愛知県議会 2017-12-01
平成29年12月定例会(第2号) 本文
川嶋太郎議員。
〔八十四番
川嶋太郎君登壇〕(拍手)
5: ◯八十四番(
川嶋太郎君) 皆様、おはようございます。
それでは、自由民主党愛知県議員団を代表いたしまして、県政の諸課題について、順次質問をしてまいります。
質問の第一は、行財政運営についてであります。
初めに、県税収入の見通しと今後の財政運営についてお伺いをいたします。
まず、県税収入の見通しについてお伺いをいたします。
最近の我が国の景気は、アジア向けの輸出の増加などにより、国内総生産が七四半期連続でプラス成長となるなど緩やかな回復基調が続いており、先行きにつきましても、雇用・所得環境の改善が続く中で個人消費が持ち直し、緩やかに回復していくことが期待されております。
また、先般発表された三月期上場企業の九月中間期の収益状況を見ますと、円安や堅調な世界経済を背景に、輸出を主力とする製造業に牽引され、全体の連結経常利益は、前年同期比で二割を超える増益となっており、来年三月期の通期業績予想も、一割を超える増益の見通しとなっております。
このように、景気は息の長い回復が続いており、企業収益も好調な状況にありますが、一方で、アメリカの経済政策やそれが国際金融市場に及ぼす影響、中国を初めとした海外経済の不確実性などに留意する必要があるとされております。
そこでお尋ねをいたします。
こうした最近の景気動向などを踏まえ、今年度及び来年度の県税収入についてどのような見通しをされておられるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
続いて、今後の財政運営についてお伺いをいたします。
本県では、今後、高齢化の進展により、医療、介護等に要する経費のさらなる増加が避けられない状況でありますが、引き続き県民の安全・安心な暮らしの確保を初め、各般の施策を着実に進めていかなければならず、安定的な財源の確保が不可欠であります。
本県は、歳入に占める県税収入の割合が比較的大きい団体でありますが、県税収入は、平成二十年秋のリーマンショックの影響による急激な落ち込みから十分に回復したとは言いがたく、当初予算編成においては、多額の基金の取り崩しで財源を賄っている状況が続いております。
一方、国の議論に目を転じてみますと、地方団体の基金残高が増加していることなどから、地方財政は国よりも余裕があるのではないかと財務省等から指摘されており、地方交付税等の総額が十分に確保されるか懸念されるところであります。
さらに、地方消費税の清算基準の見直しについては、最終消費地と税収の最終的な帰属地を一致させるという地方消費税の清算制度本来の趣旨を踏まえ、丁寧かつ十分な議論を行うことが必要でありますが、基準に占める統計による比率を下げ、安易に人口の比率を高めることとし、結果として大都市の税収を減らそうとする提案が一部でなされております。
そこでお尋ねをいたします。
このような財政を取り巻く環境の中で、今後の財政運営についてどのように考えておられるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、法人事業税の超過課税についてお伺いをいたします。
法人事業税の超過課税は、災害に強い県土づくりを目指して、河川、砂防、農地防災、海岸など緊急に整備を要する防災事業に充てるため、昭和五十二年の制度発足から三年ごとに期限を区切って実施されてまいりました。これまでに十三回にわたり延長が行われており、超過課税による税収を有効に活用することで、本県の防災事業は着実に進められてきたものと考えております。
現在の適用期限は平成三十一年一月までとなっておりますが、本県は日本最大のゼロメートル地帯を有し、南海トラフ地震の発生により甚大な被害が予測されており、地震防災対策を今後もしっかりと推進していかなくてはなりません。また、近年増加傾向にあるゲリラ豪雨により、全国各地で河川の氾濫による浸水被害や土砂災害被害が相次いでいることも踏まえると、災害を未然に防止するための防災事業の必要性はますます高まってきております。
そこでお尋ねをいたします。
県民の皆様の安全と安心を確保するため、引き続き法人事業税の超過課税の延長を行い、防災事業の推進を図る必要があると思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、県庁における人材育成とワーク・ライフ・バランスの推進についてお伺いいたします。
これまで本県では、行財政改革に積極的に取り組む中で、その時々の政策課題への対応に必要な人員を確保しつつ、事務事業の見直しや民間委託、事務の効率化などによって人員削減が進められてきました。その結果、知事部局等と教育の事務部門における職員定数は平成十年度と比べ三千六百八十六人、約二五%減少して、現在、一万一千七十人であり、本県の組織は全国でも上位レベルのスリム化した体制となっております。
一方で、この間、グローバル化の進展や少子・高齢化の一層の進行など、社会が成熟・多様化してまいりました。また、IT化の進展により効率的な事務処理が可能になった反面、高い付加価値や成果を求められる難しい仕事もふえてきております。県政を取り巻く環境が大きく変化し、県が取り組むべき課題が一層高度化、複雑化してきたと感じております。
したがって、今後の愛知のさらなる発展や県民の安全・安心の実現に向けて、社会経済の活性化や医療、福祉の充実、防災対策の強化などを着実に進めていくためには、これまでのように大きく定数を減らす方向で行革を進めることは難しく、今後は県政の諸課題に対して戦略的、的確に対応できる人材をしっかりと育てていくことが大切ではないかと考えております。そのためには、職員が充実感を感じつつ、生き生きと働くことができるような、あるいは、人手不足が大きな社会問題になっている中にあっても、有望な人材が入庁したくなるような魅力的な職場環境づくりが必要であります。
職員一人一人が使命感と責任感を持って働き、仕事を通じてみずからの成長や社会の役に立っていることを実感できるようにする、また、残業は必要最小限にして仕事と家庭生活を両立させ、健康で豊かな生活を送ることができるようにする、こうした職場環境づくりを進めることが人材の育成につながっていくものと思います。愛知県庁は、県民の皆様のために仕事をしていくことはもちろんでありますが、人材育成や職場環境づくりの面において、県内の企業をリードするお手本にもならなければならないと考えます。
そこでお尋ねをいたします。
県政のさまざまな課題に対して的確に対応していくためには、職員が十分に能力を発揮できるよう、人材の育成にしっかりと取り組むとともに、ワーク・ライフ・バランスの推進に配慮することが必要と考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
質問の第二は、新しい時代に飛躍する愛知づくりについてであります。
まず、あいち航空ミュージアムについてお伺いをいたします。
先週十一月三十日に、多くの県民、航空ファンが見守る中、あいち航空ミュージアムがオープンいたしました。オープンの一月前からYS11を初めとした展示機体の搬入の様子を一般公開するなど、大きな注目、話題を集めてきました。オープン初日から多くのお客様に御来場いただいて、まずは上々の滑り出しであったと思います。
日本を代表する航空機関連の大手企業、中堅・中小企業群が立地する当地域は、今日まで我が国の航空機産業をリードしてきました。本県としても、国際戦略総合特区、アジアナンバーワン航空宇宙産業クラスター形成特区の指定をいち早く受けるなど、航空機産業を自動車に続く基幹産業に育て上げるため、意欲的に取り組んできたところであります。中でも、県営名古屋空港周辺には、近接して三菱重工小牧南工場が立地しており、YS11など日本の航空史に名を残す航空機の多くが開発されてきました。
そして、現在では、新たな生産拠点において、国産初のジェット旅客機MRJの生産が行われています。まさに航空機産業の中心地、愛知の拠点とも言うべき地域であります。
こうした中にあって、当地域にシンボル的な施設として整備されたあいち航空ミュージアムは、同時にオープンした三菱重工のMRJミュージアムとともに多くの注目を集めております。航空機産業を核に産業振興、さらには集客、交流などのさまざまな面で地域の活性化を図り、愛知がさらなる飛躍をしていく上で重要な役割が期待されており、今後、その真価が問われることになります。
そこでお尋ねをいたします。
あいち航空ミュージアムが地域の発展に大きな役割を果たしていくためにどのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、G20サミットの誘致についてお伺いいたします。
知事は、先月六日、金融、世界経済に関する首脳会議、いわゆるG20サミット、そして、関係閣僚会議の誘致を表明されました。
G20サミットは、二〇〇八年十一月、アメリカ・ワシントンDCにおいて、リーマンショックを契機に発生した世界的な経済・金融危機に対処するため開催されたのが始まりであり、これまでに十二回の会議が重ねられており、来年のアルゼンチンでの開催を経て、再来年、二〇一九年に第十四回のG20サミットが日本で初めて開催されることとなっております。
この会議は、世界のGDPの約八割を占める主要国二十カ国・地域に招待国や関係する国際機関を加えた、合計で三十五程度の国や機関の首脳が集う、国際金融や世界経済に大きな影響を持つ、極めてハイレベルな会議であります。
我が党県議団は、これまで知事に対して、MICEの誘致を積極的に進めていただくよう要望してきたところでありますが、知事はこのG20サミットを本県に誘致するという決断をなされました。
G20サミットの開催が愛知の国際的な知名度とイメージの向上、国内外からの来訪者などによる交流人口の拡大、観光交流の機会の創出などの効果をもたらし、地域の活性化につながるものとなるよう、効果と課題を十分に検討しながら誘致活動を進めていただきたいと思います。
また、G20サミットの会場については、現在、本県が常滑市の空港島に建設中の新しい国際展示場が想定されております。この国際展示場は、設置目的の一つに、国内外からの集客を図ることで、国際的な交流拠点を目指すことを掲げており、G20サミットの開催は、国際展示場のオープニングを飾るのに大変ふさわしいものと感じております。また、G20サミットの開催を機に、数多くの関係者に展示場の利便性や機能性の高さを知っていただくことで、今後の展示場へのイベント等の誘致に弾みがつくものと思われます。
一方で、国内には、愛知県のほかにも立候補都市があるとの報道もありますし、宿泊施設の確保や警備体制の整備など、開催に向けては多くの課題をクリアしていかなければならず、G20サミット開催の誘致に当たっては、関係自治体や団体、機関との十分な連携・協力体制を築くことが必要と考えます。
そこでお尋ねをいたします。
知事はどのような思いでG20サミットの誘致を表明され、どのように誘致活動を進めていかれるおつもりか、御所見をお伺いいたします。
次に、新たな地球温暖化防止戦略についてお伺いをいたします。
人類共通の課題である地球温暖化対策については、二〇一五年十二月にフランス・パリで開催された気候変動枠組条約第二十一回締約国会議、いわゆるCOP21において、歴史上初めて全ての国が参加する公平で実効的な枠組みとなるパリ協定が採択され、二〇一六年十一月四日に発効しております。
パリ協定は、京都議定書にかわる二〇二〇年以降の新たな国際的枠組みであり、地球の平均気温の上昇を十八世紀半ばから十九世紀にかけて起こった産業革命の前と比べ二度未満に抑えること、そして、一・五度に抑える努力を追求することなどを目的としております。そして、この目的を達成するため、今世紀後半に温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを目指すとされております。また、各国が自主的な削減目標を掲げ、世界全体の進捗状況を五年ごとに把握する仕組みも規定されております。
我が国は、条約事務局に提出した日本の約束草案において、二〇三〇年度の温室効果ガス排出量を二〇一三年度比で二六%削減する高い目標を掲げており、二〇一六年五月には、この目標の達成のための計画として、地球温暖化対策計画を閣議決定しております。
