令和 3年 11月 定例会(第6回)……………………………………………………………………………………………
△議事日程(第四号) 令和三年十二月九日(木)午前十時開議 第一 議第百三十九号、議第百四十二号から議第百五十六号まで及び議第百五十八号 第二 請願第三十号 第三 一般質問……………………………………………………………………………………………
△本日の会議に付した事件 一 日程第一 議第百三十九号、議第百四十二号から議第百五十六号まで及び議第百五十八号 一 日程第二 請願第三十号 一 日程第三 一般質問……………………………………………………………………………………………
△出席議員 四十五人 一番 平野恭子君 二番 森 治久君 三番 山内房壽君 五番 森 益基君 六番 小川祐輝君 七番 平野祐也君 八番 所 竜也君 九番 今井政嘉君 十番 藤本恵司君 十一番 中川裕子君 十二番 伊藤英生君 十三番 澄川寿之君 十四番 水野吉近君 十五番 安井 忠君 十六番 恩田佳幸君 十七番 若井敦子君 十八番 広瀬 修君 十九番 布俣正也君 二十番 国枝慎太郎君 二十一番 林 幸広君 二十二番 高木貴行君 二十三番 野村美穂君 二十四番 長屋光征君 二十五番 高殿 尚君 二十六番 田中勝士君 二十七番 加藤大博君 二十八番 山本勝敏君 二十九番 松岡正人君 三十番 川上哲也君 三十一番 松村多美夫君 三十二番 小原 尚君 三十三番 水野正敏君 三十四番 野島征夫君 三十五番 伊藤秀光君 三十六番 平岩正光君 三十七番 佐藤武彦君 三十八番 森 正弘君 三十九番 渡辺嘉山君 四十番 伊藤正博君 四十一番 小川恒雄君 四十三番 村下貴夫君 四十四番 尾藤義昭君 四十六番 玉田和浩君 四十七番 岩井豊太郎君 四十八番 猫田 孝君
△欠席議員 一人 四十五番 藤墳 守君……………………………………………………………………………………………
△職務のため出席した事務局職員の職氏名 総務課長 高野朋治 議事調査課長 梅本雅史
議事調査課管理調整監 桂川義彦 同 課長補佐 大野享子 同 課長補佐 槙田朝之 同 主査 早野ひとみ 同 主査 水谷昭之 同 主任 山辺有紗……………………………………………………………………………………………
△説明のため出席した者の職氏名 知事 古田 肇君 副知事 平木 省君 副知事 河合孝憲君 会計管理者 西垣功朗君
秘書広報統括監兼デジタル政策統括監 尾鼻 智君 総務部長 横山 玄君 清流の国推進部長 丸山 淳君 危機管理部長 渡辺正信君
環境生活部県民文化局長 市橋貴仁君 健康福祉部長 堀 裕行君 健康福祉部子ども・女性局長 安江真美君 商工労働部長 崎浦良典君
商工労働部観光国際局長 矢本哲也君 農政部長 長尾安博君 県土整備部長 船坂徳彦君 都市建築部長 大野真義君 総務部次長(情報化推進担当) 阿部修二君 教育長 堀 貴雄君 警察本部長 加藤伸宏君
選挙管理委員会委員長 大松利幸君……………………………………………………………………………………………
△十二月九日午前十時開議
○議長(佐藤武彦君) おはようございます。ただいまから本日の会議を開きます。……………………………………………………………………………………………
○議長(佐藤武彦君) 日程第一及び日程第二を一括して議題といたします。……………………………………………………………………………………………
○議長(佐藤武彦君) 日程第三 一般質問を行います。あわせて議案に対する質疑を行います。 発言の通告がありますので、順次発言を許します。十三番 澄川寿之君。 〔十三番 澄川寿之君登壇〕(拍手)
◆十三番(澄川寿之君) 皆さん、おはようございます。 議長より発言のお許しをいただきましたので、岐阜県議会公明党の代表質問を行わせていただきます。今回は、六項目七点について順次質問をさせていただきます。 初めに、脱
炭素社会ぎふの実現に向けた取り組みについてお尋ねいたします。 五十年以上も前に、二酸化炭素が増えれば地球の気温が上昇し、地球温暖化につながるという予測モデルを世界に先駆けて発表したアメリカのプリンストン大学の真鍋淑郎先生が、本年十月にノーベル物理学賞を受賞されました。 現代社会は、国内外において地球温暖化の影響と考えられる豪雨や洪水、干ばつ等による損失や損害が顕著となり、今後もさらにこのリスクが高まることが懸念され、地球の非常事態とも言われています。こうしたことから、脱炭素・カーボンニュートラルの実現に向けた動きが世界的に加速化しております。本年六月のG7サミット(主要七か国首脳会議)においても、ホスト国の英国が、気候変動を最重要テーマとして掲げました。 また、本年十月三十一日には、スコットランド・グラスゴーでCOP26と言われる
国連気候変動枠組条約第二十六回締約国会議が開催されましたが、その中で岸田総理は、「気候変動という人類共通の課題に日本が総力を挙げて取り組む」「目標の達成に向け、この十年が勝負です。高い野心を持って、共に全力を尽くしていこうではありませんか」と力強くスピーチされたところです。 このCOP26の開催を控えた本年十月二十二日、国は実に五年ぶりの脱炭素関連施策を盛り込んだ
地球温暖化対策計画を改定しました。脱炭素の削減の目標を当初の二六%から、二〇三〇年度に二〇一三年度比で四六%削減、さらに五〇%の高みに向けて挑戦を続けていくと明記し、削減目標を大幅に上積みしました。 他方、本県では、本年三月、岐阜県地球温暖化防止及び気候変動基本条例を改正するとともに、岐阜県地球温暖化防止・気候変動適応計画を策定しました。その中で、二〇三〇年度には二〇一三年度比三三%減という当時の国を上回る目標を設定したわけですけれども、国は県の数値よりさらに一三ポイントも上回る削減目標を掲げることとなりました。 こうした国の動きを踏まえ、三月に策定したばかりではありますが、岐阜県地球温暖化防止・気候変動適応計画を改定することを決定したと伺いました。知事は、今議会の提案説明において、十一月十八日に
温室効果ガス排出抑制推進本部員会議において事業者としての県自身の率先実行計画を改定し、二〇三〇年度までに国の目標を大きく上回る七〇%削減を行うための具体的な取組方針を決定した、今後は国の全体目標である四六%削減に向け、産業、家庭など各分野における温室効果ガス抑制の取り組みを進めていくと発言をされました。 脱炭素は、アフターコロナ時代における持続可能な「清流の国ぎふ」実現のために、さらに加速していかなければならない重要政策であります。また、県民生活や企業の経済活動に直結しており、我々の社会生活へ与える影響も大きく、商工業や観光業、農畜水産業、森林業の各種産業のほか、住宅・建築、交通・運輸、税務や教育などにも密接に関わるものです。 そこで、知事にお尋ねをいたします。 国の計画の改定を踏まえ、本県としての脱炭素社会に向けた方針をお伺いします。 続きまして、
新型コロナウイルス感染症の感染拡大対策として、ワクチン接種の啓発についてお伺いをいたします。 岐阜県においてもワクチン接種を進めてこられました。知事の冒頭の提案説明にもありましたが、ワクチン接種を進めてきたことが、現時点における感染の抑止に効果があったと考えられています。しかしながら、ワクチン接種の効果は時間とともに低下していくことが懸念をされています。 十月二十八日の厚生科学審議会(予防接種・ワクチン分科会)では、ファイザー製を二回接種した後の効果の推移や三回目接種の効果に関する研究が報告されました。これによりますと、感染予防効果は二回目接種から五か月後に、十二歳以上の全年齢で八八%から四七%に低下。六十歳以上では、時間の経過とともに重症例の発生率が上昇する傾向がありました。そのため、ワクチンの効果を維持するには追加接種が有効とされています。ファイザー社の臨床試験では、三回目接種による発症予防効果は九五・六%としています。このため、一部の国では既に三回目接種が実施されており、こうした経緯から、我が国においても三回目接種がスタートすることとなりました。 現在、県内においてはまだ第六波の予兆は見られませんが、新たな株であるオミクロン株が国内で初めて確認されたこともあり、感染拡大防止のため予断を許さない状況です。本県においても、十一月二十九日に発表した「
新型コロナウイルス感染症対策~感染拡大防止と社会経済活動の両立~」において、感染防止対策の継続・強化策の一つとして十二月一日からのワクチン追加接種の推進を示しており、昨日の質問の中でも三回目接種に向けた取り組みが確認をされました。 しかしながら、県民の方と意見交換をさせていただく中で、二回目までの接種における副反応の経験等もあり、三回目の接種を慎重に考えているというお声を伺います。改めて三回目接種について、県民にしっかりと伝えていくことが必要ではないかと考えます。また、ワクチンが未接種な方の接種、新たに十二歳を迎える方も接種対象となっていることも併せて啓発していく必要があると考えます。 そこで、健康福祉部長にお尋ねをいたします。 本県における
新型コロナウイルスワクチン接種の啓発について、どのように進めていかれるのかお聞かせください。 三点目に、本県が進める
デジタルトランスフォーメーション、以下DXとさせていただきますが、DXの取り組みについてお尋ねをいたします。 本県におきましては、本年度から総務部にデジタル戦略推進課を新設し、県DX推進計画の策定、県行政のデジタル化の推進、市町村行政のDX支援を行っています。十一月二十五日に、岐阜県
デジタル・トランスフォーメーション推進計画(素案)を発表し、現在パブリックコメントを行っています。素案の中で、DXとは、組織や企業が外部環境(顧客、市場、社会)の大きな変化に対応し、デジタル技術を活用して従来の働き方、文化、組織の変革を牽引しながら、新たな業務モデルやサービスを生み出し、ネット(デジタル)とリアル(アナログ)の両面で、利用者体験の向上を図ることとし、デジタル化には、
①デジタイゼーション(紙などのアナログ情報をデジタルに変換すること)、
②デジタライゼーション(デジタル技術の活用により業務プロセスの変革や新たなサービスを創造すること)、
③デジタルトランスフォーメーション、いわゆる狭義のDXですけれども(デジタルを活用した働き方、組織文化の変革により、利用者体験の向上を図ること)、このデジタイゼーション、
デジタライゼーション、
デジタルトランスフォーメーションの三つの段階がありますが、本計画においては、全体を捉えた広義のDXを対象とし、来るべきデジタル社会に向けた取り組みを推進しますとしています。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大の中で、行政のデジタル化の遅れが指摘をされ、国全体でデジタル化が大きく進もうとしています。一方で、課題となっていますのが、高齢者の方々などデジタルに不慣れな方への対応であります。例えば昨年九月議会の質問でも取り上げさせていただきましたが、コロナ禍において事業者支援として行われた持続化給付金などは、素早く多くの方に給付できるようインターネットによる申込みが前提となっていました。インターネットに慣れた事業者さんからは、迅速に対応してもらえた声があった一方で、慣れていない事業者さんは申請に手間取ってみえました。 また、ワクチン接種事業におきましても、私の地元の岐阜市では、市が行う大規模接種会場の予約をオンライン予約と電話予約で対応されました。電話予約が大変に混み合う中で、オンライン予約は比較的スムーズに手続を行うことができたわけですが、特に高齢者世代においてはオンライン予約を行うことが困難であり、御家族や御親族、知人などに頼んで予約を取っていただいた方も少なくないようです。 今回のような事案を含め、今後の行政サービス等の申請において、行政の負担や県民の利便性を考えてもオンライン化していくことが考えられるわけですが、その際に懸念されるのが不慣れな方への配慮であります。国としてもこの点を考え、高齢者向けのスマホ教室等の実施を検討しているようです。地域に寄り添った事業となりますので、市町村において取り組んでいただくことになると思いますが、この際には市町村格差が懸念をされます。比較的大きな自治体におきましては対応できると考えますが、中山間地域や過疎地域を抱える市町村は人的確保を含め課題があると感じております。 そこで、
総務部情報化推進担当次長にお尋ねをいたします。 特に中山間地域におけるデジタル活用に不安のある方や、デジタルに不慣れな方を対象としたスマホ教室の実施支援など、県として
デジタルディバイド対策にどのように取り組むのかお伺いをいたします。 以上で、一回目の質問を終わります。
○議長(佐藤武彦君) 知事 古田 肇君。 〔知事 古田 肇君登壇〕
◎知事(古田肇君) おはようございます。 私のほうには、脱
炭素社会ぎふの実現についてお尋ねをされました。 御案内のとおり、政府では二〇五〇年脱炭素社会の実現に向けて十月に計画を改定し、国全体の二〇三〇年度の
温室効果ガス排出削減目標を二〇一三年度比で二六%から四六%へと大幅に引き上げておるわけであります。国内外で動きが急加速する中で、県としましても、脱炭素社会の構築は
アフターコロナ社会における最重要課題の一つというふうに位置づけております。そして、四六%削減以上の目標を掲げることを念頭に、来年度、具体的かつ実効性のある施策を盛り込んだ県全体計画の改定を行う方針であります。 直近の岐阜県の
温室効果ガス排出量実績についてでありますが、二〇一八年度速報値では、二〇一三年度比で二二%と、四六%のほぼ半分まで既に削減しておるということでございます。今後、県内のあらゆる分野でできる限りの取り組みを進めることにより、必ずしも容易ではないとしても四六%削減は実現可能性のある数字だというふうに思っております。 そこで、取組方針の第一でありますが、県自身の率先実行計画におきまして、二〇三〇年度に政府の五〇%を上回る七〇%削減の目標を掲げております。具体的には、県有施設の徹底的な省エネ推進、再エネの積極導入、次世代自動車の導入の三つの柱で取り組みを進めております。さらにこの十一月には、太陽光発電設備の設置や照明のLED化等を追加したところでございます。 取組方針の第二は、オール岐阜体制での取り組みであります。来年度の計画改定の中で各部門の追加削減量を提示してまいりたいと考えております。具体的には、国で検討されている地域脱炭素移行・再エネ推進交付金の活用も念頭に、
自家消費型太陽光発電の促進などの
再生可能エネルギー分野、省エネ性能向上などの住宅分野など九分野を設定し、それぞれに施策の充実を図ってまいります。 また、森林吸収源対策も重要であります。このため、森林・林業分野におきましては、森林の若返りと二酸化炭素吸収量の増加のため、皆伐と再造林の拡大、エリートツリーの活用などに取り組んでまいります。さらに、オール岐阜での推進体制として、来年度から九分野の代表から成る推進組織を立ち上げるとともに、脱炭素の取り組みを総括する庁内組織を設置してまいります。このような体制強化により、一段と強力に取り組んでまいります。
○議長(佐藤武彦君) 健康福祉部長 堀 裕行君。 〔健康福祉部長 堀 裕行君登壇〕
◎健康福祉部長(堀裕行君)
新型コロナウイルスワクチン接種の啓発についてお答えします。
新型コロナワクチンについては、高い予防効果がある一方で、接種後時間の経過に伴い、感染予防効果や高齢者においては重症化予防効果も低下することが示唆されており、感染拡大防止及び重症化予防の観点から、追加接種をいただくことが重要となります。 この追加接種に関しては、副反応が二回目までと比べ重くなるのではないかとの不安も聞かれますが、国の審議会では、三回目接種後の副反応は二回目までと比べ重くないことが示されております。 今後、一、二回目接種と三回目接種で異なるワクチンを用いる交互接種も始まることから、国に対し交互接種を含めた追加接種の有効性や安全性に関する最新データについて、正確で分かりやすい発信を強く求めております。県としましても、国の情報に基づき、県民の皆様への正確かつ丁寧な情報発信に努めてまいります。 なお、ワクチン接種の進展に伴い、感染による重症化や死亡は大きく減少しており、こうしたワクチンの有効性について、未接種の方へその周知にも努めるとともに、接種機会も確保してまいります。
○議長(佐藤武彦君)
総務部次長情報化推進担当 阿部修二君。 〔
総務部次長情報化推進担当 阿部修二君登壇〕
◎
総務部次長情報化推進担当(阿部修二君) デジタルに不慣れな方などを対象とした
デジタルディバイド対策についてお答えいたします。 誰一人取り残されないデジタル社会の実現に向け、デジタルに不慣れな方への支援は重要であると認識から、県としては住民に身近な地域におけるサポートの充実を図る予定です。 まず、現在県内における国のスマホ教室事業は都市部が中心のため、中山間地域を含め支援が届きにくい地域の公民館等において、市町村やNPO等が開催するスマホ教室に講師を派遣することを検討しております。また、高齢者向けの施策としては、世代を超えた交流や高齢者の方の興味・関心を通じてデジタル活用に親しんでいただく機会づくりのため、県立高校と連携し、生徒がスマホの使い方を教える中で世代間の交流を図る取り組みや健康づくり、
コミュニティーづくりとつなげて、日常的な活動の中で楽しみながらスマホを活用できる仕掛けづくりも進めたいと考えております。 これらは、現在策定中の県DX推進計画にも盛り込み、取り組んでまいります。
○議長(佐藤武彦君) 十三番 澄川寿之君。 〔十三番 澄川寿之君登壇〕
◆十三番(澄川寿之君) 御答弁ありがとうございました。 続きまして、障がい者雇用の拡大に向けた取り組みについてお伺いをいたします。 先日、オンラインで開催されました障がい
者雇用推進セミナーを視聴させていただきました。岐阜労働局による障がい者雇用の現状と施策の動向、県内事業者の先進事例の講演があり、大変に勉強になりました。岐阜労働局によりますと、令和二年度の新規求職者数、就職件数ともに前年度から減少しているとのことで、
新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響も考えられ、改めて障がい者雇用を力強く進めていく必要があると感じました。 そこで、今日は二点に絞ってお伺いしたいと思います。 初めに、
障害者優先調達推進法に基づく障害者就労施設等からの物品等の調達についてお伺いいたします。 障がいのある方が自立した生活を送るためには、就労によって経済的な基盤を確立することが重要です。このためには、障がい者雇用を支援するための仕組みを整えるとともに、障がい者が就労する施設等の仕事を確保し、その経営基盤を強化することも必要であります。実際に、県内の障害者就労施設等の方々とお話をさせていただきますと、仕事の受注の確保に苦労されていると伺います。 このような観点から、これまで障害者就労施設等への仕事の発注に関し、民間企業をはじめ国や地方公共団体等において様々な取り組みが行われてきました。その中で、国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律(
障害者優先調達推進法)は、国や地方公共団体等が率先して障害者就労施設等からの物品等の調達を推進するよう、必要な措置を講じることを定めたものであります。同法は、平成二十四年六月二十七日に公布され、平成二十五年四月一日から施行されています。 地方公共団体(都道府県、市町村)及び地方独立行政法人は、毎年度、障害者就労施設等からの物品等の調達方針を作成するとともに、当該年度の終了後、調達の実績を公表することとなっております。本県においても、法律の趣旨にのっとり、例年実績を積み上げていただいています。しかしながら、
新型コロナウイルス感染症の感染拡大もあり、障害者就労施設等も経営状態として非常に厳しくなっているとのお話も伺います。 そこで、健康福祉部長にお尋ねをいたします。 本県における
