令和 4年11月定例会 令和四年十一月
山口県議会定例会会議録 第二号 令和四年十二月五日(月曜日) ──────────────────── 議事日程 第二号 令和四年十二月五日(月曜日)午前十時開議 第一
代表質問 第二 議案第一号から第二十五号まで(質疑) ──────────────────── 本日の会議に付した事件 日程第二 議案第一号から第二十五号まで 会議に出席した議員(四十六人) 塩 満 久 雄 君 林 哲 也 君 先 城 憲 尚 君 友 田 有 君 髙 瀬 利 也 君 酒 本 哲 也 君 平 岡 望 君 西 本 健 治 郎 君 二 木 健 治 君 宮 本 輝 男 君 藤 本 一 規 君 高 井 智 子さん 猶 野 克 君 藤 生 通 陽 君 合 志 栄 一 君 小 田 村 克 彦 君 曽 田 聡 君 俵 田 祐 児 君 吉 田 充 宏 君 新 谷 和 彦 君 岡 生 子 君 島 田 教 明 君 石 丸 典 子さん 井 上 剛 君 松 浦 多 紋 君 守 田 宗 治 君 森 繁 哲 也 君 槙 本 利 光 君 井 原 寿 加 子さん 橋 本 尚 理 君 山 手 康 弘 君 畑 原 勇 太 君 磯 部 登 志 恵さん 河 野 亨 君 笠 本 俊 也 君 有 近 眞 知 子さん 森 中 克 彦 君 友 広 巌 君 戸 倉 多 香 子さん 上 岡 康 彦 君 新 造 健 次 郎 君 坂 本 心 次 君 中 嶋 光 雄 君 江 本 郁 夫 君 柳 居 俊 学 君 国 本 卓 也 君 会議に欠席した議員(一人) 木 佐 木 大 助 君 議案等の説明のため会議に出席した者 知事 村 岡 嗣 政 君 副知事 平 屋 隆 之 君 総務部長 内 海 隆 明 君
総務部理事 近 藤 和 彦 君
総合企画部長 松 岡 正 憲 君
産業戦略部長 前 田 安 典 君
環境生活部長 藤 田 昭 弘 君
健康福祉部長 弘 田 隆 彦 君
商工労働部長 小 関 浩 幸 君
商工労働部理事 三 浦 健 治 君
観光スポーツ文化部長 三 坂 啓 司 君
農林水産部長 高 橋 博 史 君
土木建築部長 和 田 卓 君
会計管理局長 京 牟 礼英二 君 財政課長 安 藤 公 浩 君
公営企業管理者 正 司 尚 義 君 企業局長 今 村 政 裕 君 教育長 繁 吉 健 志 君 副教育長 木 村 香 織 君
公安委員長 今 村 孝 子さん
警察本部長 中 西 章 君
代表監査委員 河 村 邦 彦 君
監査委員事務局長 本 多 昭 洋 君
労働委員会事務局長 松 田 一 宏 君
人事委員会事務局長 大 田 淳 夫 君 会議に出席した
事務局職員 事務局長 國 吉 宏 和 君
事務局次長 原 田 和 生 君 総務課長 嶋 田 英一郎 君
議事調査課長 岡 本 正 敏 君
政務企画室長 國 弘 敏 和 君 秘書室長 植 木 啓一郎 君
議事調査課主幹 作 本 真 得 君 主査兼
議事記録係長 益 本 悟 史 君 主任 河 村 美也子さん 主任 賀 山 智 江さん 主事 佐 伯 和 樹 君 ───────────── 午前十時開議
○議長(
柳居俊学君) おはようございます。これより本日の会議を開きます。 ───────────── 諸般の報告
○議長(
柳居俊学君) この際、諸般の報告をいたします。 報告事項は、お手元に配付のとおりでございます。 ─────────────
△日程第一
代表質問
△日程第二議案第一号から第二十五号まで
○議長(
柳居俊学君) 日程第一、
代表質問を行い、日程第二、議案第一号から第二十五号までを議題とし、質疑に入ります。
代表質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 塩満久雄君。 〔塩満久雄君登壇〕(拍手)
◆(塩満久雄君) 皆さん、おはようございます。
自由民主党の塩満久雄でございます。 令和四年十一月定例会に当たり、会派を代表して、県政の諸課題について、知事、教育長に質問いたします。 質問に先立ち一言申し上げます。 将来もし帝都の上空に敵機を迎え撃つようなことがあれば、東京は一挙にして焦土と化し、我が軍の敗北である──これは昭和八年、軍部が関東一円で行った関東防空大演習について、桐生悠々という戦前のジャーナリストが書いた社説であります。 彼は続けて、我がほうの航空機を総動員しても、全ての敵機を撃ち落とすことはできず、そのうちの一機でも二機でも帝都の上空に来て爆弾を投下すれば、木造家屋の多い東京は一挙に焦土となるであろうと、十二年後の東京大空襲を予言するかのごとく、我が国の都市防空の脆弱性を指摘しています。 彼は、小生の理想したる戦後の大軍縮を見ることなくしてこの世を去るのはいかにも残念至極と、死の直前まで国の行く末に警鐘を鳴らし続けたのであります。 二十世紀、人類は大きな戦争を二度経験しました。ドイツの
哲学者ヘーゲルは、我々が歴史から学ぶことは、人間は決して歴史から学ばないことだと喝破しています。ロシアの
ウクライナ侵略という現実に直面し、この言葉は万鈞の重みをもって胸に響きます。 度重なる北朝鮮の
ミサイル発射や台湾海峡の緊迫化など、我が国を取り巻く情勢は緊張の度合いを増しています。我が国が平和と安定を維持していくために、かつての歴史に学び万全に備えることが今ほど求められているときはないということを申し上げ、質問に入ります。 初めに、新たな
県づくりに向けた令和五年度当初
予算編成についてお尋ねいたします。 発生から三年がたとうとしている
新型コロナは、冬場を迎え第八波に入り、依然油断のない備えが必要な状況にありますが、多くの方の御尽力と県民の皆さんの御協力により、コロナの中でも日常生活を取り戻し始めています。 この三年間で疲弊した
飲食サービス業や観光業の回復、イベントの再開など、
地域経済・社会をしっかりと再生し、活性化させていく、このことは目下の重要課題であります。 同時に、
デジタル化の推進や脱
炭素社会への対応、人への投資などを官民一体で強力に進め、強い経済と豊かさを実感できる社会をつくることは、我が
自由民主党が国民・県民の皆様にお約束したことであり、私ども、全力を尽くしていく覚悟でございます。 こうした中、知事は、三つの維新のさらなる進化による
県づくりに向け、やま
ぐち未来維新プランの最終案を発表されました。また、次年度当初
予算編成では、新たな
県づくりの本格始動を柱として掲げられ、その具現化に早くも着手されたところです。 これらは、コロナによる社会変革や浮き彫りになった課題をてことして、県政をさらに成長させていこうとするものであり、我が会派としても、しっかりと成し遂げていかなければならない取組と考えております。 また、国においては、
デジタル田園都市国家構想に基づく新たな総合戦略や、子供政策の司令塔となる、
こども家庭庁などを次年度からスタートさせることとしています。 知事におかれては、国の動向も取り込みながら、デジタル技術の本格的な社会実装など、本県の新たな始動を感じさせる力強い施策を練り上げていただきたいと思います。 あわせて、現在、我が党では、各地域や各界からの、県の
予算編成と施策決定に関する御意見や御要望をきめ細かく拝聴しており、こうした県民の声を十分に施策に反映させていただきたいと思うのです。 そこでお尋ねいたします。知事は、新たな総合計画によって今後の
県づくりをどのように進めようと考え、そのスタートとなる来年度当初
予算編成にどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、物価高の克服、
経済再生の実現について伺います。 ロシアの
ウクライナ侵略に端を発する世界的な
物価高騰は、日々の暮らしや
中小事業者の経営を直撃しています。
コロナ禍からの回復途上にある
地域経済が、この物価高によって腰折れすることがないよう、我が会派はこれまでも、ちゅうちょのない財政出動を訴えてまいりました。これを受け、県においては六月補正、九月補正と、矢継ぎ早に対策を打ち出してこられました。 しかしながら、食料品や
エネルギー価格は依然高騰を続けており、医療・福祉、農林、水産といった様々な団体が、急上昇するコストを価格に転嫁することも、吸収することもできない、八方塞がりにある窮状を訴えておられます。 こうした中、岸田内閣においては、各般の緊急対策に加え、先般、七十二兆円の事業規模となる
総合経済対策を閣議決定されました。本県も、これらに呼応した
補正予算案を上程されており、現状に的確に対応されていると評価をしております。 一方、今般の物価高は、コロナを経た世界的なインフレ、それに伴う米国の金融引締めに起因した
円安ドル高、さらには、脱炭素化に伴う
エネルギー転換などを背景としており、今後の物価動向や経済情勢の見通しは、決して楽観視ができないものです。
コロナ禍からの回復や
物価高克服に向け、当面の
負担軽減策を講じることはもちろんですが、厳しい情勢の中でも、中小企業を含め本県経済が持続的に成長していけるよう、必要な支援はしっかりと講じていく必要があります。 また、経済活動や県民生活に不可欠な安心基盤の確保は、行政の重要な役割であり、防災・減災、
国土強靱化などの基盤整備についても、このたびの経済対策を十分に活用し、強力に取組を進めていただきたいと思うのです。 そこでお尋ねします。医療・福祉をはじめ、様々な事業者が
物価高騰に直面する中、物価高の克服、
経済再生の実現に向け、どのような考えで補正予算を編成され、どう取り組まれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、脱
炭素社会を見据えた県政の推進について、二点お伺いします。 知事はこのたび、やま
ぐち産業脱
炭素化戦略の素案を示されました。その中では、脱炭素への移行に必要な環境整備や、
競争力確保に向けた支援措置など、我が会派が繰り返し申し上げてきた、県内企業の実情に寄り添った取組について示されています。 もとより脱炭素化とは、一企業、一自治体のみで完結できるものではなく、
エネルギー供給の変革からサプライヤーを含めた事業転換、さらには森林資源の利用促進など、幅広い取組を一体的に進めなければ完遂できない課題であります。 こうした全体像の中で、県として講じていくべき具体策を示し、本県の産業が脱
炭素社会に対応し競争力をさらに高めていく取組を、しっかりと前に進めていただきたいと思います。 そこで、まずお尋ねします。このたび素案を示された、やま
ぐち産業脱
炭素化戦略により、県は今後どのように取り組まれるのか、知事の御所見を伺います。 また、知事は先日、二○五○年
カーボンニュートラル宣言を表明されました。県としては四十四番目となりましたが、拙速に
カーボンニュートラルをうたうのではなく、県勢発展の視点から各分野の方策を慎重に検討されてきた知事の対応は、責任ある立場として当然のことと考えます。 一方、気候変動の対策は待ったなしです。産業、民生にわたる様々な対策を、これまで以上に迅速かつ的確に進めていく必要があります。 そこで、二点目のお尋ねです。知事は、どのような考えで二○五○年
カーボンニュートラル宣言を表明され、その対策に今後どう取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、戦略的な
海外展開についてお尋ねいたします。 知事は、先月、実に三年ぶりに
ASEAN各国を歴訪されました。二木副議長をはじめとした
議員訪問団に参加した我が会派の議員からは、
ASEAN各国が
コロナ禍の中でも絶え間なく発展してきた、その
エネルギーの差に衝撃を受けたと聞いています。 この大きな成長の
エネルギーを取り込んでいくことは、人口減少にあえぐ地方にとって重要な視点です。 本県においては、やま
ぐち海外展開方針に基づきアジアをターゲットにした
輸出拡大などに取り組んできましたが、残念ながら
コロナ禍で足踏みを余儀なくされています。 その中でも、例えば、下関の事業者においては、シンガポールに向けた加工フグの輸出を拡大されるなど、取組は一歩ずつ前に進んできました。 今回の訪問では、こうした取組の支援機関をはじめ、多くの現地の方と意見交換を重ねられており、私としても、直接のやり取りだからこそ生まれる縁や、若い世代同士による盛り上がりの中から、新たな芽が出てくると期待を高めているところです。 今回の訪問を起爆剤に、
コロナ禍でも関係をつないできた取組を再稼働させ大きく発展させていかねばなりません。 世界各国で水際対策の緩和が進み、
海外市場に売り込む
地域間競争も激しさを増しています。本県がアジアに近いという優位性や、各国に根づいている県人会とのネットワークなどの人的資源を生かし、
海外市場における本県の認知度をしっかりと高めていく必要があります。 また、今般の国の
総合経済対策では、円安を生かした
輸出拡大を支援することとしていますが、こうした施策とも連携し、
インバウンド需要の取り込みや、
輸出拡大、付加価値の向上、さらには海外人材の受入れなど、旺盛な海外需要により本県経済の活力を生み出していく挑戦を、再び前に進めていただきたいのでございます。 そこでお尋ねします。知事は、このたびの
ASEAN訪問の成果をどのように受け止められ、また今後、どのような戦略を持って
海外展開に取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 次に、
上関原発建設計画についてお尋ねいたします。 終戦直後に生を受け、昭和、平成の激動の時代を送った私たち世代にとって忘れ得ぬ出来事の一つが、昭和四十八年からのオイルショックです。
経済企画庁長官も務められた作家の堺屋太一さんは、この事態を予測され、近未来小説「油断!」として書かれ、当時の流行語にもなりました。 油断──油を断たれるの言葉のとおり、第四次中東戦争に起因して、
ペルシャ湾沿岸の
石油産出国が石油価格の大幅な値上げと産出量の削減を決めたことで、特に中東からの石油の輸入に多くを頼ってきた我が国は、
エネルギー不足、狂乱的な
物価高騰に直面しました。 日々の身近な暮らしでも、夜間の
