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  1. 岐阜市議会 2013-03-01
    平成25年第1回(3月)定例会(第1日目) 本文


    取得元: 岐阜市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-06-06
    トップページ 検索結果一覧 使い方の説明 (新しいウィンドウで開きます) 平成25年第1回(3月)定例会(第1日目) 本文 2013-02-28 文書・発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言の単文・選択・全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者の表示切り替え 全 39 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言・ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 : ◯議長(高橋 正君) 8頁 選択 2 : ◯議長(高橋 正君) 8頁 選択 3 : ◯40番(山田 大君) 8頁 選択 4 : ◯議長(高橋 正君) 9頁 選択 5 : ◯市長(細江茂光君) 9頁 選択 6 : ◯議長(高橋 正君) 10頁 選択 7 : ◯議長(高橋 正君) 10頁 選択 8 : ◯議長(高橋 正君) 10頁 選択 9 : ◯議長(高橋 正君) 10頁 選択 10 : ◯議長(高橋 正君) 205頁 選択 11 : ◯議長(高橋 正君) 205頁 選択 12 : ◯議長(高橋 正君) 205頁 選択 13 : ◯議長(高橋 正君) 205頁 選択 14 : ◯議長(高橋 正君) 205頁 選択 15 : ◯議長(高橋 正君) 205頁 選択 16 : ◯議長(高橋 正君) 205頁 選択 17 : ◯市長(細江茂光君) 205頁 選択 18 : ◯議長(高橋 正君) 225頁 選択 19 : ◯議長(高橋 正君) 225頁 選択 20 : ◯市長(細江茂光君) 225頁 選択 21 : ◯議長(高橋 正君) 225頁 選択 22 : ◯議長(高橋 正君) 225頁 選択 23 : ◯議長(高橋 正君) 225頁 選択 24 : ◯議長(高橋 正君) 225頁 選択 25 : ◯議長(高橋 正君) 225頁 選択 26 : ◯議長(高橋 正君) 226頁 選択 27 : ◯議長(高橋 正君) 233頁 選択 28 : ◯17番(杉山利夫君) 233頁 選択 29 : ◯議長(高橋 正君) 234頁 選択 30 : ◯議長(高橋 正君) 234頁 選択 31 : ◯議長(高橋 正君) 234頁 選択 32 : ◯議長(高橋 正君) 234頁 選択 33 : ◯議長(高橋 正君) 234頁 選択 34 : ◯議長(高橋 正君) 237頁 選択 35 : ◯21番(井深正美君) 237頁 選択 36 : ◯議長(高橋 正君) 238頁 選択 37 : ◯議長(高橋 正君) 238頁 選択 38 : ◯議長(高橋 正君) 239頁 選択 39 : ◯議長(高橋 正君) 239頁 ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓ 最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1:  開  会   午前10時1分 開  会 ◯議長(高橋 正君) ただいまから平成25年第1回岐阜市議会定例会を開会します。             ━━━━━━━━━━━━━━━━━  一 市議会議員船戸 清君逝去報告・追悼演説 2: ◯議長(高橋 正君) 開議に先立って御報告申し上げます。  市議会議員船戸 清君におかれましては、本年1月1日逝去されました。まことに痛惜哀悼の念にたえません。  この際、同君に弔意を表するため、発言を求められておりますので、順次これを許します。40番、山田 大君。    〔山田 大君登壇〕 3: ◯40番(山田 大君) 本日ここに第1回定例会本会議が開かれますが、故船戸 清議員への追悼の言葉を申し述べなければならないことは、まことに痛恨のきわみであります。  船戸さん、かつてあなたの御母堂の葬儀のとき、当時議長でありました私はお別れの弔辞をささげました。まさかきょう、あなたの追悼の言葉を申し述べることになるなど、夢想だにしておりませんでした。まことに残念であります。  あなたの風格のある容姿を思いながら、同僚議員とともに追悼の意をあらわすものであります。  あなたは2年半ほど前より体調を崩されましたが、その負けん気で病魔と闘いながらも議会活動に邁進されてこられました。昨年の11月定例会にも総務委員長としてその職責を務めてこられましたが、私どもには体調の衰えが感じられまして、無理をしないようにと大変心配をいたしておりました。新年早々に急逝の報に接し、余りにも早い御逝去に茫然といたしました。  顧みますると、労働組合において勤労者のために尽くされていましたあなたは、昭和46年、36歳で当選をし、以来連続11期、41年余りにわたり大衆政治家として活動を続けられてこられました。数々の常任・特別委員長の要職を務められ、平成2年には副議長に推挙をされ、本市の発展に寄与されてまいりました。  私が初めてあなたにお会いしたのは、私がまだ30歳で初当選をしたとき、あなたは2期目の40歳のときでありました。くしくもあなたは小学校、中学校の私の先輩でありました。以来37年余り、今日まで公私にわたり議論もし、おつき合いを重ねてまいりました。私が議会で初めてあなたの質問を聞いたとき、その舌鋒の鋭さに驚きを覚えたことを思い出します。  あなたは、言い出したら、よくても悪くても絶対に後ろへ引かない強靭な信念の持ち主でありました。それを思うとき、あなたの成長期は戦後の混迷期であり、早期にお父上を亡くされ、母親とともに多くの辛酸をなめながら御苦労をされ、経験をされたのではと常々思うところでありました。  また、こよなく酒を愛し、興が趣けばいつまでも語り続けるあなたの心に去来していたものは、成長期の御苦労があったればこそ、常に一般大衆とともにありたいという気持ちであったと信じております。  私は、あなたと党派を異にし、また、政策実現への方法を異にしながらも、先輩議員として深い尊敬の念を抱いておりました。あなたの数々の功績を深く心に刻み、議会運営と市政発展のために精進をする決意であります。  ここに、故船戸 清議員のありし日の面影をしのび、御功績に敬意と感謝の意をあらわし、謹んで御冥福をお祈り申し上げ、追悼の言葉といたします。 4: ◯議長(高橋 正君) 市長、細江茂光君。
       〔細江茂光君登壇〕 5: ◯市長(細江茂光君) 去る1月1日に御逝去されました岐阜市議会議員故船戸 清さんに対し、謹んで追悼の言葉を申し上げます。  新たな年を迎え人生これからというときに、御家族の皆様の手厚い看護もむなしく、享年78歳の生涯を静かに閉じられました。巨星落つの言葉のとおり、岐阜市議会を代表する船戸さんの突然の悲報に接し、大きな驚きとともに惜別の念を禁じ得ません。  船戸さんは、昭和46年に議員としての第一歩を踏み出されて以来、11期、41年余の長きにわたり市民の視点から岐阜市発展のために議員活動に全精力を注いでこられ、特に総務委員会の委員として延べ31年もの間、岐阜市政に数々の提言、助言をされてまいりました。  また、二度の総務委員会委員長の就任期間には卓越した指導力を存分に発揮され、効率的な行政運営に意を尽くされることで、岐阜市の快適な都市環境の創出と市民生活の充実に大きく貢献されました。  さらに、岐阜市副議長に就任された平成2年から3年には、市議会の円滑な運営に心血を注がれる一方、長年、市民が待ち望んだ岐阜駅周辺高架事業などの都市整備や産業振興の推進に献身的な貢献をされました。  これらの御功績はまことに多大であり、数々の表彰を受章され、議員在職中の平成10年には藍綬褒章を受章されております。  すぐれた洞察力と緻密な思考力を持ち、豊かな人間性にあふれる船戸さんを失いましたことは痛恨のきわみであり、まことに残念でなりません。  残された我々は、あなたの数々の薫陶を生かし、岐阜市発展にさらなる精進をしてまいりますことを心からお誓い申し上げます。  本日ここに、ありし日の船戸 清さんをしのび、その御功績をたたえ、あなたの足跡を岐阜市政の中に深く銘肝することを御報告申し上げまして、追悼の言葉といたします。 6: ◯議長(高橋 正君) ただいまから市議会議員故船戸 清君の御冥福を祈って黙祷をささげたいと思います。全員御起立を願います。                〔全  員  起  立〕 7: ◯議長(高橋 正君) 黙祷始め。                〔黙        祷〕 8: ◯議長(高橋 正君) 黙祷終わり。御着席願います。                〔全  員  着  席〕             ━━━━━━━━━━━━━━━━━  一 諸般の報告 9: ◯議長(高橋 正君) 次に、諸般の報告を行います。  監査結果報告書及び岐阜市包括外部監査報告書並びに報第1号及び報第2号専決処分事項の報告については、お手元に配付しました報告書によって御承知を願います。            ───────────────────          監査結果報告書及び岐阜市包括外部監査報告書提出一覧                      平成25年第1回(3月)岐阜市議会定例会  例月現金出納検査結果報告書(平成24年10月分~平成24年12月分)  監査結果報告書  ・定期監査及び行政監査    (平成24年度4月~10月分 必要に応じて平成23年度分)   ・都市建設部   ・基盤整備部   ・市民生活部  ・定期監査及び行政監査    (平成24年度4月~11月分 必要に応じて平成23年度分)   ・柳津地域振興事務所   ・教育委員会   ・農林部   ・福祉部   ・ぎふ清流国体推進部  財政援助団体等監査結果報告書   (平成23年度分及び平成24年度4月~10月分)   ・ぎふ清流国体・ぎふ清流大会岐阜市実行委員会  工事監査結果報告書(平成24年度分)   ・折立ほか配水幹線布設工事  岐阜市包括外部監査報告書(平成24年度)   ・公有財産等に係る財務事務の執行及び管理の状況について ┌─────────────────────────────────────────┐ │                                         │ │  検査の対象  一般会計、特別会計、基金及び企業会計              │ │         (平成24年10月~平成24年12月出納事務)         │ │                                         │ │  検査の期間  平成24年11月22日~平成25年2月14日          │ │                                         │ │ 1 歳入歳出実績表及び試算表等の計数を各会計諸帳簿と照合したところ、正確であ  │ │  ることを認めた。                               │ │                                         │ │ 2 月末現金預金現在高を預け入れ金融機関の残高証明書と照合したところ、正確で  │ │  あることを認めた。                              │ │                                         │ │ 3 その他証拠書類等を検査したところ、おおむね適正に処理されているものと認め  │ │  られた。                                   │ │   なお、軽微な事項については、別途指示した。                 │ │                                         │ └─────────────────────────────────────────┘ ┌─────────────────────────────────────────┐ │                                         │ │  監査の対象  都市建設部                           │ │         (平成24年度4月~10月分 必要に応じて平成23年度分)   │ │                                         │ │  監査の期間  平成24年11月30日~平成25年1月15日          │ │                                         │ │  証拠書類の一部を抽出して、関係諸帳簿と照合したところ、おおむね適正に処理さ  │ │ れているものと認められた。しかしながら、次のような事項が見受けられたので、改  │ │ 善に努められたい。                               │ │  なお、軽微な事項については、別途指示した。                  │ │                                         │ │ [指摘事項]                                  │ │ 1 未収金の回収について                            │ │   都市建設使用料、公園使用料、土木費雑入の過年度未収金は、平成24年10月  │ │  末現在で合計43,100円であった。                     │ │   今後とも、過年度未収金の回収に努めることはもとより、現年度分の回収につい  │ │  ても、滞納繰越が生じないように努力されたい。                 │ │                                         │ │ 2 交通事故の防止について                           │ │   平成24年3月及び9月に、公用自動車による自損事故が2件発生し、修繕料6  │ │  4,890円が支払われ、今後、30,692円が支払われる予定である。     │ │   職員の交通事故防止について、一層の指導徹底を図られたい。          │ │                                         │ │ 3 事故の防止について                             │ │   平成23年11月及び平成24年10月に、職員が作業中に負傷する事故が2件  │ │  発生した。                                  │ │   事故防止について、一層の指導徹底を図られたい。               │ │                                         │ └─────────────────────────────────────────┘ ┌─────────────────────────────────────────┐ │                                         │ │  監査の対象  基盤整備部                           │ │         (平成24年度4月~10月分 必要に応じて平成23年度分)   │ │                                         │ │  監査の期間  平成24年12月4日~平成25年1月15日           │ │                                         │ │  証拠書類の一部を抽出して、関係諸帳簿と照合したところ、おおむね適正に処理さ  │
    │ れているものと認められた。しかしながら、次のような事項が見受けられたので、改  │ │ 善に努められたい。                               │ │  なお、軽微な事項については、別途指示した。                  │ │                                         │ │ [指摘事項]                                  │ │ 1 適正な財務会計事務の執行について                      │ │ (1)岐阜市会計規則第32条第1項では、歳入を徴収しようとするときは、収入命  │ │   令者は「直ちにこれを調定しなければならない」と規定されている。       │ │    しかしながら、方県水防団員詰所及び日野南水防倉庫における電話柱等に係る  │ │   敷地占用料について、今年度の使用許可期間が4月1日からとなっているにもか  │ │   かわらず、平成25年1月7日に至るまで調定がなされていなかった。      │ │                                         │ │ (2)岐阜市予算規則第13条第1項では、委託料、使用料及び賃借料に係る支出負  │ │   担行為として整理する時期は「契約を締結するとき」と規定されている。     │ │    しかしながら、「長良陸閘ほか33陸閘の管理及び操作業務委託」他7件の陸  │ │   閘・樋門等水防施設の管理操作に係る業務委託について、昨年度は契約事務の遅  │ │   延を指摘したところであるが、今年度は平成24年4月1日に契約が締結されて  │ │   いるものの、最長で平成24年6月10日に至るまで支出負担行為書が起案され  │ │   ていなかった。                               │ │    また、日野通学路階段土地賃借料に係る契約について、今年度の契約期間が平  │ │   成24年4月1日からとなっているにもかかわらず、平成24年12月26日に  │ │   至るまで支出負担行為書が起案されていなかった。               │ │    さらに、単価契約をしている道路修繕に係る9件の支出負担行為書の起案が、  │ │   3か月ほど遅れていた。                           │ │    今後は、岐阜市会計規則及び岐阜市予算規則を遵守し、適正な財務会計事務の  │ │   執行に努められたい。                            │ │                                         │ │ 2 道路及び水路占用料の未収金の回収について                  │ │   道路占用料の収入未済額は、平成23年度末で1,273,006円である。平  │ │  成24年度においては、10月末現在では、過年度未収金が1,258,206円  │ │  となったものの、11月末現在では10月末現在と同額であった。         │ │   また水路占用料については、平成23年度末で2,225,877円であり、平  │ │  成24年度においては、10月末現在では、過年度未収金が2,177,568円  │ │  となり、11月末現在では2,164,368円であった。            │ │   過年度未収金の回収に努めることはもとより、現年度分の回収についても、滞納  │ │  繰越が生じないように努力されたい。                      │ │                                         │ │ 3 交通事故の防止について                           │ │   平成24年9月に、公用自動車による自損事故が1件発生し、今後、修繕料68, │ │  754円が支払われる予定である。                       │ │   職員の交通事故防止について、一層の指導徹底を図られたい。          │ │                                         │ └─────────────────────────────────────────┘ ┌─────────────────────────────────────────┐ │                                         │ │  監査の対象  市民生活部                           │ │         (平成24年度4月~10月分 必要に応じて平成23年度分)   │ │                                         │ │  監査の期間  平成24年12月3日~平成25年1月23日           │ │                                         │ │  証拠書類の一部を抽出して、関係諸帳簿と照合したところ、おおむね適正に処理さ  │ │ れているものと認められた。しかしながら、次のような事項が見受けられたので、改  │ │ 善に努められたい。                               │ │  なお、軽微な事項については、別途指示した。                  │ │                                         │ │ [指摘事項]                                  │ │ 1 国民健康保険料(税)の収納率の向上について                 │ │   国民健康保険料(税)の収納率は、平成23年度決算において、73.09%で  │ │  前年度比0.04ポイントの減であった。                    │ │   滞納繰越分の収納対策を強化し、収納率の向上を図るとともに、現年度分につい  │ │  ては、滞納繰越が生じないように努力されたい。                 │ │                                         │ └─────────────────────────────────────────┘ ┌─────────────────────────────────────────┐ │                                         │ │  監査の対象  柳津地域振興事務所                       │ │         (平成24年度4月~11月分 必要に応じて平成23年度分)   │ │                                         │ │  監査の期間  平成25年1月4日~平成25年2月14日            │ │                                         │ │  証拠書類の一部を抽出して、関係諸帳簿と照合したところ、適正に処理されている  │ │ ものと認められた。                               │ │                                         │ └─────────────────────────────────────────┘ ┌─────────────────────────────────────────┐ │                                         │ │  監査の対象  教育委員会                           │ │         (平成24年度4月~11月分 必要に応じて平成23年度分)   │ │                                         │ │  監査の期間  平成24年12月7日~平成24年12月20日及び平成24年1  │ │        2月28日~平成25年2月14日                 │ │                                         │ │  証拠書類の一部を抽出して、関係諸帳簿と照合したところ、おおむね適正に処理さ  │ │ れているものと認められた。しかしながら、次のような事項が見受けられたので、改  │ │ 善に努められたい。                               │ │  なお、軽微な事項については、別途指示した。                  │ │                                         │ │ [指摘事項]                                  │ │ 1 適正な財務会計事務の執行について                      │ │   岐阜市予算規則第13条第1項では、委託料、使用料及び賃借料、工事請負費に  │ │  係る支出負担行為として整理する時期は「契約を締結するとき」と規定されている。 │ │   しかしながら、厚八運動場の指定管理運営に係る協定が、平成24年2月16日  │ │  に締結され、指定管理期間が平成24年4月1日からとなっているにもかかわらず、 │ │  平成24年11月25日に至るまで支出負担行為書が起案されていなかった。    │ │   また、バスの借上料に係る2件の契約が、平成24年6月に締結されているにも  │ │  かかわらず、最長で平成24年10月1日に至るまで支出負担行為書が起案されて  │ │  いなかった。                                 │ │   さらに、道三塚照明灯取付工事契約が、平成24年4月6日に締結されているに  │ │  もかかわらず、平成24年6月18日に至るまで、支出負担行為書が起案されてい  │ │  なかった。                                  │
    │   今後は、岐阜市予算規則を遵守し、適正な財務会計事務の執行に努められたい。  │ │                                         │ │ 2 未収金の回収について                            │ │   留守家庭児童会事業について、実費負担額の収入未済額は、平成23年度末で3  │ │  81,500円である。平成24年度においては、11月末現在では、過年度未収  │ │  金が310,500円となり、12月末現在では303,500円であった。    │ │   また、育英資金貸付事業について、奨学貸付金及び入学準備貸付金の収入未済額  │ │  は、平成23年度末で24,251,844円である。平成24年度においては、  │ │  11月末現在では、過年度未収金が23,175,944円となり、12月末現在  │ │  では22,838,144円であった。                     │ │   過年度未収金の回収に努めることはもとより、現年度分の回収についても、滞納  │ │  繰越が生じないように努力されたい。                      │ │                                         │ └─────────────────────────────────────────┘ ┌─────────────────────────────────────────┐ │                                         │ │  監査の対象  農林部                             │ │         (平成24年度4月~11月分 必要に応じて平成23年度分)   │ │                                         │ │  監査の期間  平成25年1月4日~平成25年2月20日            │ │                                         │ │  証拠書類の一部を抽出して、関係諸帳簿と照合したところ、おおむね適正に処理さ  │ │ れているものと認められた。しかしながら、次のような事項が見受けられたので、改  │ │ 善に努められたい。                               │ │  なお、軽微な事項については、別途指示した。                  │ │                                         │ │ [指摘事項]                                  │ │ 1 交通事故の防止について                           │ │   平成24年4月、8月及び9月に、公用自動車による自損事故が3件発生し、修  │ │  繕料64,890円が支払われた。                       │ │   職員の交通事故防止について、一層の指導徹底を図られたい。          │ │                                         │ └─────────────────────────────────────────┘ ┌─────────────────────────────────────────┐ │                                         │ │  監査の対象  福祉部                             │ │         (平成24年度4月~11月分 必要に応じて平成23年度分)   │ │                                         │ │  監査の期間  平成25年1月4日~平成25年2月20日            │ │                                         │ │  証拠書類の一部を抽出して、関係諸帳簿と照合したところ、おおむね適正に処理さ  │ │ れているものと認められた。しかしながら、次のような事項が見受けられたので、改  │ │ 善に努められたい。                               │ │  なお、軽微な事項については、別途指示した。                  │ │                                         │ │ [指摘事項]                                  │ │ 1 適正な財務会計事務の執行について                      │ │ (1)岐阜市会計規則第32条第1項では、歳入を徴収しようとするときは、収入命  │ │   令者は「直ちにこれを調定しなければならない」と規定されている。       │ │    しかしながら、「日野保育園」、「旧柳津保育所」及び「岩保育園ほか3か所」 │ │   における電柱等に係る土地貸付料3件について、今年度の貸付期間が平成24年  │ │   4月1日からとなっているにもかかわらず、平成24年9月26日に至るまで調  │ │   定がなされていなかった。                          │ │                                         │ │ (2)岐阜市予算規則第13条第1項では、委託料、使用料及び賃借料に係る支出負  │ │   担行為として整理する時期は「契約を締結するとき」と規定されている。     │ │    しかしながら、岐阜市母子家庭等生活指導講座事業に係る委託契約が、平成2  │ │   4年6月19日に締結され、契約期間が平成24年6月24日からとなっている  │ │   にもかかわらず、平成24年10月14日に至るまで支出負担行為書が起案され  │ │   ていなかった。                               │ │    また、三田洞神仏温泉敷地賃貸借料及び老人福祉センター(三楽園)敷地賃貸  │ │   借料に係る契約について、今年度の契約期間が平成24年4月1日からとなって  │ │   いるにもかかわらず、平成24年9月5日に至るまで支出負担行為書が起案され  │ │   ていなかった。                               │ │    今後は、岐阜市会計規則及び岐阜市予算規則を遵守し、適正な財務会計事務の  │ │   執行に努められたい。                            │ │                                         │ │ 2 未収金の回収について                            │ │   保育所運営費負担金の収入未済額は、平成23年度末で58,424,515円  │ │  である。平成24年度においては、11月末現在では、過年度未収金が55,36  │ │  2,830円となり、12月末現在では54,757,210円であった。     │ │   また、母子寡婦福祉資金貸付金の収入未済額は、平成23年度末で90,117, │ │  363円である。平成24年度においては、11月末現在では、過年度未収金が8  │ │  6,105,499円となり、12月末現在では84,846,411円であった。 │ │   さらに、介護保険料の滞納繰越分に係る収入未済額は、平成23年度末で160, │ │  219,190円である。平成24年度においては、11月末現在では、収入未済  │ │  額が154,485,690円となり、12月末現在では153,373,030  │ │  円であった。                                 │ │   加えて、後期高齢者医療保険料の滞納繰越分に係る収入未済額は、平成23年度  │ │  末で43,057,030円である。平成24年度においては、11月末現在では、 │ │  収入未済額が32,892,600円となり、12月末現在では32,133,9  │ │  00円であった。                               │ │   電話催告、自宅訪問による納付指導のみならず、平成24年度から母子寡婦福祉  │ │  資金貸付金に係る収納嘱託員を雇用するなど徴収努力がなされているが、引き続き、 │ │  収入未済額の減少に努められたい。                       │ │   また、現年度分についても滞納繰越が生じないように努力されたい。       │ │                                         │ │ 3 交通事故の防止について                           │ │   平成24年4月、6月及び9月に、公用自動車による自損事故が3件発生し、修  │ │  繕料254,173円が支払われた。                      │ │   職員の交通事故防止について、一層の指導徹底を図られたい。          │ │                                         │ └─────────────────────────────────────────┘ ┌─────────────────────────────────────────┐ │                                         │ │  監査の対象  ぎふ清流国体推進部                       │ │         (平成24年度4月~11月分 必要に応じて平成23年度分)   │ │                                         │ │  監査の期間  平成25年1月7日~平成25年2月20日            │ │                                         │
    │  証拠書類の一部を抽出して、関係諸帳簿と照合したところ、おおむね適正に処理さ  │ │ れているものと認められた。                           │ │  なお、軽微な事項については、別途指示した。                  │ │                                         │ └─────────────────────────────────────────┘ ┌─────────────────────────────────────────┐ │                                         │ │  監査の対象  財政援助団体                          │ │         ぎふ清流国体・ぎふ清流大会岐阜市実行委員会           │ │         所管部 ぎふ清流国体推進部                   │ │         (平成23年度分及び平成24年度4月~10月分)        │ │                                         │ │  監査の期間  平成24年12月3日~平成25年1月15日           │ │                                         │ │  証拠書類の一部を抽出して関係諸帳簿と照合したところ、おおむね適正に処理され  │ │ ているものと認められた。                            │ │  なお、軽微な事項については、別途指示した。                  │ │                                         │ └─────────────────────────────────────────┘ ┌─────────────────────────────────────────┐ │                                         │ │            平成24年度 工事監査結果報告書             │ │                                         │ │ 1 監査の対象                                 │ │   折立ほか配水幹線布設工事(上下水道事業部所管)               │ │                                         │ │ 2 監査の期間                                 │ │   平成24年10月9日から平成25年2月20日まで              │ │                                         │ │ 3 監査の方法                                 │ │   平成24年度において施工中の工事のうち、土木工事1件を抽出して、工事の計  │ │  画、調査、設計、仕様、積算、契約、施工管理、管理監督、試験、検査等が適正か  │ │  つ効率的に執行されているかについて調査するため、平成25年1月23日に現地  │ │  で監査を執行するとともに、関係職員に対して説明を求めた。           │ │   なお、工事技術面の調査については、公益社団法人 大阪技術振興協会との工事  │ │  技術調査業務委託契約に基づき、技術士の派遣を求め、書類調査及び現場施工状況  │ │  調査を行った。                                │ │                                         │ │ 4 技術士の「総評」「所見」の概要                       │ │ (1)総評                                   │ │   調査対象工事は、住宅の点在する静かな施工場所で作業用地も狭く、管理道路の  │ │  一部を使用しながら幅3mの作業ヤードにて施工されている。           │ │   また、本工事は、河川区域の占用となることから、岐阜県など関係機関との協議  │ │  の上、構造を決定し、経済性や施工性及び周辺環境への影響に配慮された最適工法  │ │  が選定されている。しかし、これからは寒冷期という厳しい施工条件の中での作業  │ │  となるため、ステンレス鋼管の溶接作業や水管橋の架設作業等については、施工計  │ │  画書を遵守され、事故のないよう留意されたい。                 │ │   今回の調査結果においては、全般にわたり、良好に施工されていることが認めら  │ │  れるものであり、特に問題となるような点は見受けられなかった。         │ │   今後とも地域住民へ配慮を図りながら、施工管理(工程管理、出来形管理、品質  │ │  管理、安全管理、写真管理等)、現場管理に努め、優れた成果品を後世に残すよう  │ │  施工されたい。                                │ │                                         │ │ (2)所見                                   │ │  ア 書類調査における所見                           │ │  (ア)設計に関する書類                            │ │   a 特記仕様書                               │ │     本工事は、共通仕様として岐阜市上下水道事業部「上下水道工事共通仕様書」 │ │    のほか、特記仕様書において、「岐阜県上水・工業用水道工事標準仕様書」に  │ │    準拠すること、資材の再資源化や産業廃棄物処理条件、埋戻し状況及び生コン  │ │    打設状況の管理条件、管布設施工図の作成等が規定されている。しかし、「岐  │ │    阜県建設工事共通仕様書」の内容を適用しているところもあることから、「岐  │ │    阜県建設工事共通仕様書」に準拠すべき旨を、念のため追記することが望まし  │ │    い。                                   │ │                                         │ │  (イ)設計図面                                │ │   a 図面                                  │ │     設計図面については、施工に際して十分な機能を有する内容となっているも  │ │    のの、追記及び訂正を必要とする箇所も見受けられた。            │ │                                         │ │  (ウ)契約に関する書類                            │ │   a 契約約款                                │ │     契約約款には第9条以降「監督員」に関する規定が多く定められており、そ  │ │    のうち第17条の設計図書の不適合の項(設計図書の照査を受注者に指導)、  │ │    第44条の瑕疵担保や損害対応の項及び第51条の火災保険の項などがあり、  │ │    特記仕様に相当する条文も多い。約款の内容を十分理解し、適切な監督業務に  │ │    努めるよう留意されたい。                         │ │     また、第51条にあるように、本工事の受注者は労働災害保険、法定外労災  │ │    補償保険のほか第三者賠償責任保険にも加入しており、工事中の事故等による  │ │    リスク管理に対応している。                        │ │     監督員は同条に基づき受注者の工事関係保険等の加入状況確認、安全管理体  │ │    制の確認など、リスク管理に今後も注意を払われたい。            │ │                                         │ │  (エ)施工計画書                               │ │     施工計画書は現場施工の基準であり、監督員が熟知するとともに、作業関係  │ │    者全員に周知すべき重要なマニュアルでもある。特に作成の際には、監督員は  │ │    内容の充実や創意工夫について、受注者への指導に努められたい。       │ │   a 施工方法                                │ │   (a)ステンレス鋼管布設工                         │ │      ステンレス鋼管φ300mmは、日本水道協会検査合格品とすることになっ  │ │     ている。使用材料が合格品であることを確認するとともに、溶接についても  │ │     有資格者に作業をさせるよう留意されたい。                │ │   (b)水管橋上部工(工場製作)                       │ │      溶接作業は有資格者に作業をさせるとともに、今後予定している工場溶接  │ │     での溶接検査箇所数を明確にされたい。                  │ │   (c)水管橋上部工(現場施工)                       │ │      水管橋を吊り揚げ架設する時には、玉掛け位置と水管橋全体の重量に注意  │ │     して、水管橋及び部材が変形しないように留意されたい。          │ │   b 工程管理                                │ │   (a)出来形管理                              │
    │      架設後の出来形管理について計画されていないため、受注者に対して早急  │ │     に計画を立てるよう指導する必要がある。                 │ │                                         │ │  (オ)施工管理                                │ │   a 品質管理                                │ │     品質管理成果については、ステンレス鋼管(トラス補鋼管)等の受入検査が  │ │    実施されている。このほか、ダクタイル鋳鉄管やステンレス鋼管(300A)  │ │    等の材料調書は提出されているが、受入検査は今後実施する予定である。また  │ │    溶接検査も同様である。今後も、材料を使用する前に受入検査等を実施して使  │ │    用するよう留意されたい。                         │ │   b 段階確認・立会確認                           │ │     これまでは、工事の進捗に合わせ各工種、各細別での段階確認・立会確認が  │ │    実施されている。今後も計画に沿って実施するよう留意されたい。       │ │                                         │ │                                         │ │  イ 現場施工状況調査における所見                       │ │  (ア)安全管理状況等について                         │ │     安全掲示板を見る限りでは、河川占用許可標識、緊急時連絡先、建設業退職  │ │    者共済事業加入票、建設業の許可票、災害防止協議会兼施工体系図、労災保険  │ │    関係成立票等が明確に表示されている。                   │ │     しかし、各有資格者(クレーン、車両系建設機械等)の看板が工事関係者に  │ │    掲示されておらず、周知させるためにも掲示するよう指導する必要がある。   │ │                                         │ │ 5 監査の結果                                 │ │   現地監査並びに技術士の総評及び所見を踏まえ、監査を実施した結果、対象とし  │ │  た工事は、おおむね適正に執行されているものと認められた。           │ │   なお、軽微な事項については、別途指示した。                 │ │                                         │ └─────────────────────────────────────────┘ ┌─────────────────────────────────────────┐ │                                         │ │ 対象とした工事の概要                              │ │                                         │ │ (1)工事名  折立ほか配水幹線布設工事                    │ │ (2)工事場所 岐阜市折立ほか1地内                      │ │ (3)工事内容                                 │ │    雄総給水ブロック内の水源ネットワークの強化を図るため、雄総~黒野第1南  │ │   水源地間の幹線管路を整備するものである。                  │ │   ア 管布設工                                │ │      ダクタイル鋳鉄管NSφ300    L=20.5m          │ │      ステンレス鋼管SUS300A    L=44.5m          │ │   イ 水管橋上部工                              │ │      三角形トラス補鋼形式        N=1橋             │ │                      橋長L=31.0m          │ │   ウ 水管橋下部工                              │ │      橋台工(重力式橋台)        N=2基             │ │      基礎工(場所打杭)         N=4本             │ │ (4)設計委託  サンコーコンサルタント株式会社                │ │ (5)施工監理  岐阜市上下水道事業部上水道事業課               │ │ (6)工事費   請負金額 38,797,500円               │ │          (消費税及び地方消費税を含む。)               │ │ (7)入札    平成24年8月31日                     │ │          一般競争入札(総合評価落札方式 特別簡易型)         │ │          (入札参加数 9者、うち辞退6者、入札回数 1回)      │ │ (8)工期    平成24年10月10日~平成25年3月15日         │ │ (9)受注者   久世工業株式会社                       │ │          現場代理人、主任技術者:松岡 一義(資格:一級土木施工管理  │ │          技士)                            │ │          主任技術者:久世 隆浩(資格:一級土木施工管理技士)     │ │ (10)工事進捗率 計画出来高67.0% 実施出来高69.0%          │ │          (平成25年1月22日現在)                 │ │ (11)工事監督員 総括監督職員                         │ │           上下水道事業部 上水道事業課                │ │           拡張係長 松波 達男                    │ │          監督職員                           │ │           上下水道事業部 上水道事業課                │ │           主任 松井 賢一                      │ │                                         │ └─────────────────────────────────────────┘                  平成24年度               岐阜市包括外部監査報告書                岐阜市包括外部監査人                  桑 原 雅 行                   目  次
    第1章 総論……………………………………………………………………………………  1 第1 包括外部監査の概要……………………………………………………………………  1 1 外部監査の種類……………………………………………………………………………  1 2 選定した特定の事件………………………………………………………………………  1 3 事件を選定した理由………………………………………………………………………  1 4 外部監査の方法……………………………………………………………………………  3 5 外部監査の期間……………………………………………………………………………  4 6 外部監査人…………………………………………………………………………………  4 7 利害関係……………………………………………………………………………………  5 第2 用語の説明………………………………………………………………………………  5 第2章 指摘及び意見の一覧表………………………………………………………………  5 第3章 外部監査の指摘及び意見……………………………………………………………  12 第1 公有財産等の管理方法について………………………………………………………  12 1 公有財産等の管理方法の変更を必要とする時代背景…………………………………  12 2 今後の公有財産等の管理方法について…………………………………………………  14 3 管理対象とすべき公有財産等の範囲……………………………………………………  15 4 岐阜市が公表している公有財産等の情報………………………………………………  15 5 現在の公有財産等の管理体制の問題点…………………………………………………  21 6 連結範囲の管理の重要性と現在の管理体制との不一致………………………………  23 7 公有財産等の管理(アセットマネジメント)に必要な方針・計画…………………  23 8 今後求められる公有財産等の管理方法について………………………………………  25 第2 岐阜市の財政状況と公有財産等の更新投資について………………………………  32 1 岐阜市の財政状況について………………………………………………………………  32 2 今後の財政状況について…………………………………………………………………  40 3 更新投資の必要性及びその時期について………………………………………………  47 4 更新投資のシミュレーションの方法について…………………………………………  48 5 更新投資のシミュレーション(公営企業会計を除く)について……………………  55 6 更新投資のシミュレーション(公営企業会計を含む)について……………………  59 7 水道事業の更新投資について……………………………………………………………  60 8 下水道事業の更新投資について…………………………………………………………  69 第3 ごみ・し尿処理施設……………………………………………………………………  85 第4 市営住宅…………………………………………………………………………………  91 第5 小学校・中学校………………………………………………………………………… 101 第6 教育研究所……………………………………………………………………………… 106 第7 公民館…………………………………………………………………………………… 109 第8 児童館…………………………………………………………………………………… 124 第9 コミュニティセンター………………………………………………………………… 134 第10 岐阜薬科大学・岐阜市立女子短期大学……………………………………………… 141 第11 岐阜市民病院…………………………………………………………………………… 151 第12 岐阜市立看護専門学校・岐阜市立第二看護専門学校……………………………… 159 第13 サンライフ岐阜他……………………………………………………………………… 161 第14 岐阜競輪場……………………………………………………………………………… 168 第15 耐震化について………………………………………………………………………… 174 第16 公有財産等に関わる台帳について…………………………………………………… 179               包括外部監査の結果報告書 第1章 総論 第1 包括外部監査の概要 1 外部監査の種類   地方自治法第252条の37第1項に基づく包括外部監査 2 選定した特定の事件 (1) 外部監査対象   公有財産等に係る財務事務の執行及び管理の状況について (2) 外部監査対象期間   平成23年度(必要に応じて平成24年度、または過年度に遡及する。) 3 事件を選定した理由 (1) 包括外部監査の導入の目的  包括外部監査制度は、外部の専門家の監査により地方公共団体の監査機能を 強化し監督機能に対する住民の信頼を高めることを趣旨として「地方自治法」の 改正により創設された制度である。  その目的は、「地方自治法」第252条の27において外部監査契約の内容が「地 方自治法第2条第14項及び第15項の規定の趣旨を達成するため」とあること から、「住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げる (第2条14項より抜粋)」ことと「組織及び運営の合理化に努めるとともに、・・・ 規模の適正化を図る(第2条15項より抜粋)」ことであるといえる。  公有財産等は、住民サービスの基盤であり、そのあり方は住民の福祉の増進 に大いに関係がある。また、その金額の大きさから市の財政に与える影響は大 きく、そのあり方は、市の組織及びその運営の合理化、規模の適正化にも大い に影響が及ぶと予想されることから、テーマとして選定すべき要件を備えてい ると判断される。 (2) 岐阜市の財政をめぐる概況  公有財産等には、いわゆる「ハコ物」のほか、市営住宅、道路、橋梁、上下 水道等も含まれる。これらの公有財産等は、高度成長期に大規模に整備され、 今後一斉に更新の時期を迎えようとしている。更新には巨額の資金が必要とい われ、財政負担は相当程度に上るものと予想されている。  岐阜市の財政は、最近の厳しい状況においても比較的健全な状態を保ってい る。また、過去においても過大な「ハコ物」を建設した状況にもない。ただし、 実際に公有財産等の更新の時期が到来すれば、どのような財政状態になるのか は明らかではない。問題は「将来」であり、公表されている新公会計制度に基 づく財務書類4表や、その他の諸資料においても将来負担の全体像は見えてこ ない。  岐阜市の財政は、産業の現況や人口の減少傾向により今後は更に厳しさを増 してゆくものと予想されるが、公有財産等の更新時期がそれに重なって、仮に 将来財政のバランスが大きく崩れることが予想されるならば大規模更新の時期 が訪れる前に、市の全体バランスを考慮した計画を立案し対策を実行に移す必 要がある。  高度成長期に大規模に整備された公有財産等は、今後の人口減少期において 整理統合等により市の身の丈に合ったものに変更してゆく必要があるが、その 利害関係者の多さから、この調整には多くの時間と労力が必要になる。したが って、仮に財政負担により現在の公有財産等のあり方に大きな修正が必要と判 断される場合には少しでも早く行動を起こす必要がある。  現在の状況は、公有財産等の管理等について、従来の管理等ではない新たな 方法が求められている状況であり、財政負担の枠の中で、将来を見据えた有効
    適切な公有財産等の管理等のあり方を検討することは、今回の包括外部監査の テーマとして適時性を得たものと判断する。 (3) 過去の包括外部監査との関係  平成15年度の包括外部監査においては、「公有財産の管理・運営に関する事 務の執行」がテーマとして選定されているが、今回のテーマ選定にあたり9年 が経過しており、その間の環境変化は大きなものとなっているため、再び同種 のテーマを検討しても内容的な重複はないものと考えられる。  以上から、公有財産等を対象に外部の専門家の視点で検討し、公有財産等の 管理等における諸問題と岐阜市の現状に対する何らかの処方箋を提示すること を目的として、今回の事件に「公有財産等に係る財務事務の執行及び管理の状 況について」を選定した。 4 外部監査の方法 (1) 監査の対象  監査の対象とした部署  公有財産等を管理する諸資料より金額的に重要と判断される部署等を選定し た。この中には、岐阜市の各部署のみならず「新公会計制度に基づく財務書類4 表」の連結ベースに含まれる会計範囲についても、その金額的重要性より検討 範囲に含めている。その結果、監査対象として抽出された部署等は、次の通り である。 企画部政策調整課          教育委員会事務局学校指導課 企画部総合政策課          教育委員会事務局社会教育課 財政部行財政改革課         福祉部福祉事務所子ども家庭課 財政部財政課            市民参画部市民協働推進課 基盤整備部基盤整備政策課      岐阜薬科大学庶務会計課 まちづくり推進部公共建築課     岐阜市立女子短期大学総務管理課 上下水道事業部上下水道事業政策課  岐阜市民病院事務局病院政策課 環境事業部環境事業政策課      岐阜市立看護専門学校 環境事業部環境施設課        岐阜市立第二看護専門学校 環境事業部東部クリーンセンター   商工観光部産業拠点運営課 環境事業部掛洞プラント       商工観光部産業振興課 環境事業部寺田プラント       行政部競輪事業課 まちづくり推進部住宅課       都市防災部防災対策課 教育委員会事務局教育施設課     行政部管財課 (2) 監査の方法 1) 監査の要点  包括外部監査の実施に当たっては、「合規性」のほか、3Eすなわち「経済性」 「効率性」「有効性」といった視点からも監査対象を検討する。これは、私企業 であれば、業績評価に際して売上高や利益率等の数値尺度を利用できるが、行 政機関の場合、数値による組織運営や事業・事務の達成度などの業績評価が難 しいため、3E監査を行って住民の意思決定に有効な情報を提供するために多面 的、重層的な検討が必要とされたからである。    1) 「合規性」とは、事務・事業が所管法令や規則にしたがって実施され     ているかを検討するものである。法令等の趣旨を踏まえ形式的に適合す     るだけでなく実質的に適切な事業・事務が行われているかを確認する。    2) 「経済性」とは、自治体が適切な量と質を備えた資源を最少のコスト     で導入しているかを検討するものである。無駄な支出となっていないか、     又は財源確保に努めているか等を問うもので、必要以上に立派な施設と     なっている等は経済性に反する。    3) 「効率性」とは、一定水準の財やサービスの提供に当たり、投入資源     の最少化を達成しているかを検討するものである。成果に対して最少の     経費・労力で事業が執行されているかを問うものであり、資材の浪費や、     コストに対して成果のはかばかしくない事業は効率性に反する。    4) 「有効性」とは、事業・事務が所期の目標・成果を達成できたかを検     討するものである。実施環境の変化によって目的の失われた事業の継続     は有効性に反する。 2)主な監査手続  今回の包括外部監査は、公有財産等の管理等の適切性を問うものである。し たがって日常の事務管理が法令等にしたがって適切に実施されていることのほ か、現況とその問題点が十分に把握され、将来を踏まえた適切な管理を行って いるか、具体的な計画等を準備しそれに基づいて体制整備等を行っているか、 十分な管理資料を整備し有効に活用し適切な管理を行い、情報公開を通じて住 民の意思決定に役立てているか等を問題としている。  以上の問題点を確認するために実施した主な手続きは次のようなものである。    1) 公有財産等の資料を統括する部署にヒアリングを実施、全体像の把握と     関係資料を入手・検討    2) 岐阜市の方針・計画等について関係部署にヒアリングを実施、関係資料     を入手・検討    3) 公有財産全体を統括、及び重要性のある部署を選定し、公有財産等の管     理方法等についてヒアリングを実施、関係資料を入手・検討    4) 重要性があると判断した現地を視察    5) シミュレーションを実施、関係部署と打合せ 5 外部監査の期間    平成24年4月25日から平成25年2月22日まで 6 外部監査人    岐阜市包括外部監査人 桑原雅行 (公認会計士)      同補助者     豊田裕一 (公認会計士)      同補助者     服部誠司 (公認会計士)      同補助者     石井 卓 (公認会計士)      同補助者     高橋英明 (公認会計士)      同補助者     三浦伸太郎(公認会計士)      同補助者     山田華子 (公認会計士)      同補助者     吉岡生馬 (公認会計士試験合格者)      同補助者     大久保等 (弁 護 士)      同補助者     別所大介 (システム監査技術者) 7 利害関係   地方自治法第252条の29の規定により記載すべき利害関係はない。 第2 用語の説明  監査の結果の「指摘」と「意見」  監査の結果とは、合規性、3Eの観点から是正改善を求めるものであり、本報 告書においては「指摘」として表現している。「指摘」する事項には、即是正す
    べき点のほか、一定の改善に向けて準備が必要なものも含まれている。  「指摘」は上記のように、合規性、3Eの観点から是正勧告を求めるものであ るが「指摘」に該当するか否かの判断の基準とした根拠となる法令等には以下 のようなものがある。また、「指摘」に該当するか否かの判断に当たっては形式 的な適合性のほか、形式的には問題がない場合であっても本来の趣旨に反し実 質的に適合性が問題となる事項についても「指摘」として記載した。 (法令等)  地方自治法、地方財政法、地方公営企業法、地方財政健全化法、岐阜市条例等  「意見」とは、組織及び運営の合理性に資するために述べる見解である。し たがって、その採否は究極的には首長、自治体の判断領域に属することになる ものである。  本報告書で使用している専門用語等で一般的に理解が困難と判断されるもの については、各用語の記載箇所において説明を行うこととした。 第2章 指摘及び意見の一覧表 ┌────────────────────────────────────┐ │   外部監査の指摘及び意見                      │ ├──────┬────┬───────────────────┬────┤ │ 担当課  │指摘又は│      内    容       │本編ペー│ │      │ 意見 │                   │ ジ  │ ├──────┴────┴───────────────────┴────┤ │第1 今後求められる公有財産等の管理方法について             │ ├──────┬────┬───────────────────┬────┤ │企画部政策 │    │                   │    │ │調整課   │    │ 現在の公有財産等の管理方法をアセッ │    │ │財政部行財 │ 指摘 │トマネジメントの考え方を取り入れたも │  25 │ │政改革課・ │    │のに改善すべきである。        │    │ │財政課   │    │                   │    │ ├──────┴────┴───────────────────┴────┤ │第2 岐阜市の財政状況と公有財産等の更新投資について           │ ├──────┬────┬───────────────────┬────┤ │      │    │7(4)1)更新投資について(水道事業)  │    │ │      │ 指摘 │ 水道事業について、長期的に必要とな │  68 │ │      │    │る更新投資について財源を含めて、計画 │    │ │      │    │を策定すべきである。         │    │ │      ├────┼───────────────────┼────┤ │      │    │7(4)2)収支シミュレーションの結果につ │    │ │      │    │いて(水道事業)           │    │ │      │ 意見 │ 市民の負担増を最小限にとどめるよう │  68 │ │      │    │に、適宜、水道料金の値上げを行うこと │    │ │上下水道事 │    │が望ましい。             │    │ │業部上下水 ├────┼───────────────────┼────┤ │道事業政策 │    │8(4)1)更新投資について(下水道事業) │    │ │課     │    │ 下水道事業について、効率性を考慮し │    │ │      │ 指摘 │て拡張投資を抑制し、更新投資へシフト │  83 │ │      │    │し、長期の更新投資計画を策定すべきで │    │ │      │    │ある。                │    │ │      ├────┼───────────────────┼────┤ │      │    │8(4)2)収支シミュレーションの結果につ │    │ │      │    │いて(下水道事業)          │    │ │      │    │ 市民の負担増を最小限にとどめるよう │    │ │      │ 意見 │に、効率性を考慮して建設事業費を削減 │  84 │ │      │    │することにより企業債の発行を抑制し、 │    │ │      │    │適宜、下水料金の値上げを行うことが望 │    │ │      │    │ましい。               │    │ ├──────┴────┴───────────────────┴────┤ │第3 ごみ・し尿処理施設                         │ ├──────┬────┬───────────────────┬────┤ │環境事業部 │    │(1)管理台帳のあり方について      │    │ │東部クリー │    │ 機械設備について管理台帳を作成する │    │ │ンセンタ  │ 意見 │ことが望ましい。           │  87 │ │ー・掛洞プラ│    │ また、重要な設備台帳の管理について │    │ │ント・寺田プ│    │は、所轄部署を定め、一元管理すること │    │ │ラント   │    │が望ましい。             │    │ ├──────┼────┼───────────────────┼────┤ │環境事業部 │    │(2)長寿命化計画と今後の課題について  │    │ │環境事業政 │ 意見 │ 将来のごみ排出量予測を加味した岐阜 │  88 │ │策課・環境施│    │市全体としての施設更新を検討すること │    │ │設課    │    │が望ましい。             │    │ ├──────┴────┴───────────────────┴────┤ │第4 市営住宅                              │ ├──────┬────┬───────────────────┬────┤ │      │    │(1)岐阜市公営住宅等長寿命化計画につ  │    │ │      │    │いて                 │    │ │      │ 意見 │ 耐用年限まで維持するための補修とい │  96 │ │      │    │う観点だけでなく、市民のニーズに合致 │    │ │      │    │した住宅の供給を検討した上で、長寿命 │    │ │      │    │化の判断をすることが望まれる。    │    │ │      ├────┼───────────────────┼────┤ │      │    │(2)用途廃止の方針が決定している市営  │    │ │まちづくり │    │住宅について             │    │ │推進部住宅 │ 意見 │ 市営住宅の用途廃止に係るルールを整 │  98 │ │課     │    │備し、適時、用途廃止を行うことで、公 │    │ │      │    │有財産の有効活用を図ることが望まし  │    │ │      │    │い。                 │    │ │      ├────┼───────────────────┼────┤ │      │    │(3)特定公共賃貸住宅及び特別市営住宅  │    │ │      │    │について               │    │ │      │ 指摘 │ 有効活用のため空き室率の高い中堅所 │  100 │ │      │    │得者向けの市営住宅のあり方を検討する │    │ │      │    │必要がある。             │    │ ├──────┴────┴───────────────────┴────┤ │第5 小学校・中学校                           │ ├──────┬────┬───────────────────┬────┤ │      │    │(1)余裕教室の利用について       │    │ │      │ 意見 │ 余裕教室の数を考慮すると、より一層 │  102 │ │教育委員会 │    │の学校以外への活用を図ることが望まし │    │ │事務局教育 │    │い。                 │    │ │施設課   ├────┼───────────────────┼────┤
