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  1. 奈良県議会 2020-11-01
    12月08日-04号


    取得元: 奈良県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-17
    令和 2年 11月 定例会(第344回) 令和二年        第三百四十四回定例奈良県議会会議録  第四号 十一月   令和二年十二月八日(火曜日)午後一時開議   --------------------------------          出席議員(四十二名)        一番 小村尚己          二番 樋口清士        三番 植村佳史          四番 川口延良        五番 山中益敏          六番 亀甲義明        七番 中川 崇          八番 小林 誠        九番 浦西敦史         一〇番 欠員       一一番 池田慎久         一二番 西川 均       一三番 乾 浩之         一四番 松本宗弘       一五番 大国正博         一六番 太田 敦       一七番 佐藤光紀         一八番 清水 勉       一九番 阪口 保         二〇番 井岡正徳       二一番 田中惟允         二二番 中野雅史       二三番 奥山博康         二四番 荻田義雄       二五番 岩田国夫         二六番 小林照代       二七番 山村幸穂         二八番 猪奥美里       二九番 尾崎充典         三〇番 藤野良次       三一番 和田恵治         三二番 国中憲治       三三番 米田忠則         三四番 出口武男       三五番 粒谷友示         三六番 秋本登志嗣       三七番 小泉米造         三八番 中村 昭       三九番 今井光子         四〇番 森山賀文       四一番 田尻 匠         四二番 山本進章       四三番 川口正志   --------------------------------        議事日程 一、当局に対する一般質問   -------------------------------- ○議長(山本進章) これより本日の会議を開きます。 会議時間を午後六時まで延長します。   -------------------------------- ○議長(山本進章) ただいまより当局に対する一般質問を行います。 順位に従い、二番樋口清士議員に発言を許します。--二番樋口清士議員。(拍手) ◆二番(樋口清士) (登壇)こんにちは。自由民主党の樋口清士でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 それでは、議長の許可を得まして、ただいまより一般質問を行います。 今回は文化・観光施策の推進について、文化財保護に向けた記録の保存について、県内企業におけるIT活用の推進についての三項目について質問いたします。 まず、一つ目の質問項目である文化・観光施策の推進について質問いたします。 平成十三年十二月に制定されました文化芸術振興基本法が平成二十九年六月に改正され、新たに文化芸術基本法として制定され、平成三十年三月には改正法第三条を踏まえ文化芸術基本計画(第一期)が策定されました。改正法の第二条には、基本理念の一つとして、文化芸術に関する施策の推進に当たっては、文化芸術により生み出される様々な価値を文化芸術の継承、発展及び創造に活用することが重要であることに鑑み、文化芸術の固有の意義と価値を尊重しつつ、観光、まちづくり、国際交流、福祉、教育、産業その他の各関連分野における施策との有機的な連携が図られるよう配慮されなければならないと明記され、文化政策と他の政策分野との連携が強調されました。 この規定を受ける形で平成二十九年十二月には文化経済戦略が策定され、平成三十年八月に文化経済戦略アクションプランが策定されました。文化経済戦略は、従来の文化振興を越えて、文化芸術を核とした成長と分配の好循環の拡大による文化芸術振興と経済成長の実現を目指すことが重要であるとの認識の下に、関係府省庁の緊密な連携の下、文化芸術と他分野が一体となって新たな価値を創出し、創出された価値が、文化芸術の保存・継承や新たな創造等に対して効果的に再投資されることにより、自立的・持続的に発展していくメカニズムを形成することを目指して策定されたものです。 戦略では次の六つの視点を整理しています。一つ目は未来を志向した文化財の着実な継承とさらなる発展、二つ目は文化への投資が持続的になされる仕組みづくり、三点目は文化経済活動を通じた地域の活性化、四つ目として双方向の国際展開を通じた日本のブランド価値の最大化、五つ目が文化経済活動を通じた社会包摂・多文化共生社会の実現、六つ目として二〇二〇年を契機とした次世代に誇れる文化レガシーの創出です。その上で六つの重点戦略を打ち出しています。一つ目として文化芸術資源(文化財)の保存、二つ目として文化芸術資源(文化財)の活用、三つ目として文化創造活動の推進、四つ目として国際プレゼンスの向上、五つ目として周辺領域への波及、新たな需要・付加価値の創出、六つ目として文化経済戦略推進基盤の強化です。また、改正法第四条では地方公共団体の役割として、基本理念にのっとり、文化芸術に関し、国との連携を図りつつ、自主的かつ主体的に、その地域の特性に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有すると明記されました。 奈良県におきましては、平成二十九年三月に本県の強みである歴史文化資源活用分野芸術文化振興分野の施策に力点を置き、平成二十九年度からおおむね五年間の施策の方向性を示す奈良県文化振興大綱を策定いたしました。この大綱において歴史文化資源活用分野芸術文化振興分野のそれぞれに二つずつ施策の目的を据えております。まず歴史文化資源活用分野では、一つ目として、歴史を通して日本全体、地域への文化の理解を深め、奈良に住まうことへの誇りと文化継承の機運を醸成すること、二つ目として、歴史文化資源を活用し、観光・まちづくりをはじめとした各分野における地域振興施策を行うこと。次に、芸術文化振興分野では、一つ目として、場所や時期にかかわらず、あらゆる世代の県民が芸術文化に親しみ、また自ら活動に参加する機会を創出するとともに、将来にわたって本県の芸術文化をリードする人材を育成すること、二つ目として、本県が、芸術文化の振興により、県民をはじめとして国内外の多くの方々が集い交流を深められる場となることを目指すことです。 他方、令和二年五月には文化観光拠点施設を中核とした地域における文化観光の推進に関する法律、いわゆる文化観光推進法が施行されました。推進法には拠点計画や地域計画の認定と支援措置が規定されており、この規定を踏まえて文化・観光の振興、地域の活性化の好循環を図ることを目的とする博物館等を中核とした文化クラスター推進事業が創設されました。令和二年八月に奈良県全域を対象とする、いかす・なら地域計画文化観光振興法認定計画に採択された後、令和二年十一月には明日香村を対象とする、明日香まるごと博物館地域計画が採択されたところです。今後、これらの計画に基づき、国の支援を得ながら文化の振興を起点とした文化観光を推進するための各事業が進められることになります。また、現在、県の特性を生かした文化の振興を体系化し、一体的、有機的に展開するため、奈良県文化振興条例の策定に向けた検討が行われているところです。このように、現在、奈良県においては歴史文化資源の継承と活用、芸術文化活動の振興を二つの柱とした文化政策観光政策とを整合させ、相乗効果を上げて、かつその成果を文化政策に対する再投資につなげる取組が求められております。 そこで、文化・教育・くらし創造部長に以下の二点についてお伺いします。 一点目です。歴史文化資源の継承と活用及び芸術文化活動の振興を柱とした文化政策について、今後どのように進めていくのかお聞かせください。二つ目です。文化・観光の振興と地域活性化の好循環を形成するため、文化の振興を起点とした文化観光について推進していく必要があると考えますが、今後、県としてどのように取り組んでいくのかお聞かせください。 次に、二つ目の質問項目である文化財保護に向けた記録保存について質問いたします。 平成三十年六月に文化財保護法が改正されました。この改正は過疎化・少子高齢化などを背景に、文化財の減失や散逸等の防止が緊急の課題であり、未指定を含めた文化財をまちづくりに生かしつつ、地域社会総がかりで、その継承に取り組んでいくことが必要であり、このため、地域における文化財の計画的な保存・活用の促進や、地方文化財保護行政の推進力の強化を図ることを趣旨としたものです。また、法第一八三条の二において、都道府県は文化財の保存・活用に関する総合的な施策の大綱を策定できるという形での規定がされました。 他方、奈良県では平成二十九年十月に、これからの文化財保護体系検討会議を設置し、体系素案を作成し、平成三十年四月には奈良県文化財保護体系推進会議を設置して、平成三十年十一月に第一回の検討会議を開催し、これからの文化財保護体系中間報告(案)を承認いたしました。現在、(仮称)文化財保存活用大綱の策定に向けた検討が進められているところです。 ところで、火災による文化財の滅失事例は少なくありませんが、これらの火災事故を契機として文化財の防火対策も強化されてきました。古くは昭和二十四年一月の法隆寺金堂の火災を契機として、昭和二十五年五月に文化財保護法が制定されました。近年では平成三十一年四月のノートルダム大聖堂の火災を契機として、令和元年九月に国宝・重要文化財(建造物)等の防火対策ガイドラインが作成されました。残念ながら、その直後の十月に首里城において火災が発生しております。さて、火災であれ経年劣化であれ、文化財は一度滅失すれば元には戻せません。しかし、確かな記録があれば、様々な形で往時の姿を見ることは可能ですし、技術が継承されていれば復原することも可能です。これからの文化財保護体系中間報告(案)では、文化財の把握の必要性を課題の一つとして挙げて、課題解決の方法として、自治体が主導し、県や大学の専門家等の外部の人材の協力を得ながら、地域住民が参加して文化財調査を行う新たなモデルを示す、市町村博物館市町村専門職、研究者等といった専門分野を持つコーディネーターが市民参加型の調査を行い、効果的な防犯対策や特別公開、データベース構築、情報発信などの総合的な保存・活用事業へとつなげるとしております。文化財がいつ滅失するか分からない状況にあることから、確かな記録を取り、その記録を確実に保存することが急がれます。 そこで、文化・教育・くらし創造部長に伺います。 文化財保護に向けた基盤として文化財の調査等による記録とその保存が重要と考えますが、現在の取組状況はどのようになっているのでしょうか。また、今後、県としてどのように取り組んでいかれるのかお聞かせください。 最後に、三つ目の質問項目である県内企業におけるIT活用の推進について質問いたします。 現代において、IT化の遅れは企業の競争力低下にダイレクトにつながるため、企業にとってIT活用の推進は不可欠な取組となっています。しかしながら、我が国の、特に中小企業のIT化は非常に遅れています。例えば全国中小企業取引振興協会が平成二十八年一月に中小企業基本法上の定義に基づく中小企業小規模事業者及び従業員百人以下の医療法人・社会福祉法人二万件を対象に実施した、規模別・業種別の中小企業経営課題に関する調査、これは有効回答数は四千三百二十社、有効回答率は二一・六%でございますが、これによれば、ITツール利活用状況については、電子メールの利用ですら全体の五四・一%しか利用されていない。売上高の規模別による四分位中、第一四分位数未満の、一番最小の企業群では三七・八%にとどまっています。また、基幹業務総合ソフト、ERP等の利用に至っては二一・五%並びに一一・四%と利用が進んでいない状況が確認できます。 また、奈良県内の状況を見ますと、南都経済研究所が令和二年七月から九月期に、個人事業を含む県内事業所を対象に実施した第百八十五回地元企業動向調査付帯調査、これは有効回答数が二百八十九件、有効回答率が三四・四%となっておりますが、これによりますと、IT投資を現在実施しておらず、かつ今後三年以内にする予定がないとする事業者が約三割となっております。平成二十八年の経済センサスによれば、県内製造業の従業者三百人未満の事業所数は三千八百三十四件ありますが、この製造業だけ取り上げても、この割合を掛けますと一千件以上の中小企業においてIT投資がない、あるいは投資の予定がないという状況が推定されます。 ここで、IT導入に対する意思決定プロセスにおいて障壁となっている事柄を、中小企業庁が二〇二〇年に実施した中小企業ITツール等導入プロセスにおけるナッジ活用の可能性に関する調査で見ますと、中小企業小規模事業者IT活用を進めることについて決裁権のある人のうち、経営課題や困り事の解決に当たる際に解決策としてIT化を選ばないとした人の割合は六一%ありまして、その理由として、有用性は認識しているが検討する余裕がないというのが四五・七%、課題がどのようにひもづくか分からない、これが三八・〇%、すぐに取り組む必要性を感じないというのが三一・八%、こういったものが挙げられており、必要性を認識するに至っていないケースが非常に多くなっております。 また、解決策としてIT化の必要性を認識したもののうち、取組が進んでいない割合が五五%となっており、その理由として、評判・費用対効果が分からないというのが五七・七%、合ったITが見つからないというのが五三・二%、多過ぎて選べないというのが四九・五%、こういったものが挙げられており、解決方法の選択に困難を抱えるケースが多くなっております。IT活用の推進は業務効率化、生産性の向上、さらには労働環境の改善による人材確保という面からも、これからの企業にとっての必要条件となっています。