徳島県議会 > 2019-02-01 >
02月19日-02号

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  1. 徳島県議会 2019-02-01
    02月19日-02号


    取得元: 徳島県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-17
    平成31年 2月定例会   平成三十一年二月徳島県議会定例会会議録(第二号) 平成三十一年二月十九日    午前十時五分開議      出席議員計三十六名          (その番号・氏名左のとおりである)     一  番     山  西  国  朗 君     二  番     原  井     敬 君     三  番     岩  佐  義  弘 君     四  番     島  田  正  人 君     五  番     眞  貝  浩  司 君     六  番     高  井  美  穂 君     七  番     古  川  広  志 君     八  番     上  村  恭  子 君     九  番     須  見  一  仁 君     十  番     井  川  龍  二 君     十一 番     岡     佑  樹 君     十二 番     中  山  俊  雄 君     十三 番     元  木  章  生 君     十四 番     岡  田  理  絵 君     十五 番     南     恒  生 君     十六 番     長  池  文  武 君     十七 番     達  田  良  子 君     十八 番     山  田     豊 君     十九 番     丸  若  祐  二 君     二十 番     岩  丸  正  史 君     二十一番     寺  井  正  邇 君     二十二番     喜  多  宏  思 君     二十三番     木  下     功 君     二十四番     重  清  佳  之 君     二十五番     木  南  征  美 君     二十六番     黒  崎     章 君     二十八番     川  端  正  義 君     二十九番     嘉  見  博  之 君     三十 番     岡  本  富  治 君     三十一番     樫  本     孝 君     三十二番     杉  本  直  樹 君     三十三番     西  沢  貴  朗 君     三十四番     来  代  正  文 君     三十五番     臼  木  春  夫 君     三十六番     庄  野  昌  彦 君     三十七番     長  尾  哲  見 君   ────────────────────────  出席職員職氏名     事務局長     市  原  俊  明 君     次長       和  田  茂  久 君     政策調査課長   岡  島  敏  子 君     議事課長     福  田  雅  敏 君     議事課副課長   松  永  照  城 君     政策調査課副課長 藤  本  泰  史 君     議事課課長補佐  島  尾  希 実 子 君     政策調査課係長  仁  木  ち あ き 君     議事課係長    一  宮  ル  ミ 君     議事課係長    三 ッ 川  宗  佑 君     議事課主任    中  田     真 君     議事課主任    富  永  加 容 子 君   ────────────────────────  列席者職氏名     知事       飯  泉  嘉  門 君     副知事      後 藤 田     博 君     副知事      海  野  修  司 君     政策監      福  井  廣  祐 君     企業局長     東  端  久  和 君     病院事業管理者  香  川     征 君     政策監補兼県土整備部長              瀬  尾     守 君     危機管理部長   朝  日  隆  之 君     政策創造部長   山  本  俊  也 君     経営戦略部長   木  下  慎  次 君     県民環境部長   板  東  安  彦 君     保健福祉部長   久  山  淳  爾 君     商工労働観光部長 黒  下  耕  司 君     農林水産部長   川  合  規  史 君     会計管理者    戸  根  秀  孝 君     病院局長     延     良  朗 君     財政課長     平  井  琢  二 君     財政課副課長   金  丸  武  史 君   ────────────────────────     教育長      美  馬  持  仁 君   ────────────────────────     人事委員長    笹  谷  正  廣 君     人事委員会事務局長森     裕  二 君   ────────────────────────     公安委員長    塩  本  泰  久 君     警察本部長    根  本  純  史 君   ────────────────────────     代表監査委員   矢  田     等 君     監査事務局長   岡  田  芳  宏 君   ────────────────────────  議 事 日 程   第二号 平成三十一年二月十九日(火曜日)午前十時開議 第一 県政に対する一般質問         (三   名)   ──────────────────────── ○議長(重清佳之君) これより本日の会議を開きます。   ──────────────────────── ○議長(重清佳之君) 直ちに本日の日程に入ります。   ──────────────────────── ○議長(重清佳之君) この際、申し上げます。 岸本泰治君から議員の辞職願が提出されております。 お諮りいたします。 この際、「岸本泰治君の議員辞職の件」を日程に追加し、直ちに議題といたしたいと思います。 これに御異議ございませんか。   (「異議なし」と言う者あり) ○議長(重清佳之君) 御異議なしと認めます。 よって、さよう決定いたしました。 「岸本泰治君の議員辞職の件」を議題といたします。 お諮りいたします。 本件は、これを願い出のとおり許可することに御異議ございませんか。   (「異議なし」と言う者あり) ○議長(重清佳之君) 御異議なしと認めます。 よって、本件は、これを願い出のとおり許可することに決定いたしました。   ──────────────────────── ○議長(重清佳之君) 次に、日程第一、「県政に対する一般質問」を行います。 通告がありますので、通告の順序に従い発言を許可いたします。 三十二番・杉本直樹君。   (杉本議員登壇) ◆三十二番(杉本直樹君) 徳島県議会自由民主党の杉本でございます。会派を代表させていただいて質問させていただきますが、中身は代表でございません。私の勝手でいきますので、よろしく御理解をお願いしたいと思います。 本日は、鳴門市里浦小学校の皆さんにお越しいただいております。退屈なことがあろうと思いますが、我慢していただきたい、お願いしておきたいと思います。 まずは、県土強靱化に関して何点か質問いたします。 昨年相次いだ西日本豪雨、台風二十号、二十一号など、自然災害による猛威は本県にも甚大な被害を及ぼしました。我が国が災害列島であることを改めて認識させられたところであり、まさに国難と言うべき事態であります。 我が地方、那賀町においても山腹崩壊や通行どめなどが次々と発生し、これまでとは違う新たな危機感を覚えたところであります。防災・減災や県土強靱化はまさしく県行政にとって最優先の課題であると言っても過言ではありません。 県議会においては、去る一月八日、全会派の代表者が足並みをそろえ、飯泉知事に対し、平成三十一年度当初予算編成に当たって、県単維持補修費を含め県土強靱化、農林水産業の競争力の強化などに必要な公共事業予算について、前年度に対し百億円を上回る増額を確保するように強く要望したところであります。 これに対して知事は、重く受けとめると発言され、その言葉どおり、今回提案された十五カ月型・県土強靱化予算では、骨格予算編成にもかかわらず昨年度を百十九億円も上回る渾身の公共事業予算を確保し計上されたことは、率直に評価したいと思います。 今、金融市場では長期金利がゼロ金利に近づくこともあるなど、県債を活用して県土強靱化を推進するには絶好の財政環境が整っております。 徳島県においても、今回の十五カ月型予算の計上だけにとどまらず、県土強靱化予算の確保を戦略的に講ずべきではないでしょうか。 そこで知事にお伺いいたします。 県政史上初となる十五カ月型・県土強靱化予算を一過性のものとせず、国難打破に向けての戦略的一歩とすべきと考えますが、知事の御決意をお聞かせいただきたいと思います。 次に、土砂災害を初めとする防災対策の推進についてお伺いいたします。 昨年の豪雨による被害では、近隣の愛媛県を初め広島県、岡山県など西日本を中心に甚大な被害が発生しており、まさに人ごとでなく、こうした大災害がいつ徳島で起こってもおかしくはありません。 さらに、北海道では、胆振東部地方を震源とする地震において景色が一変するほどの惨状となり、全国での土砂災害発生数は三千四百五十一件と過去最多を記録しています。 県内においても、台風による豪雨などにより四十七件もの被害が発生いたしました。災害は繰り返し必ずやってまいります。 私の地元、那賀町では明治二十五年の上那賀地区の高磯山崩壊があり、崩壊と天然ダムの決壊で六十八名の方が犠牲となられたと記録されております。その後も、昭和五十一年、木頭平地区での土石流、災いの年と言われた平成十六年には坂州地区での深層崩壊、多くの土砂災害により、とうとい命が失われてきました。 しかしながら、私は、犠牲者はなくすことができると信じております。県土強靱化予算を有効に活用し、砂防堰堤等を初めとした土砂災害対策が一層進むことを期待しております。 一方、今回の七月豪雨災害からハード整備の重要さに加え、土砂災害の恐ろしさを住民の皆さんにしっかりと理解していただき、ためらわずに避難してもらうことも重要であることを再認識したところであります。 このことから、私は土砂災害から身を守る取り組みを今後の重点活動の一つに上げ、土砂災害啓発パンフレットを作成し地元住民の皆さんに説明するなど、啓発に努めているところであります。 土砂災害の恐ろしさやみずから身を守る自助の重要性を住民の皆さんに説明することはすぐにできることであります。啓発活動を初めとしたソフト対策にしっかりと取り組んでいく必要があると考えております。 さらに、本県では、河川や山間部が多く、例えば那賀郡では集落へのアクセスは河川沿いの道路一本のみの地域が多数あります。いざ土砂災害等で唯一の道路が寸断されれば、たちまち地域、集落が孤立いたします。住民自身が地域の実情を把握し災害に備えることが重要でありますが、行政としてあらかじめ地域の状況を把握するなど、事前準備を進めておくべきでないかと考えております。 そこでお伺いいたします。 頻発する土砂災害から住民の命を守るため、今後の土砂災害対策にどのように取り組むのか。また災害時に孤立する可能性がある集落に対し、的確な支援を行うため、県としてどのように取り組んでいくのか、お伺いいたしたいと思います。 次に、那賀川の治水対策についてお伺いいたします。 那賀川では、平成二十六年八月、洪水により、私の地元、那賀町はもとより下流の阿南市においても流域一帯で浸水被害が発生いたしました。洪水から五年目を経て、那賀川本川から濁流があふれた土佐地区では護岸が築かれ、支川の中山川、南川では新しい堤防の整備や国道百九十五号のつけかえ工事が進み、町の景色が大きくさま変わりするほどの進捗を見せております。住民にも工事の完成が現実のものと感じられるようになってまいりました。 また、国が進めている長安口ダムでは、ゲート増設工事が最終段階を迎え、ことしの出水期には新たなダム運用が開始されると見込まれており、あわせてダム貯水池内の堆積土砂を防ぐ長期的堆砂対策についても現地調査が始まり、工事への準備が着々と進んでおります。 一方で、全国で毎年のごとく那賀川での被害を上回る規模の浸水が発生し、時には一昨年の九州北部豪雨や昨年の七月豪雨などのように、とうとい住民の命が奪われる痛ましい水害が引き起こされている現状にあります。 こうした中、那賀川においては、昨年十月、これまでの治水目標であった昭和二十五年のジェーン台風を、戦後最大流量を更新した平成二十六年洪水に見直しするための那賀川水系河川整備計画の変更手続が開始されるとの発表がありました。 今、那賀川の治水対策が大きな転換期を迎えており、流域の住民の方々が水害から安心して暮らすことのできる新たな那賀川を県と国で改めてつくり上げていくことが必要であると考えております。 そこでお伺いいたします。 近年の気象変動に適応するための那賀川水系河川整備計画の見直しを初め、今後、那賀川で実施する治水対策への意気込みをお伺いいたしたいと思います。 次に、一般国道百九十五号の整備に関する今後の見通しについてお伺いいたします。 一般国道百九十五号は、地域の生活道路であるとともに、本県と高知県を結び、産業振興、地域防災を支える非常に重要な路線であります。この早期整備は、本県の道路ネットワーク網の強化に大きく寄与するものであります。また、この路線が唯一の生命線である木頭地区においては、これまで落石や道路冠水がたびたび発生するなど、地域の住民は危険と隣り合わせで日々の暮らしを営んでおります。 トンネルができることはそうした状況への抜本的な対策となるものであります。昨年の二月議会、本会議において、那賀町を東西に走る一般国道百九十五号の未改良区間におけるトンネル整備についてお伺いしたところ、平成三十年度から調査設計を進めるとの前向きの答弁をいただきました。トンネルの起点側となる栩谷側では、先月から測量調査に着手していただいているところであり、地域の皆さんも大変喜んでおります。 トンネルは、過去に大規模な崩壊や落石が発生した危険な区間を避けて通行できるバイパスとなることから、現在も通行中の崩落や落石におびえながら通行を余儀なくされています地域住民の皆さんの長年の悲願でありますので、少しでも前に進めていただきたいと思っております。 そこでお伺いいたします。 国道百九十五号のトンネル計画を含む木頭地区防災対策の現状と今後の見通しについて、御所見をお伺いいたします。 答弁を伺った上で質問を続けてまいります。   (飯泉知事登壇) ◎知事(飯泉嘉門君) 杉本議員の御質問に順次お答えさせていただきます。 まず、十五カ月型・県土強靱化予算を戦略的一歩にすべきではないか、御質問をいただいております。 昨年来、豪雨災害や大規模地震が相次いで発生し、数十年に一度の災害が常態化、広域化するなど、日本全体が災害列島の様相を呈する状況のもと、国難打破という新たな課題への対策がまさに焦眉の急となっているところであります。 このため、従来型の骨格予算という既成概念にとらわれることなく、十五カ月型・県土強靱化予算として、前年度十四カ月予算比で百十九億円増となる八百九十二億円の公共事業費を確保するとともに、年度当初からあらゆる自然災害に即応できるよう所要額の全体像をいち早く県民の皆様方にお示しさせていただいたところであります。 編成に際しましては、県民目線、現場主義のもと、地域事情に精通する議員各位との御論議はもとより、県議会の総意として去る一月八日いただきました全会派からの御要望を真摯に受けとめ、議会との両輪型予算と呼ぶにふさわしい処方箋となりますよう、鋭意取り組んでまいりました。 時を同じくして、国におきましては、本県の提言が反映される形で総額七兆円に上る「防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策」が実施されることとなり、また国の緊急対策に連動する形で地方財政計画に一・五兆円が計上され、後年度負担の少ない地方債も新設されたところであります。 早速、本県におきましても、新設地方債を六十億円計上させていただいたところであり、議員から御提案をいただきましたとおり、近年、発行利率が年利〇・五%を続けて下回るという超低金利の金融状況のもと、さらなる活用も重要な選択肢であると、このように認識するところであります。 そこで、このような時流をしっかりと捉え、十五カ月型・県土強靱化予算を国難打破への戦略的第一歩と位置づけますとともに、これにとどまらず、今後、複数年で展開される国の緊急対策や有利な新設地方債を積極的に活用し、今こそ県土強靱化のさらなる加速や経済グローバル化への対応強化に向けまして戦略的な二歩、三歩を踏み出していく好機を迎えているものと、このように認識するところであります。 今後とも、国難打破の先陣は徳島との気概を強く持ち、まずは十五カ月型・県土強靱化予算の早期執行を通じ、しかもその先をしっかりと見据えながら、何としても県民の皆様の命と暮らしを守り抜くべく全力を傾注してまいる所存でありますので、御理解、御協力をどうぞよろしくお願い申し上げます。 次に、今後の土砂災害対策への取り組みについて御質問をいただいております。 昨年は、平成三十年七月豪雨や相次ぎ来襲した台風、さらには北海道胆振東部地震と、まさに日本は災害列島の様相を呈しましたことから、自然災害の脅威とその備えの重要性を改めて深く認識させられたところであります。 そこで、十五カ月型・県土強靱化予算におきましては、公共事業と県単独維持補修費を合わせ前年度十四カ月予算比で百十九億円の増となる総額八百九十二億円を本議会に提案させていただいたところであります。 この予算によりまして、土砂災害対策をより一層推進するため、那賀町木頭折宇の弥ン谷砂防堰堤を初めとする砂防施設の整備や長寿命化対策など、事前防災・減災対策を加速させてまいります。 さらに、豪雨災害の人的被害が平成最大となった七月豪雨では、全国の被災地におきましては、避難勧告、避難指示が発令されても避難しなかったことで人的被害が拡大いたしましたことから、議員御提案のみずからの命を守る取り組みとして土砂災害警戒区域の危険性の認識の向上、早目早目の避難につながる情報提供などのソフト対策に、より一層取り組む必要がある、このように認識いたしております。 