として指定するためには、地形や地質、降雨などの状況を詳細に調査する必要がございます。この調査には時間を要しますことから、これらの箇所を住民の皆様に土砂災害のおそれのある箇所として早期に認識していただきますため、先月、県のホームページで公表いたしました。公表した箇所につきましては、広く住民の皆様に知っていただき、迅速な避難行動につなげていただくことが重要でございます。このため、関係自治体に対し、防災に関する副市町村長会議や課長会議など、あらゆる機会を通じて調査箇所のハザードマップへの反映、あるいは自主防災組織等による避難訓練の実施などを働きかけているところでございます。今後とも住民の皆様の防災意識が向上するよう努めてまいります。  ダムの事前放流と緊急放流に対する認識についてでございます。事前放流とは、ダムの洪水調節容量を上回る洪水が予測された場合に、利水者の協力を得て、最大三日前から利水容量の一部を放流し、ダムの空き容量を通常よりも大きく確保するものでございます。放流後の気象状況が事前の予測と異なる場合、水位の回復に時間を要するおそれがありますものの、下流の洪水被害を軽減するための効果的な方法であると認識いたしております。  また緊急放流とは、想定を上回る大雨が降りダムが満杯になると見込まれる場合に、放流量を流入量と同量になるまで徐々に増加させる操作でございます。これは、ダムが満杯になってから一気に放流を行います場合と比べますと、下流の急激な水位上昇を軽減するものでございまして、あらかじめ定められた必要な操作でございます。ただし、緊急放流に移行いたしますと、やはり下流の水位が上昇いたしますので、下流域に対する早めの情報提供が重要でございます。このため、あらかじめ下流自治体の首長に直接連絡をいたしますとともに、住民の皆様に対しましては、報道機関を通じ、適切な避難行動を取るよう注意喚起を行うことといたしております。  県内には、国、県などが管理する四十四のダムがございまして、その全てにおいて河川管理者、ダム管理者及び関係利水者間での協定が締結され、事前放流が可能となっております。このうち、県が管理する二級水系の河川には二十二のダムがございまして、総貯水容量の合計は約一億三千万立方メートルとなります。この二割に当たります三千万立方メートルが洪水調節容量となっております。この二十二ダムにおいて事前放流を最大限実施した場合、空き容量は実際の雨の降り方でありますとか上流からの流入量によって大きく変わりますけれども、洪水調節容量と合わせますと、計算上は約六千万立方メートル確保されることとなります。  洪水調節機能の確保に向けた取組についてでございます。県では、ダムの貯水池内に堆積し、洪水調節容量を阻害いたしております土砂の撤去や流木の除去を適切に行いまして、ダム容量を最大限に活用できるよう洪水調節機能の確保に努めているところでございます。  それから、寺内ダムで緊急放流が行われた経緯についてお尋ねがございました。寺内ダムは、独立行政法人水資源機構が管理をいたしております機構からの聞き取りによりますと、寺内ダムが立地する地域では、昨年七月十日未明から線状降水帯が発生し記録的な豪雨となり、ダムが満杯になると見込まれましたことから、緊急放流に至ったとのことでございます。一方、緊急放流の前日までに予想された雨量は、事前放流の条件となっております基準降雨量を超えなかったことから、事前放流を行うには至らなかったと聞いております。なお、県内ではこれまで緊急放流を行ったことはなく、今回の寺内ダムが初めての事例となりました。  ダムへの流入量の予測についてでございます。県では、過去の大雨のときの降雨量の実績とダムへの流入量の実績の相関を基に、気象庁から提供される予測降雨量を用いダムへの流入量を予測し、ダムの操作に活用しております。流入量の予測につきましては、大雨時の降雨データを蓄積をいたしまして、相関関係をその都度検証することで精度の向上を図っております。今後とも気象庁と連携を図り、効果的な洪水調節をはじめとした治水対策の充実に努めてまいります。  次に、パートナーシップ宣誓の実績等についてでございます。一昨年四月の制度開始から、これまで七十二組のカップルの方が宣誓を行っていらっしゃいます。宣誓された皆さんが市町村で利用できるサービスの拡大のため、市町村長に対する個別訪問、あるいは市町村研修への講師の派遣などの働きかけを行いまして、今年三月までには全ての市町村において、公立病院での病状の説明、公営住宅の入居の申込み、保育所の送迎などの行政サービスを提供していただくこととなりました。  パートナーシップ宣誓制度で利用可能な民間サービスの拡充についてでございます。県では、これまで県内四か所において事業所向けのセミナーを開催いたしますとともに、職員が事業者の皆様を訪問をし、直接説明を行うなど、このパートナーシップ宣誓制度の周知とサービスの提供を働きかけてまいったところでございます。