この計画では、二六%削減という目標に対し、国、地方公共団体、事業者、国民といった各主体が取り組むべき対策や国の施策を明らかにし、削減目標達成への道筋をつけるとともに、地球温暖化対策と経済成長を両立させながら、長期的目標として、二〇五〇年までに八〇%の温室効果ガスの排出削減を目指すことが位置づけられております。
新聞報道によりますと、二酸化炭素の大気中の世界平均濃度は年々上昇し、昨年は過去最高を更新したとのことであり、対策をより一層強化していかなければなりません。
こうした中、本県においては、現行のあいち地球温暖化防止戦略二〇二〇策定以降の社会情勢の変化等を踏まえ、昨年度から新たな戦略の策定が検討されております。本県は日本一の物づくり産業県であり、また、人口も増加を続け、さまざまな活動が活発に行われている県ではありますが、だからこそ、全国の先頭に立って地球温暖化対策に取り組んでいく必要があると考えます。
そこでお尋ねをいたします。
新たな地球温暖化防止戦略の検討に当たり、現行の戦略の進捗状況をどのように評価されているのか、また、新たな戦略をどのような考えで策定されるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、自動運転の推進についてお尋ねをいたします。
本県の基幹産業である自動車産業においては、近年、自動運転化やEVシフトの流れが加速する中で、国内外の自動車メーカーに加え、IT企業なども参画して、激しい次世代自動車の開発競争が繰り広げられており、大きな転換期を迎えております。
とりわけ自動運転につきましては、少子・高齢化が進む我が国において、交通不便地などにおける移動手段として有望であるほか、交通事故や交通渋滞など交通課題の解決や自動運転にかかわる新たな市場創出への貢献など、各分野で大きな期待が寄せられております。
私は、昨年十一月に、県議会海外調査団の一員として、自動運転実証実験に関する調査のため、イギリス・ロンドン南東部に位置し、自動運転プロジェクトを推進するデジタル・グリニッジ社を訪問してまいりました。
ここでは、障害者や交通弱者等のための移動や、配送が行き届かない地域への輸送サービスなど、自動運転車がまちづくりにどのような影響を与えるのかを主眼として実証実験が行われており、改めて自動運転には地域の将来ビジョンからの視点が重要であることを認識したところであります。
本県では、平成二十七年八月に国家戦略特区の区域指定を受けたことを皮切りに、平成二十八年度は山間地や離島など、道路や周辺環境が異なる県内の十五市町で実証実験が行われており、今年度は、全国に先駆けて、遠隔型の高度な自動運転システムの実験を含む実証推進事業が実施されております。
中でも、本年六月に警察庁において策定された、遠隔型自動運転システムの公道実証実験に係る道路使用許可の申請に対する取扱いの基準により、遠隔型の自動運転実証実験が可能となったことを踏まえ、早速、十月三日に刈谷市の刈谷ハイウェイオアシスにおいて、そして、十月二十三日にあま市の七宝焼アートヴィレッジにおいて、閉鎖空間内ではあるものの、遠隔型の実証実験が実施され、技術的には成功しているとお聞きをしております。さらに、今月十四日には、幸田町において、公道での実証実験を行う予定との報道もありました。
また、本県では、本年九月に実証実験の事前相談、情報提供等を行うあいち自動運転ワンストップセンターが開設されており、さらに、十月には、産学官が連携して自動運転の実証実験を推進していくために立ち上げられたあいち自動運転推進コンソーシアムの第一回が開催されるなど、自動運転推進のフロントランナーとして、全国的にも先駆的な取り組みが進められているものと認識しております。
そこでお尋ねをいたします。
公道での遠隔型自動運転の実証実験の見通しなど、自動運転の推進に向け、どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、愛知県港湾物流ビジョンについてお尋ねいたします。
近年、我が国を取り巻く産業・貿易構造は大きく変化しております。特に、アジア諸国の経済成長に伴う活発な生産活動により、サプライチェーンの国際化はますます進んでおり、国は、サプライチェーン全体の生産性向上に寄与するプロジェクトを推進し、持続的な経済成長を目指しているところであります。
愛知県は、平成二十七年の製造品出荷額等が四十六兆円を上回り、三十九年連続全国一位の日本を代表する物づくり産業の集積地であり、日本の成長をリードする産業の革新・創造拠点でありますが、本県の物づくり産業も、世界市場におけるグローバルネットワークの構築により、コストの削減や国際競争力の強化を図り、一層の生産性の向上に努めているところであります。
そこで、改めて本県の主な物の流れを確認してみますと、多くの原材料や部品は、まず国内外から海上輸送により港湾で陸揚げされ、その後、陸上輸送により、背後地に立地する部品工場や組み立て工場まで運ばれ、工場で生産された製造品は完成品や部品として再び港湾に運び込まれ、港湾から世界に出荷されております。
本県の港湾は、このサプライチェーンの中で、国際物流の結節点として愛知の物づくり産業を支える重要な役割を担っており、産業界からは、陸揚げや輸送におけるコストの低減や流通加工など高機能のサービスを行う物流センターの誘致など、港湾の機能強化に対する強い要請が寄せられております。
しかしながら、国は、国際コンテナの欧米向け航路の維持、拡大を図るため、東日本、西日本の貨物をそれぞれ京浜港、阪神港に集約させる国際戦略港湾政策を進めており、東西の二つの港湾に予算を重点的に配分しております。
本県の名古屋港、衣浦港、三河港の三つの港湾は国際戦略港湾には選定されておりませんが、平成二十八年の総取扱貨物量は二億三千万トンを超え、また、貿易黒字額は京浜港、阪神港を大きく上回る約八兆円を誇っており、本県のみならず、我が国の経済、産業を支える重要な港だと認識をしております。
本県の港湾が引き続きこうした役割を果たしていくためには、将来に向けたビジョンをしっかりと持ち、物流の効率化や機能強化など、港湾施策を強力に実行していく必要があると考えます。
そこでお尋ねをいたします。
現在策定中の愛知県港湾物流ビジョンに基づき、本県の港湾整備にどのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
質問の第三は、安全・安心な暮らしの実現についてであります。
まず、消防学校の機能強化についてお伺いいたします。
近年、全国各地で災害が頻発しており、昨年の熊本地震などの地震災害や、ことし七月の九州北部豪雨などの風水害により、大きな被害がもたらされております。
九州北部豪雨では、緊急消防援助隊愛知県大隊が大分県や福岡県に派遣され、全地形対応車、いわゆるレッドサラマンダーが孤立集落での救助活動に活躍したことも記憶に新しいところであります。
このような災害現場において最も重要な人命救助の活動の中心となるのは、高度な技術、能力を備えた消防職員であります。しかしながら、この消防職員を育成する役割を担う本県の消防学校において、現在、さまざまな課題が生じております。
私も、先月、現地を訪れ、状況を確認してまいりましたが、まず、消防職員を一日も早く現場に従事させるためには、一年目に基礎教育である初任科と救急科を修了させる必要がありますが、初任科生の増加により、現在は初任科を前期、後期と二期に分けて実施しており、救急科は二年目以降に受講している状況となっております。また、訓練に関しては、消防庁の基準で定めるような、実災害の現場と類似した状況を再現して訓練を行うことのできる実践的訓練施設が整備されておらず、十分な訓練ができていない状況にあります。
さらに、国は、平成三十八年度当初までに、全国の消防吏員に占める女性の比率を五%に引き上げることを目標とし、各消防本部に計画的な女性消防吏員の増員を求めておりますが、現在の県消防学校では、女性の受け入れを想定した寮室等が不足しております。加えて、主要な建物は、昭和五十二年の建築から約四十年が経過しており、施設の老朽化対策が必要となっております。また、施設を効率的に活用する観点から、近隣に位置する名古屋市消防学校との連携を図っていく必要もあります。
もとより本県では、南海トラフ地震の発生が危惧されており、大規模災害に対応するために消防職員の能力を向上し、育成する消防学校のさまざまな課題を解決し、機能を強化することが急務であると考えます。
我が党県議団は、これまでも県消防学校の視察や他県の先進的な消防学校の調査を実施するとともに、一般質問や委員会の質疑において、消防学校の課題の解決が重要であることを取り上げてきたところであります。
そこでお尋ねをいたします。
消防職員の教育を担う消防学校の機能強化に向け、どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、国民健康保険制度改革に伴う県の対応についてお伺いいたします。
市町村が運営しております国民健康保険は、被用者保険などの他の医療保険の対象とならない全ての方が加入する制度で、国民皆保険の中核として国民の健康を支える重要な役割を担ってきました。
しかしながら、昭和三十六年の国民皆保険制度の発足時と比べると、高齢化の進展や産業構造の変化により、市町村国保の加入者の状況は大きく変化をしております。被用者保険の加入者が定年退職後に国保に加入することなどから年齢構成は高くなり、医療費水準も高い一方で、年金受給者などの無職の方が大幅に増加したため所得水準は低く、その結果、保険料の負担が重いといった構造的な問題を抱えており、大変厳しい財政運営を強いられてきております。
また、加入者数が数百人の小規模な保険者もあり、オプジーボなど今話題の高額な治療薬による医療費の高騰は、こうした保険者の財政運営に深刻なリスクをもたらすことが懸念されております。
こうしたことから、今般、国保制度の大改革が行われ、市町村国保への財政支援が全国三千四百億円規模で拡充されるとともに、財政運営は県単位に広域化され、制度の安定化が図られることとなりました。
制度改革に伴い、各都道府県は、新たに国保特別会計を設置することになりますが、現在の市町村の状況から考えますと、本県の特別会計は六千億程度の巨額な規模となることが見込まれます。また、県は、予期せぬ医療費の高騰が生じた場合にも必要な保険給付費を支払わなければならないところとなり、大変大きな責任を負うことになります。
一方、県が市町村から徴収する納付金は、各市町村の県全体に占める加入者の割合と所得の割合をベースに算定されますが、医療費の格差をどの程度考慮するかについては県が判断することになります。また、保険料は、現在は、各市町村がそれぞれ見込んだ保険給付費をもとに設定しておりますが、平成三十年度以降は、県が示す納付金額がベースとなり、市町村は、独自に行う保健事業や保険料の軽減策などを勘案して、実際に加入者に賦課する保険料を決定することとなります。
このように、保険料の設定方法が変わりますので、市町村単位で見ますと、新制度移行の前後で負担の増加や減少が生じるため、保険料の引き上げといった影響が危惧されるところであります。
今議会には、納付金の徴収に関する条例案が提出されるなど、準備作業も大詰めを迎えております。最終的な納付金額は、年末の国予算の確定を待って一月に示されるとのことでありますが、市町村の予算編成などを円滑に進めるために、国が示した見込み額などをもとに仮の算定を行い、先月十三日に全市町村に示されたと聞いております。
そこでお尋ねをいたします。
国民健康保険制度改革に伴う県の対応について、平成三十年度の納付金の仮算定はどのような考え方で行われたのか、また、納付金制度への移行により懸念される保険料負担の増加についてどのように対応されるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
質問の第四は、次代を担う人づくりについてであります。
まず、特別支援学校の整備についてお伺いいたします。
近年、全国的に、特別支援教育の対象となる障害のある児童生徒数は増加傾向にあり、本県においても、平成十九年の約一万三千人から平成二十九年には二万三千人に増加しており、この十年間で約一・七倍となっております。幼稚園、保育所、小中学校、高等学校、特別支援学校など、全ての学びの場において、子供たち一人一人の教育的ニーズを正しく理解し、適切な支援、指導をしていく特別支援教育の重要性がますます高まってきております。
