平成21年 2月 定例会
△《本会議録-平成21年2定-20090224-026560-諸事項-出席議員等・
議事日程-》 2 月 神 奈 川 県 議 会 会 議 録 第 4 号 定 例 会〇平成21年2月24日 午後1時4分開議 ───────────────────────────────────────〇本日の出席議員 議長共103名 出 席 議 員 菅 原 直 敏 松 尾 崇 行 田 ともひと 亀 井 たかつぐ 横 山 幸 一 榎 並 正 剛 加 藤 元 弥 内 田 み ほ こ 作 山 友 祐 松 本 清 寺 崎 雄 介 長 友 よしひろ 井 手 拓 也 日 下 景 子 村 田 邦 子 とくやす ひさよし 馬 場 学 郎 佐 々 木 正 行 髙 橋 稔 長 田 進 治 国 松 誠 杉 本 透 髙 山 松 太 郎 石 井 もとみち 近 藤 大 輔 鈴 木 裕 二 塩 坂 源 一 郎 伊 藤 久 美 子 山 口 裕 子 曽 我 部 久 美 子 福 田 紀 彦 山 本 裕 子 飯 田 誠 嘉 山 照 正 渡 辺 ひ と し 小 野 寺 慎 一 郎 し き だ 博 昭 小 島 健 一 いそもと 桂 太 郎 梅 沢 裕 之 嶋 村 た だ し 滝 田 孝 徳 もとむら 賢 太 郎 齋 藤 健 夫 北 井 宏 昭 大 井 康 裕 安 藤 慶 松 崎 淳 長 谷 川 く み 子 相 原 高 広 鈴 木 ひ で し 赤 井 かずのり 木 村 謙 蔵 桐 生 秀 昭 佐 藤 光 森 正 明 土 井 りゅうすけ 杉 山 信 雄 小 川 久 仁 子 大 村 博 信 竹 内 栄 一 岩 本 一 夫 関 口 正 俊 吉 田 大 成 伊 藤 と お る 木 内 ひ ろ し 笠 間 茂 治 川 上 賢 治 藤 井 深 介 向 笠 茂 幸 持 田 文 男 竹 内 英 明 磯 貝 捷 彦 舘 盛 勝 弘 田 島 信 二 国 吉 一 夫 新 井 敏 二 郎 松 田 良 昭 榎 本 与 助 茅 野 誠 石 川 輝 久 平 本 さ と し 高 谷 清 田 中 肇 河 野 幸 司 斉 藤 ゆ う き 此 村 善 人 服 部 圭 介 益 田 は や お 牧 島 功 堀 江 則 之 中 村 省 司 新 堀 典 彦 三 好 吉 清 山 本 俊 昭 鈴 木 恒 夫 村 上 健 司 久 保 寺 邦 夫 山 田 吉 三 郎 はかりや 珠 江 手 塚 悌 次 郎 安 斉 義 昭 東 野 陽 子 説明のための出席者 知 事 松 沢 成 文 副 知 事 羽 田 愼 司 同 小 野 義 博 出 納 長 陳 岡 啓 子 理事 古 尾 谷 光 男 政策部長 黒 川 雅 夫 総務部長 古 谷 幸 治 安全防災局長 木 川 康 雄 県民部長 山 口 英 樹 環境農政部長 佐 藤 光 徳 保健福祉部長 吉 川 伸 治 商工労働部長 小 林 賢 県土整備部長 斉 藤 猛 夫 会計局長 小 野 間 重 雄
広域行政担当部長 笹 本 秀 行 労務担当部長 安 室 和 行 IT担当部長 三 科 清 高
次世代育成担当部長 斎 藤 百 合 子
環境共生都市整備 担当部長 池 守 典 行 政策部副部長 武 山 哲 総務部副部長 北 村 明 安全防災局副局長 冨 田 輝 司 県民部副部長 杉 山 喜 男 環境農政部副部長 水 田 秀 子 保健福祉部副部長 稲 垣 良 一 商工労働部副部長 菅 沼 敏 文 財政課長 中 島 正 信
教育委員会教育長 山 本 正 人 同 教育局長 笠 原 達 夫 同
学校教育担当部長 下 山 田 伸 一 郎 警察本部長 田 端 智 明
警察本部総務部長 佐 藤 榮 治
人事委員会事務局長 三 角 秀 行 監査事務局長 本 田 伸 夫
労働委員会事務局長 北 村 保 夫
選挙管理委員会書記長 藤 井 邦 彦
収用委員会事務局長 山 本 茂 樹
公営企業管理者企業庁長 松 藤 静 明
企業庁経営局長 田 辺 政 和 同 水道電気局長 岡 本 恒 次
病院事業管理者 病院事業庁長 堺 秀 人
病院事業庁病院局長 藤 井 良 一─────────────────────────────────────── 議会局出席者 議会局長 嶋 田 幸 雄 議会局副局長 大 熊 隆 二 同 総務課長 遠 藤 眞 同 議事課長 大 島 守 夫
議会局政策調査課長 竹 内 徳 慶─────────────────────────────────────── 神奈川県議会2月
定例会議事日程第4号 平成21年2月24日午後1時開議第1 定県第 1 号議案 平成21年度神奈川県
一般会計予算 定県第 2 号議案 同 年度神奈川県
公債管理特別会計予算 定県第 3 号議案 同 年度神奈川県
公営競技収益配分金等管理会計予算 定県第 4 号議案 同 年度神奈川県
地方消費税清算会計予算 定県第 5 号議案 同 年度神奈川県
市町村自治振興事業会計予算 定県第 6 号議案 同 年度神奈川県
水源環境保全・
再生事業会計予算 定県第 7 号議案 同 年度神奈川県
農業改良資金会計予算 定県第 8 号議案 同 年度神奈川県
恩賜記念林業振興資金会計予算 定県第 9 号議案 同 年度神奈川県
林業改善資金会計予算 定県第 10 号議案 同 年度神奈川県
沿岸漁業改善資金会計予算 定県第 11 号議案 同 年度神奈川県
災害救助基金会計予算 定県第 12 号議案 同 年度神奈川県
母子寡婦福祉資金会計予算 定県第 13 号議案 同 年度神奈川県
介護保険財政安定化基金会計予算 定県第 14 号議案 同 年度神奈川県
中小企業資金会計予算 定県第 15 号議案 同 年度神奈川県
流域下水道事業会計予算 定県第 16 号議案 同 年度神奈川県
県営住宅管理事業会計予算 定県第 17 号議案 同 年度神奈川県
都市用地対策事業会計予算 定県第 18 号議案 同 年度神奈川県
病院事業会計予算 定県第 19 号議案 同 年度神奈川県
水道事業会計予算 定県第 20 号議案 同 年度神奈川県
電気事業会計予算 定県第 21 号議案 同 年度神奈川県
公営企業資金等運用事業会計予算 定県第 22 号議案 同 年度神奈川県相模川
総合開発共同事業会計予算 定県第 23 号議案 同 年度神奈川県
酒匂川総合開発事業会計予算 定県第 24 号議案 神奈川県
地方独立行政法人評価委員会条例 定県第 25 号議案 神奈川県
地球温暖化対策推進条例 定県第 26 号議案 神奈川県公共的施設における
受動喫煙防止条例 定県第 27 号議案 神奈川県まなびや基金条例 定県第 28 号議案 特別会計の設置に関する条例の一部を改正する条例 定県第 29 号議案 神奈川県
職員定数条例の一部を改正する条例 定県第 30 号議案 県議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例 定県第 31 号議案 職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例 定県第 32 号議案 職員の勤務時間、休暇等に関する条例及び学校職員の勤務時間、休暇等に関する条例の一部を改正する条例 定県第 33 号議案 学校職員の給与等に関する条例等の一部を改正する条例 定県第 34 号議案 任期付研究員の採用等に関する条例及び任期付職員の採用等に関する条例の一部を改正する条例 定県第 35 号議案 事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例 定県第 36 号議案
神奈川県立県民ホール条例の一部を改正する条例 定県第 37 号議案 神奈川県
環境影響評価条例の一部を改正する条例 定県第 38 号議案 神奈川県
在宅重度障害者等手当支給条例の一部を改正する条例 定県第 39 号議案 食品衛生法に基づく営業の施設基準等に関する条例の一部を改正する条例 定県第 40 号議案 神奈川県
屋外広告物条例の一部を改正する条例 定県第 41 号議案
市町村立学校職員定数条例の一部を改正する条例 定県第 42 号議案 神奈川県
地方警察職員定数条例の一部を改正する条例 定県第 43 号議案 建設事業等に対する市町負担金について 定県第 44 号議案
全国自治宝くじ事務協議会規約の一部変更について 定県第 45 号議案
包括外部監査契約の締結について 定県第 46 号議案
地方独立行政法人神奈川県立病院機構定款第2 定県第 126号議案 平成20年度神奈川県
一般会計補正予算(第4号) 定県第 127号議案 同 年度神奈川県
公債管理特別会計補正予算(第1号) 定県第 128号議案 同 年度神奈川県
地方消費税清算会計補正予算(第1号) 定県第 129号議案 同 年度神奈川県
水源環境保全・
再生事業会計補正予算(第2号) 定県第 130号議案 同 年度神奈川県
市町村自治振興事業会計補正予算(第1号) 定県第 131号議案 同 年度神奈川県
農業改良資金会計補正予算(第2号) 定県第 132号議案 同 年度神奈川県
林業改善資金会計補正予算(第1号) 定県第 133号議案 同 年度神奈川県
災害救助基金会計補正予算(第1号) 定県第 134号議案 同 年度神奈川県
介護保険財政安定化基金会計補正予算(第1号) 定県第 135号議案 同 年度神奈川県
中小企業資金会計補正予算(第1号) 定県第 136号議案 同 年度神奈川県
流域下水道事業会計補正予算(第1号) 定県第 137号議案 同 年度神奈川県
県営住宅管理事業会計補正予算(第2号) 定県第 138号議案 同 年度神奈川県
都市用地対策事業会計補正予算(第2号) 定県第 139号議案 同 年度神奈川県
病院事業会計補正予算(第1号) 定県第 140号議案 同 年度神奈川県
公営企業資金等運用事業会計補正予算(第1号) 定県第 141号議案 神奈川県
消費者行政活性化基金条例 定県第 142号議案 神奈川県
妊婦健康診査支援基金条例 定県第 143号議案 神奈川県
安心こども基金条例 定県第 144号議案 神奈川県
ふるさと雇用再生特別基金条例 定県第 145号議案 神奈川県
緊急雇用創出事業臨時特例基金条例 定県第 146号議案 収入証紙に関する条例の一部を改正する条例 定県第 147号議案 神奈川県手数料条例の一部を改正する条例 定県第 148号議案 行政財産の用途又は目的を妨げない限度における使用に係る使用料に関する条例の一部を改正する条例 定県第 149号議案 神奈川県
火薬類取締法関係手数料条例の一部を改正する条例 定県第 150号議案 神奈川県
高圧ガス保安法関係手数料条例の一部を改正する条例 定県第 151号議案 神奈川県液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する
法律関係手数料条例の一部を改正する条例 定県第 152号議案 神奈川県産業廃棄物の処分に係る
手数料徴収条例の一部を改正する条例 定県第 153号議案
神奈川県立フラワーセンター大船植物園条例の一部を改正する条例 定県第 154号議案 神奈川県種畜検査条例の一部を改正する条例 定県第 155号議案 衛生試験、治療等に関する条例の一部を改正する条例 定県第 156号議案 神奈川県
障害者自立支援対策臨時特例基金条例の一部を改正する条例 定県第 157号議案
介護保険法施行条例の一部を改正する条例 定県第 158号議案
と畜場法施行条例の一部を改正する条例 定県第 159号議案 神奈川県
職業能力開発促進法関係手数料条例の一部を改正する条例 定県第 160号議案 神奈川県建築基準条例の一部を改正する条例 定県第 161号議案 神奈川県
建築士法関係手数料条例の一部を改正する条例 定県第 162号議案 神奈川県立の博物館条例等の一部を改正する条例 定県第 163号議案 神奈川県
道路交通法関係手数料条例の一部を改正する条例 定県第 164号議案 工事請負契約の締結について(
県営横山団地公営住宅新築工事(3期-建築-第1工区)請負契約) 定県第 165号議案 建設事業に対する市町負担金について 県報第4号 専決処分について承認を求めること(平成20年度神奈川県
一般会計補正予算(第3号)) 県報第5号 専決処分について承認を求めること(平成20年度神奈川県
水源環境保全・
再生事業会計補正予算(第1号)) 県報第6号 専決処分について承認を求めること(平成20年度神奈川県
県営住宅管理事業会計補正予算(第1号)) 県報第7号 専決処分について承認を求めること(平成20年度神奈川県
都市用地対策事業会計補正予算(第1号)) 県報第8号 専決処分について承認を求めること(平成20年度神奈川県
水道事業会計補正予算(第1号)) 県報第9号 専決処分について承認を求めること(平成20年度神奈川県
電気事業会計補正予算(第1号)) 県報第10号 専決処分について承認を求めること(
損害賠償請求訴訟の判決に対する控訴について) ───────────────────────────────────────
△《本会議録-平成21年2定-20090224-026561-質問・答弁-
梅沢裕之議員-
一般質問①介護人材の確保について②周産期救急医療について③治安対策の強化について④青少年問題について》 〔議会局長報告〕 出席議員 議長共85名
○議長(榎本与助) ただいまから本日の会議を開きます。───────────────────────────────────────
○議長(榎本与助) 審議を行います。 日程第1、定県第1号議案 平成21年度神奈川県
一般会計予算外45件及び日程第2、定県第126号議案 平成20年度神奈川県
一般会計補正予算外46件、以上一括して議題といたします。 これより質問並びに質疑を行います。 質問の通告がありますので、順次発言を許します。 梅沢裕之君。〔
梅沢裕之議員登壇〕(拍手)
◆
梅沢裕之議員 榎本議長のお許しをいただきましたので、私は
自由民主党神奈川県議団の一員として、通告に従い、提言を交えながら順次質問をさせていただきます。 知事、
病院事業庁長及び警察本部長におかれましては、明快なご答弁をお願いをいたしたいと思います。 また、先輩、同僚議員におかれましては、しばらくの間ご清聴のほど、よろしくお願いします。 昨日、アメリカから大変明るい話題が飛び込んでまいりました。皆様ご承知のとおり、アメリカ・ロサンゼルスで行われた第8回アカデミー賞授賞式において、日本の映画が外国語映画賞と短編アニメーション部門でダブル受賞の快挙をなし遂げました。昨年来の景気低迷の中にあって、大変勇気づけられた出来事でありました。日本の心に世界が共感をし、日本の技術に世界が感嘆した証と受けとめております。 このダブル受賞を契機に、日本の底力を神奈川から世界に発信する気概で今後とも取り組んでまいりたいと思います。 それでは、質問に移ります。 質問の第1は、介護人材の確保についてであります。 高齢化が進むことに伴い、介護分野のサービスに対するニーズがますます高まっている一方で、担い手である人材は、昨年11月時点で県内の有効求人倍率が3.78倍を示すなど、依然として人手不足の状態にあります。 私は、ある特別養護老人ホームを訪ね、お話を伺ってきました。そこは約200人余りの入居が可能な施設で、職員の数は約110人。お話によると、平成18年4月から平成21年1月20日までの退職者は67人に上るそうであります。同業への転職は32人、他業種、つまり老人福祉関係でない仕事に移った方が25人、その他の家庭の事情で退職された方が10人ということであります。3年足らずで約半数以上の職員が入れ代わった計算になります。特にここ数年の傾向として、福祉分野以外への離職がふえているということであります。 この施設に限らず、全国の老人介護施設では、厳しい経営環境のもとで、こうした介護職等の離職と人手不足が大きな問題となっており、介護の根幹を揺るがしかねない事態になっております。もちろん、本県も決して例外ではないと考えます。 一方、景気悪化に伴う非正規雇用労働者の解雇が深刻な社会問題となっており、厚生労働省によれば、3月末までに全国では約12万5,000人、県内でも約4,800人の雇い止めが見込まれております。 介護の仕事は専門性が求められる一方で、資格や経験がなくても働ける仕事も多く、意欲と適性があれば、まず就職し、働きながら学び、スキルアップをしていくことが十分に可能であります。雇用情勢の急速な悪化という大変厳しい状況ですが、これは離職者を初め、より多くの方々に介護の分野に目を向けていただける機会であり、雇用のミスマッチを解消し、介護分野の人材確保を進めるための効果的な支援が求められております。 このような状況のもと、県が本年1月にかながわ福祉人材センターや福祉施設等と連携して実施した緊急就職相談会においては、200名以上の方が参加したとのことであり、関心の高さがうかがわれております。 これまで、人材不足の主な原因の一つに賃金水準などの処遇をめぐる問題が指摘されてきましたが、平成21年度の介護報酬改定において、介護従事者の処遇改善を進める観点から、プラス3%の改定が行われる予定となっております。介護とは、人が人を支えるという崇高な、そして大変やりがいのある仕事であり、制度改正の動きも踏まえ、介護分野からも仕事の魅力ややりがいを積極的にアピールをするとともに、離職者を初めとする多くの方が円滑に就職し、やりがいを持って働き続けることができるような人材育成に向けた取り組みが重要であります。 しかしながら、介護の分野では小規模な事業所も多く、個々の事業所が広報や求人活動をしてもなかなか効果が上がりにくいことや、未経験者等に対する研修の実施は負担が大きいといった課題があり、適切なサポートが求められています。その一環として、例えば研修等の実施に当たり県立保健福祉大学の教育的資源を有効に活用するなど、介護人材の確保という課題に対して、大学が人材養成の拠点としての役割をしっかりと果たしていく必要があるのではないかと考えます。 また、介護人材をめぐる動きとしては、日本とインドネシアの経済連携協定、いわゆるEPAに基づく介護福祉士候補者が本年1月末に受け入れ先の施設に着任をいたしました。来年度はフィリピンからの受け入れも開始される予定であり、今後、協定先の拡大などにより、受け入れは確実に進むものと思われます。 外国人の受け入れに当たっては、言語や文化、生活環境の違いや採用する際の経費面の課題など、就業の状況や現場の課題などを把握していく必要がありますが、少子化が進むことに伴い、将来的には、このような外国人介護福祉士の活用も視野に、幅広い人材を確保するための検討が必要になると思います。 そこで、知事に伺います。 人材不足に悩む介護の分野において、未経験者等が職場に定着して力を発揮できるよう取り組む事業所等に対して、県立保健福祉大学の資源も活用しながら県としての支援策を早急に実施することが必要と考えますが、どのように取り組んでいくのか。 また、将来的な幅広い人材確保の観点から、外国人介護福祉士の活用に向けた検討を進めるべきであると考えますが、知事のご見解を伺います。 質問の第2は、周産期救急医療についてであります。 まず、県の周産期救急医療対策についてお伺いします。 救急医療は、昼夜の区別なく急病や事故等から県民の命を守る使命を担っており、県民が安心して生活を送るためにも、救急医療体制の確保が強く求められております。とりわけ妊娠から出産、新生児に至る周産期における救急医療体制の整備は、少子化が進む中で、安心して子供を産み育てることのできる環境づくりとしても極めて重要と考えます。 県では、分娩時の予期せぬ急変などに対処し、ハイリスクの妊婦から新生児までのお母さんと赤ちゃんの生命を守るため、周産期救急医療システムを整備しています。具体的には、県内を六つのブロックに分割し、ブロック内での患者の受け入れの調整とブロック内の拠点として重症例を中心にあらゆる患者を24時間体制で受け入れる基幹病院、その基幹病院を補完し、中等症以上の患者を中心に受け入れる中核病院、そして、比較的軽度な患者や、基幹病院、中核病院で急性期を脱した患者を受け入れる協力病院と、各医療機関の機能に応じた役割分担と連携を図りながら、周産期救急医療の確保に努めていると理解をしております。 そして平成19年11月からは、基幹病院の産科医師をサポートし、その負担を軽減する業務を開始し、体制の充実に取り組んでいると伺っております。 周産期救急において、昨年10月に東京都内で脳出血を起こした妊産婦の方がお亡くなりになるという事案が発生しました。頭痛など体調不良を訴えた妊産婦の方について、かかりつけの産婦人科医院が受け入れ先を探しましたが、なかなか見つからず、ようやく決まった受け入れ先の病院で出産、その後、頭部手術が行われたものの、お亡くなりになったというものであります。 まことに残念なことであり、こうした事案も踏まえて、周産期救急医療は今、まさに全国的に充実・強化が求められていると考えます。 国においてはこの事案を受け、翌11月に専門家による周産期医療と救急医療の確保と連携のあり方に関する懇談会を設置いたしました。この懇談会では、今回の事案や周産期医療の現状について検証を行い、今後の対策について議論されており、そうした中で新生児集中治療管理室、いわゆるNICUの増床や、合併症の妊婦の方にも最善の医療が提供できる大規模施設の整備、設置などが挙げられたと聞いております。 そこで、知事にお伺いします。 県では周産期救急医療体制の整備に努めているところでありますが、こうした動向を踏まえ、さらなる体制の充実に向け今後どのような取り組みを行っていくのか、知事の見解をお伺いします。 次に、こども医療センターにおける周産期救急医療対策について伺います。 県立病院には、その役割として、県民の医療需要にこたえ、安心して暮らせるよう医療提供体制を確保していくことが求められております。 本県では、県内唯一の子供専門病院として、小児三次救急の役割を担う県立こども医療センターや、都道府県がん診療連携拠点病院である県立がんセンター、精神科救急の基幹病院である県立精神医療センター、循環器の専門病院である県立循環器呼吸器病センターなどの県立病院があり、民間医療機関では提供が困難な高度専門医療や、広域的な対応が必要となる救急医療などの提供を行い、その役割を果たしております。 救急医療は、こども医療センターを初め県立病院が担う重要な役割の一つでありますが、患者の生死に直接かかわる医療であり、県民が真に安心できる救急医療体制の整備が強く求められていると思います。 救急医療をめぐっては、解決すべきさまざまな課題がありますが、特に周産期救急医療については、NICUの満床により搬送受け入れが困難な状況にあることが全国的な問題となっており、本県においても、県民が安心してお産に臨める医療環境の実現に向け、早急に対応すべき課題だと考えております。 本県では、周産期救急の基幹病院であるこども医療センターにおいて、平成20年度にNICUを15床から6床増床し、21床とし、重症新生児の受け入れを拡大することで、いち早く周産期救急医療の充実を図っていると理解をしております。 一方、NICUの不足問題を解消するためには、NICUを整備し、増床するとともに、そこで働く医師の不足を解消することが大きな課題となっております。 こうしたことを踏まえ、平成21年度当初予算においては、こども医療センターで小児科医を研修医として受け入れることによって、全国的な視点において新生児医療を担う医師の育成を図るとともに、こども医療センターの新生児医療を充実させることを目的に短期有給研修医制度を新たに立ち上げるとのことであります。この事業は、こども医療センター医師の提案に基づくものということで、現場の声を踏まえた提案事業が県民のニーズをとらえたものとなるよう、その成果に期待をしております。 そこで、
病院事業庁長にお伺いします。 こども医療センターでは、平成20年10月にNICUを増床したところでありますが、どのような成果を上げているのか、また、平成21年度に職員提案事業として短期有給研修医制度を事業化するとのことでありますが、こども医療センターのNICUの充実や医師確保にどのような効果が期待できると考えておられるのか、
