滋賀県議会 2023-06-27
令和 5年 6月定例会議(第2号〜第8号)−06月27日-02号
令和 5年 6月定例会議(第2号〜第8号)−06月27日-02号令和 5年 6月定例会議(第2号〜第8号)
令和5年6月
定例会議会議録(第3号)
令和5年6月27日(火曜日)
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議事日程 第2号
令和5年6月27日(火)
午 前 10 時 開 議
第1 議第84号から議第97号まで(令和5年度滋賀県
一般会計補正予算(第2号)ほか13件)の各議案に対する質疑ならびに一般質問
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本日の会議に付した事件
第1 日程第1の件
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会議に出席した議員(44名)
1番 谷 口 典 隆 2番 田 中 英 樹
3番 谷 成 隆 4番 小 河 文 人
5番 菅 沼 利 紀 6番 桐 田 真 人
7番 岩 崎 和 也 8番 野 田 武 宏
9番 森 重 重 則 10番 田 中 誠
11番 河 村 浩 史 12番 柴 田 栄 一
13番 中 山 和 行 14番 赤 井 康 彦
15番 河 井 昭 成 16番 佐 口 佳 恵
17番 小 川 泰 江 18番 田 中 松 太 郎
19番 清 水 ひ と み 20番 井 狩 辰 也
21番 本 田 秀 樹 22番 柴 田 清 行
23番 重 田 剛 24番 白 井 幸 則
25番 村 上 元 庸 26番 桑 野 仁
27番 周 防 清 二 28番 海 東 英 和
29番 加 藤 誠 一 30番 目 片 信 悟
31番 有 村 國 俊 32番 岩 佐 弘 明
33番 川 島 隆 二 34番 奥 村 芳 正
35番 駒 井 千 代 36番 木 沢 成 人
37番 清 水 鉄 次 38番 大 野 和 三 郎
39番 角 田 航 也 40番 冨 波 義 明
41番 九 里 学 43番 今 江 政 彦
44番 中 沢 啓 子 45番 節 木 三 千 代
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会議に欠席した議員(なし)
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会議に出席した説明員
知事 三 日 月 大 造
教育長 福 永 忠 克
選挙管理委員会委員長 世 古 正
人事委員会委員長 池 田 美 幸
公安委員会委員長 北 村 嘉 英
代表監査委員 河 瀬 隆 雄
副知事 江 島 宏 治
副知事 大 杉 住 子
知事公室長 松 田 千 春
総合企画部長 浅 見 裕 見 子
総務部長 東 勝
文化スポーツ部長 谷 口 義 博
琵琶湖環境部長 森 本 哲 司
健康医療福祉部長 大 岡 紳 浩
商工観光労働部長 林 毅
農政水産部長 岡 田 英 基
土木交通部長 三 和 啓 司
会計管理者 中 田 佳 恵
企業庁長 東 郷 寛 彦
病院事業庁長 正 木 隆 義
警察本部長 中 村 彰 宏
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議場に出席した
事務局職員
事務局長 箕 浦 宏 昌
議事課長 野 口 浩 一
議事課参事 内 田 吉 行
午前10時 開議
○議長(奥村芳正) これより本日の会議を開きます。
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△諸般の報告
○議長(奥村芳正) 日程に入るに先立ち、諸般の報告をいたします。
議第89号議案について、
地方公務員法第5条第2項の規定に基づき、
人事委員会の意見を求めておきましたところ、お手元に配付いたしておきました文書のとおり回答がありましたので、御報告いたします。
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○議長(奥村芳正) これより日程に入ります。
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△議第84号から議第97号まで(令和5年度滋賀県
一般会計補正予算(第2号)ほか13件)の各議案に対する質疑ならびに一般質問
○議長(奥村芳正) 日程第1、議第84号から議第97号までの各議案に対する質疑ならびに一般質問を行います。
本日は、会派代表による質疑ならびに一般質問であります。
発言通告書が提出されておりますので、順次これを許します。
まず、26番
桑野仁議員の発言を許します。
◆26番(
桑野仁議員) (登壇、拍手)おはようございます。
自由民主党滋賀県議会議員団を代表して質問をさせていただきます。
質問に入る前に、このたびの令和5年5月に発生した震度6強の石川県能登地方を震源とする地震、また、震度5強の千葉県南部を震源とする地震、そして、6月の梅雨前線による大雨および台風2号の災害等によりお亡くなりになられた方々に謹んでお悔やみを申し上げますとともに、被害に遭われた方々に心からお見舞いを申し上げます。一日も早い復旧をお祈り申し上げます。
さて、知事は、議会初日の県政運営に当たっての思いの中で、自然災害から県民の生命と財産を守るため、関係機関とも緊密に連携しながら緊張感を持って対応する、
社会インフラの整備や維持管理などの防災・減災対策の充実強化を着実に進めていくと述べられています。
河川でいうと、本県では琵琶湖に直接流入する一級河川が117本あり、これらを含めると500以上の河川が存在しています。過去においても河川の氾濫が県内各地で起こっています。世界的な異常気象の中で自然災害等はいつ起こるか分かりません。起こってから対応していては手後れになります。ぜひとも
社会インフラ整備、維持管理について早急な事業着手に向け、取り組んでいただきたいと思います。
また、知事は同じく思いの中で交通税についても述べられました。誰もが行きたいときに行きたいところへ移動ができる持続可能な地域交通の確保、これは多くの県民の願いであり、本県として取り組まなければならない最重要事項だと考えます。現在、令和5年度に新たな
滋賀地域交通ビジョン策定に向け取り組んでおられますが、その中でも目指す地域交通の姿の実現に向け、民間投資の呼び込み、国の支援の活用、県としての財源規模や負担、分担の在り方などについて、参加型税制の取組等により検討を進めていくとされています。
滋賀県
税制審議会からは、
滋賀交通ビジョンの見直しと並行して税制導入へ向けた検討を一体的に行いながら、県と市町との協調の下に住民参加を促しつつ、地域ごとのニーズを掘り起こしていくことを企画して、住民に納得感が得られる形を目指していくことが求められる、また、税収の使途については、将来の
地域公共交通の姿をどのように描くのかについて県民との合意形成を図ることが先決であって、課税方式についても、既存税目の超過課税を基本としながら、複数の税目を組み合わせていくことも選択肢としつつ、県民との議論を踏まえて考えていくべきであるとの答申がなされています。
知事は、県民の皆様との対話による公論熟議を積み重ねていきますと言われていますが、地方自治における二元代表制の一翼を担う議会に対してはその内容が明確に示されていない状況です。早急に全容を明らかにしていただくよう、苦言をここで呈しておきたいと思います。
さて、
新型コロナウイルス感染症の感染法上の位置づけが5月8日に5類に移行され、もうすぐ2か月になります。6月30日からは
京阪電鉄石山坂本線で「
ビールde電車」が期間限定で4年ぶりに復活したり、8月8日にはびわ湖大花火大会が同じく4年ぶりに開催されます。そのほかにも多くの行事が再開されるなど、本格的な
地域経済回復への期待が高まっています。
そうした中で、提案説明時に知事から、ホールの子事業を見に行かれて感動されたというお話をされました。実は私も、今回、このお話をこの場でさせていただこうと思っておりました。知事が先にお話をされましたのでどうしようかと考えたんですが、やはりこの感動は話しておくべきだと思い、私から少しお話をさせていただきたいと思います。
私がホールの子を見に行ったのは6月2日の午前中の公演でした。ホールの子に参加するのは3回目ですが、コロナの関係で中止されていた「みんなで歌おう!」が再開され、子供たちがアンサンブルの方々と「翼をください」を合唱しました。ホール内に響くほどの大きな声で子供たちが歌う姿に涙が出るくらい感動しました。終了後、少しだけ子供たちを見送ったのですが、子供たちの笑顔があり、また、「ありがとう。楽しかった」との言葉を聞いて改めて感動するとともに、この事業の重要性を再認識したところです。過去に何度もホールの子に行かれた議員もおられると思いますが、もしホールの子に行っておられない議員の方がおられましたら、ぜひ、来年度はホールの子に出かけていただき、滋賀県の将来を担う子供たちの笑顔を見ていただくとともに、元気をもらい、感動を得ていただきたいと思います。
それでは、
発言通告書に従って、知事、教育長、
警察本部長に質問をさせていただきます。なお、答弁者を指名する質問以外は全て知事に答弁をお願いいたします。
まず初めに、県政推進におけるAIの活用についてお尋ねします。
生成人工知能、いわゆる生成AIがすさまじい勢いで広がっています。さきの先進7か国サミットでも、開発、利用に関して網羅的な方針を示されましたが、人間が生み出した科学技術は人間の尊厳を守った上で使うのが原則ということは早くから議論されています。
本県でも、ITの進化に伴って新たなサービスや
ビジネスモデルが展開され、また、コストを削減し、働き方や
社会そのものの変革につながる施策を推進するとして、令和4年3月に滋賀県
DX推進戦略が策定されました。
デジタル技術の活用によって、様々な事務作業の効率化などの働き方改革にとどまらず、県が担う
行政サービスについても県民の利便性を向上させることが求められています。
初めに、
デジタル技術を活用し、DXを力強く推進している滋賀県として、県民本位の
サービス改革を実現するために県の
行政サービスはどのように変化していっているのか伺います。
さて、4月の知事の
定例記者会見でのことですが、県職員が三日月知事の名前について
対話型AI──人工知能の一つである
チャットGPTに尋ねたところ、「三日月大造は日本の漫画家です」との珍回答が返ってきたと報じられていました。その
生成人工知能、以降、生成AIといいますが、を業務に活用することが脚光を浴びています。生成AIを使いこなすことで業務の生産性が上がるなどのメリットもありますが、一方、著作権や個人情報の保護、機密情報の管理や誤情報が含まれるなどの課題も多いようです。
知事は7月をめどに生成AIの県庁における活用方針を取りまとめると表明されていますが、国においては、
活用ポテンシャルとリスクの両面があることから、個人情報などへの配慮も含めた活用に当たっての
ルールづくりを始めています。
そこで、知事は、そもそも生成AIが身近なものになってきたこと自体をどのように受け止め、リスクやマイナス面も踏まえて、どのように社会が変化すると考えているのか伺います。
現在、県で活用を検討されている
チャットGPTなど生成AIについても、県の推進戦略において取り組む、暮らし、産業、行政の3つの領域のうちの一つである行政のDXの分野で業務の効率化や
県民サービスの向上につながることが期待されています。行政のDXの取組として、
デジタルシフト、変わる滋賀、変わる行政、デジタル化を掲げられていますが、検討されているAIの活用方針を受けて、行政のDX推進の観点から、今後、推進戦略を見直す必要はないのか伺います。
知事は職員に活用方針の取りまとめを指示されましたが、政府は去る5月11日に人工知能──AIの活用方針を検討する有識者による
AI戦略会議を発足しています。日本版の開発を促進しつつ、個人情報への配慮などのルールも議論されるようです。現在、県には行政事務の高度化および効率化、
行政サービスの向上ならびに情報資産の適切な管理を図るため、情報処理および
情報セキュリティー対策に関し基本的な事項を定めた滋賀県
情報処理規程がありますが、AI活用についてリスクがあるとするならば、規程の見直しも併せて検討すべきと考えます。県民の
個人情報等の重要な情報を扱う県として、
情報セキュリティー対策をどのように考えているのか伺います。
膨大なデータから客観性を導くAI。県行政には様々な分野における施策等を通じて多くのデータが集まり、蓄積されていますが、これらのデータを有効に活用することで、
県民サービスのさらなる向上や業務の一層の改革を進めなければなりません。県では数年前から、客観的なデータなどの証拠に基づく政策立案、いわゆるEBPMの取組を進めています。これまでは
データ分析スキルを備えた職員の養成をされてきましたが、いよいよ実践の時です。今後はAIが膨大なデータを分析し、それを証拠に、それまでの政策判断の可否や新たな政策立案などの業務に活用されるものと期待をします。データの価値を最大限に引き出す上で、間違いなくAIの活用には大きな可能性があると思います。今後の施策展開におけるAIを活用したEBPMの取組についての考えを伺い、この項の質問を終わります。
次に、滋賀
県行政経営方針と
医療福祉拠点整備についてお尋ねします。
県では昨年度末に、滋賀
県行政経営方針2023−2026〜対話と共感、共創で築く県民主役の県政の実現のために〜を策定されました。方針本文によると「いかにして県庁が有する経営資源を充実させ、その質や価値を守り、高め、最大限活用しながら行政課題に的確に対応し、成果を上げていくのかといった視点から行政経営の基本的な考え方を定める」とあります。我々県議会としても、県民からの負託に応えていけるよう、この方針の着実な推進を求めるものです。
また、本方針では、現在の県庁における現状と課題として、県庁の職員構成の変化や新たな行政需要への対応とワーク・ライフ・バランスの実現、そして財政の持続可能性の確保が掲げられています。
そこで、安定的な財政運営を行う上での歳入確保の取組について、本方針では、この4年間において累計で623億円の財源不足が見込まれていますが、今後、県として自主財源の確保ならびに県有資産の売却、利活用についてどのような取組を進めていくのか、その戦略について伺います。
行政需要、
県民サービスが滞ってしまうことがあってはならないことです。このまま何もしなければ財源不足になるのは当然であり、改革が必要なことは言うまでもありません。いかに財源を確保するか、自主財源の確保等に向けた取組も行いつつ、今回の補正も、コロナをはじめ国の交付金によるところも大きいです。知事は政府提案に行かれましたが、新たな経営方針の推進において、交付税を含む国費確保に向けた方針と戦略について伺います。
平成27年9月28日に公布され、同日から施行された琵琶湖の保全及び再生に関する法律があります。この法律は、
国民的資産である琵琶湖を健全で恵み豊かな湖として保全および再生を図り、もって近畿圏における住民の健康な生活環境の保持と近畿圏の健全な発展に寄与し、湖沼がもたらす恵沢を将来にわたって享受できる、自然と共生する社会の実現に資することを目的とするものです。
母なる湖、マザーレイクとして、京都、大阪、兵庫の約1,400万人が利用する貴重な水資源にもなっています。
国民的資産として位置づけられた琵琶湖を守る施策を推進するにおいては、恩恵を受ける下流府県に対しても、一定、負担を求めるべきではないかと考えます。
昨年度、令和4年12月より知事は
関西広域連合長に就任をされましたが、本法律の目的達成のために、下流の
関係地方公共団体に財源を求めることについての見解を伺います。
また、本方針では様々な行財政改革の取組や目標が掲げられていますが、特に重点的に取り組んでいく項目として、「ヒト・財源の配分をシフトするための業務の見直し、効率化」と「県庁を担うひとづくり」という2つの項目が掲げられています。本方針にあるとおり、人こそが最大の経営資源です。職員の皆様が持つ力を最大限に発揮できるよう県政運営に努める必要があると思いますが、まずは、ヒト・財源の配分をシフトするための業務の見直し、効率化について、既に取組が始められているのか、また、今後どのような点に重点を置いて取り組んでいくのか伺います。
もう1つの重点取組である県庁を担う人づくりについて、令和5年度より定年を60歳から2年に1歳ずつ段階的に引き上げて、令和13年度に65歳とする滋賀県職員の定年等に関する条例が改正されました。61歳以上の職員が培ってきた知識と経験を公務で活用できる一方、
定年引上げ期間中は2年に1度、定年退職者が出ないことになりますが、そうした中でも安定的に新規での職員採用も行っていく必要があります。こうした高齢職員の増加に加えて、若年層においては女性職員や育児休業を取得する男性職員が増加してくるほか、
障害者雇用率の引上げに伴って障害のある職員も増加するなど、県庁の職員構成が多様化する中において、人づくり、働きやすい職場づくりについて既に取組が始められているのか、また、今後どのような点に重点を置いて取り組んでいくのか伺います。
今お聞きした滋賀
県行政経営方針2023−2026における重点取組をはじめ、ヒト、モノ、財源、情報の
経営資源ごとに整理された指標、取組項目の達成に向けた知事の決意について伺います。
知事は、6月12日の定例会見にて、教育会館の跡地とその周辺の県有地に医療福祉の拠点となる施設を新たに整備することを改めて明らかにされました。
本
行政経営方針では、経営資源の一つであるモノについて、民間活力を積極的に生かし、PPP/PFIなどの手法による効果的、効率的な整備をすることや、令和7年度末において県全体の施設総量を平成27年度末より増加しないとされています。こうした方針があってなのか、発表された
医療福祉拠点の整備では、これまでのPFIではなく、定期借地権を設定した上で土地を貸付けし、
医療福祉関係の
人材養成機能部分の全てを民間の力で行おうとするものです。
県行政経営方針に照らして、
医療福祉拠点の整備手法についての考え方を伺います。
さらに、
医療福祉関係の
人材養成機能、県庁周辺の
にぎわい創出、また、建物や設備、運営全てを
民間事業者の提案に委ねることで目的が達成できるのかという懸念がありますが、そうした担保をどのように確保するのか伺います。
紆余曲折の中、ようやく動き出したことには大きな期待があります。そこで、
医療福祉拠点整備の
スケジュール感や、また、その意義について伺うとともに、
医療福祉拠点整備に係る知事の決意を伺い、この項の質問を終わります。
次に、滋賀の文化行政についてお尋ねします。
今回の文化庁の京都への移転を契機に、長官をトップにした庁全体の政策について企画、調整する組織で、日本の文化芸術の国際発信などを戦略的に進める
長官戦略室、日本の食文化の振興や情報発信などを行う
食文化推進本部、地域の文化資源を生かした観光振興などを行う
文化観光推進本部が新たに設置され、5月15日から業務が本格的に開始され、
文化庁京都移転の祝賀の集いにおける岸田総理の挨拶や、第2期の
文化芸術推進基本計画を踏まえ、文化芸術を通じた地方創生や国内外への発信を着実に進めるとともに、伝統×創造により新たな価値を生み出そうとしています。こうした動きから、知事は文化庁の移転が新たな歴史の起点になるだろうとの実感から、4月18日に県庁内に国・
県文化連携担当を設置し、文化庁との連携を深め、今後の施策の
企画立案等に生かしていこうとしていることがうかがえます。
そこで、
関西広域連合長の立場も含めて、文化庁に対する期待と地域文化のありようをどのように描いているのか伺います。
日本を代表する作曲家である
都倉文化庁長官は、2025年大阪・関西万博を見据え、食文化や文化観光の一層の推進を通じた地方創生に取り組むとともに、地域の特徴を生かした特色ある取組に向け、
地方公共団体等とのさらなる連携方策を検討するとの長官通達を発するとともに、「文化庁は日本の文化芸術を世界に、そして次の世代に伝える重要な役割を担っている。
文化芸術立国を目指す役割に立って邁進したい」と意気込みを語られています。その
都倉文化庁長官が、
びわ湖ホールや
比叡山延暦寺根本中堂の大改修を見学され、知事が彦根城の
世界遺産登録に向けた取組やふなずしなどの
発酵食文化を紹介するとともに、文化財の保存活用や担い手について意見交換したとの新聞報道がありました。滋賀の文化芸術をはじめ、このたび
登録無形民俗文化財となった近江のなれ
ずし製造技術等の実態など、有形無形の滋賀の文化に触れていただけるよう、
地理的優位性を生かして、文化庁との緊密な連携、取組を継続していくことが求められます。
そこで、今回の懇談は、滋賀の文化を磨き、文化観光の発信の起点となると思いますが、文化庁移転を滋賀の文化振興に具体的にどのように生かしていこうとしているのか伺います。
本県では、文化振興施策の総合的な推進を図り、もって心豊かで潤いのある県民生活および個性豊かで活力にあふれる地域社会の実現に寄与することを目的とした滋賀県文化振興条例に基づき、滋賀県文化振興基本方針(第3次)が策定され、基本方針では「文化芸術の力で心豊かな活力ある滋賀を創る」を目標にしています。観光、産業振興、景観、まちづくりなどの施策との総合的かつ一体的な推進を図るため、文化財保護行政を知事部局に移管して3年が経過しますが、これまでの取組の成果と今後の展開について伺います。
無形文化財と無形民俗文化財の登録制度により、これまで以上に広く保護の網がかかり、今後、生活文化の継承に広がりが期待されます。今日まで建造物保存修理やお祭りの催行に欠かせない道具類等の修理に滋賀県文化財保存基金を活用して文化財を守ってきていますが、地域で大きな課題となっている祭り自体の存続、また、その担い手や保存技術者の継承支援などに不安があり、現状では文化財が守れないという事態が出現しそうです。
そこで、多様な文化財が全ての県民に大切に育まれ、次の世代に継承されるよう配慮されなければならないという条例の基本理念を踏まえた県の役割をどのように考えているのか伺います。
県の文化施設として、美術館、埋蔵文化財センター、芸術劇場
びわ湖ホール、希望が丘文化公園、安土城考古博物館などがあり、市町にも数え切れない文化施設を有し、また、神社仏閣、城郭等、至るところで文化の薫り漂っているのが本県です。
新・琵琶湖文化館は滋賀の歴史や風土を国内外に紹介し、県内各地へいざなう新たな顔、入り口となります。文化観光の推進に向け、文化施設情報の一元化を図り、コーディネートしていくことが重要と考えますが、新・琵琶湖文化館を起点にどのように展開しようとしているのか伺います。
令和8年に安土城築城450年を迎えるに当たり、令和の使節団としてバチカン市国訪問は屏風探索の新たな糸口を見いだせたのではないかと思います。長いスパンで対話し続けることが大切であるとの大杉副知事からの報告でしたが、セミナリヨをキーワードにした組織的な連携を継続する手段として文化国際交流へと広げる中で、屏風探索につなげていくことができないのか、今後の展望を伺い、この項の質問を終わります。
次に、子供施策についてお尋ねします。
少子化は、人口減少につながり、社会保障や労働、地域社会の担い手不足により国力の低下を招きかねない、我が国が直面している最大の危機であることは申し上げるまでもありません。2022年に我が国で生まれた子供の数は77万747人と、統計を開始した1899年以来最少となり、しかも、その減少傾向に歯止めがかからない状況にあります。
15歳未満人口の割合が大きい本県においても、2022年に生まれた子供の数は9,766人と初めて1万人を割り、合計特殊出生率は1.43と、昨年1.46から0.03ポイント低下しました。親となる世代の人口が減った日本で、多少、出生率が上がった程度では出生数は増えないという現状を意識すべきです。
このような中、国においては、こどもまんなか社会への実現を目指して、本年6月にこども未来戦略方針が閣議決定されました。この戦略方針では、1、若い世代の所得の拡大、2、社会全体の構造・意識の転換、3、全ての子供、子育て世帯に対するライフステージに応じた切れ目ない支援という3つの基本理念が掲げられ、まさに子供施策を国の最重要課題の一つとして重点的に取り組むという方針を明確に示された点は大きな転換点の一つであると期待を寄せているところです。
そこで、国がこどもまんなか社会への実現の方針を明確に示したことについてどのように評価し、期待されているのか、その認識を伺います。
