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  1. 八王子市議会 2024-06-13
    令和6年_第2回定例会(第4日目) 本文 2024-06-13


    取得元: 八王子市議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-18
    〔午前10時00分開議〕 ◎【鈴木玲央議長】 ただいまから本日の会議を開きます。   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◎【鈴木玲央議長】 日程に従いまして進行します。  つきましては、日程第1、一般質問を行います。  順次、質問を許可します。  この場合、質問時間は答弁を含め、60分以内としますから、あらかじめ御了承願います。  第40番、星野直美議員。                    〔40番議員登壇〕 ◎【40番星野直美議員】 無所属、星野直美です。通告に従い一般質問いたします。  波乱の元旦で迎えた2024年も半年が過ぎようとしています。発言通告をした6月3日の朝には能登半島で震度5強の強い揺れが観測され、映像で被災地の様子が映されていましたが、正直、半年たってもまだまだ復旧・復興が進んでいないと感じました。原因は1つではなく、高齢化が進んでいる、道路が寸断されている、避難先が多岐にわたっているなど複雑に絡み合っており、それだけに難しいのだと思います。また、行財政改革が進み、行政組織がスリム化されたことにより、復旧・復興に当たる職員そのものが不足していることも影響しているのだと思います。そのため、全国の自治体から応援職員が駆けつけて頑張っていただいています。八王子市からも保健師や清掃などの専門業務に加え、行政職も含め、これまで34人が支援に行ったと伺っております。御労苦に感謝するとともに、その経験を生かし、本市にもいつか必ず起こる大規模災害に備えていただきたいと思います。  一方で、どんなに頑張っても応援職員ができることには限界があります。土地勘がない、住民の顔を知らない、見えやすい難しさに加え、その自治体の理念が浸透しづらいことも大きく影響しているのだと思います。厳しい状況の中、職員がその困難に立ち向かっていくためには共感できる理念が必要です。つらいときにも歯を食いしばって頑張ることができる、共感できる理念を共有することが必要です。理念の内容に込められた意図を職員が酌み取り、市長に成り代わって判断をしたり、業務を行っている状態になることが理想です。そうすれば職員の業務能力が向上し、人間性も成長していくのではないでしょうか。理念の浸透には、根気よく、何度も何度も、何年も浸透し続け、カルチャーに昇華するまで続ける必要があります。市役所が何のために存在しているのか、何を目指しているのか、目的を達成するために全職員がどのように判断し、働かないといけないのかといったことを伝え続けることが大切です。このような考えの下、今回の一般質問をしていきたいと思います。  ここで、本市の公共施設と教育の理念を改めて見てみると、公共施設については、平成29年に策定した八王子市公共施設等総合管理計画において、市民と行政との協働により、将来にわたりすみよいまちづくりを実現するとあります。そして、6つの基本方針を掲げ、安全・安心の確保とライフサイクルコストの縮減や機能移転・統合によりサービスを充実するとあります。このように計画の中で資金確保の重要性について明記する一方で、新たな施設は原則として整備しない、ただし経営戦略上重要な施設を除くとされています。給食センター医療刑務所跡地サードプレイスづくりはこれに当たると判断しているものと考えられます。  まず、既存施設の活用のうち、南大沢清掃事業所の活用についてですが、1年前の一般質問で資源循環部長から次のような答弁をいただいています。南大沢清掃事業所の活用についてですが、施設の一部につきましては、多摩ニュータウン地域における緊急補修時や平時の維持補修などにおいて資材置き場や職員の待機場所などにしているところです。発災時には、災害廃棄物の処理など復旧の拠点ともなりますが、さらにスペースに余裕が生まれる場合には、その他の活用も可能だと考えております。  そこで、この御答弁を受けて、南大沢清掃事業所のさらなる有効活用を図ってもらいたいと考えますが、その方法について市の考え方をお伺いします。  次に、学校再編についてです。学校再編は経費削減や行革の一旦として取り組まれることが多いですが、本来、学校再編は子どもたちのために行われるべきものです。クラス替えがないということは、6年間、場合によっては9年間固定化された人間関係になり得るということです。社会経験が未熟な小中学生にとっては、固定化された人間関係や狭い人間関係といった問題は、より一層深刻なものになると考えられます。  そこで、学校再編後に様々な跡地活用が期待できる校地面積が2万平方メートル以上で単学級の小中学校はどのくらい存在するのかお伺いします。  また、児童・生徒数は減少傾向にありますが、直近10年ではどのような状況でしょうか。比較的校地面積が広い東部地域の状況と併せてお伺いします。  次に、関連して不登校対策です。市が施策を立案するには、初めに市の最上位計画である基本構想・基本計画に位置づけた上で、個別事業計画に実施する時期やおおむねの規模を掲載し、予算で対象者や実施方法を具体的に検討する、このような流れになるものと認識しています。特に単年度ではなく、将来の自治体運営に大きな影響を及ぼす事業については、このプロセスは必須であり、これに対し計画の段階から意見を交わし、審議するのが議会の役割であり、地方自治が二元代表制をとっている理由であると考えています。しかし、ここ数年、特にコロナ禍以降、生活困窮者に対する給付金や授業料無償化など、国や東京都の制度により、市の施策が左右される状況が増加していると感じています。地方創生臨時交付金の使い方など、議論が不足していたのではないかと私自身反省しています。また、教育における公費負担の在り方についてもしっかりと議論を重ね、何を目指すのか、そこにはどのような理念があるのかを確認し、時には修正していく必要があると思っています。  そこで、現在大きな課題となっている不登校について、改めて本市の最上位計画である八王子未来デザイン2040と第4次八王子市教育振興基本計画を見ると、不登校の課題に対応するためには、スクールソーシャルワーカーがスクールカウンセラーや教員との連携を深め、福祉、心理、教育という各視点を総合し、不登校児童・生徒の状況に応じた適切な支援を行うことが求められていますとあり、市の基本構想・基本計画に基づいた教育振興基本計画になっていることが分かります。このように計画に定めた考え方、理念に基づく施策であれば、執行機関である行政がそのときのニーズに合わせ事業を展開していくための予算を計上し、議会で審議、議決の上、実施していくのが地方自治の正しい手順であると考えています。
     本市の不登校児童・生徒数は、平成29年度は506人でしたが、令和4年度は1,832人となっています。子どもたちが社会で生きていく力を身につけられるようにすることが学校教育の意義であり、不登校の子どもたちの急増は憂慮すべき状況です。市は、令和5年6月に市立小・中・義務教育学校における不登校総合対策つながるプランを策定し、給食センターでの支援など特色ある活動を展開しているとのことですが、不登校の子どもたちを支援する給食センターでの取組はどのような目的で行っているのかお伺いします。  また、これまで給食センターを利用した不登校の子どもたちは何人いて、この取組を行ってきた課題をどう捉えているのかお伺いします。  次に、学校の出席について確認します。給食センターに行って給食を食べた子が出席扱いになるという一方、自宅においてウェブで学習をしている子が欠席となるケースがあると聞いています。不登校の子どもたちに対する出席の取扱いは現状どのようになっているのでしょうか、お伺いします。  次に、桑都ペイについてです。桑都ペイは、アプリをダウンロードし、誰でも3万円チャージすれば9,000円もらえるものでした。これまで議会でも様々な意見や提案がありました。チャージ開始時の回線トラブルや、チャージしたお金と付与されたポイントを利用し想定外の使い方をされたこと、市民以外の利用に制限をかけなかったことなど、どれも根本にあるのは、最初に方針は決めたものの、何のためにこの施策を実施するのかという理念が欠けていたことだと思います。施策を具体化していくときに判断の基準となり、よるべきものとなるのは理念です。  そこでお尋ねしますが、現在中止している桑都ペイの理念と現時点での今後の計画を教えてください。  次に、市の情報発信の充実についてお伺いしていきます。先日、由木中央住民協議会の総会に出席させていただき、懇談会での意見交換会の中で、委員の方から、市でLINEをやったほうがいいよ、若い人はもう紙は駄目、広報もLINEで発信しないとと御提案をいただきました。この御要望には、既にLINEで広報も情報発信されていることをお伝えしましたが、現在、広報はちおうじには、フェイスブック、X、LINE、それぞれのQRコードが記載されているものの、もっと工夫が必要だということだと思います。  先月視察で行った札幌市でLINEをダウンロードすると、ヒグマの出没情報のような緊急連絡、札幌市民病院外来オンライン予約開始のお知らせ、18歳以上対象の事業効果に関する市民意識アンケート調査などが配信され、八王子市のLINEより見やすく、配信される情報も絞られていると感じました。LINEを導入する自治体のメリットとして、メールやはがきなどに比べ、緊急性のある重要な情報をより多くの人に、より素早く伝えることが可能なことで、災害情報など少しでも早く知りたい情報に関してもリアルタイムで受信することができます。さらに、様々な手続も済ませることができます。墨田区では、基本メニューからイベント情報公共施設予約、公共交通の時刻表、区立図書館の開館情報や図書の検索、借りる、予約もでき、機能的にも充実してます。Xで話題になったのは墨田区ごみ案内チャットボットで、ごみとなるキーワードを入力すると当然にごみの分別方法を答えてくれますが、ごみ以外のキーワード、例えば上司と入力すると、チャットボットの猫のキャラクターが、「ごみ箱がすぐにいっぱいになってしまうニャンよ」といったユーモアに富んだ答えを出してくれます。これは、墨田区の職員が雑談機能として予想したキーワードに対し様々な答えを用意しているからだそうです。こうした工夫により、若い方によるLINE利用きっかけづくりになっています。  LINE公式アカウントのシステムでは、ターゲットとなるユーザーに友達追加をしてもらわなければ配信ができません。そこで、今回紹介した事例も踏まえ、八王子市公式LINEを市民にどのように周知していこうと思うか、さらに、八王子市の公式LINEを分かりやすく便利にするために基本メニューをもっと充実したほうがよいと考えますが、いかがでしょうか。あわせてお答えください。  また、八王子市の公式LINEでもチャットボットを効果的に利用し、様々な情報発信を試みてはと考えますが、いかがでしょうか。御所見をお伺いします。  次に、太陽光発電についてお伺いしていきます。エネルギー資源に乏しい我が国では、再生可能エネルギーの導入・普及が不可欠です。その中でも現存する技術で一定の発電成果が得られる太陽光発電は有力な選択肢であることは否めません。我が国の総発電量に占める太陽光発電の割合を調べると8.5%であり、再生可能エネルギーの中で中心となっていることが分かります。国では、再生可能エネルギーの割合を2030年には36%以上にすることを目標にしており、今後も太陽光発電を普及していく必要があると示しています。  そこでお尋ねします。八王子市はゼロカーボンシティ宣言を行い、太陽光発電設備の普及を進めているところですが、市内の太陽光発電設備の設置状況についてお伺いします。  一方で、太陽光発電システムには、多くの電子部品、端子、電線が使われており、防水等の機能が付加されていますが、電気製品であるため、経年劣化や初期不良、取付け不良による出火が十分に考えられます。今後、太陽光発電設備の設置需要が増えていくと思われます。古くなってくると火災等の危険性が増えてくると考えられますが、安全に使用が続けられるよう、市民に対する周知啓発の取組について何が行われているのかお尋ねします。  また、太陽光発電設備は、光を遮らない限り発電を停止させることは難しく、火災の初期から鎮火後まで感電の可能性があります。これは、通常の電気製品は電力供給を電力会社に回路遮断を依頼することで停止できるのに対し、電力供給を停止するのが難しいという太陽光パネル特有の問題です。消防活動中に感電を防ぐためには、まず、消火活動の対象となる建物に太陽光パネルが取り付けられているかを確認することが大切と言われています。屋根の上の台に取り付けられたパネルは外観からも比較的分かりやすいですが、今後普及が見込まれるペロブスカイト型太陽電池では、設置箇所も屋根の上ではなく、壁面等への設置も可能となり、太陽光パネルの有無を判断するのはさらに難しくなります。そのためには、建物を管理している人である設置者が、消火活動を行う人である消防に適切に情報を伝えなければなりません。日頃から太陽光パネルの利点ばかりだけでなく、こうした注意点もきちんと市民に周知し、建物のどこにどのような太陽光パネル発電設置があるのかなど、火災時の注意点などを含めた情報発信が重要だと思いますが、いかがお考えでしょうか。  太陽光発電設備の設置に対する東京都の助成事業補助の金額は、条件によっては最大599万円と大規模に行っています。同様の補助は市でも行っているものの、13万円と少額です。設置は都に任せて、点検が義務化されていない太陽光発電設備の点検費用の補助を市が行うほうが効果的であり、何より安全を確保できると考えますが、御所見をお伺いして1回目の質問を終わります。 ◎【鈴木玲央議長】 資源循環部長。 ◎【小林順一資源循環部長】 南大沢清掃事業所のさらなる有効活用についてでございますが、給食センター南大沢と連携し、施設を効果的に活用した啓発活動を進めていくとともに、施設内の会議室などについては災害時における活動拠点としての利用を踏まえつつ、東南部を管轄している所管の打合せスペースに利用していただくなど幅広い活用を図ってまいります。 ◎【鈴木玲央議長】 学校教育部長。 ◎【松土和広学校教育部長】 2つの御質問にお答えします。  まず、単学級の小中学校の状況についてですが、全学年が単学級、1クラスずつの学校は、小学校12校、中学校2校となっております。このうち校地面積が2万平方メートル以上の学校は、小学校4校、中学校1校となります。  続いて、児童・生徒数の推移についてですが、平成26年から令和6年までの10年の比較では、市立学校全体で11.9%、4,993人減少しております。また、東部地域においては16.1%、1,599人減少しております。 ◎【鈴木玲央議長】 指導担当部長。 ◎【上野和広指導担当部長】 私からは3点についてお答えさせていただきます。  まず、給食センターにおける不登校の子どもたちを支援する取組の目的についてですが、不登校の子どもたちに対して、人や社会とつながることそのものに価値を置いており、給食センターの取組はその1つの手段として展開しております。給食センターにおいては、自宅に引き籠もりがちなど社会と人との接点に希薄な子どもたちに対して、給食を通してのつながりをつくることが狙いとなります。  次に、給食センターを利用した不登校の子どもたちの人数と課題についてですが、給食センターにおける支援は令和4年度から開始し、令和5年度は年間64人、令和6年度は5月末現在で既に38人の子どもたちが利用しております。課題は、給食センターにもつながっていない、教員以外にどこともつながっていない子どもたちが令和5年度には約300人おりましたので、その子どもたちに人や社会とつながる場をつくることにあると考えております。給食センターにつながった子どもたちにつきましても、その貴重な一歩の先にさらなる展開を期待し、つながる場所の充実に努めてまいります。  続いて、不登校の子どもたちに対する出席の取扱いについてですが、これまでは各学校の判断で出席とならないケースもありましたが、現在は判断基準を明確にするため、八王子市立学校における不登校児童・生徒の出席の取扱いに関するガイドラインを策定しており、全市立学校が共通した基準で出席を判断しております。 ◎【鈴木玲央議長】 デジタル推進室長。 ◎【岡本洋デジタル推進室長】 私からは2点の質問にお答えいたします。  まず、桑都ペイの導入の理念については、本市では、行政が実施する強みを生かすため、桑都ペイを活用し地域コミュニティの活性化につながる取組を進めていくとしています。計画については、令和5年度に八王子市デジタル地域通貨基本方針を策定し、3年間をかけて効果検証をするとしています。  次に、本市のLINEと連携しているチャットボットの活用ですが、職員が用意した想定問答からAIが回答を導き出す問合せ業務を自動化した仕組みです。今後は、様々な問合せにも機械的ではなく対面のように利用者に寄り添った回答ができるようDX技術の情報を収集し、最新の生成AIによる検証を進めます。 ◎【鈴木玲央議長】 都市戦略部長。 ◎【今川邦洋都市戦略部長】 私からは、八王子市公式LINEに関する2点の質問にお答えいたします。  初めに、周知方法についてでございますが、市民向けの講座や教室で個別に登録方法を御案内しているほか、広報はちおうじや市ホームページへの掲載、イベントでのチラシ配布などによる周知に努めてまいりました。今後も様々な機会を通じ、効果的な周知に取り組んでまいります。  次に、基本メニューについてでございますが、公式LINE基本メニューは、生活の中で役立つ情報を中心に構成しており、レイアウトの工夫などにも取り組んでおります。引き続き本市の魅力の発信につながるイベント情報などを追加するほか、市民アンケートをはじめ、市民の皆様との双方向性をさらに持たせるなど、利便性が高まるよう利用者の視点に立った改善を図ってまいります。 ◎【鈴木玲央議長】 環境部長。 ◎【三宅能彦環境部長】 私からは、太陽光発電設備に関する4点の御質問にお答えいたします。  まず、現在の太陽光発電設備の設置状況についてですが、東京都太陽光発電設備現況調査では、本市は8,658棟に設置されており、設置率は5.4%となっております。市区町村の中でも高い設置率となっており、引き続き普及啓発を進めてまいります。  次に、太陽光パネル等を安全に御使用いただくための周知啓発についてでございます。経年劣化対策などの周知については、その必要性があると考えております。パネルの故障や不具合を早期に発見し、事故を未然に防ぐため、定期的な点検やメンテナンスが重要となりますので、市民や事業者に対して、設置補助申請時などの機会を通じて、メンテナンスの必要性など適正な管理等について周知啓発を行ってまいります。  続きまして、住宅用太陽光発電設備の危険性等に対する周知についてでございます。現時点において太陽光パネルの危険性の周知は行っておりませんが、その必要性は感じているところでございます。消費者庁からは、太陽光パネルやケーブルからの火災事故等の報告がされております。その原因として、屋根材と一体となった太陽光パネルは不燃材料が敷設されていないなど、重大火災につながっていたと分析されております。現在は再発防止策を講じ、設置に伴う火災等の安全性は確保されておりますが、こういった重大事故の危険性などリスク面について正しい知識を持ち、安全に御使用いただけるよう消費生活センターとも連携を図りながら周知啓発を行ってまいります。  最後に、点検が義務化されていない太陽光発電設備の点検費用の補助についてでございます。太陽光パネルをはじめ関連設備を安全に使用するために、4年に1度以上の定期点検が推奨されております。一般的には保証期間内であれば無償での点検となりますので、現時点での点検費用に対する補助金の導入については検討しておりませんが、御提案いただきましたとおり、点検の必要性は強く感じているところでございます。今後、市民、事業者が取り組みやすい環境の整備に努めるとともに、普及率の状況や国の動向などを踏まえ、段階的に検討してまいります。 ◎【鈴木玲央議長】 第40番、星野直美議員。                    〔40番議員登壇〕 ◎【40番星野直美議員】 それでは、2回目の質問をいたします。  南大沢清掃事業所の活用について、まずは環境や食に関する市民団体の利用に門戸を開いてほしいと要望しておきます。また、災害時の拠点を想定しているとのことですので、平常時からここを拠点とした訓練の実施も早期に実現するようお願いいたします。  そして、給食センターとの連携や建物内の会議室を幅広く活用していくとのことでした。給食センターにおける不登校児童に対する取組の目的は、人や社会との接点が希薄な子どもたちに対して、給食を通して人とのつながりをつくることが狙いとの御答弁でした。来ている子どもをどうするか、まだ始めたばかりなので手探りなことも多いと思いますが、貴重な一歩を踏み出した子どもたちに、次の一歩をどのように踏み出せるようにするかは大切なことだと考えます。例えば南大沢清掃事業所給食センターと不登校対策で連携ができるなら、一緒にふれあい収集に行ってもらったり、給食センターで高齢者と御飯を食べてもいいのではないでしょうか。  八王子未来デザイン2040では、不登校や心の問題など学校だけでは対応が困難な課題の解決に向けた、関係機関が連携した専門的な相談体制による登校支援の充実を掲げています。そこで、市教育委員会は、不登校対策にどのような理念や目的を持って取り組んでいるのかお伺いします。  また、食育基本法では、国民が健康で豊かな生活を送るために食育の推進を図ることを目的として、健康の保持増進、食文化の継承と発展、環境保全、地産地消の4つを基本理念に掲げています。食育基本法の前文、これはとてもすばらしい理念ですので御紹介しますと、「子どもたちが豊かな人間性をはぐくみ、生きる力を身に付けていくためには、何よりも『食』が重要である。今、改めて、食育を、生きる上での基本であって、知育、徳育及び体育の基礎となるべきものと位置付けるとともに、様々な経験を通じて『食』に関する知識と『食』を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てる食育を推進することが求められている。もとより、食育はあらゆる世代の国民に必要なものであるが、子どもたちに対する食育は、心身の成長及び人格の形成に大きな影響を及ぼし、生涯にわたって健全な心と体を培い豊かな人間性をはぐくんでいく基礎となるものである」とあります。  そこで、保健所は食育基本法を基に八王子市食育推進計画を策定しています。理念をどう捉えているのかお伺いします。  長期的な視点を持った施策を展開するには理念が必要です。子どもたちと地域や先生たちが持続可能な信頼関係を築くためには明確な学校経営の理念が不可欠であり、その理念に基づく一貫した行動が重要です。先ほども申し上げたとおり、施策を具体化していくときに判断の基準となり、よるべきものとなるのは理念です。理念に基づき目標を立て、目標を達成するために計画を立てるのが、官民問わず事業の進め方です。そして、理念と同時に重要なものは財源です。道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言である。一般的には二宮尊徳の名言とされていますが、二宮尊徳の思想、業績と言われています。この言葉は現在にも広く浸透しており、道徳なき経済は犯罪でありは、利益を出すためなら何をしてもいい、それでは犯罪になってしまうという考え方で、企業の社会的価値や倫理観とは何かを問うものです。経済なき道徳は寝言であるは、持続するための仕組みを持たない経済は、単なる妄想であるということです。物やサービスは持続してこそ社会の役に立ち、発展につながります。資金のことを考えずに経営をしていたら、資金不足で継続できなくなってしまい、サービスが続けられなくなり、社会に大きな影響を与えます。これは企業だけではなく、自治体や非営利組織の運営にも同様のことが言えます。経営論で有名なドラッカーは、非営利組織にはプランニング、マーケティング、人、資金の4つのものが必要であるとしています。どのような形態であれ、事業を継続していくためには何を目指すのかという理念と資金調達をセットで考える必要があるということです。  そこで、組織の中枢である総合経営部長にお伺いしますが、市長の経営理念である三方よしと事業継続のための資金調達について、どのように考えているのかお聞かせください。  昨年、第1回定例会の代表質疑では、歳出規模の適正化について、既存事業の内容を不断に見直すとともに、施策効果の高い事業に経営資源を重点的に配分することで、歳出規模の適正化を図ることが重要であると認識をしております。将来を見据え、学校施設再編や機能集約といった公共施設マネジメントの強化など、経営改革の取組を着実に進め、行財政運営の持続可能性を追求してまいりますという答弁をいただいています。学校を含む公共施設は、比較的平たんな土地、かつ広い面積が良好な場所に確保されています。統廃合を進め、用地を創出できるよう取り組むことが必要という提案を本年度予算の討論で述べさせていただいております。学校再編は用地創出が主たる目的でないことは承知していますが、再編の結果として生み出された用地の利活用は、持続可能な行財政運営につながるものと考えます。歳出の適正化や新たな歳入の確保など、行財政改革をしっかりと進めていくことが不可欠と考えますが、市としての御所見を植原副市長にお伺いします。  次に、学校再編についてですが、例えば小規模校について、特に複式学級では、教育方法の特殊性や全体人数の少なさに起因する問題もあります。また、小規模の維持費用も高くなり、公費負担が大きくなるのと同時に、児童・生徒にとって適切とは言い難い学習環境になってしまっていることも考えられます。そこで、学校再編の検討について単学級の解消をどう考えているのかお伺いします。  次は、情報発信についてです。生成AIやLINEの活用について、学園都市である本市では、学生の感覚も取り入れながら充実させていくことができると思います。事業の効果に関する市民意識調査など、アンケートに若い人たちに参加していただくことは、これまでと違う事業展開や学校運営ができるかもしれません。期間限定で始めた桑都ペイですが、地域通貨である桑都ペイのアプリを多くの人がダウンロードしたという事実は評価できるところです。これほど多くの市民が特定のアプリをダウンロードしている利点を生かせるのは今しかありません。時の経過とともに存在が忘れられ、削除されてしまいます。