滋賀県議会 2024-02-28
令和 6年 2月定例会議(第23号〜第32号)−02月28日-06号
令和 6年 2月定例会議(第23号〜第32号)−02月28日-06号令和 6年 2月定例会議(第23号〜第32号)
令和6年2月
定例会議会議録(第28号)
令和6年2月28日(水曜日)
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議事日程 第6号
令和6年2月28日(水)
午 前 10 時 開 議
第1 議第1号から議第51号まで(令和6年度滋賀県一般会計予算ほか50件)の各議案に対する質疑ならびに一般質問
第2 議第1号から議第16号まで(令和6年度滋賀県
一般会計予算ほか15件)(
予算特別委員会の設置、同委員会付託および同委員の選任)
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本日の会議に付した事件
第1 日程第1の件
第2 日程第2の件
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会議に出席した議員(43名)
1番 谷 口 典 隆 2番 田 中 英 樹
3番 谷 成 隆 4番 小 河 文 人
5番 菅 沼 利 紀 6番 桐 田 真 人
7番 岩 崎 和 也 8番 野 田 武 宏
9番 森 重 重 則 10番 田 中 誠
11番 河 村 浩 史 12番 柴 田 栄 一
13番 中 山 和 行 14番 赤 井 康 彦
15番 河 井 昭 成 16番 佐 口 佳 恵
17番 小 川 泰 江 18番 田 中 松 太 郎
19番 清 水 ひ と み 20番 井 狩 辰 也
21番 本 田 秀 樹 22番 柴 田 清 行
23番 重 田 剛 24番 白 井 幸 則
25番 村 上 元 庸 26番 桑 野 仁
27番 周 防 清 二 28番 海 東 英 和
29番 加 藤 誠 一 30番 目 片 信 悟
31番 有 村 國 俊 33番 川 島 隆 二
34番 奥 村 芳 正 35番 駒 井 千 代
36番 木 沢 成 人 37番 清 水 鉄 次
38番 大 野 和 三 郎 39番 角 田 航 也
40番 冨 波 義 明 41番 九 里 学
43番 今 江 政 彦 44番 中 沢 啓 子
45番 節 木 三 千 代
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会議に欠席した議員(なし)
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会議に出席した説明員
知事 三 日 月 大 造
教育長 福 永 忠 克
選挙管理委員会委員長代理 中 原 淳 一
人事委員会委員長代理 尾 賀 康 裕
公安委員会委員長代理 高 橋 啓 子
代表監査委員 河 瀬 隆 雄
副知事 江 島 宏 治
副知事 大 杉 住 子
知事公室長 松 田 千 春
総合企画部長 浅 見 裕 見 子
総務部長 東 勝
文化スポーツ部次長 藤 原 久 美 子
琵琶湖環境部長 森 本 哲 司
健康医療福祉部長 大 岡 紳 浩
商工観光労働部長 林 毅
農政水産部長 岡 田 英 基
土木交通部長 三 和 啓 司
会計管理者 中 田 佳 恵
企業庁長 東 郷 寛 彦
病院事業庁長 正 木 隆 義
警察本部長 中 村 彰 宏
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議場に出席した事務局職員
事務局長 箕 浦 宏 昌
議事課長 野 口 浩 一
議事課参事 内 田 吉 行
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午前10時 開議
○議長(奥村芳正) これより本日の会議を開きます。
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△諸般の報告
○議長(奥村芳正) 日程に入るに先立ち、諸般の報告をいたします。
谷口義博文化スポーツ部長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として
文化スポーツ部藤原久美子次長が、また、
選挙管理委員会吉田清一委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として中原淳一委員が、また、
人事委員会池田美幸委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として尾賀康裕委員が、また、
公安委員会大塚良彦委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として高橋啓子委員が、それぞれ出席されておりますので、御了承願います。
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○議長(奥村芳正) これより日程に入ります。
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△議第1号から議第51号まで(令和6年度滋賀県
一般会計予算ほか50件)の各議案に対する質疑ならびに一般質問
○議長(奥村芳正) 日程第1、議第1号から議第51号までの各議案に対する質疑ならびに一般質問を続行いたします。
発言通告書が提出されておりますので、順次これを許します。
まず、9番
森重重則議員の発言を許します。
◆9番(
森重重則議員) (登壇、拍手)皆様、おはようございます。4日目、
最終日一般質問、森重重則、
トップバッター、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、発言通告書に基づき、分割方式にて3項目質問をいたします。
まず、1項目め。
特別支援学校について、知事、教育長に質問をいたします。
特別支援学校の分離新設につきましては、知事の提案説明、代表質問でもありましたが、障害のある子供たちの一人一人の
教育的ニーズに応える指導、支援を提供し、学びの基盤を確かなものにしていく必要があるため、大規模化、狭隘化による教育環境の課題を解消し、
特別支援学校における学びの基盤を確かなものとして、学びの充実につなげることができるよう努めていくと述べられました。
私は重要に思うことは、個々の障害と能力に応じた理解を深めることと、どんな障害があっても将来のチャンスを提供できる
特別支援学校でなければならないと思います。
先日、県内のある養護学校で、身体に障害があり車椅子に乗り、見事大学に合格した女の子に出会いました。その子と御両親が乗り越えてこられた様々な課題と並々ならぬ努力、そして、今まで受けてこられた、そして感じてこられた差別や偏見を皆様と共有し、多くの障害のある子供たちの夢や希望がかなえられる施策となるよう質問をいたします。
1つ目、現在の
特別支援学校における大規模化について、学校施設のハード面の課題認識を教育長に伺います。
2つ目、併せて、大規模化における
学校組織マネジメントの課題認識についても教育長に伺います。
次に、
特別支援学校の設置場所について、教育長へ質問をいたします。
代表質問の答弁では、以前から草津養護学校と野洲養護学校の児童生徒数の増加が課題となり、設置場所については未定とのことでありましたが、
特別支援学校の一層の教育環境の整備を図り、ハード、ソフト両面で課題解決のある場所を選定していくとのことでありました。
私は場所の選定において1つ懸念していることがあります。それは地域の理解を得られるように進めていくということです。私は児童福祉や
障害者福祉施設の方から、事業所の分離新設において設置場所の相談を受けることも多々ございます。そこで新たな場所で施設を建てるときに、差別、偏見を受けたこともあります。
例えばこのようなことを言われました。「この場所に来るなんて何てぜいたくな話。もっと安い場所があるのではないか。不動産価値が下がる」「傷を持った子が来ると町が荒れる」などと言われたことがありました。また、これらを助長する人も現れました。事業者の方は悔しい思いで泣いておられました。
これは障害者差別や人権問題に当たり、このようなことはあってはならないと思います。しかし、このようなことがあり、多くの協力者の方が現れ、別の御理解ある地域に新たに施設を設置したことがあります。
そこで、3つ目、地域共生社会の理念の下、
特別支援学校の設置場所において地域の理解を得るためにどのような覚悟を持ち推進していこうと考えているのか、教育長に伺います。
次に、
特別支援学校の子供たちの教育支援について質問をいたします。
先ほどの車椅子の女の子は、小学部のときから大学へ行くという自覚を持ち、勉強されてきました。中学のときには学力も上がり、指定の教科書だけでは物足りなさを感じ、車椅子なのでオンラインの塾で勉強をされてきたとのことです。高等部ではさらに指定の教科書では物足りなさを感じ、大学受験をする学力には追いつかないと思い、参考書や大学入試の赤本を購入して独学されてきたとのことでありました。
各学校において作成する個別の
教育支援計画については、障害のある児童生徒の教育課程や教育方法、教材などについて、具体的な
教育的ニーズに合わせて柔軟に対応し、作成することが望ましいと思います。
そこで、4つ目、個別の
教育支援計画については、個々の
教育的ニーズに応えられ、将来の希望がかなえられるように、合理的配慮や学習提携をさらに充実していくことが重要でありますが、今後、個別の
教育支援計画をどのように進めていかれるのか、教育長に見解を伺います。
次に、学校教育法では、
特別支援学校高等部は高等学校とは別に位置づけされています。そのため、大学へ進学しなかった場合の最終学歴は、
特別支援学校高等部卒業であり、高等学校卒業とはなりません。
求人票で学歴が高卒以上の場合は、
特別支援学校高等部の卒業生は含まれますが、応募するのをためらったり、ちゅうちょして応募しない子もおり、進路の選択肢の幅が狭くなってしまいます。
そこで、5つ目、
特別支援学校を卒業する子供たちの進路の拡大でありますが、高卒求人に応募したり大学進学したりするなど、進路の選択の機会を増やす教育支援の充実化が必要だと考えますが、教育長に見解を伺います。
6つ目、併せて、子供たちの能力を最大限に発揮でき、可能性を広げられる教育課程も必要だと考えますが、教育長に見解を伺います。
次に、滋賀の目指す
特別支援学校の実現に向けて、知事に質問をいたします。
車椅子の女の子に楽しかったことも聞きました。小学部では、うみのこに乗ったこと、修学旅行に行ったこと、また、漢字検定を受けたことでありました。また、中学部では、大学やNHK大津に見学に行ったこと、そして、今では周りの先生とたわいもない話をすることなどであり、楽しい思い出や交流機会については、楽しげによく話されていたのが印象的でありました。
私の経験ではありますが、以前1987年に
障害者施設びわこ学園の分離新設というのがありました。そこで琵琶湖一周、健常者の方、障害者の方が手をつなぎ、建設資金を募る「抱きしめてBIWAKO」というイベントがありました。私は中学生で、唐橋の青年会館で障害者の方と一緒に手をつないだのを覚えております。
そして、2011年に再び「抱きしめてBIWAKO」が行われ、実行委員の方が御尽力されました。そのときも唐橋の青年会館のイベントを担当していたときに、障害のある高齢の男性が来られ、このようなことを言われました。「またみんなで手をつないでくれるんやな」と。「前もこの場所にいたんや。楽しみにしてきたわ」と満面の笑みで言われました。24年前のことをしっかり覚えておられました。その方の一生の思い出になったと思います。
特別支援学校においても障害者の方への地域の理解を促進し、地域の協力を得て、子供たちの一生の思い出を共につくり出す
特別支援学校へしていただきたいと思います。
そこで、7つ目、滋賀の目指す
特別支援学校の実現に向けての知事の思いを伺います。
○議長(奥村芳正) 9番
森重重則議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(三日月大造) (登壇)
特別支援学校について御質問いただきました。私には最後に賜りましたけれども、まず最初にお答えいたします。
滋賀の目指す
特別支援学校の実現に向けての思いでございますが、障害のある子供がそれぞれの持てる力を十分に発揮して、将来自立し社会参加することが大切であるという思いがございます。
そのために、滋賀の目指す
特別支援学校におきましては、こうした子供たちの社会的自立に向け、一人一人の
教育的ニーズに応じた指導、支援を提供できるよう、大規模化や狭隘化による教育環境の課題を解消し、学びの基盤を確かなものとして、
特別支援学校における学びの充実を図ってまいりたいと存じます。
◎教育長(福永忠克) (登壇)
特別支援学校につきまして、私にいただきました6点の御質問にお答えをいたします。
まず1点目の大規模化におけます学校施設のハード面の課題認識についてでございますが、まず、施設におきましては、特別教室の普通教室への転用でありますとか、体育館、プールなどの使用に調整を要することなどに課題がございます。
また、設備等におきましては、スクールバスの乗車時間でありますとか、保護者の送迎時等の混雑や、保護者、
福祉サービス等の送迎用および職員用駐車場の確保などに課題があるものと認識をいたしております。
2点目の大規模化におけます
学校組織マネジメントの課題についてでございますが、児童生徒におきましては、学校行事等において分散化による児童生徒の活躍する場、成長を共有する機会の減少などに課題があるものと認識をいたしております。
また、教職員におきましては、個々の障害特性の把握が困難でございまして、個別の指導方針を共有することに難しさがあることから、学級が違う児童生徒の指導をためらうことなどに課題があるものと認識をいたしております。
次に、3点目の設置場所について地域の理解を得るためにどのような覚悟で推進していくのかということでございますが、本県では、滋賀県障害者差別のない
共生社会づくり条例を制定し、
不動産取引分野では、正当な理由なく障害または障害に関連する事由を理由として障害者に対して不利益な扱いを行わないということとされているところでございます。
こうしたことを踏まえまして、設置場所の選定に当たりましては、地域の皆様に、全ての県民が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に共に取り組んでいただきたいという趣旨を丁寧に御説明し、理解に努めてまいる所存でございます。
4点目の個別の
教育支援計画をどのように進めていくのかについてでございます。
各学校におきましては、関係機関と連携を図りながら、本人や保護者と共に長期的な視点で策定する個別の
教育支援計画と、一人一人の指導目標等を明確にしてきめ細かに指導する個別の指導計画を作成し、適宜評価、見直しを行っているところでございます。
個々の生徒の目標とする姿を関係者で共有し、目標達成に向けた教育的支援の内容を具体化することによりまして、個別の
教育的ニーズに応える計画書とし、一人一人の適性に応じた進路が実現できるよう、今後も取組を進めてまいる所存でございます。
5点目の
特別支援学校を卒業する子供たちの進路の拡大の必要性についてでございますが、
特別支援学校と高等学校は学校の種別が異なりますことから、
特別支援学校高等部を卒業した生徒は高等学校の卒業とはなりませんが、求人票に高卒以上とある場合は、
特別支援学校高等部の卒業生が対象となるところでございます。
これまで
特別支援学校高等部の生徒の皆さんに対しましては、生徒自身の意欲や希望を踏まえまして、丁寧に適性を確認しながら、早い段階から就業体験等を実施し、就職に結びつけておりまして、高校以上の求人に応募する事例はほとんどなかったところでございます。
大学進学を含めまして、生徒の進路選択の幅を広げることは大変重要であると認識をいたしておりまして、今後も引き続き、本人の思いに寄り添いながら、様々な進路先をイメージした見学でありますとか体験を通した早期の指導、支援を丁寧に行いますことで、生徒の可能性を広げることができるように、教育活動に取り組んでまいります。
6点目の子供たちの能力を最大限に発揮でき、可能性を広げられる教育課程の必要性についてでございますが、
特別支援学校におきましては、生徒の指導の状況や特性、また、心身の発達段階等を十分考慮して、適切な教育課程を編成しているところでございます。
その中で、高等学校に準じた教育課程において進学を希望する生徒や、職業教育に特化した教育課程で就職を目指す生徒さんもいらっしゃいます。
今後も引き続き、子供たちが持てる力を精いっぱい発揮し、生徒の進路選択の幅が広げられる教育課程を編成し、個々の
教育的ニーズに応じた指導に努めてまいります。
◆9番(
森重重則議員) (登壇)御答弁ありがとうございました。
5つ目の子供たちの進路の拡大について、再度教育長に質問をいたします。
障害のある子供たちへの未来の支援についても考えなくてはなりません。私は先ほどの車椅子の女の子に、君は大学に行けるようになったが、君から見てほかの子は大学に行けたと思いますかという質問もしました。
そこで彼女は、何々君は、学習環境、教育課程が整っていれば大学に行けたと思うと言っていました。そして、
進路オリエンテーションでは、99%の作業所、1%の大学進学の選択のような印象を受けたとのことでありました。また、否定的なことも言われ、情報提供も乏しく、大学に行くのは諦めようと考えたとのことでした。このようなことはあってはならないと思います。
特別支援学校の子供たちの進路について、当事者、保護者の思いを丁寧に聞き取り、学校全体で就学に向けた支援と情報を伝えていくことが重要です。
そこで、当事者、保護者へのきめ細やかな相談体制と情報提供が必要だと考えますが、教育長に再度見解を伺います。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
進路指導を効果的に進めていくためには、校長のリーダーシップの下、校内体制をまず整備し、そして、進路指導に関わる全ての教員が生徒の課題や目標などを共通認識し、進路指導主事や学級担任などそれぞれの役割、立場において密接に連携して指導に当たることが重要でございます。
併せまして、生徒御本人、そして保護者の思いを十分に聞き取り、進路に関します必要な情報を提供いたしますとともに、関係機関ともきめ細かな連携を図っていくことが必要であると認識をいたしております。
今後も、各学校が生徒の障害の状況、また、特性および心身の発達段階等を十分に考慮し、生徒一人一人の自己実現に向けて指導ができるよう、職員の配置も含めまして努力をしてまいる所存でございます。
◆9番(
森重重則議員) (登壇)ありがとうございました。
ぜひ校内体制を整備していただいて、一人一人の思いを酌んでいただき、そして希望がかなえるようしていただきたいと思います。
それでは、次の2項目めの質問に移ります。
インクルーシブ教育システムの構築について、知事ならびに教育長に質問をいたします。
インクルーシブ教育システムの構築においては、子供の実態に応じて特別な教育課程を編成し、連続性のある多様な学びの場の整備を進め、障害のある子と障害のない子が共に学ぶ取組を実施していくものと認識をしております。
以前、故下村県議がおっしゃられたことでもありますが、
インクルーシブというのは障害のある子だけを対象にしているのではなく、例えば外国籍の子、集団になじめない子、不登校の子など、あらゆる少数派の子供を対象とし、共に学ぶ仕組みのことであり、子供たちが本当に過ごしやすい学校というのは誰にとっても過ごしやすく楽しい学校になり、学力の意欲向上にもつながってくるとのことでありました。このことも踏まえて質問をいたします。
インクルーシブ教育システムの副籍制度が令和4年から本格実施されました。現場での課題も出てきたかと思います。現場の理解が得られないとか、あるいは地域の理解が得られないというようなことはあってはならないと思います。これはあってはならないことですが、障害のある子供たちの差別につながらないように見極めていただきたいと思います。
そこで、教育長にお尋ねをいたします。
インクルーシブ教育システムの構築において、現在の副籍制度の状況と課題、教育現場の意識は醸成され高まっているのか、見解を伺います。
子供たちに互いの違いを知る環境を用意して行う交流および共同学習のさらなる充実化について、教育長に質問します。
車椅子の女の子は、幼稚園では周りが物珍しく見てきて怖い思いをしたが、養護学校の小学部では周りと同じ障害の子もいて、怖さや不安がなくなったとのことでした。自分と似た特性を持つ人ばかりの中で育つと、大人になってから自分とは違う人に初めて出会ったとき、相手が怖いと感じ、避けてしまうようなこともあります。
2つ目に、障害のある子、ない子関わらず、児童生徒同士がお互いの違いがより理解できる交流および共同学習の取組をさらに充実していくことが重要であると考えますが、教育長に見解を伺います。
3つ目、障害のある子もない子も地域で共に生きていくという地域共生社会の理念が広がるよう、滋賀らしい
インクルーシブ教育システムの目指す姿について、知事の御所見を伺います。
◎知事(三日月大造) 私に賜りました滋賀らしい
インクルーシブ教育システムの目指す姿ということについてでございますが、ダイバーシティ・アンド・インクルージョン、多様性と包摂性というのはとても大切な概念だと思いますし、とりわけ、社会全体でそうですけれども、教育分野においても大切にしなければならない考え方だと思います。
この
インクルーシブ教育システムの構築に向けましては、次期教育大綱におきましても、「地域で共に生きていくための力を育てる」を基本的な考え方といたしまして、障害のある子供の教育の充実を図ることとしています。
ただ、この全体的には、外国籍の子供や集団になじめない子、不登校の子供など、また、その子供たちと一緒に学ぶ子供たちにも多様な影響を与える効果を持つ、そういった教育として捉えていくことが必要だと考えております。
糸賀一雄氏の言葉にもあります「この子らを世の光に」との考え方に基づく社会的包摂の観点も踏まえながら、障害のある子供と障害のない子供が共に学び合える教育を実現できるよう、教育委員会と共に取り組んでまいりたいと存じます。
◎教育長(福永忠克)
インクルーシブ教育システムの構築につきまして、私にいただきました2点の御質問にお答えをいたします。
まず、1点目の副籍制度の状況、課題、教育現場の意識についてでございますが、交流授業におきましては、回数を重ねることで、障害のある子と障害のない子がお互いに触れ合いながら学習に取り組むことができております。また、地域生活におきましても言葉を交わす機会が増えるなど、学校外にも交流の輪が広がっている状況があると聞いているところでございます。
両校の子供たちにとりましてより充実した学びにするために、準備でありますとか教育内容の打合せのための時間の確保、そして、継続した取組にするために学校全体として引き継いでいく、このことが課題であると認識をいたしております。
制度化2年目を迎えまして、両校の教員の間に交流が生まれ、相談できやすい関係に発展することで、制度に対する理解でありますとか意識も深まりつつあると考えているところでございます。
2点目の交流および共同学習の実施についてでございますが、各学校では、近隣の小中高校とお互いに行き来をし、学習活動を発表し合うなど学校間交流に取り組んだり、また、地域に積極的に出向いて学習活動を行ったりするなど、交流できる機会を大切にしております。
県教育委員会では、長年にわたりましてこうした交流に熱心に取り組んでいただいている学校等に対し、
