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  1. 岐阜市議会 1992-01-22
    平成4年第1回臨時会(第4日目) 本文 開催日:1992-01-22


    取得元: 岐阜市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-06-06
    トップページ 検索結果一覧 使い方の説明 (新しいウィンドウで開きます) 平成4年第1回臨時会(第4日目) 本文 1992-01-22 文書発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言の単文・選択全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 27 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 : ◯議長大野栄吉君) 202頁 選択 2 : ◯議長大野栄吉君) 202頁 選択 3 : ◯議長大野栄吉君) 203頁 選択 4 : ◯議長大野栄吉君) 203頁 選択 5 : ◯四十六番(林 春雄君) 203頁 選択 6 : ◯議長大野栄吉君) 212頁 選択 7 : ◯議長大野栄吉君) 212頁 選択 8 : ◯一番(森 由春君) 212頁 選択 9 : ◯議長大野栄吉君) 214頁 選択 10 : ◯三十二番(中村武彦君) 214頁 選択 11 : ◯議長大野栄吉君) 216頁 選択 12 : ◯九番(乾 尚美君) 217頁 選択 13 : ◯議長大野栄吉君) 220頁 選択 14 : ◯二十一番(林 貞夫君) 220頁 選択 15 : ◯議長大野栄吉君) 222頁 選択 16 : ◯十二番(宇野静子君) 222頁 選択 17 : ◯議長大野栄吉君) 226頁 選択 18 : ◯二番(西川 弘君) 226頁 選択 19 : ◯議長大野栄吉君) 228頁 選択 20 : ◯三番(田中成佳君) 228頁 選択 21 : ◯議長大野栄吉君) 229頁 選択 22 : ◯三十九番(松尾孝和君) 229頁 選択 23 : ◯議長大野栄吉君) 233頁 選択 24 : ◯二十七番(服部勝弘君) 233頁 選択 25 : ◯議長大野栄吉君) 234頁 選択 26 : ◯議長大野栄吉君) 235頁 選択 27 : ◯議長大野栄吉君) 235頁 ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓ 最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1: 開  議  午前十時三分 開  議 ◯議長大野栄吉君) これより本日の会議を開きます。  本日の日程は、お手元に配付申し上げたとおりであります。            ━━━━━━━━━━━━━━━━ 第一 会議録署名議員の指名 2: ◯議長大野栄吉君) 日程第一、会議録署名議員の指名を行います。  本日の会議録署名議員は、会議規則第八十条の規定により、議長において一番森 由春君、二番西川 弘君の両君を指名いたします。            ━━━━━━━━━━━━━━━━ 第二 第一号議案 3: ◯議長大野栄吉君) 日程第二、第一号議案を議題といたします。            ─────────────────              〔議 案 掲 載 省 略〕            ─────────────────      河口ぜき建設一時中止賛否の市民投票条例制定請求議案審査特別委員会審査報告書  本委員会に付託の事件は、審査の結果左記のとおり決定したから、会議規則第百二条の規定により報告します。                 記     平成四年一月二十日    河口ぜき建設一時中止賛否の市民投票条例制定請求議案審査特別委員長   林       春   雄 印  岐阜市議会議長  大  野  栄  吉  様
               ────────────────────────── 4: ◯議長大野栄吉君) 河口ぜき建設一時中止賛否の市民投票条例制定請求議案審査特別委員会における審査結果の報告を求めます。特別委員長、四十六番、林 春雄君。    〔林 春雄君登壇〕 5: ◯四十六番(林 春雄君) ただいまから河口ぜき建設一時中止賛否の市民投票条例制定請求議案審査特別委員会の委員長報告を行います。  今期臨時会において、本特別委員会に付託されました第一号議案、すなわち長良川河口ぜき建設の一時中止の賛否を問う市民投票条例制定請求について、去る一月十八日及び二十日の二日間にわたり、参考人として直接請求代表者を招致し、さらに市長の出席を求めながら慎重なる審査をいたしましたので、以下、その大要を御報告申し上げます。  既に御承知のとおり、本件は、長良川河口ぜき建設の一時中止に対する賛否について市民の意思を確認するため、市民投票を行い、その結果を尊重するとともに、建設省、水資源開発公団及び関係自治体に通知しなければならないとするものであり、市民二万二千二百六十八名の直接請求により制定を求められたものであります。  これに対する長の意見は、「岐阜市四十一万余人の生命財産を守るべき立場から、永年にわたる本市議会の論議も踏まえ、本市における洪水時の恐怖と早急な治水対策の必要性を訴えるとともに、一刻も早い治水安全度の向上を図るための大規模浚渫と、それに伴う塩害を防止する河口ぜきの建設は最優先すべきであるとの見地から、市民投票の実施は不必要と判断し、本件には賛成できない。」との意見が明確に述べられ、その審議を議会に付議されたのであります。  極めて重要な事項でありますので、最初に、参考人の意見陳述についてその要旨を述べますと、河口ぜきに対しては反対とも賛成とも言えるだけの情報が伝えられないままに工事は進行しており、今回の直接請求は、市長を初めとして、多数決という議会決議により建設が促進され、それが、あたかも市民の意向であるかのごとく宣伝されていることに対する不安、不満があることへの理解を求められながらも、「一時中止の賛否を求める」という声は「反対論」ではなく「慎重論」であり、この市民投票で、せき建設是非の結論を出そうというものではなく、双方の立場からそれぞれ資料が出され、論点が整理されて、より正しい方向が導き出されることを期待するものであること、さらに、「請求を認める必要なし」ということは、「建設賛成論」ではなく、「問答無用論」であり、住民不在以外の何物でもなく、また的確な情報が十分得られない中での「推進、早期完成、一時中止の必要なし」の理論は、何ら地方自治体の主体性が感じられず、心配するものである。「早期完成、促進」を口にする人たちが、特定の党派、団体、組織に偏っていることに市民の不信感があり、岐阜市の立場、主張を明らかにするためにも、また建設促進を支持する人が自分の立場を明らかにするためにも、直接民主主義という形の「市民投票」の方法を用いてもいいのではないか。「心配なんだ、だから、もっと慎重に、余裕を持ってふるさとと貴重な長良川のことを考えよう」との、素朴な市民が集めたこの二万二千余名の意思を、市民の代表である議会が無視することは絶対にないものと確信するとの意見。  また、他の参考人からは、ダムのない長良川に河口ぜきをつくる必要性、提供された情報は難解な表現が多く、本当に必要であるならもっと理解できるよう明快な表現が必要なこと。そして、理解されていないということは、発表される内容に無理があるのではないか。伊勢湾台風のとき、伊勢大橋があったために被害が大きくなったと言われているが、せきの大きな柱が立てば、もっとひどい被害が起きるのではないかとの憂慮。さらに、災害とか、水害があるというのならば、川に逆らうのはやめて川にもっと大切なことをすべきであり、一部の人の意見で判断してしまって、川を守ろうという我々が署名を集めた二万二千余名の意思を無視していいのか、もう一度考えて市民の声を聞いてほしい等々、意見陳述がそれぞれなされたのであります。  続いて、参考人に対する質疑としては、流域市町村に対する行動等、今後の活動方針、署名を集める段階で拒否した人の割合、さらに、現在に至るまでの審査の過程において、決定的なところでの資料不足による行き詰まりの中で、民主主義的ルールの中で残された手段として、今回の直接請求を考えられたのか、さらには、請求案中の「十分な審議もなされないまま」の意味について等の質疑がなされたのであります。  以上、参考人の意見陳述も踏まえて、広範な観点から質疑がなされましたので、順次項目別に述べさせていただきます。  まず、しゅんせつについてであります。  