しかしながら、奈良県において企業のIT化が遅れていること、また、その原因として実行段階よりも前段階の問題、特に必要性を認識するという最も入り口の段階での問題が大きく横たわっているということが分かります。 そこで、産業・観光・雇用振興部長に伺います。 県内企業でのIT活用は今後ますます必要になると考えますが、県内企業IT活用の実態とその課題について、どのように認識しているのでしょうか。また、県内企業でのIT活用を推進するため、今後、県としてどのように取り組んでいくのかお聞かせください。 以上で、登壇しての質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本進章) 吉田文化・教育・くらし創造部長。 ◎文化・教育・くらし創造部長(吉田晴行) (登壇)二番樋口議員から私に対しまして三つの質問がありました。 まず一つ目は文化観光施策の推進について、歴史文化資源の継承と活用及び芸術文化活動の振興を柱とした文化政策の取組についてのお尋ねでございます。順次お答えいたします。 県では平成二十九年三月に奈良県文化振興大綱を策定し、記紀・万葉プロジェクトに取り組むとともに、ムジークフェストならや奈良県大芸術祭・奈良県障害者大芸術祭など歴史文化資源の活用と芸術文化振興を両輪として、文化の振興に取り組んでまいりました。文化振興大綱の策定後、文化財保護法等の改正により、平成三十一年四月に文化財保護行政教育委員会から知事部局に移管し、県の文化行政を一元化しました。これに伴い歴史文化資源の継承という視点も取り入れ、(仮称)文化振興条例の検討を進めてきたところでございます。現在検討中の条例案では歴史文化資源の継承と活用と文化活動の振興の二つを柱とし、県の文化振興を推進する内容としております。今後パブリックコメントを経て、来年の二月の議会に提案させていただく予定としています。 また、令和四年三月に開村予定の、なら歴史芸術文化村では文化芸術の取組に加え、観光や産業等の分野と連携した施策を実施することとしており、地域の魅力を高める先駆的な拠点となるよう、現在、施設の運営や活用策について検討を進めています。なら歴史芸術文化村は本県が目指す文化振興の象徴となる拠点施設の一つになるものと考えています。 今後、条例を制定することにより、文化の振興に努めることはもとより、観光をはじめとする他分野と連携した地域振興を図り、心豊かな県民生活や活力ある地域社会が実現できるよう取り組んでまいります。 二つ目は、文化・観光の振興と地域活性化の好循環を形成するため、文化の振興を起点とした文化観光についての取組についてのお尋ねでございます。 県では、文化施設や事業者が参画している協議会において、文化の振興を観光振興や地域の活性化につなげるため、文化観光推進法に基づく計画として、いかす・なら地域計画を策定し、本年八月に国の承認を受けました。この計画では、奈良国立博物館県立美術館万葉文化館橿原考古学研究所附属博物館などの文化施設や鉄道やバスの交通事業者旅行事業者、社寺と連携し、奈良を訪れる方が奈良の歴史文化資源の理解を深め、快適な周遊観光につなげていただけるような取組を実施することとしています。計画に基づく今年度の主な取組としては、地域の魅力あふれる伝統行祭事や仏像などを映像に収め、国内外に発信するほか、シンポジウムの開催も予定しています。また、文化施設では多言語化による展示解説の向上に取り組むとともに、誰もが利用しやすい施設とするため、バリアフリー化などの取組も進めているところでございます。 来年度以降は文化施設の入館料等のキャッシュレス化やWi‐Fi環境の整備、社寺の共通入館券の発行、宿泊事業者などと連携したナイトミュージアムの実施など、新たな取組も検討しており、より一層文化観光の振興につながるよう努めてまいります。 三つ目は、文化財保護に向けた記録の保存についてでございます。文化財の調査等による記録とその保存が重要と考えるが、現在の取組状況はどうか、また、今後どのように取り組んでいくのかとのお尋ねでございます。 県では、国や県の指定文化財に対して専門の職員が調査を行い、保存修理が必要な文化財に対する補助を行うなど文化財の保存に取り組んでおり、記録の保存についても重要であると考えています。県の建造物保存修理事業に係る記録につきましては、設計図や写真など紙の資料が多いため、今年度からこの資料の整理やデジタル化による記録保存に取り組んでいます。さらに、少子高齢化や過疎化に伴い、継承が困難となってきている無形文化財等の映像の記録や災害等による滅失毀損に備えるため、仏像の三D計測などの取組も進めているところでございます。 しかしながら、本県には種別が多岐にわたり、未指定も含めると膨大な量の文化財が存在しています。文化財の記録を体系的に整理するには、調査の範囲、優先度、手法、記録方法などについて様々な課題があります。また、効果的、効率的に作業を進めるためには、国やその他の関係機関との連携や役割分担も検討する必要があると考えています。現在、文化財保存活用大綱の策定に取り組んでおり、その中で文化財の保存と活用の基本的な方向性を明確にし、先ほど述べた様々な課題を踏まえて文化財の記録やその保存に取り組んでまいる所存でございます。 以上でございます。ご質問ありがとうございました。 ○議長(山本進章) 谷垣産業・観光・雇用振興部長。 ◎産業・観光・雇用振興部長(谷垣孝彦) (登壇)二番樋口議員の質問にお答えいたします。 私に対しましては、県内企業におけるIT活用の推進について、実態と課題の認識及びIT活用推進のための取組についてのお尋ねでございます。 本県のみならず、経済の成長のためには労働生産性の向上が不可欠でございます。今後、労働力の減少が見込まれる中で、県内企業が業務の効率化や生産性の向上のためITを活用することが重要であると認識しております。県内企業IT活用を支援するために、県では産業振興総合センターにおいてIT関連の技術相談にきめ細やかに対応しております。今年度はこれまでに百七十件の相談がございました。例えば、複数の生産設備の稼働状況をリアルタイムでモニタリングするシステムや、不良品を瞬時に識別して自動的に除去するシステムの構築などの相談に応じております。これらの相談を受ける中で、小規模な企業ほどIT活用ができていないという実態が明らかになってまいりました。その理由をお聞きしたところ、IT活用をしたくても詳しい技術者の確保ができない、社内でIT活用をするための人手と時間に余裕がない、IT活用にかかる導入コストに見合うだけの効果があるのかどうか分からないといったことが課題であることが分かりました。このような課題を踏まえ、県産業振興総合センターでは先ほど申し上げました技術相談のほかに月一回のペースでIT活用セミナーを開催しております。また、奈良県よろず支援拠点において、ITを活用した業務改善・事業拡大に関する経営相談を実施しており、今年度はこれまでに百八十件の相談を受けております。 このほか、国では中小企業向けIT導入補助金をはじめとした各種補助制度を設けています。さらに、国の外郭団体である独立行政法人中小企業基盤整備機構においてもIT活用のアドバイスや経営改善をサポートする専門家の派遣制度がございます。 今後、県としても県内企業IT活用を推進するため、こうした相談窓口や支援制度の積極的な活用を促し、国や関係団体とも連携して、よりきめ細かく支援していきたいと考えております。加えて、県内企業におけるIT活用の実態と課題について、引き続き多くの情報を集めて分析しながら、普及啓発や技術支援などを通じて県内企業におけるさらなるIT活用の推進に取り組んでまいります。 以上でございます。ありがとうございました。 ○議長(山本進章) 二番樋口清士議員。 ◆二番(樋口清士) 答弁ありがとうございます。 それでは、逐次各項目について再質問等いたします。 まず、文化政策の推進と観光振興についてでございますが、まず一つ目の質問なのですけれども、芸術文化の振興という部分に関して、奈良県文化振興大綱の中で芸術文化といえば奈良という奈良ブランドの確立ということが一つ掲げられています。この目標とする状態とはどのようなものかと想像しますと、日常的に県内の様々な地域で、いろいろな場所で、公園とか広場とか道路空間とか、あるいは公共空間も含めて、あるいは神社仏閣なども恐らくその場になると思うのですが、そういう舞台でいろいろな主体がいろいろな創造的な活動を繰り広げていると。こんな状態が奈良県で常時あるということがまずイメージできるのですが、そういうところを目指すべきではないかと私は思っております。そういうことをやっていこうと思うと、どんな手法が有効かと考えますと、その一つとして既に奈良県では、はならぁと、あるいは直近のところでは、MIND TRAIL奧大和、こういったものもありますが、こういう形で実践されているアートプロジェクトですね、地域課題を踏まえて様々に県民参加を促していく、そういう形でのアートプロジェクトを継続的に創出していくと。こんなことが有効ではないかと思いますし、そのために県独自として今言ったような施策、事業を実施していく、あるいは各地域で取り組まれることを仕掛けていく、支援していくといったことが県の取組として必要になってくるのではないかと考えます。 また、こういった仕掛けをして、また支援していく、あるいは継続性を持ってこれを進めていこうとしたときにアートマネジメントという概念が必要になってくるのかと。ちなみに、アートマネジメントの定義ですけれども、芸術作品を生み出すアーティストとそれを享受する観客との間を仲介し、社会の中で作品の発信や受容がスムーズに行われるためのシステムを構築する様々な業務の総称と定義されています。この中で特に三つの互いに相入れない要素、芸術的な卓越性を追及すること、人々の芸術へのアクセスを促し観客開発を行うこと、コスト面での効率性を追及し、運営における透明性をも確保すること、こういった各要素のバランスを取っていくという役割も求められているということなのですけれども、こういったアートプロジェクト、あるいはアートマネジメント、こういったことの必要性について県としてのお考え、あるいは取組等があれば、お聞かせいただけますでしょうか。 ○議長(山本進章) 吉田文化・教育・くらし創造部長。 ◎文化・教育・くらし創造部長(吉田晴行) 今、議員がお述べになりましたいわゆるアートマネジメントの関係でございますが、文化の振興のためにはそういった概念はやはり必要だと私どもも認識しております。県が主体的に今まで行ってきた事業につきましても、その点にある意味留意してきたつもりでございます。今後も効率的、効果的に文化振興事業を展開していく必要があろうかと考えておりまして、そのような概念、考え方の下、成果が上げられるよう努めてまいりたいと考えております。以上でございます。 ○議長(山本進章) 二番樋口清士議員。 ◆二番(樋口清士) ありがとうございます。 そういう認識はあるということ、必要性も認められているということで、特にアートマネジメントに携わる人とか組織というところをいかに確保あるいは育成するかというところが肝になってくるかと思いますので、その辺り、県としてというのか、県の中でその組織をつくるのか、あるいは外部に委ねていく部分も多分芸術文化という部分にはあるのだろうと思うのですけれども、外とのつながり方、そういうところをいろいろまた研究していっていただいて具体化していっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 次に、歴史文化資源というところに絡めての質問になりますが、歴史文化資源を活用した観光というのを考える際に、歴史や芸術の知識があってこそより楽しめる、関心を持って奈良に足を運んでもらえる、こういった知識、情報がないとなかなか楽しめないという分野ではあろうかと思います。例えばということで取り上げさせてもらいますが、記紀・万葉プロジェクトがございます。記紀・万葉という言葉、これは一般名詞として受け入れられているかどうか。万葉集、古事記、日本書紀とか、個別の名詞というのは多分認識されているのでしょうけれど、記紀・万葉と言ったときにそれが浮かぶかどうかといったことを少し疑問に思うところもあるのです。特にその中で名称は見聞きしているけれども、例えばその中にある歴史の物語であるとかあるいは万葉歌の心情、背景、こういったところまで深く知っている方は実は物すごく少ないのではないかと。こういった知識、情報を事前に提供する、あるいは学習するための取組ということを、やはり奈良県としてどんどんそういう情報も発信するということを含めて、あるいはそれを発信するための場づくりというか、そういったことも考えていく必要があるかと思うのですけれども、この辺り、今の取組の状況としてはいかがでしょうか。 ○議長(山本進章) 吉田文化・教育・くらし創造部長。 ◎文化・教育・くらし創造部長(吉田晴行) 歴史文化を楽しむためには、議員お述べのとおり、あらかじめ知識や情報を持って本県を訪れてもらうということは大変重要なことだと考えております。ご紹介のありました、例えば記紀・万葉プロジェクトなどでは、これまでから「出雲と大和」などの特別展を開催するほか、記紀・万葉名所図会シリーズの発刊、講演会やシンポジウムなどの開催によりまして、また併せてホームページなどによって広く発信してきたところでございます。今後もやはりこうした取組はしっかりと継続して取り組んでまいりたいと考えております。以上でございます。 ○議長(山本進章) 二番樋口清士議員。 ◆二番(樋口清士) いろいろ取組は進められているというところですが、例えばですけれども、記紀・万葉プロジェクトのサイトをこしらえられています。いろいろコンテンツもあって、いいサイトだと思って見ていたのですけれども、これは伺いますと、前年度二十五万八千件のアクセスがあったということです。今、データベースいかす・ならのサイトに関しては二十三万件のアクセスがあったと。一方、観光のなら旅ネットのアクセスが昨年度一千百三十万件あるのです。各コンテンツへのアクセスなので、訪問者はもっと少ないということになると思うのですけれども、少し桁が違うと。