本県では、今年度から4年間の県の基本方針を定める中で、次世代を担う子供、若者と共に歩む滋賀の未来をシン・ジダイと位置づけられました。この機を捉えて、子育てに関わる政策ニーズを的確に捉え、子供施策のきめ細やかな展開を、一層、図っていくことが重要であると考えます。言うまでもなく、子供施策は、生まれる前から自立するまでの切れ目ない支援を行う上で成長の各段階に応じた関わりがあり、教育、保健、福祉、文化、スポーツなど幅広い分野での政策が必要です。そのためには県としても、こども家庭庁を設置した国や、個別のニーズを把握しやすい市町、およびNPOなどの関係団体や民間企業などとの幅広い組織の連携が欠かせないものと考えます。今後、子供施策を効果的に展開していく上で、関係機関との連携や本県が果たすべき役割をどのように考えているのか伺います。
子供の医療費助成についてですが、県としては、平成28年度に乳幼児の自己負担および所得制限を撤廃し、完全無償化を図られたところです。その後、市町においては、独自施策として小学校入学以降の子供に対する助成事業を充実してきました。しかし、市町それぞれの財政事情や政策的な判断から、その支援策が異なる現状となっています。知事が子供施策の充実をお考えなら、まず、居住する市町によりサービスに違いが生じている状況の解消に向けた取組が必要ではないでしょうか。小中学生または高校生までを対象とする制度拡充の動きが広がる中、我が会派では県の役割に立脚した制度拡充に向けた提案を行ってきたところであり、去る2月定例会議の我が会派代表質問での知事答弁は、拡充の時期や規模について県の考え方を早急に整理し、市町と調整を進めていくと方針を示された状況にあります。
そこで、子供の医療費助成制度が子育て世帯の経済的負担の軽減にどのような効果をもたらすのか、その認識をお伺いします。
また、各市町が取り組んでおられる医療費助成制度に対する評価を踏まえ、今後、本県としてどのような役割を果たし、責任を担っていこうとしているのか、お考えを伺います。
知事は、子供のために、子供とともにつくる県政を目指すと言われており、子育てを担う保護者をはじめ多くの県民から期待が寄せられております。しかし、これは言葉だけではなく、県民に目に見える形にしなければなりません。その具現化のために、本年4月、滋賀県子ども政策推進本部を発足させたと承知しています。国でも、複数の省庁にまたがっていた子供関連の施策を一元的に集約するこども家庭庁が設置され、今後の効果的かつ迅速な施策に期待するところです。
さきの政府提案、要望では、関連予算の拡大と適切な役割分担について、社会全体で負担する方策を検討する必要性を述べておられますが、子供の多い世帯ほど負担が軽くなる制度、第2子、第3子になるほど手厚くなる家庭支援や、結婚や子供を持つことへの希望が高まるような思い切った施策が必要ではないかと思います。
そこで、設置された滋賀県子ども政策推進本部では部局横断的に総合力を持って子供施策が実施されることが期待されますが、本部長である知事の本県の子供施策の推進に向けた決意を伺い、この項の質問を終わります。
次に、コロナ後における中小企業の活性化についてお尋ねします。
近畿財務局大津財務事務所が4月に発表した滋賀県内経済情勢報告では、その総括判断は「県内経済は持ち直している」とされています。実感としても、
新型コロナウイルス感染症の5類移行後、経済活動も活発化に向かっているように思われます。一方で、原油価格をはじめとした物価高騰は長期化し、本年度に入っても商品等の値上げが相次いでおり、先行きは不透明との報道もあります。このような状況の中で、県として、県内経済の現状とその先行きをどのように認識しているのかお伺いします。
申し上げるまでもなく、県経済にとって、99.8%を占める県内中小、小規模企業の存在は非常に大きく、経済を語る上では欠かすことができない存在ですが、一方、
新型コロナウイルス感染症や昨今の物価高騰が直撃し、大きな影響を受けているのも中小企業の皆さんです。また、人口減少、少子高齢化という人口構造の変化による影響、これも長期的に中小企業に大きな影響を与えるのではないかと危惧されるところです。このような状況の中で、滋賀県中小企業の活性化に関する条例施行後10年を迎えた昨年から実態調査や企業訪問を通して中小企業の声を聞く取組が実施され、施策の総括や検証が行われています。
そこで、条例施行後10年の施策で中小企業はどのように活性化されたのか、また、企業訪問をされた中小企業の現状や課題などをどのように分析しているのか伺います。
さきに
新型コロナウイルス感染症への影響を触れましたが、県では令和2年度に、
新型コロナウイルス感染症対応資金、いわゆるゼロゼロ融資で支援を行い、約2,670億円の融資が実行されたと伺っています。大きく貢献したものと認識していますが、一方で、この融資は令和5年度に返済が本格化することから、原油価格、物価高騰等の影響もある状況下においては資金繰りを懸念する声もあります。こうした状況を踏まえ、県はゼロゼロ融資の返済に関して、現在、どのように把握されているのか、また、どのような対策が必要と考えているのか伺います。
コロナをうまく乗り越えられても、経営者の高齢化は事業の継続、存続という新たな課題に直面されます。民間調査機関のデータですが、令和4年の県内事業者の後継者不在率は57.7%と高い水準になっています。事業が承継されなければ、地域にとっても貴重な財産を失うことになってしまいます。昨今、企業の皆さんから直接、後継者をどうするのか見込みが立たないとの話を聞きますが、円滑な事業承継の実現に向けてどのような支援に取り組んでいるのか、今後の取組も併せて伺います。
昨年4月に、本県の経済および社会の持続的な発展に寄与することを目的とした、滋賀県が締結する契約に関する条例が施行され、1年が経過しました。県内事業者への優先発注はもとより、県の契約の相手方に対し、下請負人等への県内事業者の選定、県産材または県産品の利用などによる地域経済への貢献を求めています。まだ1年ですが、この契約条例を通じ、中小企業の活性化に向け、どのような取組がされてきたのか、今後の方針も含めて伺います。
さらに、最近よく課題として報道されているのが2024年問題です。これは、2024年4月からトラックドライバーに働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律が適用され、時間外労働の上限が年間960時間となることで様々な問題が出てくるというものです。その問題は、物流の停滞の懸念や運送事業者の利益の減少、ドライバーの収入の減少、さらにはこれに伴う離職など、中小の運搬企業にとっては死活問題です。国も、一定、対策を打ち出していますが、日本列島のほぼ真ん中に位置し、まさに大小様々な物流事業者が集積している滋賀県として、この2024年問題についてどのような取組を進めていこうとするのか伺います。
これまで述べたように、中小企業を取り巻く課題は多岐にわたり、大変厳しい経済状況に変わりありませんが、県経済を支える中小企業を育て、支えることにより、現在の状況を乗り越え、地域の経済および社会の活性化を図っていく必要があります。滋賀県中小企業の活性化に関する条例のこれからの10年が本県経済を左右すると言っても過言ではありません。総括、検証の結果も踏まえ、また、社会構造やグローバル化がますます進む中で、条例の見直しはないのでしょうか。ものづくり県と自負する本県の一層の振興を目指した中小企業の育成と滋賀の経済活性化に取り組む知事の決意を伺い、この項の質問を終わります。
次に、国の食料安全保障の強化に対応した本県農畜産業の振興についてお尋ねします。
1999年に制定された食料自給率向上が主眼であった食料・農業・農村基本法が、世界の人口増加や気候変動、新型コロナウイルスの流行、そしてウクライナ危機など、食料確保が脅かされる事態に加え、国内では農業者の減少や高齢化、農村コミュニティーの衰退などを背景に、20年ぶりに見直されようとしています。しかし、喫緊の課題は、食料や原材料、エネルギーなどの価格高騰が長期化し、県民生活や事業活動に大きな影響を及ぼしていることです。ロシアによるウクライナ侵略や急速な円安など、社会経済情勢の先行きが不透明な中、現在、物価高騰対策が講じられています。
本県も昨年来、国に呼応して数次の対策を講じてきましたが、まだまだこの先が見通せません。知事も、さきの政府要望で、食料安全保障の強化に向けた農畜水産業支援を求められました。そこで、初めに、これまでの様々な価格高騰は、本県農業振興上、どのような影響をもたらしているのか、また、今後どのような影響が生まれると考えているのか伺います。
とりわけ、世界有数の穀物輸出国であるウクライナの混乱で家畜の飼料となるトウモロコシの国際価格の高騰は畜産に大きな打撃となっていますが、本県畜産業への具体的な影響と今後の対策について伺います。
さきに法改正の動きを述べましたが、政策審議会では、中間取りまとめとして、食料安全保障を「国民一人一人が活動的かつ健康的な活動を行うために十分な食料を将来にわたり入手可能な状態」と定義し、1、不測時に限らず、平時から食料安全保障の確立を図ること、2、環境等に配慮した持続可能な農業、食品産業への転換、3、食料の安定供給を担う生産性の高い農業経営の育成・確保、4、農村への移住、関係人口の増加、地域コミュニティーの維持、農業インフラの機能確保と、4つの基本理念が案として示されています。既に政府は、不測時における増産指示や流通規制なども含めて、現行の農林水産省が定めている緊急事態食料安全保障指針について政府一体で対応する新たな法整備を行う動きもありますが、ここで、食料安全保障の強化に向けた要望をされた知事は今後の日本農政はどのように変わると考えているのか伺います。
また、基本理念にあります、不測時に限らず平時からその取組を進めることは重要なことだと思います。これは自給率を高めるということでもありますが、農林水産省も、国内肥料資源の利用拡大に向けた全国推進協議会を設立し、本格的に海外依存からの脱却に向けて、堆肥や下水汚泥などの原料供給から肥料の製造、利用まで、国内各地で資源活用の輪を広げる資源循環に力を入れ出しました。
この資源循環に関しては、本県は全国でいち早く、県と県内の19市町とが共同で滋賀県みどりの食料システム基本計画を作成されています。そこで、みどりの食料システム基本計画に基づく農業者の実施計画の認定状況について伺います。
また、事業活動とされている肥料高騰への対応や、化学肥料のさらなる削減を図るための耕畜連携による家畜排せつ物の堆肥化と地域に潜在する有機質資源の活用状況ならびに今後の推進方針について伺います。
このことは、基本理念にある環境等に配慮した持続可能な農業、食品産業への転換としても本県は先進県と言えます。流通、小売事業者をはじめとする食品関連業者や消費者の需要に応えることはもとより、今後の潮流を見据え、潜在的なニーズを引き出せる農産物の生産を進めていくことが重要です。
米の新品種きらみずきの本格生産を前に、知事も子供たちと一緒に田植をされました。また、県製麺工業協同組合などによって県産小麦びわほなみを100%使用した中華麺が開発されたり、各地の県内JAでも白米の地域流通販売の強化や差別化商品の需要拡大などの取組が広がっています。イチゴの新品種みおしずくも期待されます。近江牛や近江米、近江の茶など歴史ある農畜産品はもとより、新品種の生産や流通の新たな動きも含めて、滋賀の食のブランドをどのように育て、高めていこうとするのか伺います。
国の動きや知事の描く農政を踏まえて、県民への安全で安定した食料供給と本県農業の持続的発展に向けた知事の決意を伺い、この項の質問を終わります。
次に、健康な山づくりと林業の振興についてお尋ねします。
去る6月4日、岩手県で第73回の全国植樹祭が開催されました。早いもので、昨年6月5日に本県で第72回が開催されてから1年がたちましたが、盛り上がったあのとき以降、どのように変化があったのか気になるところです。8月11日は山の日ですが、その前にびわ湖の日が来ます。びわ湖の日を休日にするにはハードルが高いようですが、今年も琵琶湖岸などの一斉清掃など様々な行事が計画をされています。
一方の、健康な山を目指して開催した植樹祭、滋賀県民の山に関する意識はどのように高まったと感じておられるのか、また、山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する本年の山の日に関連した取組はどのように進められるのか、まずはその認識を伺います。
知事の政策の大きな柱でもある健康、中でもやまの健康については、山の恵みに触れることで人々が健康になり、人々が山を訪れ、あるいは資源を活用することによって山が健康になる、これをプロジェクトとして推進しています。このプロジェクトの成否は、資源が活用される、そのためには林業として成り立つまでになるか、ここが要ではないかと思います。
滋賀県では平成9年度より、琵琶湖総合開発特別措置法時限終了とともに、林政担当課をそれまでの農政水産部から新しく琵琶湖環境部へと所管替えをされたところであります。当時、林業関係者や農林水産行政関係者から、産業としての林政の在り方を危惧する声が多数寄せられたとも聞き及んでおります。しかしながら、この部制変更は、まさに琵琶湖と一体となった林業という、昨年、
世界遺産登録された琵琶湖システムの考え方そのものであり、当時としては画期的なものでありました。また同時に、森林の持つ多面的機能、とりわけCO2吸収機能に着目したものでもありました。しかし、それから30年近くたちますが、本県森林の実態は、過去30年間に植林された民有林の面積は1割以下であり、50年生以上が約7割を占めております。50年生以上の杉、ヒノキのCO2吸収は、ピーク時、10年生から20年生に比べて3分の1以下に下がるとも聞き及んでおります。この現状は果たしてやまの健康と言えるのでしょうか。まさに森林関係者が危惧されていた、林業として成り立たないことが最大の原因であるとも言えるのではないでしょうか。
そこで、やまの健康づくり推進には様々な施策がありますが、滋賀での植樹祭1年を経過した今、やまの健康づくりには何が一番重要と考えているのか伺います。
少子化に歯止めをかけるにはまだまだ時間が必要です。一方、生産年齢人口の減少とともに高齢化が一層進むことは目に見えて明らかです。ということは、山を守るには、今こそ森林に関わる様々な組織が重要です。
去る5月30日に公表された2022年の森林・林業白書においても、令和5年度施策として、森林の有する多面的機能の発揮に関する施策としてまとめられており、トピックスでは、企業等の脱炭素の取組の好循環を創出することも取り上げられています。多面的機能維持には、企業も含め、山の日の趣旨を理解される多くの県民とともに関係組織の理解や協力がなければなりません。
そこで、生産森林組合等、地域に根差した組織の実態をどのように把握しており、やまの健康のため、それら組織の活動を活性化させるためにどのような支援をしているのか伺います。
加えて、本県の林業推進において一番重要な位置づけとなる森林組合の組織の充実について様々な動きがあると聞いていますが、どのような方針で支援を考えているのか伺います。
さて、新しい森林施策を考えるにも財源が必要です。本県には早くから、県民みんなで滋賀の森を守ろうとの条例が制定されるとともに、そのためには県民が等しく負担するという税制度があります。加えて、国においても森林環境譲与税という山を守る財源の確保に道筋がつきました。そこで、県として、その活用方針と、市町も含めた地方自治体としての責務や国の制度への期待や課題をどのように考えているのか伺います。
さきに触れました今回の森林・林業白書には、新たな植林について、杉による花粉症への対策が論じられています。本県も花粉の少ない杉の植林を進めるという方針は持っていますが、具体的にどのような計画の下に対応するのか、その方針と、改めて、林業振興に係る知事の思いを伺い、この項の質問を終わります。
次に、地域防災力の向上についてお尋ねします。
今年は関東大震災から100年目という節目の年になります。改めて、県民一人一人の防災意識を高めるとともに、地域の防災力の向上を図っていくことが重要だと考えます。
今年度は、先月、5月1か月間だけを見ても震度5弱以上の地震が全国の広い範囲で5回発生しており、能登地方では震度6強の地震を観測しました。また、雨という点では、10年ぶりに5月に梅雨入りし、本県でも6月2日からの大雨により災害警戒本部が設置されたところであり、気候変動等により頻発する自然災害が懸念され、一層の備えが必要と考えます。
これまでの大規模災害を振り返ると、平成30年9月の北海道胆振東部地震では大規模な停電や断水、通信障害など、ライフラインが大きな被害を受けました。また、令和2年7月に熊本県を中心に日本各地で発生した集中豪雨では、犠牲者の約8割は65歳以上の高齢者だったそうです。こうした中にあって、令和3年度には滋賀県地域防災計画について、災害対策基本法の改正や
新型コロナウイルス感染症対策、これまでに発生した災害の教訓等を踏まえ、国の防災基本計画に基づき、大幅な見直しがされました。
一方、県地域防災計画の実行計画である地震対策や風水害、土砂災害など自然災害の教訓を踏まえた現滋賀県防災プランは令和3年度から令和5年度までとなっています。PDCAによるプランのこの間の評価の中で、最近の自然災害発生についてどのような認識を持っているのか伺います。
現プランでは、災害発生に備え、県民、地域、企業、団体、行政等あらゆる主体が日頃から継続的に当事者力(自助)、地域力(共助)、行政力(公助)を強化し、災害時にはこれらの力を結集し、多様な主体の連携により構築された強固な体制の下で災害対応を行い、一人一人の被災者に寄り添った合理的配慮を提供するという基本理念の下、7つの柱で重点的に取り組む防災対策について、その基本的な考え方やスケジュールが定められています。
現プランは最終年を迎えていますが、過去の自然災害の課題と教訓、そして、これらの取組を踏まえ、自助、共助、公助、それぞれこの3年間で大きく強化されている対策はどのようなものがあるのか、また、このプランの進捗についての知事自身の評価について伺います。
災害対策基本法の改正により、円滑かつ迅速な避難の確保に向けて災害時避難行動要支援者の個別避難計画の策定が各市町の努力義務となり、また、避難行動要支援者が福祉避難所へ直接避難できるようになるなど、障害者や高齢者が取り残されない避難支援に向けた取組が進められています。本プランにおいても、柱の一つに「要配慮者への合理的配慮を提供します」があり、4つの個別項目を推進することとしています。これらは市町の対応が主となりますが、県として、高齢者、障害者を意識した配慮について、現状の課題、市町への支援も含めて、考えを伺います。
災害は必ず遭遇するという意識からその対策が始まります。現行のプランはハード面の防災と災害発生時における対応ということが中心ですが、発生後の対応、すなわち復旧、復興の迅速化も検討しておくべきです。
国土調査法に基づき実施される地籍調査は、土地の境界や面積をあらかじめ所有者ごとに確定しておくことで、災害発生後の迅速な復旧の観点からも重要な取組であり、その効果は、災害復旧のみならず、土地のトラブル防止や土地取引の円滑化、さらにはまちづくりや公共事業の円滑化など、地方公共団体にとっても個人にとっても大いに効果があると見込まれます。ただ、残念ながら、令和3年度末時点における本県の地籍調査実施率は13%で、全国ワースト4位となっています。また、地籍調査の意義が県民に十分認知されていないという結果も出ています。この調査は市町など基礎自治体が主体として実施されると承知していますが、この現状をどのように受け止めているのか、また、地籍調査の重要性を踏まえた今後の推進方針について伺います。
次に、滋賀県では、平成23年度に独自に行った放射性物質の拡散予測の結果から、長浜市と高島市の一部について、原子力災害対策を重点的に実施すべき地域をUPZと定めています。また、大規模地震として想定されている南海トラフ地震については、今後30年以内の発生確率が70%から80%だと言われています。こうした大規模地震災害と原子力災害との複合災害時における屋内退避が困難な場合の避難体制として、主要避難道路の迅速な応急復旧、陸上交通が途絶した場合の湖上輸送の体制整備をしておく必要があると考えます。
そこで、令和6年度に向けた政府への政策提案・要望書の中に、原子力防災対策への支援において自然との複合災害にも途絶しないような避難経路確保への積極的な支援とありますが、これはどのようなことを意味しているのかお伺いします。
今年は平年より1週間程度早い梅雨入りとなり、また、5月としては8年ぶりに、猛烈な勢力となった台風が発生しました。大雨等への備え、さらには南海トラフ地震などへの備えも必要と考えます。改めて、県民の皆さんに向けて知事の防災に対する決意を伺い、この項の質問を終わります。
次に、県土の強靱化、今後の土木戦略についてお尋ねします。
現在の日本の道路行政は、令和3年に策定された防災・減災、国土強靱化に向けた道路の5か年対策プログラムを中心に進んでいます。2025年に国スポ・障スポを控える本県は、強靱化とともに、他都道府県からの選手や来場者へのおもてなしの意味も込めて、快適で健全なる道路整備が必要不可欠だと考えます。そのためには、今年度からスタートする新たな道路整備アクションプログラム2023を基に、貧弱な県土の強靱化を迅速に行うことが重要です。
あわせて、県内各地の慢性的な交通渋滞の改善は、県民はもとより、我が自民党にとっても長年の願いであります。先人のたゆまぬ努力のかいあって、ようやく今、新たな形になろうとしています。具体的には、令和7年秋までには国道1号栗東水口道路、国道8号野洲栗東バイパス、山手幹線などにおいては交通インフラが大きく改善していく見込みとなります。その反面、新たな交通渋滞を生み出すことも懸念もされています。
初めに、昨年度までの道路整備アクションプログラムは滞りなく進んできたのか、その進捗状況と評価を伺います。
また、新たな渋滞など、予測されている道路交通の課題を伺います。
三日月知事が就任されて、道路予算も僅かながら伸びてきていますが、本県の国道、県道の整備率は令和2年度末で53.0%、全国で38番目、国が事業主体の直轄国道にあっては37.4%で42番目という低さです。率直に、なぜこのような低い整備率に甘んじているのか、その原因と今後の道路整備率向上に向けた戦略を伺います。
国土強靱化を進める中で大きな災害につながる危険を抱えているのが河川です。もうすぐ1年となりますが、昨年8月の高時川の氾濫は記憶に新しいところです。さらに遡って、平成25年9月15日から16日にかけて襲来した台風18号では高島市の一級河川、鴨川が決壊しています。本県の河川は、琵琶湖へ流入するものの、勾配が急で出水しやすい河川が多く、滋賀県における河川整備はいまだ遅れている感が否めません。大型化する台風、発生頻度を増す線状降水帯、世界をはじめ日本国内においても気候は激変し、過去のデータだけでは予測できない水災害が多々発生する時代となり、早急な河川整備が待たれます。
県は、第3期となる河川整備5か年計画策定に向け、現在、協議を重ねていますが、まず、現計画における進捗状況と整備推進における課題について伺います。また、その課題を踏まえ、新たな5か年計画策定において今後の治水戦略をどのように考えているのか伺います。
大きな河川の改修には多くの時間と財源が必要です。だからこそ、日々の適正な河川維持管理が重要です。さきに高時川の氾濫について申し上げましたが、いまだに濁水問題は解決していません。河川維持管理については、限られた財源の中で、適正かつ迅速さを持って対応、改善していく必要があります。当然、緊急性が高いと判断する箇所の対応を最優先することになるかと思いますが、そこで、その緊急性の判断基準と、現在認識をされている緊急性を持つ河川について伺います。
いずれにしても、最後は財源の確保です。県土の強靱化につながるインフラ投資を実現するためには、まず、国庫の活用です。さきに触れましたが、長年、都道府県のランキングは悔しい現状が続いております。事業の整備完了と同時に、次なる整備へと継続的かつ安定的な財源の確保が必要であると考えます。6月の政府への提案、要望でも、道路整備の推進や流域治水の推進について、知事が直接、省庁に出向かれていますが、本県の道路整備、河川整備に係る財源確保についてはどのような戦略を持ち、どのように行動していこうとするのか伺い、この項の質問を終わります。
次に、魅力ある学校づくりについて教育長にお尋ねをします。
令和4年3月に、これからの滋賀の県立高等学校の在り方に関する基本方針がまとめられ、それを受けて、1年間をかけて魅力ある県立高等学校づくりについて議論され、本年3月に滋賀の県立高等学校魅力化プランが策定されました。魅力のあるということは、いわゆるブランドとして選ばれるという点でも非常に重要なことです。しかし、最も重要なことは、進学先を決める中学生が本当に魅力と感じるのかという点です。現状の県立高等学校について、総じて中学生はどのように魅力を感じていると思われるのか、まずはその認識をお伺いします。