こうした中、本県では、平成二十六年三月に特別支援教育全般にわたるさまざまな課題の解決を目指し策定された愛知県特別支援教育推進計画(愛知・つながりプラン)に基づいて、とりわけ児童生徒の増加が著しく、教室不足等が課題となっている知的障害特別支援学校の整備が着実に進められてきております。
平成二十六年度にはいなざわ特別支援学校を開校し、平成二十七年度には県の支援を受けた豊橋市立くすのき特別支援学校が開校され、一宮東、佐織、豊川の各特別支援学校の過大化による教室不足が解消されました。また、平成二十六年度には、設楽町にある田口高校の敷地内に豊橋特別支援学校山嶺教室を開設し、東三河山間部の長時間通学が解消されました。
さらに、平成三十年度には、大府もちのき特別支援学校、平成三十一年度には瀬戸市内に新設校を開校する予定であり、半田、春日台の両特別支援学校の教室不足の解消も見込まれております。
こうした取り組みにより、長年の懸案であった知的障害特別支援学校の過大化による教室不足の解消などが大きく進んできており、県民の皆様からも大いに評価していただけるのではないかと感じております。加えて、西三河南部地区においては、安城特別支援学校の教室不足の解消とともに、肢体不自由の岡崎特別支援学校への長時間通学の課題に対応するため、西尾市からの用地提供を前提に、今年度、新設校の整備に向けた調査が実施されているものと承知しております。尾張、知多、東三河地区における知的障害特別支援学校の過大化解消に一定のめどがついた今、残る西三河地区についても、できるだけ早い時期の開校が望まれるところであります。
そこでお尋ねをいたします。
西尾市における新設特別支援学校について、今年度の調査結果を踏まえ、開校時期を含めた整備スケジュールをどのように考えておられるのか。また、課題が残る西三河地区においてどのように対応されていく見通しか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、東三河地域の発展を担う人づくりについてお伺いをいたします。
本県では、二〇二六年のアジア競技大会の開催や二〇二七年のリニア中央新幹線の開業などを見据えた戦略的な地域づくりを目指し、これまでの産業集積の実績を生かしつつ、燃料電池自動車の市場化や
国産ジェット旅客機MRJの開発など、我が国の成長をリードする未来志向のプロジェクトが動き始めております。
こうした新たな取り組みを力強く推進していくためには、大村知事が常々言っておられるように、人財力の強化が不可欠であろうと思います。
しかしながら、この人財力の基礎とも言うべき本県の人口は、近い将来、減少に転じるものと予想されており、早急に人口減少を見据えた人材の育成、確保を進めていかなければならないのではないかと感じております。中でも、東三河地域は、県内の他の地域に先んじて人口減少が大きく進む地域であり、過疎化が進んでいる奥三河地域だけではなく、都市地域においても少子・高齢化の影響が急速に顕在化することが見込まれており、速やかな対応が求められるところであります。
東三河地域は、農工商のバランスのとれた産業構造、国内最大規模の自動車輸出入の拠点である三河港など、すぐれた地域資源を有しております。これまでも東三河振興ビジョンに基づき、地域の魅力の創造や発信、次世代産業の育成や振興等にかかわるさまざまな施策が推進されてまいりましたが、今後もこの好条件を生かし、東三河地域の活性化を図り、本県の将来の発展につなげていかなくてはなりません。そのためには、地域に目を向け、そこで生きていく若者を育成することが大切であり、とりわけ実社会に出る準備段階にある高校教育が重要な役割を果たすものと考えております。
東三河地域では、平成二十七年三月に策定された県立高等学校将来ビジョンに基づき、今年度から田原市の福江地区で連携型中高一貫教育が開始され、来年度には豊橋南高校に教育コース、福江高校に観光ビジネスコースが新設されます。また、新城地区では、県立高校二校を統合し、文理系と専門系を持つ新しいタイプの総合学科の開設準備が進められるなど、地域の実情を踏まえ、生徒にとって魅力ある学校づくりが進められております。
今後も長期的な視点からの人材の育成、確保が重要との認識のもとで、他の地域の先駆的な取り組みとなるよう、物づくりや農業などの地域産業の担い手の育成はもとより、広い視野を備えたグローバルリーダーや高いキャリア意識を持ち、社会の変化に対応できる人材の育成などに、より一層力を入れていく必要があると考えます。
そこでお尋ねをいたします。
東三河地域の発展を担う人づくりを進めていくために、県立高校の活性化にどのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
以上、自由民主党愛知県議員団を代表して、県政各般にわたるさまざまな課題について質問をしてまいりました。明快な御答弁を期待いたしまして質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〔知事
大村秀章君登壇〕
6: ◯知事(
大村秀章君) 自由民主党愛知県議員団の
川嶋太郎政調会長の質問にお答えをいたします。
初めに、県税収入の見通しについてのお尋ねであります。
まず、今年度の県税収入についてでございます。
主要税目であります法人二税は、このところ、当初の見込みをやや上回る水準となってきておりますので、今後、三月期決算法人の中間申告の状況などを見きわめる必要はございますが、県税全体では当初予算額を何とか確保できるのではないかと考えております。
続きまして、来年度の県税収入の見通しについてでございます。
来年度の法人二税収入に影響を及ぼします上場企業の平成三十年三月期の業績予想は、連結経常利益が、全国の全産業ベースでは前年同期比一一%の増が見込まれておりますものの、本県の主要産業であります自動車関連産業では、北米市場での収益の悪化が懸念されることから、前年同期比三%の増にとどまっております。また、法人事業税の外形標準課税の拡大などによりまして、企業収益が回復しても税収増につながりにくい税収構造となっております。
こうしたことから、今後、主要企業に対する聞き取り調査の結果や景気動向、税制改正による影響なども踏まえまして、来年度の県税収入の見込みを固めてまいりたいと考えております。
続いて、今後の財政運営についてであります。
来年度の当初予算に向けましては、県税収入が大きく回復する状況にはなく、一方、歳出面におきましては、扶助費など義務的経費の確実な増加が見込まれることから、引き続き多額の収支不足が生じるものと考えております。
そこで、まずは今年度において、基金残高の回復に努めるとともに、来年度の予算編成におきましては、財源の確保や徹底した歳出の抑制に取り組み、可能な限り収支不足の縮減を図ってまいりたいと考えておりますが、そのためには、本県みずからの取り組みに加えて、地方税財源の充実強化が不可欠であります。
このため、去る十一月九日には、私みずから地方一般財源総額の確保や地方消費税の清算基準の適切な見直しなどについて、国に申し入れたところであります。さらに、清算基準につきましては、十一月十四日、宮本副知事が出て、東京都、大阪府と共同で野田総務大臣に対して要請をし、翌十五日には、私から与党に対しても働きかけを行ってまいりました。
清算基準は、税収を最終消費地に帰属させるための指標であり、都道府県間の税収偏在の是正や財政調整の手段として用いるべきではないのは言うまでもありません。今後も国の議論の動向を注視しつつ、適時本県の考えを主張してまいりますので、県議会の皆様方におかれましても、御理解と御支援をいただきますよう、よろしくお願いを申し上げます。
本県財政を取り巻く環境は厳しい状況が続きますが、今後も経済、産業をより一層強くすることで税収の確保につなげ、健全で持続可能な財政基盤の確立を目指してまいります。
次に、法人事業税の超過課税についてお答えをいたします。
法人事業税の超過課税につきましては、緊急に整備を要する河川などの防災事業に貴重な財源として充てさせていただき、これまで災害の未然防止に大きな効果を発揮してまいりました。
本県では、南海トラフ地震の発生が危惧されておりますが、こうした大規模な自然災害から日本一の産業県である本県の社会経済活動や県民の皆様方の安全・安心を確保していくためにも、防災事業の推進は極めて重要であります。
この超過課税につきましては、来年度の中途で適用期限が到来するわけでありますが、今後も厳しい財政状況が続くものと見込まれる中、なお推進しなければならない事業が多く残っているところであります。
こうしたことを踏まえまして、県といたしましては、御負担いただく企業の皆様方に御理解と御協力をお願いしながら、ぜひとも法人事業税の超過課税を継続、延長させていただき、今後とも着実に事業を実施していく必要があると考えております。
このため、来年の二月議会には、法人事業税の超過課税を延長するための県税条例の改正案を提案させていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いをいたします。
続いて、県庁における人材育成とワーク・ライフ・バランスの推進についてであります。
本県では、これまで継続的に行財政改革に取り組み、組織をスリム化する一方で、行政サービスを担うかなめである職員の人材育成とワーク・ライフ・バランスの推進にも力を注いでまいりました。現在の行革大綱であるしなやか県庁創造プランにおきましても、主要取り組み事項の十本の柱の一番目に掲げ、取り組みを進めているところであります。
具体的には、人材育成につきましては、日々の業務を通じて職員を育てるオン・ザ・ジョブ・トレーニングの強化や専門分野の職員の計画的な育成、職員の頑張りを評価する人事評価制度など、職員の専門能力ややりがいを高め、県の組織力を最大限に発揮できるよう努めております。
さらに、職場環境に関する職員へのアンケート結果を活用したグループ診断制度や所属長との面談、ヒアリングの充実など、職場内のコミュニケーションを向上させる取り組みにより、職員が働きやすく、風通しのよい職場づくりを進めております。
また、職員のワーク・ライフ・バランスを実現するため、時間外勤務の縮減や年次休暇の計画的な取得促進に向けて、部局長など幹部職員を初めとする職員の意識改革を図るとともに、業務のさらなる効率化に取り組んでおります。
今後とも、人が輝く愛知の実現に向け、その効果が県内企業に波及するよう、県みずからが率先して職員の人材育成やワーク・ライフ・バランスの推進に積極的に取り組んでまいります。
次は、あいち航空ミュージアムについてのお尋ねであります。
構想から約四年、十一月三十日にオープンを迎えることができました。県議会を初め、御協力をいただきました関係者の皆様方に改めて感謝申し上げます。オープンからきのうまでの五日間で約一万人のお客様に御来館いただき、ミュージアムへの期待の大きさを実感したところでございます。
このミュージアムは、実際に飛行機が製造され、飛ぶ、名古屋空港に立地し、そして、それを見て学ぶことができる我が国唯一の空港隣接型のミュージアムであります。同時にオープンをいたしました三菱重工のMRJミュージアムと連携をして、航空機を核とした産業観光の拠点として情報発信、集客に努めてまいりますとともに、トヨタ産業技術記念館、トヨタ博物館など、他の産業観光施設とも積極的に連携を図り、本県の産業観光を盛り上げてまいりたいと考えております。具体的には、セット券を販売するといったことで連携をしながら、また大いにPRをしていきたいというふうに思っております。
また、人材育成の面では、開館記念式典におきまして、アメリカ、シアトル航空博物館と協力協定を締結し、人材育成に関する情報やアイデアの交換を行っていくことといたしました。歴史あるシアトル博物館の人材育成に関するノウハウを参考にしつつ、県内大学等とも連携し、教育プログラムの充実を図るとともに、県内近隣地域の児童生徒の校外学習の場としての利用も促してまいります。
今後も、このミュージアムにより多くのお客様に御来館いただけるよう、また、航空機に関する情報発信、産業観光、人材育成の三つのコンセプトで本県の産業発展、地域の活性化に大きな役割を果たしていけるように取り組んでまいります。
続いて、G20サミットの誘致についてお答えをいたします。