病院事業庁長の見解をお伺いします。 質問の第3は、治安対策の強化について伺います。 振り返れば平成14年に、刑法犯認知件数が戦後最多の19万件を超え、検挙率も20%を割り込むなど、治安情勢が極めて憂慮すべき状況となっていました。このことを受け、県警察では平成15年を「治安回復元年」と位置づけ、平成22年までに刑法犯認知件数を比較的治安がよいとされていた平成初期のころと同じ9万件台に減少させ、安全で安心して暮らせる地域社会実現のために「神奈川県警察運営重点」を毎年掲げて、県警察の総力を挙げ、治安回復に取り組んでいると承知をしております。 昨年は刑法犯認知件数が11万件台、検挙率36%台、さらに交通事故により亡くなられた方を189人に抑えるなど、目標に向けて着実に成果を上げています。 しかしながら、全国的には、秋葉原の無差別殺傷事件や元厚生事務次官を対象とした殺傷事件、千葉県東金市で女のお子さんが遺体で見つかった事件など、社会を揺るがす凶悪事件が発生をしております。また、アメリカ発の金融不安が全世界へと波及し、日本でも自動車、電気機器、精密機器などの輸出関連企業の業績が悪化し、非正規従業員らの解雇が社会問題となっており、少なからず治安情勢にも影響が出てくるものと危惧をしております。 このような社会経済情勢のもと、有事に即応する力強い警察の確立が求められており、平成21年の神奈川県警察運営重点は「安全・安心を確立させる年」をスローガンに、「県民に不安を与える犯罪の抑止・検挙活動の強化」「歓楽街総合対策及び組織犯罪対策の強化」「少年非行防止・保護総合対策の強化」「交通死亡事故抑止対策の強化」「テロ、大規模災害等警備諸対策の強化」「県民の日常生活に密着した活動の強化」の六つの重点目標と、刑法犯認知件数を20年比8%以上削減、刑法犯の検挙率を35%以上、重要犯罪の検挙率を65%以上、交通事故の死亡者を200人以下という達成目標を掲げています。 この重点目標や達成目標は、当然、治安情勢や警察の取組状況に応じて毎年見直されていると思います。例えば重点目標では、今年6番目に掲げられている「県民の日常生活に密着した活動の強化」という項目が昨年は3番目に挙げられていました。また、達成目標の刑法犯認知件数は昨年は19年比5%以上削減となっており、単純には言えないものの、今年の達成目標は、昨年に比較して3%多い数値になっております。 そこで、県警察運営重点を踏まえた県警察の体制を早期に強化することが重要だと考えております。 一方、警察庁では、先ほども話した千葉県の東金市で女のお子さんが遺体で見つかった事件などの発生を受け、子供と女性を性犯罪などから防ぐため、声かけやつきまといなどの前兆と見られる事件を取り締まる専従対策班を、全国の警察本部に設置することを決めております。 さらに、大相撲・時津風部屋力士死亡事件がきっかけとなり、不十分とされた検視体制を強化するために、検視官らの増員も図るため、全国で959人の警察官が増員されたと伺っております。このうち神奈川県警察に増員配分されたのは55人で、この定例会に「神奈川県
地方警察職員定数条例の一部を改正する条例」が議案として提案され、この春から生活安全部、刑事部の体制強化を図っていくと伺っております。 1人の警察官が育つまでには、1年半から2年程度の警察学校での教育訓練や、現場での研修といった過程を経ることが必要であり、警察官の増員が図られたからといって、一朝一夕にして警察の体制が急激に強化されるわけではないということは承知をしておりますが、できるだけ短期間でこの増員の効果があらわれるような体制の強化を図っていかねばならないと考えます。 例年を見ますと、県警では3月中に春の人事異動を行っており、今年も間もなく異動が発令されるものと思いますが、この春の人事異動は、今年前半の業務を推進するための体制固めという意味で非常に重要であります。特に、警察運営重点に掲げられた重点目標や達成目標が絵にかいたもちにならないようにするためには、しっかりした体制を早期に確立することが必要であると考えます。 そこで、警察本部長に伺います。 今年の神奈川県警察運営重点はどのような趣旨で各項目を設定し、かつ重点目標の順位づけや達成目標を定めたのか、お伺いします。 さらに、運営重点を達成するとともに警察官の増員効果を最大限に引き出すため、今年の人事異動ではどのような体制づくりを行うのか、警察本部長のお考えをお伺いします。 質問の第4は、青少年問題についてであります。 知事は先ごろ「青少年保護育成条例」の全面的な見直しに着手すると発表されましたが、このことに関して伺います。 まず、青少年を取り巻く状況に関する認識についてであります。 神奈川の次代を担う青少年は、一人一人がかけがえのない存在であり、心身ともに健やかに育って自分の道をしっかりと見据え、自立していってもらいたいとだれもが願うところであります。 しかしながら、最近の青少年をめぐる状況を見ますと、いじめの深刻化を初めとして不登校、引きこもりなど悩みを抱える青少年がふえ、ニートやフリーターなど、働くことへのしっかりとした価値観を持てない青少年の増加といった問題のほか、児童虐待事件や出会い系サイト、出会い喫茶を介した少女の犯罪被害が頻発するなど、大変憂慮すべき事態にあります。 これら青少年をめぐるさまざまな問題の背景には、都市化や核家族化、情報化の進展、家庭や地域における希薄化した人間関係等の社会環境の変化とともに、特に最近は、まことに遺憾なことではありますが、規範意識の欠如した親や大人の行動が存在していると強く感じております。 一昔前であれば、青少年問題を語るときには「最近の若い者は」というフレーズがつきものでありましたが、学校など地域の施設において自己中心的で理不尽な要求を繰り返すモンスターペアレントの出現、乳幼児を連れて深夜、居酒屋やカラオケに出かける保護者、場所柄や周囲の迷惑も気にせず自分勝手に振る舞う大人の存在、こうした実態が日常化しており、今では青少年問題を語っていても「最近の親は」「最近の大人は」と、いつの間にか大人の問題になってしまうという大変嘆かわしい事態となっております。 青少年の健全育成は私たち大人の当然の責任であり、常識でもありますが、これを自覚できない大人がふえている状況を踏まえますと、今、まさに私たち大人一人一人が自分の行動や考えを見詰め直し、子供や青少年に対してどう向き合うべきなのかを真剣に考えねばならない時代に入っていると思います。 青少年問題については、県議会は昭和29年という全国的にも早い時期に、議員提案による青少年保護育成条例を成立させ、その後も本会議や委員会等の場において、さまざまな角度から真剣な議論を積み重ねてまいりました。また、昨年3月には「青少年を健やかに守り育てる社会を目指す決議」も行ったところであります。 県においてもさまざまな青少年施策に取り組んでいるところでありますが、こうした努力にもかかわらず、青少年をめぐるさまざまな問題が全体として大きく改善されたとは言いがたい状況にあります。 そこで、知事に伺います。 青少年保護育成条例の全面見直しは、青少年の保護及び健全育成の基本となる条例を目指すとのことでありますが、現在の青少年をめぐる状況や社会環境をどのように認識され、青少年の健全育成に向けてどのような考え方で条例を見直そうとされているのか、知事の見解を伺います。 次に、私が地域活動などに取り組んでいる中で感じるのは、青少年保護育成条例の名称も含め、そこにどのようなことが規定されているのか内容も知らない保護者や県民の方々が余りにも多いということであります。 この条例は、青少年の健全な育成を図るため、これを阻害するおそれのある行為を防止することを目的としております。この目的に沿って、社会環境の変化に合わせた改正が幾度も繰り返され、規制が加えられました。その中で、例えば第5条には「保護者は、特別の事情がある場合の外は、深夜に青少年を外出させてはならない。」と規定されておりますが、これを全く知らない保護者が大変多いというのが現実であります。 この理由として、私は、改正を繰り返してきたために条例自体が非常にわかりにくくなっていることも挙げられると考えております。 こうしたことを踏まえると、私は、今回の見直し、そしてその後に想定される条例改正の過程は、条例そのものをわかりやすいものにするとともに、県民の皆様に広く青少年の健全育成の問題に関心を持っていただき、条例の存在を知っていただくよい機会としなければならないと考えております。一人でも多くの一般県民の方々に何らかの形で条例づくりにかかわっていただいてこそ、条例への理解や関心がより深まると考えております。 ぜひこの機会を生かして、県民のだれもが条例を知り、条例の精神に沿って青少年の健全育成に当たる、そういう社会になるよう目指すべきであり、また、そうなってこそ条例が真に県民のものとなっていくものと考えます。 そこで、知事にお伺いします。 今回の条例見直しや条例改正の過程において、条例をわかりやすいものにしていくとともに、広く県民の皆様に青少年をめぐる状況の深刻さや条例の見直しの必要性等について積極的に呼びかけ、ともに青少年の健全育成を考える機会にすべきと考えますが、知事のご見解をお伺いします。 以上で私の第1回目の質問を終わります。 ご清聴まことにありがとうございました。 〔拍 手〕〔知事(松沢成文)発言の許可を求む〕
○議長(榎本与助) 松沢知事。〔知事(松沢成文)登壇〕
◎知事(松沢成文) 梅沢議員のご質問に順次お答えいたします。 まず、介護人材確保のための保健福祉大学を活用した支援と、外国人介護福祉士の活用に向けた検討についてのお尋ねがございました。 未経験者等の雇用と職場定着に向けては、介護分野は小規模な事業所が多く、特に求人活動や採用後の導入研修を単独で行うには経費や人手の面で制約がある上、十分なノウハウがないのが実情であります。 本県では、既に複数の事業所が連携し、人材育成と定着に取り組む県独自の認定研修の仕組みづくりを進めておりますが、これに参加しにくい小規模な事業所においても人材育成の仕組みが求められております。このため、平成21年度の新規事業として、障害者自立支援対策臨時特例交付金を活用し、複数の小規模事業所が協力し合い、現場の実態に即した採用活動や研修を行う仕組みを支援し、介護人材の確保、定着につなげてまいります。 また、このような取り組みを進める上で、県内の人材養成の中核機関である保健福祉大学の教育機能を最大限活用していくことが、神奈川らしい人材育成に資するものと考えています。既に保健福祉大学の教員が県独自の認定研修や再就職支援セミナーの講師として協力しておりますが、今後さらに地域貢献の一環として、大学の持つ教育資源を活用した効果的な取り組みについて、事業所のご意見も伺いながら、大学とともに検討をしてまいります。 次に、外国人介護福祉士の活用に向けた取り組みについてのお尋ねがございました。 現在、県内では経済連携協定、いわゆるEPAにより、インドネシアからの介護福祉士候補者9名が業務に就いており、協定先の拡大などにより、今後、受け入れが一層進むことが想定されます。 一方、県内では、この枠組み以外にも、在留資格を有する外国籍県民の方が介護現場に従事している状況があります。介護の現場で働く方の資質向上と定着は大変重要ですが、とりわけ外国人の場合には、言葉や文化の違いなど、現場でのコミュニケーションなどでさまざまな課題があります。このため、平成21年度から県提案型協働事業として、県内の介護分野で働いている外国籍の職員について就業の実態や雇用に当たっての課題を把握するとともに、就業や定着への効果的な支援の実施に向け、相談や研修に関するモデル事業を実施いたします。 このような取り組みを通じ、将来の幅広い人材の活用という観点から、質の高いサービスが可能となるよう、外国籍介護職員の人材育成や定着面での支援のあり方について検討を進めてまいります。 次に、周産期救急医療体制の充実に向けた今後の取り組みについて、お尋ねをいただきました。 周産期救急医療体制の整備に当たっては、母親と胎児、新生児の生命と健康を守り、県民が安心して子供を産み育てるために、施設の整備や連携の仕組みづくりなど、総合的な医療体制を確保していくことが極めて重要であると考えています。 周産期医療には、母体と胎児や新生児の診療を同時に行うという特殊性があることから、本県では現在、八つの基幹病院を初めとした31の病院にご協力をいただき、周産期における救急医療システムを整備しております。この体制を充実していくため、新生児の集中治療管理を行うNICUの増床に向けた取り組みを進めるとともに、平成19年11月からは、神奈川県救急医療中央情報センターにおいて周産期救急受け入れ機関紹介業務を本格実施し、現場にいる産科医師の負担の軽減に努めているところであります。 しかしながら、議員お話しのとおり、東京都において生じた事例などを契機に、一つにはNICUの増床の問題、二つには、脳血管障害などを発症した合併症妊婦の救命の問題、そして三つには、医療機関への収容までの時間の短縮が課題であることが改めて明らかになりました。 そこで、平成21年度は、これまで空白地域となっております川崎市域において聖マリアンナ医科大学病院に施設整備等への補助を行い、総合周産期母子医療センターを設置することにより、救命救急センター併設による手厚い受け入れ体制の確保とNICUの増床が図られると考えています。 また、合併症の妊婦に対する救急受け入れ体制の充実に向けて、周産期医療及び救急医療関係者による検討・協議の場を設け、双方の連携を強化し、患者受け入れの円滑化を図ってまいります。 さらに、医療機関への収容時間を短縮するために、現在、救急医療中央情報センターにおいて、複数の医療機関に同時に受け入れを確認する取り組みを試行的に実施しております。その結果、12月と1月の2カ月間における案内に係る所要時間の平均は27.3分であり、それ以前の4月から11月までの39.7分に対して3分の1近くが短縮されており、こうした結果を踏まえながら、本格実施に向けて取り組んでまいります。 このような取り組みを着実に進めることにより、県民が安心して出産に臨むことができるよう、周産期救急医療体制のさらなる充実に努めてまいります。 最後に、「青少年保護育成条例」の見直しに関して2点お尋ねがございました。 初めに、最近の青少年をめぐる状況と、条例の見直しの考え方についてのお尋ねであります。 この条例は、青少年に有害な出版物や映画などが氾濫し、青少年の非行や問題行動が顕著になってきたことを背景に、有害環境から青少年を守ることを目的として昭和29年12月に議決され、翌30年に公布、施行されました。全国でも早い取り組みであったと聞いております。以来幾度もの改正を重ね、昨年は、残虐なゲームソフトに対応した制度の創設や出会い喫茶に係る規制を行ったところであります。 一方で、青少年を取り巻く社会環境は大変深刻な状況にあります。若者の社会的自立のおくれやいじめによる自殺、児童虐待といった問題のほか、青少年が加害者や被害者となる事件は後を絶ちません。その背景には、青少年の成長に大きな影響を与える大人の意識や行動の問題や、地域コミュニティの弱体化などがあると感じています。青少年の健全育成のためには、すべての大人がそれぞれの立場で役割や責任を果たし、社会全体で取り組んでいくことが大変重要となってきていると認識しています。 そこで、今回の見直しに当たっては、青少年を社会全体で支え、守り、育てていくといった基本理念を明らかにするとともに、保護者、事業者、県民等の責務を条例に位置づける方向で検討を進めてまいりたいと考えています。 加えて、条例制定から半世紀以上を経過しておりますので、規定の内容全般について、現在の社会状況に照らして適切かどうか点検する必要があります。例えば青少年の定義は「小学生から18歳未満まで」とされておりますが、乳幼児を連れて深夜まで外出する親が増加している状況にかんがみ、この定義を見直す必要はないか、また、各種規制に係る罰則の量刑は現状に見合っているかといったことも検討課題となってまいります。 これらの点について検討を加え、これまでの青少年の健全育成を阻害するおそれのある行為の防止を目的とした条例から、青少年の保護と健全育成の基本となる条例を目指して見直しに取り組んでまいります。 次に、今回の条例の見直しを、広く県民の皆様とともに青少年の健全育成を考える機会としてはどうかとのお尋ねがございました。 青少年の健全育成に社会全体で取り組んでいくためには、より多くの県民の皆様に、まずはこの問題について関心を持っていただくことが大変重要であります。私としても、今回の条例の見直しをその機会とし、多くの県民の皆様の参加を得て新たな条例をつくり上げていきたいと考えています。 現在青少年問題協議会及び児童福祉審議会で検討に着手していただいていますが、今後、検討を進める中で、学校、家庭、地域、職場などで青少年と向き合っている方々はもとより、広く県民の皆様に見直しの趣旨を知っていただき、課題認識を共有しながら、ともに考えていく場や機会を設けてまいります。 その際には、あわせて深夜外出の制限など、現行条例の内容の周知にも努めてまいります。 また、条例の内容を県民の皆様にとってわかりやすいものとすべきとのご意見をいただきました。 現行の条例は、改正を重ねてきたこともあり、追加の規定が多く、全体構成がわかりにくくなっている面もございます。今回の全面的な見直しに当たっては、県民の皆様にとってよりわかりやすい条例となるよう、条文の整理なども行ってまいります。 私からの答弁は、以上でございます。〔
病院事業庁長(堺 秀人)発言の許可を求む〕
○議長(榎本与助) 堺
病院事業庁長。
◎
病院事業庁長(堺秀人) 病院事業庁関係について、お答えいたします。 県立こども医療センターにおける周産期救急医療対策についてのお尋ねがございました。 まず、こども医療センターのNICU増床に係る成果についてでございます。 周産期救急をめぐっては、全国的にNICU病床が不足しており、本県でも年間100件近くの救急患者を県外に搬送している状況にあり、大きな問題と認識しております。 こうした課題に対応するため、周産期救急の基幹病院であるこども医療センターに平成20年度にNICUを6床増床するための整備を行い、10月15日より21床で稼働を開始したところです。増床後4カ月余りが経過した状況でございますが、NICUの病床利用率は90%を超えており、11月から1月までの延べ患者数は前年同期比較で約560人の増となっております。 こうした受け入れ患者数の拡大の一方で、緊急の患者に対応するためのベッドの安定的な確保も可能となったところでございます。 次に、短期有給研修医制度により期待できる効果についてでございます。 国は、NICUについて最大800床の増床の方針を打ち出しており、NICUで新生児医療に携わる医師の育成が急務となっております。こども医療センターは、新生児に関するさまざまな症例を扱い、医師も高度な知識と経験を有しておりますので、優秀な若手の医師を育成していくことはこども医療センターの大きな役割の一つです。これまでも3年程度を研修期間とする後期臨床研修医制度を設け、認定医や専門医の育成に努めてまいりました。 新生児医療に携わる医師は全国的に不足し、長期の研修には派遣されにくい状況もある中で、現場の医師から提案があり、今回、新たに原則6カ月の短期有給研修医制度を設けたところでございます。この研修医制度により、これまではこども医療センターでの研修をあきらめていた方々に短期間で最先端の知識を習得してもらうことで、より多くの新生児医療に携わる医師の育成に寄与できると考えております。 なお、研修を通して研修医のスキルアップを図るとともに、医療スタッフとしてこども医療センターの新生児医療の充実に貢献してもらえるという効果もあると考えております。 以上でございます。〔警察本部長(田端智明)発言の許可を求む〕
○議長(榎本与助) 田端警察本部長。
◎警察本部長(田端智明) 梅沢議員ご質問の、本年の「神奈川県警察運営重点」及び今春の人事異動期の体制づくりについてお答えをいたします。 初めに、本年の運営重点についてであります。 ご案内のとおり、運営重点は、その年の警察業務の大綱方針であり、スローガン、運営指針、重点目標、達成目標で構成されております。 スローガンは、本年の県警察活動の目的を簡潔に言いあらわしたもので、昨年、刑法犯認知件数が増加に転じたことを踏まえ、これまで築いてきた治安回復への道筋を一層確かなものとするために、本年を「安全・安心を確立させる年」といたしました。 次に、運営指針ですが、県警察の活動の方向性を明確にしたもので、昨年に引き続き「安全で安心して暮らせる地域社会の実現」といたしております。 次に、重点目標ですが、多岐にわたる警察業務の中で取り組みを特に強化すべき活動を整理したものであり、本年は6項目といたしました。各項目に優先順位はありませんが、議員ご指摘のとおり、昨年3番目に示していた「県民の日常生活に密着した活動の強化」という項目を、本年は最後に示しております。県公安委員会に対して本年の運営重点について事前に素案を付議、協議いたしましたところ、素案について、昨年と同様に3番目に位置づけていた当該項目について、同委員会から「警察活動の基本に係る性格を持つ項目であることから、重点目標のすべての項目に関連づけるよう設定すべき」とのご意見をいただいたことにより、重点目標の他のすべての項目にかかわる基本事項とする趣旨で、最後に示すことといたしました。 最後に、達成目標ですが、治安のバロメーターとも言える四つの項目ごとに数値目標を示したもので、治安情勢に応じて一部の項目の数値を見直しました。 そのうち刑法犯認知件数にありましては、「平成22年までに刑法犯認知件数を9万件台とする」という目標の達成に向け、本年は正念場であること、来年には大規模な警備実習が予定されていることなどを踏まえ、平成20年比8%以上削減と定めました。 刑法犯検挙率と重要犯罪検挙率にありましては前年同様の数値目標とし、交通事故死者数にありましては200人以下と定めました。平成24年を目途に、平成4年から平成13年までの平均交通事故死者数の半数以下とする政府の目標を前倒ししたもので、本県では、当該期間の年間平均交通事故死者数が399人であったことから、その半数の200人以下と定めたものであります。 次に、体制づくりについてであります。 県警察では、昨年「神奈川県警察組織・機構等の合理化等検討委員会」を設置して、全庁的に組織の検証及び合理化を推進しているところでありますが、今春の人事異動期には、運営重点の達成に向け、第一線に警察官をシフトするなどして現場執行力の早期確立と強化に取り組みます。 一例として、このほど子供や女性を性犯罪や誘拐などの重大犯罪から守るために、その前兆とも言える声かけ、つきまといなどの段階で警告、検挙等を行うための体制強化、もう一つが、死亡原因の犯罪性の有無を判断する検視を一層緻密かつ適正に行うための体制強化、この二つに警察官55人の増員が警察庁より内示され、条例の改正を上程させていただいているところであります。条例が可決された場合、増員効果を早期に発揮するため、既に現場で活躍している警察官から可能な限り適任者を抽出し、当該業務にシフトするなどして即戦力の実働体制を確立いたします。 また、本年開催予定の「第20回全国『みどりの愛護』のつどい」や、来年開催予定の「第61回全国植樹祭」などに伴う大規模警備実施に備え、管轄警察署などに警察官をシフトし、体制強化を図ります。 さらに、交番やパトカー勤務などの地域警察官を増員するとともに、県内警察署において業務負担が特に大きい県央地区警察署に警察官をシフトするなど、第一線の警察力の強化を図ることとしております。 以上でございます。〔
梅沢裕之議員発言の許可を求む〕
○議長(榎本与助) 梅沢裕之君。
◆
梅沢裕之議員 時間の関係で、自席からの発言をお許しいただきたいと思います。 知事、