策定された魅力化プラン、本年度の重点施策では、それぞれの学校の特色化の方向性を5つの分類で示されました。しかし、県下一円から進学する県立高等学校を選択できる本県には、現在、全日制44校、定時制通信制併置校1校の計45校もあります。分類による各学校の方向性はそれぞれの高校において十分検討された結果と思いますが、各学校の立地条件なども違う中で、具体的にどのように魅力化を進めようとしているのか伺います。
令和5年3月に、学校における働き方改革取組計画が策定され、目指す姿として、子供も教職員も笑顔あふれる学校づくりが掲げられています。重点施策の一つですが、これも魅力ある学校づくりの基本だと思います。教職員に笑顔があふれる姿こそ、子供の笑顔がつくられるように思います。そのためには教職員全員が同じ方向を向いて実践されることが期待をされます。
そこで、笑顔あふれる魅力ある学校づくりにおける教員の役割と、どのように教員の意識を向上させるのか、今、国会でも議論が進んでいますが、教員の待遇改善とも関わってくると思いますが、待遇改善の考えも含めて伺います。
とはいえ、笑顔になれない実態もあります。残念ながら、2021年度の全国の不登校小中学生が過去最多の24万人との結果は波紋を広げました。ただ、調査ではデジタル教材などによる自宅学習を出席と認める学校が急増したとも報じられています。なるほど、笑顔があふれる学校づくりは重要ですが、学ぶ、教えるという学校の本来の場所の在り方からいえば、児童生徒それぞれ魅力も異なるかもしれません。
そこで、今年度、重点施策としている困難な環境にある子供たちの学びへの支援について具体的にどのように取り組んでいくのか、あわせて、学ぶ場所を決めるのは子供という方向性も場合によっては魅力とも思われますが、そうした方向性について考えを伺います。
魅力といえば、保護者にとっての学校の魅力という考えもあります。政争の道具にされることはあってはなりませんが、授業料無償化という言葉は保護者にとっては魅力だと思います。しかし、学校で学ぶ主役は児童生徒です。その子供にとっての魅力は快適なトイレではないでしょうか。さきの教育長の記者会見もそのような認識での発言ではないかと考えますが、であれば、学校の環境の魅力化とトイレ整備を早急に進めることについての決意を伺います。
進路先の一つとなる県立高等専門学校の設置手続が進んでいます。教育長としては、県立高等専門学校をどのように位置づけておられるのか、魅力ある学校づくりを進める教育長として何を期待しておられるのか伺うとともに、教育も大きく変わろうとしており、魅力ある学校づくりに大いに期待をしているところですが、そうした中、次期教育振興基本計画策定に当たっての考えを伺い、この項の質問を終わります。
最後に、治安を担う信頼ある警察組織づくりについて
警察本部長にお尋ねします。
本年3月20日に、滋賀県警察本部の新しい本部長として中村彰宏本部長が着任をされました。本部長は就任会見で「どうすれば県民のためになるのか一人一人が考え、県警が一体となり、安全な滋賀をつくりたい」と述べられました。当たり前のことですが、実は最も重要なことだと思います。本部長は、警察庁に入庁され、捜査部門、交通部門、警察の刑事手続IT化など、幅広い分野で御活躍されておられます。
そこで、まず、滋賀県の犯罪、事故などの情勢と傾向、その対策に関して、滋賀県内における刑法犯の発生状況は、令和3年までは減少傾向にありましたが、令和4年以降は増加傾向となっています。また、特殊詐欺の発生状況や交通事故、サイバー犯罪、DVストーカー、児童虐待などにおいても増加傾向であり、県民の安全・安心を担う滋賀県警察として、その役割が試されるタイミングはまさに今ではないでしょうか。犯罪のIT化や多様化、重犯罪化が顕著に感じられる日本の社会情勢において、滋賀県の現状をどのように捉え、どのような対策を持ち、その使命を果たしていこうとするのか伺います。
本部長が会見で「県警が一体となり」と述べられました、その県警組織であります。長年、我が会派が国家公安委員長にも要望を重ねてきた警察官の定数増がようやくかないました。本年度の滋賀県警察の定員は昨年度より20名増の2,609人(警察官2,302人、一般職員307人)となっており、警察本部組織は33所属、警察署組織は12警察署となっています。また、令和5年度当初予算においては約317億円という限りある財源で治安を担っていただくということです。
そして、直近で何より警察の体制が問われるのが2年後に控える「わたSHIGA輝く国スポ・障スポ(第79回国民スポーツ大会・第24回全国障害者スポーツ大会)2025」への対応です。限りある人員、施設、予算の中で県内の治安維持を担っていくこととなりますが、滋賀県警察の現体制をどのように捉えておられるのか、また、今後どのように組織力の強化へとつなげていくのかをお伺いします。
今後は、大津北警察署および高島警察署の更新をはじめ、交番、駐在所152か所(交番58、駐在所94)のありようも検討されると認識しているところですが、人口流動などによる地域の実態に即した警察施設の新設や統合なども視野に入れながら再編成を図る必要があると考えますが、警察施設の整備方針について、その考えを伺います。
さて、県民のためになる安全な滋賀をつくるという本部長の思いに水を差す出来事に驚きました。警察組織は信頼が第一です。特殊詐欺や強盗をはじめ銃犯罪までが多発し、変容する社会情勢の中で県民の安全・安心を確保するためには警察による治安維持の役割はますます大きくなります。ところが、先日発表されました警察官3名の懲戒処分、職員による不祥事は信頼の低下を招きました。それぞれの現場において、その使命を果たすことのできる環境づくりが今後も大きな課題です。「職員に対して職務倫理教育を徹底し、再発防止を図る」とは聞こえがよいですが、県民からの信頼回復と再発防止のための対策を、いま一度、伺います。
最後に、本部長が着任されてはや4か月がたちました。御存じだと思いますが、滋賀県には「なくそう犯罪」滋賀安全なまちづくり条例が公布されています。誰もが安心して生き生きと暮らすことのできる安全な地域社会を築くために、たゆまぬ努力を傾けることを決意しての条例であります。この条例の目的にあります「県民等が安全に暮らすことができる社会の実現」に対する中村本部長の決意、意気込みをお伺いして、全ての質問を終わります。
○議長(奥村芳正) 26番
桑野仁議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(三日月大造) (登壇)
自由民主党滋賀県議会議員団を代表されての桑野議員からの御質問、9項目53問いただきました。順次、お答えをさせていただきます。
まず1点目、AIの活用について。こちらは5点いただきました。
1点目、
行政サービスの変化についてでございますが、これまでに補助金の交付申請など、3,890種類の手続のうち2,050種類の手続の電子申請を可能としたところです。また、事務手数料などをクレジットカードで納付できる仕組みも導入し、介護支援専門員実務研修受講料など7業務においてキャッシュレス決済を実施しております。
今後も引き続き、手続書類のさらなるデジタル化やキャッシュレス決済の拡大に取り組むほか、インターネットバンキングなどクレジットカード以外の決済方法の導入、スポーツ施設のオンライン予約の実施など、時間や場所を問わないワンストップで県民本位の
行政サービスの実現を目指して取り組んでまいります。
2点目の生成AIの受け止めについてです。
議員御指摘のように、生成AIには著作権侵害等のリスクがありますものの、従来の人工知能ではできなかった創造的な作業を行える可能性がありますことから、これを活用することで、誰でも高品質なものを生み出せたり、個人の発想を超えたアイデアの革新が促されるなど、暮らしや産業に大きなインパクトを与えるものと受け止めております。今後、さらなる技術革新や情報リテラシーの向上により、リスクを軽減しながら、人間とAIがそれぞれの役割や強みを生かすことで生産性向上や新たなサービスの創出などが図られ、より豊かな社会につながっていくと考えております。
3点目、推進戦略の見直しについてです。
現行の推進戦略におきましては、AIを含む各種デジタルツールを活用した全庁的な業務改革の推進を掲げ、取組を進めているところであり、現時点ではその見直しについては考えておりません。ただ、最近の生成AIの広がりは顕著でありますことから、安全な活用方法や効果的な利用のルールについて議論をしており、7月中をめどに方針を取りまとめてまいります。今後も、社会情勢の変化に応じた柔軟な事業展開を進めることにより、推進戦略の着実な実行に努めてまいります。
4点目、
情報セキュリティー対策についてです。
生成AIの活用方法等の議論におきましては、個人情報、機密情報の取扱いや著作権侵害への対策なども検討することとしており、情報処理やセキュリティー対策に関する規定の見直しを進める必要があると考えております。
情報セキュリティー対策の基本であります、1つは情報資産の機密を保持すること、2つ目、正確性および完全性を維持すること、3つ目、定められた範囲での利用可能な状態を維持することの確保が図られるよう、しっかり取り組んでまいります。
5点目、EBPMについてでございますが、AIの活用は、政策決定に必要な多様なデータの迅速な収集分析、効果的な施策の立案、実施等において大きな可能性があると考えております。現在、政策立案へのデータ活用をさらに進めるため、大量のデータの読み取りや分類、分析処理等を行うAIモデルを自動的に構築するツールの導入を検討しており、今年度は取り扱うデータの具体化や導入効果の検証を行う予定です。引き続き、
データ分析スキルを備えた人材を育成していくとともに、AIを活用したEBPMの取組を進め、積極的に施策立案や業務改革へ生かしていくことで、
県民サービスや利便性の向上につなげてまいりたいと存じます。
大きな2項目め、
行政経営方針等に関する、こちらは9点いただきました。
1点目、自主財源の確保についてでございます。
安定的な財政運営の継続には歳入確保の取組が重要であります。総務部内に庁内の牽引役として専門部署を新たに設置するなど、体制を強化したところでございます。
自主財源の確保につきましては、産業誘致の推進など、地域経済の活性化による県税収入の確保に加え、企業、団体等との共創の観点に立ち、相互がウィン・ウィンとなるような提案や関係づくりに取り組み、寄附や広告、ネーミングライツ等をより強化してまいります。
また、県有資産につきましては、不用資産の売却だけではなく、市場調査を活用し、民間のノウハウ等を積極的に取り入れて、貸付けの手法を含め、幅広い利活用につなげてまいります。
2点目、国費確保に向けた取組についてでございます。
年2回の政策提案や緊急要望等の様々な機会を通じて、私や副知事、各部局長から、本県の課題や取組、効果を具体の提案と併せて丁寧に説明し、県選出国会議員の御支援も賜りながら、国費の確保に全庁を挙げて取り組んでまいります。
こうした地道な取組の結果、今年度も道路事業や河川事業等で安定的な国費の確保が図れ、特別交付税における琵琶湖関連の算定項目の追加といった具体の成果もおかげさまで見られるところでございます。
今後とも、事業推進に欠くことのできない国費の安定確保に向けて、早い段階から国の政策の方向性を把握し、具体性と説得力ある提案、要望を適切なタイミングで行うとともに、共通の課題を有する他府県とも連携を図りながら、戦略性を持って取り組んでまいりたいと存じます。
3点目、下流府県に財源負担を求めることについてです。
負担していただきたいという気持ちはありますものの、その一方で、法令上の根拠がない現状では相当困難であると認識しております。このため、下流府県を含め、多くの方々に琵琶湖の価値や重要性について理解を深め、行動に移していただくことが必要であると考えており、私が連合長を務めさせていただく関西広域連合におきまして、琵琶湖・淀川流域シンポジウムを本年3月に大阪府立国際会議場で開催し、琵琶湖の価値について発信したところでございます。引き続き、滋賀県知事として、また
関西広域連合長として、あらゆる機会を通じて課題の共有を図り、事業への連携協力をより一層深められるよう、粘り強く取り組んでまいる所存であります。
4点目、業務の見直し、効率化についてです。
全庁一丸となった取組が円滑に進められるよう、昨年度に、重点的に見直しを実施する業務や考え方を示した手順書を作成し、各所属での検討を開始したところです。
具体的には、コロナ禍で取りやめ、縮小した業務の必要性の検証、外部からの申請等の業務への
デジタル技術の活用、時間外勤務発生に影響を与えている業務の要因検証などの視点から取組を進めております。また、これらの見直しを所属の組織目標や担当者の人事評価項目に位置づけたところであり、今後、組織として取組を進めることで、職員一人一人が業務を不断に見直す組織風土を形成し、新たな行政需要等に対応できるヒト、財源、また時間のシフトにつなげていきたいと存じます。
5点目、人づくり、働きやすい職場づくりについてでございますが、人づくりでは、従来のOJTや研修に加え、希望を踏まえた配置による若手中堅職員の意欲の向上、部下からの評価を生かした管理職のマネジメント力向上、シニア職員の活躍につながる配置の検討や研修の新設、伴走型支援による職員同士の育ち合いの組織風土の醸成に努めてまいります。
また、働きやすい職場づくりでは、テレワークの柔軟化に加え、男性職員の育休100%宣言など、職員が仕事と家庭を両立して活躍できる職場づくりや、職場適応支援者の新設による職員の障害特性に応じた支援といった取組に特に注力しているところでございます。
今後も職員の心理的安全性を確保しつつ、新たな課題に対応する能力を高めるためのリスキリング等の取組と、職員が互いにフォローし合えるよう、職場の持続性、代替性を確保する取組を重点的に進めてまいります。
6点目、
行政経営方針の達成に向けた決意についてです。
この方針は対話と共感、共創で築く県民主役の県政の実現のためにという経営理念を掲げ、未来志向でチャレンジできる県庁に向けて取り組み、
県民サービスの向上につなげていくものです。そのために、今後4年間、今ほど申し上げた取組を着実に進め、また、評価するとともに、
経営資源ごとの指標を用いて取組状況を県民の皆様に分かりやすくお示ししてまいります。この方針の達成に向け、不断の見直しが根づくよう、また、人こそが最大の経営資源との考えが組織全体に浸透するよう、私自身がリーダーシップを発揮して重点取組について繰り返し呼びかけ、その頑張りを認めることにより、全庁一丸となって取り組んでまいりたいと存じます。
医療福祉拠点の整備手法についてです。
行政経営方針では、民間の資金、ノウハウ等を生かした資産活用の推進を図るため、民間活力を積極的に取り入れ、例えば貸付けの方法など、柔軟な発想を持って効果的な活用につなげることとしております。
今回、
医療福祉拠点の整備に当たりましても、県として、この場所で継続的に人材養成を続けるため、土地は定期借地方式を採用し、施設は民間提案を基本に進めることが効果的であると考えており、現在、その可能性について市場調査を行っております。
引き続き、
民間事業者の皆さん等との対話を重ねながら、県庁周辺地域にふさわしい、より魅力的な提案を引き出せるよう取り組んでまいりたいと存じます。
8点目、
人材養成機能等を
民間事業者の提案に委ねた場合の目標達成の担保についてでございます。
現在、実施している市場調査において、
民間事業者との対話を重ねながら、人材養成機関に参入いただけるよう条件整備を行い、公募型プロポーザルによる事業者の選定を目指してまいりたいと存じます。また、将来的な社会環境等の変化にも対応し、県として求める
人材養成機能が維持できるよう、例えば事業者と締結する基本協定書において一定期間ごとの事業内容の検証について明記するなど、対応策を講じてまいりたいと存じます。
9点目、
スケジュール感、意義、決意についてです。
医療福祉拠点構想は、
医療福祉関係団体や地元の皆様から御期待をいただいてきたところ、ようやく事業着手に至ったものであり、令和9年春の供用開始を目指しているところです。
この拠点は、関係団体の連携強化等に資する医療福祉センター機能と、
医療福祉関係の専門職を養成する
人材養成機能の整備により、保健、医療、介護を一体的に提供する地域包括ケアシステムのさらなる推進と県全体への展開を図るものでございます。関係部局の力を結集し、この構想を着実に進めることで医療福祉サービスの向上につなげ、誰もが自分らしく幸せを感じられる健康しがの実現を目指してまいりたいと存じます。
続きまして、大きな3項目め、文化行政についてであります。こちらは6点賜りました。
1点目、文化庁への期待についてです。
明治以来初めての中央省庁の移転というチャンスを捉え、豊富な行政資源や見識等を持たれる文化庁との連携を強化することで、本県の文化資源をさらに磨き上げ、県民の皆様をはじめ関西、日本、世界の方々にその価値を知っていただきたいと考えております。
文化とは生きる喜びであるという思いを抱いてまいりましたが、コロナ禍で、心の支えとなり、明日への活力となるものであると改めて強く感じたところです。文化庁移転は、本県の文化の力を高め、地域を活性化する後押しになるものと期待をしております。また、
関西広域連合長として、万博に向けた文化発信など、様々な形で文化庁と連携し、その実績を積み重ねることで、国土の双眼構造の実現に向け、歩みを進めてまいりたいと存じます。
2点目、具体的にどう生かしていくのかということについてでございますが、御案内のとおり、本県には彦根城や安土城などの城をはじめ、
びわ湖ホール、近江のなれずし等の食文化、福祉の現場から生まれた造形活動など、大変魅力的な文化資源が数多くございます。文化庁から助言や支援をいただき、これらをさらに磨き上げ、生かすことで文化観光を振興してまいりたいと存じます。また、地理的な優位性を生かし、研修や視察などで文化庁職員に本県の文化に触れていただきたいと考えております。その魅力とともに、文化財保存のための人材の育成と確保など、現場が抱える課題を肌で感じていただき、人的交流を深め、文化庁の施策展開につなげることで本県文化行政の底上げを図ってまいりたいと存じます。
3点目、文化財保護行政の移管についてでございますが、成果といたしましては、彦根城の
世界遺産登録に向けた取組や「出張!お城EXPO」、文化財探訪事業などにおいて観光振興や鉄道利用促進、健康しが等の施策と一体的な取組を展開し、活力ある地域づくりに一定つなげることができたのではないかと考えております。一方で、保存なくして活用なし。知事部局に移管後も、保存を第一にしながら活用との好循環を生み出すことで、本県の文化財を未来に向けて確実に伝えていく使命があると考えており、滋賀県文化財保存基金の積み増しを行うことで計画的な文化財の保存修理を図っているところです。
今後も、幻の安土城復元プロジェクトや彦根城
世界遺産登録推進事業をはじめとした文化財の保存と活用の取組を、より一層、部局横断で総合的に展開することにより、心豊かな活力ある滋賀の実現を目指してまいりたいと存じます。
4点目、文化財の継承についてです。
調査、指定、登録に係る取組や文化財保存基金を活用した保存修理の支援等を通じて、技術の伝承や人材の確保、育成とともに、その機運醸成を図っていくことが県の大きな役割であると認識しております。特に祭りの継承に向けては、各保存会等の相互交流を図るネットワーク構築を支援するなど、地域全体で支え合う仕組みづくりを進めており、その成果の一つとして、本県の風流踊がユネスコ無形文化遺産に登録され、新たな担い手の確保など、継承に向けた取組も見られるようになってきております。引き続き、国や市町、所有者などと協力しながら、文化財の保存継承を支え合う地域づくり、人づくりを進めることで本県の豊かな文化財を確実に次の世代へ引き継いでまいりたいと存じます。
5点目、文化観光の推進に向けた新・琵琶湖文化館の展開についてです。
新・琵琶湖文化館は、その機能の柱の一つに文化観光の拠点となるビジターセンター機能を掲げております。これは、県内に広く点在する文化財の情報を集積し、発信するとともに、それらを活用した観光プログラムを提案することにより県内各地に人々をいざなおうとするものであります。今後におきましては、県立美術館をはじめとする県立施設間や美術系ミュージアム間で有機的連携を図り、様々な発信を行っていく必要があるものと認識しております。
近江の文化財で“つなぐ”“ひらく”未来の滋賀という基本理念の下、近江の文化財を保存、継承、活用、発信する中核拠点として着実に取組を進めてまいりたいと存じます。
6点目の屏風探索についてです。
今回、在バチカン日本国大使館等の御協力を得て、正式な外交ルートで私の親書を携えた大杉副知事がバチカンを訪問し、文化教育省長官や国務省総務長官をはじめ、訪問先の方々から屏風探索についての御協力をお約束いただけたことは大きな成果であったと捉えております。ただし、屏風探索は一朝一夕に進展するものではなく、息の長い取組が大切になります。今回つないだ交流のパイプを持続、発展させることで、さらなる信頼関係をつくっていくことが重要だと考えております。2025年は天正遣欧使節のローマ訪問から440年、また、2030年は安土セミナリヨ開校から450年に当たります。こうした節目の年やその先も見据えながら、世界史的な視点も踏まえ、バチカンとの交流の歴史に光を当てることで、屏風探索につながる新たな道を切り開いてまいりたいと存じます。
続きまして、大きな4項目め、子供施策についてであります。こちらは5点いただきました。
まず1点目、国が示した方針への評価、期待についてです。
児童手当の拡充や所得制限の廃止、保育士等の配置基準の改善など、これまで本県や全国知事会次世代育成支援対策プロジェクトチームリーダーとして求めてきた内容についても盛り込まれるなど、子供施策を国全体の最重要課題と位置づけ、国と地方が車の両輪となって取り組んでいくという国の意気込みと決意がうかがえるものと高く評価をしております。この方針の下、誰もが安心して子供を産み育てたいとの希望がかなえられるよう、財源の安定確保を含む道筋について早期に示されるとともに、各種施策の具体化に当たっては地方の意見を反映されることを期待しております。
2点目、本県、滋賀県の役割についてでございますが、国に対し、地域の実情やニーズを踏まえた制度の見直しや新たな制度の構築を働きかけるとともに、市町単独では対応が困難な取組、例えば人材育成や子ども家庭相談センターにおける虐待対応など、県の専門性、広域性を生かした取組を進めることと考えております。
また、本県では、3万人を超える子供たちの声を基に、子供たちの笑顔を増やす行動様式として「すまいる・あくしょん」を策定しており、市町や民間団体等々とも連携しながら、子供も大人も共に行動する活動を広げることも役割の一つであると考えております。さらに、全国知事会次世代育成支援対策プロジェクトチームのリーダー県として、都道府県の声を集約し、国に届けながら、全国の子供政策を牽引することも大きな役割であると自覚しているところであります。
3点目、子供の医療費助成に係る経済的負担の軽減効果についてでございますが、国の調査では、子育て世帯における1人当たりの医療費負担は、通院では年齢が上がるにつれて減少いたしますものの、入院では、小学生以降、年齢が上がるにつれて増加する傾向にあり、医療費助成により、年齢を問わず、経済的負担の軽減が図られているものと認識しております。この負担軽減により病気の早期発見や治療につながり、重症化、長期化を未然に防ぐことで、子供の健やかな成長とともに将来の医療費負担の軽減にも寄与するものと認識しております。
市町の取組に対する評価を踏まえた県の役割、責任についてです。
市町では、限られた財源の中で、子供の命や健康に関わる施策として子供の医療費助成を優先的に、独自の取組として進めていただいているものの、現状は、各市町の財政状況など様々な事情により対象年齢や自己負担等が異なる制度となっております。県といたしましては、県内のどこに住んでいても等しく医療サービスを受けられる仕組みが望ましいと考えており、地域によって差が生じることなく、さらには取組の充実を実感していただけるような制度の拡充を検討しているところです。今後、県としての考え方を固め、7月18日に開催予定の首長会議において県の拡充案をお示しし、市町の皆さんの御意見を伺いながら新たな制度の構築を進めていきたいと存じます。