まず、土砂災害による人的被害の約九割が土砂災害警戒区域内などで発生しておりますことから、平成二十九年度上半期の一万三千一カ所の基礎調査結果の公表に引き続きまして、土砂災害警戒区域の指定を一年前倒しし、来年度には全て完了させるとともに、日ごろから災害リスクを意識していただけますよう、市町村や関係機関とも連携し、防災出前講座の実施やハザードマップの作成、避難訓練などの支援により地域の防災力の強化をしっかりと図ってまいります。 また、七月豪雨では、高齢者の皆様を初めとする要配慮者の逃げおくれが課題となりましたことから、土砂災害警戒区域内の要配慮者利用施設のうち身近に雨量計のない六十カ所に、きめ細やかでかつ切迫感のある雨量情報が提供することのできるIoT雨量計を今後三年間で設置いたします。 観測されたデータにつきましては、要配慮者利用施設に加え、市町村や周辺住民の皆様にも提供することによりまして、市町村における的確な避難情報の発令を支援いたしますとともに、要配慮者や住民の方々の早目早目の避難とみずからの判断による避難を強力に促進いたしてまいります。 今後とも、県民の皆様方の命を守ることを最優先に、国難打破の先陣は徳島との強い気概を持ちまして、土砂災害を直接防ぐハード対策と的確な避難を促すソフト対策が一体となった総合的な土砂災害対策に全力で取り組んでまいる所存であります。 次に、那賀川の治水対策について御質問いただいております。 那賀川での洪水の歴史におきましては、平成二十六年、二十七年には積乱雲が次々と発生するいわゆる線状降水帯によりまして、古庄観測所では、わずか一年足らずの間に戦後最大流量と三番目をそれぞれ記録し、これにより流域一帯を襲う大規模な水害に見舞われたところであります。 とりわけ、二百七十九戸もの家屋浸水が生じました那賀町和食土佐地区におきましては、直ちに床上浸水対策特別緊急事業へ着手し、現在、築堤工事の全面展開をしているところでありまして、昨年度の事業費改定を初めといたしまして今議会で先議をいただきました十七億円の補正予算など、予算確保に努め、全体事業費九十七億円の大規模事業を六年間というかつてない短い工期での完成を現在目指しているところであります。 その一方で、近年は気候変動による異常気象が顕在化しており、一昨年の九州北部豪雨や本県を含め全国各地で大きな影響を及ぼした平成三十年七月豪雨など、人命を奪う水害が連鎖的に発生しているところであります。 このため、那賀川におきましても、こうした激甚化する洪水への備えを強化すべく、さらなる治水安全度の向上に向けまして、私みずから昨年十月、国土交通省に対し、治水目標をこれまでのジェーン台風から戦後最大流量の平成二十六年台風十一号へ高めるべきと強く提言いたしましたところ、このたび国と県とで進めます整備計画の見直しが始まることとなりました。 議員からもお話しいただきました流域住民の皆様が安心して暮らせる那賀川とはまさに軌を一にする思いでありまして、那賀町内での河川の改修や長安口ダム本体改造工事などにめどが立った今こそ、治水を第一とする新しい那賀川の姿を描くことは私どものまさに使命であると強く認識するところであります。 そこで、待ったなしの豪雨災害に立ち向かうため、長安口ダムでの限界まで貯水水位を引き下げ、洪水調節容量を確保するダム運用、那賀町阿井地区を初め、以前浸水が発生した箇所での洪水を安全に流し切るための堤防の整備など、国土交通省との連携のもと、上下流流域一帯でのあらゆる治水対策を盛り込む新たな那賀川水系河川整備計画が一日でも早く取りまとめることができますよう、全力を傾注してまいる所存であります。 今後とも、那賀川で実践する徳島の治水技術が、全国はもとより世界を牽引するとの強い気概を持って臨むことによりまして、こうした対策を速やかに実行に移していくことにより、とわに続く安全・安心な那賀川をしっかりと築き上げてまいる所存であります。   (海野副知事登壇) ◎副知事(海野修司君) 国道百九十五号における防災対策の現状と見通しについての御質問でございますが、国道百九十五号は、平時には地域住民の皆様の日常生活を支え、地域間交流の促進や産業の振興に大きく寄与するとともに、災害時には復旧活動や緊急物資の輸送を担う大変重要な道路であります。 また、百九十五号では、平成十七年の木頭西宇で発生した高さ二百メートルからの山腹崩壊や平成二十六年の那賀川に戦後最大流量を上回る洪水をもたらした台風十一号による道路冠水など、長期間の通行どめとなる大規模な道路災害がたびたび発生しており、道路の強靱化に向けた対策が大きな課題であります。 議員お尋ねの木頭地区における道路防災対策につきましては、那賀町木頭折宇から木頭西宇までの延長二千七百五十メートルの改良計画区間において、これまでに橋梁やトンネルによるバイパス区間を含む千八百五十メートルの整備が完成しております。 残る未整備区間九百メートルにつきましては、現道で過去二回の大規模な山腹崩壊が発生しており、防災面におけるリダンダンシー確保の観点から、トンネルにより迂回する計画としており、今年度、トンネル計画区間の現地測量に着手したところであります。 来年度は、トンネル計画に影響を与える地形、地質の問題点を把握する地表踏査や地質調査、工事による周辺への影響を確認する環境調査などを実施してまいります。 次に、平成二十六年に冠水被害を受けた木頭出原地区につきましては、平成二十九年度から約三百メートルの区間で道路を最大二・五メートルかさ上げをする冠水対策工事に着手しており、国の三か年緊急対策に呼応した平成三十年度二月補正予算を活用し、来年度中の完成に向け、整備を推進してまいります。 今後とも、地域の皆様の安全・安心な暮らしを支え、県南部の産業振興や地域の活性化など、ストック効果が最大限発揮されますよう、国道百九十五号のトンネル計画を含む木頭地区の道路防災対策にしっかり取り組んでまいります。   (福井政策監登壇) ◎政策監(福井廣祐君) 孤立集落対策にどのように取り組むのかとの御質問でございますが、道路の寸断により生ずる集落の孤立は、人の移動や物資の流通を困難にするとともに住民の生活や健康に影響を及ぼしますことから、頻発化、激甚化する豪雨災害はもとより切迫する南海トラフ巨大地震への備えを急ぐ本県にとりまして、その対策は極めて重要であると認識いたしております。 このため、県では、通信を確保する衛星携帯電話や非常用電源の配備、救急搬送や物資輸送に活用するヘリポートの整備などについて、那賀町木頭名地区を初め市町村が行う孤立集落対策を支援してまいりました。 また、昨年九月に実施しました徳島県総合防災訓練におきましては、平成三十年七月豪雨で多くの集落が孤立したことを踏まえ、デジタル簡易無線を活用し、住民の安否、救急搬送の必要性、電気や水道などライフラインの状況などを把握する通信訓練を実施し、災害時の情報収集体制の確認を行ったところであります。 さらに、これらの取り組みに加え、市町村と連携し、孤立の可能性がある集落ごとに災害時要配慮者を含む住民の状況、食料や飲料水などの備蓄状況、非常用電源や通信の状況などの情報を一元的に収集、管理し、平時の計画的な対策の促進はもとより、いざ発災時には関係者間での情報を共有し、迅速かつ的確に支援につなげてまいりたいと考えております。 今後とも、孤立の可能性がある集落にきめ細かな対策を展開することにより、あらゆる大規模災害時におきましても助かった命をつなぐ取り組みをしっかりと進めてまいります。   (杉本議員登壇) ◆三十二番(杉本直樹君) コメントにつきましては、最後に言わせていただきたいと思っております。 まずは、続けて消費者庁等の徳島移転に向けた県の取り組みについて、お伺いいたしたいと思います。 消費者庁等の徳島移転の実現に向けて、県議会では、去る十一月定例会を初めこれまでに五回にわたり意見書を可決し強く国に訴えてまいりました。 こうした中、先月九日に、来県した宮腰消費者担当大臣から、知事や重清議長に対し、G20サミットのサイドイベントとして、来る九月、消費者政策国際会合を徳島市において開催したい、ついては徳島県との共催で開催したいとの申し入れがあり、快諾したと伺っております。 消費者庁などの移転は、この夏、概算要求には方針が示されると言われておりますが、この国際会合を成功させてこそ、さすが徳島と本県が認められるのではないでしょうか。この国際会合は、県議会でも条例を制定するなど、本県がこれまで取り組んできたエシカル消費普及を初めとする先進的な消費者行政の取り組みを世界に向けて発信できるまたとない機会であります。この会合の成功は本県の消費者行政の認知度を向上させ、県が目指す消費者庁の徳島移転にも必ずやつながるものと考えます。 そこでお伺いいたします。 消費者政策国際会合の徳島開催を機に、これまで本県が取り組んできた先進的な取り組みを世界に向けて積極的に発信していくべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 次に、消費税増税に伴う県内中小企業に対する支援についてお伺いいたします。 政府は、平成三十一年一月の月例経済報告において、これまで戦後最長とされてきたいざなぎ景気を超えたとも言われており、今後も、緩やかな回復が続くことが期待されています。県内の現状についても、民間の調査機関等からは、回復を続けている、景気は穏やかに持ち直しているとの判断がされております。 本県経済も回復基調であると思いますが、県民にとってはまだまだ豊かさの実感というものが薄いのではないでしょうか。特に、地域経済を支える中小・小規模事業者にとっては、人口減少や高齢化の影響が深刻化し、市場の縮小や人手不足、後継者の問題など、課題が山積しているところであります。 こうした状況に加え、今年十月には消費税の引き上げが予定されており、引き上げ前後の景気の変動や軽減税率制度の導入による二つの税率への対応など、高齢化する地域の事業者からは懸念の声をお聞きするところであります。 こうした懸念を払拭し、県内の中小・小規模事業者の方々が安心して事業を継続していくために、そして地域の経済を守り活性化させるためにも、安定した経営基盤の確立と企業の成長力を強化するような実効性のある対策が求められているのではないでしょうか。 そこでお伺いいたします。 消費税増税を控え、県内中小企業の経営基盤の安定化と成長力の強化を図るために、きめ細やかな支援が必要と考えますが、御所見をお伺いいたしたい。 次に、本県林業政策の今後についてを質問させていただきます。 私は、これまで林業を中心に過疎対策、地域振興をテーマに活動してまいりました。その活動を振り返りますと、特に過疎対策は非常に難しい懸案であります。活動の初期に、過疎とはげに効く薬はないと発言いたしましたところ、先輩議員から厳しくお叱りを受けたことがございますが、しかしここに来て少し認識を改めております。 これは、三年前に那賀高校に創設された森林クリエイト科という薬であります。この三月に一期生が卒業いたしますが、那賀町で六名が林業に従事し、そのうち四名が町外からの就職と聞いております。過疎に悩み、慢性的な林業の従事者不足に悩む町では、那賀高校森林クリエイト科はまさに過疎に効く良薬であります。 改めて那賀高校に森林クリエイト科を創設していただいたことに感謝するとともに、今後、この流れをしっかりと継続することが重要であるとともに、林業の現場においても就業条件や生活環境の改善に取り組む必要があると考えているところであります。 一方、これまで国に強く創設を求めてきた森林環境税が平成三十六年度から導入されることとなり、これに先立ち、平成三十一年度には森林環境譲与税として、森林整備や人材育成、木材利用などの費用に交付されます。新たな税制のスタートは、単独財源の確保に粘り強く活動してきた我々にとってまさに大願成就でありました。知事さんを初め、林活議連、関係各位に改めて感謝を申し上げるところであります。 また、この新たな税制に連動して森林経営管理法が四月から実施されます。新法では、手入れのおくれた奥地森林の整備を進めるために、森林所有者の責務が問われると同時に、市町村主体の整備が進められます。 しかし、順風満帆、よいことばかりではございません。林業の現場では、市町村専門職員の不足、木材価格の低迷や鹿の食害等による森林所有者の経営意欲減退、機械化できない再造林の人員不足など、課題は山積しております。さらに、TPPやEPAの発効により海外から安価な木材製品の輸入も危惧されているところであります。今まさに林業を取り巻く環境は一大転機を迎え、新しい道筋にしっかりとかじ取りが必要であると思われます。 そこでお伺いいたします。 森林林業を取り巻く環境が今後大きく変化していく中、本県林業行政にとってどのように進めていくのか、所見をお伺いします。 続きまして、「地域共生社会」の実現に向けた取り組みについてお伺いいたします。 現在、徳島県総人口は七十四万人を割り込み、二〇二五年には六十八万八千人まで減少すると推計されております。平成三十二年には、三人に一人が六十五歳以上になることが見込まれており、本格的な超高齢化社会、人口減少時代に突入していきます。 我が町、那賀町でも、地域包括支援センターの充実、移住対策、交流イベントの開催、さらには過疎化を町の強みとする逆転の発想で取り組むドローンの活用等さまざまな事業に取り組んでおりますが、年々人口は減少しております。地域活動の維持が困難になることが危惧されているわけであります。 また、全国的にも、高齢化の進行や晩婚化などにより、軽い認知症の症状がある親がひきこもりの子と同居するケースも出てきているなどと聞いております。 那賀町においては、日ごろから顔の見える関係づくり、近隣住民による共助が重要であるとの考えから、町の社会福祉協議会が中心となり、各地区に結成されたご近助おたすき隊が声かけや見守りを行うとともに、近所同士が助け合う組というものがあり、助け合いを行っております。人口減少や高齢化、核家族化が進む中で、孤立化など既存の制度のはざまにあって支援が届かない人を地域で見守り支えていくためには、こうしたより住民に身近な圏域での助け合いが重要でないかと考えております。 国においても、地域のあらゆる住民が役割を持ち支え合いながらみずから自分らしく活躍できる地域共生社会の実現を目指すこととしており、県においても現在地域福祉支援計画の策定を進めていると聞いておりますが、そこでお伺いいたします。 地域の住民がともに支え合う地域共生社会を実現するため、県として今後どのように取り組んでいくのか、御所見をお伺いいたします。 最後に、那賀町の川口ダム上流域の河川環境改善についてお伺いいたします。 徳島県南部の那賀川下流域には県下有数の穀倉地帯が形成されております。しかし、この流域は台風の進路に当たることから、大水害をこうむり、さらに昭和南海地震の際には塩害によって農作物が大きな被害を受けました。このため、昭和二十五年から那賀川総合開発が推進され、その中核となる長安口ダム、川口ダムが建設され、あわせて水力発電所が建設されました。 このダム建設は水害の減少や流域の農業、工業の発展に大きく寄与するとともに、水力発電は再生可能なエネルギーであり、地球温暖化防止にも貢献するなど重要な役割を果たしております。 一方で、ダム建設は河川環境にさまざまな影響を与えており、私の地元である那賀町の皆さんには、ダムの影響を受けている那賀川を少しでも以前の環境に取り戻してほしいとの強い思いがあります。 川口ダムの上流域における河川環境改善について、この本会議においてもたびたび取り上げてまいりました。こうした中で、平成二十八年一月には、企業局と那賀町の連携により、河川環境と地域振興検討委員会が設立され、検討と活動が重ねられております。 近年、長安口ダムから川口ダムへの間にあっては、河川環境用水の増量や砂利投入によって水辺環境は改善されつつあると感じております。また、今後、長安口ダムに選択取水設備が設置されれば、川の濁りも少なくなり、さらには環境が改善されるものと見込まれます。 私は、こうした動きに一層弾みをつけていくべきと考えますが、そこでお伺いいたします。 企業局による、川口ダムの上流域の河川環境改善について、その進捗状況と今後の取り組みについて御所見をお聞かせいただきたいと思います。 御答弁をいただき、まとめに入らせていただきます。   (飯泉知事登壇) ◎知事(飯泉嘉門君) まず、消費者政策国際会合について御質問をいただいております。 本県では、消費者庁国民生活センターの消費者行政新未来創造オフィスと連携し、若年者向けの消費者教育の推進や見守りネットワークの構築、エシカル消費の普及など、十を超える先駆的なプロジェクトに取り組み、全国モデルとなる成果を創出いたしてまいりました。 これら実証に裏づけされましたプロジェクトは、四国、中国、関西、そして全国の自治体へと広がりを見せており、ACAP(消費者関連専門家会議)を初め全国規模の消費者関係団体からも高い評価をいただいているところであります。 このような状況の中、去る一月九日、宮腰消費者担当大臣が来県され、G20のサイドイベントである国際会合を徳島市で開催すると直接御報告いただきますとともに、消費者庁と徳島県の共催としたいとの新たな御提案があり、重清議長にも御同席をいただいておりましたので、これを快諾させていただいたところであります。 これは、本県の取り組みが高く国に評価をいただいているまさにあかしであり、新次元の消費者行政、消費者教育の成果や本県の魅力を世界へ向けて発信することのできる絶好の機会であると、このように認識いたしております。 そこで、直ちに産学官金労言の各界代表で構成する消費者庁等移転推進協議会におきまして開催に向けた協力を要請いたしますとともに、消費者行政新未来創造統括本部会議を開催し、全庁的な推進体制を構築いたしたところであります。 また、来月には、消費者庁と県の共同事務局を立ち上げ、四月にパリで開催されるOECD消費者政策委員会におきまして、本県を紹介するプロモーション動画を用いた周知活動を実施いたしてまいります。 さらに、国際会合の前日に、歓迎レセプションを開催し、徳島が誇る食や文化の魅力をPRするとともに、国際的な消費者課題を議論するセッションにおきまして、本県独自のプログラムを企画し、先駆的な取り組みを世界へ向けて発信いたしてまいります。 今後とも、日本の消費者行政の未来は徳島から創造するとの強い気概を持ち、国内外からの共感と賛同の輪を広げることを通じ、消費者庁等の全面移転につなげてまいりますので、県議会を初め県民の皆様方のこれまで以上の御理解と御協力を賜りますよう、どうぞよろしくお願い申し上げる次第であります。 