世界の主要二十カ国・地域の首脳が金融及び世界経済について話し合うG20サミットの開催は、世界に誇る産業集積や特徴ある伝統、文化を初めとする本県の魅力を世界に発信する千載一遇の機会であります。同時に、愛知の国際的知名度の飛躍的な向上につながり、国際会議や展示会、外国企業の誘致にとりましても追い風となることが期待をされます。
今回の誘致に当たりましては、ことしのドイツ・ハンブルク、昨年の中国・杭州の例と同様に、サミット開催に必要な全ての施設を収容可能な愛知県国際展示場を会場として想定しております。
この展示場は、中部国際空港に直結しており、空港に到着された首脳は直接会議場に入ることができるため、万全な警備が可能となります。また、空港島内にあるため、市民生活への影響も最低限に抑えることができます。さらに、宿舎となる主要なホテルが立地する名古屋市内からも高速道路等で三十分程度と交通利便性にもすぐれており、これら愛知県国際展示場の優位性を強く訴えてまいりたいと考えております。
加えて、本県には、愛・地球博を初め、生物多様性条約のCOP10やESDユネスコ世界会議など、大規模なイベントや国際会議の開催実績があるとともに、会議等の運営を支えるボランティア活動も充実しており、地域を挙げたおもてなしの環境が整っております。
こうした本県のポテンシャルを積極的にアピールしつつ、関係自治体や関係機関ともしっかりと連携をし、国に対して誘致活動を進めてまいりたいと考えております。
次に、新たな地球温暖化防止戦略についてであります。
最初に、現行戦略についての評価でございますが、本県では、戦略の最終年度である二〇二〇年度に温室効果ガス排出量を一九九〇年度比で一五%削減することを目標に掲げ、再生可能エネルギーの導入や省エネの推進、次世代自動車の普及などに取り組んでまいりました。その結果、住宅用太陽光発電施設の設置件数やEV、PHV、FCVの普及台数は日本一となっており、充電インフラの設置基数も全国トップクラスといった成果を上げております。
しかしながら、二〇一四年度の温室効果ガス排出量は、一九九〇年度比でプラス六%の増となっておりまして、さらなる対策が急務であると考えております。
次に、新たな戦略の策定に当たっての考え方でございます。
本県は、日本一の産業県であるからこそ、環境面でもトップランナーでなければならないと考えておりまして、地球温暖化対策にもしっかり取り組んでいく必要があります。
戦略の策定に当たりましては、万博やCOP10などで培われた県民の皆様、事業者の方々の高い環境意識や世界に誇る産業、技術の厚い集積といった本県の強みに加え、豊富な太陽エネルギーやバイオマスなどの地域資源を最大限に生かした取り組みを推進してまいります。
また、県民、事業者、市町村等、全ての方々による積極的な取り組みを促進していくため、環境に配慮した製品やサービスの優先的な選択と行動を促す新たな県民運動を展開するとともに、事業者や市町村がみずから目標を定め、計画的に温暖化対策に取り組むことを支援してまいります。
さらに、県みずからも率先して取り組むことが重要であります。これまでも職員の省エネ行動に取り組んでまいりましたが、今年度には、自治センターと西三河総合庁舎へモデル的に導入した照明のLED化につきまして、その効果を踏まえ、今後、スピード感を持って県の他の施設へと広げてまいりたいと考えております。
県といたしましては、県民の皆様や事業者の方々など、多様な主体と連携しながら、環境と経済が調和した環境首都あいちを目指してまいります。
続いて、自動運転の推進についてお尋ねをいただきました。
自動運転技術は、次世代自動車のキーテクノロジーであり、本県としては、みずから先導的な実証実験や環境整備を推進し、イノベーションを誘発させていくことが重要と考えております。
このため、今年度、運転席を外部に設置した、最先端となる遠隔型の自動運転実証実験を行っており、十月には、閉鎖空間において、刈谷市で全国初の実験を行いました。次いであま市では、四十一名の県民の方々に遠隔型車両に乗車いただくモニター調査を行ったところであります。
今年度の目標としてまいりました公道における遠隔型実証実験に向けて、これまで国土交通省、県警察に対して必要な手続を行ってきた結果、予定どおり完了することを前提といたしまして、今月十四日に公道での実証実験を幸田町で行うこととなりました。今日までに公道での遠隔型実証実験が他地域において実施された例はなく、現時点におきまして、本年六月に警察庁が策定した新しいガイドラインに基づく全国初の取り組みとなるものと考えております。
また、異なる交通環境のもとでシステムの適応性を確認するため、今年度末にかけて、住宅地である春日井市、高蔵寺ニュータウンでありますが、また、都心部である名古屋市、この県庁、市役所の西側の官庁街でありますけれども、そうしたところでの公道での遠隔型実証実験を行ってまいります。
さらに、十月二十日には、あいち自動運転推進コンソーシアムを設立いたしまして、現在、五十八の機関に参画をしていただいて、自動運転に関する企業、大学等や自動運転システムの導入を目指す市町村とのメンバー相互のマッチングを通じて、県内各所での自動運転の実証実験等を推進してまいります。
県といたしましては、自動車産業の一大集積地の責務として、自動運転のさらなる高度化や活用を推進してまいります。
次に、愛知県港湾物流ビジョンについてであります。
本県では、名古屋港、衣浦港及び三河港の将来目指すべき姿を見据え、名古屋港管理組合とともに港湾物流ビジョンの策定に向け、鋭意作業を進めているところであります。
近年、アジア諸国の経済成長等により国際競争が激しくなる中、県内の物づくり産業界からは、さらなる物流の効率化が強く求められております。このため、本ビジョンでは、サプライチェーン全体の生産性向上を支える港湾の役割に着目し、各港湾の機能強化、ネットワークの強化及び三港の連携の三つをその目指すべき方向性といたしております。
今後は、この方向性のもと、船舶の大型化への対応や埠頭の再編、産業集積地と港湾を結ぶ道路網の整備を加速してまいります。
さらに、新たな取り組みといたしまして、新技術を活用した港湾施設の利用状況や貨物データの一元化による情報共有及び輸送の無駄を省く共同物流等の実現に向け、官民一体となって環境づくりを推進してまいります。
こうした取り組みによりまして、輸送コストの削減等が図られ、物づくり産業が集積するこの地域の強みを生かした、より強固なサプライチェーンの構築が可能となります。
引き続き、本県の基幹産業が国際競争に打ち勝ち、日本経済を牽引していくため、京浜港や阪神港にはない独自の魅力を持つ港湾の実現を目指し、しっかりと取り組んでまいります。
次は、消防学校の機能強化についてのお尋ねであります。
消防学校は、昭和二十三年に自治体消防が発足をして以来、県内市町村の消防職員及び消防団員の教育訓練を行い、県民の生命、財産を守る人材を育成するという重要な役割を果たしてまいりました。
しかし、議員御指摘のとおり、現在の消防学校は、昭和五十二年の建設から約四十年が経過をし、さまざまな課題が生じております。新規に採用された消防職員が消防や救急の現場で活動するには、一年目に初任科と救急科の両方を修了することが望ましい形でありますが、入校生の増加のために教室や寮の収容能力が不足し、救急科の受講が二年目以降に及んでおります。
このため、既存の教室や寮等のうち、活用できる施設を改修し長寿命化を図るとともに、不足する施設につきましては新たに整備をし、収容能力を確保してまいります。
また、消防庁は、女性消防士の比率を五%まで引き上げる目標としておりますが、現在は女性の専用施設がなく、男性用の施設を転用し、使用しております。このため、女性専用の寮室などを新たに整備し、女性消防士の受け入れ体制を確保してまいります。
さらには、実際の災害を想定した訓練を行う施設の整備も必要であります。このため、実火訓練や市街地での消火を想定した実践的な訓練が可能な施設を新たに整備してまいります。
また、名古屋市消防学校と連携し、新たに整備する訓練施設を活用した合同訓練の実施や、南海トラフ地震の受援体制を強化するため、緊急消防援助隊の受け入れに配慮した整備をしてまいります。
こうした取り組みによりまして、消防学校の機能を強化し、県内の消防職員の知識、技能のさらなる向上を図り、県民の皆様の安心・安全を確保してまいります。
続いて、国民健康保険制度改革に伴う県の対応についてお答えをいたします。
平成三十年度から、県は市町村に対し、医療機関に支払う保険給付費を全額交付する一方、そのために必要な納付金を市町村から集めることとなります。
この納付金は、加入者数と所得を基本に市町村に案分いたしますが、現在、市町村間では、地域の医療資源の状況などから、一人当たりの医療費の水準に差が生じており、こうした格差をどの程度納付金の算定に反映するのかが課題になります。
今回の仮算定では、医療費適正化に向けた市町村の取り組みを引き続き促進する必要があると考え、県平均の一人当たり医療費と比較して医療費を使っていない市町村は、一人当たりの納付金額が小さくなるよう、加入者数と所得に加え、医療費水準の格差を全て納付金の算定に反映することといたしました。
また、制度改正に伴いまして、費用負担の仕組みが大きく変わるため、市町村によっては負担の増加が国保財政に影響を及ぼし、保険料の上昇の要因となることが危惧されます。こうした制度改正に伴う市町村の負担の増加に対しては、平成二十八年度と比べ、一人当たり納付金額の増加率を最大でも医療給付費等の自然増であります四・九一%までに抑える激変緩和措置を講じる予定であります。
市町村は、本県が示す納付金額をもとに、独自に保健事業や法定外繰り入れ等を考慮し、実際に加入者に賦課する保険料を決定することになりますが、国は、今回の国保改革が被保険者の皆様に受け入れられるものとなるためには、平成三十年四月の制度改革の前後における保険料水準のあり方について熟慮する必要があるとしておりまして、こうした国の考え方を踏まえ、市町村に対しましては、保険料水準の慎重な検討を求めているところであります。
今後とも、新制度への円滑な移行に向け、市町村とより一層連携を密にして、着実に準備を進めてまいりたいと考えております。
次は、特別支援学校の整備についてお尋ねをいただきました。
まず、西尾市内に新設を予定している特別支援学校につきましては、安城特別支援学校の教室不足と岡崎特別支援学校──これは肢体不自由児のほうではありますが──の長時間通学の両課題に対応するため、本県初となる知的障害と肢体不自由の学級を併置する新しいタイプの学校として整備したいと考えております。現在、西尾市による用地の取得が順調に進められておりますので、平成三十年度には基本設計に着手をし、平成三十四年四月の開校を目指して、スピード感を持って取り組んでまいります。
また、平成二十一年度に開校した岡崎の知的障害のみあい特別支援学校につきましても、近年、高等部を中心に児童生徒の増加が続き、教室不足が課題となっているため、できるだけ早期の校舎の増築を検討しているところであります。
さらに、三好特別支援学校の過大化につきましては、平成三十年度の大府もちのき特別支援学校と平成三十一年度の瀬戸市内の新設校の開校に伴う通学区域の見直しにより一定の緩和が見込まれますが、より根本的な解決を図るため、豊田市内での新設校設置に向けて、豊田市との協議を続けているところであります。
現在の愛知・つながりプランは、平成三十年度までの計画となっておりますので、平成三十年内を目途に、新たな五カ年計画を策定し、西三河地区の特別支援学校の整備を含め、特別支援教育のさらなる充実に向けて、引き続きしっかりと取り組んでまいります。
最後の答弁となりますが、東三河地域の発展を担う人づくりについてであります。
議員御指摘のように、東三河地域の活性化が本県の発展には不可欠であります。
そこで、今の中学一年生が高校に入学することになります平成三十二年度を目途に、東三河の県立高校四校において、地域産業の担い手やグローバルリーダーを育成する新たな教育プロジェクトを立ち上げてまいりたいと考えております。
まず、普通科におきましては、東三河地域の中核校である時習館高校を新たにあいちグローバルハイスクールに指定し、他の県立高校の生徒を含めた海外の高校との交流活動などを実施して、地域と国際社会とのかけ橋となる人材育成の拠点としてまいります。また、多文化共生教育や情報教育の実績がある豊橋西高校を総合学科に改編し、系統的なキャリア教育により、地域の発展を支える人材を育成してまいります。
