富山県議会 2010-02-01
平成22年2月定例会 総括質問
↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 午前10時00分開議
◯議長(梶 敬信君)ただいまから本日の会議を開き、直ちに日程に入ります。
県政一般に対する総括質問並びに提出案件に対する質疑
2 ◯議長(梶 敬信君)日程第1、県政一般に対する質問並びに議案第1号から議案第46号まで、議案第48号から議案第60号まで、報告第1号及び報告第2号を議題といたします。
これより県政一般に対する総括質問並びに提出案件に対する質疑を行います。
通告がありますので、順次発言を許します。
五十嵐務君。
〔16番五十嵐 務君登壇〕
3 ◯16番(五十嵐 務君)おはようございます。
自由民主党を代表して、今定例会の議論を振り返りつつ総括質問を行います。
初めに、行財政運営についてお伺いします。
国が目指している地域主権の実現に向けて、
地域主権戦略会議において、国と地方の協議の場の設置や義務づけ、枠づけの見直しなどが検討されており、この夏を目途に
地域主権戦略大綱が取りまとめられる予定となっています。
真の分権型社会の実現のためには、
地方分権改革推進委員会のこれまでの勧告を実現するなど、国と地方の関係の見直しに速やかに取り組む必要があります。しかしながら、民主党政権は、地域主権を最優先にするとのかけ声とは逆に、実際には子ども手当の財源の一部を地方負担としたり、
地方分権推進委員会の勧告を実行する段階になっては地方の要望を通さないなど、本当に地方分権を実現する気があるのか不透明なところがあります。
今後、
地域主権戦略会議における検討の進捗に合わせて、地方交付税の復元、増額の問題や国と地方の税源配分の問題、国と地方の役割分担の見直し、二重行政の無駄の排除など、分権型社会の実現を国に対して強く求め、地方がさらに一丸となっていく必要があります。
そこで、地域の実情を知る地方が国にしっかりと働きかけて、地域のニーズに適切にこたえることのできる実効ある対策の実施を求めてもらいたいと考えますが、地方分権の実現に向けてどのように取り組むのか、石井知事にお伺いします。
また、富山県予算の財源不足については、平成21年度予算編成前の11月の時点で約190億円と見込まれていましたが、国の22年度地方財政対策等により、予算編成後の財源不足は約131億円に圧縮されています。しかし、依然として県財政を取り巻く状況には厳しいものがあり、一層の歳入確保や徹底した事務事業の見直しなど、引き続き行財政改革に取り組む必要があります。
また、22年度予算には、消防学校・防災拠点施設、
ふるさと文学拠点施設、
イタイイタイ病資料館などの施設整備に関する予算が盛り込まれていますが、いずれも県民の要望にこたえる大事な施設であり、今後、計画的に開設までの整備を進める必要があります。
石井知事はこれまでの任期中、警察署のように、安全・安心の拠点である以外の施設整備については極めて慎重に進めてこられましたが、将来の着実な発展に向けて、県民が元気になる夢と希望のある事業がぜひとも必要であり、新しい県立施設の整備はその中心となる役割を果たすと考えられます。
そこで、これらの複数の施設を同時期に整備するに当たって、県財政全体における財源対策も含め、今後の財政見通しについてどのように考えているのか、知事にお伺いします。
次に、産業創出と景気・雇用対策についてお伺いいたします。
一昨年秋以来の景気悪化は、ようやく少しは回復の兆しを見せてはいるものの、いまだに脱却するまでには至っておらず、この間、国や県はさまざまな金融支援や雇用確保に取り組んできています。
今後、景気回復を確かなものとするためには、これまでの対症療法と並行して、新産業の創出や中小企業の異業種への転換などの抜本的な対策へも踏み込んでいく必要があると考えます。バイオ、ロボット、新エネルギー等の分野における新産業の創出や地域資源の活用、農商工連携による新商品の開発、また創業・ベンチャー企業の支援や、さらには福祉・介護サービスの充実、環境、
地球温暖化対策関連、そのほかにも観光などの地域の活性化を生み出す事業を展開していくことが重要であります。
そこで、経済情勢に対応した産業構造の転換を図るため、新たな産業分野への進出、転換による販路拡大に努めなければならないと考えますが、今後どのように取り組むのか、
柳野商工労働部長にお伺いいたします。
また、雇用情勢については、有効求人倍率や失業率が依然厳しい状況にあり、喫緊の課題として改善に取り組まなければなりませんが、中長期的な視点に立ち、社会のニーズにこたえ活躍し得る、即戦力となる有能な人材をしっかり育成していくことが重要であります。
このため、人材育成に当たっては、行政と民間が連携し、教育現場や職業訓練機関がそれぞれの特性を生かした有効で実践的なカリキュラムを編成して、資格取得を目指すなど、手に職をつけた若者を多く生み出せる仕組みづくりが重要であります。景気の悪化にもかかわらず成長している先端産業などの担い手となる高度な技能を有する者や、求人倍率の高い資格を有する者を養成し、景気の動向に左右されず、いかなる経済状況でも戦力となり得る人材を供給していかなければならないと考えます。
そこで、景気悪化時における人材育成についてどのように取り組むのか、知事にお伺いいたします。
次に、基盤整備と活性化についてであります。
まず、社会資本整備の促進についてお伺いいたします。
国の来年度予算案においては、公共事業関係費が前年度比18.3%減と大幅に削減されました。本県における国庫補助事業や直轄事業も多大な影響を受けています。
県民の生活に身近な幹線道路、生活道路の整備や安全確保にかかわる治水対策など、生活基盤につながるインフラ整備に対する県民からの要望は毎年非常に多く、しかも、長年にわたって待たされ続けている事業も少なくありません。また、地元建設業者等にも、公共事業費の減少傾向が続く中で、非常に厳しい経営環境に直面しており、これまで以上に発注量が減少することは業者にとって死活問題になりかねず、県単独事業等の積極的な執行により十分な事業量が確保されることが望まれます。
そこで、国の公共事業費の予算削減による影響を最小限に食いとめ、新規事業、継続事業が計画どおり進捗するよう、公共事業の確保に今後とも全力を挙げるべきと考えますが、どのように対応していくのか、知事にお伺いします。
地球温暖化防止に向けた取り組みがさまざまな分野で行われていますが、今後の公共事業においてもCO2など温室効果ガスの抑制、削減の努力が重要であり、生態系への過度な負荷をかけないなど、地球環境に配慮した工事の施工がより一層求められています。
道路や街路整備での植樹、都市公園の整備等の緑化事業や、自然を生かした周辺環境との調和のとれた河川整備事業等を推進する必要があります。そのほかに、現在県庁の南別館で取り組まれている外壁の改修にあわせて壁面に緑化材を設置する工事など、環境にやさしい建物も大事であると考えます。
環境に配慮した工事は、その分コストは割高になりますが、これらは、環境の保全のみならず、人間への安らぎやいやし、潤いをもたらす効果もあり、今後積極的に推進すべきものと考えます。
そこで、公共事業における緑化や自然との調和等についてどのように取り組んでいくのか、井波土木部長にお伺いいたします。
さて、道路の消雪対策について、この冬は本県も近年にない降雪に見舞われ、改めて機動的な道路除雪の重要さを認識しました。朝夕の通勤時間帯の車道の除雪はもちろんですが、同様に大事なのは朝の子供たちの通学時間帯における歩道の除雪です。
県管理道路においては、原則として、早朝、日中、そして降雪がおさまった時点の3区分に分けて歩道除雪が実施されています。一部には、通勤通学の時間帯において、児童生徒の通学路やバス路線の停留所の除雪が行き届いていないことが見受けられ、子供たちやバス利用者は非常に不便をこうむっており、歩行者の安全確保のためには適切な時間帯の歩道除雪の実施が必要です。
また、生活道路の除雪を行き届かせるに当たっては、地域における県民参加の取り組みが重要であり、より機動的かつ効果的な歩道除雪を行うためには、地元の建設業者等への委託だけではなく、地域の道路事情を熟知している地元町内会等に協力を求めることも考えられます。地域の実情に応じた必要な機材の提供など、連携協力体制の構築が重要であろうと考えます。
そこで、通勤通学時間帯の歩道除雪や地域と連携した歩道除雪の推進について、今後どのように取り組むのか、土木部長にお伺いいたします。
また、ことしのように何度も降雪があった年は、消雪装置が大活躍し、地域にとっては施設の存在は大変ありがたかったのですが、例年は消雪施設の稼働日数が少なく、消雪ポンプに係る電気使用料について毎年固定的な経費がかかっています。
北陸電力では、道路融雪の消雪ポンプに係る料金メニューとして、昭和60年に
ホワイトプランIIIを設け、降雪にかかわらず、毎年の負担を平準化した料金を設定しています。県管理道路においては毎年相当な経費がかかっていますが、地域においても、消雪ポンプ3台を使用している場合、豪雪だった17年度は87万円、雪が少なかった18年度は68万円、このうち基本料金は62万円となっており、地域にとっては相当重い負担感を感じています。
しかしながら、近年の北陸地方の気象条件の変化を見ると、基本料金を高く設定する毎年降雪を見込んだ料金体系は、地域の実態に合わなくなっているのではないかと考えます。経費の削減を図る意味では、基本料金を下げ、降雪があり稼働した分だけ上乗せされる料金のほうが有利となります。
そこで、北陸電力に対して、北陸地方の近年の気象条件の変化を踏まえ、消雪ポンプに係る電気料金について新しい料金体系の設定を求めることができないのか、土木部長にお伺いいたします。
次に、水辺環境の整備についてであります。
まず、富岩運河について伺います。
富岩運河は、富山の駅北から北部にかけて、県民の憩いとにぎわいの中心となるよう環境整備が順調に進められており、県ではこれまで、
富岩運河環水公園、運河沿いの遊歩道や緑地の整備、富岩水上ラインの運航など、官民協働で水辺のまちづくりに取り組まれています。今後、全国に誇れるすばらしい水辺空間となることを期待しています。
環境整備とともに、
ダイオキシン対策も着実に進めていかなければなりません。底質のダイオキシン類については、
富岩運河等ダイオキシン類対策検討委員会で対策の検討が進められ、委員会の提言を受け、去年9月から専門部会を設けて、専門家の見地から調査検討が進められています。
そこで、検討委員会でのこれまでの検討状況を踏まえ、今後、対策工法の具体的検討、事業費の算定、負担割合の算定などを早急に行う必要があると考えますが、今後の
ダイオキシン類対策についてどのように取り組むのか、土木部長にお伺いいたします。
また、プレジャーボートについては、岩瀬カナル会館前の係留スペースには、現在、収容数いっぱいの174隻が係留されていますが、それ以外に50隻程度希望しており、係留スペースがかなり不足している状況にあります。
さらに、去る3月1日から、運河内の中島閘門より下流域においては、水面貯木の減少に伴う不法係留の増加等に対応するため、港湾法に基づき船舶の放置等の禁止区域に指定され、県として初めて規制を強化されたところであり、民間施設の収容状況も見ながら、将来的な不足増加に対応できるよう検討する必要があると考えます。
富岩運河については、今後、国道8号線より下流部の整備が進められる予定ですが、下流部の富山市上野新地内には貯木場スペースがあります。木材輸入の激減により利用されなくなっている貯木場スペースの有効利用を図る観点から、今後の富岩運河の整備にあわせて、これを契機に新たな船舶の係留スペースを確保し、その待機状態を解消することが望まれます。
そこで、富岩運河下流部の整備、活用計画の策定に当たっては、貯木場の活用を含めたプレジャーボートの係留対策を盛り込んでもらいたいと考えますが、今後どのように取り組むのか、土木部長にお伺いいたします。
さて、水辺のにぎわい空間である海王丸パークは、現役を引退した航海練習船「海王丸」が係留、展示され、周辺には富山新港元気の森公園、
海竜スポーツランドなどが整備され、多くの人々が集う場となっています。
現在整備が進められている、斜張橋としては日本海側最大規模となる新湊大橋が完成すれば、海王丸パークは橋を眺めるのに絶好のポイントにもなり、周辺施設や、水辺のまち夢プランの内川とその周辺地区を周遊するルートを設定するなど、これらの魅力あふれる景観や施設を海王丸パークを中心に有機的に結びつけることが必要であろうと考えます。
しかしながら、海王丸パークの中心である海王丸はことしで船齢80年を迎え、老朽化が相当進んでおり、維持管理経費が近年減少している中、船体の保存が非常に厳しい状況にあります。このままでは最悪の場合、国の船体検査に合格できず、船内の一般公開、総帆展帆を中止しなくてはならない事態が発生するおそれがあります。
そこで、海王丸の今後の船体保存についてどのように考えているのか。また、今後の海王丸パークの活性化についてどのように取り組むのか、知事にお伺いいたします。
次に、農林水産業の振興についてお伺いいたします。
平成22年度の政府予算案では、一般会計の歳出総額は対前年度比で4.2%のプラスになったにもかかわらず、公共事業関係費は逆にマイナス18.3%と大幅に圧縮されました。特に農林水産省関係の公共事業費は対前年度比マイナス34.1%と大きく落ち込んでおり、中でも土地改良事業などの農業農村整備費がマイナス63.1%と極端に削減されています。
農業政策において
戸別所得補償制度の実施に必要な財源を確保するため、
土地改良事業予算をばっさりと削減するなど、農業・農村、食料自給率に与える影響を見定めず、農業現場の実情を無視した、参議院選挙を意識した政治的意図を持った予算編成としか考えられず、民主党政権の危険さを浮き彫りにしていると言えます。
戸別所得補償制度さえ導入すれば農林漁業と農山漁村は活性化し、食料自給率が上がるほど農林水産行政は単純なものではなく、農業者や農村は大変混乱しています。
そこで、このような経緯で編成された国の平成22年度
農林水産関係予算についてどのように受けとめているのか、知事にお伺いいたします。
また、土地改良事業は、農村の疲弊や耕作放棄地の増加を防止する面からも、ぜひとも継続させる必要があります。特に、長年の懸案であり、今年度からようやく着手された
国営総合農地防災事業庄川左岸地区については、浸水被害を防ぐなど暮らしに直結した事業であり、関係者は非常に大きな期待を寄せています。
治山や森林整備、水産基盤整備等の事業についても、中山間地域や漁港、漁村の活力を維持し、水害や寄り回り波などの高波から住民の生命、財産を守るため、早急に進めていく必要があります。
そこで、
農山漁村地域整備交付金の確保に努め、大幅に削減された国の
農林水産関係公共事業予算を復元し、現在進められている県内での事業が計画どおり継続できるよう国に対して働きかけていく必要があると考えますが、どのように対応していくのか、知事にお伺いいたします。
さて、国では、新年度に
米戸別所得補償モデル対策を実施することにしていますが、野菜、果樹、花卉など米以外の作物は置き去りにされ、
チューリップ球根、ハト麦、タマネギを初めとする地域振興作物は、今後どのように生産振興が図られるのか明確に示されていません。関係する農家の方々にとっては大変気がかりなところであります。
このような中、1月中旬の農林水産省による
戸別所得補償制度の
北陸ブロック説明会において山田農林水産副大臣が、23年度以降、チューリップが転作助成の対象外となる可能性を示唆したとの報道がありました。国の農政に不安を募らせている栽培農家の心情を理解しないばかりか、生産意欲をそぐ配慮に欠ける発言であり、仮に発言どおり国による転作助成が廃止されれば、富山を代表するブランドである
チューリップ球根の生産に壊滅的なダメージが及ぶことから、決して見過ごすことができないものであります。
来年度実施される国の
水田利活用自給力向上事業については、現行の産地確立交付金に比べて激変緩和措置が講じられますが、この措置でも助成単価がやや低下する見通しであり、県ではこれまで、米政策改革推進県単独助成事業として、野菜、花弁は10アール当たり8,000円等の助成を行っていますが、園芸特産物の生産を拡大し農家の経営体質の強化を図るためには、
チューリップ球根等に対する国の継続的な支援が欠かせないと考えます。
そこで、
戸別所得補償制度の本格実施が見込まれる平成23年度以降も、本県における
チューリップ生産農家の経営が維持発展していけるよう、どのように取り組むのか、
寺井農林水産部長にお伺いいたします。
次に、あすを開く人づくりについてであります。
まず、ふるさと教育の推進について伺います。