テレビ放映は止められ、スーパーではトイレットペーパーや洗剤を求める大行列が発生するなど、混乱と衝撃をもたらしたのです。 私の経験からも、強く強く感じるのは、
エネルギーは国の骨幹であり、
エネルギーの
安定供給なくしては国が滅びかねないということです。 それを再び思い起こさせたのが、ロシアによる
ウクライナ侵略に起因する世界的な
エネルギー危機です。目の当たりにする
エネルギー問題は、
カーボンニュートラルの実現を目指す我が国にとって、より深刻さを増します。それだけに、政府が進めようとしている取組の重要さを強く感じます。 政府は、
エネルギーの
安定供給に向けて、資源・燃料の安定的な調達や省
エネルギーの推進などに努力することはもとより、既に技術的に確立している脱炭素電源として、原子力を最大限活用していくために、許可済みの原発の再稼働へ向けて総力を結集することとしております。 また、安全性の確保を大前提とした運転期間の延長や、
次世代革新炉の開発・建設など、中長期的な原子力の必要性と在り方についても、具体化に向けた検討を進めております。これは、
化石エネルギーに過度に依存することなく、国際環境の変化や災害といった不測の事態にも耐えられる強靱な
エネルギー供給構造を築くものであり、まさに将来を見据えた責任ある政策であると、我が会派としては高く評価しております。 さて、本県においては、
上関原発建設計画があります。 本計画に関しては、
建設予定地である海域の
公有水面埋立免許の期間伸長について、十月二十五日に、事業者である中国電力から県に対し許可申請が提出され、知事は十一月二十八日に許可をされました。 平成二十八年八月、令和元年七月に続く、三度目の伸長許可となりますが、知事は
埋立免許権者として、これまでも法律上の要件が満たされていれば許可しなければならないとして、一貫した対応を取られており、今回も同様であったとお聞きしております。この姿勢は適切かつ妥当なものであると、我が会派は受け止めています。 また、
上関原発建設計画については、二井元知事、山本前知事、そして、村岡知事は一貫して、国の
エネルギー政策と地元上関町の政策選択を尊重する立場を取られてきています。 地元上関町においては、十月二十三日の町長選で、原発による
まちづくりを継承された
西哲夫町長が七割を超える得票を得て当選されました。 そこでお尋ねします。今回の許可処分に当たっての考え方と、
上関原発建設計画について、今後、どのように対応していくのか、知事の御所見をお伺いいたします。 最後に、教育行政についてお尋ねします。 県教委においては、学校と家庭、地域、企業などが連携しながら、子供の
学びや育ちを支える、
地域連携教育を推進されているところでございますが、三年にわたる
コロナ禍の影響もあり、こうした活動が縮小、停滞しています。 柔軟な知識や生きた経験を学ぶ
地域連携教育は、
子供たちが、将来の予測が困難な時代を生き抜く力を身につけるために不可欠な取組であり、縮小し途絶えさせることがないよう、活性化に向けた取組を進めていかなければなりません。 他方、一人一台端末の活用などにより、大学や企業をはじめ、社会の様々な関係者と連携を進めることで、より質の高い教育の提供が可能となっています。 また昨年度、国では
コミュニティ・スクールの活動の充実等に向けた検討会議を設置されましたが、全国の
トップランナーとして、本県の
繁吉教育長が参画されたと伺っております。 本県の持つ
コミュニティ・スクールの基盤を生かし、
学習指導要領に掲げられた、社会に開かれた教育課程を、単なる理念にとどめず、実現する仕組みとして具体化していかなければなりません。
子供たちが地域の大人から仕事や産業、郷土の文化を学び、地域をフィールドとして挑戦する。その経験を日々の学びにつなげていく。そうした多様で豊かな学びを定着させ、全国をリードできる取組として推進していただきたいと思います。 そこでお尋ねいたします。地域との連携体制を再構築し、質の高い本県ならではの
地域連携教育を実現するため、県教委は今後どのように取り組まれるのか、教育長の御所見をお伺いします。 結びに、去る十月十五日の故安倍晋三先生県民葬儀におきましては、国会議員の皆様や、台湾をはじめ海外からも多くの御参列者を賜り、厳粛かつしめやかに執り行うことができました。 県内各地に設置された献花会場を含め……
○議長(
柳居俊学君) 塩満議員に申し上げます。時間が参りましたので、注意をいたします。
◆(塩満久雄君) (続)一万人を超える皆様方とともに、安倍元総理への哀悼の意を表すことができましたことを、自民党県連といたしましても、衷心より感謝とお礼を申し上げまして、
自由民主党会派を代表しての質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(
柳居俊学君) 村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕
◎知事(村岡嗣政君) 塩満議員の
代表質問にお答えします。 まず、新たな
県づくりに向けた令和五年度当初
予算編成についてのお尋ねです。 県では、これまで、やまぐち維新プランに基づき、「活力みなぎる山口県」の実現に向け、産業維新、大交流維新、生活維新の三つの維新に果敢に挑戦してきました。 こうした中、長期化する
コロナ禍等の影響により、県政を取り巻く環境は大きく変化しており、人々の意識や価値観の変化、さらには、
デジタル化や脱炭素化をはじめとする社会変革などに、しっかり対応していくことが求められています。 こうしたことを踏まえ、これからの
県づくりの指針となる、やま
ぐち未来維新プランの策定を進めてきたところであり、県議会をはじめ、様々な方々からの御意見を反映するとともに、国の政策との整合も図りながら、このたび、最終案を取りまとめました。 今後は、このプランに沿って、何よりもまず、コロナの危機を克服する、そして、様々な環境変化や社会変革をチャンスと捉え、本県の強みを生かし、潜在力を引き出して大きく伸ばすことにより、三つの維新のさらなる進化を図る取組をスタートさせていきます。 その取組に当たっては、県民の皆様の御理解と御協力を頂くことが重要となることから、目指すべき目標や県の姿を広く県民や事業者の皆様と共有し、
県づくりの様々な取組に自主的・主体的に参画してもらえる環境づくりを進めてまいります。 これにより、県民誰もが、山口ならではの豊かさと幸福を感じながら未来に希望を持って暮らせる、安心で希望と活力に満ちた山口県の実現を、県民の皆様とともに目指してまいります。 こうした新たな
県づくりの本格始動となる来年度当初予算では、新プランに掲げる、安心・安全、デジタル、グリーン、ヒューマンの四つの視点を踏まえ、これまでの取組を未来志向で再構築し、
コロナ禍等で生まれた新たな課題や、深刻度が増した課題への対応に予算を重点配分します。 また、いまだ収束が見通せないコロナの感染拡大防止と社会経済活動の両立を図るため、引き続き、県民の命と健康を守り抜く万全の対策を講じるとともに、
コロナ禍で傷んだ経済の再生に向けて、現下の
物価高騰による影響等を的確に把握し、必要な対策を切れ目なく実施してまいります。 さらに、お示しの国の新たな取組とも十分に歩調を合わせるとともに、県民や関係団体などのニーズをきめ細かく把握することにより、実効性の高い施策を構築していきたいと考えています。 私は、県民の皆様の命と健康を守り抜き、コロナで傷んだ社会経済や人々のつながりを再生し、様々な社会変革の先にある新たな未来を見据え、やま
ぐち未来維新プランの具現化に向けて確かな道筋をつけられるよう、来年度当初
予算編成に全力で取り組んでまいります。 次に、物価高の克服、
経済再生の実現についてのお尋ねにお答えします。
新型コロナウイルスの影響が続く中、ウクライナ情勢に伴う原油価格や物価の高騰が及ぼす県民の暮らしや企業活動等への多大な影響を緩和することが、現下の最重要課題です。 本県では、これまで、国の
物価高騰対策に呼応した、数次の補正予算を編成し、足元の物価上昇の影響を踏まえた、生活困窮者等への支援や中小企業対策など、県民や事業者のニーズに即した支援策を実施してまいりました。 こうした原油価格や物価の高騰は長期化しており、県民生活や
地域経済の再生を図っていくためには、私は、引き続き、国、地方が一体となって対策に取り組む必要があると考えています。 そのため、物価高への対応や県内経済の再生、県民の暮らしの安心・安全に向けた基盤整備等の迅速な実施に向けて、先般、国が策定した
総合経済対策のうち、本県において速やかに対応すべき取組や、臨時交付金を財源とする本県独自の対策を講じることとし、このたびの補正予算を編成いたしました。 具体的には、まず、国の経済対策と関連して、妊婦や子育て家庭に寄り添った相談支援と経済的支援を一体的に実施するための交付金を創設するとともに、中小企業制度融資において、債務の増大に苦しむ中小企業者の借換え需要等に対応した新たな資金を設定します。 また、補助・直轄公共事業については、防災・減災や
国土強靱化の推進、安心・安全の確保などに向けて、優先度が高く重要な箇所について前倒しして予算を計上したところであり、国の取組に沿って、事業効果と経済効果の早期発現に向け、迅速かつ機動的な執行を図ってまいります。 次に、本県独自の
物価高騰対策として、電気代等
エネルギー価格の急激な高騰により、厳しい経営環境が続いている医療機関や社会福祉施設等に支援金を支給するほか、中小企業制度融資において、賃上げや製品等の価格転嫁の円滑化に必要な資金需要に対応した新たな資金を創設します。 また、学校給食用牛乳の
安定供給に支障が生じないよう、供給事業者に対する乳価の高騰分を補助するほか、酪農家の経営継続を図るため、輸入粗飼料価格の高騰分を支援します。 これらの取組については、その効果を一刻も早く県民の皆様に実感していただけるよう、迅速な事業実施を図るとともに、引き続き、物価の動向や経済情勢等を十分に注視し、必要な対策については、今後の補正予算や来年度当初予算において機動的に措置してまいります。 私は、今回の補正予算の執行等を通じて、今後とも、国や市町と連携しながら
物価高騰を克服し、県民生活の安定を図るとともに、長引く
コロナ禍等により傷んだ社会や経済の再生に向け、全力で取り組んでまいります。 次に、脱
炭素社会を見据えた県政の推進についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、脱
炭素化戦略についてです。 脱炭素化の潮流が速度を増す中、多くのCO2を排出する基礎素材型産業をはじめ、今後、事業スタイルの変革が見込まれる中小企業や農林水産業など、本県の産業界は、脱炭素化に向けて乗り越えなければならない課題に直面しており、対応いかんによっては、本県経済や雇用に大きな影響を及ぼすことが懸念されます。 私は、こうした危機感や取組の方向性を産業界等と共有し、企業の取組を強力に後押しすることが重要と考え、本年十月、やまぐちコンビナート低炭素化構想を策定し、本構想を核として、産業分野全般にわたる取組の促進に向けた、やま
ぐち産業脱
炭素化戦略の策定に取り組んできました。 これまで、企業や関係団体、産学公金から成る産業戦略本部等を通じてニーズ把握に努めるとともに、分野横断的な視点から庁内での検討を進め、五つの先行プロジェクトと十七の施策の柱の下、具体的な取組とその工程を示すアクションプランを作成し、このたび、素案としてお示ししたところです。 今後、
予算編成を通じ、施策のさらなる具体化を図るとともに、企業はもとより、広く県民の皆様の声もお聞きしながらさらに検討を深め、本年度内に戦略を策定することとしています。 また、戦略の具現化に向けては、国レベルでの支援が不可欠であることから、企業ニーズに応じて国の施策も積極的に取り込みながら、脱炭素と産業競争力の維持・発展との両立に向けた、実効性ある取組を進めてまいります。 私は、産業の未来をリードする山口県の創造を目指し、県議会をはじめ、県内企業、大学、市町等との緊密な連携の下、
カーボンニュートラルを原動力とした本県産業の成長・発展に全力で取り組んでまいります。 次に、二○五○年
カーボンニュートラル宣言についてです。 二○五○年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指す、いわゆる
カーボンニュートラルへの対応については、国の動きとともに、本県の地域特性や産業特性を踏まえ、進むべき方向性を示す必要があります。 このため、私は、本年五月に環境政策推進本部を立ち上げ、脱炭素化に向けた庁内推進体制を整えるとともに、関連する各種計画の策定等を通じ、企業や有識者、関係団体等の意見を踏まえながら、検討を進めてきたところです。 こうした検討を経て、十月に策定したコンビナート低炭素化構想をはじめ、このたび取りまとめた、やま
ぐち未来維新プランの最終案や、産業脱
炭素化戦略及び地球温暖化対策実行計画の素案において、いずれも二○五○年
カーボンニュートラルを目指す方針を明確に示しています。 このことにより、私は、県民や企業の理解の下、県が進むべき方向性が確定できたと考え、脱
炭素社会の実現に向け、県内のあらゆる主体が一丸となって各種計画に基づく対策を速やかに実行していけるよう、先週二日、二○五○年
カーボンニュートラル宣言を表明しました。 今後は、戦略を踏まえた産業部門の取組はもとより、実行計画に基づく民生部門については、脱炭素型ライフスタイルやビジネススタイルの実現に向け、県民総参加による地球温暖化対策を推進してまいります。 また、国の交付金も有効活用し、家庭や事業所、県有施設への再生可能
エネルギーや電動車の導入を促進するなど、各部門の対策を幅広い主体との連携・協働により進めてまいります。 私は、この宣言を機に、多くの県民や企業の参加を促しながら、脱
炭素社会の実現と同時に、県内産業のさらなる成長や、安心で安全な県民生活の確保に積極的に取り組んでまいります。 次に、戦略的な
海外展開についてのお尋ねにお答えします。 人口減少等により国内市場が縮小する中、私は、県経済の持続的成長を図るため、これまで、やま
