令和 5年 12月 定例会(第357回)令和5年12月 第357回
定例奈良県議会会議録 第2号 令和5年12月6日(水曜日)午後1時
開議 -------------------------------- 出席議員(42名) 1番 永田 恒 2番 川口 信 3番 芦高清友 4番 金山成樹 5番 星川大地 6番 松木秀一郎 7番 山田洋平 8番 清田典章 9番 関本真樹 10番 疋田進一 11番 若林かずみ 12番 斎藤有紀 13番 伊藤將也 14番 藤田幸代 15番 福田倫也 16番 福西広理 17番 工藤将之 18番 中川 崇 19番 原山大亮 20番 小村尚己 21番 浦西敦史 23番 池田慎久 24番 西川 均 25番 乾 浩之 26番 亀甲義明 27番 大国正博 28番 小林 誠 29番 佐藤光紀 30番 清水 勉 31番 松尾勇臣 32番 米田忠則 33番 粒谷友示 34番 田中惟允 35番 荻田義雄 36番 岩田国夫 37番 中野雅史 38番 山本進章 39番 井岡正徳 40番 阪口 保 41番 藤野良次 42番 森山賀文 43番 山村幸穂 欠席議員(1名) 22番 川口延良
-------------------------------- 議事日程 一、当局に対する
代表質問 --------------------------------
○議長(岩田国夫) これより本日の会議を開きます。 会議時間を午後6時まで延長します。 --------------------------------
○議長(岩田国夫) ただいまより、当局に対する代表質問を行います。 順位に従い、34番田中惟允議員に発言を許します。--34番田中惟允議員。(拍手)
◆34番(田中惟允) (登壇)同僚議員のご理解をいただき、自由民主党・無所属の会派を代表しまして、質問させていただきます。 山下知事がご就任になられ、私にとりましては初めての質問でございます。質問の趣旨が十分伝わればよいのですが、どうぞご賢察いただきまして、親切丁寧なご答弁をお願い申し上げます。 それでは、質問に入ります。 皆様のお手元には、質問項目についての資料配付がありますので、そちらをご覧ください。 まず、今後の県政の進め方についてお伺いします。 山下知事がご就任になられたのは、今年の5月3日で、はや7か月余り経過しましたが、現在のお気持ちをお聞かせいただきたいと思います。任期は48か月ですから、既に6分の1近くが経過したことになります。既にご経験されました市政の職務と、県政の職務には、かなりの違いがあります。ご就任までのお気持ちと比べ、変化はありましたでしょうか。 山下県政へ期待しながらも、自由民主党・無所属の会としましては、率直に申し上げれば、事業の進め方などに大いに不安があります。 知事になられた以上、県政への目配りは、県庁職員と同じくすべての人たちに向けなければなりません。私
たち県議会議員の選出と行政理事者の選出の根本的な違いは、その辺にあると思っています。 山下知事は、知事になられてから、日本維新の会の奈良県の長にご就任されました。基本的な発想の違いがそこにあると思っています。 そこで、知事に質問させていただきます。 知事就任後7か月が経過し、この間、公約に掲げた事業の執行中止や一旦停止を行っていますけれども、議会でのご答弁を聞いていましても、知事として奈良県をどのようにしたいのかが、いまだによく分かりません。先日も上京され、政府要望を行われたところでございますけれども、その感想とあわせて今後の県政の進め方についてお伺いいたします。 次のパネルをご覧ください。続いて、政府の新たな総合経済対策への取組についてお伺いします。 今国会における最大のテーマは、補正予算に関してです。
大型補正予算案は、11月29日に自由民主党政府のもと、公明党、日本維新の会の賛成もいただき国会で成立し、経済の浮揚を図る予算として、早急に予算執行を実現しなければなりません。 とりわけ、物価高対策による国民負担の緩和としては、低所得世帯に対する計10万円の所得支援や、1人当たり4万円の所得・住民税減税などを通じた国民所得の下支えとともに、事業者への支援として燃料費・電気・ガス料金の激変緩和措置により、消費者物価を前年比1.01%程度抑制する効果が見込まれています。また、総合経済対策としては、実質GDPを19兆円程度、年成長率換算で1.2%程度押し上げる効果が見込まれています。 国の補正予算を受け、奈良県においても関係する予算を1日でも早く成立させ、即刻執行するべく準備を整える必要があります。自由民主党奈良県支部連合会からも、知事に対しまして、補正予算の編成を強く求める要望書を11月14日に提出したところでございます。補正予算の執行に関して、奈良県はどのようにお考えですか。 そこで知事にお伺いします。 政府の新たな総合経済対策への取組について、政府において、
デフレ完全脱却のための総合経済対策が取りまとめられたことを踏まえて、県ではどのように取り組んでいかれるのでしょうか、お伺いいたします。 次の質問です。選挙時に公約された、大きな県政の転換が幾つもありますが、その中で、まず、近鉄奈良線の移設についてお伺いいたします。 近鉄奈良駅から大和西大寺駅間の線路移設、ルートの変更に関して、私は、既に計画が示された移設を行うのがよいとの主張をしているものの1人です。 鉄道移設は簡単には進みません。東京都の世田谷区長は、小田急線の地下化を進め、下北沢駅周辺の開かずの踏切を解消し、地上に敷設されていた線路用地を公園化し、新しい都市計画を成し遂げられました。 特に関東では都市拡大が激しく、鉄道が都市計画と連動して変化を遂げております。 しかし関西では、大阪においては、都市計画と併せ、鉄道は発展的な変化をしておりますが、奈良県においては、鉄道事業の合理化が前面に出て、期待の持てる変化はありませんでした。 しかしながら、ここ数年だけを見ても、JRは大安寺近くへの新駅設置、
近畿日本鉄道株式会社も奈良県の都市計画と連動し、時代にマッチした方向に進めようとしているとの印象を持っています。 具体的に申し上げるならば、奈良県内で、県立医科大学前に新駅、そして八木西口駅の継続、近鉄郡山駅の移転、西大寺・平城宮跡近辺の整備など、このような協力関係を示されたことは、今日までありませんでした。 私は、
近畿日本鉄道株式会社に対して、県政にご協力いただけることに感謝の意を表すのがよいと、過去の議会でも述べたこともありました。 そこで、次のパネルをご覧ください。世界史の中で、1300年以前の首都が残され、保全されているところはそうございません。世界に誇れる宮都平城京について、土地を民間から国が買取り、その後、ただの広場から公園として、国の指定を見える化しました。そして、今日の近鉄線の線路移転によって、分断された平城宮跡が一体の場所として利用できることになります。その間、約100年以上かかっているわけでございます。 都市部において、これだけ平らで広い面積を持つ公園は、奈良県においてのみならず、関西においても少ないと思います。平城宮跡の広大さを、県民、世界の人々にも理解していただくと同時に、様々なイベントや奈良県への誘客事業に活用できる新しい試みが実行できるスペースが誕生することになります。 山下知事は線路の移転に関心が薄いように思いますので、線路の移設を推進されるよう望むところでございます。 公約には移設を行わないとされておりますが、先般、奈良新聞の懇談会においてご講演されました。そのときの資料によりますと、平城宮跡地内の踏切と併せ、線路移設のルートも書き込まれ、示されておりましたので、私たち受け取り側としては、ご検討中と判断するのが妥当なのかと、知事の意思が明確ではありません。また、
近畿日本鉄道株式会社との間でまちづくり協定を締結したと新聞で報じられていますが、その中においても曖昧になっています。 自治体に財政力があっても、
近畿日本鉄道株式会社側が応諾しなければ不可能な事業であり、このたびは
近畿日本鉄道株式会社にご同意いただいたということで進めております。せっかくのこのチャンスを逃してはならないと思っています。 そこで、知事にお伺いします。 公約だから、移設をやめるというだけでは説得力がございません。その根拠や影響・効果を示して説明すべきと考えますが、現在の検討状況についてお伺いします。 あわせて、
県土マネジメント部長にお伺いします。 近鉄奈良線の移設に関して、国や
近畿日本鉄道株式会社等関係者との検討・協議等について、今日までの経緯等を含め、改めてお伺いいたします。 次に、スポーツ施設の整備についてお伺いします。 奈良県も含め、県内の自治体が使用しているほとんどのスポーツ施設は古くなっています。この代表質問をするまでに、様々な方が様々な事象を取り上げられましたが、どの施設も抜本的なことはできてこなかったと言っていいでしょう。また、奈良県にとどまらず、多くの府県においても、
国民スポーツ大会・
全国障害者スポーツ大会を控え同様でありました。 次のパネルをご覧ください。 都道府県の多くは、国民体育大会の機会に改修や新設を含め、競技場の施設を整える機会にしてきました。 そして先般、県議会の建設委員会の県外調査において、佐賀県のアリーナに行きましたが、施設そのもののすばらしさ、なぜこのアリーナをつくろうとするのか、発想の大きさや目的のすばらしさに感銘してまいりました。 佐賀県が80万人の人口でありながら、県民の活力を引き出し、体力向上やスポーツ振興を導かせるための努力をかいま見た思いでございます。 次のパネルをご覧ください。 山下知事はご就任になられて、改めて県民の体力増進やスポーツ振興の大切さをご理解いただいていることと思います。また、各市町村に、競技会場の分担をお願いされようとする交渉の中で、会場施設の少なさ、施設の老朽化を知ることになったと思います。これらは小手先の対応で処理できる状態ではないことはご理解いただいたと思っています。 次のパネルです。 橿原市は、会場の一部を担うよう求められ、苦慮しながらも、奈良県の期待に応えるべく準備を進めて来られたところです。市の体制ができつつあると、配付の資料も届けられました。今後の対応策は、早急に決めなければなりません。 そこで、知事にお伺いいたします。 8年後に迫った
国民スポーツ大会・
全国障害者スポーツ大会の開催や、こどもの育成、スポーツの振興、アスリートの育成・支援などの観点から、老朽化したスポーツ施設を新たに整備すべきと考えますが、市町村施設の整備・改修への支援も含めて、現在の検討状況についてお伺いいたします。 次に、広域にわたる大規模災害への対応についてお尋ねいたします。 そもそもですけれども、
南海トラフ地震による災害の大きさは、県職員の方から十分にお聞きでしょうか。東日本大震災が発生する前から、関東地方の防災対策と関西地方の防災意識の違いは大きかったのですけれども、東日本大震災以来、大規模災害に対する行政の取組は厳しく行われています。 大規模な災害が発生した後の県の対処は、これでいいのでしょうか。この疑問について、改めて心配されます。先日、建設委員会の県外調査で、福岡県や熊本県の防災対策を見てきました。福岡県の防災と奈良県の防災とが、比較される必要があると考えています。 福岡県の防災センターの常勤職員は50名以上、
オペレーションルームの隣で日常勤務をされており、いつでもすぐ災害に対応できる機能を確保されています。 被災直後から
行政オペレーションを想定する感覚がすぐれていると感じました。 次の資料をご覧ください。 熊本県は、
南海トラフ地震が発生したら、紀伊半島の被災よりも、九州東海岸の被災の方が少ないであろう。しかしながら、海岸線を持つ大分県や宮崎県への支援は、被災が少ない熊本県が担わなければならないと決意し、資料に記載のとおり、九州の被害規模の目安は1割程度という数値が出ているのですが、宮崎県や大分県を熊本県が守ろうと、対策を講じておられるところでございます。 紀伊半島の被災地の中でも、被害が少ないであろうと想定される奈良県は、紀伊半島の中で、何もしなくてよいのでしょうか。過去の事例として、東日本大震災は、県議会の
予算審査特別委員会の開催中に発生しました。当時の警察本部長は、委員長の了解を得て退席し、直ちに警察官の派遣を命令されました。
南海トラフ地震では、より甚大な被害が想定される和歌山県や三重県への支援に、奈良県としての準備が必要なことは明白であります。 そこで、知事にお伺いします。 被害が広域な大規模災害が発生した際、直ちに情報収集等を行う初動体制等が整っているのでしょうか。また、甚大な被害が発生した近隣府県への支援もできる大
規模広域防災拠点は有用であるため、再度その整備を進めるべきと考えますが、お考えをお聞かせください。 次に、県産材の需要拡大についてお伺いします。 先日、森林・林業・
林産業活性化促進議員連盟で勉強会を開催したところです。現場を担うプレーヤーの方々から、今の業界の厳しさが語られました。 県の担当者にも聞いていただきましたので、実情はご理解いただいていると思います。とりわけ木材の需要が奈良県で促進されているのか。他府県との比較で、まだまだ努力できる分野があるのではないかとの思いも抱きました。 また別の機会になりますが、
和歌山県議会議員の話を伺ったところ、ガードレールに木材を使っている、国土交通省のテストもクリアしており、品質的に何ら問題はない、よければ奈良県でも利用してくださいとの申入れも聞いております。
木製ガードレールは、既に近隣県で行っていることもあり、我が県においてもぜひ取り組まれたいと考えます。 また、CLT工法の技術力が向上し、大手のメーカーは、4階から6階程度のビルディングであればいつでも受注できると述べています。関西・大阪万博でも、CLT工法を使っての会場づくりも始まりました。 国も推奨し、技術も確実な時代にあって、促進に向けての計画立案並びに成果を、行政上においても発表しなければならない、そういう時代であります。 奈良市中町に建設中の道の駅においては、木質壁面で施工されており、構造材、柱についても、十分役割が担えることが証明されています。今後、奈良県が計画する建物においては、木造の構造材で建築されますよう希望します。 そこで、知事にお尋ねします。 林業の活性化につながる、県産木材利用の推進を図っていると思いますが、内装材の利用にとどまっている状況を踏まえ、県有建築物の構造材や
木製ガードレールについても使用するなど、県産材の需要の拡大を図るべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。 最後に、道路のインフラ整備についてお伺いします。 中和津道路について、国道165号は宇陀市や名張市を経て津市に至る、延長126キロメートルの幹線道路で、桜井市から津市までの区間は、令和3年度に国などが示した
広域道路ネットワーク計画で、中和津道路と位置づけられました。 この区間は名阪国道と並行していますが、名阪国道のような高い山越え、急勾配の上り坂、下り坂の道路ではありません。安定したなだらかな、高低差の少ないルートであり、中和津道路として整備されれば、運転しやすく、輸送コストを比較すると、大きな国益につながることになると考えています。古くなりつつある名阪国道の大幅な改良を考えなければならなくなった今日、中和津道路の必要性は高まるばかりです。 そこで知事にお伺いいたします。 中和津道路は、奈良県中部と三重県中心部を東西に結ぶ道路であり、
広域道路ネットワークを強化するためにも重要である中和津道路の整備を促進すべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。 また、生活に密着する道路の整備についてですが、私は宇陀市選挙区の選出でございます。県内の道路に関して、多くの議員が、またそこにお住まいの住民の皆様も、幾つも悩みを抱えておられますが、私が1番現地を把握していることを前提として、選挙区の中の課題を質問いたします。 次の資料をご覧ください。 吉野室生寺針線は、遅々としてではありますけれども、毎年予算を計上され改良が進んでおり、感謝します。しかし、
地方道室生笠間地域の道路狭隘はひどく、地域住民はかなり前から拡幅改良を要望し、県土木事務所においても、その必要性は認め、予算措置を講じたいと担当課へ要請しているところでございます。もう20年ぐらい前から要望していると思います。 次の資料をご覧ください。 さらに、宇陀市多田と奈良市白石を結ぶ区間は狭隘で、幾度となく車両が路肩からはみ出し、脱輪の事故を引き起こしています。もはや欠陥道路というのが正しいのかもしれません。今申し上げたのは、あくまでもほんの一例でございます。 輸送用のトラックが走り、高級乗用車が行き交う道路をこのままで放置することは、行政の怠慢とのそしりを免れません。改良の手だてがないわけではありません。通行がスムーズに行われるよう、対応が必要と考えています。 そこで、知事にお伺いいたします。
京奈和自動車道等の幹線道路や、それにアクセスする道路は重要ではありますけれども、生活に密着した道路整備も身近で切実だと考えます。山下知事の所見をお伺いいたします。 以上で、壇上からの質問を終わります。ご清聴、誠にありがとうございました。(拍手)
○議長(岩田国夫) 山下知事。
◎知事(山下真) (登壇)それでは、自由民主党・無所属の会を代表しての田中議員からのご質問にお答えさせていただきます。 まず、1点目の今後の県政の進め方についてでございます。 5月3日に知事に就任し、全身全霊で奈良県を発展させていくことをお約束し、奈良県の誇るべきところは守り、問題のあるところは変えていく必要があると申し上げました。世界に誇る奈良の歴史文化遺産、豊かな自然や景観、災害の少なさ、大都市近郊の利便性など、奈良県の有する魅力は守り、さらに発展させる一方、仕事と子育ての両立のしにくさ、県内経済の低迷、インフラ整備の遅れなどの課題は早急に改善していかなければなりません。 そのため、まずは令和5年度予算執行査定に取り組み、大型公共事業を中心に見直しを実施いたしました。その後も、県政全般に及ぶ課題等に対して迅速に対応してきたところでございます。例えば、奈良県こども・
子育て推進本部会議や県庁の働き方・
職場環境改革推進会議を開催し、部局を横断して行った議論を踏まえ、中間整理を取りまとめたところでございます。 また、個別の重要施策につきましても、公約である
高等学校授業料等の無償化の実施を10月に発表したのに続きまして、昨日は道路を計画的に維持管理するためのならの
道リフレッシュプロジェクトや新しい産業政策のパッケージを発表するなど、一定の方針が固まったものから順次公表しているところでございます。今後、県議会においてもご議論をいただければ幸いでございます。 田中議員お尋ねの政府要望につきましては、県の重点施策を推進するため、令和6年度