できるだけ早く理念に合った施策を打ち出し、活用方法を提示しないと、多額の費用をかけて特典をつけた意義が薄れていってしまいます。既存のポイントやサービスを利用したり、別の目的を持ったアプリと併用できるようにしたり、方法は幾らでもあると思います。桑都ペイの市民のダウンロード率は非常に高く、この成果を活用しなければもったいないです。  そこで、どのようなスケジュールで計画を実施する予定でしょうか。また、桑都ペイを活用してどのような成果につなげていこうと考えているのかお伺いします。  次に、太陽光発電についてです。正しい知識を持ち、安全に使い続けるための周知啓発について取り組んでいくとのことでした。太陽光発電設備については、専門的な点検は難しくても、目視等で異常がないか確認することが求められています。資源エネルギー庁が公開している太陽光発電の事業計画策定ガイドラインでは、太陽光発電協会の定める保守点検ガイドラインにのっとって点検を行うようにと記載があり、4年に1回の点検を求めています。太陽光発電を長期にわたり安全かつ有効に利用するためには、設置者に対し、このような点検をしっかりと実施していただく必要があります。  国も消費者庁が調査し、注意喚起している中で、八王子市でも第3期消費生活基本計画では関係機関と連携すると示されています。環境部からは点検費用の助成も検討するという御答弁もいただいております。これまでのような設置に対する補助や啓発だけではなく、設置した設備を長期間利用できるようなメンテナンスに対する周知や支援が必要と考えますが、御見解をお伺いして2回目の質問を終わります。 ◎【鈴木玲央議長】 指導担当部長。 ◎【上野和広指導担当部長】 不登校対策における理念や目的についてですが、子どもたちひとりひとりの社会的自立を目指すため、まずは保護者以外の大人への信頼感、最低限それだけは身につけてもらうことが大切だと考えております。今後も学校と保護者との協力関係を軸とし、社会や地域の方々との連携による多様な支援メニューを活用しながら、子どもたちが社会で生きる力を身につけられるよう支援してまいります。 ◎【鈴木玲央議長】 保健所担当部長。 ◎【鷹箸右子保健所担当部長】 私からは、八王子市食育推進計画についてですが、食育基本法の理念に基づきまして、全ての市民がそれぞれのライフステージに応じた正しい食生活習慣を身につけ、食と上手に付き合うことを施策の柱の1つに掲げております。児童・生徒につきましては、生涯を通じて自立した食生活を送る上で特に重要な時期であることから、食に関する知識やマナーの習得に努めるとともに、体験を通じて食育への関心や食を選択する力を高め、バランスのとれた食生活の習慣化につながる取組を推進することとしております。 ◎【鈴木玲央議長】 総合経営部長。 ◎【真辺薫総合経営部長】 事業継続のための資金調達についてですが、市長の経営理念である三方よしは、八王子未来デザイン2040に掲げた各施策を着実に推進することだと考えております。人口減少や少子高齢化により、今後ますます厳しい行財政運営が予想されることから、限られた経営資源で持続可能な自治体経営を行うため、経営計画に基づき、税収の増加につながる企業立地の促進や事業の再構築を進めるとともに、中長期的な視点による経営マネジメントを一体的に推進してまいります。 ◎【鈴木玲央議長】 学校教育部長。 ◎【松土和広学校教育部長】 学校再編による単学級の解消についての考えですが、令和4年に定めた市立小・中学校再編基本方針では、将来にわたり学校の適正規模を維持できるよう再編を行うこととしております。望ましい規模については、小学校、中学校ともに12から18学級であり、この規模を維持できるよう検討を進めているところです。 ◎【鈴木玲央議長】 デジタル推進室長。 ◎【岡本洋デジタル推進室長】 桑都ペイについてお答えします。スケジュールについては、東京都が導入予定としている仮称Tokyo Tokyo Point事業の動向を注視しながら、本市が主体となった詳細なロードマップを作成してまいります。また、今後の活用については、令和5年度に実施したイベント等でのポイント付与に加え、さらに地域活動、ボランティア活動、あるいはアンケート回答でポイントを付与する仕組みづくりにも取り組んでまいります。 ◎【鈴木玲央議長】 市民部長。 ◎【横溝秀明市民部長】 住宅用太陽光発電システムの点検、周知啓発についてでございますが、議員が先ほどおっしゃいましたとおり、第3期消費生活基本計画の中では、事故情報などについて消費者庁をはじめ関係機関と連携し、市民への迅速な情報提供を行うとしております。住宅用太陽光発電システムを起因とした事故情報は、本市では今のところ確認されておりませんが、今後経年劣化による事故等のリスクが懸念されることから、長期間利用するためのメンテナンスなど点検の重要性につきまして環境部と協力しながら、八王子市消費生活ニュースや市ホームページなどを通して周知啓発を行ってまいります。 ◎【鈴木玲央議長】 植原副市長。                    〔副市長登壇〕 ◎【植原康浩副市長】 歳出の適正化や新たな歳入の確保など、行財政改革の取組についてお答えいたします。  人口減少、少子高齢化が進んでいる状況において、また、新たな社会課題や行政需要に対し、経営資源の確保と適切な配分は大変重要な問題であると認識しております。サンセット方式による既存事業の見直しや学校再編、施設の機能集約といった公共施設マネジメントの推進など、歳出の適正化とともに企業誘致などの歳入確保に努め、不断の行財政改革により、将来にわたって持続可能な行財政運営を着実に実施してまいります。 ◎【鈴木玲央議長】 第40番、星野直美議員。                    〔40番議員登壇〕 ◎【40番星野直美議員】 それでは、3回目の質問をいたします。  太陽光発電の導入は、固定価格買取り制度が始まった2012年以降に急拡大し、耐用年数は20年から30年と言われており、2030年代半ば以降には大量廃棄のピークが訪れることを見越して、今月11日、政府が太陽光パネルのリサイクル義務化への法制化を検討されることが報じられました。消費生活センター設置の目的は、消費者被害の救済や暮らしに役立つ情報提供、消費者教育と啓発などの行政サービスです。市民の安全確保のために周知啓発を行っていただきたいと思います。  また、保健所の食育推進計画では、食に関する知識やマナーの習得、体験を通じた関心の向上、食を選択する力の向上など、全ての取組が最終的にバランスのとれた食生活の習慣化につながるという理念を持って計画を推進してほしいと思います。  また、給食センターでの不登校対策では、つながる場の提供を引き続き行うとのことでした。給食センターに来られるようになったことをきっかけに、勉強したいという生徒もいたと伺っています。八王子未来デザイン2040に掲げたとおり、スクールソーシャルワーカーなど専門家を充実させ、こうした子どものニーズに応えるよう専門的な相談体制を整え、学びを止めないようにしていただきたいと思います。  学校再編について、児童・生徒数の推移を見ると、平成26年から令和6年まで10年の比較において、市立学校全体で約12%、5,000人、東部地域においては約16%、1,600人減少しているとの御答弁でした。また、全学年が単学級の学校は小学校12校、中学校2校とのことから、適正規模になっていない学校が増加する中、それによる子どもたちへの影響をどのように考えているのか、教育長の御所見をお伺いします。  最後に、理念を計画に落とし、実行できてこそ、市長の経営理念である三方よしを実現できるのではないかと考えています。どんなにいい施策であっても、必要とする人に必要な期間継続できなければただの妄想になってしまいます。そのためには時代のニーズを敏感に察知し、事業を厳選する選択力と、それを行動に移す決断力が不可欠です。  そこで市長にお伺いします。若い人たちに、将来にわたり安心して生活ができる環境が整っている、幸せな人生を送れると感じてもらえるような施策を展開していってほしいと思いますが、どのように進めていくかお考えをお伺いして、一般質問を終わります。 ◎【鈴木玲央議長】 安間教育長。                    〔教育長登壇〕 ◎【安間英潮教育長】 学校の規模による子どもたちへの影響に関する対応についてでございますが、子どもたちが集団の中で多様な考えに触れ、認め合うことで、それぞれの資質を伸ばしていくという学校の特質を踏まえれば、その主眼となるのは、適正規模を踏まえた学校の適正配置を進めていくことであると認識しております。本市は、小規模の学校においては、少人数での個に応じた学習活動や地域との密接なつながりを通じた体験活動など、そのメリットを最大限に生かすことで子どもたちの教育条件を確保してきたところでございます。こうした状況を踏まえて、今後も引き続き、児童・生徒のよりよい教育環境を確保するため適正配置の検討を進めてまいります。 ◎【鈴木玲央議長】 初宿市長。                     〔市長登壇〕 ◎【初宿和夫市長】 第40番、星野直美議員の一般質問、若い人たちが幸せな人生を送れると感じてもらえるような施策展開についてお答えを申し上げます。  現在の若い方々の中には、教育、健康維持、住まいなどに関わる費用、生活の基礎となるなりわい、雇用市場での実質賃金の低迷、ギグエコノミーと言われる不安定な労働形態など、経済的な安定と全体的なウェルビーイング、幸せ、これを阻害する大きな障壁に直面している方々がいると認識をしております。また、ソーシャルメディアによる外部社会とのつながりの反面、直接の人間関係の希薄さを強く感じることによる社会的孤立に悩む若い方々も少なくございません。さらには、若い方々が将来を展望し、子育てについて考えた際に、チャイルドペナルティやマミートラックなどと表現される子育てに希望を持つことが厳しくなるような情報に接する状況にもございます。一方、地球環境や社会貢献への関心の高まりなどにより、学生など若い世代の企業選びにおいて、賃金などの処遇より、企業の価値観が自分自身の価値観とどれだけ一致するかなどを重視したエシカル就活が広がりを見せるなど、金銭面だけで幸福度をはかることが適切でない側面もございます。このような環境に置かれ、多様な側面を持つ若い方々や子育て世代の皆様にも、この八王子市で将来にわたり安心して生活し、幸せな人生を送っていただきたい、このように考えております。  平成24年、2012年にまとめました八王子市の基本構想には、まちづくりの基本理念として、私たちは、この豊かな自然と歴史を次世代に継承し、そして人々が支え合い、信頼のきずなでつながり、生きる喜びを感じられる新たな時代に向けてまちづくりの基本理念を定めましたと書かれております。この市民の思いである基本構想を受け継いだのが八王子未来デザイン2040であり、この実現が八王子市民の幸せにもつながるものと考えております。  さらに、市の計画以外の取組といたしまして、八王子市役所では、新しい雇用形態、八王子版ジョブ型雇用の試みを始めております。先月、国家公務員の人材確保を考える人事院の人事行政諮問会議が中間報告をまとめ、年功序列を脱して、能力や業績に応じた処遇を徹底すべきといたしました。能力や業績に基づいて権限や責任の大きいポストに登用し、給与はその高い市場価値に見合った額に引き上げる、いわゆるジョブ型雇用の発想です。八王子市役所では、国や他の自治体に先んじて、この4月から八王子版ジョブ型雇用を試行しております。日本の公務員組織におけるリーディングケースともいえるこの取組例のように、社会経済環境の変化に時機を逃さず、的確に対応し、政策を推進し、すべての人が輝き、やすらげる街八王子の実現に取り組んでまいります。 ◎【鈴木玲央議長】 第40番、星野直美議員の質問は終了しました。  次は、第17番、森喜彦議員。                    〔17番議員登壇〕 ◎【17番森喜彦議員】 立憲民主・市民の会、森喜彦です。今回、同性パートナーシップ宣誓制度、教育センターの在り方、公園の管理運営の3点について通告させていただきました。順次質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。  同性パートナーシップ宣誓制度については、既に他の議員からも質問がありましたので、説明については簡潔にいたしますけれども、同性同士の婚姻が法的に認められていない国において、自治体が独自にLGBTQカップルに対して結婚に相当する関係を証明する証明書等を発行することで、法的な婚姻によって発生する様々な権利やサービスを同性カップルにも受けやすくする、そのような制度です。医療機関における情報提示や生命保険の受け取りにパートナーを指定すること、携帯電話の家族割などが民間のサービスとしては挙げられますけれども、2015年に渋谷区と世田谷区において日本初となる同性パートナーシップ宣誓制度が設けられて以降、全国で同類の制度を備える自治体が急増しています。  公益社団法人Marriage for All Japanによりますと、2024年5月現在で458の自治体が同性パートナーシップ宣誓制度を導入しています。東京都においてもおととしの11月に制度が施行され、同様の制度を整備している都内23の市区が相互連携できる協定を結んでいます。今年5月末現在、東京都に受理証明書を申請したのは1,222組と発表されています。東京都に受理証明書を申請するのは、さきに申し上げた23の市区を除く制度未整備自治体に在住の方が多いと思われますので、この制度がいかに待ち望まれていたのかうかがい知ることができます。  パートナーシップ宣誓制度は、相続とも事実婚とも異なり、相続やパートナーの子に対する親権の扱いなど法的な保護が受けられない場面は依然残りますけれども、社会の実態のレベルでは、主に民間サービスを受ける場合に、法的な関係と同等に扱われる場面が増えています。  憲法は、第14条で「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において差別されない」と定めておりますけれども、施行後四半世紀が過ぎても、これらの差別は解消されておりません。憲法はまた、第24条第1項第2号で婚姻について定めておりますが、ここに規定されているのは、本質的に個人の尊厳と両性の本質的平等であり、同性愛者を婚姻制度から排除すべきでないとする解釈が広く受け入れられ、今年3月14日に札幌高裁は、同性カップルの婚姻を認めない民法などの規定は憲法に違反すると訴えた集団訴訟において、婚姻は両性の合意のみに基づいて成立すると定めた憲法24条第1項は同性婚も保障すると理解できるとの判断を示し、民法や戸籍法の関連規定を違憲としました。  日本はこれまで政治、行政、法律において、性的指向や性自認について言及することがありませんでしたから、自治体、社会や企業、学校など公共の場においては、LGBTQがいないことを前提とした仕組みがつくり上げられてしまいました。人によってつくられてしまった制約は、意識して取り除いていかなければならないと思います。  パートナーシップ宣誓制度を独自で構築している自治体や、東京都の受理証明書により対応できる業務を明示している自治体窓口においては、対応できる業務に差異がある状況ですけれども、受理証明書が社会の様々な場面で活用されることにより、ひとりひとりの尊厳が守られ、多様性を認め合う社会の実現に近づくことを期待しております。  そこでお伺いしますが、東京都の条例により始まったこの制度を市ではどのように評価されていますでしょうか。また、本市における状況について伺います。都制度施行後の取組状況についてお示しください。
     次に、教育センターの在り方についてお尋ねします。昨年の第2回定例会でも取り上げさせていただき、1年が経過いたしました。前回は、建築から50年余りがたとうとしている教育センターの設立の経緯、果たしてきた役割、今後の活用に向けた検討について要望させていただくとともに、教育センターに限らず様々な公共施設が今後次々と大規模修繕などのメンテナンス期を迎えるに当たり、周辺公共施設との複合化、多機能化など公共施設マネジメントの考え方、関係所管との連携も必要という議論をさせていただきました。しかし、どの施設とどのように複合化していくのかという議論以前の問題として、行政サービス各分野の将来像、ビジョンやグランドデザインが書かれていなければ、受け皿たる施設の要件は見えてきません。  教育センターに関して申し上げれば、教育の中核的施設として、教育に関する専門的、技術的な調査や研究、学校図書館サポートセンター事業や教育相談に関する業務、教科書センターの運営のほか、中核市になってからは教員の研修拠点としても機能しており、八王子市の児童・生徒にどのような教育を行うべきか、現場の知見と意見が集積する場であると認識しておりますし、近年ではICTの教育環境整備や活用など新たな課題にも対応していかなければなりません。  昨年、八王子市教育研究所が教育センターに設置されました。以後はちけんと略させていただきますけれども、はちけん設置の背景は、教育公務員特例法や教員免許更新制度の改正があるとのことですけれども、まずは現在の取組状況についてお示しください。また、それら事業をはちけんで取り組む理由、すなわち、はちけん設立の理念と目的についてお尋ねします。従前の教育センターの取組と比較し、何がどのように変わったのかお答えください。  続きまして、公園の管理運営についてお尋ねします。市民にとって身近なオープンスペースである公園は、地域の憩いや住民同士の交流、スポーツやイベントなど各種アクティビティ、環境保全や景観保全など様々な役割を担っています。公園とは何かと100人に聞けば、100通りの理解と目的があるのではないかと思われるほどですが、八王子市では900ヵ所以上ある公園を規模や性質などにより大きく7つに分類しています。街区公園、近隣公園、地区公園、総合公園、運動公園、特殊公園、都市緑地です。街区公園や近隣公園、地区公園は広さによって区分されており、街区公園は2,500平米程度、近隣公園は2万平米程度、地区公園は4万平米程度。そのほか、まちの広場、児童遊園のようにまちなかの小さな遊び場、児童遊園、都立公園もあります。  市内の公園の面積は、市管理で550万平米、都管理で100万平米を超え、市民1人当たりの面積は12平米程度と必要十分な面積を確保していると思われます。人口増加、都市の拡大期には増加していた都市公園ですけれども、人口減少、コンパクトシティ化が進む時代を迎えるに当たって、総面積の減少、配置と機能の再編のほか、公園のマネジメント、管理手法なども見直しが進んでいます。公園の設置や廃止を行うのは市かもしれませんけれども、検討のプロセスはどのようにあるべきか、指定管理者の選定をどのように行うのか、公園の多機能化や利用をどう考えるかなど、論点は多岐にわたります。  現在、富士森公園や小田野中央公園、まちの広場や児童遊園の管理は市が直営で行っており、それにより現場技術の蓄積、継承、即応力の維持が図られておりますけれども、市の公園や緑地の管理は、その大部分が指定管理者によって担われています。市内を7つの地区に分け、エリアで公園緑地を管理するほか、運動公園などはエリアとは独立して個別で指定管理者が定められております。  まず、基本的な認識からお尋ねしますけれども、公園の管理運営において、業務委託ではなく指定管理者が導入されている理由、そのメリットについてお尋ねします。  指定管理者制度においては、指定された期間を満了し、次期指定管理者を指名する際の過当競争により、事業者では、非正規雇用の拡大や固定化、運営費用の確保に苦慮しているとの報道を多く目にします。特に近年は、コロナ禍による利用料収入の減少、水光熱費の高騰、人件費の高騰などで、5年前に見込んだ指定管理料では賄い切れないとする事業者が全国で増えています。本市においては状況に応じて指定管理料を補正し対応しておりますけれども、予算不足のしわ寄せが法令違反や安全基準違反の状況を生み、サービス基準が守れない、危険や事故の発生、施設の閉鎖など、市民サービスに重大な影響が出る事例が全国には散見されており、制度の疲弊が指摘されております。提供するサービスの分野や施設の特性により、状況に差異はありますけれども、契約更新のたびにサービス合戦、価格競争の波にさらされる制度の本質的な問題だと思います。  そこでお尋ねしますけれども、本市公園の指定管理料の動向について、まずはお示しください。  これで私の1回目の質問を終わります。 ◎【鈴木玲央議長】 総務部長。 ◎【太田浩市総務部長】 私からは、東京都パートナーシップ宣誓制度施行後の状況について2点の御質問にお答えいたします。  まず、東京都のパートナーシップ宣誓制度の評価についてですが、同制度は、性的マイノリティの方々の生活上の困り事を軽減するなど暮らしやすい環境づくりにつながる制度であり、本市の基本計画、八王子未来デザイン2040に掲げる施策である、ひとりひとりが尊重される地域社会の構築に一致するものと考えております。  次に、これまでの取組についてですが、本市では、東京都のパートナーシップ宣誓制度を活用し、市営住宅への入居や住宅セーフティネット制度における家賃低廉化補助住宅への入居申込み、市営霊園の申込みのほか、有料老人ホーム及びサービス付き高齢者向け住宅の入居に対応してまいりました。また、多様な性の尊重や理解増進の取組として関連所管と連携し、職員研修の実施やLGBT電話相談を開設してまいりました。 ◎【鈴木玲央議長】 指導担当部長。 ◎【上野和広指導担当部長】 私からは2点についてお答えさせていただきます。  まず、八王子市教育研究所の現在の取組についてですが、令和5年4月に開設し、学力向上の取組として、はちおうじっ子ミニマム、八王子市教員研究生事業、教員研修、研究推進、情報教育、特別支援教育、幼児教育・保育との連携、理科教育を主に担当しております。  次に、教育研究所はちけんの理念と目的についてですが、理念につきましては、八王子市立学校の教育の質の向上によるブランド化となります。この理念を実現するための柱として、教員ひとりひとりが研究に取り組む機会と環境の提供、高度専門職としての教師の資質能力の向上、市立学校の研修の充実、創造的・挑戦的な研究を支援、多様な資料等にアクセスできる機能の3点を掲げております。 ◎【鈴木玲央議長】 学校教育部長。 ◎【松土和広学校教育部長】 これまでの教育センターとの違いですけれども、教育相談や研修の場として大いに利用していただいておりますけれども、はちけんが設置されたことにより、教育課題への調査研究や教職員の方々の指導技術や教科の専門性の向上を目指し、これまで以上に活用される施設となってきております。 ◎【鈴木玲央議長】 まちなみ整備部長。 ◎【小林中まちなみ整備部長】 公園の管理運営に関する2点の質問にお答えいたします。  まず、指定管理者制度のメリットについてですが、指定管理者制度は公共施設の管理運営を民間事業者等へ包括的に委任することを可能とする制度で、民間の知識や技術を公園の維持管理業務に活用することにより、効率化や品質の向上が期待されるものでございます。  次に、公園の指定管理料の変動についてでございます。指定管理料は、人件費や電気代などの高騰などの影響のほか、一部要求水準の変更などもあったことから、直近の更新において、おおむね5%から25%程度の増加となっております。 ◎【鈴木玲央議長】 第17番、森喜彦議員。                    〔17番議員登壇〕 ◎【17番森喜彦議員】 それぞれ御答弁ありがとうございました。  パートナーシップ宣誓制度については、東京都が整備した制度の評価と本市における経緯について確認させていただきました。都制度は、ひとりひとりが尊重される地域社会の構築につながるものであって、八王子未来デザイン2040の趣旨に沿っているとのことでした。本市においては4つの事業について対応している旨もお答えいただきましたけれども、他市の事例を拝見するに、育児や税務など、対応業務にもう少し広がりがあってもよかったのではないかという思いもあります。  同性パートナーシップ関係で、民間サービスにおける多くの家族要件がクリアされるようになりつつありますけれども、法律婚とは異なりますので、この制度をもってしても、法的、制度的な部分での制約は数多く残ります。同性間の婚姻を法制化することは、国際的には既に大陸の東西を問わず37ヵ国、パートナーシップ制度を設けている国も含めれば、世界の2割の国が制度を整備しています。GDP上位10ヵ国で未整備の国は日本と中国だけ。  ジェンダー平等に関してもう一つ申し上げれば、先日、経団連が選択的夫婦別姓を導入するよう提言を公表しました。ビジネス上は旧姓や通称名を使っているのに、パスポートや特許、論文などは戸籍名しか認められていないので、ビジネス上でトラブル、実害が生じています。経団連はこれを経営上のリスクと言っておりますけれども、強制的に夫婦どちらかの姓になるのは、これもまた世界で日本だけです。ジェンダー平等は世界の潮流ですけれども、政治が社会のこうした現状から目を背け続ける限り、日本の一人負けは続くと思います。  国の法整備が社会の現状に追いつかない中、住民の実態に寄り添った基礎自治体の施策の広がりが国に対応迫る事例は過去多くあります。公害対策、交通安全対策、環境保護、個人情報保護、新型コロナウイルス感染症対策、近年では学校給食の無償化もその1つに加わりましたけれども、パートナーシップ宣誓制度の広がりもそうした1つになるかもしれません。今次国会に上程してされております地方自治法改正案に対する懸念や疑問が他の議員からも言及がありました。地方の実情に立脚し、市民の生活実態に寄り添った対策を打つことができるのが地方自治の強みであり役割です。その点、国の指示権拡大は地方分権に逆行するものと懸念します。  話が少しそれましたけれども、国は自治体の声にもっと耳を傾けるべきと考えますし、地方での実践を積み上げることが、国の制度改正を働きかける大きなうねりにもつながっていきます。八王子未来デザイン2040が目指す社会の実現に向けて、今後も継続して取り組んでいただきたいと考えます。  他市の状況を見ておりますと、例えば武蔵野市のパートナーシップ宣誓制度は、同性パートナーだけでなく異性パートナーをも包含する制度になっています。三鷹市は、罹災証明書の申請を認めたり、被災死亡者の遺族に支給される災害見舞金の対象にもなっております。国分寺市では、制度利用者が亡くなった場合に、市が保有する個人の情報をパートナーに提供できる制度を整備しています。また、どういう関係であればパートナーとみなすのかという認定の要件も自治体ごとに差異があり、決して金太郎あめの政策ではなく、自治体それぞれで真摯な議論が行われております。