ぐち海外展開方針に基づき積極的な
海外展開に取り組んできました。 ここ数年は、
新型コロナウイルスの世界的な拡大により、現地訪問による効果的な取組は停滞を余儀なくされましたが、各国で入国制限が緩和されてきたことから、先月、私は、ASEAN地域との交流拡大を図るため、県議会の皆様と連携し、シンガポールとベトナムを訪問しました。 シンガポールでは、私自ら、フグやアンコウなど本県を代表する食の魅力をPRし、早速、取引の意向が示されたほか、ベトナムでは、フグの輸入解禁に向けた検討を担当大臣に約束いただくなど、今後の県産品の売り込みに向け、大きな手応えを感じたところです。 また、
コロナ禍でも成長を続ける両国の活力や熱気を肌で感じ、傷んだ県経済を力強い成長へ導くためには、本県の強みや魅力、地理的優位性等を最大限に生かし、旺盛な海外需要を取り込むことが極めて重要と再認識したところです。 このため、このたび最終案を取りまとめた、やま
ぐち未来維新プランの重点施策に、成長する
海外市場への展開や、反転攻勢に向けたインバウンドの拡大を掲げ、重点的かつ具体的な取組を、この機を逃さず再始動させてまいります。 まず、中小企業の
海外展開については、七月にシンガポールに設置したサポートデスクも活用し、展示商談会への出展等を支援するほか、ベトナムへの水産インフラ輸出については、現地での実証を本格化させます。 次に、農林水産物等の
輸出拡大に向けては、複数事業者の商品をコンテナに混載し、低コストで輸出する、県版エクスポーターによる販路拡大を図るほか、海外ニーズを踏まえた高付加価値な産品の輸出強化に積極的に取り組みます。 特に、本県の強みであるフグや牛肉は、輸出できない国もあることから、規制緩和に向けた二国間協議が加速するよう、国に対して強力に要請してまいります。 さらに、インバウンドの拡大に向けては、水際対策の緩和を受けて、いち早く、海外の旅行会社を招いた視察ツアーや商談会を行ったところであり、今後も機を逸することなく、旅行商品造成やPRなど、誘客促進に向けた取組を積極的に展開してまいります。 加えて、お示しの海外人材受入れについても、相手国における技術の習得や本県の担い手不足の解消に有益であることから、受入れ実績のある介護等の分野から拡大に取り組みます。 私は、今後とも、国の施策と連携し、県人会とのネットワーク等も活用しながら、成長著しいASEAN地域等の需要を取り込み、本県経済の活力を生み出す戦略的な
海外展開の取組を強力に推進してまいります。 次に、
上関原発建設計画についてのお尋ねにお答えします。 お示しのように、事業者である中国電力から十月二十五日に提出された、
公有水面埋立免許の期間伸長の申請につきましては、
埋立免許権者として、公有水面埋立法に基づき、法令の規定に従って厳正に審査したところ、正当な事由が認められたことから、先月二十八日にこれを許可いたしました。 正当な事由が認められる場合とは、指定期間内に工事を竣功できなかったことについて合理的な理由があることと、今後埋立てを続行するのに十分な理由があること、すなわち、土地需要があることの二つの要件をいずれも満たす場合です。 まず、竣功できなかった理由については、埋立工事に先立って実施する必要がある海上ボーリング調査について、調査地点付近で複数の船舶を停泊させるなどの行為が継続してあったことなどから調査を終了できず、工事を期間内に竣功できなかったこと、また、訴訟によりその解決を図ることが説明されており、合理的と認められます。 次に、土地需要については、事業者から国に対し、国における
次世代革新炉の開発・建設の検討結果や政策の方向性等に適切に対応し、今後とも建設計画を推進していくことを示しつつ、国の検討にかかわらず、上関原発に係る重要電源開発地点指定は引き続き有効かどうかについて照会がなされました。 これに対し、「貴見のとおり、重要電源開発地点指定は引き続き有効であり、事情の変化がない限り、解除することは考えていない」との国の見解が得られたことが示されており、土地需要があると認められます。 このように二つの要件をいずれも満たし、正当な事由があると認められるときは許可しなければならないものであることから、私は、
埋立免許権者である知事として、期間伸長を許可したものです。 一方、このたびの許可処分時点において、上関原発の原子炉設置許可申請に係る国の審査会合が開催されていない状況や、中国電力の電力供給計画において上関原発の着工時期が未定とされている状況は変わっておりません。 したがって、引き続き、発電所本体の着工時期が見通せない状況にあることから、私は、前回と同様、原発建設計画が存する県の知事の立場から、発電所本体の着工時期の見通しがつくまでは埋立工事を施行しないことを改めて要請いたしました。 これに対して、中国電力からは、発電所本体の着工時期の見通しがついたと判断できる状況になった時点で改めて県に相談するとの回答があったところであり、工事の施行については、その段階で適切に判断したいと考えています。 私は、
上関原発建設計画については、お示しの原子力発電をめぐる国の検討など、様々な環境変化を踏まえつつ、今後もこれまでと同様、地元上関町の政策選択や国の
エネルギー政策を尊重するとともに、県民の皆様の安心と安全を守るという観点から適切に対応してまいります。
○議長(
柳居俊学君)
繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕
◎教育長(繁吉健志君) 教育行政についてのお尋ねにお答えします。 社会が急速に変化する中、
子供たちが多様な人々と協働し、主体的に未来を切り開いていく力を身につけるためには、
子供たちの成長を地域全体で支える社会の実現を目指し、学校、家庭、地域が連携・協働した教育を推進していくことが重要です。 このため、本県では、全国に先駆けて全ての公立学校に導入した
コミュニティ・スクールを核として、社会総がかりで
子供たちの
学びや育ちを支援する
地域連携教育に取り組んでまいりました。 こうした中、お示しのように、長引く
コロナ禍の影響により地域と協働した活動が減少し、
地域連携教育の取組が停滞していることから、県教委では、学校運営協議会のオンラインによる開催や、ICTの活用による好事例の周知などにより、学校を拠点とした地域との連携体制の再構築に取り組んでいるところです。 こうした取組を進めるとともに、今後、より質の高い教育を提供するため、小中学校の九年間を通して学校・地域が連携・協働する教育活動を体系的に示したカリキュラムを地域や家庭と共有し、評価・改善を重ねることにより、実効性のあるものとしていくなど、やまぐち型
地域連携教育のさらなる充実に取り組んでまいります。 また、県立高校においては、やまぐち型
地域連携教育で育まれた
子供たちの資質・能力をさらに伸ばしていくために、大学や企業等、地域の枠を超えて広く社会と連携し、各学校・学科の特色や専門性に応じた高校ならではの取組を支援する、やまぐち型社会連携教育を推進することとしています。 さらに、こうした小中学校から高校までの地域連携の取組を切れ目なく支援していけるよう、校種を超えたつながりを生み出すことができる推進体制の拡充に努めてまいります。 県教委といたしましては、次代を担う
子供たちの豊かな
学びや育ちの実現に向け、本県ならではの
地域連携教育のさらなる推進に全力で取り組んでまいります。
○議長(
柳居俊学君) 曽田聡君。 〔曽田聡君登壇〕(拍手)
◆(曽田聡君) 皆様、おはようございます。公明党の曽田聡でございます。 会派を代表して質問に入る前に、一言申し上げます。 十一月十一日から十七日まで七日間、山口県議会ASEAN地域友好・調査訪問団の一員として、シンガポール、ベトナム、フィリピンの三か国地域を訪問する機会を頂き、大変貴重な体験をさせていただきました。柳居議長はじめ、県議会の皆様、準備などでお世話になった事務局の皆様に感謝申し上げます。 御案内のとおり、ASEANは名目GDPが二〇一八年までの十年間で二倍以上になるなど、成長著しい地域であり、ASEAN十か国の実質GDP成長率は、
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、一時マイナス成長となりましたが、二〇二一年には約三・四%まで回復し、今後は約五%の成長率で推移する見通しとなっています。 少子高齢化が著しい我が国、そして山口県において、ASEANとの結びつきの強化は必要と考えています。 これまでも、日本とASEANの未来を担う若者が、相互理解と友情を深めてまいりました。未来を担う世代が交流し、各国との関係を強化することは、アジア太平洋地域の平和と安定に不可欠であります。 在フィリピン日本大使公邸を表敬訪問した際、越川和彦特命全権大使は、日本の国会議員はじめ地方議員、そして、あらゆる階層の人たちがフィリピンを訪れ、フィリピンの人々との交流を行っていただきたい。フィリピンの経済発展、そして日本にとって大切なことだと思いますとの趣旨の話をされていました。 ASEAN地域で様々な交流の事業をさらに推進することによって、日本、そして山口県とASEANの絆が一層深まることを期待し、通告に従い、質問させていただきます。 初めに、冬場の
新型コロナウイルス感染症対策についてお尋ねします。
新型コロナウイルス感染症が国内で初めて確認されてから三年を経過するところですが、この夏の過去最大の感染規模となるオミクロン株による第七波は、全国各地で過去最大の感染者数を更新し、本県においても、ピーク時には一日で三千人を超える感染者数が発生し、医療への負荷が高まるなど、猛威を振るったところです。 九月に入り感染者数は一時減少傾向が見られたものの、感染収束とまでは至らず、また、気温の低下や行楽シーズンの人の移動などを背景として、感染者数は少しずつ増加の傾向が見られるところです。 加えて、新たな脅威とされているのが、オミクロン株から派生した変異ウイルスです。全国では、通称ケルベロスと言われるBQ・1・1やグリフォンと言われるXBB、また、先日、県内でも感染が確認されたバジリスクと言われるBA・2・3・20など、新たな変異株による感染の脅威が迫ってきております。 これから年末年始による帰省や受験シーズンなど、多くの方にとって大切な時期を迎えることとなりますが、過去の傾向から、
新型コロナは年末年始に感染拡大しており、一方で、今年は季節性インフルエンザとの同時流行も懸念されることから、冬場に向けて一層感染対策を講ずる必要があります。 これに対し、国は十月に、
新型コロナ・インフル同時流行対策タスクフォースを開催し、この冬の感染拡大について、過去最大規模の感染拡大として、全国で
新型コロナウイルス感染症の患者が一日四十五万人、季節性インフルエンザの患者が一日五十万人規模で同時流行し、ピーク時には一日七十五万人の患者が生じる可能性があるとの想定の下で、医療機関への受診は高齢者や重症化リスクのある方に重点化し、そのほかの方はコロナ検査キットで自己検査の上、陽性となった方は自宅療養するとされたところです。 その一方で、私は、県民の安心・安全を確保するためには、発熱患者が急増した場合にあっても、高齢者などに限らず、診療を希望する全ての方が、可能な限り対面で受診できる医療体制の確保を望んでいるところであります。 県では、村岡知事の力強いリーダーシップの下、これまで幾たびもの感染拡大に対し、市町や医師会など、医療機関との機動的かつ緊密な連携を図り、十分な医療提供体制、検査体制を整備されるとともに、重症化予防、発症予防に効果があるとされるワクチン接種も全国トップクラスのスピードで進め、感染の波を抑えてこられたことは高く評価するものであります。 来る第八波は、過去最大クラスと予想される専門家もおられます。県民の安心・安全のため、引き続き、医療提供体制の確保など、感染拡大にさらなる万全を期していただきたいと考えています。 そこでお尋ねいたします。冬場における季節性インフルエンザと
新型コロナの同時流行が懸念される中、県では、同時流行に対する感染症対策に今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、マイナンバーカードの取得促進についてお尋ねいたします。 総務省は、令和四年十月三十一日時点のマイナンバーカードの交付率を公表いたしました。 交付枚数は六千四百三十八万四千八百三十三枚で、令和四年一月一日時点の人口に対する交付率は五一・一%、都道府県別では宮崎県が最も高く六五・四%、これに兵庫県が五五・七%、奈良県が五五・四%と続いています。 ちなみに、本県は七十一万五千九百九枚で、五三・四%と全国平均を上回っております。 全国の市区町村の交付率上位は、大分県東国東郡姫島村九〇・五%で第一位、そして新潟県岩船郡粟島浦村八八・二%、宮崎県都城市八六・〇%と続いています。 県内の市町では、長門市が六〇・六%、和木町が六〇・三%、防府市が五八・五%と続いています。 政府は、地方自治体のDX化に力を入れ、令和四年度末までにマイナンバーカードを用いて各種行政手続が行える専用サイト、マイナポータルから原則全自治体で子育てや介護などの三十一の手続を可能とする方針を打ち出しています。 既に御案内されている健康保険証や運転免許証として利用されることで、鍵となるマイナンバーカードの交付率は、勢いを増しています。 人は、出生、入学、卒業、就職、結婚、出産、子育て、退職などのライフステージごとに様々な行政手続が生じます。今までは、そのたびごとに役所を訪れ、窓口で申請手続を要していました。 私も、数回の転勤を繰り返す中、引っ越しのたびに役所での申請手続、電気、水道、ガスなどのインフラサービス事業者への手続を行ってきました。 北海道北見市は、平成二十一年から現在まで窓口業務改善へ取組を続けており、令和三年一月に新庁舎に移転した際、来庁者が紙の申請書に手続するための記載台をなくし、申請書を書かない窓口を実現し、複数の部署をまたぐ手続が一つの窓口で完了するワンストップの窓口サービスを実現しています。 高福祉国家、北欧の小国、きれいな町並みとの印象を持つデンマークですが、デンマークは、国連が取りまとめる最新の電子政府指数で堂々の一位となるなど、世界でも高く評価されているデジタル先進国です。 あらゆる行政手続が電子化されており、役所の窓口に行列ができることもなく、申請手続を紙で行うこともなく、電子化が生活に根づいています。ただ、デジタル先進国となったデンマークでも、この改革には二十年の歳月を要しています。 マイナンバーカードの活用によって様々な手続の簡略化などを図り、その利便性を高めていくには、速やかに高い交付率を実現することが求められています。 そして、我が国においても、平成二十八年四月から国家公務員、平成二十九年六月からは徳島県庁で職員証として導入が進められ、行政サイド自ら取得に動いています。 また、後期高齢者、要介護者など、どうしてもデジタル機器が使えない方にも配慮した