政府予算編成等に向け、7月に引き続き、11月に再度行ったところでございます。国土交通省などに私がみずから要望し、各省庁にはおおむね好意的に受け止めていただいたと認識しております。 一例を申し上げますと、本県の呼びかけにより、埼玉県、千葉県、和歌山県とともに共同で要望した保育士の処遇改善は、大都市に隣接する4県が足並みをそろえたこともあり、ご対応いただいた工藤内閣副大臣からは、岸田政権では異次元の少子化対策を進めており、現場の要望にはきちんと応えていかなければいけない、という趣旨の、前向きなご回答をいただいたところでございます。 現在、編成中の令和6年度当初予算におきましても、今申し上げた重要施策はもとより、新しい、誇りある奈良県をつくるための施策を盛り込み、県民が暮らしの豊かさを実感できるよう取り組んでまいりたいと考えております。 続きまして、政府の新たな総合経済対策への取組についてでございます。 11月29日に、
デフレ完全脱却のための総合経済対策を実行に移すため、国の補正予算が成立いたしました。 本県では、今回の国の補正予算をできる限り早期に活用し、県政諸課題に積極的に取り組むこととし、今12月定例県議会に提出した、総額約207億3,600万円余の補正予算案のうち、総合経済対策に連動した施策を168億1,900万円余計上いたしました。 具体的には、まず、物価高への緊急対策といたしまして、23億800万円余を計上し、国の
物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を活用し、引き続き、エネルギーや食料品価格等の高騰の影響を価格に転嫁することが困難な県内事業者を支援してまいります。 また、公共事業関連では、145億1,100万円余を計上いたしました。道路・河川の整備、砂防事業などの、防災・減災、国土強靱化対策を推進するとともに、土地改良事業や林道整備などにより、農林業の振興も図ってまいります。 今回の国の補正予算は、成立後まだ間もないため、12月補正予算案に計上した事業以外の対策の内容・詳細について、これから徐々に判明してくるものと考えております。 引き続き、全庁を挙げて、各省庁からの情報収集に努め、県政諸課題の解決に向けて、国の補正予算の早期活用を図っていく考えでございます。 次に、2点目の近鉄奈良線の移設についてでございます。
近鉄大和西大寺駅周辺では、
踏切道改良促進法に基づき、国が計8つの踏切道を改良すべき踏切道として指定いたしました。 これらの渋滞踏切に対する適切な対策を考えるためには、費用対効果や事業効果の早期発現性といった観点からの検討を進めることが必要と認識しております。 このため、これまで検討されていた大和西大寺駅の高架化及び近鉄奈良線の移設を行う案に加え、大和西大寺駅を高架化し、開かずの踏切を撤去した上で、平城宮跡内の近鉄線は存置する対策案を新たに検討し、費用対効果の比較等を行い、関係者とも協議の上、整備方針を決定すべく取組を進めているところでございます。 7月には、県、市、
近畿日本鉄道株式会社の担当部長級による第1回3者協議会を開催し、こうした県の方針について確認いたしました。先月11月には、第2回目となる3者協議会を開催し、鉄道線形に関する技術的な制約や想定される事業効果等について認識を共有したところでございます。 引き続き、事業費、事業効果、事業期間等について精査を進めた上で、年度内を目途に第3回協議会を開催し、整備方針について関係者の合意ができるよう取り組んでまいりたいと考えてございます。 なお先ほど、田中議員から、従前の案について
近畿日本鉄道株式会社との合意が得られていたという趣旨のご質問がございました。 私の認識では、
近鉄大和西大寺駅までの高架化については、
近畿日本鉄道株式会社も応分の費用負担をするということを申しておりましたが、平城宮跡内からの移設については、
近畿日本鉄道株式会社はお金は出さない、国、県等の公的な資金で移設してもらえるのであれば了承するという立場でございまして、必ずしも費用負担については合意がなされていなかったと認識しております。 一方、先般、県と
近畿日本鉄道株式会社との間で包括連携協定を締結させていただきました。その際、記者の方から近鉄グループホールディングス株式会社の都司社長に対して、今回の見直し案について質問されました。それに対しまして、都司社長は、大和西大寺駅までは高架化して平城宮跡内はそのまま存置するというのは従前から近鉄側が申し上げていた案であると。それが改めて検討されるというのは結構なことだと、そうした旨の回答がございましたので、ご紹介させていただきます。 3点目、スポーツ施設の整備についてでございます。 スポーツ施設は、スポーツをしたい人が快適にプレーできることが重要であり、また、スポーツに親しむことにより、こどもや若者の成長にもつながり、健康増進においても重要な役割を果たすものと認識しております。 本県での
国民スポーツ大会・
全国障害者スポーツ大会等に向けた施設整備については、これまでも本議会で答弁してきたとおり、多くの競技施設を新設するのではなく、可能なものは既存施設の改修等により有効利用していくというのが私の考えでございまして、この考えに変わりはございません。 この考えに基づきまして、現在、県立橿原公苑の整備について検討を進めております。具体的には、野球場と陸上競技場については、スタンドの座席やトイレの改修、防水やバリアフリー対策等を検討しております。第1体育館及び第2体育館については、それぞれ改修を行うのか、また、両方を解体して新たな体育館等を建て替えるのか、その両案の比較検討をしているところでございます。できるだけ早期に検討案をまとめて発表していきたいと考えております。 また、市町村のスポーツ施設についても、9月議会で既にお答えさせていただいたとおり、大会に向けて整備が必要となる場合は、他県の水準も踏まえ、市町村の相談に応じながら、その経費の一部を県が支援する方針でございます。 令和13年に開催が予定されます、奈良県での
国民スポーツ大会・
全国障害者スポーツ大会は、過度にイベント的、華美にならず、アスリートの快適性に配慮した大会にしたいと考えております。また、大会開催のための施設整備は、大会後の利用者ニーズを十分に踏まえ、民間のアイデアも取り入れながら、本県にふさわしいスポーツ施設の整備を進めることとしたいと考えております。こうした考えのもと、こどもから高齢者まで、障害のある人もない人も、すべての県民がスポーツに取り組める環境づくりに努めてまいります。 続きまして、4点目の広域にわたる大規模災害への対応についてお答えいたします。 災害時における迅速な情報収集や被災状況の把握、応急対策を実施するための初動体制確保は極めて重要なことであると認識しております。 このため、県内で震度5強以上の地震発生時には、災害応急対策を統括する災害対策本部を自動的に設置するとともに、震度に応じて非常参集する職員規模を災害応急対策要領に規定しております。 特に初動が重要であるため、災害対策本部事務局マニュアルで、住民や家屋、インフラ等の被災状況を情報収集するなどの組織体制を定めております。また、災害発生時の対応の実効性を確保するため、図上訓練や市町村との合同訓練、防災総合訓練などを毎年実施しております。 一方、大
規模広域防災拠点の整備につきましては、奈良県単独での2000メートル級滑走路を備えた大
規模広域防災拠点の整備計画の見直しを6月に表明したところでございます。8月には私自身も現地を視察しましたが、この考えに変わりはございません。
南海トラフ地震は広範囲に被害が及ぶものであり、広域的な災害対応については、関西広域連合での議論が必要と考えております。 関西広域連合議会におきましても、広域防災担当委員である兵庫県知事から、国の
南海トラフ地震に関する計画には、関西圏における大規模な広域防災拠点が規定されていないことから、既存の施設を活用するなど、今後、関西広域連合で議論していく旨の発言が既になされているところでございます。 このような、府県を越える広域的な災害対応の議論を進めるとともに、県内における災害対応としましては、既存施設が災害時の活動拠点として活用できないかなど、防災拠点の機能について検討を進めているところでございます。 5点目の県産材の需要拡大についてでございます。 県産材の需要を拡大することは、林業・木材産業の持続性を高め、二酸化炭素の吸収源となる森林整備につながるものでございます。また、建築材として利用した場合には、長期間に渡って炭素を貯蔵できることにもなることから、脱炭素社会の実現に貢献すると認識しております。 このため、県有建築物等の木造・木質化に取り組んできておりまして、過去10年間で木造・木質化した施設は34施設に及んでおります。このうち特に、構造材に県産材を利用している事例は、奈良県農業研究開発センター交流・サロン棟など10施設となっております。また、
木製ガードレールに関しましては、最近では十津川村竹筒の国道311号や天川村洞川の大峰山公園線の2路線で設置した事例がございます。 田中議員お尋ねの、県有建築物の構造材への県産材利用を促進するために重要となってくるのが、まずは法令で定める構造基準に適合させる設計技術であります。次に、日本農林規格(JAS)に適合した一定の品質・性能が担保された木材の供給でございます。 このことから、一定規模以上の木造建築物の具体的な設計手法を習得するための講座を、令和4年度から年間4回程度、県建築士会など5団体と連携して開催し、技術者を養成しているところでございます。また、JAS規格に適合する木材を供給できる設備等の導入支援などにより、県有建築物等の木造化に向けた体制を整え、県産材の需要拡大を図ってまいりたいと考えております。 6点目の、道路、インフラ整備についてでございます。 国道165号は、大阪市から奈良県の中和地域を東西に横断し、三重県津市に至る道路で、奈良県中部と三重県中心部の都市間を結び、経済・生活圏を相互に連絡する重要な道路でございます。 国道165号の桜井市から東側の中和津道路は、奈良県新広域道路交通計画に、一般広域道路として位置づけられております。 一般広域道路は広域交通の拠点となる都市を効率的かつ効果的に連絡するものでございまして、サービス速度がおおむね時速40キロメートルの道路とされております。 また、高さの確保や曲線部の拡幅などの整備を行い、国の定めた規格を満たせば、重要物流道路の指定を受け、積載重量が大きい、国際海上コンテナ車等の通行が可能となり、物流のさらなる円滑化が期待できます。 今年度、桜井市から東側の区間におきまして、現道の道路構造が重要物流道路に求められている規格を満たすのか確認するなど、課題箇所の抽出をしており、今後、地元の宇陀市などの意見も聞きながら、整備の在り方や進め方を検討してまいりたいと考えております。 次に、県では平成26年7月に策定し、令和元年10月に改定した奈良県道路整備基本計画のもと、道路整備を体系的に進めることとしております。 この計画では、骨格幹線道路ネットワークの形成、経済の進展に対応した企業立地、観光、まちづくりといった目的志向の道路整備、安全・安心を支える道路整備、この3つを3本柱として重点的に実施しております。 ご指摘の生活に密着する道路整備につきましても、計画の中で、骨格幹線道路ネットワークの形成とあわせて、身近な生活道路の課題解決等に取り組むとしており、引き続き、着実に取り組んでいく必要がございます。 一方で、用地買収の難航や財政上の制約等により、事業化したものの十分な事業進捗が図られていない箇所もあることから、効果の早期発現に向け、選択と集中の考えのもと、重点投資を行うなど、効率的な予算・事業マネジメントを行うことも重要と考えております。 今後も道路の利用実態、交通安全上の課題、沿線の土地利用、まちづくりの状況や事業の実施環境を踏まえ、効率的・効果的に事業を進めてまいります。 昨日発表いたしました、ならの
道リフレッシュプロジェクトもこうした考えに基づいて進めているものでございます。 私からの答弁は以上となります。ありがとうございました。
○議長(岩田国夫) 清水
県土マネジメント部長。
◎
県土マネジメント部長(清水将之) (登壇)田中議員から私に、近鉄奈良線の移設に関するこれまでの経緯等についてご質問がございました。お答えいたします。 知事答弁にもございましたように、当該地域の8つの踏切道が、平成30年1月に国により改良すべき踏切道として指定されたことを受け、踏切道の改良方法について、県、奈良市、
近畿日本鉄道株式会社の3者による検討に取り組んでまいりました。 具体的には、大和西大寺駅周辺の渋滞対策案の検討、近鉄奈良線を移設する場合のルート、地上・地下等の構造、駅位置などについて、様々な選択肢の検討を実施しております。また、新駅設置に伴う効果や、駅周辺のまちづくりなどについても検討を続けてきたところです。 令和2年度には、国の近畿地方整備局及び近畿運輸局にも参画いただく、国、県、市、
近畿日本鉄道株式会社の4者による地方踏切道改良協議会合同会議を設け、成案に向けた協議を加速させてまいりました。 こうした検討を踏まえ、奈良市、
近畿日本鉄道株式会社との協議を進め、令和3年3月に、大和西大寺駅を高架化し、近鉄奈良線を移設する対策について3者で合意し、地方踏切道改良計画を国に提出しました。 その後は、連続立体交差事業補助調査費も活用しながら、近鉄奈良線移設に関する線形の検討や概算事業費の算定等に着手し、検討を進めてきております。以上でございます。ご質問ありがとうございました。
○議長(岩田国夫) 34番田中惟允議員。
◆34番(田中惟允) 補正予算についてでございますけれども、医療機関等における食材料費及び光熱費等の物価高騰に対する支援や、介護補助者の賃上げに対する支援については、今回の重点支援交付金の推奨事業メニューに盛り込まれています。食料費については、今回補正予算を組んでいただきましたが、安心・安全で質の高い医療サービスの提供を継続できるよう、医療機関への光熱費や原材料費などの価格高騰に対する支援をぜひお願いします。賃上げに際しまして、介護補助者の賃上げの支援については、2月補正予算にて予算化いただくように強く要望いたします。 デフレ脱却に向けて、国が用意した予算だけでなく、奈良県独自の予算も確保していただいて、奈良県の実情に合った、機動的かつ強い支援策を講じていただきますよう強く要望するものでございます。 奈良県民の暮らしに寄り添い、地域経済を支えるため、実効性のある対応を、まずは、よろしくお願い申し上げておきたいと思います。 それから、ただいまご答弁ございました、平城宮跡についてでございますが、今、聞いた話では、知事と
県土マネジメント部長との答弁が少し違うように思うのですが、どうでしょうか。
○議長(岩田国夫) 清水
県土マネジメント部長。
◎
県土マネジメント部長(清水将之) 近鉄奈良線の移設に関する近鉄との合意のところについてのご質問と思います。 先ほど知事が、
近畿日本鉄道株式会社が合意していたのかというところについて、費用負担も含めたところについては合意していないというふうに申し上げました。 この踏切改良計画を提出する際に、こうした形で踏切の改良をするという計画は合意しておりますけれども、費用負担については詳細が決まっておりません。そういう意味では、知事が先ほど答弁しましたように、
近畿日本鉄道株式会社のご意向というのは、近鉄奈良線移設については負担したくないとというふうに伺っております。そのようなことで誤解を招きましたら申し訳ございませんでした。
○議長(岩田国夫) 34番田中惟允議員。
◆34番(田中惟允) 荒井前知事は、公園内の線路を移転する移転補償費等も含めて考えれば可能ではないかということを、たしかご答弁なさったと思います。そういうことも含めて考えても、答えは出ていないということでしょうか。
○議長(岩田国夫) 清水
県土マネジメント部長。
◎
県土マネジメント部長(清水将之) 踏切の改良をする方向として、近鉄奈良線の移設ということで、3者はその方向で検討を進めていくということについては合意しております。 実際の事業費等につきましては、都市計画決定、あるいは今後の事業化という手続が出てきます。そういったときまでに精査し、そして費用負担の割合をどのようにするのかというのを決めていくという流れでございますので、その当時の時点では、この方向で検討をさらに進めていくということで合意しているということでございます。
○議長(岩田国夫) 34番田中惟允議員。
◆34番(田中惟允) また引き続き議論させていただきたいと思います。 次の質問でございますけれども、10月18日、知事は定例記者会見をなさいました。その中で、記者の皆さんも県内を車で移動されるから認識されていると思います。僕も、長年、奈良県に住んでいますけれど、何でこんな穴ぼこなんだということを痛感していました。担当部局の人が言っていたのですけれど、和歌山県から奈良県のほうに国道168号とか国道169号で来ると、どこで県境を越えたかが分かると。それは路面の状態が違うからだということで言われていまして、和歌山県は二階衆議院議員もおられるから、その辺すごく進んでいると思います。県民からすると、あまり快適でない状況とありましたが、この認識はこのとおりですか。どこに証拠があってこういうことをおっしゃっているのでしょうか。
○議長(岩田国夫) 山下知事。
◎知事(山下真) 今の話は、私が担当と打合せをしていたときに出た話を記者会見で紹介させていただいたものでございます。 和歌山県の道路が、奈良県の道路よりもきれいに舗装されているし、国道168号や国道169号が和歌山県域においては整備が進んでいるというのは事実だと認識しております。
○議長(岩田国夫) 34番田中惟允議員。
◆34番(田中惟允) それはどういう形で示されているのですかということをお伺いしているのです。
○議長(岩田国夫) 山下知事。
◎知事(山下真) それは、私や県の担当者等も走ってみた肌感覚として、そういうふうに感じたということでございます。
○議長(岩田国夫) 34番田中惟允議員。
◆34番(田中惟允) 先ほど、東京へ陳情に行かれたとおっしゃいました。そして、役所へ行っただけの話を披露されており、政治家の方ともお会いになった。 片方で、二階衆議院議員はよくできるけれども、ほかの国会議員は仕事ができていないということをおっしゃっているのと同じだと思いますが、そんなことを片方で言いながら、陳情されるのでしょうか。
○議長(岩田国夫) 山下知事。
◎知事(山下真) いや、そういうことは言っておりません。二階衆議院議員は自由民主党の国土強靱化推進委員長ですから、それなりに国土交通行政に影響力があるのではないかと、私の認識として言わせていただいたにすぎません。
○議長(岩田国夫) 34番田中惟允議員。
◆34番(田中惟允) この記者会見は文字になっているのです。国会議員がご覧になったときに受け止め方はいろいろあると思うのです。だから、そういう微妙な発言をされると、山下知事自身の発言に非常に不安を感じるというのが、当然のことではないでしょうか。
○議長(岩田国夫) 山下知事。
◎知事(山下真) 私のそういう認識を記者会見で述べただけでございまして、認識を述べることが悪いとは思っておりません。
○議長(岩田国夫) 34番田中惟允議員。
◆34番(田中惟允) 先ほどのお答えの中にもありましたが、今日の新聞に、県道を集中的に修繕をするということが記事になっております。だけれど、この記事を見ますと。
