滋賀県議会 2023-09-25
令和 5年 9月定例会議(第9号〜第15号)−09月25日-02号
令和 5年 9月定例会議(第9号〜第15号)−09月25日-02号令和 5年 9月定例会議(第9号〜第15号)
令和5年9月定例会議会議録(第10号)
令和5年9月25日(月曜日)
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議事日程 第2号
令和5年9月25日(月)
午 前 10 時 開 議
第1 議第104号から議第131号まで(令和5年度滋賀県
一般会計補正予算(第4号)ほか27件)の各議案に対する質疑ならびに一般質問
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本日の会議に付した事件
第1 日程第1の件
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会議に出席した議員(44名)
1番 谷 口 典 隆 2番 田 中 英 樹
3番 谷 成 隆 4番 小 河 文 人
5番 菅 沼 利 紀 6番 桐 田 真 人
7番 岩 崎 和 也 8番 野 田 武 宏
9番 森 重 重 則 10番 田 中 誠
11番 河 村 浩 史 12番 柴 田 栄 一
13番 中 山 和 行 14番 赤 井 康 彦
15番 河 井 昭 成 16番 佐 口 佳 恵
17番 小 川 泰 江 18番 田 中 松 太 郎
19番 清 水 ひ と み 20番 井 狩 辰 也
21番 本 田 秀 樹 22番 柴 田 清 行
23番 重 田 剛 24番 白 井 幸 則
25番 村 上 元 庸 26番 桑 野 仁
27番 周 防 清 二 28番 海 東 英 和
29番 加 藤 誠 一 30番 目 片 信 悟
31番 有 村 國 俊 32番 岩 佐 弘 明
33番 川 島 隆 二 34番 奥 村 芳 正
35番 駒 井 千 代 36番 木 沢 成 人
37番 清 水 鉄 次 38番 大 野 和 三 郎
39番 角 田 航 也 40番 冨 波 義 明
41番 九 里 学 43番 今 江 政 彦
44番 中 沢 啓 子 45番 節 木 三 千 代
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会議に欠席した議員(なし)
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会議に出席した説明員
知事 三 日 月 大 造
教育長 福 永 忠 克
選挙管理委員会委員長 世 古 正
人事委員会委員長 池 田 美 幸
公安委員会委員長 北 村 嘉 英
代表監査委員 河 瀬 隆 雄
副知事 江 島 宏 治
副知事 大 杉 住 子
知事公室長 松 田 千 春
総合企画部長 浅 見 裕 見 子
総務部長 東 勝
文化スポーツ部次長 藤 原 久 美 子
琵琶湖環境部長 森 本 哲 司
健康医療福祉部長 大 岡 紳 浩
商工観光労働部長 林 毅
農政水産部長 岡 田 英 基
土木交通部長 三 和 啓 司
会計管理者 中 田 佳 恵
企業庁長 東 郷 寛 彦
病院事業庁長 正 木 隆 義
警察本部長 中 村 彰 宏
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議場に出席した事務局職員
事務局長 箕 浦 宏 昌
議事課長 野 口 浩 一
議事課参事 内 田 吉 行
午前10時 開議
○議長(奥村芳正) これより本日の会議を開きます。
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△諸般の報告
○議長(奥村芳正) 日程に入るに先立ち、諸般の報告をいたします。
谷口義博文化スポーツ部長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として、
文化スポーツ部藤原久美子次長が出席されておりますので、御了承願います。
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○議長(奥村芳正) これより日程に入ります。
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△議第104号から議第131号まで(令和5年度滋賀県
一般会計補正予算(第4号)ほか27件)の各議案に対する質疑ならびに一般質問
○議長(奥村芳正) 日程第1、議第104号から議第131号までの各議案に対する質疑ならびに一般質問を行います。
本日は、会派代表による質疑ならびに一般質問であります。
発言通告書が提出されておりますので、順次これを許します。
まず、21番本田秀樹議員の発言を許します。
◆21番(本田秀樹議員) (登壇、拍手)皆さん、おはようございます。
自由民主党滋賀県議会議員団を代表いたしまして、質問をさせていただきます。
質問に入る前に、暑い夏から過ごしやすい季節となりました。皆さんはどのようにお過ごしでしょうか。秋といえば食欲の秋、そしてスポーツの秋です。スポーツの秋と言われる一番の理由は、10月に体育の日があったからだと考えられます。2020年からは体育の日はスポーツの日と名称が変わりました。
秋はスポーツをするのに適した季節だと言われております。スポーツ界では、
バスケットボール男子日本代表が出場した
FIBAバスケットボールワールドカップは、48年ぶりに自力での
オリンピック出場、2024年に開催される
パリオリンピックへの出場権を見事に獲得し、日本国民が盛り上がりました。また、
ラグビーワールドカップはフランスにて開催されていますが、日本は自国開催で初の8強に躍進した2019年大会を超える成績を目指しております。関西では阪神タイガースの18年ぶりのセリーグ優勝、オリックスバファローズのパリーグ3連覇、両球団の優勝により、関西における経済効果は数億円とも言われております。このように日本のスポーツ界が盛り上がっております。滋賀県の国スポ・障スポを控えていますが、県民が盛り上がる機運醸成を期待いたします。
また、先般行われた第2次岸田改造内閣は、岸田首相は、明日は今日よりもよくなると誰もが感じられるような国を目指し、経済、社会、外交・安全保障の3つの柱の下、施策を進めていきたいと意欲を示されました。政府与党が力を合わせ、先送りのできない課題に正面から取り組んでいただき、岸田内閣に期待をいたします。
それでは、知事、教育長に対しての質問に移らせていただきます。
まず初めに、知事の政治姿勢についてお伺いをいたします。
なぜ今、政治姿勢なのか。平成26年に滋賀県知事に初当選され、現在、3期目も1年が経過いたしました。いよいよ10年目を迎えられ、御自身の10年を意識された発言もお聞きいたします。世の中の移り変わりが激しいことの例えに十年一昔という言葉があり、現在の知事の心情も気になるところであります。目に見えて成果として実感できるここ滋賀をはじめ、国スポに向けた多くの施設も整備が進んでいます。前知事から引き継がれ、少し心残りなのが美術館かもしれません。また、新たな条例も制定され、何といっても、健康をキーワードとする県政も県民に浸透してきていると思います。
そこで、初めに、3期目1年を終え、10年を迎える今、これまでの県政の取組を振り返り、知事自身、どのように評価しておられるのか、お伺いをいたします。
その激務の知事公務に加えて、令和4年10月には関西広域連合長に就任され、本年5月には全国知事会副会長にも就任されるとともに、全国知事会における組織体制の改編により、本年7月に設置された
全国知事会子ども・
子育て政策推進本部の本部長としても活躍をされております。
そうした中で、「知事を長くやっている感が出てきて、職員に、知事の言うことを待つ傾向があるかもしれない」と会見でも述べておられますが、一方、職員の間では、関西広域連合や全国知事会などの公務が多くなり、知事へのレクチャーの時間がなかなか取れないという声をお聞きいたします。
知事は就任直後から対話を重要視するという姿勢でありました。資料を読めば済む懸案もありますが、県政は全て県民のためにあり、文字の奥にある県民の思いこそ、職員の声を直接聞かれてよりよい施策になると思うのですが、おろそかになっていないかが心配であります。
関西広域連合も、信条の異なる知事の調整で御苦労があると思いますし、全国知事会は、与党、野党という国政との関係が重視をされます。前知事は、知事の職と国政は両立すると、政党まで立ち上げられましたが、結局、県民、国民は支持をいたしませんでした。まさかそういったお考えはないと思いますが、10年目を迎える今、知事はどこに軸足を置いて政治をなさっているのか、どのような姿勢、信条を大事にして、現任期での県政を推進されるのか、お伺いをいたします。
さて、これまでにも、突然、「何」と思う言葉が知事から飛び出してきました。びわ湖の日を休日にする、SDGs、琵琶湖新時代、健康経営、CO2ネットゼロ、卒近代、MLGs、シガリズム、シン・ジダイ、そして今、正義であります。今回、知事としての行動指針として、健康、生産、歴史、世界、正義の5つのキーワードを示されました。御自身の行動指針をとやかく言うものではありませんが、県政推進において気になる姿勢を伺っておきたいと思います。
まず、生産という言葉、事県政においては、よりよい県民サービスをつくり出すと解釈しますが、それだけではありません。行政も財をつくり出す必要があります。予算編成を不足する財源確保は、スクラップするだけではなく、新たな財源をどうして生み出すかでもあります。
県内各市町の市長、町長から知事に要望として届いていると思いますが、企業誘致であります。知事は、産業誘致という言葉で滋賀らしい企業などとおっしゃっていますが、企業こそ滋賀県政のために様々な財とサービスを生み出してくれる大切な組織との認識があるのでしょうか。雇用が生まれる、人が集う、地域が元気になる、税収が増える、知事は企業と災害関連の協定を結ばれていますが、危機管理上も強い味方でありますし、今では、地域貢献として山への投資を行っていただく企業もあります。1つの企業が滋賀県に拠点を構えていただければ、何もなかったところから全部が生産されたものと言えます。だからこそ、市町のトップも熱心に、滋賀県としても企業、産業をもっと真剣に呼ぶ施策やセールスを強く求めています。
企業誘致は他府県との地域間競争であります。これは観光振興でも言えるものであります。よい意味で、
県民サービス向上のためにも地域間競争には勝たねばなりません。
そこで、企業、産業の滋賀への誘致活動や施策における知事の真剣度や行動について、お伺いをいたします。そして、地域間競争に勝つという姿勢はどのように持っておられるのか、キーワードの生産の意味も併せてお伺いをいたします。
もう1点、新たな言葉、正義についてです。
インタビューにおいて正義について問われ、「私が知事になるとき、当時の政権は自分たちの言うことを聞けばうまくいくんだと独善を振りかざしていた」との発言をされたと報道されます。私たちは正義の味方と悪の対立を見て育ってきました。ウルトラマンは悪い怪獣をやっつける。また、水戸黄門様が成敗するのは悪代官です。当時の政権を悪とお考えなのでしょうか。改めて、行動指針とされた県政推進における正義についてのお考えを伺い、この項の質問とさせていただきます。
次に、令和6年度当初予算編成についてお伺いをいたします。
8月末に締め切られた国の来年度予算に関わる概算要求は、これまでの最大であった令和4年度の111兆円を上回り、114兆3,852億円と、過去最大になったと発表されました。そうした中で、今月1日に令和6年度の滋賀県の予算編成方針が各部局長に対して示され、予算編成作業が知事の号令の下にスタートされたところです。
今年5月には
新型コロナウイルス感染症が5類感染症になり、県内でも消費や企業活動に前向きな動きが見られる一方で、ウクライナ情勢や円安などに伴う物価高騰の長期化の影響や、米国や中国をはじめとする世界経済の減速が懸念され、様々な動きの中で施策構築となります。また、世界各地で気候変動による影響と思われる事象、記録的な高温や山火事、豪雨が発生しているなど、災害発生リスクは年々高まりつつあると危惧をしております。本県におきましても、先月、台風7号により被害が生じております。
このように、気候変動による異常な災害が多発している中で、国では令和7年度までを実施期間とする防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策により事業費を確保してきています。本年7月28日には新たな
国土強靱化基本計画が閣議決定され、従来の取組以外に、デジタル等新技術の活用による国土強靱化対策の高度化、地域における防災力の一層の強化が新たに基本的な方針として位置づけされたところであります。加えて、少子高齢化が進展し、先行きや社会生活の不安が増大しつつある中で、国においては、
こども未来戦略方針で示されたこども・
子育て支援加速化プランに基づき、子ども・子育て対策を強化することとされております。
初めに、このような国の方針や概算要求も含め、本県を取り巻く情勢変化をどのように予算編成に反映させていこうとされるのか、お考えをお伺いをいたします。
県の施策を構築する基本は、当然、滋賀県基本構想であります。その基本理念は「変わる滋賀 続く幸せ」でもあり、誰もが一人一人、いつまでも幸せを実感できる滋賀を目指すとされております。同時に、主要施策を定めた滋賀県
基本構想実施計画の第2期計画では、感じている幸せの度合い、滋賀に誇りを持っている人の割合、滋賀に住み続けたいと思う人の割合という総合目標、目指す姿を上昇させ、13項目の施策を推進することとしております。
予算編成方針においては、みんなで描き、共に創る健康しがを目指した施策構築と財政健全化の推進の2つの基本的な方向性を示されていますが、令和6年度の予算編成に当たって、
基本構想実施計画の総合目標達成に向けた姿勢と、どのような県政の課題に関して施策構築を行っていこうとされるのか、お伺いをいたします。
一方、試算された本県の今後の財政収支見通しにおいては、このまま何もせずに単に追加施策を行えば、令和6年度では200億円以上、令和7年度以降も毎年度100億円程度の財源不足が継続するとされております。そして、令和5年度から令和12年度までの累計が1,031億円もの財源が不足するとされております。これからも県民に適切なサービスを提供し続けるためには、財政健全化に向けた取組は非常に重要な課題であり、不断に取り組んでいかなければならないと考えます。
改めて、本県の財政状況に対する認識と、中長期的な視点に立った財政健全化の取組について、方針をお伺いいたします。
そうした財政健全化を目指す一方で、それでも進めなければならない県政課題はたくさんあります。国スポ・障スポ大会の開催、防災・減災、国土強靱化対策、
県立高等専門学校や新・琵琶湖文化館、医療福祉拠点の整備など、今後も多くの大規模事業が予定をされております。加えて、子供医療費助成の拡充や産業誘致など新たな行政需要にも対応しなければなりません。知事が掲げられた健康しがの実現に向けて、県民サービスの充実や、将来に向けた投資と財政の健全化の取組など、どのように両立させていくのか、知事の決意を伺い、この項の質問とさせていただきます。
次に、滋賀を元気にするスポーツの推進についてお伺いいたします。
いよいよ、私たちが輝く国スポまであと734日、障スポまで761日となりました。もう機運醸成などとのんきなことを言っている場合ではありません。滋賀県の次に開催される青森県のほうが盛り上がっているのではないか、そんな声も聞かれますが、県議会も議長の発案で、今議会最終日に議員有志で国スポ・障スポのポロシャツを着て議会に臨むとされました。
さて、今回は、レガシー、いろいろな意味合いがありますが、スポーツを通して受け継いだものということを念頭に質問を続けてまいります。
その中で、
びわ湖毎日マラソンの後継大会として新たに始まったびわ湖マラソン2023が、本年3月12日にエントリー数7,263人の出場者で開催されました。また、スタッフも4,063人で、そのうちボランティアが2,129人という多くの協力者の下での開催となりました。新たな大会を終えての参加者の声は、次回の大会にも参加したいとの感想をお寄せいただいたランナーが約9割おられ、また、一般募集に加え、企業や各種団体、高校などから応募いただいたボランティアの方々からは「活動に満足した」「ランナーから勇気をもらった」「スポーツを支える面白さを体験できた」などの声が聞かれたということで、こうした結果からも大会の成功を感じるとともに、この大会に携わられた全ての関係者に感謝をいたします。
この新たなマラソンは
びわ湖毎日マラソンの後継大会との位置づけでありましたが、そのレガシーは知事は感じておられますか、お伺いをいたします。
びわ湖毎日マラソンはテレビ放映もあり、遠くにいても見る楽しみがありました。国スポもそうですが、大
規模スポーツイベントを通じてスポーツをする楽しみ、見る楽しみという魅力に加え、今回のびわ湖マラソンでは、ボランティアの声からも、支えることの楽しさを体現されたことは支える文化の芽生えとなるものと思います。
来年の開催に向けて既に準備が進められていますが、びわ湖マラソン2024では3,000名程度のボランティアを募集することや、近江牛、近江米、近江のお茶、湖魚などをランナーに紹介すること、また、湖での観光も検討されるなど、スポーツツーリズムの足がかりになりそうです。
そこで、2023年の
びわ湖マラソン大会の成果をどのように感じ、次回の大会に何を生かし、どのような大会にしていこうとされるのか、お伺いいたします。
冒頭、国スポ・障スポの盛り上がりについて触れましたが、これまで「わたSHIGA輝く国スポ・障スポ」に関する運動として、花いっぱい運動、
大会イメージソング「シャイン!!」の普及、各市町の競技団体での独自の取組などが行われております。これまでのコロナ禍のためとの理由はともかく、これからの盛り上げが重要であります。
10月からは両大会運営に係るボランティアの募集など参加準備が始まります。機が熟せばおのずと機運は醸成されるとの甘い考えはないと思いますが、何をするということに加えて、開催2年前、1年前、100日前と、いつまでにどのように機運が醸成され、どのように盛り上がっていくのかというイメージを持って、戦略的、計画的に進める必要があると考えます。開催が迫りつつある今、県民や企業、団体、学校などを巻き込んだ、さらなる機運の醸成と盛り上げ方についての考えをお伺いをいたします。
前回、昭和56年の国民体育大会のレガシーを挙げるとすれば、スポーツ施設が整備されることに併せて、県内の青少年間でクラブが生まれるなど、確かなスポーツ振興が図れたこと、また、米原市でのホッケーや、現在の愛荘町で開催されたアーチェリー競技が確実に地域に根づいていることがあります。
昨年の我が会派の代表質問でも、スポーツ振興や健康しがの実現につながる大会レガシーを創出し、次世代に残すと答弁され、大会基本構想にも、スポーツの祭典を成功させることによって滋賀の新たな時代の創造につながる様々なレガシーを創出し、これらを次世代に継承していくとして、7つの実施目標からそれぞれにレガシーが設定をされております。
一例でありますが、目標に対し、「生涯にわたり健康でスポーツに取り組む滋賀の人々」「スポーツで輝く滋賀の子供、若者、女性」「連携、協働で伸ばされた滋賀の力」などとあります。レガシーと言うからには、大会を契機に、これだと言える新たな景色をつくり出してこそ価値があるのではないでしょうか。抽象的では何も創出できないのではないかと危惧をいたします。
びわ湖マラソンでの
スポーツイベントのボランティアの体制、つまり支える文化の醸成は、レガシーとしてぜひとも創出したいものですし、施設が持続的に活用され、地域にスポーツが根づくことも期待をしております。今回の国スポ・障スポの開催において、どのような取組を通じてレガシーを実現しようとするのか、お伺いをいたします。
最後に、大
規模スポーツイベントを通じた豊かで潤いのある県民生活と活力ある地域社会の実現に向け、スポーツで滋賀を元気にするに当たっての知事の決意を伺い、この項の質問とさせていただきます。
次に、生物多様性の保全についてお伺いをいたします。
滋賀県として、生物多様性の保全や持続可能な利用を目指すために、戦略が2015年──平成27年に策定され、8年が経過しました。知事もよく「山を守る」という言葉を使われますが、この戦略では、人が自然を管理するという考え方ではなく、自然の状態をよく見ながら、自然本来の力に委ね、人間は必要な手を加えるという考え方と捉えております。すなわち自然は人の所有物として扱うのではなく、預かったものと捉え、責任を持って次の世代に引き継ぐことが重要というのが戦略の理念となっております。
本戦略は、長期目標を令和32年──2050年、また、短期目標を令和2年──2020年計画までとし、行動計画における数値目標を基に評価を行うとしていますが、まず、戦略による短期目標に向けた取組はどのように評価され、長期目標からどのような状況にあると分析をされておられるのか、戦略にある各主体の役割が果たせているのかも含めてお伺いをいたします。