次に、消費税増税を控え、中小企業の経営基盤の安定化と成長力の強化に向け、どのように取り組んでいくのか、御質問をいただいております。 高齢化社会における社会保障財源を確保するため、本年十月、消費税が増税される状況のもと、県内事業者、特に小規模事業者の皆さんにおきましては、労働力不足や後継者難など経営環境が大きく変化する中、その対応が求められるところであります。 県が定期的に実施しております出前相談におきましても、事業者の皆様方からは、今回の増税につきまして軽減税率制度がわかりにくい、販売や経理事務の増大が心配、売り上げの減少による資金繰り悪化が不安といった声を頂戴いたしているところであり、こうした懸念を解消し安心して事業活動に取り組んでいただくことができるよう、寄り添い型の支援を強化していく必要があります。 そこでまず、軽減税率制度を正しく御理解いただくため、平成長久館における消費税増税対策セミナーや軽減税率に関する講座の開催のほか、商工団体の窓口での特別相談や経営指導員によります巡回指導を強化するなど、きめ細やかな制度の周知を図ってまいります。 次に、販売経理事務の軽減につきましては、商工団体を通じましたレジの改修支援や丁寧な記帳指導の徹底とともに、国の補助金を活用いたしまして専門家の訪問相談によります事業者ニーズに応じました効果的なアプリやシステムの導入促進など、支援を実施いたしてまいります。 また、売上減少による資金繰りの不安に対しましては、小規模事業者の皆様方の設備投資から運転資金まで幅広い資金需要に対応する中小企業向け融資制度におきまして、来年度、短期事業資金の融資限度額を一千万円から一千五百万円へと拡大いたしますとともに、一部保証料の引き下げ見直しも行い、資金面での支援を強化することといたしております。 さらに、今回の国の消費税増税対策では、本県の政策提言が実を結んだプレミアム付商品券やキャッシュレス決済によるポイント還元を含む、増税前から増税後までをカバーする長期かつ幅広い消費喚起策が実施される見込みであり、こうした施策を積極的に取り込み、活用いたしてまいりたいと考えております。 今後とも、消費税増税にしっかりと対応し、本県経済の腰折れを防ぐとの強い気概を持ちまして、事業者に寄り添いましたきめ細やかな支援を行いますとともに、国の消費喚起策も効果的に活用することによりまして、経営基盤の安定化や本県経済の活性化にしっかりとつなげてまいります。 次に、森林、林業を取り巻く環境が今後大きく変化する中で、本県林業行政をどのように進めていくのか、御質問をいただいております。 本県の四分の三を占める森林は、林業・木材産業の育成や地球温暖化の防止など、私たちの生活を支えるかけがえのない財産であります。 顧みますと、全国に先駆け立ち上げました平成十七年度からの林業再生プロジェクトに始まり、現在の新次元林業プロジェクトまで、四次にわたるプロジェクトによりまして、高性能林業機械を導入した効率的な木材の搬出、木材を根元からこずえまで利用する加工体制の構築、外材から県産材への転換によります木材自給率の向上などに取り組み、県産材の生産量をプロジェクト開始前の二倍を超える三十七万五千立方メートルまで高めてまいりました。 また、新規林業就業者につきましては、異業種からの参入促進やとくしま林業アカデミーによる即戦力の育成などによりまして、プロジェクト開始以降、三百五十人を数えるとともに、この春には那賀高校森林クリエイト科から第一期生が卒業し、新たに就業が見込まれますことなど、若い担い手のさらなる活躍が期待されるところであります。 一方、県議会と県が一体となった政策提言が実り、森林環境税及び森林環境譲与税の創設が決定し、まさに今国会で審議される運びとなり、その財源を活用いたしました新たな森林管理システムが本年四月からスタートする中で、手入れが行き届かなかった奥地森林の整備や主伐後の再造林などの取り組みをしっかりと進めてまいります。 また、経済のグローバル化の進展など、本県の森林、林業を取り巻く環境も大きく変化する中、多様な担い手の確保や木材、木製品の競争力の強化を図るなど、新たな時代に向けた対策を推進いたしてまいりたいと考えております。 そこで、今後十年間で県産材生産量及び新規林業就業者数の倍増を目指す次期林業プロジェクトを策定し、新たな取り組みをスタートさせてまいります。 具体的に、以下申し上げてまいりますと、小学生からシニアまで全ての年代、さまざまなキャリアに応じた学びの総合的な支援、東アジアを中心とした徳島ならではの木材製品、大工技術、木の文化の丸ごと輸出、航空レーザ測量やアシストスーツなどICT技術を取り入れた省力化、低コスト化、さらには先日開催いたしました全国木育サミットのレガシーとして、木のよさを普及する木育インストラクターの育成、活躍の場の拡大など、新時代の幕あけにふさわしい各種施策を積極的に展開いたしてまいります。 今後とも、森林所有者や林業従事者などの所得向上はもとより、県産材の生産、流通、加工、消費が安定的に循環する仕組みを構築することによりまして、徳島の豊かな森林資源の未来への継承に全力で取り組んでまいる所存であります。 次に、地域共生社会の実現に向けた今後の取り組みについて御質問をいただいております。 少子高齢化によります人口減少や核家族化、地域のつながりの希薄化など、地域を取り巻く環境は大きく変化するとともに、育児、介護、貧困、社会的孤立などの地域課題のうち、複数を同時に抱えるケースが増加するなど、住民の皆様方の福祉ニーズは複雑化、多様化してきているところであります。 こうした状況に対応し、課題を抱える方を確実に支援につなげるためには、公的な福祉サービスの担い手である行政と地域福祉の担い手である多様な関係者が連携、協働いたしますとともに、地域で暮らす住民の皆様方が互いに支え合う活動が重要であると、このように考えるところであります。 県におきましては、これまで障がいのある方々が買い物支援や高齢者の皆様方の見守りを行い、地域を支える主役となる障がい者が繋ぐ地域の暮らし“ほっとかない”事業や高齢者、特にアクティブシニアの皆様方に人手不足の深刻な介護現場の担い手となっていただく県版介護助手制度など、支えられる側であった人が支える側としてその人らしく生活できる地域づくりにつきましても、積極的に推進いたしてきたところであります。 さらには、今年度、改定を進めております第三期となる徳島県地域福祉支援計画では、地域住民の参画による課題解決や包括的な相談支援体制の整備など、互いに支え合う地域づくりの取り組みを強化し、市町村はもとより地域住民や関係者との連携、協働のもと、基本目標である、誰もがともに支え合い、安心して暮らすことのできる地域共生社会の実現を目指すことといたしております。 このため、新たな取り組みといたしまして、住民活動のコーディネートを行いますとともに、支援を必要とする人々を必要な福祉サービスへとつなぐ役割を担うコミュニティーソーシャルワーカーの養成、県内三圏域におきまして先進事例から地域課題解決の具体策を研究する実践的なワークショップを開催するなど、地域の課題解決力の強化に努めてまいります。 今後とも、市町村を初め民生委員、児童委員、そして社会福祉法人やNPO法人など、地域の関係者の皆様方と連携やきずなを強化し、県民の皆様方お一人お一人がそれぞれの地域で生きがいや役割を持ち、互いに支え合いながら、自分らしく活躍することのできる地域共生社会の実現に全力を傾注してまいる所存であります。   (東端企業局長登壇) ◎企業局長(東端久和君) 企業局による川口ダム上流域の河川環境改善についての御質問でございます。 川口ダム上流域は、豊かな自然に恵まれ、企業局における水力発電や工業用水の供給にとりましても大変重要な地域であり、河川環境を保全しながら、将来に向け、地域の価値と魅力をさらに高めていく必要がございます。 このため、県、地元那賀町、住民代表の皆様方をメンバーとする川口ダムに係る河川環境と地域振興検討委員会を設置し、ダム湖でふ化し成長する陸封アユや現実的で地域のにぎわいにつながる効果的な魚道をテーマに調査研究を進めております。 このうち、陸封アユの研究につきましては、魚類に関する専門的知識を有する徳島大学との共同研究として陸封型稚アユの試験放流を行い、その定着状況を継続的に調査するとともに、今年度からは新たに漁業者の皆様方と協働し、河川の特性を踏まえた産卵場の造成を初め生育環境の向上に向けた取り組みもスタートさせたところでございます。 現在のところ、河川のさまざまなポイントで放流したアユから生まれた多くの稚魚が確認されており、今後、那賀川における陸封化実現の可能性について研究をさらに進めてまいりたいと考えております。 また、川口ダム下流域の天然アユを捕獲し、ダム上流域に放流するくみ上げ放流につきましては、三つのダムを越えてアユを遡上させることができるとともに、地元の方々からくみ上げ放流したアユは形が大きく追いもよいとの評価をいただいていることから、専門家の御意見を伺いながら、より実効性の高い手法で実現できるよう創意工夫を重ねてまいります。 これらの取り組みに加えまして、昨年十二月に開催されました検討委員会では、地域振興に向けた新たな方策についても活発な意見が交わされ、那賀川のアユのブランド化に向けた地域ぐるみの活動を進めることといたしたところでございます。 今後とも、地元那賀町や地域住民の方々など関係者の皆様方との連携を一層深め、川口ダム上流域の特性を生かした河川環境の改善や地域振興に積極的かつ継続的に取り組んでまいります。   (杉本議員登壇) ◆三十二番(杉本直樹君) 御答弁いただきましたので、コメントを申し上げさせていただきます。 十五カ月型・県土強靱化予算については、飯泉知事さんの優しさが人命尊重、具体化されたものと思います。高く評価させていただきたい。より具体的にこれから突き詰めていくんだろうと思いますが、何とぞよろしくお願い申し上げたい。 土砂災害対策については、ハード整備には時間と金がたくさんかかります。大きな課題であると思います。予算が厳しい中で御努力いただいていることは理解しておりますが、だからといって自然災害は待ってくれません。まずは、避難することで命だけは最低限守るというソフトな対策を推進することが何よりも重要であると思います。 私は、土砂災害警戒区域の方々が事前に避難行動をとるための行動計画の策定を提案しておきたいと思いますので、ぜひ御勘案くださいますようお願いいたしたいと思います。 那賀川水系河川整備については、知事から力強い御答弁を頂戴いたしました。ただ、具体的な整備内容についてはこれからのようでございます。この機会に私からもお願いいたしておきますが、まず長安口ダムの操作については最大限まで洪水調整能力を高めるよう努力していただきたい。そして、河川整備は、和食土佐地区にとどまらず、平成二十六年の洪水で浸水被害を受けた中流域においても早期に着手していただけるよう、お願いを強く申し上げます。 国道百九十五号のトンネル整備に関しては、唯一残された未改良区間であります。北川小学校の生徒さんが二年前からスクールバスで通学いたしております。雨が降るたび落石等があり、父兄は大変心配いたしております。また、高知県の運送業者からも一日も早く安全にしてほしいとの強い要望も来ております。ぜひとも早期に着手していただくよう、完成していただくようお願いを重ねていたしておきます。 消費者庁等の徳島移転については、まずは国際会合を成功させるため、県議会としてもしっかりと応援していきたいと考えています。まさにこの機会を絶好の好機と捉え、消費者庁などの全面移転に向けてもしっかりと取り組んでいくべき、そのようにいたしたいと、御協力申し上げたいと、そんなように考えております。 中小企業の振興につきましては、ことしの新年に那賀町の商工会新年会に参加いたしました。そこで話を聞きますと、わかりにくい、難しい、取るほうも払うほうも難しいわと、これよう説明せんわと、こんなにまた前のようにトラブルがあるんなら、お客さんからクレームがつくんなら、もう私商売やめたいわと、そんな声が聞こえました。 我々はそれを言われますと、買い物難民にすぐになってしまうと、御理解していただきたい。岡本会長に言うたんがええんか、これは。にこにこしとるところでないでないか。御理解をよろしくお願いいたします。 現在の木材の件でございますが、知事さんの今までの力強い御指導で、他県よりは確かに前へ出ていることは事実です。それはありがたいと思っておりますが、しかし我々のように木を植えて育ててきた者にしては、この五十年の努力、どこに挟まっとんだろうなと、そんな気持ちでいっぱいです。ぜひとも議論を木材単価のほうへ、量の消費よりも単価のほうを一緒にしていただかないと、組合長として、木を切ってくださいとは今の単価では大変言いにくい。ぜひともその点に考えを及ばせていただきたい。お願いいたしたいと思います。 地域共生社会の実現については、いよいよこれから過疎地は細く弱くなっていきます。行政の力がますます必要でございます。御理解をお願いしたい。 最後に、川口ダム上流の河川環境でございます。 もう既に五年になったか、まだ入り口あたりですよ。ぜひ、全部のダムを足して、川口が三十メーター足らず、長安口が七十何メーター、小見野々が六十ぐらいあったかなと、これをアユが越していくやいう話にはとてもいきません。どうぞ、真剣に努力していただきたい。申し上げておきたいと思います。 以上で質問は全て終わりました。長時間ありがとうございました。(拍手)   ──────────────────────── ○議長(重清佳之君) 議事の都合により、休憩いたします。      午前十一時八分休憩   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━    午前十一時三十三分開議      出席議員計三十五名          (その番号・氏名左のとおりである)     一  番     山  西  国  朗 君     二  番     原  井     敬 君     三  番     岩  佐  義  弘 君     四  番     島  田  正  人 君     五  番     眞  貝  浩  司 君     六  番     高  井  美  穂 君     七  番     古  川  広  志 君     八  番     上  村  恭  子 君     九  番     須  見  一  仁 君     十  番     井  川  龍  二 君     十一 番     岡     佑  樹 君     十二 番     中  山  俊  雄 君     十三 番     元  木  章  生 君     十四 番     岡  田  理  絵 君     十五 番     南     恒  生 君     十六 番     長  池  文  武 君     十七 番     達  田  良  子 君     十八 番     山  田     豊 君     十九 番     丸  若  祐  二 君     二十 番     岩  丸  正  史 君     二十一番     寺  井  正  邇 君     二十二番     喜  多  宏  思 君     二十三番     木  下     功 君     二十五番     木  南  征  美 君     二十六番     黒  崎     章 君     二十八番     川  端  正  義 君     二十九番     嘉  見  博  之 君     三十 番     岡  本  富  治 君     三十一番     樫  本     孝 君     三十二番     杉  本  直  樹 君     三十三番     西  沢  貴  朗 君     三十四番     来  代  正  文 君     三十五番     臼  木  春  夫 君     三十六番     庄  野  昌  彦 君     三十七番     長  尾  哲  見 君   ──────────────────────── ○副議長(岩丸正史君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 十三番・元木章生君。   (元木議員登壇) ◆十三番(元木章生君) 皆さんおはようございます。徳島県議会自由民主党の元木章生でございます。会派を代表して質問の機会を与えていただき、まずは会派の先輩方、そして同僚議員の皆様方に心から御礼を申し上げる次第でございます。 今議会が平成最後の議会となります。知事初め理事者の皆様方におかれましては、これを一つの節目として、新たな元号となる未来に向けた新時代の方向性を明らかにするとともに、幅広い県民の笑顔につながる答弁をよろしくお願いいたします。 最初に、消防の広域化の取り組みについてお伺いいたします。 近年、人口減少、高齢化の進行により、特に過疎市町村を中心に、近い将来消防力の維持に困難を伴う可能性が指摘されているほか、予防業務の重要性や救急需要が拡大しており、消防力の維持強化を図るためには、市町村の実情を踏まえつつ消防の広域化を進める必要があると考えます。 国によると、消防の広域化は消防力の維持強化に有効な手段であり、小規模本部の体制強化が喫緊の最重要課題とされています。 そこで、先日、消防庁を訪問し、消防の広域化の現状と課題について調査いたしました。広域化のメリットとして、初動の消防力、増援体制の充実や現場到着時間の短縮など住民サービスの向上が図られること、現場要員の増強や予防業務、救急業務の高度化など人員配置の効率化と充実がなされること、高度な消防設備、施設等の整備や適切な人事ローテーションによる組織の活性化など消防体制の基盤の強化が図れることなどが挙げられます。 平成二十年八月に策定された本県の消防広域化推進計画では、現在、十三ある県内消防本部を広域化ブロックとして県下一消防本部を目指すとされていますが、広域化対象市町村の基準とされる人口十万人未満の小規模消防本部解消についても実現がしておらず、消防本部の統合は道半ばという状況です。 さらに、本県においては、勝浦町、上勝町及び佐那河内村における非常備三町村の解消も重要な課題であると思います。 こうした中、全国を見ますと、千葉市などの一部地域では、複数の消防本部が連携して通信指令センターの共同運用を行っている例があります。ソサエティー五・〇の実現に向け、行政を起点とした社会全体のデジタル化に向けた取り組みが進められる中で、千葉県では、平成二十八年五月に、消防庁からの通達によりアナログ無線からデジタル無線への移行がなされています。 