次に、職業学科では、本年度からあいちSTEMハイスクールに指定しております豊橋工業高校に県内初となるロボット工学科を設置し、東三河地域の大学や企業と連携してロボットの設計、製造、制御に関する最先端の知識や技術、技能を身につけた、地域の産業界を担う物づくり人材の育成を目指します。
また、日本一の農業産出額を誇る田原市にある渥美農業高校では、IT技術や自然エネルギーを活用した農業の実践、世界品質の農産物を生産するためのGAPの認証の取得などの新たな取り組みを通して技術革新に対応し、世界を視野に入れた次世代の農業にチャレンジする後継者を育成してまいります。
こうしたさまざまな県立高校プロジェクトを推進することにより、東三河地域の人財力の強化に取り組み、地域の活性化、さらには本県全体の発展につなげてまいりたいと考えております。
以上、御答弁を申し上げました。
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7: ◯四十番(中根義高君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
8: ◯議長(
中野治美君) 中根義高議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
9: ◯議長(
中野治美君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。
午前十一時九分休憩
━━━━━━━━━━━━━━━━━
午後一時開議
10: ◯議長(
中野治美君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
通告により質問を許可いたします。
天野正基議員。
〔三十七番天野正基君登壇〕(拍手)
11: ◯三十七番(天野正基君) それでは、民進党愛知県議員団を代表いたしまして、県政諸課題について順次質問をしてまいります。
最初の質問は、今後の財政運営についてであります。
とりわけ持続可能な財政基盤の確立についてお伺いをいたします。
我が党県議団は十月十三日、平成三十年度施策及び当初予算に対する提言を知事へ提出いたしました。提言には、産業の活性化と社会生活の豊かさが両立する、将来愛知が目指すべき社会モデルを念頭に、各部局が取り組むべき十の最重点項目、六十三の重点指向すべき項目を掲げております。
そして、本県がこうした取り組みを今後着実に進めていくためには、常に行革努力を絶やすことなく、政策展開を下支えする持続可能な財政基盤を構築し、これを維持、確立していく必要があります。
本県では、昭和六十年に愛知県行政改革推進計画を定め、以降六次にわたって行革大綱を策定し、行財政改革に取り組んでこられました。
特に、戦後初の赤字決算となった平成十年度に策定された愛知県第三次行革大綱以降は、継続的に行革大綱を見直しながら、行財政の合理化を積極的に進め、財政の健全化に取り組み、第三次から第五次までの十六年間で、実に六千億を超える行革効果を上げております。
そして平成二十六年度に策定された現行の第六次行革大綱、しなやか県庁創造プランにおいても、三つの改革の視点の一つに、たゆまぬ見直しで持続可能な財政運営を掲げ、精力的に財政健全化に向けて取り組んでおられます。
しかしながら、本県の財政状況は依然として厳しいと言わざるを得ません。
平成二十九年度の県税収入は、主要税目であります法人二税について、大幅な減収が見込まれております。
さらに、十月二十日に示された本県の平成三十年度予算編成方針によりますと、来年度以降につきましても、法人事業税の外形標準課税の拡大の影響により、法人二税収入の急激な回復が見込まれないとされる一方で、歳出面では、扶助費などの義務的経費の確実な増加が見込まれるとされております。
このような中でも、各年度の県税収入や財政環境の変動に柔軟に対応しながら、必要な事業を推進できる経営体質を確保し、愛知発の新しい社会モデルを築くため、将来成長の布石となる投資を進めていくことが重要であると考えます。
そこでお尋ねいたします。
持続可能な財政基盤の確立に向けた、行財政改革のこれまでの成果と今後の取り組みについて、知事の御所見をお伺いします。
質問の第二は、安心して暮らせる愛知の実現についてであります。
まず、南海トラフ地震対策についてお伺いをします。
昭和五十三年に制定された大規模地震対策特別措置法、いわゆる大震法では、唯一地震の予知ができるとされてきた東海地震を対象に、地震の予知を前提にした防災対応が定められております。気象庁から地震予知情報の報告を受けた内閣総理大臣が警戒宣言を発令し、住民の避難や交通機関の停止等の措置を実施するなど、東海地震に備える対応を行うこととしております。
しかし、平成二十五年に国の南海トラフ沿いの大規模地震の予測可能性に関する調査部会の報告において、現在の科学的知見からは、地震の規模や発生時期を確度高く予測することは難しいとされました。また一方で、南海トラフ沿いにおける観測網の充実により、地震計やひずみ計等で観測される地震に関するさまざまな異常現象を捉えることが可能となってきております。
こうした中で、中央防災会議のもとに設置された南海トラフ沿いの地震観測・評価に基づく防災対応検討ワーキンググループが、地震予知を前提とした各種規制措置を含めた、現行の大震法に基づく防災対応が適切なのかどうか、改めてそのあり方を検討した上で、異常な現象が観測された場合に、どのような防災対応をとることが適当なのか、その基本的な方向性について、本年九月に報告書として取りまとめました。
その内容は、まず、大震法に基づく現行の東海地震に限定した防災対応は、それが前提としている確度の高い地震の予測ができないことから、改める必要があるとされました。さらに、現在では、東海地震のみならず、南海トラフ全体で大規模地震の発生が危惧されていることから、南海トラフ沿いで観測された異常な現象を評価し、どのような防災対応を行うことが適切なのかを、地方公共団体や企業等と合意形成を行いつつ検討し、必要に応じて現行制度の改善や新たな制度構築も検討すべきとしております。
そこで、国は、静岡県、高知県、中部経済界をモデル地区として地域の実情を考慮し、より具体的な防災対応の検討を行い、南海トラフ沿いで異常な現象が観測された場合に実施する、新たな防災対応の構築に向け動き出しました。
しかし、新たな防災対応が構築されるまでには時間がかかります。それまでの間に、異常な現象が観測された場合に備え、暫定的な防災対応をあらかじめ決めておく必要があります。
そこで、国は、南海トラフ沿いで異常な現象が観測され、その現象が大規模な地震と関連するかどうか調査を開始した場合などに南海トラフ地震に関連する情報(臨時)を発表することとし、この暫定的な措置が、本年十一月一日から運用が開始されました。また、あわせて、この情報が発表された際には、関係省庁災害警戒会議の開催や、国民に対し日ごろからの地震への備えを再確認するよう呼びかけるなどの政府の対応が示されたところであります。
そこでお尋ねいたします。
南海トラフ地震対策に関する、この一連の動きに伴い、本県はどのように対応されるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、地域包括ケアの推進についてお伺いをします。
高齢化が急速に進展する中、団塊の世代の方々が七十五歳以上となる平成三十七年に向かって、今後、医療や介護などを必要とする高齢者の方々が、より一層増加していくことが見込まれております。
また、単身高齢者の方や高齢夫婦のみの世帯の増加に伴い、日常生活への支援に対するニーズも高まってきております。
そうした中、高齢者の方々が、住みなれた地域で、できる限り元気で安心して暮らし続けることができるよう、医療、介護、予防、生活支援、住まいが、切れ目なく一体的に提供される地域包括ケアシステムを構築していくことは、まさに喫緊の課題であります。
この地域包括ケアシステムの構築に当たっては、多職種の専門職、専門事業者による適切な医療、介護サービスの提供が極めて大切でありますが、医療や介護の必要度が軽度な高齢者の方々に対しては、介護予防や生活のちょっとした困り事へのサポートが重要となってまいります。
介護予防のための体操教室や交流の場としてのサロンの開催、訪問などによる見守り、配食サービス、草刈りや早朝のごみ出しのサポートなど、地域で求められているニーズは多様であります。
こうした多様なニーズに対応したサービスを提供していくには、行政や介護保険制度によるサービスだけでなく、ボランティア、NPOなど、さまざまな主体が参加し、地域を支えていくことが求められております。
また、高齢者の方のボランティア活動や、社会活動への参加は、御自身の生きがいにもつながり、介護予防や閉じこもり防止にもなると聞いております。
そのため、地域に住む方々に、地域包括ケアの理念や必要性、重要性を理解していただき、ボランティアなどにより、高齢者の方々の生活を支える担い手となっていただくことは、これから大変重要になってくると考えます。
本県では、県内全域で地域包括ケアシステムの構築が進むよう、先導的な取り組みとして、平成二十六年度から平成二十八年度までの三年間、六市において地域包括ケアモデル事業を実施し、毎年、報告会を開催することにより、その取り組み状況や成果、課題などを広く情報提供してきたところです。
そのモデル事業実施市からも、今後、より多くの住民の方々に地域包括ケアを知ってもらうことや、高齢者の方々を支える担い手となってもらえる人々を確保することが必要であるとの声が出ていると聞いております。
そこでお尋ねいたします。
地域包括ケアシステムの構築を進めていくために、地域の住民の方々に地域包括ケアの理念を知っていただき、地域で高齢者を支える担い手となっていただけるよう、どのような取り組みを進めていかれるのか、知事の御所見をお伺いします。
次に、女性が働き続けられる環境づくりについてお伺いをします。
本年四月に平成二十七年国勢調査に基づく就業状況が公表されました。それによりますと、日本全体で十五歳以上の人口に対する、就業者と完全失業者を合計した労働力人口の割合である労働力率は、五年前の平成二十二年の調査と比べ男性は七〇・九%と二・九ポイント低下したのに対し、女性は五〇・〇%と〇・四ポイント上昇しています。
また、就業者数で見ても男性が三千三百七万人と約百万人減る中、女性は二千五百八十四万人と約三十二万人ふえており、女性が労働力の下支えとなっている現状がうかがえます。
本県の状況を見てみますと、女性の労働力率は、二十四歳以下と八十歳以上を除く全ての年齢階級で上昇しています。もちろんこれは未婚化や共働き世帯の増加などの要因もあると思いますが、平成二十五年以降、女性が元気に働き続けられる愛知を目指して、全庁を挙げて女性の活躍促進プロジェクトに取り組まれてきた成果が出てきているものと率直に評価したいと思います。
しかしながら、全国と比較しますと、依然として、いわゆるM字カーブの谷が深く、三十歳から三十四歳の女性の労働力率は六八・九%と全国に比べて四・六ポイント、三十五歳から三十九歳は六九・七%と三・〇ポイント低くなっています。女性が出産、育児を機に離職する様子がうかがわれるところです。
女性が、仕事か子育てか、どちらかを選ばなくてはならない状況をつくるのではなく、キャリアも子育ても両方実現できる環境をつくることが大切なのではないでしょうか。その際に、出産を機に離職し、子育てが一段落したらパートで復帰するということではなく、育児休業などを最大限活用しながら働き続けられる環境づくりが大切です。そしてこのことは、企業にとっても正社員として経験を積んだ女性に生涯にわたって活躍していただけることにもつながります。
出産、育児期の離職防止のためには、保育サービスの充実、男性の家事・育児参加など育児を支援するさまざまな対策が必要でありますが、同時に、長時間労働の是正、仕事と育児の両立支援制度の整備など、女性が安心して働き続けることのできる環境整備がますます重要であります。
そして、その上で、働く側の人への働きかけも大切ではないかと考えます。
二十三歳から三十九歳の出産経験のない女性を対象にした民間の調査では、働く女性の九三%が子供を持つ前から仕事と育児の両立に不安を抱いているという調査結果があります。
