平成31年 2月定例会 平成三十一年二月
徳島県議会定例会会議録(第二号) 平成三十一年二月十九日 午前十時五分開議 出席議員計三十六名 (その番号・氏名左のとおりである) 一 番 山 西 国 朗 君 二 番 原 井 敬 君 三 番 岩 佐 義 弘 君 四 番 島 田 正 人 君 五 番 眞 貝 浩 司 君 六 番 高 井 美 穂 君 七 番 古 川 広 志 君 八 番 上 村 恭 子 君 九 番 須 見 一 仁 君 十 番 井 川 龍 二 君 十一 番 岡 佑 樹 君 十二 番 中 山 俊 雄 君 十三 番 元 木 章 生 君 十四 番 岡 田 理 絵 君 十五 番 南 恒 生 君 十六 番 長 池 文 武 君 十七 番 達 田 良 子 君 十八 番 山 田 豊 君 十九 番 丸 若 祐 二 君 二十 番 岩 丸 正 史 君 二十一番 寺 井 正 邇 君 二十二番 喜 多 宏 思 君 二十三番 木 下 功 君 二十四番 重 清 佳 之 君 二十五番 木 南 征 美 君 二十六番 黒 崎 章 君 二十八番 川 端 正 義 君 二十九番 嘉 見 博 之 君 三十 番 岡 本 富 治 君 三十一番 樫 本 孝 君 三十二番 杉 本 直 樹 君 三十三番 西 沢 貴 朗 君 三十四番 来 代 正 文 君 三十五番 臼 木 春 夫 君 三十六番 庄 野 昌 彦 君 三十七番 長 尾 哲 見 君 ────────────────────────
出席職員職氏名 事務局長 市 原 俊 明 君 次長 和 田 茂 久 君
政策調査課長 岡 島 敏 子 君 議事課長 福 田 雅 敏 君 議事課副課長 松 永 照 城 君 政策調査課副課長 藤 本 泰 史 君
議事課課長補佐 島 尾 希 実 子 君
政策調査課係長 仁 木 ち あ き 君 議事課係長 一 宮 ル ミ 君 議事課係長 三 ッ 川 宗 佑 君 議事課主任 中 田 真 君 議事課主任 富 永 加 容 子 君 ────────────────────────
列席者職氏名 知事 飯 泉 嘉 門 君 副知事 後 藤 田 博 君 副知事 海 野 修 司 君 政策監 福 井 廣 祐 君 企業局長 東 端 久 和 君
病院事業管理者 香 川 征 君
政策監補兼県土整備部長 瀬 尾 守 君
危機管理部長 朝 日 隆 之 君
政策創造部長 山 本 俊 也 君 経営戦略部長 木 下 慎 次 君
県民環境部長 板 東 安 彦 君 保健福祉部長 久 山 淳 爾 君
商工労働観光部長 黒 下 耕 司 君
農林水産部長 川 合 規 史 君 会計管理者 戸 根 秀 孝 君 病院局長 延 良 朗 君 財政課長 平 井 琢 二 君 財政課副課長 金 丸 武 史 君 ──────────────────────── 教育長 美 馬 持 仁 君 ──────────────────────── 人事委員長 笹 谷 正 廣 君
人事委員会事務局長森 裕 二 君 ──────────────────────── 公安委員長 塩 本 泰 久 君 警察本部長 根 本 純 史 君 ────────────────────────
代表監査委員 矢 田 等 君
監査事務局長 岡 田 芳 宏 君 ──────────────────────── 議 事 日 程 第二号 平成三十一年二月十九日(火曜日)午前十時開議 第一 県政に対する一般質問 (三 名) ────────────────────────
○議長(重清佳之君) これより本日の会議を開きます。 ────────────────────────
○議長(重清佳之君) 直ちに本日の日程に入ります。 ────────────────────────
○議長(重清佳之君) この際、申し上げます。 岸本泰治君から議員の辞職願が提出されております。 お諮りいたします。 この際、「岸本泰治君の議員辞職の件」を日程に追加し、直ちに議題といたしたいと思います。 これに御異議ございませんか。 (「異議なし」と言う者あり)
○議長(重清佳之君) 御異議なしと認めます。 よって、さよう決定いたしました。 「岸本泰治君の議員辞職の件」を議題といたします。 お諮りいたします。 本件は、これを願い出のとおり許可することに御異議ございませんか。 (「異議なし」と言う者あり)
○議長(重清佳之君) 御異議なしと認めます。 よって、本件は、これを願い出のとおり許可することに決定いたしました。 ────────────────────────
○議長(重清佳之君) 次に、日程第一、「県政に対する一般質問」を行います。 通告がありますので、通告の順序に従い発言を許可いたします。 三十二番・杉本直樹君。 (
杉本議員登壇)
◆三十二番(杉本直樹君)
徳島県議会自由民主党の杉本でございます。会派を代表させていただいて質問させていただきますが、中身は代表でございません。私の勝手でいきますので、よろしく御理解をお願いしたいと思います。 本日は、鳴門市里浦小学校の皆さんにお越しいただいております。退屈なことがあろうと思いますが、我慢していただきたい、お願いしておきたいと思います。 まずは、県土強靱化に関して何点か質問いたします。 昨年相次いだ西日本豪雨、台風二十号、二十一号など、自然災害による猛威は本県にも甚大な被害を及ぼしました。我が国が災害列島であることを改めて認識させられたところであり、まさに国難と言うべき事態であります。 我が地方、那賀町においても山腹崩壊や通行どめなどが次々と発生し、これまでとは違う新たな危機感を覚えたところであります。防災・減災や県土強靱化はまさしく県行政にとって最優先の課題であると言っても過言ではありません。 県議会においては、去る一月八日、全会派の代表者が足並みをそろえ、飯泉知事に対し、平成三十一年度当初予算編成に当たって、県単維持補修費を含め県土強靱化、農林水産業の競争力の強化などに必要な
公共事業予算について、前年度に対し百億円を上回る増額を確保するように強く要望したところであります。 これに対して知事は、重く受けとめると発言され、その言葉どおり、今回提案された十五カ月型・
県土強靱化予算では、
骨格予算編成にもかかわらず昨年度を百十九億円も上回る渾身の
公共事業予算を確保し計上されたことは、率直に評価したいと思います。 今、金融市場では長期金利がゼロ金利に近づくこともあるなど、県債を活用して県土強靱化を推進するには絶好の財政環境が整っております。 徳島県においても、今回の十五カ月型予算の計上だけにとどまらず、
県土強靱化予算の確保を戦略的に講ずべきではないでしょうか。 そこで知事にお伺いいたします。 県政史上初となる十五カ月型・
県土強靱化予算を一過性のものとせず、国難打破に向けての戦略的一歩とすべきと考えますが、知事の御決意をお聞かせいただきたいと思います。 次に、土砂災害を初めとする防災対策の推進についてお伺いいたします。 昨年の豪雨による被害では、近隣の愛媛県を初め広島県、岡山県など西日本を中心に甚大な被害が発生しており、まさに人ごとでなく、こうした大災害がいつ徳島で起こってもおかしくはありません。 さらに、北海道では、
胆振東部地方を震源とする地震において景色が一変するほどの惨状となり、全国での
土砂災害発生数は三千四百五十一件と過去最多を記録しています。 県内においても、台風による豪雨などにより四十七件もの被害が発生いたしました。災害は繰り返し必ずやってまいります。 私の地元、那賀町では明治二十五年の上那賀地区の高磯山崩壊があり、崩壊と天然ダムの決壊で六十八名の方が犠牲となられたと記録されております。その後も、昭和五十一年、木頭平地区での土石流、災いの年と言われた平成十六年には坂州地区での深層崩壊、多くの土砂災害により、とうとい命が失われてきました。 しかしながら、私は、犠牲者はなくすことができると信じております。
県土強靱化予算を有効に活用し、砂防堰堤等を初めとした
土砂災害対策が一層進むことを期待しております。 一方、今回の七月豪雨災害からハード整備の重要さに加え、土砂災害の恐ろしさを住民の皆さんにしっかりと理解していただき、ためらわずに避難してもらうことも重要であることを再認識したところであります。 このことから、私は土砂災害から身を守る取り組みを今後の重点活動の一つに上げ、
土砂災害啓発パンフレットを作成し地元住民の皆さんに説明するなど、啓発に努めているところであります。 土砂災害の恐ろしさやみずから身を守る自助の重要性を住民の皆さんに説明することはすぐにできることであります。啓発活動を初めとしたソフト対策にしっかりと取り組んでいく必要があると考えております。 さらに、本県では、河川や山間部が多く、例えば那賀郡では集落へのアクセスは河川沿いの道路一本のみの地域が多数あります。いざ土砂災害等で唯一の道路が寸断されれば、たちまち地域、集落が孤立いたします。住民自身が地域の実情を把握し災害に備えることが重要でありますが、行政としてあらかじめ地域の状況を把握するなど、事前準備を進めておくべきでないかと考えております。 そこでお伺いいたします。 頻発する土砂災害から住民の命を守るため、今後の