障害者優先調達推進法に基づく障害者就労施設等からの物品等の調達の取組状況、また今後についてどのように考えておられるかお伺いをいたします。 続きまして、障害者就業・生活支援センターの体制強化についてお伺いをいたします。 障がい者雇用の課題として、就業定着支援も上げられます。今回、視聴させていただいたセミナーの中でも、改めて障害者就業・生活支援センターの重要性が確認をされました。障害者就業・生活支援センターは、通称「なかぽつ」とも呼ばれておりますが、働きたい障がい者、働く障がい者の就業と生活を一体的に支援するセンターです。岐阜県内に現在六か所設置されており、それぞれ社会福祉事業団などに委託をされております。 働きたい障がい者への支援として、働くために必要な準備や方法を一緒に考え提案するとともに、ハローワークや職場見学への同行、支援機関の紹介や利用手続の支援を行ったり、長く働き続けられるように職場の定期的な訪問、電話相談などを行っています。また、障がい者の生活面のサポートとして、就業に必要な生活面の支援や働く上で欠かせない生活習慣や健康管理等の日常生活、また地域での生活に関する相談を行っています。 今回は、特に就業定着支援の角度から質問させていただきたいと思います。 今回のセミナーの資料でも、岐阜労働局のハローワークにおける障がい種別の職業紹介状況が示されました。近年、特に精神障がい者の方の求職件数が増えており、全体に占める割合も大きくなっているようです。ここで課題となってきますのが、障がい者の方の職場定着です。今回示された資料の中では、一年後の職場定着率は、身体障がい者の方が六〇・八%、知的障がいの方は六八%、発達障がいの方は七一・五%に対し、精神障がい者の方は四九・三%と大きな差があることが分かります。精神の方は外見では障がいの有無が分かりづらく、またコミュニケーションに課題を抱えることが多く、人間関係等で御苦労されていることが多いと伺います。 そうした中で大切になりますのが、障がい者と雇用先をつなぐジョブコーチやなかぽつの就業支援担当の方々の力です。定期的に訪問をしながら、障がい者や雇用先からそれぞれ聞き取りをし、両者の溝を埋めていくことで安定した雇用につなげていきます。しかしながら、こうした取り組みには非常に人と時間を要することから、体制を強化していく必要があるのではないかと考えます。 そこで、商工労働部長にお尋ねをいたします。 障害者就業・生活支援センターについて、障がい者の就労定着支援をさらに進めるため、体制の強化を検討していただきたいと考えますが、お考えをお聞かせください。 五点目といたしまして、
新型コロナウイルス感染症の感染拡大により影響を受ける県立高等学校の購買部への対応についてお尋ねをいたします。 皆様は高校生の頃、学校の購買部を利用したことがありますでしょうか。私は、名古屋市内の愛知県立の高等学校に通っておりましたが、度々利用させていただきました。部活動をしており食べ盛りであったため、お弁当では足りない日にパンを買い足したり、家の都合でお弁当が準備できない日は購買部でパンを購入し、昼食にしました。登校後に学校外に出るには許可が必要でしたので、利用させていただいたものです。 多くの方が利用してきた購買部が、今岐阜県内の県立高等学校からどんどんなくなっていることを御存じでしょうか。少子化により学校定員数が減少したための売上げの減少、またコンビニやドラッグストアなど様々な場所でお弁当、おにぎり、パンなどが購入できるようになり、競合が増えていることも要因とのことです。 先日、県内の購買事業者の方からお話をお伺いしました。長年にわたり、県内公立高等学校に自家製のパン、お弁当などを販売している事業者の方です。お話を伺いますと、
新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で、生徒の登校日の減少により売上げが減少し、赤字が大きい学校からは撤退したとのことでした。学校サイドからは継続を依頼されているとのことですが、赤字が大きく継続は難しい状況です。 県教育委員会に確認させていただいたところ、現在購買部への支援として場所の使用料の免除等を行っていると伺いました。しかし、事業者の方には、免除する代わりに販売物を市場単価よりも下げてもらっているとのことで、免除している部分は全て利用する生徒へ還元されているとのことです。一方で、学校に設置されている飲物などの自動販売機の設置は入札になっており、今回のコロナ禍で売上げが減少した分は契約に基づき、減額をしているとのことでした。購買事業者とはこうした契約をしておらず、支援はできないということでした。 コロナ禍で様々な事業者が影響を受けており、特別な対応は難しいとのことでありますが、密を避けるために購買部の利用を控えるよう、生徒に呼びかけられておった学校もあったと伺い、学校側から制限がかけられたという特殊事情があったことを鑑みると、支援があってもよいのではないかと考えます。 全ての学校に購買部があるわけではありませんので、画一的な対応は難しいとは思いますが、購買部の継続を望む学校、また薄利でも生徒のために購買部を続けたい事業者があることを考慮しながら、今後取り組みを検討する必要があるのではないでしょうか。 そこで、教育長にお尋ねをいたします。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受ける県立高等学校の購買部について、学校のニーズや購買事業者の状況に応じた対応を検討すべきと考えますが、お考えをお聞かせください。 最後に、自動車の運転免許証の自主返納についてお伺いいたします。 この課題につきましては、令和元年九月議会におきまして、運転免許失効者に対する運転経歴証明書の発行についてお尋ねさせていただいた際に、申請者、とりわけ高齢者が申請しやすい環境の整備について質問させていただきました。 そして、本年六月議会には、野村美穂議員が高齢者の交通事故防止対策の強化について質問され、奥野警察本部長から、高齢者の交通事故死者が全体の約七割を占め、また高齢運転者による事故も全体の四割を占めるなど、依然高齢者が関係する事故が多く発生していることが上げられる。こうした現状を踏まえ、高齢者の事故を防止するため、可搬式速度違反自動取締装置の活用や交通監視など、街頭活動の強化による生活道路の安全確保、シミュレーター等各種教育機材を積極的に活用した参加・体験・実践型の交通安全教育、多種多様な広報媒体を活用した多角的な交通安全情報の発信、そして運転免許を自主返納しやすい環境の整備など、総合的に高齢者交通事故防止対策を推進しているとの答弁がありました。 そこで、改めて運転免許を自主返納しやすい環境の整備についてお尋ねをいたします。 現在、こうした方が手続をできる場所は、県内の二十二警察署、三幹部交番、六免許センターの計三十一か所となっています。しかしながら、非常に面積が広い本県において、三十一か所の返納場所が地理的に遠く、申請がしにくいとのお話もお伺いします。こうしたことから、県議会公明党としても、例えば身近な交番等で免許返納ができるような取り組みをと要望してまいりました。県警察としては、交番等は緊急事案等があった際、警察官が不在になることもあり、県外で実施しているところでも予約制で行っており、それでも急遽対応できず日程変更していただくケースがあるとのことで現状では難しいとのことでした。 一方で、少しでも県民の方が返納しやすい方法を模索され、本年は試行的に多治見警察署管内において、土岐市役所と瑞浪市役所において予約制で実施をされたとも伺いました。さらなる利便性の向上を願うところであります。 また、他自治体を見ますと、愛知県と兵庫県で郵便での免許返納が始まっているとも伺いました。こうした先進事例も調査をいただき、ぜひ本県としても検討していただきたいと思います。 そこで、警察本部長にお尋ねいたします。 免許返納を希望する県民の方が申請しやすい環境づくりに取り組むべきと考えますが、お考えをお聞かせください。 以上で、私の質問を終わります。御清聴、大変にありがとうございました。 (拍手)
○議長(佐藤武彦君) 健康福祉部長 堀 裕行君。 〔健康福祉部長 堀 裕行君登壇〕
◎健康福祉部長(堀裕行君)
障害者優先調達推進法に基づく障害者就労施設等からの物品等の調達の拡大についてお答えします。 県では、これまで平成二十五年四月に施行された
障害者優先調達推進法に基づき、県が率先して障害者就労施設等からの物品・役務の調達を推進するため、毎年度調達目標額などを定めた障害者優先調達推進方針を策定し、優先調達に取り組んでまいりました。結果として、県における調達実績額は、制度導入の初年度である平成二十五年度には七百九十万円でしたが、令和二年度には八千万円超と約十倍に増加し、全庁的な取り組みの成果が出てきています。 今後も、県での優先調達を拡大するため、障害者就労施設等が提供可能な物品や役務について、食料品・飲料、クリーニングといった分類ごとに提供可能な数量とその納期、受注実績の有無などを分かりやすく整理するほか、優先調達により購入した物品などの利用例をまとめ、各所属に周知してまいります。 また、同様の取り組みを行う市町村に対し、調達拡大に向けた働きかけを行い、県内全域での優先調達の拡大に努めてまいります。
○議長(佐藤武彦君) 商工労働部長 崎浦良典君。 〔商工労働部長 崎浦良典君登壇〕
◎商工労働部長(崎浦良典君) 障害者就業・生活支援センターの体制強化についてお答えします。 障がい者の就業定着の促進に向けては、県内六か所の障害者就業・生活支援センターにおいて、国が配置する支援員三名程度に加え、県独自に精神保健福祉士の資格を持つ支援員など三名を順次配置し、きめ細かな支援を行っております。この結果、センターで支援した障がい者の一年後の職場定着率は、昨年度は八一%となっております。しかし、御指摘の精神障がい者については、定着率七六%と若干低く、またコロナ禍で不安が増す方々からの相談件数が、昨年度は前年に比べ五割程度増加する一方で、事業者からも仕事の任せ方や配慮すべき事項に課題を抱える声をいただいているところです。このため、県としても精神障がい者に向けた支援員の増員などの支援体制強化に向けた検討を進めてまいります。 あわせて、センターへの登録者が最近五年間で一・五倍に増加し、定着促進に向けたよりきめ細かな対応が求められることから、国に対して体制の強化を要望してまいります。
○議長(佐藤武彦君) 教育長 堀 貴雄君。 〔教育長 堀 貴雄君登壇〕
◎教育長(堀貴雄君) 新型コロナにより影響を受ける県立高校の購買部への対応についてお答えします。 主に生徒向けの昼食の販売をする各学校の購買部については、生徒・保護者のニーズに応じて各学校の判断に基づき設置してまいりました。しかし、近年ではコンビニエンスストアの増加やコロナ禍の影響など社会状況の変化により、購買部を利用する生徒が減る中、利用者が経営上の問題で撤退し、購買部がなくなった学校が増えている状況にあります。現在、約三割の県立高校で購買部がありませんが、購買部が廃止された場合を含め、購買部の必要性や在り方については立地など各学校の状況や利用者の状況によっても異なってくることから、まずは各学校においてPTAや地域と学校をつなぐ存在である学校運営協議会等において協議していく必要があると考えております。 県教育委員会としましては、こうした各学校の状況を十分に把握し、各学校に対して必要な助言を今後してまいります。
○議長(佐藤武彦君) 警察本部長 加藤伸宏君。 〔警察本部長 加藤伸宏君登壇〕
◎警察本部長(加藤伸宏君) 運転免許証の自主返納がしやすい環境づくりについてお答えいたします。 運転免許証の自主返納につきましては、全国の警察が自主返納しやすい環境の整備に向けた取り組みを進めております。県警察では、県内六か所の運転者講習センター、県内二十二か所の警察署及び県内三か所の幹部交番、合計三十一か所で自主返納の申請を受け付けておりますが、これにとどまらず、さらなる環境の整備が必要であると認識しております。 幹部交番を除く交番等での申請受付につきましては、事件・事故への対応上、現在のところ実施は困難と考えておりますが、遠方まで返納に行くのは不便だという方々の要望を受け、多治見警察署において瑞浪市で二回、土岐市で一回、自治体と連携して出張窓口を開設いたしました。今後も自主返納を考えている方々の要望に応じて、市町村と連携した出張窓口を開設してまいります。 また、議員御指摘の郵送による自主返納につきましては、来年度の導入に向け鋭意準備を進めております。
○議長(佐藤武彦君) 二十五番 高殿 尚君。 〔二十五番 高殿 尚君登壇〕(拍手)
◆二十五番(高殿尚君) 通告に従い、今回は二分割にて早速質問に入らせていただきます。 先月三十日に新型コロナウイルスの新たな変異株オミクロン株の急拡大を受けた水際対策の強化措置として、当面一か月の間、全世界を対象に外国人の新規入国が禁止されました。この質問は、この変異株を含めたコロナの早期終息を祈りつつ、コロナ後を見据えた取り組みの一つ、インバウンドの早期回復に向けた施策の展開について質問をいたします。 今定例会では、コロナ後の経済回復・再生の一つとして、インバウンド早期回復緊急対策事業が議案として上程されました。今まさに進んでいる来年度当初予算編成に先駆けて、早期回復と銘打ったこの事業に大いに期待しているところでもあるとともに、この緊急対策の先の次なる大きな事業展開にも期待を寄せているところでもあります。
新型コロナウイルス感染症の第六波に備え、今議会でも感染防止対策に関わる議案が上程される中、一年先あるいは三年先を見据えた中長期的事業展開についても、今だからこそ行うべきだと感じます。言わば近未来の種まきの時期でもあるということであります。また、早期回復のための緊急対策はコロナで落ち込んだ経済、例えるなら荒れた畑を少しでも元に戻そうという対症療法になります。 外国人旅行者や受入れ側の関係業者は、いつ自身や家族が感染するか分からないという不安と、いつ終息するのか見通しができない不安の二つの不安を持っています。したがって、今この時期に緊急対策を打つことは、インバウンド関係者にとっては久々に差し込む光となるような再生プランであると思います。 私の地元高山市は、皆さん御存じのとおり観光業を主力としています。高山市におけるコロナ前後の外国人延べ宿泊者数を見ると、コロナ前の二〇一八年が五十五万人、二〇一九年が六十一万人と順調に推移しておりましたが、コロナ禍の二〇二〇年には十一万人と激減する結果となりました。こうした中、高山市観光協会では、コロナ後を見据え、観光産業の再生プログラムを策定されております。その中には、インバウンドについて二〇二二年は東アジアから訪日客が一部戻り、二〇二三年以降には欧米を中心とした遠距離客が徐々に戻るものと想定し、二〇二五年までには二〇一九年並みの回復を見込んでいると記載されています。 また、岐阜県全体に目を向けましても、外国人延べ宿泊者数の推移は高山市の推移と同様に、コロナ前の二〇一八年が百四十八万人、二〇一九年が百六十六万人と年々順調に推移していましたが、コロナ禍の二〇二〇年には二十九万人まで落ち込んでしまっております。まずは、コロナ禍前の二〇一九年のレベルまで復活させることが一つの目標になるのではないかと考えます。 こうした県内インバウンドの目標達成には、緊急対策だけではなく、
新型コロナウイルス感染症が終息し、航空路線の運航が徐々に再開されていく中で、日本に訪れる外国人旅行者に岐阜県を選んでいただくことが必要です。岐阜県を旅先に選んでいただくためには、岐阜県の魅力をPRすることは変わりありませんが、コロナ以前と現在ではPRの手法、対象、コンテンツなど多くの点で異なると考えられます。感染防止策が徹底されており、旅行者が安心・安全に滞在できること、また万が一感染した場合に最大限の対策が講じられていること、こうした取り組みが効果的なPRにつながるのではないでしょうか。 私は、平成二十八年六月定例会で、急増する外国人観光客のより安全な滞在に向けた対応について質問をさせていただきました。内容は、旅行中にはアクシデントが付き物であり、異国での突発的な病気や事故が多いことも事実。旅行客の実に四%が突発的な病気や不慮の事故に遭っているとの観光庁の調査結果もある。ゆえに、急増する外国人観光客により安全に滞在いただくために、県内医療機関における受入れ体制をどのように整備するのかと県の対応について問いました。これに対して、当時の健康福祉部医療・保健担当次長は、県のホームページにおける外国語に対応できる医療機関の情報提供、医療通訳確保を図る病院に対する補助制度の創設など、外国人患者の受入れ体制の整備を開始したところであり、医療通訳が可能となる環境整備や医療従事者の語学能力の向上などの対策を検討していくと答弁されました。 これは、当時の日常に起こり得る外国人観光客の不慮の病気や事故を想定した質問ではありましたが、以後に起きたコロナ感染症に対する備えや対応にも通じるものであったと改めて実感しているとともに、この取り組みのさらなる前進を期待しております。 さて、そうした中、高山市では、厚生労働省の実証事業である地域の医療充実を通した外国人受入れ推進のための体制構築支援事業を活用してコロナ後を見据えた取り組みを推進していこうとされています。この取り組みは、医療機関、観光従事者、地方公共団体が連携した訪日外国人受入れ体制整備を目指すものです。 提案団体として、高山市、高山赤十字病院、久美愛厚生病院、飛騨・高山観光コンベンション協会及び飛騨高山旅館ホテル協同組合の五者間で構成する飛騨高山医療観光連携実証事業推進協議会に加えて、支援団体として高山市医師会、薬剤師会のほか、損害保険会社等も構成されております。 例えば、コロナ発生以前までの医療機関における外国人観光客の対応に関しては、日本語が通じず文化の違いがある外国人の患者に対して、医療内容、料金、診療後の予定説明から、帰国日程の変更など患者が必要とする各種手続や不幸にも死亡に至った場合の母国への連絡、埋葬等の対応に至るまで、国別に多種多様な対応が求められ様々な課題がありました。以後、インバウンドの回復を目指すに当たって、これらの課題に対応するため、外国人観光客の急病に対応できる相談体制の確立や、医療機関内の体制の最適化も含めた外国人観光客向けのワンストップ窓口の設置などの受入れ体制の整備について検証するものであります。 こうした旅先での安心・安全の確保は、以後旅先に選ばれるための大事な要素の一つとなると私は確信しております。県においても、こうした実証事業の結果を参考に、部局横断で外国人観光客の受入れ体制の構築を図る施策を推進し、県内市町村、医療機関、観光事業者などに展開されることを提案させていただきます。 さて、最初に種まきの時期と申し上げましたが、このような安心・安全な環境を整備することは、言わば畑を耕すことであり、さらに申し上げると、岐阜県はそれ以外に外国人観光客から選ばれるための土壌づくりに尽力されてきました。それが岐阜県の強みである文化・自然・たくみの技といったサステーナブルな観光資源の掘り起こしと磨き上げ、そしてそのPRです。 コロナ禍において旅行客が今一番したいことは何でしょうか。それは、密を避けた豊かな自然の中でマスクを外し、思いっ切り深呼吸して自然を感じることではないでしょうか。その中で、例えば湯量も十分な良質な温泉につかること、御当地の郷土料理を楽しむこと、それらをかなえることができる岐阜県に、先ほど申し上げたような充実した医療体制など環境整備がされれば、その相乗効果でより魅力的な観光地となるのではないでしょうか。 感染が落ち着いていることが前提ではありますが、これまで県をまたぐことが制限されてきた国内旅行もいよいよ県内から隣接県、ブロック、そして全国へと順次再開していくことを政府、観光庁の方では検討しているというような話も聞こえてきます。 古田知事におかれましても、感染状況を見据えてという大前提ではありますが、これまで岐阜県に訪問実績が豊富であり、さらにトップセールスで築いてきた世界市場のターゲット国に再び赴くタイミングやチャンスが訪れたとき、ぜひとも岐阜県のサステーナブルな観光資源や安心・安全な観光地であることを大いにPRしながら、インバウンド回復へのリーダーシップを発揮されることを期待しております。 そこで、観光国際局長にお尋ねいたします。 インバウンドの早期回復や岐阜県が世界から選ばれ続けるような旅先となるために、どのような観光振興施策を展開していくのか、お考えをお尋ねします。 以上で、一回目の質問とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○議長(佐藤武彦君) 観光国際局長 矢本哲也君。 〔