また、本県では夫は外で働き、妻は家庭を守るべきという、いわゆる性別による役割分担意識が全国より高いという調査結果もあり、仕事と家庭との両立への不安を取り除くことや固定的な意識の変革を促していくことが必要であります。
そこでお尋ねいたします。
育児等で離職せずに安心して働き続けられる環境づくりにどのように取り組まれるのか、知事の御所見をお伺いします。
次に、外国人児童生徒教育についてお伺いします。
製造品出荷額等が、三十九年連続で全国第一位を誇る物づくり王国愛知には、製造業に携わる外国人労働者が年々増加しており、このことに伴い、県内の小中学校に在籍する日本語指導を必要とする外国人児童生徒もふえ続けております。文部科学省が実施している日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査では、本県の小中学校に在籍する日本語指導が必要な外国人児童生徒数は、調査開始の平成三年には六百十七人でありましたが、平成二十八年には、その十倍以上の七千八人となり、全国第二位の神奈川県の三千三百八十二人の二倍以上という状況となっております。
平成二十年のリーマンショック以前は、南米からの日系外国人が一定の地域に集中し、コミュニティーを形成して居住することが多かったために、ポルトガル語やスペイン語を母語とする児童生徒が、特定の小中学校に多く在籍する傾向にありました。しかし、近年では、フィリピンを初めとするアジア等の国々の外国人がコミュニティーをつくらずに散在して居住するようになり、日本語指導が必要な外国人生徒が在籍する小中学校は県内全域に広がってきております。
日本語が十分に話せない状態で転入してきた外国人児童生徒は、自分の意思を相手に伝えられないことや日本の学校での生活の仕方がわからないこと、授業の内容が理解できないことなど、大きな不安の中で学校生活を送ることになります。こうした児童生徒も本県の将来を支える大切な人材でありますので、一人一人が一日も早く日本語を習得した上で、自分の能力を発揮し、適切な進路選択ができるよう支援することが教育行政の責務だと考えます。
県
教育委員会では、こうした日本語指導が必要な外国人児童生徒に対し、小中学校に語学相談員を派遣するなど、ポルトガル語やスペイン語を母語とする児童生徒を中心に支援を行ってきたと聞いておりますが、近年では、フィリピノ語を初めとするさまざまな言語を母語とする児童生徒が急増し、その対応が学校現場の新たな課題になっていると伺っております。
そこでお尋ねいたします。
フィリピノ語を母語とする児童生徒を初め、年々増加する日本語指導が必要な外国人児童生徒を支援するため、県
教育委員会では、どのように日本語指導の充実を図り、また、どのように進路選択のための教育環境整備を進められているのでしょうか。外国人児童生徒教育に関する本県の取り組みについて、教育長の御所見をお伺いします。
次に、食品ロス削減に向けた取り組みについてお伺いします。
二〇一五年九月、ニューヨークで開催された国連サミットにおいて、持続可能な開発のための二〇三〇アジェンダが採択されました。これは二〇三〇年までの人間、地球及び繁栄のための国際的な行動計画でありますが、その中で、持続可能な世界を実現するためのSDGsという目標が掲げられています。このSDGsのうち、まだ食べられるのに捨てられてしまう食品ロスに関しては、二〇三〇年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、食品ロスを減少させるという目標が定められております。SDGsに法的拘束力はありませんが、各国に目標の達成に向けた取り組みが期待されており、昨年開催されたG7農業大臣会合やG7環境大臣会合でも、食品ロス対策が重要な課題として位置づけられました。
食料は、世界中の人々にとって限りある大切な資源です。しかし、地球上では、全ての人々が生きるのに十分な量の食料が生産されているにもかかわらず、その三分の一は食べられることなく捨てられています。そして、その一方で、世界の人口の約九人に一人が必要な食料を得られていない状況となっています。国の直近の推計によれば、国内では、年間約二千七百七十五万トンの食品廃棄物が発生しており、このうち、食品ロスは約六百二十一万トンとされています。
昨年一月に発覚した本県の産業廃棄物処理業者による食品廃棄物の不正転売事案は、全国的にも大きな問題となりました。この事案は、廃棄すべき食品が不正な行為により市場に出回ってしまったというショッキングなものでしたが、同時に、非常に大量の食べ物が食べられないまま捨てられてしまっているという現代社会の実態を世に知らしめた事案でもありました。
国においては、関係省庁でさまざまな取り組みが行われておりますが、食品ロスは、製造業、卸売業、小売業などの事業者からも消費者からも発生しており、その発生要因も、事業者側では、過剰生産、需要予測のずれ、返品等にかかわる商慣習などが、また、消費者側では、家庭における食べ残しや過剰除去などが挙げられます。さらに、食品に対する日本人の過剰な鮮度意識なども相まって、国の食品ロス削減対策は、なかなか一筋縄ではいかない状況となっております。
また、地方においても、現在、一部の都道府県や市町村において取り組みが始められていますが、まだまだ全国的に広がっている状況ではなく、住民に対する意識啓発も十分とは言えません。今後、日本が食品ロスを大幅に削減していくためには、国、地方公共団体、事業者、そして消費者である国民が一体となって食品ロス削減に向けた取り組みを推進することが必要不可欠であり、食品廃棄物の不正転売事案が発生した本県も真剣に取り組んでいかなければならない問題だと考えます。
本年二月の我が党代表質問において、知事は、食品ロス削減に向け、関係部局による庁内連絡会議を立ち上げ、全庁挙げて取り組んでいくと答弁されました。
また、我が党県議団においても、今年度、食品ロスに関する研究会を設置し、先進事例の調査や研究等を行うとともに、平成三十年度施策及び当初予算に対する提言においては、食品ロス削減に向けた取り組みを推進するよう県に求めたところであります。
そこでお尋ねをいたします。
食品ロスの削減に向け、どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見を伺います。
質問の第三は、愛知の成長に資する取り組みについてであります。
まず、あいちトリエンナーレ二〇一九開催に向けた今後の取り組みについてお伺いします。
文化芸術は、自由な発想と表現により、一人一人のかけがえのない個性を発揮するとともに、人と人とが感動を共有することを通じて、ぬくもりのある地域社会の形成に資するなど、真に心豊かな社会の根幹をなすものと言われております。
愛知県では、世界、未来に向けた愛知発の文化芸術の創造と展開を目指して、二〇一〇年に初回となる国際芸術祭あいちトリエンナーレ二〇一〇を開催して以降、三年に一度、これまで三回に渡り、継続してトリエンナーレを開催してこられました。
これまでの取り組みにより、あいちトリエンナーレは、最先端の現代美術や舞台芸術を紹介する国内最大級の国際的な現代アートの祭典として、県内外で広く認識されるようになったとともに、地元の芸術大学や文化芸術団体、NPO、ボランティア、企業、市町村等とも連携、協働しながら、地域が一体となってつくり上げる芸術祭として、地域の活性化に大きく寄与されていると思います。
次回、トリエンナーレが開催される二〇一九年は、東京オリンピック・パラリンピックが開催される前年となります。
オリンピック憲章では、オリンピックは、スポーツを文化、教育と融合させ、生き方の創造を探求するものであると示されており、スポーツだけでなく、文化イベントのプログラムを催すことも組織委員会の責務となっております。
これを受けて、国においては、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの文化イベントとして、さまざまなプログラムを行うこととしており、こうした機運の中、あいちトリエンナーレ二〇一九の開催は、東京オリンピック・パラリンピックの文化プログラムのひとつとして、大いに期待されるところであります。
一方、現在、国内では、アートを活用した地域活性化の取り組みとして、多くの芸術祭が開催されております。ことしだけでも、ヨコハマトリエンナーレや札幌国際芸術祭に加え、新たに奥能登国際芸術祭や宮城県を会場とするリボーンアート・フェスティバルなどの芸術祭が開催され、アートイベントが一種のブームとなっているようにも見えます。
各地域でこうした取り組みが進む中、あいちトリエンナーレが常に世界から注目される魅力ある芸術祭であり続けるためには、これまでの成果をしっかりと継承するとともに、課題を検証し、新たな取り組みにチャレンジするなど、トリエンナーレをよりよいものにしていくことが必要ではないかと考えます。
そこでお尋ねいたします。
次回、あいちトリエンナーレ二〇一九の開催に向け、今後、どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いします。
次に、ラグビーワールドカップ二〇一九についてお伺いいたします。
いよいよ二年後の二〇一九年に、豊田スタジアムを初め全国十二会場で、ラグビーワールドカップが開催されます。前回、二〇一五年のイングランド大会における日本代表の世界の強豪を相手にした活躍は、今もなお多くの方々の記憶に残っていると思います。
こうした中で、先月二日には、四十八試合全ての試合日程と会場が発表されました。地元の豊田スタジアムでは、我らが日本代表の試合が開催されることとなりました。また、現在世界ランキング一位であり、オールブラックスの愛称で知られるニュージーランド代表とイタリア代表との試合のほか、前回大会で日本代表が破った、世界ランキング五位の南アフリカ代表の試合や、同じく七位の強豪であるイギリスのウェールズの試合も組まれており、世界最高レベルのビッグマッチ四試合が開催されることになっております。
しかも、豊田スタジアムで開催される試合は、いずれも祝日及び土曜日の開催となっており、県民の皆さんが観戦するには最適な日程だと思われます。大会のチケットは、来年一月からのラグビーチーム関係者やファンクラブ会員への先行抽せん販売を皮切りに、順次、販売されると聞いております。
また、ラグビーワールドカップの開催は、国内外から多くのお客様をお迎えする絶好の機会であると思います。特に、海外からのラグビー観戦客は、試合の開催に合わせて長期間滞在することが想定されます。海外から多くの観戦客にお越しいただき、当地域の歴史や文化、グルメなどの魅力を十分に体感いただいて、ワールドカップ終了後も本県を再び訪れるリピーターとなっていただけるような、心がこもったおもてなしをすることが大切でないかと思います。
さらに、世界最高レベルのラグビーに子供たちが間近で接することは、ラグビーというスポーツの普及発展につながるだけでなく、試合が終われば敵味方の区別がなくなるというラグビーのノーサイドの精神を学ぶことができる、貴重な機会になると思います。
このように、二年後のラグビーワールドカップの開催は、本県にとって大変意義のあるものであり、経済的な効果だけでなく、長く語り継がれる遺産として心に残る足跡を残してくれるものと、大きな期待を寄せているところであります。
そこでお尋ねいたします。
豊田スタジアムでの対戦カードが公表され、開催都市として、本大会の開催に向けた機運の醸成を図るとともに、各国代表チームを迎える準備を進めるなど、さまざまな施策を展開していかなければならないと考えますが、知事の御所見をお伺いします。
次に、愛知産農林水産物の需要拡大についてお伺いします。
本県は、平成二十七年の農業産出額が全国八位の我が国有数の農業県であるとともに、林業や水産業も盛んな県であります。
しかしながら、農林水産業を取り巻く環境は、担い手の減少や高齢化など厳しい状況にあり、本県の農林水産業が引き続き発展していくためには、生産現場の強化に取り組むことに加え、県内外の消費者に向けて、愛知産農林水産物の需要拡大を図っていくことが大変重要であると考えます。
本県では、食と緑の基本計画二〇二〇に基づき、主要な農林水産物のブランド力を強化するとともに、県産農林水産物全体のイメージアップを進めることにより、県内、首都圏、海外において、愛知産農林水産物の需要拡大を目指す重点プロジェクトに取り組んでいると伺っております。