戦略は重要です。今では生物多様性という言葉はよく耳にしますが、果たして県民の皆さんがどれだけ生活の中で認識、意識されているかがまずは気になるところです。各地域の自然の中で、個性を持った多様な生き物がにぎわい、他の生き物や生命と直接、間接につながり合っている状態、それが生物多様性ですが、いかに県民の意識を向上させるかという点がもっと必要ではないでしょうか。また、理念では、人間は必要な手を加えるという考えですが、昨今、生物多様性を構成する鹿などの野生動物によって生物多様性が崩壊しているところもあります。そうならないように、自然本来の力に委ねながらも、人間は必要な手を加えるという考えでしょうが、どんなときに、どのタイミングで手を加えるのかも大事です。
そこで、生物多様性の保全を進める上で、生物多様性について県民に浸透を図ること、および人間が必要な手を加えるという考え方について所見をお伺いをいたします。
この問いの背景には現在の伊吹山の深刻な状況があり、ほってはおけません。そのほか、オオバナミズキンバイなどの侵略的外来水生植物の対策も、まさに今すぐ必要となっているところもあります。伊吹山に関しては、今議会、補正予算も提案されていますが、特に伊吹山の状況や侵略的外来水生植物の状況は喫緊の課題と捉えておりますが、これらの課題について、まずはどのように取り組んでいこうとされるのか、お伺いをいたします。
現在、目標としている戦略の2050年まではあと25年余りです。次期戦略に向けて検討されていると伺っていますが、次期戦略策定に当たっての重要な視点と、短期的にはいつ頃までにどのような成果を目指すか、滋賀ならではの戦略にかける知事の思いを併せて伺い、この項の質問とさせていただきます。
次に、安心できる保健医療についてお伺いをいたします。
この本題に入る前に、子供対策について申し上げておきます。
今議会前の我が会派との政策懇談会において、かねてより市町長との協議をされていた子供の医療費助成の拡充について、高校生の拡充支援を知事が決断され、実施も令和6年度中とのことに大いに期待をしますとともに、また、市町の子供の対策への新たな交付金制度を導入するとの方針についても、明日の本部員会議などで議論されると思いますが、市町の意向が十分反映された制度とされるよう、強く要望をいたします。
さて、県民の皆様にとって、日常生活を営む地域における医療、介護の充実は健康で豊かな人生を送るために欠かすことのできない要素であり、令和5年度の県政世論調査の速報結果においても、県の施策で力を入れてほしいと思うことへの問いは、今回も1番が医療サービスの充実、53.7%で、2位が36.2%の福祉サービスの充実でありました。非常に関心が高く、大きな期待と願いが寄せられている分野であると改めて認識をいたしました。
この医療や介護を含む健康医療福祉施策の方向については、医療法をはじめとする様々な法律により総合的に進められ、また、具体的な各府県の推進には、法に基づく計画として示すことが義務づけられており、本県においても各種の計画が策定されているところであります。
今年度は、滋賀県保健医療計画や健康いきいき21−健康しが推進プラン−、レイカディア滋賀高齢者福祉プランなど、保健、医療、介護などに関する多くの計画が同時に策定、改定を迎える時期にありますが、世論調査に答える形で、県民の皆様に安心していただける計画になるよう、次期計画の策定に向けた検討を進めていただきたいと思います。
本県では、昭和63年に滋賀県保健医療計画を策定し、以後、随時の見直しを行いながら、県内の関係機関や市町などの協力の下、医療資源の適正な配置を図り、総合的な健康医療提供体制の構築を推進してこられました。今回、6年ぶりの全面改定となります。
そこで、まず、同時期に改定する各種計画との関連整合も含め、どのような考え方に基づき、次期滋賀県保健医療計画を策定しようとするのか、その基本的な考え方をお伺いをいたします。
この改定は、これまでの改定にはなかった要素があります。それが
新型コロナウイルス感染症の出現です。5類に位置づけされましたが、3年余りに上る感染症対策には、医療従事者の皆様、医師、看護師の皆様の多職種連携でのチーム医療により、懸命に県民の命を守ってくださる中で、医療現場の最前線において大変な苦労があったと認識をしております。ここに改めて深甚なる感謝を申し上げます。
次期計画においては、新興感染症発生・まん延時における医療が新しい項目として追加されると仄聞しております。現在、県ではコロナ感染症を振り返り、今後の感染症対策に生かそうとの取組がありますが、感染された方や医療従事者の声などから得られた
新型コロナウイルス感染症に対する多岐にわたる教訓をどのように生かして、今後、新興感染症に対するきめ細かな取組を進めていかれるのか、その考えをお伺いをいたします。
また、
新型コロナウイルス感染症の対応においては、いわゆる2次保健医療圏ごとに連携体制を構築し、対応されました。改めて、医療圏が果たす機能の重要性を認識したところであります。
2次保健医療圏は、保健医療圏計画において、地理的条件や交通事情などを考慮し、入院治療が必要な一般的な医療需要に対する区域として定めているものであり、医療機関の機能分化と連携による医療福祉体制については、この圏域を基本として推進されております。
今回の計画改定に当たり、気になるのが厚生労働省の考えであります。人口規模や入院患者の流出、流入などを分析した上で見直しを検討するよう求めていると仄聞していますが、さきに述べた世論調査でも医療サービスが1位ということからも、県民の皆様が必要とされる保健医療福祉サービスをいつでもどこでも適切に受けられるようにすることが重要であります。
本県では、現在、7つの保健医療圏を設定していますが、次期計画においては、どのような方針に基づき、どのように設定されようとしているのかをお伺いをいたします。
加えて、2次保健医療圏や、それを包摂する3次保健医療圏にはそれぞれ地域課題があり、必要に応じて病院の在り方を検討する取組が進められていると認識しております。その中で、県立病院においては、令和7年1月に県立総合病院と県立小児保健医療センターの病院統合が予定されていますが、小児患者の病床が減らされるのではないかとの強い不安の声があります。
小児保健医療センターの再整備事業については、2年前の11月の定例会議で我が会派の質問で、知事は苦渋の決断として事業の延期を表明された経緯があり、同時に、令和4年度から2年間かけて、施設整備の集約化や有効活用の観点も踏まえて整備事業を見直すとされました。この見直しの中で、統合後の総合病院として、これまで小児保健医療センターが果たしてきた役割や機能をどのように引き継ぎ、担い、充実させようとされているのか、病床の減少不安の声にも応える考えを伺い、この項の質問とさせていただきます。
次に、コロナ禍後の本県の観光についてお伺いをいたします。
新型コロナについて、WHO──世界保健機構は、2023年5月5日に国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態の宣言を終了すると発表しました。各国・地域では、終了発表以前から社会経済活動の正常化に向けた取組を行っており、5月8日には新型コロナの感染症が5類に移行したことを受け、順調に推移しているとの報道があります。
我が国の訪日外国人については、日本政府観光局が去る8月16日に発表した7月の推計値訪日外国人観光客数では約232万人と、コロナ禍前の2019年と比べて8割まで回復している状況とのことであります。特に、この夏は全国各地でもかつての花火大会や音楽フェスタなどの大規模イベントが完全復活し、各地で多くの観光客でにぎわう風景が報道されております。お隣の京都では多くの外国人観光客を目にしますが、一方、滋賀県に戻ってみると、いま少し戻っていない感があります。
そこで、まず、この夏の観光客の復活について、全国と本県の状況をどのように分析されておられるのか、お伺いをいたします。
あわせて、そこから見える本県の観光振興における課題についてお伺いをいたします。
先月、知事は中国湖南省を訪問されました。40周年という節目ということで、省長との初めての会談をされたことや、観光プロモーションが大変盛況であったと報告されました。また、8月10日から17日にかけて米国ミシガン州ニューオリンズを訪問され、ミシガン州知事との面会や、近江のお茶、近江米、近江の地酒のセールスプロモーションを行ったとの報告もありました。ミシガン州のグレッチェン・ホイットマー知事が来県され、今後の学生交流を、企業も巻き込んで高めていくことなどの意見交換をされたとも聞いております。
これらの知事の活動は本県へのインバウンドに大きな期待をするものでありますが、今回の、姉妹都市である中国湖南省、米国ミシガン州への訪問、交流の成果を具体的にどのように観光振興につなげていこうとされているのか、お伺いをいたします。
コロナ前の2019年の滋賀県の訪日外国人客数は21万9,775人で全国33位でした。JTBが株主となっている企業のデータ分析ですが、滋賀県は京都観光と併せて訪れる旅行者の多い県で、滋賀ならではの魅力発信や観光資源開発に積極的なイメージはありませんが、琵琶湖は訪日旅行者の間でも有名であります。京都旅行や他の関西圏と併せて周遊する訪日旅行者を取り込めるようプロモーションを展開すれば、インバウンド客増加の伸び代があると予測されます。
滋賀のインバウンドは仕掛け次第で大いに伸びると思います。あくまで仕掛け次第です。そのためには、ターゲットとなる地域別の分析対応も必要と考えますが、インバウンド推進に当たり、本県の観光の状況を県としてはどのように分析し、現在、どのような具体的な施策を講じているのか、今後の対応方針についても併せてお伺いをいたします。
一方、国内観光です。コロナで大きな打撃を受けた観光産業であります。これまで「滋賀たび」など様々な対策が講じられてきました。そして、8月8日には4年ぶりのびわ湖大花火大会が開催されたところであります。多くの皆さんが楽しまれたと思いますが、地元学区自治会の多くからの反対決議や、高い目隠しフェンス、無料での来場は御遠慮をとの広報など、後味が悪い大会になったのも事実であります。何かにつけ三方よしを唱える滋賀の姿勢から、地域よしとならなかった今回の大会をどのように受け止められ、そもそも花火大会についてどのようにお考えか、お伺いをいたします。
社会が正常化する中、コロナ禍対策の事業から本来の観光に戻していく必要があります。個別の旅行については観光先として選ばれる地域となること、そのための首都圏からの誘客の拠点でもあるここ滋賀の活用、さらには、令和6年1月から、本県にゆかりの深い紫式部が主人公の「光る君へ」という大河ドラマの活用など、こうしたコンテンツは、始まると同時に来訪者を増やすための早くからの仕掛けと目標を持った活動が重要であります。また、コロナ禍で、修学旅行等教育旅行が近隣府県から流れてきていると仄聞し、営業や広報戦略が重要と考えます。
そこで、「光る君へ」放映による本県への誘客目標と、本県への修学旅行、教育旅行誘致の目標、そのために、今、何を行っているのか、お伺いをいたします。
その後には2025年の大阪・関西万博と国スポ・障スポを控えております。まさに知事がいつもおっしゃる大きなチャンスであります。これまでも大きなチャンスはありました。やはりイベントによる人の流れに沿った対策が必要です。万博はチケットを購入して来られることから、早くから、万博の際には滋賀県への誘客する仕掛けを、また、国スポ・障スポは、滋賀県は必ず来られる方に対して、そのまま滋賀に滞在していただく仕掛けを行う必要があります。単に「滋賀県に来てください」や、シガリズムのPRでは結果は出ません。チャンスを生かして、観光の結果を出すための観光誘客関連産業の振興施策をどのように図っていこうとされるのかお伺いし、この項の質問とさせていただきます。
次に、滋賀らしい農業の推進についてお伺いいたします。
実りの秋を迎えました。危険な暑さと言われる中でも、春に植えられた水稲も立派な近江米として出荷が始まっております。お茶椀1杯25円です。皆さん、滋賀の新米をもっと食べようではありませんか。その新米が食卓に上がるまでの農家の御苦労を思いながら、滋賀県としての水田農業の振興についての質問であります。
小規模農家、農業法人、認定農業者、農業組合、土地改良区など様々な個人、組織によって滋賀の農業は成り立っています。特に農業においては、30年前と今も変わらない課題が後継者問題であります。高齢化が進み、農業者の減少と、その後の農業者をどのようにするのか。その中で本県が独自に取り組み始めたのが、小規模農家から大きな規模の農家までが共同して農業を行う集落営農という考え方でありますが、知事も御存じのことと思います。
国においても、平成24年に全国的に同様の取組を始めました。それが、農業者の話合いで農業の中心となる経営体や地域の農業の将来を明確にする、人・農地プランという制度であります。本県では、集落営農の考え方をベースにプランを策定する集落が着実に増え、定着。その中で、さらに規模拡大農家は認定農業者へと、また、拡大ができない農家も構成員となる農業法人化が進んできました。当然、やめられる農家の農地は認定農業者や農業法人が受皿となり、国が進める集積化も進んできました。そうした中で、平成26年に、全国で農地の集約化を拡大するために、それまでの市町などによる農地の貸し借りの方法から、新たに農地中間管理機構というシステムをもって進めており、本県の集積は全国でも高い集積率となっています。
そこで、初めに、こうした滋賀県ならではの集落営農の考えから高い集積率となったことを踏まえて、これらの滋賀県らしい地域農業の在り方についてお伺いをいたします。
令和4年度の農地の担い手の集積率は全国平均で59.5%、本県においては65.7%になっております。さきの中間管理機構システムが始まったとき、国の目標は令和5年度末で80%とするものでありましたが、そう簡単ではありません。本県においても国の目標までには至っていませんが、どこに問題があるのでしょうか。何が課題なのでしょうか。各府県によっても違うと思いますが、高い集積率となっている本県におけるさらなる農地の集積における課題についてお伺いをいたします。
その課題は解決しなければならないのか、そもそも限界なのか、これによって対策なども変わりますが、昨年5月に農業経営基盤強化促進法等が改正され、これまでの人・農地プランを法制化する形で、今、全国各集落で地域計画を策定するよう求めております。
その内容は、今の土地の集積の状況、これはどこの土地に誰が耕作しているのかを確認し、10年先、さらにその先にどのように集積が進んでいるのか、目標の計画、別名──目標地図を作成しようとするものであります。市町を通じて各集落に説明が始まっており、関係機関、組織が一体となって推進されるのですが、主体は、やはり農業者、耕作者、経営者であります。特に農業者から聞こえる声は、複数の集落への耕作を広げている大規模農業経営体への配慮が必要ではないか、また、農地の所有者がつながりのあった耕作者から別の耕作者へ替わるとの懸念でありますが、こうした声を踏まえた滋賀県らしいこの地域計画の策定をどのように考えているのか、お伺いをいたします。
耕作者に集約され、効率的な農業経営を目指すことは当然でありますが、その基盤として見た場合、昭和の終わりから取り組まれてきた本格的な土地改良区事業は、その後、大規模区画への再整備も進みましたが、これからは、特に滋賀県は琵琶湖の水を活用する農業であり、かんがい排水施設や送水施設の更新などの事業が必要となっています。既に14年前となる民主党政権下で事業費が半減された、そのツケが今なお残っており、さらに今、琵琶湖の水を活用するために電力料金が1.4倍となる、土地改良区の運営にも大きな影響が出ております。
これには、一昨年、知事のいち早い決断で県独自の対応をされましたが、農地の耕作者の集積とともに、より効果的な農業を目指すべき、並行して、農業基盤整備を推進しなければなりません。国の予算によるところが大きいものの、グリーン化、スマート農業化を進める本県として、これからの滋賀県らしい農業基盤整備推進の考えをお伺いいたします。
農業を生業として、もうかる農業への一つが規模拡大であり、そのための農地の集積でもあり、その生産性を向上させるのがスマート化ですが、農業経営という点では規模拡大だけではありません。現に、耕作面積は大きくないものの、消費者との直接取引を確立し、付加価値の高い農産物を提供する家族農家もあります。こうした農家も含めて、滋賀県らしい農業を次世代に承継していく考えを伺い、この項の質問とさせていただきます。
次に、滋賀地域交通ビジョンについてお伺いをいたします。
2年後に迫っている関西万博の目玉とネットで検索すると、空飛ぶクルマというのが多くカウントできます。この空飛ぶクルマは将来の重要な交通手段になるのではないでしょうか。
本年3月に滋賀地域交通ビジョン(骨子)が公表されました。2040年代を見据えたビジョンということでありますが、まず、この2040年代の本県の人口構造や、技術的推進などによる新たな交通手段の将来像をどのように描いていこうとするのか、お伺いをいたします。
自宅のドアを開け、それぞれの目的地へ赴くとき、様々な移動手段が考えられます。徒歩、自転車、バイク、自家用車、タクシー、公共バス、民間バス、鉄道、飛行機、ヘリコプター、船舶など、その手法と組合せは自由自在で、それぞれの事情に応じて選ばれるものであります。移動する権利、その自由もありますが、そもそも地域交通とは何か、地域交通の果たす役割やその位置づけ、ビジョン策定の目的を改めてお伺いをいたします。
骨子による将来の考慮すべき環境変化でいいますと、交通を活用して移動する対象者はどうも県民だけに目が行っているように思えてなりません。2022年、昨年策定された健康しがツーリズムビジョン、いわゆる滋賀県観光交流振興指針に、本県の観光の課題としてこのように整理されております。駅から観光地へ、観光地から観光地への公共交通の不便さ、観光地までの到着所要時間が長い傾向があることから、県内各地をスムーズに周遊するための交通利便性の向上が求められます。
このように、本県の交通事情は観光面でも大きな課題としています。滋賀県は、常に、交通の結節点と県外からの交通環境に恵まれていると言いますが、地域交通と県内だけで完結するのではなく、滋賀県の県境をまたぎながら近隣ともつながることで真の地域交通になるのではないでしょうか。
北陸新幹線は敦賀から京都へ回ります。また、リニア新幹線も名古屋から大阪です。これまで滋賀を通らないと行けなかったものが、滋賀を迂回して行ける交通環境となり、これまでの結節点ではなくなるという感がします。だからこそ、滋賀県だけを見たビジョンではなく、周辺自治体の動きにも歩調を合わせたビジョンが必要ではないでしょうか。ビジョン策定における来訪者、観光者と広域交通との関係について、そのお考えをお伺いをいたします。
さて、特に災害における対策を語るとき、まずは身の安全を、そして、隣同士の助け合いを、その上で公的な支援を言われますが、特に市町ではこの考え方が大きく根づき、新たな地域コミュニティーの形成とともに、有事災害や、ふだんの暮らしにおいても力を発揮されていると考えます。
滋賀県においても、自分でできることは自分で自助、近隣近所でできることは親戚近所で共助、それでもできない部分では公の公助というように、できる限り助け合いの観点を持って公の在り方を位置づけしております。少子高齢化社会の未来を見据えると、これからの様々な分野における地方自治を支えるキーワードこそ、自助、共助、公助になるのではないでしょうか。そして、今、取り上げている地域交通においても同じことが言えるのではないでしょうか。
県民全ての個に順応すべく地域交通の在り方を考えれば、その対応は限りなく、公の果たすべき負担は、当然、限りないものになるのではないでしょうか。特に共助という部分では、隣同士が、また自治会や地域が人の移動を助け合うシステムを構築してはと考えますが、地域交通における共助の考え方や在り方、ビジョンでの扱いについて、知事の見解をお伺いをいたします。
保健医療の質問のときも触れましたが、第56回滋賀県県政世論調査の単純集計結果が公表されました。その中でも、「鉄道やバスなどの公共交通は整っていると感じますか」の問いに66.4%の方が不満との意識を持っておられます。輸送環境が格段に進化した時代においても、これだけの不便を感じている県民の皆様がおられます。前段でも申し上げましたが、それぞれがそれぞれの事情に応じて、時間、手段、目的を組み合わせて生活を営んでいると考えます。滋賀地域交通ビジョン(骨子)にある「いつでも誰でもどこへでも」、これが実現すれば日本一住みやすい県であり、観光での課題も解決をいたします。
現在、ビジョンに係る未来アイデア会議や懇話会、アンケート調査が実施されていますが、調査場所や対象者を見ると、何らかの交通手段がある方に偏っているのではないかと感じます。本当に困っている方や不満を持っておられる県民の声を反映するビジョンとなることを願いますが、県民の声の聞き方について、その方針をお伺いいたします。