デジタル化、マイナンバーカードの取得促進が必要とも考えます。 そこでお尋ねします。本県では、全国平均よりマイナンバーカードの交付率は進んでいますが、交付率のさらなる向上に向けて、県は今後どのように取得促進に取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、食物アレルギーに対応した避難所の運営についてお尋ねいたします。 自然災害が激甚化・頻発化する中、災害弱者に配慮した避難所の運営のさらなる強化が求められています。 避難所では、赤ちゃんから高齢者まで様々な年代の方々が過ごしています。中には、国籍が違う方、持病や障害のある方、介助やサポートが必要な方もいます。食物アレルギーを持っていて、配られたパンやお弁当を口にできない方もいます。 しかしながら、このような方々が必要とする食料品をはじめ、物資がスムーズに届きにくく、十分な配慮がなされていないこともあります。 平成二十三年三月十一日に発生した東日本大震災により、長期間にわたり多くの人が避難所などでの生活を余儀なくされました。その際、気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーを持つ患者さんの避難生活が問題になりました。 山口県でも、アレルギーにフォーカスして避難所運営を考えているボランティアグループが県内各地で勉強会を開催しています。 「災害時、避難しなければいけない状況なのに、避難することをためらってしまうご家族がいます。その理由のひとつが「アレルギー」です。症状が目に見えにくいため周囲に理解してもらえず、避難所で孤立してしまったり、命の危険にさらされることもあります」と、パンフレットの冒頭、「私達のおもい」でつづられています。 このパンフレットで紹介されている事例として、配給されているものはパンや牛乳、カップラーメンなど、食べられないものばかり。避難所を何か所も回り、具の入っていないおにぎりを探した。アレルギーで食べられないというとわがままを言うなと言われ声を上げることできなくなってしまった。ぜんそくが出てしまい、夜、せき込んでしまうので、避難所を出て傾いた家で過ごしたなど、たくさんの声が掲載されています。 平成二十七年三月に公表された内閣府の調査によれば、指定避難所内で食料を備蓄している市区町村のうち、食物アレルギーに配慮した備蓄を行っている市区町村は四百六自治体で、全体の六一%であります。 備蓄物資の中で最も多かったのが、アルファー米の白米、次いで、牛乳アレルギー対応ミルク、そのほか主なものとして、おかゆ、備蓄用パン、アレルゲンフリーカレー、ビスケット、アルファー米の白米以外との回答がありました。 アレルギー反応を起こす原因となる物質アレルゲンは、卵、乳、小麦、そば、落花生、エビ、カニの特定原材料七品目と特定原材料に準じる二十一品目、合わせて二十八品目であります。 避難所では、特定原材料七品目を使わない炊き出しやお弁当を配給する配慮が求められます。また、食べられるものについて相談くださいとの声かけ、アレルゲンが混在する前に取り分ける、使用した材料の書き出し、使用した食品・調味料は全てお披露目することで、アレルギーを持つ方もみんなと一緒に食べられる環境がつくれ、孤独感を感じることも少なくなると考えています。 そこでお尋ねいたします。山口県内の避難所で食物アレルギーに対応した運営をどのように支援されるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、食料の安全保障についてお尋ねします。 世界的な食料危機が懸念される中において、食料の多くを輸入に依存している我が国では、食料安全保障の再構築が求められています。 このたび、顕在化した食料の安全保障は、我が国だけではなく、世界各国でこの問題が提起されています。
新型コロナウイルス感染拡大による物流の停滞、中国による食料の大量輸入、肥料原料をはじめ、農業資材などの輸出抑制、近年の異常気象による農作物の不作、そしてロシアによるウクライナ侵攻で世界有数の穀倉地帯から穀物輸出が滞る事態など、複数の要因が複雑に絡み合い、一気に噴き出しています。 今年の秋口からは、相次ぐ食料品の値上げが国民生活に大きな影響を及ぼしていますし、農業や畜産、酪農を営む生産者からは、生産資材の高騰や輸入依存度の高い肥料・飼料の高騰が経営を圧迫し、廃業を考える生産者も出てきています。 また、二〇〇五年の全国の農業経営体数は二百一万経営体に対し、二〇二〇年は百八万経営体と四六%減少しています。それは、耕地面積にも表れており、二〇〇五年四百六十九万ヘクタールだった耕地面積は、二〇二〇年には四百三十七万ヘクタールと六・八%減少しています。本県でも同様の傾向と見受けられます。 なりわいとして所得向上が見込めない中、後継者不在、後継者不足の問題も深刻化し、二〇二〇年百三十六万人の基幹的農業従事者のうち、六十五歳以上が七〇%で九十四・九万人、四十九歳以下が一一%で十四・七万人と、現役世代の従事者が少ない状況であります。 このような状況を打開するため、公明党は生産資材の高騰に苦しむ農業や畜産、酪農の経営支援とともに、輸入依存度の高い肥料、飼料、穀物の国産化の推進を政府に訴え、
物価高克服・
経済再生実現のための
総合経済対策に反映されています。 一方、
総合経済対策では、円安環境を生かした輸出強化についても明記し、農林水産物・食品の輸出額を二〇二五年に二兆円とする政府目標を前倒しで達成するため、国際競争力のある農林水産物の
輸出拡大に一層取り組むこととしています。 先般、県議会の
ASEAN訪問団で訪問したシンガポールのスーパーにおきましても、日本の食材、農産品、日本酒など、たくさん陳列されており、その人気の高さを感じてまいりました。 山口県としても、農業、畜産・酪農業に対して、先に述べた状況の中、様々な支援策でバックアップされています。また、担い手支援日本一総合対策事業で、次代を担う就業者の確保を積極的に推進されています。 そして、経営基盤強化のための認定農業者のうち、法人数は四百二十九を数えています。 そこでお尋ねいたします。世界的経済大国である我が国は、まだ食料、生産資材など、高くても輸入することができますが、このような状況がいつまで続くか誰も予断を持って答えられないと思います。 山口県では、農業者や畜産・酪農業者の経営基盤の安定など、食料の安全保障を図るため、どのように取り組まれるのか御所見をお伺いいたします。 次に、不登校対策についてお尋ねいたします。 文部科学省は、令和四年十月二十七日、令和三年度における児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果を公表しました。 全国の小中学校における長期欠席者数は四十一万三千七百五十人、このうち不登校によるものは、前年度から四万八千八百十三人増の二十四万四千九百四十人で過去最多に、
新型コロナウイルスの感染回避によるものは、前年度から三万八千四百十一人増の五万九千三百十六人となりました。 高等学校における長期欠席者数は十一万八千二百三十二人、このうち不登校によるものは、前年度から七千九百三十四人増の五万九百八十五人、
新型コロナウイルス感染回避によるものは三千六人増の一万二千三百八十八人となっています。 令和三年度、小中学校における不登校の主な要因の調査では、無気力、不安が四九・七%と半数を占め、生活リズムの乱れ、遊び、非行は一一・七%、いじめを除く友人関係をめぐる問題が九・七%と続いています。 この調査結果を受け、文部科学省は不登校が大幅に増えた要因として、
コロナ禍での生活リズムの乱れや休むことへの抵抗感の薄れのほか、活動制限が続いて交友関係が築けないことに伴う登校意欲の低下を指摘しています。 本県では、小中学校の不登校児童生徒数は、前年度から五百三十七人増え二千六百三人で、千人当たり二十六・三人と、全国平均二十五・七人を上回っています。 高校の不登校生徒数は、前年度から八十一人増え三百四十八人で、千人当たり十一・二人と全国平均の一六・九%を下回っております。 このような中、本年四月に開校した山口県立山口松風館高校では、多様な学びのニーズに応える柔軟な教育システムを持つ新たなタイプの高校をコンセプトに、様々な生徒が通ってきています。 小学校・中学校時代に不登校を経験した生徒も数多く在籍しているとお聞きしています。しかし、それぞれ意欲的に勉強などに励み、出席率も随分高い状況であるとお聞きしており、通いやすい環境が生徒たちに受け入れられていると評価しています。 我が党は、浮島智子衆議院議員を座長に、不登校支援プロジェクトチームを設置し、不登校児童生徒を支援するフリースクールの施設関係者や不登校経験者などと意見交換をしました。 不登校経験者と不登校児童を育てた保護者からは、子供の学校復帰などに向けた支援策の周知を要望されたことに対し、浮島座長は、不登校の子供に寄り添った対策が必要だと指摘しています。 そこでお尋ねいたします。本県におきましても、小中学校、そして高等学校に在籍する児童生徒の中に、不登校を余儀なくされている児童生徒が把握されています。県教委として、今後どのような支援や対策に取り組まれるのか御所見をお伺いいたします。 最後に、経済安全保障に対する警察の取組についてお尋ねいたします。 日本は、世界中で利用されている先端技術に関する情報や最先端の高性能製品を数多く有しており、これらの技術情報などの中には、使用方法によっては軍事用途に転用可能なものも含まれています。 各国がポストコロナの国際秩序の在り方を模索する動向を活発化している中、日本の有する重要技術流出や、いわゆる頭脳流出の危険性、サプライチェーンの脆弱性といった、我が国をめぐる経済安全保障上の脅威が一層顕在化しつつあります。 そのような中、警察庁は、四十七都道府県警察に、千百以上の警察署を基盤とし、地域住民の生活に密着して犯罪の予防などに当たる我が国の警察の特性を生かして、技術情報などの流出の未然防止のため、外国からの働きかけの手口やそれに対する有効な対策について、技術情報などを扱う企業、研究機関に情報提供する、いわゆるアウトリーチ活動を強化しています。 また、令和四年四月、警察庁は長官官房に技術的知見やリソースを集約し、一元的に技術政策を推進する体制を構築するため、長官官房に技術総括審議官、技術企画課、通信基盤課及び情報化担当の参事官を設置しました。 政府においては、経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案を第二百八回国会に提出し、令和四年五月十一日に成立し、同月十八日に公布されました。 これまでも国内において、技術情報などの流出が散見されています。 例えば、平成二十八年九月から平成二十九年四月までの間、合計五回にわたり、住所、氏名などを偽って日本のレンタルサーバーの契約に必要な会員登録を行った中国共産党の男を、警視庁公安部は令和三年四月、私電磁的記録不正作出罪、同供用罪で検挙しました。 この事件を通じて、宇宙航空研究開発機構はじめ、約二百の国内企業に対するサイバー攻撃に悪用されました。 また、大手化学メーカーの元社員の男は、平成三十年八月から平成三十一年一月にかけて、勤務先の営業秘密であるタッチパネルなどに使用される素材に関する技術情報を不正に領得するなどした上、SNSを介して接触してきた中国所在の企業の社員に開示し、令和二年十月、不正競争防止法違反、営業秘密侵害で検挙しています。 先にお示しした、警察によるアウトリーチ活動は、都道府県警察の取組に加え、警察庁も大企業や経済団体などへのアウトリーチ活動を行い、国レベルでの官民協力を推進しています。 令和三年下半期には、警察庁から延べ約七百の企業などに対し、情報提供を実施したと聞いております。 そこでお尋ねいたします。高度な技術を持つ企業が集積する山口県、企業の規模にかかわらず、インターネット環境の脆弱性を狙って、サイバー攻撃が仕掛けられる可能性は十分にあります。 山口県内の企業や大学など、学術機関の関係各位がこのような被害に遭わないように啓発し、最先端技術情報が搾取されないようにしなければなりません。 県警察として、経済安全保障にどのように取り組まれるお考えなのか、県警本部長に御所見をお伺いいたします。 以上で、公明党会派を代表して質問を終了いたします。 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(
柳居俊学君) 村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕
◎知事(村岡嗣政君) 曽田議員の
代表質問にお答えします。 まず、冬場の
新型コロナウイルス感染症対策についてのお尋ねです。 私は、
新型コロナの感染が確認されて以来、約三年間、市町や関係機関との緊密な連携の下、社会経済活動との両立を図りながら、