○議長(岩田国夫) 質問時間が超過しています。
◆34番(田中惟允) 北和のことだけで南和のことはあまり書かれておりません。どうぞ全体像を見回して発言もしていただきたいし、政策も推進していただきたい。
○議長(岩田国夫) 時間が過ぎております。
◆34番(田中惟允) 以上です。
○議長(岩田国夫) 次に、29番佐藤光紀議員に発言を許します。--29番佐藤光紀議員。(拍手)
◆29番(佐藤光紀) (登壇)皆さん、こんにちは。日本維新の会、生駒市選挙区選出の佐藤光紀です。日本維新の会を代表いたしまして、質問させていただきます。 質問に先立ち、一言申させていただきます。今、世界情勢において、大変重要な岐路に差しかかっており、これを乗り切るには、当事者としての意識が必要です。既に一方面の戦にとどまらず、世界中を巻き込みながらエスカレートの一途をたどっております。特に、非戦闘員の死傷者が圧倒的に多いという状況に陥っており、それぞれが掲げる正義の名のもとに、血で血を洗う様相を呈しております。今こそ、大きな和の心を持って、即時停戦、休戦こそ、声を上げていく必要があると信じてやみません。我が県の我が国の、そしてつながっている世界の平和を祈念しつつ、代表質問に入らせていただきます。 最初の質問は、奈良県教育の充実について、知事にお伺いいたします。 山下知事は、本年4月の知事選において、日本維新の会の公認候補として多くの県民の支持を得られ、当選を果たされました。そして、就任直後、これまで進められてきた数多くの大型プロジェクトを含む本年度予算の執行査定の実施を宣言され、就任後、約1か月余りでその結果を県民に示されました。 また、選挙公約に掲げられた、県民の方々、特にこどもや子育て世代に寄り添った施策の実現に向け、庁内に檄を飛ばされ、検討を進められてきました。 先日、高等学校授業料の実質無償化のスタートについて、知事から発表がありました。これは知事選にあたっての公約の重要施策であります。 高等学校授業料などへの支援については、近隣の府県と比較し低い水準になっていると、かねてから懸念しておりました。このたび、大幅に拡充することによって、ご家族の経済的な事情により、私立高等学校への進学をためらっておられる多くのこどもたちが救われることになり、私のもとにも多くの喜びの声が届き出しております。 また、これに合わせて、県立高等学校のトイレの完全洋式化・乾式化についても発表されました。山下知事は、生駒市長時代に、市立小中学校のトイレの洋式化に熱心に取り組んでこられました。私は生駒市選挙区選出ですので、生駒市内の小中学校の卒業生が県立高等学校に進学した際、トイレがあまりにも汚い、古いということで、ショックを受けたという声を伺い、平成30年9月には、議会質問なども行いましたが、予算がないという理由から今日まで見送られ続け、胸を痛めておりました。 今回の決定により、懸念事項であった県立高等学校における快適性について改善されることになり、安堵しております。 この2つの施策は、さきに触れた予算執行査定によって生み出された財源で進められることになると伺っております。県民に寄り添った県政を目指す山下県政の今後に、多くの県民の皆様が大きな期待を寄せております。 そこで、知事にお伺いいたします。 先般、発表されました
高等学校授業料等の実質無償化と、県立高等学校のトイレの完全洋式化・乾式化に込められた知事の思いについて、改めて伺います。 次に、西和医療センターの移転・再整備について知事にお伺いいたします。 西和医療センターの移転・再整備については、令和4年8月に新西和医療センター整備基本構想が策定され、現地建替とJR王寺駅南側への移転建替を比較し、移転建替が効果的と位置づけられていました。 しかし、知事は就任直後の予算執行査定において、西和医療センターの移転・再整備については、JR王寺駅南側に加え、ほかの候補地区も含めて費用対効果などの比較・検討し、関係者と協議の上、方向を決定していくとし、令和5年度は、適地の再検討の実施も含めた検討経費のみを執行し、用地取得に直接つながるアクセス機能確保・検討業務や補償・調査業務などの経費は執行を中止するとされました。 6月議会で知事は、急性期医療を担う西和医療圏の基幹病院としてのアクセス性や、効果的な利用が可能となる敷地の形状と広さなど、4つの観点で比較検討を行い、西和7町とも協議の上、適地を選定したいと答弁され、その後、7月12日に、西和7町の町長との意見交換を行い、各町に対し土地の情報提供を依頼した結果、9月議会において、関係団体より計8か所の情報提供があり、王寺駅南側を加え、合計9か所である旨、知事より報告がされました。あわせて、関係者とも意見交換した上で、この9か所の中から移転・再整備先を確定し、評価指標を立て、合計点が1番高いところに決定する、早ければ12月定例県議会においてご報告したいと考えているとの答弁があったところです。 その比較検討をした結果、斑鳩町のJR法隆寺駅南側地区に決定し、12月1日に西和7町へ説明されたと聞き及んでおりますが、西和医療センターの移転・再整備先の検討結果について、知事に伺います。 次に、地方自治体が担う海外地方政府との友好交流についてお聞きいたします。 県は、中央アジアに位置するウズベキスタン第2の都市サマルカンド州と、文化、観光、体育、研究と教育、人材育成などの分野において、積極的に交流と協力を展開することを旨とした協定を結び、友好提携を樹立いたしました。 ウズベキスタンは中央アジアに位置し、人口は約3,500万人で出生率も高く、一次産業が盛んで、勢いのある発展途上国に分類されます。また、あまり知られてはおりませんが、親日国であります。サマルカンド外国語大学では、日本政府がLL教育という言語教育を支援したことから、日本語を学び、使える方も多いとのことであります。当然ながら、日本に行ってみたい、日本で学びたい、日本で働きたい、日本に住んでみたいという様々な声も私のもとには届いております。 しかしながら、コロナ禍での友好協定締結でしたので、これまでなかなか動きづらく、周知に関してもできていなかったと思います。今後は、これまで十分にできていなかった交流のリカバリーも含め、相互理解と友好協力を図るため、ウズベキスタンをはじめ、海外地方政府との友好交流を進めていくことは重要であると考えております。 そこで、知事にお伺いいたします。 令和3年12月に友好提携を締結した、ウズベキスタン・サマルカンド州との友好交流について、どのように進めていくのか、知事の所見を伺います。 次に、道の駅クロスウェイなかまちの活用についてお聞きいたします。 1993年4月に、約100か所の道の駅が正式に登録されて、今年でちょうど30年になります。道の駅は、当初、道路利用者の休憩施設として主な役割がありましたが、地域の情報発信という要素が、その後大きく発展を遂げ、各地に個性豊かな道の駅が増えております。 近年、道の駅は通過点ではなく目的地となってきており、人気のスポットにもなっている状況です。では、奈良県下ではどうでしょうか。 道の駅の資料をご覧ください。加えて、皆さん、ここからは頭の回転数を一段と上げ、一緒に考えていただきたいと思います。 関西圏における道の駅と奈良県の道の駅の位置をプロットした図となります。奈良県内にある16か所の道の駅は、人口集中地区も含めて、全県下にバランスよく点在しているのがお分かりでしょうか。これに対し、他府県の道の駅は、市街地及び近郊になく、多くが山間部などの郊外にあります。 道の駅が観光目的地となり得るならば、奈良県の場合は、県内周遊観光にうってつけであり、バランスよく配置されているその地の利を生かし、観光だけでなく、物流や交通、防災としての地域の拠点として活用できるということであります。 現時点、県内にある道の駅はそれぞれが独立した運用体制となっておりますが、点と点がつながり線となり、面となすように、現状の地域連携機能に加え、地域間連携機能に発展できるよう、県として支援するべきではないでしょうか。 そのような中で、県内17番目となる道の駅、クロスウェイなかまちの整備が進められております。地の利においても、この道の駅は第二阪奈道路と県道枚方大和郡山線に隣接しており、奈良市及び大和郡山市や斑鳩町などへのゲートウェイとなる位置にあることから、物流並びに観光の拠点として期待できます。 さらに、全国初となる、防災・道の駅として選定されており、防災拠点としての機能も付与されております。県として今後、道の駅クロスウェイなかまちをどのように活用していくのか、まずは伺います。 次の質問に入る前に、一言、苦言を申し上げます。 他府県では、無人航空機・ドローンを用いて、主に物流を想定した実証実験が重ねられている中、奈良県としては、物流に関し、いまだ実証実験などが行われてはおらず、近隣他府県に比べ明らかに出遅れております。当然ながら、奈良県においても今後、人口が減少する中で、物流網の維持を図るとともに、過疎地域を中心とした買物などの生活の利便性の向上など、産業分野における新たな物流手段として、無人航空機・ドローンは有用とする認識は共通であると思います。 なお、物流ドローンの導入に向けて、まずは離発着場のポートの選定や飛行ルートの検討が重要となるわけですが、先ほどから申し上げている、道の駅における各種拠点としての活用は、その地の利もあり、理にもかなっていると考えております。 どこで実証実験を行うかは、いろいろな選択肢があるとは思いますが、例えば、先ほど申し上げた道の駅クロスウェイなかまちの一帯は、一級河川や高規格道路が周辺に存在し、さらにはDID地区、いわゆる人口集中地区ではないことからも、離発着場ポートの選定や飛行ルートの検討などに適しているのではないかと考えております。 そこで、物流手段としての無人航空機・ドローンの活用に向けて、今後どのように進めていこうとしているのか、知事の所見を伺います。 次に、奈良県のがん対策についてお聞きいたします。 奈良県議会において、県議会議員全員が参加している奈良県議会がん対策推進議員連盟があり、平成21年10月に議員提案により、奈良県がん対策推進条例を制定したときから連動しております。 奈良県議会がん対策推進議員連盟の活動の一環として、例年11月頃に、がん患者会並びに支援団体との懇談会が行われ、その後、知事に、奈良県議会がん対策推進議員連盟としての要望書を提出させていただいております。今年は11月19日に懇談会を行い、12月1日に要望書を提出させていただきました。 奈良県は、これまで積極的ながん対策を行ってきたという認識はしていたのですが、先般のコロナ禍において、がん検診受診率が低下しているとの報告を受けております。 加えて、がん支援団体の方からも、奈良県がん対策推進条例にある、総合的ながん対策を県民と共に推進することという目的を踏まえ、一部の者だけでなく、多くの県民を一層巻き込んでいくことが重要なのではないかとの意見もいただき、私もそのように思う次第であります。 一例として、申し上げさせていただくと、大阪府においては、平成27年10月にがんの予防、早期発見に向けた包括連携に関する協定を締結した企業などと連携し、がんの正しい知識の普及啓発を行い、がん検診受診率向上により、がんによる死亡者数の減少につなげることを目的として制定されております。 なお、特筆すべきは、がん検診受診推進員制度にあります。この制度は、所定の養成研修を受けた方を大阪府がん検診受診推進員として認定するもので、認定証が交付され、職場や地域において活動されておられます。不足しがちな行政のマンパワーを補い、行政では難しい、きめ細やかな対応が期待できる、まさに巻き込み型の一策だと思います。 そこでお伺いいたします。 コロナ禍をはじめとした様々な要因により低迷しているがん検診受診率を向上させるため、県は今後どのように取り組んでいかれるのか、医療政策局長にお伺いいたします。 次に、女性のがん対策で広がりを見せている、アピアランスケアについてです。 先日、気になる数字が目に留まりました。日本人女性の自殺率が、世界で第2位になったという実情です。女性を取り巻く環境が、コロナ禍でより厳しくなっていると実感はしておりました。 今回、県議会議員として新たな任期を賜り、そして、がん対策推進議員連盟の副会長に就任したことから、私なりに県のがん対策について見直しを進めている中で、女性に対するがん対策についての視点で考察いたしました。 お手元にお配りしております、がん対策資料①をご覧ください。 女性のがんは圧倒的に乳がんが多く、切除すると外見を大きく損ねることもあることから、手術拒否率も他の部位のがん類と比べ高いのも1つの傾向です。また、再発することも多いことから、抗がん剤治療による頭髪の脱毛など、外見を大きく損ねることから、全国でアピアランスケアに対しての助成制度が広がりを見せております。 がん対策資料②をご覧ください。 全国において、助成金額は2万円程度で、市町村が中心に行っておりますが、奈良県としては、本年度からおよそ半額分の支援を実施しております。大和郡山市など4市町村は、県が補助をする前から行っており、今年の10月時点で、さらに9市町が参加しております。特筆すべきは桜井市で、その助成額として5万円を上限として参加されました。ちなみに、県の負担額は約1万円が上限となっております。 先述した、奈良県がん対策推進条例の基本理念は、「がんにならない、がんになっても安心できる奈良県」とあります。しかし、県の支援体制が補助制度を導入した市町村に限定されているため、県内で補助制度がある地域とない地域において偏りが出ております。昨今、物価上昇も見られ、助成額の上限についても課題となってきております。 そこでお伺いいたします。 がん対策の一環として、女性にとってアピアランスケアは特に重要と考えますが、アピアランスケアに対する県の考え方について、医療政策局長にお伺いいたします。 次の質問は、改正地域公共交通活性化再生法が今年の10月から全面施行され、利便性や生産性、持続可能性の高い地域公共交通への再構築が求められています。 つきましては、我が県の地域公共交通の在り方について、2点お聞きいたします。 まずは、ライドシェアについてです。現状を申し上げると、我が県における地域公共交通は、全国で見られる傾向と同じく、急激な人口減少や高齢化、モータリゼーションなどによる長期的な利用者の落ち込みに加え、ライフスタイルの変化など、現状維持に対しての財政支援にも限界があり、厳しい状況にあります。 特に、県内過疎地域など交通不便地域が広がりつつあり、既にあるリソースを活用することは有効と考えます。 また、国の動向次第ではありますが、その課題とされる規制解除に伴う危険性を補うためには、米国の各州でも採用されているように、年齢制限、保険加入、運行条件などを県としてガイドライン的に設け、実施検証するのも一策だと考えております。 そこで、国や各自治体でも検討が進められているライドシェアについて、県としてどのように取り組んでいくのか、
県土マネジメント部長に伺います。 もう1点は、自動運転等デジタル技術を活用した新たな交通サービスの検討についてです。 本題冒頭で申し上げましたが、それらに加え、バスやタクシードライバーの確保も年々厳しくなってきております。これらを踏まえ、奈良県では、令和4年度からデジタル交通サービスについての検討を始めており、既に、実証実験実施計画を策定し、令和5年度中の実証実験に向けて、現在取り組まれていると報告も受けております。先日、報道もあったと思います。 これからの自動運転やAIオンデマンド交通、検索・予約・決済などを一括で行うサービス、MaaSなど、新たな公共交通の利用促進などの導入を想定し、それらを実装する上での技術面・運用面での課題を抽出するための検討や実証実験を進められていると思います。 これら自動運転等デジタル技術を活用した、新たな交通サービスの検討における現在の取組状況はいかがでしょうか。また、今後どのように進めていかれるのか、
県土マネジメント部長に伺います。 以上にて、壇上からの質問を終えます。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(岩田国夫) 山下知事。
◎知事(山下真) (登壇)日本維新の会を代表しての佐藤議員のご質問にお答えさせていただきます。 まず1点目、奈良県教育の充実についてでございます。 私は、次世代への投資は奈良県の成長につながるとの強い信念のもと、本県で育つこどもたちには、それぞれの経済的な事情を気にすることなく、みずからが希望する道を歩み、社会に羽ばたいてもらいたいと考え、教育の無償化を県政の一丁目一番地に掲げまして、その実現のために全力で取り組んできたところでございます。 本県では、これまで、県内の私立高等学校の授業料等に対しましては、国の就学支援金制度に上乗せして、県独自の授業料等軽減補助制度により支援を行ってきたところでございます。この対象としましては、低所得者層の就学を重点的に支援するとの考えから、世帯年収の目安が380万円までのご家庭に対する補助制度に限られておりました。これは、近隣の大阪府や京都府と比べると、かなり見劣りのする制度であったことは否めません。 このため、知事就任直後から、授業料等の実質無償化をスタートさせる制度設計とその財源確保について、庁内で議論を重ねてまいりました。 その結果、まず、来年度から、支援対象を世帯年収の目安が910万円までのご家庭に大幅に拡充することとし、支援額は、国の就学金と合わせ、最大63万円に増額したいと考えております。 あわせて、世帯年収の目安が910万円以上のご家庭であっても、子育てに必要な費用を考慮し、23歳未満のこどもを3人以上扶養されている場合には、国立・公立・私立を問わず、最大5万9,400円の支援を行いたいと考えております。 この案を、奈良県内の私学団体にお示ししましたところ、高い評価をいただいたことから、来年4月に高等学校に進学を希望される中学生の進路選択の幅を広げるために、できるだけ早くお知らせしようと考え、去る10月18日に、私から発表させていただいたところでございます。 一方、県立高等学校については、全体的に施設が老朽化している中、特に、トイレが汚い、臭い、また、大半が和式である等の声が多く寄せられており、思春期の高校生にとっては切実な問題でございました。県立高等学校の快適性を向上させるには、この状況の改善が最優先の課題と考え、来年から5か年計画で、県立高等学校全校の全トイレの洋式化・乾式化を実現する県立高校トイレピッカピカ5か年計画を、先ほどの