    │      │    │(2)更新投資計画について        │    │ │      │ 指摘 │ 適切な施設更新のため、更新計画を立 │  105 │ │      │    │てるべきである。           │    │ ├──────┴────┴───────────────────┴────┤ │第6 教育研究所                             │ ├──────┬────┬───────────────────┬────┤ │      │    │(1)コストの把握について        │    │ │      │ 意見 │ 更新にあたっての適切な意思決定のた │  108 │ │      │    │め、教育研究所に関するコストを把握し │    │ │教育委員会 │    │た資料を整備することが望ましい。   │    │ │事務局学校 ├────┼───────────────────┼────┤ │指導課   │    │(2)利用状況の向上について       │    │ │      │ 意見 │ 他の施設との併設とする等の対応によ │  109 │ │      │    │り、資産の有効利用を最大限に図ること │    │ │      │    │が望ましい。             │    │ ├──────┴────┴───────────────────┴────┤ │第7 公民館                               │ ├──────┬────┬───────────────────┬────┤ │      │    │(1)各公民館のコストの把握について   │    │ │      │ 指摘 │ 更新の検討に利用するため、各公民館 │  117 │ │      │    │の総コストを把握すべきである。    │    │ │      ├────┼───────────────────┼────┤ │      │    │(2)1)受益者負担のあり方について    │    │ │      │ 意見 │ 使用料減免制度のあり方について検討 │  118 │ │      │    │することが望ましい。         │    │ │      ├────┼───────────────────┼────┤ │      │    │(2)2)柳津公民館の使用料及び減免規定  │    │ │      │    │について               │    │ │      │ 指摘 │ 柳津公民館の使用料及び減免の取り扱 │  119 │ │      │    │いについて、他の公民館における取り扱 │    │ │      │    │いとの調整を図るべきである。     │    │ │      ├────┼───────────────────┼────┤ │      │    │(2)3)使用料の減免について       │    │ │教育委員会 │ 指摘 │ 減免申請に関する規定を施行規則等に │  121 │ │事務局社会 │    │盛り込むとともに、減免希望者からは、 │    │ │教育課   │    │必ず減免申請書を受領すべきである   │    │ │      ├────┼───────────────────┼────┤ │      │    │(3)1)更新計画について         │    │ │      │ 指摘 │ 適切な施設更新のため、更新計画を立 │  121 │ │      │    │てるべきである。           │    │ │      ├────┼───────────────────┼────┤ │      │    │(3)2)公民館の規模について       │    │ │      │    │ 利用状況に鑑みれば、必ずしも公民館 │    │ │      │ 意見 │を現在の規模で更新する必要はない公民 │  122 │ │      │    │館もあるため、他の公共施設の空き室を │    │ │      │    │利用する等といった対応により、更新コ │    │ │      │    │ストの縮減に努めることが望ましい。  │    │ │      ├────┼───────────────────┼────┤ │      │    │(3)3)利用率の把握について       │    │ │      │ 意見 │ 更新の検討に利用するため、各公民館 │  123 │ │      │    │が保有する部屋ごとの利用率が記載され │    │ │      │    │た管理表を作成することが望ましい。  │    │ ├──────┴────┴───────────────────┴────┤ │第8 児童館                               │ ├──────┬────┬───────────────────┬────┤ │      │    │(1)1)幼児クラブについて        │    │ │      │ 意見 │ 空き時間があるならば、幼児クラブ開 │  129 │ │      │    │催回数を増加する等、利用の向上を図る │    │ │      │    │ことが望ましい。           │    │ │      ├────┼───────────────────┼────┤ │      │    │(1)2)他の公共施設の利用について    │    │ │      │ 意見 │ 更新にあたっては、既存の他の公共施 │  130 │ │福祉部福祉 │    │設を利用できないか検討することが望ま │    │ │事務所子ど │    │しい。                │    │ │も家庭課  ├────┼───────────────────┼────┤ │      │    │(1)3)移動児童館について        │    │ │      │ 意見 │ 移動児童館を自発的に実施し、児童館 │  131 │ │      │    │の提供するサービスの最大化を図ること │    │ │      │    │が望ましい。             │    │ │      ├────┼───────────────────┼────┤ │      │    │(2)更新計画について          │    │ │      │ 指摘 │ 適切な施設更新のため、更新計画を立 │  132 │ │      │    │てるべきである。           │    │ ├──────┴────┴───────────────────┴────┤ │第9 コミュニティセンター                        │ ├──────┬────┬───────────────────┬────┤ │      │    │(1)更新計画について          │    │ │      │ 指摘 │ 適切な施設更新のため、更新計画を立 │  138 │ │      │    │てるべきである。           │    │ │      ├────┼───────────────────┼────┤ │      │    │(2)有効利用について          │    │ │      │    │ 類似の施設から提供されるサービスを │    │ │      │    │把握し施設規模等の見直しを行うことに │    │ │      │ 意見 │より、経費の縮減・運営の合理化を図る │  139 │ │      │    │ことが望ましい。           │    │ │      │    │ また、空き室について他の公共施設の │    │ │市民参画部 │    │ために利用することが望ましい。    │    │ │市民協働推 ├────┼───────────────────┼────┤ │進課    │    │(3)1)使用料免除申請について(規則から │    │ │      │ 指摘 │の逸脱)               │  139 │ │      │    │ 使用料の免除にあたっては、適切に免 │    │ │      │    │除申請書を提出して頂くべきである。  │    │ │      ├────┼───────────────────┼────┤ │      │    │(3)2)使用料免除申請について(規則の運 │    │ │      │    │用方法)               │  140 │ │      │ 意見 │ 公共的性格の強い団体については、一 │    │ │      │    │年間を通し、包括的に使用料免除を承認 │    │ │      │    │するといった方法の導入を検討すること │    │ │      │    │が望ましい。             │    │ │      ├────┼───────────────────┼────┤
    │      │    │(4)利用者に対するアンケートについて  │    │ │      │ 意見 │ 適切な判断資料とするためには、可能 │  140 │ │      │    │な限り多くの利用者にアンケートを配布 │    │ │      │    │し回収することが望ましい。      │    │ ├──────┴────┴───────────────────┴────┤ │第10 岐阜薬科大学・岐阜市立女子短期大学                │ ├──────┬────┬───────────────────┬────┤ │      │    │(1)岐阜市における二つの市立大学につ  │    │ │      │    │いて                 │    │ │      │ 意見 │ 地元の教育・研究に対し果たすべき役 │  144 │ │      │    │割を再考慮した上で、現在の学生のニー │    │ │      │    │ズに合わせた役務を提供するよう、継続 │    │ │      │    │して検討していくことが望ましい。   │    │ │      ├────┼───────────────────┼────┤ │      │    │(2)入学者出身比率について(岐阜薬科大 │    │ │      │    │学)                 │    │ │      │    │ 岐阜市内からの入学者比率の増加等、 │    │ │      │ 意見 │岐阜市への還元方法を再考することが望 │  146 │ │      │    │ましい。               │    │ │      │    │ また、さらなる効率化及び収入の増加 │    │ │岐阜薬科大 │    │を図ることにより、岐阜市の負担を減少 │    │ │学庶務会計 │    │させることが望ましい。        │    │ │課・岐阜市立├────┼───────────────────┼────┤ │女子短期大 │    │(3)入学者出身比率及び卒業者の就職先  │    │ │学総務管理 │    │について(岐阜市立女子短期大学)   │    │ │課・企画部総│    │ 岐阜市内からの入学者比率の増加等、 │    │ │合政策課  │ 意見 │岐阜市への還元方法を再考することが望 │  147 │ │      │    │ましい。               │    │ │      │    │ また、さらなる効率化及び収入の増加 │    │ │      │    │を図ることにより、岐阜市の負担を減少 │    │ │      │    │させることが望ましい。        │    │ │      ├────┼───────────────────┼────┤ │      │    │(4)備品類の現物確認について(岐阜市立 │    │ │      │ 意見 │女子短期大学)            │  149 │ │      │    │ 定期的な現物確認をすることが望まし │    │ │      │    │い。                 │    │ │      ├────┼───────────────────┼────┤ │      │    │(5)各大学に係る市の負担について    │    │ │      │ 意見 │ 各大学の実質的なコストを把握すると │  149 │ │      │    │ともに、市民の判断を仰ぐため情報開示 │    │ │      │    │することが望ましい。         │    │ ├──────┴────┴───────────────────┴────┤ │第11 岐阜市民病院                           │ ├──────┬────┬───────────────────┬────┤ │      │    │(1)収支区分について          │    │ │      │ 指摘 │ 適切な判断資料とするため、診療科ご │  153 │ │      │    │との収支を明確に区分すべきである。  │    │ │      ├────┼───────────────────┼────┤ │      │    │(2)「岐阜市病院事業の設置等に関する条 │    │ │      │    │例」について             │    │ │      │ 指摘 │ 同条例の附則第3項に公営企業法の一  │  157 │ │      │    │部規定を適用していない旨が定められて │    │ │岐阜市民病 │    │いるが、実際には同規定を適用している │    │ │院事務局病 │    │ため、同条例を更新する必要がある。  │    │ │院政策課  ├────┼───────────────────┼────┤ │      │    │(3)医師住宅の使用状況について     │    │ │      │ 意見 │ 有効利用又は処分を検討することが望 │  157 │ │      │    │ましい。               │    │ │      ├────┼───────────────────┼────┤ │      │    │(4)備品類の管理状況について      │    │ │      │ 意見 │ 備品台帳上の記載内容と現物との一致 │  158 │ │      │    │を確認する仕組みを整えることが望まし │    │ │      │    │い。                 │    │ ├──────┴────┴───────────────────┴────┤ │第12 岐阜市立看護専門学校・岐阜市立第二看護専門学校          │ ├──────┬────┬───────────────────┬────┤ │岐阜市民病 │    │                   │    │ │院事務局病 │    │二校の看護専門学校について      │    │ │院政策課・健│ 意見 │ 両施設が併存する現状につき検討する │  160 │ │康部健康政 │    │ことが望ましい。           │    │ │策課    │    │                   │    │ ├──────┴────┴───────────────────┴────┤ │第13 サンライフ岐阜他                         │ ├──────┬────┬───────────────────┬────┤ │商工観光部 │    │複数施設を同一の部門の所管とする手法 │    │ │産業拠点運 │    │の有効性について           │    │ │営課・産業振│ 意見 │ 商工観光部の全ての施設について、産 │  166 │ │興課    │    │業拠点運営課の所管とすることの可能性 │    │ │      │    │について検討することが望ましい。   │    │ ├──────┴────┴───────────────────┴────┤ │第14 岐阜競輪場                            │ ├──────┬────┬───────────────────┬────┤ │行政部競輪 │    │建築物等の更新について        │    │ │事業課   │ 意見 │ 収支予測を綿密に行い、更新投資の要 │  170 │ │      │    │否を検討することが望ましい。     │    │ ├──────┴────┴───────────────────┴────┤ │第15 耐震化について                          │ ├──────┬────┬───────────────────┬────┤ │      │    │(1)耐震診断の結果の公表について    │    │ │      │ 指摘 │ 学校施設以外の耐震診断結果について │  177 │ │      │    │も公表すべきである。         │    │ │      ├────┼───────────────────┼────┤ │      │    │(2)耐震診断対象の明示について     │    │ │      │    │ 耐震診断結果を公表する際に、耐震診 │    │ │都市防災部 │ 意見 │断された建築物以外には耐震診断が行わ │  178 │ │防災対策課 │    │れていないことを強調しておくことが望 │    │ │      │    │ましい。               │    │ │      ├────┼───────────────────┼────┤ │      │    │(3)耐震診断の対象について       │    │ │      │    │ 現在の耐震化計画終了後に、規模要件 │    │
    │      │ 意見 │を満たさない市有建築物について、耐震 │  178 │ │      │    │化すべき重要なものがないか検討するこ │    │ │      │    │とが望ましい。            │    │ ├──────┴────┴───────────────────┴────┤ │第16 公有財産等に関わる台帳について                  │ ├──────┬────┬───────────────────┬────┤ │      │    │(1)システムの統合について       │    │ │行政部管財 │    │ 固定資産台帳及び公有財産台帳を更新 │    │ │課・財政部財│ 意見 │する場合には、それぞれ所管する管財課 │  179 │ │政課    │    │と財政課が協力し、両者を統合したシス │    │ │      │    │テムとすることが望まれる。      │    │ ├──────┼────┼───────────────────┼────┤ │      │    │(2)1)公有財産台帳の金額情報について  │    │ │      │ 指摘 │ 公有財産の金額情報は重要であるた  │  180 │ │      │    │め、規則に従い、もれなく金額情報を記 │    │ │行政部管財 │    │載すべきである。           │    │ │課     ├────┼───────────────────┼────┤ │      │    │(2)2)公有財産台帳の機能について    │    │ │      │ 指摘 │ 今後、システムの改良等を行うに際し │  180 │ │      │    │て、部署別の公有財産の一覧を閲覧、出 │    │ │      │    │力する機能を付加すべきである。    │    │ └──────┴────┴───────────────────┴────┘ 第3章 外部監査の指摘及び意見 第1 公有財産等の管理方法について 1 公有財産等の管理方法の変更を必要とする時代背景 (1) 公共施設等の需給バランスの変化  これまでは人口増加や行政サービス需要の増加により多くの公共施設等が整 備されてきたが、人口減少時代に入りこれらの整備されてきた公共施設等を利 用する住民が減少することになり、未利用・低稼働の公共施設等が増加してゆ くものと考えられる。また人口減少と同時に人口構成にも大きな変化が表れて いる。少子化の進行により学校に通う児童・生徒の数は減少し、これまで以上 に公立小中学校や高等学校の統廃合が進むのは明らかである。こうした状況下、 廃校となった学校施設の利活用、あるいは学校施設取り壊し後の跡地の利活用 をいかに進めてゆくかは大きな課題となってこよう。  他方、高齢化が進展することに伴い社会福祉施設などの老人関係施設に対す るニーズが増加することが予想され、これらにいかに効率的かつ効果的に対応 していくかということも重要な課題となってくるものと考えられる。  このように、今後、人口減少や少子高齢化の進展による人口構成の変化が予 想されるなか、これに伴い発生する余剰施設と不足施設をマッチングさせるこ となどを通じ、質・量の両面から公共サービスに対するニーズに即した対応を 図ってゆくことが求められている。 (2) 資産リスクや高機能化ニーズの高まり  公有財産等を保有する岐阜市には、当該資産の適切な管理が求められ、それ がなされていない場合には不法行為責任を負担することが予想されるなど公有 財産等を保有することによる多くのリスクを抱えている。代表的な例としては 施設の老朽化に伴うリスク、耐震性を備えていないことによるリスクなどがあ げられる。  今後は、こうした施設等において利用者の安全を確保し資産リスクの軽減を 図る観点から、改修、建替え、処分など適切な対応を図ってゆくことが求めら れる。財政的な問題等から、事前の定期的な保守点検等を怠り問題が発生した 場合に後追いで改修するなどの対応を取っていれば、重大な事故が発生した場 合に公有財産等の保有者としての重大な責任を問われる事態も予想される。こ のようなリスクは、橋梁・トンネル・道路等のインフラ系の公有財産等に発生 の可能性があるが、このほかにも全国的には水道管の破裂や市民の集まる各施 設での事故も発生しており、公有財産等が老朽化しつつある今日の状態は過去 の管理方法をそのまま継続しているだけでは許されない状況にあるといえる。  一方、施設面では高度情報化への対応やバリアフリーなど、環境変化を踏ま えて新たな機能ニーズに対応してゆくことが必要になってくる。必要な公共施 設については、施設が陳腐化しないように、これらのニーズに対応した形で施 設を維持してゆくことが求められている。 (3) 既存施設における維持更新投資の集中への対応  現在の公共施設等は高度経済成長期に整備されたものが多く老朽化が進行し ているといわれ今後、建替えや大規模修繕が必要になり維持更新投資が多額に 上るといわれている。更にこれらの施設は一斉に耐用年数を迎え維持更新投資 は集中的に行わなければならない時期を迎えるといわれている。  こうした状況の中、住民にとって必要な施設で行政が供給すべき施設につい ては、利用者の安全性を確保する意味からも適切な維持更新投資を行ってゆく ことが求められている。 (4) 財政状況の逼迫化  以上のような状況の中、地方自治体の財政状況の展望は楽観的なものではな い。今後は納税者が減少する傾向が続き、これまでのような水準の税収を確保 することは難しくなる。国の補助金に頼ることが現実的でないことも明らかな 状況である。その一方で高齢化等による財政需要の増加が見込まれるなど岐阜 市の財政状態も今後厳しいものになってゆくことが予想される。  したがって、未利用・低稼働の公有財産をそのままにしておくことや、過大 な資産リスクを負担する一方で高機能化ニーズに対応すること、更に維持更新 投資を負担してゆく余裕はなくなってゆくものと考えられる。 2 今後の公有財産等の管理方法について  今後は、厳しい財政状況を前提にした公有財産の有効適切な管理が求められ ている。今までのような管理方法を続けていては継続して公共サービスを提供 できなくなるおそれがある上、場合によっては財政の悪化を招き、公債の増加 で将来世代への負担を増やすことや利用料金の大幅な値上げ等が必要になる可 能性がある。  他の自治体においては、このような状態に対処するためにアセットマネジメ ントを導入する動きがある。  アセットマネジメントとは、本来、金融関係の用語であるが、その考え方を 公有財産等の管理方法として応用したものである。  具体的には、現在の厳しい財政状況を踏まえ、保有する各公有財産等を全市 的立場から計画的に維持管理を行って最適な維持更新を図るとともに、その更 新需要に的確に対応するため、施設の維持更新投資の平準化と抑制を図ろうと するもので、民間の知恵を公有財産等の管理に生かそうとする試みであり岐阜 市においてもこの考え方は大いに参考になるものと判断される。  今回の包括外部監査においては、今後の厳しい財政状況を前提に岐阜市がこ れに対応した有効適切な公有財産等の管理体制を構築しているかについて調査
    を行うことを主眼においており、アセットマネジメントの視点より従来の通常 管理の枠を超えた内容を問題としている。これは「地方自治法」の他、「地方財政 健全化法」や「地方公営企業法」等の趣旨を踏まえた実質的に適切な管理が求め られ、今までのような社会環境を前提にした通常の管理方法では今後の社会環 境に適応できず、関係法令が求めている適切な管理を行うという趣旨に反する ことになると判断したためである。 3 管理対象とすべき公有財産等の範囲  地方公共団体の有する財産には、公有財産・物品・債権・基金がある。(「地 方自治法」第237条第1項)  また、「地方自治法」第238条第1項において公有財産として第1号記載の不 動産から第8号記載の財産の信託の受益権までその内容が定められているが、 今回の包括外部監査において検討対象としている公有財産等とは、これらの内、 金額的に重要性がある「不動産」が中心となる。  「不動産」とは、民法第86条第1項に定めがあり土地及びその定着物をいう。 不動産の内、「その定着物」とは、土地に付着するものであって、継続的に付着 した状態で使用されていることが、その物の取引上の性質として認められるも のをいい、典型的なものとして、建物、工作物がある。  また公有財産は「行政財産」と「普通財産」に分けられる。(「地方自治法」第238 条第3項、4項)「行政財産」は、地方公共団体において公用又は公共用に供し、 又は供することと決定した財産をいい、「普通財産」は行政財産以外の一切の公 有財産をいう。 4 岐阜市が公表している公有財産等の情報  岐阜市は、そのホームページにおいて「新公会計制度に基づく財務書類4表」 を公表している。これは、いわゆる「行政改革推進法」を契機に、地方の資産・ 債務改革の一環として「新地方公会計制度の整備」が位置づけられたことによ り公表されているものである。  特に、平成20年度からは普通会計を対象とした財務書類のほか、普通会計と 公営事業会計や一部事務組合などの会計を連結した連結財務書類も公表されて いる。これらは岐阜市に帰属すると考えられる公有財産等の金額的な概要を示 す唯一の体系的な情報であるが、公表された資料からその詳細を外部の者がう かがい知ることは困難である。  なお、公表されている財務書類は基準モデルにより作成された4表であると 記載されている。基準モデルとは総務省が示した財務書類の計算方式の一つで あり、従来の官庁会計の計算方式ではなく一般の企業会計で採用されている発 生主義・複式簿記の考え方に基づいて作成する原則的な方法である。この方法 により、貸借対照表・行政コスト計算書・純資産変動計算書・資金収支計算書 の財務書類4表が普通会計ベースを対象としたものと連結ベースの2種類が公 表されている。公表されている財務書類は2年度分を比較する形式であり大き な増減項目の内容が簡潔に説明されている。 貸借対照表(バランスシート)   貸借対照表は、行政資源となる所有資産と、負債等の財務状況を示したも  のです。  資産は、行政活動に役立つ土地・建物・現金など、後世に引き継ぐ財産にな  ります。一方、負債は、将来において支払いが発生する引当金や返済が必要  な長期借入金などで、後世の負担となるものです。 行政コスト計算書   行政コスト計算書は、1年間に行政サービスを提供するために発生したコス  ト(費用)の内訳を示したものです。  具体的には、市民の皆さんに提供した行政サービスに要するコストから、資  産形成につながる支出を除き、減価償却費や退職手当引当金のような現金支  出を伴わないコストを加えたものです。なお、総行政コスト(経常費用)か  ら、サービスの受益者が支払った手数料・使用料など(経常収益)を控除し  た額が、純粋な行政コスト(純経常行政コスト)になります。 純資産変動計算書   純資産変動計算書とは、純資産の変動を「どのように財源を調達したか」  と「どのように財源を費消したか」という視点から示したものです。  財源の調達については、地方税や交付税、その他補助金などが計上されます。  なお、地方債(借入れ)による資金調達については財源に含めません。また、  財源の費消については、行政コスト計算書の純経常行政コストが計上されま  す。純資産の期末純資産残高が増加していれば、後世に引き継ぐ財産を増や  したことになり、減少していれば、後世に引き継ぐ財産を減らしたことにな  ります。 資金収支計算書   資金収支計算書とは、1年間で発生した現金の出入りを「経常的収支」、「公  共資産整備収支」、「投資・財務的収支」の3つの性質に区分し、示したも  のです。   経常的収支は、経常的な行政活動の収支を示し、公共資産整備収支は、資  産の増減を伴う収支を示しています。また、投資・財務的収支は、地方債の  発行による収入や元金の償還・利払いなど、主に借入れによる資金調達や償  還にかかる収支を示しています。   (以上、岐阜市のホームページより)  また、次に「普通会計ベース」と「連結ベース」の財務書類4表をホームペ ージより転写するが、それぞれの計算範囲は各表の下部に記載されている。  上記の各財務書類の説明では、それぞれの表が公有財産等に関係する内容を 含んでいることが分かるが、中心となる財務書類は「貸借対照表」である。貸 借対照表の左側に「資産の部」の記載があるが、その一番上に「1 公共資産」 の記載があり、これが今回のテーマに関係する部分となる。  公共資産は、普通会計ベースで平成23年度の場合、716,209百万円の残高が あると記載されている。内訳としては(1)事業用資産186,445百万円、(2) インフラ資産511,243百万円、(3)売却可能資産18,520百万円である。公共 資産が資産合計775,391百万円に占める割合は約92.4%(716,209百万円/ 775,391百万円)と大半を占めており公共資産の重要性は明らかである。  これに対し、連結ベースでは平成23年度の場合、公共資産が960,015百万円 の残高があると記載されている。内訳としては(1)事業用資産228,966百万円 (2)インフラ資産708,304百万円、(3)売却可能資産22,744百万円である。 公共資産が資産合計1,160,711百万円に占める割合は約82.7%(960,015百万 円/1,160,711百万円)とやはりかなりの部分を占めており岐阜市の中心的な資 産であることは間違いない。  普通会計ベースと連結ベースで公共資産を比較した場合、連結ベースでは金 額が普通会計ベースの約1.34倍(960,015百万円/716,209百万円)に膨れ上が る。普通会計ベースの範囲で管理を検討するだけでは、かなりの部分が考慮外 となってしまうことが明らかな状況である。          平成23年度 財務書類4表(普通会計ベース)           平成23年度 財務書類4表(連結ベース)
     したがって、公表されている2種類(普通会計ベースと連結ベース)の財務書 類の内、管理対象とすべき公有財産等の範囲として重要視すべきは普通会計の みを対象とした範囲ではなく、普通会計のほか公営事業会計・一部事務組合・ 広域連合・地方公社・出資法人を含めた連結会計用の財務書類の計算範囲であ ると判断される。それは実質的に岐阜市が最終的な負担をする可能性が高い範 囲であり、普通会計以外の分野の金額的な重要度も高く将来の財政に与える影 響も相当程度になると考えられるからである。よって「地方自治法」に定める公 有財産の内容より、管理対象範囲は広くなるが隠れた負担の可能性が見過ごさ れていては適切な管理がなされないのみならず、十分な情報公開がなされず住 民自治の観点から言っても大きな問題となるからである。  なお、管理対象とすべき公有財産等は重要性が判断できる「金額」を基にし た情報で管理するべきである。毎年の岐阜市の公表資料には公有財産について 「数量」を基にした「財産に関する調書」があるが、これは公有財産について 財産の種類別に数量がまとめて記載されているだけであり管理資料としては不 十分である。  数量データとは異なり、金額データには重要性が判断できることのほかに 種々のメリットがある。他都市との比較も行いやすく岐阜市の特徴が把握でき、 長所や短所を発見するきっかけにもなり今後の方針決定にも役立つ。金額を用 いて財政負担の将来シミュレーションも可能になり、決定した方針の将来像を 推定することや複数の代替案の内、どの案に決定するべきかの判断・支出節減 効果の算定も可能になる。  ただ、現在の公表された財務書類では公有財産等の管理に用いることは困難 であり、住民自治における意思決定の観点からいっても内容が十分ではない。  毎年公表される「財産に関する調書」の内、不動産については管財課が作成 するのに対し、財務書類は財政課が作成しており作成根拠についての統一性が ない上、内部的にも公有財産等の管理資料としては用いられておらず、公有財 産等を所管する部署等がそれぞれの立場でそれぞれの資料を用いて管理してい るという実態になっている。これは岐阜市全体の視点で最適な管理という観点 からして非効率な点であり、全体像が見えにくい点において有効な管理が困難 な状態でもある。  この全体像が見えにくいという点は情報公開についても影響が出ている。公 有財産に関して中心的な資料となる「貸借対照表」の説明はきわめて簡潔であ り、前年度との比較において大きな変化を説明しているほかは、簡単な比率分 析が行われているだけであり内容の詳細はもとより将来の予想をすること等の 活用等は困難である。 5 現在の公有財産等の管理体制の問題点  現在、岐阜市の公有財産の取得、管理、処分等は法令等に別段の定めがある ほかは「岐阜市公有財産規則」(以下「規則」という)に基づいて行われている。 この「規則」には、以下の内容が含まれている。   第1章 総則   (公有財産の総括)   第3条 行政部長は、公有財産(教育財産を含む。以下同じ。)の取得、管理、   処分等の適正を期するため、公有財産に関する事務を総括し、その取得、管   理、処分等について必要な調整を行うものとする。   2 行政部長は、前項の規定により必要があると認めるときは公有財産を所   管する部長に対し、その状況に関する資料(第56条に規定する帳簿を含む。)   若しくは報告を求め、実地に調査し、又はその結果に基づいて必要な措置を   講ずべきことを求めることができる。   (行政財産に関する事務の所掌)   第4条 部長は、その所管に属する行政財産の管理に関する事務を掌理する。   2 前項の場合において、2以上の部において使用する行政財産のうち統一   的に管理する必要があるものは、これを使用する部長のうち市長が指定する   部長の所管に属するものとする。   3 行政財産の管理に関する事務は、当該行政財産を所管する課長等が処理   する。   (普通財産に関する事務の所掌)   第5条 行政部長は、普通財産の管理、処分等に関する事務を掌理する。   2 前項の規定にかかわらず、行政部長は、次に掲げる普通財産については、   関係する部長(行政部長を除く。以下この項において同じ。)と協議の上、当   該部長に管理、処分等に関する事務を掌理させることができる。   (1) 部の事務又は事業と密接に関連があるもの   (2) 行政目的に供することを予定しているもの   (3) 使用に堪えない財産で、取壊し又は撤去の目的をもって用途を廃止す     るもの   (4) 前3号に掲げるもののほか、関係する部長が当該財産の管理等を行う     ことが適当であると判断できるもの   3 普通財産の管理、処分等に関する事務は、行政部管財課長(以下「管財課   長」という。)が処理する。ただし、前項に規定する普通財産の管理、処分   等に関する事務は、当該普通財産を所管する課長等(管財課長を除く。)が処   理する。   第3章 管理   第1節 通則   (管理上の注意事項)   第11条 部長は、その所管に属する公有財産について、次に掲げる事項に   留意し、適正かつ効果的な管理に努めなければならない。   (1) 公有財産の増減についての証拠書類との符合   (2) 公有財産と登記事項証明書、財産台帳及び関係図面との符合   (3) 土地の境界及び境界標の有無   (4) 使用料又は貸付料の適否   (5) 前各号に掲げるもののほか、公有財産の管理に必要な事項   第2節 行政財産   (管理の原則)   第19条 行政財産は、常に良好な状態において維持及び保存し、これを行   政の目的に供し、行政財産本来の目的を達成するように管理しなければなら   ない。   第3節 普通財産   (管理の原則)   第31条 普通財産は、常に良好な状態において維持及び保存し、経済的な   見地から効率的かつ適正にこれを運用しなければならない。  「規則」には以上の定めがあるが、その内容は公有財産を行政財産と普通財産 に区分した上で、行政財産は各部長が、普通財産は行政部長が管理等を行うこ とになっており、行政部長が公有財産全体を総括するとはされているが一義的 には各部長に管理等の権限が付与されているものと判断される。  このように公有財産ごとに所管が決められ管理等が個別に行われると、岐阜 市全体の視点から最適な管理等が行われるよりも所管部署にとっての最適な管 理等が行われる可能性が高くなる。そのような場合には時代の変化に伴い用途
    変更が適切と考えられる場合においても適時に行われない可能性や、特定の部 署にとっての遊休資産が情報不足により他の部署での利用機会を失わせる等の 無駄の発生、更に部署間の情報共有不足による無駄な多重投資の可能性なども 発生することが予想される。これが一元的に特定の部署において管理される場 合には全体最適な視点からの管理が行われ各種の無駄が除かれ時代の変化に即 応した公有財産のあり方を追求できるようになる。このことは財政的にもメリ ットがあり、過大・過剰な投資を防ぐことや公有財産の保有の最適化にも役立 つことになる。 6 連結範囲の管理の重要性と現在の管理体制との不一致  上記の考え方は、岐阜市が直接保有する公有財産のみにその適応を限定する べきではない。岐阜市としての責任範囲は、上記の財務書類の記述の中で述べ たように連結範囲に及んでいる点の考慮が必要である。例えば水道事業は地方 公営企業の形態をとっているが多額の企業債を発行しており、その償還は将来 的な負担となる。返済の財源は一義的には水道事業の収支からなされるべきで あるが、それは水道料金の値上げの可能性を意味しており、そうでなければ岐 阜市の財政負担となって税金が投入されることになるからである。どちらにし ても岐阜市の住民にとっては形を変えた負担の発生であり、その影響を考慮せ ずに財政問題を検討することは全体を見て判断していないことになるからであ る。  したがって、岐阜市の普通会計のみならず連結範囲に属する各会計区分の保 有する公有財産等も考慮に入れた管理体制を構築する必要がある。これは現在 の管理組織の範囲を超えたものであるが、現在の制度のもとにおいても工夫に よって実現することは可能であると判断される。 7 公有財産等の管理(アセットマネジメント)に必要な方針・計画  現在の厳しい財政状況を踏まえた公有財産等の有効、適切な管理(アセット マネジメント)の実現には、岐阜市の方針・計画の決定が必要である。これは 岐阜市独自の現状を前提に、目指すべき方向に適合した公有財産等のあり方を 定め、これを実現するために具体的な手段を財政的な制約のもとで試算しそれ に基づいて選択し、実現する工程を公有財産等ごとに示すものである必要があ る。このような具体的な方針、計画が策定されなければ、単なるスローガンの ようなものになり具体的な成果を上げることは、現在の管理体制を前提にした 場合は困難であろう。  現在、岐阜市が策定している公有財産等に関する方針、計画等の主なものと して、以下のものがホームページで確認できる。 (1) 岐阜市行財政改革大綱 (2) 岐阜市行財政改革プラン (3) 年度別行財政改革の取組 (4) 行政と民間の役割分担のあり方について(意見書) (5) 公の施設の使用料算定基準  (1)は、選択と集中により、将来にわたり持続可能な行財政運営を確立するた め、さらなる行財政改革推進の筋道を示したものである。  この中では、重点改革項目が示され「行政サービスの選択と集中」、「健全な 財政運営の推進」、「市民の参画と協働の推進」など4項目が定められ、その中 に公有財産等に関する事項が岐阜市全体の方向性として確認できるが、具体的 な内容を定めたものでは当然ない。  (2)は、(1)に基づく、具体的な取り組みを明らかにし、「選択と集中で持続可 能な行財政システムの構築」に向けて行財政改革を着実に推進するために定め られたものである。この中では、計画期間を定め事務事業の事業仕分けを行っ ており、検討された事務事業の中に個別項目として公有財産に関する事務事業 がある。各事務事業は所管課ごとに見直しと取組の内容が記載されているが、 全体最適の視点での調整などアセットマネジメントに必要な内容は確認されな い。  (3)は、年度別の行財政改革の取組実績をまとめたものである。(1)に定めら れた4つの項目ごとに取組件数と効果額が集計され前年度実績と比較されてい る。公有財産等に関する項目も実績の一部に含まれているが(2)の所管別の取組 実績のまとめに相当するものと判断される。  (4)は、岐阜市行政改革推進会議が提出した意見書であり、行政のスリム化と 市民ニーズへの的確な対応に向けての意見が記載され、その中で「行政が担う 公共サービスの領域」、「民間委託・民営化の推進」、「協働型社会の実現に向け た行政の役割」のそれぞれに公有財産の管理に係る事項が記載されている。こ れは意見書であり岐阜市の実際の管理方法等を定めたものではない。  (5)は、受益と負担の公平化の観点から、公の施設の使用料の算定方式や見直 しの時期を定めた統一的なルールである。この中では、基本方針、算定方式、 対象施設、具体的な算定方法、その他の取り扱いが定められ、基準の運用方針・ 今後の進め方まで記載されている。内容的にはかなり具体的であるが実際に実 施する場合は各担当課で判断することとされており適正性の確認等の手続きは 定められていない。  以上、現在の岐阜市における公有財産等に関する方針・計画等を検討したが アセットマネジメントとしての具体的な公有財産等の管理を行うために必要な 体系的・具体的事項を定めたものは、現在の時点において策定されてはいない ものと判断される。この状態では将来を見据えた岐阜市全体の観点から考えた 公有財産等の有効な管理の実行は困難であると考えられる。また、市民に対す る公有財産等に関するアセットマネジメントの観点からの包括的な情報公開、 例えば施設白書等についても明確なものはない状態である。情報公開の必要性 としては、住民自治の観点からすれば当然に重要な事項であるのは明白である が、施設の統廃合や利用料の決定、公有財産等の有効活用等を実行する場合に 民間のノウハウを利用することが必要になる点においても必須のものであろう。 8 今後求められる公有財産等の管理方法について  これまでは、公有財産等の管理について時代の変化に伴い新たな方法が求め られる状況であり、その方法としてアセットマネジメントの考え方があること を述べた。具体的には、管理すべき公有財産等の範囲は現在までの範囲とは異 なり広範囲に及ぶ必要があること、管理体制も現在のままの体制では有効に機 能する可能性が低いこと、有効な管理のためには明確な方針や具体的な計画等 が必要であり、それらが市民に情報公開されるべきことを述べた。  以上の点から現在の岐阜市の公有財産等の管理状況を判断すれば種々の改善 すべき点が認められ、以下にその改善すべき事項を述べることとする。これら の事項は現時点において直ちに法令違反等にあたり違法性がある事項ではない が、公有財産等に適用される関係法令等の趣旨より判断して現在の状況をその ままにしておく場合は岐阜市の財政にとって重大な問題事項に発展する可能性 があり、何らかの対応を行うことが求められると判断し、指摘事項として記載 することにした。  現在の公有財産等の管理方法をアセットマネジメントの考え方を取り入れた ものに改善すべきである。(指摘)
    求められているアセットマネジメントの内容  アセットマネジメントは、不動産などの資産について、最適な時期、規模に よる投資を行うことによりその資産価値を高め、便益の最大化を図ることを目 的としている。また、単なる資産の管理だけでなく、最適な配置にするための 取得、処分などもその内容としている。アセットマネジメントの手法は自治体 規模が大きいほど保有する資産も多く、その導入効果が大きいとされているた め実際に導入している自治体は大規模な自治体が中心で、規模が小さい自治体 では資産の評価方法を含めたシステムの要件定義や施設の点検ができる職員が 少ないなどの人的・財政的な制約が影響し、アセットマネジメントを導入する ことが困難な状況にあるといわれている。  確かにデータベースの構築や、技術的な点検などへの対応は重要であるが、 各自治体の個別事情を反映した対応方法の必要性を説明するものは少ない。ア セットマネジメントにおいてよく説明される手法に長寿命化があるが、実際に 長寿命化のためのコストの試算をしてみると、単純に更新投資を行った場合に 比べ、それほど金額的な負担が軽くなるわけではないとの説明も見受けられ、 アセットマネジメントの手法を導入すれば直ちに問題が解決するようなもので はないことが分かる。  各自治体における財政の制約の観点から、それぞれの身の丈に合った公有財 産等のあり方を、はじめに検討するべきであり、自治体の諸事情を考慮せず、 むやみにアセットマネジメントの一般的な手法の採用、データベースの構築や 点検技術の確保に多額の支出を行うことは、果たして合理的であろうか。  そのようなことを行う前に、自治体の個別の状況を正確に把握し、認識され た問題点の優劣を決定した上で、それに対応した具体的な対策を決定すること が、最初に行われるべきことと考える。岐阜市には独自のアセットマネジメン トの適用方法があってしかるべきであろう。岐阜市の独自性を考慮せずに、一 般的なアセットマネジメントの手法を技術的な側面のみから導入するだけでは、 その効果は限られたものになるおそれがあると考える。岐阜市の特色を踏まえ た全体の視点から最適な公有財産等の保有量を決定し整理統合を検討した上で 想定される課題の優先順位を定め、更新投資の集中を避けるための長寿命化、 保守点検の合理化、有効活用及び財源の確保等を検討する必要があるものと判 断する。  したがって、具体的には以下のような順序でアセットマネジメントを実行す ることが考えられる。 (1) 現状の把握  今後の財政的な負担額の概要を把握するために、全体像がつかめるようなシ ミュレーションを実施するべきである。これによって予想される金額的な負担 の重さが認識され、岐阜市の財政への影響、選択すべき対策の決定がなされる ことになる。  漠然とした重要性は理解できても、具体的な対策に結びつけるのは困難であ る。金額的な把握によって問題の重要性が正確に把握できるようになる効果が ある。今後のアセットマネジメントの必要性とその程度、計画的対応の必要性 が明確になることで具体的な対策に結びつけることができる。また、今後アセ ットマネジメントを実施する上でもシミュレーションの結果は基礎数値として 利用することができる。  シミュレーションを行う上で注意するべき点は以下のようなものがある。 1) 財務書類でいえば連結の範囲を考慮してシミュレーションを実施するべき  である。計算上の制約は予想されるが全体像をつかむことが大切である。全  体像が把握されないと、隠れ負債の様なものが存在することになって将来の  問題となる可能性がある。 2) シミュレーションの範囲は施設等に限定せず、金額的に重要性があるもの  は全て範囲に含めるべきである。重要な機器類や一部事務組合の負担金等な  どは金額的な影響額は重要と考えられる。このことが問題となるのは1)で述  べたように隠れ負債になることと同趣旨である。 3) シミュレーションを行う場合には、公有財産等の整備費(更新投資を含  む)・維持修繕費の分析と同時に収入の予想についても実施するべきである。  これからの財政的な負担を考える以上は当然であり、資金的な問題を検討す  る上で必要なものである。 4) 全体の概要把握と同時に、部分的な情報も必要である。インフラ系の施設 等と非インフラ系の施設等では今後の対応策が異なることや、どの種類の施 設等の負担が重いかによって、あるべき将来像が異なってくるからである。 5) シミュレーションは1回だけではなく、計画が変更になるたびに行う必要  があることから関連情報を整備する必要がある。このためには公有財産台帳  の整備、財務書類作成データとの連動性の確保、公有財産の現場管理用デー  タベースの整備などが必要になる。  また、シミュレーションの結果が良好であり、今後の更新投資に係る支出が 将来の財政に与える問題はないと判断される場合には、その結果を市民に公表 することで足り、以下の記載事項について具体的な対応をとる必要はないこと になる。  なお、今回、我々は問題点の有無を確認するため、独自に一定の仮定のもと シミュレーションを実施したが、これは十分なものではなく概要を把握するた めのものであるから、岐阜市は独自に精緻化されたシミュレーションを行う必 要があると判断する。そして、住民への情報公開の観点から、その結果は順次、 「施設白書」等の適切な形で公表されることが必要であると考える。 (2) 基本方針の策定  アセットマネジメントを導入するには、公有財産等の統廃合・効率的な維持 管理・有効活用など総合的に検討する必要があることから、基本理念を設定し それに基づいて作業を進める必要がある。また、アセットマネジメントを全市 的に推進するため基本理念のほか、その他の基本的な事項も含めた基本方針を 定める必要がある。さらに基本方針を定めた場合は速やかに住民に情報公開す ることが重要である。  基本理念は、現在の時代背景を踏まえた上でアセットマネジメントを導入し、 目指すべき目標や取り組みの方針・進め方等を定めたものである。これは一般 的・抽象的な内容ではなく、岐阜市の独自性を考慮したものであることが必要 である。そのためには、現在定められている「大綱」等の趣旨は斟酌するべき であるし、公有財産等のハード面からのみの視点ではなく、社会的な分析も検 討するべきである。社会的な分析とは、地域が地域間競争の中でどのような人 からどのように評価されているかを把握するために行う。それによって市の潜 在的な魅力を把握し公共施設・インフラが市の魅力になっているか、その更新 のありようによって市の魅力が損なわれるものであるか否かを把握することが できる。  その他の考慮すべき事項には以下のような視点が考えられる。 1)「全体最適」・・・岐阜市全体の視点で最適な公有財産等の整備を目指す。 2)「選択と集中」・・・整理統合の検討。 3)「施設重視から機能重視」・・・施設等の物理的な整備を重視せず同じ機能を  有する代替物での代用等や施設等の多機能化も検討するべきこと。 4)「全て自前で整備するか否か」・・・全ての公有財産等を岐阜市単独で整備す
     るのか否か。場合によっては賃借による場合もありうる。  基本理念のほか、基本方針に定めるべき事項には以下のようなものが考えら れる。 1) 市の現状を十分に分析し、アセットマネジメントの必要性を明確にするこ  と。これはシミュレーションの結果を踏まえたものである必要がある。 2) アセットマネジメントの具体的な目標を明確に定めること。 3) 具体的に取り組むべき課題を明確に定めること。 4) アセットマネジメントの進め方を定めること。 5) アセットマネジメントの導入効果の試算も行うべきである。  なお、以上の項目は、一般会計、普通会計の範囲にかぎるものではなく、実 質的に岐阜市と考えられる範囲、すなわち新公会計制度でいう連結の範囲を含 めたものである必要がある。また、課題の内容が異なることから公有財産等の 種類でいえばインフラ系と非インフラ系を区別したものであること等が必要で ある。 (3) 行動計画の策定  基本方針は、アセットマネジメント全体の方向性を示すものであるが、実際 の行動においては具体的な計画が必要になる。基本方針が長期の全体像を示す ものとすれば、行動計画には中期計画・年度計画の内容を織り込むべきものに なる。最終的には個別施設レベルまでの計画・作業工程表も必要になる。一旦 決定した計画も時間の経過とともに修正が必要な場合が生じることから、何度 でもシミュレーションが行えるように金額データが迅速に入手できる公有財産 台帳の整備、固定資産台帳をはじめとする公会計との連動も行うことが必要に なる。計画が策定された場合は、財源調整を行うべきことも重要である。裏付 けのない計画では「絵に描いた餅」となることは明らかである。  非インフラ系の公有財産に関して行動計画を決定する場合に、考慮すべき事 項には以下のものがある。 1) 具体化の方針を定めるべきである。新規建築に関するルール、公共施設の  再編方針・施設区分のルールと、それぞれの対応ルールを決定する必要があ  る。事業着手の優先順位を定め、施設等に応じてリニューアル・長寿命化の  ための計画保全・応急保全等の方法の選択を行う必要がある。 2) 作業の具体的な進め方を決定する必要がある。長寿命化でいえば、施設等  の機能の確認・利用可能期間の把握・改修維持コストの把握等を決定する必  要がある。 3) シミュレーションの実施によって手法の選択、実施効果の検証も必要であ  る。 4) 公共経営の効率性を見るための客観データの整理も重要である。施設別の  稼働率・利用目的別利用状況・運営コストなどのデータを集積し施設等の整  理統合の判断資料等に利活用することになる。 5) 維持管理の効率化の手法の検討も必要である。 6) 全体計画のほか、施設等ごと個別の対応計画を策定する必要がある。 7) 耐震化や老朽化リスク等への対応策も策定されるべきである。  インフラ系の公有財産も重要であり、非インフラ系の公有財産とは区分して 行動計画を決定する必要がある。ここで考慮すべき事項には以下のようなもの がある。 1) 機器やプラントなども金額的に重要性があれば考慮する必要があること。 2) インフラ系資産の整備・整理・統合等に関する方針も決定する必要がある  こと。 3) 計画的な維持管理のためデータベース等の資料の整備によって維持管理情  報の集積を図るべきこと。 4) 公有財産等ごとの取組の優先度を決定すること。 5) 維持管理方針を決定すること。 6) 全体計画のほか、個別の維持計画を策定すること。 7) アセットマネジメントの実施効果の検証を行うこと。 8) 耐震化や老朽化リスク等への対応策も策定されるべきである。  公有財産等の有効活用と財源確保も検討する必要がある。用途の転用や未利 用資産の貸付、将来的に利用の見込みがない資産の売却の推進と新規の取得の 抑制等が検討されるべきである。これらについても市全体の見地から最適な選 択が行われないと非効率な点が発生する可能性が高い。 (4) 組織体制の整備  公有財産等の管理を行う組織は現在でも存在している。しかし、ここでいう 整備すべき組織とは、アセットマネジメントの観点から公有財産等の管理を行 うための組織である。そこでは全体最適の観点からの管理等を行う必要がある ため今の組織では対応が困難である。現在は各所管の行政財産は各部長が管理 等の直接的な権限を有する上、公有財産全体の取りまとめ的な役割を行政部長 が担うものの、その権限は岐阜市の範囲にとどまるため連結範囲での調整は困 難である。  通常の公有財産等の管理は現在の組織を前提とするにしても、その上位で全 体を調整するために、以下の様な組織を整備する必要があると判断される。 1) 意思決定機関 これは公有財産等の全体方針等を決定するために必要な機  関である。実際の業務は別の機関にゆだね、最高意思の決定を行うことにな  るため首長をトップに、各部長級を入れた組織とすることが必要であろう。  一般企業でいえば取締役会といえる。 2) 第3者委員会 これは業務の内容・進捗状況等を外部の視点より監視する  機関である。この委員会には民間の知見や市民の目線を有する者も参加する  必要がある。またアセットマネジメントの内容を専門的に監視するために専  門知識を有する者の参加も必要である。具体的には建築・土木・地方行財政  の専門知識を有する者である。一般企業でいえば監査役会といえる。 3) 統括責任者 これは現在の行政組織で問題となる、いわゆる「縦割組織」  の弊害を取り除くために必要な機関である。各部署の個別最適化とならぬよ  うに、各部署の上位に位置するものが責任者として全体最適化の観点から業  務を取りまとめる責任を負担することになる。 4) 調整会議 担当部署だけでは業務の実効性が、あげにくい点を考慮して、  現在の岐阜市の中で全体調整的な業務を行っている財務・総務・企画等の機  能を有する各部署との協議の場を設け、業務の実効性を確保する必要がある。 5) 担当部署 実効性のある業務を行うためには権限と責任の明確化を図る必  要がある。この点から言えば現在の体制のままでは権限からいっても適正な  業務を行うことは困難であろう。 (5) 民間提案を活かす仕組みの創設  アセットマネジメントは、基本的に民間の知恵をベースにしたもので、官の 発想より起こったものではない。したがってアセットマネジメントを実現する ための具体的な方策の実行は、行政単独で成し遂げることは困難である。マネ ジメント手法の導入、建築・土木等の技術的な問題、施設の統廃合への民意の 反映、施設のあり方に関し直接保有によるのか、広域連合による保有とするの か等の経営的な判断、有効利用や資金調達に関する民間のアイデアやノウハウ
    など各種の知恵を導入することが必要となる場合がある。  また、アセットマネジメントの実施において、政策の決定と実施を分離し、 費用対効果などを考慮して実施は出来るだけ「民」に任せ、政策の決定は専ら 「官」が実行する場合、「官」が決めたことを、決めた通りに「民」が実施する 形になり「民」の自由な発想が生かしきれない問題がおこる。そのような弊害 を回避するために、民間提案を活かす工夫が必要である。事前に民間の意見を 聞いて、それらを取り入れた形で各種の意思決定を行う必要がある。  このような問題を回避するために考慮すべき点は、以下のようなものがある。 1) 民間提案を受け付ける制度の創設 2) 意思決定の過程に民間提案を取り入れて、意思決定を行う体制の整備 3) 第3者委員会による意思決定過程の監視 (6) 情報公開の実施  情報公開は、住民自治の観点からいっても、また今後、具体的な対策を講ず る上においても重要な事項である。現在は岐阜市の財政は健全であるとの認識 があるが、将来像の数値は把握できていない。今後、具体的な対策を講じてゆ く過程を定期的に市民に伝達してゆくことが必要である。  情報公開は、公有財産等の更新投資等に関する財政問題に市民が参加する契 機になる。今後、予想される施設等の統廃合、整備方法の決定、利用料金の決 定、管理運営方法の選択、民間の知識・知恵の活用等には市民の参加が必要で あり、市民と行政が関係情報と問題意識を共有することが必要である。  全国的にいえば、複数の自治体において「施設白書」などの名称で住民に情 報公開を実施している事例がある。公有財産の現状(施設でいえば、その状況、 運営費、利用実態、ト―タルコストなど)や将来の方針、予定、金額情報等を いろいろな角度より整理分析したものを情報公開することを検討するべきであ る。  以上で全体的な公有財産等の管理方法について記述したが、個別具体的な問 題点は各公有財産等により異なり、それぞれに対応した適切な管理を実施しな ければ有効な管理を行うことが出来ない。しかし、現在の段階では今後の更新 投資等の財政的な制約を具体的に検討した資料はなく漠然とした重大性は認識 し得るものの、岐阜市の財政に与える全体的なインパクトや、どの公有財産等 が大きな問題を抱えているかが判然としない。  したがって、公有財産等の今後の維持管理が岐阜市の財政にとって、どの程 度の重要な問題であり、その中で特に個別に検討すべき重要な公有財産等がど れかを確定するために、現在入手しうる資料と一定の仮定に基づいて独自にシ ミュレーションを行いその結果に基づいて個別の問題を確認することにした。 第2 岐阜市の財政状況と公有財産等の更新投資について 1 岐阜市の財政状況について (1) 歳入の状況について 岐阜市の一般会計の過去10年間の歳入決算額は以下の通りである。  歳入決算総額では、平成17年度まで減少傾向が続き、その後柳津町との合併 などにより平成18年度から増加に転じ、平成20年度から平成22年度にかけて 増加しているが、主たる増加要因は主に定額給付金、子ども手当制度等の国の 政策によるものである。 1) 交付税について  地方交付税は、社会福祉、教育、保健衛生等などの行政サービスが、地方公 共団体の財政力によって差が生じないように、国税として徴収した所得税等の 一定割合を財政力に応じて地方公共団体に再配分されるものである。地方交付 税のうち、普通交付税額は、「地方交付税法」第11条の規定により算定された基 準財政需要額から、「地方交付税法」第14条の規定により算定された基準財政収 入額を控除した額となる。国の地方交付税の財源が不足する場合、従前は地方 交付税特別会計にて国債を発行しその財源を補てんしていたが、平成13年度以 降は、地方自治体への配分は、不足した額のまま行われることとなった。その ため、地方交付税は国の地方交付税の財源と、岐阜市の歳入、歳出の状況によ り変動することになった。  なお、不足分については「地方財政法」5条の特例として、元利償還金が後年度 に地方交付税措置(基準財政需要額に含まれる)される臨時財政対策債の発行が 認められている。そのため、岐阜市においても臨時財政対策債を発行し、地方 交付税の不足額を補っている。  これらの関係を図示すると次のようになる。 2) 交付金・譲与税について  交付金は、県が徴収した税の一部が交付される、地方消費税交付金、利子割 交付金、自動車取得税交付金等及び国から交付される地方特例交付金等である。 また、地方譲与税は、法により国が国税として徴収し、一定の基準により地方 公共団体に譲与されている税で、自動車重量譲与税、地方道路譲与税等がある。 この交付金、譲与税が平成19年度に大きく減少しているのは、所得税から個人 住民税への税源移譲に伴い所得譲与税が廃止されたこと及び減税補てん特例交 付金の廃止によるものである。その後、減税補てん特例交付金の廃止の経過措 置が終了したこともあり減少傾向にある。 3) 国・県支出金について  国・県支出金は、国(県)が特定の事務に対し、地方公共団体に対して交付 するものである。国・県支出金は、主に市と国(県)が共同で責任を負う事務に 対して一定の負担区分により義務的に交付される国庫(県)負担金、国(県)が 特定の事業を奨励又は財政援助するために給付される国庫(県)補助金、本来 ならば、国(県)が実施すべき事務を市に依頼するために交付される国庫(県) 委託金に大別される。国・県支出金の使途はその目的とした特定の事務に限定 される。  国・県支出金の平成20年度の増加は主に定額給付金によるものであり、平成 平成22年度の増加は主に子ども手当によるものであった。 4) 市債について  市債は市が歳入の不足を補うために発行する債券であり、市の借入金である。 「地方財政法」第5条では、歳出の財源は、原則として地方債以外の財源とし、 市債は、原則として借換や公共施設又は公用施設の建設事業費等の財源とする ことができるとされる。平成16年度の市債による歳入の増加は、平成6~8年 度に国が実施した減税政策に伴う市税の減収を補うために発行された市債の償 還に際し、その財源として借換債を発行したことによるものであり、平成21年 度以降の増加は、臨時財政対策債及び借換債の発行により増加したことによる ものである。  市債残高の推移は次の通りである。  岐阜市では市債の発行を抑制しており、建設事業費等の財源となった普通債
    は、平成11年度をピークに減少しているのに対し、臨時財政対策債等は毎年度 増加し続けており、一般会計、普通会計の市債残高は増加傾向にある。臨時財 政対策債の元利償還金は、地方交付税の算定上、基準財政需要額に含まれるこ とになるが、国の歳入不足が解消しないかぎりは、臨時財政対策債の元利償還 金により基準財政需要額の増加→計算上の地方交付税額の増加→実際の交付金 額は増加しない→不足額の増加→臨時財政対策債の増加(1)の図参照)という 循環に陥ることにより、その結果、臨時財政対策債が増加し続けるおそれがあ る。  また、臨時財政対策債は、後年度に地方交付税で措置されるとのことである が、市の借入金であること、国の財政状態に鑑みると国から地方交付税措置さ れることに疑問があること、国の財政状態の更なる悪化につながることから、 臨時財政対策債についても抑制して起債すべきであると考える。この点、岐阜 市は、平成23年度には、臨時財政対策債の発行可能額74億円に対し、実際の 発行額を60億円とし、臨時財政対策債についても抑制的に起債されている。 5) 市税収入について  市税収入は、バブル経済の崩壊後の景気後退により、個人及び法人の所得の 減少、不動産評価額が下落したため、市税収入の大部分を占める市民税及び固 定資産税が減少することになり、長期にわたり減少傾向にあった。 平成18年度には景気が回復したこと、柳津町との合併による納税者の増加、平 成18年度、19年度に段階的に定率減税が廃止されたこと、平成19年度には所 得税から個人住民税への税源移譲等があったため、市税収入は増加することに なった。その後、リーマンブラザーズ破綻に端を発する金融危機により生じた 景気後退により、平成21年度、22年度には税収は減少しているが、平成23年 度は企業収益の改善により、法人市民税が増加している。歳入の4~5割を占め 市税税収入の各年度の内訳別推移は次のグラフの通りである。  市税収入で固定資産税が最も大きな割合を占めており、その課税対象となる のは土地、家屋、有形償却資産の評価額である。好景気の局面では、新規住宅 取得や企業の投資活動が活発になることから、課税対象である家屋や有形償却 資産が増加することや、土地取引が活発になり地価が上昇し、土地の評価額が 高くなることにより、固定資産税収入は増加することになる。なお、土地の固 定資産税評価額の改定は3年ごとに行われ、直近では、平成21年度に行われて いるが、この評価額の改定を受けて固定資産税収入が大きく変動している。  また、次に大きな割合を占めている個人市民税は、前年度の所得に応じて課 税される所得割と、所得に関わらず均等に一定額が課税される均等割から成っ ている。先述のように、柳津町との合併、定率減税の廃止、国税(所得税)から 個人市民税への財源移譲により、平成18年から20年にかけて、個人市民税は 増加したものの、その後の景気後退により減少している。  法人市民税も、法人税の額に応じて課税される法人税割と、資本金等の額及 び従業員数で一定額が課税される均等割から成っている。法人市民税の大部分 が法人税割であり、景気変動により増減するものであり、金融危機の際には大 きく減少し、その後の景気回復に合わせて増加している。 (2) 歳出の状況について  地方公共団体の経費は、事業の経済的な性質または行政目的の2つの観点か ら分類できる。岐阜市の過去10年間の一般会計の性質別の歳出決算額の推移は 次の通りである。  歳出決算額全体では、歳入決算額と同様に平成18年度には柳津町との合併な どにより、平成21年度には定額給付金支給、平成22年度子ども手当制度の導入 により増加してきた。平成23年度は、生活保護費の増加や子ども手当制度の拡 充などにより、引き続き扶助費が大きく増加したのに対し、人件費、公債費、投 資的経費、その他経費がいずれも減少したことから、歳出全体では減少となって いる。  市の事業を性質別に見た場合、職員の給与などからなる人件費、子ども手当 や生活保護などの経費である扶助費、市の借入金である市債の返済に充てられ る公債費、道路、河川整備、学校建設等のための投資的経費、その他の経費に 分類される。  これらのうち、人件費、扶助費、公債費は柔軟に削減することが難しいこと から義務的経費と呼ばれている。  市では、給料表の改定や職員定数の削減により人件費の削減に努めてきてお り、平成19年度をピークに団塊の世代の退職に伴う退職金が多額に生じたため 人件費が増加することになったが、平成20年度より人件費は減少している。  市債については、新たな市債の発行が抑制されており公債費の減少が図られ ている。これに対し、扶助費は、平成21年度以降、定額給付金、子ども手当等 の国の政策により増加したことを除いても、高齢化や景気の悪化による生活保 護費の増加などの影響で扶助費は増加傾向にある。人件費、公債費は大幅な縮 小は見込めないのに対し、扶助費の増加は今後も継続すると考えられるため、 義務的経費全体では増加することが推測される。  投資的経費は、東部クリーンセンターの完成した平成9年度以降、平成17年 度まで減少を続けていたが、平成18年度には、文化産業交流センターの取得及 び岐阜駅西地区市街地再開発事業などにより増加となり、平成22年度には、薬 科大学新学舎建設や一般廃棄物最終処分場建設などの大型事業が完了したこと から減少している。  その他の経費には、消耗品費や燃料費、施設管理の委託料などの物件費や公 共施設の維持補修に係る経費、公営企業など様々な団体への補助金が含まれて いる。  一般会計の行政目的別歳出決算額の推移は、以下の通りである。  市の事業を目的別に見ると、障がい者、高齢者、児童の福祉、生活の安全等 のための歳出である民生費、学校教育や社会教育の振興などのための教育費、 道路、公園、住宅の整備など土木費、徴税、庁舎や財産の管理などの総務費、 施設整備などのための借入金償還の公債費、商工業の育成や観光の振興などの 商工費、ごみ処理、健康増進、環境保全などの衛生費、国民健康保険や市民病 院などの特別会計や企業会計への補助金・繰出金の諸支出金、消防、議会運営 などのその他の8種類に大別される。歳出の目的別推移をみると、投資的経費 の割合が高い土木費の比率が減少し、高齢化社会の進展に伴い民生費が増加し ている。 2 今後の財政状況について  現在の状況を踏まえて、今後の財政状況を推測し、公有財産等の更新投資の 可否について検討する。 (1) 消費税増税の影響について  平成24年度に、消費税増税法案が可決され、消費税は5%から10%に増税さ れることになる。現在、消費税5%のうち、地方公共団体に交付されるのは、次 の図にあるように地方消費税1%と消費税(4%)のうち29.5%が地方交付税の 財源とされることから4%×29.5%=1.18%の併せて2.18%であった。これが
    今回の増税で、地方消費税が2.2%、地方交付税の財源とされる1.52%の併せ て3.72%と1.54%の増加となる。  消費税の増税の影響を具体的に検討する。まず、地方消費税の税率が1%か ら2.2%になる影響は、平成23年度の実績を基に4,112百万円×(2.2%-1%) /1%=4,934百万円の増収と算定される。  また、地方消費税による歳入の増加は、基準財政収入額の約38億円(平成24 年9月10日 市議会 定例会 市長答弁より)の増加となり、計算上の地方交 付税が同額減少することになる。  さらに、消費税が増税されることにより、市が負担する消費税も増加するこ とになる。市は、建物や備品、消耗品、委託料等に多額の支出を行っているが、 これらに対する消費税も5%増加することになる。平成23年度の性質別支出の うち、ほぼ全額が課税対象となると考えられる物件費が18,363百万円、維持補 修費が990百万円であり、普通建設事業費17,400百万円については、非課税取 引となる土地の取得が含まれており、仮に土地の取得が普通建設事業費の50% とした場合、消費税増税による歳出の増加額は次のように算定されることにな る。  課税売上額を集計し、これに対する非課税売上額を算定し、これに増税額の 5%を乗じると(18,363百万円+990百万円+17,400百万円÷2)÷105%×5% =1,335百万円となる。  その結果、地方消費税の増税による歳入の増加分が4,934百万円、この歳入 の増加による地方交付税の減少が3,800百万円、市が負担する消費税の増加分 1,335百万円となり、結果としては201百万円のマイナスとなる。  次に、地方交付税経由で市に交付される消費税について検討する。  地方交付税(計算上)=実際の地方交付税の交付額+臨時財政対策債の発行 額という関係において、増税により国の財政が改善したことにより、地方交付 税の交付額が増加することになるため、臨時財政対策債の発行額を減少させる ことができるが、地方交付税(計算上)の金額は影響を受けないため、岐阜市の 歳入の規模に与える影響はない。  したがって、消費税増税の収支に与える影響は、純額で約2億円程度であり、 消費税増税の直接的な収支に与える影響は小さいと思われる。 (2) 今後の歳入の見込みについて  市税収入以外の国庫支出金や交付金等は、国の政策に負うところが大きいた め、平成23年度の金額で推移すると仮定し、市税収入の推移を試算する。 1) 個人市民税について  個人市民税の大部分は、均等割ではなく、前年度の所得に対して課税される 所得割であることから、個人市民税の予測額は、課税対象となる所得の推移に 近似すると考えられる。課税対象となる所得は、納税者一人当たりの所得額に 納税者の人数を乗じたものであるため、納税者一人当たりの所得と納税者数に ついて検討する。次の表は、国税庁の公表している給与所得者の平均給与の推 移より、平均給与の増減率を算定したものである。  国税庁の公表によると、日本全体の平成23年度の給与所得者数が45,657千 人、その所得税額7兆5,529億円であるのに対し、所得税の確定申告者数が 21,853千人、所得税額2兆1,853億円となっており、給与所得者は確定申告者 の数では2倍を、所得税額では3.4倍を超えており、さらには医療費控除や株 式等の譲渡所得等の確定申告者には、かなりの人数が給与所得者と重複してい ると考えられる。そのため、人数も所得税額も給与所得者が大部分を占めるこ とから、給与所得者の平均給与の増減と1人当たりの所得の増減には相関関係 があると推定される。  そこで、今後も1人当たりの所得の増減が過去10年間と同様な傾向が続くと 仮定し、上記の表で算定された過去10年間の、給与所得者の平均給与の増減率 の年平均▲1.02%を、将来の1人当たりの所得の増減率とする。  また、市民税の納税者数は、主たる納税者と考えられる生産年齢人口(15歳か ら64歳) と同様の推移をすると考えられる。  上記グラフは、平成22年度に作成された岐阜市都市経営戦略会議資料 「岐 阜市の推計人口における年齢階層別人口」によるものであるが、生産年齢人口は 今後、継続的に減少していき、平成22年の253,962人から平成42年には205,165 人になり、19.2%減少するという予測がなされており、市民税の納税者も同様 に減少していくと考えられる。20年間で19.2%の減少は、毎年度0.88%(複利) ずつ減少していくことになる。 2) 固定資産税及び都市計画税について  土地にかかる固定資産税及び都市計画税は、固定資産税評価額を基礎に算定 される。土地の固定資産税評価額は、一般に公示価格の7割とされており、3 年ごとに評価が変更される。次のグラフは、最近の岐阜市の平均公示価格の推 移である。  この推移を見る限り、バブル崩壊後の地価下落は一旦、平成18年度で下げ止 まり、平成19年に上昇に転じたが、金融危機の影響により再度下落に転じ、現 在も下落傾向にあるといえる。社団法人岐阜県宅地建物取引業協会及び公益社 団法人岐阜県不動産鑑定士協会が実施した平成24年4月1日を基準とした「土 地価格と不動産取引の動向に関するアンケート調査結果」によると、短期の予測 であるが、地価は横ばい、またはやや下落するとした業者がほとんどであった。  地価は景気の変動の影響が大きく、長期的な予測は困難であるが、今後も現 在と同様に、地価が横ばいもしくはやや下落傾向が継続すると考えると、土地 にかかる固定資産税評価額も低く評価されることになり、固定資産税による収 入も減少していくことになると予測される。  バブル崩壊後の地価の調整が終了した平成18年から平成24年の平均公示価 格の増減率は▲5.7%であり、これは毎年度▲0.94%(複利)の増減率となる。  また、固定資産税に含まれる土地に対する固定資産税の比率は、公示価格の 増減と固定資産税の評価が変更される年度の固定資産税の増減の関係から、 51%と推定した。また、都市計画税についても同様に算定し、74%と推定した。 3) 法人市民税及びその他について  法人市民税については、景気変動により大きく増減するが、柳津町と合併し た平成18年度以降の平均である65億円で推移すると仮定した。また、その他 についても同様に45億円で推移すると仮定した。 4) 歳入のシミュレーションについて  1)から3)で算定若しくは仮定した数値に基づいて、一般会計の歳入の推移に ついて試算した。 (条件A)現在の趨勢に基づくシミュレーション  生産年齢人口の増減率   -0.88%/年  1人当たり所得の増減率  -1.02%/年  土地の評価額の変動率   -0.94%/年