インクルーシブ教育賞として表彰をしております。
私も教育長としてこの表彰式に何度か参加をさせていただきました。障害のある子と障害のない子がお互いを理解して、そして、お互いが協力していろんな取組をする。こういった取組は大変すばらしいものだと思っております。こういう取組が県内各地に広がるように取り組んでいかなければならないと認識をしているところでございます。
こうした交流および共同学習の取組は、
インクルーシブ教育システムの構築に向けて、障害のあるなしに関わらず、互いの違い、そして互いのよさを認め合い、互いに支え合いながら共に学ぶという観点で大変重要であり、引き続き取組の充実に向けて努めてまいる所存でございます。
◆9番(
森重重則議員) (登壇)積極的な答弁ありがとうございました。
特に共同学習や交流が校内外に広がっていっているというのはすごく喜ばしいことだと思います。
そこで、2点目、交流、共同学習について、教育長に再度質問をいたします。
車いすの女の子は、大阪に同じ障害があり大学に行った人とリモートで話をし、大学進学に向けて勇気づけられたとのことでした。障害があり現地へ行けなくても、今、ICTを活用すれば、遠くの人ともつながり交流もできます。
インクルーシブ教育システム構築に向けて、今後、ICTを活用し、児童生徒同士の交流および共同学習をさらに充実していくことが重要だと思いますが、再度、教育長の見解を伺います。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
ICTを活用した教育というのは、1人1台タブレット端末等を利用しておりますけれども、この1人1台タブレット端末というのは、ある意味、今の教育に与えられた一つのツールではございますが、教育におきまして、今までの教育と違う新たな教育に取り組める変革、トランスフォーメーションをもたらす用具だという認識をいたしております。
そういうことを踏まえまして、副籍制度の取組をはじめとする障害のある子供とない子供の交流におきまして、オンラインを活用して校外学習の計画を立てたり、調べ学習でまとめたことを発表するなどして、ICTを活用した実践事例は増加しているところでございます。
また、クラスの在籍児童生徒数が少ない場合には、他の学校の同じ年代の児童生徒と共にICTを活用して授業を実施し、その授業の充実を図っているところでもございます。
合理的配慮の提供も含めまして、個々の実態に合わせたICTの活用を進めているところでございまして、今後もICTの活用に関する知見を高め実践を重ねながら、
インクルーシブ教育システムの構築に向け、教育内容の充実を図ってまいる所存でございます。
◆9番(
森重重則議員) (登壇)答弁ありがとうございました。
やはりICTというのは今後新たな教育を生み出す重要なツールだと思いますし、現在もされているかと思いますが、さらに充実化をしていただきたいと思います。
それでは、3項目めの質問に移ります。
障害者就労支援について、知事、
健康医療福祉部長、
商工観光労働部長に質問をいたします。
厚生労働省が発表した2023年障害者雇用状況によりますと、民間企業で働く障害者数は前年比4.6%増の64万2,178人で、過去最多を20年連続更新をいたしました。
障害者雇用促進法が義務づけた法定雇用率については、2.3%から令和6年には2.5%に上がり、また、令和8年には2.7%と段階的に引き上げられます。
全国的には障害者雇用において達成した企業は増えたものの、全体の50.1%にとどまります。法定雇用率の未達成企業の58.6%は、障害者の方を一人も雇用していない状況であります。障害者雇用に積極的な企業とそうでない企業との差が大きく開いてきたと思っております。
そこで、1つ目、県内企業における障害者雇用の状況と課題について、
商工観光労働部長に伺います。
また、法定雇用率を大幅に満たしていない場合、企業を管轄するハローワークから障害者の雇入れ計画書の作成命令が出されます。計画どおりに進まない企業に対しては、滋賀労働局の労働者雇用達成指導が行われるほか、場合によっては社名も公表されます。
2つ目、法定雇用率を満たさない企業を減らすために、県としてどのような取組を行い障害者雇用を促進していこうと考えているのか、
商工観光労働部長に伺います。
3つ目、
特別支援学校高等部を卒業した子に対して、企業側も合理的配慮の下、応募が促進されるように障害者雇用啓発等の障害者理解の促進をしていくことが重要であると考えますが、
商工観光労働部長に見解を伺います。
また、障害者の方の就労支援においては、A型就労、B型就労で従事されている障害者の方を一般就労に結びつけることが障害者雇用の促進において重要であると考えます。障害のある人の意思を尊重し、B型就労からA型就労、就労移行、そして一般就労へのステップアップ就労ができる仕組みをさらに充実化させる必要があると思いますが、4つ目の質問として、
健康医療福祉部長に見解を伺います。
5つ目、併せて、障害者の方の就労機会の創出についてどのように進めていこうと考えているのか、これは
商工観光労働部長に見解を伺います。
また、最後に、知事へ、障害者の方が就労を通して自立し社会参加ができる支援をいかに実現していこうと考えておられるのか、御所見を伺います。
◎知事(三日月大造) 6点のうち、私には1点、最後に賜りました。
障害のある人も社会を構成する一員として、個々の能力を発揮しながら社会の様々な活動に参画し、安心した生活を送れることが大切であります。中でも就労、働くことというのは地域生活の経済的な基盤を築く上でとても重要であります。
本県では、企業での就労体験を提供する障害者トライワーク支援事業を実施いたしますとともに、就労定着や職場開拓を担う働き・暮らし応援センターを設置しておりますほか、本人の能力や希望に沿って一般就労等へのステップアップを図る就労選択支援に向けた取組も進めているところです。
また、令和5年──2023年、昨年の6月1日現在の本県の法定雇用率達成企業の割合は59.2%、年々増加していますし、全国平均を9.1%上回っておりますが、まだ40%が未達成という、こういう状況もございます。
私自身が本部長を務める障害者雇用対策本部から関係団体等に対しまして雇用確保の要請活動を引き続き行いますとともに、雇用義務の有無に関わらず、障害者雇用のさらなる理解を深めるために、新たに本部長宣言も行うこととしております。
こうした取組により、雇用機会の創出や定着、賃金等の改善など企業における雇用環境の改善が進められるよう、取り組んでまいりたいと存じます。もって障害のある人の働きたいという思いに応え、障害のある人のさらなる社会参加につなげてまいりたいと存じます。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) (登壇)お答えいたします。
障害のある人の就労支援に関する6点の質問のうち、私に1点いただきました。
ステップアップ就労できる仕組みについてでございますが、県では、障害福祉サービスの利用を開始する前に本人の能力や適性、希望について把握し、個々の能力等に応じた支援が行われるよう取り組んでいるところでございます。
こうした中、必ずしも本人の希望や能力に沿って就労支援が受けられていないという課題がありますことから、平成26年度より、事業所が障害のある人の能力を評価し適切な訓練が提供できるよう、就労アセスメント研修を実施しているところでございます。
また、国では、アセスメントにより適切なサービスにつなぐ就労選択支援という新たな事業が予定をされております中、本県ではこの事業を今年度からモデル的に実施をしておりまして、こうした取組を通じまして、障害のある人の個々の状態に応じたサービスの提供と能力の向上を図りながら、就労に向けたステップアップを図ってまいりたいと存じます。
◎
商工観光労働部長(林毅) (登壇)障害のある人の就労支援に関します6点の質問のうち、私にいただきました4点の質問についてお答えをさせていただきます。
1点目、県内企業におきます障害者雇用の状況と課題についてでございます。
滋賀労働局から発表されました令和5年6月1日現在の障害者雇用状況によりますと、法定雇用義務がある県内に本社のある民間企業で雇用されております障害者数は、前年から2.9%増加し、3,725.5人と過去最高となっている状況にございます。
また、先ほどもちょっと触れていただきましたが、本県におきます法定雇用率達成企業の割合は、59.2%と前年の58.6%から0.6ポイント上昇いたしまして、全国平均50.1%を上回っているものの、法定雇用率未達成企業のうち59.0%が障害者を一人も雇用していない状況にございます。
また、令和4年度に県が実施いたしました障害者雇用状況調査の結果から、適切な業務の切り出し、業務支援者の養成や確保、それから職場の施設、設備の対応等が雇用する企業におきます課題であると認識しているところでございます。
さらに、令和3年度に就職し、障害者働き・暮らし応援センターの支援を受けた方の就労1年後の職場定着率は、全体で85.3%と前年度から7.1ポイント上昇はしているものの、障害種別では、精神障害者の職場定着率が78.1%と他と比べて低い傾向にあることが課題でございまして、その定着率向上に向けた支援が必要と考えているところでございます。
2点目、法定雇用率を満たさない企業を減らすための取組でございます。
障害者雇用に対する企業の理解が深まることが重要であると考えておりまして、優良企業の先進事例を紹介するセミナーを通じて、企業での雇用や定着の推進を図っているところでございます。
また、トライワーク支援事業や就職面接会の開催などによりまして、障害のある人と企業が出会える場を提供させていただいております。
先ほど知事がお答え申しましたとおり、障害者雇用対策本部の取組として、関係団体等を通じました雇用確保の要請や、新たに取り組む本部長宣言につきまして、その趣旨の着実な浸透を図り、企業の主体的な取組を促してまいりたいと考えております。
3点目、障害者雇用の啓発と障害者理解の促進についてでございます。
障害者雇用を進めたい企業は、日頃から
特別支援学校の教員等との連携を重視しているとお聞きもしておりまして、一部の企業では、
特別支援学校高等部の生徒の在学中に就労体験や職場見学に来てもらうなど、円滑な就職につなげるよう工夫をされているところでございます。
今後におきましても、県として企業の合理的配慮や就労への理解を促し、生徒の就職にとって選択肢が広がることが重要と考えており、教育委員会とも連携しながら取組を進めてまいりたいと考えております。
4点目でございます。障害者の方の就労機会の創出でございますが、先ほどもお答えしましたとおり、県が企業に対して実施いたしました調査の結果から、適切な業務の切り出し、業務支援者の養成、確保、職場の施設、設備の対応等の課題があると認識しているところでございます。
これらの課題に対応するため、啓発冊子やセミナーを通じた優良企業の先進事例紹介などにより企業の理解を深めていただくとともに、国の助成金制度を周知するなどして、就労機会の創出に努めてまいりたいと考えております。
◆9番(
森重重則議員) (登壇)答弁ありがとうございました。積極的な答弁をいただいたと思っております。感謝します。
再度、3つ目の障害者雇用促進について、
商工観光労働部長に質問をいたします。
民間事業者の方は、施設面のハード面とソフト面でも様々な課題を持っておられて、障害者の方の雇用をしたいけどもなかなか雇用できないという状況もあるかと思います。
そこで、民間事業者の方へ、障害者の雇用を行えば、例えば県から障害者雇用の助成金や補助金が付与されるような仕組みをつくれると、企業側の人手不足などの共通の課題も解決になると考えます。
障害者雇用について事業主支援の強化を行う必要があると考えますが、
商工観光労働部長に再度見解を伺います。
◎
商工観光労働部長(林毅) お答えいたします。
先ほどの答弁に少し重なる部分もございますが、事業者向けに作成しております障害者雇用促進ガイドブックにおきまして、国や関係機関等の助成金を紹介もさせていただいているところでございます。
行政指導や助成金支給を行う国と十分な連携を図りつつ、優良事業所の表彰やセミナーの開催などを行うチャレンジドWORK運動推進事業の充実も図り、障害者雇用に取り組む事業主を支援してまいりたいと考えております。
◆9番(
森重重則議員) (登壇)答弁ありがとうございました。
国の助成金のほうを企業の方に啓発していくというか紹介していくというところだったと思います。
ぜひ県からも助成金や整備の補助金とかを出していただいて、やはり障害者雇用率というのは、滋賀県、平均値よりも上がってきているということですので、積極的な助成金、補助金を付与していただきたいと思っております。
これは意見といたしまして、再度の質問を
健康医療福祉部長にいたします。
一般就労へのステップアップ就労について質問をいたします。障害者の方だけでなく、現在、一般就労に結びつくのが難しい就労困難者の方も多くおられます。一般就労に結びつけられるよう、これも段階ごとの就労支援のスキームをつくることが重要だと考えます。
就労困難者の方を対象に就労訓練事業、いわゆる中間的就労の取組を促進していくことが必要であるとも考えますが、
健康医療福祉部長に見解を伺います。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) お答えいたします。
中間就労の促進についてでございますけれども、県では、支援員の助言を受けながら就労の体験を行います就労訓練事業所の認定に向けた助言であったりサポートのほか、利用者の具体的な訓練内容につきましても、事業者との調整を行っているところでございます。
現在、この認定を受けた事業所は現在24か所ございますけれども、その多くは社会福祉施設でございまして、今後はより幅広い業種の訓練先を確保し、この入り口を広げることによりまして、本人の適性や希望なども踏まえながら、一般就労への移行を促進してまいりたいと存じます。
◆9番(
森重重則議員) (登壇)答弁ありがとうございました。
ぜひ中間的就労も、障害者の方だけでなく、やはり先ほどちょっと
インクルーシブでも言いましたけども、障害のあるなしに関わらず、そういった少数派の方をいかにまた就労の幅の広げていくというところにつながりますので、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。
最後に、先ほど車椅子の女の子のお話をしましたけども、車椅子の女の子は大学に通うのに、実は通学のことや介助のこと、そして金銭面のことなど、困難なハードルが幾つもありました。それで、守山市や民間の介護事業者、そして大学の全面協力の下、この4月から大学に通えるようになりました。協力し合えば、やはり1人の子の夢や希望がかなえられます。
ぜひ、健常者、障害者の方、そして民間事業者の方が協力し合い、誰一人取り残さない社会、地域共生社会をつくっていただきたいことを切に願いまして、私の質問を終わります。ありがとうございました(拍手)
○議長(奥村芳正) 以上で、9番
森重重則議員の質問を終了いたします。
次に、35番駒井千代議員の発言を許します。
◆35番(駒井千代議員) (登壇、拍手)それでは、通告に従いまして、まず初めに、地方創生について一問一答で伺います。
平成26年──2014年にまち・ひと・しごと創生法が制定されてから今年で10年を迎えます。国が地方創生の基本的方向を定めたまち・ひと・しごと創生総合戦略の下、地方版総合戦略として、滋賀県では、人口減少を見据えた未来へと幸せが続く滋賀総合戦略を策定しました。
当初、地方創生による滋賀県の目指すべき姿をどのように描かれたのか、知事に伺います。
○議長(奥村芳正) 35番駒井千代議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。
平成27年──2015年10月に策定いたしました、人口減少を見据えた豊かな滋賀づくり総合戦略では、2040年の将来の姿として、全ての世代が満ち足りた日々を滋賀で過ごすことができ、新しい時代に対応した仕事や働き方を通じて、安心して暮らすことができる活力ある地域社会を目指すこととしたところでございます。
◆35番(駒井千代議員) (登壇)では、この10年間、国に認定された地方創生事業を通じて滋賀県での地方創生はどう進んできたのか、これまでの地方創生事業の効果をどのように捉えていらっしゃるのか、知事に伺います。
◎知事(三日月大造) お答えいたします。
2015年──平成27年に策定した総合戦略は、計画期間終了に伴いまして、令和2年──2020年3月に改定したところでございます。第二期総合戦略におきましては、人口に関する目標として、合計特殊出生率、社会増減、総人口について目標を掲げ、施策に取り組んできたところでございます。
合計特殊出生率につきましては、令和4年──2022年に1.43となりまして、令和7年──2025年の目途でございました1.65から乖離いたしまして、停滞が続いている状況にございます。
一方、社会増減につきましては、平成30年──2018年以降は社会増が継続している状況がございます。
また、総人口につきましては、令和5年──2023年10月1日時点で、既に令和7年──2025年の目途としていた141万人と同程度まで減少してきている、こういう状況にございます。
昨日公表されました令和5年──2023年の人口動態統計の速報値におきましては、本県の出生数が9,698人で過去最少となったところでございますが、全国的に社会減の道府県が多い中で、本県は社会増を保つなど、これまでの取組については一定の効果があったのではないかと捉えているところでございます。
◆35番(駒井千代議員) (登壇)人口動態についてお話しをいただいたわけですけれども、ただ、目指した姿は、満ち足りた日々を過ごす、そして、安心して活力ある滋賀というふうに掲げられたわけなんですよね。
この社会増については若干多いわけで、南部でいいますと、大阪などに近いということで、大阪から働けるということで、草津などにも多くの方が移住してこられたり、いろんな形があったかと思うんですけれども、ただ、この社会増があったことで、この目指す姿自体は2040年を目指しているわけなんですけれども、改定されたとはいえ、この満ち足りた日々になっているのか、安心して暮らせるようになっているのか、活力ある滋賀になっているかという観点から、これまでの創生事業をした上でどういった成果として捉えてらっしゃるのか、いま一度、知事に伺いたいと思います。
◎知事(三日月大造) 状況としては、掲げた目標に対する現状としては先ほど申し上げたとおりなんですけど、今おっしゃったとおり、全ての世代が満ち足りた日々を送れているのか、また、安心して暮らすことができているのか、活力ある地域社会は築けているのかという、こういった観点からの検証なり取組というのはまだまだのところがあると思いますので、そういったところは都度、節目節目で振り返りを行うと同時に、さらなるその時代に応じた目標を立て、取組を推進できるように努めてまいりたいと存じます。
◆35番(駒井千代議員) (登壇)平成28年度に創設されました企業版ふるさと納税は、国が認定した地域再生計画に位置づけられる地方公共団体の地方創生プロジェクトに対して企業が寄附を行った場合に、法人関係税から税額控除する仕組みです。個人のふるさと納税と異なり、地方の食材や地場産業の工芸品などが返礼されるものではありません。
企業にとっては、SDGsやESGへの寄与、創業地やゆかりのある地方公共団体への恩返しといった社会貢献や、地方公共団体などとの新たなパートナーシップの構築といった事業展開にメリットがあります。
地方公共団体としては、新たな企業との連携の可能性や、特に人材派遣型では、専門的知識、ノウハウを有する人材により、事業の充実、強化、関係人口の創出、拡大も期待できます。
(資料掲示) さて、資料1を御覧ください。こちらは令和4年度の企業版ふるさと納税の都道府県別実績を金額順に並べ替えてみました。滋賀県は約6,400万円となっており、東京の次に少額となっております。
次に、資料2を御覧ください。今度は都道府県の事業だけを見た場合の実績を金額順に並べてみました。赤が1億円以上、緑が1,000万円以上、青がそれ以下となっております。滋賀県は40位の870万円となっております。
最後に、資料3を御覧ください。こちらは市町村の事業で寄附金額が1億円以上のものだけを金額順に出したものと、隣は県内市町の寄附実績となっております。
こちら、1位の静岡県裾野市は、ウーブン・シティ構想が進められ、トヨタ自動車などからの高額の寄附がされております。2位の北海道大樹町は、北海道スペースボード整備と航空宇宙関連企業支援プロジェクトで企業からの寄附が入っておりますし、3位の徳島県神山町は、高専設置に関する事業で寄附が入っております。
企業版ふるさと納税の令和4年度の実績評価について、滋賀県の状況をどのように捉えていらっしゃるのか、総務部長に伺います。
◎総務部長(東勝) (登壇)お答えをいたします。
令和4年度──2022年度には、新たに内閣府主催のマッチング会への参加やPRチラシの作成、配布などを行いましたものの、11件、約870万円の御寄附にとどまっているところでございます。
また、これまでの推移を見てみますと、多くの府県では、令和2年度──2020年度の税制優遇や寄附対象事業の拡充などの制度改正を契機に寄附実績を伸ばされている状況にございますが、本県の実績は微増にとどまっている状況にございまして、そうした制度改正のメリットが十分に生かし切れていない状況にあると捉えているところでございます。
◆35番(駒井千代議員) (登壇)もちろんこういった寄附というものは年度ごとに異なってくるものではありますが、令和4年度は、自治体間、事業によって大きく差が出たと言われております。他の自治体の事業への寄附実績をどのように分析されているのか、総務部長に伺います。
◎総務部長(東勝) お答えをいたします。
他の自治体への寄附ということでございますが、先ほども触れさせていただきましたが、制度改正後、他府県では寄附実績が伸びている状況でございます。
寄附実績が上位の都道府県を見てみますと、宮城県のようにトップセールスの効果的な活用により実績を上げておられる事例や、大阪府のように事業のプラットフォームなどを効果的に活用され、企業のニーズを取り入れてプロジェクトを構築されている事例がありますほか、佐賀県ではNPOと一緒に企業との関係構築に努められ、幅広く寄附を募っておられる事例などもございます。
また、企業からの全国の自治体に向けた提案を素早く捉えて、県の事業とつないで寄附を獲得した事例も見られるところでございまして、本県でも、こうした事例を参考といたしまして、企業との関係構築や寄附に関する情報収集などを一層強化していく必要があると考えているところでございます。
◆35番(駒井千代議員) (登壇)他の自治体との分析の中でやはり一番注目していただきたいのは、寄附を得られたそのプロセスなんですよね。やはり情報を敏に得るということも大事ですが、やはりその寄附を求めていかれた、それぞれ幾つか特徴を挙げていただいたと思うんですけども、やはりそのプロセスにもしっかりと学ぶところがあるのではないかなと思っております。
昨年2月に実施された内閣府、8府県庁共催のTHE地方創生WEEKにおける地域別マッチングに滋賀県も参加されております。
滋賀県としての地域別マッチングの成果はどうであったのか、総務部長に伺います。
◎総務部長(東勝) お答えをいたします。
令和5年──2023年2月に内閣府の支援制度を活用いたしまして、県内6市町と共にマッチング会を開催いたしましたところ、県内から2社、県外から16社の参加がございまして、本県からは、わたSHIGA輝く国スポ・障スポ2025や世界農業遺産プロジェクト推進事業など3事業につきましてプレゼンテーションを行ったところでございます。