高等学校授業料等の実質無償化への取組と同時に発表させていただいたところでございます。 この2つの施策の財源は、知事就任直後の予算執行査定により、大型公共事業について見直しを行ったことで、今後の財政需要に備え、これまで各年度末に行ってきた基金への積立ての必要がなくなったことから生み出されたものでございます。 いずれも、今後、さらに制度・事業の詳細を詰め、令和6年度予算案に必要な額を計上する所存でございます。県議会の皆様のご理解、ご協力をよろしくお願い申し上げます。 2点目の西和医療センターの移転・再整備についてでございます。 西和医療センターの移転・再整備の候補地につきましては、平群町、三郷町、斑鳩町、河合町から8か所の情報提供をいただき、王寺駅南側と合わせ合計9か所の候補地の比較検討を行いました。 比較検討にあたり、実際に西和医療センターを運営する奈良県立病院機構の意見を十分に酌み取り、①アクセス性、②敷地条件、③整備スケジュール、④整備費用の4項目につきまして、合計24の詳細な比較項目を設定いたしました。各項目5点満点として、合計120点満点で比較したところでございます。 比較検討の結果、120点満点中89点と、最も高い点数となった斑鳩町のJR法隆寺駅南側地区を移転・再整備の候補地と決定し、先日発表させていただいたところでございます。 この比較検討の結果の概要を次のとおりご説明させていただきます。 アクセス性につきましては、公共交通、自家用車、緊急時の3つの観点から検討させていただきました。 公共交通という点では、JR法隆寺駅は、JR王寺駅に次いで利便性が高く、駅から病院敷地へのアクセスも非常によいものがあります。さらに西和7町の中心から近く、周辺道路の混雑も少ないため、自家用車でのアクセスも良好でございます。加えて、緊急車両の進入やドクターヘリの患者搬送にも支障がないことから、アクセス性については、9か所の候補地のうち最も高い点数となりました。 敷地条件についてでございますけれども、JR法隆寺駅南側地区は、土砂災害発生の可能性はなく、浸水リスクも低い状況でございます。また、建物配置の自由度が高い敷地形状で、来院者用駐車場等も十分確保できる上に、将来的な拡張性も有しております。さらに、周辺に療養環境を阻害する施設がなく、医療施設の整備に伴い周辺地域の活性化も期待できます。以上のことから敷地条件においても、最も高い点数となりました。 3点目、整備スケジュールの観点でございます。現時点で用地取得の同意が見込まれ、補償交渉が必要な施設も少ない上に、大規模造成や埋蔵文化財の発掘調査の必要性もないことから、2番目に高い点数となりました。 4点目の整備費用につきましては、土地単価、移転補償費、造成費、そのほか必要となる付帯工事費などについて比較検討した結果、3番目に高い点数となりました。 以上、24項目について定量的に検討した結果、4つの観点すべてにおいて評価が高い、JR法隆寺駅南側地区に決定したところでございます。 なお、この比較項目の設定及び検討内容につきましては、県立病院機構と意見交換を行うとともに、医療施設や福祉施設の整備に造詣が深い大学名誉教授に確認し、その大学名誉教授から、適地検討の段階でここまで詳細に比較項目を設定している例は非常にまれであり、適地検討に必要な事項はほぼすべて網羅されているとのご意見をいただいたところでございます。 令和13年度中の開院スケジュールを堅持するためにも、今後は斑鳩町と連携して用地取得に向けた準備を進めるとともに、現在中断している、新西和医療センター整備基本計画の策定を再開し、令和6年度の早い段階に基本計画を策定する予定でございます。 続きまして3点目、地方自治体が担う海外地方政府との友好交流についてお答えをさせていただきます。 シルクロードの東の終着点である奈良県と、シルクロードの交差点と呼ばれているウズベキスタン・サマルカンド州とは、シルクロードを通じ古代より深いつながりがございます。 そのようなご縁から、本県とサマルカンド州は、文化資源の保存や活用、また、それらを生かした観光振興など、多くの課題を共有しており、今後も相互に学び合う意義深い交流が展開できると考え、令和3年12月にオンラインで友好提携を締結いたしました。令和4年3月には友好提携締結を記念して、ナウルーズin奈良2022を開催したところでございます。 その後、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、相互訪問などの交流はできておりませんでしたが、今年の7月には、奈良県コンベンションセンターにおきまして、奈良・ウズベキスタン友好交流フェスタを大使館との共催で開催いたしました。イベントには私も参加しましたが、県民の皆様に、友好提携の意義や今後の交流についての理解を深めていただくよい機会になったと考えております。 また、10月13日には、私とサマルカンド州知事、駐日ウズベキスタン共和国大使の3者でオンライン会談を実施し、2025年の大阪・関西万博を契機に、交流を活発化させることで合意いたしました。 さらに、11月には、国の万博国際交流プログラム・コーディネーター連携モデル事業に、本県とサマルカンド州との交流事業が採択されたところでございます。 今年度は本県の実務者が現地を訪問し、来年度以降の具体的な交流内容について協議を進めることとしております。できれば、私自身が来年度現地を訪問し、再来年度には、サマルカンド州知事に、大阪・関西万博に合わせ奈良県を訪問していただきたいと考えております。 引き続き、青少年交流や文化交流を中心に、大使館やサマルカンド州政府と具体的な交流内容について協議を進めてまいります。 続きまして4点目、道の駅クロスウェイなかまちの活用等についてでございます。 道の駅クロスウェイなかまちは、第二阪奈道路と県道枚方大和郡山線が交差する交通の要衝に位置し、多様な機能を持つ道の駅として整備を進めております。 11月29日には、道の駅登録証の伝達式があり、近畿地方整備局の見坂局長から登録証をいただきました。 具体的な機能につきましては、食やイベントを楽しんでいただく地域振興機能、大和野菜をはじめとする県産農産物等を取り扱う直売所やレストラン、カフェなどを運営してまいります。 次に、観光の入り口として情報を発信する地域観光のゲートウェイ機能でございます。周囲にある富雄丸山古墳をはじめ、薬師寺や唐招提寺などの観光情報を発信してまいります。また、観光地を周遊いただけるサイクルステーションも設置する予定でございます。 さらに、広域防災拠点としての役割を担う防災機能も持たせる予定でございます。大規模な災害が発生した際に、警察や消防、自衛隊等の応援部隊が被災地に進出するために集結する進出拠点や、救助活動を行うための活動拠点として運用を予定しており、それを支援する防災倉庫も設置いたします。 今後もこれらの機能が十分に発揮できるよう、関係者と連携し、地域の皆様に親しまれる拠点になるように取り組んでまいります。 関連質問のドローンの活用についてでございます。 近年、人口減少による人手不足に加え、自動車運転者の時間外労働の上限が規制される物流の2024年問題により、トラックドライバーが大幅に不足することが見込まれております。これまで普通に受けられてきた宅配等の物流サービスが受けられなくなる地域が出てくるなど、大きな社会問題となることが予想されます。 こうした課題に対しまして、ドローン物流は有効な解決方法の1つであり、本県としても検討を進める必要があると考えております。 そのためには、まず、こうした課題認識やニーズを共有できる地域を掘り起こすことが重要であり、その上で、ドローン運航事業者、物流事業者、通信事業者、地元自治体といった運航体制の組織づくりや、飛行経路下の住民等に対する上空飛行への理解醸成などに取り組むことになります。あわせて、実証飛行の形態によっては、航空法による許認可・承認の手続等も必要になると思料しております。 また、実証場所の選定にあたりましては、離着陸場所や飛行ルートなど、安全かつ利用者の利便性等も考慮して進めていく必要がございますが、ご提案のあった、道の駅クロスウェイなかまちを拠点とした物流につきましても、このようなプロセスを経ながら検討するものと考えております。 ドローンの活用につきましては、県が実証飛行に取り組むことで、地域での横展開や、事業者による新サービスの創出なども期待できることから、前向きに検討を進めてまいりたいと考えております。私からの答弁は以上でございます。ご質問ありがとうございました。
○議長(岩田国夫) 筒井医療政策局長。
◎医療政策局長(筒井昭彦) (登壇)29番佐藤議員のご質問にお答えします。 私には、がん対策について2点、がん検診とアピアランスケアについてのご質問がございました。順にお答えいたします。 まず1点目、県のがん検診の受診率の向上の取組についてです。 がんは、早期に発見すれば80%以上が治ると言われており、がん検診の受診率向上は大変重要な課題です。 しかしながら、本県のがん検診受診率は、令和4年度実績で、最も受診率が高い肺がんでも44%、全国で44位という現実がございます。 受診率の向上に向けては、佐藤議員お述べの、多くの県民の方を巻き込み、すなわち、多くの県民の方のご理解・ご協力をいただきながら対策を推進していく必要があると認識しております。 このことから、県では平成24年に、「がん検診を受けよう!」奈良県民会議を設置し、現在、奈良県議会がん対策推進議員連盟、企業、行政など133団体に参加いただき、毎年10月10日にがん検診の大切さを啓発するための大会を開催しております。 また、参加団体のうち、22の民間団体を、がん検診応援団として認定しており、応援団企業の社員の方々が、職場や地域において受診勧奨の活動を行っていただいております。 一方、今年度、新たに、なら健康長寿基礎調査のデータを分析しますと、受診率が低い属性が明らかになりました。こうした属性に対して、ターゲットを絞りアプローチしていくことも重要です。分析結果の一例を紹介いたしますと、保険者別の受診率は、国民健康保険と協会けんぽの加入者が低いという傾向が見られました。また、職業別に見ますと、自営業や勤務をされていない方が低い傾向です。 今後は毎年度、こうした情報を市町村や各保険者と共有し、職域あるいは保険者別での効果的な受診勧奨ができるよう支援してまいります。 引き続き、がん検診応援団のご協力をいただきながら、より効果的な啓発を行うとともに、市町村や保険者と協力し、受診率向上に努めてまいります。 2点目のご質問です。アピアランスケアに対する県の考え方についてです。お答えいたします。 近年のがん医療の進歩により、治療を継続しながら社会生活を送っておられるがん患者の方は増加しております。 一方で、がん治療に伴う外見上の変化は、ご本人にとって、身体的、精神的な負担も大きく、社会生活上の不安や悩みを抱える方も多くなっています。 そこで、県では今年度から、がん治療に伴う外見上の変化を補完するための医療用ウイッグや乳房補整具の購入への助成、いわゆるアピアランスケアへの助成を実施する市町村に対し、財政支援を始めたところです。 これにより、市町村によるアピアランスケアの助成は、令和4年度の4市町村から、現在13市町村まで増加しています。 さらに多くの市町村において、新たな助成を開始していただけるよう働きかけているところです。 このような現状から、より多くの市町村で助成が実施される工夫や補助上限額などについては、今年度開始した県による支援の効果を十分見定め、市町村のご意見や、現場で患者と向き合っておられる医療スタッフのご意見、また他府県の状況などを踏まえつつ、今後検討してまいりたいと考えております。ご質問ありがとうございました。
○議長(岩田国夫) 清水
県土マネジメント部長。
◎
県土マネジメント部長(清水将之) (登壇)29番佐藤議員より、私に地域公共交通に関して、2問、ご質問がございました。 まず、ライドシェアについてのご質問にお答えいたします。 少子高齢化等を背景に、本県内でもドライバーの成り手不足によるタクシーの不足が深刻化している中、地域住民や観光客の移動手段の確保は大変重要な課題でございます。 いわゆるライドシェアは、その導入が適切に進めば、こうした課題の解決につながり得るものであり、本県としても前向きに取り組んでいく必要があると考えております。 しかしながら、現行の道路運送法では、一般ドライバーが自家用車で乗客を有償で運送することは、運行の安全性の確保等の観点から原則禁止されており、ライドシェアの本格導入には、国による制度改正を待つ必要があると認識しております。 その例外として、現行法制下で一般ドライバーによる自家用車での有償運行が可能な制度としては、いわゆる交通空白地等において、市町村等が主体となって乗合タクシー等を運行する自家用有償旅客運送制度が存在します。 本県内でも、例えば宇陀市が、大宇陀地域において、市が地域住民でつくるまちづくり協議会に委託する形で本制度を活用し、有償ボランティアによる乗合タクシーを令和3年度から運行している等の事例があり、県も公共交通基本計画推進支援事業により、導入時に補助を実施しております。 県として、佐藤議員ご指摘の、交通不便地域における移動手段を確保していくためにも、市町村や地域の関係者と協力し、引き続きこうした取組を推進しながら、ライドシェアの本格導入に向けた国の検討の動きを注視してまいりたいと考えております。 次に、自動運転等の新たな交通サービスについてのご質問がございました。 公共交通を取り巻く環境は、人口減少や少子高齢化の進行、ライフサイクルの変化などにより大きく変化しつつあり、県内のバス事業者・タクシー事業者等についても、担い手不足の深刻化も相まって、大変厳しい状況に置かれていると認識しております。 このような中、デジタル技術を活用した新たな交通サービスの導入・展開を図っていく必要があると考え、本県でも取組を進めているところでございます。 具体的には、令和4年度、自動運転の実証実験候補地5地域を選定した上で、市町村ごとに、交通事業者、学識経験者、地元関係者、警察等の関係機関で構成する協議会を立ち上げ、公道での実証走行に向けた協議を実施しました。 それぞれの地域課題や具体的な交通サービスの内容、それを実現させるための技術面・運用面での課題等の検討を進めた結果、実証実験実施計画としての整理ができた明日香村及び三郷町において、来年2月、県事業として公道での実証運行を行う予定としております。 自動運転については、国においても、2025年度をめどに全国50か所で自動運転を実現との目標を掲げ、積極的に進められているところであり、先月行いました秋の政府要望におきまして、本県の自動運転推進に向けた取組に対しても支援を求めてきたところでございます。 今後とも引き続き、本年度の実証運行で得られる知見を踏まえるとともに、国による補助制度の活用も視野に入れながら、自動運転推進に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。以上でございます。ご質問、ありがとうございました。
○議長(岩田国夫) 29番佐藤光紀議員。
◆29番(佐藤光紀) ご答弁ありがとうございました。 今回の質問は、日本維新の会会派として、以前より提議していた県教育費無償化への大きな一歩の確認と、これまでも、清水議員、小林議員が再三問題提議してまいりました、西和医療センターにおける質問をさせていただきました。加えて、これから取り組むべき課題に対して、提案・対案を盛り込んだ形での質問とさせていただいております。 今回、日本維新の会会派における代表質問ですので、14人のメンバーが、所管の常任もしくは特別委員会でさらなる議論を進めていくと思いますので、理事者の皆様方、ご対応をよろしくお願いいたします。 これから先、長い道のりになっていくと思いますが、まずは方向性が示されたと思います。これから大変な道のりになると思いますが、何とぞ英知を結集して、奈良県のこれからの未来のために、ここにいる全員が知恵を出し合い、進んでいく必要があると思います。 まだ、少しばかり時間がございますので、私から1点、再質問をさせていただきます。 今回、道の駅に、無人航空機・ドローンを絡めてお聞きいたしました。以前、私からは、改選後初めての6月定例県議会で、空の移動革命を提議させていただきましたが、今回の12月定例県議会においては、空の産業革命を一例として提議させていただいております。 観光、物流、交通、そして防災と、それらをターゲットに、無人航空機・ドローンによる空の産業革命に、奈良県としてもより積極的に取り組むべきであると。そしてまた、前向きな答弁もいただいておりましたが、山下知事におかれては、空の産業革命について、どのように思われているのか、個人的なご所見で構いませんので、少し踏み込んでお答えいただければと思います。
○議長(岩田国夫) 山下知事。
◎知事(山下真) 佐藤議員ご指摘のドローンや、それから空飛ぶタクシーなど、空路を使った物や人の移動というのが、これから全世界で、そしてまた日本でも進んでいくものと考えております。 本県といたしましても、そうした世界や日本での潮流を見極めながら、乗り遅れないように、適時・適切に対応してまいりたいと考えております。
○議長(岩田国夫) 29番佐藤光紀議員。
◆29番(佐藤光紀) ありがとうございます。 私も、今回、空の移動革命もしくは産業革命というところで、専門性を身につける必要があると思いまして、国家ライセンス取得に向けて、勉強も研さんしてきたのですけれども、その中で思うことがあります。 まず、どうして空なのか。今まで道路をつくって、そしてまた、今朝の奈良新聞でもありましたけれども、道路の補修とか、こういった維持費って物すごくかかるのですが、空の航路というものは、建設費用がかかりません。また、補修費用や、そういった費用が生じません。大事なのは、システムと人員、機材であると思います。 ただ、システムもほぼ確立され、また機材も充実し、これからは人材の育成も含めて、必要になってくると思います。何とぞ県として、お力を入れていただけますようにお願いをさせていただきたいと思います。 また、がん対策で少し触れましたが、気になるところは、自殺率が、意外と日本は高いのです。ただ、この奈良県において、実は全国最下位の自殺率だったのが、今、全国平均まで推移しています。そういうことも含めて、住みやすいまちづくりをこれから進めていただきたいと思います。 以上をもちまして、質問を終わります。
○議長(岩田国夫) しばらく休憩します。
△午後2時58分休憩 --------------------------------
△午後3時11分再開
○副議長(池田慎久) 休憩前に引き続き会議を開きます。 次に、40番阪口保議員に発言を許します。--40番阪口保議員。(拍手)
◆40番(阪口保) (登壇)改新なら、生駒市選挙区選出、無所属の阪口保でございます。早速質問に入ります。 知事は本年4月に就任されてから、2000メートル級滑走路を備えた大
規模広域防災拠点の整備、関西国際空港接続線の整備、大和平野中央田園都市構想推進、奈良県立工科大学の設置、近鉄奈良線の移設等のプロジェクトの見直しをし、予算の執行中止を行われました。 県の財政状況は、令和4年度一般会計決算の概要では、歳入が6,079億円、その内訳は、県税収入等が1,662億円、地方交付税と臨時財政対策債の合計が1,856億円、国庫支出金が1,432億円。また県債残高が9,315億円。以上のことから、奈良県は、歳入の中で県税収入等の自主財源の比率が高いとは言えません。 一方、本県の人口は、1999年の144万9,138人をピークに、2023年11月1日現在、129万5,316人で、24年間で約15万人減少しており、今後も人口減少が予想されます。 本県の厳しい財政状況や今後の人口減少等を鑑みると、知事が今回、プロジェクトを選択し、予算の執行中止を行われたことは、妥当な判断であると私は考えています。 1つ目は、近鉄奈良線の移設の見直しについての質問です。 鉄道の移設には、長い時間と巨額な費用がかかりますが、移設の費用は、県、国、奈良市、