平成二年度現在までのしゅんせつ土量一千六十五万立方メートルについて、建設省の言う搬出方法には無理があるとして、その搬出先及び方法、さらには市民の納得できる明確な確認方法についてただされ、建設省に対して作業日報及び契約書等の公開を強く求めて確認すべきである、との要望がなされたのであります。また、今後の搬出については、計算によれば一分間にダンプ三・二台を必要としており、既に振動による被害も出ているが、堤防はそれに耐えられるかと問われたのに対し、堤防は構造令に基づき設計されているから大丈夫と思われる、との答弁がなされたのであります。なお、しゅんせつされた土砂はブランケット、公共事業、骨材に利用されているが、骨材としては細か過ぎ、しかも塩分を含んでおり、建築材料として利用することは危険であるが、その使用先を明確にしてほしいとの意見も述べられたのであります。また、ブランケットへの利用については河川敷内での利用であり、このことによる河積拡大はあり得ないとの指摘もなされたところであります。  次に、しゅんせつによる効果についてでありますが、忠節橋地点での昭和五十一年の流下実績六千四百トンに対し、現在までのしゅんせつによっても同じく流下能力が六千四百トンであるのはなぜか、また、平成十二年までに二千四百万立米しゅんせつしても忠節橋地点での流下能力は依然六千四百トンであるが、いつ計画高水量である七千五百トンの流下能力を持つのか、との質疑に対し、二千四百万立方メートルしゅんせつすることにより断面を確保し、下流で七千五百トンの流量が確保された後、初めて上流の改修が可能になること、また、最終的には上流から下流まで一貫して七千五百トンの流下能力が必要であり、そのように計画されているが、中途段階では顕著な効果はあらわれず、また、河口から十七・五キロ地点のマウンドを撤去しないと大きな効果がないとも回答されたのであります。さらには、昭和五十一年の六千四百トン流下実績に対し、平成二年に建設省が発表した六千四百トンの流下能力という数字は、安全に流れるという意味であり、しゅんせつによる効果は確実にある。また、昨年の増水時を見ても、現実に以前と比べると水位の低下も早くなっている、との意見も述べられたのであります。また同じく、しゅんせつの効果に対して、その完了後においても、洪水時水位が、堤防上端より二メートル下という建設省の技術水準に全く満たない部分がある、との指摘に対し、堤防補強により対応していくと答弁されたものの、十分な資料がないまま、しゅんせつの効果を強調する当局の説明に疑問が出されたところでもあります。  次に、しゅんせつの必要性についてでありますが、昭和五十一年九月に決壊した伊自良川の濁流が、屋根まで達したあの悲惨な光景が今もって脳裏に焼きついており、また、その後においても、一昨年の台風十九号による本川が計画高水流量をはるかに下回る四千トン程度であったにもかかわらず、伊自良川流域を中心に床上・床下含め、数百戸を超える被害が発生し、農作物においてもイチゴ等に甚大な被害を及ぼした。こうした実情を考えるとき、市内における河川がいかに危険な状況であるかを明確にしないと、しゅんせつの大切さがわからないとされ、支派川の改修のおくれ及び鳥羽川においてのしゅんせつによる安全性の向上が指摘され、関連して市内の長良川における昭和五十一年以降の改修状況についてもただされたのであります。さらに、岐阜市における安全性を確保するための一番の根本解決は、本川改修、すなわち、しゅんせつであり、それによって下流部が塩害で困るならば、せきもやむを得ないのではないかという論議につながるとの意見、一方、河積の拡大は単にしゅんせつを行えばよいというものではなく、堤体とのバランスのとれた横断面が必要であるとの意見も述べられたのであります。これに対し、下流部一帯の堤防の拡幅・強化等の実績を評価し、今後のしゅんせつについても十分な体制がとられているとの意見も表明されたところであります。  次に、せき本体をめぐる問題のうち、まず、せき柱の流水阻害についてでありますが、流れがせき上げされることによる堤防に対する負荷については、金華橋の例を示しながら、橋脚が一本減らされたのは建設省の指導に基づくものであり、その矛盾についても論及されたのであります。  次に、せきによる土砂の堆積については、二百トン以上流れるときはゲートをあけ、土砂を流すので大丈夫とされているが、年間の開放可能日数及び既に下流域にはかなりのヘドロの堆積があること、さらに、開放しても同時に上流から流下する土砂等を考え合わせると非常に心配であり、土砂が堆積しにくいとされた横山ダムでさえ、当初計画を大幅に超える土砂堆積により、その対応に苦慮している事実があるとの指摘がなされたのであります。  次に、せきの構造について、建設地点は大地震が起きやすい地域であり、その耐震性構造に関する問題及びゲートの長さが限定されている点を考えると、技術的に完成されたものとは言いがたいのではないかとただされたのであります。  次に、高潮が発生した場合、せき本体が障壁となり下流部の堤防が破壊されることの危惧、伊勢湾台風のとき伊勢大橋に高潮がぶつかり、下流の堤防が破壊された要因と言われており、そのため伊勢大橋はかさ上げの計画があると聞くが、それより下流の河口ぜきが低いことによる危険性についての指摘がなされたのであります。  次に、生態系に及ぼす影響についてであります。  既存のせきにおいては、いずれもヘドロの堆積、藻の発生により、魚介類に壊滅的な被害をもたらし、生態系の異変や、激甚な環境変化を引き起こしており、特にアユに関しては、湛水域における降下への影響、さらにせき落下時の衝撃あるいは降海後の遡上不能の問題等、致命的な影響について危惧するが、それでもなお遡上できるとする根拠及び生物の宝庫と言われるアシ原への影響について問われたのであります。さらには、鵜飼に対する影響についてもただされたのであります。また、せき上流の湛水域における淡水赤潮の発生についても指摘されたのであります。これに対し、魚道の効果、アシ原の復元計画について答弁されたものの、いずれも納得できる回答ではないとされたのであります。  次に、水質問題であります。とりわけヘドロ問題に言及され、ヘドロは堆積するのは否めない事実であるとされたのであります。すなわち、複数の委員からは、岐阜県の長良川十二カ所での底質調査によってヘドロの三メートルの堆積事実の指摘がなされ、また、せきを持つ利根川等での堆積、さらには、その堆積に起因した桑原取水口の移設事実の指摘がなされたところであります。加えて、紀ノ川におけるヘドロ除去の実例あるいは利根川における同様の実例等々述べられ、この堆積事実は議論の余地はないとされたところであります。このほか、湛水域が生じ、とりわけ渇水期の流速の低下に起因する水質汚濁への強い懸念表明がなされたところでもあります。  次に、環境アスメントについてであります。  自然への影響を強く懸念する立場の委員からは、国が各自治体に対し環境アスメントの実施を求めている事実がある反面、河口ぜき建設当事者みずからは、実施をしないことに対する矛盾点の追及がなされ、また、KST調査については、裁判において疑義があるとされ、工事と同時進行での追加調査では到底容認できず、一時中止による実施の必要性を重ねて述べられたところであります。他方、その実施要綱ができる以前に、既に当時としては最高の調査と言われるKSTから平成三年の追加調査に至るまで、魚道アドバイザー委員会、河川環境検討委員会等専門家の意見も聞き、詳細な検討が幾度も実施されており、また、県と公団の協定書により、せき完成後に試験湛水を実施した上で確認すること、長良川調査団も結成され実態に合った調査が継続して行われることとなり、環境保全に可能な限り配意されるとの観点から、一時中止はできないとの意見表明がなされたところであります。  塩害に関する議論としては、塩害の発生の有無に疑問が投げかけられ、高須輪中における塩害による被害の実態、あるいは海津町における塩素イオン濃度についてただされたのであります。また、せきにより長島町及び高須輪中の塩害は防止できるとの説明に対し、長島町及び高須輪中はそれぞれ木曽川及び揖斐川に面していることから、せきによって塩害を解消するという論理は成り立たず、さらに長島町はせきの下流にあるため、ますます塩害が促進されるのではないかとの見解が述べられたのであります。そして、万一塩害があれば、除塩用水の利用や土地改良などにより、せき以外にも塩害防止策が可能ではないかとの意見が述べられ、その他塩水の遡上等に関しても種々議論されたところであります。  以上のような各般にわたる議論を経た後、総括的な質疑を行うべく、市長の出席を求めたところであります。委員各位にあってはおのおの活発な質疑がなされ、これに対し市長からは、利水面では、中部圏において、現在は、供給が需要を上回っているが、異常渇水が毎年ついて回っており、さらに開発に何年もかかる事業であるがゆえに、常に十分用意する必要がある。