令和 6年 6月 定例会(第2回) 令和六年 第二回
天理市議会定例会会議録(第四号)
--------------------------------------- 令和六年六月二十一日(金曜日) 午前十時零分
開会---------------------------------------議事日程(第四号)一 日程 日程第一
一般質問---------------------------------------本日の会議に付した事件 議事日程のとおり
---------------------------------------出席議員(十六名) 一番
今西康世議員 二番
東田匡弘議員 三番 榎堀秀樹議員 四番
大橋基之議員 五番 鈴木 洋議員 六番
藤本さゆり議員 七番
西崎圭介議員 八番
鳥山淳一議員 九番
内田智之議員 十番
寺井正則議員 十一番
神田和彦議員 十二番 村木 敬議員 十三番 石津雅恵議員 十四番 井上伸吾議員 十五番 山田哲生議員 十六番
市本貴志議員---------------------------------------欠席議員(なし
)---------------------------------------説明のための出席者 市長 並河 健 副市長 藤田俊史 教育長 伊勢和彦 市長公室長 上田茂治 総務部長 上田義之
くらし文化部長 西辻健一 危機管理監 上土居能一
健康福祉部長 加藤道徳 健康・
こども家庭局長 山本年秀 環境経済部長 岩田俊樹 建設部長 井上典正 教育委員会 奥村紀一 事務局長 教育次長 山口忠幸 会計管理者 奥村良子 上下水道局長
上村克樹議会事務局職員ほか出席者 事務局長 松原茂幸 事務局次長 青木一朗 事務局係長
上田泰司--------------------------------------- 午前十時零分 開議
○議長(
大橋基之議員) 休会前に引き続き会議をいたします。
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○議長(
大橋基之議員) これより日程に入ります。 日程第一、一般質問を行います。質問時間は、答弁を含め六十分以内となっておりますので、御了承願います。質問通告が来ておりますので、順次発言を許します。 十一番、
神田和彦議員。 〔十一番
神田和彦議員 登壇〕
◆十一番(
神田和彦議員) 議長のお許しを頂きましたので、質問通告書に従いまして一問一答方式にて質問をさせていただきます。議長並びに関係部局の皆様方におかれましては、どうぞよろしくお願いいたします。 令和八年度に向けた
部活動地域移行につきまして御質問をさせていただきます。 この案件において重要な部分といたしましては、
子どもたちファーストの観点で是非ともお考えいただければと思っております。現在起きている奈良県内での部活動の問題点は、約三つ挙げられます。一、指導主任だった顧問の先生が異動されていった、二、指導員として代わりの先生が見つからない、あるいは指導経験のない顧問の先生が顧問として就いてしまった、三、指導員が見つかったとしても、人件費が払えなく、実際指導が行われない事実、この三点が各自治体に起きていることが問題であると考えております。また、教職員のなり手不足も一つ原因であると考えております。 各自治体は地域の特徴に合わせて
部活動地域移行に向けて準備をされております。奈良県では、二〇一〇年頃より
総合型地域スポーツクラブの立ち上げを各地域に促しており、すぽろば、奈良県
総合型地域スポーツクラブ連絡協議会も立ち上がっております。天理市内においても各小中学校には
施設開放委員会が設置されております。天理市内においても、各小学校の
施設開放委員会と連携し、この学校の二部、三部の時間帯を有効的に活用することは非常にすばらしいことであると考えております。 部活動の地域移行についてお伺いさせていただきます。天理市における
部活動地域移行への計画、スキームについて教えていただけないでしょうか。よろしくお願いいたします。
○議長(
大橋基之議員) 教育長。 〔教育長 伊勢和彦 登壇〕
◎教育長(伊勢和彦) お答えいたします。 答弁を始めるに当たり、最初に、長年、大橋議長やそのほかの方々が行ってこられた
ミニバスケット、あるいは神田議員が複数の学校のグラウンドで続けておられる陸上の活動、それらに対して大変地域に部活動を移行する際にどのような形がいいのかを教えてもらっております。そのことに深く感謝をしつつ、答弁を始めたいと思います。 令和六年度は、北中学校では剣道部、柔道部、
バドミントン部、卓球部、家庭科部、茶道・華道部、吹奏楽部、南中学校では弓道部、陸上部、水泳部、野球部、茶道・華道部、福住中学校では陸上部、西中学校では
バレーボール部、陸上部、茶道・華道部、吹奏楽部の計運動部十一部活、文化部六部活に
部活動指導員が配置されています。奈良県では、令和八年度に休日の部活動を地域移行する方針を示している中、当市においては運動部十九部活と文化部十部活がまだ
部活動指導員を配置できていない現状です。そのため、令和六年度中に人材バンクを立ち上げ、指導者資格を有しているかなども含め、募集する人材についての一定の
ガイドラインを示し、令和七年度中に全ての部活動において指導員を配備していきたいと考えております。 具体的には、今年度上半期中に募集する人材についての一定の
ガイドラインを作成し、上半期には指導員の募集を進めていくというスケジュールになります。なお、全ての部活動で指導員を配備した場合、おおむね三千万円の人件費が必要となることもあり、県や国からの補助金の見込みも勘案しつつ検討を重ねる予定です。いずれにおいても、いま議員がお話しくださった
施設開放委員会との連携、あるいは指導者の保険の加入の義務化であったり、活動場所の拠点化や指導者の学校巡回、指導者への謝金や受益者負担をどうするかなど、いろいろな御示唆をいままでも、そしていまの質問でも頂きましたので、これらを踏まえた上での制度設計の策定に努めたいと思っております。 どうぞこれからもお力をお貸しいただくことをお願いして、私の答弁にしたいと思います。よろしくお願いします。
○議長(
大橋基之議員) 神田議員。
◆十一番(
神田和彦議員) 丁寧な御回答ありがとうございます。 先ほども教育長のお話にあったとおり、
ガイドラインの設定というところが非常に大事なってくるかなと思っております。私もこの天理市外の方で約七年間部活の外部指導員としてやってきたところがございまして、予算の問題もあるんですけど、まずちょっと
ガイドラインのところのお話をさせていただければと思うんですが、現在
日本スポーツ協会が中心となりまして、各スポーツの協会があると思うんですが、そちらの方が指導者の方には必ず指導者の資格を取りなさいという形でアナウンスがかかっております。特にサッカーとバスケの方は、非常にそこがジュニア期と小学校、中学校、高校と非常に細かく設定されているわけなんですけども、そういった中で
先ほど教育長もおっしゃられたとおり、資格を取っている者、あるいはちゃんと保険に入っている者というところで
ガイドラインを示していかなければならないという部分なんですが、実際いま
ガイドラインという中で、その
ガイドラインがもうできているのか、あるいは、その
ガイドラインがまたそれこそ上半期中には出てくるというところの、そういった要綱等はいま原案という意味である程度形としてできているんでしょうか。よろしくお願いします。
○議長(
大橋基之議員) 教育長。
◎教育長(伊勢和彦) 県教委の方としても、いま順次作っているところだというふうに聞いております。完全には出来上がっていない。ただ、いろいろその間に各自治体の、あるいは各市町村のそれぞれ規模も違いますので、そういう声を届けていかないと、本当に実用的な、現場に合った
ガイドラインができていきにくいのかなと思いますので、きっちり固まっていないこの時期にこそ、我が自治体の現状をしっかりと届けていって、策定の完成に向けて協力していきたいなと考えております。以上です。
○議長(
大橋基之議員) 神田議員。
◆十一番(
神田和彦議員) ありがとうございます。 ぜひとも、その
ガイドラインをつくる際というのが非常に大事なポイントになってくると思います。それこそ、いざ指導に先生が来ました、あるいは地域の人が来ましたというときに、非常に子どもたちが第一条件になったときに、日によって替わる指導者というのが一番子どもたちにとっては不安でしかないとなったときに、やはりこの先生に教えてもらえたらうれしいな、この先生ならついていけるなと、やっぱり子どもたちの指導者は憧れでもあると思いますので、ぜひ、その
ガイドライン設定の際にはぜひともいろいろと私もお話一緒にさせていただければと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。 また、この
指導者クオリティーというところに関しまして、必ず出てくるなと思うのが、指導者謝金の問題。先ほども教育長がお話しされたとおり、指導者謝金の問題になってくると思うんです。過去にそれこそ私、先ほどもお話ししたとおり、天理市外で約七年間外部指導員をしたときに、毎年のように起きた現状が、学校の一学期、二学期、三学期、この三学期の一、二、三月、必ず管理職の方に呼ばれまして、神田さん、すみません、予算がないんですと、毎年、多分七年間ちょっと、七年間全部あったんですけども、かといって、では指導者として、予算がないんで、ごめんなさい、子どもたち見れませんなんて必ず言えない。場合によっては、三年生に至っては進路が関わってくる問題も出てまいりますので、そんなことできへんというところで、それこそ熱い思いを持って指導している方も多数おられると思います。そういった意味で、指導者謝金の適正化というところ、当然、市役所から頂けるものがあればありがたいところではございますが、当然、先ほど三千万円かかってくるというお話もあったとおり、やはりどうしても天井が決められている中で、私としては、指導者のクオリティー、
指導者スキルを上げることによって指導者品質を上げて、的確な指導者謝金を受益者負担の下にやっていければというのがベストやと考えております。その指導者謝金も当然ながら、高い安いの価値観は人によって違うとは思うんですけども、受益者から指導者謝金を頂くという形のシステムというのが、この
部活動地域移行、当然行政と民間と地域の皆様、三位一体とやる中で、受益者負担の考えといたしまして天理市はどのようにお考えなのか等も、ひとつまたそこら辺、御意見いただければと思うんですが、よろしいでしょうか。
○議長(
大橋基之議員) 教育長。
◎教育長(伊勢和彦) 県の方ともいろいろ話をしているんですが、なかなか県の方もお金をどうするかということがまだ試行錯誤の段階で、たとえば特業手当とかはいま中学校の先生らが土日に部活動に当たった場合にできているので、それを回すのであるとか、あるいは受益者負担をどれぐらいの割合にしていけば持続可能であるのかとか、御家庭によってもいろいろの家庭事情もありますので、その辺を勘案して県も苦慮をしているところではございます。ただ、丸々受益者負担をなしに持続可能にやっていけるのかということはしっかり考えていかねばならないし、仮に受益者負担が生じるのであれば、しっかりと御理解を頂かないといけない、それにはどんな指導をしてもらって、子どもたちがどんなふうに豊かにスポーツに取り組むことができるのかということをちゃんと届けなければならないなというふうに思っていますので、その意味でも、一番冒頭に申し上げたように、その実績、地域でのスポーツの実績をつくっていただいている議員の皆様に一緒になって御意見を頂いて、その辺のことをしっかりと考えていきたいと思っています。 まだ残念ながら、ここでこうしていきたいということをはっきりと申し上げるレベルでないのは大変心苦しいのですが、だからこそ、しっかりとアナウンスをしていかねばならないなというふうに考えております。何かいい案があれば御指導していただきたいなと思っております。よろしくお願いします。