近畿日本鉄道株式会社が負担すると伺っています。 平城宮跡周辺地区への新駅設置により、平城宮跡歴史公園に行く観光客の利便性は高くなりますが、新駅設置に莫大な費用がかかります。 また、事業費用だけでなく、平城宮跡歴史公園を近鉄の電車が走り、車窓から平城宮跡歴史公園の自然に親しむことができ、朱雀門、大極殿等の世界遺産も眺めることができますが、移設によって、すばらしい景観を楽しむことができなくなると感じていました。 本県には、車窓から見える平城宮跡歴史公園の景観を観光シンボルの1つになるような取組をしていただきたいと考えています。 そこで、知事に伺います。 新たに大和西大寺駅の高架化を行い、平城宮跡内の近鉄線は存置する事業案を検討されていますが、その整備方針について、どのように考えているのかお聞かせください。 2つ目は、大規模太陽光発電(メガソーラー)についての質問です。本日は山添村からも、多数、傍聴に来ていただいております。 私は、山辺郡山添村太陽光発電計画について、令和3年と令和4年に二度、本会議で質問をしています。質問にあたっては、山添村の現地視察、地域住民がつくる馬尻山メガソーラーに反対する会の方と何度も意見交換を行っています。 地域住民の方が反対する理由を振り返りますと、まず、メガソーラーの発電計画地は、馬尻山の標高400メートルから500メートルの森林地帯での開発で、開発の地区面積は81ヘクタール、県下最大のメガソーラーであり、下流域には住民が住んでいます。こちらの画像が馬尻山、またメガソーラー建設予定地でございます。 下流域の住民は、馬尻山メガソーラーに反対する会を結成し、荒井前知事に約1万人の計画反対の署名を提出してきました。こちらの画像が、下流域に住んでいる方の住宅でございます。 メガソーラーの反対の理由は、計画予定地が公共水道の水源指定地であり、造成工事により水質や水量への悪影響が危惧されること。森林を広大に伐採し、谷を埋め立てることにより、集中豪雨等が起これば土砂災害の発生の可能性があること等でございます。 この事案は、令和元年7月に開発事業者から山添村を経由して県へ事前協議書が提出され、令和2年11月に各種開発事業に係る事前協議が終了しています。今後、事業者は、開発にあたって、森林法に基づく林地開発許可申請を県に行い、県の審査を経て許可の是非が決まります。 この間、馬尻山メガソーラーに反対する会の方の反対運動、また、私が県議会で質問する中で、本県は、令和5年3月県議会で、奈良県太陽光発電施設の設置及び維持管理等に関する条例を制定しました。半年間を経て本年10月1日より、同条例が施行されているところであります。 そこで、知事に伺います。 山辺郡山添村太陽光発電計画は、標高400メートルから500メートルの森林地帯でのメガソーラーの建設で、住民は土砂災害や自然破壊が起こることを危惧しています。 現在、下流域の住民は、馬尻山メガソーラーに反対する会を結成し、反対活動をしていますが、知事は、このようなメガソーラーの建設をどのように考えているのか、お聞かせください。 3つ目は、ハナバチを保護・回復するための取組についての質問です。 地球上の植物種の22万種、80%以上が他者による受粉を必要としています。その受粉を媒介する大きな役割を果たしているのがハナバチです。ハナバチなどのポリネーター(花粉媒介者)がいなくなると、木は実や種子を残せないために、それを食べる鳥や昆虫が生存するのが難しくなります。また、8割以上の植物種の存在や農作物に影響があると言われています。 奈良市にある「ミツバチ達と森をつくる NPO法人ビーフォレスト・クラブ」代表吉川氏は、受粉の役割を担うハナバチが、国内はもとより世界的にも激減しており、植物連鎖や生物多様性の核となるミツバチを含むハナバチの減少を一刻も早く食い止めなければならないと危惧しています。 生物多様性の保全には、昆虫の保護が重要であり、昆虫の中のハナバチの保護は、その中でも中心的な課題の1つであると考えます。 そこで、知事に伺います。 ニホンミツバチを含むハナバチは、国内・海外でも激減していると言われています。生物多様性の保全の観点から、ハナバチの保護・回復が必要と考えますが、いかがお考えでしょうか。 4つ目は、県職員の働き方改革についての質問です。 働き方改革についての本会議での質問は、平成27年度の代表質問に始まり、今回で7回目になります。 質問した当初は、多くの部局で残業があり、残業しても手当がつかないサービス残業も常態化していました。しかし、質問をしていく中で、残業、サービス残業等は改善されていったように認識いたしています。 一方、メンタルヘルス不調による長期病休者の割合が、令和3年度3.07%、一般行政職の退職割合が令和2年度0.7%で、他の都道府県の自治体と比較して、割合が高い現状があります。 知事は本年8月31日、第3回県庁の働き方・
職場環境改革推進会議を開催され、業務量の見直しとして、事業総量の削減(増大したイベント事業等の合理化、過剰な業務粒度等の見直し、全職員に影響する共通事務の合理化)を打ち出されています。 また、メンタルヘルスWGの説明資料では、総合的なメンタルヘルス対策と職場復帰支援の拡充を掲げておられます。 一方、対症療法では限界があるので、職場文化を変えるなどの体質改善が必要、また、職場復帰支援を受けた職員のメンタルヘルス不調に陥った原因に、ハラスメントによると考える事例が後を絶たない、そのために、ハラスメントに厳格に対応する組織の構築をするとも述べておられます。 そこで、知事に伺います。 県職員の超過勤務の縮減に向けて、どのように働き方改革を進めているのか。また、メンタルヘルス不調の長期病休者の割合を減らしていく取組についても伺います。 5つ目は、会計年度任用職員の待遇の改善についての質問です。 会計年度任用職員は、2020年地方公務員法の改正により導入された非常勤の地方公務員のことですが、本県では本庁をはじめ、図書情報館や消費生活センター等で勤務されています。 例えば、図書情報館の会計年度任用職員は、職員51人のうち28人です。その給与は、フルタイムの勤務で、図書館司書の場合であれば、給料と地域手当で月給約19万8,000円、ボーナスを含む年額で284万6,000円です。そこから税金が引かれますので、さらに手取りが少なくなります。 このような、会計年度任用職員の低い賃金のもと、公共施設等が支えられている現状があるのではないでしょうか。 同一労働同一賃金が言われている現在、すなわち、同じ職場内で正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間の待遇の違いをどのように解消していくのかが重要な課題となっています。 次に、会計年度任用職員の任期は、会計年度に合わせて1年間、勤務成績が良好な場合、2回まで再度の任用がなされ、最長3年間の勤務を続けることができます。最大3か年の任用後、また新たに任用を希望するのであれば、ハローワーク等を通じて応募し、選考を経て採用される必要があります。会計年度任用職員は、2回の再度の任用と、3年後にまた新たに任用してもらえるのか、日々不安を持っています。 そこで、知事に伺います。 本県の会計年度任用職員の待遇の改善と、再度の任用、3年後の新たな任用について、どのように考えておられるのか、お聞かせください。 6つ目は、生駒市の学研高山地区第2工区についての質問です。 生駒市では、昨年6月に学研高山地区第2工区のマスタープランが策定され、住宅開発から産業施設を中心とする土地利用へと転換する方針が示されています。 また、本年5月には、先行開発地区として、学研高山地区南エリアまちづくり協議会が、多くの地権者の賛同のもと設立されるなどの取組が進められています。 現在、生駒市では、学研高山地区第2工区への企業立地等を希望または検討する企業を募集され、当初は9社の応募でしたが、その後増加し、14社がエントリーしているなど、企業側においても学研高山地区第2工区への期待が大きいと推察しています。 それに応えるためには、早期の事業化、また、産業施設立地に不可欠な道路、特にクラスター間を結ぶ広域幹線道路、インフラ施設整備が必要不可欠と考えます。 そこで知事に伺います。 本県において、産業施設の誘致は重要であり、特に学研高山地区第2工区は重要な地区であるため、県が定める建設計画の変更など、一刻も早い事業化に向け、今後どのように取り組んでいかれるのか、知事の考えをお聞かせください。 7つ目は、辻町インターチェンジについての質問です。 辻町インターチェンジは、阪奈道路と南北軸である国道168号の結節点で、交通の要衝となっています。辻町インターチェンジは、奈良方面についてのランプがないために、富雄インターチェンジ、生駒インターチェンジに車が集中し、交通渋滞が発生しています。 奈良方面のランプを整備することで、奈良方面への所要時間の短縮と生駒市内の交通渋滞の緩和につながります。 そこで知事に伺います。 辻町インターチェンジの整備の進捗状況をお聞かせください。 8つ目は、県立高等学校の体育館へのエアコン設置についての質問です。 近年の平均気温の上昇により、熱中症を発症するケースが増加しています。県教育委員会の本年度現時点までの調査では、県立高等学校で34件、救急車を要請したケースが19件、発生状況では、授業中が5件、部活動中が29件、うち屋外での部活動中24件、屋内での部活動中5件です。 また、熱中症警戒アラートの発出も増加傾向にあります。奈良県では、熱中症警戒アラートが発出されると、外出は控え、暑さを避ける。外での運動は原則中止・延期し、昼夜を問わずエアコンを使用して温度調節をしましょう、と呼びかけています。 屋外、屋内でも熱中症は起こっており、体育の授業、学校行事、部活動に制限が加わってきますので、エアコンが設置されている体育館での活動が必要となってきます。 奈良県では、かつて生駒市の中学校で部活動での熱中症で亡くなられた事故、県立高等学校で部活動での熱中症による後遺障害が残った事故が起こっています。 そのような熱中症による事故が二度と起こらないように、体育館へのエアコン設置の計画を立案し、予算化をしていくべきだと考えます。 そこで、教育長に伺います。 近年の平均気温の上昇を考えると、熱中症の対策として、早急に体育館へのエアコン設置をすべきと考えますが、いかがお考えでしょうか。 以上で、壇上からの質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(池田慎久) 山下知事。
◎知事(山下真) (登壇)改新ならを代表されての阪口議員のご質問にお答えをさせていただきます。 まず1点目の、近鉄奈良線の移設についてでございます。
近鉄大和西大寺駅周辺では、
踏切道改良促進法に基づき、国が計8つの踏切道を改良すべき踏切道として指定いたしました。 これらの渋滞踏切に対する対策は、費用対効果や事業効果の早期発現性といった観点から検討を進めることが必要と認識しております。 平城宮跡からの線路移設や新駅の設置につきましては、多額の費用が必要となる上、事業期間も相当程度長期化することが見込まれるため、住民が長年にわたってお困りの中、事業効果の早期発現性の面で課題があると認識しておりました。 また、阪口議員ご指摘のとおり、朱雀門、大極殿等の世界遺産を見ることができる車窓の眺めを評価する声も県にも届いております。 こうした中、県といたしましては、これまで検討されていた大和西大寺駅の高架化及び近鉄奈良線の移設を行う案に加えまして、大和西大寺駅を高架化し、開かずの踏切を撤去した上で、平城宮跡内の近鉄線は存置する対策案を新たに検討し、費用対効果の比較等を行い、関係者とも協議の上、整備方針を決定すべく取組を進めているところでございます。 7月には、県、市、
近畿日本鉄道株式会社の担当部長級による、第1回3者協議会を開催し、こうした県の方針について確認いたしました。先月、11月20日には第2回目となる3者協議会を開催し、鉄道線形に関する技術的な制約や、想定される事業効果等について認識を共有いたしました。 引き続き、事業費、事業効果、事業期間等について精査を進めた上で、年度内をめどに第3回協議会を開催し、整備方針について関係者で合意ができるよう取り組んでまいりたいと考えております。 2点目の大規模太陽光発電についてのご質問でございます。 再生可能エネルギーの活用は、脱炭素社会の構築に不可欠でございますが、その導入にあたりましては、地域環境との調和が図られるべきと考えております。 県内で新たに再生可能エネルギーの導入を進めようとすると、水力発電や風力発電は、地勢的要件や送電線への系統接続の観点から困難な状況にございます。県内の再生可能エネルギー導入量の98.2%を太陽光発電が占め、再生可能エネルギーの導入促進に寄与しております。 一方、発電能力1,000キロワット以上の大規模な太陽光発電施設、いわゆるメガソーラー発電所の設置は、森林の伐採等を行い、盛土等による造成工事を伴うことが多いことから、防災や環境面において全国的に問題となっている事例が数多くあり、本県でも山添村での事例がございます。 このようなことから、太陽光発電施設について、開発地域の安全確保及び地域住民とのトラブルの未然防止などの観点から、実効性の高い規制を行うため、奈良県太陽光発電施設の設置及び維持管理等に関する条例を今年10月に施行したところでございます。 この条例では、土砂災害のおそれが高い区域に設置する太陽光発電施設と、土地改変を伴う5,000平方メートルを超える施設の設置については、知事の許可制としております。 さらに、特に大規模な太陽光発電施設の設置は、自然や生活環境に大きな影響を及ぼすおそれがあることから、それを未然に防止するため、本条例の制定に併せて、現行の奈良県環境影響評価条例を改正いたしました。対象事業に5ヘクタール以上の太陽光発電事業を追加し、設置者に環境アセスメントの実施を義務づけております。 これら2つの条例を適切に運用し、太陽光発電施設の設置に対する地域環境の保全と県民の安全で安心な生活の確保に努めてまいります。 3点目の、ハナバチの保護・回復についてでございます。 阪口議員お述べのとおり、ハナバチをはじめとするポリネーター(花粉媒介者)が、生物多様性の保全に重要な役割を担っております。 このような役割を担っているハナバチの生育環境を整備するためのポイントとして、環境省の調査では、これらの営巣環境となる樹林や訪花植物(ポリネーターが花粉や蜜を集める植物)が生育する環境を保全することが示されております。 本県におけるハナバチの生育環境保全のための取組としては、適正な森林管理のための間伐や施業放置林を対象とした混交林誘導整備事業を実施しております。 すなわち、適正に管理されている森林では、定期的に間伐を行うことで森林内に日光が当たるようになり、下草が生え、昆虫等の生育環境が維持されることで生物多様性が確保されます。 また、施業放置林において、クヌギやミズナラなどの広葉樹を植栽し、針葉樹と広葉樹が混在する混交林誘導整備を実施することにより、下草及び昆虫等の生育環境を回復させ、生物多様性が向上することになります。 このように、生物多様性機能が高い健全な森林を広げていくことが、ハナバチが生育できる環境づくりにつながると考えており、県では引き続きこれらの取組を進めていく考えでございます。 4点目の、県職員の働き方改革についてでございます。 阪口議員お述べのとおり、これまでの奈良県庁は、メンタルヘルス不調による長期病休者の割合が全国トップクラス、令和3年度におきまして3.07%でありまして、中途退職者の割合についても、40歳代の退職割合が全都道府県平均の1.6倍という状況にあります。 こうした状況について共通認識を持ち、県庁改革をよりスピード感を持って推進していくため、知事就任直後の本年5月に、知事・副知事・部局長等で構成する県庁の働き方・
職場環境改革推進会議を設置いたしました。 以降、月1回のペースで会議を開催し、若手・中堅職員も交えて改革推進のための検討を重ねております。 9月には、業務の見直し拡大や職場環境評価・人事評価、メンタルヘルス等に係る取組の拡充を決定し、奈良県行政運営の基本計画に反映させたところでございます。 職場環境評価では、改革の進捗状況を的確に確認できるモニタリング調査等を導入するとともに、人事評価においては、360度評価を導入し、改革をリードする管理職の意識改革、行動変容につなげてまいりたいと考えております。 また、阪口議員お述べのメンタルヘルス不調に係る職員への支援では、専用相談窓口の設置や、ストレスチェックの結果を活用した職場の環境改善などの予防対策とともに、臨床心理士等による休職者の職場復帰支援プログラムの実施など、きめ細やかな対応を行ってまいります。 働き方・職場環境改革の成果をあげていくためには、管理職員、中堅職員、次世代を担う若手職員がともに活発なコミュニケーションを行い、職員自身が納得して行動することが不可欠と思料しております。 これらの取組を鋭意進め、形式主義的・完璧主義的・事なかれ主義的といった県庁に残っている負の職場文化の変革につなげてまいります。 5点目、会計年度任用職員の待遇改善についてでございます。 常勤職員には、長期雇用を前提に、企画立案業務や公権力の行使、組織の意思決定への参画等、責任の度合いが大きい役割を担わせているのに対し、会計年度任用職員は、職務の範囲を限定し様々な人材を柔軟に任用しております。 このような考えのもと、会計年度任用職員の給与については、地方公務員法の職務給の原則に基づき、これらの常勤職員との役割の違いを踏まえて定めているところでございます。 ご質問の会計年度任用職員の待遇改善については、今議会に提案している一般職の職員の給与に関する条例の改正により、人事委員会勧告に基づく給料及び期末手当の引上げを予定していることに加え、来年度からは、これまで支給できなかった勤勉手当の支給を行うこととしております。 これらにより、フルタイムの事務補佐の職の会計年度任用職員の年収は、来年度は現行に比べて56万円増額することになります。238万円から294万円に増額することになります。 次に、会計年度任用職員の任用については、多様な行政ニーズに弾力的かつ柔軟に対応するため、1会計年度を限度に任期を定め、人事評価などの客観的な能力実証を踏まえまして、1度の選考で3年を上限に勤務していただいております。 3年が経過した翌年度に、当該業務に引き続き任用が必要となる場合には、平等性の観点から、広く公募を行うことになります。公募の際には、現任者も含め、県での業務経験の有無や年齢に関わりなく応募することが可能となっております。その上で、客観的かつ公平に選考し、当該職に従事する十分な能力と意欲を有する方を任用することとし、採用の透明性を確保しているところでございます。 今後とも、各任用制度の趣旨に沿って役割に応じた責任分担のもとで業務を行うことで、よりよい行政サービスを適切に提供してまいりたいと考えております。 6点目、学研高山地区第2工区の開発についてでございます。 学研高山地区第2工区のまちづくりについては、国が決定した関西文化学術研究都市の建設に関する基本方針に基づき、県が昭和63年に建設計画を作成しました。 この建設計画は、整備方針や人口規模、土地利用計画等を定めた整備の基本的な計画ですが、UR都市機構が参加していた当時の、住宅を中心としたまちづくりのままになっております。現在生駒市では、産業施設中心のまちづくりを検討されており、県では建設計画の変更等について、市から相談を受けているところでございます。 県といたしましては、このようなまちづくりの方向性の変更について理解し、この建設計画を変更する必要性についても認識しております。そのためにも生駒市がより具体的に事業内容を示される必要があると考えております。 このような中、生駒市では、今後のまちづくりの検討に際して、学識経験者や県を含めた行政機関等から意見や助言等を求めるため、令和4年10月に、学研高山地区第2工区事業推進会議を設置されました。今後、学研高山地区第2工区事業推進会議が重ねられ、議論が深められるものと考えております。 今後、生駒市から具体的な事業内容の詳細が示されれば、生駒市の取組に適切に対応してまいります。 7点目、辻町インターチェンジについてでございます。 辻町インターチェンジの整備は、地域住民の利便性の向上や、富雄インターチェンジ及び生駒インターチェンジの渋滞緩和を図るため、フルランプ化するもので、これにより国道168号から奈良市方面へのアクセスが可能となることから、本県の幹線道路の整備として重要な案件であると認識しております。 奈良県道路整備基本計画においては、骨格幹線道路ネットワークの結節点として重点的に整備する箇所と位置づけており、平成27年度に事業化したところでございます。 計画案の策定に向け、生駒市の協力も得て、地元調整を図っており、昨年12月までに地権者の方々から事業協力の内諾をいただき、生駒市長からも事業推進の要請を受けております。 このことを受け、今年7月に生駒市とともに地元説明会を開催し、測量や地質調査など必要な現地調査を進めていくことを説明いたしました。現在、現地調査を実施するとともに、道路設計を進めているところでございます。 引き続き、生駒市と十分に連携を図りながら、地元及び地権者の理解・協力が得られるよう取り組んでまいります。私からの答弁は以上でございます。ご質問ありがとうございました。