ぜひ八王子市でも各地の事例と現場の気づきを政策に昇華し、八王子市独自のパートナーシップ宣誓制度を構築してもらいたいと考えますが、その前段として東京都のパートナーシップ宣誓制度をしっかりと生かしてもらいたいと思います。  2022年11月に都制度がスタートする際に、本市において対応業務を4つに絞った理由についてお尋ねします。また、今後対象業務を拡大していくお考えはあるのかについてお尋ねします。  対象業務の拡大に向けては、当事者ニーズのほか、政策に対する市民理解も欠かせません。理解の促進、普及啓発に向けてどのような条件整備が必要とお考えか、市の見解を伺います。  はちけんについてです。はちけんは、八王子市立学校の教育の質の向上によるブランド化を理念とし、教員ひとりひとりが研究に取り組む機会と環境の提供、高度専門職としての教師の資質能力の向上、市立学校の研修の充実、創造的・挑戦的な研究を支援、多様な資料にアクセスできる機能を柱に調査研究や専門性が向上していくということでした。今挙げられた3つの柱は、これまでも教育センターで取り組まれてきた内容を含んでいると思いますし、特に不登校傾向にある児童・生徒への対応は、全国に先駆けて取り組んでこられました。これからも力を入れていかれることを期待しております。  教育センターの機能を生かすことではちけんの理念が果たされることを期待したいと思いますが、はちけんを設置したことにより、将来八王子市の教育がどのように変化していくのでしょうか。  また、研究所の設置によるブランド化が及ぼす効果についても様々あろうかと思います。東京都教育委員会には3万8,000人近い小中学校教員が在籍していますけれども、八王子市独自でこのような取組をしているということは、八王子以外の地区の学校関係者にとっても魅力に映ると思います。八王子に有為な人材を呼び込むためにも、取組や魅力が内外に伝わるような取組が必要かと思いますが、考えをお聞かせください。  教育を取り巻く諸課題は、社会情勢の変化に伴い今後も変わっていきます。近年ではDX化に伴うICT教育への対応などが大きなテーマの1つとなっておりますけれども、今後、少子化やグローバル化はさらに進み、市民が公教育に求める内容や水準、教育現場を取り巻く環境も変化し、それらを取り巻く業界の範囲や関係者も広がっていくことと思われます。はちけんの今後の考え方は、教育センターの在り方や改修計画に生かされていくと考えてよいのか、その点についてお尋ねします。  公園の管理運営についてです。本市の公園管理に導入されている指定管理者制度は、一般に公共施設の管理運営に民間活力を導入することをもって管理経費の縮減と住民サービスの向上が両立することを目的にすると言われております。管理経費の縮減度合いは、行政側の支出側の推移をもってはかることができると思われますが、サービスの向上度合いについては、その変化を適切に評価する基準を別途定める必要があります。指定管理者制度の特徴の1つとして、公園管理者は公園利用者からイベント参加費や施設の利用料などを徴収することができ、自治体からの指定管理と徴収した料金が管理に要する費用を上回った場合は、指定管理者の裁量でそれらを処理することができます。よりよいサービスを提供することで利用者が増え、利益が上がればさらによいサービスを展開することができる。行政、市民、指定管理者、それぞれにメリットがあり、最近よく使われる言葉で言えば、三方よしが図られるのが理想です。  しかし、公園における施設利用料を徴収できるところは、イベントを呼び込める広さや運動施設を備えた公園などに限られます。すなわち手をかけて利用者が増えても収益につながらない公園が大多数と言えます。自動販売機などの収入も考えられますが、指定管理による民間活力とはまた違った議論になろうかと思います。他の議員の質問の中でも、指定管理者は草刈りを年5回、木の剪定を年一、二回しているといった紹介もありましたけれども、住民の期待に応えるべく回数を増やすことは、管理費の増大、裏を返せば指定管理者の利益減少につながります。  そこでお尋ねしますが、指定管理者制度におけるインセンティブ、事業者にとってのメリットをどのようにお考えでしょうか。  さきに申し上げましたとおり、指定管理者が公園を適切に管理運営し、住民サービスが向上したと判断するには様々な評価手法があります。指定管理者や行政側によるセルフチェックだけでなく、利用者である住民の意見が反映されることが重要と考えます。しかし、十人十色の公園要望を取りまとめていく困難さ、行政がそれぞれの公園に求めているコンセプトや役割との調和など様々な要素があり、評価は難しいと思います。こうした中で、利用者のニーズを満たし、住民サービス向上に向けた取組はどのように行われているのでしょうか、お尋ねいたします。  街区公園も花壇があって、ベンチがあって、遊具があってなどと基本的な構成はありますけれども、地理や歴史や自然などの特徴を生かすことで公園の魅力はさらに増していきます。公園アドプト制度は、地域住民や団体が花壇や低木の手入れをすることで植栽の種類や季節の花々に個性が生まれ、関わっている人の顔が見え、公園が身近に感じられます。しかし、公園アドプト制度で整備されている花壇は数多くある中の一部ですし、高齢化により活動継続が難しいとする団体も増えてきております。公園の維持管理業務は指定管理者によるものだけでなく、障害者就労施設やシルバー人材センターなど第三者委託も行われているようです。スーパーマーケットで並ぶ商品には、生産者の名前やストーリーが紹介されているものもあり、商品の魅力や信頼性を高めています。公園においても、利用者や地域の方々の公園への愛着や美化意識は、管理者の見える化や信頼関係により大きく影響するものと考えております。  そこでお尋ねしますが、利用者との交流に関してどのような取組が行われておりますでしょうか。  また、市民参加型の公園をつくっていくためには、個々の公園に対するコンセプトを設定し、管理計画を立てることが重要です。八王子駅南口集いの拠点整備には、ワークショップが繰り返し開かれ、どのような公園をつくりたいか、公園をどのように利用したいかなど様々な声が寄せられています。規模感は違いますけれども、既存の公園の整備にもこうした手法を取り入れてほしいと思います。公園の管理運営に際し、コンセプトや管理計画について市民参加がなされているか、直近の事例があれば、この点について伺いたいと思います。  これで2回目の質問を終わります。 ◎【鈴木玲央議長】 総務部長。 ◎【太田浩市総務部長】 2点の御質問にお答えいたします。  まず、対象を4業務にしたこと、また対象業務の拡大についてですが、全庁に照会し、実施可能な業務を確認した上で4業務に取り組むことといたしました。今後、庁内における東京都パートナーシップ宣誓制度への理解をさらに進め、各所管において実施可能な業務について掘り起こしを進めていくことで、活用できるサービスの拡充を図ってまいりたいと考えております。  次に、理解の促進、普及啓発に向けて必要な条件整備についてですが、これまで世論調査などのアンケート調査により、幅広く市民の皆様の御意見をお聞きしております。こうした調査の結果を考慮し、どのように多様な性の尊重や理解増進を図っていくか慎重に判断してまいりたいと考えております。 ◎【鈴木玲央議長】 指導担当部長。 ◎【上野和広指導担当部長】 私からは2点の御質問についてお答えさせていただきます。  まず、はちけんの設置に伴う今後の八王子市の教育への変化についてですが、はちけんの機能である実践教育の推進、学校教育の支援、情報の収集、交換、提供を充実させていくことで、高度専門職としての教師の育成と市立学校の課題に関する調査研究機能の一層の充実及び強化が図られることが期待できると考えております。  次に、はちけんの魅力の発信についてですが、八王子市教育研究所のホームページや毎月発行している所報はちけんにおいて、八王子市が進める教育や八王子市教員研究生の取組、市立学校の研究、教員研修の様子など、学び続ける教師の姿を積極的に発信してまいります。 ◎【鈴木玲央議長】 学校教育部長。 ◎【松土和広学校教育部長】 教育センターの在り方、改修計画の考え方についてですが、今後実施していかなければならない施設の改修工事ではありますが、はちけんの取組を踏まえ、その意義を十分に発揮できるような整備を行ってまいります。 ◎【鈴木玲央議長】 まちなみ整備部長。 ◎【小林中まちなみ整備部長】 4点の質問にお答えいたします。  まず、指定管理者制度の事業者にとってのメリットですが、公園の指定管理期間は5年間としており、この間事業者は安定した収益を得ることができるため、経営の安定化につながるものと思われます。また、公共施設の管理を担うことにより、認知度や信頼性の向上にも寄与するものと考えております。  次に、公園利用者等へのサービス向上の取組についてですが、指定管理者は、公園利用者へのサービス水準の維持向上を目的に、毎年利用者満足度調査を実施し、管理計画等の見直しの基礎資料として役立てております。市は、四半期ごとの事業報告等により利用者の満足度や管理状況の把握に努めております。  次に、指定管理者と利用者の交流についてですが、指定管理者自らが実施する利用者満足度に関するアンケート調査やイベントによる集客事業は、利用者との交流にも寄与するものと考えております。また、公園アドプト制度に登録されている団体の皆様とも、日常的な調整を通じて良好な信頼関係が維持されているものと考えております。  最後に、公園を整備する際の市民参加の直近の事例についてですが、令和6年4月に開園した高尾山ふもと公園の整備では、企画段階から地元住民や商業者などで構成される協議会やワークショップ等において、当該公園に求められる機能、周辺環境との調和への配慮など議論を積み重ね、地域に親しまれるものとなるよう取り組んだところでございます。 ◎【鈴木玲央議長】 第17番、森喜彦議員。                    〔17番議員登壇〕 ◎【17番森喜彦議員】 それでは、3回目の質問をさせていただきます。  東京都のパートナーシップ制度で対応できる事業の拡大に向けて伺いました。事業の拡大に向けては、調査や市民意見の聴取は必要だと思いますし、他市の取組状況の事例研究も重要です。当事者の意見、そして市民の意見、それぞれ調査をとるにしても、聞き方や選択肢の設定によって回答の傾向は全く変わってきますし、そもそもマイノリティとされている市民の人権をいかに保障するかという議論ですので、アンケートの数字が多い、少ないという考え方ではなく、現に困っている人にどう寄り添うのかが問われています。  今の憲法には法の下の平等がうたわれております。人が個人として尊重され、多様な生き方や価値観がありのままに認められ、自己実現のためにどんなことにでもチャレンジできる、そのような社会を目指しているはずですが、申し上げましたように、まだまだ道半ばと言えます。行政による率先垂範、隗より始める姿勢を求めたいと思います。  市では、正規、非正規を含め3,000人以上の職員が在籍しています。職員本人がLGBTQや同性パートナーシップ関係にあったり、家族や親戚がそうであるという人も一定数いらっしゃるのではないかと思われます。他の議員が介護休暇の質問をされた際に、介護当事者になるまで制度の存在を知らなかった職員が大半だったといった実態も語られましたけれども、それと同様に、研修や通知でだけでは生きた知識にはなりません。逆に言うと、職員が身近な問題として認識することが業務改善の種となり、政策を育てることにつながるのではないでしょうか。そうした視点で市が率先して市の職員の福利厚生を考えていくことは意義があると思いますが、現状どのような対応をされているのかお尋ねします。  また、この項目の最後に、この制度を基礎自治体が取り組む意義を市はどのように考えているのか、そして、今後の対応をどのように考えているのかについて市の考えをお尋ねいたします。  教育センターについてです。はちけんがあることによる八王子市の教育における今後の変化、魅力の発信、今後のセンターの在り方についてお答えいただきました。教育委員会の沿革を拝見しますと、本市に教育研究所が設置されたのは1951年6月、教育相談室を研究所内に設置したのが1959年10月となっており、現在の教育センターへとつながっていると思います。日本の戦後教育は、国家のために尽くす国民を育てるという戦前教育の反省から、民主的な国の主権者たる個人の人格形成に力点が置かれるよう転換され、国ではなく郷土、自らを育む地域に根差した教育が施行されました。郷土の歴史や地理、自然環境や言葉などを教材としながら、子どものためになる教育は何かと全国各地で教育研究が取り組まれておりました。  本市においても、市町村合併や高度経済成長で子どもの数が急増し市内各地の教育設備の格差や子どもを取り巻く経済環境の変化などにも対応しながら様々な教育研究が行われ、郷土教育や健康教育などの様々な教育実践につながったと伺っております。都市化による画一化や公教育に対する社会のニーズ変化、国の制度改正などにより、教育研究の内容も時代に合わせて変化してきています。ぜひ今後も市内の教員や学校関係者が集い、八王子の教育を研さんしてもらいたいと思いますし、教員の頑張りを今後も支えられるよう、受け皿たる教育センター改修に向けた機能の検討は、ぜひ教育部局全体で取り組んでいただくよう要望いたします。  この項目の最後に、教育研究所はちけんについて教育長の考えをお尋ねいたします。  最後に、公園の管理運営についてです。指定管理者制度における事業者側のメリットとしては、指定期間が一定確保されており、安定した経営が見込めることや、公共施設の管理運営に携わることによる知名度、信頼性の向上があるということでした。これらは確かに事業者にとってメリットかもしれませんが、近年は人件費や光熱費の高騰で、当初見込んでいた管理料で5年間をカバーし切れない、そのようなリスクが生じています。公共事業はもともと非営利事業であるとはいえ、赤字になると分かっていて指定管理者になる企業は恐らくいないと思いますし、利益を出しやすい条件であれば競争にさらされ、利益を出すためには収益手段が限られることから、コストを抑えることが重要になるということで、この制度が住民サービスに有効なのか、これは公園に限った話ではありませんけれども、施設の性質や事業内容ごとに一度検証されてはいかがかと思います。  その点、利用者満足度調査なども指定管理者により実施されているということでした。私自身はアンケートを受けたことがありませんが、アンケートによりどのような意見や要望が寄せられ、どのように対応したのか、公園ごとに見えるような工夫があると、利用者同士の相互の理解、当事者意識の向上につながると思います。市や指定管理者に要望して整備してもらう、そのような公園ではなく、住民の意見でつくり上げる公園、地域の歴史や文化が息づく個性的な公園など、住民参加型の公園づくりを進めていただきたいと思います。  御答弁にあった高尾山ふもと公園は新設公園です。今後、各地域で地域づくり推進協議会が立ち上がり、地域づくりについて闊達な議論が行われることと思いますけれども、公園も地域の人が集い交流し活動する拠点の1つ、地域の資産の1つとして議論の俎上に上ることと思われます。既存の公園についても、管理運営に多くの市民が我がこととして捉え、関わり、利用するという好循環をもっと生み出していただきたいと思いますし、その先例としては、小田野中央公園や川口東みんなの広場などがあります。公園に対する住民参加の今後の方向性について、最後に市の考えをお尋ねしまして、私の一般質問を終わります。 ◎【鈴木玲央議長】 総務部長。 ◎【太田浩市総務部長】 3点の御質問にお答えいたします。  まず、LGBTや同性パートナーシップ関係にある市職員の福利厚生についてですが、休暇や手当等の諸制度については、東京都パートナーシップ宣誓制度を活用しまして、実施可能な制度から対応してまいります。  次に、東京都パートナーシップ宣誓制度を基礎自治体が取り組む意義についてですが、東京都のパートナーシップ宣誓制度の取組は、性的少数者への理解増進や差別解消に重要なことであるとの認識の下、本市では、東京都パートナーシップ宣誓制度を活用した行政サービスを行っております。引き続き同制度を活用し、行政サービスを広げていくことが重要であると考えております。  最後に、今後の対応についてですが、今後も引き続き関係所管と連携し、多様な個性等が尊重される社会意識の醸成に取り組んでまいります。 ◎【鈴木玲央議長】 まちなみ整備部長。 ◎【小林中まちなみ整備部長】 公園の管理運営における市民参加についてですが、令和6年度より高尾山ふもと公園の今後の利活用や管理について、地元住民や商業者などから御意見を伺う予定です。また、既存の公園を使って地域の活性化や住民同士の交流を促進したいという意向をお持ちの自治会等もございますので、その活動への支援を行っていきたいと考えております。 ◎【鈴木玲央議長】 安間教育長。                    〔教育長登壇〕 ◎【安間英潮教育長】 教育研究所はちけんについてでございますが、かつて全国各地にあった教育研究所は、他の教員への普及、学校教育全体の向上、改善に効率的につながらないという教育の本質的な課題が問題とされ、研修センターという研修に特化した機能に多くの自治体で改変されてきたという歴史があります。本市は教員への研修権限を持つ中核市です。この権限を使って、教員が目の前にいる子どもたちにこんな教育をしたいのだけれども、どんな方法があるのだろうかといった自らの課題意識に対して自主的に思う存分研究する環境をつくるとともに、その具体的な成果を普及する場をつくれば、必ず子どもたちの学習に還元されます。本市の教員が研究する喜びとやりがいを感じられるように、そして、八王子市で働きたいと思える教員が増えるように、そんな教育研究所になるようにこれからも充実を図ってまいります。 ◎【鈴木玲央議長】 第17番、森喜彦議員の質問は終了しました。  次は、第26番、中島正寿議員。                    〔26番議員登壇〕 ◎【26番中島正寿議員】 市議会公明党の中島正寿です。通告に従い、一括質問、一問一答併用の方式で2点質問をさせていただきます。  初めに、一括質問で1点目の空き家に関する施策展開についてお尋ねいたします。2012年の第2回定例会で空き家対策を一般質問で取り上げて以来、私は今回で9回目になります。この間、放置された個人所有の空き家が様々な社会問題につながり、市が積極的な施策を打たなければ、今後のまちづくりにも大きな支障を来すことを訴えてまいりました。2023年、総務省が発表した住宅・土地統計調査の速報集計によると、総住宅数6,502万戸のうち空き家は900万戸、2018年の調査で空き家は849万戸であり、51万戸増加して過去最多であります。また、総住宅数に占める空き家率は13.8%、2018年の13.6%から0.2ポイント上昇して、やはり過去最高となっております。空き家数の推移を見ると、これまで一貫して増加が続いており、1993年から2023年までの30年間で見ると約2倍ともなっております。2023年調査から、空き家数の分類のうち、その他の住宅という項目を賃貸、売却用及び二次的住宅を除く空き家として、より具体的な表現に変えておりますが、その対象を分かりやすく言えば、例えば、それまで恒常的に住んでいた住宅から所有者が亡くなりそのまま放置されている家屋や、介護施設等に入所して誰も使わなくなった家屋などが典型的な事例として挙げられます。我が国でそうした適正な管理が行われていない家屋は385万戸、前回調査から37万戸増えて、総住宅数に占める割合は5.9%となっております。その背景には、人口減少や少子高齢化の影響のほか、戦後、住宅不足を背景とした高度経済成長期の新築住宅の建設ラッシュ、そして、今日においては相続問題なども複合的に合わさり、絡み合っております。  国で2014年制定、2015年全面施行した空家等対策の推進に関する特別措置法に先駆けて、八王子市は、前年の2013年に八王子市空き家の適正管理に関する条例を施行。また、2018年に空き家実態調査、2020年に空き家に関する意識調査を行い、2021年に八王子市空き家等対策計画を策定されました。市は条例を制定以来、この10年余りで空き家対策の基本的な枠組みをつくってきたと捉えております。  そこで初めに、こうした枠組みの下での市内空き家の現状、取組の評価についてお聞かせください。  また、市は、八王子市空き家等対策計画の上位計画になる第4次八王子市住宅マスタープランを同じく2021年3月に策定していますが、第3次の枠組みを維持しながら、空き家等への総合的な対策を新たに策定の視点として盛り込みました。この八王子市住宅マスタープランも明年は5年目を迎え、前期計画期間の締めくくりとなります。同プランにおける空き家対策のこの間の振り返りについても併せてお聞かせいただきたいと思います。  次に、2点目の獣害対策の充実に向けてについてお尋ねします。全国的に野生動物に農作物を食い荒らされたり人が襲われたりする被害が深刻であります。耕作放棄地の増加や地球温暖化に伴う生息地域の拡大が背景にあり、全国の農作物被害額は下げ止まっているとの報道もあります。害獣駆除に加え、野生動物の生態や保護に詳しい人材の育成も急務となってまいりました。加えて、近年は人家付近で熊と鉢合わせをする人身被害が多数報道されており、熊との遭遇を避ける注意喚起は入山する際だけにとどまらず、山や川付近の住宅、道路周辺にも及んでおります。環境省は今年4月16日、計画的に捕獲して頭数を管理する指定管理鳥獣に熊を追加したと発表しました。指定管理鳥獣は鳥獣保護法に基づく制度で、これまでニホンジカとイノシシが対象でありました。伊藤環境大臣は、同日の記者会見で、熊の頭数管理を強化する考えを示す一方、人の生活圏への出没防止など、捕獲に偏らない対策を都道府県などに働きかけるとの考えを示しました。  本市でも、こうした状況認識を持って獣害対策に取り組んでいると思います。野生動物被害の深刻化、広域化に対して、行政指導による捕獲や従来の防除策だけでは困難であるとの現状を踏まえ、野生動物を人の生活圏に近づけさせない環境の整備、地域の実情に合わせた地域ぐるみの事業をスタートさせているところであります。  そこで、本市の獣害対策について伺いますが、市の取組を概括的に見れば、当初は2001年12月から獣害対策プロジェクトチームをつくって組織体制の検討を行い、翌2002年度に狩猟免許を持った職員を林務獣害担当として農林課に配置したことが獣害対策の具体的な取組のスタートと見られております。後に獣害対策担当と名称は変わりますが、この段階では農作物被害の対応がメインであり、第1段階。その後、市内では、市街地でアライグマやハクビシンなど、恐らくペットとして飼育されていた外来種の動物が地域に逃げ出す、あるいは不用意にリリースしたことによる人家への被害が現れて、そうした対応についても必要とされたのが第2段階。さらに近年は、冒頭申し上げた耕作放棄地の増加等による要因により、本来人家付近に現れるはずのない野生動物の出没、人身被害がたびたび報道される局面に至っており、これが第3段階。こうした3つの段階が合わさった野生動物による被害状況を踏まえれば、市の獣害対策も、こうした事態に対応できる体制をとる必要があると考えます。  市が4年前、2020年に獣害対策課を設置し、農作物被害の防止、市街地における住環境の保護に対応する体制をとられたことは画期的な取組の起点になったと思います。我が会派としても強く要望してきましたし、評価をしております。  そこで、獣害対策課設置後において、野生動物による農作物被害防止対策、市街地対策にどのような成果があったのかお示しください。  今、野生動物による被害は、先ほども申し上げたように、本来現れるはずのない野生動物が人家周辺に出没する局面に至っています。偶然などではなく、餌を求め、市街地を目指してやってきています。その場合、市においても警察等との連携により対応していることと思いますが、私は、現在の獣害対策課の機能を見直し、仮称獣害総合対策課ともいうべき、さらに取組を前に進めていく対策の強化が必要なときに来ているのではないかと考えますが、中邑副市長の御所見をお聞かせください。