病院事業庁長並びに警察本部長、ご答弁ありがとうございました。 まず、治安対策の強化ということで、今、本部長からお答えいただきました。 私、警察運営重点になぜ触れたかということなんでございますけれども、これはやはり県警本部として、神奈川県警察として大きな指針になるのがこの運営重点だと思っております。それを現場の警察官の方々がどのくらい把握されているのかという疑問が実はありました。日々の業務に携わっているから、こういうことは、ということではないと思います。こういうことをいかに現場の隅々まで徹底させることによって、現場の皆さんの自覚、それから県警察としての目標が設定されるのではないのかなと。 なぜかと申しますと、大量退職時代に、先輩から新人へどう技術が伝承されるのかという問題がありました。大変懸念されていた割には、伝承官の皆さんの活躍やら教育を受ける側の若い人たちの自覚があって、今現在は比較的スムーズに技術の移行がされているということを現場で聞いております。そういった観点で、こういう大きな目標ですので、ぜひ現場の皆さん、隅々まで徹底されるように要望しておきます。 もう一点、介護人材の確保でございます。 これは神奈川県に限らず全国的な課題であります。私、この質問をするに当たって現場を相当歩かせていただきました。必ず出てくるのは、賃金というよりも、やはり自分たちは生きがいを持って、誇りを持ってこの仕事をしている、ですから、やはりスキルアップをしたいんだということです。これが本当に強い声でありました。 では、どうしたらいいのか。自分たちでやるのは本当に負担がかかるとか、今、地域では自主的に、いろいろな近隣の施設が一緒になって、共同してこういう研修制度を自主的にやっています、既に。そういった中で、やはり県立保健福祉大学は皆さんから見ても大変優秀な人材養成機関という認識があるものですから、そういうところからもっと、敷居を高くしないで、どんどん先生たちをよこしてほしい、また、そういう場をかりて研修したいんだということが多かったものですから、こういう声を届けさせていただきました。 それから、EPAに伴う介護人材の派遣でございます。 まだ今年の1月から派遣されたということで、今後どうなるかというのはわかりません。しかしながら、横浜市ではもう既に予算をつけて、一歩進んだ対策をしております。やはり神奈川県も、これは市だから、県だから、町だからということでなくて、神奈川県全体で、各行政が一体となって取り組むべきだと思います。特に、神奈川県がそういうことをすれば神奈川県内の施設はもっと受け入れたかもしれないし、来年からはフィリピンの人たちも入ってくるということで、現場は現場のいろいろな声もありますけれども、やはりそういうことによって、日本人の今ある介護士のレベルアップにつながればという思いで、広い意味では、やはりこれはどんどん進めていただきたいという思いがあります。 そこで、一つ知事に質問させていただきます。 このEPAを含めて、外国人介護士、これは今後とも、やはり人材確保の上でも重要だというお答えをいただきましたので、今後、予算づけも含めて取り組んでいかれるのかどうか、1点だけ再質問をさせていただきます。〔知事(松沢成文)発言の許可を求む〕
○議長(榎本与助) 松沢知事。〔知事(松沢成文)登壇〕
◎知事(松沢成文) 梅沢議員からの再質問にお答えいたします。 介護分野における外国籍の県民の雇用、あるいはその支援ということでありますけれども、実は平成21年度の県提案型の協働事業においても、高齢者福祉施設における外国籍職員雇用ということで、まずモデル事業としてスタートをしていきたい、こういう事業も行っていく予定であります。 今後、議員ご指摘のように、このEPAによるインドネシア、あるいは将来、フィリピンからも介護福祉士候補者が神奈川で働いていただけるようなサポート体制を、県としてもしっかりととっていきたいというふうに思います。 まずは来年度、こういうモデル事業からスタートしていきたい、このように考えております。〔
梅沢裕之議員発言の許可を求む〕
○議長(榎本与助) 梅沢裕之君。
◆
梅沢裕之議員 以上で私の質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
△《本会議録-平成21年2定-20090224-026562-質問・答弁-鈴木裕二議員-一般質問①運輸事業振興助成交付金について②低所得者・求職者への総合支援について③教育問題について④鳥獣被害対策に関する条例制定について⑤LED照明の普及について》 〔鈴木裕二議員発言の許可を求む〕
○議長(榎本与助) 鈴木裕二君。〔鈴木裕二議員登壇〕(拍手)〔議長退席、副議長着席〕
◆鈴木裕二議員 議長より発言のお許しをいただきましたので、私は民主党かながわクラブ県議団の一員として、通告した五つの項目に関して、提言を交えながら順次、質問をいたします。 知事並びに教育長におかれましては明快なご答弁を、先輩、同僚議員の皆様におかれましては、しばらくの間ご清聴のほど、よろしくお願い申し上げます。 また、我が会派先輩議員の皆様には、2度目の一般質問の機会を与えていただき、高い席からではございますが心から御礼を申し上げ、早速質問に入らせていただきます。 質問の第1は、運輸事業振興助成交付金についてであります。 この交付金は昭和51年、軽油引取税に暫定税率が導入されたことに伴い、公共輸送機関の輸送力の確保、輸送コスト上昇の抑制などを図ることを目的に、旧自治省事務次官通達により全国的な制度として導入されたものであります。本県でもここ数年、商業振興費の歳出総額が削減される傾向の中で、この交付金は同一の水準を維持して交付されており、毎年10億円を超える予算が計上され、県内のトラック、バス関係の4団体に交付されております。 しかし、制度の導入から30年以上が経過し、事業の重点は当初の輸送力確保などから環境対策や交通安全対策に移るとともに、事業者の協会への加入率も70%程度まで落ち込んでいるほか、道路財源の一般財源化に伴う暫定税率の扱いが国政において大きな争点になるなど、交付金を取り巻く環境は大きく変化しています。 私は昨年、県議会商工労働常任委員会において、この交付金が他の補助金と比較してけた違いに大きな金額であること、その金額が事業費の積算ではなく、国が定めた算式に基づいて決定される、いわゆる渡し切りの補助金であることから、この使途を中心に交付金をめぐるさまざまな問題を取り上げました。 質疑によって、交付金が協会の人件費や会員企業の健康診断やスポーツ大会などの福利厚生事業費に使われていたこと、また、全国団体である日本バス協会及び全日本トラック協会に一律に交付金の20%から25%を出捐する仕組みになっていることなどが明らかになりました。これは私たち県民の理解を得られない交付金の使い方であると指摘をし、マスコミでも大きく取り上げられることとなりました。 また、昨年の決算特別委員会においても、県トラック協会が環境保全対策事業として行っている低公害車などへの買いかえの補助制度は、県単独にも類似の助成制度があり、会員と非会員との間では助成額に差が生じることから、公平性の観点から問題があると指摘したところであります。 こうした中、県当局では平成20年度、長年聖域として扱われていたこの交付金について、暫定税率が昨年4月、1カ月間失効したことに伴う当然の措置とはいえ、長い歴史の中で初めて削減を行うとともに、平成21年度の国に対する提案の中で、地方分権の観点から、全国で初めて国に対し制度の見直しを提案したと承知しております。 私がこの問題を取り上げた当初は運輸事業振興助成交付金は全国的な制度であり、本県単独での大幅な見直しは困難であると県当局は消極的な姿勢を示していましたが、交付金の見直しに取り組み始めたことについては高く評価するものであります。 一方、多くの都道府県が国の計算式どおりに交付を続ける中で、自治体の厳しい財政事情を背景に、大阪、兵庫、和歌山、鳥取、岡山、広島など幾つかの府県では、既に独自に交付金を削減している例もあります。 例えば和歌山県においては、平成17年度、財政難からすべての補助金の見直しと一律カットを行った結果、以後、交付金を毎年10%削減しております。国や交付対象団体の反応を考えると、和歌山県は思い切った対応をしたものと私は感じましたが、県財政が厳しい中、補助金の削減は当然のこと。もとよりこの交付金は自治事務であると涼しい顔をして私に語った和歌山県の担当者の姿がとても印象に残っております。 未曽有の財政危機に直面している本県においても、交付金の削減に踏み切るべきものと考えます。 また、近い将来、暫定税率が廃止される可能性も想定される中で、現行制度の問題点の解消とあわせて運輸事業振興の新たな枠組みを検討していく必要があると考えます。 そこで、知事にお伺いします。 交付金をめぐるさまざまな課題や厳しい財政環境を踏まえ、平成21年度の運輸事業振興助成交付金についてはどのような考え方で予算を計上したのか、また、今後、制度の見直しについてどのように取り組んでいこうと考えているのか、知事のご所見をお聞きします。 質問の第2は、低所得者並びに求職者への総合支援についてであります。 最初に、低所得者支援に関する検討状況について伺います。 私は、昨年の2月定例会一般質問において、所得の二極化が大きな社会問題となっていたことから低所得者への支援を取り上げ、所得の低い状況から脱却するためには就労と生活の両面支援が必要であると主張し、労働相談窓口のサービスを充実させ、仕事と住宅、教育などの問題にワンストップで対応するよう求めました。続く予算委員会でも引き続きこの問題を取り上げ、低所得者に対して各部局が個別に支援を行う現行の体制を改め、総合的な支援に取り組むべきであると質問しました。 米国発の世界同時不況によって雇用不安はさらに深刻化しており、低所得者並びに求職者に対する支援の充実がますます重要となっていることは疑いようのない事実であります。 厚生労働省によると、昨年10月から今年3月までの半年間で、本県においては4,800人の非正規労働者が職を失うとされています。県は急激な雇用環境の悪化を受け、昨年末、ハローワークと連携し、県営住宅の期限付入居を打ち出しましたが、これは、就労と生活の問題は一体となって支援することが有効であることを県みずから示したものと認識しております。 そこで、知事にお伺いします。 昨年の予算委員会での私の質問に対して、知事は低所得者対策について部局横断で研究するとの答弁をされましたが、総合支援についてどのような研究がなされたのかお聞きします。 次に、かながわ求職者総合支援センターについて伺います。 平成21年度当初予算案において緊急雇用創出事業臨時特例基金を活用し、職業相談・職業紹介と生活・就労相談をあわせて行う、仮称ではありますが、かながわ求職者総合支援センターの設置が掲げられております。求職者に対して一つの窓口で幅広い相談にワンストップサービスで対応していく機関の設置は、かねてより私が要望していた総合相談窓口のイメージと合致しており、設置に至った経緯はともかく、この施策に大いに期待を寄せているところであります。 ここで、先日、ある県立の定時制高校を訪問した際のエピソードをご紹介します。 今年の卒業予定者の進路を確認したところ、現下の経済・雇用環境の悪化を受け、想像どおり大変厳しい状況でありました。高校からいただいた資料には、進路担当者のコメントとして「県立職業訓練学校は募集に力を入れており、学費も安い。生徒の関心をいかに高めるかが課題」と記されておりました。 そこで、私は、県の職業技術校の就職内定率は極めて高い実績があること、技術校の講師の先生方は技術指導のみならず生徒の就職に関しても熱心に取り組んでいることなどを、県担当課にかわってご説明してまいりました。あわせて、国の一次補正によって職業訓練期間中の生活保障給付が創設されたことを伝えると、校長先生は大変興味深く話を聞かれていました。 数多くの情報の中から必要な情報を抽出してパッケージで届けることの有効性を、身をもって感じた出来事であります。 県においては、緊急特別短期訓練の実施など第6次にわたる緊急経済対策を打ち出していますが、これらの施策が実を結んでいくためには、実際に支援を必要としている求職者の方が有効に情報を得て、安定した生活の実現のために生かしていくことが重要であります。 今年設置されるセンターがより有効に機能し、私たち県民の利便性を高めていくためには、市町村との密接な連携も不可欠であり、市町村が行っている生活支援、住宅確保などの支援施策もあわせて情報提供していくことが求められています。また、今後センターで蓄積されていくノウハウを市町村にしっかりフィードバックして、市町村の窓口においても同様の対応ができることが望ましいと考えています。 そこで、知事にお伺いします。 新たに設置が予定されているかながわ求職者総合センターは、どのような役割を担っていくのか、また、市町村との連携についてどのように考えているのか、知事のご所見をお聞きします。 質問の第3は、教育問題についてであります。 まず、定時制高校における不登校経験者への対応について伺います。 定時制高校は、かつては昼間、働きながら夜間、学びたいという方々を中心とした学びの場でありました。しかし、近年、さまざまな事情を抱えた多様な生徒が入学してきており、特に、中学校時代に不登校であった生徒も数多く入学しているという現状があります。統計によると、平成20年3月、県内の公立中学校卒業者で公立高校の定時制進学者数は、県立高校1,394人、私立高校751人で合計2,145人。これに対して、中学3年生のときに不登校経験があり公立高校の定時制に進学した生徒は694人で、公立定時制進学者のおおむね3人に1人が中学3年生のときに不登校を経験した生徒ということになります。 現在、神奈川県では小中学校の不登校児童・生徒数が1万人を超え、その対策は県教育委員会においても再重点課題の一つに位置づけられております。小学校や中学校のおのおのの段階でのきめ細やかな対応が重要であることは言うまでもありませんが、こうした対策にもかかわらず、課題を抱えたまま義務教育を終了していく生徒が数多くいることを、私たちは決して忘れてはいけません。 教育に限った話ではありませんが、各種施策は、効果の有無にかかわらず卒業や中途退学と同時に途切れてしまいますが、その後の進路も注視していくことが大切であります。そうした思いから、昨年の一般質問では高校中途退学者に対する支援を取り上げ、インターネットを活用した登録制の情報提供を始めていただきました。今回は、定時制高校に進学した不登校経験者への対応を伺います。 中学校時代に不登校であった生徒は、定時制高校において再スタートを切ろうという意欲を持って入学してきているものと考えます。しかし、そうした気持ちとは裏腹に、ちょっとしたきっかけで再び不登校となってしまう可能性があることも十分認識しておかなければならないと思います。出身中学校から生徒指導に関する必要な情報を引き継ぐことができれば、中学-高校間の継続的な支援が可能となりますが、個人情報保護の観点から本人の同意なしに情報収集できず、結果として、高校側は最初から手探りの状態で生徒と接することになります。 そのような中、定時制高校における中途退学者の現状を見ると、平成19年度、県立高校に限って見ても中途退学者数は825人、中途退学率は約17%となっています。不登校と中途退学の相関を示す統計はありませんが、定時制高校を中途退学する生徒の数の中には、入学時の夢や希望といった思いを途中で断念して学校をやめていく不登校経験者も少なくないのではと推測されます。 私は、定時制高校においては、不登校を経験した生徒が数多く入学してきているという現状を踏まえて、しっかりとした対応が必要であると考えます。 県教育委員会では、これまで県立高校改革の中で、多様な学びのニーズにこたえるため一部の定時制高校を改編したり、多部制の定時制単独校の設置を計画したりするなど、定時制高校の改革にも継続的に取り組んでいることは承知しています。しかし、不登校であった生徒が数多く入学してきているということへの対応は、そうした改革の視点とは別に、すべての定時制高校で取り組むべき課題であると私は考えています。 そこで、教育長にお伺いします。 こうした現状を踏まえ、県立の定時制高校における不登校であった生徒の対応について、今後、どのように取り組んでいくのかご所見をお聞きします。 次に、県立高等学校の入学者選抜における選考基準について伺います。 昨年10月に県教育委員会が公表した、ある県立高校において不適正な入学者選抜が行われた事案は、その内容の是非も含めて、公教育のあり方とはどうあるべきかを大いに考えさせられた問題でありました。今回の事案は、教員の負担、他の生徒への影響等をかんがみ、いわば禁断の果実を口にしてしまったのではというのが私の認識であります。県教育委員会には今回の事案に関して、入学者選抜については一定の報告を受けましたが、今後、どのような生徒指導が行われていたのかも含めてしっかりと検証していただきたいと思います。 県教育委員会は、社会の変化や生徒の多様化、少子化の進行など県立高校をめぐるさまざまな課題に対応するため、平成11年11月「県立高校改革推進計画」を策定し、平成12年からおおむね10カ年を計画期間として、再編・統合や新しいタイプの高校の設置に取り組み、特色ある高校づくりを推進してきました。別な見方をすれば、県立高校には社会福祉や介護の基礎を学ぶことを特色とした学校や、国際社会に対応する国際的教養を学ぶことを特色とした学校などに加えて、さまざまな意味で多様な生徒を受け入れるために学校ごとに設置目的があり、その目的を達成することと、どのような選考基準に基づいて入学者選抜を行うかには密接不可分な関係があるということです。 入学してほしい生徒はこういう生徒だと示すことには、裏を返せばこういう生徒はとりたくないという排除の論理が働く危険があります。県立高校は公の教育機関として、どのような生徒を受け入れていくべきかの視点をもって対応すべきであると考えます。 そこで、教育長にお伺いします。 各高校が定めている入学者選抜における選考基準については、各校の設置目的に照らし、校長が事前に公表する総合的な選考に当たって重視する内容も含めて、私たち県民によりわかりやすく、適正な選考基準になっているかについて、県教育委員会が責任を持って指導、調整すべきと考えますが、教育長のご所見をお聞きします。 質問の第4は、鳥獣被害対策に関する条例制定についてであります。 野生鳥獣による農作物等への被害は後を絶たず、関係自治体はその対策に苦慮しています。これに対して県当局の姿勢は、鳥獣被害対策の主体はあくまでも市町村であり、県の役割は財政支援や技術支援を行うというスタンスであると感じられます。 しかし、県は市町村に対して十分な財政支援を行っているのでしょうか。 平成20年度、私の地元・厚木市が実施した「獣害防護柵設置事業」などに対して、県は費用の2分の1を補助することになっていることから、厚木市は2,200万円の事業費に対して1,100万円の助成を県に要望しました。しかし、予算枠などの関係から、県から厚木市に交付された補助金は800万円。厚木市はその後、補正予算を組み、事業を約1億円まで大幅拡大しましたが、増額分に対する助成が見込めないことから、県には申請を行わず、約8,000万円は市の負担となりました。 このように、県の財政支援は不十分であると言わざるを得ません。 鳥獣被害が全国的に深刻化しているのを受け、昨年鳥獣被害防止特措法が施行されました。これによって、農林水産大臣が策定する基本指針に基づいて市町村が被害防止計画を定めることができるとされ、国及び都道府県は、市町村の行う施策が円滑に実施されるよう必要な財政上の措置を講ずることとされました。 この特措法に基づき県内の市町村で被害防止計画を策定したのは、現在、湯河原町だけであると承知しております。市町村において計画策定が進まない理由は、特措法で想定している県と市町村の役割分担は、既に本県において同じ枠組みがあるからとの見解を示していますが、一方で、県当局は、他の市町村に被害防止計画の策定を勧めていることが幾つかの市町の担当課の話で明らかになりました。これは、県単独では十分な財政支援を行えない分、国からの補助を引き出そうとする見方もでき、県の市町村に対する財政支援が弱まることで、結果として、特措法の施行によってかえって県の鳥獣被害対策へのかかわり方が後退するのではないかと、私は大いに懸念しております。 野生鳥獣が生息する地域は市町村境をまたぎ、当然ながらシカやサルに住民票はありません。ある自治体が鳥獣被害対策を強化すると、その影響は周辺に波及し、それに触発される形で周辺自治体が対策の強化に取り組むというドミノ倒しのような対策の進め方で、果たしていいのでしょうか。 今年4月より、厚木市では鳥獣被害対策に特化した担当課を県内市町村で初めて設置します。一方、鳥獣被害の通報を受けると職員みずからが対応に当たっている自治体もあるとのことで、市町村によって対策のノウハウの蓄積や農協などとの連携の度合い、もちろん財政事情も違い、鳥獣被害対策の取り組みにどうしても温度差が生じてしまい、なかなか足並みのそろった対策ができないのが現状であります。 本来、保護と被害対策は表裏一体であり、その主体は広域自治体である県が担うべきであると考えます。 そこで、知事にお伺いします。 鳥獣被害対策に関して、県には主体性を持った取り組みが求められており、市町村との連携を強化し、より実効性のある鳥獣被害対策を実施する上で条例を制定すべきと考えますが、ご所見をお聞きします。 質問の第5は、LED照明の普及についてであります。 昨年、民主党かながわクラブ県議団の有志で、フランスの環境政策について県政調査に派遣していただきました。日本とフランス両国を比較して、ごみの分別収集のように国民一人一人の心がけが必要な取り組みは日本のほうが進んでいる一方、必要なものには法律で規制をかけ、お金もしっかり使うというフランスの手法に、環境政策に対する気合とスピード感の違いを見せつけられたとの印象があります。 この視察を受けて、昨年の9月定例会では近藤大輔議員が風力発電の取り組みについて、昨年の12月定例会では石川輝久議員が太陽光発電の普及について、そして、本定例会では松崎淳議員が神奈川版グリーン・ニューディール政策の取り組みについて、それぞれ質問をいたしました。 環境省によると、商業施設やオフィスビルなどの業務部門から排出されるCO2は1990年比で4割増しとなっており、そのCO2の約2割は照明によるものとされています。そこで、私は、LED照明の普及についてお伺いします。 LED照明は、蛍光灯に続く第4世代の明かりとして期待されております。その特徴は、第1に、低消費電力で長寿命であることです。このため、信号機などの表示装置でランプ交換が困難な場所で多く使われています。特徴の第2は、発光の高速応答性であります。このことから、検査機等のディスプレイ装置や自動車のストップランプに使われています。特徴の第3は、ガラス管を使用していないので衝撃に強いことであります。このことから、電車や自動車などの移動体や振動の激しい製造機械などの表示装置として適しています。特徴の第4としては、容易に小型化が可能なことから柔軟なデザインが可能となることにあります。 このように、従来の白熱灯や蛍光灯にはない特徴を生かした製品は、持続可能な循環型社会の構築の観点からも注目を浴びています。コスト面からまだまだ普及には至っておりませんが、先ほど述べたLED照明の特徴を生かし、一部の民間店舗では導入を始めていると聞き及んでいます。 そこで、知事にお伺いします。 環境立県を標榜し、「
地球温暖化対策推進条例」の制定を目指している立場から、LED照明の普及についての基本的な考え方をお聞きします。 また、今後の県施設の照明の更新に当たっては、先導的取り組みとして順次、LED照明に切りかえてはどうかと考えますが、あわせてご所見をお聞きします。 以上で私の第1回目の質問を終わります。 ご清聴まことにありがとうございました。 〔拍 手〕〔知事(松沢成文)発言の許可を求む〕