近年、立山・黒部や高岡における世界文化遺産登録に向けての地域での運動の盛り上がりや、映画「劔岳 点の記」の上映などで、ふるさとの自然や歴史への興味、関心が高まっていますが、県民みずからが富山の自然や歴史、文化について自信を持って紹介できることが大切であります。我が党はかねてから、子供のころから郷土や日本の歴史や文化を学ぶ教育の重要性について主張し、県立高校における郷土史、日本史の学習について訴えてきたところです。
県では昨年、
ふるさと教育有識者懇談会を設置し、ふるさとへの誇りと愛着をはぐくむふるさと教育を、学校だけでなく社会全体で推進していくための方策を検討されています。新年度予算においては、高校生の郷土史・日本史学習教材のモデル4校での試行に係る経費など、ふるさと教育の推進や体制の整備について、部局横断的にさまざまな新規事業が予算化されていることを評価します。
社会の国際化が進展する中、みずからのふるさとについての理解を深めてこそ、誇りと愛着を持つことができ、日本人として、また国際社会の一員としての自覚も生まれることから、子供のころから郷土や日本の歴史や文化を学ぶ教育は大変重要であると考えます。
そこで、学校教育はもちろん、家庭、地域、企業をも巻き込んだ県民総ぐるみによる機運の醸成など、ふるさと教育の推進についてどのように取り組んでいくのか、廣光知事政策局長にお伺いいたします。
また、教員の養成と確保については、民主党は今年度スタートしたばかりの教員免許更新制を廃止する一方、新たな教員養成制度として、当初、大学での教員養成課程を4年間から6年間に延長する方針を打ち出していましたが、その後、学部4年を修了した後、少なくとも1年程度、教育実習期間を上乗せする制度改正の検討を始めました。教員を志す者への負担感を増すことにならないのか、教員の質を高めることにつながるのかという懸念や、受け入れる学校現場の負担が増えることが心配され、慎重に検討する必要があると考えます。
一方、本県では、集中改革プランに基づき正規教員の削減を進めている中、新年度予算案においては、小中学校の少人数教育や少人数指導などの充実のため教員定数31名の増加が予定されており、評価しますが、今後数年後に教員の大量退職期を迎えることが見込まれ、授業や指導の質の維持向上が喫緊の課題となっています。
個々の生徒の特性に応じた指導技術等のノウハウを持つ多くのベテラン教師が退職していく中、確かな学力を育成するための教育やいじめ問題への対応、生きる力の育成など、従来にない今日的な課題が生じており、本県の次代を担う子供たちを教育する教員に求められる役割は一段と重要性を増していると考えます。
そこで、現職教員の資質向上と意欲ある優秀な教員の一層の採用確保についてどのように取り組むのか、東野教育長にお伺いするものであります。
さて、ふるさと文学の拠点施設については、今議会においてハード面の施設整備について議論されていますが、県民に繰り返し来館してもらえる長く愛される施設になるには、ソフト面の充実が必要であります。
施設の運営の検討に当たっては、学芸員など優秀な人材の確保が大事でありますが、文学という施設の性格から、館長の運営方針が館の個性を左右する可能性が高いと考えられ、今後、館長の人選が大きな課題であります。
県のこれまでの美術館、博物館の館長については、県職員、県教員が就任する場合が多くありましたが、近代美術館の初代館長の小川正隆氏のように、館長の強いリーダーシップにより世界に誇るユニークな美術館として開館した例もあります。この施設の館長については、常勤か非常勤かとの問題もありますが、県内外から多くのお客を呼び込むためにも、文学についてすぐれた見識を持ち、高い知名度のある方など、全国的な視野に立った人選が求められます。
そこで、ふるさと文学の拠点施設の運営を担う館長の基本的な考え方について、知事にお伺いいたします。
また、多くの文化施設の運営に当たっては、館長、学芸員などの職員のほか、外部のボランティアや友の会など施設の支援組織が大きな役割を果たしており、この施設においても県民参加と効率的な運営を図っていくことが必要と考えます。
そこで、ふるさと文学の拠点施設における県民の参加や協力について、どのような運営が望ましいと考えているのか、
泉生活環境文化部長にお伺いいたします。
最後に、県民の安全・安心の確保についてであります。
まず、子育て支援と医療費助成についてお伺いいたします。
昨今の厳しい経済・雇用情勢のもとで、子育て家庭の経済的負担の軽減に対する要望は依然として高いものがあり、また、この制度に上乗せして助成を行っている市町村もあることから、今議会においては県による
乳幼児医療費助成のあり方に関する議論が行われたところであります。
先日の一般質問における
乳幼児医療費助成制度の拡大を求める質問に対して、知事の答弁では、医療費無料化の拡大と
子育て応援券事業の考え方について、質問者の思いと一部かみ合わなかった点があったと思います。私は、どちらか一方を重要視するということではなく、どのようにすれば県民に対する
子育て支援サービスが充実するかという観点が大切ではないかと考えます。
このような観点から、乳幼児に対する医療費助成と
子育て応援券事業などの
各種子育て支援事業はそれぞれ大事な施策であり、それぞれについて県が果たすべき役割について検討すべきものであると考えます。
そこで、県、市町村の役割を踏まえつつ、今後の
乳幼児医療費助成制度のあり方についてどのように考えているのか、知事にお伺いいたします。
さて、
新型インフルエンザ対策については、県内の
新型インフルエンザ患者の報告数は去年10月ごろから急増し、11月末にピークを迎えた後、年明けには注意報基準値の10を割り、現在まで緩やかに減少しています。これまで国内では、外国に比べると感染者の死亡率が低かったことは幸いでしたが、その要因の分析も含めて、今回の新型インフルエンザの対応の検証が大切であります。
国は、流行のピーク前に十分な量のワクチンを準備できなかった反面、現在は余剰の在庫を抱えており、特に輸入ワクチンは大幅に余る状況であるとのことです。県においては、新型インフルエンザ治療薬のタミフル、リレンザを備蓄してきましたが、備蓄である以上、利用しないまま薬の使用期限が過ぎて廃棄されるものも出てくる可能性があります。
そこで、感染症に対する危機管理対策の観点から、今回の新型インフルエンザの対応において何を学び、今後の対策に生かしていくのか。また、タミフル、リレンザの今後の備蓄の見込みについて、あわせて飯田厚生部長にお伺いいたします。
さて、食中毒の防止対策について、去年11月に南砺市でフグ毒による食中毒が発生したことを受け、県ではこれまで、営業者への監視指導の強化やフグ取扱者を対象とした緊急の講習会を開催するなどの対策を講じるとともに、学識者や関係者から意見を聞く懇話会を設置し、より安全性の高い仕組みを目指して検討を進められています。
フグの取り扱い資格の条件や難易度は都道府県で異なり、富山県では免許制度ではなく、要綱に基づく試験による届け出制となっていますが、専門知識の習得には地域格差があり、食中毒の発生を防止するためには、知識、技術を徹底した安全確保の仕組みを見直す必要があると考えます。
そこで、フグ毒による食中毒の防止を図るため、今後どのような方針で取り組むのか、知事にお伺いするものであります。
さて、地球温暖化と省エネルギー対策については、国では地球温暖化対策として、温室効果ガスの排出量を1990年比で2020年までに25%削減することを目標に掲げています。しかし、25%という数字だけが先行しており、国内の排出量の削減と排出権取引の割合をどれだけ見込み、森林吸収源対策でどれだけ削減するのか。また、目標達成に向けての工程なども示されておらず、25%削減についての国民への周知と合意がなされているとは到底言えない状況にあります。
県では、とやま温暖化ストップ計画において、県内の温室効果ガスの排出量を1990年比で2010年に6%削減する目標としておりますが、1990年比で2007年は20.9%と増加しており、目標達成は厳しい状況が見込まれます。来年度は計画の改定時期になりますが、政府目標との数字合わせに終わることのないよう、県民と企業が総ぐるみで取り組んでいくことができる実現可能な計画とすることが重要です。特に、県内で温室効果ガスが増加している家庭や企業部門における省エネルギーの取り組みへの支援が重要であると考えます。
そこで、今後どのような点に重点を置いて、地球温暖化対策と省エネルギー対策の推進に取り組んでいくのか、知事にお伺いいたします。
以上をもちまして、自由民主党を代表しての私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
4 ◯議長(梶 敬信君)石井知事。
〔知事石井隆一君登壇〕
5 ◯知事(石井隆一君)五十嵐議員の総括質問にお答えをいたします。
最初に、地方分権の実現に向けた取り組みについての御質問にお答えをいたします。
私は、地方分権を進める上での課題は、権限、財源、人間の3つの「ゲン」だと考えております。
権限の面では、第1次分権改革における機関委任事務制度の廃止に加えまして、地域主権推進一括法案によりまして義務づけ、枠づけの見直しが行われるなど、ある程度進んできたと思っております。今後、国の許認可の見直し、削減等と並んで、都道府県単位の出先機関を中心として国の出先機関を抜本的に見直し、国から地方への権限移譲を進めることが課題となっております。
また、財源の面では、三位一体改革で地方交付税が5兆円削減されるなど、地方分権の名のもとに国の財政再建が優先されたと考えております。新年度におきます地方交付税の1.1兆円増額は一定の評価をしておりますけれども、補助金の一括交付金化を含め、さらに地方が自由に使える財源を充実強化することが課題となっております。
また、人の面では、地方分権を担う確かな人材の育成が必要であります。また、国の出先機関の見直しに伴って人員の移管をする場合、地方がその方々を主体的に決定できる仕組みとすることも重要だと思っております。
地方分権を進める上で何より難しいのは、分権と格差是正のバランスのとれた解決策であります。地方税の充実とともに、地方交付税の復元、充実を図ることによりまして、東京など大都市と地方との格差を是正して、すべての地方団体が自立できる地方税財政制度を実現する必要があると思っております。
現政権は、本年夏の
地域主権戦略大綱の策定に向けて具体的な検討を進めるとされているわけですが、地方としても、法制化が予定されています国と地方の協議の場などにおきまして、この国のあり方について、国と責任を分担する覚悟を持って、地域の実情を踏まえた政策の提案を積極的に行っていく必要があると思っております。その上で、大都市だけでなく、本県を初め地方の実情にも十分耳を傾けた議論が展開されまして、地方の自立と格差是正のバランスのとれた、国民の皆さんの真の幸せにつながる地方分権が推進されますように、これからも全国知事会等と連携しながら努力してまいりたいと思っております。
次に、今後の財政見通しについてお答えをいたします。
来年度予算には、再編高校を初めとする県立学校の改築整備、また消防学校・防災拠点施設、ふるさと文学の拠点施設、
イタイイタイ病資料館など、かねて県民の皆さんから強い要望がありました施設の整備費を盛り込んだところであります。もっともこのうち、後の2つの施設はそれぞれ、例えば知事公館を廃止するとか既存施設を活用しながら整備するものでありますけれども、このように相当の数の施設整備に同時に取り組むことができるようになりましたのは、就任以来5年間、県議会初め県民の皆さんの御理解をいただきまして、また職員の協力もいただいて、徹底した行財政改革に努めた結果、こうした前向きな政策を進められる筋肉質の財政体質になってきたからだと考えております。
今後の財政見通しでありますけれども、歳出のうち義務的経費については、高齢化の進展等によりまして、扶助費、社会保障関係の経費が毎年10億円程度増加いたしますものの、人件費は、給与の構造改革や新定員適正化計画による職員数の削減などの効果によりまして、一般行政職員も5年で13%台の削減率になったわけですから、毎年十数億円減少します。
また公債費は、臨時財政対策債が平成22年度限りで廃止されて、本来の交付税としてキャッシュで配分されるという仮定を置けば、新幹線建設負担金の増を織り込みましても、平成26年度をピークに少しずつ減少する。また、一昨年夏に、新幹線の負担金に対する交付税措置率が最大5割から7割に引き上げられましたことによりまして、これも本県を先頭に国に相当程度働きかけた結果でありますけれども、さらに実質的な負担が軽減されると思っております。
なお、22年度末の県債残高は1兆1,400億円となりますけれども、増加するのは臨時財政対策債分、これは実質的には交付税で、後で国がお金をくれるという約束になっているものでありますので、実際、それを除きました通常債は着実に減少しております。
一方、歳入については、国の経済動向や地方税財政制度改革の行方によって大きな影響を受けますので、確たることは申し上げられませんけれども、先般、来年度予算とあわせて公表されました中期見通しでは、直近の国の資料で用いられました名目経済成長率や、22年度の地方財政対策などを踏まえて、一定の仮定のもとにかために試算したところ、引き続き今年度と同程度の財源不足が見込まれたところであります。
こうしたことから、県財政を持続可能なものとする、また必要な社会資本整備等もやっていく、そして医療、福祉、教育などの課題にも対処していくということになりますと、引き続き県内経済の活性化、また税源の涵養を図るとともに、財政再建、行政改革の推進に最大限努力していきたいと思います。
同時に、臨時財政対策債──交付税のかわりにとりあえず借金でという仕組みに見られますように、ずっとこのままではやっぱり健全じゃありませんので、現政権に対しては、しっかりとした経済成長戦略の策定、実行によって国全体の景気浮揚を図るとともに、本来の分権の趣旨に沿った、地方の自立と格差是正のバランスのとれた地方税財政制度の構築についてしっかり取り組んでいただきたい。また、そのために私も先頭に立って働きかけをしていきたいと思います。
次に、人材の育成についての御質問にお答えをいたします。
県ではこれまでも、産業界の人材育成ニーズに的確に対応したいということで、例えば介護などの雇用ニーズの高い分野での民間機関を活用しました職業訓練の大幅な拡充、また県内企業と工業高校が連携しまして、インターンシップの拡充や第一線の専門技術者の直接指導により実践的な技能等を育成しまして、技能検定資格の取得も目指す高校生ものづくり人材育成事業、また、「とやまの名匠」等の熟練技能者が企業の若手技能者に実技指導を行うとやま技能継承塾などを実施しておりますし、今年度からはオーダーメード型訓練の定員枠の大幅拡充、ものづくり企業の要請に応じた高度熟練技能者の派遣など、在職者訓練の充実にも取り組んでおります。
また、新年度にはさらに、とやま技術継承塾にハイレベルコースを設置する。また、若手技能者のやる気を引き出すために、技術力の向上を図るやる気塾を設置、開催する。また、高校再編をいたしますが、新実習棟を備えたものづくり中核校を設置して、企業や大学等と連携した実践的、先端的な技術を培うなど、本県産業の未来を担うスペシャリストの育成を図りたいと思っております。
また、国が重点分野雇用創造事業というのをつくりましたが、これは本県の取り組みを参考にされたものでありまして、これを積極的に活用して、介護や農林水産業、ものづくり分野など、今後成長が見込まれる分野での訓練つき雇用を実施して、雇用の確保と人材養成をあわせてやろうと。こういうことで努力してまいりたいと思います。
次に、社会資本整備についての御質問にお答えをいたします。
「コンクリートから人へ」というようなことが言われておるわけでございますけれども、県としましては、大変厳しい財政状況の中ですけれども、当面の緊急経済・雇用対策にしっかり取り組みますのは当然ですけれども、「活力」「未来」「安心」の元気とやま創造のために必要な社会資本整備は、これからも地域の熱心な御要望、県民の幸せのために着実に進めていく必要があると思っております。
具体的には、北陸新幹線、能越自動車道など、これは東京など大都市との格差是正のために必要でありますし、またいよいよ本格的な環日本海時代の到来ということがありますから伏木富山港の整備、また国道8号など県内幹線道路網の整備、災害から県民を守る治山治水、砂防、国営総合農地防災事業、また水田の大区画化などによります農業経営の効率化等々、さまざまに地域の事情をよくお聞きしまして、一方で、できるだけコストを削減する選択と集中ということにも心がけなきゃいけませんけれども、着実に進めていきたいと思っております。