商工労働部観光国際局長 矢本哲也君登壇〕
◎
商工労働部観光国際局長(矢本哲也君) インバウンドの回復に向けた施策の展開についてお答えします。 コロナ禍で観光産業が逆風の中、他方で自然環境が守られている乗鞍山麓五色ケ原の森の入り込み客数がコロナ前を上回るなど新たな動きも現れています。インバウンド回復に向けては、こうしたサステーナブルツーリズムに軸足を置き、先手の対策を講じてまいります。 まず魅力発信として、世界の持続可能な観光地百選に選ばれた長良川流域をはじめ、自然、歴史や文化を生かした本県ならではのプログラムを世界に広く発信してまいります。特に早期回復が期待されるアジア市場においては、現地旅行会社等と連携し、ツアーの造成やPRを切れ目なく展開いたします。 また、受入れ環境整備として、インバウンド向けデジタルマーケティングを強化し、収集・分析した国籍別データ等を官民が連携して活用することで、サービス向上と効果的な誘客につなげてまいります。加えて、何より安全・安心の確立が求められる中、引き続き感染防止対策の徹底や病気・事故時のサポート等も含め、事業者とともにその充実を図ってまいります。
○議長(佐藤武彦君) 二十五番 高殿 尚君。 〔二十五番 高殿 尚君登壇〕
◆二十五番(高殿尚君) 次に、近年多発した災害の教訓を生かした岐阜県強靱化計画の着実な進捗について、二点質問をいたします。 令和二年三月に第二期岐阜県強靱化計画が策定されました。この第二期計画の期間は、令和二年度から令和六年度までの五年間であります。まずは、この岐阜県強靱化計画のポイントについて簡単に説明をいたします。岐阜県強靱化計画は、国土強靱化に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、本県の強靱化に関わるほかの計画等の指針となるべきものであり、どんな自然災害が起こっても機能不全に陥らず、いつまでも元気であり続ける強靱な岐阜県をつくり上げるために策定されたものであります。 この計画は、県民の生命の保護が最大限に図られること、県の重要な機能が致命的な障害を受けず維持されること、県民の財産及び公共施設に関わる被害を最小化とすること、迅速な復旧復興の四点を基本目標に定め、本県の特性を踏まえた取り組み、効果的・効率的な取り組み、防災教育、人材育成と官民連携の取り組みの三点を基本的な方針として位置づけ、これらの方針に基づき、計画が推進されております。 また、第二期計画への見直しに当たっては、第一に第一期計画の検証結果の反映、第二に近年の災害から得られた教訓を盛り込んだ国の国土強靱化計画の見直し内容等の反映の二点が見直しのポイントとして上げられていますが、私はこの災害から得られた教訓の反映が非常に重要な視点であると考えます。 この第二期計画に反映された災害から得られた教訓としては、まず地震による災害は平成二十八年の熊本地震における教訓があります。具体的には、県・市町村相互の応援体制、支援物資対策、孤立集落対策、道路啓開、避難所環境の充実などが上げられ、また平成三十年北海道胆振東部地震では大規模停電対策が上げられます。 一方、台風や豪雨等による災害に目を向けますと、平成二十八年台風十号では要配慮者利用施設の避難対策、平成二十九年九州北部豪雨では風水害タイムラインの策定、平成三十年二月の大雪では除雪体制の強化、交通障害の対策が教訓として反映されています。 さらに、県内における災害からの教訓といたしましては、平成三十年七月豪雨では総合的な水害・土砂災害対策、中小河川における水害時の避難対策、住民主体での実効性のある避難対策、また平成三十年台風二十一号では、危険樹木の事前伐採による停電対策が反映されています。 このように、近年に起きた大災害の教訓が計画に反映される中にあって、私自身もこれまでの一般質問において、災害に直面し被災された県民の皆様の生の声、災害時に実施主体となるべき市町村が真に必要とされる支援などを県政に反映すべく、改善すべき対策や打つべき施策の展開について、時期を逸せず幾度となく取り上げ提案し続けてまいりました。 農林部門では、台風による農業生産施設の復旧支援と、営農意欲向上・経営再建への支援策、台風による森林被害の検証と倒木を未然に防ぐための事前間伐支援策、大雪による倒木被害に対する森林整備や再発防止策。危機管理部門では、御嶽山火山噴火を踏まえた火山防災対策。さらに、県土整備部門では、自然災害発生時の分かりやすい道路情報の提供システムの改善策、災害発生時の電柱の倒壊による道路封鎖に備えた無電柱化の推進策など、幅広い分野で様々な施策を提案させていただき、県の対策として反映していただいてきました。県の強靱化を実現するには、起こったことを検証し、その結果を即座に今後の対応に反映させるといった不断の取り組みを継続して実施していくことが重要であると考えます。 この第二期強靱化計画が策定されて二年が経とうとしています。この間、私の地元、高山市の東部や東南部など飛騨地域南部を中心に大きな災害が二年連続発生し、そのたびに県は災害の検証を行い、また新たな対策を打たれています。令和二年七月豪雨災害の検証の結果、コロナ禍における避難所運営のソフト面などの対策と、孤立予想集落などへのアクセス道路等に対する道路改良事業の推進などハード面における対策について取り組みが強化されています。 また、本年八月には、東濃や飛騨南部を中心に記録的な大雨となり、令和二年七月豪雨と同様に土砂災害や河川の溢水が発生し、復旧工事中の箇所が被災する事態も生じました。検証では、復旧工事の迅速化に向けた取り組みの推進など、これまでも継続的に実施されている対策とともに、住民の避難意識の向上に向けた取り組みの強化に関する新たな対策が打ち出されています。 年々、自然災害が激甚化、頻発化している中にあって、この二年間で発生した災害において、幸いにも致命的な事態に至っていないことは、これまで述べてきたように、この強靱化計画に基づく対策が効果的に機能しているあかしではないかと考えます。ただし、この二年間の災害は一歩間違えば極めて大きな災害になっていたと言っても過言ではない状況でもあり、気を緩めることがあってはなりません。 そこで、危機管理部長にお尋ねをいたします。 第二期岐阜県強靱化計画に基づく各事業の実施が、県民の安心・安全の構築に欠かせないと考えますが、第二期強靱化計画を着実に進捗させるためにどのように取り組んでいるか、県の見解をお尋ねいたします。 次に、二点目として個々の対策についてお聞きしたいと思いますが、質問時間の制約もあることから、広範囲に及ぶ対策の中から、道路の無電柱化の一点に絞って質問をいたします。 この無電柱化の取り組みについては、私は以前よりその重要性を感じており、平成二十九年九月定例会において、防災上の観点と良好な景観形成の観点の二つの視点から、無電柱化の取組推進について質問させていただき、改善を求めてまいりました。 当時の背景を少しお話しさせていただきますと、災害の防止、安全かつ円滑な交通の確保、良好な景観の形成等を図ることを目的としているこの無電柱化の取り組みは、私が質問するちょうど一年前の平成二十八年十二月に無電柱化の推進に関する法律が制定・施行され、国を挙げて推進されることになりました。こうした国の動きとともに、地震や台風などにより電柱が倒壊し、緊急輸送道路をはじめとする基幹道路を塞ぎ、緊急援助や救援、復旧のための重機や物資が現場に到着できなかったという事態や、平成二十六年末の豪雪において、高山市を中心とした倒木により多数の電柱が倒壊し、電線が切れ、長期にわたる停電や道路封鎖が生じたことなどから、防災上の必要性を切に感じて質問をさせていただきました。 無電柱化は、地震等の災害が起きた際に、電柱が倒壊することによる道路の寸断を防止し、緊急車両等の通行に支障を来すことを避けるための有効な施策であると考えております。 また、東日本大震災の経験から、平成二十五年六月に道路法三十七条が改正され、防災上の観点から、重要な道路について地震等の災害が発生した場合における緊急輸送道路や避難路としての機能を確保するため、道路管理者が区域を指定した上で道路占用を禁止または制限することができるようになったという背景もあります。 これらを踏まえ、時の答弁のとおり、平成二十八年より国が管理する緊急輸送道路約二万キロに対して、電柱の新設を禁止したことを受け、県も管理する緊急輸送道路の全線二千キロに対して、電柱の新設を禁止する措置を平成三十年三月に開始したと伺っています。国や県は、いち早く緊急輸送道路に制限区域指定を行い、電柱の新設を禁止してきました。 岐阜県強靱化計画では、広域的かつ大規模な災害の際に、救援・復旧活動の拠点等を結ぶ緊急輸送道路ネットワークを確保するとされていますが、道路ネットワークとは国や県管理道路だけではなく、市町村が管理する道路を結んで初めて機能するものであり、災害時に県民の命と暮らしを守ることにつながるのではないでしょうか。 また、国では無電柱化推進法第七条の規定に基づき、無電柱化推進計画を平成三十年に策定し、無電柱化の推進に向けた着実な取り組みを実施してきました。しかしながら、多くの課題が残っていることを踏まえ、一層の推進を図るべく、法の規定に基づき、無電柱化に関する施策の総合的、計画的かつ迅速な推進のため、令和三年五月に無電柱化推進計画を見直ししたところであります。 無電柱化推進法において、地方公共団体における無電柱化推進計画の策定は努力義務とされているところですが、今回の国の見直しも含めて、県計画にも随時反映させていく必要があると考えます。 そこで、県土整備部長にお尋ねいたします。 国の無電柱化推進計画の見直しを踏まえた今後の県の対応と、市町村が管理する緊急輸送道路における道路法第三十七条による道路の占用を禁止または制限する区域の指定状況及び指定促進に向けた今後の県の取り組みについてお尋ねをいたします。 最後に、平成三十年度から令和二年度にかけて実施された国の防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策に続き、今年度から新たに五か年加速化対策が始まったことは、皆さんもよく御存じのとおりです。また、先月、政府の新たな経済対策が閣議決定され、その後各省の補正予算の概要も示されたところですが、防災・減災対策には必要な予算規模が措置されていると認識しているところです。 県関係部局におかれましては、強靱な県土づくりに必要となる予算・財源を安定的に確保するため、引き続き国への働きかけをお願いしながら、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございます。 (拍手)
○議長(佐藤武彦君) 危機管理部長 渡辺正信君。 〔危機管理部長 渡辺正信君登壇〕
◎危機管理部長(渡辺正信君) 第二期岐阜県強靱化計画を着実に進捗させるための取り組みについてお答えいたします。 まず第二期県強靱化計画の進捗でありますが、県強靱化計画アクションプラン二〇二〇に目標とする数値指標を設定するとともに、その達成状況を毎年度取りまとめ、公表しております。令和二年度においては、骨格幹線道路ネットワークの整備、河川改修の実施などのインフラ整備は着実に進捗するとともに、事業所でのBCP策定、災害・避難カードの作成などのソフト事業も順調に推移しております。あわせて、現在中濃から飛騨地方を中心に大きな被害があった昨年の七月豪雨の検証を踏まえ、緊急輸送道路整備、河川改修、砂防堰堤の堆積土砂の除去、治山ダムのかさ上げ、要配慮者利用施設の避難確保計画の作成支援などを進めております。 次に、来年度以降の方向性ですが、気候変動による災害の頻発、激甚化に対し、さらなる対策を講ずるべく災害検証の反映、デジタル技術の活用など新たな対策を盛り込みながら、国の五か年加速化対策に係る予算を積極的に活用し、アクションプランに沿ってソフト・ハードの両面から必要な事業を着実に進めてまいります。
○議長(佐藤武彦君) 県土整備部長 船坂徳彦君。 〔県土整備部長 船坂徳彦君登壇〕
◎県土整備部長(船坂徳彦君) 無電柱化に向けた県の取り組みについてお答えします。 新たな国の計画では、昨今の激甚化、頻発化する風水害や大規模地震などに備えるため、新設の電柱を増やさないとの方針が示されました。県としましても、これを踏まえて電柱の新設を禁止する区域に、これまでの県が管理する緊急輸送道路に新たに孤立集落へのアクセス道路を追加することとし、来年度中の指定に向け、関係機関と協議を進めております。 一方、市町村が管理する緊急輸送道路については、北方町や大垣市の一部を除いて、現在のところ区域指定には至っておりません。このため、市町村が参加する防災関係会議などあらゆる場を活用して早期に区域指定に取り組まれるよう働きかけるとともに、指定に係る一連の手続をマニュアル化して提供するなど支援を行ってまいります。 今後は、年度内を目途に岐阜県無電柱化推進計画を改定し、県全体として着実に無電柱化が進むよう取り組んでまいります。
○議長(佐藤武彦君) 十番 藤本恵司君。 〔十番 藤本恵司君登壇〕(拍手)
◆十番(藤本恵司君) こんにちは。 議長に発言のお許しをいただきましたので、通告に従い、今回は建設業におけるBIMの普及促進に向けた県の取り組みについて質問をさせていただきます。 近年、建設業界では、人手不足や長時間労働といった問題解決のために様々なツールやアプリケーションが開発・導入されています。その中の一つであるBIMは、建設業界における
デジタルトランスフォーメーションの基盤として期待されており、BIMを導入するゼネコンや設計事務所が増えています。 議場の皆様にはこういった資料を配付させていただきました。 BIMとは何か。まだまだ聞き慣れない言葉ではないでしょうか。BIMとは、Building Information Modelingの頭文字を取った略称のことです。コンピューター上に作成した三次元の建物の外観、柱、壁の位置などの形状情報に加え、部屋等の名称・面積、材料・部材の仕様・性能、仕上げなど建物の属性情報を併せ持つ建物情報モデルを構築するシステムです。BIMの活用により、構造計算や部材の積算などの設計作業や施工中の資材管理や工程管理、完成後の維持修繕など設計から維持管理までの一元的な情報管理が可能となり、時間短縮・生産性向上に資することが期待されています。 通常、建物を建設する場合は、企画・設計・施工と進み、建物完成後、維持管理へと進みます。実際には、発注者の要望により建物が企画され、企画案に沿って設計事務所で二次元の平面図・立面図・断面図等の設計図書が作成されます。しかし、このような二次元の図面だけでは発注者に説明してもなかなか理解していただけない場合がほとんどです。そのため、発注者への説明用に素人でも分かりやすい三次元モデルを新たに作成する場合もあります。 次に、設計図書に基づいて積算・見積りを行った後に施工業者が決まり、施工に入ります。施工業者は、設計事務所が作成した設計図書を基に施工図面を作成します。また、躯体工事や設備工事においても、それぞれ施工図面を作成いたします。ここでも工事業者が発注者や設計事務所に分かりやすいように外観や内装仕上げ等の三次元モデルを特別に作成する場合もあります。施工が終了し、建物が完成した後は維持管理が必要となります。管理業者と施工業者が異なる場合、管理業者は施工業者から施工の情報を取りながら管理を進めていく。このような流れとなっています。 こうした中、BIM導入のメリットは業務の効率化、メンテナンスへの活用、完成イメージの共有などが上げられます。これまでも、三次元モデルはコンピューター上で見ることはできました。しかし、これまではCADで作成された二次元の平面図や立面図・断面図を基に三次元モデルを作成していました。三次元化した後に修正が入った場合、関連する二次元の平面図、立面図や断面図も全て修正する必要があります。 一方、BIMを活用した設計では最初から三次元で作成します。その三次元モデルから簡単に二次元の平面図や立面図も作成することができます。BIMは全てのデータが連動しているため、どこかの情報を一つ修正すると関連する全てのデータが自動で修正されます。手作業でいろいろな図面やデータを修正する手間が必要なくなります。 例えば設計が完成して、いざ施工が始まってから現場に搬入された建材同士が合わない、サイズが違う、実物と図面の内容が異なることや設備配管をする際に構造体と干渉し配管ができないこともあり、干渉を解決するためには設計を見直す必要があります。設計の見直し・変更に伴って必要な建築部材が変わり、予算や工程も変わることがあります。建設業界において、こういった訂正のことを手戻りと呼びます。この手戻りがBIMを導入することによってなくなると、圧倒的に手間や時間を削減することが可能となります。 加えて、BIMモデルは、建材パーツや設備といったそれぞれのデータの集合体として構築されます。BIMに登録する建材パーツのデータには、幅や奥行き、高さといった基本的な情報から組み立てるための工程や時間も盛り込めます。そのため、図面以外の数量といったデータも参照することができ、設備機器や仕上げ材のメーカー、品番、価格などの詳細な情報を入力できるので、資材管理にも活用できます。 施工上においても、パソコン上でBIMモデルの表示を変えることで施工時の進捗状況の確認も視覚的に可能となり、朝礼や工種間の作業調整のための工程会議においても現場担当者や職人が作業内容を理解しやすくなり、会議時間の短縮になり、結果として工期の短縮や建築コスト削減につながります。さらには、完成後の維持管理においても、設備機器の名称や数量、おのおのの点検や交換時期の目安が情報として残せるため、把握がしやすかったり、修理時に問合せ先となるメーカーの情報の取り出しにも迅速に対応ができたりします。 また、線だけで描かれた図面では、業界に熟達した人材にしか理解できないことがよくあります。実際に施工した際、発注者のイメージと違うことがよくあります。建物は外壁の仕上げや素材を変えるだけでイメージが大きく変わり、どの壁にどのような仕様の窓やドアといった建具が配置されるのか、部屋の名称や面積の確認、周囲の景観との兼ね合いの確認にも役立ちます。BIMなら立体的な構造が視覚的に把握できるため、発注者・設計者・施工者の完成イメージの共有がしやすくなります。見積り、契約段階で予算との大きな差が生じにくくなるとも言えます。 さらに、