また、治水については、長良川は天井川であり、川幅も狭く、九十年に一度の洪水にも耐えられない、全国の河川の中で最も危険度の高い河川であり、一時中止の余裕はなく、加えて災害から市民の生命、財産を守ることが長に課せられた最大の責務であることを繰り返し力説されたところであります。  その後討論へと移行したところ、全委員から討論がなされたところであります。  まず初めに、本件を是とする立場の一委員より、市民投票という直接民主制が衆愚政治化への危険性をはらんでいるとの懸念を表明しつつ、市民参加は当然の原理であり、せき建設に関して市民の十分な理解を得るためには、的確な資料を提供し、公聴会等も開いて市民投票をすることが必要であり、多数決原理で解決するのは、十分議論が尽くされ、譲歩妥協の可能性があって初めて意味があること、ましてや請求者の願意はせき自体の賛否を問うものでなく、市民に一時中止の賛否を問うということであるとの意見が述べられたところであります。また、三十数年にわたる論議にもかかわらず、疑問点は解消するどころか逆に増大するばかりであること、また、建設省が十分な資料を提供できないという弱点を露呈し、あるいは市当局においても不十分な資料に基づく答弁に終始する等、反対ないし一時中止論の正当性を確認できたところであり、世論が大きくせき建設反対ないし一時中止、環境アセスメントの実施に動いている中、これを求める本条例には賛成すべきであるとの討論がなされたのであります。加えて、しゅんせつは利水が目的であることは明らかであり、長良川の治水は矮小化された河道主義ではなく、自然との調和に力点を置いた総合治水でなければならないと強調された上、塩害、環境及び生態系への影響について、建設省、水資源開発公団においてはこれを容認している中、住民にとって最後の方法として出された直接請求の趣旨は、せき建設の是非を問うものではなく、一時中止して考えるべきとの最低限の要求であり、当然その趣旨に賛同すべきとの討論がなされたところでもあります。さらに、利水を出発点とした河口ぜきは、水需要が減少した今日において、その必要性のないことも既に明白であり、開発という名のもとに巨大な資金が動いている実態を指摘する中、河口ぜきの失敗は長い年月をかけて証明され、必ずや後世に禍根を残すことになると述べられたところであります。また、住民の合意形成を最も重んじなければならないはずの行政が、十分な説明も行わないまま、一方的に国の意向に従い、独自の判断を放棄しながら、せき建設を推進していくことは不当であること、あるいは市民投票を実施する暇がないとの主張に対しては、せきの建設は治水にとって何ら関係がなく、治水事業を進めながら住民の意思を問うことは可能であり、さらに、しゅんせつの終了時点においても、本市にあっては計画高水流量七千五百トンは望めないことも考え合わせれば、本条例を可決し、民意を問うことが妥当であるとの主張がなされたところであります。  他方、本市における治水対策の緊急性を強調する立場からは、まず、長良川が天井川である現状にかんがみ、河川改修こそ本市にとっての喫緊の急務であること、そのためには早急に本川のしゅんせつを行い、水位の低下を図らなければならないことが力説されたところであり、それによって塩害が起こるとなれば、せきをつくらざるを得ず、環境対策及び魚族の保護についても最大限努力しつつ、今後も監視を続けていく必要があること、またこれにあわせて、国の調査においても治水の危険性に対する国民の意識の薄さが報告されている中、市民に対し治水対策の必要性を十分PRしながら、せき建設促進を訴えていきたいとの意見が述べられ、加えて、市南部においては五・五年に一回という洪水確率さえ望めない現況であり、また、北部での洪水災害時の恐怖は言語に絶する体験であったこと、アメリカの海洋大気局が環太平洋での大水害、大干ばつを警告していること、顧みれば本市の歴史は洪水との闘いの歴史であったことを物語る数々のぬぐい切れない事実を切々と訴え、市民の悲願ともいうべき治水安全度の向上を達成するためには、一刻の猶予も許されないことから、本件には到底賛意を表することはできないとの討論がなされたところであります。また、治水は、流域全体の中で総合的判断が必要との立場からは、本市においても本議会あるいは水資源対策特別委員会等で広範な情報を収集し、熱心な論議を経て、その都度問題点に対して結論を出してきたこと、下流域住民の早期完成を願う切実なる意思表明や、市内の各種団体から陳情もあり、これらに配意したとき、しゅんせつあるいは塩害防止のためのせき建設は必要不可欠であること、また環境保全問題についても、建設省、環境庁及び県において調査を続行しているほか、水資源開発公団と県との協定により、せき完成時においても試験湛水によりその影響が確認されることになっていること、さらに治水対策により、みずからの生命、財産を守ることは憲法に保障された基本的人権であり、それらを擁護する立場にあるいずれの自治体においても、せきの早期完成を熱望しており、万が一にもその意思が無視される事態になれば、基本的人権、地方自治を否定する極めてゆゆしき問題であるとの理由から、世論調査等十分承知した上においても、なお、本件には賛意を表しかねるとの討論がなされたところであります。  かかる討論を踏まえ、本件を採決に付したところ、賛成者少数により否決すべきものと決した次第であります。  以上御報告申し上げ、本特別委員長の報告といたします。 6: ◯議長大野栄吉君) この際、暫時休憩いたします。  午前十時五十三分 休  憩            ━━━━━━━━━━━━━━━━  午前十一時十二分 開  議 7: ◯議長大野栄吉君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  特別委員長報告に対する質疑の通告はありません。  これより討論を行います。  討論の通告がありますので、順次これを許します。一番、森 由春君。    〔森 由春君登壇〕(拍手) 8: ◯一番(森 由春君) お許しをちょうだいいたしましたので、ただいまから簡潔に日本社会党岐阜市議団を代表して、一号議案長良川河口ぜき建設の一時中止の賛否を問う市民投票に関する条例制定請求について、賛成の立場で討論いたします。  三十余年前から今日まで岐阜市議会は、先輩の議員が河口ぜき建設に絡んで治水、利水、環境問題等、幅広い観点から疑問点の解明や不安の解消を願って論議されてきました。しかし、残念ながら今なお解明されていないわけであります。現に、今臨時議会特別委員会質疑においても、岐阜市はみずからの調査研究も不十分で、建設省や水資源公団の資料やその言い分をそのまま、従来のままの答弁で、疑問点、問題点は何ら解明されず、不安は増大するばかりであります。生命、財産や安全を守るため治水事業としての河口ぜき建設をと言われるが、治水の面でも、塩害の面でも納得できる資料、確証も何ら今日に至っては得られていません。自然を守ろうとする運動は、地球のみならず日本全土、いや全国で広がっている今日、岐阜市民は名水百選に選ばれた日本の大河川の一つ、自然の川、清流長良川を、また長い伝統を誇る鵜飼を守るためにも、河口ぜきにより水質の汚濁、天然アユ、サツキマス、魚介類の生態系について、含めて環境への影響、治水面での不安はいっぱいであります。昨年、NHKの住民意識調査を行われた結果は、御承知のとおりであります。我が党が実施いたしましたアンケート調査でも明らかなように、工事の一時中止を求める市民が八割以上を占めています。  自然と共存し、活力に満ちた個性ある都市岐阜、市民参加と連帯をつくる市民主体の都市、すなわち市民の積極的な参加による町づくりを目指すためにも、河口ぜき建設を望んでいるか、それとも工事の一時中止を願っているのか、市民が参加をし、意思表明ができる賛否を問う条例制定をしてほしいとする直接請求であります。しかも、請求要件の四倍近い二万二千余名の市民の署名は、住民自治が今後成熟していく上でも重みのあるものと考えるわけであります。したがって、直接請求による条例制定を求める第一号議案については、採択すべきものとの立場から賛成討論といたします。  以上です。(拍手) 9: ◯議長大野栄吉君) 三十二番、中村武彦君。    〔中村武彦君登壇〕(拍手) 10: ◯三十二番(中村武彦君) 私は、市政自由民主党岐阜市議会議員団を代表して、第一号議案に対し反対の討論を行います。  この議案は、長良川河口ぜき建設の一時中止の賛否を市民の投票によって確認してほしいということを骨子とする条例の制定請求案であります。また、これに対し、本市における水害の実情などから、四十一万市民の生命、財産を守るべき立場で、一刻も早い治水安全性の確保が必要なこと等、対策として大規模しゅんせつとこれに伴う塩害防止のせきが最優先されるべき、長年にわたる本市議会の論議を踏まえての考えれば、市民投票は不必要で、条例制定に不賛成である旨の市長の意見書が付せられていることも御承知のとおりであります。