    (条件B) 条件Aよりも厳しいデータに基づく。  生産年齢人口の増減率   -1.09%/年(平成17年国勢調査に基づく分析)  1人当たり所得の増減率  -1.42%/年(任意)  土地の評価額の変動率   -3.00%/年(平成23年度公示地価岐阜市全体) (条件C) 条件Aより楽観的な変数を採用。  生産年齢人口の増減率  -0.69%/年(平成22年の国勢調査に基づく分析)  1人当たり所得の増減率  1.00%/年(任意)  土地の評価額の変動率   1.00%/年(任意)  現在の、人口が減少するとともに1人当たりの所得も減少し、地価も下落し ていく状況が、現在のままで継続すると仮定(条件A)すると、5年後の平成28 年には31億円の歳入の減少となるが、さらに長期になると差額が拡大し、20年 後の平成43年には105億円の歳入の減少となる。また、現状よりも厳しい条件 Bに基づき、シミュレートすると、10年後には92億円の歳入の減少となる。一 方、人口の減少率を上回る個人所得の伸びがあるという楽観的な条件Cに基づ き、シミュレートすると歳入は増加し続けることになる。  これらの結果からいえることは、減少率の差こそあれ、人口が減少していく ことは確定的であり、原則として歳入は減少していくものであるということで ある。ただし、このシミュレートは、一般会計の歳入のうち、4割に過ぎない市 税収入について検討しているだけであり、地方交付税や支出金などを一定と仮 定しているが、国及び県の財政も厳しいことから、他の歳入についても減少し、 さらに厳しい財政状態となることも考えられる。 (3) 今後の歳出の見込みについて  1 (2)において人件費、扶助費、公債費からなる義務的経費について、今後 も増加することを推測されるとしたが、具体的に検討を行う。  人件費については、団塊の世代の定年による大量退職により多額の退職金が 生じていたが、大量退職のピークを過ぎたこと、そして職員の定数削減に努め ていることにより人件費が減少してきた。今後は、団塊の世代の定年退職のよ うな大量退職はないこと、現在、実施されている「行財政改革大綱2010岐阜市 行財政改革プラン」によると、重点改革項目の一つとして、職員の能力開発と 人事管理の項目があり、その中の取組項目として職員定数の適正化が挙げられ ており、その内容は、平成22年4月1日現在の職員定数3,842人から、5年後 の平成27年4月1日には3,647人と195人(5.1%)減らすものであることから、 人件費の減少傾向は継続するものと考えられる。  扶助費については、平成14年度から平成23年度まで継続的に増加している。 このうち平成22、23年度に著しく多額となっているのは子ども手当制度が導入 されたことによるものである。ただし、平成22、23年度について、子ども手当 支給額を控除しても扶助費は増加していく傾向にあるといえる。  公債費については、1 (1)4)市債について の表にあるように、市の市債の 発行を抑制する施策により、建設事業費等の財源となる普通債は減少する一方 で、地方交付税の不足を補うための臨時財政対策債が増加している。  しかし、臨時財政対策債については、先述したように消費税率の引上げによ り、国の財政が改善することにより、実際に交付される地方交付税の額が増加 することになり、その結果、臨時財政対策債の発行を減らすことが期待できる。 一方、普通債については、行財政改革の一環として市債の発行を抑制してきた が、老朽化した公有財産等の更新投資を行うに際して、資金が不足すること、 更新投資の対象となる公有財産等は長期間使用できる資産であることから、将 来の世代にも負担させるため、普通債を発行することになり、普通債が増加す ることも考えられる。  これらのことから、人件費は減少、扶助費は増加し、公債費は普通債の発行 額により増減することになるが、更新投資を考慮すると、公債費も増加し、義 務的経費全体として増加していくと推測される。  その他の内容には、繰出金、補助費、物件費、積立金等があるが、積立金は、 年度間の財源不均衡の調整や将来の特定の目的のための積立であり、他の歳出 と性質が異なるものである。また、平成21年度には補助費に定額給付金が含ま れていた。これらを控除したその他の過去5年間の推移は、次の通りである。  積立金等を除いたその他の推移をみると、その他は毎年度増加しているとい える。その主たる要因は、行財政改革の一環として、民間活力の利用や職員の 削減を行ってきたことから、委託や指定管理者制度の導入により物件費が増加 していることが挙げられる。市は現在も、行財政改革を進めており、今後も物 件費及び物件費を含めたその他は増加していくことが予想される。  したがって、歳入が減少していくことが予想され、他方、義務的経費及びそ の他の歳出が増加すると考えられることから、公有財産等の更新に使用できる 投資的経費は限られることになる。 3 更新投資の必要性及びその時期について  平成23年度の岐阜市の貸借対照表によると、普通会計ベースで事業用資産が 186,445百万円、インフラ資産が511,243百万円、売却可能資産が18,520百万 円となっており、連結ベースで公共資産は、事業用資産が228,996百万円、イ ンフラ資産が708,304百万円、売却可能資産が22,744百万円となっている。  土地を除き、これらの資産は時の経過とともに老朽化し、いずれは公共の用 に供することができなくなる。その時点で、当該資産を公共の用に供する必要 性があるのであれば、引き続き使用できるよう、当該資産について更新投資を 行う必要がある。  下記のグラフは、岐阜市における建物の面積を建築年度別に集計したもので ある。ここからは、昭和40年以降、昭和55年頃をピークに、多く公共施設が 建設されてきたことが分かる。建物の耐用年数を50年とすると、間もなく昭和 40年に建設された公共施設の耐用年数が到来することになり、その後20年の間 に更新投資が集中することが予測される。                建物の取得年度別面積                           (公有財産台帳より)  建物以外の資産についても同様に、更新投資の時期が近づいていると考えら れ、貸借対照表上の金額から更新投資には多額の費用が必要になることが予測 されるが、岐阜市ではこれらの更新に必要な費用及びその時期について把握さ れていない。 4 更新投資のシミュレーションの方法について  「(1)更新投資の基礎資料について」では、更新投資の基礎となった資料である 公有財産台帳と財務4表の固定資産台帳について、「(2)更新投資のシミュレー ションの対象」では、更新投資シミュレーションの対象となった公有財産等につ いて、「(3)更新投資のシミュレーションの方法について」では、更新投資のシ
    ミュレーションの対象とした公有財産等について、各公有財産にどのように再 投資額を算定したかの説明を行っている。 (1) 更新投資の基礎資料について  更新投資のシミュレーションにあたり、対象とする公共施設等を把握するた め、資産を管理する台帳について検討する。市には、建築物等に関する台帳と して、「公有財産台帳」と「固定資産台帳」がある。  「公有財産台帳」は、普通地方公共団体の所有の属する不動産、船舶、地上権、 特許権等(「地方自治法」第238条)の公有財産について、その種類及び区分に 従い調製され保管されるものである(「岐阜市公有財産規則」第53条)。  一方、「固定資産台帳」は、新地方公会計制度の総務省基準モデルに基づくも のであり、民間企業会計の考え方と会計実務を基として、インフラ資産等、地 方公共団体特有の条件を加味して作成された台帳である。  岐阜市における「公有財産台帳」と「固定資産台帳」の違いは次の点にある。 1) 対象とする資産の範囲  「公有財産台帳」は、土地、建物等の不動産の管理が主であるが、別途、調製 が必要とされる公園台帳、河川台帳、道路台帳に含まれる資産については対象 外となっている。これに対して「固定資産台帳」は、市が所有する資産全てを対 象としており、公園台帳、河川台帳、道路台帳に含まれる資産も対象となって いる。公営企業である水道事業、下水道事業、市民病院事業等に関しては、固 定資産について「固定資産台帳」に登載するのではなく、各公営企業会計で作成 されている「固定資産台帳」を使用している。 2) 金額情報について  「公有財産台帳」は、「公有財産規則」第54条において、購入に係るものは購入 価格等、登録すべき価格について定めがあるが、実際に市の公有財産台帳シス テムから建物を抽出したデータを閲覧したが、全2,537件中のうち1,962件に ついては金額情報が0となっており、大半の建物について金額情報が入力され ていない状態であった。これは、公有財産に関する数値は、市の決算において、 財産に関する調書として公表されるが、有価証券及び出資を除き金額情報は含 まれておらず、面積等が開示されるのみであるためと考えられる。なお、登録 されている金額は取得価額である。  一方、「固定資産台帳」は、新地方公会計制度における貸借対照表作成の基礎 となる資産の金額を集計するために作成されており、金額情報が台帳の主たる 情報である。なお、市では新地方公会計制度による財務4表を平成20年度より 作成しているが、「固定資産台帳」は平成19年度以前に取得した資産については 再調達価額で算定されている。 3) 付随費用等について  資産の取得には、資産そのものの購入対価の他に、設計費用、設置費用等の 付随費用が発生する。「公有財産台帳」上の資産価額は、これらの付随費用が含 まれないが、企業会計と同様に資産の価額を把握する「固定資産台帳」では、 付随費用を資産の価額に含めている。  また、「公有財産台帳」では、面積が増加する改修、修繕については記録され るが、面積が増減しない改修等については台帳に記載されていない。これに対 し、「固定資産台帳」では、改修等であっても、資産の機能向上や耐用年数の向 上となるようないわゆる資本的支出については、固定資産として計上されてい る。 (2) 更新投資のシミュレーションの対象  更新投資のシミュレーションの目的は、今後、市が負担することが必要とな る更新投資について、その時期と金額について概算し明示することにある。そ のため、当該シミュレーションを行うにあたり対象とした資産は、更新投資額 が多額になるような資産であり、その更新の周期が比較的長期になるものを対 象とした。具体的には、建物、道路、橋梁、トンネル、河川、ごみ処理場等の プラント、駅前整備、上下水道事業の配管及び設備を対象とした。 (3) 更新投資のシミュレーションの方法 1) 建物について  建物の更新取得に要する価額は、建物の延べ床面積に工事単価を乗じて算定 することとした。建物の面積は、公有財産台帳に記載されている延べ面積を使 用した。ただし、一部の市営住宅のように、用途廃止が決定し更新が行われな いことが確定しているものについては除外した。  また、工事単価については、下表の国土交通省が公表している平成23年度の 「建築着工統計調査 第3表 着工建築物:用途別、構造別-建築物の数、床面 積の合計、工事費予定額」より、用途 公務用建築物 の構造別の工事予定額 を床面積の合計で除して算定している。本来であれば、用途別の工事単価を使 用すべきであるが、現在使用されている公有財産台帳には、部署別の一覧表を 抽出する機能がなく用途別に分類することが困難であるため、建物を一律に公 務用建物の単価を使用することとした。なお、通常、公有財産台帳に登載され ている建物について構造が記載されるが、構造が未記入のケースもあり、その 場合、鉄骨造と同じ耐用年数とした。  更新のタイミングは税法上の耐用年数到来時としたが、一般に建物は耐用年 数が到来するまでに大規模修繕が行われると考えられる。なぜなら、建物の空 調設備及び給排水設備等の建物付属設備は、耐用年数は建物本体よりも大幅に 短い15年程度であり、また、外観や内装の維持のための投資も必要になるから である。さらに、建築時には社会的、経済的な環境に適合した建物であっても、 建物の耐用年数が長いことから、環境が変化し建物に求められる機能や形態が 変化することになることから、建物を有効活用するためには、環境の変化に対 応するための投資が必要となる。  この大規模改修の時期は、建物及び建物付属設備の耐用年数を考慮して、建 築後30年とした。なお、既に大改修の時期が到来している建物については、公 有財産台帳上、反映されていないため既に大改修がなされているものとして扱 った。また、大規模修繕に要する1m2当たりの単価は、建物の状況ごとにかな り差異があると考えられるが、財団法人自治総合センターの「地方公共団体の 財政分析等に関する調査研究会報告書」1.基本的な考え方 (5)更新投資の 設定の考え方 において、通常建替えの5~6割とされていることから、本シミ ュレーションでは建替えの5割とした。 2) 橋梁、トンネル、河川、ごみ処理場等のプラント(建物以外)、駅前整備に  ついて  上記資産について、更新取得に要する価額は、固定資産台帳から算定される 金額とした。  (1) 2) 金額情報について に記載したように、固定資産台帳に登載されて いる資産のうち、平成19年度以前取得の固定資産については、平成20年度の 再調達価額で算定されており、平成20年度から平成23年度にかけてのデフレ ーターの変動も僅かであることから、固定資産台帳上の金額を更新投資額とし た。
     なお、更新のタイミングは、固定資産台帳に登録されている耐用年数とした。 3) 道路について  道路は、上層のアスファルト舗装について適切な状態を維持していれば、ア スファルトの下の路盤の劣化が防止できるとのことであり、道路の基礎となる 路盤からの更新は想定せず、アスファルト舗装の更新を行っていくものとした。  更新投資額の算定の基礎となる、更新の対象は、道路現況調査の道路面積の 道路部とした。現在、市で行われている舗装はAs高級舗装とas簡易舗装の2 種類があるが、各舗装種類の面積を次のように算定した  道路は一級、二級、その他、専用道路と級別に区分され、それぞれ舗装の種 類により延長及び面積が把握されているが、舗装の種類ごとに道路面積は把握 されていないため(下記、道路現況調書参照)、級別に舗装の種類の延長の比率 を算定し、この比率を用いて、道路の舗装の種類ごとの面積とした。なお、未 舗装道路については比率が低いため比率算定から除外し、セメント舗装につい てはセメント舗装で更新することはなく、As高級舗装で更新するとのことで あるため、As高級舗装に含めて比率を算定している。  As高級舗装とas簡易舗装の1m2当たり単価は、平成23年度工事実績であ る4,261円/m2、3,817円/m2とした。  舗装面の耐用年数は、税法上は10年とされるが、再舗装は一定の間隔で行う のではなく、舗装の損耗の程度に応じて行われており、実際の耐用年数は17年 程度とのことであるため、耐用年数は17年とした。また、道路の改修工事の履 歴について、個別には確認することは可能であるが、市全体で改修工事が実施 された年度ごとに集計したものがないこと、また改修工事が比較的短期間に繰 り返し行われることから、道路の建設及び過去の改修年度を把握して、これに 耐用年数を加えた年度に更新投資を行うものとして算定するのではなく、道路 全体の再舗装を行った場合の費用の17分の1を年度の更新費用とした。 4) 水道事業、下水道事業に係る資産について  水道事業及び下水道事業については、公営企業会計が適用されており、従前 より固定資産台帳が整備されている。このうち、建物については、公有財産台 帳に含まれているため除外し、その他の主たる資産について更新投資額を算定 した。  水道事業における配水管等の構築物、下水道事業における下水管渠等の構築 物が主要な資産である。公営企業会計における固定資産台帳の価額は、原則と して取得原価で記録されており、固定資産台帳の金額は取得時の価額で物価変 動を考慮していない。そのため、更新投資額は、資産の取得価額に、国土交通 省が公表している建設工事費デフレーターを利用し算定した。  建設工事費デフレーターは、建設工事に係る名目工事費額を基準年度の実質 額に変換するための指数であり、基準である平成17年度(2005年度)を100と して算定されている。具体的には、下水道工事の1970年度の建設工事費デフレ ーターの指数が35.3となっているが、1970年度の取得価額に100/35.3を乗じ ることにより2005年度の実質額に変換することができる。これを利用し、次の ように再投資額を算定している。 (例)固定資産台帳の取得1970年度、取得価額30,000千円の下水管渠工事  更新投資額=取得価額30,000千円÷1970年のデフレーター 35.3              ×2011年のデフレーター 105.3       =89,490千円(2011年度に取得した場合の価額)  なお、水道は該当する建設工事費デフレーターがない年度については、水道 についてより上位のデフレーターであるその他土木のデフレーターを使用し、 上位のデフレーターにもない年度については、最も古い年度のデフレーターを 使用する。構築物の他に、ポンプ等の機械及び装置も相当額保有しており、こ れらについても更新投資額の算定に含めた。ただし、機械及び装置の耐用年数 は15年であり、構築物等と比較すると短いこと、機械及び装置についてはデフ レーター等が公表されていないが、建設工事費デフレーターの変動からは、大 幅な物価変動はないと推測されることから、機械及び装置については、固定資 産台帳の取得価額を持って更新投資額とした。  更新投資の時期は、構築物、機械及び装置のいずれも固定資産台帳に記載さ れた耐用年数到来時とした。 5) 更新年度を経過している資産の更新投資について  シミュレーションで仮定した、更新年度を経過している資産に係る更新投資 については、今後、10年間で更新投資を実施するものと仮定した。 5 更新投資のシミュレーション(公営企業会計を除く)について  これは、上記 4 更新投資のシミュレーションの方法について に基づき、 算定した年度ごとの更新投資額(公営企業会計を除く)である。  このシミュレーションの結果によると、必要な更新投資額は平成50年度には 35,256百万円、平成51年度には10,340百万円と年度により大きく変動するこ とになる。これは、耐用年数が到来した年度に全額、更新投資を行うことを前 提として、各年度の更新投資額を算定しているためである。ただし、実際には 耐用年数が到来した場合に、公有財産等が直ちに使用ができなくなるわけでは ないこと、更新投資を前後にずらして行うことが可能であることから、上記の 表で更新投資が行うとされる年度の前後5年間の平均を、年度毎の更新投資額 としたものが次の表及びグラフである。  これにより平準化され、更新投資のピークは平成45年度の20,829百万円と なる。なお、平成46年度以降減少していくが、平成23年度以降取得した資産 の更新投資が加わるため、実際にはこの表、グラフほどは減少しないと考えら れる。  次の表は、直近5年間の普通会計による道路、橋梁、庁舎などの公共施設等 を取得するための普通建設事業費及び固定資産台帳に資産計上された公有財産 等のうち、更新投資及び一定規模(元の資産の取得価額の10%)以上の改修等(以 下「更新投資」という。)を抽出したものの推移である。  この普通建設事業費の推移をみると、普通建設事業費は更新投資に必要な額 を超過しており、普通建設事業費をもって更新投資を行うことが可能だと思わ れる。しかしながら、実際、普通建設事業費は、更新投資に対して支出される よりも、公有財産等の新規取得や、日常的に行われる施設設備の改修に使用さ れるのが大部分である。一方、更新投資の額は、少ない平成20年度は1,564百 万円、多額となった平成22年度においても3,968百万円にすぎない。なお、平 成22年度に多額の更新投資が行われたのは、同年度に境川中学校の校舎の一部 を給食共同調理場とする大規模な改修が行われたこと及び、統合された金華小 学校、京町小学校に代わり新たに岐阜小学校の校舎を新設したことによるもの である。
     また、普通建設事業費から更新投資を控除した差額は、拡張投資及び小規模 な修繕(以下、拡張投資等という。)と考えられる。  次のグラフは、今後も過去5年間(平成19年度から平成23年度)の拡張投資 等の平均額を維持し、かつ必要な更新投資を行った場合の普通建設事業費のグ ラフである。  現状では、更新投資に充てられている普通建設事業費の額は、過去5年平均 で25億円に満たないが、更新投資に必要な額は年間150億円を超過している。 更新投資に充てられている金額では、十分な更新投資を行われることなく公有 財産等の使用が継続されることになるため、公有財産等の機能を維持すること が困難になることや、安全面で支障がでるおそれがある。  次に、現在の拡張投資等を維持しつつ、必要な更新投資を行うとした場合に は、普通建設事業費として必要な額は年間300億円を超過することになる。そ の場合、現在の普通建設事業費の額では100億円以上不足することになり、両 者を同時に行っていくことは不可能である。  さらに、2 (1)今後の歳入の見込みについて の歳入のシミュレーションの 結果では今後、市税収入が減少していくことが予想されるが、この市税収入の 減少額の50%を普通建設事業費の削減で対応すると仮定すると、普通建設事業 費は上記のグラフのような推移するものと試算される。その結果、平成37年位 には拡張投資を除いた更新投資の必要額よりも普通建設事業費が小さくなるこ とが予想される。  岐阜市として公有財産等の長寿命化を図り、更新投資の時期を分散させるこ とで短期間に多額の更新投資の負担を回避することを企図しているが、現在の 更新投資額では更新投資の必要額の4分の1にも満たず、長寿命化だけでは対 応できないと考えられる。  そのため、普通建設事業費は、これまで公有財産等の拡張投資等が主で、更 新投資の比率は低いものであったが、今後は更新投資を主とすることが必要で ある。  また、歳入のシミュレーションの結果のように、人口が減少することにより、 市の歳入は減少していくと考えられ、必要となる歳出については、高齢化等に よる義務的経費の増加、職員削減や民間活力の利用を進めていくことにより、 委託、指定管理料等が含まれる物件費も増加していくと考えられる。この歳入 が減少し、他の歳出が増加していく状況にあっては、普通建設事業費に使用で きる予算は減少していくことになるはずである。拡張投資について抑制するこ とは当然のこととして、更新投資についても、既存の公有財産等について全て 更新するのではなく、より有用な公有財産等を優先的に更新することが求めら れる。そのためには、公有財産等の有用性を把握するため、利用状況や、公有 財産等を使用するコストを把握することが重要である。  そして有用性が高いと判断されて拡張投資、更新投資を行う場合であっても、 その有用性は永久に続くとは限らないため、他の目的にも使用できるような仕 様として建設することが望ましいと考える。例えば、新興住宅地に学校が建設 され30年、40年経過すると年少者の減少により、余裕教室が多数発生している。 これらの教室については、現状では主に学校で特別教室として使用されており、 利用度の高いとはいえない教室もあるが、元々、学校として建設されたもので あるため、学校以外の施設に転用することは容易ではないとのことである。そ こで、あらかじめ建設時から、他の用途にも使用することを前提に建設がなさ れていれば、建設時の有用性が低下したとしても、他に転用することにより、 公有財産等の有用性を保つことができると考える。  一方、有用性が低いと判断され更新投資の対象から外れる公有財産等につい ては、近隣の類似施設に統合することや、類似しなくとも利用可能な施設を利用 できるようにすることにより、利用者の便益が損なわれない様にすることが求 められる。 6 更新投資のシミュレーション(公営企業会計を含む)について  これは、耐用年数到来時に必ず更新投資(公営企業会計を含む)を行うとし た場合に、算定された年度ごとの更新投資額である。  公営企業会計を含まない場合と同様に、平成50年度には41,751百万円、翌 平成51年度には19,413百万円と試算されるなど、年度ごとの増減が激しいた め、前後5年間の平均にすると次のようになる。  公営企業を加えたことにより、更新投資額が大幅に増加しているが、岐阜市 全体で更新投資を検討する場合、これらの公営企業を含めて検討する必要があ る。  岐阜市には、市民病院事業、中央卸売市場事業、水道事業、下水道事業の4 つの公営企業があるが、このうち多額の資産を有する水道事業及び下水道事業 の更新投資について検討する。 7 水道事業の更新投資について (1) 水道事業の主な公有財産等について  水道事業の重要な施設、設備は、水源地の水源井、取水ポンプ、配水ポンプ、 浄水設備、送水するための加圧ポンプ施設の加圧ポンプ、配水池、配水管等で ある。水道事業の平成22年度の固定資産台帳上では、建物は1,542百万円(取 得価額ベース。以下、同様。)、構築物(配水管、同付属設備、配水池等)が74,200 百万円、機械及び装置(ポンプ設備、浄水設備等含む。)は8,658百万円となっ ている。 (2) 水道事業の更新投資額  水道事業の更新投資のシミュレーションを実施した結果、年度ごとの更新投 資額は次の通りである。  平成25年度から平成64年度の40年間の更新投資額の平均は2,416百万円で あり、平成47年度から平成53年度にかけて更新投資が多額となるのは、平成7 年度から平成14年度にかけて、給水区域の拡大のため、毎年度約10億円近い 配水管の布設が行われており、これらが更新時期となるためである。なお、平 成25年度から平成35年度にかけて、更新投資額が比較的多いのは、既に耐用 年数が到来しているものの更新を、平成25年度から10年間で実施するものと したためである。また、平成61年度以降に金額が少額となるのは、更新投資の 算定の基礎とした固定資産台帳が平成22年度のものであること、主要な資産の 耐用年数が38年以下であり、平成23年度以降に取得した資産の更新投資を反 映させていないためである。  これに対し、実際の平成22年度の更新投資額は、整備工事費の778百万円、 布設替工事が含まれる配水施設保存工事費171百万円の合計949百万円である。 この更新投資額実績は、平成54年度までの30年間の更新投資額の平均2,844 百万円に対して年平均約19億円不足することになる。また、この必要とされる 更新投資額は平成22年度の料金収入5,119百万円(消費税抜き)の50%を超え る規模である。
    (3) 更新投資を行った場合の損益計算と収支計算シミュレーション (シミュレーションの前提)  1) 平成27年度までは、計画(平成24年6月時点)が策定されているため   平成28年度以降を対象とする。  2) シミュレーションの結果を表示するのは、原則として初年度である平成   28年度、以後平成32年度、37年度、42年度・・・と5年置きとする。ただし、   損益計算が赤字になるケースや、水道料金の値上げを反映させた年度は、   表示することとする。  3) 各項目に用いた仮定  ア) 水道料金収入     平成24年度から平成27年度(計画)までの年減少率の平均▲0.69%で    減少するものとする。これは、人口の減少及び節水型の設備が増加してい    ることによると考えられる。  イ) 一般会計補助金(収益的収入)、受託工事収益、その他収益     平成27年度の計画の金額とする。  ウ) 人件費     毎年度、1%ずつ減少とする。  エ) 物件費・動力費     水道料金収入に比例的に発生すると考えられるため、平成23年度から    平成27年度(計画)の水道料金との対応関係から、水道料金の19.52%    とする。なお、値上げをした場合、値上げ分は物件費等に影響させない。  オ) 減価償却費     平成23年度以前取得分については、上下水道事業部算定の償却予定額    を使用する。平成24年度以降取得分については、更新投資の対象とした    資産の耐用年数の加重平均である36年を基礎に減価償却費を算定する。    また、減価償却の対象とならない残存価額(取得価額の10%)について    は、当該資産が除却される際に費用となるため、これを減価償却費に加    味する。  カ) 受託工事費、特別損失     平成27年度計画の金額とする。  キ) 企業債     ・償還金 既発分については償還計画に基づき、新規分については5          年据置後25年分割償還とする。     ・発行額 収支が均衡するように発行するものとし、発行時期につい          ては全て年度末とする。     ・利息  既発の企業債に係る利息については、上下水道事業部算定          の支払利息の予定額を使用する。新規発行分の利率は、平          成27年度計画の支払利息等と平成26年度計画の企業債残          高の比率である2.4%を使用する。また、企業債は全て固定          金利で発行するものとする。  ク) 建設改良費       現在の設備を維持更新することを前提としており、新たな配水管      等の設置は考慮しない(拡張投資は行わないものとする。)。更新投      資のシミュレーションの金額を使用する。  ケ) 一般会計補助金(資本的収入)、負担金、その他      平成27年度計画の金額とする。 1) 金利等を現在と同水準とした場合  更新投資をシミュレーションの通りに行うと、平成39年度にいったん赤字に なるものの、減価償却額の減少もあり、翌年度には黒字となる。しかし長期的 には、水道料金が減少していくこと、更新投資により減価償却費も増加に転じ ることなどもあり、平成44年度以降は赤字が継続することになる。  赤字となる平成44年度に、水道料金を10%値上げした場合は、次のようにな る。  現状が継続することを前提とすると、このシミュレーションでは水道事業は当 面は黒字が予想され、赤字が予想される平成44年度に10%値上げを行えば、概 ね30年は黒字を確保し、企業債残高も大きく増加することはないといえる。 2) 平成27年度発行企業債より金利が4.0%に上昇した場合  金利が4.0%に上昇した場合であっても、企業債は既発のものについては、固 定金利であるため、直ちに金利負担が大幅に増加するわけではないが、金利上 昇後に起債された企業債の占める割合が高くなるにつれて、支払利息が大きく なり損益を圧迫することになる。その結果、金利が上昇しても、当初は黒字を 維持できるが、平成31年度には損益計算が赤字となり、その後も赤字が拡大し、 更新投資が増加することもあり、平成47年度以降は企業債が急増することにな る。そのため支払利息が増加し、さらに損益が悪化する循環に陥ることになる。  そこで、赤字となる平成31年度に、水道料金を10%値上げした場合、次のよ うな結果となる。  水道料金の値上げにより、その後の企業債の発行を抑制できたため、支払利 息の増加を軽減でき、以降15年間は黒字を維持できることになる。 3) 平成27年度発行企業債より金利が7.0%に上昇した場合  平成27年度発行企業債より金利が7.0%となると、平成29年度には赤字とな り、平成44年度には赤字額が減価償却費を超過し、水道事業で資金を生み出す ことができない状況となり、そのままの状態では平成57年度には企業債残高が 1,195億円を超過することになる。  平成28年度に、水道料金を10%値上げした場合は、次の結果となる。  水道料金を10%値上げしても、6年後の平成34年度には赤字となる。  そこで、赤字となる年度に10%ずつ値上げを行った場合(Aとする。)は次の ようになる。 A 赤字となる年度に10%ずつ値上げをした場合  赤字とならないように10%ずつ水道料金の値上げを行うと、平成28、34、45、 50、57年度に値上げを行うことになる。最終的には平成27年度当初からは61% の値上げとなるが、企業債残高も増加することなく、一定の水準にとどまって いる。  次に、金利上昇に対して平成28年度より24%値上げした場合(Bとする。)を 試算してみる。 B 平成28年度より24%値上げした場合  金利の上昇と同時に、水道料金を24%値上げした場合、企業債の発行を抑制
    できるため、平成28年度以後、平成57年度まで値上げをしなくとも黒字を維 持することができる。  水道料金の値上げの幅として10%や24%は、市民からは大幅な値上げと認識 されるおそれがあるため、黒字となるように一定率の値上げを毎年度実施する (Cとする。)と仮定すると、毎年度の値上率は次のように1.7%となる。 C 毎年度、一定率(1.7%)の値上げをした場合  次の表は、金利を7.00%と仮定し、赤字とならないように値上げを行う上述 のA、B、Cの3つの場合について、平成28年度から平成57年度までの水道 料金合計、企業債残高、支払利息合計を比較した表である。  この3者を比較すると小刻みな水道料金の値上げである、A、Cよりも、B の方が、過去に支払った水道料金合計や、将来の支払いとなる企業債残高は小 さくなり、有利であると判断される。つまりBでは最初に24%値上げしたため、 企業債の発行を抑えることができ、支払利息の負担がより軽減されたことによ るものである。 (4) 更新投資及び収支シミュレーションの結果(監査の指摘及び意見) 1) 更新投資について(指摘)  水道事業の更新投資については、ある程度の更新投資はなされているが、耐 用年数が到来した全ての公有財産等について、更新投資がなされている訳では ない。特に長期的に更新投資が不足する場合、公有財産等の十分な機能の維持 ができないことや、水道管の破損による道路陥没が発生し重大な事故につなが るおそれがある。長期的に必要となる更新投資について、どのように更新投資 を行い、またその財源はどのようにするかについて計画を策定する必要がある。 2) 収支シミュレーションの結果について(意見)  シミュレーションを実施した結果から、時の経過とともに赤字に陥ることと、 金利の影響が大きいことが分かる。時の経過とともに赤字に陥るのは、水道料 金収入が減少することと、減価償却費が増加することが主な要因であり、人口 が減少する見込みである以上、今後も継続的に水道料金収入は減少することに なると考えられるため、現状のままでは、損益の黒字を維持することは困難と なる。  また、金利の影響については、金利が上昇しても、当初は既発の企業債の割 合が高いため、その影響は大きくない。しかし、時の経過とともに金利の高い 企業債の割合が高くなり、損益が圧迫されることになる。金利が上昇した場合 に、水道料金の値上げ等を行わないとすると、支払利息の増加により損益が悪 化し、資本的支出の原資が不足することになり、企業債の発行額が増加するこ とになる。これによりさらに支払利息が増加するという循環に陥ることになる。  そこで、水道料金収入の減少への対応や企業債の発行を抑制するため、水道 料金の値上げ若しくは一般会計の負担を増やすことが考えられるが、現在の財 政状況を考慮すると、水道料金の値上げで対応することが適切だと考えられる。  なお、水道料金の値上げの方法は、損益計算で利益を確保できる程度の値上 げを複数回行うことや毎年度、一定率の値上げを行うよりも、最初に多額の値 上げを行った方が、企業債の発行をより抑制できるため、その効果が高く、結 果として市民の負担する水道料金を減らすことができると考えられる。  以上より、市民の負担を最小限にとどめるように、適宜、水道料金の値上げ を行うことが望ましい。 8 下水道事業の更新投資について (1) 下水道事業の主な公有財産等について  下水道事業の主要な施設、設備は、下水処理プラントの建屋、下水管渠、ポ ンプ場、プラント設備等である。下水道事業の平成22年度の固定資産台帳上で は、建物が13,700百万円(取得価額ベース。以下、同様。)、構築物(下水管渠 等)が121,579百万円、機械及び装置(プラントの各種設備等)が25,586百万円 となっている。 (2) 下水道事業の更新投資額について  下水道事業の更新投資のシミュレーションを実施した結果、年度ごとの更新 投資額は次の通りである。  平成25年度から平成64年度の更新投資額の平均は3,623百万円であり、平 成56年度から59年度の4年間は毎年度、5,000百万円を超え、平成35年度と 平成56年度には7,500百万円を超過することが試算されている。なお、平成35 年度に著しく増加しているのは、平成15年度取得の北西部プラントの設備が耐 用年数になるためであり、平成56年度に著しく増額するのは、平成6年度に整 備された東部第一、第二処理分区、芥見処理分区等の多くの下水管渠が耐用年 数を迎えるためである。  これに対し、平成22年度の更新投資の額は、区分上は拡張工事に含まれてい るが、プラント設備更新工事が主である下水処理施設工事費2,573百万円、下 水管渠設備改良費96百万円、下水処理設備改良費52百万円、下水管渠布設替 工事が含まれる下水管渠保存工事費211百万円の合計2,932百万円である。こ の更新投資額の実績は、必要とされる平成64年度までの40年間の更新投資の 平均3,623百万円に対して、年平均約7億円不足することになる。なお、この 必要とされる更新投資額は、平成22年度の料金収入5,006百万円(消費税抜き) の70%を超える規模である。  また、平成22年度の固定資産台帳で下水管渠が資産の過半を占めているのに 対して、下水管渠の更新投資は下水管渠設備改良費95百万円、下水管渠保存工 事費211百万円の合計306百万円に過ぎない。下水管渠のうち、耐用年数が到 来しているのは20億円程度であることから、現在の更新投資額が著しく不足し ている訳ではないが、下水管渠等の将来の更新投資額は次の通りである。  下水管渠等が耐用年数通りに更新が必要となった場合、平成32年度からは更 新投資額が急増することになり、平成25年度から平成64年度までの平均で 2,532百万円の更新投資が必要となる。長寿命化により耐用年数を現在の50年 から70年としたとしても、年平均1,808百万円の更新投資が下水管渠等に対し て必要となるため、多額の更新投資が発生することを前提に将来計画を策定す る必要がある。 (3) 更新投資を行った場合の損益計算と収支計算シミュレーション  (シミュレーションの前提)  1) 平成27年度までは、計画(平成24年6月時点)が策定されているため   平成28年度以降を対象とする。  2) シミュレーションの結果を表示するのは、原則として初年度である平成   28年度、以後平成32年度、37年度、42年度・・・と5年置きとする。ただ  し、損益計算が赤字になるケースや、下水料金の値上げを反映させた場合  等には、表示することとする。
     3) 各項目に用いた仮定  ア) 下水料金収入      下水道の整備が進んだことにより、大幅な処理人口の増加する計画が     ないことや人口の減少及び節水型の設備が増加して水の使用量自体が     減少していることから、平成25年度から平成27年度(計画)までの     年減少率の平均▲0.38%で減少するものとする。  イ) 一般会計補助金(収益的収入)、受託工事収益、その他収益      平成27年度の計画の金額とする。  ウ) 人件費      毎年度、1%ずつ減少とする。  エ) 物件費・動力費      下水料金に比例的に発生すると考えられるため、平成23年度から平     成27年度(計画)の下水料金との対応関係から、下水料金の30.54%     とする。なお、値上げをした場合、値上げ分は物件費等に影響させない。  オ) 減価償却費      平成23年度以前取得の試算に係る減価償却費については、上下水道     事業部作成の償却予定額を使用する。平成24年度以降取得分について     は、更新投資の対象とした資産の耐用年数の加重平均である44年を基     礎に減価償却費を算定する。また、減価償却の対象とならない残存価     額(取得価額の10%)については、当該資産が除却される際に費用とな     るため、これを減価償却費に加味する。  カ) 流域維持管理負担金、受託工事費      平成27年度計画の金額とする。  キ) 企業債     ・償還金 既発分については償還計画に基づき、新規分については5          年据置後25年分割償還とする、     ・発行額 収支が均衡するように発行するものとし、発行時期につい          ては全て年度末とする。     ・利息  既発の企業債に係る支払利息については、上下水道事業部          作成の支払利息の予定額を使用する。新規発行分の利率は、          平成27年度計画の支払利息等と平成26年度計画の企業債          残高の比率である2.25%を使用する。また、企業債は全て          固定金利で発行するものとする。  ク) 建設改良費     新規取得分は平成22年度の2,096百万円(下水道の拡張工事)で推移す    るものとし、これに更新投資を加えた金額とする。  ケ) 国、県補助金      平成25年度から平成27年度(計画)までの建設改良費に対する国、     県補助金の比率の平均値37.47%を乗じて算定するものとする。  コ) 一般会計補助金(資本的収入)、負担金      平成27年度の金額で推移するものとする。 1) 金利等を現在の水準とした場合  現在の水準で損益計算を試算すると、平成28年度の段階で赤字となった。こ れは、減価償却の仮定に記載したように、資産を除却する際の除却損も減価償 却費に加味しているため、減価償却額が多額となったことによるものである。  平成28年度以降も赤字額が増加していくことは、水道の利用量が減少するこ とによって下水料金が減少していくことと、更新投資が多額に発生するため減 価償却費が増加するとともに、企業債の発行額も増加することにより支払利息 が増加していくためである。  また、本来の企業債の償還原資となる当年度利益と減価償却費の合計額が企 業債の償還額に不足するため、シミュレーション上では企業債を償還するため に企業債を発行する状態となっており、企業債残高が増加してゆき、平成62年 度には1,000億円を超過する見込みとなっている。  平成28年度に料金を10%値上げした場合(Aとする。)、次のようになる。 A 平成28年度に10%値上げした場合  平成28年度に下水料金を10%値上げしたとしても、9年後の平成37年度に は再び赤字となると試算される。ただし、当年度利益に減価償却費を加えた企 業債の償還財源は、値上げの効果により増加し、企業債残高については、ほぼ 一定額を維持できる見込みとなっている。  そして平成28年度に料金を20%値上げした場合(Bとする。)について、試算 すると次のようになる。 B 平成28年度に20%値上げした場合  平成28年度に下水料金を20%値上げすると平成44年度まで黒字を維持でき ることになる。  また、平成28年度より、下水料金を10%値上げし、建設改良費の拡張分を 50%削減する(Cとする。)と次のようになる。 C 平成28年度に10%値上げし、建設改良費の50%を削減した場合  この場合、年額10億円の建設改良費が減額されることにより、収支計算は改 善し、企業債の発行が抑制されることになる。その結果、企業債残高が減少し、 支払利息が減少することになる。また、建設改良費が減少することは、固定資 産の取得を減らすことを意味し、減価償却費も減少することになる。そのため、 建設改良費を削減することは、収支の改善のみならず損益を改善する効果もあ ることになる。  A、B、Cの各対応について、平成28年度から平成62年度までの、下水料 金合計、企業債残高、支払利息合計について比較をすると、次の通りである。  Aは、下水料金合計は少ないものの、平成37年度以降赤字が継続し、建設改 良費及び企業債の原資が不足することから、企業債残高が最も多額となる。B は下水料金の値上率が他よりも高いため下水料金合計は大きくなるが、企業債 残高は減少するため、両者の合計金額ではAよりも少なくなり、負担する支払 利息合計も少なくなる。これらに対し、Cは、下水料金合計はAと一致してい るが、建設事業費を削減しているため、企業債残高は最も少なく、両者の合計 金額、支払利息ともに最小となっている。上記のシミュレーションでは、損益 計算についてはBとCは類似しているが、値上げのみによって黒字にするのと、 値上げと建設改良費の削減による対応でこのような差異が生じている。  Cは値上げを抑制しながら、企業債の残高を減少させるものであり、下水道 利用者の負担を最も少なくできるといえる。ただし、建設事業費を削減すると いうことは、これに見合った資本ストックが少なくなる面もある。 2) 平成27年度発行企業債より金利が4.00%に上昇した場合  金利が4.00%に上昇しても、水道事業の場合と同様に、企業債には過去に発
    行したものも含まれており、直ちに負担する金利が4.00%となるわけではない。 金利上昇の影響は、金利上昇後に発行された企業債の占める割合が高まること により顕在化することになる。  このシミュレーションでは、特に下水料金の値上げ等を行わない場合には、 金利上昇の影響により、平成28年度は1億円の損失であったものが、平成37 年度には15億円、平成47年度には35億円、平成57年度には58億円の損失と なり、企業債残高も、平成28年度の653億円から、平成37年度には718億円、 平成47年度には947億円、平成57年には1,333億円と年度の経過とともに加 速度的に、損益及び財政状態が悪化してゆくことになる。金利上昇により、損 益が悪化することにより、建設事業費及び企業債の償還財源が不足し、企業債 を多額に発行することになり、これが企業債残高の増加、更なる支払利息の増 加という循環を繰り返すためである。  このように金利上昇に際して、特に対応をしなければ、下水道事業は破綻す ることになる。  そこで、平成28年度より、下水料金を10%値上げし、建設改良費のうち拡張 分について30%に減少させるとすると、次のようになる。  この場合、下水料金の値上げを行う平成28年度の8年後の平成36年度には 赤字となり、その後、赤字は拡大してゆくことになる。企業債残高については、 現状が維持されてゆく。  赤字となる年度に10%ずつの下水料金の値上げを行うこととする(Dとする。) と、次のようになる。 D 赤字となる年度に10%ずつ値上げした場合  損益が赤字にならないようにするためには、平成28年度に加えて、平成36 年度、平成42年度に10%ずつ下水料金の値上げを行う必要がある。  また、平成62年度まで黒字が維持できるように、平成28年度の一度の値上 げで対応する場合(Eとする。)は次のようになる。 E 平成28年度に平成62年度まで黒字が維持できる率(22%)を値上げした場合  この場合、平成28年度に行う下水料金の値上げは22%となる。  DとEの対応に関して、下水料金合計、企業債残高、支払利息合計について 比較すると次のようになる。  DとEを比較すると、水道事業で行った比較と同様に、早期により大きな下 水料金の値上げを行うEの方が、下水料金合計、企業債残高、支払利息合計の いずれにおいても有利となった。これは、早期に値上げを行うことにより、企 業債残高を早く減少させ、支払利息を軽減できるためである。 3) 平成27年度発行企業債より金利が7.00%に上昇した場合  金利が7.00%の場合は、金利が4.00%の場合よりも支払利息の増加が著しく、 特に対応を行わない場合、平成37年度には、事業活動から生み出される資金に 相当する当期純利益と減価償却費の合計金額がマイナスとなり、平成39年度に は支払利息等が下水料金を超過することになる。  平成27年度の15年後の平成42年度まで黒字を維持するために、必要な下水 料金の値上率を算定すると次のようになる。  金利が7.00%になった場合に、当面黒字を維持するために必要な下水料金の 値上率は48%となる。値上率を抑制するため、平成28年度より建設改良費のう ち拡張分を100%削減した上で、同様に、平成42年度に黒字になるよう値上率 を算定すると次のようになる。  建設事業費のうち拡張分を全て廃止したとしても、平成42年度まで黒字を維 持するためには、27%の下水料金の値上げが必要となる。このため、金利が 7.00%まで上昇した場合、大幅な下水料金の値上げは不可避と考えられる。 4) 市の補助を廃止した場合  このシミュレーションでは、毎年度、一般会計から下水道事業会計へ、収益 的収入へは1,645百万円、資本的収入へは334百万円の補助金が交付されてい る。この補助金を平成28年度より廃止した場合、次の結果となる。  補助金が廃止されると、平成28年度では、収益的収入への補助金1,645百万 円がなくなるため、この金額の当期純利益が減少し、当期純利益は資本的支出 の原資でもあることから、資本的収入の一般会計からの補助金の減少額334百 万円との合計1,979百万円が資本的支出の原資の減少額となる。そのため、当 該金額だけ資金が不足することになり、企業債の発行額が1,979百万円増加す ることになる。翌年度以降は、この影響に加え、企業債残高が多額になるため 増加する支払利息等により、より損益及び収支が悪化していくことになる。  補助金が廃止された場合に、平成42年度まで黒字とするために、平成28年 度に必要な下水料金の値上率は次の通りである。  補助金を全額、削減した場合に、平成42年度まで黒字を維持しようとした場 合、56%の下水料金の値上げが必要となる。 5) 複合的な条件設定  以下の仮定でシミュレーションを行った。 ・一般会計補助金  4)において一般会計からの補助金を削減したケースをシミュレーションした が、他の条件を一定とした場合、必要となる値上げ率は56%と非現実的なもの であった。しかしながら、市税収入が減少していく一般会計の財政状況に鑑み ると、将来的には補助金が削減されることも考えられることから、一般会計か らの補助金を、平成28年度より現在の80%に削減するものとする。 ・建設事業費(拡張分)  下水道の整備がかなり進んできたことにより、これまでと同様に拡張し続け る必要性は低下してくると考えられるため、平成28年度より建設事業費の拡張 分を70%削減し30%とする。 ・金利(平成28年度発行企業債より)  インフレ政策により、今後、金利が上昇する可能性があるため、現在よりも 高い3.00%とする。  この条件で、平成42年度まで黒字を維持しようとした場合の、値上率は次の ようになる。  監査人の私見による将来予測でシミュレーションを行った場合でも、ある程 度の期間、黒字を維持するためには、平成28年度の値上げ額は20%となり、一 定の値上げは必要となる。
    (4) 更新投資及び収支シミュレーションの結果(監査の指摘及び意見) 1) 更新投資について(指摘)  今後、下水道事業は、多額の更新投資が必要となり、その額は現在の更新投 資額の水準では不足することが見込まれる。特に下水管渠については、現在の 更新投資額と比較して、相当多額の更新投資を長期にわたり行うことが必要と なる。  そのため、「岐阜都市計画下水道岐阜市公共下水道の計画区域見直しに係る基 本方針」にあるように、市街化区域以外で下水道の着工されていない地区につ いて、全て下水道を整備するのではなく、効率性を考慮して下水道整備を行う ことにより拡張投資を抑制し、更新投資へ切り替えていくことが必要である。  また、水道事業と同様に、更新投資について長期的な更新計画が設けられて いない。長期的に更新投資が不足する場合、公有財産等の十分な機能の維持が できないことや、下水管渠の破損による道路の陥没が発生し重大な事故につな がるおそれもある。  今後、拡張投資の対象をどのように定め、必要な更新投資をどのように進め ていくのか、またその財源はどのようにするかについて、長期的な計画を策定 する必要がある。 2) 収支シミュレーションの結果について(意見)  様々なシミュレーションを実施したが、人口減による収入の減少、資産の更 新による減価償却費の増加等により長期的には損益が悪化することは確実であ り、いずれ一般会計補助金の増額、若しくは下水料金の値上げが必要となる。 現在の一般会計の財政状況を考慮すると、補助金の増額は非現実的であり、下 水料金の値上げは不可欠と考えられる。  そして、 (3)1) 金利等を現在の水準とした場合 の結果のように、平成28 年度に20%の値上げを行った場合、平成44年度まで黒字となるのに対し、建設 工事費の拡張分を50%に削減した上で、10%の値上げを行った場合には、当初 は損益に与える効果は20%値上げした場合より小さいが、長期的にはより効果 があり、20%値上げした場合よりも、市民が負担する下水料金の総額や企業債 残高を減少させることになる。  また、下水道事業は企業債の残高が多額であるため、金利が上昇した場合、 特に対応をしないと、損益、収支とも著しく悪化することになる。金利が4.00% へ上昇した場合、シミュレーションでは、特に値上げ等を行わない場合には、 平成47年度には35億円の赤字となり、企業債残高も平成47年度には947億円と巨 額になると推計される。この企業債を削減しない財政状態で、金利が上昇した 場合、市民に多額の値上げを強いることになると考えられる。  企業債は、建設事業費の原資となるものであり、建設事業費を削減すること により、企業債を削減することができ、支払利息及び減価償却費が軽減される ことにより、損益、収支も改善されることになる。そのため、建設事業のうち 必要性が高いと考えられる更新投資を優先する一方、拡張投資については必要 性、効率性の高いものに限定し、効率的な投資を行うことが求められる。  さらに、シミュレーションの結果では、下水道事業の業績が悪化したのちに 値上げするよりも、先行して値上げを行った方が、企業債残高を削減でき、金 利負担を軽減されるため、下水料金合計や企業債残高を減ずることになり、結 果として市民の負担を減少させることになると考えられる。  以上より、市民の負担増を最小限にとどめるように、効率性を考慮して建設 事業費を削減することにより企業債の発行を抑制し、適宜、値上げを行うこと が望ましい。  続いて、主要な公有財産等にかかる更新、修繕の計画、有効活用及び管理状 況について検討した。 第3 ごみ・し尿処理施設 1 施設の概要 ┌────────┬────────────────────────────────┐ │公の施設の名称 │掛洞プラント(ごみ焼却施設)、東部クリーンセンター(粗大ごみ破 │ │        │砕処理施設、ごみ焼却施設)、寺田プラント(し尿処理施設)    │ ├────────┼────────────────────────────────┤ │        │ごみ焼却施設:可燃ごみを焼却するごみ処理の中間処理施設である。 │ │目的      │破砕処理施設:粗大ごみを破砕し、分別するごみ処理の中間処理施設で│ │        │       ある。                      │ │        │し尿処理施設:浄化槽汚泥の処理を行う施設である。        │ ├────────┼────────────────────────────────┤ │所在地     │下記参照                            │ ├────────┼────────────────────────────────┤ │所管部署    │環境事業部環境事業政策課、環境施設課、東部クリーンセンター、  │ │        │掛洞プラント、寺田プラント                   │ ├────────┼────────────────────────────────┤ │開館(竣工)年月│下記参照                            │ ├────────┼────────────────────────────────┤ │延床面積    │下記参照                            │ ├────────┼────────────────────────────────┤ │公有財産台帳価額│6,302,817千円(建物)                      │ ├────────┼────────────────────────────────┤ │固定資産台帳価額│17,578,550千円(土地除くインフラ資産)             │ ├────────┼────────────────────────────────┤ │施設の内容   │建物、焼却設備、破砕設備、脱水設備               │ ├────────┼────────────────────────────────┤ │類似施設の状況 │‐                               │ └────────┴────────────────────────────────┘ (1) 岐阜市のごみ焼却処理施設及びし尿処理施設の概要 ┌─────┬─────────────┬──────────┬───────────┬────────────┐ │     │    岐阜市      │   岐阜市    │    岐阜市    │    岐阜市     │ │施設名称 │   掛洞プラント    │東部クリーンセンター│東部クリーンセンター │   寺田プラント   │ │     │             │  ごみ焼却施設  │ 粗大ごみ処理施設  │            │ ├─────┼─────────────┼──────────┴───────────┼────────────┤ │ 所在地 │  岐阜市奥字掛洞375   │     岐阜市芥見6丁目368番地市     │  岐阜市寺田1丁目11  │ ├─────┼─────────────┼──────────────────────┼────────────┤ │敷地面積 │  8,632m2(借地)    │         68,108m2         │   24,459.85m2    │ ├─────┼─────────────┼──────────┬───────────┼────────────┤ │建物延面積│    6,381.33m2    │  14,385.24m2   │   6,400.49m2   │   2,737.55m2    │ ├─────┼─────────────┼──────────┼───────────┼────────────┤ │     │   全連続燃焼式    │旋回流型流動床焼却 │  2軸せん断型破砕  │            │ │処理方式 │  (ストーカー炉)   │    炉     │  機及び回転型破  │  固液分離処理方式  │ │     │             │          │    砕機     │            │ ├─────┼─────────────┼──────────┼───────────┼────────────┤
    │処理能力 │    150t/日     │   450t/日   │    60t/5h    │    120kl/日    │ │     │   150t/24h×1炉   │ 150t/24h×3炉  │           │  (浄化槽汚泥)   │ ├─────┼─────────────┼──────────┼───────────┼────────────┤ │ 事業費 │ 567,000千円(改造工事) │ 23,657,257千円  │  3,266,954千円   │375,900千円(改造工事) │ │     │2,103,139千円(当初事業) │          │           │874,374千円(当初事業) │ ├─────┼─────────────┼──────────┴───────────┼────────────┤ │     │ 平成11年3月(改造工事) │                      │平成17年3月(改造工事) │ │竣工年月 │ 昭和54年3月(当初事業) │        平成10年3月         │昭和48年3月(当初事業) │ │     │      注1      │                      │     注2      │ ├─────┼─────────────┼──────────────────────┼────────────┤ │     │場内への給湯・暖房    │発電設備(最大7,000kw)による電気の場内供給 │            │ │余熱利用 │プラザ掛洞への給湯・冷暖 │と売電                   │      -      │ │     │房            │場内浴場への給湯              │            │ ├─────┼─────────────┼──────────┬───────────┼────────────┤ │平成23年度│     17,711t     │   104,435t   │    6,129t    │    48,679kl    │ │ 処理量 │             │          │           │            │ └─────┴─────────────┴──────────┴───────────┴────────────┘ 注1 建設当初は2炉であったが、平成11年に制定されたダイオキシン類対策特別措置法    へ対応するための排ガス高度処理整備工事に多大な費用を有したため、1炉のみを工    事の対象とし、1炉を休止している。 注2 平成16年度に湿式酸化処理方式から固液分離処理方式に改造し、平成17年3月に    浄化槽汚泥専用処理施設へと改修している。  岐阜市は上記の焼却施設の他、岐阜羽島衛生施設組合の衛生センターで焼却 処理を行っている。岐阜羽島衛生施設組合は、岐阜市、羽島市、笠松町、岐南 町の2市2町で構成され、ごみ及びし尿の処理(し尿処理は羽島市を除く)を 行っている。岐阜羽島衛生施設組合衛生センターの概要及び岐阜市の処理量は 以下の通りである。 ┌───────────┬──────────────┬──────────────┐ │   施設区分    │    ごみ処理施設    │    し尿処理施設    │ ├───────────┼──────────────┴──────────────┤ │    所在地    │          岐阜市境川5丁目147          │ ├───────────┼──────────────┬──────────────┤ │   敷地面積    │     6,165m2      │     5,612m2      │ ├───────────┼──────────────┼──────────────┤ │   建物延面積   │     5,556m2      │     4,612m2      │ ├───────────┼──────────────┼──────────────┤ │   処理方式    │    全連続燃焼式    │  改造型脱窒素処理方式  │ │           │    (流動床炉)    │              │ ├───────────┼──────────────┼──────────────┤ │   処理能力    │     180t/日     │     100kl/日     │ │           │   60t/24h×3炉    │              │ ├───────────┼──────────────┼──────────────┤ │    事業費    │   12,434,469千円    │   1,059,976千円     │ ├───────────┼──────────────┼──────────────┤ │   竣工年月    │    平成7年3月     │    昭和56年3月     │ ├───────────┼──────────────┼──────────────┤ │   平成23年度   │    34,456.99t     │    20,021.10t     │ │処理量(うち、岐阜市)│   (6,632.97t)    │   (10,616.77t)    │ │           │     ※焼却量     │     ※投入量     │ ├───────────┼──────────────┼──────────────┤ │           │場内浴場への給湯・冷暖房、押│              │ │   余熱利用    │込送風機・誘引通風機のタービ│       -       │ │           │ン駆動           │              │ └───────────┴──────────────┴──────────────┘ 2 監査手続  ごみ・し尿処理施設に関する条例、規則及び関係帳票を閲覧し、担当課に質 問を行い、各施設への視察を実施した。 3 監査の意見 (1) 各施設における設備資産の管理方法について(意見) 1) 設備資産の管理状況について  機械設備については、岐阜市の公有財産台帳において記載の対象となってい ないことから、ごみ焼却施設およびし尿処理施設が各自で管理を行っている。 そこで、掛洞プラント、東部クリーンセンター、寺田プラントを視察し、各施 設の設備管理方法についてヒアリングを実施した。 1) 掛洞プラント  掛洞プラントは、平成11年に制定された「ダイオキシン類対策特別措置法」へ 対応するため、排ガス高度処理整備工事を行っているが、当該工事の竣工を機 に、機械設備に係る設備記録を作成し、設備台帳として管理している。設備台 帳の内容は、主要機器別に、機器名称、メーカー、製造年月、設置年月、製造 番号、規格、特記事項、補修連絡先が記載されている。一方、補修・修繕につ いては、別途、年度別に修繕費の一覧表を作成し管理している。なお、設備記 録と修繕費の一覧表は別で管理しており、結びついていない。また、掛洞プラ ントが竣工した昭和54年から平成11年度末の排ガス高度処理整備工事前に取 得した設備については、台帳上の管理は行われていない。 2) 東部クリーンセンター  焼却施設長期工事計画において、平成16年度より主要設備ごとの定期補修の 計画を策定しており、修繕・整備は当該計画に基づき実施している。また、実 際の補修・整備履歴についても、主要設備別、年度別の一覧表で管理している。 3) 寺田プラント  寺田プラントは、平成16年度末に実施された大規模改修工事を機に、機械設 備に係る設備記録を作成し、設備台帳として管理している。設備管理台帳は、 主要機器別に、機器番号、名称、数量、機器仕様(型式、メーカー、能力、動 力)等が記載されている。一方、補修・修繕については、別途、作成される定 期整備記録によって管理している。定期整備記録は施工者が作成し、岐阜市へ 提出されている。なお、設備管理台帳と定期整備記録は別で管理しており、結 びついていない。また、寺田プラントが竣工した昭和48年から平成16年度末 の浄化槽汚泥専用処理施設への大規模改修工事前に取得した設備については、 台帳上の管理は行われていない。 2) 管理台帳のあり方について  岐阜市ではごみ焼却及びし尿処理の各施設において、それぞれ機械設備の台 帳管理行っている。また、各施設においては、機械設備の取得時の情報と修繕 情報を別個に管理していることから、所有している機械設備ごとの取得・維持
    管理コストが容易に把握できない状態であった。  ごみ焼却施設及びし尿処理施設においては、事業費の内、機械設備への投資 金額が多くを占め、修繕・保守費等のランニングコストも多額の費用を要する。 そのため、機械設備についても資産台帳を作成し、設備の取得・整備・修繕・ 更新・除却等、一連のライフサイクルとそれに係る費用の情報をストックする ことは、過去の実例に基づいた効果的かつ効率的な修繕・保全計画の立案、ひ いては、予算管理を実施する観点から重要である。また、重要な設備台帳の管 理については、所轄部署を定め、岐阜市の廃棄物処理施設全体の設備台帳とし て一元管理することによって、施設横断的な修繕・保全計画を策定することが 可能となると考えられる。  一方、廃棄物処理施設は保有する機械設備が多品種にわたることから、過度 に詳細な設備管理台帳を作成することは多大な労力を要するだけでなく、今後 の設備管理台帳の維持管理が過度の負担となる虞もある。この点、岐阜市は平 成23年において策定した長寿命化計画の中で、掛洞プラント、東部クリーンセ ンター及び寺田プラントほか1施設(リサイクルセンター)の主要設備の補修及 び整備履歴を整理している。当該データを利用して、廃棄物処理施設共通の設 備台帳を作成し、整備・補修費用等の情報を集約することで、将来の施設保全 計画や延命化計画の策定時に、有用な情報を提供することが可能と考える。 (2) 長寿命化計画と今後の課題について(意見) 1) 環境省による廃棄物処理施設長寿命化計画について  廃棄物処理施設は、施設を構成する設備・機器や部材が高温・多湿や腐食性 雰囲気に暴露され、機械的な運動により摩耗しやすい状況下において稼働する ことが多いため、他の都市施設と比較すると施設全体として耐用年数が短く設 定されている。例えば、焼却炉等の主要設備の耐用年数は約15年~20年に設定 されており、建物自体が利用可能であるにもかかわらず、施設全体を廃止して いる例も多く見られる。  その一方、施設によっては、日常の適正な運転管理と毎年の適切な定期点検 整備や基幹的設備の更新等の整備を適確に実施したことにより、30年以上にわ たり稼働できた実績もある事実に鑑み、また、国及び地方公共団体の財政状態 も厳しい状況にあり、既存の廃棄物処理施設を有効利用するため、施設の機能 を効率的に維持することが急務であるとして、平成22年3月に、既存の廃棄物 処理施設において、ストックマネジメントの考え方を導入し、日常の適正な運 転管理と毎年の適切な定期点検整備、適時の延命化対策を実施することにより、 施設の長寿命化を図ることを目的として、『廃棄物処理施設長寿命化計画作成の 手引き(ごみ焼却施設編、し尿処理施設・汚泥再生センター編)』を策定してい る。  長寿命化計画では、既存の廃棄物処理施設に対し延命化対策を講じ、適時、 施設保全のための整備を行う場合と延命化や施設保全を行わずに施設を更新し た場合のライフサイクルコストと定性的事項(省エネ性や機能向上等)を比較 し優位な策を講ずるべきとしている。 2) 岐阜市における廃棄物処理施設の長寿命化計画について  環境省が策定した「長寿命化計画作成の手引き」に基づき、岐阜市では、平成 23年において、掛洞プラント、東部クリーンセンター及び寺田プラントの3つ の施設ほか1施設(リサイクルセンター)について長寿命化計画を策定し、全て の施設について延命化による長寿命化策を講じることが優位であるとして、平 成24年度より長寿命化計画に基づく維持補修工事を行っている。  今回視察した3施設の長寿命化計画の概要は下記の通りである。 ┌──────────┬───────┬───────┬───────┐ │   施設名    │掛洞プラント │東部クリーンセ│寺田プラント │ │          │       │  ンター  │       │ ├──────────┼───────┼───────┼───────┤ │   目標年数   │ 平成36年度 │ 平成42年度 │ 平成36年度 │ ├──────────┼───────┼───────┼───────┤ │   総事業費   │       │       │       │ │ライフサイクルコスト│2,520,018千円 │7,994,686千円 │ 376,290千円 │ │  (現在価値)  │       │       │       │ └──────────┴───────┴───────┴───────┘ 注1 目標年数及び総事業費は長寿命化計画策定時における概算であり、当該    計画の運用の過程で適宜見直すこととされている。 3) 長寿命化計画及び新たな運営方法の検討について  税収の減少によって予算が減少している状況下では、主要設備の耐用年数の 到来をもって、廃棄物処理施設を更新することは、経済的観点から好ましくな く、計画的な保守及び日々劣化する設備の更新を行うことにより、既存の設備 を長く使用することは意義のある事である。一方で、維持管理や建替更新の検 討を含む設備投資の将来計画の策定は、将来におけるごみ排出量を試算し、岐 阜市における必要な廃棄物処理能力を予測した上で、各施設の総費用を見積る ことによって、岐阜市にとって最も効果的かつ効率的な意思決定を行うべきで ある。  この点、岐阜市では平成21年度に、一般廃棄物処理に関して必要な施策を推 進するための総合的かつ中長期的な計画として「岐阜市ごみ処理基本計画」を 策定し、岐阜市における将来のごみ総排出量の予測を行っている。しかし、長 寿命化計画の策定においては、対象の3施設それぞれにおいて、個別に施設更 新か長寿命化策による延命化の実施かを判断しており、将来のごみ排出量予測 を加味した岐阜市全体としての施設更新の検討は行われていない。  ごみ焼却施設及びし尿処理施設の建設には多額の資金が必要であり、廃棄物 処理施設の将来計画は岐阜市全体の予算編成に大きな影響を及ぼすことから、 意思決定に当たっては慎重さおよび正確さが求められる。長寿命化計画に係る 延命化・補修費用や建替による総事業費も多くの資金を要することから、計画 の策定に当たっては、将来のごみ排出量予測に基づく必要処理能力を踏まえた 上で、各施設について施設更新か長寿命化策による延命化の実施かを判断する 視点も必要である。  「岐阜市ごみ処理基本計画」は概ね5年ごとに見直すこととしており、平成26 年度において長寿命化計画やごみ減量・資源化指針2011を踏まえたごみ処理基 本計画を策定し、施設の更新も当該計画において検討するとのことである。当 該計画の策定においては、将来に必要な処理能力を詳細に見積り、衛生センタ ーも含めた岐阜市のごみ処理能力を踏まえた上で、岐阜市の限りある財源を適 時有効に配分する必要がある。  また、近年、廃棄物処理施設の更新にPFI手法を導入する自治体が増えてい る。PFI手法とは、公共施設の建設や運営に際して、民間の資金、経営能力及び 技術的能力を活用することにより、国や地方公共団体の事業コスト等を改善し、 効果的かつ効率的に公共サービスを提供することを目的とした新たな事業運営 方法である。PFI手法は、設備更新における多額の資金調達の回避や、廃棄物処 理施設のランニングコストの削減といった可能性を有している。このような新 たな運営手法についても併せて検討することによって、廃棄物処理施設に関し てより最適な将来計画の策定を行うことが望まれる。
    第4 市営住宅 1 施設の概要 ┌────────┬────────────────────────────────┐ │公の施設の名称 │市営住宅、特定公共賃貸住宅、特別市営住宅            │ ├────────┼────────────────────────────────┤ │        │市営住宅:住宅に困窮する者に対して低廉な家賃で賃貸することを目的│ │目的      │     とした住宅である。                  │ │        │特定公共賃貸住宅、特別市営住宅                 │ │        │    :中堅所得者に対して賃貸することを目的とした住宅である。│ ├────────┼────────────────────────────────┤ │所在地     │市内各所                            │ ├────────┼────────────────────────────────┤ │所管部署    │まちづくり推進部住宅課                     │ ├────────┼────────────────────────────────┤ │開館(竣工)年月│下記参照                            │ ├────────┼────────────────────────────────┤ │延床面積    │ 212,455m2                           │ ├────────┼────────────────────────────────┤ │公有財産台帳価額│ -(概ね、金額欄記載なし)                  │ ├────────┼────────────────────────────────┤ │固定資産台帳価額│ 10,306,121千円(建物及び建物付属設備)            │ ├────────┼────────────────────────────────┤ │施設の内容   │建物及び建物付属設備                      │ ├────────┼────────────────────────────────┤ │類似施設の状況 │‐                               │ └────────┴────────────────────────────────┘ (1) 岐阜市の市営住宅の状況 1) 市営住宅の管理戸数  岐阜市では平成23年4月現在、公営住宅3,572棟、改良住宅52戸、特定公 共賃貸住宅15戸、特別市営住宅は36戸、その他6戸の合計3,681戸を市営住 宅として管理している。施設別の詳細は以下の通りである。 ┌───────────────┬───┬─────┬──────┬──┬─────┬─────┐ │      団地名      │種類 │ 建設  │  管理  │EV │耐用年限 │抽選住宅 │ │               │   │     │  戸数  │設置│到達年度 │ か否か │ ├─┬─────────────┼───┼─────┼──────┼──┼─────┼─────┤ │ 1│青柳コーポ        │ 公 │  H10  │  17   │無 │  H80  │抽選住宅 │ ├─┼─────────────┼───┼─────┼──────┼──┼─────┼─────┤ │ 2│茜荘           │ 公 │S34/35/36 │  72   │無 │H41/42/43 │抽選住宅 │ ├─┼─────────────┼───┼─────┼──────┼──┼─────┼─────┤ │ 3│(1)岩田荘(S,N)     │ 公 │ S30/31 │  48   │無 │ H37/38 │無抽選住宅│ │ ├─────────────┼───┼─────┼──────┼──┼─────┼─────┤ │ │(2)岩田坂団地       │ 公 │ S63/  │  65   │無 │  H70  │抽選住宅 │ │ │(簡平・簡二)      │   │ H元~7 │      │  │ H45~52 │     │ │ ├─────────────┼───┼─────┼──────┼──┼─────┼─────┤ │ │(3)岩田坂団地(中耐)   │ 公 │  H4  │   6   │無 │  H74  │抽選住宅 │ ├─┼─────────────┼───┼─────┼──────┼──┼─────┼─────┤ │ 4│ハイツ宇佐        │ 公 │S53/55/56 │  408   │有 │H60/62/63 │抽選住宅 │ ├─┼─────────────┼───┼─────┼──────┼──┼─────┼─────┤ │ 5│(1)大洞団地        │ 公 │ S43~46 │  150   │無 │ H50~53 │無抽選住宅│ │ │(中耐:廊下型)     │   │     │      │  │     │     │ │ ├─────────────┼───┼─────┼──────┼──┼─────┼─────┤ │ │(2)大洞団地        │ 公 │ S42~46 │  252   │無 │ H49~53 │無抽選住宅│ │ │(中耐:階段室型)    │   │     │      │  │     │     │ │ ├─────────────┼───┼─────┼──────┼──┼─────┼─────┤ │ │(3)大洞団地        │ 公 │  S50  │   2   │無 │  H17  │募集停止 │ └─┴─────────────┴───┴─────┴──────┴──┴─────┴─────┘ ┌───────────────┬───┬─────┬──────┬──┬─────┬─────┐ │      団地名      │種類 │ 建設  │  管理  │EV │耐用年限 │抽選住宅 │ │               │   │     │  戸数  │設置│到達年度 │ か否か │ ├─┬─────────────┼───┼─────┼──────┼──┼─────┼─────┤ │ │(1)大洞緑団地       │ 公 │ S47/48 │  374   │無 │ H54/55 │無抽選住宅│ │ │(桜台)         │   │     │      │  │     │     │ │ ├─────────────┼───┼─────┼──────┼──┼─────┼─────┤ │ │(2)大洞緑団地       │ 公 │ S48/49 │  246   │無 │ H55/56 │無抽選住宅│ │ │(柏台)         │   │     │      │  │     │     │ │ ├─────────────┼───┼─────┼──────┼──┼─────┼─────┤ │ 6│(3)大洞緑団地       │ 公 │  S51  │  54   │無 │  H58  │無抽選住宅│ │ │(桐ヶ丘)        │   │     │      │  │     │     │ │ ├─────────────┼───┼─────┼──────┼──┼─────┼─────┤ │ │(4)大洞緑団地       │ 公 │  S50  │  161   │無 │  H57  │無抽選住宅│ │ │(紅葉ヶ丘)       │   │     │      │  │     │     │ │ ├─────────────┼───┼─────┼──────┼──┼─────┼─────┤ │ │(5)大洞緑団地       │ 公 │  S49  │   3   │無 │  H16  │募集停止 │ │ │(簡平・簡二)      │   │  S47  │  28   │  │  H29  │     │ ├─┼─────────────┼───┼─────┼──────┼──┼─────┼─────┤ │ 7│加野団地         │ 公 │ S42/43 │  30   │無 │ H9/H10 │募集停止 │ ├─┼─────────────┼───┼─────┼──────┼──┼─────┼─────┤ │ 8│ハイツ上加納       │公/改 │  S51  │120(改12) │有 │  H58  │無抽選住宅│ ├─┼─────────────┼───┼─────┼──────┼──┼─────┼─────┤ │ 9│上加納荘         │公/改 │ S47/48 │50(改40) │無 │ H54/55 │無抽選住宅│ ├─┼─────────────┼───┼─────┼──────┼──┼─────┼─────┤ │10│北一色団地        │ 公 │ H2.3.4 │  32   │無 │ H72~74 │抽選住宅 │ ├─┼─────────────┼───┼─────┼──────┼──┼─────┼─────┤ │ │(1)黒野北団地(木造)   │ 公 │ S26~34 │  22   │無 │S56~H元 │募集停止 │ │11├─────────────┼───┼─────┼──────┼──┼─────┼─────┤ │ │(2)黒野北団地       │ 公 │  S42  │   2   │無 │  H9  │無抽選住宅│ │ │(簡平・簡二)      │   │  S47  │   3   │  │  H29  │     │ ├─┼─────────────┼───┼─────┼──────┼──┼─────┼─────┤ │12│黒野南団地        │ 公 │ S50~53 │   9   │無 │ H32~35 │抽選住宅 │ ┼─┼─────────────┼───┼─────┼──────┼──┼─────┼─────┤ │13│黒野コーポ        │ 公 │ S52~56 │  162   │無 │H59~H63 │抽選住宅 │ ├─┼─────────────┼───┼─────┼──────┼──┼─────┼─────┤ │14│ハイツ桜木        │公/管 │  H5  │133(管1) │有 │  H75  │抽選住宅 │ ├─┼─────────────┼───┼─────┼──────┼──┼─────┼─────┤ │15│ハイツ島         │公/特 │  H6  │ 59(特9) │有 │  H76  │抽選住宅 │ ├─┼─────────────┼───┼─────┼──────┼──┼─────┼─────┤ │ │(1)松籟荘(1・2)     │ 公 │ S32/33 │  48   │無 │ H39/40 │無抽選住宅│ │ ├─────────────┼───┼─────┼──────┼──┼─────┼─────┤ │16│(2)松籟荘(3・4・5)   │ 公 │ H2/3  │  28   │無 │ H72/73 │抽選住宅 │