○議長(
大橋基之議員) 神田議員。
◆十一番(
神田和彦議員) 教育長ありがとうございます。教育長の先ほどのお言葉を聞いて非常に安心しましたのと、もっと頑張っていこうという思いになりました。どうぞよろしくお願いいたします。 そういった中で、部活動の地域移行というところでもう一つ大事なポイントになってくるかなと思うのが、ちょっと次、質問が二の方に移行していこうと思うんですが、実際、この天理市の方では、公共施設のLED化の話になっていくんですが、実際いま小中学校の方は、天理市内、皆様のおかげで迅速に体育館の方、小中学校の方、体育館のLED化していただきました。誠にありがとうございます。また、天理市の街灯のLED化も進めていただいているというところで、地域の方が非常に夜も明るくなったかなと思っております。本当にありがとうございます。 そういったところで、このLED化というのが特に天理市の場合、長柄の運動公園がまだ残っていると思うんですが、当然ながら非常に建物の大きさも大きい、屋根も高い、まずお金のかかってくる問題であるとは思うんですけども、ちょっと過去にこういった議論がないかどうかも議事録を拝見させていただきましたところ、過去に先輩議員の方へも御答弁がございまして、実際にそこでも市長の御答弁があったとおり、初めこのカンペに市長の答弁も書いていたんですけども、多分長くなってしまいますので、申し訳ございません、割愛させていただければと思うんですが。 ただ、間違いなく言えることが、施設の老朽化等に伴い取替えをしなければならないときに検討していくというのが御答弁にあったと思うんですが、ただ、それが当時、平成二十九年ですか、平成二十八年、二十九年の御答弁にあったと思うんですけども、当然ながら過去といまを振り返れば、明らかに工事費一つ、器具一つが当然もうはるかに値上がりをしているわけでございます。その辺、天理市の予算を鑑みた上で非常に厳しいことは重々承知してはいるところではございますが、ただ、私もいろいろとこのLED化、国の方からもしていかなければならないと目標が決められておりますので、そういった中で、ではどういうふうに実際できるのかなと。他の市町村を拝見させてもらったんですが、当然ながら優先順位をつけてやっていらっしゃる、これも当然やと思うんですけども、やはりそうなったときに天理市の
長柄運動公園一つもこのまま置いておくことはできないであろうというのが自ずと来るのかなと思っております。 先ほどの優先順位の話なんですが、優先順位を僕なりにちょっとまとめてみたんですが、基本的には第一位になるのが
社会文化系施設である、第二位が
社会教育系施設である、第三位に
スポーツ系施設であると、第四位が産業系施設、第五位が学校系になってくるというところで、必ずどの市町村にも入ってくる多分問題であるんだなと改めて認識したところではあるんですが、特に長柄の体育館、昨日、避難所であったり物資の置いておく場所というところでお話もあったんですけども、やはり非常に大きな施設であると思います、
長柄運動公園に関しましては。この
長柄運動公園に関しまして、災害時の避難場所でもあり、確かに皆さんも使う先ほどのスポーツの憩いの場でもあり、競技の場でもありと、非常に市民の皆さんも多く使ってくるところでございます。当然ながら、当然本年度も難しい問題ではあるんですが、来年、再来年と踏まえたときに、こういった公共施設、ほぼ小学校は完了している中で、長柄の運動公園のLED化に向けて、非常に難しい問題ではありますが、二〇三〇年と国の目標も示されておりますので、この天理市の計画スキームというのをお聞かせいただければと思います。お願いいたします。
○議長(
大橋基之議員) 市長。 〔市長 並河 健 登壇〕
◎市長(並河健) 長柄体育館についての御質問であります。もう四十一年目を迎えておりますので、一定老朽化しておるわけでありますが、議員からも御指摘がございましたとおり、災害時、私どもとして、いまいったん市全体の物資の集積拠点として位置付けようとするなど、やはりこちらを安全性をしっかり確保して維持保全していくことが大事だというふうに思っております。 近年では、平成二十九年度に
地方創生拠点整備交付金を活用いたしまして、当時、お手洗いであったりシャワーであったりその辺りも大変古うございましたので、ここは整備をしたところが、まだこのLED化については残ってしまっていた。その後、財源といたしましては、令和四年度に
スポーツ振興宝くじ助成金、totoの助成金を活用して、テニスコートの人工芝化の改修事業もやりましたので、何とかこのtotoの助成金を活用できればというふうには考えているところでございます。今、ざっくりなんですけど、五千万円ぐらいかかっちゃうかなというところではありますが、ただ、二〇二七年に蛍光灯の製造終了というところが迫り、そして政府も脱炭素化に向けて、議員から御指摘があったとおり、二〇三〇年の一〇〇%LED化というところがありますので、いずれかの段階でやらないといけないのは間違いない。そして、三島の体育館や二階堂体育館でやらせていただいたらば、やはり三割程度はこの電気代の削減効果もあり、また、ほか、河内長野市ですとか平群町ですとか、近隣を見ても大体そのぐらいは削減をされておるようでありますので、助成金を一定取れて有利な起債を使っていけば、当初持ち出しを抑えつつ、その後の償還についてはこの削減効果の部分である程度カバーできるのではないかなと。なので、来年度、もしこの助成金が取れれば議会の方に御相談をしていきたいと思いますし、取れるように働きかけをしっかりやっていきたいなというふうには思います。
○議長(
大橋基之議員) 神田議員。
◆十一番(
神田和彦議員) ありがとうございます。 ちょうど長柄は四十一年というところで、私、天理市に来たのが十五年ぐらい前なんですけども、初めて長柄に行ったときに、あれ、長柄の体育館、これ僕と同級生ちゃうかなと思いつつ、また、先ほどのシャワーの話なんですけども、当時はボイラーが壊れており水しか出ないと。トレーニングして汗だくの冬場なんですけど、水しか出ないんで、お金払って水を浴びていたのはいまも覚えているんですけども、シャワーができたときの感動は忘れておりません。もう快適過ぎて非常にうれしかったのがいまでも覚えております。そういった意味で、LEDが残っているというところで、totoであったり、それこそ奈良に向けても環境省が当然脱炭素社会構築というところで補助金も出してこられると思いますので、そういったところを上手に活用して、とにかく天理市の持ち出しを少しでも抑えて、市民の皆様が楽しく、そしてスポーツでも皆様が共有して使えるような大事な場所であることは間違いないと思いますので、確かに取れる取れないの問題はもちろんあるんですけども、何とか
LED化設置に向けて御協力を頂ければと思います。 私の質問なんですが、短いですが、これで終了とさせていただきます。ありがとうございました。
○議長(
大橋基之議員) 次に、六番、
藤本さゆり議員。 〔六番
藤本さゆり議員 登壇〕
◆六番(
藤本さゆり議員) 議長のお許しを頂きましたので、質問通告書に従いまして、一問一答方式で質問させていただきます。市長並びに関係部局におかれましては、希望のある答弁を頂けますようよろしくお願いいたします。 今回の質問は三件ございます。一つ目は、
精神障害者保健福祉手帳所持者数増加について、二つ目は、天理市の景観について、三つ目には、
農業耕作放棄地についてであります。 まず、一つ目の質問でございます。
精神障害者保健福祉手帳所持者数増加についてであります。 日本の精神障害の方の数は増加傾向にあります。鬱病や不眠症、
自閉症スペクトラム、ストレスなど様々ですが、人にとって生きづらくなっていることは確かです。長引く不況などによる労働環境の悪化や生活不安などが考えられます。そのほかにも、地震などといった自然災害が年始にありました。私たち人間が自然の生き物の一員であるという謙虚さを持ち、自然を畏怖し、慢心や過信に注意しなければなりません。言い換えれば、自分の身も心も自分自身で守らなくてはならない時代に突入してきたと言っても過言ではありません。 令和六年四月一日施行の精神保健及び
精神障害者福祉に関する法律が施行されました。改正案第六章「保険及び福祉」第二節「相談及び援助」第四十六条から第五十一条が現行の相談、指導になりました。本市においても、第七期
障害福祉計画・第三期
障害児福祉計画を令和六年三月に策定されました。その中でも、精神障害にも対応した
地域包括ケアシステムの構築などの対策を御提案くださっています。 心が塞ぎ込み、SOSも出せず、一人で悩み苦しまれ、数日が経ち勇気を振り絞って精神病院に行くと、数か月先まで予約でいっぱいの状況で診察も受けられないと伺っています。また、実際は予想をはるかに超えた方が患われているともお聞きいたしております。そこで、現在把握なさっている
精神障害者保健福祉手帳所持者増加の現在の状況についてお伺いいたします。
○議長(
大橋基之議員) 市長。 〔市長 並河 健 登壇〕
◎市長(並河健) 藤本議員の御質問にお答えをさせていただきます。
精神障害者福祉手帳所持者数ということで申し上げますと、令和六年度三月末現在で七百六十七件、うち一級の方が七十八件、二級が四百三十一件、三級が二百五十八件となっておりまして、五年間比較ということで、令和元年度の末と比べますと、一級は一名増えていらっしゃるもののほぼ横ばい、他方で、二級については約三割が増加、そして三級については約六割が増加という形になっております。 これの考えられる理由といたしましては、社会通念の中で相当理解が進んできたということにより、以前はやはり手帳取得について心理的な抵抗感というところがあられたところもあったかと思いますけども、そこが一定薄れてきているということ。そして、奈良県では、平成二十九年の四月から精神障害者医療費助成制度、こちらが一級、二級の手帳所持者を給付対象といたしましたので、その辺りで二級については増えている状況があろうかと思います。そのほかにも、平成三十年四月には精神障害者の雇用というのが国の方でも義務化されてまいりましたし、また、ネットなどによって情報が以前よりは入手しやすくなったということで、医療や福祉制度につながりやすくなっていると、こうしたことが複合的に重なっているというふうに考えております。
○議長(
大橋基之議員) 藤本議員。
◆六番(
藤本さゆり議員) ありがとうございました。 現代病ということで、比較的軽い症状の方が精神障害者の保健福祉手帳をお持ちになる方が増えていらっしゃるということですけれども、天理市においても、第七期の
障害福祉計画には、精神障害のある方にも対応した
地域包括ケアシステム、いわゆる「にも包括」といった対策も支援体制を検討してくださっているのをちょっと存じ上げております。先ほどお話ししていただいたように、国の基本指針にも、保健医療及び福祉関係者様による支援体制を構築するために精神障害がある方の支援に関する協議の場の一年間の開催回数の見込み設定等もなされています。天理市としては、十二回という協議、地域ケアシステムの構築のためどのような取組をなさっていますか。ちょっとお尋ねいたします。
○議長(
大橋基之議員) 市長。
◎市長(並河健) 精神障害の有無や程度にかかわらず、誰もが地域の一員として安心して自分らしくお暮らしいただけるまちづくりを進めていくことは非常に重要であります。 医療、障害福祉、介護、住まい、社会参加、地域の助け合い、また普及啓発などが包括的に確保され、精神障害にも対応した