なら旅ネットのサイトを見ますと、記紀・万葉に飛ぶバナーもないということで、どういう形で記紀・万葉のページに入ってこられるかということもいろいろ考えて、アクセスの方法というのを、しやすい方法を考えないといけないのですけれど、少しこの辺考えていただく必要があるのではないのかと。 また、シンポジウムとかいろいろ講演会もされているのですけれど、もっと日常的にとか、ここへ来れば記紀・万葉が分かるという何か、いろいろな寺社では講話が聞けますよ、あるいは歴史的なものも含めて聞けますよとか、観光ボランティアというのは結構一般的になってきていますけれども、そういう方々の話が聞けますよとか、いろいろな形での情報提供の仕方があると思うのですけれど、そういうものを少しトータルで絵を描いていくことも必要なのではないかと。先ほどのアートマネジメントの話をしましたけれども、文化財に関してもそういうマネジメントというキーワードで方法論というのを考えていただく必要があるのではないかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。この文化政策を考えていくときに、やはり歴史で深みを増して、また芸術文化というそれを上積みしていく、積み重ねていって奈良の文化というのに厚みを持たせていく、こんな取組が必要なのだろうと思うのです。その上に観光というのが乗っかってくれば、そこに集客力のアップといったところに如実に成果として上がってくる部分があるのではないかと思いますので、ぜひ効果的な方法論というのを考えていただきたい。そのための組織、人材というのは大事だということを申し上げておきます。 次に、文化財保護に向けた記録保存ですけれども、全体像がなかなか見えにくい分野です。ただ、全体の見取図がないと、つまり、どういう文化財が奈良県内にあって、どこまでの調査がされて記録があって、ないのかということも含めて、やはり全体の見取図を一度作ってみる必要があるのではないのかと。そこを埋めていくのは誰だという、先ほど役割分担も言っておられましたけれども、そういうところ、根っこをつけていくためにも必要な作業ではないかと思いますので、そういう作業をするときに外部の機関等と多分つながっていかないとできないので、それを作業しながらそういうネットワークをこしらえていくということも、また後々の作業を進めていく上でも役に立ってくる部分ではないかと思いますので、そこをぜひ取り組んでいただきたいと思います。 この記録の残し方なのですけれど、データベース化の話があったのですけれど、実は電子データというのは非常に不確実なものだと。いつまであるか分からないし、形式、様式はどんどん変わっていくので、どうしても紙を残すという行為は必要だと。これは奈良文化財研究所の研究員の方からお伺いしたのですけれども。となると、紙の資料をどこで保存するかと。スペースの問題があります。これは県として何か準備されているものはあるのでしょうか。 ○議長(山本進章) 吉田文化・教育・くらし創造部長。 ◎文化・教育・くらし創造部長(吉田晴行) 議員がご指摘いただきました調査や記録の資料も大切でございます。現在、橿原考古学研究所の収蔵庫などに保管しております。今後も必要なスペースについては確保してまいりたいと考えております。
    ○議長(山本進章) 二番樋口清士議員。 ◆二番(樋口清士) ぜひそこの確保というのはお願いしたいと思います。いずれにしても全体の見取図を作って、それの作成も含めてロードマップを作って、計画的、効果的、効率的にその作業を進めていっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 最後に、IT化の話なのですけれども、先日の亀甲議員の質問に対して知事のほうからアンケート調査というのは少し慎重にということもあったのですけれども、ただ、自社でどういった課題、問題を抱えていて、ITの活用としてどんなものが利用できている、できていないという、何かそういうチェックリストみたいなものをこしらえて、それを答えていただく。その出てきたものを平均点なりを取って、お宅の企業はこういう位置づけになりますよ、こういう問題を抱えているのにこの利用ができていないというのはやはり少しやり方がありますよということで、個別に相談に乗っていける、あるいは自己診断ができるということもあるのかと思いますので、その辺りの調査をぜひやっていただきたい。これは県がやるということではなくて、県と市町村と、あるいは商工会議所とか、あるいは工業会みたいなああいう各団体があります。そういう傘下のところと連携を取ってやっていただくことが、センターのほうでいろいろ相談を受けているという話もあるのですけれど、一番の窓口はやはり商工会議所とかそういう一番身近なところにありますので、そことのつながりを上手につけながら企業に一番最初の入り口のところの意識というのを醸成していっていただいて、そこから先、セミナーとか有効な手だては既にあるわけですから、それを拡充していく方向で、また考えていっていただきたいということでお願いいたしまして、質問を終わります。 ○議長(山本進章) 次に、四番川口延良議員に発言を許します。--四番川口延良議員。(拍手) ◆四番(川口延良) (登壇)皆さん、こんにちは。山本議長の許可をいただきましたので、ただいまから一般質問をさせていただきます。天理市選挙区選出、自民党絆の川口延良でございます。 質問に入ります前に、先日、私の子どもが小学校から大和茶をもらって帰ってまいりました。同封されていた手紙を読みますと、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により、奈良県の特産品である大和茶においてもインバウンドの減少や需要の停滞によって大きな影響が生じたため、一般社団法人奈良県茶業会議所から農林水産省の茶販売緊急対策事業を活用して、この機会に大和茶を知ってもらうための取組とのことでした。頼まれたわけでもございませんけれども、ご縁あって私の下までおいしいお茶が届きましたので、奈良テレビをご覧の皆様にも現状を知っていただければと、思いを伝えさせていただきます。コロナ禍を単に悲観的に捉えず、この機会にお茶のみならず県産の農作物や県内の観光資源や魅力を再発見する機会と捉えて、感染防止と社会経済活動の両立を図り、県民一丸となってこの危機を乗り越えていかなければいけないと思います。イギリスでは今日にもワクチンの接種が始まるようであり、明るい兆しも見えてまいりました。安全性や流通体制の整備への懸念が残るものの、二〇二一年こそは新型コロナウイルス感染症の影響が少ない年となりますことをご祈念申し上げまして質問に移りたいと思います。 まず初めに、なら歴史芸術文化村について質問させていただきます。 なら歴史芸術文化村は、県が誇る歴史文化資源に触れ、また、質の高い文化芸術イベントを体験できる歴史芸術文化活動の拠点となる施設であり、奈良の歴史文化や芸術文化を知る、学ぶ、楽しむことを通じ、本物に触れることで新たな視点、感性が生まれる場所を提供することをコンセプトに進められていました。平成三十年度には国土交通省が地域活性化の拠点となる優れた企画があり、今後の重点支援で効果的な取組が期待されるものとして、重点道の駅に選定され、農作物直売所や産直レストラン、伝統工芸品ショップなど、観光、産業などの分野と連携した取組を期待されています。一時は文化財修復・展示施設棟が傾斜する変動が確認されましたが、その後、整備工事が進み、周辺から建物の外観も確認できるようになり、地元天理市でもようやくこの施設への期待感が高揚してきたように思われます。 これまで様々な検討が行われる中、専門家を招き八月三十一日、東京都で開催された会議を含め十二回の検討委員会が開催されました。意見のあった、文化村へのアクセスについて利便性の確保や、最先端技術等を活用した取組の展開等は施設運営の重要な課題であると認識しています。特に立地場所として選定された天理市杣之内町は日本最古の道、山の辺の道に隣接し、県内の周遊観光を考える上で、県北部と中南和地域の間に位置する重要な役割を果たす一方で、天理駅から直線で約二キロメートルの場所に位置し、公共交通機関が近くにないことから、アクセス方法についても具体的に示す時期が迫っているように思います。また、日本で初めてとなる文化財四分野、仏像等の彫刻、絵画・書跡等、歴史的建造物、考古遺物の修復作業現場の通年公開や国内外から招いたアーティストの制作活動の公開、未就学児を対象としたフリーアートプログラムなど文化財保存や修復などの貴重な技術を間近に触れられ、伝統工芸品の展示やものづくりを体験できるワークショップなどの取組展開に向けて準備を進めていく必要があると思います。 一方で、十一月三十日をもって指定管理の参加表明が締め切られたところでありますが、持続的な施設運営を行うには地域に根差した取組を進める必要があり、地元をはじめ県内関係機関・団体との協力関係の構築は重要であると考えます。既に民設民営のホテルとして決定しているフェアフィールド・バイ・マリオネット・奈良天理との連携も求められ、指定管理者としての役割は極めて重要であると考えます。 そこで、文化・教育・くらし創造部長にお伺いします。 施設運営の中で県直営の部分と指定管理が担う部分が分かれていることは承知しておりますが、令和四年三月まで残すところ一年余りと開村時期が迫っている中、なら歴史芸術文化村の開村に向けた運営準備などの現在の状況についてお伺いいたします。 次に、自然体験活動を取り入れた保育・幼児教育の推進について質問を行います。 二〇一九年十月一日から幼保無償化がスタートし、幼稚園、保育所、認定こども園などを利用する三歳から五歳児クラス、住民税非課税世帯の〇歳から二歳児クラスまでの子どもたちの保育料が無料になり、認可外保育施設については共働きなど保育の必要性がある家庭が対象となっています。 一方で、対象外となっているのが森や川など自然をフィールドとして自然活動や体験を基にした子育て、保育を行ういわゆる森のようちえんであります。一九五〇年代にデンマークでエラ・フラタウという一人のお母さんが森の中で保育をしたのが始まりとされています。ドイツのヴァルト・キンダーガルテンは一般に森の幼稚園と翻訳され、自然体験活動を基軸にした子育て・保育、乳児・幼児教育などの事業形態を取っています。森のようちえんという名称であっても森は森だけでなく、川や海、野山、里山、畑、都市公園など広義的に捉えた自然体験をするフィールドを指し、ようちえんは幼稚園だけでなく保育園、託児所、学童保育、自主保育、自然学校、育児サークル、子育てサロン・ひろば等が含まれ、集団で活動する場を示しています。森のようちえんでは、暑い日も寒い日も雨の日も雪の日も全て森林の中で活動を行い、体よりも大きなリュックを背負い、自然を教材にたくさんの不思議と出会い、豊かな感性を育んでいきます。子どもたちの自然体験活動は教育の上でも重要であり、学校教育法では、学校内外における自然体験活動を促進し、生命及び自然を尊重する精神並びに環境の保全に寄与する態度を養うこと、と定められています。自然学習の重要性は就学前の児童も同様に重要であります。 また、自然環境を生かすだけでなく、自己尊重や自己決定の過程を大切にするような教育姿勢となっており、森のようちえんで我が子を育てたいと希望する保護者も増えています。自分で主体的に考えて決める自己決定力は実体験を通じて培われていきます。森の中で遊んだり、シンプルな木のおもちゃで創造性を鍛えるといった木育の取組も大きな注目を集めています。 森のようちえんの活動が認可や認可外の幼稚園や保育園に劣らないどころか、それ以上の質を実現しているにもかかわらず、無償化の対象とされていないのは無償化制度の欠陥でしかないと考えます。現行制度では認可保育所等には園舎や園庭が必要であり、認可外保育施設についても園舎等を確保した上で行政への届出が必要です。しかし、森のようちえんは自然環境そのものを教室とする考え方で、必ずしも施設を必要としません。一部では園舎を整備し、認可外保育施設として届け出る動きもありますが、本来必要のない園舎の設備を負担することで余計な費用がかさみ、型にはまらない多様な保育が置き去りにされているのではないでしょうか。他府県では森のようちえんの認知度や信頼性の向上、また、自然体験活動を実施する保育の充実を図るため、県独自の認証制度を創設し、その活動を支援する取組があります。多様性を求められる中、保育園に通わせたい保護者もいれば、幼稚園に通わせたい保護者もいます。そうした多様なニーズの一つの選択肢として森のようちえんがあってもいいと思います。 そこで、こども・女性局長にお伺いいたします。 県として森のようちえんに対する独自の認証制度の創設等、自然体験活動を取り入れた保育・幼児教育を推進していく必要があると考えますが、県の方針と現在の取組についてお伺いいたします。 次に、新型コロナウイルス感染症の影響下における保育の実践についてお伺いいたします。 二月以降、新型コロナウイルス感染症の影響で、これまで健康な人はマスクをする必要はなく、花粉症やほこり対策として使用するという固定観念を大きく変え、マスクにはウイルスの拡散を抑える効果と吸い込むウイルスを減らすなど一定の効果があることを理由に、今では自己防衛としても大きな存在感を示しているのがマスクではないでしょうか。マスクに感染症予防の効果はないとしてきた世界保健機関やアメリカ疾病予防管理センターがマスクにも一定の感染予防効果があるという見解を示したため、マスク不要論を唱えてきた各国政府も国民にマスクの着用を促すようになりました。 一方で、マスクを着用することによって言葉や音声以外のコミュニケーション、いわゆる非言語コミュニケーションが制限されることにより、円滑なコミュニケーションが妨げられるというコロナ禍の課題が明らかとなりました。コミュニケーションに与える影響を示したものとしてメラビアンの法則というものがありますが、人に影響を与える情報の割合は、話の内容などの言語情報が七%、声のトーンや話の速さなど聴覚情報が三八%、見た目などの視覚情報が五五%が目安だとされています。つまり、目から入る情報が半分以上を占め、特に顔の中でも動きが大きい口元からの情報が制限されるため、表情や感情が読み取りづらく、コミュニケーション上の擦れ違いが起こりやすくなると言われています。