    │ ├─────────────┼───┼─────┼──────┼──┼─────┼─────┤ │ │(3)松籟団地(ブロック)  │ 公 │ S33~36 │  64   │無 │ H15~18 │募集停止 │ ├─┼─────────────┼───┼─────┼──────┼──┼─────┼─────┤ │17│リバーサイド菅生     │特市 │  H4  │  36   │有 │  H74  │無抽選住宅│ ├─┼─────────────┼───┼─────┼──────┼──┼─────┼─────┤ │18│早田団地         │ 公 │  S54  │   2   │無 │  H36  │抽選住宅 │ ├─┼─────────────┼───┼─────┼──────┼──┼─────┼─────┤ │19│早田北団地        │ 公 │  S57  │   6   │無 │  H64  │抽選住宅 │ ├─┼─────────────┼───┼─────┼──────┼──┼─────┼─────┤ │20│長森南団地        │ 公 │  S25  │   3   │無 │  S55  │無抽選住宅│ ├─┼─────────────┼───┼─────┼──────┼──┼─────┼─────┤ │21│本郷ハイツ        │公/特 │  H12  │ 48(特6) │有 │  H82  │抽選住宅 │ ├─┼─────────────┼───┼─────┼──────┼──┼─────┼─────┤ │ │(1)三里北団地(中耐)   │ 公 │ S61/63 │  36   │無 │ H68/H70 │抽選住宅 │ │22├─────────────┼───┼─────┼──────┼──┼─────┼─────┤ │ │(2)三里北団地(木造)   │ 公 │  S25  │   6   │無 │  S55  │募集停止 │ └─┴─────────────┴───┴─────┴──────┴──┴─────┴─────┘ ┌───────────────┬───┬─────┬──────┬──┬─────┬─────┐ │      団地名      │種類 │ 建設  │  管理  │EV │耐用年限 │抽選住宅 │ │               │   │     │  戸数  │設置│到達年度 │ か否か │ ├─┬─────────────┼───┼─────┼──────┼──┼─────┼─────┤ │23│三里南団地        │ 公 │ S58/60 │  24   │無 │ H65/H67 │抽選住宅 │ ├─┼─────────────┼───┼─────┼──────┼──┼─────┼─────┤ │ │(1)三田洞団地(中耐)   │ 公 │ S37~46 │  240   │無 │ H44~53 │無抽選住宅│ │ ├─────────────┼───┼─────┼──────┼──┼─────┼─────┤ │ │(2)三田洞団地(簡二)   │ 公 │ S39~46 │  124   │無 │ H21~28 │無抽選住宅│ │ ├─────────────┼───┼─────┼──────┼──┼─────┼─────┤ │24│(3)三田洞団地(ブロック) │ 公 │ S37/38 │  32   │無 │ H19~20 │無抽選住宅│ │ ├─────────────┼───┼─────┼──────┼──┼─────┼─────┤ │ │(4)三田洞団地(3丁目)  │ 公 │ S42/46 │  38   │無 │ H24/H28 │無抽選住宅│ │ ├─────────────┼───┼─────┼──────┼──┼─────┼─────┤ │ │(5)三田洞団地(4丁目)  │ 公 │  S41  │   3   │無 │  H8  │募集停止 │ ├─┼─────────────┼───┼─────┼──────┼──┼─────┼─────┤ │25│正木コーポ        │ 公 │  H8  │  29   │有 │  H78  │抽選住宅 │ ├─┼─────────────┼───┼─────┼──────┼──┼─────┼─────┤ │26│折立団地         │ 公 │ S58/59 │  32   │無 │ H65/H66 │抽選住宅 │ ├─┼─────────────┼───┼─────┼──────┼──┼─────┼─────┤ │ │(1)岩戸団地(中耐)    │ 公 │  H1  │  12   │無 │  H71  │抽選住宅 │ │27├─────────────┼───┼─────┼──────┼──┼─────┼─────┤ │ │(2)岩戸団地(木造)    │ 他 │  S31  │   1   │無 │  S61  │募集停止 │ ├─┼─────────────┼───┼─────┼──────┼──┼─────┼─────┤ │28│梅林団地         │ 公 │ S60/61 │  18   │無 │ H67/68 │抽選住宅 │ ├─┼─────────────┼───┼─────┼──────┼──┼─────┼─────┤ │29│ハイツ早田        │公/店 │  S63  │112(店2) │有 │  H70  │抽選住宅 │ ├─┼─────────────┼───┼─────┼──────┼──┼─────┼─────┤ │30│ふれあいハウス白山    │公/管 │  H2  │ 20(管1) │有 │  H72  │抽選住宅 │ ├─┼─────────────┼───┼─────┼──────┼──┼─────┼─────┤ │31│ハイツ長森        │公/管 │  H16  │105(管1) │有 │  H86  │抽選住宅 │ └─┴─────────────┴───┴─────┴──────┴──┴─────┴─────┘ (種類)公:公営住宅 特:特公賃住宅 特市:特別市営住宅 改:改良住宅     店:店舗   管:管理人室  他:市単独  岐阜市の市営住宅のうち、平成23年以前に既に耐用年限を経過している戸数 は258戸ある。また、昭和36年から56年の20年間において建設された住宅 は2,639戸と全体の約7割を占めている。これらは、平成44年から63年にか けて、順次、耐用年限を迎えることから、この先、市営住宅の建替えを一切行 わないこととした場合、平成63年に耐用年限に至っていない戸数は、わずか 753戸となる。 2) 岐阜市の市営住宅に係る計画  岐阜市では市営住宅の多くが昭和30年代から50年代にかけて建設されたも のであり、老朽化が進行している状況にある。  これを受けて、市営住宅の適切な維持管理及びマネジメントを図るために建 替事業、改善事業、維持保全等の適切な手法の選択のもと総合的な活用を行っ ていくことを目的として、「岐阜市市営住宅ストック総合活用計画」を平成13 年度に策定し、維持管理を図ってきた。  その後、平成21年度に「岐阜市営住宅のあり方報告書」が作成され、平成 22年度に「岐阜市住宅マスタープラン」が策定されたこと、また「岐阜市市営 住宅ストック総合活用計画」策定から10年以上が経過し、社会情勢や財政状 況の変化から建替更新が困難になってきていることを受け、現在の住宅ストッ クをいかに健全に、有効に、より長く使っていくかという長寿命化の観点から の市営住宅を対象とする「岐阜市公営住宅等長寿命化計画」を平成23年度に 策定し、平成24年度より実施している。 3) 岐阜市の市営住宅に関する基本方針  岐阜市は、「岐阜市住宅マスタープラン」において、民間借家に居住しながら も居住面積水準と年収の困窮状況から将来的に住宅に困窮するおそれのある世 帯数と、将来の空き家募集による公営住宅供給量から、公営住宅の需給バラン スを検証している。 民営借家に居住し、住宅に困窮するおそれのある世帯数 ┌─────────────┬────┬────┬────┬────┬────┐ │     団地名     │平成22年│平成27年│平成32年│平成37年│平成42年│ ├─────────────┼────┼────┼────┼────┼────┤ │1)世帯数         │ 152,256│ 152,256│ 149,328│ 146,400│ 141,520│ ├─────────────┼────┼────┼────┼────┼────┤ │2)公営住宅入居資格世帯数 │ 17,198│ 17,771│ 17,812│ 17,955│ 17,706│ ├─────────────┼────┼────┼────┼────┼────┤ │3)民営借家に居住し住宅に困│  2,956│  3,036│  3,028│  3,039│  2,988│ │ 窮するおそれのある世帯数│    │    │    │    │    │ ├─────────────┼────┼────┼────┼────┼────┤ │4)既入居者の退去による空家│   236│   230│   225│   223│   223│ │ 発生数(戸/年)     │    │    │    │    │    │ └─────────────┴────┴────┴────┴────┴────┘                          出典:岐阜市住宅マスタープラン  検証結果によると、平成42年度までにおいては、特段の外的要因がないこと を前提に、現有の公営住宅の適切な維持管理を進めれば、当面発生する住宅困 窮世帯には対応できるものと判断している。よって、今後の供給方針としては、 既に供給している住宅について、耐用年限を迎えるまで住宅の長寿命化、適切
    かつ計画的な管理を行うことでその維持を図るものとし、既存住宅ストックを 活用することで量的確保をし、当面新たな住宅建設はしないとする方針を示し ている。 (2) 岐阜市における市営住宅政策のあり方  市営住宅の政策目的は、「公営住宅法」にあるように、国及び地方公共団体が 協力し、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し、これを住宅に困窮 する低所得者に対して低廉な家賃で賃貸し、又は転貸することにより、国民生 活の安定と社会福祉の増進に寄与することである。昭和26年の「公営住宅法」の 施行以降、各自治体は人口増加と核家族化による世帯数の増加に対応するため、 住宅数の確保を最優先事項としてきた。  その後、少子高齢化の進行により人口が減少傾向にある一方、住宅戸数の増 加によって住宅の需給関係が変化したことに伴い、平成18年において「住生活 基本法」が制定された。「住生活基本法」では、国及び地方公共団体は下記に掲げ る4つの基本理念にのっとり、住生活の安定の確保及び向上の促進に関する施 策を策定し、及び実施する責務を有するとして、各自治体に対して居住の安定 の確保だけでなく質の向上を求めている。 ┌──────────────────────────────────┐ │住生活基本法(平成十八年六月八日法律第六十一号)          │ │                                  │ │(現在及び将来における国民の住生活の基盤となる良質な住宅の供給   │ │等)                                │ │第三条 住生活の安定の確保及び向上の促進に関する施策の推進は、我が │ │ 国における近年の急速な少子高齢化の進展、生活様式の多様化その他の │ │ 社会経済情勢の変化に的確に対応しつつ、住宅の需要及び供給に関する │ │ 長期見通しに即し、かつ、居住者の負担能力を考慮して、現在及び将来 │ │ における国民の住生活の基盤となる良質な住宅の供給、建設、改良又は │ │ 管理(以下「供給等」という。)が図られることを旨として、行われな │ │ ければならない。                         │ │(良好な居住環境の形成)                      │ │第四条 住生活の安定の確保及び向上の促進に関する施策の推進は、地域 │ │ の自然、歴史、文化その他の特性に応じて、環境との調和に配慮しつつ、│ │ 住民が誇りと愛着をもつことのできる良好な居住環境の形成が図られる │ │ ことを旨として、行われなければならない。             │ │(居住のために住宅を購入する者等の利益の擁護及び増進)       │ │第五条 住生活の安定の確保及び向上の促進に関する施策の推進は、民間 │ │ 事業者の能力の活用及び既存の住宅の有効利用を図りつつ、居住のため │ │ に住宅を購入する者及び住宅の供給等に係るサービスの提供を受ける者 │ │ の利益の擁護及び増進が図られることを旨として、行われなければなら │ │ ない。                              │ │(居住の安定の確保)                        │ │第六条  住生活の安定の確保及び向上の促進に関する施策の促進は、住 │ │宅が国民の健康で文化的な生活にとって不可欠な基板であることにかんが │ │み、低額所得者、被災者、高齢者、子どもを育成する家庭その他住宅の確 │ │保に特に配慮を要する者の居住の安定の確保が図られることを旨として、 │ │行わなければならない。                       │ └──────────────────────────────────┘  岐阜市においても戦後から平成にかけて、全体的な住宅不足に対応するべく、 郊外を中心に大規模な団地を造成し、市営住宅の老朽化に対しては、建替えを 実施することによって住宅数の維持を図ってきた。  しかし、平成20年の「住宅・土地統計調査」によると、岐阜市の既存住宅スト ック数は平成20年時点で192,440戸、空き家数は32,850戸あり、空き家率は 17.1%となっていることからして、民営住宅の増加に伴い、住宅数の確保はも はや最優先事項ではないと考えられる。  よって、今後の岐阜市の市営住宅政策においては、住宅に困窮する低所得者 への住宅供給を主たる目的としながらも、単に住宅数を確保するのではなく、 少子高齢化や生活様式の多様化、さらなる核家族化の進展等、複雑化した社会 に対応し、市民のニーズに合致した良質な住宅を供給していかなくてはならな い。 2 監査手続  市営住宅に関連する条例、規則及び関係帳票の閲覧、担当課への質問、市営 住宅の視察を行った。 3 監査の指摘及び意見 (1) 岐阜市公営住宅等長寿命化計画について(意見) 1) 岐阜市公営住宅等長寿命化計画の概要  岐阜市は長寿命化計画において、長寿命化を図るべき市営住宅の選定を、耐 用年限が経過し長寿命化が困難な老朽住宅以外の住宅であり、耐用年限までに 適切に活用することが可能な住棟として、耐用年限を長寿命化の判断基準のひ とつとしている。  また、選定した住棟を耐用年限まで維持するべく、予防保全的な維持管理、 耐久性の向上に資する長寿命化型の改善事業を優先して取り組むべき事業と位 置付け、居住性向上型や、福祉対応型、安全確保型の改善事業については、将 来において対応を講じていくものとしている。 2) 長寿命化の観点について  岐阜市では、耐用年限の経過年限を長寿命化の判断基準のひとつとしており、 長寿命化計画の対象となった住宅については、耐用年限まで維持することを目 標としている。ここで、「公営住宅法」で定められている公営住宅の耐用年限は、 木造及び簡易耐火造の平屋が30年、簡易耐火造の2階建が45年、耐火造が70 年と相当長く設定されていることから、今後、建替えや改修を行わず、耐用年 限まで予防保全的な補修のみを実施するとした場合、岐阜市の市営住宅は全体 的に老朽化による機能の低下が進んでいくことになる。そこで、建築後相当程 度の年数が経過している住宅の現状を把握するべく、現場視察を行った。 ┌──────┬─────────────────────────┐ │住宅名   │茜荘                       │ ├──────┼─────────────────────────┤ │住宅環境  │周辺部                      │ ├──────┼─────────────────────────┤ │築年数   │51年~53年                    │ ├──────┼─────────┬──────┬────────┤ │応募倍率  │5.5倍(抽選)   │高齢者世帯率│60%以上80%未満 │ ├──────┼─────────┴──────┴────────┤ │所見    │ひび割れ等、外壁の老朽化だけでなく、階段室の内壁 │ │      │や玄関ドアの塗装の剥れが散見された。       │ ├──────┼─────────────────────────┤ │住宅名   │岩田荘(S,N)                   │
    ├──────┼─────────────────────────┤ │住宅環境  │郊外部                      │ ├──────┼─────────────────────────┤ │築年数   │56~57年                     │ ├──────┼─────────┬──────┬────────┤ │応募倍率  │無抽選      │高齢者世帯率│60%以上80%未満 │ ├──────┼─────────┴──────┴────────┤ │所見    │住居によってバルコニーや階段室の手すりの錆によ  │ │      │る劣化が進行していた。              │ ├──────┼─────────────────────────┤ │住宅名   │大洞団地(中耐:階段室型、廊下型)        │ ├──────┼─────────────────────────┤ │住宅環境  │郊外部                      │ ├──────┼─────────────────────────┤ │築年数   │41年~45年                    │ ├──────┼─────────────────────────┤ │応募倍率  │無抽選                      │ ├──────┼─────────────────────────┤ │高齢者世帯率│階段室型:40%以上60%未満 廊下型:60%以上80%未満│ ├──────┼─────────────────────────┤ │所見    │一部、外壁のひび割れがみられるものの、築50年超  │ │      │の物件と比べると激しい老朽化は見られなかった。エ │ │      │レベーター未設置のため、4階の空室が目立った(階  │ │      │段室型のみ)。                  │ ├──────┼─────────────────────────┤ │住宅名   │松籟荘(1・2)                  │ ├──────┼─────────────────────────┤ │住宅環境  │周辺部                      │ ├──────┼─────────────────────────┤ │築年数   │54年~55年                    │ ├──────┼─────────┬──────┬────────┤ │応募倍率  │無抽選      │高齢者世帯率│60%以上80%未満 │ ├──────┼─────────┴──────┴────────┤ │所見    │階段室の手すりの錆による劣化が激しいものの、平成 │ │      │入ってから外壁改修をしており、外壁に目立った劣化 │ │      │は認められなかった。階段室の内壁や玄関ドアの塗装 │ │      │の剥れが散見されたほか、階段室手すりの錆による劣 │ │      │化が認められた。                 │ └──────┴─────────────────────────┘                       外観写真:2012年10月撮影  上記のうち、築50年以上の市営住宅については、老朽化がかなり進んでおり、 また、どれも高齢者世帯率が高い4~5階建の住宅であるが、エレベーターが未 設置であった(但し、大洞団地廊下型については今後、エレベーターを設置予 定)。さらに、長寿命化計画における居住性の判定によると、茜荘、岩田荘(S,N)、 松籟荘(1・2)は、住戸面積が3人世帯の最低居住面積水準の39m2を下回って おり、台所、洗面所、風呂の3箇所給湯が未整備、大洞団地(階段室型、廊下 型)は住戸面積が39m2未満である等、居住性に関して整備水準を充たしておら ず、今後、長寿命化計画にある屋上防水工事、外壁改修工事といった耐用年限 までの維持に特化した修繕だけをもって、居住性の向上を図ることは困難と思 われる物件が散見された。  税収や家賃収入が減少し、予算が限られている状況下では、長寿命化計画に おいて維持管理の対象とされた物件に対して、全ての改善事業を行うことは不 可能である。しかし、市営住宅が全体的に老朽化し機能の低下が進んでいく中 で、市民が住みよい良質な住宅を提供するためには、既存の市営住宅の機能を 維持するだけでなく、少子高齢化や生活様式の多様化、核家族化といった時代 の変化に対応させるべく機能の向上を図ることも必要である。  今後は、市営住宅を耐用年限まで維持させるための保守という観点だけでは なく、市民のニーズに合致した良質な住宅を供給するべく、市民のニーズを明 確に把握し、居住性向上型や、福祉対応型、安全確保型の改善事業への対応を 考慮した長寿命化計画を策定することが望まれる。 (2) 用途廃止の方針が決定している市営住宅について(意見) 1) 市営住宅の用途廃止物件の概要  岐阜市では、長寿命化計画において、耐用年限を超過し、長寿命化が困難な 老朽住宅は新たな入居募集を停止し、既存の入居者が全て退去した後に、随時、 用途廃止することとしている。  用途廃止の方針が決定している住宅については、入居者に対し、他の市営住 宅への優先入居や、移転費用の負担、移転後一定期間における家賃の軽減措置、 敷金の住替え後の住宅への充当と言った優遇措置を講じ、文書や住民説明会を 通して、住替えを依頼している。  現在、用途廃止の方針が決定し、新たな入居者の募集を停止している物件は 下記の通りである。 用途廃止の方針が決定している物件一覧            (単位:戸) ┌─────────┬────┬──────────┬──┬──┬──┐ │   団地名   │建設年 │  構造・階数   │管理│入居│空家│ │         │(年) │          │戸数│戸数│戸数│ ├─────────┼────┼──────────┼──┼──┼──┤ │黒野北団地(木造)│S26~34 │木造平屋      │ 26│ 21│  5│ ├─────────┼────┼──────────┼──┼──┼──┤ │長森南団地    │S25   │木造平屋      │  3│  3│  0│ ├─────────┼────┼──────────┼──┼──┼──┤ │三里北団地(木造)│S25   │木造平屋      │  6│  2│  4│ ├─────────┼────┼──────────┼──┼──┼──┤ │松籟団地     │S33~36 │簡易耐火構造・   │ 64│ 42│ 22│ │(ブロック)   │    │2階建        │  │  │  │ ├─────────┼────┼──────────┼──┼──┼──┤ │加野団地     │S42.43 │簡易耐火構造・平屋 │ 30│  8│ 22│ ├─────────┼────┼──────────┼──┼──┼──┤ │大洞団地     │S43~50 │簡易耐火構造・平屋/ │ 42│ 16│ 26│ │         │    │2階建        │  │  │  │ ├─────────┼────┼──────────┼──┼──┼──┤ │三田洞団地2丁目  │S42   │簡易耐火構造・   │ 32│ 19│ 13│ │         │    │2階建        │  │  │  │ ├─────────┼────┼──────────┼──┼──┼──┤ │三田洞団地4丁目  │S41   │簡易耐火構造・平屋 │  3│  1│  2│ └─────────┴────┴──────────┴──┴──┴──┘   注 加野団地については、敷地の一部(16戸)を公売により売却予定。 2) 用途廃止による有効活用の促進について  用途廃止は、各所管に属する行政財産の用途を廃止し、普通財産にすること
    をいう。普通財産に変更される場合、原則として、その後の管理は各所管から 包括的な部署である行政部に引継がれるため、市全体として当該普通財産の活 用方法の検討が可能となり、ひいては、公有財産の有効活用につながる。また、 用途廃止とせず行政財産としてまちづくり推進部で保有し続ける場合であって も、空室率が高まった物件については、需要が高まっている高齢者向け住宅へ の変更等、公有財産の有効活用を図るための将来計画を策定すべきである。  今後、用途廃止の方針が決定した市営住宅について、空室率が一定の基準に 達した場合には、猶予期間を設けた上で完全撤去するなど、市営住宅の用途廃 止に係るルールを整備し、適時、用途廃止を行うことで、公有財産の有効活用 を図るべきである。 (3) 特定公共賃貸住宅及び特別市営住宅について(指摘) 1) 特定公共賃貸住宅及び特別市営住宅の概要  岐阜市は、低所得者向けの公営住宅の他に特定公共賃貸住宅及び特別市営住 宅を保有している。これらの住宅は、中堅所得者等の居住の用に供する居住環 境が良好な賃貸住宅の供給を促進するための措置を講ずることにより、優良な 賃貸住宅の供給の拡大を図ることを目的とする、中堅所得者向けの住宅である。  各住宅別の入居状況は下記の通りである。なお、今回の監査においては、実 際の住宅環境や建物の状況を確認するべく、リバーサイド菅生への現場視察を 行っている。 岐阜市における特定公共賃貸住宅及び特別市営住宅の概要 ┌─────────────┬────┬────┬────┬───┐ │     団地名     │管理戸数│入居戸数│空室戸数│空室率│ ├─────────────┴────┴────┴────┴───┤ │特定公共賃貸住宅                        │ ├─────────────┬────┬────┬────┬───┤ │ハイツ島         │9    │1    │8    │88.9%│ ├─────────────┼────┼────┼────┼───┤ │本郷ハイツ        │6    │5    │1    │16.7%│ ├─────────────┴────┴────┴────┴───┤ │特別市営住宅                          │ ├─────────────┬────┬────┬────┬───┤ │リバーサイド菅生     │36   │20   │16   │44.4%│ └─────────────┴────┴────┴────┴───┘ 注:ハイツ島と本郷ハイツについては、公営住宅の一部を特定公共賃貸住宅としている。 リバーサイド菅生の建物外観写真(2012年10月撮影) 2) 特定公共賃貸住宅住宅及び特別市営住宅の有効活用について  上記の内、ハイツ島とリバーサイド菅生については、空室率が高い状況であ る。実際に現場で視察したリバーサイド菅生に関しては、JR岐阜駅から車で15 分圏内と立地条件が良く、建物の状態は良好であり、エレベーターや玄関入口 にはスロープが設置される等、バリアフリー化も進んでいる優良物件であった。 それにもかかわらず、中堅所得者向けの市営住宅の空室率が高いことは、中堅 所得者向け住宅が市民のニーズを充たしていないことの現れである。これらの 住宅は築年数が短い上、立地条件も良いことから、公営住宅として家賃の所得 基準を低くすれば、すぐに入居希望が出ることが予想される。実際にハイツ島 の総管理戸数59戸のうち、公営住宅として割り当てられている50件について は、全て入居しており空室率は0%となっている。  今後は、公営住宅への用途変更によって空室率を減少させるか、建物自体を 民間譲渡する等、岐阜市における中堅所得者向けの市営住宅のあり方を検討す べきである。 第5 小学校・中学校 1 施設の概要 ┌────────┬────────────────────────────────┐ │公の施設の名称 │小学校・中学校                         │ ├────────┼────────────────────────────────┤ │        │社会において自立的に生きる基礎を培い、国家及び社会の形成者として│ │目的      │必要とされる基本的な資質を養うための、義務教育として行われる普通│ │        │教育を施すこと                         │ ├────────┼────────────────────────────────┤ │所在地     │市内各地区                           │ ├────────┼────────────────────────────────┤ │所管部署    │教育委員会事務局教育施設課                   │ ├────────┼────────────────────────────────┤ │開館(竣工)年月│明治5年4月(最も古いもの)                   │ ├────────┼────────────────────────────────┤ │        │小学校 47校  校舎面積      253,139m2          │ │延床面積    │        屋内運動場面積    47,997m2          │ │        │中学校 22校  校舎面積      149,170m2          │ │        │        屋内運動場面積    28,769m2          │ ├────────┼────────────────────────────────┤ │公有財産台帳価額│-(概ね、金額欄記載なし)                   │ ├────────┼────────────────────────────────┤ │固定資産台帳価額│小学校 16,931,210千円(建物)                 │ │        │中学校 11,104,611千円(建物)                 │ ├────────┼────────────────────────────────┤ │施設の内容   │校舎、屋内運動場、更衣室、作業所                │ ├────────┼────────────────────────────────┤ │類似施設の状況 │‐                               │ └────────┴────────────────────────────────┘ 2 監査手続  小学校及び中学校の公立学校施設等の総括表等の関連帳票を閲覧するととも に担当課に質問を行い、施設の視察を実施した。 3 監査の指摘及び意見 (1) 余裕教室の利用について(意見)  平成23年度の公立学校施設等の総括表より、各小学校、中学校の教室の用途 別に集計したものが次の表である。 注 この表は一部教室等を大きさにより0.5でカウントする等、監査人が独自にカウントし ているため、市が把握している教室数とは必ずしも一致しない。 (余裕教室の利用例)
          倉庫として利用             図書室として利用  公民館の分室として使用されている校舎     展示スペースとして利用  この表の普通教室以外の普通教室に対する比率を見ると、200%を超過してい る学校が複数あるなど、かなり高い比率となっている学校がある。これは、人 口増加時には学校を分離、新設してきたこと、さらにその後の少子化により児 童、生徒数が減少したことにより、それまで使用していた普通教室を普通教室 として使用する必要がなくなり、特別教室や少人数教室として使用されている ためである。  実際に、この比率が高い徹明小学校、方県小学校、岩野田小学校、加納中学 校、本荘中学校を視察し、普通教室以外の利用状況を確認したところ、取り壊 しが決まっている校舎の教室を除き、全く使用されていない教室は見受けられ なかった。  児童生徒の減少により生まれた余裕教室を、習熟度別の教育や特別活動のた めに使用することは教育の充実にとって有用なものであると考えられる。しか しながら、平成20年度に金華小と京町小とが統合され新設された岐阜小学校は、 児童数に合わせた必要な教室を設けていると考えられるが、普通教室以外の普 通教室に対する比率は53%と低いことからすると、学校の中には学校で使用す る必要のない余裕教室がある学校も存在すると考えられる。  学校で使用されない余裕教室があるのであれば、学校以外の目的のために使 用することが、公有財産等の有効活用の観点から適切である。文部科学省も、「学 校用地取得費補助金に係る財産処分の承認等について(通知)」(20文科施第 121号 平成20年6月18日発出)を発出し、学校施設の転用手続の弾力化・簡素 化を図り、学校施設の有効活用を促進している。  岐阜市においては、視察した徹明小学校や岩野田小学校の空き教室が、公民 館の分室として利用されていたことや、留守家庭児童会としての利用等、学校 以外への利用は行われてきているが、余裕教室の数を考えるとより一層の学校 以外への利用を図ること、特に現状では教育委員会の所管の範囲内の利用に限 られているが、その他の市の業務にも利用されることにより、学校施設の有効 活用を図られたい。 (2) 更新投資計画について(指摘)  学校施設(建物)の更新投資シミュレーションの結果では、このグラフの通 り平成41年から平成45年にかけて更新投資のピークとなる。この5年間の平均に しても、年間80億円超の更新投資が学校施設のみで必要となることになるが、 毎年度、この金額を学校施設の更新に関する計画を策定し、短期間に更新投資 が集中することを防止することが必要である。その場合、ピークと考えられる 年度の前後についても、必要とされる更新投資の額が多額であり、慎重に更新 投資計画の策定をされたい。  また学校施設の更新投資には多額の資金を要するため、全市的な更新投資計 画に含めて、検討すべきである。 第6 教育研究所 1 施設の概要 ┌────────┬──────────────────────────┐ │公の施設の名称 │岐阜市教育研究所(旧芥見南小学校)         │ ├────────┼──────────────────────────┤ │        │ 岐阜市は平成8年度に地方自治法第252条の22第1項   │ │        │に定める中核市の指定を受けた。地方教育行政の組織及び│ │        │運営に関する法律第59条において、県費負担の教職員研 │ │        │修については、中核市の教育委員会が行うこととされてい│ │目的      │るため、中核市の指定を受けたことにより、初任者研修、│ │        │10年経験者研修等の研修を岐阜市教育委員会にて実施す │ │        │る必要が生じることとなった。            │ │        │ 教育研究所は上記教職員研修を行うために設置された │ │        │施設である。                    │ ├────────┼──────────────────────────┤ │所在地     │岐阜市芥見南山3-10-1               │ ├────────┼──────────────────────────┤ │所管部署    │教育委員会事務局学校指導課             │ ├────────┼──────────────────────────┤ │開館(竣工)年月│平成12年(昭和54年)                │ ├────────┼──────────────────────────┤ │延床面積    │7,073.16m2                     │ ├────────┼──────────────────────────┤ │公有財産台帳価額│-(記載なし)                   │ ├────────┼──────────────────────────┤ │固定資産台帳価額│172,927千円                     │ ├────────┼──────────────────────────┤ │施設の内容   │南舎(鉄筋コンクリート造4階建 床面積2126.04m2)  │ │        │中舎(鉄筋コンクリート造4階建 床面積2645.35m2)  │ │        │北舎(鉄筋コンクリート造3階建 床面積1318.80m2)  │ │        │体育館(鉄筋コンクリート造2階建 床面積982.97m2)  │ ├────────┼──────────────────────────┤ │類似施設の状況 │-                         │ └────────┴──────────────────────────┘ (教育研究所) (1) 利用状況  平成23年度における教育研究所で利用している部屋別の利用率は下表の通り である。 ┌──────────────┬────┬───┐ │     教室名      │使用回数│稼働率│ ├─┬─────────┬──┼────┼───┤ │ │         │午前│   69│  19%│ │ │   3-1    ├──┼────┼───┤ │ │         │午後│   124│  34%│ │ ├─────────┼──┼────┼───┤ │ │         │午前│   64│  18%│ │ │   3-2    ├──┼────┼───┤ │ │         │午後│   114│  31%│ │ ├─────────┼──┼────┼───┤ │ │         │午前│   68│  19%│
    │ │   3-3    ├──┼────┼───┤ │ │         │午後│   122│  33%│ │ ├─────────┼──┼────┼───┤ │ │         │午前│   88│  24%│ │ │   3大     ├──┼────┼───┤ │中│         │午後│   163│  45%│ │舎├─────────┼──┼────┼───┤ │ │         │午前│   54│  15%│ │ │   4-1    ├──┼────┼───┤ │ │         │午後│   94│  26%│ │ ├─────────┼──┼────┼───┤ │ │         │午前│   58│  16%│ │ │   4-2    ├──┼────┼───┤ │ │         │午後│   88│  24%│ │ ├─────────┼──┼────┼───┤ │ │         │午前│   53│  15%│ │ │   4-3    ├──┼────┼───┤ │ │         │午後│   88│  24%│ │ ├─────────┼──┼────┼───┤ │ │         │午前│   79│  22%│ │ │    4大    ├──┼────┼───┤ │ │         │午後│   131│  36%│ ├─┼─────────┼──┼────┼───┤ │ │         │午前│   37│  10%│ │ │   南1-1   ├──┼────┼───┤ │ │         │午後│   59│  16%│ │ ├─────────┼──┼────┼───┤ │ │         │午前│   26│  7%│ │ │   南2-1   ├──┼────┼───┤ │ │         │午後│   36│  10%│ │ ├─────────┼──┼────┼───┤ │ │         │午前│   17│  5%│ │ │ 南2-2(応接) ├──┼────┼───┤ │ │         │午後│   24│  7%│ │ ├─────────┼──┼────┼───┤ │ │         │午前│   26│  7%│ │ │   南3-1   ├──┼────┼───┤ │南│         │午後│   42│  12%│ │舎├─────────┼──┼────┼───┤ │ │         │午前│   92│  25%│ │ │   南3PC1   ├──┼────┼───┤ │ │         │午後│   101│  28%│ │ ├─────────┼──┼────┼───┤ │ │         │午前│   92│  25%│ │ │   南3PC2   ├──┼────┼───┤ │ │         │午後│   101│  28%│ │ ├─────────┼──┼────┼───┤ │ │         │午前│   31│  8%│ │ │南コンピューター室├──┼────┼───┤ │ │         │午後│   35│  10%│ │ ├─────────┼──┼────┼───┤ │ │         │午前│   18│  5%│ │ │  南4研修室   ├──┼────┼───┤ │ │         │午後│   20│  5%│ ├─┴─────────┼──┼────┼───┤ │           │午前│   16│  4%│ │    体育館    ├──┼────┼───┤ │           │午後│   15│  4%│ └───────────┴──┴────┴───┘ ※教育研究所は土日祝日を休館日としているが、利用率の算定にあたっては、利用回数を365(日)で除  して算定している。  上表に記載のない北舎については、教育研究所の視察時に確認し、埋蔵文化 財及び資料を保管するために利用されていることを確認した。また中舎1階2 階についても、埋蔵文化財の作業室等として利用されていることを確かめた。 このほか、教育研究所では、岐阜市立学校の教育情報ネットワークを管理・運 営していることから、南舎4階の1室に同ネットワークのセンターサーバー機 器を設置している。 2 監査手続  関連する条例、規則及び関係帳票の閲覧を行い、担当課に対して質問を実施 し、教育研究所の視察を行った。 3 監査の意見  現在、旧芥見南小学校校舎を、教育研究所として利用している。そのため、 教育研究所開設に伴って発生した建築費用はなく、廃校の有効活用を行ってい る。  公有財産等にかかるコストの削減という観点から見ると、このような利用目 的がなくなった施設等を、他の有益な目的のために使用することは望ましいも のであり、資産の有効活用及び公有財産等にかかるコストの削減の観点からも 適切な対応といえる。  ただし、以下の2点について配慮する必要があると考える。 1) 教育研究所に関するコストの把握について(意見)  教育研究所を維持更新することが、そもそも適切であるかどうかを判断する ためには、施設の維持コスト全体を把握する必要がある。  場合によっては、他の貸室業務を行っている施設を借りる形で研修を行った 場合の方が、経費が少なくなる場合も考えられるが、維持コスト全体を把握し ていなければ、今後、施設を維持するか否かの判断を行うことも出来ないから である。この点、現状では、教育研究所自体にかかったコストのみを把握した ものはなく、教育研究所を維持することによるコストが把握できるように、管 理資料を整備することが適切と考える。  長期的には、現在の施設が更新時期を迎えたときに更新投資を行うのか、そ れとも他の施設で代替するのかの判断を行う必要があるが、現在の管理資料で は適切に更新に関する意思決定を行えないことが考えられる。現在の状況は、 施設自体は有効活用しているといえるが、その発生するコストを把握し、その 有効性を継続的に検証する必要があると考える。 2) 教育研究所の利用状況の向上について(意見)  教育研究所を含む旧芥見南小学校は、南舎、中舎、北舎、体育館、運動場に
    より構成されており、主に南舎、中舎3階4階を教育研究所が利用し、中舎1 階2階、北舎を埋蔵文化財の保管場所として利用している。また、中舎2階の 一部の部屋を不登校児のための適応指導教室として利用している。体育館につ いては、夜間、地域住民に開放しており、剣道等のクラブが利用している。運 動場については、一部駐車場として利用している。  教育研究所の利用状況については、(1)の表の通りであるが、全体として利用 率は高くはない状況となっている。特に体育館の利用率は4%であり、南舎につ いても全体として10%程度の利用率となっている。  コストをかけて耐震対策を行っていることも考慮すれば、上記の内容につい て、利用率が向上するような対応が必要なものと考えられる。  現在の有効活用を更に進め、教育研究所のみで利用するのではなく、児童館 や公民館等、他の施設との併設とすることにより、公有財産等の有効活用を最 大限に図ることが望ましいものと考える。 第7 公民館 1 施設の概要 ┌────────┬──────────────────────────┐ │公の施設の名称 │公民館                       │ ├────────┼──────────────────────────┤ │        │市町村その他一定区域内の住民のために、実際生活に即す│ │        │る教育、学術及び文化に関する各種の事業を行い、もって│ │目的      │住民の教養の向上、健康の増進、情操の純化を図り、生活│ │        │文化の振興、社会福祉の増進に寄与することを目的とする│ │        │(社会教育法第20条)。               │ ├────────┼──────────────────────────┤ │所在地     │下表参照                      │ ├────────┼──────────────────────────┤ │所管部署    │教育委員会事務局社会教育課             │ ├────────┼──────────────────────────┤ │改築年度    │下表参照                      │ ├────────┼──────────────────────────┤ │延床面積    │下表参照                      │ ├────────┼──────────────────────────┤ │公有財産台帳価額│- (一部のみ記載)                │ ├────────┼──────────────────────────┤ │固定資産台帳価額│2,354,126千円                    │ ├────────┼──────────────────────────┤ │施設の内容   │下表参照                      │ ├────────┼──────────────────────────┤ │類似施設の状況 │コミュニティセンター                │ └────────┴──────────────────────────┘ (1) 各公民館の概要 ┌────┬────────────┬─────────┬────┬─────────┐ │公民館 │    所在地     │  改築年度   │延床面積│   構造    │ │    │            │         │(m2) │         │ ├────┼────────────┼─────────┼────┼─────────┤ │金華  │大工町1番地       │平成6年度     │ 635.84│鉄筋3階建     │ ├────┼────────────┼─────────┼────┼─────────┤ │京町  │京町3丁目19番地     │平成23年度    │ 389.67│鉄筋2階建     │ ├────┼────────────┼─────────┼────┼─────────┤ │明徳  │明徳町11番地      │昭和53年度    │ 832.54│鉄筋3階建     │ ├────┼────────────┼─────────┼────┼─────────┤ │徹明  │金宝町4丁目1番地    │昭和52年度    │ 697.67│鉄筋一部鉄骨2階建 │ ├────┼────────────┼─────────┼────┼─────────┤ │白山  │白山町2丁目1番地    │昭和63年度    │ 343.18│鉄筋2階建     │ ├────┼────────────┼─────────┼────┼─────────┤ │梅林  │金竜町6丁目6番地    │昭和54年度    │ 351.83│鉄筋2階建     │ ├────┼────────────┼─────────┼────┼─────────┤ │本郷  │本郷町3丁目1番地    │平成3年度     │ 432.55│鉄筋2階建     │ ├────┼────────────┼─────────┼────┼─────────┤ │華陽  │華陽5番11号       │平成2年度     │ 365.10│鉄筋4階建     │ ├────┼────────────┼─────────┼────┼─────────┤ │本荘  │此花町6丁目29番地    │平成4年度     │ 527.96│鉄筋3階建     │ ├────┼────────────┼─────────┼────┼─────────┤ │日野  │日野西4丁目2番6号    │昭和54年度    │ 460.35│鉄筋2階建     │ ├────┼────────────┼─────────┼────┼─────────┤ │長良  │長良259番地       │昭和55年度    │ 672.68│鉄骨一部鉄筋平屋建│ ├────┼────────────┼─────────┼────┼─────────┤ │島   │北島7丁目6番12号    │昭和56年度    │ 378.78│鉄筋3階建     │ ├────┼────────────┼─────────┼────┼─────────┤ │三里  │六条北2丁目5番2号    │昭和50年度    │ 563.17│鉄筋3階建     │ ├────┼────────────┼─────────┼────┼─────────┤ │鷺山  │鷺山北町9番12号     │昭和53年度    │ 351.83│鉄筋2階建     │ ├────┼────────────┼─────────┼────┼─────────┤ │木之本 │木ノ本町1丁目18番地   │昭和56年度    │ 353.61│鉄筋2階建     │ ├────┼────────────┼─────────┼────┼─────────┤ │加納東 │加納西丸町1丁目73番地2 │昭和55年度    │ 333.98│鉄筋3階建     │ ├────┼────────────┼─────────┼────┼─────────┤ │加納西 │加納高柳町1丁目1番地  │平成9年度     │ 440.42│鉄筋2階建     │ ├────┼────────────┼─────────┼────┼─────────┤ │則武  │則武209番地2      │昭和54年度    │ 411.89│鉄筋3階建     │ ├────┼────────────┼─────────┼────┼─────────┤ │長森南 │切通5丁目3番14号    │昭和59年度    │ 350.91│鉄筋2階建     │ ├────┼────────────┼─────────┼────┼─────────┤ │長森北 │野一色4丁目11番3号   │昭和52年度    │ 349.13│鉄筋2階建     │ ├────┼────────────┼─────────┼────┼─────────┤ │常磐  │上土居838番地      │昭和57年度    │ 439.33│鉄筋2階建     │ ├────┼────────────┼─────────┼────┼─────────┤ │木田  │木田479番地5      │昭和55年度    │ 432.73│鉄筋2階建     │ ├────┼────────────┼─────────┼────┼─────────┤ │岩野田 │粟野西2丁目33番地    │昭和58年度    │ 353.61│鉄筋2階建     │ ├────┼────────────┼─────────┼────┼─────────┤ │黒野  │下鵜飼1564番地3     │昭和56年度    │ 338.28│鉄筋2階建     │ ├────┼────────────┼─────────┼────┼─────────┤ │方県  │安食443番地2      │昭和58年度    │ 432.73│鉄筋2階建     │ ├────┼────────────┼─────────┼────┼─────────┤ │茜部  │茜部新所4丁目126番地2  │平成13年度    │ 507.88│鉄筋2階建     │
    ├────┼────────────┼─────────┼────┼─────────┤ │鶉   │中鶉7丁目11番地     │昭和58年度    │ 351.52│鉄筋2階建     │ ├────┼────────────┼─────────┼────┼─────────┤ │七郷  │西改田字川向3番地    │平成22年度    │ 513.03│鉄筋平屋建    │ ├────┼────────────┼─────────┼────┼─────────┤ │西郷  │中西郷4丁目236番地   │昭和56年度    │ 432.73│鉄筋2階建     │ ├────┼────────────┼─────────┼────┼─────────┤ │市橋  │市橋4丁目10番10号    │昭和54年度    │ 512.17│鉄筋2階建     │ ├────┼────────────┼─────────┼────┼─────────┤ │岩   │岩滝西1丁目612番地   │昭和59年度    │ 353.61│鉄筋2階建     │ ├────┼────────────┼─────────┼────┼─────────┤ │鏡島  │鏡島西2丁目2番47号   │昭和57年度    │ 436.57│鉄筋2階建     │ ├────┼────────────┼─────────┼────┼─────────┤ │厚見  │上川手198番地5     │平成3年度     │ 488.54│鉄筋2階建     │ ├────┼────────────┼─────────┼────┼─────────┤ │長良西 │万代町2丁目5番地1    │昭和53年度    │ 806.00│鉄筋2階建     │ ├────┼────────────┼─────────┼────┼─────────┤ │早田  │学園町2丁目35番地    │昭和59年度    │ 353.61│鉄筋2階建     │ ├────┼────────────┼─────────┼────┼─────────┤ │日置江 │日置江1859番地1     │昭和57年度    │ 449.05│鉄筋3階建     │ ├────┼────────────┼─────────┼────┼─────────┤ │芥見  │芥見2丁目98番地     │昭和50年度    │ 854.94│鉄筋2階建     │ ├────┼────────────┼─────────┼────┼─────────┤ │合渡  │寺田3丁目11番地1    │昭和62年度    │ 347.89│鉄筋2階建     │ ├────┼────────────┼─────────┼────┼─────────┤ │三輪南 │太郎丸1034番地     │昭和61年度    │ 353.61│鉄筋2階建     │ ├────┼────────────┼─────────┼────┼─────────┤ │三輪北 │北野東356番地      │昭和58年度    │ 353.61│鉄筋2階建     │ ├────┼────────────┼─────────┼────┼─────────┤ │網代  │秋沢2丁目297番地    │平成15年度    │ 346.59│鉄筋平屋建    │ ├────┼────────────┼─────────┼────┼─────────┤ │城西  │萱場東町1丁目1番地   │平成元年度    │ 347.89│鉄筋2階建     │ ├────┼────────────┼─────────┼────┼─────────┤ │藍川  │加野3丁目3番1号     │平成元年度    │ 347.89│鉄筋2階建     │ ├────┼────────────┼─────────┼────┼─────────┤ │長良東 │長良宮路町3丁目5番地1  │昭和52年度    │ 349.13│鉄筋2階建     │ ├────┼────────────┼─────────┼────┼─────────┤ │長森西 │北一色5丁目5番1号    │昭和56年度    │ 379.10│鉄筋2階建     │ ├────┼────────────┼─────────┼────┼─────────┤ │芥見東 │大洞桜台1丁目26番地2  │昭和52年度    │ 349.13│鉄筋2階建     │ ├────┼────────────┼─────────┼────┼─────────┤ │岩野田北│粟野東2丁目33番地3   │昭和56年度    │ 353.61│鉄筋2階建     │ ├────┼────────────┼─────────┼────┼─────────┤ │芥見南 │芥見南山3丁目12番1号  │昭和57年度    │ 353.61│鉄筋2階建     │ ├────┼────────────┼─────────┼────┼─────────┤ │長森東 │水海道2丁目10番1号   │昭和58年度    │ 353.61│鉄筋2階建     │ ├────┼────────────┼─────────┼────┼─────────┤ │柳津  │柳津町宮東1丁目1番地  │昭和45年度(北館)│ 640.56│鉄筋平屋建    │ │    │            │昭和55年度(南館)│1,855.53│鉄筋2階建     │ └────┴────────────┴─────────┴────┴─────────┘ ※鶉公民館については、H24.4.1現在、改築中であるため取り壊されています。  公民館は、岐阜市内に50か所設置されている。公民館の設置については、「公 民館の設置及び運営に関する基準」(平成15年6月6日文部科学省告示第112 号)第2条により、「人口密度、地形、交通条件、日常生活圏、社会教育団体の 活動状況等を勘案して、当該市町村の区域内において、公民館の事業の主たる 対象となる区域を定めるものとする。」とされている。 2 監査手続  公民館に関連する条例、規則及び関係帳票の閲覧を行い、担当課に対して質 問を実施し、複数の公民館の視察を行った。  監査手続を実施したところ、以下の状況であった。 (1) 利用状況  平成23年度における各公民館における研修室(ホール)(以下「ホール」とい う。)、実習室(和室)等の利用率、利用者数は下表の通りである。 ┌────┬──────┬──────┬──────┬───────┐ │    │      │ 実習室  │      │       │ │公民館 │ ホール  │ (和室) │ 会議室等 │利用者数(人)│ │    │利用率(%)│利用率(%)│利用率(%)│       │ ├────┼──────┼──────┼──────┼───────┤ │金華  │  52   │  20   │  46   │    24,263│ ├────┼──────┼──────┼──────┼───────┤ │京町  │  44   │  43   │  -   │    12,179│ ├────┼──────┼──────┼──────┼───────┤ │明徳  │  44   │  56   │  -   │    16,758│ ├────┼──────┼──────┼──────┼───────┤ │徹明  │  71   │  29   │  10   │    34,023│ ├────┼──────┼──────┼──────┼───────┤ │白山  │  47   │  16   │  -   │    19,106│ ├────┼──────┼──────┼──────┼───────┤ │梅林  │  46   │  45   │  -   │    22,093│ ├────┼──────┼──────┼──────┼───────┤ │本郷  │  43   │  16   │  35   │    17,120│ ├────┼──────┼──────┼──────┼───────┤ │華陽  │  87   │  59   │  -   │    14,644│ ├────┼──────┼──────┼──────┼───────┤ │本荘  │  56   │  29   │  30   │    39,268│ ├────┼──────┼──────┼──────┼───────┤ │日野  │  31   │  27   │   6   │    12,095│ ├────┼──────┼──────┼──────┼───────┤ │長良  │  73   │  41   │  43   │    43,691│ ├────┼──────┼──────┼──────┼───────┤ │島   │  41   │  30   │  -   │    15,954│ ├────┼──────┼──────┼──────┼───────┤ │三里  │  52   │  33   │  32   │    28,609│ ├────┼──────┼──────┼──────┼───────┤ │鷺山  │  49   │  28   │  -   │    17,642│ ├────┼──────┼──────┼──────┼───────┤ │木之本 │  62   │  30   │  -   │    16,130│ ├────┼──────┼──────┼──────┼───────┤
    │加納東 │  59   │  33   │  -   │    19,177│ ├────┼──────┼──────┼──────┼───────┤ │加納西 │  62   │  45   │  37   │    23,183│ ├────┼──────┼──────┼──────┼───────┤ │則武  │  48   │  12   │  -   │    24,269│ ├────┼──────┼──────┼──────┼───────┤ │長森南 │  42   │  30   │  -   │    16,852│ ├────┼──────┼──────┼──────┼───────┤ │長森北 │  59   │  32   │  -   │    16,812│ ├────┼──────┼──────┼──────┼───────┤ │常磐  │  48   │  16   │  -   │    14,459│ ├────┼──────┼──────┼──────┼───────┤ │木田  │  27   │   9   │  17   │     6,982│ ├────┼──────┼──────┼──────┼───────┤ │岩野田 │  25   │  16   │  -   │     8,677│ ├────┼──────┼──────┼──────┼───────┤ │黒野  │  59   │  30   │  25   │    27,910│ ├────┼──────┼──────┼──────┼───────┤ │方県  │  20   │   8   │   5   │     8,354│ ├────┼──────┼──────┼──────┼───────┤ │茜部  │  59   │   7   │  56   │    24,696│ ├────┼──────┼──────┼──────┼───────┤ │鶉   │  44   │  18   │  -   │    10,547│ ├────┼──────┼──────┼──────┼───────┤ │七郷  │  51   │  37   │  36   │    22,153│ ├────┼──────┼──────┼──────┼───────┤ │西郷  │  29   │  26   │  23   │    12,404│ ├────┼──────┼──────┼──────┼───────┤ │市橋  │  44   │  44   │  56   │    28,046│ ├────┼──────┼──────┼──────┼───────┤ │岩   │  38   │  41   │  -   │    15,264│ ├────┼──────┼──────┼──────┼───────┤ │鏡島  │  38   │  17   │  35   │    26,731│ ├────┼──────┼──────┼──────┼───────┤ │厚見  │  61   │  11   │  45   │    27,115│ ├────┼──────┼──────┼──────┼───────┤ │長良西 │  69   │  55   │  57   │    39,483│ ├────┼──────┼──────┼──────┼───────┤ │早田  │  62   │  38   │  -   │    23,796│ ├────┼──────┼──────┼──────┼───────┤ │日置江 │  42   │  14   │  10   │    12,345│ ├────┼──────┼──────┼──────┼───────┤ │芥見  │  43   │  17   │  21   │    14,880│ ├────┼──────┼──────┼──────┼───────┤ │合渡  │  56   │  32   │  -   │    16,921│ ├────┼──────┼──────┼──────┼───────┤ │三輪南 │  40   │  38   │  -   │    13,440│ ├────┼──────┼──────┼──────┼───────┤ │三輪北 │  42   │  21   │  -   │     8,622│ ├────┼──────┼──────┼──────┼───────┤ │網代  │  22   │   4   │  -   │     5,603│ ├────┼──────┼──────┼──────┼───────┤ │城西  │  47   │  46   │  -   │    12,652│ ├────┼──────┼──────┼──────┼───────┤ │藍川  │  52   │  34   │  -   │    17,597│ ├────┼──────┼──────┼──────┼───────┤ │長良東 │  51   │  37   │  -   │    19,033│ ├────┼──────┼──────┼──────┼───────┤ │長森西 │  48   │  24   │  -   │    20,484│ ├────┼──────┼──────┼──────┼───────┤ │芥見東 │  41   │  23   │  -   │    14,064│ ├────┼──────┼──────┼──────┼───────┤ │岩野田北│  71   │  53   │  -   │    30,449│ ├────┼──────┼──────┼──────┼───────┤ │芥見南 │  34   │  25   │  -   │    10,822│ ├────┼──────┼──────┼──────┼───────┤ │長森東 │  46   │  35   │  -   │    15,090│ ├────┼──────┼──────┼──────┼───────┤ │柳津  │  45   │   8   │  10   │    35,273│ ├────┼──────┼──────┼──────┼───────┤ │平均  │  48   │  29   │  22   │    19,954│ └────┴──────┴──────┴──────┴───────┘ ※会議室等については、該当する公民館について掲載(平均は該当公民館のみで計算)しています。 ※黒野・柳津については、会議室が複数あるため、平均の利用率を掲載しています。 (2) 利用率の低い公民館について  特に利用率が低い公民館は次の通りである。 (ホールの利用率が30%未満)  方県公民館20%、網代公民館22%、岩野田公民館25%、木田公民館27%、 西郷公民館29%の5公民館 (利用者数が10,000人未満)  網代公民館5,603人、木田公民館6,982人、方県公民館8,354人、三輪北公 民館8,622人、岩野田公民館8,677人の5公民館。  ホール利用率30%未満、かつ利用者数10,000人未満の公民館について、利用 率が低い理由を確かめるため、視察等により現状を把握した。 1) 方県公民館(ホール利用率20% 全体利用者数8,354人)       方県公民館  方県公民館は、岐阜市のほぼ北西部の端に位置する人口の少ない地区にある とともに、小学校及び自治公民館等の施設を各種団体が多く利用しているため、 公民館の利用状況が低い状況となっている。 2) 網代公民館(ホール利用率22% 全体利用者数5,603人)