○副議長(川上賢治) 松沢知事。〔知事(松沢成文)登壇〕
◎知事(松沢成文) 鈴木議員のご質問に順次お答えいたします。 初めに、運輸事業振興助成交付金について2点お尋ねをいただきました。 この交付金は、バス・トラック事業者の低公害車への買いかえ促進や安全運転教育などの推進を通して、県民生活の向上に一定の役割を果たしているものです。一方で、交付金は自治事務でありながら国が一律に対象事業や算定方法を定めたり、全国組織への出捐を求めるなど、地方分権の時代になじまない制度となっております。 お尋ねの平成21年度当初予算案における考え方でありますが、交付金が環境保全対策や交通安全対策などに果たしている役割を踏まえながら、制度上の課題と本県の厳しい財政状況を勘案し、国の定めた計算式による額から一定の削除を行ったところであります。 次に、今後の交付金制度の見直しに向けた取り組みについてでありますが、この制度は全国的なものであることを踏まえ、昨年、国と地方の役割分担の適正化などの観点から、全国組織への出捐のあり方や対象事業を全国一律に定める仕組みなどの見直しを国に提案いたしました。現在、国においては税制改革の中で、軽油引取税の暫定税率について検討を行うこととしております。今後、税制改正など国の動向を注視しながら、引き続き地方分権改革の観点から、国に対して制度の見直しを働きかけるとともに、交付金の水準については財政状況等を勘案しながら検討をしてまいります。 次に、低所得者に対する総合的支援に関する検討状況についてお尋ねがありました。 昨年3月の予算委員会で議員からご提案のありました、低所得者に対する総合的な支援につきましては、部局横断による研究会を昨年5月に立ち上げ、低所得者と言われる方々の就労と生活の一体的な窓口のあり方について研究を開始いたしました。研究会では、まず、県で行っている低所得者に対する就労や生活に関する相談窓口の調査を行い、低所得者を支援対象とする相談内容の現状把握を行いました。また、低所得者への総合支援として実施している東京都の生活安定化総合対策事業の実情について調査も実施いたしました。 この事業は、正規雇用に意欲を持つ方を対象に、区市町村に設置した窓口で生活相談や対象者の確認を行った後、就職に向けた就業訓練や生活資金の貸し付けなどを行うものであります。しかしながら、ここでは必ずしも低所得者のすべてをとらえた総合的な窓口とはなっておらず、正規雇用を希望しない人には他の支援に関する既存窓口の紹介にとどまっていることに加え、この事業の対象とはならないさまざまな相談が多くあることがわかりました。 こうした調査の結果、低所得の方々は経済的、身体的、家庭的などさまざまな事情により低所得の状態に置かれ、必要とする支援も多岐にわたっており、実施機関もそれぞれ専門的に対応する必要があるため、これらをまとめて総合的に対応することは難しいものと考えています。 そこで、今後は各窓口で低所得の方々に対する施策の案内や相談先などの情報の共有化を図り、低所得の方々のニーズに応じた相談窓口につなげられるよう、今回の調査結果を活用して対応マニュアルを作成し、支援してまいります。 次に、仮称でございますが、かながわ求職者総合支援センターの役割と市町村との連携についてのお尋ねをいただきました。 厳しい雇用助成の中で離職を余儀なくされた方の中には、職を失うだけでなく、住む場所を同時に失ったり、当面の生活資金の手当てにも苦慮するなど、生活に関する支援も必要とする方が多くいらっしゃいます。こうした状況を踏まえて、本年5月に横浜駅西口に設置予定の支援センターでは、国が行う職業相談、職業紹介と県が行う就労・生活支援を一体的に実施してまいります。具体的には、求人情報の提供、面接訓練の実施や住居のあっせん、生活保護などの各種生活支援制度に関する情報提供を行ってまいります。 次に、市町村との連携でございますが、現在、県と市町村では、新たな雇用を創出するため、国の交付金を活用した基金事業の早期実施に向けて準備を進めております。平成21年度は現時点で約4,000人の雇用創出効果を見込んでおり、支援センターでは、この基金事業によって県内各地域で生み出されるさまざまな雇用を求職者の方に着実に結びつけるよう、市町村と連携を図ってまいります。 また、求職者の生活支援についても多様なニーズにおこたえしていくため、市町村の住宅支援策などの情報を速やかに収集し、国・県の支援施策とあわせて一元的に提供いたします。 さらに県では、市町村における求職者への支援が円滑に進むよう、支援センターが有するさまざまな支援施策に関する情報やノウハウを提供してまいります。 今後とも、県は支援センターを拠点としてこれらの取り組みを着実に進めることにより、求職者の就労、生活の両面からきめ細かく支援してまいります。 次に、鳥獣被害対策に関する条例制定についてのお尋ねをいただきました。 鳥獣被害対策については、古くは集落単位で共同してしし垣をつくり侵入を防ぐ、あるいは見張り小屋をつくって追い払うなどの取り組みが行われてきました。しかしながら、里山に人の手が入らなくなったことや山すその畑が荒廃したことなどにより、人間の生活圏との境がなくなってきたことを背景に、鳥獣被害が拡大し、最近は行政による対応も強く求められているところであります。 本県では、広域的な生態系への影響や農林業への被害が深刻化しているニホンジカとニホンザルについて、地域個体群を健全に維持しつつ被害の軽減を図る観点から、「特定鳥獣保護管理計画」を策定し、平成15年度から対策に取り組んでおります。具体には、県は植生回復のために奥山でシカの管理捕獲を行うとともに、市町村への財政的、技術的な支援を行っており、市町村は山麓部で農林業被害軽減のための管理捕獲や防護さくの設置、追い払いなどを行っています。 また、平成19年度からは対策を大幅に強化し、シカについては県と市町村の管理捕獲で前年度の2倍以上の806頭を捕獲するなど、一定の成果を上げつつあり、サルについては新たに三つの群を対象に、群の分裂による被害拡大を防止するための捕獲に踏み切ったところであります。 シカやサルなど大型の野生鳥獣による被害は、林業だけでなく農業、さらには自然植生への影響など多様であるため、県だけでなく、農業被害防除の役割を担う市町村や地域など、おのおのが主体的にその役割を果たし、共同して取り組むべき課題と考えております。したがいまして、県としては、県条例の制定という手法ではなく、管理計画のもとに地域鳥獣対策協議会の場などを活用し、関係者の連携を強化して、鳥獣被害の軽減に向けて粘り強く取り組んでまいります。 最後に、LED照明の普及と県施設の照明への取り組みについてお尋ねがございました。 まず、普及についての基本的考え方ですが、議員お話のとおり、LED照明は長寿命で省エネ性能にすぐれ、温暖化防止に向けてもその将来性が期待されております。しかし、例えば40ワットの白熱電球の明るさに相当するLEDランプの価格が1万円程度とまだまだ高額であることや、その明るさも空間全体を照らす力が不足していることなどから、現時点では、イルミネーションやスポットライトなどに用いられる例が多いようであります。 最近、多くのメーカーがこれらの課題解決に向けて商品開発を行い、価格や明るさも改善しつつあるようですが、オフィスや住宅の一般的な照明として普及するには、メーカーなどの予想でも、あと数年程度要すると見込まれております。 今回提案している
地球温暖化対策推進条例の中でも、県民や事業者が温室効果ガスの排出が少ない製品等の利用に努めることを掲げており、LED照明もそうした製品の一つであると認識しております。 そこで、本県では、環境省が行った日本版グリーン・ニューディールのアイデア募集の一つとして、LED照明の開発や設置についての助成制度の創設を提案いたしました。また、これまでもLED照明についてはメーカーや業界団体との意見交換を行い、その普及方策を探ってまいりましたが、今後も引き続き普及方策の検討を進めるとともに、すぐれたデザイン性など、明かりとしての魅力も含めて県民や事業者にお知らせしてまいります。 次に、県施設の照明を順次LEDに切りかえていくことにつきましては、現時点では性能面や価格面での課題もございますので、今後のLED以外のさまざまな商品開発や技術開発の動向も見極めながら検討を進める必要があります。 そうした中で、LED照明につきましても、本庁舎の一部などで切りかえが可能な場所があるかなど、試行的な設置も含め、研究を進めてまいります。 私からの答弁は、以上でございます。〔教育長(山本正人)発言の許可を求む〕
○副議長(川上賢治) 山本教育長。
◎教育長(山本正人) 教育関係についてお答えいたします。 初めに、県立の定時制高校における、中学校時代に不登校であった生徒への対応についてお尋ねがございました。 現在、県立の定時制高校には、議員ご指摘のとおり、働きながら学ぶ生徒だけでなく、中学校において不登校であった生徒など、さまざまな事情を抱えた生徒が多く入学しております。こうした生徒は、それぞれが夢や希望を持って新たな気持ちで入学しておりますが、学業不振や学校生活になじめないなどの理由で、定時制高校でも不登校や中途退学となる生徒も多く、魅力ある定時制高校づくりとともに、一人一人に対するきめ細かな指導が必要でございます。 現在、県教育委員会では、魅力ある定時制高校づくりを推進し、より生徒の学習ニーズに応じた学校選択を可能にするため、総合学科や単位制への改編とともに、平成22年の開校に向け多部制定時制単独校の開設準備を進めております。また、各学校におきまては、午後の早い時間から授業を展開しているほか、興味、関心に応じた多彩な選択科目を設置するなど、魅力ある学校づくりに取り組んでおります。 さらに、生徒一人一人に対するきめ細かな指導を行うため、来年度は、校内体制の中核的な役割を担う教員である教育相談コーディネーターを全日制に加えてすべての定時制と通信制の課程ごとに配置し、個別の指導計画を立てるなど、組織的な対応ができるようにしてまいります。 また、教育相談体制の一層の充実を図るため、スクールカウンセラーの重点的な配置に加え、新たに来年度からは家庭・生活面の相談にも応じられるよう、社会福祉に関する専門的な知識や技術を持つスクールソーシャルワーカーを派遣してまいります。 教育委員会といたしましては、こうした取り組みにより、不登校であった生徒など多様な生徒が通いやすく、学びやすい定時制高校を目指してまいります。 次に、入学者選抜における選考基準についてお尋ねがございました。 県立高校への入学者選抜は、各学校が選考に当たって重視する内容及びこの内容をより詳細に定めたものを選考基準として事前に公表し、この選考基準に従い、中学校から提出された調査票や学力検査、面接等の結果に基づき選考を行っております。 議員お話しのとおり、県立高校には多様な生徒を受け入れるため、例えば国際教育や理数教育など、学校ごとに特色や設置目的があり、それぞれの目的を達成することと、どのような選考基準に基づいて入学者選抜を行うかには密接な関係がございます。そうしたことから、各学校では、その特色に応じて生徒が学校選択できるよう工夫した選考基準を定めております。 しかし、今後、各学校が自校の特色をより一層積極的に打ち出した選考基準とする必要もございますし、また、これまで、各校がさまざまな工夫をするがゆえに、選考基準が複雑でわかりづらいという一面もございました。そこで、県教育委員会として、そうした点に対応するため、改めて選考基準について見直しを行ってまいりたいと考えております。 具体的には、設置目的や特色に照らし選考基準の各項目が適切なものになっているか、選考に当たって重視する内容が生徒や保護者にわかりやすく表現されているかなどの視点から検証、見直しを行い、各校の選考基準がより一層適切なものとなるよう責任を持って指導、調整してまいります。 あわせて、今回の神田高校の事案も踏まえ、恣意的な入学者選抜が行われることのないよう、各校の選考基準が適切に運用されているかについてもしっかりと点検してまいります。 以上でございます。〔鈴木裕二議員発言の許可を求む〕
○副議長(川上賢治) 鈴木裕二君。
◆鈴木裕二議員 自席からの発言をお許しいただきたいと思います。 知事並びに教育長におかれましては、ご答弁ありがとうございました。 1点、要望のみ申し上げたいと思います。 今回、また低所得者並びに求職者の支援という問題を取り上げました。教育問題では、不登校経験のあった定時制に通う生徒を取り上げました。おのおの質問をさせていただきましたけれども、その根底にあるのは何かというと、今、大変厳しい現状に置かれている方、もしくはそういった現状にこれからいく可能性が高い方という意味で、そうした方々に対して、今、私は先行投資のようなものを考えています。 要するに、困っている方を助けるだけの福祉的な側面、人を見て、いろいろなその状況によって判断していかなければいけないと思うんですが、例えば生産人口にあって、そして障害もなく、そして病気もなく、そうした方にはしっかりと職についていただいて、所得も上げていただく。その結果として県民税も納めていただけますし、自動車を買ったら自動車税も納めていただく、県内の内需にも貢献していただく。やはりそういった方々の所得がアップすることによって、波及効果というのは必ずあるんだろうなというふうに思います。それ以上に、その人の人生が幸せになるというか、そうしたプライスレスの波及効果もあるんだなというふうに思います。 そうした意味で、そうした方々への投資は、いわゆる「インベスト神奈川」の個人版ではありませんが、そうした観点で考えていっていただければというふうに私は考えているところでございます。 個別になかなか対応し切れる問題ではありません。こうした個々の人の所得を上げて、その人を幸せにして、かつ県もその分の恩恵を受ける、県全体がその波及効果を受ける、そうした面での取り組みを、全庁挙げて今後とも取り組んでいただくことを要望させていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。 ありがとうございます。
○副議長(川上賢治) お諮りいたします。 休憩いたしたいと思いますが、ご異議ございませんか。〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(川上賢治) ご異議がないと認めます。 よって、休憩いたします。 なお、再開は15分後といたします。 午後2時43分 休憩 ───────────── ◇ ─────────────
△《本会議録-平成21年2定-20090224-026563-質問・答弁-佐々木正行議員-一般質問①緊急経済対策について②児童養護施設における職員配置の充実について③特殊建築物等の定期報告に係る手数料について④学校におけるインフルエンザ対策について⑤妊婦健康診査の拡充について⑥県立高校における太陽光発電システムの設置促進について⑦相模原市の政令市移行について》 午後3時5分 再開〔議会局長報告〕 出席議員 議長共73名
○議長(榎本与助) 休憩前に引き続き、会議を開きます。───────────────────────────────────────
○議長(榎本与助) あらかじめ時間の延長をいたします。───────────────────────────────────────
○議長(榎本与助) 質問を続行いたします。 佐々木正行君。〔佐々木正行議員登壇〕(拍手)
◆佐々木正行議員 議長のお許しをいただきましたので、私は公明党県議団の一員として、通告に従い、生活現場第一主義の観点から順次質問をいたします。 知事並びに教育長におかれましては、明快かつ真摯なご答弁をお願いいたします。 また、先輩、同僚議員におかれましては、しばらくの間ご清聴のほど、よろしくお願いいたします。 第1の質問は、緊急経済対策についてであります。 先週、内閣府から国内総生産─GDPが発表されました。世界経済の急速な落ち込みを背景に輸出が大きく減少したことなどにより、昨年10月から12月期のGDPは前期比マイナス3.3%、年率換算でマイナス12.7%と、第一次オイルショックで景気が急速に落ち込んだ昭和49年以来、約35年ぶりの大きなマイナスとなりました。また、今年1月-3月期についても10%前後のマイナス成長になると、多くのエコノミストが予想しているところであります。 そうなれば、今まで以上に生産や設備投資の調整が行われることになりますので、本県においても産業活動や雇用などに一層の悪影響が生じるのではないかと懸念するところであります。 こうした状況に対応して、県では雇用対策を初めとする緊急経済対策に鋭意取り組まれておりますが、昨年末に非正規雇用労働者を中心とした解雇や雇い止めが社会問題となったときには、それまで入居していた社員寮等から退去を余儀なくされた方々への対応として、他の団体に先がけて県営住宅への期限付入居を実施したことなどは、県民本位の時宜にかなった取り組みだと評価するところであります。 民間のシンクタンク等によれば、景気の底入れ時期は今年の下半期以降、つまり、あと半年はこの経済状況が続くとの見方がもっぱらですし、これから年度末を迎えるに当たり、やむなく解雇や雇い止めという事態となり、不幸にも住まいを失ってしまう人が増加することは避けられません。 もとより県営住宅は、住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸することが目的であります。次の募集を待っている方が多くいらっしゃいますので、本来の入居者に影響を及ぼさないことを原則としつつ、離職者の期限付入居について、できる限りの対応を検討する必要があると思うのであります。 また、市町の公営住宅において、募集したにもかかわらず入居者が集まらない所がありますので、そういう市町にノウハウを提供するなど、県と市町が連携することにより対応するということも考えられるのではないでしょうか。 そこで、知事にお伺いいたします。 今回の離職者に対する住宅支援について、どのように課題を整理し、それを踏まえて今後どのような方針で取り組んでいくのか、ご所見をお伺いいたします。 次に、雇用対策と治安維持のための防犯パトロールの実施について伺います。 急速な景気の悪化に伴って、昨年1月には0.93だった本県の有効求人倍率が12月には0.69となりました。たった1年で0.24ポイントも低下し、4分の3になってしまったのです。また、全国のデータではありますが、12月の完全失業率は4.4%と11月から0.5ポイントも上昇するなど、雇用情勢は急激に悪化しております。私のところにも、「突然解雇されてしまった」とか「給与を支払ってもらえない」といった相談が日に日にふえてきております。 雇用の悪化は消費の削減を招き、さらに企業の設備投資を抑え込むといった負の循環をもたらします。これを断ち切るためには、国・県や市町村が力を合わせて対応を図らなければなりません。 そうした中で、国は雇用セーフティ・ネット強化対策及び再就職支援対策として、第二次補正予算により、ふるさと雇用再生特別交付金及び緊急雇用創出事業交付金を創設することとしました。県においては、これらの交付金を財源として基金を設置し、民間事業者への委託等により地域の求職者等を対象にした雇用機会の創出や、非正規労働者、中高年齢者等の一時的な雇用機会を創出するための事業を平成23年度までに実施することとされております。 国の説明によれば、事業内容については一定の枠は設けているものの、雇用機会の創出を図るものであれば地方の判断で決めていいとのことであります。昔の経済対策で、地方のほとんど利用されない道路の整備事業を行って国が批判されたことがありましたが、今回の雇用機会の創出も、経済対策だからどんな事業でもいいということにはなりません。県行政のために真に必要な事業に使っていただきたいと考えるところであります。 さて、私は相模原市に住んでおりますが、景気の悪化に伴って、徐々に治安が悪化しているのではないかと感じております。実際に私の周りでも、引ったくりなどの被害を受けた方が何人もいます。 県警察の取り組みにより、パトロールを強化してもらっておりますし、また、地域によっては自分たちのまちは自分たちで守ろうという高い志のもと、町内会、自治会の方々によって防犯パトロールが行われております。しかしながら、今後、景気のさらなる悪化が見込まれる中で、これらの活動だけで治安の悪化に対応するには、やはり限界があります。安全で安心して暮らせる地域社会を確保していくために、犯罪を起こさせにくい環境をつくることが重要であると思うのであります。 そこで、知事にお伺いいたします。 緊急雇用創出事業臨時特例基金を活用して防犯パトロールを行えば、雇用対策になるとともに治安の維持の両面で成果が得られることから、緊急に取り組むべきであると考えますが、具体的にどのように取り組んでいくのか、ご所見をお伺いいたします。 質問の第2は、児童養護施設における職員配置の充実についてであります。 私の地元・相模原市に「中心子どもの家」という児童養護施設があり、幼児から高校生まで約50人の子供たちが生活しています。 児童養護施設には、昔は戦災孤児などの親のいない子供たちがほとんどでした。ところが、最近では、全国の児童養護施設に入所する3万5,000人の子供たちの6割から7割が、親による虐待が原因で入所しているそうであります。 現在の日本は、世界で有数の先進国です。戦後と比べれば格段に豊かになり、衣食住に困るということもほとんどないでしょう。そんな暮らしの中で、世界中で最も自分を守ってくれるべき親から虐待を受け、傷ついた子供たちが児童養護施設に入所しているのです。自分の親から虐待を受ける子供たちの心情を思うと心が痛み、行く末が心配でなりません。 虐待を受けた子供たちは、通常であれば親との間で確立される信頼や情愛という対人関係の基礎ができていません。児童養護施設においては、子供たちが周りの人と信頼関係を築き、健全な社会生活を送ることができるように、職員との間で人間関係の再形成を行うところから始めなければなりません。人間関係を再形成することは時間がかかるとともに、とても根気の要る作業だそうであります。 このように、虐待を受けた子供たちに対しては、普通の家庭の子供たちよりも手厚いケアが必要なのです。児童養護施設の職員さんたちは、子供たちの健やかな成長を願って一生懸命に取り組まれていらっしゃいますが、絶対的な職員の数が足りないというのが実態であります。 国が児童養護施設の職員の配置基準を定めておりますが、小学生以上の場合は児童6人に対して職員1人などが基本となっています。厚生労働省の国民生活基礎調査によれば、児童のいる世帯の平均児童数は1.71人です。つまり、家庭においては仮に母子家庭や父子家庭であったとしても、親1人に対して子供は1人から2人ですが、児童養護施設では職員1人に対して子供が6人もいるのです。 県では、この基準以上に職員を配置できるように補助を行っており、それは近隣の団体より手厚いとのことですが、現場の実態を見ると、十分とは言えないと思うのであります。現地現場主義の神奈川県として、他の団体との比較ではなく、現場の実態を第1に対応していくべきではないでしょうか。 そこで、知事にお伺いいたします。 児童養護施設の子供たちの健全な成長をしっかりと支えていくためには、児童養護施設における職員配置を充実していく必要があると考えますが、今後どのように対応を図っていくのか、ご所見をお伺いいたします。 また、当面の措置として、緊急雇用創出事業臨時特例基金を活用して児童養護施設を支援していくことも考えられますが、あわせて所見をお伺いいたします。 質問の第3は、特殊建築物等の定期報告に係る手数料についてであります。 現下の急激に悪化した経済環境を踏まえ、県民生活に配慮して、使用料、手数料の改定を一部見送ったことは評価するところであります。