5点目、そういったことも含めた私の決意についてでございますが、御指摘のとおり、子供施策は対象の年齢や分野が幅広く、全体像が見えにくいことから、年代やテーマ、取組主体の観点から事業や必要な施策を整理し、その中で、県として真に注力すべき施策は何か、県民、関係団体、国や市町と一緒に何ができるかを明確にしていく必要があると認識しております。子ども政策推進本部では、こうした整理を通じて、県庁のあらゆる部局で県の子供施策について考え、認識を共有し、企画立案段階から幅広く議論を行ってまいります。まさに県庁の総合力を結集して、また、当事者である子供、若者の声も反映し、本県が進める子供、若者施策の具体的な姿を形づくり、県民の皆様にもお示ししながら、子供のために、子供とともにつくる県政を進めてまいる所存であります。
続きまして、大きな5項目め、コロナ後の中小企業の活性化と題し、こちらは7点いただきました。
まず、経済の現状と先行きについてです。
四半期ごとに実施している県の景況調査によりますれば、7月に確定する第1四半期調査結果の速報値において、業況DIはマイナス1.7であり、前の期と比べますと7.9ポイント改善しているとのことでございます。コロナ禍からの社会経済活動の正常化が進む中で県内の景況は緩やかに持ち直しておりますものの、企業規模別に業況DIを見ますと、大企業がプラス28.6に対しまして、中小企業はマイナス3.9であり、十分に回復を実感できるまでには至っていないと認識しております。
来期の業況見通しといたしましては、物価高騰や人材不足等を理由に1.7ポイント悪化する見込みであり、今後の県内経済の動向を注視していく必要があると認識しております。
2点目、中小企業の活性化の状況、現状、課題についてです。
この10年間の取組について、例えば新たな事業活動により経営の向上を図る経営革新計画については、平成25年度──2013年度以降、336件の認定を行い、新商品、サービスの開発や販路開拓などにつながった、また、海外展開支援につきましては、ジェトロ滋賀とも連携しながら、平成25年度──2013年度以降、販路開拓など100件の取組を支援してきた、さらに、人材確保につきましては、プロフェッショナル人材戦略拠点を通じて、平成27年度──2015年度以降、1,110人の専門人材の採用につなげたなど、県の施策が中小企業の活性化に、一定、寄与したものと考えております。
また、昨年度、県職員による企業訪問を500社余り実施し、中小企業の経営者等からは、
新型コロナウイルス感染症や原油価格、物価高騰など喫緊の課題に加えて、人手不足や後継者不足の声が多く聞かれ、人材確保や事業承継の課題が大きいと把握しているところです。さらに、働き方の多様化やデジタル化の進展、CO2ネットゼロなどの社会的課題への対応等の必要性を感じる事業者が一定数見られたとのことでございます。
3点目、ゼロゼロ融資についてです。
返済状況につきましては、昨年度から継続的に滋賀県信用保証協会へのヒアリング等で把握に努めており、その結果から、ゼロゼロ融資残高のうち1割程度の返済が厳しくなると見込んでおります。また、事業者からは、返済について柔軟な対応をしてほしいとのお声を聞いているところです。
このような状況において、国の借換保証制度を利用した県制度融資、セーフティーネット資金(ポストコロナ新規枠・借換枠)の周知に努めながら、ゼロゼロ融資等の返済負担の軽減や、収益力の改善を必要とする事業者に御利用いただいているところでございます。また、県ではこれまで、金融機関に対して経営改善に係る相談や条件変更、借換えへの迅速かつ柔軟な対応等を要請してきたところでございます。今後も金融機関や滋賀県信用保証協会、経済団体等と情報共有を緊密にいたしまして、返済状況等をきめ細かく把握し、必要な資金繰り支援を、時期を逃さず実施できるよう努めてまいります。
4点目、円滑な事業承継に向けた支援についてでございますが、県では、商工団体や金融機関等の43団体が参画する滋賀県事業承継ネットワークを運営し、国が設置しております事業承継・引継ぎ支援センターとも連携しながら、支援機関と一体となって、事業承継の促進に向けた取組を進めております。また、県では事業承継円滑化補助金により事業承継に向けた体制整備を支援しており、今年度から、近年、活発化しているM&Aも補助対象としております。今後とも、経営者の高齢化が進む小規模事業者のニーズを十分把握しながら丁寧な支援に取り組んでまいります。
5点目、契約条例の取組についてです。
県では、条例の基本理念の一つである地域経済の活性化に向け、1つは県内事業者を優先する適切な地域要件の設定、2つは契約の相手先に対する下請や再委託先への県内事業者の優先選定と、県産材、県産品の利用の要請等により県内事業者の受注機会の増大を図っているところです。また、昨年度、実施いたしましたアンケート調査でも、県内事業者は、下請、再委託への県内事業者の活用や県産材、県産品の利用に、より積極的であることが明らかになったところです。今後も契約条例の趣旨を庁内外に浸透させるとともに、事業者の御意見等も伺いながら取組の充実を図ることにより、地域経済の好循環を拡大し、県内中小企業の活性化につなげてまいりたいと存じます。
6点目の物流の2024年問題についてです。
2024年問題は、運送・倉庫事業に関わる物流事業者だけでなく、製造業をはじめとする荷主企業などに対して広く影響を及ぼすことが懸念されるものでございます。
国におきましては、輸送網の集約や輸配送の共同化等に対し、設備投資に係る税制優遇や融資等で支援するとともに、今月には商慣行の見直しや物流の効率化、荷主、消費者の行動変容を柱とした政策パッケージを策定したところです。
県におきましては、慢性的な人手不足や非効率な運送等を解決するため、これまで、県内のスタートアップによるAIを活用した次世代物流システムの構築に向けた取組等に対して支援を行うとともに、JR貨物と連携し、京都や岐阜の貨物ターミナル駅を利用する県内企業向けの特別料金の周知を図っているところでございます。さらに、今年度は新たに、物流事業者や荷主企業等に対して2024年問題への対応を促すためにセミナーの準備を進めており、経済団体等を通じて積極的な参加を呼びかけてまいります。
もとより2024年問題は一過性の課題ではないと考えており、引き続き、国と連携した優良事例の情報提供、モーダルシフトや物流DX等の取組を促進してまいります。
7点目、中小企業の育成、本県経済活性化に向けた決意についてです。
中小企業は地域社会の担い手として重要な存在であります。私も、中小企業の皆様のお声を直接お聞きする中で、本県経済の主役である中小企業の活性化に対する思いを強くしているところでございます。厳しい経済社会状況の中にありましても、本県の特徴である、ものづくり産業を支える中小企業をはじめ様々な中小企業が、未来に向け、果敢に事業活動を展開され、地域で生き生きと活躍され、成長されていくことが本県にとって必要不可欠であると考えております。そのため、新たな方向性として、中小企業の人づくり、新たな挑戦および社会的課題解決、経営基盤の強化への支援に取り組むこととし、今年度、これらの方向性を盛り込んだ条例の改正を行い、様々な関係者が一丸となって中小企業の活性化を一層推進してまいりたいと存じます。
大きな6項目めは農畜産業の振興と題して賜りました。こちらは7点です。
まず1点目、価格高騰の影響と今後の見込みです。
肥料や飼料、電気代などの農業生産コストの増加は販売価格への転嫁が困難でありまして、利益を減らすことに直接つながっておりますことから、生産者の意欲の減退を招くのではないかと懸念をしております。こうしたことから、県は化学肥料や飼料、電気代のコスト増加分の支援を推進してきたところであり、生産者自身も生産コストの削減や地域内循環をさらに進めようと努力されているところです。
今後の生産資材等の価格動向は予測しがたく、その影響を見通すことは難しいですが、引き続き、状況を注視してまいりたいと存じます。
2点目、トウモロコシ価格高騰の影響と対策です。
本年2月時点では、価格が上昇し始めた2年前に対し、トウモロコシを主原料とする配合飼料価格は約40%増、乾牧草価格は約60%増と大幅に上昇しており、畜産経営に大きな影響が生じていると認識しております。特に酪農経営では全国的に離農が加速し、本県においても同様の傾向がありますことから、その厳しさを痛感しているところです。
これまで国に対し、本県の畜産業を守るための必要な対策を要望いたしますとともに、県として、配合飼料、粗飼料、トウモロコシなどの単味飼料購入に係る畜産経営への緊急的な支援に努めてきたところです。畜産業を取り巻く今後の情勢の変化や国の動きを踏まえ、自給飼料の生産拡大など、持続可能な畜産経営のために必要な支援策を検討、また実施してまいりたいと存じます。
3点目、日本農政はどう変わるのかということについてでございますが、食料安全保障を強化するため、国に対しては、農業生産コストの高騰を農作物の価格に転嫁できる環境の整備などについて提案をしてまいりました。今後の日本農政については、不測時だけでなく、平時から安定的な食料供給が確保されるよう、国内生産の増大を推進しつつ、市場における適正な価格の形成を実現できる仕組みづくりが進められ、農業が持続的に発展していけることを期待しております。
4点目、みどりの食料システム基本計画に基づく農業者の認定状況です。
県では、昨年10月の計画策定以降、オーガニック農業に取り組む農業者等に対して認定制度の活用を呼びかけてきたところです。令和5年6月時点において、堆肥の施用や稲わらのすき込み、有機質肥料の利用など、資源循環を図る農業者23名が作成された環境負荷低減事業活動実施計画を認定しているところでございます。
5点目、有機質資源の活用状況、推進方針です。
令和2年度の県内で1年間に発生する家畜ふん尿は約26万トンであり、そのほとんどが堆肥化され、約8,000ヘクタールで耕種農家に活用されている状況とのことでございます。また、県内では、農地の多くを占める水田から発生する資源が豊富に存在し、このうち稲わらなどについては、ほぼ全量が農地へ還元されております一方で、もみ殻は発生量の約6割が農地で活用されていないという状況があります。今後は、家畜ふん堆肥について、ペレット化により利便性を高めるなど、耕種農家の利用をさらに拡大するとともに、農地で十分利用されていないもみ殻やその他の地域資源の活用の可能性について調査研究を進め、資源循環をより一層推進してまいります。
6点目、滋賀の食のブランド化についてです。
持続可能な農業が主流化していくことを見据え、近江牛はアニマルウェルフェアや環境に配慮した生産を推進すること、近江米ではきらみずきをオーガニック栽培などに限定した品種として生産を拡大していくこと、近江の茶はカフェインレスのオーガニック茶を開発するなど、本県の環境に配慮した生産の強みを生かし、県内外で支持されるブランドとして、より一層、磨きをかけていきたいと考えております。
さらに、イチゴ新品種のみおしずくは県内一産地として栽培方法を統一し、県内量販店への安定供給を図り、また、びわほなみについては県内事業者と連携した麺やパンなどの商品開発をするなど、県民がより身近に感じ、誇りを持てるようなブランドに育ててまいりたいと存じます。
7点目、そういったことも含めた私の決意についてでございますが、県民への安定した食料供給と本県農業の持続的な発展に向けては、生産者の皆さんがこれからも安心して生産に取り組んでいただけることが重要だと考えます。そのため、できる限り地域内で生産資材の供給や農畜産物の加工に取り組める仕組みづくりを進め、地域自給力の向上を図ってまいりたいと存じます。また、全国に先駆けて進めてきた環境こだわり農業をはじめとする本県独自の取組を深化させ、生産者等との連携による新たな流通体制の構築を進めてまいりたいと存じます。
こうしたことにより、消費者に選ばれるとともに、生産者にとっても魅力ある産業とすべく、私自身が先頭に立ち、全力で施策の推進に取り組んでまいります。
大きな7項目め、健康な山づくり等についてでございますが、まず1点目、植樹祭後の県民意識などについてでございます。
県政モニターアンケートによる琵琶湖森林づくりの認知度におきましては、令和3年10月、40%であったところ、植樹祭後の令和4年8月には55.5%にアップするなど、植樹祭を契機として山への関心が一定高まっていると感じております。
また、琵琶湖森林づくり条例において、10月1日をびわ湖水源のもりの日、その月、10月をびわ湖水源のもりづくり月間と定めており、森林への理解と関心を深める機会をつくることとしております。今後は、この10月のびわ湖水源のもりづくり月間において、普及啓発イベントの実施や緑の少年団の活動支援など、多くの人々が森づくりに関わることのできる機会をつくることで、引き続き、県民の皆さんの森林への理解と関心を深めてまいりたいと存じます。
2点目、山の健康づくりに何が一番重要なのかということについてでございますが、御指摘のとおり、戦後、植栽された人工林は利用期を迎え、充実しつつある一方、高齢化に伴い、成長が衰える傾向にありますことから、伐って、使って、植えて、育てる森林資源の循環利用に取り組み、成長の旺盛な若い森林を確実に造成していくことが必要となっております。このためには、森林の適正管理、林業の成長産業化、農山村の活性化を一体的に進め、森林空間の利用なども含めた山の資源をフル活用することにより、山の産業を振興し、山に関わる人々の収益向上を図ることが最も重要だと認識しております。
本年3月に制定された滋賀県県産材の利用の促進に関する条例を踏まえ、琵琶湖森林づくり基本計画を見直すこととし、主伐、再造林をはじめとした必要な施策に取り組んでまいりたいと存じます。
3点目、生産森林組合についてです。
多くの農山村集落ではこれまで、生産森林組合等の地域に根差した組織によって豊かな森林資源が蓄積されてまいりました。一方、近年の生産森林組合の状況は、木材価格の低迷や組合員の高齢化などにより、平成20年度に103組合ありましたものが、令和4年度では94組合に減少するなど、活動が低迷しているところです。県といたしましては、やまの健康に向けて、生産森林組合等に対して木材生産による収益向上につながるよう適切な助言を行うことをはじめ、農山村の活性化に取り組む団体等が補助制度を活用するなど、きめ細かに支援してまいりたいと存じます。
4点目、森林組合の組織の充実についてです。
地域の森林経営の中核的な担い手である森林組合は、本県の林業推進において大変重要な位置づけとなっております。しかしながら、県内各森林組合は組織体制や経営基盤が脆弱であり、高性能林業機械の導入や、主伐、再造林など、新たな事業展開が図られず、組合員への利益還元が不十分な状況であるということでございます。
県といたしましては、地域の森林が適切に経営管理され、山に関わる人々の収益向上のためには、森林組合が確固たる経営基盤を備え、事業を着実に実行できる組織体制として、将来的には県下1組合が望ましい姿だと考えており、今後とも適切な助言や必要な支援を行ってまいりたいと存じます。
5点目、森林環境譲与税についてです。
県は、森林環境譲与税を森林経営管理制度に取り組む市町の支援等に充てることとしております。市町においては、森林経営管理法に示す責務として、森林の適切な経営管理に取り組むこととされており、森林環境譲与税を活用し、放置林の整備推進が期待されるところです。
森林資源が充実しつつある今こそ、まずは山の多い市町が森林環境譲与税等を活用して森林整備や木材生産に取り組むことが大切であり、さらに、都市部においては建築物等に県産材を活用することなど、県産材の生産から加工、利用に至るまで、上下流の市町が連携し、森林資源を持続的に活用していくことが課題であり、また可能性であると認識しております。
6点目、花粉対策の方針と林業振興への思いについてでございますが、県では、花粉の発生源対策について、琵琶湖森林づくり基本計画の重点プロジェクトに位置づけております。令和7年度までに年間50ヘクタールの主伐、再造林を目標とし、少花粉スギへの植え替えに対する支援の強化や、コストを抑えた再造林技術の普及などに取り組んでおります。
林業振興については、伐って、使って、植えて、育てるという自律的、持続的な循環を、ICTを活用した低コスト化や流通強化を図り、高いレベルで成り立たせることが重要であると認識しております。
今後は、CO2ネットゼロ社会の実現も見据え、主伐、再造林による資源の再生産と森林の適正な管理を図り、林業・木材産業を成長発展させ、グリーン成長の実現につなげてまいりたいと存じます。
続いて、大きな8項目めでございますが、こちらは地域防災力の向上ということでいただきました。
1点目、最近の自然災害の発生状況についてです。
日本各地で地震が発生しており、本県でも、活断層により、直下型地震に加え、南海トラフ地震の発生も危惧されております。また、本年6月2日からの大雨では、四国から東海で線状降水帯が相次ぎ発生し、記録的な大雨による被害がもたらされるなど、最近の雨の降り方に変化が見られることから、最新の気象状況を注視し、今まで以上に彦根地方気象台等と緊密に連携する必要があると感じております。
これまで防災プランを評価する中で、全国各地で毎年のように自然災害が発生しており、特に風水害については激甚化、頻発化しておりますことから、災害に備えるさらなる取組が重要であると認識しております。
2点目、防災プランについてです。
自助では、県民一人一人が避難情報を避難行動に結びつけられるよう、しがマイ・タイムラインを活用した防災意識の向上を、共助におきましては、高齢者等の災害発生時の逃げ遅れを解消するため、市町における避難行動要支援者の個別避難計画の作成支援を、公助におきましては、国の防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策予算を活用し、緊急輸送道路の橋梁の耐震化などを、それぞれ力を入れて推進しているところです。
一方、コロナ禍で、防災訓練をはじめ様々な対面での活動が中止や縮小を余儀なくされましたことから、例えば訓練等を通じて得られる成果や課題を検証して反映すべき受援計画の見直し作業などに遅れが生じている状況です。このため、プランを1年延長させていただくとともに、並行して、プランの改定に向けた検討を進めてまいります。
3点目、高齢者や障害者を意識した配慮についてです。
大規模な災害が発生するたびに高齢者等に被害が集中しており、要配慮者への避難行動支援等が重要だと認識しております。
本県では、市町における避難行動要支援者の個別避難計画作成を推進するため、令和2年度に防災と保健福祉の連携促進の手順等を示した滋賀モデルを作成し、市町を支援してきたところです。しかしながら、市町によって個別避難計画の作成や指定福祉避難所の確保には進捗に差も見られますことから、市町の実情を踏まえながら、保健福祉専門職の理解や、防災と保健福祉部局の連携を促進していく必要があると考えております。このため、県として、今年度からは市町を直接訪問し、課題等を聞き取りながら必要な情報提供や助言を行う伴走型支援を実施し、市町の取組をより一層、後押ししてまいりたいと存じます。
4点目、地籍調査についてです。
本県では、これまで自然災害による被害が比較的少なかったことや、市町の要望額に対して国からの補助金が満額交付されていないこと、県民の皆さんへの周知が十分行えていないことなどが調査の実施率や認知度の低さに影響しているのではないかと考えております。議員御指摘のとおり、地籍調査は災害復旧や土地取引の円滑化などに効果がありますことから、その重要性が県民の皆さんにしっかり伝わるよう、様々な広報媒体をうまく活用しながら周知を行いますとともに、事業予算の確保や関係団体、市町との意見交換を行いながら実施率の向上につなげてまいりたいと存じます。
5点目、政策提案の内容についてです。
原子力災害発生時には、近年の激甚化、頻発化する自然災害との複合災害も考慮した、途絶しない複数の避難経路や手段の確保が重要であります。本県では、複合災害に対して信頼性が高い複数の避難経路を確保することも考慮しながら、例えば道路の周辺における予防伐採や落石防止のためののり面対策、バイパス整備などを進めるとともに、湖上輸送も含め、公共交通機関と連携して多様な移動手段を最大限活用できるよう努めているところです。
今回の政策提案では、原子力防災の観点からも、避難経路となる道路の整備や周辺の対策をより進めていくことが重要になりますことから、内閣府および経済産業省に対しましても財政的な支援を要望したところでございます。
6点目、全体を含めた決意についてです。
県民の命と暮らしを守ることは県の最も重要な使命であり、近年、気象状況が大きく変化しておりますことから、国や市町、関係機関と引き続き緊密に連携し、災害への備えに全力を尽くしてまいりたいと存じます。このため、県におきましては、災害時に迅速かつ的確に対応できる県職員を育成するためのプログラムの作成や、県民の適切な避難行動を促すための防災情報プラットフォームの検討を計画的に進めてまいります。
防災は、高齢者、障害者はもちろんのこと、女性や外国人の視点も大切にしながら、いざというときだけではなく、意識や行動が常日頃の生活に溶け込んだ防災の日常化や防災まちづくりを進めることが重要と考えており、県民や企業、団体の皆様と共に、誰一人取り残さない、災害に強い滋賀をつくってまいりたいと存じます。
私に賜りました最後の大項目、県土の強靱化、そして、土木戦略ということについてでございます。
まず1点目、道路整備についてです。
昨年度までの道路整備アクションプログラム2018では、計画期間の5年間でバイパスや歩道の整備など、目標を1か所上回る37か所、完了させていただいたところです。その成果として、交通渋滞の緩和や歩行者、自転車の安全性の確保、県土の強靱化が図られますとともに、国スポ・障スポ大会の会場への快適な移動に資する道路整備も着実に推進できたと考えております。また、インターチェンジや救急医療施設へのアクセス性が向上するなど、物流の円滑化や観光振興、医療活動への貢献といった効果も発現していると評価しているところです。
2点目、新たな道路交通の課題についてでございますが、これまでの渋滞対策や交通安全対策はもとより、近年、激甚化、頻発化する災害に備えるための道の駅の防災拠点化の推進や、良好な景観形成にも資する無電柱化、自動運転車や電動キックボード、超小型電気自動車など様々な移動手段への対応、車と人が共存するための道路空間の再編などが道路交通における新たな課題であると認識しております。また、議員御指摘のように、幹線道路を整備した地域では渋滞の緩和や安全性の向上などの効果がある一方、それ以外の地域では新たな渋滞や危険箇所が生じる場合もございまして、そうした課題にも的確に対応していく必要があると考えております。
3点目、整備率についてでございます。
本県では、名神高速道路や国道1号など、広域的な幹線道路が早い時期から整備され、企業進出や人口増加が急激に進んだ一方で、それに伴う交通量の伸びに、その後の道路整備が十分追いつかず、今なお各地で渋滞が発生し、整備率が低い状況が続いているものと認識しております。そのため、アクションプログラムの策定に当たりましては、バイパス整備等については投資効果の高い路線を選択し、より早く効果が発現するよう事業区間を設定するとともに、改良が必要な交差点については、ビッグデータの活用によりボトルネックとなる箇所を的確に把握し、選定しており、これに基づき計画的に事業を推進することで整備率の向上を図ってまいります。
4点目、河川整備についてでございます。
令和元年度から5年度までの現5か年計画におきましては、治水安全度を高めるため築堤や河道掘削等を進めており、目標延長10キロメートルに対しまして、令和4年度末現在において9.4キロメートルの整備を完了しております。整備推進に当たりましては、おおむね10年に1度の降雨により市街地に氾濫が及ぶ河川が120河川も存在すること、堤防が決壊すると甚大な被害が発生する天井川が全国一、また、全国の約4割に当たる81河川存在すること、橋梁等の大規模構造物が横断する箇所が多く残されており、その改修には莫大な費用を要することなどが主な課題であると認識しております。
5点目、新たな5か年計画における治水戦略についてでございますが、県民の生命、財産を洪水から守るため、ハード、ソフト一体となった治水対策を進めており、その中でもハード対策である河川整備を基幹的な対策と位置づけております。
計画の策定に当たりましては、流下能力の低い箇所や橋梁等の大規模構造物がある箇所では、国の個別補助制度の活用などにより集中投資し、計画的な治水安全度の向上に取り組むとともに、天井川におきましては、破堤による人的被害を回避するため堤防の質的強化を図るなど、効果的、効率的に治水安全度を高めることを戦略の柱としてまいりたいと存じます。水害の激甚化、頻発化にもしっかりと対応できるよう、今後とも着実な河川整備に取り組む所存であります。