新型コロナウイルス感染症対策でテレワークが普及しましたが、BIM導入により、対面で行っていた図面を見ながらの打合せを遠隔で行うことが可能になります。また、業務の効率化にとどまらず、労働環境の改善・向上が図れ、離職防止や若手技術者をはじめとする人材の確保にもつながると思われます。 さて先日、都市建築部に伺い、実際にBIMの操作を見せていただきました。パソコン上の三次元の空間で柱、はり、床、天井といった部材を組み合わせることにより、簡単に構造のイメージが作成されます。さらに、外壁、屋根、窓、入り口等の部材を入力することで実際の建物に近い外観のイメージが映し出されました。また、簡単に平面図を出力することもできました。次に、入り口の大きさを変更した後に平面図を出力すると、平面図上においても変更されていました。BIMモデルで変更すれば、その他の図面にも情報が反映されるため、整合性の取れた図面となります。 私は、CADで二次元の図面を作成したことがありますが、一か所訂正するたびに他の全ての図面を訂正しなければならず、とても大変な思いをしたことを思い出します。しかし、BIMを活用すれば、その手間が大きく削減されることを実感した次第であります。 ここまでBIMのメリットばかり述べましたが、企業におけるBIM導入に当たっては当然課題もあります。まず、BIMはこれまで使われていたCADよりも導入コストが高く、導入してからコストの回収ができるかという懸念があります。次に、BIMを扱える技術者が不足していることに加え、BIMを扱えたとしてもまだまだ操作に不慣れなため、BIMモデルをつくり上げる際に時間がかかったりします。さらに、BIMモデルはデータ自体が重いことが多いため、現場で確認することが難しい状況です。具体的には、データ容量が大きいため、ダウンロードに時間がかかったり、パソコンの動きが重く、確認したい情報にたどり着けないというものです。 また、発注者と打ち合わせながら設計業者によるBIMモデルを作成し、その後施工業者によるBIMモデルの作成、そして完成後の維持管理業者によるBIMモデルの作成をすることとなりますが、現状では設計・施工・維持管理の過程に応じた業者ごと、個別での活用にとどまり、横断的な活用がされていません。全ての過程でBIMが導入されれば、劇的に業務の効率化が進むと言われています。 このような状況において、国では、令和元年六月に国土交通省内に建築BIM推進会議を設置し、BIM活用環境の整備を進めています。また、建築分野において生産性向上や産業転換、価値創出等に資するBIMの活用を促進するため、設計・施工等のプロセスを横断してBIMを活用する試行的な建築プロジェクトにおけるBIM導入の効果等を検証する取り組みを支援するBIMを活用した建築生産・維持管理プロセス円滑化モデル事業も予算化し、令和二年度から運用されています。 国内のゼネコンや大手建設・建築企業では、設計・施工・デザイン業務を中心にBIMの導入の動きが活発化しています。しかし、中小企業では、導入のコスト・人材の育成がネックとなり、まだまだ普及していないのが現状です。 そこで、都市建築部長にお尋ねをいたします。 大手建設・建築企業だけにおいてBIMの普及が進むのではなく、中小企業を含めた建築分野におけるBIMの普及促進に向けた県の取り組みをお尋ねいたします。 今回は建設業に関する質問をさせていただきました。御清聴ありがとうございました。 (拍手)
○議長(佐藤武彦君) 都市建築部長 大野真義君。 〔都市建築部長 大野真義君登壇〕
◎都市建築部長(大野真義君) 建築分野におけるBIMの普及促進に向けた県の取り組みについてお答えいたします。 BIM導入に当たっては、操作できる人材の不足、効果が分かりにくく、導入に踏み切れないなどの課題があり、県内では大手企業を中心にいまだ約一割の導入にとどまっています。このため、県ではまず人材の育成に向けて建築技術者を対象にBIMの操作研修を実施し、作業時間の削減や利便性などの導入効果について理解を促進するとともに、建築系学科を有する工業高校六校において、本年度BIM機器を導入し、来年度から授業に取り入れ、将来の人材の輩出を期してまいります。 また、導入の後押しとして、BIMの活用を条件とした県発注のモデル工事により、実際に利用する場を確保し、導入効果を実感していただくという全国でも先進的な取り組みを行い普及に努めています。 今後も県内事業者のニーズを丁寧にお聞きしながら、研修内容の拡充やモデル工事の段階的な拡大を検討するとともに、活用事例や導入費用に対する国の支援制度の紹介などを行うことで、さらなる普及促進に努めてまいります。……………………………………………………………………………………………
○議長(佐藤武彦君) しばらく休憩いたします。
△午前十一時三十三分休憩 ……………………………………………………………………………………………
△午後一時再開
○副議長(松岡正人君) 休憩前に引き続き会議を開きます。……………………………………………………………………………………………
○副議長(松岡正人君) 引き続き一般質問並びに議案に対する質疑を行います。二十三番 野村美穂君。 〔二十三番 野村美穂君登壇〕(拍手)
◆二十三番(野村美穂君) こんにちは。 ただいま議長の発言のお許しをいただきましたので、通告に従い、大きく六点三分割で質問いたします。 まず初めに、ヘアドネーションの社会的認知の向上についてお尋ねします。 皆さんは、ヘアドネーションという言葉を御存じでしょうか。私は数年前に友人が長い髪をばっさり切った様子をSNSに投稿したことがきっかけで、このヘアドネーションを知りました。ヘアドネーションとは、寄附で集めた髪から医療用のウイッグを作り、脱毛症や抜毛症など病気やけがで髪を失った子供に無償で提供する活動です。ウイッグは購入すると二十万円弱と高額で、子供の成長に合わせて作ることは、経済的負担が大きくなります。頭全体を覆うウイッグには、二十人から三十人分、約三キロの髪が必要で、寄附した髪がウイッグになるまでには二、三年かかります。 私自身は御覧のとおりショートカットなので、私にヘアドネーションは無理と、言葉の認知にとどまっていました。今回、ヘアドネーションについて質問するきっかけとなったのは、がん教育の推進に関する取り組みやジェンダー、無意識の偏見を意味するアンコンシャスバイアス、年齢性別を問わない社会貢献といった私たちが社会生活を送る中で向き合わなければいけないことに改めて気づき、これを皆さんと共有しなければならないと思ったからです。 がんサバイバーで高校の同級生が描いた「ママのバレッタ」という絵本があります。ちなみに、令和二年七月に県図書館でがん教育の一環として原画展も開催されています。この絵本には、がん闘病中に抗がん剤の影響で毛髪が抜けてしまった母親と子供の日常生活が描かれています。彼女との再会やこの絵本を通して、病院での闘病生活の中だけでなく、家庭での日常生活も含め、あらゆる場面でがんと向き合うことが必要であることを改めて認識することができ、よりリアルにがん教育の必要性や重要性を感じました。 さて、アデランスが二〇二〇年に全国四十七都道府県の二十代から六十代の男女約五千人に対して実施した調査によると、ヘアドネーションの認知率は五二・二%で、まだ社会的に認知されているとは言えず、男女別では男性の認知率が三四・二%に対して、女性は七〇・一%と大きな差が生じています。 このように、男性の認知率がまだまだ低い中でも、三年以上かけて六十センチ近く伸びた髪をヘアドネーション活動に取り組むNPO法人に寄附した男性の記事が新聞に掲載されていました。そこには、長髪の中高年男性に対して世間の目が厳しかったことや、自分自身にもアンコンシャスバイアスという無意識の偏見があったことに気づくきっかけとなったことなどが記されていました。 また、その記事には、都内に住む高校一年生の美術部員がヘアドネーションマークを作り、クラウドファンディングを活用して缶バッジなどを作成していることも掲載されていました。彼女が中学一年生のときにジェンダーについて調べた際に、男性が髪を伸ばすことが難しい現実を知り、髪を伸ばしている理由が見て分かるようにしようと自らデザインしたそうです。これがそのバッジです。議場にもその資料をお配りしています。 別の記事では、友人が闘病する姿を見てヘアドネーションを始めた小学生の双子の兄と妹について取り上げられていました。男の子なのにと長髪をからかわれた経験や、男である兄だけが偉いねと特別視された経験などから、人々の中に「男は普通、髪を伸ばさない」などの無意識につくり上げられた普通や常識があることに気づくことができたと掲載されていました。 ヘアドネーションは、性別を問わず小学生でもできる社会貢献です。そのため、どこの理容院・美容院でもヘアドネーションをしたいと告げれば、サポートをしてもらえるような環境を整えることも必要です。 私は、ヘアドネーションという言葉を通じて、なぜそのような取り組みをする必要があるのかを一人でも多くの方に知っていただきたいと思います。また、ヘアドネーションに取り組みたいと思った人が、偏見や無理解等によってちゅうちょしたり、せっかく伸ばし始めたにもかかわらず、途中で断念しなくてもよい社会を目指すためにも、ヘアドネーションという言葉と概念を普及させる必要があると考えます。 そこで、健康福祉部長にお尋ねします。 小児がん患者さんや脱毛症など頭髪に悩みを抱えた方に対して、私たち誰もが年齢や性別に関係なく身近に手を差し伸べられる取り組みの一つとして、ヘアドネーションがあります。自分が貢献できることを知るきっかけとしても、このヘアドネーションの概念を一人でも多くの県民に理解していただくことが重要です。県の見解と今後の取り組みについてお尋ねします。 続いて、さくらねこと地域猫活動を促すための取り組みについてお尋ねします。 さきの九月定例会で、布俣議員が地域猫活動についての質問をされていますが、私は別の角度から質問いたします。 その際にも述べられていますが、改めてお伝えしたいのは、猫の繁殖力の強さです。猫は、生まれてから半年で子猫を生むことができるようになり、交尾から約二か月で出産します。年間二回から四回出産し、一回の出産で平均四匹、多いときで八匹の子猫が生まれます。そのため、誰も適正な飼育管理ができない状況下において、無理解な餌やりさんと呼ばれる人たちが餌をやり続けてしまうと、どんどんと増えていくことは簡単に想像できます。 十一月二十二日の新聞で、飼い主のいない野良猫の避妊・去勢手術などを進めるNPO法人による、地域で増えて問題になっている多数の野良猫などに避妊・去勢手術をする取り組みである一斉TNRが大垣市で行われたとの報道がありました。二日間で県内各地から持ち込まれた二百二十三匹が手術を受けたとのことです。寄附を基に一般の手術費用の半分以下の負担で実施されました。その数の多さに驚きましたが、これはごく一部に違いありません。岐阜県内に飼い主のいない猫は、一体何匹いるのでしょうか。 ちなみにTNRとは、捕獲を意味するトラップのT、避妊・去勢を意味するニューターのN、元に戻すリターンのRです。一斉TNRの後は、全ての猫に避妊・去勢手術をしたことを示す耳先のカットが施されたようです。この耳先のカットが桜の花びらに似ていることから、さくらねこと呼ばれています。議場に資料をお配りしています。 さくらねこを含めた避妊・去勢手術済みの猫が、さらに地域で管理されている場合は地域猫と呼ばれます。このように呼ばれていることを知ったのは、一年ほど前でした。きっかけとなったのは、団体に所属せずに地域でTNR活動に取り組んでいる友人でした。彼女は、地域の野良猫を捕獲し、公益財団法人どうぶつ基金から提供される個人枠のチケットを利用して避妊・去勢手術をして、地域に戻しています。しかし、個人枠チケットだけでは賄えず、自腹を切ることもあるそうです。また、大垣市でも独自で補助を行っているようですが、三千円から四千円で、手術費用の半分にもなりません。 そのどうぶつ基金では、個人ではなく自治体に対してもチケットを提供しているようですが、県内四十二市町村で登録されているのは本巣市と可児市だけです。県としては、県内全ての自治体の登録、補助制度創設を促す働きかけが必要だと考えます。そうすることによって、個人枠チケットを使用しても行政枠チケットを利用できるようになります。 さらに、飼い主のいない猫を地域猫として自治会に受け入れてもらう際に、自治会長さんを調べて活動への理解を得ることは、個人の活動では限界があるといいます。県や市町村の支援が必要なのではないでしょうか。 動物愛護、殺処分ゼロという大きなテーマは、人々に浸透してきたかのように思われます。しかし、動物愛護とは、動物をかわいがって、おなかを空かせている動物に餌をやればよいという単純な話ではありません。殺処分ゼロを掲げるなら、むやみに増やさないという意識の醸成と、殺処分しなくてもよい環境の整備が必要であり、適正な飼育について継続して啓発していくことが求められます。 そこで、健康福祉部長にお尋ねします。 さくらねこや地域猫を促すためには、まずはより多くの県民や活動を担う地元自治会に、適切な餌やりをはじめとした、このような活動の存在や意義を理解していただくことと、このような活動に関する相談窓口が必要です。そのために、今後県として相談窓口の設置を含めた広報活動をどのように展開されるのでしょうか。 また、公益財団法人どうぶつ基金が行う事業を活用することも、この活動が広く展開されていくことには欠かせないものであると考えます。そのために、この基金の活用を促すべく、市町村に対して今後どのように取り組まれるのでしょうか。 ここで一回目の質問を終わります。
○副議長(松岡正人君) 健康福祉部長 堀 裕行君。 〔健康福祉部長 堀 裕行君登壇〕
◎健康福祉部長(堀裕行君) 二点御質問をいただきました。 まず、ヘアドネーションの社会的認知の向上についてお答えします。 ヘアドネーションの活動には、大きく二つの意義が考えられます。 一つ目は、贈られる側の意義であります。小児がんなど様々な病気を抱える子供たちの生活の質の向上を図るとともに、明るく前向きな気持ちをもたらす活動であるということです。具体的には、受け取られたお子さんが自分に合ったウイッグを着けることで自信を持って学校に行けたという声も聞いております。 二つ目は、この活動の社会的意義であります。髪の毛を寄附することは誰にもできる取り組みであることから、この活動の理解が進むことで興味を持つ方が増え、小児がんをはじめとする病気や、病気を持つ方々への理解も深まることが考えられます。このような意義を持つヘアドネーションの社会的認知を高めることは、意味を持つと考えられることから、県としましては、当面このヘアドネーションについて県のホームページ等を活用して、活動自体やその意義などについて周知を図ってまいります。 次に、さくらねこと地域猫活動を促すための取り組みについてお答えします。 まず相談窓口を含めた広報の展開でありますが、県ではこれまでも猫に対する置き餌をしないこと、排せつ場所の設置、不妊・去勢手術の重要性、地域猫活動への支援などについて、自治会の皆様をはじめ県民に対し、チラシや県ホームページを活用し周知してまいりました。今後は、新たにSNSの活用も加え、これらの取り組みが地域の方々のみならず、幅広く県民に浸透するよう情報発信に取り組んでまいります。また、全ての保健所に地域猫相談窓口を設置し、自治会等からの相談に対し説明や助言を行い、活動を支援する体制を整えてまいります。 次に、どうぶつ基金の活用についてですが、この十一月に市町村やNPO法人等で構成する地域猫連携会議において、県の地域猫活動支援や自治体によるどうぶつ基金の活用事例を市町村と情報共有いたしました。今後は、市町村の実施状況を把握し必要に応じて利用を促すとともに、基金活用に関する個別の相談対応や助言を行ってまいります。
○副議長(松岡正人君) 二十三番 野村美穂君。 〔二十三番 野村美穂君登壇〕
◆二十三番(野村美穂君) 続いて、女性の自殺対策について、健康福祉部長、子ども・女性局長、商工労働部長にお尋ねします。 十一月二日、政府は令和三年版自殺対策白書を閣議決定しました。白書では、新型コロナウイルスの感染が拡大した昨年の自殺状況を分析しています。過去五年間の平均と比較した結果、働く女性の自殺が約三割、三百七十五人増えて千六百九十八人となり、児童・生徒でも百四十人増えて四百九十九人になったことが判明しました。年齢・性別を問わず、自ら命を絶つようなことがない社会に向けて、対策を急がなければなりません。 今回は、自殺者数が増えた女性の自殺についてお尋ねいたします。 昨年の自殺者数は二万千八十一人で、前年と比べると九百十二人も増えており、平成二十一年以来十一年ぶりに増加に転じています。男性は一万四千五十五人と十一年連続で減少した一方、女性は前年に比べて九百三十五人増えて、七千二十六人となりました。過去五年平均と比較して女性の自殺を年代別で見ると、二十歳未満が百二十人増、二十代・三十代が二百六十一人増、四十代・五十代では百三十四人増えています。また、働く女性では、自営業・家族従業者は僅かに減り、被雇用者・勤め人が三百八十一人と大きく増加しています。遺書などから推定された自殺の原因・動機では、勤務問題が三四・八%増えており、内訳は、職場の人間関係、三十九人増の百二十三人、職場環境の変化、二十四人増の四十八人でした。 また、緊急事態宣言が初めて発令された昨年四月の総務省の労働力調査では、女性の雇用者数は前月から七十四万人減り、減少幅は男性の約二倍となりました。営業自粛や時短営業になった飲食店やサービス業で働く人の多くは、非正規の女性たちです。白書では、新型コロナウイルスの感染拡大により労働環境が変化した可能性があり、そのことと働く女性の自殺の増加との関連が示唆されると指摘しています。それは、非正規雇用の割合が高い女性の不安定な就労環境にコロナ禍が襲いかかった構図です。 一般的に、女性は男性より強い孤独感や自己嫌悪といった感情を人間関係のストレスから感じやすい傾向にあるとも言います。周囲による早期の気づきや誰かへの相談を促すこと、SOSを出してもよいことを知ってもらうことなどの取り組みとともに、様々な相談窓口の周知徹底と機能強化など、これまでの対策はもちろん継続しながらも、より強く「あなたはひとりではない」というメッセージを発信してほしいと考えます。 これをすれば自殺がなくなるというような簡単なことではありません。抜本的な解決は難しいかもしれませんが、オール県庁で連携して各部局としてできる対策を総動員して取り組む必要があると思います。 そこで、三点お尋ねします。 まず一点目、自殺対策を総合的に担当している健康福祉部長にお尋ねします。 全国の現状を踏まえた本県の現状と分析、その分析を踏まえて今後どのような対策を取られるのでしょうか。 二点目、女性が生き生きと活躍できる社会を目指した取り組みを推進している子ども・女性局長に対して、このような現状に対する子ども・女性局としての取り組みをお伺いいたします。 三点目、働く環境の整備など、労働者の雇用に関する取り組みについて所管している商工労働部長に対しても、このような状況に対する商工労働部としての取り組みをお伺いいたします。 次に、児童虐待を未然に防ぐための取り組みについてお尋ねします。 摂津市のマンションで、交際相手の女性の長男三歳に熱湯をかけてやけどを負わせ殺害した疑いで、九月二十二日、同居していた男性が殺害容疑で逮捕されました。どれだけ痛かっただろう、苦しかっただろうと胸が痛くなる事件です。そして、どうして救えなかったのか、誰もが疑問を抱くと思います。報道によると、市や児童相談所には複数回の通告と相談があったとのことです。救えたはずの命です。どこに問題があり、どうして救えなかったのでしょうか。 また、大津市のケースは、十七歳の兄が六歳の妹を暴行死させました。四月から母親と一緒に暮らし始めたようです。それまでは、兄は京都府、妹は大阪市の児童養護施設で暮らしていました。兄は、妹の世話がつらかったと話しているそうです。母親のネグレクトによるヤングケアラーが起こした事件であると言えるのではないでしょうか。こちらのケースでも、妹の命を救えたはずです。どうして救えなかったのでしょうか。 子供たちを救うために私たちができること、それは、虐待されているかもという子供を見かけたら、児童相談所虐待対応ダイヤル「一八九(いちはやく)」を使うなどして、児童相談所へ通告、相談することです。先ほど、女性の自殺対策でも少し触れましたが、周囲の早期の気づきが必要です。改めて、児童相談所虐待対応ダイヤル一八九の周知徹底をお願いしたいと思います。 さて、令和二年度の児童相談所における児童虐待相談対応件数は、速報値で二十万五千二十九件、また児童虐待により死亡した子供の数は、国の第十七次報告によると、令和元年度の数値で七十八人となっています。繰り返されてきた失敗を、なぜ生かせないのでしょうか。岐阜県で、同じ過ちを繰り返すことがあってはならないと考えています。 傷・あざがないから緊急性はないと判断した。これは、過去の事件でも繰り返されてきた失敗の一例です。心理的虐待の割合が最も多く、身体的虐待を上回っているのは統計上も明らかで、傷・あざがなければ虐待はないと判断してはいけないのです。 また、さきにお話しした直近の事例に関して言えば、一部報道によると、まず摂津市の事案では、摂津市から大阪府児童相談所に対して、保育園からの左耳辺りにあざがあるとの情報が共有されていなかったことや、摂津市においてリスクの評価が適切に行われていなかったのではないかといった問題が指摘されています。また、大津市の事案では、滋賀県児童相談所は母親と数回にわたり面談や電話をしていたにもかかわらず、このような事案に至ったということです。 児童相談所は、調査権も一時保護する権限もありますから、警察の助けなしでも子供を守れる組織であるはずです。問題は、緊急性がなく保護の必要はないと判断した点にあると言えるでしょう。 何度も繰り返されている児童虐待による子供の死。やはり、児童相談所の職員が地方自治体の職員の単なる異動先の一つでしかなく、児童虐待に関わりたいとは思っていない職員、知識も経験もない職員に任せているから間違った判断が繰り返されてしまうのだという見解もあるようです。 児童虐待防止、新聞報道等で様々な事案を見聞きする度に、子供の命と未来を守るために、一体どこで誰が何をどのようにすればよいのだろうと、いつも考えさせられます。 そこで、子ども・女性局長にお尋ねします。 全国各地で深刻な児童虐待事案が発生している中、こうした事案を未然に防ぐため、課題をどのように分析し、今後どのように取り組んでいかれるのか伺います。 ここで二回目の質問を終わります。