土砂災害対策にどのように取り組むのか。また災害時に孤立する可能性がある集落に対し、的確な支援を行うため、県としてどのように取り組んでいくのか、お伺いいたしたいと思います。 次に、那賀川の治水対策についてお伺いいたします。 那賀川では、平成二十六年八月、洪水により、私の地元、那賀町はもとより下流の阿南市においても流域一帯で浸水被害が発生いたしました。洪水から五年目を経て、那賀川本川から濁流があふれた土佐地区では護岸が築かれ、支川の中山川、南川では新しい堤防の整備や国道百九十五号のつけかえ工事が進み、町の景色が大きくさま変わりするほどの進捗を見せております。住民にも工事の完成が現実のものと感じられるようになってまいりました。 また、国が進めている長安口ダムでは、
ゲート増設工事が最終段階を迎え、ことしの出水期には新たなダム運用が開始されると見込まれており、あわせてダム貯水池内の堆積土砂を防ぐ長期的堆砂対策についても現地調査が始まり、工事への準備が着々と進んでおります。 一方で、全国で毎年のごとく那賀川での被害を上回る規模の浸水が発生し、時には一昨年の
九州北部豪雨や昨年の七月豪雨などのように、とうとい住民の命が奪われる痛ましい水害が引き起こされている現状にあります。 こうした中、那賀川においては、昨年十月、これまでの治水目標であった昭和二十五年の
ジェーン台風を、戦後最大流量を更新した平成二十六年洪水に見直しするための
那賀川水系河川整備計画の変更手続が開始されるとの発表がありました。 今、那賀川の治水対策が大きな転換期を迎えており、流域の住民の方々が水害から安心して暮らすことのできる新たな那賀川を県と国で改めてつくり上げていくことが必要であると考えております。 そこでお伺いいたします。 近年の気象変動に適応するための
那賀川水系河川整備計画の見直しを初め、今後、那賀川で実施する治水対策への意気込みをお伺いいたしたいと思います。 次に、一般国道百九十五号の整備に関する今後の見通しについてお伺いいたします。 一般国道百九十五号は、地域の生活道路であるとともに、本県と高知県を結び、産業振興、地域防災を支える非常に重要な路線であります。この早期整備は、本県の
道路ネットワーク網の強化に大きく寄与するものであります。また、この路線が唯一の生命線である木頭地区においては、これまで落石や道路冠水がたびたび発生するなど、地域の住民は危険と隣り合わせで日々の暮らしを営んでおります。 トンネルができることはそうした状況への抜本的な対策となるものであります。昨年の二月議会、本会議において、那賀町を東西に走る一般国道百九十五号の未改良区間における
トンネル整備についてお伺いしたところ、平成三十年度から調査設計を進めるとの前向きの答弁をいただきました。トンネルの起点側となる栩谷側では、先月から測量調査に着手していただいているところであり、地域の皆さんも大変喜んでおります。 トンネルは、過去に大規模な崩壊や落石が発生した危険な区間を避けて通行できるバイパスとなることから、現在も通行中の崩落や落石におびえながら通行を余儀なくされています地域住民の皆さんの長年の悲願でありますので、少しでも前に進めていただきたいと思っております。 そこでお伺いいたします。 国道百九十五号の
トンネル計画を含む
木頭地区防災対策の現状と今後の見通しについて、御所見をお伺いいたします。 答弁を伺った上で質問を続けてまいります。 (飯泉知事登壇)
◎知事(飯泉嘉門君) 杉本議員の御質問に順次お答えさせていただきます。 まず、十五カ月型・
県土強靱化予算を戦略的一歩にすべきではないか、御質問をいただいております。 昨年来、豪雨災害や大規模地震が相次いで発生し、数十年に一度の災害が常態化、広域化するなど、日本全体が災害列島の様相を呈する状況のもと、国難打破という新たな課題への対策がまさに焦眉の急となっているところであります。 このため、従来型の骨格予算という既成概念にとらわれることなく、十五カ月型・
県土強靱化予算として、前年度十四カ月予算比で百十九億円増となる八百九十二億円の公共事業費を確保するとともに、年度当初からあらゆる自然災害に即応できるよう所要額の全体像をいち早く県民の皆様方にお示しさせていただいたところであります。 編成に際しましては、県民目線、現場主義のもと、地域事情に精通する議員各位との御論議はもとより、県議会の総意として去る一月八日いただきました全会派からの御要望を真摯に受けとめ、議会との両輪型予算と呼ぶにふさわしい処方箋となりますよう、鋭意取り組んでまいりました。 時を同じくして、国におきましては、本県の提言が反映される形で総額七兆円に上る「防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策」が実施されることとなり、また国の緊急対策に連動する形で
地方財政計画に一・五兆円が計上され、後年度負担の少ない地方債も新設されたところであります。 早速、本県におきましても、新設地方債を六十億円計上させていただいたところであり、議員から御提案をいただきましたとおり、近年、発行利率が年利〇・五%を続けて下回るという超低金利の金融状況のもと、さらなる活用も重要な選択肢であると、このように認識するところであります。 そこで、このような時流をしっかりと捉え、十五カ月型・
県土強靱化予算を国難打破への戦略的第一歩と位置づけますとともに、これにとどまらず、今後、複数年で展開される国の緊急対策や有利な新設地方債を積極的に活用し、今こそ県土強靱化のさらなる加速や
経済グローバル化への対応強化に向けまして戦略的な二歩、三歩を踏み出していく好機を迎えているものと、このように認識するところであります。 今後とも、国難打破の先陣は徳島との気概を強く持ち、まずは十五カ月型・
県土強靱化予算の早期執行を通じ、しかもその先をしっかりと見据えながら、何としても県民の皆様の命と暮らしを守り抜くべく全力を傾注してまいる所存でありますので、御理解、御協力をどうぞよろしくお願い申し上げます。 次に、今後の
土砂災害対策への取り組みについて御質問をいただいております。 昨年は、平成三十年七月豪雨や相次ぎ来襲した台風、さらには
北海道胆振東部地震と、まさに日本は災害列島の様相を呈しましたことから、自然災害の脅威とその備えの重要性を改めて深く認識させられたところであります。 そこで、十五カ月型・
県土強靱化予算におきましては、公共事業と
県単独維持補修費を合わせ前年度十四カ月予算比で百十九億円の増となる総額八百九十二億円を本議会に提案させていただいたところであります。 この予算によりまして、
土砂災害対策をより一層推進するため、那賀町木頭折宇の弥ン谷砂防堰堤を初めとする砂防施設の整備や
長寿命化対策など、事前防災・減災対策を加速させてまいります。 さらに、豪雨災害の人的被害が平成最大となった七月豪雨では、全国の被災地におきましては、避難勧告、避難指示が発令されても避難しなかったことで人的被害が拡大いたしましたことから、議員御提案のみずからの命を守る取り組みとして
土砂災害警戒区域の危険性の認識の向上、早目早目の避難につながる情報提供などのソフト対策に、より一層取り組む必要がある、このように認識いたしております。 まず、土砂災害による人的被害の約九割が
土砂災害警戒区域内などで発生しておりますことから、平成二十九年度上半期の一万三千一カ所の基礎調査結果の公表に引き続きまして、
土砂災害警戒区域の指定を一年前倒しし、来年度には全て完了させるとともに、日ごろから災害リスクを意識していただけますよう、市町村や関係機関とも連携し、
防災出前講座の実施や
ハザードマップの作成、避難訓練などの支援により地域の防災力の強化をしっかりと図ってまいります。 また、七月豪雨では、高齢者の皆様を初めとする要配慮者の逃げおくれが課題となりましたことから、
土砂災害警戒区域内の要
配慮者利用施設のうち身近に雨量計のない六十カ所に、きめ細やかでかつ切迫感のある雨量情報が提供することのできるIoT雨量計を今後三年間で設置いたします。 観測されたデータにつきましては、要
配慮者利用施設に加え、市町村や周辺住民の皆様にも提供することによりまして、市町村における的確な避難情報の発令を支援いたしますとともに、要配慮者や住民の方々の早目早目の避難とみずからの判断による避難を強力に促進いたしてまいります。 今後とも、県民の皆様方の命を守ることを最優先に、国難打破の先陣は徳島との強い気概を持ちまして、土砂災害を直接防ぐハード対策と的確な避難を促すソフト対策が一体となった総合的な
土砂災害対策に全力で取り組んでまいる所存であります。 次に、那賀川の治水対策について御質問いただいております。 那賀川での洪水の歴史におきましては、平成二十六年、二十七年には積乱雲が次々と発生するいわゆる線状降水帯によりまして、古庄観測所では、わずか一年足らずの間に戦後最大流量と三番目をそれぞれ記録し、これにより流域一帯を襲う大規模な水害に見舞われたところであります。 とりわけ、二百七十九戸もの家屋浸水が生じました那賀町
和食土佐地区におきましては、直ちに
床上浸水対策特別緊急事業へ着手し、現在、築堤工事の全面展開をしているところでありまして、昨年度の事業費改定を初めといたしまして今議会で先議をいただきました十七億円の補正予算など、予算確保に努め、全体事業費九十七億円の大規模事業を六年間というかつてない短い工期での完成を現在目指しているところであります。 その一方で、近年は気候変動による異常気象が顕在化しており、一昨年の