通信指令センターの共同運用は、災害情報の一元管理や消防本部間のスムーズな応援が行われるとともに、共同整備によるコストダウンや維持費の削減など大きなメリットがあり、広域化につながる効果的な取り組みではないかと考えます。また、財政面では、共同で整備した場合のコストダウン効果や維持費等の運営経費の削減などが想定されます。 ついては、県下一圏域の消防体制実現を見据え、例えば全県的な通信指令センターの共同運用を目指すなど、県として消防の広域化に向けた取り組みを強化すべきと考えますが、御所見をお伺いします。 次に、外国人留学生の県内定着に向けた取り組みについてお伺いします。 本県においては、生産年齢人口が減少していく中で、企業においては人材の確保が課題となっています。 先般、国においては、不足する人材確保のため、出入国管理及び難民認定法の改正を行い、十四業種において新たな在留資格、特定技能を創設し、経済界の要望に応じ、これまで認めてこなかった単純労働を受け入れするなど、大きくかじが切られたところであり、いよいよ本年四月から、外国人労働者の受け入れが拡大されます。 去る十一月議会代表質問において、我が会派の樫本議員から、人口減少、労働力不足を見据えた外国人材の活用に関する質問があり、これに対し知事から、留学生の受け入れ拡大や県内定着を図るため、県内大学と連携し、入学から就職に至るまでの一体的な支援体制を新たに構築するなどの取り組みにより、ダイバーシティー徳島の実現につなげるとの強い決意の答弁をいただきました。また、今議会の所信表明においても、知事が外国人材の活用に向けた体制整備にしっかりと取り組むと述べられました。 外国人材の活用については、最近では、単に労働力人口の確保というだけではなく、海外事業の展開のためにASEAN諸国から本県に留学している学生を社員として採用したいと希望する企業もあります。 雇用のアンバランスや雇用の硬直化の是正に向けた外国人材の活用が有効に機能するかどうかについては、究極的には経営者の力量や判断力の有無に委ねられているとも言えると思います。 留学生の現状を見てみますと、二〇〇八年、国において留学生三十万人計画が策定され、全国的には留学生は増加している中、同様に県内高等教育機関の外国人留学生も増加傾向にあり、昨年十月一日現在、中国を初めベトナム、台湾などアジアを中心に四十一カ国出身の四百三十八名の学生が県内に在籍しています。 大学別では、徳島大学が二百六十七名と半数以上を占めていますが、うち百四十名は中国からの留学生です。また、鳴門教育大学五十八名、徳島文理大学五十二名、四国大学四十一名などとなっており、近年はおおむね増加傾向にあるようです。一方、平成二十九年度に県内大学を卒業した留学生は六十七名で、うち県内に就職されている方は数名程度しかいないと伺っています。 私としては、今後、優秀な留学生を本県高等教育機関に勧誘し、専門人材として養成後、県内定着に誘導していくプロセスが重要であると考えます。 ついては、深刻な人手不足が続く本県における多様な人材の活用として、また県内企業の海外展開においても活躍し、本県経済の好循環にも貢献いただけるよう、今後、県内で学ぶ外国人留学生を本県定着に導くため具体的にどう取り組んでいくのか、お伺いします。 次に、統計データに基づく行政の推進についてお伺いします。 皆さん実感していることと思いますが、今や私たちの暮らしはパソコンやスマホなしでは考えられない、そんな世の中となっています。インターネット環境さえあれば、アマゾン、楽天などのネットで注文ができ、自宅の玄関まで届けてくれます。そんな時代を迎え、こうした技術は日進月歩、目まぐるしい速さで進化を遂げています。 いわゆるネット社会を迎えた今日、さらに技術は革新を続け、家電機器、自動車など世界中のあらゆるものがインターネットにつながる豊かな社会が既に現実のものとなろうとしています。そのネット社会で鍵を握るのはデータの活用であり、国の未来投資戦略二〇一八においても、二十一世紀の社会ではデータ自体が極めて重要な価値を有し、事業の優劣を決するものと言っています。 そんな技術革新が進む情報化社会においては、行政の分野でも新しい社会にふさわしい自治体への転換、すなわち革新的技術を効率的に活用した業務の効率化や施策の企画立案、政策判断においてもビッグデータを効果的に活用した取り組みが必要ではないかと感じています。 これからどうしても縮小せざるを得ない私たちの社会の中で、オープンに情報流通を促していくことは重要なテーマとなります。県が保有している統計データは社会的な基盤であり、社会資本の一つあるいは社会的な公共の資源であり、地域社会が自律的に課題を解決していくための有効な手段です。 こうした中、県においてはさきの十一月定例会において、EBPMの導入に向けて取り組むとの方針を打ち出されました。EBPMとはエビデンス・ベースト・ポリシー・メーキング、統計データを活用した証拠に基づく政策立案のことです。これからの新しいデータ社会にふさわしい行政のあり方を希求する挑戦として期待を寄せるところであり、そのための人材の育成も欠かすことができない視点だと思います。 また、関西広域連合の一員でもある和歌山県は、データ利活用推進センターを設立し、総務省統計局、独立行政法人統計センターと連携してデータの利活用や統計的思考の重要性を全国に発信しており、本県としても、総務省や関西自治体とのパイプや人脈を生かしつつ、統計データを活用しやすい環境づくりにこれまで以上に積極的に取り組むべきではないかと考えます。 そこで、統計データを活用した証拠に基づく政策立案を推進するため、どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。 次に、訪問看護の充実についてであります。 国においては、二〇二五年を目指し、可能な限り自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域包括ケアシステムの構築を進めています。 県においては、疾病構造の変化や在宅医療のニーズの増加と多様化の傾向を踏まえ、診療所の在宅医療機能を強化するとともに、訪問看護支援センターを核とした夜間緊急時の二十四時間三百六十五日サービスが提供できる体制の整備や在宅医療、介護のチームリーダーとなる幅広い知識を有するかかりつけ医の養成などに積極的に取り組んでいると伺っています。 訪問看護については、第七次徳島県保健医療計画によると、今後、二十四時間対応ができる体制整備とともに、看護職員の確保や育成のほか、訪問看護事業所や看護師の不足している県南部、県西部における訪問看護事業所の機能強化などをより一層推進する必要があるとされています。 地元の県西部の山間部では、地域の方々が十分な在宅医療、介護を受けたいとなったとき、在宅では満足できるサービスを受けられないため、地元を離れる方もいると聞いています。県人口の減少、中でも県西部や県南部の高齢者数は来年度より減少に転じると推計されている一方において、働き方改革が叫ばれる中、看護師の方々も安全で安心して業務が遂行できるよう、サービスを提供する側、受ける側、両者の人口減少にも対応できる新たな仕組みやルールづくりが求められます。 このような中、先日、看護関係者が集まる会議に出席し、育児休業からの復職支援などの処遇改善について意見を聞かせていただきました。その中でも、僻地での訪問看護についての意見が出されており、たとえひとり暮らしで要介護状態になったとしても住みなれた地域で自分らしく暮らすためには、在宅医療が不可欠で、訪問看護を充実させることが喫緊の課題であると感じました。 県内における訪問看護ステーションの状況を見てみますと、第七次徳島県保健医療計画によると、訪問看護ステーション数が東部圏域に六十三カ所であるのに対し、南部圏域が十一カ所、西部圏域が七カ所となっており、事業所の地域偏在が見られます。また、訪問看護を実施する病院、診療所数についても、東部が十八カ所であるのに対し南部が一カ所、西部が三カ所にとどまっており、同様の傾向があります。 訪問看護は、医療的なケアを必要とする子供から在宅療養を必要とするお年寄りまで、生活の場で看護を提供するため、県内のどこでも必要なときに適切な訪問看護を受けられる体制が必要です。 そこで、県民が住みなれた地域で安心して暮らしていくため、県として在宅療養を支える訪問看護の充実に今後どう取り組んでいくのか、お伺いします。 次に、本県工業関係の公設試験研究機関である県立工業技術センターの成果と今後の方向性についてお伺いします。 二〇一五年度の名目県内総生産のデータを見てみますと、産業別では製造業が全体の二七・八%を占め、最も高い割合となっています。 また、本県には進取の気質の県民性や脈々と受け継がれた伝統に支えられたすぐれた技術を有するものづくり企業や世界で高いシェアを誇る企業が多数存在し、こうした企業を含む製造業の頑張りが本県の経済を牽引してきたと言っても過言ではありません。 一方で、規模的には中小零細が多く、新たな技術や製品の開発、新分野への事業展開に打って出ようという思いやアイデアがあっても、それを開発するために必要な研究設備の整備や人材の確保が課題となっているところです。 こうした状況において、工業技術センターでは、試験研究機器、施設の開放や共同研究の実施等、県内ものづくり企業にとって心強い支えとなっています。当センターでは、徳島発のイノベーションを推進するため、LED、ロボット、エネルギー、フードなど、幅広い分野において技術的課題の解決に向けた取り組みを進めていると伺っています。 平成二十六年二月定例会において、私からの本県ものづくり企業における新たな成長ツールであるCFRPを活用した製品技術開発に対する支援についての質問に対し、産学官連携による効果的な取り組みを進めたいとの御答弁をいただきましたが、その後の状況についても興味を持っています。 第四次産業革命など工業を取り巻く環境が変化し、既存の価値観からの脱却が求められる現在において、科学技術の力で産業競争力の強化と社会的課題の解決を実現していく上で、当センターの存在意義がますます高まり、時代の流れに即した役割を果たしていくべきであるものと考えております。 ついては、本県ものづくり産業の活性化に向けて、工業技術センターにおけるこれまでの成果と今後の取り組みについて御所見をお伺いいたします。 御答弁をいただきましてコメントに移らせていただきます。   (飯泉知事登壇) ◎知事(飯泉嘉門君) 元木議員の御質問に順次お答えさせていただきます。 まず、将来の消防広域化につなげるため、今後、どのように取り組んでいくのか、御質問いただいております。 近年、高齢化の進行による救急需要の増大や大規模災害時の的確な初動対応など消防に対するニーズが複雑化、多様化する一方で、人口減少に伴う財政的な制約が懸念されているところであります。 こうした課題に対応し、県民の生命、財産を守る消防体制のさらなる強化を図るためには、消防広域化は有効な手段である、このように認識するところであります。 このため、県におきましては、今年度、市町村や消防本部のほか有識者から成る検討委員会を設置し、消防広域化の方向性をお示しする徳島県消防広域化推進計画の見直しを進めてまいりました。 検討の過程におきましては、消防本部の規模は大きいほうが望ましい、連携・協力からでも進めるべき、地域の実情を十分に考慮する必要があるなどの御意見をいただき、推進計画改定案の見直しの柱として県内一消防本部を掲げつつ、方面本部を見据えた五ブロックにおきまして、まずは連携・協力や非常備の解消など、段階的な広域化に取り組みますとともに、将来の消防広域化につながる通信指令センターの一本化を盛り込んだところであります。 議員お話しのとおり、通信指令センターの共同運用は、ハード整備と維持管理のコスト縮減、通信指令員の集約による現場要員の増強、大規模災害時の一元的な情報収集や部隊運用など大きな効果が期待されるところであります。 このため、県におきましては、通信指令センターの一本化に向けまして、現状の分析やメリット、デメリットの提示など、市町村や消防本部が具体的な議論を開始することができますよう、しっかりと調整役を果たしてまいります。 今後とも、県が積極的にリーダーシップを発揮することによりまして、市町村が目指す消防広域化を推進し、県民の皆様方の安全・安心の確保に全力で取り組んでまいる所存であります。 次に、外国人留学生の県内定着に向けた取り組みについて御質問をいただいております。 少子高齢化による生産年齢人口の減少や経済グローバル化が進展する中、専門的な知識や技能を持つ外国人留学生の県内定着の促進は、不足する高度人材の確保はもとより、県内企業の海外展開、インバウンド受け入れなど幅広い分野での活躍が期待でき、地域経済の発展にとりまして大変有意義な方策であると、このように認識いたしております。 そのため、徳島で学ぶ留学生の皆さんをしっかりと呼び込みますとともに、卒業後も徳島で働く外国人をふやすよう、大学等高等教育機関、産業界、県が一体となりまして、留学生受け入れと県内定着支援の体制強化を図ってまいります。 具体的に少し申し上げますと、来年度、産学官による留学生共同サポートセンターを設置いたしまして、日本留学フェアでの発信強化や留学生向けオープンキャンパスの開催など、将来地元経済の担い手となる留学生の受け入れ拡大に積極的に取り組みますとともに、卒業後の県内定着を見据え、徳島での暮らしから卒業後の県内就職までの総合的な支援体制の整備に取り組んでまいります。 特に、就職支援に当たりましては、留学生にとりまして日本での就職活動の仕組みや県内企業情報についての知識が不十分という課題がありますことから、就職において必要となる在留資格の変更や日本特有の採用慣行、ビジネスマナーについて学ぶ実践的なセミナーを開催いたしますとともに、県内企業との相互理解を図ります交流会、特色や魅力を体感することのできる企業見学バスツアーの開催など、留学生と県内企業の出会いの機会を積極的に創出いたしてまいります。 また、企業とのマッチングに向けまして、採用を希望する企業によります合同企業説明会を開催するとともに、会場にはサポートデスクも設置いたしまして留学生に寄り添った支援を行うことといたしております。 一方、企業に向けましては、外国人採用の留意点を学ぶノウハウセミナーを開催し、企業の一員として円滑に受け入れる環境整備につきまして、きめ細やかな支援を行ってまいります。 今後とも、来るべき多文化共生社会を見据え、徳島の未来をともに開くとの期待を込め、住むなら徳島、働くなら徳島と選ばれるよう、外国人材の活躍に向けた環境整備にしっかりと取り組んでまいります。 次に、統計データを活用した証拠に基づく政策立案を推進するためどのように取り組んでいくのか、御質問をいただいております。 世界では、ICT機器の爆発的な普及や第四次産業革命、IoT、ビッグデータ、AIなどの実装が進む中、米国や中国などの有力企業を中心にデジタル時代の源泉であるデータを活用した付加価値の高い新たなイノベーションが生まれているところであります。 我が国においても、データが人を豊かにする社会の実現に向けた世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画におきまして、データを積極的に活用して証拠に基づく政策立案を推進する必要が強く打ち出されているところであります。 証拠に基づく政策立案、つまりEBPM、議員からもお話がありましたエビデンス・ベースト・ポリシー・メーキングとは、政策目的の明確化、その目的達成のための効果的な行政手段の選択といった政策の基本的な枠組みを統計データなどの客観的な証拠に基づいて明確にする手法であります。 急速に進行するデータ社会にあって、限られた予算、人材の有効活用、さらには県民の皆様に質の高い行政サービスを提供していく上で、今後、その重要性は高まるものと認識いたしております。 そこで、本県では、国からモデル事業の指定を受けた全国四府県の一つとして、昨年四月、政府関係機関の地方移転によりまして和歌山県に開設されました総務省統計データ利活用センターと連携し、あらゆる施策の基盤となる人口移動をテーマとし、データ分析による政策立案のモデル研究に着手いたしたところであります。 具体的に申し上げますと、去る二月十五日、徳島大学情報センター、データ分析の専門家、県職員によりますEBPM研究会を立ち上げ、本県における人口移動調査結果をもとに、従業地、仕事の種類、過去の居住地など、国勢調査から相関の強いデータを抽出し、その因果関係について分析、検証を行うなど、データ分析に係るノウハウの蓄積を進めているところであります。 その上で、来年度におきましては、人口移動データに県内事業者の県外での経済活動データを組み合わせ、人口移動と経済活動の相関関係を明らかにするなど、分析手法のレベルアップを目指してまいります。 また、こうした研究会で培ったノウハウをベースに、より多くの県職員、さらには市町村職員の皆様方に対し、データ活用能力の向上を図ってまいります。 今後は、本県のデータ活用基盤の強化や人材育成に努めまして、データの世紀と言われる二十一世紀におきまして新たな行政手法を徳島が先導するんだとの気概を持ってしっかりと取り組みを進めてまいる所存であります。   (後藤田副知事登壇) ◎副知事(後藤田博君) 元木議員より幾つか質問いただいております。順次お答えさせていただきます。 まず、在宅療養を支える訪問看護の充実に、今後どのように取り組んでいくのかとの御質問でございます。 本県では、全国に先んじて二〇二〇年に高齢者人口がピークを迎える中、地域包括ケアシステムの深化が求められており、医療と介護の橋渡し役となる訪問看護の充実は必要不可欠であります。 そのため、県におきましては、徳島県訪問看護支援センターを核とした訪問看護師の人材育成やICTを活用した迅速な情報共有による多職種連携など、訪問看護提供体制の確保に積極的に取り組んでいるところであります。 とりわけ僻地における訪問看護につきましては、訪問先までの距離が遠く事業所の負担が大きいことから、徳島県看護協会と連携いたしまして、訪問看護ステーション阿南が那賀町や勝浦町、上勝町に訪問看護を展開するサテライト南部モデルや、訪問看護ステーション半田と三好市の診療所等が連携し祖谷地区など山間地域の訪問看護を提供するサテライト西部モデルなどの取り組みを推進しております。 これらの取り組みに加えまして、今後は、引き続き高齢者人口が増加していく東部圏域においても訪問看護の需要が一層高まってくると見込まれることから、こうした地域の訪問看護提供体制のあり方を検討していくとともに、病院から在宅への円滑な移行を図るため、病院の看護師が訪問看護師の経験を積むことによりまして、在宅療養を見据えた切れ目のない退院指導ができる体制づくりを進めてまいります。 さらに、終末期の生活の質を高めるターミナルケアや二十四時間対応が可能となる機能強化型訪問看護ステーションの充実を初め、安定的に質の高い看護が提供できる体制を目指してまいります。 今後とも、県看護協会等と緊密に連携いたしまして、ニーズに応じた訪問看護を受けられる体制の充実強化を図ることで、県民が県内どこでもひとしく住みなれた地域で安心・安全に暮らすことができるように、全力で取り組んでまいります。 次に、工業技術センターにおけるこれまでの成果と今後の取り組みについての御質問をいただいております。 工業技術センターにおきましては、本県ものづくり企業の技術支援拠点として新製品、新技術の開発へつながる共同研究や試験分析、また試験研究機器の利用などについて、これまで積極的に取り組んできたところであります。 特に、LED分野では、平成二十五年度に、LEDサポートセンターを設置いたしまして、国内最大級の光学性能評価装置を初めとするLED応用製品の評価体制を構築し、新製品開発を支援しております。 その成果といたしましては、国内公設試験研究機関で初となりますISOに基づくLED測光試験所の認定取得を初めとして、県内全域をカバーする歩行者信号機用LED電球や食品技術とLED技術を融合した全国初のLED夢酵母による日本酒など、県内企業の数多くの商品化につなげてきたところであります。 また、新素材分野では、平成二十九年度に高機能素材活用支援施設を整備いたしまして、成形加工から品質評価まで一貫した支援を行うことにより、炭素繊維強化プラスチックと金属材料を接合する自動車用部品や木質材料を複合加工した軽量化椅子など、産学官連携により、県内企業への技術移転を促進してきたところであります。 一方、国際的に技術開発のスピードが加速している中で、企業ニーズと技術シーズのマッチングや新しい技術を活用する人材養成が重要であると認識いたしております。 そこで、さきに採択されました地方大学地域産業創生事業において、徳島大学と緊密に連携いたしまして、産学官共同研究拠点として、次世代LED応用製品の開発や人材育成を通じ、次世代光関連産業の創出を目指すこととしております。 今後とも、第四次産業革命や将来のソサエティー五・〇を見据え、これまでの研究成果を一層進化させるとともに、本県ものづくり企業への物心両面による技術支援機能をさらに強化し、未来の徳島ものづくりをしっかりと支援してまいります。   (元木議員登壇)