その一方で、ぜひあり方を根本から見直していただきたい手数料があります。それは特殊建築物等の定期報告に係る手数料であります。 特殊建築物等の定期報告とは、建築基準法に基づいて、特定行政庁の指定する一定規模以上の、例えば百貨店や旅館など多くの人が利用する建物やエレベーターなどについて、定期的に調査や検査を行って、その結果を所有者が特定行政庁に報告するというものであります。昨年4月に平塚市内のスーパーで、幼児がエスカレーターに指を挟まれて大けがをした事故がありましたが、このような事故がないように、利用者の安全にかかわる施設や設備について、適正な維持管理を求めるために義務づけられているのであります。 建築基準法では、特定行政庁が報告を受けることになっています。県内では、県のほか横浜市や川崎市など12の市が特定行政庁となっていますが、県内のすべての特定行政庁が、この定期報告業務を財団法人神奈川県建築安全協会に委託しており、平成19年度には協会に対して合計で約6,000万円の委託料が支払われています。 このように、協会は、それぞれの特定行政庁から委託料を受け取って定期報告業務を行っているわけですが、協会は、この委託料とは別に、定期報告を受けるたびに事業者から手数料を徴収しているのです。例えばエレベーターですと、1台につき2,100円です。 先ほども申しましたとおり、定期報告を受けることは県の本来業務です。協会に委託しなければ県が報告書を受け取ることになりますが、その場合は手数料は徴収できません。なぜなら、手数料を徴収するための根拠条例がありませんし、条例をつくろうにも、業務の内容が報告を受けるだけなので手数料の徴収にはなじまないからだそうです。確かに、全国の半分くらいの県がみずから定期報告業務を行っていますが、手数料を徴収している団体はありません。 では、協会に業務を委託すると、なぜ手数料が徴収されるのでしょうか。本来、県が行う業務を協会に委託しているのですから、協会においても手数料を取ることはできないはずです。そもそも、県が直接実施するよりも費用が安いとか手続が早いから民間に業務を委託するのであって、民間に任せたら県民の負担がふえるというのはおかしな話です。民間で実施したら県民の負担がふえるということであれば、委託などせずに県がみずから行うべきではないでしょうか。 この手数料は、徴収する根拠が明らかでないことに加えて、金額の設定方法についても不透明と言わざるを得ません。県の手数料であれば条例で定めるので、県で手数料を算定し、議会の審議を経て決定されますが、協会におけるこの手数料は県や議会の関与もなく、協会がみずから決定しているのです。 今回は建築安全協会の手数料を取り上げましたが、これと同じように外郭団体が県の業務に係る手数料を独自に設定しているのであれば、一度検証する必要があると思うのであります。 そこで、知事にお伺いいたします。 横浜市では、この4月から定期報告業務の協会への委託をやめて、市が定期報告を無料で受け付けることに改めるそうです。景気低迷が続く中、事業者は少しでも負担を減らしたいと考えていますので、厳しい経済環境を踏まえ、協会における手数料を無料にするか、県で報告を受けるようにするといった方法に改めるべきであると考えますが、ご所見をお伺いいたします。 質問の第4は、学校におけるインフルエンザ対策についてであります。 今年もインフルエンザが流行し、毎日のように学級閉鎖に関するニュースを目にしました。また、この1月には町田市の病院でインフルエンザの集団感染が起き、不幸にも3人の高齢者の方がお亡くなりになりました。最近では、その影響の大きさから新型インフルエンザが注目されておりますが、高齢者を中心に毎年1万人から3万人の方が亡くなると言われている季節性のインフルエンザについても、決して軽視することはできません。 インフルエンザ対策では、うがい、手洗いやマスクの着用などにより予防することが大切ですし、不幸にも発症してしまった場合には、流行させないことが重要であります。 インフルエンザは多くの人が集まる施設で最初に流行しますが、学校においては、免疫力が弱い子供たちが集団生活の中で友達や先生と触れ合う機会が多いので、特に感染に対する注意が必要であります。 先日、地域におけるインフルエンザの流行のかぎは学校にあるという話をお聞きしました。確かに、子供が学校でインフルエンザに感染すれば、ウイルスが家庭に持ち帰られ、家族に感染します。さらに、家族が職場で同僚に感染させる。そういったことが繰り返されると、やがて大流行につながるということは想像にかたくありません。地域におけるインフルエンザの流行を抑えるためには、社会全体の取り組みはもちろんですが、学校における対策が極めて重要であるのです。そのことが子供たちの健康を守るだけでなく、結果としてインフルエンザによる死者の発生を防ぐことにつながることになるのであります。 学校におけるインフルエンザ対策には、マスクの着用やうがい、手洗いの励行などがありますが、集団感染を防ぐのに一番効果があると思われるのは、学級閉鎖や学年閉鎖、さらには学校閉鎖です。現状では、学級閉鎖などにする、しないは学校長の判断に任せられているとのことであります。インフルエンザに感染した児童・生徒がいればすぐに学級閉鎖などの措置をとる学校長もいれば、クラスの3分の1の生徒が欠席するまで学級閉鎖としない学校長もいると聞いております。 そこで、教育長に伺います。 学校長の判断が地域におけるインフルエンザの流行にも影響しかねないので、各学校長が適正な判断ができるようになる必要があると考えますが、学校における臨時休業を含めたインフルエンザの蔓延防止にどのように取り組んでいくのか、ご所見をお伺いいたします。 質問の第5は、妊婦健康診査の拡充についてであります。 妊娠しても産科医にかからず、一度も妊婦健診を受けずにお産をする方がいまだに少なからずいるそうであります。妊婦健診を定期的に受けていれば、異常の早期発見はもとより早産などの緊急時の判断材料にもなりますので、結果として安心したお産につながりますし、また、かかりつけ医を持つことにより、緊急時もスムーズな妊婦の救急搬送を行うことができるようになるのであります。このように、妊婦の方が必要な健診を受けることは大変重要なことなのです。 では、なぜ妊婦健診を受けない人がいるのか。その理由としては、経済的理由や、妊娠に気づかなかった、気づいていたが放置などといったことがありますが、やはり最大の原因は、1回5,000円から多い場合には7,000円を超えると言われている健診費用の負担であると考えられます。 妊婦健診については、厚生労働省は、妊娠初期から分娩までに14回程度受診することが望ましいとしておりますが、平成20年度における県内の実施状況を見ますと、地方財政措置がされている5回分についてのみ公費負担をしている市町村がほとんどであります。このたび我が党の主張により、地方財政措置されていない残りの9回分の健診費用について、国の第二次補正予算において、交付金と地方財政措置により支援されることとなりました。したがって、市町村が県が設ける基金を活用すれば、妊婦の方が健診費用を気にせず14回の健診を受けられる仕組みが整えられたのであります。 しかしながら、この妊婦健診は市町村の事業ですので、この仕組みを使って14回分の健診費用を公費負担するかどうかは、あくまで市町村の判断なのです。 そこで、知事にお伺いします。 居住地によって妊婦健診の回数に差が出るということは望ましくありませんし、実質的な財源措置が図られたのですから、県内すべての市町村が妊婦健診を14回とすべきであると考えますが、県内市町村における妊婦健診を14回とするために県としてどのように取り組んでいくのか、ご所見をお伺いいたします。 質問の第6は、県立高校における太陽光発電システムの設置促進についてであります。 地球温暖化は各地の生態系に深刻な影響を及ぼすだけでなく、気象災害を招く要因ともなり、その結果として貧困や飢餓を拡大させるなど、21世紀のグローバルな危機を象徴する問題であります。 また、温暖化は現在進行中の危機であるとともに、甚大な影響が子供や孫たちの世代にまで及ぶ、未来をもむしばむ危機にほかなりません。国連の播基文事務総長が「長い目で見れば、豊かな人々にも貧しい人々にも例外はなく、気候変動のもたらす危険を免れることのできる人はこの地球上のどこにもいない」と警告しておりますが、我々も傍観者でいることは許されません。自分のこととして考え、対応していくことが必要であると思うのであります。 県においては、温暖化防止に貢献するため「クールネッサンス宣言」により積極的な取り組みを進めており、とりわけ太陽光発電については、このような厳しい財政状況にあっても新たに家庭用太陽光発電導入に対する助成制度を設けることとし、2億8,800万円の予算を計上するなど、施策の推進に向けた強い意気込みが感じられます。 私は、このような直接的な支援策も必要であると思いますが、県民の一人一人が、大量生産・大量消費・大量廃棄といった自分たちの行動が地域の環境や地球環境に大きな影響を及ぼしていることを自覚し、自分のこととして問題解決のための取り組みを進めることが重要であると思いますし、こういった取り組みを促すためには、環境教育が必要であると思うのであります。 とりわけ次の世代を担う子供たちには、今、私たちの住んでいる地球で何が起きているのかを正しく認識してもらった上で、問題の本質や取り組みの方法をみずから考え、解決する能力を身につけてもらいたいものであります。 クールネッサンス宣言のリーディング・プロジェクトとして「県有施設エコ化プロジェクト」が掲げられ、多くの人が利用する県有施設に太陽光発電を設置するとされております。平成21年度予算においては企業庁の本沢調整池、すなわち城山湖の展望台に太陽光発電設備が設置されるとのことです。県民へのPRという面では確かに効果はあると思いますが、どうせ設置するのであれば、PRにとどまらず、教育効果も得られる県立高校への設置を進めていくことが有効だと考えるのであります。 実際、太陽光発電システムを校内に設置している海老名高校では、生徒が企業から講演を頼まれるほど、環境問題に熱心に取り組んでいるとのことであります。 そこで、教育長にお伺いいたします。 現在、県立高校に太陽光発電システムが導入されているのは4校だけです。環境教育を推進するために、地球温暖化対策の拠点となる県立高校に順次、太陽光発電システムを導入していくべきであると考えますが、ご所見をお伺いいたします。 質問の第7は、相模原市の政令市移行についてであります。 相模原市の政令市への移行については、昨年11月に県市で事務移譲等に関する基本協定が締結されましたが、その後、相模原市議会において政令市移行に向けた意見書が議決され、さらに、政令市に移行した場合に設置することになる行政区の区割りや名称について審議会から答申があるなど、政令市移行に向けた準備が着々と進んできております。 政令市となれば、大都市特例によって国道、県道の管理権限や、ほとんどの保健福祉の権限を主体的に担うことになるなど、基礎自治体としては県に準ずる大きな権限を持つことになります。市町村がより多くの権限を持って多様な行政サービスを提供することは、地方分権という時代の流れにかなったものであると考えるのであります。 現在、相模原を初めとする地域において、首都圏中央連絡自動車道、いわゆる圏央道の一部としてさがみ縦貫道路の整備が進められております。順調にいけば平成24年度に開通し、東名、中央、関越、東北、常磐など、首都圏を取り巻く高速道路がネットワークでつながることになります。 さがみ縦貫道路の開通により、相模原市を初め県北・県央地域の道路交通の利便性が大幅に高まりますので、本県内陸部の産業集積を図る上でも大きなチャンスとなります。圏央道で結ばれる埼玉県では、早くから圏央道のインターチェンジ周辺の基盤整備に取り組んでおり、既に企業立地が進んでおります。企業に本県を選んでもらうためには、さがみ縦貫道路のインターチェンジ周辺地域における市町村が積極的に産業集積拠点づくりに取り組むことが必要であります。政令市移行が実現すれば、相模原市はより多くの権限を持って、このような取り組みを進めることができるようになります。 とはいえ、政令市になったからといって、すぐにすべてのことが県と同じようにできるわけではありません。今後も県の支援が必要な場面も多々あるでしょうし、引き続き県市で連携して取り組むことが重要であるということは、言うまでもありません。 さて、今回、相模原市が政令市になれば、神奈川県は三つの政令市を抱える全国初めての県となります。県が地方分権社会の実現を目指すのであれば、地元の意思をしっかりと受けとめ、政令市移行を実現に導いていくことも県の役割であるのではないかと考えるのであります。 そこで、知事にお伺いします。 知事は相模原市の政令市移行について、一貫してその取り組みを支持、支援するという考えのもと、県としての取り組みを進めてこられましたが、地元の意思が固まった今、改めて相模原市の政令市移行に対してどのように考え、また、その実現に向けて今後どのように取り組んでいくのか、ご所見をお伺いいたします。 以上をもちまして私の第1回目の質問を終わります。 ご清聴まことにありがとうございました。 〔拍 手〕〔知事(松沢成文)発言の許可を求む〕
○議長(榎本与助) 松沢知事。〔知事(松沢成文)登壇〕
◎知事(松沢成文) 佐々木議員のご質問に順次お答えいたします。 初めに、緊急経済対策についてであります。 まず、離職者に対する住宅支援の課題と今後の取組方針についてお尋ねがございました。 本県では、全国に先がけ、昨年12月18日に離職者を対象とする県営住宅の緊急入居の実施について発表したところですが、12月26日から1月23日までの間に、募集した40戸83人分すべてで入居手続が完了をいたしました。また、発表の前日には県内の各市町村に対して県の取り組みをお知らせし、同様の取り組みを呼びかけたところ、これまでに10の市町が100戸ほどの住宅で募集を行いましたが、現時点で入居決定したものは33戸にとどまっております。 このように、市町が募集した住宅が十分に活用されていない原因としては、求職活動に適した立地の住宅が少なかったことや、市内在住者に限定するといった入居要件が設けられていたためと思われます。 そこで、こうした課題の解決に向けて、県では市町や住宅供給公社、都市再生機構とともに検討会を1月に設置し、情報交換や今後の取り組みについての協議を行っているところです。 一方、県の取り組みですが、緊急入居を実施した県営住宅では、再就職などによる退去で既に空き住宅が2戸発生しており、これから増加する分も含め、4月以降入居ができるよう再募集を行うほか、建てかえに向けて募集停止中の住宅の活用についても検討するなど、できる限りの対応を図ってまいります。 今後とも緊急雇用対策として離職者の住まいを確保し、安心して求職活動ができるよう、県営住宅を初め市町や公社の住宅など、公的賃貸住宅を活用した支援に取り組んでまいります。 次に、雇用対策と治安維持のための防犯パトロールについてのご質問がございました。 県では神奈川力構想に「犯罪のない安全な地域社会づくり」を位置づけ、これまで警察力の強化とあわせ、県民の防犯意識の向上や地域の自主防犯活動の拡大等に取り組んでまいりました。その結果、県の事故給付金等の支援制度を活用している自主防犯活動団体は昨年末で1,765団体、参加者は17万3,000人となっており、各地域で防犯パトロールなどの活動が盛んに行われているところであります。 こうした県民の皆さんの努力の積み重ねもあり、県内の刑法犯認知件数は、過去最悪であった平成14年の約19万件から5年間で40%減少するとともに、自分たちのまちは自分たちで守るという防犯意識も着実に根づいてきたものと感じております。 しかしながら、平成20年の刑法犯認知件数は、振り込め詐欺の急増などにより前年に比べ微増となり、また、昨年後半からの経済情勢の急激な悪化を考えますと、今後、安全・安心の取り組みをさらに強化していく必要があります。 そこで、県といたしましては、これまでのくらし安全指導員による防犯教室の開催や防犯パトロールへの同行、助言など防犯の取り組みに加え、このたび緊急雇用創出事業臨時特例基金を活用し、約60人規模による防犯パトロール事業を新たに実施することといたしました。現在、事業の詳細について検討しているところですが、犯罪の多発している地域や時間帯などを考慮し、警備員を巡回させるほか、必要な箇所にはまとまった人数を集中的、機動的に投入するなど、現場の警察官や自主防犯団体の活動を補完、支援するような事業としてまいりたいと考えています。 今後、新年度の早い時期から事業を実施できるよう、県警察とも連携しながら準備を進め、雇用の促進とともに地域の安全・安心の確保に努めてまいります。 次に、児童養護施設の職員配置の充実についてのお尋ねをいただきました。 虐待を受けた子供たちの多くは心に大きな傷を持っており、その傷を癒すためには、養育に当たる人と時間をかけて温かい人間関係をつくるとともに、周囲の人との関係を築くことができるよう専門的な援助が不可欠であります。 しかし、児童養護施設の職員配置を定めた国の基準は、長い間、改善されていないことから、こうしたニーズに十分こたえることができていないのが現状です。このため本県独自に、各施設に対して職員2名分と、定員60名を超えるごとに1名分の人件費補助を行ってまいりました。また、被虐待児の入所割合が高くなってきていることを踏まえ、今年度からは、子供たちへのきめ細かい援助ができるよう、小規模ユニットなど家庭的な環境を整えた施設に対し、非常勤職員を配置することといたしました。 現在、国においても社会保障審議会児童部会から職員配置基準の見直しが提言されたことを受けて、施設の実態調査が行われているところでありますので、この機をとらえて、さらに国に働きかけてまいります。 また、緊急雇用基金事業の活用についてですが、この事業による雇用期間は6カ月未満、状況に応じて1回限り更新できるものとされています。施設に入所している子供と信頼関係を築いた上で援助していくためには、短期間の就労では難しい面があろうかと思いますが、施設側の意見を聞きながら、どのような事業の活用ができるのかについて早急に検討してまいります。 そして、今後とも児童養護施設において子供たちが健やかに成長していく環境を整えるために、引き続き県としての支援に努めてまいります。 次に、特殊建築物等の定期報告についてのお尋ねをいただきました。 定期報告制度は、不特定多数の方が利用する建築物やエレベーター等の所有者に対し、安全確保の観点から維持・管理状況の報告を義務づけ、行政が報告内容を審査して、是正が必要な場合には改善指導を行うものであります。昭和34年に制度が創設された当初は、報告の対象は建築物のみとされ、行政は民間技術者が作成した報告書の審査を行う一方、エレベーター等については行政が直接現地に赴き、安全確認の検査を実施しておりました。しかし、高度経済成長に伴い建築物やエレベーター等が急増したため、エレベーター等についても建築物と同様に民間技術者が報告書を作成し、行政が審査する制度に改正されました。 そうした中、昭和48年に、建築物等の安全管理の専門機関として神奈川県建築安全協会が設立されたことから、定期報告制度の実効性を確保しつつ効率的な審査体制とするため、県を初めとする特定行政庁は、報告書の予備審査業務を協会に委託することとしたものであります。 また、報告書の作成には、建築基準法への適合性や補修の要否の判断など幅広い分野における高度の専門性が求められるため、協会では、独自の業務として民間技術者への技術指導も行っており、手数料はこのサービスの対価として受領しているものです。 こうした技術指導は今後も不可欠でありますが、手数料については個々の報告書の内容によらず一律とされているため、今後は報告内容に応じた減免制度を設けるよう、協会に働きかけてまいります。 また、議員お話しの県による直接受け付けでは、年間約5,500件に及ぶ報告書に関し、技術指導を含むすべての業務を県が行う必要がありますが、現在の審査体制では対応が困難であります。 そこで、同じ課題を抱える県内の特定行政庁とこれまでに作業部会を4回開催し、対応策を協議しているところであり、今後も他の特定行政庁や建築安全協会と連携を図りながら、より効率的で実効性を確保できる運用に向け、定期報告制度の見直しに取り組んでまいります。 次に、市町村の妊婦健康診査を14回に拡充するための県の取り組みについてのお尋ねをいただきました。 近年、出産年齢の高齢化や、健診を受けないまま出産を迎えてしまう、いわゆる飛び込み出産が問題となっている中で、母親と胎児の健康を確保し、安心して出産していただくためには、定期的に妊婦健康審査を受診することが大切であると認識しています。 現在、県内すべての市町村では母子保健法に基づく妊婦健康診査について、国の方針を踏まえ、公費負担による健診を5回以上実施しているところですが、経済的な心配をせずに受診できるよう、国が妊婦健康診査の公費負担の拡充に向けた財政的支援を22年度まで行うこととなりました。 このような動きを受け、本県では国からの交付金を財源として「神奈川県妊婦健康審査支援基金」を創設し、新たに市町村への助成を開始するために、健診の実施に伴う諸課題について市町村間での情報共有を図り、実施に向けて関係団体などときめ細かく調整を行ってまいりました。現在、こうした取り組みの結果、各市町村では平成21年度から、公費負担による妊婦健康審査を現行の5回から14回に拡充する方向で検討していると伺っております。 なお、今回の国の対応については、生活対策の中で取り組むとされたものの、その詳細についての情報提供がおくれたことから、市町村では、十分な準備期間がとれない中で予算化に向けた作業が行われたという状況がございました。そこで、県といたしましては、こうした国の対応に対して1都3県で連携し、妊婦健康診査の公費助成制度の創設に当たっては自治体と協議し、準備期間を十分に設けることや、安定的に公費負担を継続することなどについて国に申し入れを行いました。 県としては、妊婦健診の実施主体である市町村が基金事業終了後も安定して事業を実施できることが何より重要と考えています。このため、国に対して23年度以降も継続的に必要な財政措置を行うよう働きかけるとともに、市町村に対しては必要な情報を提供し、妊婦健康診査が円滑に実施されるよう支援をしてまいります。 最後に、相模原市の政令市移行に対する県の考え方と今後の取り組みについてのお尋ねであります。 相模原市の政令市移行の取り組みは、地域主権型社会の実現を目指すという県の考え方にもかなうことから、市の選択を支持、支援するという基本的な考えのもとで、昨年11月に事務移譲に係る基本協定を締結するなど、県としても積極的に取り組んでまいりました。 その後、地元での議論を経て、12月市議会で政令市の実現に関する意見書が議決され、市長、市議会議長、さらに政令市移行を推進する市民協議会の会長から直接要望書と意見書をいただくとともに、それぞれの立場から政令市実現に向けた強い決意を伺ったところであります。県としても、こうした政令市移行を願う相模原市の意思を重く受けとめ、その実現に向け取り組みを進めていかなければならないと、私自身、改めて強く感じたところであります。 政令市移行を実現するためには、県と市の意見が一致していることを明らかにする必要があり、そのため先行事例では、地元市議会で意見書が議決された後、県議会で意見書を議決することが通例であります。今後、国との協議を本格化させるためにも、県議会の意思を明らかにしていただくことが大変重要であると認識しておりますので、議会においてご議論いただきたいと存じます。 県といたしましても、政令市移行に伴う事務移譲に対応するため、市職員の受け入れや県職員の派遣など人的支援を行うとともに、1,000を超える移譲事務について確実な引き継ぎを行うなど、県を挙げて取り組んでまいります。また、今後、行われる国との協議において、市に対して必要な助言や調整を行うなど国の理解の促進に努めるとともに、政令指定都市・相模原の実現に向け、私みずからも機会をとらえて、国に対し積極的に働きかけてまいります。 私からの答弁は、以上でございます。〔教育長(山本正人)発言の許可を求む〕