九州北部豪雨や本県を含め全国各地で大きな影響を及ぼした平成三十年七月豪雨など、人命を奪う水害が連鎖的に発生しているところであります。 このため、那賀川におきましても、こうした激甚化する洪水への備えを強化すべく、さらなる治水安全度の向上に向けまして、私みずから昨年十月、国土交通省に対し、治水目標をこれまでの
ジェーン台風から戦後最大流量の平成二十六年台風十一号へ高めるべきと強く提言いたしましたところ、このたび国と県とで進めます整備計画の見直しが始まることとなりました。 議員からもお話しいただきました流域住民の皆様が安心して暮らせる那賀川とはまさに軌を一にする思いでありまして、那賀町内での河川の改修や
長安口ダム本体改造工事などにめどが立った今こそ、治水を第一とする新しい那賀川の姿を描くことは私どものまさに使命であると強く認識するところであります。 そこで、待ったなしの豪雨災害に立ち向かうため、長安口ダムでの限界まで貯水水位を引き下げ、洪水調節容量を確保するダム運用、那賀町阿井地区を初め、以前浸水が発生した箇所での洪水を安全に流し切るための堤防の整備など、国土交通省との連携のもと、
上下流流域一帯でのあらゆる治水対策を盛り込む新たな
那賀川水系河川整備計画が一日でも早く取りまとめることができますよう、全力を傾注してまいる所存であります。 今後とも、那賀川で実践する徳島の治水技術が、全国はもとより世界を牽引するとの強い気概を持って臨むことによりまして、こうした対策を速やかに実行に移していくことにより、とわに続く安全・安心な那賀川をしっかりと築き上げてまいる所存であります。 (海野副知事登壇)
◎副知事(海野修司君) 国道百九十五号における防災対策の現状と見通しについての御質問でございますが、国道百九十五号は、平時には地域住民の皆様の日常生活を支え、地域間交流の促進や産業の振興に大きく寄与するとともに、災害時には復旧活動や緊急物資の輸送を担う大変重要な道路であります。 また、百九十五号では、平成十七年の木頭西宇で発生した高さ二百メートルからの山腹崩壊や平成二十六年の那賀川に戦後最大流量を上回る洪水をもたらした台風十一号による道路冠水など、長期間の通行どめとなる大規模な道路災害がたびたび発生しており、道路の強靱化に向けた対策が大きな課題であります。 議員お尋ねの木頭地区における
道路防災対策につきましては、那賀町木頭折宇から木頭西宇までの延長二千七百五十メートルの
改良計画区間において、これまでに橋梁やトンネルによるバイパス区間を含む千八百五十メートルの整備が完成しております。 残る未整備区間九百メートルにつきましては、現道で過去二回の大規模な山腹崩壊が発生しており、防災面における
リダンダンシー確保の観点から、トンネルにより迂回する計画としており、今年度、
トンネル計画区間の現地測量に着手したところであります。 来年度は、
トンネル計画に影響を与える地形、地質の問題点を把握する地表踏査や地質調査、工事による周辺への影響を確認する環境調査などを実施してまいります。 次に、平成二十六年に冠水被害を受けた木頭出原地区につきましては、平成二十九年度から約三百メートルの区間で道路を最大二・五メートルかさ上げをする冠水対策工事に着手しており、国の三か年緊急対策に呼応した平成三十年度二月補正予算を活用し、来年度中の完成に向け、整備を推進してまいります。 今後とも、地域の皆様の安全・安心な暮らしを支え、県南部の産業振興や地域の活性化など、ストック効果が最大限発揮されますよう、国道百九十五号の
トンネル計画を含む木頭地区の
道路防災対策にしっかり取り組んでまいります。 (福井政策監登壇)
◎政策監(福井廣祐君) 孤立集落対策にどのように取り組むのかとの御質問でございますが、道路の寸断により生ずる集落の孤立は、人の移動や物資の流通を困難にするとともに住民の生活や健康に影響を及ぼしますことから、頻発化、激甚化する豪雨災害はもとより切迫する南海トラフ巨大地震への備えを急ぐ本県にとりまして、その対策は極めて重要であると認識いたしております。 このため、県では、通信を確保する衛星携帯電話や非常用電源の配備、救急搬送や物資輸送に活用するヘリポートの整備などについて、那賀町木頭名地区を初め市町村が行う孤立集落対策を支援してまいりました。 また、昨年九月に実施しました徳島県総合防災訓練におきましては、平成三十年七月豪雨で多くの集落が孤立したことを踏まえ、デジタル簡易無線を活用し、住民の安否、救急搬送の必要性、電気や水道などライフラインの状況などを把握する通信訓練を実施し、災害時の情報収集体制の確認を行ったところであります。 さらに、これらの取り組みに加え、市町村と連携し、孤立の可能性がある集落ごとに災害時要配慮者を含む住民の状況、食料や飲料水などの備蓄状況、非常用電源や通信の状況などの情報を一元的に収集、管理し、平時の計画的な対策の促進はもとより、いざ発災時には関係者間での情報を共有し、迅速かつ的確に支援につなげてまいりたいと考えております。 今後とも、孤立の可能性がある集落にきめ細かな対策を展開することにより、あらゆる大規模災害時におきましても助かった命をつなぐ取り組みをしっかりと進めてまいります。 (
杉本議員登壇)
◆三十二番(杉本直樹君) コメントにつきましては、最後に言わせていただきたいと思っております。 まずは、続けて消費者庁等の徳島移転に向けた県の取り組みについて、お伺いいたしたいと思います。 消費者庁等の徳島移転の実現に向けて、県議会では、去る十一月定例会を初めこれまでに五回にわたり意見書を可決し強く国に訴えてまいりました。 こうした中、先月九日に、来県した宮腰消費者担当大臣から、知事や重清議長に対し、G20サミットのサイドイベントとして、来る九月、消費者政策国際会合を徳島市において開催したい、ついては徳島県との共催で開催したいとの申し入れがあり、快諾したと伺っております。 消費者庁などの移転は、この夏、概算要求には方針が示されると言われておりますが、この国際会合を成功させてこそ、さすが徳島と本県が認められるのではないでしょうか。この国際会合は、県議会でも条例を制定するなど、本県がこれまで取り組んできたエシカル消費普及を初めとする先進的な消費者行政の取り組みを世界に向けて発信できるまたとない機会であります。この会合の成功は本県の消費者行政の認知度を向上させ、県が目指す消費者庁の徳島移転にも必ずやつながるものと考えます。 そこでお伺いいたします。 消費者政策国際会合の徳島開催を機に、これまで本県が取り組んできた先進的な取り組みを世界に向けて積極的に発信していくべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 次に、消費税増税に伴う県内中小企業に対する支援についてお伺いいたします。 政府は、平成三十一年一月の月例経済報告において、これまで戦後最長とされてきたいざなぎ景気を超えたとも言われており、今後も、緩やかな回復が続くことが期待されています。県内の現状についても、民間の調査機関等からは、回復を続けている、景気は穏やかに持ち直しているとの判断がされております。 本県経済も回復基調であると思いますが、県民にとってはまだまだ豊かさの実感というものが薄いのではないでしょうか。特に、地域経済を支える中小・小規模事業者にとっては、人口減少や高齢化の影響が深刻化し、市場の縮小や人手不足、後継者の問題など、課題が山積しているところであります。 こうした状況に加え、今年十月には消費税の引き上げが予定されており、引き上げ前後の景気の変動や軽減税率制度の導入による二つの税率への対応など、高齢化する地域の事業者からは懸念の声をお聞きするところであります。 こうした懸念を払拭し、県内の中小・小規模事業者の方々が安心して事業を継続していくために、そして地域の経済を守り活性化させるためにも、安定した経営基盤の確立と企業の成長力を強化するような実効性のある対策が求められているのではないでしょうか。 そこでお伺いいたします。 消費税増税を控え、県内中小企業の経営基盤の安定化と成長力の強化を図るために、きめ細やかな支援が必要と考えますが、御所見をお伺いいたしたい。 次に、本県林業政策の今後についてを質問させていただきます。 私は、これまで林業を中心に過疎対策、地域振興をテーマに活動してまいりました。その活動を振り返りますと、特に過疎対策は非常に難しい懸案であります。活動の初期に、過疎とはげに効く薬はないと発言いたしましたところ、先輩議員から厳しくお叱りを受けたことがございますが、しかしここに来て少し認識を改めております。 これは、三年前に那賀高校に創設された森林クリエイト科という薬であります。この三月に一期生が卒業いたしますが、那賀町で六名が林業に従事し、そのうち四名が町外からの就職と聞いております。過疎に悩み、慢性的な林業の従事者不足に悩む町では、那賀高校森林クリエイト科はまさに過疎に効く良薬であります。 改めて那賀高校に森林クリエイト科を創設していただいたことに感謝するとともに、今後、この流れをしっかりと継続することが重要であるとともに、林業の現場においても就業条件や生活環境の改善に取り組む必要があると考えているところであります。 