           網代公民館  網代公民館も、岐阜市の北西部の端に位置する人口の少ない地区にあるとと もに、小学校及び自治公民館等の施設を各種団体が多く利用しているため、公 民館の利用が低い状況となっている。 3) 岩野田公民館(ホール利用率25% 全体利用者数8,677人)    岩野田公民館ホームページより  岩野田公民館は、岩野田地区北部に位置しており、同地区の南部の住民は北 部コミュニティセンターを利用しやすい環境にあることから、岩野田公民館の 利用が低い状況となっている。 4) 木田公民館(ホール利用率27% 全体利用者数6,982人)    木田公民館ホームページより  木田公民館は、木田地区の人口が少ないことと、西部コミュニティセンター、 小学校及び自治公民館等の施設を各種団体が多く利用するため、公民館の利用 が低い状況となっている。 (3) 収支状況について 1) コスト把握について  減価償却費等を含んだ総コストについて、公民館ごとに把握している資料は ない。ただし、平成23年度における、公民館全体での減価償却費を除くコスト については市で把握しており、下表の通りとなっている。 ┌────────────┬──────┐ │     支出     │金額(千円)│ ├────┬───────┼──────┤ │    │報酬     │   85,063│ │    ├───────┼──────┤ │    │給料     │   13,929│ │    ├───────┼──────┤ │人件費 │職員手当等  │    8,514│ │    ├───────┼──────┤ │    │共済費    │    6,665│ │    ├───────┼──────┤ │    │賃金     │     625│ ├────┼───────┼──────┤ │    │消耗品費   │    3,388│ │    ├───────┼──────┤ │    │燃料費    │   20,234│ │    ├───────┼──────┤ │需用費 │印刷製本費  │     316│ │    ├───────┼──────┤ │    │光熱水費   │   17,885│ │    ├───────┼──────┤ │    │修繕料    │   14,139│ ├────┼───────┼──────┤ │    │通信運搬費  │    7,573│ │役務費 ├───────┼──────┤ │    │手数料    │     617│ ├────┴───────┼──────┤ │委託料         │   37,685│ ├────────────┼──────┤ │使用料及び賃借料    │    4,187│ ├────────────┼──────┤ │備品購入費       │    3,316│ ├────────────┼──────┤ │報償費         │    2,495│ ├────────────┼──────┤ │旅費          │     28│ ├────────────┼──────┤ │公課費         │      8│ ├────────────┼──────┤ │工事請負費※1      │   134,583│ ├────────────┼──────┤ │負担金補助及び交付金※2 │    5,092│ ├────────────┼──────┤ │     計      │   366,342│ └────────────┴──────┘ ※1 公民館の更新にあたって生じたコスト ※2 主に自治公民館の修繕に対する補助金 2) 収入について 1) 使用料  公民館(柳津公民館を除く)には、概して、ホール、実習室(和室等)が備 えられている。なお、一般的な使用料金は下表の通りである。 ┌──────────────┬──────────────┐ │     ホール      │   実習室(和室等)   │ ├────┬────┬────┼────┬────┬────┤ │ 午前 │ 午後 │ 夜間 │ 午前 │ 午後 │ 夜間 │ ├────┼────┼────┼────┼────┼────┤ │ 800円 │ 1,000円│ 1,300円│ 600円 │ 800円 │ 1,000円│ └────┴────┴────┴────┴────┴────┘ 2) 使用料の減免  公民館の目的である、住民の教養の向上、健康の増進、情操の純化、生活文 化の振興、社会福祉の増進に寄与するものと認められる場合、使用料を減免で きるとの規定がある。  具体的には「岐阜市公民館条例」第9条において、次のような場合とされてい る。 ア) 教育委員会と共同主催に係る講習会、研究会等に使用する場合 イ) 社会教育関係団体、小学校及び中学校又は公共的な団体で教育委員会が適  当と認めたものがその目的のために使用する場合 ウ) その他教育委員会が必要と認めた場合 3) 平成23年度使用料収入
    ┌──────────────┬──────┐ │      収入      │金額(千円)│ ├──────────────┼──────┤ │使用料及び手数料      │    2,851│ └──────────────┴──────┘  平成23年度における全公民館の年間利用者数は979,870人であり、この内、 有料使用者数(クラブ・サークル、自治会等の使用料免除の対象となった利用 者以外の利用者)は43,678人となっている。有料使用者の全体に占める割合は 4.46%となっている。これに伴い、年間収入は2,851千円となっており、1公民 館あたり年57千円となっている。 3 監査の指摘及び意見 (1) 各公民館のコストの把握について(指摘)  岐阜市では、2(3)1)コスト把握について に記載したように、公民館全体 の支出については把握しているが、公民館ごとの支出については把握されてい ない。現在の岐阜市の財政状況において、公民館にも運営の合理化が求められ ているが、公民館ごとの状況が判らなければ、運営の適否や改善した効果も把 握できないことになる。  また、公民館運営のコストは年度ごとの支出だけではなく、過年度に支出し た固定資産も公民館運営に貢献しているものであり、固定資産利用のコストで ある減価償却費やその他の関連する経費、公民館運営の利用料収入を含めて把 握することが適切である。  厳しい財政状況のなかで、公民館の更新を検討するにあたり、現在、存在す るものを全てそのまま作り直すことは困難となることが想定される。その場合、 費用対効果が高い公民館から優先的に更新することが適切である。そのために は、公民館ごとの費用及び効果を測定するため、公民館の利用状況のみならず 公民館運営のコストも把握する必要がある。その場合は、設備投資に係る費用 である減価償却費やその他の関連経費を含めた総コストで把握することが必要 である。  したがって、公民館ごとの支出のみならず、減価償却等を含めた総コストを 把握することが必要である。  また、現在、公民館の収支状況や利用状況について情報公開がされていない。 今後の公民館のあり方や、整理統合等に関する問題を、市民が判断するために も、各公民館の収支状況等について開示していくことが必要である。 (2) 使用料収入について 1) 受益者負担のあり方について(意見)  現在、岐阜市の公民館(柳津公民館を除く)においては公民館登録団体とし て登録されたクラブ・サークル等の使用料を全額免除とする措置がとられてい る。  公の施設の使用料の算定については、平成21年10月に岐阜市財政部行財政 改革課により作成された「公の施設の使用料算定基準~受益者負担のあり方~」 (以下「使用料算定基準」という。)に次のように定められている。 「使用料が施設の維持管理等に要する費用を下回る場合、不足分は公費(税金) で賄うため、施設を利用されない方にも費用の負担を課すこととなり、市民全 体の負担となる。施設を利用される方と利用されない方との負担の公平化を図 るため、受益者負担を原則として使用料を算定する。」  そして、「使用料算定基準」によると、受益者負担の割合を算定するにあたっ ては、施設の必需性及び市場性の二つの指標によって判断することとされる。  公民館では、公民館のホール等の貸室を市民等が利用するにあたって、使用 料を徴収することとしている。この点、公民館の貸室は市民が日常生活を営む 上で必要となる生活水準を確保するために利用するというよりは、日常生活を より便利で快適なものにするため、個人の価値観に応じて、選択的に利用され ているものといえる。  また、貸室という視点では、特定の地区においては、民間による提供が困難 な施設ではなく、民間による提供が期待できる施設といえることから必需性は 高くなく、市場性は高いものであるため、「使用料算定基準」でもって算定した 場合、利用者の負担割合を70%以上と設定することが可能な公民館もあると考 えられる。  このことから公民館登録団体として登録されたクラブ・サークルの活動であ ることをもって、全額免除することは、「使用料算定基準」の原則的な扱いに沿 わない可能性がある。  また、「岐阜市公民館条例」の住民の教養の向上、健康の増進、情操の純化、 生活文化の振興、社会福祉の増進に寄与するものと認められる場合、使用料を 減免できるとの定めは、使用料を減免することにより住民の教養の向上等に資 する活動が促進されることが前提となっていると考えられる。しかしながら、 公民館登録団体は10名以上という定めがあることから、公民館利用者の1人当 たりの1回の使用料は最大で130円と少額であること、公民館と同様の目的で 使用されているコミュニティセンターの使用料は減免されていないが利用率は 公民館よりも高いことから、使用料を減免することによって公民館の利用率が 大きく向上しているとは考えにくい。  使用料を減免する効果があまりないのであれば、受益者負担の原則の例外と する必要がないと考えられるため、使用料の免除のあり方について検討するこ とが必要であると考える。 2) 柳津公民館の使用料及び減免規定について(指摘)  柳津公民館については、公民館の使用料について他の49公民館とは別の取り 扱いがなされている。  柳津公民館は、岐阜市南部の旧柳津町に設置されている公民館であり、平成 18年1月1日に岐阜市と柳津町が合併したことにより、岐阜市の公民館に編入 された公民館である。岐阜市の基準で建設された2室、3室で構成された他の公 民館と異なり、かなり規模が大きいことが特徴である。  柳津公民館については、このような経緯から、他の公民館とは異なる、下表 のような料金設定がなされている。                                  単位:円 ┌───────┬─────────────┬─────────────┐ │       │利用料金(1時間につき) │   4時間利用した時   │ │  部屋名  ├──────┬──────┼──────┬──────┤ │       │ 午前午後 │  夜間  │ 午前午後 │  夜間  │ ├─┬─────┼──────┼──────┼──────┼──────┤ │ 1│第1会議室 │    1,060│    1,590│    4,240│    6,360│ ├─┼─────┼──────┼──────┼──────┼──────┤ │ 2│第2会議室 │     710│    1,060│    2,840│    4,240│ ├─┼─────┼──────┼──────┼──────┼──────┤ │ 3│第3会議室 │     710│    1,060│    2,840│    4,240│
    ├─┼─────┼──────┼──────┼──────┼──────┤ │ 4│第2研修室 │     360│     530│    1,440│    2,120│ ├─┼─────┼──────┼──────┼──────┼──────┤ │ 5│第3研修室 │     710│    1,060│    2,840│    4,240│ ├─┼─────┼──────┼──────┼──────┼──────┤ │ 6│第1学習室 │     360│     530│    1,440│    2,120│ ├─┼─────┼──────┼──────┼──────┼──────┤ │ 7│第2学習室 │     360│     530│    1,440│    2,120│ ├─┼─────┼──────┼──────┼──────┼──────┤ │ 8│第3学習室 │     360│     530│    1,440│    2,120│ ├─┼─────┼──────┼──────┼──────┼──────┤ │ 9│視聴覚室 │    1,060│    1,590│    4,240│    6,360│ ├─┼─────┼──────┼──────┼──────┼──────┤ │10│大会議室 │    1,330│    1,980│    5,320│    7,920│ ├─┼─────┼──────┼──────┼──────┼──────┤ │11│第4学習室 │     210│     300│     840│    1,200│ ├─┼─────┼──────┼──────┼──────┼──────┤ │12│第6研修室 │     210│     300│     840│    1,200│ ├─┼─────┼──────┼──────┼──────┼──────┤ │13│調理室  │     210│     300│     840│    1,200│ ├─┼─────┼──────┼──────┼──────┼──────┤ │14│第4研修室 │     210│     300│     840│    1,200│ ├─┼─────┼──────┼──────┼──────┼──────┤ │15│第5研修室 │     210│     300│     840│    1,200│ ├─┼─────┼──────┼──────┼──────┼──────┤ │16│実習室  │     210│     300│     840│    1,200│ └─┴─────┴──────┴──────┴──────┴──────┘  最も利用されている大会議室については、午前(9時~13時)及び午後(13 時~17時)1時間1,330円、夜間(17時~21時)1時間1,980円と設定されて おり、4時間利用した場合の使用料は、午前及び午後は5,320円、夜間は7,920 円となる。  また、柳津公民館では、公民館によって認可されたクラブ・サークルであっ たとしても、他の公民館とは異なり、全額免除という措置はとられておらず、 半額減免の措置がとられている(「旧柳津町中央公民館等使用料減免に関する規 定」第3条に準じている)。  例えば、柳津公民館にて午後(13時~17時)に4時間ホールを利用した場合、 5,320円の使用料の半額2,660円が減免され、残りの2,660円を利用した市民が 負担している。これに対し、他の49公民館において午後にホールを利用した場 合、1,000円の使用料の全額が減免され、利用した市民の負担はない取り扱いと なっている。  このため、公民館は原則として立地する地区の市民が利用することを前提し ており、同じ市民であるにもかかわらず、居住する地区により公民館の使用料 の負担が異なっていることになり、市民間での公平性が害されているといえる。  このように柳津公民館が、他の公民館と別扱いとなっているのは、岐阜市と の合併協定において、「使用料について、原則として現行通りとする。」との規 定があるためである。しかし、同じ合併協定において、「同一又は類似する施設 の使用料は、施設の規模、実態等を考慮し、適切に調整を図るものとする。」と も記載されている。  岐阜市と柳津町は平成18年1月1日に合併しており、平成23年度末現在で 既に6年が経過しているにも関わらず、同じ公民館の利用にあたって、市民間 で大幅な負担の差が生じていることは適切なものとは思われない。  よって、使用料及び減免の取り扱いについて適切に調整することが必要とな るものと考えられる。 3) 使用料の減免について(指摘)  使用料の減免を希望する場合、「公民館使用料減額免除申請書」(以下「減免申 請書」という。)を記入することとされている。  しかし、減免申請書の提出に関して、条例や施行規則等に規定がない状態と なっている。また、減免申請書の記載がないにも関わらず、減免措置がとられ ているものがあった。  よって、施行規則等に、減免申請に関する規定を盛り込むとともに、減免希 望者に対して、必ず減免申請書の記載を行うことの指導が必要である。 (3) 更新について 1) 更新計画について(指摘)  公民館について、現在の規模で更新すると仮定すれば更新額の総額は約62億 円と試算される。また、更新時期と更新額については下表のグラフのように算 定された。  (建築着工統計調査(2011年度)公務用建物(鉄筋コンクリート)の平均単価 263,816円/m2により算定)  昭和50年代に設置又は改築され現在も使用されているものが35か所あり、 そのため更新時期が平成41年から平成45年の期間に集中することが想定され ており、短期間に複数の公民館の更新を行うことは、予算上、困難なものにな ると考えられる。  このような状況の中で、本来ならば、公民館について具体的な中長期の維持 更新計画を策定すべきであるが、現在のところされていないため、適切な更新 計画を立てる必要がある。  ただし、所管部署の独自の計画だけでは実効性のないものになるため、岐阜 市の全体計画における位置づけを明らかにし、財政的な裏付けのある具体的な ものにする必要がある。 2) 公民館の規模について(意見)  地区コミュニティの中心的存在である公民館は必要なものと考えられるが、 公民館が低利用となった原因となっている下記の3つの理由により、必ずしも 公民館を現在の規模で更新する必要性はないものと考えられ、改築ではなく、 他の既存の公共施設の空き室を利用する等といった対応により、更新投資額の 縮減に努めることが必要な処置であると考えられる。 1) コミュニティセンターの存在について  公民館の設置及び運営に関する基準第6条2項では「対象区域内に類似の施 設がある場合、必要な協力及び支援に努めるものとする。」と規定されているこ とから分かるように、公民館には類似施設の存在が認められており、コミュニ ティセンターについては、以下の3点から上記の公民館の類似施設に該当する と考えられる。 ア) 利用目的  公民館は、住民の教養の向上、健康の増進、情操の純化を図り、生活文化の 振興、社会福祉の増進に寄与することを目的として設置されている。これに対
    し、コミュニティセンターは、地域住民の連帯意識を高め、快適で住みよい地 域社会の形成に寄与するため、地域の市民が活動する場として、また、生涯学 習を実践する場として設置されている。表現は異なるものの、両者はともに、 生涯学習の場として設置されているという点で共通している。 イ) 利用実態  コミュニティセンターの利用者は、健康体操、書道等の各種クラブ・サーク ル及び自治会等が中心となっており、公民館と変わらない状況となっている。 ウ) 事業評価における枠組み  岐阜市の施策においても、公民館とコミュニティセンターの運営は、「生涯学 習の推進」という施策に含まれている。  市民は生涯学習の活動の場として、公民館だけではなく、コミュニティセン ターも利用しており、受益者である市民にとって、両施設の差に対する意識は 低いものとなっている。これについて視点を変えれば、市民に必要なサービス は公民館のみでなく、コミュニティセンターによっても供給されているものと 考えられ、市民に提供するサービスに重複が生じている状況は解消することが 必要なことである。  コミュニティセンターとの間で、利用にあたっての連携をとることにより、 サービスの重複が解消されれば、公民館について現在の規模での運営が必要で はないところも出てくるものと考えられる。 2) 小学校等の施設の存在について  地区住民が生涯学習の場及び自治会等の会合の場として、小学校等の公民館 ではない施設を利用している事例も見受けられた。小学校等は公民館の類似施 設とまではいえないが、教室等を利用して生涯学習又は会合等に利用できる施 設である。よって、公民館の周辺に小学校等、生涯学習や会合のために利用、 代替できる施設が存在するならば、公民館は現在の規模で更新する必要はない ものと考えられる。 3) 地区人口について  地区人口が少ないことは、概して利用率が低くなることにつながるものであ る。しかし、地区人口が少ないとしても、人口に見合った規模の施設であれば、 低利用率という状況は生じないものと考えられるため、更新にあたっては規模 に配慮することや、近隣の公民館との統合も考慮すべき事項と考えられる。  なお、他の公共施設の空き室を利用するとした場合の例としては、廃校とな った小学校等の校舎を利用することや、利用率の低いコミュニティセンター等、 貸室を業務とする公共施設の空き室を利用するといった方法が考えられる。ま た、使用中の小学校であったとしても、少子化により空き室が多い校舎につい ては、資産の有効活用が図られていないことは否定しえないことから、当該空 き室を利用することも考えられる。 3) 利用率の把握について(意見)  岐阜市では、公民館の利用率について、公民館の貸室を「ホール」、「和室」、 「その他」の3形態に区分し、それぞれについて実際に使われた回数を、各公 民館からの報告により把握し、利用率を算定している。  しかし、「和室」は概して2部屋あり、「その他」についても、和室・ホール 以外の名前が付された全ての部屋が含まれるため、複数の部屋の場合もある。  現在の集計方法では、区分に含まれるいずれかの部屋が利用されていれば、 全ての部屋が利用されているという情報が作成され、部屋の正しい空き状況を 把握できない状況となっているため、「ホール」、「和室」、「その他」の3区分で はなく、各公民館が保有する部屋ごとの利用率が記載された管理表を作成し、 適切に利用率を把握し、これを施設の有効活用や、施設の整備、更新に際して の参考資料とすることが望ましい。 第8 児童館 1 施設の概要 ┌────────┬──────────────────────────┐ │公の施設の名称 │児童館及び児童センター(以下「児童館」という。)  │ ├────────┼──────────────────────────┤ │        │児童厚生施設は、児童遊園、児童館等児童に健全な遊びを│ │目的      │与えて、その健康を増進し、又は情操をゆたかにすること│ │        │を目的とする施設とする(児童福祉法第40条)。    │ ├────────┼──────────────────────────┤ │所在地     │下表参照                      │ ├────────┼──────────────────────────┤ │所管部署    │福祉部福祉事務所子ども家庭課            │ ├────────┼──────────────────────────┤ │開館(竣工)年月│下表参照                      │ ├────────┼──────────────────────────┤ │延床面積    │下表参照                      │ ├────────┼──────────────────────────┤ │公有財産台帳価額│一部のみ記載                    │ ├────────┼──────────────────────────┤ │固定資産台帳価額│793,328千円                     │ ├────────┼──────────────────────────┤ │施設の内容   │下表参照                      │ ├────────┼──────────────────────────┤ │類似施設の状況 │-                         │ └────────┴──────────────────────────┘ (1) 各児童館の概要 ┌───┬───────────┬────┬────┬─────────┬────┐ │児童館│    住所     │建築年度│延床面積│   構造    │建築価格│ │   │           │    │(m2) │         │(千円)│ ├───┼───────────┼────┼────┼─────────┼────┤ │梅林 │田端町1番地11     │昭和48年│ 514.44│鉄筋コンクリート造│ 106,905│ │   │           │    │    │2階建       │    │ ├───┼───────────┼────┼────┼─────────┼────┤ │黒野 │古市場字西畑20番地1  │昭和51年│ 599.78│鉄筋コンクリート造│ 125,910│ │   │           │    │    │2階建       │    │ ├───┼───────────┼────┼────┼─────────┼────┤ │東  │大洞桜台1丁目33番地2 │昭和55年│ 315.23│鉄骨造      │ 60,307│ │   │           │    │    │平屋建      │    │ ├───┼───────────┼────┼────┼─────────┼────┤ │加納 │加納高柳町1丁目1番地 │昭和58年│ 348.27│鉄筋コンクリート造│ 90,570│ │   │           │    │    │平屋建      │    │ ├───┼───────────┼────┼────┼─────────┼────┤ │西  │鏡島南2丁目8番40号  │昭和59年│ 468.22│鉄筋コンクリート造│ 113,687│
    │   │           │    │    │3階建の1階    │    │ ├───┼───────────┼────┼────┼─────────┼────┤ │日光 │日光町9丁目1番地3   │昭和60年│ 370.16│鉄筋コンクリート造│ 83,990│ │   │           │    │    │2階建の1階    │    │ ├───┼───────────┼────┼────┼─────────┼────┤ │本郷 │青柳町5丁目24番地1  │昭和61年│ 488.78│鉄骨造      │ 110,451│ │   │           │    │    │平屋建      │    │ ├───┼───────────┼────┼────┼─────────┼────┤ │長良 │長良389番地2     │昭和63年│  515.5│鉄筋コンクリート造│ 118,542│ │   │           │    │    │2階建       │    │ ├───┼───────────┼────┼────┼─────────┼────┤ │長森 │野一色4丁目11番4号  │平成1年 │  448.5│鉄筋コンクリート造│ 101,876│ │   │           │    │    │平屋建      │    │ ├───┼───────────┼────┼────┼─────────┼────┤ │岩野田│粟野東1丁目95番地   │平成2年 │ 532.42│鉄筋コンクリート造│ 133,888│ │   │           │    │    │2階建       │    │ ├───┼───────────┼────┼────┼─────────┼────┤ │みわ │門屋字野崎95番地   │平成3年 │ 674.92│鉄筋コンクリート造│ 184,622│ │   │           │    │    │一部鉄骨造2階建  │    │ ├───┼───────────┼────┼────┼─────────┼────┤ │うずら│中鶉7丁目58番地    │平成5年 │ 676.81│鉄筋コンクリート造│ 221,106│ │   │           │    │    │2階建       │    │ ├───┼───────────┼────┼────┼─────────┼────┤ │柳津 │柳津町丸野1丁目34番地 │昭和61年│ 681.55│鉄筋コンクリート造│ 180,454│ │   │           │    │    │2階建の2階    │    │ └───┴───────────┴────┴────┴─────────┴────┘  以上、過去の建築価格の合計は13か所で1,632,308千円となっている。  児童館の分布は、下記の図の通り。 (2) 設置の根拠 【児童福祉法第7条第1項】 この法律で、児童福祉施設とは、助産施設、乳児院、母子生活支援施設、保育 所、児童厚生施設、児童養護施設、障害児入所施設、児童発達支援センター、 情緒障害児短期治療施設、児童自立支援施設及び児童家庭支援センターとする。 【児童福祉法第40条】 児童厚生施設は、児童遊園、児童館等児童に健全な遊びを与えて、その健康を 増進し、又は情操をゆたかにすることを目的とする施設とする。 (3) 児童館の業務  児童館は、児童福祉法第40条の目的を果たすため、以下の業務を行うことと されている。 【岐阜市児童館条例施行規則第2条】 児童館は次の事業を行う。 1) 児童の健全な遊び場の提供 2) 児童の健全な遊びの指導 3) 子育て家庭の支援 4) 母親クラブその他地域活動組織の育成及び支援 5) 地域の児童の健全育成 6) 1)~5)に掲げるもののほか、市長が必要と認める事業 2 監査手続  児童館に関連する条例、規則及び関係帳票の閲覧を行い、担当課に対して質 問を実施し、必要に応じて視察を行った。  監査手続を実施したところ、以下の状況であった。 (1) 各児童館の利用状況について  各児童館の平成23年度における利用状況は下表の通りであった。 ┌────┬────────────────────────┬──────┐ │    │       児童館利用者(人)        │移動児童館 │ │児童館 ├────┬────┬────┬────┬────┤      │ │    │乳幼児 │保護者等│小学生 │中高生 │ 合計 │利用者(人)│ ├────┼────┼────┼────┼────┼────┼──────┤ │梅林  │  5,815│  7,194│  8,742│  1,305│ 23,056│    1,434│ ├────┼────┼────┼────┼────┼────┼──────┤ │黒野  │  6,438│  7,474│ 12,312│  1,439│ 27,663│    1,869│ ├────┼────┼────┼────┼────┼────┼──────┤ │東   │  2,128│  3,054│  6,579│   364│ 12,125│    1,393│ ├────┼────┼────┼────┼────┼────┼──────┤ │加納  │  7,747│  8,572│ 11,623│   749│ 28,691│    4,115│ ├────┼────┼────┼────┼────┼────┼──────┤ │西   │ 10,704│ 10,063│  7,146│  2,380│ 30,293│    2,910│ ├────┼────┼────┼────┼────┼────┼──────┤ │日光  │ 12,416│ 14,159│  8,140│  1,058│ 35,773│    2,528│ ├────┼────┼────┼────┼────┼────┼──────┤ │本郷  │  6,832│  7,235│  6,355│  1,115│ 21,537│     985│ ├────┼────┼────┼────┼────┼────┼──────┤ │長良  │ 10,839│ 11,435│  8,666│   904│ 31,844│    3,083│ ├────┼────┼────┼────┼────┼────┼──────┤ │長森  │ 11,179│ 11,471│  6,825│   310│ 29,785│    1,214│ ├────┼────┼────┼────┼────┼────┼──────┤ │岩野田 │  4,439│  6,147│  9,004│   410│ 20,000│    2,502│ ├────┼────┼────┼────┼────┼────┼──────┤ │みわ  │  6,229│  5,762│  6,835│  2,606│ 21,432│    2,136│ ├────┼────┼────┼────┼────┼────┼──────┤ │うずら │  9,481│  8,440│ 12,919│  2,406│ 33,246│    1,296│ ├────┼────┼────┼────┼────┼────┼──────┤ │柳津  │  9,335│  8,382│ 10,192│   800│ 28,709│    3,298│ ├────┼────┼────┼────┼────┼────┼──────┤ │ 合計 │ 103,582│ 109,388│ 115,338│ 15,846│ 344,154│   28,763│ └────┴────┴────┴────┴────┴────┴──────┘  上の表より、東児童センターの利用者数が12,125人と少ないことが分かる。 全13か所の平均利用者数が26,473人であるのに対し、東児童センターの利用 者数はその利用者数の46%に留まっている。特に乳幼児の利用者数は2,128人 であり、全13か所の平均利用者数7,968人の27%に過ぎない。  このため、東児童センターの状況を確認するため、視察を行った。     東児童センターホームページより  視察を行った結果、東児童センターにおいて、利用者数が少ない理由として、
    次の事項が考えられる。 1) 芥見東地区について  芥見東地区は県下最大の大洞緑団地を抱える地域である。ただし、当該団地 が造成されたのは1970年代であり、造成から約40年が経過している。そのた め、高齢化が進み、子どもが少ないことから利用者が伸びない状況となってい るものと考えられる。 2) 非稼働時間について  東児童センターでは、第2火曜日10時半~11時、毎週水曜日10時半~11時 半、毎週木曜日10時半~11時、毎週金曜日10時半~11時に幼児クラブを実施 している。小学生の利用が多くなる15時以降及び土日以外の時間で見ると、第 1第3第4火曜日の午前中、及び平日12時から15時までの全ての時間が空いて いる状況となっている。  児童館ではこの空き時間等を利用して、児童と子育て家庭に対する相談・援 助、地域組織活動の育成等を行う他、地域の施設で移動児童館を実施している。  東児童センターの移動児童館の開催数は年間25回であり、全13か所の児童 館の開催数の合計が509回であり、1児童館あたり平均39回開催されているこ とと比較すると、開催数が少ないといえる。  このように、東児童センターでは幼児クラブや移動児童館のために利用して いる時間が少ないため、利用者数が少ない状況となっているものと考えられる。 (2) 収支状況について  減価償却費等を含めた総コストについて児童館ごとに把握している管理資料 はないが、公の施設の「使用料算定基準」に基づいて作成される、公の施設コス ト(原価)積算票を利用し、総コストを把握することは可能である。  過去3年間及び平均の総コストは下表の通りである。                        単位:千円 ┌───┬─────┬─────┬─────┬────┐ │児童館│平成21年度│平成22年度│平成23年度│ 平均 │ ├───┼─────┼─────┼─────┼────┤ │梅林 │  17,573│  27,052│  17,892│ 20,839│ ├───┼─────┼─────┼─────┼────┤ │黒野 │  18,209│  19,045│  18,658│ 18,638│ ├───┼─────┼─────┼─────┼────┤ │東  │  16,477│  16,361│  16,993│ 16,610│ ├───┼─────┼─────┼─────┼────┤ │加納 │  16,250│  18,362│  17,812│ 17,475│ ├───┼─────┼─────┼─────┼────┤ │西  │  17,425│  17,376│  18,427│ 17,743│ ├───┼─────┼─────┼─────┼────┤ │日光 │  26,402│  15,360│  16,409│ 19,390│ ├───┼─────┼─────┼─────┼────┤ │本郷 │  17,699│  17,498│  22,265│ 19,154│ ├───┼─────┼─────┼─────┼────┤ │長良 │  17,924│  17,648│  19,036│ 18,203│ ├───┼─────┼─────┼─────┼────┤ │長森 │  16,767│  16,994│  16,802│ 16,854│ ├───┼─────┼─────┼─────┼────┤ │岩野田│  17,497│  17,785│  18,458│ 17,913│ ├───┼─────┼─────┼─────┼────┤ │みわ │  21,130│  21,176│  23,846│ 22,051│ ├───┼─────┼─────┼─────┼────┤ │うずら│  21,237│  21,227│  22,739│ 21,734│ ├───┼─────┼─────┼─────┼────┤ │柳津 │  22,254│  21,775│  31,533│ 25,187│ └───┴─────┴─────┴─────┴────┘ 3 監査の指摘及び意見 (1) 利用効率の改善について 1) 幼児クラブについて(意見)  児童館は、平日15時までの時間帯では主に幼児クラブ等により利用されてお り、15時以降は主に小学生及び中高生が利用している。  幼児クラブは、児童館が主催し、遊びを提供する場であるとともに、同じ年 代の乳幼児及び保護者が集い、情報交換をする場でもあり、子育て支援のため に開催されている。幼児クラブは、登録制のものが中心であるが、自由参加型 のものもある。  各児童館において平成24年12月時点での幼児クラブは下表の予定で行われ ている。 ┌───┬───┬───┬───┬───┬───┬───┐ │   │月合計│ 月 │ 火 │ 水 │ 木 │ 金 │ │児童館│   ├─┬─┼─┬─┼─┬─┼─┬─┼─┬─┤ │   │開催数│朝│昼│朝│昼│朝│昼│朝│昼│朝│昼│ ├───┼───┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┤ │梅林 │ 15 │休│休│ 4│ │ 4│ │ 3│ │ 4│ │ ├───┼───┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┤ │黒野 │ 10 │休│休│ │ │ 2│ │ 4│ │ 4│ │ ├───┼───┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┤ │東  │ 13 │休│休│ 1│ │ 4│ │ 4│ │ 4│ │ ├───┼───┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┤ │加納 │ 13 │休│休│ 3│ │ 4│ │ 4│ │ 2│ │ ├───┼───┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┤ │西  │  8 │休│休│ 2│ │ 4│ │ │ │ 2│ │ ├───┼───┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┤ │日光 │ 18 │休│休│ 4│ │ 4│ │ 2│ │ 4│ 4│ ├───┼───┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┤ │本郷 │ 12 │休│休│ │ │ 4│ │ 4│ │ 4│ │ ├───┼───┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┤ │長良 │ 13 │休│休│ 4│ │ 2│ │ 4│ │ 2│ 1│ ├───┼───┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┤ │長森 │ 11 │休│休│ │ │ 2│ 1│ 4│ │ 4│ │ ├───┼───┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┤ │岩野田│ 13 │休│休│ 1│ │ 4│ │ 4│ │ 4│ │ ├───┼───┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┤ │みわ │ 16 │休│休│ 4│ │ 4│ │ 4│ │ 4│ │ ├───┼───┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┤ │うずら│ 34 │休│休│ 4│ 4│ 4│ 2│ 8│ 4│ 4│ 4│ ├───┼───┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┤
    │柳津 │ 15 │ 1│ │ 4│ │ 4│ │ 4│ │ 2│ │ └───┴───┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┘ ※1 朝は9時~12時、昼は12時~15時を表す。 ※2 15時以降及び土日については、主に小学生・中高生が来館するため表記しない。 ※3 表中の数字は、月あたり幼児クラブ等開催数であり、空欄は幼児クラブ等の予定がない時間である。 ※4 表中、休とあるのは休館日を表す。  上表から分かるように、小学生・中高生が来館する15時以降及び土日を除く 時間帯のうち、約50%の予定が空いている状況となっている。  幼児クラブの要望を正確にとらえ、要望がある場合は開催回数を増加するな ど、利用効率を改善することが望ましいと考える。 2) 他の公共施設の利用について(意見)  児童館については、「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」第37条第2 号にて、「児童館等屋内の児童厚生施設には、集会室、遊戯室、図書室及び便所 を設けること。」とされている。また、「児童館の設置運営について」(平成2年 8月7日厚生省発児第123号厚生事務次官通知)において、建物の広さは原則と して、217.6m2以上とすることが求められている。ただし、相談室、創作活動室 等を設けない場合には185.12m2以上として差し支えないとされている。また、 児童館の機能に加えて、児童の体力増進に関する指導機能を併せ持つ児童セン ターについては、建物の広さは原則として、336.6m2以上とすることが求められ ている。ただし、相談室、創作活動室等を設けない場合には297m2以上として 差し支えないとされている。  この点、他の既存の公共施設において、空き室が見られるものもあり、例え ば廃校となった小学校等の校舎について考えれば、当該基準を満たすものと考 えられる。  更新時において、新たに児童館のための建物を建てるのではなく、建設コス トの掛からない既存の公共施設を利用できないか検討することが、更新投資額 の縮減につながり、最少の経費の追求及び運営の合理化に資するものと考えら れる。 3) 移動児童館について(意見)  平成23年度における移動児童館の利用者数及び開催数等は下表の通りである。 ┌───┬───────┬────────┬──────┬───────┐ │   │  全体   │うち、移動児童 │移動児童館 │ 移動児童館 │ │児童館│利用者数(人)│   館    │開催数(回)│ 1回あたり  │ │   │       │利用者数(人) │      │利用者数(人)│ ├───┼───────┼────────┼──────┼───────┤ │梅林 │    24,490│      1,434│     21│      68│ ├───┼───────┼────────┼──────┼───────┤ │黒野 │    29,532│      1,869│     31│      60│ ├───┼───────┼────────┼──────┼───────┤ │東  │    13,518│      1,393│     25│      56│ ├───┼───────┼────────┼──────┼───────┤ │加納 │    32,806│      4,115│     93│      44│ ├───┼───────┼────────┼──────┼───────┤ │西  │    33,203│      2,910│     30│      97│ ├───┼───────┼────────┼──────┼───────┤ │日光 │    38,301│      2,528│     26│      97│ ├───┼───────┼────────┼──────┼───────┤ │本郷 │    22,522│       985│     37│      27│ ├───┼───────┼────────┼──────┼───────┤ │長良 │    34,927│      3,083│     85│      36│ ├───┼───────┼────────┼──────┼───────┤ │長森 │    30,999│      1,214│     17│      71│ ├───┼───────┼────────┼──────┼───────┤ │岩野田│    22,502│      2,502│     40│      63│ ├───┼───────┼────────┼──────┼───────┤ │みわ │    23,568│      2,136│     39│      55│ ├───┼───────┼────────┼──────┼───────┤ │うずら│    34,542│      1,296│     25│      52│ ├───┼───────┼────────┼──────┼───────┤ │柳津 │    32,007│      3,298│     40│      82│ ├───┼───────┼────────┼──────┼───────┤ │合計 │    372,917│     28,763│     509│      57│ └───┴───────┴────────┴──────┴───────┘  現在、移動児童館は各地区、子ども会、小学校等の求めに応じて公民館やコ ミュニティセンター等の施設を利用して行われており、3 (1) 1)にて示した表 の空き時間、又は幼児クラブ等と時間が重なる場合に日程・人員を調整して行 われている。  現状であっても一定の利用者数の増加は図られているが、求めに応じて行う 形であるため、実施回数が伸びない傾向にある。児童館としての最大の効果を 上げるためには、自発的に移動児童館を実施することが望ましいと考えられる。  この点、児童館の職員に空き時間があるのであれば、自発的に移動児童館を 開催することが可能であると考えられる。移動児童館については、市の他の施 設である、公民館、コミュニティセンター等の貸室業務を行っている施設を使 い、定期的に行うことが考えられる。  例えば、公民館は各地区に設置されており、地区の市民にとっては身近に存 在する施設であるため利用しやすいものと考えられる。公民館の空き室を利用 して、定期的に移動児童館を開催することにより、児童館のサービスを享受で きる市民を増加させることができ、利用者数の増加につながると考えられる。  さらに、移動児童館を充実させることにより、児童館のサービスを享受でき ない市民を減少させることができ、市民間の不公平感を緩和することが可能と なるものと考えられる。  また、幼児クラブ等の児童館の活動を主として移動児童館で行うならば、来 館者が児童館を利用する回数は減少するため、現在の規模の児童館は必要がな くなることも考えられる。移動児童館の実施により、児童館が設置されていな くとも児童館のサービスを提供できるようになるのであれば、児童館を設置す る必要性は低下することになり、児童館の数について、減少させることも考え られる。  以上のことより、移動児童館の活動を岐阜市全域で活発に実施することによ り、児童館が設置されない地区の市民も一定のサービスを享受できるようにな るとともに、公民館、コミュニティセンターを有効活用することができると考 えられる。また、児童館に対する必要性が低下することになるため、児童館を 更新する際には、規模を縮小することや、児童館の統合をすることも考えられ る。 (2) 更新計画について(指摘)  児童館について、現在の規模で更新すると仮定すれば更新額の総額は約15億
    円と推定される。また、更新時期と更新額については次のグラフのように推定 される。  児童館については昭和48年から平成5年までの20年間に13の児童館が建設 された。特に昭和58年から平成5年にかけては児童館の建設がほぼ1年に1か 所あったことから、更新時期も順次到来し、同時期に重なることが想定される。  このように更新時期が重なると、短期間に多額の更新投資が必要になること になるが、児童館においては施設の中長期の更新計画は立てられておらず、必 要に応じて、施設の修繕を行うといった処置がとられているのみである。  このままでは、児童館の更新時が重なることにより短期間に多額の資金が必 要になるため、中長期の計画を立てることが必要である。なお、所管部署の独 自の計画だけでは実効性がないものになるため、岐阜市全体の更新投資の検討 を行う部署と協議して、実効性のあるものにすることが必要である。 第9 コミュニティセンター 1 施設の概要 ┌────────┬───────────────────────────┐ │公の施設の名称 │コミュニティセンター                 │ ├────────┼───────────────────────────┤ │        │岐阜市コミュニティセンター条例に基づき設置される施  │ │目的      │設であり、地域住民の連帯意識を高め、快適で住みよい地 │ │        │域社会の形成に寄与するため、地域の方々が活動する場と │ │        │して、また、生涯学習を実践する場として設置されている。│ ├────────┼───────────────────────────┤ │所在地     │下表参照                       │ ├────────┼───────────────────────────┤ │所管部署    │市民参画部市民協働推進課               │ ├────────┼───────────────────────────┤ │開館(竣工)年月│下表参照                       │ ├────────┼───────────────────────────┤ │延床面積    │下表参照                       │ ├────────┼───────────────────────────┤ │公有財産台帳価額│-(金額の記載のないものが過半)           │ ├────────┼───────────────────────────┤ │固定資産台帳価額│2,636,544千円                     │ ├────────┼───────────────────────────┤ │施設の内容   │下表参照                       │ ├────────┼───────────────────────────┤ │類似施設の状況 │公民館                        │ └────────┴───────────────────────────┘ (1) 各コミュニティセンターの概要 ┌──────┬─────────┬──────┬────┬─────────┬─────┐ │コミュニティ│   所在地   │ 開館年月 │延床面積│   構造    │建築価格 │ │ センター │         │      │(m2) │         │(千円) │ ├──────┼─────────┼──────┼────┼─────────┼─────┤ │東部    │芥見4丁目80   │昭和57年4月 │2,804.02│鉄筋コンクリート造│  570,099│ │      │         │      │    │2階建       │     │ ├──────┼─────────┼──────┼────┼─────────┼─────┤ │西部    │下鵜飼1丁目105  │昭和58年4月 │2,239.77│鉄筋コンクリート造│  312,667│ │      │         │      │    │2階建       │     │ ├──────┼─────────┼──────┼────┼─────────┼─────┤ │北部    │八代1丁目11-13  │昭和59年4月 │2,153.78│鉄筋コンクリート造│  330,581│ │      │         │      │    │2階建       │     │ ├──────┼─────────┼──────┼────┼─────────┼─────┤ │南部    │加納城南通1丁目20│昭和60年4月 │2,454.16│鉄筋コンクリート造│  386,552│ │      │         │      │    │2階建       │     │ ├──────┼─────────┼──────┼────┼─────────┼─────┤ │日光    │日光町9丁目1-3  │昭和61年4月 │2,016.64│鉄筋コンクリート造│  326,943│ │      │         │      │    │2階建       │     │ ├──────┼─────────┼──────┼────┼─────────┼─────┤ │長森    │前一色1丁目2-1  │平成3年11月 │2,728.74│鉄筋コンクリート造│  605,141│ │      │         │      │    │2階建       │     │ ├──────┼─────────┼──────┼────┼─────────┼─────┤ │市橋    │市橋6丁目13-25  │平成9年4月 │3,398.32│鉄筋コンクリート造│ 1,050,759│ │      │         │      │    │2階建       │     │ ├──────┼─────────┼──────┼────┼─────────┼─────┤ │北東部   │福富迎田6-1    │平成16年12月│2,766.21│鉄筋コンクリート造│  720,796│ │      │         │      │    │2階建       │     │ └──────┴─────────┴──────┴────┴─────────┴─────┘  以上、過去の建築価格の合計は、8か所で4,303,538千円となっている。 2 監査手続  関連する条例、規則及び関係帳票の閲覧を行い、担当課に対して質問を実施 し、必要に応じて視察を行った。  監査手続を実施したところ、以下の状況であった。 (1) 各コミュニティセンターの利用状況について  コミュニティセンターでは、月ごとに部屋別の利用率を求め、市に報告し、 市では月ごとの情報を集約し、年間での情報を把握している。  平成23年度における各コミュニティセンターの部屋別利用率は次の表の通り であった。                                         (%) ┌───────┬─────┬─────┬─────┬─────┬─────┬─────┐ │コミュニティ │大集会室 │防災会議室│ 会議室 │ 集会室 │ 音楽室 │スポーツ室│ │ センター  │     │     │小会議室 │     │     │     │ ├───────┼─────┼─────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │東部     │   32.4│   56.4│   72.4│   42.1│   50.4│     -│ ├───────┼─────┼─────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │西部     │   45.2│   70.7│   27.2│   36.4│     -│     -│ ├───────┼─────┼─────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │北部     │   36.7│   77.5│     -│   67.1│   76.2│     -│ ├───────┼─────┼─────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │南部     │   73.4│   78.0│   33.3│   35.9│   70.0│     -│ ├───────┼─────┼─────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │日光     │   70.6│     -│   35.9│   54.4│     -│     -│ ├───────┼─────┼─────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │長森     │   43.6│   71.4│     -│   42.4│   57.9│   86.5│ ├───────┼─────┼─────┼─────┼─────┼─────┼─────┤
    │市橋※    │   50.6│   66.3│   54.0│     -│   63.9│   86.1│ ├───────┼─────┼─────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │北東部    │   24.8│   28.4│   22.8│     -│   47.1│   82.4│ └───────┴─────┴─────┴─────┴─────┴─────┴─────┘ ┌───────┬─────┬─────┬─────┬─────┬─────┐ │コミュニティ │教養娯楽室│多目的室 │サークル室│料理教室 │生活相談室│ │ センター  │     │     │     │     │     │ ├───────┼─────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │東部     │   17.9│   32.6│   32.6│   10.1│     -│ ├───────┼─────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │西部     │   39.5│     -│     -│   10.6│   21.4│ ├───────┼─────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │北部     │   16.6│   36.4│   62.1│     -│   10.9│ ├───────┼─────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │南部     │    7.4│   31.5│   46.0│     -│   15.6│ ├───────┼─────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │日光     │   28.1│   49.8│   68.5│     -│     -│ ├───────┼─────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │長森     │   19.5│   24.1│   21.4│   23.1│     -│ ├───────┼─────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │市橋     │   24.9│     -│   46.2│   34.8│     -│ ├───────┼─────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │北東部    │   33.4│     -│   19.2│    9.6│     -│ └───────┴─────┴─────┴─────┴─────┴─────┘ ┌───────┬─────┬─────┬─────┬─────┐ │       │ 会議室1 │ 会議室3 │和室会議室│ 平均  │ │※市橋・会議室├─────┼─────┼─────┼─────┤ │       │   65.1│   46.6│   50.4│   54.0│ └───────┴─────┴─────┴─────┴─────┘  上表より、北東部コミュニティセンターの部屋別についてみると、大集会室 24.8%、防災会議室28.4%、会議室22.8%、サークル室19.2%、料理教室9.6% といったように、利用率が全般に他よりも低いため、北東部コミュニティセン ターの現場視察を行った。     岐阜市ホームページより  北東部コミュニティセンターは、地域の要望により、平成16年12月に開館 した、岐阜市内で最も新しいコミュニティセンターである。  視察及びヒアリングを行った結果、北東部コミュニティセンターの利用率が 低い理由は、以下の理由によるものと考えられる。 1) 地域人口  コミュニティセンターには構成地域が定められており、当該コミュニティセ ンターの構成地域である北東部地域の人口は19,219人(藍川7,096人、三輪南 9,281人、三輪北2,842人)であり、全8コミュニティセンター中、構成地域の 人口がもっとも少ないコミュニティセンターとなっている。人口が少ないにも 関わらず他のコミュニティセンターと同規模のものとなっているため、利用率 が低くなっているものと思われる。 2) 他の施設の存在  コミュニティセンターは、地域の生涯学習及びコミュニティ活動の場として 部屋を貸すことを業務として行っているが、公民館等においても類似のサービ スが市民に対し提供されている。  北東部コミュニティセンターが設置されている三輪南地区には三輪南公民館 (ホール利用率38%)があり、また、自治公民館が地区内に21か所あることも、 利用率が低い原因になっているものと考えられる。 (2) 収支状況について 1) 総コスト  市民協働推進課では、各施設の使用料算定にあたって作成する公の施設コス ト(原価)算定票の中で、各コミュニティセンターの総コストを集計している。  平成23年度における各コミュニティセンターの総コストは次の表の通りであ る。 ┌──────┬────┐ │コミュニティ│総コスト│ │ センター │(千円)│ ├──────┼────┤ │東部    │ 35,760│ ├──────┼────┤ │西部    │ 44,961│ ├──────┼────┤ │北部    │ 52,935│ ├──────┼────┤ │南部    │ 27,200│ ├──────┼────┤ │日光    │ 21,531│ ├──────┼────┤ │長森    │ 43,381│ ├──────┼────┤ │市橋    │ 59,167│ ├──────┼────┤ │北東部   │ 27,488│ ├──────┼────┤ │合計    │ 312,423│ └──────┴────┘ 2) 使用料収入  コミュニティセンターの運営は指定管理者によって行われているが、コミュ ニティセンターの使用料収入については、市に帰属するものとされている。平 成23年度における各コミュニティセンターで生じた使用料収入は下表の通りで ある。 ┌──────┬─────┐ │コミュニティ│使用料収入│ │ センター │(千円) │ ├──────┼─────┤ │東部    │   2,934│ ├──────┼─────┤ │西部    │   1,863│ ├──────┼─────┤ │北部    │   2,671│ ├──────┼─────┤
    │南部    │   3,325│ ├──────┼─────┤ │日光    │   2,995│ ├──────┼─────┤ │長森    │   3,359│ ├──────┼─────┤ │市橋    │   4,491│ ├──────┼─────┤ │北東部   │   2,110│ ├──────┼─────┤ │合計    │  23,751│ └──────┴─────┘ 3 監査の指摘及び意見 (1) 更新計画について(指摘)  コミュニティセンターについて、現在の規模で更新すると仮定すれば更新投 資の総額は約47億円と試算される。また、更新時期と更新投資額については次 のグラフにある通りである。  コミュニティセンターについては、昭和57年から昭和61年にかけて、東部・ 西部・北部・南部・日光の順に毎年1か所建築するペースで5か所のコミュニ ティセンターが開設された。その後、地域の要望もあり、平成3年に長森、平 成9年に市橋、平成16年に北東部の3か所が設置された。  以上のように、平成元年以降に設置されたコミュニティセンターを除くと、 建築された時期は同時期に集中しており、更新時期がまとまって到来すること が想定される。  コミュニティセンターについても、必ず更新時期が到来するものであるため、 更新時期に必要な資金を手当するためには、適切な更新計画を立てる必要があ るが、現在のところ、各コミュニティセンターの空調及び屋上改修工事につい ては計画的に修繕する計画を立てているが、コミュニティセンターの建物自体 についての中長期の維持更新計画は策定されていない。  現在の財政状況及び将来他の施設等の更新投資も多額になることが想定され ることから、更新投資について中長期の計画を立てることが必要である。なお、 所管部署の独自の計画だけでは実効性がないものになるため、岐阜市全体の更 新投資の検討を行う部署と協議して、実効性のあるものにすることが必要であ る。  また、コミュニティセンターの更新にあたっては、利用者である市民の判断 も仰ぐべきであるが、市民が適切な意思決定を行うためには、コミュニティセ ンターに関する利用状況及び収支に関する情報の開示が必要なものと考えられ る。この点、岐阜市では、指定管理者のモニタリング結果にて、各コミュニテ ィセンターの利用状況及び収入に関する情報については開示しているが、減価 償却費等を含めた総コストに関する情報については開示されておらず、当該情 報についても開示することが必要である。 (2) 有効利用について(意見)  2 (1) 2)において北東部コミュニティセンターの利用率が低迷している要因 として、公民館等の存在が挙げられた。  特に、公民館については、利用目的及び利用実態を考慮するとコミュニティ センターの類似施設ということができ、提供するサービスの内容が重複してい るため利用率を低下させる一因になったものと考えられる。  上記のようにサービスが重複した結果、必要以上にサービスが提供されると いうことであれば、この過剰なサービスに係る支出は不要なものということが できる。また、この状態は過大な公共施設を有しているといえる。  以上のことより、コミュニティセンターにより提供されるサービスと、コミ ュニティセンターの類似施設等から提供される重複するサービスを把握するこ とにより、過剰となっているサービスを把握し、これに見合った施設規模等の 見直しを行うことが、経費の縮減・運営の合理化につながるものと考えられる。  また、地域の需要に比し、過大な設備が整備されていることも利用率低迷の 一因であると考えられる。  この点、コミュニティセンターの空き室について、他の公共施設のために利 用することにすれば、空き室の縮減につながり、また、集約した他の公共施設 のための建物等が不要となることから市全体での施設規模等の見直しにつなが ることとなり、維持更新コストを低く抑えることが可能となるものと考えられ る。 (3) 使用料免除申請について 1) 規則からの逸脱(指摘)  視察した北東部コミュニティセンターにおいては、自治会連合会等の団体利 用時に、免除申請者から「使用料免除申請書」の提出を受けておらず、規定に反 する取り扱いとなっていた。  この点、「岐阜市コミュニティセンター条例施行規則」に従えば、使用料の免 除という恩恵を受けている以上、規則に従い「使用料免除申請書」を提出する必 要がある。 2) 規則の運用方法(意見)  1)において、「使用料免除申請書」の提出がされていない旨を記載したが、自 治会連合会等は、その公的な性格から「岐阜市コミュニティセンター条例施行規 則」第8条により、使用料を免除するとの措置をとっているものである。自治会 連合会等の公的な性格については変化が生じるものではないことを考えれば、 利用の都度、免除の申請を行うことは形式的であり、免除申請者である自治会 連合会等及びコミュニティセンターの双方にとって、事務作業が生じることは、 業務の非効率を生むものと考えられる。  よって、公的な性格から免除を認めた団体については、例えば1年間を通し て、包括的に使用料免除の承認をする等といった対応により、事務作業の効率 化を図ること等を検討されたい。 (4) 利用者に対するアンケートについて(意見)  コミュニティセンターでは、利用者に対してアンケートをとり、当該回答を 参考にして指定管理者の評価、利用効率及び業務の改善等の参考資料としてい る。  しかし、平成23年度におけるアンケートの集計数は全般に少なく、特に北東 部コミュニティセンターに関しては回答が11件のみとなっていた。非常に少な い意見を集計したとしても、必ずしも利用者全体の意思が反映されているとは いえず、適切な判断を行うための資料として十分ではないと思われる。アンケ ートにより利用者の意見を収集するならば、可能な限り多くの利用者に配布し、 回答を回収することが望ましい。 第10 岐阜薬科大学・岐阜市立女子短期大学 1 施設の概要
    ┌────────┬──────────────────────────────┐ │公の施設の名称 │岐阜薬科大学                        │ ├────────┼──────────────────────────────┤ │        │学術の中心として広く知識を授けるとともに、深く薬学に関する学│ │目的      │理と技術を教育研究し、知的道徳的に優れ、また応用能力のある人│ │        │材を養成することを目的とする。               │ ├────────┼──────────────────────────────┤ │所在地     │本部・大学院:岐阜市大学西1-25-4             │ │        │三田洞キャンパス:岐阜市三田洞東5-6-1           │ ├────────┼──────────────────────────────┤ │所管部署    │岐阜薬科大学庶務会計課                   │ ├────────┼──────────────────────────────┤ │開館(竣工)年月│本部・大学院:平成21年10月                 │ │        │三田洞キャンパス:昭和40年9月                │ ├────────┼──────────────────────────────┤ │        │本部:13,710m2                       │ │        │三田洞キャンパス:21,463m2                 │ │        │ 三田洞キャンパス建物内訳                 │ │        │┌───────────┬──────────┐      │ │        ││本館         │      10,598m2│      │ │        │├───────────┼──────────┤      │ │        ││生物薬学研究所    │       3,162m2│      │ │延床面積    │├───────────┼──────────┤      │ │        ││教育研究総合センター │       2,596m2│      │ │        │├───────────┼──────────┤      │ │        ││体育館        │       1,979m2│      │ │        │├───────────┼──────────┤      │ │        ││別館         │       1,657m2│      │ │        │├───────────┼──────────┤      │ │        ││附属施設       │       1,471m2│      │ │        │└───────────┴──────────┘      │ ├────────┼──────────────────────────────┤ │公有財産台帳価額│本部:4,000,000千円(1か所のみ記入あり)          │ │        │三田洞キャンパス:1,546,099千円(空白箇所あり)       │ ├────────┼──────────────────────────────┤ │固定資産台帳価額│本部:2,985,569千円                     │ │        │三田洞キャンパス:3,687,335千円               │ ├────────┼──────────────────────────────┤ │        │本部:鉄筋コンクリート造8階建                │ │        │三田洞キャンパス:                     │ │        │ 三田洞キャンパス建物内訳                 │ │        │┌───────────┬───────────────┐ │ │        ││本館         │鉄筋コンクリート造4階建    │ │ │        │├───────────┼───────────────┤ │ │        ││生物薬学研究所    │鉄筋コンクリート造3階建    │ │ │施設の内容   │├───────────┼───────────────┤ │ │        ││教育研究総合センター │鉄筋コンクリート造4階建    │ │ │        │├───────────┼───────────────┤ │ │        ││体育館        │鉄筋コンクリート造2階建    │ │ │        │├───────────┼───────────────┤ │ │        ││別館         │鉄筋コンクリート造3階建    │ │ │        │├───────────┼───────────────┤ │ │        ││附属施設       │-               │ │ │        │└───────────┴───────────────┘ │ ├────────┼──────────────────────────────┤ │類似施設の状況 │‐                             │ └────────┴──────────────────────────────┘            岐阜薬科大学本部           三田洞キャンパス ┌────────┬──────────────────────────────┐ │公の施設の名称 │岐阜市立女子短期大学                    │ ├────────┼──────────────────────────────┤ │        │女子に対して幅広く深い教養及び総合的な判断力を養成し、豊かな│ │目的      │人間性を涵養するとともに、専門的な知識と技能を授け、有為な社│ │        │会生活を営み、かつ地域社会の発展に貢献する人材を養成すること│ │        │を目的とする。                       │ ├────────┼──────────────────────────────┤ │所在地     │岐阜市一日市場北町7-1                  │ ├────────┼──────────────────────────────┤ │所管部署    │岐阜市立女子短期大学総務管理課               │ ├────────┼──────────────────────────────┤ │開館(竣工)年月│平成12年3月                         │ ├────────┼──────────────────────────────┤ │        │ 15,843.05m2                        │ │        │┌────┬───────────────┬──────┐ │ │        ││研究棟 │鉄筋コンクリート造6階建    │ 3,125.79m2│ │ │        │├────┼───────────────┼──────┤ │ │        ││講義棟 │鉄骨鉄筋コンクリート造5階建  │ 3,617.34m2│ │ │延床面積    │├────┼───────────────┼──────┤ │ │        ││実習棟 │鉄筋コンクリート造5階建    │ 5,939.53m2│ │ │        │├────┼───────────────┼──────┤ │ │        ││体育館 │鉄骨造            │ 1,316.58m2│ │ │        │├────┼───────────────┼──────┤ │ │        ││その他 │               │ 1,843.81m2│ │ │        │└────┴───────────────┴──────┘ │ ├────────┼──────────────────────────────┤ │公有財産台帳価額│不明(金額の入力なし)                   │ ├────────┼──────────────────────────────┤ │固定資産台帳価額│4,876,488千円                        │ ├────────┼──────────────────────────────┤ │施設の内容   │施設概要は延床面積の欄を参照                │ ├────────┼──────────────────────────────┤ │類似施設の状況 │-                             │ └────────┴──────────────────────────────┘ 岐阜市立女子短期大学