○副議長(松岡正人君) 健康福祉部長 堀 裕行君。 〔健康福祉部長 堀 裕行君登壇〕
◎健康福祉部長(堀裕行君) 女性の自殺対策について、本県の現状分析と健康福祉部としての今後の対策についてお答えします。 本県の女性自殺者数は、十年前の平成二十三年の百四十八人と比べ、令和元年は八十六人と減少傾向でしたが、コロナ禍の中、昨年は百十人と前年比二十四人の増加に転じ、今年も一月から十月の累計で九十九人と前年同期間とほぼ同数、特に被雇用者の自殺者は十二人から二十二人へ一・八倍と急増しており、大変憂慮しております。 そのため、県では、女性や若者が相談しやすいよう開設したLINE相談窓口「こころのサポート相談ほっと・ぎふ」の開設日を、十月より隔週から毎週日曜日へ拡充し、相談体制を強化しました。この相談窓口の利用者は女性が七割を超えており、相談してよかったとの声を多くいただいていることから、今後さらに相談員の増員も検討します。 また、オール県庁での連携強化の一環として、九月より関係部局へメールマガジン配信を開始し、最新の統計や関連施策のタイムリーな共有を行っております。これにより、各機関相互の相談窓口周知や施策広報の充実を図り、相談者のSOSを的確にキャッチし必要な支援につなぐ体制を整えてまいります。
○副議長(松岡正人君) 子ども・女性局長 安江真美君。 〔健康福祉部子ども・女性局長 安江真美君登壇〕
◎健康福祉部子ども・女性局長(安江真美君) 二点御質問をいただきました。 まず、女性の自殺対策に係る子ども・女性局としての取り組みについてお答えいたします。 女性が抱える様々な悩みの相談窓口である男女共同参画・女性の活躍支援センターへは、最近、休業によりパート収入が減った、子供連れの母親同士が交流できないなど、コロナ禍特有の相談が増えています。これに対し、センターでは専門の相談員が悩みを共有し、一緒に気持ちの整理をしながら次の行動に進めるよう、相談者のライフステージやペースに合わせた伴走型の支援を行うとともに、必要に応じて専門の機関や支援事業につないでいます。 また、自分の現状や今後について少人数で語り合う場も定期的に設けており、参加者からは、自分と同じ悩みを持つ人がいることを知り安心感を得られた。頑張らなくても自分のペースでいいと気づいたといった声もいただいております。 引き続き、一人でも多くの不安を抱えた女性を支援できるよう、相談窓口の周知を図るとともに、一人一人に寄り添った丁寧な対応に努めてまいります。 次に、児童虐待を未然に防ぐための取り組みについてお答えいたします。 深刻な児童虐待事案には、虐待リスクの過小評価が必ず絡んでおります。このリスクを避けるためには、複数の主体が事案を共有し、評価を行うことが重要です。そのため、県では、一時保護に当たり県子ども相談センターと市町村とで共通のリスクアセスメントシートを用いて虐待リスクを判定しており、虐待の程度に応じて県警とも情報共有をしております。また、子供の安全確認のための家庭訪問も、県、市町村、警察が連携し対応しております。 さらに、摂津市事案の報道を受け、県及び県警の連名で児童虐待対応における情報共有の徹底について改めて市町村へ通知したほか、県子ども相談センター及び市町村担当職員に対して、児童虐待リスクの評価についての研修も実施いたしました。 今後も引き続き、児童虐待リスクの適切な評価と関係機関の情報共有を徹底し、児童虐待の早期発見・対応に努めるとともに、新たな課題であるヤングケアラーへの対応についての研修を行うなど、専門性のさらなる向上を図ってまいります。
○副議長(松岡正人君) 商工労働部長 崎浦良典君。 〔商工労働部長 崎浦良典君登壇〕
◎商工労働部長(崎浦良典君) 女性の自殺対策に関する商工労働部としての取り組みについてお答えします。 働く女性の自殺者が増加していることについては、大変憂慮すべき問題であると認識しております。 そこで、県の労働相談窓口の状況を見ますと、昨年度の相談件数は百八十九件で、前年比一・七倍と急増しており、男女比ではほぼ同数でありました。相談内容としては、男女ともに賃金や労働時間など労働条件に関するものが多く、特に女性では毎年半数以上を占めております。 このため、これら不安を抱える女性に対し、引き続き丁寧に対応していくとともに、こころのサポート相談ほっと・ぎふや男女共同参画・女性の活躍支援センターの取り組みについても、併せて広く周知してまいります。 同時に、企業に対しては、経済団体、その女性部などとの会合など様々な機会を捉え、働く女性の不安や悩みについて気軽に相談できる体制づくりや、職場環境の改善など働きやすい職場づくりへの取り組みを一層促してまいります。
○副議長(松岡正人君) 二十三番 野村美穂君。 〔二十三番 野村美穂君登壇〕
◆二十三番(野村美穂君) 続いて、SDGs推進室の取り組みの成果と課題についてお尋ねします。 先日、ウミガメの赤ちゃんがプラスチックごみの中からはい上がれず、もがいてもがいてよじ登り、海に戻る様子をテレビで見ました。また、十月三十一日からイギリス・スコットランドのグラスゴーで開催されていたCOP26で、南太平洋の小さな島々で成り立つ国であるツバルの外務大臣が、私たちは今沈んでいます。皆さんもそうですと、世界に向けて衝撃のスピーチを膝まで海につかりながら行いました。八つの島で生きる一万二千人から国際社会に向けたメッセージですと。 世界で温暖化ガスの排出量が一番少ない国の一つであるツバルが、温暖化を世界が止められなければ真っ先に姿を消すことになるという現実を訴えるコフェ外務大臣のスピーチに、大きな衝撃を受けました。 世界が同じ方向に向かうための持続可能な開発目標、それがSDGs。果たして、このままで持続可能なのだろうかと素朴に疑問を感じました。岐阜県のSDGsは持続可能なのかと、それが今回の質問のきっかけです。 まず、岐阜県のSDGsに対する動きを振り返ってみたいと思います。 今からちょうど四年前の二〇一七年の十二月定例会で、議会で初めてSDGsについて質問をしました。その後、二〇一九年三月には、清流の国ぎふ創生総合戦略にSDGsの推進が明示されました。その翌年二〇二〇年にはSDGs推進監が設置されたほか、四月に清流の国ぎふSDGs推進ネットワークが設立され、現在、その会員数は十一月末日現在で八百三十八に上っています。七月には、SDGs未来都市に選定されました。二〇一九年に応募していますが、残念ながら選定されなかったために、喜びはひとしおです。八月には未来都市計画が策定され、本年四月にSDGs推進室が設置されました。その後、SDGs達成に向けた取り組みが顕著な会員をリーディング会員として認定する制度が創設され、十月には県とともに普及啓発やほかの会員等への助言・相談を行っていただく六企業・団体が認定されました。 また、これまでも様々な角度から岐阜県のSDGsへの取り組みについての質問がありました。恩田議員からは、SDGsの達成に向けた民間企業や地域への普及と取り組みの促進について。伊藤秀光議員からは、県内市町村におけるさらなる取り組みの促進、企業や県民などへの理解・参加促進について。平岩議員からは、SDGsの認知度向上と県民一人一人の行動につなげるための取り組みについてなどが上げられます。 こうした動きと並走するように、SDGsの国民への浸透も深まってきたのではないかと思います。カラーホイールを見たら誰もがSDGsだと言えるようになってきましたし、「エスディージーズ」を「エスディージーエス」と読み間違える人もいなくなってきました。小学校・中学校・高校で児童生徒もSDGsに取り組んでいます。「誰ひとり取り残さない」という強いメッセージが人々の共感を呼び、理解につながったのではないかとも思います。 まずは言葉の認知が必要です。次に、認知された言葉と人々の取り組みを結びつけることが必要です。 今、岐阜県のSDGsはどのような段階なのでしょうか。私自身も次に必要なことを理解しなければいけない段階に入ったような気がします。 そこで、清流の国推進部長にお尋ねします。 SDGs推進室ができて半年以上がたちます。これまでの取組状況と成果、また今後の課題とその解決策についてお聞かせください。 最後に、岐阜県博物館のミュージアムショップの魅力向上についてお尋ねします。 今年の六月にライチョウ展を見に岐阜県博物館を訪れました。そのときの私の印象ですが、博物館独特の照明の暗さではなく、館内全体がどんよりと暗く、もう一度訪れたいとはなかなか感じられない雰囲気でした。その後、八月には厚生環境委員会の視察で再び訪れましたが、ほかの議員の中にも私と同じような印象を持たれた方がいたのではないかと思います。昨日の加藤議員の質問で確信しました。私は、もう一度訪れたいと思わせる工夫が必要だと考えます。 さて、その岐阜県博物館は、設置されてから四十五年が経過し、当然ながら老朽化が見られます。県長寿命化計画では、六十五年間は使用することとされています。あと二十年使用するためには、今こそ思い切ったリニューアルが必要ではないかと考えます。 ここで、知事にお尋ねしますと切り出したいところですが、全面リニューアルに当たっては様々な検討が必要であり、必要となる予算も大規模となることは容易に想像ができます。 そこで、まず手をつけられる箇所としてミュージアムショップが上げられます。以前、岐阜県美術館のミュージアムショップの充実を訴えた際には、ミュージアムショップが館内で明るく広い場所へと移動し、品ぞろえも豊富になったという実績があります。こうした成功体験がある私としては、提案せざるを得ません。その際にも申し上げていますが、ポイントはディズニーランドやUSJに見られるアトラクションとスーベニアショップの配置です。アトラクションに乗った直後に入るスーベニアショップに、そのキャラクターの文房具から雑貨、お菓子や洋服が所狭しと並べられていれば、つい何かを買いたくなってしまいます。博物館でも、それを利用しない手はありません。展示を見て得られた興味・関心を、さらに学びたいという意欲に結びつけられるのではないかと思います。 さきにお話ししたライチョウ展を訪れた際に、あったらいいなと感じたものは、ライチョウの雑貨やライチョウ保護のための募金箱です。東京都や愛知県の美術館のミュージアムショップでは、展覧会に対応した小物やお菓子、ガチャガチャなどが販売されていました。岐阜県博物館においても、その展示に対応した商品をそろえることも必要であると思います。また、ライチョウなどの県を代表するものについては、県を挙げて新商品の開発を行うことも魅力の向上につながるのではないかと思います。 また、ミュージアムショップを充実させることにより、来館者がその分野について幅広く知識を吸収できるような補助的役割も果たしてほしいと考えます。体験型や工作型の種類の本など、展示を補完する商品も充実させて、岐阜県博物館に行けば夏休みの課題テーマが見つけられると言われるようになればよいのではないかと考えます。興味関心を広げられるような本や小物などをスペースやレイアウトにもこだわって配置することで、県民のもっと学びたいを発見できるようなミュージアムショップであってほしいと思います。 そこで、県民文化局長にお尋ねします。 岐阜県博物館の魅力向上のために、ミュージアムショップを充実させる必要があると考えますが、いかがでしょうか。県の見解を伺います。 以上で、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○副議長(松岡正人君) 清流の国推進部長 丸山 淳君。 〔清流の国推進部長 丸山 淳君登壇〕
◎清流の国推進部長(丸山淳君) SDGs推進室の取り組みの成果と課題についてお答えします。 SDGs推進室は、未来都市計画を着実に実行していくことを目的に設置したものです。推進室が総括役となり、未来都市計画に沿って各部局をフォローアップする体制が整ったことで、温室効果ガスの削減や子供の貧困対策など、各分野でSDGsを意識した取り組みが進んでいます。また、推進室が普及啓発の一元的な窓口であることを明確に打ち出したことで、SDGsに関するイベントやセミナーへの講演依頼が増え、ネットワーク会員の増加にもつながっております。 こうした結果、今年七月に行った県政モニターへのアンケートでは、SDGsの認知度は八〇%に達し、昨年の四七%から大幅に上昇いたしました。その一方で、「取り組んでいる」と回答した方は三六%にとどまっており、認知していても実際の行動に移せていない点を課題として認識しております。 このため、ネットワーク会員とも連携しながら、実践事例の紹介や相談・助言、体験や交流の場の創出など、県民の皆様の自主的な行動を促す取り組みを強化してまいります。
○副議長(松岡正人君) 県民文化局長 市橋貴仁君。 〔
環境生活部県民文化局長 市橋貴仁君登壇〕
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環境生活部県民文化局長(市橋貴仁君) 県博物館ミュージアムショップの魅力向上についてお答えいたします。 県博物館のミュージアムショップでは、図録などの学びや知識をさらに深めるための商品を販売するほか、恐竜や刀剣のクリアファイルなど県博物館ならではのオリジナルグッズの開発・販売もしており、県博物館の魅力向上や展示に対する来館者の興味、関心をより深め、次の来館につなげる重要な役割を担っております。 一方で、県博物館のミュージアムショップの利用者は来館者全体の一割程度であることから、品ぞろえや商品のディスプレーの方法など、さらに改善に向けて工夫し、利用者の増加を図っていく余地はあると考えております。 そこで、今後、専門家にアドバイスをいただくとともに、来館者へのアンケート調査を実施し、ニーズを的確に品ぞろえ等に反映させてまいります。また、引き続き地元の産品である刃物、和紙などを活用したオリジナルグッズの開発にも取り組み、岐阜県博物館ならではの体験や楽しみを提供できるよう、ミュージアムショップの魅力向上に努めてまいります。
○副議長(松岡正人君) 二十六番 田中勝士君。 〔二十六番 田中勝士君登壇〕(拍手)
◆二十六番(田中勝士君) 議長から発言のお許しをいただきましたので、通告に従い質問させていただきます。 今回の衆議院議員総選挙は、十月三十一日投開票の日程で実施され、無事終了しました。結果については、皆さん御承知のとおりです。県議会議員の皆さん方は、与野党問わず、それぞれの立場でこの総選挙に携わられたと思います。大変お疲れさまでした。 こうした大きな選挙があると、ふだんあまり顔を合わせない支援者の方に会うことがあります。私が久しぶりにお会いしたその女性の方は、二十年来の支援者(ここではSさんと呼ばせていただきます)なのですが、八十歳を過ぎ、最近は後援会の行事にも顔を出されなくなり、ここ数年はほとんどお会いする機会もありませんでした。 国政選挙の際、私の地元では、地域ごとに手分けをして街宣車の先導を行います。選挙戦最終日の土曜日、先導車の交代をするために待機をしていたところ、偶然このSさんとお会いしました。街宣車が到着するまで少し時間があったので、昔話も含めて久しぶりにいろいろと話をしました。Sさんは、既に期日前投票を済ませたとのこと。「ほら、これ見て」と言いながら、財布の中から小さなメモ紙を取り出されました。衆議院議員選挙の場合、最初の投票用紙には候補者名を、次の投票用紙には政党名を書かなくてはなりません。私たちでも、投票所に行くと少し緊張します。そのメモは、Sさんが意中の候補者に間違わずに投票するために息子さんに書いてもらったもので、これを見ながら投票してきたとのことでした。 私が「それはいい息子さんですね、ちょっと見せてください」と、そのメモをのぞき込んでみると、そこには投票する順番に候補者の名前と政党名が書かれていました。ところが、その政党名の後に何人かの名前が書いてあります。「Sさん、これは」と尋ねると、「裁判官の国民審査、この人たちにはバツ印をつけたの」との返事でした。聞くところによると、Sさんの息子さんは、最高裁判所裁判官の国民審査についても、これも大事なことだからと各家庭に配られる審査公報を熟読するとのこと。そして、その話を聞きながら、このメモを書いてもらったとのことでした。 それを聞いたとき、私は軽い驚きとともに深く感心し、そして少々恥ずかしい気持ちになりました。私は、ふだんから有権者の皆さんに、選挙に行こう、政治に関心を持とうと訴えています。にもかかわらず、正直に申し上げますが、このときまで、衆院選と同様に重要な制度である最高裁判所裁判官の国民審査については全くの無関心でした。 そこで、今回の質問では、自分自身の反省の意味も込めて、この問題について取り上げさせていただきました。よろしくお願いいたします。 まず、この制度の概要を御紹介いたします。 最高裁判所裁判官国民審査、以降、国民審査と呼ばせていただきます。この制度については、憲法にその規定があり、審査に関する事項は法律によって定められています。 皆さんも御承知のとおり、我が国の裁判制度は三審制が取られています。つまり、地方裁判所から高等裁判所、そして最高裁と、司法における最終的な結論は最高裁判所が示すことになっています。それ以上は争うことはできず、当事者は最高裁の判断に従わなくてはなりません。また、全国の裁判所は、この最高裁の判断を重視するため、ここで示された判断に他の裁判所が異なった判断を示すことはなく、その後の裁判に強い影響を及ぼします。 また、最高裁には、こうした個々の事案についての最終判断を下すのと併せて、国の法律が憲法に違反していないか審査する役割もあります。よって、最高裁の判断は法改正や新法の制定などに影響を及ぼすわけで、そうした意味においては、国民の暮らしに大きな関わりを持っていると言えます。 最高裁は、ここのトップである長官と十四人の裁判官の計十五人で構成されており、その指名権・任命権は、三権分立の考えに基づき内閣が持っています。任命される資格があるのは、識見の高い法律の素養のある四十歳以上の者と定められており、裁判官、検察官、弁護士、法律学の教授などの職に一定の期間就いた人の中から選ぶことになっていますが、具体的な人選のプロセスは公表されていません。 先ほど御紹介したように、この十五人は憲法の番人として強い権限を持っているわけですが、これらの裁判官がその職にふさわしいか、国民の直接投票により審査する制度が国民審査です。投票では、辞めさせたい裁判官にバツ印をつける方式が取られており、このバツ印が有効投票の過半数に達した場合、その裁判官は罷免されます。今回の審査対象者は十一人でしたが、全員が信任という結果になっています。ちなみに、戦後この制度ができて以来、罷免された裁判官は一人もいません。 以上が制度の概要ですが、この国民審査については、制度が形骸化しているという批判があります。理由は大きく二つあります。一つは、私自身がそうであったように制度に対する理解が不十分であるということ。そして、もう一つは、個々の裁判官を審査するための判断材料が不足しているということです。 そこで、