地域包括ケアシステム、これが通称「にも包括」というふうに呼んでおりますけれども、この構築を目指す必要がありまして、地域共生社会の実現に向けて不可欠であると考えております。 そこで、自立支援協議会精神障害者部会において、既存のサービスではなかなか対応できない問題なども抽出し、情報共有を行ってきたところでありますが、令和五年度に行政、社会福祉協議会、そして包括、ソーシャル、そして医療機関、また事業所、家族会などの関係者によりまして、「にも包括」の構築に向けた協議の場というのを開催いたしまして、この協議会の設置を決定いたしました。そこで、令和五年度に、精神に障害がある方と日常接しておられる皆様と関心のある方を対象に研修会というのを開催したわけでありますが、令和六年度は精神科医のお医者様などを講師に招きまして、計四回の研修会と八回の協議会の開催を予定しております。テーマといたしましては、地域の精神保健の現状と早期介入の大切さであったり、あるいはその回復とケアについて、あるいはその生活上の困難さについて、また疾患や障害のある方にも暮らしやすいまちづくりというようなことを設定しておりまして、こうした内容も踏まえた上で、自立支援協議会精神部会から上がってきた地域の問題について八回の協議会を行っていこうということであります。 当面の目標でありますけども、やはり精神に悩みがある方で医療に受診できていない方というのが一定数存在する、医療機関と連携し訪問を行い、やはりまずはその医療にしっかりとつながっていくようにしていきたいと考えております。精神障害のある方を取り巻く医療機関等の各機関との連携を深め、必要な支援体制を構築していく考えでございます。
○議長(
大橋基之議員) 藤本議員。
◆六番(
藤本さゆり議員) ありがとうございました。 先日、精神病院で長年勤務なさっておりましたスタッフの方にお話を伺っておりますと、心療内科と精神科についてお話をしてくださいました。患者様が偏見や差別、トラブル等に遭わないようお努めなさっていらっしゃいました。大切なことで申し上げますと、心療内科は心理的な要因で体に症状が現れる心身症が主な対象で、精神科は統合失調症や双極性障害、不安症、発達障害、依存症など幅広い精神疾患に対して治療が行われます。また、精神科に行った方がいいサインは、気分の浮き沈みを感じ日常生活や仕事に支障が出てきたら受診の目安とのことでした。 冒頭で申し上げたことでもありますけれども、私たちはもっと根本的なことを一人ひとり実行しなければならないと思います。たとえば、他者への温かい思いやりの心であったり、私たちが知らず知らずにかけていた自己主張や刹那的行動があふれ、人々は、私たち、自分の力を過信して我が身思案に流れ、心の本当に闇路をさまよっていると思います。これは、現代人、皆さんに共通する心の深い闇になると私は考えております。頻繁に起こる自然災害や疫病の世界的流行も全て私たちやはり人間の心から生じていると言っても過言ではありません。私たちは、いまこそ互いに助け合うことが天理で暮らす醍醐味と思っていただけるような施策が大切と思います。世界保健機構WHOが提唱する体、心、社会的なつながりが良い状態、ウエルビーイングにもつながります。よろしくお願いいたします。 続きまして、次の質問に移らせていただきます。天理市の景観についてお伺いいたします。市内の歴史的風土特別保存地区・風致地区についてであります。 天理駅前広場を早朝ウオーキングしておりますと、市民の方から最近風が吹き抜けなくなったというお話をお聞きします。確かに、以前は青垣山からモニュメント平和のかがやきを通り、まぶしい朝日と心地よいそよ風が吹き、定時に市歌のベルが流れる輝きのまちモニュメントまで本当に爽やかな美しい清風を感じることがありました。確かに理解できます。風は吹き抜けなくなったということでした。 石上神宮や天理教御本部参拝時、ヨーロッパをはじめ様々な国からお越しになっているフリーの旅行者様に片言の日本語で山の辺の道はどこですかと最近よく聞かれます。ハイキングやレンタサイクルに乗っていらっしゃるときが多いのですが、スケジュールを聞くと、山の辺の道を散策した後は、和歌山県の世界遺産である熊野古道へ行くとのことでした。しかしながら、すぐに石上神宮周辺を回られて終わりというパターンも少なくないように思います。そういうときに限ってボランティアがお休みの日であったりもします。また、私の学生時代の友人や先生は、昨年に国の登録有形文化財となったロマネスク風の天理大学附属図書館、別名やまとのふみくらに必ず行きます。そして、おやさとやかた建築様式について興味を持ちます。 奈良県は自然公園をはじめとする美しい風景地に恵まれています。その景観は景観法や奈良県景観条例などの法令、規則で維持され、県内の国立公園、県立公園においても、奈良県によって自然公園法に基づき自然環境の保護と利用について様々な施策が行われています。また、東大寺、春日大社のある奈良市、法隆寺のある斑鳩町などでは歴史的風土の保存に向けた取組がなされて、世界遺産として世界的にも貴重な財産であり、多くの外国人の方が訪れています。 天理市にも国定公園の一つである大和青垣国定公園があり、豊かな自然環境に恵まれています。この公園のすそ野の山の辺の道の景観は世界に誇れる財産であると考えます。そこで、こうした景観、歴史的風土特別保存地区・風致地区の保全について、天理市ではどのような施策や取組がなされているか、お伺いいたします。
○議長(
大橋基之議員) 市長。
◎市長(並河健) 大和青垣の景観の保全でありますけれども、これは古都保存法や天理市風致地区条例によって保たれているところでございます。 この優れた自然の景観維持保全を目的として、奈良県では、この自然公園法に基づく規制のほかに、風致地区、歴史的風土保存地区、歴史的風土特別保存地区により景観を保っております。具体的に本市内の状況でありますけども、まず風致地区については、大和青垣国定公園とほぼ重複をいたしますが、名阪国道の天理東インターチェンジから桜井にかけての一帯、そして歴史的風土保存地区につきましては石上神宮から三輪山の区域、特に重要な二地区について石上神宮区域と崇神景行天皇陵地区というふうに定めております。規制として、風致地区内においては建築物、工作物の新築、改築、増築また移転、こういったものに加えまして、宅地の造成、土地の形質変更でありましたり色彩の制限というものがあります。ほかに、高さの限度としては原則十三メーター以下であったり、緑地の確保等々があるわけであります。これに加えまして、歴史的風土特別保存地区内においては水面の埋立てや干拓、あるいは屋外において土石や廃棄物または再生資源の堆積といったようなものが規制をされております。
○議長(
大橋基之議員) 藤本議員。
◆六番(
藤本さゆり議員) ありがとうございました。古都保存法や、また十三メートルという何か高さの建物規制というのもお答えいただいて、ありがとうございます。 私たちが気づけていないようなきめ細やかな取組などもお聞かせいただいたわけですけれども、やはり天理市は、いま皆さんが、私も理解している風致地区等なんですけども、実は天理市から大和三山、橿原市の大和三山も見えるような本当にすばらしい天理市南部の土地等もありますので、本当にまだ私たちが気づけていないような本当にすばらしい天理市の土地というのをいま一度皆さんで再認識していただければと思います。ありがとうございます。 この天理市の景観について、効果、展望、取組について、引き続きちょっとお伺いしてよろしいでしょうか。よろしくお願いいたします。
○議長(
大橋基之議員) 市長。
◎市長(並河健) 基本的に、この風致地区と歴史的風土特別保存地区における規制というものが、長年地域の皆さんあるいはその工事事業者等の理解というのは一定程度得られ、これまで景観の保全について効果は上げているものと考えております。 ただ、これをさらに踏み込んで、もし新たな規制を加えるかどうかということでありますけども、これについては景観維持に対する皆さんの理解と、やはり地域の活性化であったり、あるいはその資源の有効活用、産業振興、この辺りのバランスをしっかりと見ていかなければならないというふうに思っております。高さ一つにとりましても、いま申し上げたその地区以外の盆地部まで仮に広げたとするならば、たとえばよろづの入院棟、この辺りは既存不適格になってくる可能性が高い。あるいは、東横INNのように最近建ったホテルがありますけども、ああいったものがもう建てられなくなる可能性というのも出てくる。だから、その辺りは、やはりこれはもうバランスということに尽きるわけでありますが、しっかり見ていく中で、現時点では古都保存法や天理市風致地区条例によってしっかりと青垣の景観を守っていくことであろうというふうに考えております。
○議長(
大橋基之議員) 藤本議員。
◆六番(
藤本さゆり議員) ありがとうございました。何とぞ御検討のほどよろしくお願いいたします。 スペインのバルセロナにあるガウディのサグラダファミリア聖堂は二〇二六年に完成予定とされていて、いまだ未完成であり、皆さん御存じでいらっしゃるように建設中です。天理市においても世界で唯一のおやさとやかたが、私の認識といたしましてはいまもなお建設をなさっていると拝察いたしております。様々な宗教を認め、大切にし、共存する優れた宗教法人と言われています。それは天理にしかない人類の心そのものであり、よりどころとも言えます。人間創造の視点と教えられる聖地、ぢばです。このようなことに配慮した都市計画や景観を何とぞよろしくお願いいたします。 最後に、
農業耕作放棄地について伺います。 食料安全保障の強化を目指す改正食料・農業・農村基本法が去る五月二十九日に参議院本会議で可決成立しました。三百九十五億円、国による輸出の促進や備蓄の強化、農作物の適正な価格の形成など盛り込まれ、今月から施行されます。一九九九年制定の基本法は農政の憲法とも呼ばれ、本格的な改正は初めてとのことです。気候変動やウクライナ侵攻など情勢の変化を踏まえ、基本理念、食料安全保障の確保を新たに加えた、平時から有事まで、農林水産省の基本法の改正案です。また、ひどい不作時には農家にカロリーの高いお芋や穀類への作物の転換を指示し、休耕地の耕作も求めることも検討されるようです。 本市においては、先月二十三日に、SDGsの達成に向けて優れた取組を提案する都市として、内閣府からSDGs未来都市に制定され、自見地方創生担当大臣から選定証が授与されました。また、SDGs未来都市の中から地域における自律的好循環の形成が見込まれる特に先導的な事業として認められ、自治体SDGsモデル事業に選ばれました。自然との共生、オーガニックビレッジ、支え合い、ウエルビーイング、地域ブランドの創造によるまちづくりのことです。 実際に、課題となる地域での環境保全や生物保護活動、里山の豊かさの実現、生物多様性の保全を考慮した有機農業によるオーガニックビレッジ里山の私塾プロジェクトに昨年参加したり市民の皆様方のお声を伺うと、プロジェクトを具体的にいつから始めるのか。お米と畑を分ける区画整理など、まだ決まっていないんじゃないかなということでした。お米に対する値段を上げることも大切です。皆様御存知のように、特に福住のお米は本当においしいことでも有名で、大阪から買占めに来られるとも伺っています。純粋な福住の上流のお水で作るお米はブランド米そのもので、大変価値のある商品です。また、最近では、ベトナム人の方が福住、山田で畑をしてくださっているともお聞きしました。サポートに感謝したいと思います。しかしながら、東南アジアなどの外国人の方が農地を購入されるお話も伺っています。きちんと農業をしてくださっていればよいのですが、それこそ放棄地や資材置場にはなってはいないでしょうか。お伺いいたします。 農業の担い手不足は、平成二十二年、二〇一〇年に、私の父でございました奈良県議会議員であった藤本昭広も県議会で質問いたしておりましたが、あくまで若者が農業をやりたくなるような対策を県に問うておりました。十四年経過したこちら天理市の現状はいかがでしょうか。また、最近では、私の住んでおります指柳町は、特に本村、指柳町の皆様が農業にいそしんでくださっております。そして、放棄地だった土地も新しい家が建てられ、人口は増えております。前栽町も人口が増えております。田植の風景から稲穂が垂れる田んぼの情景を目にすることが減ってきています。これは人口増加ということで喜んでよいことなのでしょうか。このようなことを踏まえて、
農業耕作放棄地の現在の状況についてお伺いいたします。
○議長(
大橋基之議員) 市長。