新型コロナウイルス感染症対策に全力で取り組んできたところです。 こうした中、現在、人流の活発化等により、新規感染者数は千人を超えるなど増加傾向にあり、本県においても、いわゆる第八波に入ったものと考えています。 今後、本格的な冬場を迎えるとともに、過去二年間は流行がなかった季節性インフルエンザとの同時流行が懸念されることから、さらなる感染対策に向け、医療提供体制を強化するとともに、ワクチン接種の促進に取り組んでまいります。 まず、医療提供体制の強化についてです。 私は、県民の安心・安全の観点から、発熱患者が急増した場合にあっても、症状を有し、診療を希望される方が早期に受診していただける医療提供体制を確保することが、極めて重要と考えています。 このため、医療関係者の御協力により、現在六百五十二の診療・検査医療機関等を確保し、同時流行で想定される一日当たり最大約八千人の発熱患者にも、十分対応できる外来医療体制を整備したところです。 また、想定を超える感染拡大に備え、今後、オンライン診療の導入促進や休日・夜間診療所の診療時間の延長など、診療体制の強化を図ってまいります。 さらに、発熱した場合に確実に相談でき、適切な受診につながるよう、受診・相談センターの電話回線を現行の約二倍に増設するとともに、自宅療養者フォローアップセンターの相談・診療体制を約一・五倍に拡充するなど、一層の体制強化に取り組みます。 加えて、感染に不安を感じる方を対象にした無料検査を、引き続き、県内八十三か所の身近な薬局等で実施するとともに、一日当たりの検査能力については、抗原検査キット等の活用を含め、約一万六千件から約三万件に拡充したところです。 次に、
新型コロナワクチン接種の促進についてです。 現在、接種が進められているオミクロン株対応ワクチンは、重症化予防はもとより、感染予防や発症予防にも高い効果が期待されています。 このため、年末までに、希望される全ての方の接種完了に向け、市町や関係機関と連携し、接種の促進を図っており、とりわけ重症化リスクの高い特養や老健施設等の入所者については、既に、十一月末までに約七割の施設で接種が完了しているところです。 また、より多くの方に接種を検討していただけるよう、今般新たに、県ゆかりの若手スポーツ選手によるメッセージ動画の配信やCM放送を開始するなど、引き続き、接種の効果等の理解促進に努めてまいります。 私は、県民の命と健康を守ることを第一に、市町や関係機関との連携の下、今後とも、
新型コロナウイルス感染症対策に万全を期してまいります。 次に、マイナンバーカードの取得促進についてのお尋ねにお答えします。 マイナンバーカードは、デジタル社会のパスポートとして、搭載された公的個人認証機能による各種行政手続のオンライン申請等を可能とする基盤であり、速やかにその普及を図っていくことが重要です。 このため、県では、取得促進に向けて、県と全市町で構成する連携会議で、県内外の優良事例など効果的な取組等の共有や最適な取組手法等の検討を行い、休日・夜間の申請受付やカード交付専用窓口の設置、交付予約システムの運用等の取組を進めてきたところです。 また、商業施設や事業所等における出張申請受付について、市町に積極的な実施を求めるとともに、関係団体を通じて、企業や自治会等にその活用を促してきました。 さらに、デジタル機器に不慣れな方への配慮も重要な課題であることから、県では山口県行政書士会と連携し、相談会の実施や申請サポート等を行う協力体制を構築しました。 県においても、職員やその家族に向け、本庁や出先機関で出張申請受付を実施するなど、その普及に努めてきました。 こうした取組の結果、本県のカード交付率は本年十月末現在で五三・四%と全国第九位となっており、申請率については六割を超えているところです。 一方で、令和四年度末までにマイナンバーカードがほぼ全国民に行き渡ることを目指すという、国の目標には達していません。 また、国においては、健康保険証や運転免許証との一体化の前倒しやカード機能のスマートフォン搭載等の具体的方針を決定したところであり、こうしたカードの利用拡大等を契機に、カードの取得をさらに促進していく必要があります。 そのためには、まず、未申請の方にカードの利便性や安全性を理解していただく必要があることから、カードのメリットや利活用方法、情報セキュリティー、市町の交付促進策等の情報を的確に周知していきます。 とりわけ、マイナポイント事業のカード申請期限となる年末に向けては、SNSやテレビCM等を活用した広報に、集中的に取り組むこととしています。 また、移動が困難な高齢者等へのさらなる支援として、公民館や福祉施設等、身近な場所での出張申請受付や高齢世帯への戸別訪問を行うとともに、新たに郵便局による申請サポートを実施するなど、取組の強化を市町に対して働きかけていきます。 これらの取組に加え、国に対しても、先般、私が本部長を務める全国知事会デジタル社会推進本部を通じて、事務負担の軽減に資する本人確認手続の見直しや市町村が実施するカードの交付拡大の取組へのさらなる支援等について求めたところであり、今後も、国への要請を重ねてまいります。 私は、デジタル社会の基盤となるマイナンバーカードが広く県民の皆様に行き渡るよう、国や市町との連携を一層強化し、その取得促進に積極的に取り組んでまいります。 次に、食物アレルギーに対応した避難所の運営についてのお尋ねにお答えします。 避難所は、高齢者や乳幼児、妊産婦など、配慮が必要となる方々も利用されることから、こうした要配慮者ごとに異なる心身の状態や避難生活における多様なニーズに配慮しながら、避難所の良好な生活環境を確保することは極めて重要です。 お示しの食物アレルギーを有する方は、特定の食物を摂取することにより、呼吸困難など重篤な健康被害を発症する場合もあることから、避難所での食料や食事に関する要望を把握し、安全な食料等が確実に届けられるよう配慮する必要があります。 こうしたことから、市町の役割である避難所運営を支援するため、県が作成した基本指針に食物アレルギーの対応の必要性を記載しており、これを受け、全市町で備蓄等により特別食が確保されるとともに、避難所開設時には、聞き取り等により避難者のニーズ把握に努めることとされています。 加えて、私は、大規模災害時においても、食物アレルギーを有する方やその御家族が、ちゅうちょすることなく避難をし、安心して避難所で過ごすことができるよう、広域性・専門性の観点から、積極的に支援をしていく必要があると考えています。 具体的には、流通事業者との協定に基づく、食物アレルギーに配慮した食料の確保、いわゆる流通備蓄に取り組むとともに、昨年新たに県栄養士会と協定を締結し、要配慮者への健康管理や必要な食料の供給など、食に関する支援体制の強化を図っているところです。 また、大規模災害時において、自主的な避難所運営の中心的役割を担う自主防災組織等に対し、平時から自主防災アドバイザーを派遣し、避難所で食物アレルギーを有する方への声かけや使用した食材の書き出しなどの様々な配慮を行うよう、指導・助言をしています。 さらに、避難所を利用される県民の皆様が食物アレルギーに関する正しい知識を身につけ、一層理解を深めていただけるよう、昨年開設した、やまぐちアレルギーポータルや、防災・災害情報を提供する防災やまぐちなど、県のホームページを活用し、幅広く情報を発信していきます。 私は、県民の命と健康を守ることが何よりも重要との認識の下、食物アレルギーを有する方やその御家族が安心して避難をし、孤立することなく過ごすことができる避難所の運営に向け、引き続き、市町や民間団体等と緊密に連携しながら取り組んでまいります。 次に、食料の安全保障についてのお尋ねにお答えします。 食料の安全保障は、全ての国民が、将来にわたって良質な食料を合理的な価格で入手できるようにする、国の基本的な責務と考えています。 その一方で、世界的な気候変動やロシアによるウクライナ侵攻などにより、食料の
安定供給に影響が及んでおり、国民の不安も高まっていることから、農産物の
安定供給を担う農業振興の重要性が一層増しています。 こうした中、私は、本県農業の振興に向けて、新規就業者の確保をはじめ、地域を牽引する中核経営体の育成や生産性を向上させる農業基盤の整備などを行ってきたところです。 さらに、今年度、生産資材や肥料・飼料の価格が急激に高騰したことから、補正予算において、生産者の経営継続に向けた緊急的な対策を実施し、その負担軽減を図ってきました。 加えて、全国知事会等を通じて、国に対して生産資材等の価格高騰対策や国内生産の増大、経営安定対策など、国と地方が一体となって食料安全保障の強化に取り組むことができるよう要望してきました。 そうした中で、国においては、食料の
安定供給の確保等を目的とした、食料・農業・農村基本法の見直しが開始されており、お示しの国の
総合経済対策では、肥料、飼料、穀物の国産化や農産物の
輸出拡大などの支援が盛り込まれています。 このような国の動きも踏まえ、私は、強い農林水産業の育成に向け、中核経営体の経営基盤強化や県産農産物の供給体制の強化、海外における販路拡大などを積極的に推進することとしています。 具体的には、中核経営体の経営基盤強化については、経営発展を目指す意欲ある担い手へのスマート農機の導入を加速するとともに、来年四月に供用開始する農林業の知と技の拠点において、経営管理や機械操作など集落営農法人等からの幅広いニーズに対応した即戦力人材を養成します。 また、国の
総合経済対策も活用しながら、麦・大豆等の生産拡大や
安定供給のための機械導入・施設整備を支援するとともに、多様な担い手の新規参入による産地の生産力向上を推進し、農産物の供給体制の強化を図ります。 さらに、飼料用米等の生産及び利用拡大により、輸入飼料からの脱却を図るとともに、地元で製造された堆肥を有効活用し、肥料の使用量削減を図るなど、農業と畜産業の連携を強化していきます。 加えて、県が国内外に配置している輸出プロモーターを活用し、対象国の市場調査を行うとともに、現地ネットワークを生かした海外バイヤーとの商談機会を創出するなど、
海外市場の開拓に向けた取組を進めます。 私は、市町や関係団体等と連携し、農産物の供給体制の強化を積極的に進め、食料安全保障にもつながる、持続可能で強い農林水産業の実現に全力で取り組んでまいります。
○議長(
柳居俊学君)
繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕
◎教育長(繁吉健志君) 不登校対策についてのお尋ねにお答えします。 情報化の進展や少子化の進行など、児童生徒を取り巻く環境が大きく変化する中、本県においても、不登校児童生徒数の増加は生徒指導上の喫緊の課題であり、その支援に当たっては、一人一人の状況に応じた対策が重要であると考えています。 このため、本県では、これまで
子供たちが学校への復帰を目指す場として、各市町教委において、教育支援センターを設置するとともに、不登校生徒のための学びの場として分教室を設置するなど、
子供たちのニーズに応じた取組を進めてきました。 また、市町教委との協議会を設置し、フリースクールなどの民間施設等と連携した効果的な支援方法等についても、検討を行っているところです。 こうした中、お示しのように、令和三年度の文科省の調査結果では、全国の小中学校の不登校児童生徒数が過去最多となり、本県においても、同様に過去最多となっています。 また、
新型コロナウイルス感染症の影響により、人と人との距離が広がる中、
子供たちが不安や悩みを一人で抱え込んだりする可能性があることから、今後は、
子供たち同士はもちろんのこと、学校と
子供たちのつながりを、これまで以上に大切にした取組を行っていかなければならないと考えています。 このため、不登校となった児童生徒に対し、担任等による日頃からの家庭訪問に加え、授業配信による学習支援やスクールカウンセラー等による相談カウンセリングをオンラインで行うなど、ICTを効果的に活用した支援の取組を一層充実してまいります。 また、学校に戻りたいものの、教室には入りづらい児童生徒を教室復帰へつなげるために、学校内に居場所を確保し、支援する体制づくりについても検討してまいります。 県教委としましては、様々な理由で不登校を余儀なくされている
子供たちにしっかりと寄り添い、学校と
子供たちのつながりを大切にした、不登校児童生徒に対する支援を一層充実してまいります。
○議長(
柳居俊学君) 中西
警察本部長。 〔
警察本部長 中西章君登壇〕
◎
警察本部長(中西章君) 経済安全保障に対する県警察の取組についてのお尋ねにお答えいたします。 議員御指摘のとおり、日本は世界中で利用されている先端技術に関する情報や最先端の高性能製品を数多く有しているものと承知しておりますが、こうした技術情報等を有している企業や大学研究機関につきましては、当県にも多数あるものと認識しており、警察が行う経済安全保障の取組においては、技術情報等の流出防止対策が極めて重要であると考えております。 従来から、警察では、技術情報等の流出防止対策として、産業スパイ事案や高度な技術を使った製品の不正輸出事案、サイバー攻撃事案等の実態解明と取締りを推進してまいりました。 しかし、企業等に対するサイバー攻撃事案や技術情報等流出事案は継続的に発生しており、こうした被害を生まないために、いかに未然防止を図っていくかが課題となっております。 そのため、県警察といたしましては、これまで警察が解明してきた技術情報等の流出の手口や、それに対する有効な対策のノウハウを企業等に情報提供する活動、いわゆる技術情報等の流出防止に向けたアウトリーチ活動を一層強化し、被害の未然防止に重点を置いた取組の推進が重要であると考えており、やま