○議長(榎本与助) 山本教育長。
◎教育長(山本正人) 教育関係についてお答えいたします。 初めに、学校におけるインフルエンザの蔓延防止対策についてお尋ねがございました。 各学校においては、朝の健康観察により児童・生徒の健康状態に注意するほか、欠席者数や欠席理由の確認などにより感染状況の把握に努めております。 また、インフルエンザの疑いがある児童・生徒には速やかな受診を勧め、診断の結果によっては出席停止の措置をとるほか、インフルエンザにかかった児童・生徒が短期間に増加した場合には、学級閉鎖などの臨時休業の措置により感染の拡大防止に努めております。 この臨時休業については、学校長が学校医や養護教諭の意見を聞きながら判断しており、一律の指針を示すことが難しいこともあって、県教育委員会としてこれまで判断基準等を示しておりませんが、今年はインフルエンザが猛威を振るっており、各学校が判断時期を逸することのないよう、県教育委員会として適切な目安などを示していく必要があると考えております。 そこで、専門家の意見を聞きながら、臨時休業の判断の目安とともに児童・生徒の健康状態の把握、予防や感染拡大防止の方法など留意事項を早急に取りまとめ、県立学校に対し指導の徹底を図るとともに、市町村教育委員会に対しても周知し、学校におけるインフルエンザの蔓延防止対策に取り組んでまいります。 次に、県立高校における太陽光発電システムの導入についてお尋ねがございました。 これからの社会を担っていく子供たちが環境問題や自然エネルギーについて正しく認識し、理解を深めることは大変重要なことと考えております。 太陽光発電システムにつきましては、議員のお話にございましたように、現在、NPO法人との協働により県立高校4校に設置されております。これらの高校では、この太陽光発電システムを活用し、NPO法人の方や大学教授等による地球温暖化についての特別講義を行ったり、文化祭等で生徒が発電量について調査した結果を主体的に発表しているほか、近隣の小学生や地域の方々を対象としてソーラーカーの試乗や太陽熱を利用した調理、ソーラークッキングの体験学習を行うなど、子供たちの自然エネルギーに関する興味、関心を高める取り組みを行い、教育的効果も上がっております。 県教育委員会としては、そうした成果を踏まえ、太陽光発電システムを教材として一層有効に活用する方法などについて研究し、他の学校への普及にも努めてまいりたいと考えております。 お尋ねの設置校の拡大につきましては、大変厳しい財政状況もあり、来年度、新たな予定はございませんが、県教育委員会としては、今後、多くの方々に設置校の成果や教育的意義を訴え、本定例会でお願いしております神奈川県まなびや基金を活用するなど、他校への太陽光発電システムの導入について検討してまいりたいと考えております。 以上でございます。〔佐々木正行議員発言の許可を求む〕
○議長(榎本与助) 佐々木正行君。
◆佐々木正行議員 自席からの発言をお許しいただきたいと思います。 知事並びに教育長におかれましては、丁寧なご答弁をありがとうございました。 再質問、1点お願いしたいと思います。 特殊建築物等の定期報告の手数料についてでありますけれども、まず指摘をしなければならないのは、今、知事から、協会は技術指導のサービス対価として手数料を受け取っているというふうなお話がございましたけれども、技術指導を受けるか受けないか、これを自分で選べるというのなら適正な制度であるというふうに私、思うんですが、この特殊建築物等の定期報告は、毎年しっかりと検査して、技術指導を必要としない人も選択の余地なく協会に報告書を提出しなければならない状況になっているということをご理解いただきたいと思います。しかも、手数料を払った上で出しているという全くおかしな話であります。 また、もう一点は、減免について協会に働きかける、このようなご答弁がございましたが、私はこれ、県の問題ではなくて協会の問題ですというふうに聞こえましたが、本当にそうなのでしょうか。ぜひ県民の立場に立って考えてご答弁をいただきたい、このように思うんですが、建築基準法では、特殊建築物等の所有者などは特定行政庁に報告するよう義務づけられていますので、直接県に持っていっても構わないし、いいわけであります。安全協会に持っていく義務はないわけです。ですから、県が安全協会に持っていくように長年県民を誘導して、習慣化してきてしまったということが実情だと私は思います。 また、県が単独で行った場合は、報告制度なので手数料の徴収はなじまないというようなことでございますが、話は実に単純なんです。県がやっていればお金を払わなくていいのに、それが協会に委託されると県民はお金を払わなければならなくなる、こういうことなんです。県民の方にしてみれば、何で我々が払わなければならないのか、ということになりますし、県でやってくださいよ、そういうことが普通なのではないかと思います。 現に、今まで足並みをそろえてやってきました横浜市が、市の問題としてとらえて、この4月から無料で定期報告を受けることに改めたわけでありますので、知事が先ほど申しておりました現在の県の審査体制では対応が困難とのことですけれども、それは行政側の勝手な言いわけだと私は思います。その負担を県民に肩代わりさせるということはいけないと私は思います。 そこで、知事にお伺いいたします。 県の審査体制が不十分であるならば、その部分を県の負担で外部に委託すればいいと思いますが、ご所見をお伺いいたします。〔知事(松沢成文)発言の許可を求む〕
○議長(榎本与助) 松沢知事。〔知事(松沢成文)登壇〕
◎知事(松沢成文) 佐々木議員の再質問にお答えいたします。 先ほども申し上げましたが、建築安全協会が特定建築物等の定期報告書に関して、行政の審査にたえられるしっかりとした内容となるように、民間技術者を技術指導すること、そして、そのサービスの対価として手数料を受領することは、民間対民間の受益と負担の関係としては合理性のあることと考えています。 しかしながら、サービスの内容にかかわらず一律の手数料を受領することについては、改善を検討していただく必要があると考えておりますので、その旨を協会に働きかけてまいります。 また、横浜市がこの4月から窓口で無料受け付けを行うことは承知しておりますが、人的制約など自治体ごとの事情の違いもありますので、同じ課題を抱える他の特定行政庁と連携をして、今後の対応策について、行政による負担のあり方も含めて引き続き検討をしてまいります。 以上です。〔佐々木正行議員発言の許可を求む〕
○議長(榎本与助) 佐々木正行君。
◆佐々木正行議員 以上で私の質問を終わります。 大変ありがとうございました。
○議長(榎本与助) お諮りいたします。 休憩いたしたいと思いますが、ご異議ございませんか。〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(榎本与助) ご異議がないと認めます。 よって、休憩いたします。 なお、再開は15分後といたします。 午後3時58分 休憩 ───────────── ◇ ─────────────
△《本会議録-平成21年2定-20090224-026564-質問・答弁-飯田誠議員-一般質問①県産木材の有効活用に向けた取組みについて②東海道新幹線新駅誘致とツインシティの整備について③さがみ縦貫道路インターチェンジへのアクセス道路の整備について④渋滞対策について⑤湘南ゴールドについて》 午後4時20分 再開〔議会局長報告〕 出席議員 副議長共75名
○副議長(川上賢治) 休憩前に引き続き、会議を開きます。───────────────────────────────────────
○副議長(川上賢治) 質問を続行いたします。 飯田 誠君。〔飯田 誠議員登壇〕(拍手)
◆飯田誠議員 議長のお許しをいただきましたので、私は県政会・大志会神奈川県議会議員団の一員として、通告に従い、順次、提言を交えながら質問をさせていただきます。 知事におかれましては明快なご答弁をよろしくお願いいたします。 また、先輩並びに同僚議員の皆様におかれましては、しばらくの間ご清聴のほど、よろしくお願いいたします。 質問の第1は、県産木材の有効活用に向けた取り組みについてであります。 森林の保全・再生については、水源地域内の私有林を県が公的に管理し、水源かん養や県土の保全など公益的な機能の高い森林づくりを進める一方、森林資源として活用可能な森林にあっては、手入れにより発生した間伐材を有効に活用しながら、森林所有者による森林の管理を進めていく取り組みを進めていると承知しております。 この県産木材を有効活用する取り組みは、森林所有者の森林づくりに対する意欲を向上させ、森林の手入れにつなげていこうとの考えであると理解していますが、今後50年、100年といった長期にわたり持続的な森林づくりを進めていくためには、伐って、植えて、育てるという本来、林業の営みが持っていた森林資源の循環の仕組みをもう一度取り戻すことが何より大切であると考えております。 しかしながら、昭和40年代以降、安値な外国産木材の輸入などにより長期にわたり低迷を続けておりました本県の林業、木材産業において、森林資源の循環の仕組みを取り戻していくことは一朝一夕になし遂げることもできなく、10年、20年といった息の長い取り組みとして、しっかりとした姿勢で取り組んでいかなければならないものと考えております。 そこで、県産木材の有効活用に向けた県の基本的な考え方と今後の取組方向について、何点か伺います。 まず、県産木材の着実な生産と木材加工の取り組みの考え方についてお伺いいたします。 県が進めている県産木材の有効活用に向けた取り組みでは、森林の整備によって発生した間伐材の搬出量を平成19年度から年間2,000立方メートルずつ段階的に増加させ、平成27年度には3万立方メートルの県産木材を有効に活用していくことを目標としておりますが、実際に山から木材を生産し、加工し、消費に結びつけていくためには、いまだ多くの課題があると認識しております。 山から木を伐採し、市場や直接製材工場まで運び出してくる、いわゆる素材生産を営む事業者は県内に30事業者ございますが、素材の1事業者当たりの年間平均生産量は約250立方メートル、また、1人当たりの生産量は1日1.8立方メートルであり、1事業者当たり7,296立方メートル、1人当たり3.9立方メートルという全国平均と比較すると、極めて低い状況となっております。 一方、木材を加工する県内の製材事業者は38事業者ございますが、これらの製材事業者が生産する製品の出荷量は年間約320立方メートルと、全国平均の約1,500立方メートルを大きく下回っております。また、平成15年5月の住宅瑕疵担保履行法の制定、及び同6月の建築基準法の改正により、乾燥の行き届いた木材など高品質な木材製品に対するニーズが高まってきている中、乾燥の行き届いた製品の出荷率は約6%と、全国平均のわずか4分の1にとどまっております。 こうした全国との格差は、素材生産にあっては本県の森林が急峻であることや、素材生産の方法が、対象とする森林を一斉に伐採するのではなく間伐が主体であること、さらには、所有規模が小規模零細で生産ロットが小さいことなどから生じていると承知しております。 また、木材加工にあっては、本県の製材工場は小規模零細経営で、依然として生産性の低い製材機で、乾燥施設もなく、地域の小売店や工務店との小取引が主体であり、全国の動きが生産性の向上や高品質化を図り規模拡大の傾向にあるのに比べ、大きく出遅れていることも事実です。 そこで、知事に伺います。 こうした状況をどのように改善、克服し、県産木材を山から着実に生産し、県民のニーズにこたえ得る製品を安定的に供給していくことを考えているのか、知事のご所見をお伺いいたします。 次に、県産木材を着実に消費者へつなげていくための取り組みについて伺います。 本県における新築木造住宅の着工戸数は過去5年間の平均で約4万戸と、東京都に次ぐ着工戸数となっており、このことからも、神奈川県は木材の大消費県であると言うことができます。しかしながら、県産木材の消費の実態を見ると、県産木材自体、県民の方々にほとんど知られていない、また、使いたいと思っても、どこに行けば手に入るのかわからない、あるいは手に入らないというのが現実であります。 もっとも、木材の使用に当たっては家を建てる施主がどこの産地の木材にするかということを決めるのではなく、家づくりに携わる大工さんや工務店が施主にかわって木材を調達することから、木材は施主である県民にはわかりづらい商品であり、まして県産材は県内で消費される全体の木材に比べて少量であることから、余り目に触れる機会がないのが現状です。 しかしながら、今後、木材の搬出量を段階的に増加させ、より多くの県産木材製品を広く県民の皆様に使っていただくためには、県産木材を県民の皆さんに知っていただくとともに、いつでも入手できる仕組みを構築していくことが必要であると考えております。 そこで、知事に伺います。 生産された県産木材製品を着実に県民の消費に結びつけていくために、県としてどのように取り組んでいく考えなのか、知事のご所見をお伺いいたします。 質問の第2は、東海道新幹線新駅とツインシティの整備についてであります。 寒川町倉見地区への東海道新幹線新駅の誘致とツインシティの整備につきましては、県央・湘南都市圏のみならず、県土全体の均衡ある発展のために必要不可欠な取り組みであります。さらに、最近の深刻な景気後退の状況をかんがみますと、新しい駅ができる、また新しいまちができるということは、地域の企業を活気づけるための起爆剤となるものと期待をされるところであります。 まず、新駅の誘致についてでありますが、最近における情勢の変化といたしまして、一昨年4月、JR東海はリニア中央新幹線について、首都圏から中京圏での営業運転開始の目標年次を2025年とすることを発表いたしました。その後も、昨年10月に地形・地質等調査報告書を国に提出するなど、リニアの実現に向けた取り組みを着実に進めてきていると感じております。 リニア中央新幹線が実現すれば、倉見地区への新駅設置の可能性が高まってくるものと考えられますので、県当局においては、何としても新駅を設置するんだという意気込みをもって、積極的に誘致活動に取り組んでいただきたいと思います。 また、新駅誘致を成功させるためには、周辺地域における魅力あるまちづくりが不可欠であります。誘致活動とあわせ、新駅の受け皿となるツインシティの整備につきましても積極的に推進していく必要があるものと考えます。 昨年度から、平塚市側の面整備や、新橋及び接続道路について環境実態調査を実施するなど、具体的な取り組みが進んでいるようであり、このたびの第6回線引き見直しにおきましても、保留設定に向けて手続が進んでいると聞いております。今後もこうした取り組みを着実に進め、一層事業の熟度を高めていただきたいと思いますが、そのためには地元の皆様のご理解とご協力が最も重要と考えるところであります。 最近の地元の寒川町の動きでございますが、寒川青年会議所による自主的な取り組みといたしまして、昨年6月「さむかわまちづくりフォーラム」が開催されました。私もパネリストの1人として参加いたしましたが、新駅設置とツインシティ整備について真摯かつ建設的な議論がなされ、地元の皆様の熱意を強く感じたところであります。 このように、地元の機運も高まってきております。県当局においては、これまでも新駅の誘致活動やツインシティ整備に向けた取り組みを進めてきましたが、一日も早く、目に見える形での成果が上がることを期待するところであります。 そこで、知事に伺います。 東海道新幹線新駅の誘致とツインシティ整備に向けた知事の決意と今後の取り組みについて、知事のご所見をお伺いいたします。 質問の第3は、さがみ縦貫道路インターチェンジへのアクセス道路の整備についてであります。 現在、整備が進められているさがみ縦貫道路は、県内の南北方向の骨格となる幹線道路であり、完成すれば、東名高速道路や中央道、関越道などを結ぶ首都圏全体の環状道路としての機能を発揮することから、神奈川県の経済社会活動の活性化に大きな弾みがつくものと期待しているところであります。 さがみ縦貫道路については、東名高速道路と接続する海老名北ジャンクションから海老名北インターチェンジまでの区間が来年度に完成するのを皮切りに、平成24年度には全線が開通すると聞いております。 このように、さがみ縦貫道路は、国や中日本高速道路株式会社により整備が着々と進んでおりますが、私が心配なのは、インターチェンジへのアクセス道路の整備の進捗についてであります。さがみ縦貫道路を地域の発展につなげるためには、沿線からさがみ縦貫道路に円滑にアクセスする道路の整備が不可欠であり、これは県の重要な役割であると考えております。 そこで、知事にお伺いいたします。 さがみ縦貫道路のインターチェンジへのアクセス道路整備のこれまでの取組状況と、今後の見通しについて、知事のご所見をお伺いいたします。 質問の第4は、渋滞対策についてであります。 湘南地域の中でも特に、私の地元である寒川町南部の渋滞対策について伺います。 寒川町を初め湘南地域は製造業などの企業の立地が進み、また、大学や研究機関なども集積した、高度な技術が蓄積された地域ですが、残念なことに、寒川町の南部地域では産業活動や住民生活の基盤となる道路ネットワークの整備がおくれており、この地域の幹線道路は幅員が狭い箇所も多く、慢性的な交通渋滞を引き起こしております。 特に、二つのT字交差点付近が渋滞の原因になっているのではないかと考えます。 一つは、JR相模線寒川駅付近のT字交差点です。これは神川橋付近から整備されてきた都市計画道路中海岸寒川線が県道丸子中山茅ケ崎線に接続する交差点ですが、この交差点から先が整備されておりません。 もう一つは、湘南銀河大橋を寒川町側に渡り、県道相模原茅ケ崎線に接続するT字交差点です。ここも、その先の都市計画道路藤沢大磯線がまだ整備されておりません。湘南銀河大橋は既に完成しておりますが、今、申し上げましたように、その先の都市計画道路が整備されていないので、せっかくの機能が生かし切れていません。 これらの状況を解決するには、私は、都市計画道路中海岸寒川線を新湘南バイパスの茅ケ崎中央インターチェンジ付近まで延伸することが有効な方策の一つと考えますが、これから地元の方々の協力をいただき、事業を始めたとしても、道路が完成して車を通せるようになるには、他の事業を見ても10年以上の歳月が必要になってしまうので、早期の課題解決にはなりません。 一方、都市計画道路藤沢大磯線の整備については、現在、さがみ縦貫道路の整備が最盛期を迎えている中、その高架下を通るこの道路をあわせて整備していくことが必要と考えますが、さがみ縦貫道路の整備が優先してしまうと、この道路の整備が後回しになってしまうのではないかと危惧しているところであります。 私は、地域交通を円滑にし、歩行者の安全を確保することは、県民の生命、財産を守り、社会経済活動を活性化させることになるので、できる限り速やかにこの地域の交通状況を改善する必要があると考えます。そのためには、現在、この地域で進めている都市計画道路藤沢大磯線について、県道相模原茅ケ崎線との交差点から県道丸子中山茅ケ崎線までの早期整備が重要であります。 そこで、知事に伺います。 都市計画道路藤沢大磯線の今、申し上げた区間の取組状況と今後の見通しについて、知事のご所見をお伺いいたします。 質問の第5は、「湘南ゴールド」についてであります。 初めに、生産拡大について伺います。 本県のミカン栽培には長い歴史があり、始まりは江戸時代中期にまでさかのぼると聞いております。昭和30年代から消費量が飛躍的に増加し、昭和40年代半ばの最盛期には神奈川ミカンは年明けの貯蔵ミカンの産地として隆盛を誇り、県西部の一大産業に成長しました。農家経営も良好で、収穫などの作業には人を雇い、ミカン御殿なるものもあったと聞いております。 しかし、全国的に栽培面積が拡大し、生産量も増大する中、昭和47年には320万トンの大豊作と重なり、大暴落が起き、その後もイチゴの増加など、消費者の嗜好が多様化したことによりミカン離れが進み、また、オレンジの輸入自由化も加わったため、その後、ミカンの繁栄はよみがえっておりません。 本県においても、ミカン生産対策として大津4号など優良品種への転換を進めつつ、キウイフルーツやウメなどの他作物への転換、生産性の低い園地の公園や工場、ホテル等への集団廃園が行われ、その結果、現在、県内のミカンの栽培面積は約1,600ヘクタールと、最盛期の約4,000ヘクタールに比べると4割程度にまで減少してしまいました。また、ハウスミカンの栽培面積も同様に、減少していると承知しております。 ミカン畑の現状を見てみますと、ほとんどが傾斜地で、段々畑も多く、トラクターが入れるような野菜畑などに転換することも難しいため、地形を活用した果樹栽培を進めることが必要だと思いますが、農家のほとんどは兼業となり、後継者となるべき世代のほとんどが他産業に従事して、地元には残っておらず、担い手の高齢化が進んでおりますので、ミカン以外の新たな果実への転換が難しい現実もあります。 このように、歴史のある神奈川のミカンをめぐる情勢は大変厳しいですが、今でも県西地域を代表する農産物であり、他の土地利用も難しいことから、ミカンを復興することが地域の目標であり、そのためにはミカンのバリエーションをふやすことが第1の道だと考えております。 また、海岸沿いでは収穫のされない放置園も目立つようになり、これを減らしていくことも必要だと考えております。 先日、県が育成した新しい品種、湘南ゴールドについて手にとる機会があり、食べてみたところ、実は小さいが鮮やかな黄色で、香りにインパクトがあり、大変おいしいと感じました。これは4月から出荷されますので、新しい特色を持つ神奈川生まれの湘南ゴールドが普及すれば、11月から長期間にわたるミカンのラインナップができ、販売の長期化と農作業の分散化が図られると思います。 また、今のところ集荷量が5トンにとどまっている湘南ゴールドの生産が拡大し、有利に販売できれば、湘南ゴールドがミカン産地の牽引役となり、ミカン全体がイメージアップし、農家の経営改善と地域の活性化につながる取り組みになると考えますが、そのためには地域の担い手の状況や販売戦略を考慮し、計画的に生産拡大を進めていく必要があります。 そこで、まず、神奈川オリジナル品種の湘南ゴールドの生産拡大について、どのように取り組んでいくのか知事のご所見を伺います。 次に、販売戦略について伺います。 湘南ゴールドを今後、高級フルーツとして有利に販売していくためには、生産量が少ない段階からブランド化に向けて戦略的に取り組んでいく必要があると考えます。 他県の例ですが、福岡県のイチゴ「あまおう」は、命名から苗の供給、栽培技術の普及、品質管理の徹底からPR活動などに至る生産販売戦略を効果的に行い、短期間にブランド化を図ったと聞いております。特に販売においては、高品質なイチゴとして認知度を高めることに力点を置き、高級果実専門店への売り込みやテレビCMによるPRを行うなど、当初から高級イメージが定着するよう戦略的な手法がとられております。 また、山梨県南アルプス市のように、地元産の完熟フルーツにこだわった体験ツアーの開発や、洋菓子コンテストの開催などを通じて地元産フルーツを使った洋菓子等の特産品を開発するなど、観光と連携した取り組みにより、地元産フルーツ全体のイメージ向上を図っている事例もあります。 本県の湘南ゴールドは、1度味わえばその魅力を理解してもらえるフルーツでありますが、生産量が少ないため、一部の人にしか知られていないという現状があります。しかし、これは、これから自由にイメージをつくっていくことができるということでもあり、ブランド化の強みになるのではないでしょうか。 今、例に挙げた他県の先行事例を見てみても、現段階で先を見据えた販売戦略を立てて取り組んでいくことが必要と考えます。 また、販売戦略を立てるに当たっては、これまでの手法にとらわれず、湘南ゴールドの特色を最大限に生かす方法を検討することが重要であります。 そこで、この魅力に富んだ湘南ゴールドについて、県を代表する高級フルーツのブランドに育てていくためどのような販売戦略を考えているのか、知事のご所見をお伺いいたします。 以上で私の第1回の質問を終わります。 ご清聴ありがとうございました。 〔拍 手〕〔知事(松沢成文)発言の許可を求む〕