これらについて、本議会や委員会の審議で繰り返し、またさかのぼって議論されたせき建設の賛否については、さきに特別委員長の報告で詳しく述べられたとおりであります。私は、これを総合的にとらえ、我が議員団の考えを討論として述べたいと存じます。  御存じのとおり、長良川河口ぜきの建設の是非の議論は早くからのものであります。とりわけここ数年は現実に工事に着工されたこともあって、岐阜市、岐阜県の内外からも非常に多くの人々の関心を集めております。もとより川はすべての人々にとってその生活にかかわる深いものでありますが、我々岐阜市民にとっての長良川はだれよりも大切な川であります。そうして、もう一つ忘れてはならないことは、長い過去の歴史の中で起こった洪水時の恐怖と被害の悲惨さであります。  これらの観点から、このたびの議会に改めて議論されたせき建設の是非の議論を振り返ってみますると、治水のほかにも、魚類の影響、環境への配慮、総合的な利水等々多くの問題があります。しかし、いずれの問題も帰するところは、岐阜市治水という歴史的な大きな問題へ帰着せざるを得ません。自然の川と言いながら長良川は人と自然の間で改良し、折り合いをつけてきた川であり、今ここに新たな構造物ができれば、それによる影響は全くないとは言えないことは事実でありましょう。さそればこそ、人間の英知を持って自然との共生を図ることが必要であります。  せきの影響として、天然資源としてのアユについて心配する意見があります。しかし、人工ふ化・放流、より確実性の高い魚道の研究は期待が寄せられると同時に、我々はその開発の成果に確信を持っております。また、    〔私語する者あり〕(笑声)  せきに対する環境アセスメントの問題があります。しかし、その実施要領作成以前に当時としては最高の調査とされるKST報告以来、魚道アドバイザー委員会、河川環境検討委員会等、専門家による詳細な検討が行われ、さらに今後は県と公団との協定により、せき建設後の試験湛水実施によって確認がされる等々、環境保全について可能な限り配慮がなされると確認したので、これまた我々は心配するところと考えるのであります。    〔私語する者多し〕  さらに、都市用水の確保という面からは、供給が需要を上回っている現状は認識しながらも、現在既に起こっている異常渇水、必要になったとき直ちに開発が不可能な事業とした観点から、今からの備えは欠かせないと考えるのであります。    〔私語する者あり〕  このほか、生態系全体に対する影響についても、これまた付随する問題点ではありますが、今後課題として十分対応ができ、また当然対応しなければならないと考えております。ただ一点、従来の事業の進行が十分な市民の理解を得るために納得力が、説得力がなかったという(笑声)点については、伝えられる各種アンケートの内容から見ても認められるところで、今後においてはさらに丁寧に、また、かわりやすくPRに努められることを期待するのであります。    〔「わかりやすく」と呼ぶ者あり〕 いずれにしても、第一号議案の趣旨であるところの、せきの建設について賛否両論があるので、それを住民投票によって決せよという主張に対して、やや言葉は強いけれども、次のように申し上げます。  自然環境保全や漁業、とりわけアユ、マスの資源確保といった問題と、洪水と豪雨のたびに繰り返される市民の被害の悲惨さ、人命にも及ぶ悲しみといった観点とでは、比較はむしろ無理であって、市長の言われるとおり、すなわち今年度、来年度にも来るかもしれない水害に対し、市政をあずかる責任者として、家屋の浸水、田畑の冠水等々の被害をなくするため、一日も早く岐阜市内の内水を排除するのが第一義であり、そのために必要なせきの建設には賛成だという、その決断を市長がされ、なお心配な点や、新しい問題点が発生すれば、これは県や事業者との折衝もし、なお、せきができても十分な確認がされるまで岐阜市としての意見を言うことができる、また、その意思が固いという市長の決断と責任感を我々は当然のものとして、妥当なものとして強く支持するものであります。  さきに述べたように、我々も既に二十数年そのための議論を繰り返し、十分研究、議論を尽くしてきましたので、少なくとも市長の主張を理解し、これを認める自信があり、また、その資格もあると確信するものであります。  以上の論点から我々自由民主党岐阜市議会議員団は、住民による一時中止の賛否の投票を求める直接請求は、自治法に許されている手続ではあるけれども、既に今では市長の責任ある決断を了とし、それを支持していくべき時期であると考え、この議案には賛意を表するわけにはまいりません。したがって、第一号議案には反対の態度を表明するものであります。  以上、反対討論といたします。(拍手) 11: ◯議長大野栄吉君) 九番、乾 尚美君。    〔乾 尚美君登壇〕 12: ◯九番(乾 尚美君) 河口ぜき建設一時中止賛否の市民投票条例制定請求議案審査特別委員会の委員長報告では、原案採択でありましたが、私は、市議会公明党を代表して、原案に賛成、すなわち長良川河口ぜきの一時中止について、市民の意思を問うべきとする立場から、討論を行います。  長良川河口ぜきは御存じのとおり、昭和三十五年、利水を目的とする長良川河口ダム構想としてスタートし、伊勢湾台風の二年後に治水目的が加わったものであり、構想以来実に三十年近くもたって当初計画のまま着工になったという特異な経緯を有する国の巨大開発事業です。目的と手法との不整合、漁業への影響、長年にわたる社会・経済環境の変化の無視などから、当初より反対運動があり、せき建設着工後は環境問題を背景とする広範な反対運動が展開されているのであります。岐阜市議会においても長年にわたり、せき建設のさまざまな疑問点について質疑が繰り返されてきたところでありますが、具体的裏づけを欠くため十分な答弁がなされないまま今日を迎えたものであります。今臨時会において我が公明党は、河口ぜきによる治水上の影響、しゅんせつの実態、塩害防止、代替案の検討、さらに今や地球的規模で対応が求められている環境問題の観点からそれぞれ問題点をただしてきたところでありますが、その答弁はやはりこれまで繰り返されてきた抽象的回答の域を出るものではなく、恐らくはこれを聞かれた市民の多くの方々も納得できたとは思えないのであります。市民がせき建設に対して抱く疑問点が何かについては、長年の論議の中で執行部側は十分わかっていると思うのですが、そうであるならば、よりわかりやすい回答、裏づけとなる資料やデータ等を提示した説得力ある説明がなされてしかるべきと思うものであります。私はここに河口ぜきそのものの問題点とともに、新たに住民軽視の行政姿勢が問われていることを強調するものであります。もちろん、この姿勢が建設主体者である水資源開発公団並びに建設省が市民の知りたい情報に対して提供しないことに起因するのであれば、国の閉鎖的体質が指摘されるのであり、地方の時代といわれる今日、その時代逆行的な国の地方自治体軽視の姿勢が問われるのであります。  改めて今議会における質疑を通じて明らかになった河口ぜき建設の主要な論点を簡単に述べますと、まず、第一点目は、しゅんせつについてであります。  市長は、今回の市民投票に関する条例制定請求についての意見書の中で、岐阜市の治水は、基幹河川である長良川の通水能力を拡大することによってなし遂げられるとして、そのための大規模しゅんせつとそれに伴う塩害防止のために行われる河口ぜきの建設を最優先すべきとしております。しゅんせつの重要性については異論を挟むものではありません。計画高水量毎秒七千五百立米に必要な河積確保のための着実なしゅんせつを強く望むものであります。しかし、これに必要なしゅんせつ量は二千四百万立米という膨大な量であり、山に例えるならば市内の鷺山三十二個に相当する量であります。そのうち既に平成二年度までに千六十五万立米がしゅんせつされたとしているわけでありますが、果たして確実に実施されたのかが問われたのであります。しかし、その答弁はごく近年の使途別数量が示されたのみにとどまっており、さらに実施されたとするしゅんせつ量が現在の長良川流下能力増大に反映されていないことからも、疑問が持たれているのであります。今議会で初めて問われたことでなく、過去幾たびも質疑の対象となった事項であり、さらに市長の言う、治水上最も大事なしゅんせつであるならば、なぜ積極的に市民を満足させる証拠資料を示さないのか、極めて遺憾に思うところであり、今後の膨大なしゅんせつ計画についても、実施可能なのかという疑念を生じさせるのであります。  第二点目は、せき本体による流通阻害についてであります。  常識的に考えても、洪水が発生したときは流水を妨げるものがあってはならないはずであります。水資源開発公団では、秒速二トン以上の流量のときはゲートを上げるとしているのですから、当然洪水時にはゲートオープンするわけですが、この場合であっても、一本幅五メートルもあるせき柱が十三本も残るため、流れを妨害しないとする保証がどこにあるのでしょうか。