6点目、河川の維持管理における緊急性の判断基準等についてでございますが、本県では、巡視点検により把握した土砂の堆積状況や竹木の繁茂状況、周辺の土地利用状況などの治水上の影響度や市町からの御要望等を総合的に勘案し、優先度を判断しております。
優先度の高い河川のうち特に緊急度の高い116河川においては、財政上、有利な国の緊急しゅんせつ推進事業債を活用し、計画的に維持管理を進めております。今後も事業債等を積極的に活用し、しゅんせつや竹木伐採を強力に進めていく所存であります。
最後、7点目、財源確保に向けた戦略、行動についてです。
春の政策提案では、国土強靱化5か年加速化対策をはじめ道路事業や河川事業など、継続的、安定的な予算措置について要望させていただきました。引き続き、国との緊密な連携、情報交換を行い、企業立地や産業振興など、新たな活力を生み出すインフラ整備の必要性をアピールさせていただくとともに、完了した事業の効果を取りまとめて分かりやすく示すなど、より工夫を加えながら要望活動を実施し、5か年加速化対策後も見据え、補助金等の確保に努めてまいります。私自身が先頭に立ち、しっかりと取り組んでまいりますので、議員の皆様方、県選出国会議員の方々からも、引き続きよろしく御支援賜りますようお願い申し上げたいと存じます。
◎教育長(福永忠克) (登壇)私にいただきました、魅力ある高校づくりについての7点の御質問にお答えをいたします。
1点目の県立高等学校に中学生はどのように魅力を感じているのかについてでございますが、高等学校は自分の夢や可能性に向かって学ぶ場所であると認識をいたしておりまして、多様な選択肢を提供することは魅力ある高校づくりにつながるものと考えているところでございます。
令和2年度に行いました中学生アンケートでは、高校に期待することとして、自分の進路希望や興味、関心、適性などに応じた科目を選択できること、就職するときに必要な知識や技能、技術を取得できることが上位となっております。多様な選択肢の提供と併せまして、その特色ある学びや魅力を中学生に発信し、自分の希望に応じた高校を選択してもらえるよう取り組んでまいる所存でございます。
2点目の具体的な魅力化についてでございますが、昨年度、策定をいたしました滋賀の県立高等学校魅力化プランでは各県立高校の魅力化の方向性を示しており、今年度からそれぞれの高校で取組を進め、生徒の夢や思いの実現に向けた高校づくりを推進してまいります。
まず、今年度は普通科の特色化を図っていくため、地域連携重点の高校におきまして、国の事業を活用しながら、地域資源や地域の特性を踏まえた新しい学科の検討を進めることとしております。
具体的には、伊香高校では森、川、里、湖がつながる北部ならではの探究の学びとして(仮称)森の探求科を、また、守山北高校では起業家精神の育成や地域資源を生かした探求の学びとして(仮称)みらい共創科を、コーディネーターを配置し、関係の皆様の御意見をお伺いしながら検討してまいりたいと考えております。
3点目の教員の役割と意識向上についてでございますが、教員の役割は子供たちの育ちをしっかり支えることであり、授業をはじめとした様々な教育活動を行うことでございます。そのためには教員が心と時間にゆとりを持って取り組めることが必要であり、スクールカウンセラーなどの外部人材やICTの活用などによる働き方改革を進めてまいります。
また、それぞれの学校をより魅力あるものとするためには、校長がリーダーシップを発揮し、全ての教員が互いに知恵を出し合い、学校全体で取り組もうとする意識を持つことが大切でございます。あわせまして、教職員の増員や勤務実態に見合った待遇改善も必要であると認識をしており、先日、国に要望をさせていただいたところでございます。
4点目の、困難な環境にある子供たちの学びへの支援についてでございますが、県教育委員会では困難な環境にある子供たちがスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーに相談できる時間の拡充に努めているところでございます。また、的確な支援を進めるため、研修等で教員によるアセスメント力の向上を図っているところでございます。
引き続き、不登校児童生徒の減少に向けて取組を進めますとともに、困難な環境にある子供たちの状況は多様でありますことから、子供にとって最適な学びが提供できるよう、市町と共に取り組んでまいる所存でございます。
5点目の、学校環境の魅力化とトイレ整備についての私の決意でございますが、清潔で快適なトイレなど学校の教育環境は、生徒が進学先の学校を選択するに当たっての重要な要素であると認識しております。このため、これまでから県立学校の老朽化対策や空調整備、トイレ整備、ICTネットワーク環境の整備など、学校の教育環境の整備について、鋭意、取り組んできたところでございます。とりわけトイレ整備は生徒をはじめ多くの方々から御要望いただいているものであり、できる限り早期に完了するよう改修を進めてまいりますとともに、今後とも、生徒の学びと生活の場である学校の魅力ある教育環境の整備についてしっかりと取り組んでまいる所存でございます。
6点目の高等専門学校の位置づけと私の期待についてでございますが、高等専門学校はこれまで滋賀県内にはなかった新たな教育機関でございまして、滋賀の中学生にとって進路の選択肢が広がるものと認識をいたしております。
今後は、高専と高校それぞれが特色や魅力を、できるだけ早い段階から中学生やその保護者に分かりやすく示していくことが必要と考えております。高専や高校での特色や魅力ある学びにより、子供たちがこれからの産業や社会を担ってくれることに、教育長として大いに期待をしているところでございます。
最後、7点目の次期教育振興基本計画の策定に当たっての考えでございますが、本県が目指しております「未来を拓く心豊かでたくましい人づくり」に向けまして、子供たちの学ぶ意欲を引き出し、子供たちが夢を描くことができる魅力ある学校づくりを進めることは大変重要であると認識をいたしております。こうした認識の下、次期教育振興基本計画におきましては、笑顔あふれる学校づくりのほか、安心して学び、能力を発揮できる環境づくり、多様な教育ニーズへの対応など、魅力ある学校づくりに向けた施策をしっかりと位置づけようとしているところでございます。
予測困難な時代にありまして、子供たちが変化し続ける社会に向き合い、たくましく未来を切り開いていくことができるよう、次期計画を本年中に策定させていただき、魅力ある学校づくりをはじめとする各種施策を総合的に展開してまいりたいと考えております。
◎
警察本部長(中村彰宏) (登壇)私にいただきました5点の御質問のうち1点目の、滋賀県の犯罪、事故などの現状とその対策についてお答えします。
本県の刑法犯認知件数は、近年、減少傾向を維持しておりましたが、昨年は前年よりも増加しており、本年も依然として増加傾向にあります。中でも特殊詐欺は、昨年同時期に比べ、被害件数が大幅に増加しており、サイバー犯罪関係の取扱いも年々増加の一途をたどっております。このほか、DVやストーカー、児童虐待等の人身安全に関連する事案は後を絶たず、交通事故の発生件数についても、昨年同期に比べましてやや増加傾向にあり、本県の治安情勢はそれぞれの分野で厳しさを増しており、憂慮すべき状況にあると認識をしております。
こうした状況を踏まえまして、現在、県警察では、昨年策定した犯罪抑止対策緊急強化戦略や交通安全対策強化プランを中心に、1件でも犯罪や交通事故の発生を抑止すべく、部門横断的に各種取組を強力に推進しているところです。また、県警察では本年度から、取扱いを誤れば人命に関わる危険性が高い人身安全に関連する事案に24時間対処可能な体制を整備するとともに、事件の早期検挙のための初動捜査および情報分析等を専門とした捜査支援分析課を設置するなどして、犯罪検挙のための捜査力強化も推進しているところです。今後も県警察といたしましては、国内外の社会情勢が滋賀県にどのような影響を与えるかにも着目しながら、これに応じて各種活動を強化し、県民の皆様が安全・安心を実感できるよう、しっかりと取り組んでまいります。
2点目の滋賀県警察の現体制等についてお答えをいたします。
まずは、このたび、財政状況等厳しい中、県議会の議員の皆様をはじめ知事部局やその他、多方面の方々から御理解と御支援を賜り、20人の警察官増員の措置をいただきましたこと、厚く御礼を申し上げます。
今回、増員いただいた警察官は、2年後の国スポ・障スポに向けた警備対策のほか、ストーカー、DVをはじめとする人身安全関連事案への対処やサイバーセキュリティー対策に当たる要員として配置をしたところであります。しかしながら、本県の警察官1人当たりの負担率は依然として高い水準にございます。他方で、少子化による人口減少局面にある中、昨今の財政的な制約からしても、今後、警察官の増員は必ずしも容易なことではないと考えております。県警察におきましては、限られた人員のさらなる有効活用を図るため、人手や時間の削減につながる各種システムや装備資機材の導入、業務の合理化、見直しについても不断に検討を進めるとともに、職員を、より課題となっている対策や、より必要とされる業務にシフトさせるなどの体制の見直しや再編成を行いながら、引き続き、組織力の強化につなげてまいる所存であります。
3点目の警察施設の整備方針についてお答えいたします。
警察施設の更新整備は築年数や老朽、狭隘度等を勘案して計画的に進めているところであります。特に県民の安全・安心に密接な警察署や交番、駐在所等については、県内の人口動態や犯罪情勢などを総合的に勘案しながら、より合理的かつ効果的な活動ができるよう、整備、再編成を図っていく必要があると考えておるところでございます。
4点目の不祥事の再発防止策についてお答えいたします。
3名の警察官が懲戒処分となったことにつきましては大変遺憾であり、被害関係者はもとより、県議会をはじめ県民の皆様に改めておわびを申し上げます。
県警察といたしましても大変深刻に受け止めており、非違事案防止対策の徹底と規律の保持について指示するため、6月1日に本部長通達を発出するとともに、翌2日に臨時警察署長会議を開催したところであります。
再発防止対策といたしまして、これまで以上に職員の職責の自覚を促し、高い規範意識を醸成するため、効果的な職務倫理教育を実施するとともに、職員が抱える不安や悩みを早期に把握して適切な支援を行うため、身上把握、指導の徹底、各種相談窓口の充実などに努めてまいります。
具体的には、例えば今回の懲戒処分のうち2件は、その背景に多額の借金があったことを踏まえ、若手職員を中心に、警察職員として健全なライフプラン形成を構築するための研修や、業務上に加え、私生活上のものも含めた失敗時の対処法を学ぶリカバリー教育を実施してまいります。また、職場での相談や支援を行うピアサポーター等の相談員に対する研修や、外部のものも含めた相談窓口の周知により、相談しやすい職場環境を構築してまいります。
これら諸対策を間断なく実施し、全職員が一丸となって非違事案防止に取り組み、県民の安全・安心の確保に、より一層、力を尽くし、県民の期待と信頼に応えられる規律高い組織をつくってまいります。
5点目の、
警察本部長の就任に当たりましての決意と意気込みについてでございます。
県民等が安全に暮らすことができる社会の実現は警察に課せられた使命であります。3月の着任当日、私は職員に、常に県民のための警察であれということを指示いたしました。職員一人一人がどうすれば県民のためになるのかを自ら考え行動する、こうした心がけの下で組織力を結集し、組織一体となって安全・安心の確保に努めてまいりたいと考えております。
また、県民の期待と信頼に応える警察であるためには、県民の皆様の声にしっかりと耳を傾けるとともに、警察の活動の目的や理由、必要性を発信し、県民の皆様の御理解を得ることも重要と考えております。このため、県民の代表である県議会の議員の皆様ともしっかりとコミュニケーションを取ってまいりたいと考えております。
県民のための警察として、県民の皆様が安全で安心して暮らせる滋賀の実現に努めてまいります。
○議長(奥村芳正) しばらく休憩します。
午後0時10分 休憩
────────────────
午後1時9分 開議
○議長(奥村芳正) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
次に、43番今江政彦議員の発言を許します。
◆43番(今江政彦議員) (登壇、拍手)それでは、チームしが 県議団を代表して質問をさせていただきます。
さて、我が国では子供政策を含めた少子化対策はまさに正念場に来ています。国においては、次元の異なる少子化対策の実現に向けて様々な試案が示され、去る6月16日に閣議決定されました骨太方針にも盛り込まれています。滋賀県においても、全庁挙げて取り組む滋賀県子ども政策推進本部が設置をされ、国や市町と連携しながら滋賀県独自の子供政策を進めようとされています。
私は、少子化対策について検討する前提として、まず、これまでの日本の少子化対策を検証する必要があるというふうに思っております。このことにつきましては、パラサイトシングル、格差社会あるいは婚活などの言葉を広めた家族社会学の山田昌弘中央大学教授が「日本の少子化対策はなぜ失敗したのか」というテーマのインタビューの中で興味深い指摘をされています。日本の過去における少子化対策が失敗した大きな理由の一つに、正社員、つまり正規雇用中心主義だったことを挙げられています。現在、雇用の非正規化が進む中で、育児休業制度をはじめとする子育て支援策を受けられない人が増えているにもかかわらず、正社員と非正規社員の分断を放置したまま少子化対策をしても効果が出ないということだというふうに思います。また、山田先生は、地方公務員を非正規化したことが地方の少子化を深刻化させたともおっしゃっています。その御指摘のとおり、今、地方自治体では、厳しい定員管理の下で官製ワーキングプアという非正規職員が増えております。会計年度任用職員制度の創設で、若干、改善はされたものの、まだまだ十分とは言えません。当然のことながら、経済的な理由で結婚を控える世代が多くなり、子供の数も減らざるを得ません。民間の労働現場でも同様の状況にあるというふうに思います。児童手当の増額や教育の無償化などは当然進めるべき施策でありますが、今回の骨太方針では少子化対策の財源について先送りされていることは誠に残念であります。
さきに行われた共同通信社の世論調査でも、少子化対策の財源について、年末に示すとした岸田首相の説明に納得できないという回答が72.7%に達しています。もし今言われているように、少子化対策の財源について安易に社会保険料の増額で対応することになれば、実質賃金が目減りし、非正規雇用の人たちはますます結婚や子育てから遠ざかってしまいます。加えて、異次元の少子化対策というのであれば、ただ単に子育て支援を充実するだけでなく、日本社会にある様々な格差をなくすなど、どのような社会を目指していくのかをしっかり意識した中長期のスパンで行う施策が重要だというふうに思います。このことは後の質問の中でも指摘をさせていただきます。
それでは、通告に従いまして代表質問をさせていただきますので、的確な御答弁をお願いしたいと思います。
まず初めに、基本構想、
行政経営方針と北部振興について知事に伺います。
昨年度、滋賀県基本構想に基づく県の取組を進める上で必要な主要施策を定めるため、計画期間を今年度から令和8年度の4年間とする第2期滋賀県基本構想実施計画が策定をされました。策定に当たっては、第1期実施計画の検証や国内外の社会情勢の変化を踏まえ、先を見据えた感染症対策を進めるとともに、体と心の健康、安全・安心な暮らし、豊かな自然も含めた滋賀の魅力と社会経済の活力、それらを支える基盤づくりに係る政策を推進していくとされています。また、感じている幸せの度合い、滋賀に誇りを持っている人の割合、滋賀に住み続けたいと思う人の割合の上昇を目指す姿とした上で、その実現に向けた政策の方向性として13の政策にまとめています。
滋賀県基本構想実施計画第2期の初年度、どのようにして掲げられた政策を展開し、目指すところの健康しがをつくっていくのか伺います。
次に、
行政経営方針について伺います。
滋賀県基本構想の着実な推進を行財政面から下支えするため、県の行政経営に関する基本的な考え方を示すものとして、基本構想実施計画第2期に合わせ、今年度から令和8年度の4年間を取組期間とする新たな滋賀
県行政経営方針ならびにその実施計画が策定をされました。その中で「対話と共感、共創で築く県民主役の県政の実現のために」を滋賀県庁の経営理念として掲げられ、また、2030年に向けて目指す5つの県庁の姿や職員一人一人の行動指針も示されています。
滋賀
県行政経営方針およびその実施計画に基づき、今年度は取組の初年度でありますが、どのような形で行政経営を進めていくのか伺います。
次に、基本構想実施計画、
行政経営方針にもその推進がうたわれておりますDX──デジタルトランスフォーメーションでありますが、業務の効率化や
県民サービスの向上を図る上で、最近、
チャットGPTに代表される生成AI、いわゆる人工知能の活用に向けた動きが自治体でも広がっております。膨大なデータを基に質問に対する答えを短時間に文章化するなど、生成AIは業務の効率化、生産性の向上に資するものと期待をされています。他方、個人情報や機密情報の流出、著作権侵害、偽情報の流通のおそれなどが指摘をされ、回答の基となったデータを調べるなどの事実確認の必要もあります。また、議会での答弁作成や自治体の意思決定で使用されることは、時には民主主義、あるいは地方自治の本旨に反するということも考えられます。
先月、生成AIの利用指針を定めた条例が全国で初めて制定された神戸市では、文書の要約や翻訳、議事録や草案作成などの利用を想定し、安全面に配慮しながら積極的に利用するとされました。一方で、鳥取県では、生成AIは過去のネットデータによるものであり、地方自治、民主主義の現場で議論しなければならないのは未来についてであり、また、ネット上には出てこない情報や声なき声もあるとして、行政の現場での利用には慎重な姿勢を取ることを表明をされているところであります。
本県において、こうした生成AIを県庁でいかに活用していくか、専門チームをつくり、活用方針の取りまとめに向け、議論を始められたと仄聞をしておりますが、生成AIの県庁業務への利活用について見解を伺います。
次に、人づくりと業務執行体制について伺います。
知事は
行政経営方針の冒頭にも、職員(ヒト)こそが最大の経営資源と考え、県庁で働く全ての職員が健康で生き生きと、やりがいを持って、その能力や個性を最大限発揮できるように取組を進め、県庁力の最大化を図ると述べられております。具体策として、若手中堅職員の育成や職員間のコミュニケーションの活性化によるチームワークの強化、そして、管理監督職のマネジメント力の向上を重点取組として挙げています。他方、職員からは、業務量に比べ、そもそも人が足りていない、そのために若手を育成する余裕がない、管理職も、その部署に慣れたと思ったらすぐ異動があり、引継ぎもそこそこに新たな業務に対応していかねばならず、マネジメント力を発揮するには至らない、ある部署におけるスペシャリストが育つ前に異動があるなどなど、業務の継続性が担保されていないといった声を耳にします。
若いうちに様々な分野を経験し、視野を広げることは有益であり、職員の適材適所にも資すると考えます。他方、一定キャリアを積んだ中堅以降の職員の異動についてはもう少し間隔を長くするべきではないかというふうに考えますが、このことも含めまして、県庁を担う人づくりおよび業務執行体制の持続性、代替性の確保について見解を伺います。
この項の最後に、北部振興について伺います。
知事は3期目の重点政策の一つに北部振興を掲げ、北部の魅力や可能性を探り、北部だからできる、北部でしかできない振興施策を考えるため、昨年度は毎月1回、北部の日を設定し、北部地域で公務に取り組むこととされました。実際、昨年9月には長浜市、10月には米原市、11月および今年1月には高島市に滞在し、地域で頑張っておられる方々と意見交換等をされたというふうに聞いております。
また、今年度は、北の近江振興事務所を設置する中、より地域に寄り添い、そして現場を訪問し、地域の皆さんと意見交換をするため、知事の北の近江現場訪問として実施をされています。4月には長浜市内のイチゴ農園や観音堂等を訪問され、それぞれの現場で意見交換をされたと伺っておりますが、これまでの視察や意見交換を通じ、知事は北部の魅力や可能性をいかに捉え、北部だからできる、北部でしかできない振興施策をどのように考え、今年度の振興策に盛り込まれたのか、また、知事の現場訪問について、どのような課題意識の下、今後、実施しようとしているのか伺います。
来年春にはいよいよ北陸新幹線敦賀駅が開業し、人の流れに変化が生じます。この機を北部振興の好機と捉え、隣接府県に加え、広く首都圏、中京圏、北陸圏から周遊される観光客の県北部地域への誘客に力を入れるべきだというふうに考えます。
そこで、米原駅の徹底活用策も含め、北陸新幹線敦賀駅開業に向けた観光政策について伺います。
なお、北陸新幹線の金沢─敦賀間の運行本数は1日当たり48往復と想定されておりますが、北陸線の敦賀─米原間は、特急しらさぎと各駅停車を合わせましても24往復と輸送力に差異があることから、リレー快速の導入など、アクセスの向上が必要不可欠であります。これまでJRや国に対してアクセスの向上に係る改善要望をしてきたかとは思いますが、引き続いての働きかけをお願いして、次の質問に移りたいと思います。
次に、防災について知事ならびに教育長に伺います。
昨年から過去10年の滋賀県における災害警戒本部設置を振り返りますと、少なくとも年に1度は大雨や台風による災害警戒本部が設置をされるなど、年々、大雨や台風による水害の危険性がより身近なものに迫ってきています。一たび線状降水帯による大雨が発生すると公共交通機関への影響は大きく、今月も湖西線や琵琶湖線で運転取りやめが発生をし、通勤通学の利用者を中心に県民生活に大きな影響を与えました。また、気象庁では、降雨の予測精度の向上を踏まえまして、令和3年6月から線状降水帯の発生を知らせる情報提供を開始をし、令和4年には広域で半日前から予測が可能となり、段階的に対象地域を狭め、令和6年には県単位で半日前から線状降水帯の発生予測をすることを目指しているとお聞きをしております。
このように、線状降水帯の予測精度向上をはじめ、防災気象情報の高度化が進められることにより、被害を軽減するための対策を取ることが今まで以上に可能になります。こうしたことから、今までにない警報発表前からの帰宅困難者対策はもちろんのこと、帰宅困難者を生み出さないために、県から県民に向けて事前情報の提供を積極的に行っていくことで通勤通学時の混乱を軽減できるというふうに考えます。とりわけ子供たちの安全・安心を守るため、かつ休校すべきか否かの素早い判断に資するため、線状降水帯の発生予測も含め、大雨や大雪などの気象予測やそれに伴う公共交通機関の運行情報等を、公立私立を問わず、小中高特別支援学校園に速やかに提供できる体制を、市町や市町の教育委員会とも連携して構築していくべきだというふうに考えます。
防災気象情報の高度化を踏まえ、大雨や大雪などの気象予測や、それに伴う公共交通機関の運行情報等の県民および各教育施設へのこれまでの情報提供の状況と今後の情報提供の在り方について知事に伺います。
また、災害発生のおそれや、それに伴う公共交通機関の運休の可能性がある場合における県立学校の臨時休業等の対応について教育長に伺います。
国土強靱化が国主導で進む中で、気候変動を踏まえた治水計画へと見直しが進められています。令和4年8月に滋賀県で発生した前線による記録的な大雨によって最高の警戒レベル5に相当する氾濫発生情報が発表された高時川の氾濫など、気象変動などの影響によりまして、本県でも膨大な被害を及ぼしています。
昨年、我が会派から、気候変動を踏まえた治水の対応方針についてお聞きをしたところ、気候変動を考慮した降雨量が現行計画を上回る河川について、河川整備状況に応じた対応方針を定めたところだとの答弁をいただきました。そこで、その方針を踏まえ、本年度策定される第3期滋賀県河川整備5か年計画につきまして、どのように反映するのか、知事に伺います。