このプロジェクトでは、全国トップレベルの農林水産物として、抹茶、ウナギ、名古屋コーチンなどが挙げられていますが、県内には、その他にも、イチジク、ギンナン、ウズラ卵などの多くの特産品があります。
本県では、こうした特産品の知名度を生かしながら、生産者の顔が見える需要拡大の取り組みとして、毎年、名古屋市内の百貨店で開催しているあいちの農林水産フェアなどに力を注いでおられます。
しかし、これは一例ですが、平成二十八年に名古屋市観光文化交流局が行った都市ブランド・イメージ調査において名古屋のことを連想するコンテンツを質問したところ、ベストテンにランクインした農林水産品は、定番の赤みそやエビフライのみで、本県が力を入れている名古屋コーチンなどはありませんでした。残念なことですが、県外における認知度アップと需要拡大を図るためには、愛知産農林水産物の魅力をより一層発信する必要があると考えます。
効果的なイベントとして私がイメージするのは、日本全国の百貨店で開催され、どこも満員で大にぎわいな北海道物産展であります。北海道産の夕張メロンや、ジャガイモ、イクラ、ホタテなど、数多くの特産品が消費者を引きつけ、それらを生み出す豊かな大地として、北海道自体の魅力を強く印象づけています。
北海道は、我が国を代表する一大農業地帯で、我が国最大の水産物の供給基地でもありますので、単純に参考とすることはできないと思いますが、北海道物産展の特徴を分析するなど、これまでの取り組みを単に繰り返すだけでなく、取り組みの成果をしっかりと評価、検証して、愛知産農林水産物の魅力を効果的に日本全国に伝えていく必要があると考えます。
あわせて、海外における需要拡大の取り組みについて、県がこれまでアジア各国で開催してきた愛知フェアが一巡したと伺っており、次のステップに移行する重要な時期であると認識しております。
そこでお尋ねいたします。
愛知産農林水産物の需要拡大に向け、今後、どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いします。
最後に、有料道路コンセッション事業についてお伺いします。
本県が全国に先駆けて特区提案し、規制改革が実現した、民間事業者による有料道路の運営が昨年十月から始まり、早いもので一年経過しました。
知多半島道路を初めとした運営対象八路線における開始後一年間の交通量は、前年より二%強ふえているとのことであります。
これは、景気の動向や周辺道路の整備が進んできた、そういった影響に加えて、運営開始とともに実施されている知多半島道路の通勤時間帯割引や、中部国際空港連絡道路の料金半額化の効果もあると思われます。
そのほか、運営会社におきまして、地元のJAや企業、観光協会とタイアップし、知多半島の特産品を大府や阿久比のパーキングエリアで試食販売するイベントが開催されています。
知多牛、花、お米、野菜、果物といった農産物や、干物、えびせんといった加工品、たまりじょうゆ、酢、日本酒、みそといった醸造品など、実にさまざまな特産品に加え、潮干狩り、赤れんが建物、鯛祭り、花火大会といった観光についてのPRイベントが開始後一年間、二週間に一度のペースで計二十四回開催されており、こうした取り組みが地域振興や交通量増加につながっているものと考えております。
さらには、このイベントで興味を持った方々が、実際の店舗や観光地に行くようになるといった動きにつながることも期待できますので、引き続き、ぜひとも行っていただきたいと思います。
また、地域の活性化という観点から申しますと、民間事業者から任意事業としてさまざまな沿線開発が提案されております。
新設する阿久比パーキングエリアの隣接地で計画されている、愛知多の大地と称した大規模商業施設の整備や、中部臨空都市の空港島エリアで計画されているインターナショナルブランドホテルの誘致など、民間ならではのアイデアであり、知多地域から県全体への発展にもつながっていくものと期待されています。
一方、これらの取り組みを実現していくに当たっては、農地法に基づく転用許可や、都市計画法に基づく開発許可といった、さまざまな法規制をクリアしていく必要がありますが、民間事業者のみで解決できるとは思えません。
このため、我が党県議団として平成三十年度施策及び当初予算に対する提言で最重点の要望事項に位置づけ、県が実現に向けて指導、監督を積極的に実施することを求めたところであります。
そこでお尋ねいたします。
有料道路コンセッション事業は大きなプロジェクトであり、特区提案した本県としてもしっかりと取り組んでいく必要があると考えますが、この一年間の民間運営についてどうお考えなのか、また、今後どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いします。
以上、県政全般にわたるさまざまな課題について質問をしてまいりました。
知事並びに教育長の明快な答弁をお願いしまして質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事
大村秀章君登壇〕
12: ◯知事(
大村秀章君) 民進党愛知県議員団の天野正基政策調査会長の質問にお答えをいたします。
初めに、持続可能な財政基盤の確立についてお答えをいたします。
行革大綱、しなやか県庁創造プランにおきましては、事務事業の積極的な見直し、自主財源の確保や民間活力の一層の活用など歳入歳出全般にわたる個別の行革の取り組みを着実に推進するとともに、中期的な視点に立った目標を掲げて財政運営を行うことにより、健全で持続可能な財政基盤の確立を図ることとしております。
その成果といたしましては、例えば、投資的経費に充てる通常の県債の残高については、平成三十一年度当初予算時点において平成二十六年度決算の水準よりも減少させるとの目標を掲げておりますが、必要な公共投資の水準は確保しながら、毎年度、残高の抑制を続けております。
また、臨時的、緊急避難的な措置である基金からの繰入運用につきましては、プラン策定後の平成二十七年度に解消し、以降平成二十九年度当初予算に至るまで三年連続で基金からの繰入運用を行わない予算編成を実現することができました。
来年度に向けましては、依然として多額の収支不足が見込まれますが、県有財産の有効活用、県税収入未済額の縮減といった自主財源の確保や事務事業の見直しに全力で取り組むとともに、通常の県債残高は引き続き抑制を図るなど、健全で持続可能な財政基盤の確立に向けて歩みを進めてまいります。
次に、安心して暮らせる愛知の実現についてお尋ねをいただきました。
まず、南海トラフ地震対策についてであります。
気象庁が十一月一日から運用を開始いたしました南海トラフ沿いで異常な現象が観測された場合などに発表される南海トラフ地震に関連する臨時情報に対する本県の対応といたしましては、まずこの情報について市町村や防災関係機関に対し確実に伝達することにより、情報の共有を図ります。
次に、県民の皆様に対しては、家具の固定や避難場所、避難経路の確認など、日ごろの地震への備えについて再確認いただくよう、ホームページや防災情報ツイッター、報道機関等を通じて幅広く呼びかけを行います。
また、県が所管する防災上重要な施設や県民の皆様が利用する施設につきまして、点検や地震発生後の災害応急対策の確認などを行うこととしております。
さらに気象庁から発表される情報の内容や政府の対応状況等を踏まえ、災害対策本部の設置等、必要な体制をとってまいります。
こうした本県の対応につきましては、市町村や防災関係機関に対し、会議等を通じて周知、徹底を図っております。
また、新たな防災対応の具体化に向け、国がモデル地区での検討を実施しており、この地域でも、中部経済連合会などを構成員とする南海トラフの地震観測に基づく新たな防災対応中部検討会が設置され、議論が開始されましたので、本県といたしましても、より実効性のある対応となるよう、必要に応じて意見を述べるなど、積極的に協力してまいります。
南海トラフ地震対策につきましては、今後とも引き続き第三次あいち地震対策アクションプランに基づき、地震から県民の皆様の生命、財産を守る強靱な県土づくりを目指し、着実に防災・減災対策に取り組んでまいります。
続いて、地域包括ケアの推進についてお答えをいたします。
今、日本はかつて経験したことのない長寿社会、人生百年時代を迎えようとしております。こうした中、医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスを切れ目なく提供する地域包括ケアシステムの構築は待ったなしの課題でありまして、地域の住民の方々にその理念を御理解いただき、介護予防や生活支援サービスの担い手、支え手として御参加いただけるよう普及啓発を図っていくことは県としても大変重要であると考えております。
そのため、去る十一月十八日には地域包括ケアを多くの方に知っていただき、地域の支え合い活動などへの参加のきっかけとしていただけるよう、かがやけ☆シニア応援フェスタをウインクあいちにおいて開催いたしました。
また、大学生にも参加してもらい、見守りや声かけなど若い世代も含め、地域でできる支え合いなどの内容を盛り込んだ啓発用のショートムービーも制作いたしました。
今後、市町村、関係機関へのDVDの配付や動画サイトでの公開などにより、幅広く活用してまいりたいと考えております。
さらに、現在、県内の各市町村では地域の生活支援サービスの充実、担い手の拡大に向け、ニーズの把握や自治会、NPO団体などに対する働きかけ、担い手の養成研修などを行う生活支援コーディネーターの配置を進めておりまして、県ではその養成や資質向上を図る研修を実施してバックアップをしております。
今後も地域における支え合いへの参加を促進する普及啓発や人材育成などに取り組み、地域包括ケアシステムの構築をしっかりと進めることで健康寿命を延ばし、みずからの意欲や能力に応じて生き生きと暮らせる生涯現役社会、全ての人が輝く愛知の実現を目指してまいります。
次に、女性が働き続けられる環境づくりについてのお尋ねであります。
女性が働き続けられる環境づくりに向け、本県では女性が活躍できる職場づくり、ワーク・ライフ・バランスの推進、保育サービスの充実などに取り組み、徐々に女性の労働参加の上昇、M字カーブの改善につながってきているところであります。
こうした中にあっても、本県は固定的な男女の役割分担意識が比較的強いと言われ、また、仕事と育児の両立に不安を抱える声も聞かれます。
これから就職、結婚、子育てを控える若い世代の方々に、みずからのキャリアアップを犠牲にすることなく、子供を産んで、そして育てる喜びも手にすることができる、そうした自信を持っていただけるよう、意識改革を促す取り組みも重要であると考えております。
そこで、今年度、子育て中の働く女性とその職場に御協力をいただきまして、学生が職場での仕事と家庭での子育ての両方を体験する、仕事と家庭のインターンシップを実施しております。
参加した学生からは、仕事か子育てかどちらかを諦めなければならないという先入観がなくなり、将来を前向きにイメージできたとか、両立は会社や家庭に負担をかけるものと思っていたが、工夫次第でどちらも充実できるとわかったなど積極的な意識の変化が見られました。
今後、このインターンシップの様子を記録動画やリーフレットにまとめまして、県内の学生、大学関係者に対する啓発活動に広く活用してまいりたいと考えております。
女性が働き続けられる社会に向けましては、企業における長時間労働の是正はもとより、短時間勤務制度やテレワークなど柔軟な働き方の導入、また、男性の家事参加、育児参加の促進、そして、社会全体での子育て支援など総合的な取り組みが必要であります。
女性の仕事と家庭の両立に対する前向きな意識に応えられるよう、これらにもしっかりと取り組み、女性が輝き、活躍する愛知づくりにつなげてまいりたいと考えております。
続いて、食品ロス削減に向けた取り組みについてお答えします。
本県が持続的に発展していくためには、限りある資源を有効に活用していく循環型の社会を構築していくことが不可欠であります。
このためにも、食品廃棄物の約二割を占める食品ロスの削減にしっかり取り組んでいく必要がありますので、ことし三月に庁内連絡会議を立ち上げ、全庁を挙げた取り組みを進めているところであります。