    ◆十三番(元木章生君) それぞれ御答弁をいただきました。 まず、消防本部の広域化については、まず県内五ブロックにおいて段階的な広域化を推進していくとともに、県全域での通信指令センターの一本化に向けた取り組みを進めるとの力強い御答弁をいただきました。 国立社会保障・人口問題研究所の推計によりますと、二〇四〇年における本県人口は五十七万四千四百七十四人となっており、道路等の社会インフラ整備の進捗についての将来見通しや各市町村の実情並びに消防常備化の経過等を踏まえつつ、長期的な展望のもと、計画的な取り組みを期待します。 外国人留学生の県内定着に向けた取り組みについては、受け入れ拡大に向け、総合的な支援体制の整備や企業との出会いの機会の創出、受け入れ環境の整備等、留学生に寄り添った支援を進めていただくとの御答弁をいただきました。 外国人労働者を雇用する企業は、高価な日本人労働者を安価な外国人労働者に置きかえるのではないということを経営者の方々にも御認識いただく必要があろうかと思います。 外国人材の受け入れに当たっては、県民生活にプラスとなるよう、ターゲットとなる国や業種を定めつつ、選択と集中による効果的な就職支援を進めるとともに、例えば外国人向けの日本語教育を充実させるなど、県内でお住まいになられる御家族の方々に対するきめ細かい福祉や教育サービスを提供するための制度を整え、県民との共生や徳島の魅力アップに向けたさらなる施策に対し、効果的な予算措置を講じることで、県政が抱えるさまざまな課題の解決につなげていただきたいと思います。 統計データの活用によるEBPMについては、分析手法のレベルアップや県、また市町村職員のデータ活用能力の向上とともに、データ活用基盤の強化などの推進の御答弁をいただきました。 また、人口移動と経済の相関関係についても分析していただけるというお話をいただきましたが、県民の県内外における消費エリア、県外からの消費の呼び込みの実態などについての統計分析をしっかりと行い、地元雇用の充実や購買力アップなどに生かしていただきたいと思います。 自治体独自の政策形成能力の向上が求められる中、各事業部局におかれては、これまで以上に統計を有効に活用していただきたいと思います。 行政の強みは、各分野における情報量の多さですが、統計データの精度とともに、どの統計を採用し公に発信していくかによって政策の方向性は大きく変わる場合がございます。事なかれ主義や前例主義にとらわれる余り、県民にとって好ましくない統計データの公表をしない、あるいは公表を先送りすることにより問題を悪化させることのないよう、国の統計や県の独自統計データ情報を生かしながら、EBPMサイクルの定着により県の各施策形成の充実につながることを期待いたします。 訪問看護の充実については、これまでの取り組みに加え、病院の看護師が訪問看護の経験を積み、退院指導ができる体制づくりとともに、機能強化型訪問看護ステーションの充実を進める旨の御答弁をいただきました。 民間病院や市町村、看護協会等との緊密な連携のもと、県内全域にわたって適切な訪問看護サービスを受けられるよう、過疎地で働かれる看護師の方々の処遇改善に向けた取り組みとともに、各圏域ごとに在宅診療所、訪問介護、訪問歯科診療、訪問薬剤管理指導、訪問リハビリのサービスステーションを加えた在宅ケア拠点を設け、地域包括ケアシステムを担うそれぞれの主体との連携のもと、医療分野を初めとした課題解決に向けた取り組みを強化していただきたいと思います。 一方で、在宅でのみとり対策も重要で、在宅療養を続けていても、みとりに対する不安などによりみとり時に再入院し医療機関で亡くなる場合もあることから、患者家族に対し、終末期にあらわれる症状やその対応などについて必要な時期に具体的な情報提供を行い、患者家族の心理的、社会的不安を取り除く必要もございます。 本人の意思に反した医療が行われることのないよう、人生の最終段階に関する情報提供やふだんから考える機会や本人の意思を共有する環境の整備の必要もございます。また、宗教による死生観の違いを超えて、訪問看護師が安心して働ける環境づくりも大切です。 さらに、介護分野におけるアクティブシニアや外国人の活用が求められる中、看護分野においても、高齢看護師や外国人がそれぞれの強みを生かしながら現役世代の方々とともに働き続けることのできる環境づくりについても、病院局などとの連携のもと進めていただきたいと思います。 工業技術センターの取り組みについては、歩行者信号機用LED電球やLED夢酵母による日本酒などの成果を残したことや、今後、これまでの研究成果を進化させ、技術支援機能を強化するなどの御答弁をいただきました。 人類史の中で産業革命の飽和、人工物の飽和、長寿化という世界の転換期を迎え、当センターにおいては、これまでの足跡を振り返りつつ県内産業が持続可能で息の長い成長を遂げるためのさらなる機能発揮を期待します。 それでは、質問に移ります。 世界農業遺産の取り組みについてお伺いします。 にし阿波の傾斜地農業が、国連食糧農業機関から世界農業遺産の認定をいただいて約一年が経過いたしました。この認定で、にし阿波地域は観光庁のにし阿波観光圏、農林水産省の食と農の景勝地とあわせてトリプル認定となったところでございます。 世界で二十一カ国五十七地域、日本では十一地域のみが認定されており、傾斜地農業に携わってきた方々に誇りと自信をもたらすとともに、世界からのスタディーツアーや観光誘客を通じた県西部の活性化が期待できるものと考えています。 徳島県西部の山間部では、場所によっては斜度四十度にもなる急傾斜地で段々畑のような水平面を形成せずに傾斜地のまま農耕し、雨風などで起こる土の流出を草地で採取した敷き草を畑にすき込むことで最小限に抑え、ソバ、アワ、タカキビなどの雑穀や伝統野菜に山菜、果樹など少量多品目の作物の栽培を組み合わせる複合経営により、先祖代々山間地の環境に適応してきました。 四百年以上にもわたりこの農耕システムが継承されてきたことにより、採草地の多様な動植物や焼き畑農法の流れをくむ日本の原風景とも言える山村景観、保存食への加工や食文化、そして農耕にまつわる伝統行事なども人々の手で守られ、継承されています。 地元の三加茂中学校においては、農業者みずから傾斜地農業について生徒に教える出前授業を行い、実際に使用している農具を紹介するなどの活動を行われました。 また、インドなど海外からの視察や訪問客も増加していることから、東みよし町法市地区では、洗練されたパッケージデザインでの干し芋を販売し、地元の休校地を活用した地域振興に取り組んでおられる住民団体は野草を使った料理の研究を始めるなど、地域資源を活用した雇用創出に向けてのさまざまな動きが出てきています。 最近では、傾斜地を生かして肥料を使わない阿波藍の栽培が始められるなど、本県ならではの特徴を生かしたブランド農産品の開発に向けた取り組みも注目されています。 世界農業遺産認定に伴うさまざまな取り組みが、国内外の食の格差解消や中山間地域で農業を営んでおられる方々の生きがいなど、地域にメリットをもたらすものとして前へと進めていく必要があります。 こうしたメリットを最大限生かし、国内外への魅力発信を推進するとともに、農業、観光、食の連携や六次産業化など関係者にも参画していただいて、地域ブランドを確立することで農家所得の向上など持続的な活力向上や地域経済の活性化につなげてほしいと思います。 そこで、にし阿波の人々に世界農業遺産の認定を受けてよかったと実感してもらうため、今後どのように取り組んでいくのか、お伺いします。 次に、家畜伝染病の発生に備えた防疫対策についてお伺いします。 最近の畜産業を取り巻く経済、社会情勢につきましては、皆様も御承知のとおり、昨年十二月末に発効されましたTPP11、また今月一日に発効された日欧EPAにより、安価な畜産物の輸入増加が懸念されるなど、厳しい国際競争に立ち向かう新たな局面を迎えております。 一方で、安全な本県畜産物を海外に輸出する絶好の好機でもあり、我が会派でも、畜産振興議員連盟と畜産関係団体との意見交換会などの取り組みを通じ、グローバル化に向けた畜産振興や家畜伝染病対策などについて勉強会を重ねるなど、これまで本県畜産業の課題の把握に努めてまいりました。 今後、本県畜産業の競争力を強化し、魅力のある産業へと成長させていくためには、生産基盤の強化が必要でありますが、その生産基盤そのものを脅かす家畜伝染病の発生は危惧すべき危機事象であり、この対策を強化していかなければなりません。 また、昨年九月、国内では二十六年ぶりに岐阜県で豚コレラが発生するとともに、今月六日には、愛知県の養豚場のほか同農場から出荷された豚により大阪府、長野県において感染が拡大しており、終息に至っていない深刻な状況が続いています。 農林水産省によると、本日も、岐阜県の養豚農場において豚コレラの疑似患畜が確認されました。特に、岐阜県や愛知県では、養豚場以外でも野生イノシシから多くの感染事例が確認されており、家畜伝染病の発生には野生動物の関与している可能性が指摘されています。 しかしながら、国内の家畜伝染病の発生状況を見てみますと、昨年一月、香川県において、四国では初めて高病原性鳥インフルエンザが発生し、本県の一部が搬出制限区域に含まれるなど、これまでにない危機事象に対し、野鳥やネズミなどの野生鳥獣対策が重要であります。 本県の畜産業は、阿波尾鶏、阿波牛や阿波とん豚といった畜産ブランドを有するなど、本県の基幹産業の一つであり、食肉の処理、加工等の関連産業も含めますと、地域の雇用の場を創出するなど、地域経済の活性化に貢献しているところであります。 今回の騒ぎで、豚肉を初め畜産ブランド全体に対する消費行動に負の影響を与えることも懸念されます。それだけに、一たび高病原性鳥インフルエンザや豚コレラなどの家畜伝染病が発生すれば、本県畜産農家の経営に支障を来すばかりでなく、地域経済にも大きな影響を及ぼすことにより、さらなる家畜伝染病の防疫対策の強化は、今後、取り組むべき課題であると考えています。 そこで、県では、豚コレラや高病原性鳥インフルエンザなど家畜伝染病の防疫対策、また生産農場の衛生対策について、今後どのような対策を講じていくのか、御所見をお伺いします。 最後に、学校や家庭、地域におけるエシカル消費の推進についてお伺いします。 昨日の報道によりますと、県教育委員会では、来年度、全国各地の高校生が学校での取り組み事例や今後の展望などを発表するエシカル甲子園を全国で初めて本県で開催するとのことであります。 現在、よりよい社会の実現に向けて、人が社会、環境に配慮した消費行動であるエシカル消費に期待が寄せられています。 昨年の秋に、消費者市民社会の構築に関する条例が議員提案で全会一致で可決されました。 エシカル消費の発祥地はイギリスで、一九八九年、マンチェスター大学の学生らが消費者の消費の力で社会変革を起こすことを目的に始まりました。企業、サービスのエシカル度を測定する基準エシスコアをつくり、環境、動物、人権、反社会勢力支援の有無、持続可能性の分野で得点をつけました。これをもとに、ヨーロッパを中心にエシカル消費の運動は、ボイコット、調査、エシカルな企業との連携、認証ラベル、ランキングの五段階で発展しました。 倫理的消費の意義としては、社会的に求められる課題に対して消費者が消費行動を通じてこれまで以上に取り組みを応援し、課題の解決に貢献することは、消費者が社会的責任を果たし消費者主権を確立すること。消費者が商品、サービスを選択する際に、安全・安心、品質、価格といった既存の尺度だけでなく、倫理的消費という第四尺度が提供されること。そして、個々の消費者による具体的な行動が消費者市民社会の形成に寄与することなどが挙げられています。 県内においても、地方からエシカルについて発信することの意義やエシカルなビジネスを行う上で克服すべき点や倫理的消費の動きを広めるために重要な方策について、議論がなされています。 学校におけるエシカル消費に関する学習の目的は、子供たちが、貧困、人権、気候変動といった世界的課題への関心を高め、フェアトレードを筆頭にオーガニックや地産地消、障がい者の支援につながる商品、応援消費、伝統工芸、動物福祉、寄附つき商品、リサイクル、アップサイクル、エシカル金融などの幅広い消費の形についての知識の習得や消費を通じた社会貢献への意欲を高めることであると考えます。 こうした中、高等学校でのエシカルクラブの設置促進を初め、持続可能な社会の実現のため、エシカル消費に関する若者の先進的な学習を進める徳島県の教育が注目を集めています。特に、吉野川高校では、フェアトレードコーヒーやオーガニックバナナをメニューに取り入れたエシカルカフェを開催するなど、全国の先駆けとなる教育活動を実践しています。 また、学校での取り組みにとどまらず、家庭や地域におけるエシカル消費の普及啓発の取り組みも重要です。 そこで、今後、学校や家庭、地域でのエシカル消費の推進にどのように取り組むのか、御所見をお伺いします。 御答弁をいただきまして、まとめに入ります。   (福井政策監登壇) ◎政策監(福井廣祐君) 幾つか御質問をいただいております。 まず、世界農業遺産の認定を受けてよかったと実感してもらうための取り組みについてでございます。 本年度は、認定後、間髪を入れず首都圏の情報誌やウエブ出版社などを対象としたプレスツアーを行い、国内外に広く情報発信するとともに、感性が高い影響力のある方々をターゲットとした明治大学でのシンポジウム、ターンテーブルでのレセプションを実施し、傾斜地集落の自然と共生した持続可能な暮らしや食文化、農耕技術の魅力を丁寧に発信してまいりました。 これらにより、視察に訪れた方は昨年の三倍以上にふえ、中でも焼き畑農業からの脱却を目指すインド・ミゾラム州の政府視察団のほか、十五の国と地域から若者が体験、交流に訪れるなど、海外からも大きな注目を集めております。 また、地元を改めて認識してもらうため、管内の小中高校への出前授業や地域に住む方々に対するスタディーツアーを実施したところ、美馬青年会議所がみずから世界農業遺産の認定エリアであることをPRするのぼりを沿道に設置したり、地元事業者が傾斜地の茶葉を使ったお菓子の開発に取り組むなど、新たな動きが始まりました。 来年度は、認定二年目となる飛躍の年であり、世界農業遺産の魅力を高画質映像を活用し広く世界へ発信するとともに、東アジア、インドなどの食糧危機問題政府関係者や国際ワークキャンプ等の受け入れを進めてまいります。 また、新たに発足する世界農業遺産ブランドを活用した六次化認証商品の開発、販売促進や道の駅での野菜ソムリエによる料理と食材のPRを展開いたします。 さらには、農業文化や食文化のすばらしさを宿泊者に伝えるため、農家民宿を対象とした食や体験メニューに関する研修会の開催や施設みずからが雑穀やごうしゅいもなどを栽培し、伝統的な食事を提供していく仕組みづくりを進めてまいります。 今後とも、徳島剣山世界農業遺産推進協議会と連携し、世界が認めた徳島の宝である傾斜地農業をしっかりと守り育て、認定の潤いを実感していただけるよう、地域の皆様とともに果敢に取り組んでまいります。 次に、家畜伝染病の発生に備えた防疫対策についての御質問でございますが、徳島のリーディングブランドの一つである阿波尾鶏を初め阿波牛、阿波とん豚を有する本県畜産業は、農業産出額の約三割を占める基幹産業であります。 しかしながら、高病原性鳥インフルエンザや豚コレラなど重大な家畜伝染病が一たび発生いたしますと、畜産関連産業のみならず、県民生活を初め地域経済にも大きな影響を及ぼすこととなります。 そこで、さらなる家畜伝染病対策の充実強化を図るため、今年度の九月補正予算を活用し、全国初となる泡殺鳥機や正確で迅速な診断を可能とする検査機器等を整備してきたところであります。 さらに、一般社団法人徳島県トラック協会を初め新たに四団体との間で防疫活動に係る支援協定の締結を行うとともに、昨年十月には、中国四国地域で初となる移動式焼却炉による防疫演習を開催するなど、家畜伝染病の発生に備え、さまざまな対策を講じてきたところであります。 