一方、これまで国に強く創設を求めてきた森林環境税が平成三十六年度から導入されることとなり、これに先立ち、平成三十一年度には森林環境譲与税として、森林整備や人材育成、木材利用などの費用に交付されます。新たな税制のスタートは、単独財源の確保に粘り強く活動してきた我々にとってまさに大願成就でありました。知事さんを初め、林活議連、関係各位に改めて感謝を申し上げるところであります。 また、この新たな税制に連動して森林経営管理法が四月から実施されます。新法では、手入れのおくれた奥地森林の整備を進めるために、森林所有者の責務が問われると同時に、市町村主体の整備が進められます。 しかし、順風満帆、よいことばかりではございません。林業の現場では、市町村専門職員の不足、木材価格の低迷や鹿の食害等による森林所有者の経営意欲減退、機械化できない再造林の人員不足など、課題は山積しております。さらに、TPPやEPAの発効により海外から安価な木材製品の輸入も危惧されているところであります。今まさに林業を取り巻く環境は一大転機を迎え、新しい道筋にしっかりとかじ取りが必要であると思われます。 そこでお伺いいたします。 森林林業を取り巻く環境が今後大きく変化していく中、本県林業行政にとってどのように進めていくのか、所見をお伺いします。 続きまして、「地域共生社会」の実現に向けた取り組みについてお伺いいたします。 現在、徳島県総人口は七十四万人を割り込み、二〇二五年には六十八万八千人まで減少すると推計されております。平成三十二年には、三人に一人が六十五歳以上になることが見込まれており、本格的な超高齢化社会、人口減少時代に突入していきます。 我が町、那賀町でも、地域包括支援センターの充実、移住対策、交流イベントの開催、さらには過疎化を町の強みとする逆転の発想で取り組むドローンの活用等さまざまな事業に取り組んでおりますが、年々人口は減少しております。地域活動の維持が困難になることが危惧されているわけであります。 また、全国的にも、高齢化の進行や晩婚化などにより、軽い認知症の症状がある親がひきこもりの子と同居するケースも出てきているなどと聞いております。 那賀町においては、日ごろから顔の見える関係づくり、近隣住民による共助が重要であるとの考えから、町の社会福祉協議会が中心となり、各地区に結成されたご近助おたすき隊が声かけや見守りを行うとともに、近所同士が助け合う組というものがあり、助け合いを行っております。人口減少や高齢化、核家族化が進む中で、孤立化など既存の制度のはざまにあって支援が届かない人を地域で見守り支えていくためには、こうしたより住民に身近な圏域での助け合いが重要でないかと考えております。 国においても、地域のあらゆる住民が役割を持ち支え合いながらみずから自分らしく活躍できる地域共生社会の実現を目指すこととしており、県においても現在地域福祉支援計画の策定を進めていると聞いておりますが、そこでお伺いいたします。 地域の住民がともに支え合う地域共生社会を実現するため、県として今後どのように取り組んでいくのか、御所見をお伺いいたします。 最後に、那賀町の川口ダム上流域の河川環境改善についてお伺いいたします。 徳島県南部の那賀川下流域には県下有数の穀倉地帯が形成されております。しかし、この流域は台風の進路に当たることから、大水害をこうむり、さらに昭和南海地震の際には塩害によって農作物が大きな被害を受けました。このため、昭和二十五年から那賀川総合開発が推進され、その中核となる長安口ダム、川口ダムが建設され、あわせて水力発電所が建設されました。 このダム建設は水害の減少や流域の農業、工業の発展に大きく寄与するとともに、水力発電は再生可能なエネルギーであり、地球温暖化防止にも貢献するなど重要な役割を果たしております。 一方で、ダム建設は河川環境にさまざまな影響を与えており、私の地元である那賀町の皆さんには、ダムの影響を受けている那賀川を少しでも以前の環境に取り戻してほしいとの強い思いがあります。 川口ダムの上流域における河川環境改善について、この本会議においてもたびたび取り上げてまいりました。こうした中で、平成二十八年一月には、企業局と那賀町の連携により、河川環境と地域振興検討委員会が設立され、検討と活動が重ねられております。 近年、長安口ダムから川口ダムへの間にあっては、河川環境用水の増量や砂利投入によって水辺環境は改善されつつあると感じております。また、今後、長安口ダムに選択取水設備が設置されれば、川の濁りも少なくなり、さらには環境が改善されるものと見込まれます。 私は、こうした動きに一層弾みをつけていくべきと考えますが、そこでお伺いいたします。 企業局による、川口ダムの上流域の河川環境改善について、その進捗状況と今後の取り組みについて御所見をお聞かせいただきたいと思います。 御答弁をいただき、まとめに入らせていただきます。 (飯泉知事登壇)
◎知事(飯泉嘉門君) まず、消費者政策国際会合について御質問をいただいております。 本県では、消費者庁国民生活センターの消費者行政新未来創造オフィスと連携し、若年者向けの消費者教育の推進や見守りネットワークの構築、エシカル消費の普及など、十を超える先駆的なプロジェクトに取り組み、全国モデルとなる成果を創出いたしてまいりました。 これら実証に裏づけされましたプロジェクトは、四国、中国、関西、そして全国の自治体へと広がりを見せており、ACAP(消費者関連専門家会議)を初め全国規模の消費者関係団体からも高い評価をいただいているところであります。 このような状況の中、去る一月九日、宮腰消費者担当大臣が来県され、G20のサイドイベントである国際会合を徳島市で開催すると直接御報告いただきますとともに、消費者庁と徳島県の共催としたいとの新たな御提案があり、重清議長にも御同席をいただいておりましたので、これを快諾させていただいたところであります。 これは、本県の取り組みが高く国に評価をいただいているまさにあかしであり、新次元の消費者行政、消費者教育の成果や本県の魅力を世界へ向けて発信することのできる絶好の機会であると、このように認識いたしております。 そこで、直ちに産学官金労言の各界代表で構成する消費者庁等移転推進協議会におきまして開催に向けた協力を要請いたしますとともに、消費者行政新未来創造統括本部会議を開催し、全庁的な推進体制を構築いたしたところであります。 また、来月には、消費者庁と県の共同事務局を立ち上げ、四月にパリで開催されるOECD消費者政策委員会におきまして、本県を紹介するプロモーション動画を用いた周知活動を実施いたしてまいります。 さらに、国際会合の前日に、歓迎レセプションを開催し、徳島が誇る食や文化の魅力をPRするとともに、国際的な消費者課題を議論するセッションにおきまして、本県独自のプログラムを企画し、先駆的な取り組みを世界へ向けて発信いたしてまいります。 今後とも、日本の消費者行政の未来は徳島から創造するとの強い気概を持ち、国内外からの共感と賛同の輪を広げることを通じ、消費者庁等の全面移転につなげてまいりますので、県議会を初め県民の皆様方のこれまで以上の御理解と御協力を賜りますよう、どうぞよろしくお願い申し上げる次第であります。 次に、消費税増税を控え、中小企業の経営基盤の安定化と成長力の強化に向け、どのように取り組んでいくのか、御質問をいただいております。 高齢化社会における社会保障財源を確保するため、本年十月、消費税が増税される状況のもと、県内事業者、特に小規模事業者の皆さんにおきましては、労働力不足や後継者難など経営環境が大きく変化する中、その対応が求められるところであります。 県が定期的に実施しております出前相談におきましても、事業者の皆様方からは、今回の増税につきまして軽減税率制度がわかりにくい、販売や経理事務の増大が心配、売り上げの減少による資金繰り悪化が不安といった声を頂戴いたしているところであり、こうした懸念を解消し安心して事業活動に取り組んでいただくことができるよう、寄り添い型の支援を強化していく必要があります。 そこでまず、軽減税率制度を正しく御理解いただくため、平成長久館における消費税増税対策セミナーや軽減税率に関する講座の開催のほか、商工団体の窓口での特別相談や経営指導員によります巡回指導を強化するなど、きめ細やかな制度の周知を図ってまいります。 次に、販売経理事務の軽減につきましては、商工団体を通じましたレジの改修支援や丁寧な記帳指導の徹底とともに、国の補助金を活用いたしまして専門家の訪問相談によります事業者ニーズに応じました効果的なアプリやシステムの導入促進など、支援を実施いたしてまいります。 また、売上減少による資金繰りの不安に対しましては、小規模事業者の皆様方の設備投資から運転資金まで幅広い資金需要に対応する中小企業向け融資制度におきまして、来年度、短期事業資金の融資限度額を一千万円から一千五百万円へと拡大いたしますとともに、一部保証料の引き下げ見直しも行い、資金面での支援を強化することといたしております。 さらに、今回の国の消費税増税対策では、本県の政策提言が実を結んだプレミアム付商品券やキャッシュレス決済によるポイント還元を含む、増税前から増税後までをカバーする長期かつ幅広い消費喚起策が実施される見込みであり、こうした施策を積極的に取り込み、活用いたしてまいりたいと考えております。 