最後に、令和3年の災害対策基本法の改正に併せまして、滋賀県地域防災計画にもこれまでに発生した災害の教訓などを生かす修正が進められ、個別避難計画と地区防災計画の整合性を取るよう努めることを明記をしています。個別避難計画については、令和5年2月、定例会議の我が会派からの質問におきまして、滋賀モデルの横展開や滋賀モデル推進連絡会議の設置などにより県内16市町において計画の策定が進められているが、高齢者等で支援が必要となる当事者を含め、支援者となる福祉専門職や地域の方々など、多くの方の理解と参画が十分ではないことが課題であるという答弁をいただきました。
そこで、本県でも、自主防災組織パワーアップ事業において、モデルとなった地区の紹介や地区防災計画制度の普及促進、計画の策定やアドバイザーの育成を進めていることとは思いますが、本県の地区防災計画の取りまとめの現状と、今後、どのように進めていくのか、知事に伺い、次の質問に移ります。
次に、文化遺産について知事ならびに大杉副知事に伺います。
昨年度末、文化庁が京都に移転し、本格的に稼働することになりました。中央省庁の本庁機能の大半が初めて地方に移転することは地方分権の先駆けでもあり、また、我が国の積年の課題でもありました東京一極集中の是正にとっても大きな前進として期待をされるものであります。関西広域連合の視点も踏まえ、今回の中央省庁の地方移転のこのチャンスを本県としてどのように捉え、今後、いかに活用しようとされているのか、まず、知事に伺います。
先月、5月20日から25日に大杉副知事がイタリアとバチカンを訪問され、世界農業遺産認定式に出席されるとともに、県とバチカンとの文化交流の深化発展と、織田信長が築城した安土城の姿を描いた唯一の絵画資料とされる安土山図屏風の探索調査等について協力依頼をされました。先方からは「継続して、協力体制も含め、文化交流を今後も築いていきたい」との前向きな確約を取り付けたというふうに仄聞をしております。このたびの訪問が本県と県民にとってどのような成果をもたらすのか、2年後の2025年には天正遣欧使節が1585年にローマ教皇に謁見してから440年、そして、7年後の2030年は安土セミナリヨが建設されてから450年の節目の年に当たることも鑑みつつ、今後の活用を含め、県としても、今回の訪問を機に持続的、発展的な文化交流に向けて様々な事業展開をすべきだと考えますが、大杉副知事の所見を伺います。
昨年度末に策定をされました特別史跡安土城跡整備基本計画に基づき、県では令和5年度から20年計画で調査、整備をスタートさせ、まず、天守台周辺の発掘調査から実施を始めるとのことでありますが、今回の安土城の調査でどのような成果を期待しているのか、知事に伺います。
また、節目の築城450年を迎える令和8年、さらにはその先に向けて、この一大プロジェクト全体を県政にどう埋め込み、進めていくのか、知事に伺います。
彦根市から県に人材交流を積極的に進められるなど、彦根城の
世界遺産登録に向けまして、いよいよ県の本気度がかいま見えてきました。また、先月、彦根城が世界遺産に登録される年度までを有効期間とする新たな協定を彦根市と締結したとも聞いており、早期の登録に向けていよいよ着実かつ本格的な動きを進めていると我が会派は評価をしますが、改めて、彦根城
世界遺産登録実現に向けた具体的な戦略と知事の意気込みについて伺います。
知事は常々、本県の有する歴史的に貴重で豊富な文化財を生かし、保存と活用の両面から様々な施策を推進し、あらゆる業界分野や国内外に発信をすることで県の施策に展開していくことが可能となるとも言われておりますが、滋賀の宝とも言えるこれらの文化財をはじめとした文化遺産を今後どのように子や孫の代に伝え、将来に向け、保存と活用の両面から継承、活用していこうとされるのか、具体的な戦略について知事に伺い、次の質問に移ります。
次に、琵琶湖博物館について知事に伺います。
琵琶湖は世界でも有数の古代湖の一つで、極めて多様な生物が数多く生息しています。そして、琵琶湖の周囲には古い時代から人々が住みつき、農業や漁業を中心にこの地域独自の文化を築き上げ、また、その生活の中から数多くの文化財を生み、かつ守り育ててきました。しかしながら、高度経済成長期には琵琶湖の環境は著しく悪化してしまいました。
琵琶湖博物館は、琵琶湖の多方面な価値を改めて解明し、それと人間の生活の関わり方を歴史的に考え、これからの私たちと湖との付き合い方、すなわち新しい時代にふさわしい湖と人との共存関係を探り、新しい文化の創造を模索していく、そのことを目指して平成8年4月に設置をされました。設置から27年、本年2月にビワコオオナマズの巨大な円柱水槽が破損し、一部閉鎖をされました。幸いにも、人的にもオオナマズにも被害はありませんでしたが、今後、他の水槽でもこのような事故が起きないか、さらに注意をすることが求められます。他の水槽の状況をどう捉えておられるのか、また、既にビワコオオナマズの水槽が破損した原因究明にも取り組まれてきたと思いますが、現時点での検討状況を伺います。
その上で、今定例会議で、水族展示室の全部復旧に向けて水槽破損事故の原因究明を進めるとともに、一部水槽の更新を行うとして水族展示室復旧事業5,800万円の補正予算が計上されていますが、特にその調査費の必要性について伺います。
水族展示室は子供たちにとって興味深い展示だというふうに思います。現在は一部閉鎖をしつつ再開をされています。新たな水槽を造るこのタイミングですので、新たな工夫をし、さらに進化していくことにも取り組めるチャンスでもあると感じますが、今後の水槽の本格的な再開に向けたスケジュールと、水槽の再整備に向けての考えを伺います。
琵琶湖博物館は、平成10年12月には「地域だれでも・どこでも博物館」を目指しまして琵琶湖博物館中長期目標を、平成26年3月には新琵琶湖博物館創造基本計画を策定をされました。ソフト事業だけでなく、常設展示のリニューアルを令和2年度に完成するなど、ハードの大幅な更新を進めてこられたところでもあります。水族展示室「湖のいまと私たち〜水の生き物と暮らし〜」では、水槽で琵琶湖と集水域の環境を再現し、そして、私たちの生活はどのように琵琶湖の生き物たちと関わっているのかを伝え、古代湖としての琵琶湖の価値を改めて認識してもらうとともに、琵琶湖を守っていこうという思いを訴えようとしています。
琵琶湖博物館のリニューアルも終わり、コロナも収束しつつある中で、琵琶湖博物館の今後のさらなる展開について伺い、次の質問に移ります。
次に、森林政策について知事に伺います。
近年の台風等による風倒木処理の対応や市町を主体とした新たな森林経営管理制度の導入による放置林対策への対応など、本県の森林、林業における事業量はより一層増加しています。その一方で、作業を担う林業従事者は年々減少し、高齢化が進んでいます。他方、機械化の進展に伴い、高度なスキルが求められています。また、新たな森林経営管理制度を推進するためには専門技術等を備えた市町職員も求められており、人材育成が急務となっております。
そこで、これらの新たな課題に対応するため、既就業者、新規就業者、市町職員を対象とした新たな森林、林業人材の育成機関として、令和元年に滋賀もりづくりアカデミーが開設をされました。開設後5年目を迎えますが、これまでの滋賀もりづくりアカデミーの成果と課題、そして今後の対応について伺います。
かけがえのない滋賀の森林を健全な姿で未来に引き継ぐため、環境の側面から滋賀県産材の利用を促進する琵琶湖森林づくり条例、滋賀県CO2ネットゼロ社会づくりの推進に関する条例に加えまして、経済の側面から県産材の利用を促進する滋賀県県産材の利用の促進に関する条例が令和5年3月に、議員提案により制定をされました。これを受けて、安定的な木材生産および県産材であるびわ湖材の一層の活用を進め、産業としての林業、木材産業を成長発展させるため、林業人材の育成、普及団体指導、木製品の流通、建築物の木造、木質化など、生産から加工、流通を経て製品利用に至るプロセスを一体的に担うべく、令和5年度から琵琶湖環境部に、新たにびわ湖材流通推進課が設置をされたところであります。やまの知事を標榜されている三日月知事として、やまの健康をさらにバージョンアップさせるべく、びわ湖材流通推進課を設置された思い、そして課題認識、今後の取組について伺います。
先日、6月4日に第73回全国植樹祭が岩手県の高田松原津波復興祈念公園で開催をされまして、県議会からは奥村議長が出席をされました。昨年6月には甲賀市で第72回全国植樹祭が開催されてから早いもので1年がたちました。本県の植樹祭は新型コロナ感染症の影響で開催が1年延期になったことから、当初の予定を上回る多くの苗木を県民の皆様と共に県内各地のプレイベント会場などで植樹をしました。あれから1年、植樹した全ての苗木たちがしっかりと育ってくれているのかどうか、気になるところでもあります。植樹祭を植樹だけに終わらせることなく、育樹も含め、その後にどうつなげていくのかが重要であります。
開催地の甲賀市では、植樹祭開催のレガシーの一つとして、昨年の11月に県内市町初となるウッドスタート宣言をされました。滋賀県では平成29年3月に全国の都道府県初となるウッドスタート宣言を行っており、今年の4月には、つなぐ「しが木育」指針を策定したところであります。これは全国植樹祭の本県での開催が契機となっているものの、ウッドスタートや木育の認知度はまだまだ低い状況です。滋賀県として、植樹祭開催後のレガシーをどのように展開していこうとされているのか伺います。
今年度予算において、木育拠点施設整備推進事業が盛り込まれ、滋賀県立近江富士花緑公園内にある森林のわくわく学習館を木育拠点施設とするために、県内の木育関係者と先進事例の視察やワークショップを行い、滋賀らしい木育施設の検討と整備に向けた計画等の取りまとめを行うこととされています。
この近江富士花緑公園については、県民に四季を通じて花と緑に親しむことのできる場、および森林を利用した保健休養の場を提供することにより、県民の緑化意識を高めるとともに、豊かな心の醸成および健康の増進を図ることを目的として平成4年4月に設置をされたもので、令和2年3月には近江富士花緑公園長寿命化計画の個別施設計画が策定をされました。今後、近江富士花緑公園の魅力を向上させるため、どのような取組を考えているのか伺い、次の質問に移ります。
次に、アフターコロナにおける医療体制、観光政策、中小事業者支援について知事に伺います。
新型コロナウイルス感染症対策の必要な体制を確保した上で、コロナ禍の経験を踏まえ、今後の新興感染症発生時の体制づくりや人材育成、災害医療を含む健康危機管理体制の整備に着手していくため、今年度は、これまでの健康医療福祉部感染症対策課を改組し、健康危機管理課を設置をされました。
新型コロナウイルス感染症においては、未曽有の危機に直面し、そして、行政も医療機関も県民も大きな混乱に陥りましたが、今後の未知の新興感染症に対し、同様の混乱を繰り返さないよう対策を講じる必要があります。コロナ禍での経験をどのように生かし、そして、今後の新興感染症等にどう備えていくのか伺います。
新型コロナ感染症に罹患後、感染性がなくなったにもかかわらず、療養中に見られた症状が続いたり新たな症状が出現したりするなど、いわゆる後遺症として様々な症状が見られるケースがあり、これらは新型コロナウイルス罹患後症状と言われております。新型コロナウイルス罹患後症状の実態については様々な研究がなされておりますが、いまだ不明点が多く、それぞれの症状と
新型コロナウイルス感染症との因果関係は十分には解明されていないと仄聞をしております。
こうした新型コロナウイルス罹患後症状に対応するため、令和5年3月には滋賀県立総合病院内にコロナ後遺症外来が開設されたほか、現在、県内の89の医療機関において新型コロナウイルス罹患後症状の診療を行っていただいておりますが、県内における新型コロナウイルス罹患後症状の現状と課題、今後の対応について伺います。
今年のゴールデンウイークは比較的天候に恵まれ、本県にも多くの観光客が戻ってきたようにも感じています。これまでの観光施設に加え、琵琶湖や森林の自然を生かしたアウトドアのレジャーや、本県が進めるシガリズムをはじめとした体験型の観光など、県内各地でにぎわいが戻りつつあります。
そこで、直近の観光入込客数やインバウンドの状況など、本県の観光状況はどうであるのか、また、本県では琵琶湖や森林の自然を生かしたアウトドアのレジャーや、ビワイチ、シガリズムをはじめとした体験型の観光を推進していますが、今後の観光需要を、改めて、どのように捉えているのか伺います。また、それらの状況を踏まえて、今後のアフターコロナの観光振興やインバウンド需要にどのようにつなげていくのか伺います。
コロナ後の中小事業者への支援は今後も引き続き重要であります。滋賀県の中小企業支援施策の方向性を定める滋賀県中小企業活性化の推進に関する条例が平成25年4月に施行されてから令和5年4月で施行10年を迎えました。これに先立ち、令和4年の3月に滋賀県中小企業活性化審議会に対しまして、条例施行後10年間の総括、検証および今後の取組の展開についての諮問が行われ、令和5年3月に滋賀県中小企業活性化審議会から三日月知事に対し答申が行われました。今回の答申の概要と、答申を踏まえ、今後どのように対応されるのか伺います。
今定例会議の6月補正予算案において、地方創生臨時交付金を活用いたしました物価高騰対策として27億5,800万円余りが計上されました。その中で、電子割引券発行による中小小規模事業者応援事業として、「しが割」キャンペーン第3弾の実施に関する予算、22億9,000万円が計上されています。第1弾、第2弾では、大好評であった反面、多くの課題もありました。今回の第3弾では、第1弾、第2弾での課題を踏まえて、どのように対応されるのか伺います。
さきの2月定例会議の我が会派の代表質問で、「しが割」について、紙の割引券ではなく電子割引券にしたことでCO2の削減に貢献しているということをアピールすると同時に、「しが割」のLINEへの友達登録の際にCO2ネットゼロムーブメントの趣旨に賛同するという項目を要件に加えて、買物の際に自転車の利用やマイバッグの利用などに取り組んでもらうことで多くの県民の皆さんにCO2ネットゼロムーブメントに参加してもらうことができたのではないかという投げかけをいたしました。
今回の補正予算案で、冷蔵庫やエアコンの買換えに対しポイントを交付する滋賀省エネ家電買替特別支援事業におきましては、CO2ネットゼロムーブメントへの賛同を条件に加えていただきましたが、今回の「しが割」も約70万人の登録を見込んでいるということでありますので、滋賀県公式LINEへの登録とCO2ネットゼロムーブメントへの賛同を条件に加えることで、キャンペーン終了後も140万県民の約半数の約70万に対して、常時、情報発信を行うことができ、かつ県民の約半数がCO2ネットゼロムーブメントに賛同していただけるという大きな成果が得られると考えますが、その見解について伺います。
今回の参加店舗は前回の参加事業者を中心に小売業、サービス業、飲食業の約6,000店舗を見込んでおられます。中小小規模事業者の支援を目的とした事業ですが、既に「しが割」第1弾で約11億4,400万円、第2弾で15億6,400万円を割引原資として支援しており、今回、さらに21億円を追加することになりますが、県内の中小事業者は約3万4,000社あり、その他の様々な業種の事業者に対しても同様の支援を検討しなければ事業者間の公平性が担保されないというふうに考えますが、その見解を伺いまして、次の質問に移ります。
次に、「子ども、子ども、子ども」について知事に伺います。
本県も、年々、少子化が進み、厚生労働省の発表した人口動態統計によると本県の令和4年の出生数は9,766人で初の1万人割れとなり、合計特殊出生率は2年連続で下がり、1.43で最低となりました。数字だけにとらわれるのではなく、ぜひ、子供を産み育てたいと思える滋賀、子供が育つ滋賀を目指していただきたいと思います。
滋賀県では三日月知事が「子ども、子ども、子ども」を基本構想実施計画の一つの柱として位置づけをされていますが、まず、滋賀県の子供施策の進捗状況をどのように捉えているのか伺います。
本年4月28日に、「子どものために、子どもとともにつくる県政」の実現に向け、子供に関する施策を強力に推進するため、滋賀県子ども政策推進本部を設置し、第1回本部員会議を開催をしました。県の行政の中でも、縦割りで、一体となった取組ができていないというふうに感じることもあります。例えばヤングケアラーだった方々の中には、学校で相談したときに先生やカウンセラーからの「かわいそうに。親は何をしているんや」という言葉に傷つき、二度と大人には相談したくないと思う経験を持つ人々がいるということであります。子供たちは自分がヤングケアラーとは言われたくないし、親のことも悪く言われたくないと感じるわけであります。学校のみで対応するのではなく、いかに子供たちに寄り添うのか、専門家につなぎ、一緒に対応することが必要ではないでしょうか。強力に推進するに当たっては、このような細やかな心遣いや連携が大切だというふうに考えます。また、子供医療費助成制度の拡充は以前より我が会派としても要望し、現在、検討されていますが、県内のどこに暮らしていても安心して産み育てられる環境につながることが大切ですので、県としてのメッセージが伝わるように迅速な実施が求められています。
滋賀県子ども政策推進本部の役割と目指すところを本部長である三日月知事に伺います。
一方、国では、次元の異なる少子化対策の実現のため、こども未来戦略の策定に向けて、こども未来戦略方針が6月13日に閣議決定をされました。県として、国の方針をどう捉え、どのように対応しようとするのか伺います。
また、国に提案をしながらも、同時に、県でできることを進めていくことも大切だというふうに考えます。5月29日には日本創生のための将来世代応援知事同盟サミットが開催をされ、人口減少に立ち向かい、将来を担う世代の希望をかなえる社会の実現に向けまして、9項目に取り組むとするいわて共同声明を発表されました。県として子供施策を強力に進めるに当たり、そのための予算は不可欠であります。県として、子供施策の予算についての考え方、また、今後の具体的な取組について伺います。
子供本人や保護者などの関係者の声を聞くこと、また、子供たちが主体的に取り組める環境も大切だというふうに考えます。今年度、県では滋賀県子ども基本条例(仮称)の制定に向けまして取り組んでおられますが、この条例制定を通じて、県として、子供を真ん中に置いた施策をどのように推進しようとされているのか伺います。
子供施策は、市町が主な担い手となることもあり、市町の連携、また、滋賀のどこでも安心して子供を産み育てられること、また、滋賀のどこに住んでいても、どのような環境でも、子供が育つためには市町を越えて広域での連携が大切であります。例えば市町外の病院等で出産した場合、その後の子育ては市町の所管となります。切れ目のない支援を考えれば、市町ごとにばらばらなシステムであったり連携がされていないと切れ目が出来てしまいます。子供施策における県と市町、市町間の連携をどのように取ろうとするのか伺います。
子供が幸せでいるためには、保護者の方々、子供に関わる方々も幸せを感じることのできる環境が大切であります。「変わる滋賀 続く幸せ」を掲げた滋賀県基本構想が令和3年度に策定をされ、令和12年度に向けて取組が進んでおります。令和5年度からは実施計画の第2期がスタートいたしました。子供が、また、子供に関わる全ての皆さんが幸せでいられるように、子供施策の推進に向けて知事の決意を伺い、次の質問に移ります。
次に、農業政策について知事に伺います。
土壌づくりなどを通じて化学肥料、化学農薬低減等による環境負荷の軽減に配慮した持続可能な農業であります環境保全型農業を国が提唱されてから20年余りがたちます。また、昨年7月には、琵琶湖と共生してきた伝統的な琵琶湖漁業、魚のゆりかご水田、水源林保全と併せて環境こだわり農業が、本県の推進する琵琶湖システムとして、国連食糧農業機関から世界農業遺産に認定をされました。今回の世界農業遺産認定を契機に、主要な構成要素の一つでもあります環境こだわり農業を、令和5年度、さらに推し進めるに当たり、現状と今後の課題について伺います。
琵琶湖を抱える本県では、これまで化学合成農薬、化学肥料の使用量を慣行の5割以下に削減すると同時に、農業排水の濁水流出防止など、環境への負荷を削減する技術で生産された農産物を、全国に先駆けて、環境こだわり農産物として認証しました。令和5年度からはこの認証手続を一歩進め、環境こだわり農産物の認証制度手続を一部簡素化し、
生産計画の手続が不要となり、これまで基準に沿った栽培計画を立てられるか不安で二の足を踏んでおられた生産者の方々も安心して環境こだわり農産物の取組を進めることができることとなったことは、我が会派も大いに評価するものであります。
去る6月19日に開催をされました第81回「こんにちは!三日月です」では、滋賀県稲作経営者の皆さんが、これからの稲作経営の在り方についての課題や方向性など、現場の当事者、生産者としての生の声を知事に直接届けられたと聞いております。これまで全国に先んじて環境こだわり農業を進めてきた本県として、生産面の課題解決に向け、今後の中長期的な戦略について伺います。
本県では、みらいの農業振興課みどりの食料戦略室を中心に昨年度末に策定されました環境こだわり農業推進基本計画を柱に、オーガニック農業や生産加工食品の在り方、直接支払交付金による栽培生産者支援、ならびに技術支援から広報、農業生産工程管理、いわゆるGAPに至るまで、生産性の向上はもとより、販売者や消費者に至るまで一体的に支持されることが必要不可欠であるというふうに考えます。今後、本県農業を持続的に発展させていくために、生産から流通、消費面を含めた一連の横断的な課題解決に向けましてどのように取り組んでいこうとしているのか伺います。
琵琶湖システムが世界農業遺産に認定され、新たな基本計画が策定されたこの機は、本県農業にとっても令和5年度は、これまでの施策を継承するのか、それとも新たな時代の農業に刷新するのかの転換期、分岐点になるというふうに思います。
耕地面積に占める取組割合が全国一である本県の環境保全型農業の取組のさらなる発展のため、令和5年度はどのような方針を打ち立て、新たにどのような具体的戦略を描いているのか伺い、次の質問に移ります。
次に、公園の魅力向上について知事に伺います。
都市公園法が改正をされ施行されたことによって、公募によって公園内にカフェやレストランなどの収益施設が設置できるパークPFI制度が出来ました。これにより、公園内にカフェ、スポーツ施設、遊具施設などの建物を設けるハードルが下がり、地域の活性化と地域の課題解決を期待する、魅力ある公園が日本各地で次々に生まれています。今後、県内の魅力ある公園、地域の活性化に資する利活用の期待が高まっていると考えております。
今年度予算においても、魅力ある公園づくり事業としてスケートボード利用の在り方を検討するとあり、県としても公園魅力向上推進室も設置をされ、部局横断で取り組むとされましたが、今後、都市公園、自然公園、文化公園なども含めた公園の魅力向上をいかに進めていこうと考えているのか、見解を伺います。
都市公園湖岸緑地には県内外から多くの方にバーベキューなどで無料で利用していただいておりますが、マナーのよくない行為が増え、維持管理コストもかさんでいることが課題となっておりました。その解決に向けて、今年のゴールデンウイーク期間中には、利用者から相応の御負担をいただきながら施設の利便性と快適性の向上を図り、マナーよく利用していただくことにつなげるため、草津市の志那2エリアにおいて有料バーベキュー、有料駐車場とする都市公園湖岸緑地有料化社会実験が行われました。
そこで、この有料化社会実験はどのような結果であったのか伺います。また、この結果を受けて、今後、どのように施策に生かしていこうと考えているのか、併せて見解を伺い、次の質問に移ります。
次に、教育行政について教育長に伺います。
学校現場において教員不足の課題が続く中、教員不足の解消に向けて取り組むのはもちろんのことでありますが、教員の業務負担の軽減、効率化を図るために、教員のICT活用が各市町、学校現場で進んできました。現在、教員の長時間労働が問題となっており、部活動の簡略化や留守番電話の導入など様々な改革が行われておりますが、多くの自治体が導入に踏み切っているのが学校業務を業務改善、効率的に行うための校務支援システムであります。各学校で使用されている校務支援システムにおいては市町により異なったシステムが使用されているため、市町を越える異動の際には異なる校務支援システムを覚えなければならず、業務負担となり、結果、業務効率が悪くなります。
このような中、県立学校においては統一した校務支援システムの統一化を進めていますが、今後、どのように教員の業務負担の軽減を図るICT化を進めようとしているのか、見解を教育長に伺います。