     これ以降は一問一答の形式で質問を行ってまいります。                  〔26番議員発言席へ移動〕 ◎【鈴木玲央議長】 まちなみ整備部長。 ◎【小林中まちなみ整備部長】 空き家に関する2点の質問にお答えいたします。  まず、市内の空き家の現状と取組の評価についてですが、空き家の戸数は相続を主な原因として年々増加しており、令和5年度の調査では、市内の空き家の戸数は約4,300戸となっております。取組といたしましては、八王子市空き家等対策計画に基づき、空き家ワンストップ相談窓口、空き家マッチングサイトの構築、空き家除却支援などを総合的に行ってきたところであり、その利用件数は年々伸びていることからも、一定の成果を上げていると評価しております。  次に、八王子市住宅マスタープランにおける空き家対策の振り返りについてですが、八王子市住宅マスタープランでは、良質な住宅ストックの形成や空き家等の活用促進などに取り組むこととしており、先ほど触れました総合的な空き家対策により、こうした点を具現化できたものと考えております。 ◎【鈴木玲央議長】 農林振興担当部長。 ◎【岩田充農林振興担当部長】 獣害対策課の成果についてでございますが、令和2年度に獣害対策課が設置され、野生動物による農作物被害と生活環境被害の包括的な対策が可能となったところでございます。また、これまでの捕獲を中心とした対策から、電気柵補助事業の拡大、ICT技術の活用や地域の皆様との協働による対策の実施など、捕獲と防除による効果・効率的な対策を進めることができるようになったところでございます。 ◎【鈴木玲央議長】 中邑副市長。                    〔副市長登壇〕 ◎【中邑仁志副市長】 獣害対策の強化についてでございますが、獣害対策課の新設以降、地域の皆様の御協力や警察等の関係機関との連携の下、対策を進めてまいりました。加えまして、令和4年度からは地域ぐるみ獣害対策推進事業を開始し、獣害対策の専門家による知見や民間事業者の技術を活用して被害の軽減を図っているところでございます。今後も引き続き、新たな知見や技術を積極的に取り入れながら、本市の実情に即した対策の強化を図ってまいります。 ◎【鈴木玲央議長】 第26番、中島正寿議員。 ◎【26番中島正寿議員】 御答弁ありがとうございました。ここからは1点目の空き家に関する施策展開について一問一答で伺ってまいります。  国全体で空き家が増加する中ではありますが、本市では、空き家の対策メニューを一定程度整えてきたということだと思います。現在、住宅・土地統計調査は概括的な速報集計しか公表されておらず、本市における空き家のデータについては間もなく発表されると伺っております。その速報値の段階ではありますが、賃貸、売却物件などに該当しない使用目的のない空き家は、前回調査から37万戸増えて、過去最多の385万戸に上るとの結果が出ております。一方、国土交通省によれば、2015年に施行された空家等対策の推進に関する特別措置法により、2023年度末までの8年間で修繕、解体された空き家は合計16万8,198件と聞いております。空き家も増え続けており、各自治体で空き家問題の解消に注力する取組も散見されますけれども、施策として決め手を欠くという状況ではないかと思います。  そこでお尋ねしますが、国では、昨年12月に空家等対策の推進に関する特別措置法を改正し、倒壊のおそれがなくても、窓ガラスが割れるなど状態の悪い物件を管理不全空き家等と定義し、新設しました。市町村が所有者に修繕や撤去を指導、勧告できる仕組みを設け、対応できる物件の範囲を広げたわけであります。  そこでまず、同法が改正される前から市独自に管理不全な空き家として把握されてきた戸数について伺います。また、空き家に関して相談も寄せられているということですが、その件数等の状況についてもお聞かせください。 ◎【鈴木玲央議長】 まちなみ整備部長。 ◎【小林中まちなみ整備部長】 現状の管理不全な空き家の戸数は130戸ほどとなっており、相談件数につきましては、年間230件ほどとなっております。 ◎【鈴木玲央議長】 第26番、中島正寿議員。 ◎【26番中島正寿議員】 決して少なくない数字だと思っております。  昨年度末に管理不全空き家等の判定基準の整理、対応の流れについて決まったと伺っております。しかし、先ほども申し上げましたように、市は従前から管理不全な空き家という考え、把握はされておりました。それでは、このたび空家等対策の推進に関する特別措置法の改正で法定された管理不全空き家等とどう違うのか、また、同法の制定時から規定される特定空き家とどのような観点から分けて対応していくのか、さらには管理不全空き家等の想定件数をお示しいただきたいと思います。 ◎【鈴木玲央議長】 まちなみ整備部長。 ◎【小林中まちなみ整備部長】 管理不全な空き家としましては、敷地への草や木の越境のみの場合など、比較的軽微なものについても対象としております。一方、今回の法改正で新たに規定された管理不全空き家等の定義は、そのまま放置すれば特定空き家等に該当するおそれがあるものとなっております。管理不全な空き家については、できるだけ対象を広く捉え、軽微な状況のうちから段階に応じた改善の働きかけを連続的に行ってまいります。また、管理不全空き家等として認定する件数については6件ほどを見込んでおります。 ◎【鈴木玲央議長】 第26番、中島正寿議員。 ◎【26番中島正寿議員】 法改正でいう管理不全空き家等というのは、特定空き家につながりかねない状態の厳しい物件だということは分かりましたが、市内には6件ということでございました。肌感覚としては少々少ない感じもします。  質問に移ります。管理不全空き家等の対応フローには、改善、解決に向けた対応を用意しています。ここは、私は空き家改善の取組のポイントになるのではないかと考えております。建物の倒壊のおそれがあるなど周辺環境への影響がある場合には再度判断を行い、特定空き家の認定へと進むことは流れとしてあるかと思いますが、このたび管理不全空き家等の定義を新設した趣旨、目的は、それに至らないよう事前にしっかり対応をしていくことだと考えております。  本市の場合、その対応について言えば、例えば、私ども会派としても推進をさせていただいた住まいの活用相談所、いわゆる住まカツが令和4年度にスタートして、新規相談件数16件、令和5年度は40件と2.5倍の伸びを見せており、不動産の専門家につないで空き家の改善に進めていく取組も考えられます。もちろんその他の民間の空き家対応サービスもあります。所有者も相続の件以外に様々な事情を抱えておられます。こうした所有者の考えを前に進める寄り添った対応が必要ではないかと考えますが、市の御所見をお聞かせください。 ◎【鈴木玲央議長】 まちなみ整備部長。 ◎【小林中まちなみ整備部長】 空き家所有者が抱える様々な悩みや困り事の解決に向け、総合相談窓口をはじめとした支援を行っておりますが、中には解決が困難であり、長期化する案件も幾つか出てきております。こうした事案に対しては個別対応が必要であると感じており、空き家所有者の状況に応じた支援を各種専門家や関連所管とも連携しながら行ってまいりたいと考えております。 ◎【鈴木玲央議長】 第26番、中島正寿議員。 ◎【26番中島正寿議員】 関連所管とよく協議をしていただいて、空き家所有者の複合的な悩みをすくい上げていただいて、整理して解決に導く、そうした取組をお願いいたします。  一方で、1950年代からの高度経済成長期を背景としました旺盛な新築住宅需要により、これまでに蓄積されてきた住宅ストックは、人口増加もピークを迎えて人口減少に転じてきました。我が国で空き家が増え続けることはやむを得ない現象と見る冷静な分析があることも事実であります。こうした現象を織り込み済みで効果的な施策を打っていくことが重要であります。  日本大学の中川雅之教授は、人口減少で需要が減っていくにもかかわらず、余った空き家を減らせないことが空き家問題の本質である。周囲に悪影響を及ぼすような空き家の発生を未然に防いでいくべきであると、空き家解消に向けて積極的に取り組んでいく必要性を指摘されています。この点についての市の認識をお聞かせください。 ◎【鈴木玲央議長】 まちなみ整備部長。 ◎【小林中まちなみ整備部長】 良好な住宅ストックを維持していく観点からは、活用できるものは極力活用していただくことが基本と考えておりますが、耐震性が低いものや活用の方向性が見いだせないものにつきましては、除却をしていただくことも必要であると認識しております。 ◎【鈴木玲央議長】 第26番、中島正寿議員。 ◎【26番中島正寿議員】 確かにそのとおりだと思うのですけれども、現実はなかなかそう進んでいかないというところでございます。  空き家の発生を抑制するための特例措置として国が実施する租税特別措置法による空き家譲渡所得特別控除というものがあります。相続で取得した空き家を売却したときに一定条件を満たしている場合は売却益から3,000万円を差し引くことができる減税措置であります。2016年に創設された譲渡所得税の時限的な減税措置ではありますが、2019年の税制改正により、2027年末まで延長され、被相続人が相続前まで住んでいることを要する居住要件も緩和されて、老人ホームの入居者が亡くなった場合でもこの特別控除を利用できるようになるなど、空き家を相続するときを捉えて流通を促す非常に有効な措置であると思います。  市では、この手続のために要する確認書というものを発行しておりますが、この制度ができた2016年以降、年々件数が増えているようであります。しかし、先ほども申し上げたように時限的な対応であり、相続開始から3年目の12月31日まで取得した空き家は、昭和56年5月31日以前の建物、つまり旧耐震基準の建物であるなど、適用要件のハードルが非常に高いです。市の制度に対する考えをまずお聞きします。 ◎【鈴木玲央議長】 まちなみ整備部長。 ◎【小林中まちなみ整備部長】 空き家譲渡所得特別控除の特例措置は、議員から御紹介があった点のほか、親の介護のために同居をした場合なども対象にならず、利用者からは要件が厳しいといった声や、申請に必要な添付書類が約10種類と多く、手続に負担感があるといった声もいただいております。一方で、確認書の発行件数は年々増加し、令和5年度は93件の発行となっていることから、相続した空き家を放置しないための重要なインセンティブとして機能しており、制度改善の余地はあると考えられるものの、継続されることが望ましいものと認識しております。 ◎【鈴木玲央議長】 第26番、中島正寿議員。 ◎【26番中島正寿議員】 3,000万円控除というこの制度は非常にありがたいし、有効な制度です。しかしながら、申請に必要な書類というものは、税務署で求められるものとほとんど変わらないとも聞いております。であれば、市に空き家相談対応など必要な業務のほうに専念してもらうためにも、税務署のほうで申請が完結できればさらによいと思います。この点については国との調整が必要かとも思っております。  そこで、この譲渡所得3,000万円特別控除の措置を補完し、相続した空き家について宅地活用へ早期に取り組む方の支援策として、2021年度からスタートしている八王子市未耐震空き家除却支援補助金というものがあります。私自身、空き家の解消のため除却支援の仕組みを導入すべきだと訴えてきた経緯から、要件が制限的ではありますけれども、実現していただいたことを評価しております。今申し上げた空き家譲渡所得特別控除のチャンスを逸した市民にとってもありがたい制度であります。  しかしながら、一般には相続というものがなかなかスムーズにまとまらず、結果として空き家状態になっていくという例は枚挙にいとまがありません。国も空き家を社会問題として向き合い、冒頭に取り上げたように、管理不全空き家等の段階から取り組みます。また、東京都は、空き家対策の文脈ではなく建物の耐震化という観点から、本年元旦に発生しました能登半島地震の戸建て住宅の被害状況に鑑みて、2023年度から、昭和56年以前に建築された旧耐震基準住宅に加え、平成12年までに建築された新耐震基準の木造住宅もその支援の対象にするということになりました。こうした国や東京都の取組の動向も踏まえて、本市の空き家除却についても、未耐震に加え、新耐震基準の空き家のどこまでを支援できるのか、間もなく公表される住宅・土地統計調査の結果も踏まえて要件を見直してよいのではないかと考えております。市の御所見をお聞かせください。 ◎【鈴木玲央議長】 まちなみ整備部長。 ◎【小林中まちなみ整備部長】 空き家の除却支援につきましては、空き家譲渡所得特別控除の措置を補完するという趣旨の下で実施しており、対象要件の拡充に当たっては、国の動向や耐震性のある住宅ストックを維持していく視点、また、地域の実情などを踏まえながら慎重に検討していく必要があると認識しております。 ◎【鈴木玲央議長】 第26番、中島正寿議員。 ◎【26番中島正寿議員】 御存じのとおり、今年4月から、国は空き家・空き地問題を解消するために不動産の相続登記義務化をスタートさせました。家や土地を相続する際、所有者は相続不動産の名義変更を義務づけられ、もし登記がない場合は持ち主としての証明というものができず、空き家管理や将来の売却にも影響が出てきます。また、昨年4月には、相続したものの処分に困る土地を国が引き取る相続土地国庫帰属制度の運用もスタートしましたが、対象要件のハードルは高いと言われています。世田谷区では遺言書作成支援の取組を始めました。市は、こうした新たな制度の動向を注視して、施策を前に先取りしてほしいと思います。よろしくお願いします。  さて、5月15日の日本経済新聞によりますと、放置空き家が10万戸増えると、日本全体で地価下落により1.5兆円ほどの経済損失があるとの記事に触れました。空き家問題は地域経済へも波及しますし、中古住宅市場が発達していないのが日本の特徴であるとも言われております。また、管理されていない空き家の問題を放置し、地域に内包したままの状態では、まちづくりにも影響が出ることは必至であります。2018年の空き家実態調査では、市内の空き家は2,423戸、現在はもっと増加していると思います。市が今後のまちづくりの観点からも空き家への対応に積極的に乗り出していかなければならないと考えますが、市の取組事例はあるのかお示しください。 ◎【鈴木玲央議長】 都市計画部長。 ◎【竹内勝弘都市計画部長】 まちづくりの観点からの空き家への対応といたしまして、市内の既存住宅市街地を対象に、空き家を地域のコミュニティスペース等の施設として活用する方策や効果などについて、市内の専門家や民間の研究所とともに調査研究を行った事例がございます。その中では、空き家の活用による地域への貢献度や付加価値の向上、事業性などを確認するとともに、適切に誘導する土地利用制度の在り方について検討をしております。 ◎【鈴木玲央議長】 第26番、中島正寿議員。 ◎【26番中島正寿議員】 大事な検討をされていると思っております。調査研究を積極的に生かした取組をお願いいたします。  現在、第3次となる都市計画マスタープランの改定中であると思いますけれども、良好なまちづくりを進める都市計画の中では、空き家に対してどのような視点を持って取り組むのかお示しください。 ◎【鈴木玲央議長】 都市計画部長。 ◎【竹内勝弘都市計画部長】 現在改定中の都市計画マスタープランにおきましては、多様化する市民の価値観とライフスタイルに対応していくため、地域の特性に合わせた用途を住宅地内においても許容するミクストユースの考え方の下、快適に暮らせる住環境づくりを進めてまいります。この中で、空き家や空き地について地域資源の1つとして捉えまして、適切な空き家の活用を促すことで、住宅市街地の魅力づくりを進めていきたいと考えております。 ◎【鈴木玲央議長】 第26番、中島正寿議員。 ◎【26番中島正寿議員】 空き家・空き地も有効に活用した、いわば逆転の発想で、八王子の新たな魅力をつくるまちづくりに期待をしております。  この質問の最後に市長にお伺いいたします。我が国で空き家対策は、市町村が主体となって、あらゆる対策を模索し進めていますが、もとよりそのための財源が潤沢にあるわけではないです。人口減少による税収の低下に加え、空き家が市内住宅戸数のうちの一定のボリュームを持つようになれば、まちづくりどころか適切な対策さえとれないということにもなりかねません。今日の質問ではあえて取り上げませんでしたが、中古住宅市場にも着目し、空き家を流通させていく施策も有効であり、検討に値すると考えております。我が国の空き家発生原因の1つに新築至上主義が背景にあり、世界でも日本に特有の問題であるとの指摘もあるからであります。  そこで市長にお尋ねします。人口減少、少子高齢化の下において、空き家の解消も捉えた積極的なまちづくりに向けて御決意をお聞かせください。 ◎【鈴木玲央議長】 初宿市長。 ◎【初宿和夫市長】 人口減少や核家族化を背景に全国的に空き家問題が深刻化する中で、八王子市におきましても、空き家対策はまちづくりにおける重要なテーマの1つであると認識をしております。これまでの空き家対策を継続、強化するとともに、現在改定中であります都市計画マスタープランに基づきまして、都市計画制度を柔軟かつ大胆に活用して、空き家の解消を含めた地域課題の解決に取り組み、魅力あふれる持続可能なまちの実現を目指してまいります。 ◎【鈴木玲央議長】 第26番、中島正寿議員。 ◎【26番中島正寿議員】 よろしくお願いします。  なお、時間の関係で今回取り上げられませんでした管理不全マンションの課題も非常に大きな課題です。別の機会に取り上げていきたいと思っております。 ◎【鈴木玲央議長】 会議時間も長くなりましたので、暫時休憩します。                                     〔午前11時58分休憩〕   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━                                     〔午後1時00分再開〕 ◎【美濃部弥生副議長】 休憩前に引き続き会議を開きます。  一般質問を続行します。  第26番、中島正寿議員の質問を許可します。 ◎【26番中島正寿議員】 それでは、午前に引き続き質問をさせていただきます。よろしくお願いします。  2点目の獣害対策の充実に向けてであります。先ほどの1問目のお答えでは、獣害対策課を設置してから新たな知見や技術なども取り入れた取組が始まったとのことでありました。獣害が3段階目に至った状況に鑑み、獣害対策の段階にとどまらず、関係機関との連携機能をさらに強化した仮称獣害総合対策課の検討も改めてお願いしたいと思っております。  続いて、地域ぐるみ獣害対策推進事業の推進と展開について伺います。この事業は初年度の2022年度に600万円、それ以降の年度もほぼ同水準の予算で推移し、実施しておられますが、高月町、上川町、上恩方8町会からスタートされました。昨年度から下恩方町の大沢町会も加わっております。この推進事業を立ち上げた趣旨とともに、地域の反応をお知らせください。 ◎【美濃部弥生副議長】 農林振興担当部長。 ◎【岩田充農林振興担当部長】 被害の軽減を図る上では、捕獲と防除が両輪となって対策を進めることが重要と考えます。また、画一的な対策ではなく、それぞれの地域の実情に応じた対策を地域が自ら立案し、主体的、持続的に実施していくことが必要不可欠であることから、当該事業は地域における持続可能な実施体制の構築を目的としているところでございます。  地域の皆様が検討会等にて熱心に議論している様子や対策を実行に移すまでのスピード感などから、改めて本市の市民力の高さを実感しているところでございます。 ◎【美濃部弥生副議長】 第26番、中島正寿議員。 ◎【26番中島正寿議員】 2023年度の事業成果の振り返りと今年度事業の狙いについてもお示しください。 ◎【美濃部弥生副議長】 農林振興担当部長。 ◎【岩田充農林振興担当部長】 令和5年度は、一部の地域において、地域の皆様による主体的な対策を実施することができました。令和6年度につきましては、フィールドワークを中心に、地域の皆様がより専門的な知識を取得できるようサポートするとともに、より多くの方に関わってもらえるよう進めてまいります。 ◎【美濃部弥生副議長】 第26番、中島正寿議員。 ◎【26番中島正寿議員】 そうですね。より多くの住民の方々の多様な参画の在り方といったものがもっと模索されていいと思います。よろしくお願いします。  また、この事業には民間事業者を導入されています。その目的についてもお示しください。 ◎【美濃部弥生副議長】 農林振興担当部長。 ◎【岩田充農林振興担当部長】 当該事業は、学習会や検討会を通じまして地域の皆様に野生動物の行動特性等に基づいた正しい知識を取得していただき、その知識を対策に結びつけていただくことを根幹としております。したがいまして、専門知識の講師として、また、地域の被害状況等から最適な対策案を導き出すなど、獣害対策コンサルタントとしての業務をこなせることから民間事業者を導入しているところでございます。 ◎【美濃部弥生副議長】 第26番、中島正寿議員。 ◎【26番中島正寿議員】 市は、今説明されましたそうした民間事業者に対してどのような要件を求めて、また、地域でどのような役割を期待しているのかお示しください。 ◎【美濃部弥生副議長】 農林振興担当部長。 ◎【岩田充農林振興担当部長】 当該事業を受託する要件といたしましては、野生動物の行動特性及び自然環境に関する知見や同様の事業に従事した実績等を設定しておりますが、地域の皆様の声に耳を傾け、共に汗を流して対策に取り組むことで信頼を築くことや、地域と行政の橋渡しの役割を期待しているところでございます。 ◎【美濃部弥生副議長】 第26番、中島正寿議員。 ◎【26番中島正寿議員】 大事な視点だと思うのです。獣害対策には、どこかこれまでは市がやっているというイメージもありました。地域住民との今おっしゃったようなコミュニケーションというのが重要になると思います。ぜひそうした観点も重要だと思いますので、よろしくお願いいたします。  この事業の流れとしましては、まず、地域環境調査というものも踏まえた上で、地域学習会から地域検討会、対策の実行、そして効果検証というものを経て、全体報告会という所定の組み立てがあり、有効だと私は思っております。全体報告会では、大学の教授等の専門家も招いて講演会や各地域の取組についても講評をいただいていると聞いております。一方で、受け皿となる町会等においては高齢化も進んでおり、こうした事業に参加してもらう担い手も含め、どのように事業を進めているのかお聞かせください。 ◎【美濃部弥生副議長】 農林振興担当部長。 ◎【岩田充農林振興担当部長】 現在は町会を単位として実施しておりますが、地域に立地する高等学校等の学校に加わっていただくなど、新たな担い手の育成に向け、地域ぐるみの輪の拡大を図ってまいります。 ◎【美濃部弥生副議長】 第26番、中島正寿議員。 ◎【26番中島正寿議員】 確かにこうした地道な取組しかないと思いますけれども、学校へのアプローチというのは大事な視点ではないかなと思っています。  また、この担い手の育成に関連しまして、獣害対策については学校給食を通じて啓発する取組も中学生に展開したと聞いているのですけれども、その成果は何かお聞かせください。
    ◎【美濃部弥生副議長】 農林振興担当部長。 ◎【岩田充農林振興担当部長】 恩方中学校の生徒が収穫いたしました放任果樹を市内の全小中学校の給食の材料として活用いたしました。生徒には、収穫体験を通じ、獣害対策、ひいては自らの地域を学ぶ機会を提供できたものと考えております。また、所有者の方にお支払いした金額の一部を地域での獣害対策費として活用していただくなど、生徒、被害対策、地域などの全ての関係者にとってよい取組を実施できたものと考えております。 ◎【美濃部弥生副議長】 第26番、中島正寿議員。 ◎【26番中島正寿議員】 放任果樹、つまり果実が収穫されずに放置されたままというものでございますけれども、これが猿などの野生動物を引きつける原因になっていると思います。学校給食にこうしたものを生かしていくのは大変有効な取組だと思いますし、生まれ育った地域を理解する契機になるのではないかなと思っております。獣害対策以外についても意義を感じる取組だと思いますので、これから定着をよろしくお願いいたします。  中山間地域に近い中学生だけでなく、市街地の中学生にも農作物被害防止、市街地に現れる有害獣への対処法を学べるきっかけとなるように、また、八王子の地域特性を学ぶ機会となるように、現在の地域学習会を拡充する拡大地域学習会を開催されたらどうかと思いますが、いかがですか。 ◎【美濃部弥生副議長】 農林振興担当部長。 ◎【岩田充農林振興担当部長】 学習会を市街地の中学生にとって実りのあるものにするためにも、獣害対策について興味を持っていただくことが重要であると認識しております。そのような中、令和4年度に多摩美術大学の学生との協働により、獣害対策ハンドブックを作成いたしました。子どもから大人まで親しみやすい内容となっておりますので、当該ハンドブックを活用し、まずは機運の醸成を図りながら、拡大地域学習会の開催に向け、取り組んでまいりたいと考えております。 ◎【美濃部弥生副議長】 第26番、中島正寿議員。 ◎【26番中島正寿議員】 よろしくお願いします。  獣害対策推進事業というものを理解し、協力してもらう研修会等のソフト事業とともに、これはあくまでも人間側の勝手な論理かもしれませんけれども、やはり野生動物を人の暮らしに近づけさせない環境整備、防除の取組などハード対策も充実していく具体的な取組、また、その成果が見える事業であることが必要になってくるのではないかなと思っております。  そこで、例えばやぶ化した耕作放棄地等への対策、また、具体的な事例があるならばお示しいただきたいと思います。 ◎【美濃部弥生副議長】 農林振興担当部長。 ◎【岩田充農林振興担当部長】 一部の地域では、検討会の結果、野生動物のすみかと思われる町会内のやぶ対策について合意形成を得ることができました。その後、地域の皆様が草刈りや柵の設置を行うなど、地域の主体的な取組により課題解決を図ることができました。 ◎【美濃部弥生副議長】 第26番、中島正寿議員。 ◎【26番中島正寿議員】 ありがたいですよね。それで、この耕作放棄地の活用につきましては、農林課職員の皆様が説明会を行い、賃借につながった例もあるようですけれども、そうした取組を知らない住民も圧倒的に多いです。獣害対策事業の中でも組み込んでほしいと思います。  また、手入れのされていない森林につきましては、所有者自身が境界をそもそも理解しておらず、話が進まないという話も聞いております。この点につきましても、具体的な検討課題というものに入れてほしいなと思っています。  今後の取組としまして、市では、地域と対話し、10年後を見据えた対策行動計画である獣害対策ロードマップというものを作成していきます。既に上川町と高月町で行っておりますが、1点気になるところは、獣害対策に対応できる人、地域の構築目標、数字について言及がないように私には見えるのです。どのような地域の姿を描いているのかお示しいただきたいと思います。 ◎【美濃部弥生副議長】 農林振興担当部長。 ◎【岩田充農林振興担当部長】 当該ロードマップは、現行の体制で何ができるのかに重点を置き、作成しているところでございます。今後、当該事業を進めていく中で若い世代から獣害対策に関心を持っていただけるよう、地域の実情を酌みながら、様々な世代の地域の皆様が積極的に獣害対策に関わっていく姿を描いていければいいと考えております。 ◎【美濃部弥生副議長】 第26番、中島正寿議員。 ◎【26番中島正寿議員】 人、地域の地域目標数というものについては安易に立てられないよと、今構築をしているところだよということだと思いますけれども、その観点は必要なのかなと思っております。人材、地域の掘り起こしをまずは着実に取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願いします。  こうした中長期的なロードマップの取組の一方で、野生動物の現実、リアルな被害に対して住民に安心していただける機動的な対応の構築が求められています。市の考えをお聞かせください。 ◎【美濃部弥生副議長】 農林振興担当部長。 ◎【岩田充農林振興担当部長】 令和6年度から、より機動的な対応を可能とするため、有害獣捕獲における地域、行政、受託者の各役割について明確化し、町会・自治会との連携によるわなの管理や野生動物の出没が多いエリアでの捕獲圧を高めるなど、有害獣の捕獲においても注力してまいりたいと考えております。 ◎【美濃部弥生副議長】 第26番、中島正寿議員。 ◎【26番中島正寿議員】 今、部長の答弁にもありましたように、地域、行政、受託者の各役割を明確化したということでございました。対応のスピード感が極めて大事だと思いますので、どうか住民の思いに寄り添った対策をお願いいたします。  今後の取組のもう一つの視点として、野生動物に当然境界というものはございません。ボーダーレスな動きをいたします。市では、ICT大型捕獲おりの取組など広域連携の取組も始めているようですけれども、その内容と今後の狙いについてお聞かせください。 ◎【美濃部弥生副議長】 農林振興担当部長。 ◎【岩田充農林振興担当部長】 東京都内の近隣6市町村及び隣県の相模原市、上野原市にて、それぞれ会議体を結成し、広域連携を深めているところでございます。