この結果、現在、不動産、金融、生命保険など七業種、千三十一の事業者からサービスの提供をいただいております。  また今年度までに、当事者からの要望が強い医療、あるいは賃貸住宅、住宅ローン関係のサービスが福岡県広域地域振興圏域の十五圏域全てで提供されることを目標といたしております。現在、住宅ローン関係のサービスについては全ての圏域で、医療は八つの圏域で、賃貸住宅は十一の圏域において提供がスタートいたしております。今年度中の全圏域の提供を目指し、引き続き関係団体の協力をいただきながら働きかけを行ってまいります。  性的少数者が抱える課題の把握と利用できるサービスへの反映についてでございます。県では令和二年度から毎年二回、当事者の方を含む性的少数者を支援する団体との意見交換会を開催をいたしまして、日頃の困り事や悩みの聞き取りを行っております。この意見交換会でいただきましたサービス拡充に係る御意見につきましては、反映に努めているところでございます。具体的に申しますと、保育園にパートナーの子を送迎できるようにしてほしいというお声を受けまして、県と公益社団法人福岡県保育協会が共催で保育園の役職員を対象とした研修を開催をすることにより、制度への理解が進み、送迎が可能となったところでございます。  これまで宣誓をされたカップルの皆さんからはたくさんの喜びの声をいただいておりまして、当事者を含む性的少数者を支援する団体の皆さんからも、県の取組に対して高く評価をいただいております。一方で、先ほども答弁申し上げましたように、まだ全圏域で提供されていないサービスもございますので、今後とも性的少数者の方々の意見、要望をお聞きしながら、利用できるサービスの充実を図ってまいります。  こういった市町村サービスの偏りをなくす方策と宣誓者が利用できるサービスを分かりやすく伝える取組についてでございます。市町村が県の制度により行政サービスを利用可能とするかどうか、これはそれぞれの市町村が判断をされることでありますことから、宣誓者が利用できる行政サービスに違いが生じております。県では、これまで毎年開催をしております市町村人権啓発担当課長会議におきまして、県内の市町村が提供している行政サービスにつきまして情報を共有いたしますとともに、個別に市町村を訪問しまして、もう既に実施をされている市町村では円滑に運用できていますよということや導入に当たっての課題解消の方法などを説明差し上げることによりまして、サービス提供への理解を求めているところでございます。  また宣誓された方がサービスを利用しやすくなりますよう、県のホームページでの周知に加えまして、今後、宣誓時にお住まいの市町村で利用できるサービスの一覧表をお渡しするなど、きめ細かな情報提供を行ってまいります。
     性的少数者を理解する県民意識の醸成についてでございます。県ではこれまで広く県民の皆様向けに、人権啓発情報センターでの県民講座の開催、あるいは当事者団体が実施する啓発イベント、九州レインボープライドでのブース出展、あるいは街頭ビジョンや映画館での啓発動画の放映などに取り組んでおります。また事業者の方向けには、性的少数者への理解促進のためのセミナーの開催、あるいは事業者の皆さんが実施をする研修に講師を派遣をする、あるいは職場での配慮をまとめた啓発動画のユーチューブでの放映などに取り組んでいるところでございます。  今後も、性の多様性というものに対する県民の皆様の理解がさらに深まってまいりますように、当事者や性的少数者を支援する団体、あるいは有識者の皆さんで構成いたします福岡県人権施策推進懇話会の御意見をお聞きしながら、効果的な啓発に取り組んでまいります。 12 ◯副議長(佐々木 允君) 岩元一儀君。 13 ◯七十二番(岩元 一儀君)登壇 再登壇いたします。  知事より答弁をいただきました。アニマルウェルフェアについて一点要望いたします。知事答弁にもあったように、福岡県ワンヘルスへの取組や県議会におけるフランス・パリのWOAH訪問時に関係者からも注目されるほど世界的にすばらしいものであり、その福岡県でワンヘルスに基づく動物福祉、いわゆるアニマルウェルフェアの取組を加速させていくべきなのは自明の理でございます。答弁にありました畜産物の海外輸出など販路拡大を実現していくために、例えば今後、屠畜場など新たに畜産関係施設が設置される際には、アニマルウェルフェアを踏まえたWOAHの基準に基づく設計や運営を奨励、支援するなど、県下にアニマルウェルフェアを広げるための積極的な取組を行われることを強く要望いたします。  では、代表質問の残余について伺ってまいります。  次に、再生可能エネルギーの政策についてお聞きいたします。県では、太陽光発電の導入促進を図るため、大規模太陽光発電設備や住宅用太陽光発電の普及に力を入れ、成果を出してこられました。  太陽光発電は、発電設備の製品寿命が二十五年から三十年程度とされ、近い将来、大量の更新の時期がやっていきます。