今後とも、消費税増税にしっかりと対応し、本県経済の腰折れを防ぐとの強い気概を持ちまして、事業者に寄り添いましたきめ細やかな支援を行いますとともに、国の消費喚起策も効果的に活用することによりまして、経営基盤の安定化や本県経済の活性化にしっかりとつなげてまいります。 次に、森林、林業を取り巻く環境が今後大きく変化する中で、本県林業行政をどのように進めていくのか、御質問をいただいております。 本県の四分の三を占める森林は、林業・木材産業の育成や地球温暖化の防止など、私たちの生活を支えるかけがえのない財産であります。 顧みますと、全国に先駆け立ち上げました平成十七年度からの林業再生プロジェクトに始まり、現在の新次元林業プロジェクトまで、四次にわたるプロジェクトによりまして、高性能林業機械を導入した効率的な木材の搬出、木材を根元からこずえまで利用する加工体制の構築、外材から県産材への転換によります木材自給率の向上などに取り組み、県産材の生産量をプロジェクト開始前の二倍を超える三十七万五千立方メートルまで高めてまいりました。 また、新規林業就業者につきましては、異業種からの参入促進やとくしま林業アカデミーによる即戦力の育成などによりまして、プロジェクト開始以降、三百五十人を数えるとともに、この春には那賀高校森林クリエイト科から第一期生が卒業し、新たに就業が見込まれますことなど、若い担い手のさらなる活躍が期待されるところであります。 一方、県議会と県が一体となった政策提言が実り、森林環境税及び森林環境譲与税の創設が決定し、まさに今国会で審議される運びとなり、その財源を活用いたしました新たな森林管理システムが本年四月からスタートする中で、手入れが行き届かなかった奥地森林の整備や主伐後の再造林などの取り組みをしっかりと進めてまいります。 また、経済のグローバル化の進展など、本県の森林、林業を取り巻く環境も大きく変化する中、多様な担い手の確保や木材、木製品の競争力の強化を図るなど、新たな時代に向けた対策を推進いたしてまいりたいと考えております。 そこで、今後十年間で県産材生産量及び新規林業就業者数の倍増を目指す次期林業プロジェクトを策定し、新たな取り組みをスタートさせてまいります。 具体的に、以下申し上げてまいりますと、小学生からシニアまで全ての年代、さまざまなキャリアに応じた学びの総合的な支援、東アジアを中心とした徳島ならではの木材製品、大工技術、木の文化の丸ごと輸出、航空レーザ測量やアシストスーツなどICT技術を取り入れた省力化、低コスト化、さらには先日開催いたしました全国木育サミットのレガシーとして、木のよさを普及する木育インストラクターの育成、活躍の場の拡大など、新時代の幕あけにふさわしい各種施策を積極的に展開いたしてまいります。 今後とも、森林所有者や林業従事者などの所得向上はもとより、県産材の生産、流通、加工、消費が安定的に循環する仕組みを構築することによりまして、徳島の豊かな森林資源の未来への継承に全力で取り組んでまいる所存であります。 次に、地域共生社会の実現に向けた今後の取り組みについて御質問をいただいております。 少子高齢化によります人口減少や核家族化、地域のつながりの希薄化など、地域を取り巻く環境は大きく変化するとともに、育児、介護、貧困、社会的孤立などの地域課題のうち、複数を同時に抱えるケースが増加するなど、住民の皆様方の福祉ニーズは複雑化、多様化してきているところであります。 こうした状況に対応し、課題を抱える方を確実に支援につなげるためには、公的な福祉サービスの担い手である行政と地域福祉の担い手である多様な関係者が連携、協働いたしますとともに、地域で暮らす住民の皆様方が互いに支え合う活動が重要であると、このように考えるところであります。 県におきましては、これまで障がいのある方々が買い物支援や高齢者の皆様方の見守りを行い、地域を支える主役となる障がい者が繋ぐ地域の暮らし“ほっとかない”事業や高齢者、特にアクティブシニアの皆様方に人手不足の深刻な介護現場の担い手となっていただく県版介護助手制度など、支えられる側であった人が支える側としてその人らしく生活できる地域づくりにつきましても、積極的に推進いたしてきたところであります。 さらには、今年度、改定を進めております第三期となる徳島県地域福祉支援計画では、地域住民の参画による課題解決や包括的な相談支援体制の整備など、互いに支え合う地域づくりの取り組みを強化し、市町村はもとより地域住民や関係者との連携、協働のもと、基本目標である、誰もがともに支え合い、安心して暮らすことのできる地域共生社会の実現を目指すことといたしております。 このため、新たな取り組みといたしまして、住民活動のコーディネートを行いますとともに、支援を必要とする人々を必要な福祉サービスへとつなぐ役割を担うコミュニティーソーシャルワーカーの養成、県内三圏域におきまして先進事例から地域課題解決の具体策を研究する実践的なワークショップを開催するなど、地域の課題解決力の強化に努めてまいります。 今後とも、市町村を初め民生委員、児童委員、そして社会福祉法人やNPO法人など、地域の関係者の皆様方と連携やきずなを強化し、県民の皆様方お一人お一人がそれぞれの地域で生きがいや役割を持ち、互いに支え合いながら、自分らしく活躍することのできる地域共生社会の実現に全力を傾注してまいる所存であります。 (東端企業局長登壇)
◎企業局長(東端久和君) 企業局による川口ダム上流域の河川環境改善についての御質問でございます。 川口ダム上流域は、豊かな自然に恵まれ、企業局における水力発電や工業用水の供給にとりましても大変重要な地域であり、河川環境を保全しながら、将来に向け、地域の価値と魅力をさらに高めていく必要がございます。 このため、県、地元那賀町、住民代表の皆様方をメンバーとする川口ダムに係る河川環境と地域振興検討委員会を設置し、ダム湖でふ化し成長する陸封アユや現実的で地域のにぎわいにつながる効果的な魚道をテーマに調査研究を進めております。 このうち、陸封アユの研究につきましては、魚類に関する専門的知識を有する徳島大学との共同研究として陸封型稚アユの試験放流を行い、その定着状況を継続的に調査するとともに、今年度からは新たに漁業者の皆様方と協働し、河川の特性を踏まえた産卵場の造成を初め生育環境の向上に向けた取り組みもスタートさせたところでございます。 現在のところ、河川のさまざまなポイントで放流したアユから生まれた多くの稚魚が確認されており、今後、那賀川における陸封化実現の可能性について研究をさらに進めてまいりたいと考えております。 また、川口ダム下流域の天然アユを捕獲し、ダム上流域に放流するくみ上げ放流につきましては、三つのダムを越えてアユを遡上させることができるとともに、地元の方々からくみ上げ放流したアユは形が大きく追いもよいとの評価をいただいていることから、専門家の御意見を伺いながら、より実効性の高い手法で実現できるよう創意工夫を重ねてまいります。 これらの取り組みに加えまして、昨年十二月に開催されました検討委員会では、地域振興に向けた新たな方策についても活発な意見が交わされ、那賀川のアユのブランド化に向けた地域ぐるみの活動を進めることといたしたところでございます。 今後とも、地元那賀町や地域住民の方々など関係者の皆様方との連携を一層深め、川口ダム上流域の特性を生かした河川環境の改善や地域振興に積極的かつ継続的に取り組んでまいります。 (
杉本議員登壇)
◆三十二番(杉本直樹君) 御答弁いただきましたので、コメントを申し上げさせていただきます。 十五カ月型・
県土強靱化予算については、飯泉知事さんの優しさが人命尊重、具体化されたものと思います。高く評価させていただきたい。より具体的にこれから突き詰めていくんだろうと思いますが、何とぞよろしくお願い申し上げたい。
土砂災害対策については、ハード整備には時間と金がたくさんかかります。大きな課題であると思います。予算が厳しい中で御努力いただいていることは理解しておりますが、だからといって自然災害は待ってくれません。まずは、避難することで命だけは最低限守るというソフトな対策を推進することが何よりも重要であると思います。 私は、
土砂災害警戒区域の方々が事前に避難行動をとるための行動計画の策定を提案しておきたいと思いますので、ぜひ御勘案くださいますようお願いいたしたいと思います。 那賀川水系河川整備については、知事から力強い御答弁を頂戴いたしました。ただ、具体的な整備内容についてはこれからのようでございます。この機会に私からもお願いいたしておきますが、まず長安口ダムの操作については最大限まで洪水調整能力を高めるよう努力していただきたい。そして、河川整備は、
和食土佐地区にとどまらず、平成二十六年の洪水で浸水被害を受けた中流域においても早期に着手していただけるよう、お願いを強く申し上げます。 国道百九十五号の