また、教員の働き方改革、業務負担の軽減、効率化がうまく進まない理由の一つに授業以外の業務や活動が多いことが挙げられます。授業前の準備など、教員でしかできない仕事がある一方、配付物の準備や単純な事務作業など、必ずしも教員でなくてもできる仕事があり、こうした仕事の省力化を一層進めることが重要であります。教員の業務負担を軽減するために配置されてきたスクール・サポート・スタッフにつきましては、令和3年8月に学校教育法施行規則が一部改正をされまして、教員業務支援員として位置づけられたところであります。現在、県立学校66校の教諭数は2,897名であり、スクール・サポート・スタッフの予算上の配置数は78名であります。割合にしますと、スクール・サポート・スタッフ1名に対して37名の教諭をサポートすることとなり、依然として不足しているというふうに思います。
教員の負担軽減を図るためにスクール・サポート・スタッフを増やしていくことも重要だと考えますが、今後、どのように教員の負担軽減を図ろうとしているのか、見解を伺います。
次に、不登校児童生徒の支援について伺います。
義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律、いわゆる教育機会確保法が平成29年に完全施行されました。不登校の児童生徒が教育の機会を損なわれないことを目的として、それぞれの子供に合った学びや学校に代わる教育機会の提供についての議論がこれまで以上に盛んに行われるようになったというふうに考えております。
本県の不登校児童生徒については、令和3年度の滋賀県内公立小学校においては1,066人、中学校では1,835人と過去最多となりました。また、公立高校においても727人と、不登校生徒数が、依然、高い水準で推移をしています。
昨年2月定例会議の代表質問の答弁では、県としては市町教育委員会と不登校対策の具体的取組の協議、私立学校に対する情報提供、滋賀県フリースクール等連絡協議会との連携等に努め、全ての子供たちが安心して学校に来られるよう、予防的な不登校対策を推進することが重要であり、福祉と教育の連携を進め、子供たちの学びが保障できるよう努めることと答弁をされまして、このことはぜひ進めていただきたいと思っております。そして、今後、多様な教育機会を提供しているフリースクール等の民間施設等との連携を進めて、不登校児童の社会的自立に向けた支援も行っていかねばならないと考えます。
令和4年4月現在、米原市、彦根市、草津市、甲賀市において、フリースクールの授業料、交通費等の補助メニューも創設をされ、県内各自治体の動きも活発化してまいりました。今後も各自治体において活発化してくるかと思われますが、フリースクールの内容、授業メニューにおいては
民間事業者によって内容に差があります。県において、フリースクールの運営の支援をするために、内容の基準となるガイドラインを示すことが必要不可欠であります。フリースクールで授業を受ける子供たちへの学びの保障を確保していくことが重要だと考えますが、その見解を伺い、次の質問に移ります。
最後に、警察行政について
警察本部長に伺います。
日頃、県民の安全と安心のために犯罪防止や捜査に力を尽くしてくださっているものの、平成25年から令和3年に至るまで減り続けていた本県の犯罪発生状況の認知件数は、令和3年の5,814件から令和4年の6,830件へと9年ぶりの増加に転じました。これらの犯罪発生状況を踏まえて、本年3月20日、滋賀県警察本部に新しく着任をされ、就任後、約3か月を経過しました中村彰宏本部長の所見を伺いたいというふうに思います。
本部長におかれましては、前職の警察庁長官官房参事官では、特殊詐欺の防止の啓発や企画広報などに取り組みながら、最新技術やAIの有効活用の重要性の訴えや、刑事手続のIT化を進めてこられたというふうにお聞きをしております。
本県における令和4年の特殊詐欺の被害状況は、被害件数が132件と前年よりも28件増加し、被害総額も約3億2,400万円と前年に比べて約1億8,300万円の増加と、被害件数、被害総額ともに前年比増という厳しい状況となっております。コロナ禍で多発をいたしました還付金詐欺は令和3年に比べて減少はしたものの、介護保険料などの返還、還付があり、振り込むためにキャッシュカードを交換する必要があるとキャッシュカードをだまし取る預貯金詐欺や、メールやはがきで未払いの料金を知らせて金銭等をだまし取る架空料金請求詐欺などの特殊詐欺が急増しています。
既に滋賀県警察公式ユーチューブチャンネルで、特殊詐欺根絶に向けて
警察本部長からの緊急メッセージを出すなど、対策を講じ、特殊詐欺防止に取り組んでおられますが、今後、さらに対策を強化されることや、啓発、AIの活用なども含めた特殊詐欺根絶に向けた取組について伺います。
最後に、サイバー犯罪への対策について伺います。
以前にも我が会派で質問いたしましたが、県内の警察署等で受理したサイバー犯罪に関する相談の受理件数は増加傾向にあります。令和3年の3,301件は、平成29年の1,758件と比べると5年間で2倍近く増加していることが分かります。既にサイバー犯罪対策課が事業者向けに体験型のサイバーセキュリティセミナーを無料で実施するなど対策に御尽力いただいておりますけれど、ネットワークへの不正侵入やインターネットオークションなどを利用した詐欺などの被害が後を絶っておりません。
そこで、本県におけるサイバー犯罪の現状と課題、今後の対策について伺い、質問を終わらせていただきます。的確な答弁をよろしくお願いいたします。(拍手)
○議長(奥村芳正) 43番今江政彦議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(三日月大造) (登壇)今江議員からのチームしが 県議団を代表されての代表質問、順次、お答えをさせていただきます。
まず、基本構想、
行政経営方針と北部振興について、こちらは6点、御質問いただきました。
まず、1点目の基本構想でございますが、第2期の実施計画では、未知の変化に直面しても、大切なものを守りながらしなやかに変わり続け、世界とのつながり、滋賀の強み、人のつながり、子供の思いを大切に、施策を展開することとしております。加えまして、全庁を挙げてCO2ネットゼロ社会づくりに取り組み、あらゆる施策を推進する上で
デジタル技術活用の可能性を検討し、柔軟に取り入れることとしております。
こうした姿勢の下、今年度は13の政策に掲げる施策を「子ども、子ども、子ども」、人づくりなど5つの柱に沿って推進し、県民の皆さんと共に描き、共に創る健康しがの実現に向けて取り組む所存であります。
2点目、
行政経営方針と実施計画をどのように進めるのかということについてですが、この
行政経営方針は、未来志向でチャレンジできる県庁に向け、業務の見直し、効率化および県庁を担う人づくりに重点的に取り組み、
県民サービスの向上につなげていくことを目指しております。
取組に当たりましては、業務を不断に見直す組織風土の形成や、職員の力が最大限発揮できるチームワークの強化が図られるよう、私から繰り返し全職員に呼びかけ、頑張りを認め、全庁一丸となって進めてまいりたいと存じます。
また、実施計画に掲げる各取組につきましては、毎年度、評価を行い、好事例を共有、横展開いたしますとともに、取組状況を県民、また議会の皆様に分かりやすくお示しし、頂戴した御意見を踏まえながら県庁の行政経営を着実に進めてまいりたいと存じます。
3点目の生成AIについてでございます。
生成AIの活用は、個人の発想を超えたアイデアの革新が促されるなど、暮らしや産業に大きなインパクトを与えるとともに、行政においても、業務の効率化や
県民サービスの向上につながることが期待されているところです。
一方で、活用をめぐりましては、個人情報、機密情報の漏えいや著作権の侵害などのリスクが指摘されております。このため、本県におきましては、現在、県庁業務において安全かつ効果的に生成AIを活用する方法等について検討しているところであり、7月中をめどに方針を取りまとめてまいりたいと存じます。
4点目の、人づくり、また業務執行体制についてでございますが、人づくりにつきましては、複雑化する行政課題に的確に対応できるよう、特に中堅以降の職員につきましては、長めの異動や経験のある分野への配置により専門性やマネジメント力を高めることに加え、PFIなどの高度な業務を集約化することで、専門知識を有し、全庁をサポートできる人材の育成に取り組んでまいります。
業務執行体制につきましては、突発的な事案の発生や、育児や介護など様々な事情を抱える職員への対応が必要な場合にありましても快く助け合える職場となるよう、応援する職員の負担への配慮や頑張りへの評価も含め、持続性や代替性を重視した体制づくりに着実に取り組んでまいる所存であります。
5点目の北部振興についてであります。
北部地域は豊かな魅力ある地域資源があり、中部圏、北陸圏との結節点としての高い可能性を有しておりますが、人口減少や高齢化に伴う担い手不足などの課題を実感しているところでございます。
このため、移住者や関係人口の増加を目標に、今年度から北部3市を対象とした北の近江振興プロジェクトに取り組んでおります。具体的には、農山村版ワーキングホリデーなど、県が取組を展開する総合プロジェクトと各市の取組を支援する特別プロジェクト、多様な主体との連携、協働を3本の推進軸として施策を多面的に推進するものであります。また、現場訪問は地域の方々の声を聞く貴重な機会と認識しており、今後も定期的に現場を訪れ、皆さんの思いや悩みを受け止め、今後の施策構築に生かしてまいりたいと存じます。
北部だから、よりできる取組等といたしましては、例えば観音文化、観音信仰でありますとかシコブチ信仰、さらには山の資源の活用、来月には伊吹山登山等も検討させていただいておりますので、そういった地域資源をよりうまく活用できるように、皆様と共に取組を進めてまいりたいと存じます。
続きまして、6点目の北陸新幹線敦賀駅開業に向けた観光政策についてでございますが、敦賀駅の開業は首都圏等から本県への新たな誘客の絶好の機会だと認識しております。
米原駅の徹底活用策といたしましては、これまで、まいばら駅広域観光交流圏コンソーシアムが行うEX−MaaSを活用した観光コンテンツの造成などの取組を支援しておりますほか、米原駅サイクルステーションを拠点としてビワイチの推進を図っているところでございます。
また、北陸新幹線敦賀駅開業の機会を捉えて、北部地域をはじめとする本県の魅力を発信するデジタルサイネージ広告の掲出等の準備を進めているところです。
さらに、岐阜県、福井県、本県による広域周遊観光の促進、北陸新幹線沿線自治体とJRとの連携によるインバウンド向けの情報発信、JRとの協働による情報誌「シガリズムトリップ」の発行など、JR各社、また近江鉄道等との連携を深めながら、あらゆる機会を通じて北部地域の誘客を図ってまいりたいと存じます。
続きまして、大きな2項目め、こちらは防災について4点、御質問いただきました。うち、私に賜りました3点についてお答えいたします。
まず1点目、気象情報等の提供についてです。
地方予測情報は、彦根地方気象台から得られる情報を教育委員会を含む全庁で共有いたしますとともに、県民の皆さんに対しましては、あらゆる媒体を通じて最新の気象情報を確認するよう呼びかけているところです。市町におきましても、気象台の説明に県とともに参加され、市町教育委員会を含む庁内や関連施設に周知されているものと承知をしております。また、公共交通機関の運行情報等は、県の防災ポータルサイトに各交通事業者のホームページの情報を掲載し、最新の情報をお知らせしているところです。
今後の情報発信に当たりましては、予測情報等を基に、不要不急の外出を控えたり在宅勤務の検討を呼びかけるなど、県民一人一人が取るべき行動を具体にイメージできるよう、引き続き工夫を重ねてまいりたいと存じます。
2点目、気候変動への対応、次期河川整備5か年計画への反映についてでございます。
線状降水帯がもたらす豪雨などにより、近年、激甚化、頻発化する水害に的確に対応するため、昨年度、気候変動を踏まえた治水計画の対応方針を定めたところでございます。
次期5か年計画では、新たに治水計画を策定する河川や暫定整備が完了している河川について、この対応方針を反映することとしております。また、現在整備中の河川につきましては早期に治水安全度を高めることが重要でありますことから、当面、現行の治水計画に基づく整備を加速させるとともに、気候変動に対応した整備方法についても併せて検討し、今後の5か年計画に反映してまいりたいと存じます。
3点目、地区防災計画についてです。
地区防災計画の作成は、自主防災組織単位で作成されるところもあれば学区単位で作成されるところなど、地域によって実情が異なります。一概に単純比較はできませんが、現在の作成状況は、県内の自主防災組織約3,000に対しまして、作成されている計画は157となっているところです。
地区防災計画は、作成過程を通じて住民自らが地域の災害リスクを把握し、避難行動の確認や備蓄資材の検討などを行うことに意義があり、共助の機運が高まるとともに、地域防災力の向上が期待されるところです。このため、引き続き、計画策定アドバイザーの育成や、避難行動要支援者の個別避難計画を作成する保健福祉専門職等の関係者の参画も得るなど、地区防災計画が作成されるよう、市町を支援してまいりたいと存じます。
◎教育長(福永忠克) (登壇)防災について、私にいただきました、災害発生や公共交通機関の運休の可能性がある場合の県立学校の対応についてお答えをいたします。
学校教育法施行規則により、非常変災等におきましては、校長は臨時に授業を行わないことができるとされているところでございます。具体的には、県が定めました非常措置要領に従いまして、災害発生や公共交通機関の運休の可能性等がある場合は始業時間の繰下げや終業時間の繰上げ、臨時休業や自宅待機等、安全を最優先に校長が判断をしているところでございます。今後も、気象状況の変化でありますとか公共交通機関の運行状況等に応じまして、生徒等の安全確保を第一に、引き続き、この非常措置要領の検証に努めてまいる所存でございます。
◎知事(三日月大造) 続いて、大きな3項目め、文化遺産について、こちらは6点、御質問いただきました。うち私には5点いただいております。
1点目、文化庁移転の活用についてでございますが、関西広域連合では、このチャンスを生かし、国と地方の連携の実績を積み重ねることで国土の双眼構造や分権型社会の実現を目指そうと考えており、本県もその一翼を担ってまいりたいと存じます。
先日、5月の京都での本格稼働に合わせて、都倉長官に
びわ湖ホールと比叡山延暦寺の大改修を御視察いただくとともに、文化財の継承の重要性や文化資源の魅力発信、それに伴う今後の連携の方向性について意見交換することができました。こうした人的交流を深め、文化庁の施策展開につなぐことで、本県の優れた文化資源をさらに磨き上げ、県民の皆様をはじめ日本、世界の方々にその価値を知っていただくとともに、文化財の保存、活用の両立を図ってまいりたいと存じます。
2点目、特別史跡安土城跡整備基本計画に基づく調査についてでございますが、まずは天守台周辺の未調査部分の発掘調査から着手いたしまして、天守台石垣の残存状況や形状などの実態解明とともに、瓦や金具など天守に関する遺物の発見を目指しております。さらに、今後20年の年月をかけて発掘調査や石垣調査、城内の環境整備などを進めていく計画としております。わくわくするような安土城の実像解明につながる新たな発見を待ち望みながらも、功を焦ることなく、じっくり腰を据え、丁寧に取り組み、そこから生み出された成果につきましては、随時、情報発信や展示等に活用するとともに、その成果を基に特別史跡の保全と整備を着実に進めてまいりたいと存じます。
3点目、安土城に関するプロジェクトの進め方についてです。
もとより健康しがの実現に向けた大切な取組の一つとして文化財の保存と活用を進めており、基本構想実施計画にも城郭等の活用、発信プロジェクトを位置づけているところです。中でも安土城は織田信長が当時の技術と文化の粋を集めて築いた天下無双の大城郭であり、安土山図屏風によってバチカンにまで伝わった、その幻の城の姿を今も多くの人々が追い求めるなど、夢やロマンにあふれた日本の宝だと存じます。この城郭史上屈指の価値や抜群の知名度を生かしていきたいと存じます。
先月、地元の総見寺、近江八幡市、東近江市と結んだ覚書を基に、まずは保全を第一にしつつ、活用、発信におきましては福井、岐阜両県とも戦国や城郭等をキーワードに連携いたしまして、また、万博も活用することで世界とのつながりも意識しながら、築城450年、さらにその先に向け、取組を進めてまいりたいと存じます。
4点目、彦根城の
世界遺産登録についてです。
昨年度の国内推薦の状況により、目標としていた令和6年の登録実現が不可能になったことを受けまして、先月、改めて彦根市との協定を結び直し、不退転の決意を示したところでございます。登録実現には世界の人々が納得する価値の証明が必要であり、平和の象徴としての価値を持つ彦根城を今こそ世界に発信すべきと、自信を持って研究活動に取り組んでいるところでございます。
また、
世界遺産登録は大きな目標でございますが、決してゴールではございません。登録後、いかに世界遺産を生かした地域づくりを進めることができるのか、ここが重要であります。そのためにも多くの人々の理解が必要であり、積極的な情報発信や機運醸成に取り組んでいるところです。
協定を再締結した日に、新しいスタジアムから彦根城天守を見上げ、決意を新たにいたしました。そのときの気持ちを忘れず、引き続き、目標に向かって皆さんとともに邁進をしてまいりたいと存じます。
5点目の文化財の保存と活用についてです。
保存なくして活用なしです。まずは文化財保存基金を利用しながら計画的に保存修理を行うとともに、その取組を通じて技術の伝承や人材の確保、育成を図っているところです。その上で、安土城や彦根城に関する取組をはじめ文化財探訪事業などにおいて、観光振興や鉄道利用の促進、健康しが等の施策と連動した事業を展開することで活力ある地域づくりにもつなげているところです。さらに、今年度は文化財の子育み事業を立ち上げ、未来を担う子供たちに文化財の価値を伝える取組も計画しているところです。
令和9年に開館する新しい琵琶湖文化館の機能も生かしながら、これからも、今を生きる私たちがまずは確実に保存し、そして、活用との好循環を生み出すことで、本県の豊かな文化財を未来に向けて継承してまいりたいと存じます。
◎副知事(大杉住子) (登壇)いただきましたバチカンとの文化交流についての質問にお答えいたします。
先月、バチカンの複数の組織の高官を訪問し、屏風探索や文化交流についての協力の確約を得ることができました。その後も、今回お世話になった現地の日本大使館や国際的な研究者グループの安土図屏風探索ネットワーク──ASRNなどとの意見交換を続けており、例えば天正遣欧使節のローマ訪問から440年の節目の年である2025年は大阪・関西万博の開催年であることから、バチカンにおける日本への関心の高まりを生かし、連携を深める機会にできればと検討しているところです。
屏風探索に向けて、今後もバチカンとの交流を持続、発展させながら、まずはASRNをはじめとした国内外の研究者との意見交換により文化交流に関する研究を深化させるとともに、安土セミナリヨ開校から450年となる2030年などの節目を見据え、周年行事等を検討してまいりたいと思います。
◎知事(三日月大造) それでは、ここから6項目、順次、お答えをさせていただきます。
まず、琵琶湖博物館について、こちらは4点いただきました。
1点目の他の水槽の状況等についてでございますが、有識者で構成する第三者委員会において、既に展示の再開をした水槽については、現状で最大限、安全確保が図られているとの御評価をいただいているところです。また、破損の可能性が危惧されると判断された一部の水槽についてはアクリルパネルの交換により安全が確保できるとの御意見をいただいております。今後は、全ての水槽を対象として、専門業者による定期点検を新たに実施し、これまで以上に安全管理に留意してまいりたいと存じます。
現時点の破損原因等の検討状況については、水槽の設置業者や外部の調査機関による現地調査を基に、第三者委員会において破損の要因について議論をしていただいており、その中では、経年劣化なども含めて複合的な要因により破損したと推定されていると承知をしております。
2点目、調査費の必要性についてでございます。
今回の事故は人の生命にも関わりかねない重大なものであったと存じます。同様の事故を二度と起こしてはならず、今後とも来館者の皆様に安心して水族展示を御覧いただける環境を確保することが重要だと考えております。そのため、引き続き第三者委員会の御意見を伺いながら、破損した要因を踏まえた安全・安心な再整備に必要な調査を行ってまいりたいと存じます。
3点目、本格的な再開に向けたスケジュール等についてです。
破損した水槽を含め一部の水槽は、安全面をさらに重視しながら展示方式の再設計を行った上で再整備を行う必要がありますため、本格的な再開時期として来年度末を目指し、安心して皆様に御来館いただけるよう取り組んでまいりたいと存じます。再整備に向けて、来館者の皆様から御意見をお聞きするなど、これまでにはない新たな工夫を凝らし、安全性だけでなく、より一層、琵琶湖の価値を再認識し、愛着を持っていただけるような展示にすることで、琵琶湖博物館の魅力向上、来館者数の増加、リピーターの拡大等につなげてまいりたいと存じます。
4点目、今後のさらなる展開についてです。
これまでに蓄積した研究成果や最新の展示手法を取り入れつつ体験を重視することで、より多くの方に訪れていただくことを期待し、令和2年度にリニューアルオープンをさせていただきました。コロナ禍により来館が困難となった中でも、インターネット上で自宅から楽しめる、楽しく学べるおうちミュージアムのような新たな体験を提供する工夫も凝らしてきていただいたところでございます。
一方で、身近な自然の持つ価値が再認識されたことにより、琵琶湖やその周囲の自然、人々の暮らしの価値や魅力を地域の人々と共に探求し、発信する琵琶湖博物館の価値も再認識されたと考えております。さらに、今後は博物館の資料、標本のデジタル化や発信による新たな利用者の開拓と、それを通じ、実際に来館し、展示体験いただくことにより、国内外からより多くの人を琵琶湖にいざなうことで、湖と人間のよりよい共存関係を共に考える場となる博物館としてまいりたいと存じます。
続きまして、大きな項目、森林政策についてでございます。
まず1点目、滋賀もりづくりアカデミーの成果と課題です。
このアカデミーでは、新規就業者、既就業者、市町職員の各コースを設け、延べ351名の方に受講いただきました。これまでに9名の方が新規就業されたほか、各森林組合での生産性向上への貢献、15の市町での森林、林業行政における活躍など、徐々に成果が上がっているところでございます。一方で、主伐、再造林の推進、森林経営管理制度の推進を担う人材のさらなる育成のほか、ICTなど新たな技術の導入や、修了生の就職先の確保などが課題だと捉えております。
今後は、さらなるカリキュラムの充実を行いますほか、高校との連携などにより若者に林業の魅力を伝えていくなど、本県の森林、林業に活力を与えていただく人材を育成するため、学長として、先頭に立って取り組んでまいりたいと存じます。
2点目、びわ湖材流通推進課の設置についてでございますが、本県の森林資源が利用期を迎え、充実しつつある中、現在は森林資源の循環利用による林業、木材産業の成長産業化を図る大きな転換期にあると認識しております。このような認識の下、滋賀県県産材の利用の促進に関する条例の制定を機に、川上から川下までを一元的に捉えて施策を展開するため、びわ湖材流通推進課を設置いたしました。
現在の課題として、川上では木材生産量の拡大、川中では県産材の供給体制の整備、川下では県産材の利用促進、さらに、その基盤として人材育成やスマート林業の推進が必要だと認識しております。これらの課題解決を図りながら、山の資源をフル活用して林業、木材産業を成長発展させ、環境と経済が両立する滋賀らしいグリーン成長を実現してまいりたいと存じます。
3点目、植樹祭のレガシーについてです。
森林の適正管理、林業の成長産業化、農山村の活性化を一体的に進め、山の資源をフル活用することにより、やまの健康の取組を一段高めてまいりたいと存じます。
特に木育につきましては、つなぐ「しが木育」指針に基づきまして、木育を推進する人づくりや魅力あるものづくり、木に親しむ空間づくりを3つの柱として取り組んでまいります。また、木育の拠点施設を整備し、子育て団体をはじめ多様な主体と連携しながら、市町の公共施設や民間施設を木育のサテライト施設と位置づけ、それら施設をつなぐことで植樹祭のレガシーとしての木育の活動を県内全域に広げていきたいと考えております。
4点目の花緑公園の魅力向上についてです。