22年度の県予算案につきましては、何度かこの議場でも議論になりましたので簡単にいたしますけれども、県単事業についても、対前年度1.6%増の168億円を計上することなどによりまして、社会資本整備関係予算は合わせて1,048億円となって、国の公共事業関係経費が対前年度マイナス18.3%とした中で、富山県では前年度比マイナス1%にとどめたということであります。
また、国の予算が、特に土地改良事業なんかは交付金等を考えても半分ぐらいになってしまったわけですけれども、今回の2月補正予算も含めまして実質対前年度比85%の予算を計上しまして、地域で大きな支障が生じないよう努力しているところでございます。
これからも、地方の社会資本整備の推進──私はようやく少し光が見えてきましたが、一昨年来の世界同時不況の影響は厳しく、まだ続いている部分があるわけでありまして、様子によっては、本当に、22年度の国の予算が成立したらすぐにでも1次補正予算を国に組んでもらうべきじゃないかとまで思っております。そういうことも含めて、これから全国知事会等とも連携して、国と地方の協議の場なども活用しまして、地方の実情を踏まえて、また国全体の景気が底割れするといったことがないように、中央政府にしっかり意見も申し上げていかなくてはいかん、こういうふうに思っております。
それから、海王丸の保存活用についての御質問にお答えをいたします。
帆船の海王丸は、富山県で一般公開されてからことしで20周年を迎え、また、この海王丸の名を冠した海王丸パークは県内有数の観光地となっております。特に年10回、県内外から多くのボランティアの方々の協力を得て実施する総帆展帆は、花形イベントとして人気が高いわけであります。現在の新湊大橋が完成しますと、立山連峰と富山湾を背景に、帆船海王丸と新湊大橋が並び立つ雄大な景観が生み出されまして、観光スポットとして魅力が高まる、さらなるにぎわいが生み出されると期待しております。
海王丸が「海の貴婦人」と呼ばれる壮麗な姿を見せてくれる総帆展帆や、船舶内部の一般公開を行いますためには、船舶安全法に基づいて5年ごとに義務づけられております定期検査を受けて、航行可能な、いわゆる生きた船として保存することが必要であります。そのために、これまで船底の不良箇所の取りかえ、またタンクの塗装などを行ってきたところであります。しかしながら、海王丸は昭和5年に建造されましてことしで80年を迎えますので、一部船体の老朽化も進んできておりまして、今後とも生きた船として保存活用していくためには、船体の強度維持などが課題になります。
そこで、今後、海王丸の保存活用や海王丸パークの活性化の方策につきまして、県議会初め県民の皆さんの御意見もお聞きしながら、伏木富山港・海王丸財団、あるいは地元射水市、こうしたところとも協議しながら対処してまいりたいと思っております。
次に、国の農林水産予算をどう受けとめるかという御質問にお答えをいたします。
先ほども申し上げましたように、国の農政を大きく転換する戸別所得補償モデル対策が盛り込まれました反面、公共事業は、新設の
農山漁村地域整備交付金1,500億円を含めても34.1%減となる、大変厳しいものになったわけでございます。
米の戸別所得補償モデル事業につきましては、米づくりを中心とする本県農業にとりましては、農家の経営安定につながるものと期待されます一方で──今回は、富山県が真っ先に申し上げたわけですが、いろいろ働きかけもして激変緩和措置が講じられましたけれども、現政権の考えは、基本的には麦や大豆などの戦略作物、野菜、果樹、ハト麦、
チューリップ球根などの地域振興作物への支援は今のところ十分でない。また、地域の自主性が発揮しやすい仕組みでないと。また、規模加算など担い手を育成していく方針が現段階では明確にされていないなどの課題が残っていると思っておりまして、23年度に本格実施されるということですから、引き続き、地域の事情に沿ったものになるように働きかけを続けてまいりたいと思います。
また、今回、
土地改良事業予算が大幅な減額となりましたが、土地改良事業の必要性、公共性というものも、もっと正当に評価されてもいいんじゃないかと思っております。例えば本県の場合は、これまで圃場整備による農業の機械化によりまして、農村からの余剰労働力等も活用して工業の振興が図られてきたという経過もありますし、また射水平野、海抜ゼロメートル地帯ですが、ここでは、洪水を機械排水することによって、農地だけではなくて都市住民の生活も守られているわけでございます。
現在実施している事業につきましても、洪水を防ぐ農地防災事業、また経営効率化のための水田の大区画化など、農業者の方、また地域の切実な要望に基づく緊急度の高いものでありまして、そのことを現政権や、また大都市の方々を含めた国民の皆さんにもっとよく理解してもらう必要があると思っております。
私自身、予算編成前もいろいろな経過がありますが、国の予算発表の12月以降も改めて、与党や農林水産政務官、事務次官、担当局長などに個々に要請しておりまして、今後ともこうした土地改良事業等の必要性について説明しまして、予算確保に積極的に努力してまいりたいと思います。
次に、農林水産公共事業についての国への働きかけ等の質問についてお答えをいたします。
今ほども触れましたけれども、国の農林水産公共事業予算は対前年度比65.9%という大幅な減額で、土地改良事業については特に、おおむね半減というような厳しいものになっているわけであります。
県予算につきましては、新たな交付金を含めて、国の予算配分確保に最大限の努力をすることにしまして、農林水産一般公共予算は対前年度比で75.7%の123億3,000万余を計上させていただきました。このうち土地改良事業については、先ほど申し上げましたように、国の予算と同様──国の予算は半減ですから、それと同じでは実際問題対応できませんので、国の予算配分の確保に努力をしまして、先般の2月補正で15億円を追加しまして、当初予算と合わせて、実質では対前年度比85%の88億円の予算案を計上しておるわけでございます。
このように、地域で大きな支障が生じないように私どもとしても努力しておりますが、予算の減額は避けられませんので、土地改良事業の実施に当たっては、新規地区の一部先送り、また継続地区においても工期を少し延期していただくというようなことで対応していかざるを得ないと思っておりまして、関係の皆様にはぜひ御理解いただきたいと思っております。
また、森林整備については、本年度設置しました基金20億円の活用によりまして若干影響を緩和できますけれども、その他の治山、林道、水産公共などは、事業の重点化を図って対処していくことにしております。
22年度予算は、このように何とかやりくりすることができるわけですけれども、仮に今後も国の予算がこのような状態で続けば、事業の遅延など、さまざまな影響が出てくると考えております。これまでも与党や農林水産省に働きかけもしておりますけれども、今後とも国に対して、土地改良事業を初めとして農林水産公共事業の必要性を十分説明しまして、新しい交付金等の本県への配分の確保はもちろんですけれども、今後とも国の予算の充実を強く働きかけてまいりたいと思います。
次に、ふるさと文学についての御質問にお答えをいたします。
ふるさと文学資料評価・活用委員会からいただいた報告書では、拠点施設について、県民や観光客など文学館を訪れる方が文学に親しんで楽しみながら学ぶ機会を提供するとか、あるいは高齢者、幼児、障害者なども安心して利用できるとか、また建物自体が文化的価値あるいは風格のあるものであることといったような提言をいただいております。
この提言に沿いまして、3月中には県としまして基本方針をまとめて、もちろん予算の御議決もいただいた上で、新年度からプロポーザル方式などによりまして設計者を公募し、基本設計に着手してまいりたいと思っております。
拠点施設の整備については、新年度に設置しますふるさと文学館──これは仮称ですが──開設準備委員会で運営計画を検討いただく予定でありますが、話題性のある、創造性のある意欲的な運営を行う文学館だと、また新しい富山県の文化の発信拠点だということで、全国にも誇り得るものにしてまいりたいと考えております。
そこで、お尋ねの館長でありますけれども、やはり文学について高い御見識を持ち、また相応の管理運営能力を有する方。また、ふるさと富山の風土、文化、歴史等について深く理解をされ、富山県に愛着を持つ方。できれば本県にゆかりのある方。また、できれば議員御指摘のように高い知名度や発信力がある方が一番いいわけであります。そういうことで、文学館の館長にはいろんな期待を持っております。県内外にさまざまにすぐれた人材もおられますので、人選については今後幅広い視野に立って進めてまいりたいと思っております。
次に、
乳幼児医療費助成制度についての御質問にお答えをいたします。
この制度につきましては、平成17年12月に設置しました懇談会におきまして、この制度の根幹を極力維持していくためのさまざまな工夫について御検討いただいて、その最終報告を受けて、一昨年10月から所得制限を導入した上で、従来の制度をすべて継続することにしたわけでございます。
当時、少子化対策の充実ということもありましたので、医療費助成の対象年齢の拡大を図ることについても議論したわけでありますが、助成費の2分の1を負担する市町村によって、こうした問題についても考え方に差異があったところでございます。そのために、地方分権の観点も踏まえまして、県は基盤的な制度を維持して、対象年齢の拡大については各市町村の判断で実施していただくことといたしました。各市町村においては、所得制限導入などによりまして生じた財源の活用その他によりまして、その後、各市町村の実情等に沿って順次対象年齢の拡大などが行われまして、本年4月以降はすべての市町村において、入院は小学校6年まで、通院は小学校入学までの子供が対象となる予定と聞いております。
また県におきましては、この所得制限によって生じた財源、平年度ベースで約1億1,000万円ほどでありますけれども、保育サービスや予防接種にも利用できる子育て応援券の配布事業を、県の独自施策として、市町村に負担を求めずに、基本的に全額県費により一昨年10月から実施するなど、子育て家庭の負担軽減に努めているところであります。
先般の定例会の答弁についても触れられましたけれども、この問題は、どうしたら県民に対する
子育て支援サービスが全体として充実するかという観点から考えるべき事柄でありまして、各市町村が対象年齢を拡大する、あるいは現にされている中で、仮に県が市町村に対する補助を拡大しましても、市町村の財政負担は減りますが、子育て家庭の受益が増えるものではないわけであります。
そこで、役割分担に基づいて、県が医療費助成とは別の形で子育て施策を充実することによりまして、県内の子育て家庭は、県の助成レベルを上回って各市町村がそれぞれの実情や考え方で実施されます医療費助成と、県が独自に実施する子育て応援券を初めとする
子育て支援サービスの両方を受け取ることができるわけでありまして、子育て家庭の負担軽減、県民福祉の向上により資する形になっているなと思っております。また、分権の理念からもいい形になっているんじゃないかと思います。
こうした観点から、県では、昨年6月に制定した子育て支援・少子化対策条例に基づく基本計画の策定を鋭意進めておりまして、今回提案しました予算案でも前倒しで施策を積極的に盛り込んでおります。子育て支援・少子化対策に関する事業費は約73億となりまして、厳しい県財政の中で対前年度比43%増、子育て支援や子ども手当の県費負担分といったようなものを除きますと対前年度比66%増ということでありまして、積極的に子育て支援・少子化対策に取り組んでいることについては御理解いただけるんじゃないかと思います。
これからも、子供は地域の宝でありまして、その健やかな成長が何よりも大切でありますから、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
次に、フグ毒による食中毒の防止についての御質問にお答えいたします。
フグは猛毒を有する食品ですから、その取り扱いには注意が必要だということで、県では昭和60年に富山県フグ取扱指導要綱を定めたところでございます。この要綱では、フグの処理に従事できる人は、知事が認めた講習会を受講して、所定の課程を修了した方でなくちゃいかん。また、あらかじめフグ取扱施設設置届を厚生センターに提出していただくというふうにしております。この届け出を受けた厚生センターにおきましては、食品衛生法に基づいて営業者に対して監視指導を行って、フグ毒による食中毒の発生防止を図ってきております。
そうした中で、昨年11月、南砺市内で12名の方がフグ毒による食中毒症状を呈して、うち2名の方が意識不明になる重大な食中毒事案が発生した。大変遺憾なことと思っております。
そこで、本年1月に、フグの処理、販売等における安全確保対策等を議論いただくために、学識経験者、営業者、消費者の代表から成りますフグ取扱安全確保懇話会を設置したところであります。この懇話会では、やはりフグ処理に従事する人の資質向上のためにも免許制の導入を図るべきだという意見。また、卸売から営業までの流通の各段階において規制を強化すべきである。また、家庭での食中毒発生防止のために、自家調理の危険性の啓発が重要であるなど、さまざまな御意見、御提言をいただいております。
私としましては、県民の安全・安心を確保することが何よりも重要でありますので、今後、懇話会の意見等も勘案しながら、条例を制定することも含めまして、効果的な再発防止策について早急に検討してまいりたいと思っております。
最後に、地球温暖化対策についての御質問にお答えを申し上げます。
地球温暖化対策は待ったなしの課題であると。また、産業部門はもちろんですが、民生部門における対策も重要と考えております。
22年度の予算案におきましては、1つは、森林吸収源対策として、水と緑の森づくり税をいただいているわけですが、これを活用した里山林の再生、混交林の整備。また、省エネルギー対策として、家庭、企業におけるモデル的な省エネ設備導入への支援や県内事業者に対するアドバイスの実施。また、新エネルギー等の導入促進対策として、小水力発電所の建設、住宅用太陽光発電システムの導入支援。また、県の率先活動として、県有施設の省エネ、グリーン化の推進や電気自動車等の導入などを積極的に進めることにいたしております。
今国会に提出された地球温暖化対策基本法案は、すべての主要国の参加による意欲的な目標の合意を前提ということでありますけれども、温室効果ガスを1990年比で2020年までに25%削減する。それから2050年までに80%削減する。この80%削減というのは公布の日に施行というふうになっておりまして、極めて高い目標を掲げているわけであります。しかしながら、これらの目標を達成するために具体的にどうするんだという、その具体的な道筋がまだ示されておりませんで、また、法案において基本的施策と位置づけられた国内排出量取引制度や地球温暖化対策税、再生可能エネルギーの導入促進策などについても、制度設計は今後の検討にゆだねられております。
この法案については、既に経済界から、経済や雇用に深刻な影響を及ぼしかねないとの懸念が上がっております。私としては、削減目標を達成した際に国民生活や経済はどのようになるのかを──こうやって目標年次を決めて、25%とか80%とか、少なくとも従来の常識をかなり超える野心的な目標を設定されるんですから、いやしくも政権をとっていらっしゃるわけですので、やっぱり削減目標をどうやって達成するのかということを具体的に示して、国民の皆さんや経済界の理解が得られるように、地に足のついたしっかりした議論が必要だと思っております。
県としましては、とやま温暖化ストップ計画の改定に当たっては、こうした国の動きをしっかり見守りますとともに、実現可能性にも十分留意しまして、家庭や企業の省エネルギー対策の促進、再生可能エネルギーの利用、公共交通機関の利用促進など地域環境の整備、廃棄物の発生抑制など、循環型社会の形成といった幅広い分野の取り組みを盛り込んだ計画になりますように、県民や事業者や地球温暖化対策県民会議の御意見も踏まえながらしっかり検討してまいりたいと思います。
念のために申しますが、地球温暖化対策、県としても本当にしっかり取り組まなければいかんと思います。レジ袋の無料配布の廃止とか、水と緑の森づくり税をいただくとか、いろんなことを県民の皆さんと十分論議しながらやってまいりました。ぜひ中央政権もそういう姿勢でやっていただきたいと思いますし、これから富山県としてもそういう方向で、今のことがしっかり着実に進むように努力をしてまいりたい、こういうふうに思っております。
6 ◯議長(梶 敬信君)
柳野商工労働部長。
〔商工労働部長柳野隆之君登壇〕
7 ◯商工労働部長(柳野隆之君)新たな産業分野への進出、販路拡大の御質問にお答えします。