選挙管理委員会委員長に質問です。 最高裁判所裁判官国民審査については、制度が形骸化しているという批判がありますが、この批判についてどのように捉えているのか、選挙管理委員会の考えをお聞かせください。 これは選挙期間中に選挙公報と一緒に各家庭に配られる審査公報です。ここには、審査の対象となる裁判官の略歴、最高裁で関与した主要な裁判でどのような判断を下したのか、裁判官としての心構えなどが記載されています。 私たち県議会議員もそうですが、国会議員をはじめとする政治家は、ふだんから議会活動や党活動、後援会活動や地域行事への参加などを通じて、自身の知名度アップに努めています。また、これが衆院選ともなると、選挙ポスターに選挙はがき、街宣車や選挙ビラなど様々な機材を使って、自分自身の政策や党の公約などを広めることもできます。 これに比べて国民審査の場合、個々の裁判官についての公的な情報は、今お示ししましたこの審査公報しかありません。そこで、国民審査について二点目の質問は、この審査公報の配布についてお尋ねしたいと思います。 一般的に審査公報は、衆院選の選挙公報とセットで配られます。配布方法については各市町村に任せてあるため、その手段は様々ですが、私が住んでいる笠松町では各戸配布によって配られています。皆さんも御存じのとおり、衆院選の選挙期間は十二日間ですが、今回これらの公報が私の自宅に届いたのは、選挙戦がスタートして七日目のことでした。この配布の時期については、どこの市町村もそう大きな違いはないと思います。 最近は期日前投票を利用する人が増加し、これに伴い選挙の前半戦に投票を済ませてしまう人も増えています。ちなみに今回の衆院選の場合、岐阜県では約九%の方がこの期間の前半に投票しています。つまり、こうした人たちは審査公報の配布前に、言い換えれば審査の対象となる裁判官に関する情報がないまま投票しているわけで、これは制度の運用上問題だと思います。 そこで、
選挙管理委員会委員長に質問です。 現状の制度の中では、審査公報は審査対象となる裁判官に関する唯一の公的な情報です。昨今では期日前投票を利用する人が増加しており、このことを鑑みると、審査公報についてはできるだけ早い時期に配ることが必要と思われますが、選挙管理委員会としての考えをお聞かせください。 先ほども申し上げましたが、私がこの国民審査について問題意識を持ったのは、既に投票を済ませた後、衆院選の最終日のことで、今回は残念ながら手後れでした。しかし、その後ネットで検索してみると、幾つかの報道機関が特集サイトを立ち上げたり、審査対象者に対するアンケートを実施するなどして、国民審査に対する理解を広める努力をされていることが分かりました。特に特集サイトでは、個々の裁判官が過去の裁判でどのような判断を下したのか解説してあるものもあり、興味深く拝見させていただきました。特に、夫婦別姓を認めないのは憲法違反か、二〇一九年参院選における一票の格差は憲法違反かといった憲法判断に関わるものや、社会的関心が高い案件については詳しく掲載してありました。ちなみに、今申し上げた二つの案件については、いずれも合憲の判断がなされています。 最高裁では、憲法判断に関わるものなど重要案件については大法廷で審議されます。ここでは裁判官十五人の議論により判断が下されますが、必ずしも全員一致とはならず、賛否が分かれた場合は多数決により決します。 そんな中、少し気になる記事があったので紹介させていただきます。 その前に、まずは議場配付した「最高裁判所裁判官国民審査について」と題した資料を御覧ください。右上にナンバー一と表示された資料です。 これは民法や戸籍法などの法律が夫婦別姓を認めないのは憲法違反かどうかを問われた裁判で、それぞれの裁判官がどのような判断を下したのか。そして、有効投票の中でバツ印がつけられた割合、つまり、その裁判官の罷免を求めた人の割合を表にまとめたものです。この表を見ながらお聞きいただきたいと思います。 今から御紹介する記事は、NHKの特集サイトに掲載されていたもので、国民審査の制度に詳しい明治大学の西川伸一教授のコメントです。今回の国民審査について、裁判官ごとに見ると、投票行動に特徴が見られる。対象となった十一人のうち、罷免を求める割合が七%を超えた四人は、いずれも夫婦別姓をめぐる判断で、民法の規定は憲法に違反しないという結論に賛同していた。つまり、合憲と判断した裁判官だったわけです。 一方で、六%台やそれ未満の人は憲法違反と判断、または当時就任していなかった。夫婦の名字をめぐる議論は身近なテーマで、選挙の争点の一つにもなっていて、一%の差が生じたのは決して偶然ではなく、それぞれの裁判官の判断が投票行動に影響した可能性が高いと考えられるということで、簡単に言えば、合憲の判断をした裁判官に批判票が集中したのではないかと言われているわけです。 御存じの方もいるかもしれませんが、今回の国民審査に当たっては、この夫婦別姓の憲法判断について合憲、つまり憲法に違反しないと判断した四人の裁判官に対する落選運動がネット上で展開されていました。もしかしたら、こうした動きが有権者の投票行動に影響した可能性もあります。 これは心配し過ぎかもしれませんが、これだけネットが普及・発達してくると、例えば特定の案件について自分の考えと相反する判断を下した裁判官個人を狙い撃ちした落選運動も可能なわけで、これが組織的に行われる可能性もあります。 ある最高裁OBは、国民審査は異常事態に備えた制度で、あまりにひどい裁判官は国民がチェックできるという体制に意味がある。特定の事件についての判断だけで辞めさせるのは問題だと述べられています。また、自身の経験を振り返りながら、誰のバツ印が多いか、裁判官同士で気にしていた。裁判官は証拠と良心に従うものだから、審査結果を受けて判断が変わるということはないが、世論の動向に気を使うことになるのではないかとも述べられています。 先ほども申し上げたとおり、最高裁の判断は国民の暮らしに大きな影響を与えます。いずれにしても、国民一人一人がこの制度についての理解を深め、正しい方法で提供された公平な情報によって判断し、この制度の目的に沿った投票行動をするよう努めることが重要です。 そこで、
選挙管理委員会委員長に質問いたします。 国民審査に対する県民理解の促進に向けた取り組みについてどのように考えているのか、選挙管理委員会の考えをお聞かせください。 最後に申し添えますが、この国民審査の問題は、本来国が制度改革に取り組まなくてはならない問題です。この質問の準備をする中で、国会における取り組みの状況などを調べてみましたが、残念ながら今日に至るまで議論がなされている形跡はありませんでした。今回は、私の反省と問題提起の意味を含めて取り上げさせていただきましたが、まずは現在の環境の中で我々ができることを実行していくことが重要だと思います。 以上で、前半の質問を終わります。明快な答弁をよろしくお願いいたします。
○副議長(松岡正人君)
選挙管理委員会委員長 大松利幸君。 〔
選挙管理委員会委員長 大松利幸君登壇〕
◎
選挙管理委員会委員長(大松利幸君) 最高裁判所裁判官国民審査について、三点御質問いただきました。順にお答えさせていただきます。 まず、制度が形骸化しているのではないかとの批判についてお答えします。 最高裁判所裁判官国民審査は、憲法の規定に基づき内閣が任命する最高裁判所裁判官について、国民が直接審査を行う憲法上の制度であり、国民主権の観点から重要な意義を持つものであります。制度が形骸化しているのではないかとの批判があることについては承知しておりますが、憲法上の制度である国民審査の在り方は、まずは国民的な議論によるべきものと考えております。 国民審査を管理執行する立場である県選挙管理委員会といたしましては、国民審査に当たり、自らの意思を投票に反映していただけるよう、平時から制度の意義に関わる啓発を行うとともに、審査時期における効果的な情報提供を心がけてまいります。 次に、審査公報の配布についてお答えします。 国民審査の投票の際に、有権者の判断材料となる審査公報は、国民審査法第五十三条の規定に基づき県選挙管理委員会が発行し、同法施行令第二十八条の規定に基づき、市町村選挙管理委員会が選挙人名簿記載の世帯に対し、審査期日の二日前までに配布することとされております。 審査公報の発行及び配布に当たりましては、国民審査の対象となる裁判官が、国民審査法第五条第一項の規定により、衆議院議員総選挙公示日の官報告示によって確定するため、公示日から一定の期間を要することとなりますが、公示後、可能な限り早く届けられるよう工夫を凝らしてまいりたいと考えております。 加えて、県選挙管理委員会ホームページの特設ページに審査公報の電子版を速やかに掲載するほか、国民審査の対象となる裁判官の氏名と最高裁判所の裁判官紹介のページへのリンクも掲載し、早期の判断材料の提供に努めてまいります。 次に、理解促進のための取り組みについてお答えします。 これまでの審査公報においては、国民審査の投票方法のみを周知してまいりましたが、今後は、国民審査は憲法上の制度であり、国民主権の観点から重要な意義を持つことをはじめ、制度そのものの理解促進も図るほか、衆議院議員総選挙と併せた集中的な周知啓発を検討してまいります。 また、平時からの周知啓発活動も重要であることから、県及び市町村選挙管理委員会が行う学校等における出前講座や啓発において、選挙制度の説明に加え、国民審査の意義や仕組みについても丁寧に紹介してまいりたいと考えております。 また、国や明るい選挙推進協会に対しましては、将来の有権者である児童・生徒が使用する教材の充実など、国民審査に係る啓発の強化を働きかけてまいります。
○副議長(松岡正人君) 二十六番 田中勝士君。 〔二十六番 田中勝士君登壇〕
◆二十六番(田中勝士君) 御答弁ありがとうございました。 今の答弁を聞いて皆さんもお感じになったとおり、この問題については県の選挙管理委員会としていろいろと努力をしていただけるということです。ただ、そのことにも限界があるということもお感じになったと思います。やはり、これは国が制度改革に取り組まなくてはならない問題です。引き続き取り組んでいく必要を感じた次第でございます。 それでは、後半の質問に入らせていただきます。 皆さんも御存じかと思いますが、最近は都道府県魅力度ランキングが何かと話題になります。特にテレビなどが面白おかしく取り上げるものですから、その結果に一喜一憂する知事もいるようです。群馬県は、昨年の四十位から順位を四つ下げて四十四位となりましたが、この結果を受けて、群馬県知事が法的措置の検討を示唆するなど、ちょっとした騒動にも発展しています。これは明らかに過剰反応であり、群馬県知事は県民のためにも少し頭を冷やしたほうがいいと思います。 そもそも私たち議会や行政に携わる人間が重視すべきは、魅力度ランキングのような外部からの評価よりも、実際にそこに暮らしている人々、つまり県民が現状についてどのように感じ、何を求めているのかを知ることであると思います。 そこで、今回は岐阜県で実施している県政世論調査について質問させていただきます。よろしくお願いいたします。 最初に、この調査の概要について簡単に御紹介いたします。 県政世論調査は、県下全体の県民意識の把握や県行政に対する県民の関心・満足度を調査し、県政推進の基礎資料とするために行われているもので、例年七月に調査を実施し、十一月頃に結果が公表されています。その歴史は古く、調査の開始は昭和四十二年です。一時期、隔年で実施していた期間もあったようですが、それ以外は毎年実施されており、今年で四十四回目になります。 調査地域は、岐阜県全域。対象は、県内に居住する満十八歳以上の男女。調査方法は、郵送とオンラインの併用となっています。三千人を対象に調査しており、本年度の有効回答率は五一・八%。この回答率については、毎年同程度の水準となっているようです。 回答者に占める女性の割合が実際の人口比率より若干高いようですが、年代や居住している圏域などは実際の人口分布とほぼ同じになっています。また、県内居住年数が十年以上の回答者が九四・二%、配偶者がいる方の回答者が七一・五%となっており、ごく平均的な県民意識が反映されているものと思われます。 設問は、県民の暮らしについての質問七問と県の取組全般についての質問四問の合計十一問で構成されており、この構成は途中若干の手直しはあったようですが、基本的には変わっていないとのことです。こうした調査を長期間にわたり継続的に実施している都道府県は全体の半数程度であり、時代の変遷とともに県民意識がどのように推移・変化してきたのかを見るという意味においては、非常に貴重なデータと言えます。 また、岐阜県の場合、この県政世論調査とは別に県政モニターも実施しており、こちらでは、防災に関するアンケート、SDGsに関するアンケートなど、その時々の政策課題をピックアップして調査しています。つまり、県民意識や県政への関心といったものについては県政世論調査で継続的に見ながら、時々の政策課題については県政モニターで把握するといった二本立ての調査形態を取っており、これはとても優れた手法であると思っています。 それでは、この中から幾つかのトピックスを取り上げながら質問したいと思います。 まず初めは、今回のコロナ禍が県民の暮らしや意識にどのような影響を与えているのかについて、この調査結果を見ながら考えてみます。 まず、議場配付しております資料の二枚目を御覧ください。右上にナンバー二と表示されたものです。 これは暮らしの前年比較についての調査です。質問は、あなたやあなたの家庭の暮らし向きは、去年の今頃と比べてどうですかという問いかけになっています。この質問について、私は、長引くコロナの影響により社会には閉塞感が広がり、県民の不安や不満が増大している。県民の暮らし向きも苦しくなっているだろう。それがこの調査結果にも表れているだろうと、このように予想していました。ところが、この折れ線グラフ(このページの下の表)を見ると、「暮らしが苦しくなった」と答えた人は三五・一%と、この十年間で最も低い水準になっています。逆に、「暮らしが変わらない」と答えた人は六〇・五%と、この十年間で二番目に高い値になっています。いや、これは前年比較の数値だからという御意見があることは承知しています。 そこで、ナンバー三と記載された三枚目の資料を御覧ください。 これは、暮らしの満足度についての調査です。あなたは現在の暮らし全般についてどう思いますかという質問に対し、「十分満足している」「おおむね満足している」を足した、いわゆる満足層の数値は、コロナ前の令和元年に比べて、昨年から今年と二年続けて高くなっています。また、御覧のとおり不満層の割合は、逆にコロナ前と比べて下がっています。実を言うと、これと同様の傾向は、国で実施している他の調査結果などにも表れています。 私たちは、この調査結果をどのように解釈すればいいのでしょうか。その要因を前向きに捉えるならば、国・県などのコロナ対策が県民の生活に対する不安を払拭している、ステイホームで家族と過ごす時間が増え、それにより暮らしの満足度が上がっていると分析できるかもしれません。 また、逆にこれを悲観的に捉えるならば、これ以上はよくならない、どうせ変わらないといった諦めと見ることもできますし、県民生活にコロナ禍の本格的な影響が出るのはこれからであり、この調査結果にはまだ表れていないと分析することもできます。 そこで、一点目の質問です。 今回の県政世論調査における暮らしの前年比較と暮らしの満足度の調査結果について、県ではこの結果をどのように分析しているのでしょうか。古田知事の答弁をお願いいたします。 続いて、ナンバー四と表示された四枚目の資料を御覧ください。 これは、今後の暮らしの中で重視していきたいことについての調査結果です。御覧のとおり、ここでは健康・体力づくりが一位になっています。実は、この調査については、ここ数年同様の結果が続いています。例えば県の施策を検討するに当たり、この調査結果を高齢化の影響で健康に不安を感じる県民が増えているからだと捉えるならば、高齢者施策を充実させなくてはなりません。これを県民全体の健康意識の高まりと捉えるならば、スポーツ・レクリエーション施策を充実させなくてはなりません。また、医師不足など医療の偏在に原因があると考えるならば、地域医療の充実に力を注がなくてはなりません。つまり、調査結果をどう分析するかによって、施策の方向性が変わってくるわけです。 そこで、二点目の質問です。 県民が今後の暮らしの中で重視していきたいことについて、近年は健康・体力づくりに対する関心が高い傾向が続いています。県はこの要因をどのように捉え、今後の施策にどう生かしていくのでしょうか。古田知事の答弁をお願いいたします。 議場にはお配りしておりませんが、県政世論調査の中で、県民からよくやっていると評価されている分野は、防災対策、高齢者福祉、道路整備・維持管理、地域医療の確保などです。その一方で、若者の県内定着や少子化対策、公共交通の充実、子育て支援などは、努力が足りないと評価されています。こうした調査結果を見る限り、県民、議会、行政それぞれが持っている現状認識と問題意識はほぼ一致しているようであり、結果として県の大きな方向性は間違っていないと感じています。 ただ私たちは、県政運営の方向性が県民の思いや希望とずれていないかという点については、常に注意を払っていなくてはなりません。幸いにも岐阜県は、県政世論調査と県政モニターの二本立てを軸とする非常によい調査体制を持ち、今日までのデータの蓄積もあります。 そこで、最後の質問です。 県政世論調査の調査結果を今後どのように岐阜県の施策に生かしていくのか。古田知事の答弁をお願いいたします。 今回の質問は以上です。明快な答弁をお願いして、私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。 (拍手)
○副議長(松岡正人君) 知事 古田 肇君。 〔知事 古田 肇君登壇〕