その取り組みの一つとして県民の皆様に食品ロスの現状について正しく理解していただくとともに、食べ物を大切にする気持ちを持っていただくよう、十一月に開催したごみゼロ社会推進あいち県民大会において食品ロスをテーマに私とフィギュアスケーターの浅田舞さんによるトークショーを実施し、来場された多くの方々への啓発を行ったところであります。
また、当日は、民間団体の協力を得て、家庭で余っている食品を持ち寄り、地域の福祉団体などに寄附する、いわゆるフードドライブを本県のイベントとして初めて実施をいたしました。
この取り組みに対しましては、六百二十二点、約百九十キログラムの食品の寄附がありまして、フードドライブの周知とともに集まった大量の食品を必要とする方々へお届けすることができました。
また、外食、特に宴会の席での食べ残しを減らすため、最初の三十分と最後の十分には席を立たずに食べて食品ロスをなくす運動、三〇一〇運動を推進するキャンペーン、なかなか難しいところがあると思いますけれども、ぜひ広げていきたいということで、ホテルや旅館などの協力を得て、十二月ですので忘年会、そしてまた一月は新年会シーズンでありますから、今月から来月まで県内で今展開をしているところでございます。
県議会の皆様もぜひ御協力をいただきたいというふうに思っております。
さらに、フードバンクを活用した子ども食堂への食料支援について、ニーズ調査を行っておりますが、そうしたことも含め、子供の貧困対策としても食品ロスの削減に資する取り組みを進めているところであります。
食品ロスの削減には県民の皆様への啓発を初め、食品の有効活用や食育の推進などさまざまな取り組みが必要となりますので、県といたしましては、今後も企業や関係団体、市町村などと連携しながら食品ロスの削減に向けた取り組みを進めてまいります。
次に、愛知の成長に資する取り組みについてお尋ねをいただきました。
まず、あいちトリエンナーレ二〇一九開催に向けた今後の取り組みについてお答えをいたします。
昨年開催いたしましたあいちトリエンナーレ二〇一六は、六十万人を超える多くの方々に御来場いただき、子供から大人まで幅広い年代の皆様に現代アートの祭典を楽しんでいただきました。
次回、あいちトリエンナーレ二〇一九の開催に向けましては、ことし八月に新しい芸術監督として、ジャーナリストの津田大介氏をお迎えをし、十月にはテーマを情の時代、情けと書いて情の時代に決定をしたところであります。
このテーマにつきまして、津田芸術監督から、情報によって感情が翻弄され、世界中で分断が起きているこの時代において、アートの力で問題解決の糸口を探っていきたいと説明、解説をいただいております。
今後はこのテーマに沿って作家の選定等を進めるとともに、これまで開催する中で高く評価された国際芸術祭としてのクオリティーやスケール、現代美術と舞台芸術の複合、まちなか展開や県内での広域展開については、さらに工夫を重ねつつ、継続してまいりたいと考えております。
一方で、作品がわかりにくい、にぎわいが不足しているといった課題も浮かび上がってまいりましたので、各界に多彩な人脈を持ち、ITにも造詣が深い津田芸術監督の知見を生かし、スマホアプリを活用したわかりやすい作品解説の導入や祝祭感あふれるイベントの開催などを検討してまいります。
あいちトリエンナーレ二〇一九が新たな驚きや感動に満ちた、魅力あふれる芸術祭となるようしっかりと取り組んでまいる所存であります。
次に、ラグビーワールドカップ二〇一九についてであります。
豊田スタジアムでは、日本代表戦を初め、ニュージーランド戦や南アフリカ戦など、いずれもラグビーファン注目の好カード四試合が開催されることとなりました。
加えて、四週にわたっての週末開催となりましたので、仲間同士や御家族などが一緒に観戦しやすく、また遠方の方にもお越しいただきやすいベストな日程になったと考えております。
残すところ二年を切った二〇一九年大会の開催に向けましては、私が会長を務めます愛知・豊田開催支援委員会が中心となり、県全体の一層の機運醸成を図っているところでございます。
この八月に開催されたラグビートップリーグの豊田スタジアムでの開幕戦では、リーグ史上最多の二万七千八百七十一人にお越しをいただきました。
また、先月十二日にはオーストラリアの強豪チーム、メルボルンレベルズを招聘した国際親善試合を開催し、多くのラグビーファン、県民の皆様に世界トップレベルのラグビーを間近で観戦いただいたところであります。
さらに、ラグビーの試合以外でも、十月には巨大ラグビーボールモニュメントをセントレア、中部国際空港に設置をしたり、ワールドカップの優勝トロフィーであるウェブ・エリス・カップを瑞穂公園ラグビー場で公開するなど、幅広く大会の情報やラグビーの魅力をPRしております。
今後は、こうした機運の醸成に加え、選手や観戦客をスムーズに豊田スタジアムへ送り届けるための交通輸送計画やボランティアの募集、育成など運営を支える部分での準備も本格化させ、各種計画、準備を実施につなげる取り組みを着実に進めてまいります。
開催都市といたしまして、豊田スタジアムでプレーする各国代表選手が、持てる力の全てを発揮できるよう、最高のコンディションを提供するとともに国内外からの観戦客の誘客、おもてなしに地域を挙げて取り組み、感動を呼び起こし、記憶に残る大会となるよう万全の準備を進めてまいります。
二〇一九年は、先ほどのあいちトリエンナーレやラグビーワールドカップが開催されますので、愛知から世界に向けて、芸術とスポーツを発信し、愛知を大いに盛り上げてまいりたいと考えております。
続いて、愛知産農林水産物の需要拡大についてお答えをいたします。
本県農林水産業のさらなる発展のためには、生産現場の強化はもとより、愛知産農林水産物のブランド力の強化やイメージアップを進め、需要拡大等を図っていくことが重要と認識しております。この点はもう議員御指摘のとおりだというふうに考えております。
本県には、名古屋コーチン、日本一の花、そして抹茶など、全国トップレベルのブランド力を持つ品目が多くあることから、議員お示しの北海道物産展の手法と同様に、本県のブランド力の高い品目を有効に活用して、愛知県全体の農林水産物を効果的にPRしていく必要があると考えております。
具体的には首都圏をターゲットとして、毎年東京の量販店で実施しているトップセールスに加え、本年度は多くの集客が見込まれる大規模ショッピングモールにおいて、あいち県産品ブランドフェアを開催し、ブランド力の高い品目を中心にPRイベント等を展開して、県産農林水産物の魅力を広く発信してまいります。
さらに今後は、JRグループと共同で実施している愛知デスティネーションキャンペーンなどの観光イベントも活用して、愛知産農林水産物の魅力を全国に発信してまいります。
一方、県内における取り組みといたしましては、消費者と生産者が一緒になって、愛知の農林水産業を支えるいいともあいち運動を展開する中で、毎年、名古屋市内であいちの農林水産フェアを開催するとともに、いいともあいち推進店における県産品のPRに努めておりますが、今後とも農林水産フェアの魅力向上や地産地消の推進に積極的に取り組んでまいります。
また、海外に向けた取り組みといたしましては、アジアの有望国での愛知フェアの開催が一巡したことから、今後は輸出に意欲がある事業者を対象に、国内で開催される国際的な食品展示会や花卉商談会への出展を支援して、海外バイヤーとの商談の機会を設けるとともに、海外からのインバウンド需要を確保する取り組みも進めてまいります。
こうした取り組みにより、愛知産農林水産物のブランド力の強化やイメージアップを図り、需要拡大にしっかりと取り組んでまいります。
私からの最後の答弁になりますが、有料道路コンセッション事業についてお答えをいたします。
日本初となる有料道路コンセッションにつきましては、愛知道路コンセッション株式会社による運営が昨年十月から始まり、それまでの管理水準を保つとともに台風や大雪などの異常気象時にも適切に対応がなされるなど順調に運営が行われております。
維持管理面では、点検作業の効率化を目指し、ドローンによる橋梁点検の実証実験を行うなど、民間が開発した最新技術の導入に向け、いち早い取り組みがなされております。
また、サービス面では地域産品のPRイベントに加え、交通安全の啓発活動と一体となったイベントも開催され、さらに大府と阿久比のパーキングエリアでは、来年八月のオープンを目指しまして、地元産品を生かしたレストラン、ショップなどのリニューアル工事も進められております。
このように、民間ならではの工夫で常に効率化を目指す取り組みや道路の利用促進に向けた取り組みが積極的に行われていることなど、民間運営による効果があらわれていると考えております。
また、有料道路コンセッションの最大の目的は、道路運営のみならず沿線開発による地域の活性化であります。
この地域活性化事業につきましては、県と公社が進捗状況を定期的に確認するとともに、県庁内に部局横断的な連絡調整会議を設置し、事業化に向けた手続が円滑に進むよう、県としてもしっかりと支援してまいります。
有料道路コンセッションは、約三十年間にわたる長期のプロジェクトであります。
民間による適切な運営はもとより、地域活性化事業の効果が道路利用者や地域に一層広がっていくよう取り組んでいくとともに、この事業スキームを愛知モデルとして国内外のインフラコンセッションに広めてまいりたいと考えております。
以上、御答弁申し上げました。
13:
◯教育長(平松直巳君) 外国人児童生徒教育の取り組みについてお答えをいたします。
まず、日本語指導の充実についてでありますが、県
教育委員会では、外国人児童生徒に対して個別に日本語指導等を行う、日本語教育適応学級担当教員の小中学校への配置を、本県独自の定数も活用しながら順次拡大し、平成二十九年度は前年度より三十六人増となる三百九十一人を配置いたしております。
また、日本語指導のほか、母語による生活適応相談や保護者との面談時に通訳等を行う語学相談員を各教育事務所に配置し、市町村からの要請に応じて派遣いたしております。
平成二十七年度には、それまでのポルトガル語四人、スペイン語二人に加え、スペイン語を三人増員して五人にするとともに、新たにフィリピノ語二人を配置いたしたところでございます。
引き続き、市町村からの要望を踏まえ、語学相談員の母語別配置を実情に合うよう、対応してまいりたいと考えております。
次に、中学卒業後の進路選択のための環境整備につきましては、県
教育委員会のウエブページに英語、ポルトガル語、スペイン語、フィリピノ語で公立高校入試制度の案内を掲載し、外国人生徒の進路選択のための情報提供に努めております。
また、県立高校の入学者選抜試験におきましては、全日制課程で、外国人のための特別枠を設けて入試を行う学校を、平成二十八年度に四校から九校に拡大し、定時制課程においても、平成二十九年度から、学力検査問題の漢字に振り仮名をつける配慮を行っております。
高校入学後につきましては、延べ八十九人の外国人生徒教育支援員が母語により、外国人生徒の学習活動や学校生活等の支援をいたしております。
このほか、本年七月に開始した中学校卒業後の進路未定者や高校中退者等を対象とした若者・外国人未来塾では、外国人に対する日本語の学習支援や進路相談等も無料で実施いたしております。今後も、義務教育段階から高校卒業に至るまで切れ目のない支援ができるよう、外国人児童生徒に日本語指導や進路選択のための教育環境整備を一層充実させてまいりたいと考えております。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
14: ◯四十一番(
近藤ひろひと君) 本日はこれをもって散会し、明十二月六日午前十時より本会議を開会されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
15: ◯議長(
中野治美君)
近藤ひろひと議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
16: ◯議長(
中野治美君) 御異議なしと認めます。
明十二月六日午前十時より本会議を開きます。
日程は文書をもって配付いたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後一時五十三分散会
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