このビジョンの議論が始まったときから、どんな交通サービスになるかも分からない段階で負担という話が出ました。これまで県のビジョンや計画で全体事業費を示していない状況で、今回はいきなり負担ということに多くの皆さんも戸惑っております。ただ、知事が3期目の出馬において、移動を支え合う、交通をよりよくするための税制の検討を推進するとしておられますので、検討は十分にしていただきたいと思いますし、我々の認識では、税制審議会では可能性は議論されましたが、まだ具体的な検討には入っていないという認識にあります。ところが、東京での講演では、早くも任期中には困難という言葉が出てきました。この発言から、既に導入が前提であることを感じます。
そこで、伺いますが、この発言の意図と、今回の交通ビジョンにはどのような事項を盛り込もうとされ、いつまでに策定されるのかお伺いし、この項の質問とさせていただきます。
最後に、子供のための教育施策についてお伺いをいたします。
本県の教育大綱においては、「子ども一人ひとりの個性を大切にし、生きる力を育む」を大きな柱の一つとし、そのための施策の方向性を「確かな学力を育む」と掲げております。では、この方向性で、実際に子供たちにその学力が身についているかが重要であります。
その状況の把握の一つが毎年行われている全国学力・学習状況調査であります。知事はかねてから、順位や正答率はあくまで参考にすべきとされ、大きく点を伸ばした学校の取組を生かすため、結果を活用するという姿勢であるように思います。であるならば、知事就任、既に9年が経過しましたが、この8年間の積み重ねの結果が今年の全国学力調査の結果ということだと思います。今の小学校6年生は、入学時の知事は三日月知事でありました。今年の全国学力・学習調査の結果は、6年間の確かな学力が育まれてきた結果と見てよいのか、結果に満足をされておられるのかを、まず、知事にお伺いをいたします。
その上で、以下は教育長にお伺いをいたします。
実際の教育現場は、子供一人一人の個性を大切しながら学ぶ力を向上させるということからも、教員の皆さんの御苦労がうかがえます。教育長も、就任され、5年目ですが、今年の全国学力調査の結果から、これまでの取組の成果と課題についてどのように捉えているのかをお伺いをいたします。
そして、その課題に対応するためには、今後、どのような方針で取り組んでいくのか、併せてお伺いをいたします。
その方針に沿った取組が次の成果に結びつくためには、やはり子供たちとしっかりと向き合うことです。教員が十分に子供と向き合う時間を確保するためには、未補充の解消も課題でありますが、これは、今年度、新たに取り組まれている教員へのファーストステップ支援事業に期待をするものであります。
一方、教員の長時間労働への対応も欠かせない中で、今年度、新たに取り組まれているのが学校経営骨太モデル事業であります。この事業の概要、取組状況を踏まえ、今後、どのような取組を行っていくかもお伺いをいたします。
労働時間もさることながら、教員が不足ということでありますが、実態と対策についてお伺いをいたします。
さらに、心配なのが子供たちの部活動への対応です。国の方針も、教員の負担軽減などから、部活動に対し、地域の支援を求める方向です。いわゆる部活動の地域移行ということですが、地域移行について、本県の状況と今後の方針についてお伺いをいたします。
部活動もそうですが、世の中が大きく変化する時代において、生徒の生きる力を育むためには、教員が全て担うのではなく、多様な人材が学校に関わることが必要であります。とりわけ高等学校段階においては、自ら考え、主体的に取り組める教育環境づくりが重要と考えますが、マイスター・ハイスクール事業などの状況も踏まえ、企業との連携の必要性と取組について所見を伺い、我が会派の代表質問とさせていただきます。(拍手)
○議長(奥村芳正) 21番本田秀樹議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(三日月大造) (登壇)それでは、
自由民主党滋賀県議会議員団からの代表質問に、順次、お答えをさせていただきます。
まず1つ目、知事の政治姿勢について4点、御質問いただきました。
まず1点目、これまでの振り返りについてでございますが、これまでを振り返りますと、全国に先駆けてSDGsを県政に取り込み、ひと、社会経済、自然、全ての健康の充足を目指す健康しがを掲げて取組を推進してまいりました。
評価というものは県民の皆様にしていただくものだと考えておりますが、特に感染症や物価高騰などの不測の事態等にも全庁挙げて対応することができたのではないかと思っております。
ひとの健康の面では、衛生科学センターや医療福祉拠点の整備に着手し、彦根城は世界遺産登録に向けた動きを加速させているところです。社会経済の面では、高等専門学校の設置のほか、就任以来、重きを置いております交通政策において、近江鉄道の上下分離に向けた取組を進めているところです。目指す交通の姿と財源の在り方を県民参画で考える取組も始まったばかりでございます。
自然の健康の面では、MLGs推進や、昨年、世界農業遺産に認定された琵琶湖システムの発信といった滋賀ならではの取組もこれから本格化させていく必要があり、注力すべきことがまだまだあると考えているところです。
2点目、今後の県政推進に当たっての姿勢、信条ということについてでございますが、関西広域連合や全国知事会で担う役割が増え、御指摘のとおり、公務が増えている面はございますが、広域的なつながりや、そこで得られる知見は、職員との対話や組織運営においても好循環をもたらすと考えており、それが県政によい効果を生むよう取り組むことも、また同時に、滋賀県としての存在感や発信力を高めることと併せまして、3期目の私の役割だと考えております。
対話重視の姿勢は、就任以来、全く変わることはなく、県民の皆様との対話はもちろん、組織運営の面でも、心理的安全性が確保された挑戦できる環境づくりや、弱さや悩みも含めシェアすること、そのためのコミュニケーションを大事に考え、必要な協議のほか、職員座談会などの機会を活用し、職員との対話に努めているところです。引き続き、対話を重視する姿勢とそこから生まれる共感、そして、共に創る共創を信条といたしまして、県政を推進してまいる所存でございます。
3点目の、企業、産業の誘致、生産についてでございますが、まず、行動指針の生産は、あらゆる産業、ものづくりをはじめ、様々なヒト、モノ、これは食べるものも含めてですが、コト、技術、価値などを生み出すという意味で申し上げました。その中で、企業、産業の誘致は生産の源泉であり、極めて重要だと認識しております。
現在、産業誘致戦略の策定を進めているところであり、その中で、用地の確保、企業ニーズに基づいた魅力ある支援策等、産業立地の方向性を明確に示しながら、当然のことながら農地等との兼ね合いも調整し、今後の具体的な施策を提案できるよう、引き続き取り組んでまいります。
今後、日本企業のサプライチェーン再構築、外資系企業の対日投資、県内企業の設備投資意欲の高まり等を背景に、一層、地域間競争も激化すると想定されますが、観光、農業、教育福祉なども含めたあらゆる分野を視野に、世界から選ばれる滋賀、投資を呼び込む滋賀に向け、私自身が先頭に立ち、より一層、熱意を持って取り組んでまいりたいと存じます。
4点目、県政における正義についてでございますが、初めて知事選に当選した平成26年──2014年当時、弱い立場の者がより弱くなり、格差が広がる社会を変えなければいけない、少数派の意見も尊重され、誰も犠牲にならない滋賀をつくりたいという思いをエネルギーに、滋賀県政を担わせていただきたいと決意を固め、また、県民の皆様から御支持をいただいたと考えております。以降も、誰も犠牲にならない滋賀をという思いを持ち続けてまいりましたが、その実現に当たりましては、正義と悪という2項対立ではなく、気候変動や格差是正、人権問題、そして感染症対応など、大きな社会課題や未曽有の事態に対しましても、異なる意見や立場も尊重しながら、真摯に議論を積み重ねてきたつもりでございます。
不正義を生まない正義、慈しみや許しを伴う正義というものを大事にしたいと思います。誰かの犠牲の上にある豊かさではなく、世界のどの地域に対しましても、また、未来に対しましても、責任ある公正な態度であるのか、常に自戒をしながら、協調や共創を大切にした県政、知事としての行動を心がけていきたいと考えておりますので、引き続き、よろしく御指導のほど、お願いいたします。
続きまして、大きな2項目め、令和6年度当初予算編成について、こちらは4点賜りました。
1点目、情勢の変化、予算編成への反映についてでございますが、気候変動への適切な対応や、生物多様性に配慮した社会経済への転換が急がれる中、人口の減少、コロナ禍がもたらした生活様式の変化、生成AI等の技術革新等を背景に、社会構造と価値観が変容してきております。こうした中で、改めて豊かさや幸せについて考え、子供、若者が夢や希望とともに歩む滋賀の未来を展望し、行動に移すことが重要でございます。令和6年度に向けましては、世界の潮流や国の方針も踏まえながら、子供を真ん中に置いた施策、世界と滋賀の未来を見据えた新たな一歩を踏み出す施策を構築し、予算を編成してまいりたいと存じます。
2点目の、総合目標に向けた姿勢と施策構築についてでございますが、令和6年度は、今年度の取組を進める中で見えてくる課題や社会の変化等に的確に対応しながら、総合目標の上昇に向けて、より効果的に施策を推進していく重要なフェーズになると認識しております。
施策展開に当たりましては、1つは「子ども、子ども、子ども」、子供が安心して過ごせる社会づくり、2つ目はひとづくり、社会を支える人の育成や確保、そして、3つ目といたしまして、健康で安全・安心に暮らせる社会基盤づくり、4つ目は持続可能な社会経済づくり、5つ目といたしまして、生物多様性の保全再生の5つを大きな課題と捉え、施策を構築してまいります。
また、県北部地域の振興、令和7年開催の大阪・関西万博や国スポ・障スポ大会の準備とレガシーの創出に着実に取り組んでまいりたいと存じます。
3点目、財政状況に対する認識と取組です。
税や地方交付税等の一般財源総額の大幅な増加が見込めない中、社会保障関係費や公債費などの義務的経費の増加、また、国スポ・障スポ大会や様々な大規模事業の進捗により、毎年度、多額の財源不足が見込まれており、本県財政は厳しい状況が続くものと認識しております。このため、予算編成や事業執行を通じて、歳入歳出両面から収支改善の取組を確実に進めますとともに、中長期的な視点から、将来の本県経済の発展につながる施策の強化、既存事業の見直しによるヒト・財源の配分のシフト、公債費の見通しを踏まえました事業の重点化、平準化などに取り組み、本県財政の健全化につなげてまいりたいと存じます。
4点目、投資と財政健全化の両立についてでございますが、本県の持続的な発展のためには、人づくりや地域の振興、経済の活性化に資する施策事業に財源を振り向け、好循環を生み出していくことが重要だと考えております。
こうした基本認識の下、高専や新文化館、医療福祉拠点の整備、防災・減災、国土強靱化など、既に着手している取組を着実に推進いたしますとともに、子供政策や産業誘致などの重要課題につきましても、充実に向けて検討を深めてまいります。また、こうした取組の持続的、安定的な実施には、税や地方交付税を含めた歳入の確保、充実に加えまして、限られた財源を新たな取組にシフトしていくことが不可欠であり、事業見直しや業務の効率化に不断に取り組むことで投資と財政健全化の両立を図ってまいる所存でございます。
続いて、大きな3項目め、滋賀を元気にするスポーツということで、こちらは5点、頂きました。
1点目、
びわ湖毎日マラソンのレガシーについてでございます。
びわ湖毎日マラソンは、日本を代表するマラソン大会として、スポーツがもたらす感動を味わえる大会、また、地域の皆様に支えられる大会として約60年もの長きにわたり開催されてまいりました。後継大会となりますびわ湖マラソンにおきまして、参加したランナーには琵琶湖の景色を楽しみながら走ることの感動を、また、ボランティア活動に参加いただいた皆様にはランナーを支える喜びを、そして、沿道の方々には応援する楽しさを体感していただける大会としてスタートを切ることができたのではないかと感じております。
このように、マラソンを通じまして、スポーツをする、見る、支える感動を体験できることこそが
びわ湖毎日マラソンのレガシーであると受け止めており、今後も大切に引き継いでまいりたい、また、発展させてまいりたいと存じます。
2点目、びわ湖マラソン2023の成果、次の大会に何を生かしていくのかということについてでございますが、参加いただいたランナーやボランティアの皆様にとっては、マラソンをする、見る、支えることを通じて、スポーツ習慣の定着やスポーツへの関心の高まりなどの成果があったと考えております。また、近江牛のローストビーフや近江米おにぎりなど滋賀県産品をランナーに提供することで本県の食の魅力をPRすることもできたのではないかと存じます。さらには、ランナー向けにミシガンナイトクルーズや送迎船などのオプショナルツアーを販売いたしまして、マラソンだけではない、本県の観光面の魅力も訴求できたのではないかと存じます。
次回大会では、このような成果を大切にしながら、体と心の健康を高めるとともに海外ランナーの誘致を本格的に実施するなど、地域経済の活性化につながる大会となるよう、準備を進めてまいりたいと存じます。
3点目、国スポ・障スポ、機運醸成等についてでございますが、開催年度の大会認知度100%を目指し、総合開会式1,000日前には新聞広告、800日前には国スポ・障スポMLGs宣言などの発信をしてまいりました。また、2年前の節目には全戸配布の広報やPRイベントを実施するなど、今後も節目を捉えた効果的な発信を行ってまいる所存です。
スポーツの魅力を伝えるための、子供たちとしがスポーツ大使との交流や、企業等と連携した広報啓発に加えまして、今般、市町とワーキングを立ち上げ、県全体のさらなる機運醸成に取り組んでいるところです。引き続き、県、市町、学校、企業等とともに計画的に取組を進め、県民の皆様に様々な形で参加いただけるよう、働きかけを加速、また強化してまいりたいと存じます。
4点目、レガシーの実現についてでございますが、議員御指摘のボランティアや地域スポーツをはじめ、する、見る、支えるの各観点で、両大会を契機に、新たな気づきや実践につながる機会を準備段階から多く設けてまいりたいと存じます。
例えば県民誰もが参加できる競技スポーツの魅力発信や、地域の子供たちとアスリートとの交流事業、各種大会の誘致などを通じまして、地域で実施された競技がさらに浸透していくよう、やってみる、見てみる機会を創出していきたいと存じます。
また、環境配慮の実践や、びわ湖マラソンで培ったボランティアの取組など、滋賀らしく持続可能な形でスポーツを支える文化を定着させたいと考えております。こうした気づきや実践を通じまして、7つのレガシーの実現につながる変化や化学反応が各地域や県民の中で起こるよう、市町、企業等と連携して取組を進めてまいります。
5点目の、スポーツで滋賀を元気にすることについての決意でございますが、東京オリ・パラやWBCの盛り上がりを見ましても、スポーツは性別や年齢、障害の有無に関わらず、地域が一体となり、熱く盛り上がることができる、非常に魅力的で人生を豊かにしてくれる活動だと認識しております。
国内最大のスポーツの祭典である国スポ・障スポを本県で開催することは、全ての県民の体と心の健康を推し進めるチャンスともなります。また、来県者を滋賀の魅力でおもてなしすることは、滋賀ファンをつくる絶好の機会でありますため、県内各地の活性化につなげていく意識も重要であります。2年後に迫る本番大会に向け、オール滋賀で必ず成功させることを改めて決意しつつ、様々な
スポーツイベントを通じて、人も地域も、まさに滋賀を元気にしてまいる、もって、健康しがをつくる取組をさらに進めてまいりたいと存じます。
続いて、大きな4項目め、生物多様性の保全についてでございますが、1点目、現行戦略の評価、各主体の役割等についてでございますが、2020年の短期目標の達成状況をはかります29の指標は「達成」または「ほぼ達成」が16となっておりまして、全体の約6割という状況です。各主体におきましては、複数の企業が敷地内の緑地や森で生き物の保全に取り組んでいただいておりますほか、東近江市では、愛知川流域で本来の清流を取り戻すための取組を進めておられます。また、今年5月の県政モニターアンケートでは、生物多様性という言葉の県民の認知度は大幅に伸び、5割を超えてきましたが、保全活動を実施した人は2割にとどまっております。
このように、現行戦略の取組により一定の状況改善は図れましたものの、2050年の長期目標である「生き物と人とが共存し、自然の恵みから生み出される多様な文化が展開する社会の実現」に向けては、いまだ道半ばであると認識しております。
2点目の、県民に浸透を図ることなどについてでございますが、生物多様性の具体の内容や、その課題について知り、考えることができる様々な機会を設けることが重要だと考えます。自然は社会経済の基盤であり、私たち人間が生きていく上で不可欠なものであることを広く県民の皆様にも御理解いただくことで、一人一人の具体的な行動を促してまいりたいと存じます。
現在、生物多様性の大きな課題となっております外来種の増加に伴う在来種の減少などは、生物多様性に対する理解の欠如や、人と自然との関わりが薄くなってきたことなどが理由と考えられます。したがいまして、生物多様性の保全を図るためには、人間が適時適切に必要な手を加えながら自然本来の力を引き出すという視点が重要だと認識しております。この視点を、県だけでなく、市や町、事業者、県民等の各主体で共有し、互いに連携しつつ、保全に向けた取組を積極的に進めてまいりたいと存じます。
3点目、喫緊の課題への対応についてです。
伊吹山では、山頂等で植生の衰退や、登山道がある南側斜面での裸地化、土壌の浸食が進んでおります。そのため、米原市等と連携いたしまして、南側斜面の復旧対策とニホンジカの捕獲強化等による生態系保全を重点的に進めることで、伊吹山を県の生物多様性保全の象徴とするとともに、北の近江振興にもつなげてまいりたいと存じます。
また、オオバナミズキンバイ等の侵略的外来水生植物につきましては、これまでの集中的な対策により、おおむね低密度状態を維持しておりますものの、伊庭内湖等で繁茂拡大や農地への侵入など、予断を許さない状況も続いております。そのため、巡回や監視と早期駆除を引き続き徹底いたしますとともに、状況に応じ、機械を用いた大規模駆除の実施や新たな防除手法の導入など、臨機応変に必要な対応を講じてまいりたいと存じます。
4点目、次期戦略の重要な視点等についてでございます。
視点としては大きく2つございます。1つは、行政だけではなく、企業や地域等が主体となった保全地域の拡大を促進すること、2つ目といたしましては、自然環境や生物多様性を地域資源として持続可能な形で利用し、さらなる保全につなげる好循環を創出することです。
次期戦略におきましては、生物多様性の視点を社会経済活動に取り入れることを一層促進いたしますとともに、私たち一人一人が自分事として意識し、また、楽しみながら活動することで、短期的には2030年までに生物多様性の損失を止め、回復軌道に乗せるネイチャーポジティブ──自然再興の実現を目指すこととしております。これによりまして、滋賀の豊かな生態系を保全回復し、その恵みを享受できる暮らしや多様な文化を次世代に継承すべく、全力で取り組んでまいりたいと存じます。
続いて、大きな5項目め、安心できる保健医療というテーマで、こちらは4点、御質問いただきました。
まず、計画策定に当たっての基本的な考え方についてです。
誰もが自分らしく幸せを感じられる健康しがの実現を全ての計画の共通理念に掲げながら、感染症予防やがん対策など各分野の協議会等で意見を求め、調整の上、医療審議会で整合を図ることとしております。保健、医療、福祉が一体となって地域における生活を支える医療福祉の考えの下、健康寿命が延びているということや、切れ目なく必要な医療福祉を受けることができるということ、また、人材が充実し、体制が整備されているといった3つの姿を目指しまして、今後の施策の方向性を検討してまいります。
2点目、新興感染症に対する今後の取組についてです。
県民の皆様からは、不安なときにスムーズに検査や医療が受けられる体制や、また、医療従事者の方々からは、負担が集中しないよう、医療機関の機能や役割に応じた受診の体制づくりなどを求めるお声を伺っているところです。
こうしたお声を受け止め、新たに設置いたしました滋賀県感染症対策連携協議会での議論を通じまして、検査体制、発熱外来や入院医療の提供体制、自宅療養の支援体制などについての数値目標を設定いたしまして、今年度、改定いたします滋賀県感染症予防計画に盛り込んでまいりたいと存じます。
また、衛生科学センターの建て替えによる調査、検査能力の拡充や、平時からの協定締結による医療提供体制の確保、さらには次世代を担う人材育成にもしっかり取り組み、新興感染症への備えを着実に整えてまいりたいと存じます。
3点目、2次保健医療圏の設定についてでございますが、国から示された基準に留意しつつ、地域医療構想調整会議委員から、見直しによる効果や影響等について御意見をお伺いし、最終的に医療審議会にお諮りした上、県として判断させていただいております。
その結果、一般的な入院医療は身近な地域で提供する必要があること、また、関係団体や他の行政分野における圏域設定と整合を図る必要がありますことなどから、現在の7圏域を維持させていただくことといたしました。