特に猿群の生息域がまたがっております相模原市におきましては、猿用の箱わなの借用やICT大型捕獲おりでの捕獲に関するノウハウの共有も行いながら対策を進めているところでございます。今後も引き続き連携を深め、効果的な対策を講じていきたいと考えております。 ◎【美濃部弥生副議長】 第26番、中島正寿議員。 ◎【26番中島正寿議員】 このシステムというのは都内でもないらしいですね。初めてみたいです。現在都内にはないシステムと聞いております。地域とのコミュニケーションというものを基本に、住民の期待に応えていただきたいと思います。  この質問の最後に市長に伺います。獣害対策のさらなる充実に向けて、地域ぐるみ獣害対策推進事業を中心に市の取組について確認し、提案もさせていただきました。獣害対策といっても歴史的に、またマクロ的な視点からは、捕獲圧力を強め過ぎると野生動物種の絶滅のおそれが生じ、圧力が緩過ぎると数が増えて人間にも被害が及びます。人間との共生のバランスは非常に難しいです。そこで、野生動物の科学的な管理のためには、今実施している地域ぐるみ獣害対策推進事業の成果も生かして、生息密度、行動範囲、その季節による変動、繁殖の詳細など、今どんな調査が必要なのかを判断できる人材が実は必要であります。この獣害対策に資する人材の採用も視野に入れていただきたいと思っております。  その上で、どのような被害防止対策を立てていくのか検討していくことが重要であると感じております。獣害対策課においては、このような考えに基づいて対策を実施していることとは思うのですけれども、先ほどの答弁にもありましたように、野生動物は行政の境界を越えて行動します。広域的な対策が必要だと考えております。そうした状況の下における獣害対策課の役割について、東京都で広くキャリアを積まれてきた初宿市長の御所見を伺いたいと思います。 ◎【美濃部弥生副議長】 初宿市長。 ◎【初宿和夫市長】 獣害対策課は、東京都においても他の市区町村にはない八王子市独自の組織であると認識をしております。また、ICT技術の活用や地域の皆様との協働による対策を実施するなど先進的な取組を実施しております。今後も引き続き、近隣の市町村と連携を図りながら、東京都全体の獣害対策を牽引してまいります。 ◎【美濃部弥生副議長】 第26番、中島正寿議員。 ◎【26番中島正寿議員】 力強いお答えをいただきました。初宿市長の力強いリーダーシップに期待しております。  以上をもちまして私の一般質問を終了させていただきます。ありがとうございました。 ◎【美濃部弥生副議長】 第26番、中島正寿議員の質問は終了しました。  次は、第24番、渡口禎議員。                    〔24番議員登壇〕 ◎【24番渡口禎議員】 市議会公明党、渡口禎です。それでは、通告に従いまして、相続登記の義務化に関する法改正について一般質問を行わせていただきます。また、昨日も他の議員から同じテーマでの質疑がありましたので、重複するところは割愛をさせていただきます。  本年4月1日から相続の登記が義務化をされました。政府が不動産登記の義務化を検討し始めたのは、東日本大震災がその起因とされています。この震災によって多大な被害を受けた被災地において、所有者が誰なのかが分からない土地がたくさん出てしまったことにより、いわゆる所有者不明の土地がこの東日本大震災によって具体的に顕在化したことが起因となり、相続登記の義務化についての検討が始まりました。  復興の障害、また、相続登記がされていないと所有者不明の土地となり、復興のための公共事業が進まないなどの問題が発生をいたしました。震災の被害に遭った土地の不動産登記を確認しても、所有者が10年以上前に亡くなっていたり、また、誰に相続をされたのか分からないという事実が発覚をいたしました。所有者不明の土地は、復興事業の砂防設備や電気、ガス、水道などをつくるための用地買収の妨げとなりました。土地の所有者が分からないため、有効活用することが難しく、公共事業の進捗や地域活性化をも阻害する要因となりました。  また、増加する空き家。相続登記が未了となると、適切な管理が行き届かず、空き家が増加する要因にもなり、所有者が分からないため放置され、ごみが散乱したり樹木が繁茂したりして景観を損ねたり、災害発生の原因となったりと管理不十分による環境悪化を招くことにつながります。社会問題になってきている現状があります。  所有者不明の土地は全国で約410万ヘクタールにも上り、2040年には720万ヘクタール、北海道の本島と同じ大きさに匹敵すると言われております。また、不動産登記を対策しないまま2040年まで放置すると、経済損失額は約6兆円にも上る見込みと言われております。  こうした経緯を踏まえ、国では相続登記の義務化に向けての検討が始まり、2021年2月に民法及び不動産登記法の改正案が決定され、4月21日の参議院本会議で法案が成立。この改正により相続登記が義務化され、本年4月1日から施行されることになりました。  法務省が2022年7月に実施した義務化へ向けたアンケート結果では、その当時では相続登記が義務化されることについて理解されている方は約33%とのことでありました。義務化されたことへの認知度の向上が大変に重要であるかと感じております。  相続登記の義務化に関する法改正の概要としては、不動産を取得した相続人に対し、3年以内に相続登記の申請をすること。施行日前の相続でも、未登記であれば義務化の対象となり、状況によっては10万円以下の罰則規定もあります。  そこでお伺いをいたします。固定資産税の納税義務者は、その年の1月1日に登記簿に記載されている所有者になりますが、死亡した場合はその相続人が納税義務者となり、今回の法改正は固定資産税などの課税にも影響すると思いますが、どのように認識をしているのかお伺いいたします。  また、相続登記の義務化に関する周知について、本市としてはどのように関わっているのかお伺いをいたします。  また、不動産登記には、専門性を有する司法書士への報酬などの費用がかかり、経済的な理由で登記をちゅうちょする場合も懸念されます。行政としては、これらの課題を解決するために、手続の簡素化や費用の軽減など対策を進めていくことが求められると思いますが、この点についてお伺いをいたします。  以上で1回目の質問を終わります。 ◎【美濃部弥生副議長】 財政部長。 ◎【宇田川聰財政部長】 相続登記義務化による課税業務への効果と制度周知についてでございますが、相続登記は納税義務者が亡くなられた場合の課税業務と密接に関連しておりますので、速やかに行われることで適正課税や業務の効率化につながるものと考えております。そのため、相続人に対し市が発送しております納税通知書の変更手続に必要な書類、これと併せまして相続登記の案内を同封するなど、管轄所管であります法務局と連携して周知を図っているところでございます。 ◎【美濃部弥生副議長】 都市計画部長。 ◎【竹内勝弘都市計画部長】 手続の簡素化や費用軽減の対策についてですが、相続人がオンラインなどで法定相続人である旨を申し出ることにより、簡易に申請義務を履行する制度が導入されております。費用軽減につきましては、令和7年3月まで、価額が100万円以下の土地に関する相続登記について登録免許税の免税措置がとられております。 ◎【美濃部弥生副議長】 第24番、渡口禎議員。                    〔24番議員登壇〕 ◎【24番渡口禎議員】 2回目の質問を行います。  種々御答弁をいただきました。相続登記義務化による税務業務への効果と周知方法についてですが、納税義務者が亡くなられた場合の課税業務と密接に関係しているとして、事務手続については法務局がその窓口となりますが、財政部資産税課などでは、法務局が作成する相続登記の案内チラシを同封するなど、管轄所管である法務局と連携して周知を図っているとのことであります。  また、手続の簡素化や費用軽減への対策として、オンラインなどで簡易に申請義務を履行する制度も導入されたとのことです。また、費用軽減につきましても、来年の2025年3月までは、価額が100万円以下の土地に関する相続登記については登録免許税の免税措置も行っているとのことであります。このような減免措置などの情報提供などは、市としても積極的に発信をしていただきたいと思います。  法務省は、2019年から2022年にかけて、所有者不明の土地問題の解消に向け、全国の法務局において長期相続登記等未了土地調査を実施いたしました。法務局が管理する不動産登記簿の情報から、登記名義人の死亡後30年以上経過しても相続登記が行われていない土地を抽出しました。全国で約245万ヘクタール、約61万筆の土地が調査対象となりました。また、2020年から2022年には、相続人の調査及び通知を行い、調査対象土地の登記情報と戸籍情報を突合させて、相続人の探索により確認した相続人に対して相続登記を促すための通知書を送付。通知書には、相続登記の手続方法や相談窓口の情報などを記載し、情報提供を行い、その結果として約186万ヘクタールの土地について相続人の調査及び通知を行い、約10万ヘクタールの土地について相続登記が完了したとの調査結果となりました。  また、農林水産省では、2018年3月に相続未登記農地等の実態調査を実施。この調査は、全国の農業委員会を通じて、相続登記名簿人が死亡していることが確認された農地、相続未登記農地、登記名義人の市町村外転出、住民票除票の不存在等により、住民基本台帳上ではその生死が確認できず、相続未登記のおそれがある農地などについての調査を行いました。調査結果によると、相続未登記農地は、相続未登記のおそれがある農地を含め、全国に約102万ヘクタール存在することが確認され、これは全農地面積の約2割に相当するということであります。  法務省が行った不動産登記における長期相続登記等未了土地調査及び農林水産省が行った相続未登記農地等の実態調査のそれぞれについて市の御見解をお示しください。  また、相続未登記農地等の実態調査については、農地等としているため、山林を含めた森林については対象とされていない状況があります。八王子市は約42%が山林と言われております。山林を含めた森林管理なども行っているわけです。不動産登記義務化について、本市における森林対策への影響についてお伺いいたします。  関連して、昨年4月27日に相続土地国庫帰属制度が施行されました。相続した土地について、遠くに住んでいて利用する予定がない、草木の繁茂により近隣への迷惑がかかるから管理が必要だけれども負担が大きいといった理由により、相続した土地を手放したいという声も聞きます。八王子にお住まいの方からも、故郷の土地を相続したが、その管理が大変なのだと相談を受けることもこのところ増えてきております。このような土地が管理できないまま放置されることで、将来所有者不明の土地が発生することを予防するため、相続または遺文、遺言によって特定の相続人に財産の一部または全部を譲ることですけれども、遺贈によって土地の所有権を取得した相続人が一定の要件を満たした場合に、土地を手放して国庫に帰属させることを可能とする相続土地国庫帰属制度が創設されました。相続土地国庫帰属制度の概要についてお伺いいたします。  相続が適切に行われることがまずは前進となります。相続が行われていない場合には、相続の対象になったときなどは、その対応に苦慮するケースもあると伺います。特に離れた故郷などでの場合は、相続する状況なども詳細がつかめないことも多いようであります。宅地や農地、森林なども含め、相続登記の義務化については今後大きな取組になっていくと考えます。特に森林を多く有する八王子にとっては、所有者の明確化、相続登記が促進されることで林業振興につながる取組ともなります。今後の展望を含めた御見解をお伺いいたします。  一方、相続土地国庫帰属制度については八王子としてはどのように関わるのか。また、これまでの本市における対応状況があれば、それぞれについてお示しください。  また、八王子市の道路状況は、2024年、本年4月1日現在では、国道は路線数として3本で約4万4,920メートル、都道は路線数で24本、約13万3,949メートル、八王子の市道は路線数6,110本で約134万8,239メートル、路線数の総数は6,137本、総延長としては約152万7,108メートルとなります。また、国道、都道、そして八王子市の市道、それ以外には私道も存在いたします。道路事業についてもお伺いいたします。不動産登記の義務化が及ぼす道路事業への影響についてはどのように考えているのか、市としての御見解をお示しください。また、本市が取り組んでいる地籍調査についても併せてお伺いをいたします。  以上で2回目の質問を終わります。 ◎【美濃部弥生副議長】 都市計画部長。 ◎【竹内勝弘都市計画部長】 3点の御質問をいただきました。  まず、相続登記未了土地調査についてですが、調査対象の土地のうち、最後に所有権の登記がされてから50年以上経過しているものが大都市地域において6.6%となっております。長期間にわたり相続登記がされず、所有者の所在の把握が困難となることが、所有者不明土地が発生する要因の1つになっていると考えております。  次に、相続土地国庫帰属制度の概要についてですが、相続により取得した土地を手放して国庫に帰属させることを可能とする制度で、法務局が申請窓口となっております。申請できる土地には要件があり、管理や処分に過分な費用または労力を要する土地は申請ができないこととなっております。また、土地の管理費用に相当する額の負担金の納付が必要となっております。  最後に、相続土地国庫帰属制度への本市の対応状況についてですが、法務局による要件審査に必要な土地に関する情報を提供しております。これまでに令和5年度に2件、令和6年度に1件の資料提供依頼に対応しております。本制度について本市に問合せなどがあった場合には、申請窓口である法務局を案内しているところでございます。 ◎【美濃部弥生副議長】 農林振興担当部長。 ◎【岩田充農林振興担当部長】 私のほうには4点質問をいただきましたので、順次お答えしてまいります。  まず、農林水産省が令和3年度に実施いたしました相続未登記農地等の実態調査についての見解ですが、相続未登記であることで農地の所有者に連絡がつかないまま遊休農地化する懸念があります。市内の農地を確保するためにも、本制度の調査は有効であると認識しております。  続きまして、不動産登記義務化の本市における森林対策への影響についてですが、森林整備を行う上で、森林の所有者や隣地との境界が不明確であるといった点が大きな課題であると認識しております。そのような中で、不動産登記義務化によりまして所有者が明らかになることから整備等の連絡がとりやすくなることが期待され、今後の森林整備の充実につながるものと考えております。  続きまして、相続土地国庫帰属制度への本市の対応状況についてでございますが、申請のうち1件につきましては農地に関するものでした。この土地につきましては、制度が開始される前、農業委員会が売却に関する相談を受けた記録がありました。申請後の対応といたしましては、国の協力要請があったことから、申請農地に関する調査書を提出しているところでございます。  最後に、今後の展望を含めた森林での見解につきましては、多くの場合、所有者が加入する東京都森林組合などの林業事業体が東京都の補助事業を活用しながら森林の整備を行っています。今後、森林所有者の明確化が進んでいく中で、所有者には森林の適切な整備に必要となる情報提供等に努めていきたいと考えております。 ◎【美濃部弥生副議長】 道路交通部長。 ◎【杉本雅彦道路交通部長】 不動産登記の義務化による道路事業や地籍調査事業への影響についてですが、都市計画道路や生活道路の拡幅整備における用地買収や地籍調査の境界立会いにおきまして、土地所有者への接触は必須でございます。このとき、登記事項証明書に記載される権利者の住所が古い場合や相続が未登記の場合、追跡調査に時間を要してしまうことが課題の1つとなっております。今後、不動産登記の義務化が進むにつれ、土地所有者などの調査時間の短縮が図られるものと考えております。 ◎【美濃部弥生副議長】 第24番、渡口禎議員。                    〔24番議員登壇〕 ◎【24番渡口禎議員】 3回目の質問となります。  種々御答弁をいただきました。相続登記未了土地調査についての見解は、大都市地域において6.6%が長期間にわたり相続登記がされていないことなど、また、所有者の所在の把握が困難で、所有者不明の土地が発生する要因となっているとの答弁でした。  農地については、相続未登記であることで、農地の所有者に連絡がつかないまま遊休農地化する懸念があり、市内の農地を確保するためにも本制度は有効であるとの答弁がありました。  国では、相続未登記農地への対応として、相続人が1人も判明していない場合と、1人でも判明している場合には、農地法や農地中間管理事業の推進に関する法律などを活用して、農業委員会による探索、公示を経て、都道府県知事が農地中間管理機構へ利用権を設定する裁定を行い、その上で、農地中間管理機構、いわゆる国の農地バンクを紹介して、担い手に農地を貸す仕組みを2018年11月に制度化しています。この制度を活用した農地の貸付事例が、昨年、2023年3月末時点で全国で356件、168ヘクタールの実績があります。所管に確認をしたところ、本市における実績はこれまでにはまだないようでございます。このような制度をうまく活用できれば、所有者不明農地であっても、全ての相続人を調べることなく、簡易な手続で最長40年間農地として借りることが可能となります。農地を活用したい担い手とのマッチングがうまくできれば、新たな可能性が見えてくると思います。  また、森林対策への影響については、森林整備を行う上で、森林の所有者や森林境界が不明確であるといった点が大きな課題であり、不動産登記義務化により、今後の森林整備の充実につながり、所有者と連絡がとりやすくなることが期待されるとの答弁をいただきました。今後さらに所有者や境界が分からない山林や森林の増加が危惧される中にあっても、少しでも所有者不明の土地とならないための施策が大切になります。相続登記が促進されることで森林の所有者が明確になり、森林管理や保全活動の主体が明確になる。これにより今後の森林整備の充実につながるとの答弁がありました。これは山林の管理、伐採、売買などにおいても重要な事柄になります。所有権が不明確な状態では森林管理を適切に行うことが困難になり、森林の荒廃や災害の発生リスクを高めることにも通じていきます。森林管理が停滞すれば木材生産量も減少していくことになり、多摩産材の活用においても影響が出てきます。所有者不明の土地は、八王子市の林業にとっても今後課題になっていくと思われます。同時に、不動産登記の義務化は林業の改革を促すきっかけにもなり、林業の持続的な発展と地域の活性化にもつながっていくと考えます。東京都森林組合などの林業事業体とさらなる連携を深め、八王子の森林の整備を行っていただきたいと思います。  日本の森林は、木材生産、洪水調節、土石流災害防止、生物多様性の保全など様々な役割を果たしています。しかし、近年では、まさに相続問題や高齢化に伴い所有者の不明化が進み、適切な管理が行われない森林が増加しております。林業従事者が減少し、森林の整備や管理が十分に行われていない状況です。また、地球温暖化の影響により森林の生態系が変化し、生物多様性が失われている、このような課題が顕在化しており、森林の多面的機能が衰退をしてきています。  また、2018年5月に成立した森林経営管理法を踏まえ、2015年に採択されたパリ協定において、日本は温室効果ガス排出量を2030年度までに2013年度比26%削減の目標を掲げました。本市においては、市民、事業者、市が一体となって地球温暖化対策に取り組み、市内から排出される温室効果ガスを減らすことを目的に地球温暖化対策地域推進計画を策定。昨今の状況を踏まえ、2050年の脱炭素社会の実現に向けて取組の強化を図るため、2022年2月10日には、2050年二酸化炭素排出量実質ゼロに取り組むゼロカーボンシティ宣言を表明されました。先日は2024八王子環境フェスティバルも盛大に開催され、市民団体、企業、民間団体、大学機関など70を超える団体が参加され、多くの市民の方も参加をされておりました。改めて八王子の環境への関心の高さを実感いたしました。  市が進める目標達成には、森林の吸収源機能を強化することが重要であります。災害防止などを図るための森林整備等に必要な地方財源を安定的に確保する観点から、2019年3月に森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律が成立し、本年4月から施行となりました。林環境税の創設によってこれらの課題を解消し、森林の多面的機能を維持向上させ、持続可能な社会を実現することが期待されるところであります。  相続土地国庫帰属制度は、相続により取得した土地を手放して国庫に帰属させることを可能とする制度であります。この制度も法務局が申請の窓口となります。相続により取得した土地であればどんな土地でも国へ返せるわけではなく、当然厳しい要件を設けています。管理や処分に過分な費用または労力を要する土地は、当然ですが申請することはできません。また、国へ帰属する場合でも、土地の管理費用に相当する金額を負担金として納める必要があります。ちなみに、八王子市として相続土地国庫帰属制度への申請状況については、令和5年度に2件、令和6年度に1件、これまでに合計3件発生し、市としては、法務局に対して要件審査に必要な土地に関する情報提供をしているとのことでありました。八王子においてもこの制度を活用してみようと検討された方が3件いらっしゃるわけであります。相続する土地が価値を生み続けていけばいいのですが、そうでない状況も今後は大いに考えられます。八王子市においても、相続土地国庫帰属制度の活用を考える市民の方も出てきました。国の制度ですので、管轄の窓口は法務局となります。直接的な窓口はできませんが、本制度を活用する方もいらっしゃると思いますので、折に触れた周知活動、また、SNSなどでの情報提供などもお願いをしたいと思います。  次に、身近な相続登記の義務化により、道路事業への影響については、都市計画道路や生活道路の整備において沿道の土地所有者などに協力をいただき、用地買収をする際、登記の住所が古かったり相続が未登記だと追跡調査が必要で、時間がかかるのが課題とのことでありました。地籍調査事業でも、道路境界及び民地境界の確認のため、土地所有者に立会いなどをお願いする際、同様の課題があるとのことであります。不動産登記の義務化が進むにつれ、調査時間の短縮が図られるとの答弁のとおり、今後、事業推進の一助となることが期待をされます。特に地籍調査事業においては土地の権利に関わるため、合意形成に時間を有する事業とも伺っております。今回の法改正など様々な時間短縮の要素を適時捉えながら、一層の推進をお願いいたします。  また、民間の範疇になりますが、私道の整備においても、不動産登記の義務化によって土地所有者へのアプローチがしやすくなるケースも出てきます。私道の適切な維持管理や整備補助金の活用に対する負担軽減なども踏まえ、さらなる促進を期待いたします。  最後になりますが、相続登記の義務化により、今後は登記情報などが明確化されていくことを期待するとともに、今後の八王子市のまちづくりにどのような影響、そして可能性が生まれるのか、担当理事者である中邑副市長に御見解をお伺いいたしまして、私の一般質問を終わります。 ◎【美濃部弥生副議長】 中邑副市長。                    〔副市長登壇〕