一方、中国においては豚コレラ以上に脅威となるアフリカ豚コレラが蔓延しており、我が国への侵入を防ぐ検疫の強化とともに、農場や車両の消毒など飼養衛生管理基準の遵守が重要とされ、県といたしましてもこれまで以上に畜産農家に対する指導をきめ細やかに取り組んでいるところであります。 加えて、議員お話しのとおり、岐阜県、愛知県では、多くの野生イノシシから豚コレラウイルスが確認され、野生鳥獣の対策を強化することが極めて重要であると、このように考えております。 このため、本県では野鳥の高病原性鳥インフルエンザの検査や昨年九月からは死亡した野生イノシシの豚コレラ検査を実施するなど、野生鳥獣への対策を強化しているところであります。 さらに、来年度は野生鳥獣の侵入防止対策の充実強化を図るとともに、新たに農場の実態調査を進めることにより、具体的な病原体侵入メカニズムを解明し、具体的な防疫対策を実装していくことといたしております。 また、これらの成果を野生鳥獣対策マニュアルとして取りまとめ、県の家畜防疫員、生産者、民間獣医師など関係者間の情報共有、連携を図りながら、家畜伝染病の対策強化に努めてまいります。 今後とも、発生させない、持ち込ませないとの強い気概のもと、豚コレラや高病原性鳥インフルエンザなどの家畜伝染病の発生に備え、引き続き万全の対策を講じてまいります。   (美馬教育長登壇) ◎教育長(美馬持仁君) 学校や家庭、地域でのエシカル消費のさらなる推進にどのように取り組むのかとの御質問でございますが、エシカル消費の推進は自立した消費者として主体的に消費者市民社会を形成していく上で極めて重要であると認識しております。 本県では、平成二十五年度から、幼稚園、小学校、中学校、高等学校を対象に、消費者教育の研究指定校を設け、発達段階に応じた地域の資源を活用した体験活動、食や環境の専門家派遣などを通じ、エシカル消費につながる取り組みを行ってまいりました。 平成二十九年度からは、高等学校においてエシカル消費リーディングスクールを指定し、県内の高校をリードする活動に取り組むとともに、来年度中に県内全ての公立高校においてエシカルクラブを設置し、学校の特色に応じたさまざまな取り組みを行うこととしております。 また、これらの取り組みを発表する場として、昨年七月には、次世代エシカルフェスを本県で開催し、エシカル消費の学習や推進活動に取り組む県内外八校の高校生が集い、意見発表やワークショップによりそれぞれの取り組みの充実を図ってまいりました。 この活動をさらに充実させ、持続可能な社会の形成に向けて全国に広く発信するため、来年度は本県を会場に全国初となるエシカル甲子園(仮称)を開催いたします。 エシカル甲子園(仮称)では、食品ロスの削減を初め、人、環境、社会に配慮した消費行動等の普及に向けた特色ある活動を実践している高校や特別支援学校の中から、全国各ブロックを突破した代表校が本県に集い、高校生が行うプレゼンテーションを審査し、最優秀校を決定いたします。 当日は、その様子を県民の皆様にごらんいただくとともに、その成果を取りまとめ、全国に向けて積極的にエシカル消費を発信してまいります。 さらに、この機を捉えエシカル消費の浸透を加速するには、家庭や地域へのさらなる普及啓発が不可欠であると認識しております。このため、社会教育関係団体との協働により、家庭や地域社会における消費生活の中心である女性の力を最大限に活用し、より多くの県民の皆様にエシカル消費の普及啓発を図っていくため、女性の知恵を生かした普及啓発冊子の作成や普及啓発リーダーの養成、地域密着型の啓発講習会や全国の先駆的な事例を学ぶ講演会の開催、地産地消、食品ロスゼロに取り組む料理講習会の実施など、幅広い世代に向けた取り組みを行ってまいります。 県教育委員会といたしましては、引き続き消費者庁、大学、関係団体等と連携して、自立した消費者の育成を目指し、学校や家庭、地域におけるエシカル消費の推進に全力で取り組んでまいります。   (元木議員登壇) ◆十三番(元木章生君) それぞれ御答弁いただきました。 世界農業遺産については、高画質映像を活用した発信や食糧危機問題政府関係や国際ワークキャンプなどの受け入れ、そして六次化認定商品の開発、道の駅での野菜ソムリエによる料理と食材のPRなどの御答弁をいただきました。 トリプル認定はスポーツで言えば野球のトリプルプレーやサッカーのトリプルハットトリックぐらいすごいことなんだろうなと思っています。トリプル認定をきっかけにして、郷土食そば米雑炊や煮崩れしにくいごうしゅいも、鳥獣害対策にも資する阿波地美栄など、にし阿波ならではの伝統食を活用し、一人でも多くの方々に召し上がっていただくことでにし阿波の価値が高まっていくものと考えています。 先日、「LEON」という雑誌ににし阿波の傾斜地農耕システムなどが取り上げられましたが、訪れた副編集長によりますと、この場所でしか味わえないものがこれだけ流通の発達した現代の日本にもあるということがうれしかったということでした。 剪宇自治会で農家を営む八十歳男性や傾斜地農耕専用の農具をつくる最後の一人である男性との出会いなどを通じて、自分がその土地に行って実際に出会うと何だか特別な感じがして、来たかいを感じるとのことでした。 三好昭一郎氏の文献によると、このシステムの歴史は、稲作が日本に伝えられる以前の縄文後期における焼き畑農耕の時代までさかのぼるとされています。剣山系の集落は天空を指す「ソラ」と呼ばれ、頂上部に住む人ほど高貴な人で、頂上部付近から谷沿いへおりてきたなどと言い伝えられてきました。 徳島県の古い呼び名である阿波の語源は、皆様方御承知のとおり、焼き畑で栽培されていたアワであると言われ、にし阿波の雑穀生産は稲作と並ぶ日本古来の農業システムであったそうです。 さらに、平家の落ち人やソロモンの秘宝伝説などを初めとした言い伝えや伝統的な文化行事も行われています。約四百年前にたばこが伝来してから一九七〇年代ごろまで、阿波葉と呼ばれる葉たばこ栽培が集約的に行われ、うだつの町並みをつくる原動力ともなりました。その後、農家や集落の数は減少しましたが、今もなお貴重な品種がつくり継がれています。 このような外部からの御意見や中山間農業の歴史を踏まえ、大きな視点でにし阿波全体を捉え、協議会が一体となり、平たん地域への農業の支援とともに、思い切った支援策を講じていただきたいと思います。 このたびの世界農業遺産認定が、にし阿波の中山間地域全体の再生につながっていくような取り組みを御期待申し上げます。 家畜伝染病対策については、新たに農場の実態調査を進める旨の御答弁をいただきました。 リスクマネジメントの徹底により、発生させない、持ち込ませないための取り組みを期待します。 学校や家庭、地域におけるエシカル消費の推進については、全国イベントや普及啓発に向けた冊子作成やリーダー養成等に取り組むなどの御答弁をいただきました。 新年度においては、目標を定めてこれらの取り組みが進められることになりますが、これらはあくまでも施策の目的ではなく、手段であり、何のためにこの取り組みを進めるのかということについて、高校生や学校、家庭、地域における関係者が真剣に考え、課題認識を共有することが大切であります。 ほかのことに予算を使ったほうが効果的であることも十分にあり得ますので、施策推進に向けた手法についても多角的な視点で分析していただきたいと思います。 それでは、まとめに入ります。 新しい年度は、十二年に一度の統一地方選挙と参議院議員選挙が同時に行われる年でもありますが、本年は改元や消費増税、ラグビーワールドカップへの対応等も相まって、これからの県政にとって重要な一年となります。 このような時代の大きな転換点において、去る十二月議会において知事は、次期知事選挙への出馬を表明し、知事選に初めて挑戦するとの気概を持ってチャレンジャーとして戦い抜いてまいる決意であると、この壇上で述べておられます。 先ほどは「LEON」の話をさせていただきました。昨年の紅白歌合戦では、本県出身歌手米津玄師さんの「Lemon」が鳴門大塚国際美術館で歌われ大ヒットいたしました。そして、県議会の中にもレモンをつくっておられる先生方もいらっしゃるということでございますので、レモンを使った英語のことわざで締めさせていただきたいと思います。 「ウエン・ライフ・ギブズ・ユー・レモンズ、メイク・レモネード」、人生がレモンを与えた場合にはレモネードをつくりなさい。これは、つまりどんな悪い状況からでも何かよいものをつくり出す努力をすべきだという意味でございます。私も常に初心を忘れず、謙虚な気持ちで聞きます、話します、動きますをモットーとし、三つのK、つまり工夫を凝らして、感動、希望のある徳島を、資源が乏しくとも日本や世界の真ん中で輝く徳島をともに力を合わせてつくり上げていきたいと思います。 理事者各位におかれましても、新年度が県政飛躍に向けた新しい種をまく意義深い年となりますよう、なお一層の御尽力を御期待申し上げまして、全ての質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)   ──────────────────────── ○副議長(岩丸正史君) 議事の都合により、休憩いたします。      午後零時三十八分休憩   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━    午後一時四十八分開議      出席議員計三十六名          (その番号・氏名左のとおりである)     一  番     山  西  国  朗 君     二  番     原  井     敬 君     三  番     岩  佐  義  弘 君     四  番     島  田  正  人 君     五  番     眞  貝  浩  司 君     六  番     高  井  美  穂 君     七  番     古  川  広  志 君     八  番     上  村  恭  子 君     九  番     須  見  一  仁 君     十  番     井  川  龍  二 君     十一 番     岡     佑  樹 君     十二 番     中  山  俊  雄 君     十三 番     元  木  章  生 君     十四 番     岡  田  理  絵 君     十五 番     南     恒  生 君     十六 番     長  池  文  武 君     十七 番     達  田  良  子 君     十八 番     山  田     豊 君     十九 番     丸  若  祐  二 君     二十 番     岩  丸  正  史 君     二十一番     寺  井  正  邇 君     二十二番     喜  多  宏  思 君     二十三番     木  下     功 君     二十四番     重  清  佳  之 君     二十五番     木  南  征  美 君     二十六番     黒  崎     章 君     二十八番     川  端  正  義 君     二十九番     嘉  見  博  之 君     三十 番     岡  本  富  治 君     三十一番     樫  本     孝 君     三十二番     杉  本  直  樹 君     三十三番     西  沢  貴  朗 君     三十四番     来  代  正  文 君     三十五番     臼  木  春  夫 君     三十六番     庄  野  昌  彦 君     三十七番     長  尾  哲  見 君   ──────────────────────── ○議長(重清佳之君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 三十五番・臼木春夫君。   (臼木議員登壇) ◆三十五番(臼木春夫君) 新風とくしまの臼木春夫です。 会派を代表し、代表質問をさせていただきます。 初めに、本日は大変お忙しい中、傍聴にこのように多くの皆さんが駆けつけていただき、本当にありがとうございます。心よりお礼を申し上げます。 さて、昨年を振り返りますと、大規模な自然災害が多い年であり、昨年をあらわす一文字が「災」でした。まだまだ復興途中の地域もたくさんありますが、一日も早く復興されて地域が活性化されますことを心よりお祈りを申し上げます。 国政におきましては、新しい改革法案は、全てにおいて余りにも審議、説明のないままに、少数意見はないがしろにされて、強行採決のもと推し進められているように思われてなりません。 国政は国政にと言われますが、地方議会での意見も国政に反映するような取り組みをしっかりしていかなければならないと考えております。徳島県議会におきましては、少数会派ではありますが、県民の方々からの声を代弁する役目でここに立たせていただいております。要望事項や県民のためなら国政に逆行してでも突き進むという民意中心の明快な答弁をお願い申し上げ、身近な問題や話題を取り上げて質問させていただきます。理事者の皆さんには簡潔明瞭で納得のいく御答弁をいただきますよう、最初にお願い申し上げ、質問に入らせていただきます。 初めに、水素社会実現に向けた取り組みについてお伺いいたします。 水素は、太陽光や風力といった再生エネルギーからも生成が可能で、主に中東の化石燃料に大きく依存した日本にとってはエネルギー自給率の向上につながる可能性を秘めているとともに、利用時にはCO2を排出しないため、地球温暖化対策としても大いに期待されています。 国においては、平成二十九年十二月、日本の水素社会実現に向けた将来ビジョンを示す水素基本戦略を策定し、水素ステーションの整備や燃料電池自動車の普及拡大を進めております。 また、昨年十月には、世界初の閣僚レベルでの水素利活用の拡大に向けた議論を深める水素閣僚会議が開催され、技術協力や基準、規制の標準化、サプライ・チェーンの構築などについて各国間の共通認識を図る東京宣言が採択されたところです。 また、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックを契機に、選手村を中心とした水素タウン構想や百台を超える燃料電池バスの運行、あわせて燃料電池自動車のコストダウンがなされるとのマスコミ情報もあり、今後、水素エネルギーの飛躍的普及拡大が見込まれます。 さらに、このたび開催が決定した二〇二五年大阪・関西万博においても、水素エネルギーを活用した有人飛行ドローンの実証を初め、事業計画の中で水素エネルギーの積極的な活用が図られるとされており、これまでの首都圏中心の普及段階から関西へ、そして地方へと水素によるエネルギーの大転換に向けて、日本全体が大きく加速していくことが予見されています。 全国に先駆け、水素グリッド構想を策定し、インフラ整備や県民への普及啓発に率先して取り組んで来た本県では、こうした動きをしっかりと見据え、さらに積極的な取り組みを行っていく必要があると考えます。 そこでお伺いいたします。 大阪・関西万博を見据え、水素社会実現に向けて、今後、さらなる取り組みが必要と考えるが、所見をお伺いいたします。 次に、徳島阿波おどり空港における航空路線網の充実についてお伺いいたします。 昨年十二月十九日から、県政史上初となる徳島と香港を結ぶ季節定期便が就航いたしました。オープニングセレモニーには私も出席させていただき、キャセイパシフィック航空の北東アジア地区総支配人のチャーリー・スチュワートコックス氏から、地方空港である徳島に就航することはキャセイの挑戦であり、新たな発見を求めている香港の観光客にとって豊かな自然と文化がある徳島は魅力的な場所との挨拶がなされ、我々としてもこの季節定期便を何としても成功させるよう努力しなければならないと改めて強く感じた次第です。 この季節定期便が就航してから約二カ月がたち、搭乗率は七〇%台と聞いており、昨年運航された連続チャーター便の搭乗率の八三・八%には及ばないものの、県内の路線バスやレンタカー事業者からは、個人旅行客の利用者が少しずつふえているなど、チャーター便では見られなかった効果も出始めているところです。 今後、こうした流れを一過性のものでなく、より確かなものにしていくためには、一日も早く季節限定ではなく年間を通じた運航にしていくことが必要だと考えます。特に、今年のラグビーワールドカップを初め来年は東京オリンピック・パラリンピック、再来年にはワールドマスターズゲームズ二〇二一関西と国際的なスポーツ大会が開催されるゴールデンスポーツイヤーズとなっており、世界中から訪日外国人が訪れる機会が待ち構えております。 このチャンスを生かすためにも、ぜひ香港からの直行便を実現していただくことはもちろんですが、航空機に乗って我が国を訪れるインバウンドをより多く本県に取り込むためには、国内拠点空港からのアクセス向上にも取り組む必要があるのではないかと考えます。 そこでお伺いいたします。 香港との定期便の実現を初め国内外からの交流人口拡大に向け、今後、航空ネットワークの充実にどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。 続いて、私のライフワークでもある地域公共交通についてお尋ねいたします。 地域公共交通は、高齢者や学生などの県民生活や経済活動に不可欠であり、まちづくりと公共交通の密接な連携で地域の活性化を図っていくことが交通政策の重要なテーマであります。 一方、人口減少や利用者の減少、さらにはドライバー不足が進む中、地域公共交通を取り巻く環境は非常に厳しく、その維持、充実に向けたかじ取りは非常に難しい時代に来ていると感じています。 我が会派では、これまで交通政策の必要性を訴え、昨年二月にも、奈良県の取り組みを紹介し、県として大きな方向性を示すべきと質問させていただいたところ、徳島県次世代地域公共交通ビジョン策定委員会が昨年設置され、八月には第一回目となる委員会が開催されるなど、交通政策の指針となるビジョンの策定が進められているところです。 一方、JR四国においても、平成二十九年八月から、四国における鉄道ネットワークのあり方に関する懇談会Ⅱを開催し、現在、自治体とともに路線維持に向けた議論がなされています。先日の新聞報道でもありましたが、JR四国においても鉄道利用者数の減少による収支の悪化や施設の老朽化による修繕費の増大が懸念される中、昨今の異常気象に伴う災害復旧費が大きくのしかかり、さらに厳しい状況になっており、このままでは鉄道が四国からなくなるのではないかと強い危機感を抱いた次第です。 