御指摘の木育拠点施設につきましては、公園魅力向上の大きな柱といたしまして、県の拠点施設にふさわしいものとなるよう整備をしてまいりたいと考えております。また、昨年4月にはローム株式会社様と自然共生社会の実現に向けた「人と森をつなぐ」協定も締結させていただいており、公園を実践モデルとした具体的な取組を、現在、有識者を交えて検討しているところでございます。加えまして、指定管理者独自の森林体験学校や大学と連携したスマートフォンアプリによるデジタル生物調査など、民間活力やノウハウを活用した取組も検討しております。
今後は、さらに多くの子供たちが集い、森林や自然とのつながりに関心を持ち、主体的に行動できる力を身につけることができる、そのような公園を目指してまいりたいと存じます。
続いて、大きな項目、アフターコロナについてでございます。こちらは8点いただきました。
まず、新興感染症等への備えについてでございますが、まず、その前に、新たな波の中に入りつつあるのではないかという観測もいただいておりますので、今後の感染動向等にはしっかりと対応してまいりたいということを申し上げたいと存じます。
その上で、3年以上に及ぶコロナ禍での対応を踏まえ、新たな感染症等から県民の命、健康を守るため、今回、医療や介護の現場で御奮闘いただいた皆様の意見をしっかりと聞きながら、感染症予防計画の改定に取り組む必要があると認識しております。その中で、特に重要な柱の一つは平時からの備えだと認識しておりまして、医療機関等とあらかじめ協定を締結し、有事の際に速やかに対応できるよう、新たに協議会を設置し、関係の皆様と丁寧に協議を重ねてまいりたいと存じます。
また、科学的、技術的な中核機関となる衛生科学センターの機能強化を図るとともに、新興感染症等に対応できる人材の育成にも取り組んでまいります。
2点目、罹患後症状についてでございます。
昨年度行いました調査では、倦怠感や嗅覚症状などの症状に悩まれる方が県内にも一定数おられるということを把握いたしました。その後、専門外来の設置等により医療提供体制を確保したところでございますが、受診相談センターに寄せられる罹患後症状に関する相談では、診療可能な医療機関を教えてほしいというものが最も多くなっているとのことでございます。このため、かかりつけ医を持たない方でも必要な医療につながることができるよう、県ホームページに掲載した罹患後症状を診療される医療機関リストの拡充を図りますとともに、新たな知見等の収集に努め、県SNSなどの媒体も活用して情報発信を行ってまいりたいと存じます。
3点目の、観光の状況、観光需要についてでございます。
本県の令和4年延べ観光入込客数の速報値では、対前年比ではプラスの22.2%となっておりますが、コロナ禍前の令和元年比ではマイナス16.3%となっております。また、インバウンドにつきましては、本県の令和5年3月の外国人延べ宿泊者数は、対前年比では、入国制限緩和により大幅に回復しておりますものの、令和元年比ではマイナス58.5%となっており、いまだ本県観光の状況は回復段階だと認識しております。
コロナ禍を経た旅行需要の変化といたしましては、自然やアクティビティーに対する需要、文化や暮らしを地域でじっくり体感する観光への関心が高まっていると捉えており、これらの需要を取り込むために、地域資源を生かした観光や付加価値の高いコンテンツの充実等に取り組んでいく必要があると考えております。
4点目のアフターコロナ観光振興等についてでございますが、コロナ禍を経た旅行需要の変化を踏まえ、琵琶湖をはじめとする豊かな自然や歴史文化、ビワイチなどのアクティビティー、世界農業遺産などを積極的に活用しながら、滋賀の魅力をより深く体験、体感いただくシガリズムを一層推進してまいりたいと存じます。
また、本県にゆかりの深い大河ドラマの放映や国スポ・障スポ大会、大阪・関西万博の開催などの機会も確実に誘客に生かしてまいりたいと存じます。
さらに、インバウンド需要への対応につきましては、常に相互往来というものを視野に入れながら、重点市場である東アジアでの現地プロモーションの強化や開拓市場である欧米豪に対するPRを実施いたしますとともに、ターゲットやニーズを踏まえた滋賀ならではの旅の楽しみを創出することにより、さらなる誘客につなげてまいりたいと存じます。
5点目、中小企業活性化推進条例の総括等についてでございます。
答申におきましては、アンケート調査や企業訪問の結果を基に、中小企業を取り巻く状況変化や、10年間の各施策の成果や課題を分析した結果、
新型コロナウイルス感染症など喫緊の課題や新たな経営課題への対応が必要とされました。今後の施策の方向性につきましては、厳しい経済や社会の状況の中にありましても、中小企業が、未来に向け、果敢に事業活動を展開し、地域で生き生きと活躍するため、人づくり、新たな挑戦および社会的課題解決、経営基盤の強化等への支援に取り組むことが求められたところでございます。
この答申を踏まえ、条例の改正を行うこととし、新たな方向性の下、施策を構築し、中小企業の活性化を一層推進してまいりたいと存じます。
6点目、「しが割」の課題、第3弾への対応についてでございます。
第1弾、第2弾におきましては、事業者の皆様方から、価格帯の低い小規模な店舗で利用されにくかったということなど、また、利用者の皆様方からは、割引券の取得が先着順でしたので利用できなかったなどのお声をいただいたところでございます。したがいまして、第3弾におきましては、これらの声を踏まえまして、割引券を分割して利用できるようにするということとともに、利用可能期間を1週間から3週間に延長いたしますほか、割引券の取得方法を抽せん方式に変更させていただくことにしております。
7点目、県公式LINEの登録等についてでございます。
県公式LINEへの登録とCO2ネットゼロムーブメントへの賛同につきましては、「しが割」登録の条件とするのは難しい面もありますことから、登録者の皆様の自発的な行動として呼びかけを行っていくことが適切だと考えております。
県公式LINEにつきましては、第1弾および第2弾において、「しが割」専用アカウント内に登録ボタンを常設したことなどにより、新たに5万人以上の方が登録され、登録者数が倍増したところでございます。第3弾におきましても、「しが割」でのつながりを最大限活用し、様々な場面で登録を呼びかけてまいる所存でございます。
また、ムーブメントにつきましても、参加事業者や利用者の皆様に「しが割」への参加を通じた省エネやマイバッグ持参の取組などを呼びかけることでCO2ネットゼロに向けたムーブメントへの賛同を広げることにつなげてまいりたいと存じます。
8点目、事業者間の公平性についてでございます。
物価高騰の影響は幅広い業種の事業者の皆さんに及んでいるものと認識しております。業種によらず、厳しい状況にある事業者に対しましては、国によるエネルギー価格高騰対策や価格転嫁促進の取組等に加え、本県の多様な資金繰り支援等により、事業活動を、一定、下支えさせていただいているところであり、引き続き、社会経済情勢等を注視しながら事業継続を支援してまいりたいと存じます。
特に小売、サービス業につきましては、県の直近の景況調査によると、物価高騰下においても十分に価格転嫁が進んでいない状況であり、加えて、近畿経済産業局の調査によりますと、消費の場面において買上げ点数の減少傾向が見られるということでございます。これまでの物価上昇に加え、今後も上昇が続くという意識から、消費者の値上げ疲れや生活防衛志向の高まりが予測されるため、年度後半から、例年、消費が落ち込む2月にかけまして、消費を喚起することで事業者を支援してまいりたいと考えております。
続きまして、大きな7項目め、「子ども、子ども、子ども」につきましてでございます。
まず、子供施策の進捗状況でございます。
滋賀県基本構想実施計画で、令和4年度までの第1期に掲げた保育所、認定こども園等利用定員数でありますとか地域子育て支援拠点数等の目標につきましてはおおむね達成できているということでございます。一方で、
新型コロナウイルス感染症や物価高騰等の影響を受け、子ども食堂の開設数や、施設、企業等との協働により行う入所児童等の仕事体験の事業者数など、達成できなかった指標もございます。
今年度からは第2期の計画期間となりますことから、市町、団体、事業者等との連携による各種支援の充実を図り、コロナ禍の影響で達成できなかった項目につきましても着実に進めていく必要があると考えているところです。
2点目、子ども政策推進本部の役割等についてでございますが、この本部は子供施策を強力に推進していくためのプラットフォームであり、構成員である各部局の長が、子供施策の企画立案から、国や市町、事業者等との連携、財源の在り方など幅広く検討を行うことにより、子供を真ん中に置いた取組を各分野で横断的に進められるようにしたいと考えております。本部長である私が先頭に立って、当事者である子供、若者の声も反映し、本県が進める子供、若者施策の具体的な姿を形づくり、県民の皆様にもお示ししながら、全庁挙げて子供施策を進めてまいりたいと存じます。
3点目、国の方針に対する捉え方についてでございますが、児童手当の拡充、保育士等の配置基準の改善等、これまで本県や全国知事会が求めてきた内容についても盛り込まれているなど、子供施策を国全体の最重要課題と位置づけ、取り組もうとしている国の姿勢が表れているものと評価しております。今後、この方針に沿って具体的な取組が進められることになると承知しておりますが、現場からは、例えば保育人材の確保を懸念するお声などをお聞きしておりますことから、国に対しましては、そういう懸念を払拭し、実効性のある取組が展開されるよう、引き続き要望いたしますとともに、県としてもできることを着実に実施してまいりたいと存じます。
4点目、予算についてでございます。
国のこども未来戦略方針におきましては子供関連予算を3兆円半ばの規模で拡大するとされましたことから、この予算に基づく施策の具体化に当たって、地方の意見が反映されるよう提案等を行ってまいります。その上で、県といたしましては、国の予算を十分に活用するとともに、県独自の財源である子ども・若者基金も活用しながら子供施策の充実を図ってまいりたいと存じます。あわせまして、今年度、設置いたしました滋賀県子ども政策推進本部において、子供施策に係る財源につきましても、必要に応じて検討してまいります。
今後の具体的な取組についてでございますが、例えば子供の医療費助成制度につきましては、地域によって医療サービスに差が生じることがないよう、市町の皆さんの御意見を聞きながら制度の拡充を検討してまいりたいと存じます。
5点目、条例制定を通じた政策の推進についてです。
子供を真ん中に置いた政策とするためには、県政のあらゆる分野において、子供の視点に立ち、子供の参画も得ながら進めることが重要であり、そのためにも子供たちに分かりやすく情報を伝えること、意見を聞く機会や、その意見を施策に反映する仕組みをつくることが必要だと考えております。現在、審議会では、そうした視点を新たな条例にどのように反映するのか、子供の権利をどのように条例で定めるのかなどについて御議論いただいていると承知をしております。
新たな条例の下では、市町や企業、団体など幅広く、子供を真ん中に置くという考え方を共有いたしまして、社会全体で子供、子育てを支え、子供の参画も得ながら、子供と共につくる県政を進めてまいりたいと存じます。
6点目、県と市町、市町間の連携についてです。
本年2月に、県と市町が協議や意見交換を行う県市町子ども政策推進会議を新たに設置いたしました。議員御指摘のとおり、現場では転居等の際の情報の共有や広域での連携システムの運用に課題があるということも承知しておりまして、こうした会議の場も活用して、さらなる連携の在り方についても議論いたしまして、市町間の円滑な連携につなげてまいりたいと存じます。
7点目、そうしたことも踏まえて、私の決意ということも問われました。
思い起こせば3年前の今頃、子供たちの声を聞いて「すまいる・あくしょん」として取りまとめる中で、まさにコロナ禍の中にあっても子供が世の中に光を放っていると実感いたしました。次の時代は子供を真ん中に置いたシン・ジダイとしたいという思いを強く持っているところです。
コロナを乗り越える局面が訪れた今、日本、そして滋賀県の未来を担っていく上において、子供、子育てを社会全体で支援、応援することが大変重要であると考えます。こうした認識の下で、子供や若者が将来に夢を持ち、健やかに育つことができる、また、保護者が、大人社会全体が子育ての喜びを実感でき、そして地域も元気になる、そうした滋賀をみんなでつくってまいりたいと存じます。
続きまして、農業政策につきまして御質問をいただきました。
まず1点目、環境こだわり農業の推進についてでございます。
令和4年の環境こだわり農産物の栽培面積は1万3,376ヘクタールでございまして、うち水稲は1万2,437ヘクタールでございまして、作付面積の45%で取り組まれているとのことでございます。こうした中、生産面では、慣行栽培に比べ収量や品質が不安定な場合がありますほか、コストや労力が増加するという課題がございまして、生産性のさらなる向上が必要であります。また、流通、消費の面では、有利販売されている事例もございますが、一般の農産物と同程度の価格で扱われる事例も多く、環境こだわり農産物の特徴について消費者への理解促進やPRを行うことで有利販売につなげることが必要だと考えております。
2点目、生産面の課題解決に向けた中長期的な戦略についてでございますが、持続可能な農業が主流化していくことを見据えまして、琵琶湖の保全はもとより、地球温暖化の防止や生物多様性の保全など、地球環境問題への対応と生産性の向上との両立を図る必要があると考えます。
先般行いました稲作経営者会議との座談会におきましても、環境こだわり農業の取組に加えまして、スマート農業技術の導入や区画拡大、大規模化ですね、その必要性等について御意見を伺ったところでございます。
今後は、ドローンやリモート草刈り機等の導入や
デジタル技術の活用などスマート化を進めますとともに、将来においても重要な役割を果たす土の力を高め、生かすことにより、生産性と持続性の両立に向けた取組を進めてまいりたいと存じます。
3点目、生産から流通、消費も含めた取組についてです。
生産面の取組といたしまして、消費者においしさを届けられる高品質な農産物を生産いただくことが重要だと。また、流通の対策といたしまして、これまでから取り組んできた環境こだわり米コシヒカリのように、出荷時に一般の農産物と区別する取組を推進すること、また、販売の対策といたしまして、事業者等が行う店頭での環境こだわり農産物や加工品のPR活動に対する支援等を通じて消費者にその価値を理解してもらえる取組を強化することが重要です。さらには、環境こだわり農業が、琵琶湖の水質保全だけでなく地球環境にも配慮した取組であることを積極的に発信し、消費拡大、またブランド力の創造、向上等につなげてまいりたいと存じます。
続きまして、今年度──令和5年度の具体的な取組についてでございますが、国のみどりの食料システム戦略とも歩調を合わせまして、これまで20年以上にわたり取り組んでまいりました環境こだわり農業をさらに進められるよう、昨年度、環境こだわり農業推進基本計画を策定いたしました。特に今年度は、オーガニックをはじめ化学肥料や殺虫殺菌剤を使用しない栽培に限定した近江米新品種きらみずきを環境こだわり農業の新たな象徴とすべく、プレデビューに向けた準備を進めているところでございます。
また、このきらみずきをはじめとする環境にこだわった農産物について、世界農業遺産の認定を最大限活用しながら、その魅力や価値を県内外の消費者に届くよう発信することにより、消費拡大と、さらには、それが生産拡大にもつながる好循環を生み出すよう取組を進めてまいりたいと存じます。
私に賜りました最後の項目でございますが、公園の魅力向上ということで、こちらは2点、御質問をいただきました。
まず、公園の魅力向上の進め方についてです。
高い価値と魅力を持つ本県の公園を生かしまして、琵琶湖を中心とする滋賀県全体が一つの大きな公園、広場であるかのように、子供たちが遊び、学び、全ての世代の人が憩い、集い、四季の移ろいや山川草木が感じられる「しがの公園」を実現するため、今月、「しがの公園」魅力向上推進会議を設置いたしまして、全庁的に取組を進めていくこととしたところです。
今後、推進会議を、適宜、開催いたしまして、各部局一体となって情報発信、事業を行っていくチームアップと、快適に利用できるトイレ等の施設を整えるレベルアップと、
民間事業者や住民ボランティア等とのタイアップの3つの取組を進めながら、公園の価値を相乗的に高め、世界一魅力的な公園づくりを進めていこうと、大きな目標を掲げて取組をスタートさせたところでございます。
2点目、有料化社会実験の結果等についてでございますが、今回の社会実験は、晴天が続いた5月3日から5日にかけましては用意した40台の駐車スペースが満車になったと。1日最大150人を超える方々に御利用いただいたということでございます。
利用者へのアンケートでは、駐車場の心配がなく来場できた、公園内の混雑もなく快適に利用できた、トイレがいつもよりきれいだったなど、おおむね好評であり、次回も利用したいと答えた方が約80%、有料化に賛成の方が約95%と、社会実験に肯定的な御意見を数多くいただいたところと土木交通部から報告を受けております。一方、課題といたしましては、トイレや洗い場等の設備の改善やごみの有料処分を求める御意見などもいただいたとのことでございます。
今後は、こうした御意見を受け止め、この秋の行楽シーズンに、再度、社会実験を行うことも検討いたしまして、さらなる課題の洗い出しと対応策の検討を重ね、有料化の導入に向けた取組を深化してまいりたいと考えております。
◎教育長(福永忠克) 教育行政についての3点の御質問にお答えをいたします。
まず1点目の、教員の業務負担の軽減を図るICT化をどのように進めるかについてでございますが、県立学校におきましては統一された統合型校務支援システムを、高等学校が令和4年度から、特別支援学校が今年度から運用しておりまして、情報の一元化による業務の効率化を進めているところでございまして、このことは県立学校の教員の異動時の負担軽減にもつながっていると考えております。
一方、市町におきましては既にそれぞれの校務支援システムの運用が定着をしておりますことから、県と市町の連絡会議等で課題を丁寧に聞きながら、今後の県全体のシステムの在り方を一緒に考えていきたいと思っております。
全ての教員に業務の負担軽減を実感してもらえるよう、採点支援システムの活用をはじめ調査報告の効率化、教材の共有化、テスト問題の電子化など、ICTの利活用を一層進めてまいる所存でございます。
2点目の、今後どのように教員の負担軽減を図るのかについてでございますが、県教育委員会では平成30年度から、働き方改革取組計画に基づきまして、外部の多様な人材として、現在は教員業務支援員でございますが、スクール・サポート・スタッフやスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、部活動指導員などの配置に努めているところでございます。あわせまして、学校業務の見直しや、会議、研修におけますウェブの活用、各種調査の精選などにも取り組んでおります。
外部人材の活用は教員の負担軽減において有効でありますことから、今後もそれぞれの学校の実情に応じた幅広い外部人材の確保に努めてまいる所存でございます。
次に、3点目のフリースクールで事業を受ける子供たちへの学びの保障についてでございますが、フリースクール等民間施設は、子供たちの様々なニーズに応じた学びや活動を提供していただいている場でございまして、やはりそれぞれフリースクールの独自性、また特色ある取組を進めてもらうためには、県が一定の基準というものを定めることは考えていないところでございます。一方で、フリースクール等で学ぶ子供たちがおりますことから、こうした子供たちの学びの保障につながるよう、フリースクールとの連携を進めていきたいと考えております。
今後、不登校児童生徒への支援を市町と協議をしていく中で、フリースクールで学ぶ子供の保護者への財政支援についても、これは市町と一緒に考えていきたいと思っているところでございます。
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警察本部長(中村彰宏) (登壇)私にいただきました3点の御質問のうち、まず1点目の、
警察本部長着任に当たりましての所信についてお答えいたします。
県民が安全に安心して暮らすためには、まずは県民が犯罪や事故に遭わないようにすることが大事だと考えております。県内の犯罪発生状況は増加傾向にありますが、犯罪や事故が起きにくい滋賀県をつくるため、防犯や交通安全について県民の皆様に分かりやすく呼びかけていくとともに、警察官によるパトロールや交通指導取締りにより、犯罪や事故の未然防止に努めてまいりたいと考えております。
また、犯罪や事故が起きてしまったときには、警察が速やかに犯人を検挙することが県民の安全・安心にとって重要でありますので、迅速かつ適正な捜査を推進することができるよう、捜査力の向上に努めてまいります。
さらに、こうした警察活動を行うに当たりましては県民の警察に対する信頼が不可欠であります。私をはじめ県警察の職員一人一人が常に県民のための警察であるという思いを持って職務に邁進する所存であります。
2点目の、特殊詐欺の根絶に向けた取組についてお答えをいたします。
特殊詐欺については、本年、被害が増加しており、大変危惧をしております。誰もが被害者となり得ることから、県民一人一人が我が事として捉え、行動に移していただけるような具体的な被害防止対策について、特に力を入れて情報発信をしております。また、電話の通話内容をAIが解析し、特殊詐欺の疑いがある場合には親族等に注意喚起をするサービスにつきましても、事業者と連携して制度の普及を図っております。さらに、特殊詐欺の予兆電話を認知した際には、金融機関等の関係事業者に一斉自動連絡を行うなど、被害の未然防止と犯人の検挙に向けた取組を強化しているところでございます。このほか、市町をはじめとする関係機関と連携いたしまして、地域住民が、特殊詐欺被害ゼロを目指して互いに声を掛け合い、地域ぐるみで被害を防ぐための取組等を推進しているところでございます。
こうした取組や捜査の強化によりまして、本年は被害者の検挙件数、検挙人員および被害の水際阻止件数についても前年同期より増加している状況にありますが、これ以上、県民が卑劣な特殊詐欺の被害に遭わないためにも、今後も引き続き、一層の被害防止対策に取り組むとともに、組織犯罪対策課に新設されました特殊詐欺対策室を中心に、他県警察とも連携するなどして、犯人グループの壊滅に向けた検挙対策を強化してまいります。
3点目の、サイバー犯罪の現状と課題、今後の対策等についてお答えをいたします。
サイバー犯罪に関する検挙件数、人員は年々増加をしており、本年も前年並みの取扱い件数で推移しております。また、サイバー犯罪の相談件数は年々増加傾向でしたが、本年は前年比で若干減少しておるところです。
本年中に県警察が検挙したサイバー犯罪を分析しますと、個人が被害者となる事件のうち30歳代以下の人が被害者となる事件がほぼ全てを占めており、とりわけ児童買春など若年層の福祉を害する犯罪被害が多くなっております。また、ランサムウェアと呼ばれる不正プログラムによる身の代金目的のサイバー攻撃の被害が全国的に増加傾向にあります。このため、県警察では今後、捜査員の能力向上、捜査解析用資機材の整備等によるサイバー犯罪捜査力の強化に取り組みますとともに、児童生徒など若年層に対する広報啓発や事業者向けのセミナーなどを引き続き実施をしてまいります。
○議長(奥村芳正) 以上で、会派代表による質疑ならびに一般質問を終わります。
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△休会の議決
○議長(奥村芳正) お諮りいたします。
明28日および29日は、議案調査のため休会いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
(「異議なし」)
御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
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○議長(奥村芳正) 来る30日は、定刻より本会議を開き、上程議案に対する質疑ならびに一般質問を行います。
本日はこれをもって散会いたします。
午後2時55分 散会
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