○副議長(池田慎久) 吉田教育長。
◎教育長(吉田育弘) (登壇)40番阪口議員のご質問にお答えいたします。 私には、県立高等学校体育館のエアコン設置について、お尋ねでございます。 県教育委員会では、近年の気温上昇に伴って熱中症のリスクが高まりつつあるため、昨年7月に奈良県学校における熱中症対策ガイドラインを策定し、各県立高等学校ではガイドラインを参考に、WBGT(熱中症暑さ指数)、熱中症警戒アラート等を活用しながら予防対策に注力いたしております。 また、今年度の記録的な猛暑におきましても、熱中症の危険回避と教育活動の両立を図る必要があることから、文教くらし委員会での阪口委員からの提案を受けまして、熱中症に関する生徒の意識や実態を把握するため、県立高等学校の1、2年生を対象に初めてアンケート調査を実施いたしました。 約1万人の生徒からの回答の結果、熱中症にかかった経験の有無につきましては、重大事故には至っていないものの、軽い症状までを含めますと、1,844名、約2割の生徒が「ある」と回答いたしております。発生状況では、部活動中が最も多く、グラウンドで377名、体育館で341名、ほぼ同数となっております。グラウンドで活動する部員数が多いことを考えますと、やはり体育館での熱中症発生率が高く、その予防が必要であると考えています。 体育館での熱中症予防に効果のある空調設置につきましては、令和2年度に策定した奈良県立学校施設長寿命化整備計画においても位置づけをいたしておりまして、市町村の福祉避難所となっている特別支援学校から、現在優先して順次設置を進めております。 県立高等学校の体育館でございますけれども、部活動だけではなくて、文化祭などの学校行事においても熱中症のリスクを回避する必要がございますけれども、まずは体育科設置校などからエアコンの設置を進めていきたいと考えております。以上でございます。どうもありがとうございました。
○副議長(池田慎久) 40番阪口保議員。
◆40番(阪口保) 知事から詳細な答弁、ありがとうございます。 近鉄線の移設の見直しについては、私は存置する案の方がいいと思っております。知事の答弁も、費用対効果とか、事業をするにあたっては長年にわたるという答弁でございましたので、答弁には満足いたしております。 ただし、いろいろな関係者と協議して総合的に判断していく必要があると思いますので、知事、大変だと思いますが、ぜひ頑張っていただきたい、これは意見でございます。 本日も多数、傍聴者が山添村から来ておられまして、知事の答弁には期待をしておられます。私自身は、知事の答弁について納得はいたしております。地域住民のことも考え、環境とか、いろいろ答弁していただきました。 お聞きしたいのは、まず1点目、この事案は令和2年11月に各種開発事業者に係る事前協議が終わっています。そして本県では、令和5年10月に奈良県太陽光発電施設の設置及び維持管理等に関する条例が施行されていますので、もし林地開発許可申請が出てきたときは、条例の適用がされるのかどうか、お聞きしたいと思います。
○副議長(池田慎久) 山下知事。
◎知事(山下真) 事業者から許可申請が出てくれば、当然、許可するか否かという判断の対象になるものと思料しております。
○副議長(池田慎久) 40番阪口保議員。
◆40番(阪口保) 次に、環境の問題ですが、馬尻山というのは、標高400メートルから500メートルのところであります。この辺りは森林が茂っています。 本来、太陽光発電や再生可能エネルギーは進めていかなければいけないものだと思っております。知事と私の考えは一致いたしております。CO2の削減をして、気候変動や温暖化にならないような対策をしていくと、そのことは大事と思っておりますが、逆に森林を伐採することで、森林はCO2を吸収していますので、伐採することで逆にCO2削減につながらない、地球温暖化の対応としては逆行するのではないかと思っております。 適切な場所に太陽光発電等を進めていくべきではないかと考えておりますが、その点、環境の問題につきまして、知事、何か所見がございましたら、お答えください。
○副議長(池田慎久) 山下知事。
◎知事(山下真) 阪口議員ご指摘のとおり、再生可能エネルギーの普及拡大は、いわゆるカーボンニュートラルを進める、脱炭素を進めるために再生可能エネルギーの普及拡大をしていくべきものです。そのため、二酸化炭素の吸収源である森林を伐採することは、一般論で申し上げれば、太陽光発電の普及促進という観点からは、多少、その効果を減殺するものであると、森林の伐採を伴う太陽光発電施設の設置は、脱炭素の取組を減殺するものであるということは言えると思います。
○副議長(池田慎久) 40番阪口保議員。
◆40番(阪口保) 最後は要望にいたしておきます。 この辺りは、三十数年前には県からゴルフ場計画で林地開発許可をとったことがございます。今回はメガソーラーですが、今後の推移はどうなるのか分からないと私は思っています。そういう点から言いますと、今日来られている方は非常に不安を持っておられます。このことについて、また、山添村の方が県にご相談に行かれるかもしれませんが、その節は、ご協力よろしくお願いいたしたいという要望でございます。 次の質問は、県庁職員の働き方改革についての質問です。資料等を読ませていただいて、私は非常に精力的に働き方改革をされていると思っています。奈良県では、35歳の若さで男性の職員が亡くなられた。そのときは、遅くまで働いておられて、もう電車もないぐらい遅くまで働いておられた。そういうことが二度とないようにということで、私も質問をしてきました。今回、非常に精力的にされていると思います。 そこで、もう少し突っ込んで聞きたいことは、資料等の中で、イベント等のことについて書かれています。業務量の見直しとして、今後3年間でトータル5割を削減していくと書かれています。場合によっては完全外部委託化ということも書かれていて、ここの狙いは、事業総量の削減は外部委託をして減らしていくのか、もしくは事業の縮小ないし不要と思われる事業についてはなくすという捉え方でいいのか、お聞きしたいと思います。
○副議長(池田慎久) 山下知事。
◎知事(山下真) 事業そのものをやめるか、やる場合に外部委託するか、その両方を進めていくということになろうと思います。
○副議長(池田慎久) 40番阪口保議員。
◆40番(阪口保) 詳細については、質問する機会があるかと思いますので、そのときに質問をしたいと思います。 次に、会計年度任用職員についての附則でございますが、確かに職員の給与等に関する報告及び勧告、人事委員会のものを見たら、待遇の改善等があると認識いたしております。 待遇の改善をしていただけるということでありがたいわけですが、先ほど壇上で説明したときに、月給が19万8,000円であると申しましたが、この場合、住民税や所得税等々引かれていきますと、約15万6,000円になります。年収は284万6,000円でも、トータルすると230万円と、かなり物価高もございますので、厳しい状況の中で生活しているという現状を知っていただきたいということでございます。 それと、再度の3年後の任用につきましては、不安を持っておられますので、客観的な評価をきちんとしていただいて、不安の解消に努めていただきたいということが要望でございます。 次の質問は、学研高山地区第2工区の質問ですが、知事は20年前に私と、高山をどうするかという会議で一緒に活動をしておりまして、その後、生駒市長になられたので、非常に詳しいと思います。関西文化学術研究都市促進法に基づいて、学研高山地区第2工区の人口の規模、土地利用等のことについて計画変更があると思います。先ほどは、積極的に対応していただいているという答弁でございました。一部、生駒市民の中では、学研高山地区第2工区について、山下知事は協力的ではないのかという間違った考えがございまして、積極的に進めていくということで再度確認しておきたいと思いますが、よろしくお願いします。
○副議長(池田慎久) 山下知事。
◎知事(山下真) 私が生駒市長のときに疑問を呈したのは、人口規模2万3,000人の住宅中心のニュータウン開発計画でございます。一方、現在生駒市が進めようとしているのは、企業立地を中心とした開発計画であると認識しております。 企業誘致は、奈良県におきましても、どんどんしていかなければならない課題だと思っておりまして、先ほどのご質問では、ここへの立地を希望する会社が当初9社だったのに、その後増えて14社になったということでございまして、この地域で企業立地が進むということは、本県にとっても大きなメリットがあることだと考えておりますので、県といたしましても、生駒市から具体的な計画案が示された場合には協力をしていきたいと、そのように考えております。
○副議長(池田慎久) 40番阪口保議員。
◆40番(阪口保) 本日の質問は、生駒市と協議をして質問いたしております。個人の発言ではありません。28ページにわたって建設に関する計画があり、その改定がいるわけでございます。 あと、要望しておきますと、この事業を進めていくにあたっては、道路では、高山東西線と精華・西木津地区の接続、また下水道の接続の課題が出てきますので、今後、生駒市から要望があれば、事業推進にご協力をお願いしたいということでございます。 次、辻町インターチェンジですが、山下市長時代、私は県議会議員で、辻町インターチェンジをどういうふうにしていきますかということでお話をして、県議会で質問いたしております。現地測量、道路設計等が進んでいるということを聞きましたので、知事に就任されて、かなり進んでいると認識してよろしいかということをお聞きしたいと思います。
○副議長(池田慎久) 山下知事。
◎知事(山下真) 阪口議員ご指摘のとおり、私が生駒市長を務めていたときに、この辻町インターチェンジに奈良行きのオンオフの出入口をつくってほしいということで、県に要望したところでございます。 先ほど阪口議員もご質問で述べられておりましたが、これができれば、富雄インターチェンジや生駒インターチェンジの渋滞解消につながる、非常に費用対効果の大きい事業だと思っておりますので、現在、私と県土マネジメント部の道路建設課で事業の進捗を緊密に連携しながら進めているところでございます。
○副議長(池田慎久) 40番阪口保議員。
◆40番(阪口保) ありがとうございます。最後は教育長への質問です。 体育館へのエアコン設置ですが、文教くらし委員会で質問して、そしてアンケートをとっていただいた、ありがとうございます。その点については、評価させていただきます。 私は生駒市の小中学校でも、体育館にエアコンがないので、保護者の方が言ってこられ、署名活動をしていますと、奈良県の高校生が、暑い暑いと、県立高等学校もつけてほしいという要望が私のところに来ています。アンケート等とられてもそういう感じであるという報告でございました。 東京都や大阪府とか、他の自治体と比較して奈良県の空調設置率の現状はどうなっているのか、お聞きしたいと思います。
○副議長(池田慎久) 吉田教育長。
◎教育長(吉田育弘) 文部科学省の調査ですが、令和4年9月1日時点で武道場などの施設も含んでおりますけれども、東京都で39.2%、大阪府で15.1%、本県で6.3%、全国平均が8.1%と、このような状況でございます。
○副議長(池田慎久) 40番阪口保議員。
◆40番(阪口保) 私、質問にあたって、東大阪市とか枚方市とか、教育委員会にも問い合わせました。小中学校でも、設置が結構進んでいっているわけです。高等学校でも、近畿では少ないですが、東京都、大阪府は高等学校の体育館にエアコンの設置が進んでいっていると思います。他の自治体と比べても、設置率は低いと認識いたしております。 予算等のこともあるか分かりませんが、今、文化祭もできないのです、体育館が暑くて。11月でも、10月でも、暑い現状があるわけです。ここは避難所にもなっていると思うのですが、その点について、もう1回お聞きしておきます。
○副議長(池田慎久) 吉田教育長。
◎教育長(吉田育弘) おっしゃるとおり、県立高等学校すべてが避難所に指定されております。
○副議長(池田慎久) 40番阪口保議員。
◆40番(阪口保) 10年、15年前と比較できません。誰しもが、エアコンがなかったら熱中症になるわけです。寝るときであっても、体育館であっても、昔は涼しかったですが、今は、体育館も運動しなくても暑い、運動すればさらに暑いと。今後もCOP28を聞いていても、ますます暑くなると予想されるわけです。 かつて、熱中症等による事故もあるので、二度と起こらないようにするためには、県教育委員会が、まず県立高等学校に積極的につけていただいて、小中学校にも波及していくという方向性が正しいのではないかと。 例えば、奈良県下でも、小中学校で、大和高田市、斑鳩町、王寺町では、小中学校の体育館へのエアコンはついていると思いますが、その点について確認をしておきます。
○副議長(池田慎久) 吉田教育長。
◎教育長(吉田育弘) 武道場等は含みません。それで体育館に設置しているのが、大和高田市、斑鳩町、王寺町でございます。
○副議長(池田慎久) 40番阪口保議員。
◆40番(阪口保) ぜひ奈良県も、積極的な対応をお願いしたい。最後は要望でございます。 避難所にも指定されていますので、予算要望は、今日知事が聞いておられますので、1回ご相談していただいて、早急に3か年計画等つくっていただいて、設置をよろしくお願いいたしたいと思います。以上でございます。
○副議長(池田慎久) 次に、27番大国正博議員に発言を許します。--27番大国正博議員。(拍手)
◆27番(大国正博) (登壇)それでは、議長の許可をいただきましたので、公明党会派を代表いたしまして、通告いたしました数点について、山下知事並びに吉田教育長にお尋ねいたします。 初めに物価高による県民への生活支援について伺います。 日本の経済状況は、長く苦しかったコロナ禍をようやく乗り越え、再生に向けた歩みを始めようとしています。しかし、原油価格の上昇・高止まりや円安、食料品の相次ぐ値上げなど、昨年来からの物価高騰は、いまだ国民生活や事業活動に深刻な影響を与えています。 公明党は10月17日、岸田内閣総理大臣に対し、総合経済対策の策定に向け、過去最高を更新した税収増を国民の皆様に還元する3つの還元策の実施を訴えました。具体的には、1つ、所得税の定額減税、2つ、低所得世帯への給付金、3つ、電気・都市ガス料金、ガソリン・灯油代などの補助を来春までの延長と、自治体が物価高対策に使える重点支援地方交付金の増額を提言しました。 そして11月29日に成立した、
デフレ完全脱却のための総合経済対策には、公明党の提言の内容が随所に盛り込まれています。 その中で、重点支援地方交付金の増額も明記され、地方自治体の創意工夫により、買物をした分のポイント還元や給食費負担の軽減など、きめ細かな支援が実施できるようになりました。 公明党県議団は11月13日、山下知事宛ての、物価高から県民生活と地域経済を守るための要望書を提出いたしました。要望項目は、都市ガス同様に24年4月までLPガス料金の負担軽減を図ることや、肥料や飼料の高騰による、農業・畜産事業者への負担軽減を図ること、さらに、働く障害者支援のためのプレミアムつき商品券による授産品購入の推進など、9項目にわたります。 そこで山下知事にお尋ねします。 物価高に苦しんでいる生活者や地域経済を守るため、国の
デフレ完全脱却のための総合経済対策も踏まえ、知事はどのように取り組んでいかれるのでしょうか。 次に、平城宮跡周辺の抜本的な渋滞対策と環境保全について知事に伺います。 私は、平城宮跡周辺の渋滞対策について、これまで機会があることに県全体の課題として、また、地域の課題として質問や要望を続けてまいりました。 ご承知のとおり、本年、県知事選で当選された山下知事は、6月12日予算執行査定で、
近鉄大和西大寺駅の高架化のみを行い、平城宮跡内の近鉄線は存置する事業案を新たに検討し、現行案と費用対効果の比較を行い、関係者とも協議の上、整備方針を決定すると発表されました。 そこで山下知事に伺います。 令和5年度予算執行査定において、近鉄線の移設案が再検討に至った理由について、改めてお聞かせください。 次に、先ほどの質問に関連して、3点、お聞きします。 去る6月19日、公明党県議団は、国土交通省都市局・鉄道局、文化庁文化財第二課の方々と、知事の予算査定結果について意見交換をしてまいりました。 1点目は、
近鉄大和西大寺駅周辺の立体高架化と、駅周辺の長期的な渋滞対策について質問いたします。
近鉄大和西大寺駅西側の4踏切道と東側の4踏切道が、