ぐち未来維新プランにおいても、県警察の重点施策として掲げているところです。 現在、県警察においては、外事課が中心となり、サイバー攻撃等の担当部署や各警察署のほか、必要に応じて官民の関係機関とも連携しつつ、県内所在の企業等に対する個別の訪問活動や講演等を通じて、自主的な技術情報等の流出防止対策の支援に努めているところです。 警察から情報提供している内容については、相手方のニーズや情勢に応じて調整しており、主なものといたしましては、諸外国による対日有害活動やサイバー攻撃の情勢、海外や日本国内において確認されている技術情報等流出事案の紹介、技術情報等の流出防止や情報セキュリティーの向上に向けた注意点等を提供しております。 そのほか、サイバー攻撃に関しては、県内大学において企業や自治体のシステム担当者などを集め、産学官連携によるサイバー攻撃共同対処訓練を実施しているほか、重要インフラ事業者等に対して、個別に標的型メール攻撃対処訓練を実施し、サイバー攻撃に対する対処能力の向上及び危機意識の醸成を図っているところです。 県警察といたしましては、技術情報等の流出防止に向けたアウトリーチ活動やサイバー攻撃対処訓練等を通じ、県内の企業や大学・研究機関、さらには、昨今、サイバー関連事案の被害が確認されている医療機関を含めた重要インフラ事業者に対しても、技術情報等の流出防止対策を支援する活動を推進してまいります。 また、警察が行う経済安全保障の取組に従事する職員に対して、専門的な教養や実戦的な訓練等による知識、能力の底上げを図るなど、県内から技術情報等の流出事案が発生しないよう、対策に万全を期してまいります。 ─────────────
○議長(
柳居俊学君) この際、暫時休憩をいたします。再開は午後一時の予定でございます。 午前十一時四十九分休憩 ───────────── 午後一時開議
○副議長(二木健治君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 ─────────────
△日程第一
代表質問
△日程第二議案第一号から第二十五号まで
○副議長(二木健治君) 日程第一、
代表質問を行い、日程第二、議案第一号から第二十五号までを議題とし、質疑の議事を継続いたします。 小田村克彦君。 〔小田村克彦君登壇〕(拍手)
◆(小田村克彦君) 民政会の小田村でございます。 会派を代表いたしまして、知事並びに
警察本部長にお尋ねをいたします。 質問に入ります前に、今朝、県の公費の使い方について、批判的な報道がございました。 議長、副議長が上京した際に、行き過ぎた配慮に対して、まさに忖度のし過ぎではないかとのことと、県財政が苦しい中、その配慮が必要かという報道でした。まさに私もそのとおりと思いますし、議長、副議長にも迷惑な話だろうというふうに思います。 県の経費の使い方について、一刻も早く改めて見直す必要があることを申し上げ、質問に入らさせていただきます。 人への投資に資するリスキリングの推進についてお尋ねをいたします。 政府は、本年六月、新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画において、人への投資、科学技術・イノベーション、スタートアップ、GX・DXへの重点投資を官民連携の下で推進するとともに、資産所得の倍増、経済社会の多極集中化、社会的課題を解決する経済社会システムの構築等に取り組むこととしています。 その中で、人への投資と分配について労働移動の円滑化やリスキリング、構造的な賃金の引上げについて、一つには、現下のコストプッシュ型の物価上昇をカバーするものとして、来春の賃金交渉に向けては、物価上昇をカバーする賃金引上げを目標として、価格転嫁や生産性向上策の強化、補助制度の拡充、非正規労働者の賃金改善のための同一労働同一賃金制の遵守を徹底することを求め、今年十月からの最低賃金の引上げ実施の確実な履行、そして中小企業の賃金引上げが可能となる取引環境の整備、中小企業の賃金引上げを条件とした補助金の抜本的な拡充、同一労働同一賃金の遵守、そして最低賃金の早期千円以上を目指すことや女性の就労制約となっている制度の検討など、先進国と言われる国々の中で日本のみが後れを取っている、物価についていけていない低い賃金体制に対して、行動を求めております。 そして、労働者に転職の機会を与える企業間・産業間の労働移動の円滑化などについての仕組みも整備するとしています。 中でも、ここ最近随分と耳にすることが多くなっているのがリスキリングです。 きっかけとなりましたのは、二〇二〇年のダボス会議、世界経済フォーラム年次総会と言われておりますけれども、ここにおいて、七つのテーマが取り上げられ、その一つである、社会と仕事の未来に関連して、第四次産業革命に伴う技術の変化に対応した新たなスキルを獲得するために、二〇三〇年までに十億人によりよい教育、スキル、仕事を提供するというリスキリング革命が発表されたことと言われております。 リスキリングとは、米国で先進的な取組を進めているIBMは、市場ニーズに適合するために、保有している専門性に、新しい取組を順応できるスキルを意図的に獲得をし、自身の専門性を太く、変化に対応できるようにする取組のことをリスキリングというふうに言われまして、職種・職務の転換あるいは現状の職種・職務において求められるスキルの大幅な変化への対応を目的に、新たなスキルを獲得する、させるということが、リスキリングの定義と言われております。 このリスキリング革命の宣言で注目が集まったその年に、
新型コロナウイルスの感染が世界中へ広がりました。 御承知のとおり、
コロナ禍では、人と人との接触を制限し、いかに非対面で生活を行うか、仕事を進めるか、コミュニケーションを図るかなど、あらゆる面でデジタルトランスフォーメーションを加速化をさせました。 DX推進が企業の共通テーマとなる中、DX人材の不足が官民ともに深刻なボトルネックということになっております。 日本でのリスキリングは、欧米よりも十年程度遅れていると言われ、情報処理推進機構の調査報告書によれば、社員の学び直しに力を入れている米国企業は八二・一%、それに対して、日本企業は三三%であり、その対象者も米国は全社員が三七・四%ですけれども、日本では全社員は七・九%となっており、日本企業でリスキリングの対象となるのは、会社の選抜による特定社員がほとんどという結果となっております。 また、実施していないし検討もしていないという企業は、米国では九・八%に対しまして、日本では四六・九%と、よく言われます日本経済の、失われた三十年を裏打ちしているような結果となっております。 こうした状況に危機感を抱いた経済産業省は、二〇一八年に、ITやデータ分野を中心とした教育訓練講座を、経済産業大臣が第四次産業革命スキル習得講座として認定する制度を開始。以前より行われている厚生労働省の教育訓練給付制度と連携をし、スキル獲得に助成金を出す仕組みをつくっております。 また、今次の実行計画により、個人のリスキリングに対する公的支援について、人への投資策を三年間で四千億円規模としていたものを、五年間で一兆円の施策パッケージに拡充するとしています。 そのような中、隣県の広島県では、機運の向上を図ることを目的に、リスキリング推進宣言制度に取り組み、取組を宣言することで、企業のイメージの向上や県のホームページへの掲載等により、認知度を向上、そして何よりもITパスポート取得支援制度で、試験受験料の補助を行い、企業や個人に対して新たな知識習得の支援を行っております。 あわせて、国は二〇二五年度までに、地方自治体の基幹業務システムについて、政府が準備をしたガバメントクラウドへの移行を計画するなど、本県のDX推進も重要であり、民間企業同様、いや、それ以上にIT人材は必要な人材となっております。 まさに民間企業との争奪戦となっており、そこには待遇面や採用年齢の制限など、硬直的な人事制度の見直しも必要と言われておりますけれども、職員へのリスキリングの取組もしっかり行う必要があります。 そこでお尋ねをいたしますが、本県でも、世界に後れを取るリスキリングの促進に向けて、県内企業へのDX人材育成に向けた支援、新たな技能取得に向けて挑戦し続ける個人等に対する支援など、今後どのような取組をされるのか、併せて、県職員のDX推進に向けたリスキリングへの対応について御所見をお伺いをいたします。 次に、コロナ対応と働く環境整備についてお尋ねをします。 まず、コロナ対応についてです。 十一月二十二日に、知事は記者会見におかれまして、本県が第八波に入ったとの認識を示されました。 十一月二十九日には、一日当たり新規感染者数が千百五十九人となるなど、感染者数も増加をしています。また、この冬はインフルエンザも同時流行すると言われています。 第七波の予測をAIによって行った名古屋工業大学は、東京都内では、一月にはピークを迎えると予測を出し、一日当たり三万一千人、変異株であれば、一日当たり六万人の新規感染者が発生する可能性があるとしています。 現状では、ワクチン接種の回数によってインフルエンザに似た症状や、喉の痛みだけなどの軽い症状とも言われておりますけれども、感染者数が増加をすれば、比例して重症化する方が増え、病床使用率は高くなります。 受皿となる医療関係者や保健所職員などの業務負担の増加により、医療及び保健体制の逼迫が危惧をされ、ひいては県民の安心・安全確保への影響も出かねません。 第八波が予測される中、経済を回すことも重要ですけれども、新しい生活様式の徹底やワクチン接種の推進など、感染者数を少しでも抑える対策も必要です。場合によっては、本県独自の措置も準備をする中で、年末年始を迎え、人の動きが活発化するとともに、忘年会や新年会など、今時点では、約三年ぶりの規制のかからないときを過ごしているわけですけれども、残念ながら、昨今の感染状況では、水を差すようですけれども、やはり注意喚起も必要です。 県として、県民の皆さんに安心かつ安全に年末年始を迎えていただくために、
コロナ禍でどのような対応を求め、周知をするおつもりか、御所見をお伺いをいたします。 次に、職員の労働環境についてお尋ねをします。 全国知事会などの働きかけにより、
新型コロナ感染者の全数把握や報告が簡略化されるなど、一定行政手続の軽減はなされてきてはいるものの、第八波の感染者数が第七波以上になる可能性もある中で、以前のような月百時間あるいは八十時間の残業時間を超える職員や、あるいは県民窓口の人員不足の状況から、自らの業務を持ちながらも応援に派遣をされる職員など、業務量と人員、いわゆる適正な人員確保・配置ができていない状況があると思います。 今年の八月には、人事院が勧告及び報告を発出をいたしました。それを受け、本県でも、人事委員会の勧告・報告が出されておりますけれども、その中で、社会情勢が急速に変化をする中、質の高い行政サービスを提供し続けるためには、公務組織が能率的で活力ある組織であり続けることが必要であり、そのためには、多様で有為な人材の確保や計画的な育成、職員が能力を発揮できる職場環境を整えることが必要不可欠で、それに伴い、公務の力量が上がり、さらには有為な人材を公務に引きつける、こういった好循環を生み出すことが期待をされるというふうにしております。 テレワークなどの柔軟な働き方に対応した勤務時間制度の整備は、職員のワーク・ライフ・バランスの実現に資するとともに、職員の健康増進はウエルビーイングの実現に向けた土台となるとしています。 国は、勤務時間調査・指導室を新設し、業務量に応じた人員確保の必要性を指摘した上で、定員管理担当部局への働きかけを行うとしています。 本県では、職員を管理すべく、執行部も含めて欠員、いわゆる本来必要な職員の配置ができていないという職場もあるやに聞いております。 それでなくても、猫の手も借りたい状況の中、職員の負担が増え、メンタルヘルスの不調や病休へとつながる悪循環となってはならないことだと思います。ぜひ、職員の健康管理含めて、事業者として、責任を持って対応していただきたいというふうに思います。 本県職員の欠員状況、勤務時間の調査と実態把握、指導の状況など、長時間労働とならないための職員の勤務環境の整備や職員の健康管理、それらを踏まえた定員・人員確保の必要性について、知事の御所見をお伺いをいたします。 次に、県有施設の脱炭素への取組の推進と光熱水費の削減についてお尋ねをいたします。 地球温暖化対策が見直される中、本県でも、やま
ぐち未来維新プラン、山口県地球温暖化対策実行計画、やま
ぐち産業脱
炭素化戦略、やまぐちコンビナート低炭素化構想など、整合性を図りながら、進めていくとされております。 家庭や企業の脱炭素に向けて、取組をお願いをしていくわけですけれども、率先して、本県としても、脱
炭素社会実現に向けて、積極的に取組を進めていくということは言うまでもありません。 本県の事務事業としても、令和三年から十二年までの十年間の山口県庁エコ・
オフィス実践プランにより、温室効果ガスの排出量を削減するなどの取組を進めておられますが、二〇二一年度の発生原因別の温室効果ガス排出割合は、電気の使用が六一・八%と最も大きくなっております。 その中でも、環境に配慮した電気の調達に努めるとされ、環境配慮型の施設への転換や再生可能
エネルギー等の利用の検討、そして効率的な
エネルギー管理に努めるとされております。 全国では、省
エネルギー改修に係る全ての経費を光熱水費の削減分で賄う事業であるESCO事業など、自治体の新たな財政支出を必要とせず、契約期間終了後の光熱水費の削減分は、全て自治体の利益となるような事業を採用している自治体もあります。 また、初期投資を抑え、太陽光発電設備の導入が可能なPPA方式と呼ばれるものもあります。 PPA方式とは、発電事業者が太陽光発電設備を、その事業者の負担で自治体等の敷地内に設置をし、発電事業者が当該設備の所有、維持管理をした上で、発電をした電気を自治体が購入して利用する事業というふうに言われております。 長期的な契約が主であることや契約期間終了後は自己管理となることなど、課題もあるとは思慮しておりますけれども、県有施設への太陽光発電設備の設置を進め、地球温暖化対策・再生可能