また、一番身近な担い手である路線バスにつきましても、国、県の支援を受けてもなお多額の赤字が出ている状況であり、その穴埋めをしてきた高速バス事業においても、新規事業者の参入などにより大変厳しい環境にさらされ、もはや事業者の経営努力だけでは限界があるのではないかと感じております。 今こそ、県が旗振り役となって地域公共交通を守っていかなければいけないと考えています。 そこでお伺いいたします。 鉄道や路線バスなど地域公共交通を取り巻く環境が非常に厳しい中、地域に必要な移動手段を守るため、どのように取り組むのか、お伺いいたします。 次に、自主防災組織に対する支援についてお伺いいたします。 私たち会派は、コミュニティー再生と自主防災組織に関する調査を公益社団法人徳島自治研究所に依頼し、昨年末に中間報告をいただきましたので、その調査内容に沿って質問させていただきます。 今後三十年以内に七〇%を超える確率で発生が予想される南海トラフ地震や、近年、毎年のように発生している大規模な豪雨災害など、これらの災害に対しては行政による公助、住民一人一人が自発的に行う自助、地域の防災組織が行う共助が必要であると言われています。 このそれぞれが機能しなければ、被害の軽減を図ることは困難であることから、それぞれのステージにおいて取り組みが推し進められているところです。 その中でもとりわけ共助の担い手としての自主防災組織は、阪神・淡路大震災や東日本大震災を初めとしたさまざまな災害を経ながら全国各地で組織化が推進されており、地域防災力の充実強化に向けて一層期待が高まっているところです。 徳島県でも、自主防災組織結成の取り組みは進んでおり、消防庁の調査によれば、平成二十九年四月一日現在で、自主防災組織活動カバー率は九三・六%と、全国平均八二・七%を大きく上回っていることはすばらしいと思います。 しかしながら、平成二十九年版の高齢社会白書によれば、平成二十七年現在の高齢化率の最も高い秋田県では三三・八%、徳島県も三一・〇%と高い水準にあります。 また、地域の人口減少や核家族化、居住地と勤務地の不一致なども相まって、地域のコミュニティーを支える条件はこれからも一層厳しくなっていくと思われますが、これからの厳しい条件下においても、地域のコミュニティーは福祉や防災の面でそこで暮らす人たちで支えられる仕組みが求められるため、自主防災組織に対するより一層の支援が必要と考えます。 そこでお伺いいたします。 自主防災組織に対する支援の現状と今後の取り組みについてお聞かせください。 次に、認知症対策についてお伺いいたします。 認知症の方は、二〇一二年時点で約四百六十万人と言われ、約十年で一・五倍になっており、二〇二五年には七百万人を超え、六十五歳以上の高齢者の五人に一人が認知症になるという推計が出ております。 また、認知症による行方不明者はわかっているだけでもここ数年全国で一万人を超えており、ほとんどの方は所在が確認されているものの、一部の方は死亡が確認されている状況です。 そうした現状の中、全国の取り組みを見てみますと、昨年十二月に、愛知県が認知症施策推進条例を制定し、全ての県民が認知症を自分のこととして取り組むを基本理念として、県の責務、市町村や県民、事業者の役割を明らかにするとともに、県民の理解、医療・介護の提供体制の充実、相談体制の整備など、基本的な施策を記載しています。 また、神戸市では、認知症の方やその家族が安心して暮らし続けられるよう、認知症の診断助成制度と認知症の方が事故に遭われた場合に救済する制度を新たに創設し、神戸モデルと名づけています。 本県におきましても、例えば認知症サポーターに関して言えば、人口当たりの割合で見てみると、数年前までは全国で最下位でしたが現在ではトップテンにいるという先進県になり、ほとんどの県職員がオレンジリングを身につけ、まだまだふえています。 認知症サポーターがふえることにより、サポーターになった人たちが知らない人に教えたり、新たな取り組みにチャレンジする人が出てきたりと、点だった対策が線になり、やがては面となって花咲いていくと思います。 これからの超高齢者社会の中で、認知症対策の重要性がますます大きくなっていくものと考えられます。認知症対策は幅広くいろんな分野にかかわっているため、全体的に力を入れながらも、まずは何か一つ重点的に取り組む分野をつくっていけば、そこからどんどん対策が広がっていくと思います。 そこで、ふえ続ける認知症高齢者の対策として、今後、どこに重点を置いてどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。 御答弁をいただいて、質問を続けます。   (飯泉知事登壇) ◎知事(飯泉嘉門君) 臼木議員の御質問にお答えさせていただきます。 大阪・関西万博を見据え、水素社会の実現に向けたさらなる取り組みを行うべき御提言をいただいております。 水素は、利用時に温室効果ガスを一切排出しない地球温暖化対策の切り札であり、本県では平成二十七年十月に、徳島県水素グリッド構想を策定し、中四国初自然エネルギー由来水素ステーションや四国初移動式水素ステーションの導入、全国トップクラスである公用車への燃料電池自動車の導入、地方空港では全国初となる水素ステーションと燃料電池フォークリフトのセット運用など、国の動きにいち早く呼応し、着実に社会実装を進めてきたところであります。 現在、東京オリンピック・パラリンピックに向けまして、燃料電池バスの運行体制の整備や燃料電池による選手村への電気、熱の供給など、国を挙げて取り組みが進められているところであり、さらに二〇二五年大阪・関西万博では、持続可能な社会づくりを目指し、日本産業をリードする環境新エネルギー技術として水素の積極的な導入が位置づけられているところであります。 特に、関西圏で展開される今回の万博におきましては、移動手段における水素の社会実装が重要視されており、観光やビジネスを目的とした広域移動への燃料電池自動車の本格利用、二次交通手段における環境負荷低減を実現する燃料電池バスの導入が今後ますます加速することが想定され、関西広域連合の一員であり四国と近畿の結節点である本県といたしましては、こうした流れにしっかりと呼応、対応できる基盤整備を着実に進めておく必要があると考えているところであります。 そこで、何より急がれるのは、安定的な水素供給体制の構築であり、県内工場で生成される水素を活用した三百六十五日定時運用が可能な水素ステーションの整備について、現在、関係者と鋭意調整を進めており、一日も早い稼働を実現したいと考えております。 また、燃料電池バスの導入につきましては、昨年十一月、実証運行を行ったところであり、国内外の空の玄関口徳島阿波おどり空港や本県の主要な観光地である鳴門公園など、県民や国内外の観光客の皆様に水素エネルギーのすばらしさを実感していただける運行路線への導入を目指したいと考えております。 今後とも、究極のクリーンエネルギー水素の社会実装を強力に推進いたしまして、世界的な課題である持続可能な脱炭素社会の実現を目指し、全国をしっかりとリードいたしてまいります。   (海野副知事登壇) ◎副知事(海野修司君) 二つ御質問をいただいております。 まず、香港定期便の実現を初め国内外との航空ネットワークの充実についての御質問でございますが、徳島阿波おどり空港においては、国内線での福岡便の増便や主要路線である東京便の機材の大型化に加え、国際線での連続チャーター便や季節定期便など路線の充実が図られた結果、利用者数は着実に増加しており、平成三十年度は現ターミナル移転後最高を記録した昨年度の実績百十二万七千人を上回る勢いで推移しているところであります。 このたびの県政史上初となる香港季節定期便は、二月十六日現在、イン、アウト合わせて延べ四千人を超える方々に御利用いただいており、いわゆる旅行閑散期と言われる冬の徳島に宿泊や買い物を初めとする経済効果がもたらされているところであります。 議員お話しのとおり、ゴールデン・スポーツイヤーズとなる三大国際スポーツ大会、二〇二五年大阪・関西万博の開催により、世界中の人々が日本、そして関西に集まる絶好のチャンスを逃すことなく、より多くのインバウンド効果を本県に取り込み、県内各地に波及させるためには、国内外とつながる航空ネットワークの充実に一層精力的に取り組む必要があると考えております。 そこで、まず香港線の実現に向け、現在運航中の季節定期便で最大限の実績を出し、次なるステップにつなげるため、香港の一田百貨店で開催中の徳島フェアや四国で連携した商談会を活用し、季節定期便を積極的にPRするとともに、香港との高速アクセスの整備が進む中国の広州や深セン、マカオなど約七千万人の人口規模を擁するグレーターベイエリアからの誘客拡大を図るため、現地旅行エージェントへのセールスやプロモーションを強化してまいります。 さらに、関西広域連合の一員として、拠点空港である関西国際空港を初め大阪湾ベイエリア五空港七滑走路の有機的な連携によるインバウンド拡大を視野に、陸上交通や水上交通など多様な交通インフラを活用したアクセスの向上や、成田や羽田、中部など我が国の主要な国際空港を利用する訪日客を徳島へと引き込めるよう、新たな国内線の誘致にチャレンジしてまいります。 今後、徳島阿波おどり空港が世界に開かれたゲートウエーとして政府が掲げる訪日外国人旅行者、二〇二〇年四千万人、二〇三〇年六千万人という目標達成に貢献するとともに、徳島阿波おどり空港を核とした交流人口の拡大による地域経済の活性化が図られるよう、国際定期便の実現を初め国内の拠点空港とを結ぶさらなる航空ネットワークの充実に向け、しっかり取り組んでまいります。 次に、地域に必要な移動手段を守るための取り組みについての御質問でございますが、鉄道や路線バスなどの地域公共交通を取り巻く環境は、利用者減少に伴う赤字拡大や運転手不足の深刻化により、かつてない厳しい状況にあることから、新たな地域公共交通網の構築に向けた羅針盤となる次世代地域公共交通ビジョンの策定に着手しております。 ビジョン策定委員会では、地域の交通資源を総動員し最大限活用しなければ移動手段の確保は困難との認識のもと、鉄道やバスなどの連携によるモーダルミックスや円滑に乗り継ぐためのつなぐ仕組みの構築など、まちづくりと二次交通の確保も視野に入れながら、多様な主体の連携やIoT技術を活用した次世代型の交通ネットワーク構築に向けた未来志向の議論がなされているところであります。 現在、ワーキング部会において、年内のビジョン策定に向け、国や地域公共交通の最前線を担う事業者、住民に身近な生活交通を担う市町村の皆様とともに、本県の実情を踏まえた地域公共交通の未来に向けたあり方についての議論を加速しております。 こうした議論の中、ビジョンを先取りしたモーダルミックスの実装として、三月のJR四国のダイヤ改正では四国初となるパターンダイヤが牟岐線に導入されるとともに、阿南駅から南については鉄道に加え高速バスとの円滑な乗り継ぎを可能とし、移動手段のさらなる充実を図るなど、JR四国と徳島バスとの連携による全国初のモデルケースとして国や学識経験者から注目を集める取り組みが開始される予定であります。 また、鉄道の利用促進を図るとともに、地域の鉄道は地域が守るマイレール意識醸成のため、今年度から、新たに県内五つの地域において、駅を拠点としたにぎわいを創出するイベントや環境美化活動などに資するモデル的な取り組みに対する支援を実施しており、引き続き推進してまいります。 さらに、人口減少や高齢化が進行する過疎地域は、バスが重要な移動手段であるものの、現下のバスを取り巻く環境はまさに待ったなしの危機的状況であることから、過疎地域を運行するコミュニティーバスに対する支援を強化し、地域の移動手段の確保に取り組んでまいります。 今後とも、県がリーダーシップを発揮し、未来へつなぐ新たな地域公共交通のモデルを徳島から創出するとの気概を持ち、鉄道や路線バスなど地域に必要な移動手段を市町村とも連携の上、しっかり守っていけるよう全力で取り組んでまいります。   (朝日危機管理部長登壇) ◎危機管理部長(朝日隆之君) 自主防災組織に対する支援の現状と今後の取り組みについての御質問でございます。 近年、各地で自然災害が頻発化、激甚化する中、災害発生時には、自助はもとより住民の助け合いによる救助や応急手当て、避難所運営といった共助の中心を担う自主防災組織の果たす役割が特に重要であると認識しております。 こうした自主防災組織の活動を後押しするため、市町村におきましては、ノウハウの習得に向けた研修や訓練、資機材の整備に対する助成など、地域の実情に応じた支援を行っているところでございます。 県といたしましても、市町村と連携し、地域や学校、事業所などに出向き、多様なニーズにきめ細かく対応する防災出前講座、地域の防災リーダーを育成する地域防災推進員養成研修、避難所の円滑な開設や運営を行うリーダー養成講座を実施するなど、自主防災活動に携わる人材の育成、確保に努めております。 また、自主防災組織を初めさまざまな関係団体による円滑な避難所運営を促進するため、避難所の機能強化や環境改善に向けた設備の充実、運営訓練の実施に対する支援を行っているところでございます。 さらに、地域防災の推進に貢献した自主防災組織の表彰を行い、防災意識の高揚と活動の活性化を図っております。 これらに加え、平成三十一年度は、地域の防災リーダーを対象として、災害現場の活動に直結する被災者の救助、応急手当て、搬送といった実動訓練を行うこととしており、自主防災組織のより実践的な防災活動につながるよう支援してまいります。 今後とも、市町村との緊密な連携のもと、地域防災力の向上に向け、工夫を凝らした防災人材の育成、確保や活動支援を積極的に行うことにより、共助のかなめとなる自主防災組織の充実強化に取り組んでまいります。   (久山保健福祉部長登壇) ◎保健福祉部長(久山淳爾君) 認知症の高齢者の方々の対策について、今後どのように取り組んでいくのかとの御質問でございます。 団塊の世代の方々が七十五歳以上となる二〇二五年には、六十五歳以上の高齢者の方々の五人に一人が認知症になると推計されておりまして、高齢化の進行に伴いまして、さらに増加が見込まれているところでございます。 認知症は、誰もがかかわる可能性がある極めて重要な課題でありますことから、これまで全国に誇る認知症サポーターの養成はもとより、本県独自の認知症対策普及・啓発推進月間による各種啓発活動の展開など、認知症への理解を深める取り組みを進めてまいりました。 さらには、住みなれた地域において認知症の早期診断と迅速な対応を可能とするため、医療と介護の専門職で構成される認知症初期集中支援チームの立ち上げ支援やチーム員の養成に取り組み、昨年四月には、県内全市町村におきまして同チームによる活動が展開されるなど、とくしま高齢者いきいきプランに基づきまして、各種施策を総合的に推進しているところでございます。 今まさに、人生百年時代を迎え、高齢者の皆様が生き生きと暮らし、笑顔あふれる長寿社会を実現するためには、これまでの対策を承継しつつ、より実効性の高い認知症対策を講じる必要があると考えております。 このため、医療、福祉などの関係者で構成する認知症対策連携推進会議におきまして、これまでの取り組みを検証した結果、養成した認知症サポーターの方々の活躍の場の創出、認知症の方や御家族などの当事者ニーズの反映といった点が、今後、さらに強化するべき課題として明らかになったところでございます。 そこで、こうした課題を解決するため、モデル地区を選定いたしまして、認知症の方や御家族のニーズと認知症サポーターの活動をマッチングさせる仕組みを構築するとともに、地域交流の場や講演会等において当事者の声を積極的にお聞きし、認知症の方や御家族の皆様が主体的に声を発信しやすい環境を拡充するなど、当事者の視点を重視した施策展開を進めてまいりたいと考えております。 今後とも、こうした取り組みを通じまして、認知症の方やその御家族が孤立することなく、地域における温かい見守りの輪の中で自分らしく安心して暮らすことのできる社会の実現に向け、取り組みを加速させてまいります。   (臼木議員登壇) ◆三十五番(臼木春夫君) それぞれ答弁をいただきました。コメントは最後にまとめて述べさせていただきます。 それでは、質問を続けます。 ジビエの振興についてお尋ねします。 近年、野生のニホンジカやイノシシなどの肉であるジビエが全国的に関心を集めている中、この流れは外食産業にも広がりを見せており、大手ハンバーガーチェーン店では、本年一月末から、九州産の鹿肉を使用したジビエハンバーガーを全国発売したとの報道がなされました。 私ども会派においても、捕獲したニホンジカやイノシシをジビエとして利用する取り組みには早くから注目しており、多くの県民が県産ジビエである阿波地美栄をたくさん消費することにより、ニホンジカやイノシシの捕獲数がふえ、鳥獣被害に苦しむ地域の減少につながるのではないかと考えてきました。 そのため、阿波地美栄の消費をふやしていくには、安定供給はもちろんのこと、阿波地美栄が安全・安心でおいしい食材であることをこれまで以上に多くの県民の皆様を初め全国の消費者の方に知っていただくことが重要であると考えています。 このような中、先般、一般社団法人日本ジビエ振興協会や県の御尽力により、第五回日本ジビエサミットが本県で開催され、私も開会式に参加して、全国から集まった大勢の参加者のジビエに対する熱気を感じたところであります。 今回のサミットは、「国産ジビエ認証制度元年 動き出したジビエの最前線」をテーマに開催され、安全なジビエの提供と消費者の安全確保を目的に、国が昨年五月に創設した国産ジビエ認証制度の普及を初めとする安全・安心に関する講演や外食産業への活用及びアスリート食としての利用など、ジビエ需要を高めるセミナーが多く実施されました。 サミットの本県開催というこの絶好のチャンスを生かし、機運を継続させながら阿波地美栄の魅力をさらに多くの人に知ってもらい、消費を拡大する施策の展開が必要であると考えております。 そこでお伺いいたします。 第五回日本ジビエサミットの本県開催を契機とし、今後どのようにジビエ振興を図っていくのか、所見をお伺いいたします。 次に、食品ロス削減に向けた取り組みについてお伺いいたします。 この問題については、まだ食品ロスという言葉を知らない人がほとんどだった平成二十八年六月に初めて質問して以来、ずっと関心を持って取り組んでまいりました。食品ロスは、SDGsが一番目と二番目の目標に掲げる貧困をなくすと飢餓をなくすという課題に大きくかかわっており、我々日本人は関心が薄いかもしれませんが、世界では命にかかわる非常に重要な問題であります。 