踏切道改良促進法に基づく改良すべき踏切道として指定されております。
近鉄大和西大寺駅周辺の立体高架化と駅周辺の長期的な渋滞対策は、地元住民の長年の願いでもあり、私もこれまで提案してまいりましたので、ぜひ進めていただきたいと思います。 そこで山下知事に伺います。
近鉄大和西大寺駅周辺の踏切について、どの踏切の渋滞解消に向けて取り組んでいかれるのでしょうか。また、踏切改良に向けた今後のスケジュールはどのようになっているのでしょうか。 2点目は、新大宮駅周辺の渋滞対策についてです。 京奈和自動車道のアクセス道路であります西九条佐保線を、地権者のご理解とご協力のもと整備が進められています。 そこで知事に伺います。 平城宮跡内の近鉄線を平面で存置した場合、京奈和自動車道の
アクセス道となる西九条佐保線と新大宮駅が平面で交差することとなり、新大宮駅周辺の渋滞が一層深刻になることが予想されますが、新大宮駅周辺の渋滞対策について、今後どのように取り組んでいかれるのでしょうか。明快な答弁を求めます。 3点目は、平城宮跡の保存・整備についてです。 平城宮は中国の長安をモデルにした都でしたが、長岡京への遷都の後、都の跡地は田畑となりました。しかし、江戸時代末期から、調査研究やその後の棚田嘉十郎や溝辺文四郎など、地元の人々を中心に設立された平城宮址保存会、奈良大極殿址保存会など、民間の有志の活動などを通じ、保存整備が進められてまいりました。 現在、近鉄奈良線の線路が宮跡内の敷地を南北に分断するかのように横切っています。その光景を目にされた方が、なぜ世界遺産の中を鉄道が横切っているのだろう、近鉄は迂回して線路を建設すればよかったのではないかと疑問が湧いてまいります。 調べていくと、もともと近鉄の前身である大阪電気軌道が1914年に大和西大寺駅から近鉄奈良駅へと線路を敷設する際には、平城宮を避けていたようです。当時は発掘調査や研究が現在ほど進んでいなかったこともあり、平城宮の範囲が不確定であったようです。 時が進み昭和27年、平城宮跡の一部が特別史跡に指定され、1998年、平城宮跡を含む古都奈良の文化財がユネスコの世界遺産に登録されました。 昨年3月には、大極殿南において大極門が完成し、今後も国において復元整備の計画が進められてまいります。 平城宮跡は、県民だけではなく世界の宝であります。 そこで、知事に伺います。 平城宮跡の保存・整備について、世界遺産としての価値を損なうことのないよう進めていく必要があると考えますが、知事のお考えをお聞かせください。 次に、発達障害児・者への支援についてお聞きいたします。 これまで公明党会派の代表質問において、藤田議員は、全県的に不足している小児精神科医の確保が必要であり、医療・福祉・教育の連携が欠かせないとして、さらなる取組を求め、亀甲議員は発達障害者やグレーゾーンの人たち、また、その家族への支援体制の構築は喫緊の課題であると強調し、支援強化と体制整備を訴えています。 公明党県議団は去る11月9日、埼玉県発達障害総合支援センターを視察いたしました。 埼玉県では、上田前知事のリーダーシップのもと、平成23年度から発達障害対策を重点プロジェクトに位置づけ、乳幼児から学齢期、成人期までの発達障害児・者のライフステージに応じて積極的に支援しており、市町村の窓口担当職員の育成、幼稚園等で早期に気づき、適切な支援ができる人材の育成、保育所、幼稚園での支援を小学校につなぐ教員の育成などの取組を行っておられます。親への支援、診療・療育体制の強化、就労の支援を柱に各種事業も実施され、さらには平成23年から福祉部福祉政策課に専担組織を設置し、平成29年1月には発達障害児の支援の拠点として、発達障害総合支援センターが県立小児医療センターの建物内に設置され、非常勤医師や保健師など12名の体制を組んで、人材育成や親への支援、地域の支援機関への助言、県民からの相談に応じられております。 そのほかにも、県内3か所の中核発達支援センターの設置運営により、診療・療育体制の強化も図られ、さらには発達障害者に特化し、就労相談から職業能力評価、就労訓練、就労活動から職場定着までをワンストップで支援する、県内4か所にある発達障害者就労支援センターの設置運営など、埼玉県の発達障害児・者への支援に対する意気込みは、予算額の推移からもうかがうことができました。 奈良県においても、困り事を抱える当事者やその家族等の不安に寄り添うべく、今こそ全庁を挙げて取り組み、市町村や関係機関とも連携し、発達障害児・者への支援を進めることが重要です。 そこで山下知事にお尋ねいたします。 奈良県の発達障害児・者への支援について、現状をどのように認識され、今後どのような方針で取り組まれるのでしょうか。 次に、公明党会派は9月定例会において、認知症対策として、奈良県における認知症施策推進計画の策定を求めましたが、再度、知事に対し質問いたします。 認知症の高齢者が2025年には約700万人になると想定されている現実に対して、認知症の人が尊厳を保持しつつ、希望を持って暮らすことができるよう、認知症施策を総合的かつ計画的に推進するための、共生社会の実現を推進するための認知症基本法が6月に制定されました。 現在、政府において、認知症と向き合う「幸齢社会」実現会議において、認知症の本人及びその家族をはじめ、認知症に関わる様々な方々から幅広い意見を聞きながら、共生社会の実現を推進するための認知症基本法の施行に先立って方針を取りまとめています。 今こそ、認知症の人を含めた国民一人ひとりが、その個性と能力を十分に発揮し、相互に人格と個性を尊重しつつ支え合いながら共生する、活力ある共生社会の実現という目的に向かって、認知症施策を進めていかなくてはなりません。 私たちが目指す共生社会とは、誰もが認知症になる可能性がある中で、生活上の困難が生じた場合でも、重症化を予防しつつ、持てる力を生かしながら、周囲や地域の理解と協力のもと、本人が希望を持って地域の中で尊厳が守られ、自分らしく暮らし続けることができる社会であります。 認知症対策は、労働環境、家族への支援、身寄りのない方への対応に加え、認知症に関する基本事項を繰り返し国民が学べる環境の整備などの課題があり、奈良県においても、今までの延長ではなく、共生社会の実現に向けた統合的かつ連続的な計画の策定が必要です。 そこで山下知事にお尋ねいたします。 県の認知症施策推進計画の策定にあたり、共生社会の実現に向け、県民に正確な知識と理解を普及させ、社会全体での取組を進めるためには、認知症の人やその家族の視点に基づく施策の充実が必要と考えますが、知事の所見をお伺いします。 次に、奈良県の国際交流についてお伺いします。 私は、総務警察委員会を代表して、今年9月には、本県と友好提携を締結している韓国・忠清南道を、また10月には、第12回東アジア地方政府会合に参加するため、中国・山東省臨沂市を山下知事や岩田議長とともに訪問させていただきました。 その報告も兼ね、知事に質問させていただきます。 かつて百済の都が置かれた忠清南道と奈良県とは、歴史的・文化的なゆかりがあり、平成23年10月に友好提携を結んでいます。今回の訪問は、キム知事から招請を受け、2023大百済典などに参加するもので、忠清南道との友好交流をさらに深めるだけではなく、イベントでのライトアップの方法や、バーチャルリアリティーを活用した文化遺産の見せ方などを勉強するいい機会となりました。また、会場の小さなブースでもキャッシュレス決済が可能だったことに、日本の遅れを感じました。 続いて、10月の東アジア地方政府会合では、各地方政府が展開するビジネス環境の整備や、人的資源の質の向上に向けた取組などを知ることができたほか、地方政府間のトップ会談が行われ、信頼の醸成や友好交流の促進が図られました。さらに、各地方政府による投資・観光プロモーションが行われるなど、奈良県としても大変貴重なPRの場となりました。 また、開催地の臨沂市は、日本では知られておりませんけれども、人口は1,000万人を超え、中国では物流の都と言われる大都市で、現地では物流の状態がリアルタイムで更新され、その動向を一望できるシステム等を視察し、ビッグデータの活用について改めて考えさせられました。 このように、今回の訪問を通して、私自身、各地方政府の現状に対する知見を深め、奈良県ひいては日本の取組を見詰め直す機会となりました。それに加え、これまで各地方政府との間で継続的に構築してきた友好関係の重要性を実感する機会ともなり、改めて、東アジア地方政府会合も含め、国際交流が大切であることを確認できました。 山下知事は、就任直後の本年度予算執行査定の中で、東アジア地方政府会合については、令和5年度は予算どおりに執行することとし、来年度以降については、今年度の取組を検証した上で事業内容を検討するとされました。一方で、国際交流全般については、私の知る限り、特にこれまで明確な方針を示されておりません。 そこで、知事にお伺いいたします。 知事ご自身が、2023大百済典や、第12回東アジア地方政府会合に参加された結果を踏まえ、東アジア地方政府会合を含めた、今後の奈良県の国際交流についてどのように考えているのか、お聞かせください。 最後に、学校以外の場での学習等に対する支援について、教育長にお聞きいたします。 文部科学省は、去る10月4日、2022年度に病気などの理由以外で30日以上欠席した不登校の小中学生が、過去最高の29万9,048人に上ったと発表いたしました。10年連続増加しており、対策強化は差し迫った課題であります。 登校拒否・不登校を考える全国ネットワークが昨年、登校拒否・不登校を経験したこどもを持つ保護者に対して行ったアンケート結果で、必要な支援は、学校以外で安心できる居場所・人と繋がれるが80.5%、学校の柔軟な対応は76.9%、経済的な支援が68.0%という結果になっています。 文部科学省は、全国都道府県知事や教育長に対し、不登校児童生徒による学校以外の場での学習等に対する支援の充実についての通知を、平成29年3月28日付で発出されております。 その中で、長期に不登校となっている児童生徒が通う学校以外の場での学習等に対する支援を行い、その社会的自立や社会参加を目指すことが必要です、と明記されています。 不登校の児童生徒の学びを支えるため、不登校特例校や公的支援施設、教育支援センターのほか、民間団体によるフリースクールなどが設けられています。フリースクールは、個人やNPO団体などが、何らかの事情で学校に行くことができない・しづらい生徒児童を対象に開設している学びの場です。しかし、全国の状況を見ると、予算や場所の確保が課題となっており、東京都、茨城県、群馬県、福岡県などでは、フリースクールに通う児童の家庭や運営者への支援を行っています。 私も、フリースクールに通う児童の保護者からお話を伺ったことがありますが、フリースクールでの学習は内申点に反映されないなど、学校との連携に対する課題もあるようです。不登校などの児童の可能性を伸ばすことができるよう、多様な学びの選択肢を確保するには、フリースクールなどの学校外の学びの場は、今後ますます重要になると考えます。 そこで、吉田教育長にお尋ねします。 不登校児童生徒が学校外で学ぶ場の1つである民設のフリースクールについて、児童生徒の学びを支えるためには、学校との連携や運営への支援の充実などが、今後ますます重要になると考えますが、教育長のお考えをお聞きいたします。 以上で壇上からの質問とさせていただきます。ご清聴、誠にありがとうございました。(拍手)
○副議長(池田慎久) 山下知事。
◎知事(山下真) (登壇)それでは、公明党会派を代表されましての大国議員の質問にお答えをさせていただきます。 まず、1点目の物価高による県民への生活支援についてでございます。 2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻を契機とする急激な物価高騰は、国民生活に深刻な影響を与え、これまでも、国、地方挙げての対策が講じられてきました。 しかしながら、依然としてその影響は続いており、先週11月29日に成立した国の補正予算においても、物価高騰への緊急対策として、国によるガソリンや電気・都市ガスの負担軽減策が講じられるとともに、都道府県や市町村による物価高対策の支援として、
物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金が計上されたところでございます。 本県では、この交付金を活用し、できる限り早期に県民や事業者への支援を進めることとし、6月補正予算・9月補正予算に続き、12月補正予算案においても、物価高への緊急対策として、23億800万円余を計上したところでございます。 具体的には、まず、国による直接の支援の対象とならないLPガス利用者や、特別高圧電力受電中小企業に対し、令和5年10月から令和6年4月までの支援策を講じることとし、7億5,300万円余を計上いたしました。 また、食材料費の高騰の影響を受けている医療機関に対しまして、令和5年度下期分の負担軽減策として、1億400万円余りを計上したところでございます。 さらに、障害者及び介護サービス事業者や、公共交通事業者等、食料品や燃料費の高騰の影響を価格に転嫁することが困難な事業者に対しましては、14億5,100万円余りを計上したところでございます。 今後とも、この臨時交付金を活用し、物価高で困難な状況にある県民や県内事業者の方々に対する支援を検討・実施してまいる所存でございます。 2点目の、平城宮跡周辺の抜本的な渋滞対策と環境保全について、お答えをさせていただきます。
近鉄大和西大寺駅周辺地域で特に大きな懸案となっている菖蒲池8号踏切をはじめとする、いわゆる開かずの踏切への対応は、まちの分断を早急に取り払うためにも、早期に抜本対策を講じる必要があると認識しております。 しかしながら、地方踏切道改良計画に基づく現在の事業案は、同計画にも記載のとおり、40年近くの事業期間と、用地代や建物移設等の補償費を除いた工事代だけでも1,300億円以上の費用が見込まれる大型事業となっており、それが最適な対策なのか再検討が必要と思った次第でございます。 具体的には、交通遮断量に基づき国から指定を受けている、いわゆるボトルネック踏切については、近鉄奈良線を平城宮跡から移設することが本当に必要なのか、事業期間等も踏まえた上での費用対効果を検証し、関係者とも十分協議の上、冷静に判断すべきものだと考えております。 長年地域でお困りの方々の悩みが一日も早く解消されるよう、引き続き、関係者との協議を進めてまいりたいと考えております。 2番目の質問の2項目めでございますけれども、高架化に向けた検討を進めている
近鉄大和西大寺駅は、近鉄奈良線、近鉄京都線、近鉄橿原線の4方向の線路と接続しております。具体的にどのような構造・線形とするかについては、現在関係者で協議を続けているところであり、どの踏切が撤去されるかは、現時点では具体的にお示しすることは困難でございます。 しかし、一般論として申し上げれば、近鉄奈良線沿いの開かずの踏切を除去するために近鉄奈良線を高架化すれば、
近鉄大和西大寺駅のホーム及びそこに発着するすべての線路を高架構造にすることが想定されるため、
近鉄大和西大寺駅周辺の近鉄奈良線、近鉄京都線、近鉄橿原線沿いの一定範囲の踏切がまとめて除去されると想定されます。 また、スケジュールについても、現在関係者で協議中の事業内容いかんによって大きく変わるため、現時点でお示しすることは困難でございます。 ただ、こちらも一般論として申し上げれば、例えば、JR奈良駅の高架化事業でも、用地取得に6年、施行に11年程度を要しており、線形がより複雑な
近鉄大和西大寺駅周辺の高架化につきましては、移設を行わず仮に高架化するだけであっても、少なくともそれ以上の時間が必要になるものと考えられます。 平城宮跡に関する3点目のご質問でございます。 西九条佐保線は、京奈和自動車道大和北道路の(仮称)奈良インターチェンジから奈良市中心市街地へのアクセス道路でございます。 京奈和自動車道大和北道路及び西九条佐保線については、計画段階から近鉄奈良線の移設がない前提での将来交通量推計をもとにした計画となっております。 こうしたことから、大和北道路が整備されることにより、新大宮駅周辺での著しい渋滞が発生するとは想定しておりません。 2番目の質問の4点目でございますが、大国議員お述べのとおり、平城宮跡は世界遺産古都奈良の文化財の構成資産の1つであり、我が国を代表する歴史・文化資産であると認識しております。 特別史跡平城宮跡の保存・整備については、国営公園としての平城宮跡歴史公園の事業化を受けて、文化庁が特別史跡平城宮跡保存整備基本構想推進計画を平成20年5月に策定し、これを踏まえ、国土交通省近畿地方整備局が、国営飛鳥・平城宮跡歴史公園平城宮跡区域基本計画を平成20年12月に策定しております。 また、平成27年3月に奈良県と奈良市が共同で策定した、世界遺産「古都奈良の文化財」包括的保存管理計画では、既にある2つの計画をもとに、世界遺産平城宮跡の保存・整備について記載しているところでございます。 平城宮跡の保存・整備は、これらの計画に基づきまして、所有者である文化庁、国営公園事業の主体である国土交通省、調査研究機関である奈良文化財研究所、都市計画行政の主体である奈良市、特別史跡の管理団体である奈良県、この5者が緊密に連携しながら、それぞれの役割を果たしていくことが必要であります。そのため、同宮跡の地下遺構・遺物に対する影響を及ぼさないことを前提に、5者が協議しながら整備を進めているところでございます。 今後も、世界遺産としての価値を損なうことのないよう、5者で十分協議しながら各事業を進めてまいりたいと考えております。 それから3点目、発達障害児・者への支援についてでございます。 本県では、昭和63年6月に、奈良県心身障害者リハビリテーションセンターを田原本町に設置し、診断・治療等を行う医療と、療育・訓練等を行う福祉の一体的な提供に取り組んでまいりました。さらに平成30年には、奈良県発達障害者支援センターを同建物内に移転し、発達障害児・者支援の分野において中核的な役割を担っております。 また、民間の障害児通所支援事業所による療育や、市町村での一時相談窓口の整備に対し支援を行うほか、県障害者総合支援センターの作業療法士等が、毎年200施設を超える保育園や学校等を訪問し、発達が気になるこどもへの関わり方を助言するなど、様々な施策を実施しているところでございます。 しかしながら、県発達障害者支援センター及び市町村への相談件数が、直近5年間で約2.2倍と飛躍的に増加するとともに、相談内容についても、不登校や精神疾患などの2次的な障害が生じるなど、困難化してきております。また、不安を抱えた当事者やご家族が必要な支援にスムーズにつながらない事例も見受けられます。このような状況を踏まえまして、さらなる支援の充実が必要と認識しております。 このため、新年度の施策として、一次相談窓口の対応力向上などの相談体制の充実や、身近な地域において障害児通所支援事業所、保育園、診療所等が個々に支援を行うのではなく、当事者を中心としてチームで支援するための連携の促進、さらに、医療と福祉の適切な役割分担により、周囲のこどもたちとの発達の違いが気になる段階から、保護者等が必要な支援につながることができる仕組みの構築に取り組んでいきたいと考えております。 