しかし、本県所管の管理型最終処分場については、処分許可を有する業者二社のみで、現実にはそこでも大量の太陽光発電関連の最終廃棄物を受け入れることが事実上困難となっており、県内の発電設備の廃棄物は行き場を失う可能性があります。一刻も早く、設置済みの、また今後設置される太陽光パネルを余さず把握し、リユース、リサイクルにつなげる仕組みを構築、実施しなければなりません。  この状況に対し本県では全国に先駆け、排出業者、収集運搬業者、リサイクル業者等が参加する太陽光発電保守・リサイクル推進協議会で廃棄パネルに関する情報を共有し、廃棄パネルを効率的に回収してリサイクルにつなげる廃棄太陽光パネルスマート回収システムを開発し、二〇二一年から運用を開始しました。  そこで質問します。一点目に、回収システムの活用状況についてお示しください。また昨年度開始したリユース実証の状況についても併せてお答えください。  今後、大量に廃棄される太陽光発電設備が余すことなくリユース、リサイクルされることが必要と考えます。現在、国においてリユース、リサイクルに向けた新たな仕組みづくりの検討が行われていると聞きます。  そこで二点目に、このような中、県は今後協議会をどのように活用していくのか、知事の考えをお聞きいたします。  太陽光発電設備の廃棄という課題がある中で注目されている日本生まれの次世代技術がペロブスカイトと呼ばれる太陽電池です。ペロブスカイト太陽電池は、厚さ僅か〇・〇〇一ミリメートルと非常に薄く、さらに軽くて柔らかいという特徴があり、光を通しやすく窓にも貼れるなど、これまで設置が難しかった場所にも設置できるメリットがあります。  こうした期待から、国では経済産業省が再生可能エネルギーの電力を高く買う固定価格買取制度でペロブスカイト太陽電池を優遇することについて検討することとし、また経済産業省、自治体、国内企業など約百五十団体で協議会を立ち上げ、この夏にも導入目標を策定するなど、さらなる普及を図ることとしています。  また神奈川県では、同電池を開発した桐蔭横浜大の宮坂力特任教授が代表を務めるベンチャー企業などと連携協定を結んで、県有地などで実験を行い、エネルギー管理システムの構築を目指すなど、先進的に取り組んでいます。  そこで、ペロブスカイト太陽電池の利点を生かした本県への導入の可能性について、知事の見解をお聞きいたします。  次に、保健所の再構築と体制強化についてお聞きいたします。一九八九年に全国で八百四十八か所あった保健所は、一九九四年の地域保健法制定以降減り続け、二〇二三年には四百六十八か所と、三十四年間で半数近くになりました。  新型コロナ感染症拡大への対応では、保健所の人的、物的脆弱さが露呈することになりました。保健所は、公衆衛生、感染症対策の拠点として、新興感染症の拡大など緊急時にも機動力を持って対応できるよう平時から体制を整備しておく必要があります。実際総務省ではコロナ禍の教訓を生かし、二〇二一年度から二か年計画の地方財政計画で、保健所の恒常的な人員体制強化の方針を示しています。本県が今年三月に発表した新型コロナウイルス感染症対応の総括と記録では、二〇二一年度から二三年度にかけ、感染症業務に従事する保健師を増員し、恒常的な人員体制を強化していると明記されています。  そこで知事にお聞きします。本県の二一年度から二三年度にかけての保健所や保健環境事務所の人員体制強化をどう取り組んでこられたのかお答えください。そして今後、人員強化も含めてどのような体制を強化するのか、知事の方針をお答えください。  本県では二〇〇二年九月、保健、医療、福祉施策の総合的な推進や市町村に対する一元的な指導、支援、調整を行う体制を整備する目的で、従来の保健所と福祉事務所を統合しました。そして二〇〇九年十月には、市町村合併の進展などにより現在の六つの保健福祉環境事務所、三つの保健福祉事務所という体制に整備され、保健福祉環境事務所のうち四つには、さらに分庁舎が設置されています。  近年、保健、福祉、環境分野における情勢は大きく変化しています。保健行政では災害避難所における感染症予防や新興感染症への対応、福祉行政では女性や子供の貧困、増加する生活保護などへの対応、環境行政では地球規模の環境問題、温暖化による食物への影響などへの対応が必要で、今後さらに強化が求められます。本県の保健環境行政はワンヘルスの理念と取組に基づき、時代の変化と住民ニーズに応えるための大きな転換点に差しかかっています。  そこで二点目に、保健福祉環境事務所の保健、環境部門と福祉部門をそれぞれ独立させ、専門職をより多く配置するなどによってその機能を高め、新たな住民ニーズは、その課題ごとに両部門が密接に連携して対応できるような柔軟な組織にしていくべきではないかと考えますが、知事の見解をお示しください。  次に、高齢者の社会的孤立を防ぐ施策についてお聞きをいたします。今年一月から三月に自宅で亡くなった一人暮らしの人は全国で二万一千七百十六人に上るという驚くべき数字がこのほど警察庁から公表されました。