    ・定員と現員数の状況 岐阜薬科大学  在学生の状況                    (平成24年5月1日現在) ┌─────┬──┬───┬───┬───┬───┬───┬───┬───┐ │ 学科  │定員│1回生│2回生│3回生│4回生│5回生│6回生│合計 │ ├─────┼──┼───┼───┼───┼───┼───┼───┼───┤ │薬学科  │ 80│  106│  92│  85│  93│  69│  76│  521│ ├─────┼──┼───┼───┼───┼───┼───┼───┼───┤ │薬科学科 │ 40│  71│  48│  44│  42│   -│   -│  205│ ├─────┼──┼───┼───┼───┼───┼───┼───┼───┤ │ 合計  │ 120│  177│  140│  129│  135│  69│  76│  726│ └─────┴──┴───┴───┴───┴───┴───┴───┴───┘ ┌─────┬──┬───┬───┬───┬───┬───┐ │ 大学院 │定員│ I │ II │ III │ IV │合計 │ ├─────┼──┼───┼───┼───┼───┼───┤ │修士   │ 35│  31│  34│   -│   -│  65│ ├─────┼──┼───┼───┼───┼───┼───┤ │博士後期 │  5│   9│   9│  11│   -│  29│ ├─────┼──┼───┼───┼───┼───┼───┤ │博士   │  3│   6│   0│   0│   0│   6│ ├─────┴──┴───┴───┴───┴───┼───┤ │          合計            │  100│ └────────────────────────┴───┘ ※「市政概要」平成24年度版より 岐阜市立女子短期大学  在学生の状況           (平成24年5月1日現在) ┌─────────┬─────┬─────┬─────┐ │         │  1年  │  2年  │ 合計  │ │   学科    ├──┬──┼──┬──┼──┬──┤ │         │定員│現員│定員│現員│定員│現員│ ├─────────┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤ │英語英文学科   │ 50│ 57│ 50│ 62│ 100│ 119│ ├─────────┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤ │国際文化学科   │ 60│ 64│ 60│ 65│ 120│ 129│ ├─────────┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤ │食物栄養学科   │ 60│ 63│ 60│ 68│ 120│ 131│ ├─────────┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤ │生活デザイン学科 │ 60│ 71│ 60│ 68│ 120│ 139│ ├─────────┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤ │   合計    │ 230│ 255│ 230│ 263│ 460│ 518│ └─────────┴──┴──┴──┴──┴──┴──┘ ※「市政概要」平成24年度版よ り 2 監査手続  「岐阜薬科大学条例」、「岐阜市立女子短期大学条例」、各「大学案内」、「市政概 要」等を閲覧するとともに担当課に質問し、さらに施設の視察を実施した。 3 監査の意見 (1) 岐阜市における二つの市立大学について(意見)  現在、岐阜市は岐阜薬科大学と岐阜市立女子短期大学の二つの大学・短期大 学を保有し運営している。このことにつき、他の地方自治体と比較すると下記 の表の通りである。 市立大学・短大を設置している地方自治体 ┌────────────┬──────┬──────┬──────┬──────┬──────┐ │設置都市        │ 名寄市  │ 前橋市  │ 神戸市  │ 福山市  │ 川崎市  │ ├────────────┼──────┼──────┼──────┼──────┼──────┤ │人口(人)       │   29,939│   336,365│  1,541,596│   465,391│  1,432,374│ ├────────────┼──────┼──────┼──────┼──────┼──────┤ │一般会計(歳入:百万円)│   18,113│   140,474│   721,923│   172,200│   580,101│ ├────────────┼──────┼──────┼──────┼──────┼──────┤ │特別会計(歳入:百万円)│    5,930│   81,914│   727,123│   111,630│   463,626│ ├────────────┼──────┼──────┼──────┼──────┼──────┤ │大学名         │名寄市立大学│前橋工科大学│ 神戸市  │福山市立大学│ 川崎市立 │ │            │      │      │ 看護大学 │      │看護短期大学│ └────────────┴──────┴──────┴──────┴──────┴──────┘ ┌────────────┬──────┬──────┬──────┬──────┬──────┐ │設置都市        │ 大月市  │  津市  │ 京都市  │ 倉敷市  │ 岐阜市  │ ├────────────┼──────┼──────┼──────┼──────┼──────┤ │人口(人)       │   28,214│   279,335│  1,470,587│   481,723│   418,498│ ├────────────┼──────┼──────┼──────┼──────┼──────┤ │一般会計(歳入:百万円)│   12,080│   104,769│   753,594│   181,292│   162,669│ ├────────────┼──────┼──────┼──────┼──────┼──────┤ │特別会計(歳入:百万円)│    6,950│   101,916│   613,726│   111,889│   102,238│ ├────────────┼──────┼──────┼──────┼──────┼──────┤ │            │      │      │ 京都市立 │ 倉敷市立 │岐阜薬科大学│ │大学名         │大月短期大学│三重短期大学│看護短期大学│ 短期大学 │ 岐阜市立 │ │            │      │      │      │      │女子短期大学│ └────────────┴──────┴──────┴──────┴──────┴──────┘ ※1 各地方自治体の公表資料より作成。なお、公立大学法人化したものは除く。 ※2 人口は平成24年3月31日現在若しくは4月1日現在のもの。大月市のみ平成23年10月1日現在。 ※3 一般会計・特別会計とも平成23年度のものを利用している。 ※4 この他、神戸市は公立大学法人神戸市外国語大学、京都市は公立大学法人京都市立芸術大学がある。  この表を見てもわかる通り、岐阜市は単独で公立大学・短期大学の2校を設 置しているが、これは都道府県及び政令指定都市を除いた地方自治体では稀な 例であり、岐阜市が従来から教育・研究に重点を置いた市政を行っていたこと によるものと推測される。  他方、市立大学・短期大学を設置するということは市立大学・短期大学の運 営に要する支出のうち、市立大学・短期大学の収入で賄うことができない部分 については岐阜市が負担することになる。この表のみでは、各大学の規模及び 各地方自治体の負担金額は不明であるため、一概に比較することは難しく、岐 阜市の市立大学・短期大学に対する負担が、過度なものになっているか否かは 不明である。ただし、岐阜市と同規模の地方自治体で市立大学・短期大学を複 数設置しているところは存在していないことから、この点で他の地方自治体と 比較し負担割合が高いことが推定される。また下記の図は、過去5年間におけ る各大学の一般財源による負担額の推移を示したものである。これを見る限り、
    毎年支出額の50%近くを一般財源により負担していることがわかる。  なお、両大学とも公立大学法人化されておらず、運営費の一部を一般財源に よって負担している状態である。法人化については過去に検討されたが、今ま で自治体の専門部局で行っていた業務を法人内で行うことが必要になることや、 会計システムの開発・整備に別途コストが発生すること等により、法人化によ り歳出が増加することになるとして、法人化には至っていない。 岐阜市立大学の財政推移                      (単位:百万円) ┌─────────┬─────┬─────┬─────┬─────┬─────┐ │         │平成19年度│平成20年度│平成21年度│平成22年度│平成23年度│ ├─────────┴─────┴─────┴─────┴─────┴─────┤ │岐阜薬科大学※1                                │ ├─────────┬─────┬─────┬─────┬─────┬─────┤ │A支出額総額   │   2,172│   2,352│   3,912│   1,359│   1,462│ ├─────────┼─────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │B一般財源負担額 │    967│    996│   1,628│    697│    731│ ├─────────┼─────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │比率(B/A)    │  44.52%│  42.35%│  41.62%│  51.29%│  50.00%│ ├─────────┴─────┴─────┴─────┴─────┴─────┤ │岐阜市立女子短期大学※2                            │ ├─────────┬─────┬─────┬─────┬─────┬─────┤ │A支出額総額   │    925│    911│    915│    848│    564│ ├─────────┼─────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │B一般財源負担額 │    628│    606│    608│    540│    266│ ├─────────┼─────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │比率(B/A)    │  67.89%│  66.52%│  66.45%│  63.68%│  47.16%│ └─────────┴─────┴─────┴─────┴─────┴─────┘ ※1 平成19年~21年度は新校舎建設に伴い、工事請負費が増加している。 ※2 平成19年~22年度は学校用地の購入費を繰上げ償還することに伴い、公有財産購入費 が増加している。  現在、両大学とも定員が充足されており、少子化により学生募集が困難にな る等の、今後の大学の運営に支障をきたすような事象は発生していない。しか しながら今後は、日本経済の衰退による長期の不景気に伴い、一般財源の基と なる税収が減少することにより、財政状態が厳しくなることが予想される。そ の厳しい財政状態の中で、市立大学・短期大学は学生の定員に合わせた施設の 運営維持を継続的に行うことになる。  今後も将来にわたり少子高齢化が見込まれる中で、岐阜市が地元の教育・研 究に対し果たすべき役割を再度考慮した上で、現在の学生のニーズに合わせた 役務を提供するように継続して検討していくことが必要である。その上で、今 後も上記のような一般財源による負担額の水準を漫然と保持するのではなく、 今まで以上のさらなる効率化や必要に応じて授業料の値上げや統廃合等を行う ことにより、岐阜市の将来の負担を減少させていくことが望まれる。 (2) 入学者出身比率について(岐阜薬科大学・意見)  岐阜薬科大学における、平成23年度入学者の出身高校の所在地別の割合は下 記の表の通りである。この表によれば、岐阜市内出身の入学者割合は毎年15% 程度で推移しており、これに岐阜市以外の岐阜県内出身者も含めると20%前後 で推移していることが分かる。なお、岐阜市内における年齢別人口に占める割 合は1%弱である。これは、当大学が薬科大学という特殊な専門分野を担う学校 であるため、競争率が高くなり、結果として岐阜市民及び岐阜県民が占める割 合が相対的に低くなっているものと推定される。  学校という教育・研究が目的とされる機関であることから、他の公共施設と は異なり、市民の利用率のみをもって判断すべきではないという考え方もある。 しかしながら、岐阜県外者が7割を占める学校の運営費の大部分を一般財源と して岐阜市が補っている現状は、決して無視できるものではないと考える。今 後、少子化・経済の低迷により岐阜市における財政悪化が予想されることを考 慮すると、岐阜市出身者の入学者比率の増加等の当該大学からの岐阜市への還 元方法を再考するとともに、さらなる効率化、授業料の値上げ等の手段により、 岐阜市の負担を減少させる必要があるものといえる。 入学者出身高校所在地一覧             (上段:人数 下段:比率) ┌──────┬─────┬─────┬─────┬─────┬─────┐ │      │平成20年度│平成21年度│平成22年度│平成23年度│平成24年度│ ├──────┼─────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │岐阜市内  │    18│    19│    22│    16│    35│ │      ├─────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │      │   14.1%│   12.8%│   16.7%│   11.3%│   20.7%│ ├──────┼─────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │岐阜県内  │     4│     8│    11│    10│    16│ │      ├─────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │      │   3.1%│   5.4%│   8.3%│   7.0%│   9.5%│ ├──────┼─────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │岐阜県外  │    106│    122│    99│    116│    118│ │      ├─────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │      │   82.8%│   81.9%│   75.0%│   81.7%│   69.8%│ ├──────┼─────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │合計    │    128│    149│    132│    142│    169│ └──────┴─────┴─────┴─────┴─────┴─────┘ 岐阜市内年齢別人口との比較 ┌──────┬─────┬─────┬─────┬─────┬─────┐ │      │平成19年度│平成20年度│平成21年度│平成22年度│平成23年度│ ├──────┼─────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │17歳人口  │   4,094│   3,776│   3,967│   3,848│   3,913│ ├──────┼─────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │次年度入学者│    18│    19│    22│    16│    35│ ├──────┼─────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │比率    │   0.4%│   0.5%│   0.6%│   0.4%│   0.9%│ └──────┴─────┴─────┴─────┴─────┴─────┘ ※岐阜市年齢別人口データより集計。各年度4月1日時点での年齢による。 (3) 入学者出身比率及び卒業者の就職先について(岐阜市立女子短期大学   ・意見)  岐阜市立女子短期大学における、平成23年度入学者の出身地別の割合は下記 の表の通りである。この表によれば、岐阜市内出身の入学者割合は毎年20%弱 で推移しており、これに岐阜市以外の岐阜県内出身者も含めると半分程度で推 移していることが分かる。なお、岐阜市内における年齢別人口に占める割合は
    2%程度である。  また、平成23年度の卒業者については、全体の26%程度が岐阜市内で就職し ていることもわかる。  これらを単純に比較した場合、岐阜市内での就職者比率が岐阜市内からの入 学者比率よりも上回っているため、岐阜市内における就業者数を増加させる一 助となっているといえる。  学校という教育・研究目的の機関であることから、他の公共施設とは異なり、 一概に市民の利用率及び還元率のみをもって判断すべきではないという考え方 もある。しかし、運営費の大部分を岐阜市が補っている公立学校としては、入 学者の出身地及び卒業者の就職先について、岐阜市内の占有率が低いものと思 われる。補助の大部分が岐阜市民からの税金を財源とすることを考慮すると、 さらなる効率化、授業料の増加等により岐阜市の負担を減少させることが求め られるといえる。 入学者出身地一覧                 (上段:人数 下段:比率) ┌──────┬─────┬─────┬─────┬─────┬─────┐ │      │平成20年度│平成21年度│平成22年度│平成23年度│平成24年度│ ├──────┼─────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │岐阜市内  │    42│    41│    52│    47│    39│ │      ├─────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │      │   16.1%│   15.2%│   18.4%│   17.9%│   15.5%│ ├──────┼─────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │岐阜県内  │    119│    109│    115│    91│    79│ │      ├─────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │      │   45.6%│   40.5%│   40.6%│   34.6%│   31.5%│ ├──────┼─────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │岐阜県外  │    100│    119│    116│    125│    133│ │      ├─────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │      │   38.3%│   44.2%│   41.0%│   47.5%│   53.0%│ ├──────┼─────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │合計    │    261│    269│    283│    263│    251│ └──────┴─────┴─────┴─────┴─────┴─────┘ 岐阜市内年齢別人口との比較 ┌──────┬─────┬─────┬─────┬─────┬─────┐ │      │平成19年度│平成20年度│平成21年度│平成22年度│平成23年度│ ├──────┼─────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │17歳人口  │   2,026│   1,846│   1,980│   1,943│   1,910│ ├──────┼─────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │次年度入学者│    42│    41│    52│    47│    39│ ├──────┼─────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │比率    │   2.1%│   2.2%│   2.6%│   2.4%│   2.0%│ └──────┴─────┴─────┴─────┴─────┴─────┘ ※岐阜市年齢別人口データより女性のみ集計。各年度4月1日時点での年齢による。 平成23年度卒業生就職所在地別比率 ┌───┬────┬────┬────┐ │   │岐阜市内│岐阜市外│ 合計 │ ├───┼────┼────┼────┤ │人数 │   53│   150│   203│ ├───┼────┼────┼────┤ │比率 │  26.1%│  73.9%│ 100.0%│ └───┴────┴────┴────┘ ※岐阜市内とは、本社所在地もしくは勤務地が岐阜市の企業を指す。 (4) 備品類の現物確認について(岐阜市立女子短期大学・意見)  備品類については、他の岐阜市における施設同様「岐阜市物品管理規則」に 基づき管理がなされている。これによれば、新規取得などによる調達及び移管、 廃棄についての手続は明確に規定されているが、保有する物品そのものの管理 については物品取扱員によって管理する旨の記載が存在するのみである。  このことにつき、岐阜市立女子短期大学の担当者に備品類の現物確認を定期 的に実施しているか質問したところ、定期的な備品類の調査は行っていないと の回答を得た。確かに、当該規則上、備品類につき現物を確認する旨は規定さ れてはいない。しかしながら、現物を確認するという手続には、現物の実在性 を確かめるだけではなく、重要な牽制機能があり、備品類の管理上、現物確認 作業を行うことは有益であり実施することが望ましいものと考える。これは、 備品類は不動産等と異なり、移転が比較的容易に実施できることから、担当者 が任意で処分を行いやすいため、不正・横領の対象となる可能性が高いといえ るが、定期的にその実在性を確認することが不正・横領への牽制となり、引い ては資産管理上のリスクを軽減することができるのである。  以上より、備品類については定期的な現物確認を実施することが望ましく、 同時に対象となる備品類の状態を確認することで改良・修繕の必要性の有無の 検討を行うことで、業務の遂行に支障が生じることを事前に防止することも可 能となると考えられる。 (5) 各大学に係る市の負担について(意見)  現在、岐阜市は岐阜薬科大学と岐阜市立女子短期大学(以下「大学等」という。) の運営を行っているが、(1) 岐阜市が運営する大学等について で記載した通り、 一般財源により毎年度負担されている。これは、大学等の運営に要する人件費、 消耗品や固定資産の取得等の支出に対して、大学運営による授業料等の収入が 不足するため行われるものであり、市が大学等の運営のため負担しているもの である。この負担額は平成23年度で約10億円、新校舎を建設した平成21年度 には約22億円と多額となっている。  大学等を運営することにより、岐阜市は多額のコストを負担しているが、大 学等の運営にはこのコストを超過する有用性があるものとして大学等の運営を 継続していると考えられる。それならば、市民から税金の使途が付託されてい る市には、市民に対して大学等を運営する有用性を伝えるとともに、負担して いるコストについても伝えることが説明責任を果たすものと考える。さらに、 市が負担しているコストが公表されることにより、大学等における支出に関す る意思決定に緊張感を与えることも期待できると考えられる。  また、大学等の運営者である岐阜市には、大学等の運営の状況を正確に把握 することが必要であるが、収支及びその差額に対する負担金の情報だけでは不 十分である。なぜなら、負担金(収支)は、1)の表にある通り、建物など多額 の資産の取得等がある場合には多額となる等、年度により増減するものであり、 必ずしも大学等の運営の実態を表すものではないからである。大学等には校舎 をはじめ、多額の設備等の長期間使用することができる固定資産があり、これ らの固定資産については支出を行った単年度の価値の減少(負担)とするより も、これを使用できる期間に按分して価値の減少(負担)として把握すること が適切である。そのため、年度の支出から取得した固定資産の取得価額相当額 を控除して、これに固定資産の取得価額を利用期間で按分する減価償却費を加 えたものが、大学等で発生した費用(価値の減少)であり、これから大学等の 収入を控除したものが、その年度の実質的なコストといえる。
     現在、新地方公会計制度により財務諸表の作成が義務付けられているが、岐 阜市では固定資産台帳の整備が必要な基準モデルが採用されていることから、 この固定資産台帳に基づき減価償却費を算定することが容易であり、これを利 用しこの実質的なコストを把握し、活用することが望まれる。  以上より、大学等の運営の状況を適切に把握するため、実質的なコストを把 握するとともに、大学等を運営することの市民への説明責任を果たすため、大 学運営の有用性とともに、大学等への負担金、運営に要する実質的なコストを 公表することが適切と考える。 第11 岐阜市民病院 1 施設の概要 ┌────────┬───────────────────────────────┐ │公の施設の名称 │岐阜市民病院                         │ ├────────┼───────────────────────────────┤ │目的      │市民の健康保持に必要な医療を提供するため、病院事業を設置する。│ ├────────┼───────────────────────────────┤ │所在地     │岐阜市鹿島町7丁目1番地                    │ ├────────┼───────────────────────────────┤ │所管部署    │岐阜市民病院事務局病院政策課                 │ ├────────┼───────────────────────────────┤ │開館(竣工)年月│平成23年12月(第1期工事完成)                │ ├────────┼───────────────────────────────┤ │        │59,558m2                           │ │        │┌───────┬────────────────┬────┐│ │        ││外来診療棟  │鉄筋コンクリート造3階建    │ 5,031m2││ │        ││       │軽量鉄骨造平屋建        │  130m2││ │        │├───────┼────────────────┼────┤│ │        ││リハビリ棟  │鉄筋コンクリート造3階建    │ 3,726m2││ │        │├───────┼────────────────┼────┤│ │        ││中央診療棟  │鉄筋鉄骨コンクリート造10階建  │22,854m2││ │        │├───────┼────────────────┼────┤│ │延床面積    ││西診療棟   │鉄骨一部鉄筋コンクリート造11階建│22,704m2││ │        │├───────┼────────────────┼────┤│ │        ││エネルギー棟 │鉄筋コンクリート造2階建    │ 1,286m2││ │        │├───────┼────────────────┼────┤│ │        ││看護専門学校 │鉄筋コンクリート造3階建    │ 1,890m2││ │        │├───────┼────────────────┼────┤│ │        ││看護師寮   │鉄筋コンクリート造3階建    │  934m2││ │        │├───────┼────────────────┼────┤│ │        ││その他附属建物│                │ 1,003m2││ │        │└───────┴────────────────┴────┘│ ├────────┼───────────────────────────────┤ │公有財産台帳価額│27,358千円(診療所部分のみ金額の記載あり)          │ ├────────┼───────────────────────────────┤ │固定資産台帳価額│20,314,334千円                        │ ├────────┼───────────────────────────────┤ │施設の内容   │施設概要は延床面積の欄を参照                 │ ├────────┼───────────────────────────────┤ │類似施設の状況 │‐                              │ └────────┴───────────────────────────────┘         岐阜市民病院 その他の状況 病床数及び看護単位(平成24年4月1日現在) ┌───────┬────┬────┬───┐ │  区分   │ 一般 │ 精神 │ 計 │ ├───────┼────┼────┼───┤ │病床数(床) │   559│   50│  609│ ├───────┼────┼────┼───┤ │看護単位   │   12│    1│  13│ └───────┴────┴────┴───┘ ※「病院概要」平成24年より 入院外来患者数(平成23年度)                (単位:人) ┌──────────┬───────────┬───────────┐ │          │    入院     │    外来     │ │    区分    ├─────┬─────┬─────┬─────┤ │          │延患者数 │一日平均 │延患者数 │一日平均 │ ├───┬──────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │   │第一内科  │  17,458│   47.7│  34,130│   139.9│ │   ├──────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │   │第二内科  │  41,255│   112.7│  56,357│   231.0│ │   ├──────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │内科 │総合内科  │   2,867│    7.8│  14,251│   58.4│ │   ├──────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │   │神経内科  │   2,566│    7.0│   6,888│   28.2│ │   ├──────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │   │小計    │  64,146│   175.3│  111,626│   457.5│ ├───┴──────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │外科        │  20,314│   55.5│  15,843│   64.9│ ├──────────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │乳腺外科      │   1,201│    3.3│   7,443│   30.5│ ├──────────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │脳神経外科     │   8,441│   23.1│   8,047│   33.0│ ├──────────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │整形外科      │  16,514│   45.1│  18,712│   76.7│ ├──────────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │リハビリテーション科│     -│     -│  30,275│   124.1│ ├──────────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │小児科       │  11,898│   32.5│  14,493│   59.4│ ├──────────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │産婦人科      │   7,742│   21.2│  15,069│   61.8│ ├──────────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │眼科        │   2,857│    7.8│  11,030│   45.2│ ├──────────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │耳鼻いんこう科   │   3,876│   10.6│  11,320│   46.4│ ├──────────┼─────┼─────┼─────┼─────┤
    │皮膚科       │   1,970│    5.4│  14,853│   60.9│ ├──────────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │泌尿器科      │   7,560│   20.7│  14,824│   60.8│ ├──────────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │呼吸器科      │  19,310│   52.8│  21,316│   87.4│ ├──────────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │胸部・心臓血管外科 │   6,526│   17.8│   4,450│   18.2│ ├──────────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │歯科        │    785│    2.1│   7,175│   29.4│ ├──────────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │放射線科      │     -│     -│   8,542│   35.0│ ├──────────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │精神科       │  17,566│   48.0│  27,463│   112.6│ ├──────────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │    合計    │  190,706│   521.1│  342,481│  1,403.6│ └──────────┴─────┴─────┴─────┴─────┘ ※「病院概要」平成24年より 2 監査手続  「岐阜市病院事業の設置等に関する条例」、「岐阜市民病院事業会計決算書」、 「施設概要」、「市政概要」等を閲覧するとともに担当課に質問し、さらに施設の 視察を実施した。 3 監査の指摘及び意見 (1) 収支区分について(指摘)  地方公共団体が設置・運営する病院事業は、現行制度上、地方公営企業とし て位置づけられている。また、「地方公営企業法」第17条の2第2項で定められ ている通り、地方公営企業の運営については、主に独立採算制による経営管理 方式を採用している。ここで、独立採算制とは同一の組織に属する、あるまと まった組織体における収入と支出を,他の組織体と切り離して管理し,収支均 衡の維持や収益の確保を図る経営管理制度のことをいう(「コトバンク 世界大 百科事典」より)。これを地方公営企業に当てはめた場合、地方公営企業はその所 属する地方自治体の内部において、原則としてその経営に伴う収入をもってそ の経費を賄うことで、独自で運営・管理すべき組織であると定義づけることが 出来る。  ところで、総務省が平成19年12月に策定した「公立病院改革ガイドライン」 によれば、公立病院の果たすべき役割について「端的に言えば、地域において 提供されることが必要な医療のうち、採算性等の面から民間医療機関による提 供が困難な医療を提供することにある。」としている。つまり、公立病院は民間 病院と異なり、いわゆる「採算に合わない医療行為」についても、公共性の立 場から、当該医療行為を提供する必要がある組織であることがわかる。他方、 公立ではない民間病院では、医療法において非営利原則が定められてはいるも のの、「採算に合わない医療行為」については、診療科を設定しない、高度医療 機器を適時に導入しないことにより、その経営対象から当該医療行為を恣意的 に外すことは可能である。これらのことから考えると、公立病院事業において はこの「採算が合わない医療行為」についても対応する必要があるため、上記 の独立採算制のみをもって経営活動を管理することは事実上困難であるといえ る。  したがって、こういったいわゆる「採算に合わない医療行為」については、 地方自治体が、一般会計や他の特別会計等により負担をすることでその提供を 可能にする必要が出てくる。そのためには、公立病院については、独立採算制 を前提としつつ、「採算に合わない医療行為」との経費負担区分を明確にする必 要がある。  「地方公営企業法」第17条の2及び第17条の3によれば、地方公共団体の一 般会計又は他の特別会計において負担すべき経費を以下のように定めている。 ちなみに、「地方公営企業法施行令」においてそれぞれの経費の具体的な内容が 規定されている。  地方公営企業法 ┌───────────────────────────────────────┐ │(経費の負担の原則)                             │ │第17条の2                                  │ │ 次に掲げる地方公営企業の経費で政令で定めるものは、地方公共団体の一般会計  │ │又は他の特別会計において、出資、長期の貸付け、負担金の支出その他の方法によ  │ │り負担するものとする。                            │ │ 一 その性質上当該地方公営企業の経営に伴う収入をもつて充てることが適当で  │ │ない経費                                   │ │ 二 当該地方公営企業の性質上能率的な経営を行なつてもなおその経営に伴う収  │ │入のみをもつて充てることが客観的に困難であると認められる経費         │ │                                       │ │2 地方公営企業の特別会計においては、その経費は、前項の規定により地方公共  │ │団体の一般会計又は他の特別会計において負担するものを除き、当該地方公営企業  │ │の経営に伴う収入をもつて充てなければならない。                │ │                                       │ │(補助)                                   │ │第17条の3                                  │ │ 地方公共団体は、災害の復旧その他特別の理由により必要がある場合には、一般会計│ │又は他の特別会計から地方公営企業の特別会計に補助をすることができる。     │ └───────────────────────────────────────┘  地方公営企業法施行令 ┌───────────────────────────────────────┐ │(一般会計等において負担する経費)                      │ │第8条の5(抜粋)                              │ │ 法第十七条の二第一項第一号に規定する経費で政令で定めるものは、次の各号に  │ │掲げる事業の区分に応じ、当該各号に定める経費(当該経費に係る特定の収入があ  │ │る場合には、当該特定の収入の額をこえる部分)とする。             │ │    :                                  │ │ 三 病院事業 看護師の確保を図るために行う養成事業に要する経費、救急の医療 │ │を確保するために要する経費及び集団検診、医療相談等保健衛生に関する行政とし  │ │て行われる事務に要する経費                          │ │                                       │ │2 法第十七条の二第一項第二号に規定する経費で政令で定めるものは、次の各号  │ │に掲げる事業の区分に応じ、当該各号に定める経費(当該経費に充てることができ  │ │る当該事業の経営に伴う収入の額を超える部分に限る。)とする。         │ │    :                                  │ │ 二 病院事業 山間地、離島その他のへんぴな地域等における医療の確保をはかる │ │ため設置された病院又は診療所でその立地条件により採算をとることが困難であ   │ │ると認められるものに要する経費及び病院の所在する地域における医療水準の向   │
    │上をはかるため必要な高度又は特殊な医療で採算をとることが困難であると認め   │ │られるものに要する経費                            │ └───────────────────────────────────────┘  この「地方公営企業法」第17条の2第1項によれば、上記のうち第一号に該当 する経費は本来地方公共団体が一般行政として遂行すべき業務にかかる経費で あり、受益者負担とするものではない。よって、この経費は一般会計等により 負担する性質のものである。一方、第二号にかかる経費はこれに該当する医療 収益をもって負担するものの、これにより負担しきれない部分につき一般会計 等により負担する性質のものをいう。つまり前述のように能率的な経営を行っ てもなおその収益による回収ができない、いわゆる「採算に合わない医療行為」 がこれに該当するものと考えられる。この第二号の経費が第一号のものと異な る点は、あくまで第一義的には受益者負担とすべき性質のものであり、これに 係る医療収益を充てても、なお賄いきれない時に一般会計等から充てる点であ り、原則的な負担対象が違うことにある。  これらの点を踏まえて、岐阜市民病院の現状に当てはめていくこととする。 岐阜市民病院は「地方公営企業法」に沿って、毎年「岐阜市民病院事業会計決算 書」を作成、報告をしている。この決算書は、岐阜市民病院事業決算報告書、 岐阜市民病院事業損益計算書、岐阜市民病院事業剰余金計算書、岐阜市民病院 事業剰余金処分計算書、岐阜市民病院事業貸借対照表より構成されている。こ の中で、岐阜市民病院事業損益計算書の構成を見てみると下記の通りとなって いる。 ┌─────────────────────────────────────┐ │            岐阜市民病院事業損益計算書            │ │  1 医業収益                             │ │  2 医業費用                             │ │     医業利益                            │ │  3 医業外収益                            │ │  4 看護師養成所収益                         │ │  5 託児所収益                            │ │  6 医業外費用                            │ │  7 看護師養成所費用                         │ │  8 託児所費用                            │ │  9 特別損失                             │ │     当年度純利益                          │ │     前年度繰越利益剰余金                      │ │     当年度未処分利益剰余金                     │ └─────────────────────────────────────┘  上記の通り、岐阜市民病院事業損益計算書においては、本来の活動たる医療 行為の提供に伴う収益、費用から算出される医業利益の他、医業外業務、看護 師養成所業務、託児所業務を区分して算出を行っている。なお、一般会計から の繰入額等を示す負担金交付金は医業外収益として計上されている。しかしな がら、この区分では医療業務とそれ以外の業務についての収支状況は把握でき るものの、医療業務そのものの収支は診療科ごとに区分されておらずひとくく りにされている。  この点につき岐阜市の担当者に確認したところ、収益については診療科ごと の内訳が計算されている状態であるが、費用については原価計算方法の検討を 実施しているものの、現状においては診療科ごとに区分できていないとの回答 を得た。また、「地方公営企業法」第17条の2による経費については、上記の通 り損益計算書上の負担金交付金に含まれているものの、どのような内訳により 構成されているかは現在公表されている資料からは判別できない状態である。  つまり、現時点において診療科ごとの収支状況が不明瞭な状態であるととも に、一般会計及びその他の特別会計により負担すべき金額の内訳が明確に開示 されていないことを示しているといえる。なお、この点は総務省の「地方公営 企業会計制度の見直しについて」においても指摘されているものである。  公立病院の医療業務において、経費負担区分が不明瞭な収支管理は、その効 率的な運営を妨げる要因となってしまう。つまりは「地方公営企業法」第3条に 規定されている「地方公営企業は、常に企業の経済性を発揮するとともに、そ の本来の目的である公共の福祉を増進するように運営されなければならない。」 とする経営の基本原則を損なう要因となりうるものである。そのため、各診療 科の費用区分を明確にすることで、診療科ごとの収支状況を明確に算出出来る ようになれば、公共性が求められる公立病院において効率的な運営の一助とな るであろうし将来の岐阜市民病院のあり方を再検討する上で非常に有用な情報 を提供しうるものであると考えられる。また、「地方公営企業法」第17条の2に かかる経費区分においても、一般会計及びその他特別会計からの繰入額の内訳 を岐阜市民により詳細に開示することは、岐阜市民への説明責任を果たす上で も非常に重要なものとなるといえる。  ついては、診療科ごとの原価計算制度を早急に確立することで、各診療科の 収支状況を適切に把握できる体制を構築するとともに、一般会計及びその他特 別会計からの繰入額につき、より詳細な開示を行うことにより、岐阜市民病院 の運営に伴う岐阜市の負担額及びその内容を岐阜市民に情報提供する必要があ る。 (2) 「岐阜市病院事業の設置等に関する条例」について(指摘)  岐阜市における病院事業の設置・会計業務に関し、「岐阜市病院事業の設置等 に関する条例」が規定されている。この条例は、岐阜市の病院事業の運営にあ たり順守しなくてはならないものであるが、当該条例の附則第3項にて「病院 事業に当分の間、法(筆者注:地方公営企業法)第17条の2及び第17条の3 の規定を適用しない」と規定されている。しかし、上記「1)収支区分について」 を参照の通り、「地方公営企業法」は適用されていることから、条例の内容が現 状と一致していないことが分かる。  ついては、当該条例は岐阜市における病院事業の基となる規定であるため、 その内容は適時適切に更新される必要がある。 (3) 医師住宅の使用状況について(意見)  岐阜市民病院は、臨時の医師用の住居として、4棟の住宅を保有している。 この住宅の使用状況は下記の通りである。これによれば、平成22年度までは断 続的に使用されていたようだが、近年においては遊休の状態が続いていること が伺える。  また、実際にこれらの住宅を視察したところ、目立った損傷等は見られなか ったが電気メーターが外されており、すぐには利用できない状況にあった。  これらの点からすると、当該資産については現状として有効活用がされてい るとは言い難いといえる。臨時住居という施設である以上、継続的な利用は困 難であると考えられるが、今後もその有効活用が見出せないのであれば、処分 を行い整備費・維持費を削減することを検討されたい。  さらに当該資産の処分後、臨時の医師用住居を岐阜市が準備する必要が発生 した場合には、現在空きが発生している公営住宅をその代替として充てること
    を検討する等、施設の管理部署間において柔軟な対応をすることにより岐阜市 全体の効率化を図ることも有用であると考えられる。 (4) 備品類の管理状況について(意見)  岐阜市民病院は、その保有する備品類について年1回現物調査を実施してい る。具体的には、備品台帳と備品類に添付された備品シールを照合することに より行われる。これにより、備品類の実在性と備品台帳の網羅性を確認してい る。  この備品類の管理状況についてヒアリングしたところ、備品台帳上に記載の ない備品類があるとの報告を受けた。この理由については、過年度に病棟を移 転した際に管理担当課が変更されたものを誤って登録を消去したことによるも のと考えられるとのことである。なお、当該備品は現在も使用されており、遊 休状態に陥ってはいない。  いずれにしろ、現状においては備品台帳の記載内容と実際の備品が一致して おらず、備品管理上望ましい状態ではないことがいえる。したがって、このよ うな不一致の状況を改善する必要があるともに、今後においても適時にこうい った状況を修正していく仕組みを確立することが重要であると考えられる。 第12 岐阜市立看護専門学校・岐阜市立第二看護専門学校 1 施設の概要 ┌────────┬─────────────────────────────┐ │公の施設の名称 │岐阜市立看護専門学校                   │ ├────────┼─────────────────────────────┤ │        │岐阜市に保健師助産師看護師法(昭和23年法律第203号)第5条 │ │目的      │及び学校教育法(昭和22年法律第26号)第124条に基づく看護師 │ │        │を養成するため、看護師養成所を設置する。         │ ├────────┼─────────────────────────────┤ │所在地     │岐阜市鹿島町7-1                    │ ├────────┼─────────────────────────────┤ │所管部署    │岐阜市立看護専門学校                   │ ├────────┼─────────────────────────────┤ │開館(竣工)年月│昭和47年4月                        │ ├────────┼─────────────────────────────┤ │延床面積    │1,890m2                          │ ├────────┼─────────────────────────────┤ │公有財産台帳価額│-(金額の入力なし)                   │ ├────────┼─────────────────────────────┤ │固定資産台帳価額│岐阜市民病院の一部として計上されている。         │ ├────────┼─────────────────────────────┤ │施設の内容   │鉄筋コンクリート造3階建                 │ │        │定員 1学年35名 合計105名                │ ├────────┼─────────────────────────────┤ │類似施設の状況 │‐                            │ └────────┴─────────────────────────────┘ ┌────────┬─────────────────────────────┐ │公の施設の名称 │岐阜市立第二看護専門学校                 │ ├────────┼─────────────────────────────┤ │        │岐阜市に、保健師助産師看護師法(昭和23年法律第203号)第5 │ │目的      │条及び学校教育法(昭和22年法律第26号)第124条に基づく看護 │ │        │師を養成するため、看護師養成所を設置する。        │ ├────────┼─────────────────────────────┤ │所在地     │岐阜市青柳町5-3                     │ ├────────┼─────────────────────────────┤ │所管部署    │岐阜市立第二看護専門学校                 │ ├────────┼─────────────────────────────┤ │開館(竣工)年月│昭和50年4月                        │ ├────────┼─────────────────────────────┤ │延床面積    │1,854m2                          │ ├────────┼─────────────────────────────┤ │公有財産台帳価額│-(一部のみ記載あり)                  │ ├────────┼─────────────────────────────┤ │固定資産台帳価額│216,603千円                        │ ├────────┼─────────────────────────────┤ │施設の内容   │鉄筋コンクリート造3階建                  │ │        │定員 1学年40名 合計120名                │ ├────────┼─────────────────────────────┤ │類似施設の状況 │‐                            │ └────────┴─────────────────────────────┘ 2 監査手続  「岐阜市立看護専門学校条例」、「岐阜市立第二看護専門学校条例」、「市政概要」 等を閲覧するとともに担当課に質問した。 3 監査の意見  二校の看護専門学校について(意見)  施設の概要に記載の通り、岐阜市立の看護専門学校が二つ存在している。岐 阜市立看護専門学校は、岐阜市民病院に併設する形で存在する全日制の看護専 門学校である。他方、岐阜市立第二看護専門学校は、准看護師の免許を取得し た者が看護師の免許を取得することを目的とする昼間定時制の専門学校であり、 岐阜市民病院とは別の場所に存在する。  この両者の条例、すなわち「岐阜市立看護専門学校条例」及び「岐阜市立第 二看護専門学校条例」の第1条(設置)には、設置目的としていずれも「保健師 助産師看護師法」 (昭和23年法律第203号)第5条及び「学校教育法」 (昭和22 年法律第26号)第124条に基づく看護師を養成すると記載されており、その設 立目的は全く同じものであるといえる。つまり、看護師の養成という目的を達 成するための岐阜市立の施設が複数存在している状態であるといえる。  これに対し、全日制と定時制ではその運用・管理体系が全く異なるため、同 列のものとして捉えるべきではないと考えることもできる。しかしながら、同 一の専門学校内において全日制と定時制の両課程が併存することは可能である し、別個独立のものとして取り扱うほど業務内容が全く異なっているとはいえ ない。  そのため、岐阜市立看護専門学校及び岐阜市立第二看護専門学校の二校が同 時に存在する今の状況につき、疑問が生じる。少子高齢化社会に伴い、今後の 将来において看護師の需要の増加が見込まれることは疑いがなく、その設置目 的は現在においてもあてはまる。しかしながら、看護専門学校の運営という同
    種の業務を遂行する以上、岐阜市内部においてその業務が重複してしまう等、 非効率的になっている部分も存在すると推測される。そのため、少子高齢化及 び景気の低迷による税収の減少が見込まれる将来を見据えたうえで、岐阜市に おける看護師の養成という目的をより効率的に遂行するため、両施設が併存す る現状につき検討が必要であると考えられる。 第13 サンライフ岐阜他 1 施設の概要 ┌────────┬─────────────────────────────┐ │公の施設の名称 │サンライフ岐阜                      │ ├────────┼─────────────────────────────┤ │目的      │勤労者の福祉向上、心身の健康保持及び体力増強並びに市民の文│ │        │化及び教養の向上を図ること                │ ├────────┼─────────────────────────────┤ │所在地     │岐阜市長良1029番地3                    │ ├────────┼─────────────────────────────┤ │所管部署    │商工観光部産業拠点運営課                 │ │        │(平成21年度:経営雇用対策課)              │ ├────────┼─────────────────────────────┤ │開館(竣工)年月│昭和59年11月                       │ ├────────┼─────────────────────────────┤ │延床面積    │1,369.72m2                        │ ├────────┼─────────────────────────────┤ │公有財産台帳価額│236,753千円                        │ ├────────┼─────────────────────────────┤ │固定資産台帳価額│184,912千円                        │ ├────────┼─────────────────────────────┤ │        │鉄筋コンクリート造 2階建                 │ │        │ホール                          │ │        │研修室(3室)                       │ │施設の内容   │会議室(2室)                       │ │        │談話室                          │ │        │和室(2室)                        │ │        │トレーニングルーム                    │ ├────────┼─────────────────────────────┤ │類似施設の状況 │ホール及び会議室をもつ設備内容は、他の市保有施設と共通性が│ │見られる。   │                             │ └────────┴─────────────────────────────┘ サンライフ岐阜ホームページより ┌────────┬─────────────────────────────┐ │公の施設の名称 │じゅうろくプラザ(岐阜市文化産業交流センター)      │ ├────────┼─────────────────────────────┤ │        │新しい文化産業の交流の拠点                │ │目的      │岐阜市文化産業交流センターがネーミングライツによりじゅう │ │        │ろくプラザと命名されている。               │ ├────────┼─────────────────────────────┤ │所在地     │岐阜市橋本町1丁目10-11                  │ ├────────┼─────────────────────────────┤ │所管部署    │商工観光部産業拠点運営課                 │ │        │(平成21年度:観光コンベンション課)           │ ├────────┼─────────────────────────────┤ │        │平成13年7月                        │ │開館(竣工)年月│(ぱ・る・るプラザ岐阜として開業。平成18年11月に閉鎖され │ │        │た同施設を岐阜市が購入。)                │ ├────────┼─────────────────────────────┤ │延床面積    │10,214m2                         │ ├────────┼─────────────────────────────┤ │公有財産台帳価額│349,125千円                        │ ├────────┼─────────────────────────────┤ │固定資産台帳価額│349,125千円                        │ ├────────┼─────────────────────────────┤ │        │会議室(6室)                       │ │        │研修室(6室)                       │ │施設の内容   │楽屋(5室)                        │ │        │スタジオ(2室)                      │ │        │ホール                          │ │        │展示ギャラリー                      │ ├────────┼─────────────────────────────┤ │類似施設の状況 │ホール及び会議室をもつ設備内容は、他の市保有施設と共通性が│ │        │見られる。                        │ └────────┴─────────────────────────────┘ 岐阜市ホームページより ┌────────┬─────────────────────────────┐ │公の施設の名称 │長良川国際会議場                     │ ├────────┼─────────────────────────────┤ │        │岐阜市が国際コンベンション都市を目指して日本各地や世界の │ │目的      │国々から、人、物、情報が集まり、それらが活発に交流してにぎ│ │        │わうまちづくりを推進するための総合交流拠点        │ ├────────┼─────────────────────────────┤ │所在地     │岐阜市長良福光2695-2                   │ ├────────┼─────────────────────────────┤ │所管部署    │商工観光部産業拠点運営課                 │ │        │(平成21年度:観光コンベンション課)           │ ├────────┼─────────────────────────────┤ │開館(竣工)年月│平成7年7月                        │ ├────────┼─────────────────────────────┤ │延床面積    │19,264.52m2                        │ ├────────┼─────────────────────────────┤ │公有財産台帳価額│13,345,298千円                      │ ├────────┼─────────────────────────────┤ │固定資産台帳価額│13,569,032千円                      │ ├────────┼─────────────────────────────┤ │        │ホール                          │ │        │市民ギャラリー                      │
    │施設の内容   │練習室                          │ │        │国際会議室                        │ │        │会議室(6室)                       │ ├────────┼─────────────────────────────┤ │類似施設の状況 │ホール及び会議室をもつ設備内容は、他の市保有施設と共通性が│ │        │見られる。                        │ └────────┴─────────────────────────────┘ 長良川国際会議場ホームページより ┌────────┬─────────────────────────────┐ │公の施設の名称 │岐阜市勤労会館                      │ ├────────┼─────────────────────────────┤ │        │勤労者の福祉施設として設置したもので、勤労者はもとより、広│ │目的      │く一般市民の福祉増進と教養文化の向上の場としてご利用する │ │        │こと                           │ ├────────┼─────────────────────────────┤ │所在地     │岐阜市曙町4丁目19番地1                  │ ├────────┼─────────────────────────────┤ │所管部署    │商工観光部産業拠点運営課                 │ │        │(平成21年度:経営雇用対策課)              │ ├────────┼─────────────────────────────┤ │開館(竣工)年月│昭和58年3月                        │ ├────────┼─────────────────────────────┤ │延床面積    │383.27m2                         │ ├────────┼─────────────────────────────┤ │公有財産台帳価額│67,380千円                        │ ├────────┼─────────────────────────────┤ │固定資産台帳価額│51,741千円                        │ ├────────┼─────────────────────────────┤ │施設の内容   │多目的ホール                       │ │        │貸室                           │ ├────────┼─────────────────────────────┤ │類似施設の状況 │ホールをもつ設備内容は、他の市保有施設と共通性が見られる。│ └────────┴─────────────────────────────┘ 岐阜市勤労会館パンフレットより ┌─────────┬──────────────────────────────┐ │公の施設の名称  │岐阜産業会館                        │ ├─────────┼──────────────────────────────┤ │目的       │地域産業の発展と地域社会の文化の向上に寄与するため、市制80 │ │         │周年記念行事の一環として、県と共同で設置された。      │ ├─────────┼──────────────────────────────┤ │所在地      │岐阜県岐阜市六条南2丁目11-1                 │ ├─────────┼──────────────────────────────┤ │所管部署     │商工観光部産業振興課                    │ │         │(平成21年度:産業振興課)                 │ ├─────────┼──────────────────────────────┤ │開館(竣工)年月 │昭和45年8月                         │ ├─────────┼──────────────────────────────┤ │延床面積     │12,643m2                          │ ├─────────┼──────────────────────────────┤ │公有財産台帳価額 │1,053,726千円                        │ ├─────────┼──────────────────────────────┤ │固定資産台帳価額 │1,621,231千円                        │ ├─────────┼──────────────────────────────┤ │         │展示場                           │ │施設の内容    │会議室(2室)                        │ │         │ホール(現在設備老朽化のため使用休止中)          │ ├─────────┼──────────────────────────────┤ │類似施設の状況  │ホール及び会議室をもつ設備内容は、他の市保有施設と共通性が見│ │         │られる。                          │ └─────────┴──────────────────────────────┘ 岐阜産業会館ホームページより 2 監査手続  監査の対象とした施設に関する関係帳票の閲覧、担当課に対する質問等を行っ た。 3 監査の意見  複数施設を同一の部門の所管とする手法の有効性について(意見)  上記、施設の概要に記載した施設は商工観光部が所管する施設である。  商工観光部では平成22年度に所管施設のより効率的、効果的な運営を目的と して、産業拠点運営課を新規に組織化した。従来は商工観光部内の複数の課に より所管されていた各施設を産業拠点運営課の所管に移している。  岐阜市では行財政改革を継続的に推進しており、平成15年2月に岐阜市行財 政改革推進会議において提言された「『行政と民間の役割分担のあり方』につい て」意見書の中では、「かつての右肩上がりの経済成長を背景に『公共サービス = 行政サービス』を前提として拡大してきた行政が担う領域を、『あれも、こ れも』から『あれか、これか』の取捨選択の発想に立ち抜本的に見直すことに より、行政の簡素化・効率化を図ることが必要です。」との総括的意見が示され ている。商工観光部産業拠点運営課組織化の試みは、当意見に対する非常に有 効な対応策と見ることができる。取捨選択を行うにあたって選択肢の範囲が広 い方がより有効な選択が可能となるからである。  複数の施設の運営、管理を同一の部門が行うことのメリットとして、同一の 管理手法の適用が可能であること、施設運営、管理ナレッジの横展開が可能で あることがあげられる。  施設の管理、運営にあたって施設の稼働率は重要な指標である。しかし、産 業拠点運営課の組織化以前は、この稼働率の測定も施設によりまちまちの方法 により行われており、比較が困難な状況にあった。施設により利用時間帯の設 定がさまざまであることがその一因であり、稼働率の算出において、ある施設 では例えば午前中のみの利用があった場合、その日の稼働率を100%として算出 する場合と、30%などの部分的な利用として算出する場合とが混在していた。 産業拠点運営課ではこのような状況を改善し、1日フルに稼働した場合の利用 料金を100%として、実績の徴収利用料金の割合で稼働率を算出する方法をすべ