結果といたしましては、残念ながら寄附にはつながりませんでしたが、担当者のスキルアップや、県の取組を発信する一つの機会となったというふうに考えているところでございます。
一方で、オンライン開催ということでございまして、企業の皆様にとりましては参加しやすいというメリットがありました反面、コミュニケーションが取りづらいというふうな側面もありましたことから、今後は対面での取組にも力を入れながら、効果的に企業との関係を深めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
◆35番(駒井千代議員) (登壇)令和5年度は、企業版ふるさと納税は、総合企画部の企画調整課から新設された総務部行政経営推進課営業戦略に担当が変更されています。
令和5年度の取組はどのようなものであったのか、総務部長に伺います。
◎総務部長(東勝) お答えをいたします。
歳入確保の取組を全庁挙げて戦略的に進めていくため、今年度、庁内の牽引役といたしまして総務部内に専門部署を設置いたしますとともに、訪問企業の結果や企業ニーズなどの情報を蓄積するためのデータベースを構築しまして、関係所属で共有しながら連携した取組を推進してきたところでございます。
これまで、関係所属と連携して延べ45社の企業を訪問いたしますとともに、東京で開催されました近江ゆかりの会にも参加をするなど、企業との関係構築に努めてきたところでございます。
そうした取組によりまして、今年度の企業版ふるさと納税の実績につきましては、本年1月末時点で30件、約2,600万円という状況になっておりますほか、人材派遣型企業版ふるさと納税といたしまして、専門的知識、ノウハウを有する人材の派遣を受け入れまして、まちのコインビワコを活用した関係人口等の創出に取り組むなど、企業と連携した取組にもつながっているところでございます。
◆35番(駒井千代議員) (登壇)企業版ふるさと納税を活用された大樹町と神山町が内閣府のシンポジウムでお話をされておりますが、大樹町では、30年近くかけて検討してきたプロジェクトを実現するため500社以上の会社訪問をされ、神山町も、開校準備の段階からファウンディングパートナー制度をつくられ、官民連携による高専づくりを進め、何百回も企業でのプレゼンテーションをされたそうです。
次年度に向けてどのように取り組もうとされているのか、総務部長に伺います。
◎総務部長(東勝) お答えをいたします。
これまでに訪問いたしました企業の方からは、「人間関係ができると寄附を続けようと思える」というふうな御意見ですとか「企画の段階から関わらせてもらいたい」といった御意見などをいただいているところでございます。
そうした御意見も踏まえまして、今後は関係所属に対し、研修などを通じましてファンドレイジングに対する意欲を高めてもらうとともに、企業に関心を持ってもらえるような事業の掘り起こしや企業とのマッチングなどに連携して取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
また、企業に対しましては、効果的な訪問活動を展開いたしまして、ふだんから相互に相談できる関係を構築いたしまして、早い段階からお互いが情報を出し合い、双方のニーズや強みを生かしながら事業を共につくり上げるといった取組にも力を入れてまいりたいと存じます。
◆35番(駒井千代議員) (登壇)この企業版ふるさと納税というものは、一般的なものは来年度までの時限措置ということで、各地域からの継続要望も出ているわけなんですけれども、やはりこういった事業のチャンスをどう生かすかということはあると思うんですね。
今おっしゃったように、確かにファンドレイジングの観点から、いかに企業から寄附をいただくということも大事なんですけども、私が申し上げたいのは、地方創生の観点から、何がしたいのかという事業の磨き上げをしっかりやることが大事であって、お金の前に企業のその事業に対する共感が必要だと思うんですね。共感した後からお金がついてくると思います。
その辺りがまだまだ足りないのではないのかと思いますので、金額は分かりやすいので先ほどお示ししましたけれども、そういったことにしっかりと注力をしてやはり取り組むことが必要なのではないかと思っております。
これまで、滋賀県も近未来技術等社会実装推進事業や創業・起業支援事業、企業誘致といった産業振興や関係人口創出の事業に取り組まれてきており、企業版ふるさと納税は事業実施を目指す総合戦略の姿実現のための一つのツールにほかなりません。
しかしながら、キラーコンテンツを見いだし磨き上げるという点では、企業版ふるさと納税を通じた他の自治体の取組を見ても、滋賀県ではまだまだ取り組むべきことがあるように思います。
佐賀県では、地域の思いを大切に、自ら考え行動する自発の地域づくりの推進を掲げ、多様な主体による協働社会づくりのため、NPO法人や市民活動への活動資金の調達をふるさと納税のNPO等指定寄附を活用して支援されており、令和4年度、NPO法人等指定寄附は7億2,110万円余となっております。
同時に、地域課題解決のためにNPO法人などの誘致を進め、災害支援や児童養護施設入所者の自立に向けた支援、災害救助犬の育成、1型糖尿病患者などへの支援や研究開発などに取り組むNPO法人などが佐賀県を拠点に活動されるようになりました。令和3年度からは、企業版ふるさと納税も活用されております。着実に佐賀県で活動する団体も増えており、民間の力も活かしながら、目指す地方創生に取り組まれております。
国は、このたび、まち・ひと・しごと創生総合戦略を改定し、デジタル田園都市国家構想総合戦略を令和4年12月に策定され、地方自治体に、今後、地方版総合戦略を国の総合戦略を踏まえて改定に努めるよう要請をされました。これを受けて、滋賀県でも冒頭述べました総合戦略を改定しようとされています。総合戦略を改定する中で、活力ある滋賀、基本構想で目指す未来へと幸せが続く滋賀の実現に向けて、民間投資や官民連携もさらに活かして取り組むべきではないかと考えますが、知事の見解を伺います。
◎知事(三日月大造) 人口減少など様々な課題を乗り越えて活力ある社会をつくっていくためには、御指摘のように、民間投資を呼び込み、官民連携で様々な事ごとに取り組んでいくことがとても重要だと存じます。
ちなみに、一例ですけど、民間投資、設備投資ということでいえば、令和に入って以降だけでも把握できているだけで70件を超え、2,200億円を超える民間投資を呼び込むこともできている状況もございます。
現在の基本構想や総合戦略でも、多様な主体との対話や共感、協働を図ることとしております。
豊かな自然環境、歴史、文化資源などの滋賀県の魅力や「子ども、子ども、子ども」、ひとづくりなど滋賀県の重要政策を発信し、県内外の企業等の共感を得て、様々なノウハウ等を有する企業等との連携、協働によって地域課題の解決を図り、未来へと幸せが続く滋賀の実現を目指し、取組を進めてまいりたいと存じます。
◆35番(駒井千代議員) (登壇)先ほど私もこれまでに企業連携がなかったわけではないというふうに申し上げておりまして、知事からも70件を超え2,200億円を超える投資があったというふうにおっしゃっていたんですが、では、本当の意味でこの官民連携ができていたかというと、私は必ずしもほかの地域を見たときにそうではないと思うんですね。民間の企業は来ていただきました。研究施設も来ております。しかしながら、どこまで滋賀県がこの投資に対して関わって一緒に汗をかきしてきたかというと、もっともっとやるべきこと、もっと呼び込めることがあったのではないかと思います。
昨日来、一般質問が始まりまして、いろいろな提案などがされているわけでありまして、もちろん今すぐできないことも多いと思いますし、なかなか難しいことも多いと思うんですね。しかしながら、例えばほかの地域では、規制の問題などがあれば、地方創生の一手段である国家戦略特区制度を利用しながら、例えば自動運転やドローン利用に先駆けて取り組んできたところがあります。
ルールを守ることも大事ですが、ルールをつくる発想を持つことがイノベーションを生む上で重要になってくると思います。これは民間だけでなく、県庁もその風土を持たなければ、真の官民連携によるイノベーションが生まれる滋賀にはならないと思います。ルールメーカーになる、失敗を恐れず描く未来の実現に向けて挑戦するという思いがまだまだ滋賀県には弱いのではないでしょうか。常に未来構想の実現に向けて、バックキャスティングで取り組む姿勢が非常に重要だと思います。
来年度の組織改編では、ものづくり振興課がイノベーション推進課となります。それらを踏まえて、いま一度、次期総合戦略、滋賀の地方創生に向けた知事の思いを改めてお伺いしたいと思います。
◎知事(三日月大造) そうですね。おっしゃったとおり、こんなに投資がありましたということを言っても、そのことにどれだけ汗をかいたんだと言われ、本当にそうだなと思いました。
おかげさまで当地滋賀県は恵まれていますので、待っていても来るという、そういう状況と環境があったんだと思います。ただ、おっしゃったとおり、もっとやればもっと来ていただける環境がつくれるということは、我々強く思い、様々な挑戦をしていかなければならないんだと思います。
ややもすれば受け身になって、御相談があったことに対して、法律や条例に照らして、できる、できないを言うだけになってないだろうか。なければつくるというルールメーキングの面でもっとやれることがあるんじゃないかというようなこと、さらには、民間の方々、企業の皆様方やNPOの皆様方と一緒につくるという、こういった発想というのも、他県を見習ってもっともっとできることがありますので、今日賜りました様々な御指摘、また、この議場で今日もまだ賜りますけれども、様々いただく御提案などを踏まえて、さらにそういった挑むことができる県庁づくりに取り組んでまいりたいと存じます。
◆35番(駒井千代議員) (登壇)国で出されたデジタル田園都市構想もデジタル化が目的ではありません。手段が目的化しないように、次年度も事業の磨き上げを絶えずしていく思いで取り組んでいただきたいと申し上げて、次の質問に移りたいと思います。
次に、「子ども、子ども、子ども」政策について、分割で質問させていただきます。
子ども権利条約に日本が批准して25年目となる2019年より、改正児童福祉法を受けて、子供の権利主体性についての明記や子供の意思表明権、子供参画について度々質問してまいりましたが、今年の秋は批准して30年の節目となります。
国では、こども家庭庁の設置、こども基本法、こども大綱が策定されました。滋賀県においても、(仮称)子ども基本条例の制定や淡海子ども・若者プランの改定が予定されていますが、この5年でも子供の意見を聞く取組や子供参画が進んできていることを実感します。
さて、昨年11月から今年1月にかけて、新しい子供の条例の検討に向けて、小学4年生から大学生までを対象にウェブアンケートを実施されました。
どのような意見が出されたのか、また、意見をどのように受け止められたのか、
健康医療福祉部長に伺います。
また、審議会などに子供、若者が参画されていますが、審議会メンバーの数や内容によっては、子供、若者が分かりやすい、話しやすい工夫も必要ではないかと考えます。
子供参画が進むに当たり、検討の余地があるのではないかと考えますが、
健康医療福祉部長に伺います。
昨年11月から12月にかけて、子育てを社会で支える施策を推進するに当たり、子育てに関する県民の意識や実態を把握し、今度の施策について検討するため、子育てに関する県民意識調査をされています。
アンケートの中では子供の権利について聞かれていますが、子供が意見を言う機会を設けることへの考えとして、校則など学校の決まりを決めるときに、89%の方が必要、または、どちらかといえば必要と回答されています。
県内市町では先行して中学校などで校則について議論をされているところもありますが、生徒指導提要が12年ぶりに改定され、令和4年12月、文部科学省により示されています。
その中で、校則は最終的には校長により適切に判断される事例であるものの、在り方については児童生徒や保護者などの学校関係者からの意見を聴取した上で定めていくことが望ましいと考えられ、その見直しに当たっては、絶えず積極的に見直しを行っていくことが求められるとされています。
教育委員会における取組例として、校則の内容、見直し状況について実態調査の実施、校則を学校のホームページに掲載するとともに、校則について生徒が考える機会を設けられるよう改定手続を明文化するなど、児童生徒、保護者に周知するよう依頼などが紹介されています。
校則について先生と生徒が議論できる場や校則のホームページへの掲載など、滋賀県における取組はどのようにされているのか、教育長に見解を伺います。
次に、改正児童福祉法を受けた滋賀県の取組について伺います。
今年4月から改正児童福祉法が施行されます。今回の改正では、市町村における子育て家庭への支援の充実としては、子育て世帯訪問支援事業、児童育成支援拠点事業、親子関係形成支援事業の新設に加え、子育て短期支援事業、一時預かり事業が拡充されます。在宅支援の強化が主な狙いですが、前回の議会でも触れたショートステイにも、子供の希望による入所、利用を可とされたり児童育成支援拠点事業による居場所支援がされることで支援団体の安定した運営も見込まれ、子供が安心できる環境整備が進むことを願うものです。
都道府県に関しては、特に子供の意見聴取等の仕組みの整備が求められています。児童相談所などでは、入所措置や一時保護等の決定時において、児童の最善の利益を考慮しつつ、子供の意見、意向を勘案して措置を行うため、子供の意見聴取などの措置を講ずることとされております。
具体的にはどのように子供の意見聴取などの仕組みの整備をされているのか、
健康医療福祉部長に伺います。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) (登壇)「子ども、子ども、子ども」政策に関する4点の御質問のうち、私いただきました3点の御質問にお答えいたします。
1点目のウェブアンケートの結果および受止めについてでございますが、どうしたら意見を伝えやすいのかといった点について意見を聞きましたところ、1万1,000を超える子供たちから、親や先生であれば意見が言いやすい、あるいは秘密を守ってほしい、さらには自分たちのことを決めるときに自分たちの意見を言える場が欲しいといった意見があったところでございます。
また、条例の検討部会などでは、意見を聞く内容などにも応じ、ウェブなど複数の方法を用意することや親しみやすい雰囲気をつくることに加えまして、年齢や障害の有無、母語等への配慮を行うといった御意見もいただいており、こうしたことも踏まえながら、子供や若者一人一人に合わせた工夫が必要と受け止めているところでございます。
2点目の審議会などへの子供や若者参画に当たっての工夫についてでございますけれども、子供や若者の参画は、県が直接意見を聞く機会であるとともに、子供や若者自身にとっても、自主性や社会性を高め、県政への関心を高めてもらう上で重要な機会であると考えております。
参画に当たりましては、子供にも分かりやすい資料を作成するほか、子供や若者が発言しやすいよう、例えば丁寧に意見を聞き、発言に対しフィードバックを行うなど、意見が尊重されていることを実感してもらえるような工夫をし、積極的に発言できる環境づくりに取り組んでまいりたいと存じます。
3点目の意見聴取などの仕組みについてでございますけれども、県ではこれまでから、子ども若者審議会に子どもの権利擁護部会を設置しまして、委員である弁護士や臨床心理士等が施設等を訪問し、第三者的な立場で定期的に子供や職員の意見を聞き取り、施設等に対し助言や指導を行ってきたところでございます。
児童福祉法の改正を受けまして、この従来の取組に加えまして、措置等の決定時に意見聴取を行うための委員の増員を行いましたほか、一時保護所において、試行的に措置前に意見聴取を行ったところでございます。
試行を経まして、子供や職員に新たな仕組みが十分に浸透していないといった課題が見受けられましたことから、子供向けの説明ツールの作成や職員向けの研修会などによりまして、子供がためらうことなく自発的に意見を表現できるよう、さらなる環境整備を図ってまいりたいと存じます。
◎教育長(福永忠克) (登壇)「子ども、子ども、子ども」政策に関しまして、私にいただきました校則についての御質問にお答えをいたします。
議員御指摘のとおり、校則につきましては絶えず積極的に見直しを行うことが求められておりまして、生徒会を中心に、校則について自分たちで考え、議論できるような機会を設ける取組を進めているところでございます。
そういった取組を進めました結果、女子の制服のスラックスの導入でありますとか通学用かばんの自由化など、校則の見直しが進んできておるところでございまして、校則のホームページの公開につきましては、現在全ての全日制高等学校で行われているところでございます。また、市町におきましても、校則見直しのガイドラインの作成や具体的な校則の見直し、また、校則の公開を進めていただいているところでございます。
今後も、各学校における校則の運用、見直しを含め、継続した指導に努めてまいる所存でございます。
◆35番(駒井千代議員) (登壇)ありがとうございます。
審議会などは、ほかでも公募委員さんが参加されているとよくおっしゃるんですが、周りの方がやはり大学の教授の方であるとか専門家の人に囲まれた中で、なかなか意見が出しにくいということもあって、子ども若者審議会で、子供、若者の方が参加されるのは、発言したいことがあってもちろん意欲的な方だと思うんですけれども、やはりそういった雰囲気ってあると思うんですね。
ですので、できる限りいろんな方が発言しやすい審議会の在り方というのは、子供を中心として一般の人にも参加しやすいやっぱり審議会の在り方というのを全庁挙げて考えられる仕組みを出していただきたいなと思いますので、さらなる工夫をお願いしたいと思います。
少し再問をさせていただきたいと思うんですが。
まず1点は、教育長に少し確認でお聞きしたいんですけれども、県立全日制高校、全てホームページで公開していただけるということで、これまでも改善を行ってきたということであります。ただ、制度だけではなく、先生のほうからも自発的に校則を変えたほうがいいんじゃないかというお声も出たりすることもあるというふうなお話もお伺いするわけなんですが、そういった場合においても、やはり変えるときというのは、なぜ変えるのかということについて、そのプロセス、議論するということも非常に重要だと思います。そうした過程においても、生徒との話合いの中で校則は変えられているのかということを改めて確認させていただきたいと思います。
もう1点、
健康医療福祉部長にお伺いします。
この子供たちの意見聴取なんですけれども、ウェブアンケートを最初のところで答えていただけたんですが、年齢を問わず意見を表明しやすい雰囲気では、間違っても温かく受け止めてもらえる雰囲気だとか、間違いはなくても尊重し合える、間違えてもいい雰囲気、頭ごなしに否定しない、非難されない、意見を表明しやすい決まりも、変な意見でも受け入れてもらえる、あれこれほかの人から言われない、当たり前でも誰も否定しない、否定されない、こういったことがアンケートが結構子供の意見として出ているんですね。
これが小学4年生から高校3年生、大学生までそれぞれの年齢でこういった意見が出ているというのは、非常に子供たちが常に周りを気にするようになっているしんどい状況、このような状況であれば、学校で、社会で自由に発言するということが非常に苦しい思いを抱えている子がいるんだろうなということが、このアンケートからも非常に分かると思うんですね。
そうしたときに、次年度から、これまでの取組としても、意見聴取の仕組みで最後のところで意見を聞くという仕組みを、今、委員の増員を図っていただき、また、ツールの作成や研修に努められて、子供の意見を一時保護の決定時等に聞かれる体制づくりに取り組んでいただいているわけなんですが、やはりこの場合はなかなか匿名性で意見を言うということはもちろんできないわけですね、決定のときですから。そういった場合に、この子供のアンケートから見て、一定やはり自分ではなかなか意見が表明しにくい子もいると思うんです。
そうしたときに意見を求める機会を設けるのももちろん大事ですし、やはり意見を、表明を支援する仕組みについて検討を進めることが、このアンケート結果からしても重要なのではないかと思うんですね。もちろんこの4月からすぐにということを求めるものではなく、やはりこういった意見聴取をするに当たっては、本当に子供が意見を言えるような、子供の意を酌めるような体制にするための意見表明支援についても、滋賀県として検討を進めていく必要があるのではないかと思うのですが、
健康医療福祉部長にその点をお伺いしたいと思います。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) お答えいたします。
まず、様々な意見、出されております。私もつぶさにちょっといろんな意見を読ませていただいたんですが、やはり意見を否定せず聞いてもらえる、酌み取ってもらえる。ここは一定やはり我々はもう福祉の言葉でよく言うんですが、この自分の大人の価値観を押しつけるのではなく、まずは受け止める受容の姿勢が大事だと。こういったことは、やはり今回のアンケートも踏まえて、様々な場面でやっぱり県民の皆さんにも訴えかけていかなければならない点かと思っております。
その中で、支援する仕組みの中で、はっきりと自分の声が出しづらい、あるいは届きにくい場面も多々あるかと思います。そういった声をしっかりと出す支援をする仕組み、意見表明を支援するこういった支援員の仕組みというのは、国のほうでも今回法改正の中で取組を進める上での課題の一つとして挙げられておりますので、ここは県としましても、今現在、子ども基本条例の検討を進めておりますけれども、こうした中でどのような形でこれが含められるのかも含めまして、県として検討してまいりたいと存じます。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
この校則の問題につきましては、私が5年前に教育長をさせていただいてから、生徒のプライバシー等の人権という視点、また、現在の社会通念上の妥当性という点から見て、果たしてこのままでいいのかどうか見直しをする必要があるという形で、令和元年の10月頃から通知を出しながら検討を進めてまいりました。
そして、令和2年にも県立高校27校で改定を行い、令和3年に改めて見直しを実施するよう要請をしたところでございます。
そして、令和4年の1月には、このプライバシー等の人権に対する配慮でありますとか社会通念上の妥当性に欠けるものではないかという視点で、できる限り生徒や保護者等の意見を聞きながら見直しを行うよう再度通知いたしました。
これは市町に対しましても通知をさせていただき、市町におきましても、まずは生徒会で一度話をしよう。そして、生徒会で話したことを生徒指導の先生、校長先生に話をして職員会議で話をしてもらおう。そして、その職員会議で話した答えを今度はPTA等の保護者の皆さんにも話していこう。こういうプロセスを踏んで校則の見直しをしておられる学校なり市町もございます。県立高校も同様でございます。
やはりこういうことで教員も、そして生徒も、本当にこれでいいんだろうかという点について不断に見直していくことが必要でございますので、その点は、教員と生徒が一緒になって、校則について考える機会を今後も引き続き取っていくことが大切であると考えておりますので、県立学校および市町の教育委員会に引き続きそういったことのお話をさせていただきたいと思っております。