そのうち六十五歳以上の高齢者が八割近くを占め、孤独死する高齢者は全国で、年間で約六万八千人と推計されています。本県警察本部に確認したところ、県内において今年一月から三月に自宅で亡くなった一人暮らしの方は、暫定値で九百十三人、うち高齢者は七百十人。つまり一日に七・九人という驚くべき数字となっています。  社会的孤立とは、家族や地域社会との交流が著しく乏しい状態です。国は二〇二一年、内閣官房に、孤独・孤立対策担当室を立ち上げ、今年四月一日に孤独・孤立対策推進法を施行しました。同法の趣旨は、孤独・孤立に悩む人を誰一人取り残さない社会を目指すこと、相互に支え合い人と人とのつながりが生まれる社会を目指すことなどとなっています。  そこで一点目に、本県における高齢者の社会的孤立に関わる問題に対する知事の認識と、本県として孤立の問題に対するこれまでの取組と、今後どのように取り組んでいくのかお答えください。  本県では、各家庭を訪問する機会の多い事業者が、訪問先の異変を察知した際には市町村に通報する見守りネットふくおかの取組を二〇一二年から実施しています。具体的には、事業者と県との間で見守りネットふくおかに関する大筋の合意となる包括協定を結び、その後、各市町村とその民間事業者との個別協定や市町村からの依頼に基づき民間事業者が実際に活動しています。事業の効果を高めるためには、各市町村が事業者と個別協定等による協力関係を数多く結ぶことが重要です。また事業開始から十二年間が経過した今、これまでの成果や課題を整理し、それらを踏まえて事業内容を改善する必要もあると考えます。  そこで二点目に、各市町村と民間業者の間の個別協定等の実績をお示しいただき、例えば孤独死を未然に防いだケースなど、活動の成果と見守りネットふくおかの取組に対する知事の評価をお答えください。また今後、協力事業者の拡大を図ることが重要と考えますが、事業者に対してどのように働きかけていくのか、知事のお考えをお示しください。  次に、新しく教育長になられた寺崎教育長に、喫緊の課題への対処などについてお伺いいたします。  初めに、教員の働き方改革についてでございます。不登校やいじめなど子供の問題は複雑、困難化し、加えて保護者への対応や提出書類の増加などによって教員の残業時間は過労死ラインを超える苛酷な状態であることは、現場出身の教育長ならば御承知おきのとおりでございます。  県では、今年度実施の採用試験から、一次試験の前倒しや大学等推薦特別選考の拡充などを、また国は月給の上乗せ額を四%から一〇%へと新たな取組を検討されていることは承知しておりますが、教員の働き方改革なしに教員不足をはじめとした教育現場が直面する諸課題の抜本的な解決は実現できません。  そこで一点目に、小中学校において、本年度の教員未配置の数を常勤、非常勤それぞれについてお示しいただくとともに、昨年一年度、一年間の途中で退職した教員数と、それに対し補充することができたのは何名なのかお示しください。  二点目に、本県で実施される教員採用試験の小中学校教員の志願状況について、昨年度との比較をお示しください。  三点目に、こうした現状を踏まえ、定数欠講師の未配置や教員採用試験の志願者の伸び悩みをはじめとした教育の諸課題解決のため、本県教員の働き方改革をどのように進めていくおつもりなのか、教育長の方針をお聞かせください。  次に、県教育委員会の障がい者雇用についてです。我が会派は昨年九月の代表質問でも障がい者雇用の在り方を吉田前教育長にただしてまいりました。こうした今年三月、本県教育委員会は、厚生労働省から二年連続六回目、全国最多となる適正実施勧告を受けました。今回の勧告は全国で本県のみで、二年間の採用計画で百三十名の目標に対し、僅か十五名の採用に終わり、非常に残念であります。  法定雇用率を大幅に上げることに成功した埼玉県や広島県の教育委員会では、特別選考対象の障がい種別の拡大や年齢条件緩和、教育委員会事務局内に新たな職種の創設、特別支援学校への配置増など、様々な取組を行っています。こうした他県の優良事例も参考に、本気の取組が必要であります。  そこで四点目に、昨年度の取組と昨年十二月一日時点での障がい者雇用の状況をお聞かせください。また二年連続六回目の適正実施勧告を受けたことについての教育長の認識と法定雇用率を満たすために抜本的な取組が必要と考えますが、今後どのように雇用を進めていくのかお聞かせください。  最後に、県立高校の魅力化、特色化についてでございます。文科省は高等学校の魅力化、普通科改革を進めていますが、その文科省の調べでは、学校生活の満足度は中学校から高校へ学年が上がるとともに低下傾向にあります。従来の大学入試を前提とした高校教育から、多様な生徒一人一人の興味関心に合った柔軟な教育を提供することが必要と考えます。  令和五年度学校基本調査によると、本県は県立高校と私立高校に通う生徒の割合は五・五対四・五で、私立高校に通う生徒の割合が全国で四番目に高くなっています。