◎市長(並河健) 耕作放棄地の現状ということでありますが、令和五年度の耕作放棄地調査によりますと、三百四十二筆、これは個数にして百八十六であります。面積としては約十六・四ヘクタールということで、これは前年度と比べまして、実は一〇%程度減少をしております。 ただ、その減となった要因でありますが、一つには、奈良県農地中間管理機構への出し手、受け手の双方のマッチングが進んで、農地として有効利用が図られたということ、これは、ですから、耕作が戻ってきたということであります。そしてもう一つは、対象農地区域の開発が進んで、工場や店舗など宅地化に転じている場合というのがあります。ですので、農地のカテゴリーから外れたがゆえに減少になっているということで、これが議員が果たして必ずしもいいことなのかどうかというふうにおっしゃっているポイントだというふうに思います。 この点につきましては、農地としてしっかりやっていけるところはやはり農地として保全するというのが、災害対策等からいっても、土地の保水力からいってもいい。ただ、全くこれがもう農地として活用される見込みがなく、草が生い茂ってしまって周りの皆さんにも迷惑だみたいなことになった場合に、どう利活用の方に向けていくか、必ずしも利活用しやすい場所ばかりではないんですけれども、これは先ほどの景観ともつながりますが、どうその辺りのバランスを取っていくかというのが重要であります。 ただ、厳然たる事実として、農業従事者が二〇二〇年の農林業センサスの統計でやはり平均年齢が上がっておりまして、現在六十七・八歳だと。この辺り、担い手自体が高齢化していることも踏まえて、農業委員、農地利用最適化推進委員の皆さんの御理解、御協力を得ながら、農地、どのように今後活用をしていくのかということを所有者の意向も調査しながら進めている状況であります。
○議長(
大橋基之議員) 藤本議員。
◆六番(
藤本さゆり議員) ありがとうございました。様々な取組で試行錯誤しながら、天理市にとってどのようなスタイルがいいのかというのを共に私もちょっと模索させていただきたいなと思うんですけれども、また引き続きどうぞよろしくお願いいたします。 昭和二十九年四月一日、丹波市町、朝和村、福住村、二階堂村、柳本町、櫟本町の六か町村の合併により天理市が誕生しました。天理というのは、もともと天理駅も以前丹波市駅だったんですけども、丹波という名前のちょっと由来を調べさせていただきましたら、丹波は由来は田庭など諸説ございます。田んぼの庭ですね。丹波は古くはタニワと呼ばれ、タンワ、タンバと音が変化して丹波の字が当てられたようです。古代米の赤米が波のように見えたことから丹波になったとも言われています。一言で申し上げると、お米を作る土地でもあるとも言えます。歴史認識を込めた土地の名前は、先人から現代に生きる私たちに向けられたメッセージです。本市における今後の取組についてお尋ねいたします。
○議長(
大橋基之議員) 市長。
◎市長(並河健) 先ほども申し上げましたとおり、全国的にこの農業の担い手の高齢化、人口減という、農業従事者の減少というところが見込まれているわけでありますが、しっかり就農していただくためにどうすればいいかと。 まず、一つには、担い手の方の収益を上げていける、いま物価高騰もございますけども、しっかり価格転嫁ができる、それによって実際に農業によって生計を立てていけるところについてはやはり次の後継者も確保できているというところであります。また、本市、必ずしも圃場整備が十分進んでいないところもあるんですけれども、効率化できるように農地をしっかりまとめていく、あるいは、個々の努力だけでは難しいということで、営農組織化などを組み合わせていくことが非常に重要であります。 令和五年度に施行された農業経営基盤強化促進法、こちらで従来の人・農地プランが地域計画というふうに名称を変えましたけれども、これは地域農業の将来の在り方についての計画を地元自身、担い手、多様な経営体、受託を受けて農業を行う人、こういった状況ごとに利用する農地の目標地図というのを作成いたします。これによって、地域の中でどう農地を守っていくかということを皆さんで検討、実施を頂くということでありますけれども、いまこの地域計画の策定地区が一地区で、地域計画を策定中のところが四地区というところでありまして、そのほかにも旧来の人・農地プラン、これについては二十四地区策定をしております。 こういった計画をしっかりと進めながら、先ほど申し上げた農地中間管理機構、こちらをもっと積極的に活用いただくということも非常に大事であります。現状としては、やはりなかなか利活用していいというふうに出していただけるところが少ないという点もございます。あるいは、出たとしても利用がしづらいところほど出てくるというところもありますので、その辺りしっかりと橋渡しをしていきたい。ちなみに、令和五年度のマッチング実績としては六・五ヘクタールできておりまして、新規として五・六ヘクタールでありますので、一定の成果は上げているというふうに認識をしておりまして、これをさらに進めていく必要があります。 それとともに、営農組合化、こちら南檜垣、和爾、下山田などで先駆的にやっていただいているわけでありますが、いま福住の方でもこれに向けた準備というのが進んでいるところであります。ただ、福住の方で圃場整備もこれ地元の負担がかからない形で農業振興ゾーンとしてやっていこうという話になっておるんですけれども、そのためには、一定の面積を米以外の作物に替えて、収益が五年間で二割程度アップするような計画も立てていかないといけない。それが地元の農家の従来のメンバーだけで実現できるかというと、なかなか困難なところもございます。そこで、やはり企業によるこの農業参入というところを地域としっかり理解いただける形で進めていくことが非常に大事だと思っておりまして、そこの中で付加価値の高い農産物ということに、先ほど議員からも言及を頂いた福住村のオーガニックビレッジ、こういったものも関係をしております。これまでにも市内の種苗会社が作っていらっしゃる大和ルージュという赤いスイートコーンであったり、あじまるみ大根という大根であったり、この辺りは、もう作るところから小売事業者として無印良品と連携をいたしまして、つまり、何が売れるか、販路の部分を十分準備できていないのにやみくもに作るというのではこれは進んでいきませんので、ちゃんと出口が見える状態でやっていく。また、放棄茶園の再生プロジェクトも、放棄茶園をこれをオーガニックな状態というふうに逆転の発想で見まして、商品化をいたしました。いまこういった取組を先般も、内閣府の地方創生推進本部の方が視察に来ていただいたんですけれども、さらにこれに加えて、加工や流通の機能をちゃんと持っている企業も組み合わせられないかなということで、意見交換を進めているところでございます。なかなか、やはりその初期投資の部分で、加工したり流通する準備まで全部やろうと思うと、とても地元としてもたないと。ですから、そういう点はしっかりそういう能力を持った企業と組むことが重要であると思っておりまして、その辺りも無印ともいま非常にいい形で議論を進められております。まだ、どこを、ですから米として残すか、あるいはそれ以外にするかの色分けが十分決まっていないというのは御指摘のとおりでありますが、いま地域の方からどの辺りを圃場整備したいかという意見の集約というのはできておりまして、今後計画的に進めていければというふうに思っております。 また、市内の若手農家の皆さんがやはり少ない労働力であったとしても効率化できることをサポートすることは非常に重要だと思っておりまして、4Hクラブの皆さんがチャレンジをしているスマート農業、これについても引き続き支援をしていきたいと思っております。監視カメラであったり気象センサーなどを組み合わせて、いま生育状況などのデータを可視化するというようなこともやっておられます。その中で、大和スイカの復興とか、そんなことにもチャレンジをされておりますので、ぜひその辺りは進めていきたい。あるいは、ドローンを活用した消毒作業でありましたり、あるいはロボット草刈り機の導入実証、こういったことも南檜垣あるいは萱生の皆さんといま準備を進めておりまして、令和六年度に実施予定となっております。そのほか、おてつたびというベンチャーと組みまして、農作業を手伝うこと自体を観光商品化しようであるとか、いろんな組合せをいまやっているわけでありますが、何としても、やはり先人から受け継いでいる天理の農地をできるだけ次世代にも引き継いでいけるように多角的に取組を進めたいと思います。
○議長(
大橋基之議員) 藤本議員。
◆六番(
藤本さゆり議員) ありがとうございました。 これはちょっと御提案なんですけれども、最初に質問させていただきました精神障害者保健福祉手帳申請をなさる前に、農業をお手伝いしていただくシステムづくりの構築などいかがでしょうか。実は、国においても、農福連携ビジョンを今年改定されております。自然と人が調和することで、疲れた市民の皆様の心も癒やされ、就農は農作物を生産します。お米も作ります。ぜひとも御検討のほどよろしくお願いいたします。 田園の活力は、私たちが生きるために必要不可欠です。支え合う家族、文化の香り、そして、最後になりましたが、明日枯れる花にも水をやる心を大切にしたい。このお言葉を大切にし、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(
大橋基之議員) 次に、十二番、村木敬議員。 〔十二番 村木 敬議員 登壇〕
◆十二番(村木敬議員) 第二回天理市議会定例会の一般質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。 まず、飲食店への支援について質問します。 二〇二三年、飲食店の倒産が前年比で一・七倍に急増したと報道されています。前年が過去十年間で最も少なかったことを考慮しても、急激な変化です。業態別では、居酒屋がコロナ禍での家飲みの習慣が続き、居酒屋需要がコロナ前に戻らない影響を受けて過去最多の倒産数でした。また、ラーメン店や焼き肉店の中華料理店やカフェでも過去最多の倒産数でした。原因としては、コロナ禍で行われていた公的支援金の打切り、原材料の高騰、光熱費の高騰があります。 このように、飲食店の経営環境は困難にあると考えます。昨年、この困難のさなかに追い打ちをかけるようにインボイス制度が始まりました。この影響も見逃せません。新たに消費税課税事業者になった零細事業者には消費税の重圧がさらにのしかかってきます。また、インボイス対応をしない農家などからお野菜などの食材を購入していたお店が消費税の負担を嫌い取引を中止しても、新たに同等の食材を仕入れることの困難に直面する場合も想定されます。また、日銀のマイナス金利政策解除による金利の上昇も、これからの飲食店経営に影響を与えます。 以上、全国的な飲食店の置かれた状況を見てきましたが、本市の飲食店も経営の困難に直面しているのではないかと危惧されます。天理市が積極的に困難にある飲食店に寄り添い、経営相談をするべきだと考えますが、どのようにお考えでしょうか。 次に、関連して、本市で行われてきた天理駅前のマルシェについて質問します。天理駅前は本市の玄関であり、大変重要なまちづくりの拠点であります。現在、天理大学とモンベルとの共同体が結成され、天理大学のサテライトキャンパス、天理駅前広場における物販イベント事業、人材育成、経済活性、観光の充実などが行われる予定ですが、これまで行われてきた天理駅前マルシェはこれからも必要だと考えます。どのようにお考えでしょうか。 天理駅マルシェで、天理の飲食店の出店の機会を多くつくっていただくことで、新たなお客様とのつながりや、それぞれのお店の持っている特徴なども天理市民の皆様にお知らせすることができます。そのことが天理の飲食店の営業の応援になるのではと考えますが、どのようにお考えでしょうか。 この天理駅マルシェには、広く広報をして天理の飲食店を中心により多くの出店を募集するべきだと考えます。そのためには、出店料を安く抑え、安全面に配慮した上で、ポータブル発電機なども安く貸与する必要があります。