    ての施設について統一的に適用した。この改善により、会議室のような利用形 態の設備については同一の尺度感をもって稼働率を用いることができるように なっている。  また、産業拠点運営課では、所管の各施設の設備等の更新について、複数の 補強工事や設備更新の候補の中から課内での検討により判断される優先順位に 応じて計画的に実行している。こういった優先順位の判断や有効な施設管理に ついては、一つの施設の事例が他の施設にも準用される事項が多くあり、より 多くの事例を受け持つことによって、担当部門にナレッジが蓄積され、全体の 施設運営の効率化にプラスの影響を与えるものと思われる。  このような側面においても複数の施設の運営、管理を同一の部門が行うこと の有効性を見てとることができる。  さて、商工観光部の所管する施設のうち、唯一岐阜産業会館のみが産業拠点 運営課ではなく、産業振興課の所管となっている。これは岐阜産業会館が岐阜 県と市との共同管理施設であることが理由で所管部門を移すことが困難と判断 されたものだが、施設が県との共同管理であったとしても上記に述べたメリッ トは失われるものではない。商工観光部のすべての施設を産業拠点運営課の所 管とすることの可能性について検討されたい。  また、複数施設を同一部門の所管とするとの商工観光部における産業拠点運 営課組織化の試みは非常に効果的に機能していることから、全市庁のレベルで 実施することの可能性についても検討されたい。例えば商工観光部が所管する 施設が提供する会議室という設備自体は特別な機能を持つわけではない。他の 部門が所管する施設にも同様の機能を有するものがあることは十分に予想され る。全市庁のレベルでこれら施設を所管する組織が存在すれば、取捨選択の対 象となる施設の範囲をより広げることができ、より実効的な、または柔軟な取 り組みが可能となるように思われる。 第14 岐阜競輪場 1 施設の概要 ┌─────────┬──────────────────────────────┐ │市有建築物の名称 │岐阜競輪場                         │ ├─────────┼──────────────────────────────┤ │目的       │競輪を開催し、その収益をもって自転車その他機械工業の振興、体│ │         │育、社会福祉など公益の増進、地方財政の健全化を図る。    │ ├─────────┼──────────────────────────────┤ │所在地      │岐阜市東栄町5丁目16番地1                 │ ├─────────┼──────────────────────────────┤ │所管部署     │行政部競輪事業課                      │ ├─────────┼──────────────────────────────┤ │開館(竣工)年  │昭和24年                          │ ├─────────┼──────────────────────────────┤ │延床面積     │29,669m2                          │ ├─────────┼──────────────────────────────┤ │公有財産台帳価額 │4,985,322千円                        │ ├─────────┼──────────────────────────────┤ │固定資産台帳価額 │7,744,184千円                        │ ├─────────┼──────────────────────────────┤ │施設の内容    │正面スタンド、西スタンド、バックスタンド、東スタンド(閉鎖)│ │         │サイクルプラザ、選手宿舎、バンク、駐車場等         │ ├─────────┼──────────────────────────────┤ │類似施設の状況  │-                             │ └─────────┴──────────────────────────────┘ (1) 施設の内容  岐阜競輪場の主な施設である、正面スタンドは、平成5年にリニューアルさ れ、1階は大型マルチビジョンを備えたスカイホール、2階はオープンスタンド の一般席、3階は特別観覧席(有料)、レストランとなっており、各階に投票所、 払戻所が設置されている。西スタンドは、平成2年に完成し、1階に投票所・ 払戻所、売店、2階に有料の前面ガラス張り客席(有料)となっている。  バックスタンドは、リニューアルはされていないものの耐震工事が完了して いる。平成22年度に設置されたサイクルプラザは、1階は多数の映像機器、自 動発売機、自動払戻機、有人発売窓口が設置されたドリームホール、2階は多目 的ホール(3室)、和室、会議室から成る地域交流センターが設置されており、 地域活性化の拠点として市民に開放されている。なお、東スタンドは、耐震性 がないため閉鎖されている。公表されている収容人数は15千人であるが、実際 の入場者は特別競輪では5千人程度で、通常の競輪では2千人程度である。  岐阜競輪場では、岐阜競輪場で開催される競技(本場開催)は年間58日、他 の競輪場の車券を売る場外発売が220日前後である。なお、バンクは競技開催 日以外に、選手の練習や、岐阜県の自転車連盟に加入する大学、高校の練習に 使用されている。 (2) 更新計画について  正面スタンド、西スタンド、バンクの改築、改修は完了しており、利用を廃 止した東スタンドを除き、耐震工事も終っており、建築物等に関しては今後10 年から15年は補修で対応し、大規模な改築、改装は行うことは想定されていな いとのことである。ただし、数年内に車券券売機の更新が必要となり、正確な 見積もりはなされていないが、数億円の支出が必要になるとのことである。           バンク         正面スタンド 2 監査手続  「岐阜市自転車競走実施条例」、同規則及び関係帳票等の閲覧及び担当者への 質問を行い、競輪場の現場視察を実施した。 3 監査の意見  建築物等の更新について(意見) (1) 競輪事業の目的  競輪事業は、「自転車競技法」に基づき、自転車その他機械工業の振興、体育、 社会福祉など公益の増進、地方財政の健全化を目的として、地方公共団体が実 施するものであり(同法第1条)、競輪施行者は競輪の収益を持って、自転車そ の他の機械の改良及び機械工業の合理化並びに社会福祉の増進、医療の普及、 教育文化の発展、体育の振興その他住民の福祉の増進を図るための施策を行う のに必要な経費の財源に充てるよう努めるものとする(同法第22条)とされる。  すなわち、競輪事業の目的を達成するためには、競輪事業で収益を上げるこ とが必要であり、収益をあげることができなくなった場合、競輪事業を継続す る意義も失われると考えられる。
     そのため、競輪事業において、建築物等の更新を行っても、収益を上げられ ることが建築物等の更新を行う条件となる。 (2) 競輪事業の状況について 1) 競輪事業全体の状況  競輪事業全体の売上は、平成3年度の1兆9553億円をピークに減少を続け、 平成23年度には6,229億円と20年間で68%の減少となっている。これは、産 業構造審議会車輛競技分科会「競輪事業のあり方検討小委員会」報告書(以下「報 告書」という。)によれば、来場者数及び一人当たり購入額のいずれも大幅に減 少している結果であり、その原因として車券購入者の固定化、高齢化が挙げら れている。競輪事業の振興法人であるJKAの調査によると平成3年度の競輪場 への来場者の平均年齢は49.8歳であったのに対して平成21年度には57.0歳と なっているとのことである。  競輪事業全体の過去5年の総合収支は次の通りである。  開催収入は、各競輪場で開催される競技(本場開催)による車券の売上等で あり、年々減少しており、本場開催に伴う支出である開催支出を控除した開催 収支は継続的に赤字となっている。一方、他の競輪場開催の車券を開催してい ない競輪場で発売(場外開催)する際の施設・設備貸付料等である開催外収入も、 年々減少しているが、これに要する支出である開催外支出を控除した開催外収 支は黒字を保っている。その結果、両者の差額である営業活動による資金収支 は継続的に黒字となっている。  これは、本場開催は、車券売上の75%が払戻金となり、残り25%でJKA(競 輪の振興法人)交付金、選手賞金、職員人件費、開催経費等を賄うことになる が、車券売上の減少により、固定的な支出を賄うことができなくなり、経常的 に赤字となったものである。一方、場外開催は、収入額は車券売上と比較する と少額であるが、場外開催に伴う経費の多くは貸付先の負担となり、場外開催 で負担する経費は少額であるため、黒字となっているものである。  国内47の競輪事業の施行者のうち、平成23年度では開催収支の赤字は32施 行者で、開催外収支は全ての施行者が黒字となっている。開催収支に開催外収 支を加えた営業活動収支も赤字となっているのは7施行者となっている。  競輪事業は、営業活動による収支の黒字分で、競輪事業の維持に必要となる 施設の整備や将来の施設の整備のための積立を行い、一般会計への繰出及び収 益金の分配を行うことが予定されているが、繰出等が行われたのは26施行者で あり、残りの21施行者では繰出が行われていない。このような厳しい環境の中 で、平成3年以降、6競輪場が廃止され、現在も各施行者で競輪事業の継続につ いて検討がなされている状況にある。 2) 岐阜競輪の状況について  岐阜競輪事業の過去5年間の総合収支は次の通りである。  開催収入は、平成23年度には、車券売上が大幅に増加したが、これはオール スター競輪が開催されたためであり、一時的な売上増と考えられ、競輪事業全 体と同じく、車券売上は継続的に減少していると考えられる。収支の状況も、 他の多くの施行者と同様に開催収支は継続的に赤字となっており、これを開催 外収支の黒字により、営業活動による収支の黒字を維持している状況である。  営業活動による収支の黒字は継続しており、毎年度、競輪場施設整備基金へ の積立を行うとともに、一般会計への繰出を1億円から3億円行っており、平 成24年度も2億円が予定されている。車券売上に対する営業活動収支の比率で みると、47施行者のうち13番目となっており、比較的良好な収支の状況といえ る。  競輪事業の資金等については、資金の残高1,671百万円に加えて、競輪場施 設整備基金が1,944百万積み立てられており、計3,615百万円の資金を有して いる。なお、これらの資金は、更新投資の原資となると共に、事業を廃止した 場合には、事業廃止に伴う支出の原資となることが想定されている (3) 今後の競輪事業について 1) 競輪事業全体について  経済産業省の試算によると、これまでの売上推移に今後の活性化を加味した 売上見通しでは、平成30年度には競輪全体で4,500億円を切る売上規模になり、 これまでと同等のコスト削減を継続した場合、平成25年には8割以上の競輪場 が赤字に陥るとのことである。その他、レース数比例経費を5割削減しても、6 割以上の競輪施行者が赤字になることや、レース比例経費と競輪場比例経費の 両コストを3割程度削減した場合は、競輪施行者の半数は黒字が維持できるが、 売上の減少がさらに進めば、赤字となる競輪施行者が半数を超えること等が試 算されているなど、競輪事業全体はかなり厳しい状況にあるといえる。 2) 岐阜市競輪事業について  岐阜市の競輪事業においても、他の競輪場と同様に車券購入者の高齢化が進 んでおり、視察を行った際の、来場者のほとんどが高齢者であり、競輪事業全 体と同様に車券購入者が固定化、高齢化していることから、今後も売上が減少 していくことが確実である。これまでも、設備の改修を行い快適な環境を作る ことにより車券購入者の維持に努め、一方では駐車場の賃借契約の一部解約を 予定しているなど経費削減に努めてはいるものの、売上が減少していく以上、 いずれ事業が赤字となり事業の廃止を検討することが必要となる。  将来的に事業を継続するために必要な施設の更新、改修を行うかどうかの判 断は、岐阜市にとって最も有利になるように、競輪事業が継続することにより 得られる営業活動による収支の額が、施設の更新等に要する支出を超過するか どうかで決定することが適切である。ただし、競輪事業を廃止することは、競 輪事業従事者の雇用や、競輪場周辺の地域経済に影響を与えることになるため、 猶予期間を設けて廃止することが必要と考える。  事業の廃止を考慮した上で、更新投資等の要否を検討するためには、事業の 損益予測を行うことが必要である。そこで、次のように上記の競輪施行者総合 収支を基に営業活動収支について損益予測を行った。  損益予測の方法は、平成19年度から平成22年の営業活動の収支より、開催 収入と開催外収入に分けて、収入の増減に対する支出の増減の比率から、収入 に対する変動費率と固定費を算定した。開催収入に対する開催外収入の比率は この4年間の平均である6.56%と仮定した。なお、平成23年度はオールスター レースが開催され、開催収入が著しく増加し通常ではないため除外し、損益予 測の計算からは除外した。  その結果、算定された開催収入、開催外収入に対する変動費率、固定費は次 の通りである。      開催収入に対する変動費率       98.18%      開催収入に対する固定費       584百万円      開催外収入に対する変動費率      2.82%      開催外収入に対する固定費       7百万円  これらの数値を利用し、営業活動収支の損益分岐点は、以下の式で算定され る。  S(開催収入)×(100%-98.18%)-584百万円
            +S×6.56%×(100%-2.82%)-7百万円=0  その結果、営業活動収支が均衡する開催収入は7,227百万円(平成22年度比 25.8%減)算定された。この開催収入以下となる年度以降は営業活動収支が赤 字となると試算されたが、岐阜競輪場の開催収入は、平成23年度のオールスタ ー競輪ほどではないにしろ、開催されるレースにより大きく増減するため、岐 阜競輪場の開催収入の趨勢から予測が困難である。そのため、競輪事業全体の 開催収入の推移を利用すると、平成19年度から平成23年度の4年間の開催収 入の減少率は25.8%であり、年平均6.45%減少している。これを岐阜競輪場の 損益分岐となる開催収入の減少率に当てはめると、平成22年度の4年後の平成 26年度に営業活動収支が均衡することになる。  この試算は、支出の固定、変動の分解を過去の実績に基づいて計算式で算定し 実際の支出の態様で分けていないこと、開催収入の見込みが過去の競輪事業全 体のすう勢を基に算定している等、必ずしも精度は高いとはいえないが、現状 のまま、収入の減少が継続し、支出の削減が大幅に進まない場合、数年後には 営業活動収支が赤字となることが予想される。  ただし、岐阜競輪場は、一宮競輪場、大垣競輪場と近接し競合していると考 えられるが、両競輪場の状況は岐阜競輪場と比較して芳しくなく将来は不透明 な状況にあり、状況によっては岐阜競輪場の収入が大幅に増加することも想定 される。また、競輪事業の払戻金の比率を75%から70%に下げることにより、 収益性の改善を図ることも検討されている。収支に関して不確定な部分があり、 これらに留意した上で、収支予測を綿密に行い、更新投資の適否を検討された い。 第15 耐震化について 1 概要 (1) 市有建築物の耐震化について  平成7年1月に発生した阪神淡路大震災により多数の建築物が倒壊したこと により、地震に対する建築物の安全性の向上を図ることを目的に、平成7年10 月に「建築物の耐震改修の促進に関する法律」(以下「耐震改修促進法」という。) が制定され、昭和56年以前の耐震基準により建築された建築物について、積極 的に耐震診断や改修を進めることとされた。その後、新潟中越地震、福岡県西 方沖地震等の大規模な地震が頻発し、東海地震、東南海・南海地震、首都直下 型地震等の切迫性から、平成17年11月に「耐震改修促進法」が改正され、計画 的な耐震化の推進、指導の強化、支援措置の拡充、「耐震改修促進法」に基づく 特定建築物の範囲の拡充がなされた。  これらを受けて、岐阜市では、平成7年~18年にかけて、特定建築物等を対 象に耐震診断を実施し、順次、耐震化工事を行ってきた。平成19年度には学識 経験者、専門家、関係部局員で構成する「岐阜市建築物の耐震化等推進検討委 員会」を設置し、その提言等に基づき、平成20年度に「岐阜市有建築物耐震化 整備計画」が策定され、この計画に基づき市有建築物の耐震化が行われている。  なお、同委員会の報告書において耐震化された建築物に対する考え方として、 耐震補強しても、耐用年数が延びることを意味するものではないとされている。 (2) 耐震化の対象とする建築物  耐震化の対象となるのは、昭和56年5月31日以前に建築された市有建築物 のうち、次の1)、2)の要件に当てはまるものを対象に耐震診断を実施し、その 結果、耐震化が必要と診断された市有建築物である。 1) 建築物の用途及び規模 ┌──────────────────┬───────────────────────┐ │      建築物の用途      │        建築物の規模         │ ├──────────────────┼───────────────────────┤ │防災活動拠点等重要な建築物     │                       │ │(庁舎、消防庁舎、避難所施設等)  │                       │ ├──────────────────┤                       │ │小中学校等             │                       │ ├──────────────────┤      居室等のある建築物全て      │ │幼稚園               │     (倉庫、自転車置場等除く)     │ ├──────────────────┤                       │ │保育所(社会福祉施設含む)     │                       │ ├──────────────────┤                       │ │高等学校              │                       │ ├──────────────────┼───────────────────────┤ │市営住宅              │   階数3以上かつ延べ面積1,000m2以上    │ ├──────────────────┤(耐震改修促進法に定める特定建築物の規模要件)│ │その他の施設            │                       │ └──────────────────┴───────────────────────┘ 2) 建築物の構造  非木造を原則とするが、一部木造を含む。 3) 耐震化の判定について  耐震診断の結果、建築物の耐震性能を数値化(建物の強さ、粘り、形状、経 年状況から決定)したものである構造耐震指標(Is値)が算定される。耐震化の 対象となるIs値は、原則として0.6未満であるが、幼稚園、小中学校等の学校施 設は0.7未満となっている。  これは一般の建築物を対象とする「耐震改修促進法」等では、Is値≧0.6は「地 震の震動及び衝撃に対し倒壊し、又は崩壊する危険性が低い」とされ、Is値0.6 以上が求められるのに対して、文部科学省は、地震時の児童生徒等の安全を確 保することや避難所となることを考慮して、学校施設のIs値をより高い0.7以上 としているためである(文部科学省の公立学校施設に係る大規模地震対策関係 法令及び地震防災対策関系法令の運用細目 昭和55年7月23日 文管助第217 号)。 参考 Is値の目安(国土交通省基準) ┌──────────┬─────────────────────┐ │Is<0.3    │地震に対して倒壊または崩壊する危険性が高い│ ├──────────┼─────────────────────┤ │0.3≦Is<0.6│地震に対して倒壊または崩壊する危険性がある│ ├──────────┼─────────────────────┤ │0.6≦Is    │地震に対して倒壊または崩壊する危険性が低い│ └──────────┴─────────────────────┘ 4) 耐震化の優先順位  多数の市有建築物に対して耐震化を行うことが必要となるが、耐震化の対象 となる全ての市有建築物について、耐震化を同時に行うことは予算的に困難で あるため、耐震化の必要性の高いものから耐震化を行うため、優先順位をつけ
    ている。  岐阜市では、耐震診断結果、原則として算定されたIs値の範囲により、優先 度をAからDで判定することにしている。ただし、Is値以外の要素を加味すべ き建築物については、他の要素を加味してAB判定を行っている。  また、学校施設については、Is値の他に、立地する地域の東海地震の想定震 度、施設の重要度、経過年数、人の利用度などを考慮して総合的に算出した値 により優先順位を決定する総合順位判定方式によっている。なお、同一の施設 内にIs値の低い施設と高い施設が混在する場合は、耐震補強工事の効率性の観 点から、学校全体としてIs値の低い建築物の耐震補強工事と併せて、Is値の高 い建築物についても同時期に耐震化を図ることとされる。  岐阜市では、耐震診断結果をIs値の範囲とAB判定の関係は次の表の通りであ る。 ┌────────┬──┐ │Is値と判定の関係│判定│ ├────────┼──┤ │0.7>Is値≧0.6 │ A │ ├────────┼──┤ │0.6>Is値≧0.42 │ B │ ├────────┼──┤ │0.42>Is値≧0.18│ C │ ├────────┼──┤ │ 0.18>Is値  │ D │ └────────┴──┘ (3) 耐震化の現状  平成23年度末現在で、耐震診断を実施した建物は498棟であり、その結果、 耐震性のある建物が198棟、耐震化が完了した建物が180棟、耐震化未実施の 建築物が120棟(内木造11棟)である。  平成23年度末現在で、木造建築を除く耐震化未実施の建築物の耐震化整備計 画は、次の表のようになっている。平成23年度末現在、最も危険が高いとされ るD判定の建築物については、既に耐震化が終了しており、全体として優先順 位の高いものから順次、耐震化が実施、計画されているといえる。 2 監査手続  耐震化に関連する法令、報告書、計画書を入手し、必要と考えられる監査手 続(閲覧、突合、視察及び質問等)を実施することにより、耐震化にかかる合 規性等を検証した。 3 監査の指摘及び意見 (1) 耐震診断の結果の公表について(指摘)  前述したように、岐阜市では498棟の耐震診断を実施している。そのうち、学 校施設については、岐阜市のホームページ上で、耐震診断の結果及び耐震診断を 受けて実施した耐震補強工事及び今後の予定が公開されている。  これは、公立小中学校等施設については、このたび改正された「地震防災対策 特別措置法」により、その設置者である地方公共団体に、耐震診断の実施及びそ の結果の公表が義務付けられていることによるものである。  その他の建築物については、耐震性が十分でない市有建築物を公表すること は、これを利用する市民の混乱を招くおそれがあるとして、市では耐震診断の 結果等について、市では特に公表していない。  これに対し、平成18年1月に、「耐震改修促進法」第4条第1項の規定に基づき、 「建築物の耐震診断及び耐震改修の促進を図るための基本的な方針」が国土交通 省告示(第184号)により規定されている。  この基本的な方針の 一 建築物の耐震診断及び耐震改修の促進に関する基 本的な事項 2 公共建築物の耐震化の促進 において「公共建築物については ~国及び地方公共団体は、各施設の耐震診断を速やかに行い、耐震性に係るリ ストを作成及び公表するとともに、整備目標及び整備プログラムの策定等を行 い、計画的かつ重点的な耐震化の促進に積極的に取り組むべきである(一部抜 粋)」とされる。この基本方針では、公共建築物について、耐震診断の結果に関 するリストを作成、公表することを明確に求めている。  市有建築物を利用する立場から考えてみても、利用する市有建築物に耐震性の 有無は、地震が起こった際に、建物内は安全と考えて内部に留まるか、倒壊の危 険があるため一刻も早く屋外に出るべきかの重要な判断に影響を与えるものであ る。そのため、建築物の利用者が、建築物の耐震性を把握することは、地震が発 生した際の被害を減らしうるものであり公表すべきものと考える。  国土交通省告示及び地震による被害を減らすためにも、学校施設以外の耐震診 断の結果について公表すべきである。 (2) 耐震診断対象の明示について(意見)  市の耐震診断の対象は、1概要(2)耐震化の対象 に記載されている通り である。耐震診断の対象が、このように定められていることは、市有建築物を 利用する市民の多くが理解しているか疑問である。市民が耐震診断の対象か否 かを理解することは、(1)と同様に、地震時の行動に影響があるため重要と考 えられる。そのため、耐震診断の結果を公表する際に、耐震診断された建築物 以外には耐震診断が行われていないことを強調しておくことが適切と考える。 (3) 耐震診断の対象について(意見)  市の耐震診断の対象は、学校施設に関しては、文部科学省の基準である2階 建以上かつ200m2以上の要件よりも、対象範囲を広げているといえる。一方、 その他の市有建築物については、防災活動拠点等重要な建築物を除き、耐震改 修促進法に定める特定建築物の規模要件である階数3以上かつ延べ面積1,000 m2以上の国土交通省の基準に従ったものであり、合規性については特に問題が ないといえる。  しかしながら、耐震改修促進法に定める特定建築物の規模要件を満たさない ような階数が2以下もしくは延べ面積が1,000m2未満の建築物については対象 となっていない。これらの建築物についても、市有建築物として利用されてい る以上、耐震化及び耐震診断の対象とすることが望ましいが、当該建築物の耐 震化は、国の補助制度の対象外となることもあり、限られた財政の中での実施 は困難であることから、現在の重要性の高い建築物から対応していくことは合 理的なものと考えられる。  そのため、現在の耐震化計画終了後に、規模要件を満たさない市有建築物に ついて、耐震化すべき重要なものはないか検討されたい。 第16 公有財産等に関わる台帳について 1 概要  第2 岐阜市の財政状況と公有財産等の更新投資について 4 更新投資のシ ミュレーションの方法について (1) 更新投資の基礎資料 参照
    2 監査手続  公有財産台帳システムのデータ及び新地方公会計システムの固定資産台帳の データを入手し、データの内容を査閲し、担当課に対して質問した。 3 監査の指摘及び意見 (1) システムの統合について(意見)  岐阜市の公有財産等に関する主な台帳として、「公有財産台帳」と新地方公会 計の「固定資産台帳」がある。  今回、更新投資額を試算するにあたり、普通会計に属するものについては建 物を除き、「固定資産台帳」を利用した。その理由は、「固定資産台帳」が全ての 固定資産を対象としていること、金額情報・耐用年数が含まれていることによ り、公有財産等の更新時期や更新投資額の算定が容易であるためである。一方、 建物について、「公有財産台帳」を利用したのは、金額情報以外の面積、構造等 の情報が詳細に記載されており、再調達価額を設定できる建物については、こ れらの情報を利用し、更新投資額を算定することが正確であると考えたためで ある。  二つの台帳は、ともに公有財産等に係る情報を処理する台帳であるため、単 一のシステムに、「固定資産台帳」、「公有財産台帳」に必要なデータを保持し、 各台帳の利用者はそれぞれ必要なデータをシステムから出力することが合理的 であると考えられる。  資産管理に必要な情報である、「固定資産台帳」に記録される取得価額、帳簿 価額、公有財産等の価値を高めるような改修工事の記録である資本的支出の記 録、耐用年数等や、「公有財産台帳」のみに記録されている詳細な構造や取得要 因等の情報が同一のシステムに登録されているのであれば、実際に公有財産等 を所管し管理する部署にとっても、市全体の公有財産等の状況を把握する部署 にとっても有益なものとなるはずである。  「公有財産台帳」は平成24年度、「固定資産台帳」は平成20年度から稼働を始 めていずれも取得から時間が経過していないことから、当面、両者を併用する ことになると思われるが、それぞれ所管する管財課と財政課が協力し、将来的 には両者を統合したシステムとすることが望まれる。 (2) 公有財産台帳について 1) 公有財産台帳の金額情報について(指摘)  「公有財産規則」第54条において、購入に係るものは購入価格等、金額を登録 すべき価格について定めがあるが、実際の市の公有財産台帳システムから建物 を抽出したデータを閲覧したが、2,536件のうち1,962件が金額未入力であった。 公有財産の金額情報は重要であるため、規則に従い、もれなく金額情報を記載 すべきである。 2) 公有財産台帳の機能について(指摘)  「公有財産台帳」を作成する目的は、単に面積等を集計するだけではなく、資 産管理に有益な情報を提供することである。  現在、使用されている公有財産台帳システムでは、部署別に公有財産ごとの データを閲覧、出力することは可能であるが、通常、可能と考えられる部署別 の公有財産の一覧を閲覧、出力することができない。これは、各部署が資産管 理に「公有財産台帳」を使用するに際して、有益性を著しく損なうものと思われ る。今後、システムの改良等を行うのであれば、部署別に管理する資産を一覧 できる機能を付加すべきである。 10: ◯議長(高橋 正君) 以上で諸般の報告を終わります。             ━━━━━━━━━━━━━━━━━  開  議 11: ◯議長(高橋 正君) これより本日の会議を開きます。  本日の日程は、さきに御通知申し上げたとおりであります。             ━━━━━━━━━━━━━━━━━  第1 会議録署名議員の指名 12: ◯議長(高橋 正君) 日程第1、会議録署名議員の指名を行います。  本日の会議録署名議員は、会議規則第87条の規定により、議長において20番辻 孝子君、21番井深正美君の両君を指名します。             ━━━━━━━━━━━━━━━━━  第2 会期の決定 13: ◯議長(高橋 正君) 日程第2、会期の決定を議題とします。  お諮りします。今期定例会の会期は、本日から3月22日までの23日間と定めたいと思います。これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 14: ◯議長(高橋 正君) 御異議なしと認めます。よって、今期定例会の会期は、本日から3月22日までの23日間と決しました。             ━━━━━━━━━━━━━━━━━  第3 第1号議案から第54 第54号議案まで 15: ◯議長(高橋 正君) 日程第3、第1号議案から日程第54、第54号議案まで、以上52件を一括して議題とします。            ───────────────────               〔議 案 掲 載 省 略〕            ─────────────────── 16: ◯議長(高橋 正君) これら52件に対する提出者の説明を求めます。市長、細江茂光君。    〔細江茂光君登壇〕 17: ◯市長(細江茂光君) 本日、平成25年第1回岐阜市議会定例会が開催され、新年度の予算案を中心に諸議案の御審議をお願いするに当たり、市政に臨む所信の一端と施策の大要を申し上げます。  昨年はギリシャを初めとした欧州諸国の財政危機に端を発した世界経済の減速並びに歴史的な円高、さらには、日中関係の悪化も相まって、日本全体に先行きへの閉塞感が漂っておりました。  そうした中、昨年12月に衆議院議員総選挙が実施され、平成21年8月の民主党政権誕生から3年余りで再び自民・公明両党が政権運営を担うこととなったわけであります。  新政権は、前政権からの方針を一転し、デフレ脱却と景気回復の実現に向けた緊急経済対策として公共事業に重点を置き、13兆円を超える平成24年度の大型補正予算を編成するなど、さまざまな点において大きな政策転換が図られることとなりました。  その効果を期待し、国内では政権交代以降、円安株高の流れが継続しており、企業収益の増加などに伴う景気回復への期待が膨らんでいる状況にあります。  一方で、国債及び借入金等の残高、いわゆる国の借金が国内総生産・GDPの約2倍に匹敵する1,000兆円に迫っている中、今般の補正予算においても7兆8,000億円の国債を新たに発行し、財源を確保することとされました。  雇用や所得の拡大、さらには税収の増加など、期待される効果が達成できない場合は債務の増大に伴い日本国債への信頼が揺らぎ、ひいては国債の暴落を招き、危機的な財政状況に陥る懸念も指摘されております。  新政権の公共事業の拡大を中心とした経済対策は、まさにもろ刃の剣とも言えるものであり、政権のかじ取りに国民の注目が集まっております。  このように未来を左右する大きな転換点、まさに変化の時代を迎えているわけでありますが、このような時代こそ国の動向に最大限の注意を払いながらも、市民に最も身近な基礎自治体である本市が担うべき種々の市民サービスを利便性の向上を図りつつ、着実に実施していくことが重要であり、そのためには地に足のついた財政基盤を確立することが不可欠であります。  私は、市長就任当時から、市民による市民のための政治を基本姿勢とし、市民の皆様との対話や各層の皆様とのさまざまな議論を重ねる中で、本市の将来像、都市ビジョンを描き、その実現に邁進するとともに、市民目線であらゆる市政改革を進めてまいりました。  特に「事前の一策は事後の百策に勝る」との理念に基づき、市営バスや保育所の民営化、職員定数の削減を初め、市債残高の圧縮など不断の行財政改革に取り組んできた結果、多くの自治体が厳しい財政状況に陥る中にあって、本市は極めて健全な財政を維持いたしております。  さらに、財政規律を保ちながらも、改革により生み出された財源を本市の未来の礎となる事業に積極的に活用し、これまで岐阜駅周辺の都市基盤整備を初め、市街地再開発事業による岐阜シティ・タワー43や岐阜スカイウイング37など、都心型居住環境の整備、あるいは市民病院の改築、さらには、長良川鵜飼伝承館、川原町周辺を初めとした観光施設の整備などを着実に推進してまいりました。  来る新年度は、本市の魅力をさらに高めるべく、物質的な豊饒にとどまらず、ここに暮らす市民の皆様の心の豊饒の実現を期して、「“豊饒”人間主義都市」を掲げ、本市の新たな未来を切り開いていくべく、全力で市政運営に取り組んでまいりたいと考えております。  それでは最初に、本市を取り巻く環境について申し上げます。  一昨年の東日本大震災から、はや2年が経過しようとしておりますが、被災地では今なお震災の深い傷跡が残っており、また、福島第一原発の事故の影響を受け、故郷の地に帰ることすら許されない人が数多くおられます。  こうした中、国においては被災地の早期の復興と国民の命を守り抜く防災対策を最重要課題の1つと位置づけ、これらの政策の速やかな展開に多くの予算を投じようとしているところであります。  本市も被災自治体に対し人材派遣など、さまざまな支援を行っておりますが、国民が総力を結集し、一日も早い被災地の復興をなし遂げていかなければなりません。  また、経済情勢に目を向けますと、ギリシャに端を発した欧州諸国の財政危機により、スペインやイタリアなどにおいて国債格付が引き下げられ、さらには、ユーロ圏17カ国の失業率が過去最高となるなど、欧州各国の経済は今なお不安定な状況にあります。  こうした中、国内の雇用情勢は改善の兆しが見られるものの、昨年12月の完全失業率が4.2%、有効求人倍率は0.8倍と依然として厳しい状況にあり、さらに、生活保護受給者は、昨年11月に約215万人と過去最多を更新するなど、依然として増加を続けております。  また、65歳以上の高齢者人口は、昨年秋の推計で3,074万人、総人口に占める割合は24.1%と、人口、割合ともに過去最高となりました。  国民皆年金・皆保険制度が創設された半世紀前の日本におきましては、65歳以上の高齢者1人をおよそ9人の現役世代で支える胴上げ型社会でありましたが、現在では1人を3人で支える騎馬戦型の社会になり、さらに、2050年には国民の4割が高齢者となり、1人を1.2人の現役世代が支える肩車型の社会が到来すると予測されております。  こうした状況において、国は、年金、医療、介護など社会保障制度への信頼を取り戻すため、安定財源の確保を目的として消費税率を10%へと段階的に引き上げることを柱とする社会保障と税の一体改革関連法を成立させ、財政再建に向けた大きな一歩を踏み出しました。しかしながら、社会保障費は増加の一途をたどる一方で、労働人口は減少していくことから、こうした状況下における持続可能な社会保障制度の構築が急務となっており、さらなる財源確保等も含め、今後の制度設計は紆余曲折が予想されているところであります。  こうした国の動向に注視しつつも、我々地方自治体においては真に自立した行財政基盤を確立することにより、都市の持続的発展を見据えたさまざまな施策を構築していく行政経営手腕が求められております。  このような状況の中、本市は資源が少ない我が国において人こそが最大の資源であるとの考えから、人を大切にし、さまざまな局面において、人を中心に考える人間主義に基づく都市の実現に邁進をしてまいりました。  平成22年度重点政策の基本方針におきましては、「人間主義都市を目指して」を掲げ、人への投資を積極的に進めていくこととし、以来、平成23年度は「人間主義都市への加速」、本年度は、東日本大震災や福島第一原発の事故を受けて、「原点回帰」を掲げ、人の英知や人と人のきずなが生み出す人間力という原点に復帰し、これを磨き育むことによって、新たな未来を敢然と切り開いていくことといたしました。  新年度は、これまでの取り組みが豊かな実りを生み出すこと、また、物質的な豊饒にとどまらない心の豊かさの実現を目指して、「“豊饒”人間主義都市」を掲げました。  この実現のために、これまでも重点的に取り組んでまいりました教育、健康(幸)に加え、人や自然にやさしい再生可能なエネルギーの3本を政策の柱といたしました。これらの重点政策を実現することで、今を生きる市民の皆様とともに未来に明るい希望を抱き、この地に生まれてよかったと実感できる社会を築き、声なき未来の世代からも評価される人間主義都市の確立を目指してまいります。
     それでは、重点政策の3本の柱について、順次申し上げます。  最初に、教育についてであります。  先ほども申し上げましたが、私は、資源が少ない日本にとって、人は最大、最良の資源であると考えます。教育により、この資源である人の能力を見出し、磨き高めることによって、高度な知識や技術、豊かな感性や柔軟な適応力を備えた人材が育まれ、こうした人材こそが今後の日本の経済や産業の発展を支える原動力になるものと考えております。  論語に、「学びて思わざれば、すなわち、くらし。思いて学ばざれば、すなわち、あやうし。」という言葉があります。また、吉田松陰は、「志を立ててもって万事の源となす 書を読みてもって聖賢のおしえをかんがう。」という言葉を残しております。これらはいずれも書物や本を読み、そこで得た知識をもとに自分の考えをまとめ、志を持つことの大切さを説いたものであります。  本市では、平成18年度に「知識社会への転換」を掲げて以来、教育を行政経営の中心に据え、基礎学力の向上はもとより、英語教育、情報化教育、みずから起業する気概を持てるキャリア教育など、子どもたちが志や夢を育むことができるさまざまな施策を推進しております。  また、今後においても社会経済情勢が目まぐるしく変化していくと考えられますが、アメリカ・デューク大学の研究者キャシー・デビッドソンは、小学生の65%が将来、今は存在しない職業につくだろうと予測をしており、時代の変化に柔軟に対応できる能力を身につけることも重要であります。  そのため他者との意思疎通を円滑に行うコミュニケーション能力、また、体験などを通して得た知識や技術から新たな発想を展開する創造力、さらには、物事を着実に遂行するに当たっての課題発見力など、あらゆる職業に必要となる汎用的かつ基礎的な技術や能力を幼いころから習得できる教育を推進してまいります。  新年度におきましても急速に進展するグローバル化に対応するため、子どもたちが世界の共通語である英語に触れる機会を積極的に取り入れていくとともに、電子黒板やデジタル教科書を導入し、より「わかる授業、できる授業」を推進し、確かな学力の定着と伸長を図ってまいります。  また、「ぎふっ子からノーベル賞を」のスローガンのもと、理科教育に重点を置き、子どもたちの興味、関心を高め、潜在的な力を引き出すことで子どもたちの能力の開花を目指してまいります。  加えて、新年度はつかさのまち夢プロジェクトの図書館を初めとする複合施設「みんなの森 ぎふメディアコスモス」の工事に着手し、情報があふれる知の拠点、人と人が交流する絆の拠点、そして、文化・芸術を発信する文化の拠点となる、教育立市を推進する重要な役割を担う施設として整備をしてまいります。  また、平成26年度の開設を目指して、引き続き(仮称)総合教育支援センターの整備を進め、支援を必要とする子どもたちを初め、その保護者、あるいは教員など、あらゆる人々のさまざまな悩みに対して、専門医やカウンセラー、弁護士など関係機関と連携を図り、教育や福祉などの垣根を越え、総合的かつ継続的に支援を行ってまいります。  続きまして、健康について申し上げます。  国民の幸福感について調査する内閣府の国民生活選好度調査におきまして、幸福を感ずる要因として、健康が常に上位となっております。このことは「健康に勝る幸福なし」という格言があるように、豊かで実りのある人生を送る上で、健康が多くの人にとって非常に重要な要素であることが示された結果だと考えております。  19世紀イギリスの哲学者ハーバート・スペンサーは、「健康の維持は我々の義務なり」という言葉を残しており、日ごろから運動をするなど、健康を維持していくための努力の必要性を説いております。  本市におきましては、市民誰もが心も体も健康(幸)で生きがいを持ち、安心して豊かに暮らせるまち、また、住めば自然に元気で健康になれるまちスマートウエルネスぎふの実現を目指し、心豊かに幸福な人生を送っていただけるよう健康寿命の延伸を図ってきております。  また、養生訓には「老化は足から」という言葉があります。足は第2の心臓とも呼ばれ、老いから逃げ切る脚力をつけることが健康寿命の延伸を図る秘訣であると考えます。  そのため誰もが気軽に取り組むことができる「歩く」をキーワードに、ウオーキングイベントや市内50地区のモデルコースを紹介したマップの活用などのソフト事業に加え、ベンチや水飲み場、目的地までの距離や消費カロリーを示す路面表示の設置など、思わず歩きたくなるような道路環境の整備を図るハード事業との両面から「歩き」の推進に積極的に取り組んでまいります。  こうした健康寿命の延伸を図る一方で、万が一の病気やけがに備えて医療環境の充実を図り、安心して医療を受けることができる環境の整備を引き続き推進をしてまいります。  とりわけ医療の最後のとりでとなる岐阜市民病院におきましては、新年度に改築整備が完了するとともに、がん治療のための新しい放射線治療を行うIMRTの導入に向けた準備を進め、医療の高度化を図るなど、市民の皆さんの安心の礎となる医療体制の確立を目指してまいります。  次に、3本目の柱となる再生可能エネルギーについてであります。  再生可能エネルギーは、資源が枯渇せず繰り返し使え、地球温暖化の原因となる二酸化炭素をほとんど排出しない、人、自然にやさしいエネルギーであり、人間主義を標榜する本市にふさわしいエネルギーであると考えております。  福島第一原発の事故を契機として、エネルギーのあり方に対する国民の関心が高まっている中、新政権は当面の優先課題として、3年間、再生可能エネルギーの最大限の導入を図るとしております。  本市におきましても強みとなる日照時間の長さに加え、浜名湖の約4倍、14億トンもの豊富な地下水を有することから、太陽光や地中熱の活用を初めとしたさまざまな施策を展開し、再生可能エネルギーの普及拡大を促進してまいります。  とりわけ再生可能エネルギーに対する本市の取り組みのシンボルとなりますメガソーラーの設置に向けた準備を進めるほか、「みんなの森 ぎふメディアコスモス」におきましては、太陽光や地下水を最大限に活用することで環境負荷を極力抑え、環境都市を象徴する建築物として整備してまいります。  さらに、明郷小学校と本郷公民館において、エネルギーを効率よく無駄なく融通し合うエネルギーの分散自立化に向けた実証試験を行うなど、再生可能エネルギーを最大限に活用した省エネ都市スマートシティ岐阜の確立を目指してまいります。  最後に、地域力と行政経営のさらなる進化について申し上げます。  さきに申し上げた3つの重点政策を着実に推進していく原動力として、市民と行政の協働を礎に、地域の個性や特性を生かした多様な地域核の形成に向けた仕組みづくりに取り組むとともに、引き続き行財政改革を断行し、財政基盤を確立した上で未来への投資を着実に進めてまいります。  まず、市民と行政の協働につきましては、地域住民による主体的な活動を推進するため、まちづくり協議会などの活動を支援するとともに、コミュニティバスや岐阜市型コミュニティ・スクールといった市民と行政のきずなを深める取り組みを一層進めてまいります。これらの取り組みにより地域における人と人とのつながりが醸成され、支え合う心を育み、地域の力を高め、結果として地域の活性化につながり、さらには、災害発生時においても地域を守る防災力の基盤となり、共助の充実を図ることができるものと考えております。  また、多様な地域核の形成に向けた仕組みづくりについてでありますが、これまでは、まちの玄関口となる岐阜駅周辺や柳ケ瀬地区を中心に市街地再開発事業など、さまざまな施策により全市域の中心となる核の形成や刷新に取り組み、にぎわいの創出を図ってまいりました。  今後は市内各地域において個性や特性を生かした多様な地域核の形成を図り、地域のことは地域が決めることができるような仕組みづくりにも取り組んでまいりたいと考えております。  これらの施策の推進を支えるため、引き続き行財政改革を着実に進め、健全な財政運営に努めてまいります。  私は市長就任以来、行財政改革を最重要課題の1つに位置づけ、市民の皆様の御理解、御協力を賜りながら、積極的かつ継続的に取り組んでまいりました。  職員定数につきましては、民間活力の導入などにより、ピークであった昭和56年度の約5,000人から、平成25年度には約3,800人と、率にして約25%、1,200人を削減し、効率化、スリム化を図ってまいりました。  また、市の借金であります普通債残高につきましても、ピークであった平成11年度の1,360億円を、平成24年度末には780億円と、約43%、580億円縮減をいたしました結果、実質公債費比率などの財政健全化指標は、中核市の中でも上位を堅持しております。  こうした努力の継続により、義務的経費である人件費、公債費は減少傾向で推移しており、新たな施策への積極的な投資など、市民ニーズに柔軟に応え得る財政運営が可能となるものと考えております。  しかしながら、長引く不況からの脱却が見えていない現状において、市税収入の大幅な伸びは期待できない中、高齢化の進展等により医療や介護などの社会保障費は引き続き増加するものと見込まれることから、本市を取り巻く財政環境は、他の自治体と同様、今後ますます厳しくなることが予想されます。  そうした財政環境の中、後世に課題を先送りしない組織風土を築き、これまで培ってきたノウハウを生かしながら、さらなる行財政改革を実行することにより、確固たる財政基盤を確立し、未来を見据えた施策に投資をしてまいります。  そのため平成22年度から5年間の改革の道筋を示した行財政改革大綱2010及びその実施計画である行財政改革プランを継続的かつ着実に推進するとともに、重要課題等の検討や事務事業の総点検などを引き続き実施してまいります。  今後とも市民の皆様とともに行政のあるべき姿を考えながら、最小の経費で最大の効果を上げるよう経営的視点に立った選択と集中による不断の行財政改革に取り組み、みずからの権限と責任において自立した行財政運営を進めてまいります。  続きまして、新年度予算案について申し上げます。  まず、市税収入などの歳入についてであります。  歳入の根幹である市税収入につきましては、法人市民税が法人収益の増加により3億円、市たばこ税が県からの税源移譲に伴い3億円増加するなど、全体で本年度に比べ10億円増、率にして1.6%増の634億円と見込んでおります。  また、地方交付税に臨時財政対策債を加えた実質的な地方交付税につきましては、本年度の決算見込みをもとに地方公務員給与削減を盛り込んだ地方財政計画などを勘案し、本年度当初予算に比べ5億円増を見込んでおり、これらを合わせた一般財源は、前年度に比べ約15億円の増となる見込みであります。  歳出につきましては、義務的経費である人件費、公債費が行財政改革の成果もあり減少しているものの、高齢化の進展等により、福祉や医療などの社会保障費が年々増加してまいります。さらに、「みんなの森 ぎふメディアコスモス」の建設、教育施設や都市公園の整備、あるいは名鉄高架事業の推進など大規模な財政需要が見込まれております。  依然として厳しい財政状況が予想される中、市民ニーズを的確に把握をし、中・長期的な展望に立った大胆な選択と集中のもと、引き続き健全財政の維持に努めてまいります。  その上で財政規律を保ちつつ、喫緊の課題に対応し、将来の本市の礎を市民の皆様と一緒に築いていくという思いで新年度予算の編成に当たりました。  この結果、平成25年度の予算規模は、     一般会計      1,528億4,000万円     特別会計 1,001億9,704万2,000円     企業会計   430億1,947万9,000円     総計   2,960億5,652万1,000円 となり、  平成24年度当初予算と比較いたしますと、     一般会計で       8億9,000万円  率にして0.6%の増     特別会計で 10億4,060万3,000円      1.1%の増     企業会計で 12億3,599万1,000円      2.8%の減とし、     全  体では 6億9,461万2,000円  率にして0.2%の増 となったところであります。  なお、平成25年度一般会計予算は1,528億円でありますが、今議会で承認を求めております平成24年度一般会計補正予算42億円のうち、国の緊急経済対策に対応した23億円につきましては、実際には平成25年度に実施する事業に対する予算でありますことから、これらを合わせた予算規模は1,552億円となり、実質的に過去最高の規模の予算となります。  それでは、当初予算案の主要な施策の大要につきまして、「人・まち・自然 個性輝く市民協働都市ぎふ」づくりを目指す、ぎふ躍動プラン・21が掲げる4つの将来都市像に沿って、順次説明をいたします。  最初に、少子・高齢社会への対応や福祉・健康・医療の充実、防災対策など、市民の安全、安心の確保、市民の支え合いによる福祉の増進などを通じ、誰もが安心して暮らせる都市を実現していくための施策について申し上げます。  まず、高齢者、障がい者の地域における生活支援についてであります。  本市の人口に占める65歳以上の高齢者の割合、いわゆる高齢化率が25%に迫り、4人に1人が高齢者という時代を迎えようとしています。  このような背景の中、ひとり暮らし世帯や高齢者世帯が増加し、家庭内の見守り機能の低下や地域の連帯感の希薄化など、さまざまな課題がありながらも、多くの方々は仮に介護を必要とする状態になっても、できる限り住みなれた地域や家庭で生活することを望んでおられます。  こうした状況を踏まえ、住みなれた地域で誰もが安心して暮らしていけるよう地域での見守り・支え合い活動をより一層推進するとともに、介護保険サービスを補完する在宅サービスの充実を図ってまいります。  また、介護保険事業につきましては、要支援者あるいは要支援になるおそれのある方を対象として、新たに介護予防・日常生活支援総合事業を導入し、介護予防、自立支援のさらなる推進を図り、在宅で安心して生活できるような地域づくりを進めてまいります。  障がい児、障がい者に対する施策といたしましては、障がいのある人が抱える課題の解決や、地域での暮らしをよりきめ細かく支援をする相談支援専門員を確保し、相談支援の充実を進めてまいります。また、障がい者、企業、就労支援事業所を対象とした講演会などを開催し、障がい者の就労と雇用を支援してまいります。  生活保護につきましては、生活保護世帯の子どもが、その家庭環境が要因となり進学ができず、成人してからも生活保護世帯となる、いわゆる貧困の連鎖を断ち切るため、教育支援員を新たに雇用し、学習や進学の相談を行うなど、子どもが適切な教育を受けることができる環境改善に努めてまいります。  次に、少子化対策について申し上げます。  我が国の人口は、平成19年以降出生数が死亡数を下回る状況が続き、平成24年には過去最高の21万2,000人の減少となるなど、人口の減少に歯どめがかからない状況にあります。しかも、この人口減少は単に人口規模が縮小しただけではなく、高齢者数の増加と生産年齢人口の減少という人口構造の変化を伴うものであり、我が国の経済社会に大きな影響を与えることが懸念されます。  そのため安心して子どもを産み育てる環境整備を目的とし、昨年8月、質の高い学校教育、保育の一体的提供、保育の量的拡大などを目的とする子ども・子育て関連3法が成立いたしました。  本市におきましても、これに基づき計画的に子育て環境の充実を図るため、新年度は幼児教育や保育などに対するニーズの把握を行ってまいります。  保育事業につきましては、保育所待機児童ゼロが継続できるよう保育室の増改築等により、3歳未満児の受け入れ拡大に努めるとともに、子どもが病気の場合に一時的に預けられる病児・病後児保育施設を5カ所とするほか、休日の就労により家庭で保育ができない方を支援するため、休日保育を実施するなど保育環境の充実を図ってまいります。  また、留守家庭児童会につきましては、利用者のニーズを踏まえ、引き続き定員の拡大や開設時間の延長を図るとともに、新1年生の4月当初からの受け入れや夏休み時間のみの利用の受け入れなど、子育て世代のニーズに合わせたさらなる支援に努めてまいります。  次に、健康増進、医療の充実について申し上げます。  本市におきましては、健康こそが人生最大の財産であるとの考えからスマートウエルネスぎふを掲げ、健康寿命の延伸を目指すさまざまな施策に取り組んでおります。  健康づくりの基本は体を動かすことであり、中でも歩くことは最も身近で手軽な運動であります。その推進のため、ふだん歩くことや健康に関心のない方々に歩くことのすばらしさを体感していただけるよう、昨年11月に開催いたしましたスマートウエルネスぎふ健幸ウォーク2012では、1万人以上の方々に参加していただき、市民の皆様の健康への関心の高さを改めて認識いたしたところであります。  加えて、地域の皆様と協働して作成した健幸づくりウォーキングマップ「わくわくウォーク」を活用し、お住まいの地域で積極的に健康づくりに取り組んでいただけるよう市内50地区においてウオーキング大会を実施してまいります。  また、歩きたくなる環境の創出といたしまして、スマートウエルネスシティ総合特区制度を活用し、さまざまな整備を行ってまいります。  さきに申しました歩道上の路面表示に加え、ウオーキングコースにおけるベンチやトイレの設置、さらには、歩く順路を路面に表示するウオーキングレーンを柳ケ瀬周辺に整備するほか、交差点における歩道の段差をなくすスムース歩道や、歩行者と自転車を分離して歩行空間の安全性を確保するための自転車走行環境整備を行ってまいります。  加えて、長良川プロムナードにおきまして、観光客を初めとする歩行者が快適に通行できるよう、車両の物理的な通行制限と許可車両の通行の円滑化を図るライジングボラードを設置してまいります。  こうした「歩き」の推進のほか、自分の健康状況を気軽にチェックしていただき、生活習慣病の予防などを図るため、現在、柳ケ瀬健康ステーションに設置をしております体脂肪、血圧、骨密度などの健康測定機器について、新年度は南及び北市民健康センターの2カ所にも同様の機器を設置し、地域の健康づくり拠点の充実を図ってまいります。  さらに、早田地区において国が造成する河川防災ステーション内に洪水時は水防活動の拠点として、また、平常時には水防活動に加え、健康増進を図る施設として活用する(仮称)長良川防災・健康ステーションの基本設計に着手いたします。  また、健康な子を産み育てるため、妊婦を対象として健康チェックや保健指導を実施しております妊婦健康診査につきましては、新たに妊娠後期の超音波検査に対する助成を拡大し、より安心して出産のできる環境づくりに努めてまいります。  次に、医療体制の充実についてでありますが、地域医療の拠点である市民病院におきましては、既に西診療棟や玄関棟が完成し、昨年11月から外来診療を開始したところでありますが、さらに、改築工事の最終年度となります新年度には立体駐車場の新設等を実施し、事業完了に向けて改築整備を進めてまいります。  さらに、がん治療におきまして、正常な細胞を避け、腫瘍部分に放射線を集中して照射できる強度変調放射線治療、いわゆるIMRT装置の導入を進めるほか、医療機器の充実を図り、より高度な医療を提供できる環境を整備してまいります。  また、急な発熱など比較的軽度な一次医療の提供につきましても、昨年10月から休日急病センター及び休日急病歯科センターが市民病院内で診療を開始し、小児救急一次医療センターとともに、市民病院において医療提供体制が集約されたことから、大変多くの方に御利用いただいております。  今後も万一病気やけがをされた場合であっても安心して生活していただけるよう、より一層医療環境の充実を図ってまいります。  加えて、災害発生時におきまして、多くの負傷者に対し、集中的に治療を行う災害拠点病院として必要な対応を講ずることができるよう、引き続き器材の整備に合わせ、他地域からの医療チームの受け入れなど、災害時の医療提供体制の強化に努めてまいります。  次に、市民生活の安全について申し上げます。  市民の安全を脅かす暴力団など反社会的勢力の排除につきましては、昨年4月に施行した暴力団排除条例に基づき、JR岐阜駅から柳ケ瀬周辺を核とする約100ヘクタールを特別強化地域として指定し、地域内に設置する防犯カメラへの助成や啓発看板の設置など、地域住民による暴力団排除活動の支援を行っております。  特に防犯カメラにつきましては、本年度設置した3地区に加え、新たに設置する6地区に助成をし、暴力のない安全なまちづくりに努めてまいります。  また、交通安全につきましては、警察や関係機関及び地域との連携を図りながら、高齢者の方に対し自主的な運転免許証の返納を促すほか、自転車の安全運転に対する啓発などを進めてまいります。  さらに、通学路の安全対策といたしましては、小学校周辺の通学路の路肩や交差点部をカラー化する「みんなでまもロード整備事業」を進めておりますが、児童が安全かつ安心して登下校できる環境の早期整備を図るため、新年度は対象箇所を拡充するなど、事故のない、安心して暮らせるまちづくりを一層進めてまいります。  次に、総合防災対策の充実強化について申し上げます。  本市におきましては、南海トラフの巨大地震などによる大災害に備え、広域的な災害や原子力災害にも対応できるよう地域防災計画の見直しを図っているところであります。  一方、早期に実施すべき防災対策といたしまして、これまでにも備蓄食料や防災資機材などの増強を図ってまいりましたが、災害時における対策に万全を期せるよう、本年度から実施しております防災倉庫やマンホールトイレの整備を引き続き進めてまいります。  また、地域防災組織に対する活動助成につきましては、建物の密集状況や河川、山林からの距離など地理的要因により地域ごとに想定される災害の種類や規模が異なることから、地域みずからが考え、地域が必要とする防災対策を講ずることができる補助制度とし、各地域の実情に即した防災体制の確立及び強化を推進してまいります。  次に、消防機能の充実強化でありますが、岐阜南消防署におきましては建物が建築後40年以上経過し、耐震性能も劣っていることに加え、現在の敷地が狭隘であることから、新年度は新庁舎の移転改築に向け基本設計、実施設計や地質調査及び用地取得を実施するほか、大規模地震時に発生が予想される停電対策として、北消防署及び市内10分署に非常用自家発電設備を整備するなど、市民生活のさらなる安全、安心を図ってまいります。  次に、建築物の耐震化につきましては、耐震化整備計画に基づき、学校や市営住宅など市有施設の耐震化を引き続き進めるほか、民間の木造住宅につきましても耐震診断や耐震補強工事に対する助成を拡大するとともに、工事に対する助成要件を緩和するなど、市民の皆様が利用しやすい助成制度とし耐震化率の向上を図ってまいります。
     さらに、橋梁の耐震補強工事につきましては、本年度までに主要幹線道路など橋梁について工事が完了いたしますが、新年度は避難所や病院に近接した橋梁などを対象にさらなる耐震化を進めてまいります。  次に、便利で快適な都市の実現のため、持続可能な低炭素社会、循環型社会の構築に努め、自然との共生を図るとともに、利便性の高い生活環境の充実に努めていくための施策について申し上げます。  最初に、地球環境保全対策の推進についてであります。  本市におきましては、これまで地球温暖化対策実行計画に基づく温暖化施策の推進により、化石燃料に過度に依存しない低炭素社会への転換を図ってまいりました。  しかしながら、東日本大震災や福島第一原発の事故に起因した大規模な電力不足が発生したことを受け、再生可能エネルギーの一層の普及とエネルギーの分散自立化を図っていくことが喫緊の課題となっております。  このため新年度は本市の強みである太陽光や地中熱などの再生可能エネルギーを賢く、無駄なく最大限活用する省エネ都市スマートシティ岐阜の確立に向けた諸施策を推進してまいります。  まず、隣接する明郷小学校と本郷公民館におきまして、分散自立型エネルギー供給システムの実証実験を進めるため、それぞれの施設を省エネ化するとともに、太陽光発電などによる創エネ、そのエネルギーを蓄電池に蓄える蓄エネに取り組みます。さらに、両施設の消費電力に応じ相互にエネルギーを融通し合う、いわゆる譲エネを実施し、再生可能エネルギー利用率や電力自給率、二酸化炭素削減率などさまざまな効果について検証し、エネルギーの分散自立化を推進してまいります。そのため新年度は、この実証実験に向けた設備設置工事に着手をいたします。  また、「みんなの森 ぎふメディアコスモス」につきましては、地下水と太陽熱を取り入れた空調システムや太陽光発電を導入し、再生可能エネルギーを最大限に活用するほか、本市が再生可能エネルギー普及に取り組む象徴として、北野阿原一般廃棄物最終処分場において、民間事業者への土地貸し方式によるメガソーラー発電推進事業に着手いたします。これらの事業により、二酸化炭素の削減はもちろん、太陽光発電の有効性、重要性を市民、事業者へ広く喚起することができ、再生可能エネルギーの普及拡大につながっていくものと期待をしているところであります。  加えて、住宅用太陽光発電設備に対する補助枠を拡大するとともに、市民出資等による太陽光市民発電所の事業可能性についても引き続き検討してまいります。  また、地中熱の利用促進に向けた研究を進めるとともに、地中熱利用の有効性を広く啓発していくなど、エネルギーの地産地消に取り組んでまいります。  次に、循環型社会の実現について申し上げます。  私たちの生活は、エネルギーとともに資源を消費していくことで成り立っています。限りある資源を有効に活用し、持続可能な循環型社会を実現するためには、生産、流通、消費、廃棄の全ての段階において、ごみの発生抑制や資源の循環的利用、廃棄物の適正処理を推進する必要があります。  そのため、ごみの減量化に対する意識や取り組みへの価値観を高め、一人一人が行動につなげていく「ごみ1/3減量大作戦」市民運動を展開してまいります。  また、資源分別回収事業など、市民団体によるごみの資源化活動を支援していくとともに、事業系ごみの抑制を図るなど、引き続きごみ減量・資源化指針2011に基づき、市民、事業者、行政が一体となって、ごみの減量・資源化に努めてまいります。  さらに、清潔で快適な生活環境の実現のため、ごみ処理施設など環境施設の整備を推進してまいります。  ごみ処理施設につきましては、昨年度に策定した長寿命化計画に基づき、本年度、東部クリーンセンターの基幹的設備改良工事を実施しておりますが、さらに、新年度には掛洞プラントの工事に着手いたします。また、し尿処理施設につきましては、寺田プラントの処理能力増強、維持管理コストの縮減を目的とした改造工事に向け調査設計を行ってまいります。  産業廃棄物不法投棄事案につきましては、市民の安全、安心を確保するため、「迅速」、「情報公開」、「市民と行政の協働」の3原則による解決を目指し、その実現に全力を傾注してまいりました。  平成20年度より特定支障除去等事業実施計画に基づき、廃棄物の掘削、選別及び搬出・処分作業を進めてまいりましたが、これらは当初の計画どおり本年度末で完了する予定であり、当初100億円程度と想定しておりました事業費も約66億円となる見込みであります。  また、これまでに学識経験者で構成する岐阜市北部地区産業廃棄物不法投棄事案技術評価検討委員会において、生活環境保全上の支障及び支障のおそれが取り除かれたことが検証されておりますが、今後も安心を確保するよう、引き続き現地及び周辺のモニタリング調査を当面の間行ってまいります。  なお、不法投棄行為者等への責任追及につきましては、引き続き専門家の助言を得ながら行政代執行等の費用回収に全力で取り組んでまいります。  次に、利便性の高い生活環境の充実について申し上げます。  交通政策につきましては、岐阜市総合交通戦略に掲げる誰もが自由に移動できる交通環境社会、いわゆる交通ユビキタス社会の実現に向け諸施策を進めてまいります。特に総合交通戦略の柱となるバス交通に関しましては、路線バスとコミュニティバスの連携を図るなど、公共交通のネットワーク化を進めてまいります。  路線バスにつきましては、幹線軸の強化を図るため、新たなバスシステム岐阜市型BRTの導入を推進しております。その一翼を担うものとして平成22年度から導入している連節バスにつきましては、新年度、市内でバスの運行本数が最も多い長良橋通りに導入するため、新たに連節バス2両の購入に対し補助するとともに、道路やバス停等の改良など、必要となる走行環境の整備を行ってまいります。  なお、コミュニティバスにつきましては、現在運行している本格運行11地区、試行運行2地区に加え、新たに三里・本荘地区におきまして導入を予定しております。  こうした取り組みに対し、本市は、去る2月22日、第4回EST交通環境大賞・国土交通大臣賞を受賞いたしました。この賞は、ヨーロッパ諸国を中心とした国際機関OECDが環境面から持続可能な交通施策として提案しているESTに関する取り組みの中から、国がすぐれた実績を上げた自治体等を表彰するもので、本市のこれまでの取り組みが評価されたものと大変喜ばしく思っております。引き続き市民の皆様の協力を得ながら、全国に誇れる交通政策を推進してまいります。  次に、中心市街地ににぎわいを取り戻し、まちなか居住の推進を図るとともに、本市の歴史や文化、自然を生かした観光や多様な産業の振興、雇用の確保などを積極的に行い、活力のあふれる都市の実現をしていくための施策について申し上げます。  まず、にぎわいのある中心市街地の創出についてであります。  中心市街地を形成する岐阜駅周辺から柳ケ瀬、岐阜大学医学部等跡地に至る区域につきましては、昨年6月に2期中心市街地活性化基本計画の総理大臣の認定を受け、その目標に掲げている、にぎわいの創出やまちなか居住の推進を図るため、引き続きさまざまな取り組みを進めてまいります。  柳ケ瀬地区におきましては、商店街が百貨店や大規模小売店舗等と連携し、共通課題の解決や、活性化に向けた施策検討を行う取り組みに対し支援を行うほか、引き続き空き店舗活用に取り組むなど、柳ケ瀬のさらなる魅力の創出に努めてまいります。  市街地再開発事業につきましては、昨年8月末に岐阜スカイウイング37が完成し、岐阜シティ・タワー43と並ぶツインタワーは、本市の新たなシンボルとしてにぎわいの創出に貢献をしております。  また、高島屋南地区につきましては建物調査や基本設計、岐阜駅東地区につきましては事業化に向けた検討、手続が進められるなど、組合設立に向けた各種調査が実施されているところであります。  さらに、中心市街地における個人住宅取得に対する助成制度や、市外から民間賃貸住宅へ転入してくる世帯に対する家賃の一部助成制度を引き続き実施し、まちなかへの人口流入を一層促進してまいります。  つかさのまち夢プロジェクトにつきましては、知、文化、絆の拠点となる第1期複合施設「みんなの森 ぎふメディアコスモス」の建設工事に着手いたします。  まず、知の拠点の役割を担う(仮称)中央図書館についてでありますが、蔵書数を現在の20万冊から90万冊に大幅に充実させるとともに、誰もが学習の場として利用できるよう自習のできる学習席や、ゆったりくつろいで本が読めるソファー席など、現図書館の130席から910席へと約7倍に拡充するなど、あらゆる方々の知識欲を満たす魅力ある図書館として整備してまいります。  また、図書館は、子どもから大人まで多くの人が利用する学びの場として、公共施設の中でも特に大きな集客力を持つ施設でありますことから、年間100万人程度の利用を見込んでおり、市中心部における心の豊饒の推進を担う場として、いわば静かなるにぎわいが創出されるものと期待しております。  さらに、市民活動の創造と広がり及び市民協働に係る情報の発信や普及を推進するため、絆の拠点となる(仮称)市民活動交流センターや、市民が創作物を展示、発表する場として、文化意識の向上に資する文化の拠点となる展示ギャラリー等を合わせ、平成27年度の開館に向け建設を進めてまいります。  また、(仮称)憩い・にぎわい広場の整備にも着手し、市民の皆様が憩い、くつろげる場として、延長200メートルにわたりカツラの並木道を整備するとともに、せせらぎやベンチを設置し、木に親しめる場としてまちなかの親樹空間を創出してまいります。  また、今回「みんなの森 ぎふメディアコスモス」建築主体工事の契約が応札の辞退等により不調となりました。今後は不調要因の調査を踏まえ、適正な予定価格を算出した上で再度の入札を行い、早期に工事着手するよう進めてまいります。また、開館時期につきましては、平成27年春からおくれるおそれはございますが、できる限り早く開館できるよう進めてまいります。  名鉄高架事業につきましては、全体事業区間約2.9キロメートルのうち、名鉄岐阜駅寄りの約1.5キロメートルについて先行して整備を進めていくため、実施可能な施工方法の検討や、県、市、名鉄の役割分担について協議していくとともに、翌年度以降の高架化や周辺区画整理などの事業に係る財源として、新年度、鉄道高架事業基金に所要の積み立てを行うものであります。  次に、観光の振興について申し上げます。  長良川鵜飼は、1300年以上の歴史の中で培われた幽玄な世界を味わっていただける本市にとって貴重な観光資源であります。その鵜飼の歴史や技術などに触れ、学ぶことができる観光施設として、昨年8月に開館をいたしました長良川鵜飼伝承館では、鵜匠による鵜飼実演を実施するなど、鵜飼が開催されていない期間に訪れる観光客の方々にも楽しんでいただいております。  また、アジアなど海外からの観光客の増加を目指し、現地におけるプロモーションを実施するとともに、本年10月に開催予定の全国鵜飼サミット岐阜大会や岐阜・下呂・郡上観光宣伝協議会、さらには、信長公居城連携協議会などを通して広域宣伝活動を行い、本市の魅力を積極的にPRしてまいります。  このほか、本年度に引き続き全国を回る長距離トラックを利用した観光PRに加え、長良川温泉旅館協同組合が川原町等で開催する長良川温泉泊覧会等の滞在型観光資源の育成などに取り組んでまいります。  次に、産業の振興について申し上げます。  新政権の経済対策に対する景気回復への期待感が高まっているものの、デフレ下の状況における長引く景気低迷の影響から、本市経済を支える中小企業の経営は依然として厳しい環境にあります。  こうした状況の中、中小企業の資金繰り悪化等への対応策として平成21年に時限立法として施行された中小企業金融円滑化法の適用期間が本年3月に満了となるため、新年度は、その補完となるメニューを創設するなど市融資制度の見直しを行い、市内中小企業者の資金繰りの円滑化を図ってまいります。  また、ものづくり産業の誘致につきましては、ものづくり産業集積地計画に基づき、柳津、三輪の2地区において事業を進めてまいりました。  柳津地区につきましては、昨年12月に1社の企業と用地売却契約を締結いたしましたことから、今後、雇用の創出など地域の活性化につながるさまざまな効果が期待されているところであり、未売却の用地につきましても引き続き誘致活動に全力で取り組んでまいります。  次に、農業の振興について申し上げます。  食は命の源であることから、力強い農業の実現を図るとともに、安全、安心な農産物を求める消費者ニーズの高まりに応えていくため、さらなる地産地消の推進に取り組んでまいります。  また、農業従事者の高齢化や後継者不足、さらには、耕作放棄地の増加など、人と農地の問題が生じている中、その課題解決に向け中心となる担い手の確保や農地集積の推進を図るため、市内31地域の事情に応じた「岐阜市人・農地プラン」を作成したところであります。そのプランの実現に向け新規就農時に必要となる施設設備等に係る経費の一部を助成するなど、農業経営の早期安定化を支援してまいります。  また、農地の保全、集約化を図るため、農業の担い手への農地集積に協力していただける土地所有者に対し農地集積協力金を交付するとともに、農業経営の安定や生産力の確保を図る経営所得安定対策を活用するなど、本市の農業の競争力、体質強化を引き続き図ってまいります。  次に、就労環境の充実について申し上げます。  厳しい経済状況が続く中、雇用情勢に改善の兆しが見えるものの、依然として失業率が高い水準で推移している状況であります。そのため若年求職者と地元企業とのマッチングを図る合同企業説明会や就職スキルアップセミナーなどを開催し、就業機会の拡大及び就労支援の強化を図ってまいります。  次に、心の豊かさを実感でき、人生を楽しむことができる都市の実現のため、市民協働のまちづくり、学校教育、生涯学習の充実など、さまざまな人づくり施策を推進するとともに、文化の継承、創造に努めていくための施策について申し上げます。  まず、市民協働のまちづくりについてであります。  地域主権改革の進行に合わせ、地方が画一的な行政運営から脱却し、みずからの権限と責任において地域の特色を生かした個性豊かなまちづくりを行うことが求められております。その実現に向け主役となる市民が地域に愛着を持ち、自治会を初めとする各種団体やNPO、企業、行政などとのつながりを広め、それぞれの役割分担と協働によるまちづくり活動を展開することが重要であります。  そのため地域が課題解決に向け主体的に取り組みを進めるまちづくり協議会の活動を支援する地域力創生事業を初め、アダプト・プログラムなど住民主体のさまざまな協働のまちづくり施策を引き続き実施してまいります。  続いて、生涯学習の推進について申し上げます。  人が生きがいを持ち、心豊かで充実した人生を送るためには、身の回りにあるさまざまな課題に関心を持ち、学び、その成果を生かしていくことが大切であります。  そのため学んだ成果をまちづくりに生かす現代的課題の解決を目指した生涯学習を推進し、地域づくりにつながる人材の養成に努めてまいります。  生涯スポーツの充実といたしましては、ぎふ清流国体・ぎふ清流大会の開催を契機としてスポーツへの市民の皆様の興味や関心が高まる中、本年度策定いたしました岐阜市スポーツ推進計画に基づき、誰もが幸福で豊かな生活を営むことができる社会の創出を目指してまいります。  そのため金華山や岐阜公園において、ウオーキングや軽スポーツに気軽に参加できる健幸エンジョイ・スポーツDAYなどのイベントを開催するほか、国体に出場した選手を初めとするスポーツリーダーを学校等に派遣するとともに、ボランティアとして参加された方々にはスポーツイベントのスタッフとして参加いただくなど、スポーツのさらなる振興に取り組んでまいります。  また、FC岐阜によるサッカー教室や、障がい者、高齢者を対象とした体操教室などの開催を引き続き支援するとともに、ホームゲームに市民の方々を無料招待する岐阜市ホームタウンデーを通して多くの市民の皆様にFC岐阜の魅力を広め、応援していただけるよう取り組んでまいります。  次に、学校教育の充実について申し上げます。  教育立市を目指す本市におきましては、未来を担う人づくりを最重要施策として掲げ、グローバル化していく現代社会に対応できるようソフト、ハードの両面から良好な教育環境を整備し、子どもたちの生きる力を育んでまいります。  まず、ソフト面の施策といたしましては、基礎的な知識、技能の習得や健やかな体づくりを目指す学力向上ぎふプランや体力向上ぎふプランを引き続き実施してまいります。  加えて、子どもの理数離れが叫ばれている中、理数科教育に対する興味、関心を高めるため、理科教員OBなどを教育支援員として小学校25校に配置し、全ての小学校において実験などの充実により子どもの意欲を喚起する授業を展開するほか、理数クラブの指導を行うなど、理数科教育全体の底上げと同時に、未来の科学技術を担う人材の育成を図る岐阜市型STEM教育推進事業を実施してまいります。  また、国際化が進展する中、全中学校において外国語指導助手・ALTを活用した英語授業を展開しておりますが、小学校につきましても、これまで9校に派遣しておりましたALTを全小学校に拡大し、小中一貫英語教育の効果的な推進を図ってまいります。  さらに、社会で活躍する子どもたちの将来を見据え、キャリア教育、人間理解教育、色彩教育など、引き続き特色ある教育に取り組むとともに、新たに小中学校などの全教室に設置しているデジタルテレビに電子黒板機能を付加し、デジタル教科書とあわせて、ICTを活用した「わかる授業、できる授業」の実践に努めてまいります。  一方、一人一人の子どもが抱えるさまざまな問題や課題に対しましては、学校に配置しておりますハートフルサポーターや特別支援教育介助員、生徒指導サポーターなどの拡充を図り、障がいのある子どもへの対応やいじめ問題などにきめ細かな指導、援助を行ってまいります。  加えて、福祉、医療など多方面からの専門的な支援を総合的、継続的に行うため、その拠点となる(仮称)総合教育支援センターにつきまして、平成26年度の開設を目指し整備してまいります。  また、地域に開かれ、地域に支えられた学校づくりを目指す岐阜市型コミュニティ・スクールにつきましては、これまでの8小学校に加え、新たに中学校や特別支援学校も含めた14校に導入をし、地域の教育力を生かした学校運営に取り組んでまいります。  次に、ハード面でありますが、近年の猛暑は児童生徒の学習及び体調管理などに大きな影響を及ぼしております。そのため新年度は市立の全ての学校におけるエアコンの導入に向け各学校に適した設置方式を検討するため、電気設備やガス配管の状況などについて基本調査を実施するほか、翌年度以降の整備に係る財源として教育施設整備基金に所要の積み立てを行うなど、良好な学習環境の整備に向け取り組んでまいります。  また、学校施設の耐震化につきましては、耐震化整備計画に基づき平成26年度の事業完了に向け計画的に進めてまいります。  次に、歴史ある文化の継承について申し上げます。  1300年以上の歴史を誇る長良川鵜飼につきましては、国の重要無形民俗文化財指定を目指し、引き続き文化財としての価値を明らかにする調査を進めるとともに、その舞台となる長良川流域の景観につきましても国の重要文化的景観の選定を目指してまいります。  また、織田信長公居館跡の発掘調査では、建物に使われた金箔瓦が見つかるなど、その一端が明らかになりつつあります。この居館跡を含む国史跡岐阜城跡におきまして、本年度策定いたしました整備基本構想に基づき、引き続き発掘調査を進めてまいります。さらに、信長学として当時の歴史や文化を学ぶため、信長学フォーラムや歴史講座「信長塾」を引き続き開催し、全国にその魅力を発信してまいります。  次に、本市の新たな都市文化の創造について申し上げます。  市民の文化・芸術に触れる機会を充実し、幅広い年齢層に多様な文化・芸術のありさまや今に残る伝統の楽しさを伝えることにより、人財の育成を図ってまいります。そのため小中学校へ芸術家を派遣し、児童生徒の感性に響くライブを実施するほか、本市にゆかりのある著名な芸術家と市民の皆様との触れ合いの場を提供するアートパフォーマンス、さらには、本市の礎を築いた織田信長公とその歴史を題材に、さまざまな文化団体や公募市民の皆さんが参加する信長公市民劇を開催するなど、草の根からの新たな文化・芸術の創造に取り組んでまいります。  次に、行政の効率化について申し上げます。  さきに申し上げましたとおり、現在の大変厳しい状況下において、行政を経営するという視点に立ち、民間活力の導入、計画的な行財政運営などにより効率化に向けた不断の努力が必要であります。  職員定数につきましては、国体の終了による定数の削減とともに、ごみ処理施設管理業務の一部委託化など民間活力の活用等により、行政サービスの低下を招くことなく、一層のスリム化を進めるほか、職員の給与についてもさらなる適正化に努めてまいります。  また、組織運営につきましては、スマートウエルネスぎふやつかさのまち夢プロジェクトなど、本市の政策の核となる事業を推進していく体制をさらに充実してまいります。  職員育成につきましては、管理職を中心にコミュニケーション能力や人材育成能力の向上などを図ることで、組織の活性化や職員のモチベーションの向上につなげてまいります。また、高い倫理観や危機管理意識を備えた職員の育成を図るため、法令遵守、危機管理に関する研修についても強化してまいります。  情報システムの最適化につきましては、現在進めております国保、年金や税に加え、福祉情報システムなどの第二次開発に着手し、引き続き統一的かつ費用対効果の高いシステムへの再構築を進め、市民サービスの向上やコストの削減、事務の効率化をより一層図ってまいります。  以上をもちまして、平成25年度の主な施策とその大要を申し述べました。  冒頭でも申し上げましたように、世界的な経済不況や急速に進展する少子・高齢化、さらには、未曽有の自然災害の発生など、経済社会情勢が目まぐるしく変化する中にあって、私たちは、これまでの物の豊かさを求める価値観からの転換を求められております。  市民の皆様が心の豊饒、つまり心にゆとりや幸福をより一層実感することができれば、そこから今までにない創造力や新たなチャレンジ精神、あるいは人とのつながり、思いやりなどが生まれ、明るい未来を支える原動力になるものと考えております。  新年度はこうした心の豊饒を追い求めつつ、教育や医療、健康など、人への投資を積極的に推進することで、本市の新たな未来を切り開いていく覚悟でありますので、議員各位初め、市民の皆様の御理解と御協力を賜りますようお願いを申し上げます。  なお、予算に関係いたします条例なども提案しておりますが、それぞれ提案理由が付記してありますので、よろしく御審議の上、適切なる御決定を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。  同時に提案をいたしました平成24年度一般会計補正予算並びにその他の議案について御説明をいたします。  最初に、第46号議案、平成24年度一般会計補正予算についてであります。  さきに申し上げましたように、我が国におきましては、長引く不況から脱却し経済の活性化を図ることが急務となっております。このため国において予備費を活用した昨年秋の野田内閣に続き、安倍内閣におきましても経済成長戦略の推進や防災・減災対策などの公共事業を初めとする緊急経済対策が実施されることとなりました。    〔私語する者あり〕  今回の補正予算につきましては、これらの経済対策に伴い、学校、道路、橋梁を初め、既存インフラの防災・減災対策などを中心に所要の予算を計上いたしました。  まず、これらの経済対策に伴う事業につきまして、順次御説明申し上げます。  公共施設の耐震化につきましては、工事費として市営住宅に1,700万円、小中学校の校舎及び体育館に11億5,000余万円を、また、補強計画、実施設計につきましては、保育所を初めとする9施設について合わせて3,800余万円を、それぞれ所要の費目において補正するものであります。  農林水産業費の土地改良費につきましては、羽島用水などの改良に係る県営土地改良事業負担金として1,700余万円を補正するものであります。  次に、土木費でありますが、交通安全対策費には、通学路の安全対策や道路附属物の点検などに合わせて2億5,900万円を補正するものであります。