◆35番(駒井千代議員) (登壇)ありがとうございます。
校則に関しては、子供たちにとって身近な問題でありますし、やはりそういったことを通じて、社会の問題について子供たちがより発言できるような雰囲気になっていくというのではないかなというふうに思っております。
そしてまた、
健康医療福祉部長からは、本当に条例の件でも過程の中でもやはり検討していきたいというふうに述べていただきまして、ありがとうございます。
まさに来年は条例の制定も控えておりますし、大きなプランの改定も節目の年となります。ぜひ滋賀県がどこよりも子供と共に歩く県政としてこの日本を引っ張っていける存在になるようにと願いまして、私からの質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
○議長(奥村芳正) 以上で、35番駒井千代議員の質問を終了いたします。
次に、26番桑野仁議員の発言を許します。
◆26番(桑野仁議員) (登壇、拍手)お昼前、もうしばらくお付き合いのほど、よろしくお願いをいたします。
それでは、発言通告書に従い、大きく2項目についてお伺いをいたします。
まず、高等学校における奨学資金について、分割方式にて全て教育長にお伺いをいたします。
滋賀県奨学資金制度は、学校教育法に基づく高等学校等に就学しようとする者で、経済的な理由により就学が困難な者に対して奨学資金を貸与し、有為な人材を育成することを目的としており、その内容は、保護者が県内に居住しておられ、世帯の前年の収入の年額が生活保護基準の1.7倍以下である世帯の生徒に対して、奨学金、そして、入学資金、電子計算機購入資金を無利子で貸与するものであり、返済期間は貸与終了後6か月を経過したときから10年以内としている制度です。
こうした制度が運用されている中で、この令和6年度当初予算案において、奨学金返還支援制度を新たに設ける予算が計上されていますが、この制度の目的と中身についてお伺いをいたします。
この制度は対象者にとっては非常によい制度だと思いますが、あくまでも支援後の奨学金は、さきに述べたように必ず返還をしていただく必要があります。
令和4年7月定例会においても、滋賀県奨学資金などの収入未済額の現状と今後の取組について一般質問をさせていただきました。
そこから約1年半が過ぎましたが、高等学校奨学資金について、令和4年度末における収入未済となっている人数と未済額はどのようになっているのか、令和3年度末と比較してお伺いをいたします。
同じく令和4年7月一般質問においても、令和3年度末現在における貸付けを受けた者の中で、全く滋賀県奨学資金の返還を行っていない者が82名であるとの答弁をいただいています。今現在の返済をしていない方の数ならびにその金額は幾らになっているのかお伺いをいたします。
今議会で、権利放棄につき議決を求めることについて、滋賀県奨学資金貸与金に係る請求権の放棄が提出をされています。その中身を見ると、貸与額が48万2,000円に対して返済済額が35万7,000円、未返還額が12万5,000円、返済済額に係る遅延利息として27万1,544円となっております。このことは、長期にわたって返還が滞っていたということが推測をされます。まだまだ多くの方がいろいろな事情により返還をされていない現状があるかと思います。
令和4年7月の一般質問において、今後の収入未済額の減少をどのように図っていくのかとの質問に対し、教育長からは、新たな収入未済を発生させないための取組が重要であると認識をしている。きめ細かな日々の債権管理と文書や電話での粘り強い納付催告に重点を置き、引き続き取組を進めていくと答弁されていました。
また、教育長は、収入未済額を減らすことについては教育委員会全体の課題であると考えており、今後、訪問催告の実施など、新たな取組も検討していきたいとの答弁をされていますが、この答弁以降の教育委員会での新たな取組と成果があれば、その成果についてお伺いをいたします。
この件に関して、知事も令和4年7月の答弁で、収入未済額の減少に向けては、より効果的な取組を検討するとともに、職員一人一人が何としても回収するという使命感を持ち、県庁組織全体としてこれまで以上に積極的かつ厳正な姿勢で対応していくという意識の徹底を図り、取り組んでいくと述べられています。
総務部においても未収入金の回収に向け取り組んでいただいており、令和5年度においては外部委託による債権回収に取り組んでいただき、一定の成果を上げていただいたというように仄聞をしております。
私も以前、奨学金の回収業務に携わったことがありますが、全く連絡がつかない方もいれば、連絡がついてもなかなか返還までこぎ着けられないケースもありました。また、反対に、相手の経済状況、家庭状況等を確認し、相談をしながら規則に定められている返還期間を超えて返済計画の見直しをしてもらったこともあります。本当に大変な仕事だと思っております。
ただ、貸し付けた資金は返還をしていただかねばなりません。また、保護者にも返還義務があることを認識していただく必要があると思います。
返還が滞っている方にはいろいろな事情があるかと思います。時には厳しく、時にはその相手の事情に寄り添った対応をお願いするところですが、今後の滋賀県奨学資金の収入未済額減少に向けた教育長の意気込みを改めてお伺いいたします。
○議長(奥村芳正) 26番桑野仁議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎教育長(福永忠克) (登壇)高等学校におけます奨学資金に関して、私にいただきました5点の御質問にお答えをいたします。
1点目の滋賀県奨学資金返還支援制度の目的と内容についてでございますが、本制度は、滋賀の未来を担うひとづくりの一環といたしまして、経済的に困窮しながらも高い学習意欲を持つ子供が安心して学び続けられる環境を整えることを目的としているものでございます。
具体的には、奨学資金を貸与され、県内の高等学校等に在学をしている生徒のうち、評定平均値が3.5以上であり、一定の経済的要件も満たした者に対しまして、貸与額の2分の1について返還支援を行おうとするものでございます。
なお、新年度の当初予算には、過去の申請状況から、約130名の支援に必要となる経費をお願いしているところでございます。
2点目の令和4年度末におけます収入未済となっている人数と額についてでございますが、令和4年度末現在、収入未済となっている人数は939名でございまして、金額は、現年分が約3,160万円、繰越し分が約2億50万円で、合計いたしますと約2億3,210万円でございます。
これは、令和3年度末と比較をいたしますと、人数につきましては5名の減、金額につきましては、現年分は約170万円の減、そして繰越し分が約1,430万円の増でございまして、合計いたしますと約1,260万円の増となっているところでございます。
3点目の全く返済をしていただいていない方の人数およびその収入未済額についてでございますが、令和6年2月1日現在で、全く返済をしていただいていない方の人数は59名でございまして、約1,270万円の収入未済額が発生をしております。
これは、令和4年7月定例会議で答弁をさせていただいた時点と比較いたしますと、人数につきましては23名の減、金額につきましては約530万円の減となっているところでございます。
4点目の収入未済額縮減に向けた新たな取組とその成果についてでございますが、令和5年度より新たに専任職員を1名配置いたしまして、組織体制の充実を図りますとともに、訪問催告を本格的に実施するなど、滞納者の個別の状況に応じたきめ細かな債権管理を強化しているところでございます。
また、いわゆる困難な案件につきましては、従来どおり総務部と連携しながら訴訟を前提とした徴収を行うことに加えまして、令和5年度からは外部委託による債権回収も実施をしているところでございます。
このような新たな取組の結果、近年増加の一途でございました収入未済額が、令和5年度末には、令和4年度末と比較して、若干ではございますが減少する見込みとなっているところでございます。
5点目の今後の収入未済額の縮減に向けました私の意気込みについてでございますが、滋賀県奨学資金につきましては、県民の皆様からお預かりしている大切な財産を原資として貸与しているという認識の下、これまでから債権回収に鋭意取り組んできたところでございます。
しかしながら、収入未済に陥った方々の状況を見てみますと、病気になられたり失業されたり、様々な事情を抱えておられる方もいらっしゃることも事実でございます。
今後も、お一人お一人の事情に寄り添いながら、収入未済額の縮減に向け、きめ細かな債権管理と粘り強い債権回収に努めてまいる所存でございます。
◆26番(桑野仁議員) (登壇)答弁ありがとうございます。
令和4年7月で質問させていただいて以降、そういうお取組をしていただいているということで、ありがたいなというように思っております。
1点だけ、1番目の質問で2点、ちょっと再質問させていただきたいと思っています。
まず、この奨学金返還支援制度ですけども、先ほど答弁の中で成績評定平均値が3.5以上という答弁があったかと思うんですが、この3.5以上というのはどのような基準、考えを持って設定をされたのかというのが1点目。
それと、この制度なんですけど、2点目なんですが、この制度、奨学金支援制度ということになってはいるんですけども、その支援の仕方について、少し説明がしにくいんですけど、毎年年間貸与した奨学金に対してその2分の1を返還支援するということで、実質年間奨学金を半分にするということになるわけですけども、この制度がいわゆる返還免除なのか、それともまた、一旦奨学金は全額貸与しているわけですから、その半分を返還支援するというのは書類上だけのことであって、考え方によっては給付とも取れると考えられるんですけども、この返還支援の実際の手続をどのようにされていくのかというところを2点、教育長にお伺いをいたします。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
まず、1点目の評定平均3.5というところでございますが、本制度は、経済的に困窮しながらも高い学習意欲を持つ子供が安心して学び続けられる環境を整えることを目的としておりまして、一定の学力要件が必要と考えております。
その際には、国が現在検討しておられる高等教育の修学支援新制度というのがございますが、こちらの支援対象となる学業要件、こちらが5段階評価で3.5以上というのがございますので、それを参考にしながら学力要件を決定させていただいたところでございます。
そして、2点目の本制度の返還の手続のお話でございますが、本制度では、毎年度支援対象者を決定いたします。その際、対象者には、その当該年度に貸与した額の2分の1を繰り上げて返済をいただくという手続を取らせていただきます。その2分の1の繰上返還していただくお金に対して支援金を交付することで、それを相殺するという形を取らせていただいております。
具体的には、支援金を繰上返還に充当するために、実際に対象者の方がお金のやり取りをすることはございませんが、2分の1を繰り上げて返還する。それに対して県が支援金を支払って、その支援金で繰上返済の分を充当するという手続を取る予定をしているところでございます。
ということになりますと、その年度に借りられたお金は半額になるということで、その半額分をルールにのっとって卒業後返還をいただくという対応になるということでございます。
◆26番(桑野仁議員) (登壇)ありがとうございます。
ちょっと非常に分かりづらい部分は正直あるかなというように思っています。どちらにしろ、こういう制度が新しくつくられるということですので、適切に運用していただくということをお願いしておきたいと思います。子供たちに混乱を招かないよう、また、保護者にも混乱を招かないような形で手続を進めていただくようお願いをしておきたいと思います。
それでは、次の質問に移らせていただきます。
次に、湖西線の利便性向上と沿線の観光振興、地域活性化について、一問一答方式で、知事、
商工観光労働部長、土木交通部長にお伺いをいたします。
湖西線は、御存じのように琵琶湖の西岸、湖西地区を通るため湖西線と命名をされ、長浜市の近江塩津駅を起点として、高島市、大津市を通り京都市の山科駅を終点として1974年──昭和49年7月20日に開業をしました。駅数は21の駅、路線距離は74.1キロです。
当時、私は高校に入学したばかりで、湖西線開通までは江若バスを利用して、毎日ぎゅうぎゅう詰めの中、汗だくになり大津の高校のほうに通っていたことを思い出します。湖西線開通によって電車通学に切り替えて、快適な高校への通学をしていたなというふうに思っています。それから考えると、随分と年を重ねたなというように思っております。
三日月知事は、今から10年前の2014年──平成26年7月20日に知事に就任をされて、初めての公務として高島市で開かれたJR湖西線開通40周年の式典に出席をされています。そのときに知事は、40年を機に湖西線の施設やダイヤなどの改善に向けて努力をしたい、利便性向上について専門的かつ重点的に取り組める体制を整えたいと述べられたと仄聞します。
知事は、同年8月に、湖西線開通40周年を契機として、湖西線沿線市および関係機関等と連携し、湖西線の利便性向上に向けた検討を行うため、湖西線利便性向上プロジェクトチームを立ち上げられ、翌2015年──平成27年6月には湖西線の利便性向上と鉄道を生かした湖西線沿線地域の振興、活性化のための事業を実施することを目的に、その組織名を湖西線利便性向上プロジェクト推進協議会──以下、協議会といいますが、に改められました。協議会の構成員は、県および沿線の大津市、高島市、長浜市となっています。
そこで、まず、この協議会の目的を達成するためにこれまでにどのような事業を行ってきたのか、土木交通部長にお伺いをいたします。
◎土木交通部長(三和啓司) (登壇)お答えいたします。
これまで、湖西線の利便性向上と鉄道を生かした沿線地域の振興、活性化を図るため、沿線市と連携しながら様々な事業を行ってきたところでございます。
具体的には、JR西日本に対し、強風対策のための防風柵設置延伸や駅のバリアフリー化に向けた働きかけを行ってまいりました。
また、沿線への観光誘客の取組といたしまして、沿線風景のフォトコンテストの実施および入選作品をJR車内に掲示し沿線の魅力を発信するギャラリートレインの運行、関西空港から湖西線に直行する団体臨時列車の運行、インバウンド誘致に向けて台南旅行博への出展などを行ってまいりました。
◆26番(桑野仁議員) (登壇)それでは、この協議会は前身であるプロジェクトチームの設置から10年を迎えようとしていますが、これまでの事業をどのように評価しているのか、土木交通部長にお伺いをいたします。
◎土木交通部長(三和啓司) お答えいたします。
防風柵の延伸が行われました区間では、運転見合せ時間が延伸前の約3分の1になり、また、新旭駅や比良駅ではバリアフリー化が完了いたしました。
また、5年にわたって開催いたしました湖西線のフォトコンテストでは、合計6,500点以上の応募があり、湖西線のファンづくりに貢献するとともに、入選作品をJRの京都線、神戸線、大阪環状線等の車内に掲示し、京阪神地域に向けて沿線地域の魅力を発信することができました。
これらの施策を県と沿線市が一体となって取り組んだことで、湖西線の利便性向上や沿線地域の振興、活性化につながったものと評価をしております。
◆26番(桑野仁議員) (登壇)ありがとうございます。10年でいろいろな事業をしていただいたということで、ありがとうございます。
バリアフリーに関しては、まだまだ課題は残っているかなというふうに思いますので、引き続きこれはお願いをしたいなと思います。
2014年──平成26年7月20日にJR湖西線開通40周年記念イベントが開催をされ、記念式典や記念列車の運行、近江今津駅前での物産展などのイベント、湖西線の歴史を紹介する今お話があった写真展などが実施をされていますが、令和6年度予算案においても湖西線開通50周年に関わる予算が計上されています。
50周年というのは一つの大きな節目だと考えますが、具体的にどのような事業を実施しようとしているのか、土木交通部長にお伺いをいたします。
◎土木交通部長(三和啓司) お答えいたします。
協議会の事業といたしまして、開通記念日の7月20日に、記念式典の開催、記念列車の運行、駅周辺における記念イベントの開催などを計画しております。
特に、記念列車は京都から敦賀までの区間の運行を予定しておりまして、湖西線沿線の住民をはじめ多くの県民に御乗車いただくとともに、京阪神地域はもとより、北陸新幹線敦賀駅が開業いたします福井県からも沿線地域への誘客を行う予定としております。
また、継続的に取り組む事業といたしまして、地元の小学生がデザインしたヘッドマークを取り付けた車両を運行したり、湖西線をテーマに園児が描いた絵を車内や駅へ掲示するとともに、開通後50年の歴史を振り返る写真展の開催等も計画をしております。
協議会で実施いたします事業以外にも、沿線市やJRが主体となって行う事業もありまして、開通50周年を一体となって盛り上げられるよう、関係者との連携、調整を行ってまいります。
◆26番(桑野仁議員) (登壇)ありがとうございます。
それでは、それらの事業によってどのような効果を期待しているのか、土木交通部長にお伺いをいたします。
◎土木交通部長(三和啓司) お答えいたします。
大きく2つの効果を期待しているところでございます。
1つ目は、県民、とりわけ沿線住民の方々が自らの地域の鉄道を守り育てていく意識、いわゆるマイレール意識の醸成でございます。開通50周年を機に改めて湖西線の歴史を振り返っていただくことで、暮らしを支え地域の活性化を図る上で湖西線は不可欠であることを再認識していただき、より一層の利用促進につなげてまいります。
2つ目は、沿線観光地の知名度の浸透であります。沿線地域には比叡山延暦寺でありますとか白鬚神社などの奥深い歴史や、琵琶湖をはじめ比良山系やメタセコイヤ並木などの美しい自然があり、さらには、湖水浴やグランピング、トレイルといった野外アクティビティが豊富なエリアでもあります。京阪神地域から渋滞なし、乗換えなしで来訪できる湖西線の利便性をしっかりと伝え、観光誘客にもつなげてまいります。
◆26番(桑野仁議員) (登壇)ありがとうございます。
50周年記念イベントを盛り上げようとしますと、先ほど答弁あった地域との連携が必要になってくるかと思いますが、これは関係者が一丸となって取り組んでいく必要があるわけですけども、この地域の住民や関係者の協力の下で、地域沿線の住民や関係者に対する周知や協力体制の構築、これはどのように行っていこうとするのか、土木交通部長にお伺いをいたします。
◎土木交通部長(三和啓司) お答えいたします。
沿線地域の住民に対しては、各自治体の広報誌やSNSを活用するほか、記念列車や記念式典の参加者募集、ヘッドマークデザインや絵の募集などの機会を通しまして、周知を行ってまいりたいと考えております。
また、沿線各駅での記念イベントや記念列車のお出迎えには観光協会や市民団体等の協力が欠かせないことから、沿線市を通じて積極的な連携を図ってまいりたいというふうに考えております。
◆26番(桑野仁議員) (登壇)ありがとうございます。
観光列車のお出迎えは、私もまた寄せていただきたいなと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、次に、湖西線沿線地域の振興、活性化についてですけども、昨年11月に社会実験として、長浜市にあります奥びわスポーツの森と大津市にあります春日山公園において、スケートボードの専用エリアを試行的に設置し、利用者数の把握やアンケートによるニーズ調査が行われていますが、その結果について、土木交通部長にお伺いをいたします。
◎土木交通部長(三和啓司) お答えいたします。
社会実験の結果、奥びわスポーツの森には240名、春日山公園には259名と、想定を超える参加がございました。公園が所在する市内だけではなく、市外からの参加者も全体の4割から6割を占めたところでございます。また、小さいお子さんから60代以上のシニアまで、幅広い年代の方々が参加されました。
利用者アンケートでは、「滑る場所がないのでぜひ作ってほしい」、また「子どもたちが伸び伸び練習できるようにしてほしい」など、スケートボード場の設置を求める声が数多くございました。
また、実験では既設の舗装を使用したこともありまして、本格設置に当たっては「路面を現状よりもよくしてほしい」という意見が多数あったところでございます。
◆26番(桑野仁議員) (登壇)ありがとうございます。
たくさんの方が来ていただいたということで非常によかったかなと思います。
スケートボードは東京オリンピックで日本人選手が活躍したことを受け、注目を浴びているスポーツです。子供から大人までが今お話あったように楽しめるというスポーツでもあります。
近江八幡市では昨年、近江八幡市立健康ふれあい公園にスケートパークがオープンをしました。近江八幡市では、市民から整備の要望が数多く寄せられたことから、ふるさと納税の寄附金で設けたふるさと応援基金を活用して整備を進められたということです。オープニング期間には約400人もの方が訪れたということです。
滋賀県においても少しずつですがスケートボード場が開設をされていますが、今回社会実験を行った奥びわスポーツの森、春日山公園でのスケートボード場設置の今後について、土木交通部長にお伺いをいたします。
◎土木交通部長(三和啓司) お答えいたします。
両公園では従前よりスケートボード場の設置を求める声が強く、今般の社会実験においてもそのニーズの高さが確認されましたことから、今後は、地元自治会や愛好者団体と意見交換を重ねまして、年度内には整備の基本方針を取りまとめる予定としております。
そして、来年度には、その基本方針を踏まえまして、両公園のスケートボード場設置に向け、詳細設計に着手いたしますとともに、愛好者団体による管理運営体制の構築にも取り組んでまいりたいというふうに考えております。
◆26番(桑野仁議員) (登壇)ありがとうございます。
スケジュールを大体お聞きしたわけで、再問するつもりはなかったんですが、ちょっとスピード感は遅いかなというように考えています。
この奥びわスポーツの森、それと春日山公園でのスケートボード場設置ですけども、従来からずっと長年要望してきていた内容ですのでね、もう一度この件に関して再問しますが、土木交通部長、スケジュール感、もっと早くできないのか、その辺り、土木交通部長のお考えをお伺いいたします。
◎土木交通部長(三和啓司) お答えいたします。
現時点で、具体的に完了の時期、完成の時期というのはなかなかお答えいたしかねますが、来年度詳細設計に着手いたします。その完了後には、速やかに工事に着手いたしまして、両公園のスケートボード場が早期に完成できますよう、しっかりと取り組んでまいりたいというふうに思っております。
◆26番(桑野仁議員) (登壇)改めて川島議員ともお話をさせていただいて、また話をさせていただきたいと思います。
それでは、令和4年度滋賀県観光入込客統計調査では、延べ観光入込客数は対全体前年比22.9%増の4,547万810人、宿泊者数も38.1%増の355万8,788人、外国人延べ観光入込客数も112.1%増の8万2,702人、宿泊者数は359.9%増の2万9,515人となっております。
それぞれ前年度より大幅に回復をしていますが、コロナ前の令和元年と比較した場合、まだ8割程度の回復にとどまっています。外国人客数においては2割程度しか回復をしていない状況です。湖西線沿線の大津市、高島市、長浜市においても対前年比で増加をしていますが、令和元年度の数字まではまだ回復をしていない状況です。