なお、5疾病6事業は、2次保健医療圏にこだわらず、弾力的に圏域を設定する、いわゆるブロック化を進めまして、地域の実情に応じた医療の提供体制を構築してまいりたいと存じます。
4点目、小児保健医療センターについてでございますが、令和7年1月の病院統合後も、難治・慢性疾患の治療をはじめとする小児保健医療福祉サービスの中核としての役割を引き継ぎ、拡充していくことが必要だと考えております。
統合後の総合病院では、(仮称)こどもケアセンターなどを組織に位置づけ、子供を真ん中に置いた医療保健サービスの充実を図ることといたしまして、より高度な小児医療の提供、診療できる疾患の拡大、重度障害児等が成人後に生活習慣病に罹患した場合の対応、またレスパイト入院の体制整備など、子供から大人まで切れ目のない体制を構築してまいりたいと存じます。
入院治療を行う小児病棟につきましては、統合後、できるだけ早期に、充実した医療設備と500床を超える病床を有する現在の総合病院へ移転する予定です。急性期、慢性期の病態に応じた小児専用病床をそれぞれ30から40床、合計60から80床程度確保し、今後の患者数の見通しも踏まえ、必要な病床数は確実に維持してまいります。
また、令和11年1月の供用開始を目指しております小児新棟には、小児専門外来と慢性期病棟を設置いたしますほか、新たに障害者歯科治療への対応というものを検討させていただいております。
こうした取組により、子供の命と健康を守る拠点としての機能向上を図り、小児保健医療センターに期待を寄せていただいている皆さんが安心して医療を受けられるよう努めてまいる所存でございます。
大きな6項目め、コロナ後の本県の観光振興についてでございますが、まず1点目、観光の状況および課題についてでございます。
全国の観光の状況は、令和5年8月31日発表の観光庁宿泊旅行統計調査によりますと、令和5年6月の延べ宿泊者数は4,533万人泊となっておりまして、コロナ禍前の令和元年同月比ではマイナス1.1%、ほぼコロナ禍前に戻っている状況でございます。
また、本県の観光の状況は、今申し上げた調査によりますと、6月の延べ宿泊者数は29万5,000人泊となっておりまして、令和元年同月比ではマイナスの19.9%となっており、全国に比べて回復が遅い状況がございます。
本県の観光振興における課題といたしましては、国内誘客では宿泊滞在型観光のさらなる強化、インバウンドにつきましては、全国の地方部と同様、戻りが遅いということがございますので、一層の誘客促進が必要だと認識しております。
2点目、湖南省、ミシガン州への訪問、交流の成果ということについてでございますが、湖南省に訪問させていただいた際には、健康長寿県である滋賀へのツアー造成について地元メディアと協定書を交わしたところであり、今後、この協定書に基づくツアーに中国の多くの皆様に御参加いただき、実際に滋賀の魅力を体験、体感していただくよう進めてまいります。また、ミシガン州などへの訪問では、近江の茶、近江の地酒などのプロモーションを行い、さらに先般、ミシガン州のホイットマー知事をはじめとした訪問団の方々に彦根城、玄宮園や石山寺を訪問いただき、本県のすばらしさを、直接、体感いただきました。ホイットマー知事からは、ミシガン州で滋賀県の魅力を発信したいとのお言葉も頂いているところでございます。
これまでの相互往来によって積み重ねてまいりました両省州との長年にわたる様々な分野の交流を生かし、観光誘客にもつながるよう、取組を推進してまいりたいと存じます。
3点目のインバウンド推進についてでございますが、本年6月の本県の国籍別外国人宿泊者数では、台湾、韓国、香港、中国の順となっており、東アジアを重点市場、伸び代のある欧米豪を開拓市場と考えているところです。
特に台湾は、琵琶湖や雪、ビワイチなどの自然体験が好まれていることを踏まえました現地旅行会社へのプロモーションやSNS広告による個人誘客施策を実施しているところです。
欧米豪につきましては、日本文化体験が重要なコンテンツでありますことから、海外旅行会社への新たな営業ツールの作成や、本県に送客をした旅行会社への助成を実施しているところです。
今後は、大阪・関西万博を見据えまして、
関西観光本部や近隣府県との連携によるツアーの造成、京都市内のホテル等での案内の強化など、広域観光による県内への誘客にも積極的に取り組んでまいりたいと存じます。
4点目のびわ湖大花火大会についてです。
びわ湖大花火大会は、琵琶湖の夏の風物詩として広く親しまれる、本県を代表する観光コンテンツでございます。本県の魅力を全国に発信するとともに、地域の活性化のために開催も行ってまいりました。今回、4年ぶりの花火大会を大きな事故なく開催できたこと、関係者の御尽力に感謝申し上げたいと存じます。
大会実行委員会におきましては、地元自治会への説明や大会計画への地元意見の反映などに努めてきたと伺っておりますが、今回、雑踏対策などの大会運営に対しまして、十分、御理解を得られなかったことは大変残念に思うとともに、また、真摯に受け止めなければならないと存じます。
今後は、県も参画いたします実行委員会において、地域の住民の皆様や関係者の御意見も伺いながら、大会を検証し、今後の大会の在り方等について検討してまいりたいと存じます。
5点目、「光る君へ」の放映、教育旅行の本県への誘客の取組についてでございますが、県が参画しております大津市大河ドラマ「光る君へ」活用推進協議会では、ドラマ放送期間中の誘客目標として、石山寺の観光入込客数33万人、また、大河ドラマ関連展示期間中の来館者数10万人と設定しております。
この作品は、武家台頭の時代を目前に花開いた平安文化の世界で活躍した紫式部の一生を描いた作品であるとお伺いしているところです。そのため、石山寺をはじめとする本作、この作品のゆかりの地を広く発信いたしますとともに、ドラマで描かれる平安文化を含めた滋賀の魅力を発信し、誘客促進に取り組んでまいりたいと存じます。
また、教育旅行につきましては、令和6年度の教育旅行誘致目標10万人を達成見込みでございまして、今後もさらに教育旅行先として選ばれるよう、SDGsや環境教育、体験学習を活用した滋賀ならではの教育旅行プログラムにより、首都圏や九州、北陸方面等の旅行事業者に対しまして積極的に誘致活動を行ってまいりたいと存じます。
6点目、観光誘客関連産業の振興についてでございますが、大阪・関西万博につきましては、市町や観光関連団体、宿泊事業者等と連携し、万博前年に当たる来年度から県全体の誘客機運の醸成を図りますとともに、本県への旅行商品の造成や物産の新商品などの開発、観光資源の魅力向上、県外への観光情報発信などにより効果的な誘客を推進してまいりたいと存じます。
国スポ・障スポ大会につきましては、全国の選手や関係者に滋賀の魅力を感じていただけるよう、競技間や競技終了後における多彩な周遊観光や、滋賀ならではの物産販売などに各市町や観光協会と連携して取り組み、大会終了後にも再訪いただけるよう努めてまいりたいと存じます。
さらに、両イベントによって育まれたおもてなしの心やシガリズムを体験、体感いただける観光資源をその後の誘客施策に生かし、稼ぐ力を重視した持続可能な観光地づくりを促進することで、観光関連産業の発展を促し、地域の活性化に取り組んでまいりたいと存じます。
続いて、大きな7項目め、滋賀らしい農業の在り方についてでございますが、まず1点目、地域農業の在り方についてです。
滋賀県、本県は集落営農組織や認定農業者などの地域農業を支える担い手への農地の集積が、おかげさまで、全国の中でも順調に進んできていると伺っております。その背景には、農家や非農家などの地域住民が一体となって水路や農道などを管理する共同活動や、集落による農地の利用調整を行うなど、地域農業を支える集落機能が極めて高いといった強みがございます。本県らしい地域農業の在り方とは、こうした集落機能を大切に維持しながら、その上で、担い手が効率的で生産性の高い営農活動を展開していける姿であると考えております。
2点目、さらなる農地の集積に向けての課題についてでございますが、今後も、高齢化等に伴い、耕作できなくなる農地が増加することが見込まれ、こうした農地が担い手へ円滑に集積されていくことが必要でございます。さらなる集積を進めるためには、分散した農地を集約化することで受皿となる担い手が耕作しやすくすることと併せまして、規模拡大に対応できるよう、経営力の強化を図ることが課題であり、また同時に、可能性であると認識しております。
3点目の、滋賀らしい地域計画の策定についてでございますが、本県では、農地の集約化に向けた農地の貸し借りの調整が円滑に進むよう、集落での話合いを基本として、地域計画の策定を推進しております。加えまして、集落の範囲を超えて営農する担い手の意見が地域計画に反映されることが重要でありますため、市町や農業委員会が担い手の意向を把握し、集落の話合いの場に届けるよう働きかけているところでございます。
こうした取組等を通じまして、集落や担い手の実情に合った地域農業の維持、発展につながる地域計画が策定されるよう、県と関係機関が一丸となって推進してまいりたいと存じます。
4点目、滋賀らしい農業基盤整備推進の考え方についてでございますが、本県の特徴である水田農業を支える水利施設のアセットマネジメントを強力に進めてまいりますとともに、4割を超える農地が琵琶湖からの揚水に依存しておりますことを踏まえまして、水利施設での省エネ、再エネ化等、管理コストの低減に向けた取組を進めてまいります。
また、担い手への農地の集約化や営農の効率化のため、水管理の自動化や自動直進トラクターの導入など、スマート農業の実装化に備えた圃場の大区画化等を進め、地域計画の実現に寄与する農業基盤整備に取り組んでまいりたいと存じます。
5点目、滋賀らしい農業を次世代にどう継承するのかということについてですが、本県農業を牽引する大規模で生産性の高い担い手を育成することと併せまして、都市近郊で消費地に近い立地というものを生かしまして、付加価値の高い施設野菜や果樹などの生産を行う担い手を確保、また育成することが重要だと考えております。このため、これらの担い手のさらなる生産性向上や経営力の強化を支援いたしますとともに、新規就農者の確保や経営継承の取組を進め、滋賀県農業を次世代に引き継いでまいりたいと存じます。
続きまして、大きな8項目め、滋賀地域交通ビジョンについてでございますが、1点目、2040年代の将来像につきまして、まず、国立社会保障・人口問題研究所の推計によりますれば、本県の総人口は2040年には130万人となり、2015年と比較いたしまして約11万人減少する見込みでございます。また、65歳以上の割合も2040年には33%となりまして、高齢化が、より一層、進行するものとされております。また、自動運転や移動ニーズのマッチングシステムなど新たな技術の社会実装も進みますことから、それらを活用した、より利便性が高く、かつ効率的で地域に最適化された交通ネットワークの構築が必要だと考えているところです。
ビジョンの検討に当たりましては、こうした人口減少や高齢化、DX、GXの深化、まちづくりや広域交通の整備の状況など、将来の考慮すべき環境変化を念頭に置くべきと考えているところであり、県民の皆様のお声に耳を傾けつつ、識者の知見等も得ながら検討を進めてまいりたいと存じます。
2点目、地域交通とはどこまで含まれるのかということについてでございますが、鉄道、バス、タクシーなどいわゆる公共交通はもとより、自転車、カーシェアなど、地域に存在するあらゆる移動手段を含めて地域交通と捉えているところです。
その役割につきましては、単なる移動手段のみならず、地域の活性化、福祉、教育、健康、CO2ネットゼロ社会の実現などに欠かすことのできない基盤となるものであり、誰もが自由で安全に移動し、社会活動に参画できるようにする社会インフラと位置づけられるものであると捉えております。
また、滋賀地域交通ビジョンにつきましては、人口減少、運転手不足やコロナ禍による社会情勢の変化、また、自動運転やMaaSなど新たな技術の進展などを踏まえ、地域の特性に応じた持続可能な地域交通ネットワークの構築を目的に策定しようとしているものでございます。
3点目、このビジョン策定において、来訪者や広域交通の観点をどのように入れていくのかという御指摘につきましては、県民の日々の移動はもとより、来訪者にとりましても移動がしやすい手段となるよう、地域交通の充実に取り組んでいかなくてはならないと考えております。また、県外からの移動手段である広域交通と県内の地域交通が有機的に結合することが観光誘客や相互交流の活性化にも重要であると考えており、この点も踏まえ、ビジョンの検討を進めてまいりたいと存じます。
4点目、地域交通における共助につきまして、様々な個人の移動ニーズに既存の公共交通だけで応えていくことは困難だと考えております。このため、地域交通の分野におきましてもあらゆる交通手段を活用することが重要だと認識しております。
例えば、昨年度には病院の送迎サービスの買物利用への活用でありますとか、今年度には宿泊施設の送迎サービスを活用した地域の児童クラブのお出かけ支援など、地域の様々な移動手段を住民移動に活用する、分野を超えた実証運行に取り組んでいるところです。
また、各地域では自治会等が運営主体となったバス運行や自家用車を活用した地域の移動支援など様々な取組がなされており、このような事例につきましても収集いたしまして、ビジョンに反映してまいりたいと存じます。
5点目、県民の声の聞き方についてでございますが、昨年度には無作為に抽出した県民アンケートを実施いたしました。今年度は、商業施設や市役所、町役場などで、来庁者から直接お話をお聞きする県民トークを開催しているところです。そのほか、ウェブからでもアンケートに御参加いただけるよう工夫も行っております。また、ビジョン策定に向けて設置しております懇話会では、老人クラブ連合会、身体障害者福祉協会、社会福祉協議会等にも御参画いただいております。
今後も、自らは車を運転できない高校生をはじめ大学生など若い世代も含め、様々なお立場の方々から幅広く御意見をお聞きし、ビジョンに反映してまいりたいと存じます。
6点目、3期目には交通税導入は困難と発言したらしいが、いかんということについてでございますが、私のその会見での趣旨は、全て制度を整え、必要な条例改正をし、税を徴収し始めることまでをこの3期目に達成することは困難ではないかという趣旨で発言をさせていただきました。現時点で交通税を導入すること自体を決めているわけではございませんが、ビジョンを実現するための財源をつくるための負担分担の仕組みについても、逃げずに議論をし、例えば交通税のようなものがあればどういう社会になるのかということをきちんと示して、皆様に信を問うていきたいと考えております。
骨子では、ビジョンに盛り込む事項といたしまして、目指す姿の達成に必要な費用試算や、財源や整備手法の検討をはじめ、地域交通の状況、課題、目指す姿、施策例などを挙げております。
ビジョンは来年度中の策定を目指して進めてまいりますが、交通を取り巻く状況は日進月歩の面もございますので、来年度以降も、対話を続けながら最新の状況等も取り入れていけるよう、柔軟に対応してまいりたいと存じます。
私に賜りました最後の項目、教育施策についてでございますが、そこでは1点、全国学力・学習状況調査の結果についてでございますが、これまで、子供たちの学ぶ力を高めるために読み解く力の育成に向けた取組を進めてきたことにより、それぞれの教科において、滋賀の子供たちは確かな学力を身につけてきていると考えております。さらに、話し合う活動を通じて自分の考えを深めたり、広げたりすることができていると回答している子供の割合が大きく増えてきており、このことも成果として捉えられるのではないかと考えております。
引き続き、こうした調査の結果を十分、分析、そして活用し、子供たちの分からないという声にもしっかりと耳を傾けながら、学ぶ力の向上に向けて取組を進めていくことが重要だと考えております。
◎教育長(福永忠克) (登壇)子供のための教育施策につきまして、私に頂いた5点の御質問にお答えをいたします。
まず1点目の、これまでの取組の成果と課題、今後どのような方針で取り組んでいくのかについてでございますが、読み解く力の育成に重点を置いて取組を進めたことで、情報を読み取り、分析したり整理したりすることは一定の成果が見られたところでございます。しかしながら、依然として基礎的、基本的な知識、技能の定着や、読んで理解したことを記述すること、自分の考えをまとめて書くことには課題が見られるところでございます。
現場の小中学校の先生方の授業改善に対する意識は年々高まってきておりまして、各市町や学校においては、共通理解を図りながら実践をいただいているところでございます。
今後は、ICTを有効に活用しながら、一人一人に応じた学びを一層充実させますとともに、読書習慣の支援などを通じた読み解く力の基礎となる言語能力の育成に努めてまいる所存でございます。
2点目の学校経営骨太モデル事業についてでございますが、学校の校務運営の要となる教頭先生の多忙化は円滑な学校運営を困難にしているものと認識をいたしております。本事業は、ミドルリーダーの教員が教頭業務の一部を支援することによりまして、教頭先生の負担の軽減と業務の見直しに取り組みますとともに、次の世代の管理職の育成を図ることを目的といたしております。
今年度は、小中高それぞれ1校ずつをモデル校に指定し、取組を進めているところでございます。現場からは「教員からの相談に丁寧に対応できる時間ができた」「後進の育成に取り組めるようになった」などのお声を聞いております。
今後は、各モデル校の成果と課題を分析し、この事業を通じて得た知見を生かしながら、教職員の負担軽減に向けた取組を進めてまいる所存でございます。
3点目の教員不足についてでございます。
本県におきましては、教員の大量退職などに伴う採用数の拡大により臨時講師の方が正規の教員になることと、産休や育休などの増加によりまして臨時講師の必要数が増えていることが相まって、教員不足が生じているところでございます。
このような教員不足を解消するため、積極的な採用による正規教員の確保に努めますとともに、御質問にもございました、免許を有しながら教員になっていない方を対象にした、教員へのファーストステップセミナーを4回実施をし、112名の御参加を得たところでございます。
さらに、確保が厳しい状況にございます高等学校の農業や工業の専門教科につきましては、その確保に向けまして、県内の大学での農業や工業の教職課程を受講している学生を対象にした説明会の開催や、職業高校の生徒を対象にした出前講座の実施を予定しているところでございます。
4点目の、部活動の地域移行についてでございますが、部活動の地域移行は将来にわたる生徒のスポーツ文化芸術活動の機会の確保を図るものでございまして、国では今年度から3年間を改革推進期間と示しておられます。
本県では、一昨年度から2つの市におけるモデル事業や関係者による検討会議を行い、今年度は8つの市町で実証事業に取り組まれるとともに、県といたしましては、関係団体、学校関係者による協議会を設置し、現状の把握、課題の分析、今後の取組の検討を進めているところでございます。
今後、この協議会での議論を踏まえ、今年度中に県の考え方や具体的方策等を地域移行に向けた方針として策定をいたしまして、それぞれの市町におきまして、生徒が望む活動が可能な限り実施できますよう、関係部局や競技団体等と連携して取り組んでまいりたいと考えております。
5点目の、企業との連携の必要性と取組についてでございますが、子供たちの生きる力の重要な要素であります社会性やコミュニケーション能力などを培うためにも、企業等、学校外の多様な人材による学びの場を設定することは必要と認識をいたしております。
彦根工業高校で実施しておりますマイスター・ハイスクール事業では、彦根市内の企業の皆様の御協力の下、3日間から10日間のインターンシップに加えまして、年間20日間程度のより実践的な現場実習で、事業所での課題解決に主体的に取り組んだり、また、実務家教員として継続的に御指導いただくなどにより、生徒の学習意欲の向上につながっていると認識をいたしております。
今後も引き続きまして、それぞれの学校の特色に応じまして企業や大学、地域との連携を進め、生徒が多様な人々と関わりながら主体的に学びに向かい合える学習環境を整えてまいりたいと考えております。
○議長(奥村芳正) しばらく休憩いたします。
午前11時49分 休憩
────────────────
午後1時 開議
○議長(奥村芳正) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
先ほどの本田秀樹議員からの質問に対して、知事から発言を求められておりますので、これを許します。
◎知事(三日月大造) 先ほどの
自由民主党滋賀県議会議員団、本田議員からの代表質問に対する答弁について、誤りがございましたので訂正させていただきたいと存じます。
交通ビジョンに関する6点の御質問のうち6点目、交通ビジョンについて、来年度中の策定を目指して進めていると申し上げましたが、今年度中の策定を目指して進めているの誤りでございます。大変申し訳ございませんでした。おわびし、訂正させていただきたいと存じます。
○議長(奥村芳正) 次に、41番九里学議員の発言を許します。
◆41番(九里学議員) (登壇、拍手)よろしくお願いいたします。