天理駅前をおもちゃ箱をひっくり返したようなにぎわいの場所として、天理の飲食店の活性化のために天理市が積極的ににぎわいを演出する必要があると考えますが、どのようにお考えでしょうか。以上、四点についてお尋ねします。 次に、上下水道の地震対策について質問します。 能登半島地震では、上下水道の被害が大きく、いまなお被災者の皆様の生活の困難の原因となっています。政府は、二〇二四年五月十日、国土交通省上下水道地震対策検討委員会を開催し、中間取りまとめを発表しました。この公表を基に質問します。 まず、上下水道のシステム上、急所となる施設と避難所等重要施設の上下水道管路の一体的な耐震化が必要であり、場合によっては一般会計から防災対策費として計上することも考えるべきではないでしょうか。一点目としてお尋ねします。 次に、可搬式浄水場設備及び可搬式汚水処理設備の導入などによって地震災害時の浄水場及び下水機能停止に備えるべきではないでしょうか。二点目としてお尋ねします。 次に、地震時の液状化による過剰間隙水圧が原因でマンホールが浮き上がり、マンホールとマンホールの間の管路の破損やたわみなどが発生します。マンホールの浮き上がりによって災害時の交通障害を引き起こし、災害救助の妨げになります。また、流下機能の確保ができなければ、災害時に有効だとされるマンホールトイレも機能しません。マンホールの浮き上がりの対策が本市でも必要だと考えます。マンホールを設置するときの埋め戻し材に液状化しにくい改良材を用いる方法、水圧を減圧するマンホールにする方法、マンホールを重量化する方法などが考えられますが、どのようにお考えでしょうか。三点目としてお尋ねします。 次に、地震時、自然流下配水池は、下部にある配水管の漏水によって貯水機能が保てません。自然流下方式の配水池には緊急遮断弁が必要です。本市ではどのようになっていますか。四点目としてお尋ねします。 次に、災害時には災害協定を結んでおくことが有効ですが、本市は現在どのようになっていますか。その際、水道管路図や下水道台帳などの共有が必要になりますが、その点についてもどのようになっていますか。さらに、災害対応用の機器やそのオペレーターが必要ですが、どのようになっていますか。併せて五点目としてお尋ねします。 次に、宅内配管の迅速な復旧についてお尋ねします。現在も能登の被災地では、配水管から水道メーターまでの復旧は済んでいても、水道メーターから先の給水装置の二次側が復旧していないために、蛇口から水道が出ない被災者の皆様がいらっしゃいます。また、下水道の宅内配管の修繕にもお困りの被災者の皆様がいらっしゃいます。石川県は、在住している市町以外からの工事業者が行う宅内配管修繕のかかり増し経費に対する補助制度を創設しています。天理市としては、災害時に宅内配管の迅速な復旧に向けてはどのように対応する計画ですか。六点目としてお尋ねします。 次に、奈良県県域水道一体化についてお尋ねします。 二〇二二年十二月の県域水道一体化に向けた取組について(進捗状況報告)によれば、統合三十年後の水道料金は、立米当たり二百五十三円で試算されていたのに、第三回奈良県広域水道企業団設立準備協議会資料二〇二四年三月の試算では、統合三十年後の水道料金は立米当たり二百八十八円になっています。三十五円も上がっています。これはなぜですか。根拠の説明をお示しください。一点目としてお尋ねします。 次に、第三回奈良県広域水道企業団設立準備協議会資料によれば、統合後の料金シミュレーションについて、最初の五年を過ぎた後の値上がりが十五円から二十円前後で推移しているのは低く見積り過ぎなのではないでしょうか。二点目としてお尋ねします。 次に、第三回奈良県広域水道企業団設立準備協議会資料に記載の企業債について、統合後三十年間は給水収益の三倍程度以内にとありますが、その後、企業債の起債が制限され、更新維持の費用が抑えられる可能性があると危惧しますが、どのようにお考えですか。三点目としてお尋ねいたします。 次に、奈良県広域水道企業団がPPP/PFIを活用することはありますか。PPP/PFIは学校教育についてでも後ほど言及しますが、イギリスなどでは問題を起こし、現在活用されていません。我が国においても多数の問題が発生しています。また、フランスではいったん民営化された水道事業が再び公営化されています。PPP/PFIは民営化そのものではないにせよ、同じ問題をはらんでいます。一つ目として、人件費削減によるサービスや品質の低下、二つ目として、設備投資の減少、三つ目として、水道料金の高騰などの問題が発生しています。どのようにお考えでしょうか。四点目としてお尋ねします。 次に、奈良県広域水道企業団の組織体制について、第三回奈良県広域水道企業団設立準備協議会資料によれば、正副企業長会議を設置して、企業長、副企業長の合意で経営上の企画・立案及び方針決定がされ、企業団議会は年に二回開催、正副議長会議で決められた方針が下りてくるだけで、住民の声は反映されないのではないですか。五点目としてお尋ねします。 次に、経年劣化の不明管がいまだに八百キロあると報道されていますが、厚労省の更新基準や一体化の管路整備の優先順位が変わる可能性と、不明管の費用が今後料金に上乗せされるのではないでしょうか。六点目としてお尋ねします。 次に、各団体間の会計的な問題として、受益者負担として料金を設定して行われてきた各団体の水道事業を接続して一つの企業団として成立させ、料金統合までするのは不公平ではないでしょうか。各団体については、給水収益で水道事業が賄えない団体もあるでしょうし、一方で、給水収益で水道事業を賄っている団体もあるでしょう。なぜそれぞれの団体が一体化することが公平なのでしょうか。七点目としてお尋ねします。 次に、水は誰にとっても必要です。だからこそ、基礎自治体で行われ、住民自治で自分たちの水は自分たちで守る必要があります。天理市は安心・安全でなるべく安価な水を住民に供給する責任があります。このままでは、私たち住民の声は水道事業に届かなくなります。どのようにお考えでしょうか。八点目としてお尋ねします。 次に、目の不自由な方の移動の自由について質問します。 二〇二〇年四月二十五日、大和郡山で目の不自由な女性が踏切事故でお亡くなりになりました。このような事故を起こしてはいけないということから、国土交通省では、踏切内のエスコートゾーンの検討がなされてきました。二〇二四年一月、踏切道での安全対策のための道路の移動等円滑化に関する
ガイドラインが作成されました。それを受けて、天理市はこれからどのように対策をしますか。一点目としてお尋ねします。 次に、目の不自由な方の道路の横断にはエスコートゾーンや音響式信号が必要ですが、天理市としてはどのように対応しますか。二点目としてお尋ねします。 次に、学校教育についてお尋ねします。 学校施設は、憲法二十六条で定められた教育を受ける権利を保障するためにあります。学校施設において教育を受ける権利は基本的人権として最大限尊重されなければなりません。具体化された教育を受ける権利を保障するために、国や地方自治体には財政を確保する責任があります。経済的及び文化的権利に関する国際規約十三条によっても認められた権利です。今回の天理での学校運営の抜本的な変更についても、憲法上の権利としての学校施設で教育を受ける権利に影響を及ぼすので、教育を受ける権利の後退にならないか検討する必要があります。 まず、今回のような教育を受ける権利に影響を及ぼす決定には民主的な合意形成の手続的保障が必要ですが、今回どのような手続を経て決定がなされたのでしょうか。たとえば、保護者説明会、住民説明会などは行われたのでしょうか。また、関連して、子どもの権利条約十二条の子どもの意見表明権に基づく子どもの意見を尊重することが必要です。どのようにお考えでしょうか。第一点目としてお尋ねします。 次に、民主的な合意の内容についても、子どもの教育を受ける権利が侵害されていないかということや、子どもの育つ環境について慎重に判断されなければなりません。三部制について、みんなの学校プロジェクトについて、相談センターほっとステーションについて、順次この観点から質問します。学校三部制については、その時間的な機能変換が同じ空間で行われるので、子どもの学校教育への支障を考えなければなりません。子どもの学校での安全の問題、学校での情報保護、静ひつな環境での教育を受ける権利、教員の負担増が問題です。どのようにお考えか、二点目としてお尋ねします。 次に、みんなの学校プロジェクトについては、どんな機能を学校に持ち込んでくるのか、それによって学校教育にどんな影響があるのかがはっきりしていません。たとえば、所信表明では認知症予防のことが述べられていましたが、それは学校でしなければならないことでしょうか。複合化ありきの発想ではないでしょうか。三点目としてお尋ねします。 次に、相談センターほっとステーションについては、様々に問題を抱えた保護者の対応として、昼間働いている保護者は相談したくても時間外で相談できない問題があります。そのことが問題を潜在化させ、違う形で問題が顕在化し、子どもの育つ環境に影響するのではないでしょうか。四点目としてお尋ねします。 次に、学校建築についてお尋ねします。山の辺小学校の建築をどうするかについての取組が始まっています。全体協議会の報告では、プレハブ建築のお考えがあるようですが、どのような構想をお持ちですか。プレハブ建築は仮設のイメージがありますが、これまでの堅牢な学校建築とは違った設計コンセプトがあるのでしょうか。また、これまでに確立した学校施設の水準は、具体化された教育を受ける権利として最大限の尊重が必要です。さらに、学校は地域の防災拠点としての機能も期待されます。これらのことについてどのようにお考えか。五点目としてお尋ねします。 次に、学校建築などの課題に対して、PPP/PFI等の民営化の方法を用いるお考えはありますか。PPP/PFIは言うなれば半官半民の濃淡の違いが様々にある事業形態で、代表的な手法であるPFIは法律により定義され活用されています。しかし、PPP/PFIの先進国であるイギリスでは、現在ほとんど活用されていません。二〇一八年一月にPFIとPF2と題したイギリス会計検査院報告書が公表され、それを受けて二〇一八年六月にイギリス下院公会計委員会はPFIのデメリットを指摘する報告書を出し、イギリス財務省は同年十月、PFI凍結宣言を出しました。イギリス公会計委員会の指摘は、PFI導入後、二十五年の間についてバリューフォーマネーが達成されていたかについて実証できないこと、PFIへの投資家が巨額の利益を得る一方で、イギリス政府は民間に転嫁したリスクに比べて過大な対価を払わされていることなどを報告しています。イギリスは、現在、PPP/PFIの終えんを経て再公営化に向かって進んでいます。日本においてのPFIに関して言えば、自治体が起債して資金を調達するより民間の資金調達コストの方が高額になります。そこをバリューフォーマネーという計算でPFIを用いれば、従来型よりどれだけお得かを割合で示していますが、バリューフォーマネーの計算が恣意的であることが指摘されています。また、公共施設や公共サービスについて、質が高く経費も安いというようなことは常識的に考えてあり得ないことです。そこの経費の削減がどのようになされているのかを検証する必要があります。このようなPPP/PFIについてどのようにお考えですか。六点目としてお尋ねします。 次に、学校教育の現場で直接天理の子どもたちに向き合うのは教師です。天理市として教育に必要な教師の基礎定数を増加するように国に要望するべきではないですか。たとえば、あと数人教師の数を増やせば、三十人学級が達成されます。少人数学級は教育的に優れています。天理市としても、国への要望と併せて、教師の加配によってこれを実現するべきではないでしょうか。七点目としてお尋ねします。以上、答弁を求めます。
○議長(
大橋基之議員) 市長。 〔市長 並河 健 登壇〕