県として観光誘客に向け様々な取組をされてきた結果としての令和5年の滋賀県観光入込客数は今後明らかになってくると思いますが、現時点での令和5年における県全体の宿泊者数の推移について、
商工観光労働部長にお伺いをいたします。
◎
商工観光労働部長(林毅) お答えいたします。
本県の観光の状況でございますが、まず、直近の令和6年──2024年1月31日発表の観光庁宿泊旅行統計調査によりますと、11月の延べ宿泊者数は40万1,000人泊となっておりまして、コロナ禍前である令和元年同月比では10.6%の減でございます。
また、令和5年──2023年1月から11月の合計では、コロナ禍前の水準と比較いたしますと15.3%の減となっておりますが、令和4年と比較すると22.3%の増となっており、回復途上にあるものと考えております。
◆26番(桑野仁議員) (登壇)ありがとうございます。
先日、坂本城跡で三の丸の遺構を見られる石垣と外堀が大津市の発掘調査で見つかったとの報道がなされ、この2月10日、11日に現地説明会があり、多くの考古学ファンや地元住民が参加し、職員の説明に熱心に耳を傾けていたと聞いております。
御存じのように、坂本城は近江国滋賀郡坂本、現在の大津市下阪本ですが、明智光秀の居城として築かれ、琵琶湖に面する平城です。ただ、記録が少なく、幻の城と言われています。戦国時代末期の日本でキリスト教の布教活動を行ったイエズス会宣教師ルイス・フロイスによる編年体歴史書である「フロイス日本史」によると、信長が安土山に建てたものに次ぎ、この明智の城ほど有名なものは天下にないほどであるという記述がされております。
今回の発見で、滋賀県立大学の中井均名誉教授は、地上で痕跡を残していない坂本城でこれほどの石垣が検出されたのは奇跡、今後の坂本城復元の基軸になることは間違いないとお話をされています。
また、先日、大津市長は、今回の発掘調査について、発掘調査の成果は歴史的な価値が高く、今を生きる私たちの責任において後世に伝えていくべき貴重な財産である。今後、周辺の調査を進めるとともに、文化庁と協議を重ね、まずは国による史跡指定に向けて取り組んでいくと保存、活用の姿勢を示されました。
本県では、安土城において、令和の大調査として20年計画で城跡の調査と整備に向け取り組んでいますが、坂本城は歴史的価値が非常に高いにもかかわらず、本県での取組はまだまだ低いように思っております。本県として、観光資源になる坂本城にもっと目を向けて、大津市と連携して今後の調査研究に積極的に取り組んでいく必要があるのではないかと私自身は思っております。
先日、谷口議員のほうからは、湖北、湖東の観光地の御紹介をされましたけれども、私は湖西線沿線ということですので。
湖西線の沿線には、先ほど土木交通部長のほうからお話があったように、三井寺をはじめまして、近江神宮、延暦寺、日吉大社、西教寺、落雁の浮御堂、坂本城や大溝城の城跡、びわ湖テラス、メタセコイヤ並木、海津大崎の桜など、まだまだ言い切れないほどの神社仏閣や観光地があり歴史、文化体験の宝庫です。雄琴温泉やグランピング、自然体験ができる施設も充実しています。夏になれば関西圏から多くの水泳客が来られ、冬には、びわ湖バレイや箱館山スキー場、マキノ高原ファミリースキー場など冬のスポーツを楽しめる場所もあります。
また、湖西には、教育旅行として県内外から多くの子供たちが来てくれていて、琵琶湖でのカヤック体験で体を動かし、風や水しぶきを肌で感じながら自然体験を楽しんでおり、スポーツ観光の聖地でもあります。そして、それらの観光地、施設は湖西線の各駅から程遠くない場所にそれぞれ立地をしています。
こうした立地に恵まれている湖西線沿線の地域が、単に通過するだけでなく、目的地となり滞在地となることにより地域の活性化が図られると考えますが、今後どのような取組を行っていこうと考えているのか、
商工観光労働部長にお伺いをいたします。
◎
商工観光労働部長(林毅) お答えいたします。
湖西線地域におきましては、議員もただいま御紹介いただきましたように、神社仏閣をはじめとします豊かな文化財や自然、アクティビティが多く存在いたしまして、大変魅力的なシガリズム観光コンテンツとなる素材の宝庫であるというふうに思っております。県では現在、それらを活用いたしましたシガリズムによります魅力発信に取り組んでいるところでございます。
例えば、JR西日本と共同で駅等を起点といたしましたレンタサイクルによる観光周遊にも努めておりまして、高島市内の今年度のレンタサイクル利用は、前年度に比べ25%増の見込みと聞いているところでございます。
また、教育旅行につきましては、カヌーやヨットなどの自然体験学習に加えまして、チームビルディングなどのプログラムが好評であるとお聞きしていることから、SDGs学習や体験活動を重視いたします学校へのPRの強化でありますとか学校関係者への招聘活動によりまして、さらなる誘致に努めてまいりたいと考えております。
これらの取組を今後さらに充実するとともに、湖西線利用を一層促進するため、湖西線開通50周年事業をはじめ、北陸新幹線敦賀駅延伸を契機といたしました鉄道事業者のアプリによる観光周遊企画の実施でありますとか、湖西地域の魅力的な観光資源を生かしたプロモーションなども展開しながら、目的地、滞在地としての沿線地域の活性化につなげてまいりたいと考えております。
◆26番(桑野仁議員) (登壇)ありがとうございます。
ぜひいろんな取組をしていただいて、湖西線沿線の活性化、観光振興に向け取り組んでいただきますようお願いいたします。
最後に、知事が就任後、真っ先に立ち上げられたこの協議会。大津市、高島市、長浜市とも、この協議会の事業である湖西線の利便性向上、湖西線の利用促進、湖西線沿線のまちづくりには大きな期待を寄せています。
前身であるプロジェクトチームの設置から10年を迎えますが、湖西線開通50周年を機に、今後の湖西線と沿線地域の振興、活性化に向けた知事の思いをお伺いいたします。
◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。
湖西線につきましては、私も1979年以降は沿線に住み、中学生時代、高校生時代、湖西線沿線で過ごしました。議員も御紹介いただきましたけれども、この地域は、自然にも恵まれた空間で暮らしや子育てができるということと京阪神地域への通勤圏内であるということから、都市部からの移住にもつながっているというふうに認識しております。
私が知事にならせていただく前からこの地域で強く熱く訴えていたことは、まず、風で止まらない湖西線にしようということでした。まだまだ止まることもあるんですけれども、おかげさまで防風柵が設置、また延伸されたことによって、随分止まる数は、運転見合せ等、徐行が行われる数は減ってきたという、こういったこともございますし、沿線市の御尽力により、バリアフリーもまだまだ課題は残しておりますが進んできたという、こういったことがございます。
何とか沿線人口が減少する中で乗車人員が5万人を維持するというところまで来ましたけれども、コロナ禍で大きく減り、現在それを戻せてないという、こういったこともございまして、令和3年、令和4年、春のダイヤ改正で2年連続で減便になっているという、こういったことがございます。
したがいまして、さらに利便性が落ち、活力が低下し、また、それが利便性低下につながるという負のスパイラルになるということに強い危機感を抱きながら、まずは従前のダイヤ復活に向けて、引き続き利用促進の取組に努めながらJRへの働きかけを今行っているということでございます。
今年は北陸新幹線の敦賀延伸と重なった湖西線開通50周年を迎えますので、先ほど土木交通部長が申し上げたように、様々な記念式典、また、記念列車、記念事業等を行っていきたいと思いますが、一過性の記念式典、記念列車だけではこの湖西線の利便性向上になかなかつながらないという、そういう問題意識を持っております。
また、巷間、報道でも言われておりますように、湖西線につながる例えば江若バス等のさらなる減便というものも計画されているということもございますので、今回の50周年を機に、このプロジェクトチームを立ち上げから推進協議会になって10年を経過したことを踏まえて、沿線市、高島市や大津市とも十分協議しながら、この推進協議会の増強をして、さらなる利便性向上策に取り組んでいきたいと考えております。
ちょっと場内協議でそうしようということを決めたものですから、具体はこれからというところございますが、問題意識としては、坂本城をはじめ、例えばグランピングですとか、企業の皆様だとか、いろいろとこの間開発が進んできたこともございますので、そういった方々の意見を十分お聞きしていきたいと思います。
例えば、利便性向上に沿線企業の皆様の御参画をどのように入れていくのかという、こういう視点でありますとか、先ほども一部申し上げましたけれども、駅から街へ、街から駅へというこの二次、三次交通の在り方ということについても、もっと連携できることがあるんだと思います。
土木交通部だけではなくて、商工観光労働部や様々な部局と連携した取組なども、もっと思考していかなければならないという、こういう視点でこの推進協議会を増強し、さらなる利便性向上に取り組んでまいりたいと思いますので、よろしくお力添えを賜れればと存じます。
◆26番(桑野仁議員) (登壇)ありがとうございます。
ぜひ構成団体また含めて検討していただいて、利便性向上等、御議論いただきたいなというふうに思います。
私も湖西に生まれて、これで六十数年おります。やはり湖西が大好きな人間でございますので、湖西をやはり利便性向上、活性化していきたい、その思いは一緒でございますので、ぜひ今後ともひとつ御協力をお願いし、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。(拍手)
○議長(奥村芳正) 以上で26番桑野仁議員の質問を終了いたします。
しばらく休憩いたします。
午後0時16分 休憩
────────────────
午後1時28分 開議
○議長(奥村芳正) 休憩前に引き続き会議を開きます。
次に、16番佐口佳恵議員の発言を許します。
◆16番(佐口佳恵議員) (登壇、拍手)よろしくお願いします。
文化芸術について考えますときにいつも思い出すのが、実は「フランダースの犬」の最後のシーンなんです。飢えと寒さに苦しみながら、最後の最後、見れるかどうか分からないルーベンスの絵の前に行って、物語の最後では絵が見られて満足して天に召される。飢え、強いて言うと本当に人間の根源的な欲求なんですけれども、そこに人によっては神を見たり仏を見たり、ただ脳で感じる美しさに酔いしれるかもしれないんですが、そういった芸術というもの、文化というもの、文化財というものを広く世の中に見ていただき、そして未来に継ぐために守り抜くこと、これを祈念し、本日質問させていただきます。
それでは、発言通告に従い、改正博物館法等の期待に見合う機能、発信力の拡充および文化関係資料等のアーカイブの推進等と活用について質問いたします。
今議会の代表質問や一般質問でも、文化振興、文化財の保存と活用について問われ、文化財の保存、継承に軸を置きつつも、活用の重要性が改めてクローズアップされたところです。これらは、法改正、新法成立など文化に関わる国の大きな動きを受けてであろうと思いますが、挙げるだけでも、博物館法が制定から約70年を経て2022年に単独改正され、法の目的に、社会教育法に加えて文化芸術基本法の精神にも基づくことが追加されました。
今議会でもお触れいただいたところですが、その文化芸術基本法は、2017年改正の際に、文化芸術にとどまらず、生活文化、食文化であるとか華道、茶道なんかもそうです。生活文化などにも対象を広げておりますが、文化財保護法も2021年改正により、無形文化財や無形民俗文化財など幅広く対象とするようになりました。そこに、さらに、2020年には文化観光拠点施設を中核とした地域における文化観光の推進に関する法律、いわゆる文化観光推進法が制定されるに至っています。
聞いているだけでも大変ですが、法の変遷を見ると、対象とする文化財の範囲がかなり大幅に広がり、求められる役割、機能面でも、教育、福祉、まちづくり、産業、観光、国際交流といった多様な分野の主体や地域と連携すること、ミュージアム同士でネットワークを構築することなど、大幅に拡大されてきています。
目の前の具体的な仕事としても、資料のデジタルアーカイブの作成と公開、学芸員等の人材の養成、研修が事業として明確に位置づけられました。つまり、求められる役割や機能が著しく多様化、高度化しています。
以下、県を代表するミュージアムである新・琵琶湖文化館と県立美術館を併せて述べるときは、県立ミュージアムと表現させていただきます。
まずは、ユネスコの2015年、ミュージアムとコレクションの保存活用、その多様性と社会における役割に関する勧告およびICOMのプラハ会議での博物館の新定義、さきに述べた博物館法をはじめとするミュージアムに関わる法改正、新法制定を受け、県立ミュージアムに期待する役割について、文化スポーツ部長に伺います。
一方で、これだけ役割も仕事も拡大する中で、学芸員についての制度見直しは遅れてきた経緯があります。これからの時代のミュージアムには、他の博物館や地域の多様な主体との連携、コミュニティの再生や居場所の役割などを果たすことも求められています。
博物館は民主主義の学校という言葉がありますが、ヨーロッパのように市民革命を通して民主主義の産物としてミュージアムを獲得したというような歴史がない日本においては、地域の文化財の保存、活用の主役は住民であるということを理解していただけるような働きかけから必要となるようです。
他の都市における先進例を見ていても、やはり学芸員または専門人材によるアウトリーチ的手法で地域が何を望まれるかを聞き取り、出前講座や美術的な技術を要する地域の行事に参画するなどにより地域の信頼を構築し、地域振興やまちづくりに成功した、例えば宮城県リアス・アーク美術館の例があります。
また、博物館、美術館ではなく、これは文書館ですが、地域の歴史を住民のものにと従来型のアプローチで15年間頑張ったもののなし得ず、発想を転換し意識を変革して、レファレンス重視で多種多様な市民の歴史的関心に向き合う活動を地道に続ける中で目標を達成した兵庫県尼崎市立地域研究史料館などの例もあります。
地域との協働を生む取組やミュージアムへの住民の主体的な参画を進めるには、学芸員やエデュケーターといった専門人材や、その専門人材が地域に出ていく、アウトリーチする余力が必要となります。一朝一夕では出来上がらず、とても時間がかかります。時間も必要です。しかし、人的リソースが圧倒的に不足しています。
県立ミュージアムにおける学芸員、その他専門職員の現状と課題について、文化スポーツ部長に伺います。
また、全国共通の課題であろうと思いますが、馬になぞらえることに非常に迷いまして、ただ、分かりやすくお伝えできるのを優先しまして例えさせていただきますが、「世に伯楽有りて、然る後に千里の馬有り」の故事の例えのごとく、必要なリソースがなさ過ぎることが原因で、果たせる役割、機能を十分に発揮できない状況にあるミュージアムは少なくないのではないでしょうか。
僣越ながら私がもったいないと感じておりますのが滋賀県立美術館です。県立美術館は、保坂ディレクターというアール・ブリュットの第一人者を館長にお迎えし、日本財団からの550点の寄贈を受け、731点とおっしゃったと思います。物すごい数のコレクションをお持ちです。都道府県立規模の美術館としては、アール・ブリュットで日本一の美術館と言ってよいと思います。このこと自体、あまり知られていません。ただ気持ち的に残念だというだけでなく、政策面でももったいないと思います。
政策においては地方創生や観光、関係人口の創出などの文字が踊りますが、ならでは、関係人口創出などはどの自治体でも言っておりますので、それに命を吹き込むのは、本当に滋賀に根差した何かが具現化されていて初めて成り立つ本当のならではがあってこそ魅力を放ち、人を魅了し、関係人口創出にもつながるものだろうと思います。
20年前ほどまで、県外から来た私が滋賀の県民の皆様の遺伝子にまで織り込まれているのではないかと感じたぐらいすばらしいものは何かと問われたら、美しい山、川、農業を含む里の暮らし、琵琶湖を持つことから市民の皆様の手で発展した、一言で言えば環境先進県であること、そして、福祉の父、糸賀一雄氏を代表として脈々と受け継がれてきた福祉先進県であること、有形無形の暮らしと一体の文化財といったものが挙げられると思います。ストーリーがあり、その土地に住む方々にとっては時に当たり前で、だからこそ、来訪者に頭だけでなく肌で感じていただけるものだと思います。
それらの中から地域の人が何を大切にしたいか、ミュージアムとコミュニケーションを取りながら決め、未来に向けた新しい文化を創出していく場がミュージアムであり、そうした共通言語、共通の文脈でつながった方々は、それが県民同士であれば地域コミュニティを形成し、県民以外であれば関係人口となり、入館者数では測れない複合的な効果をもたらすと考えます。
アール・ブリュットは、生きると書いて「生の芸術」と表現されます。障害者芸術や福祉という範疇よりもっと広がりのあるものと考えておりますが、福祉先進県の滋賀県にマッチしている「この子らを世の光に」を具体化していけるものの一つであろうと思います。そうした芸術であり、だからこそ、滋賀県で生まれて育まれて、今このときもこの地で生まれているのだろうと思います。
この邂逅を思うとき、滋賀県立美術館が新たに生まれゆくアール・ブリュット作家や作品から光をいただき、それらを発信していくことは、県民の皆様に対してはもちろん、日本や世界の皆様、さらには未来の皆様に向けた責任であろうと考えます。
しかるに、現状を見るに、アール・ブリュットの常設展示ができない、障害のある方が通っていただくにも障害者駐車場、思いやり駐車場の数が少ないなど、県立美術館1館を見ても越えるべき課題があるのではないかと考えます。
ミュージアムに期待される役割、機能を最大限発揮する上で、県立美術館における現状と課題について、文化スポーツ部長に伺います。
急速な高齢化と生産年齢人口減少が続くここ数十年を見れば、財源は厳しく、定量的な評価が難しい文化政策に予算、人員を割くことの難しさは御推察申し上げます。しかし、これは言わば先行投資です。投資という言葉を使いますことをお許しください。夢物語ではなく、文化がそれだけの力を持っているからこそ、国際社会でも国でもミュージアムについての議論が、これだけ高まりを見せるのだろうと思います。
適切な先行投資も行わずリターンを得ようと思えば、文化財は消費され、未来へとつなげていけなくなってしまうかもしれません。逆に、保存、継承を基軸に置き切り、文化財を守るために観光手段とするような発想の転換を行えば、文化財の力で文化財自体を守り、新たな文化を生み出すこともできると思います。
施策展開も様々に行い得ます。一、二例にすぎませんが、滋賀県の施策でいうなら、国が意図する観光施策にとどまらず、例えばデジタルコミュニティ通貨、まちのコインビワコは、都道府県規模ですので、デジタル関係人口通貨と言い換えられると思います。まちのコインビワコの施策とつなげて新しいDX時代のアートコミュニティ、文化関係人口創出につなげたり、もっと直裁にファンドレイジングにもつなげていくといった中で、県民の皆様の喜びとして、あるいは御寄附として、先行投資した以上のものが返ってくると思います。
そこで思い浮かぶものの一つが、新しい時代に向けて事業として位置づけられたデジタルアーカイブ事業と人材養成事業です。能登半島地震で被災された皆様に心よりお見舞い申し上げますが、災害はいつ起こるとも限らず、現物保存、維持を目指すのはもちろんながら、後日の修繕に資するように、または最悪の場合はデジタルアーカイブを持っておくことは貴重なバックアップとなり得ます。
また、コロナ禍ではミュージアムに気軽に足を運べない期間が相当長期にわたりました。気候危機の影響なのか、SARS、MERS、コロナ禍と世界的感染症が8年、10年ごとに起きている状況ですので、いつパンデミックが起こるとも限りません。ミュージアムの作品や資料のデジタルアーカイブ化と活用は、パンデミックへの備えとなり得ます。
コロナ禍においてオンライン化が急速に進み、オンライン美術館などに取り組んでいただいておりますが、DX時代ですので、VR美術館やメタバース美術館なども思わぬスピードで進むことも考えられます。世界に触れていただくとともに、次の時代の政策展開へとつなげ得るものとなると思います。
実際、文化庁はメタバース美術館の構築事業を推進しており、地方が注目しており、山梨県や秋田県など、メタバース美術館を構築し始めています。
また、県立美術館で、アール・ブリュットはまさに生まれゆく時点にありますので、デジタル技術を用いて制作過程やストーリーも含め適切に記録され保存されれば、その営み自体、未来においては貴重なミュージアム資料となり得ます。DX時代において重要なデジタルアーカイブですが、これを実施するにも、人も時間も技術も必要となります。
まずは、県立ミュージアムのデジタルアーカイブについての現状と課題について、文化スポーツ部長に伺います。
続いて、琵琶湖博物館は、今般クラウドファンディングで大きな成功を収められました。おめでとうございます。収められましたが、滋賀を代表するミュージアムですので、同じくデジタルアーカイブについての琵琶湖博物館における現状と課題について、
琵琶湖環境部長に伺います。
また、令和3年にも新・琵琶湖文化館の資料のデジタルアーカイブ化に関連して議会で問わせていただいておりましたが、ミュージアムの学芸員や専門職員の皆様が置かれる慢性的なマンパワー不足に加え、近年重要性が増しているけれどもまだあまりその重要性の認識が十分とは言えないアート・アーキビストですので、その後忘れ去られていないかが気になります。
琵琶湖文化館においては閉館が長く続き、デジタルでも県民の皆様に見ていただける状況を整える必要性があるだけでなく、今後ファンドレイジングを行われる予定と仄聞しておりますので、その素材としても、開館後のファンづくりに向けても、閉館中の文化館で可能なもののデジタルアーカイブ化に早く取り組んでいただくことは、早ければ早いほど多くの成果を得ることにつながると思います。
アート・アーキビストの県立ミュージアムへの配置、将来に向けての人材育成について、今後の見通しについて、文化スポーツ部長に伺います。
るる述べてまいりましたが、大きな流れからすると、文化財保存活用地域計画の作成が進み、補助金などの獲得に傾いたとき、文化財の消費、劣化を心配するお声が上がってきました。というのは、令和3年にも触れたと思いますが、計画作成に当たり協議会を設立することができるのですが、その協議会には地域と関係がない営利団体も入れてしまう、かつ、文化財を保護するはずの学芸員の人数や持っているリソースの少なさがある。この辺りから文化財が手段化され、観光政策などの政策目的のために消費されてしまう、貴重な文化財の劣化につながってしまうのではないかと心配されております。
急激な高齢化と生産年齢人口減を迎えるとはいえ、短期的な視点で長い歴史を持つ文化財を毀滅させては未来への責任が果たせません。しかしながら、視点を変えて、文化財の保存、継承をあくまでも基軸に置きつつ、目的はその保存であり、ミュージアムの振興であると明確に意識して、むしろ観光政策もまちづくり政策も手段であるとするならば、財政難から貴重な資料が散逸するような事態を防ぐことができるかもしれず、保存、継承に資するものともできるはずです。この意識を意識的に持ち、目的と手段を間違えないことが極めて重要と考えます。
今後、滋賀の文化や文化財を保存、継承を基軸としつつ活用していくことが今まで以上に求められますが、県立ミュージアムにはどのような役割を発揮させようと思われるか、そのために県立ミュージアムをどう運営していこうと思われるか、知事に伺います。