今年の夏は、観測史上、最も暑い夏となりました。
数十年前から地球温暖化対策が必要と言われ続けてきましたが、私たち人間は、これまでこの問題に真剣に対応してきたのか。目を背けてこなかったのか。地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が到来した。今年7月、国連のグテーレス事務総長はこんな強烈なメッセージを世界に発信し、私たち人間が引き起こした気候変動の重大さを指摘、各国へ早急な対策強化を求めました。
産業革命後、私たち人間は大量の化石燃料を燃やし、便利な生活を手にしましたが、真の豊かさは本当に手にできたのでしょうか。この先、世界平均気温が1.5度を超えてしまうと、地球の気候危機の暴走を人間だけの力で止めることは不可能だとさえ言われています。このままだと、1.5度を超えるまで、残りの時間は6年を切ってしまいました。
毎年のように起こる大雨、台風をはじめとした自然災害、今こそ100年先の未来の子供たちのために、この緑、自然豊かな地球、日本、そして湖国滋賀を守り、バトンを託すためにも行動しなければならないと思います。
みんな空の下に生きる者同士、年々深刻化する一方の気候危機の現状に、自省を込め真摯に向き合い、子孫に恥じない決断を、生き方をしていきたい。環境先進県である滋賀から取組を始め、日本、世界を牽引していきたいと思います。
微力でも無力ではない。気候危機や自然災害の現状に目を見開き、一人一人に今できることを行動していきたいと思います。全ては100年先も、湖国や県民がみんな空の下、幸せで持続可能な社会であることを祈りつつ、以下、質問をいたします。
それでは、来年度予算について、全て知事に伺います。
新型コロナウイルス感染症が5類感染症となり、社会や経済活動に制限がかからなくなったことで、国内では消費や企業活動に明るい兆しが見られるものの、世界ではロシアとウクライナとの間の戦争が今なお停戦の糸口さえ見えず、それに伴う原油、物価高騰が依然として続き、県内事業者や県民の皆様にとって先の見えない厳しい状況が続いています。
こうした中、今月1日には来年度当初予算編成方針が示されました。基本的な方向性として、みんなで描き、共に創る健康しがを目指した施策構築と財政健全化の推進を掲げておられます。
厳しい経済情勢、変化が著しい社会情勢の中で、いかに施策を推進し、健康しがの実現を図っていくのか、まず、来年度予算にかける思いと施策構築の方針について伺います。
次に、昨年度予算編成方針の中で、公募による、部局を超えた職員が多様な経験や知見、アイデアを生かした施策を立案する取組を試行することが示され、実際、昨年9月に募集が行われ、今年度の施策構築にも反映をされ、今年度にも既に募集が行われ、施策活性化チャレンジとして継続をされていますが、施策立案の取組状況、今後の期待する効果について伺います。
本県財政収支見通しにおいては、一般財源総額の状況が不透明な中、社会保障関係費の増加や、国スポ・障スポをはじめ大規模事業の進捗など、大幅な財政需要の増加に伴い、令和6年度から8年度までの3年間で累計433億円の財源不足が見込まれ、中長期的に公債費も増加基調にあることから、財政健全化に向けた取組は喫緊かつ重要な課題となっています。
こうした状況を受け、予算編成方針の中でも、財政健全化に向けて、施策、事業の選択と集中の一層の徹底を図り、最少の経費で最大の効果が上がるよう、必要な見直しを不断に行う、そうしたことがうたわれています。もっとも、部局ごとに内部で既存施策の必要性や優先度を判断するには限界があり、部局横断的に大局的な視点に立って施策、事業の見直しを検討する必要があると考えます。
今後、どう既存施策の必要性を判断し、存廃を含めた優先度を決め、効率化を図っていかれるのか、施策、事業見直しの今後の進め方について伺います。
次に、防災・減災について知事に伺います。
まず、台風など自然災害への対応について伺います。
先月8日に発生した台風7号は和歌山県潮岬付近に上陸、本県に最も接近した15日には県内各地で記録的な雨風が観測されました。甲賀市信楽では、8月としては過去最も強い21.2メートルの最大瞬間風速が観測されました。この雨風の影響で、大津市や甲賀市などでは木が倒れたり土砂が流れ込み、8か所の道路が一時通行止めになったほか、甲賀市と東近江市の3つの河川で、のり面や堤防が壊れる被害が確認をされました。また、彦根城のしっくいが剥がれ落ち、長浜市では3ヘクタールほどの大豆畑が浸水、守山市の果樹園では防風ネットが破れ、約1,000個の梨が落ちる農業被害も確認をされています。
台風7号の被害において復旧のための予算も示されたところですが、近年の異常気象から、台風が多く発生し、被害も頻発することが危惧されることから、災害発生時の対応について伺います。
次に、各市町からの要望も出ている防災重点農業用ため池──以下、ため池といいます、について伺います。
平成30年7月に発生した西日本を中心とする豪雨により、ため池が決壊し、尊い命が奪われるなど、近年、全国的にため池の決壊による被害が発生をしています。こうした中、令和元年7月には、ため池の農業用水を供給する本来の機能が発揮され、ため池の適正な管理、保全が行われ、決壊による被害を防止することを目的とした、農業用ため池の管理及び保全に関する法律が施行されました。この法律は令和12年度までの時限立法であり、防災重点農業用ため池に係る防災工事等の推進に関する特別措置法の規定に基づき、本県防災重点農業用ため池に係る防災工事等の推進計画が策定をされました。
推進計画の中で、県は劣化状況の評価、豪雨耐性評価をすることとなっておりますが、現在の評価の実施状況について伺います。
また、受益面積が、原則、2ヘクタール以上あるため池の防災工事については県営事業として対策を実施することになっておりますが、現在までの実施状況と今後の実施方針について伺います。
次に、猛暑による影響と対応について、知事ならびに教育長に伺います。
今年の夏は猛暑や熱中症アラートについて、連日、ニュースになっていました。気象庁は、今年6月から8月の全国平均気温が、1898年の統計開始以来最高だったと発表し、平年より1.76度高く、これまでで最も高かった2010年の平年比1.08度を大きく上回りました。2007年以降、1日の最高気温が35度以上の日のことを猛暑日と言うようになり、当時、異常気象と言われましたが、その後は常態化し、もはや異常とは言えない状況です。本県の猛暑の状況をどのように捉えておられるのか、知事に伺います。
平成30年に気候変動適応法が施行され、本県では、関係する試験研究機関や庁内各部局が連携して、気候変動の影響を回避、軽減する施策、気候変動適応策を推進するため、平成31年1月に気候変動適応を推進する地域拠点として滋賀県気候変動適応センターを設置をされました。
センターの役割は、国立環境研究所と連携し、気候変動影響に関する情報の収集、分析等を進めることで、関連する試験研究の推進や気候変動適応策の検討につなげるとしています。体制に、知事を本部長とし、しがCO2ネットゼロ推進本部が設置され、幹事会が開催をされていますが、残念ながら、幹事会ではCO2ネットゼロに向けた取組など気候変動の緩和の議論のみで、現状の分析は議論がされていないようです。気候変動の対応に必要なのは緩和と適応ですが、継続的に気候変動の現状を把握し、分析していくことが重要です。本県の気候変動適応センターのこれまでの成果について、知事に伺います。
次に、農業における猛暑対策について伺います。
近年の異常とも言える暑さは、野菜や果物の生育が止まったり、米の品質や家畜の食欲が落ちるなど、農作物や家畜にも大きな影響を及ぼしています。同時に、稲の収穫時期が早まるなど、これまで培った農業のやり方を変えざるを得ない状況にあるとの報道もあります。気候変動を原因とした、畜産、酪農を含めた本県農業への影響と、今後予想されるであろう影響について、知事に伺います。
高温傾向がすぐに解消されるとは考え難く、来年以降も農業における暑さ対策が重要課題であることは論をまちません。本県では、高温登熟性に優れるわせ品種で、外観品質も食味も非常によく、高温の年でも品質や収量を高く保てるといった特徴があるみずかがみの育成を促進し、作付面積を順調に伸ばしてきていると仄聞しております。
高温耐性のある品種の普及促進や指導員による暑さ対策の指導強化、農家の熱中症予防にも資するスマート農業の導入促進など、農業におけるさらなる暑さ対策が必要だと考えますが、今後の取組について、知事に伺います。
次に、農業に関連して、滋賀の地酒原料米について伺います。
近江の地酒でもてなし、その普及を促進する条例、いわゆる乾杯条例が施行されてからはや7年、来月は「滋賀酒」乾杯推進月間であり、今年も滋賀県酒造組合主催、本県後援で、滋賀地酒の祭典が大津市で開催されるなど、毎年、趣向を凝らした催しが行われ、少しずつ近江の地酒の認知度が向上し、普及促進が図られてきたようにも感じます。
先月、知事はアメリカを訪問された際、近江のお茶、近江米とともに近江の地酒のセールスプロモーションを行われ、県産品の輸出拡大の可能性を大いに感じられたと伺っております。他方、先月、滋賀県酒造組合の方から、酒造りにおける課題についてお聞きした際、農業経営が厳しい中、集落営農、法人化、大規模化が進み、経営効率を求めるため、酒造好適米の生産が外され、県産の酒米の供給が不安定になっているとのことでした。地理的表示──GIを取得し、県産米を中心に滋賀の地酒需要拡大策を展開しようとする中、猛暑も影響し、滋賀の酒米の供給が不安定であることは今後の障壁になると思われます。
まずは酒米の需要動向等に基づく本県独自の酒米生産支援を実施すべきと我々は考えますが、知事の見解を伺います。
次に、猛暑による人への影響について伺います。
今夏は、高齢者の自宅での熱中症による死亡や、学校での運動会や体育祭での熱中症の発症、部活を終え、帰宅途中の熱中症による死亡など、熱中症に関連した報道が数多くありました。運動会などは、猛暑の季節を避けて5月に開催しても、子供たちの体が暑さに慣れていないため熱中症になるといったこともあったとのことでした。病院に行くほどではない、いわゆる軽症の熱中症は、さらに多いと感じています。
熱中症の発生状況、今後の対応について、知事に伺います。
県内高校でも、体育祭で熱中症の疑いで救急搬送されたことにより、翌日、体育館で開催予定であった文化祭が中止になった例もあります。熱中症アラートが出ると、原則、部活動は中止となりますが、本県の猛暑による学校行事への影響と今後の対応について、教育長に伺います。
公立学校では、小中高と学校の教室にはクーラーが設置されましたが、体育館にはいまだクーラーが設置されていないのが現状です。子供たちの健全な育成のためにも、体育の授業で体を動かすことや、部活動を通した心身の成長も大切だと考えます。
熱中症対策として、山形県では体育館にスポットクーラーと呼ばれる冷房機器を導入することも、先日、発表されました。学校の体育館は避難所にも活用され、線状降水帯による洪水発生など、年々、夏の災害リスクは大きくなっており、いつ何どき災害が起こるや分かりません。
今後、国に対しても支援を要望し、学校体育館へのクーラー設置も検討すべき時期になったと考えますが、猛暑や熱中症に対応するための体育館への空調設備方針について、教育長に伺います。
県民の暮らしや命に危険を及ぼす近年の猛暑は、熱中症や農畜産業だけではなく、その影響は多岐にわたっています。例えば水産業、林業、生態系、自然災害の多発、激甚化による河川や堤外住宅地への対応等、各方面で多くの影響があるのではないかと大変危惧をしています。
彦根地方気象台の5年移動平均気温で今までのトレンドより高くなっており、今年の本県猛暑日は8月までで107日と、例年より多くなっています。この状況を把握、分析して、県全体で今後の計画や施策の構築に猛暑等を考慮することが求められるのではないかと考えますが、猛暑による県政への影響と対応について、知事に伺います。
次に、大阪・関西万博に向けた取組について、知事に伺います。
2025年大阪・関西万博のメインテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」、サブテーマを「いのちを救う、いのちに力を与える、いのちをつなぐ」とされ、未来社会の実験場のコンセプトの下、開催に向け、鋭意、準備が進められています。
大阪・関西万博滋賀県基本計画において、滋賀の魅力を1人でも多くの方に伝えるため、万博会場をゲートウエーと位置づけ、県内への人流を促進する施策と併せて実施することにしています。
会期前から会期中、会期後まで、県内の市町や経済界等各種団体と連携しながらおもてなしを展開、県内での取組を万博会場と連携させ、相乗効果を生み出すことで本県の観光周遊や移住、定住、ビジネスマッチング、企業立地等にもつなげていくべく、基本計画を示されました。このことは、滋賀の未来社会に寄与することにもつながると大いに期待が膨らみます。
会場から離れている本県では、会場への交通アクセスを計画的に進めていくことが重要であると考えます。スムーズな移動手段や入場券の確保など、今後も考えていかなければなりません。知事は、滋賀の子供たちを万博に招待する取組や万博に関わることのできる取組の実施を検討されていますが、その目的、方法について伺います。
また、現在、関西MaaSによる複数の交通機関が参画し、道路の混雑緩和、来場者による関西周遊などを組み合わせた、交通手段と入場券の購入を連携させた取組が期待をされています。今後、本県に所在する事業者にも参画協力を促していくことが重要だと考えますが、見解を問います。
大阪・関西万博に世界中から訪れる観光客を滋賀への誘客へとつなげ、観光客の増加を目指していくことも重要な地域振興の取組の一つです。本県には、琵琶湖をはじめとした豊かな自然、歴史的な名所、長年培われた文化などがあまたあります。こうした観光資源を活用し、万博来場者に向け、観光プロモーションを行い、滋賀の魅力をもっとアピールしていくことが重要だと考えますが、所見を伺います。
万博は、本県産業の振興という観点からもビジネスチャンスです。県内企業の最先端技術のアピールができ、新たな取引やパートナーシップを築ける万博を機会とした産業振興についてどう考えておられるのか、伺います。
この項の最後に、万博の開幕まであと566日となりましたが、今後、大阪・関西万博に向けた取組を具体的にどう盛り上げていこうとされるのか、開催に向けての機運醸成について伺います。
次に、県立高等専門学校について知事に伺います。県立高等専門学校の施設整備については、滋賀県高等専門学校施設整備事業実施方針・要求水準書(案)が示され、設置、運営主体となる公立大学法人滋賀県立大学においてPFI事業として実施する方向で、現在、準備が進められています。
他方、県立高等専門学校基本構想では、滋賀発で次の時代の社会を支える高等専門人材の育成、価値創造力と専門性、実践力を兼ね備え、協働して挑む高等専門人材を育んでいくことや、地域産業、社会に貢献すること、また、技術を通じてあらゆる世代の人々へ学びと実践の機会を提供する場として、産業および社会に貢献していくことが設置目的に掲げられています。今後、基本構想の人材育成などソフト面の具現化を進めるに当たり、学校長、教職員など、どのような人材を起用されようとしているのか伺います。
また、設置の意義として、15歳の新たな選択肢に様々なキャリアパスにつながる学びの提供や情報技術をベースとした多様な学びが可能となる環境を整備することで、産業界との共創を実現すること。地域と地球の課題解決に向けた協働の取組の実践など、高専という場を通じて人や技術、課題の対流を生み出しながら、地域に根差しつつ、世界を見据えた高度な技術人材の輩出や産業のさらなる活性化を図ることなどを意義とされています。
県立高等専門学校の学生が研究や技術開発を進めていくため、大学との連携も重要になります。県立大学をはじめ、大学との連携の在り方について伺います。
さらに、企業や地域産業との連携も不可欠と考えますが、本県産業の振興に資する産業界との連携について伺います。
次に、国スポ・障スポ大会について知事に伺います。
1981年のびわこ国体以来、44年ぶりに本県で第79回国民スポーツ大会が開催されます。第24回障害者スポーツ大会と併せて、わたSHIGA輝く国スポ・障スポ2025と称される本イベントの開催まで約2年と迫ってきました。
都道府県持ち回りで開催される我が国最大のスポーツの祭典の開催に際して、県内全域で機運を高めて、全国から来られる選手団を迎える準備をしていく必要があります。
そこで、現時点における国スポ・障スポ大会に対する県民の機運についての把握分析と今後の機運醸成に向けた取組について、具体的対策について伺います。
障スポ大会会場について、関係団体等から様々な要望があったとお聞きしています。障スポ会場のバリアフリートイレ以外のトイレにも車椅子で入れるようにしてほしいという要望があったということもお聞きしています。結果的に、バリアフリートイレは増設されたものの、それ以外は車椅子の方が利用できる対応とはならなかったという話を耳にしています。このような実態は、だれもが住みたくなる福祉滋賀のまちづくり条例施設整備マニュアルで書かれている、利用者の特性や意見などを十分に踏まえ、誰もが利用しやすい施設やまちづくりをさらに進め、県民一人一人が輝ける健やかな滋賀の実現につなげていくことが実現されていないという表れではないかとも考えます。今後、チェックと改善が進んでいくと思われますが、とりわけ障スポ大会におけるハード面の問題は、直前になってからでは対応が間に合わない可能性があります。近江学園の創始者であり、「この子らを世の光に」との言葉を残された糸賀一雄氏の福祉思想が脈々と流れる本県だからこそ、障スポ大会関係者に納得をしてもらえる大会にしていく必要があるのです。
そこで、2025年開催に向けて、本大会の会場で障害のある方が利用しやすい公共施設等をつくっていくための取組について伺います。
また、ハードだけで補い切れない部分を支える、大会運営における人的支援の拡充にも力を入れていくべきと我が会派は考えますが、見解を問います。
開催競技数の多い少ないや財政規模等、県内市町によって、会場、設営準備を含め、現時点で進捗状況に差が見受けられます。国スポ大会については市町が中心、障スポ大会については県が中心で主導することとなりますが、リハーサル大会を含めた事務局運営や進捗状況など、取組状況や開催までのスピード感に市町ごとの差がないのでしょうか、現時点での認識について伺います。
また、現在、実施している選手育成強化の取組についても、一過性のもので終わらせることなく、大会終了後の競技力向上につなげていく必要があると考えます。開催年に向け、これまで取り組んできたジュニア選手など若い世代の継続的な育成強化策など、スポーツ特別指導員配置事業で採用されたアスリートたちの大会終了後の処遇について検討していることがあるのか、考えを伺います。
次に、廃棄物行政について知事に伺います。
県内唯一の産業廃棄物管理型最終処分場として甲賀市に平成20年10月に開業したクリーンセンター滋賀は、オープンから15年間とされました埋立て期間が来月末で終了を迎え、産業廃棄物の受入れを全て終了することから、県内に管理型最終処分場が全てなくなることになります。クリーンセンター滋賀については、産業廃棄物の受入れを終了した後も、引き続き、適正に維持管理されることが重要と考えます。
そこで、クリーンセンター滋賀の今後の課題と方向性について伺います。
次に、旧RD最終処分場問題について伺います。
平成11年10月、私の地元、栗東市小野地先で旧RD社が安定型最終処分場を設置した排水溝から、人体や生活に多大な影響を及ぼす高濃度の硫化水素ガスが検出をされました。このことが産業廃棄物の全国的問題に発展し、その後、県の責任で改善命令を発出するなど、旧RD社に対策や調査を実施をさせましたが、その過程で、膨大な量のドラム缶をはじめ各種違法物を発見。県が旧RD社に対し、除去および適正処理を含む措置命令を出しましたが、平成18年6月には、履行しないまま同社が破産。対応は見込めなくなり、国の財政措置を受け、県の責任で、周辺地下水汚染をはじめ生活環境保全上の支障除去をする運びとなりました。平成24年からは県主体で1次対策工事に着手、約10年の歳月を経て、令和2年度末には原因廃棄物等の掘削除去を含めた2次対策工事を完了、令和3年度から今日まで、維持管理や将来にわたる活用検討を、住民との協定に基づき、行っていただいています。
そこで、まず、今後の取組と具体的対策について伺います。
当該産廃特措法事案は、実施計画に定めるところの生活環境保全上の目標達成を確認した上で、昨年度末には特定支障除去等事業を完了しました。最終的な解決に向けた今年度の取組と具体的対策について伺います。
次に、当該事業の反省を今後に生かすための教訓について伺います。
当事業は、周辺地域住民はもちろん、栗東市民や滋賀県民にとって、長期間にわたり、生活環境上、多大な悪影響を及ぼしただけではなく、本県廃棄物行政にとって大変な損失とも言える事案であり、行政の対応も問われた、二度と起こしてはならない環境問題でした。
そこで、行政として、当該事案の再発防止も含めて、この教訓をどう後世に生かされるのか、伺います。
旧RD最終処分場問題について、最後に、跡地活用について伺います。