    ◎【中邑仁志副市長】 相続登記の義務化のまちづくりへの影響、可能性についてでございますが、相続登記が適切に行われることによって、所有者の探索に多大な時間と費用が必要となります所有者不明土地の発生予防につながるものと認識しております。土地の所有者が明確になることによって公共事業用地の取得や民間の土地取引が円滑に進められるようになり、土地利活用の可能性が大いに期待できるものと考えてございます。 ◎【美濃部弥生副議長】 第24番、渡口禎議員の質問は終了しました。  次は、第8番、綿林夕夏議員。                  〔8番議員発言席へ移動〕 ◎【8番綿林夕夏議員】 日本共産党八王子市議会議員団の綿林夕夏です。発言通告に基づきまして、一般質問を行います。障害児の移動支援をテーマに、利用対象の拡大における意義、日常的な通学・通所支援の整備、ガイドヘルパーの養成について順次伺ってまいります。  移動支援事業は、同伴者がいないと外出することが難しかったり、お金の管理が苦手だったりする方に対して、買物や散歩、行楽地などに出かける際のサポートを行うことで外出機会の提供と社会性の向上を図るサービスで、区市町村が担う地域生活支援事業の1つであります。本市では、昨年度まで移動支援の対象が中学生以上でありましたので、小学生の障害児やその保護者は、移動支援を利用したくてもできない状況でした。2016年度の途中から、保護者の入院や通院、冠婚葬祭などのやむを得ない事情があり通学時に保護者が付き添えない場合に、保護者に代わりガイドヘルパーの通学支援が受けられる緊急時通学支援という制度が始まりましたが、年10時間と1月に1時間も使えないという状況でした。  昨年の一般質問で私は、障害児の移動支援の充実に向けて小学生からも利用できるようにと求めてまいりました。障害のある子どもを育てる保護者や市内障害者団体からも利用対象の拡大を求める声が上がっており、日本共産党市議会議員団でも繰り返し改善を求めてまいりました。今回、移動支援の対象が小学生にも拡大されたことに伴い、この緊急時通学支援制度は移動支援に統合されました。小学生と中学生ともに利用上限時間数は月12時間となり、年144時間と14倍に拡大しました。障害児の保護者の長年にわたる願いが実現したことに大変うれしく思います。  移動支援の対象拡大は4月からスタートしたばかりではありますが、利用対象の拡大を受け、市民からどんな反応があったのか伺います。 ◎【美濃部弥生副議長】 福祉部長。 ◎【立花等福祉部長】 意見交換会などの場で、市に対して直接御要望いただいた特別支援学校のPTAや障害者団体の方からは感謝の言葉をいただいております。 ◎【美濃部弥生副議長】 第8番、綿林夕夏議員。 ◎【8番綿林夕夏議員】 保護者や障害者団体からも、小学生から移動支援が利用できるようになり、感謝の声をいただいたということで、実現して大変によかったと思います。移動支援の対象に小学生が加わったこと。緊急一時的という条件はあるけれども、移動支援が通学でも利用しやすくなったこと。より多くの市民の皆さんに知っていただきたいと思っています。どのようにして移動支援の利用対象の拡大について市民に周知しているのか伺います。 ◎【美濃部弥生副議長】 福祉部長。 ◎【立花等福祉部長】 広報やホームページにより、広く市民の皆様にお知らせするとともに、特別支援学校及びそのPTA、既存サービスを利用していた保護者、児童を対象としたサービス事業所など、利用対象となる可能性がある方の関係機関に直接詳細な説明、周知をいたしました。 ◎【美濃部弥生副議長】 第8番、綿林夕夏議員。 ◎【8番綿林夕夏議員】 4月1日付の広報では、中学生以上から小学生以上にまで利用対象が拡大されたことについて示されていましたが、不十分さを感じました。緊急時通学支援と統合されたことで利用時間数が大幅に増えたことも、小学生まで拡大したことと併せて、より広く市民の皆さんに周知をしていただきたいと思います。  移動支援の対象拡大について保護者から感謝の声があったということですが、小学生まで拡大したことの意義について市の見解を伺います。 ◎【美濃部弥生副議長】 福祉部長。 ◎【立花等福祉部長】 幼少期における様々な経験や社会参加は、その後の成長にとっても大切なことであり、障害があっても、その能力を最大限発揮し、社会の一員として生活していくための第一歩につながるものであると考えております。 ◎【美濃部弥生副議長】 第8番、綿林夕夏議員。 ◎【8番綿林夕夏議員】 移動支援は、とりわけ障害のある学齢期の子どもにとっては、家族や学校関係者でもない第三者であるガイドヘルパーと行動することで社会性を身につけることができるという意義があります。また、障害児が移動支援で出かけているときに家族が休息できるレスパイトの時間の確保としても重要な意義があると私は考えます。移動支援の対象が広がり、時間数も増え、前進面がある一方、障害のある人が障害のない人と同等に社会参加ができることを保障した福祉サービスにはまだなっていないというのが私の認識です。移動支援をさらに利用しやすい制度にしていくためには、利用目的に通年かつ長期にわたる外出は除くという制限を設けている制度設計の問題、ガイドヘルパーをはじめとする移動支援を支えるために不可欠な福祉人材の確保、この2つの課題を乗り越えなければならないと考えます。この2つのテーマについて順次質問します。  まず、通学・通所支援としての日常的な利用について質問します。日本が障害者権利条約を批准して今年で10年がたちました。国連障害者権利委員会は、2022年9月、条約に沿った日本の施策の進捗状況を初めて審査し、総括所見を公表しました。そこで浮かび上がったのは、障害のない人と同等の社会参加という条約が目指す社会からはほど遠い日本の実態です。総合所見は、日本の障害者政策が、障害者を人権の主体として捉えず、恩恵的に保護するという考えに立っていると指摘をしました。総括所見は、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく制限を撤廃し、全ての地域において障害者の自由な身の回りの移動を確保するよう勧告しました。  障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく制限とは何かといいますと、その1つが、通年かつ長期にわたる外出とされる通勤や通学には移動支援が使えないということです。本市の移動支援においても、通年かつ長期にわたる外出とされる通勤や通学では基本的に利用できないという制限があります。私は、障害のある人が障害のない人と同等に社会参加ができることを保障するために、通年かつ長期にわたる外出は除くという制限をなくしていきたいと考えます。  2015年10月に行われた第72回厚生労働省社会保障審議会障害者部会では、障害者の移動の支援について、特に通勤や通学など通いの支援について議論がなされました。その中で示された資料によると、2013年時点での調査結果ではありますが、通学支援については、回答した1,737市町村全体のうちの57%の市町村で事業化しており、そのうち一定の要件を設けている市町村は836、全体の48%でした。この一定の要件の下に認める場合については、主な3つの要件に分けて集計をしており、保護者の病気や入院、出産などにより一時的に送迎が困難な場合は674市町村で、要件を基に認めていると答えたうちの80%、通学ルートを覚えるための訓練として一時的に利用する場合は33%、保護者の就労により困難な場合には23%という結果でした。八王子市の現在を見てみますと、1つ目の保護者の病気や入院など一時的に送迎が困難な場合や、2つ目の通いの訓練としての一時的な利用についても認められたと伺いました。しかし、3つ目の保護者の就労により困難な場合においては、移動支援の要綱やホームページ上の記載を読み取る限りでは、まだ本市では利用ができないのではないかと思います。  確認のために伺います。本市において、保護者の病気や入院などのやむを得ない事情で送迎困難な場合や、通いの訓練としての一時的な利用の場合には移動支援が利用できるけれども、保護者の就労により送迎困難な場合においては利用ができないというような理解でよろしいでしょうか。 ◎【美濃部弥生副議長】 福祉部長。 ◎【立花等福祉部長】 保護者の就労時であっても、緊急またはやむを得ない事情がある場合、その度合いなど個々の状況に応じて柔軟な対応をしており、利用することは可能です。 ◎【美濃部弥生副議長】 第8番、綿林夕夏議員。 ◎【8番綿林夕夏議員】 就労が理由であっても、一時的にできない場合には移動支援を通学支援として利用できるというお答えでした。  このパネルは、2023年度に日本共産党都議会議員団が行った調査を基に、移動支援における通学での利用を認めている都内自治体を色分けしたものです。23区では、足立区を除く22区が移動支援を通学でも利用ができます。多摩26市でも、清瀬市、西東京市、狛江市、国立市で通学でも利用ができます。さらに、今年度に入り、新たに立川市と日野市で通学でも移動支援が利用できるようになりました。通学で利用できると回答した区市の多くが、保護者の通院や入院、病気だけでなく、家族の介護や就労などで、ほかに通学に付き添う介護者がいない場合と条件を定めています。八王子市とはっきり異なるのは、その事情において、緊急一時的な支援の利用になるかどうかについては基準になっていないということです。市は、一時的な理由であれば就労が理由でも認めるというお答えでしたが、その場合、例えば、いつもなら子どもの送り迎えをしてから出勤していたけれども、出張などの事情で朝早く家を出なければならなくなったというような、かなりまれな場合ではないかと思います。また、保護者自身の病気によっては、通学での移動支援が必要な期間が一時的なものにとどまらない場合もあるのではないでしょうか。緊急一時的という制限が、障害者家族を支える福祉サービスである移動支援を利用しづらくさせてしまっていないかと懸念します。  本市においても、緊急一時的な場合だけでなく、通年かつ長期にわたるような場合においても、必要な人が、必要な家族が通学で移動支援を日常的に利用できるようにしていただきたいと考えますが、市の見解を伺います。 ◎【美濃部弥生副議長】 福祉部長。 ◎【立花等福祉部長】 通年かつ長期にわたる通いの支援、つまり毎日の通学に利用することにつきましては、基本的に障害者を受け入れる施設に担っていただいております。さらに、保護者が対応可能な場合には御自身で同行したいというお声も数多くあり、また、本市が独自に提供しているその他のサービスとのバランスを考慮する必要もあるため、現時点では変更する考えはございません。 ◎【美濃部弥生副議長】 第8番、綿林夕夏議員。 ◎【8番綿林夕夏議員】 本市において、通いの支援については、基本的には受入れ施設側、つまり学校が担うものという認識でした。現状、例えば特別支援学校に通う場合には、スクールバスは確かにあります。しかし、バス停まで保護者が送り迎えをしなければならないという現状があります。また、保護者自身が可能な場合には、自身で同行したいという声も多いとお答えいただきました。しかし、子ども本人の思いはどうでしょうか。重い障害があったとしても、親から自立したいという気持ちを持った子どもに対して、その思いに十分に応えられているでしょうか。また、保護者の中にも、働くことで自分の能力を発揮したいという気持ちと、子どもに寄り添いたいという気持ちの間で板挟みになっている方もいるのではないかと思います。  地域生活支援事業は、市町村などの創意工夫により、利用者の方々の状況に応じて柔軟にサービスを行うことが可能となっており、自立支援給付で対象外とされている移動の支援、通勤や通学といった通年かつ長期にわたる外出についても、各市町村の判断で柔軟に実施できるとされています。この点について市の認識を伺います。 ◎【美濃部弥生副議長】 福祉部長。 ◎【立花等福祉部長】 地域生活支援事業は、障害者総合支援法において、地域の特性や利用者の状況に応じて自治体が柔軟に実施する事業と定められております。そして、本市の障害者計画に基づき、既に様々なサービスを市の判断により提供しております。なお、サービスの内容の充実につきましては、第7期障害福祉計画におきまして、地域生活支援事業見込み量確保のための方策として、障害者地域自立支援協議会などと協議しながら決めることとなっております。 ◎【美濃部弥生副議長】 第8番、綿林夕夏議員。 ◎【8番綿林夕夏議員】 ありがとうございます。第72回厚生労働省社会保障審議会障害者部会の中において、厚生労働省は、通勤や通学の支援について、事業者や教育機関による合理的配慮の対応、教育政策との連携などを進めていく必要がある。その上で、福祉政策として実施すべき内容について引き続き検討を進めるという方向性を示しました。それに対し、委員の1人からは、現段階で通勤や通学で支援が受けられずに困っている人が実際にいるのだから、受け入れる事業者や教育機関などの合理的配慮を待つのではなく、市町村の判断で柔軟な対応ができる移動支援事業の中で通勤や通学の支援を実施するよう市町村に働きかけてほしいと意見が出されていました。この委員の意見に全く同感です。  地域生活支援事業の1メニューである移動支援は、市町村の裁量で柔軟に実施ができ、通学や通所などの通いの支援でも利用できることを厚生労働省も認めています。障害を抱えた当事者に寄り添い、自治体の判断で実施ができる地域生活支援事業の中での工夫が、都内をはじめ全国様々な自治体で行われています。本市においても自立支援協議会の中で協議をしていくということでした。全ての地域において、障害者の自由な身の回りの移動を確保し、障害のない人と同じように社会参加ができることを保障するという障害者権利条約の視点に立って、本市においても地域生活支援事業の柔軟な運用を強く要望します。  続いて、より利用しやすい移動支援制度のために乗り越えるべきもう一つの課題、移動支援を支えるために不可欠な福祉人材の確保、ニーズに対応できるガイドヘルパーの養成について質問します。移動支援を利用したくても、ガイドヘルパーの都合がつかず、事業者から断られたり、次の月の利用をと促されたりすることがあると伺っています。まず、ガイドヘルパーの不足について市の認識を伺います。 ◎【美濃部弥生副議長】 福祉部長。 ◎【立花等福祉部長】 ガイドヘルパーの利用につきましては、利用者の多様なニーズに対し、十分に応えられていない場合もあることは認識しております。 ◎【美濃部弥生副議長】 第8番、綿林夕夏議員。 ◎【8番綿林夕夏議員】 利用したくてもできない、外出を諦めなければならないというのは、障害のある方の社会参加の機会を奪ってしまう事態にほかなりません。支援を必要としている人が十分に支援を受けられる体制を整える責務が自治体には求められていると考えます。  第7期障害福祉計画の施策24の取組に同行援護・移動支援のガイドヘルパーの養成など、地域における派遣体制の整備を引き続き取り組むとあります。ガイドヘルパーの養成について、これまでの市の取組について伺います。 ◎【美濃部弥生副議長】 福祉部長。 ◎【立花等福祉部長】 多くの事業所が移動支援事業を担えるように、都の実施する移動支援従業者養成研修の修了者以外にも、介護福祉士や居宅介護従業者養成研修など各種ヘルパーに関する研修修了者も従事可能にするといった柔軟な対応をしているところでございます。 ◎【美濃部弥生副議長】 第8番、綿林夕夏議員。 ◎【8番綿林夕夏議員】 居宅介護従業者養成研修など各種ヘルパーに関する研修修了者も可能であるということは、移動支援を提供する事業者を増やすことに関して一定効果があると考えますが、ガイドヘルパーの養成をしているとはいえないのではないかと思います。移動支援従業者養成研修を市町村主催で実施して、ガイドヘルパーの担い手を増やす取組が都内でも複数の自治体で行われています。  その中の1つである日野市の取組を紹介したいと思います。日野市では、2017年度から移動支援事業の利用対象者を中学生以上から小学生以上に拡大したことで、週末のスポーツや外出といった体力が必要な活動で利用したいという支援のニーズが増加しました。その一方で、移動支援事業所における従事者不足や高齢化が進んでおり、サービスを利用したいときに利用することができないという状況が課題になっていました。こうしたガイドヘルパー不足を解決するために、2021年度から、福祉に関心のある大学生などを対象とした日野市独自の移動支援従事者養成研修を始めました。この研修では、障害や制度の理解のための講義や、市内事業所に協力してもらい実際に移動を支援する実習などを行っているということです。  移動支援は、障害者の社会参加の促進に必要不可欠な福祉サービスです。また、移動支援従事者養成研修を市が主催して行うこと自体に障害者理解を深める間接的な効果も期待できると考えます。福祉の仕事に従事したことがなくても、たった3日間、19時間の研修を受ければガイドヘルパーの資格が手に入ります。居宅介護職員初任者研修の130時間に比べてもずっと少ない時間で移動支援に従事する資格が得られます。障害者福祉への門戸を広げる意味でも、移動支援従事者養成研修を市が実施することは効果があると考えます。このガイドヘルパーの養成について、今後の市の方針を伺います。 ◎【美濃部弥生副議長】 福祉部長。 ◎【立花等福祉部長】 まず、移動支援事業所は、その多くが居宅介護事業など別の事業を主として活動しておりまして、本業の人材不足が課題となっております。福祉人材不足を改善し、事業所に余力を生み出すことで利用者のニーズに対応可能な移動支援の環境を整えるという考え方から、人材確保の方策について、障害者地域自立支援協議会とも連携しながら検討してまいります。 ◎【美濃部弥生副議長】 第8番、綿林夕夏議員。 ◎【8番綿林夕夏議員】 移動支援従事者養成研修を修了した後、移動支援を行う事業所に登録することで初めて従事者として、ガイドヘルパーとして働くことができます。人材確保という観点で考えれば、市で実施した研修の修了者に対し、市内事業者への登録を促す必要があります。また、実習に協力してもらえる事業者や障害者団体との調整など、市内事業者や障害者団体との協力が必要不可欠です。日野市のように、事業者や障害者団体と連携協力しながら移動支援従事者養成研修を実施することは、多数の事業者や障害者団体が存在する八王子市であれば、できないはずがありません。特に日野市の大学生をターゲットにした移動支援従事者養成研修の取組は、都内屈指の学園都市である八王子市でも大いに参考にしていただきたいと思います。既に八王子いちょう祭りの障害者福祉ブースでも大学生が中心となって活動しているなど、障害者福祉課と市内大学との連携も生まれています。ぜひもう一歩連携を深めていただき、移動支援従事者養成研修を市が主催して実施することを前向きに検討していただけるよう要望します。  質問の最後として市長に伺います。障害があることで、選択できる移動手段が制限され、その結果、社会活動が制限されてしまう現実がいまだに残されています。障害があっても、障害のない人と同じように当たり前の生活が送れるようにサポートすることが自治体の役割であり、責務であると考えます。障害のない人と同等な社会活動の参加には、使いやすい移動支援の制度設計と、ガイドヘルパーをはじめ移動支援を支える人材の確保が不可欠です。  また、市長の言う市民の生命と財産を守るということは、市民の一員である障害者の暮らしを守るということでもあると思います。本市の障害のある人もない人も共に安心して暮らせる八王子づくり条例の基本理念には、障害者に対する差別をなくすための取組は、全ての障害者が、障害者でない者とひとしく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することを前提として行わなければならないとあります。障害のある人もない人も共に安心して暮らせる八王子をつくっていくために、障害者の移動支援のさらなる充実に向けて、障害者施策に対する市長の考えをお聞かせください。 ◎【美濃部弥生副議長】 初宿市長。 ◎【初宿和夫市長】 移動支援などの福祉サービスを提供する支援者は、利用者との相性や信頼関係なども考慮する必要があるため、単に人数を確保するだけではなく、多様な人材を確保することが安定したサービスを継続的に提供していく上で必要となります。障害のある方やその家族が安心して地域生活を送ることができるよう、福祉・介護人材の幅広い確保に向け、引き続き取り組んでまいります。 ◎【美濃部弥生副議長】 第8番、綿林夕夏議員。 ◎【8番綿林夕夏議員】 福祉サービスは、提供する支援者がいなければ成り立ちません。障害のある方やその家族が安心して地域で暮らし、自分自身の人生を生きられるようにしていくためにも、福祉人材の確保に市の責務として積極的に取り組むことを重ねて要望します。  質問の終わりに、障害者の移動の支援に関わる私の思いを述べさせていただきます。私は障害者入所施設で働いていた経験があります。利用者とのドライブや散歩、近所のスーパーマーケットやデパートへの買物、ファミリーレストランでの外食、こうした外出は、施設では見られない利用者の生き生きとした表情が見られるため、外出支援はとても楽しかった記憶があります。コロナ禍で外出が制限されたときも、どうすれば施設で決めた感染症対策を守りながら利用者の外出の機会をつくれるか、知恵を絞り、公園の自動販売機でドリンクやアイスを買って食べることを喜んでくれた利用者の姿を見たとき、生活支援員という仕事のやりがいを感じました。  一方で、外出がしたいと望む利用者の願いに対し、十分に応えられず、やるせなさを感じることもしばしばありました。願いに応えられない理由の1つに人材不足という問題がありました。外出しない利用者の見守りや介助をする職員を確保しながら外出支援をする職員を捻出しなければならないため、常にぎりぎりの人員でした。車椅子利用者の介助をしつつ、転倒の可能性があり歩行に見守りが必要な利用者の付き添いを自分一人でしなければならないこともあり、常に気を張っていて、心が休まらなかった外出もありました。もっと利用者さんと一緒に楽しむ余裕が欲しいという気持ちを分かっていただけたらと思います。  移動支援はマンツーマンの個別対応が基本です。利用者と1対1で外出ができる移動支援にうらやましさを感じていました。しかし、現実はどうでしょうか。地域で暮らす障害者のための地域生活支援事業である移動支援でさえ、ガイドヘルパーがいないからと利用が制限されてしまうという現実があります。通学や通所、通勤には移動支援が利用できないという理不尽な制限もかけられています。障害者が安心して自分らしく地域で暮らすために、移動支援はなくてはならないものです。障害を抱える全ての当事者にとって使いやすい移動支援に充実させていくために、引き続きこの課題に取り組む決意を述べて、私の質問を終わります。 ◎【美濃部弥生副議長】 第8番、綿林夕夏議員の質問を終了しました。  次は、第14番、森重博正議員。                    〔14番議員登壇〕 ◎【14番森重博正議員】 市議会公明党の森重博正です。通告に基づいて一般質問を行います。  初めに、公民共創による市内産業の活性化について質問をいたします。本市の八王子未来デザイン2040では、未来を開く原動力として共創を掲げており、本年度は公民共創の窓口を設置します。近年急速な少子高齢化の進展や市民のライフスタイル、価値観が多様化する中で、それぞれの地域で生じた社会課題を解決しようとする動きが見られるようになりました。一方、複雑化、増加の一途をたどる社会課題を行政だけで全て解決することは極めて困難な状況と考えます。そこで必要とされるのは、官と民がそれぞれ持つノウハウ、資源、ネットワークなどを結集し、政策や価値を創造する共創と言われる取組で課題解決を図っていくことであります。私は、そうしたことから、本年度設置される公民共創の窓口の機能に大変期待しております。  初めに、本市の公民共創を目指す姿と現状の課題について伺います。また、現状の課題の解決に向けた取組についてお伺いいたします。  経済産業省関東経済産業局では、イノベーションによる社会課題解決と持続的な地域社会の実現に向けた取組を推進しております。人口減少、少子高齢化に伴う医療・介護人材不足、交通・買物弱者、空き家、空き店舗、気候変動による環境、防災対応等、地域における様々な社会課題が顕在化しております。一方で、人々の社会課題に対する意識の高まり、デジタル技術等の発展により、マーケットから取り残されていた社会課題を新たなビジネスやイノベーションのシーズ、種と捉え、自ら稼ぐ力の向上へとつなげていく地域の中小企業、スタートアップ等の取組を支援するために4つの分野を施策テーマとして設定し、2022年から支援を実施しております。  東京都では、多摩地域の社会的な課題や企業の特徴等を捉え、環境・エネルギー、健康・医療等の取り組むべき9つの重点テーマを設定し、これらをテーマに複数の企業等が連携して取り組む多摩リーディングプロジェクトを2022年8月より進めております。多摩地域に集積する技術力の高い中小企業が大学研究機関など多様な主体と交流、連携し、イノベーションを起こし続ける好循環をつくる取組を後押ししております。  2022年度のリーディングプロジェクトとして製品・サービスの検証を取り組んできた14のプロジェクトの成果報告会が昨年、東京たま未来メッセで開催されました。その14のプロジェクトの1つが本市での廃食油の回収資源化事業で、現在、市内のスーパーマーケット2店舗で実施されております。  本市各所管において、イノベーションによる社会課題解決と持続的な地域社会の実現に向けた企業などとの取組をこれまでも推進してきたことは承知しております。市内産業活性化の取組においても、中小企業が新たに事業展開を図り、持続的に発展していくため、産産連携や産学連携を通じ、事業拡大や販路開拓につなげていくチャレンジが行われてきたと思います。  本市では、2023年度から2030年度までを計画期間とする産業振興の基本計画、八王子市産業イノベーションプラン~Beyond2030~がスタートしております。このプランに基づいて行うあらゆる施策について、公民共創によるイノベーションの創出及び地域産業の活性化という視点を取り入れ、知識、技術、人材が集い、新たな産業、新たなビジネスチャンス、新たな生活を創出するイノベーション都市八王子の実現を目指していくとしております。新たな産業、新たなビジネスチャンス、新たな生活様式を創出する力強い取組に期待しております。  そこで、八王子市産業イノベーションプラン~Beyond2030~における公民共創の基盤構築に向けた取組についてお聞かせください。  続いて、もう一つのテーマである戸建て住宅の耐震化推進について伺います。本年元旦に発生した能登半島地震では、老朽化した戸建て住宅が多数倒壊し、甚大な被害が発生しました。いつ起こるか分からない大震災から市民の生命と財産を守るためには、本市においても戸建て住宅の耐震化を進めることが喫緊の課題でございます。住宅の耐震基準とは、地震に耐える建物の構造の基準のことです。耐震基準には、建築基準法の改正により、旧耐震基準と新耐震基準があります。日本では、大きな地震が発生するたびに損傷を受けた住宅を検証し、建築基準法における耐震基準が改正されてきました。建築基準法は1950年に制定され、耐震基準は1971年、1981年、2000年に改正されております。1981年5月31日までの適用の旧耐震基準では、震度5程度の地震が発生した際に建物が損傷しても、補修すれば生活することが可能なレベルが基準となっていました。一方で、1981年6月以降の新耐震基準では、震度6から7程度でも建物が倒壊しないレベルとなっており、構造基準がより厳しくなりました。その後、1995年に起きた阪神・淡路大震災で多くの木造住宅が倒壊したことから、2000年に建築基準法が改正され、木造住宅における耐震基準が変更となりました。この耐震基準は、新・新耐震基準、2000年基準などとも呼ばれております。1981年の改正では、木造住宅の耐力壁の量や倍率などが見直され、耐震性は向上しましたが、それでも木造住宅が倒壊する被害が多くあったため、2000年改正の基準では、木造住宅の基礎形状、建物の壁の強さが建物全体で均等であること。柱頭、柱脚、筋交いの接合方法などが明記され、木造住宅の耐震性がさらに強化されました。  現在、市内には、申請時の耐震基準に基づき建設された老朽化した木造住宅がございます。初めに、本市の木造住宅耐震化の取組状況についてお伺いします。あわせて、木造住宅の助成制度の内容と実績についてお示しください。  以上で1回目の質問を終わります。 ◎【美濃部弥生副議長】 経営改革担当部長。 ◎【小山等経営改革担当部長】 公民共創について2問お答えいたします。  まず、公民共創の本市が目指す姿についてです。行政と企業や大学などとの対話と共感を起点に、共に考え、創造することで、地域課題・社会課題の解決を図るイノベーションを創出する社会を目指しております。  次に、現状の課題とその解決に向けた取組についてです。課題としては、全庁を挙げて効果的に共創を推進する上で、人材育成や庁内連携にあると考えております。このため、まずは共創の概念を職員が理解できるよう、昨年、令和5年度に引き続き、今年、令和6年度も共創の分野で実績のある外部講師をお呼びして、共創の必要性やその推進に必要となる能力を理解、習得するための職員研修を行います。また、共創の担当である経営改革課が所管に入りまして、共創の具体的な事例の共有や意見交換の場を設けるなど、職員が共創を身近に感じ、活用できる意識の醸成を進めてまいります。 ◎【美濃部弥生副議長】 産業振興部長。 ◎【平塚裕之産業振興部長】 産業振興での公民共創の基盤構築に向けた取組でございますが、現在、モデル事業として取り組んでいます広域連携型共創プラットフォームTAMA-Social Impact Lab、通称TAMA-SILにおきまして、行政、民間企業などの多様な主体が共創により社会課題・地域課題の解決を目指しているところでございます。現在は、多摩地域の大手企業の調査や共創の取組事例の紹介を中心に、参加団体の対話の場づくりを進め、共創について理解を深めているところです。