○議長(奥村芳正) 16番佐口佳恵議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(三日月大造) (登壇)いわゆる県立ミュージアムの役割の発揮と運営ということで、私に御下問いただきました1点にお答えさせていただきます。
全国有数の文化財を有する本県として現在整備を進めている新しい文化館では、公開承認施設として、文化財を常に適切な状態で保存、管理できるよう整備するとともに、新たな役割として地域の文化財のサポートセンターの機能を備えることとしております。
また、美術館では、世界的に見ても有数のアール・ブリュット作品をはじめ、滋賀ゆかりの作家や作品等の調査研究や展示等を行うことで、滋賀の文化を継承し、それらの息吹を感じることができる場を提供をしてまいります。
これまで関係者の方々と共に大切に守られてきた本県の貴重な文化資源をしっかり保存し、未来につないでいくことを軸としながら、県立ミュージアムがそれらの価値を継承、発展させ、滋賀の新たな文化の創造にも役割を果たせるよう運営してまいりたいと存じます。
◎
文化スポーツ部次長(藤原久美子) (登壇)お答えいたします。
私にいただきました5点の御質問のうち、1点目の県立ミュージアムに期待する役割についてでございます。
議員御指摘のとおり、法改正の動き等を受けて、ミュージアムはこれまでの作品の収集、保管や展示、調査、研究を行う機関から、まちづくりや観光、産業、福祉、教育といった分野との連携が期待されるなど、果たすべき役割や機能が多様化、高度化してきていると捉えております。
これらを踏まえまして、今後の県立ミュージアムでは、デジタル技術も積極的に活用しながら、他のミュージアムや多様な主体との連携、協力を一層進め、居場所づくりや関係人口の創出、さらには文化観光に寄与するなど、様々な価値を発揮して、滋賀の活力の向上に資することを目指していきたいと考えております。
次に、2点目の学芸員の現状と課題についてでございます。
文化館では、常駐の学芸員3名が在籍しており、令和9年の再開館に向けて体制の充実を図っているところでございます。
一方、美術館では、10人の学芸員のほか、教育を担当するエデュケーターや広報課担当が独自企画による展覧会の開催、子供たちへの美術鑑賞や創作を楽しむ機会の提供、さらには、来年度から対話により鑑賞体験をより深めるプログラムを始める予定であるなど、意欲的に取り組んでいるところです。
議員御指摘のとおり、ミュージアムに求められる役割が変化していることを背景に、その中心的な役割を担う学芸員の業務がさらに複雑化、多様化してきておりまして、今後どのように対応していくかが課題であると認識しております。
3点目の県立美術館の現状と課題についてでございます。
美術館は世界でも有数のアール・ブリュットコレクションをはじめ、様々な分野の優れた作品を多数収蔵しておりますが、展示面積の制約からアール・ブリュットの常設展示ができておらず、十分な鑑賞機会を提供できていないことは課題と認識しております。
そこで、今年度策定をしております美術館魅力向上ビジョンでは、アール・ブリュット常に鑑賞いただける環境の整備や、障害のある人にも楽しんでいただける展示の工夫、アクセスの改善などについて、今後検討していくこととしております。
福祉や医療機関、大学とも連携しながら、障害のある人を含め、誰もが居心地よく過ごしていただける美術館を実現してまいりたいと存じます。
4点目のデジタルアーカイブの現状と課題についてでございます。
現在、文化館では、収蔵している代表的な作品をホームページで公開しているところです。令和9年の再開館に向けてデジタル化したデータベースを構築していく予定でございますが、1万点を超える作品があり、公開に当たっては所有者の承認を得る必要があることなどが課題です。
また、美術館では、令和2年度から所蔵作品の管理公開システムを導入し、作品の画像や作品名、作家名、制作年、寸法、材質などの関連情報を一元的に管理するとともに、公開可能な画像や情報につきましては美術館ホームページで公開しているところです。
一方、著作権の関係から画像が未掲載の作品があることや、文化庁や他館のデータベースとの連携ができていないこと。高精細画像などデジタル技術のフル活用により作品の魅力を存分に伝えるまでには至っていないといった点が課題と認識しております。
5点目のアート・アーキビストの人材育成と今後の見通しについてでございます。
県立ミュージアムが持つ作品は県民共有の大切な資産であり、それらを適正に管理し積極的に活用していく上で、デジタルアーカイブの構築はその基盤となります。今後、その重要性はますます増してくると認識しておりまして、新しい文化館では、情報発信を活動の柱の一つに据えているところでございます。
従来の学芸的な知識に加えて、情報技術や著作権などの専門性が求められる分野であり、新しい館の整備に当たりましては、時代の趨勢に応じた専門人材の確保や育成についても、意を用いながら進めてまいりたいと存じます。
◎
琵琶湖環境部長(森本哲司) (登壇)私にいただきました1点の御質問にお答えいたします。
琵琶湖博物館ではデジタルアーカイブ化を進めるため、今年度から多様な収蔵資料、標本をその特性に応じまして3D化、高精細画像化する取組を進めており、令和9年度までの5年間で約7,000点のコンテンツをウェブ上で公開したいと考えております。
琵琶湖博物館のデジタルアーカイブ化は今年度から本格的に開始した取組でございまして、不慣れな点もあることから作業遂行に苦慮したこともあったと伺っておりますけれども、事業は計画どおり進捗しておりまして、より多くの方に琵琶湖博物館の知的資源を活用いただくために、次年度以降も着実に取り組んでまいりたいと存じます。
◆16番(佐口佳恵議員) (登壇)大変、博物館、美術館、ミュージアム、県立ミュージアムですね。県立ミュージアムについて、機能についてどうやっていくか、観光にどうやって生かしていくか、今後の政策をどうするかといったあたりについての深い御理解、共に共有させていただけているかなと思います。
また、知事に再問させていただきたいと思っているんですが、知事におかれては、常に保存なくして活用なしということで、保存なくしてというところを強調していただいていること、心より御礼を申し上げたいと思うんですけれども、今のお話の答弁の中にも幾つかありましたが、やはり専門性が必要である。これは美術品、所蔵品に対する専門性もですし、高精細画像などにも触れますと、これはやっぱりアート・アーキビスト的なデジタルの専門性も必要ですし、知的財産権も非常に難しい法律ですので、ここにもやはり専門性が必要であるという状況になっております。
そして、その中で、ただでさえ限られている、仕事が物すごく増えたのに慎重に議論をしたいからという理由なんですが、学芸員さんの改正の部分というのはなかなか進みませんでしたので、時系列的に言えば後になっているがゆえに、まだまだ学芸員さんたちのリソースというのはない。
その中で、今、
琵琶湖環境部長のほうからも計画どおり進捗していますとお声を聞くと、逆に不安になってしまうんですね。研究をしなければいけない、展示をしなければいけない。学芸員さんが本来果たすべき役割の時間を働き方改革の中で両立させようと思えば非常に疲弊があり、やはりそこにリソースを注いでいない状態のまま継続すると、文化財の保存というのがどうしていけるのかというのが気になっております。
そこで再問させていただきます。
県立ミュージアムに求められる役割、機能を発揮させること、保存と維持について、精神論ではなく具体的にどう運営していくのかについて、知事の覚悟について伺います。
◎知事(三日月大造) 覚悟と問われましたので、改めて確認をさせていただきました。
新しい文化館では、今後30年を見据えた規模の収蔵庫や安全な保存環境を保つための設備を整備するとともに、学芸員のチームが各地域を訪問し文化財の保存、継承に係る相談に乗るなど、地域の課題にきめ細やかに対応できる体制を整えてまいります。
今年度策定を進めております美術館魅力向上ビジョンにおきましては、「子どもも大人も来たくなる未来をひらく美術館」を目指す姿としており、その実現に向けて必要な施設機能の概要や配置、運営体制等について、今後検討してまいりたいと存じます。
当然、学芸スタッフというのは極めて重要だと思いますので、量もさることながら、今おっしゃったように、それぞれの専門性とともにデジタルの視点、著作権の視点、ベースとなるこれから求められる資質をそれぞれが有し、また、連携して対応していくというこういう視点で、量、質ともに拡充していく必要もあろうかと思います。
文化財や美術作品は多くの方々に見ていただくことでその価値が広く認知され、次代、次の時代へ大切に継承しようという機運も高まります。この意味において、文化財、文化資源の保存と活用は車の両輪であります。保存なくして活用なし。県立ミュージアムを舞台にその好循環が生まれますよう、よりよい運営に努めてまいりたいと存じます。
◆16番(佐口佳恵議員) 終わります。(拍手)
○議長(奥村芳正) 以上で、16番佐口佳恵議員の質問を終了いたします。
次に、11番河村浩史議員の発言を許します。
◆11番(河村浩史議員) (登壇、拍手)それでは、まず、1つ目の質問として、子ども若者部の新設について、分割方式にて質問をいたします。
本定例会議において、子ども若者部を新設するため、滋賀県部等設置条例の一部を改正する条例案が提出されております。この条例改正により、子ども若者部内には、子ども若者政策・私学振興課、子どもの育ち学び支援課、子育て支援課、子ども家庭支援課の4つの課が設置され、今までは健康医療福祉部の組織内であった子ども・青少年局と総務部の組織内であった私学・県立大学振興課が移管されることになります。
組織を改編することにより、子供、若者施策に関する庁内の司令塔として、関係部局とも連携の上、施策を総合的に企画調整し複合的な課題に対応することができること、子供の育ちや学びを一体的に支援、推進ができること、意思決定を迅速化し、効果的、効率的な施策の推進ができることなどが主に期待される効果として挙げられています。
一方、国においても、従来では子供に関する所管が、文部科学省、厚生労働省、内閣府、警察庁など様々な省庁に分かれていた縦割り行政を改善するために、2023年4月よりこども家庭庁が発足しております。また、こうした流れを受け、全国の多くの自治体においても、子供関連の施策に特化した部局を設置するための組織改編がなされております。
子供を取り巻く環境はますます複雑化、多様化しており、様々な子供施策を重点的に取り組むためにも、この組織改編については必要不可欠なものであると評価をしております。子供は国の宝、地域の宝であり、行政としても子供施策については最重点で取り組んでいかなければならないと思いますし、むしろこういった改編については遅過ぎたのではないかと思うほどでもあります。
今回の子ども若者部の新設に当たっては、大いに賛成の立場ではありますが、組織の改編に当たって確認しておきたいことが幾つかありますので、以下、質問をさせていただきます。
まずは、この子ども若者部の新設に当たっての目的とビジョンについてです。
冒頭に、組織改編によって、現在、県の考えとして示されている、期待される効果について幾つか挙げさせていただきましたが、この組織改編が本当に子供にとって有効なものになると言えるのか。組織改編をしただけでは、目に見えるような効果が現れるとは思えません。この組織改編は、これから滋賀県が子供施策に重点的に取り組む姿勢を見せるという県民に対してのメッセージという意味合いも大きいかと思いますが、庁内連携にとどまるだけでは期待外れになるのではないかと思います。決してそういったことにはならないように、明確な目的とビジョンが必要であると考えます。
沖縄県においても、2024年度より新たにこども未来部が設置されることになっておりますが、設置の目的として、子供の貧困対策にさらに力を入れていく決意が玉城知事より述べられています。また、同様に、子供施策に特化した部局を設置する他の自治体においても、単なる組織体制の改編にとどめずに、子育て世代の転入増や出生数の減少に対応するためといったしっかりとした目的や、地域の将来像を目指した改編となっていることが多く見受けられます。
今回の子ども若者部の新設をするに当たって、滋賀県としては子育て施策のどの部分に重点的に力を入れていこうとするのか、明確な目的とビジョンを県民に対してお示しをする必要があると考えますが、知事の子ども若者部設置に対する思いをお聞かせください。
次に、子ども若者部設置に当たって、各市町との連携についてお聞きいたします。
今回の県の子ども若者部の新設については、先ほども申し上げたとおり賛成の立場であります。しかし、実際に様々な子供施策に取り組んでいるのは県だけではありません。むしろ子供やその保護者、関係者に対して密接的な関わりを持っているのは、県行政よりも市町行政のほうではないでしょうか。
県の子ども若者部の設置が県内市町の行政に対してはどのような影響があるのか。県の庁内連携には効果が期待されると述べられていますが、重要なのは庁外での連携のほうであると考えます。
県の子ども若者部の設置によって、今まで以上に市町との効果的な連携が図れることになると考えられているのか、知事にお伺いいたします。
また、教育委員会の位置づけについてもお聞きいたします。
子ども若者部が新設されたとしても、子供にとって最も学びの機会を得る重要な場所は学校であり、それを所管するのは今までもこれからも教育委員会であることには違いありません。庁内においては、関係部局である県教育委員会ともしっかりと連携を図るとのことでありますが、市町の教育委員会とも今まで以上にさらなる連携が必要になると考えます。
その際、県の教育委員会の立ち位置はどのようになるのでしょうか。物事の決定に当たってのプロセスの中での弊害等が起こる可能性についてはないと言えるのか。
子ども若者部設置による教育委員会への影響について、教育長にお伺いいたします。
最後に、警察本部との連携についてお聞きいたします。
昨今、子供を取り巻く環境の中で、家庭内等での虐待によって幼い子供の命が絶たれるという痛ましい事件が報道されるケースが多く見受けられますが、どのようなケースにおいても、事件の検証をしてみると、未然に防ぐことのできる機会が幾つもあったことに多くの方が悔やまれております。
過去の悲惨な事件をきっかけとして児童相談所と警察との情報共有の課題が浮き彫りとなり、改善も進んでいるところでありますが、虐待の疑いのある通報件数は毎年増加をし続けております。
子供のSOSに対し、早期に発見し命を守る対応をするためには、警察本部とのさらなる連携が必要不可欠です。
子ども若者部設置による警察本部への影響について、警察本部長にお伺いいたします。
○議長(奥村芳正) 11番河村浩史議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(三日月大造) (登壇)子ども若者部の新設に関して4点御質問いただきました。うち、私には2点賜っております。
1点目、子ども若者部の設置についての私の思いでございますが、子供や若者を取り巻く環境は様々でございます。子供、若者施策を進める上では、学校教育との連携、若者の社会参画の促進、さらには労働雇用政策など、これまでの福祉の枠組みを超えた観点での取組が必要との思いから、このたび健康医療福祉部から新たな部として独立させることといたしました。
新たな部を子供、若者施策に関する庁内の司令塔として、様々な施策を総合的に企画調整し、複合的な問題に対応することにより、社会全体で子供を育み、若者を支える滋賀を実現してまいる所存でございます。
2点目、市町との連携についてでございますが、県全体の子供、若者施策の充実を図る上で、より住民に近いところで様々な施策を実施されている市町との連携は不可欠でございます。
そのため、昨年設置いたしました県市町子ども政策推進会議を活用し、市町との対話を強化いたしますとともに、(仮称)滋賀県子ども基本条例におきましても、市町との連携を見据え、検討してまいりたいと存じます。
さらには、新たに創設いたします子ども・子育て施策推進交付金におきましても、子供の居場所となる公園の整備や文化芸術の体験活動など、福祉や教育だけではなく、様々な分野において市町の取組を支援したいと考えており、今後、一層、県と市町が一緒になって、県全体の子供、若者施策を充実させてまいりたいと、存じます。
◎教育長(福永忠克) (登壇)子ども若者部の新設に関しまして、私にいただきました教育委員会への影響についての御質問にお答えをいたします。
子供たちが安心して学び育つための環境を整えていくためには、県教育委員会が主体となって学校教育などの施策を展開することはもとより、関係部局と市町、そして市町教育委員会とが円滑に連携が図れますよう、児童生徒の健全育成のための県と市町の連携に関する協定の締結などの取組を進めてきたところでございまして、こうした相互の連携は、子ども若者部が設置された後も変わるものではないと考えているところでございます。
不登校支援やいじめ対策をはじめ、教育に関する様々な課題に対応するには、教育と福祉、また、医療や地域など、幅広い連携が肝要でございまして、新たに設置される子ども若者部などと共に、誰一人取り残すことのないよう、子供たち一人一人の状態に応じた支援のさらなる充実に努めてまいる所存でございます。
◎警察本部長(中村彰宏) (登壇)子ども若者部の新設につきまして、私にいただきました警察本部への影響についてお答えをいたします。
議員御指摘のとおり、児童虐待事案を早期に発見し、被害児童を早期に救出、保護するためには、児童相談所をはじめとする関係機関との連携が重要であります。
このため、県警察といたしましては、児童相談所と合同での訓練、研修を実施し、また、県内3か所の児童相談所に職員を出向させるなど、連携に努めているところでございます。
この春、子ども若者部の設置に合わせまして、県内で4か所目の児童相談所が新設予定と承知しているところでありますが、これらを含めまして関係機関と引き続き緊密な連携を保ち、悲惨な児童虐待事案の未然防止に努めてまいりたいと考えております。
◆11番(河村浩史議員) (登壇)知事に再問させていただきます。
知事には、この子ども若者部新設においてのビジョンをお聞きさせていただいたんですけど、答弁では、やはり子供に関する様々多岐にわたる課題に対して、そこをしっかりと対応できるような体制づくりというところという話だったんですけど。
私が聞きたいのは、何ていうのかな、知事の思いといいますか、先ほど質問の中でも取り上げさせていたんですけども、沖縄では、このこども未来部というのが設置によって、やっぱり貧困対策にさらに力を入れていくということをお話しになっていまして、やはり今回のこの子ども若者部を新設するに当たって、子供施策って本当に様々あると思うんですけども、その中でやっぱり特にどこの部分を重点的に力を入れてやっていきたいという思いをお持ちなのかというのを聞きたいところなんです。
さきの代表質問の中では、この子ども若者部新設においての効果、3つ効果があると考えられているというお話があって、その中では不登校とかいじめ対策、先ほど教育長からもそういったことがしっかり対応できるようにというお話あったけども、そこが効果として挙げられていましたので、そこに一番力を入れていけるものとしてこれが期待されていると考えられているのか。
そういったところの本当に今回のこのやっぱり新設というのは僕はかなり大きなことだと思っていますので、せっかくやっぱり新設したのであれば、庁内連携だけではなくて、さらに一歩、やっぱりこの子供施策というところがどこの部分をしっかりとさらに推進していけるのか、重点的に取り組んでいけるのかというところがあれば、お聞きしたいなというふうに思います。
◎知事(三日月大造) ありがとうございます。
まずは、健康医療福祉部の中に子ども・青少年局がございまして、これまでも子供、青少年に関することを重視してやってきたんですけれども、格上げして部にして、それぞれ司令塔なり総合調整させますので、やはり全庁に、ある意味では同格で、子供のための、また、子供と共に、若者も含めてですけれども、つくる県政というのを強く打ち出していこうというのが1つ大きな思いであります。
と同時に、この子ども若者部には4つの課を入れまして、子ども若者政策・私学振興課、子どもの育ち学び支援課、子育て支援課、子ども家庭支援課ということでございまして、とりわけこの2つ目の子どもの育ち学び支援課、この育ちと学びを支援するというところは、先ほど答弁の中で様々な状況、課題も可能性もあるという、こういったことを捉えてつくっていく課でもございますので、この育ちというところは特に重視して対応していく必要があると考えているところです。
その1つが不登校の状態にある子供の取組ですし、困難な環境にある様々な子供たち、世帯に対して寄り添うという、こういったことも併せてやっていくことになりますので、この点は特に意を強く持って対応してまいりたいと存じます。
◆11番(河村浩史議員) (登壇)ありがとうございます。
ちょっともう少し踏み込んで再問をさせていただきたいんですけども。
4つの新しい課の立ち上げというところで、これから進められていくそこに対しての知事の思いというのは理解をできたんですけども。
今まででは、局のときは、未来戦略室あるいは次世代育成係という形で、未来とか次世代という言葉が今までは使われていたんですけども、今回新たな設置される課においては、そういった未来であったり次世代という言葉がなくなっているわけ、使われていないということで、特に知事は言葉に対してはすごく大切に使われるといいますか、思いを持ってそういった言葉を使われることが多いので、今回そういった未来とか次世代という言葉を使われなくなった何か理由があるのであれば、その辺りをお聞かせいただきたいと思います。
◎知事(三日月大造) なかなか根源的なところを突かれて、私もどう答えようかなと思っていたんですけど、言われてみればなくなったなという思いと、あと、この課の名前、部の名前を考えるときには相当悩んで議論しました。今おっしゃったように、未来という言葉を残して入れていくのか、政策というものを打ち出すのか、若者という言い方がいいのか青少年なのかとか、いろいろ考えた結果、やはり子供というのは前面に出しつつ、どうしても施策が少し置いてきぼりになってしまいがちな若者のところをもう一回てこ入れしてやろうじゃないかと。
また、未来を語る前に、やはりこの今、今このときという、こういう思いも持って、例えば来年度の予算編成の際にも、共に生きるという、今生きていること大事にしようという、こういう思いでいろんな議論をしてきた経過もありますので、その中でこういった部の名称、課の名称というのも決まってきたと思いますので、その辺りのことは、単なる名称、その過程だけではなくて、具体の施策やその実施過程においても発現できるように努力してまいりたいと存じます。
◆11番(河村浩史議員) (登壇)ありがとうございます。
すごく言葉って大切だと思っていまして、今の現状に対してしっかりと対応していくということで、その思いは分かったんですけども、ただ、未来とか次世代という言葉がなくなったからといって、先の将来のことを考えないわけではやっぱりないと思うので、しっかりと、やっぱり未来の次世代のこともしっかり対応していただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
次の質問に移ります。
次に、自転車の利用促進について、分割方式にて質問をいたします。
さきの令和5年9月定例会議において、目片議員よりビワイチを絡めた自転車利用の促進についての質問がありましたが、今回私のほうからは、交通の足としての自転車の利用促進について質問をさせていただきたいと思います。