トンネル整備に関しては、唯一残された未改良区間であります。北川小学校の生徒さんが二年前からスクールバスで通学いたしております。雨が降るたび落石等があり、父兄は大変心配いたしております。また、高知県の運送業者からも一日も早く安全にしてほしいとの強い要望も来ております。ぜひとも早期に着手していただくよう、完成していただくようお願いを重ねていたしておきます。 消費者庁等の徳島移転については、まずは国際会合を成功させるため、県議会としてもしっかりと応援していきたいと考えています。まさにこの機会を絶好の好機と捉え、消費者庁などの全面移転に向けてもしっかりと取り組んでいくべき、そのようにいたしたいと、御協力申し上げたいと、そんなように考えております。 中小企業の振興につきましては、ことしの新年に那賀町の商工会新年会に参加いたしました。そこで話を聞きますと、わかりにくい、難しい、取るほうも払うほうも難しいわと、これよう説明せんわと、こんなにまた前のようにトラブルがあるんなら、お客さんからクレームがつくんなら、もう私商売やめたいわと、そんな声が聞こえました。 我々はそれを言われますと、買い物難民にすぐになってしまうと、御理解していただきたい。岡本会長に言うたんがええんか、これは。にこにこしとるところでないでないか。御理解をよろしくお願いいたします。 現在の木材の件でございますが、知事さんの今までの力強い御指導で、他県よりは確かに前へ出ていることは事実です。それはありがたいと思っておりますが、しかし我々のように木を植えて育ててきた者にしては、この五十年の努力、どこに挟まっとんだろうなと、そんな気持ちでいっぱいです。ぜひとも議論を木材単価のほうへ、量の消費よりも単価のほうを一緒にしていただかないと、組合長として、木を切ってくださいとは今の単価では大変言いにくい。ぜひともその点に考えを及ばせていただきたい。お願いいたしたいと思います。 地域共生社会の実現については、いよいよこれから過疎地は細く弱くなっていきます。行政の力がますます必要でございます。御理解をお願いしたい。 最後に、川口ダム上流の河川環境でございます。 もう既に五年になったか、まだ入り口あたりですよ。ぜひ、全部のダムを足して、川口が三十メーター足らず、長安口が七十何メーター、小見野々が六十ぐらいあったかなと、これをアユが越していくやいう話にはとてもいきません。どうぞ、真剣に努力していただきたい。申し上げておきたいと思います。 以上で質問は全て終わりました。長時間ありがとうございました。(拍手) ────────────────────────
○議長(重清佳之君) 議事の都合により、休憩いたします。 午前十一時八分休憩 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 午前十一時三十三分開議 出席議員計三十五名 (その番号・氏名左のとおりである) 一 番 山 西 国 朗 君 二 番 原 井 敬 君 三 番 岩 佐 義 弘 君 四 番 島 田 正 人 君 五 番 眞 貝 浩 司 君 六 番 高 井 美 穂 君 七 番 古 川 広 志 君 八 番 上 村 恭 子 君 九 番 須 見 一 仁 君 十 番 井 川 龍 二 君 十一 番 岡 佑 樹 君 十二 番 中 山 俊 雄 君 十三 番 元 木 章 生 君 十四 番 岡 田 理 絵 君 十五 番 南 恒 生 君 十六 番 長 池 文 武 君 十七 番 達 田 良 子 君 十八 番 山 田 豊 君 十九 番 丸 若 祐 二 君 二十 番 岩 丸 正 史 君 二十一番 寺 井 正 邇 君 二十二番 喜 多 宏 思 君 二十三番 木 下 功 君 二十五番 木 南 征 美 君 二十六番 黒 崎 章 君 二十八番 川 端 正 義 君 二十九番 嘉 見 博 之 君 三十 番 岡 本 富 治 君 三十一番 樫 本 孝 君 三十二番 杉 本 直 樹 君 三十三番 西 沢 貴 朗 君 三十四番 来 代 正 文 君 三十五番 臼 木 春 夫 君 三十六番 庄 野 昌 彦 君 三十七番 長 尾 哲 見 君 ────────────────────────
○副議長(岩丸正史君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 十三番・元木章生君。 (元木議員登壇)
◆十三番(元木章生君) 皆さんおはようございます。
徳島県議会自由民主党の元木章生でございます。会派を代表して質問の機会を与えていただき、まずは会派の先輩方、そして同僚議員の皆様方に心から御礼を申し上げる次第でございます。 今議会が平成最後の議会となります。知事初め理事者の皆様方におかれましては、これを一つの節目として、新たな元号となる未来に向けた新時代の方向性を明らかにするとともに、幅広い県民の笑顔につながる答弁をよろしくお願いいたします。 最初に、消防の広域化の取り組みについてお伺いいたします。 近年、人口減少、高齢化の進行により、特に過疎市町村を中心に、近い将来消防力の維持に困難を伴う可能性が指摘されているほか、予防業務の重要性や救急需要が拡大しており、消防力の維持強化を図るためには、市町村の実情を踏まえつつ消防の広域化を進める必要があると考えます。 国によると、消防の広域化は消防力の維持強化に有効な手段であり、小規模本部の体制強化が喫緊の最重要課題とされています。 そこで、先日、消防庁を訪問し、消防の広域化の現状と課題について調査いたしました。広域化のメリットとして、初動の消防力、増援体制の充実や現場到着時間の短縮など住民サービスの向上が図られること、現場要員の増強や予防業務、救急業務の高度化など人員配置の効率化と充実がなされること、高度な消防設備、施設等の整備や適切な人事ローテーションによる組織の活性化など消防体制の基盤の強化が図れることなどが挙げられます。 平成二十年八月に策定された本県の消防広域化推進計画では、現在、十三ある県内消防本部を広域化ブロックとして県下一消防本部を目指すとされていますが、広域化対象市町村の基準とされる人口十万人未満の小規模消防本部解消についても実現がしておらず、消防本部の統合は道半ばという状況です。 さらに、本県においては、勝浦町、上勝町及び佐那河内村における非常備三町村の解消も重要な課題であると思います。 こうした中、全国を見ますと、千葉市などの一部地域では、複数の消防本部が連携して通信指令センターの共同運用を行っている例があります。ソサエティー五・〇の実現に向け、行政を起点とした社会全体のデジタル化に向けた取り組みが進められる中で、千葉県では、平成二十八年五月に、消防庁からの通達によりアナログ無線からデジタル無線への移行がなされています。 通信指令センターの共同運用は、災害情報の一元管理や消防本部間のスムーズな応援が行われるとともに、共同整備によるコストダウンや維持費の削減など大きなメリットがあり、広域化につながる効果的な取り組みではないかと考えます。また、財政面では、共同で整備した場合のコストダウン効果や維持費等の運営経費の削減などが想定されます。 ついては、県下一圏域の消防体制実現を見据え、例えば全県的な通信指令センターの共同運用を目指すなど、県として消防の広域化に向けた取り組みを強化すべきと考えますが、御所見をお伺いします。 次に、外国人留学生の県内定着に向けた取り組みについてお伺いします。 本県においては、生産年齢人口が減少していく中で、企業においては人材の確保が課題となっています。 先般、国においては、不足する人材確保のため、出入国管理及び難民認定法の改正を行い、十四業種において新たな在留資格、特定技能を創設し、経済界の要望に応じ、これまで認めてこなかった単純労働を受け入れするなど、大きくかじが切られたところであり、いよいよ本年四月から、外国人労働者の受け入れが拡大されます。 去る十一月議会代表質問において、我が会派の樫本議員から、人口減少、労働力不足を見据えた外国人材の活用に関する質問があり、これに対し知事から、留学生の受け入れ拡大や県内定着を図るため、県内大学と連携し、入学から就職に至るまでの一体的な支援体制を新たに構築するなどの取り組みにより、ダイバーシティー徳島の実現につなげるとの強い決意の答弁をいただきました。また、今議会の所信表明においても、知事が外国人材の活用に向けた体制整備にしっかりと取り組むと述べられました。 外国人材の活用については、最近では、単に労働力人口の確保というだけではなく、海外事業の展開のためにASEAN諸国から本県に留学している学生を社員として採用したいと希望する企業もあります。 雇用のアンバランスや雇用の硬直化の是正に向けた外国人材の活用が有効に機能するかどうかについては、究極的には経営者の力量や判断力の有無に委ねられているとも言えると思います。 留学生の現状を見てみますと、二〇〇八年、国において留学生三十万人計画が策定され、全国的には留学生は増加している中、同様に県内高等教育機関の外国人留学生も増加傾向にあり、昨年十月一日現在、中国を初めベトナム、台湾などアジアを中心に四十一カ国出身の四百三十八名の学生が県内に在籍しています。 大学別では、徳島大学が二百六十七名と半数以上を占めていますが、うち百四十名は中国からの留学生です。また、鳴門教育大学五十八名、徳島文理大学五十二名、四国大学四十一名などとなっており、近年はおおむね増加傾向にあるようです。一方、平成二十九年度に県内大学を卒業した留学生は六十七名で、うち県内に就職されている方は数名程度しかいないと伺っています。 