大人であれば他の方法を選択できますけれども、特に言語獲得期の子どもは、保育士がマスクを着用していると、相手を心配している気持ちなどを表情からは捉えにくい。子どもは言葉や歌など、口の動きを見て言っていることを理解する時期で、意思の疎通が難しいなどが挙げられます。 子どもの言葉の発達には三つの要素があると言われます。一つ目は音声を聞くこと。低月齢の赤ちゃんでもママやパパが呼びかけると目で追ったり、手足を動かしたりして反応するように、言葉の発達には聴力が欠かせません。二つ目、口の動きをまねすること。赤ちゃんはママやパパの目をじっと見始め、次に口の動きに興味を示します。ばばばばば、だだだだだなどの喃語を発して口の動きを練習する時期に、目で見て口の動きを学び、まねをしようともしています。三つ目、相手の表情や視線などを読み取ること。相手が話す言葉の意味が分からない時期でも、子どもは相手の表情や視線などを見ることで、怒っている、喜んでいるなどの気持ちを察します。 しかし、コロナ禍の中、マスクをする機会が増えたため、小児科医や発育・発達の専門家などからは長期間マスクをすることで乳幼児の言語やコミュニケーションの発達、心理的な影響などを不安視する声も聞かれます。保育士の役割には、食事やトイレ、着替えや手洗い、歯磨き、睡眠など基本的生活習慣を身につけさせるだけでなく、子どもの学び、子どもの育ち、保護者の方と離れている間は親代わりとなって子どもと関わる必要全体を支えていく必要があります。感染防止対策はもちろん重要でありますが、言葉の習得等を育んでいける環境を守っていくことも同時に大事だと思います。 そこで、こども・女性局長にお伺いいたします。 新型コロナウイルス感染防止対策を講じながら、言葉の習得等、子どもの健やかな発達を促す保育を実践していくことについて県の考えをお伺いいたします。 次に、食の魅力を活用した観光振興についてお伺いいたします。 新型コロナウイルス感染症の影響で世界が鎖国状態になって約八か月、各国における感染防止対策はそれぞれでありますが、再びニューヨークの一部地域がロックダウン、パリではバーが営業停止になるなど、治療薬やワクチンの確立がされるまでは一進一退の状況が続きそうです。我が国でもこれまで順調に伸び続けてきたインバウンド消費が大幅に減少し、本来であれば東京オリンピック・パラリンピックを皮切りに日本のよさが世界に広がり、日本のインバウンドが第二ステージに進んでいたはずです。しかしながら、国際移動そのものが停止している今、観光産業、そして飲食産業をはじめ、経済全体にも回復の見込みは立ちません。大手旅行会社のJTBの調べによりますと、新型コロナウイルス感染症の影響前は年間二千万人が海外旅行に行き、消費額四兆四千八百億円となっております。今後は海外から国内へ旅行先が変更になる可能性が高く、本県としてもGo Toキャンペーンなどを活用し、さらに観光客を迎える体制づくりを構築する機会が必要だと考えます。 さて、このたび二〇二〇年の都道府県魅力度ランキングが発表され、一位に選ばれたのは北海道で、何と十二年連続のトップとなりました。二位は京都府、三位には沖縄県がランクインし、昨年三位の東京都は一つ順位を落とし、四位となりました。気になる奈良県は七位にランクインし、過去十年間、五位から七位を推移し、常に上位に位置しています。調査を行ったのは民間調査会社で、四十七都道府県と国内一千の市区町村を対象に、認知度や魅力度、イメージなど全八十四項目から全国の消費者三万一千七百三十四人を対象に調査されました。この調査で魅力度がほぼ同じ結果となった近畿の大阪府三十一・九点と奈良県三十・六点について比較してみると、大阪府が近畿居住者の魅力度が突出しているのに対し、奈良県は国内から平均に魅力的と回答されています。年代別では大阪府が二十歳代など若年層の魅力度が高いのに対し、奈良県は高年齢層の魅力度が高い傾向と集計され、ほぼ同じ魅力度でも地域ごとに特徴が見られました。 奈良県の特徴は、豊かな自然と歴史文化に囲まれた古代から万葉の世界観が満載で、その魅力が県内各地、随所にあることだと思います。十一月七日には山の辺の道ガストロノミーオンラインツアーが開催されました。天理市と桜井市をつなぐ日本最古の道とされる山の辺の道に沿って、美しい景観と歴史遺産はもちろんでありますが、刀根早生柿や穴師のミカン、三輪そうめん、地酒などの特産品にもスポットを当て、ご紹介いただきました。 新しい生活様式の中で、オンラインツアーは新型コロナウイルス感染症が収束するまでの手法としてだけでなく、生産者支援など目的と組み合わせてバーチャルフードツアーとしての付加価値を生み出す貴重な機会になります。また、国連世界観光機関、UNWTOが二〇一五年から毎年開催しているUNWTOガストロノミーツーリズム世界フォーラム二〇二二年の世界大会について、まだ開催地は決まっていないものの、日本の開催候補地を奈良県に決定されました。観光庁による訪日外国人旅行客へのアンケート調査では、訪日前に期待していたことの項目の第一位は日本食を食べること、第二位がショッピングとなっています。和食は二〇一三年にユネスコ無形文化遺産に登録され、食と旅をリンクさせるガストロノミーツーリズムに注目が集まっています。本県の強みである日本屈指の世界遺産、国宝建造物など歴史文化資源に加えて、大和牛、ヤマトポーク、大和肉鶏といった畜産ブランドをはじめ、イチゴや柿など果実、大和野菜、そうめんなど食の魅力を発信することは大変重要だと考えます。 そこで、観光局長にお伺いいたします。 新型コロナウイルス感染症の収束後を見据え、オンラインツアーなど新しい手法や食の魅力といった新しい観光素材を活用して観光振興に取り組むことが重要だと考えますが、県としてどのように取り組むのかお伺いいたします。 最後に、コロナ禍での県立高等学校の入試対応についてご質問させていただきます。 冬本番を迎え、新型コロナウイルス感染症はこれまでにない大きな波として日本中に広がっています。気温、湿度の低下という環境要因に、やや制御が困難な感染拡大の様相を呈し、第三波との指摘もあります。こういった状況の中で、人生の岐路に立った受検生とその家族にとって、例年とは大きく異なる状況に不安を抱えながらの受検となり、新型コロナウイルス感染症はまさに目に見えない敵となっています。地域によっては休校期間が長かったり、部活などの大会が中止になったりなど、例年とは大きく状況が異なるため、文部科学省から各自治体へ二〇二一年度の高校入試において、このような状況を配慮するようにとの通知が出ています。 この通知では、スポーツ・文化関係の行事、資格検定が中止や延期になったことによる不利益を被ることがないようにすること、出席日数や学習評価の記載内容、諸活動の記録が少ないことによって不利益を被ることがないようにすることのほか、高校入試における出題範囲や内容、出題方法について必要に応じた適切な工夫をすることとされています。 こういった状況を踏まえて県教育委員会は、県立高等学校の入試について、県内全ての市町村立の中学校の校長と県内におよそ一万人いる全ての中学三年生などにアンケート調査への協力を依頼し、その結果、数学、理科、社会の三教科は出題範囲を縮小、国語と英語は入試までに出題範囲の学習を終えられると判断したため、縮小しないと決定されました。また、八月三十一日には新型コロナウイルス感染症にかかる対応方針の中で、二〇二一年度県立高等学校入学者選抜において新型コロナウイルス感染症に罹患した受検者には学校独自検査として筆記試験は行わず、口頭試問を課すことなどが示されました。しかし、対応方針だけでは読み取れない受検当日の対応、例えば発熱がある場合の取扱い、発熱はないものの、せき等の症状がある場合の取扱いなど、感染症対策を重んじた受検方法が必要であると考えます。 そこで、教育長にお伺いいたします。 受検生にとって新型コロナウイルス感染症の影響を最小限にとどめ、安心かつ公平な入試の仕組みをどのように構築するのか、教育長の意気込みをお伺いいたします。 以上で、壇上からの質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(山本進章) 吉田文化・教育・くらし創造部長。 ◎文化・教育・くらし創造部長(吉田晴行) (登壇)四番川口議員から私に対しまして、なら歴史芸術文化村について、令和四年三月の開村に向けた運営準備などの現在の状況についてのお尋ねでございます。お答えします。 なら歴史芸術文化村の建物につきましては、十月末に本体工事が竣工し、令和四年三月の開村に向けて、今後、外構工事等の関連整備を進める予定です。また、開村後に活用するソフト面のコンテンツとして、既に文化財の修復に関する解説映像の制作に取り組んでいます。さらに、就学前教育の実践として取り組む予定のアートプログラムなどの準備も進めており、一月十六日、十七日にはイオンモール大和郡山において幼児と保護者を対象としたプレイベント、ならっ子アートスタジオを開催する予定です。 運営面においては、十月十六日から指定管理者の選定手続を開始したほか、施設の利便性や集客性向上が図られるよう、バスアクセスの検討なども行っています。また、東京都の奈良まほろば館でのパネル展示や首都圏をターゲットにした教育旅行誘致の働きかけなど、開村を見据えたプロモーションも展開しています。 今後、この施設を核に様々な取組が広がるよう、文化財や芸術など各分野の専門家から施設の活用策などについて、より具体的な意見や提案をいただくため、なら歴史芸術文化村コミッションを設置し、今月二十一日に天理市内で第一回会議を開催する予定です。来年度には、今年度中に選定を予定している指定管理者のほか、ホテル事業者、民間の文化財修復団体等の施設入居機関、また、観光・産業等の関係団体で構成する運営協議会を設置し、施設運営に関し幅広く意見交換・調整を行いたいと考えています。開村に向け着実な施設整備と積極的なプロモーションを行うとともに、有識者や関係者などの意見を十分に踏まえ、施設の運営や活用策などについてさらに検討を深めてまいります。 以上でございます。ご質問ありがとうございました。 ○議長(山本進章) 金剛こども・女性局長。 ◎こども・女性局長(金剛真紀) (登壇)四番川口延良議員のご質問にお答えいたします。私へは二つのご質問をいただいております。 まず、一つ目のご質問は、自然体験活動を取り入れた保育・幼児教育の推進について、県の方針と現在の取組についてのお尋ねでございます。 乳幼児期の子どもたちは、自然の中で生物や植物に触れてのびのびと遊ぶ中で、自然の美しさや生命の力強さに感動する体験を重ねることにより、豊かな感性や好奇心が培われ、身体機能が育まれます。このことから、自然体験活動の実践は保育・就学前教育の重要な柱の一つであると認識しております。本県は里山や公園、寺社など豊かな自然や地域資源に恵まれているため、これらを生かして自然体験活動を実践する人材を養成し、活動を普及・定着させていきたいと考えております。このため、県は全国百十八の自治体により構成されている、森と自然の育ちと学びの自治体ネットワークに参画しており、このネットワークが主催する研究会において、自然体験活動による子どもの発達への効果や、活動を実践する人材の養成方法等について理解を深めているところでございます。 また、来年秋にはNPO法人森のようちえん全国ネットワーク連盟主催の全国交流フォーラムが本県で開催されます。このフォーラムは多様な自然体験活動を知る大変よい機会となることから、保育関係者等に多く参加していただけるよう、市町村や関係団体等と連携し、周知をするなど支援させていただきたいと考えています。 さらに、県では来年度、就学前教育の理念と展開方策についての基本方針を策定することとしており、この中で、施設類型や施設の有無にかかわらず、積極的に自然体験活動に取り組む施設・団体を認定する制度も含め、活動の普及・定着のための具体的取組を検討してまいりたいと考えています。 次のご質問は、新型コロナウイルス感染症の影響下において感染防止対策を講じながら、保育を実践していくことについての県の考えのお尋ねでございます。 保育の現場では新型コロナウイルス感染症から子どもを守るため、保育士はマスクを着用しています。しかし、子どもたちが不安を感じずに、できるだけいつもどおりの生活ができるよう、年齢を区分して運動会等の行事を実施したり、給食時間をずらすなど、各施設で工夫して感染防止対策に取り組んでいただいています。議員お述べのとおり、保育士がマスクを着用していることで子どもが表情を読みにくくなるため、感染防止対策の徹底と、従来どおりの保育を実践することとの両立に大変苦労していただいていると認識しております。 県では引き続き感染防止対策を講じながら保育を実施していただくに当たり、保育施設に対し次の二点について改めてお願いしたいと考えています。第一に、マスク越しであっても子どもとのコミュニケーションがうまく取れるように、身ぶりや手ぶりを多用して子どもに接していただくとともに、子どもが安心できるよう、これまで以上に視線を合わせた声かけやふれあいを心がけていただきたいこと。第二に、施設における保育の内容や子どもの様子を保護者に十分お伝えし、家庭においても親子に安心感を与えていただきたいこと。これらのことについて施設に対して周知させていただきます。 また、感染防止対策を講じながら子どもの健やかな成長を促す保育の実践について、保育関係者や有識者等とともに留意点やさらなる工夫を検討することとしています。この中で、例えば保育士の口元の動きが分かる動画を活用した食事の指導など、各施設で実践できる取組を検討し、参考にしていただけるよう情報提供してまいります。 以上でございます。ご質問ありがとうございました。 ○議長(山本進章) 土屋観光局長。 ◎観光局長(土屋直毅) (登壇)四番川口議員のご質問にお答えいたします。 私に対しては、食の魅力を活用した観光振興につきまして、オンラインツアーなどの新しい手法を含めた県の取組に関してのご質問でございます。 観光は本県経済において大きな役割を担っておりまして、新型コロナウイルス感染症の影響で落ち込んだ観光産業の回復は極めて重要でございます。