滋賀県において、自転車の利用促進については、前嘉田県政時代からも長く議論がなされておりますが、その当時は自動車の排気ガスの減少、地球環境という視点から、できるだけ自転車を利用していくための取組を行っていくということで様々な検討がされてきたことと思います。ビワイチもその検討の一つが形となったものであると思うのですが、令和元年度からは、滋賀県自転車活用推進計画を位置づけられ、自転車の利用促進が図られております。
まずは、その取組と成果について、土木交通部長にお聞きをいたします。
一方、滋賀県では、現在、公共交通の在り方についての議論がなされており、今後は交通税のようなものの導入についても本格的に検討がされていくとのことですが、私はこの議論の中で最も重視すべきことは、交通弱者をいかに出さないかであると考えております。
公共交通の維持は、決して公共交通事業者のためではなく、市民、県民の生活維持のためです。新たな交通手段としてデマンドタクシーの導入促進や自動運転の技術開発等の取組が行われているところですが、住民が公共交通に頼らなくても率先して自らで自身の足を確保していくということも、同時に考えていかなければならないのではないかと思います。
その手段として、私はやはり自転車が最適であると考えます。言うまでもありませんが、便利な足としての役割だけでなく、健康の維持、増進にも役立ちます。高齢になると自動車の運転は困難になってきますが、自転車であれば、日々技術も大きく進歩をし、高齢の方でも比較的楽に安全に運転ができる電動自転車や三輪自転車等も数多く出てきております。
幸い知事をはじめとする関係者の皆様の御努力のおかげで、滋賀県においてはビワイチという大きなコンテンツも熟成をしてまいりました。しかし、県民の自転車利用については促進の余地がまだまだあると感じております。
一般社団法人自転車産業振興協会より公表されている2021年地域別自転車保有台数では、滋賀県は1世帯当たり1.196台と、47都道府県中4番目ということですが、トップの大阪府の1世帯当たり1.356台とはまだまだ差があります。地域事情や人口、世帯構成などの違いがあることから一概に他府県と比較をすることはできませんが、ビワイチというコンテンツを保有する滋賀県としては、自転車の保有率および利用率で全国一、自他ともに認める自転車大国ならぬ自転車大県を目指すことが滋賀県のブランド力のさらなる向上にもつながるのではないかと考えます。
令和5年4月よりヘルメットの着用が努力義務化され、自転車の利用促進の足かせになっている部分も否めないかと思いますが、これは日本全国同じ条件です。むしろこの義務化を好機と捉え、改めて自転車に乗る上でのルール徹底の周知をさらに図るとともに、自転車の利用率を高めていく取組を進めていくべきと考えます。
そのためには、ビワイチというコンテンツも十分に生かした上での家族でサイクリングをするといったイベント等の充実も重要でありますが、併せて自転車の購入支援も必要だと考えます。特に電動自転車となると高額なものが多く、通常の自転車に比べるとまだまだ普及率が高いとは言えません。
全国や滋賀県下の自治体においては、電動自転車等の購入に補助金を出されているところも多くありますが、例えば、自動車運転免許の自主返納者に対して電動自転車等の購入補助を出していくなど、自転車の普及をさらに高めていくために、県としてもさらなる充実した購入補助の取組等を検討すべきと考えますが、土木交通部長の見解を伺います。
最後に、今後、滋賀県におけるさらなる自転車の利用促進についての取組を土木交通部長にお伺いいたします。
◎土木交通部長(三和啓司) (登壇)自転車の利用促進につきまして、3点の質問にお答えをいたします。
1点目のこれまでの取組と成果でございます。
第1次の自転車活用推進計画では、自転車を利用しやすい環境の形成、自転車活用の推進による健康しがの実現と環境保全意識の醸成、サイクルツーリズムによる観光誘客の推進と地域活性化、自転車事故のない安全で安心な環境づくりの4つの柱により、様々な取組を進めてきたところでございます。
その成果といたしまして、例えば、ビワイチの低速コースでは、そのルート表示や案内看板などを含めた走行空間の整備を令和4年度に完了いたしました。また、レンタサイクルショップやサイクルサポートステーションの情報をホームページなどで発信いたしましたほか、健康しがポータルサイト内のヘルシートリップしがと連携いたしまして、サイクリングによる健康づくりの取組も発信するなど、自転車利用者の利便性や快適性の向上等につなげてきたところでございます。
さらに、令和元年度から4年度まで交通安全教室を計237回開催するなどして、自転車の安全利用についての啓発や意識の向上に努めてきたところであります。この結果、自転車乗用中の交通事故は、平成30年の673件に対しまして、令和4年には515件まで減少したところでございます。
2点目の自転車の購入補助の取組についてでございます。
自転車は、総じて、通勤や通学、あるいは買物等の日常的な移動に利用される生活の必需品ということでございます。電動自転車につきましては高価でございますけれども、その多くは手頃な価格で購入できることもありまして、必要とする世帯には一定行き渡っている状況にあるものと認識をいたしております。
その中で、県といたしましては、今ほど申し上げましたこの自転車活用推進計画におきまして、その中で、自転車の利用環境の整備、あるいはルールやマナーの啓発等の取組に注力するという方針としておりまして、現時点におきまして、自転車の購入に補助するということは考えてはございません。
3点目、さらなる自転車の利用促進についての今後の取組についてでございますが、令和5年3月に策定いたしました第2次の滋賀県自転車活用推進計画では、既存の取組の拡充を図るとともに、その間の社会情勢の変化を的確に反映し、新たな取組にも挑戦することとしております。
具体的には、コロナ禍での生活様式の変化により、自転車の利用がさらに増加したことから、駅からの二次交通としてのレンタサイクルの整備促進や、ライフステージに応じた自転車安全教育の充実に取り組んでおります。
また、健康しがの取組と連携した自転車利用に関する健康情報の発信、環境保全意識の醸成として、琵琶湖やそれを取り巻く自然環境や生活文化に触れ合い、その重要性を感じるエコツーリズムの推進、地球温暖化対策に関する出前講座での自転車利用の呼びかけ、また、観光振興の視点から、ビワイチの日に合わせたサイクリングイベントの開催やルートの整備など、主要な施策と連動した取組を進めているところでございます。
アフターコロナや健康しが、環境保全、観光振興など県政の様々な課題に的確に応えつつ、さらなる自転車の利用促進に向け取り組んでまいりたいと考えております。
◆11番(河村浩史議員) (登壇)再問をさせていただきます。
補助ですね。購入補助については考えておられないと。その理由としては、もう自転車が一定行き渡って、各家庭に行き渡っているというお話だったんですけども。
先ほど質問でもお話しさせていただいたように、滋賀県下の自治体、守山市であったり大津市なんかは、こういった自転車であったり電動自転車の購入補助というものを今年度も今事業化して予算を出しているというようなこと、取組しているんですよね。そのような中で、もう今そちらのほうもかなり好評で、予算も確保していた分をもう使い切ったという話も聞いていますし、すごくニーズは非常に高いというふうに思っています。今求められているのはやっぱりそういうところなのかなというのを非常に思っていまして。
あと、電動自転車はやっぱりかなり高価なもので、自転車はある程度普及されているかもしれないけども、電動自転車の普及というのはまだまだ低いのではないのかなというふうに思っています。
最後、この購入補助についても、私は一応一例として自動車運転免許の自主返納者に対してということで、まずはやっぱりこういった限られたところからやっていくのがどうかなということで一案を出させていただいたわけなんですけども。
やはりこれからは免許を持たない高齢者の方、こういった方には自転車って非常に交通の足としてはもう欠かせないものになってくるのかなと。そういった方には、普通の今までの自転車だとちょっと安全面が厳しい部分があると思うんですよね。そういったところでやっぱり少し高価になるんです、三輪の自転車も電動自転車も。
だから、そういったところにやはり補助というものはある程度県としては必要ではないのかなと。そしてまた、ほかの県でもそういった取組されているところもあるんです、免許返納に対して。だから、そういうところもしっかりとですね。考えておられないということなんですけども、やっぱりほかの自治体についてももっと研究をしていただきたいなというふうに思うんですけども。
もう一度その購入補助に対しての考え方、お願いいたします。
◎土木交通部長(三和啓司) お答えいたします。
県といたしましては、この自転車利用の促進、あるいは自転車が移動の選択肢の一つとなるという中で、この自転車活用推進計画に基づきまして、その中では、この安全かつ快適に利用できる環境の整備等に努めるという、こういうところを方針として今取り組むという考えでおりますので、現在のところは購入費の補助は考えていないと、こういう状況でございます。
ただ、この目的には、今の利用促進であるとか移動の選択肢の一つにするというふうなことが大きな目的でございますので、今後もこの状況を見極めた上で、何が政策として必要なのかということは考えていきたいというふうに思います。
◆11番(河村浩史議員) (登壇)1次の滋賀県自転車活用推進計画においても、今回、第2次のやつが今年度から第2次として計画が出されているんですけども、その中には、やっていく、実施していくべき内容として、自転車利用者の年齢層や用途に応じた自転車の種類、タイプの提案というのが書かれている。これは継続で書かれており、そして、自転車の日常利用、自転車通勤の推進というのも書かれておるわけなんです。
自転車利用者の年齢層や用途に応じた自転車の種類、タイプの提案というのは、これはもう自転車屋さんでもできる話なのかなと思っていて、やっぱり僕は県がやるべきことというのはその一歩先やと思っているので、提案だけして終わりでは駄目ですよね。やっぱり提案して、あと、そして、提案したものがその方にやっぱり購入してもらわないと駄目やと思っています。そうじゃないと、その行政の役割として提案だけして終わりというのはちょっとあまりにも、何ていうのかな。
やっぱりそこは利用者の期待に応えられてないのかなというふうに思いますので、もう少ししっかりと今後考えていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
終わります。(拍手)
○議長(奥村芳正) 以上で、11番河村浩史議員の質問を終了いたします。
最後に、33番川島隆二議員の発言を許します。
◆33番(川島隆二議員) (登壇、拍手)それでは、最後になりますので、よろしくお願いをいたします。
造林公社問題について質問いたします。
先日の代表質問において、造林公社についての質問が両会派から出されました。その際、知事からは、今後の課題として、航空レーザー計測による森林解析の結果、債務弁済に必要な木材搬出量が当初の想定の3割程度しか確保できず、188億円の債務の大部分が弁済不能になる見込みであることが判明し、長期経営計画に基づく経営改善は無理であり、また、抜本的な見直しが必要との認識が示されました。
そもそも社団法人造林公社と財団法人びわ湖造林公社はどういった経緯で設立されたのでしょうか。さきの質問にあったように、高度経済成長期の木材需要の急増により需給逼迫が起きたことで材木資材の加工が必要になったこと、それともう1つは、重要なこれは観点なんですけども、水源涵養機能を高めることにありました。
当時、阪神間では工業用水を地下水に頼っていたことから地盤沈下が生じていました。そのため、淀川流域では、台風などにより浸水被害が度々発生していたことから、地下水のくみ上げが禁止されましたが、その地下水に代わる代替水源が求められていたのであります。そこで着目されたのが琵琶湖でございます。琵琶湖の水を利用するに当たり進められた構想が琵琶湖総合開発だったのです。
水源涵養機能を高めるという意味では、滋賀県の造林は湖北地方に重きを置かれ、特に湖北地方での造林が多くなされました。琵琶湖総合開発と相まって、さきに述べたように、高度経済成長期における木材の需給逼迫と水源涵養機能を高めることを目的に、下流自治体の融資も受けながら滋賀県の造林は拡大していったのであります。
こうした状況下で、当時の造林事業で一番評価されるべきところはどのようなところでしょうか、知事にお伺いをいたします。
また、このとき進められた分収造林事業において、将来的には伐採収益が見込めるという観点から、借入金による運営で公社は進められてきました。この借入金は、旧農林漁業金融公庫で現在の日本政策金融公庫からでありますが、借入れを行っていました。ただ、借入れを行う場合、県が公庫に対して、造林公社が支払い不能になった場合は貸付金を補償するという損失補償契約をつけることが条件でありました。
しかしながら、木材価格は昭和55年以降下落に転じていきます。その後、収益の見込みも立たず、借入れを重ねる結果を招いていきます。最終的には、平成18年には債務残高が1,057億円に達することになったのであります。
その間、公社は何もしなかったわけでもありません。経営改善の取組を行ったり国に要望したりしてきました。全国的にもこうした公社の在り方に同様の課題を抱えていたことから、支援要請をする中で、平成17年、18年度には、公庫の了解を得た上で償還猶予を受け、新たな経営改善に向けて取り組んでいました。
1,057億円にも及ぶ債務はここまでなぜ膨れ上がったのでしょうか。ここまでの経緯を含めて、県としてどのような認識をされているんでしょうか、知事にお伺いをいたします。
それでは、なぜ平成19年度は公庫は償還猶予を認めなかったのでしょうか。また、このときに、公庫は全額繰上償還請求を履行する構えを見せ、連帯保証している県は、平成19年9月8日までに全額繰上償還に応じなければ財政再建団体に転落する危機に直面したのでした。
その要因となったのは、平成18年に行われた滋賀県知事選挙で当選された当時の嘉田由紀子前知事のマニフェストであります。そこには「2造林公社の借金は債権放棄の要請を強力に進めます」とあったのであります。公庫にしてみれば借金を踏み倒す宣言をされたようなものであったのです。そんなことをされてはたまらないとばかりに強硬な手段に出てきました。もともと約定どおりに返済していれば約667億円で済んでいたところ、知事のマニフェストにより、早く返してもらわないとという思いから協議がなされ、約690億円に返済額が膨れ上がったのでありました。ここに至る経緯は、当時の議会でも激論が交わされました。
まずは、知事から重畳的債務引受が提案され、法律的には問題ないという説明を受け、最適解の提案であるということで議案提出がなされました。当時このことで、私も含め関連質問がありましたけども、その関連質問した日から僅か1週間後にこの提案が撤回されたのです。それは、総務省から法律違反の疑いがあるとのことで、この提案を撤回し、重畳的債務引受から免責的債務引受に新たに提案がなされました。
この免責的債務引受とは、公社の負債が免責され、滋賀県が公社の全ての負債を肩代わりするというものであります。この提案は、財政再建団体に転落するかもしれないという9月8日の期限まであと1週間に迫った時期で、我々議会は、480億円一括返済ができずに財政再建団体に転落するか、もしくは690億円を県の責任で公庫に42年間にわたって返済するのかを迫られたものでありました。積極的に賛成はできないものでありましたけども、その最悪を回避する上で賛成することを選んだのであります。
ただ、このときの討論で、当時の家森茂樹議員から幾つかの課題の指摘がありました。その一つが公社から県への弁済方法であります。伐採収入をその弁済に充てることが前提で、この免責的債務引受の議題を可決したわけでありますけれども、このときでもその不確定さは問題になっておりました。この公庫への返済は毎年28億円前後で、金額はこれから減少していきますけども、令和31年度まで続いていきます。
実はこのときには、国は何とかしようという雰囲気があったのであります。現に他の自治体では滋賀県のようなスキームは取っていません。仮に約定どおりに債務返済をし、国の利息免除等を他の自治体と同じように受けていたら、どのくらい免除されていたのでしょうか。
このことも含めて、このときの議決は今でも果たしてそれでよかったのだろうかという思いがありますけれども、この経緯を踏まえ、知事はどのような思いを持っておられるんでしょうか、お伺いをいたします。
その後、公庫を除く下流団体との特定調停に臨んでいくわけでありますが、下流8団体は債権放棄を決め、滋賀県においては770億円もの債権を放棄するという内容でした。
この下流団体との特定調停の流れはどのようなものだったのでしょうか、知事にお伺いをいたします。
この際、嘉田前知事が強調されたのが、水源涵養機能をいかに継続させるのかということ、公社材の生産流通体制の整備をすること、そして、公社に県が責任を持って指導し存続させることでありました。
今回、知事はあらゆる選択肢を排除しないとのことでありますが、これからの時代にふさわしい経営モデルを構築する上で、前知事が掲げたようなことも含めてゼロベースから検討するということでよろしいでしょうか、お伺いをいたします。
知事は、滋賀県造林公社の理事長としての顔も持っています。そのホームページには理事長の挨拶が掲載されていますが、「造林公社の森林を将来にわたり公益的機能を発揮させるため、適切な森林整備を行うとともに、木材生産において採算が取れる持続可能な経営となるように取り組む」と書いてあります。その中で、「特定調停で合意した調停条項および分収造林契約を確実に履行します」と高らかにうたってもおります。
造林公社理事長でもある知事は、今回こうした事態を招いたことにどのような責任を感じておられるんでしょうか、お伺いをいたします。
○議長(奥村芳正) 33番川島隆二議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(三日月大造) (登壇)造林公社につきまして、私に賜りました6点の御質問にお答えいたします。
1点目、当時の造林事業で評価されるべきところということでございますが、造林公社では、自発的な林業経営が困難な場所に土地所有者以外の資金や経営技術を導入し、その収益を分収する分収造林を積極的に進めたことにより、約2万ヘクタールに及ぶ広大な森林を造成することができたところでございます。
これらの分収造林施策を琵琶湖の水源として重要な山間奥地で展開したことにより、当時の農山村に雇用の場を創出し、地域経済の安定等に大きく貢献してきたと評価しているところでございます。
こうした先人たちの努力により、これまで造成してきた森林資源は、琵琶湖、淀川流域の水源林として、また、本県の木材生産の核として重要な役割を担ってきていると認識しています。
2点目、債務が膨れ上がった経緯についてでございますが、るる議員からも詳細に御説明いただきましたが、昭和55年──1980年以降、木材価格が下落し始め、これは15年間で半減するほどの下落がございまして、予定していた伐採収益を得ることができず、借入資金の弁済が難しくなりました。そのため、弁済のために新たな借入れを行い、雪だるま式に債務が膨れ上がり、債務総額が1,057億円にまで達し、平成19年──2007年11月に両公社が特定調停を申し立てたところでございます。
両公社は、国の拡大造林政策に基づき、分収造林事業を進めてきたところでございますが、これほどまでの債務が増大してきた間に抜本的な解決が図られなかった点につきましては、平成21年──2009年9月に取りまとめられた造林公社問題検証委員会の報告書の中で指摘されておりますとおり、国、公庫、県、それぞれに責任があるものと認識しているところでございます。
3点目、免責的債務引受の経緯についてでございますが、当時、三位一体の改革が行われ、財政状況が非常に厳しい状況でもございました。県議会と県執行部の間では、その中にあって造林公社の債務に係る予算案について激論が交わされるなど、極めて困難な調整が行われていたものと承知しております。
また、議会では造林公社問題対策特別委員会が設置され、県としても造林公社問題緊急対策本部を設置するなど、執行体制を一新いたしまして、国や公庫との調整を精力的に行うなど、当時の担当者は問題解決に向けて奮闘していたと認識しております。
その中で、仮に約定どおりに公庫への返済を続けていれば約667億円の返済計画となり、さらに、その後創設された公庫の借換資金などを活用することで、少なくとも10億円以上の利子負担軽減効果があったと見込まれますが、結果的に690億円もの債務を県が免責的引受を行うこととなり、県民へ多額の負担をお願いするとともに、県財政にもその後の収支に大きな影を落とすこととなりました。
しかしながら、財政再建団体に転落するという最悪の事態を回避するための当時の判断として、やむを得なかったものであったと捉えているところでございます。
4点目、特定調停の流れについてです。
実質的な債務超過状態にあった両公社は、経済的再生を図るため、平成19年──2007年11月に、公庫、滋賀県、下流団体を相手方とする特定調停を大阪地方裁判所に申し立てました。
公庫の債務につきましては、議員御指摘のとおり、平成20年──2008年9月に県が免責的債務引受を行い、公庫が特定調停の相手方から脱退されました。
その後も下流団体から厳しい御意見が投げかけられる中、県といたしましては、各分収林契約者との長年の関係や蓄積してきた森林管理ノウハウを活用し、県内約2万ヘクタールの公社林を管理していく公益的役割を果たすためには造林公社が今後も必要と判断し、3年を超える交渉を粘り強く続けてきたという経緯がございます。
その結果、平成23年──2011年3月に特定調停が成立し、滋賀県が782億円、下流団体が174億円の総額956億円を債権放棄することになり、造林公社の残債務額を188億円に確定させたという流れであったと認識しております。
5点目、今後の検討方針についてでございますが、さきの代表質問で答弁させていただきましたとおり、あらゆる選択肢を排除せず造林公社の在り方を検討することとしており、議員御指摘のようにゼロベースでの検討を行っていくことになると考えております。
しかし、森林の持つ水源涵養機能を守り、豊かな自然を次の世代へ継承していく責務は、これまでと変わらないものと認識しております。
そのため、これまでの造林公社の取組や分収造林事業を総括、検証いたしますとともに、公益的役割の在り方、分収造林事業の在り方、公社林保全の在り方を含めて、これからの時代にふさわしい森林経営管理モデルを検討してまいりたいと存じます。
6点目、今回の県の責任についてでございますが、特定調停の成立以降、知事として、造林公社への関与を強め、経営改善に向けて公社事業への指導、助言を行ってまいりました。また、造林公社理事長として、限られた経営資源を効率的に活用し、伐採収益の最大化を図りますとともに、公社林の水源涵養機能を持続的に発揮させるため、分収造林事業に取り組んできたところでございます。
このような中で、木材価格の低迷、労務単価や資材価格の高騰といった社会情勢の変化により、分収造林事業は極めて厳しい状況となりました。また、今般の航空レーザー計測による森林解析の結果、必要な伐採材積量を確保できない見込みが判明し、188億円の債務の大部分が弁済不可能な見込みとなったことについて、造林公社を経営改善に導けなかった責任、下流府県と約束した債務弁済が難しい状況に陥ってしまったという結果に対する責任を痛感しているところでございます。