県内の経済情勢は依然として厳しい状況にありますが、こういうときこそ、将来を見据え、中国等アジアの新興国の成長も視野に入れながら、本県の高いものづくり技術や産業集積等の強みを生かした新たな産業の育成を図らなければならないと考えております。
このため県では、新年度におきまして、富山県ものづくり研究開発センターの整備や、高度な技術の実用化、新商品・新事業の創出に向けた研究開発への支援強化に取り組み、ものづくり産業の一層の高度化を図るとともに、福祉分野でのロボットの活用や航空機産業への参入の取り組み等を新たに支援するほか、医薬バイオ、環境、エネルギー分野等における新事業への挑戦にも引き続き支援することとしています。
また、すぐれた技術を持ちながら有力な販路を持たない中小企業も多いことから、国内外で開催される見本市等への出展助成の大幅拡充、商談会やマッチングコーディネーターの活用による首都圏等での納入先企業の開拓など、県内企業の販路開拓を支援するとともに、ことしの8月上旬には富山ものづくり総合見本市を開催し、県内企業の輸出入の促進やビジネス機会の拡大に取り組むこととしているところであります。
さらに、県外からの企業誘致や県内企業の新規立地、増設への支援も積極的に行い、経済情勢の変化に対応したバランスのとれた産業構造となるよう、産業施策の振興に取り組んでまいりたいと考えています。
以上でございます。
8 ◯議長(梶 敬信君)井波土木部長。
〔土木部長井波久治君登壇〕
9 ◯土木部長(井波久治君)まず、公共事業における緑化や自然との調和についての御質問にお答えいたします。
公共事業における緑化や自然との調和につきましては、計画段階から、環境への負荷軽減や自然環境の保全回復等について配慮することが大切であると考えております。
こうしたことから、都市部の道路においては、木陰の確保や良好な景観の形成を通じ利用者や沿道の人々に快適な空間を提供するため、街路樹による緑化を推進しているところであります。県管理道路の緑化延長は、平成20年度末で224.6キロメートルとなっております。
また、都市公園においては、
富岩運河環水公園で野鳥の生息環境に配慮したバードサンクチュアリの整備や桜の植樹を進めるなど、緑豊かな都市環境の形成に努めております。
一方、河川の整備においては、現況の水辺の植生や生物の生育環境に配慮し、植生の復元可能な環境保全型ブロックや自然石による護岸の整備、また瀬と淵の再生に配慮した河道整備など、多自然川づくりに取り組んでおります。
また砂防事業におきましても、氷見市七軒町地区急傾斜地崩壊対策事業において、斜面上部の朝日山公園と一体となった緑豊かで潤いのある斜面空間を目指し、桜などの植栽や散策路の整備を行うなど環境に配慮しているところであります。
今後とも、公共事業の実施に当たりましては、自然、生態、さらには温室効果ガス削減等の地球規模の問題も視野に入れ、周辺環境との調和を図ってまいりたいと考えております。
次に、歩道除雪についての御質問であります。
県管理道路の歩道除雪につきましては、歩道総延長1,479キロメートルのうち、約57%に当たる845キロメートルを実施しております。除雪率では、新潟県を含めた北陸4県では1位となっております。
歩道除雪につきましては、除雪機械やオペレーターの確保を初め、実施面におきましても、歩道用除雪機械のスピードが遅いこと、また路肩が狭く、堆雪帯がない箇所では車道除雪した影響が歩道に及ぶことなどの課題はありますが、これまでも通勤通学時間帯までに行う早朝除雪の推進に努めてきたところでありまして、今年度は消雪施設を含めますと、ここ5年間で5割増となる約118キロメートルを実施しているところであります。
議員御指摘のとおり、歩道除雪の推進には地域住民の方やボランティアの協力が必要であると考えておりまして、これまでも地元自治会などに県から直接除雪機械を貸与するとともに、県費補助の地域ぐるみ除排雪促進事業により、市町村から除雪機械を貸与しているところであります。また、バス停、交差点などにスコップを置き、地域住民の方や通行する方々に雪だまりを除雪してもらう雪と汗のひとかき運動も実施しているところであります。
今後とも、歩道除雪の推進に向け、県の除雪機械の増強等を図るとともに、市町村など関係機関と連携し、地域住民の皆様の協力を得ながら、地域ぐるみで冬期の安全で快適な歩行者空間の確保に努めてまいりたいと考えております。
次に、消雪ポンプの電気料金の質問でございます。
議員御指摘のとおり、本県でも、消雪ポンプの北陸電力との電気料金の契約は、冬の期間に限定したホワイトプラン電力IIIとしておるところであります。このプランは、通年で契約いたします低圧電力プランの基本料金に比べ、1カ月の基本料金は高いものの、契約期間が冬期の4、5カ月間に限定され、年間を通して計算いたしますと基本料金は安くなり、また使用電力量料金の単価も安く設定されているため、降雪量にかかわらず、合計の電力料金は低圧電力に比べ安くなっております。
ちなみに、比較的雪が少なかった昨年度の電気料金の実績は約2億円でありますが、仮に低圧電力プランで試算した場合は約7,000万円高くなると推定されております。
このことから、県としてはホワイトプラン電力IIIを引き続き利用していくこととしておりますが、このプランの基本料金は、昭和60年度の制定より数回にわたり引き下げられているものの、議員御指摘のとおり、電気料金に占める基本料金の割合がかなり高く、また他の電力会社には、基本料金を抑え、その分使用電力量料金が割高としたプランもあることから、この点も含めまして電力会社と話し合っていきたいというふうに考えております。
次に、富岩運河の
ダイオキシン類対策についてでありますが、昨年5月に開催いたしました第9回富山県
富岩運河等ダイオキシン類対策検討委員会での対策工法に関する提言を受けまして、県では昨年9月に土木工学の専門家で構成する専門部会を設け、現地視察や意見を伺った上で、昨年末に中島閘門下流の萩浦小橋下流、がめ川合流点下流、中島水門下流の3カ所におきまして、覆砂の試験施工を行ったところであります。
今後、具体的な対策工法を決定するために、22年度は6月から10月までの間、流速観測や覆砂の厚さの測定を行うなど、降雨による出水に対する覆砂の安定性について検討し、さらに、これまで行いました冬季風浪による影響とあわせ、覆砂工法の適用性について検討を進めることとしております。
また、検討委員会で提言のありましたもう1つの無害化処理技術につきましても、技術開発の状況や既存の処理施設の処理能力、コストなどについて引き続き調査検討を行うこととしております。
さらに、事業費や負担割合の算定につきましては、具体的な対策工法の検討とあわせ、今後、検討委員会や県の環境審議会の意見を聞きながら進めていくこととしております。
県といたしましては、富岩運河等の
ダイオキシン類対策については大変重要でございますので、安全で確実な対策工法などをしっかり見きわめてまいりたいと考えております。
最後に、富岩運河の貯木場等の活用についてお答えいたします。
富岩運河下流部につきましては、今年度から、上野新橋から萩浦小橋までの歩行者動線の検討など、基本計画の策定に取りかかったところであります。また、ロシアの原木輸入の激減により利用が低下しております木材整理場や貯木場などの港湾施設につきましては、木材関連業者など関係者の意向も聞きながら、機能の見直しについて検討しているところであります。
議員御提案の運河下流部の貯木場などをプレジャーボートの係留施設として活用することにつきましては、中島閘門より下流を放置等禁止区域に指定し、今月から規制を強化するという対策をとったばかりであることに加えまして、運河周辺に存在する民間マリーナの営業に及ぼす影響や、新たに岩瀬まで運航される富岩水上ラインへの影響、さらには運河の歴史や周辺環境との調和などにつきまして、富山市、地元住民、関係者の意見を聞きながら十分考える必要があると思っております。
なお、岩瀬プレジャーボートスポットのあき待ちをされている方もいらっしゃるとのことでありますが、係留スペースの確保につきましては、運河下流部の民間マリーナに120隻程度のあきがあるようでありますので、まずは既存の民間マリーナの利用を考えていただければと思っております。
以上でございます。
10 ◯議長(梶 敬信君)
寺井農林水産部長。
〔農林水産部長寺井幹男君登壇〕
11 ◯農林水産部長(寺井幹男君)チューリップ生産への支援についての御質問にお答えいたします。
来年度から始まります国の
水田利活用自給力向上事業につきましては、今回、本県の働きかけなどによりまして260億円の激変緩和調整枠が設けられ、平成22年度につきましては、麦、大豆などの戦略作物だけでなく、チューリップなどの地域振興作物についても従来に近い支援措置が講じられることになりましたが、23年度に向けてどうするか課題が残っているところであります。
また、去る1月、御指摘のとおり、山田農林水産副大臣が、「自給率の観点からすると、助成対象にチューリップが入っていることに疑念がある」と発言されるなど、本格実施の際には、そもそも助成対象になるかどうかも懸念されるところであります。
確かに、チューリップなどはカロリー重視の食料政策上は重要な作物でないという位置づけかもしれませんが、地域におきましては、それぞれの自然条件を生かして多様な作物を導入し、トータルとして農業を営んでいるものでありまして、こうした小さくても特色のある地方の農業を守ることは、日本の農業にとっても大変大事なことだと考えております。本県のチューリップは、転作田の有効活用や農業経営の上でも重要な作物でありますし、また富山県を代表するブランドの一つでもあります。今後とも、国に対してしっかりと支援を続けるよう強く働きかけていきたいと考えております。
また、県独自の支援策につきましても、御紹介のありました10アール当たり8,000円の転作作物への上乗せ助成を初め、機械の導入や消費者へのPR活動への支援、品種開発や技術指導などを行っておりますが、今後とも関係市町村と連携してチューリップの生産振興に努めてまいりたいと考えております。
12 ◯議長(梶 敬信君)廣光知事政策局長。
〔知事政策局長廣光俊昭君登壇〕
13 ◯知事政策局長(廣光俊昭君)ふるさと教育に関してお答えいたします。
ふるさと教育につきましては、県民にふるさとへの誇りと愛着をはぐくみまして、活力あるふるさとづくりを進める上で、またグローバル社会におきまして、みずからのアイデンティティーを持って活躍する人づくりを進める上で、大変重要であると考えております。このため、
ふるさと教育有識者懇談会から先月いただいた提言を踏まえまして、あすを担う子供から地域や企業を含めまして、県民総参加で、ふるさとの自然風土、歴史、文化、産業に関する理解を深めますふるさと教育に取り組むことにしております。
御指摘の世界遺産運動を含めまして、学校、家庭、地域、企業や行政それぞれで、さまざまなふるさと教育に関する活動がございますが、来年度にはふるさと教育推進協議会──仮称でございますが──を設置しまして、ふるさと教育に関するこれらさまざまな活動を結びつけますとともに、部会を設けまして専門的な事項につきまして検討することにしております。
さらに、フォーラムの開催や表彰制度の創設、小学生を対象とした作文コンクールなど、郷土の先人や志を学ぶ事業などを実施しまして、ふるさと教育を広くアピールしていく考えでございます。
こうした活動を通じまして、ふるさと教育についての機運の醸成を図りまして、家庭、地域、企業も巻き込んだ県民運動としてしっかりと取り組んでいく考えでございます。
以上です。
14 ◯議長(梶 敬信君)東野教育長。
〔教育長東野宗朗君登壇〕
15 ◯教育長(東野宗朗君)教員の資質向上と意欲ある教員の確保についてお答えしたいと思います。
議員から御指摘ございましたように、大量退職期を迎えまして、教員に人を得ることは大変大切だと考えているところでございます。
このため、いろいろと取り組んできているところでございますが、まず教員の確保という観点では、大学訪問や県人会を通じまして、あるいはPRパンフレットなどで働きかけておりますことに加えまして、21年度、私どもの教育委員長のほうから本県出身の教員志望の学生500名ほどに手紙を送りまして、本県教員採用への志望を呼びかけたところでございます。
さらに、富山大学の学生が、学びのアシスト、理科支援員等として学校に直接出向きまして、子供たちとじかに接することによりまして、教職ということについての魅力を知っていただいたところでございます。採用選考検査につきましても、特別選考として、社会人経験などさまざまな工夫を行ってきているところでございます。
また、御指摘ございました資質向上でございますが、なかなか難しいことではございますけども、何よりも、教師自身が自分を見つめながら、自己の資質、能力の鍛錬に取り組むことが大変大切だろうと考えているところでございます。県教委といたしましては、教員がこうしたことが可能となりますように、ゆとりを持たせるための支援も行ってまいりたいと考えております。
さらに、さまざまな研修に加えまして、教師の学び支援塾事業を実施しておりまして、これはベテラン教員が若手教員とひざを突き合わせていろいろと学ぶわけでございますが、指導技術だけではなくて、教育への情熱、人間性自体もしっかり学んでもらいたいと考えております。
意欲ある教員の確保には、現職教員が、教員の仕事は平たんな道ばかりではないが、やりがいのある仕事だと後輩たちに語ることが何よりも効果的だと考えておりまして、今後とも教員をしっかりと支援し、取り組んでまいる考えでございます。
16 ◯議長(梶 敬信君)
泉生活環境文化部長。
〔生活環境文化部長泉 洋君登壇〕
17 ◯生活環境文化部長(泉 洋君)
ふるさと文学拠点施設の運営方針についての御質問にお答えをいたします。
文化施設におきましては、ボランティアや友の会など、施設の円滑な運営に協力、支援してくださる方々の存在は極めて大きく、効率性の面だけでなく、魅力の向上やPR効果の面でも大きな役割を果たしていると考えております。
県立の近代美術館、水墨美術館及び立山博物館におきましても、3館合計で、ボランティアの方が159名、友の会の会員の方が723名に上っておりまして、ボランティアによる常設展示のガイドや庭園の整備、友の会による喫茶ラウンジの運営など、利用者へのサービス向上のため、大変御尽力いただいております。
一昨年の県民アンケートでも、文学館につきましては簡素で効率的な運営を望む声が多く寄せられましたことから、開館後の運営に当たりましては、学芸員などの職員だけでなく、ボランティアや友の会会員などのふるさと文学に関心の深い方を初めとして、できるだけ多くの県民の参加や協力を得ながら効率的な運営に努めたいと考えております。
新年度におきましては、ハード面の整備を進めますとともに、ソフト面を充実するため、ふるさと文学担い手育成ゼミナールを開設いたしまして、ボランティア活動の中心となる人材を養成するなど、開館に向けた準備をしっかりと進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
18 ◯議長(梶 敬信君)飯田厚生部長。
〔厚生部長飯田久範君登壇〕
19 ◯厚生部長(飯田久範君)今回の
新型インフルエンザ対策の対応等についての御質問にお答えをいたします。
今回の新型インフルエンザにつきましては、本県は全国よりも少しおくれて流行期入りをしたところでございますが、現在は、感染者が11月下旬の流行のピーク時の5%以下と、大幅に減少をしてきているところでございます。
今回の新型インフルエンザにつきましては、季節性インフルエンザと類似する点が多いとされているところでございますが、海外からの報告では、基礎疾患を有している方を中心に重症化し、一部には死亡の事例もあったことなどから、本県では重症化防止に重点を置きまして、各種の対策に取り組んできたところでございます。
具体的に申し上げますと、まず感染者発生の早い時期から、うがい、手洗い等の感染予防や、必要に応じて学校などへの臨時休業の助言など、感染防止対策に取り組んできたところでございます。また、本格的な流行期に備えまして、重症化防止の観点から早期受診、早期治療の啓発に努めますとともに、県医師会等と連携をし、入院病床の確保と必要な医療設備の整備、基礎疾患を有する方などへのワクチン接種の前倒しなど、適切な医療の提供に努めてきたところでございます。さらに、治療薬の備蓄についてでございますが、リレンザの前倒し購入など、現時点で14万700人分を確保いたしておりまして、今後、平成23年度までに合計21万5,300人分を備蓄いたすこととしているところでございます。
このように、流行状況に応じて早め早めに各種対策に的確に取り組むことによりまして、県民生活への影響を最小限に抑えることができたものと考えているところでございます。