平成24年6月議会の私の一般質問に対し、当時の嘉田知事は、処分地の安全性を見守り、しっかりと県が責任を持って県有地化すると答弁をされました。そして、平成26年度には、当該土地を約束どおり県有地化され、地域住民の意見を反映しつつ、活用を検討していただくことになりました。以来、10年が経過した今、具体的事例を示すなど、もっと主体的にスピード感を持って跡地活用について議論を進めるべきだと考えますが、いつをめどに、スケジュールを含めた具体的活用策を示されるのか。跡地利用に向けた今後の取組と課題について伺います。
次に、プラスチックごみ対策について伺います。
昨年度から環境省は、循環型社会に移行する必要性から、「プラスチックは、えらんで、減らして、リサイクル」を合い言葉に、プラスチックを取り巻く様々な問題に対し、プラスチック製品の設計から販売、排出、回収、リサイクルに至るまでライフサイクル全般に関わる一連の法律であるプラスチック資源循環法を施行し、資源の先進的、効率的なモデル形成に取り組む地方自治体や公共団体の支援に乗り出されました。プラスチックごみ問題は今や世界的な環境問題となっており、琵琶湖を有する本県としても、プラスチックごみ削減に向け、県民、事業者、各種団体、行政が皆で力を合わせ、取組を進めていくことは必要不可欠だと考えます。
そこで、プラスチックごみに対する認識と課題、今後の方向性について伺います。
最後に、プラスチックごみ削減に向けた対策の強化について伺います。
本県では第5次滋賀県廃棄物処理計画が策定され、県民、事業者、各種団体、行政など多様な主体が連携し、おのおのがごみ減量化への取組を工夫されています。さらに、今年度からは県民の自主的な活動促進の一助として、企業等営利を目的とする団体が主体的に取り組む事例に対しモデル事業補助金を導入、県民を挙げて機運の醸成に積極的に取り組んでいただいております。
そこで、プラスチックごみ削減に向けて、これまでどのような取組をし、どのような成果が上がってきたのか、今後のさらなる削減に向け、どのような具体的強化策をされるのか伺います。
次に、健康しが、とりわけひとの健康について、知事に伺います。
本年9月15日現在、本県100歳以上の県民は931名で、うち男性97名、女性が834名です。県内の最高齢は女性が108歳、男性が106歳となっています。令和2年都道府県別生命表では、本県男性の平均寿命は82.73年で全国一、女性の平均寿命は88.26年で全国2位であり、全国トップクラスの長寿県となりました。健康寿命は、令和元年の客観的指標では男性が81.07年、女性が84.61年ですが、残念ながら主観的指標は男性が73.46年、女性が74.44年と乖離が見られます。
そこで、県民の健康状態をどう捉え、今後目指すべき姿をどのようにイメージされているのか伺います。
2024年度には医師の働き方改革も始まり、本年度は医療や福祉のニーズが増える2025年問題がいよいよ始まります。県民誰もが健康で暮らしていけるよう、病気になっても迅速で適切な医療にかかれるよう、医療福祉の充実が求められます。今後、新たな感染症が発生しても、今回のコロナ禍の経験を生かし、さらなる医療福祉機能が質、量ともに充実向上していくことが求められます。
今年度は疾病対策や健康づくり等に係る11の計画改定に取り組んでいただいていますが、どのように整合性を図り、進めていかれるのか伺います。
本県も人口減少局面に入ってきましたが、65歳以上の人口は令和27年まで、75歳以上の人口は令和37年頃まで増加すると予測されています。高齢者の4人に1人は認知症になるとさえ言われています。令和元年都道府県別認知症通院率によると、本県は65歳以上の人口の実に2.99%を数え、全国より高い数値を示しています。これは、認知症カフェや認知症医など様々な取組による早期発見が功を奏しているとも考えられますが、発症後も自分らしく安心して暮らせる滋賀県であることが望まれます。そのためには県民が認知症について正しく理解し、医療とケアの両方がバランスよく、公助として提供されることが大切です。
加えて、認知症をケアされる家族に対しての支援も必要です。今後は、高齢者単身世帯や高齢夫婦だけの世帯、貧困世帯の増加が予測され、認知症高齢者への支援ニーズが複合化、複雑化することは明らかで、生活支援と併せた対応も求められます。
令和3年から本年度末まで3か年計画、第8期レイカディア滋賀高齢者福祉プランの改定時期が間近に迫っています。そこで、認知症の現状と今後の取組について伺います。
次に、子供政策について、知事ならびに警察本部長に伺います。
まず、子供の医療費助成制度について伺います。
三日月知事初当選の際、政策集で「子育て環境日本一の滋賀へ」を掲げられ、私たちチームしが 県議団も、平成28年2月代表質問で子供の医療費助成拡充を強く訴え、その要望を受け、知事は平成28年度から早々に子供の医療費助成の拡充に取り組んでいただきました。その後も、チームしが 県議団は子育て環境の充実を第一義に、会派として幾度も子供医療費助成制度の拡充を知事に対し提言、その考えを質し続けてきたところです。
一方、かねてより、各市町より県に対しても強い要望があり、各市町が独自に制度拡充を図られる中、また、全国的にも令和5年4月現在で高校生世代を対象とした医療費助成を実施している都道府県は全国で6都県にとどまる中、県内のどこに住んでいても、高校3年生までの全ての子供が、自己負担と所得制限なしに、医療費を気にすることなく、安心して医療を受け続けられる今回の医療費助成制度の拡充を、私たちは長年の夢がかなった、念願がかなったと大いに評価をしています。
令和5年度の県民が行政に期待する子ども・子育て支援施策の中で、児童手当の増額や医療費助成など経済的負担の軽減を求める声が42.6%と2番目に高く、県民からの要望も非常に大きいことが分かります。医療費助成制度における県内各市町の現状は、対象年齢や自己負担等、助成内容は市町ごとで異なり、特に彦根市と栗東市では中学生部分がこれまで未実施であり、7月に行われた首長会議では新たな拡充案も提案されたと仄聞しています。
改めて、その結果を踏まえた知事の考えと決意、ならびに今回のスキームとなった理由と今後期待されるであろう効果について伺います。
子供の医療費助成制度は、これまで県と市町が連携し、安定した運営を図っていただいてきました。県内のどこに住んでいても、全ての子供たちが等しく医療サービスを受けられるためには、県内全ての市町の理解と協力が一層不可欠であることは論をまちません。円滑な制度拡充に向けて、本県として、県内全ての高校生までの医療費助成を施行するため、いつから制度拡充を行い、どのように各市町の取組を支援をされていくのか、今後の対応について伺います。
また、県として、子供を社会全体で守り育てるために、今年度から部局横断的に子ども政策推進本部が設置され、これまでに3回、本部員会議を開催、子供施策に関して重点的に取り組む課題について、庁内はもとより各方面と議論を重ねてこられ、4回目が明日、開催されると仄聞をしております。
加えて、市町の子ども政策に対する支援策として交付金制度の創設をすることも先般の首長会議の場で知事から提案説明されましたが、栗東市長から、中学生への医療費助成を拡充する上での支援として、この交付金を大いに活用したい、また、恒久財源としての制度化を求める旨の要望がその場であったとも仄聞をしております。
こうした中、子供を真ん中に、安心して産み育てることができる滋賀を実現するための交付金創設の趣旨と規模、および持続的な制度化についての見解を伺います。
国でも、子供政策については本年4月にこども家庭庁が設置、6月には少子化対策の強化に向けて児童手当や育児休業給付の拡充など具体策が盛り込まれた
こども未来戦略方針を打ち出されました。また、先月、取りまとめられた令和6年度予算概算要求においても、予算額が今年度と比べると781億円増加し、国としても子供政策を強力に推進をされようとしています。
知事は
全国知事会子ども・
子育て政策推進本部の本部長に就任され、全国的な注目が集まる中、子ども・
子育て政策推進本部長である知事を先頭に、滋賀県、全庁を挙げて、今こそ子供政策に取り組んでいただきたいと考えます。
そこで、改めて、子供政策に向けた知事の決意を伺います。
次に、青少年健全育成条例の改正について伺います。
児童ポルノ等自画撮りの被害の全国的な増加や、深夜に青少年を連れ出したり宿泊させたりするなどの事件の増加など、社会情勢の変化に対応するため、本年7月、性犯罪規定の見直しを含む性犯罪法改正を受けて、県としても、SNSを悪用した犯罪など、青少年健全育成条例を厳格化する改正案が今定例会に上程をされています。
そこで、本県青少年の性犯罪状況、条例改正によりどのような効果が期待されるのか、知事に伺います。
性別に関わらず、児童ポルノや児童買春など、SNSを通じた犯罪は子供たちに大きな傷痕を残します。ただ、被害が表面化しにくく、内容によっては具体的に相談しにくい事件とも言えます。情報提供や相談窓口の拡充、加えて、窓口で対応されるスタッフが被害者に寄り添って、適切、丁寧に、親身になり対応できるためのスキルアップ研修なども必要だと考えます。さらに、インターネットの画像がいつまでも残ることにより当事者や関係者が、一生涯、傷つくことにもなりかねませんので、迅速な画像の削除方法に併せて、画像の削除要請や、それに伴う費用についての支援も必要だと考えます。
そこで、相談窓口の充実、相談員の研修、SNSやネット被害者支援への取組について知事に伺います。
さらに、実効性を上げるためには警察としての取組も求められます。青少年の事件に関しては、県警窓口で、被害者に寄り添った適切で丁寧な対応も必要不可欠です。
今回の法改正、条例改正を受け、青少年を被害から守るため、県警としての今後の対応について警察本部長に伺います。
次に、産業誘致と中小企業支援について知事に伺います。
産業誘致について、本県ではこれまでから産業振興ビジョンを策定し、中長期的な視点で施策を推進する中で、製造業への設備投資助成等により高付加価値で定着性の高い研究開発機能を備えたマザー工場などを誘致されてきました。こうした取組の結果、自動車、電子部品、医薬品等、多様な分野の企業立地につながってきましたが、産業用地不足等の課題が顕在化し、市町からは設備投資に対する新たな支援策創設の要望も県に頂いています。
一方、近年、デジタル、省エネ、再エネ等の分野では新たな成長産業が創出され、本県の豊かさを維持していくために、その潮流に乗り遅れることなく産業用地の確保に努め、製造業に加え、情報通信業等、幅広い分野を視野に入れた産業立地促進に努めていく必要があることから、2030年以降を見据え、今年度から4年間、(仮称)滋賀県産業誘致戦略(骨子案)が今年の3月に示されました。当初の予定では、この骨子案に対する意見を踏まえ、4月から6月にかけ、産業誘致戦略案が検討され、厚生・産業常任委員会に報告された後、7月中には策定をされるはずでした。しかし、現時点において、産業誘致戦略案はいまだ示されておらず、今後の産業誘致戦略がどのようになるか、先行き不透明なままです。現在の産業誘致戦略の検討状況について伺います。
次に、中小企業支援について伺います。
本県では、令和5年4月から6月にかけて、県内の商工会、商工会議所、そして中小企業団体中央会の会員企業のうち製造業、卸売業、小売業、サービス業、建設業から均等抽出により700社に対しアンケートを実施されました。アンケートには250社が回答され、取りまとめ結果の速報版が先月の厚生・産業常任委員会で報告をされました。報告によると、自社の現在の課題に関しての質問の回答では人材の確保が最多で、次いで人材育成、情報発信力となっており、今後、強化したいものについての質問に対する回答では人材育成が最も多く、次いで人材確保、生産効率、作業効率でした。
人材育成の取組状況においては、その重要性は認識しているものの他の経営課題が優先され、課題においては、繁忙が続き人材育成のための研修時間が取れないなどの回答が数多く見られました。こうした課題に対し、中小企業経営を取り巻く環境を踏まえつつ、リスキリングを含む、企業の人材育成を強化するための施策が必要と考えますが、見解を伺います。
人材確保について、京都府や兵庫県では、中小企業の人材確保と若手従業員の定着および経済的負担を軽減するため、従業員の奨学金返済支援を行う中小企業等が従業員に支給した手当に対し補助を行うといった奨学金返済支援制度が実施をされており、学生の県内就職率が低い本県から若者が流出していくことにつながっています。
県内においては甲賀市、彦根市でそれぞれ同様の支援制度を実施済みですが、県内中小企業が独自に従業員へ奨学金返済支援等を実施した場合に支援を行う制度について検討すべきと考えますが、見解を問います。
今回の中小企業に対するアンケートの回答では、700社に配付した中、250社から回答があり、回答率は35.7%でした。中小企業に対するアンケートは、毎年、実施されており、令和元年の回答は588社で回答率84.0%、令和2年507件、72.4%、令和3年531件、75.9%、令和4年505社、72.1%となっており、これまでのアンケート回収率と比較すると、今回の35.7%は著しく低い回収率でした。
我が会派の昨年11月定例会代表質問において、県政世論調査を実施するに当たりナッジ理論を活用されたことについて質問をしました。調査の回収率向上のため、行動経済学等を専門とされている滋賀県立大学人間文化学部の山田准教授にナッジ観点からアドバイスを受け、調査票を送付する封筒の表面に、調査対象者に選ばれたことをポジティブな表現でメッセージとして記載したほか、過去の県政世論調査において県民の声が反映された事例を簡潔に明記し、自分の声も県政に届くことが感じられるようにしたこと、回答の手間を省くためにQRコードを表示するなどの対応をした結果、近年は50%台前半で推移していた有効回答率が、67.8%と前年比17.2ポイントの改善が見られたとのことでした。このときの知事答弁では、「ナッジ理論は、事業のより効果的な展開、さらには業務の効率化の観点からも、情報発信の工夫など、県の様々な業務に生かせる可能性があると実感した」と述べられた上で、「取組の成果については、広報戦略会議の場を通じ、広く全庁に共有してまいりたい」と答弁をされました。
そこで、今回、中小企業に向けたアンケートの回収率が大幅に低下した要因についてどのように分析をされているのか、見解と今後の対応について伺います。
次に、教育環境の変化と対応について、教育長ならびに
選挙管理委員会委員長に伺います。
まず、学校現場における公共について伺います。
昨年4月から始まりました新学習指導要領では、2015年6月に国会で成立した選挙権年齢を20歳以上から18歳以上に引き下げる改正公職選挙法を踏まえ、現代社会科目が廃止され、公共科目が新設されました。
1969年の文部省通達では、生徒が未成年であることから政治活動を行うことを期待していないとされ、むしろ行わないよう要請し、具体的な政治的事象については取扱いに留意すべきと記されていましたが、2015年文科省通知では、18歳以上が有権者となったことを受け、「高等学校等の生徒が国家社会形成に主体的に参画していくことが一層の期待をされる」と、若い人たちが自ら政治、社会に参画できる力を養えるように大きく方針転換され、主権者教育の基盤として、高等学校の授業に公共科目が必修化されたところです。このことで、高校生自らが政治的主体として位置づけられ、主体的に政治問題を考えることが可能になったところです。
そこで、公共が必修となってから約1年半が経過し、学校現場においてどのような影響が生じているのか、教育長に伺います。
次に、主権者教育について伺います。
子供時代から政治や選挙を身近に感じるために、主権者教育を充実をさせることは大変重要です。そのための環境整備は学校現場や教師にあると、つい思いがちですが、実は家庭での親子の会話、地域社会の在り方とも深く関わっているのです。正答のない政治や選挙に関して子供の頃から自ら考え、違う考えに出会う訓練をすることで、高校生ともなれば、実際に模擬選挙などの授業を通じ、政治や選挙の在り方を自分事として考えるようにもなります。こうした観点から、主権者教育を進めていく上で、学校、家庭、地域、三位一体となって環境整備や制度構築を行うことは大変意義があるのです。
これまで教育現場では、政治的中立性を重んじるがあまり、特定の主義や政策、政党や政治的団体の中身や考えを取り扱わないのが通例とされてきました。子供や若者が自ら選挙や政治に関心を持つことは、投票率向上のためにも、若者目線で社会を変え、次世代が輝ける滋賀をつくるためにも、主権者教育を進めていく上で大変重要なのです。
そこで、本県、主権者教育の現状と課題、目指すべき方向性と、今後、行おうとされている具体的施策について、教育長ならびに
選挙管理委員会委員長に伺います。
次に、学校における多様な支援スタッフについて伺います。
文科省は先般、来年度予算案概算要求で、スクールサポートスタッフ人件費補助を現行の全国約1万3,000人から、令和6年度から2万8,000人以上に倍増させる方針を固められました。また、中学校における部活動指導員の配置支援として、部活動指導員を全国で4,000人増やす方針も出しました。さらに、多忙化が著しい教員の負担を減らすなど、働き方改革を進めるため、外部人材や連携を推進することで児童生徒の指導や授業活動に集中できる体制を構築する方針も決めました。しかし、地方では、地域の外部人材が学校現場に補助的に入ることを進める国の通達にいまだ戸惑いが隠せません。
学校現場における人材は、子供たちにじかに接する機会が多い仕事だけに、先般の部活動の外部人材登用と同様、丁寧できめ細やかな対応をすることが求められます。ゆえに、個人の資質はもちろんのこと、需要の多い地域の自治体間で優秀な人材を取り合うことにならないか、今から大変心配をしております。
政府文科省の今回の人材補強、増強方針を踏まえ、学校における多様な支援スタッフの配置や活用について、現状の課題と今後の取組について、教育長の見解を伺います。
最後に、琵琶湖における水難、船舶事故について、全て警察本部長にお伺いをします。
水難学会の最近の調査によると、毎年、死亡事故が多発する湖西地域は、遠浅の湖東地域と比べ、琵琶湖の西岸を走る断層の影響からも、湖底がすり鉢のように急に深くなる地形で、大変危惧をしています。遊泳区域を示すブイの辺りでも水深が約2メートルあるので、小さな子供でなくても溺れてしまう危険性があり、ブイの内側だから安全というわけではありません。さらに、比良山を越え吹き下ろす比良おろしは、湖の東側に向かって急激な風が吹くので、人が波にのみ込まれ、湖岸から沖に、寸秒を争い、流される危険性があります。
先月も琵琶湖で多くの水難事故が発生をしました。目視では分からず、想像以上に危険が潜んでいることを、夏場、多数来訪される京阪神からのレジャー客には認知されていないのも実情です。
先月の死亡事故だけでも、7日に大阪府から来られた小4男児、9日に京都府から来られた47歳女性、14日、京都府48歳男性、18日、大阪府から来られた19歳の男性と、先月一月だけで4人の貴い命が失われました。気象情報をスマホなどで小まめに確認することはもとより、水の事故の怖さを遊泳者自らが認識することが何より求められるのです。
そこで、相次ぐ琵琶湖の水難事故についての現状と課題、今後の安全対策について伺います。
あわせて、今年の夏場は琵琶湖での船舶事故も大きく報道されました。8月26日には大阪府の35歳男性が無免許運転した水上オートバイが京都府の6歳男児と女児に接触し、頭を切るなど大けがを負わせ、逮捕されました。翌27日には長浜市西浅井で1人乗り水上オートバイと2人乗り水上オートバイが接触をする事故があり、38歳男性が腰の骨を折るなどの重傷、25歳の女性が軽傷、加えて、今月3日には水上オートバイ2台が衝突し、56歳の男性がお亡くなりになり、少なくとも最近7年間でお一人も出なかった水上オートバイの事故による死者が発生する事態となってしまいました。こうした状況を踏まえ、琵琶湖での船舶事故についての事故形態の現状と課題、今後の対策について伺います。
水上オートバイの運転については、酒酔いに関して禁止しているものの、酒気帯びについては規制されていないのが現状です。事故に遭う人の多くがレジャー中だったことを鑑みても、酒を飲んだ後は船を操縦したりせず、救命胴衣を身につけ、運転者自ら安全意識の醸成、向上に努めることが必要不可欠だと我々は考えます。少なくとも、これまで琵琶湖水上安全条例や琵琶湖レジャー利用条例で航行禁止区域として決められた場所についてはしっかりと県が管理していく必要があります。
知事も先月の29日の定例記者会見で「どういう取締りや呼びかけをしていけばいいのか、そういったものに従わない場合、どういう罰則を設けるのがいいのか、これは不断に考えていきたい」と述べられていましたが、会見から1週間もたたずに、また死亡事故が起きてしまった。そうした実情を考えると、県警としても迅速な対応が迫られると我が会派は考えます。
取締りに当たられる滋賀県警として、水上オートバイ利用に対しての安全対策と今後の水難、船舶事故対策についての見解を最後に伺い、チームしが 県議団を代表しての質問といたします。ありがとうございました。(拍手)