この観点から新たな手法や素材に着目し、観光地としての新しい魅力づくりにも取り組んでおります。例えば、議員にもお述べいただいたところでございますけれども、旅の大きな楽しみの一つである食を主たる目的に訪れてもらい、併せて歴史文化を味わってもらうという観光スタイル、ガストロノミーツーリズムの展開を進めているところでございます。具体的には新たな食材やメニューなどの掘り起こしを行い、食の魅力向上と充実を図るとともに、農業体験や酒蔵見学など食をテーマとした観光素材の開発を進めております。また、UNWTOガストロノミーツーリズム世界フォーラムの誘致に向け、県内の機運醸成を図る目的でガストロノミー国際シンポジウムを開催しております。今年度は今月十六日に奈良県コンベンションセンターで開催する予定でございます。 さらに、コロナ禍における魅力発信の新たな手法として、オンラインの活用にも取り組んでおりまして、例えば、先般実施いたしました山の辺の道ガストロノミーオンラインツアーでは、地域の魅力に触れたことで実際に行きたくなったという声が多数あるなど、誘客手法としてのオンラインツアーの可能性を認識したところでございます。また、世界各地で開催される旅行商談会にもオンラインで参加しております。今後とも新たな素材や手法を活用いたしまして、本県の魅力発信に取り組んでまいります。 私からは以上でございます。ご質問ありがとうございます。 ○議長(山本進章) 吉田教育長。 ◎教育長(吉田育弘) (登壇)四番川口延良議員のご質問にお答えいたします。 私には、コロナ禍での県立高等学校の入試対応についてお尋ねでございます。 新型コロナウイルス感染症対策として学校の臨時休業が続いたことから、高校入試の出題範囲を検討するため、本年五月に中学三年生対象のアンケートを実施いたしましたところ、七一・八%の生徒が学習の進度等に関して不安があるとの回答がございました。このため、高校入試の学力検査の社会、数学、理科については入試直前に学習する部分を出題範囲から除き、併せて英語では英単語集を作成し、既に公表いたしております。 現在、中学三年生にとっての最大の不安は、感染した場合や濃厚接触者となった場合において、高校受検で不利にならないかどうかであると考えております。このため、不安なく入試を受けることができるよう選抜方法の工夫を行います。具体的に申し上げますと、PCR検査での陽性者やPCR検査の結果が出るまでの濃厚接触者は受検ができませんが、追検査を個人個人、個別の日程で行うことは既に公表いたしました。この追検査は学力検査と同じ教科の口頭試問を実施いたしまして、調査書と合わせて合否を判定いたします。なお、追検査の合否は定員を超えて判定するため受検者の不利にはなりません。また、PCR検査で陰性の濃厚接触者などは感染対策に万全を期した上で、在籍する中学校で受検できる方向で検討を進めております。これら入学者選抜における特別の対応につきましては、今月十日に開催する定例教育委員会でガイドラインを決定して、県教育委員会のホームページ上で公開いたします。 最後に、私の意気込みを申し上げます。中学三年生が自分の持てる力を新型コロナウイルス感染症によって発揮できない、このようなことは県立高等学校の入試では絶対に起こしません。 以上でございます。どうもありがとうございました。 ○議長(山本進章) 四番川口延良議員。 ◆四番(川口延良) 各担当部局長におかれましては、ご答弁を賜りましてありがとうございました。 なら歴史芸術文化村については本年度中にも指定管理者が決定するということでございますし、楽しみにしております。また、県が直接運営いただく分については、やはり学習できる場所ということですので、修学旅行や、あるいは県内の社会見学の場所としても活用いただけるような、これだけいいハード整備をしていただいておりますので、たくさんの来場者が来ていただける取組をぜひ期待しております。 また、自然体験活動を取り入れた保育・幼児教育についてでございます。本年度中に基本方針を策定して、施設の有無を問わず認定していただけるということです。既に岐阜県や長野県、鳥取県においては独自の認証制度を創設して、こういった取組を行っていただいております。国でも約十七名の発起人をもって、森のようちえん振興議員連盟を立ち上げられました。質問の中でも申し上げましたけれども、国がつくった制度の欠陥ですので、本来はやはり国が整備しないといけないと私も思っておりますけれども、現場に立つ市町村であったり、県ができるだけ早急に対応していただきたいと思っております。 また、併せてコロナ禍における保育の実践についてご答弁いただきました。本当に心強く思っておりますし、何よりも子どもが安心して健やかに育てる環境づくりがある。それが一言で親としても安心できるのではないかと思っておりますので、引き続いてできる限りの中で対策を講じていただければと思います。 また、食の魅力を活用した観光振興ということです。オンラインツアーについては、私はオンタイムで見ることはできませんでしたけれども、後日、パソコンから拝見させていただきました。これがオンラインツアーのよさでありますし、場所や時間を選ばないという特徴があります。コロナ禍の中ですので、海外でもこの情報というのは提供できますし、今後、十二月十六日のガストロノミーツーリズムのシンポジウムもオンラインでも参加できるということなので、ぜひ楽しみに参加させていただきまして、また私自身も勉強させていただきたいと思います。 最後に、コロナ禍での県立高等学校の入試対応ということでご答弁いただきましてありがとうございます。絶対に不利がないようにという強い意気込みをいただきましたので安心いたしました。ぜひぜひ最後の最後まで対応が大変だと思いますし、今なおいろいろな協議もされていると理解しております。何よりも教育現場の前に立っていただいている教員の先生方にも感謝を申し上げないといけないと思っておりますので、引き続いての対応をよろしくお願い申し上げます。 以上で、私の質問を終わります。ありがとうございました。 ○議長(山本進章) しばらく休憩します。 △午後二時二十分休憩    -------------------------------- △午後二時三十九分再開 ○副議長(乾浩之) 休憩前に引き続き会議を開きます。 次に、三十一番和田恵治議員に発言を許します。--三十一番和田恵治議員。(拍手) ◆三十一番(和田恵治) (登壇)私は桜井市選挙区選出の会派創生奈良の和田でございます。 四問について質問します。 まず、第一問目は記紀・万葉プロジェクトについてです。 古事記完成が七一二年、日本書紀編さんが七二〇年にされて、今年で一千三百年がたちました。今年は二〇二〇年、記紀・万葉プロジェクトの集大成年と位置づけ、私も鑑賞し、東京都で開催した日本書紀成立一三〇〇年特別展「出雲と大和」は大きな反響を呼びました。また、今年は藤原不比等没後一三〇〇年、続く二〇二一年は聖徳太子没後一四〇〇年の年に当たります。現在はコロナ禍で閑散とした奈良でありますが、毎年、観光客、インバウンドでにぎわい、観光旅館やホテルも建ち、観光の環境整備も充実してきました。そのかいがあってか、奈良を訪問する観光客数も年々増え、昨年は過去最多を記録しました。しかし、残念ながら、奈良県内の記紀・万葉の地である桜井市をはじめとした中南部を訪れる観光客はあまり増えておらないというのが現状です。奈良県には、ご存じのように、奈良時代の都、平城京や奈良公園など観光資源が豊富です。しかし、もう一つ他府県ではまねのできない誇るべき大事なことは、本県が日本史の歴史と文化の発祥の地であるということです。日本史の源流、言わば古代史の原点を持っており、記紀・万葉プロジェクトは、全国に向けて効果的に発信していくべきだと考えています。 そこで、知事に二点お聞きします。 まず一点目として、藤原不比等没後一三〇〇年や聖徳太子没後一四〇〇年などに関連した取組を記紀・万葉プロジェクトではどのように位置づけて展開されているのでしょうか。また、これまでの記紀・万葉プロジェクトを今後どのような形で継承していくのか伺います。 次に二点目ですが、記紀・万葉の魅力を活用して、県中南部への誘客と周遊観光を促進することが重要であると考えますが、奈良県ビジターズビューローと連携して、どのように取り組んでいくのかお聞かせください。 第二問目は県の財政運営についてです。 新型コロナウイルスの感染が全国的に拡大しており、奈良県においても感染者が急増しています。県としても県民の安全・安心につながるよう、国と歩調を合わせて万全の新型コロナウイルス感染症対策に取り組んでいただきたいと思います。また、九月県議会で私たちの会派の川口議員が質問させていただいたように、コロナ後に向けて防災対策、経済対策等への投資も進めていく必要があると考えます。つまり、県財政がどれだけ赤字になったかではなく、県民の安全・安心のためにどのように投資されたかであります。ただ、この非常時において、国は国債を増発して累次の補正予算を編成し、積極的に対応していますが、本県を含め、地方においても将来の財政悪化につながるのではないかといった心配の声も聞かれます。 そこで、知事にお尋ねします。 新型コロナウイルス感染症の影響により、経済の先行きが不透明な状況を踏まえ、県民の安心につながるよう健全で安定的な財政運営を進めていくべきだと考えますが、ご所見をお聞かせください。 第三問目は難病対策についてであります。 難病の患者に対する医療等に関する法律、いわゆる難病法が二〇一五年一月一日から施行されて五年目となります。改めて難病の定義をしておくと、発病の機構が明らかでなく、かつ、治療方法が確立していない希少な疾病であって、当該疾病にかかることにより長期にわたり療養を必要とすることとなるものとされています。先日、県議会の難病対策推進議員連盟が難病患者団体との意見交換会を持ち、難病患者の声と要望を聴きました。治療方法がない患者たちが少しでも安心して生活できるようにしてほしいと思ったところです。二〇一五年に難病法が施行されたとき、医療費助成の対象となる指定難病は百十疾病でしたが、現在は三百三十三疾病に拡大されており、県内の指定難病医療費助成の受給者は一万二千人余りとなっております。 ただし、対象疾病は拡大されたものの、制度自体には課題が多くあり、制度充実のために医療政策局長に二点お聞きしたいと思います。 まず、医療費助成の重要度分類についてであります。 難病法施行後、重症度分類の基準によって軽症の難病患者が医療費助成の対象外となりました。ところが、医療費助成の対象とならない軽症の難病患者の中には、医療費負担の軽減のために通院回数を減らし、重症化してしまうという事例もあるようです。また、症状が改善しても長期の療養が必要な場合や、難病が原因でほかの病気を発症する場合もあると聞き及んでいます。したがって、指定難病患者については、重症、軽症の別にかかわらず、治療を継続するために医療費助成が必要と考えますが、県の考えはどうでしょうか。 次に、奈良県難病相談支援センターの在り方についてです。 難病法第二十九条は難病相談支援センターについて、療養生活の質の向上を支援することを目的とする施設とすると規定しています。奈良県難病相談支援センターにおいて、県内で増え続ける難病患者のニーズに対応する機能は十分整っているのでしょうか。 第四問目は、いじめなどの問題行動等に対する調査についてです。 十月二十二日公表の文部科学省による問題行動調査の結果によると、全国の小中学校や高等学校などで昨年度に把握されたいじめの認知件数は過去最多の六十一万件で、前年度の五十四万件より一割以上増加しました。そのうち重大事態に至ったのは、前年度の六百二件から二割増えて七百二十三件に上っています。一方、本調査での奈良県のいじめ認知件数は八千百十九件と過去最多になっており、調査児童生徒千人当たりのいじめ認知件数は五十四・九件で全国平均を上回っています。全国的な認知件数の差の背景には、調査の方法や、どういう行為がいじめに当たるかという現場の認識の違いなどがあります。いじめを発見するためには、例えば長期の休みを挟んだ学期ごとに、各校で少なくとも年一回以上調査する方法もあると考えます。また、重大事態では関係者と直接の人間関係または特別の利害関係を有しない者、いわゆる第三者等で構成される第三者委員会を組織し、事案の調査を行うと聞いています。ただ、全国的には、被害者の保護者は第三者委員会の対応に不信感を募らせ、首長の判断で再調査が必要になったのは十四件と、過去最多でした。 そこで、教育長に三点お聞きしたいと思います。 第一点目として、全国的にいじめ認知件数に差があるのはなぜか。また、本県ではどのような行為をいじめと認識しているのかお聞かせください。 第二点目ですが、調査回数を増やすことは、いじめの防止に効果があると考えますが、いかがでしょうか。 第三点目として、第三者委員会が再調査する状況を生まないためには、そのメンバー構成が非常に重要と考えますが、ご所見をお聞かせください。 以上、壇上からの質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(乾浩之) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) (登壇)三十一番和田議員のご質問がございました。お答え申し上げます。 最初のご質問は中南和観光の振興、奈良県全域の観光の振興のために記紀・万葉プロジェクトをどのように活用していくのかという観点からのご質問であろうかと思います。 奈良県観光の特徴を見てみますと、歴史が資源になっておりますけれども、来られる人はやはり歴史好きの方、年齢の比較的高い方が多いように思います。また、古い歴史には古い時代が多いですので、その古い時代の歴史をまた知りたいという方が多いように思います。歴史は本でも分かるわけでございますけれども、本で読まないで現地に行こうという動機をどのようにつくるのか。現地に行くと、やはり歴史というのは目に見えないものでございますので、観光ということになると、観光を楽しめる要素がないといけない。また、現地に行くと、歴史を知りに行くわけでございますが、よく分かるようにならないと面白くない。東京にいたほうがよく知った人が多いというのでは少し困るという特徴がございます。