今年四月、我が会派は徳島県神山町の神山まるごと高専を視察いたしました。山あいにある人口五千人の小さな町で、既存の枠にとらわれず新たな価値を創造していく起業家精神、すなわちアントレプレナーシップ精神の醸成に機軸を置いた魅力ある学校づくりが行われ、今年の入学倍率は十倍を超えました。本県の県立学校も魅力化、特色化を通じ、地域活性化にもつながる学校づくり、生徒の学びの充実を期待します。  そこで五点目に、本県で私立学校に通う生徒の割合が高い現状をどのようにお考えか、教育長の認識をお聞かせください。その上で、県立高校の魅力化、特色化について今後どのように取り組むおつもりなのか、教育長の方針をお聞かせください。  最後に、これらの課題の解決に、新教育長に粉骨砕身頑張っていただきたいと思いますが、寺崎教育長の教育行政改革に対する意気込みをお聞かせください。 14 ◯副議長(佐々木 允君) 服部知事。 15 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。  まず、廃棄太陽光パネルスマート回収システムの活用状況及びリユース実証の状況についてお尋ねがございました。県では、リサイクル総合研究事業化センターとともに、太陽光パネルの将来的な排出量の増加に備えまして、全国に先駆け、県内各地に点在するパネルを効率的かつ経済的に回収しリサイクルするシステムを構築いたしております。令和三年、パネルの排出、収集運搬、リサイクルに関わる各事業者と連携し、このシステムの運用を開始いたしました。これまでに約四トン、約二百枚のパネルをリサイクルしております。また事業者がパネルを排出する際に求められます産業廃棄物の電子マニフェストとこのシステムを連動させますとともに、パネルの排出情報を関係事業者に自動配信して情報共有機能を向上させるなど、より利用しやすいように改良を重ねております。さらに、資源の有効活用を図るという観点から、昨年度からは発電事業者やメンテナンス事業者等と連携してリユースの実証にも取り組んでおります。今年二月には、このリユースパネルで発電した電力を大川市の家具メーカーで利用する実証を開始いたしました。今後は、パネルが再利用可能であるかどうかを簡易に診断する方法についても検討をいたしまして、低コストで信頼性の高いリユースモデルの確立を目指してまいります。  次に、太陽光発電保守・リサイクル推進協議会の今後の活用についてでございます。県は、この太陽光パネルの3R推進を図りますため、関連事業者と連携して本協議会を設置いたしておりまして、高度な技術を持っておられるリサイクル業者をはじめ、現在、四十九の事業者が参画されております。この協議会では、関係事業者間においてパネルの含有物質や移動状況などの情報を共有いたしますとともに、確実に引き渡し、受け取るための仕組みを有しております。現在、国におきましても、こうした福岡県の先進的な取組を参考に、使用済みパネルを確実にリユースやリサイクルする制度の構築に向けた議論が進められており、リサイクルの義務化が検討されているとの報道もあっているところでございます。  県といたしましては、協議会が有する仕組みを生かし、パネルの円滑なリユース、リサイクルを一層進めていくこととしておりまして、県内の多くの事業者の参画が必要と考えております。このため、保守・メンテナンス事業者など関係事業者団体への働きかけを強化し、協議会に参画する事業者の拡大を図り、協議会を活用して、リユースとリサイクルを一貫して行う仕組みを構築してまいります。これによりまして、県内のリサイクル産業の振興につなげますとともに、将来大量に廃棄されるパネルのリユース、リサイクルを促進してまいります。  次に、ペロブスカイト太陽電池の本県への導入の可能性についてでございます。ペロブスカイト太陽電池の導入に当たりましては、低コスト化に向けた技術開発や量産体制の構築、官民での需要の創出、適正な廃棄、リサイクルを見据えた枠組みの確保といった検討課題がございます。これらの課題を協議いたしますため、先月、国、自治体、企業などで構成されます官民協議会が発足をいたしました。本県もこれに参画をいたしております。  このペロブスカイト太陽電池の主原料はヨウ素でありまして、日本国内での安定調達が可能でありますことから、経済安全保障上の強みを持っており、また当該電池は軽くて柔軟で光を通しやすいといった特徴を持っております。このため、都市部におけるビルの壁面、あるいは窓への設置など様々な場所での太陽光発電の導入拡大につながるものと期待されております。県といたしましては、この協議会での議論を踏まえ、再生可能エネルギー導入のさらなる促進を図る観点から、県内へのこのペロブスカイト太陽電池の導入の可能性について研究を行ってまいります。  次に、保健所や保健環境研究所の体制強化についてでございます。令和三年度から昨年度にかけて、全ての保健福祉環境事務所につきましては、感染症業務の増加への対応と次の感染症危機に備えた体制整備のため、保健師を計十九名増員いたしました。