引き続き、当事者やご家族の不安の解消に向け、寄り添い、支援することを基本的な考え方として、来年度予算に具体的な取組を盛り込んでまいりたいと考えております。 4点目、認知症施策の充実についてでございます。 我が国では、高齢化が進展し、認知症の人が増加する中、認知症の人やご家族の意思が尊重され、住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現が求められております。大国議員お述べのように、認知症の人を含む国民一人ひとりが個性と能力を十分に発揮し、お互いの人格と個性を尊重し合いながら、共生する活力ある社会を築くために、認知症施策をしっかりと進めていくことが重要であると認識しております。 さきの9月議会で亀甲議員からの代表質問にお答えしたとおり、県では今年6月の共生社会の実現を推進するための認知症基本法の制定に先駆け、令和3年度から令和5年度までを対象とする第8期介護保険事業支援計画の構成要素として、認知症施策を掲げ、認知症への理解を深める普及・啓発活動や、市町村の体制整備支援に取り組んでまいりました。 そして現在、来年の共生社会の実現を推進するための認知症基本法の施行に向けまして、令和6年度から令和8年度までの期間にわたる奈良県高齢者福祉計画、第9期介護保険事業支援計画及び認知症施策推進計画の一体的な策定を進めております。この計画では、初めて計画名に「認知症施策推進計画」という名称を打ち出し、法定計画の位置づけを明確にする方針でございます。策定にあたりましては、認知症の人と家族の視点を重視し、広く県民に認知症理解を普及させるための活動、権利保護、介護者支援、早期発見・早期診断のための体制整備などを盛り込むこととしております。この計画のもと、認知症の人や家族の意見を取り入れた新たな施策として、地域や職域での認知症サポーターの養成と活動支援、若年性認知症の人への就労支援、認知症ケアに従事する人への研修などを来年度から開始したいと考えております。 これらの施策の充実によりまして、認知症の人に寄り添いながら、地域全体で認知症に対する理解を深め、活力ある共生社会の実現を着実に推進してまいる所存でございます。 5点目、奈良県の国際交流についてでございます。 県の主な国際交流としましては、東アジア地方政府会合のほか、古代からの縁を通じ、中国・陝西省や韓国・忠清南道などと友好提携を締結しております。 9月には、忠清南道キム知事の招請を受け、忠清南道を訪問いたしました。その中で、今後の交流深化に向けた知事との意見交換、ユン・ソンニョル韓国大統領との挨拶、大阪・関西万博や飛鳥・藤原宮都とその関連資産群の世界遺産登録に向けたPRなどを実施いたしました。 10月には、中国・臨沂市で開催されました、第12回東アジア地方政府会合に出席いたしました。私みずから、地方政府代表との会談、共通課題に関する討議、奈良県の観光地や大阪・関西万博のプロモーションを実施いたしました。また、中国メディア向け記者会見にも参加し、本会合の事務局である奈良県を中国の主要マスコミにも大きく取り上げていただいたところでございます。 さらに、同行いただいた経済団は、臨沂市の先進的な物流関連施設等を視察され、勉強になったと伺っております。 中国と韓国の訪問を通じまして、地方政府同士の交流は、現在の不透明な世界情勢のもと、国の外交関係を補完するものとしての意義があると考えております。例えば、ユン・ソンニョル大統領が就任する前は、徴用工問題などで日韓関係は冷え込んでおりましたが、ユン・ソンニョル大統領の新しい方針のもと、今、日韓関係は急速に好転しておりますが、これも、これまで日本と韓国との間で、民間同士、地方政府同士の交流があったからこそ、ユン・ソンニョル大統領の新しい方針に対しまして韓国世論の支持があったからこそ、ユン・ソンニョル大統領も方針の転換ができたのではないかと、そのように推察をしているところでございます。 また、奈良県にとりましても、投資の拡大やインバウンド観光の取り込みなどを進めていく上でも、大変意義があると感じたところでございます。 こうしたことから、国際交流につきましては、費用を十分に精査しながら、東アジア地方政府会合も含め、当面は引き続き、これまでどおり推進してまいりたいと考えております。 なお、来年5月に中国・西安市で開催される東アジア地方政府会合につきましては、県から派遣する訪問者数を必要最小限に絞り経費の削減、具体的に言いますと、私や議長や委員長もエコノミークラスに乗っていくなどの経費の節減に努めた上で、今議会に上程中の補正予算に計上しているところでございますので、よろしくご理解賜りますようお願い申し上げます。私からの答弁は以上でございます。
○副議長(池田慎久) 吉田教育長。
◎教育長(吉田育弘) (登壇)27番大国議員の、学校以外の場での学習等に対する支援についてのご質問にお答えいたします。 本県におきましては、年間の出席日数が10日以下の中学生の数が、調査開始の平成27年度の136人から令和3年度の243人と、約2倍に急増しており、全国的にも課題となっております。 このため、県教育委員会では、オンラインを中心とした新たな学びの場として、不登校支援のための奈良県ネットワーク型フレキシスクールを本年6月に開校し、現在、県PTA協議会と共同で、試行的に運営いたしております。フレキシスクールは、教育内容が一人ひとりのこどもに合わせたフレキシブルな学校という意味で名づけております。現在登録している32名の生徒が、ベネッセの学習ツール、ミライシードを活用し、中学校教員によるオンライン学習等に参加いたしております。在籍校とは、学習評価の参考資料等に活用できるよう、参加している生徒の学習状況について密に連携を図っております。 このフレキシスクールは約2年間の試行の後、公設フリースクールとして運用することも視野に入れているため、今後は、既存の民間フリースクールとの連携が課題となってまいります。そのため、来年度、民間フリースクールへの通学実態等を詳細に調査し、連携や支援の在り方について具体的に検討してまいります。 令和7年度には、フレキシスクールを核として、民間のフリースクールとのネットワークを構築し、官民が連携して、不登校児童生徒の社会的自立を支援してまいる所存でございます。以上でございます。どうもありがとうございます。
○副議長(池田慎久) 27番大国正博議員。
◆27番(大国正博) 答弁ありがとうございます。ちょっと順番どおりにいきませんけれども、再質問をよろしくお願いします。 今、教育長から答弁がありました、来年度、民間フリースクールへの通学実態等を調査し検討すると、また連携等も考えていくということでございました。ぜひともというよりも、学校に行きたくても行けないこどもたちを、1人でもしっかりと支援していけるようにお願いしたいと思います。 先ほど、この議会でも教育の無償化というお話がされましたけれども、こういうフリースクールに通うこどもたちは何の支援もないわけです。こういうはざまにいらっしゃる方々に対しての支援というものを、すべてにわたって誰一人取り残さない、そういう支援を、ちょうど知事も聞いていらっしゃるので、お願いしたいと思います。 さて、2番目に質問いたしました、平城宮跡周辺の抜本的な渋滞対策と環境保全についてでございます。 知事は、今、事業期間が長くなるということと、費用対効果の面で、見直しを行うということでありました。そして、どの踏切かという質問に対しては、現在はっきりとお答えはできないということでありましたけれども、予算執行査定のときの定例会見では、新聞記者の方からも聞かれて、3つの踏切をなくすのだというお話をされました。担当者の方にもお聞きになっていたシーンが動画で残っておりますけれども、いわゆる菖蒲池第8号踏切、菖蒲池第7号踏切、菖蒲池第6号踏切ということでありましたが、今、おっしゃったように、これから様々な検討をしていく中で変わっていくものだという認識でいいのか、当初の3つの踏切をなくすことを念頭に行うのか、その点についてお聞かせください。
○副議長(池田慎久) 山下知事。
◎知事(山下真) 私の思いといたしましては、
近鉄大和西大寺駅より西側の踏切については、これを連立立体交差にすることで踏切を解消していきたいと、そういう思いは持っております。
○副議長(池田慎久) 27番大国正博議員。
◆27番(大国正博) それでは、平城第3号踏切はどのようになりますか、これは西側に当たるのでしょうか。
○副議長(池田慎久) 山下知事。
◎知事(山下真) それも、さきほど一般論で申し上げましたように、近鉄奈良線を高架化するということになると、近鉄京都線も高架化するということになりますので、その流れでいうと平城第3号踏切も解消されるのだろうと、一般論で言えばそうなるだろうと認識しております。
○副議長(池田慎久) 27番大国正博議員。
◆27番(大国正博) 当初の考えとは変わると、結果によれば、今後変わることもあるということと認識をいたしております。 問題は、国土交通大臣が指定をいたしました、踏切道改良計画に基づく改良すべき踏切道8つの踏切のうち、あと東側の4踏切に対してはどのような方針で臨まれるのか、お聞かせいただきたいと思います。
○副議長(池田慎久) 山下知事。
◎知事(山下真) そちらの踏切の渋滞の解消については、これからどういう方法があるか協議会で検討していくものと認識しております。
○副議長(池田慎久) 27番大国正博議員。
◆27番(大国正博) ただでさえ事業期間が長いということもあって、一旦止めて検討して、利用者、県民の皆さんに説明する期間も当然要るでしょうし、こういったことについてはスピード感を持ってやっていただきたいと思います。これは、今まで長年かけて協議をされてこの案に落ち着いてきているということもありますので、よろしくお願いしたいと思います。 それと、西九条佐保線と新大宮駅の平面交差になる問題で、渋滞は発生しないというような意味の答弁がありましたけれども、今でも渋滞しています。観光シーズンはもう大変な渋滞です。周辺の商店の方も大変困っていらっしゃいます。ここにアクセス道路として車がやってくる。定例会見で知事は、あと37年後でございますので、37年たてば人口も減っていくというお話をされております。しかしながら、京奈和自動車道が接続されて降り口ができますと、当然、車の台数も他府県から増えてきますし、今、知事がやっていただけると思っております少子化対策は何のためにあるかということも含めて、しっかりと見据えて方針を出していただければと思います。 さて、次、先ほど答弁がありました、文化庁が平成20年に策定いたしました特別史跡平城宮跡保存整備基本構想推進計画、この問題であります。 これは、今後おおむね20年の間、平城宮跡を整備するにあたって、国営公園として整備する際の基本的な国の方針として示されたものであります。ここに何と書いているかといいますと、「周辺地域との整合をはかった道路・鉄道の取扱い」ということで、「移設等を含めた将来のあるべき姿について、必要に応じ都市計画上の位置付けを行うことが求められる」と15ページに書いています。そして、17ページには、「維持管理等に際しては特別史跡内であることに配慮を求めるとともに、移設等を含め将来のあるべき姿については関係機関において協議・調整を図る」。さらには23ページには、「利用動線上の支障となる道路・鉄道の取扱い」ということで、「近鉄奈良線については、いずれも国営公園区域に含まれる予定である。これらは利用動線の観点からは支障となっており、関係機関において、移設等を含め将来のあるべき姿について、協議・検討を進めることが求められる」。さらには、3ページには、「関係の機関、団体との協力」の中で、「望ましい環境の実現をめざして、これらの機関、団体と連絡を密にすること」として、6番目の項目に、「近鉄奈良線軌道に関すること」が明記されております。 国は、課題があるよということを発信し続けております。その計画を受けて、先ほど知事が答弁した、同年12月の国土交通省近畿地方整備局の基本計画が、これをもとにつくられているということであります。 したがって、課題があるのです。奈良県の役割も書いてあります。特別史跡平城宮跡の管理団体として明記されています。ということは、県が動かないと、ずっとこの課題が残ってしまうということです。 だから、私たち県議団は、10月30日に文化庁に再度お話を聞きに行ってまいりました。近鉄奈良線の移設を行わない場合、特別史跡平城宮跡保存整備基本構想推進計画との整合性はどのようになるのかというお尋ねもさせていただきました。 文化庁は、課題は県とも、当然、共有していますよということをはっきりおっしゃいました。そして、凍結は残念だというお話。国の立場としては、県の動向を見守っておりますよと。そして、計画の方針、いわゆる国がつくったこの計画はこれからも変わりませんよということを確認しました。 こういう中で知事は、この計画に、こういうことがうたってあるということについて、査定の段階でご存じだったのかどうか、お聞きをしたいと思います。
○副議長(池田慎久) 山下知事。
◎知事(山下真) この特別史跡平城宮跡保存整備基本構想推進計画自体は読んでおりませんが、文化庁は史跡の保存を重視する立場でございますので、近鉄奈良線が存置されるということは、あまりウエルカムではないだろうという程度の推測はしておりましたけれども。 しかし、いずれにいたしましても、先ほど言いましたような40年という事業期間、そして、工事費と補償費を除いても1,300億円というかなりのお金がかかる事業でございます。その事業費を文化庁がどれぐらい出してくれるのかくれないのかは分かりませんけれども、かなり県や市の負担も大きいわけでございますから、そうしますと、理想はそうかもしれないけれども、実際にそのお金をどうやって捻出するのか。ここにそれだけのお金を使うのだったら、もっと子育て支援とか教育とか、ほかの分野に使った方が、より県民の理解が得られるのではないかと、そういう考えもございますので、文化庁のお考えは文化庁の考えとして尊重しつつも、実際にお金を出す県の立場も、文化庁に理解を求めていきたいと考えております。
○副議長(池田慎久) 27番大国正博議員。
◆27番(大国正博) それでは、この平城宮跡においては、環境保全の問題は存在しないと感じていらっしゃるのでしょうか。
○副議長(池田慎久) 山下知事。
◎知事(山下真) 環境保全といいましても、ここが国の公園として指定される前から近鉄は走っておりましたので。後から近鉄が走ったのだったらともかく、もともとあったわけですから、その近鉄があることで、さらにその遺構の保存とか、史跡の保存等に悪影響を与えているようなものではないと私は考えております。
○副議長(池田慎久) 27番大国正博議員。
◆27番(大国正博) でも、共通認識として、課題はある、県も共有していますよと。どなたが担当かは分かりませんけれども、一度、知事、聞いてみてください。きちんと、国ははっきりとそういうふうにおっしゃっていました。 次の問いは、あくまでも私の主観、感想でありますけれども、国営飛鳥・平城宮跡歴史公園整備区域、この区域というのは国土交通省が整備を図っている区域です。平城宮跡も飛鳥も含まれます、一体的に整備をするところでありますけれども、平城宮跡の環境保全の課題を、今、申し上げましたように、国として残しながら、知事は、飛鳥・藤原の宮都と関連資産群の世界遺産に登録支援を国にお願いをされております。 一方では課題が残ったままだけれども、こっちは登録し、今、こういうお願いを、言っていらっしゃるのです。だから、これはあくまで私の主観ですよ、私見ですよ、文化庁ははっきりおっしゃいません、はっきりおっしゃいませんけれども、だけれども、笑っていらっしゃいました。そういうことです、国から見たら。国が勝手に決めたということではなくて、さきほども繰り返しになりますが、関係団体はみんな知っていますよということで、これまで歴史があるわけです。だから、これまでの査定の、なぜ今回見直したかという最初の問いに戻るのですけれども、事業期間がかかります、お金がかかります、費用は高額です、というのはここだけではなくて、今、申し上げた、文化財の保存、世界遺産を守るという観点も入れていただいて検討すべきではないかと思うのですけれど、いかがでしょうか。
○副議長(池田慎久) 山下知事。
◎知事(山下真) お言葉ではございますが、近鉄奈良線の平城宮跡からの移設を取りやめたことで、飛鳥・藤原の世界遺産登録に支障があるということは全く考えておりませんし、全く別の問題であると考えておりますし、文化庁も、当然、確約はしてくれておりませんけれども、今回、飛鳥のいろいろな史跡が追加指定されるなど、国、県、市村、3者が足並みをそろえて、今、世界遺産登録に向けて努力しているところでございますので、逆に、そういうご質問は、国、県、市村の動きに水を差す質問ではないかと、あえて申し上げさせていただきます。
○副議長(池田慎久) 27番大国正博議員。
◆27番(大国正博) 私の個人的な感想と述べましたけれども、現実、よく調べてみると、抜本的な今回のタイトル、渋滞対策という中には、この平城宮跡を含め奈良の世界遺産をどう守っていくかという視点がないと、私は世界遺産登録も前に向くのが大変遅くなるのだろうと思います。 世界遺産に登録したから終わりではなくて、世界遺産に登録した後も、きちんと報告書が上がっています。奈良県の世界遺産の保存状況というのもきちんと出ています。恐らく来年は、移設は一旦、再検討という形になるのでしょうけれども、移設が、今、検討されているというような報告書も、私はきちんと見てまいりました。 こういった問題が様々にあるということは、ぜひ、知事の頭の中の片隅にでも入れていただいて、現状、私が勝手に言っているわけではなくて、先ほど言った、この基本計画には、きちんと明記されているということですので、もう一度、そういった認識のもとでお願いしたいと思います。 その上で、保存ができるという方法を考え出していただければと思いますので、繰り返しになると恐縮ですので、この辺で置いておきたいと思います。 いずれにしても、県政を前に、どのような県をつくるのか。そして、守るべきものは守り、そして前へ進めるものは進めていくという姿勢で、私ども公明党も、今後も是々非々で対応してまいりますので、よろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(池田慎久) これをもって、当局に対する代表質問を終わります。 21番浦西敦史議員。
◆21番(浦西敦史) 本日はこれをもって散会されんことの動議を提出します。
○副議長(池田慎久) お諮りします。21番浦西敦史議員のただいまの動議のとおり決することに、ご異議ありませんか。 (「異議なし」の声起こる)
○副議長(池田慎久) それでは、さように決し、明12月7日の日程は、当局に対する一般質問とすることとし、本日はこれをもって散会します。
△午後5時3分散会...