また、当然ながら環境問題にも大きく影響し、食品ロスを減らすことによって運搬や焼却処分の際の燃料の削減につながり、二酸化炭素の排出削減に貢献することとなります。 最近では、食品ロスという言葉も普通に聞かれるようになり、私が参加する宴会でも三〇一〇運動の声かけがされることがふえてきた実感があり、非常に喜ばしいことでありますが、県民全体にはまだまだ広がっていません。 年間六百万トン以上にもなる食品ロスの約半分は家庭からです。県では、これまでもエコクッキングの啓発などに取り組んでいますが、もう一歩踏み込んでいただき、食材を買い過ぎない、使い切る、食べ切るという意識を根づかせることが重要ではないでしょうか。 また、事業者の意識もまだまだ高いとまでは言えないと思います。営業上の問題もあるとは思いますが、外食における少量のメニューなど工夫できる余地はあると考えられますので、外食産業やホテルなどへ働きかけることも有効ではないでしょうか。 国では、食品ロス削減を国民運動とする法案が検討されているようですが、徳島県は、既に二年以上前から、すだちくん未来の地球条例において食品ロス削減を位置づけている先進県でもあり、今年十月には、本県で食品ロス削減全国大会が開催されると聞いております。 こういう絶好のチャンスを逃すことなく、またエシカル消費も認知度が高まってきている今だからこそ、食品ロス削減にさらに力を入れてほしいと考えます。 そこでお伺いいたします。 食品ロス削減に向け、これまでの成果を踏まえ、家庭と事業者の両面から、今後どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。 次に、空き家の有効活用についてお伺いいたします。 総務省がまとめた平成二十五年住宅・土地統計調査速報集計によれば、平成二十五年十月時点での空き家数は約八百二十万戸に達し、住宅総数約六千六十三万戸に対する空き家率は一三・五%で、過去最高を記録しており、さまざまな媒体でも取り上げられているところであります。 徳島県においても、空き家率は住宅総数約三十六万四千九百戸のうち空き家数は六万四千戸、空き家率は一七・五%で全国ワースト四位と余りにもよい現状とは言えません。そのうち利用予定のない空き家は約三万六千戸、九・九%であり、直近の五年間で約八千戸増となっています。 そのような中、徳島の空き家利活用の取り組みとしては、神山町で閉鎖された元縫製工場で六百十九平方メートルを改修しコワーキングスペース、共同の作業場として新しいビジネスコミュニティーを創造し、コミュニティー重視型のサテライトオフィスが進出しております。 私は、このような徳島が全国に誇る空き家利用によるサテライトオフィス誘致や移住交流の取り組みをさらに推し進め、今後、さらなる少子高齢化や若い世代の県外流出に少しでも歯どめをかけるべきではないかと考えます。 また、県では、移住交流に向けた空き家の利活用を促進するため、空き家対策の中核を担う「とくしま回帰」住宅対策総合支援センターを開設し、積極的な利活用に取り組まれているところです。 私としましては、さらなる空き家の利活用に向け、このセンターの取り組みを拡充し、さらに積極的に活用すべきではないかと考えます。 そこでお伺いいたします。 空き家を有効に活用し、さらなる移住交流の促進に向け、どのように取り組むのか、御所見をお伺いします。 次に、警察署の再編整備についてお伺いいたします。 昨年四月に、県警察では、徳島北警察署と板野警察署を統合して徳島板野警察署、徳島西警察署と石井警察署を統合して徳島名西警察署の運用をそれぞれ開始されたところであります。 徳島板野警察署の管内は、私の地元でもある北島町や藍住町の人口増加を初め、大型商業施設や郊外型店舗の出店、高速道路などの交通網の延伸などの地域情勢の変化が顕著であり、これに伴い、警察の取り扱う事件、事故についても変化しているのではと見ております。 確かに、これら変化に対応するためにさまざまな組織の見直しを進めることは重要であり、警察署の統合についても一定の理解をしているところではあります。一方では、統合に際しては、地域住民の方々からは、管轄が広くなれば警察官の姿が見えなくなるのではないかなどといった不安の声が上がったと承知しております。 また、さまざまな分野で働き方改革が求められている中、統合により管轄が広くなったため、それぞれの警察官の業務負担がふえているのではないかということも危惧しているところであります。 統合から間もなく一年を迎えるに当たり、さまざまな実績や課題なども表面化してきているものと思われます。組織の見直しにおいては、これらの課題などを常に確認する姿勢が重要であると考えます。 そこで、昨年統合した四警察署の統合後の成果や課題についてどのように受けとめているのか、所見をお伺いいたします。 御答弁をいただき、まとめに入ります。   (飯泉知事登壇) ◎知事(飯泉嘉門君) まず、日本ジビエサミットの開催を契機としたジビエ振興について御質問をいただいております。 野生鳥獣を貴重な地域資源として利活用し、地域の活性化につなげる動きが全国的に広がりつつある中、本県におきましては、ジビエ倍増モデル地区マスタープランを策定しジビエ振興を図りますとともに、環境に配慮したエシカル消費の面からも、その取り組みを推進いたしているところであります。 今年度は、特に捕獲・流通体制の強化を図りますため、国の補助事業を活用した捕獲鳥獣の処理加工施設への搬入経費への支援、大口需要に対応するための一元的な在庫管理システムの構築、秋ジビエ消費拡大キャンペーンの開催など、ジビエ倍増に向けた取り組みを精力的に進めてきているところであります。 また、先月、本県で開催された第五回日本ジビエサミットでは、自治体関係者や獣肉処理事業者など県内外から延べ約二千人の参加者がジビエの最前線に触れていただくとともに、全国第二号となる国産ジビエ認証を取得した三好市の処理施設の視察や捕獲から消費まで一貫した取り組みによるジビエ倍増徳島モデルのPRによりまして、阿波地美栄の魅力発信と消費拡大に大きく弾みをつけたところであります。 この好機をまさに千載一遇のチャンスと捉え、今後は、サミット開催のレガシーとして、専門家によります鳥獣対策やジビエの啓発活動、おいしいジビエ料理を味わっていただくイベントなどを展開することによりまして、子供さんからアクティブシニアまで、阿波地美栄ファンの裾野をしっかりと広げてまいります。 さらに、今年度、徳島大学産業院と連携し開発した鹿肉ソーセージを初めとする一次加工品の製造ノウハウを処理施設に技術移転するとともに、その加工品を広く活用することによりましてジビエの食文化定着を図ってまいります。 加えて、安定供給の強化に向けまして、鹿の一時飼養の取り組みを推進することとし、徳島大学とのさらなる連携を図り、捕獲した鹿の育成環境に適した木製飼育舎の開発、飼料になじませ効率的に肥育させる取り組みなどによります徳島型一時飼養システムを構築し、全国に発信いたしてまいります。 今後とも、サミット効果を最大限に生かし、ジビエ倍増徳島モデルの実装によります阿波地美栄のさらなる消費拡大に向け、しっかりと取り組みを進めてまいります。 次に、空き家を有効に活用し、さらなる移住交流の推進に向けた取り組みについて御質問をいただいております。 人口減少の克服と東京一極集中の是正によります地方創生の推進に向け、空き家を負のストックではなく貴重な地域資源として有効に活用することは、新しい人の流れをつくり出す上で不可欠な施策である、このように認識いたしているところであります。 このため、住宅に関する高い専門性を有する徳島県住宅供給公社を主体とした「とくしま回帰」住宅対策総合支援センターを空き家施策の核として、平成二十八年一月に開設し、空き家相談から利活用までつなげる総合的な体制を整えているところであります。 この支援センターでは、常設の空き家ワンストップ窓口での相談に加えまして、移住フェア、終活セミナーなどのイベント時における対応や全国初となるとくしま地方創生空き家判定士の制度を創設し、これまで百名以上を育成するなど、空き家の利活用について積極的に取り組んでまいりました。 また、地域の取り組みに対しましては、美波町ではかつての廻船問屋「谷屋(たんにゃ)」を活用したまちづくりの拠点施設、三好市では空き店舗を活用した徳島型CCRCの中核となる交流施設など、整備を支援させていただきまして、地方創生の鍵を握る移住交流の推進に向けた空き家の利活用を積極的に進めているところであります。 一方、移住希望者からの御相談では、空き家の利活用に際しまして建物の傷みぐあいに対する不安の声もあり、議員からもお話しのとおり、支援センターの取り組みを拡充する際にはこのような不安の払拭につながる取り組みが大変重要であると、このように認識いたしております。 このため、支援センターを核として住まいの専門家によりますきめ細やかな情報の提供、移住希望者の受け皿となる安全・安心な空き家の新たな掘り起こし、趣のある古民家の再生を初め空き家利活用の魅力を高めるすぐれた事例の全国発信などの取り組みによりまして、全国各地から徳島ファンを呼び込む流れをしっかりとつくり出してまいります。 今後とも、地域に眠る原石である空き家を磨き上げ、きらりと光る資源に再生することによりまして、住みたい「とくしま回帰」を加速し、移住交流推進によります地方創生の実現に向け、全力で取り組んでまいる所存であります。   (板東県民環境部長登壇) ◎県民環境部長(板東安彦君) 食品ロス削減に向け、今後どのように取り組んでいくのかとの御質問でございますが、食品ロス削減は、国連のSDGs(持続可能な開発目標)に掲られた世界規模での喫緊の課題であり、本県では全国初の脱炭素を掲げたすだちくん未来の地球条例にいち早く食品ロス削減を盛り込み、課題解決に取り組んでまいりました。 我が国の食品ロス発生量は、家庭からと食品関連事業者からのものがあり、ほぼ半々でありまして、それぞれについて効果的に削減を促す取り組みが重要であると認識いたしております。 県は、これまで、まず家庭における消費に重点を置き、人や社会、環境等に配慮した思いやりのある消費行動であるエシカル消費を実践していくため、おいしい徳島!食べきり運動、三〇一〇運動や消費者庁の新未来創造オフィスとの連携によるモニター実証実験、エコクッキングや無駄のない買い物、食品を使い切る工夫についての啓発活動などを進めてまいりました。 来年度は、九月にG20の消費者政策国際会合が、そして翌十月に食品ロス削減全国大会が連続して本県で開催されるという千載一遇のチャンスであり、消費者に向けた取り組みをさらにブラッシュアップするとともに、新たに事業者に向けた一歩踏み込んだ取り組みをスタートさせたいと考えております。 具体的には、エシカル消費を全国大会の主要テーマに掲げ、その重要性を効果的にアピールするとともに、食品包装のプラスチックごみ減量化につながる仕組みづくりなど、新たな取り組みを進めてまいります。 また、食品関連事業者に向けたICTを活用した食品ロス削減モデルの構築及び試験運用、多量の食品廃棄につながる商習慣の見直し、子ども食堂への食品提供や飲食店での少量メニュー提供の呼びかけ、規格外農産品を有効に消費できる仕組みづくりなど、事業者にも御協力いただき、知恵を出し合って対策を進めたいと考えております。 今後とも、消費者と事業者の双方に向けた取り組みを積極的に推進することにより、本県が食品ロス削減先進県として全国をリードできるようしっかりと取り組んでまいります。   (根本警察本部長登壇) ◎警察本部長(根本純史君) 警察署の再編整備についての御質問でございます。 県警察では、西部四署の統合に続きまして、昨年の春、徳島市周辺の四署を統合いたしました。この統合は各署の管内はもとより、県内の事件、事故の約六割が発生している地域エリアにおける治安対策の強化などを目的としたものでありまして、三つのコンセプトをもって実施したところでございます。 一点目が、事件、事故発生時における早期現場臨場及び捜査員の集中運用による早期解決や夜間、休日、宿直時の体制強化など、スケールメリットを生かした組織運営の視点でございます。 二点目は、パトカーの複数運用等による地域警察官の街頭活動の強化など、犯罪の抑止及び検挙に向けた機動力の確保と各署の連携強化の視点でございます。 三点目は、広域犯罪に対応するパトロール部隊の石井庁舎への配置や災害対策の中核である管区機動隊の板野庁舎への配置といった警察機能の分散の視点から実施したところであります。 統合の成果といたしましては、統合署管内における刑法犯認知件数が両署とも約二割以上減少したほか、交通事故発生件数が徳島名西署で約一割、不審者情報件数が徳島名西署で約四割、徳島板野署で約一割、それぞれ前年同期と比べて減少したところでございます。 重要事件につきましても、初動対応の際の早期現場臨場及び捜査員の大量動員によりまして石井町における飲酒死亡ひき逃げ事件や藍住町におけるコンビニ強盗未遂事件を早期解決するなど、抑止と検挙の両面で大きな成果が上がっているところでございます。 また、統合後は、より多くのパトカーの運用が可能となり、警ら活動もふえるなど、地域警察官の街頭活動も強化されたところでございます。 さらに、夜間、休日体制が強化され、緊急の呼び出しが抑制されるなど、職員のワーク・ライフ・バランスの実現にもつながっているところでございます。 統合から約一年が経過いたしまして、両署の運営は円滑に推移していると認識しております。 近くアンケート調査を実施する予定であり、そこでいただいた御意見、御要望を踏まえ、ニーズに沿った組織運営にさらに努めてまいりたいと考えております。 平成三十二年春の阿南、那賀両警察署の統合によりまして県警察が進めてきた警察署の統合計画が完了することとなります。両署の統合に際しましても、地域住民の方々に御不安を与えることがないように、これまでの統合の成果を丁寧に説明いたしまして、計画を着実に進めてまいりたいと考えているところでございます。   (臼木議員登壇) ◆三十五番(臼木春夫君) それぞれ御答弁いただきました。 コメントを述べさせていただきます。 まず、水素社会の実現に向けた取り組みについては、大阪・関西万博を見据え、水素ステーションを整備し、あわせて燃料電池バスの実装を検討するとの答弁があり、非常に効果的な取り組みであると感じました。バスはインバウンドの視点からも二次交通として今後ますます重要なものとなり、その環境負荷低減に向けて水素エネルギーを導入することは絶大な効果があり、県として燃料電池バスの導入に積極果敢に取り組むことは大変意義あることと考えます。 その実現のためには、バスの安定的な運行が必要であり、現実的に考えると、複数台の導入も視野に検討するなど、県内外の多くの皆さんに水素社会を実感いただけるよう、燃料電池バスの社会実装に向けてしっかりと取り組んでいただきたいと思います。 地域公共交通については、移動手段の充実に向けた取り組みについて御答弁をいただきました。 JRや路線バス、さらには高速バスとも連携しながら、厳しい状況ながらも連携を深め、何とか地域の移動手段を守っていこうとする意気込みを感じ、心強く感じた次第です。 特に、採算面から公共交通の維持が難しい過疎地域の移動手段を守るため、過疎地域のコミュニティーバス運行支援を強化するとの一歩踏み込んだ答弁をいただきました。 しかしながら、県下の路線バスを取り巻く環境を見ると、市町村をまたがる広域移動を担う三十一系統の幹線バス全ての路線が赤字であり、県民にとって一番身近な移動手段である路線バスを守るためには、一日も早くもう一歩も二歩も踏み込んだ支援が求められています。 コミュニティーバスへの支援強化にとどまらず、今後、知事には、幹線バスへの支援の強化についてもさらなるリーダーシップを発揮されるよう強く要請しておきます。 自主防災組織に対する支援については、共助の中心を担う自主防災組織がしっかり機能するよう、地域の実情に応じた支援を改めてお願いしておきます。 認知症高齢者の対策については、当事者の声、当事者の視点を重視した施策展開を進めていくとの答弁をいただきました。 全国に誇る認知症サポーターの養成や活躍の場の創出はもとより、認知症の方や御家族など当事者に寄り添った取り組みを進めていただきたいと思います。 ジビエ振興については、安定供給に結びつける各種施策の推進を初め、県内の獣肉処理施設の経営安定化を目指した取り組み、県版サミットの開催による阿波地美栄の魅力発信への意気込みの御答弁をいただきました。 ぜひともこの機運を継続させ、ジビエの一層の消費拡大につなげていただきますようお願いいたします。 警察署の再編整備については、今後も引き続きスケールメリットを生かした組織運営により、全国や世界にも誇れる高い治安水準、安全・安心を誇れる徳島県の実現を目指していただきますようお願いいたします。 まとめに入ります。 今、世の中を騒がせている虐待やいじめ問題においても、徳島県の取り組みや対処方法なども質問したかったんですが、持ち時間の関係でできませんでした。 昔は子供に対し何事においても親が辛抱し、子供にだけはというのが当たり前でしたが、我が身が一番、そればかりかストレスのはけ口が子供ということも珍しくないのが現実で、いじめや虐待の問題は重要課題と考えますので、積極的に取り組んでいただきたく、強く要望しておきます。 ある歌の一節に、「人はこころや 銭やない」という言葉がありますが、人の命と心はお金では買えないし売るものではありません。人は苦しいときこそ心を磨く好機とし、心優しく心の器を大きくすればプラス思考になっていきます。 また、ことわざに「かけた情けは水に流せ、受けた恩は石に刻め」や「情けは人のためならず」とありますが、これはボランティア精神の真髄です。どうか人に尽くすという謙虚な心で人命を一番に考えた県政の見直し、予算化、政策執行していただきますようお願い申し上げ、私の全ての質問を終わらせていただきます。長時間御清聴ありがとうございました。(拍手)   ──────────────────────── ○議長(重清佳之君) 以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。   ──────────────────────── ○議長(重清佳之君) 本日は、これをもって散会いたします。      午後二時五十八分散会   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━...