県におきましては、今回の対応を生かしまして、今後の流行にも備え、新たに総合訓練を実施いたしますとともに、感染予防の徹底、そしてまた医療体制の充実などに引き続き積極的に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
20 ◯議長(梶 敬信君)以上で五十嵐務君の質問は終了しました。
暫時休憩いたします。
午前11時36分休憩
─────────────────────
午後1時01分開議
21 ◯議長(梶 敬信君)休憩前に引き続き会議を開きます。
菅沢裕明君。
〔31番菅沢裕明君登壇〕
22 ◯31番(菅沢裕明君)社民党議員会を代表して総括質問を行います。
第1の質問は、政権交代と県政についてであります。
政権交代から半年がたちましたが、知事は新政権の政策、予算や政権運営をどう評価しておられるでしょうか。今度の議会では、自民党の皆さんからは、ばらまきであるとか、無責任、能力がないなどと厳しい批判が相次いだわけであります。しかし、子ども手当や高校授業料無償化法案は、与党3党はもとより、野党の公明、共産党も加わった圧倒的多数で衆議院で可決、成立をいたしました。こうした政策に対する国民的支持を示すものであります。ここで改めて、なぜ今回の政権交代が起きたのか、しっかり受けとめる必要があるのではないかと考えます。
3党連立による新政権が誕生し、国民生活再建、国民生活第一、「コンクリートから人へ」の理念のもと、社会保障関係予算が国の一般歳出の50%を超える画期的な予算となったのであります。また、地方交付税の増額、一括交付金の導入、国と地方の協議機関の法制化など、地域主権が大きく進んでおります。ただ、一連の政治と金をめぐる問題については、さらに国民への説明責任を果たし、団体・企業献金をきっぱりやめること。沖縄の普天間基地問題については、沖縄県民の願いにこたえて、きちんとけじめをつけることなどが当面の課題であります。
知事は、県や県民の立場と実情を踏まえて、新政権の施策等については評価するところは評価するとか、しかし、しっかり意見を言うところはまた意見をおっしゃっておられる。私は大変いい姿勢だというふうに思います。県政の発展、県民のための知事の冷静な対応ということがいろいろ受けとめられたところでありまして、ここで改めて、新政権の政策や政治運営について知事の見解を伺いたいと思うものであります。
次に、県の予算案についてでありますが、県政も県民の生活や雇用を第一に、もっと大胆な転換が求められていたのではないかということであります。
国の公共事業削減の穴埋めのために、貴重な一般財源を使った県単独事業を補正予算と一体で前年度並みの165億円確保したことや、新幹線の地元負担が296億円、前年度より26%の大幅増加で県財政の大きな圧迫要因になっているのではないでしょうか。その中で、県民の暮らしや雇用対策は、国の各種基金の活用が中心となり、県独自の施策が思うように打ち出せていないのではないかというふうに受けとめております。子供医療費無料化の拡充や35人学級の拡充などは実現できませんでした。
知事は、積極型予算とか、「人が輝く元気とやま」の創造、先ほどの答弁で「筋肉質の県政」という表現も使われましたけれども、知事は新年度の県予算について随分自信を持っておられるわけでございますけれども、私は、こういうところに不十分なところがあるとか、やり残したことがあるんだということも、また率直にお話しなさったらいかがかと思うのであります。知事の見解を伺いたいと思うのであります。
第2の質問は、公共事業のあり方についてであります。
新政権は従来の個々の交付金や補助金による公共事業のやり方を改めて、社会資本整備総合交付金として、地方に一くくり、一括交付金として渡すやり方に変わりました。これを受けて県は、3年から5年を期間とする県の社会資本総合整備計画を策定し、国土交通大臣に提出をし交付金を受けることになっておりますけれども、事業計画の内容、交付される総額の見通し、平成22年度の具体的な中身はどうなるかについて関心があるところでございます。
交付対象は道路、治水などの4分野となっておりますが、関連するソフト事業を計画に盛り込むことができるわけであります。そして、現行の交付金や補助金より県として使い勝手がよくなるのが特徴でありまして、県の計画策定などの力量を問われることにもなるのであります。また、県の単独事業などの小規模事業などにも使えるようにということも考えられるわけでありますが、どのようになっておりましょうか。以上の点について土木部長の見解を求めたいと思います。
さて次に、国直轄事業、利賀ダムについて質問をいたします。
新政権、国土交通省は、治水事業について、できるだけダムによらない治水への政策転換を行いました。この考え方に基づき、昨年12月に、全国で建設が進められております136のダム事業のうち本体工事未着工の89事業について、建設継続の是非を検証する対象に選んだわけであります。その中に、国直轄事業、南砺市の利賀ダムが入っております。
そこで、質問の第1は、利賀ダム建設の前提となる基本高水流量、治水計画の基準とする河川、庄川の最大流量、もっと具体的に言いますと、150年に1回想定される庄川の最大流量でございますが、これを庄川雄神基準点で毎秒6,500トンと設定されているのでありますが、この数字は高過ぎないかということであります。全国各地で高過ぎる基本高水が議論になり、専門家からも問題点が指摘されてまいっております。土木部長の見解を求めたいと思います。
庄川は150年に一度の大洪水が想定され、毎秒6,500トンの基本高水が設定をされておりますが、他の河川では100年に一度とか、60年から80年に一度ということで考えられているのであります。しかも、2日間で計測する雨量の基準、庄川では2日間で368ミリということになっておりますが、この基準も絶対というわけではなく、1秒間に川に流れる流量も、正確に測定するというのは極めて難しいとされ、どの数値にも幅があるわけであります。しかも、庄川流域の降雨量観測記録は40年程度しかないのであります。しかし、全国どこのダムでも、これらの数字は高めに設定をされておりまして、そして絶対的な基準として、ダム建設の必要性の根拠とされているのであります。庄川、利賀ダムの場合も同じであります。
熊本県の蒲島知事が設置をした川辺川ダムにかかわる有識者会議では、川辺川の基本高水を、不確実が高い、さらには科学的、客観的ではないと、この有識者会議では断言されたわけであります。利賀ダムの場合も、基本高水などの再検討が必要ではないかと考えるものであります。土木部長の見解を求めたいと思います。
質問の2つ目は、利賀ダム建設の根拠が示される庄川水系河川整備基本方針には重大な欠陥があるのではないかということであります。基本高水のうち、毎秒200トンもの流量の配分先が宙に浮いておりまして、欠落をしているという問題であります。土木部長の見解を求めたいと思います。
庄川で想定される基本高水流量は毎秒6,500トンでありますが、これについては、これから建設される利賀ダムで毎秒500トンをカットし調節をいたし、そして庄川河道へは毎秒5,800トン流すという──いわゆる計画高水流量でありますが──流量配分計画が示されているのであります。しかし、これでは毎秒200トン、これは利賀ダムのおよそ半分に当たるわけでございますけれども、その流量が宙に浮いて残るわけでありますが、庄川水系河川整備基本方針では、何らこの処理、配分についての方策が示されていないのであります。利賀ダムができても、庄川の治水、洪水対策は完結しないことを物語るのではないでしょうか。
質問の3つ目は、庄川の洪水調節、治水は、利賀ダムに固執するのではなく、他に有効な方策もあります。もっと総合的な観点で再検討すべきであります。これは知事の見解を求めたいと思います。
ダムの洪水調節、治水機能は限定的で、ダムによる治水は幻想との考え方が最近は明確になってまいっております。利賀ダムの集水域は庄川全体の流域面積から見てごく一部にすぎず、庄川全体の洪水対策としてそんなに大きな寄与をすることはできないのであります。雨の降り方も、それぞれ洪水ごとに違うわけであります。利賀ダムの集水域に雨が降ってくれれば、ある程度効果があるかもしれませんが、庄川の別の流域に雨が降ってしまうケースが過去の例でもたくさんあるわけであります。
こうしたことから、庄川の洪水、治水対策は、利賀ダムに頼らずに、庄川の堤防の補強──既に平成20年7月から30年間の計画で、庄川直轄河川改修事業築堤工事が庄川左岸高岡大門地区などで実施されているのであります。河床の掘削などの河道整備をスピードアップしていくことが最優先であります。遊水池づくり、水田の活用も古くからの治水手法であります。森林整備によって森林の保水機能を高める緑のダム構想も有力な方策であります。庄川本流に13基ある発電用民間ダムの集水流域の広さを考えるならば、これらのダムの総貯水量の洪水、治水対策への活用は実現したい課題であります。利賀ダムによる治水が最優先という考え方を改めれば、庄川流域の実態に合わせたさまざまなやり方で幾つも方策が出てくるのであります。知事、いかがでありましょうか。
第4の質問は、利賀ダムによる工業用水は必要ないということであります。工業用水道事業としては、利賀ダムから撤退すべきであります。
利賀ダムには、県企業局が日量8,200トンの工業用水を確保することになっております。ダム建設費の0.66%、7億6,000万円を負担することになるのでありますが、これは明確に不要な事業で、無駄遣いの典型ではないでしょうか。
砺波方面への工業用水の給水は、既に平成16年12月から県営境川ダムに暫定水利権を設定し、砺波市内に浸透池方式による施設が建設をされ、給水が開始されております。県営境川ダムには、県営西部工業用水道事業の水利権、日量30万トンが設定をされ、現在の契約水量は日量22万トンでありまして、まだ日量8万トンもの余剰水があるわけであります。砺波方面への工業用水は、境川ダムの暫定水利権を本格水利権に切りかえればよいだけのことであります。境川ダムは県営事業でありまして、切りかえは県の判断、知事の考えでできるのではありませんか。いずれにしても、利賀ダムによる工業用水の確保には根拠がなくなっております。知事の見解を求めたいと思います。
利賀ダムにはほかにも幾つか問題がありまして、1つは、平成20年度に計画変更が行われましたが、いまだ本体工事にかかっておらず、さらに工期と事業量が長期に、巨額になることは必至であります。いつまでたってもできない利賀ダムになるのではないでしょうか。
2つ目には、庄川水系、特に利賀川は土砂崩壊が激しく、利賀ダムも深刻な堆砂という宿命から逃れられず、50年もたたないうちに土砂で埋まってしまうのではないでしょうか。土木部長の見解を求めたいと思います。
さきの県議会で、この地域でのダム建設は、さらには湛水の経過の中で、土砂災害の危険性があるという指摘もなされているところであります。十分に検討の余地があります。
次に、幾つかの提案を申し上げたいと思いますが、1つは、ダム工事用道路建設を活用した庄川から利賀に至る国道471号線のつけかえ工事が進んでおるわけですが、このことについてであります。これはダム建設と関連づけるのではなく、利賀地区への交通の安全、利便性の確保、地域の振興策として、独立した事業として推進するように転換をしたらどうかというふうに私は提案を申し上げたいと思います。知事はこの点についてどういうふうにお考えになりますか。
2つ目は、河川法改正が行われましたけれども、その中で、河川整備基本方針、河川整備計画の策定に当たって、ダムの建設に当たって、住民参加の中で知見を集めてその方策を検討するということが提案されておりますけれども、庄川、利賀ダムの場合には、こうした住民参加による流域懇談会というものも設定をされるわけでありますが、活動はどうだったんでありましょうか。私はもう一度、そういう意味では住民の意見をよく聞く、専門家の意見をよく聞く、そういう機会を再設定したらどうかと。これも提案を申し上げてみたいなと思っているわけであります。
公共事業のあり方に関する質問の次に移ります。熊野川ダム、県営熊野川水道の再開発についてであります。
熊野川ダムの再開発事業が公共事業として採択されてから3年目を迎えております。事業が本格化してまいりました。そこで、この機会に改めて、県営熊野川水道の債務状況はどうなっているのかということであります。
平成20年度決算では、債務残高は約140億円ということになっておるのではないでしょうか。また、熊野川再開発採択の際の総事業費は約60億円でありましたが、その中に占める水道容量の買い取り、県土木部が企業局から買収することになるわけでありますが、その買収金額は約40億円と言われました。これで、先ほど申し上げました140億円の債務残高は約100億円に圧縮されることになります。
また、この水道用のダムには、旧厚生省から国の補助金約34億円が投入されているのでありますが、事業転換によって補助金の返還問題が発生をいたします。このことについて、県と厚労省との協議の結果、約19億円の返還で済むことになったと企業局から報告が出てまいっております。
これらの要素を踏まえると、債務残高は20年度の決算から見てさらに少なくなって、約85億円ということになります。これらの金額確定の経過については、もう少し詳細に、改めてきょうは公営企業管理者から説明を求めたいというふうに思っております。
次に、水道容量の買い取り、補助金の返還などの後に残る債務の処理、整理をどのようにするかというのが大きな問題であります。その額は、先ほど申し上げましたように約85億円の巨額になるわけでありますが、企業債の残金や県一般会計からの借入金、県や富山市からの出資金が含まれているのであります。この借入金や出資金は企業債の元利償還等の財源になっておるわけであります。これらの債務残高の取り扱い、処理、返還をどのように行っていくのかという問題であります。県の財政当局と企業局間、県企業局と、富山市も関係してまいりますが、富山市の間で協議が進んでいるのでありましょうか。この点についても公営企業管理者の説明を求めたいと思っております。
3点目は、約42億円にも上る巨額の県の一般会計からの借入金、ある意味では貸付金でありますけれども、これは県の貴重な財源であります。県民の税金で成り立っているのであります。他に、これも県の一般会計からの支出でありますが、約35億円の県出資金があります。富山市の場合は約23億円の出資金の存在が明らかになっておるのでありますが、今日まで、これらの一般会計からの貸付金や出資金等についてどのように処理、整理をしていくのかが示されたことはありません。この機会に、県当局、企業局の責任が重大であることを指摘しながら、その最終的な処理、整理方針についてお伺いをしたいと思っております。
水道用水の需給見通しを誤り、巨額の投資が行われた県営熊野川水道が破綻したのであります。熊野川ダムの再開発を選択するにいたしましても、その整理のために安易に県財政が犠牲になることは私たちは認められません。こうした事態についての行政、政治責任についての発言が、今日まで関係者から一切ないのは一体どうしたことでありましょうか。改めてきょうは知事の見解を求めたいというふうに考えます。
次の質問に移ります。第3の質問は、県民生活をめぐる問題であります。
まず、子供の医療費無料化についてでありますが、本議会でも数々の論議があったわけであります。知事は本会議の答弁で、所得再配分的なこうした施策は本来国の仕事であること。県としては、議論がいろいろあったわけでありますが、制度の根幹は守ってきたこと。所得制限を導入したが、それで生まれた財源で妊産婦の医療費助成、子育て応援券の配布事業などを先進的な制度として実施してきていると述べられたわけであります。そして、地方分権の時代でもあり、各市町村の責任で実施をしていただくとされました。
所得制限の導入については私ども意見があったところでありますが、制度の根幹を守り、さらに財源を活用しての子育て支援政策等については、知事の施策を評価し、敬意を表したいと思っております。
しかし知事、子供の医療費助成制度は、全国の都道府県、県下の市町村で、平成22年度に向けても改善、拡充が一段と進んでおります。福井県では助成対象年齢を来年度から小学校3年生まで拡充しました。群馬県のように中学3年生まで無料化しているところも出てまいっております。県下では、新しい市長が誕生いたしました射水市と滑川市では、選挙の公約どおり、新年度に中学3年生までの無料化が導入されております。
こうした背景には、成長期にある子供にとって安心してよい医療を受けられるようにすることは自治体の責務であること。そういう考え方に立って、首長さんなどの強い姿勢で政策の実現が行われていると思います。また、少子化対策としての経済的支援措置を求める父母や住民の声が多くありますが、その中で、医療費の無料化を挙げる人が多いのであります。