◎知事(古田肇君) 最初に、今年度の調査結果に関する二つの御質問がございましたが、併せてお答えしたいと思います。 御指摘にありましたように、県政の世論調査、昭和四十二年から実施してきております。県政推進の基礎資料とするための独自の調査ということであります。暮らしと、それから県の取組全般を二本柱に、県民意識の把握とともに県行政に対する県民の関心、満足度等の調査を実施しておるわけであります。その結果につきましては、なかなか断定し難いところもございますが、経年変化のほか、年代別、居住圏域別、あるいは職業別に分析するとともに、これらを施策に反映するように努力しているところでございます。 さて、今年度の調査結果でございますが、御指摘にありましたとおり、令和二年から続くコロナ禍にあっても、暮らし向きの前年比較において「変わらない」が最多である一方、「苦しくなった」は五・一ポイント減っているということでございます。また、暮らしの満足度におきましても、前年比較で不満層は横ばい、満足層が〇・七ポイントの微増と、こういうことでございます。確かに、コロナ禍にもかかわらず、暮らし向きの判断に若干の改善傾向が見られるということでございます。 ただ一方で、年代別で見てみますと、三十代で「楽になった」が前年比較で三・七ポイント減っておりますし、職業別では、自営業で「苦しくなった」が、全体と比較して一四・六ポイント高いということでもございまして、全ての県民の暮らし向きが改善傾向であるということではないというふうに認識をしております。こうしたことを踏まえて、子育て世代への支援、あるいはコロナ禍で疲弊した事業主への支援など、きめ細かな対策を一段と充実していきたいというふうに考えているところであります。 なお、県の取り組みでよくやっていると思う分野において、地域医療の確保が四番目に高く評価されております。しかも、前年比較でいきますと五・一ポイント増ということで、評価が最も伸びた分野でございます。このことから、オール岐阜で進めている様々なコロナ対策、あるいは経済対策、生活対策、こういったことが暮らし向きの判断に多少なりとも影響しているかどうか、この点はもう少し分析してみたいところでございます。 また、これ以上よくならない、どうせ変わらないといった諦めもあるのではないかといったような御意見もありましたし、そこら辺は調査結果からは直ちには読み取れないわけでありますが、今後さらにきめ細かく県民の皆様の声に耳を傾けてまいりたいと思っております。また、コロナの影響がまだまだ出ていないのではないかという意見もあるようでありますが、個々の課題に関するモニター、あるいは来年以降の調査の結果も含めて、継続的にこの問題をフォローしていきたいというふうに思っております。 次に、今後の暮らしの中で重視していきたいことにつきましては、ここ数年「健康・体力づくり」がずうっと第一位に上げられております。この結果をどう分析するかは、御指摘のとおり様々あろうかと思っておりますが、私としてはコロナ禍での健康への不安の増加と、それに伴う健康志向の高まりによって、高齢世代のみならず、若い世代でも関心が高まっているのではないかというふうに考えております。 県としては、これまで地域医療の充実はもちろんでありますが、県民の自主的な健康づくりを促す健康ポイント事業、あるいは高齢者のフレイル予防といいますか、虚弱予防、従業員の健康に配慮した健康経営優良企業の表彰等々、市町村、あるいは企業とも連携をして、健康づくり事業に取り組んできております。 さらには、「清流の国ぎふ」づくりの一環ということで、ぎふ清流国体・清流大会、全国レクリエーション大会in岐阜、今年度十回目を迎えた高橋尚子杯ぎふ清流ハーフマラソン、アジアジュニア陸上競技選手権大会などの国際的・全国的スポーツ大会の誘致開催など、スポーツを通じた健康・体力づくりへの機運醸成にも取り組んできておるところでございます。 今後も、あらゆる世代の方々が参加・交流する、ぎふ清流レクリエーションフェスティバルを毎年開催するほか、今年度残念ながら中止となったねんりんピックの再誘致も視野に、県民の健康・体力づくりへの関心の高まりに応えてまいりたいというふうに思っております。 次に、調査結果の県施策への反映についてでございますが、調査結果は県民に広く公表するとともに、県庁各部局と情報共有を図り、県政推進の重要な基礎資料として活用しております。 まず県事業への関心の項目を見てみますと、関心層は五〇%であり、無関心層三八・八%を上回ってはおります。しかし、年代別で見ますと、唯一、二十代で無関心層が関心層を上回っておりまして、その差は一四・一ポイントと大きく開いておるわけであります。 一方、県事業についての情報の入手方法について見てみますと、無関心層が多い二十代は、テレビに次いでフェイスブック、ツイッターなどのSNS、インターネットから情報を入手しているとの回答が多く見られます。こうしたことから、テレビ、新聞、広報紙といった媒体に加えて、今後は、ウェブ動画、SNSによる情報発信を強化し、広報広聴の手法・チャンネルの多様化を図ってまいりたいと思っております。 また、県の取り組みでよくやっていると思う分野の項目では、御指摘がありましたように防災対策が高く評価されております。本県では、平成三十年七月豪雨、令和二年七月豪雨、今年八月の大雨と続いてきておりますが、そういう中で全国的に見ても記録的な降雨量の中でも被害を何とかある程度抑え込んでいるといったことが反映されているのではないかというふうにも考えております。 一方で、防災対策は、重点的に進めるべきだと思う分野の項目でも第一位でございます。引き続き岐阜県強靱化計画に基づき、気候変動に伴う風水害の頻発化・激甚化などに対して備えを強化してまいりたいと思います。 一方、県の取り組みで努力が足りないと思う分野の項目では、若者の県内定着、少子化対策、子育て支援が今年度の調査も含めて例年上位に上がっております。こうした結果も踏まえて、県では、若者の県内定着に向けて移住・定住施策の強化、大学生等に県内企業の魅力を伝えるオール岐阜・企業フェスの開催、郷土の愛着を育むふるさと教育、本県の強みを生かした産業教育などに鋭意取り組んでいるところでございます。令和二年度の移住者は、過去最高の千七百五十二人を記録し、そのうち二十代、三十代の若者が七割を占めるに至っておると。これも一つの政策の成果でもあろうかと思っております。 また、子育て支援につきましては、努力が足りないとの御指摘が多い一方、三十代の方々からはよくやっているとの御評価もいただいております。また、重点的に進めるべきだと思う分野の項目でも三番目に上げられているということで、大変関心の高い分野でございます。これらを踏まえて、県としては、例えば双子等妊娠期サポート事業として、プレママパパ教室の開催や多胎妊婦への訪問支援など、きめ細かな支援に取り組んでおります。先月には、この取り組みが「健康寿命をのばそう!アワード」の母子保健分野において、厚生労働大臣最優秀賞を受賞したところでございます。 なお、コロナ禍にあって医療分野の評価が注目されるところでありますが、調査結果を見ますと、先ほど触れましたとおり、県の取り組みでよくやっていると思う分野の項目では四番目、前年比較では五・一ポイント増と最も伸びた分野になっております。一定程度の御評価をいただいているとは思いますが、気を緩めることなく、検査・医療体制の強化をはじめとする第六波への備え、三回目の円滑なワクチン接種など、万全を期してまいりたいと思っております。 以上、調査結果の主な項目、主な分野など御紹介させていただきました。 時代が目まぐるしく変化していく中で、今後とも県政世論調査に加えて、時々の課題を把握する県政モニターアンケートなどと通じて、県民の意識、トレンドを十分かつ迅速に把握し、県政に生かしてまいります。
○副議長(松岡正人君) 三十一番 松村多美夫君。 〔三十一番 松村多美夫君登壇〕(拍手)
◆三十一番(松村多美夫君) ただいま議長から発言の許可をいただきましたので、通告に従いまして、今回は大きく分けて四項目、九点について質問をさせていただきます。 それでは、早速質問に入らせていただきます。 まず最初に、岐阜県と福井県を巡る広域観光ルートの構築について、二点お伺いをいたします。 私は、この取り組みに関しましては以前からその重要性を捉え、今からちょうど四年前の平成二十九年十二月定例会において、冠山峠道路の全線開通を見据えた両県の広域観光構築と西美濃夢源回廊の観光振興、併せて馬坂トンネル改修を含む県道藤橋根尾線の道路整備についてお伺いをいたしました。 そうした中、先般十月十九日付の岐阜新聞で古田知事は、福井市内で杉本福井県知事と懇談をし、岐阜と福井県を巡る広域観光ルートの構築を目指す方針で合意したと大きく報じられておりました。これを見て、岐阜県と福井県との広域観光ルートの構築に向けた取り組みがようやく動き出したなと、大変うれしく思いました。 こうした動きの原動力の一つが、揖斐川町と福井県池田町を結ぶ国道四百十七号冠山峠道路で、二〇二三年に全線開通予定との見通しが示されたところであります。国道四百十七号は、徳山ダムの関連工事で随分道路整備が進んだことや、さきにもお話をいたしました冠山峠道路が二〇二三年に開通することで、年間を通じまして通行が可能となり、岐阜県と福井県との交通アクセスの向上が期待をされております。 福井県は隣県ということもあり、私は観光や国道百五十七号整備促進期成同盟会の会合などで何度も訪問いたしております。先日は、広域観光スポットを再確認するために久しぶりに福井県を訪れました。まずは、国道四百十七号の福井県側の入り口でもあります福井県池田町役場を訪問し、担当者と意見交換を行いました。庁舎の壁には冠山トンネル早期開通の看板が大きく掲げられており、お話の中でも冠山トンネル早期開通を大変期待しておると言っておられました。 その後、それから車で三十分ほどのところにあります一乗谷朝倉氏遺跡を訪れました。そのパンフレットが、議場に今日配付いたしました資料一を見ていただくと非常によく分かると思いますが、戦国の城下町が当時の面影そのままに復元されており、戦国時代の町なかにいるようで、約四百五十年前にタイムスリップしたような気持ちになりました。 また、古田知事も先般視察をされました福井県美術館を訪れますと、ちょうど岐阜県美術館の名品をそろえた企画展が「ももきねの美 清流の旅」と題して開催されており、前田青邨、加藤東一、川合玉堂らの日本画の巨匠や、陶芸の人間国宝である荒川豊三、加藤卓男、鈴木 藏らの作品が一堂に展示されており、大変見応えがありました。そのパンフレットの前文には、「岐阜と福井は隣県同士として古くから人や物が往来し合う豊かな人間関係を結んできました。この絆は、中部縦貫自動車道の整備に伴い今後一層の発展が期待されております」とうたわれておりました。 さて、いよいよ福井県では、二〇二六年春に中部縦貫自動車道全線開通が見込まれております。また、二〇二三年度末には北陸新幹線が敦賀まで延伸をされます。 一方、岐阜県でも、二〇二四年度に東海環状自動車道西回り区間の岐阜市、本巣市間の開通がありますし、全線開通も二〇二六年度に予定をされております。そして、先ほど述べましたが、両県にまたがる冠山峠道路が二〇二三年に開通をされる予定であります。それらを考え合わせますと、ますます両県の交流人口が増えて、早期の広域観光の構築が必要になってくるのではないかと考えます。 そこで、一点目として古田知事にお伺いをいたします。 福井県知事との懇談の中で、古田知事は、戦国武将観光を中心に両県の観光資源を生かした広域観光の推進に向けて連携をしていきたいと力強くお話をされたとお伺いをいたしております。新型コロナウイルスの影響が長引く中で、旅行に対する考え方に変化が起き、自然や文化、歴史に注目が集まり、世界的にもサステーナブル・ツーリズム、すなわち持続可能な観光が求められていると伺っております。両県は、まさにこうしたニーズに合った観光資源の宝庫であり、道路ネットワークの整備が進む今こそ、両県が広域観光を強力に推し進めるチャンスであると思っております。 歴史資源の活用といった懇談会の合意を踏まえ、両県の観光資源を結ぶ広域観光の推進を今後どのように取り組んでいかれるのか、お伺いをいたします。 また、二点目として、県道藤橋根尾線に関してお伺いをいたします。 先ほど紹介いたしました冠山峠道路の完成は、西濃圏域のみならず岐阜圏域にとっても大変意義があり、今後の岐阜圏域の観光振興にも大いに期待が持てるものであります。そのためには、国道四百十七号と国道百五十七号をつなぎ、現在西美濃夢源回廊のアクセス道路ともなっております県道藤橋根尾線の早期整備が、私は喫緊の課題であると考えております。 しかし、馬坂トンネルの抜本的改良や急峻な道路の整備などには莫大な費用がかかり、コロナの影響も相まって、ここに来てこの県道藤橋根尾線の整備は頓挫をいたしております。この道路は、国道四百十七号の迂回路としても非常に大切な道路であります。そのため、まずは馬坂トンネルの抜本的な道路整備を優先的に進め、通年安全に安心して通行できる道路改良が必要ではないかと思います。 そこで、この問題は県土整備部長にお伺いをいたします。 県道藤橋根尾線の道路整備の現在の進捗状況と今後の整備方針について、どのように考えておられるのかお伺いをいたします。 続きまして、二点目の濃尾大震災百三十年を契機とした県民の防災意識の向上と、防災士資格にとらわれない地域で活躍できる「真」の「防災リーダー」の育成及び防災教育についてお伺いいたします。 今年は濃尾大震災からちょうど百三十年の節目の年であり、新聞報道や岐阜県博物館での展示、県のホームページなどでも啓発活動が行われております。 振り返ってみますと、濃尾大震災は一八九一年十月二十八日、私の住んでおります本巣市根尾地域を震源に発生をいたしました。資料によりますと、マグニチュード八の内陸直下型地震で、全国の死者数は七千二百七十三人に上り、甚大な被害が発生いたしました。ちなみに、県内の死者数は四千八百人、家屋の全壊は四万四千棟となっております。 今回、この質問をするに当たりまして、久しぶりに本巣市根尾にあります地震断層観察館を訪れました。地震断層観察館のパンフレットも議場に資料二として配付をいたしておりますので、中を見ていただきますと非常によく分かると思います。 地震断層観察館は、観察、学習、体験を通じまして地震に関する知識を習得することができ、過去の防災から教訓を学び取ることができる大変有意義な施設であります。ピラミッドのような建物の中にトレンチで掘られた遺構があり、その中には、地震の破壊力によって六メーターも垂直に断ち切られた断層があらわになっており、大地震の爪痕を目の当たりにすることができます。 地元では根尾谷断層(通称水鳥の断層)として知られており、国の特別天然記念物にも指定されております。この施設の見学を通しまして、濃尾大震災百三十年の節目を迎えたことを契機と捉え、なお一層、県民の皆様方へ防災意識の向上に努めなければと感じた次第であります。 さて、岐阜県をはじめ各市町村においては、防災ハンドブックや洪水ハザードマップを作成し、各家庭に配付をしたり、防災訓練などを通して防災意識の啓発に取り組んでおられます。また、中には住民を対象とした自主防災訓練に取り組んでいる自治会や町内会もございます。 しかしながら、市町村で行う防災訓練は数が限られており、また先ほどお話をした地域独自での自主防災訓練を行っておる自治会などもそんなに多くはありません。せっかく配付をいたしました防災パンフレットや啓発資料も活用されることなく、家庭で眠っているというのが現状であります。 少子高齢化、また追い打ちをかける形でコロナ禍となり、防災訓練が簡略化をされたり自粛されたりと、昨今、防災活動が停滞しているのではないかと大変危惧をいたしております。やはり、大きな災害が発生した場合には、皆さん御存じのように地域での助け合い、すなわち共助で救護や救援することが災害直後には大きな力になってまいります。日頃から顔の見える形での地域コミュニティーの形成が極めて重要であると考えます。 しかし、近年、地域コミュニティーが弱体化をしていく中、防災意識の高揚を図っていくことが非常に困難になってきております。加えて、毎年行われております地域の防災訓練などにおいては、消火器の取扱いや消火栓の点検作業などがほとんどであり、マンネリ化が否めず、防災に対する意識の啓発にはつながっておりません。より実践的な訓練や図上演習を取り入れるなど、工夫も必要ではないかと考えます。 そこで、危機管理部長にお伺いをいたします。 一点目として、県は、県民の防災意識の向上に向けてどのような取り組みをしておられるのか、お伺いをいたします。 二点目として、防災士資格にとらわれない地域で活躍できる真の防災リーダーの育成についてお伺いをいたします。 先般、岐阜県と岐阜大学が共同設置をした清流の国ぎふ防災・減災センターを視察させていただきました。当センターでは、地域防災力の強化に取り組んでおられます。ここでいう地域防災力とは、住民、自主防災組織、地方公共団体などが行う防災活動の適切な役割分担や連携によって確保される、地域における総合的な防災の体制及びその能力のことをいいます。 こうした地域防災力の向上を図る上では、地域において主導的な役割を果たすことが期待されておりますのが防災士であります。防災士資格は民間資格であり、防災士に期待されている役割は、平時においては防災啓発活動や、訓練の場ではまずは自分が率先して動き、周囲を動かすように努めるとともに、必要に応じてリーダー役を果たすことであります。また、災害時には、避難誘導や初期消火、救出活動などに当たることなどが上げられます。こうした防災士に加え、本県のように防災リーダー、あるいは防災コーディネーターなどの名称で防災士と同様の活動を担える人材の養成を行っている自治体もございます。 しかしながら、コロナ禍の影響もありまして、地域の共助の一翼を担う防災士の資格を取得しようとする受講者が集まらなかったり、数年継続してきた養成制度を途中で断念する自治体もあるやにお聞きいたしております。 そこで、危機管理部長にお伺いをいたします。 平時には地域の防災啓発活動を行い、災害時には地域のリーダーとして共助の核となる、防災士資格にとらわれない地域で活躍できる「真」の「防災リーダー」の育成に向けて、県として防災・減災センターなどとの連携を図り、どのような取り組みをしておられるのかお伺いをいたします。 三点目として、防災教育についてお伺いをいたします。 先日、岐阜県博物館で行われておりました「令和三年度特別展 今日から防災!」を見させていただきました。「過去を知り未来へ備えよう」と銘打って、噴火、大雨、地震などの様々な災害のメカニズムや、岐阜県で起きた災害のパネル展示、また災害用テントや簡易トイレなど家庭でできる防災対策や、地震実験装置などが展示してあり、大変勉強になりました。 ちょうどそのとき、小学生の子供さんたちが筆記用具を片手に熱心に博物館関係者から防災に関するお話を聞いておられました。小・中学校では、年に三回の命を守る訓練に加え、専門家を招いて防災教育や過去の災害を学ぶ機会をつくっておられます。また、中には地域の防災士が学校の避難訓練を企画運営したり、定期的な防災授業を地域と学校との協働活動として行われておる事例もあるとお伺いをいたしております。 子供たちが自分たちで命を守る行動につながってこそ、防災教育の意義があるものと思っております。私の知り合いの防災士の話では、子供たちが学校で学んだことを家庭に持ち帰り、家族で話し合うきっかけになった例もあると伺っております。 そこで、教育長にお伺いいたします。 過去の災害から学び、家庭や地域にもつながるよう、今後どのように小・中学校における防災教育に取り組んでいかれるのか、お伺いをいたします。 続きまして、高齢運転者の悲惨な交通事故抑止に向けた取り組みについて、二点お伺いをいたします。 連日、高齢者による高速道路での逆走事故や、ブレーキとアクセルの踏み間違いによるコンビニへの突入、また信号の見落としによる大事故、子供たちの通学の列に突っ込む痛ましい交通事故などの報道を拝見いたしております。ちょうどこの原稿を書いております前日にも、大阪狭山市大野台のスーパーへ高齢者の運転する車が突っ込んで、男女三人が死傷する痛ましい事故が発生いたしましたし、同じような事故が高山市でも発生いたしました。 ここで、令和三年一月から十月までの全国の交通事故発生状況を調べてみますと、死者数は二千百一人。昨年よりも増減数でマイナスの百六十人、増減率ではマイナスの七・一%であります。コロナ禍で全国的に減少する自治体が多い中、岐阜県では死者数五十人。昨年よりも増減数でプラスの十四人、増減率ではプラスの三八・九%と群を抜いて増加をいたしております。 全国的には、死者数ではワースト十三位、増減数はワースト二位、増減率はワースト五位。また、人口十万人当たりの死者数は二・五三人で全国ワースト十一位となっております。なぜ岐阜県が突出して交通死亡事故の発生が多くなったのか不思議でなりませんが、発生をしておる交通事故の実態を見てみますと、高齢者の死者数が二十九人で、前年対比プラスの八人、全死者数五十人のうちの約六〇%を占め、このうち歩行者・自動車乗車中の死者数がそれぞれ十一人と大変目立っております。また、原付以上の運転者が第一当事者となった事故四十一件のうち、高齢運転者の事故が十四件と三割強を占め、前年より三件増加しているなど、高齢者が関係する交通事故の増加が死亡事故増加の要因の一つではないかと考えられます。 このような中、改正道路交通法が来年令和四年五月十三日から施行される予定であります。施行内容を見てみますと、七十五歳以上の高齢者が対象となり、免許更新時の誕生日百六十日前を起点として、そこから遡って三年間の間に信号無視や速度超過、横断歩道の通行妨害など十一類の違反をした人は、運転技能検査に合格をしないと免許の更新ができなくなるということで、大変厳しくなっております。また、どうしても買物などで免許の自主返納に踏み切れない高齢者のみならず、高齢者以外でも運転に不安を覚えられるドライバーなどは、これは年齢に関係なく申請することによりまして、衝突被害軽減ブレーキなどの運転支援機能を備えた安全運転サポート車限定免許に切り替えることもできます。 そこで、警察本部長に二点お伺いをいたします。 一点目として、高齢者の交通事故抑止に向けて、今まで医師と警察との連携で認知症の早期診断や、また警察と地方自治体との連携など様々な取り組みが行われてきたと認識をいたしておりますが、事実昨年より高齢運転者の交通事故が増加をいたしております。そこで、岐阜県における高齢運転者の交通事故の特徴と抑止に向けた対応について、今後どのように取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。 また、二点目として、更新期間が満了する日における年齢が七十歳以上になりますと、運転免許証を更新する際、皆さん御存じのように