○副議長(川上賢治) 松沢知事。〔知事(松沢成文)登壇〕
◎知事(松沢成文) 飯田議員のご質問に順次お答えいたします。 初めに、神奈川県産木材の有効活用に向けた取り組みについて、2点お尋ねをいただきました。 まず、安定的な木材生産についてでありますが、本県では、持続的な森林管理を進める森林再生50年構想のもと、将来的には、毎年3万立方メートルの木材を切り出すことで荒廃している森林の再生を図ることとしており、いわゆる
水源環境保全税を活用した間伐材の搬出支援に取り組んでおります。 しかし、小規模零細な森林所有者が多く、また、水源涵養などの公益的機能の低下を招く一斉伐採を避け、コストのかかる間伐を主体とした本県は、木材の生産性が低く、その改善に向けた取り組みが肝要であります。 そこで、県では隣接する所有者が協働して作業を行うよう働きかけ、生産量の拡大を進めていくこととしております。また、平成18年度から県内9カ所において林業事業体が高性能林業機械を導入したところ、1人1日当たりの生産量が3.1立方メートルとこれまでの約2倍に向上したことから、平成21年度において、高性能林業機械のレンタル経費について支援することといたしました。 次に、木材加工における生産性の向上についてですが、本県においては平成18年度から、より質の高い製品の生産を目指して、他県の最新鋭の工場に神奈川県産の木材を持ち込んで加工し、地元の製品との比較分析を行ったり、他県から乾燥や仕上げ加工のベテラン技術者を招いて技術の習得に努めてまいりました。その結果、これまで低質とされていた神奈川県産の木材が、製品市場に出荷しても遜色がないとの評価が出るとともに、技術者も育成され、高品質製品の生産にも一定の見通しが立ってまいりました。 また、こうした取り組みを通じて、木材関係事業者の間で品質認証や人工乾燥機等の施設整備への機運が高まってきましたので、こうした動きを大切にしながら県産木材をブランド化し、育ててまいります。 さらに、これまで山に放置されてきた曲がりの多い低質な木材についても、合板や住宅等のパネル資材などとして活用するなど、山から生産される木材をできるだけむだなく商品化するよう努めてまいります。 次に、県産木材を県民の消費に結びつけるための取り組みについてのお尋ねがございました。 県では、県産木材の生産量を平成19年度の1万1,000立方メートルから平成27年度には約3倍に引き上げることとしており、そのためにも、より多くの方々に県産木材を使っていただきたいと考えています。 そこで、県では平成18年度から森林循環フェアを開催し、県産木材を使用したモデルルームの展示や住宅相談を行うなど、県産木材のPRに努めております。また、本庁舎1階廊下において県産木材を使用した腰壁を設置するとともに、市町村や学校法人等が整備する県産木材を使用した19施設に助成を行っておりますが、これらは県民の皆さんに県産木材を知っていただくよい機会となっております。 さらに、平成18年度からは、建築士や工務店といった建築関係者を対象に、これらの施設の見学会や木材関係事業者との意見交換会を実施するなどにより県産木材のPRにも努めており、最近では、県産木材を使用する工務店や、設計に取り入れる建築士が年々増加してきております。 今後は県民や建築関係者へ県産木材製品が他県と比べ遜色がないことをPRするとともに、県産木材を使用した家づくりの愛称を検討するなど、県民に親しまれ、消費に結びつく取り組みを進めてまいります。 また、県産木材の調達を担う材木店を県産木材取扱店としてふやしていくなど、安定的に木材を供給する体制を充実していく方策について、関係者と検討をしてまいります。 次に、東海道新幹線新駅の誘致とツインシティの整備についてお尋ねをいただきました。 新駅の誘致につきましては、JR東海に対して、これまで粘り強く誘致活動を続けてきたところでありますが、今のところ前向きな回答はいただいておりません。しかしながら、最近、リニア中央新幹線の実現に向けた動きが活発化しており、これが実現すれば東海道新幹線の輸送力に余剰が生じ、新駅設置の可能性が大きく高まるものと考えています。昨年12月にJR東海の松本社長が来県された際、在来の新幹線もリニアができればいろいろな形で工夫ができるといった、一歩進んだお話もいただきました。 一方、新駅の実現に向けて必要な受け皿となるツインシティの整備につきましては、現在、新橋及び接続道路と平塚市側の面整備に係る環境実態調査はほぼ終了し、寒川町側の面整備については実施に向けた検討を進めています。また、地権者の方々の生の声を直接お聞きするため、県と市町が連携して、平塚市では小規模な地区ごとでの勉強会を開催し、寒川町では戸別訪問によるアンケート調査なども実施いたしました。 今後は、こうした取り組みをもとに、地元の合意形成を図りながら事業の熟度を高めて、早期の都市計画決定を目指してまいります。さらに、一日でも早く新駅設置の了解が得られるよう、ツインシティ整備の進捗状況や地元の熱意をJR東海に対してより一層強くアピールしてまいります。 東海道新幹線新駅とツインシティの整備は、県央湘南都市圏のみならず県土の均衡ある発展のためにぜひとも必要であると認識しておりますので、早期実現に向け最大限努力をしてまいります。 次に、さがみ縦貫道路のインターチェンジにアクセスする道路整備の取組状況と、今後の見通しについてお尋ねをいただきました。 さがみ縦貫道路は、県土の南北軸を形成するとともに首都圏の骨格となる幹線道路であります。このさがみ縦貫道路のインターチェンジに接続する道路を整備することによって、沿線の地域からのアクセスを円滑にし、周辺道路の混雑緩和や地域経済の活性化を図っていくことは、県が果たすべき重要な役割であると認識しています。 そこで、これまで県ではインターチェンジ接続道路の整備に重点的に取り組んできたところであり、平成19年10月に策定した「かながわのみちづくり計画」においても五つの施策体系の一つに位置づけ、さがみ縦貫道路の開通目標に合わせて7路線の整備を進めているところです。 具体的な取り組みの例として、平成21年度に開通が予定されている海老名北インターチェンジにおいては、海老名の中心市街地からインターチェンジに接続する都市計画道路下今泉門沢橋線と河原口中新田線の整備に取り組んでおります。この2路線では、小田急小田原線やJR相模線との立体交差という大規模な工事もほぼ終了し、現在、平成21年度の完成に向けて最終段階に入っているところであります。 また、寒川南インターチェンジを初め、そのほかのインターチェンジに接続する道路についても、平成24年度までの開通目標に向けて整備を推進しております。一部の路線では用地の取得に難航しておりますが、沿線地域の発展のためにはアクセス道路をインターチェンジの開通に合わせて供用することが大変重要でありますので、引き続き重点的に整備を進めてまいります。 次に、湘南地域の渋滞対策として、都市計画道路藤沢大磯線の取組状況と今後の見通しについてお尋ねをいただきました。 都市計画道路藤沢大磯線は、国道1号の北側に位置し、藤沢市から湘南銀河大橋を経由して大磯方面に向かう幹線道路であり、東西方向の交流、連携を強化し、広域的なネットワークを形成する路線でございます。また、さがみ縦貫道路の寒川南インターチェンジへのアクセス道路でもあり、湘南地域における交通混雑の緩和や地域の活性化などに重要な役割を担うものと認識しています。 この路線では、平成10年10月に湘南銀河大橋が開通した後、相模川両岸において取り付け道路の整備を進め、既に県道相模原茅ケ崎から西側の国道129号までの区間が4車線で供用済みでございます。 そこで、議員お尋ねの県道相模原茅ケ崎から県道丸子中山茅ケ崎までの約1.5キロメートルの取組状況でございますが、この区間はさがみ縦貫道路の高架下を利用して整備することとなっており、さがみ縦貫道路を施工する国と、現場作業の工程などを調整しながら整備を進めております。 これまでに、用地の取得につきましては一部の難航案件を除きほぼ完了しており、まとまった用地が確保できた所から工事に着手し、進捗率は約6割となっています。今後も整備を促進し、寒川南インターチェンジの開通に合わせて4車線で供用する予定ですが、地元市町で構成する協議会から、交通渋滞の緩和や交通安全の確保のため少しでも早く開通してほしいとの要望をいただいております。このため、この約1.5キロメートルの区間については、寒川南インターチェンジの開通に先立ってまずは暫定的に2車線で通行できるよう、現在、国などと調整しているところであり、平成22年の春を目途に供用を図ってまいります。 次に、「湘南ゴールド」について2点お尋ねがございました。 まず、その生産拡大についてであります。 私も湘南ゴールドのファンの1人として、初めて食べたときの感動は忘れられません。湘南ゴールドは、さわやかな香りと甘味、そして見た目も明るい黄色をした、神奈川の土地柄にマッチしたおしゃれなミカンであります。私自身、昨年、横浜のデパートでトップセールスを行いましたが、訪れた皆様にも大変好評でありました。また、湘南ゴールドは収穫時期が遅く、他の柑橘類の出荷が一段落した端境期の4月に出荷できるなど、市場的な魅力も高いことから、その将来性は大変有望であると考えています。 県内のミカン産地が大変厳しい状況にある中、一日も早く神奈川を代表するブランドとして育てていきたいと考えておりますが、一般的に、柑橘類は苗を植えてから収穫ができるまでに最低5年程度、さらに、成木となって安定的な収穫が得られるまでに10年程度かかるなど、生産面での課題がございます。 県では湘南ゴールドのブランド化に向けて、生産量を昨年の7トンから10年後の平成30年には100トンに引き上げることとし、そのため来年度から、温室で苗を大きく育てる取り組みへの支援や、今、植えてあるミカンの木に湘南ゴールドを接ぎ木する技術を普及することで、生産面でのスピードアップを図ることといたしました。 湘南ゴールドはまだ、果実が小さいなど克服すべき課題もございます。県といたしましては、今後とも農業技術センターを中心とした栽培技術の確立や生産者の組織化を通じて、さらなる品質向上と安定した生産量の確保を図り、その産地化、ブランド化に努めてまいります。 最後に、湘南ゴールドの販売戦略についてのお尋ねでございます。 湘南ゴールドをブランド商品として育てるに当たっては、まだ生産量は少ないものの、今後、生産がふえることを見越した販売戦略が重要であると認識しております。そこで、知名度の向上と希少価値のアピールに努めるとともに、将来的には、加工品による高付加価値化を進めていきたいと考えています。 まず、知名度の向上を図るべく、平成21年度は県としてモニターツアーを実施し、湘南ゴールドを現地で味わっていただき、産地の受け入れ体制の整備に生かしてまいります。また、私自身も直接店頭に立って湘南ゴールドの魅力をお伝えしたいと思っておりますし、テレビ等を活用したPRも行いたいと考えています。 希少価値のアピールについては、生産量が少ないことを生かして、当面産地での販売を基本としつつ、県内の有名デパートにおいて限定的に販売イベントを実施するなど、生産者団体等と連携して効果的な流通ルートを検討をしてまいります。そして、将来的な取り組みといたしましては、加工品による高付加価値化を目指して、例えば高級なスイーツ、さわやかな香りを生かした化粧品などの開発を進め、生の果実とともにおしゃれなイメージをつくり上げていきたいと考えています。 このように、品質の向上や苗の早期育成による生産量の安定確保に加え、希少性をメリットととらえた販売戦略を通じて、湘南ゴールドを一日も早く神奈川の代表的なブランドに育て上げ、全国に発信をしてまいります。 答弁は以上でございます。〔飯田 誠議員発言の許可を求む〕
○副議長(川上賢治) 飯田 誠君。
◆飯田誠議員 自席からの発言をお許しいただきたいと思います。 知事におかれましては丁重なるご答弁をいただきまして、ありがとうございました。 まず、時間が少しありますので、木材について伺います。 要望といいますか、今、神奈川県が目指している平成27年度の3万立米の受け入れ体制として、県木連でもいろいろ検討し、前向きに進めようとしておりますが、何しろ先ほど申しましたように零細企業がために、今までの低価格で、余り材木屋というのはもうかっていないんですね。これを大きく投資して本当に安定的に、将来に向けて県民に対して供給ができるかどうかということが、大変不安に思っております。 そうした中で、神奈川県木材連合会としては「神奈川の家」という、設計にも力を入れ、そして神奈川県産の木材の消費につなげていこうと、今、一生懸命努力しておりますが、均一な規格を1工場でつくって、それが同じようにみんなに行き渡るような製品にしたいというのが、今、木材業に力を入れてくださいという一つの大きな課題であります。 そのように一生懸命努力して、そして木材業が全体として協力をし、県民に支給できるような体制をつくるように努力をしておりますので、どうぞご支援をよろしくお願いいたします。 それからあと一つは、大変暗い話題の中で、私どもの地域ではありませんが、湘南ゴールドという新しい品種ができた。これは明るい話題として、農業の将来に向けて、あるいは山間地の農業として大変有望ではないかというようなことから、これは高級ミカンだと、そして時期的にも、そういう柑橘類がなくなった時期に生産ができるというような大変すばらしい品質に改善をされたので、これの普及にも県が、明るい将来の農業に向けた果実生産にもひとつ力を入れていただきたいということをお願いして、質問を終わります。 ありがとうございました。
△《本会議録-平成21年2定-20090224-026565-質問・答弁-加藤元弥議員-一般質問①私学の振興について②就業支援について》 〔加藤元弥議員発言の許可を求む〕
○副議長(川上賢治) 加藤元弥君。〔加藤元弥議員登壇〕(拍手)〔副議長退席、議長着席〕
◆加藤元弥議員 議長のお許しをいただきましたので、私は自民党県議団の一員として、通告に従い、提言を交えて順次、質問いたします。 冒頭、質問に入ります前に、一言申し上げたいと存じます。 米国発の金融危機の影響は日増しに加速度を増し、先日、10月-12月期のGDP成長率が年率換算で12.7%の減となり、昭和48年第一次オイルショック以来35年ぶりの経済危機であるとの報道がありました。 こうした中において、地元でもまちの皆様の声を聞くたびに、さらにその厳しさを痛感しております。それは、年金生活の単身高齢者の方々、非正規雇用従業員を解雇された2児のお母さんといった、この戦後最大の経済危機の打撃を受けている方々の生活を守るためには、まちの現状をしっかり見据え、行政が今、何をなすべきかを考え、速やかに判断し、迅速に実行することこそが最も重要なことであり、求められているということなのです。 私は、一昨年6月定例会において初めての質問をする機会をいただいた際に、子供たちが将来、社会の一員として成長していくために、教室の中での勉強だけでなく、実社会に触れる体験活動が重要であると申し上げました。これは私の教育信条であり、政治信条につながるものです。現在のような経済及び財政危機においてこそ、最も生活を脅かされている方々や神奈川県の未来を担っていく子供たちのため、緊急経済対策はもちろん、既存の施策を含めた、きちんとした施策を実行していくことが重要だと考えております。 今回、私は、以上のようなことを念頭に質問させていただきます。知事におかれましては明快かつ率直なご答弁をよろしくお願い申し上げます。 また、先輩並びに同僚議員の皆様におかれましては、本日最後の質問です。頑張ります。ご清聴のほどよろしくお願いいたします。 私の質問の第1は、私学の振興についてであります。 初めに、私学助成について伺います。 我が神奈川県は近代私学発祥の地であり、その輝かしい伝統のもと、神奈川私学は独自の建学の精神と教育方針を掲げ、特色ある教育を実践することにより、本県教育の充実・発展に大きく貢献し、これまで幾多の有為な人材を輩出してまいりました。 このような歴史と伝統、また各学校の地道な努力により積み重ねてきた実績などを背景とし、現在、本県私学は県内学校数の約4割を占めるに至っており、私学に対する県民の期待は大きなものがあります。そして、その県民の負託にこたえるために、我が神奈川県は、全国に先がけて昭和23年に私学助成を開始して以来、私学教育の充実と発展を支援してまいりました。 私学助成の大きな柱としては、人件費、維持管理経費等の学校運営費を補助する経常費補助と、保護者の経済的負担の軽減を目的とした入学金、授業料を軽減する学費補助があります。 まず、経常費補助については、少子化の影響に翻弄されることなく、私学としての特色ある教育をしっかりと継続していくための助成制度とするために、平成12年度から標準的運営方式を導入し、5年間の経過措置を経て、平成16年度の補助率50%の完成を見たところであります。経常費補助金の生徒1人当たりの単価比較において、本県はここ数年、全国の中でも下位だと言われ続けておりますが、本県の厳しい財政状況の中で、少しずつではありますが、県当局がその充実に努力してきたことは承知しております。 また、学費補助についても、経済的課題を抱えた生徒が主体的に進路を選択できる環境づくりを進めるため、平成18年度において大幅な補助単価の増額を行い、就学支援策としての充実を図ったことも承知しております。 しかし、昨今の世界同時不況の影響下で、今後もさらに厳しい財政状況が予測される中、私学先進県として神奈川県はこれからどのような私学支援策をいかに打ち出していくべきなのか、今は出口の見えない、この厳しい情勢に見合った新たな視点も必要であると考えます。 また、2月20日の新聞では、本年4月に開設する県立中等教育学校2校の参戦が呼び水になり、県内の中学受験者が前年度比で2,900人、17.2%増加した、これは県立中等教育学校が潜在的な中学受験需要を掘り起こす役割を果たしたとの報道がありました。 あたかも私立中学受験者も相乗効果を及ぼしているように受け取れますが、新規参入した県立中等教育学校2校へ受験した児童は3,625人であることから、先ほどの2,900人増との単純比較で、私立中学校等は前年度比で一気に725人もの受験者が減少したことになります。単年度の結果では一概には申せませんが、この県立中等教育学校人気は、私学中学校にとって脅威と言わざるを得ません。 こうした厳しい状況下であるからこそ、全体ベースを見据えた一律の発想ではなく、私学の最大の特徴である特色ある教育、それも私学先進県・神奈川としての特色を教育の中で実践しようと努力する私学に対し、より一層の支援策を模索する必要があるのではないかと考えるものであります。 また、急速に悪化する現下の雇用情勢の中で、子供を私学に通わせる保護者の経済的負担はますます重くなってきており、自分に合った教育方針を持つ私学への進学を希望する生徒、あるいは現在、就学している生徒への就学支援もますます大きな課題となっているものと認識しております。 そこで、知事にお尋ねします。 激動の時代にあって、建学の精神を脈々と受け継ぐとともに時代の要請にこたえた特色ある教育を実践する神奈川私学に対し、県として今後どのような考え方で支援していこうとしているのか、また、経済が深刻化する中で、生徒への就学支援策、中でも私立高校に子供を通わせる保護者の学費負担の軽減に向け、県として今後どう対応するのか、あわせてお伺いいたします。 次に、幼児教育の充実についてお伺いします。 現在、神奈川県内には738の幼稚園があり、そのうち679園、率にして約92%は私立幼稚園であります。また、在園児数で言えば約97%の園児が私立幼稚園に通っており、私立幼稚園は、本県の幼児教育の担い手として大変大きな役割を果たしております。 幼児教育をめぐっては、平成18年12月に改正、公布された教育基本法第11条において幼児教育の重要性とその振興が新たに規定され、また、平成20年7月に閣議決定された教育振興基本計画においては、改正教育基本法第11条の規定を踏まえて、生涯にわたる人格形成の基礎を培う幼児教育の重要性にかんがみ、幼児教育の推進に向けて社会全体で取り組むことが明記されるなど、その重要性はますます高まっております。 さらには、同じく平成18年10月、近年の就学前の子供に関する教育、保育のニーズの多様化を背景として、いわゆる認定こども園法が施行され、本県もこれを受けて同年12月に認定基準に係る条例を制定するなど、子供に対する教育、保育と保護者に対する子育て支援の総合的な提供を推進する措置を講じたところであります。 このように、幼稚園等の有する教育資源や機能を活用した子育て支援への期待がますます高まる中で、神奈川県私立幼稚園連合会は、私立幼稚園の振興を目的に設立された県内全域をカバーする社団法人として、幼児教育の充実、教育人材の質的向上と確保、幼稚園経営の健全性の向上など、本県の幼児教育の推進に大きく貢献してまいりました。 同連合会は、平成20年度に設立60周年を迎えたことを契機として、今後さらに県内の幼児教育の振興に貢献するため、神奈川の幼児教育センターとも言うべきかながわ幼稚園会館を横浜市神奈川区内に開設することを計画しております。 このかながわ幼稚園会館では、子育てに不安を持つ保護者に対する教育相談や子育て講座の開催など、地域の子育て支援に資する事業のほか、幼稚園教員の質的向上のための研修、幼稚園経営の安定化・活性化研修、その他幼児教育に係る調査研究等の事業をさらに充実させていく考えであると承知しております。 この新たな取り組みは、本県の幼児教育や子育て支援の推進にとって大変意義深いものであり、今後の実現を大いに期待するものであります。 そこで、知事にお尋ねします。 私立幼稚園団体としても、団体の総力を挙げて幼児教育の充実・発展や子育て支援機能の充実を図ろうとしている中で、県としても、これらの取り組みに対しさらなる支援をすべきと考えますが、知事の見解を伺います。 次に、職業教育の重要性と私立専修学校の振興についてであります。 我が国においては、人口減少と少子・高齢化、企業内職業訓練の規模の縮小、就業構造の変化、さらには厳しい若年者雇用状況などの社会環境の変化の中で、若者が社会的、職業的に自立していくことが求められており、職業教育の重要性が一層高まっていると考えます。 また、平成18年に約60年ぶりに改正された教育基本法において、教育の目標の一つとして「職業及び生活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養うこと」が新たに規定され、職業教育の重要性は法律上も明確となりました。平成20年7月に国において策定された教育振興基本計画においても、キャリア教育、職業教育の推進は、特に重点的に取り組むべき事項の一つと位置づけられております。 こうした中で、実践的な職業教育を担う専修学校の果たすべき役割は、今後ますます大きくなるものと考えられます。 文部科学省においては、これらの動向を踏まえて専修学校の振興に関する検討会議が平成19年に設置され、同会議は平成20年11月に「社会環境の変化を踏まえた専修学校の今後のあり方について」という報告を取りまとめております。 