知事が述べられたように、確かに国の責務でもありますが、国と県も含めて自治体が一緒になって、少なくとも18歳までの無料化を実現するべきと私は考えます。制度の実施主体は市町村でありますが、全国では、都道府県の助成制度を基礎として、多くの自治体が追加助成を行っているのであります。富山県の場合においても、県内の子供医療費助成制度は県の助成基準が最低基準になっているのであります。しかし、本県の場合、石井知事になってからは、県の無料化は拡充されておりません。県が拡充をすれば、市町村は浮いた財源でさらに年齢を拡大することができるのであります。
ここで厚生部長に、子供医療費無料化の全国、県下市町村の実態と、県が入院、通院とも小学校3年生まで無料化を拡大した場合の必要財源がどれくらいになるのか、参考までに教えていただきたいと思います。質問いたします。
そして知事には、先ほどからいろいろと県の役割を申し上げてまいりましたけれども、国としての制度の確立に向け、働きかけを強めていただきたい。これはお願いをしたいと思います。私どもも頑張ります。しかし、県としても制度の拡充を図る決断をしていただきたいのであります。知事の見解を求めます。
県民の暮らしに関係する第2の質問は、札幌市での介護施設火災事件を受けて、県下のグループホームなどの介護施設の防災設備、安全対策に関する質問であります。
7人が犠牲になった札幌の施設の火災が、県下のグループホームなどの施設の安全面についても、深刻な問題を抱えていることを真っ正面から突きつけております。
県高齢福祉課によりますと、例えば認知症対応型高齢者グループホームは県内に83カ所ありますが、そのうちスプリンクラーの設置が義務づけられている275平方メートル以上の施設は73カ所、うち設置済みはまだ17カ所にとどまっております。また、275平方メートル以下の、つまり非該当の施設が10カ所もあるわけであります。
県は施設に対し防災管理の徹底を通知し、消防署による臨時査察も直ちに行われております。しかし問題は、スプリンクラーや火災報知器などの防災設備について、国の基金を活用した平成21年度から23年度間の特別対策事業が計画されておりますが、前倒しをしてでも設置を急ぐ必要があるのではないかと考えます。いかがですか。
また、275平方メートル以下といった基準以下の施設への補助制度の拡充についても急ぐべきと考えます。多くの施設は財政的にも苦しい中で、設備を急ぐことは容易ではないわけでありますが、国や県の支援がどうしても必要であります。
夜間の火災発生で施設にいた職員は1人だけでは、緊急時の対応は不可能であります。1人夜勤職員で最大18人までの世話をすることができる厚生労働省基準の見直しがどうしても必要であります。知事の見解を求めます。
第4の質問は、県教育についてであります。
まず、少人数学級の問題を取り上げます。
知事は提案理由説明の中で、中学1年生の35人学級選択制を引き続き実施すると述べられましたが、40人学級のままでいくか、35人学級を選択するかは、21年度に引き続き、市町村教育委員会、各学校の選択にゆだねる考えが示されております。
ただ、どちらを選ぶかは市町村の判断といっても、21年度の実績は該当校29校中24校が35人学級を選択し、5校が40人学級でありました。これは、多くのところで少人数学級の利点や優位性を認めた結果ではないかと考えられます。知事はこのことをどう受けとめておられますか。
少人数学級も少人数指導も、ともに40人学級よりは行き届いた教育が可能になることは自明であります。しかし、この両者を比較すると、少人数指導では特に習熟度別指導が中心となり、子供の差別感を助長するなどのさまざまな問題も生じ、学習理解の深まりなどの利点を考慮しても、現場では抵抗感が強いのであります。
少人数学級では、すべての教科について少人数授業が実現をし、学級規模が小さくなれば、教員1人当たりの子供の人数が少なくなり、それだけ学習や生活面の指導が行き届き、学力や人格の形成に効果が期待できるのであります。
こうした少人数学級の利点や優位性、教育的効果を踏まえて、中学校1年生についても35人学級を、選択ではなく基本とすべきと考えます。現行の小学1、2年生における35人学級を3年生以降にも拡大するよう求めたいと思います。知事の見解を伺います。
いわゆる総額裁量制のもとで、国の加配定数を少人数学級に活用できるようになりました。本県の少人数学級は、この加配定数分を使って行われております。富山県の場合、加配定数中、少人数教育対応は21年度で小学校は175人、中学校は167人、そのうち現在少人数学級に回されているのは、小学校80人、中学校は24人なっております。国の加配定数を活用し、さらに少人数学級を拡充すべきではないかと考えます。教育長にこれは質問いたします。
今度の議会に自民党議員会の皆さんは、35人学級を実現するための義務教育財源の確保を求める意見書を提出しておられます。これは画期的なことでありまして、よくぞそこまで踏み切っていただいた。私たちは皆さんと一緒に、こうした制度の国、県における拡充に向けて努力をしたいと思っております。評価しますよ。知事、そういう事実もぜひ踏まえて、教育長も答弁をお願いしたいと思います。
第5の質問は、観光についてであります。
知事は、昨日は、越中・飛騨観光圏のことで国土交通省の観光庁へ行動を起こされました。知事が県政の重点課題で果敢に行動を起こされる姿は大変いいのであります。本当に御苦労さまでございました。観光圏の追加認定に、全国20近くから政府に要望が出されておるわけでありますが、熱心さはピカ一、インパクトが強いと、きのう観光庁長官が反応されたやの報道がありました。
そこで知事、あなたから直接、きのうの政府等の反応について述べていただき、認定に向けての見通しはどうかお聞かせ願いたいと思います。
追加認定は4月中にも決定されると言われておりますが、20地区近くの要望に対して、追加認定は数カ所の見込みであります。大変厳しい競争であります。県西部6市、経済界や観光事業の関係者、地域住民の認定への期待には大きなものがあるわけであります。今後さらに……
23 ◯議長(梶 敬信君)菅沢議員。
24 ◯31番(菅沢裕明君)これやって、再質問しないから……今後さらに、知事を先頭に、認定実現に向けての訴えや行動を要望したいと思います。
観光圏については、富山湾・黒部峡谷・越中にいかわ観光圏が21年度に認定され、さらにエリアが広がる明るい展望が示されております。その中の目玉の一つとされる富山湾横断観光船の今後の見通しについても質問いたします。
25 ◯議長(梶 敬信君)簡潔に。
26 ◯31番(菅沢裕明君)昨年度の経過を見ても大変人気が高く、乗船希望が多く、魅力、ニーズが大きいのであります。ただ問題は、昨年の航行実績から見て欠航率が高いことであります。事業の定着、発展に向け、どこに問題があるのか、課題の改善、克服に向けて県としてどのような支援策が必要か、観光・地域振興局長に質問いたしまして、総括質問を終わります。
梶議長に感謝を申し上げます。ありがとうございました。
27 ◯議長(梶 敬信君)石井知事。
〔知事石井隆一君登壇〕
28 ◯知事(石井隆一君)菅沢議員さんの総括質問にお答えしたいと思います。
まず、新政権の予算や政権運営についての御質問であります。
国の22年度の予算案は、公共事業関係費が前年度18.3%減とされた一方で、地方交付税の1.1兆円の増額、また維持管理に係る国直轄事業負担金の廃止、整備新幹線の財源確保など、これまで地方が国に要望してきたことへの配慮もなされておりまして、特に地方交付税や直轄事業負担金の維持管理分の廃止等の点については、評価をすべき、また評価できる点があると思っております。
子ども手当については、国が全国一律の基準で実施する、地方に裁量の余地がない政策の経費でありますから、やるんなら全額国費で措置してほしいと再三地方から強く要請したにもかかわりませず、22年度分が暫定措置として児童手当と併給とされたことについては、まことに残念だと思っております。今後、国において23年度以降の子ども手当の取り扱いを検討される際には、現金給付は国が、保育所のようなサービス給付は地方が負担するといったような役割分担に基づいて、適切な制度設計をしていただきたいと考えております。
また、子ども手当の創設、それから高校授業料の実質無償化などによりまして、一般的には家計の経済的負担が軽減するものと考えておりますが、ただこれは、議員も御承知のとおり、暫定措置じゃなくて恒久的な政策ですから、この恒久的な政策に毎年毎年かかる財源を、恒久財源ではなくて赤字国債の増発ということで賄う形になっていることについては、やはり相当の懸念、心配をしておるわけでありまして、ぜひ鳩山政権におかれましては、できる限り早期に、持続可能な財政健全化への道筋を国民に明確に示していただきたいと、そういうふうに思っております。
さらに、国と地方の協議の場の設置、これはこの間閣議決定もありました。今国会に法案が上程予定でありまして、この点はもちろん評価しておるわけでありますが、地方の意見を十分に踏まえた議論が行われて、地方の自立と格差是正のバランスのとれた、真に国民の幸せにつながる地方分権が推進されることを期待いたしております。
また、議員から、今国会における政治と金のお話についても言及がございましたが、こうした問題に多くの時間を割かざるを得ない状況になっていることは、本当に残念なことだと思います。鳩山政権におかれましては、今何をすべきかを、高い志と広い視野に立って、国民の声、地方の声に真摯に耳を傾けながら御検討いただいて、将来を見据えて、日本が21世紀の世界の中で名誉ある地位を築いて、国民が誇りを持てる国になるように、経済の具体的な成長戦略や、国民のために真に必要な給付とは何か、必要な給付だとすれば、それとバランスのとれた適正な負担の視点にも立った財政再建の方策、こうしたことも含めた骨太の国家ビジョン、これを早急に策定していただきたい、こういうふうに思っております。
次に、国の予算の県政への影響等に関する質問にお答えをいたします。
新政権というか現政権は、「コンクリートから人へ」を一つのスローガンとされておりまして、最近改めて人に関心が集まっておりますが、私は、御承知のように、知事就任当初から「人が輝く元気とやま」の創造を基本として政策を進めてまいりました。就任後5年余りを経まして、改めて、元気な富山県をつくるためには、本県の経済、産業、教育・文化、医療・福祉──今の中央政治を見ていますと、政治もやはり、一体だれがそれを担うかという人づくりが大切だなと痛感をいたしております。
そのために、22年度予算編成に当たりましては、厳しい経済・雇用情勢を踏まえまして、必要な課題に迅速かつ的確に対処しますとともに、本県の新たな未来を切り開くために、人づくりを「活力」「未来」「安心」の3つの基本政策を支える重要政策として位置づけながら、各般の施策推進に全力を尽くすことといたしました。
国の22年度予算案におきましては、子ども手当、高校の授業料無償化、米の
戸別所得補償制度などが主要政策として予算化されましたが、これらについては、国の予算の主な支出先が県じゃなくて、市であったり団体であったりしますので、県の予算規模には大きな影響は生じておりません。
県としては、国の方針を踏まえまして、子ども手当や高校の授業料無償化の政策に対応して、制度の周知や各子育て家庭における活用方法の紹介などを通じまして、その本来の趣旨に沿った有効な活用の促進を図り、できるだけ地域の活性化にも資することにしましたほか、米の
戸別所得補償制度については、米作農家の経営安定に資する面がある一方で、産地間競争の激化も懸念されますので、引き続き富山米のブランド化の促進、また水田の有効利用を進める野菜等の大規模産地づくりへの支援などにも取り組んでいくことにいたしております。
また、22年度当初予算、県の予算でありますが、国の補正予算により措置されました基金も極力活用することなどによりまして、雇用対策については、23年度までに1万人を超える雇用創出を目標として取り組むほか、家庭や地域における子育て、仕事と子育ての両立の支援等の子育て支援・少子化対策、また医療提供体制の整備や人材確保等による医療の充実、高齢者福祉、障害福祉の推進などに積極的に取り組むこととしました結果、民生費と衛生費を合わせた予算の一般会計に占める割合は、21年度に比べて1.3%上昇しまして13.8%となったところであります。
このほか、県民の安全・安心な暮らしを守り、本県の発展基盤となる必要不可欠な社会資本整備、環境対策、観光、教育、文化なども積極的また戦略的に取り組むことといたしております。
何かやり残したことはないかという御質問もありましたが、もちろん、もっと潤沢に財源があれば、やりたいこと、充実したいこともないわけじゃありませんけれども、歳出を増やすということは、気をつけませんと、将来の国民、県民負担の増加につながるものでありまして、地方交付税も5兆円削減されて、ようやく1.1兆円戻ったということでありますから、現在の限られた財源の中では、今度の予算、それなりにバランスのとれた予算案になっているんじゃないか。ぜひ御理解いただきたいと、こういうふうに思っております。
次に、利賀ダムについての御質問にお答えをいたします。
これまで庄川流域では、昭和51年9月の台風17号、また16年10月の台風23号による出水など、たびたび洪水が発生しまして、例えば高岡市、射水市の約1,400世帯に対して、この16年の場合は避難勧告が出されて、多くの住民が避難をしているわけであります。こうした洪水からの被害を防ぐために、国では庄川の治水対策を総合的に検討して、昭和62年に庄川水系工事実施基本計画の改定が行われまして、利賀ダムはこの計画の一環として、平成5年度から建設が進められております。
いろいろ議論がありましたが、私も知事に就任した際に、当時もう既に「脱ダム」という議論がありましたから気になりまして、本当にこの利賀ダムについては大丈夫なのか、いろんな可能性、ほかにないのかということも議論いたしました。しかし、調べてみますと、平成15年度に利賀ダムの事業継続の妥当性について、学識経験者等から成ります国の事業評価監視委員会において、経済性、環境面の観点から、引堤案とか河床の掘削案など各種の治水対策について、ほかの案がないのかということもいろいろ議論した上で、そうした総合的な検討を経て、利賀ダムによる洪水調整が最もすぐれた方法であると、こういう結論になったというふうに確認できたわけでございます。
さらに、平成19年7月には、国の社会資本整備審議会で審議の上策定された庄川水系河川整備基本方針におきましても、堤防の拡築及び河道掘削等により河積を拡大させるとともに、新たな洪水調節施設──これは利賀ダムのことですが──を整備すると定められまして、これの方針に基づいて、平成20年7月に国において策定された庄川水系河川整備計画では、今後おおむね30年間に実施する内容として、利賀ダムの建設、護岸補強などが盛り込まれたところでございます。
この河川整備計画策定時には、庄川流域懇談会、これは学識経験者や、御承知のとおり庄川沿川の各市長さんがみんな入っておられるわけですし、また国の事業評価監視委員会、これも学識経験者で構成されているわけで、改めて利賀ダムによる治水対策が検討され、経済性や環境の面などから最もすぐれているとされたわけであります。このときも私は土木部等や関係方面に、いろんな議論があるからぜひしっかり比較検討してほしいということもお願いをして、こういう結果になっているわけであります。
議員は先ほど、県民の声にも耳を傾けよというような趣旨のお話をされたと思いますけれども、私は知事就任以来、県内各地でタウンミーティングをやったり、中小企業の皆さんとの対話をやったりいろんなことをやって、子育て関係も含めますと1万人近い方々と議論を積み重ねておりますが、南砺市とか砺波市とか高岡市とか、この庄川沿川で一度として利賀ダムに反対だと、やめてくれという声を聞いたことがない。むしろ私が言われているのは、知事ね、財政が苦しいのはわかるけど、もう少し利賀ダムを早くやってもらえないかと。これをむしろ何度も言われて、これはしかし国の直轄事業ですから、国にはもちろん働きかけしますよと言っているということでして、この県議会になりますと、菅沢議員さんからたびたび、御熱心に今のような御意見をいただくんですけれども……ということでございます。
昨年、新政権となりまして、できるだけダムに頼らない治水への政策転換を進めるとの考え方に基づいて、今後の治水対策を検討する有識者会議が設置されまして、利賀ダムなど本体に着工していない全国89のダム事業が検証対象とされたところでございます。現在、この有識者会議において、これまでの治水対策に加えまして、幅広い治水対策案の立案手法や新たな評価軸などについて検討が進められておりまして、本年夏ごろに個別ダム検証のための新たな基準が示される予定であります。