エネルギー導入推進など、積極的に進めるべきと考えます。 また、県の光熱水費の支出削減と歳入確保にも結びつくことも期待ができます。 歳入確保につきましては、これまでも、納税通知書や庁舎、公用車などに広告を掲載することや、県有施設の命名権を企業に付与するネーミングライツの実施など、税収以外の収入を上げるべく、努力をされておられることは承知をしておりますけれども、昨今の資源高の状況などから電気料金の上昇など、財政を圧迫する状況が今後続くと思慮されます。 先ほど申し上げた、ESCO事業など、財政面の観点からも考えられるのではないかと思います。 お尋ねをいたしますけれども、県有施設における脱炭素に向けた取組の推進と併せて、光熱水費の削減に向けた考え方について、御所見をお伺いをいたします。 次に、家族農業・小規模農業の振興についてお尋ねをします。 日本の農業は、これまでの家族を主体とした農業形態から、生産効率を高めて利益を上げる法人化や大規模化へと進んでいます。 二〇一七年の国連総会において、二〇一九年から二〇二八年までを、家族農業の十年として定め、国連加盟国に施策の推進を求めました。二〇一九年には、家族農業の強化を実現できる政策環境の構築など、世界行動計画を策定し、世界的には、家族農業の重要性が認識され、小規模な農家をサポートする政策を進める動きが進んでいます。 当然、生産性を高めるには、効率化を求め、大規模化が推進され、平坦かつ大規模な圃場で一気に作付を行い、農薬を散布し、収穫を行う。また、機械化からITの活用を進めることで、作業時間の短縮や人手不足を補填をし、そのことが生産コストの削減へとつながり、もうかる農業へと進んでいきます。 高齢化や後継者・人手不足など踏まえれば、農業の大規模化や法人化が必要なことは確かです。 一方で、農業経営体に占める家族経営体の割合は、EUで九五・二%、米国で九五・九%を占めております。日本でも農林水産省の二〇二〇年農林業センサスによれば、日本の農業経営体は約百八万ですけれども、そのうち家族経営体は約百四万で、全体の九六%程度を占めており、農業を営んでいる人々のほとんどが家族農業となっております。 これまでも農業は生産性だけではなくて保水、保全など、人間にとって生きていく環境を守ることや自然災害の発生を抑え、地球温暖化対策やSDGsの掲げる課題にも関連をしているなど、多くの重要な局面を兼ね備えております。 そこでお尋ねをいたしますけれども、今後、家族経営での小規模農家、特には、高齢化が進む中山間地の農業、規模拡大など、効率化が進みにくい場所において、農地の荒廃を防ぎながら、水稲や畑作など、そこで細々と農地を守り、近隣の環境をも守り続けている家族農業者に対して、農地の維持や環境保全活動にどのように支援をしていかれるおつもりか、御所見をお伺いをいたします。 次に、自動運転と交通事故防止に向けた道路環境の整備についてお尋ねをいたします。 高齢者のブレーキの踏み間違いや認知機能の低下などから、事故が増加をしております。また、免許制度も高齢者講習の必要性や認知機能検査など、検査項目も増えてきております。 警察庁の調査では、七十五歳未満のブレーキとアクセルとの踏み間違いは一%程度ですけれども、八十五歳を超えると一〇%以上と約十倍になるというふうに言われております。 二〇二二年五月に、サポカー限定免許と呼ばれる免許制度がスタートしました。運転支援機能を搭載した認定車両のみを運転できる免許で、運転に不安がある高齢運転者向けに新設をされました。 サポカーとは、安全運転サポート車のことで、衝突被害軽減ブレーキ機能を有するものと、ブレーキ・ペダル踏み間違い時に、加速抑制装置が設定をされている車両のことで、その他には、車線からのはみ出しに対して警告を発する車線逸脱警報や、先行車や対向車を検知をして、ハイビーム・ロービームを自動で切り替える先進ライトなど、先進安全技術を搭載することで、事故低減を目指した車両です。 しかしながら、高齢者にとって、新規車両の購入はなかなかハードルが高いと思われ、先日発生をいたしました福島での九十七歳の高齢者の運転事故も、普通車から軽自動車への乗換えはされていたものの、先進機能のついた新しい車への代替とはなってはいませんでした。 一方、地方では、少子高齢化が進む中、公共交通の減便や廃線が進むなど、利便性はますます低下をしており、悪循環を繰り返していると同時に、特に中山間地などでは、車がなければ買物や通院など、生活が成り立たない状況となっています。 そのような中、世界では、自動運転システムの研究が進み、実用化により、九六%以上とも言われる運転者に起因する交通事故の低減や渋滞による経済活動の阻害の緩和、高齢者の移動手段や少子高齢化による輸送運転者の不足などの解消が期待をされ、我が国が世界に誇る基幹産業でもある自動車産業の国際競争力の確保など、戦略的にも重要な取組です。 自動運転の定義は、レベルによって分かれておりますけれども、レベル一では、加速、操舵、制動のいずれかをシステムが行う状態で、例えば、自動ブレーキ、前の車両に追従して走る、車線からはみ出さないなどが行われるものから、レベル三となると、それまではドライバー責任というものから、システム責任へと移行し、加速、操舵、制動を全てシステムが行い、システムが要請したときのみ、ドライバーが対応する状態と位置づけています。 そして、レベル四ともなると、一定の限定条件はあるものの、全てをシステムが行い、全くドライバーは関与しない状況となり、レベル五で、完全運転自動走行と定義をしています。 その実現に向けては、それぞれに対応した法整備や自動運転システムの実用化に向けた研究開発としてSIP、いわゆる戦略的イノベーション創造プログラムと呼ばれるものですけれども、府省の枠に捉われずに、技術開発をするプログラムも進んでいます。 完全運転自動走行となるには、まだまだ時間を要するわけでありますけれども、路面標示等が明確でなければ、現行のレベル一やレベル二も実施できにくい状況となるなど、今後、自動運転が普及した場合であっても、機能が十分に発揮できないと考えます。 そこで、道路環境の維持向上と事故防止の観点から、区画線や横断歩道といった路面標示の補修管理に、今後どのように取り組まれるのか、県知事及び
警察本部長にお伺いをいたします。 最後に、自転車の安全対策についてであります。 自転車の道路通行に関しましては、一九六〇年に制定をされた道路交通法において、自転車は車両と位置づけられ、車道通行が原則とされています。その後、一九七〇年の道路交通法改正で、公安委員会が歩道または交通の状況により支障がないと認めて指定した区間の歩道を通行可能としたことや、一九七八年の道路交通法改正によって、自転車は車道通行が原則であるが、普通自転車歩道通行可の標識により、徐行等を前提に、歩道通行が認められるということになりました。 そのような状況の中、右側通行や歩道通行可とする条件や自転車の走行位置などの理解が不十分なまま、自転車は、歩道通行可能という意識が浸透し、通行位置や歩道通行時の徐行などのルールを遵守できないまま、常態化してきたと思われます。 また、自転車は走行安定性や走行
エネルギーの保持のために、停止や減速をなるべく避けようとする車両特性から、徐行や歩行者優先の停止など、ルールを守ることが難しいという要因もあると言われております。 そんな中、二〇二二年一月には、警視庁や各道府県警察より、交通量の多い道路や生活道路などで、自転車が関係する違反や事故が多いエリアを、自転車指導啓発重点地区・路線として公表し、交通ルール遵守の徹底を求める方針が示されております。 山口県警でも、駅や学校周辺の自転車利用者が多い場所や自転車の交通事故、交通違反が多い場所を中心に、県内十六警察署三十三路線を自転車指導啓発重点路線として定め、自転車に関する指導啓発活動を行っておられます。 また、警視庁では、十月の三十一日より、自転車の交通違反に対する取締り強化を行っており、自転車による信号無視、一時不停止、右側通行、徐行せずに歩道を通行する、この四つの違反について、悪質な場合は警告にとどめず、罰金などの刑事処分の対象とする交通切符を交付すると報道をされております。 自転車の違反と罰則は、片手運転などでの携帯電話の使用、イヤホンやヘッドホンで音楽を聴く、信号無視、一時不停止、並進、二人乗りや右左折時の合図不履行、夜間の無灯火などでは、二万円以下の罰金や五万円以下の罰金、三か月以下の懲役が科せられ、こと飲酒運転においては、五年以下の懲役または百万円の罰金となっており、私も改めて自転車の交通ルールの厳しさを認識したところであります。 ただ、自転車は御承知のとおり、子供の頃、初めて自分で移動できる最初の手段の乗り物として慣れ親しんでおり、どこを境にこの違反を意識し始めるのか、また、どの年齢を境に取締りや処分対象とするのかなど、なかなか難しい判断が必要ではないかと考えます。 そのような中、特には自転車での通学が認められ始める中学生、また、思春期でもあり、自己主張が強まるであろう高校生の時期には、特に自転車のマナーや交通ルールを守ることを意識づける必要があり、啓発活動が重要と思われます。 そのような中、全国で効果を上げているのが、スケアード・ストレイトという手法です。 スケアード・ストレイトは、恐怖を直視させるという意味で、スタントマンが受講者の目の前で交通事故を再現することにより、交通事故の衝撃や怖さを実感させ、交通ルールの必要性について、受講者自身に考える機会を与えるという教育技法です。 お尋ねをいたしますけれども、県内の自転車事故の現状と取締り件数の推移、そして、本県の学生に対する自転車交通ルールの徹底と周知、事故防止の観点での教育の実績、そして今後どのように取り組まれていかれるのか、御所見をお伺いをいたします。 今ので質問は終わりですけれども、終わりに一言申し上げます。 脱
炭素社会の実現に向けて、この十一月三十日時点では、いよいよ四十七都道府県の中で、宣言をしていない都道府県は、茨城、埼玉、愛知、そして山口県のみとなっておりました。 どうしたものかと思っておりましたが、ついに本県も十二月二日、環境政策推進本部の会議において、知事が、二〇五〇年に、県内の二酸化炭素排出量の実質ゼロを目指す、二〇五〇年
カーボンニュートラルの宣言を表明をされました。 同時に、地球温暖化対策の実行計画の素案が示され、二〇三〇年度の温室効果ガス排出量の削減目標、従来の目標から二倍近くに引き上げるとともに、二〇三〇年度の再生可能
エネルギーの導入目標についても、二百四十万キロワットから三百万キロワットにまで引き上げるとされました。 我々会派も、これまで何度となく宣言を発出するべき、申し上げてまいりましたけれども、コンビナートを有する本県は、産業による排出量が多いという県の特質もありましたが、そこを超えての宣言に、改めて敬意を表すところであります。 また、環境省が行ってきました、脱炭素ロードマップでは、二〇二五年まで、百件を目途に、脱炭素先行地域を選考する予定でして、一月に募集された第一回目には、七十九件の応募のうち二十六件が選定をされ、そして今年七月に募集をされました第二回目には、五十件の応募に対して二十件が十一月一日に選定され、発表をされましたけれども、本県では、初めて、この県と山口市が見事に選考をされました。 山口市は、ゼロカーボン中心市街地と銘打って、消費電力量やCO2排出量の見える化のほか、ソーラーアーケードの導入や公用車のEV化、湯田温泉等の観光地と中心市街地を結ぶ乗合バスをEV化するなど、取り組むというふうにされております。また、先ほど申し上げました、PPA方式も導入するとされております。 環境省も、地方公共団体に、地域脱炭素移行・再エネ推進交付金など、総合的な交付金により支援を実施していくとしており、本県は、若干宣言等出遅れ感はありますけれども、ぜひ、本県、企業、そして市町が一丸となって、この困難に向かい合ってほしいと願っております。 私ども民政会も、しっかりこれらの取組を支援をしていくことを申し上げ、質問を終わりたいと思います。 御清聴賜りました。大変ありがとうございました。(拍手)
○副議長(二木健治君) 村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕
◎知事(村岡嗣政君) 小田村議員の
代表質問にお答えします。 まず、人への投資に資するリスキリングの推進についてのお尋ねです。 DXの加速化など、経済・社会環境が急速に変化する中で、県内企業が持続的に成長していくためには、人への投資を通じた付加価値の向上が必要であり、リスキリングに取り組む企業や個人を支援していくことが重要です。 このため、私は、やま
ぐち産業振興財団に設置した生産性向上・人材創造拠点において、産業人材の専門的・実践的なスキルの習得を支援するとともに、やまぐちDX推進拠点「Y─BASE」を核として、AIやデータ活用に係るセミナーやアプリ開発に係る実践的研修を実施しています。 また、高等産業技術学校において、企業からの相談に応じて、オーダーメード型の職業訓練を実施するなど、地域のニーズに応じた人材育成に取り組んでいます。 こうした中、国は、新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画において、国全体の規模で官民が連携し、労働者のスキルアップや人材育成策の拡充を図ることとしています。 県としても、国の取組と連携を図りながら、やま
ぐち未来維新プランにおいて、成長を支える産業人材の確保・育成を重要施策の一つとして位置づけ、職業能力の再開発・再教育に積極的に取り組むこととしています。 具体的には、生産性向上・人材創造拠点等におけるDXの成熟度に応じた人材育成研修の実施や県内大学と連携したデータサイエンティストの育成を行うとともに、高等産業技術学校に機械デジタル科を設置するなど、
デジタル化に対応した人材の育成に取り組みます。 また、国とともに新たに設置した職業訓練の効果・検証を行う協議会において不断の検討を行い、民間教育訓練機関とも連携しながら、地域のニーズ変化を適切に反映した訓練コースの設定を促進してまいります。 こうした取組を進めるのに併せ、県政各分野のDX推進や行政サービスの高度化・効率化に向け、県においても、その取組を担う人材の育成に積極的に取り組むことが重要です。 このため、本年二月には、職員の職位などに応じて学ぶべきスキル等を整理した、山口県デジタル人材育成方針を策定し、全ての県職員がデジタル技術を理解し、これを的確に使いこなすための研修を計画的に行っています。 また、データ活用など、DX推進に必要なノウハウ等を先端企業から学ぶための職員派遣なども行っており、今後も、県職員がデジタル人材として本県のデジタル改革を担っていけるよう、その育成に向けた取組を様々な手法で進めてまいります。 私は、人への投資により、新たな付加価値の創造を目指す国の取組とも連携を図りながら、官民におけるリスキリングの推進に着実に取り組んでまいります。 次に、コロナ対応と働く環境整備についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、コロナ対応についてです。