流域の住民は経験的に伊勢大橋によって伊勢湾台風の被害が拡大したことを知っております。河積は十分確保されるから大丈夫という回答は、甚だ説得力を欠くものであります。  第三点目に、せき建設の唯一の根拠である塩害防止についてであります。  現在、潮が遡上している流域からの取水であっても農業に影響がなかったり、排水路整備で十分対応可能との証言が報道されたり、さらに、しゅんせつにより潮が遡上したとしても川の表層部からの取水で対応可能とする学者の意見もあることから、巨費を投じての塩害防止のためのせき建設には多くの疑問があるのであります。塩害の正確な実態把握としゅんせつによる塩害のシミュレーションがなされるとともに、せき以外の代替案についても十分な検討を経てから防止手法を選択するのが政策決定の当然の手順と思うものですが、この点については余りにも常軌を逸脱していると言わざるを得ないのであります。また、せきをつくることによって得られる真水、真水の利用についても、御存じのとおり、三重県は用途がなく、深刻な財政圧迫が心配されているところであります。  第四点目に、せき建設に伴う環境悪化についてであります。  流れている川をせきとめることは富栄養化による水質悪化を招き、生態系を破壊することが容易に予想され、魚族への深刻な影響が心配されるところであります。答弁では、既存の類似のせきでは、藻類の異常発生は流速が秒速一センチ以下で起きるが、長良川の河口ぜき湛水域では秒速二センチであり、発生しないだろうとしておりますが、学者の研究では秒速四センチ前後でも発生するとの推定もあることから、より科学的な検証が望まれるところであります。さらに、せき建設後、上流にダムができることにより、水質悪化につながることは免れないのであります。また、現在、環境アセスメントの技術は著しく進展しており、昭和三十八年に行われた、いわゆるKST報告については幾つかの疑問点が指摘されており、改めて環境影響評価をやり直す必要性が叫ばれております。改めて申すまでもなく、環境問題については折しもことし六月にブラジル・リオデジャネイロで世界各国の首脳が一堂に会して国連環境開発会議、いわゆる地球サミットが開催されることもあって高い関心が集められております。自然環境は、失われて初めてその価値に気づくという側面があります。ケニアのことわざに、「地球を大切にしなさい。それは親からもらったものでなく、子供たちから借りているものだから。」という箴言があります。後世に美しく、恵み豊かな長良川を残せるか否かの分岐点に現在立たされているとの認識が必要なのではないでしょうか。  以上、数項目にわたってせき建設の問題点に簡単に触れてきましたが、私は、まず、せき建設の一時中止をして、これらの問題の対立点等を検証し、疑問点を解消すべきと考えます。冒頭述べたとおり、三十年も前の計画をそのまま実行しようとするところに矛盾が生じるのであり、まず現実を直視し、関係住民の声に耳を傾け、環境アセスメントを実施し、最新の研究成果や技術を取り入れて、将来を見据えた計画に変更していくことが最も重要なことと考えるものであります。そのためにも、まず、市民のせき建設に対する意思を正しく知ることが大事であり、原案どおり、せき建設一時中止の賛否を市民投票で問うことに強く賛成するものであります。  以上、原案賛成の討論といたします。(拍手) 13: ◯議長大野栄吉君) 二十一番、林 貞夫君。    〔林 貞夫君登壇〕(拍手) 14: ◯二十一番(林 貞夫君) 私は、市政自由民主党議員団の二番手として、第一号議案に反対の立場で討論を行います。総括としての討論はさきに我が党の中村幹事長が申し上げましたので、私はただ一点、岐阜市の治水面に絞ってその現状と対策について我が議員団の考え方を申し述べる次第であります。  御承知のとおり、岐阜市民は古来から長良川の豊かな水に恵みを受けてまいりましたが、反面一たび出水するや、その恐ろしさはまさに言語に絶するものがあるのであります。過去の幾多の水害から身にしみてこのことは知っているところであります。また、市内を流れる中小の河川は最終的には長良川へ注ぎ込んでいるのでありまして、天井川である長良川の水位の高さが本市の中小河川の排水にただならぬ影響を及ぼしているのであります。すなわち本市の内水排除の命運を長良川本川が握っていると言っても決して過言ではないのであります。例えば、市南部における荒田川、論田川、境川等では、洪水時に自然排水ができず、ポンプ排水に頼らざるを得ないのでありまして、これらポンプも、計画排水量に対していまだ未整備のものもあり、これがために河川の整備も大きく立ちおくれているのが現状であります。古くは昭和五十一年の九・一二災害、近くは一昨年の十九号台風、このときは田畑一面が白海のごとく化したことは記憶に新しいところであります。また、市北部においても九・一二豪雨時には伊自良川などの堤防が決壊し、軒下まで泥水が迫ってきた恐ろしさは経験した者にとって決して忘れることができないのであります。その後激特事業等によってある程度改修されてまいりましたが、伊自良川の長良川合流点付近の旧堤防や旧根尾川との背割り堤などは依然として撤去されておりません。また、板屋川下流部にはいまだに堤防のない部分が存在し、逆水が田畑にはんらんしているのであります。さらに、市東部においても長良川へ自然排水ができず、ぜひともポンプの設置をと要望されておりますが、なかなか進んでいないのが現状であります。こうした状況はすべて受け皿である長良川本川の未整備に起因することは明らかでありまして、じっと我慢してきた、これが本市の偽らざる実態なのであります。しかし、だからといって私たちはいつまでもこの状態を黙認しているわけにはまいりません。いっときも早く長良川の大改修を完了していただいて、本市内の中小支派川の本格的な改修に取り組んでもらいたいのであります。この岐阜市民の悲痛とも言える訴えをぜひともわかっていただきたいと思うのであります。  さて、長良川の治水事業としては、川を大きくし、堤防を強化してもらえばいいのでありますが、だからといって、上・中流域の治水事業によって、下流域に新たな被害を押しつけることになってはなりません。川は本来一本の堤防で結ばれた上・下流すべての流域住民の共同のものであり、運命共同体である住民全体の生命、財産を守るとの立場に立って考えるべきものであります。したがいまして、最も早く、また、可能性の高い長良川の治水事業をして、あるいは本市内の内水排除に最も効果の上がる対策として私どもは川を掘り下げてもらうしかないと確信するものであります。そして、そのために塩害が発生するのであれば、あるいは拡大するということであれば、これを防がねばなりません。いや、塩害は発生しないとおっしゃる方がありますが、百歩譲って発生する疑いありとしても、かけがえのない国土を塩害から守る安全性の確保が最優先されるべきものと考えるところであります。下流のことだから知らぬでは、地域のエゴと言われても反論の余地はないでしょう。長良川の大規模しゅんせつと塩害の防止、そこに河口ぜき建設の大きな必要性があるというのですから、水とともに暮らし、洪水と闘ってきた岐阜市民としてはその促進こそ主張すべきであると考えるところであります。  今般、せきの建設については賛否両論があるので、ここで一時中止することによって住民投票によって決してはどうかとの御提案でございますが、市長が何度も言われる市民生活を守る立場から、一日も早く市内の内水を排除したい、このことを前提とした河口ぜきの建設には賛成であるとの固い決意に私どもは同調するものであり、自由民主党議員団は一致して強く支持を表明するところではございます。  最後に、我々自由民主党議員団は既に三十年近くその都度提起された問題について現場視察も行い、真剣に議論を重ねてきたのでありまして、少なくとも条例制定請求者の言われるような十分の審議もなされず云々のそしりは当を得ていないと確信を持って申し添える次第であります。  以上、岐阜市の治水面からだけ見ても第一号議案には賛成できないことを申し上げ、反対の討論といたします。(拍手) 15: ◯議長大野栄吉君) 十二番、宇野静子君。    〔宇野静子君登壇〕(拍手) 16: ◯十二番(宇野静子君) 日本共産党市会議員団を代表いたしまして、第一号議案長良川河口ぜき建設の一時中止の賛否を問う市民投票に関する条例制定請求について賛成の立場から討論を行います。  十三日から始まりました臨時会におきまして、長良川河口ぜきそのものがもたらすさまざまな問題点が議論されてまいりました。その議論を通して豊かな自然がまだ残されている私たちの誇るべき長良川にせきをつくることが自然環境を破壊するだけではなく、治水、利水上からも有害、無用、危険であることがますます明らかになりました。