○議長(奥村芳正) 41番九里学議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(三日月大造) (登壇)チームしが 県議団を代表されての九里議員の御質問にお答えをいたします。
まず初めに、来年度予算につきまして、こちらは3点、御質問を頂きました。
1点目、私の思い、施策構築の方針についてでございますが、気候変動への適切な対応や生物多様性に配慮した社会、経済への転換が急がれ、変化が激しい社会の中にありまして、改めて豊かさや幸せを考え、子供、若者が夢や希望とともに歩む滋賀の未来を展望し、健康しがを実現していくことが重要であると考えております。
そうした思いを持って、来年度に向けましては、「子ども、子ども、子ども」、そして、ひとづくり、安全・安心の社会基盤と健康づくり、持続可能な社会経済づくり、自然環境や生物多様性の保全再生の5つの柱に沿って、子供を真ん中に置いた施策、世界と滋賀の未来を見据えた新たな一歩を踏み出す施策を構築してまいる所存でございます。
2点目、施策活性化チャレンジについてでございますが、この仕組みは、様々な職員の経験や知見、発想を施策構築や事業の効果的、効率的な実施に生かすもので、今年度の施策事業では、世界農業遺産琵琶湖システムを生かしたツアー造成や都市公園におけるスケートボードパークの検討に反映されているところです。
実施した担当所属からは「経験者の知見や人脈が活用できた」、関わった職員からは「意欲向上につながった」などの意見がございまして、来年度に向けましてはこどもとしょかんの検討や高齢者の交通事故防止抑制、日本遺産を活用したシガリズムツアーの造成など、5つの施策で実施をしているところです。
引き続き、この仕組みを有効に活用し、職員の政策形成能力や仕事へのやりがい、意欲の向上を図りながら、未来へと幸せが続く滋賀の実現につなげてまいりたいと存じます。
3点目、施策、事業の見直しの進め方についてでございますが、行政経営方針に掲げますヒト、財源の配分のシフトを強力に進めるため、今年度からの3年間を集中取組期間と定め、全庁挙げて事業見直しに取り組むこととしております。
具体的には、財政や組織を取り巻く課題等を全庁で共有いたしまして、DXの活用や部局連携、歳入確保など、統一的な見直しの視点を定めた上で、まずは課題や実情を熟知している各部局において事業効果を十分検証し、主体的に見直しを検討することとしております。その上で、来年度に向けた予算や組織の検討過程において、限られた人員、財源を効果的に活用する観点から、部局を超えた横断的な視点での検討も併せて行ってまいりたいと存じます。
続いて、大きな2項目め、防災・減災についてということで、こちらは3点頂きました。
まず、1点目の災害対応につきまして、台風などの自然災害に対応するため、滋賀県地域防災計画に基づき、状況に応じた配備体制を整備し、迅速かつ的確な災害対応に努めているところです。
今年度は既に災害警戒本部を3回立ち上げ、市町、彦根地方気象台、警察本部等と連携した情報収集や県民への情報発信を行ったところです。しかしながら、世界平均気温の上昇による線状降水帯の発生等が今後ますます増加するとの予測もあり、より迅速な災害対応が求められていると認識しております。
このことから、早め早めの対応や、関係機関等とのより一層の連携強化、訓練の実施による職員の対応能力向上などに努め、引き続き、県民の生命と身体、財産を守るため、緊張感を持って災害対応に当たってまいりたいと存じます。
2点目のため池につきまして、劣化状況評価、豪雨耐性評価の実施状況でございますが、県内のため池1,440か所のうち、決壊した場合に人命等に大きな影響を及ぼすおそれのあるため池474か所を防災重点農業用ため池に指定いたしまして、老朽化や豪雨による決壊の危険性について評価を進めているところです。
劣化状況評価につきましては、これまで256か所で実施し、堤体の変形や取水施設の老朽化など、対策が必要なため池60か所を確認しているところです。現在の進捗率は約6割、令和6年度末までに全ての評価を終える見込みでございます。
豪雨耐性評価につきましては、これまで439か所で実施をいたしまして、大雨による洪水を安全に流下させる能力が不足しているため池143か所を確認しているところです。現在の進捗率は約9割でございまして、こちらは今年度末で全ての評価を終える予定と伺っております。
3点目、そのため池防災工事の実施状況、今後の実施方針についてでございますが、特別措置法が令和2年度に制定されて以降、13の地区で対策工事を実施しており、うち、今年度末までに5つの地区が完了する見込みです。また、市町からの要望に基づき、来年度は新たに7地区の事業採択に向けて調整を行っているところです。
今後の方針といたしましては、将来の農業利用を見据え、整備するもの、廃止するもの、規模を縮小するものなど、整備方法を分類した上で工事の優先度を整理し、順次、対策を講じてまいります。
事業計画段階からの市町等に対する支援や国への要望など、必要な予算確保に努めるとともに、効果的かつ効率的な取組により、暮らしの安全・安心の確保を図ってまいります。
続きまして、大きな3項目め、猛暑による影響、その対応ということで、こちらは9点頂き、うち、私に7点賜りました。
1点目、本県の猛暑の状況についてでございますが、今年は大津での猛暑日が31日間と、観測開始以来、過去最多を更新しており、今年の夏の暑さは特に厳しかったと認識しております。また、直近5年間における猛暑日の日数は2021年を除いて2桁に達しており、県内においても気温の高い状況が常態化しつつあると見ております。今後もこのような状況が常態化していく場合には、農林水産業、水環境・水資源、生態系、自然災害、健康など様々な分野において気候変動リスクが拡大するおそれがあるものと懸念しているところです。
2点目、本県の気候変動適応センターのこれまでの成果等についてでございますが、このセンターでは、国立環境研究所の研究や気候変動に関する様々な会議に参加し、最新情報の収集に努めるとともに、地域における気候変動影響の評価や普及啓発などを行っているところです。
これまで琵琶湖周辺での降水、降った水が引き起こす将来の洪水予測の試算を行うとともに、異常気象時に危険となる場所をマップ化するイベントや気候変動に係る意見交換会などを実施したところです。昨年度からは、本県のウェブサイト「ゼロナビしが」に気候変動適応のページを作成し、調査結果や最新のデータを掲載するなど、適応策に必要な情報提供を行っているところです。
3点目、気候変動による本県農業への影響についてでございますが、近年の記録的な猛暑により、水稲では高温による外観品質の低下、野菜等の園芸品目では高温による生育不良や品質低下、畜産においては乳量の減少、受胎率の低下が見られるなど様々な影響が広範囲で生じているところです。
今後の影響といたしましては、こうした影響に加え、農作物では害虫の発生期間の長期化などによる収量、品質の低下、飼料、餌では異常気象による生産国からの輸入リスクの高まりなどが懸念されているところです。
4点目、今後の農業における暑さ対策についてでございますが、県では高温の影響を受けにくい品種育成や栽培技術の開発、普及を進めております。
品種育成では、みずかがみに加え、昨年度、高温に強いきらみずきを新たに育成し、今年度から作付拡大を進めているところです。
栽培技術の面では、今年度から新たな対策といたしまして、夏場の栄養不足を補うための追加の肥料を、人工衛星の生育画像データとドローンの活用により、効率的、省力的に散布する技術の普及に向けた取組に着手したところでございます。
今後、このような新品種やスマート農業技術が定着するよう、普及指導員による技術支援を行ってまいりたいと存じます。
5点目、酒米についてでございますが、全国的な酒米の生産につきましては、日本酒の消費減退に伴い生産量も減少したものの、日本酒の輸出増加等により、昨年から生産量が、僅かであるが、増加に転じているとのことでございます。
県といたしましては、こうした需要の変化に応じた生産が必要でありますことから、滋賀県酒造組合をはじめとする実需者が求める品種や数量と、生産者が生産可能な数量を互いに情報共有することがまずは重要であると考えております。その上で、輸出も見据えた酒米の需要に応じて計画的に生産できるよう、関係者と課題等を共有しながら、体制づくりについて検討してまいりたいと存じます。
また、生産の安定化を図るため、引き続き、普及指導員による技術支援を行いますとともに、農業技術振興センターにおいて、収量や品質に優れた酒米の品種開発を進めることで、酒米生産者への支援につなげてまいりたいと存じます。
6点目、本県での熱中症の発生状況と今後の対応についてでございますが、総務省の調査では、本年5月1日から9月17日における本県の熱中症の救急搬送の人数は918人でありまして、高齢者が54.2%、子供が13.4%とのことでございます。また、傷病程度は、軽症であった方が81.4%、お亡くなりになった方は0人でございまして、発生場所としては住居の38.7%が最も高かったとのことでございます。
本県では、熱中症予防に向け、行動のポイントを県ホームページやしらしがメール、SNSで情報発信するとともに、企業と連携いたしましてチラシを配布するなどの啓発に取り組んでおり、引き続き、こうした取組を継続し、熱中症予防を徹底してまいりたいと存じます。
最後、7点目は本県における猛暑の県政への影響、その対応についてでございますが、今年の猛暑によって県政への影響が顕在化しているものは、現時点、先ほど答弁した農業や健康の分野となっております。これから季節が秋に移りゆく中、夏の猛暑の影響が水資源や生態系等まで及んでいないか注視いたしまして、必要な対策を検討してまいりたいと存じます。
また、議員御指摘のとおり、今後の施策構築等に当たりましては猛暑等の影響を考慮する必要があると認識しておりまして、国立環境研究所等で研究が進められている異常気象などの気候変動が及ぼす影響について、本県の気候変動適応センターで最新の情報を収集、分析し、関係機関へ共有するとともに、県民に向け、情報提供も行ってまいりたいと存じます。
◎教育長(福永忠克) (登壇)猛暑による影響と対応について、私に頂きました2点の御質問にお答えをいたします。
まず1点目の、猛暑による学校への影響と今後の対応についてでありますが、県立学校では、暑さの回避等のため、今年度は、体育祭を空調設備のある県や市の体育館等で15校が実施をいたしました。また、29校では、学校行事の実施内容の見直しや開催時期の変更が行われたところでございます。さらに、猛暑により多くの学校で部活動の中止や短縮が実施されました。
小中学校におきましても、運動会の開催時期や校外行事の内容を変更されるなど、猛暑により、学校の子供の活動に様々な影響があったものと認識をいたしております。
今後、学校においては、引き続き熱中症事故の防止を最優先にした上で、様々な活動の機会を確保するため、学校行事の実施時期でありますとか、その内容の見直しを進めていきたいと考えております。また、運動後には十分にクールダウンする時間を確保するなど、児童生徒が自らの体調管理ができるよう、必要な指導や対策の推進にも努めてまいる所存でございます。
2点目の、体育館の空調整備についてでございますが、県立学校の体育館は空調設置に必要な断熱性が確保されておらず、設置に当たりましては屋根や外壁、窓などの大規模な改修工事が必要となるなど、空調整備には様々な課題があるところでございます。一方で、学校施設は生徒にとって学びと生活の場であるとともに、災害時には避難所として活用されることも想定されております。生徒にとって安全・安心で快適な教育環境と、避難を余儀なくされる方の生活の質の向上のためにどのような対応ができるのか、他の都道府県の事例や最新の知見も参考にし、ソフト、ハードの両面から、今後、検討をしてまいりたいと考えております。
◎知事(三日月大造) 大きな4項目め、大阪・関西万博に向けた取組について、こちらは5点頂きました。
1点目、万博と子供たちの関わりについてでございますが、滋賀の将来を担う子供たちが万博において世界の様々な文化や知見、技術に触れることは、自分の興味や得意分野を自覚し、将来進みたい方向性や社会の課題にチャレンジする姿勢などを自分の中で育ててもらうきっかけとなると考えております。このため、子供たちの万博への招待につきましては、入場料が必要な満4歳から高校生までを対象に、教育旅行もしくは個人や家庭で、より多くの子供たちに行っていただける仕組みを検討しているところです。また、招待以外で万博に関わっていただける取組についても、年度内を目途に企画案を取りまとめたいと存じます。
2点目、関西MaaSへの本県事業者の参画についてでございますが、KANSAI MaaSを提供する関西MaaS協議会には、運営主体である鉄道7社のほか、交通事業者を中心に57者が準会員として参画されているとのことでございます。
現在、県内で運行している事業者の準会員は5者と承知しておりますが、地域公共交通の活性化はもとより、本県への誘客を促すという観点で、広域的なMaaSの枠組みへの参加、連携は効果的であると認識しております。今後も事業者と意見交換を図り、参画協力を促してまいりたいと存じます。
3点目の、万博来場者に向けた滋賀の魅力のアピールについてでございますが、大阪・関西万博は国内外から本県へ誘客する絶好の機会でありますことから、滋賀ならではの観光資源を活用したシガリズムの魅力発信は非常に重要であると考えております。このため、万博前年に当たります来年度から、ぜひ滋賀に行ってみたいと思っていただけるような旅行商品の造成や観光資源の磨き上げにより本県観光の魅力向上を図るとともに、これらの魅力を効果的に発信してまいりたいと存じます。
また、
関西観光本部などと連携したツアー造成や、琵琶湖疏水など琵琶湖をテーマとした近隣府県との連携など、広域観光による県内への誘客にも積極的に取り組み、国内外から本県への誘客につなげてまいりたいと存じます。
4点目の、万博を機会とした産業振興についてでございますが、未来社会の実験場をコンセプトとする万博の開催は、本県で培われた新しい技術やサービスを世界に向けて発信する好機であると認識しております。万博での展示や商談会等により、ビジネスチャンスの拡大はもとより、国内外からの投資の拡大、イノベーションの創出にもつながることが期待されているところです。
万博会場では、中小企業やスタートアップ等を対象とした先端技術の展示機会等も予定されており、既に県内企業にも出展の動きがあるところでございます。
今後とも、県内企業には万博への参画を促してまいるとともに、県といたしましても、革新的な技術、サービスに関連したビジネス交流等の機会をつくり、県内企業のビジネス拡大やイノベーション創出を促進することで、持続可能な社会の構築に資する本県産業の発展につなげてまいりたいと存じます。
5点目、今後の取組の盛り上げについてでございますが、県では、観光振興局など関係課で構成いたします庁内プロジェクトチームを設置いたしまして、関西パビリオンへの参加、会場内催事の実施、観光誘客、子供の参画、県内催事の実施、推進組織の設置について検討を進めているところです。さらに、万博を機に、国内外の方に観光、移住、ビジネス等幅広い分野で滋賀に関心を持っていただくためにはオール滋賀での万博参加が重要であると考えております。このため、経済界をはじめとする各種団体等で構成する万博推進組織を年内には設置いたしまして、県全体でのさらなる取組の広がりにつなげてまいりたいと存じます。
続きまして、大きな5項目め、
県立高等専門学校についてでございます。
まず1点目、人材の起用についてですが、高専の設置に当たりまして、校長や教職員の人選、確保は重要であります。
学校長につきましては、基本構想に共感いただいた上で、率先して学校全体を引っ張っていく高いリーダーシップと高い意欲を持って学内組織をマネジメントできる能力を兼ね備えた人物を確保してまいりたいと存じます。
また、教職員につきましては、まずはカリキュラムや指導方針等の学校運営の詳細に係る準備作業の中心となる教員を早期に確保してまいりたいと存じます。こうした人材の確保に向けまして、現在、有識者をはじめ様々な方から御意見を頂きながら検討を進めているところでございます。引き続き、基本構想の具体化に向けて、ハード、ソフト両面において着実に取組を進めてまいりたいと存じます。
2点目、大学との連携についてでございますが、まず、県立大学につきましては、高専開校後、同一法人がこの2つの高等教育機関を運営することとなります。そのため、1つは教職員の交流、2つ目は授業の相互乗り入れ、3つ目は地域プロジェクトや共同研究などでの学生の交流、4つ目は高専卒業生の県立大学への編入学など、様々な連携が可能であると想定しております。
また、県立大学以外の大学とも、大学の持つ様々な分野の研究力と高専の持つ実践力というそれぞれの特徴を生かしまして、大学と高専、そこで学ぶ学生同士が共に刺激し合い、高め合う関係を築いてまいりたいと存じます。
3点目の産業界との連携についてでございますが、令和4年5月に、経済6団体、県建設業協会、県立大学および県の9者で高等専門学校の設置に向けた共創宣言を行い、人材の活躍、学びの充実、次世代の育成、連携の枠組みの4項目について、共に取り組むことといたしました。
具体的には、インターンシップの受入れや共同研究等の実施、実務家教員の派遣のほか、寄附講座の開設、運営、施設面での支援など様々な連携が想定されるところです。現在、様々な企業や団体から御意見をお聞きしているところであり、頂きました御意見等を踏まえながら、宣言を核といたしまして、産業界との連携を具体的な形にしてまいりたいと存じます。
続いて、大きな6項目め、国スポ・障スポ大会につきまして、こちらは5点頂きました。
1点目、現時点における取組についてでございますが、今年2月に実施いたしました滋賀県スポーツ実施状況調査において、大会認知度は国スポが46.2%、障スポが23.6%となっておりまして、現在も広報啓発に取り組んでいるところでありますが、なお一層の認知度向上が必要であると認識しております。
今般、全県的な広報展開を図るため、市町との機運醸成ワーキングを立ち上げるとともに、今後は、企業、団体と連携いたしました広報啓発の強化や全戸配布の広報、節目に合わせた啓発イベント等を実施いたしまして、盛り上げにつなげてまいる所存です。
県、市町、企業等が一体となって機運を高め、より多くの県民の皆様に様々な形で御参加いただきながら、大会に向け、準備を進めてまいりたいと存じます。
2点目の、障害のある方に配慮した施設への取組についてでございますが、施設の整備に当たりましては、障害のある方を含む様々な方に利用しやすい施設とすることが重要であると認識しており、障スポ競技会場につきましても、その観点から整備を進めてまいりました。また、施設の完成後も、大会の開催に向けて、関係者とバリアフリーの状況等に関する現地調査を実施するなど、選手をはじめとした全ての方が安心して利用できる施設となるよう取り組んでいるところです。
加えまして、大会開催時には県内外から多くの方をお迎えいたしますことから、仮設トイレを設置するなど、スムーズな大会運営に向けた検討を進めており、施設の面でも意を用いて取り組んでまいりたいと存じます。
3点目、障害のある方への人的支援についてでございます。
障スポ会場におきましては仮設トイレやスロープの設置等、障害に配慮したハード面での対応を行いますが、より細やかな配慮が必要な場面や、ハード面では対応できない場面におきましては人的な支援が必要と考えており、各選手団にはサポートボランティアを配置し、選手の介助、誘導を行い、あわせて、会場の要所要所に手話・要約筆記ボランティアを配置することとしております。
障害の有無に関わらず、来場される全ての方が安心して大会を楽しんでいただけるよう、会場設営の準備やボランティアの確保、養成等に計画的に取り組んでまいりたいと存じます。
4点目、事務局運営、大会準備の進捗状況についてでございますが、県におきましては、障スポ大会の競技運営に加え、開閉会式の内容の検討、選手、役員の輸送手段や宿舎の確保等、先催県の状況を踏まえて計画的に大会準備を進めているところです。
また、国スポの競技会運営は市町が中心となりますことから、それぞれの市町において大会準備のための実行委員会組織を立ち上げ、準備を進めていただいているところです。
公道の利用や自然環境への配慮など、開催に向けて特に調整が必要な競技につきましては、これまでから、県といたしましても積極的に支援を行っているところであり、引き続き、市町と課題を共有いたしまして、必要な対策を講じてまいることといたします。
5点目、若い世代の継続的な育成強化に関してでございますが、滋賀レイキッズの選手発掘、育成の仕組みや、少年から成年選手までの一貫した指導体制が各競技に整いつつありまして、アスリートを目指す滋賀の子供たちには必要であると認識しております。
また、スポーツ特別指導員は、選手としての活躍はもとより、滋賀のジュニア選手の育成にも熱心に取り組んでいただいており、大会終了後も滋賀のスポーツ振興に貢献いただけるよう、就職あっせん等に取り組むことが重要であると認識しております。選手強化の過程で実を結びつつあるこれらの取組を継続させることで、大会のレガシーとして定着させていきたいと存じます。
続いて、大きな7項目め、廃棄物行政についてでございます。