また、奈良の場合は修学旅行に来てもらったら、あとは一生来られない人が多いというのでは困るわけでございます。コロナ時代で奈良の観光を助けていただいているのはリピーターでございます。リピーターが養えるような観光でないといけないと思います。そういたしますと、議員がおっしゃいます中南和観光にも広げる奈良の観光の振興のためには、歴史観光を利用するというのは大事でございますが、それとともに観光素材、顎、足、枕と言われます普通の観光地にある観光の条件を高度化あるいは上質化していくということを併せてする必要があると思います。それとともに、奈良へ行くと奈良の歴史がよく分かるという歴史への深い理解が現地にあるということが必要だと思います。 前置きが長くなりましたが、記紀・万葉、これまでそのような観点で取り組もうとしてきたつもりでございますが、取組を多少振り返ってみますと、議員もおっしゃったことでございますが、本年二〇二〇年は日本書紀完成一三〇〇年の記念の年でございます。大きな歴史でございますが、藤原不比等没後一三〇〇年の年でございます。この秋には記念イベントも致しましたし、来年一月二十三日には奈良県コンベンションセンターで記念イベントを開催します。また、来年二〇二一年は聖徳太子没後一四〇〇年でございます。議員もお述べになりましたが、多様な取組をしてまいりたいと思います。このような歴史的な出来事をプロジェクトの主要テーマにして、観光の振興を図っていくつもりでございます。 これまでの記紀・万葉プロジェクトでございますが、一応の成果があったとも思いますが、今後の継承につきましてですけれども、記紀・万葉という、一部の人は大変好きでございますが、若者などを含めますと、なじみが薄いと言われる面がありますので、なじみを持ってもらう展開を引き続きするということでございます。それと、歴史の理解に深みを与えるという意味で、その背景や歴史上の人物の時代の認識を幅広く考えて、その意味を深く理解できる取組も地元としては必要かと思います。古代の歴史は分からないところが多いと思いますが、奈良の特徴は、国際交流の中で日本のはじまりの歴史をつくったという、日本の他の地域あるいは世界の他の地域でもあまり例のない地域であろうかと思いますので、そのような歴史を目に見える形にするというのが大きな目標になろうかと思っております。 県中南部への展開のために奈良県ビジターズビューローをどのように利用するかというご質問でございます。 今申し上げましたように、本県の歴史文化資源は他の地域にない特有のものでございますが、県中南部エリアにおいても資源が豊富に残されております。そこで、本県では奈良県ビジターズビューローや市町村、関係団体と連携しながら県中南部エリアの観光資源の掘り起こし、魅力ある旅行商品の造成、県内外における情報発信などに取り組んでいきたいと思います。旅行商品の造成と情報発信というのが大きな作業目標でございます。特に奈良県ビジターズビューローは地域連携DMOとして、地域と密接に関わって旅行商品を造成するという役目を担っております。既に桜井市などの県中南部の地域と連携して大神神社や談山神社を巡る旅や、長谷寺などの観音信仰を巡る旅など、新しい旅行商品の造成に取り組んでおります。これらの試みを通じて、引き続き、県中南部の歴史文化の魅力の活用の仕方に工夫を凝らして観光振興を図っていきたいと思っております。 県の財政運営についてのご質問がございました。 今般の新型コロナウイルス感染症の流行拡大による地域社会への影響を踏まえますと、改めて大都市に依存してきた本県の経済・社会の現状を見直し、地域の自立につながる取組を強化する必要があると再認識すべきだと思っております。このため、大規模広域防災拠点の整備や新型コロナウイルス感染症対策をはじめとする県民の安全・安心につながる施策や、本県経済の好循環を促す投資プロジェクトなどについては奈良新「都」づくり戦略に盛り込んだ取組を、引き続き着実に実行していきたいと思います。 一方、県や県内市町村の財政運営も大事でございます。重要なポイントは、次世代に過度な負担を残さないという点であろうかと思います。負担を後世に残さないで、いかに必要な施策を実行していくかということになります。そのためには、単に歳出を絞って節約一方の財政運営をするのではなく、県経済や県内消費の活性化に資する投資的な財政支出を推進し、県・市町村の自主財源の涵養につなげることも重要であろうかと思います。また、国予算などの有利な財源を極力活用することも必要でございます。常に本県の実情を踏まえた政策提案を行い、真に有効な国予算・財源の獲得をタイミングを外さないで取っていくということが大事かと思います。また、投資を行う際は交付税措置のある有利な県債の発行や、県有資産の売却収入などを積み立てて準備する必要があろうかと思います。事業基金を活用するために積立てを行う必要もあろうかと思います。 財政の持続可能性ということになりますが、特に債務の返済可能性が重要な視点でございます。県債についてはこれまでから三つの原則に基づき管理しております。一つ目は新規の県債発行は交付税措置のあるものを優先する、二つ目は交付税措置のない県債残高を減らす、三つ目は県債残高総額を減らすということでございます。 その効果として、県債残高総額は平成二十六年度末の一兆七百億円をピークに減少を続けまして、令和元年度末では一兆二十七億円と六百七十三億円減少いたしました。このうち交付税措置のない県債残高につきましては、平成二十一年度末の四千五百八十億円から令和元年度末では三千六百五億円となり、十年間で九百七十五億円減少することができました。さらに、先日も答弁いたしましたが、県税など自前の財源で償還する県債残高と年間の県税収入額との比率を、財政運営のメルクマールとして常に注意をするように心がけていきたいと思います。今、この倍率は三・〇になっております。今後も健全で安定的な財政運営に努めてまいりたいと思っております。 私への質問は以上でございました。ご質問ありがとうございました。 ○副議長(乾浩之) 鶴田医療政策局長。 ◎医療政策局長(鶴田真也) (登壇)三十一番和田議員より私には難病対策について二問、ご質問いただきました。順次お答えさせていただきます。 まず一つ目ですが、指定難病医療費助成についてご質問いただきました。お答えします。 二〇一五年の難病法施行後の指定難病医療費助成の対象患者については、公平かつ安定的な医療費助成の制度を維持するという考え方に基づき、症状の程度が重症度分類等で一定程度以上の者、もしくは症状が軽症であっても高額な医療を継続することが必要な者であることが要件とされました。しかしながら、指定難病は治療方法が未確立で長期の療養が必要であり、医療費助成の対象から外れてしまうと、一定の医療費を継続して負担しなくてはなりません。このため、過度な負担になっていないかどうかなど、患者会などを通じて実態を把握することが重要と考えております。 現在、難病法施行後五年を経過し、国において制度の見直しがなされているところであります。国の動向を注視するとともに、患者の利益に十分配慮した制度となるよう、実態を踏まえて要望を行ってまいりたいと考えております。 続きまして、二つ目のご質問です。奈良県難病相談支援センターについてご質問いただきました。お答えさせていただきます。 本県では、郡山総合庁舎内に奈良県難病相談支援センターを設置し、難病患者や家族から寄せられる医療、療養生活、就労などに関する相談への対応のほか、難病患者や家族を対象とした交流会や講演会の実施により、難病患者の社会参加や交流の場を提供しています。また、医療機関、就労関係機関との連携により、療養生活や就労支援の充実を図るなど難病患者の生活全般にわたる支援を行っています。しかしながら、治療法が確立していない難病の診断を受けた患者の不安は非常に大きく、疾病数が多く相談内容も多岐にわたること、また、身近に相談できる窓口が少ないことから、難病患者の方々からはセンター機能のさらなる充実を求める要望が出されているところであります。この要望を受け、また、障害者手帳の有無にかかわらず、難病患者を障害福祉サービスの対象とする障害者総合支援法の趣旨も踏まえて、障害担当部局と連携しながら、難病相談支援センターの機能と難病患者の支援の充実について検討を行ってまいりたいと考えております。 私からは以上です。ご質問ありがとうございました。 ○副議長(乾浩之) 吉田教育長。 ◎教育長(吉田育弘) (登壇)三十一番和田議員のご質問にお答えいたします。 私には、いじめに関して認知件数の全国での差、いじめ調査の効果、調査委員会のあり方についてのお尋ねで、続けて回答させていただきます。 平成二十六年度の調査では、児童生徒千人当たりのいじめの認知件数は、都道府県間で三十倍以上の開きがございました。このため文部科学省は、平成二十八年三月に、認知件数が多いことは教職員の目が行き届いていることのあかし、などの考え方を通知いたしまして、その結果、昨年度は約九倍の差となっております。しかし、学校現場におきましては、依然として、いじめの芽や、いじめの兆候といった言葉が用いられ、いじめそのものであるはずの芽や兆候をいじめではないと捉え、いじめを見落としてしまう実態が、依然として差として表れていると思っております。いじめは定義に従って正確に認知する必要がございます。本県では、いじめの定義である、子どもが同じ学校に在籍しているなど、一定の人間関係にある他の子どもが行う心理的または物理的な影響を与える行為。これはインターネットを通じて行われるものも含まれておりまして、こういった行為であって、当該行為の対象となった子どもは心身の苦痛を感じているもの。これに照らして認知するよう教職員に繰り返して求めております。特に心身の苦痛を感じている、このことをどう受け止めるのかというところで差もございます。県教育委員会では、子どもが嫌な思いをした、あるいは不快な思いをする、そのことをそのように捉えまして、例えば、私物がなくなったとか悪口を言われたということなどは、いじめと認定いたしております。 次に、調査回数を増やすことは、議員お述べのように、当然、いじめ防止に効果があるものと考えております。本県では県一斉のアンケート調査を実施いたしておりますが、このほかに各学校で適切な機会を捉えて、繰り返し調査を実施するよう、現在、求めております。今後は、G Suite for Educationのアンケート機能を活用いたしますと非常に集計が容易になり、学期に一回実施することも可能となると考えております。 次に、再調査に関してお答えいたします。子どもが不登校になるなど重大事態に当たるいじめが発生した場合、事実関係を明確にするための調査を行うことになります。その際、調査を行う組織には、当該いじめ事案に対する客観的な事実認定を行うため、その構成員の専門性、また、公平・中立性が求められております。そのためには、まず、弁護士、学識経験者、心理や福祉の専門家等の職能団体、あるいは大学、学会から事前に推薦を受けておく必要がございます。そして、大切なことは、調査を開始する前に、被害児童生徒・保護者に対して調査の目的や方法、また調査結果をどのように提供するのか、このことなどについて丁寧に説明を行うことで、被害児童生徒や保護者の意向を踏まえた調査が行われることを担保することになります。学校、教育委員会が連携して重大事態の疑いの段階で調査を開始し、被害児童生徒・保護者との信頼関係を構築することで再調査は防げるものと思っております。 以上でございます。どうもありがとうございました。 ○副議長(乾浩之) 三十一番和田恵治議員。 ◆三十一番(和田恵治) いろいろ質問したいことがありますが、議論を別に譲ることにして、ただ一点だけ要望しておきたいことがあります。それは第二の質問の県財政についてです。 知事は、答弁の内容を伺っておりますと、県財政の努力をしている状況が分かりました。ただ、この間の政府の動きでありますが、通貨発行権限を持つ政府としては国債などを使って支出予算を組むことができます。したがって、通貨を発行できず県債の発行に限度がある自治体の奈良県としては、奈良県の課題を解決するために、特に新型コロナウイルス感染症対策や経済活性化対策、自然気候変動による防災対策あるいは少子高齢化対策などの補助金や助成金を含め、国に強く求めていくことを要望したいと思います。 以上で質問を終わります。ありがとうございました。 ○副議長(乾浩之) 次に、十一番池田慎久議員に発言を許します。--十一番池田慎久議員。(拍手) ◆十一番(池田慎久) (登壇)自由民主党の池田慎久でございます。今議会におきましても質問の機会をいただき、誠にありがとうございます。 今回の質問におきましても、私が政治活動のスローガンとして掲げております奈良の安心・元気・未来をつくる、その実現を目指し、既に通告しております数点について、荒井知事をはじめ関係理事者に質問させていただきます。 まず初めに、奈良モデルについて荒井知事に質問させていただきます。 荒井知事は奈良が持つ行政資源を総動員し、効率的、効果的な行財政マネジメントを市町村と連携して行い、よりよい行政サービスの提供を目指すとして、これまで市町村と連携したまちづくりの推進、国民健康保険事業の一元化、ごみ処理広域化奈良モデル、県域水道ファシリティマネジメントなどの推進に鋭意取り組んでこられました。財政基盤が脆弱な県内市町村を財政面で支え、大きなメリットをもたらす奈良モデルの取組は、先進事例として国内の地方自治体の在り方を示すお手本のような取組として高い評価を受けております。 平成二十六年度に地方自治法が改正され、新たに連携協約など自治体間の連携を促進する内容が盛り込まれることになりましたが、その改正の際にも荒井知事は、参議院の総務委員会に参考人として招聘され、奈良モデルについて意見を述べられています。これは、国が平成の大合併以降、合併から連携へとかじを切ろうとする中、全国に先駆けて地方で実践を続けている奈良モデルをロールモデルとした証左であると考えております。一方、私はそうした高い外部評価と併せて、奈良モデルをさらに進化させるためにも、行財政マネジメントをより効率的、効果的に推進するためにも、PDCAサイクルによる自己評価も必要ではないかと思います。 