◎市長(並河健) 非常に多岐にわたる御質問を一括で頂戴をいたしましたけれども、順次、私と教育長から御説明をさせていただきたいと思います。 まず、飲食店支援についてということでありますけれども、コロナの第五類への移行後も社会経済活動が一定正常化されているとはいえ、市内飲食店事業者の皆さんも物価高騰や融資の返済等の時期が重なっており、依然として厳しい状況であるという認識を私どもとしても持っております。これまで市の支援として市内の消費喚起ということでイチカでの支援ということ、これにプレミアムをつけるなどもやっておりますけれども、現在イチカ加盟店約四百店舗のうち百件以上は飲食店という形でございまして、また、換金の状況からいたしましても、換金額の約四割は飲食店ということになっておりますので、一定の消費喚起効果というのはあったというふうに考えております。加えて、市の融資制度でありますけども、融資比率の半分を市が負担し、また保証協会の保証料の全額を市が負担するということでありますが、こうした金融円滑化の面でも引き続き支援を続けていきたいというふうに考えております。 また、議員から御指摘がございました経営相談につきましては、資金繰りに限らず、経営再建、場合によっては事業承継といった面で専門的な知見からアドバイスを得ることが非常に重要でございまして、残念ながら公務員はこの辺りの知見を直接は持っておらぬわけでございますけれども、天理市商工会、連続で優良商工会として表彰も受けられるなど、非常にいま県内でも突出した業績を上げておられます。経営指導員の資格を有する職員が様々な経営相談や事業展開に向けて補助金の申請支援なども実施をされておりまして、この補助金確保においても奈良県内でも特に優れた業績を上げておられますので、商工会と引き続き連携をしていきたいというふうに考えておりますし、また、奈良県が設置する経営指導の専門機関でありますよろず支援拠点、こちらとの橋渡しというところもしっかりと行っていきたいと考えております。 また、駅前広場の有効活用ということについてでありますけれども、昨年度まで開催をしておりましたコフフンマルシェ、こちらが今年度から運営事業者が天理大学・モンベル共同体に替わりますので、名前がてんだいフェスタというふうに変わってリニューアルはするんですけれども、基本的にこのマルシェをしっかりと継続を頂く形で考えております。今年度は十回の開催を予定しておりまして、第一回、これはちょっと試験的になり、かつ雨の予報でもあるので微妙なところもございますが、今週末六月二十三日がその第一回であります。本格的には八月の初めにこの天大・モンベル共同体によるアウトドアショップとカフェがオープンをするということになりますので、そこと連携した形でこのてんだいフェスタを発展させていきたい。基本的に、これまで市内の農業者の皆さんの支援というところがメインでありましたけれども、ぜひ飲食店の皆さんについても積極的にここに関わっていただければというふうに思っておりまして、この点は先般議員にも御参加いただいた七十周年の記念式典の際にも、市内の飲食店舗の皆さん、多数お越しであったと思いますが、ああいう機会をどんどんつくっていきたい。 また、今年も川原城の地蔵尊も地元商工連盟の皆さん、御準備を頂いておりますが、こうした機会にもこの天理駅前広場は積極的に活用いただいております。こうした機会にはPRはもちろんのこと、私どもが持っております機材についてはどんどん使っていただければというふうに思っておりまして、この中にポータブル発電機というところもございますので、こちらは特に料金もいただかなく使っていただきますし、また、てんだいフェスタについても、この市内の事業者支援ということでありますので、これまでも出店料は無料ということで行ってまいりましたが、今後ともその方針でやっていければというふうに考えております。 続きまして、上下水道についてでございます。この上下水道の対策というところ、まず上水道についてでありますが、災害時の避難所となります学校あるいは病院等の重要給水ポイントまでの管路を基幹管路というふうに位置付けておりまして、これまでも天理市水道管路等更新計画に基づき耐震工事を計画的に進めてまいりました。この更新計画というのは、政府の中間取りまとめの方向にも合致をしていると考えております。 これが令和七年度以降に企業団に参加した場合にどうなるかということでありますが、令和五年二月の奈良県広域水道企業団基本計画の中で、各構成団体の更新実績を保証するということがまずうたわれておりまして、続けて、整備計画を尊重するということが明記をされております。したがって、私どもがこれまで基幹管路も含めてやってきている計画というところに基づき着実に工事が進んでいくということを、私もこの企業団の、中には、輪番ではありますが、副企業長が市町村長に廻ってくるということもありますし、また、予算編成など重要事項については運営協議会でこれは協議をするということになってまいりますので、しっかりとフォローしていこうということであります。 そして、下水道についても、従来ストックマネジメント計画に基づき更新を図ってきておるわけでございますけれども、一体的な取組というのが効率的なのはおっしゃるとおりでありまして、下水道の計画についても上水道の計画にできるだけ合わせて検討していきたいというふうに考えております。他方で、財源といたしましては、この上下水道事業費は、いただく受益者の負担のところに合わせて国、県の交付金なども活用して耐震化に充てるということでございまして、一般財源から防災対策という形で出してもいいんじゃないかというふうにおっしゃっていただいたんですけども、やはり昨日来、避難所等における防災用品をしっかり充実をするべきだと、そういうお話もございました。そこにしっかり、やはり我々の一般財源というのは充てていって、トイレであったり衛生用品の確保であったり備蓄物資の部分も充実させていかなければなりません。そして、水道の更新費用というのは、何千万円とかという物資の購入に比べて何億円という形で全く桁がちょっと違ってしまっておりますので、やはり上下水道の中でしっかりと対応していくのが重要であるというふうに考えております。 次に、可搬式の装置でございますけども、独立行政法人水資源機構が所有する機材が石川県の方でも活用されたということでございます。汚水処理施設についても有益な手法の一つになるというふうには考えておりますが、全ての避難所にあらかじめ私どもが設置をするということが、なかなか費用等維持管理経費の点からも課題があると。実際に、やはり全国の自治体としては、この被災水道事業体が日本水道協会に応援要請をする、あるいは先ほど申し上げた水資源機構に応援依頼をするということで、全国的にやはり対応していくことが非常に大事だというふうに考えておりまして、ただ、その辺りがスムーズにいくように、日水協の奈良県支部でありましたり、あるいは給水本部というようなところとの連携はこれまで以上に密にしていきたいというふうに考えております。 マンホールについて、次にお問合せを頂きました。液状化することによって過剰な水圧がかかり、マンホールが浮くことを防ぐための埋戻し資材を用いた工法で、現在改修時に施工をしております。マンホールと管渠の接続部に伸縮性のある形状変形部材を使用し、震動に伴ってマンホールが破損、漏水をするということについても防ぐ対策というのも行っていっているところでありますが、なかなかこのマンホールだけを耐震化するというのはちょっと非効率な部分がございまして、管渠の更新工事をやるときに、それとやはり一体的にやらないと、なかなかこのマンホールの周りの部分だけやっても効果は薄いというふうには思っております。まだ重要な管路の耐震化率が二二・三%というところでございますけども、ここをしっかり更新に結びつけていくことが重要だと。後ほど、この広域化についてるる御指摘を頂きましたが、やはりそういった更新をしっかり進めていくためには、どうしても水道料金が将来的にどんどん上がっていかざるを得ない。それをどう上がり幅を抑えながらやっていくかというのが今回の広域化の主な目的だというふうに考えております。 災害時の運用についても御指摘を頂きました。まず、上下水道局の災害協定、先ほども若干触れましたけども、日本水道協会の奈良県支部、あるいは天理市管工事組合、また奈良県水道局、こういったところと連携をしているほか、北和都市連合公営企業部会などなど、お互いに支え合う体制というところは持っていっております。また、下水道管理者が災害時の発生時に工事などの修繕、しっかり能力を持った方とあらかじめ締結しておく協定というところもございまして、本市としても日本下水道管路管理業協会、そしてまた日本下水道事業団と法令に基づく協定というのを平成三十年度末に締結をしたところでございます。内容としては、災害時における下水道施設、雨水ポンプ場等の応急復旧に係る業務支援などということであります。そのほか、建設業協会ともこの協定というのは締結をしております。 そして、台帳ということでありますが、水道管路図と下水道台帳の共有ということについては、いざというときに使用できるためにデータ保管しているのはもちろんでありますけれども、停電時に備えてこれは紙媒体でも保管をし、毎年更新をしておりまして、いざというときにデータが使えなくても紙で共有できる体制というのは整えている。 また、災害対応用の機器でありますが、中央監視装置、こちらは浄水場や配水池など重要な水道施設の異常を検知するために、豊井浄水場に中央監視装置を設置しております。地震などで主要管の破断等により異常な流量が発生した場合には、一定水位になった場合に警報が出るということでありまして、こちら豊井浄水場では二十四時間体制で監視をしており、不測の事態に備えております。その他、上下水道庁舎と各配水池でありましたり車などについて無線で連絡を取り合える対応というのも取っております。 そして、災害時において、宅内配管の迅速な復旧について支援が必要でないかという御指摘でありました。これは石川県の方で、今回国からの支援を待たず、県独自で事業者の移動に要する燃料代や宿泊代等の掛かり増し経費について補助するということがなされております。すなわち、地元の業者だけではもう対応できないので、よそから出張された場合に割高になってしまう部分を県の方が支援すると、こういうことでありまして、あるいは珠洲市の方では、水道が使用できない場合に仮水洗の設置、こういったことも行われているということでありまして、今後、県域水道になっていくわけでありますが、やはり今般の能登の状況を踏まえて、この奈良県の企業団としても必要な支援があるのではないかという点については、準備協議会などでも御指摘を踏まえてしっかりと意見を言っていきたいというふうに考えております。 続きまして、水道料金の広域化のシミュレーションが変わっておるではないかという御指摘でありました。この点は、やはり物価上昇、人件費などが前回のシミュレーションのときよりも相当変わっておりまして、物価上昇率の率も〇・七%から一%に変える、人件費についても〇・七から一%に変える、あるいは利率についても今後変わってくる要素がございますので、企業債の借入れ利率というものも、これは〇・四%から一・六%に更新をした結果、試算値としては変わってきたということであります。 他方で、国、県の財政支援というのは、前回の四百十二億円から今回四百二十二億円に十億円積み増されたと、この辺りが総合的になって先ほど言及があった数字になっているわけでありますが、その三十五円上がった状態においても本市単独でやっていく場合よりははるかに抑えられる数値であるというふうには考えております。ただ、今後のやはり物価上昇というところがどうなってくるかというのは、ここ三十年の状況ではちょっと考えられないような事態が起きておるわけでありますので、やはり料金改定を適正な水道料金と健全な事業運営、このバランスを見てやっていく必要がある、これはいま五年ごとに基本的には見直すということでありまして、人口、物価、金利上昇、そのほか災害などの想定も踏まえてみんなで議論をしていこうということにはなっております。