     また、道路橋梁維持費には、トンネルなどの道路ストックの総点検に加え、道路舗装整備や橋梁修繕工事などに3億1,300余万円を補正し、緊急的な補修など必要な対策を講じてまいります。  道路橋梁新設改良費には、近島橋ほか3橋の橋梁耐震補強工事などに4,300万円を、街路新設改良費には、岐阜駅高富線梶川工区の電線共同溝工事に2,000万円を補正いたしました。  さらに、河川水路維持費には、排水機場の機能保全対策として城田寺排水機場の改修に1,400余万円を補正するとともに、河川水路新設改良費には、洪水対策として西出川の改修に2,200万円を補正いたしました。公園整備事業費には、(仮称)鷺山・下土居3号公園ほか2公園の施設整備に1億500万円を補正するものであります。  また、教育費の事務局費には、(仮称)総合教育支援センターの外構工事などに1億4,900余万円を、小学校建設費には、明郷小学校の大規模改修工事に1億1,200余万円を、公民館費には、明徳公民館の大規模改修工事に6,100余万円を補正するものであります。  以上が国の経済対策に伴うもので、合わせて23億2,400余万円の補正でありますが、完了が次年度になる見込みでありますことから、繰越明許費として所要の措置を講じるものであります。  さらに、今回の補正予算につきましては、財政調整基金への積立金25億円を補正いたしました。これは市立学校へのエアコン導入や名鉄高架事業などへの事業化に向けた備えとして、新年度当初予算において所要の特定目的基金への積立金を計上しており、その財源として積み立てようとするものであります。  このほか、総務費の国体推進費につきましては、市の実行委員会に対する運営補助金につきまして、決算見込みを勘案し、2億900万円を減額するものであります。  企画費につきましては、忠節橋通りにおけるバスレーンのカラー舗装工事に関し、バスレーンの導入区間と時期について関係機関と協議した結果、年度内の施工を見送ることとし、1,000万円を減額するものであります。  また、財産管理費につきましては、本年度の萬松館施設整備が一部にとどまることから1億3,400余万円を減額し、新年度に実施しようとするものであります。  民生費の市民協働参画費につきましては、篤志家からの寄附金等1億2,500万円を元気なぎふ応援基金に積み立てるものであります。  文化・芸術振興費につきましては、市民会館耐震補強等工事について、契約額の確定に伴い、不用となる1億2,500余万円を減額するものであります。  衛生費の塵芥処理費におきましては、産業廃棄物特定支障除去等事業における廃棄物の運搬・処分費や工事費などにつきまして、実績見込み等を勘案し2億8,200余万円を減額しようとするものであります。  また、土木費の公園整備事業費につきましては、三田洞公園改修工事の請負契約を受注者の事情により解除することに伴い、追加発注に要する費用500余万円を補正するものであります。  また、完了が次年度になる見込みの事業につきましては、繰越明許費として所要の措置を講じるものであります。  このほか、債務負担行為といたしまして、図書館システム開発等業務の一部について委託単価の動向などから単年度ごとの契約に変更するため、限度額等を補正するものであります。  以上、補正総額は41億9,286万8,000円となり、財源内訳といたしましては、     市           税     4億2,766万7,000円     地  方  交  付  税    15億8,987万9,000円     国  庫  支  出  金     9億5,123万8,000円     繰越金及びその他特定財源     53億4,388万4,000円 をもって充てる一方、     県   支   出   金            6,700万円     財政調整基金など基金繰入金         32億2,490万円     市           債          8億2,790万円 を減額するものであります。  次に、第49号議案から第52号議案は、いずれも条例の制定、改正及び廃止でありまして、それぞれ提案理由が付記してありますので、説明を省略させていただきます。  第53号議案につきましては、土地区画整理事業の施行などに伴い、市道路線の認定、廃止及び変更をしようとするものであります。  第54号議案、下水道事業会計補正予算は、国の経済対策に伴い、北東部地域の下水管渠布設工事費に5,200万円を補正するものであります。  以上、補正予算及び関係諸議案を説明いたしました。よろしく御審議の上、適切なる御決定を賜りますようお願いを申し上げます。             ━━━━━━━━━━━━━━━━━  第55 第47号議案及び第56 第48号議案 18: ◯議長(高橋 正君) 日程第55、第47号議案及び日程第56、第48号議案、以上2件を一括して議題とします。            ───────────────────               〔議 案 掲 載 省 略〕            ─────────────────── 19: ◯議長(高橋 正君) これら2件に対する提出者の説明を求めます。市長、細江茂光君。    〔細江茂光君登壇〕 20: ◯市長(細江茂光君) ただいま上程になりました第47号議案及び第48号議案は、いずれも平成24年9月5日に公布され、平成25年3月1日に施行される地方自治法の一部改正に伴い、条項ずれ等が生じたため、条例を改正するものであります。よろしく御審議の上、適切な御決定を賜りますようお願い申し上げます。 21: ◯議長(高橋 正君) これより質疑を行います。  これら2件について質疑を許します。質疑はありませんか。    〔「なし」と呼ぶ者あり〕 22: ◯議長(高橋 正君) 質疑はなしと認めます。  お諮りします。これら2件については、常任委員会付託を省略したいと思います。これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 23: ◯議長(高橋 正君) 御異議なしと認めます。よって、これら2件については、常任委員会付託を省略することに決しました。  これより討論を行います。  これら2件について討論を許します。討論はありませんか。    〔「なし」と呼ぶ者あり〕 24: ◯議長(高橋 正君) 討論はなしと認めます。  これより採決を行います。  第47号議案及び第48号議案、以上2件を一括して採決します。  お諮りします。これら2件については、いずれも原案のとおり決するに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 25: ◯議長(高橋 正君) 御異議なしと認めます。よって、これら2件については、いずれも原案のとおり決しました。             ━━━━━━━━━━━━━━━━━  第57 市議第1号議案 26: ◯議長(高橋 正君) 日程第57、市議第1号議案を議題とします。  議案は、お手元に配付申し上げたとおりであります。            ───────────────────  市議第1号議案     岐阜市議会政務調査費の交付に関する条例の一部を改正する条例制定について   岐阜市議会政務調査費の交付に関する条例の一部を改正する条例を別紙のとおり制定  するものとする。    平成25年2月28日提出           提出者            岐阜市議会 議会運営委員長  杉   山   利   夫            ───────────────────       岐阜市議会政務調査費の交付に関する条例の一部を改正する条例  岐阜市議会政務調査費の交付に関する条例(平成13年岐阜市条例第1号)の一部を次 のように改正する。  次の表の改正前の欄中条の表示に下線が引かれた条(以下「移動条」という。)に対応 する同表の改正後の欄中条の表示に下線が引かれた条(以下「移動後条」という。)が存 在する場合には、当該移動条を当該移動後条とし、移動後条に対応する移動条が存在しな い場合には、当該移動後条(以下「追加条」という。)を加える。  次の表の改正前の欄中下線が引かれた部分(条の表示を除く。以下「改正部分」という。) に対応する同表の改正後の欄中下線が引かれた部分(条及び別表の表示並びに追加条を除 く。以下「改正後部分」という。)が存在する場合には、当該改正部分を当該改正後部分 に改め、改正後部分に対応する改正部分が存在しない場合には、当該改正後部分を加える。  次の表の改正後の欄中別表の表示に下線が引かれた別表を加える。 ┌─────────────────────┬─────────────────────┐ │         改正後         │         改正前         │ ├─────────────────────┼─────────────────────┤ │   岐阜市議会政務活動費の交付に関す  │   岐阜市議会政務調査費の交付に関す  │ │    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  │    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  │ │   る条例               │   る条例               │ │    ̄ ̄ ̄               │    ̄ ̄ ̄               │ │ (趣旨)                │ (趣旨)                │ │第1条 この条例は、地方自治法(昭和2  │第1条 この条例は、地方自治法(昭和2  │ │ 2年法律第67号)第100条第14項  │ 2年法律第67号)第100条第14項  │ │           ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  │           ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  │ │ から第16項までの規定に基づき、岐阜  │ 及び第15項の規定に基づき、岐阜市議  │ │  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄            │  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄              │ │ 市議会議員の調査研究その他の活動に資  │ 会議員の調査研究に資するため必要な経  │ │            ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄    │                     │ │ するため必要な経費の一部として、議会  │ 費の一部として、議会における会派又は  │ │ における会派又は議員に対し政務活動費  │ 議員に対し政務調査費を交付することに  │ │               ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  │       ̄ ̄ ̄ ̄ ̄          │ │ を交付することに関し必要な事項を定め  │ 関し必要な事項を定めるものとする。   │ │ るものとする。             │                     │ │ (交付対象)              │ (交付対象)              │
    │第2条 政務活動費は、岐阜市議会におけ  │第2条 政務調査費は、岐阜市議会におけ  │ │     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄            │     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄            │ │ る会派(所属議員が1人の場合を含む。  │ る会派(所属議員が1人の場合を含む。  │ │ 以下「会派」という。)又は議員の職に  │ 以下「会派」という。)又は議員の職に  │ │ ある者(以下単に「議員」という。)に  │ ある者(以下単に「議員」という。)に  │ │ 対して交付する。            │ 対して交付する。            │ │ (会派の届出等)            │ (会派の届出等)            │ │第3条 議員が会派を結成し、会派に対す  │第3条 議員が会派を結成し、会派に対す  │ │ る政務活動費の交付を受けようとすると  │ る政務調査費の交付を受けようとすると  │ │   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄              │   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄              │ │ きは、会派の代表者及び経理責任者を定  │ きは、会派の代表者及び経理責任者を定  │ │ め、その代表者は、規則で定める様式に  │ め、その代表者は、規則で定める様式に  │ │ より速やかに議長に届け出なければなら  │ より速やかに議長に届け出なければなら  │ │ ない。届け出た事項に異動を生じたとき  │ ない。届け出た事項に異動を生じたとき  │ │ も、同様とする。            │ も、同様とする。            │ │2 (略)                │2 (略)                │ │3 議員に対する政務活動費の交付を受け  │3 議員に対する政務調査費の交付を受け  │ │         ̄ ̄ ̄ ̄ ̄        │         ̄ ̄ ̄ ̄ ̄        │ │ ている議員は、会派に対する政務活動費  │ ている議員は、会派に対する政務調査費  │ │               ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  │               ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  │ │ の交付を受けている会派に入会したとき  │ の交付を受けている会派に入会したとき  │ │ は、規則で定める様式により速やかに議  │ は、規則で定める様式により速やかに議  │ │ 長に届け出なければならない。      │ 長に届け出なければならない。      │ │4 (略)                │4 (略)                │ │ (会派に対する政務活動費)       │ (会派に対する政務調査費)       │ │         ̄ ̄ ̄ ̄ ̄        │         ̄ ̄ ̄ ̄ ̄        │ │第4条 会派に対する政務活動費は、各月  │第4条 会派に対する政務調査費は、各月  │ │           ̄ ̄ ̄ ̄ ̄      │           ̄ ̄ ̄ ̄ ̄      │ │ 1日(以下「基準日」という。)におけ  │ 1日(以下「基準日」という。)におけ  │ │ る会派の所属議員数に応じ1人につき月  │ る会派の所属議員数に応じ1人につき月  │ │ 額15万円を乗じて得た額を当該会派に  │ 額15万円を乗じて得た額を当該会派に  │ │ 対し四半期に分けて交付する。      │ 対し四半期に分けて交付する。      │ │2 (略)                │2 (略)                │ │3 1四半期の途中において新たに結成さ  │3 1四半期の途中において新たに結成さ  │ │ れた会派に対しては、結成された日の属  │ れた会派に対しては、結成された日の属  │ │ する月の翌月分(その日が基準日に当た  │ する月の翌月分(その日が基準日に当た  │ │ る場合は、当月分)から政務活動費を交  │ る場合は、当月分)から政務調査費を交  │ │             ̄ ̄ ̄ ̄ ̄    │             ̄ ̄ ̄ ̄ ̄    │ │ 付する。                │ 付する。                │ │4 1四半期の途中において新たに議員と  │4 1四半期の途中において新たに議員と  │ │ なった者が、当該議員となった日の属す  │ なった者が、当該議員となった日の属す  │ │ る月に新たに会派を結成したときは、当  │ る月に新たに会派を結成したときは、当  │ │ 該会派に対しては、当該議員となった者  │ 該会派に対しては、当該議員となった者  │ │ の数に応じた政務活動費を当月分から交  │ の数に応じた政務調査費を当月分から交  │ │        ̄ ̄ ̄ ̄ ̄         │        ̄ ̄ ̄ ̄ ̄         │ │ 付する。                │ 付する。                │ │5 1四半期の途中において、政務活動費  │5 1四半期の途中において、政務調査費  │ │               ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  │               ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  │ │ の交付を受けた会派が解散したときは、  │ の交付を受けた会派が解散したときは、  │ │ 当該会派の代表者であった者は、当該会  │ 当該会派の代表者であった者は、当該会  │ │ 派が既に交付を受けた政務活動費のうち  │ 派が既に交付を受けた政務調査費のうち  │ │            ̄ ̄ ̄ ̄ ̄     │            ̄ ̄ ̄ ̄ ̄     │ │ 当該解散の日の属する月の翌月分(その  │ 当該解散の日の属する月の翌月分(その  │ │ 日が基準日に当たる場合は、当月分)以  │ 日が基準日に当たる場合は、当月分)以  │ │ 降のものについて速やかに返還しなけれ  │ 降のものについて速やかに返還しなけれ  │ │ ばならない。              │ ばならない。              │ │ (議員に対する政務活動費)       │ (議員に対する政務調査費)       │ │         ̄ ̄ ̄ ̄ ̄        │         ̄ ̄ ̄ ̄ ̄        │ │第5条 議員に対する政務活動費は、基準  │第5条 議員に対する政務調査費は、基準  │ │           ̄ ̄ ̄ ̄ ̄      │           ̄ ̄ ̄ ̄ ̄      │ │ 日に在職する議員に対し月額15万円を  │ 日に在職する議員に対し月額15万円を  │ │ 四半期に分けて交付する。        │ 四半期に分けて交付する。        │ │2 基準日において議員の辞職、失職、除  │2 基準日において議員の辞職、失職、除  │ │ 名若しくは死亡又は議会の解散により議  │ 名若しくは死亡又は議会の解散により議  │ │ 員でなくなったときは、当月分の政務活  │ 員でなくなったときは、当月分の政務調  │ │                 ̄ ̄ ̄  │                 ̄ ̄ ̄  │ │ 動費は、交付しない。          │ 査費は、交付しない。          │ │  ̄ ̄                  │  ̄ ̄                  │ │3 1四半期の途中において新たに議員と  │3 1四半期の途中において新たに議員と  │ │ なった者は、当該議員となった日の属す  │ なった者は、当該議員となった日の属す  │ │ る月分から政務活動費を交付する。    │ る月分から政務調査費を交付する。    │ │       ̄ ̄ ̄ ̄ ̄          │       ̄ ̄ ̄ ̄ ̄          │ │4 政務活動費の交付を受けた議員(当該  │4 政務調査費の交付を受けた議員(当該  │ │   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄              │   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄              │ │ 交付を受けた議員が死亡した場合にあっ  │ 交付を受けた議員が死亡した場合にあっ  │ │ ては、その相続人)が、1四半期の途中  │ ては、その相続人)が、1四半期の途中  │ │ において議員でなくなったときは、当該  │ において議員でなくなったときは、当該  │ │ 議員でなくなった日の属する月の翌月分  │ 議員でなくなった日の属する月の翌月分  │ │ (その日が基準日に当たる場合は、当月  │ (その日が基準日に当たる場合は、当月  │ │ 分)以降の政務活動費を返還しなければ  │ 分)以降の政務調査費を返還しなければ  │ │       ̄ ̄ ̄ ̄ ̄          │       ̄ ̄ ̄ ̄ ̄          │ │ならない。                │ ならない。               │ │ (会派の所属議員数の異動等に伴う調整) │ (会派の所属議員数の異動等に伴う調整) │ │第6条 1四半期の途中において、政務活  │第6条 1四半期の途中において、政務調  │ │                 ̄ ̄ ̄  │                 ̄ ̄ ̄  │ │ 動費の交付を受けた会派の所属議員数に  │ 査費の交付を受けた会派の所属議員数に  │ │  ̄ ̄                  │  ̄ ̄                  │ │ 異動が生じたときは、当該異動の生じた  │ 異動が生じたときは、当該異動の生じた  │ │ 日の属する月の翌月分(その日が基準日  │ 日の属する月の翌月分(その日が基準日  │ │ に当たる場合は、当月分)以降の政務活  │ に当たる場合は、当月分)以降の政務調  │ │                 ̄ ̄ ̄  │                 ̄ ̄ ̄  │ │ 動費について、異動した所属議員数に応  │ 査費について、異動した所属議員数に応  │ │  ̄ ̄                  │  ̄ ̄                  │ │ じ1人につき月額15万円を追加して交  │ じ1人につき月額15万円を追加して交  │ │ 付し、又は当該会派は、異動した所属議  │ 付し、又は当該会派は、異動した所属議  │ │ 員数に応じ1人につき月額15万円を返  │ 員数に応じ1人につき月額15万円を返  │ │ 還しなければならない。         │ 還しなければならない。         │ │2 1四半期の途中において新たに議員と  │2 1四半期の途中において新たに議員と  │ │ なった者が当該議員となった日の属する  │ なった者が当該議員となった日の属する  │ │ 月に会派に対する政務活動費の交付を受  │ 月に会派に対する政務調査費の交付を受  │
    │          ̄ ̄ ̄ ̄ ̄       │          ̄ ̄ ̄ ̄ ̄       │ │ けている会派に入会したときは、当該会  │ けている会派に入会したときは、当該会  │ │ 派に対しては、第4条第1項の規定にか  │ 派に対しては、第4条第1項の規定にか  │ │ かわらず、当該入会した者の数に応じた  │ かわらず、当該入会した者の数に応じた  │ │ 政務活動費を当月分から加算して交付す  │ 政務調査費を当月分から加算して交付す  │ │  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄               │  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄               │ │ る。                  │ る。                  │ │3 1四半期の途中において、政務活動費  │3 1四半期の途中において、政務調査費  │ │               ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  │               ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  │ │ の交付を受けた会派の所属議員が当該会  │ の交付を受けた会派の所属議員が当該会  │ │ 派を脱会し、議員に対する政務活動費の  │ 派を脱会し、議員に対する政務調査費の  │ │              ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   │              ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   │ │ 交付を受けるときは、当該議員に当該脱  │ 交付を受けるときは、当該議員に当該脱  │ │ 会した日の属する月の翌月分(その日が  │ 会した日の属する月の翌月分(その日が  │ │ 基準日に当たる場合は、当月分)以降の  │ 基準日に当たる場合は、当月分)以降の  │ │ 政務活動費を交付する。         │ 政務調査費を交付する。         │ │  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄               │  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄               │ │4 1四半期の途中において、政務活動費  │4 1四半期の途中において、政務調査費  │ │               ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  │               ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  │ │ の交付を受けた議員が会派に入会したと  │ の交付を受けた議員が会派に入会したと  │ │ きは、当該議員は、当該入会した日の属  │ きは、当該議員は、当該入会した日の属  │ │ する月の翌月分(その日が基準日に当た  │ する月の翌月分(その日が基準日に当た  │ │ る場合は、当月分)以降の政務活動費を  │ る場合は、当月分)以降の政務調査費を  │ │              ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   │              ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   │ │ 返還しなければならない。        │ 返還しなければならない。        │ │5 前各項の規定による政務活動費の交付  │5 前各項の規定による政務調査費の交付  │ │            ̄ ̄ ̄ ̄ ̄     │            ̄ ̄ ̄ ̄ ̄     │ │ 又は返還は、異動が生じ、入会し、又は  │ 又は返還は、異動が生じ、入会し、又は  │ │ 脱会した日の属する月の翌月(その日が  │ 脱会した日の属する月の翌月(その日が  │ │ 基準日に当たる場合は、当月)の末日ま  │ 基準日に当たる場合は、当月)の末日ま  │ │ でに行わなければならない。       │ でに行わなければならない。       │ │ (交付日等)              │ (交付日等)              │ │第7条 政務活動費は、各四半期の最初の  │第7条 政務調査費は、各四半期の最初の  │ │     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄            │     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄            │ │ 月の10日に当該四半期に属する月数分  │ 月の10日に当該四半期に属する月数分  │ │ を会派の代表者又は議員名義の預金口座  │ を会派の代表者又は議員名義の預金口座  │ │ に振り込むことにより交付するものとす  │ に振り込むことにより交付するものとす  │ │ る。ただし、その日が岐阜市の休日を定  │ る。ただし、その日が岐阜市の休日を定  │ │ める条例(平成元年岐阜市条例第45号) │ める条例(平成元年岐阜市条例第45号) │ │ 第1条第1項に定める休日に当たるとき  │ 第1条第1項に定める休日に当たるとき  │ │ は、その翌日とする。          │ は、その翌日とする。          │ │ (政務活動費を充てることができる経費  │ (使途)                │ │   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  │   ̄ ̄                 │ │ の範囲)                │                     │ │  ̄ ̄ ̄                 │                     │ │第8条 政務活動費は、会派及び議員が行  │第8条 政務調査費の使途は調査研究費、  │ │     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  │     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  │ │ う調査研究、研修、広報、広聴、住民相  │ 研修費、会議費、資料作成又は購入費、  │ │  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  │  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  │ │ 談、要請、陳情、各種会議への参加等市  │ 広報広聴費、人件費、事務費及びその他  │ │  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  │  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  │ │ 政の課題及び市民の意思を把握し、市政  │ の経費とし、その基準は規則で定める。  │ │  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  │  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  │ │ に反映させる活動その他住民福祉の増進  │                     │ │  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  │                     │ │ を図るために必要な活動(以下「政務活  │                     │ │  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  │                     │ │ 動」という。)に要する経費に対して交  │                     │ │  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  │                     │ │ 付する。                │                     │ │  ̄ ̄ ̄ ̄                │                     │ │2 政務活動費は、別表で定める政務活動  │2 会派及び議員は、政務調査費を前項の  │ │   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  │   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  │ │ に要する経費に充てることができるもの  │ 経費以外のものに充ててはならない。   │ │  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  │  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄    │ │ とする。                │                     │ │  ̄ ̄ ̄                 │                     │ │ (収支報告書等の提出)         │ (収支報告書等の提出)         │ │第9条 政務活動費の交付を受けた会派の  │第9条 政務調査費の交付を受けた会派の  │ │     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄            │     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄            │ │ 代表者及び議員(当該交付を受けた議員  │ 代表者及び議員(当該交付を受けた議員  │ │ が死亡した場合にあっては、その相続人) │ が死亡した場合にあっては、その相続人) │ │ は、規則で定める様式により政務活動費  │ は、規則で定める様式により政務調査費  │ │               ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  │               ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  │ │ に係る収支報告書並びに政務活動の実績  │ に係る収支報告書並びに調査研究活動の  │ │             ̄ ̄ ̄ ̄     │             ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   │ │ 報告書(以下「収支報告書等」という。) │ 実績報告書(以下「収支報告書等」とい  │ │ を作成し、年度終了日の翌日から起算し  │ う。)を作成し、年度終了日の翌日から  │ │ て30日以内に議長に提出しなければな  │ 起算して30日以内に議長に提出しなけ  │ │ らない。                │ ればならない。             │ │2 政務活動費の交付を受けた会派が解散  │2 政務調査費の交付を受けた会派が解散  │ │   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄              │   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄              │ │ し、又は政務活動費の交付を受けた議員  │ し、又は政務調査費の交付を受けた議員  │ │      ̄ ̄ ̄ ̄ ̄           │      ̄ ̄ ̄ ̄ ̄           │ │ が会派に入会し、若しくは議員でなくな  │ が会派に入会し、若しくは議員でなくな  │ │ ったときは、前項の規定にかかわらず、  │ ったときは、前項の規定にかかわらず、  │ │ 当該会派の代表者であった者又は会派に  │ 当該会派の代表者であった者又は会派に  │ │ 入会した議員若しくは議員であった者   │ 入会した議員若しくは議員であった者   │ │ (議員が死亡した場合にあっては、その  │ (議員が死亡した場合にあっては、その  │ │ 相続人)は、当該解散の日又は会派に入  │ 相続人)は、当該解散の日又は会派に入  │ │ 会した日若しくは議員でなくなった日の  │ 会した日若しくは議員でなくなった日の  │ │ 翌日から起算して30日以内に収支報告  │ 翌日から起算して30日以内に収支報告  │ │ 書等を議長に提出しなければならない。  │ 書等を議長に提出しなければならない。  │ │3 前2項の規定により収支報告書等を提  │3 前2項の規定により収支報告書等を提  │ │ 出するときは、政務活動費の支出に係る  │ 出するときは、政務調査費の支出に係る  │ │         ̄ ̄ ̄ ̄ ̄        │         ̄ ̄ ̄ ̄ ̄        │ │ 領収書その他の証拠書類(以下「領収書  │ 領収書その他の証拠書類(以下「領収書  │ │ 等」という。)を併せて提出しなければ  │ 等」という。)を併せて提出しなければ  │ │ ならない。               │ ならない。               │ │4 (略)                │4 (略)                │
    │ (返還)                │ (返還)                │ │第10条 政務活動費の交付を受けた会派  │第10条 政務調査費の交付を受けた会派  │ │      ̄ ̄ ̄ ̄ ̄           │      ̄ ̄ ̄ ̄ ̄           │ │ 又は議員(当該交付を受けた議員が死亡  │ 又は議員(当該交付を受けた議員が死亡  │ │ した場合にあっては、その相続人)は、  │ した場合にあっては、その相続人)は、  │ │ その年度において交付を受けた政務活動  │ その年度において交付を受けた政務調査  │ │                ̄ ̄ ̄ ̄  │                ̄ ̄ ̄ ̄  │ │ 費の総額から、その年度において市政の  │ 費の総額から、その年度において市政の  │ │  ̄                   │  ̄                   │ │ 調査研究その他の活動に資するため必要  │ 調査研究に資するため必要な経費として  │ │      ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄          │                     │ │ な経費として行った支出(第8条第2項  │ 行った支出(第8条第1項の規定による  │ │              ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  │        ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄        │ │ の規定による経費の範囲に従って行った  │ 使途の基準に従って行った支出をいう。) │ │        ̄ ̄ ̄ ̄ ̄         │  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄               │ │ 支出をいう。)の総額を控除して残余が  │ の総額を控除して残余がある場合は、当  │ │ ある場合は、当該残余の額に相当する額  │ 該残余の額に相当する額の政務調査費を  │ │                     │              ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   │ │ の政務活動費を市に返還しなければなら  │ 市に返還しなければならない。      │ │   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄              │                     │ │ ない。                 │                     │ │2 市長は、次のいずれかの場合に該当す  │2 市長は、次のいずれかの場合に該当す  │ │ ると認めるときは、既に交付した政務活  │ ると認めるときは、既に交付した政務調  │ │                 ̄ ̄ ̄  │                 ̄ ̄ ̄  │ │ 動費の全部又は一部の返還を命ずること  │ 査費の全部又は一部の返還を命ずること  │ │  ̄ ̄                  │  ̄ ̄                  │ │ ができる。               │ ができる。               │ │ (1)  政務活動費の交付を受けた会派が  │ (1)  政務調査費の交付を受けた会派が  │ │     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄            │     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄            │ │    第3条第1項後段若しくは第2項  │    第3条第1項後段若しくは第2項  │ │    又は第8条の規定に違反した場合  │    又は第8条の規定に違反した場合  │ │ (2)  政務活動費の交付を受けた議員が  │ (2)  政務調査費の交付を受けた議員が  │ │     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄            │     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄            │ │    第3条第3項又は第8条の規定に  │    第3条第3項又は第8条の規定に  │ │    違反した場合           │    違反した場合           │ │ (収支報告書等の保存)         │ (収支報告書等の保存)         │ │第11条 (略)             │ 第11条 (略)            │ │ (透明性の確保)            │                     │ │  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄            │                     │ │第12条 議長は、第9条の規定により提  │                     │ │ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  │                     │ │ 出された収支報告書等及び領収書等につ  │                     │ │  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  │                     │ │ いて必要に応じて調査を行う等、政務活  │                     │ │  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  │                     │ │ 動費の適正な運用を期すとともに、使途  │                     │ │  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  │                     │ │ の透明性の確保に努めるものとする。   │                     │ │  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   │                     │ │2 議長は、前条の規定により保存する収  │                     │ │ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  │                     │ │ 支報告書等及び領収書等を閲覧に供する  │                     │ │  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  │                     │ │ ものとする。              │                     │ │  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄              │                     │ │ (議員の任期満了等に伴う特例)     │ (議員の任期満了等に伴う特例)     │ │第13条 議員の任期満了又は議会の解散  │第12条 議員の任期満了又は議会の解散  │ │ ̄ ̄ ̄ ̄                 │ ̄ ̄ ̄ ̄                 │ │ に伴い議員でなくなった場合又は会派が  │ に伴い議員でなくなった場合又は会派が  │ │ 解散した場合であって、当該議員でなく  │ 解散した場合であって、当該議員でなく  │ │ なった日又は当該会派の解散の日が月の  │ なった日又は当該会派の解散の日が月の  │ │ 10日以前であるときは、第4条第1項  │ 10日以前であるときは、第4条第1項  │ │ 及び第5条第1項の規定にかかわらず、  │ 及び第5条第1項の規定にかかわらず、  │ │ 当該議員でなくなった日又は当該会派の  │ 当該議員でなくなった日又は当該会派の  │ │ 解散の日の属する月分の政務活動費は、  │ 解散の日の属する月分の政務調査費は、  │ │             ̄ ̄ ̄ ̄ ̄    │             ̄ ̄ ̄ ̄ ̄    │ │ 交付しない。この場合において、既にそ  │ 交付しない。この場合において、既にそ  │ │ の月分以降の政務活動費の交付を受けて  │ の月分以降の政務調査費の交付を受けて  │ │        ̄ ̄ ̄ ̄ ̄         │        ̄ ̄ ̄ ̄ ̄         │ │ いるときは、当該議員又は当該会派の代  │ いるときは、当該議員又は当該会派の代  │ │ 表者であった者は、これを速やかに返還  │ 表者であった者は、これを速やかに返還  │ │ しなければならない。          │ しなければならない。          │ │2 一般選挙後新たに結成された会派に対  │2 一般選挙後新たに結成された会派に対  │ │ しては、第4条第3項の規定にかかわら  │ しては、第4条第3項の規定にかかわら  │ │ ず、結成された日の属する月分から政務  │ ず、結成された日の属する月分から政務  │ │                  ̄ ̄  │                  ̄ ̄  │ │ 活動費を交付する。           │ 調査費を交付する。           │ │  ̄ ̄ ̄                 │  ̄ ̄ ̄                 │ │ (委任)                │ (委任)                │ │第14条 この条例に定めるもののほか、  │第13条 この条例に定めるもののほか、  │ │ ̄ ̄ ̄ ̄                 │ ̄ ̄ ̄ ̄                 │ │ 政務活動費の交付に関し必要な事項は、  │ 政務調査費の交付に関し必要な事項は、  │ │  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄               │  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄               │ │ 規則で定める。             │ 規則で定める。             │ │別表(第8条関係)            │                     │ │ ̄ ̄                   │                     │ │┌────┬──────────────┐│                     │ ││項 目 │     内  容     ││                     │ │├────┼──────────────┤│                     │ ││調査研究│会派又は議員が行う市の事務 ││                     │ ││費   │並びに地方行財政等に関する ││                     │ ││    │調査研究及び調査委託に要す ││                     │ ││    │る経費           ││                     │ │├────┼──────────────┤│                     │ ││研修費 │会派又は議員が行う研究会、 ││                     │ ││    │研修会等の開催に必要な経費 ││                     │ ││    │又は他の団体等が開催する研 ││                     │ ││    │究会、研修会等への参加に要 ││                     │ ││    │する経費          ││                     │ │├────┼──────────────┤│                     │
    ││要請・陳│会派又は議員が要請・陳情活 ││                     │ ││情活動費│動を行うために必要な経費  ││                     │ │├────┼──────────────┤│                     │ ││会議費 │会派又は議員が行う各種会議、││                     │ ││    │団体等が開催する意見交換会 ││                     │ ││    │等各種会議への参加に要する ││                     │ ││    │経費            ││                     │ │├────┼──────────────┤│                     │ ││資料作成│会派又は議員が行う活動に必 ││                     │ ││費   │要な資料の作成に要する経費 ││                     │ │├────┼──────────────┤│                     │ ││資料購入│会派又は議員が行う活動に必 ││                     │ ││費   │要な図書、資料等の購入に要 ││                     │ ││    │する経費          ││                     │ │├────┼──────────────┤│                     │ ││広報広聴│会派若しくは議員が行う議会 ││                     │ ││費   │活動若しくは市政について住 ││                     │ ││    │民に報告するために要する経 ││                     │ ││    │費又は会派若しくは議員が行 ││                     │ ││    │う住民からの市政、会派及び ││                     │ ││    │議員の活動に対する要望、意 ││                     │ ││    │見の聴取、住民相談等の活動 ││                     │ ││    │に要する経費        ││                     │ │├────┼──────────────┤│                     │ ││人件費 │会派又は議員が行う活動を補 ││                     │ ││    │助する職員を雇用する経費  ││                     │ │├────┼──────────────┤│                     │ ││事務費 │会派又は議員が行う活動に係 ││                     │ ││    │る事務遂行に必要な経費   ││                     │ │└────┴──────────────┘│                     │ └─────────────────────┴─────────────────────┘    附 則  (施行期日)  1 この条例は、平成25年3月1日から施行する。  (経過措置)  2 改正後の岐阜市議会政務調査費の交付に関する条例の規定は、この条例の施行の日以   後に交付する政務活動費について適用し、同日前に交付された政務調査費については、   なお従前の例による。    提 案 理 由  地方自治法の一部改正に伴い、この条例を定めようとする。            ─────────────────── 27: ◯議長(高橋 正君) 市議第1号議案に対する提出者の趣旨弁明を求めます。議会運営委員長、17番、杉山利夫君。    〔杉山利夫君登壇〕 28: ◯17番(杉山利夫君) ただいま上程となりました市議第1号議案の岐阜市議会政務調査費の交付に関する条例の一部を改正する条例制定については、現在、議員の調査研究が円滑に進むよう地方自治法の規定に基づく岐阜市議会政務調査費の交付に関する条例により、調査研究に資するための必要な経費の一部として政務調査費が交付されているところであります。  昨年の9月5日に「地方自治法の一部を改正する法律」が公布され、従来の政務調査費の名称を「政務活動費」に、交付目的を「議員の調査研究その他の活動に資するため」に改め、政務活動費を充てることができる経費の範囲を条例で定めることとし、議長は、政務活動費については、その使途の透明性の確保に努めることとなり、あす、平成25年3月1日から改正地方自治法が施行される予定であります。  岐阜市議会としましては、昨年11月から改正に向けた協議を重ね、全議員を対象とした説明会及び政務活動費に関する研修会を経て、政務調査費の条例改正案を今期定例会に提出したものであります。  改正の内容は、名称及び交付目的の変更のほか、政務活動に充てられる経費として、要請・陳情活動のための旅費や交通費、各種会議への参加費などを含めることとし、透明性の確保の観点からは、政務活動費の収支報告書及び実績報告書、領収書その他の証拠書類を閲覧に供することを新たに規定したところであります。  今回の地方自治法の改正の趣旨を踏まえ、これら所要の改正を行い、岐阜市議会としましても、政務活動費としてさらなる議員活動の活性化を図るというものであります。  以上が市議第1号議案の趣旨弁明であります。議員各位にはよろしく御審議の上、御決定いただきますようお願い申し上げます。 29: ◯議長(高橋 正君) これより質疑を行います。  本件について質疑を許します。質疑はありませんか。    〔「なし」と呼ぶ者あり〕 30: ◯議長(高橋 正君) 質疑はなしと認めます。  これより討論を行います。  本件について討論を許します。討論はありませんか。    〔「なし」と呼ぶ者あり〕 31: ◯議長(高橋 正君) 討論はなしと認めます。  これより採決を行います。  市議第1号議案を採決します。  お諮りします。本件については、これを原案のとおり決するに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 32: ◯議長(高橋 正君) 御異議なしと認めます。よって、本件については、原案のとおり決しました。             ━━━━━━━━━━━━━━━━━  第58 請願第1号から第60 請願第3号まで 33: ◯議長(高橋 正君) 日程第58、請願第1号から日程第60、請願第3号まで、以上3件を一括して議題とします。            ───────────────────             請   願   文   書   表                      平成25年第1回(3月)岐阜市議会定例会 ┌───────┬────────────────────────────────┐ │請 願 番 号│請願第1号                           │ ├───────┼────────────────────────────────┤ │件     名│住宅リフォーム助成制度の創設を求める請願            │ ├───────┼────────────────────────────────┤ │受理年月日  │平成25年2月28日                      │ ├───────┼────────────────────────────────┤ │請願代表者  │岐阜市則武西2丁目1―17                   │ │住所・氏名  │岐阜北民主商工会 会長 伊藤次雄 外1件            │ ├───────┼────────────────────────────────┤ │紹 介 議 員│井深正美、堀田信夫、中川裕子                  │ ├───────┼────────────────────────────────┤ │付託委員会  │建設委員会                           │ ├───────┴────────────────────────────────┤ │(請願要旨)                                  │ │ 2012年12月の第46回衆議院議員総選挙後に自公連立政権が復活し、第2次安 │ │倍内閣が発足した。現在、安倍首相が打ち出した、「アベノミクス」による円安誘導政 │ │策や大型公共事業のばらまきによる「成長戦略」により、輸出を柱とした大企業を中心 │ │に今期の決算見通しを上方修正するなど、一時的に一定の効果は見られるが、市内の中 │ │小企業者には、景気への明るい見通しは立っていない。               │ │ こうした中、全国商工新聞によると、昨年7月1日現在で全国533の地方自治体に │ │おいて住宅リフォーム助成制度を創設しており、県庁所在地では15市、岐阜県内でも │ │羽島市、瑞穂市、本巣市など10市町で実施されている。              │ │ また、住宅リフォーム助成制度は、裾野が広い地域の建築関連業者を勇気づけるとと │ │もに、家電製品や室内外の装飾品購入を促進している。               │ │ 地域経済の発展は、行政、地域住民及び地元商工農林業者が協力して考えていかなけ │ │ればならない問題であり、地域でお金が循環する経済システムづくりの第一歩として、 │ │岐阜市でも住宅リフォーム助成制度の創設が必要と考える。             │ │ よって、下記事項について請願する。                      │ │                   記                    │ │1 市内の施工業者に工事依頼をすることを条件に、市内の集合住宅を含む住宅をリフ │
    │ ォームした場合のリフォーム助成制度を創設すること。              │ └────────────────────────────────────────┘ ┌───────┬────────────────────────────────┐ │請 願 番 号│請願第2号                           │ ├───────┼────────────────────────────────┤ │件     名│市内零細事業者の金融環境整備を求める請願            │ ├───────┼────────────────────────────────┤ │受理年月日  │平成25年2月28日                      │ ├───────┼────────────────────────────────┤ │請願代表者  │岐阜市則武西2丁目1―17                   │ │住所・氏名  │岐阜北民主商工会 会長 伊藤次雄 外1件            │ ├───────┼────────────────────────────────┤ │紹 介 議 員│井深正美、堀田信夫、中川裕子                  │ ├───────┼────────────────────────────────┤ │付託委員会  │産業委員会                           │ ├───────┴────────────────────────────────┤ │(請願要旨)                                  │ │ 2012年12月の第46回衆議院議員総選挙後に自公連立政権が復活し、第2次安 │ │倍内閣が発足した。現在、安倍首相が打ち出した、「アベノミクス」による円安誘導政 │ │策や大型公共事業のばらまきによる「成長戦略」により、輸出を柱とした大企業を中心 │ │に今期の決算見通しを上方修正するなど、一時的に一定の効果は見られるが、市内の中 │ │小企業者には、景気への明るい見通しは立っていない。               │ │ また、銀行から「これからはもっと元金の返済をふやしてほしい。」、「これまでの │ │ような書きかえ(条件変更)はできないと言われ困っている。」といった相談がことし │ │に入り民主商工会に寄せられるなど、本年3月末で期限切れを迎える中小企業者等に対 │ │する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律(以下「中小企業金融円滑化法」 │ │という。)の影響が出ている。                          │ │ 地域経済の発展は、行政、地域住民及び地元商工農林業者が協力して考えていかなけ │ │ればならない問題であり、中小企業金融円滑化法の精神が引き続き踏襲され、中小企業 │ │者が安心して経営を続けていける条件整備が必要である。              │ │ よって、下記事項について請願する。                      │ │                   記                    │ │1 中小企業金融円滑化法の3月末の期限到来後も、その立法趣旨にのっとって対応す │ │ るよう岐阜市信用保証協会や市内の金融機関を指導すること。           │ └────────────────────────────────────────┘ ┌───────┬────────────────────────────────┐ │請 願 番 号│請願第3号                           │ ├───────┼────────────────────────────────┤ │件     名│「生活保護基準の引き下げはしないこと」の意見書を国に提出するこ │ │       │とを求める請願                         │ ├───────┼────────────────────────────────┤ │受理年月日  │平成25年2月28日                      │ ├───────┼────────────────────────────────┤ │請願代表者  │岐阜市徹明通7―13 岐阜県教育会館306号          │ │住所・氏名  │岐阜生活と健康を守る会 会長 伊藤芳明 外14件        │ ├───────┼────────────────────────────────┤ │紹 介 議 員│井深正美、堀田信夫、中川裕子、田中成佳             │ ├───────┼────────────────────────────────┤ │付託委員会  │厚生委員会                           │ ├───────┴────────────────────────────────┤ │(請願要旨)                                  │ │ 国は、70歳以上の生活保護受給者に対し原則支給していた生活保護の老齢加算の廃 │ │止により、生活保護費の支給額を約2割減らした。その結果、食事の回数を減らした人 │ │や、知人の葬式にも参列することができない人など、人間らしい暮らしをすることが困 │ │難な状況になっている。                             │ │ しかし、現在、政府は生活保護基準の引き下げを含めた平成25年度予算案を確定す │ │る作業を進めており、また、厚生労働省は社会保障審議会生活保護基準部会を開催し、 │ │早急に生活保護基準の引き下げなどの案をまとめようとしている。          │ │ 生活保護基準の引き下げは、日本国憲法第25条で保障している健康で文化的な最低 │ │限度の生活を脅かすとともに、最低賃金、年金及び就学援助などの各種制度の切り下げ │ │につながるおそれがある。                            │ │ こうした国民の最低限度の生活を保障する生活保護制度は、今後も国が責任を持って │ │保障すべきである。                               │ │ よって、下記事項について、国に対し意見書を提出されるよう請願する。      │ │                   記                    │ │1 生活保護基準の引き下げはしないこと。                    │ │2 生活保護の老齢加算を復活すること。                     │ │3 生活保護費の国庫負担は、現行75%から全額負担にすること。         │ └────────────────────────────────────────┘ 34: ◯議長(高橋 正君) 請願の紹介議員において発言の申し出がありますので、これを許します。21番、井深正美君。    〔井深正美君登壇〕(拍手) 35: ◯21番(井深正美君) それでは、紹介議員を代表しまして、ただいま上程されました請願第1号住宅リフォーム助成制度の創設を求める請願、第2号市内零細業者の金融環境整備を求める請願、第3号「生活保護基準の引き下げはしないこと」の意見書を国に提出することを求める請願の3つの請願について、紹介をさせていただきます。  まず、住宅リフォーム助成制度の創設を求める請願についてです。  この請願は、岐阜北民主商工会及び岐阜南民主商工会から提出されたものです。  昨年末に自公連立政権のもとで安倍内閣が誕生しました。アベノミクスと言われる経済政策は、円安誘導と大型公共事業のばらまき、そして、大企業応援を成長戦略のかなめとしています。しかし、この政策は、過去の自民党政治のもとで破綻が証明されたものであり、早晩、危機と矛盾を激化させることになるでしょう。  また、大企業応援の経済政策では、日本の経済を支える中小企業と、とりわけ零細事業者の営業を応援することにはつながりません。  地域経済の景気状況は深刻です。デフレ不況の中で多くの零細事業者は懸命な努力をしながら経営を行っています。そうした中で地域経済の大きな役割を担っている中小建設業者の仕事確保の切り札として、住宅リフォーム助成制度が全国各地で創設されています。  全国商工団体連合会発行の全国商工新聞によると、2012年7月1日現在、全国の自治体の約3分の1に当たる533自治体で実施をされ、そのうち全国の県庁所在地では15市、県内では羽島市や瑞穂市など10自治体で実施され、各務原市においても来年度の予算として、工事費の10分の1、上限10万円、合計300軒分の3,000万円が計上されています。  住宅リフォーム助成制度の経済の波及効果は助成額の10倍から20倍だと言われており、地域経済に与えるインパクトも大きいことから、ぜひとも創設を望むものです。  次に、市内零細業者の金融環境整備を求める請願についてです。  この請願についても先ほどと同様2つの民主商工会から提出されました。  この3月末に中小企業金融円滑化法が期限切れを迎えることになりました。この法律は、2008年、リーマン・ショックによる不況の影響で、倒産の危機に直面した中小企業、日本経済を支えてきた中小企業を守るために、2009年末に時限立法として施行され、その後、2013年3月末まで延長されました。  金融庁の調べによると、全国の利用状況は、2012年9月末までに件数で340万件余り、総額は95兆円余りに達しています。また、本市における中小企業金融円滑化法の利用状況は、2012年9月末で549件、60億円余りとなっています。  中小企業金融円滑化法で多くの中小企業は、金融機関から返済猶予や金利の引き下げが認められ、資金繰りが楽になりました。しかし、3月末で同法が終了すると、法律としての拘束力を失うため、金融機関は中小企業からの条件変更などに応じる努力義務がなくなります。  中小企業は自力での資金繰りを改善しなければならなくなり、最悪の場合、倒産や廃業に追い込まれることになります。既に市内の零細業者が金融機関から、返済金をふやしてほしい、条件変更はできないなどの要求がされるなど、相談が寄せられています。  地域経済の発展は、中小企業、零細業者の発展があってこそ成り立つものです。中小企業金融円滑化法終了後においても、その精神を引き継ぎ、零細業者が安心して営業できるよう市内金融機関や岐阜市信用保証協会を指導していただくよう要望するものであります。  最後に、「生活保護基準の引き下げはしないこと」の意見書を国に提出することを求める請願についてです。  この請願は、岐阜生活と健康を守る会を初め14団体から提出されています。  生活保護は、憲法第25条、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」に基づいて、最低限度の生活の保障と自立の助長を国の責任で実施されています。ところが、政府は社会保障と税の一体改革を進める中で、生活保護の基準の引き下げや締めつけ強化を行うとしています。  基準の引き下げについては、物価が下落をしているためだとしています。しかし、物価を下げている要因はパソコンやテレビなどであり、水道光熱費などの生活必需品は下がっていません。  削減額は総額で740億円余り、内訳は、光熱費や食費など生活扶助費670億円を平成25年8月から3年間かけて段階的にカット、期末一時扶助も70億円削減するとしています。これによって生活保護世帯の96%が削減の対象となります。  厚生労働省の資料によれば、都市部に住む70歳以上の単身者で月額3,000円のカット、70代の夫婦の場合には月額5,000円が削減されることになります。既に2006年4月から老齢加算が廃止をされ、苦しくなった生活がもっとひどくなることは目に見えています。  さらに、生活保護基準によって定められている制度についても、基準の引き下げに伴って、最低賃金や住民税の非課税限度額など、数多くの制度で影響を受けることになります。例えば、就学援助制度ですが、本市の場合、平成24年度で準要保護認定者は4,313人となっています。仮に生活保護基準が8%引き下げられた場合、全体の4%、175人が認定されないことになります。  以上のことから、国民生活の最低基準・ナショナルミニマムの土台となる生活保護制度を国は責任を持って保障すべきであります。  以上、3つの請願について採択を主張するものです。ぜひともよろしくお願いします。(拍手) 36: ◯議長(高橋 正君) 以上で請願紹介を終わります。             ━━━━━━━━━━━━━━━━━  一 休  会 37: ◯議長(高橋 正君) お諮りします。3月1日及び3月4日から3月8日までの6日間は、議案精読のため休会したいと思います。これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
    38: ◯議長(高橋 正君) 御異議なしと認めます。よって、3月1日及び3月4日から3月8日までの6日間は休会することに決しました。             ━━━━━━━━━━━━━━━━━  散  会 39: ◯議長(高橋 正君) 以上で本日の日程は全部終了しました。本日はこれで散会します。   午前11時50分 散  会  岐阜市議会議長      高 橋   正  岐阜市議会議員      辻   孝 子  岐阜市議会議員      井 深 正 美 発言が指定されていません。 Copyright © Gifu City Assembly. All Rights Reserved. ↑ 本文の先頭へ...