高齢者講習会が義務づけられております。昨今、道路交通法が目まぐるしく改正をされて、はがきで通知が届いても内容が理解できなくて戸惑われ、免許更新に大変不安を持たれる高齢者も見受けられます。そんな高齢運転者に対して、自己の記憶力や判断力の状況をしっかりと自覚をしてもらい、引き続き安全運転を継続することができるようにすることも、私は必要ではないかと考えます。 そこで、来年五月に施行が予定されております改正道路交通法などの高齢者への周知や支援について、今後どのように対応されるのか警察本部長にお伺いをいたします。 最後に、地球温暖化がもたらす農作物への影響と取り組み及び県育成品種「ねおスイート」の振興方針について、二点お伺いをいたします。 地球温暖化は各方面に様々な影響を及ぼしており、今後も拡大・顕在化するおそれがあります。気候変動に関する政府間パネル第五次評価報告書、いわゆる「IPCC AR5」によりますと、今後も世界的に見て温暖化とともに極端に暑い日や短時間豪雨など、気象・気候の異常現象が増加する可能性が指摘されており、文部科学省及び気象庁によりますと、日本の平均気温は二十世紀末と比べて二十一世紀末には約一・四度から約四・五度上昇すると予測をされております。 今朝の新聞各紙にも「温暖化で二億人避難難民」との見出しで、二〇五〇年までに気候温暖化に伴う水不足や海面上昇が深刻化との記事が載っておりました。このような地球温暖化は、農作物へも様々な影響を与えることが危惧をされております。実際、多くの農作物で高温傾向にある影響は既に現れており、夏の異常高温による農作物の品質低下や、温暖化による越冬害虫の増加や南方系害虫の北上などの影響が見られます。確かに、果樹においても栽培に有利な温度帯が北上いたしておりますし、病害虫・雑草の発生増加や定着可能域の拡大・北上が見られます。 例えば本巣市や瑞穂市、大野町で生産が盛んな富有柿は、本県産柿の主力品種として中京方面や京浜方面での市場に出荷をされております。本県の柿生産量は全国四位、中部九県では一位を誇り、全国有数の産地となっておりますが、岐阜県気候変動適応センター共同研究によりますと、温暖化の影響で現在の柿栽培の適地では、二〇四〇年代には柿の品質を低下させ、色づきが悪く着色不良が増えると指摘をされております。 私も僅かばかりの柿を生産いたしておりますが、昨年は異常気象で色づきが悪く、玉伸びも少なく味もいまいちでありました。また、今年は雨が多く高温が続いたため、カメムシや炭疽病などの病害虫の発生やへた割れなどが多く発生いたしております。今年も地元柿専業農家では、贈答柿もできないと死活問題であり、悲鳴を上げておられます。気候変動の影響に対応する取り組みが喫緊の課題であると思います。 そうした中、新聞で話題になっております県育成品種「ねおスイート」の高級ブランド柿「天下富舞」は、今年の初競りでは市場最高値を更新する価格八十六万円(消費税抜き)で落札されました。これは柿としては非常に高い価格で歓迎されることではありますが、「ねおスイート」の生産はほんの一部の農家に限られており、価格についても一部の農家のみが恩恵を受けているというのが現状であります。 一方、先ほども申し上げましたように、気候変動などにより富有柿の栽培だけでは割に合わない柿生産農家もある中、高齢化や後継者不足の深刻化も拍車をかける形で、柿生産地がますます縮小してしまうことが大変懸念をされております。確かに、近くの柿畑を見てみますと、手入れもされず放置をされた柿畑が目立ってきております。そうしたことを考えますと、初競りで何十万円もするようなブランド柿である「ねおスイート」は県育成品種であることから、一部の特定農家だけではなく、誰もが苗木を買え、栽培できるようにすることが、私は本来の姿ではないかと考えます。そうしたことで、「ねおスイート」が県産柿の顔として普及をし、ひいては県産柿全体のイメージアップにつながっていくのではないかと考えます。 そこで、農政部長に二点お伺いをいたします。 一点目は、県として地球温暖化がもたらす農作物への影響についてどのように認識をし、今後どのように取り組まれるのかお伺いをいたします。 二点目として、県育成品種「ねおスイート」について、どのようにブランド化を進め、柿農家へ普及していく予定なのか、今後の「ねおスイート」の振興方針について県の御所見をお伺いいたします。 今回は、今取り組まなければならない問題を捉え、質問をさせていただきました。誠意ある御答弁をお願いいたしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。長時間、御清聴誠にありがとうございました。 (拍手)
○副議長(松岡正人君) 知事 古田 肇君。 〔知事 古田 肇君登壇〕
◎知事(古田肇君) 岐阜県と福井県を巡る広域観光の推進についてお尋ねがございました。 両県の道路交通ネットワークは、急速に展開してまいります。令和八年春には、福井県内の中部縦貫自動車道が全線開通するということで、岐阜県と新たに高速道路で結ばれるということでありますが、それに先立って令和六年度には、東海環状自動車道が山県から大野神戸インターチェンジ間が開通するわけであります。そうしますと、岐阜県、福井県、滋賀県の三県を五つの高速道路でつなぐ新たな広域観光ループ、回廊が誕生するわけであります。また、令和五年に冠山峠道路が完成するわけでありますので、両県の直接の交通アクセスが格段に改善されるわけであります。さらには、令和六年には北陸新幹線敦賀延伸ということで、さらなる交流の加速化も期待できるわけであります。 これまで福井県は、長年にわたりまして、岐阜県にとりましては近くて遠い存在ではありましたが、今やまさに名実ともに隣県になろうとしているというふうに思っております。本県としても、この機会を捉えて福井県との広域的な観光・交流を積極的に進めてまいりたいというふうに考えております。 こうした中で、先般、福井県の杉本知事と懇談の場を設けさせていただいたわけでありますが、その際、広域観光の推進に関する連携ということで、両県の歴史的観光資源を小・中学校等の教育旅行先として紹介する取り組み、あるいは戦国観光をテーマとした共同プロモーションの実施といったことについて合意をしたところでございます。教育旅行先としての相互紹介については、既に両県の学校関係者への説明等を開始しております。 また、先ほど申し上げました広域観光ループ上には、本県側には関ケ原古戦場、岐阜城、郡上八幡城が、福井県側には来年、新博物館がオープンする一乗谷朝倉氏遺跡、越前大野城、丸岡城など、全国的な知名度を有する戦国観光資源を多数擁しております。今後は、こうした両県共通の魅力である戦国観光をテーマとした共同プロモーションを展開していく予定でございます。来年秋に三年ぶりに関ケ原で開催予定の武将イベントへの福井県側からの参加についても、調整を開始したところでございます。 さらに、令和五年放送予定のNHK大河ドラマ「どうする家康」に向けまして、近隣県との連携の準備を進めておりますが、金ケ崎の戦いの場である福井県とも連携を深め、両県への誘客拡大につなげてまいりたいと思っております。折しも、福井県では、今年九月に新たに名古屋事務所を開設されたところでありまして、愛知県を拠点とした連携も進めてまいりたいと思っております。 このほか両県は、本県出身の外交官、杉原千畝氏の「命のビザ」により生まれた杉原ルートで既に結ばれておりまして、教育旅行、インバウンドでも多く活用されているところであります。また、冠山峠道路沿いに、本県側には雄大な自然を楽しめる徳山ダム、福井県側にはフィールドアスレチックスを楽しめる施設があるなど、連続的に自然を楽しめる観光資源がございます。 今後は、こうした両県のサステーナブル・ツーリズム、持続的な観光にもつながる共通コンテンツをより一層活用し、大都市圏や海外でのプロモーションを展開し、新たな旅行商品造成など、アフターコロナにふさわしい広域観光を推進してまいりたいと思っております。
○副議長(松岡正人君) 県土整備部長 船坂徳彦君。 〔県土整備部長 船坂徳彦君登壇〕
◎県土整備部長(船坂徳彦君) 県道藤橋根尾線の道路整備の進捗状況と今後の整備方針についてお答えします。 西美濃夢源回廊の一部ともなる藤橋根尾線は、福井県と岐阜圏域をつなぐ観光交流や防災面において重要な路線であると考えております。 しかし、道路の幅員が狭いことに加え、馬坂峠にあるトンネルは高さ制限があることから、大型車の通行が困難となっています。また、大雨のときや冬季には路線の大部分が通行止めになるなど、整備に向けては多くの課題があるのが現状です。 こうした中、まずは大型車の通行を確保する整備を進めており、これまでに道路の拡幅や待避所の設置などの対策が必要な箇所として十一か所を選定し、現在そのうちの四か所で詳細な設計が完了したところです。 今後は、工事着手に向けた用地の調査を進めるとともに、トンネル区間における、より効果的・効率的な整備手法についても引き続き検討を重ねてまいります。
○副議長(松岡正人君) 危機管理部長 渡辺正信君。 〔危機管理部長 渡辺正信君登壇〕
◎危機管理部長(渡辺正信君) 濃尾大震災百三十年を契機とした取り組みに関し、二点の御質問をいただきました。 まず、県民の防災意識の向上に向けた取り組みについてお答えいたします。 県では、災害から命を守る岐阜県民運動として、メディアによる啓発に加え、地域における防災力を強化するため、住民向けの防災タウンミーティングや実践的な災害図上訓練などを実施しております。コロナ禍においても、オンラインによる講座や災害・避難カードの解説動画をユーチューブやSNSで発信するなど、県民の防災意識の向上に取り組んでいるところです。 また、本年は濃尾地震から百三十年目に当たるため、地震への備えをテーマに、当時の記録をカラー写真化したパネル展の実施や、当時と同じ震度を地震体験車により体感できる防災イベントなどを開催しております。近年、想定外の常態化ともとも言うべき災害が相次ぐ中、自助・共助の底上げは一層重要となることから、引き続き、デジタル版災害・避難カードなどDXも活用しつつ、県民の防災意識向上に取り組んでまいります。 次に、防災士資格にとらわれない地域で活躍できる真の防災リーダーの育成に向けた取り組みについてお答えいたします。 県では、防災人材育成のため、岐阜大学と共同設置した清流の国ぎふ防災・減災センターにおいて、防災知識の習熟度などに応じ、初心者から経験者まで幅広く参加できるとともに、段階的に学べる研修や講座を開催しております。 これまでに、共助の要となる防災人材を育成する清流の国ぎふ防災リーダー育成講座では、千七十一名の方が受講し、また高度な防災知識を持ち、自主防災組織を主体的に担える人材を育成するげんさい未来塾では、三十五名の方が卒業しております。これらの防災リーダーや卒業生は、防災タウンミーティングや地域の防災訓練などにおいて指導的役割を担っていただいているところです。 防災・減災センターでは、こうした取り組みが浸透、拡大するよう来年度から三年間の防災人材育成に係る計画を策定するとしていることから、新たにげんさい未来塾の卒業生を対象としたスキルアップ研修を盛り込むなど、地域で活躍できる防災人材のさらなる育成を図ってまいります。
○副議長(松岡正人君) 教育長 堀 貴雄君。 〔教育長 堀 貴雄君登壇〕
◎教育長(堀貴雄君) 小・中学校における防災教育の取り組みについてお答えします。 県教育委員会では、東日本大震災の被災地にある小・中学校に派遣、勤務した五名を含む十六名の教員と専門家が一緒になって防災教育に関する指導書を本年二月に作成し、これを使い、五月には全小・中学校の防災担当教員を対象に防災教育研修を行いました。 こうした研修を踏まえ、児童・生徒が、濃尾地震が発生して百三十年たつことから、根尾谷の地震断層観察館を訪れ、この地震について調べたり、四十五年前の長良川堤防決壊について当時の経験者に取材するなど、自分たちの住む地域で発生した災害について仲間と共に学び、災害を人ごとではなく自分のこととして捉えることができるようにしております。 また、地域のハザードマップで雨水の行方を調べる学習や、家庭における災害に備えた整理・整頓の方法を学ぶ授業など、地域や家庭と関連づけ、生活の中で実際の防災行動につなげていくことを学んでおります。 今年度中には、こうした実践事例を取りまとめ、各学校に配付し、防災教育の一層の充実に努めてまいります。
○副議長(松岡正人君) 警察本部長 加藤伸宏君。 〔警察本部長 加藤伸宏君登壇〕
◎警察本部長(加藤伸宏君) 高齢運転者の悲惨な交通事故抑止に向けた取り組みについて、二点承りました。順次お答えいたします。 まず一点目、高齢運転者の交通事故の特徴と抑止に向けた対応についてお答えします。 県下の交通事故件数及び死者数は、本年十一月末現在、五十三件、五十五人で、死者数は昨年より十八人増加しております。このうち、自転車や歩行者が第一原因となった事故を除く四十六件に限りますと、高齢運転者が第一原因となる死亡事故は昨年より六件増加した十七件で、全体の約四割に上ります。議員御指摘のとおり、高齢運転者に対する対策が急務であります。 高齢運転者が第一原因となった県下の交通死亡事故を過去五年にわたって分析しますと、まず事故の態様という点では、単独事故や正面衝突の事故の割合が高く、次に事故の原因という点では、ハンドル・アクセル・ブレーキの操作ミスや一時不停止、優先通行妨害等交差点関連の交通違反の割合が高くなっております。ここからうかがえますのは、加齢に伴う身体機能の低下であります。 県警察では、関係機関等とも連携し、シルバー・ドライビング・スクールや自動車シミュレーターを活用した参加・体験・実践型の交通安全教育を通じて、高齢運転者に身体機能の運転への影響を認識していただきますとともに、機能低下を自覚された方に向けて、安全運転サポート車の試乗会を案内したり、運転免許証の自主返納を促したりしております。今後も、高齢運転者の交通事故防止対策を強力に推進してまいります。 次に、二点目、改正道路交通法などの高齢者への周知や支援についてお答えします。 議員御指摘のとおり、来年五月施行予定の改正道路交通法は、七十五歳以上で一定の交通違反歴のある方に対する運転免許更新時の運転技能検査の義務化及び安全運転サポート車限定免許の創設という高齢運転者対策を内容としております。 県警察では、県警察ホームページや市町村の広報紙、ポスターやチラシ、各種講話等によって広報してまいります。広報したといってもなお不安をお持ちの方に対しては、電話での相談に応じてまいります。 また、免許更新に不安のある方のために、安全運転相談ダイヤル「#八〇八〇」を設け、運転に関する助言・指導や、自主返納制度の教示を行っておりますほか、運転免許課や各種イベント会場におきまして、看護師資格のある医療系専門職員が個別の相談に応じております。 以上のほか、七十五歳以上の運転免許保有者の方々には、認知機能検査を通知するはがきをお届けしておりますが、文字が見にくくないよう、来年の法改正を機にはがきから封書に替え、A4サイズの紙に大きな文字で記載した通知をお届けすることを予定しております。
○副議長(松岡正人君) 農政部長 長尾安博君。 〔農政部長 長尾安博君登壇〕
◎農政部長(長尾安博君) 二点御質問をいただきました。 まず、地球温暖化がもたらす農作物への影響と取り組みについてお答えをいたします。 昨年度の農林水産省の地球温暖化影響調査レポートでは、全国の多くの品目で病害虫の多発や高温による生育不良、品質低下などが報告されており、県としても今後の農業経営に深刻な影響が及ぶことを危惧し、対策を進めているところです。 例えば柿では、病害虫の発生予測モデルを開発し、防除時期と薬剤を組み合わせた防除技術を確立して、鋭意普及指導に努めております。現在は、気候変動に対応したAIによる出荷予測技術や高温でも果実が軟化しにくい新品種の開発を進めており、今後は着色不良などへの対応技術の研究にも取り組んでまいります。 また、夏秋トマトやナスを枯らす高温性の病害を回避できる新たな栽培システムを開発し、普及を進めているほか、夏ホウレンソウでは、ハウス内の温度上昇を抑制する自動遮光装置を開発し、現地での実証に取り組んでおります。 今後も、地球温暖化への対応が急務との認識の下、県内農家とともに前広に対策を進めてまいります。 次に、県育成品種「ねおスイート」の振興方針についてお答えをいたします。 「ねおスイート」は、岐阜柿のトップブランドとして育成するため、県、生産者、JA等で構成するねおスイートブランド化推進協議会を設立し、栽培農家を限定して生産から販売まで一貫管理体制の中で、糖度二十度以上のものを高級柿「天下富舞」として高値で販売されるブランドに成長させてまいりました。 この「ねおスイート」には、病害虫に弱い、果実が汚れやすい、木の勢いが衰えると収量や品質が低下しやすいなど、栽培が難しい面が多々あります。このため、現在県内十か所で栽培技術の確立に向けた実証に取り組んでいるところであり、今後、栽培指針を策定した上で、農家への普及拡大を検討してまいりたいと考えております。 一方で、ブランド力を低下させずに多くの柿を販売するためには、販路先を拡大する必要があるため、今年度から高級路線に加え、量販店向けの商品を設けて出荷を始めました。引き続き市場評価やニーズを踏まえ、高いブランド力を維持しながら計画的な販路拡大を図ってまいります。……………………………………………………………………………………………
○副議長(松岡正人君) 以上をもって本日の日程は全て終了いたしました。 明日は午前十時までに御参集願います。 明日の日程は追って配付いたします。 本日はこれをもって散会いたします。
△午後三時二十分散会 ……………………………………………………………………………………………...