新型コロナウイルス感染症については、新規感染者数が全国的に増加する中、本県においても、十月下旬以降増加傾向に転じており、今後、本格的に気温が低下する冬場や、人の移動が活発になる年末年始を迎えることなどから、さらなる感染の拡大が懸念されます。 また、国から新たな行動制限を行わないとの方針が示されていますが、季節性インフルエンザとの同時流行も見込まれ、予断を許さない状況にあることから、社会経済活動の継続を図りながら、医療提供体制の逼迫を回避するため、感染拡大防止に取り組み、新規感染を抑制する必要があります。 このため、県民の皆様には、三密の回避や十分な換気など、基本的な感染予防対策を改めて徹底していただくとともに、重症化予防はもとより、感染や発症予防に高い効果が期待されるオミクロン株対応ワクチンを、できるだけ多くの方に速やかに接種していただきたいと考えています。 また、感染不安を解消し、年末年始を安心して迎えることができるよう、現在、県下八十三か所の身近な薬局等に設置している無料検査所などの積極的な活用をお願いし、感染拡大防止にもつなげていきます。 さらに、こうした感染拡大防止対策や年末年始の過ごし方について、県民の皆様の十分な御理解・御協力が頂けるよう、県のホームページやSNS等を通じた情報発信を行ってまいります。 私は、県民の皆様の命と健康を第一に、安心・安全な年末年始を過ごしていただけるよう、引き続き、感染対策と日常生活の回復の両立に取り組んでまいります。 次に、職員の労働環境についてのお尋ねにお答えします。 私は、職員がその能力を十分に発揮し、常に健康で高い意識を持って業務を遂行していくためには、働きやすい環境の整備と職員の健康管理が重要であると考えています。 このため、県庁働き方改革の下、業務の計画的・効率的な執行や事務事業の見直しによる業務量の削減に努めるとともに、職員のワーク・ライフ・バランスを推進する観点から、時差出勤や在宅勤務など、多様な働き方を可能とする環境整備を進めてきました。 また、職員の健康管理については、長時間労働の縮減に向け、管理職員による適切な業務マネジメントを徹底するとともに、専門的な知識を有する保健相談員を県庁に配置し、職員の健康に関する保健指導や各所属への巡回保健相談などに取り組んできたところです。 こうした中、コロナ対策の長期化に伴い、保健所を中心に大きな負担が生じ、保健師をはじめとする保健所職員はもとより、応援職員やその派遣元の職員なども長時間労働を余儀なくされました。 このような状況を受け、厳しい財政状況の中にあっても、定員数を増加させ、職場の実態等を踏まえた適正な人員配置を行うとともに、必要となる人員の確保に努めているところです。 具体的には、保健所の体制強化や
デジタル化の推進等の主要課題には、重点的な人員配置を行うとともに、即戦力となる社会人経験者の採用職種を拡大するなど、業務遂行能力の向上につながる人員の確保に取り組んでいます。 私は、今後とも、長時間労働を抑制し、全ての職員がその能力を遺憾なく発揮できるよう、働きやすい環境の整備と職員の健康管理に取り組むとともに、業務量に応じた適正な人員配置や多様な人材確保のための職員採用に努めてまいります。 次に、県有施設の脱炭素への取組の推進と光熱水費の削減についてのお尋ねにお答えします。 まず、県有施設の脱炭素への取組の推進についてです。 県では、これまでも地球温暖化対策実行計画に位置づけた県庁エコ・
オフィス実践プランに基づき、節電や節水等による温室効果ガスの排出削減とともに、ESCO事業や国の基金等も活用し、県有施設への太陽光発電設備等の導入を進めています。 また、昨年度から、岩国地区の複数の県有施設で実施している、太陽光発電と蓄電池、電気自動車を組み合わせた分散型
エネルギーシステムの実証事業において、温室効果ガスの排出削減はもとより、消費電力のピークカット効果や災害時の非常用電源としての有効性を確認できたところです。 一方、国は、昨年六月に策定した地域脱炭素ロードマップにおいて、二〇三〇年までに設置可能な自治体の建築物等の五〇%に太陽光発電設備を設置するという目標を設定するなど、自治体が率先して脱炭素化に取り組むことを求めています。 こうした中、県では、国の動きに呼応し、実証事業で得られた知見も生かしながら、現在、県有施設への太陽光発電や電気自動車の導入ポテンシャル調査を実施しているところであり、今年度中に導入計画を策定し、その中で、お示しのPPA活用の可能性も併せて検討していくこととしています。 私は、今後、国の交付金等も有効活用しながら、県有施設への太陽光発電設備等の導入を計画的に進めるとともに、その効果等を広く公表し、市町や民間の施設に展開していきたいと考えています。 次に、光熱水費の削減に向けた考え方についてです。 県の温室効果ガス排出量を削減する取組は、光熱水費の削減にも資することから、プランに基づき、電気、ガス、水道等の使用量の削減や省
エネルギー設備等の導入に努めることを通じて、その削減につなげることとしています。 その具体的な取組としては、県庁舎においてESCO事業を活用し、設備機器の高効率化や省エネ運転化を進めたほか、冷暖房温度や照明の適切な管理も行っているところです。 今後もこうした取組を継続し、照明器具や空調設備等の更新時には、省エネ効果の高いものを導入することで、さらなる光熱水費の削減に努めてまいります。 私は、引き続き、脱
炭素社会の実現に向け、県自らが大規模な事業者・消費者であるという認識の下、県有施設における脱炭素の推進や、光熱水費の削減に取り組んでまいります。 次に、家族農業・小規模農業の振興についてのお尋ねにお答えします。 農業は、食料の
安定供給はもとより、県土の保全など、多面的機能を有する重要な産業であり、本県農業の持続的な発展を図るためには、家族経営での小規模農家が多い本県の特性を踏まえ、多様な担い手が活躍できる取組を進めることが重要です。 こうした中、私は、地域の農業者が、それぞれの知識や経験等に応じて力を発揮しながら農地を守り、効率的な農業経営を進められるよう、まずは、集落営農法人の育成に重点的に取り組み、これまで県内各地に二百九十九の法人が設立されたところです。 また、こうした集落営農法人を中心に、市町や農地中間管理機構等と連携し、意欲ある担い手への農地の集積を促進するとともに、さらなる法人の規模拡大や経営の多角化に取り組む集落営農法人連合体を育成しています。 さらに、デジタル技術を活用して、農作業の省力化や農産物の高品質化に資するスマート農業技術の開発や生産現場での実装・導入に向けた取組を進めています。 一方で、中山間地域のような条件不利地においては、農地の集積等による経営規模の拡大が困難であることから、こうした地域では、小規模な家族農業者が農地を維持し、環境を保全しながら、自らの営農を継続していくことも重要です。 このため、まず、農地の維持や環境の保全が図られるよう、国の多面的機能支払制度などを活用し、農地ののり面の草刈りや水路の泥上げ、農道等の簡易な補修など、地域の農業者等による共同活動を引き続き支援していきます。 また、農業生産条件が不利な中山間地域等でも、将来に向けて農業生産活動が維持されるよう、集落協定に基づく農業生産活動等を行う体制整備や山口型放牧など、耕作放棄地の発生防止のための取組などを促進します。 さらに、家族農業により、長年引き継がれてきた農地や施設をはじめ、地域で培われてきた栽培技術などの有形・無形の資産について、デジタル技術を活用した可視化やデータベース化を行い、マッチングを図ることにより、次代を担う若者への円滑な継承を進めます。 加えて、小規模経営であっても一定の収益が確保できるよう、JA等と連携し、ワサビやリンドウなど、高単価が期待できる作物の導入を進めるとともに、付加価値を高める六次産業化への取組などをさらに後押ししていきます。 私は、中山間地域などの条件不利地においても、農地の維持や環境保全活動が継続できるよう、小規模な家族農業者をはじめ、多様な担い手が活躍できる本県農業の振興に取り組んでまいります。 次に、自動運転と交通事故防止に向けた道路環境の整備についてのお尋ねのうち、私からは道路管理者の取組についてお答えします。 全国に先行して高齢化が進む本県においても、高齢者の交通事故防止や中山間地域における日常的な移動の利便性・安全性等の向上を図る観点から、自動運転システムの普及促進は重要であると考えています。 この自動運転システムを利用するには、GPSやカメラ、センサー等を駆使し、区画線等の路面標示や車間距離、歩行者等の様々な道路上の情報をシステムに取り込む必要があります。 このうち、道路管理者が設置している路面標示については、利用者の安全な通行を確保するため、日々のパトロール等により、区画線等の摩耗状況を把握した上で、緊急性や重要性の高い箇所から順次更新しているところです。 さらに、今年度から、AIによる画像処理により、区画線等の状況を判定するシステムを導入し、点検の効率化を図ることで、速やかな補修につなげていくこととしています。 また、近年、産学官の各分野で、自動運転の普及に向けた技術開発等が着実に進められており、県としても、自動運転に資するという観点も踏まえ、適切な維持管理を行っていく考えです。 私は、県民の暮らしの安心・安全は、あらゆることの基本であるとの認識の下、引き続き、安全で円滑な道路環境の維持向上に取り組んでまいります。
○副議長(二木健治君) 中西
警察本部長。 〔
警察本部長 中西章君登壇〕
◎
警察本部長(中西章君) 交通関係の二点のお尋ねにお答えいたします。 まず、自動運転と交通事故防止に向けた道路環境の整備のうち、県警察の取組についてのお尋ねです。 自動運転をめぐっては、令和四年四月に公布された道路交通法の一部を改正する法律により、運転者がいない状態で一定の基準を満たす自動運行装置を使用して自動車を運行することを特定自動運行と定義し、特定自動運行を行おうとする者は、公安委員会の許可を受けなければならないなど、規定の整備がなされているほか、公道での実証実験が行われるなど、実用化に向けた取組がなされていると承知しております。 こうした中、交通の安全と円滑を図り、交通事故を防止する上で重要な役割を果たしている横断歩道や停止線などの道路標示を、適正に維持・管理することが重要であると考えております。 横断歩道は、令和四年十一月末現在、県内に七千九百九十八か所あり、その補修については、摩耗の程度、地域住民の方からの要望、交通事故の発生状況、交通量、子供や高齢者の利用実態等を総合的に勘案し、通学路など、優先度の高いものから補修を行っております。 また、摩耗状況によって部分的に補修するなど、予算の効率的な執行によって、より多くの補修を行っているところです。 県警察といたしましては、今後も道路交通法の改正など、自動運転に係る国等の動向に注視しながら、道路標示の適正な維持・管理に努めてまいります。 次に、自転車の安全対策についてのお尋ねにお答えします。 県内の自転車事故につきましては、概数ですが、本年十一月末現在、三百七件発生しており、前年同期と比較して三件減少している一方で、自転車事故のうち、約三割の利用者に法令違反が認められることから、自転車の安全対策が重要な課題であると認識しております。 また、自転車の取締り件数につきましては、過去五年間で五十一件となっており、毎年十件前後で推移しております。 自転車の取締りにつきましては、歩行者や他の交通に具体的な危険を生じさせた場合、あるいは再三の警告に従わない場合を対象としておりますが、それ以外にも並進やイヤホンの使用などで、毎年千件前後の指導警告を行っているところです。 なお、指導警告の対象者を年齢別に見ますと、高校生以下が五割以上を占めており、中には、小学生に対し、交通安全啓発用チラシを活用して現場指導したものもあります。 こうした実態を踏まえ、通学で自転車を利用する中高生に対し、自転車の交通ルールやマナーの遵守を意識づけるため、学校などの関係機関と連携し、各種対策を進めているところです。 具体的には、議員お示しのとおり、自転車が集中する駅や通学路から選定した、自転車指導啓発重点路線を中心とした指導・啓発や、高校生を対象としたスケアード・ストレイト教育技法による疑似体験のほか、中高生で組織する、少年セーフティリーダーズによる主体的な自転車安全利用の意識啓発活動、中学生自らが作成したVR動画の活用による自転車安全教室などに取り組んでおります。 また、乗車用ヘルメットの着用につきましては、改正道路交通法により、令和五年四月までに、自転車利用者のヘルメット着用が努力義務となることを踏まえ、その重要性に関する動画を作成し、ユーチューブなどで情報発信を行っております。 今後の取組として、ヘルメットの着用促進など、自転車の安全対策に取り組んでいる高等学校を自転車安全利用モデル校に指定し、通学路の危険箇所マップの作成や交通事故防止を図るための検討会を開催する予定です。 県警察といたしましては、引き続き、教育委員会等の関係機関と連携を図り、交通安全意識を醸成する交通安全教育や各種媒体を活用した情報発信などの対策に取り組むとともに、交通違反を認めた場合には、徹底した指導取締りを行ってまいります。
○副議長(二木健治君) これをもって
代表質問を終わります。 ─────────────
○副議長(二木健治君) 以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 本日はこれをもって散会いたします。 午後一時五十三分散会 ───────────── 地方自治法第百二十三条第二項の規定によりここに署名する。 山口県議会 議 長 柳 居 俊 学 副 議 長 二 木 健 治 会議録署名議員 坂 本 心 次 会議録署名議員 磯 部 登 志 恵...