このTAMA-SILの今後の方向性につきましては、自治体間連携により、企業等との共創プラットフォームを形成し、多摩地域においてイノベーションを生み出す仕組み、イノベーションエコシステムの構築につなげてまいります。 ◎【美濃部弥生副議長】 まちなみ整備部長。 ◎【小林中まちなみ整備部長】 木造住宅耐震化の取組状況についてですが、本市では、昭和56年5月以前の耐震基準で建てられた木造住宅を対象に、耐震化への第一歩として、専門家である建築士と施工業者の2人1組を無料で現地に派遣する耐震お助け隊事業や、診断・改修費用の一部を補助する取組を行っております。  次に、木造住宅の耐震化に係る助成制度の内容と実績についてですが、耐震診断につきましては、15万円を上限に診断に要する費用の4分の3を補助しており、令和5年度は23件の補助実績となっております。また、耐震改修につきましては、100万円を上限に改修に要する費用の3分の2を補助しており、令和5年度は4件の補助実績となっております。 ◎【美濃部弥生副議長】 第14番、森重博正議員。                    〔14番議員登壇〕 ◎【14番森重博正議員】 種々答弁いただきました。共創の目指す姿は、企業や大学などとの対話と共感を起点に、共に考え、創造していくことで、地域課題・社会課題の解決を図るイノベーションを創出していく社会を目指すとのことです。本市は多くの大学や企業があり、ポテンシャルを生かしていくことは重要であると考えます。また、共創の窓口をつくる上での課題は、人材育成や庁内連携。課題の解決に向けた取組については、共創の概念を職員が理解しなければスタートできないため、昨年、2023年度に引き続き、職員が共創を身近に活用できる仕組みづくりを進めているとの回答でした。市役所職員の人材育成や庁内機関の連携は、共創推進の基盤であると考えます。新しい取組には、従来と違った発想や新たなスキルの習得などが必要となります。  そこでお伺いします。公民連携の人材として重要な視点、必要なスキル、そのため今後の具体的な取組についてお示しください。  また、社会課題はますます多様化、複雑化しております。まだ顕在化していない課題についてもいち早く把握し、解決策を探っていく視点も必要となってきております。そこで、今年度に設置する共創推進窓口について、どのような窓口を設置し、進めていくのかについて伺います。  現在、市役所での行政サービス窓口の一本化など、所管横断型のサービスの検討や取組が進められていると承知しております。そこで、公民共創を進める上で、現在、各所管でつながっている企業や団体等とのネットワークをどのように活用していくのかについてお示しください。  先ほど、共創プラットフォームの構築について、本市も参加している広域連携型共創プラットフォームTAMA-SILの現状の取組を伺いました。公民共創において幅広い英知を結集する広域連携は重要な取組と考えます。今後の方向性としては、自治体間連携により企業等との共創プラットフォームを形成し、多摩地域においてイノベーションエコシステムにつなげていくとの答弁でした。民間からの提案を受けるとともに、市からの課題も発信し、官民が連携して地域課題解決を図れる体制を構築。本市の共創プラットフォームと連携され、より多くの課題解決につながることを期待いたします。  次に、八王子市産業イノベーションプランの5つの施策の柱の1つである地域・社会課題のマーケットの創造について、ソーシャルビジネス、コミュニティビジネスの側面からお伺いします。昨年、第2回定例会で、地域課題・社会課題の解決に向けた活動を持続的なものとするためのソーシャルビジネス、コミュニティビジネスに取り組んでいる方へ市としての支援について質問いたしました。ソーシャルビジネスやコミュニティビジネスは、地域にある資源や人材を活用する事業として行われることから、地域課題・社会課題の解決に寄与するほか、新たな創業、雇用の創出、生きがいの創出などの効果が期待され、産業面からは、地域課題・社会課題を産業の伸び代と捉え、その解決につながるビジネスモデルの創出・発展に向けた支援として考えられている。ビジネスの手法を用いて力を発揮できるように支援を行う中間支援組織の設立に向けて、2022年度から検討を進めているとの答弁をいただきました。  そこで、本市のソーシャルビジネス、コミュニティビジネスの中間支援組織の検討会等で出ている検討内容と状況についてお伺いいたします。  次に、戸建て住宅の耐震化推進についてですが、本市における木造耐震化の取組状況としては、1981年5月以前の旧耐震基準で建てられた木造住宅を対象としており、支援の取組としては、耐震化への第一歩として、現地に無料で建築士と施工業者2人1組の専門家を派遣する耐震お助け隊事業や、診断・改修費用の一部を補助する取組を行っているとの答弁でした。
     先ほども述べましたように、耐震基準は旧耐震基準から改正されており、現在の建築基準は2000年基準となっております。都議会公明党は、1995年に起きた阪神・淡路大震災で多くの木造住宅が倒壊したことから、2000年、建築基準法が改正された2000年基準に基づいて、1981年当時の新基準で2000年までに建築された新耐震基準住宅での耐震性の課題に言及し、新耐震基準の木造住宅の耐震化への支援実施を求めてきました。この提案、要望に対し、都では2023年度より、首都直下地震等による被害を軽減するため、1981年以降、2000年以前に建築された2000年基準が適用前の新耐震基準の木造住宅も支援の対象とし、診断や設計、改修について旧耐震基準と同様の助成を開始しました。東京都から区市町村に対し、この助成制度の活用を働きかけていき、耐震性が不十分な住宅を2035年度末までにおおむね解消することを目指すと答弁を得ております。  さらに、耐震改修等の補助限度額を、耐震改修等を行う場合、また不燃化建替え等を行う場合、それぞれの限度額引上げの金額についての質疑に対しても、本年度から耐震改修等の都費の補助限度額が引き上げられました。そこで、この東京都の取組の市の認識についてお示しください。  これで2回目の質問を終わります。 ◎【美濃部弥生副議長】 経営改革担当部長。 ◎【小山等経営改革担当部長】 公民共創について3点お答えします。  公民連携の人材として重要な視点、スキル、今後の取組についてです。従来の行政主体の課題解決方法にとらわれない視点を持ち、多様な人々と対話を重ねられる力、共に創造する力が必要だと考えております。令和6年度は、職員研修に加え、市内民間企業を対象に多様な参加者と共創することを通じ、地域資源などを生かした新事業を創出することを目的とした八王子未来共創プロジェクト研究にも本市の職員を参加させることとしており、共創を推進できる人材の育成に取り組んでまいります。  次に、共創推進の窓口の役割、進め方についてです。行政課題の提示や企業などからの新規提案の受付、調整を一元的に担うとともに、共創に取り組む所管を伴走支援することを想定しております。まずは市が提示する課題に対して、共創による解決策を企業などから御提案いただくテーマ型を進めるため、行政課題の集約や公開に取り組んでまいります。  最後に、既につながりのある企業や団体などとのネットワークの活用についてです。共創推進の窓口に情報を集約することで、既存のつながりや連携の中では解決できなかった課題であっても、企業などのリソースを庁内横断的に活用し、新たな共創に発展できるように取り組んでまいります。 ◎【美濃部弥生副議長】 産業振興部長。 ◎【平塚裕之産業振興部長】 ソーシャルビジネス、コミュニティビジネスの中間支援組織の検討状況についてでございます。令和5年度には、ソーシャルビジネスやコミュニティビジネスを市内で実施している市民や団体が中心となって複数の組織が支援を行うネットワーク型の中間支援組織について検討を行ったところでございます。今年度は、中間支援組織の在り方やその組織の担い手、支援内容などの具体的な検討を進め、中間支援組織の設立に向け、準備を進めているところです。 ◎【美濃部弥生副議長】 まちなみ整備部長。 ◎【小林中まちなみ整備部長】 住宅耐震化に係る東京都の取組への認識についてですが、都は令和5年3月に東京都耐震改修促進計画の改定を行い、取組の方向性として、2000年以前に建築された新耐震基準の木造住宅についても耐震化の支援を開始するとともに、災害時でも居住が継続できる災害に強い住宅への取組を推進する、このことを掲げており、こうした背景の下、制度を変更したものと認識しております。本市もこうした制度変更を受けて、2000年以前に建築された木造建築物への支援について、ニーズの把握や建築士などの専門家を含めた議論を進めているところです。 ◎【美濃部弥生副議長】 第14番、森重博正議員。                    〔14番議員登壇〕 ◎【14番森重博正議員】 3回目の質問をいたします。  公民共創の取組は、仕組みを理解し、運用している職員の育成が重要であると考えます。本年の八王子未来共創プロジェクト研究には、市役所職員2名が参加すると伺いました。この研究会は原則15人の研究員で構成し、研究期間の本年7月から2025年3月の全20回を通してコーディネートとファシリテーションを行い、研究員の知見を高めながら推進していくとのことです。行政や企業・機関等が、個々の取組や、従来手法では解決困難な地域社会課題に対して事業構想力を身につけ、新たな産業やビジネスチャンス、新しい生活様式をもたらすイノベーション人材育成のための講座と伺いました。公民共創を推進するには、市職員においては、従来型の縦割りの発想ではなく、所管を超えて課題解決を総合的に検討できる人材の育成が重要です。人と対話を重ね、未来を創造していくために複合的な思考ができる人材育成に今後も取り組んでいただきたいと思います。  共創推進の窓口の役割、進め方については、行政課題の提示や企業等からの新規提案の受付、調整を一元的に担うとともに、実施所管の伴走支援を行っていくと想定しており、市が提示する課題に対して、共創により解決策を企業等から御提案いただくテーマ型で進めるため、行政課題の集約や公開に取り組むとの答弁でした。現在、全国各地では、行政機関に公民共創の窓口がつくられておりますが、共創の窓口には、テーマ型とフリー型の2種類の提案方法があります。テーマ型は、市から行政課題のテーマを提示し、民間からそのテーマに沿った共創の提案を受け付ける形で、本市の窓口もここからスタートすると伺いました。もう一つのフリー型は、民間の自由な発想に基づく行政課題解決の共創事業提案を受け付ける方法です。先進地域である横浜市では、民間事業者からの公民連携に関する相談、提案をいただく窓口として共創フロントを開設して、いただいた提案は、政策経営局共創推進課が事業者と市役所各部署との橋渡し役となり、実現に向けた検討会や調整を行っております。  今回、本市での共創の窓口、ネットワーク構築については、多様化、複雑化する課題を全庁的につなぎ、継続的に進捗状況を確認していく必要から市の司令塔として設置し、オープンイノベーションを構築して運営することで効果が発揮できると考えます。  そこでお伺いします。市の公民共創ネットワークを全庁横断的に整備し、民間等との双方連携を有効に図る機関として、公民共創の窓口の今後の展望をお示しください。  中小企業庁では、地域の社会課題解決の担い手となるゼブラ企業、ローカルゼブラ企業の創出、育成に向けて、地域課題解決事業推進に向けた基本指針を策定しました。地域の社会課題解決の担い手となる事業を通じて地域課題解決を図り、域内企業等と協業しながら、新たな価値創造や技術の活用等により、社会的インパクトを生み出して収益を確保する企業をローカルゼブラ企業と位置づけております。  社会的課題解決と経済成長の両立を目指すゼブラ企業は、2017年にアメリカで提唱された概念であり、時価総額を重視するユニコーン企業と対比させて、社会課題解決と経済成長の両立を目指す企業を白黒模様、群で行動するゼブラに例えたものです。今後、この基本指針の普及を図り、多くのゼブラ企業が創出されていくエコシステムが各地に構築されていくよう取り組んでいくとのことです。  また、中間支援組織の設置でソーシャルビジネス、コミュニティビジネス、創業支援や市内の中小企業者を共創窓口や共創ネットワークとつなぐことで、地域課題の解決とともに事業の活性化も期待されると考えます。本市では、複数の組織が支援を行うネットワーク型の中間支援組織について検討を行ったと答弁をいただきました。東京都北区では、創業であふれるまちをビジョンに掲げ、北区コミュニティビジネス創業支援ネットワークを構築しております。コミュニティビジネスの窓口としてより身近な場所で相談できるよう、区内6つのエリアで身近で先行してコミュニティビジネスを行っている事業者からのアドバイスを受け、潜在創業者に対して支援を行う体制を築いております。本市も広域のため、このようなネットワーク型での支援組織での各地域での相談支援体制の構築は有効であると考えます。  昨年末、会派の視察で伺った茨城県つくば市では、市の課題解決に資するAI、自動運転、ドローン、ビッグデータ、サイバーセキュリティ、IoTなど、未来技術の実証実験の提案を年間通じて受け付けるワンストップ相談窓口を設置し、実証実験の実現に向けて支援するつくば市未来共創プロジェクト事業を実施しております。本事業では、つくば市未来構想で掲げる目指すまちの形や、2030年の未来像の実現を目指すとともに、市をフィールドとした実証実験への協力を通じて、市民生活の向上及び地域経済の活性化に寄与することを目的に採択された案件は、実証実験の実現に向けて市が広くサポートをしております。  本市には21の大学等や研究機関、成長潜在力のある中小企業が多く存在します。また、中央道、圏央道周辺には、半導体をはじめ先端技術を有する企業が集積しております。また、都内有数の産業交流拠点、東京たま未来メッセがあります。本市において、そのポテンシャルを十分に生かし、地域や広域連携からイノベーションを起こし、地域課題解決につなげるための窓口の構築に私は大いに期待しております。  そこで、このテーマに関して最後にお伺いいたします。公民共創の窓口ができることにより、市内産業の活性化への具体的効果について市の見解をお伺いいたします。  次に、戸建て住宅の耐震対策推進についてですが、本市も東京都の制度変更を受けて、2000年以前の木造建築物への支援について、ニーズの把握や建築士などの専門家を含めた議論を進めていると前向きに検討していただいていることが分かりました。冒頭でも申したとおり、昨今の地震災害は激甚化しております。そうした中で、本市にも平時からの対応が必要と考えます。いつ発生するか分からない直下型大型地震による戸建て住宅の倒壊から市民を守るため、都の耐震の助成制度を活用するべきであると考えます。  そこで、改めてお伺いいたします。都の助成制度を本市としても採用していただきたいと考えますが、副市長の見解をお伺いいたします。  これで私の一般質問を終わります。ありがとうございました。 ◎【美濃部弥生副議長】 経営改革担当部長。 ◎【小山等経営改革担当部長】 公民共創窓口の今後の展望についてお答えします。広く情報を周知し、多くの企業などから提案をいただくとともに、全ての職員が共創の必要性を理解し、行政課題などの解決につなげる企業などとの対話に積極的に活用できる窓口を目指してまいります。 ◎【美濃部弥生副議長】 産業振興部長。 ◎【平塚裕之産業振興部長】 公民共創による市内産業の活性化への効果についてでございますが、変化の激しい時代と言われている中で、地域や社会が抱える課題も多様化しており、ビジネスの観点で見ますと、地域の課題は顧客のニーズでもあり、新たなサービスや製品が生まれる可能性を秘めていると考えております。民間企業が公民共創の仕組みを活用し、異分野、異業種と協力して事業を行う協働が進むことでイノベーションの創出につながり、企業の生産性や競争力の向上に寄与するものと考えております。 ◎【美濃部弥生副議長】 中邑副市長。                    〔副市長登壇〕 ◎【中邑仁志副市長】 住宅の耐震化に関する都の助成制度の採用についてでございますが、本市につきましては、八王子市耐震改修促進計画に基づきまして、まずは昭和56年5月以前の耐震基準により建築されました木造住宅を対象に各種施策を展開しているところでございます。この計画につきましては、東京都の計画との整合も図っているものでございまして、令和7年度に改定作業を行う予定としております。都の助成制度の採用につきましては、この計画改定の中で積極的に検討を行いまして、安全・安心な居住環境の形成につながるよう取り組んでまいります。 ◎【美濃部弥生副議長】 第14番、森重博正議員の質問は終了しました。  会議時間も長くなりましたので、暫時休憩します。                                     〔午後3時00分休憩〕   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━                                     〔午後3時30分再開〕 ◎【鈴木玲央議長】 休憩前に引き続き会議を開きます。  一般質問を続行します。  第2番、長谷川順子議員。                    〔2番議員登壇〕 ◎【2番長谷川順子議員】 自民党新政会、長谷川順子です。発言通告に基づき、一般質問をさせていただきます。  まず初めに、学校再編の現在の検討状況について質問をさせていただきます。厚生労働省は今月5日、2023年の人口動態統計を発表いたしました。1人の女性が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率は1.20で過去最低を更新し、出世数や婚姻数も戦後最少でした。そして、東京都においては初めて1.00を切り0.99となり、大変衝撃的な出生率であり、1を割ったのは全国で東京都だけで、東京都は少子化政策に力を入れておりますが、歯止めがかからず、少子化と人口減少が加速していることが分かります。  本市においては、東京都福祉保健局の令和2年人口動態統計によると、令和2年の出生率は1.09で、令和2年の東京都全体の出生率は1.12、全国は1.33と比較すると低く、今回の厚生労働省の発表の内容を拝察すると、本市においてもさらに出生率は下がることが予想されます。  本市、八王子市住民基本台帳からは、子どもの人口将来予測は今後20年間で約30%減少する見込みで、令和3年の児童・生徒数は3万8,824人で、20年後30%減少するのであれば、児童・生徒数は約2万7,000人となり、約1万1,000人減少することになります。1校当たりの小中学校の児童・生徒数の平均は300名から400名で、児童・生徒数で換算をすると、30から40校分が20年後には空き学校になることとなります。  本市の市立小中学校における児童・生徒数は、今数字で申し上げたとおり減少が著しく、一部の地域では開発や住宅建設等により増加しておりますが、既に市内の全学校の平均ではピーク時より約4割が減少しており、本市では小中学校を合わせて107校中36校が1学年1クラスの単学級や、2学年が1つの教室で学ぶ複式学級となっている学校も存在しております。  地域によって児童・生徒数が多い小中学校や少ない小中学校が存在し、それぞれでメリット、デメリットがあることは確かです。小規模校では、家族のように児童・生徒ひとりひとりにきめ細やかな指導が行いやすいメリットがありますが、運動会、遠足等の集団行動、行事の教育効果の低下や、球技や合唱のような集団学習に制約が生じたり、クラス替えがなく、友人関係に悩む児童・生徒にとっては気持ちの切替えができないなどのデメリットが多くあり、一定規模の中で子どもたちが切磋琢磨し、共同しながら学校生活を送る教育環境は望ましいと考えます。一定規模の児童・生徒数を確保し、よりよい教育環境を維持していくには、学校の再編は不可欠であると考えます。  本市の市立小・中学校再編基本方針では、社会環境の急速な変化に伴い、地域、学校などにおいて子どもたちを取り巻く環境は大きく変化している。そのような状況において、心身ともに健康で、自ら考え行動できる社会性、人間性豊かな児童・生徒を育成するため、義務教育9年間を切れ目なくつなげるとともに、学校を地域活動の拠点とし、地域の子どもたちは地域で育てる小中一貫教育を実施し、この小中一貫教育をさらに推進するための方策など基本的な考え方を示しています。学校の再編と聞くと、統廃合というマイナスイメージが先行しがちですが、そのまちにとっての魅力を高めるような方法もあると思います。今回の質問では、そのような付加価値についての提案も含め、質問を進めさせていただきます。そして、本市の将来にわたる財源確保の観点から、現実的には学校に必要な施設の取捨選択も必要になってくると思います。  そこでお伺いいたします。本市は、市立小・中学校再編基本方針に基づき検討が進められていると思いますが、検討に当たって配慮している点はどのようなものかお聞かせください。  現在、具体的に地域と話合いを進めている中学校区として、令和3年に地域づくり推進会議を立ち上げ、令和6年には団体設立をした長房及び川口中学校区がこの事業のモデル地区であることについては承知をしております。長房及び川口中学校区においては、令和4年に再編の基本的な考え方を地域づくり推進会議で示されたことと存じますが、多摩ニュータウン東部地域の南大沢中学校区においても学校再編について要望があると地域から聞いております。  そこでお伺いいたします。地域から要望がある南大沢中学校区における学校再編について、現在の状況をお聞かせください。  以上で1回目の質問を終わらせていただきます。 ◎【鈴木玲央議長】 学校教育部長。 ◎【松土和広学校教育部長】 2つの御質問にお答えします。  学校再編の検討に当たって配慮していることですが、児童・生徒数の推移をはじめ、施設の築年数、敷地や通学路の状況、自宅からの通学距離などを十分考慮した上で、1中学校と周辺1から4の小学校で構成される小中一貫教育グループを1つの単位として検討を進めております。  続いて、南大沢中学校区における再編に向けての現在の状況ですが、南大沢中学校、南大沢小学校及び柏木小学校の再編については、地域からも要望をいただいております。また、南大沢中学校区では、学校も含めた周辺公共施設全体の再編について庁内検討を行っているところです。 ◎【鈴木玲央議長】 第2番、長谷川順子議員。                    〔2番議員登壇〕 ◎【2番長谷川順子議員】 2回目の質問をさせていただきます。  それぞれ御答弁をいただきました。学校再編の検討状況について様々な配慮を要し、南大沢中学校区については、学校も含めた周辺公共施設全体の再編について庁内検討を行っていただいていることが分かりました。本市が学校再編を行ったいずみの森義務教育学校に続き、第二小学校・第四中学校の義務教育学校設置に向けた整備が行われておりますが、これらを除いても、1回目の質問で申し上げたとおり、今後の少子化、人口減少による児童・生徒数の推移を見ても、市内100校以上がいずれ再編対象になることは明らかです。財源とのバランスもありますが、1年に2校再編してもおよそ50年を要し、その間に施設の老朽化も進行する状況が生じ、スピード感を持った検討及び再編が必要であると考えます。  本市小中学校の築年数は、今回学校再編を行う第二小学校が一番古く、今から66年前の昭和33年に建築されました。本市小中学校の学校施設は、第二小学校と同じ昭和30年代に建築をした小中学校は3校、昭和40年代に建築をした小中学校は45校あります。第二小学校・第四中学校は現在整備に向けて進んでいますが、他の学校施設の建物の築年数はさほど変わらず、老朽化が進んでいることが予想されます。  文部科学省は、学校施設は子どもたちの学習・生活の場であり、学校教育活動を行うための基本的な教育条件で、充実した教育活動を存分に展開できる、高機能かつ多機能な施設環境を整えるとともに、豊かな人間性を育むのにふさわしい、快適で十分な安全性、防災性、防犯性や衛生的な環境を整えた安全・安心なものであることが必要であり、また、学校施設は地域住民にとっても最も身近で、生涯にわたる学習、文化、スポーツなどの活動の場として利用される地域の防災拠点としても重要な役割を擁すると示しています。  多摩ニュータウン東部地域の小中学校は、本市の中でも比較的学校施設の築年数が浅く、約半数が平成になってから建築された学校です。しかし、平成になって建築された小学校の中でも単学級学校が存在し、今年度においては中学校でも単学級になってしまった学校もあり、多摩ニュータウン東部地域でも学校再編の検討が急がれているところです。再編には、よりよい教育環境の確保のため様々な配慮を要しますが、校舎自体も改築なのか、増築や改修で対応ができるのか、様々な手法を模索する必要があると考えます。  そこでお伺いいたします。学校再編を行うに当たり、校舎の改築についてどのような考えで検討しているのかお聞かせください。  多摩ニュータウン東部地域は、今から48年前、多摩ニュータウン八王子市域が入居を開始され、人口約6,000人だった由木村から八王子市に合併後、ニュータウン地域は現在約12万人の人口を抱える地域に発展いたしました。しかし、現在は少子高齢化の影響を大きく受け、私自身も南大沢駅から徒歩圏内に住んでおりますが、近隣の小中学校の目まぐるしいクラス数変動は、住んでいる住民の皆様からも困惑のお声を聞きます。  そこでお伺いいたします。長房、川口及び南大沢中学校区の先の再編も見据え、同時並行的に検討を進めていく考えをお聞かせください。  昨今、働きながら子育てをする共働き家庭が多い中、安心して子どもたちを預ける環境は、本市でも様々な取組を行っていると思います。本市小学校では、子ども食堂を朝の登校時間に開設したり、放課後子ども教室でスポーツを育めるスポーツクラブ事業や、子どもたちが伸び伸びと楽しめる環境を整えてくださっています。市内のある中学校では、中学校内で放課後の居場所づくりとしておしゃべりカフェの開設も予定をされていると伺っております。本市学童保育所は、地域によって受入れ学年が異なり、南大沢中学校区の南大沢小学校内にある南大沢西学童保育所は3年生まで、柏木小学校学童保育所は4年生までの受入れとなっており、地域の方からも受入れの学年の差や4年生以上の受入れの要望をいただいております。  そこでお伺いいたします。学校再編後も、親も子も安心して子どもたちが過ごせる環境整備は必須条件であると考えますが、各中学校区の再編において、学童保育所並びに放課後子ども教室の設置は再編とセットで検討すべきであり、地域の要望も考慮した設置運営が必要と考えますが、本市としての考えをお聞かせください。  