そこで、荒井知事にお尋ねします。 奈良モデルのこれまでの取組をどのように評価しておられるのでしょうか。また、その評価内容を踏まえ、今後どのように取り組んでいこうとされているのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。 次に、平城宮跡歴史公園について、引き続き荒井知事に質問させていただきます。 平城宮跡は昭和二十七年に特別史跡に指定され、平成十年には古都奈良の文化財の構成資産の一つとしてユネスコの世界遺産に登録された奈良県の優れた文化資産であり、魅力ある観光資源であります。これまで文化庁による朱雀門、東院庭園、第一次大極殿正殿の復原が完成し、平成二十二年には平城遷都一三〇〇年祭が盛大に開催されました。その後においても平城遷都一三〇〇年祭のにぎわいを一過性のものとならないよう、平城京天平祭が開催されるなど、多くの観光客や県民が訪れる観光地としてにぎわっております。また、平成二十年には国営公園として整備されることが閣議決定され、現在は南門の整備など、国による平城宮跡歴史公園の整備が進められております。そのような中、平成三十年三月に朱雀門ひろばがオープンし、平城宮いざない館など魅力ある各施設に多くの観光客や修学旅行生が訪れ、往時の平城京に思いをはせ、悠久のロマンを満喫し、楽しんでおられます。 平成三十年九月の定例県議会の一般質問において私から、この平城宮跡歴史公園を奈良公園と並ぶ奈良市内の二大観光拠点としてぜひ発展させたいとの考えを申し上げましたところ、荒井知事から同じ思いを持って整備に取り組んでいるとのご見解をお示しいただきました。その後、さらに充実した魅力ある歴史公園として整備を進めるとして、朱雀大路東側地区では歴史体験学習館を整備することとし、また、積水化学工業株式会社工場跡地を活用した平城宮跡南側地区の県営公園区域においては、朱雀大路保全エリアと多目的エリアに分けて整備を進めるとして、それぞれ整備に向けた計画案を策定され、このたび、広く県民の皆様からご意見をいただくためのパブリックコメントを実施されたところであります。 計画案の中では、今議会に契約案件として提案されております南側地区の県営公園区域内の多目的エリアについて、これまで県では休憩施設、便益施設、駐車場等の整備を検討されていると伺っています。この平城宮跡歴史公園は駐車場の収容台数が少なく、とりわけマイカーによる来園がしにくいので、駐車場の確保がぜひ必要であると、以前より本会議や委員会等において私から要望してまいりました。この南側地区の整備に当たっては、まず駐車場の整備を先行して進めていただきたいと考えております。また、最寄り駅となる近鉄大和西大寺駅から徒歩で二十分ほど離れていることから、電車等を利用する観光客の利便性の向上を図るため、バス路線の整備が必要ではないかとも提案させていただいてまいりました。県においては平城宮跡歴史公園と奈良公園を結ぶ直行バス路線として、ぐるっとバス大宮通りルートをつくり、アクセスの強化を図っていただいておりますが、いよいよ来年春に近鉄大和西大寺駅南側のロータリーが完成する見通しとなっており、この機会にぐるっとバスを延伸して、最寄り駅である近鉄大和西大寺駅と平城宮跡のアクセスを容易にし、さらに平城宮跡から奈良県コンベンションセンターを経て奈良公園までがぐるっとバスでつながることで、観光客の利便性の向上と観光滞在時間の増加による波及効果も期待できるのではないかと考えております。 そこでお尋ねしますが、平城宮跡歴史公園のにぎわいをつくるためには、平城宮跡南側地区における駐車場整備や、近鉄大和西大寺駅からのバスによるアクセスが重要と考えますが、現在事業中の朱雀大路東側地区及び平城宮跡南側地区の整備を、今後どのように進めようとされているのか、お聞かせいただきたいと思います。 次に、健康寿命日本一を目指した取組について質問させていただきます。 奈良県では健康寿命日本一を目指し、健康、医療、介護の各分野の計画を連動させた健康増進の取組を進めておられますが、奈良県の健康寿命は、平成三十年において男性が十八・四九年で全国第四位、女性が二十一・〇五年で全国第二十五位であり、平成二十八年と比べますと、健康寿命は男性で〇・一三年、女性で〇・〇一年の伸びにとどまっております。これまで奈良県においては、減塩と野菜摂取の取組、運動習慣の定着、がん検診の受診率や特定健診の実施率の向上、たばこ対策などについて重点的に取り組んでこられた結果、がん検診の受診率は向上しており、県民の意識の変化がうかがえますし、がんの七十五歳未満年齢調整死亡率は、今から十五年前、平成十七年の全国第三十四位から平成三十年には全国第四位と大きく上昇しており、取組の成果も現れております。また、地域ごとの健康データの収集分析を行ったり、市町村ごとに健康課題を明確化し、地域ごとの取組に対して支援をするなど、県として非常に強い意気込みを持って取り組んでいただいております。 新型コロナウイルスなど感染症の重症化予防においても県民の健康は大変重要であり、市町村と連携したさらなる取組が求められていると考えております。平成二十八年六月議会において、私より健康寿命日本一を目指す取組について質問させていただきましたが、その後、それまでの取組の成果や課題等を踏まえ、なら健康長寿基本計画の中間見直しが行われたと聞き及んでおります。 そこで、医療政策局長にお尋ねします。 平成二十九年度に実施された、なら健康長寿基本計画の中間見直しを踏まえ、健康寿命日本一の達成に向けて、今後どのように取り組んでいかれるのか、お聞かせいただきたいと思います。 次に、南部・東部地域の振興について質問させていただきます。 平成二十三年三月に、南部・東部地域の振興を目的とする南部振興計画が策定されました。同年九月、紀伊半島大水害が発生し、甚大な被害をもたらしましたが、その後、集中復旧・復興期間を経て、平成二十七年三月に復旧・復興から地域振興という新しいステージを目指し、南部振興基本計画と東部振興基本計画が策定されました。これらの計画に基づき、奈良県の南部地域及び東部地域においては、これまで交流と定住の促進により、南部地域や東部地域を頻繁に訪れてもらえる地域にしつつ、次の段階として住み続けられる地域にすることを目指し、様々な施策を展開してこられました。計画の最終年となります六年目の今年、新型コロナウイルス感染症が日本中を襲い、新しい生活様式が模索されている中で、三密を避けた観光への関心の高まりやワーケーションという新しい働き方が誕生したことで、南部・東部地域の振興と活性化につながる大きなチャンスが到来したと私は感じております。 奈良県が実施しております「いまなら。キャンペーン」は、奈良県民が魅力ある奈良県内の各地を旅行することにより、新たな魅力発見と、新型コロナウイルス感染症で大打撃を受けた観光業等を支援することにつながり、大きな経済波及効果が生まれておりますし、ウィズコロナの取組として吉野山や洞川温泉、曽爾高原で開催されましたMIND TRAILは、地域全体をアート会場として奥大和地域の歴史や自然を歩いて体感し、地域のすばらしさを発見、再認識していただくイベントとして大成功を収めましたし、国のGo Toトラベルや県の「いまなら。キャンペーン」と併せ、多くの方々が奧大和を満喫されております。三密を避け、優れた歴史、文化、自然、芸術に親しむことができる奥大和地域だからこそ各地の観光資源をうまく活用し、実施できる比較的小規模で密にならず、ゆっくりと楽しめるイベントを、南部地域、東部地域の各地域で継続的に開催していくことが、交流の促進、関係人口の創出につながるのではないかと私は考えております。 一方、若者の流出は数字を見る限り歯止めがかかっておらず、若者の流出抑制と、他の地域からの流入促進を図るため、働く場の創出や訪れる拠点づくりを進めていかなければなりません。まさにピンチをチャンスに変える柔軟な発想や、南部地域、東部地域の振興を牽引する人材の育成と確保も必要であると感じております。 そこで、南部東部振興監にお尋ねします。 南部・東部地域の現状や新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、今、策定が進められている(仮称)南部・東部振興基本計画においては、地域の維持・活性化を担う人材の育成・確保は今後ますます必要になってくると考えますが、ご見解をお聞かせいただきたいと思います。 次に、冬のイベントとして毎年開催されております大立山まつりの今年度の開催についてお伺いいたします。 新型コロナウイルス感染症の拡大により、県内イベントが中止や縮小を余儀なくされてまいりました。また、観光産業はもとより、各地域の伝統行事や催事が中止または規模縮小になるなど、文化芸術活動にも大きな影響が出ております。国においては、全国的な感染拡大やイベントでのクラスターが発生した場合には、感染状況を分析し、業種別ガイドラインの見直しや収容率要件、人数上限の見直しなど適切な対応を行うとしつつ、感染防止対策と経済社会活動の両立のため、新たな日常の構築を図り、徹底した感染防止対策の下で安全なイベント開催を日常化していくとしています。大立山まつりは、例年、奈良の観光振興及び地域振興につながるよう、伝統行事や催事の披露、地域の特産品の販売等を核として実施されています。今年度の大立山まつりは、来年一月三十日、一月三十一日の両日にわたって奈良県コンベンションセンターで行われると承知しておりますが、コロナ禍の今だからこそ、感染症対策はしっかりとしながらも、県内の文化芸術活動を盛り上げて、奈良の魅力を発信していける内容にしていくことが必要だと考えています。 さらに、希少な東京二〇二〇オリンピック聖火を活用して新型コロナウイルス感染症を乗り越え、地域の元気を取り戻す契機とするため、一月二十九日から二月二日にかけて県内六市町村でオリンピック聖火が巡回展示され、一月三十日には奈良市内で聖火が展示されると聞き及んでおります。新型コロナウイルス感染症の影響を受けている文化芸術活動の回復を図るためにも、また、地域の元気を取り戻すという観点からも、大立山まつりとオリンピック聖火展示が連携することで相乗効果が期待できるのではないかと考えております。 そこで、観光局長にお伺いします。 今年度の大立山まつりは、どのような内容で実施していこうとされているのか、お聞かせいただきたいと思います。 最後に、県管理道路における自治会の防犯カメラ設置に対する県行政の対応について要望いたします。 近年、奈良県内において空き巣や路上犯罪などが増加していることを受けて、防犯対策に対する住民意識が高まっており、奈良県内においては住民がお金を出し合い、自治会が町内に防犯カメラを設置する動きが広がっております。そのような動きを受けて、県内の自治体において自治会が設置する防犯カメラの設置費用を一部補助するなど支援しており、今後もその動きは続いていくものと思われます。実際、県内の住宅地や交差点等に設置してある防犯カメラが犯人検挙に一役買っていると聞き及んでおり、犯罪抑止と早期検挙には大変有効であると考えております。 そのような中で、自治会が防犯カメラ設置のために県管理道路の占用許可申請を奈良県へ出しても、占用許可が出ないというお話を伺いました。プライバシーの問題や情報の取扱いなど配慮すべき点はもちろん理解できますが、住民の防犯意識の高まりとともに、自主的に地域の安全・安心を守るために設置しようとする防犯カメラは、犯罪の未然抑止や犯罪発生時における犯人の早期検挙に大きく貢献すると考えておりますので、ぜひ前向きにご検討いただき、住民による自治会の取組を応援していただけるような対応を県当局に強く要望するものであります。何とぞよろしくお願いを申し上げます。 以上で、壇上からの質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(乾浩之) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) (登壇)十一番池田議員のご質問がございました。お答え申し上げます。 私に対しましては、最初、奈良モデルについてでございます。どのように評価しているのか、今後どのように取り組むのかというご質問でございます。 奈良モデルの評価につきましては、平成二十九年三月に、地方行財政分野の有識者四名の協力を得て立ち上げた、奈良モデルのあり方検討委員会におきまして、これまでの取組の効果検証を行ってきております。委員の皆様方からは財政支援や人的支援にとどまらず、検討段階での課題提起や解決策の提案、検討の場の設置など、一貫して市町村をご支援してきたことや、スケールメリットによる経費削減効果や行政サービスや職員能力の向上などの成果が上がっていることの評価をいただいたところでございます。議員お述べになりましたプロジェクト、例えば県域水道ファシリティマネジメントや、県と市町村の連携・協働によるまちづくり、社会保障分野の奈良モデルのほかにも、森林環境管理制度の奈良モデルや、地域で共通する課題を調整・検討する場の設置など、引き続き新たな分野にも積極的にチャレンジしているところでございます。 今後でございますが、庶務的業務や公共施設の管理など、市町村運営の基礎となる分野での共同化や専門人材の確保、法人関係税や固定資産税の税源涵養につながる企業誘致等も共同で行っていただく重要なテーマであると考えており、市町村とともに取り組んでまいりたいと思います。県も一緒に参画して、市町村を助ける奈良モデルの、このような分野での実行を続けていきたいと思います。加えまして、さらなる効果を上げていくためには、県と市町村の連携のみならず、民間との連携・協働を進めていくことも重要でございます。例えば、まちづくり分野でのPFIの取組や社会保障分野での医療関係者との連携など、民間団体が持っておられますアイデア、ノウハウを行政の様々な分野で活用することで、さらなる行政運営の効率化や行政サービスの向上が期待できるのではないかと考えております。国が進めておられまして県も一緒にしたいと思っております、地域デジタル化ということが進みますと、この奈良モデルによる連携・協働というのは、また違う形で実現する可能性があると私は思っております。引き続き県・市町村長サミットをはじめ、様々な場で市町村長と議論を重ねたいと思います。