私としては、今後、優秀な留学生を本県高等教育機関に勧誘し、専門人材として養成後、県内定着に誘導していくプロセスが重要であると考えます。 ついては、深刻な人手不足が続く本県における多様な人材の活用として、また県内企業の海外展開においても活躍し、本県経済の好循環にも貢献いただけるよう、今後、県内で学ぶ外国人留学生を本県定着に導くため具体的にどう取り組んでいくのか、お伺いします。 次に、統計データに基づく行政の推進についてお伺いします。 皆さん実感していることと思いますが、今や私たちの暮らしはパソコンやスマホなしでは考えられない、そんな世の中となっています。インターネット環境さえあれば、アマゾン、楽天などのネットで注文ができ、自宅の玄関まで届けてくれます。そんな時代を迎え、こうした技術は日進月歩、目まぐるしい速さで進化を遂げています。 いわゆるネット社会を迎えた今日、さらに技術は革新を続け、家電機器、自動車など世界中のあらゆるものがインターネットにつながる豊かな社会が既に現実のものとなろうとしています。そのネット社会で鍵を握るのはデータの活用であり、国の未来投資戦略二〇一八においても、二十一世紀の社会ではデータ自体が極めて重要な価値を有し、事業の優劣を決するものと言っています。 そんな技術革新が進む情報化社会においては、行政の分野でも新しい社会にふさわしい自治体への転換、すなわち革新的技術を効率的に活用した業務の効率化や施策の企画立案、政策判断においてもビッグデータを効果的に活用した取り組みが必要ではないかと感じています。 これからどうしても縮小せざるを得ない私たちの社会の中で、オープンに情報流通を促していくことは重要なテーマとなります。県が保有している統計データは社会的な基盤であり、社会資本の一つあるいは社会的な公共の資源であり、地域社会が自律的に課題を解決していくための有効な手段です。 こうした中、県においてはさきの十一月定例会において、EBPMの導入に向けて取り組むとの方針を打ち出されました。EBPMとはエビデンス・ベースト・ポリシー・メーキング、統計データを活用した証拠に基づく政策立案のことです。これからの新しいデータ社会にふさわしい行政のあり方を希求する挑戦として期待を寄せるところであり、そのための人材の育成も欠かすことができない視点だと思います。 また、関西広域連合の一員でもある和歌山県は、データ利活用推進センターを設立し、総務省統計局、独立行政法人統計センターと連携してデータの利活用や統計的思考の重要性を全国に発信しており、本県としても、総務省や関西自治体とのパイプや人脈を生かしつつ、統計データを活用しやすい環境づくりにこれまで以上に積極的に取り組むべきではないかと考えます。 そこで、統計データを活用した証拠に基づく政策立案を推進するため、どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。 次に、訪問看護の充実についてであります。 国においては、二〇二五年を目指し、可能な限り自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域包括ケアシステムの構築を進めています。 県においては、疾病構造の変化や在宅医療のニーズの増加と多様化の傾向を踏まえ、診療所の在宅医療機能を強化するとともに、訪問看護支援センターを核とした夜間緊急時の二十四時間三百六十五日サービスが提供できる体制の整備や在宅医療、介護のチームリーダーとなる幅広い知識を有するかかりつけ医の養成などに積極的に取り組んでいると伺っています。 訪問看護については、第七次徳島県保健医療計画によると、今後、二十四時間対応ができる体制整備とともに、看護職員の確保や育成のほか、訪問看護事業所や看護師の不足している県南部、県西部における訪問看護事業所の機能強化などをより一層推進する必要があるとされています。 地元の県西部の山間部では、地域の方々が十分な在宅医療、介護を受けたいとなったとき、在宅では満足できるサービスを受けられないため、地元を離れる方もいると聞いています。県人口の減少、中でも県西部や県南部の高齢者数は来年度より減少に転じると推計されている一方において、働き方改革が叫ばれる中、看護師の方々も安全で安心して業務が遂行できるよう、サービスを提供する側、受ける側、両者の人口減少にも対応できる新たな仕組みやルールづくりが求められます。 このような中、先日、看護関係者が集まる会議に出席し、育児休業からの復職支援などの処遇改善について意見を聞かせていただきました。その中でも、僻地での訪問看護についての意見が出されており、たとえひとり暮らしで要介護状態になったとしても住みなれた地域で自分らしく暮らすためには、在宅医療が不可欠で、訪問看護を充実させることが喫緊の課題であると感じました。 県内における訪問看護ステーションの状況を見てみますと、第七次徳島県保健医療計画によると、訪問看護ステーション数が東部圏域に六十三カ所であるのに対し、南部圏域が十一カ所、西部圏域が七カ所となっており、事業所の地域偏在が見られます。また、訪問看護を実施する病院、診療所数についても、東部が十八カ所であるのに対し南部が一カ所、西部が三カ所にとどまっており、同様の傾向があります。 訪問看護は、医療的なケアを必要とする子供から在宅療養を必要とするお年寄りまで、生活の場で看護を提供するため、県内のどこでも必要なときに適切な訪問看護を受けられる体制が必要です。 そこで、県民が住みなれた地域で安心して暮らしていくため、県として在宅療養を支える訪問看護の充実に今後どう取り組んでいくのか、お伺いします。 次に、本県工業関係の公設試験研究機関である県立工業技術センターの成果と今後の方向性についてお伺いします。 二〇一五年度の名目県内総生産のデータを見てみますと、産業別では製造業が全体の二七・八%を占め、最も高い割合となっています。 また、本県には進取の気質の県民性や脈々と受け継がれた伝統に支えられたすぐれた技術を有するものづくり企業や世界で高いシェアを誇る企業が多数存在し、こうした企業を含む製造業の頑張りが本県の経済を牽引してきたと言っても過言ではありません。 一方で、規模的には中小零細が多く、新たな技術や製品の開発、新分野への事業展開に打って出ようという思いやアイデアがあっても、それを開発するために必要な研究設備の整備や人材の確保が課題となっているところです。 こうした状況において、工業技術センターでは、試験研究機器、施設の開放や共同研究の実施等、県内ものづくり企業にとって心強い支えとなっています。当センターでは、徳島発のイノベーションを推進するため、LED、ロボット、エネルギー、フードなど、幅広い分野において技術的課題の解決に向けた取り組みを進めていると伺っています。 平成二十六年二月定例会において、私からの本県ものづくり企業における新たな成長ツールであるCFRPを活用した製品技術開発に対する支援についての質問に対し、産学官連携による効果的な取り組みを進めたいとの御答弁をいただきましたが、その後の状況についても興味を持っています。 第四次産業革命など工業を取り巻く環境が変化し、既存の価値観からの脱却が求められる現在において、科学技術の力で産業競争力の強化と社会的課題の解決を実現していく上で、当センターの存在意義がますます高まり、時代の流れに即した役割を果たしていくべきであるものと考えております。 ついては、本県ものづくり産業の活性化に向けて、工業技術センターにおけるこれまでの成果と今後の取り組みについて御所見をお伺いいたします。 御答弁をいただきましてコメントに移らせていただきます。 (飯泉知事登壇)
◎知事(飯泉嘉門君) 元木議員の御質問に順次お答えさせていただきます。 まず、将来の消防広域化につなげるため、今後、どのように取り組んでいくのか、御質問いただいております。 近年、高齢化の進行による救急需要の増大や大規模災害時の的確な初動対応など消防に対するニーズが複雑化、多様化する一方で、人口減少に伴う財政的な制約が懸念されているところであります。 こうした課題に対応し、県民の生命、財産を守る消防体制のさらなる強化を図るためには、消防広域化は有効な手段である、このように認識するところであります。 このため、県におきましては、今年度、市町村や消防本部のほか有識者から成る検討委員会を設置し、消防広域化の方向性をお示しする徳島県消防広域化推進計画の見直しを進めてまいりました。 検討の過程におきましては、消防本部の規模は大きいほうが望ましい、連携・協力からでも進めるべき、地域の実情を十分に考慮する必要があるなどの御意見をいただき、推進計画改定案の見直しの柱として県内一消防本部を掲げつつ、方面本部を見据えた五ブロックにおきまして、まずは連携・協力や非常備の解消など、段階的な広域化に取り組みますとともに、将来の消防広域化につながる通信指令センターの一本化を盛り込んだところであります。 議員お話しのとおり、通信指令センターの共同運用は、ハード整備と維持管理のコスト縮減、通信指令員の集約による現場要員の増強、大規模災害時の一元的な情報収集や部隊運用など大きな効果が期待されるところであります。 このため、県におきましては、通信指令センターの一本化に向けまして、現状の分析やメリット、デメリットの提示など、市町村や消防本部が具体的な議論を開始することができますよう、しっかりと調整役を果たしてまいります。 今後とも、県が積極的にリーダーシップを発揮することによりまして、市町村が目指す消防広域化を推進し、県民の皆様方の安全・安心の確保に全力で取り組んでまいる所存であります。 次に、外国人留学生の県内定着に向けた取り組みについて御質問をいただいております。 少子高齢化による生産年齢人口の減少や