まず1点目、クリーンセンター滋賀についてでございます。
平成20年の開業以来、県内の産業廃棄物の適正処理を通じ、県民の生活環境の保全、地域社会の健全な発展、ひいては循環型社会の形成に大きく寄与してきたところです。改めて、これまでの地元の皆様の御理解と御協力に感謝申し上げたいと存じます。
10月末の廃棄物受入れ終了後は、滋賀県環境事業公社におきまして、施設の撤去、埋立地内の覆土や植樹等を実施いたしまして、令和10年度を目途に借地を地権者へ返還する予定でございます。また、水質管理等の環境保全対策につきましては、今後数十年にわたり、行う必要があり、地元の皆様の安全・安心が引き続き確保されるよう、公社とともに、県といたしましても責任を持って対応してまいります。
2点目の旧RD最終処分場問題についてでございますが、平成24年度から実施してまいりました産廃特措法に基づく特定支障除去等事業は、実施計画に定める生活環境保全上の目標を全て達成し、昨年度末に完了いたしました。長年にわたり、地域、県民の皆さんに大きな御心配をおかけしてまいりましたが、特措法事業完了は最終的な解決に向けた一つの節目となったと考えております。最終的な解決に向けまして、今年度から、周辺自治会の理解を得た上で、旧処分場の安定化のプロセスを確認するモニタリングを開始いたしますとともに、引き続き、浸透水の浄化処理、構造物の維持管理を実施しており、今後とも地域の安全・安心の確保に万全を期してまいります。
3点目、再発防止も含めたこれからの対応ということについてでございますが、旧RD最終処分場問題を受けまして、不適正処理防止に向け、監視カメラやドローンの導入、事業者との連携協定による通報体制の拡充、全ての処分業者への立入検査の実施など、継続的に対策の強化を図ってまいりました。また、この問題につきまして、周辺住民のお声を聞きながら、事実関係の整理やこれまでの対応を振り返り、記録として取りまとめ、再発防止につなげることを目的に、令和7年度末を目途にアーカイブの作成を進めているところであります。
4点目、跡地利用についてでございますが、旧RD最終処分場の跡地につきましては、平成26年度までに全て県有地化し、令和3年度には、その活用について意見交換するため、県、栗東市と周辺自治会による旧RD最終処分場跡地利用協議会を設置し、まずは先行事例の状況等を協議会で共有させていただいているところです。
跡地の本格的な利用は旧処分場内の状況が安定することが前提となりますが、令和7年度末に予定しております対策工事の有効性確認後の暫定利用を含め、栗東市と周辺住民の御意見をしっかり聞きながら検討を進めてまいりたいと存じます。
5点目、プラスチックごみに対する取組等についてでございますが、プラスチック製品の大量生産、大量消費による石油資源の枯渇や温室効果ガスの排出量の増加、散在するごみにより美観、景観が損なわれるほか、ごみの誤飲等により生態系への影響が懸念されることなど、数多くの課題があると認識しております。プラスチック資源循環法を踏まえまして、今後、さらに資源を有効に活用し、琵琶湖をはじめとする本県の環境を保全するため、プラスチックごみを出さないライフスタイルへの転換を目指して、県民、事業者、団体、行政等が役割を分担し、互いに連携協力しながら、循環型社会の形成に向けた取組を推進してまいりたいと存じます。
6点目、プラスチックごみ削減に向けた取組と成果、今後の強化等についてでございますが、本県では、国に先駆けて、県下一斉でレジ袋の無料配布を中止する取組を進め、レジ袋辞退率は90%を超えているとのことでございます。加えまして、プラごみゼロに向けた実践取組の指針の策定や優良事例の横展開などにより、マイボトルへの給水スポットや、プラスチック製スプーン等の提供を控える店舗や、歯ブラシ等を客室に置かない宿泊施設が増えるなど、プラごみ削減の取組が広がってきているところです。
今後は、10月より、しがプラスチックチャレンジプロジェクトを展開いたしまして、毎月1日を「しがプラチャレンジの日」として、使い捨てプラ製品を使わないライフスタイルなどを広く呼びかけてまいりますとともに、子供たちにも動画等で分かりやすく啓発を行うなど、県民や事業者など様々な主体が積極的に実践できるよう、後押しをしてまいる所存でございます。
続いて、大きな8項目め、健康しがについて、こちらは3点頂きました。
まず、現状はどうなのかと、また、目指す姿は何なのかということでございますが、現行の第2次健康しが推進プランの取組におきましては、習慣的に運動している人や自分の歯が残る高齢者の増加、喫煙率の減少などの成果がありました。一方で、野菜や食塩の摂取量は目標に到達しておらず、メタボリックシンドロームの対象者も減少していないなど、生活習慣病予防へのさらなる取組が必要だと考えております。
今後は、生活習慣病健診の受診や栄養バランスの取れた食事の摂取、食後の歯磨き習慣などの健康なひとづくりと地域の居場所づくりや、受動喫煙防止、交通や公園、散歩道の整備などの健康なまちづくり、さらには将来を見据えた子供から高齢者までの切れ目のない対策を推進することなどにより、健康寿命の延伸を目指してまいりたいと存じます。
2点目の、疾病対策や健康づくり等に係る11計画の整合性についてです。
誰もが自分らしく幸せを感じられる健康しがの実現を全ての計画の共通理念に掲げ、方向性を一にして策定を進めております。
具体的には、感染症予防やがん対策など各分野の協議会等で御意見を求め、各計画の基本となる滋賀県保健医療計画の策定作業を通じて調整の上、医療審議会にお諮りし、整合を図ることとしており、各事業の実施に当たりましても、計画に基づき、連携した取組を進めてまいりたいと存じます。
3点目、認知症の現状と今後の取組についてでございますが、令和2年には県内に約6万4,000人の認知症高齢者がおられると推計しており、この数は、今後さらに増加するものと見込まれております。こうした状況を受けまして、認知症サポーター養成等により、地域で認知症理解を深めるための取組を進めますとともに、本人の意欲や能力に応じた就労支援や認知症カフェ等による社会参加の促進、さらには家族を対象とした電話相談など、様々な角度から取組の一層の推進を図ってまいる所存です。こうした方向感につきましては次期レイカディア滋賀高齢者福祉プランにも盛り込んでいきたいと考えております。
こうした取組を通じまして、認知症になっても自分らしく希望と尊厳を持って安心して暮らし続けることができる地域づくりを進めてまいりたいと存じます。
大きな9項目め、子供施策についてお答えをいたします。
まず1点目の、子供の医療費助成についてでございますが、この制度は、子供政策の中でも命や健康に関わるセーフティーネットに係る取組でありますことから、特に優先的に取り組む必要があると考えております。そのため、県内の全ての子供が等しく医療サービスを受けられるよう、また、制度の充実を県民の方に実感していただけるよう、多くの市町では中学生まで対象とされている現状を踏まえまして、今回の拡充案を提案させていただいたところです。また、中学生を対象としていない彦根市と栗東市におかれましても、来年度から拡充を検討されているとお聞きしており、全ての子供たちが高校卒業年齢まで切れ目なく医療サービスを受けることができる体制になりますことから、県全体のセーフティーネット強化につながるものと考えております。
2点目、実施時期、また市町への支援についてでございますが、今回の制度拡充に当たりましては、市町に対してアンケート調査や担当者会議を行い、制度の開始時期に関することやシステム改修への対応、医師会等との調整など、様々な御意見を頂いているところで、県といたしましても、各市町が円滑に制度を導入いただけるよう、その対応を進めているところです。
また、開始時期に関しましては、市町の実情に応じて、令和6年度中のいずれかの時期に実施していただけることとしたいと考えているところです。
3点目、交付金創設についてでございますが、県全体での子供政策充実のため、各市町においてもさらなる取組の充実を図っていただけるよう、自由度の高い交付金を創設したいと考えております。その交付金の活用につきましては、市町が想定しておられる事業を参考に、市町が着実に施策を推進していただけることを念頭に置きながら、必要額も含め、明日開催を予定しております滋賀県子ども政策推進本部で一定の方針を取りまとめたいと考えているところです。
また、子ども施策は単年度で効果を出せるものではないことから、少なくとも複数年はこの交付金を活用して事業が実施できるよう検討してまいりたいと存じます。
4点目、そういったことも含めた私の決意についてでございますが、議員御紹介のとおり、先般、全国知事会の子ども・
子育て政策推進本部の本部長を仰せつかることとなりました。全国一律で実施する必要がある制度につきましては、都道府県の声を集約し、国に強力に要望もしていかなければならないと考えております。
また、今回予定しております、都道府県単位では実施が少ない高校生世代を対象とした医療費助成や本県独自の市町向け交付金の創設等、今後も全国の子供政策を牽引していく覚悟で臨んでいきたいと存じます。
滋賀県の子供政策が充実したと県民の皆さんに実感していただけるよう、県だけではなく、市町とも連携いたしまして、さらなる施策の充実に取り組んでまいりたいと存じます。
5点目、本県における青少年の性犯罪関係の状況についてでございますが、令和4年の県青少年条例と児童ポルノ法による被害児童数は合わせて41人、また、これらの違反により検挙された少年の数は7人ということでございます。
また、今回の改正によって保護対象となる年齢の拡大や、自画撮り被害に遭う前の要求行為が規制されることにより、青少年に対する保護が手厚くなりますとともに、深刻な被害を未然に防止する効果があるものと考えております。
さらに、改正内容の周知、啓発を通じまして、市町や学校、警察等関係機関、団体との連携強化にもつながるものと考えております。
6点目、さらなる被害者支援の取組についてでございますが、本県では、SNS等インターネットを通じた性犯罪につきましても、性暴力被害者のための相談窓口であるSATOCO──性暴力被害者総合ケアワンストップびわ湖におきまして、ワンストップで総合的な支援を行っており、県警察とも連携して対応しております。
インターネットを通じた性犯罪につきましては、議員御指摘のように、被害者に寄り添った迅速な支援がより必要となりますことから、今後、相談員への専門的な研修やITに精通した弁護士との連携など、支援体制の充実を図ってまいりたいと存じます。
また、画像等の削除を弁護士等に依頼した場合の費用につきましては、現在、国におきまして、犯罪被害者等支援弁護士制度の創設が検討されていると承知しておりまして、その内容等を注視し、必要な対応を取ってまいりたいと存じます。
◎警察本部長(中村彰宏) (登壇)子供政策に関する7点の御質問のうち、私に対する1点の御質問についてお答えをいたします。
今回の改正を受けて、青少年を被害から守るための今後の対応についてでありますけれども、今回の法改正、条例改正により、重大な被害に至る前の行為、例えば児童ポルノを要求する行為等が規制されますことから、これらの法令を適切に運用するなど、青少年の保護対策を推進してまいりたいと考えております。
また、被害者支援に関しましては、引き続き、おうみ犯罪被害者支援センター等関係機関と連携するとともに、必要に応じて、医療機関への円滑な引継ぎや保護者のカウンセリングを並行して行うなど、被害者に寄り添った、適切で丁寧な支援を行ってまいりたいと考えております。
◎知事(三日月大造) 最後に、私に賜りました項目、産業誘致と中小企業支援について、こちらは4点頂きました。
1点目、産業誘致戦略の検討状況についてでございますが、産業誘致戦略につきましては、当初、7月の策定を目指しておりましたが、戦略骨子案について議会や市町等から多くの御意見を頂き、中でも産業用地の確保や企業ニーズに基づいた助成金等について強く御要望いただいているところでございます。
戦略におきましては、より具体的な取組の方向性をお示しすることが必要と考えまして、改めて、市町や企業と意見交換を行い、産業用地の確保策や企業に対する新たな支援制度などの検討を進めているところでございます。
今後、県といたしまして重点的に取り組む産業分野や、立地に向けた支援策等について具体的にお示しし、世界から選ばれる滋賀、投資を呼び込む滋賀を実現してまいりたいと存じます。
2点目、企業の人材育成強化施策についてでございますが、県内中小企業の人材育成の悩みやリスキリングに対する認識を共有するため、経営層や人事責任者等を訪問し、ヒアリング等を実施しているところでございます。
製造業を中心とした多くの中小企業は、経営力強化に向けた人材育成方針や研修計画が十分に整備されていないことや、人事施策よりも他の経営課題が優先されているといった状況もございます。このため、経済団体や関係機関、有識者等とも連携いたしまして、中小企業の人材育成支援策を検討することとし、検討に当たりましては、生産性向上につながるDXやGXを視野に入れながら、中小企業や従業員の成長につながるリスキリングを促してまいりたいと存じます。
3点目、奨学金返還支援制度につきましては、これまでから、どのような制度設計が中小企業の人材確保に有効な制度となるのか研究を続けているところであり、市町や県内事業者のニーズ等を見極めながら、財政的な負担や選択し得るほかの有効な施策も考慮いたしまして、検討してまいりたいと存じます。
最後、中小企業に向けたアンケートについてでございますが、今年度の回収率の低下につきましては大きく2点の要因があると考えられるとのことでございます。
1点目は、これまで紙やファクスによる回答が大半を占めてきた中で、回答集計等の効率化を図るため、原則、インターネットでの回答とさせていただいたということが1つ目、2点目は、経済情勢の変化に伴う経営課題を把握させていただくため、価格転嫁の状況やゼロゼロ融資の返済など、設問数を増やしたことが影響したのではないかと考えているところです。
そのため、回収率の向上に向けまして、今後の実施方法につきましては、引き続き電子化を図りつつ、回答者の立場で設問数や回収方法を見直し、御指摘いただきました手法等も参考にしながら、より多くの回答が得られるよう、工夫、また努力をしてまいりたいと存じます。
◎教育長(福永忠克) 教育環境の変化と対応について私に頂きました3点の御質問にお答えをいたします。
1点目の、科目「公共」の影響についてでございますが、新設科目「公共」は現代の諸課題を追求したり解決したりする活動を通して学びを深める科目でありまして、従来の科目「現代社会」と比べ、現実社会を題材とした探求的な活動に重点を置いているところでございます。
各学校では、世界的な課題から身近な課題まで、それらの解決に向けて、ICTを活用してグループで話し合ったり発表したりする活動がより多く取り入れられるようになってきております。また、新聞記事を活用しながら、最新のニュースや地域の課題を題材として取り上げるなど、これまで以上に生徒の関心を高める工夫に努めているところでございます。
2点目の、主権者教育の現状と課題、目指すべき方向性と今後の具体的施策についてでございますが、主権者教育を進めていく上では生徒の政治的関心を高めることが必要でございます。
県立高校では、授業だけでなく、総合的な探究の時間や特別活動など様々な機会で主権者教育に取り組んでいるところでございます。具体的には、先ほど御答弁いたしました「公共」の授業のほか、模擬選挙や地元の市議会議員との意見交流会、地域の未来を考えるフォーラムなどを実施しておりまして、それらを通して、生徒が地域や現代の諸課題を自分事として捉え、主体的に社会に参画する資質、能力を育成をしているところでございます。
今後も引き続き、それぞれの学校の取組がより充実するよう、教育委員会主催によるセミナーの実施や、工夫を凝らした実践事例の発信に努めてまいります。
3点目の、多様な支援スタッフの活用についてでございますが、本県におきましても、教員の負担軽減や児童生徒へのきめ細かな支援にとって教員業務支援員や部活動指導員など外部人材の果たす役割は大きなものと認識をしておりまして、現場のニーズを踏まえながら、その配置を拡大してきたところでございます。
外部人材のうちスクールカウンセラーや部活指導員など専門的な知識、技能が必要な人材につきましては、その確保をどのように図るのかが課題の一つであると認識をいたしております。今後、こうした専門的な人材につきましては、関係団体と連携して、その確保に努めますとともに、引き続き、現場の声を丁寧に聞きながら、必要とされる外部人材の配置に努めてまいる所存でございます。
◎
選挙管理委員会委員長(世古正) (登壇)私に頂きました、主権者教育についての御質問にお答えをいたします。
県選挙管理委員会としましても、特に若年層の投票率向上が課題と認識しており、学校現場や市町選挙管理委員会と連携しながら、県内の高校2年生全員を対象とした選挙に関するアンケートや、児童生徒を対象に模擬投票を行う明るい選挙出前講座を実施をし、選挙の仕組みや重要性についての啓発に力を入れているところであります。
令和4年度に実施いたしました選挙に関するアンケートでは、「政治に関心がある」や「投票に行こうと思う」と答えた生徒の割合が、平成17年度の調査開始以降、最高となったところであります。これまでの取組が一定の成果を上げているものと考えておりますが、引き続き、長期的な視野に立ちまして、継続的かつ地道に進めていきたいと考えております。
さらに、近年、高校生による啓発動画の作成や、投票立会人に学生等を積極的に選任するといった優良事例がございまして、若年層への有効な啓発として、各市町選挙管理委員会に対しまして事例紹介や助言等をしていくとともに、他の都道府県の事例の研究を重ねるなどして、より効果的な施策について検討してまいりたいと考えております。
◎警察本部長(中村彰宏) 琵琶湖における水難、船舶事故に関しまして、私に頂きました3点の御質問にお答えをいたします。
1点目の、水難事故の現状、課題、今後の対策についてでありますが、本年の水難事故は、9月24日、昨日現在で7件発生しており、子供1人を含む4人がお亡くなりになりました。
本年開設された30か所の県下水泳場のうち28か所が湖西地域に集中をしており、本年の死者は全て湖西地域に偏っております。また、水難者は全員が県外者であり、遊泳区域外で遊泳中の方、飲酒された方も含まれております。
県警察では、引き続き、湖上、湖岸の警らを強化し、「水泳場以外で遊泳しない」「子供から目を離さない」「飲酒後は泳がない」などを、直接、呼びかけてまいります。
また、県外者に向けて、高速道路のサービスエリアや主要な駅でのポスター掲示等による啓発に努めてまいります。
加えて、水泳場開設者に対しましても、監視体制の強化や水深の表示等の安全対策を求めてまいります。
2点目の、船舶事故の現状と課題、今後の対策についてお答えいたします。
本年の船舶事故につきましては、9月24日現在で48件、死者2人、うち水上オートバイによるものが19件、死者1人となっております。
これら事故の主な態様は、水泳場付近での水上オートバイの無謀操船による事故、荒天時の出航による沈没、燃料切れによる漂流等であり、県警察では、特に水泳場付近の警備艇による取締りを強化し、無謀操船者に対しては、あらゆる法令を駆使して検挙、指導してまいります。
また、条例で義務づけている水上オートバイ安全講習において事故防止教育をより強化するほか、マリーナへの安全対策の呼びかけ、関係団体等と連携した事故防止対策の啓発を強化してまいります。
3点目の、水上オートバイの安全対策についてお答えいたします。
議員御指摘のとおり、無免許での事故や水上オートバイ同士の衝突による死亡事故が発生をしておりまして、警察としては、取締りの強化、事故防止のための指導啓発を不断に行う必要があると考えております。
本県や他県の事故事例を踏まえまして、酒気帯び操船等に係るルールづくりや、取締り、指導、啓発の方法を検討してまいります。
ただし、罰則つきのルールを定めるに当たりましては、取締り等により遵守を担保する必要があること、規制対象が水上オートバイに限らず全ての湖面利用者となり得ることなどにつきまして、慎重な見極めが必要になると認識をしております。
○議長(奥村芳正) 以上で、会派代表による質疑ならびに一般質問を終わります。
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△休会の議決
○議長(奥村芳正) お諮りいたします。
明26日および27日は、議案調査のため休会いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
(「異議なし」)
御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
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○議長(奥村芳正) 来る28日は、定刻より本会議を開き、上程議案に対する質疑ならびに一般質問を行います。
本日はこれをもって散会いたします。
午後2時46分 散会
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