せき本体について台風時にはせきのゲートを全開するから大丈夫と言われます。ところが、一九五九年の伊勢湾台風時に伊勢大橋では、高潮が来たときに橋そのものが水を通さず、大きな壁となって高潮を押し返したと地元住民が証言しております。そのために伊勢大橋下流部において二十五カ所、二千二百五十メートルにわたって堤防が決壊いたしました。河口ぜきは伊勢大橋よりさらに五百メートル下流にあります。当時の高潮は三・七メートルから六・二メートルの高さであったと推定されております。河口ぜきは全開してけた下五・八メートルの高さしかありません。伊勢大橋は四・九八メートルですが、今後のかけかえ計画では二メートル以上上げるとも聞いております。一昨年の十九号台風時にも伊勢大橋のけた下すれすれまで水が来て、ここに津波でも来ればと、生きた心地がしなかったと地元の人が語っておられました。また、六百六十一メートルの川幅に幅五メートルのせき柱を十三本建て、合計六十五メートルが川幅を狭めます。洪水時に可動ぜきが故障や手違いなしに巻き上げられて全開したとしても、せき柱による川幅の縮小が洪水流下の障害にならないとは言えません。治水のためと言われる河口ぜき、上流部、下流部の人たちにとっては非常に危険なものであり、そのために反対の声が大きく出ているのです。  さて、治水のためにしゅんせつをする、しゅんせつをすれば海水が今まで以上に川を上ってきて塩害が広がる、だから、それを防ぐためのせきだと建設省、公団は言います。ところが、せき建設地の長島町は全町がほぼ海面下にあり、また、数千ppm以上の濃度の海水に囲まれています。その長島町においても現在農業への被害は〇・三%程度に減少しております。これは長良川から取水していた農業用水を木曽川用水に切りかえることなどによって、土壌の塩分が徐々に洗い流されてきたなど、工夫がされております。治水上からも危険性の高いせきを莫大な費用をかけてつくらなくとも、現代の進んだ技術をもってすれば、塩害防止は可能だと言われているところです。  また、しゅんせつ量については、しゅんせつした土砂が、実際どこにどれだけ使われたのか明確なデータとして示されておらず、本当にしゅんせつが行われているのかすら明らかにされていません。  次に、利水目的につきましても、その必要性はなくなっています。そもそも河口ぜきは中部圏の工業用水として利用するために計画をされ、伊勢湾台風の三日前、一九五九年九月二十三日に発表されたものであり、決して治水のためではありません。全国的にも一九六〇年代から七〇年代にダムが次々と建設をされ、都市の水の供給能力がふえましたが、経済が低成長期に入り、むしろ水余り現象が出ております。現に木曽川用水を見ましても、馬飼頭首工の場合、許容量毎秒四十一・九三トンに対し需要は十八・七トンであり、二十三・二三トンも余っています。長良川からの利水計画は二十二・五トンです。このような中で建設をされれば、水は要らない。しかも、治水に有害なのに、利水分、治水分として建設負担をさせられる三重、愛知、治水分としての岐阜県の負担は、今後地方財政を大きく圧迫していくと懸念されているところです。  また、せき建設は自然の生態系が大きく破壊され、取り返しがつかなくなります。長良川には清流を代表するアユ、他の川では絶滅の危険にさらされているサツキマスを初め、百種にも上る魚類、アシ原を中心として百二十種類の鳥の生息が確認されています。まさに自然河川の標本です。そして、流域住民の生活や文化に深く溶け込んでいます。それゆえに国内外の多くの人たちからその自然保護が熱望されているところです。せき建設によって自然の生態系への影響が深刻なものになるということが、現在つくられている芦田川や利根川、紀ノ川の調査などからも明らかにされているところです。せき上流の水質の悪化、夏にはしょうゆのような色と悪臭、きれいな砂の川底であったのに、現在はヘドロが堆積している状態で、アユの自然降下はなくなり、放流のみであったり、魚道は上ることはできるものの、ゲートから水が越流する場合には魚道に集まる量が大幅に低下をし、そのためにせき下にいるアユを網ですくい、上流に放すという、すくい越し作業が行われている所さえあります。また、ウナギの漁獲はなくなり、ヤマトシジミは学者の予想をはるかに超えて、完成後間もなく酸素欠乏で大量死しました。長良川にせきが建設されると、上流三十キロにわたって水がためられ、流れが弱くなるために仔アユの降下が心配されます。普通は一昼夜半から二昼夜で降下するものが、渇水時には十日を上回り、五日から六日で半数が死ぬと言われておりますので、降下時期に渇水になりますと、大きな影響は避けられません。また、湛水により水質が低下しますと、ブラックバスやブルーギルといった外国産の食肉魚が繁殖すると言われております。その上、アシ原を取り除き、コンクリートで岸を固めてしまえば、鳥や昆虫類がすめなくなるばかりではなく、魚の隠れる場所もなくなり、これらの魚の食害は一層大きくなることが予想されます。アユへの影響はほとんどない。だから、岐阜市の鵜飼に影響はないと、市当局は言われますが、これはとんでもないことです。  以上、述べてきましたように、河口ぜきは有害無用のものでしかありません。ところが市長を初め、市当局は、建設省、水資源開発公団の資料をうのみにして、せきは必要を繰り返すのみです。その上、建設省の資料も詳しいデータは明らかにされず、信じているとか、建設省がこう言っているからという答弁は、全く科学性に欠け、ますます疑念を深めずにはいられません。そして、PR不足だと言いながら、その権限を使って時には自治会まで利用してせきの必要性についての宣伝を莫大な費用をつぎ込んでやってきたではありませんか。それにもかかわらず、世論の動向は中止、一時凍結を求めております。自民党十名を含む二百五十九名の国会議員も一時中止を求めていますし、四名の元環境庁長官もその立場をとっています。マスコミの動向もほとんどが建設一時中止、環境アセスメントを主張しております。自然保護協会、陸水会など、多くの団体、東海三県の二千二百七名の大学教授も中止を求める要望書を提出しています。NHKの世論調査でも八八%の岐阜市民が反対です。市民の生命と財産を守ると言われるならば、総合的な治山治水計画の策定と、河口ぜき中止を国や県に働きかけていくことこそ住民自治の立場であることを強く主張いたします。私ども日本共産党は、三十年前、河口ぜき建設計画が出されました当初より一貫して建設反対の立場をとり、住民の皆さんと運動を進めてまいりました。引き続き建設中止に向けて多くの人たちと連帯して運動を大きく広げていく決意であります。  ところが、マスコミ報道によりますと、直接請求を行ったぐるうぷ長良川は、反対した議員の辞職請求をする方針であると伝えられております。議員の解職請求は、地方自治法第十三条及び八十条で定められた住民の権利ではあります。しかし、その行使に当たっては、事の性格上適切でなければならないと考えます。今回のように政策的な見解をとらえて、議員としてふさわしくないとして解職をしようとするのは、適切な運用とは考えられません。議会内における議員の自由な発言、意思表示は無条件に保障されなければなりません。言論の府である議会において、その議員の発言、政策的態度が気に入らないと言って、議会前から解職請求をほのめかし、今回のような事態に発展させるのは、議会制民主主義を破壊しかねない重大なことです。このような理由から、今回計画されている議員の辞職請求については、支持する立場にないことを申し上げておきます。  長良川河口ぜき建設問題は、今まで述べてきましたように、世論の圧倒的多数が建設反対、一時中止、環境アセスメント実施となっています。こうした中で住民の声を直接聞くことは大変重要です。今回提出された第一号議案に示された方法も含め、私たちは世論重視を強く主張するものです。以上の理由から、第一号議案に賛成いたします。  以上、討論を終わります。(拍手) 17: ◯議長大野栄吉君) 二番、西川 弘君。    〔西川 弘君登壇〕 18: ◯二番(西川 弘君) 私、民社党議員として、今議会に上程されました第一号議案に反対の立場で討論いたします。