また感染者の増加に伴う業務負担が特に大きい筑紫保健福祉環境事務所、粕屋保健福祉事務所につきましては、事務職を計二名増員いたしました。あわせて、受診や入院の調整等を円滑に行いますため、平時から医療機関等との間で連携を強化いたしますとともに、人材育成などを進めますため、感染症対策主幹の職を設置をいたしました。また保健環境研究所では、検査体制を整備するため、研究職を三名増員をいたしました。  今年三月には、全ての保健福祉環境事務所と保健環境研究所におきまして、平時から計画的に感染症危機が発生した場合に備えた体制を整備しておきますため、事務所ごとに健康危機対処計画を策定いたしました。この計画では、平時から疫学調査、健康観察等、感染症業務についての研修や実践型の訓練を通じて人材育成を行いますほか、感染症危機が発生した場合には、所長を本部長とする現地対策本部を立ち上げ、所属職員に加え、人材派遣や会計年度任用職員等も活用して、必要な人員を確保することといたしております。  こうした取組により、今後、感染症危機が発生した場合においても速やかに対応できる体制を整備しております。  保健、環境部門と福祉部門との独立と柔軟な組織についてお尋ねがございました。保健福祉環境事務所では、保健、福祉、環境のそれぞれの部門に専門職を配置いたしますとともに、所長、副所長とは別に保健衛生分野を統括する保健所長として医師の保健監を、環境分野を統括する環境長を配置するなど、一定独立して業務が執行できる体制を整備しております。  また新たな行政課題が生じた場合には、それぞれの部門において現場実態を踏まえた見直しを行い、体制強化を図ってきたところでございます。この体制の下、保健部門と福祉部門では、母子保健や精神保健、DVや生活保護など双方の部門にまたがって生活上の困難を抱える方々に対しては一元的な支援を行うなど、連携を図っているところでございます。このほかにも、市町村が実施いたします子供と家庭の総合的、一体的な相談支援に関し、両部門が連携して市町村に助言を行っております。  各部門を完全に独立させますことは、指揮命令系統が分かれ、このような連携が十分に図られなくなるという懸念がございます。また庶務、会計などの管理部門が必要となるなどの課題が生じます。このため、今後とも現体制の下、必要に応じた見直しを行いながら、複雑多様化する行政課題に対応してまいります。  高齢者の社会的孤立に関わる問題についてでございます。高齢者が日常生活で孤独を感じる、または社会から孤立している状態が継続いたしますと、心身の活力が低下し、虚弱性が出現しますフレイルや他者からの発見の遅れによる認知症の進行などに影響を及ぼすことが考えられます。こうしたことから、高齢者が社会的に孤立することを防ぎ、住み慣れた地域で安心して生活していただくことができますようにすることが重要であると認識をしております。  このため、市町村では地域包括支援センターを設置し、民生委員や地域の関係団体と連携して高齢者の生活上の困り事の相談を受け、必要な支援につなげているところでございます。また高齢者の交流や社会参加の場でございます通いの場、あるいは認知症の方とその御家族、専門家などの情報交換や相談の場でございます認知症カフェを実施いたしております。  県では、市町村が行うこれらの事業に対する助成を行いますとともに、地域包括支援センター職員等に対する資質向上のための研修、認知症カフェの立ち上げや効果的な運営方法についての助言を行っているところでございまして、引き続き市町村などと連携し、高齢者の皆さんの社会的孤立の防止に取り組んでまいります。  見守りネットふくおかの取組についてでございます。県では現在、各家庭を訪問する機会が多い配達事業者や電気、ガス事業者など二十四の民間事業者との間で、地域の見守り活動の担い手として参画していただく包括協定を締結しております。市町村においては、この県の包括協定に基づきまして、民間事業者との間で個別協定などを締結しておりまして、昨年十月時点ではエフコープ生活協同組合と県内全六十市町村が協定を締結し、また新聞販売店とは五十三の市町村が協定を締結するなど、地域の実情に応じ見守り活動を実施されているところでございます。  これまでの活動により、生活協同組合の配達員が配達先の御家庭を訪問した際に、トイレで倒れていた高齢者を発見したなど、救命につながった事例が複数報告されております。このように、日頃から配達や健診などで訪問した際に異変を感じた場合、行政等へ通報していただく見守りネットふくおかの取組は極めて効果的であると認識をいたしております。このため、県といたしましては、引き続き、包括協定締結事業者を増やしていくこととしておりまして、現在、市町村から住民にとってより身近な事業者はどういう事業者があるかといった情報を伺っているところでございます。今後は、その情報を踏まえまして、事業者の皆さんに対して協定締結を積極的に働きかけてまいりたいと考えております。 