ただし、企業債の残高が基本的に給水収益の三倍以内の基準を維持しようということになっておるわけでありますけども、企業債を組めなくなったから更新ができないということはこれ本末転倒でありますので、もちろん給水収益の三倍以内に収まるようにするには、水道料金を上げてくるという議論にはまたなってくるわけでありますが、その起債のルールによって、これはあくまで健全経営、あるいはその償還が様々な更新工事などに回す投資的経費を圧迫しないようにということで設定をあくまでされているルールでありますので、水道料金を考える上では重要なポイントになりますけども、それによって起債をしなくなるとか、そういうことではないというふうには思っております。 そして、PPP/PFIの活用についてということがくり返し懸念を頂いているということは重々承知をしておりますが、これはもう令和五年二月一日の奈良県広域水道企業団基本計画の中に、「コンセッション事業への移行や民営化は行わない」というふうに明記をしておりまして、いま私ども、次のステップである企業団結成に向けて準備協議会というのを持っておりまして、私もその委員の一人になっておりますが、この原則についてはきちんとずっと継続をしていこうということが基本的に現在みんなの一致した意見であるというふうに思っておりますので、行政サイドにおいても民営化をやろうというような話は全く出ていないということはぜひ御理解を頂きたいと思いますし、やはりそういった大事なことというのは文言の中に含めていくことが重要であるというふうには考えております。 そして、住民自治という点についてでございます。企業長、副企業長の合議で経営上の企画・立案と方針を決定していくということでございますが、先ほども申し上げましたとおり、まず副企業長になっていない市町村についても運営協議会のところで重要事項については協議をするということで、まずそれぞれの市町村で選出を頂いた首長がその辺りに関与するというところで、住民の意思が全く反映されないわけではもちろんありませんし、また、この議会についても、事務組合の議会で議決権を持っておりますので、そっちの企業長の会議で決められたやつがただ下りてくるというのではなくて、予算がおかしいとか、そういうことであれば否決する可能性もあるわけでございまして、そこの議会にはそれぞれの市町村から必ず選出議員が出るということになっております。現在の案では定数が三十八名ということでありますが、本市のように五万人以上十万人未満の市町村議会からも各二名という形で、本議会からどなたか二名がその議会に出られるという形が現在計画をされておりますので、そこにおいて天理市民の声が反映されないということではないということはぜひ御理解を頂きたい。 次に、経年の劣化不明管ということでありますけれども、これは水道管を敷設した年度が分からないというものでありますけれども、これは本市の場合、出納台帳を整備しておりまして、経年劣化不明管というのはありません。県内において存在する経年劣化不明管、老朽管については、これは個別に更新をされていくというよりは、先ほど来申し上げております各市町村の整備計画をそのまま引き継いで面的に更新されていくというふうに認識をしております。ちなみに、県内の経年劣化不明管というのは、管路総延長のうちの〇・〇一%ということでありますので、全く影響がないかというとそうではないかもしれませんが、これが大きく今後の更新計画であったり水道料金に反映されてしまうような規模ということではないというふうには思っております。 そして、次に、各団体の会計上の公平性というところについても御質問を頂きました。もちろん、県内には人口密度であったり高低差という地理的要因によって運営コストがやはり高くならざるを得ないエリアがあることはこれは事実でございます。ただ、これは思い起こしていただければ、天理市においても盆地部と高原では全然違いまして、なぜうちの水道料金が一定値段が上がるかというと、これは下からポンプアップをしているということがあるわけであります。では、天理市の中で比較的人口密集地域の皆さんが、これ福住にポンプアップをして水を送るところに俺たちの金が使われるのはおかしいなんということを議論されたら、なかなか天理市としての水道を守っていくことはできない。では、高原が何もしていないか。水源がどこにあるんですかというと、その高地の方にあるわけでありまして、山だったりがちゃんと守られておるがゆえに水源地というのは保全される。それと同じことが奈良県全体であるわけであります。特に、本市においては現在も三割を超える部分というのは県営水道でありまして、ですから、重要な浄水場として桜井であったり御所であったりこの辺りになってきて、その周りを見れば、決して低コストでやれるような地理的条件かというと違うわけでありますけども、それはやはり、この水源にお世話になっているという中から、全体としてしっかりと支え合っていくという視点が重要なのであろうというふうに考えておる次第でございます。 続きまして、ちょっと話が違う御質問に急に変わってしまいますけども、目の不自由な方の移動の自由ということであります。これにつきまして、踏切などについて
ガイドラインがなかなか示されていないというようなお話も以前ございましたけれども、まず、踏切内の部分がきちんと国の方で規格が決まっていなかったので、本市においては田井庄町の踏切であったり前栽の踏切でありましたり、遮断機手前の部分を優先的に整備を完了したというところがございます。令和六年一月に、ようやくこの踏切の中の誘導標示の設置についても
ガイドラインが示されましたので、速やかに工事にかかるべく、いま近鉄の方と協議を開始しているところでございまして、今年度中の整備完了を目指して事業を進めていきたいと考えております。そして、横断歩道上のエスコートゾーンでございますが、これについても非常に重要だというふうに思っております。道路管理者が出す場合と公安委員会が出す場合とあるということですが、いずれについても横断歩道に関わる部分なので、公安委員会との連携は必須になってまいります。本市においても、たとえば駅前のところから本通りに行くような、特に使用頻度が高いようなところを優先順位を定めまして、これはもう県警の方から出ないということではなく、まず我々の方から予算も支出するような考えで協議を進めていきたいというふうに考えております。 では、いったんここから学校に関しての質問については教育長にバトンタッチをして、教育の面からの点というのをお答えをさせていただきたいと思いますけれども、前振りとして言わせていただくとするならば、いま少子化の中で、奈良県内においてもどんどん学校の統廃合の話が出ておりまして、各市町村においては、御党はやはり地域の学校は大事にすべきというような御意見があるという認識を持っております。実際に、北側に隣接する某市の小学校においても、住民で意見を求めて議論を市の方とされた中に、天理市のように地域連携型小規模校、この学校三部制みたいな話の中で学校を守っていっている例もあるじゃないかというような声が出されたというふうに報道等でも拝見をしておりまして、非常に肯定的に受け止めていただいているのではないかというふうにも思っている次第でございまして、そういうことも含めて、教育長の方から続けて答弁をさせていただきます。
○議長(
大橋基之議員) 教育長。 〔教育長 伊勢和彦 登壇〕
◎教育長(伊勢和彦) 続きまして、私の方から答弁させていただきます。 最初に、天理市として複合化ありきの上でみんなの学校プロジェクトが進められたのではないという御理解を深めていただくために、少しこれまでの経緯を述べたいと思っています。 コミュニティスクールが制度化されたのは二〇〇四年です。地方教育行政の組織及び運営に関する法律、これ以降は地教行法と呼ばせてもらいますが、その改正によって制度化されました。当初は、やはり二十年前ですので、学校内外では文化が異なるとか、教育現場が混乱するという理由から反対もありました。しかし、二〇一一年に大津市で中学生がいじめにより自死したことが大きなきっかけになって、教育の責任者をはっきりさせようということで、さらに、二〇一五年に地教行法が改定されました。各自治体の首長が教育大綱を出すこと、そして総合教育会議を主催すること、教育委員長を廃止し教育長が教育委員会の責任者となること等が定められました。その後、地教行法の四十七条において、教育委員会は、学校の運営及びその支援に関して協議する機関として、学校運営協議会を置くように努めなければならないと目標が定められました。この学校運営協議会を持つ学校をコミュニティスクール、あるいは学校運営協議会を含めた地域と学校が連携して行う一連の取組を総称してコミュニティスクールと呼びます。そのコミュニティスクールの推進によって社会に開かれた教育課程を追求、そして、地域と共にある学校への変革が全国的に進んできました。二〇二二年度までに全国公立小中学校の四八%がコミュニティスクールを導入しています。 天理市、天理市教育委員会は、二〇一五年当時、県内でもいち早くそれに取り組み、全ての小中学校に学校運営協議会が立ち上がりました。しかし、学校運営協議会はできたものの、まだまだ学校のお手伝いを地域が行うという考え方から抜け切らず、地域と学校が協働し新たな学びをつくり出すという具体的方策を探しあぐねていたのは、天理市をはじめ全国各現場での悩みでした。具体的なプロトタイプが求められていました。そこで、市長は、私が校長を務めていた櫟本地域の取組、みんなのとしょかんであるとか町カ塾に目を向けられて、櫟本モデルと名付けられました。市や教育委員会はそれを一つのプロトタイプとしてそれぞれの校区に合った形に深化させることや、地域と共に子どもを育むシステムの構築を進めてきました。その方針や進捗状況は、四年前私が教育長就任した頃から市長とともにこの本議会や全体協議会でお話しさせてもらい、議員皆様の御理解を頂くとともに、進むべき方向性を御助言、御指導いただいてきました。だからこそ、現在少子高齢化が急速に加速し、消滅可能性自治体なる言葉が出現し、各自治体の多くが学校統合という形で教育を何とか維持しようとする中、天理市は地域連携型小規模校という形で各校区に学校を残し、天理が昔から育んできた地域の絆をさらに深化させ、地域とともに学びを創造するみんなの学校プロジェクトが生まれてきたというのは先ほど市長がおっしゃられたとおりであります。皆様の御理解と、この町、子育ての教育に対する熱い思いに感謝しております。 このような方向性をいままで市内各校区の皆様とのタウンミーティングや校長会、教頭会、社会教育委員会議、公民館運営審議会等々で議論を重ねてきたところです。特に昨年度には、人口減少や児童数減を予想した天理の未来の姿とともにみんなの学校プロジェクトを前面に出し、全ての校区でタウンミーティングを行い、どの校区でもその方向性に一定の御理解を頂いたと感じました。学校三部制につきましても、学校運営協議会、さらには臨時の総会も開催し、また学童保育連絡協議会、市PTA協議会総会などで主な意見交換の場を得て説明を行っており、ここ最近だけの議論ではないことを御理解いただけると思います。学校三部制は近年失われてきた家庭の教育力、地域の教育力やつながりを再構築しようとするものです。学校教育だけが過度に担わされざるを得なかった役割をみんなで考えていくことにより、教職員の働き方を持続可能なものに変えていくことにつながると考えます。 子どもの意見尊重につきましては、櫟本小学校のみならず、各学校で進み出した地域学校連携の活動の中で出てきた子どもたちの具体的な意見やつぶやきを拾い上げながら取組を深化させております。たとえば、柳本小学校の国語科の授業に地域の俳句教室の皆様が指導するという活動がありました。最初の一時間が終わり、校長室へ戻ってこられた講師の一人である女性がにこにこされて、次の授業の日が楽しみですとおっしゃいました。何があったのかを尋ねたところ、その方が指導したグループに一時間何も言わないで参加していた男子児童がいたそうです。この授業が気に入らないのかな、励ましたらいいのかなとその方は考えながらその男子を見守られました。授業が終わって廊下を歩いているとき、後ろからその子が追いかけてきました。