私は、前原国土交通大臣に申し上げたんです。ダムも全国いろいろありますから、いろいろ検討の上で、確かにこれはやめてもいいというものもあるかもしれないけど、富山県の利賀ダムについては、こういうことでいろんなことを検証してきて、それからまた地元でも──それは何万人も流域におられるから、何人かはそういう御意見の方もおられるかもしれませんが、私はとにかく、皆さんから早くやってくれということは言われても、やめてほしいという意見を聞いたことがない。県議会では別ですよ。それで、そういうことも含めて私が前原大臣に申し上げたのは、私どもは包み隠さずいろんなデータを出すから、いろんな立場で公平な客観的な検証をしてほしいと、こういうことを言っているわけでございまして、私は、この有識者の検討会の検討状況を今後もしっかり見守っていきたいと考えております。
また、今後、国において行われる利賀ダム検証で、いろいろ御下問等があれば、これまでの利賀ダムの計画、工事の経緯に加えまして、地元の沿川の市長さんも、これは皆さん、民主的な選挙で選ばれた地域の代表ですから、こういった方々の意見も含めて、幅広い県民の意見をお聞きした上で、また対処してまいりたいと思っております。
次に、利賀川の工業用水道事業から撤退すべきであると考えるがどうかという御質問にお答えをいたします。
利賀川工業用水道事業は、これもよく御承知ですけれども、砺波地域の産業発展、雇用確保ということで、日量8,200トンの工水を供給するものでありまして、この恒久水源の確保のために、平成5年に、庄川流域の治水のため必要とされた利賀ダムの建設に、これも地元の自治体、また期成同盟会からの御要望もありまして、県の企業局が利水の立場から共同参画したものでございます。その後、平成12年になりまして、砺波市から県に対して工業用水を早急に供給してほしいという強い要請がありましたので、境川ダムに確保している西部工業用水道水源から一部を暫定使用することで、浸透池方式による施設整備を進め、平成16年12月から給水を開始したところであります。
暫定使用をしております西部工業用水道の境川水源につきましては、実績で日量5万9,000トンの余裕水量がございますけれども、新規に給水の申し込みが昨年もありましたし、ことしも給水予定があります。また、今後事業の拡張を予定している、例えば電気自動車関連の企業とか製薬会社とかもありますし、さらに将来の水需要の拡大にも備える必要がございます。
また、多い年でおおむね日量2万トン以上の超過水量など、緊急的な需要に対応する必要があるということなどから、この余裕水量を利賀川工業用水道の水源として恒久的に使用するというのはやはり問題がある、難しいんじゃないかと思っております。したがいまして、利賀ダムにより工業用水を確保することは必要なものであると考えております。
これは、今の時点だけで考えると菅沢議員さんのような議論もあり得るかと思うんですけれども、工業用水の水源の確保、いざ必要となった場合には、急に確保しようとしましても、多大な投資と長い年月が必要でありまして、やはり現在の状況だけでなくて長期的な視点で──例えば富山県内でも、特定企業の名前は出しにくいんですけれども、水を大量に使うような企業の本社が最近、県西部にまた来たりしていますね。世界経済も本当に変わっていきますから、どうなって急に何万トンも欲しいということになるとも限らないわけで、こういった点はぜひ御理解を賜りたいと思います。
なお、追加質問としまして、利賀ダム工事用道路を道路事業としていっそやったらどうかというお話もありましたが、県単独事業として行うには事業量が大変莫大になりまして、それから現在の事業評価、BバイCの手法ですと、なかなかこれは事業継続が難しくなるんじゃないかと思います。
例えば国道471号は、道路事業が20%、利賀ダム工事用道路が80%の重みでアロケーションして実施しているわけですから、仮にダムはやらないということになって、工事用道路事業としての位置づけがなくなりますと、当然ながら、2割のアロケで道路事業をやっているわけですから、工期は5倍ぐらいになってしまうと、こういう問題が起こります。また、それに県単独事業でものすごいお金をつぎ込むということになりますと、きょうこの議場にもいろんな切実な御要望を持っておられる議員さんがおられますけど、ほかの地域に全くお金が回らないということにもなるわけです。
やっぱり私は、利賀ダムは、せっかく国もいろいろ検討の上で必要だと判断して、これまで長い年月お金を入れてきていただいているんですから、幸い地元からもむしろ早くやってほしいということですので、何とかこれを国の理解も得ながら進めていくということではなかろうかと思っている次第でございます。
次に、熊野川水道用水供給事業についての御質問にお答えをいたします。
この用水供給事業の熊野川ダムの水道水源、日量10万トンでありますけれども、昭和48年当時、富山市ほか4町が人口の伸びや経済見通しのもとに、将来の水需要に対応する必要があることから、県に対し要請があり確保したものでありまして、当時の計画としてはそれ相当の理由があったものと思います。しかしながら、その後、当時としては十分予測できなかった人口減少や社会経済情勢の変化などによりまして水需要が伸び悩みましたので、昭和59年6月のダム完成後にあっても、給水施設の建設を見合わせて今日に至っているわけでございます。
一方、黒川ダム建設の休止に伴いまして、富山市中心部や熊野川沿川を短期間に洪水被害から守りますために、熊野川ダムの再開発計画を提案しまして、これは平成15年1月でありますが、受水団体と協議の上で、水道容量を治水対策に活用するということにしたところであります。平成20年度には熊野川ダム施設改良事業として国庫補助採択されまして、現在その事業を進めているということであります。
御質問の熊野川水道用水供給事業の廃止に伴う同事業の県と市の出資金、借入金等の処理につきましては、熊野川ダム施設改良事業によります水道容量の買い取り額と、厚生労働省への国庫補助金の返還額が大きな要素を占めております。
水道容量の買い取り額につきましては約40億円程度と見込んでおりまして、国の補償基準ではダム建設当時からの物価変動等を考慮する必要がありますけれども、施設改良事業に着手した平成20年度の物価変動率が平成23年度末に確定すると、こういうふうになっております。この買い取り額は、国庫補助金の交付状況によりますけれども、当面、平成25年度ごろを目途に分割して支払うということになっておりまして、厚生労働省への国庫補助金の返還については、買い取り額の支払い完了を待ちまして、国庫補助金相当額を確定して返還の上、熊野川水道用水供給事業を停止することになるわけであります。
こうしたことですから、債務金額の確定には時間がかかりますけれども、その債務処理に当たっては、熊野川ダムの水道水源が、元来、市町村合併により統合されました現在の富山市に必要な上水道水源の確保を目的としてきたということでありまして、今後は、治水対策に転換、活用するということを踏まえまして、受水団体の富山市と協議を行っているところでございます。
次に、
乳幼児医療費助成制度についての御質問にお答えをいたします。
乳幼児医療制度の自己負担の軽減、かねがね申しておりますように、一種の所得配分政策でありまして、本来は国の責任で行われるべきものでありますけれども、国の制度が十分でない面がありますから、それを補完するために、県、市町村が協調して、地方単独事業として
乳幼児医療費助成をやってまいりました。
県としましては、先ほども議員のお話にありましたが、平成17年12月に設置した懇談会におきまして、この医療費助成制度の根幹を極力維持するためのさまざまな工夫について御検討いただきまして、その最終報告を受けて、一昨年10月から所得制限を導入した上で、従来の制度をすべて継続したところでございます。
当時、所得制限をしますと約1億円ほど財源が節約されることになりますから、懇談会の提言の、たしか附帯意見みたいな形で少子化対策に充ててはどうかという御提案もいただきましたので、案の一つとして医療費助成の対象年齢の拡大についても検討したんですけれども、これについては、当時、医療費の2分の1を負担する市町村によって、やはり考え方にいろんな差異があったところでございます。そのために、地方分権という時代ですから、県は基盤的な制度を維持して、対象年齢の拡大は各市町村の御判断で実施していただくことにしたわけでございます。
各市町村におかれましては、所得制限の導入によって生じた財源の活用などによりまして、それぞれの地域の実情や考え方に沿って対象年齢の拡大等が行われております。また、その後も拡大されたところもあるわけでございます。
また、県におきましては、この所得制限により生じた財源を活用して、そういうことであればなるべく市町村に迷惑、負担を強いることがないようにしようということで、保育サービスや予防接種に利用できる子育て応援券の配布事業を──これはタウンミーティングなんかでたびたび、予防接種に必要な経費、結構ばかにならないんで何か考えてほしいとかといったようなことがありましたので、そうした声にも対応するということで、県の独自施策として、基本的には全額県費で、一昨年10月からこの応援券事業を始めたということであります。
この市町村に対する
乳幼児医療費助成補助を拡充すべきという御意見なんですけれども、この問題はぜひ冷静に考えていただきたいと思うんですが、どうしたら県民に対する
子育て支援サービスが全体として拡充するかという観点から考えるべきだと考えておりまして、先ほどのような経緯で、対象年齢の拡大は各市町村の御判断、御見識にお任せするということにしたわけでありますので、そういう中で、実際に市町村も対象年齢の拡大をされつつある。そこで県が市町村に対する補助を拡大しましても、市町村の財政負担の軽減はありましても、子育て家庭への受益はあまり増えるものではない。むしろ役割分担に基づいて、県が医療費助成とは別の形で、例えば応援券の配布事業というようなことで子育て施策を充実することによりまして、県内の子育て家庭の立場から見ますと、お金がどっちから出ているということじゃなくて、医療費の助成も手厚くなる、県が独自に実施している子育て応援券の支援も受けられる。両方を受けられることになるわけで、私は子育て家庭の負担軽減、県民福祉の向上という形からいくと、結果として、それなりに形になっているんじゃないかというふうに思っているわけでございます。
こうしたことからですけれども、昨年6月に子育て支援・少子化対策条例を成立させていただきました。これを受けた基本計画の策定を現在進めておりまして、近くまとまるわけでございますが、今回提案した予算案には前倒して関係施策を積極的に盛り込んでおりまして、先ほども申し上げましたが、子育て支援・少子化対策に関する事業費は約73億円で、対前年度比43%増。それから、子ども手当の県負担分などを除いて比較したら、むしろ増えて66%増というようなことでありますので、厳しい財政の中で、子育て支援・少子化対策に県として重点的、積極的に取り組んでいるということについては十分御理解いただけるんじゃないかと思います。これからも努力してまいりたいと思います。
次に、介護施設の安全対策の御質問にお答えをいたします。
去る3月13日の札幌市内のグループホームの火災は大変痛ましい事故で、あってはならないことと考えております。この火災事故を受けて県では、直ちに施設に対し防火安全対策の徹底を通知しますとともに、市町村に対しグループホームの防災計画の策定状況等の点検調査を行うように要請しております。
介護施設の防火安全対策については、21年4月に施行された消防法施行令の改正によりまして、延べ床面積275平米以上の施設にスプリンクラーの設置が、またすべての施設に自動火災報知設備等の設置が義務づけられております。
県内には合計で325の介護施設がございますが、そのうち、延べ床面積275平米以上の施設は308施設であります。そのうち209施設はスプリンクラーが設置済みでございまして、未設置は99施設となっております。県では、昨年6月に設置した基金や国の交付金も活用しまして、平成23年度末までに未設置の施設にスプリンクラーや自動火災警報設備が設置されるように、計画的に整備を進めておるわけでございます。21年度には既に26施設、22年度には36施設、23年度で37施設と、こういう計画になっております。
一方、延べ床面積275平米未満の小規模施設が17施設あるんですけれども、県の所管する7施設については、本年度、自動火災警報設備等の設置を支援したところであります。また、市町村が所管する残りの10施設のうち4施設は自動火災警報設備等を設置済みで、残り6施設についても23年度末までに設置するということになっております。
また、夜間の職員配置については、介護報酬改定によって加算が設けられましたことから、その積極的な活用を働きかけてまいりまして、特別養護老人ホームなどでは基準を超えて配置されている施設も多いわけです。
ただ、小規模な施設、先ほど申し上げた17施設については、スプリンクラー等が補助対象となっていない、また現在の加算では夜間の勤務体制の充実が困難であるなどの課題がありますので、私は今後、全国知事会などとも連携しまして、国に対して、小規模施設のスプリンクラー整備についても支援対象としてほしいなど、介護施設の防火安全対策に対する支援の拡充を強く働きかけてまいりたいと思います。
また、消防用設備の整備が早急に進むように、消防関係機関と連携して防災対策の指導を徹底し、介護施設の安全管理に積極的に努めてまいることにしております。
次に、少人数学級についての質問にお答えを申し上げます。
本県では、小学校1、2年生については、生活習慣や学習態度を身につける大切な時期ということで35人学級を実施している。また中学校1年生については、いじめや不登校が急にここで増えるものですから、今年度から中1学級支援講師に加えまして、加配定数を活用して中1・35人学級選択制を導入したということであります。これは、35人学級を基本としたらどうかというお話がありましたが、ある意味では基本としているとも言えるんですが、実際に私、学校現場へ行って、校長さんや教諭の方の御意見も聞きました。皆さんそれぞれ学校の実情がありまして、校長さんや市町村教育委員会が判断できる柔軟な仕組みにしてほしいと、こういう要望がありました。そこで選択制という形をとったわけでございます。
その他の学年については、国の加配教員や県単の非常勤講師を活用して少人数指導を実施しているところでございます。今回の予算ではさらに、教員定数40人を拡充する、小学校専科教員を3年、4年生にも拡充するなど、しっかり対応するということにしております。
少人数学級の教育効果ですけれども、35人学級を選択した学校や保護者からは、個別指導の機会が増えてきめ細かな指導ができる、また、生徒一人一人の役割や活躍の場が広がって、中学校入学後の生徒の情緒面で落ちつきが見られるなどの御評価をいただいております。
一方で、少人数指導を選択した学校からは、さまざまな学習方法を実情に応じて取り入れてきめ細かな指導を行うことができる、また、多くの教職員が、児童生徒の成長を見守り支援できるなどと評価をされているわけでございます。
御指摘の少人数学級の拡大につきましては、義務教育在り方協議会の報告、また有識者の意見などをお伺いしたんですけれども、一律に35人学級を拡大するのではなくて、国の加配教員や県単の非常勤講師を活用して、少人数指導と少人数学級それぞれのよさを考慮して、教育指導の工夫を凝らしながら学校現場で柔軟に対応できる形が大事で、教育上効果があるというふうに考えておるわけでございます。
現在、国においても平成23年度以降の定数改善の検討に着手されておりまして、いろいろ議論を始めていらっしゃるようですから、今後も国の動向も見守りながら、少人数教育も含めて、さまざまな教育課題にしっかり対応できるように、これはせっかく教育委員会があるわけですから、教育委員会でまず十分に検討していただきたい、こういうふうに思っております。
最後に、越中・飛騨観光圏についての御質問にお答えをいたします。
一昨年の東海北陸自動車道の全線開通以来、県の西部地域と飛騨高山地域は従来以上に緊密に結びつきつつありまして、県境を越えてこの地域が一体的な観光圏を形成すれば、お互いの魅力をかけ合わせて、1対1が2じゃなくて、3にも4にもなるということにしたいものだと思っているわけでございます。
そのために、この観光圏の設立に向けまして、私も前原国土交通大臣、溝畑観光庁長官にも働きかけてまいりました。去る3月2日に越中・飛騨観光圏協議会が設立されまして、これはうれしいことに、皆さんお忙しいはずなのに、9人の市村長さんが全員そろって、大変活発な意見交換──私も参加させていただきましたが──がありました。それを受けて、昨日改めて、観光圏協議会の会長でもあります高岡市長さんとともに、観光庁長官に対しましてこの観光圏の認定に向けた説明を行ってまいりました。