16 ◯副議長(佐々木 允君) 寺崎教育長。 17 ◯教育長(寺崎 雅巳君)登壇 小中学校における教員の未配置及び中途退職への補充の状況についてでございます。今年度五月一日現在で必要な教員が確保できず未配置となっていますのは、小学校では定数欠で五十九人、産休・育休などの代替で八十人の計百三十九人、中学校では定数欠で三十二人、産休・育休などの代替で三十一人の計六十三人となっております。このほか、非常勤講師につきましては、週三こまや十二こまなどばらつきがございますが、未配置となっているのは延べ数で小学校で百四人、中学校で二百七十三人となっております。また昨年度中途退職教員への補充は、小学校で二十八人の退職者に対しまして二十一人、中学校で十七人に対し十人でございます。  教員採用試験の小中学校教員の志願状況についてでございます。今年度実施の教員採用試験では、小学校については、採用予定者数六百人に対しまして志願者数は七百三十三人であり、競争率は一・二倍で、昨年度と同率でございます。また中学校については、採用予定者数三百四十人に対し志願者数は七百二十七人であり、競争率は二・一倍で、昨年度と比較しまして〇・二ポイントの減となっております。  教員の働き方改革の推進についてでございます。業務が複雑化、多様化し、長時間勤務の教員が多い実態を踏まえ、今後とも児童生徒によりよい教育環境を提供していくためには、働き方改革は喫緊の課題だと認識をしております。このため、県教育委員会としましては、オンラインでの研修や会議の実施、校務支援システムの活用などICTによる業務の効率化や年間授業時数の見直し、教員業務支援員等の配置支援などによりまして、長時間勤務の改善に取り組んでおります。  今後とも、教員が意欲を持って能力を発揮し、健康でやりがいを持って働くことができるとともに、子供と向き合う時間を十分確保できるよう、より一層の働き方改革の取組を進めまして、教職の魅力向上を図ってまいります。  県教育委員会における障がい者雇用の状況についてでございます。県教育委員会では、障がい者雇用のために昨年度の採用試験において、障がいのある方を対象とした特別選考を実施しております。また県立学校では、会計年度任用職員として事務補助等を行う職員を任用しております。なお、昨年十二月一日時点の障がいのある職員数は二百二十九人で、障がい者雇用率は一・八四%でございました。  勧告を踏まえた今後の取組についてでございます。雇用率については、前回の一・八三%からは増加したものの、採用計画の進捗が不十分であったため適正実施勧告を受けたところであり、さらに取組を進める必要があると強く感じております。このため、これまでの取組に加え、今年度から県教育委員会事務局内での障がいのある方が働くサポートオフィスの設置や通勤できない方の在宅ワークを試行しているところです。また障がいのある方を対象とした特別選考の採用予定者数の拡大とともに、今後、国に対しまして、障がい者雇用促進のための財政支援や教員免許取得促進の取組を要望をしてまいります。県教育委員会としましては、障がいのある方が社会的に自立できるよう雇用の安定を図ることは重要であると認識をしておりまして、法定雇用率の達成に努めてまいります。  県立高校の魅力化、特色化についてでございます。本県では、中学生の進路希望に応じた就学機会を提供できますよう、昭和五十年から公立高校と私立高校が協調をし、その役割を確実に果たすため、公私の生徒の受入れ比率をおおむね六対四と定めており、他県と比較して私立高校に在籍する生徒の割合が高くなっております。  県立高校としましては、それぞれの特色や伝統を生かしつつ、地域の信頼を得ながら、生徒の可能性や能力を最大限引き出し、将来の社会を担う人材を育成する役割があると考えております。そのため、生徒の多様なニーズに応じた特色ある学科、コースの新設やカリキュラムの改善を進め、学校運営に地域の声を生かすコミュニティースクールの拡大など地域と連携した教育活動の充実を図るとともに、先進的な学校の取組については、その成果や課題を県立高校全体で共有をしてまいります。今後とも県立高校へのニーズを踏まえ、目指すべき学校像を明確に打ち出した上で魅力化を図り、生徒、保護者から選ばれ、地域社会から求められる学校づくりを進めてまいります。  教育行政改革についてでございます。教育の役割は、子供の社会的自立の基盤となります資質、能力を培うこと及び社会を支え、その発展に寄与する人材を育成することにあります。これからの未来社会の担い手である子供たちには、急速な社会の変化に主体的に向き合い、積極的に対応していく力が求められております。子供と向き合い、学ぶ意欲や向上心を育み、一人一人の可能性を伸ばす子供本位の教育に取り組んでまいります。  しかしながら、現在の状況を見ますと、学校をめぐる諸課題は複雑化、多様化し、教員不足や長時間勤務などにより教職員の負担が増大していることは大きな課題であると認識をしております。