議論することが出発点、勉強することも出発点であると思っております。行政効率化に向けた意欲や連携・協働の意識を共有しながら奈良モデルの取組を進めていきたいと考えております。 平城宮跡歴史公園の現状、今後の進め方についてご質問がございました。 議員お述べのように、平城宮跡歴史公園は平成二十年に国営公園になりまして、国営及び県営公園の基本計画が策定されました。その基本計画におきまして、国営エリアにおきましては、来年度に南門整備が完成する予定でございます。また、県営エリアでは朱雀大路東側地区と平城宮跡南側地区の二つの地区で整備が今後本格化してまいります。朱雀大路東側地区では歴史体験学習館を計画しています。AIやICT等の新技術を活用し、奈良時代の生活などをリアルに体験できる、何度でも訪れたくなる施設にしたいと考えております。また、大宮通りに面するランドマークとなる建物の外観は、国際交流を象徴する建物であります正倉院を意匠化したデザインを検討してまいりたいと思っております。平城宮跡南側地区でございますが、往時の平城京のスケールを感じ、都全体の広がりを体感してもらえる公園としての整備を考えております。憩いとくつろぎのある魅力的な公園となるよう、民間のノウハウも活用する方針でございます。 十月に実施いたしました両地区の整備計画などについてのパブリックコメントでは、多くの方からご意見をいただきました。体験・交流施設や便益施設などに期待するご意見とともに、アイデアなどもたくさんいただいており、具体の整備検討に反映させてまいりたいと考えております。 南側地区の用地につきましては、このたび積水化学工業株式会社との用地交渉が整いましたので、契約議案を今議会に提案させていただいています。ご承認いただいた後は、まずは駐車場整備に着手することにしたいと思います。奈良公園バスターミナルの回遊駐機場としても活用していく方針でございます。また、近鉄大和西大寺駅南側ロータリーの完成を踏まえ、来年度から、ぐるっとバスを近鉄大和西大寺駅まで延伸することを検討しているところでございます。ぐるっとバスから大宮通り直通バスに変化するような感じがいたします。 今後も奈良時代を今に感じることができる空間として、多くの方に訪れていたただき、楽しんでもらえる歴史公園となるように、国と連携・協力して整備を進めてまいる所存でございます。往時の都、一千年以上も前の都は現地で残っているというのは世界でもまれなケースでございます。日本にはそのようなことはございません。平安京も残っておりませんし、長安の都も場所が分からないと聞いております。ここだということが分かるのは平城宮跡の極めて重要な特徴だと思いますので、そのような場での往時の実感ということを目標に整備を進めていただき、また、県も努力していきたいと思っております。ご質問ありがとうございました。 ○副議長(乾浩之) 鶴田医療政策局長。 ◎医療政策局長(鶴田真也) (登壇)十一番池田議員より私には健康寿命日本一を目指した取組についてご質問いただきました。お答えさせていただきます。 県では平成二十五年度に、なら健康長寿基本計画を策定し、健康寿命の延伸に大きく寄与する減塩・野菜摂取、運動、たばこ対策、がん検診受診の四つの健康行動に重点を置き、健康寿命日本一に向けた取組を進めてきました。平成二十九年度に行った中間見直しでは、新たに自殺対策、平均要介護期間の短縮、糖尿病性腎症重症化予防の取組にも力を入れていくこととしました。取組の進め方としては、なら健康長寿基本計画を中心に、食育推進計画、スポーツ推進計画、がん対策推進計画など関連する九つの計画を歯車がかみ合うような形で進めることとしています。具体には、計画ごとに健康寿命の延伸に最も寄与する指標をKGI、それぞれの施策の進捗を評価する指標をKPIとして設定し、毎年、効果検証を行いながら進めているところです。 健康寿命の延伸には、県民一人ひとりが健康づくりを実践していただくことが重要であり、具体的な健康づくり事業を担う市町村への支援も県の重要な役割であると考えております。そのため、市町村ごとに健診、医療、介護のデータ分析をして健康課題を明確にし、それぞれの課題に応じた効果的な取組を市町村とともに検討するなど、支援しているところです。 特に南和地域の健康寿命は県平均より短い傾向にあり、早急に取組が必要であることから、本年十月に南和地域の市町村長と知事との協議の場を設け、健康寿命延伸に向けての課題を共有するとともに、課題解決に向けた方策を提示したところです。引き続き南和の市町村とともに、さらなる課題の洗い出しや、よりよい解決策を検討してまいります。このような南和地域での取組をヒントに、県内市町村、関係機関と一層の連携強化を図りながら、健康寿命日本一の目標達成に向け、効果的に取組を進めてまいりたいと考えております。ご質問ありがとうございました。 ○副議長(乾浩之) 前阪南部東部振興監。 ◎南部東部振興監(前阪祥弘) (登壇)十一番池田議員より私には、次期南部・東部振興基本計画の進め方と人材育成の重要性についてのお尋ねでございます。お答えいたします。 現在、策定に取り組んでおります次期南部・東部地域の振興基本計画におきましては、拠点の形成と人材の育成・確保を目標実現のための新たな戦術としたいと考えております。 拠点の形成は、他地域とも共通しますが、テーマを決め、拠点を形成し、拠点を結節するという考え方で進めてまいります。例えば、南部・東部地域の雇用というテーマでは、先般、用地が確保できました京奈和自動車道御所インターチェンジ周辺の産業集積地形成プロジェクトがございます。これが完成すれば、南部・東部地域の通勤圏内となり、大きな雇用が見込まれます。同様の観点から、東部地域におきましても名阪国道周辺での産業集積地の形成につきまして、地元市町村と連携して検討したいと考えております。 次に、人材の育成・確保につきましては、南部・東部地域内で育った人材が、引き続き地域内で活躍してもらえる取組を進めてまいります。具体的には、森林環境管理制度の担い手となる奈良県フォレスターなどを養成する奈良県フォレスターアカデミーの開校や、南奈良総合医療センターと介護・医療人材を育成する奈良南高等学校との連携などが取組の柱になると考えております。あわせまして、南部・東部地域で活躍できる起業家、クリエイターの育成セミナーや、移住者を対象とした起業・創業のための研修につきましても非常に重要なことであると考えておりまして、引き続き積極的に取り組んでまいります。 議員お述べのとおり、近年の大都市集中への懸念、若者の田園回帰の流れに加えまして、新型コロナウイルス感染症を契機に南部・東部地域への注目が高まりつつあると私も感じております。次期南部・東部地域の振興基本計画の策定におきましては、先ほど申し上げました拠点の形成や人材の育成・確保の考え方をしっかりと盛り込み、南部・東部地域の振興をより積極的に実行してまいります。 以上でございます。ありがとうございました。 ○副議長(乾浩之) 土屋観光局長。 ◎観光局長(土屋直毅) (登壇)十一番池田議員のご質問にお答えいたします。私には今年度の大立山まつりの実施内容についてご質問いただきました。 今年度の大立山まつりは、本年四月に開業いたしました奈良県コンベンションセンターを主たる会場といたしまして、平城宮跡におけるイベントとも合わせて開催する予定でございます。新型コロナウイルス感染症対策を徹底し、三密をつくらない新しいモデルとなるイベントにするとともに、県民の皆様に奈良の魅力を再発見していただけるイベントとなるよう準備を進めているところでございます。 その実施内容でございますが、まず、例年、祭りの柱となっております大立山や立山の展示、伝統行催事の披露、あったかものの販売は引き続き実施をする予定でございます。また、令和三年が聖徳太子没後一四〇〇年の節目の年に当たるということから、聖徳太子をテーマにしたシンポジウムを実施する予定です。加えまして、新たにバーチャル技術を用いて奈良を体感できるコンテンツなども組み込む予定としております。 さらに、国の東京二〇二〇オリンピック聖火を活用した地方創生事業に本県が採択されました。一月三十日に奈良市内で聖火が展示されることとなっておりましたが、大立山まつりとの相乗効果を期待し、奈良県コンベンションセンターで聖火展示を行うこととしております。あわせて、本県ゆかりのオリンピアンによるトークショーも実施する予定としております。新型コロナウイルス感染症の影響から、地域の元気を取り戻すためにも、今年度の大立山まつりは観光、文化、スポーツが融合したイベントにしていきたいと考えているところでございます。 私からは以上でございます。ご質問ありがとうございます。 ○副議長(乾浩之) 十一番池田慎久議員。 ◆十一番(池田慎久) ご答弁ありがとうございます。 知事に一点だけお尋ねしたいのですが、昨日の質疑の中で、この奈良モデルの取組の中で下水道事業についても検討をというお話が少し出たかと思います。実際、市町村においては、次の取組として下水道事業の一体化もぜひ県で進めていただけないかという声が出ているようでございますけれども、知事のお考えをお聞かせいただきたいと思います。 ○副議長(乾浩之) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 県域水道の市町村サミットをいたしましたときに、大和郡山市を除く全員が覚書に参加するとおっしゃっていただきました。大きな進展だと思いました。その際に要望として、どこかの町長をはじめ数名から下水道も同じようなことをしてくださいという話がありました。また、下水道、上水道の管理者からもそのような要望がありました。下水道の一元化も効果があると思います。仕組みが違いますので、下水道の場合は少し違う難しさもございますし、施設の配置が少し違いますが。県域水道は上のほうに水道がある。下水道は一番下の麓に浄水場があるという構造でございますが、それをうまくつないで効率的な下水道処理ということをするというのが大きなことでございますが、県もある程度役割を果たせると思いますので、その方向での期待が高いということがよく分かりましたので、県としても下水道事業の一元化に向けて勉強したいと思っております。 ○副議長(乾浩之) 十一番池田慎久議員。 ◆十一番(池田慎久) ありがとうございます。 いずれにいたしましても、奈良モデルは本当に知事が肝煎りで進めておられるわけでございますが、新たな分野へのチャレンジも含めてどんどん進化していただけるように。また、それがひいては市町村を助け、県民の住民サービスの向上にもつながると信じておりますので、ぜひ引き続きよろしくお願いを申し上げます。 次に、平城宮跡歴史公園についてでありますが、来年春の、願わくばゴールデンウイークの観光シーズンまでには、ぐるっとバスの大宮通りルートが近鉄大和西大寺駅まで延伸されると期待しております。また、今後、整備されます南側地区の駐車場につきましては、来年秋の観光シーズンまでには整備できますようにご努力をお願いしたいと思います。 次に、健康寿命日本一を目指した取組についてでありますが、健康であればあるほど、例えば、今、蔓延しております新型コロナウイルス感染症にも強いわけでありますので、ぜひ県民の健康、幸せのためにも健康寿命日本一を目指した取組を我々県民と行政が一体となって頑張ってまいりましょう。よろしくお願いいたします。 次に、南部・東部地域の振興についてであります。南部・東部地域は、私は潜在的なポテンシャルを持つ、奈良県にとっては大きな財産であると感じております。大立山まつりが開催されるまでは、県内各地でどのような伝統的な行事があるのか、恥ずかしながら私はほとんど存じ上げなかったわけであります。深く調べていきますと、それぞれに歴史的な背景であるとか、あるいは守り継がれてきた伝統や文化などストーリー性にも富んでおりまして、実に興味深いものばかりでございます。先ほど我が会派の樋口議員からもアートマネジメントの必要性について提唱されておりましたけれども、それらを守り継いでいくのはやはり人だと思いますので、地域の営みとともに、これから永続的に地域の維持・活性化を担う人材の育成・確保についてもしっかりと取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。 最後に、大立山まつりについてでありますが、今回は会場を平城宮跡から奈良県コンベンションセンターを主たる会場として、一部、平城宮跡でもイベントをされるということでございます。一つ、一皮むけたこの大立山まつり、大変期待しております。ぜひこの開催に当たっては新型コロナウイルスの感染防止対策を万全に。これはもちろんのことでございますが、ぜひ今年も成功させていただきたいと思いますし、またあわせて、オリンピック聖火が会場で展示されると伺いました。私は今からわくわくした気持ちであります。このオリンピック聖火の展示につきましては、奈良県選出の高市早苗衆議院議員が総務大臣をお務めになっていたときに総務省で企画立案された事業だそうであります。来年四月の聖火リレーに先駆けて、奈良県においては大立山まつりのほか奈良市の都祁地区、山添村、生駒市、葛城市、田原本町、三郷町においてオリンピック聖火を展示すると総務省が発表しております。 オリンピックは平和の祭典とも言われております。今年はコロナ禍で大変な年でありましたけれども、来年は新型コロナウイルス感染症を皆力を合わせて乗り越えて、東京オリンピック・パラリンピックが無事開催され、その感動と喜びを持って日本の国が、そして我が県奈良が繁栄できますよう祈りつつ、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。   -------------------------------- ○副議長(乾浩之) 十二番西川均議員。 ◆十二番(西川均) 本日はこれをもって散会されんことの動議を提出します。 ○副議長(乾浩之) お諮りします。 十二番西川均議員のただいまの動議のとおり決することに、ご異議ありませんか。     (「異議なし」の声起こる) それでは、さように決し、明、十二月九日の日程は当局に対する一般質問とすることとし、本日はこれをもって散会します。 △午後四時十分散会...