ありがとうございました、またお越しくださいと言ったそうです。私、元気をもらいましたとその女性はおっしゃいました。落ち着いた豊かさのある学びの様子が伝わってきました。 朝和小学校では、公民館で行われている大正琴の演奏を音楽の授業で指導してもらった子どもたちが、大変楽しかった、これからも続けたいのでということで、学校で大正琴を購入してくださいと校長先生に話しに来たそうです。櫟本小学校では、朝の見守り隊の人が、見守り後の交流する学校内のお茶屋で二年生の子どもたちが九九の暗唱を聞いてもらっています。必ずしも家で何度もくり返し九九を聞いてもらえる子ばかりではありませんが、地域の高齢者に聞いてもらっている顔が本当にうれしそうです。そして、よし、今度は下がり九九やでといって子どもに話しかける地域の方の顔がもっとうれしそうです。 そのような活動をさらに充実させることを目指す学校三部制については、地域の子どもを地域のみんなで支え合うことを目指し、学校教育の活動、一部、学童や放課後の活動、二部、地域の活動を三部と位置付け、時間ではなく活動内容で三つの区分に分けています。本年度の具体的な取組として、サタデースクールや公民館活動の文化教室やクラブ活動の一部を予定しており、学校教育の活動と公民館活動が連携することで、また相乗効果が期待されます。学校、校長をはじめ教職員の責任は一部に限らせてもらっています。また、地域の学校関係者を増やし、信頼できる大人が日常的に存在することで学校の安全性が高まることが期待できます。学校という閉ざされた空間に多くの子どもと少数の指導者しかいない危うさは近年特に多く報道されるようになってきた指導者による暴力や性加害、子ども同士のSNSを含むいじめや暴力の、そんなものの未然防止になることは、本会議において池田附属小学校の指導していた当時の六年生の担任を防犯教室に招いた具体的な事例を紹介しながら、この議会でも何度かお話しさせていただきました。 また、あわせて、ハード面の整備として、夏休み期間をめどに全ての小学校に電子錠を設置し、地域利用者の専用の入り口を設けるなど、セキュリティー対策も進めてまいります。静ひつな環境において教育を受けることに関して、大人に見守られているという安心感がより充実した規律やめり張りのある豊かな学習環境を生み出しているのではと考えています。 情報保護については、地域の学校利用者との間で一定のルールを設けて対処いたします。全国でそれの一定ルールをきちっと設けたところは、年間を通して四千名の授業ボランティアを学校に導入することに成功しております。こうした信頼できる大人の目が増えることにより、教員の負担はむしろ軽減され、学校環境の向上と授業の質の向上の相乗効果が期待されます。 認知症予防につきましては、高齢者の地域利用者にとっては子どもと学ぶ機会は生きがいや健康寿命を高め、また子どもにとっては高齢者とどのように共生するかを体験することが期待できるもので、学校だからこそ取り組まなければならないと思っています。小学校六年生の社会科の授業で、民生委員の出前授業を受けた児童が授業後の感想文に、民生委員の仕事のすばらしさと大切さが分かりました、私も何か自分にできることをしたいと思いました、私が朝登校するときに出会うおばあさんがいます、いつもおはようと言ってくれているのに、私は何も言いませんでした、明日は自分からおはようと言いたいですと書きました。 子育て応援相談センターほっとステーションにつきましては、四月から立ち上がり、現在まで百件を超える相談が寄せられており、中にはメールによる相談実績もあります。昼間に時間が取れない保護者様にも御利用いただける、そういう環境を整えております。いじめや生徒指導に関すること、本人の特性や発達の相談に関すること、学校の決まりに関すること等々、これまでは時間外で対応されていた現場教員による保護者対応も含まれており、これらの対応をほっとステーションができることで、チームとして問題や課題の解決を図ることができるようになりました。現場の教員にとっては、これまで時間を取られていた問題や課題等が未然に防止されるようになり負担が軽減されるとともに、児童に向き合う時間に集中できることが期待されています。仕事から夜八時に帰ってくるから八時に家庭訪問に来てくれという電話が当たり前のようにかかっていた、そういう教育現場はもうなくなりました。 私の話の締めくくりに、東京三鷹市教育長の言葉を引用して、建築に関することや国へのアプローチについては市長に続きをお願いしたいと思っています。ちなみに、三鷹の教育長は文部科学省からコミュニティスクール推進員を委嘱され、この十一月には天理に講演にお見えになってくださいます。その講演会には県内全ての市町村の教育委員が参加をし、近畿の教育委員会も希望があればオンラインを受け付けております。もう時間がありませんので、言葉を紹介します。 先の見えない激変する社会、VUCAと呼ぶらしいです、の時代に生きる子どもたちは、自分を見失わず自分の人生を切り開き、一人ひとりが豊かで幸せな社会をつくっていける力を身につけてほしいと切に願う。自分さえよければ、自分だけがというような考えに完結するのではなく、ぬくもりのある、つながりのあるまちづくりを担う人になってほしい。しかしながら、そのような子どもたちを学校だけで育むことは難しい。教員の専門性と学校教育以外の多様な分野の知見や価値観を取り入れた学びを提供することが大切であり、だからこそ持続可能な仕組みとしてコミュニティスクールが有用なのである。社会全体で子どもを育てることで、自分自身も成長する仕組みであるコミュニティスクールは新しい学校教育の実現のための鍵となり得るものであり、この活用こそが常に変化する個人と社会のウエルビーイングの実現につながっていくと確信している。以上です。
○議長(
大橋基之議員) 市長。
◎市長(並河健) すみません、確認ですが、答弁は時間を過ぎても大丈夫ということでよろしかったですね。 では、残りの御質問について私から答弁をさせていただきます。 学校建築についてということでありますけども、我々として仮設のようなものを造っていく気は全くございません。ぜひその点は御理解を頂きたいと思います。ただ、山の辺、柳本、この辺りから一般的な耐用年数を迎える中で、これがいま国の補助金に該当する状態かどうかということを確認しておりますが、ただ、早晩その辺りから改修時期に入ってくるのは間違いない。最近、建て替えた前栽と南・北中学校などの例外を除き、これから二十年ぐらいの期間に一斉に市内の学校を建て替えないといけない時期に入ってくるわけでございます。その点で、我々は、地域連携型小規模校ということで学校を守るというふうに、ある種大見得を今切っているものの、果たしてそれが可能なのかどうかという点は非常に私も懸念をしているところであります。 それが、従来のような特注品の鉄筋コンクリート建てで全部建てて、一つ当たりこれ二、三十億円かかるみたいな計算をやっていきますと、どうしても帳尻が合ってこない。しかし、特注だから悪いとは言いませんけれども、例えて言えば、山の辺小学校の学童、別棟になっていますが、五千万円からかかっているわけです。一般、たとえば住宅なんかでこれ震度何まで耐えられますみたいな結構堅牢なものを住宅メーカーが販売されておりますが、上物で五千万円というと相当なものですが、恐らくそんなふうには見えないと思います。なぜか。それはもう完全に周りから何から取り回しから特注住宅だからであります。だから、これをそういう発想ではなく、できるだけ民間が持っていらっしゃる建材なんかも利用しながら、どのぐらいリーズナブルに更新できるんだということは、これは検討したいというふうに思っておりまして、しかも、以前と比べれば各学校の人数は大きく減っている。ですから、もう三階建てまで要るのかというところからすると、もう平屋だったり、せいぜい二階建てで十分みたいなところも敷地からすればあります。平屋にするというのは、これは地震対策等からいっても非常に有効であります。 その辺りについて、では民間事業者であったらどんな学校づくりが提案できますかということは、これは確認をしたいというふうに思っておるんですけども、ただ、誤解を頂きたくないのは、運営は完全に公の方でやっていきますので、そういったPFIとかということとは全く違う、あくまで設計、施工の部分についてどんな知恵を出したら面白い学校ができるかということを広く問うていきたいということでありまして、それも当然我々だけで決めるのではなく、教育委員会あるいはその学校の方とも議論しながら、あるいは何案かに絞って、一定具体的にイメージできるものができた段階では、保護者であったりあるいは児童自身にもどっちがいいですかみたいなことをちゃんと議論をしながらやっていきたいなというふうに思っております。最初に、やはりどのぐらいのコストで更新できるかというところについて知恵をどれだけ絞れるかが、本当にいまの天理市の各学校を守っていけるかの勝負だというふうに思っておりますので、まず、いま耐力度調査というのをやっておるところでありますが、その結果を踏まえて議会の方とも御相談をしていきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。 最後に、教員の基礎定数増加の国への要望というところについてもお話を頂きました。国の方で、より充実した体制を組んでいただくということ自体は非常に大事だと思いますので、それは各自治体から市長会等も通じて一緒に声を上げていくんだというふうに思っておりますけども、ただ、ぜひ御理解を頂きたいのは、一学年が十人になって一クラスであったとしても、問題が起きる場合は起きるということであります。では、三十人以下の学級が天理市でといったら、実際はもうそちらの方が圧倒的に多いわけでありまして、そこにおいてその静ひつな空間が必ずしも保たれているか。残念ながら、このほっとステーションをつくってからも、なかなかクラスとしての落ち着きがないところが去年から続いている、これをどうにかならないかという話であったり、あるいは先生方の方でも、飛び出していってしまう児童がいます、あるいはみんなとなかなかコミュニケーションが取れない中で、いわゆるかんしゃくを起こしちゃう児童がいます、それが自分はどうしたらいいだろうと、こういう状況が続いているわけでありまして、地域の方がちょっと入ってくるから何か声がうるさくなって、いま静かに勉強できているところが乱されるとか、そういう状態ではないというふうに思っております。 いま我々がやろうとしていることは、むしろそこに心理士であったり、特に発達障害であったり特性について専門性のある心理士、あるいは作業療法士であったり、ほかの視点というのを入れていきながら、先生がこれまで経験則に基づいて自分なりにやっているところを、ちょっと違う見方の中で、子ども自身が本当に落ち着ける状況になるか、無理にいま抑え込むことがかえってストレスになっていないか、そういうところも含めて議論をしようというような形で進めていっておりまして、そうしたほっとステーションも含めた我々の取組にいま国の方も非常に関心を示していただき、週明けにも財務省の主計官が本市に視察に来られる予定になっております。ですから、従来のやり方のまま人をどんどんつけていくというのは、恐らく政府の予算からしても限界がある。それに対して、人が足りない、このまま現場が潰れていいんですかという形で、なかなか落としどころがない形でいま議論が闘わされていると。これが先般の中教審のレポートに対して現場からも非常に辛いコメントが返ってきた原因だというふうに思っているんですけれども、そこにおいていまの本市の取組が一定の何か光明を見いだすきっかけになればという思いで取り組んでおりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
○議長(
大橋基之議員) 以上をもって一般質問を終わります。 以上で本日の日程は終了いたしました。 なお、明日より二十四日まで休会し、二十五日午前十時より再開いたします。 本日の会議はこれをもって散会いたします。 午後零時五分 散会...