私の教職経験から、子供本位の教育を進めるには、教員が日々元気で意欲的に教育活動に携わることが大切であると考えています。このため、教員のワーク・ライフ・バランスを保ち、真に子供と向き合う時間を生み出す働き方改革をしっかりと推進してまいります。このことは、魅力ある学校づくりにもつながり、子供たちのためになるものと考えております。  私は、様々な教育課題と社会からの教育への期待、教育行政の役割を認識した上で、現場の意見、実態を十分に把握をしまして、学校、家庭、地域、市町村など関係機関ともしっかりと連携をし、本県教育の充実に全力で取り組んでまいります。 18 ◯副議長(佐々木 允君) 岩元一儀君。 19 ◯七十二番(岩元 一儀君)登壇 教育長に再質問をさせていただきます。  御答弁をいただきましたが、大変失礼ながら、どれも危機感がなく、改善する意気込みが薄いと、残念ながらそう感じさせていただきました。特に、教員の働き方改革については、既に小中で常勤二百二名、非常勤三百七十七名の未配置を出しているにもかかわらず、今後の取組については全く触れられていませんでした。  先日、二〇一九年に春日市で新任の男性教諭が自分の担当するクラスで自殺した事件がNHKで取り上げられ、衝撃を与えました。御遺族は本県教育委員会に対し訴えを起こすとしています。この新任教諭のように、希望を持って教員になった方々にこれ以上苦しい思いをさせないために、本来の教員のやりがい、すばらしい教職の仕事を取り戻すためにも、現場でのハラスメントや長時間労働への一刻も早い是正が必要でございます。  そこで教育長に、教員の働き方改革に対する今後の取組について改めてお聞きをいたします。県教育委員会における障がい者雇用について、同様に、勧告回数もさることながら、小野寺福岡労働局長も事あるごとに度々指摘されておりますが、就任時、知事に現状をお伝えしたとお聞きをいたしております。そのような状況にもかかわらず、答弁はこれまでの取組のみでした。例えば、採用担当部局で好事例を研究し反映させたり、本県教育委員会で働きたいと考える障がいのある方々への積極的な情報提供など、新たな本気の取組が必要ではないでしょうか。  そこで二点目に、どのように法定雇用率を満たすおつもりなのか、今後の具体的な取組を改めてお聞きをいたします。 20 ◯副議長(佐々木 允君) 寺崎教育長。 21 ◯教育長(寺崎 雅巳君)登壇 まず、教員の働き方改革に関する今後の取組について再質問がございました。学校をめぐる諸課題の複雑化、多様化、近年の教員不足など学校現場で働く教職員は厳しい環境下にございます。また長時間勤務や保護者対応などにより心身の疲労感を強く感じている教員もあり、教員の心のケアを含めた働き方改革は喫緊の課題であると認識をしております。このため、SNSを活用しました相談窓口を開設しておりまして、これらを周知するとともに、市町村教育委員会としっかりと連携をしながら、現場の意見、実態を十分に把握し、先ほど答弁いたしました働き方改革の取組を徹底してまいります。  次に、障がい者雇用の今後の具体的な取組についても再質問がございました。このことにつきましては、先ほど御答弁をいたしましたが、今年度から教育行政の仕事を補助するサポートオフィスを設置をしておりまして、障がいのある方を任用しており、通勤ができない方についても、在宅ワークにより任用をしているところでございます。また障がいのある方を対象とした特別選考の教員採用予定者数をさらに拡大をするとともに、より多くの方に志願していただきますよう、大学等への広報活動の充実に取り組んでまいります。 22 ◯副議長(佐々木 允君) 岩元一儀君。 23 ◯七十二番(岩元 一儀君)登壇 再質問への御答弁をいただき、教育長に要望いたします。本県の教育行政は、自ら命を絶つ教職員が出てしまったという最悪の事態を迎えました。現場の抱える課題や教職員の厳し過ぎる現状を、たたき上げとして誰よりも御存じの寺崎教育長です。危機感を持って働き方改革に臨んでいただきまするよう要望します。  また障がい者雇用に関しては付け焼き刃の対応ではなく、例えば他県の好事例を研究チームを立ち上げて改革を実現していくなど、今こそ本気の取組が必要でございます。  これまで実現できなかった本県教育行政の課題解決に向け、最初の答弁にありましたように、全力で取り組んでまいるという言葉のとおり御尽力をいただきまするよう、今こそ強く強く要望いたしまして私の代表質問を終わらせていただきます。御清聴誠にありがとうございました。(拍手) 24 ◯副議長(佐々木 允君) 本日の代表質問はこれまでとし、残余は明日取り進めることにいたします。  本日はこれをもって散会いたします。           午 後 三 時 二十八分  散 会 Copyright © Fukuoka Prefecture All Rights Reserved. ↑ ページの先頭へ...