この地域は、水深1,000メートルの富山湾、標高3,000メートルの飛騨山脈、それから世界にも類を見ない氷見や高岡から見た海越しの立山連峰、また日本の原風景が残る砺波平野の散居村、世界遺産の五箇山、白川郷の合掌造り、また4月の高山祭から5月の御車山祭まで、その後もいろいろありますが、有名なお祭りなども連続する。また、日本一おいしい氷見ブリや飛騨牛など、海と山の恵みに恵まれている。これを4つの四季折々のモデルコースもつくって説明しましたところ、大変熱心に聞いていただいたと思っております。
長官からは、「東海北陸自動車道が開通したことで、日本を縦の軸で結ぶ魅力的な観光ルートができた。また、北陸新幹線の開通で、確かにさらに発展が期待できますね」というコメントをいただいたところでありまして、私としては十分熱意が伝わって、前向きの感触をいただいたように思っております。
今後、観光圏整備事業検討会の意見をお聞きになった上で、早ければ4月中旬にも国による認定がなされるスケジュールとなっておりまして、県としても認定に向けまして、引き続き働きかけをしてまいりたいと思います。
また、国の認定をきっかけとしまして、県西部地域と岐阜県飛騨地域が連携して、魅力ある観光地としてお互いに発展しますように、観光圏の8市1村に積極的な取り組みを要請する。また昨日、観光庁長官のところでの話なんですが、このほかに新川広域圏があって、白馬村とか小谷村とか糸魚川との連携を今進めている。富山市ほか中心が残りますが、やっぱり富山空港というのはこの越中・飛騨観光圏にとっても非常に大切なんですね。ですから、県の西部、東部がそれぞれ広域観光圏で県域を越えて発展することで、それは結局は県の中央部にもいい形ではね返ってくる。そして、それらの相乗効果で富山県全体の観光振興が図られる。また、図っていかなくちゃいかん、こういうふうに考えているわけでございます。
以上でございます。
29 ◯議長(梶 敬信君)井波土木部長。
〔土木部長井波久治君登壇〕
30 ◯土木部長(井波久治君)まず、社会資本整備総合交付金についての御質問にお答えいたします。
これまでの国土交通省所管の地方公共団体向け個別補助金は、平成22年度から創設されます社会資本整備総合交付金に、原則一括化されることとなったところであります。
この新交付金制度の詳細な要綱につきましては、国の予算成立後と聞いておりますが、その骨子といたしましては、社会資本整備を、1つ、道路、港湾の活力創出基盤整備、2つ、治水、下水道、海岸の水の安全・安心基盤整備、3つ、都市公園、市街地整備などの市街地整備、4つは地域住宅支援、この4つの政策分野に分類いたしまして、基幹事業となる社会資本整備のほか、関連する社会資本整備と浸水ハザードマップの作成や駐車場案内システムの整備、バス停、電停上屋の整備など、整備効果を一層高めるソフト事業を総合的、一体的に支援することとなっております。また、同一計画内の事業間で国費の流用が可能となるなど、使い勝手に配慮された制度となっているところであります。
本県へ交付される総額につきましては、現時点では不明でありますが、県予算案では、下水道事業を含め、公共事業に約228億円の事業費を計上しているところであります。
今後は、社会資本総合整備計画を作成し、国に提出することになりますが、計画は原則、基幹事業の分野ごとに策定し、計画の名称や目標期間、目標達成のために必要な交付対象事業、効果の把握及び評価に関する事項などを盛り込むこととなっております。
県といたしましては、この制度のメリットを生かし、社会資本整備の効率的な実施や事業効果を促進するソフト事業の取り組みが進められるよう、計画の策定を行ってまいりたいと考えております。
次に、利賀ダムに関する御質問のうち、庄川の基本高水流量についてお答えいたします。
基本高水流量の算定に当たりましては、洪水に対する安全の度合いをあらわす計画規模を定める必要がありまして、国土交通省の河川砂防技術基準によりますと、流域の大きさ、人口、資産などの河川の重要度や既往洪水の被害の実態、類似の河川とのバランス等を総合的に考慮し決定することとされております。
庄川の計画規模につきましては、150年に1回程度発生する洪水を想定しておりますが、これは下流域におきまして、高岡市や射水市を初め人口が集中している地域が多く、産業も集積していること。また、昭和51年の台風17号や平成16年10月の台風23号による出水など、たび重なる洪水が発生しており、また一昨年7月に発生した南砺市の集中豪雨のように、異常気象による記録的豪雨が庄川流域でも十分に起こり得ること。さらに、神通川、常願寺川のほか、全国の同規模の河川と同程度の安全度を確保する必要があることなど、総合的に判断し、国の社会資本整備審議会の審議を経て決定されたものでありまして、県としても妥当なものと考えております。
次に、庄川の洪水調節についての御質問ですが、庄川水系河川整備基本方針では、基本高水流量を雄神基準点におきまして毎秒6,500立方メートルとし、このうち、流域内の洪水調節施設により毎秒700立方メートルを調節して、河道への配分流量を毎秒5,800立方メートルと定められているところであります。
この毎秒700立方メートルの洪水調節のうち、利賀ダムで毎秒500立方メートルの洪水調節を行い、議員御質問の残りの毎秒200立方メートルにつきましては、流域内の既設ダムを有効活用することとなっております。
次に、利賀ダムの事業費や進捗率についてお答えいたします。
現在の利賀ダムの基本計画につきましては、平成20年度に変更する際、県議会にお諮りしたところでありますが、その内容は、事業費につきましては、工事用道路をトンネル主体のルートに見直したことや、貯水池の地すべり対策必要箇所を見直したことなどにより、900億円が1,150億円に増額となり、また工期については、工事内容の見直しや、国の公共事業費が年々削減される中で整備計画のスケジュールを見直したことなどにより、平成20年度から平成34年度に延長されたものであります。
この変更後の事業費や工期については国において十分精査されたものであり、現時点では、今後さらなる大幅な変更はないものと考えております。
利賀ダムの平成21年度末の進捗率は、事業費ベースで約28.5%で、今後の整備スケジュールは、平成20年代後半までに工事用道路を整備し、その後本体工事に着手することとされており、国においては今後ともコスト縮減に努められると聞いております。
県といたしましては、国において事業執行の一層の効率化を進めるとともに、必要な予算を確保し、利賀ダムを計画的かつできるだけ早期に完成していただきたいと考えております。
最後に、利賀ダムの堆砂についての御質問にお答えいたします。
ダムの堆砂容量の決定に当たりましては、流域の規模、地形地質、既設ダムの堆砂実績等を総合的に検討し、100年間に貯水池に流入すると想定される土砂の量を算定して、堆砂容量を確保することとしております。
県営利賀川ダムについては、昭和49年の建設から35年目の平成20年度末で、計画堆砂容量135万立方メートルに対し堆砂率が95.2%となっております。これは、堆砂容量を計画する際に、ダム地点上流における既設ダムの堆砂実績がなかったことから、河床勾配や崩壊地面積等の地形地質条件から、年間堆砂容量を流域面積1平方キロメートル当たり350立方メートルと推定し算定したものでありますが、ダム完成後、たび重なる集中豪雨等による山地からの土砂流出により、計画を上回る堆砂が進んだものと考えております。現在、堆砂対策といたしまして、計画的に土砂の搬出を行っているところであります。
一方、直轄利賀ダムでは、計画堆砂容量を470立方メートルとしておりますが、これは、ダム地点上流に設置されております県営の利賀川ダム、関西電力の千束ダム、豆谷ダムの3つのダムの堆砂実績より、年間堆砂量を1平方キロメートル当たり490立方メートルとし、堆砂容量を決定していることから、実態に即した計画であり、妥当なものと考えております。
以上でございます。
31 ◯議長(梶 敬信君)寺林公営企業管理者。
〔公営企業管理者寺林 敏君登壇〕
32 ◯公営企業管理者(寺林 敏君)熊野川水道の決算状況等についての御質問にお答えいたします。
熊野川水道用水供給事業の平成20年度末の建設仮勘定現在高は、約140億5,000万円となっております。その財源内訳でございますが、企業債が6億5,200万円、国庫補助金が34億600万円、借入金等が42億3,200万円、県出資金が35億300万円、市町村出資金が22億5,700万円でございます。
先ほど知事からお答えしましたように、熊野川ダム施設改良事業によります水道容量の買い取り額は、公共用地の補償基準により算定されておりまして、現時点では確定されたものではございませんが、約40億円程度と見込んでおります。
また、厚生労働省への国庫補助金返還額につきましては、当面、平成25年度ころを目途に分割して支払われる買い取り額の支払い完了を待って確定することとなりますが、約40億円の買い取り額で試算いたしますと、約19億円程度の返還となると見込んでおります。その結果、残される債務残高は約85億円程度と予想されますが、これは確定されたものではないことを御理解いただきたいと思います。
次に、熊野川水道の債務についての御質問にお答えいたします。
予想されます債務金額約85億円の処理につきましては、確定には時間がかかるところでありますが、その債務処理に当たっては、熊野川ダムの水道水源については、昭和48年当時、富山市ほか4町が将来の水需要に対応するため、県へ要請の上、確保された経緯があること。また、その後、人口減少や社会経済情勢の変化などにより水需要が伸び悩んだこと。さらに、熊野川ダムの水道水源が、市町村合併により統合されました現在の富山市の市民のための水道水源の確保を目的としてきたことなどを踏まえまして、受水団体の富山市と協議を行っているところであります。
具体的には、これまで受水団体の富山市とは、熊野川ダムへ水道事業が参画した当時から現在までの経緯の確認、さらに水道用水供給事業の廃止に関する厚生労働省との協議状況、また熊野川ダム施設改良事業によります水道容量の買い取り見込み額及び事業の実施計画策定等、さらにそれに伴う厚生労働省への国庫補助金返還額見込みなど、債務処理額が確定していない中ではありますが、その都度必要な協議を行っているところであります。
以上でございます。
33 ◯議長(梶 敬信君)飯田厚生部長。
〔厚生部長飯田久範君登壇〕
34 ◯厚生部長(飯田久範君)子供の医療費助成制度に関連しての御質問にお答えをいたします。
新年度に向けての医療費助成の対象年齢の状況につきまして、全国の状況を聞きましたところ、茨城県、栃木県、千葉県、それから長野県、静岡県、そして福井県、大分県の7県ということでございまして、この7県の一つの特徴としましては、関東ブロックないしはその周辺の県が多いというようなことでございますが、この7県におきまして対象年齢を拡大することを計画しているということでございます。
次に、県内の市町村の状況についてでございますが、高岡市や立山町、舟橋村などの3市2町1村で対象年齢を拡大されるというふうに聞いておりまして、この結果、入院につきましては小学校6年生までが8市4町1村に、また中学3年生までが2市に、それから通院につきましては、就学前が2市に、小学3年生までが4市に、それから小学6年生までが2市4町1村に、そして中学3年までが2市ということになる見通しでございます。
また、現行の
乳幼児医療費助成制度につきまして、入院、通院ともに対象を小学3年生までに拡大した場合の県の所要額についてでございますが、年齢によりまして平均的な医療費、そしてまた受診回数の違いなどがございますことから、なかなか正確に算出することは難しいものと考えておりますが、仮に平均医療費が5歳刻みの年齢区分ごとに同額であるとして、それぞれの年齢ごとに子供の人数を乗じて、かつ高額療養費など他の制度の影響を一切考慮せずに計算をいたしますと、県の負担は、入院につきましては、これは21年度の県予算が5,100万円ほどなんですが、年間約4,000万円程度の増加となると見込んでおります。また通院につきましては、これも21年度の県予算額が1億8,400万でございますが、約4億円程度の増加になるところでございます。
以上でございます。
35 ◯議長(梶 敬信君)東野教育長。
〔教育長東野宗朗君登壇〕
36 ◯教育長(東野宗朗君)加配定数を活用して少人数学級の拡充をすべきでないかという問いにお答えしたいと思います。
少人数教育の加配教員数は合計342人でございまして、このうち少人数学級実施のために、小学校1、2年生で80人、中学校1年生では、担任として24人のほか、学級増への対応として14人、合わせまして38人を活用しております。これに加えまして、小学校3年から6年生の少人数指導が手薄にならないための措置といたしまして、非常勤講師を80人、中学校1年生での授業時間数増に対応するために、非常勤講師を加配分と合わせまして16人分配置をしているところでございます。
残りの加配定数を少人数学級に活用できないかとの御提案でございますが、市町村教育委員会や校長会は、現在各校に配分されている加配定数を、学級ごとの実情に応じまして、さまざまな形で少人数指導を行っておることが富山県の基礎学力の保持につながっていると考えておりまして、少人数指導に充てられている加配定数を活用して一部の学年に少人数学級を導入した場合、非常勤でカバーしたといたしましても、少人数指導が手薄にならないかと懸念しているのが実情でございます。やはり、教科指導は正規教員での対応が基本で、より効果的でありまして、今回、国の改善にあわせまして、本県でも教員定数を40人拡充したところでございます。
現在、国では学級編制基準のあり方と定数改善の検討が始まったところでございますが、地域の実情に応じた弾力的な学級編制と定数確保ができるよう十分検討していただきたい。県教育委員会でも、これにあわせまして十分検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。
37 ◯議長(梶 敬信君)戸高観光・地域振興局長。
〔観光・地域振興局長戸高秀史君登壇〕
38 ◯観光・地域振興局長(戸高秀史君)富山湾横断観光船についての御質問にお答えをいたします。
本県の東部と西部の観光地をつなぎ、船上から立山連峰の雄大な景観を眺める富山湾横断観光船事業は、県の観光振興を図る上で大変魅力的な取り組みであると考えております。
昨年は、あいにく近年まれに見る天候の不順により欠航が相次ぎまして、就航できた日は37日間の運航期間のうち11日間、就航率は21.6%となりましたが、予約は4,488人と目標の4,368人を上回ったほか、乗船率も約6割と、まずまずとなったところでございます。
来年度の運航に向けましては、御指摘のとおり、欠航率が高いことから、いかに天候に左右されずに、安全にかつ安定的に運航を図っていくかが大きな課題ととらえております。また、県外の観光客の予約状況が15%程度とやや低調でありましたので、県外からの誘客増に向けた取り組みについても強化していく必要があるものと考えております。
現在、事業の実施主体であります黒部市、氷見市、県ホテル旅館組合青年部や県などをメンバーとする富山湾横断観光船実行委員会におきまして、欠航時の対策や就航率の向上など、県内外の観光客のニーズを踏まえた事業となるよう、さまざまな検討が行われているところでございます。
県におきましても、観光船を利用した旅行商品のPRへの支援、観光船運航中の船上ガイドの配置ですとか、各種メディアや関係者を通じた積極的なPRなどに取り組んだところでございまして、来年度におきましても魅力的な運航となるよう、引き続き支援をしてまいりたいと考えております。
以上でございます。
39 ◯議長(梶 敬信君)以上で菅沢裕明君の質問は終了しました。
以上をもって総括質問、質疑を終了いたします。
これをもって県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑を終了いたします。
常任委員会への審査付託
40 ◯議長(梶 敬信君)次に、ただいま議題となっております議案第1号から第46号まで、第48号から第60号まで及び報告第1号については、お手元にお配りした議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
41 ◯議長(梶 敬信君)以上で本日の日程は終了いたしました。
次に議会の日程を申し上げます。
3月23日は常任委員会及び議会運営委員会を開催いたします。
次回の本会議は3月24日に再開し、諸案件の審議を行います。
本日はこれをもって散会いたします。
午後2時35分散会
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