経済グローバル化が進展する中、専門的な知識や技能を持つ外国人留学生の県内定着の促進は、不足する高度人材の確保はもとより、県内企業の海外展開、インバウンド受け入れなど幅広い分野での活躍が期待でき、地域経済の発展にとりまして大変有意義な方策であると、このように認識いたしております。 そのため、徳島で学ぶ留学生の皆さんをしっかりと呼び込みますとともに、卒業後も徳島で働く外国人をふやすよう、大学等高等教育機関、産業界、県が一体となりまして、留学生受け入れと県内定着支援の体制強化を図ってまいります。 具体的に少し申し上げますと、来年度、産学官による留学生共同サポートセンターを設置いたしまして、日本留学フェアでの発信強化や留学生向けオープンキャンパスの開催など、将来地元経済の担い手となる留学生の受け入れ拡大に積極的に取り組みますとともに、卒業後の県内定着を見据え、徳島での暮らしから卒業後の県内就職までの総合的な支援体制の整備に取り組んでまいります。 特に、就職支援に当たりましては、留学生にとりまして日本での就職活動の仕組みや県内企業情報についての知識が不十分という課題がありますことから、就職において必要となる在留資格の変更や日本特有の採用慣行、ビジネスマナーについて学ぶ実践的なセミナーを開催いたしますとともに、県内企業との相互理解を図ります交流会、特色や魅力を体感することのできる企業見学バスツアーの開催など、留学生と県内企業の出会いの機会を積極的に創出いたしてまいります。 また、企業とのマッチングに向けまして、採用を希望する企業によります合同企業説明会を開催するとともに、会場にはサポートデスクも設置いたしまして留学生に寄り添った支援を行うことといたしております。 一方、企業に向けましては、外国人採用の留意点を学ぶノウハウセミナーを開催し、企業の一員として円滑に受け入れる環境整備につきまして、きめ細やかな支援を行ってまいります。 今後とも、来るべき多文化共生社会を見据え、徳島の未来をともに開くとの期待を込め、住むなら徳島、働くなら徳島と選ばれるよう、外国人材の活躍に向けた環境整備にしっかりと取り組んでまいります。 次に、統計データを活用した証拠に基づく政策立案を推進するためどのように取り組んでいくのか、御質問をいただいております。 世界では、ICT機器の爆発的な普及や第四次産業革命、IoT、ビッグデータ、AIなどの実装が進む中、米国や中国などの有力企業を中心にデジタル時代の源泉であるデータを活用した付加価値の高い新たなイノベーションが生まれているところであります。 我が国においても、データが人を豊かにする社会の実現に向けた世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画におきまして、データを積極的に活用して証拠に基づく政策立案を推進する必要が強く打ち出されているところであります。 証拠に基づく政策立案、つまりEBPM、議員からもお話がありましたエビデンス・ベースト・ポリシー・メーキングとは、政策目的の明確化、その目的達成のための効果的な行政手段の選択といった政策の基本的な枠組みを統計データなどの客観的な証拠に基づいて明確にする手法であります。 急速に進行するデータ社会にあって、限られた予算、人材の有効活用、さらには県民の皆様に質の高い行政サービスを提供していく上で、今後、その重要性は高まるものと認識いたしております。 そこで、本県では、国からモデル事業の指定を受けた全国四府県の一つとして、昨年四月、政府関係機関の地方移転によりまして和歌山県に開設されました総務省統計データ利活用センターと連携し、あらゆる施策の基盤となる人口移動をテーマとし、データ分析による政策立案のモデル研究に着手いたしたところであります。 具体的に申し上げますと、去る二月十五日、徳島大学情報センター、データ分析の専門家、県職員によりますEBPM研究会を立ち上げ、本県における人口移動調査結果をもとに、従業地、仕事の種類、過去の居住地など、国勢調査から相関の強いデータを抽出し、その因果関係について分析、検証を行うなど、データ分析に係るノウハウの蓄積を進めているところであります。 その上で、来年度におきましては、人口移動データに県内事業者の県外での経済活動データを組み合わせ、人口移動と経済活動の相関関係を明らかにするなど、分析手法のレベルアップを目指してまいります。 また、こうした研究会で培ったノウハウをベースに、より多くの県職員、さらには市町村職員の皆様方に対し、データ活用能力の向上を図ってまいります。 今後は、本県のデータ活用基盤の強化や人材育成に努めまして、データの世紀と言われる二十一世紀におきまして新たな行政手法を徳島が先導するんだとの気概を持ってしっかりと取り組みを進めてまいる所存であります。 (後藤田副知事登壇)
◎副知事(後藤田博君) 元木議員より幾つか質問いただいております。順次お答えさせていただきます。 まず、在宅療養を支える訪問看護の充実に、今後どのように取り組んでいくのかとの御質問でございます。 本県では、全国に先んじて二〇二〇年に高齢者人口がピークを迎える中、地域包括ケアシステムの深化が求められており、医療と介護の橋渡し役となる訪問看護の充実は必要不可欠であります。 そのため、県におきましては、徳島県訪問看護支援センターを核とした訪問看護師の人材育成やICTを活用した迅速な情報共有による多職種連携など、訪問看護提供体制の確保に積極的に取り組んでいるところであります。 とりわけ僻地における訪問看護につきましては、訪問先までの距離が遠く事業所の負担が大きいことから、徳島県看護協会と連携いたしまして、訪問看護ステーション阿南が那賀町や勝浦町、上勝町に訪問看護を展開するサテライト南部モデルや、訪問看護ステーション半田と三好市の診療所等が連携し祖谷地区など山間地域の訪問看護を提供するサテライト西部モデルなどの取り組みを推進しております。 これらの取り組みに加えまして、今後は、引き続き高齢者人口が増加していく東部圏域においても訪問看護の需要が一層高まってくると見込まれることから、こうした地域の訪問看護提供体制のあり方を検討していくとともに、病院から在宅への円滑な移行を図るため、病院の看護師が訪問看護師の経験を積むことによりまして、在宅療養を見据えた切れ目のない退院指導ができる体制づくりを進めてまいります。 さらに、終末期の生活の質を高めるターミナルケアや二十四時間対応が可能となる機能強化型訪問看護ステーションの充実を初め、安定的に質の高い看護が提供できる体制を目指してまいります。 今後とも、県看護協会等と緊密に連携いたしまして、ニーズに応じた訪問看護を受けられる体制の充実強化を図ることで、県民が県内どこでもひとしく住みなれた地域で安心・安全に暮らすことができるように、全力で取り組んでまいります。 次に、工業技術センターにおけるこれまでの成果と今後の取り組みについての御質問をいただいております。 工業技術センターにおきましては、本県ものづくり企業の技術支援拠点として新製品、新技術の開発へつながる共同研究や試験分析、また試験研究機器の利用などについて、これまで積極的に取り組んできたところであります。 特に、LED分野では、平成二十五年度に、LEDサポートセンターを設置いたしまして、国内最大級の光学性能評価装置を初めとするLED応用製品の評価体制を構築し、新製品開発を支援しております。 その成果といたしましては、国内公設試験研究機関で初となりますISOに基づくLED測光試験所の認定取得を初めとして、県内全域をカバーする歩行者信号機用LED電球や食品技術とLED技術を融合した全国初のLED夢酵母による日本酒など、県内企業の数多くの商品化につなげてきたところであります。 また、新素材分野では、平成二十九年度に高機能素材活用支援施設を整備いたしまして、成形加工から品質評価まで一貫した支援を行うことにより、炭素繊維強化プラスチックと金属材料を接合する自動車用部品や木質材料を複合加工した軽量化椅子など、産学官連携により、県内企業への技術移転を促進してきたところであります。 一方、国際的に技術開発のスピードが加速している中で、企業ニーズと技術シーズのマッチングや新しい技術を活用する人材養成が重要であると認識いたしております。 そこで、さきに採択されました地方大学地域産業創生事業において、徳島大学と緊密に連携いたしまして、産学官共同研究拠点として、次世代LED応用製品の開発や人材育成を通じ、次世代光関連産業の創出を目指すこととしております。 今後とも、第四次産業革命や将来のソサエティー五・〇を見据え、これまでの研究成果を一層進化させるとともに、本県ものづくり企業への物心両面による技術支援機能をさらに強化し、未来の徳島ものづくりをしっかりと支援してまいります。 (元木議員登壇)