以上で2回目の質問を終了させていただきます。 ◎【鈴木玲央議長】 学校教育部長。 ◎【松土和広学校教育部長】 2つの御質問にお答えします。  学校施設の改築の考えですが、築年数が経過し老朽化が進んでいる校舎については、改築や増築により対応する方法が考えられます。また、比較的築年数の浅い校舎については、市長部局とも連携して、公共施設全体の取組の中で検討を進めていく考えでございます。  続いて、長房、川口及び南大沢中学校区の再編検討の進め方についてですが、引き続き学校及び地域との合意形成を図っているところです。その上で、方向性の整った地域より順次進めることとなります。優先順位を設定しながらも、極力期間を空けないよう工夫して実施していくことと認識しております。 ◎【鈴木玲央議長】 生涯学習スポーツ部長。 ◎【平本博美生涯学習スポーツ部長】 学校再編に伴う学童保育所及び放課後子ども教室についてでございますが、地域の皆様の声をお聞きしながら、これまでと同様に設置運営していく予定でございます。さらに、学童保育所におきましては、受入れ学年を6年生までに拡大できるよう検討してまいります。御質問の中でお話のありました南大沢中学校区の学童保育所につきましても、再編に併せて、南大沢小学校、柏木小学校ともに6年生までの受入れを目指してまいります。 ◎【鈴木玲央議長】 第2番、長谷川順子議員。                    〔2番議員登壇〕 ◎【2番長谷川順子議員】 3回目の質問をさせていただきます。  それぞれ御答弁いただきました。スピード感を持った再編について、学校再編時の校舎の改築、増築、公共施設全体の取組の中で現実的な手法で検討をお願いいたします。再編検討の進め方については、優先順位をつけながら、極力期間を空けないよう順次進めていただくこと。また、学童保育所や放課後子ども教室など、子どもたちの居場所の整備についても、再編を機に、今まさに地域の方々から求めていることに対し、スピード感を持って対応いただきますようお願い申し上げます。  学校を地域の活動の拠点とし、地域の子どもたちは地域で育てる小中一貫教育を進めている本市として、地域の拠点である学校を再編していくことは、その地域にとって大きな転換点と考えます。学校再編は、その地域のまちづくりにも大きく影響を及ぼします。南大沢中学校区のまちづくりに関わる方々より、近年特に共働きの子育て世帯が南大沢中学校区から他の自治体に移住をしてしまうという御心配の声をいただきました。南大沢中学校区の柏木小学校は、昭和58年の創立時は児童数756名だったのが令和4年には247名。南大沢小学校は、昭和60年の創立時は児童数391名だったのが令和4年には99名と、児童数がこの40年で大幅に減少しています。少子化もさることながら、この地域の方々からは、地域の特性上、都営住宅が多く、居住年数に制限があることや、学童保育所の受入れ学年が低いことも移住の背景にあると聞いています。  南大沢中学校区から子育て世帯が離れている理由は、そのほかにも様々あると思いますが、教育環境が充実している地域は、この地域に住みたい、この地域に住み続けたいと思える地域につながると思います。そして、この地域ならではの特色ある教育は、まちの魅力を高める方策の1つであると思います。学校再編を機に、例えば自分が通った学校がなくなってしまうことは卒業生にとって大変複雑な思いになることから、卒業生との交流の在り方や関わり方の検討や、南大沢地域の恵まれた環境として東京都立大学との連携や、中学校の部活動においては、既に一部ニュータウン地域では近隣中学校3校が合同部活動をモデルケース的に設置しており、他の学校に通う生徒同士がスポーツや文化活動を通じて心身ともに仲間と育める環境は、よい成果を出していると思います。再編後は生徒の人数が整うため、あえて部活を残す方策や、逆に学校の施設を地域のクラブに柔軟に貸し出し、全ての部活動に代わる課外活動を地域のクラブに任せることや、西の高尾山学園、東の南大沢教育特区を設けることなど、あくまでも提案の一部ですが、学校再編をきっかけに、このまちが好きになる、誇りが持てる、先進的な特色ある取組を検討すべきだと考えます。  南大沢中学校区以外の地域でも、その地域ならではの歴史や特色があり、その歴史や特色を生かし、それぞれ先進的な取組を行うことで、1回目の質問の際、お伝えしたとおり、学校再編の際の付加価値につながると思います。学校再編を行っても持続可能な魅力ある地域にしていかなければ、また再編の検討の時期がすぐに来てしまうと思います。さきに御答弁をいただいたとおり、南大沢中学校区は学校も含めた周辺公共施設全体の再編について検討いただいているとのことですが、これから大きな発展の可能性を秘めている南大沢地域のまちの魅力を高め、まちを好きになり、誇りを持てるまち全体のまちづくりと学校再編を地域と一体的に取り組むことが必要と考えます。  そこでお伺いいたします。学校再編においては、それぞれの地域の特色を生かし、持続可能な魅力ある地域にするため、先進的な取組の検討について本市のお考えをお聞かせください。  今回、学校再編に関わる質問の機会を得、なぜ今、スピード感を持って学校再編を進めるべきなのか。そして、学校再編、整備には様々な手法があり、このまちに住み続けてもらえる方策が必要であることをお伝えさせていただきました。  そこでお伺いいたします。長房、川口及び南大沢中学校区の再編を早急に進め、これらをまちの魅力を高めるモデルケースとして、他の中学校区での再編も進めていくに当たり、教育長の決意をお聞かせください。  以上で私からの一般質問を終了させていただきます。 ◎【鈴木玲央議長】 学校教育部長。 ◎【松土和広学校教育部長】 持続可能な先進的な取組の検討についてですが、学校は地域に根差した拠点施設であり、再編に当たっては、子どもたちや地域にとって魅力的な取組を行い、付加価値を高めていく必要があります。御提案いただいた内容も含め、地域の皆様との対話を重ねながら、その地域の特色や歴史的経緯を生かし、魅力あふれる集いの場をつくれるよう検討を進めてまいります。 ◎【鈴木玲央議長】 安間教育長。                    〔教育長登壇〕 ◎【安間英潮教育長】 学校再編についてでございますが、学校の再編による適正配置の検討については、あくまでも児童・生徒の教育条件の改善の観点を中心に据え、学校教育の目的や目標をよりよく実現するために行うべきものと認識しております。また、学校はコミュニティの核として、防災、保育、地域の交流の場などの機能を併せ持つものです。こうしたことを踏まえ、ハード、ソフト両面において、他の地域においても生かせるような再編を進める効果的な取組や手法となるモデルケースに取り組む必要があると考えております。学校が子どもたちの未来をつなぎ、地域の人々が集う拠点としてあり続けるためにも、適正配置による効果が十分に見込まれる地域から着手をしてまいります。 ◎【鈴木玲央議長】 第2番、長谷川順子議員の質問は終了しました。  次は、第11番、内田由香利議員。                    〔11番議員登壇〕 ◎【11番内田由香利議員】 自民党新政会、内田由香利です。発言通告に従いまして、一般質問させていただきます。  本年1月1日に発災しました能登半島沖地震では、能登半島の2,300ヵ所以上で土砂が崩落し、石川、新潟、富山の3つの県では土砂崩れが439件と、東日本大震災を上回る件数であったとの報告がされています。そこで、今回は八王子市の防災について質問させていただきます。  まず初めに、本市が発行しています八王子市総合防災ガイドブックより、土砂災害警戒区域、浸水想定区域、避難所、一時避難場所、災害時給水ステーションなど様々な情報が記載されておりますハザードマップについてです。平成11年の広島豪雨災害で死者、行方不明者32名の被害がありました。新興住宅地で土砂災害が発生したこと、自分の住んでいるところが土砂災害のおそれがあると知らずにいたこと、さらには死者の6割が高齢者であり、早期避難行動が困難だった方が多かったことからも、事前に危険な場所を知らせ、避難体制を整備することが重要視され、平成12年にこの土砂災害防止法という法律の制定に至りました。
     都道府県知事は、この土砂災害防止法の基本指針に基づき、おおむね5年ごとに急傾斜地の崩壊等のおそれのある土地に関して調査を行い、結果を市町村長に通知、公表しなければならないとあります。本市でもこれを受け、八王子市総合防災ガイドブックの中に土砂災害警戒区域についての説明及びハザードマップが記されております。このハザードマップは、市民の自主的な避難行動を支援し、自然災害による被害を最小限に食い止めることを目的とし、水防法、土砂災害防止法により、国や都道府県が指定した危険区域に応じて地域住民が避難行動をとっていただくためハザードマップを作成することが市町村の役割となっているわけですが、ここでお伺いをいたします。  市民の自主的な避難行動を支援するため、本市ではどのような取組を行っているのかお示しください。また、ハザードマップの周知についてはどのようにされているのでしょうか。こちらもお答えいただきたいと思います。  次に、八王子市環境基本計画について質問いたします。本市には、八王子市環境基本条例に基づき、市内6地区に自発的に環境保全活動を実践する組織として環境市民会議があります。各地区の環境市民会議は、市民、事業者が地区ごとの環境課題や身近な環境について自ら話し合い、よりよい環境にするために活動していただいているところでございます。  令和5年度に策定された第3次八王子市環境基本計画においては、第5章の地域の行動として、各地区が自ら考えた目指す環境の姿や現状と課題、その解決に向けた主な取組が設定されております。具体的な活動内容としては、小中学校を対象とした環境教育の支援、自然体験講座の実施、省エネ教室、ごみの分別講座やダンボールコンポスト講座の活動を行うなど、地域における環境保全活動に積極的に取り組んでいます。  各地区での取組を少し紹介させていただきますと、中央地区では八王子浅川ガサガサ探検隊への支援、西部地区では上川の里特別緑地保全地区での自然観察会や保全活動、西南部地区では河川の水質調査や清掃活動、東南部地区ではまちの美化活動として北野駅周辺の清掃活動、東部地区では里地里山においての保全活動や文化の継承活動を実施しております。私の地域である北部地区では、東京都緑地保全地域での緑地保全活動、谷地川の調査と清掃、また、先日は幹線道路沿いや住宅地などの二酸化窒素の測定のため、カプセルの設置と回収を行っておりました。この二酸化窒素濃度の測定は、平成16年より毎年、年2回、6月と12月に測定を行っており、ここ12年間で幹線道路、一般道路、また、道路に面していない住宅地の全ての箇所で二酸化窒素濃度が減少している傾向が見られました。  このような調査も行っているわけでございますが、そこでお伺いいたします。環境市民会議が取り組んできた環境保全活動について、ほかにも様々あると思いますが、これまでの成果についてお示しください。  また、先日、6月9日日曜日に行われた2024八王子環境フェスティバルに行ってまいりました。企業や環境団体、学校などによる出展ブースがあり、様々な環境に関する取組を知ることができました。特に環境市民会議のブースを見てまいりましたが、各地区それぞれ特徴のある興味深い出展内容であり、地域のために考え、行動していらっしゃる環境市民会議の皆様の八王子の自然環境を守っていくという強い思いが伝わってまいりました。このように環境保全活動を実施し、環境保全の一助として役割を果たしている環境市民会議ですが、近年は高齢化が進んでいる現状があるようです。  そこでお伺いいたします。市として環境市民会議の課題をどのように捉えているのかお示しください。  次に、八王子市生物多様性地域戦略についてお伺いいたします。昨年度の令和5年度に第3次八王子市環境基本計画を生物多様性地域戦略と一体的な構成として策定されたと思います。生物多様性地域戦略については、ほかの自治体を見ますと、独立して地域戦略を策定している自治体もございます。  そこでお伺いいたします。本市では初めての策定となる生物多様性地域戦略ですが、八王子環境基本計画と一体的に作成されておりますが、その狙いを改めてお尋ねして、1回目の質問を終わります。 ◎【鈴木玲央議長】 生活安全部長。 ◎【山岸研生活安全部長】 八王子の防災について2点の御質問にお答えをいたします。  まず、市民の自主的な避難行動を支援するための取組についてでございます。本市が発行しております総合防災ガイドブックでは、議員の御質問にもございましたとおり、市内全域のハザードマップを見やすくなるよう分割した上で収録しているほか、様々な災害時にとるべき適切な行動や事前の備えに必要な情報などを盛り込んでおります。また、自主的に避難を行うタイミングや避難行動における要配慮者への支援のポイントなども掲載しており、個々人の災害への備えについて周知啓発を図っているところでございます。  次に、ハザードマップの周知についてでございますけれども、八王子市総合防災ガイドブックへの掲載のほか、市のホームページや広報はちおうじ、出前講座、地域の防災訓練、防災指導員育成研修など、様々な機会を捉えて周知を図っております。また、台風の接近など災害のおそれがある際に、防災情報メール、SNSを通じて、あらかじめハザードマップを確認するよう御案内をいたしております。 ◎【鈴木玲央議長】 環境部長。 ◎【三宅能彦環境部長】 私からは3点の御質問にお答えをいたします。  まず、環境市民会議が取り組んできた環境保全活動の成果についてでございます。環境市民会議では、平成14年の設立以来、それぞれの地域の自然環境を生かした活動を中心に継続して取り組んでいただいております。山や川での野草観察や公園巡り、里山探検隊などといった自然体験講座については毎年継続して開催しており、令和5年度は13回開催、約200人の市民の皆様に御参加いただきました。環境市民会議には、本市の豊かな自然に親しむ機会の創出など、長期にわたり地域の環境保全活動の活性化に多大なる貢献をいただいております。  次に、環境市民会議が抱える課題についての御質問ですが、環境市民会議の会員数につきましては、平成17年度の276人をピークに、令和5年度は153人となっております。毎年新規の会員はおりますが、御高齢など年齢を理由に退会される方も多く、平成24年度以降は減少が続いている状況でございます。今後さらに減少が続きますと、環境市民会議の活動にも支障が生じると考えられ、どのように新規会員を獲得していくかが課題となっております。また、会員の高齢化が進んでいることもありまして、長年の活動により培ってきました知識や技術の継承も課題となっております。  最後に、八王子市生物多様性地域戦略を第3次八王子市環境基本計画と一体的に策定した理由についての御質問でございます。近年、地球温暖化の進行による地球環境への影響が顕著化し、生物多様性や人々の健康に深刻な被害をもたらすなど、様々な問題が生じております。これまで以上に環境政策を統合的、横断的に推進するため、施策が重なり、互いに影響し合う部分が多い生物多様性地域戦略と環境基本計画を一体で策定いたしました。 ◎【鈴木玲央議長】 第11番、内田由香利議員。                    〔11番議員登壇〕 ◎【11番内田由香利議員】 それでは、2回目の質問をさせていただきます。  それぞれお答えいただきました。市のホームページや広報、様々なところで周知をしていただいているとのことですが、ハザードマップを作成しても、広く市民の皆様に周知されていなければ意味がありませんし、また、継続して周知されていなければ、防災意識も徐々に薄れていくのではないかと感じます。自宅など身近な場所で土砂災害の危険性があるのだということを知っていただくことを目的としているわけですから、ハザードマップの周知方法についても、作成と同様に力を注いでいただきたいと強く要望いたします。  さて、八王子市は186.4キロ平方メートルという広さの中、多摩丘陵北部と関東山地の接点に位置し、市のおおよそ東半分を丘陵地、西半分を山地が広く覆っております。そして、浅川をなす支流河川が氾濫低地を形成し、東部丘陵をさらに南部と北部の2つの丘陵地帯に分離しているという地形です。このように本市は山地、丘陵地が多いという特徴があること、近年の異常気象により日本の各地で豪雨や台風などによる水害、土砂災害が頻発していることからも、市民の生命、財産を守るため、治水対策と同様に土砂災害防止対策が重要であり、地域によって地形がそれぞれ異なることからも、地域独自で活動する自主防災組織が非常に重要であると考えます。  本市では、令和4年9月現在、501の自主防災組織があり、それぞれの団体が地域の中で定期的に避難訓練、防災教室などを行っており、本市でも自主防災組織への取組として資機材助成、防災指導員育成研修の実施などの支援を行っています。  そこでお伺いいたします。自主防災組織の活動を推進するに当たり、現在課題として考えていることがあればお示しください。  続きまして、環境市民会議には、長期にわたり地域の環境保全活動の活性化に多大なる貢献をしていただいているとのこと。環境活動はすぐに成果が得られるものではございません。継続して活動していくということはとても大変なことであります。我がまち八王子市を愛しているからこそできることであり、敬意を表したいと思います。そして、私もぜひ一緒に環境市民会議の活動に参加させていただきたいと思います。  環境市民会議の課題については、私も同様に感じているところではございます。高齢化や知識、知見を持った後継者不足といった問題は、どこの地区も現実として受け入れざるを得ない状況にあり、今後はさらに深刻になっていくと思います。本市の豊かな自然環境を将来に引き継いでいくために、市は環境市民会議の新たな人材の確保や高齢化に対応するためにどのような取組を行っているのかお示しください。  次に、生物多様性地域戦略についてです。一体化して策定した市側の意図は確認することができました。生物多様性は、たくさんの生き物がいて、それらがお互いにつながり合っていることを言います。生き物がたくさんいること、様々な生息・生育の場があること、同じ種でも様々な遺伝子があることの3つのレベルの多様性があるとされています。そして、これらの多様性を基に様々な生態系サービスの恩恵を受けているのが私たち人間です。八王子市には、生物多様性を有する高尾山をはじめ、豊かな自然環境があります。そして、各地区の環境市民会議が行う活動の中にも、その地区独特の自然環境が存在しております。これらを将来にわたって残していくためには、我々の世代で様々な取組を行うことが必要であると感じています。  今年度は、八王子市みどりの基本計画の改定も予定されていると思いますが、環境基本計画に書かれている地域での環境市民会議の活動、そして、生物多様性地域戦略の趣旨を踏まえ、改定をしていく必要もあると考えます。  そこでお伺いいたします。ここで新たに策定された生物多様性地域戦略を踏まえた環境市民会議との関わりについてお尋ねをして、2回目の質問を終わります。 ◎【鈴木玲央議長】 生活安全部長。 ◎【山岸研生活安全部長】 自主防災組織活動の課題についてでございます。議員の御質問にもございましたとおり、市内には多くの自主防災組織がございますけれども、その活動内容の充実を図っていくことが課題であると認識をしております。具体的には、先進的な取組を行っている自主防災組織の活動内容や新たな訓練手法を紹介していくことなどによりまして、各組織の活動の活性化とその内容の充実に取り組んでまいります。 ◎【鈴木玲央議長】 環境部長。 ◎【三宅能彦環境部長】 私からは2点の御質問にお答えいたします。  まず、環境市民会議の新たな人材の確保や高齢化への対応についての御質問ですが、本市では6地区の環境市民会議の活動紹介するパネル展を開催しているほか、環境関連講座への参加者へ入会の声かけ、SNS等への募集記事の掲載など、新規会員募集の支援を行っております。また、環境教育支援を行う川の学習サポーターを養成する講座の開催、講座の修了生に向けた勉強会の実施など、新たな環境教育、環境学習の担い手確保に向けた取組も進めているところでございます。  次に、生物多様性地域戦略の策定を踏まえた環境市民会議との関わりについての御質問でございます。本市の里山、河川、公園、農地などの多様な自然環境を保全し、回復させるためには、行政の環境政策の推進とともに、市民、事業者の自発的な環境保全活動が不可欠となります。また、これらの自然環境を活用した次世代を担う子どもたちに対して生物多様性を理解するための環境教育、環境学習は大変重要な要素だと考えており、環境市民会議の活動は計画の推進において欠かせないものと考えております。 ◎【鈴木玲央議長】 第11番、内田由香利議員。                    〔11番議員登壇〕 ◎【11番内田由香利議員】 3回目の質問をさせていただきます。  それぞれお答えをいただきました。能登半島沖地震では、地域の消防団の方々の活躍が避難と救出において大きな力であったことが報道されましたし、石川県では、平成19年3月に発生した地震でも、震災対策専門委員会において、地域のきずなが避難誘導や安否確認などに役立ち、被害を抑えることができたと高く評価されたと石川県の自主防災組織活動の手引きにも記載がございました。先ほどの御答弁で、各自主防災組織の活動内容の充実を図ることとのお答えがございましたが、防災力の向上を目指す上でも、地域力の向上が必須であると考えます。  市民の皆様が安心・安全に暮らすための取組として、防災・減災対策は本市においても最も重要な施策の1つであると考えます。大規模な災害が発生したとき、迅速な避難と被害の拡大を防ぐには、自分の身を自分で守る自助とともに、ふだんから顔を合わせている地域や近隣の人々が集まり、互いに協力し合いながら防災について組織的に取り組むこと、いわゆる共助が必要となります。  しかしながら、少子高齢化、核家族化、単身世帯などの要因により地域の連帯感が希薄化している中、町会・自治会活動をはじめとした地域コミュニティが停滞していると指摘されており、今後は現代社会の課題を反映させた取組が必要だと考えます。  そこで、1つ事例を挙げさせていただきます。神戸市では、阪神・淡路大震災の教訓を基に、減災の思想をいち早く取り入れた取組をされています。自主防災組織といえば、一般的に町会・自治会単位でしているところが多いのに対し、小学校区単位としているのが特徴です。自治会、消防団、PTA、青少年育成協議会、民生委員、防犯協会、事業所など多くの団体で防災福祉コミュニティというものが結成され、区役所、消防署とともに地域福祉と地域防災が連携しています。範囲が広く、全体として活動するには労力が必要ですが、各種団体が集まった組織であるため、災害時には地域福祉と地域防災の連携により組織的な活動ができるという利点があり、特に高齢者や体の不自由な方の避難行動要支援者への支援になると考えます。また、防災訓練、救護講習のほかにも、防災講演会の開催や防災体験学習を実施するなど様々なメニューを用意し、チラシを作成し配布するなど普及啓発にも活発に取り組んでおり、市民ひとりひとりの防災意識の向上につなげています。  そこでお伺いいたします。八王子市では中学校区単位の地域づくりを進めていますが、先ほど事例として挙げさせていただいた神戸市の取組は、本市の自主防災組織の防災力の向上につながると考えます。今後、八王子市の自主防災組織が同じように各種団体と連携した形になっていくために様々な課題があると思いますが、八王子市としてどのような手助けができるのかお考えをお聞かせください。  続きまして、生物多様性地域戦略ですが、この生物多様性地域戦略を実践する上でも、各地区の市民、事業者で構成されている環境市民会議のように、地域の力で地域の環境を守る活動、そして、将来を担う子どもたちへの環境教育や、その支援をしていくことが重要な役割を果たしているということ。そして、これらの活動を支える人材の確保、育成は大変重要なことだと考えます。そして、いつまでもこの八王子のすばらしい環境を守り、次世代の子ども、さらにその子どもへとつなげていくことを市として支援していくことが望ましいと思います。地域活動されている環境市民会議や、その他活動されている団体や企業、学校など、それぞれが関わり合いながら活動していくことが地域力にもつながると考えます。  そこで、最後にお伺いいたします。八王子市として、今後も環境市民会議をはじめ、地域のために積極的に活動している方たちにより一層目を向けていただきたいと思います。今後の支援などを踏まえてお考えをお聞かせいただき、以上で私の一般質問を終わります。 ◎【鈴木玲央議長】 生活安全部長。 ◎【山岸研生活安全部長】 自主防災組織と各種団体との連携に向けた支援でございますけれども、本市では、自主防災組織を含む各種の団体で構成されている地域づくり推進会議を立ち上げ、一部の地域では、防災部会を設けて広域的な防災活動を行っております。市職員も会議に出席するほか、訓練が行われる場合には協力を行っているところでございます。災害対策におきましては、地域の防災力の向上は大変重要であるというふうに捉えております。引き続き、連携を図っていく上での細やかな対応や必要な支援にしっかりと取り組んでまいります。 ◎【鈴木玲央議長】 環境部長。 ◎【三宅能彦環境部長】 私からは、今後の環境市民会議などの支援についての御質問にお答えいたします。先ほど議員からも御紹介いただきましたが、先日開催いたしました2024八王子環境フェスティバルでは、地域の企業・団体や学校などに出展者として御参加いただき、約1万5,000人の来場者に対して、各団体の環境に関する取組を紹介することができました。本市では、こういったイベントの開催だけでなく、環境活動のネットワークの構築を支援するための交流会を開催するなど、地域の活動をつなぐ取組も実施しているところでございます。環境市民会議をはじめとした地域の団体等に今後も支援を続けるとともに、連携して環境政策を推進してまいります。 ◎【鈴木玲央議長】 第11番、内田由香利議員の質問は終了しました。  以上で一般質問を終わります。   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◎【鈴木玲央議長】 以上で本日の日程は全部終了しました。  次回の本会議は、明6月14日午前10時に開きます。ただいま御出席の方々には改めて通知しませんから、御了承願います。   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◎【鈴木玲央議長】 本日はこれで散会いたします。                                     〔午後4時24分散会〕...