一方で、琵琶湖、淀川流域を守るという使命は今後も変わらないものと考えております。特に、地球温暖化を伴う災害の激甚化を鑑みれば、琵琶湖を取り巻く水源林の保全および水源涵養機能の持続的発揮という役割は、より重要性が増していると認識しており、今後もこうした役割を適切に果たしてまいりたいと存じます。
◆33番(川島隆二議員) (登壇)さっきおっしゃったように、担当者が相当苦労されてですね。このとき当時の
琵琶湖環境部長はその後、職員を辞められて、後は市長になられたので、まあよかったのかなと思うんですけども、そんなこともありました。本当にこれ、ハードな案件で、江島さんなんかもそのときまだ若かりし頃だったと思うんですけども、いらっしゃいましたし、議場でも相当のやり取りがありました。
そのときから実はこの債務返済不能というのは心配があって、そのときの議事録を見ていても、二次破綻に関してのことも何度も聞いているんですね。これ、188億円確定しても、恐らく分収造林で返すというのは難しいだろうということがあったと。だけど、このときに知事言うてたのは、その当時の知事ですけど。その当時の知事ね、今の知事じゃなくて。最終的にこれに関しては足腰の強い経営を目指して県民負担の軽減につなげていきたいであるとか、規模のメリットを生かしながら価格競争力があるということまで言っているんですよね。ただ、実際問題今こうなってくると、この言葉も何だったんだろうなというような思いがしております。
私たち心配していたのは、これからこれができなくなっていくと、例えばその山の持ち主がこれを維持してくれよと言われても、今さらそんなこと言われてもみたいな話になってね。ただでさえもう山持っててもというような話があります。これを売ってしまったりということになると、それこそ経済の安全保障であるとかも含めて考えると、これも相当まずいことになるのかなと。やっぱり県が一定の責任を持ちながらここのところはコミットしていかなくちゃいけないのかなという思いを持っておりますけれども、その点は、知事、いかがでしょうか。
それから、これ、下流団体の説明というのもこれから必要になってくると思うんですけども、この理解を得るように説明をしていくという中ではどのようにされていかれますでしょうか。その点、お願いいたします。
それから、さっき約定どおりにやっていたら10億円以上という話がありましたけども、事前に聞いた話だと、数十億円から100億円ぐらいまでは変わってくるんだろうなと、えらい小さい数字を言われたなと思って聞いていたんですけど。
国に対して一定の責任があるという話、このときも相当言われていたんですね。だけど、それは国だけではなくて、やっぱり全体としてどう考えるのかといったことだと思いますので、そういったところはちょっとどうなのかなという思いを持っております。
国において、これ、ずっと、このときからずっと県のほうからはこの造林公社問題に関して要望されているんですけども、この平成20年から、今は令和5年なので十数年間ずっと要望されている中で、国はどういったような滋賀県の要望を受け止めて何かやっていただいたのかその取扱いといったところをよろしくお願いいたします。
◎知事(三日月大造) まず、結果として知事として引き継いでいる、また、理事長にならせていただいているこの造林公社の188億円を返していくための材積量が見込んだものではなかったということが判明した、このことについては私は責任を痛感しているところでございます。
おっしゃったように、特に私、先ほどの答弁の中で申し上げずに、これも申し訳なかったなと思うんですけれども、分収契約を結ばせていただいている方々からすると、大変この今回の事態について不安を持たれていると思いますので、山を持っていらっしゃる方、分収契約を結んでいただいている方々に対する説明も、これは丁寧に行ってまいりたいというふうに存じます。
当然、下流団体への説明ということも、兵庫県はじめ、現在でもこの造林公社に関与していただいている自治体もございますので、今回の事態を受けて、きちんと県の一定の情報が明らかになり、また、方針が持てた段階で御説明をさせていただきたいというふうに思っております。
また、最後の3点目にいただきました国への支援をどのように要望しどのような効果があったのかということについて申し上げれば、これは議員のほうがお詳しいのかもしれませんが、当時、滋賀県に限らず、全国的に林業公社が大きな問題になっていた時期でもございます。県としても国への要望を行っておりましたが、同じ課題を抱えていた都道府県で全国組織、森林県連合を結成し、国への支援を要望しておりました。
こうした要望の結果、林業公社の経営に対して、補助制度ですとか金融措置、地方財政措置等、様々な支援、拡充策が創設されたと承知をしております。
このうち、本県におきましては、各年度の公庫債務の利子償還額および県から公社への無利子貸付金の利子相当額の2分の1を対象に、毎年度5億円を上限として特別交付税が措置されているところでございまして、一定の効果もあったと認識しているところでございます。
◆33番(川島隆二議員) (登壇)公社に対する利子に関してはそうだったですけど、公庫とはもう免責債務引受をやった後ですので、公庫との間ではそういったものはなかったということで、690億円は県はずっと返し続けるというようなことだろうというふうに思います。
そういった意味では、このときの判断、私も、それから奥村議長もそうだったんですけども、非常にじくじたる思いを持ちながら可決、賛成したのを覚えております。今となっては、県民に対して本当にこれでよかったのかなという複雑な思いを抱えながら、何とかそういった意味では林業を盛り立てていかなくちゃいけないなという思いであります。
分収林事業に関しても、初めは6・4と言われて、その後9・1に変わって、今となってはもう全然無理ですよという話になっている。こういったことも踏まえて、やっぱりこの森林政策の在り方というのは今後もどのようにしていくのかというのを考えていかなくちゃいけない。
議員提案で去年条例もつくりましたし、そういった意味では、これからの滋賀県のいわゆる森林政策、これをどうしていくのか。大規模工場を含めて林業の在り方というのはこれから考えていくことになると思うんですけれども、こういった造林公社のこの問題を踏まえて、さらに森林政策を皆さんが前へ進められるように、それから、水源涵養機能というのも同時に考えながらやっていけるように、そういったことを含めて、知事に、覚悟とは言わないですけど思いを聞いてみたいなと思います。よろしくお願いします。
◎知事(三日月大造) 国が進めてきて、国が特別措置法までやって、造林公社をつくって、つくらせて進めてきて、下流府県との関係において水源涵養という機能も期待されやってきたにもかかわらず、特に国、いわゆる公庫がこの年利2.6%の利息を付して丸々返済を迫るというのはいかがなものかという思いは私もないわけではありません。
国を挙げてやってきたことなんだから、その負担を地方や後の県民だけに押しつけるということはどうかという思いはありますが、とはいえ、借りたものは返していかなければならないということでありますとか、私もこの当時国会議員をやっておりましたので、もっと県選出の国会議員として果たすべき役割があったのではないかという思いを、この間の知事としての職務や今般この事態に至ったことを受けて思わないわけではありません。
ただ、当時、与党は自民党で、そして、政権交代があって、様々な事々が十分県との間で意思疎通できてなかったという反省もありますし、時あたかも地域主権、地方分権の流れの中で関西広域連合ができる、下流府県とも別の意味で連携ができるという中で、こういった下流自治体の理解が得られたという側面もあったのかもしれません。
こういった事々でこの事態に至っているわけですが、今もお触れいただいたように、やはり分収契約を結んでいる方々との関係をきちんと説明した上で、御理解、御納得いただき、御協力をいただくということがまず前提になると思いますし、今ある材木をきちんと管理して、材積量は当初見込んでいたほどないにしろ、とはいえ大きな面積、そして多数の本数があるわけですので、この材木を大切に切り出して売っていく。そのことが可能になるような人材を育成するということでありますとか、そういったことがかなう産業を育成していくということも同時にやっていかなければならないと思っております。
また、何より、議員も繰り返しおっしゃっていただいておりますように、琵琶湖をはじめとするその水源である山をお預かりしている、水源を涵養しているというこの機能、役割をどのように私たちが担っていくのか、果たしていくのかという、ここをこの財政収支の経営問題と併せて御理解いただけるような説明、そのための組織づくり、そういったことを来年度以降行っていく見直しの中で、検討会の中でしっかりと形づくっていかなければならないと思っておりますので、県としても一定考え方をまとめた上で、当然議会の皆様方にもお諮りし、これで行こうじゃないかという御納得いただけるような御提案をしてまいりたいと思いますので、ぜひお力添えや御鞭撻をいただければというふうに思います。
◆33番(川島隆二議員) (登壇)誰が悪いとは言わないですけども、こういった公庫との間でこういった契約を結んでいるというのは滋賀県だけなんですよね。これは何でこういうことになったのかというのは、当初のいろいろあった中での話なので、これ以上言わないですけど、そういうことなんです。
要は、これ、森林をどう守っていくのか、これはやっぱり大事なので、ゼロベースで考えていくというのはそれはそうなんだろうけども、だけども、やっぱり森林をどう守っていくのかということを含めて、その前提に立って考えていかなくちゃいけないというふうに思いますので、それは公庫も借りた金返せよと言うのもしようがない。それは借金を踏み倒すと言われたら、いや、返せと言うのはしようがない。これはもうそもそも誰かがそんなことを言い出すから悪いという話なのでね。
そういったところを踏まえて、これからの森林政策をもっとよりよいものにできるように、ぜひよろしくお願いをしたいなと思います。
以上で終わります。ありがとうございます。(拍手)
○議長(奥村芳正) 以上で、33番川島隆二議員の質問を終了いたします。
以上で発言通告のありました発言は終わりました。
この際、関連質問はありませんか。
(「なし」)
関連質問なしと認めます。
以上で質疑ならびに一般質問を終わります。
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△議第1号から議第16号まで(令和6年度滋賀県
一般会計予算ほか15件)(
予算特別委員会の設置、同委員会付託および同委員の選任)
○議長(奥村芳正) 日程第2、議第1号から議第16号までの各議案を一括議題といたします。
お諮りいたします。
本件につきましては、41名の委員をもって構成する
予算特別委員会を設置し、当委員会に付託いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
(「異議なし」)
御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
お諮りいたします。
ただいま設置されました
予算特別委員会の委員の選任については、委員会条例第5条第1項の規定により、議長および副議長を除く全議員を指名いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
(「異議なし」)
御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
────────────────
△議第17号から議第51号まで(滋賀県部等設置条例の一部を改正する条例案ほか34件)ならびに請願(各常任委員会付託)
○議長(奥村芳正) 議第17号から議第51号までの各議案ならびに請願は、お手元に配付いたしておきました文書のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。
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令和6年2月定例会議議案付託表
令和6年2月28日(水)
〇
予算特別委員会
議第1号 令和6年度滋賀県
一般会計予算
議第2号 令和6年度滋賀県市町振興資金貸付事業特別会計予算
議第3号 令和6年度滋賀県母子父子寡婦福祉資金貸付事業特別会計予算
議第4号 令和6年度滋賀県中小企業支援資金貸付事業特別会計予算
議第5号 令和6年度滋賀県林業・木材産業改善資金貸付事業特別会計予算
議第6号 令和6年度滋賀県沿岸漁業改善資金貸付事業特別会計予算
議第7号 令和6年度滋賀県公債管理特別会計予算
議第8号 令和6年度滋賀県国民健康保険事業特別会計予算
議第9号 令和6年度滋賀県土地取得事業特別会計予算
議第10号 令和6年度滋賀県用品調達事業特別会計予算
議第11号 令和6年度滋賀県収入証紙特別会計予算
議第12号 令和6年度滋賀県モーターボート競走事業会計予算
議第13号 令和6年度滋賀県琵琶湖流域下水道事業会計予算
議第14号 令和6年度滋賀県病院事業会計予算
議第15号 令和6年度滋賀県工業用水道事業会計予算
議第16号 令和6年度滋賀県水道用水供給事業会計予算
〇総務・企画・公室常任委員会
議第17号 滋賀県部等設置条例の一部を改正する条例案
議第18号 滋賀県行政機関設置条例の一部を改正する条例案
議第19号 滋賀県附属機関設置条例の一部を改正する条例案
議第20号 滋賀県職員定数条例の一部を改正する条例案
議第21号 滋賀県知事の権限に属する事務の処理の特例に関する条例の一部を改正する条例案
議第22号 滋賀県職員等の給与等に関する条例等の一部を改正する条例案
議第23号 滋賀県職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例案
議第24号 滋賀県職員退職手当条例の一部を改正する条例案
議第25号 滋賀応援基金条例の一部を改正する条例案
議第27号 滋賀県税条例に掲げる寄附金を受け入れる特定非営利活動法人を指定する条例の一部を改正する条例案
議第28号 滋賀県使用料および手数料条例の一部を改正する条例案
議第30号 滋賀県行政財産使用料条例の一部を改正する条例案
議第31号 滋賀県行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づく個人番号の利用等に関する条例の一部を改正する条例案
議第32号 滋賀県住民基本台帳法施行条例および滋賀県公文書管理・情報公開・個人情報保護審議会設置条例の一部を改正する条例案
議第41号 滋賀県CO2ネットゼロ社会づくりの推進に関する条例の一部を改正する条例案
議第51号 包括外部監査契約の締結につき議決を求めることについて
〇土木交通・警察・企業常任委員会
議第29号 滋賀県警察関係事務手数料条例の一部を改正する条例案
議第38号 滋賀県建築基準条例の一部を改正する条例案
議第39号 滋賀県都市計画審議会条例の一部を改正する条例案
議第44号 滋賀県地方警察職員の定員に関する条例の一部を改正する条例案
議第45号 滋賀県琵琶湖等水上安全条例の一部を改正する条例案
議第46号 契約の変更につき議決を求めることについて(神郷彦根線補助道路整備工事)
議第48号 所有権移転仮登記抹消登記手続請求訴訟の提起につき議決を求めることについて
議第49号 損害賠償請求事件の和解および損害賠償の額を定めることにつき議決を求めることについて
〇環境・農水常任委員会
議第40号 滋賀県立自然公園条例の一部を改正する条例案
議第42号 滋賀県環境影響評価条例の一部を改正する条例案
議第50号 国の行う土地改良事業に要する経費について関係町が負担すべき金額を定めることにつき議決を求めることについて
〇厚生・産業常任委員会
議第26号 滋賀県後期高齢者医療財政安定化基金条例の一部を改正する条例案
議第33号 滋賀県社会福祉法に基づく婦人保護施設の設備の規模および構造ならびに運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例案
議第34号 滋賀県医療法施行条例の一部を改正する条例案
議第35号 滋賀県精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に基づく任意入院者の症状等の報告の徴収に関する条例の一部を改正する条例案
議第36号 滋賀県中小企業の活性化の推進に関する条例の一部を改正する条例案
議第37号 近江の地場産業および近江の地場産品の振興に関する条例の一部を改正する条例案
〇教育・文化スポーツ常任委員会
議第43号 滋賀県市町立学校の県費負担教職員の定数に関する条例の一部を改正する条例案
議第47号 権利放棄につき議決を求めることについて
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請 願 文 書 表
△請願第1号 物価上昇に見合う老齢基礎年金等の改善を求めることについて
請 願 番 号 第1号
受 理 年 月 日 令和6年2月21日
件 名 物価上昇に見合う老齢基礎年金等の改善を求めることについて
請願者住所氏名 (略)
紹 介 議 員 中山和行 節木三千代
付 託 委 員 会 厚生・産業常任委員会
審 査 結 果
請 願 要 旨
【請願の趣旨】
1 2019年、金融庁審議会報告の「老後の生活資金2,000万円不足問題」や「財政検証」による「基礎年金が30年で3割減」「厚生年金の給付水準2047年度には2割減に」との報道は、多くの国民に衝撃を与えた。老齢基礎年金だけで生活している高齢者は、納付期間25年以上で月平均5.2万円、納付期間25年未満では月約1.9万円である。衣食住の全ての分野で切り詰めた生活をしても、この金額で生活することは不可能である。
2 生活保護受給者に占める高齢者世帯の割合は55%にもなっている。年金は自治体が支出しないが、年金の実質減額で高齢者が生活保護世帯に移行すると、自治体の財政を圧迫するようになる。年金の改定がされるたびに生活保護世帯が増え、自治体の財政を圧迫している。
3 年金はそのほとんどが消費に回る。相次ぐ年金削減で地域経済は冷え込み、地方財政に大きな影響を与え、自治体の行政サービスにも直結する問題となっている。そこで全国政令都市20市は2017年に、国に対して「老齢基礎年金等の支給額を改善されるよう要望する」という要望書を提出した。
4 しかしながら、年金は毎年実質減額されている。近年の年金改定では、2019年度は物価上昇率1.0%に対し年金改定率は0.1%、2020年度は0.5%に対し0.2%、2021年度は0.0%に対しマイナス0.1%、2022年度はマイナス0.2%に対しマイナス0.4%、2023年度は2.5%に対し1.9%である。これは「マクロ経済スライド」制度による毎年減額と、2021年から物価変動率と名目手取り賃金変動率の低い方に合わせるようにしたためである。既に2024年度についても物価上昇率3.2%に対し年金改定額は2.7%に改定すると1月に厚生労働省が発表した。2013年度からの12年間では実質7.8%も下がっている。物価高騰もあり、ますます生活は深刻である。その結果、生活保護世帯への移行が増え、住民税の減収とも相まって自治体の財政圧迫を招いている。
国民の年金不安をなくして老後の安心をつくり、併せて自治体の財政健全化のために、物価の上昇に合わせた年金改定を行うことが求められる。
よって、以下の事項を請願する。
【請願事項】
「若者も高齢者も安心して老後を暮らせるように、物価の上昇に見合う老齢基礎年金等の支給額の改善を求める」意見書を国に提出すること
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△陳情についての報告
○議長(奥村芳正) なお、陳情については、お手元に配付いたしておきました一覧表のとおりであります。
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陳 情 一 覧 表
△陳情第1号 滋賀県産業支援プラザCO2ネットゼロ支援室の職員について
陳 情 番 号 1
受 理 年 月 日 令和6年2月21日
件 名 滋賀県産業支援プラザCO2ネットゼロ支援室の職員について
提 出 者 (略)
要 旨
【陳情の趣旨および理由】
令和5年度における滋賀県事業所省エネ・再エネ等推進加速化事業は12月で終了している。滋賀県CO2ネットゼロ推進課へ期中の進捗確認を要求し、月締め結果を確認してきたが、11月時点で多くの県目標達成が難しい状況にある中、最終結果は2月現在においてもいまだに公開されていない。来年度予算審議において、今年度総括は必須と考える。当該事業は、既定路線で予算計上されるのではなく、本当に必要なのか、費用対効果はどうなのかなど多角的に検証されなければならない。
事務を執行する滋賀県産業支援プラザCO2ネットゼロ支援室の職員は、意図的に進捗および結果情報を公開しない。自主性に乏しく、常に受身的な対応であり、県内におけるCO2ネットゼロ施策を一手に引き受けているという自覚が著しく不足している。貴重な県税を投じて行われる当該事業が、酷く閉鎖的で一部の人間による独断と偏見での私物化的判断がなされている可能性がある。適切な情報公開による検証がなされないことによる弊害は、作為的な緊張感の欠如につながり、予算規模とともに年々拡大している。このような状況では、真に県政策目標を実現することができないだけでなく、県民への説明責任を果たせない。
滋賀県産業支援プラザにより、令和6年3月に滋賀県事業所省エネ・再エネ等推進加速化事業における省エネ診断専門家に向けての来年度説明会が開催されるが、既に決まったことを説明するかのような主旨となっている。どのようなプロセスで決まったのかとても不透明で、一切の説明および検証がなされない。
滋賀県産業支援プラザCO2ネットゼロ支援室の職員は、自らをエネルギー等に関して素人であると発言する傾向がある。今年度、その素人である職員がつくった報告書類書式が公式として出回り、そのもの自体の検証もされずに強制作成を強いる事象が発生している。昨今のDX潮流から大きく逆走するような2重入力、作成手間は無駄、負担そのものと言える。
滋賀県事業所省エネ・再エネ等推進加速化事業では、最先鋒である現場等のボトムアップ聴取によるPDCAが全くなされない。今年度状況を顧みれば、未達の事象はとても多いはずである。もはや、滋賀県CO2ネットゼロ推進課と滋賀県産業支援プラザCO2ネットゼロ支援室は意図的にPDCAを回していないのではと疑っている。国の例のように各省庁におけるWG、検証委員会を組織、運用するなどの抜本的な仕組の見直しが必要ではないか。2030年までの期限と目標達成のためにも改善を求めるため、陳情書を提出する。
送 付 委 員 会 総務・企画・公室常任委員会
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△休会の議決
○議長(奥村芳正) お諮りいたします。
明29日から3月10日までは委員会審査等のため休会いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
(「異議なし」)
御異議なしと認めます。
よって、そのように決定いたしました。
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○議長(奥村芳正) 来る3月11日は、定刻より本会議を開きます。
本日はこれをもって散会いたします。
午後3時5分 散会
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