     まず最初に、岐阜市における大規模しゅんせつによる治水対策の見地から、私の意見を述べますと、昭和三十四年九月二十六日の伊勢湾台風のとき、当時私は中学生でありましたが、長良川の濁流が堤防を乗り越え、岐阜市全域が水につかるのではないかと、水の怖さを子供心に痛感をいたしました。また、昭和五十一年九月十二日の水害では、当時競輪場の近くに私は住んでいましたが、床下に水が押し寄せ、後数時間雨が降れば床上浸水となる経験をいたしました。当時子供が小さく夜中に夫婦それぞれ背中におんで私はひざの上まで、家内は腰までつかって避難をした覚えもあります。また、一昨年の台風十九号では、現在私が住んでいる団地の一番奥で、車が五台屋根までつかり、みんなで胸まで水につかり引き揚げたことがあります。私自身もそうでありますが、梅雨時期、台風時期には常に水の怖さを感じながら住んでおられる市民が多くいることと思います。私は小さいときから長良川で遊び、多くの自然の恵みを与えてくれる清流長良川、大好きであります。しかし、この美しい川も一たび大雨が降れば全国でも有数の暴れ川となる川であります。市民の生命、財産を守る上、また、水の怖さを知っている一市民として、万全な治水対策を望んでいるところであります。  二点目は、水資源対策の見地から利水について意見を述べますと、日本は梅雨や秋雨の季節があり、川もたくさんあって水の豊富な国というイメージがありますが、世界的に見ますと、日本の年間平均降水量は千七百五十ミリであり、世界の平均は九百七十ミリと言われておりますので、約二倍ということであり、降水量から見ますと、恵まれてはおりますが、我が国は人口密度が非常に高いので、国民一人当たり五千五百立方メートルになり、世界の平均が三万四千立方メートルと言われておりますので、日本は世界の平均の六分の一でしかないということであり、日本の降水量は世界平均の六分の一と、意外に少ないことに気づくのであります。もう一つは、雨の量が地域的、時期的に偏っており、特に梅雨時期とか台風の時期にまとめて降り、また、我が国の地形は非常に急峻で、河川の延長が短く、勾配が急なために雨が降ると一時に流出してしまうので、私たちが日常生活に利用できる水は降った雨の三分の一ぐらいしかありません。したがって、必ずしも日本は水に恵まれているとは言えないのであります。そこで、生活になくてはならない水を安定的に供給するためには、自然の状態に任せていたのでは近い将来必ず水不足を招くことになりますので、水資源開発を積極的に突き進めていかなければならないのであります。  ただ、環境アセスメントについては問題があるのではないかと思いますので、今後十分な調査研究を重ねるとともに、国に対し環境保護対策予算等を強く要望をしていただくとともに、特に岐阜市における今後の河川改修計画をより積極的に推進をすることが緊急の課題であると考えます。  私は以上の見解から委員会の決定に意見を付して賛成をし、私の討論を終わります。(拍手) 19: ◯議長大野栄吉君) 三番、田中成佳君。    〔田中成佳君登壇〕(拍手) 20: ◯三番(田中成佳君) 私は社民連の議員としまして、第一号議案、すなわち長良川河口ぜき建設の一時中止の賛否を問う市民投票に関する条例制定請求についての議案を可決されるべきものとしての立場より討論を行うものであります。  河口ぜきについては私どもは一貫して治水に有害、利水に無用との立場を表明してきたものでありますが、今議会での質疑や委員会審査を傍聴するにつけ、水害より住民を守る治水事業とは治山事業を伴うことは申し述べるまでもなく、遊水地の確保や水田の確保などの保水力を高め、堤防のかさ上げ、補強、そして高規格化、スーパー堤防化によってなされるべきものと一層確信を深めていった次第であります。  さて、今議会への岐阜市民による二万二千余名にも及ぶ膨大な数の署名者を集めての直接請求について、私どもは以下のように受けとめるものであります。  すなわち、河口ぜきが流域住民の生命と安全を本当に保障するものであるのだろうかとの疑問に基づき、行政と住民意思との乖離、また、議会の意思が住民意思と同様に大きくかけ離れているがゆえに、民意の正直な反映を呼びかけるものであると考えます。行政と住民意思の乖離は、現代日本の抱える中央集権化と三割自治に大きく起因しているのではないでしょうか。自治、分権、参加の民主主義の原則が問われていると言えるでしょう。今こそ声を大にして言うべきことは、すなわち、民衆の代弁者たらんと行政が国に主張されなければ、それはおのずから地方自治の崩壊をも招くといっても決して過言ではないでしょう。  第一号議案は、河口ぜき建設に慎重を期すべきものとの立場の市民より、せき建設の一時中止に賛成の方は賛成に、また、反対の方は反対に意思表示を行う機会の持てる極めて平等な内容の条例制定を求めるものであります。行政、議会と住民意思を間違いなく近づけ、ともに信頼関係を修復できるものであり、まさしく民主主義の反映がつくられていくものと考えます。どうか議決に際しては、せき建設推進の党派の皆さんは、アメリカにおけるクロスボード制にならい、党議に拘束されることなく、お互いの良心に従ってぜひとも適切な判断をしていただきますようお願いを申し上げ、本議案賛成の立場よりの討論とさせていただきます。ありがとうございます。 21: ◯議長大野栄吉君) 三十九番、松尾孝和君。    〔松尾孝和君登壇〕(拍手) 22: ◯三十九番(松尾孝和君) 特別委員会で条例案を否決したことについて私は条例案に賛成であります。したがって、特別委員会の否決に反対の立場で討論をいたしたいと思います。  まず、第一にこの河口ぜきの問題の当初から今日までずっとこの問題に携わってきた私といたしまして言えることは、この種の問題でですね、三十数年にもわたって住民運動が持続するということですね。これはですね、極めてまれなことであるということです。全国にその例を拾ってみてもほとんどないですね。これはどうしてかということですね。すべて物事には原因がなくしてこういう結果は生まれてこない。  第一の原因は、一番大きな問題はですね、いかに河口ぜきというものが矛盾に満ちた、矛盾の深い問題であるかということですね。だから、これは私は壊いてもとに戻すまで続くだろうと思ってます。人間の力で及ばぬときには、自然がそれを許さないでしょう。自然の力でこれを壊すことだってあるわけです。こういう私はですね、人間のおごり高ぶった物の考え方を今改めなければならぬ時期に来ておるのではないか、いうことを思うわけであります。したがいまして、この問題は時の経過とともに、議論を重ねるたびごとに問題が少しずつでも解明されていくというのが本当なのに、なぜかこの問題に関してだけは、矛盾や疑問が深まるばかりではありませんか。そのよい例が、利水のためのしゅんせつでありながら、それを治水のためのしゅんせつだというふうに言いくるめようとして、東大出の優秀な皆さんを初めとする技術者が一生懸命なって理屈をこさえようとする。ところがですね、うそ掛けるうそは、いかに立派なうそでもだめです、これは。必ずしもちょろちょろと衣の底からこのよろいが出てきちゃうんだな。これをですね、いわゆるうそ掛けるうその矛盾で繕おうと、深めれば深めるほど矛盾が深まっていくんです。疑問が深まるわけです。ここに一つの私は大きな問題がある。  塩害にいたしましてもですよ、建設省自身の内部資料で、塩害論でせきをつくるということには無理があると言ってるんじゃないですか。私が質問のときにそういうことを尋ねました。現物もあります。御本尊が無理があると言ってるのに、はたの者が大丈夫だ、大丈夫だと言うのは、これいかに。しかも、ちょっと考えただけでもすぐわかるでしょう。長良川の河口ぜきをつくって、どうして海津郡の塩害が守れますか、長島の塩害が守れますか。木曽川に面した長島、長良川をしゅんせつしたときの河底よりも、河床よりも現在の揖斐川の河床は深いんですよ。当局は、マウンドが揖斐川にあるから、河床は低くても大丈夫だと言いました。ふんなら、なぜ今尾橋まで潮が上ってるんですか、長良川より上まで上ってますよ。自然はうそをつきません。人間はうそをつくけども、魚や鳥はうそをつくことを知りませんよ。だから、長良川の河口ぜきをつくることによって海津郡の塩害が防止できたり、長島の塩害が防止できるなどと考えるのは、極めてナンセンスです。だれが考えたって明らかです。しかも、長島は長良川の河口ぜきをつくることによって、より塩害がひどくなる。長良川の長島の中間地点にせきができるんですから、それから下は毎秒二十二・五トンの水がとられただけ塩水濃度が高まる、当たり前のことです。建設省も否定しませんが──現場で私が追究すると、それを言われると弱いですねえと言う。どうして塩害が防げるの、漫画じゃありませんか。まるっきり。  さらにですね、環境の問題はですね、これはもう、公団も、建設省も長い裁判の過程でですね、いろいろな証言出たり、データ出しました。それでもね、絶対大丈夫と言ってないんですよ。多少の影響はあります、若干は悪くなります。さすがね、うそつきの名人どももこういうことしか言えないですね。そりゃそうですよ。全国のせきつくった所でですね、どうなってるかということ、だれかが言ったとおりです。これは明らかですね。だから、これも議論の余地はない。悪くなることを、まあ御当局自身が認めてらっしゃるんだから、これはもう言うまでもないこと。  その次はですね、せきによる台風、地震、津波、これもはっきりと地震の危険地帯に指定をされておる。大丈夫だ、耐震設計があると言うんなら、どういう設計で、ここまで打ち込んで、こうやって、岩盤の深さはこれこれで、地質はこれこれ、常識的にその資料出したらどうでしょうか、出せないんでしょう。