この報告は、若者が厳しい雇用環境などの変化に対応して社会的に自立していくためには、専修学校のみでなく、大学、短期大学、高等専門学校、高等学校などの学校教育全体の中で職業教育のあり方を検討すべきとしています。 また、職業教育を専らの目的とする新たな学校種を創設し、現行の各学校種と同様に学校教育法条第1条に位置づけるべきとの提言についても検討しており、この新たな学校種に関しては、キャリア教育、職業教育のあり方の全体像を議論する中で重要な課題の一つとして、中央教育審議会において議論を深めていくことが適当と結んでいます。 この報告を受けて、平成20年12月、文部科学大臣は今後の学校におけるキャリア教育、職業教育のあり方について中央教育審議会に諮問し、現在は同審議会において審議されているところであります。 キャリア教育について文部科学省は、キャリア教育とは、望ましい職業観、勤労観及び職業に関する知識や技能を身につけさせることとともに、自己を理解し、主体的に進路を選択する能力や態度を育てる教育とし、今日の若者のさまざまな課題を解決していくためには、児童・生徒一人一人がみずからの責任でキャリアを選択、決定していくことができるよう、必要な能力、態度を身につけていく教育が強く求められているとしています。 このキャリア教育の考え方は、まさに私の教育信条であり、政治信条につながるものであり、また、子を持つ多くの保護者が求めるものであると思われ、こうした厳しい経済情勢、雇用環境のときこそ、緊急経済対策を講じる一方で、将来を見据え、キャリア教育のさらなる具現化を図るべきであると考えます。 さて、このキャリア教育の延長線上にある職業教育の重要性が叫ばれている今、こうした国の動きは、本県における若者への職業教育の充実を図る上でも意義深いものと考えます。 県内には114校の私立専修学校があり、現在は約2万3,000人の生徒が職業などに必要な知識、技術を学んでおります。そのうち私の地元・横浜市西区には、横浜駅周辺を中心に、設立80年を超える伝統校を初め13校もの専修学校があります。これらの私立専修学校は、これまで看護、介護、理容・美容、調理師、情報処理、経理、自動車整備、ファッションなど、多分野にわたり数多くの職業人を育成してきており、県内地域産業の振興にも大きく寄与しているところであります。 一方では、100年に1度と言われる経済危機に見舞われている今、厳しい雇用情勢の中で、実践的な職業教育を担う私立の専修学校の果たすべき役割は、ますます大きくなると考えられます。 そこで、知事にお尋ねします。 専修学校を取り巻く国の動向を踏まえ、今後の本県の私立専修学校の振興についてどう考えているのか、知事の見解を伺います。 質問の第2は、就業支援についてであります。 まず、平成22年秋に開催される技能五輪全国大会及び全国障害者技能競技大会への取り組みについて伺います。 天然資源に乏しい我が国は、これまで高性能で信頼性の高い製品をつくり、国内のみならず世界中に供給することで経済を発展させてまいりました。メイド・イン・ジャパンといえば、世界中で高品質な製品の代名詞となっております。 この世界中で支持される優秀なものづくりを根底から支えてきたのが、現場で働く人々の優秀な技能であります。経済のグローバル化が進み、国家や地域間の競争が激しくなっている中で、引き続き我が国経済を力強く発展させていくためには、これまで以上に高品質で付加価値の高い製品をつくっていくことが重要です。そのため、我が国に蓄積された高度で優秀な技能を次世代に伝えていくことが求められております。 しかしながら、団塊世代が定年退職を迎えていることに伴い、多数の熟練した技能者が現場から離れるようになってきたことや、若者の就業意識の変化によるものづくり離れ、さらには近年、製造現場における就業形態の変化により、仕事を通じた職業訓練が困難になっていることなど、我が国経済を支える技能の継承が危機に瀕しております。 こうした中で、地道な仕事に従事する若者の姿を広く大勢の方に見てもらうことは、現場で働く若者たちにとっても大きな励みになるものであります。また、これから社会に出て仕事に就く若者にとって、いろいろな職業を知り、そこに働く若者の真摯な姿を見ることは、社会に出る上で大変役立つことであると考えます。 本県には、製造業からサービス業まで多様な産業が集積しており、我が国経済の一大中心地となっております。少子・高齢化社会を迎えた本県にとって、次世代を担う若者がしっかりとした職業意識を持ち、技術、技能を身につけていくことは、本県が今後とも力強く活力ある地域であり続けるために大変重要であります。 平成22年度に開催される技能五輪全国大会及び全国障害者技能競技大会を通じて、若者にさまざまな職業を知ってもらい、あるいは体験してもらう機会を提供し、技術、技能を身につけていくことの大切さを理解してもらわなくてはならないと考えます。 そこで、知事にお伺いします。 技能五輪全国大会及び全国障害者技能競技大会を成功させるとともに、より多くの方々に知っていただき、来ていただくことが大事なことでありますが、知事はこれからどのように両大会の開催に向けて取り組みを進めていくのか、見解をお伺いします。 次に、産業、雇用の環境変化に対応した人材育成について伺います。 世界的な金融危機の影響は深刻化し、先行きの不透明感は増すばかりとなり、雇用情勢においては厳しい冬の時代を迎えた感があります。非正規労働者の解雇、雇い止めのみならず正社員にも及ぶ雇用調整が進むことが懸念されるほか、今春の大学生就職内定率は5年ぶりに低下し、厚生労働省の発表によると、全国の大学、短大などで内定が取り消された学生は1月23日の時点で1,215人に上るとのことである。 こうした就業者の解雇、新規学卒者の就職困難にこたえるため、国、地方公共団体が雇用対策としてさまざまな取り組みを行う中において、職業訓練は重要な施策であります。 県では東部総合職業技術校など5校の職業技術校と産業技術短期大学、障害者職業能力開発校において、就職に結びつく技術、技能を身につけるため、そして、失業時の雇用のセーフティネットとしての職業訓練を実施しています。職業訓練は安定した雇用に結びつく効果的な手法であると考えますが、今後、雇用の受け皿として期待できる分野について職業訓練を実施し、雇用のミスマッチを解消する必要もあります。 こうした中、県では今年1月からは第三次緊急経済対策として、介護サービス分野に係るホームヘルパー2級や造園基礎などの特定職種プログラムと、溶接基礎資格、第二種電気工事士対策などの資格取得プログラムで構成される緊急特別短期訓練と、各種職業訓練コースを体験し、希望職種を見出す緊急体験訓練の取り組みを実施し、早期再就職に向けた訓練を実施しているところです。 また、第六次緊急経済対策である介護人材緊急委託訓練事業及び離職者等委託訓練事業は、まさに民間教育機関を活用して実施することとしています。 一方、就職に結びつく有効な民間教育機関として、先ほども申しました専修学校、各種学校があります。その果たすべき役割は、専修学校については「職業及び実際生活に必要とされる能力を育成し、教養の向上を図ることを目的とする教育機関」とされ、また、各種学校については「学校教育に類する教育を行うもの」としてそれぞれ位置づけられており、特に職業能力開発という観点では、専修学校が果たしてきた役割も大変大きいものと考えます。 しかし、近年、県立の職業技術校が専修学校の運営に圧迫を与えている事態が見受けられます。例えば、県立職業技術校で県内専修学校と重複するコースの設定が行われたり、新規高卒者専用の募集案内を作成し、新規高卒者を積極的に受け入れていることも見受けられます。 こうしたことから、新規高卒者の専修学校への希望者が減少しないためにも、県立職業技術校の授業料等について、受益者負担の観点から、徴収のあり方について検討する必要があるのではないかと考えます。 私は、真に有効な緊急経済対策を行うため、こうした問題点を解消し、県立職業技術校での各種職業訓練施策の実施に当たっては官民の役割分担に配慮し、官と民とが相まって、明日の神奈川を担う人材育成を図っていくことが必要だと考えます。 そこで、知事に伺います。 県の職業能力開発施策において、専修学校等との連携に取り組むべきと考えますが、これまでどのように連携し、今後どのように取り組んでいくのか、知事のお考えをお聞かせください。 私の最後の質問は、介護福祉士養成施設の活用についてであります。 介護の仕事に対するイメージの悪化や、仕事のやりがいや魅力についての情報が伝わりにくいことなどから、若い世代の介護離れが深刻な問題となっており、特に介護福祉士を養成する専修学校の入学状況を見ると、平成20年度の入学者数は定員を大幅に下回り、全体で定員の5割程度にとどまっている状況にあります。 高齢化の進行に伴い、今後ますます増大し、高度化する介護ニーズに対応していくためには、質の高い人材養成が不可欠であり、平成21年度に予定されている介護報酬改定においても、介護福祉士など介護従事者の専門性が評価されることとなり、今後、介護福祉士等の専門人材の確保はますます重要になるものと考えます。 このため、高校生などの将来を担う若い世代に対して、介護の仕事を進路として選択してもらえるよう、仕事の実態や魅力、介護保険制度の動向など介護の現場に関する正確な情報提供、個別相談の実施などを通じて働きかけを強めることや、昨今の厳しい雇用環境の中で家計の負担を軽減し、高校生が専修学校等に進学できるような支援策が求められております。 一方で、新たな人材の養成が低迷している現状においては、介護福祉士などの資格を持ちながら就業していない、いわゆる潜在的有資格者に再度就業を促すことも重要と考えます。国の推計では、潜在的介護福祉士は約20万人で、全登録者数の約4割に上っており、全国介護福祉士会の調査によれば、このうち約5割がいずれは介護業務に従事したいという意向を示しているとのことであり、新規の人材養成とあわせて、これまでに養成された多くの貴重な人材を掘り起こし、再就職を促進する必要があります。 しばらく業務を離れていた有資格者が円滑に再就職するためには、介護の現場は状況の変化が大きく、また、介護技術も変わってきていることから、最新の介護技術や介護事情を学ぶ機会を提供し、支援していくことが必要であり、研修に当たっては最新の技術や知識を教育している介護福祉士養成施設の人材養成機能を積極的に活用することが極めて有効であると考えます。 そこで、知事にお伺いします。 この分野の中核となる介護福祉士などの有資格者を確保するため、高校生などへの働きかけによる新規養成の促進や、潜在的有資格者の再就職に向けた研修の実施など、介護福祉士を養成する専修学校等の機能を活用した対策を図るべきであると考えますが、具体的な取り組みの内容について知事のお考えを伺います。 以上で私の第1回目の質問を終わります。 ご清聴まことにありがとうございました。 〔拍 手〕〔知事(松沢成文)発言の許可を求む〕
○議長(榎本与助) 松沢知事。〔知事(松沢成文)登壇〕
◎知事(松沢成文) 加藤議員のご質問に順次お答えをいたします。 初めに、私学助成についてのお尋ねをいただきました。 本県の私立学校は、独自の建学の精神に基づく多彩な教育活動を展開しながら、神奈川の公教育の一翼を担い、学校教育において大きな役割を果たしております。 一方、昨今の少子化の進行や教育ニーズが複雑・多様化する中で、時代の要請に応じた新たな展開も求められていると認識しています。 そこで、お尋ねの私学助成についてでありますが、私学の最大の魅力である建学の精神に基づく特色ある教育を推進するためには、まずは学校運営の健全性を向上するための支援が基本と考えています。このため、大変厳しい県の財政状況ではありますが、来年度予算案では経常費の一般補助のうち教職員の人件費に相当する補助金について、県職員の給与減額を連動させないなど、総額の確保に努めたところであります。 さらに、こうした一般補助に加え、国の特別補助制度の枠組みを基本とした特色ある取り組みに対する支援を行うとともに、今日的課題に対する神奈川私学としての独自の教育実践に対しても、県として支援していくことが大切であります。 そこで、来年度予算案においては教育振興基本計画や新たな学習指導要領を踏まえ、伝統文化教育や環境教育への補助を追加するなど特別補助項目の見直しを行うとともに、県独自の補助である不登校生徒の受け入れについても、その充実を図りたいと考えています。また、あわせてお尋ねの私立高校における学費補助については、学費の公私間格差を軽減するため、これまでも入学金や授業料に対する助成の充実を図ってまいりました。 そうした中、来年度予算においては昨今の厳しい経済情勢を踏まえ、特に配慮が必要な所得の低い世帯に係る学費補助の単価の増額を図りたいと考えています。 今後とも神奈川私学の特色ある教育への支援に一層努めるとともに、生徒が幅広く学校を選択できるよう、その環境づくりに配慮してまいります。 次に、幼児教育の充実についてのお尋ねをいただきました。 幼稚園は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う幼児教育の担い手として重要な役割を果たすとともに、幼稚園が持つ人的、物的な資源を活用した地域における子育て支援の拠点としても大いに期待をされております。そうした中で、幼稚園の多くを占める私立幼稚園では、幼児教育に加え、預かり保育や子育て・教育相談、子育て講演会など地域の子育て支援に役立つ事業にも取り組んでいただいております。 こうした私立幼稚園の取り組みに対し、県では教育条件の維持・向上や経営の健全性の向上などを図るため、幼稚園運営の経常的な経費に対する助成を行ってまいりました。さらに、私立幼稚園が行う預かり保育や地域開放事業、特別支援教育など、近年の教育や子育てニーズに対応した取り組みに対しても助成を行ってきたところであり、来年度予算においては地域開放事業に係る認定こども園への加算制度を新設するなど、さらに充実を図りたいと考えております。 また、社団法人神奈川県私立幼稚園連合会が開設を予定しているかながわ幼稚園会館は、本県における幼児教育推進の中核的かつ唯一の施設として、教育・子育て相談、研修等の事業展開を図るなど、いわば幼児教育センターとしての機能を果たしていくと伺っております。県としても、幼稚園会館における今後の取り組みに大いに期待しているところであり、この施設で展開される事業のスタートアップのため、開設経費の一部を補助するとともに、ふるさと雇用再生特別基金事業を活用し、相談機能充実のための教育相談員の配置についても支援したいと考えております。 今後とも、幼児教育や子育て支援の役割を担う私立幼稚園が地域においてその機能を十分に発揮できるよう、その支援の充実に努めてまいります。 次に、職業教育の重要性と私立専修学校の振興についてのお尋ねをいただきました。 実践的な職業教育を行う専修学校は、中学生や高校生にとって大切な進路の一つであり、県内高校卒業者のうち、現在、約2割に当たる1万1,000人強が専修学校に進学をしております。また、神奈川県専修学校各種学校協会では、高校生やフリーター等の職業体験講座として仕事のまなび場事業を実施しており、この事業は平成19年度からかながわコミュニティカレッジの共同講座として取り組んでいただいております。 このほか小・中学生のための体験学習、さらには社会人一般に対する職業教育や生涯学習などにも取り組んでおり、専修学校は本県の職業教育において大変大きな役割を担っているものと認識しております。 このような専修学校の取り組みの一方で、高校や大学などの現行の教育システムにおいては、教育内容と具体的な職業とのつながりが見えにくく、生徒の学ぶ意欲や動機づけの問題、また新卒者の早期離職率の高さなど、さまざまな課題があるとの指摘があります。そうした中で、このたび中央教育審議会において、専修学校を含む学校教育全体におけるキャリア教育、職業教育のあり方について幅広くご検討いただくことは、これから社会に出る若者にとって大変望ましいことと認識しています。 そこで、お尋ねの本県の私立専修学校の振興についてでありますが、まずは学校経営の健全性の維持・向上を図るための支援が基本と考えており、かねてより県単独補助事業として、専修学校に対する経常費補助を行っております。また、神奈川県専修学校各種学校協会が実施する体験学習事業に対し、県として引き続き補助や共同という形でかかわるとともに、来年度はふるさと雇用再生特別基金を活用して、各学校でのキャリア教育を支援する専門のアドバイザーを配置したいと考えております。 今後とも国の動向も注視しながら、専修学校が若者や社会人にとってより充実した職業教育を提供する場となるよう、その振興に努めてまいります。 次に、技能五輪全国大会と全国障害者技能競技大会の開催に向けた取り組みについてのお尋ねをいただきました。 本県では、技術・技能を尊重する意識の向上を目指して、平成22年秋に横浜で技能五輪全国大会と全国障害者技能競技大会を同時開催いたします。 両大会を実施するための取組状況ですが、県内の技能職種団体、経済労働団体など各界を代表する112の団体、機関等から成る大会推進協議会を中心に、大会開催に必要な計画の策定や、本県選手の育成、強化などに取り組んでおります。 また、平成20年度技能五輪全国大会出場選手による公開練習会を昨年9月に開催したところ、1,000人を超える工業高校生や職業技術校生等に参加をいただきました。平成21年度の公開練習会は、大会会場の一つである東部総合職業技術校で開催し、多くの方々に技能五輪を身近に感じていただくこととしております。 さらに、大会イメージキャラクター「カモメン」を活用し、スローガン「神奈川で 競え この技 この技術」のもとに大会推進協議会の構成団体の組織力を生かした積極的な広報活動を展開して、多くの県民の皆様に知っていただき、ご来場いただける大会を目指してまいります。 大会の開催まであと1年半余りとなりましたが、競技に取り組む若者や障害者の方々の真摯な姿を通して、県民の皆様にものづくりの仕事や技能への関心を高めていただき、若者にも将来に向かって職業に対するしっかりとした意識を醸成してもらえるよう、万全の準備を進めてまいります。 次に、職業能力開発施策における専修学校等との連携と今後の取り組みについてのお尋ねがございました。 職業訓練における公共と民間の役割分担につきましては、原則としては、県は、多額の設備投資を要するため民間での教育訓練の実施が難しいもの、または実施していない分野を中心に訓練を行っております。一方、専修学校等の民間は、豊富な教育人材を有するIT分野などについて、県と連携した職業訓練を推進していくものと考えております。 こうした役割分担のもと、県は職業技術校において工業技術分野や建築技術分野、社会サービス分野の職業訓練を直接実施するとともに、情報技術分野などでは民間へ委託して実施をしております。また、公共と民間の能力開発実施機関が連携して、主に中小企業の産業人材の育成活動を支援するためかながわ人材育成支援ネットワークを組織し、女性の再就職支援やキャリア形成支援といった訓練プログラムの共同開発などを行っております。 今後の連携に向けた取り組みですが、委託訓練につきましては、平成21年度当初予算案において定員を今年度の390名から1,050名へと大幅に拡充するとともに、介護分野の高いニーズに対応するため、新たに定員30名の介護人材緊急委託訓練を、民間の協力をいただき実施してまいります。 また、かながわ人材育成支援ネットワークでは、県と民間が相互に講座や講師の紹介を行うとともに、それぞれが持つ教育訓練情報の提供を積極的に進めてまいります。今後とも県の職業能力開発施策において専修学校等との連携を強化する中で、急激に変化する産業界のニーズや雇用情勢に対応した産業人材育成に努めてまいります。 最後に、介護分野への有資格者を確保するための、専修学校等を活用した具体的な取り組みについてのお尋ねであります。 介護ニーズが高度化する中、介護福祉士養成を行う専修学校は、質の高い専門人材の養成を担う中核的な教育施設として、その役割はますます重要となっております。しかしながら、現状では、このような養成校においては定員割れが生じ、十分にその機能が活用されていない状況にあります。このため、養成校の資源を活用し、専門人材の新規養成の促進や潜在的有資格者の確保、さらに団塊の世代のセカンドキャリア支援など、早急な事業展開を図ることが必要だと考えています。 まず、若い世代の介護離れを食いとめ、専門人材の新規養成を促進するために、介護を学ぶことの意義や将来の仕事の魅力や重要性について高校生本人や進路指導の先生方へ伝え、十分理解をしていただくことが重要であります。このため、障害者自立支援対策臨時特例交付金を活用して、このような活動を専門的に行うスタッフを養成校に配置し、高校などへ積極的に働きかけを行い、入学希望者の増加を図ってまいります。 また、景気が急速に悪化する中、家計の教育費負担を軽減するため、学生への就学資金貸付事業の内容を拡充し、貸付限度額の引き上げや返還免除要件を緩和した新たな就学資金制度を設け、養成校への入学者の確保を図ってまいります。 次に、資格や経験があり、現在就業していない、いわゆる潜在的有資格者の再就職の促進のためには、最新の介護技術などを学び、再就職のきっかけづくりとなる研修の機会を設けることが必要です。このため今年度から、かながわ福祉人材センターにおいて1日コースの再就職支援研修を開始しましたが、即戦力となる潜在的有資格者への期待は大変大きいため、養成校においてより専門性の高い実践的な研修を新たに実施し、取り組みを強化してまいります。 さらに、養成校において団塊の世代や地域住民など、介護の仕事に興味を持つ幅広い層に対する導入研修を実施することで、介護分野への人材参入も促進してまいります。 介護人材を安定的に確保するためには、処遇の面も含め、やりがいや魅力ある職場づくりが重要ですが、これとともに養成校の機能を最大限活用し、若い世代だけではなく、介護業務の経験者、さらには団塊の世代や地域住民など、幅広い層を対象とした介護人材の養成に重点的に取り組んでまいります。 答弁は以上であります。〔加藤元弥議員発言の許可を求む〕
○議長(榎本与助) 加藤元弥君。
◆加藤元弥議員 知事におかれましては大変ご丁寧なご答弁、ありがとうございました。 ほとんど残された時間がございませんので、自席から失礼いたします。 今回の質問は、経済及び財政危機においてこそ重要な教育問題、特に県の就業支援における職業教育を中心にいたしました。 県が介護福祉士の資格取得への支援を行ったとしても、就業にまでつながらなければ何もなりません。私は緊急経済対策調査特別委員会の委員として、今回の緊急経済対策について議論させていただきましたが、こうした就業対策の取り組みを緊急対策で終わらせることなく、専修学校のノウハウや施設を生かした具体的な就業支援のさらにきめ細かな実施を、そして神奈川の未来を担う子供たちのために、子供たちが将来の目標を持つことができる神奈川であるために積極的な支援を要望いたします。 みんなで頑張りましょう。イエス・ウィー・キャン! 以上で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(榎本与助) お諮りいたします。 本日の質問はこの程度で終わり、明25日、引き続き質問並びに質疑を行いたいと思いますが、ご異議ございませんか。〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(榎本与助) ご異議がないと認めます。 よって、本日の質問はこれで終わります。───────────────────────────────────────
○議長(榎本与助) 以上で、本日の日程は終了いたしました。 次回の会議は、明25日午後1時に開きます。 本日はこれで散会いたします。まことにご苦労さまでした。 午後5時52分 散会...