こういうことでですね、いわゆる人命、財産、人命、財産と言うなら、長島や桑名の人の人命、財産はどうでもいいのか、はっきり言えることですね。私は大変なことだと思うんですね。  それから、最後に私は申し上げたいことがある。それは、治水の基本論理についてであります。昔からね、治水治山とは言わないですよ。何といいますか、治山治水と言います。治山に始まるによって必ず治水あり、それを山は荒れほうだいにするわ、開発はしからかすわ、そして、どんどと出てくる水、遊水地もつぶすわ、それを狭い川の堤防と川の堤防の間だけで、どうやっておさめようとするのか、こういうところに矛盾がある。これを高水工法という──武田信玄の有名な信玄堤はなぜ現代をもって評価されておるか、低水工法でやられたからです。水に真正面から逆らわないで、水の力をいかにうまく利用し、これを和らげて海へ戻すか、これが低水工法である。日本もすべて、徳川時代まではこれだった。だから、先ほども自民党の議員さんがおっしゃるように、岐阜市は天井川だ、水が出る、あふれる、困る、水がついた、苦しい──私に言わせると、それ聞いていて、私、つくづくと思った。暴飲暴食をやりからかいて、それ下痢どめだ、それ下痢どめだと言っとるのと、私、おんなじことやないかしらんと思って、私、薬剤師だからそんなことを思って聞いとりましたが、理屈に合わぬのですわ。岐阜市近辺を見ただけでも、芥見の加野地域、日野地域あるいは志段見、長良の雄総、なぜ二重堤防があるのか。人間は、そこでもどんどんどんどんと住まいに住まいにということで開発していった。昔はゆっくり、そこに水が遊んで、遊んでいったわけです。ちょうど岐阜の町の直上流にそういうようなものがあったわけですね。ところが、今、それ全部つぶしちゃって、水を押し込むことだけ考えとる。どうして水があふれるのか、したがって、この問題について、もう高水工法では、現在の治水は達成されない限界が来たと。これがもう明確に、あちらでもこちらでもなっているわけです。だから、いわゆる有機的な、総合的な治水でなけらなならぬと、建設省自身が言い出したじゃありませんか、そうでしょう。墨俣の上やあるいは一夜城の上、あの膨大な土地を買収してですね、なぜあんな膨大な遊水地をつくらなきゃならぬのですか。岐阜市のように、特に本川に流れ込む中小河川というのの河床勾配、ほとんどないんです。一番河床勾配があるやつで山田川だけ、あとはほとんどこれがない。昔から、その遊水地としての池が無数に存在していた。人間のエゴでもってどんどんどんどん開発が進んだ。それにかわるべきものを自然に与えていたかということです。だから、それを今、川にだけ負わせようとすれば、川はパンクするよりほかに道はありませんよ、そらあ。そういうですね、このやり方を繰り返せばどういう結果になるか。国栄えて山河滅び、山河滅びて国滅ぶという結果。文明の前に清流があって、文明の後にヘドロが残る。これは本当の政治でしょうか。これは本当の文明でしょうか。私は長良川河口ぜきは今このことを真剣に問いかけていると思うんです。だから、後世長くこの問題の汚点として残すか、それとも我々の代にこれをはっきりと転換をして、自然に対してもっと謙虚になり本当に理論に合った治水に戻していくか、この大事な時期が来ていると思うんです。そこで、住民の皆さんが建設省は資料を示さない、議会の議論も数の論理でいく、それでも納得ができない、疑問がふえる、どうしたらいいか。したがって、住民の意思を聞いていただくよりしようがないではありませんか、いうことで出されてきたのが今度の条例案です。私は至極もっともなことであると思う。この考え方は全く理に合った考え方であると思うし、私はよってこの条例案に賛成をする次第であります。  以上。(拍手) 23: ◯議長大野栄吉君) 二十七番、服部勝弘君。    〔服部勝弘君登壇〕(拍手) 24: ◯二十七番(服部勝弘君) 私は、無党派の議員として、市民サイドに立ちまして第一号議案に賛成の立場で討論を行います。  今まで再三いろいろの議論がありましたが、御承知の長良川河口ぜきの建設につきましては、計画以来既に三十年余りにわたっております。この間いろいろの議論の中で、当初建設目的でありました利水面につきましても今日ではほとんど必要がなくなり、さらに治水面においても多くの疑問が生じておりますし、また、塩害防止という目的も今日では薄れてまいっております。一方、河口ぜき建設に伴う危険性もクローズアップされ、その上かけがえのない長良川の自然破壊など、幾多の問題が指摘されておるところでございます。先ほども松尾議員がおっしゃったように、これだけ長期間にわたり建設の是非論が交わされている公共事業はほかに類を見ないと思うわけであります。地元はもとより、国の内外からも問題点が指摘されていることは御承知のとおりであります。その根底にあるものはやはり長良川河口ぜきの建設の必要性が余りにも乏しいからであります。いろいろの議論を経た今日でも多くの市民はせき建設の必要性が理解できません。このことは各種世論調査においてもはっきり出ているとおりであります。むしろ、デメリット、危険性の方が年々クローズアップされてまいっておるわけであります。それゆえにこの際、せき建設以外の方法も考える必要に来ておるのではないかと思います。こうした状況にあって今なぜ長良川河口ぜきの建設を強行しなければならないのか。当局側の説明は何度何度聞いても説得力が残念ながらございません。強いて言えば、建設省のメンツと行政機構の維持にあるとしか考えられないわけであります。こうした行政に対する不信感に対し、勇気を持って行動されたのが市民グループの皆さんであると考えます。岐阜市民二万二千余名の署名は尊重をされなければなりませんし、無視することはできないと思います。もとより、民主主義の原点は、市民の声を行政に反映すること、市民の声を行政に反映することであることは今さら言うまでもありません。こうした観点から直接請求の皆さんは賛否両論に意見が分かれ、さらに疑問の多い長良川河口ぜきの建設についてその是非を市民に問うことを求められたものであります。  特別委員会において、大野陳述人はこの点を強調し、さらに私たちは河口ぜきの建設については反対論ではなく、反対論ではなく、慎重論であるということを繰り返し述べておられます。また、こうした是非を市民に問うことを求めた、いわば民主主義の基本的な問題について市民の声を必要はなし、市民の声は必要はなしとして、市民投票に反対する理由はないはずである、反対する理由はないはずであるとも強調いたしておられますが、まさにそのとおりであります。私はここに民主主義の原点があると思うわけであります。たとえ、意見はそれぞれの立場において違っていたとしても、その意見に耳を傾ける姿勢が必要ではないでしょうか。推進派、反対派、慎重派、それぞれ立場や意見の食い違いはあっても、いや、あればこそ、この際後世に禍根を残さないためにも直接請求者の皆さんの意見を体して市民投票による是非を問うべきであると主張いたします。また、そのことが岐阜市議会が全国に良識を示す得がたい機会であると確信いたす所存であります。  よって、請求者の皆さんの意思に沿って、速やかに長良川河口ぜき建設の一時中止の賛否を問う市民投票を実施されることを主張をし、あわせて議員の皆さんのそれぞれの政治的な立場を超えた市民サイドに立った勇気ある決断を期待いたしまして、私の討論とさせていただきます。(拍手) 25: ◯議長大野栄吉君) 以上をもって討論を終結いたします。  これより採決を行います。  第一号議案を起立によって採決いたします。本件に関する特別委員長報告は、否決でありますから、原案について採決いたします。  お諮りいたします。本件については、これを原案のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛 成 者 起 立〕 26: ◯議長大野栄吉君) 起立少数であります。よって、第一号議案は否決されました。  なお、念のため申し上げます。ただいまの議決に伴い、今回設置いたしました河口ぜき建設一時中止賛否の市民投票条例制定請求議案審査特別委員会は消滅となりますので、御承知願います。            ━━━━━━━━━━━━━━━━ 閉 議 閉 会 27: ◯議長大野栄吉君) 以上をもって今期臨時会に付議された事件はすべて議了いたしました。よって、本日の会議はこれをもって閉じ、平成四年第一回岐阜市議会臨時会を閉会いたします。  午後零時三十分 閉  会 岐阜市議会議長       大 野 栄 吉 岐阜市議会議員       森   由 春 岐阜市議会議員       西 川   弘 発言が指定されていません。 Copyright © Gifu City Assembly. 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